大蔵委員会 第13号
- 発言数
- 402 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1975/03/27
会議録
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 この際、委員の異動について報告いたします。 本日、最上進君が委員を辞任され、その補欠として藤川一秋君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(桧垣徳太郎君) 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○大塚喬君 質問に入る前に、先日委員長を通じてお願いいたしました「昭和五〇年度租税特別措置減収額の見積り概要」という資料をいただいたもんですから、これについて若干大蔵大臣に質問をいたしたいと存じます。この四ページに「交際費課税の特例」というのでマイナス二千三百五十億円という数字が載っております。それでこの数字が、租税特別措置による減収額ということになりますと、この数字がこの減収額のところに載っけてあるというのは、私の考えではこれは別表にして出されるのがしかるべきだという感じをするわけであります。と申しますことは、この二千三百五十億、この特別措置ということの中でも、ちょっと性質の違ったものであり、租税特別措置で税の減収額ということを明らかにするためには、この二千三百五十億ということは別表にして、そうして当然この減収額というのは、五ページの計のところにあります五千六百十億円にこの二千三百五十億円、これがプラスをされて、その租税特別措置による減収というのは、明らかに七千九百六十億であると、この実態を明らかにすべき、こういう性質のものであると考えるわけであります。このような一つの表の中にまとめて差し引き勘定をして出すということは、この租税特別措置がさも少額であると、こういうことを見せようとしてこういう表のつくりをされたんじゃないかという、こういう感じがするわけであります。この点についてひとつどういうお考えで、別表で出すべきが至当じゃないかと、私はこういう考えなんですが、見解をお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) いわゆる租税特別措置によりますところの減収額試算というのは、最近は毎年度計算をいたしまして、国会にも御提出いたしております。そのときの調理方法としましては、いま御指摘のような形でもってずっと出してきておりまして、別に私どもは総額だけをお出ししておりませんから、各項目についてごらんいただきますれば、その程度はどんなものであるか、あるいはいわゆる減税額だけでは総額としてどれだけになりますし、あるいは租税特別措置によりまして増収を図っておるものについては、どういうものであるかというのもそれぞれ区分してお出しいたしておりまするから、いま御指摘のように、租税特別措置によりますところの減収額をわざと小さく表示をするためにこういうことをしておるんではないかという御指摘は当たらないと思っております。確かにおっしゃいますように、租税特別措置によりまして減収額は幾らであるか、増収額は幾らであるかということを別個に計算をしていただいても結構でございますし、私どもが従来出しております表によりましても、それは容易にやっていただけるような形でやっておるつもりでございます。 ところで、租税特別措置と申しますのは、私どもの考えによりますれば、いわゆる通常の法人税なら法人税、所得税なら所得税の所得計算によりまして納めるべき税額というものと、それから特別の措置を講ずることによりまして、それによって納めるべき税金が減少する場合あるいは増加する場合にそれぞれ幾ばくになるかということを表示するのが至当であると思っております。 交際費課税につきまして、今日行っております特別措置法によりますところの特例措置は、私どもといたしますれば、やはり企業の課税所得ということから考えますれば、本来そのものが純粋に交際費でありますれば、それは損金として認めなければならないものだと思っております。もちろん、交際費という名をかりまして現実に私的な消費に当てられるという部分につきましては、場合によりますれば給与として損金に落ちる場合もございますし、あるいは重役がそういうことをやりますれば、賞与として法人税の課税においても益金に加算をいたしまして法人税を取りますし、受け取りました側においての所得税においても、課税をするということになる場合がございまするけれども、本来純粋に会社の交際費というものでございますれば、この租税特別措置で課税をするということがない場合におきましては、これは損金になるべきものでございます。もちろん、その程度が非常にわが国におきまして最近は多額に上っておるという事情から、これを抑制するというために、現実におきましては交際費であり、また、そのために普通の所得計算におきましては損金にしなければならないものを、あえて租税特別措置で否認をいたしまして損金に計上することを認めないというものでございまするから、通常の計算からいいますれば、やはり五十年度においての二千三百五十億円というのは租税特別措置による増収額と考えております。
○大塚喬君 交際費の局長の説明はそれなりに私も理解ができます。しかし、租税特別措置ということで減額措置の分はこの二千三百五十億円、この分も当然租税特別措置で減額されておるわけでしょう。だから、その減額された分はやっぱりこういう差し引き勘定をして五千六百十億円ということでぼこっと出すのでなくて、やっぱり正々堂堂と七千九百六十億円、租税特別措置によって逆に今度はマイナスじゃなくてプラスになる課税された交際費の分、こういうものが二千三百五十億あったとするなら、それは当然別表にしてその内容をこういう、国民の前にさらけ出す前に、五千六百十億円なんという、わざと見せかけの少ない数字で出すのでなくて、私はそれぞれの双方を別な表で出すのが、これは親切な政府のあり方だと私なりにそういう考えを持っておるものでございます。この租税特別措置についてはきょうひとつその他の問題もとらえて質問をしたいと思いますので、後ほどまた関連して質問を続行いたしたいと思います。 主税局長にお尋ねをいたしますが、一昨日のわが党の寺田委員の質問について、配当控除の問題ですが、配当所得四百五万円、これはすでに法人段階で二百二十八万円の法人税を納めておるから、配当控除制度が存在することによる課税の不均衡はないと、こう答弁をされましたですね。で、その答弁で二百二十八万円という税負担の計算、ぽこっと二百二十八万円という数字が出たものですから、その計算方法についてお尋ねをいたしたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) 先日寺田委員にお答えをしましたときには、今日、個人の所得者が配当だけを受けております場合の課税最低限は四百五万円でございますと、それには基本的に法人税の仕組みの問題がございますということを御説明しましたそのときに、端的にその基本的な考え方を御理解いただきますために、配当控除というのが個人の所得税についてありますのは、いわばその配当を払います原資につきまして、法人の段階で法人税が課税されておる。それを受取側の個人において所得税で調整をしておる今日のわが国の制度というのを申し上げまして、四百五万に対応いたしましては、それを支払います会社の側におきまして、すでに法人税としまして二百二十八万九千円の法人税を納めておりますということを申し上げたわけでございます。その二百二十八万円というのは、実は非常に例を簡素にして申し上げましたので、本来でございますと、法人が会社で利益を上げまして、その利益に対しましては、まず事業税が損金として引かれるわけでございます。その引かれました後に対しまして、国の法人税と地方の法人税割りがかかるわけでございます。そのまた法人税と法人税割りを納めました後のいわば法人におきましての税引き利益というものを法人は配当をいたしますか、あるいは重役の賞与として配りますか、あるいは内部留保として会社の中に置いておくわけでございます。ただ、この場合に、非常に計算を簡便化いたしますために、会社がもうけました利益は、納めるべき税金は全部納めました後、その全額を配当するという仮定を立てるわけでございます。そうしますと、四百五万円という配当を個人の株主に払いますためには、その前にすでに法人税を二百二十八万九千円、地方の法人住民税を三十九万六千円払わなければならないわけでございます。それを払った後の残りを全部株主に配当しますと、いわば受取側では四百四万九千円配当として受け取るわけでございます。それは今日の所得税の仕組みで申しますと、それについてその受け取りました株主は配当控除の制度によりまして所得税を納める必要がないという計算にびたっと合うわけでございます。一体、たとえば法人税を二百二十八万九千円という数字をどういう計算で見出すかというのは簡単な算式がございまして、法人がもうけました利益を一としますと、それについて一体そのうち配当は幾らするかという、いわば配当性向を何%という率を想定いたします。今回これは一〇〇%想定をしておるわけですけれども、それからその配当としてかかるものにつきましては、法人税は一般の税率より安い税率がかかるわけです。今日で申しますと四〇%普通の法人税はかかりますけれども、配当をしますとそれに対して三〇%かかりますということで、いわば三〇%まず掛けるわけでございます。 それからもう一つ、非常にむずかしいのでございますけれども、その三〇%の法人税というのは、やっぱり法人の利益から納めることになりますから、それに対しましては四〇%の税金を負担してもらわなければいかぬわけです。それからそれぞれにつきまして法人税割りという地方税がかかりますから、それを計算をいたしまして、一体それが幾らになるかという率は簡単に算式で出るわけでございます。そうしまして逆にさっきの四百四万九千円というのが出ますから、それに対応して一体根元で法人税を幾ら納めてもらうかという計算をしますと、二百二十八万九千円納めておると、こういう計算になるわけでございます。ごくみんな単純に算出される計算でございます。
○大塚喬君 いまの主税局長の答弁を大臣お聞きになって、大臣もそのとおりとお思いになりますか。全く四百五万円と二百二十八万円一切不均衡はないとお考えでしょうか、いかがでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) そういう制度をとっておると承知しておるわけでございまして、そういうことでバランスをとろうとしておるというように私は承知しておるわけでございまして、計算は主税局長の言葉だから間違いはないと思っております。
○大塚喬君 そうしますと、大臣も全くこの問題については不均衡はないと、こういうふうにお答えいただいたものと、こう受けとめてよろしゅうございますか。
○国務大臣(大平正芳君) これはこういう制度をとるかとらぬかの問題でございまして、戦前はこういう制度をとっていなかった。戦後はシャウプ税制以後こういう制度をとることになった。諸外国でも、アメリカのようにとっていないところもありますし、ヨーロッパのように、イギリスのように非常に完全にとっておるところもあれば、半ばとっておるところもあるということでございまして、立法政策の問題としてどういうとり方がいいかという問題だと思うのでございまして、わが国では戦後の税制といたしまして、こういう制度をずっと踏襲してまいったわけでございまして、いろいろな御批判があろうと思いますけれども、特に御異論がなければこれでやらせていただいてよろしいのではないかと私は考えております。
○大塚喬君 それでは大臣に続いてお尋ねをいたしますが、課税原則として、勤労性所得、これは給与所得なり事業所得なりが含まれると思います。それから資産性の所得――利子や配当所得、一体課税の原則としていずれを重課し、いずれを軽課すべきものだと大臣はお考えでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 勤労性の所得を許せば軽課したいものだと私は思います。
○大塚喬君 いま大臣からはっきり勤労性の所得を軽課すべきであると、こういう答弁をいただいて私もわが意を得たりというか、大変大臣の答弁に共感の意を表するものであります。だとすれば、勤労性所得はこれを軽課する、それから資産性所得はこれに比べてより重課をすると、こういう課税の原則を大蔵大臣がはっきり明示をされたわけでありますが、特定の政策的見地から特別措置がいまの資料をいただいたようなことで、国としてはなされておるわけであります。国としては何かの特定の政策を実現するために特別措置がなされておる。そうすると、本来重課すべきものであり、本来軽課すべきものである、こういうひとつの勤労性所得と、資産性所得と、本来重課すべきである優遇の特別措置、これが、私はその政策を遂行するために同じ水準にまで引き下げる、政策を遂行するために、こういうことならばわかるわけでありますが、この課税の原則が、先ほどの主税局長の答弁からしますと、百八十三万円と四百五万円、これはもう全く逆転をして、課税の原則から外れて、しかも、それがこのような大きな差が出るということについては、私はこれはどうも納得できない。この問題について、大臣、どのようにお考えでございましょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 誤解をしないようにお願いしたいんでございますけれども、これは勤労性所得と、勤労性を持たない所得との問題ではないんです、いまの配当控除の問題は。これは法人税法の仕組みがこうなっておる、それの調整の問題とわれわれは理解いたしておるわけでございまして、不労所得というようなものに対して、われわれはこうするんだというような問題、そういう意識は全然ないわけなんで、非常にテクニカルな法人税法の仕組みを受けての調整にすぎないと、御理解をいただきたいと思いますが……。 なお、説明が足らなかったようでございますから、主税局長からよく御説明申し上げさせたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) 一体、法人税をどういうふうに観念すべきかという基本問題に関係すると思います。とかく、今日の法人税のものの考え方を、擬制説、実在説ということで名づけられますけれども、私は本来、法人というのは擬制だと思っております。法律でもって初めて人格を与えられ、その名におきましてあらゆる経済活動をし得るというものでございまするから、法人は本来擬制でございます。ただ、その法人、法律でもって与えられました人格のもとにおいて、いろいろな社会的な活動をやる、経済的な行為はもちろんやります。そういうものについて、やはりそういう活動をなし得るということにつきまして、法人に担税力があるということで、その段階において課税をするということが、今日の世界各国の法人税の理論的な根拠になっておる、そういうことは間違いないと思っております。しかし、依然としましてやはり法人というのは、そういう擬制というような観念で組み立てられておりまするから、一体、株主とその法人との関係というのを別個に考えていいのか、あるいは同一のものと考えるべきかというのが、やはり先ほど大臣からいろいろのお話しがございましたように、各国ともいろいろな考えを持ってきておりますし、わが国におきましても、昔から同じ考えをとっておるというわけではございません。そうしますと、株主がやはり法人の形でもって得た利益という観念に徹しますれば、法人税といいますものは、やはり株主がその利益を受け取った段階において、何らかの調整を行うべきであるという考え方におのずとなるわけでございます。一方また、そういうことでなしに、やはり法人としましては、独自の活動を十分今日やっておりますから、もっと株主と法人との関係というのを遠く離して考えてもいいではないかという考えもまた十分成り立つわけでございまして、それは先ほども大臣からお話しがございましたように、今日ではアメリカがやはりそういった考え方をとっておりますし、戦前のわが国もそういう考え方でございました。しかし、今日のわが国の税制におきますれば、やはり株主というものと、法人というものとの関係を、かなりオーバーラップしたというふうに見ております。 そこで、法人の形として得た利益、そこに対してかけられる法人税というものは、やはりその利益を何らかの形で株主が受け取ったという場合には、所得税におきまして、法人が払った法人税を調整すべきであるという考え方に立っております。しかも、それを英国などのように、完全に、また個別的に調整するということでございませんで、概括的にやると、たとえば一千万円以下のものでありますれば配当控除は一〇%にします、それを超えるものでありますれば配当控除は五%にしますということで、二段の概括的な控除をやっておるということは、一面から申せば、不徹底と言うことはできますし、一面から言いますれば、やはりそういった法人と個人の関係といいますものをやはりオーバーラップして考えておるという証左でございます。 そこで、そういう考え方がいかぬのだということは、もちろん、私も先ほど申しましたように、一方に成り立ち得ると思います。しかし、それは資産性の所得について重課すべきであるとかどうかという話でございませんで、法人税というものを一体どういうふうに考えるか、あるいは株主と会社というものの関係をどういうふうに考えるかという基本論でございまして、勤労性所得と資産性所得の問題を、どういうふうに、どちらをどの程度重くすべきかというものとは別個にお考えを願いたいのでございます。
○大塚喬君 大分、主税局長自信満々のお答えをいただいたんですが、法人擬制説ですね、擬制ということは、いつ、どこでお決めになったのですか、私はいままでの税制の変革等を見て、そのような思い切ったそういう断定というのは、私はいままでの国会の審議やなんかのこう経過を見たり聞いたりして、局長が初めてのように、そのような思い切った断定をされた発言は、いつ、どこでお決めになったのか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) いや、私はいま申し上げたことは、決して私が初めて申し上げておることでございませんで、法人課税と配当課税とをめぐりまして、わが国におきましても、長い間の論争点でございます。たとえば昭和三十六年に、今日の法人税におきまして配当軽課措置を導入をいたしました、そのときにも、この問題をめぐって非常に大きな論議がございまして、一方におきましては、先ほど私が申しましたように、株主と会社というものを一体に考えるという面から、むしろ、もっと完全に調整をすべきであるとか、あるいは配当は法人の段階で課税すべきでないという極論まで出て、いろんな議論があった末に、今日のような形の、配当につきましては、留保に対する税率よりも安くするということが導入されたわけでございます。そのときには、それに至りますまでに、先ほど私が申しました論点をめぐりまして、非常に大きな問題がございました。それから昭和四十二、三年のころにおきましても、また配当損金算入論というのが、企業の自己資本比率がわが国におきまして年々低下いたしますにつきまして、かなりまた活発に論議が行われた、その後におきましても、もちろんいろいろ議論が行われておりますし、わが国の税制調査会におきましても、今回の税制調査会におきましても、その問題を、今後、もちろん御議論をいただこうというふうに思っております。したがいまして、私が申し上げましたことは、私の独創でございませんで、いままでの論議、それから同じような論議が世界各国において行われておるということを申し上げた次第でございます。
○大塚喬君 これは後ほど速記ができれば明らかだとも思うんですが、法人擬制でございますということで、はっきり局長は断言をされたわけですね一まあ、もう少し待ってください。 それで私は主税局長は、いままでの税調の答申はお読みになっていらっしゃいますか。昭和四十三年の税調の答申、それから昭和四十五年の税調の答申、それから昭和四十六年の税調の答申、それらについて、いま局長が答弁いただいたことと逆な方向のそういう答申が引き続いてなされており、それらの問題について、私は局長がこういう答申を、主税局長ですからお読みにならないはずはないと思う。その局長がそれらの答申とまるっきり逆な方向の答弁をされておるものですから、いつ、どこで、だれが決めたのですか、こういうことをお尋ねをしているわけです。局長の答弁ははっきり法人擬制でございます。いま一生懸命手を振っておりますが、それははっきりそうおっしゃったんですからね、いま聞いたばかりですから。
○政府委員(中橋敬次郎君) もちろん私もいろいろ長い間税制当局の中に入れていただいておりまするので、それぞれの答申は読んでおるつもりでございます。私が申しました、法人は擬制でありますと言いましたのは、法人の構成は法律によって人格を与えられたものという意味において法人は擬制説でありますということを申し上げたのでございます。私は、従来とかく法人実在説、擬制説ということを言われますけれども、それは誤解を招きますから、私は、法人擬制説、実在説ということで、この法人税の仕組みの問題を議論しますときには誤りを生じますので、私は、ことさらに法人税を、配当を受けます段階において調整を要する説と、要しない説ということで私自身は非常に厳格にお話をしておるつもりでございます。法人擬制説だから、法人はすべて法人税も擬制説で律しなければならないということは、私は誤りだと思っております。法人は、私が先ほど申しましたのは、法人というのがなぜ人格を与えられておるかというのは法律でもって与えられておる、ここが自然人と違うわけでございます。そういう法律的意味におきましては、もう法人擬制説というのは、これは法人が生まれて以来の確定説でございます。私はそういうことを言っておるのではございません。むしろ法人税を配当についてかけられたものを、配当を受け取る株主の段階で調整を要する説をとるべきか、要しない説をとるべきか。それを、いままでは非常に多くの人たちは簡単に、名前を挙げるにつきましては擬制説と言い、あるいは実在説と呼んでおられることは、私はよく承知いたしております。しかし、法律が法人格を与えたのは法律上の擬制説でございますから、その擬制説と、それから法人税を考えます場合の擬制説、実在説というのとは関連がない話でございまするので、私はそれをあえてとらないわけでございます。したがって、私が法人は擬制説ですと申しましたのは、法律的な意味において申し上げたのでございまして、法人税を考えます場合には、受取株主の段階において、配当原資にかけられました法人税を調整すべきであるとする説と、すべきでない説ということでお考えを願いたいのでございます。
○大塚喬君 その四百五万と百八十三万という問題は、私はもう多年この二つの問題については疑問を感じて均衡ではない、私はそういう感じがどうしてもいまの答弁を聞いても抜けないわけであります。事前の法人の段階での二百二十八万という課税、これは、その調整された額というのは、一体株主だけの犠牲ということで支払われる二百二十八万円という税額になりましょうか。この点はいかがでございましょう。と申しますのは、法人段階で納める二百二十八万、これは第一にやっぱりその会社の製品なりのコストで受益者がやっぱり一つはその二百二十八万という法人段階の課税の犠牲というか、負担をしておる。 〔委員長退席、理事山崎五郎君着席〕 それから、その会社の従業員なりもやっぱり賃金がそのために抑えられておる。こういうことで、株主が配当を受けるその分の負担だけが二百二十八万という法人段階の税額というのは、いまの局長の答弁では私はどうも釈然といたしません。それは株主だけがその犠牲を負う、そういう性格の税金でございますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) いまの問題は、法人税は一体だれが負担すべきかという非常にまたむずかしい問題にだんだん発展してまいるわけでございます。私どもは、法人税といいますのは、一部には、もちろん転嫁されましてその法人が売っておる商品を買う人が負担をするという説をなす人もございますけれども、少なくとも私は、法人税はやはり法人の負担として帰着するんだといういま考え方に立っております。そのときに、いまおっしゃいましたように、そういう意味において法人税は労働者の給与に帰着するかということになりますれば、またそれは非常にむずかしい問題になりますけれども、法人留保に帰着するんだということになりますれば、いろいろその物の生産にあずかって力のあった人にこの負担というのはいわば関係がないわけでございます。労務を提供しました人には賃金が払われます。それについては損金ということで法人税の計算からは除外されますから、残りました最後の法人留保というものについてだけ法人税はかかるわけでございます。ですから、やはりその法人税としてのたとえば二百二十八万円といいますのは、法人留保をそれだけ少なくしておる。それは将来の法人の拡張を抑えるかもしれませんけれども、そこにとどまるものだというふうに思っております。 それはまた非常に基本論でございますけれども、いま仮にそういうものとして法人税二百二十八万円、それからそれを払った後の配当四百五万円、合計六百三十三万円になります。非常に問題を簡単にいたしますために法人税だけにさしていただきますが、六百三十三万円というものをもうけまして、国に二百二十八万円納めて、四百五万円一人の株主が払って、配当控除で所得税はゼロになる、こういう計算になるわけでございますが、いまの調整を要するという説に立ちますれば、六百三十三万というのは、いわばその株主が株主という資格でもうけましたときには、それについて所得税を納めればよろしいわけでございます。所得税だけを納めればよろしいという形になります。それを法人の形をとっておりますから、法人税を二百二十八万円まで納めます。あと残りを所得税で幾ら納めればいいかという計算になるわけでございます。そのときに、ある概括的な条件を置きまして、個人という形でその六百三十三万円をもうければ二百二十八万円という所得税でよろしいということに仮になるとします。そうすればそれだけで終わるわけでございますから、法人税で二百二十八万円納めておれば、あと追加的に受け取る株主の段階におきまして所得税を納めなくてもいいというのがこの配当控除の概括率一〇%をつくったときの基本的な考え方でございます。そういう会社と個人とを、先ほど申し上げましたようにオーバーラップさせて考えます。そうしましたら、法人の段階で納めた法人税は、いわば株主が先に取られておるという税金というふうに観念をいたします。そこで調整を要するという説は、調整すべきであるというふうになるわけでございます。それを今日のわが国の法人税制あるいは配当控除制度はとっておるということを申し上げたのでございます。
○大塚喬君 いま局長がおっしゃったように、いろいろ論議がある、むずかしい問題だ、こういうお話があったわけですが、そういう問題を一切飛び越えて局長の答弁は、二百二十八万円は株主が負担したのでございます、それだから四百五万と百八十三万というのは不均衡ございません、こう繰り返しおっしゃっておるわけです。そこのそういうむずかしい問題があればあるほど、局長がそういう断定的な答弁をされることに私どもは納得ができない、疑問が残る、こういうことでございます。具体的な問題でお尋ねをいたしますが、給与所得者二百万円の人の所得税は幾らでございましょうか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 給与二百万円で夫婦子供二人といたしまして、今回御提案申し上げております改正案によりますれば一万一千円でございます。
○大塚喬君 この人をAとします。もう一人Bという人があって、同じくこの人の給与所得も二百万円。それで、このBという人はそこに配当所得百万円あったといたします。そうするとこの人の所得の合計は三百万円です。この場合に今度のこの措置によって、この三百万を受ける人は税額幾らでございますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) ちょっと具体的に計算をいたしますので、確定した数字は後ほどお答えさせていただきますが、考え方を申し上げますと、二百万円の給与というものの課税所得が、 〔理事山崎五郎君退席、委員長着席〕 いろいろ人的控除を引いた残りが出ます。その上に百万円という新たな上積みの所得が加わりますから、恐らく課税所得はその人につきましては百十七万円ぐらいになると思います。百十七万円に対しまして一体納めるべき所得税は幾らかということを出しますと、先ほどの一万一千円に恐らく新たに加わりました百万円の上積み税率が何%かかるその税額が出ます。一万一千円プラスアルファとさせていただきます。それに対しまして今度は百万円の一割、十万円を引いたのが追加納付税額でございまするから、それと一万一千円との差額が配当所得百万円を受けたことによる追加的な納税額として出てくるわけでございます。
○大塚喬君 いま局長の答弁で二百万円の給与所得それだけの人、これがA、それからBの給与所得二百万円と配当所得百万円、その人のあれは局長のいまの答弁だというと三百万円の配当所得も給与所得もある人の額の方が多いというお答えでしたね、本当にそうなりますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) いま計算が出ましたのでちょっとお答えいたしますが、Aということで例をとられました夫婦子供二人で二百万円の給与収入のある人の税額は一万一千円でございます。それからそのほかにBという人は配当百万円もらっておるという、その人の納めるべき税額は二万円でございます。その計算の内訳を申しますと、給与収入二百万円と配当百万円につきまして計算をいたしますと約十二万円でございます、十二万円程度の所得税を納めることになりますが、配当控除が十万円ございますので、その人の納めるべき税額は二万円でございまするから、一万一千円との差額九千円が配当百万円追加的にある人についての追加税額となります。
○大塚喬君 だといたしますと、給与所得だけで、いまの家族構成で三百万円の方は幾ら税金かかりますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 給与所得の年額三百万円の夫婦子供二人の人は八万二千八百円、今回御提案申し上げておる改正案で負担することになります。
○大塚喬君 大臣にお尋ねをいたしますが、いま局長が答弁いただいたそういうことで今度の税制が適用になるわけであります。いまの具体的な例をお考えいただいて大臣はどのような見解をお持ちでございますか。不均衡はないとお考えでございますか。全くこれで公正だと、こうお考えでございますか。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほどからるる御説明申し上げておりますように、法人税と個人の所得税とを重ね合った状態において調整をさせていただいておりまするので、法人段階において納めましたものを個人の段階におきまして調整をした結果そういう状態になっておるということで、税の仕組みからそうならざるを得ないということと承知いたしております。
○大塚喬君 大臣の答弁で税の仕組みからそうならざる得ないと、こういうことですが、そのことは先ほど大臣が答弁いただいた中で、いわゆる勤労性所得を軽課すべきであると、こういうことと、いまの大臣のお答えはどう考えてもどうも割り切れません。それで仕組みだからならざるを得ない、ならざるを得ないという言葉はわかりますが、不均衡は出ませんか。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほども御答弁申し上げましたように、これは勤労所得とのバランスを頭に置いて考えておることではないのでありまして、法人税と個人所得税との間の技術的な調整の問題でございます。全然別個の問題と私は考えております。
○大塚喬君 一国の大蔵大臣の答弁ですが、勤労所得税を払う人も、利子の配当を受ける人も同じ日本国民ですね。で、いまのような答弁で、国民の納得が得られる御答弁でしょうか。もう一度ひとつ大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) その問題は先ほど来御説明をいたしておりますように、法人の段階で納めました法人税というものを大塚委員は全然受け取る株主の段階において考える必要はないというお立場でございまするから、給与所得の収入だけの人の負担と、それから配当をその上に追加しておる人あるいはそれと同額の給与収入を得ておる人の所得税の負担とを御比較になっておるわけでございまするけれども、法人税というものを考えるべきであるという今日のわが国の税制のもとにおきましては、やはり納められた法人税というのはそこで追加して考えていただかなきゃならないのでございます。しかも、今日の法人と、会社と株主という関係から申しまして、やはりそういうことを必要であるということで今日わが国の税制ができ上がっておるものでございまするから、やはりそういう総合負担としてごらんをいただかなければなりません。しかし、私どもは何もいつまでもそういう制度をとるということでございませんで、先ほど来申し上げておりまするように、もう一度基本的なこの仕組みの問題を税制調査会において検討していただこうということで、昨年来問題を提起をいたしております。この国会が終わりますれば、恐らくその問題についてかなり御論議が展開されるものと思っております。
○国務大臣(大平正芳君) これは釈迦に説法でございますけれども、この前に私もこの委員会で申し上げたと思うんですけれども、具体的な人間というのは給与所得属とか配当所得属とかいう純粋形態においては私ないと思うんですよ。大塚さんにしても、国会から歳費をもらわれておるが、同時にどこかの株主であられるかもしれない、それでそういういろんな所得が組み合わさって個人の所得構成ができ上がっておると思うのであります。経済社会が発展いたしますと所得の形態も複雑になってまいりまして、だんだんとそういう個人の証券投資なんかがふえますと、そういうケースが非常に多いと思うんでございまして、したがって、配当所得系列におきましては政府はちゃんと筋道通した処置をしてくれておる、勤労所得系統ではこういう勤労控除もちゃんとしておるというようなことで、御納得が私はいただけるのではないか。配当所得という不労所得を重視して特にかわいがっておるなんということではなくて、法人税と個人所得税で日本の税制の基本の仕組みが、これは主税局長が言われましたように、基本的な問題として、戦前とっておった制度とかえて、戦後の民主化時代、個人の立場、権利というものをできるだけ尊重していこうという趣旨で、法人段階において配当所得部分も法人税が取られておるというようなことは個人段階で調整すべきじゃないかということで、いまあなたから御批判をいただいておるような制度になったと思うんでございます。 それはそれとして、それに対してはなお各国がいま、どうするかについて、各国の立法制度もそれぞれ違っておるようでございます。なお検討すべき問題はあるといたしましても、それぞれそういう合理的な措置がとられておるということでございますので、私はよくかみ砕いて、国民が納得するかというわけでございますから、よくかみ砕いて御説明申し上げれば御納得が得られないはずはないのではないか。われわれ善意で親切にやっておるわけでございますから、御納得がいただけないはずは私 思います。
○大塚喬君 話は、法人と個人株主の二重課税排除の問題ですが、これは、私ども承知いたしておりますことは、昭和二十五年からシャウプ税制の際に法人擬制説をとって、現実にはそのシャウプ税制が何回かの法改正の中で、法人税の仕組みは次第に当初のものからは移ってきておる。こういうふうに理解をいたしておるところであります。 で、法人擬制説とか法人実在説とかというのは、現在では、その税理論は簡単にどちらだとこういうことは律し切れない。こういうことに現状は進んできておると理解をしておるわけですが、先刻の寺田委員の質問に対して、またきょうの私の質問に対して、主税局長の答弁は、これがもう割り切った形ですばっと自信満々とお答えをいただくものですから、そういうふうなことにどうも私は抵抗を感じますし、一体そういうことだったら、いままでの、たとえば昭和四十三年の税調の答申ですね、読み上げますと、「より基本的には法人企業の現実の経済活動において、大企業ではっとに企業の所有と経営とが分離する傾向がうかがわれ、一般株主と企業とは、法律的にはともかく経済的には全く別個の存在となっており、このような経済の現実に対して現行税制の基本的な考え方がなじみにくいというところに問題があるものと認められる。」と、こういうことを昭和四十三年七月の「長期税制のあり方についての答申」の中で述べております。 それから、同じく昭和四十五年の税制調査会の答申によりますと、これがもっと進んで、「法人税は法人独自の負担であり、配当控除は株主個人の恩典であるとする見方の方がむしろ一般的ではないかと思われる。」、また、続いて、「かりに法人税の一部が株主の負担となっているとしても、同様に他の部分が被用者や消費者等に転嫁しているとすれば、株主だけに調整措置を講じていることば適当でないとする意見もある。」、こう述べております。そういういろいろ論議の経過がある。 さらにまた、四十六年の答申によりますと、「まず、法人税は法人独自の負担であり、配当控除は株主個人の恩典であるとする見方がむしろ一般的ではないかと思われる」、こう述べておるわけであります。「また、配当分に対する法人税が実際に株主に転嫁されていることを実証することは困難である」、「さらに、負担公平の観点からは、当時の配当控除制度のもとにおいては、配当のみの所得者は他の所得者に比して所得税の非課税の限度が相対的にかなり高いもの」になっていることに「批判が絶えないことなどの点を認めた。」と、こういうことになっておるわけであります。 で、私は、いまの主税局長の答弁、これに基づいて大臣の見解もお伺いいたしたわけでありますが、大臣、主税局長ともどもに、こういう税調の答申をお読みになっていらっしゃるのかどうか。しかも、こういうこととまるっきり逆に強弁を張っておられるということに、いまの日本の税のあり方が何かきわめて反動的な、時代錯誤的な方向に進んでおるんじゃないかと、こういう感じさえするもんですから、そういうことで私はお尋ねをいたしておるわけでございます。重ねてひとつ大臣の見解をお聞かせいただきたいと思う。
○政府委員(中橋敬次郎君) ただいまお読みになりましたそれぞれの税制調査会の答申、もちろんそのときに、いろいろいま御指摘の問題をめぐりましていろんな御議論があったことはそのとおりでございます。それからまた、わが国のこの問題をめぐります税制上の変遷というのも、いまおっしゃったような形をとっております。 私がいま申し上げましたのは基本的な考え方を申し上げましたので、その基本的な考えをとりながらも、わが国の税制はむしろ、完全なシャウプ税制の当時の配当控除制度というものからは確かに少しく違ったラインを歩んできております。と申しますのは、たとえば昨年法人税率を上げるということになりました。法人税率、まあ配当軽課税率でもよろしいのでございますけれども、配当軽課税率を上げますれば、本来でございますと、基本的な考え方を徹底いたしますれば、個人におきます配当控除率を上げなければならないわけでございます。それを、上げておりません。そういう経過は、昭和二十五年以来のわが国の法人税率、所得税率、それから配当控除率というものの変遷をごらんいただければ、確かにシャウプ勧告、あるいはそれ以前――配当控除というのは昭和二十三年からできたんでございますけれども、その当時考えられていたほど、純粋に法人税率あるいは所得税率とパラレルには動いておりません。そういう意味では、確かにいま税制調査会の答申をお読みになりましたような考え方というのが若干ずつ作用してきておることは確かでございます。しかし、先ほど申しました基本的な考え方はやはりわが国の税制に残っております。 それが一体それでは反動的であるかといいますと、これはまた問題がございまして、むしろヨーロッパ諸国の流れといいますのは逆の方向でございます。完全調整の方へむしろ動いておるというところでございます。私は何も、ヨーロッパ諸国がそれをとったから、日本もそれを完全調整の方向へ進めるべきであるという意見も持っておりません。しかし、そういうことも踏まえまして、税制調査会においてもう一遍基本的に御議論をいただきたいというのが、私どもの本心でございます。
