大蔵委員会 第11号
- 発言数
- 88 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1975/03/25
会議録
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 この際、委員の異動について報告いたします。 昨二十四日、初村滝一郎君、山崎竜男君が委員を辞任され、その補欠として藤田正明君、細川護熙君が選任されました。 また本日、嶋崎均君、土屋義彦君が委員を辞任され、その補欠として井上吉夫君、山本茂一郎君が選任されました。
○委員長(桧垣徳太郎君) 相続税法の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○寺田熊雄君 今回の相続税法の改正案を拝見いたしますと、妻の座を優遇するという点で、きわめて画期的な改正をしておるように思います。ただ非課税限度を四千万円か、あるいは遺産の三分の一か、いずれか高い方を選択させるという点は、素朴な庶民感情からいたしますと、少しく優遇し過ぎるんじゃないかというふうな印象が消しがたいものがあるわけです。なるほど夫婦が共かせぎ、あるいは営々と商売を共同で営んで、その資産を形成していったというような場合は、これはまあ理解できないわけじゃない。しかし、どうでしょうかね。たとえば死亡した夫の遺産というものが、先祖から受け継いだ世襲的な財産であった場合、そういうような場合でも、なおかつそれが、たとえば何十億であっても三分の一については非課税にするということは、余りにも他の勤労者のもろもろの課税と比較して優遇し過ぎはしないかという感じがするが、あなたはどう思われますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 今回御提案申し上げております配偶者の相続税につきまして、限度を設けなかったということでございますけれども、それには私どもは三つの理由を考えております。一つは、配偶者間ででございまするから、いわば同世代間におきますところの財産移転であるということで、確かに現行法のもとにおきましては、そういう場合におきましても、ある一定の金額限度以内しか配慮をしなかったわけでございまするけれども、同世代間におきます財産移転でございまするから、やがてまた次の世代に移りましたときに相続税というのは課税になるわけでございまするから、同世代ということについて現行法のように課税をすることも一つの制度でございまするけれども、そこはひとつ踏み切っても可能ではないかというのが第一点でございます。 第二の理由は、いま寺田委員が御指摘のように、財産に対する寄与と申しますか、その維持形成について片一方の配偶者が非常に努力をしたと、そういうことについて相続税の場合に配慮をしようということでございます。いろいろ長い間の生活のもとにおきまして有形無形の協力ということがございましょうから、そういう財産の維持形成についての配慮ということも相続税では可能ではないかということをとったわけでございます。 それから、第三の理由といたしましては、やはり夫婦というものでございまするから、いわば共同生活を営んでおったという点を配慮したつもりでございます。と申しますのは、これは端的には妻の座ということで言われておりますけれども、それを分析して考えますれば、やはり夫婦という共同生活を営んでおりましたものが、その生活の糧、手段となっておりました財産というものについて、一方が死亡するということが起こりましたときに、それまでに営んでおりましたいわば共同生活というものを、しばらくの間は凍結する状態に置いていってもいいのではないかというような配慮をしたわけでございます。これもやはりまた翻って第一の理由に結びつくわけでございますけれども、そういたしまして第一、第二、第三の理由を総合いたしまして、今回改正案を御提案いたした次第でございます。 それによりますれば、もちろんおっしゃいますように、現行法のもとにおいて配偶者が当然納めなければならない税金というのは、今回の改正案によりますれば、その際においては相続税というのを納付する必要はございまするけれども、先ほど三つの理由を申しましたそういうことから勘案すれば、やはり夫婦という共同体、そういうものの相続という問題を考えてまいりますれば、だんだん突き詰めてまいりますれば、やはり金額限度というのはどうしても一遍は越えてしまわなければならない問題だったんではないかというふうに思っております。金額限度がない場合に、それでは率としての問題というのが後に残るわけでございますけれども、それは恐らく全額であれ二分の一であれ三分の一であれ、いろいろなものの考え方はございましょうけれども、今日におきますところのわが国の相続の通常の事例におきましての家族構成ということでございますれば、配偶者は三分の一でございまするから、そういう率をとったわけでございます。おっしゃいますように、たとえば片一方の配偶者が婚姻前から持っておりました財産について、今回の改正案を実施するにしても、それを適用する必要はないのではないかとおっしゃる御意見も十分わかるわけでございますけれども、寄与という面について、私が申しました第二の理由について非常に重点を置きますれば、そういう制限も出てまいりましょうけれども、私が申しました第一と第三の理由もあわせてお考えいただきますれば、あながち婚姻前後ということで、しかも、非常に執行上の問題も相伴いますものでございまするから、やはりもう相続ということが起こった時点におきましての夫婦共同の生活の財産というものをすべて対象にしてはいかがかということで、改正案を御提案申し上げた次第でございます。
○寺田熊雄君 あなたのおっしゃることが全くわからないわけではないけれども、たとえば第一の同世代の問題でも、たとえばオナシスの未亡人であるジャクリーン夫人か、あれなどはまだ若くて再婚する可能性があるわけですね、あるでしょう。そういう事例は日本でもないことはないんで、このごろは非常に再婚の率が多いんですけれども。そうすると再婚した場合、その妻が先に死ねばもう一遍その問題が起きてくるわけで、同世代といっても二回も三回も発生の可能性があるわけだから、同世代ということを余り重く見るのもどうかという考えがあるわけですね。 それからもう一つ、妻の寄与率の問題——財産形成についての寄与率。これなども、いまの世襲財産は、なるほどあなたの、妻の財産形成についての寄与というものがゼロであるということは認めるけれども、しかし共同生活、婚姻を開始したときの共同生活、そのときの時点における財産の存在というものを重く見ると、こう言われるんだけれども、それは全くその妻の側の原因というものがそこに全然働いてないわけですから、夫が先祖から受け継いだ財産なんというものは、もともと結婚するまでは妻と無縁のものであったんだし、結婚したってそれは無縁だし、その財産の把握が、日本の場合はほとんどは不動産ですからね、相続税の対象になるのは。だから、それが先祖から受け継いだものか、夫婦の共同の努力で生み出されたものかということは、これは大して調査に時間もかからないし、一見してわかることだから、私は、やっぱりそこまであなた方が重く見る必要はない、分別して、徴税事務の執行というものを、非常に容易だし、やはり分別すべきであると思うのですよ。 それからもう一つ、共同生活というものを非常に重く見るけれども、中には、夫婦の仲がうまくいかなくて別居しているというような事例がずいぶんあるわけです。その別居している場合に、果たしてあなたのおっしゃるように共同生活を重く見るというような視点が生きてくるかどうか多分に疑問なんで、私は相続税の徴収というような場合には、八百八十万もある申告所得なんかと違って、相続税を納める対象というのは非常に限られているんだから、人数が限定されているんだから、もう少しきめ細かく実態を把握して徴税の事務を執行するということは可能だと思うんです。もう少しその点はあなたはお考えになった方がいいと思うが、どうでしょうか。
○政府委員(中橋敬次郎君) いま寺田委員から、離婚をすることがあるとか、あるいは別居をする場合もあるじゃないかということをおっしゃいましたけれども、確かにそういう事例も最近は、特にまたわが国はふえておることも確かだと思いますが、まあわれわれはまだ結婚生活非常に短い方かもしれませんけれども、やっぱりそういう例外もございましょうけれども、私は、やはり相続税の問題を配偶者について考えます場合には、そういう例外に重点を置きますよりは、やはり世の中の大部分の配偶者というもののそういう共同生活というものが維持されてきておるということに重点を置いて考えますれば、やはり一つの終着点は、まあ率についてはともかくも、こういった考え方が結局行き着くところではないかという気がするわけでございます。 それで、先ほどちょっと執行面のことをもちろん申しましたけれども、それはほどんど今回の改正についての重要な理由になっておりません。私が申しましたのは、やはり夫婦が共同生活を営んでおる、仮に別居しておったとしましても、それまでの共同生活、夫婦という名におきましての共同生活というものを、そのまま片一方の配偶者が亡くなっても維持をさせてもしかるべきものではないかというくらいに実は思っておるわけでございます。ということは、相続税ゼロでも構わないかということでございますけれども、そこはやはり一つの相続という財産移転の段階において、ある程度の負担はしかるべきではないかということからやったわけでございますが、その際に、特に片一方の配偶者が親代々からもらっておる財産はもちろん把握も可能でございましょうし、そのまま残っておるということも多々あると思いますけれども、先ほど私が申しましたのは、そういう私の第二の理由としましても、やはりそういう財産の維持形成にお互いに協力をしたという点も買わなければなりませんと思います。つくり上げるばかりじゃありませんで、片一方の親から伝わった財産というものをお互いに協力をしながら維持をして次の世代に移していくということについても、やはり夫婦双方の協力というものがあるわけでござまするから、仮に祖先代々の財産でございましても、やはりそこには片一方の配偶者のそういった協力度合いというものについての配慮もあながち無理なことではないんではないかというふうに思っておるわけでございます。
