大蔵委員会 第10号
- 発言数
- 375 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1975/03/20
会議録
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 相続税法の一部を改正する法律案及び入場税法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は、順次御発言を願います。
○辻一彦君 私、きょう農地の相続税の問題と、それから入場税の一部につきまして若干の質問を行いたいと思います。 第一には、最近とみに農家の相続税が過重になって、農業継続の大きな問題となってきております。これは都市近郊に限らず、全国的な状況にあると言えますが、その基本的な原因は相続する農地の評価額の高騰にあるというように思われます。 そこで、評価額の高騰状況について、過去十年の推移を、純農地、中間農地、市街地周辺農地に分けて、田畑の区分で若干の御説明をお願いいたしたい。
○政府委員(横井正美君) 御説明申し上げます。 相続税の評価につきまして全国的に種類別の平均上昇率は調べておらないわけでございますが、農地の評価につきまして、数地点につきましてサンプル調査をいたしましたところでは、四十一年分と四十九年分の評価額の比較でございますが、純農村の農地につきましては、田畑ともおおむね二倍程度の上昇率を示しております。都市の近郊農地につきましては、四倍程度から十倍を超える伸び率を示すものもある、こういう状況でございます。
○辻一彦君 非常に農地の価格が、都市近辺はもちろん全国的に非常に上がっている。そこにこの相続税の改正の問題が出てきたものと、こう思われます。そこで、農地などの相続税の制度改正に当たっては、税制問題としての視点からだけではなしに、日本農業のあり方、食糧自給体制をどう確立するか、あるいは農民の生活防衛、また自然環境保護等の立場から対処すべきでないかと、こう思いますが、これについてどうお考えになっておられるか、その点をお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(梶木又三君) 直接的税制、ただいま御審議願っております相続税等は、私ただ細分化されるやつを残すという意味においては、あるいは関係があるかもわかりませんが、直接的には農林省の方でお考えいただきますところの全般的な農政ということで考えるべき問題じゃないかと思うわけなんです。今度、御審議願っておりますのは、いまちょっと申し上げましたように、評価額が上がってきまして、御承知のとおり、後継者がまるまる親から農地を受け継がれないと、こういうことを防ぐということで今回の相続税の免除、こういうことを御審議願っておるわけでございますので、そういう意味でございますので、いま辻委員御指摘の農業振興とか、そういう観点から見れば、それはあくまでも全般的な農政として考えるべき問題じゃないかと、大蔵省としましては、かように考えるわけでございます。
○辻一彦君 農林省は見えておりますか。まあ大蔵省の考えはそれとして、農林省で、これは三代相続すれば、いまのままだと孫の代で農地をほとんど手放さざるを得ないという、こういう事実が間々あったわけですが、そういう点から、この食糧自給体制や日本農業のあり方という観点から農林省としては、この税制を単に税制の立場からでなしに、先ほど申し上げたような観点から考えていくべきであると、こういうふうにお考えになっておられるかどうか、その点いかがでしょうか。
○説明員(関谷俊作君) 今回の相続税の納税猶予制度が設けられる過程におきましては、農林省としましては、いま御質問にもございましたが、農地の保全、それから食糧供給の基盤確立、そういう意味からこの相続税の問題非常に重要と考えまして、いろいろ事情も大蔵省に御説明をし、また要望もしたような次第でございます。基本的な考え方としましては、やはり農地を農業に継続的に使っていく場合の農業継続、同時に農地の保全、そういうことから考えますと、現実の従来の相続税の評価状況から見ますと、やはり相続に際しまして農業経営の継続がなかなか困難になる、こういう事態もあるのではないか。あるいはこれからそういう事態がますます出てくるのではないかということを懸念いたしまして、そういう意味合いから相続に際して農業経営を維持継続する、農地を保全する、こういうことを通じまして食糧の生産基盤をしっかり確立していく、こういう意味合いでこの種の制度は必要である、こういう考え方から要望をし、また事情を説明して御協議したような次第でございます。
○辻一彦君 大蔵の方にお伺いしますが、農林省としてはそういう点から強い要望を行ってそれが一つの今度の税制改正の力になっておった、ポイントになっておった、こういうことでありますか、私は、いま次官もお話しの、御発言ありましたが、税制の立場と同時に、農業政策といいますか、そういう両方の立場からこの問題はやっはり十分考えてこられたんじゃないかと、こう思いますが、その点重ねてお伺いいたしたい、いかがでしょう。
○政府委員(梶木又三君) 当然いま辻委員御指摘のとおり、別個のものじゃないということは同感でございますが、ただこの納税の猶予制度だけで私は農業が必ずしも振興できるとは思わないんです、そういう意味で先ほど申し上げましたように、総合的な農政という範疇の中に農業振興というものは考えるべきじゃないかと、ただこれはいま農林省からもお話ございましたが、細分化されますと、農業やりたくてもやれないと、こういう事情がございますので、当然これも一つの大きな手段であることには間違いないわけでございますが、ただこれだけで、私の言いたいのは農業が必ずしもりっぱにできるものじゃない、こういうことを申し上げておるわけでございます。これも大きな一つの手段であることには間違いございません。
○政府委員(旦弘昌君) いま政務次官がおっしゃいましたとおりでございます。ただ若干つけ加えさせていただきますと、農業であれ、ほかの産業でございましても、いずれも、その産業といたしましての重要性ということにつきましては変わらないという感じを持っております。ただ農業が非常に違っております点は、もし現行の線引きが非常に確立して強固なものでありますれば、これは農地として線引きされた場合には、もう農地以外には使えないと。それから将来も長きにわたってその線引きは変わらないんだということが確立しておりますれば、現在のような農地の宅地含みの高い価格ということは起こり得ないわけでございます。したがいまして、そこのところが農業とその他の産業との非常に大きな違いでございまして、そこの農業自身の意図せざるそういうような要因によりまして、宅地含みの価格というものが最近特に実現してきておる、そういう事態を踏まえまして、私どもとしては、そこに特異性を認めてこの新しい制度をつくったわけでございます。したがいまして、その制度が確立しました暁には、いま政務次官が申し上げましたように、農業の農地の細分化も防がれるという効果は期待されるわけでございますが、初めの考えのもとは、そういうような農地の特殊性というところに起因するものであることをつけ加えさしていただきたいと思います。
○辻一彦君 先ほどの政務次官の発言にもありましたように、これらの税制と、それから農業政策の両方の立場から十分考えてなされておる、こういうことでありますね。いまそこで補足もありました。 そこで、農地の評価額については、農地から上がる収益に見合った評価が最も適切だと思いますが、農地の固定資産評価額がそうした方式を採用してやっている、こういうことを考えますと、改正案にもそれが織り込まれてしかるべきであると考えますが、政府の考え方いかがでしょうか。
○政府委員(旦弘昌君) 土地の評価につきましては、相続税法の基本は時価ということでございます。そしてその時価をどうやって求めるかという方法にはいろいろあろうかと思いますが、現在、私どもがとっておりますのは、いわゆる収益還元価格ではない。そして実際に農地が農地として取引されるならば幾らで売買されるであろうかということがやはり時価ではないかと思うわけでございます。特に農地の時価につきましては、先ほど申し上げましたようないろいろな問題がございますけれども、現在の私どものたてまえといたしましては、やはり相続税法にのっとりましてその適正な時価を見出していくべきではないかというふうに、かように考えておる次第でございます。
○辻一彦君 今回の改正案の中では、農地の評価額は、時価評価一本から変わっていないんですか、どうなんですか。
○政府委員(旦弘昌君) 基本的には時価の評価ということであるべきであると思います。ただ現在の、特に都市近郊の農地の時価というものは、本来の農地としての時価ではなくて、さらに宅地含み——将来宅地に転換されたであろうならば、こういうふうな価格で売られるであろうということが一般の常識になっておりますので、そこに引っ張られて高くなっておるという要因がございますので、その辺を、もし農業を続けていかれるということでありますならば、その辺は評価してしかるべきではないか。もしそれを宅地に売られるということであるならば、当然、時価はその宅地含みの価格で売られるわけでございますから、それで課税されるのが当然ではないかと、かように考えておる次第でございます。
○辻一彦君 じゃ、その改正案によりますと、相続税の計算のもとになる農地の評価について農業投資価格なる新しい評価額を算出したいと、こうしておりますね。この評価額は、いわゆる農業投資価格というものは一体どういうものを意味しておるのか、これをひとつお伺いしたい。
○政府委員(旦弘昌君) この法律案に申しております「農業投資価格」と申しますのは、恒久的に農業の用に供されるべき農地として、そういうものとして取引される場合、その場合に通常成立すると認められる価格ということを考えております。言いかえますと、実際の宅地含みで現在は売買されておるというのが現状でございますから、その実際の農地の売買価格から、将来その農地が宅地として転売されれば非常に高く売られるという、いわゆるその宅地含みの部分を控除した金額が農業投資価格になると思います。
○辻一彦君 いま御答弁のように、改正案の中を見ますと、この「農業投資価格とは、特例農地等に該当する農地、採草放牧地文は準農地につき、それぞれ、その所在する地域において恒久的に耕作又は養畜の用に供される」云々と、こうありますね。そして「通常成立すると認められる価格として当該地域の所轄国税局長が」きめると、こうなっております。 そこで、この農業投資価格の基準について二、三点伺ってみたいと思います。 第一は、恒久的に農業の用に供される農地であるなら、転用目的の見込み、あるいは譲渡見込み、思惑、こういうものは全く加味されないと、こう考えていいんでしょうか。
○政府委員(旦弘昌君) 具体的な評価につきましては、国税庁の方からその方法等については検討されておると思いますが、いま申し上げました農業投資価格は、将来長きにわたりましてその農地の相続者が農業を継続していくということを宣言されるわけでございます。したがいまして、一種の税法上における一つの線引きをそこに行うわけでございます。したがいまして、将来それが転売されるというような要素、いまおっしゃいましたような要素はその中に入らないということになると思います。
○辻一彦君 そういうものは入らないということですね。それでは、全く加味されてないとすれば、そういう要素はもう完全に取り除かれるべきものであると、こういうふうに確認していいんですか。
○政府委員(旦弘昌君) 将来、転売されます場合には、それが恐らく宅地含みの価格で転売されるのが現状でございますから、そういう宅地含みの部分については含まれないということでございます。
○辻一彦君 それは周辺の農地がたとえ転用の目的で売られた実例があったとしても、これは転用目的で売るとすればかなり高い値段で事実売るという、そういう実例が出てまいりますね。その場合でも農業投資価格の基準は宅地含みなど全く取り除いたものである、こういうように言えるわけですか。
○政府委員(旦弘昌君) さようでございます。周辺の農地が転用の目的で売られる場合には、それはあくまで純粋の農地としての価格ではございませんで、恐らく宅地等に使われるということでかなり高い値段になるわけでございます。それは現在もそういう実勢でございますが、そういう要素を排除した価格であると理解しております。
○辻一彦君 第二にお伺いしたいのですが、農業用地の場合でも、たとえばこの土地が続いている。そうしますと、少しそこを切り売りをしたい、あるいは切りかえといいますか、自分の地続きであるからその土地を買いたいという、そういう場合には、普通の農地の値段よりもかなり高くつく場合がありますね。こういうような、いわゆる小面積であるが、買い足し、あるいは切り売りの場合、そういう要望の強いときには切り売りが行われる場合がありますが、このときの価格はかなり高いものになる場合が間々多い。このような小面積の切り売り、買い足しによって形成される水準に影響されてはならないと思いますが、それはどうですか。
○政府委員(横井正美君) お答え申し上げます。 現在の私どもの評価の方法におきましても、いま御指摘がございましたような事情がございますので、いわゆる限界単位の土地の売買につきましては若干高く買うということがございます。したがいまして、評価をいたします際におきましてそういう限界補正ということをいたしまして、そういう要素を除去するというようなことをいたしておるわけでございます。 しかしながら、今度の農業投資価格につきましては、先ほど主税局から御答弁申し上げましたように、恒久的に農業を継続するということのために通常取引される価格でございまして、具体的に、私どもといたしましては、市町村の農業委員会等におきまして、恒久的に農業を継続するというふうな場合においてこの農地のあっせんをいたしておるということがございますので、そういう資料を収集いたしまして、それを基礎として各種の事情をいろいろ検討いたしまして、農業投資価格を評価審議会でお決めいただこうというふうに考えております。したがいまして、今度の農業投資価格の場合におきまして、限界補正ということを行うという必要は必ずしもないのではないかと、かように考えております。
○辻一彦君 私の申し上げておるのは、小さい面積をかなり無理をして買う場合に価格がかなり高くつく。そういうものは農業投資価格に影響を与えないと、こう言えるのですかと、こう聞いておるのですね。
○政府委員(横井正美君) 先ほど御説明しましたように、恒久的農業をしようということで売買される価格でございますから、その必要は今回ないんじゃないかというふうに考えます。
○辻一彦君 いや、必要はないというよりも、切り売りの場合は値段が高くなるけれども、そういうものが農業投資価格に影響を与えないのか与えるのか、その点なんです。
○政府委員(横井正美君) 影響がないのではないかというふうに思います。
○辻一彦君 そうしますと、相当面積以上の農地の取引の際形成される水準ということが必要になってまいりますが、その相当面積というのはどのくらいにお考えになっておりますか。
○政府委員(横井正美君) 通常の農業経営ができる程度の規模のものを考えております。
○辻一彦君 いや、小さい面積の場合は、切り売りをすれば値段が高くつく、だから、これはオミットする、影響を与えないと。そうすれば、一体最小限これぐらいのまとまった土地であれはこれは影響を与えていくという、それは一体どのぐらいの面積をお考えになっておるか。
○政府委員(横井正美君) 農業の内容とか地域とかによって異なりますので、一概に何反歩というふうには申せないのではないかというふうに思います。
○辻一彦君 それは地域の、あるいは農業の営農形態等によって、施設園芸をやるとか、あるいは水田であるか、これは違います。その点はわかりますが、少なくとも確認されたことは、非常に小さい切り売りなんかの影響はないということ、これは一点はっきりしたわけですね。 三つ目にお伺いしたいのは、農業の用に供される価格水準であるから、農業の継続を困難にしないような農業収益水準と均衡のとれたものでなくてはならないと思いますが、この点はどうお考えになりますか。
○政府委員(横井正美君) 御指摘のように、宅地化の要素を除去してまいるわけでございますから、したがいまして、収益とバランスのとれたものと申しますか、それに近いようなものになるのではないかと思いますが、しかしながら、収益と申しましても、厳密に収益と土地の価格が関連するものでもございませんし、また収益と申しましても、現在の収益という観念もございますし、将来の見込みということもございますので、はっきりと定義づけることは困難でございますけれども、収益から考えられる価格に近いものになるのではないかというふうに考えるわけでございます。
○辻一彦君 それでは農業収益の水準は、水田で、米を中心に考えた場合に、全国のブロック別にほぼどれぐらいを考えておられますか。
○政府委員(横井正美君) 私どもの稲作の場合の標準的な所得といたしましては、標準内が七、八万から十万ぐらいの間になっております。地域によって異なるわけでございますが、標準外といたしまして雇い人費でありますとか、あるいは大農具でございますとか、そういうものの経費を差し引きますので、実際の反当たりの所得は、いま申しました数字から若干低いというのが今年度の確定申告時における状況でございます。
○辻一彦君 それは七、八万よりかなり高いですね。たとえば米を九俵一反にとって、一万三千円ならば十二万ぐらいですね。そうすれば大体まあ半分か、今日機械もかなり入っておりますから、所得——収益というのは半分程度になると思うのですが、七万から八万というのはかなり高いですが、若干低くなるだろうと言われますが、どのぐらい低くなるか、数字でおよそいかがですか。
○政府委員(横井正美君) 辻委員の御指摘のように、標準外経費を差し引きますと、五万から七万くらいのところではないかというふうに考えております。
○辻一彦君 それは四十九年度ですか。
○政府委員(横井正美君) さようでございます。
○辻一彦君 四十九年度で七万円というと、かなり私、高いように思いますが、この数字の論議は別にきょうの主点でないですから避けましょう。 そこで、そういう農業収益を水田において地価に還元をした場合におよそ地価というのはどのくらいに考えますか。
○政府委員(横井正美君) 大変むずかしい問題でございますが、私ども考えまするに、現在の所得はその程度でございますけれども、農家の方々が将来とも農業経営を非常に低所得のもの、あるいは明るい未来がないものというふうにお考えになっておるとは実は思っておらないわけでございまして、そういう意味合いから将来のことも考えますと、必ずしも現在の稲作の所得からだけで農業投資価格を考えるわけにもまいらないのじゃないかというふうに考えるわけでございます。
○辻一彦君 あなたのお話だと、非常に日本農業に明るいのがあって、どんどんよくなるから、だから、見込みで高く地価を評価していいと、こういう言い方になりますが、しかし、昭和三十五年農基法以来十五年間、そういう方向に日本の農政が進んでいなかったということは、これは御存じのとおりだと思うのです。だから、将来非常に明るくなるから、その見込みを収益から地価に還元するということはちょっと私は問題があると思うのですが、この点についてどうお考えですか。
○政府委員(横井正美君) 先ほどちょっとお答えしたのでございますが、私ども農業委員会等が将来とも農業を継続するという方のために、農地のあっせんをいたしておるということがございますので、この辺の資料等を収集を図っておる段階でございます。いままだ手元に集まっておらないわけでございますけれども、その価格と申しますのは、現在の収益、あるいは将来の見込み、この辺が反映されてでき上がっておるものではなかろうかというふうに考えるものでございます。もちろん、若干の線引きの不徹底等からいたしまして、宅地含み価格が入っておるかもしれませんので、その辺の事情はなおよく検討いたしたいというふうに思っておるわけでございますけれども、そこで、成立いたしております価格等を基準にいたしますれば、現在、将来の収益を織り込んだような価格がどの辺かと、農業投資価格のあるべき姿としてはどの辺かというところが出てくるのではないかと思いますので、今後、十分検討いたしたいと考えておるわけでございます。
○辻一彦君 それは、たとえば農村に、純農村、純農地の地帯に工場が進出してくる、一部土地を転用する。そうすれば、そこの土地はかなり高いものになりますから、それが周辺に影響を与えるとか、あるいは道路がつく、その周辺に農地が転用されて、かなり高い値段になる。そういうものが影響を与えるということはありますが、だから、そういうものを見込めば、私はこれはある程度の将来のいろいろのものの要素が入ると思います。しかし、農業収益ということを、米なら米をもとにして、これを還元していく場合に、ちょっとそれを全部含めて計算するというのは、これはちょっと実態に合わないと思います。そういう点で、米が幾ら大体とれて、粗収益から営農の経費というものを差し引いて、ほぼ農家に残るものが幾らと、これは大体見当がつきますね。そういうものから農業収益を還元して地価を割り出した場合に大体どのくらいになるのか。これはあなたの方だってそういう計算はされていると思いますが、その点いかがですか、全国、そうしてブロック別に。
○政府委員(横井正美君) 実は、私ども農業投資価格の適正なあり方というものを検討するに当たりまして、御指摘のような方法もございますけれども、現実に農業を営むということのために成立している価格が、農業委員会等のごあっせんで例があるように聞いておりますので、そちらの方を中心にしてまいる方がより適正ではないかというふうに考えておるわけでございまして、現在の収益から逆算をいたしまして、価格を決定するというふうな方法は、必ずしもとる必要がないのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
○辻一彦君 先ほど農業投資価格には、いわゆる小さな切り売りの影響であるとか、あるいは宅地見込み等のそういうものを含まないということがはっきりしましたね。そこで、割り出されるところの農業投資価格ですね。こういうのは大体何を基準にして、どういう根拠から出てくるのか。こう考えれば、将来の見込みや、そういうものを全部取り除いて後計算するならば、収益還元方式以外に残らないと思うんですが、この点どうお考えになっておりますか。
○政府委員(横井正美君) 先ほど御答弁申し上げましたように、恒久的に農業を継続するという場合に成立する価格でございます。いわゆる都市化でありますとか、宅地化でありますとかということを含まない価格でございます。したがいまして、私どもいま申しましたような農業委員会のあっせんする価格は、当然にそういう宅地化の要素を含まないで、収益から考えられるような価格であるというふうに考えるものでございます。
○辻一彦君 そうすると、重ねて申し上げますが、先ほど私ちょっと申し上げたけれども、純農村でも工場やあるいは道路がつくと、その周辺は見込みで値段が上がってきますね。そういうものを除いてこの恒久的に農業が継続されるとすれば、それを除くわけですね。その除いた農業投資価格を割り出すところの計算する基準といいますか、基本というものは、私は残るところ収益還元方式によらざるを得ないと思うんですが、全部そういう要素を除いた場合、ほかに農業投資価格を算出する根拠は一体何なのですか。
○政府委員(横井正美君) 実は、相続税の評価につきまして、収益還元価格をとるということは、大変評価の適正が期せられないという過去のいろいろな経験がございまして、全体を通じまして収益還元的な価格はやってきておらないわけでございます。今回の農業投資価格につきましても、農業収益等から考えられてそこに売買が実現しておるという価格が現実にあるわけでございますから、それらをもとにしてまいりたいというふうに考えるものでございます。
○辻一彦君 どうも私は納得がいかないんですよ。わかりにくいですね。農業投資価格を算出するのに宅地見込みであるとか、あるいは小面積を切り売りするとか、そういうものによって与える影響というものを全部取り除く、将来恒久的に農業を展開するんだと、そうして、そこから農業投資価格というものを計算するとすれば、この収益還元方式以外にどういうもので計算をされるのか。その基準となるもの、水準となるもの、そういうものが何なのか、これをひとつお聞かせいただきたい。
○政府委員(横井正美君) 繰り返して大変恐縮なんでございますが、恒久的に農業をしようということで売買をされておる価格というものを基準にいたしてまいりたいというふうに考えております。
○辻一彦君 もう一度。
○政府委員(横井正美君) 恒久的に農業を継続してまいるということで通常成立しておる価格、これを基準にしてまいりたいというふうに考えるわけです。
○辻一彦君 しかし、その恒久的に農業をやるから通常行われている売買価格を参考にすると言われるけれども、通常行われている売買価格は、先ほど影響を与えるものを取り除くと言われた、若干ある程度の宅地見込みだとか、あるいは切り売りであるとか、あるいは農村に工場が来て周辺の値段を上げるとか、道路がついて上げるとか、そういうものを含めて通常の売買価格というものが形成をされているんですから、だから、それをもって農業投資価格の基準にするということはこれは私言えないと思うんですが、その点いかがです。
○政府委員(横井正美君) 大変繰り返して恐縮なんでございますが、いわゆる宅地転用含みで売買いたしますような場合の価格事例というふうなものをとるわけではございませんで、将来とも農業をするんだということで、農業委員会等があっせんをしてやってまいるという価格でございますので、御指摘のような、宅地化含みの価格という実例ではないというふうに考えるものでございます。
○辻一彦君 いや、それは実態とその考えはかなり違いますよ。たとえば私は福井県の僻村の農村ですが、私たちの村の農地だったらついこの間まで一反歩——十アール五十万くらいだったですね。ところが、道がつく、その周辺に新しい転用が行われる、あるいは工場が出てくる、こういうことによってその周辺の農地の価格は押し上げられてだんだん値段が上がってきていると、こうなりますね、それはやはり将来における転用の見込みであるとか、あるいはその周辺におけるもろもろの影響を受けて、こういう土地がせり上げられてきているのであって、農業収益というものをもとにして本当に恒久的に農業をやっていく場合に考えられる価格とは私はかなり実際としては違っていくと思うんですよ。だから、やはり農業投資価格は、少なくもずっと農業をやっていく、農業収益を、やはりあなた言われたようにつり合いのあるものと考えていくならば、その見込みや、その周辺のせり上がってくる要素を含んでいる、いわゆる農業会議だとか、あるいは農業団体があっせんする場合も、そういうものを含んだ価格だと思うんですね。だから、その価格に準拠する、依拠するそういう計算の基礎というのには非常に問題がある、こう思いますが、いかがですか。
○政府委員(横井正美君) 御指摘のように、農業委員会等があっせんする価格につきましても、宅地化の傾向に引きずられまして、若干この農業継続以外の要素が入っておることがあるかもしれないと思いますが、私どもは、実例を収集いたし分析する過程におきまして、そういう実例を極力排除して、純粋に農業を継続するということで買われたというふうな場合の実例を基礎にいたしたいと思っております。なお、そういう実例がきわめて少ないということで、まあ宅地化含みが織り込まれておるということであれば、若干その辺の要素を排除するというふうなことで検討いたしたいというふうに思っております。
○辻一彦君 まあ何回伺っても、やはり出てくる答弁はほぼ同じのように思いますね。これは政務次官に伺いますが、将来の見込みの要素というものを全部差し引いて、そして計算をするのが農業投資価格だとするならば、私はそれは農業収益から還元する以外に道はないと思うんですが、いろんな要素を含めた農地の価格形式、これを根拠にして、そして農業投資価格を決めるということは、これは問題があると思いますが、どうお考えですか。あなたも農林の方におきましても専門であるし、よく御存じだと思うんですが、いかがですか。 〔委員長退席、理事河本嘉久蔵君着席〕