○大塚喬君 どうも言葉がちょっと行き違いがあったりして失礼をいたしたわけですが、どうも釈然としません。もう一回またひとつ、法人そのものは独自の経済主体ということにお認めになりますか。それからそれに伴って当然の担税力があるとお認めになりますか、いかがでしょう。
○政府委員(中橋敬次郎君) 法人税をかけておりますゆえんのものは、やはりいま御指摘の点がないと法人税として成り立ち得ないと思っております。法人がやはり今日の社会的、経済的な世界におきましてそれ相応の独自的な活動をやっておる、そこにやはり法人税をかけ得る根拠があると思っております。
○大塚喬君 では、現在その傾向として資本と経営の分離ということが大変叫ばれておりますし、問題になっております。この点といまの問題についてはどう関連いたしますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 大企業の会社におきまして資本と経営が分離しておることもおっしゃるとおりでございます。しかし問題は、資本を提供しておる株主が、その資本の報酬を受けます、その際における法人税と所得税の問題をどういうふうに調整するかということでございます。
○大塚喬君 聞けば聞くほどいままでの答弁は、株主あるいはその背後にあります証券界の既得権を一生懸命大蔵大臣と主税局長が守り抜こうと、もう死守しようと、こういう感じが残るだけでございます。この点について大蔵大臣の見解いかがでございましょうか。
○国務大臣(大平正芳君) いまの日本の経済組織では大変危機感が強いわけです。それから資本の調達というのも、証券市場というふうな資本市場を通じてよりは、むしろ間接的に金融機関からの調達が多くなっておるわけでございまして、本来の資本主義経済のあり方からいきますと、いびつな発展形態をとっておるわけなんでございまして、でき得ればもっとバランスのとれた資本市場、もっと能力がある資本市場をわれわれは持ちたいと思っておるわけでございまして、その方が経済民主化の立場からもまた望ましいのではないかと考えておるわけでございます。したがって、そういう立場から申しますと、経済政策あるいは税制の立案運営に当たりまして、そういう資本市場を育成しなきゃならぬというような問題意識は私どもないわけじゃありません。けれども、この問題は、そういう大きな政策的な方向性の問題というよりは、むしろ非常に技術的な問題領域に属することでございます。したがって、どのように税制の基本のスタンスをとるかによっていかようにもなることと思うのであります。現に各国におきまして、アメリカが、あなたが言われるような方向で割り切っておられるようでございますが、イギリスは逆に完全な調整の方向に走っておるようでございまして、皆まちまちのようでございます。で、日本はいま中途半端なことをやっておるわけなんでございまして、今後いろいろ御検討の過程を通じましてもっと定着性を持ったものにしないといかぬのじゃないかという気持ちがいたします。とりわけあなたや寺田先生の論議を通じまして私が感じますことは、これはやっぱり国民の御理解を得なきゃいかぬのじゃないか、われわれが税制技術的に合点しておりましても、やっぱり国民がよく理解していただかなけりゃならぬわけで、これで正しいんだと思っておりましても、国民が十分よくわからぬというようなことではなかなかいけないんじゃないかと思いますので、そういうような点も含めましてなお検討をしてみたいと思っております。
○寺田熊雄君 関連。 あるいはもう大塚さんの御議論の中に出たかもしれませんけれども、昨日参考人のお三方がこの委員会に出ていろいろ貴重な御意見をお述べになったんですが、その中で、税制調査会の会長代理をしておられる友末参考人がお出になりまして、私そのときに大臣と局長に一昨日お尋ねした件について、というのは、配当所得の場合に四百四万九千円までは実質上非課税になる、勤労所得の場合は標準世帯で百八十三万円である。その点の不均衡につきましてあなたはどういうふうにお考えになるかというふうにお尋ねしたわけです。そうしましたら、友末参考人も声を大にして、全く同感であると、私も非常にこれは不公平だと思うということをおっしゃるわけですよね。で、私はわが意を得たりということで、早速改正してほしいということを申し上げたのですが、ただその中で、友末さんがちょっと私どもに非常に不本意なことを一つおっしゃいました。それは、ただ利子・配当所得は非常に捕捉しがたいという点、これはまあ前から局長が言っておられましたですね。だけど、利子所得は非常に架空名義人など乱用されていますから捕捉しがたいということはわかるでしょうが、四百四万九千円以上の配当所得を取っておる個人ですね、これは株式会社、法人は除きますが、個人なんというものはわが一億の国民の中でそうたくさんはないはずである、だから、何も背番号をつけなくても十分これはいまの国税当局で捕捉することが可能であるということを私申し上げたのです。そこで、一体この四百四万九千円以上の配当所得を持っておる個人なんというものは、いまのあなた方の徴税の段階でどのぐらいあるというふうに把握しておられますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 申しわけございませんが、配当所得だけのいわゆる所得階級分布がどういうふうになっておるかというのは調査をいたしておりません。ただ、よく一括して御議論をいただきます際に、いわゆるいまの配当控除の問題とそれから利子・配当所得に対しますところの源泉分離選択税率制度その他等を一括して御議論になるのでございますけれども、これは本来全然別個でございまして、配当控除の問題は、先ほど来いろいろ御議論を重ねております法人税と所得税の調整の問題でございますし、もう一つの利子・配当の源泉選択分離制度といいますのはいま御指摘の後の問題としまして、総合課税をすることの難易とかいうような問題が絡まっておりますのですけれども、一括して御議論をいただきますとかなり混乱をしますので、やはり四百五万円というのは、おっしゃいますように四百五万円以下であろうと上であろうと、把握するについて把握しがたいから配当控除をやっておるというものでございませんから、それについて把握不徹底でありますから、こういう配当についての課税最低限が四百五万円であるということでその制限はできておるわけではございません。
○寺田熊雄君 ですから、この間の不公正というものを除去するのには、事、配当所得に関する限りは、すこぶる簡単にやろうと思えばできるわけでしょう、どうですか。つまり、配当所得の実質的な非課税限度というものを勤労所得の課税最低限にできるだけ近づけていくということは、あなた方が決意すれば容易にできることでしょう。
○政府委員(中橋敬次郎君) おっしゃいますように、配当控除の制度は仕組みの問題をどういうふうに考えるかということでございますから、そういう執行面の問題と離れて決意し得ると思っております。
○寺田熊雄君 そうですね。 そこで、一昨日もお尋ねしたんですが、この配当控除制度をとっておる国というのは、どうなんでしょう、かなり法人税率というものは高いように思いますがね。日本のように四〇%台で配当控除をとっておるというのは、諸外国と比べてちょっと法人に対して優遇し過ぎるという感じはしませんか。
○政府委員(中橋敬次郎君) いわゆる法人税と所得税を、配当をめぐって調整を要するとしております国の法人税率ば、おっしゃいますように概括的には五〇%ないしはそれよりちょっと上回ったところでございますから、高いということは言えます。しかしそのときに、実はこの法人税率の高さと、それから個人の受取段階において調整をします場合とは、余り関連がございませんで、調整を要するとしておるこれらの国は、たとえば五二%とします、五二%の法人税率をとっておるとしましても、そのうち一〇〇もうけまして、五二法人税を取られまして、四八株主に配布しましたときには、その五二も受け取った株主は課税所得として計算をしなきゃなりません。一〇〇として計算をするわけです。そうしてほかの所得と合算をして一体幾ら納めるべきかということを計算をしまして、そうしてそれを納めるべき所得税額から法人段階ですでに納めておる五二を引きまして、追加的に納める所得税は幾らかと計算をするわけでございますから、法人税率が高くても低くても、完全に調整をするということになりますれば同じ理屈になるわけでございます。
○寺田熊雄君 だけど累進になっているでしょう、個人の場合は。
○政府委員(中橋敬次郎君) したがいまして、むしろ受取側におきますところの個人の納める上積み税率との関係で、追加的納税額が出るか出ないか、あるいは還付をしてもらうかという結果がそれぞれその人の所得の大きさに応じて違ってくるわけでございます。
○寺田熊雄君 ですから、所得の非常に高いものは、大体受取配当の二分の一を加算して、それに他の所得と合算して税率を出すわけでしょう。そうじゃないですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) ただいまお示しの二分の一についてそういう調整措置をやっておりますのがフランスでございます。 それから全額についてそういうことをやっておりますのがイギリスでございます。 それからドイツはいま改正法案を国会で審議中でございますけれども、これはやはり全額についてそういう調整措置を講じようということをやっております。
○寺田熊雄君 またこの次に聞きますから、余り関連が長過ぎると……。
○大塚喬君 先ほどの答弁で私が納得できないと申しますことは、私の周辺にもそういう関係者がおるもんですから、それらの人と日常接触をして、法人税を株主が負担しておると、こういう人は、これは私はほとんど日本の現状の中でおらないのが私は実際だと思います。 それから配当控除は、これは株主は、株主個人の恩典だと、これはだれもそう思っています。株主の配当控除を受けておる人は、これは株主個人の恩典だと、だれもそう思っているのです。 それで、四十六年の先ほどのあれにもありましたように、「法人税の基本的仕組みについては、法人の性格論に固執することなく、法人税制を法人の社会的・経済的実態に適合させるという方向で引き続き検討していくべきである。」と、明確に法人擬制説というものを否定した考え方に立っておるわけですが、それが原始的と申しますか、シャウプ税制のところへすっかり戻ってしまう。こういうことに対する私が先ほどからの繰り返しの質問ということになったわけでありますが、先ほど大臣から答弁いただいたことで、この法人税の仕組みの問題、これは局長の答弁では真っ向からそういうものを否定して対立する、そういう考え方の答弁を繰り返しされておったわけでありますが、大蔵大臣にもう一度、この点について今後どうするのか、さっきの答弁でちょっとあいまいなところがあったもんですから、お尋ねをいたしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) この問題ばかりでなく、法人税制全体を通じて、税制全体から法人税制も絶えず見直していかなければいかぬことは当然でございますので、いま御提起になりました問題も含めまして、税制調査会等で十分今後御討議を願いたいと考えておりまするし、また国会におきましてもやはりそういう、あるいはその他の御見解がいろいろ今後展開されることと思いますし、政府におきましても引き続き検討していきたいと思います。
○大塚喬君 もう少しこの論議を続けたいと思ったわけですが、そのほかにも幾つもお尋ねをしたいことがあるもんですから、いまの問題の続きはまた次回にひとつ明日させていただくことにいたします。 一つは、付加価値税の問題が自治省の方から先にもうのろしを上げた、そういう新聞報道がございました。自治省の方針として、「法人事業税 売上高などに課税へ」ということで、地方税の安定増収を図る。従来の所得基準方式を改めるということで、具体的には「地方税法の改正法案を可決した際にも、法人事業税に外形基準方式を導入することを」……これは「法人事業税を売上高や付加価値額で課税すれば形式的には政府部内で検討されている付加価値税に似たものとなる。」こういうことで、今後の地方自治体の財源に求めるということを自治省で述べておるように受け取ったわけでございますが、大蔵省、それからきのうも税調の会長代理に質問をいたしたところでございますが、まず分家の方から――分家と言うとちょっと失礼かもしれませんが、こちらの方でひとつ小手試しと、こういうことでございますか、大蔵大臣。
○政府委員(中橋敬次郎君) 事業税につきまして、今日大部分は所得を課税標準にいたしておりますけれども、何か外形標準をとってはいかがかという議論はずいぶん昔からございました。特に昭和二十五年シャウプ勧告によりましての地方税法の中に、今日の事業税を、きのう新聞に出ておりましたような、いわば付加価値を課税標準にするということで国会に御提案され、またある経過期間を過ぎましたならばその税制をとるということになっておりましたところが、やはりついに実現を見ないままに従来どおりの所得を課税標準とする事業税という形で今日に至っているわけでございます。もちろんその中には、たとえば電気・ガス供給業のような公益事業につきまして、あるいは保険業のようなものにつきまして外形標準をとるということもやっておりますが、税制調査会といたしましても、事業税の性格から言いまして、所得だけに準拠しないで、何かそのほかの外形的な標準、たとえば売上高でございまするとか、あるいは付加価値高でございまするとか、従業員数でございまするとか、そういったものをとってはいかがかという御議論はいろいろあったわけでございます。恐らくそういうものの一つとして、所得だけによらないで、たとえば売上高などを課税標準に採用することを検討するということを、あるいは自治省の中で議論をされておりますかもしれませんけれども、私どもはもちろんその詳細については承知いたしておりません。ただ、売上高といい、あるいは付加価値と申しましても、いわゆる事業税の、事業の規模、そういったことで把握しようと、またそれがいわゆる応益課税と称しております地方税の性格にも非常にふさわしいというような観点から行われるのでございまして、私どもがかねていろいろ今後検討しなければならないと申し上げております付加価値税は、事業税という形でございませんで、一般消費税というものでございまするから、本来その性格が違うわけでございます。
○大塚喬君 時間が来ましたので――もう一つだけお尋ねをいたします。 天下り白書、これで、大蔵省の幹部がまた大変天下りが多いということで、きょう新聞の報道がなされております。それで、大蔵省が特に昭和四十八年度三十三名で、昭和四十九年度五十九名。で、私がひとつお願いをしたいことは、いままでの論議や何かの中で、大変もう私は勘ぐり深いので申しわけないんですが、大蔵省関係のいわゆる天下り、これの詳細なものが知りたいわけなんです。具体的には、その方の氏名、これは秘密にされるべきではないと思いますし、その人の経歴、それから最後の官職、それから経験年数、それから証券界、金融界その他のところに分けて、それぞれその個人の具体的な天下り先の明細――明細というか、具体的な内容を知りたいわけなんですが、委員長としてお計らいいただき、明日までにこの資料の提出方をお願いいたしたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) 担当でございませんが、担当局に伝えまして、そのように取り計らいたいと思います。
○大塚喬君 それでは、きょうの質問は私これで終わります。
○委員長(桧垣徳太郎君) 委員長から大蔵当局に御要請をいたしますが、いまの資料は、委員会に対する提出資料として提出をいただきたい。
○寺田熊雄君 私は、田中金脈の問題で、予算委員会で、公示義務を規定いたしました所得税法の二百三十三条に関連して、大臣並びに主税局長にお尋ねをしたわけです。大臣は、大蔵省令、これに関連する大蔵省令がどうしてそういうふうな規定をしておるか、つまびらかにしないので、よく調べて検討してお答えをするということでした。主税局長の御答弁はまだ伺ってなかったわけですね。それから第一に、大蔵大臣、その後なぜこの田中さんの場合に修正申告書を公表しないと、その点を強調なさるのか、御答弁いただいて、その後で主税局長の御答弁を伺いたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) たびたびお答え申し上げておりますように、田中角榮氏の財産問題に対しましての大蔵当局等の取り扱いでございますが、これはあくまでも一納税者というお立場の方として取り扱っておるわけでございます。言いかえれば、総理大臣の閲歴を持たれたお方であるからとかいうような考慮は除外いたしまして、所得税法の趣旨に沿いまして、一納税者ということで、特に辛くするとか特に甘くするとかいうようなことはしないでいく、そういう方針でいたしておるわけでございます。またそうしないと、長い目で見まして、わが国の徴税機構が国民の信頼をつないでまいることが私はできないのではないかと考えまするし、また政府といたしましてそのように取り扱ってまいることが、政治の姿勢といたしましてもきわめてあたりまえの処理の仕方ではあるまいかと、そのように考えておるわけでございます。 それから第二に、したがって、しかしながら、現行の所得税法並びにそれに基づく施行規則等につきましてのことにつきまして御質疑がありまして、まだ答弁がしまっていない個所がありましたことは御指摘のとおりでございますので、その点につきましては事務当局から御答弁させます。
○政府委員(中橋敬次郎君) 申告書の公示制度でございますけれども、これは本来、申告書を公示することによりまして、いわば第三者がそういうことについての批判を持っておれば、税務当局にそういうことを通報いたしまして、税務当局の調査を促すということを本来のねらいといたしたものでございます。この制度ができましたのは昭和二十五年でございまして、この制度の一方の柱といたしまして、第三者通報制度というのがございます。そういうことを兼ねながらこの申告の公示制度というのが動いてきたわけでございます。もっとも一第三者通報制度は、その後におきます運用の状況が、どうもそういうことを特に職業にするような人が出てまいりまして、またそれに対して報償金を出すという制度でございましたので、わが国の実情に合わないということから、昭和二十九年に廃止をいたしました。しかし、申告書の公示制度は、やはり当初のねらいを持ちながら、またそういうことによりまして間接的に納税者の正しい申告を促して、申告制度を定着させるということをもって今日まで貫いてきたわけでございます。したがいまして、いわばある一時点におきますところの申告書を公示いたしまして、それについて一般の人の税務当局の調査を促すというきっかけをつくればよろしいわけでございまするが、特に所得税におきましては大量の申告書が出てまいりまして、その中である一定金額のものを公示するということにも相当の数が公示を要することになります。昭和四十八年分につきましても約二十五万件ぐらいが公示せられましたから、恐らく四十九年も相当の数の公示を要することと思いますが、特にそういう大量処理を要します所得税の申告書、それに対しましての税務当局の調査も、やはりある一定期間の間に集中的に自後の調査を行うということをねらいといたしております。法人税についても同様の制度がございますけれども、法人税の方は事業年度ごとにそれぞれの申告書が出てまいりますし、またそれに対する自後の調査もかなり年間にならされて繰り返し行えるわけでございまするから、所得税とは相当様相を異にいたしております。 そこで、所得税につきましては、従来からそういう、また翌年にやるべき仕事を残さないようにするというような趣旨でもって、一回限りのかなり大量の公示というものを前提にいたしまして、過年分のものについての修正申告というのも公示をしない制度をとってきたわけでございます。そこで、今日のような三月三十一日までという制度、あるいはそれが改正せられました前は、公示が五月一日からでございまするので、四月三十日までに出てまいりました修正申告については公示をいたしますけれども、その後非常に数が多くなってまいりました関係上、コンピューターで処理をしなければならないということもございまして、これを三月三十一日までというふうに一昨年に改正をしたようでございます。すべては、ある一時点におきますところの申告書を大量に公示をしまして、そうして自後におきます早期の調査に当たって世の中の人の批判を受け、それによって税務の調査の促進を促されるものについても早くそういった資料を出してもらうのがねらいで今日までこういう制度をとってきたわけでございます。
○寺田熊雄君 大蔵大臣の御答弁は、結局、田中角榮氏もその総理大臣あるいは大蔵大臣という職責を持つけれども、納税者としては一般国民と変わりない、一納税者として取り扱えば差別ができないと、特別な取り扱いはできないという趣旨のように聞こえますね。で、一見もっともらしいんですけれども、この国会で問題にしておるのは、一納税者がどういうふうな不正な申告をしているかというようなことは、この国会の対象にはならないわけですよ、審査の。田中角榮氏が自民党の総裁であり、かつ総理大臣である、日本の政治権力を全部束にして自分の手に持っておる、あらゆる公権力を行使する地位にあるという、そのことのゆえにそういう不正は許されないと。だから、根本の趣旨が大臣の御認識が違うわけです。われわれは一納税者としての田中を問題にしているわけじゃないのですよ。総理大臣としての田中さんの納税が適切でないと。だから、そこのまた、それでなければ国会の問題にならないでしょう。国会の問題は、いまも大塚委員がお尋ねしましたように、大蔵省の官僚という公権力を持っている人が民間に天下るから、そこで問題を生ずるので、一私人がどこの会社に入ろうと国会の論議の対象になりません。だから、大蔵大臣の御認識というのはもう根本から違うので、われわれは一私人である田中氏を問題にしているのじゃないんですよ。公権力を持っておるその人が納税に疑惑があるんだ、その疑惑を明らかにしろというのが国会の審議の対象になっているわけですから、だからそこは大臣、お考えを根本的に認識を改めていただかなければいけません。だから、総理大臣としての田中角榮氏の税がどういうふうに処理されたかということをお尋ねしているわけです。 それから、局長にもお尋ねするわけですが、この公示義務の規定というのは、まさに国民の納税に関する批判を仰ぐというところに根本の趣旨があるようです。これは決して密告奨励の規定じゃないわけですよね。密告奨励の規定というのは同時に、これは所得税法の五十四条に存在しましたですね、昭和二十五年当時も。それからあなたのおっしゃるように、二十九年に廃止されておる。だから、公示義務と並列し得る規定です、これは、一時期において。そうでしょう。何も密告奨励の規定のかわりに公示義務ができたわけじゃありません。そうでしょう。二十五年にあなたできたとおっしゃったでしょう、公示義務は。そして密告奨励の規定は二十九年に廃止されたとおっしゃったでしょう。ですから、同時に存在したわけです、両立して。だから、何も公示義務の規定というものは密告奨励のためにできた規定じゃありません、それば。脱税の密告のための規定じゃないのです。それはあくまでも国民の納税に関して国民の批判を仰ぐんだということが根本の趣旨ですし、それからもう一つは、もう一つの意味があるんです。それは国税の徴税事務というものを国民の前に明らかにするという非常に民主的な意味があります。つまり、徴税事務というものは納税者と国税当局との間のもう一本の細い線で結ばれたその関係だけで、それが国民の目から遮蔽されて全くやみからやみに処理されるものであってはいけないんだと、国民の前に多額な納税者に関しては窓をあけて、それを国民の目の前にさらすんだという意味があります。それでなければ、密告奨励の規定と並列しませんよ、これは。だから、それを考えていただかなければいけません。その点だけまず主税局長に、お認めになるかどうか。まず大臣に先ほどの質問にお答えください。
○国務大臣(大平正芳君) 寺田委員のおっしゃることはよくわかるのです。あなたのお立場として、田中さんは一納税者に違いないけれども、政界の最高峰を経験された方だから一納税者としてだけ見るわけにはいかないと、これは政治の立場からそうだと思います。私は、それをそういう関心をあなた方がお持ちになるとか、いろいろ御究明になるとかいうことを悪いと言っているのではないのです。ただ、国税庁、税務当局といたしましては、一納税者として取り扱っておりますし、そうするのが正しいと思っておりますと、私どもの立場を申し上げておるわけでございまして、国税庁が政治的になったら私は大変だと思うんです。そんな政治性を持った国税庁になると恐しいことなんでございまして、これはあくまでも一納税者としてどういう地位の方であろうと、たんたんと税法の執行はやっていただかないと困ると思うんです。そういう立場を重視しておると思うのでございまして、あなたのいま問われている問題は、国会の国政調査の問題でございます。それについて、行政府に対してここはどうなっている、ここはどうなっているということを国会側からいろいろ御質疑もあり、御下命がありまして、事実を明らかにせよと迫られるのは当然国会の権能でございますから、私どもも最大限それに対しましてお答えを、われわれの許された立場でできるだけの御協力は申し上げますと、こう申し上げておるので、私は御理解いただけるのじゃないかと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) 申告書の公示制度は、密告の奨励と言いますとちょっと言葉が悪いのでございますけれども、やはりそういう申告書を公示することによって、第三者が調査を促す端緒たらしめるということで設けられたと思っております。二十九年に廃止をされましたけれども、やはり同時に制度として設けられました第三者通報制度というのは、やはりこの申告の公示制度といわば……
○寺田熊雄君 同時にですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 相補いまして行われておったものと思っております。ただ一方の通報制度、しかも、それに報償金を与えるということがどうもわが国民性から言って思わしくないということで、二十九年に廃止をしたわけでございます。おっしゃいますように、税務の仕事の結果を国民の前に出すという趣旨でこの申告書の公示制度というのはないわけでございます。申告書の公示といいますのは、先ほど申しましたように、世の中の人にそういう端緒を出しまして、やはり制度的にそういう道を講ずるというのが今日でもそのねらいであろうと思っております。と申しますのは、おっしゃいますように、税務当局の仕事の成果を世の中に示しまして、ある程度のひもで双方が結びついておるということを本来ねらいといたしますれば、むしろ申告書の公示というほかに、たとえば更正決定の結果というのも世の中の人たちに示さなければならないわけでございます。そこにまたもう一つ申告書を自発的に正しく出していただくというねらいがございまして、前前からのお話の守秘義務ということがございまするから、やはりそういうものは税務当局の仕事としてしまっておきまして、ただ仕事のやり方というものについていろいろ御批判もございましょうけれども、仕事の発動を促した後は税務当局の仕事ぶり、それに御信頼をいただいて、成果は世の中に示さなくてもよろしいというのが今日の制度だと思っております。
○寺田熊雄君 大臣の御答弁からお尋ねするのは、ちょっとややこしいですが、大臣のお話ですね。いま田中角榮氏が国家権力というものを一身に束ねた公の地位にあることはわかると、しかし、それは国税当局としては一私人として扱っているのだからというお話だったわけですね、御趣旨は。ただ、国税当局がそう扱うのはいいですよ。ただ、大臣は国務大臣として、やはり国会の一議員でもあられるわけですね。そしてそういう国民の田中角榮に対する疑惑を晴らしていくという政治的なやっぱり責任もあるわけです、大蔵省のキャップとして。ですから、国会の権能を尊重するということをおっしゃっておるのに、国税当局という一事務当局だけを弁護して、立場だけを弁護して、国務大臣として、また議員の一人としての立場というものは全く放てきされているわけです。私は、国務大臣としてのあなたのそういう責任というものはどうしてもあるということを強調するわけですね。あなたがそういう守秘義務の規定を解除する地位にあるわけでしょう。それはたとえば税務職員が裁判所に出たときでも、結局最終的にはあなたの決裁を経れば、そういう守秘義務というものを解除し得るわけですからね。これは刑事訴訟法の規定で明らかでしょう。だから、あなたはそれを解除し得る立場にあるだけですよ。で、国会の権能を尊重するという、国会のいま私どもがお尋ねしているのは、尊重というのは、結局その結論をまず第一に明らかにしていただかなければ尊重にならぬわけですよ。何を明らかにするんです、それじゃ。そうでしょう。われわれがまさに問うておるのは、一体この疑惑を持った田中角榮氏のその扱いはどう処置したかという問題でしょう。そのプロセスをいろいろと弁明してみたって何にもならないでしょう。だから、権能を尊重するというんだったら、その結論を言っていただかなければ権能の尊重にならぬでしょう。そして国民の疑惑を明らかにするということは、むしろ徴税義務にとっては田中氏の秘密を守るという、プライバシーを守ることよりもはるかに大事なことで、そうしてその守秘義務を解除し得るあなたは権能を持っていらっしゃるんです。だから私は、その守秘義務解除の権能というものをあなたがこの際行使していただけるのに、おれはそれを行使するのはいやだとおっしゃるそのゆえんを聞きたいんですよ。なぜあなたはその守秘義務を解除し得るのに、それをいやがるんでしょうかね。
○国務大臣(大平正芳君) あなたの言われること、よく私理解できるんですよ。私、それはわからぬわけではないのです。私はこう申し上げているのです。一納税者として田中さんの場合も取り扱っておりますと、特に厳しくするとか、特に甘くするとかいうようなことはいたしておりませんということは、つまり八百万の申告納税者に対しまして、国税庁といたしましてはベストを尽くして徴税の責任を果たしてまいらなければいかぬわけでございますので、田中さんに対しましてもそれ相当の手間を投じて調べて、不備なところは追徴もしてちゃんとやっておるわけでございます。もしそうでなければ私はなかなか世間は国税庁を信頼してくれぬと思うんです。国税庁の上にはまた会計検査院というのがありまして、問題の案件につきましては、専門家がいろいろ専門の立場で御究明いただいておるんでございますから、できるならば日本の国会も行政庁を御信頼いただきたいと思うんです、この件につきましても。おまえさんたちが誠心誠意やっているようだから、それは信頼してやろうと、わが国会においても私は言っていただきたい。それを私は希望しておるわけでございまして、五万二千の国税職員は感激すると思うんです。何かこそこそと不明朗なことをやっておるんじゃないか。こうやっておるかどうやっておるかと、一々ほじくり出そうとされるから、されるように見えるから、そういうことしないでひとつ信頼してやろうと、こうおっしゃってもらいたいというのが、私の第一のお願いなんです。しかし、なかなかそうは問屋がおろさぬというわけで、まあ各委員会でずっと私も皆さんから、おまえは守秘義務とやらから、自由なんだからやれるじゃないかということでございます。そのとおりです。私はいまの所得税法で大蔵大臣というのは守秘義務をかぶっておりませんから、私守秘義務を解除する権限もあるわけでございます。したがって、私はこの場合どうすべきかということを、私なりに考えておるわけでございます。 ただ私としてはいま冒頭に申しましたように、できたらもう御信頼いただけませんかということ、一々もう、たとえばこの男は君危ないからどうなっているのか調べろと、国会から御下命があれば、はいかしこまりましたということでは、これは仕事にならぬです、本当に……
○寺田熊雄君 総理大臣は一人です。
○国務大臣(大平正芳君) だからこれ、いや総理大臣と限らぬから、国会の権能、調査権というのはどこにでも及ぶわけですよ、田中さんだけをやりますなんという御決定はないんですから。だから、守秘義務の例外をつくるとなれば、田中さんは例外でがまんしてやろうなんという規定どこにもないんだから、これはいろんな方面にこれはかぶることになるんで、私は原則として、どうぞ御信頼をいただきたいと、しかし、なかなか御信頼いただけませんから、それではひとつできるだけ私の方で輪郭を御報告申し上げますというわけで、田中さん御本人の場合、関係秘書その他の場合、関係があると称される法人の場合、だんだんと申し上げたじゃありませんか。したがって、あなたの場合でもだんだんと、田中さんの財産問題というもののいまの姿は、ぼくはだんだんとあなたの映像の中にはっきりしてきておると思うんですよ。できるだけ、個々の金額がどうの、明細がどうのなんどいうようなことを私申し上げてありませんけれども、大体の問題点というような問題、それから調査はどういう方法でやっておるか、どういう陣容でやっておるかと、それからどういうところが問題になっておるか、その場合について先方とこちらとの見解はどういうところが違っておるかとかいうような点は、ともかく肝心なところは申し上げておるじゃありませんか。だからこれを、そして一応は関連法人の調査が終わった段階では、国会の御要請がございますならば、まとめまして御報告申し上げようとまで私は申し上げておるんですから、行政府もそこまでやっておるんでございますので、まずここらあたりで、それじゃ精いっぱいやってみろと、こうおっしゃっていただきたいものとぼくは、お願いですがね、むずかしい顔をされておるようだけども、本当に私は率直にそう思っております。
○寺田熊雄君 大臣、私は基本的にやっぱし三権分立の民主主義的な諸制度に対する理解というものを、何かこう勘違いしていらっしゃるんじゃないかと思うんですよ。まあ、古来の言葉を引くまでもないですけど、つまりあらゆる権力は腐敗するという言葉がありますね。つまり権力を持っておる人というものは、どうしてもやはり乱用をするというのは免れがたいわけでしょう。だから三権を分立して、行政権に対しては国会の干渉を認めているわけでしょう。国政調査権というのを認めているわけですよね。だから、そこで信用せい信用せいと、ほじくるなということは、基本的にはもうそういう国政調査権を否定するのみですよ。そうでしょう。だから、ことに最高の権力者だから私ども伺っているわけで、何も田中さん以外に全部の人間を明らかにしろなんて言うていません。いま国会で問題になっているのは、田中さんと河本さんでしょう。しかも、それはもう一年に一件あるか二件あるかだけで、それを問題にしたからといって応接にいとまがないというようなことはあり得ないじゃありませんか。だから、あなたは非常にずば抜けて御答弁がお上手で、そういう点で、はぐらかしてしまわれるけれども、私は何も好奇心からほじくっているわけでも何でもないですよ。国民が非常に聞きたがっていますよ。あなたはいつか田中さんが修正申告したときに、国税庁長官が新聞記者会見をして発表なさったでしょう、てんまつを。結果を発表しました。そのときにNHKのあの街頭録音なんか出ました。私はそれをずっと見、かつまた聞いたんですが、だれ一人これで済んだという人いませんよ。民衆はすべておかしいと、ごまかされていると、どうしたんだこれは一体ということで不信感持っていますよ。そこをやっぱりわれわれは、国民のそういう疑惑を解くために申し上げているんで、何もあらをほじくるとか、不信任だなんということ言いません。大方のそれは税務当局の御調査というのは信頼に値するでしょう。しかし、相手が最高の権力者であるがゆえに、私は明らかにしていただきたいと申し上げているんで、これは国会の調査権の当然の要請ですよ。それを何かけしからぬとまではおっしゃらぬけれども信頼してくれ、ほじくるなと言われるのはどうでしょうかね、大臣ちょっと言い過ぎじゃないでしょうかね。 それからもう一つは、輪郭を申し上げたと言うんですがね、輪郭一向大体ぼやっとした何か影絵みたいなものが映ったことはある程度あるんですけど、それが一向はっきりしないんですよ。ピンぼけの写真みたいなもので、顔なんというものは全然わかりません。目も鼻も口も非常に不鮮明な写真を見せられて、この人はだれだというようなものです。大臣のおっしゃるその国会の権能というものを尊重して御協力申し上げるというのは、この場合具体的にはどういうことをおっしゃるんですか。それからまた統一見解でできるだけ国会の権能、国政調査権を尊重して御協力申し上げるというのは、大臣のお考えではどこを指して言うんですか。結果を言わなければ協力にならぬじゃありませんか。どうですか。
○国務大臣(大平正芳君) でございますから、本件の調査の経過、調査の方法、それから調査に当たっての問題点、そういった点は取りまとめて国会の御要請がございますならば、御報告を委員会の場になりますかどうなりますか、国会の御要請に応じて、関連会社の始末も全部済みました段階でいたしますと申し上げておるわけでございます。すなわち私は冒頭に申し上げておる一納税者として取り扱っております。で八百万もいわば申告納税者がおるわけでございます。それで一万一千人が、一万人ですか、申告納税の仕事をやっておるのがおるわけですから、ですから、田中さんの仕事ばっかりやるわけにいかないんです。これ国税庁といたしましても、それぞれエネルギーをいろいろ配分いたしまして、何年間にそれでは問題の調査がどこまで行き届くか、これは法人についても同様でございますけれども、で、ございますから、私どもとしては国会の御要請がございますならば、そのうちの一人でございますけれども、しかし、去年の秋から今日まであれだけの陣容を構えましてこれだけの調査をいたしましたと、で、問題点はこれでございますと、こういう方法でやりましたと、経過はこういう経過をたどりましたということは、国会の国政調査権にこたえて御報告しなければ相済まぬと存じてやっておるわけでございます。 なぜそれではあけすけ全部明細も、ちり一つ残さずにおまえは報告しないんだということで御不満のようでございますけれども……
○寺田熊雄君 いや、結果だけでいいです。ちりは要りません。結果だけ、修正申告の。
○国務大臣(大平正芳君) これは国税庁といたしましてはみんな職務上、御案内のように知り得た秘密は外部に漏らしちゃならぬということで厳しく縛っておるわけでございます。それは国税関係者のマナーであるというよりは、むしろ税制の執行を保証するための一つの非常に有力な制度でございますので、私はそれから自由だと言っても、勝手気ままにこれを解除するというわけにはいかない。何となれば、国税長官以上に私は今日の徴税機構というものの円滑な運営について責任があるわけでございますので、その点は国税長官以上に私は責任があるので、もっと厳しくやらなければいけない私は立場にあると自分は承知しておるんですが、ほかの方が大蔵大臣になったら私は存じません。どういう考えの方が大蔵大臣になるかは存じませんけれども、少なくとも大平正芳はそういう考え方でおるわけでございまして、国政調査権につきましてはそのように御協力さしていただくと、国税庁に対してはそのように要請してまいるということで、いま精いっぱいやっておるところでございますので、何とか御理解を得たい、私は、でき得れば御信頼を一応願いたいというお願いを申し上げておるんで、決して無理なことを申し上げておるつもりではないのでございます。