○寺田熊雄君 まああなたのおっしゃるお考えは、説得力は余りないと思うんですよ。なるほど、世襲的な財産を維持する上で妻の寄与があったということを考えられないではないけれども、その財産を形成した場合の寄与と、それからすでに親譲りの財産を、単に、いわばそこに広大な屋敷に住んでおるというようなことが、果たして維持に非常に貢献したかというようなことは考えられないし、家賃を取るなんということはあるかもしれない、人に貸して。家屋敷をたくさん持っておったんだ、親から譲られた、それを二人で家賃を取ったのが維持に非常に貢献があったんだということも言えないこともないけれども、そのことのゆえに課税を渋るということは、どうだろうか、少し行き過ぎのように思いますよ。 それからもう一つ、あなた方に考えていただきたいのは、これは唯一の資産税ですね。で、税というものが所得の再配分機能というものを持っているわけで、社会的な不公平を是正するという大きな存在意義があるわけだから、そういう意味から言いますと、何十億であろうと、同世代であるからとか、あるいは寄与があろうとなかろうと維持に役立ったとかというような理屈で、そういう税の所得の再配分機能というものを全く抹殺し去るということは、私は、徴税当局としましてはちょっと自殺的なものじゃないかという感じがするんですよ。ですから、やはりこの際は、唯一の資産税として、そういう所得の再配分機能、社会的不公正の是正という見地をもう少しあなた方に重く見ていただきたかった。そうなりますと、どうしても、上限を限るとか、もっときめ細かに世襲財産については特別な扱いをするとかいうことがきわめて望ましいと考えるわけです。まあ議論になるけれども、その点、あなたはそういう所得の再配分機能というものを重く見なかったのはなぜか、そこのところをもうちょっとわかりやすくあなたに説明していただきたい。
○政府委員(中橋敬次郎君) 確かに、相続税は財産を端的に課税標準といたしまして再配分をしようということを目的とした税でございます。ただし、それを一挙に実現しますか、あるいは相続という財産移転のつど逐次やっていくかということは、いわば課税の程度と申しますか、累進度の問題として考えられるわけでございます。本来、理論的に申しますれば、こういう相続ということを契機にしまして財産の再配分を行うということも、一つのやり方としては、いろんな経路を通っていく財産についての、たとえば相続税の負担ならば、相続税の負担の総額はいかなる経路を通りましても、たとえば次代あるいはもう一つ次の世代に到達するまでの間も同じであるべきであるという議論がございます。それはまた、私は実現できれば非常に理想的な案だと思っておりますけれども、それはまた非常に迂回して、財産が次の世代あるいはその次の世代に移転してまいることについて負担を均等にするという制度はなかなかとりがたいわけでございますけれども、それが一番端的に出ておりますのは、やはり同世代間についての財産移転について相当な配慮をするというのが、実施可能なそういう制度だと思っております。したがいまして、いまその際のある一時点における相続税の負担ということだけをごらんいただきますと、確かに改正前後においては配偶者の負担すべき相続税というものはゼロになりますだけに、その負担はいかにも減税されて、しかもその額は、おっしゃいますように、遺産総額が多ければ多いほどその減税額というのは大きいというふうに立つわけでございますが、同世代間についての財産移転というものは、私が先ほど申しましたような観点から申しますれば、その一時点だけにおける相続ということをごらんいただかないで、やはり次代に至る三代目に至るということで総合的な税負担、またそれによりますところの財産の再配分ということが実現せられれば私はそれで十分ではないかというふうに思っておりますし、またそれだけの点で今回の改正をお願いしておるわけでございませんで、先ほど来申し上げておりますように、第二の理由あるいは第三の理由、特に妻の座ということで端的に表現をされておりますそういった夫婦共同生活のいわば凍結状態をつくるという、卑俗な言葉で申し上げれば、そういうふうな状態なんでございますけれども、そういうこともあながち相続税として非常に不当なものであるというふうにも思わないわけでございます。
○大塚喬君 関連質問。
○委員長(桧垣徳太郎君) 関連を許します。
○大塚喬君 いま主税局長の答弁で、財産形成について妻の貢献度、寄与率というようなことのお話がありました。それから本人でなくて、先代からの遺産を相続した分については管理についての貢献というようなお話がありました。だとすれば、今度の改正でそれと逆行している面が見えるわけですね。婚姻期間が長いほど現在までは優遇されてきた。今度はそういうことが反対の方向に進んでおるわけですが、その点は局長はどういうふうに御説明になりますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 確かにいまの配偶者に対する相続税の軽減につきましては、三千万円と申しますのは、婚姻期間が二十年をたったものでございまするから、それよりも低いときには十年以上のことであれば金額は減ずることになっております。そういう婚姻期間の制度を今回この場合には撤廃をするということで御提案を申し上げておりますのは、私が申しました理由に反対とは思いませんけれども、確かに今日までの制度から見ますれば、長い間連れ添った、ある程度連れ添った配偶者間における配慮というものから、今回はそういう制限を撤廃しておるということはおっしゃるとおりでございます。ただそのときに、先ほど来申し上げておりますように、私が申しております同世代間の財産移転という理由、あるいは第三の、夫婦の共同生活というものをそのままできるだけ存続させるという配慮も加えるという第三の理由から考えますれば、婚姻期間という制限もやはりそう固執しなくてもよろしいのではないかということから、今回は、現行法によりますような十年以上というような婚姻期間の最小限度の期間というのを外すことにお願いしているわけでございます。
○大塚喬君 どうもいまの説明では、人を納得させるそういう説明にはまだ遠いという感じをいたすわけであります。今度の、いま寺田委員からもお話ありましたように、相続税法の改正はやっぱり何か逆戻りをしておる、そういう法改正という感じを強くするわけであります。で、実際にその七五%という重課——重くなったという部分がございますね。一体五億円以上、七五%の重課をされる対象というのは一体何人で何%ぐらいの数字になりますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 今日まで、私が持っております統計によりますと、三億円超という階級区分でございますけれども、三億円超の遺産額で課税を受けましたものは、被相続人の数で申しますと、四十八年度におきまして全体の一・六%、遺産額におきましては、全体の一五・六%に当たっております。したがいまして、今回の七五%の税率の適用を受けますのは、これよりやや少ないものがあるかもしれませんが、四十八年度の数字でございますから、ほぼこれに近いものかもしれません。
○大塚喬君 この相続税法の改正がずいぶん大幅に思い切った改正で、私が大変依然として疑問に思っておりますことは、一体このような相続税法という、一生のうちに一回しかそういう機会がないわけでありますが、このような大幅の改正をするということで、一体改正前と改正後と、たった一日の適用の日にちの違いによって、全く大きな差別を受けるということになりますか、ずいぶん不公平なものが出てくると思うわけです。で、こういう一生に——入場税やなんかのように、今週入場税はたまたま払うことがあって、来週、来月もまた払うと、こういうことならば、そのことの適用によってそれほどの不公平ということは生じないと思うわけでありますが、一生に一度しか支払わないそういう性格のものになるだろうと思うわけでありますが、その際に、このような大幅な改正をするということは、余りにも不公平であり、配慮が足りないんじゃないかと。こういう改正は、やっぱり逐次微調整という形でやっていって、そうしてそういう法改正というものが行われることがしかるべきである、こう考えておるわけでありますが、その点については主税局長どのようなお考えでございましょう。
○政府委員(中橋敬次郎君) その点につきましては、本委員会において先日も私お答えいたしましたけれども、確かにわれわれは今後は大いに反省をしなければならないのではないかと思っております。 従来相続税の改正問題につきましては、私ども税制当局は、かなりの年限に一度相当長期に当てはまるような税制として考えたものを改正案として御提案申し上げてきておるというのが実例でございました。今回も実は大改正としましては昭和四十一年以来のものでございまするから、その間におきまして若干の課税最低限の引き上げはございましたけれども、やはり今回のように、四十一年に比べて四倍に上げるというようなこと、あるいは税率の幅を今回のように緩和するというようなことは、いわば十年に近い間に一度の改正でございます。したがいまして、昭和五十年以後に相続が起こる方と、それからそれより前に相続が行われた人についての負担というものについては確かに非常な差異がございます。今回の私どもの改正がかく大幅になりましたのは、やはりその間におきますところの土地とか物の価格上昇というものを反映してお願いをしておるわけでございますが、不幸にしまして今後もそういった大幅な価格上昇というのがかなり続きまするならば、やはりいままでと違いまして、ある程度の短い期間におきましても改正をお願いしなきゃならないのではないかというふうに思っております。 所得税につきましては、大体これまでも毎年の消費者物価なんかを考えまして、ほとんど毎年課税最低限についての改正をお願いしてきたわけでございますけれども、相続税についてももっと間隔を狭くして、そういった問題については調整措置を講ずる必要があるときには、改正をお願いすることが今後必要であるというふうに反省をいたしております。
○大塚喬君 本法改正のこの以前ですね。それとの差については、いまの答弁では何らの救済というか、均衡をとるための方策は答えになっておらないと思うのです。その点はいかがでしょう。