○政府委員(梶木又三君) いま直税部長が答えましたように、いついつまでも農業をやっていくと、こういう農地として取引される価格を私どもは言っておるわけでございますが、いま辻委員の御指摘のとおり、道路がりっぱになったとか、あるいは付近に工場が誘致されてきたとか、確かにその宅地含み、あるいは工場敷地ですか、そういうほかの用途に転用される含みというものを含んで土地価格が上がる、これは私も、辻委員と同様にそう思うわけでございますが、しかし、そういうようなものは一応、先ほど直税部長が答えていますように、恒久的に農業をやろうとすれば、そういうようなものは当然含み価格から除いておるわけでございます。それと、同じ農地に、恒久的に農業用に供すると、こう考えた場合でも、その場合でも、私は道路がやっぱりつけば農業だって便利になりますから、その分の利便というものはやはり土地価格に反映するんじゃないだろうかと、このように考えます。基本的な考えは、私直税部長の答弁していますのも、辻委員のお考えになっているのもそう違いがあるようには、先ほどの質疑の応答を見まして考えておらぬのですが、私としましては、いま申し上げたように考えるわけでございます。
○辻一彦君 しかし、日本じゅう列島改造論の影響で、道路がつきまくってその結果農地がもうむちゃくちゃに値上がりをして、まともに農業をやるだけではやりきれない、こういう情勢になったということは、もうこれは事実としてあるわけですね。そういう中で、私が申し上げていることと、この国税庁が言われていることが余り食い違いがないということですが、しかし、農業投資価格を決定する上において、本当の農業収益をもって還元をして地価を決めていくのか、あるいは現実に売買されるいろんな含みを含んだ形成された価格をもってこれをもとにしてやっていくのか、これはずいぶん農業投資価格を決める基本としては、違った私は論理であるし、やり方であると思うんですね。だから、その点ではかなり明確に違っておるんですが、これはどうお考えになります。
○政府委員(梶木又三君) ほかの用途に供される場合に、上がると予想される含み価格、これは含んでいないというのと同じに考えております。
○辻一彦君 ちょっともう一遍、もう一度済みません。
○政府委員(梶木又三君) いまお話しのように、将来宅地になるとか、あるいは工場用地になるとか、そういう多用途になったときの、なると予想される価格、そういうことを含んだ宅地含みの価格というものは、われわれ農業投資の考えから出たところの農地の価格としては考えていないわけでございます。
○辻一彦君 これは大蔵省の事務当局に伺いますが、恒久的に農業をやる場合に、そこに形成される農業投資価格というものがいろんな要素を全部除いて農業だけもう将来やっていくんだと、こういう形で計算をするとすれば、米をとったならば、米は、粗収益から必要経費を引いて残った手取り、これを収益還元する以外に方法はないんじゃないかと、こう私は思うんですね。しかし、時価で通例取引されているそれを基本にしてこの投資価格というものを決めるんだ、こういう国税庁の御答弁ですが、大蔵の事務当局としてはどうお考えになっておるんですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) いま国税庁からお答えをしておりましたのと辻委員が御指摘のこととは、政務次官からお話がございましたように、私は今回の制度をめぐりましてそんなに違っていないと思っております。今回の制度をなぜ導入しようかということは、辻委員が御指摘のように、農地におきますところの売買実例というのがいろんな要素を反映をいたしまして、いわゆる純農地としての価格のほかに、宅地含みが、お話のような道路ができる、工場ができる、またそれに転化し得るというようなことから、そんな価格が出ておるわけでございます。それで今日までの相続税におきましては、そういった売買実例をしんしゃくしながら現実の相続税の評価額にいたしますけれども、どうしてもとってまいる基本が、おっしゃいますように、いろんな要素を加味したものでございまするから、今回、恒常的に農業を続けようという方には、いわばみずからが線引きを確実につくったということを条件にいたしまして、農業投資価格までの評価で計算をされました相続税をその当座納めていただくという趣旨でございます。 しからばそれでは、農業投資価格というのは、一体どういうようなものであるかということでございますけれども、あらゆる農地の売買取引がすべていまおっしゃいましたように、工場化、道路化、宅地化することを含んで形成されておるかと言いますと、私どもは実はこの制度を検討いたしましたときに、果たして、それだけであろうかということで現実に二、三近くのところも見て回ったわけでございます。その農村におきますところのいわば学識経験者から言わせれば、やはり農業を継続するということであれば、この程度の価格であれば自分な買うでしょうというような価格がどうもあるようでございます。そういうあるということを私どもは論拠にいたしまして、しからば、そういうもので先ほど申しましたような制度を導入しようかということを考えたわけでございます。その農業投資価格と言いますのは、恐らくはいま辻委員がおっしゃいましたように、非常にいわゆる収益を還元いたしましたような価格に近くなるということはおっしゃるとおりであろうと思います。ただ、それが今日つくっておる作物、それによりますところの今日の収益を反映したものだけでありますか、あるいは将来に対する予測というものも含み、また、政務次官からお話がございましたように、環境その他の改善、交通事情の向上というようなことも含まれたところで、恐らくそういったものの収益を反映いたしますような価格、それは当然農業を継続する者にしましては、新たに投資をして、その土地を取得するということでございまするから、恐らくそういった価格を頭に置きながら売買取引をすると思います。 〔理事河本嘉久蔵君退席、委員長着席〕 したがいまして、ほぼそれには近うございましょうけれども、私が申し上げたのは、今日のいまの作物についての収益を還元したものでなしに、やはり将来に対する収益予測と環境の改善というようなものを含んだ収益還元価格にはかなり近いものでありましょう。しかも、それは現実には、農業委員会等の農地のあっせん価格というものが現実にそういうものを表現しておるというふうに考えております。
○辻一彦君 ちょっと話がわかってきましたがね。一つは、まず最初に、列島改造論といいますか、土地ブームによって普通農業の収益で大体これぐらいの価格ならば買ってもいいという値段よりも、かなり高いところに日本の全農地の値段が押し上げられているというこの事実は確認されると思いますが、いかがですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) そういう事態がございますから今回の制度を考えたわけでございます。農地の転用制度あるいは土地の利用というものが画然と実施をせられましたならば、私は農地の売買実例としましても今日のような価格を実現はしていなかったと思います。しかし、残念ながらまだそういった土地利用というものについての確固たる線というのがどうも行われない。しかも、行われないことをまた前提としながら農地が売買されておることによりまして、かなり高い価格であったということが今回の制度を考えましたそもそもの発端でございます。
○辻一彦君 じゃ、農業をやるなら、これぐらいの価格ならば買ってもよいという、そういう値段を一応挙げた場合に、ある程度あると言われる、それをこれぐらいなら買ってもいいと言われる農家の方がほぼ数字を出される価格、こういうものはやっぱり私は収益から還元してほぼ計算されると思うんですが、どんな計算されておりますか、収益還元以外に。
○政府委員(中橋敬次郎君) その農村におきますところのいわば故老と申しますか、学識経験者がどういうそろばんをはじいたかわかりません。しかし、現実に自分がいま買うとすれば、この程度の値段なら買うという価格がどうも頭の中きあったようでございます。しかし、それが一体分析しますればどういうものかと言えば、先ほどお答えしましたように、非常に今日の収益と、それから将来に対する収益予想、しかも、それにはもちろん環境の改善というのを含めながら考えましたものを頭に置いて恐らくつくっておると思います。
○辻一彦君 どうもそこは回り回るようですが、それでは先ほど言われましたように、将来収益還元の方式、何かいまの収益がそのまま、還元の方式がそのまま使えるんじゃないけれども、将来はやはり何らかの要素を幾らか加えた新しいという意味ですか、この収益還元の方式によってこれが計算されていくと、こういうふうにお考になっておるんですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) そうではございません。やはり相続税の評価は、処分時価ということを前提にしなければならないと思いますけれども、本来、土地の利用というものについて制限が加えられておりまして、その制限が確実に守られるということでございますれば、私は処分時価も収益還元地価もほとんど違いがないということに帰結するだろうと思います。しかし、そこにやはり土地の利用というもの、あるいは将来における環境の変化というものについての予測がそれぞれ人によって違うのでございまするから、そこに開きが出てくると思っております、それは私どもが、今回農業投資価格というものを見つけ出すときにも、おっしゃいましたような収益還元法則を用いるということでございませんで、現実に農業の永続者がこれでもって投資をし得るという価格は、現実に農業委員会があっせん価格として存在するものでございまするから、そういうものを中心にやっていけば、処分時価として採用できるというふうに考えております。
○辻一彦君 いま処分時価と収益時価という御発言がありましたですね。処分時価から見込み要素を差し引けば収益時価になるんじゃないですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 冒頭申し上げましたように、土地の利用制限というものが仮にありまして、それが確実に守られているということでございますれば、収益還元価格も処分時価もそんなに差がないはずでございます。
○辻一彦君 じゃ、この法案が仮に成立するとすれば、その見込み要素というものが、まあ線引きがきちっと守られていない、そういう場合にいろんな要素が入っていくでしょうが、その見込み要素というものがふえていったら、それは猶予という制度があるんだから、そちらでとればいいんであって、その一番下の方は、農業投資価格というものは、収益時価というものでやってもいいんじゃないかと思いますが、これはどうなんですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 今回の制度は、猶予します相続税と言いますものは、いわばみずからが線引きを確実に引いてくれた農業経営者について適用するというものでございます。したがいまして、確実にそういうことだけの条件のもとにおきましては、そこに成立します農業投資価格といいますものは、恐らく私が先ほど来繰り返し言っておりますように、今日の収益と、それと将来の予測収益と、環境の改変というもの等織り込みながら、考えられる農業投資価格というものは十分算定できると思っております。
○辻一彦君 どうも、そこらがひとつかみ合わない点がありますが、それではこの改正案の中に、当該地域の所管の国税局長が決定した額、こうありますね。そうなりますと、地域によって格差が生ずるおそれがありますが、国税所管の、各全国の国税局長に一定の基準を示して、その上とか下ですね、そういうものは、ブロックにおける国税局長の、まあ皆さんの意見を聞いての判断でありましょうが、そこに任せるとしても、一つの基準というものを、国がやはり上になるか下になるか別として、一応私はその基準、水準というものを示すべきでないかと、こう思いますが、これについてどうお考えになりますか。
○政府委員(横井正美君) 御提案申し上げておりますように、各国税局単位に評価審議会ができるわけでございます。二十名以内の土地の評価に関する専門家で構成されるわけでございます。 そこに提供される基礎的な資料といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、将来とも農業を継続するんだということで売買されたような価格、農業委員会のあっせん価格というようなものが提供されるわけで、そこでこの学識経験者の方々で御議論願うわけでございますから、恐らくそこにおのずから常識的な線が出てまいると存じますし、全国的に非常にアンバランスが起こるということはないであろうと、こう考えるわけでございますが、しかしながら、もしも著しいアンバランスが出るというふうなことでございますならば、国税庁の方といたしまして、国税局をそのようなことがないように指導いたしたいというふうに考えております。
○辻一彦君 時間の点もあって、これがもともと収益還元の方式と時価主義という、その二つのむずかしい問題ありますからなかなかかみ合っていかないと思います。若干また後日にこの問題を残して、いまお話の出た土地評価審議会の問題について二、三点伺いたいと思います。 第一は、この土地評価審議会はまずいつごろ発足をさすのか。そして第二は、今年分の価格の決定はいつごろ行う見通しか。この点いかがですか。
○政府委員(横井正美君) 御提案申し上げております相続税法の改正が国会で御了解いただけるということになりましたならば、できるだけ早く発足させたいというふうに考えております。そして農業投資価格等が決まります時期でございますが、御承知のように、相続税の申告期限は相続時点から六ヵ月以内ということになっております。したがいまして、今年の初めに亡くなられた方につきましては、六月の末から七月ごろにかけまして相続税の申告をなさる方につきまして土地の評価、特に農業投資価格についての御認識が十分行き渡っていなければいけない、こういうことがございますので、法律が成立いたしましてから六月までの間にすべての作業を終了いたしたいというふうに考えております。
○辻一彦君 この土地評価審議会の構成はどうなんですか。この中に農民団体の代表等含める考えはありますか。
○政府委員(横井正美君) 衆議院におきまする相続税法の審議に際しまして、この附帯決議がございます、それは「土地評価審議会の委員となる「土地の評価について学識経験を有する者」の任命に当たっては、農業団体の構成員で農地の評価に精通していると認められる者をもその対象とするよう配意すること。」ということになっているわけでございます。 そこで、私ども二十名以内の方々をお願いするに当たりまして、関係行政機関の職員、地方公共団体の職員のほか学識経験者といたしまして、都道府県農業会議などの農業団体の構成員でございまして農地の価格事情に精通している方をお願いいたしたいというふうに考えております。
○辻一彦君 じゃ、その中には衆議院の附帯決議の趣旨もこれあり、それをひとつ生かしながらいくとすれば、少なくも、その学識経験者の中に農業会議やあるいは県における、地方における農協中央会の代表の中でこういう問題に経験のある人を含めていくと、こういうふうに理解していいんですか。
○政府委員(横井正美君) 御指摘のとおりでございます。
○辻一彦君 次に、農業相続人の要件について一、二点伺いたいと思います。 これは政令で定めることになっております農業相続人の要件等について、予期し得ない被相続人の死亡などによって相続が発生する特性に基づいて、現在の社会的な経済的ないろんな事情を十分勘案して配慮する必要があると思います。たとえばおやじさんが農業をやっている、息子さんが都会に出ていろいろ仕事についている。しかし、場合によってはそのお父さんが急に亡くなられ、そのときに帰って相続しなくちゃいかない。こういう場合がまま実際として農村で起こっておりますね。この場合に、この農業従事者の要件云々ということになりますと、三年間、いままでならば相続前に農業に従事しなくちゃいかぬと、こういう規定があったわけですが、今度の場合には、これについてはどう考えておられますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) おっしゃるとおりでございます。今日ございます農地の生前贈与、一括贈与につきましての特例措置につきましては、三年間農業を継続しておることという条件をつけてございまするが、今回の贈与税の特例措置につきましては、おっしゃるように突然の死ということでそれの相続が起こるわけでございまするから、そういう条件はつけなくて、全然農業を経験していなくてもこれから農業をやるという条件さえ満たしていただければこの制度を適用するつもりでございます。
○辻一彦君 それから、相続に伴って面積要件がありますですね。いわゆる農業相続人の面積の要件というものは、これはもう全然考えていないのですか、どういう条件がありますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 今日の農地の生前贈与の制度には一括ということでございますけれども、新しく御提案申し上げております制度につきましては全部ということでございませんで、後継者が、後継者と申しますか、相続人の中で農業をやっていく人、それが相続で得ました農地というものについて適用をいたします。
○辻一彦君 それば、たとえば五十アールとか三十アールとか、そういう面積についての考えはないのですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 税金の方から最低面積がどの程度あれば農業経営が成り立つかということはなかなかむずかしゅうございますから、一切そういう面積制限はつけておりません。
○辻一彦君 この施設周山芸なんかになれば、三十アール程度でもこれは資本をかなり投下すれば十分ある程度やっていける、こういう点がありますから、そういう点を考慮して条件はつけないと、こういうことですね。 次に、農業生産法人に対する特例制度が適用できるかどうか、この点について一、二伺いたいと思います。 御存じのように、農業生産法人は農業者の協業による規模拡大、農業経営の近代化を目指すものであって、国の施策を受けて設けられた、こういうことは言うまでもないと思います。 そこで、一つとして、農業生産法人の、常時従事している者、構成員が当該法人に権利を設定、使用収益権を設定した、そういう農地については特例制度の対象農地にすべきでないかと思いますが、この点はいかがですか。 もう一つ、農業生産法人の常時従事者である構成員が当該法人に対して特例適用農地等を現物で出資をする、また使用収益権の設定をした場合においても納税の猶予特例を継続すべきであろうと思いますが、この二点について、どう考えておられるかお伺いいたしたい。
○政府委員(中橋敬次郎君) 農業生産法人に農地を譲渡いたしました場合には、譲渡しました者としましては持ち分を持つことになります。その持ち分につきましては、実は譲渡を禁止しておるということもございません。今日の農業生産法人の制度を考えてみますと、やはり所有と経営が分離しておると、そこをねらっておるものでございまするから、現実に相続人がみずからの農地を農業経営に充てるということとは少しく違った形になると思っております。したがいまして、農業生産法人の持ち分というものにつきまして、この制度を適用する予定はございません。ただおっしゃいますように、農業生産法人というのがやはり一つの農業経営の形態として、国としましてもそういう制度を設けたものでございまするから、仮に相続人が自分が農業経営をやっておりましたものについて、それを農業生産法人に移すと言いました場合には、やはりそこで全部仮にいままで農業経営ということを条件にしまして猶予しておりました相続税を、条件が満たされなくなったからということでその場で取るというようなことのない配慮をできないかということで今日検討いたしておるところでございます。農業生産法人に対する持ち分を持ちながらも、しかも、みずからが常時農業に従事をする、いわば個人の延長線上にありますそういった人につきまして、猶予しておる税額を一挙に取らなくてもいいような方法というのが政令でございますから、今日検討しておる最中でございます。
○辻一彦君 いや、一挙に取らぬでもいいということですが、農業法人に参加をし、その土地を出資をして、自分もその法人のメンバーであるという場合には、猶予を継続するという方向で検討しておるのですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 農業生産法人の持ち分を相続しました者につきましては、第一にお答えしましたように、それについてこの制度を適用するのはむずかしいと思っております。その後相続をしました人が農業生産法人に参加をする、その態様いかんによりまして、なお一挙にいままでの猶予されました税額を取らないで済む。といいますのは、ある程度の農地を農業経営の対象から外すというときには、この制度の適用がなくなるということになっておりますから、そういうことを配慮するような道というのを今日検討しておる最中でございます。
○辻一彦君 いや、だからほかに移した場合に猶予制度がなくなって取ってしまうというのは、これはいまの改正案の中にありますね。しかし、農業法人に参加をして、自分も従事者であるという場合には、これは一挙に取らないと言われることですが、取らないようにするということなんですか、そういう場合に。
○政府委員(中橋敬次郎君) 基本的には、第一にお答えしましたように、やはり農業生産法人の持ち分を持つということになりますから、それについての相続税をなおそのままの形で猶予しておるということは継続することはむずかしいと思っております。ただその際に、先ほど申しましたように、農業生産法人に移ったときに、その分についてある程度の限度を越えますから、もう全部について農業生産法人に移行したということで猶予制度をカットしてしまうということのないようにする道はないかということで今日検討しておる最中でございます。
○辻一彦君 その大体、検討された結果はいつごろ明らかになりますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) いまある一定限度以上農地を農業経営から外しましたときには、その猶予制度を全部だめだということにするのが原則でございますけれども、本人の意思にかかわらず、農地を手放さなければならないという事態がありますものについては、その制限の数量の中に入れないという道がございまして、それは政令で運用できることで御提案申し上げておりますから、その政令を決定します段階で、いま申しましたことも配慮を加えたいと思っております。
○辻一彦君 じゃ、これは十分この意向はくんで政令を検討する中で私は具体的に考えてもらいたいと思います。 次に、納税猶予中に、項目にありますように、その条件を変えた場合に、猶予税額の全額と申告期限からの利子税を納付することになっておる。しかし、これらが発生する場合の大きな部分は、ほかの条件の変化、たとえば、周辺には宅地化をして、あるいは工場がずっと来て、たんぼや畑でがんばっておってもがんばり切れないという、こういうのも一生懸命やっている人の場合にはあり得るわけですね。言うなら、自分の意思でなしに、ぐるりが宅地化するとか、工場化して追い込まれてどうにもならないという、こういう場合が起きて農業が続けられなくなってしまった、そういう場合の救済対策というもの、これについてはお考えになる必要があると思いますが、いかがですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 周りの環境が農業継続を不可能にするという事態でございますけれども、そういった事態の中にも農業を継続するから、相続の時点におきましての評価を、いわゆる農業投資価格でその際納めていただこうというのがこの制度でございまするから、あくまでも農業を継続していただくというのがそもそもこの制度の根幹でございます。したがって、どうも環境からいって農業を継続することができないということで、やはり自発的な意思としておやめになれば、猶予しておった税額は納めていただかなければなりません。そのときに、恐らくやめるということは、そういう環境の中でございまするから宅地に転用されるわけでございまして、そのときの宅地の価格と、相続時におきますところの宅地含みの評価とを考えてみますれば、やはり時の経過がございまするから相当上昇しておるというふうに予測されるわけでございます。したがって、そこは利子税程度で、完全に地価の値上がりというものを吸収しないということでございますから、むしろ、甘きに失しておるのじゃないかというぐらいに私どもは考えておりまして、それについて特に配慮をするつもりはございません。
○辻一彦君 たとえば災害なんかで土地が埋没するとか、不可能的な場合が起こってきますね。こういう場合にはどうお考えになりますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 仮に災害が起こりまして農業を継続できなくなるという事態が生じましても、やはり何らかの復旧措置を講じていただいて農業を継続していただければ、当初にわれわれが設定をしました農業投資価格に合うわけでございまするから、そういう災害があって農業をやめてやはりそれをほかの用途にお使いになるということは、まさにそこで、農業投資価格以上の地価が実現するということでございますので、それについてもやはりおくればせということもございますが、猶予しておりました相続税は納めていただかなければならぬと思います。
○辻一彦君 これはなかなかむずかしい問題ですから、その程度にしましょう。 そこで、市街化農地について、市街化農地の場合は、都市計画法で向こう十ヵ年で市街化が図られることになっておる。この納税の猶予期間が二十年に区切られておる。こういうのをずっと見ますと、たとえば、生産緑地法においても、これは期限が五年とか十年とかいろいろありますが、土地を中心にしていろいろの法律の年限が皆違うわけですが、そこらの矛盾というものはないか、これはどうお考えになっておりますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 生産緑地法で、おっしゃいますように、十年とか五年とかいう期間が設定をせられております。今回の私どもの御提案申し上げました農地の特例措置につきまして二十年という設定をいたしましたのは、本来はいわば無期限というようなつもりで——まあ無期限というのもはなはだしく事情が変わったときには酷でありましょうから、ほとんどそれに近いような長い期間ということで求めてみたわけでございます。したがいまして、次の相続まで農業を継続していただくか、二十年という、本人がほとんどみずから永久的に農業を継続するというふうに客観的に見られるような期間ということで、この期間をつくったわけでございます。したがいまして、生産緑地の方で十年と言いますのは、ある一区切りとしましてその生産緑地を地方公共団体に買い取ってもらえるという事情の変更を予測せられての設定と思いますけれども、相続税の方のこの制度を御提案申し上げておりますそもそもの基本は、やはり恒久的に農業を継続していただく。したがいまして、農業投資価格での相続税ということになるわけでございますから、恒久的あるいはそれに近い期間ということで、かなり他の法律におきますところの期間よりは長くせざるを得ないのでございます。
○辻一彦君 この二十年と、それからほかの法等における十年の関係はいろいろ問題があるので、もう、若干論議をしたいのですが、後、昼から大臣が見える予定になっておりますから、その前に少し論議をしたいことがありますから、一応、これはこの程度に保留をしておきたいと思います。 私、引き続いて、入場税の問題でギャンブルの関係について、二、三点伺っておきたいと思います。
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記を起こして。
○辻一彦君 じゃ、大臣が入る前に、事務当局に入場税とギャンブルの問題について若干お尋ねをいたし、お見えになってから数点をお伺いいたしたい、こう思います。 第一に、ギャンブルの四十八年、四十九年の——ギャンブルと言いますのは競馬、それから競輪、競艇、オートレース。この四十八年、四十九年の入場人員、売上高、収益金、それからその施行の市町村の数、これについてざっとお伺いをいたしたいと思います。