○寺田熊雄君 主税局長にお尋ねしますが、あなたは所得税法二百三十三で公示したものについては、守秘義務は解除されるということは認められますね。
○政府委員(中橋敬次郎君) そのとおりであります。
○寺田熊雄君 そうといたしますと、この二百三十三条というのは修正申告も含むということを前提にしての規定なんですよ。それも認められますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 「その年分の確定申告書又は当該申告書に係る修正申告書」と書いてございまするから、その範囲として公示されると思っております。
○寺田熊雄君 そうですね。ところが、この二百三十三条は、公示の方法に関して「大蔵省令で定めるところにより、」ということを規定しているわけですよ。つまり、確定申告とか修正申告について、大蔵省令の定むるものにつきという規定じゃないんですよ。つまり、確定申告、修正申告は大蔵省令の定むるところによって公示しろという公示の方法を定めているんですね。法令の規定というものはすべて規定の仕方があるので、あなたのように、何か確定申告や修正申告を真っ二つに割って、右だけは公示しろ、左だけは公示するなという、そういう範囲を限定するような物の書き方は、そういうもののうち、大蔵省令の定むるものについては公示しろとか公示しないとかいう規定があるわけなんです。ところがこの規定は、そういう確定申告や修正申告は大蔵省令の定むるところによって公示しろという規定なんですね。だから、大蔵省令で勝手にその範囲を限定したりすることは許されないわけなんです。それは非常な越権なんです。 だから、大蔵省令を見てみますと、申告書の公示の方法として百二条というものがあるわけです。つまり、どういう修正申告について公示しろというんじゃなくて、確定申告とか修正申告はどういう方法で公示するかという公示の方法の規定が、この施行規則の百二条にあるわけですよ。だから、大蔵省令で、発表するものと発表しないものとを勝手に決めたりすることは許されないわけです。どうですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 公示の趣旨といいますのは、先ほど私が申し上げたとおりでございまするから、その趣旨に沿ってこの大蔵省令に定める方法によりまして、どういうものを、いつ、どこで公示をするかということは省令で定め得ると思っております。
○寺田熊雄君 それは大変な間違った考え方でね、たとえば租税特別措置法の第三条の二、「確定申告を要しない利子所得」というのがあります。これの規定の方法などを見てみますとね、四十六年一月一日から五十年十二月三十一日までの間に所得税法の施行地において支払いを受けるべき普通預金の利子その他これに類するもので政令で定めるものに係る利子所得を有する者云々というふうに、つまり何か範囲を政令にゆだねるというような場合は、その範囲は政令で定められるということがはっきりと条文の表面に出ていなければいけません。ところがこういうもの、いまの二百三十三条の公示義務は、確定申告とか修正申告とかいうものは、それは範囲が限定されてないわけですね。そして、それは大蔵省令の定むるところによって、その方法について大蔵省令が決めて公示しろということを言っているわけで、だからあなたは、この大蔵省令の規定というものは、大蔵省令の百二条ですかね、施行規則の百二条、これは法にまかされていないその範囲それ自体を決めてしまったという点で非常に法の趣旨を曲げた越権の規定だと、それは許されないと。そういう意味からも、法律的に言っても当然これは公示しなければいけない。 それから、局長が言われたように、果たしてこれは、まあ密告奨励とまでは言わないけれども、国民の批判を仰ぐだけの規定で、徴税事務を国民の前に明らかにするという民主的な要請ですね。それを否定してしまってあなたはおられるわけですね。それはないんだと、こう言う。それは非常に解釈としては間違っているけれども、しかし、それにもかかわらずあなたは、これに一たん公示したものについては守秘義務から解除されるということはお認めになっているわけですね。そうすると大もとにおいて守秘義務というものは解除されているのだから、つまり確定申告という大もとにおいてそれは守秘義務から解除されているのだから、それが多少の修正があったからといって、またそこで守秘義務は復活するというものじゃないでしょう。本質的に守秘義務から解除されたものが、修正されたからまた守秘義務が復活するというのは論理的に非常におかしいのです。どうですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) それから、ちょっと訂正さしていただきます。 私、今日の申告書の公示制度ができましたときに第三者通報制度は同時にできたと申しましたが、それは少しく正確性を欠いておりました。申告書の公示制度の前身である申告書の閲覧制度というのがございまして、それは昭和二十二年にできました。そのときに第三者通報制度も同時に採用されたということでございます。いずれにしましても、申告書を見せるということと、それが低いなと思ったときに第三者が通報するという制度を両方同時につくり上げまして、そういうことの趣旨を貫こうとしたようでございます。 それで、まず第一のお尋ねの、「大蔵省令で定めるところにより、」ということでございますけれども、私どもは従来から、やはり申告書の公示制度というのはそういう趣旨のものでございますし、特に所得税につきましてはそういう大量処理で、しかも、その年に大体事情調査というのを完了してしまうという体制でございまするから、ある時点におきますところの申告書を公示をすれば、それでもってそれが低いということでございますれば、その後に幾らそれを上回る修正申告書が出てまいりましても、そういうことについての御批判を特に仰ぐということよりも、まず第一次の低い申告書によって税務当局の調査を促すということが行われればそれで十分ではないか、またそれが趣旨でございまするので、そういった範囲でもって「大蔵省令で定めるところにより、」というものでその方法の具体的な内容を規定しておいたつもりでございます。 それから、申告書が公示せられまして、そこに公示せられました事項については当然世の中に明らかになるものでございまするから、守秘義務は解除されますけれども、御質問の、修正申告をしたから、それがまた守秘義務をかぶるという問題ではございませんで、公示をしましたものは当然むしろそれによって世の中の人の調査を促すという端緒になるという点においてそういうことをしておるわけでございますから、また後に返ってそれがまた守秘義務の対象になるということはとらないわけでございます。
○寺田熊雄君 委員長、午後に持ち越しますから、 いまの点は。 これで終わります。
○委員長(桧垣徳太郎君) 三法案に対する午前の質疑はこの程度といたします。 午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時三十四分休憩 ―――――・――――― 午後一時四十八分開会
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上三法案を便宜一括して議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は、順次御発言を願います。
○寺田熊雄君 午前中の審議に引き続いて質問をいたしますが、主税局長にお尋ねするわけですけれども、あなたは所得税法二百三十三条によって一たん確定申告及び修正申告が公示された以上は守秘義務が解除されるという点までは認められたわけですね。ところが、大蔵省令によってその修正申告というものが非常に限定されているので、その期間を過ぎた修正申告についてはまた守秘義務が復活するのだという、そういう立場をとられたわけですね。そうじゃないんですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 私が申し上げましたのは、公示されました確定申告書、修正申告書で記載されておる事項のうちで、公示されました確定申告書を修正申告書で記載されておる事項のうちで、公示されました総所得金額、退職所得金額、山林所得金額の合計額というものについては、守秘義務は解除されたわけでございまして、公示されないものについては当然守秘義務というのは及ぶわけでございます。
○寺田熊雄君 法律家の間には、そういうふうな文字解釈というものを非常に、法を、どういいますか、形式、表面だけで解釈する流派として、軽べつすると言っちゃなんですが、困ったもんだとしているわけですよ。やはり法律というものは、合理的にその規定の趣旨というものをよく把握して解釈せにゃいけない。だから、一たんAならAという人の確定申告なり修正申告というものが公示されて明らかになった以上は、それが多少の変化を来した、微動をしたということによって、またそれが、その部分については守秘義務が依然として存在するんだと、つまり頭の毛が一本ふえた抜かれたということで、その結論が変化を来すというのは、法の趣旨というものを非常に曲解した文字だけにこだわった議論で、法の精神というものを理解したもんじゃないわけですよ。その点をあなた方はもう少し法の趣旨を理解して解釈していただかなきゃいけない。 それから、あなたはまた、これは閲覧制度から源を発しているということをおっしゃったね。その閲覧制度というのは、もともとはやはりそういう限定がありましたか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 昭和二十二年に設けられました閲覧制度につきまして、いつの年分のものを出しておったというのは、命令の定めるところによりという規定がございまして、どういうふうになっておりますか、ちょっといま調べてみます。
○寺田熊雄君 じゃその調べている間にまたさらに質問をいたしますが、いま問題になっている田中角榮氏の問題では、国税当局の方は、なぜ修正申告の分についてこれを発表しないかという点について、国税庁長官のいままでの御答弁では、これは私の方は公示義務がありませんということをしきりに言い立てておったわけですね。だけども、あなた方のお仕事というのは、義務があるからするのであって、義務がなければ一切やらないという問題じゃないと思うんですよ。もちろん義務のあることはやらなければいけません。しかし、義務はなくたって、やることは幾らでもあるわけですね。単に人情的に親切でやるということばかりじゃありませんけれども、他の行政機関の行為に協力をするということもあるわけで、ことに国政調査権でそれを求められた場合に、義務はないからといって、やらないと突っ張るのは、これは非常に偏狭な態度で、なるほど義務はないかもしれぬけども、してはいけないという規定はないわけですから、だから私はいまの修正申告についても、なるほどその後については公示義務はない、公示義務はないけども、そのもとが公示されているもんだから、やはりこれは国政の、国会の質問に対しては当然開示するのが適当だと思います。この点を改める意思はないかな。
○政府委員(横井正美君) けさほどから主税局長からお答えをいたしておりますように、公示制度はいわゆる守秘義務の例外であるというふうに私ども考えておるわけでございます。そこで、守秘義務につきましては、昨年の十月下旬以来当委員会並びに決算委員会におきまして、詳しく御議論をいただいておりますけれども、調査に関連いたしまして、私どもが知り得た事項、それはかなり広い範囲と私ども考えておるわけでございます。申告段階におきまするところの申告書の内容あるいは財産債務明細書の内容、その辺から調査段階におきまして知り得ました秘密あるいは調査の結果、こういうものを含めまして、守秘義務がかぶっておるというふうに考えておるわけでございます。そういう意味合いから、寺田先生のお話でございますけれども、どちらかと申しますと、言ってはいけないという義務が、申告段階から調査の結果の段階に至るまであるわけでございまして、義務がないのだからやってもよいではないかというふうなことにはならないと、かように考えておるわけでございます。 そこで、国政調査権との関係等でございますが、けさほど大蔵大臣より重ねて御答弁申し上げましたように、私どもの税務行政は、権力を背景にいたしまして、納税者の秘密を知り得るという立場にございます。またそのような秘密を納税者から開示していただけなければ調査ができないと、適正な課税ができない、こういうことでございます。そういうことから、私どもは納税者の秘密に深く立ち入るわけでございますけれども、しかしながら、その秘密が私どもの側から外部に漏れないんだということでございますので、納税者側の御協力を得て調査が適正を期せられておるということであると思います。したがいまして、申告の段階から調査の段階を通じまして、秘密につきましてはやはり所得税法等の守秘義務の規定を守らなきゃいけないんじゃないか、かように考えておるわけでございます。 それから、公示の制度でございますが、寺田先生御承知のように、公示制度の発足いたしました二十五年以来今日まで約二十五年でございますが、その間けさほど来御議論いただいておりますところでおわかりいただけましたようなことで、修正につきましても、更正につきましても公示はいたさないということで、今日までまいっておるわけでございます。私どもの税務の運用はそういう前提、つまり最初の確定申告と、その直後に誤りを発見しまして出ました修正申告、これについては公示をいたしますけれども、それ以後の修正申告、更正とも公示をいたさないという前提できておるわけでございます。そういう前提でございますので、納税者側といたしましては、この更正というのが若干権力的なにおいがするものでございますから、税務署との円滑な話し合いがついた、そこで修正をしたという形をとりたいということで、修正申告をなされる場合が非常に多いわけでございます。修正申告と申しますと、自発的な修正を一般的に考えがちでございますけれども、現実に出てまいります修正申告は調査の結果によるものがほとんどでございます。現在調査の結果に基づきましての処理としまして、修正申告によるものが八割でございまして更正によるものは二割しかないというのが現状でございます。その割合は、戦後の混乱期を過ぎました三十年ごろからは大体そのような比率で今日まで至っておるということでございまして、修正も更正も公示はされない。修正の方が納税者にとっても感触がよろしい、税務署側からいたしましても、修正でございますと、納税者が誤りをみずから認めたということでございますし、またその後のその翌年からの申告も適正を期せられるということから修正をお勧めする場合が多いわけでございます。そういう双方の意見が合致いたしまして、そういう八割が修正、二割が更正、こういう形でまいっておるということを御理解をいただきたい、こういうふうに考えるものでございます。 田中前総理関係につきましても、二十五年も続いたそういう状況のもとでのものでございますから、当然修正であっても更正であっても公示にはならないのだ、こういう前提でまいっておるということを御理解いただきたいと考えるわけでございます。
○寺田熊雄君 非常に国民の健全な社会通念から離れたことなのですがね、あなた方のおっしゃるのは。というのは、秘密だ秘密だとおっしゃるけれども、いいですか、確定申告は秘密でない、これは公示する。修正申告も大蔵省令の定めたところまでは秘密でない、これも公示する。ところがその年限を一歩出たら途端に秘密になっちゃうというようなばかなことはないでしょう。本質的にものを見てください。たとえば私の所得もこれは一千万円超えていますが、こんなのは公示されたって何にも秘密じゃないわけですね。田中さんがなぜ秘密だと言うのかわからぬけれども、一国の総理大臣がその所得について秘匿しなければならない秘密なんてものは、あっちゃならぬのですよ。堂々とそれを発表してはばからないということが、当然政治家として要求されるわけですよ。それを国民も期待しているわけですね。だから、何で一国の総理大臣がその所得の内容を発表できないのか、また発表したらそれがいけないのか、国民の健全な常識では理解できないでしょう。しかもですよ、それは普通の常識論です。法律的に言ったって、いいですか、最初の申告もこれは秘密じゃありませんよ、――確定申告ね。それからその次の修正申告も秘密じゃありませんよ、しかし、年限を経て発表したら秘密になるのだ、これは何でそうなるのです。それは大蔵省令で決めているから急に秘密になっちゃうのでしょう。そんな不合理な大蔵省令はないでしょう。なぜその前は秘密でなくて、その後は秘密にしなきゃいけないのですか、それをおっしゃってください。主税局長。
○政府委員(中橋敬次郎君) 全面的に、税務に関しましては、申告制度を円滑に発展させますために、また税務の執行をスムーズに行いますために守秘義務というのがあるわけでございます。しかし、全面的に守秘義務を及ぼすのがいいのかと申しますと、まあ、そこで例外的にございまするのが申告書の公示制度でございます。それはなぜかと申しますれば、午前中にも御説明いたしましたように、申告書という確定申告書をまず公示することによりまして、そこで、正しい申告でないということを第三者が認めれば、そこで税務の調査を促すという一つの資料にする。またそれによりまして、納税者自身も正しい申告を出してもらえるということで、そういうことに関して申告書の公示制度というものを設け、そのことに関しまして守秘義務というものを、いわば法律的に解除をいたしておるわけでございます。おのおのすべての制度はそういうねらいを持ってやっておるわけでございまするから、一体どの程度までそういうことで守秘義務の解除というのをやったらいいかということの、一つの精神をはかるわけでございます。申告書の公示というものは、先ほど来国税庁の直税部長が申しましたように、所得税に関しましては、いわばある一時点におきますところの本人の申告というものを公示することによって、大量的に処理をする税務調査の活動を促す必要のあるものは、それによって端緒を提供していただければそれで十分なわけでございます。それをもって、なお私どものほかの資料とともに調査をするということで、いろいろ調査の成果は上がるわけでございまするが、その処理につきまして更正という手段を選ぶのか、修正申告という手段を選ぶのかというのは、むしろ所得税のその後におきますところの執行問題を考えまして、八割方は大体この所得税制、今日のような体制をとって以後は、なるべくはその後においても毎年毎年の個人の申告のことでございまするから、修正申告というのが円滑にいくだろうということでとっておるわけでございまするから、むしろ修正申告というのは税務調査の結果をあらわすというふうに先ほど直税部長も申しましたけれども、そういうものでございまするから、あえて守秘義務の解除というところまで踏み切らなくてもよろしいのではないかということで、範囲を切っているわけでございまするから、守秘義務の条項と、それから申告書の公示の条項と両方の趣旨を勘案いたしますれば、おのずと合理的な省令の制度というのは出てまいりまして、今日まで行ってまいりました。その大蔵省令の規定というのも法律の規定に違反しない合理的な範囲のものというふうに考えております。
○寺田熊雄君 あなた方のほうは十五日間だけは批判を仰げば修正できるけれども、そのあとから出た修正申告はもう批判を仰ぐ必要はないのだ、大蔵省が一生懸命調べたやつだから、妥協さしてやったやつだからもう批判を仰ぐ必要はない、こう言ってきているのですね。だけれどもそんなことないですよ。それは発表してごらんなさい。依然として国民はこれは少ない。もっとあるはずだという可能性というものはあるわけですよ。だから、あなた方の非常に独断になるわけですよ。 それからまた、元来もう一たん守秘義務を解除したものを、大蔵省令で限度をまたくくるというようなことは不必要な秘密の擁護であって、復活させる必要は全くないので、それは四月末日ですか――三日三十一日までか――三月三十一日までの限度を区切った。だからそんなものは、あなたは前は四月三十日までとおっしゃった。だからそんなものはね、秘密でも何でもないのですよ。大蔵省令であるときは四月三十日までに持っていったり、あるときは三月末日へ持っていったり、そんなものは本来本質的な秘密でないから幾らでも大蔵省令だけでぽんぽん動かし得るものなのです。だから、それを五月末日にしたって五年後にしたって何ら本質的に変わりはありません。だからもっと、国民がこういう点に疑惑を持っている、その疑惑を晴らすというところに何というか、政治の明朗さというか、公正さというか、税務行政の信憑力というか信用性というか、そういうものが存在するのだから、あなた方は高い時点からもう少し考えて、国民の疑惑を晴らすために行動すべきだし、また仮にあなた方の解釈、文字解釈が妥当だとしても、そういう不合理なものは当然私は改めるべきだと思う。あなたはそういう改める御意思はないのかどうか、主税局長にもう一遍お答え願いたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) この省令でもって、おっしゃいますように、範囲をしぼったというよりは、むしろ私どもは守秘義務を解除する範囲を、申告書の公示制度のもとにおきましてどの程度にするのが一番目的に合っておるかということで、範囲を定めるという意味の省令であるというふうに思っております。それで、今日は三月三十一日でございますし、従前は四月末日までと申しましたのは、実は五月一日から公示をいたしますものですから、その公示までに、いわば本人が誤りを発見しましたものとしての修正申告は、公示までに間に合うという意味におきまして、四月三十日までに提出をされました修正申告書までは公示をいたすということにいたしておりましたけれども、これも先ほど御説明いたしましたように、全くこれは事務的な都合でございますけれども、コンピューターということで処理をしなければならないほど、非常に枚数もふえてきた、件数もふえてきたものでございますから、どうしても一月繰り上げざるを得ないということで、一昨年にこれを三月三十一日に指定したという経緯がございます。 それで、そういう趣旨を全然検討する余地はないのかという御質問でございますけれども、もちろん私どもとしまして、今後においてますます公示の件数というものが、今日におきますところの金額で、一体どの程度になってくるのかということもございますので、そういう件数と、それから大量的に税務署で公示をいたすその手数と、それからおっしゃいますような問題とを合わせ考えて、もちろん今後検討してみたいと思っております。
○寺田熊雄君 余りこの問題で質問ばかりしてますと、他の問題の質問ができなくなりますから、これだけできょうは終わりにしようと思うんですが、やっぱり私は国民が非常に疑惑を持っておるという点は、これは否定できないと思うんですよ。私ども社会党の立場から言いますと、自民党の政治が行われる限り、こういう不明朗さは消えないんだと、田中角榮氏の所得一つ、総理大臣の所得一つ隠さなければいけないんだと、それほど陰に不正が存在するんだという、これはわれわれの立場を明らかにする意味のいい宣伝の材料にはなるのですよ。だから、ある意味ではその不合理というものは、私どもとしましては論争をいどむ上においては非常に有利な点なんです。それだけに自民党の方は、こういうものを一刻も早く改めて、もっと明朗な国民の疑惑を招かないような措置をすることが、むしろ有利ではないかと、おせっかいかもしれませんが、考えておるのです。税務行政の点から言っても、これはやはりそういう点に疑惑を残さないように、国民が何にも不信感を持たないようにすることの方が私は望ましいと思う。だからこういう点は、もう少し高い見地で検討をして、改正の方に進まれることを希望しておきます。 次に、昭和四十八年の物価調整減税額、これは幾らでしたか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 昭和四十八年度の税制改正を行います段階におきまして、予定をいたしましたものを申し上げますと、消費者物価の上昇は五・五%というふうに見込んでおりまして、そのための物価調整減税所要額は千三百七十億円というふうに予定をいたしておりました。
○寺田熊雄君 その年の実際の消費者物価上昇率は何%でした。
○政府委員(中橋敬次郎君) 実績としまして、昭和四十八年度において消費者物価は一一・七%上昇をいたしました。それに対応いたしましての物価調整減税所要額は二千九百二十億円というふうに計算をせられます。
○寺田熊雄君 そういたしますと、政府の当初の物価調整減税額というものは、非常な破綻を来したことになりますが、その間の調整はどうなりますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 当初、先ほど申しましたように、物価調整のために千三百七十億円を要するというふうに見込みましたが、当初の段階におきましての所得税の一般的な減税は三千百五十億円でございます。それから実績としまして、物価上昇は一一・七%になりまして、その物価調整のために二千九百二十億円を要するということになりましたが、物価はこのように伸びまして、一般的な減税額ももちろん金額的に多くなるわけでございますが、これが三千九百六十億円ということになります。したがいまして、当初の段階で千三百七十億円要するという物価調整のために、そのほかのいろいろな減税要素も含めまして三千百五十億円、実績としましては物価調整のために二千九百二十億円要するとしましても、それを含めまして、その他の要素も込めて三千九百六十億円減税をいたしたわけでございます。
○寺田熊雄君 それから、四十九年度の物価調整減税額は幾らでしたか。
○政府委員(中橋敬次郎君) まず当初の段階におきまして、四十九年度においては、物価上昇を九・六%に対しまして二千二百六十億円が物価調整減税所要額と計算をいたしております。これに対しまして、所得税の一般的減税は一兆四千五百億円と予定をいたしました。それを実績で申しますと、消費者物価は二二・〇%上昇いたしました。それをもとにいたしまして、物価調整のための減税所要額は六千八十億円と計算をされます。それに対応いたしまして、当初の段階で一兆四千五百億円と予定いたしておりました所得税の減税額は、一兆七千六百億円というふうに計算をされます。
○寺田熊雄君 いまお話がありましたように、まあ、消費者物価上昇率はちょっと、あなた方のおっしゃる数字というのは、これは総理府統計局の数字でしょうか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 政府が経済見通しを立てて毎年物価上昇率を見ておるわけでございますけれども、その実績値を申しましたのが、四十八年度二・七、四十九年度二二・〇と、暦年でございますけれども、そういう数字でございます。
○寺田熊雄君 いや、それが内閣統計局の発表と少し違うようじゃないですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 毎年度経済見通しを出します場合に、実績、それから翌年度におきますところの見通しを政府で立てるわけでございますが、この実績値と、いまおっしゃいます統計局で出しております物価上昇率とそんなに差異があるとは私ども考えておりません。
○寺田熊雄君 この大蔵省官房調査企画課が出している、これは昭和五十年一月三十日に出した外国主要経済指標というのがありますがね、これによると、とてもそんな数字になりませんがね、ちょっと何でしたら見ていただければ……。あなたの方が出した資料です。――それは後で調べてください、時間がかかるから。
○政府委員(中橋敬次郎君) 詳細に検討いたしませんと確たるお答えはできませんけれども、たとえば四十八年度一一・七と申しましたのは、暦年の物価上昇率でございまして、いまお示しの大蔵省の統計資料としまして四十八年度一六・一というのは、恐らくお手元の数字だと思いますが、これは年度でとっておると思いますので、暦年と年度との違いとしてあるいはそういう差があると思います。
○寺田熊雄君 それじゃ四十九年度は。
○政府委員(中橋敬次郎君) 四十九年につきまして、私が先ほど申しました二二・〇と申しますのは、実績見通しとしまして二二・〇というのを申し上げたわけでございますが、同じ先ほど御指摘の大蔵省の資料でとりましても、これはもちろん年度でございますからまだ数字が出ておりません。四十九年見通しとしまして一二・〇という数字がございます。
○寺田熊雄君 一二・〇……。
○政府委員(中橋敬次郎君) 失礼しました。四十九年度につきましては、まだもちろん実績値は出ておりませんから、お手元の資料にも掲上されておりません。
○寺田熊雄君 いやいや、いまあなた一二・〇とおっしゃったのは何の数字ですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) まことに申しわけありません、左と右と取り間違いまして。一二・〇と申しましたのは、四十八年八月の数字でございます。
○寺田熊雄君 私が申し上.げたのは、いまさっきも申し上げた大蔵省官房調査企画課外国主要経済指標昭和五十年一月三十日という資料があるんですが、それによったんですがね。これはいずれも一九七〇年を一〇〇とした数字なんですよ。一九七〇年を一〇〇とした場合にどうかということなんですよ。そうすると、七四年のやつが大蔵省のいまの表で見ると一月が二三二、二月が二六・四、三月が二四、四月が二四・九、五月が二三・一、六月が二三・六、七月が二五・二、八月が二五・四、九月が二三・八、十月が二六・二、十一月が二五・八と、こうなっています。とてもそんな二二でおさまる数字じゃないです。
○政府委員(中橋敬次郎君) 四十八年度、いまお手元の数字で……
○寺田熊雄君 いまのは四十九です。
○政府委員(中橋敬次郎君) 千九百……
○寺田熊雄君 七四年。
○政府委員(中橋敬次郎君) 四十九年、先ほど私が申しました二二・〇でございますけれども、いまお示しの資料で見ますと一九七四年でございまして、暦年で二四・五という数字が出ております。ですから、暦年と年度の違いということで恐らくそういう差が出てきたんだろうと思います。
○寺田熊雄君 そういうふうにいたしますと、結局、四十八年は他の減税で、いまの物価調整減税というものを補ったんだという、こういう御主張になりますね。四十九年も同じように見込みが非常に違ったので、物価調整減税額は当初の二千二百六十億をはるかにオーバーして六千八十億円が所要の物価調整減税額だけれども、他に減税があるのでそれもカバーできたと、こういう御主張になるわけ……。
○政府委員(中橋敬次郎君) 他に減税があると申しますよりは、所得税の減税幅は当初から一兆四千五百億という予定でございましたし、土台がふえたものでございまするから一兆七千六百億円になって、物価調整減税所要額を当初におきましても、実績におきましても、それよりも非常に多い金額の所得税の減税が行われたということでございます。
○寺田熊雄君 いや、それならそういうふうにはっきり当初から言えばいいわけでね、物価調整減税額がそれだけたくさんあるということが、見込みが違って、それで大減税だ大減税ということを言われたもんだから。実際はそうじゃなくて、物価の上昇に伴ってそれだけはただ物価の上昇をカバーするために使われたんだということになりますから、それだけ差っ引かないと本当の意味の減税ということはないわけですから、それはそういうことになりましょう。
○政府委員(中橋敬次郎君) そういう意味で申し上げれば、当初の段階におきましても一兆四千五百億円マイナス二千二百六十億円というのは、物価調整を補う以外のための減税でございますし、実績で申し上げれば、一兆七千六百億円マイナス六千八十億円というのは物価調整以外のための減税であるというふうに言えるわけであります。
○寺田熊雄君 あなたの数字で言っても、やっぱりそういうふうな御説明になると思うんですよ。だから、本当の減税というものは一兆四千五百億じゃないんで、物価調整減税というものを差し引かないと、それは――物価調整減税というのは、要するに消費者物価の値上がりで、それだけ負担が重くなるから、その分だけを税で見ましょうということでしょう。だから、それをやはり引かなければ本当の意味の減税にならぬわけでしょう。 それから、三二・九%という非常なべースアップが四十九年度あったわけです。ですから、三二・九%もベースアップした場合の国民の税負担というのは一定の年収の人をとってみなきゃいけませんけれども、とった場合にどういうふうにその負担がふえることになりますか。たとえば年収百万円の人、二百万円の人、三百万円の人、四百万円の人と四段階にとったとしますか、どういう結果になりましょうか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 夫婦子供二人の給与所得者で申し上げます。 四十九年は四十八年に対して三割給与収入が伸びたという計算をいたしますと、百万円の人は百三十万円になるわけですが、この百万円の人の税金は、四十八年もゼロでございましたし、この人が百三十万円に上がりましても所得税額は四十九年においてゼロでございます。それから同じく四十八年に二百万円の人は、四十八年におきまして七万九千七百九十八円の所得税を納めていたわけでございます。その人が三割給与が上がりまして四十九年におきましては二百六十万円年収があったといたしますと、その人の四十九年分の所得税額は八万八百円になるわけでございます。それから四十八年に三百万円取っておったとしますと、その人の所得税額は二十一万四千七百七十二円でございましたが、三割給与が上がりまして四十九年には三百九十万円になるというふうにいたしますと、その人の所得税額は二十二万二千二百五十円になるわけでございます。恐縮でございますけれども、次は五百万円の計算がしてございますので、五百万円を申し上げますと、五百万円四十八年に取っておった人の所得税は六十二万九千二円でございましたが、この人が三割収入がふえますと、四十九年におきましては六百五十万円の収入を得まして、それに対して所得税は六十七万二千六百五十円ということでございます。
○寺田熊雄君 本年度政府の見通しでは一一・八%消費者物価が上がるという見通しですね。これによって物価調整減税所要額、これを八百六十億としておられるようですね、この理由はどういうことですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 一一・八%五十年に物価が上昇いたしまして、そのために物価調整減税所要額は、一時的に計算をされますのは四千三百五十四億円要するわけでございます。これは毎年、先ほど申しました数字につきましても同じような計算をいたしておりますが、前年度減税をいたしておりますと、その平年度化というのが翌年あるわけでございまして、その平年度化しまして五十年度においては三千四百九十億円、非常に前年度の減税が大幅でございましたから平年度化も大幅になりまして、三千四百九十億円というのは、前年度の減税の平年度化として五十年に減税になるわけでございます。この三千四百九十億円を差し引きました純額が八百六十億円ということでございます。毎年毎年同じょうに前年度の減税の平年度化はそういうふうに差し引き計算をいたしますけれども、四十九年の減税は御承知のように非常に大幅でございましたから、特にこの平年度化の要素が大きく響いておるわけであります。
○寺田熊雄君 あなた方の方からいただいておる「昭和五〇年度 税制改正の要綱」というのがありますね。この「昭和五〇年度 租税及び印紙収入予算の説明 (未定稿)」というのがありますね。この七ページを見ますと、一人当たり給与額として一七%増とあります。あなた方としましては単年度の給与を見込みとして一七%のアップというふうに見ておられるわけですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) これは政府の経済見通しに準拠をいたしましたものでございまして、それによりますと一人当たり給与雇用者所得は一七・一%上昇すると見込まれておりますので、それによりました。
○寺田熊雄君 そうすると、いま日経連などが言っている一五%に抑えるというのは、これは政府の経済見通しよりもさらに下回っておるわけだろうか、その点いかがでしょうか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 政府の経済見通しにおきましては全体の雇用者につきまして一人当たり雇用者所得を一七・一%伸びるというふうに見通しておるわけでございます。現実にそれが一体どの程度になるかということは、今後の経済情勢の推移によるわけでございまして、その点はもちろん税収に影響してまいります。
○寺田熊雄君 政府が平均の給与所得のアップ率を一七・一%と見通しておるのに、日経連が大幅賃上げの行方研究委員会の結論として一五%に抑えるということを大々的に宣伝をして、それをまたさらに政府が大幅賃上げの行方研究委員会の結論と同じようなことを盛んに主張するんだけれども、どうも適当ではないように思うんですが、主税局長のお答えを求める点じゃないから、その点はおきましょう。――これは大蔵政務次官がいらっしゃいますから、政務次官にお尋ねいたします。どうでしょうかね。政府が一七・一%の見通しを立てていらっしゃるのに、日経連の方で、大幅賃上げの行方研究委員会で一五%以下でなければいかぬということを盛んに御主張になる。またいままで福田副総理などがおっしゃっていらっしゃることの内容が、大幅賃上げの行方研究委員会の言われていることと照らし合わせてみると非常にそっくりなんですけれども、もっと正直に、政府見通しでも実は一七・一%を見込んでいるんだよということを率直におっしゃった方が正直なんじゃないでしょうか、いかがですか。
○政府委員(梶木又三君) 余り政府の方が口出しをすべき問題じゃないと思うんでございます。そういうことで、一応考えとしましては物価並みという考えも立とうかと思いますが、これはもうあくまでも経営者と組合とにおいて御相談の上決定すべきもので、政府が余り口出しすべき問題じゃないと思いますので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
○寺田熊雄君 そうすると、政務次官にもう一遍お尋ねしますが、この政府の経済見通しの一七・一%というのは、過去においてやはり公然と御発表になりましたですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 毎年、政府の経済見通しとしまして出ましたものを、所得税の収入見込みを立てるときに採用いたしております。
○寺田熊雄君 政府の経済見通しが一七・一%、で消費者物価の上昇の見通しが一一・八%。こうなりますと、本年度の消費者物価の見通しがこれを上回る場合、それから勤労者の感覚ではベースアップというのは過去の物価の値上がりを補う趣旨で考えていますね。あなた方は、これからの上昇率もベースアップというのは補うものとしてあるというふうにお考えですか。どちらに考えていらっしゃいますか。 勤労者は過去の消費者物価の値上がりを補うためにベースアップするんだと考える。あなた方は、過去のものか、将来の物価の上昇に見合うためにベースァップするというふうに考えていらっしゃるのか、その点どうでしょう。
○政府委員(中橋敬次郎君) ベースアップを一体どういうふうに考えるべきかということは、実は非常にむつかしい問題でございまして、おっしゃいますように、一方には過去におきますところの物価上昇を補うという考え方もございましょうし、今後における物価上昇を補う意味においてベースアップを行うという考え方をする人もございます。 私どもは、いずれを取るかということは、ちょっとこの際その専門でもございませんので申し上げるわけにもまいりませんが、少なくとも所得税の減税、物価調整減税を考えます場合には、従来とも、たとえば五十年で申し上げますと、四十九年度と五十年度の年度平均の物価上昇率というのをとってまいりましたから、いわば、ほぼ五十暦年中における対前年の物価上昇率というのを、政府経済見通しにおきましては年度でありますから、それをとりまして、それに当たる物価調整減税所要額というのを毎年算出しております。