○政府委員(中橋敬次郎君) その点につきましては、たとえば四十九年中に相続が行われた人について、今回に行われる改正を均てんさせるとか、そうしますと、またその前の前の年はどうかということになりまして、結局果てしないことになりますので、従来の改正どおりにこの法律案が成立をしましたその年の、暦年以降の相続について適用するということにして、一切さかのぼりをしないということにいたしております。
○大塚喬君 結構です。
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記を起こして。
○野々山一三君 先般、法律と政令との関係において、法律上公益事業として非課税であるものを政令並びに基本通達で課税するということは通達行政じゃないか、本来法律を改めるべきではないかということで御質問申し上げたわけですけれども、結果としてどうもはっきりしないということで中断されているわけですが、大蔵省及び関係——文部省もいらっしゃいますか、なとその結果としてどういうお考えできよう臨まれたかということをまず伺いたいんです。
○政府委員(中橋敬次郎君) 先日の御質疑に対しましてまとまった御答弁ができなかったことをおわび申し上げます。その後従来におきます古い規定等全部参酌をいたしまして、今日の相続税法の第十二条三号におきますような規定の原形は昭和二十五年からできております。そのとき以後、昭和三十三年の政令改正まではおっしゃいますようにかなり違った規定がございまして、三十三年において今日実行されておりますようなかなり個人財産につきましての、いわゆる特別の利益を得るか否かということについての厳しい制限を盛り込んだ政令ができておることはそのとおりでございます。大体、相続税法第十二条におきますところの、いわゆる公益事業につきまして、その後の経過を見てまいりますと、たとえば福祉法人でございますとか、その他のものについてはかなり法人化の進捗がございましたから、ほとんど相続税法の個人が承継するものとしての問題はなくなっておるわけでございまするけれども、現在特に個人立としての公益事業の機能を果たしておるものとしましては幼稚園がかなりあるわけでございます。今日すでに個人立の幼稚園を経営しております場合には、やはり同じように学校法人成りということでやってもらいますれば、相続税を非課税にする道がございまするから、できるだけこれまでもそういう道をとっていただくようにお願いをしてまいったわけでございまするが、やはり学校法人成りの要件というのがございまして、これはかなり厳しいということもございまして、なかなか法人成りができないという事例もあったようでございます。それで私どもも文部当局と相談をいたしまして、学校法人成りが従来よりもやりやすくなる方向で格段の措置をお願いするということで、まずこの道を拡張することによりまして、相続税の問題ができるだけ起こらないようにいたしたいと考えておるわけでございます。しかしなお、学校法人成りの要件の緩和を行いましたとしましても、やはり従来のいきさつからいいまして、学校法人成りができないというものが残るということは想像されるわけでございます。そういう場合につきまして、学校法人成りが一体どういうふうに緩和された以後におきましてもできないか、その理由を今後明らかにわれわれはしなければなりませんし、特に御指摘のように昭和三十三年以来十何年間そういう実施をやってまいりましたから、ほとんど実情等についても把握をいたしておりませんから、そういう問題についての実態を調査いたしましたり、あるいは個人財産としてそういう公益事業をやるものを、公益性をどういうふうに高めていったらいいかという問題が一番重点でございます。今日の政令でございますと、いわば特別の利益をもうとってはいかぬということで、それを規定いたしておりますけれども、どこまでそれを公益性の確保ということと、個人財産ということとの調和を見出し得るかということを、今後私どもも十分実態を勉強いたしまして結論を得たいというふうに考えておるわけでございます。
○野々山一三君 むずかしいことは時間がないから、ずばり言いますが、この前、三十三年に相続税法の文言を少し直しただけで、非課税であったものが課税対象になるようになったわけですね。これは十二条の一項三号で「宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者で政令で定めるものが相続」云々と、こうなっていますね。そうしてあとにまた「当該公益を目的とする事業の用に供する」と、これは大臣、政令に任してあるんだから、政令は何をやってもいいということでしょうか、非常に単純な話ですけれども、この前の話の続きですけれどもね。いままでは非課税だったものを政令に任したという根拠だけで課税対象にするということは、一体法律論としてどうなるんでしょうか。やはり政令が少し行き過ぎているという、少しどころか大変行き過ぎていると、白が黒だったということになるわけですからね、それはどういうことなんでしょうか。私は、本来法律で改めるべきであるということを申し上げておるわけですけれども、いかがでしょうか、その理由及び法律論はいかがかということをお伺いしているわけです。
○国務大臣(大平正芳君) 相続税法十二条一項三号は「宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者で政令で定めるものが相続又は遺贈に因り取得した財産で当該公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの」については相続税を課さない旨が規定されてございます。それでもし、これは政令でもちまして個人に帰属する財産を非課税にしてしまうというようなことをやったとすれば、これは大変な逸脱であると私は思います。しかし、そういうことは私は政令はいたしていないと思いまするけれども、しかし、野々山委員が言われるように、そこまでの逸脱はしていないけれども、その「公益を目的とする事業の用に供する」というものの解釈で、相当大幅な政令の領域の中で選択をいたしておることは御指摘のとおりでございます。大きな土俵を外してないが、政令の改正で、従来の解釈に相当大きな変改を加えておることは私は事実だと思うのでございます。 そこで、政府がやったことはわかるじゃないかという御理解をいただけるのか、政令としては少し勇み足じゃないかというおしかりを、私はそういう御指摘もありはしないかと思うわけでございますが、そのあたり、決して、政府当局が高ぶった気持ちで、政令でおれたちが何でもやるんだというような気持ちでやったわけでは決してないことは御理解をいただきたいものと思います。
○野々山一三君 公益事業というもののとらえ方でございますけれども、学校教育法の一条の規定を大蔵省が四十年の四月三十日付で告示をしていますのを御存じでしょうか。この中には、小学校から始まりまして、中学校、高等学校、盲学校、聾学校、養護学校、幼稚園、これは公益事業として認知しているわけなんです、告示では。だから私、あなたのおっしゃる行き過ぎではないかという議論は、公益事業という文言が、小さな話ですけれども、文言が一つでありながら、片一方では行き過ぎでない、片一方ではこれですと、こういうふうに相矛盾しているわけなんでございます。告示百五十四号の、公益事業の寄付行為は、これは非課税になっています。それは一体どういうことなんでしょう。幼稚園は、公益事業だからいいんだと、こうなっているんですけれども、どう違うんですか。これが一つです。 それから、個人の特別な利益を取得しているということでは、個人立幼稚園の例をとってみますと、それでは個人のものだから、個人のもので限界がつかないというお説ですが、実際問題として、一例を申し上げると、ある大学の教授が幼稚園を、個人立をつくりまして、給料は一銭ももらっておりません。子供夫婦が、やっぱりだんなさんの方は学校の教諭、奥さんの方が園長と言われる。それから教授をやめたその創立者も園長と言われているわけで、一銭も給料をもらっていない。そうして区分は全部きちんと、これは幼稚園ですということで規定をされて、そのものを私的に使っていない。にもかかわらず、これは公益事業だと、公共的な公益性を十分に認知されているにもかかわらず、これもやっぱり特別の個人が利益を取得しているという認識に立って課税しているわけです。しかも、あなたの出先であります関信越国税局といろいろ現実的に話し合ったら、私立幼稚園の、個人立幼稚園の園長であるという地位が、特定の利益を取得しているんだという論理で、これは課税対象になっているわけです。そういう現実をどういうふうに御認識なさるんでしょうか。 そこで、話を進めるために、いままでは法律で非課税になっておったものを、政令で課税にするということ、それをさらに通達でもっと厳格に決めておるんですから、これは、法律を直すということによって、そこらの不明確な点を整理するということのお考えはないでしょうか。これが私の例を述べての——率直な大臣の見解を聞きたいんでございます。
○政府委員(中橋敬次郎君) いまお話しのように、学校教育法の学校の中には、もちろん幼稚園が入っておりますし、私どもの、寄付金につきましての税金を免除します場合について、それを公益事業として扱っておることも確かでございます。問題は、個人の財産がそういう公益事業に充てられておりますから、それを一体どういうふうに、個人の財産でありながら公益事業に充てられるということを確保するのか。またそれに当たるその個人の人がどの程度の利益を得れば、そこで公益事業という範疇にまだ限界としてとどまり得るのかという問題でございます。おっしゃいますように、全然特別の利益に当たるようなものもないのに、いわば経済的な利益がないのに、そういうものを排除するということもいかがかと思いますし、そういう点につきましては、先ほど私が申しましたように、もう少し実態を勉強いたしまして、そうして、個人財産でありながら、公益事業というものを一体どういうふうに確保したらいいか、それについて、そこから、いわば労務を提供したときにどの程度の報酬というのが可能なのかとか、そういうような仕組みを一遍勉強いたしたいという気持ちでおります。