○説明員(石丸博己君) 通産省といたしましては競輪とオートレースを所管しております。 まず、競輪でございますけれども、売上高でございますが、昭和四十八年、八千五百八十八億円、それから昭和四十九年でございますが、一兆六百五十億円、こういう数字になっております。それから入場者の推移でございますが、四十八年度は四千三百二十万九千人、それから四十九年は四千六百二万三千人、こういう数字でございます。それから、施行者の数でございますけれども、これは二百六十四地方公共団体、これが施行者の数でございます。 それから、次にオートレースを申し上げます。オートレースにつきましては、売り上げでございますが、四十八年、千二百三十億、それから四十九年、千四百九十三億、こういう数字でございます。それから入場者につきましては、四十八年が七百四十六万七千人、それから四十九年が七百九十八万一千人、こういう数字でございます。それから施行者につきましては、これは七地方公共団体が施行者になっております。 以上でございます。
○説明員(三井嗣郎君) 競馬についてお答え申し上げます。 競馬につきましては、施行者が中央競馬と地方競馬とございまして、中央競馬から申し上げますと、主催者は日本中央競馬会でございます。それから売上金につきましては、これは暦年でございますが、四十八年、六千六百五億円、四十九年が七千七百六十四億円。それから入場人員につきましては、四十八年が千四百七十六万人、四十九年が千四百六十三万人でございます。なお、国庫納付金、いわば収益金に当たるようなものでございますが、納付を義務づけられておりますものが、四十八年につきまして決算数字で七百九十億円、四十九年で九百八十五億円でございます。 それから、地方競馬につきましては、主催者数、これは各地方公共団体、都道府県、市町村、あるいはそれらの一部事務組合等でございますが、主催者数は、四十八年が七十三、四十九年が七十一となっております。売上金につきましては、四十八年が五千三百七十三億円、四十九年が六千五百八十二億円、入場人員は四十八年が二千四百七万人、四十九年が二千五百五十八万人、なお、地方競馬につきましては、地方自治体への納付金が、いわば収益金という形でございますが、四十八、これは会計年度で申し上げますと、収益金四百九十四億円、四十九会計年度はいまだ数字が出ておりません。 以上でございます。
○説明員(山本長君) 競艇について申し上げます。 施行者の数でございますけれども、四十八年、四十九年とも百三十八施行者でございます。一県八十五市四十六町六村、こういうふうになっております。それから入場者の数でございますが、四十八年度でございますが、四千七十六万人でございます。四十九年、これは暦年でございますが、四千三百三十四万人でございます。売り上げでございますが、四十八、これは年度でございますが、八千五百五十六億円、それから四十九、これは暦年でございますが、一兆二百二十億円ということでございます。それから施行者の収入でございますが、四十八年度は一千百六十三億円、それから四十九暦年は約千三百億円という数字になっております。
○辻一彦君 このギャンブルの収益金というものがそれぞれどう使われているか、これ、競馬の場合、それから競輪の場合、ボート、オートレース、それについて公益事業に使われる金額について、まず、それぞれ御報告をいただきたい。
○説明員(石丸博己君) 御承知のとおり、二五%が売り上げの中から施行者の手に入るわけでございますが、その中で開催経費というものがございます。これは競輪を行うために必要ないろんな人件費その他のものでございますが、これが約七・七%になります。それから後、そのほかに競技を開催するために必要な競走会に対する交付金という、競技会ないし競走会に対する交付金、こういうものが〇・八%ございます。そのほかに、日本自転車振興会に対する交付金、これが三・七%でございます。そうしまして残りました施行者純収益と言うべきものが売上高の中の一二・八%、これは、四十八年度の平均の数字でございますが、一二・八%、こういう数字になっております。それで、これが施行者の純収入でございまして、それが地方財政に役立っているわけでございますが、そのほかに、先ほど申し上げました日本自転車振興会の交付金でございますが、その中に、公益のために使用するという目的で、いろんな団体に補助をするというお金がございまして、これが全体の一・七%程度になっております。
○説明員(三井嗣郎君) 中央競馬につきましては、いわゆる国庫納付金の使途につきまして日本中央競馬会法に規定がございまして、予算に計上いたします国庫への納付金のうち、おおむね四分の三を畜産振興費に充当し、残るおおむね四分の一を社会福祉関係の費用に充当するということに規定されてございます。 それから、いわゆる地方競馬の収益金の使途につきましては、これは市町村と都道府県とで違いがございますけれども、都道府県につきましては、競馬法に基づきまして、各種の、たとえば学校教育、社会福祉、いろいろございますけれども、それらのものにさまざまな、いわば公益事業と申しますか、そういうものに充当するように規定が設けられております。これにつきましては、毎年、地方競馬につきまして主催者から報告をとっておりますけれども、毎年変動もございますし、非常に区々にわたっておりますので、明細な数値につきましてはひとつ御容赦いただきまして、各種のものに分散して支出しているということでございます。 なお、そのほかいわゆる地方競馬の収益金から地方競馬全国協会に納付をいたしまして、畜産振興事業に全国的に均てんする意味で助成事業を行っております。 なお、公営企業金融公庫関係がほかに各種公営競技を通じてございますが、その点を含めまして、各種の助成なり公益的な事業実施という状況でございます。
○説明員(山本長君) 競艇について御説明申し上げます。 四十八年度の実績で申し上げますと、先ほど申し上げました八千九百億円の売り上げから、開催経費——払戻金か当然ございますけれども、開催経費として充当されておりますものが七・一%、それから船舶振興会というところへ交付金をこの中から施行者が交付しておりますものが三・三%でございます。そのほか開催経費等を差し引きまして施行者の手元に残る金が約一三%でございます。施行者の手元に残る金は、先ほど各省から御説明ありましたように、市町村の財源として使われているものでございます。それから振興会に交付されます金が三・三%あると、こう申し上げましたが、これは造船関係技術の開発等、造船の振興、それから中小造船業の振興、それから社会福祉、文教、体育、その他海事思想の普及、その他公益事業、主に公益法人でございますけれども、これの補助に使われておるのが実情でございます。
○辻一彦君 ここで余り細かい数字を伺ってもどうかと思いますから、この競馬と、それから競輪、競艇、オートレース等について、過去十年間、いわゆる公共的な方に、二号交付金と言いますか、それで支出した内訳、それがどう使われておるか、あるいは競馬の場合は国庫納付金というふうになりますが、その中身を資料として提出をいただきたいと思いますが、それぞれ各省いかがですか。
○委員長(桧垣徳太郎君) 各省特に異論がないようでしたら、提出をしていただけるものと認めていいですか。——
○辻一彦君 自治省に伺いますが、自治省いらっしゃいますね。——この全国の市町村の数と、それからこの競馬、競輪、ボート、オートレースの施行市町村の数、大体何%ぐらいになりますか。
○説明員(関根則之君) 現在公営競技を実施をいたしておりますのが二十一県四百十八町村でございますから、県にいたしましては約半分、半分弱でございます。それから市町村につきましては、約一二、三%になると思います。
○辻一彦君 市町村の数が三千二百六十四市町村ですから、四百幾らというのは一二、三%、こういうことですね。そこで、ギャンブルの市町村への還元といいますか、配分ですね、これは一体四十六年、四十七年、四十八年で幾らになっておるか。それからこの四十九年の見込み、これでどのぐらい見当がつくのか、それから累積でどうなっているか、競馬競輪、競艇ですね、こういうものがそれぞれどうなっているか数字をちょっと御報告いただきたいと思います。
○説明員(関根則之君) 地方公共団体に対しまして公営競技の会計から繰り出されました金額は、昭和四十七年について申し上げますと、競馬が三百五十六億円、競輪が八百六十四億円、オートでございますが、これが百二十億円それから競艇が七百八十二億円、合わせまして、総額で二千百二十四億円でございます。四十八年は同じように競馬が四百四十七億円、競輪が千百九億円、オートが百四十二億円、競艇が千五十八億円、総計いたしまして、二千七百五十八億円でございます。四十九年の数字につきましては、私ども各省からまだ年度も進行中でございますし、責任の持てる数字についての集計がございませんので、御容赦いただきたいと思います。 いままでの累積につきましては、実は昭和三十二年以前につきまして、正確な数字の資料がございませんので、三十三年から昭和四十八年までの十五年間をとりますと、事業別に申し上げますと、競馬が二千六百二十八億円、競輪が六千四百八十六億円、オートが七百八十三億円、競艇が四千三百八十一億円、総計いたしまして、一兆四千二百七十九億円になっております。
○辻一彦君 いまの数字を伺いますと、昭和三十三年から四十八年まで累積で競馬、競輪、競艇、オートレース等含めて、一兆四千二百七十九億円というものが市町村のいわゆる収益金として配分をされている。これはかなり大きな金額であると思います。 それから、先ほど、この四十九年は、これはなかなかわからないということですが、大体四十九年は概算売上金が三兆円ぐらいという、これは衆議院における答弁の中に出ておりましたが、およそそのぐらいと推定していいのかどうか、この点いかがですか。
○説明員(関根則之君) 収益金そのものが私どもの方で最近経費支出等の変動がございますので、実は私どもの方ではちょっと予測がつかないわけでございます。
○辻一彦君 いや、私の言っているのは、収益金というよりも、売上額ですね。大体三兆円ぐらいと、こういうことが衆議院の答弁にもありましたが、大体そういう推算でいいんですか。
○説明員(関根則之君) 各省からそういう答弁がございましたので間違いないんではなかろうかと、こういうふうに私どもの方としては考えております。
○辻一彦君 各年度の大体売り上げに対する収益のパーセントを見ると、およそ大体一一%前後と、これがここ数年のパーセントになっております。そこで、三兆円の一一%といえば大体三千三百億、これに大体この八割、八〇%程度がいま言った競馬、競輪、オートレース、競艇に当たりますが、そうすると、ほぼ二千六百億というものが、これはまあ非常に、推算ですが、四十九年度大体三千三百億の収益があって、そのうち競輪、オートレースや競艇、それに競馬ですね、二千六百億ぐらいと大体のパーセントからはじき出しますが、およそこの程度のものと大まかに見ていいのかどうか、いかがですか。
○説明員(関根則之君) 先ほど申し上げましたように、四十八年度におきまして地方団体に繰り出された収益金が二千七百五十八億円でございますから、四十九年度におきましてはむしろそれを相当程度上回った、一割ないしそれ以上上回った金額が入ってくる。そうしますと、概算で三千億程度の収益金というのはあるのではなかろうかというふうに考えております。
○辻一彦君 じゃ、四十九年が概算で三千億程度の収益と、こうなりますと、これはかなり大きな金額になると思うんです。 そこでもう一つお伺いしたいのは、こういう市町村が、たとえば四十九年度に三千億のギャンブルによる配分といいますか、収益を受けて、これを基金にして、元金にして公共事業や社会福祉等の事業を行う場合に、政府の起債や補助を受けることができる、収益金プラス起債補助を加えると、全体収益金の約二・五倍程度の膨大な金になる。こういうことは全国競輪施行者協議会が出している参考資料四十八年度版「競輪と余暇利用等について」と、この中にそういう推算がされておるのですね。私これはちょっと問題があると思うのですが、こういうことは事実として推算できるのかどうか、その点いかがでしょうか。
○説明員(関根則之君) その推算がどういう形でなされておるのか、詳しいことはわからないわけでございますけれども、通常の場合地方団体が一般財源として自分の持ち金がございますと、それに国庫補助金をもらいましたり、あるいは起債を充当いたしましたりして、自分の持ち金の二倍なり二倍半なりの仕事ができるというのが財政運営上の常識になっております。たぶんそういった感覚からその推算はなされたのではなかろうかと思います。しかし、このギャンブル団体が、ギャンブル収益というものをもとにして、たとえば学校をつくるとか、そういう場合には、国庫補助金がいわゆる補助金の資格面積の範囲内では通常の団体と同じように補助がなされるものというふうに考えております。ただ起債につきましては、私どもやはり乏しい財源の中から、各地方団体共通の財源としての起債を配分しなければいけませんので、やはり優先順位というものをつけております。その際、まあほかの似たような団体と比べまして、特にギャンブル団体が財源が豊かであって、起債をつける必要ないじゃないかというふうに認められるものにつきましては、充当率を割り落としいたしましたり、そういうことをやっておりますから、普通の団体ほどの充当率がついていないというものもあろうと思います。そういうことになりますと、まあ一般の団体では、先ほど申しました実際の実効率が、持ち金の二・五倍ぐらいに使えるというものが、ギャンブル団体におきましては多少下がってくると、効率が悪くなるということはあろうかと思います。
○辻一彦君 普通の場合、持ち金の大体起債と補助を入れれば二・五倍ぐらいの仕事ができる。しかし、ギャンブルを施行する市町村の場合はこの率はちょっと悪くなる、それでも二倍ぐらいと、こう仮りに計算すれば、三千億四十九年度にギャンブルによって市町村の収入があるとすれば、六千億の大体いろんな公共事業や福祉面にこのお金が使えると、こういうことに私はなると思うんですね。そうしますと、こういう計算でいった場合、たとえばあなたが先ほど出された昭和三十三年から以降、いわゆる公営競技施行の市町村が収益金をもとにして政府の起債を受け、補助金を受けて、その総累積額はおよそどのぐらいになるというようにお考えになりますか。
○説明員(関根則之君) 先ほど申し上げました二・五倍なり二倍なりに使えるというのは、自分の一般財源を国庫補助金なり起債のつく、たとえば学校のような建設投資に回した場合のことでございます。地方団体の中には、収益金を、たとえば福祉の先取りと申しますか、国庫補助のつかない分に回しておるというようなものもあります。その場合には、もちろん一億の金は一億としてしか使えないということになりますので、全体の率が二倍になるというふうにはちょっと計算としては無理ではなかろうかというふうに考えております。 したがって、私どもそういう観点からいままでの累積額が実際どの程度の金額として使われたかということを積み上げて調べてはおりませんが、一兆四千億の持ち金があるわけですから、それが相当上回った金額として使われているであろうということは事実だろうと思います。
○辻一彦君 その数字をいまこの場で伺ってもこれは大変無理だと私も思います。そこで、資料として、この公営競技の市町村還元金、収益金ですね、これを一兆四千何がしかありましたですね、一兆四千二百七十九億、これをもとにしてそれぞれの施行団体がどれだけの起債を受け、それからどれだけの補助を受けて、この一兆四千億をどのように活用したといいますか、使ったかということを資料として提出をいただけますか。
○説明員(関根則之君) 四百団体からございますものを、過去にさかのぼりまして全部財政分析をいたさないとそういう金額は出てこないわけでございます。したがって、いわゆる積み上げとしての資料をつくるということは至難のわざであろうと思います。ただ一つの特定財源と申しますか、自分で自由に使える資金としてこれだけの資金量が投入されたわけですから、通常の一般財源の使い方に対して、一般財源が一あった場合に、地方団体の総事業費がどのくらいになるかというような率はわかりますので、そういったものを使いまして、一種の相当類推を入れました推定というような形でなら資料はお出しできると思います。
○委員長(桧垣徳太郎君) 委員長から。 ただいま関根課長の答弁は、辻委員の要求とは違っておりますので、この資料の取り扱いは後刻理事会において協議をいたします。
○辻一彦君 まあ、この資料は——いま非常に公営競技をやっている団体と、そうでない団体との財政の格差というものがいろんな形で論議をされている、そういうものを明らかにするために、私はやはりこれは調べてぜひここに出していただきたい。しかし、まあ三十三年からと言えばずいぶん前ですからね、それはおのずと限界もあろうと思いますから、その資料の中身については御相談をして提出をいただきたいと、こう思います。 そこで、この数字が明らかにならないと具体的な論議がなかなかできないんですが、これらの収益金によって公営競技をやらない市町村と、やっている市町村の間に、かなりな財政における格差が出てくるのじゃないか。これは全国の市町村が三千二百六十四、このうちいま四百余りの市町村約一二、三%がこの実施団体になっております。四十九年で三千億の収益金がある。これを幾らに使えるかはわからぬですが、起債や、あるいは補助を受けて活用すれば、これが二倍にならなくても、一・何倍とか、ある倍数にふやして活用されていくのでないか。こうなりますと、公営競技を実施する団体と、非実施団体との財政的格差というものがかなりなものにだんだんなっていくのでないかと、私はこう思いますが、この点について自治省はどういうようにお考えになっておりますか。
○説明員(関根則之君) 四百三十九団体が実施をいたしておるわけですが、この中にはやはりその団体の資金量といいますか、財政規模に比べまして相当多額なものが入っている団体と、収益事業の収入としてはわずかであるというような団体とありまして、一概にはものが申し上げられないわけでございますけれども、いわゆるギャンブル団体と言われているような相当多額の収益事業収入のある団体につきましては、やはり財政運営は非常に楽になってきております。したがって、そういうものを典型的なものを幾つか取り出してながめてみますと、普通建設事業費がほかの団体に比べまして非常に高くなっておるとか、あるいは社会保障の補助関係の補助費が多額に上っておるとか、そういう団体が出てきております。 私どもとしては、できるだけ地方団体の財政力というものが均てん化していくということが望ましいわけでございますので、この収益金につきましても、広く地方団体が均てん化して恩恵にあずかれるというような方法を講じてきておるわけでございますが、その一方法といたしまして、公営企業金融公庫に対しまして、昭和四十五年度から売上金の〇・五%を納付金として納付する。これを原資といたしまして、地方団体に対する水道なり、あるいは交通事業なり、こういったものに対する公営企業の貸付金の金利を引き下げるというような方法も講じてまいっております。先ほど申し上げました起債の充当率等につきましても、やはり当該団体の具体的な財政事情をよく見まして、財源に余裕のある団体についてはしぼっていくというような措置もとってきております。私どもとしては、今後ともこういった措置を強化する方向で措置をしていきたい、できるだけ均てん化を図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○辻一彦君 私、対策の前にもうちょっと実態を明らかにしたいのですが、実施団体と類似団体の一人当たりの決算額の比較で投資的経費、補助金、繰出金等、大きく見てどれぐらいの格差が、ごく大まかにいって、ありますか、おわかりになりますか。
○説明員(関根則之君) 私どものほうで四百十八団体につきまして悉皆の調査をした資料は実はないわけでございますが、市で公営競技をやっております代表的な十四市ほどを取り上げまして類似の団体と比較をした資料がございます。これに基づいてちょっと申し上げますと、投資的経費につきまして、住民一人当たりどの程度の投資的経費を使っているかというものを、類似団体を一〇〇といたしまして、ギャンブル団体の数値がどうなるかというのを出してみますと、十四の団体のうち十二団体につきましてはやはり類似団体を上回っております、二団体だけがちょっと類似団体よりも足りません。その十二団体が上回っておるわけでございますが、その中で特に一番上回っておりますのは二百六十四という数字が出ております。これは一般の団体よりも二・六倍の一人当たりの投資的経費が支出されておる、こういう数字でございます。概算をいたしまして大体一・五倍ないし一・六、七倍というようなところが多いようでございます。 それから、先ほどちょっと申し上げました補助費等について見ますと、十四団体のうち、九団体が類似団体を上回っております。これは一番大きいので、やはり一番高いところで二・六倍ぐらいを支出しておるところがございます。 それから、内部関係費といたしましては、人件費等も相当高くなっておりまして、十四団体のうち、十二団体が類似団体よりも人件費の一人当たり額が上回っておるような状況でございます。
○辻一彦君 まあ、四十九年度に三千億の収益金があるとすると、これは毎年大体いまのお話だと一〇%とか、十数%伸びておりますね。去年が二千七百億、ことしが大体三千億ということになりますとね。一〇%程度は少なくも伸びていく。そうなりますと、これから今後十年間、こういう傾向がずっと続くとすると、三千億を単純計算でも三兆円、これを一〇%ずつずっとふえていくとすれば、複利で計算すれば、もっと大きな私は数字になると思うんですね。こういうものが公営競技を施行する市町村と、非施行市町村との間にずっと続いていくとすると、かなりこれからとも公共的な投資や、社会福祉等における格差というものが現実に日本の自治体市町の中に出てくる、このおそれは非常に私は強いと思うんです。だから、ギャンブルをやっている市町村が、これをいろんな経費に有効に使うということは結構ですが、そうじゃない自治体から見ると、いろんな面でおくれを非常に感じているというものが全国幾らか歩くと、まま話をよく聞くわけですね。こういうものを私は行政の公平といいますか、社会的不公正を是正していくという点から、このままにしておくことはできないのではないか、こういうように思うんですが、これについて、あなたに、これはあまりお伺いするのもなかなか大変なことですが、自治省を代表してお見えになっておりますから、一言伺って、これはひとつ日本の財政金融等を担当される大臣がお見えになって、もう少しお伺いをいたしたいと、こういうように思います。
○説明員(関根則之君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、やはりできるだけこういった公営競技の収益というものを、各地方公共団体に余り偏在することなく均てん化させていきたいというのが、自治省の考えておる考え方でございます。
○辻一彦君 じゃ、いま見えるそうですから、もう一点だけ伺いましょう。 自治省としては、これは何とか改善をしなくちゃならないと、大筋ではいまお考えになっておるのですか。
○説明員(関根則之君) ですから、先ほどもちょっと申し上げましたように、具体的な措置としては、公営企業の金融公庫への納付金である一か、起債の制限であるとか、それからもう一つは、特別交付税配分の際に、いわゆる減額項目として控除をいたしております。その金額は、昭和四十八年度で八百六十五億円、四十九年度では九百六十八億円、こういった金額を減額項目としてマイナス要因に立てまして、交付税の計算をいたしておるわけでございます。こういう方法をさらに強化をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○辻一彦君 公営企業金融公庫ですね、これへの繰り入れがありますね。これはいまどのくらいの数字になっておりますか。
○説明員(関根則之君) 昭和四十八年で百十四億円入っております。四十九年度では、もちろん見込みでございますが、百三十億程度が見込まれるのではないかと思います。そうしますと、いままでに、四十五年から始めたものですから、累積で申し上げますと、四十八年度の期首で二百十億円でございます。四十九年度の期首では三百二十九億円程度になっておるわけでございます。
○辻一彦君 これをもっと大幅に繰り入れをふやして、この間の矛盾を自治省サイドで変えていこうというお考えはありますか。いまのは何%という、毎年一定の率において、自然的にふえればふえていくということであると思うんですが、パーセントを上げて是正をするという、そういうお考えはおありですか。
○説明員(関根則之君) これは地方財政法に根拠規定がございまして、現在繰り入れをやっておるわけですが、それでは限度として、一応繰上金の一%が限度になっておるわけですが、現在は〇・五%で、政令で定めております。五十年度以降につきましても先日政令が閣議決定をされまして、五十年度については〇・五ということが決まっておりますが、自治省といたしましては、できるだけ早い機会に法律上の限度でございます一%まで持っていきたいというふうに考えております。関係方面との折衝その他ございますので、まだそれが実現されていないわけでございます。
○辻一彦君 一%まではできると、それが現在〇・五%、政令でその数字を動かすことができるということですが、五十年度はもうすでに決定して、動かすことはできないわけですか。
○説明員(関根則之君) 五十年につきましては、先日の閣議で政令が決まりましたので、五十年度単年度だけでございますけれども、〇・五ということで決まったわけでございます。
○辻一彦君 まあ閣議で決まったことをここでお伺いしても、あなたになかなか御無理なことだけれども、自治省内部でこれを早く一%に少なくも近づけようという、こういう論議がどのくらい進んでおりますか。
○説明員(関根則之君) 自分の金を右から左に移すようなぐあいにこれは参らぬものでございまして、主催団体等とのやはり協議を経ていかなければいかぬわけでございます。昭和五十年度において実際どの程度伸びるか、売上額が従来のような形で好調な伸びを示すかどうか、その辺の問題もございますし、また施行団体としてはある程度の収入というものを予定して、自分のところの財政計画を組んでおりますので、いろいろな事情がございますが、自治省としては当初から早い機会に一%まで持っていきたいということで、内部的な論議を済ませて、関係方面と折衝をいたしたわけでございますが、結局五十年度の率を決めるぎりぎりまで努力をいたしましたが、結果的には五十年度については〇・五でやむを得なかった、これ以上改善することができなかったというのが実情でございます。
○辻一彦君 早い機会にとおっしゃるのだけれども、いつごろをめどにして早い機会に実現したいと、こうお考えになっておりますか。
○説明員(関根則之君) 五十年度はいずれにしろ、もう勝負がついたような形になっておりまして、〇・五でございますが、五十一年度、五十二年度に私どもとしては一%に近づけていきたいというふうに考えております。しかし、まだこれにつきましては、関係方面との了解が取りつけてあるというものではございません。私どもの方としては、早速にでも一%に持っていきたいわけでございますが、実際問題としてはなかなか五十一年度からすぐに一%ということは無理といいますか、相当困難を伴う見込みでございます。
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記を起こして。