○寺田熊雄君 そうすると、あなたのおっしゃる物価調整減税所要額というのは、対前年の消費者物価の上昇率に即応するものですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) それは所得税でございますから、四十九暦年中の課税最低限と、五十暦年中の課税最低限をどの程度伸ばせばよろしいかという問題でございますから、本来でございますれば、四十九暦年に対する五十暦年の物価上昇というものをとらえればよろしいんだと思いますけれども、毎年私どもがこういう作業をやりますときには、政府経済見通しとしては年度間の平均上昇率というのが出ますから、およそ暦年としましてもそうそれと変わらないだろうということで、年度平均上昇率というのをとって、それをめどにしながら物価調整減税所要額というのを算出し、またそれに対応するような課税最低限の引き上げというのを行っているわけであります。
○寺田熊雄君 どうもこんにゃく問答のようでよくわからないんだけれども、そうすると結局、主税局長としては、あなたのおっしゃる、政府の経済見通しによる勤労者の所得の平均的な増加というものを一七・一%と見込んだと。で、それはどっちにウエートがあると思われますか。過去の物価上昇を補う方にウエートがかかっているのか、それとも五十年度の消費者物価の値上がりを補うという点にウエートがかかっているのか、あなたはどちらにウエートがかかっていると思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) それは実は私どもの仕事とは関係がございませんで、いずれにウエートがかかりましても、結果としまして五十年度の税収に入ります、それに対応する給与が一体前年度に比べてどれくらい伸びるかということが税収を算定します場合に必要なわけでございまして、それがどちらにウエートがあるかということは、およそ企業におきますそういう賃金決定の要素としていろいろ団体交渉でもちろんそういうものは反映いたしましょうけれども、経済としてどちらにどういうような伸びを示すかというのが実は私どもの税収算定につきましては非常に重要なことでございますし、またそれとは別に、私どもが課税最低限を考えます場合には、給与が伸びるその伸び方よりは、消費者物価がどの程度伸びるかというその伸び方の方にむしろウエートを置いて考えるわけでございます。
○寺田熊雄君 主税局長としてはそうかもしれないですね。だけれども、一般の国民としましては、過去におけるものの後追いだということになりますと、ことしの物価の上昇率というものを考えないと、賃上げ幅というものは決定できませんからね。それから過去における消費者物価の上昇率というものにウエートを置いて賃上げをするかどうかと、そこがまた非常に重要な要素になってきます。ことしは一一・八%でも去年が二四%の消費者物価の上昇だということになりますと、とても一七%ではもうおさまらぬわけでしょう。だから、そういう点をあなた方がやはりいずれにせよはっきりしたものを持っておかれませんと、減税幅が決まらないんじゃないかと思うんです。つまり、後追いでやりますと、前年の物価上昇率を一生懸命後を追わなければいけませんからね。そうしますと、勢いベースアップの率も多くなりますし、一七・一%ではとてもおさまりませんから。そうでしょう。そうすると、かなり名目的な賃金というものは上がりますね。名目的な賃金が上がると、消費者、一般勤労大衆の重税感というものは非常に大きくなってきます。とても一七・一%では済まない。私は最小限度二〇%以上というのが実務家、これは労働者だけではありません、経営者の方でも二〇%以上という見通しを持っておるようです。二〇%最低上がると見た場合の先ほど言った勤労者の税の比較というのはどうなりましょうか。まあ百万円はないと。百八十三万円とか以上ですから、標準世帯で二百万円を例にとって一これは独身者の場合はやっぱし税金がかかりますからね、だから、百万円の人は独身者について、それから二百万円、三百万円、四百万円の人は標準世帯について、税がどのぐらい上がるかということをちょっと教えていただきたいと思いますが。
○政府委員(中橋敬次郎君) 私どもは実は一七%というもので算出をいたしておりますので、手元にそれしか持っておりませんからこれで申し上げることでお許しを願いたいと思いますが……。
○寺田熊雄君 言ってください、一七%で。
○政府委員(中橋敬次郎君) まず、独身者について申し上げますと、しかも、先ほど申しましたように、四十八年から三割伸び、一七%伸びるという計算をいたしておりますので、独身者につきましては四十八年から申し上げます。独身者では四十八年に百万円年収があった人は、その年所得税額は四万三千百八円でございました。これが三〇%伸びまして四十九年に年収百三十万円になりますと、税額は五万五千四百八十七円でございます。これがさらに五十年に一七%伸びますと、年収は百五十二万一千円になりまして、それに対する所得税額は五万七千八百六十五円になります。 同じく独身者の四十八年におきます年収二百万円の人は、その年所得税十五万一千八百六十四円でございましたが、三割年収が伸びまして、四十九年には二百六十万円になりますと、それに対する所得税は十六万九千四百三十七円になります。これがさらに五十年に一七%伸びますと、年収は三百四万二千円になりまして、それに対する所得税は十八万四千十円になります。 三百万円は……
○寺田熊雄君 はい、けっこうです。
○政府委員(中橋敬次郎君) それから先ほどの夫婦子供二人の人で、四十八年二百万円の人は、先ほど申しましたように、四十九年に三割アップしまして二百六十万円、それがさらに一七%アップいたしますと、五十年には年収三百四万二千円になりまして、それに対する所得税は八万二千九百八十円。
○寺田熊雄君 二百万円がですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) はい。四十八年に二百万円の人は、五十年に三百四万二千円になりまして、それに対する所得税は八万二千九百八十円になります。
○寺田熊雄君 二百万円と二百六十万円の場合をおっしゃってください。
○政府委員(中橋敬次郎君) 二百万円の方は四十八年には、先ほど申しましたが、所得税は七万九千七百九十八円でございましたが、それが三割アップいたしまして、四十九年には年収二百六十万円になりますと所得税は八万八百円になります。これがさらに一七%伸びますと、五十年の年収は三百四万二千円になりまして、所得税額は八万二千九百八十円になります。 それから四十八年の三百万円の人は、その年の所得税額は二十一万四千七百七十二円でございましたが、三割アップいたしますと、四十九年の年収は三百九十万円、それに対する所得税額は二十二万二千二百五十円となりまして、さらにこれが一七%年収がふえますと、五十年には四百五十六万三千円の年収になりまして、それに対する所得税は二十四万四千四百六十円になります。 それから夫婦子供二人で四十八年の五百万円の年収の人は、それに対する所得税額六十二万九千二円でございましたが、年収が三〇%アップしますと、四十九年には年収六百五十万円になりまして、それに対する所得税額六十七万二千六百五十円になります。これがさらに年収が一七%アップいたしますと、七百六十万五千円になりまして、これに対する所得税は七十七万五千八十円になる予定でございます。
○寺田熊雄君 それでけっこうです。 政府見通しによる一七・一%のアップだとしますと、多少の増加はありますけれども、それほど多い増加にはならない、こういう結果になりますね。
○政府委員(中橋敬次郎君) 税額ですね。
○寺田熊雄君 税額。これが二〇%になった場合の、いま局長がおっしゃった表を、これはこの当委員会にお出しくださってもけっこうですし、また委員長の御決定で私のところへ持ってきてくださってもけっこうですから、二〇%アップになったときの表をひとつぜひ御提出願いたいと思いますが、これは後日ね。
○委員長(桧垣徳太郎君) 御要求の資料は提出できますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) それではいま申しました数字も含めまして、五十年につきましては一七%と二〇%と両方計算したものをつけ加えました資料として御提出できると思います。
○寺田熊雄君 それから二五%の数字は――可能性があるから。
○委員長(桧垣徳太郎君) それでは御要求の資料は委員会資料として御提出を願います。
○政府委員(中橋敬次郎君) 一七%と二〇%で。
○寺田熊雄君 それと二五%。
○政府委員(中橋敬次郎君) 計算でございますから、それではそういう三通りのもので委員会に御提出いたします。
○寺田熊雄君 それから税体系全体の中で、いまあなたの主管の局長以下税務当局としては、間接税と直接税との比率をどの程度に置くのが望ましいと考えていらっしゃるか、そのお考えをちょっと聞かしていただきたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) 私どもは、実は予断としまして、いまのわが国の税制の直間比率が何%になるのがよろしいかというものは持っておりません。むしろ税収が歳出の要請を満たし得るものでございますれば、そんなに大きな税制の変更をする必要はないと思っております。ただ問題は、やはりこれからいわゆる経済の安定成長の時期に入るといたしまして、しかも歳出の需要が、いわゆる福祉を中心としまして、かなり伸びるというようなことになってまいりました場合に、一つには、いまの税制の体系としてどの程度予測される、経済成長のもとにおいていわゆる自然増収が伸びるかという計算をまずやってみなければなりません。それからいろいろまた今日の税制の中でもいろいろ手をつけることによりまして、どの程度の増収が図られるかということを計算してみなければなりません。しかし、一番考えられますことは、かなり福祉ということを大々的にやろうとしますれば、年々恒常的に相当の財政需要が要るというふうに考えざるを得ないわけでございます。もちろんそれは程度によると思います。あるいはそのスピードにもかかわると思いますけれども、かなりそういう財政需要が予測せられるとしました場合に、一体今日の直間比率のままでそれだけの税収を上げることができるのか、あるいはそれが適当なのかどうかという判断をいたしてみまして、その場合に、やはり相当の税収を上げる必要があるといたしますれば、間接税というのをその際に考えなければならない。その結果直間比率というのはおそらくいまよりはずっと間接税にウエートがかかることになりましょうけれども、それは一にかかりまして国民がそれだけの財政需要を要望し、またそういう負担に耐え得るという選択をするかどうかにまずかかっている問題でございまして、そういう選択が行われて初めて負担を高める、そのためにどういう税制をとるという問題を検討しなきゃならないというふうに考えております。
○寺田熊雄君 いや、局長のようにおっしゃると、非常に私どもとしましては案に相違した考えを持つわけですがね。というのは、国民がいずれを選択するか、それを待ってといっても、私どもはもう直接税の比率を高めろと、むしろそのほうが富の再配分に役立つからという気持ちを非常に持っているわけですね。ところが、そういう要求にもかかわらず、いま現実に政府のほうでは付加価値税の創設というものをもう準備していらっしゃるわけでしょう。そして間接税の比率を高めるという方針をある程度もう固めていらっしゃるわけじゃないですか。だから何か国民のコンセンサスを待ってというようなことは、非常に言葉としては美しいんだけれども、むしろそれに先立ってあなたの方が先に方針を決めちゃって押しつけてくるんじゃないかということを国民は非常に恐れているわけですね。その点いかがですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 私どもはまだ間接税を大々的に採用いたしますとかいうことを決定したものではございません。ただわが国の租税負担率が幸いにしまして昭和二十四、五年ごろの非常に高い時期を別にいたしますれば、二〇%で今日までやってこれました。欧米の諸国を見ますれば、大体この租税負担率といいますのは三〇%を超えるのが普通でございます。さらにそのほかに社会保険料負担を考えますとわが国は大体五%ぐらいでございまして、欧米先進国はこれが一〇%でございますから、租税及び社会保険負担を合計いたしますと、わが国の二五%に対しまして大体欧米諸国というのは四〇%から四五%ぐらいを負担をいたしております。それで一体どうしてこんなに違いがあってやってこれたのかということを歳出の内容について見ますれば、まあ軍事費は別にいたしまして、大きく違いますのは、いわゆる社会保障費の差異だと思っております。したがいまして社会保障費を相当ふやすということになりますれば、この租税及び社会保険負担というのはどうしてもふえてこざるを得ないわけでございます。そのときにもちろん税負担でいくか、あるいは社会保険負担をどの程度ふやすかという問題がまず第一に出てまいります。そのときにも恐らくやはり相当租税負担というものについて依存しなければならないという事態も予測されるわけでございます。これを予測しましたときに、一体今日のような直接税という、その中でも所得税、法人税というものをもっと増税して取れるかと、しかも、その非常にふえると考えられます一〇%程度の負担率を高めるために、所得税、法人税を動員してそれだけのものが得られるかというふうに考えてみますと、これについては私はかなり疑問に思っております。 なるほどおっしゃいますように租税特別措置があるではないか、大企業に負担をさせればいいではないか、あるいは所得税の高額所得者に負担させればいいではないかというお話がございますけれども、これ一〇%の負担率をそこに負担をさせて、とてもそれだけでは私は得がたいのではないかと思います。欧米諸国が、特にヨーロッパ諸国でございますけれども、間接税にかなり負担を持ちながら、負担率三〇%から三五%になっておるということはやはり一つの大きな私どもの研究課題でございますし、そういうことを考えますれば、やはり一つの間接税というのは、われわれ税制当局者としますれば、いつの時代にも研究をいたさなければなりません。そういう研究はもちろんやらなければなりません。しかし、結局のところは、そういうことを冒してまで、あえて社会保障費をうんとふやすという覚悟が国民にあるかどうかというのが、まず第一の問題でございます。そういう負担をしなくてもよろしい、負担は少なくてもよろしいから、それぞれがいままでの程度ぐらいの社会保障の伸びで賄えるぐらいでよろしいということでございますれば、あえてそういう大きな税体系の変更というのは要しませんでしょうし、飛躍的にやはり社会保障費をふやそうということになりますれば、やはり一度はそういう問題はみんなで考え直さなきゃなりませんと思っております。
○寺田熊雄君 直接税のいま総額といいますか、どのぐらいですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 昭和五十年度におきましての予算額総額十八兆二千二百十七億円の中で、直接税と考えております税目は十三兆三千九百七十億円、率で申しますと七三・五%でございます。
○寺田熊雄君 そういたしますと、一〇%税収をふやすというのは、約二兆円足らずなわけですね。だから、二兆円の税収をそれじゃどこから取るかという問題に帰着すると思うんです。私どもは、一般大衆の零細な所得税なんかからこれを取れということは申してないことは当然なんですが、これはやはり私どもの見地では、まあ、法人税の増徴、それから租税特別措置の廃止、それから交際費、広告税等あるいは富裕税の設置というようなことで、二兆円などは軽いというふうに考えておるわけなんです。ですから、あなたが一〇%の増収というものは非常に困難だと言いますが、私どもはもう非常にこれは容易であると、困難ではないというふうに見ているわけで、そこで、法人税の方はまた明日質問することになると思うんですが、租税特別措置の、所得税関係の特別措置による減収額というものはどのぐらいですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 私が先ほど負担率一〇%と申しましたのは、国民所得に対する比率でございますから、国民所得で申しますと、いま百三十三兆でございますから、とても二兆の増税でも私は非常に大変なことだと思いますけれども、国民所得に対する負担率一〇%を上げる税率というのは実は大変な金額でございます。 それから、いまお尋ねの昭和五十年度におきます租税特別措置減収試算で五千六百十億円と試算をいたしておりますが、その中で所得税は四千六百八十億円でございます。
○寺田熊雄君 ちょっと私どもの方も非常に検討してみなきゃいけませんので、あなたのおっしゃる国民所得と税収との比率ですね、しかも、それが間接税と直接税に分けて。ちょっと私どもの方もあなたの御説明で納得しかねるものがありますから、アングロサクソン系統とそれから大陸と二つに分けて結構ですから、いまの国民所得と税収とのそういう比較を出した一覧表を、これも委員長、委員会に提出を求めたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) そういう資料はお出しいたしたいと思います。
○寺田熊雄君 まあ、国民所得の一〇%、十三兆をいま直ちに徴税しろというようなことはいまの日本ではちょっと無理でしょう。これはわれわれも要求しないけれども、たとえば厚生大臣が予算委員会でお約束なさったという、老齢福祉年金の二万円を来年度中に実現すると、こうおっしゃつたそうですが、そうすると、一万円アップするための所要の財源というのは六千億と聞いておりますが、六千億をいかに獲得するか、あるいは三万円の老齢福祉年金で一兆二千億をいかに獲得するかということになりますと、それはもうきわめて現実性のあるそう困難なものではないとわれわれは考えておるわけですが、いま局長のお話では、租税特別措置で、これを廃止した場合に得られるものが四千六百八十億、これは所得税関係だけですね、そういうお話でしたが、これは法人税の関係を含めますとどのぐらいになりますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 所得税で四千六百八十億円、全体で五千六百十億円でございますから、所得税の四千六百八十億円との差額は大部分法人税でございまして、法人税で六百九十億円、その他の税目で二百四十億円ということになります。
○寺田熊雄君 それから、いま政府はやはり付加価値税の創設というものは御準備にはなっておられるわけでしょう、どうですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) とてもまだ準備という段階まで至りませんで、外国におきますような制度を勉強いたしましたり、そこにおきますところの物価に対する影響とか、執行上の難点とか、そういうものを研究し始めたところでございます。
○寺田熊雄君 その研究調査にはどのぐらいの日時を必要とするんでしょう。たとえば五十一年度の予算の提出にそれが伴う公算があるのか、それとも、とても五十一年度の予算にそうした付加価値税の創設というものを提案することは不可能と見ていいのか、あなたは担当の局長でいらっしゃるので、その見通しを聞きたいです。
○政府委員(中橋敬次郎君) いまからスタートいたしましても、昭和五十一年度にそういうものを実施するということはとても不可能だと思います。たとえば英国におきましても、いよいよやるという決心をしましてからでも、いろいろPRとか徴税当局側の準備とかで、二、三年を要した経験がございます。
○寺田熊雄君 そうすると、それが実際上われわれの前にあらわれて論議すると仮定しても、まあ再来年以後と見ていいですね。
○政府委員(中橋敬次郎君) 仮にそういうことになりましても、おそらくいまお示しのような時期が、早くてもそういうことだと思います。
○寺田熊雄君 それはまあそういうふうに承っておきましょう。 それから、富裕税については、もうすでに大塚委員からも詳しい御質問があったと思いますが、これはもう大蔵大臣もいま直ちにとてもこれを実施する意図はないということをおっしゃったんですが、これはかって現実なものであった時期がありますね。そのときはどのようにしてこれを制度化し、どの程度の税収を上げたのか、ちょっと御説明願いたい。
○政府委員(中橋敬次郎君) わが国におきます富裕税の歴史は、昭和二十五年、シャウプ勧告によります大税制改正におきまして創設をせられたものでございます。そのときの税収は、昭和二十五年度におきまして五億二千万円、全体の税収の〇・一%、昭和二十六年度におきまして九億六千万円、全体の税収の〇・一%、昭和二十七年におきまして二十二億三千万円、全体の税収の〇・三%というものでございまして、昭和二十八年になかなかこの執行面におきますいろいろな問題がございましたので、廃止をいたしました。
○寺田熊雄君 そのときの税率はどのぐらいだったですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) まず、五百万円以下は免税ということにいたしておりまして、税率は、したがいまして五百万円超から最低税率が始まるわけでございますが、〇・五%から三%までの累進税率でございます。
○寺田熊雄君 これをわが国の、たとえば一億円以上の資産に、平均一%でよろしいから、した場合の税収見込みというようなものをちょっと教えていただきたい。
○政府委員(中橋敬次郎君) 申しわけございませんけれども、まだわれわれのところで、いわゆる国民の財産につきましての分布についての調査がございません。ただありますのは、相続税をかけられました遺産についての資料があるわけでございます。今後そういうのをもとにしながら、国民の財産の分布がどのようになっておるかということを私どもが勉強しなければなりませんけれども、税収としますれば、先ほど申しましたように、わが国の過去におきましても、大体〇・一から〇・三%程度でございましたし、現在やっております国としましてドイツがございますですが、税収はやっぱり全体の税収の一・八%程度でございますから、金額的にはそんなに大きなものではないというのが、大体すでにやっておる国々の例からも言えるわけでございます。
○寺田熊雄君 これはいずれこの見通しを私どもとしても承りたいと思うので、これはきょうは資料の提出を要求せずに、また担当の方に来ていただいていろいろ研究していただきたいと思うんですが、最後に一つだけお尋ねしたいのは、利子・配当所得の源泉分離を選択している人ですね、これはどのぐらいおりますか、ちょっと。それの金額の総額などわかりましたら。
○政府委員(中橋敬次郎君) 利子・配当につきまして源泉選択を分離しておる人の数というのは実はわからないんでございますけれども、支払われておりますたとえば利子につきましては、全体の支払われる利子の中で約半分が個人に払われるわけでございます。その個人が受け取ります利子の中で、源泉選択をして課税を受けております金額は、四十八年度で申しまして七千二百二十三億円、割合で申して個人が受け取りますものの中で二二・八%でございます。
○寺田熊雄君 時間ですから終わります。
○鈴木一弘君 最初に、所得税について伺いたいんですが、今度の改正には出てまいりませんけれども、所得税法の第九条通勤手当の問題でありますが、これが最高で政令によれば限度額七千円ということになっておりますね、通勤手当が七千円、自転車通勤が最高が二千五百円、定期が七千円で両方合わせてやった場合にも最高七千円というのが限度だと思うんですけれども、これは実情から言っても、実際二キロ以下は通勤手当は出てない、それも非課税という対象にはなっておりません。実際としては通勤手当というのは所得を得るためにどうしても仕方がなしに通勤をしなきゃならないわけです。かせがないために通勤するという人はいないわけでありますから、そうすると、所得を得るために必要経費としても計算がされなければならない問題だろうと思うんです。それは通勤だから飛行機でもいいというようなそういうのはまずないと思いますし、非常な遠距離というのもないと思います。そうなれば、これは限度額をもう設けなくてもいいんではないか、こういうように考えられるんですけれども、その点は御検討はしなかったんでしょうか。
○政府委員(中橋敬次郎君) まず最初に、現在の所得税におきます通勤費の非課税の制度におきましては通常必要であると認められる金額を限度にするということになっておりまして、いままでの経緯から申しますと、国家公務員が通勤手当を受けます限度というのを一応のめどにいたしてきております。それでいまおっしゃいました七千円といいますのは、実は昨年の改正によりまして九千円に引き上がっております。それからまた、いわゆる普通の電車その他の交通機関ではありませんで、むしろ自転車あるいは自分の車で通勤する人のことも考えまして運賃相当制によりまして、それによる運賃相当額というのを算定いたしまして、それが九千円になるところまでも自動車で通うような人についても非課税にするという措置を講じております。 それでお尋ねのように、およそ通勤費であれば全額非課税にすべきではないかという御議論もあるわけでございますけれども、この制度を創設いたしました当初から、やはり通常の通勤者として考えられる通勤手当というものを頭に置いて考えたわけでございます。非常にこれを高く要する人というのはやはりいろいろ個人的な事情があるのが通例のようでございまして、たとえば自分のうちが遠くにありますけれども、それを何らかの事情で離れがたいというような人は、東京にも相当長距離でもって通って来ておる人がございます。そういういわば個人的な事情もある程度しんしゃくをしまして、そういう人はやはり自分の家計消費という部分で負担をしてもらう点があってもよろしいのではないかということから、先ほど申しましたように、法律上も「通常必要であると認められる」程度というので非課税にしておるわけでございます。一体通常必要と認められる程度をどのくらいにしたらいいかということでございますけれども、人事院がわれわれ国家公務員につきましての通勤手当の金額を算定いたしますにつきましては、かなり詳細に民間におきますところの通勤手当の支給の状況を調査いたしまして、勧告をいたしておりますから、やはり大体の民間のそういった支給がどの程度になっておるのかというのが基本になるわけでございます。たまたま先ほど申しました昨年の九千円に改定をいたしましたときの人事院の調査によりますれば、やはり全額という通勤手当を支給をいたしております民間の事業所において最高支給をいたしておりますのが平均で月額八千二百七十四円というのがその根拠になっておったようでございまするから、大体九千円というのが法律に書いてございます通常の通勤手当の額として考えてもよろしいんじゃないかということで、最高限度としてそれを設けている次第でございます。
○鈴木一弘君 いまの通勤手当、そうすると、ことしの十二月になると今度は一万円を超えるようなふうになってきますね、これは、人事院の改定があると。そういうことになるんですから、むしろなくしちゃった方がいいという感じが、限度を設けないということにした方がいいじゃないかと思います。 次は利子・配当並びに給与所得、これは源泉課税ということで、所得税の徴収の方法については現在源泉徴収義務を給与支払い者に義務づけているというのもございます。この論議は何度も何度もされておることでありますけれども、実際は申告制にするのがこれはもう税としては当然だろうと思うんです。それが便宜上の源泉徴収制度が今度はだんだん固いものになってきています。そういう点、私はやはり本来ならば源泉を選択するということができるようにさせるというやり方が本当はいいんじゃないか、自主選択か何かさせる方法を考えるべきじゃないかというふうに思われるんですけれども、そういう点の基本的な考えはどんなふうに考えられておるんですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 所得税の納税者が今日のように三千万人を超えるというような事態になりまして、一体どういうふうにこれを徴収するのがいいのかという制度を考えます場合には、やはり私はいわば能率と申しますか、徴税費という問題も常に考えてみなければならないと思います。みんなが申告制度で納税する方がよろしいのか、あるいはたまたま給与支払い者と給与を受ける側という、いわば税金以前の関係が存在する、そういった場合におきまして、やはり給与を支払います側についてそういう源泉徴収の労をとってもらいまして、円滑にしかも、能率よく税金を納めていただくということも私はあながち所得税制としてそんなに不合理なものではないというふうに思っております。また現にそういう源泉徴収制度につきまして、これはもちろん私の申し上げたような観点も入れられまして、最高裁においても憲法にもちろん違反するものではないというような支持も出ておる次第でございまするから、やはり源泉徴収制度というものを一つの根幹として考えていただきたいというふうに思っております。
○鈴木一弘君 いま憲法に違反するものではないというのもあると、こういう最高裁の見解が出されておりましたけれども、憲法第十四条で法のもとの平等がうたわれている。一方は申告制であり一方は源泉で、いわゆる給与所得者から言えば天引きという形をとられてくる。やはり確かにそれは憲法違反ではないでしょうけれども、平等であるという、厳密なことを言うと違うような感じがするんですね。ですから、これがいろいろサラリーマンに対する所得税制のことでの訴訟が行われておる。その同志社大学の大島教授の訴訟のときでも相当議論をされたというふうに承っておりますけれども、やはり一方は強制、一方は自主的、こういうところからは何か徴収方法の違いというのが、今度は納税する方にとると非常に不平等を受けている感じを受けるんじゃないか、それが一つの不満となって燃えてくるんではないかというふうに思わざるを得ないわけなんです。ただ憲法上は大丈夫なんだというだけなのか、その点もう一つ伺いたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) 源泉徴収を受けておる人たちが、納税に関しまして平等の取り扱いを受けていないということを言われるにつきましては、私は一つの誤解と申しますか、認識の違いがあると思っております。 と申しますのは、いわばクロヨンというような言葉に代表されますように、申告制度だけによりますれば何か税金が安くて済むと。しかもそれは、たまたま自主申告納税という言葉を申告納税制度のPRに私どももずいぶん使ってまいりましたけれども、あたかもそれが自分で好きなだけ税金を好きなときに納め得るというように、一部の人には誤解をされてきましたけれども、本来そういう意味での自主申告納税制度ではございません。源泉徴収をされましても、申告納税をする人につきましても、納めるべき税額というのは同じであるはずでございます。したがって、申告制度でなくて、源泉徴収をされるからきわめて不合理な取り扱いを受けておるということは実は私は余りないと思っております。仮に申告制度をとってみまして、言われることは、一つには、申告納税者でございますれば七月と十一月と三月に税金を納めればよろしい、場合によればその一部は五月まで延納ができると。それにかかわらず、われわれ月給取りは毎月毎月きちんきちんと取られるというようなことを言われますけれども、実はそういう毎月毎月取られる者と、ある一定時期に分けて取られる者とにつきましての差異というものも、実は給与所得控除というような形でかなり配慮をしているつもりでございます。そのほかにいろいろ必要経費も含めまして担税力の問題も考えて給与所得控除制度というのもとっておりまするから、私はあながち給与が源泉徴収をされるから非常に不合理を受けておるというふうには考えないわけでございますし、またそれが能率よく徴税費も安く円滑に税金を納めてもらう一つの今日までだんだん確立してきた制度として、今後もぜひそういうことでやっていただきたいと思っておる制度でございます。
○鈴木一弘君 非常に根本的なことで申しわけないんですけれども、先ほどの納税者の納税事務を扱う徴税事務ですか、それが源泉ということになれば、各事業所においてこれを代行するということになるわけですね。そういう点で膨大な人数が節約できるからという考えもあるんだと思うんですけれども、それだけのほどに枠を広げるという税本来のあり方が問題だと。つまり税金を納める人口が急増してくるということが大きなぼくは問題だと思うんですね、源泉を取らなきゃならない人がふえてくるということはですね。本当ならばそれほどの多くな人数にしないでいくという、まあこれは直間比率の問題とも関係してくるんですけれども、それが本当のあり方だと思います。 そこで、税務当局は各税務署に対してどういうように、この所得税の源泉の問題について不満が出たり不平が出たりすることだってあり得ることだろうと私は思いますが、そういう点の指導、こういうものはどういうように現在やっておりますか、各税務署に対して。
○政府委員(横井正美君) 私ども一般的に税の周知徹底につきまして、いろいろな工夫をこらしておるわけでございますが、だんだんそういう方面の広報予算もふやしていただきまして、税務署自身でする広報、それから市町村等を通ずる広報、あるいは法人会でありますとか、青色申告会でありますとかいう団体を通ずる広報、それから企業を通じます広報、これらを心がけておるところでございます。サラリーマンの方々とお会いいたしまして若干まだそういう広報が行き渡っておらないではないかというお声もございますので、今後とも前向きに広報に取り組んでまいりたいと、かように考えております。
○鈴木一弘君 源泉徴収を取られている、その納税やっている給与所得者で、不服を申し出たというような、そういう件数はわかりますか。
○政府委員(横井正美君) 源泉徴収の関係で一番典形的な不服申し立ては、御承知の総評等でおやりになっておりますところのサラリーマン減税闘争の関係でございます。これについて申し上げますと、昭和四十四年に仙台方面で始まりまして、四十四年分につきましては二十七件程度の還付申告書が出たわけでございますが、その後だんだんふえてまいりまして、昨年の三月、四十八年分につきましては一万二千二百四十八件の還付申告書が出ております。本年につきましてはまだ集計はできておりませんが、サンプル的な聞き取り等によりますと、一割増しの一万四千ぐらいに達するのじゃなかろうかと、かように考えております。で、実はこれにつきまして、私どもといたしましては、第一線の税務署が大変困惑をしておるということでございまして、事ありますたびに私ども関係者の方々にこういう問題で第一線の税務職員を煩わさないでほしいということをお願いしておるような次第でございます。けさほど大臣から申告書が八百万件出るということを申し上げましたが、一署平均約一万五、六千件でございます。一万四千と申しますのは大体一つの平均的な税務署に出ます確定申告の枚数に匹敵するわけでございます。実は昨年の十二月でございますが、総評の代表の方にお会いいたしました際にも、私から、そういうことで第一線の職員が非常に苦労をいたしておりますので、税制は国会で議論をされる問題でございますし、また防衛費分の不払いというふうな話もございますが、予算は同様国会で議論される問題でございますので、ぜひ国会で議論していただく、あるいは立法当局であります主税局へ苦情を申し立てていただくということにお願いして、第一線の税務署を煩わさないでほしい、五万の職員にかわってお願いするというふうに申し上げたのでございますが、やっぱり物別れになりまして、一割ほどふえまして一万四千ぐらいの件数が出るようでございます。これの取り扱いにつきましては問題が問題でございますので、かなり慎重に取り扱っておるわけでございます。手順を申しますと、この申告書が出ました段階におきまして、年末調整で納められました源泉徴収税額は還付をいたさないで保留をしておきまして、この還付申告書に対する修正申告慫慂、それから大部分が引かれませんので、更正をいたしまして、年末の源泉徴収税額を充当するというふうなことにいたしておるわけでございます。それに対しまして昨年の異議申し立て等でございますが、還付申告書が一万二千二百四十八件でございますが、これに対して更正をいたしましたのが一万二千二十五件でございます。異議の申し立てが八千三十一件、それから審査の請求が五千八百八十九件でございます。訴訟はこの分についてはまだ提起がございません。訴訟件数は、過去の四十四年分から全部合計いたしまして十二件でございます。 以上の状況でございます。
○鈴木一弘君 こういうことでだんだん――私はいまの主税局へと言ったって、実際問題文句をつけるところは、主税局よりも納める方からすれば国税当局へ行くのは当然のことです、これは。税務署へ行くのは当然だと思うんですが、主税局へ行くようになんというずいぶんおかしな話がいまあったわけですけれども、いまのを見ても、審査請求が、一万二千件の中で五千八百件にもなるというのはこれは通常じゃないと思うんです。やはり何かここに問題がある。大体主な内容的なものはどういう点でございますか。たとえばいわゆる必要経費の問題とか、いろんな問題があるだろうと思うんですが、どういう点が多いんですか。
○政府委員(横井正美君) 先ほどちょっと申し上げました防衛費分の不払いということで六・四%を控除されます方はごく少数のように見受けております。大部分の方は、いわゆる生計費を必要経費の額ということで控除されて確定申告をお出しになっておる、こういうことでございます。 私、失言いたしまして、主税局へ行けというのは失言でございますが、私ども執行官庁は法令をそのまま執行するだけということでございますので、現実の問題といたしまして税務署に申告書をお出しいただきましても、これはとうてい御希望に沿うわけにはまいらないということでございますので、第一線をひとつ煩わさないようにというお願いをしておるということでございます。御了承いただきたいと思います。
○鈴木一弘君 これは更正決定をして結局還付になった分のあるやつはありますか。
○政府委員(横井正美君) ごくわずかですね、住宅取得控除でございますとか、雑損控除でございますとか、医療費控除でございますとかというようなものを控除項目としてお出しになっておる、つまり通常の確定申告書であるというものが若干ございまして、これにつきましてはそれをお認めして処理をいたしておるということでございます。件数といたしましては、全体の恐らく一%ないのではないかと思います。