○野々山一三君 これは大臣、私率直に言って、いま主税局長のお答えは、たとえばふろ屋、たとえば八百屋さんというものも、それでは一緒ではないかということになってしまうことを警戒されて、個人立幼稚園というものを、公益事業という分野から非課税にするということを避けていらっしゃるんだろうと思いますが、そこで、個人立幼稚園の問題だけにしぼりますが、個人立幼稚園は三十三年までは非課税だった。そして他の通達、教育法からいきましても、これが公益事業であるということの関係は歴然と今日も残っているわけでございます。 聞きますけれども、ふろ屋さんは公益事業だとどこかに、法律に書いてありますか。どこかに書いてありますか。書いてあったらひとつ全部読み上げてください。公共的な仕事であるという意味では私は認めますよ。公益事業であるというふうに書いてあるところがあったらひとつ調べてください。見せてください。それと一緒になるから困るんだということでこの私立幼稚園を切り離そうと、切り離そうというか、非課税にするというふうにはしたくないというのがおっしゃる気持ちだろうと思いますが、そうでしょう。違いますか。この二つの点をひとつはっきり教えてください。私はもう法律ようわからぬので、日本語で書いてある字しかわからぬので、本当にわかるように教えてください、そこは違いがあるなら違いがあると。
○政府委員(中橋敬次郎君) 公衆浴場業というものは公益事業というふうに恐らく書いたものはないと思いますが、いま御指摘のように、公共的な事業であるという意味だろうと思います。私がいま申しましたのは、そういうものが入ってくることを恐れながらということよりも、むしろ個人の財産を公益的な事業に向けたときに相続税が非課税になるということでございますから、そのときにはやはり個人の財産でありながら、公益事業に向けられることをどういうふうに確保したらいいかということが一つ問題でございます。それからそこの公益事業というものから個人が何らかの利益を得るという場合に、一体どの程度までそういうものを得ても、なお公益事業にその財産を充てておるというふうに見えるかという範囲を限定したいという気持ちで申し上げましたので、決して別に学術その他のいわゆる公益事業のほかのことを引用して申し上げたわけではございません。
○野々山一三君 そうしたら、ごく単純に言えば、他の規定、他の法律で公益事業だとして税の上からも行政上からも取り扱っているもの、それが個人立幼稚園であるということだったら、その条件を規定しまして、そうして非課税にしたらいいというふうに思うんですよ。いままでやっておったことを、十七年知らぬ顔しておったものだから課税になっている。だけれども、いままでやっておったとおりに、昔やっておったとおりにすればいいじゃないですかということです。強いて言いますと、これは施行令の二条の中に、「第一条に規定する学校を設置し、運営する事業その他の宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業で、その事業活動により文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するところが著しいと認められるものを行う者とする。ただし、その者が個人である場合には第一号に掲げる」云々、つまり、社団ないしは財団以外はだめなんだという趣旨でしょう、これは。 そこで、ずばり伺いますけれども、先ほど言った、一銭も取得をしていない、区分された用地を使って個人立幼稚園をやっている、こういう状態は一体公益に奉仕しているというふうに考えられますか、考えられませんか。
○政府委員(中橋敬次郎君) それは幼稚園をやっています点は、先ほど読み上げられました「公益の増進に寄与するところが著しいと認められるもの」に該当すると思いますが、個人であります場合に、その次の一号に特別の利益を与えるということがあってはいかぬということでございますんで、そういうことがあるかないかという判断で、私は先ほど申しましたように、全然、たとえば幼稚園の事業から経済的な利益を全然得てもいかぬのかということになりますれば、特別の利益と書いてありますその文言の解釈によりまするので、特別の利益というのは、相当の利益ということになるというふうに解釈されます。
○野々山一三君 そうすると、たとえばいままでは一銭も個人がその行う事業によって利益を取得してはいけないと、こういう取得しておれば個人が——個人でやっているわけですから利益がある。一銭ももらってないということになったら、これは全く公益の仕事をやっていらっしゃるわけでしょう、そうでしょう。そこで、あなたは相当な利益と言われるけど、相当とは幾らでしょうか。私は所得税の観点から見まして、みなし法人青でやった場合には天井なしだということが言われますね。天井なし、制限がない。だから、百万もらっている人はそれはどうとか、具体論で。三万円もらっておったらどうなるのか。一万もらっておったらどうなるか。一銭でももらっちゃいけないと言うのか。この点はどういうふうに認識したらいいでしょうか。所得税法の観点から言えば、常識的な給与を取得するということでなけりゃ、これ入園料なんというものはうんと高くしちゃいかぬわけですね、もうけちゃいかぬわけですから。そうすると限定されますよ、当然。相当ということをあなたが言われるから、その相当とは何ですか。どの程度ですか。前向きに勉強したいと言うんだから、相当というやつ教えてくださいというのが私の率直な聞き方です。
○政府委員(中橋敬次郎君) その点はわれわれも今後実態を勉強いたしまして、相当といいますのがどの程度であれば、本来公益事業をやっておりますその個人の経営者が受けるにふさわしいものかということを見出したいというのが、先ほど申し上げたところでございます。 それからもう一つは、そういう個人の財産を公益事業に充てていることでございまするから、しかも、それは画一なるものでございまするから、ずっと充てていただくということを一体どういう形で担保しなければならないかという点についても、その仕組みを私どもは勉強したい、この二点について今後研究いたしたいということでございます。
○野々山一三君 じゃ、答えを簡単に聞きますが、本来、大臣ね、これほどのわけのわからない論争をしなければならないほど政令、基本通達で公益事業というものを非常に制限しているわけです。本来法律を直すということはいかがですか。これが一つ。 第二に、法律は直さないにしても、とにかく通達をいま前向きに検討したいと言われる中身を通達などで直していく、そうして疑いをできるだけ解消していくというお考えはありませんか。もっと言えば、政令を直した方がいいんですけれども、政令のことは一応別にして、同じ考え方ですね、法律、政令、通達を直して疑惑を解消したらいいんじゃないんですかということについて大臣のお考えを聞きたい。いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 私は、まず本件、法律に罪はないと思うんです。法律十二条……
○野々山一三君 いや、法律に罪はないけど、政令が罪がある。
○国務大臣(大平正芳君) ですから、政令で定めるところによりと、その政令が、最初は非課税にしておいて、後いろいろな批判があったから、今度は課税するというように政令が態度を決めたわけでございますが、それが思想が一貫しないじゃないかというところから、あなたの御批判が起こっておるわけでございまして、それは私よく理解できるわけですが、ただ御理解得ておきたいのは、大蔵当局として、いや政令で、法律はともあれ政令で何でもしてやるんだぞというようなおごつた気持ちは毛頭ないんだということは、御理解いただきたいと思うのでございます。 そこで、この問題についてはもう申し上げるまでもないことでございますから、いろいろな学校法人成りの問題でございますとか、法人成りを容易にする問題とか、法人成りがどうしてもできない場合で、しかも、幼稚園を継続して運営して公益目的を達成しようというようなことを容易にできる道がないかというような問題を検討しようということでございますが、私の結論といたしましては、まず、法律を改正するという必要はないんじゃないかと思いますが、政令、通達という段階で、どのようにこのいま残された問題をやったらいいかということについては、真剣に検討するに私はやぶさかでございません。国会と行政府の関係は、きょうだけのおつき合いでございませんで、しょっちゅうおつき合いお願いしなければいかぬわけでございますので、きょうばかりうまく逃げておってうまく勤まるわけじゃございません。これはわれわれのこれからの検討と、それから政令なり通達なりでどのようにやっていくかはよく御相談しながらこれやってまいらなければいかぬわけでございますので、そういった点には誠意をもって対処してまいりますので、御高説を伺いながら、それから実態をよくわれわれも究明するつもりでございますが、われわれの認識の足らぬところはまた教えていただきながら、この公益目的を達して、けなげにやっておられる方々を、どのように守ってあげるかということでございますから、そういう趣旨をどのように生かすかという点は、誠心誠意取り組んでまいるつもりでございますので、政令、通達という段階でどのように処置していくかは、前向きに対処さしていただきたいということをお願いをいたしたいと思います。
○野々山一三君 そうすると、私が指摘しているような個人立幼稚園というものは、かつて非課税であったことを踏まえて、その具体的な事例を検討して、政令、通達を改めるべきは改めると、こういうお考えだと伺っていいですか。
○国務大臣(大平正芳君) 実態をよく調べて、いま仰せのような趣旨を生かすようにしてみたいと思います。