○辻一彦君 大臣お見えになりましたので、二、三点お伺いいたしたいと思います。 実はいま、大臣、地方公共団体のギャンブル実施団体と、それから非実施団体との、ギャンブルによる収益金をもとにして、財政的な格差がかなり出ていると、こういうことを論議をしておったんです。前段の話をちょっと聞いていただいておらないと大変この話はしにくいんですが、ちょっと重複しますが、二、三点前に返って御質問いたしたいと思います。 いま自治省の方から数字を、それから農林省から競馬、それから運輸省からボート、さらに通産から競輪、オートレースについて、それぞれの開催市町村の数と、それから収益金等を伺ってみました。概算してみますとこういう数字が出ております。三千二百六十二の市町村の中で、大体公営競技をやっているところの市町村は四百余りで一二、三%に当たる。そして四十八年度におけるその市町村の競馬、競輪、オートレース、競艇を含めて、市町村に還元された収益は約二千七百億、四十九年はほぼ概算しますと、ギャンブルの売り上げが三兆円で、これからずっと推算していきますと三千億程度になるだろう、こういう数字が自治省から示されました。そしてもう一つは、三千億という元金をもとにして、これに、公共事業等を行う場合には、国の起債であるとか、あるいは国の補助金を受けることができる。したがって、それがそのまま、普通ならば二・五倍に使えるわけでありますが、この場合にはそうはいかない。しかし、二倍とかそれ以下のいわゆる倍数でもってこの金が有効に使えるようになる。そうなりますと、市町村にとってはかなり大きな、魅力のあるといいますか、有効な財源になっております。それを累積しますと、昭和三十三年から四十八年までで市町村が配分を受けた金額は累積一兆四千二百七十九億と、こうなっております。したがってこれを、これに見合った起債や補助が行われたとするならば、この数字は後で自治省が整理をして提出をいただく、こうなっております。しかし、ごく概算にしてもかなりなものになるのじゃないかと、こう推算されます。 そこで、このような片面においては公営競技によって、ギャンブルによって収益を受けて公共事業を広げていく。そこへ社会福祉の施設ができるとか、あるいはいろんな福祉の面における拡充というものがなされていく。そうでない非実施団体においては、その格差感というものがかなり実感されつつあると、私はこう思います。そこでこれをひとつこのままにしておいていいのかどうか。これは私は自治省の問題ではあろうとは思いますが、しかし、日本財政金融を総扱される大蔵大臣として、こういうような財政におけるところのアンバランスというものをどういうようにお考えになっておるか、これをまず第一点お伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 根本には、公営競技というものを将来どうしていくかという大きな方針が国としてなけりゃならぬと思うのでございますが、ただいままで私が承知しておる限りにおきましては、まず公営競技というのは、それの運営自体に問題がございまするし、いま御指摘のように、地方財政に大きな格差を生むものでもございまするし、社会的な影響というものも無視できないものでございまするが、しかし同時に、地方財政を一面において大きく助けておるものでもございます。したがって、これを大きくすると、拡大するということにもちゅうちょを感じるが、といってこれを全廃すると、あるいは縮小するというところまで決心がつかない。したがって、現在以上にこれを拡大しないということでやってきておると思うのでございます。そういう前提に立ちまして、いま言われた財政上の格差というようなものをどうしたら縮小、均衡化へ持っていけるかということで、四十五年以来公営公庫に対する納付金制度ができたと思うんでございますが、それと同時に、自治省におかれまして地方債の許可でございますとか、特別交付税の算定等に当たりまして必要な配慮を加えてきておると思うのでございます。 今後これをどのようにしてまいるかというお尋ねでございますが、じみちに考えまして、そういった従来格差是正への着実な歩みというものを漸次拡大していくべきじゃないかというように考えております。
○辻一彦君 これ以上拡大しない、減らすにもちゅうちょすると、大変むずかしい御答弁ですが、なかなか私、現実にこれに依存している自治体の財政の状況を思えば、言われるようなむずかしさがあると思います。しかしまた、各地を私たちが歩いてみると、公営競技を実施している団体は社会福祉だとか、あるいは福祉の施設をつくるとか、その点では非常にやりやすい、しかし、われわれのところはそれがないので大変むずかしいと、こういう声はかなり私全国の各地で聞くわけなんです。そうしますと、これを何らかの社会的不公正の一つでなかろうかと、これを是正する必要というものが大変あるんではないか、こう思うんです。そこで、このまま拡大しないと言いましても、昭和四十九年度が大体収益金が自治省推算で三千億になる。去年が二千七百億で、一割上がって三千億だと、こうなりますと、これからもし十年としますと、一〇%ずつこれが大体、売上金がふえていき、それに伴って収益金がふえていくとすれば、恐らくこのお金だけで五兆円前後のお金に、推算でありますが、十年間になっていくのでないか。そして、これに起債や補助が伴うとすれば、かなり大きな、そういう意味の財源になっていく。格差というものはかなり広がっていくのではないだろうか、こう思います。だから、広げるわけにもいかぬし、縮小するわけにもいかぬと、何とかしたいということでは、この不公正といいますか、格差をなかなか解消することに具体的にならないと思うんです。その点で、ひとつ大臣がいま言われた、公営企業金融公庫における納付金を増大するということでありますが、これは、自治省のほうは、一%まではふやせるのを〇・五%にしていると、これを早くやりたいということですが、所管がちょっと違う感じもいたしますが、しかし、これを一%にまず早急に引き上げるということについて、大蔵大臣どうお考えになっておりますか。
○国務大臣(大平正芳君) この問題につきましては、まだ自治省から御相談を受けておりませんわけでございますが、自治省が地方との間の話し合いを通じまして、これを拡充してまいる、納付率を上げてまいるということに御決心されることでございますならば、大蔵省として賛成いたしたいと思います。
○辻一彦君 これは地財法に触れるわけでありますが、一%という数字をもう少しこの中で上げていこうという、こういう点についてのお考えはどうでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) まあ、これは出す方の市場もいろいろあるようでございまして、もう少し関係者の間で十分討議がなされて結論が出されるべきでありまして、一%をさらに上げるというようなことについて、前広に大蔵省が見解を述べるなどというのは、まだ少し早いのじゃないかと思いますので、しばらくもう少し事態の推移を見させていただきたいと思います。
○辻一彦君 これはひとつ十分検討されるお考えありますか。
○国務大臣(大平正芳君) 検討に値するテーマであるとは考えております。
○辻一彦君 そこで、既得権というようなものがあって、なかなかむずかしいそうだし、また地方側から言えばあると思うのですね。だから、これに依存している側から言えば、なかなか容易ならぬ問題があろうと思います。自治省サイドから言って、ある限界が私はあるように思いますが、そこで、大蔵省のサイドからして、まあ戦後、戦災都市なんかの復興を目指して、こういうギャンブル等が設置をされた。しかし、もうすでに三十年たっていると、そしていまのようないろいろな格差も出て矛盾点があるとすれば、こういうものを、違った税制の方からひとつ考えていく、是正していくという道が一つあるんではないだろうか。そういう意味で、数年前からずっと問題になっておりますが、ギャンブル税を創設して、国税においてこれを吸い上げて、このお金を、税収をもっていろいろな矛盾点を是正していく、こういうことについてお考えになる点はないだろうか、こう思うのですが、いかがでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) このギャンブル税という問題も、これは外国でもおやりになっておる国もあるようでございまするし、われわれの方もこういう問題について勉強、調査もしてみたわけでございますけれども、問題は大変むずかしい問題でございまして、やり方といたしまして結局、たとえば馬券などの購入者の払戻金に課税するというようなことになりますると、それだけの払い戻しが減ってまいるわけでございまするから、結局のみ行為の誘惑がふえてまいるということになろうかと思いまするし、そうでなくて地方公共団体の収入部分に課税するとなりますと、主催者である地方公共団体の財政に影響が起こるということでございます。どっちを向いてもこれはむずかしい問題だと思うのでございまして、技術的にも十分検討をしなければならぬ問題でございますが、それ以上に政治問題として、非常にこれは辻先生いま言われたとおり、四百幾つかの団体がすでに既得権を持っておるわけでございまして、これに対してどのように対処するかということ自体が大きな政治的なイシューであろうと思うのでございます。したがって、検討、勉強せよということでございますれば、勉強することにやぶさかでございませんけれども、ギャンブル税というようなものをひとつ行政の日程の上にのせて考えてみるというところまでまだお答えできない状況でございます。
○辻一彦君 大蔵省が、これは昭和四十八年の四月ごろのずっと国会の論議を見ますと、当時の愛知蔵相が、ギャンブル税は取りたいし、取るべきだと国会で発言をしていますね。これはわが方のここにおられる野々山委員等からも御質問があって、これに答えておられる。これに基づいて大蔵省は作業に入ったと、当時の新聞が報じております。当時、大蔵省が、取りたいし、取るべきだと考えた根拠というのは、一体どういうものであったか、これをひとつお伺いいたしたい。
○政府委員(旦弘昌君) いわゆるギャンブル税につきましては、ただいま大臣が申し上げましたように、いろいろの問題もございます。また一般の世情で、あれだけの金が入るのであるから、そのギャンブルの性格にもかんがみまして、何か税金を取るべきではないかという御議論が非常に強かったのでございます。そういう背景のもとに大蔵省としては、これを検討するということで、ギャンブル税に伴いますいろいろな問題について検討を続けてまいったのでございます。
○辻一彦君 当時、愛知大蔵大臣が、取りたいし、取るべきだと、かなり強く発言されておるので、世情世論がその程度だったから検討してみたという程度では私は済まされないと思うんですが、当時のもう少しはっきりした、取るべきであるし、取りたいと言われたその根拠というものをもう少しはっきりお伺いいたしたい。
○政府委員(旦弘昌君) 一つには、その当時、取るべきであるという大臣が御発言になりましたのは、いま申し上げましたような世論と同時に、あれだけの巨額の金が動いておるというその金に対して、それは担税力があるのではないかということ、それからまた、社会的にギャンブルに対する批判が強いというようなことがその背景であったものと了解しております。
○辻一彦君 大臣、もう時間がないんですが、お伺いしますが、当時、大蔵省が考えられたような、やっぱりギャンブル税というものは何か考えなくちゃならないという、このいま幾つか挙げられた基本的な考え方は、いまも大蔵省としては一貫して変わっていないんですか、変わっているんですか。
○国務大臣(大平正芳君) 財政というのは、財政というか、税制と申しますものは、御案内のように、担税力のあるところから納めていただく、きわめてドライに割り切って、そういうものだろうと思うのでございまして、どこに担税力があるかということの探求は常に怠ってはならぬことだと思うのでございまして、そういう観点から申しますならば、この問題も確かに検討を怠ってはならない問題だと思うのでございます。ただ、これを政府の行政の日程にのせてまいるということにつきましては、これはいろいろ先ほど私がお答え申しましたように、対地方との関係その他、非常に大きな政治問題でもございますので、まだそこまで、いついつからどうするというようなところまでまだお答えできない状態であることは非常に恐縮でございますけれども、そういう状態であることを御理解いただきたいと思います。
○辻一彦君 じゃ、最後に、これで終わりますが、いろいろ現在困難さがあると、そういう点でかなり消極的な態度のように私は見受けられますが、しかし、ギャンブルのいま論議をされている実態を見ると、このままにはやはりしておけないんじゃないか。そういう点で、ギャンブルの実態を、ギャンブル税をも含めてもう一度洗い直してみる、そういうお考えがおありかどうか、最後にこれをひとつお伺いをいたしたい。
○国務大臣(大平正芳君) ギャンブル自体につきましては、財政問題以外に社会的な問題としても多々あるわけでございますので、財政的角度からばかり論議はできないわけでございますが、財政的な角度から申しますと、先ほど先生も御指摘になったように、主催団体と、そうでない団体との間に財政的な格差があらわになってきておる、このまま放置できないという状況にありますことは御指摘のとおりでございまするし、これをどのように縮小していくかということは、これは当然政府が考えなければならぬことであろうと思うのでございます。さらに一歩進んで、税という体系でこの問題をとらえた方が適切じゃないかという考えにつきましても、そういう検討に値する問題でもあろうと思いますので、したがって、検討をすべき問題であるということについては私も同感でございます。仰せのとおり、政府としては引き続き検討を重ねてまいるということで御了承いただきたいと思います。
○鈴木一弘君 いまの問題ですけれども、私も同じ問題をお伺いしたいと思っていたんですが、競輪、競馬の中央公営ギャンブル、こういうことで得た収益、払戻金ですね、これは本来は所得税の対象の所得になるんだろうと思うのです。そういう答弁がこの委員会であったはずです。この大蔵委員会ではっきりと、これは所得税の対象の収入であるということが言われているわけです。もちろん、必要経費といえば、馬券の券だけになってしまうわけだろうと思いますけれどもね。外れたときの必要経費じゃなくて、当たったときの券だけが必要経費だという話もありますが、いずれにしてもその所得に対してはこれは申告もされてなければ、はっきりつかんでもいないというのが私は実態だと思うのですね。そうすると、国が脱税を堂々と認めていたということになるわけです。そういうことならば、もうあと道は三つしかない。いまのギャンブル課税の話もございました、そういうような方式をとるか、あるいは当せん金附証票法の、言われている宝くじのように、租税特別措置か、所得税で免税措置にしてしまうか、現状追認ですね、それをしていくか。じゃ、申告はしろと言ってもしないんであれば、いまのようにやはり払戻金の中から一定率を掛けて取るべきか。もしそうでなければ、現在の地方の財源の問題もございます。そういうことで、地方税として何か創設をして払戻金の中から取るか、いまの脱税を認めていくのか、それともそういうようにやっていくのか、この二つの方法しかないわけなんです。そういう点について、非常に二度も三度もで恐縮ですが、ちょっとお伺いしたいと思います。
○政府委員(旦弘昌君) 第一番目の馬券に対する配当金の課税でございますが、先生おっしゃいますように、所得税法におきましては、これは課税の対象になっておるのでございます。ただ、国税庁といたしましても、この課税の実態について、それだけにつきましてどうなっておるかということは必ずしも把握しておられないかもしれませんが、そういうたてまえになっておるわけでございます。 それから、あとお話しになりました配当金につきましての七五%分につきまして、何らかの形で課税するという問題でございますが、これは先ほど大臣も申し上げましたように、配当率が下がるということで、現在でもはびこっておりますのみ屋に対する一つの、のみ屋をさらにばっこさせるというような要因になる問題がある。これも先生の御指摘のとおりでございます。 それから三番目の二五%分、そのうち地方税収に入っております分につきまして、これを国税として課税するという問題につきましても、これも御指摘のとおり、地方財政——すでに一部の都道府県なり市町村が取っておりますその収入につきまして、それをどうするか、その間の調整をどうするかというような非常に大きな問題があるということでございまして、それらを含めまして、今後ともいろいろ頭の痛い問題でございますけれども、何らかの方法はないのかということで検討を続けてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○鈴木一弘君 その一つは、大臣、こういう問題があると思うんです。やはり所得税の場合でも、十万円以上余分にあればとかいうことで申告をやらなきゃならなくなっているんですから、そうすると、そういうような高配当のあったようなときに、まとめて買ったというような場合だけは、その配当金の中からということは、これは可能性があるだろうと思うんですね。そういう検討ぐらいはしなくちゃならないと思うんです。先ほど引き続いて検討するという話がありましたけれども、この委員会でも指摘されて、脱税だとはっきりわかっていながら手がつけられていなかったということはちょっと問題じゃないかと思います。そういう点について大臣からも改めてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 大変恐縮でございます。改めて検討してみます。
○鈴木一弘君 それから贈与税の問題でございますが、一つだけ大臣にお伺いしておきたいのは、場所によっては、国によっては夫婦間贈与については一切課税をしていない。もちろんイギリスのように贈与税はない。夫婦間贈与があった場合だけはかからない。急に亡くなった場合でも、七年間の間だけは、さかのぼって遺産贈として相続税というふうに見ているようなところもあるようでありますが、やはり夫婦間贈与については、夫婦の財産が別産制という態度をとっているから、私は課税があるんだろと思いますけれども、しかし、本当を言えば、やはり実際に使っている状態なんというのは完全な共有制度だと思うんです。たとえば御主人が奥さんが年じゅう使うところの車のお金を出したといっても、これは贈与税かかってくるわけですね。そういう点を考えると、やはり夫婦間の贈与については本来免税にすべきじゃないか。カナダのように、キャピタルゲインとして税というものがあっても、夫婦間の贈与だけはそれがないというのもございます。そういう点から見ると、夫婦間贈与についての課税はやめるのが筋じゃないかというふうに贈与税について思うんでありますけれども、その点いかがでございますか。
○国務大臣(大平正芳君) いま民法は別産制度になっておるわけでございますので、それを否定してかかるわけにはいかないと思います。それで相続税の場合、それではそういう前提でどのように考えたらいいかということでございますが、これは結局法制審議会で十分御討議をいただいて結論を出していただかなければならぬと思うのでございますが、今度の御提案は、同じ世代の財産の移転についてはここまで考えて、相続税の範疇においてここまで考えてしかるべきじゃないかという立法政策上の配慮から御提案申し上げておるわけでございまして、基本にさかのぼっての共有制と別産制の問題についてわれわれがちゃんとしたスタンスをお示し申し上げるだけの自信があったわけではないことを御了承いただきたいと思います。
○鈴木一弘君 じゃ、これで最後にいたしたいと思いますが、これはちょっとホットな問題なのでお伺いしたいんですが、三月十八日あたりの新聞等から出てまいりましたが、五十年度の事業債の発行枠、これが大蔵省、日銀が協議中であると、こういうことが出ております。その中で、いろいろ昨年に比べてことしはその抑制方針を改めていきたい、こういうように出ておりますけれども、この事業債について、こういう不況のときから脱出するためにということで、ことしはかなり大きくふやすのか、日銀が一兆四千億円ぐらいしか許さないだろうと、大蔵省の意向は、一兆八千億までは一般事業債の枠を認めようというふうな話があると出ておりますけれども、実際の事業者の方の起債の要求は一兆九千億だ。そういう点で果たしてこれでいいのかどうかということは問題だと思うんですけれども、これについての基本的な態度といいますか、そういうものは一体どういうようにいま考えられておられるのか、これが一つであります。電力債を含めて一兆九千億円が確実だというような話も出ているんですけれども、この起債について、事業債についてどういうように考えられていま大蔵省の——伝えられているとおりなのか、その方針の見込み、一体どういう方向に行っているのかということが一つ。 いま一つは、これは、ブラジルのアルミについて進出をするということが出ております。これに対して非常に大きい、三十億ドルも資金がかかるというんでありますけれども、政府がアルミのナショナルプロジェクトの第一弾とするということで、政府側の積極的な融資がかぎを握ると。利子についてや何かの要請もことしの五月以降にはしたいということが出ていますが、こういう点について大蔵大臣として基本的な考え方をお伺いして終わりたいと思います。
○政府委員(藤井淑男君) 御質問の第一の事業債の問題について、これはまた現在起債会で協議していることでございまして、大臣にも御報告してございませんので私の方からお答え申し上げます。 御指摘の一兆四千億とか一兆八千億という数字につきましては、多分三月十八日の日本工業新聞の記事のことと存ずるわけでございますが、ここに書いてありますようなことを現在証券界、発行会社それから起債に当たっての受託銀行等の間で現在協議中でございます。それで、一兆八千になるのか一兆四千ぐらいになるのか、まだ私どもとしては起債会の方から正式の協議を受けておりませんので、彼らの間で議論が煮詰まった上でその話を聞いて私どもの態度を決めたい、このように思っております。 それから、われわれの基本的な態度でございますけれども、総需要抑制政策の枠の中におきまして大口融資規制措置なども実施されておりますし、今後この資本市場の育成、企業の内部資産の充実等諸施策が必要であるということを金融制度調査会の方からも言われておりますし、私どもといたしましては、この事業債を含め資本市場での資金調達は総需要抑制政策の枠内でできるだけ促進されるように努力してまいりたい、このように思っています。
○政府委員(大倉眞隆君) ブラジルにおきますアルミのプロジェクトの御質問でございますが、鈴木委員御承知のとおり、昨年九月田中前総理がブラジルを訪問されましたときに本件が取り上げられておりました。現在民間ベースで話が進んでおりますのは、おっしゃったとおり約二十五億ドルという大型の話でございます。現状は、双方でフィジビリティ・スタディのもう一つ前、プレ・フィジビリティ・スタディというのをやっておる状況でございまして、プレ・フィジビリティ・スタディが終わりまして可能性がかなり確実になりますれば、本格的なフィジビリティ・スタディを行う、そのための会社をつくるというような段取りで動いてまいろうかと思います。 いずれにしても、非常に大きなプロジェクトで息の長い話でございますが、フィジビリティが確認されました上では、やはり日伯間の経済協力の一環といたしまして、政府としても応分の支援は考えるということになるのではないかと考えております。
○委員長(桧垣徳太郎君) 午前の質疑はこの程度とし、午後三時まで休憩いたします。 午後一時二十九分休憩 —————・————— 午後三時十四分開会
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 相続税法の一部を改正する法律案及び入場税法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○大塚喬君 前回に引き続いて相続税関係について質問を続行いたしたいと思います。 質疑に入ります前に、今後の委員会審査の日程等を考えてみますと、租税三法の審議の期間が短いことで、きょう前もってひとつ資料の提出をお願いしておきたいと思います。と申しますのは、特例法の審議の際に、毎年大蔵省から出されておりますいわゆる特例法の税の減収分、この表について、これの算出の基礎を明細にして資料の提出をひとつお願いいたしたい。 それからもう一つは、当然あの減収分というのはいま審議をいたしております予算分に相当するものと考えるわけであります。当然減収分ということであっても、これはマイナスの税金でありますので、これに伴う決算に見合うものが当然出されてしかるべきだと。現在までの資料を検討いたしてみますというと、この決算分に相当する資料の提出がございません。特例法による減収分の決算に相当するものをひとつ資料として次回の委員会までに提出をいただきますようにお願いをいたしたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) ただいまのお話は租税特別措置の減収額の試算のことと思いますが、例年お出ししておりますもので、今年度も提出しました五十年度の減収試算の積算の内容は、御要望がございますればできるだけ沿いたいと思っております。ただ、あれは平年度計算を例年やっておりますから、毎年度の予算案というのは、五十年度の税収とは関係ございませんで、平年度計算でございます。それから実績につきましても、したがいまして、たとえば五十年度になりますと、四十八年度にいろいろな各種の準備金などを積み立てた状況とか特別償却の状況はわかりますから、その基礎データの数字はわかりますけれども、それによりまして、一体、たとえば四十八年度にどの程度の減収を招来したかというのは実はおかっておりません。私どもも、五十年度を試算します場合に、四十八年度のそういった資料を得ました後で、それをもとにこれを五十年度の試算に使うわけでございまし、税収とは直接には結びつかないわけでございます。
○大塚喬君 国民の側にとってみれば、法律改正をして当然取るべき税をこの分だけ減税をしてやるということですので、考え方としてはやっぱりきわめて重要なものであり、慎重にその内容について検討を必要とするものであろうと思います。いまの局長の答弁では、基礎資料ということでございましたが、これをひとつもとにして特例法の審議の資料にしたいと思いますので、とりあえずその基礎データだけでも結構ですので、資料として提出をいただきますようにお願いをいたします。
○政府委員(中橋敬次郎君) そのように取り計らいます。
○委員長(桧垣徳太郎君) 政府側に申し上げま す。 委員会資料として提出を願います。
○政府委員(中橋敬次郎君) 承知いたしました。
○大塚喬君 前回の質問で、相続税の滞納、延納の現況はどうかと、こういうことで数字を挙げて答弁をいただきました。その理由はどんなところにございましょう。大分四十八年度の延納の現況が二千三百二十五億円、その割合が六三・六%という大変高額な延納の率と、滞納が同じく四十八年度において二百二十四億円、年度末の滞納残高が百億円ということでございますが、その理由は、一体、国税庁当局が怠けておったと、こういうことになりますか。どういうことでこのような延納、それから滞納の現況が出ているものでございましょう。
○政府委員(横井正美君) 延納が非常に高く利用されております理由でございますが、相続税は御承知のように、きわめて偶発性が強いと申しますか、一生に一度の税金であるというふうなことでございますし、かつ財産に課税されておるということからいたしまして、現金で即納することが非常にむずかしいという状況にあるものと考えます。さらに、最近におきまする土地の価格の上昇等がございまして、土地など不動産の割合が高いということから、このような事情になっておるものだと考えております。
○大塚喬君 それで、税法改正による今年度の減収額を見て驚いたんですが、初年度六百二十億円、平年度二千九百八十億円の大きな数字の差が出ておるわけでありますが、一体これはどういうことでこのような大きな差が出ておるのでございましょう。
○政府委員(中橋敬次郎君) ただいま国税庁の直税部長から御説明申し上げましたように、そもそも相続税となりますと、本来譲渡しない財産を評価をいたしまして相続税を課するわけでございます。そこで、財産の再分配を目的としております相続税でございまするから、中にはそれを譲渡しまして、そこの中から相続税を納めていただくことも避けがたいのでございまするけれども、なるべくはそういった事態を避け得る方には、延納というような制度を利用しながらやっていただくのがこの税の趣旨でございます。したがいまして、相続税の延納制度は五年、十年、十五年と、その財産、特に不動産につきまして流動性が非常に低いということから、そういった長い延納制度を設けておるわけでございます。それで、特に最近の相続税の課税内容を見てみますと、約七割というのは不動産でございまするから、勢いどうしても延納制度を利用する相続人がふえてまいっておるわけでございます。そこで、さっき大塚委員がお示しのように、四十八年度には延納率が六三・六%になっておるというような事情でございまして、どうもその後の事情もこれをかなり上回った延納率を示しておるのではないかと思っております。もちろん、その延納につきましては、法定の利子を納めていただくことになっておりますけれども、延納を利用されることは、相続税の性質から言って予定しておるものでございます。 そこで、今回の相続税法の改正におきまして、いろいろ課税最低限の引き上げなり、税率の緩和が行われるわけでございまするけれども、やはりそれは最近の延納状況から見まして、かなりの方が延納を利用しておる状況におきますと、初年度、昭和五十年度におきまして税収が減る分というのは、いわばそのうちのある一定部分でございます。そういうものを勘案しましたのが初年度計算でございまして、相続税におきましては五百億円、平年度は二千七百七十億円ということになるわけでございます。贈与税につきましても、同じように延納制度がございまするので、初年度は百二十億円、平年度二百十億円、こういうことになるわけでございます。