○鈴木一弘君 一%としても一万二千件だと百二十あるということですからね、決して少ない額じゃないと思いますね。まだまだ実際にはやれば還付になるのにやらないのもあるだろうという感じがしております。 そこで、これは主税局になると思いますが、源泉徴収による所得税の徴収の方法、これは、納める方にとると、納税者の方としては税に対してだんだん無関心になるということです。やはり地方税の場合でも、いまのように月給から引かれるというような、そういうときでないときには、毎期毎期納めに行かなければならない、これは非常に地方政治に対しても関心が強くなってきますよ。それと同じように、会社が本人にかわって税額を計算して出されるということになると、どうしても強い関心を持つより、税については無関心というふうになってきても一向差し支えないということになります。それは政府にとっては税金に対して国民が無関心であればあるほど取りやすいという、これは議論はあると思うんですね、楽だという。しかし、それは税負担という意味から言うと、また、主権在民というようなことから考えると何かちょっと感心できないんじゃないかと、こういうことで、源泉徴収が税負担、税に対しての無関心をふやす、そういうような問題についてはどういうふうに思いますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) おっしゃいますように、納税者が税制全体についてばかりでございませんで、特に具体的に自分の納める税額というものについて意識を持ってもらうことは非常に大切なことだと思っております。ただそれが、源泉徴収制度をとりました場合に果たしてそういう意識を阻害し、また申告制度をとればそういう意識を自動的に高めるかというふうに考えますれば、確かにそういう危険もございますけれども、今日のいろいろな税制批判を考えてみますと、私はむしろ源泉徴収をされておるいわゆるサラリーマンの人たちの税金に対する厳しい批判というのは、かなり高いということから考えまして、そんなに源泉徴収制度がそういう意識をことさらに低下させておるとは思っておりません。ただ、一番心配なのは、御自分が納める税金が幾らかという認識を案外みんな余り持っていないというのはわれわれ共通の欠点でございます。それに対しまして、もちろん源泉徴収をしました以後、特にシャウプ勧告における指摘以後は、必ず源泉徴収をされておる税額は本人に明らかになるような措置を講じておりますし、年末調整でその年間幾ら税金が取られておるかということを実は明らかにするような措置を講じておりますけれども、それでもまあ実際われわれを含めまして、なかなか自分の納めておる税額というのを的確に把握をしておる人は少ないというのが現状でございます。これは、それでは申告納税をしておる、たとえば営業者が非常によく納めておる税額を具体的に知っておるかということになりますと、またこれも余り具体的には知っておりません。これはむしろそういう税金を、源泉徴収制度で納めてもらうのか、申告制度で納めてもらうのかということよりは、もう少しみんなが自分の納める税金を具体的に知り、またそういうことから具体的な批判をするということについて今後われわれも十分そういった点について配慮していかなければならない点だと思っております。
○鈴木一弘君 所得控除の中で医療費控除がありますね。先ほども住宅、雑損、医療の控除のことでありましたけれども、給与所得者、まあこれは申告と源泉と両方だと思いますが、申告された場合の人と、それからそうでない場合と、どのぐらい医療費控除を受けているか、数を最近ので結構ですから言っていただきたいんですけれども。
○政府委員(中橋敬次郎君) 医療費控除は、源泉徴収をされておる給与所得者につきましても、税務署に確定申告を出していただいて、そこで医療費控除をする仕組みになっておりますので、その中で一体現実に毎月源泉徴収をされておるだけの人が何人おるかという数字は、実はつかんでいないのでございます。
○鈴木一弘君 それはよくわかります。 じゃ、申告された分の中ではどのぐらいありますか、何人分ぐらい。
○政府委員(中橋敬次郎君) 四十七年分の数字でございますけれども、四百八十九万人ばかりの申告者の中で、医療費控除の適用を受けましたのは十九万八千人でございますから、割合で申しますと四%になります。
○鈴木一弘君 実際この給与所得者で源泉でやっている、しかし、お医者さんの費用がかかって、いままで十万円ですね、十万円以上となっていますし、今度の法改正では五万円以上ということになるわけですけれども、それについてよく知らないという人もずいぶんいるわけです。奥さんが病気になったり、子供が病気になって二十万もかかってしまったけれども、源泉でやっているだけで改めて申告をしない、そういう申告納税をやらないという方もいらっしゃるわけですね。そういう方が必ずぼくは相当いるような気がしてならない。やはり一定限度以上は必ず申告をしますから、これは自分のところで気がついておやりになるんですけれども、医者から領収書をもらうのがめんどうくさいとかいろんな問題があるものですから、そんなに簡単にいかないわけです。そういう点をこれをよく知らせておかなきゃならないと思うんです。ところが、後になって気がついて、もう一年もたってから、じゃあのときやればよかったという声は絶えず聞かされるわけです。わかった人は次には申告をなさるでしょうけれども、そういう点何かの方法をとることができないのかということです。これはもう納税、徴税方法の問題だと私は思いますけれども、何か方法を考えられないか、その点いかがでございますか。
○政府委員(横井正美君) 先ほどお答え申しましたように、まだまだ広報が不十分であるという点ございますので、前向きに努力をいたしたいんでございますが、最近におきましては、御承知のように源泉徴収票の裏面にこれらに関します広報文を載せまして、先ほどちょっと例に出しました総評の代表の方なんかからまだまだ不十分であるけれども、一つの前進ではあるという評価をいただきました。今後もいろんな手段を使いまして、各種の控除がサラリーマンの方々に周知できるように努力をいたしたいというふうに考えております。
○鈴木一弘君 これは年末調整のときに出しますね、書類は。あれには入ってないんですね、入っているんですか。
○政府委員(横井正美君) いまお答えしましたようにあの源泉徴収票の裏面に、これらに関しますあれを書くように最近ではいたしております。
○鈴木一弘君 時間が来たようでありますから、非常に簡単にしたいと思うんですが、給与所得控除の問題、これが果たして必要経費ということで十分か十分でないかと、これは大分議論がありました。四十九年、昨年の五月三十日の京都地裁での判決、こういう中にも必要経費の概算控除であるとか租税力の調整とか捕捉率の格差の調整、金利の調整といった点を挙げて必要経費というものを見ているようですけれども、そういう必要経費についての一体何が一番の感覚なのか、概算控除というような感じなのか、あるいはいま申し上げたように租税力――担税力ですか、担税力がありますから、それを一応調整するためというか、そういうものの考え方なのか、そういう点をひとつ伺いたいんですが。
○政府委員(中橋敬次郎君) 今日の給与所得控除の性格でございますけれども、一つには、もちろんいまお話しのいわゆる必要経費を概算的に控除するというのが基本になっておると思います。ただ今日わが国の給与所得控除というのは、私は、かなり高い水準の金額を認めておると思います。それのためには、やはり単にいわゆる必要経費のほかに、先ほどちょっと触れましたが源泉徴収に伴いますところの、いわば申告納税をする人と比べての、早く徴収をされるいわば金利といいますか、金利に近いデメリット、そういうものを補うものとか、あるいはやはり勤労所得者に伴いますところのいわゆる雇用者としての地位の担税力の弱さというものに対する配慮とか、そういうものをいろいろしんしゃくをいたしまして概括的に引いておるのが今日の給与所得控除の性格だろうと思います。したがいまして、具体的にいわゆる給与収入を上げますための直接の必要経費というのを積み上げてまいりましても、なかなか今日の給与所得控除の率にはならないのが大部分の人ではないかというふうに考えておりまして、いろいろそういう必要経費とか担税力とか前払い利子とか、あるいは把握とか、そういったものを総合的に勘案しましたのがわが国の給与所得控除の性格であるというふうに観念いたしております。
○鈴木一弘君 一つだけ。こういう議論があるんですけれども、たとえばサラリーマンの中でも特殊な技能を持っている人たち、あるいは楽団の一員とか、そういうような特別な場合には、実質的な、まあいわば選択的ですね、実額控除制度といいますかそういうものをするのがいいんではないかという声がある。これが将来これから立法されなければならないということが言われているんですけれども、その点についてはどういうように今後考えていかれますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 確かに今日の概括的な給与所得控除制度に対しまして実額控除の選択を認めろという要望がございます。 ただそこで、私どもが考えなければなりませんのは、外国においてもそういう例がございますけれども、実額控除の選択制度を認めております場合には、往々一般的に概括的に認めます給与所得控除の水準というのはかなり低いところに置いておきまして、そしてそれを突き出る経費を使っておる人は実額で申告をしてもらうというような感じでございます。 したがいまして、わが国のようにかなり高い水準で給与所得控除を設けておきますれば、それを突き出るほどに必要経費を要するという人は、まず通常は考えられないわけでございます。 おっしゃいますように確かに特殊の技能を持ち、そのために特殊の勉強をする、あるいは特殊の書物を買わなければならないというようなことを主張なさる方がございますけれども、それとてもやはり一体それが必要経費として認められるものなのか、いわば家計の消費対象として可処分所得の中から購入しなければならないものなのか、実は税務の方から見ますとかなり問題のものがございます。それを一々どちらに入るのか分別しまして、毎年の申告のときに、税務上それを税務署で、これはだめです、これは入りますという争いをする、またそれについての証票を準備してもらうということは、かなり摩擦を招く恐れがございます。そういうことがございますから、私は、今日のわが国の制度のように、高い水準の給与所得控除を設けておいた方が、むしろそういった例外的な問題が間々あるとしましても、制度としてはよりよいのではないかというふうに思っておりますが、なお、そういう実額控除をしなければ、今日の給与所得控除では賄いきれないほどの人たちが、一体どういうようなものを経費としておるか、今後勉強をしてまいりたいと思います。
○渡辺武君 所得税法の第八十四条の二項を見てみますと、老人扶養親族について、一般扶養親族とは別に所得控除の優遇措置がとられておると思うんですね。いわゆる老人扶養控除というものですね。これはどういう趣旨で設けられた制度でしょうか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 老人扶養控除の制度は、昭和四十七年に設けたものでございます。あの当時、基礎控除、配偶者控除が二十万円でございまして、一般の扶養控除が十四万円、それで老人扶養控除を十六万円設定したわけでございますが、その趣旨は、だんだん核家族化してまいりまして、いわば老人が息子夫婦のところに世話にならざるを得ないというような場合が非常に多くなってきましたけれども、なかなかそこでいろんな問題を生じておるということがございました。そこで、老人としまして年齢七十歳以上の人を扶養親族としますときには、いろいろ手もかかりましょうから、そういう扶養親族控除というものにつきまして、一般よりはかさ上げしました金額を設定することによって、少しでもそういった摩擦をなくするというのをねらいにして設けたものでございます。
○渡辺武君 まことに敬老精神に満ちた措置で、こういう措置は大いに賛成なんですけれども、大体対象件数はどのぐらいございますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 老人扶養親族数だけのものはとっておりませんので、申しわけございませんが、わかりかねます。
○渡辺武君 申告した数ぐらいわかるでしょう。それとついでに、この措置によって一般の扶養控除等よりも優遇しているわけですね。そうすると、その優遇している分が、いわばこの措置による減税額だというような形にもなろうかと思うんですが、どのぐらいの減税になりますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 今回御提案をいたしております老人扶養控除を四万円引き上げることによりましての減税額は、昭和五十年度におきまして約百億円でございますが、その根元になっておる創設以来の金額はちょっとわかりかねます。
○渡辺武君 件数はどのくらいですか、申告のあった。
○政府委員(中橋敬次郎君) ちょっと私は持っていないと申しましたが、四十七年分の数字といたしまして、老人扶養親族としまして六十二万人が申告されておりますから、源泉徴収をされておる人の老人扶養親族はこのほかにあるので、総数はわかっておりません。
○渡辺武君 細かいことを聞くようで恐縮なんですが、こういうつまり七十歳以上の老人が対象になるわけですね、扶養親族が。この人たちが配偶者である場合というのは、大体どのぐらいのパーセンテージを占めると思われますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 年齢七十歳以上の配偶者の数はわかっておりません。
○渡辺武君 この七十歳以上の老人が配偶者である場合、この場合は恐らく配偶者控除しか受けられないと思うんですね。ところが配偶者でない場合は、特別なつまり老人扶養控除というのが受けられる、こういうことになっているんじゃないかと思うが、どうですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 今日の制度はそのとおりでございます。それで、その理由でございますが、先ほど申しましたように、老人扶養控除と申しますのは、いわば老人一人としまして扶養親族になっておって、敬老精神というおほめをいただきましたけれども、いわばそういうことで、できるだけ摩擦なしに扶養親族としてどなたかの世話になるという人について、税金面においても何らかの配慮をしようという趣旨で設けたものでございますが、配偶者となりますれば、これはいわば所得者がおりまして、それの配偶者でございまして、大体偕老同穴と申しますか、一緒におるのが筋でございまして、お互いにそういった配慮なしに共同生活を営んでおるというのが配偶者たるものでございますので、そういう特別なしんしゃくは要らないとして今日まで組み立てておるわけでございます。
○渡辺武君 昭和四十七年に創設されたというふうに言われましたけれども、どうも初めは、配偶者控除の方が老人扶養控除よりも額は多かったように思いますが、最近に至ってこれが逆転したという感じがしますけれども、その数字ちょっとおっしゃっていただきたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) おっしゃいますように、四十七年に創設しましたときには、配偶者控除は二十万円に対しまして老人扶養控除は十六万円でございました。以後、全部平年度計算で申しますが、四十八年は配偶者控除を二十一万円に引き上げました、それに対しまして老人扶養控除は十九万円となりました。四十九年において配偶者控除は二十四万円になりまして、このときに配偶者控除は、基礎控除と一般の扶養控除と全部一律に並んだわけでございます。そのときに老人扶養控除が二十八万円になりましたから、一般の控除よりは突き出たわけでございます。以後――以後と申しますか、翌年、今度の五十年の改正の御提案につきましても、同じような形として老人扶養控除だけ基礎控除、配偶者控除、扶養控除を六万円オーバーした金額でお願いしておるわけでございます。
○渡辺武君 そうしますと、同じ七十歳以上のお年寄りで、子供さんたちに御厄介になっているときには三十二万円の控除を受けると、ところが奥さんの場合、あるいはまた奥さんが働いていて、だんなさんが働いていないというような場合、つまり配偶者の場合には二十六万円。そうすると同じ七十歳以上の老人で、それで六万円の差額が出るわけです。これは私はやっぱり不合理じゃないかと思うんです。と申しますのは、これは国際的な統計を見てみてもわかりますけれども、日本の場合ですと、生活が非常に困難なために、六十五歳以上の老人が勤めているという率が日本の場合は五十何%、半分以上です。アメリカだとか、それからそのほかの国に比べても異常に高いのですね。そうして年も六十五歳以上ということになりますと、大体退職して、そうして再び勤めるという場合が多くあって、ずっと同じ場所に勤続していた場合でも、給料は以前よりも下がるというのが非常に多いのです。大体平均して四万円から六万円くらいが普通の給与じゃないかと言われている程度なんです。かなり苦しいんです。ですから、敬老精神非常に結構だけれども、その敬老精神をやっぱり配偶者である老人についても大いに発揮する必要があるんじゃないか。私どもは、こういう問題が起こりますのは、大体、本来もともと基礎控除が低いし、それからまた配偶者控除も扶養控除も、つまりそれらを合計した、いわゆる人的控除そのものが非常に低いというところに根本原因があると思いますけれども、きょうはそういう基本的な問題は若干抜きにしましても、こうした不合理を是正して、そうして少なくとも七十歳以上の配偶者を持っている家庭、この場合の配偶者控除を、これを老人扶養控除を適用するという形で引き上げるという措置はとれないものかどうか、この点どうでしょう。
○政府委員(中橋敬次郎君) 各種人的控除が高いか低いかという問題は別にしまして、この老人扶養控除の問題に限って申しますと、先ほど申しました趣旨から言いますと、いわば配偶者というものについて、そういうインセンティブは必要ないという考えを私どもは持っております。 それから、いまおっしゃったように、配偶者の一方が働いておりますという場合、老人の場合には所得の限度がございますけれども、やはり所得者につきましては、老年者控除というのが別に与えられているわけでございますから、そういう夫婦のいずれかには特別の控除というのが認められているわけでございます。ですから夫婦としますれば、そういう配慮は所得税としても一応やっておるわけでございまするし、仮に老年の配偶者控除を何がしか高くしますと、基礎控除よりもこれは高くなりまして、基礎控除よりも高い老年配偶者控除というのもございますから、若年の人につきましては基礎控除と配偶者控除と同額になって、老年になりますと、所得看たる御本人は基礎控除で、それよりも高い老年配偶者控除があるということで、いかさまそのバランスを失するということでございますから、あえて基礎控除と配偶者控除というのは年齢のいかんにかかわらず同額に据え置いたわけでございます。それが一体、おっしゃいますような、いわゆる標準的な家計という観点から非常に低いかということになりますれば、また何らかの意味におきまして基礎控除を上げるとか、配偶者控除をそれにつれて上げるとかいう配慮をいたさなければなりませんけれども、私どもの立場からいたしますれば、配偶者控除、基礎控除とあわせましての老人夫婦の世帯としまして、それにあわせて老年者控除が働きますから、標準的な老人夫婦の生計費という観点から見ますれば、まずまずの課税最低限じゃないかという立場でございますので、特に老年者の配偶者控除というのを、普通の基礎控除よりも高くするという制度は今回御提案をしなかったわけでございます。
○渡辺武君 その老年者控除のことは、これはこれとして必要だと思うのですけれども、若干誤解があるように思われますので、重ねて申しますけれども、つまり七十歳以上の配偶者に特別にいわば老人配偶者控除というようなものを設けろという趣旨ではないのです。そうじゃなくて、七十歳以上に達している、配偶者だと、しかし、老人扶養控除をこれに適用する、そういう点は考えられないかということなんです。どうでしょう。
○政府委員(中橋敬次郎君) 今日、配偶者に対しましては配偶者控除という名前でやっておりますから、おっしゃいますことは、やはりどちらでもよろしゅうございますけれども、老人配偶者控除としてのいまより高い金額ということに帰着、現行の制度を前提といたしますれば、そういうことになると思います。その際に、やはり老人扶養控除というのは、いわば夫婦というものとのほかに、老人を扶養する場合に、余分にかかる経費というのをあえてその所得者が負担をするということを配慮して、まあ敬老精神を満たそうというわけでございますから、そこで、夫婦の双方あるいは一方が、いわゆる七十歳以上に該当している場合に、そういうことを所得税で、老人扶養控除について配慮したと同じように配慮すべきかどうかということについては、私どもはまだそういうことについて踏み切るという段階にまで至らなかったのでございます。
○渡辺武君 なお老人が勤めていて、しかも、年寄りの奥さんなりがいるという、そういう家庭というのは、これは子供が一人前に成長して、かせいで、それで親も引き取っておるという場合と比べてみますと、やはり生活的には非常に苦しいという家庭が多いのですね、大体において。その点を考えてみて、いま私が提案したこともひとつ検討課題にしていただきたいというふうに思いますが、どうですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 検討するにはやぶさかでございません。
○渡辺武君 それでは次に移りますが、法人税法の三十二条によりまして、法人事業税が損金算入という措置を受けることになっておりますけれども、その理由はどういうところにありましょうか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 法人税におきましては、いわゆる経費を損金に算入するわけでございますが、その経費という中に、もちろん経費に該当する税金も損金に算入し得るわけでございます。それで一体、租税の中で、どういうものをそういう経費に該当する税目として考えるかということでございますが、今日、事業税をそういうものとして考えておりますのは、実は事業税の性格をどういうように判断するかという問題と相関連しておるわけでございます。事業税は、なるほど大部分は所得を課税標準といたしておりますけれども、その税の性格は、いわば事業を営んでおることに対しましての応益負担という面を強く意識しておるわけでございます。それは事業税という今日の税目は、実は戦前におきましては営業税というものでございまして、営業税は、その当時課税標準としましては、従業員の数でございますとか、売上金額でございますとか、いわばその事業の大きさを外形的につかまえる指標を持ってまいりまして、それに対して税金を払っていただく、いわばその事業を営んでおるということについての応益負担をしてもらったのが発端でございます。その後そういう税目をとりながらも、あるいは名前を事業税と変えながらも、その税の性格は依然としてそのままにしまして、課税標準を所得にとっておるということでございます。したがって、所得にとりながらも、税の性格から申せばやはり事業経費というふうに観念をいたしまして、今日も法人税の計算上は損金に算入するということを認めておるわけでございます。
○渡辺武君 そうしますと、損金算入ということで考えてみますと、たとえば同じ地方税で、固定資産税なども損金算入になっておりますね。それと同じような性格のものという御理解ですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) そのとおりでございます。
○渡辺武君 そうしますと、この法人事業税の課税の仕方ですね、いま所得に応じてというふうに言われましたけれども、やはりその辺は固定資産税などと違った性格を当然持たなきゃならぬというふうに思いますが、どうですか。法人事業税の課税の仕方ですね、計算の。これはどんなふうに具体的にはやっておられますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) それは先ほど来御説明いたしましたように、課税標準を何にとるかという問題でございませんで、なぜかけておるかという税の性格によるわけでございます。それで、いま法人事業税は大部分につきましては、所得を課税標準にいたしておることはおっしゃるとおりでございます。それは所得を課税標準にしておるから常に損金不算入のものではございませんで、所得を課税標準にし、あるいは売上金額を課税標準にしましても、いずれをとりましても、税の性格として事業を営んでおるということに対してかける税でございますから、それは固定資産を持っていることに対して固定資産の価格に対してかける固定資産税と同じ性格のものでございますので、いわば事業を営んでおる、そういういわば店舗を張っておる、そういうことに対してかける税という意味では同じでございますので、両方とも損金にいたしております。
○渡辺武君 私はそれがおかしいと思うんですよ。法人事業税の場合は、これは所得を課税標準としてかけている。固定資産税の場合は、そういうことないわけですよ。所得があろうとあるまいと、固定資産税はこれは払わなきゃならぬと、こういうことになっているわけでしょう。ですから、たとえば昨年来の深刻な不況でもう至るところにかなりの大きな会社でも欠損法人が続出しているわけですね。たとえばいす父自動車、こんなのはかなり大きな会社ですけれども、これは欠損法人。実際払っている税金というのはこれは法人住民税しか払ってないんですよね。あるいは東急百貨店とか、あるいは京王百貨店だとか、こういうようなところも払ってないんですね。つまり、これは課税標準がこれが所得になっているわけでしょう。だから、払ってないんです。しかし、これらの企業でも、固定資産税は払わざるを得ない、こういうことになっている。ですから、課税標準がこれが所得だということは、すでにその税金の性格がもう所得税的な性格に変わっているというふうに見なきゃならぬじゃないでしょうか、どうでしょう、その点は。それは発生のそもそもはいまおっしゃったように、営業税で出てきているということであろうとも、現実には所得が課税標準で税金がかかるわけですから、すでに固定資産税などとは基本的に性格の違ったものに変わってきているというふうに見なきゃならぬじゃないでしょうか。
○政府委員(中橋敬次郎君) それは税をどういうふうに認識するかという見解によりまして、かなり違ってくると思います。確かに課税標準は所得にとるのが大部分今日事業税はとっておりますけれども、それあるがためにやはり事業税の性格が変わったと見るのか、見ないのかという問題でございまして、依然として事業税の中には所得を課税標準にしないで、たとえば売上金額を課税標準にしておるものもございますし、それは地方団体で十分できるような措置も講じてございます。そういうことは別にいたしまして、所得を課税標準にいたしておりましても、やはりなぜ事業税を地方公共団体が課税しておるのかというその税の性格から申しますと、先ほど来私が申しましたように、事業を張っておると、そういうことについて都道府県がかけるというところに根拠を求めておるものでございますから、やはり年々のそれは収益によって納める税額も違いますけれども、その納める――事業税を納めたからにはやはりそれは経費として、事業のための経費として還元をするというところには変わりはないんだろうと思います。
○渡辺武君 それはちょっと変な論理だと思うんですよ。店舗を張っているということを理由として納める税金であれば、欠損が出ようと出まいと納めなきゃならぬと思うんです。欠損法人は納めていないでしょう。店舗を張っているんですよ、ちゃんと。どうですか、その点は。
○政府委員(中橋敬次郎君) それは課税標準というもののとり方でございまして、仮にまた利益がうんと大きいときにはうんと納めなければならない、利益がないときには税金が少なくなるという、その変動はございますけれども、課税標準を何にとるかということと、なぜ課税しておるのかという根拠とは、私はやっぱり別に考えるべきだと思います。
○渡辺武君 だから、課税標準が所得にすでにもう変わってきている。固定資産税などと違うんですよ。そうでしょう。もうその点からして税金の性格そのものがもう変わってきているというふうに見なければならぬのじゃないですか。それはそうですよ。あなたの論理は通らないんです。その点で申し上げたいんですが、ですから、この法人事業税というのを損金に算入するという措置はやめることが私は一番適切じゃないかと、法人税並みに扱うというふうにすることが私は必要じゃないかというふうに思いますが、その点どうでしょう。
○政府委員(中橋敬次郎君) 毎々申し上げて恐縮でありますが、それはやっぱり課税の根拠に対する見解によりまして渡辺委員のおっしゃるような立場もそれは成り立ち得ると思いますけれども、私が申し上げておるのも、今日までのわれわれの態度でございまして、所得を課税標準にしておるから、直ちに損金不算入であるというわけにはまいらぬのでございます。
○渡辺武君 念のために伺いますがね。五十年度の法人事業税のこの見込み額は約二兆円です。もしこれ損金算入をやめた場合、国税収入、それからまた地方税収入、どのくらいの増収になりましょうか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 単純に計算をいたしますれば約七千億円でございます。
○渡辺武君 どっちが。
○政府委員(中橋敬次郎君) 法人税の増収が約七千億円でございます。ただそこで考えなきゃなりませんのは、損金に算入しているかしていないかという問題の次には、そういうことの前提で一体法人利益に対する総合負担は幾らにあるべきかという問題を考えなきゃなりません。そういう法人事業税を損金にしました上で配当性向を三〇%にしますれば、今日のわが国の実効税負担はたとえば四九・四七でございます、ということでございますから、仮に法人事業税を、おっしゃいますように損金に算入してはならぬということになりますれば、また別個の法人負担というものを考え直すことが必要になります。したがって、単純に七千億円がふえるという計算は全くの一応の仮定計算というふうにお取り願いたいのでございます。
○渡辺武君 あなた方の計算で七千億円でしょう。私も概算でやってみますと、二兆円に法人税率四〇%掛ければ約八千億円という数字になってそう大きな差がないわけですね。それでこの法人税収がふえますと、それだけ、そうしますと、当然それを基礎にした地方交付税交付金もふえてくるわけですね。だから、あの八千億円で仮に計算してみますと、地方交付税率三二%で考えてみますとそれだけで二千五百六十億円、七千億円にすればそれより若干減るわけですな。――二千二百四十億円ですか、くらいの地方交付税が地方自治体にいくわけですね。これだけでもかなり大きな増収になると思うんです。それからさらにこの二兆円の事業税が損金算入でなくなってきますというと、そうすると翌年度になりますけれども、それだけ法人税の税収が大きくなるわけだから、したがって、翌年度の法人事業税もまた増収になるわけですね。そういう計算になりましょう。 それから、この住民税の都道府県及び市町村の法人割りも、それに応じてふえてくると、こういう形になると思うんです。相当大きな国税、地方税の増収になるわけですよ。いま地方財政の危機というのが盛んに言われている。もしこの法人事業税を損金算入をやめさえするならば、その一端の解決の道にもなっていくというふうに私は考えるんです。そしてその損金算入をやっているあなた方の論拠というのは、もう事実上崩壊している、道理が通らぬです。店舗を張っているということでかけているんだと言いながら、店舗を張っているのにもかかわらず、欠損が出たら納めなくてもいいというのは、これは全く論理の矛盾、事実上の矛盾だというふうに見ざるを得ないと思うんです。そういう上に立ってこの点を検討する、前向きに。ただ検討するんじゃなくて、おつもりがあるかどうか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 基本的には、法人事業税についての性格の問題でございますし、仮にこれを法人税の計算上損金にしないということにしましたならば、おっしゃるように、いま言われたような機械的な計算で法人の負担を高めるかどうかということは、また別問題でございます。今日の法人事業税を、法人税の計算上損金に算入するということで成り立っております法人企業の実効税負担というものをいかにするかというのは、また別個の問題でございまして、一つの技術的な観点をそこだけを直すことで、自動的に全部が変わるということは、また別の問題でございます。したがいまして、自動的に全部法人事業税を法人税の計算上損金不算入、したがって法人税増収、地方交付税増加ということで検討するわけにはまいらないと思います。
○渡辺武君 その法人のこの税負担割合が、外国に比べても非常に低いんだということは、あなた方のこの公式の資料にも載っているわけですね、特に法人税については。私どもが、それはあなた方の言っている点で一半の真理があると思うのは中小企業です。私どもは中小企業の税率、現在の二八%ですね。これは少なくとももう五%くらいは下、げたらどうだというふうに考えております。そうすれば、あなた方の言ったいまの不安は、もう完全に解消できるんですよ。大企業のこの担税能力というのは非常に大きいわけですから、だから、そういう御心配はいささかも要らぬ。いまの地方財政の危機をこれを打開する上でも、当然あなた方としてこの問題に真剣に取り組んでいただきたい、法人事業税の損金不算入という問題は。そう思いますが、重ねて答弁を求めます。
○政府委員(中橋敬次郎君) 法人事業税を損金に算入しないということをやりました場合には、やはりまた法人事業税、法人税割り、法人税を含めましたところの企業の総合負担というのがいかにあるべきかという観点から、全部総合的に立て直さなければなりません。そういうことをしなければ、単純に法人事業税の損金不算入という一部分だけを採用するわけにまいりません。
○渡辺武君 もちろんのことですよ。税というのは、一定の体系のもとに組まれているわけですから。私は、ですから、ほかのことは全部考えなくていいと言っているわけじゃない。しかし、もうあなた方のこの理論からしても、店舗を張ってるからかけるんだという税金が、実は所得を課税標準にしてかけていると。そのために欠損法人が出たときは、店舗を張っていても税金を一銭も納めないという現象が出ている。これはあなた方の立場からして、あなた方のたてまえと現実とが、非常に大きな矛盾を来しているという証拠だと思うんです、私は。同時にいまの地方財政の危機、これを解決する上にも、少なくとも、そのほかにいろいろ解決しなきゃならぬ問題があるが、少なくとも法人事業税の損金不算入という措置を、これを検討しなきやならんじゃないか。それに伴うそのほかの税体系のいろんな問題点はあわせて検討すればいいわけでして、どうですかこの点は、前向きに検討すべきだと思いますけれども。
○政府委員(中橋敬次郎君) 利益がないときに法人事業税がゼロであるというのは、所得を課税標準にしておる以上しようがないわけでございます。それを非常に利益が多いときには、また通常納めるべき固定資産税なんかと比べますれば、非常に高い法人事業税を納めておるわけでございますから、通年してみますればかなりの負担をしておるわけでございまして、それをたまたま所得がないときだけを見てみまして、それだから法人事業税というのは経費性がないということは当たらないんじゃないか。それはひっきょう、所得を課税標準にしておるかしていないかということでございまして、それは先ほど来申し上げておりますように、税の性格とは関係のないことだと思っております。
○渡辺武君 終わります。
○栗林卓司君 所得税の減税について以下、お尋ねをしたいと思うんですけれども。 物価動向との関係で減税は配慮したという表現がされるものですから、その点を素朴につかまえながら、以下お尋ねをしてみたいと思います。給与年額に対する四十九年度税制の比較での減税額を見てみますと、これは一面当然のことなんですが、年額がふえればふえるほど、減税額の所得に対する割合はふえてまいる。いわば逆に言うと、それだけたくさん税金を納めているんだからということになるのかもしれません。例示をしますと、年収二百万の場合は減税が二万三千五百円で所得比で一・二%、五百万ですと、減税額が八万九百七十五円で一・六%、一千万になりますと二十九万四百五十円が減税になって二・九%。ただ素朴にながめますと、年収額が高いほど減税の率が多くなってくるというのは、気持ちとしてどうも納得できない面が残りますということを一つ置きながら、次に申し上げたいのは、今回の五十年減税についてみますと、年収二百万円以下の所得層については、基礎控除を引き上げてきたという経緯ももちろんありますけれども、物価上昇が生活に及ぼす影響を考えて減税をするという余地が非常に乏しくなってきている。で、年収二百万未満というのは、給与所得者のうちの七六%を占めるというぐあいに考えてまいりますと、社会政策的に見た所得税の機能というのは、これからどっちの方向にいくんだろうか。所得の再分配ということを、よく観念的に言うんですけれども、実際には年収二百万未満で、この場合は夫婦子供二人という前提で申し上げておりますけれども、今回の改正後で、年額一万一千円の税額ですから、これをとってしまったら、これもまた税そのものがなくなる。なくなるわけですから、物価がどう上がろうとも、所得税の範疇では対応ができない二百万未満が七六%もいる。そうするとこの所得税の社会政策的なねらい、機能というのは今後は変わっていくのか、どこにねらいを置いていくのか、漠とした質問ですけれども、承りたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) 所得税の果たします機能は、もちろん富の再分配と申しますか、所得の再配分と申しますか、そういうことを意図しております。したがいまして、ある程度高い所得者からそういう再分配の機能を働かせるのが、所得税の作用だと思っております。住民税になりますれば、これは先ほどのお話にはございませんけれども、かなり応益的な負担ということを加味しておりますから、ある程度低い人まで何がしかの負担はしてもらわなければなりませんが、所得税に関します限りは、相当高い水準の人からそういう再配分機能を働かさなけりゃならぬという意味におきまして、課税最低限も今日のような高さまで持ってきたわけでございます。そうしますと、おっしゃいますように、課税最低限以下の人については減税の効果は一切及ばないわけでございますし、課税最低限を少しぐらいオーバーした人でもフルにはその効果が及ばないことはおっしゃるとおりでございます。しかし、それはもはや所得税においては何ともできない話でございまして、むしろ歳出においての移転的な支出をどういうふうに、今度所得税なら所得税で得ました財源を使ってそういうところに振り向けてまいるかという問題になるだろうと思います。
○栗林卓司君 いまのお答え、縮めていきますと、所得の高い層について累進的に税を取って結果として公平化を図っていくんだと。そうすると所得が高いほど結果として所得に対する減税割合が高くなっている。今回の例ですよ。それはいろんな経緯が計算過程としてはあるんだけれども、結果として、たとえば一千万の場合は所得比二・九%に相当する減税額、三百万の場合には所得比一・二%の減税額――所得比で割ればですよ。そういった意味で高いほど結果として高くなるというのは、高いところからよりたくさんの税金を取ってといういまのお話と少し合わないんじゃないか。 関連して一つ申し上げますと、所得の上昇と減税との見合いを考えますと、直さないと実質増税になる。所得がこう上がってまいりますね、税率あるいは課税最低限をそのままにしておくと、本人にとっては実質増税の効果が出てしまうから直さなければいかぬという御議論は従来からありました。この場合には、賃金が対前年度比で何%ふえるのかというのが一つの物差しになっておそらく作業しておいでだと思うんです、見る場合ですよ。すると、対前年度比、たとえば二〇%賃金が上がってくるんだということをしますと、そこで言えるのは、賃金が高い層ほど増加額は大きくなる。当然算術だからそうなりますね。実質増税にならないようにあちらこちらをいじっていくということになりますと、所得が高い層ほど、二〇%と言っても大きな額で所得階層は上に上がっていくわけですから、そこで、実質増税にならないように配慮をしていくというのは、結果として累進度を緩めていく結果になりはすまいか。ですから、昨年の税制でちょうど中間の部分が税率として非常にきつくなってきたんで直したんだというお話も、考えてみると、賃金が対前年度比何十%伸びていく、そこで実質増税にならないようにという配慮をしていきますと、いままではこういう累進カーブだったものが、結果として寝かせていかないと、緩めていかないと実質増税になるという意味で、実質増税をすまいという配慮は、結果として所得のより高い層に配慮したことに計算上なっていきはすまいかと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 先ほどいろいろお示しの数字は、それはそれで正しいんだろうと思いますけれども、また一方、私どもから見ますれば、そういう減税をしました後で年収二百万円で夫婦子供二人の方は収入に対しまして〇・五五%しか負担をいたしておりませんが、一千万円の人では一三・六八%負担をしておる。以下ずっと高くなってまいりまして、たとえば五千万円の人は四一・一〇%なお負担をすると、こういうことでございますから、そんなに今回の改正案が上の方に甘くなっておるというふうには思えないわけでございます。その上、課税最低限は確かに物価というものを考えまして今回も引き上げていただいたわけですが、本来でございますと、そのままで置いておきますれば、むしろ私は、栗林委員がおっしゃいましたよりも、上の方の所得層の人にとっては累進度が高くなってくると思っております。したがって、本来でございますと、課税最低限を引き上げたと同じように税率の緩和をしないと、その物価上昇がある前に予定をいたしておりました累進度よりは高くなってくるということでございます。それをあえてやりませんで、課税最低限だけ今回上げるようなことをいたしておりますから、むしろ高額所得者につきましては、物価という観点から申しますれば、きつくなっておるというふうに思っております。