○野々山一三君 なら、あえて申し上げますけれども、これは農地でこの相続税の納税猶予というものをとることにしたわけですね。これはずばり言って、国家目的からそういうことをお考えになったんでしょうね。私どもも、その趣旨は了とするところがあるわけです。で、幼稚園というものも、私はある意味では国家目的だろうと思いますよ。公共的な幼稚園あるいは学校法人というようなものにしたいというお考えはわかるが、現実に二千、三千というものが存在しておることは間違いないわけです。これもまた国家目的の観点から、こういう個人立幼稚園というものを生かしていかなければならないと思うんでございますよ。その趣旨をぜひお認めを願うという立場で、先ほどの前向きに検討ということを受けとめていいかということです。 それから、文部省の方の考え方ですけれども、学校法人にしてもらえばいいんだという考え方だけでいらっしゃる節がある。そこで、いままで国税庁との話し合いの経過から見まして、条件、基準を緩和したり、運営についても考慮すると、したがって、学校法人にというお考えですけれども、具体案をひとつ——もう私こんなことをここで申し上げては悪いですけれども、三、四ヵ月前から具体案を示しなさいということを申し上げておったんですけれども、この点はついでにお答えをいただきたい。 前者の方はひとつ大臣の方で、これはやっぱり国家目的という認識に立ってほしい、立つべきだ。だから、他の通達、告示なんかで公益事業として認知しているわけでございますからね。その思想を、農業云々の問題と同じような観点から前向きに処理するんですかと聞いているわけですから、それをまず伺った上で文部省の方の見解を。
○国務大臣(大平正芳君) 幼児教育の立場から、公益目的を尊重するという法律の精神はあくまでも把持していかなければならぬと思いまするし、その実行に当たりましては、文部当局とよく打ち合わせをしながら、目的達成に役立つようにこちらも考えてあげなければならぬと、私は思います。
○政府委員(今村武俊君) 大蔵省と相談いたしながら話を進めてまいりましたので、大蔵当局から御答弁があったことを文部省のサイドから整理して申し上げるだけの結果になると思います。この前のお話がございましてから、あるいはまたそれ以前からも文部省としては、学校教育法のたてまえに従って、個人立幼稚園の学校法人化を進めているわけでございますが、にもかかわらず、御指摘のように、個人立幼稚園が残ることは、また否めない事実でございます。そしてその個人立幼稚園が学校教育法に定める諸条件に従って、正規の法定の教員によって文部大臣の定める学習指導要領の基準によって、公的色彩の強い教育を推進することも、また仰せのとおりでございます。 それで、私どもの方といたしましては、個人立幼稚園がそういう公的な色彩を持ちながらも、なおまた個人的な使用に供されておると、その調和の問題をどう考えるかという問題につきまして、相続税法の施行令第二条ただし書きに、ただし、個人立幼稚園を除くとは書いてなくて、個人立幼稚園であってこれこれの場合、というような限定がしてございます。その点を大蔵省当局において、従前よりももう少し公的な色彩という面に着眼をして、そのただし書きの運用を考えていただけないかというようなお願いをし、先ほどのような御答弁もいただいたわけでございます。一方また文部省としては、学校法人化を促進するという方向では、幼稚園設置基準の弾力化の問題、あるいは法人化の場合の法人設立の都道府県知事の認可の場合の諸条件の緩和、そういうことについて努力をすべく検討をしてきたところでございますが、いますでにきのうから始まっております都道府県の私学主管課長会議の事情聴取において、その辺の都道府県の実態を克明に聴取し始めたところでございます。そういう方向を確立した。結局、先ほどから大蔵当局の御答弁を文部省のサイドから言い直しただけのことでございますが、そんなことでございます。
○野々山一三君 そうすると、文部省側は個人立幼稚園というものが学校法人の観点からという意味では、当然そうなりたい、そうあってほしい、これが一つだと。しかし、個人立というものが存在する。それは本来公益的な文化教育の観点からやっておるのであるから、これは非課税であってほしいということが文部省側の見解だと聞いていいわけですか。
○政府委員(今村武俊君) 相続税法施行令の第二条ただし書きに全く該当する場合といいますか、個人的な色彩が非常に強い場合、そういう場合、ケース・バイ・ケース、事実の問題でございますから、また税務当局のお立場もおありなことで、文部省余り強く申し上げられない、そのケース・バイ・ケースの個々の事実については。しかし、一般論として言えば、個人立幼稚園の公的色彩を従前よりももうちょっと強く認識をしていただいて、ケース・バイ・ケースの御判断をしていただきたいというお願い、連絡を申し上げた次第でございます。
○野々山一三君 これ、時間がありませんからやめますけれども、文部省側の考え方と大蔵省側の考え方との間に一致しないのです。ここのところが、本来なら私は両省の統一見解を示してもらいたい、これが本当の問題。 それから第二は、設置基準などを緩和すると言うが、大学も学校法人、幼稚園も学校法人ということなんですから、この点が相当程度緩和するということの観点に立たなければ、これはだめなんで、これも文部省と大蔵省との間に見解の違うところでございます。そうでしょう。そこを速やかに整理をしてもらうということが必要だと思います。そして、純粋な個人が利益を取得する、しないの問題については、百万円も一円もゼロも同じだという考え方は、これはどうしたって成り立たないというふうに思います。この点も整理をしてもらわなければ、問題の解決はできないというふうに思いますよ。これはだれが罪だ、法律が罪じゃないというお話があったが、政令が罪であり、政府が間違ったことをやっておったり、行政当局の見解の不一致というものがこういう問題を起こしているのだということを十分ひとつ大臣御認識いただいて速やかにこの問題を解決するということの趣旨を御確認いただければ、これで質問をやめますけれども、いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 文部省とよく打ち合わせると。その打ち合わせることも、よく教育目的というものをこちら側でよく理解した上で、実態に即してできるだけ教育目的を達成できるように税務当局としても配慮できるような工夫を政令、通達段階で考えて、いまの御指摘の問題については実のある解決をいたしたいものと思います。
○野々山一三君 じゃ、せっかくの大臣のお答えですから、私はこの際、ここで質問は打ち切りますが、状況によって逐次この委員会でも報告をされるように、そして意見を聴取するようにしてほしいということを希望として申し上げておきます。 —————————————
○委員長(桧垣徳太郎君) この際、委員の異動について報告いたします。 本日、藤田正明君、藤田進君が委員を辞任され、その補欠としてそれぞれ山崎竜男君、戸田菊雄君が選任されました。 —————————————
○委員長(桧垣徳太郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 御異議ないと認めます。 午後六時まで休憩いたします。 午後一時二十八分休憩 —————・————— 午後六時二十五分開会
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 相続税法の一部を改正する法律案を議題といたします。 辻君から委員長の手元に相続税法の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されております。修正案の内容はお手元に配付のとおりでございます。 この際、本修正案を議題といたします。 辻君から修正案の趣旨説明を願います。辻君。
○辻一彦君 ただいま議題となりました相続税法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、日本社会党、公明党及び民社党を代表し、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。 案文は、すでにお手元に配付してございますので、その朗読は省略させていただきます。 政府原案は、地価の高騰、物価調整等の理由のもとに控除額の引き上げ、税率の引き下げ等を行い、負担の軽減を図ることとしておりますが、その内容にはいろいろと問題点が見受けられるのであります。 本修正案は、その中から特に改善を要するものとして、次の二点について修正を行おうとするものであります。 その第一は、妻の座優遇の名のもとに、現行の婚姻期間二十年の場合の遺産額三千万円という非課税限度を一挙に取り外して、婚姻期間制限なし、遺産総額の三分の一以内であれば金額的には青天井としておりますことは、税制における資産家優遇の最たるものであります。 この改正により恩恵を受けるのは、わずか千数百人の金持ちの妻の座であり、しかも、現行では、何千万円、何億円とかかる相続税がただになるのであります。これはまさに、三木内閣の表看板としている社会的不公正の是正に逆行するものであります。 以上の観点から、修正案の第一は、遺産総額の三分の一の非課税限度について、最高一億円の金額的制限を設けることといたしております。 第二に、政府原案では、前に述べましたとおり、相続税の配偶者の税額軽減については、婚姻期間の制限を外しながら、贈与税の居住用不動産の配偶者控除については二十年の期間制限をそのままにしておりますが、これは著しく片手落ちな取り扱いであり、妻の座優遇の見地から首尾一貫しないものであります。 税制上、妻の座を優遇するということは、財産が夫と妻の共同作業ででき上がったものであるからであり、婚姻期間二十年というのは余りにも長いし、その根拠は薄弱であります。 相続税と贈与税とはその性格が違うとしても、これでは余りにもその差が大き過ぎると考えるものであります。 そのような見地から、贈与税における配偶者控除の適用要件の一つであります婚姻期間につきまして、現行の二十年以上を十年以上と短縮することにいたしたものであります。 以上の二点が修正案の概要であります。 何とぞ御審議の上、御賛成賜りますようお願いを申し上げます。
○委員長(桧垣徳太郎君) それでは、ただいまの修正案に対し質疑のある方は順次御発言願います——別に御発言もないようですから、これより原案並びに修正案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようでございますから、これより直ちに採決に入ります。 相続税法の一部を改正する法律案及び同案に対する修正案について採決いたします。 まず、辻君提出の修正案を問題に供します。 辻君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 可否同数と認めます。よって、国会法第五十条後段の規定に基づき、委員長において本案に対する可否を決します。 本案については、委員長はこれを否決すべきものと決定いたします。 それでは次に、原案全部を問題に供します。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 鈴木君から発言を求められておりますのでこれを許します。鈴木君