○大塚喬君 この相続税の課税についてですが、課税財産の把握ということが一番やっぱり重要な基本的な問題になるだろうと思います。いま答弁の中に、不動産関係が七割という言葉がありました。土地、家屋ばかり正確に課税されて、預金等のいわゆる動産、こういうものが架空名義、無記名貯金ということで課税を逃れておるのではないかという疑問を、いま局長の答弁の中でも感じたわけでございます。この点について、実際問題としてどのように、その課税対象を完全に把握するために努力、工夫をされておりますか、その点について、ひとつ関係者からお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(横井正美君) ただいまお尋ねにございましたように、預金あるいは有価証券、これにつきましては、土地、建物等に比べまして、確かに把握がむずかしいという事情がございます。しかしながら、私どもといたしましては、過去の長い歴史を通じまして、いわゆる不表現の資産でございますが、不表現資産の把握につきまして重点を置いて努力をしてまいっておるというところでございます。預金とか有価証券は、その所有事実を一見して確認するというふうな手段がございませんけれども、私どもといたしましては、一つには、被相続人の過去の所得状況、第二には、被相続人の生前におきまする財産の処分状況、第三に、被相続人が会社の社長等をされておるというふうな場合におきましては、会社との関係等を検討いたしまして、預金や有価証券の所有事実を推定いたしまして、申告漏れがないように指導する。あるいはまた、申告漏れがあると認められます場合におきましては、銀行調査等も行いまして、適正な課税に努力をしておるということでございます。
○大塚喬君 課税については、よくクロヨンというようなことが言われておりますね。この相続税について、こういう不動産関係、土地とか家屋とか、こういうものについては現状どの程度国税庁としては把握をし、その税の執行についての妥当性と申しますか、どの程度の執行率、それから預金等については、現状どの程度にその課税対象を把握されて執行しておるか、その担当者としてのひとつお考えを聞かせてください。
○政府委員(横井正美君) 土地、建物でございますが、これにつきましては、御案内のように、死亡の事実が発生いたしますと、市町村長から私どもの方へ五十八条の通知書というのをいただくようになっております。で、その書面には、その方が所有しておられます土地、建物、これ固定資産税の台帳を使いますので、それらから記載をいただくというふうなことで御通知をいただいておるわけでございます。したがいまして、それらに基づくもの、あるいは若干それ以外のものにつきましての私どもの調査からいたしまして、大部分把握をしておるというふうに考えております。ただ価格につきましては、いろいろ御議論がございますけれども、いろいろなしんしゃくを適正時価という法律の言葉の範囲内におきまして、しんしゃくをいたしておりますので、実際のいわゆる呼び値といいますか、それからまいりますと、かなり低い水準にあるかと思います。御承知のように、国土庁の公示価格からいたしますと、私どもの相続税評価は、おおむね二分の一というところにございます。 それから預金、現金等でございますが、これは率直に申しまして、私ども努力をいたしておりますけれども、どの程度把握しておるかということになりますと、はっきり何割程度という数字を申し上げる自信はございません。
○大塚喬君 こういう相続税の大きな改正があって、やっぱり法の執行が適正に公正に行われるということがきわめて重要であろうと思うわけであります。まあこの点に関連をして一、二質問をいたしたいと思いますが、いわゆる農地の相続の問題、これは食糧危機あるいは農地の保全の重要性というようなことから、それなりの十分な根拠があったものと私どもも受けとめております。しかし、実際問題としては、都市近郊の農家が地価の値上がり待ち、こういうことで純農村の農家と比べても大変不公平な恩典を受けると、こういうことになろうと思うわけであります。現実の問題としてそういう人もあるいは出てくるのではないか、地価の値上がり待ちということでこの相続税の恩典を受けて、たまたまその二十年という期間に満たない間に処分をされる、収入を受ける、こういうことも当然予測されるわけでございますが、この法律を巧みに利用してそういう恩典を受けた場合については、そういうものの不均衡、こういうものの是正についてどういうふうにお考えになっておるでしょう。
○政府委員(中橋敬次郎君) いま御指摘の点は、確かにそういう弊害もないことはないと思っております。ただ今回の改正案といたしておりますところは、主としまして都市近郊におきまして、いわゆる土地利用の制限、農地転用の制限というのが画然と行われていないというところから、農地の売買価格というのが今朝もいろいろ御指摘がございましたように、いわゆる宅地含みの価格で現実には売買をされておるわけでございます。そこで相続税の問題が起こりましたときには、そういった売買実例から相続財産の評価をせざるを得ないわけでございますけれども、またそのときにはかなりの売買実例と、現実に売られていない財産の評価に至るまでにはしんしゃくを加えるわけでございますけれども、何といいましても、現実に宅地含みで売られました価格が基本になるわけでございまするから、本当に農業を継続してやろうという方にとっては、いわば不当に高い評価ということになるわけでございます。そこで今回の制度は、みずからがきちんとした線引きをしていただくと同じように、かなりの間農業をやろうと、結果としましては二十年でございますけれども、そういう恒久的に農業をやろうという農家につきましては、そういう宅地含みの評価を排除したいわゆる純農地の評価としてその際の相続税を納めていただこうというような趣旨でございます。したがいまして、近郊あるいは都市の間に所在しますところの農地もそういう特例制度はもちろん適用になるわけでございますが、相続税の側から申しますと、相続税がかかるということによりまして、そういった地域にある農業というものを相続税のために廃止しなければならないという事態はやはりわれわれとして踏み切りがたいという気がこの制度を考えたときにしたわけでございます。いろいろ市街化区域の中におきましては、たとえば農地の中でも宅地並みの固定資産税をかけておるというふうなことで、宅地化になるような政策もとっておりますけれども、相続税というような問題になりますれば、いわばそれを機会に農地が宅地になることを促進するということは、やはり避けた方がよろしいのではないかということでございまするので、農業を継続するというその地域なり、あるいはその規模なりというものについては全然条件をつけないということでございます。したがいまして、御本人がやはり農業をやろうという気持ちを持ってやられておられます限りは、今回の制度を適用するわけでございます。反射的にその制度を利用していわばその間農業をやって地価の上昇を待って、そこで猶予された相続税を現実に農地を売ったときに納めるという人たちも出てくるかもしれません。あるいはまたそれの地価の上昇部分は、とても私どもが考えておりますような利子税でもって回収できるとも思っておりませんけれども、やはりそういう悪用を避けるというよりは、むしろこういう制度の本来の趣旨を十分活用していただきまして、そういう地域にあっても農業を続けるという人は、やはり御自分の意思で長く続けていただく。それには相続税というのは、そういう宅地化の方向へあえて促進をしないという制度にしたわけでございます。
○大塚喬君 それでもやっぱり実際問題としては、地価の値上がり待ちという農家が出て、不公平という問題が現実に私はずいぶん起きるんではないかと、こういうことを心配をいたしております。 それからもう一つ、不公平の問題でぜひ取り上げたい問題は、同じく個人業種に属する中小企業の営業資産、これは農家の農地と全く同じ条件にあるものと考えるわけであります。個人企業に属するものの営業資産、このものについては、今度の相続税法の改正については何らの考慮が払われておらなかったという事実を私はどうも納得できないわけでございます。当然これと同じような免除の措置が講ぜられなければ、この税の、農地の問題に対する配慮というようなものがきわめて不公平なものとして残る、こう考えるわけであります。この点についてどのようなお考えで、今後どう措置されようとしておりますか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) 今回御提案を申し上げております制度の目的としますところは、先ほども申し上げましたように、農業の重要性とか、あるいは農地の細分化を相続税の特例によって避けるとか、あるいは農業の事業用の主たる財産でございます農地について特別の配慮をしようということで発したものではございません。問題は、先ほど来申しましたように、農地の転用制度あるいは土地の利用制度が厳密に行われておれば、恐らく生じなかったでありましょう今日の宅地含みの農地に対する評価というものをみずからが線引きをすることによりまして、農地としての利用しかしないということを制度的に決めていただいた農家につきましては、そういう宅地含みの評価を一応しませんで、農業投資価格と言っておりますその純農地のような評価でもって相続税を納めていただこうという趣旨でございます。翻りまして、事業用資産、その他の中小企業の事業用資産でございますとか、あるいは一般の人が住んでおりますような居住用の土地とかいうようなことになりますと、そういった問題は生じないわけでございます。宅地は宅地でやはり評価をされておりますし、またそれは自由に宅地として売買をされるものでございまするから、今回この制度でねらいとしました農地としての評価と、それから周りが線引きの不徹底によりまして生じてくる、そのことの反映としての宅地含みの評価というものの乖離をこの制度によって避けようというものでございますから、中小企業のおっしゃいますような事業用地、それから一般の人の居住用地というものについてこの制度の類推適用は私は当たらないと思っております。
○大塚喬君 いまの答弁だというと 農業は存続され、この相続税法の適用によって存続される、実際問題として個人企業の営業資産というものは、何人か相続人がおったという場合に、これはもう一代限り存続がきわめて困難というものもずいぶんたくさん出てくるのではないか、その営業資産というのは単に宅地だけの問題ではなくて、その他の全般のいろいろ機械なり、施設なり、設備なり、そういうものがあるわけであります。こういうものは、いまの答弁だというと、一代限り、これでおまえのところもう解散しなさい、分解しなさい、こういうのも出てくるだろうと思うわけであります。農地の問題についてこれだけの配慮をなされたとするならば、当然私は個人企業の営業資産の問題についてもこれに見合うだけの措置がこの相続税の改正によって図られるべきであったと、こう考えるわけであります。この点についてもう一度重ねて局長の答弁を聞かせていただきたい。
○政府委員(中橋敬次郎君) 先ほども申し上げましたことを繰り返すことになりますけれども、今回の措置は、いわば農地としての線引きが確立していないところから生ずる評価というものについて制度的にしんしゃくしようというものでございます。本来、農地の転用制度というものが厳密に守られておりますれば、けさも辻委員にお答えしましたように、本当は今日随所に見られておる農地の売買価格というものが出ないはずでございます。恐らくそこには農業投資価格に近いものしか出ないはずだったのが、やはり農地の転用制度というのが若干あいまいであったり、あるいは将来そういったものが外れるかもしれないという期待から宅地に転用される事例が多い。したがって、宅地としての高い売買規制がある。それがまた反映しまして農地の相続税評価に高い評価をせざるを得ないということになるのをこういうことで断ち切ろうとするわけでございます。 中小企業の事業用資産についてはそういうことはございません。あるいは一般の居住用土地についてもそういうことはございませんから、そういうことについて一代限りで財産を分配させるのがいいのかどうかという問題は、相続税の本来の姿に立ち返りまして、一体どういうような金高のところから相続税をかけて、それによりまして財産の再分配ということを図ったらいいかということでございまして、それは一にかかって課税最低限の問題になるわけでございます。農家につきましても、その純農地の評価としまして一体課税されるものかされないのかというのは、まさにこの課税最低限のレベルによるわけでございまするから、今回御提案申し上げておりますような、配偶者と相続人四人ぐらいで四千万円というような課税最低限を設定していただきますれば、恐らく被相続人の中でもほぼ二・八%ぐらいの人しか課税にならないというような計算が出ておりますが、その程度のところから相続税としての課税が起こり、いわゆる財産の再配分というものも始まるというふうに考えておる次第でございます。それはまたかなり高過ぎると、課税される人間が多過ぎるということでございますれば、もう少しまた課税最低限を引き上げなければなりませんし、また今後の各種財産の価格の上昇程度によっては適宜見直しましてそういうことをお願いしなければならないと思いますけれども、いま御指摘の点は、私は課税最低限で措置をしなければならない問題だというふうに考えております。
○鈴木一弘君 入場税法案について最初お伺いしたいんですが、今回の改正案で千五百円という映画についての免税点、百円から千五百円に上がってまいりました。いまの映画の平均入場料が、昭和四十八年が五百二十五円、昭和五十年には七百円程度だろうと言われているとき、こんな千五百円なんというような免税点になるわけでありますが、いろいろな御答弁からも何十億という減収になるということもわかっております。 そこでひとつお伺いしたいのは、催し物別の税収額、 〔委員長退席、理事山崎五郎君着席〕 この見通し、昭和五十年でどのぐらいになる見込みかちょっと言っていただけませんでしょうか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 今回御提案を申し上げております改正後におきまして映画が十億円、演劇等が十四億円、競馬等が六億円、計三十億円でございます。
○鈴木一弘君 演劇の中に音楽、スポーツ、演芸というふうに分かれるんだと思いますが、その辺はわかりますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 厳密な分類の積算ではございませんが、演劇で三億円、音楽で四億円、スポーツで二億円、演芸等で五億円ということになっております。
○鈴木一弘君 この免税点そのほか、この点から見るというと、非常に映画だけが優遇をされて、それ以外のものはそれほどでもない。三千円に上がったからいいじゃないかと言うかもしれませんけれども、特別扱いを映画にはしたように思われるわけですね。なぜそんな特別扱いをしなきゃならなかったんでしょうか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 映画について特別に扱うというような趣旨でございませんで、やはり映画といいますのは、大量に観客を動員し得るという利点がございまするから、勢い入場料金というのは非常に安く済むわけでございます。私ども税制の立場から申せば、催し物の内容についていろいろ質的な批判というのもございましょうけれども、やはりあるレベルの金を投じましてその催し物に参加するという場合には、普通の程度の料金でございますれば、それは入場税をかけなくてもよろしいけれども、一般の人が払っておる料金より以上に高額の入場料金を払えるという人につきましては、やはり何がしかの入場税負担をお願いしてもよろしいのじゃないかということから今回の免税点を設定したわけでございます。特に映画にねらいをつけてやったわけでございませんで、むしろ映画館への入場料金が一般的に安いということからそういう結果になるわけでございます。
○鈴木一弘君 映画の場合は高くても千円ぐらい、特別の料金でも千数百円という程度だと思いますね。そういうことになると、今回の免税点ということになればほとんどがかからない。先ほど十億円という税収の予想が立てられておりましたけれども、それに比べて演劇、音楽となりますと三千円程度というのはもう普通になってきますね。いまのお話の、片方は大量観客動員で、そういう催し物の内容からしても低廉な料金なんだから千五百円でいいじゃないか、また片方のは一定レベル以上のお金を投じていくんだから、それについては高く取ってもいいじゃないかというんで、どうも負担の原則というのが私としてはよくわからないんですよ。というのは、一つは、文化の問題とか、そういう問題からのレベルといいますか、物差しといいますか、そういう物差しは当てなかったということなんですか、それは。その辺のことを……。
○政府委員(中橋敬次郎君) 結論的には、実はそういう文化というような質的な物差しは採用しなかったわけでございます。かつて入場税の中にいわゆる純音楽でございますとか純舞踊でございますとか、そういったものを判定の材料にいたした時代もございますけれども、なかなかそういう判断が執行に当たりますところの税務職員には非常にむずかしいということで、思わざるトラブルを招いた例もございます。 それから、かたがた先ほど申しましたように、やはり担税力ということから申せば、いい内容の催し物に行くにつきましても、普通料金あるいはそれよりも高い上等な料金という場合に、やはり上等の料金を払ってそれを見に行ける人についての担税力というものに入場税をかけるということも至当ではないかということで、映画よりは高い免税点を設定をいたしまして、それを超えるものにつきましてはやはり応分の負担をしていただこうということに割り切ったわけでございます。
○鈴木一弘君 大体外国の演奏家を呼んだ場合に四千円、それが中心的な相場であると言われていますね。そういう点からも、どうしてそうなったのか、いまのお話だけでは私はぴんとこないんです。映画となまものとの違いが、負担力ということだけで、上等な料金なんだからたくさん出していい。しかし、その差をつけて三千円にしたからよろしいのではないか、こういう言い方なんですけれども、どうもぴんとこないんです。 〔理事山崎五郎君退席、委員長着席〕 映画とか演劇とか音楽とか、どれが芸術性が高いか低いかということになると、これはまあいろいろ論議はあるだろうと思います。それは映画の方が高い場合もあるし、演劇が高い場合もあると思いますけれども、一般的に言えば、映画よりなまものの方がどうしてもじかのものでありますから、そういうようなふうに考えざるを得ないというわけだと私は思うんです。そういう点は本当に全然検討はなされなかったということなんですか。価値判断が非常にむずかしいと。いま言われたように、税務署の方の職員なりの判断で、個人的主観で、片っ方の人によってはすばらしい芸術的なものも、片っ方の人にとっては全然芸術的でないということもあるでしょうから、そういうことから料金でもってやる以外なかろうということで免税点を千五百、三千円と、こういうことにしたのか。どうなんでしょう。
○政府委員(中橋敬次郎君) 確かになまものは一般的に料金が高いことはおっしゃるとおりでございます。しかし、その高い中にもやはり一般料金、上等料金というものが存在しておるのが通例のようでございます。いい音楽家、いいオーケストラが参りましたときに、また非常にいい席に行けばおっしゃるように高い料金でございますけれども、天井さじきといかなくても、もう少し後ろの方で聞く一般の人は今回の改正で私は入場税を払うことはなかろうかと思っております。三千円の免税点の高さの問題におのずから帰着するわけでございますけれども、入場人員のうちの約二%程度がこの三千円超ということで課税になると見込んでおりますが、その程度の方々であれば、あるいはその人たちが払う金高ということを考えますれば、やはり一回に相当の入場料金を払える人というのは、一〇%の入場税を御負担いただいてもいいのではないかということで、全く文化とは離れますが、担税力ということから割り切ったわけでございます。
○鈴木一弘君 いまの金額できて、一応千五百円、三千円という目安をつけたのだと私は思いますよ。ですけれども、中には、フランスのバレエ団が来たり、ロシアのバレエ団が来る、そういうときの一番高い席はもう六千円から一万円もするときもあります。幾ら担税力があるといっても、六千円の一割は六百円ですからね。そうすると、同じようななまものであっても、あるものは三千円の免税点がいいかもしれぬし、あるものは五千円の免税点がいいかもしれない。あるいはそういうようななかなかお目にかかれないような芸術が入ってきたときは思い切って一万円の免税点をつけてしまうということもあるだろう。私はそういうケース・バイ・ケースでこれは本当は免税点の決め方はあるべきじゃないかと、本当を言えば全部一万円以下は免税点がいいと思うんですけれども、そういう点で本来のあり方、それをどう判断しているんですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 確かにある程度高い免税点であれば、おっしゃるような問題は吸収できると思います。ただ非常にいい催しが行われる。しかし、それに入るにはかなりの料金を投じなきゃならないという場合に、それを投じ得るということは、そのときの、時代の家計消費の実情から見ましてやはり相当なものだなというような場合がございます。もちろんそれに行くために他の節約をするというような非常な愛好家がいることも事実でございましょうけれども、私どもとすれば、一回のそういうなまものの催し物にそういう多額の金を投じ得るという背景には、やはり入場税負担にたえ得ると一概的に考えてもいいような事情があるのではないかということで、そういう内容によるしんしゃくをやりませんでした。しからば、その三千円が一体どの程度のレベルであるかという問題になるかと思いますけれども、私どもが調査しましたところによれば、これでもかなりのそういった一流の催し物に入れないわけではございません。その中で上等な席に行く人には税金がかかり、やや遠いところ、見にくいところの人は免税で行けるということでございますので、この高さについては今後の入場料金の推移を見ながらなお勉強してまいりたいと思っております。
○鈴木一弘君 で、ものにもよると思いますけれども、天井にくっついているようなところでもって三千五百円も四千円も取られるときもあるわけですよね。ずいぶん私は矛盾があると思います。やはりいい芸術を国民にということになれば、そういう特別なものについては何か考えなければならないというのが本当の施政のあり方じゃないかと私はそう思うのです。やはり舞台施設装置も必要でしょうし、大道具、小道具も外国から持ってこなけりゃならないし、バンドも引っ張ってこなければならない。オーケストラも全部連れてくるということになれば、これはどうしたっても高くもなるでしょうし、そのときにそういう芸術を見ておくということは非常に大事なことですし、そういうものは広く紹介した方がいいと思う。何でか構わない、そういうものだから高く取ってしまえというわけにはいかないでしょう、税金を。そういう点はこれは意見になりますけれども、十分今後検討をしておいていただきたいと思うのです。 これはちょっと具体的な問題になるのですけれども、これは国税庁の方にお伺いしたいのですが、いままでは催し物を行う場合には必ず税務署、あるいは、これからもそうですけれども、税対象の催し物のときには入場券を受け取るわけですけれども、その入場券を使用するようになっています。しかし、いままで催し物で開催の届け出がなかったとか、あるいは脱税行為があったとかというのは、四十七年、四十八年、この実績等をちょっと教えていただけませんか。
○政府委員(横井正美君) お答え申し上げます。 四十七年の、いわゆる私どもの事務年度でございます四十七事務年度におきましては、更正決定の件数が六百八十四件でございます。四十八事務年度におきましては四百十二件でございます。そのうちでいわゆる犯則というものは、四十七年度におきまして三十一件、四十八事務年度におきまして四十三件でございます。
○鈴木一弘君 どのぐらいのあれになりますか、金額高で言いますと。
○政府委員(横井正美君) 四十七事務年度におきまする六百八十四件の更正決定等の税額は六千八百万円でございます。四十八事務年度におきまする更正決定等税額は四千百万円でございます。で、犯則関係でございますが、四十七事務年度三十一件分は二千八百万円、四十八事務年度四十三件分で千九百万円でございます。
○鈴木一弘君 今度はいろいろ税率、免税点が上がりますから、こういう点ずいぶん減るんだろうという見通しもつくんですけれどもね。今回の大幅な免税点の引き上げ、それによってそういういままでは入場券を税務署からというのが、今度は使用しなくていいわけになるわけですけれども、そうするといままでの入場者数とか入場料の売り上げ高とか大体わかってきたことがわからなくなる。そうしてしかも、入場券を使用しなくてもいいということになるのだろうと思うのですけれども、そうなると開催者の申告所得というものに著しく響いてくるのじゃないか。これは裏に隠すこともできれば申告をごまかすこともできるというふうになるわけですね。常設の場合はいいけれども、常設の劇場じゃないような臨時の興行なんかあるときにはごそっとあり得るだろうという感じがします。そういう点何か対策は考えられておりますか。
○政府委員(横井正美君) 御指摘のように、免税点が大幅に上がりますので、ほとんど官給入場券の交付予定などということはなくなるのだろうというふうに考えます。そういう意味から、御指摘のように課税資料の収集がある程度制約されるということになることはお話のとおりでございます。しかしながら、他のサービス業などの現金収入を主体とします業種はどうかと申しますと、そういう特別な手段はなかったわけでございまするが、指導と調査によりまして、適正を期しておるわけでございます。そこで、今回興行業者につきまして、そのような手段がなくなりますけれども、他のサービス業と同じように指導と調査をいたしまして、興行収益の把握に努めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○鈴木一弘君 それから出演料については、やはりいままでは入場料と一緒に所轄の税務署でこれは把握しておられたんですか、どうなんですか。
○政府委員(横井正美君) これにつきましても、今回の免税点の大幅な引き上げに伴いまして、ほとんど従来の入場税課税興行開催申告書にあわせて提出されました出演料の支払い報告がなくなるということになるわけでございます。しかしながら、私どもといたしましては、情報の把握、指導に努めまして、極力適正な申告を指導してまいりたいというふうに存じております。なお御承知のように、出演料の支払い者からは、翌年の一月末でございますが、報酬料金等の支払い調書の合計表も出されますので、これによってさらに把握の適正に努めたいというふうに考えております。
○鈴木一弘君 私は、何も出演料のごまかしがあるだろうという性悪説に立って言っているわけじゃないんですよね。いままではきちっきちっと入場料のときと一緒に、出演者への出演料の支払い金額等の把握もできていたのができなくなると、いまお話のようにというのはこれはわかります。これはテレビとかそんなものへ出ているのもそうだろうと思いますからね。しかし、それがきちっとやるところもあるだろうし、そうでないところも恐らく出てくるだろうという感じがするんです。今度は入場料を取ってたところと取らないところの差もありますけれども、いままで取っていたところをやめるわけですから、そういう報告義務というものがあることすらわからなくなってくる、そういう心配があるだろうと思うのですね。そういう点については、国みずからが何か今度の法律改正で、悪いことを言えば所得法人というような方の税の収入の問題について、ごまかしを奨励しているみたいな形になりかねないわけですから、その点についてどういう、いまのところは、自分の方から一生懸命行って調べもし、またやりたいという話なんですけれども、改めて周知徹底をするようなことをおやりになりますか、相手の興行主なり、そういうところへ行って。
○政府委員(横井正美君) 興行業界に対しまして、十分今後の問題につきましてこの指導と申しますか、やってまいりたいというふうに考えております。
○鈴木一弘君 それから、いままでの入場券の問題ですけれども、これが売れ残った場合等は返さなければならぬことになっておりますね。しかし、毎日のように、催し物がどんどん変わってくるところもあります。その点は実態はどういうふうになっておりますか。