○栗林卓司君 きつくなっているということであれば、先ほどの議論はそのまま撤回いたします。 またもとに戻りまして、高いところから税を取っていくんだというこの所得税のねらいと、それから社会政策的な控除項目がございます、それをどう絡めていくのか。で、いろいろな控除というのは、給与所得控除はまた別ですけれども、社会政策的な控除というのは、その人がどれぐらいの年収水準にあるのかということと無関係とは言えないんじゃないかと。非常に話を単純に言いますと、ある年収層まではこの控除は見るけれども、それ以上は、そんなに取っているんなら扶養控除も何も要らないでしょうという理屈がある程度言えるような相関の関係が、社会政策的な控除と年収水準との間にはあると言えるんではないでしょうか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 確かに、人的控除としまして一万円引き上げました場合に、低い所得階層のところでの一万円に対するたとえば一割の税額と、高い所得階層のところにおきますその一万円の適用税率、たとえば七五%でございますと七千五百円ということになりますから、そういう意味では、同じ一万円の値打ちが違っておるわけでございますけれども、高額所得者については総合的な税負担が、むしろ累進度の関係でやはり根元としては高い所得税の負担をしておりますから、そういう意味においては、むしろ課税除外を一体どの程度やったらいいか、それは低額所得者の人についても高額所得者の人につきましても、同じように標準的な家計というものを想定しまして、そういうものには所得税をかけないと。むしろ、高額所得者につきましてはそれよりもっと高い生計費でおそらく生活をいたしておるんでございましょうけれども、そういう配慮はもちろんいたしません。標準的な生計費というものについては所得税をかけないという原則は所得のいかんの人にもかかわらず適用することによりまして、後の税制から見まして、いわゆる税金をかけてしかるべき課税所得については累進税率をかけていく、しかも、それは――どの程度がよろしいかというのはもちろん考えなきゃなりませんけれども、相当の累進課税をやっていくというのが所得税として私は素直な線ではないかということで、今日まで、いわゆる課税最低限を構成します各種人的控除は、低額所得者にも高額所得者にも同じようにしいておるわけであります。
○栗林卓司君 そこで、これは一つの考え方なんですけれども、もともと社会政策的な諸控除はそれなりの理由があってやっているわけだから、実際、非常に高い所得水準を考えますと、そこまで社会政策的な配慮をしなければいけないかと言うと、やっぱり一つの議論が出てくる。そういう意味で、そういう諸控除項目については、所得の上昇に応じて逓減をしていくとか――片一方の累進税率は別な議論としてあるんですよ。あるんですが、この控除項目のところでは逓減をさしていく。たとえば住宅貯蓄についても、これは税額控除の面でございますけれども、これも先ほど言われたように、二百万円以下の所得層についてはなかなかもう所得税の効果が及び切れなくなってきた。よしあしは抜きです。そこで、住宅貯蓄というものについて税額控除をしていくという場合に、三百万、四百万、五百万の年収層については多少なるほどという気持ちがあったとしても、六百万、七百万という収入層に対しても同じように適用していくのが公平感に見合うのか。その意味で、社会政策的な諸控除項目について、こちらの累進税率とはちょうど裏返しの議論で逓減ということをひとつ考えてみる必要はございませんでしょうか。
○政府委員(中橋敬次郎君) わが国の、たとえば給与控除とか各種控除につきまして税額控除をとってきた歴史がございます。それはそれなりにいまおっしゃったような配慮でやったと思います。たとえば最近におきましても、障害者控除とかいうものにつきまして税額控除をやってまいりました。しかし、いかにもその税額控除についてのまだ理解が一般になかなか得がたかったという苦い経験もございまして、やはり所得がありましたときに、所得税が入ってこない範囲というのは一体どれかというのに対応しましては、所得控除というのが一番理解がしやすいようでございます。そういうことから、障害者控除等につきましても、昭和四十二年から所得控除に切りかえたわけでございますが、おっしゃいますように、もちろんそういった配慮を徹底いたしますれば税額控除という道がございます。 それから、余り実行された例はございませんけれども、学者の理論としまして、だんだん所得が上がっていきますにつれて、仮に所得控除の形をとりました人的控除も、だんだん小さくなっていくというような制度もございますけれども、これはまた非常に執行面でむずかしい難解な制度でございますので、余り実行されたという話は聞いておりません。 それからもう一つ、もっと簡便な方法といたしまして、たとえば老年者控除というのは、一応所得控除でございますけれども、それを適用しますのは、ある一定の所得以下の人にしか適用しませんということで、簡単にそれを割り切っておる今日の制度もございますから、そういうものをいろいろかみ合わせながら控除の目的とも総合的に勘案してまいらなければなりません。そういうことの勉強はなお続けたいと思っております。
○栗林卓司君 今回の時間ですから、一応これであとの議論に譲りますけれども、申し上げてきた一つの理由は、給与所得者の所得階層別分布を見ますと、四十年以降を見てもずいぶん変わってきた。四十年ですと、年収三十万から四十万をピークにした非常に鋭いピラミッド型をしておりました。四十五年になりますとこれが相当なだらかな、とは言いながら山の形をしているわけですけれども、四十八年になりますと、年収三十万から四十万の低所得層は依然として引きずりながら、非常に横に寝た、逆に言うと所得格差が拡大した形になっているものですから、そういった中で、課税最低限を引き上げてきたことを踏まえながら、どういう控除、課税の組み立て方をしていったらいいのか、ひとつ見直してみる必要があるのではなかろうかという観点でお尋ねをしました。これは以降の議論に譲って、質問を終わります。
○委員長(桧垣徳太郎君) 午後六時まで休憩いたします。 午後四時五十二分休憩 ―――――・――――― 午後六時四十四分再開
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 この際、委員の異動について報告いたします。 本日、戸田菊雄君が委員を辞任され、その補欠として藤田進君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(桧垣徳太郎君) 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上三法案を便宜一括して議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○鈴木一弘君 大臣に、せっかくおいででありますから、御質問をいたしたいと思います。 租税特別措置についてですけれども、高度経済成長下の場合には、いわゆる租税特別措置で高度成長を進めるというような、そういうことから強くこれが幅広く行われてきている。つまり高度成長下の遺産が租税特別措置ということで、外国にも例を見ないような広くてまた複雑ということになっております。そのことが、いままでの審議でも言われておりますけれども、その特別措置の効果が十分出ているのか出ていないのか、まあそういう面がはっきりしない、納税者の目にははっきり映らない。しかも、そういうことがあるということで納税者の間には不公平という、そういう感がどうしても高まるわけです。本来ならば、特別措置というものでやらなくて、税を取った上で補助金であるとか、あるいは金融の面から正面から取り組んでみるとか、こういうふうにするのが本当だろう、だから、外国からは、租税特別措置をするということは隠れた補助金をやっているのではないかという、そういうようにまで見られているし、言われている。こういうことですから、一体今後どういう方向で整理をし、どういう方向で考えていくのか。いま税の硬直化の問題もございますし、財政の硬直化、税の硬直化ということですから、その点で、財政の硬直化ですね、それを税の面でどう打開していくかということが一つあると思いますが、その点についてまずお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 政策を、ある政策目的を実現する手段といたしまして、補助金というような財政的な支出による助成というようなことも考えられましょうし、あるいは低利融資とかいうところの金融的な手段も考えられると思いますが、同時に、税の持っておる促進誘導的な機能、あるいは抑止的な機能、そういったものを活用するということも考えられると思うんです。したがって私は、まず第一に、租税特別措置というものは、政策的手段として使わない方がいいと断定してしまうことは乱暴じゃないかと考えております。いろんな手段があっていいと考えるものであります。 しかしながら、第二に、特別措置というものに過度に期待をすることはよくないと思うのであります。いま鈴木先生が言われたように、世上のこの特別措置に対する批判も、少し過度にこれに流れ過ぎていはしないかという批判が強いわけでございます。したがって政府としては、ここ数年来なるべくこれを整理合理化しょうと、そしてこれが一つの既得権化したり、あるいは惰性になったり、マンネリ化したりするようなことはいけないから、合理化していこうじゃないかという方向で逐次整理の方向をたどってきたと思うんでございます。したがって、私はこの方向は正しいと思うわけでございまして、今後もそういう方向で努力してまいるべきだと考えております。 第三の問題といたしまして、景気が停滞してまいりまして、あるいは低成長あるいはマイナス成長というような段階になってまいりましたことと、特別措置との関係でございます。これは、これから、御指摘のようにこういう景気の状況は相当続くと見なければならぬわけでございまして、これまでのように安易に自然増収というようなものを期待することはおよそむずかしくなってきたと思うのでございます。したがって、本来、本則によって取るべき税金を、政策手段によって歪曲いたしまして、ある程度税を政策的な犠牲にいたしまして税金を遠慮するというようなことはこれからできるだけ慎しんでいかないといけないのではないか。すなわち、これからの方向といたしましては、財政的な理由からも、特別措置は整理合理化の方向をとるべきじゃないかと私は考えております。
○鈴木一弘君 大臣のいまの御答弁から、私は、かなり租税特別措置については合理化が進んでくると、そういう方向、いまの大臣の答弁の方向で積極的にお願いをいたしたいと思うんです。 ここで一つ、例なんですが、公害関係の租税特別措置として、公害防止準備金それから公害防止施設、それについての特別償却が現在もございますけれども、公害対策は本来は原因者といいますか、公害を発生した原因の人が対策として負担をするのがあたりまえだと思うんですね。それを政府でめんどう見るみたいなふうになるのはどうかという考えがあるわけです。やはり、本来ならば企業が全面的に負担をして、そうして公害防止をするというのが当然ですし、それが企業の責任だと思います。しかし、それを税金をまけてあげるからということでやるという行き方は、どうもおかしいんじゃないかというふうに思うんでありますけれども、その点はどうかということが一つであります。 それからいま一つは、その中の特に公害防止の準備金について、へたをすると公害防止に使われないでしまう。つまり、そのまま公害防止に使われれば結構なことだと思いますけれども、ただ税金をまけるだけというふうになってくる、そういうおかしな制度にもなる。そういう点からこれは廃止をするということが必要になってくるんではないか。これがこの問題の第二番目であります。 それからもう一つは、この公害防止施設の特別償却についても、公害規制ということが義務づけられているわけですから、これは一定の期間の間に限るというように最大めんどう見るとしてもするべきだと、こういうことだと思います。また、既存の施設に変更を加えるというときだけ限定して適用させるというのが本当じゃないか、こういうように思うんですけれども、その点いかがでございますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) おっしゃいますように、公害防止のためには、企業がみずから負担すべきであるといういわゆるPPPによりまして処理をするというのは私も筋だろうと思っております。ただ、わが国におきましては、いかにも、急速に公害防止のためにいろいろな施設を講じなければならないという過渡的な現象としまして、税制面からもある程度の応援をする必要があるということで、今日のような制度を設けておる次第でございますが、やはり、これは、何といいましても経過的な措置として国際的にも批判を受けないようにやらなければならないと思っております。 第二番目の公害防止準備金といいますのが、おっしゃいますように、場合によりますれば、あるいは直接公害防止のために使われないおそれがあるんではないかということでございまして、これは、この制度を設けましたときにもそういう心配も実は持ったわけでございます。もっともこの制度は、その準備金は三年間経過いたしますれば取り崩して益金に入れるという制度でございまするから、ある期間がたてば課税をするということで、完全に税金が軽減されっぱなしになるというものではございませんけれども、やはりせっかく設けましたものでございまするから、できるだけ公害を防止するためにそういった施設に向くというような準備金の効果を発揮しなければならないと思っております。いずれにいたしましても、この制度は、五十一年の三月で期限切れでございまするので、来年度の税制改正のときには、もちろんそういった点についても検討を加えなければならないと思っております。 それから、公害施設の特別償却制度でございまするけれども、これにつきましても、おっしゃるようにPPPの考え方というのがやはり大もとにはあるべきでございまするが、こちらの方は特別償却でございまするからいずれは課税上取り戻すという性質のものでございまするので、できるだけ早くそういった公害防止施設というのを企業がつくるインセンティブとしまして、この特別償却の制度というのは活用をうまくやればやはり公害防止のためにはかなり効果が上がるものというふうに思っております。しかし、もちろん、どういう施設についてそういう特別償却を認めるのが適当でありますか、あるいは緊急に必要なそういったものだけに限るという観点からも、この制度を見直す必要もあると思いますので、この点についても十分検討してまいりたいと思います。
○鈴木一弘君 いずれにしても、公害の問題、本当はめんどうを見てあげたいというのは重々わかるんですが、税でめんどうを見るというのは、先ほどの大臣の答弁でも私はあまり感心しないように思うんです。公害防止に対しての国の企業への助成、こういうことも各国でもやっておることでありますから、やはり助成という原則の方がいいんじゃないかと。OECD等でも統一したものがあるという話もあります。その点の原則的な考え方はいかがでございますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 公害問題につきまして、税でやっておりますような、特別措置として応援をするという方法がよろしいか、あるいは、いまおっしゃいましたように助成を直接するという方法をとるべきかということは確かに両論あると思います。しかし、先ほど大臣からお話ございましたように、直接助成をするという方法についてもメリットもございますけれども、やはり税金の制度を活用するということになりますれば、直接助成に伴いますところのいろいろな手続上の煩瑣というようなこともございませんし、自発的な能率のいい企業が、税金がこういうことになるということによりまして、そういう方向におのずと向いてくるという制度は、やはり税金を使うということの非常なメリットでございまするので、両々兼ねましてそういった公害防止の施策というものが、できるだけ早い時期に十分行われるのが望ましいと思っています。したがいまして、税金につきましてもそういう観点での配慮というのを、先ほど申しましたような、注意すべき点は十分注意しながら、しかも、税金を使ってやる利点を生かしながら今後も検討を進めてまいりたいと思っております。
○鈴木一弘君 これは、私はやはり税で見るというと、公害の防止の十分な、まだまだ資金繰りに苦しいから自分のところはできないと、しかしこういう特典があるからやることにして、三年間準備金でしばらくの間利子もうけようというわけじゃありませんけど、運転資金に回そうとか、そういうのも出てくるでしょうし、また本来ならば助成でやればはっきりと各省から見ることができますね。確かに公害ぴしっぴしっと抑えられる。しかし、税の場合ですとちょっとそれが、あまり細かくいかない場合だってこれはあると思うんです、専門家じゃありませんし。そういう点でやはり本来は助成が筋だろうと。早くこれは整理をしていただければと思うんですけどね、いかがでございますか、その点。
○国務大臣(大平正芳君) 私もできるだけそういう方向が望ましいと考えております。そういう方向で考えてみたいと思います。
○鈴木一弘君 いまこれ公害の加害者の方の問題です、これは、原因者の方。今度被害者の場合はどうなるかという問題が一つあるわけです。たとえば公害被害でも補償とかなんとかという問題じゃなくて、たとえばいま大きく騒がれているのが、新幹線の騒音公害とか、あるいは高速道路の騒音公害があります。そのそばにいては眠ることも何もできないから、窓のサッシをかえる、特別に窓をつくり直す、遮蔽をする、そういう負担を個人で持つ場合もあるでしょうし、会社で持つ場合もあると思うんですけど、むしろ加害者よりも被害者が自衛的にやるようなもの、こういうものは何か特にはっきりと公害に対してやったというのがわかるような場合には、私は何か考える方法があるんじゃないかという感じがしてしょうがないんですけれども、私自身考えがまとまっているわけじゃありませんけれども、その点はいかがでございましょうか、検討はなさったことはないかもしれませんけれども、お考えを伺いたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) 加害者の場合につきましても、ある設備につきまして特別償却をやります場合に、既存の設備に何か、いまおっしゃいましたような公害を防止するための設備を付加するということにつきまして何らかの税金上の配慮をするということは非常にむずかしいのでございます。したがいまして、特別償却を行います場合にも、原則としますれば、まとまった一つの設備としましてこれを認めるというのがいままでの大体の通例でございます。それで公害を受けます方につきまして、いま御指摘のようないろいろな施設をやらなければならないというときには同じようなむずかしさがさらにつけ加わるわけでございまして、付加する設備について税制上配慮するための難点というのがまず第一にあるわけでございます。 それから第二には、因果関係が一体どういうふうに具体化できるかという問題がございます。たとえばおっしゃいましたような、騒音公害を防止するための施設といたしましても、一体どの程度のものがそれに該当するかという直接の因果関係をどのように見出したらいいかという問題がございます。今日ございます所得税上の雑損控除は、具体的に資産に加えられました災害によりますところの損害、これを補てんするために設けてある制度でございまして、なかなかはかりがたい、しかも、その因果関係がむずかしい公害というものにつきまして、実は今日までそういった制度をとり得ないわけでございますし、これから果たしてそういうふうに具象的にとらえることができるかということになりますと、なお研究はいたしますけれども、制度として設けるには非常にむずかしい点が多々あるんじゃないかというふうに思っております。
○鈴木一弘君 しかし、実際問題として騒音公害の、新幹線のそばなんかのところで、国鉄が全部出してくれれば結構ですけれども、そうでない場合もあるでしょうし、国鉄は国鉄としてのあれはやりますけれども、個人個人の家がそれまでの間待ち切れないで窓をサッシにする、二重窓にするなんていうことになると、これは相当場所によっては負担が大きくなるんじゃないか。その点まあいまの加害者の方にあるならば、被害者の方にあっていいんじゃないかという理論ができちゃうわけですけれども、検討を続けていただきたいと思うんです。 次は、法人の問題ですけれども、法人の受取配当については課税されない、まあ、そういうことが現在言われているような、法人の株主が増加してくるけれども、個人株主が減少してきている、そういう原因になっているんじゃないかという声もありますが、やはり株の民主化という問題から考えますと、そういう傾向はこれは取り除かなければならない、個人株主をふやさなければならない。これはもう前から言われていることでありますし、そうでなければ本当のこれから育てようという市場も育たないわけですし、その点こういう原因、いわゆる個人株主が減少して法人の株主が増加したという原因、それが課税面にあるのか、あるいはそのほかの面もいろいろあると思うんですけれども、その原因をひとつ伺っておきたいと思うんですけれども。
○政府委員(藤井淑男君) 御質問の法人の株主がふえて個人の株主が減った原因でございますが、これは非常にいろいろな原因が重なり合ってありますので、非常にすっきりと原因を見出すことはむずかしいのでございますけれども、私どもが考えておりますのは、法人の株主が増加いたしました非常に大きな原因は、企業が四十年代の後半から株主の安定化工作を進めまして、また取引先との関係強化等の企業政策的な面からの株式取得、そういうものが積極的に進められたということが非常に大きな原因になっているものと考えております。 それから、個人の株主が減少した一番大きな原因は、何と申しましても昭和四十七年ごろまでは非常に株が上がってまいりましたんですが、個人はそのころ相当手放したということがございますが、それ以降株の投資魅力というものがどうも減退してまいりまして、個人がなかなか株を買う気になれないという点が多くなっておるわけでございます。これはまあいろいろ原因がございますけれども、一番大きなのは、やはり企業の配当及び増資政策等にあることが多いと思っております。そういうわけでございますので、私どもといたしましては、昨年の十一月以来、証券取引審議会というところで、この原因の究明と、これに対する対策につきまして鋭意審議を重ねておるところでございます。現在までのところ、法人の株式保有があまりふえないようにいろいろな歯どめを考える問題、それから株式の魅力の増大についてどういうやり方があるかということについて審議してまいりました。そういうことでございます。
○鈴木一弘君 いまのいわゆる受取配当に課税されないということは、これは原因になっているのか、なってないのか、その辺ちょっとお伺いいたします。
○政府委員(藤井淑男君) 御指摘の、この法人の受取配当に対しまして課税されてないことが個人株主の減少、法人株主の増加の原因となっているかどうかという点でございますけれども、これは私ども余り大きな原因になっているとは実は思ってないんでございますけれども、しかし、法人税制全体を通じての問題として種々議論がございますので、この点につきましては、今後四月十七日以降の証券取引審議会で各方面の専門家の方々に御審議を願っていきたいと思っておるわけでございます。
○鈴木一弘君 これについてのいわゆる税調そのほかへの、何といいますか、検討、そういうものの方向性はどういうふうにやる予定ですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) けさも当委員会でいろいろ御議論がございましたが、この問題は、個人の側におきましては配当控除の問題でございますし、法人の株主の側におきましては受取配当の益金算入、不算入の問題でございます。それで税制調査会におきましても、昨年新しいメンバーで発足をいたしましたので、いわゆる法人税の基本的な仕組みの問題といたしまして、昨年の秋以降三年間の任期でございまするので、この間にこの問題を十分御討議をいただきたいと思っておるわけでございます。昨年秋から今日までは、実は当面の税制改正の問題に追われましたもので、今国会の問題が大方片づきました後で、主としまして、この法人税の基本的な仕組みの問題として税制調査会で大いに議論をしていただきたいと思っております。 その際に、もちろんいまの証券取引審議会におきますこちらの方のサイドからの御要望も当然反映をされると思いますし、また税制だけの観点からの、いわゆる法人が得ました利益に対する課税と、それからそれが流出しますところの配当についての課税問題という税制プロパーの問題としてもやはり御議論をしていただく。しかも、その間にどういう調整措置が講じられるのか、あるいは各国においてどういった態度でそういう問題を税制の問題に加味しまして考えておるのか、そういう観点からいろいろ問題点を提起し、御議論をしていただきたいと思っておる次第でございます。
○鈴木一弘君 個人の株の譲渡による所得、いわゆるキャピタルゲイン、これについてもいままでずいぶん議論もあったわけであります。取引回数といい、その株の総数といいますか、その両方面からいろいろと言われてきたわけでありますけれども、これについてのこれからどういう方向へ持っていこうと一まあ、これは何か改正をしなきゃならないところへきているんじゃないかという感じもするんですけれども、課税問題で。その点はいかがでございますか、方向。
○政府委員(中橋敬次郎君) この点に関しましては、昨年の税制改正におきまして、個人が受け取ります配当につきまして、一銘柄年額十万円までについては特別に総合課税を要しないということに、従来の五万円から引き上げられて改正をせられました。そういうことにも関連をいたしまして、株式のキャピタルゲイン課税につきましても、今後早急に検討をするということになっております。 で、一番問題は、株式のキャピタルゲインの把握の問題と、それから株式の売買に伴いますところの損失の処理を一体どういうふうにするかという問題、その他いろいろ技術的な問題がございますので、それもあわせながら今後やはり同じく税制調査会におきまして検討する予定でございます。
○鈴木一弘君 まあ、なかなか把握がむずかしいような話ですけれども、いままでのところでは、新聞に報道されたりする事件の大きいのになりますと、例の殖産でしたか、そうでしたね、ああいうのになればもうすぐわかるわけですね、わかるというか、把握をされているわけですから。そういう点ではやる気になればこれはできるんじゃないかという感じがしてならないんです。十分検討というより、これはやはりかなり世上の批判も強い問題でもありますから。これは大臣はいかがお考えですか、五十回以上、二十万株以上なんという大事な問題ですね、これは。
○国務大臣(大平正芳君) 担税力のあるところ税金をちょうだいする、きわめてドライに割り切ってまいりますと、いま鈴木委員の御指摘のような問題、もっと突っ込んだ検討が要りますし、また配当の分離課税というような問題も検討せにゃならぬわけでございます。 ただ、私が心配なのは、金融資産全体から見ますと、株式は、なるほど制度の上で無記名株式というのはありますけれども、現実には記名株式――株式は記名ばかりでございます。しかし、あと金融債にいたしましても、社債にいたしましても、無記名になっておりまするし、それから預金という形態におけるものがだんだんなかなか捕捉がしにくいということでございますので、結局、いまの日本の場合、銀行を通じての資本が圧倒的に強くて、資本市場を通じてなかなか資本が集まらないというへんぱな状況が、そういういびつな状況がいつまでも続くと、もっと証券市場がいびつになりはしないか、資本がだんだんと金融債なり、あるいは預金なりという方向にだんだん向いていくんじゃないか、余りこの証券、株式を痛めておりますと。そういうようなことがございますので、この問題はそういう意味で非常にいろいろな角度から見ておかないと、微妙な経済界でございますから、全体としてはバランスのとれた取り扱いを手がたくやって、しかも、国民の期待にこたえなければならぬし、財政、歳入の確保を図らなければならぬわけでございますから、そういった点、広く深く考えながら、御指摘の問題につきましては、税制調査会とともに検討を進めていきたいと考えております。
○鈴木一弘君 いま大臣の言われた点は私もよくわかるんです。だんだん――今回大口規制ですか、そういうことがありますから、どうしても事業債とか、株式発行とかとなるのはもう当然だと思いますからね。それはそれとしても、余りにもいままで問題が多かったという点もあります。その点は考えていただかなければならない、こういう意味でございますから。 次は、利子・配当の問題ですけれども、これはだんだんと、本来なら総合課税の中にしてしまうべきだということだと思うのですけれども、それを一遍にはできないにしても、何か五%なり一〇%ずつ上げていくなりして、最後にはできるだけ早く総合課税にする。五年なら五年とか、四年とかということで移るべきだろう、こういうように思われてなりません。その点についてどうかということと、できないとすれば、その難点はどういう点がぐあい悪くてできないのか、これをはっきりしていただきたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) 利子・配当につきましての総合課税の道は、私どももできるだけ早く見出したいと思っております。今回の改正案を御提案しました趣旨も、そういう勉強をいたします期間としまして猶予期間を与えていただく。その間におきますところの源泉分離制度につきましては、現行よりも五%上げてやるという趣旨でございます。したがいまして、その間におけるわれわれの勉強も、そういう方向に向かなければならないと思っております。 そこで、一体どういう難点が総合課税にあるかというお尋ねでございまするが、特に私どもはやはり預金の問題につきまして、今日ございます無記名預金の制度と、それから慣行上広範に行われている架空名義預金の存在というものにつきまして、それをどういうふうに防ぐのがよろしいか、またそれを防ぎました暁におきまして、各支店、各銀行、各種の預金として存在しますものを一人の預金利子に総合いたさなければなりません。その総合の手続をできるだけ簡便に能率よくやるための手段というのを見出さなければなりません。そういう点についてのむずかしさを今後できるだけ解明をしていく必要があるわけでございます。
○鈴木一弘君 無記名預金の問題でいま出てきたんですけれども、その総合課税にする一つの大きな障害だと。そうなれば当然無記名預金を何とかしなきゃならない。いままでは銀行局で進められて公然としてあるわけでございますから、そういうことを大蔵省自身が脱法行為と言うとおかしいですけれども、脱税資金といいますか、そういうものの存在を公に認めているということですからね、いまのお話からすれば。そういうのはほかの国にはないんじゃないかと思うんですけれども、いかがでございますか。
○政府委員(後藤達太君) 無記名預金の制度は、先生御指摘のように銀行局長通達で実施しております制度でございますが、できましたのは、昭和二十二年に衆議院内に通貨安定対策本部というのが設けられまして、そこの発想によりまして始めたものでございます。その間中断がございましたけれども、ほぼ当初と同じスタイルで今日まで存続してまいりまして三十年ほどたっておるわけでございます。非常に長く定着をしたというような感じがします一方、いままでのままでいいのかという御指摘の点も確かにあろうかと存じます。 なお、外国の例でございますが、外国の場合にはと申しますか、日本の場合には取引に印鑑を用いるという特殊な事情があるためかと思いますが、外国ではサインを使うということなものですから、日本とは全く同じような制度はないと承知をいたしております。ただ外国の場合には国によって若干事情が違いますが、あるいは預金者のナンバーだけで出し入れする、あるいは証書がなしで預金の取引が行われるとか、そういうようなことはあるやに聞いております。日本と同じものはないと私どもは承知いたしております。
○鈴木一弘君 そこでいまのような無記名預金の問題があるから、無記名預金で云々ならば架空名義でもいいじゃないかということは、これは理の当然として起きてくるわけですね。だから、架空名義が出てきたり、仮の名前をくっつけてみたりということが起きてくる。これは結局国民に対しての一つの、何というんですか、ごまかしを教えるみたいなやり方ですし、納税の問題についてもいまの利子・配当の問題等いろいろ考えていくと、これは総合課税なんかとうていできないということになってくる。そういう意味からも、この無記名預金の問題、いま銀行局長通達ということでもう二十何年間問題ですから、ずいぶん古いわけでありますけれども、これを廃止して通達を取り消して、そうして総合課税へ向けられる方向というものをもうつくるべきときがきているんじゃないか、そう思うんですけれども、その点いかがですか。
○政府委員(後藤達太君) 確かに先生の御指摘のような点があろうかと存じます。したがいまして、私どもとしましては、このままでいいかどうかということを検討すべき段階かと存じますが、先ほど申し上げましたように、大変長く続いてまいりました制度でございます。それから有価証券類は無記名が原則でございます、その貯蓄手段とのバランスということもわれわれとしては頭に置かなければいけないことかと思っております。それからいまちょうどお話が出ました架空名義預金でございますが、架空名義の方が私どもの分野から見ましても大変問題が多いことだと存じます。これは銀行との取引の関係でもいろいろトラブルの原因になりますし、一番これはぐあいの悪い、一番早く絶滅すべきものではないかと私ども思っておりますが、ただ無記名を廃止するといたしますと、仮空名義に追い込むというようなことになってはまた問題だと存じます。そこら辺のところをよく検討をいたしまして、今後の課題として勉強さしていただきたい、こういうふうに考えております。
○鈴木一弘君 いま無記名預金は一体どのくらいあるんでしょうか。
○政府委員(後藤達太君) ただいま手元に持っておりますのが昨年の九月の計数でございますが、全国銀行と相互銀行、信用金庫合わせまして一兆二千三百七十億ほどでございます。口座数が百八万余口と、こういうことになっております。なおこのほかに金銭信託で四百億ほどの無記名の扱いのものがございます。
○鈴木一弘君 架空名義あたりの方は大体押さえられているといいますか、つかんだというか、これは押さえるわけにいかないと思いますが、どこかで見つけたときだけしかないと思いますが、どれくらい昨年あたりはわかっているのですか。
○政府委員(後藤達太君) 先生おっしゃいますように、数字的に私どもつかまえることが不可能な実はものでございますが、したがいまして、行政指導でやっておりますほかに、検査の際にどの程度あるかと、あっちゃいかんということで検査をいたしております。ただその検査をいたします場合でも、なかなか技術的にむずかしい点がございまして、検査のときに貸出金の査定をやると、こういうようなことを通じまして実は見ておるところでございます。で、その感じから申し上げまして、数としてそう多いという感じはいたしません。ただこれは全体としてどのくらいあるかといっても、ちょっと数字的な感じは申し上げられない状況でございます。
○鈴木一弘君 これは私はひとつここでいまもう一つの難点は、一人の人に名を寄せてしまって利子を出すということですね。そういうことが一つの難点ということを言われました。私もそれはよくわかります。現在マル優制度がある。しかし、場合によると、その名寄せもうまくいかないんじゃないかという感じがしておるのですが、その点は何か方法を考えるということがあるんですか。たとえば個人名で預金をするとかマル優を受けるような人ということになれば、かなりの預金もあるということですから何かコードナンバーをきちっとくっつけてどこの銀行も同じ番号でうまくいくとかということを考えざるを得なくなるだろうと私は思うのです。これは庶民というよりも金持ちのほうが多いでしょうからね、そういう点はいかが考えますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 名寄せを能率的にやります一つの制度といたしますれば、いわば預金者につきましていまおっしゃいましたような非常に簡便な仕分けができます番号を付すということができますれば、これはかなり能率のよい処理ができると思っております。いわば国民背番号というようなものが仮に実現いたしますれば、それを使えるということは非常にそういう点についても便宜なものでございますけれども、これはなかなかいろいろな観点からの反対もありまして早急に実現しがたいようでございます。そうしました場合に、一体預金者だけにつきまして、もちろん各銀行、各支店におきましての番号というのがございますけれども、それについて一貫番号を付していただければかなりよろしいのですけれども、架空名義を使ってそれぞれの通帳を別個に持たれますと、その番号は別個の番号になりますので、なかなかやはり思うように名寄せができないということになるわけでございます。今日のマル優制度におきましては真正な住所、氏名を確認するようなことを制度的に要求をいたしておりますので、この方の、ときどきそういう実行が行われない面もございますけれども、かなり名寄せが、膨大な数字でございますけれども、やっておるということでございますが、マル優制度でないものにつきまして、そういう処理を非常に能率的にやるためには、何といいましても、一つには共通一連の番号を何らかの形におきまして付していただけるということは一番望ましいと考えております。
○鈴木一弘君 私は、国民背番号にしろということを言っておるわけじゃありませんからね。いまのようなマル優を超えるような人たちについては、これはやってもいいのではないかということです。 それから、時間もあと四、五分のようでありますから、医師課税の問題、これは社会保険診療の問題でございますが、その問題で、政府に対して税調からあれだけの答申があった。残念ながら今回はこれが見送られてしまったということで、この間のここでの参考人のときにも大変な税調からはお怒りのようでありますけれども、政府は、次のときには診療報酬改定と同時に税の改正をする、こういうことを言っておるわけですけれども、医師課税についての基本的な考え方、それをひとつ伺いたいと思うのです。
○国務大臣(大平正芳君) 大変仰せのように今度御審議をいただくに至らなかったこと大変申しわけないと存じております。しかし、そのまま引き下がったのでは大変恐縮でございますので、われわれ政府と与党の間におきましては、次の診療報酬改定と同時に改善措置を講じようじゃないかということになっておりますことは御案内のとおりでございます。診療報酬改定ということは、いわば厚生省の方の所管のお仕事でございますので、政府部内で今後密な打ち合わせを遂げまして、できるだけ早い機会にそういった運びにいたしたいものと念願をいたしております。