○鈴木一弘君 私は、ただいま可決されました相続税法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党、第二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 まず、案文を朗読いたします。 相続税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、左記事項の推進に努めるべきである。 一、相続税課税の本来の趣旨に則り、税率及び課税最低限について引き続き検討を行なうこと。 一、公益事業用財産に対する課税については、相続税の非課税財産規定に従い、現状において明確を欠く個人立公益事業用財産につき、必要な制限を付した上、特別の措置を講ずること。 一、相続後引き続き用に供する中小企業者の事業用財産、標準的な居住用財産は、相続税課税によりその維持に困難をきたしている現状にかえりみ、土地評価についての改善等の配慮を行なうこと。 右決議する。 以上でございます。
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいま鈴木君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 全会一致と認めます。よって、鈴木君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、大平大蔵大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大平大蔵大臣。
○国務大臣(大平正芳君) 政府といたしましては、ただいま御決議いただきました附帯決議につきまして、その趣旨を十分尊重いたす所存でございます。
○委員長(桧垣徳太郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上三法案を便宜一括して議題といたします。 政府から趣旨説明を聴取いたします。大平大蔵大臣。
○国務大臣(大平正芳君) ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案外三法律案につきまして提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 初めに、所得税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 政府は、昭和四十九年度税制改正において所得税の画期的な減税を行ったところでありますが、昭和五十年度においても、今次の税制改正の一環として、最近における国民負担の状況にかんがみ、各種所得控除の引き上げなどにより所得税負担の軽減を図るため、ここにこの法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。 第一は、人的控除の引き上げであります。 すなわち、基礎控除、配偶者控除及び扶養控除を、それぞれ現行の二十四万円から二十六万円に引き上げることといたしております。この結果、昭和五十年分の課税最低限は、昭和四十九年度の所得税減税の平年度化が大きいことをも反映して、夫婦と子供二人の給与所得者の場合で、昭和四十九年分の百五十万円から百八十三万円へと三十三万円程度引き上げられることになります。 第二に、福祉政策等の見地から障害者控除等の特別な人的控除についても、一般的な控除とあわせて引き上げを行うことといたしておりますが、その引き上げ幅は一般的な控除の倍額といたしております。 すなわち、障害者控除、老年者控除、寡婦控除及び勤労学生控除を、それぞれ現行の十六万円から二十万円に、特別障害者控除を二十四万円から二十八万円に引き上げますとともに、老人扶養控除を二十八万円から三十二万円に引き上げることといたしております。 第三に、退職所得の特別控除額を、勤続年数二十年までは一年につき二十五万円、勤続年数二十年超については一年につき五十万円に引き上げることといたしております。この結果、勤続年数三十年の場合の退職所得の特別控除額は、現行の八百万円から一千万円に引き上げられることになります。 第四に、中小企業対策の一環として、白色申告者の専従者控除を現行の三十万円から四十万円に引き上げることといたしております。 第五に、医療費控除について、医療費支出の実情に即しつつ、その拡充を図るため、最高限度を現行の百万円から二百万円に引き上げますとともに、いわゆる足切り限度のうちの定額基準を現行の十万円から五万円に引き下げることといたしております。 第六に、山林所得等の特別控除額の引き上げを行うなど、実情に応じたきめ細かな改正を行うことといたしております。 すなわち、山林所得、譲渡所得及び一時所得の特別控除額をそれぞれ現行の四十万円から五十万円に引き上げますほか、給与所得者が確定申告を要しない限度額を、年間給与収入については現行の八百万円から一千万円に、給与以外のその他の所得については現行の十万円から二十万円にそれぞれ引き上げ、また、予定納税を要しない予定納税基準額の限度額を現行の三万円から五万円に引き上げるなどの措置を講ずることといたしております。 ————————————— 次に、法人税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 政府は、今次の税制改正の一環として、同族会社の留保所得に対する課税を軽減し、また商法改正に伴う制度の整備を図るため、ここにこの法律案を提出した次第であります。 すなわち、第一に、同族会社につきましては、各事業年度の留保所得のうち一定の控除額を超える部分について、特別の税率により法人税を課税いたしておりますが、この場合の定額控除を現行の年一千万円から年一千五百万円に引き上げることといたしております。 第二に、法人税の確定申告書は、各事業年度終了の日の翌日から二月以内に提出しなければならないこととなっておりますが、改正商法の施行に伴い、会計監査人の監査を要する等の理由により決算の確定がおくれることとなる法人につきましては、一定の条件のもとに、その提出期限を一月延長することができるという制度を設けることといたしております。 ————————————— 最後に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 政府は、今次の税制改正の一環として、利子・配当課税の特例の見直しを初めとして租税特別措置の整理合理化を推進するとともに、福祉対策、公害対策その他に資するための所要の措置を講ずることとし、ここにこの法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。 第一は、利子・配当課税の改善合理化であります。 すなわち、利子・配当所得の源泉分離選択課税制度について、選択税率を二五%から三〇%に引き上げました上、その適用期限を五年延長することといたしております。 第二は、土地譲渡所得課税の適正化であります。すなわち、個人の長期譲渡所得の分離比例課税制度は適用期限の到来とともに廃止し、新たに五年間の時限措置として、譲渡益二千万円以下の部分については、二〇%の税率により課税し、譲渡益二千万円超の部分については、本則の二分の一総合課税にかえて四分の三総合課税とすることとし、また、短期譲渡所得の分離重課制度の適用期限を五年延長する等の措置を講ずることといたしております。 第三は、既存の特別措置の整理合理化であります。 すなわち、海外投資等損失準備金について、先進地域に対する投融資で資源開発以外のものに係る制度を廃止しますとともに、価格変動準備金制度について、後入れ先出し法により評価しているたな卸し資産をその対象から除外するなどの整理合理化を行うことといたしております。 第四は、農地に対する相続税の納税猶予制度の創設であります。 すなわち、農地の相続人が農業を継続する場合に限り、農地価格のうち農業投資価格を超える部分に対する相続税の納税を猶予することとし、その相続人が次の相続までまたは相続税の申告期限後二十年間農業を継続した場合には、猶予税額の納付を免除することといたしております。 第五は、福祉対策に資するための措置であります。 すなわち、老年者年金特別控除額を六十万円から七十八万円に引き上げますとともに、障害者を雇用する場合の割り増し償却制度の適用期限を二年延長することといたしております。 第六は、勤労者財産形成、住宅対策に資するための措置であります。 すなわち、住宅貯蓄控除制度の控除割合及び控除限度額を引き上げますとともに、住宅取得控除制度及び新築貸家住宅の割り増し償却制度について、その適用期限を二年延長することといたしております。 第七は、中小企業対策に資するための措置であります。 すなわち、中小企業構造改善計画等に基づき、中小企業者が負担する試験研究費賦課金を任意償却の対象に加えますほか、中小企業新分野進出計画に基づき廃棄される施設等について加速償却を認めることといたしております。 第八は、公害対策に資するための措置であります。 すなわち、昭和五十一年度の自動車排出ガスに係る保安上の技術基準に適合する乗用自動車及び電気を動力源とする乗用自動車の開発普及を促進するため、一定の期間、物品税の課税標準を減額することといたしております。 第九は、資源対策に資するための措置であります。 すなわち、探鉱準備金及び新鉱床探鉱費の特別控除制度の対象に海外自主開発法人からの引き取り鉱石に係る採掘所得を追加いたしますとともに、海外投資等損失準備金制度について、対象資源等の拡充を行うことといたしております。 以上のほか、交際費の損金不算入制度等、期限の到来する措置について、実情に応じその適用期限を延長する等所要の措置を講ずることといたしております。 以上、所得税法の一部を改正する法律案外二法律案につきまして、その提案の理由と内容の大要を申し上げました。 何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(桧垣徳太郎君) これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○寺田熊雄君 大蔵大臣にお尋ねをいたしますけれども、現行の所得税法によりますと、配当所得につきましては、標準世帯の場合、現実に課税対象となるのは四百万円以上でないと、課税の対象になりませんね。これは勤労所得の場合と比較いたしまして、著しく均衡を失するように思いますが、これについて大臣の御所見いかがでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) これは日本の税制が、法人につきまして擬制説をとっておりまする関係上、配当につきまして第一次的に法人税がかけられておるということに起因するわけで、決して私は不均衡になっているとは思いませんけれども、具体的な御質問でございますので、主税局長から御答弁させます。