○政府委員(横井正美君) いままでの分の余りましたのはお返しいただくことになりまして、これからは私製でやっていただくことにお願いをいたしたいというふうに思っております。
○鈴木一弘君 あと一つ、今度は相続税のことで伺いたいのですが、入場税はこのくらいで終わりたいと思います。いわゆる無記名預金、こういうものについての相続の把握の問題と把握体制、一体どうするのかということと、それから現在どのぐらい掌握をしているのかということ、との二つを伺いたいのです。
○政府委員(横井正美君) 先ほども御質問にお答えしたのでございますが、無記名預金等につきましては、なかなか把握が困難だという事情があることは、御指摘のとおりでございます。私どもは、被相続人の過去の所得税等の申告、それから過去の財産の処分、それから会社の役員等でございます場合は会社との関係、その辺からいろいろ資料を整理し、情報を得まして、充実に努めておるところでございます。はっきり何割つかんでおるかということは、実はなかなか自信のないととろでございます。ただ過去の調査からいたしますと、かなり土地、建物以外の現金、預金、株式等から、いわゆる申告漏れが把握されまして、是正を求めたというふうな結果は出ておるわけでございます。
○鈴木一弘君 いま一つだけ聞いて終わりにしたいと思いますが、この相続税の問題で、先ほども大臣にお伺いした例のいわゆる財産の共有の問題と、別産制の問題とあるわけでありますが、いわゆる民法に言っている夫婦の財産契約、これを取り扱っている件数、ないんじゃないだろうと私思うんですけれども、その辺の掌握はなされておりましたですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 正確なことでなくて申しわけございませんけれども、わが国のやはり夫婦間におきますところの財産に関する契約というのは、非常に事例が少ないようでございます。やはり現在の一般的な別産制という適用が大部分であろうというふうに思っております。
○鈴木一弘君 これで終わります。
○近藤忠孝君 いままでの質疑の中で相続税のあり方と、それから民法の規定とのかかわりがある、こういう答弁がずっと続いておったわけであります。どういう意味でかかわりがあるのか、この点について御説明いただきたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) 民法で特におっしゃいます点は、夫婦財産に関する制度だろうと思いますが、今日はわが国は申すまでもなく夫婦別産制をとっておりますけれども、これが仮に、先例がございますように、夫婦共有制になりますれば、恐らく相続税の問題などを考えますときには、またその夫婦共有制をとっております国の例にならいまして、たとえば、その二分の一とかいうものが、夫婦間における贈与の場合、あるいは相続の場合に、非課税になるだろうというふうに考えられます。
○近藤忠孝君 率の決め方にかかわりがあるというぐあいにいまお聞きしたわけですが、率だけじゃなくて、特にたとえば今回のように三分の一について、妻の三分の一について非課税にすべきかどうかというその判断や決定に、どういう財産制をとるか、そのことがかかわりあるかどうか、いかがでしょうか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 今回改正案を御提案いたしました理由は、やはりなかなか民法の財産制度についての議論も進みませんし、従来相続税の方でいわゆる妻の座の優遇と申しますか、そういう点で配慮をしてきました制度を検討いたしまして、やはりこの際もう少しこの線を進め得るのではないかという検討をやったわけでございます。ただそのときには、やはり基本的に民法の夫婦財産制度というものを今日の状態のままで置いたとしましても、相続税という観点から見まして、たとえば同世代間におきますところの財産移転というものについては、一つの立場が立ち得ると思いますし、それからもう一つは、その財産の維持形成について寄与をしました者への相続という問題、それから特に妻の座ということで代表せられております夫婦の共同生活というものが、相続という、片方の死ということによって一応崩れることになりますのを、一体相続税の方でどの程度配慮すればいいのかという問題からアプローチをしたわけでございます。そのおきに、四十六年に採用しました制度は、いわば配偶者が取得をしました財産をある一定金額までは相続税を非課税にするという態度であったわけでございますけれども、その金額限度というのがまた今日の実情からいいましてなかなか妥当な水準というのを見出しがたいということと、それからもう一つは、やはり通常の相続人の家族構成ということから申せば、大体配偶者と子供がある場合ということを想定いたしますれば、相続税としての配慮をやるにもふさわしいということで、通常の家族構成におきますところの配偶者の法定相続分の三分の一というのを出してきたわけでございます。 それから、失礼しました、私先ほど四十六年において三千万円という限度で配偶者に対する相続税の軽減を考えたわけでございますと申しましたけれども、四十七年の誤りでございます。
○近藤忠孝君 いまの説明は夫婦の財産の実態についての説明だったわけですが、私が聞きましたのは、別産制か共有制か、そのことによって実際に今回のように三分の一非課税にするというその論拠につながってくるのかどうかとということなんです。共有制の場合にはたしか二分の一というそういう外国の例がある。それはそれで理屈はわかります。ただ、私のメモに間違いがなければ、一昨日の、これはたしか大塚委員の質問に対してだと思いますが、別産制をとっているので妻三分の一について非課税にするという、そういった趣旨の説明があったかのようなんです。そしてあらゆるところで繰り返し民法上の規定にかかわりがあるので相続税もそれに影響を受けるんだと、こういう説明があるものですから、私は今回三分の一にしたことについて、そういう財産制度上の何か論理的なあるいは理論的な根拠があってそれで踏み切ったのかどうか、そのことを伺っているわけなんです。いかがでしょうか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 共有制でございますれば、本来相続ということで財産が移転するのかどうかというごとも実は基本的に問題があると思います。したがいまして、本来、もう財産が増加しますれば、その部分については二分の一は夫に、二分の一は妻に帰属するということで、自後の相続というようなことが行われる場合にもそういう観点から割り切ることはできると思います。ただそれが別産制のもとにおきましては、やはり、たとえば夫が得てきました所得というのはあくまでも夫の財産としてなるわけでございますから、どうしても一方が死にましたときには他方への相続という事態が起こるわけでございます。別産制というときにはやはり相続という移転形式をとりながらも、その中で一体どの程度の配慮をすればよろしいかという問題を考えればそれで済むと思いますけれども、共有制ということになりますれば、もうそこにはおのずと——そもそも大もとから分かれておるという大前提が生まれるわけでございますから、おのずと、たとえば二分の一というような数字が出てくるんだろうと思いますが、別産制のもとにおきましては、やっぱり二分の一でも三分の一でも、相続税という立場からその数というものを考えればいいんじゃないかというふうに思います。
○近藤忠孝君 これは旦審議官に……。確かに、一昨日の説明では、私が先ほど聞いたように、三分の一にすることについて、これはやっぱり別産制をとっているからだと、こういった趣旨の説明があったように私は聞いているんですが、いかがですか。
○政府委員(旦弘昌君) 私が申し上げましたのは、ただいま局長が御説明いたしましたように、相続がありました際に、わが国では夫婦の別産制をとっておりますので、当然にその半分というようなことになるんではないか。で、その際に、今回の改正では三分の一ということでお願いしております。わが国と同じように別産制をとっております、たとえばアメリカの多くの州におきましては今日もなお別産制でございますけれども、アメリカにおきましては、その際におきましても、二分の一は相続税を非課税ということにしております。それからまたイギリスにおきましては、現在政府が提案しております相続税法の改正におきましては、その制限がございません。二分の一という制限がございませんで、たとえば夫が死にまして妻が相続いたしまして実際に取得した財産、それはすべて相続税がかからないということになっております。ですから、その辺の、同じ別産制をとっておりましても、二分の一か三分の一か、あるいは制限なしかというような点は、それぞれの国の事情によって変わってくるものだと思います。今回の三分の一という限度を設けましたのは、それは、わが国の現在の民法によりましても、法定相続分というのは、妻に子があるかどうか、あるいは妻だけであるか、あるいは親と妻だけであって子がないかというようなところでそれぞれ違うのは御案内のとおりでございます。私どもが標準的な相続の形態として考えておりますのは、妻と子が四人いるというのが典型的なわが国の相続の形態でありますので、そういう場合には、妻の相続分が三分の一であるというところに根拠を求めまして三分の一という制限をつくったわけでございます。舌足らずのところがありましたとすればおわびいたします。
○近藤忠孝君 確かに舌足らずなんで、私は、別産制をとっているから三分の一にしたと、そう聞いていまして、全く論理的な矛盾だと思ってお聞きしたんです。となりますと、三分の一にした論拠は、いま言った説明であって、決して理論的な根拠じゃないわけですね。となりますと、なぜ三分の一にしたのか。いまの説明ですと総合的に判断をしたということのようですが、しかし、四十七年のこの審議のときには、高木政府委員の説明によりますと、要するに、この問題については三つの考えがあると。第一は全額非課税、第二は二分の一とか三分の一とか一定の額を非課税にするということ。第三の考えは、一定限度控除するということだったわけです。で、今回は、そのときの審議から見ますと一歩踏み込んだと、これは大蔵大臣の答弁もそうですけれども、一歩踏み込んだといいますと、それなりの重要な根拠があって一歩踏み込んだと、その当時、四十七年当時の議論を前提にしまして、それからさらに飛躍するだけの何らかの根拠があったと、そういうぐあいに考えるんですが、その根拠は何であるのか。これがいままでの討議ではよく理解できないので、この点の御説明をいただきたいと思うんです。
○政府委員(中橋敬次郎君) それは、先ほども御説明しましたように、金額限度というのを設けました四十七年は、ただいまお話しのとおりでございます。そのときに、その金額の限度を一体どこで切るかという問題があったわけでございますけれども、一応あの当時三千万円という、あるいはいま近藤委員が御指摘のようにほとんど根拠のない金額であったかもしれません。まあその数字はそのもう一つ前の法定相続分と三千万円というかみ合わせの控除制度に端を発しておりますんです。 それで今回その金額限度というのがなかなか客観的に決めがたいとしまして、一応その金額限度というのを外すということになりましたときには、先ほど御説明をいたしましたように、もちろん全額でも二分の一でも三分の一でも考え得ますけれども、わが国におきます相続する側の相続人の家族構成の一般的な形態というのを考えますれば、やはり配偶者と子供というのが通例でございまするから、その場合の配偶者の法定相続分三分の一というのを限度にいたすということにしたわけでございます。
○近藤忠孝君 先ほどの答弁以上に出ないわけですが、そこで私は、これは四十七年当時の質疑の内容から見ますと、かなり矛盾があるというぐあいに考えるので、それを指摘したいと思うんですが、その前に一つ確認しておきたいのは、先ほどお聞きしたこの夫婦の財産制に関する民法上の規定と、税法上の措置とは何も直接絡まなくてもいいということは確認してもよろしいでしょうか、どうでしょうか。
○政府委員(中橋敬次郎君) それは先ほど御説明しましたように、仮にわが民法が夫婦財産共有制になりますれば、おのずとそこからまた規制される部面があることは確かでございます。しかし、わが国における現行の民法のもとにおきましては、そういうおのずから決まってくるような考え方というのはないと思います。
○近藤忠孝君 まあ、そのことは我妻栄さんのジュリストの論文上も明らかになっておると思います。 そこで具体的に四十七年の六月九日のこれは渡辺武委員の質問でこういう部分があります。私は妻の座を認めるということは大いに賛成だけれども、しかし、大きな財産がころがり込んで不労所得が入るというのは、仮に同世代の妻であってもよろしくない、社会的正義に反する。そうして大資産の遺産相続の場合には、これは当然社会的正義に立脚して十分な課税をすべきだ、しかし、小資産の場合はできるだけ免税点も上げ、税率も安くして、その生活を脅かさないようにするというのが、これが原則じゃないですかと、こういう問いに対して高木文雄政府委員は、基本的には賛成、全く同じ意見でございます。もともと相続税というのは、所得の一生の清算ということでございますから、その次のゼネレーションに一種の不労所得のもとになるような財産が引き継がれるということは好ましくない、その相続財産の額が大きいか小さいかということによって態度も違ってくるものと思います。今回の妻の相続税についての制度を考えます際に、先ほども申したとおり、寄与の問題を考えて今度の制度を設けたということではなくて、老後の保障と申しますか、安心と申しますか、そういうために今度の制度を設けたわけでございます。こういう答弁しているわけですね。そうしますと、この当時の考えが大変な飛躍をしてしまったわけですね。一昨日来問題になっている青天井になってしまって、ここで言ったむしろ政府委員自身が不公正になる。そしてむしろこの妻の相続の問題は妻の老後の保障の問題が大きなウエートを持っていると、こういうぐあいに言っておられたが、この考えがいつどのように変わったのか、このことをわかるように御説明いただきたいんです。
○政府委員(中橋敬次郎君) 相続税の問題を考えます場合に、いま御指摘のような老後の保障という観点からだけ常に考えなければならないかということになりますれば、私はそうではないと思います。相続税という問題を考えます場合には、やはり世代間における財産の移転ということについて税金をかけるわけでございます。基本的にはいかなる経路をたどりましても、次の世代に移ったときまでの相続税の額が同じであるというのが一番理想的なわけでございます。したがいまして、同世代間に財産を移転しますことにつきましては、そんなに相続税というものを厳密に考え、しかも、それが天井をなくすということによって、社会的な正義がそんなに大きく損なわれるかという点については実は疑問に思います。したがいまして、それを先ほどは今回の改正の第一の点に申し上げたわけでございます。 それから老後の保障という意味は、そういうとらえ方もできましょうし、私が第二の点で申しました夫婦という共同生活というものを、一方の死という後でどういうふうに考えたらいいのかという問題としてとらえることもできるわけでございます。夫婦がずっと共同生活を営んでまいりましたから、片一方が死んだときに、できますればその状態を、片一方が生き残っておる限り続けさせるのもまた一つの考えでございます。それを老後を保障し得るだけのものとして相続税をかけなくてもいいのか、私はむしろそういう面からとらえるよりも、いままで続いてきた共同生活というのをある程度そのまま存続させるというような面からとらえても、そんなに誤りではないというふうに思っております。 それからもう一つ考えましたことは、やはり夫婦財産の共有制にまでは至りませんけれども、その財産についての形成維持について夫婦の協力ということもまた考えてもよろしいんじゃないかと。 大体この三つの理由を今回の改正の根拠にいたしておるわけでございますが、その中で社会的正義という御指摘については先ほどお答えしたとおりでございますし、老後の保障という問題については、私が挙げました三つの根拠の中に吸収をされるものであるというふうに思っております。
○近藤忠孝君 いま大蔵省がそう考えているということは、それは百も承知しておるわけですよ。だから、こういう案になったと思うのですが、ただ私がお聞きしたのは、四十七年当時に考えておったことがどうしてこう変わったのかというその変わった経路なんです。というのは、四十七年当時はこのように三分の一全部非課税にしてしまうことについて、大蔵省もかなり否定的に考えておった。しかも、かなり具体的な例を挙げて、先ほどの紹介のようなものも挙げて反対しておった。さらにそれ以上に税制調査会の委員である金子宏さんも供述して、そこでも具体的にこういう指摘があるわけです。相続財産が大きくなればなるほど非課税の金額も大きくなっていくということになる、これは普通考えられている公平の観点からすると問題があるように思われる、と言っておりますね。これはほかの委員からも一昨日来指摘されている点であります。 もう一つは、巨大な富の集中排除あるいは再分配という目的にとっては相当マイナスに作用する、こういう点も指摘されているわけです。となりますと、このようにまずい点がはっきり指摘されておる、それに対して何の説明もないまま、四十七年当時はまずいと言っておったことがどうして変わったのか、この辺についてわかりやすく説明をしなければ納得できないんじゃないかと思うんです。いかがでしょう。
○政府委員(中橋敬次郎君) 私は、制度というのはそんなに固定的に考えなくてもいいものと思っております。四十七年に改正しました三千万円という限度の配偶者に対する優遇、前の制度というのはまた違った考え方でございまして、法定相続分というのを取りながら、三千万円を限度とするということでございましたから、やはりその間にもかなりこの問題に対するものの見方というのは変わっておるわけでございます。私はやはり一つの流れとしまして、かねがねいろいろ方々から言われておりました配偶者の相続問題というときに、こういう解決の方法も十分あり得ると思います。私か御提案——私だけか御提案したわけではございませんで、かなりこういう考え方について理解を示される向きも非常に多かったわけでございますから、ただそれが現行法で納めなければならない相続税額を納めなくて済むというただその一時点だけについてごらんになれば、非常に社会的正義に反するじゃないかという御議論もあるかと思います。しかしそれは、私は同世代間における財産という点に着目していただきますれば、そんなに非とするに当たらないという考えでございます。
○近藤忠孝君 私も制度をいじっちゃいかぬとは言いませんし、その社会の発展の度合いに応じて変わってくるのはあたりまえだと思うんです。しかし、それはそれなりの理由があり、合理性があり、そしてやはりここを克服しなきゃいかぬという具体的なことがなきゃいかぬと思うんですね。ところが今回の三分の一、妻の非課税問題については、わずか三年前にこれはむしろ問題がこういうぐあいにあるんだと、不公正という問題があるんだということが指摘され、その問題点が何ら説明されないままにきているという点であります。しかも、不公正是正を言っている三木内閣というところに私は大きな問題があると思います。さらに四十八年ですが、亡くなられた愛知大蔵大臣もこういう発言をしておりますね。先ほど言ったほかに、被相続人の蓄積した財産はその人の手腕、努力のたまものとはいえ、社会に負うところも大であると考えられますので、相続の機会にその一部を社会に還元してもらうことにしているわけです。こうまで言っているわけですよ。となりますと、むしろ三分の一非課税の問題については、問題点の指摘の方が多くて、進める合理性の方がよけい少なくなっているんじゃないか、こういう疑問が出てくるんですが、いま私が幾つか挙げてきた問題について、どうしてそういう問題がなくなったんだとか、どう考えて克服したんだとか、それを御説明いただきたいんです。いまのは別の角度からこれでいいんだというだけであって、いま私が指摘したような問題については、またほかの委員が指摘されている問題については、これはこういう考えで変えてもいいんだという、その辺の説明は何もないわけです。
○政府委員(中橋敬次郎君) 亡くなられました愛知大臣がおっしゃいました御議論というのも十分理解できます。それがあるがゆえにこそ相続税というのをかけておるわけでございます。しかし、その相続税をかけます場合に、前々申し上げておりますように、いわばその手腕、力量によって得た財産をだれが相続するときに課税をすればいいかという問題でありまして、私が再々先ほどから申しておりますように、夫婦という共同体という存続を前提とする限りにおいて、常に一方の配偶者の死ということによって、そこにまた同じように、前と同じような課税を行わなければならないかという問題については常に反省を強いられておったわけでございます。それからまた三千万円なら三千万円という限度につきましても、一体そういう妻という、あるいは配偶者というものの地位から考えまして、一体三千万円というのは妥当かどうかという批判を私どもは常に受けておりました。また現にわれわれとしましても、本当に三千万円が妥当なのか、妻の協力の度合いというものを一体金額で表示できるのかという問題がございます。そういうことを徹底してまいりますれば、私はやはり何分の一か、それはいろいろなものの考え方がございましょうけれども、今度のように金額でなしに、何分の一とすることがむしろ非常に徹底した、これでもってかなりの程度の解決ができるというふうに思っております。
○近藤忠孝君 それでもまだ納得できないんですが、それはそれで先に進みますけれども、こういう面は実質課税主義ですね、実質課税主義という面から夫婦の財産見てみますと、比較的財産の低い階層については、まあ今回の三分の一というふうな問題も全くそのまま実態に当てはまる例はたくさんあります。あるいはそれでも少な過ぎるじゃないかという例だってあるんですね。ところが、一億円とか十億円とか、それ以上になりますと、それはやっぱり被相続人の方の貢献度や力が強くて、配偶者の力がそれほどないと、こういう実態も十分あるんじゃないかと思うんです。それは額がでかくなればなるほどそういう実態は強くなると思います。ですから、一定限度まで三分の一でも、あるいは一定の控除額でもそれはいいんですが、しかし、多くなった場合には、そういう実質課税主義という問題からいっても問題は出てきはしないか。これが私の疑問なんです。いかがでしょう。
○政府委員(中橋敬次郎君) 全く同じ御答弁を繰り返すわけでございますけれども、現行法のもとにおきまして、配偶者が相続税を何がしか納めなければならない、それが改正後におきましては納めなくてもいいということは確かにそういうことになろうと思います。しかしそれは、その時点だけに着目していただかないで、次の世代への財産移転ということもございますから、長い期間として見ていただければ、そんなに不公正を招来しておるものではないのではないかということはございます。それからもう一つは、やはりこれも繰り返し恐縮でございますけれども、夫婦という共同体、その生活というものを存続をさせる、どの程度存続をそのままの形で残していったらいいのかということでございますから、そこで相続税を取って、あといいようにという考え方、もちろん排斥できませんけれども、今回のような形として、法定相続人分の三分の一までは、そういういわばいままでの生活を凍結する、やがてそれがまた次の相続の時期に課税を受けるということで、十分御理解をいただけるのじゃないかというふうに思います。
○近藤忠孝君 じゃ、まあその問題は繰り返しても仕方がありませんから、別の角度から、お伺いしますと、先ほども説明ありましたけれども、西ドイツでは財産の二分の一は非課税にしたとか、いま各国でそういう傾向がどんどん出ているわけでありますが、一昨日、大臣は、今回の案は進歩的だと言ったのは、そういう欧米各国と肩を並べた、そういう意味で進歩的と言われたのかどうか、そういうことが一つあると思うのです。それからもう一つは、なぜ各国がこういう同じ扱いにしているのか、その背景としますと、国内的な理由もあるとは思いますけれども、国際的な要因、つまり資本為替の自由化の一層の推進のために、つまり国際的な投資家が相続税についても各国ほぼ同じ取り扱いを受けて、そして投資元本が配偶者に承継される、そういう大勢の大きな流れがあるのじゃなかろうか、こういうことも感ずるわけなんですが、そういう国際的な流れというもの、考え方というものがあるかどうか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) 確かに今回の改正は、私は進歩的と言われてもあえて反論はいたしません。むしろ配偶者の相続財産というものについて金高をつけるということはやはり非常にむずかしいことでございますから、そういう意味におきましては一つの終着点に着いたという意味において、進歩的と言っていただいた方がいいかもしれません。ヨーロッパの各国で二分の一あるいは全額というものを配偶者間においての相続税で非課税にしておりますということは、恐らくはやはり各国それぞれの夫婦財産に対する考え方、あるいは社会のものの見方というふうなものが根拠になっておりましょうし、またそういったものがだんだん考え方として交流をするということは、事実でございましょうけれども、資本、資産の交流がありますために、そういう財産制度をとり、あるいはそういう相続税の課税制度をとっておるかということについては、私どもも一概にそうだというふうにはなかなか申し上げられないと思います。
○近藤忠孝君 進歩的だというのは、私が言ったのでなくて、大平さんが言ったので、誤解しないでください。私は逆に進歩的じゃないと言っている。だから、衆議院でも荒木議員が指摘しておりますけれども、むしろ受益の差がかえって広がって不公正になってくる、こういった指摘がありましたが、それに対して大蔵省の当局は、結局は妻の座優遇という点だけで何ら説明がなかったわけで、これも私どもは逆にそういう不公正を広げるという意味で後退的である、決して進歩的でないというぐあいにこれは指摘したいと思います。 そこで次に、先ほども問題でありましたが、相続財産、特に有価証券など把握の問題、大変困難である、こういった指摘がありましたけれども、これらの有価証券や預金、現金などの相続の中に占める割合です、それをちょっとお伺いしたいと思います。ただ資料によりますと、東京それから大阪の国税局管内で見てみますと、東京の場合では一億円を超えるものが一千二十人、それから大阪では四百二十三人、こういう数字が政府の資料に出ておりますが、この大阪、東京それぞれ人数の中で、有価証券、預金、現金の構成比がどうなっておるか、この点について御説明いただきたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) ただいまお尋ねの、たとえば東京国税局、大阪国税局管内におきますところの相続財産の種類別というのは資料を持っておりません。 全国的でよろしければ申し上げますが、たとえば四十七年について申し上げますと、土地は全体の六九・三%でございます。有価証券は一〇・九%でございます。現金、預金は八・六%、その他家屋、事業用財産等でございます。
○近藤忠孝君 有価証券あるいは現金、預金などは大都会の場合の方が割合が多いということが一般的に言えるでしょうか。
○政府委員(横井正美君) 正確に申し上げる自信がないのでございますけれども、最近におきまする地価の上昇の動向等から考えますと、大都会におきましても土地の占めるウエートが非常に大きいというふうに考えます。
○近藤忠孝君 次に、国税庁にお伺いしますけれども、一昨日、田中元総理の関連会社の増資の際の贈与税問題についてお伺いしました。多くの人が実際には名義株であったのでもとに名義を戻した、そして戻した相手方には田中角榮氏がおった、こういう説明を受けました。 その一つをちょっとお伺いしますが、たとえば田中カズエさん、これは角榮氏のお姉さんに当たる人ですが、それからその婿さん、田中持策さん、この二人はやはり株の名義を戻した方でしょうか、どうでしょうか。
○政府委員(横井正美君) 全体につきましては、一昨日、国税庁磯辺次長がお答えしたとおりでございます。名義株がございましたけれども、それは実質に従って処理するということでございますので、贈与関係は起こらなかったわけでございます。いま御指摘の田中前総理のお姉さんのカズエさん、それからその息子さんの持策さんにつきましても、関係会社の株主の実質を把握する過程におきまして調査はいたしましたが、贈与税関係は起こっておりません。