○鈴木一弘君 これは、そのときはこの間の税調が出したような五二%でしたか、それから七二までという、そういうような方向を取りたいという考え方でございますか。
○国務大臣(大平正芳君) あの案も完璧な案とは思いませんけれども、まあ御不満ながら税調におきましても、こういうところから改善の一歩を踏み出そうじゃないかというところで御了承いただいたように聞いておりますので、私といたしましては、ああいう案を骨子にいたしまして御審議をいただく案をつくったらどうかと考えております。
○鈴木一弘君 今回見送られたのは非常に残念なんですけれども、実際白色のときには税がかかったけれども、青色になったら完全に納めないで済むなんというのもあるようですね。それは報酬の七二%に関係なく、実際実態で、本気になってやっているところは税なんか納めないで済むようなところもあるわけです。ですから、そういう点から見ますと、やはり良心的にやっている医者あるいは非常に新しい設備を入れたばかりの医者、いろんなのがございますから、そういう内容によってはもう税を納めないで済んでしまうところもずいぶん出ているわけで、それは七二%とかそんなものはなくてもいいわけです。そういう点から見ると、あれにいつまでもこだわっているのは実態を外れたものだというふうに思わざるを得ないわけなんですけれども、その点をひとつどういうように、そういうお医者さんの中のまじめにやっていて青色にすれば何もかからない人もある、少なく済む人もあるというのもあるし、そうかと思えば徹底して反対をするというのもあるしという両面あるわけですが、その点の、医者にいい悪いがあるというのがおかしいわけですけれども、仁術と言っているのに、実際には算術みたいな医者がいたりということですけれども……。どうかその点のお医者さんに対してどういうような見方を税務当局というか、大蔵省としてというか、大蔵大臣としては見ていくか、その点をひとつ伺いたいと思うんです。
○政府委員(中橋敬次郎君) 確かに、おっしゃいますように、たとえば設備をよくしますとか、あるいは人を多く雇って行き届いた医療を施すとかいうことで、一般的に経費が非常に高くなっておりますお医者さんにつきましては、七二%の経費を超えて税金上申告をなさっておる方も相当あるわけでございます。むしろそういう方はいわば経費をかけて手厚い診療をやっておるという方でございます。また一方、七二%について非常にメリットを感じておられる方は、いわば家内労働を基準にいたしまして、余り経費のかからないようにやっておられるからこそ、七二%という経費率がメリットがあるわけでございます。もちろんその方々の診療の内容についていい悪いということは一概に申せませんけれども、税金面からだけ申せばそういうふうに経費について最近は非常にばらつきがございます。そういう点において七二%の特例措置もお医者さんの中で非常にこれに依存される方と、もはやそれでは賄い切れない方がかなり出てきたということはおっしゃるとおりでございます。
○渡辺武君 大蔵大臣に伺います。 政府は今後の日本経済は低成長時代に入ったということを非常に強調しておられるわけでありますが、同時にその反面というよりも、他方でいまの税制について直間比率なども一つの理由としながら、間接税の増徴という点に今後の税収の重点を置くというようなことをうかがわせるような発言がかなりうかがわれるわけです。特にやはり付加価値税制について、いままでの内閣になかったごときに、明確に検討するという方向を示しておられるわけですが、低成長経済になってきますと、当然法人税収、所得税収、これが従来のようなテンポでは大幅に上がらないということはこれは当然のことだと思うのですが、その穴埋めと言うとおかしいですけれども、その税収難を間接税の増徴という方向で解決していこうというふうなおつもりがあるんじゃないかというふうに思いますが、その点どうでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのように、景気が停滞をいたしまして、予想されたような歳入が、直接税におきましても間接税におきましても、なかなか期待できないという状況になりつつありますことは、御指摘のとおりでございます。そこで、政府として考えておりますことは、まず歳出面でできるだけこれ節約をしていかにゃいかぬと思うのでございまして、まず、税金をどうしてふやそうかなんということを考えるのは、私は邪道だと考えておるわけでございます。できるだけ歳出を節約することをまず考えるべきでないかと思っております。 それから歳入面の話でございますが、付加価値税を具体的な問題としていま問題にいたしているわけでは決してないのであります。ただ衆議院におきましてそういう議論、論議がございましたので、そういう議論があったということを総理大臣に御報告申し上げたのが記事になりまして、それがつかまりまして、えらい政府は何かこの問題をいま具体的に検討を始めておるというような印象を世間に与えたとすれば、それは実態ではないと私は思うのであります。ただそういう問題を全然検討しないんだなんということも、またわれわれはいろいろなことを将来検討していくフリーハンドを持っておらなければいかぬわけでございますから、初めから手足を縛るばかはないわけなんですから、それは、だけれども、この間この本委員会でも御答弁申し上げましたように、まだいま行政の日程としてこういうものをいついつまでに取り上げていくなんという考えは持っていないわけでございます。
○渡辺武君 しかし、欧米諸国に比べてわが国の場合は直間比率が低いというようなことは盛んに言っておられるわけですから、欧米並みの直間比率の方向に、すぐということではないかもわかりませんけれども、いずれにしても近づけたいというお気持ちを持っておられるんじゃないでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) そうでございますね。間接税の比重が三割を割っておると、直接税にやや傾斜し過ぎておるということはどなたが見てもいまわかることでございまして、先進諸国に比べまして、アメリカに次いで直接税に傾斜しているということは歴然たるこれはもう事実が示しておるところでございます。だから、そこで非常に不都合が起こっておると、だから、一刻も早くこのバランスは直さにゃならぬというように私はまだ考えていないわけでございます。ただ検討すべき課題ではあるけれども、これをこういう日程で、こうやっていかにゃいかぬという具体的なタイムテーブルを持っておるわけではないわけです。
○渡辺武君 具体的なタイムテーブルはないと、そしてまた付加価値税制の導入というのは、いますぐ考えているわけじゃないという御答弁ですけれども、やはりいまおっしゃったような直間比率の低さというようなことは、方向としてはやっぱり是正していきたいと、そしてまあ、間接税の分野での増収ですね、この方が今後のやはり検討課題になっているということについては、これはそのとおりじゃないんでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 素直に言ってそうですね。そのように私は感じますがね。ただ自由民主党は今度は付加価値税を考えておるんだなんていうてまた宣伝をされますと、選挙にも響きますから、非常に迷惑なんですよ。もう、かつて売上税で痛い目に遭いましたから。売上税まだ現にやつないでしょう。だけども、もうあすにでもやるからというようなことで、われわれずいぶん迷惑したわけでございますから。そういう点はまあひとつよろしく願いたいと思います。
○渡辺武君 どうも選挙というのが大臣の頭に相当深く入っているわけでございます。まあ、それを気にして答弁されるのは結構だけれども、しかし、やはり国の政策というのは、担当大臣にこれは率直にやっぱり言っていただくことが必要だと思うんですよ。特に選挙であればあるほど、国民に国の政策を示して、その信を問うということが私は非常に大事だと思いますね。 さて、非常に歯切れの悪い表現ではありましたけれども、やはり間接税の税収をさらに図るというおつもりがあるということがわかりましたが、これが直ちに売上税という形になるのか、あるいは付加価値税制という具体的な形になるのか、これは別にしまして、いずれにしても間接税というのは、これは、特にこの物品税などは品物の価格に織り込まれる税金なわけですね。ですから、まあ言ってみれば、一方では直接税に比べて税負担感という点で非常に軽いというような点も、おそらく財政当局としては一つの利点と考えているだろうと思うんですが、逆に国民の立場から言いますと、これはいわば所得税を払うことのできないような人も、どうせいろいろ品物を買わなきゃ暮らしていけないわけですから、したがって、価格に織り込まれた税金は払わざるを得ないということで、これは私が申し上げるまでもなく、以前から逆累進もはなはだしい税制だというふうに言われているわけですね。それで三木内閣が昨年の暮れに登場してきたときに、一番最初言われたのは、この高度成長の中で、社会的不公正が非常に激しくなったと、これを是正しなければならぬのだということを非常に強調してこられたと思うんです。本気でそれを言われたのか、それともリップサービスなのか、これはわかりませんけれども、しかし、いずれにしても、政治の責任者がそういうことを言われて登場してこられた。ところがその三木内閣が、これが逆累進もはなはだしいと言われている間接税をやはりかなり重点に考えておられるということになりますと、その社会的不公正是正ということの看板と非常にかけ離れたことになるんじゃないかと思いますが、その点どう思われます。
○国務大臣(大平正芳君) 間接税が逆累進であるというのは、まあ財政学のABCでありまして、もうどなたも御存じのことなんでございまして、自由民主党とその政府も知らぬわけじゃないんです。世界じゅう、どこの政府も知らぬわけじゃないので、しかもなお、いま申し上げましたように、ずっと直間比率から言いまして、間接税が先進諸国において比重が高いという事実もあるわけなんです。したがって逆累進であるというんで、これは悪税だと言うんならどこも採用しないはずなんです。全部直接税でやるべきでございますが、間接税があるということは、それなりの存在の理由が私はあるからだと思うんでございます。これ、どういう品目に課税をするか、これはいままでのように物を大事にせないかぬときでございますから、節約をして、資源を愛護するという意味におきまして、税金をかけて節約をしてもらうということも一つの方法だろうと思いまするし、また何ら大した徴税費用を使わないで税金をちょうだいできるという便益もあるわけでございます。実際上直接税というのは、とりわけ申告所得税なんというのは、大変これは厄介な税金でございまして、実際公平にこれをちょうだいせなければならぬものでございますけれども、クロヨンだとかなんとか言われて、できるだけ小人数でありますけれども、公平に取らなければいかぬというわけで、一生懸命になっておりますけれども、なかなかそれが十分公平に取れないということで批判も受けておるわけでございますね。したがって、間接税というのは、逃げ隠れしない課税がきくわけでございまするし、これはこれなりに私は存在理由があるんだろうと思うのでございます。したがって、あなたの言われることはよくわかりますよ。わかりますけれども、また間接税は間接税なりにレーゾンデートルも私はあるんじゃないかと思うのであります。しかし、いまそれだからと言って、いま具体的なテーマとして、間接税をこういう範囲において増徴していきたいなんという考えをいま政府として持っているわけじゃございません。
○渡辺武君 これ以上余り論争に深入りしたくはないのですけれども、一つ気がかりになりますのは、やはりたとえば間接税で、物品の消費の節約という利点もあるんだというようなことをおっしゃいましたけれども、しかし、いままでの物品税、間接税の戦後の傾向を見てみますと、以前は奢侈品について大体間接税がかかるというのが普通の姿だったと思うのですけれども、戦後は一般大衆商品、家庭用電気器具だとか等々、担税能力というようなことを口実にしながら生活必需品にかかってくるという傾向が非常に強くなっているわけですな。ですから、そういう傾向の延長線上で考えてみますと、消費節約というのは、結局、一般国民大衆の消費を抑えるということになってしまうのですね。だから、そういう意味で逆累進が非常に強くなるということなんですよ。だから、大臣のおっしゃった利点というのは、国民にとっては非常にこれはもう利点じゃないのですね。その点はひとつよく考えていただきたいと思うんです。私は、したがって、もし三木内閣が看板どおりに社会的不公正の是正をやろうとするならば、いま大臣もいみじくおっしゃいましたが、直接税の方はいろいろ不公正があるという批判を受けていると言うけれども、まさにその不公正の存在する直接税こそをもっと洗い直す必要があるんじゃないか、公正なものにする必要があるんじゃないかというふうに思いますけれども、その点どうでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) それは仰せのとおりです。所得税も直接税も終始洗い直ししながら負担の公正をはかっていくべきだと思います。しかし同時に、ひとつ念のために、これは申し上げるまでもないことでございますけれども、いままで直間の比率の是正という問題は、直接税をそのまま重課しておいて、今度は間接税でまたしぼり上げようというのじゃないんです、これ。間接税でいただくか直接税でいただくか、どちらが国民の負担からお願いする場合に適正であるかという選択の問題だと思うんです。で、ございますから、その点は誤解のないように。なるほどおっしゃるとおり逆累進になるわけで、いろんなデメリットもあるわけでございますが、私の言うたようないろいろなメリットもあるし、直接税にもデメリットもあるわけだし、メリットもあるわけだし、そういうようなものをいろいろ比較勘案して、結局、国民のためになる税制はどちらかというような観点でやはり考えていこうとしているわけで、いちずに国民のことを考えずに逆累進の間接税にひたむきに走ろうなんという根性はもう毛頭ないんですから、そういう色めがねで見られたら迷惑ですから、それはひとつお願いしておきたいと思います。
○渡辺武君 それでは、いま大臣自身も不公正があるとお認めになった直接税ですね。これをいっそ公正な方向にするという、そういう方向での洗い直しをやられるおつもりございますか。
○国務大臣(大平正芳君) それは大蔵省の任務でございまして、毎年毎年洗い直して、税制調査会その他の御意見も伺いながら、御審議をいただいているようにわれわれは答案を出しているわけでございまして、これはふだんのわれわれの任務だと心得ておるわけでございます。
○渡辺武君 それでは具体的な問題について二、三伺いたいと思うんですが、ここに、これは大臣ごらんくださったかどうかわかりませんが、東京都の新財源構想研究会というのがございまして、それが「大都市税制の不公平是正」という表題の報告書を出しております。それで、これによりますと、これは資料は市町村課税状況調という、これは信用のおける資料を使って、そして国税、特に私これから問題にしたいのは所得税の問題ですけれども、所得税に住民税などの地方税ですね、これをプラスして、そして所得階級別に税負担割合がどうなっているのかということを計算したのがございます。五十二ページの資料7というのがありますから、それをまずごらんいただきたいと思うんでございますけれども、この資料によりますと、所得五十万円以下の全額というのが一番下の階層になっておりまして、漸次上にずっと上がっているわけですが、二百五十万円から六百万円の所得を持つ階層、これがこの所得の中で大体八割程度まで給与所得によって占められているということが非常にはっきりしているわけです。ところが、所得がふえるにつれて給与所得の比重がずうっと落ちまして、一億円を超える所得を取る階層は給与所得の割合はわずかに二%ということになっているわけですね。そして、それじゃ、どういうところがふえてるのかといいますと、利子・配当所得とか不動産所得とか、特に分離譲渡所得、この割合が急速にふえまして、いま申しました所得一億円を超える階層ですとこの分離譲渡所得というのが九三・八%と、ほとんどがこの所得によって占められているというような状況になっているわけです。ですから、いわゆる高額所得者というものがどういう所得に依存しているかということがこの表で実にまあ一目瞭然にあらわれているということになるわけですね。 ところで、そういう状況を踏んまえて、それじゃ、この資料の9――五十三ページをごらんいただきたいと思うんですけれども、資料の九で、「都民の所得階層別所得税・個人住民税負担率調」という表がありまして、昭和四十八年所得の場合ですけれども、これを見てみますと、現在の課税方式で一その当時の課税方式ですね、これで計算してみますと、税の負担割合は、百十万円以下の階層が六・七%、それから百十万円以上二百五十万円以下の階層が一〇・九%、それから二百五十万円以上四百万円以下の階層が一七・五%、四百万円以上六百万円以下の階層が二四・二%、それから六百万円以上一千万円以下の階層が三一・三%、それから一千万円以上二千万円以下が三六・五%、それからもう一つ上の二千万円以上三千万円以下が三六・九%――これが税負担率が最高なんですね。そしてそれからは所得がふえるに従って税負担率がずうっと低下する。ですから、三千万円以上四千万円以下の場合は三五・一%、四千万円以上五千万円以下は三二・一%、五千万円以上一億円以下は三〇・二%、一億円を超える階層は二一・八%、まさに途中からずうっと逆累進になっているという傾向が出ているわけです。それで、こうした逆累進の起こっている原因ですね、これについては主税局の方でも検討されたかと思いますけれども、どういうふうに見ていらっしゃいましょうか。
○政府委員(中橋敬次郎君) これは先ほど資料につきまして渡辺委員が御指摘のように、高額所得者、特に所得が一億円を超えるところによれば、土地の譲渡所得がもうほとんど大部分を占めておるという数字でございます。ところでこの、四十八年でございまするから、四十八年につきましては、いわゆる長期土地の譲渡所得につきまして分離課税制度を採用しておるわけでございます。四十八年でございまするから、所得税で申しますと一五%の税率が分離税率として適用になっておりますし、地方の住民税におきますと五%が適用になっておりますから、総合しまして二〇%の分離税率で土地の長期譲渡所得に対する税金は終わっているわけでございます。したがいまして、資料9について負担率を御指摘になりましたけれども、それもまさに土地の長期譲渡所得に対する負担税率が分離されまして、国税、地方税を通じて二〇%であるということの総合的な結果にほかならないのでございます。それは、その制度につきましていろいろ御批判のあることもさることでございまするけれども、むしろそういう長期の土地の譲渡所得についての所得税、あるいはそれに伴います住民税を軽減することによりまして、土地の供給を促進しようという政策的意図からそういうふうにやったわけでございますし、またそれに応じまして土地を大量に譲渡するという人が出てまいりまして、一億円を超える所得階層におきましては、その部分が圧倒的にふえた。したがって、その負担税率というのは、そういうふうにその分離税率の影響で下がっておるということでございます。ちなみに、そういうことでございますから、土地の譲渡所得を除いて、その他の所得についてこの数字で計算をなさいますと、決してそういう逆累進ではございません、逆進的な傾向でございませんで、やはり所得階層に応じまして、高ければずっと高くなっておる。これはもう簡単に出る数字でございます。ですから、まさにおっしゃいました点は、土地の譲渡所得に対する分離税制がそういう結果をもたらしておるということの証左だと思っております。
○渡辺武君 土地の分離税制が最大の問題だということは、そのとおりですね。しかし、同時にやっぱり、先ほど来議論になっておりますけれども、利子・配当の源泉分離ですね、これもやっぱり一つの役割りを果たしているということは、この資料を見ただけでもおわかりいただけると思うが、その点も認めますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 利子・配当につきまして源泉選択税率が適用になっておることは確かでございます。しかし、この資料は、申告されました所得金額につき、あるいはその税額についての資料でございまするので、利子につきまして、源泉選択をしました人の利子というのはその項目に反映をしておりません。しかしもちろん、源泉選択税率が二五%でございまするから、それが一般の総合所得税の累進税率を低めておるということは確かでございますけれども、この表に関する限りは全然それは影響ないわけでございます。 それから、配当につきましても源泉選択税率がございまするけれども、源泉選択を配当について選択できる人につきましては制限がございます。たとえば年間に配当五十万円持っておれば、それ以上の人は、超える人につきまして、あるいは全体のその会社の株式の五%を超える株主につきましては、それは配当の源泉分離選択税率を選ぶことができないということになっておりますから、いわゆるそういう大株主につきましてはもちろん申告をしていただいて、それは普通の課税、総合税率がかかっておりまするから、それはここに反映をしておりますけれども、その点に関しましては、源泉分離選択税率は全然影響はないという形になっております。
○渡辺武君 その本の二十ページを読んでいただきますと、「利子・配当所得の税負担の不公平は改善されるか」という表題で次のようなことが書いてありますね。「利子・配当所得優遇税制がいかに税負担の不公平を生んでいるかは、第二次報告で詳細に指摘した。」と、この前の報告書ですね。「その大きな原因は、利子・配当所得に関する源泉分離選択制という課税の特例にあり、これは土地の譲渡に関する分離課税と同じく資産所得者を優遇するものである。」というふうにして、非常に、この表にはいまおっしゃったように直接的にはあらわれていないにしても、大きな問題だという点は指摘しているのです。これは先ほど申しましたように、東京都の住民税課税のための資料を、これを綿密に分析した結果であって、特に三区一市の大体東京都内の納税者の約一割くらいをカバーするところを調査してずっと実態調査もやっている、やっている結果ですから、私はこれは十分信頼のおける指摘だというふうに言って差し支えないと思うのですね。 そこで、大臣もう伺うまでもないと思いますけれども、従来のこうした税制がやはりここにはっきり逆累進という形であらわれておりますように、大きな資産家には非常に有利であり、そして逆に言えば零細な所得者にとっては、これは不利なものであったということは、これは当然お認めいただけると思いますが、どうですか。
○国務大臣(大平正芳君) 私、そういうふうに認められないんです。率から申しますと漸次高額所得者の負担率が高くなっております。ただ手取りですね、税額を控除した可処分所得は、それは上になるほど高くなりますけれども、税の負担率そのものは高くなるに、所得の大きくなるに従って高くなっておりますので、渡辺説には賛同できません。
○渡辺武君 いま私がわざわざ大臣に見ていただきながら読みました、はっきりしているんじゃないですか。たとえばさっきも申しましたように、この所得二千万円以上三千万円以下のところの階層は、税負担率三六・九%ですよ。ところが、それより上の三千万円以上四千万円以下のところは、三五・一%に下がるんです。なおずっと継続して下がりまして一億円を超える所得階層は、二一・八%に下がっているんですよ、税負担率が。
○国務大臣(大平正芳君) それはたまたま土地政策として、土地の譲渡所得というものを、土地の供給をふやすために土地税制を、譲渡所得を低くいたしたわけでございます。で、それは、毎年恒常的にそういう譲渡所得がその人にあるわけじゃないんです。たまたまそのときに、一回か二回かその人が一定の土地を持っておられて、これだけは処分しよう、それを処分させて土地の供給をふやそうという政府の政策をやったわけで、一時的な処置なんでございまして、税法そのものの構造が、あなたがおっしゃるように高額所得者の負担率が逆進的に安くなるなんというような構造にはなっていないわけでございます。
○渡辺武君 どうも大臣、奇妙なことをおっしゃられるですね。その前に、先ほど主税局長言われましたが、土地の販売を促進させるためだと言いましたけれども、これはこんなことを言いたくないんだけれども、この分離税制によってなるほど土地を売った人大分出ましたね。出ましたけれども、これほとんど法人買いでしょう。大企業の土地投機のために役に立ったぐらいのもんじゃないですか。住宅用地などにはもうこれはほとんど使われてないというのが実態ですから。だから、そういうことはもう大体周知のことだと思うから言ってないので、その辺はひとつよく考えて答弁していただきたいと思うんです。 それから、大蔵大臣も奇妙なことをおっしゃるけれども、この長期分離税制というのは、これは税制の一つでしょう。そうでしょう。なるほど一時所得ですよ、一時所得だけれども、そういうものを組み込んだ全体の税制の作用の結果としてこういう結果が出ているのです、税負担割合の低下という、逆累進というのが。その辺はやっぱり率直に認めていただかなけりゃならぬと思いますね。どうですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 土地の供給を促進する税制としましてありましたことの功罪については特にいま御論議をいたしませんが、先ほど申しましたようにそういう税負担ということを前提として、短期的な効果をねらって、短期的な特別措置として、土地の長期譲渡所得について税負担を軽減するということをいたしたのがそのときの政策でございます。したがいまして、当然四十八年なら四十八年、四十七年なら四十七年をとられて、いわゆる総合負担として計算をすけれども、やはり長期的な問題として把握をされる研究とすれば、私は、やはり土地の長期譲渡所得というものは別にしまして、恒常的な所得というものでこういう率を算出なされば、それはこれとは違った様相が示されますから、そういう方がやはり研究としてはより高いものではないかというふうに思うわけでございます。 それから、先ほど、失礼しましたが、配当の源泉選択を選べる基礎としまして、一銘柄五十万円あるいは株式資本の五%と申しましたが、超と申しましたのはすべて以上と訂正さしていただきます。
○渡辺武君 その研究がより高いか、より低いかということで議論されているようですけどね、しかし、国民にとってはやっぱり大きな資産家の方が税負担割合低いということは大きな問題ですよ。そういう点からひとつ考えていただきたいと思うんですね。 そこで、伺いますけれども、今度の税制改正でこの土地の長期譲渡所得については、特別控除後の譲渡二千万円以上の場合が四分の三の総合課税となりましたけれども――そうでしょう。そうなさった理由は何ですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 一つには、さきに申しましたような政策的意図をもちまして土地の譲渡所得について税率を軽減することによって土地の供給促進を図りました、それが相当の効果をもって私は終わったというふうに思っておるわけでございます。そうしまして、一体その後の税制をどういうふうに判断すべきかということでございまするが、それについてはもちろん五十年まで続きます長期譲渡所得に対する特例措置というものについての御批判ももちろんしんしゃくいたしました。それからもう一つは、いまの所得税制の中の本則というのは、こういう長期的な譲渡所得は二分の一総合するわけでございます。これはやはり長期間において発生をしました所得でございまするから、一年を前提といたしております累進税率をそのまま掛けるのは不適当であるということからでございまして、そういう本則税率に戻りますれば、いわばこれまでとっておりました二〇%という分離税率よりも低い負担が実は現出するわけでございます。それは今日土地の譲渡所得についての国民一般のものの見方ということからはかえっていかがなものであろうかということと、それからまた今日の譲渡所得のかなりの部分がやはり昭和四十年前後からのある一定期間の間に相当発生したということを考えますれば、非常に長い間にわたって発生したということを前提といたしております所得税制本則の二分の一というものをとらないで、むしろそれを加味しまして四分の三というのがちょうど土地の譲渡所得について、今日の状況から見まして適当であろうということで、四分の三総合ということで御提案申し上げておる次第でございます。
○渡辺武君 そうでしょう。その土地の供給に役に立ったという点は、さっき私実態はそうじゃないということを申しましたがね、それは売買はありましたよ。売買はあったけれどもね、国民が望んでいる住宅用地の供給がふえたなんということにはならぬですね。だから、その点は別にしましても、あなた方自身が、やはりこの税制が非常に不公正だったということを認めてこういう措置をとらざるを得なかったということだったんじゃないかと思うんですね。あなたが第二番目に挙げた理由というのはそうだったんですね。 そこで、しかしそれにしてもまだ不公正残っていると思うんですね。たとえば、二千万円以上の場合を今度四分の三にしたわけですが、その二千万円以上の場合を総合課税方式に仮にした場合、今回の措置がやはりなお大きな差があるんじゃないか、総合課税にした場合と比べて。どのくらいの差がありますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 総合課税とおっしゃるのがちょっとわかりませんのですけれども、所得税の本則によりますれば二分の一を総合いたしますから、むしろ今回御提案申し上げております四分の三総合は、所得税の本則よりは重くなるという方式でございます。
○渡辺武君 所得税の本則と比べてじゃないんです。全額総合にした場合と比べてどうかということです。仮にです、仮にそうした場合と比べてどうかと。
○政府委員(中橋敬次郎君) 全額総合にいたしますれば、もちろん本則の二分の一総合と比べましても、今回御提案申し上げておる四分の三総合と比べましても税負担は重くなるわけでございます。ところが、申すまでもなく、そう言いましたある一定期間に徐々に発生をしております、いわゆる回帰的でない所得について所得税をどういうふうにかけるべきかという問題がございます。それを直ちに全額総合にするのが原則である。それについて比べてまだ安いという考え方は私はとらないところでございます。
○渡辺武君 そうじゃないんですよ。私の言っていることを素直に受け取って素直に答弁していただきたい。 二千万円超は四分の三をあれするわけでしょう。しかし、四分の四をプラスして課税したらどういうことになるかと、比べてみたら。結局、そっちの方がやはり重くなるわけでしょう。それは当然のことですよ。そのことを聞いているんですよ。 時間もないから、とにかく不公正是正ということであれば、やはり全額総合課税にした場合と比べてみれば、四分の三にしたということは一つの前進ではあるにしたって、なおやっぱり税率は低いと思うんですね。ですから、仮にたとえば土地譲渡所得ですね、一億円以上というような大口の土地譲渡の場合などは四分の三ではなくして、これを全額総合にするというような措置をとれば、一層不公正是正という点では前進するんじゃないかというふうに思いますけれども、その点どうでしょう、大臣のお考えは。
○政府委員(中橋敬次郎君) その点は私は、るる申しましたように、譲渡所得に対する課税というものをどういうふうに考えるかということでございまして、四分の三総合を四分の四総合にいたしますれば当然その部分の負担は重くなることは言うまでもないことでございます。現在の所得税の最高税率は七五%でございまするから、まあ二千万円までの二〇%という問題を横に置きまして問題を単純化しますと、七五%の最高税率がかかりますものに四分の三総合にいたしますれば、五六・二五%がいわば最高税率になるわけでございます。所得税の本則税率は二分の一総合でございまするから、三七・五%が最高税率になるわけでございます。それから四分の四総合でございますれば、これはもう計算するまでもなく七五%が最高税率になるということでございますから、それぞれ開くことは確かでございます。しかし、それが一体土地譲渡所得に対する課税としてどの点までが総合課税の対象になってしかるべきかという判断だと思います。
○渡辺武君 大臣の考えどうですか。
○国務大臣(大平正芳君) いま局長が申し上げたとおりです。
○渡辺武君 時間も大分もう迫ってきましたので、あとは端的に伺いたいと思うんですが、土地の供給ということを大分強調しておられましたんで一つ伺いたいんですが、いまやはり土地の供給という点で一番大きな問題は法人の土地所有だと思うんですよ。大手不動産会社の保有している土地もありますけれども、同時に、不動産業とは関係のないような会社が非常に莫大な土地を持っている。時間もないから詳しい数字を言いませんけれども、これは大きなものです。これは、もうすでに御存じのとおりだと思うんですね。一体これについてどういうような今後対策をお立てになるのか、税制面で。従来の土地税制については知っていますから、御説明要りません。今後どうされるかということを、ひとつお答えいただきたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) その点を配慮いたしまして、四十八年から法人の土地重課制度というのができておりますから、それでもって対処いたしたいと考えております。
○渡辺武君 自治省からおいでいただいているんで、最後の方で申しわけないんだが、一、二点伺いたいと思うんですが、少額貯蓄などの非課税ですね、それから普通預金の利子等の確定申告不要制度、それから源泉分離選択制度による地方税の減収額、これらどのくらいになりましょうか。
○説明員(福島深君) 五十年度の減収額を試算をしたものがございますので、それで御説明を申し上げますと、少額貯蓄の利子等の非課税の関係で二百九十九億円、それから二番目に利子所得の課税の特例の関係がございます。これは分離課税の問題だとか、あるいは申告不要のものでございますが、それが五百三十九億円、三番目に配当所得の課税の特例、これも分離とあるいは申告不要のものでございますが、それが百二十三億円でございます。したがいまして少額貯蓄の利子等の非課税をあわせて合算をいたしますと九百六十一億という数字に相なります。
○渡辺武君 まあ、少額貯蓄の場合はちょっと除くとしまして、先ほど東京都の資料ではっきり出ておりますけれども、とにかく個人所得者の税負担割合が、高額所得者ほど低くなっている、これは土地の分離も含めてですよ。その一つの原因としての利子と配当の問題ですけれども、これはつまり非常に不公正になっているだけじゃなくて、地方財政という点からしましてもかなりの減収になっている。いまやっぱり地方財政が非常に深刻な危機に面しているわけですから、それを解決するという面からしましても、この利子・配当の源泉分離というこの制度ですね、これは至急に改める必要があるんじゃないかというふうに思いますけれども、その点大蔵大臣、どう思いますか。
○国務大臣(大平正芳君) 地方のそういう特別措置は年々強化、改善してまいってきておることは御案内のとおりでございます。それから、そういう特別措置を前提にして、踏まえた上で交付税交付率が決まっているわけでございまして、特にその問題を取り上げて中央、地方の負担関係を云々するということには賛成いたしかねます。
○渡辺武君 ちょっと大臣、私が申し上げているのは、つまり国の税制として、利子や配当の源泉分離という制度がある、これがあるために個人所得者についても逆累進になっているが、同時にそれが地方税にはね返って、そうして地方税収の減収という形になっている。ですから、地方財政を満たしていくという意味からしましても、この利子・配当の源泉分離という制度についてメスを入れる必要があるんじゃないかということを伺っているんです。
○国務大臣(大平正芳君) いや、だからそういういろいろな制度を持っているわけでございますが、中央、地方の財源の配分、やりとりにつきましては、そういうことを音頭に置いて配分をやっておるわけでございます。個々のアイテムを取り上げまするならば、地方が得の地方が損のというような問題があるでございましょうけれども、全体といたしまして、一応中央の財源配分は私は適正にいっていると考えております。
○渡辺武君 適正にいってたら、いまの地方財政の深刻な危機というのは起こるはずないんですよ。 それじゃ、なお念のために自治省の方に伺いますけれども、国税の租税特別措置ですね、これによる地方税の減収額、これどのくらいになりますか。
○説明員(福島深君) これも五十年の試算でございますけれども、国税の租税特別措置によります地方税の減収見込み額は千四百七十二億という計算をいたしております。
○渡辺武君 この租税特別措置について、私どもは実際よりも、何というか、たとえば法人税の本則に組み込まれた退職給与引当金だとか、あるいはまた貸し倒れ準備金だとか貸し倒れ引当金ですね、こういうようなものが計算されていないという点で、非常に少額にしか計算されていないということはこの間予算委員会でも申しましたけれども、そういう点は除外しましても、やはり国の税制が――特に租税特別措置などは大企業に非常に有利だということは、これは大蔵省の計算した資本金階級別の税負担割合の数字からしても非常にはっきりしているわけですけれども、そういう大企業本位の税制のために、地方自治体の財源というのはそのはね返りで減収になっているという状態なんですよ。だから、大蔵大臣、その辺を改めれば、国税収入をふやすという意味でも非常に有利です。同時にまた、地方の財源をつくっていくという意味でも非常に有利なんです。大企業本位の態度を改めさえすればそういうことができるのですけれども、おやりになるおつもりがありますか。
○国務大臣(大平正芳君) その大企業本位というのがわからぬのです。私には、あなたの思想がわからない。何もかも大企業本位ということで結着をつけられるわけでございますけれども、私どもはそういうことで政策をやっているわけじゃないことは、たびたび私もあなたとの論戦を通じて申し上げておるつもりでございませんでしょうか。 それから、租税特別措置の存廃、こういうものがなくて、ざっくり収入になれば中央も助かる、地方も助かることはあなたのおっしゃるとおりです。計算上出てくるんですから、それは。しかし、それはほかの政策的な理由で、租税特別措置というのを実行いたしておるわけなんで、こういうものは実行すべきだという判断をわれわれはいたしてやっておるわけでございます。その方がベターだという考え方でやっておることは御理解をちょうだいいたしたいと思うのであります。 それから、さらに中央と地方との関係で、中央で特別措置をやりまして、地方でおやりになるかならぬかは、地方税法の判断によるわけでございますことをつけ加えて申し上げておきます。