○政府委員(中橋敬次郎君) 大臣からお話がございましたように、わが国の法人税が、法人が利益を得ましたものについてかかるわけでございまするけれども、その課税済みの利益から払われます配当を受け取ります側におきまして、法人の段階でかけられました法人税を調整する制度をとっておるわけでございます。 したがいまして、株主が法人でございますれば、その受け取り配当についての益金不算入制度というのがございますし、株主が個人でございますれば、受け取りました配当について、配当控除制度があるわけでございます。 それで受け取りました、個人につきまして申しますと、受け取りました配当の通常は一〇%がその納めるべき所得税から引けるわけでございます。その配当控除制度で控除できる所得税がありますために、夫婦及び子供二人の家庭におきましては、配当だけを受け取りました場合には、四百五万円まで所得税がかからないということになるのは、御指摘のとおりでございます。しかし、その受け取りました配当につきましては、法人の段階で法人税が二百二十八万円かかっておるわけでございます。それを受け取りました個人株主の段階で調整しようという制度をとっておりますために、受け取りました個人の段階では、所得税を納めることがないという結果になるわけでございます。
○寺田熊雄君 これは諸外国の例と比べまして、諸外国の場合は、たとえばイギリスの場合法人税を五二%にしておりますね。わが国の場合はこれが四〇%ですね、そのかわりイギリスの場合は俗にインピューテーションシステムですか、そういうものをとっておることは、局長よく御存じでしょうけれども、それとの比較において考えた場合が、一つの問題点がありますが、それから法人の段階で取ったからといって、そのゆえに勤労所得との不均衡が解消するというところまではちょっと言い切れないんじゃないだろうか。あくまでも所得税を個人の所得、個人が納める税額というその立場で論じていかなければいけないので、その上の法人の段階で納めているからといっても、個人の立場においての不均衡というものは、それで解消するというまではちょっと言い切るのは無理じゃないかと思いますが、この二つについてどうですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) あとの方の御質問の、個人につきまして所得税を取っておることはそのとおりでございますけれども、問題は、法人の段階で、配当の原資になりました法人の利益について納めました法人税を、受け取りの株主たる個人の段階の所得税で調整する必要を認めるか認めないかという制度の問題であると思います。それで、おっしゃいますように、たとえば英国におきましては、そういう制度を最近の改正によりまして、いわばまあインピューテーション方式としまして、十分その調整をやろうという制度に切りかえたわけでございます。その切りかえの前には、また全然調整をやらないでおいておこうという制度を短期間とった時期がございまして、そのまた前には完全に調整しようという時期がございました。それから余り調整を要しないという国としましては、アメリカがございます。それからたとえば、フランスにおきましては、二分の一につきましては調整をしようという制度をとっておりますし、ドイツにおきましては、わが国のような配当軽課の税率をとりながらも、受け取り株主の段階で調整を要しないという制度をとっておりますけれども、現在改正法案を提出中でございまして、その案によりますれば、やはりまたこれもインピューテーション方式を全面的に実施しようというような考え方でございまして、それぞれ各国の法人税に対する調整の是非ということについていろいろな考え方がございますし、また同じ国につきましても、先ほど御説明しましたように、歴史的にこう揺れ動いておるようなところがございます。わが国は、シャウプ勧告の時期以後完全に、その前から少しそういう調整をし始めたのでございますけれども、主としましては、シャウプ勧告を採用いたしました昭和二十五年以後、完全な調整ではございませんけれども、先ほど御説明いたしました配当控除という形で、受け取り配当の何%を所得税から引くという制度をとってまいったわけでございます。しかし、漸次その配当控除の率を減額してまいりました。三十六年に配当に対する法人税率を今日のように軽課をいたしました。そのときには、法人税率が下がったわけでございまするから、配当控除の率を四分の一削減するということもいたしまして、今日に至った次第でございます。 そこで、今後におきます、こういう法人利益に対する法人税を、そこから払われる配当について調整すべきかどうかということは、先ほど申しました各国の例、あるいはわが国の今日までの歴史というものを考えあわせながら、税制調査会におきまして、法人税の基本的な仕組みというものをもう一遍根本的に御検討いただくということで、御議論を願い始めておるところでございます。
○寺田熊雄君 その間の脈絡を、法人と株主との間の税金にまで波及さしていく、リンクさしていくというのは、結局法人擬制説がやっぱり基本になっていますね。ただ、いまの、たとえば大法人などを見てみますと、これはもう何人がこう揺り動かしても、これはびくともしないような社会的な実在というものをしっかりと持っておるわけですね、それが国際的にまで活動の範囲を広げて、日本の経済に恐ろしい影響力さえ持っています。また、政治献金なども、これは個々の株主の意思なんというものを全く無視した、独自の人格というか、独自の主張というものを強く押し出して、そうしてその好むところの政党に献金していく、たとえば株主が、個人的な者の数からいったら、これは社会党なら社会党、あるいは公明党なら公明党の支持者の方が多いかもしれない、しかし、法人としては独自の意思というものを決めて、そうして自民党なら自民党に献金していく。これはもう個々の株主の意思の離れた社会的な実在としてとらえないと、どうしても解釈できないわけですね。だから、何か古くさい法人擬制説というようなものに執着して、そうして税金まで法人とその構成員である株主とをリンクさせようとするのは実態に合わない。しかも、個人の段階における不公平というものは、これは消しがたいものがあるんですね。われわれは常に現在の税制の不公正ということについて、この問題をとらえて説得するわけです。何人もこれを了解するわけです。そんなリンクさしているからして、結局、公平さにおいて変わりないなんて言っても、素朴な庶民感情では理解し得ないものがある。これはやっぱし四百五万円まで——片っ方はこれは不労所得ですからね、不労所得で四百五万円まで非課税である、片っ方は営々と額に汗をして、しかも、百八十三万円しか非課税の限度がない、この不均衡は消しがたいものがある。だから、これはやっぱしもう少し検討すべきであると私は考えますが、どうでしょう。大臣、これは政治的な問題ですから。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおり、法人をどうとらえるかということだと思うんでございまして、これのとらえ方が、世界的に思想上揺れ動いておるということだろうと思うんです。わが国におきましても、税制におきましては、擬制説をとりながら、政府・与党は政治資金の大半を法人に仰いでおるという状態なんでございまするし、仰せのように、これは思想的にどのように整理していくか、税制全体の中で考え抜いていかなければならぬことと思うんでございます。で、先ほど局長も御披露申し上げましたように、税制調査会で御検討をいただき始めておるようでございます。本委員会におきましても、さらに発展した御議論が拝聴できると思いまするし、また専門家の御意見も十分私ども虚心に聞いてみたいと考えております。
○寺田熊雄君 大臣のいまの御答弁は、税制調査会や、当委員会の意見を十分に聞いて、これについて新しい角度から検討を進めていくと、こういうことに承ってよろしいですか。
○国務大臣(大平正芳君) 常に検討を進めて改善.すべきものは改善していくという姿勢でなければならぬと私は考えております。
○寺田熊雄君 その問題は大臣の御誠意といいますか、それを信頼してこれで終えますが、時間もないようですから、最後に一つだけお聞きしたいのは、労働組合、これは勤労大衆というものは、大部分が労働組合に多かれ少なかれ所属している。もっとも非組合員——組合かまだ組織されていない職場というのもかなり多いわけですけれども、しかし、一千万を超える勤労者というものが労働組合に加入しておるわけですね。その労働組合費というものは、もう毎月かなりの額が給料から差っ引かれているというのが、いまの日本の現状なんですね。これを所得から特別に控除すべきではないかというふうに考えるんですが、この点はいかがですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 労働組合費を労働者が多数払っておることはおっしゃるとおりだと思います。それで、今日のわが国の所得税では、給与所得につきましては、給与所得控除ということで、概括的に一括しまして、それに要しますいわゆる必要経費も引いておりますし、また給与所得に伴いますところのいろいろな担税力というものに対する配慮もしておるつもりでございます。 そこで、おっしゃいますように、労働組合費がいわゆる給与所得を得ますための必要経費であるかどうかという問題につきまして、いろいろ御議論がございますけれども、今日のわが国の給与所得控除の制度が、先ほど御説明しましたように一括控除の制度でございますので、その中に含まれておるかいないかということについては、十分議論をする必要もないままに今日に至ったわけでございます。 おっしゃいますように、かなりの給与所得者がそれを払っておりますから、そういう給与所得控除と別建てにそれを引くべきでないかという御主張だと思いますけれども、私どもはやっぱり一括しまして、そういう必要経費も含めまして、給与所得控除という制度がありますから、その中で引かれるものは引かれますし、それをさらに別建てで控除するという制度は、今日の給与所得控除をとっております以上、なかなかむずかしいというふうに考えておるわけでございます。