○近藤忠孝君 贈与税関係が起きていないというのが二つありまして、一つは実際にカズエさん、持策さんが出資をされた場合と、それからもう一つは、出資しないで単なる名義株主であって、そして結局、名義を田中氏に戻してしまう、この二つの場合が考えられますが、どちらでしょうか。
○政府委員(横井正美君) 個別のケースでございまして、個人の財産にいろいろ関係いたしますので、これ以上はお許し願います。
○近藤忠孝君 また守秘義務が始まったわけですね。私の方で具体的にこういう表を示して、一昨日も磯辺次長はこの中身については贈与税の算定方法で控除額が計算されていないというその指摘と、あとは実際上出した人がいるということ、そういう指摘があったわけですね。私の方も出した人はだれであるかはある程度知っているのですが、そこまでわかっているんですからね、ですから、この田中カズエさん、持策さん、これは実際出した方なのか、あるいは名義株で戻した方なのか、それくらい言ってもらっても、これらの人々の私権利関係にそんなに影響ある問題じゃないと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(横井正美君) 御両氏につきましては、ただいま近藤先生の御指摘の出資の問題と、それから自宅の土地、建物の問題、二つが国会におきまして指摘されましたけれども、至極精密な調査をいたしてございますが、いずれも問題がなかったということを申し上げさせていただきまして、それ以上はお許し願いたいと思います。
○近藤忠孝君 問題があったかなかったかが問題だから、私の方は聞いているわけなんですね。具体的に、いま土地の問題、建物の問題出ましたけれども、確かにこの田中カズエさんは昭和三十四年五月に板橋区蓮沼に宅地約七十七坪、建物約八十四坪を入手しております。これは御存じですね。そして四十六年一月二十七日に目白台の約九十坪の土地ですね、これは室町産業が取得をして、そして室町産業が取得した土地についてその名義のまま田中カズエ、持策さんがこれを担保にして一千万円借り入れた、そしてその金かどうかわかりませんけれども、また、この物件が室町産業から田中カズエ、持策名義になっている、こういう経過もあるわけです。となりますと、当然これは幽霊企業と絡んで疑惑があると思うのは当然なんです。果たしてこれが、カズエさんが、そして持策さんが実際自分の金で買ったのかどうか、この点疑問が出てきますね。これは合理的な疑問なんですよ。それに対して問題なかったということでは、これは納得できないのであって、まずこういう不動産についての取得に問題がある。しかも目白台の土地は、その上に約六十坪の建物を新築されて、これが田中カズエさんたちの名義になっていますね。となりますと、大変大きな金が動いておる。そしてその上各五百万円ずつの増資。そして私どもの調査では、この二人がこれだけの不動産を取得し、かつ株を取得するだけの資力があると思えない。ですから私は指摘したわけです、それに対して問題ありませんでは全く答えにならないんですよ。どういう点があるから贈与税の対象にならなかったのか、まずそれを説明していただきたいと思います。
○政府委員(横井正美君) 昨年の暮れごろの野末委員の御質問に対しまして、私から田中カズエ氏、持策氏、それぞれ所得税の申告が出ているということは申し上げたところでございます。高額所得者といたしまして公示にはなってございませんので額は申し上げられませんけれども、カズエ氏につきましては不動産所得の申告等がございます。板橋の方でアパートの経営をなさっておるというようなことでございます。持策さんも給与のほかにも所得がおありになるということで申告が出ておるわけでございます。あの当時申し上げましたように、資産の取得につきましては、一般的に申しまして、その年分の所得から購入する、取得する、こういうものではなくて、それは過去の蓄積からということもございますし、また借入金等からも調達をしておるというふうなことも申し上げたわけでございます。 御指摘の土地等につきまして、室町産業から田中カズエ、持策氏への売却の価格が適正であるかどうか、こういう点、それから、これらの資金についてどのような資金で調達をされたのかという点、値入金でございますならば、その後の返済状況等がどうなっておるかという点、これらを精細に調査をいたしております。それらの結果、この課税問題は全くなかったということを申し上げておきたいと思います。
○近藤忠孝君 土地の説明と最後のところの結論が全く結びつかぬですね。どうしてそこに行くのかさっぱりわからぬですよ。私はその間のことを説明してもらいたくて聞いたんです。で、これは私どもの調査でも、田中角榮氏は、あの金脈問題の特徴というのは、田中角榮氏の財産がずっとふえていくと同時に、その親族とか周りの人の財産もずっとふえていくわけです。ですから、私どもの見るところでは、目白台の土地、建物はもちろんのこと、板橋の土地、建物もこれは贈与によるというその可能性が強いわけなんです。そこまで調べられたかどうか、それくらい言えるでしょう。
○政府委員(横井正美君) 前にも御答弁申し上げましたが、私どもの課税の権限あるいは調査の権限がございますのは当然でございます。しかしながら、関連いたしますところにつきましては、それ以前につきましてもさかのぼって調査はいたしてございます。したがいまして、田中総理の目白台関係につきましてもその他の方につきましても、土地の取得等につきましては古いところまでさかのぼって調べておりますけれども、特に問題はなかったということでございます。 それから、先ほどの私の御説明で若干脈絡がないというお話でございますけれども、一般の方々の場合と同じように、カズエさん、持策さんが当年の蓄積分、当年の所得からだけではなくて、過去の蓄積分、借入金その他から調達をされておるというふうなことでございまして、特に非違はなかったということでございます。
○近藤忠孝君 時間が来ましたので、最後に一つだけ言いますと、その金の借り入れにしましても、先ほど指摘したようなやりくりがあるわけですね。それから先ほど述べたとおり、合理的な疑問が全然それは解かれてないわけですので、今後もこの問題は引き続いて質問していきたいということを申し上げて終わりたいと思います。
○栗林卓司君 まず、相続税について伺いたいと思います。 今回の改正というのはかなり大幅なものだと思うんです。そこでまずお伺いするのは、素朴にお尋ねしますけれども、改正される前とされた後、相続の取り扱いを比べた場合の不公平感というものをどうお考えになりますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 改正前後におきます不公平感というのは、私は、今回の改正が大部分はいわゆる土地その他のものの価格の上昇に対して調整をするということでございまするから、そんなに変わっていないというふうに思うわけでございます。
○栗林卓司君 今度改正があるから、もうしばらく生きといてくれというわけにはいかないのが相続だと思うんです。お尋ねした理由は、改正前と後と推測しますと、課税対象になる被相続人の数というのは、改正前がおおむね三万人、年で見てですよ。改正後がおおむね二万人という数字がある。一万人減るわけです。で、四十九年が見積もり三万四千、四十七年が約三万名とがたっと落ちるわけです。私はこれを言ってるんです。どうお考えになりますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 確かに五十年に相続が開始しました場合の負担と、それからそれ以前に不幸にして相続が開始しました場合と、同じ財産を持っておった人について考えてみますれば、改正後の方が負担は軽減されておると思います。
○栗林卓司君 しかも、いつ相続が開始されるかというのは完全に自由選択権はないわけです。その意味で大幅な改正というのは、相続税では余りしてはいけないんじゃないでしょうか。その点についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) 従来所得税につきましてはかなり毎年毎年物価上昇というようなことを勘案しながら改正をお願いをしてまいりましたが、相続税につきましては、そうたびたび改正をしないというような、原則はもちろんございませんけれども、そういうようなことで経過してきたことは事実でございます。昭和四十一年にかなり大幅な改正をやりまして以後、もちろん課税最低限は二、三回上げましたけれども、とてもその間におきますたとえば地価の上昇に比べてみますれば十分調整はし切れていなかったというふうに思うわけでございます。今回そういうものをほぼ十年ぶりに大幅な課税最低限の引き上げ、税率の緩和というのをやっていただくことにしましたが、今回やっぱり反省をいたしまして、かなりこういうふうに地価の上昇が著しい事態が今後不幸にして続きますならば、従来のような態度を少しく改めまして、やはり短い間隔でもって見直しをする必要があるのではないかというふうに反省をいたしております。
○栗林卓司君 そこのところでお伺いしたいわけですけれども、現在でも発生した相続件数の中でそう大きな割合の人が納めているわけではないとは言うものの、おおむね全体の相続が発生した件数の中で大体これくらいの割合——この割合というのは、社会通念で決まるわけですから、積極的な根拠はありませんけれども、それは余り違わない方がいいということは言えるんじゃないんだろうか。 そこで、これは実際に相続が起こったかどうかは別にして、死亡件数と比べてみますと——ですから、数字がちょっとこれは小さく出ます、小さく出ますけれども、昭和四十一年の場合は一・四%、昭和四十五年、わずか五年間でこれが三・四%ですから、倍以上に開くんです。なぜこうなったかと言うと、この間全然いじってない。消費者物価を見ると確かに一二四・一ですから、二四%ちょっとの増加なんです。ところが住宅地価格指数を見ると一九七・三ですから、ほぼ倍になっている。これを気がつかないでほうっておいたおかげで、四十一年は九千二百三十二件の被相続人が課税をされたのに対して、四十五年は何と二万四千四百五十四名、それから毎年いじっておりませんから、経過的に見るとどんどん割合がふえてきたんです。今回はこの大幅改正で二万人近くが該当になるだろう。二万人近くが該当になったのは昭和四十四年の水準なんです。今後はおおむねこれをめどにしながら、物価動向等を見ながら小刻みに補正をされますかどうかお伺いをしたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) 確かにいまお話しのように、たとえば死亡者のうちでどの程度の人がその遺産を相続税という形で課税をされるのかというのが一つのめどだと思っております。そういうものをめどにしながら、今回も課税最低限の引き上げをお願いをしているわけでございまするが、それでは一体この率をどの程度と考えたらいいのかというのは、やはり全体的に国民の富が漸次ふえてまいれば、やはりある程度はふえてもいいのではないかというふうに思います。確かにこの四十年代におきますそのパーセンテージの上昇は、そういうこともございましょうけれども、むしろ地価の上昇のよって由来したという点が多いでございましょうが、今後におきますわれわれの考え方としますれば、やはりある程度のパーセンテージの上昇は、国民一般の富がふえるに従って上昇してしかるべきものと思いますけれども、急増しないように考えなきゃならないというふうに思っております。そのときに一応、たとえばアメリカにおきまして同じような数字を見てみますと、ちょっと古い数字でございますけれども、大体一〇%ぐらいになっております。それからイギリスにおいても八%ぐらいになっております。ドイツでは三%ぐらいになっております。これは少し古い数字でございますけれども、そういうものも頭に置きながらこの率を考え、それからまた課税最低限というのをそれに合わせて随時見直しをお願いしたいと思っております。
○栗林卓司君 相続税というのが総体的な再分配機能を果たすということを考えますと、国民が豊かになったからと言って、率がふえていいという筋道はそこからは出てこないんですね。全体がほぼ同じようなばらつきで豊かになってきたんだと、そこの中で、再分配というのは、中のこれをこういじるんですから、その何%ぐらいいじるかというのは富の水準の問題ではないんだろう。それはどこで決まるかといったら社会通念しかない。そこでいま私が申し上げるのは、今回の大幅改正で、改正なかりせば恐らく三万四千の被相続人が該当になったであろうものが二万人ですから、ごく大ざっぱに言うと半分近くになるんです。これを一つの足がかりにしながら今後は細かく見ていかれますねと、二つのことを伺っておるわけです。
○政府委員(中橋敬次郎君) 全体が同じようにふえてまいればもちろん同じ率でいいんだろうと思いますけれども、やはりそこには格差が出てまいると思います。やはりその財産の分布状況というのも見ながらこの問題は考えていかなければならないと思っております。 それから今回の改正でほぼ半分ぐらいの率になるわけでございますけれども、これももちろん一つの今後におきますところの足がかりと考えております。
○栗林卓司君 以上でこの質問をやめまして、相続税の改正大幅なるがゆえにとうとしとしないということだけ注意を喚起しておきたいと思います。 そこで先ほど来の議論なんですけれども、相続税を適用するのに土地をどう扱ったらいいか一番頭が痛いところで、今回また審議会もつくられるということだと思うんですけれども、そこで一つ一つお伺いしてまいりたいと思うんですが、土地の有効利用を図るという面で、その有効利用を促進する税制としては相続税はなじまない、こう考えてよろしいと思いますが、間違いございませんか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 私も相続ということをとらえまして土地の有効利用を促進するということは余り考えない方がいいんじゃないかという気がいたしております。むしろそれを促進します一つの方法としましては、やはり税金の面でございますれば保有課税という方法を通じて管理費用を高めるというのが道であろうと思っております。
○栗林卓司君 私もそのとおり同感に思います。 そこで、では相続を自由にして、居住用の土地あるいは事業用の土地について処分するというケースが起こった場合にどう考えるか。民法上の考え方というのは、市民法的自由の立場を貫いておりますから何も言ってませんし、御随意にどうぞ、これが民法の立場だと思うんです。税法とすると、とにかく相続が起こって居住用の土地をどうするか、事業用の土地をどうするかというときに、中立的な立場にいるのか、結果としてそういう処分が起こるようなところまで機能を働かせていくのか、その点はいかがお考えですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) それは累進論の問題と非常に絡まっておると思いますけれども、相続税といいますのは、最終の目的はやはり財産の再分配でございまするから、場合によればその財産が処分をされるということも想定せざるを得ません。しかし、できるならば相続人の側から申せば、長い間かかってこれを納めるという道も講じ得ればそれにこしたことはございませんから、相続税制の中においても延納制度というのを導入いたしておりますけれども、それでは全部がそれで財産処分を避け得るかと申せば、やはりこの税金の性格から申しまして、そういうこともあり得ると、またそれが税の目的であるというふうにお答えせざるを得ないのでございます。
○栗林卓司君 そこで居住用の土地、事業用の土地とあえて二つ区切ってみた。で、現在の民法の考え方からいっても、相続財産というのは、被相続人、それから相続を受ける者、それの共同作業の結果としてこの財産はでき上がったんだという認識はあるんです。ただそれを余り詰めてまいりますと、家産という概念までくると、その隣に家督相続が控えているもんですから、そこのところはもう完全に退いちゃって、いまの民法上の相続法の体系ができ上がっていると思うんです。しかし、考え方の基本には相続財産というのは被相続人だけの力ででき上がったんじゃない。いわばその相続財産形成に当たって相続人が果たしてきた役割りの応分の払い戻しを受けるのだという面だってあるのだろうと思うんです。この点深く議論詰めません。ただ、居住用の土地、事業用の土地についてまでおっしゃるように処分があり得るということを税のたてまえで予定してしまっていいのか。実際はもう自由に決めればいいんですよ。決めればいいんで、税はあくまでもそこまで立ち入らない中立的なところにとまっているべきではないんだろうか、いかがお考えになりますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) それは一にかかりまして課税最低限のレベルの問題でございます。この程度のものでございますれば、居住用といい事業用といい、その財産が分割をされなくて済むというものを一応頭の中に想定をいたしまして課税最低限を設けますれば、必要最小限度のものは満たせるわけでございます。不幸それを超えましてまた延納制度というものが十分に働かない何らかの事情がございますときには、やむを得ない処分分割ということが行われても、これは仕方がないと思います。
○栗林卓司君 課税最低限という角度で考えるのと、土地をどう評価するのか、二つながらにあるのじゃないか。土地の評価を考えたから課税最低限という議論がなくていいとは言いません。そこで、交換価値として、処分を前提として値をつけていくんだという行き方と、用益価値として見ていくのだという行き方と二つあると思うんです。今回農業用土地については用益的な面を少しく意識した関係になってきたような気がするんですが、これは言葉遣いの問題ですから、その点については別な御表現があっても構いません。ただあくまでもそこで処分が起こるのだという仮説的前提を置いて、それで相続財産の土地は全部評価しなきゃいかぬ、そういう筋合いのものなんだろうか、むしろ用益的な面で、相続財産の土地は評価をするのをたてまえにしながら、実際に譲渡という行為が起こったらそれはそのときにまた考えればいい。平たく言うと、相続財産の土地の評価に当たっては思い切って下げてしまって構わないんじゃないか。で、こう申し上げるもう一つの理由というのは、相続のときに被相続人の経済が一遍清算になるのだ、したがって、これは全部売却するかもしらんということで交換価値で評価するわけです。しかし、その価値が実現するかどうかは、その売却という行為が起こらなきゃないわけです。いわば未実現の収益に対して税が先取りして課税していくのかもしらん。しかも、それが実現するのかしないのかというのはそれまたわからない。その意味で、なるほど市民法的自由の立場から言えば、そこで一遍清算が起こるわけですから、交換価値で決めるというのも一つの筋道のように見えるんだけれども、果たしてそれだけだろうか。むしろ用益的な面に着目しながら、今回農業用土地の特例も、実はあれの方がむしろ原則的な取り扱いかもしらんという面で見直すことができませんでしょうか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 今回の相続税の場合に、用益的な評価を導入したというふうに言われますと、先ほど来申し上げておりますように、やはり私どもはいわゆる純農地としましての処分価格というものを前提にしながら組み立てているつもりでございます。 それは別にしまして、事業用あるいは居住用の財産を相続税を課税するに当たりまして評価するときに、やはり場合によればこの税の目的であります処分ということを想定しておりますから、処分時価を基本にいたしますけれども、現実にそういう評価に至りますためには、実際に売買が成立しました売買実例というのを基準に置かざるを得ません。しかし、おっしゃいますように、その売買実例というのは現実に売り手と買い手とがあって生じた価格でございますし、相続税の評価におきましては、常にそういった価格で評価をするのが適当でもないということから、かなりしんしゃくを加えて相続税の評価に至っておるのがいままでの通例でございます。その際、さらにそういう場合にもなお事業用土地あるいは居住用の土地の中でも、いわば幸いにもそれを所有できた人にしてみますれば、最後の拠点として必要最小限度のものは恐らく一番最後まで売らないであろうというような前提に立って、もっとこのしんしゃくをこれまで行ってきたよりも加える必要があるのではないかという点は確かに私どもも目下反省をいたしておりまして、国税庁でもその点についていま検討をしていただいているところでございます。
○栗林卓司君 今回の農業用土地の取り扱いというのは一応たてまえは交換価値として想定をし、しかも、営農ということで生かしていくということですから、たてまえは貫いているわけですから、これがやっぱり一つの話の糸口になっていろいろと広がってくることは想定しておかなきゃいかぬ。その意味で、今回あれを御提出になることを契機にしながら、いま国税庁でも検討中というお話がございましたから、特に居住用の土地、もうここまで課税最低限を上げますと、ある限られた地域かもしれません。事業用の土地になりますと、これはいろいろあるかもしれない。それも含めて、どういうグランドデザインをかいていくのかということも至急御検討いただきたいと思います。 じゃ、この件一応これにしまして、入場税について一つだけお尋ねをしておきたいと思うんですけれども、とにかく間接税については、増徴かどうかは別にして、比率は高めていきたい、これは従来から再々にわたって、大臣等含めてその方向のお答えがございました。片方では、これからは自然増収は余り期待できない経済環境があります。従来は自然増収がありましたから、結果として、直接税の増徴と言わないまでも、直接税の比率が高まってきた。これからはそれは期待できない。そうなると、間接税の比率を高めるというのは、仮に直接税の減税を頭に思い浮かべなくても、直接税の増徴をある程度頭に置きながらいろんなことを考えていかなきゃいかぬのかもしれません。仮定ですから、この点のお答え要りません。 そのときに、入場税をずいぶんと思い切っておまけになったわけですけれども、将来の間接税をどうするかということの見合いで——まけてくれたから文句言いませんよ。言いませんが、よろしいんでしょうか。よく言われるように、もし付加価値税というのが検討課題であると言うんなら、また入場税についてヨーロッパ諸国が付加価値税として取り上げていて、これ、免税点も何にもないということを見合いながら、今回の入場税の大幅な免税というのは、よかったのか悪かったのか。しかも、将来の税制見直しということの中でどう位置づけていかれるのか。しかも、税調の審議の中でも余り顔を出してなかったということになると、余りにも不用意なお取り組みではなかったんだろうか。以上の点について検討されましたか、どうしていかれますか、この点だけお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(中橋敬次郎君) その点は私どもも十分検討したつもりでございます。もちろん、いろいろな御批判があることも、それはそれでまた虚心に勉強さしていただきたいと思いますが、間接税の比率を高めなければならないということだけで間接税の問題を考えるのはいかがかと思っておるわけでございます。やはり何らかの必要な財源がありまして、何らかの財源を必要とせられる時点が生じましたときに、一体それをどういうような税金で賄った方が一番いいのかということになりますれば、わが国の今日の税制から見まして、やはりそれは相当大きな財源ということになりますれば、間接税に頼らざるを得ない。したがいまして、間接税の比率が上がらざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、いまのあります間接税というものをそういう方向に配置しますから、何が何でもたまたまあります個別消費税というものを、あくまで存続しなければならないということになりますれば、私はやはりそれ相応の見直しがあってもしかるべきではないかと思っております。特に入場税につきましては、いろいろ今日までサービス課税についての変遷がございまして、大部分は昭和十二、三年ごろの戦争が始まりましたころからつくられてきた税金でございますけれども、それ以後の経過を見てみますと、かなりサービス税についての、あるいは物品税も含めまして、見直し、反省というものが相当行われてきておりますが、入場税だけにつきましては、やはりなかなかその質的な差を見出しがたいという点から、一番初めに課税した分野と、今日まで課税してきた分野というのはそんなに変わっておりません。それを同じようにサービス課税で——たとえば入場税につきまして、あの当時課税しておった分野と、今日課税しておる分野、物品税について同じような問題というのを考えてみますと、やはり私は、入場税というものも、個別消費税を前提としながら、やはりそういった課税分野というものの再調整を思い切ってやれるときにはやっておいた方がいいんではないかということから今回、少しく大幅という御批判はございますけれども、いままでたまっておったものをむしろこの際にお願いをしたということでございます。税収は、入場税自体の収入が百億円余りのものでございまするから、そんな大きな間接税、直接税という関連を覆すものでもございませんし、今回幸いその程度の財源であれば余裕かできましたから、こういう改正をお願いしておるわけでございます。
○委員長(桧垣徳太郎君) 午後六時三十分まで休憩いたします。 午後五時十六分休憩 —————・————— 午後六時四十四分開会
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 相続税法の一部を改正する法律案及び入場税法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○野々山一三君 相続税それから贈与税、課税対象になる財産の評価というものはどう行われるかということが、実は税率を変えることもさることながら、大変な影響があるわけですね。税率を幾ら直したって、安くしても、今度は評価をうんと高くすれば、これは税金の額というものが必然的にこうなるわけです。これは大臣に伺いたいんですけれども、こういうことについて、この評価と税率との兼ね合いでいけばどういうふうにお考えになりますか。これは法律を見たって、税金どれだけ取られるかわからぬですね。そこのところを一体政治論としても、国民の相続、贈与というものに対して評価するにしても、この疑惑はどうもいつまでも解消できないように思うが、そこはどうなんでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 相続税は現金や預金をも含めまして、すべての財産に対して課税されるものでございますから、その評価は相続の時点における時価によって行うしかないものと考えます。このような見地から、現行の相続税法は、時価による評価を原則とする旨明らかにしておるものでありまして、私どもとしては、それが評価について必要にして十分な規定であると考えております。
○野々山一三君 そうすると、時価によるんだから評価する以外に道はない、こういう論理でございますね。ところが、その評価の物差しというのは一体何でしょうか。従前は物差しというものはなかったわけで、今度は評価委員会というものを設けるということになりましたけれども、客観的な物差しはないですね。私は、実は土地の問題でこうやりますと、その固定資産税だ、それは相続の評価だとかいろいろありますね。そして客観的な土地の価格評価というものが、土地で言えば物差しがありますね。わけても今度の国土利用計画法によっては四つのものを物差しにして客観的な価格を八割に下げるという物差しができた。ところが、これ税法上から言うとその物差しは何もない。私の知恵がないのかもしれませんけれどもね。だから、ただ評価、つまり相場だから相場じゃないかという議論のように、いまおっしゃることをそのまま聞いてもそれしか聞こえないわけですね。たとえば預金あるいは証券というようなものは、これは客観的な価格というものが出てきますよね。これはもうきわめて明白に出てくる。不動産に関してはその物差しがない、ないから評価委員会をつくるんだという議論は一つの前進かとも思います。しかし、その評価が一体それが客観的に正しいだろうかということで非常に疑惑を持ちます。これはこんなところで余り言いたくないんですけれども、先般私はあなたの問題について練馬の土地の問題について伺ったときですね、文書で示していただいた。藤和不動産というものが評価をしたんですということだけなんでございます。で、これは一体幾らだ、五百万だと。客観的に見て五百万というのは総体で五百万ですからね。これが一体客観的に見てどうして正しいんだろうかということを——あの問題を追求するわけじゃないんですよ。そういう意味でどうして評価が正しいだろうか、で、評価委員会というのは一体どうしてそれを物差しにしてはかるだろうか、この点をさらにもう一回教えていただきたい。