○渡辺武君 どうも大臣とは話がかみ合わなくて困るですな。これは、私は事実を言っているんですよ。あなた方の計算した、たとえば昭和四十六年度の資本金階級別の税負担割合を見たって、なんでしょう、資本金百億円以上の企業は一番税負担割合が低い。しかも、その原因は租税特別措置だというのはこの間答弁いただいたばっかりですよ。だから、そういう事実があるから、私どもは大企業本位だと申し上げているんです。それが一点。 それからもう一つは、租税特別措置の問題を問題にするのは、これがあるために法人税収が少なくなると、そうでしょう。それが地方にはね返って地方の税収を少なくしているということなんであって、中央の国がやっている租税特別措置をならってその特別措置をやるかやらないかという問題じゃないんです。おわかりになりましたか。 それで、ちょっと待ってください。もう時間がないのでまとめてもう一点だけ伺いたいと思いますが、これは昼間、主税局長にはもう伺いましたから、大臣から御答弁いただきたいと思うんですけれども、いま法人税法の三十二条に、法人事業税は損金に算入するという制度があるんです。ところが、この法人事業税というのは一体どういう性質の税金かといって主税局長に伺ったら、これは固定資産税と同じようにいわばそこに営業をやっている、店を構まえているという、そういうことに対してかける税金だと、こうおっしゃっている。ところが、景気が悪くなってそして欠損法人が出た。固定資産税は、これは物的な税金ですからこれは払っている。しかし、法人事業税は欠損法人は払わなくてもいいということになっている。その理由は何かと言えば、法人税と同じように法人所得に対して法人事業税が課税標準としてかけられていると、こういう形になっているからです。つまりこれは物的な税制でなくして、事実上所得税制なんだと。所得税制である以上これは損金に算入するというのは著しく不当なやり方だと思うんですね。だから、これは損金算入をおやめになったらどうかと。この法人事業税の損金算入をやめればそれだけ法人税収もふえますし、国の税収源としても大きなものです。先ほど主税局長大まかに計算して約七千億円ぐらいの法人税収の増収になるということも言っておられる。そうでしょう。
○政府委員(中橋敬次郎君) 条件つきで言ったわけです、条件つきで。
○渡辺武君 二兆円、法人税が五十年度の見込額約二兆円だと。だから、それで計算すれば約七千億円になる。それだけふえるんです。もちろん交付税その他が減りますけれども。しかし、法人税の税収がそれだけふえれば、いま言ったように三二%は地方へ交付税として渡るわけですし、同時に法人税がふえれば法人事業税等々もこれまた増収になる。こういう形になるわけだから、これはいまの地方財政危機を解決するにも非常に有利だと思うんですね。また論理的にもこれは全く間違った論理に立っている。ですから、その点時間がなくて詳しく申し上げる暇がないんで残念ですけれども、この法人事業税の損金算入という、これをやめる方向で検討なさるおつもりがあるかどうか。これを伺って終わりたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 租税特別措置は、まあ、貯蓄の奨励でございますとか、あるいは技術の開発でございますとか、あるいは公害の防除でございますとか、いろいろな政策目的を達するために、税の持っておる機能を活用しようということでございまして、大企業の利益に奉仕するためにやっておるものでないということはたびたび私は渡辺さんに申し上げているわけなんで、だから、大中小零細に関係なくやっておる政策であるということは、たびたび申し上げておるんで、きょうもまた繰り返しておきますが。
○渡辺武君 客観的になっているということですよ、大臣。
○国務大臣(大平正芳君) それから法人事業税の問題でございますが、租税効果につきましてはもうすでに御説明があったと思いますけれども、法人税額等を除き原則として所得の計算上、損金に算入するたてまえをとっておるわけでございます。 事業税は、事業者がその活動を行うに当たりまして、地方団体から受ける各種の行政サービスとの関係に着目いたしまして課税されます応益税の一種でございまして、現在は所得課税となっておるものの、沿革的には物税として考えられてきているので、これを損金に算入するのはやむを得ないと大蔵省は考えておるわけでございます。事業税を損金不算入といたしますと、税金は増加するのは当然でございますけれども、これは法人に対しまして税負担の増徴を求めることになり、法人税の税負担水準の問題と離れて議論することはできない問題であると思います。現在わが国の法人税の実効税率は、たびたび申し上げておりますとおり、国際的に見まして妥当な水準にあると思います。これ以上法人の税負担の増加を図ることは、私は現在適当でないと考えております。
○栗林卓司君 大臣にお尋ねいたしますが、今国会の財政演説の中でこういう趣旨のことを言われておりました。「公正で活力のある社会を実現していくため、」に「二つの理念を道標として」いきたいと前置きをされまして、そこの中で、社会的公正の確保のところで、極力社会保障の充実を図ると触れられながら、もう一方では、相対的に有利な立場にある人々に対しては、税その他公共的負担の増加に耐えてもらう云々。これは私は反対ではございません。その方向でやっていかなければいけないだろうと思うんです。 で、これは言葉じりをつかまえたことをお伺いするという意味ではなくて、ただ税その他の公共的負担の増加に耐えてもらう相対的に有利な立場にある人々をどう見るかというと、これはまた議論があるところではあるまいかと思います。それを踏まえながら、このお考えと、今回の所得税制の改正をつなげて見た場合に、もちろんそれが十全に出ているかということをお伺いする意味ではなくて、どこにアクセントをつけてごらんになっておられますか、今回の改正についてです。
○国務大臣(大平正芳君) 課税最低限を、所得税におきまして、各種の控除の引き上げという姿において上げてまいったわけでございます。このことはどういうことかというと、課税最低限の周辺の所得層を端的に利するわけでございます。それから高額所得者につきましては、その割りに課税最低限から受ける受益率は低いということになると思うんでございます。つまり、高額所得者について税率を特にいじって上げるということはいたしてございませんけれども、課税最低限を上げるという姿において低額層を厚遇いたしてありますことは、相対的に高額所得者にがまんしてもらっておるということになっておると私は思います。
○栗林卓司君 私の聞き方が不正確だったんで、恐縮でした。もう少し申し上げますと、たばこの値上げは今回の議題ではありませんけれども、それも実質的な増税であるというつかまえ方をして見ていきますと、今回の税制改正による増税減税というのは、ごく大ざっぱに言うと、とんとんで、まあゼロに近いと。この点をいま議論するつもりはございません。ただ、その中身の増減が、所得階層別に見た場合に、負担関係がどう変化したとごらんになるかという点なんです。
○政府委員(中橋敬次郎君) 今回の所得税の減税は、特に今年度だけで実施しましたのを見ますれば、初年度二千四百八十億円とか、あるいはそれに伴いましてまた酒税で千七十億円の増収を図っておりますとか、たばこの小売定価の改定をやりますとかいうことで、その点に関しましては恐らくおっしゃるとおりの数字になるわけでございますけれども、特に昨年の大幅な所得税の改正の平年度化で四千五百億円というのは本年現実に減税効果をあらわすわけでございます。そういうものを勘案いたしますれば、むしろたばこ、酒の増収というものもかなり吸収をできるという気持ちがあるわけでございます。ただ、もちろんそれを階層別に見まして、おっしゃるようにたばこ、酒の増税といいますものは、いわゆる低所得者については、所得税でカバーし切れない人たちにおいては当然そういうことはございましょうけれども、やはり総合的に歳出まで考えていただいて、税金で処理する面と、また税収でもって歳出で補う面と総合的に勘案をしていただくことと、それから先ほど大臣からお話がございましたように、本来でございますれば税率の緩和についても配慮しなければならないところを、課税最低限あるいは特別の人的控除の引き上げということで配慮した面において、今回の税制改正におきましても相当そういういわば担税力のより強い人にはがまんをしていただく、それからまた弱い人については所得税で配慮できるところは配慮をしますし、所得税の手の及ばない人については歳出で配慮をいたしますと、そういうところから、先ほどお読みになりました大臣の財政演説の趣旨が実現されておるものというふうに考えております。
○栗林卓司君 もう少し立ち入ってお伺いしたいと思うんですけれども、最近数年間の傾向を見ますと、所得格差が開いてくる傾向にあります。たとえば四十九年を見てまいりますと、十二月を例をとってみても、前の年の同じ月に比べて可処分所得がどれぐらいふえたんだろうかという率を見ますと、第一分位が八・五%、第二分位が二三・一%、第三分位が三一二・二%、第四分位が二五・八、第五分位が三三・三、したがって、第三分位以降はおおむね三二%と言われていた賃金上昇の影響だろうと思いますが、受けながら対前年同月で上がるわけですけれども、第一分位と第二分位というのはなかなかそこまでいかない。これは一つは、残業が減りました、何が減りました、かにが減りましたという昨年一年間の状況があると思うんです。いま十二月だけ読みましたけれども、大体一年を通してこの傾向であることは間違いありません。しかも、所得格差は従来から拡大する傾向にある。そのときに、所得税の役割りを考えると、高額の所得者に対して特に減税を配慮する意味というのが強いんだ、それはそのままで、いやこれはもう取られ過ぎだということがあっても構わないと、そこのところはむしろ割り切っていくべきではないんだろうか。もう少し申し上げます。今回の所得減税について理由を三つ挙げられました。前年度減税の平年度化が進みますということと、経済を抑制的に運営する必要がありますと、三つ目は、最近における物価情勢に対応いたしますと。考えてみますと、前年度のいわゆる二兆円減税というのは、当時俗に重役減税と言われたぐらいに高額所得者に対する税率緩和の面が非常に強い税制改正でございました。その意味で、これが平年度化ということになると、何も五十年度の税制改正で高額所得者に配慮をしなくても、それは織り込み済みだというように考えられないかどうか。また経済を抑制的に運営ということになりますと、実は消費を刺激する、需要を刺激すする効果を持つのは、消費態度から見てどちらかというと高い所得分位の人たち、その意味では、重点的にそこをむしろ増税してもよかったのかもしれない。最近における物価情勢との対応ということになりますと、生活とのかかわり合いが一面非常に強く出るわけですから、その意味で、高額所得者を特に見るという必要性はない。で、今回の税調の議論でも、昨今の中でインフレがもう最優先対策なんだ、増税なんだという話まで出たと伺いました。そういう中で、高額所得者を減税をする必要は余りなかったのではないんだろうかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 昨年の所得税の減税の平年度化が四千五百億円あると申しましたが、もちろんその中におっしゃるような税率の緩和の分も含まれております。物価調整減税の計算の際に申しましたけれども、物価調整所要減税額を昨年度の減税の平年度化でカバーいたしますのは、四千五百億円のうちの三千五百億円はこれに充て得るという計算でございますから、その程度の金額はむしろ課税最低限の近くの人たちに潤うという計算をやっておるわけでございます。それからもう一つ、第一分位から第五分位につきまして、おっしゃいますように、確かにそういう消費支出の推移は四分位、五分位のところの方がかなり伸びておること、あるいはそういう格差がだんだん出てまいったことはおっしゃるとおりでございますけれども、もう四分位で初めてその収入は、消費支出は百八十五万円でございますから、実は所得税で問題になりますところは、夫婦子供二人の世帯で申せば、四分位、五分位のところでございまして、一分位、二分位、三分位のところは実はもう所得税と縁がない方々のものでございます。したがって、ここの消費支出の伸びが四分位、五分位の消費支出の伸びよりも下回っておるということで、所得税上は実はいかんともしがたい人たちがかなりあるということでございます。
○栗林卓司君 そこで重ねてお伺いすることになるわけですけれども、四十八年の数字しかございませんからそれを申し上げますが、給与所得者総数が三千二百四十四万人。そのうちで、四十八年の状態ですけれども、給与はもらっているんだけれども税金を納めるに至らない人、これは四百四十万人。百万円以下、いま言われました百何十何万円の水準のはるかに下の人が八百十万人。所得はもらうけれども、もう税を納めるに至らないほど低い人、それから百万円以下の人、これを合わせますと四百四十万と八百十万人ですから、給与所得者の総数に対して約四割になるわけです。これはいま主税局長がお答えになったように、所得税法ではいかんともしがたい。片方では酒、たばこが出ておりますから例に挙げるわけですけれども、財政需要との見合いでそういったこともしていかなければならない。この部分をどうするか。本当はいろんな政府の予算支出の中で消化するといいますけれども、なかなか直接その層に向けての対策というのはむずかしいかもしれない。で、この辺についてどういうぐあいに取り組みをお考えになっていかれますか。 もう一つ言いますと、いろんなこう所得階層があるわけですけれども、その所得階層別に税制の取り組みを変えながら、きめ細かに対応していくというような発想で私は見直すべきじゃないかと感じているのですが、この点もあわせて御所見がありましたら伺いたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) いまおっしゃいましたように、かなりの数の人が所得税を納めていないというのもそのとおりだろうと思います。ただ所得税を納めていない人が非常に低所得の人たちばかりかということになりますれば、課税最低限以下の人は所得税を納めていないということでございまして、その中にはかなり独身あるいは勤務しましたときに非常にまだ若々しくて元気があって、課税最低限が大幅に、昨年特に給与所得控除の引き上げによって納税をするに至らないという人たちがかなり含まれておると思います。現に給与所得者で見まして、所得者のうちで今日約七五%ぐらいが納税者になっておると思いますけれども、その二五%は果たして非常に所得が低いのか、先ほど申しましたように課税最低限で納税するに至らない、しかし、やはり活力は相当ある人も含まれておると思いまするので、一概に所得税を納めていないからむしろ全部それを歳出――いわゆる社会保障でもって賄わなければならないかということになりますれば必ずしも私はそういうことにならぬと思います。むしろもう少し底辺の人について歳出面で補うべきではないか、こういうふうに思うわけでございます。先ほどの第何分位、第何分位ということを申しましたけれども、それにつきましてもその中で、やはり本当に歳出で配慮しなければならない人と、だんだん勤務年限がふえるにつれまして所得の伸びも期待できる人とがありますから、両者はやはり分別しながらそれぞれ相応した対策を講じなければならないというふうに思います。
○栗林卓司君 もう一つさらに伺いたいんですが、いまの質問との関連です。たとえば医療費控除、これは所得控除です。それから住宅貯蓄控除並びに住宅取得控除、これはそれぞれ税額控除ですけれども、これは所得税法上の、これいまの控除の性格がですよ、所得税法上当然予定されている控除なのか、あるいは一義的に納付された税の還付なのか、この性格はどちらになるんでしょうか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 医療費控除は、やはり担税力という観点から、所得減殺要因になりまするので、所得税をかけます場合に配慮すれば、配慮しなければならない項目としまして、むしろ納めるべき所得税を下げるというふうに働くべきものと思っております。 それから、住宅取得控除あるいは住宅貯蓄控除というようなものになりますれば、むしろそういう税額控除を通じまして持ち家に向かう気持ちを起こさせるとか、住宅貯蓄をする気持ちをふるい起こさせるとかいう政策的なものでございまするから、むしろ歳出にかえまして税金を還付するということでそういう政策目的を果たそうとするものでございます。
○栗林卓司君 私もそう思うんです。ですから、住宅貯蓄控除とか取得控除というのは、本来なら一般会計なり、ある会計に入れてそれをさらにぐるっと回していかなきゃいかぬのを短絡してあるわけです。短絡した後半分を見ますと、本人が税を納めたか納めないかは、かかわりがないことなんです、本来は。そうなりますと、税を納めていない、納められない、いま言われた二五%もこのサービスは要求する権利があるんではないんでしょうか。いかがお考えですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) それは先ほどの租税特別措置を税金で賄うということの基本問題に関連いたすと思います。租税特別措置という税金の制度を通じまして、そういう政策目的を果たそうということのメリットは、やはり納税額がある、しかもそれを、あることをやりますれば、その額が減少するということを通じまして、そういうインセンティブ効果を高めようとするものであります。いわば納税額があるということは、もちろんある種の高さの所得がある人に限られるわけでございますけれども、そういう人たちに一番ふさわしい政策を講ずる、たとえば持ち家ということの焦点を当てますについては、やはりある程度高い水準の所得を持っておる人を一番ねらうのがこの政策効果を最も発揮するゆえんであると思いますから、むしろ税金の還付という制度を通じまして、その政策効果を果たすのが一番よろしいのではないかということでこの制度をとったわけでございます。もっと下の人に、たとえばそういう持ち家制度を推進しなければならない、あるいはその他のいろいろな政策効果を果たさなければならないということになりますれば、恐らく歳出というルートを通じてやらなければならないと思います。
○栗林卓司君 そこで大臣にどうしてもこれお尋ねしなければいけないわけですけれども、いま言われたように、そのいろんな政策目的を持って貯蓄とか住宅の取得に対して云々すると、これは素手じゃできないんですから、ある所得水準以上でなきゃいかぬ、これはわかります。ただ本来の性格は、一遍税収として納めて、ある政策目的で歳出して補助をしなきゃいかぬものを短絡してあるわけですから、後段の部分を考えますと、その税を納めているいないにかかわらず、しかも、衣食住というのは、基礎的生活条件ですから、それをいま税を納めていない二五%の人たち、さらに拡張しますと、税は納めているけれども、とても実質的に、この税額控除を満たし得ないほどの税額の人たち、本当は相当の税額にならないとこれ生きないわけですから、そこまでいくと相当の割合だと思わざるを得ない。それを一緒にやりませんと、一見何かやったように見えるけれども、社会的な不公平感、結果として受益しているサービスを受けている不公平というのは残ってしまうのじゃないか。これはもう主税局長が再三おっしゃるように、もう所得税の何ともいかんともしがたい領域なんですが、政治ということで考えると、あわせて配慮しなければいけないんではないかと思いますけれども、この点、いかがでございましょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりだと思います。
○栗林卓司君 その仰せのとおりをどうされるかということなんですが、さらにじゃもう少し申し上げます。じゃ今度、控除に値する部分は、実は国のサービスなんだから、税金を納めていなくても当然それは要求する権利がある。そうは言ったって、じゃその手当てみたいなかっこうで、全部税をまくかと言ったら、これはとても私はできないと。やるとしますと、かつて児童手当てがそうであったように、ある程度賃金の分配面、経済の実態面に片足を触れた対策をしていかなければいけない。そういうアプローチをお持ちになりますかということです。
○国務大臣(大平正芳君) 実は私は税の還付ということをよく知らなかったわけで、きょうやりとりを聞きながら聞いたわけですけれども、これは税制としては若干行き過ぎだという感じがいたします。やっぱりあなたのおっしゃるように、税を納めない多くの階層に対して、公平にやっぱり政府として考えていくべきじゃないかという意味で、税というものを用いないで、やっぱり堂々と政策として公平に打ち出すような工夫を考えるべきじゃないかと思います。
○栗林卓司君 時間がありませんので最後に一つだけ大臣にお伺いしたいんですが、これも従来から出ていた意見でございました。で、所得税だけで大臣が理念としてお考えになった活力のある公正な社会に至るための社会的公平感の確立というのはむずかしい。いろいろな政策を合わせていかなきゃいかぬということだと思います。そこで、所得税の至らない点を補う場合に、だれしも思いつきますのは、物品税に代表される消費税の面で、事実上の公平感を確保する道があるかないか。本会議でお伺いしましたら、これは見直しをする方向だと承りましたけれども、改めてお伺いしたいと思います。 それからさらにフローではなくてストックの面で、ストックのかさ、これを富裕税と呼ぶかどう呼ぶかは別です。いろいろなやり方があるんだろうと思います。それもやはり補完するものとして考えていくべきではないんだろうか。以上二点についてお尋ねして終わります。
○国務大臣(大平正芳君) 両方とも私、検討に値するテーマだと考えますが、どうするかというところまでまだ申し上げられないけれども、少なくとも消費税の拡充というような問題。それから富裕税というか、ストック課税ですねいわば、そういった方向。これは補完的なものですが、一体どの程度どうすれば可能なのか。そういうようなことは検討に値する課題だと思います。
○野末陳平君 初めに租税負担率のことで、ちょっとお伺いしますけれども、租税総額の国民所得に対する負担率が二〇%そこそこで、諸外国に比べますとこれはかなり低いんだという、また事実数字ではそうなっていますけれども、そういうグラフなどはときどき国税庁その他のPRの資料に出てきたりするんですけれども、この租税負担率が低いんだということは、要するに国民に対して税金は安いんだというような意味のPRになっているんですか、これ。
○政府委員(中橋敬次郎君) 税金が安いという面もございますけれども、むしろ公経済部門がそれだけ小さいということをあわせて示しておるものでございます。
○野末陳平君 そうなりますと、いまの税金が安いという部分についてまずお聞きしますと、まあ安いと思っている人はもちろんいないと思うんですね、主税局長もそれから私も高いなと思っているです。しかし、やはり負担できる人間が負担するのも当然だから、まあわれわれはこの程度がいいのかなと思ったりするんですが、ただ租税負担率、それは低いんだぞ、アメリカは三十何%で、西ドイツはというふうな数字を比較して日本の数字を言うと、いかにもこれはまだまだ負担が足りないんじゃないかというそんな感じを持つ場合もあると思うんです。しかし現実には、負担率は低いけれども、納税者の意識はもう税金は高い高い、これを言い続けているようなのが現実ですね。そこで大臣、これを比較して、結びつけるのはちょっと無理もあるかもしれませんが、何しろ国民は税金は高いと思っている、しかし、実際には租税の負担率は低いんだということで、これはどうして租税負担率が低いのに国民は税金が高いんだ、こう思っちゃっているんでしょうか。どうお考えになりますか。
○国務大臣(大平正芳君) さあ、どうお答えしたらいいんでしょうね、われわれが公から受けるサービス、それから現実にはまあ有形無形のいろいろなサービスあるいは政治というふうなものを考えた場合に、納めている税金がそれと比較して重いじゃないかということなのか、それともいずれにせよ、自発的な拠金でなくて、強制的に徴収される税金というのは、いずれにせよ、高く感じるものなのか、私もよくまだそういうものがいろいろミックスした感情なのか、正確にはなかなかお答えにくいわけでございますけれども、あなたはどう思われますか。(笑声)
○野末陳平君 いや、まったくそのとおりだと思うんですが、いろいろミックスされていると思うんです。しかし、そのミックスされている中でも、どういう面が一番まあ量が多いかということで、まず取られるものは何でも何か高いような感じがすることも事実だと思うのです。ですから、税金高い、高いと納税者が言った場合に、そのとおり高いんだ、高いんだと言うのもぼくはちょっと軽率だと思いますが、いま大臣のおっしゃったやはり公の払っている割りに受けているサービスが低いとか、あるいはあまり身近に充実してないから不満だとか、そういう面が一つあるんです。これはだから税金の使い方の方ですね、ですから、予算委員会の方ですけれども、もう一つ大臣はいまおっしゃいませんでしたけれども、この不公平感を、どの階層の納税者も不公平感を持っていまして、その不公平感が重いんだという感じに直結しているんじゃないか、そういうふうに思えるんです。これはもちろんこの委員会でも何回もこの税の不公平あるいは不公正、どちらも現実にあると思いますけれども、そこで、重い重いと言ったときに、国税庁などのPRには、非常にそういう点をいつも逃げて、重いんじゃないんだ、まあ不公正なんだとか、その実態をもう少しPRする必要もあるんじゃないかと、こう思うんですけれども、つまり現実になかなか直せないわけですね。で、直せないのをほうっているわけじゃないんでしょうが、ぼくらから見ると非常にほうっているように思える。まあ、だんだんに質問したいんですが、お医者さんの例もそうなんです。しかし、重い重いとずっと納税者に思わせておくことは、やはりちょっとPRの怠慢というか、まずいんじゃないか。その辺はどうお考えになりますか、主税局長。
○政府委員(中橋敬次郎君) 確かに、税金の負担を重い重いという感じを持ちますについて、先ほど来野末委員がおっしゃいましたこと、あるいは大臣からお話がありましたこと、いろいろ総合的に出ておると思います。一番私はやはり負担感と重税感というものの混同があると思います。やはり税金でございますから、負担感はあってもよろしいんですけれども、それを取られておるということは、いかさま何か重いということにすぐ直結するところは、今後私どもは十分それをPRをしまして、負担即重税ということでないということを十分理解していただかなければなりません。平均的に租税負担率が国民所得に対して二〇%ということでなしに、具体的に幾らの給与収入を持っておる人がどれくらいの負担を持っておる、それがたとえば国際的に見ても高いか低いかというようなこととか、そういう現実の負担というものを、いろいろな比較から重いと感ずるのか、それが妥当な負担と感ずるのかということをまず第一に認識していただくように勉強しなければならないと思います。 それから第二番目には、税制といたしまして、やはりおっしゃいますように、不公平感がどうしても負担に伴ってこれをより重く感じさせることも事実であると思います。そのためにはできるだけ税制が不公平でないようにしなければなりませんし、執行におきましても、そういった面の配慮をいたさなければなりませんけれども、これもまた私どもが十分理解を得るようにしなければならない点としまして、ある一部のことが非常に拡大されて、全部の税制が不公平である、全部の執行が非常にだらしないというふうに思われるのもまた心外でございまするから、十分この辺についても今後徹底してまいらなければならぬと思います。 それから三番目は、やはり歳出の問題と非常に関連いたしておりまして、納めました税金が一体どういうふうに使われるかという点が、やはり納める人の税金に対する重い軽いの判断を左右することも事実でございます。ただその場合に、自分が納めました税金が自分に返るのが少ないということで重いか軽いかと言うのは、私は、実は間違いだと思っております。税金は、特に直接税と言いますものは、重い負担に耐え得る人がたくさん出していただいて、負担に耐えない人に歳出というパイプを通じて回すのが税金でございまするから、自分は税金を納めているけれども、全然国からサービスを受けていないということで重税感がありますれば、それはまた私どもの努力が足りない、そういうことはない、そういうことでございませんで、国全体として取った税金がしかるべきところに歳出項目としてまかれておれば、それが税金の使命を果たすものでございまするから、十分それもまたわれわれが税金をとっている側としまして今後PRをやっていかなければならない、こういうふうに思っております。
○野末陳平君 主税局長三つ続けて答えられましたので、一番最初の点ですが、私が租税負担率の表などを言ったのは、どうも、課税最低限はよそと比べれば相当いい線をいったからもういいんだとか、あるいは租税負担率は低いんだとか、そういう図表だけぽんと出すというのが、非常に、余りにも雑と言うか、安易で、何ら納税者に対する説得力を持たないということを言いたかったわけです。ですから、もっときめの細かい何か説明をする必要があるなと思っていたのです。それをだから今後やっていただければいいと思いますけれども、その二番目の点ですね。 その不公正感の、何でもかんでも不公正であるとか思われては困るとおっしゃいましたけれども、もしそちらがそういうことをおっしゃるならば、一番不公正であると言われている、さっきも出ましたけれどもお医者さんの七二%の話、そういう最も代表的だと思われるものをほうっておく以上は、やっぱり主税局長の反論は、かえって一般の納税者にはおもしろくないと思います。さっきのお話でちょっと十分出てなかったのでここでお聞きしますけれども、この委員会でずっとこの問題毎回出ていて、もう一つちょっとわからないんですが、さっき大蔵大臣は、どうも今回あれを取り上げなかったのは、税制改正の中であの問題を取り上げなかったのは恐縮でというようなことをおっしゃいましたけれども、恐縮という言葉はどうもこういうときに使う言葉じゃないようなんです。なぜ税調の答申がはっきり出ていて、十分ではないと税調も認めていて、しかし、これが長年の懸案となっていた特例税制の第一歩を踏み出すというその程度の税調の改正案ですね、これすらも全然今度尊重してないという理由がはっきりわかんないんですよ。これはどうして今回税調答申を尊重しなかったのか、なぜ今回税制改正の中にこれが全然取り上げられていないのか、この理由をわかるように簡単に説明してほしいんです。
○国務大臣(大平正芳君) ともかくも御審議をいただくまでに至らなかったわけです。国会に提案する法案にまでならなかったわけなんでございます。ただ、そのまま引っ込むわけにまいりませんので、少なくともわれわれの内輪におきまして、先ほどもお答え申しましたように、少なくとも改善の糸口だけはつかんでおかなきゃいかぬということで、次の診療報酬の改善の機会に、同時にこの税の特別措置の改善をやろうというように政府・与党の間の了解はできておるわけなんでございます。それを国会に提案いたしまして御審議をいただくまでに至らなかったことは、大変私も残念でございまして、当事者といたしまして恐縮いたしておるような次第でございます。
○野末陳平君 どうも、審議をいただくまでに至らなかったというと、ずいぶんいいかげんな答えに聞こえるんですがね。だって、たとえばこの税調の案そのまま尊重したって別に構わないわけでしょう、これだって大した前進じゃないと思いますよ。これを一歩としてどこまで行くかというのが問題で、そこまで行かなかったから恐縮ですと言われると、不公正の是正という例の看板は、全く税改正に関する限りはいいかげんで、だましたことになっちゃうんじゃないですか。いまのお答えは、ちょっと税調答申を尊重しなかった理由には全くならないと思う。たとえばもっと具体的に、どこまで詰めたけれども、どの点でどういう反対があったとか、そのあれがないとまずいんじゃないですか。細かいことはあしたまたいろんなデータを出していただいてお聞きしてもいいんですが、これ一番の反対はどこだったんですか、何が障害で至らなかったんですか御審議をいただくまでに。
○政府委員(中橋敬次郎君) この問題は二十年来のいろいろな経緯がございますけれども、ひっきょういたしますと、やはり社会保険診療報酬を受けておりますお医者さんと、そのお医者さんが払う税金の問題でございまするから、何らかの意味におきまして、やはり受け取る社会保険診療報酬と一出します所得税が相連なっておることは事実でございます。それで、そういう問題を解決いたすにつきましては、今日ございます租税特別措置法の条文が国会で制定せられましたときに、いわゆる社会保険診療報酬の適正化まではこの制度を存続するんだということでございまして、社会保険診療報酬の適正化ということが一つの条件になっておったようでございます。しかし、私ども税制当局からいたしますれば、適正化が行われて税制を直すのも一つの道でございましょうけれども、税制を直すことによって、またそれを土台にして、社会保険診療報酬を見直す必要があるならば見直してもらってもいいではないかというふうに考えております。いわばアプローチが二つございまして、社会保険診療報酬から入っていく道と、税制から入っていく道は、それぞれ成り立ち得ると思っておりましたし、また税制から入っていくのも、決して無理な道ではないと思っておりました。しかしながら、そういう具体案が税制調査会で答申が行われまして、その問題を実際に現実の改正案といたしますにつきまして、いろいろ行政当局関係方面とも折衝いたしましたけれども、やはり私どもが考えておりました税制からのアプローチでもってまず入っていくよりも、やはり診療報酬というアプローチも同時に判断をするのが適当ではないかということになりまして、したがいまして、次回の診療報酬という時期には、ぜひその税制のアプローチもあわせて行うということで決定になったわけでございます。したがいまして、従来のように社会保険診療報酬の適正化という非常によりどころのないような事態でございませんで、次回診療報酬改定のときというのが、一つの実施のめどでございまするから、もはや私どもとしましては、そういう時期はそんなに遠くはない。税制のアプローチも、それからまた社会保険診療報酬からのアプローチも、いずれ近い時期にあわせて行われるということを期待いたしまして、実はそんなに、税制調査会の御答申が行われると予想されました時期とはかけ離れていないという判断でございます。
○野末陳平君 そんなに遠くないなんて言われても、そちらが期待しているというんで、こっちが要するに期待したいところなのに、何となく頼りないんで、大丈夫かという心配もしますけど、まあたぶんこの次やらなければ、ちょっともう納税者も、これ一体どうするということになると思うんですが、まあこれあしたにちょっと延ばしますけれども、ついでにあしたこのお医者さんの税金の問題でお聞きしたい資料の点ですけども、さっき主税局長もちょっと答えの中にありましたが、それに関連してやっぱり国税当局では、お医者さんがこの保険診療を使って、要するに水増しいろいろしているとか、あるいは薬をかなり出しているとか、そういうようなところの納税の実態までもある程度わかっているわけですか。これはあしたでいいんですけども……。
○政府委員(中橋敬次郎君) 申しわけございませんが、執行を担当いたしております国税庁の者が参っておりませんので、その実態についてはお答えをいたしかねますので、そういうことが税制上、税務執行上どの程度把握をいたしておりますか、明日お答えさせることにいたします。
○野末陳平君 それは突然なんであしたお願いしたいと思いますが、そこで、もう一回ちょっと脱線したんでもとへ戻りたいんですが、先ほど直接税と間接税の話が出てきました。そこで、間接税と直接税、どちらが日本の納税者になじむか、これをはっきりさせないと、結局は、ずるずるとどっちかの方向に、間接税の方向かもしれませんけど、どっちかの方にいかざるを得なくなると思う。そこで、いままでずっと直接税が高い比率だったわけですね。そういう過去の実績――実績というか過去の実情を踏まえた上で、一体国税当局並びに大蔵大臣は、直間どちらが日本人に向くと考えていられるか。まず効率の点ではこれはおそらく間接税の方がいいだろうと思うんです、取る立場では、そうですね、大蔵大臣。今度負担感の点で果たしてこれ日本の納税者になじむかどうか。その点少し大臣の御意見を聞かせてほしいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 直接税と間接税とどっちが日本人になじむかというようなのは、非常にむずかしいと思うんでございます。私は両方ともなじんでもらわなけりゃ困ると、それで問題は、それからまた間接税にいたしましても、お酒でございますとか、印紙でございますとか、物品税でございますとか、いろいろございますね。そういう中で間接税に適したものを、また新しく間接税を考えるとすれば、どういう間接税がいいかというような、日本の実情に合うのかということは、やっぱりあなたがおっしゃるようにわれわれもかなり勉強せにゃならぬということだろうと思うわけでございますし、それから直接税にいたしましても、所得税、法人税中心にいたしまして補完的にいろいろな税金があるわけでございますから、そういうものがどういう配列がいいのか、日本の実情に合うのか、そのあたりは勉強してみなければならぬ問題でございまして、あなたの言う御質問の直接税と間接税のどちらがなじむのかという問題にはなかなか答えにくいんじゃないかと私は思います。
○野末陳平君 でも、やはりこの直間比率をこのままでずうっと推移させていくというわけにもいかないんじゃないかと、やはり間接税を強化する方向に行かざるを得ないんじゃないかと思ったりするんです。でも、しかしそれは、間接税は大衆課税という点でどうも日本人に向かないんじゃないかと、それがいままで直接税をずうっと、直接税の比率が高かった原因になっているんじゃないかとも思ったりしまして、税務当局の意見を聞かしてほしかったわけなんです。で、ぼくは、大衆課税になる点で、どうも間接税は向かないんじゃないかと思っているんですが、主税局長どうでしょう。
○政府委員(中橋敬次郎君) これもなかなかむずかしい御質問でございますけれども、わが国の歴史を振り返ってみましても、実はたとえば昭和九-十一年におきまして、当時の国税、地方税を通じまして直接税、間接税の比率を申し上げますと、大体間接税が四五%、直接税が五五%というような数字を一応示しておるわけでございます。もっともこのときに、実は直接税の中に当時の地租家屋税、今日におきますところの固定資産税というものを直接税に算入いたしておりますから、私はこれは直接税に入れていいかどうかという疑問がございますけれども、まあ当時大ざっぱに申せば直間比率は、国税、地方税を通じましてまあ半々ぐらいであったわけでございます。 それでいま野末委員がおっしゃいますように、大衆課税であるから間接税はわが国民に不適当ではないかとおっしゃるんですけれども、実はそういう直接税が非常にウエートがふえてまいりましたのは、むしろ戦後、むしろシャウプ勧告の時代以後大体そういうような傾向を通じてまいりまして、特にそれが所得税、法人税が経済成長の伸びとともにまたウエートを増してまいりましたものですから、今日のような直接税の非常に高いウエートになってきたわけでございます。ちょうどまたそれは、アメリカほどではございませんけれども、大体アメリカ型になっておるわけでございます。イギリス、ドイツは大体半々ぐらい、どちらかといえばちょっとイギリスにおいては直接税にウエートが少しかかっておるというような程度でございます。それでまたヨーロッパ大陸においては、フランス、イタリーは申すまでもなくかなり間接税にウエートをずっと置いてきておった国でございます。そこで、一体わが国がこれらの先進国の間で、こういう直間比率をとっておる国と、一体国民の心情としてどれに似ておるかということになりますと、これは人まちまち見方がございますし、また戦後といいましてももう三十年近い経験を経ておりますから、にわかに、戦後直接税が重くなったと申しましても、すぐ昔に返るという感じをみんな持たないかもしれません。やはりそれは今日までに至る歴史と、それからまた今日におきますところの税金に対するものの見方ということに左右される問題だと思っております。
○野末陳平君 この問題ははっきりした結論が出るとは思っていないんですけれども、しかし、あいまいなままで何となくまた間接税が強化されていくのもちょっと釈然としないんで、その辺のことをいろいろお聞きしたがったというわけなんです。あした続きをやります。
○委員長(桧垣徳太郎君) 三法案に対する本日の質疑はこの程度といたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後九時二十五分散会