○寺田熊雄君 いまの御答弁だと、現行の給与所得控除、一括控除ね、それが労働組合費というものを予定しておったのか、つまりその中に包摂したものとして制度化されたのか、それともそういうものは全く予想しておらずに決められたものか、その点があなたの御答弁じゃはっきりしないんですよね。そこをはっきりさせてもらいたい。
○政府委員(中橋敬次郎君) その点は、給与所得控除制度を設けましたときに、十分、どんな必要経費がこの中に算定されるべきであるかという議論は実は行われていなかったと思います。今日、たとえば労働組合費がそれではその中に入る必要経費なのかどうかという御議論はいろいろ行われておりますし、またそれについての私どもの公式的な見解というものはなかなか一致をしないわけでございますけれども、それでは、労働組合費が一体必要経費であるかどうかということを詰めてみましても、いまの概括控除制度のもとにおきましては実益もございませんので、そこまでやっていないわけでございます。実額控除制度をとりますれば、確かに一体どういう経費が給与所得を得るために必要な経費として認められるべきかという規定が必要になるわけでございまして、現にそういう実額控除制度を認めております国におきましても、ある国はそういうものを実額控除の中に入れておる国もございますし、また認めないという国もございます。ですから、そこのところは、今日のわが国の給与所得控除制度のもとにおきましては、あまり詰めていない現状でございますし、またそれを詰める必要もないということで今日までやってきたと思っております。
○寺田熊雄君 必要がないというのは、いままでそういう論議が余り行われておりませんでしたから、あなたの御答弁がそういうふうになると思うんですけれども、いま労働組合費というものが次第に多額になってきまして、御承知のように一ヵ月に、給与全体が上がっていますからして、その一%というようなものでも非常に額が多い。しかも、ストライキなどをやる場合に、特別な組合費の徴収というものもあり、それから組織内の候補者を出す場合に、特別な組合費というものを徴収するということになると、かなりの額、これは万単位の額が事実上強制的に徴収されるというものになるんですね。ですから、これはもう現実の必要になってきたわけです。 それからもう一つは、あなたの実態の把握が大切だと思うんですが、未組織の組合の場合に、三十年間も勤続した人が、わずかに四万円の給与しか得られなかったというのがあります。ところが労働組合をつくって、そんなばかなことあるかという、組合運動の成果として一挙にそれが倍額の八万円になったというような実例があるわけです。そうなると、それはやはり労働組合運動の成果として給与というものは倍額になって得られたんだという、これは評価を受けざるを得ないわけです。ですから、それはやはり給与の、これはもう収入の否定しがたい必要経費だということが現実に言えると思うんです。何か恩恵的に使用者が給料を望ましい程度に上げていくというようなことは実態にそぐわないわけですね。ですから、これは真剣に検討してもらいたい。やはりこれがもしあなたの方に一括控除の額に加わっていないというならば、それはやっぱり一括控除の額に加えた計算で、その額を盛っていただかなければいけませんし、特別控除の制度を設けて、これを控除するなり真剣に検討していただきたいと思うのですよ。
○政府委員(中橋敬次郎君) 昨年の大改正におきまして、所得税の給与所得控除というのを大幅に引き上げていただいたわけでございます。それで最低が五十万円、あるいは低い給与のところでは四〇%ということになったわけでございまするから、私どもはかなり、いわゆる必要経費を個別に積み上げてみましても、それを上回るところの給与所得控除というのが昨年の改正で実現できたのではないかというふうに思っております。そのほかに、さらに給与所得のいわゆる担税力の弱さとか、源泉徴収に伴いますところの前払いをせざるを得ないというようなものとか、いろんなものを積み上げてみましても、やはりかなりその中の要素としましては、給与所得に伴いますところの特別に要する配慮というものも勘案して、昨年の大きな改正が行われたのではないかと思っておりますので、おっしゃいますように、労働組合費が非常に上がってまいりましたとしましても、仮にそれを必要経費として中へ入れて計算しましても、そのほかのいろんなまた必要経費を加算いたしましても、現行におきますところの給与所得控除の高さというのは、それは相当高い水準であると思っております。そういう点から言いまして、特に労働組合費がありますがために、給与所得控除をさらに引き上げる必要がいま直ちに起こるかとか、あるいは別枠でそういうものを考えなければならないというような事態では今日はないというふうに考えております。
○寺田熊雄君 それですと、労働組合費を納めずに、他の労働組合運動の成果が自然に波及して同じ給与に達したという人と、他の労働組合の先頭に立って組合運動をして、全体のレベルを引き上げることに非常に貢献した人と不均衡になるのですよ。御承知のように労働組合では、一生懸命労働組合運動をやって給与を引き上げるための、いわゆる全体を引っ張っていく牽引車の役割りをする組合がありますね。そういう人と、日和見で何にもせずにその成果を均てんするという人とある。非常に不均衡になるんですね。それからまた、組合を組織してない人も、ある程度、組合運動の成果で全体が上がることによって、自分の給与も自然に上がっていくということがあるわけで、そういう点の不均衡を考えましても、これはやはり真剣に考慮していただくべきことだと思いますよ。 それともう一つは、局長のおっしゃるのは、全然考えていなかったようにもとれるんで、考えていなかったとすると、やはりそれを考慮してどうしても制度化する必要というものが、やっていただかないと課税上の不均衡を生ずる。もうちょっとそこら辺は検討してもらいたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) 今日におきますわが国の給与所得控除制度は、先ほども御説明しましたように、概括的な控除でございまするから、人、人によりまして、あるいは多く必要経費がかかった人については、その分の余裕が少なくなっておる、あるいは少ない必要経費の人には、他の人に比べて余裕が多いという御批判は避けがたいと思っております。それが概括控除の、執行面もいろいろ考えました制度の結果でございます。非常にその概括控除では収容し切れないというようなことになりますれば、外国で採用しておりますように、実額控除制度というふうなものも検討しなきゃならないと思いますけれども、先ほど申しましたように、かなり高い水準に給与所得控除の線を設けておきますれば、私はあえて概括控除制度に加えまして実額控除制度を導入する必要はないんではないかと、しかも、そういうことを意図しまして、昨年の大改正においてはかなり思い切ってそういう点の配慮がなされたというふうに思っておるわけでございます。それで、一体それでは四〇%なら四〇%の率を算定いたしますときに、どういう経費が積み上げて計算されましたかということになりますと、おっしゃいますように一つ一つの費目について別に積算したものではございません。やはり従来からの経緯、それから先ほど申しましたようにある程度概括的でございまするから高目にやっておる、しかも、給与の低い方に厚くしておくというような制度で今日でき上がっておるんだと思いますから、その中の費目に一つ一つこういうものは入ってる、入ってないという分別計算は実はやっていないわけでございます。
○寺田熊雄君 あまり時間がないようですから論戦はこの程度にしてあれしたいと思いますが、大臣、これはやはりまああなた方の政党の性格として無理もないような気もするけれども、やはり労働組合、勤労大衆のそういう事実上の必要経費というものに対する尊重というか、それをもうちょっと考えていただきたいと思うんですよ。大臣、そのあなたの政治的見解をはっきりとここで最後にお聞きしたいと思うんです。
○国務大臣(大平正芳君) いま局長からもお話がございましたように、いまの勤労所得控除、これまあ概括控除でございまして、四十九年度は相当大幅な控除になっておるようでございます。ここ二、三年大変飛躍的な増額になってきておるわけでございますので、まあ寺田さん御心配の組合費の負担というものは確かに最近増高の傾向にあるんでございましょうけれども、そういうことをのみ込んで十分の余裕がいまの所得控除の中にあるように私は思いますが……。
○寺田熊雄君 じゃ、委員長、これは後日の論戦にまた譲りまして……。
○委員長(桧垣徳太郎君) 本法案に対する本日の質疑はこの程度といたします。 —————————————
○委員長(桧垣徳太郎君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の審査のため、明二十六日参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 御異議ないと認めます。 なお、人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 御異議ないと認め、よう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後七時十分散会 —————・—————