○政府委員(中橋敬次郎君) 確かにおっしゃいますように、相続税の課税対象の中に、土地とかいうものが評価を待って初めて課税標準がわかるわけでございまするから、もちろんそれいかんによりまして税負担が変わってくることは確かでございます。法律上は時価と書いてございまするのは、昔から明治時代からこの時価といいますのは処分時価であるという、まあ一応それを私どもは物差しと考えているわけでございますけれども、その時価というときに、処分時価であるのか、あるいは収益還元時価でありますか、あるいは再取得価格でありますかと、いろいろとり方がございます。ただ相続税は、さっき申しましたように長い間処分時価ということで考えております。処分時価と言いますのはやはり現実に売られました価格というものが一つの基礎になるわけでございますけれども、これも売り手と買い手の需要供給によって決まるのでございますから、現実に売られたものにだけ適用されるべき価格でございまして、それといかに事情が似ておりましても、それそのままの価格が果たして妥当かどうかということは、おっしゃるとおりなかなかむつかしいことでございます。一つの物の評価を、たとえばいまおっしゃいましたように、不動産鑑定に経験のある人三人にやってもらえば、やっぱり三様の価格が実は出てまいるわけでございます。固定資産税におきましても、評価基準の中には一応そういう再取得価格というようなもので考えるというようなことに恐らくなっておると思いますけれども、具体的にそれでは固定資産税の評価額が本当に客観的な正しさを持っておるのかどうかと言われますれば、まあ非常に自信のない話になってしまいます。 それから、公示価格をいまお話しになりましたけれども、確かに公示価格も、いろんな売買実例から、ポイントポイントにつきまして、まああれはまた一つ地価を適正な水準に抑えるという意図も働いておりますから、そういうことも兼ねながら一つの価格を表示するわけでございます。それで、私どもが、そういうなかなかむつかしい時価を、現実に生じました売買実例から評価上持ってまいるというときには、いろいろ苦労をいたしまして、たとえば農地で申しましても、市街化の農地でありますとか、純農地でありますとかいうものについての評価について苦労をしておるわけでございますが、そういう方法が一体妥当かどうかというのは今後の土地評価審議会においてまた再検討願うわけでございますけれども、税の目的からしまして、相続税というのが世代の交代のときに課税されるというような趣旨から、今日までそういった評価を行っておりますし、固定資産税でございますれば、毎年毎年固定資産税をかけるというようなことから、そういうものとしての課税標準としての評価を見出すということで、それぞれの税の目的に応じましてもまたいろんな配慮が行われることは確かでございます。それをわれわれとしましては、余り実勢から離れないように、しかも、税金の目的からしましても、そんなに高からず低からずというようなところを、売買実例の中でも仲値というようなものを求めましたり、それからまたしんしゃく率を掛けましたりして、できるだけ御納得のいくような数額を見つけようとしておりますんですけれども、それが現実の売買価格と一体どういう関係になるのか、果たして評価として妥当であるのかと言われますれば、そういう努力をしておるということでまあ御納得いただくよりしようがないんでございます。
○野々山一三君 まず根本的に、税法上から言いますと、評価に関する規定が非常に少ない。わずかなもんで、ですから、いま主税局長が言われるように、考えますけれどもそれでおきらめてもらうよりしようがないといったような言い方しかないわけなんですね。ところが、よその法律を問題にして申しわけないんですけれども、国土利用計画法の施行令、政令では、きわめて具体的に価格というものを決める物差しをつくったわけですね。それで、それ以上の不当な利得を得ちゃいけないということに——売買に絡んでですね、そのときには没収するんですよというたてまえをつくったのは去年の話なんですね。で、去年の暮れからそれが物差しとしていま発動されているわけでしょう。だから私は、大臣に伺いたいのは、国土利用計画法でも万全ではないとは思いますけれども、あれほど具体的に、見ればわかるような政令をつくったわけです。だから、この相続税でも、そういう適合するような物差しをつくるべきではないかというふうに思います。 で、先ほど来皆さんの御質問で、できるだけ評価を下げなさいという議論がありましたね。下げなさいということもわかりましたと言われても、本当に下がるだろうかという信用度からいったら、これは何も担保されるものはない。これが率直な私の印象でございます、皆さんの質疑の中で。これは大臣お見えにならなかったから申しわけないですけれどもね、いまぼくが単純に言ったことで、一体もっとなぜこれを、物差しをはっきりしていかないかと。この議論はきのうですか、おとといですかあなた言われた夫婦間の水平相続というような角度で物を考えたらいいようなものだと言われた。この趣旨から言っても、これよりももっとぼくは具体的な話になるだろうというふうに思いますので、改めてさらに伺いたい。これは法律で余り具体的にわからぬ。わからぬからわかるようにした方がいい。そうしないと、相続税そのものの根本がわからない。時価だったって売り値と買い値とが違いますからね。だから、鑑定の場合だって三者鑑定で国は処理するわけですね。平均値で処理するわけでしょう。そういうように売り買いの問題はそうなっているというのか——単独評価でもいいという理屈もありますけれども、そこのところの兼ね合いで相矛盾するんです。同じものを扱うんです、土地であり不動産であるという限りにおいて。
○国務大臣(大平正芳君) 野々山さんが指摘されておる問題は、結局、法律で時価によると書いてあるだけで、これの評価についてはまあ行政にゆだねてしまってあると、それはいわば通達にゆだねてしまってあるわけでございます。だから、もう少し預金であるとか現金であるとか、あるいは上場されておる株式であるというならば時価ははっきりしているが、土地とか建物とかいうようなことになると、これはもう仰せのとおり評価の方が本当は大事なんで、それらについて客観的にちゃんとした物差しというものをもう少し規定しておくべきじゃないかという御趣旨と思います。それは私もよく理解できるわけでございますが、つまるところこれは結局行政府に対する御信頼をいただけるかどうかという問題に帰着するのじゃないかと思いますが、それはそれとしても、行政府としてもその信頼を押し売りしないで、ちゃんと客観的にこういうことでやるんでございますということを政令なり何なりにちゃんとやっておいた方が公明でいいじゃないかという御意見だろうと思いまして、それは一つの御見識であろうと思うんであります。で、これはなぜ長い間こういうことで通ってきたものなのか、政令に本来これがなずまないでこういうたてまえでやってきたものなのか、私もよくまだ究明したことがないわけでございますので、もう少しこれは勉強さしていただきたいと思うのであります。 ただ、先ほどもちょっと触れられましたように、今度改正案で土地評価審議会というものを創設するということは、土地の評価というのが確かに問題なのでございますので、こういうメカニズムをつくって学識経験者などの御意見を十分徴しておこうという配慮に出たということは評価をしていただきたいと思うのであります。 政令問題ということについてはもう少し勉強さしていただきたいと思います。
○野々山一三君 おっしゃられるように、これは非常に政府を信頼してもらうよりしようがないという言葉に尽きちゃうわけです。そこで次の——まあ私は率直に言って利用計画法を問題の比較にしたんですけれども、この種のものは勉強さしてほしいという気持ちはわかるんで、思い切ってこの際政令でちゃんと物差しがわかるようにする、物差しをこしらえるというようなお考えを前提にして検討すると、こういうふうにお答えになればこの際はやむを得ないと思いますね。いかがですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 確かに国土利用計画法の評価方法は一つの基準になると思います。ただ、そこにおきましても実は御案内のとおり、一つは取引価格が物差しでございますし、それに収益還元価格を関連づけてやりますということだけは書いてございまして、一体具体的にそれではこのポイントの価格が幾らになるかということは、なかなかわからないわけでございます。それと同じようなものを相続税にたとえ書くにいたしますれば、相続税の評価は処分時価によりますという方式をとりますということを書くわけでございますけれども、それによりまして、なお具体的にはなかなかどの辺の水準になるかということはわかりません。やはり問題としましては、相当ポイントの数が多くなりまして、公示価格が、一体全国的にずっと広がってまいりますときには、それについてどういうふうなレベルになるかというふうなことがだんだん明らかになれば、恐らく御心配の点は大分消えるのだろうと思いますけれども、まだ公示価格というものは非常に少のうございますから、どうしても相続税法の政令に書くとしましても、非常に抽象的な文言で、処分時価によりますというようなことを書くだけのことになってしまいますんですけれども、そういう観点から、恐らくいままではもう法律には時価と書いてございまして、それを処分時価と呼んでおりますということでまいったわけでございます。今後なお、私どもも十分検討しなければなりませんけれども、いましばらくこの土地評価審議会におけるいろいろな議論を重ねていただくとともに、いま公示価格のポイントの数、それから水準がどの程度になるかということ等をあわせてひとつ法制化の問題は研究さしていただきたいと思います。
○野々山一三君 時間がないから進めますけれども、国土利用計画法によれば固定資産の評価、それから相続税評価、時価、それから公示法による価格というものが基本になっているわけです。これの場合は全く時価というだけなんでございますね。そこへ持ってきて、さらにあれは議員立法だから知らないわなんて言われちゃ困るんですけれども、Gメンまで配置したわけですね、土地価格の。めちゃくちゃな売買をしちゃいけないというのでGメンまで置いて、そして不当な売買というものをさせないようにということがあるわけでございます。だから、主税局長おっしゃるような時価という角度だけじゃない。四つの物差しがあって、さらにGメンがあって、そして評価委員会というものがあるわけです。この法律では評価委員会ができただけということなんで、これは本当に思い切って、いまおっしゃるように、ちょっと勉強さしてほしいということだけでは、どうも私、納得できないという点があるのでございます。一言でいいから前向きに、そういうことの、国土利用計画法を使えと言うんじゃないんですが、もっと具体的な内容を前提にして検討するということを約束してほしいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 早急に検討します。
○野々山一三君 それではぜひ、私もこれから次の機会に、検討するとおっしゃったことを、ひとつぜひ見守りたいと思いますし、いろいろな機会を通して説明をしてもらいたい。 次に、なぜその話をしたかという問題で、大臣に大ざっぱな議論で一つ伺いたいのですけれども、法律というものは、政令なり施行令なり通達というものとどういう関係になるんでしょうか、これは一般論でございますよ。
○国務大臣(大平正芳君) 私、そういう議論は弱い方でございますが、うまり法律が基本になって、法律の意味をより明確にするというために政令があると。あるいはそれをさらにいろいろな方法で法律の意図するところをはっきりさそうということであろうというので、あくまで法律の範囲を越えちゃいかぬし、彫り深く法律の意図するところを明徴にしてまいるというために、いろんな政令その他の形式が考えられておるものと思います。
○野々山一三君 おっしゃるように、法律の範囲内でなきゃいけないというのがたてまえで、それを実行するためにその中身を、内容を示すというのが政令であり、通達でありというものですね。そのとおりですね。 そうすると、実際は、この評価の問題もそうでございますし、相続税法の施行令及び通達では、たとえばこれは非課税でございますと書いてあるものが、非課税じゃないように政令、通達でできておる事例があるのでございます。これはあなたはおわかりにならないなら、ひとつ関係当局の皆さんでも結構です。これは歴然とそういう証拠がある。そこで、話を進める意味でそういうものがあるんだから、そういうものは当然法律を変えるか法律をつくるか、いずれかの処置を講じなければいけないものが実は政令、通達で狭められているという事例があるわけでございます。御見解を承りたいわけでございます。
○政府委員(中橋敬次郎君) 私どもは、政令は法律の範囲内で制定しなければならないというふうに思っております。いま御指摘の点は、たとえば相続税の非課税財産としましてこういう目的に使っておる、いわば公益上の目的に使っておるものについて相続税を非課税にいたしますというときに、政令でその範囲を制限するような規定がございます。その場合に、政令の内容いかんによって御指摘のような御心配が出ることもあるかと思いますけれども、私どもは今日この政令を見てみまして、やはり相続税の非課税という条項でございますから、個人がそれを取得しまして、あくまでもその個人のコントロールが非常に強いという段階におきましては、たとえその目的が非常にいい目的であり、法律に規定してありますように、公益的な事業の用に供されるという場合にも、やっぱりある程度の個人の色彩を払拭しないとそういう条件に当てはまらないという解釈から、今日そういう政令を設けておるのでございまして、その政令はやはり法律の精神に沿って変えておるというつもりでございます。
○野々山一三君 財産評価の問題でも、基本通達というのがありますね、あれによって非常に狭められちゃっていて、個人のかかわりというものがあるとかないとかいうことが全くわからないかっこうで狭められている。それからもっと言いますと、かっては非課税だったものが、法律を変えまして、二十六年ですか法律をちょっと——三十三年ですか法律をちょっと直しまして、二言だけ、二文字だけ直したために今度は内容が完全に変わりまして課税対象にされておる、それが通達でそうなっている、そういう事例があります。きょうお答えができないなら私もここでこまかい法律論をやると時間がありませんから、この問題留保せざるを得なくなるんですが、どうしてもわからぬ。これは大臣だっておわかりにならないようなことだったら、行政官でわかったってそれはぼくは納得できないわけです。大臣をだから呼んでいるわけですからね。いかがでしょうか。
○政府委員(中橋敬次郎君) ちょっと、その二文字だけ入りまして実体が非常に変わったという例を思い起こすこともできませんですけれども、やはり相続税の非課税財産ということについて考えます場合には、たとえ公益的な事業に向けるものでも、個人的な色彩というのは薄くならなければならないという前提がございます。そういう観点から、制限をいたしておる今日の政令というものは、やはりその法律の精神に沿っておると思いますので、その点が特に権限を逸脱して執行政令として変えたつもりはございません。
○野々山一三君 これは水かけ論になるから、私がやると時間がとられるだけだけれども、あなた読み上げなさいよ。つまり、相続税法の十二条、改正前の法律と改正後の法律と二文字だけしか違わないんです。そのために政令が完全に変わっておるわけです。細かい話をするときりがないほど一ぱいあります。たった二文字が、この一例だけを見ますと、「相続又は遺贈に因り」というのが「相続に因り取得した」、二文字だけ、二文字が消えただけで施行令がまるきり変わっておるわけです。これはお答えができないならこれはここでストップです。これはこの話がなければ進めようがない。あんな話じゃ。
○政府委員(中橋敬次郎君) いまお示しの相続税法の第十二条第三号におきます「相続又は遺贈に因り」という規定は、「相続」という文字が入ったことはお示しのとおりでございますけれども、それのもとになります「公益を目的とする事業を行う者で政令で定めるもの」ということの政令につきましては、たしかその時期に政令の内容は変わっておることは確かでございまするけれども、 「相続」ということが入ったために変わったんではございませんで、個人の色彩が強いものを排除するという趣旨で施行令の第二条の規定を設けたものでございます。
○野々山一三君 いま言ったのは間違いないですね。いま読み上げられたものは間違いないですねと聞いておるわけです。
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記を起こして。
○政府委員(中橋敬次郎君) 相続税法第十二条の三号の規定で、私は「相続」が入ったと申しましたけれども、これは間違いでございまして、「相続又は遺贈」という「遺贈」が入ったということでございました。 ただ、その相続税法施行令第二条の規定は、確かにその時期に改正になっておりますけれども、それは「遺贈」という文言が入ったためでございませんで、個人的な色彩を払拭するという意味におきまして、相続税法施行令第二条が全面的に改正せられたことは間違いございません。
○野々山一三君 「遺贈」と——それなら議論になりますが、「遺贈」という文字が入ったと、遺贈と贈与とどういう違いがあるんですか。よく、ぼくは幼稚園の子供みたいなんでわからぬので教えてください。それが個人の関係をきれいにするために政令を改めたと、こう言われるわけですね。そうですね。違うんですか。けれども、実際はそうなんですよ、もし違うと言われるならば。それで政令がどおっと変わっているわけ。そうすると、法律よりも優先しているのは政令ですかという議論になるわけです。端的に私これ申し上げるけれども、いま私が読み上げたのを、違って「相続」が入っただけなんというお話をしながら答弁されているんじゃ、私も質問する気も起こらぬということになる。放棄はしませんよ。もっと一遍勉強して改めて出直してください。これから以降ずっとそういう問題がたくさんありますからね。そんなことでまたぞろこうやって時間を食われたんじゃ私はかなわぬ。これ委員長どうしますか、四十分という時間でこんな調子でやられたら、私は、発言をさぼられるために四十分を与えられたなんて、お断りですわ、委員長として理事会でやはり処理してください。
○政府委員(中橋敬次郎君) 相続は相続でございますし、遺贈は遺言による贈与でございまするから、相続とか遺贈というそういうことが契機となりまして財産が移転されることについては変わりはございません。そういう法的な整備と、先ほど申しました相続税法の施行令第二条で、個人的な色彩が強いものは、この政令で定めるものとして除外をするというのは、全然関連なしにたまたま同時期に改正されたものでございます。
○野々山一三君 法律では、「遺贈」という文字が「又は遺贈に因り」という文字が結果的に入っただけですけれども、同じ時期に政令の内容、体質が変わっても、それでいいんですかと聞いているわけです。これは大臣は、先ほど法律の範囲内でそれを実行するための趣旨として政令、通達というものはあるんだとおっしゃった。時期が同じであるとかないとかにかかわらず、国会で法律を直したならいいですよ。本質的に直したならいいですよ。これはまさに通達行政という言葉になるんじゃございませんか。違いますか。大臣に伺いましょう。
○国務大臣(大平正芳君) いま御指摘の点が、法律の精神というものを従来の政令が十分くみ取っていない、明らかにしていないということで、なお明らかにする必要があったかなかったか、その点をもう一遍私見てみたいと思います。
○野々山一三君 じゃ見てください、どうぞ。
○政府委員(中橋敬次郎君) なお、そのときに、税制調査会の答申がございまして、相続税または贈与税について、そういったことについて若干問題があるという指摘がございまして、「公益事業用財産については、財産の提供者等特定の個人の利益のために供されず、かつ、その事業活動により文化の向上、社会福祉への貢献等公益の増進に寄与することが著しいものの用に供する財産に限定すべきであるとの結論に達した。」という答申を得たわけでございます。したがいまして、それまでの政令の取り扱いというものが若干乱用されておるという弊害を知りまして、そこで改めたわけでございます。
○野々山一三君 へ理屈のようだけれども、税調の答申があったからこうしましたということと、国会の国政調査権とどう関係がありますか。そんな答弁は答弁になりませんよ。税調がそんなこと言ったんなら、税調の言ったとおりのことをいままでやっていますか、全部。そんな議論は幼稚園の子供みたいな議論ですわ。そんな答弁じゃ答弁にならぬですよ。どうします、大臣。
○政府委員(中橋敬次郎君) 税制調査会の答申も、それまでの乱用が多かったということを指摘しまして政府に反省を求めたわけでございまするから、政府は、従来の十二条の精神に立ち返りまして、当時の政令の内容をそういうふうに改めたわけでございます。
○野々山一三君 それなら、なぜ法律を直さないんですか。政府としては税調から警告があったから、それを政令でやりましたと言うんなら、国会を必要としないという論理になるんじゃありませんか。むずかしい議論はわからない。それならば法律を直せばいい。法律改正をしてくださいと言えばいい、法律改正をするんなら。それでこれは論理が成り立っていますよ。どう言われてもその点はわからぬな、私は。私は頭が悪いのかもしらぬ。
○政府委員(中橋敬次郎君) そのときに、第十二条第三号で、「宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者で政令で定めるものが」云々と、こう書いてございましたから、その政令の規定でその趣旨が十分徹底できるということで政令で処理したわけでございます。
○野々山一三君 そしたら、具体論ですけれども、これは文部省にも聞きたいんですけれども、かつて、私立の幼稚園というものが公益事業であるとして非課税だったわけです。それが非課税でなくなったわけです。課税対象になった。これは、右へ行くのを左に行ったというような仕組みのものと違いますね。そこまでに及んでいるのに、政令でそれを実行できるという根処はどこにあるのですかと聞いている。これは大蔵大臣で困るなら、もっと責任のある人に来ていただいてもいい、私はわかるために聞いているんですからね。あなたをいじめるわけじゃない。そうしないと、これわからぬですわ。いままでは公益事業だった、したがって非課税だ。それが今度は政令で課税になる、課税されるということになったわけですね。そうすると、これは取る方と取られる方というか、いままで取られなくて済んだのが、取られるようになったのはどういうことなんですかという単純なお話なんです。それは法律で直した方がいいのじゃないですか、それならば。それを通達でおやりになったから問題であり、政令でおやりになったから問題である、こういうことだと思う。いかがですか。むずかしい法律論じゃありませんよ。ただし国会を、存在価値を認めないで、通達でおやりになるとか政令でおやりになると言うなら、何でここでこうやって審議しておるんですかという、国政調査権なんてむずかしいことを言わぬでも、結局はそういうことになりますわな。
○政府委員(中橋敬次郎君) 法律の十二条の規定によりましても、先ほど申しましたように、「政令で定めるものが相続又は遺贈に因り取得した財産で当該公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの」ということで規定をしておったわけでございます。それを、おっしゃいますように、政令改正前におきましては、たとえばいまお示しの幼稚園に関係しますところで申しますと、「学校教育または学校教育に類する教育の事業を行う者」というようなことでおそらく読んでおっただろうと思いますけれども、ここにおきまして、いろいろ弊害が指摘せられまして、やはりそういう「政令で定めるもの」ということで除外をいたしますれば、十分目的を達するということができるわけでございまするので、あえて法律改正という道をとらなかったのでございます。
○野々山一三君 委員長、もう一遍申し上げますけれどもね。何でもいいから答えていればいいと、あるいは相談していればそれで時間がなくなるというのが、理事会の私に与えられた四十分というお決めですか。そうじゃないなら、私は、こんなことで時間をとるのはばかったいけど、理事会を開いて委員長措置をしてくれと言っているわけですよ。どうなさるんですか、お答えをいただきたいと思う、委員長。
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記をとめて。 〔午後七時二十二分速記中止〕 〔午後七時四十分速記開始〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記を起こして。 野々山委員の質疑に関連いたしまして、理事会で協議をいたしました結果、現在までの野々山委員、政府間の応答の模様では、この質疑を続行することは適切でないと判断をいたしましたので、野々山委員に対する政府側の答弁は、次回委員会において十分検討の結果、明確にすることを要望をいたしておきます。 野々山委員の自余の持ち時間の質問は次回に続行することに決定をいたします。 本委員会の質疑を続行いたします。
○近藤忠孝君 相続税の問題について大蔵大臣にお伺いします。 昼間、大臣のおられない場所で、質疑の中で、民法上の夫婦財産制のあり方の問題と、それから相続税の課税の問題は直接かかわりはないということが明らかになったわけでございます。となりますと、今回の妻の三分の一の非課税の理論的な根拠は特になくて、これ一つの政策的な判断、妻の座の保護と、もう一つは同世代では非課税としても差し支えないという、こういった答弁だったわけですね。しかし、特に理論的な根拠がないとなりますと、いままで国会で議論されてきた経過の上に立って、いままで三分の一非課税にすることは消極的であった議論がなぜそこで変わったのか、この点の説明がないと納得できないと思います。 そこで、先ほどは局長にずいぶんいろいろな角度からお聞きしましたけれども、結果的には、妻の座保護、そうして同世代で非課税でもいいんじゃないかという、結局はそういう答弁以上には何度聞いても出てこなかったですね。 そこで大臣にお伺いしたいのは、たとえばこれは昭和四十七年の国会の審議の際ですね。こういった点が問題だったわけです。妻についてまあたとえば相続分だけの、法定相続分を非課税にすると、相続財産が大きくなればなるほど非課税の金額が大きくなって、公平の観点から見て問題があるという点ですね。それからもう一つは、巨大な富の集中排除あるいは再分配ということですね、負担力という、こういう面からもまずい。それから妻の生活保護という面がこの相続税の一つの観点となれば、一定の線で線を引くのが妥当なんだ。それからさらに、なくなられた愛知さんの答弁としましても、どんなに能力のある人でも結局社会に負うところの収入基礎が多いんだから、やはり還元すべきなんだ、こういう幾つかの論点から見ますと、いずれも三分の一非課税にすることは消極的であるというのがいままでの国会の審議の経過なんですね。なぜ今回一歩思い切って進められたのか、この点がどうもいままで、いま私が挙げた四つの点の消極面を全然説明なしに入っちゃった。この辺で大臣の御見解を聞きたいと思うのです。
○国務大臣(大平正芳君) これは政策的な配慮、近藤さんのおっしゃるとおりでございまして、妻の座を重視すると、そして同じ世代間の水平的な財産の移動というものに対しまして、特にそこに相続税が介入してまいっていく必要はないのではないかという政策的な判断からでございます。で、このことは、税の負担の公平とかいうことと全然関係がないことなんでございまして、そういう立法政策上の配慮から、こういうことを行ったわけでございます。素直にお受け取りをいただきたいと思います。
○近藤忠孝君 素直に受け取れないからもう一回質問しているんですが、妻の座保護、これはわかるわけですね。しかし、本当に妻の座を保護し、守るべき階層は、一定の段階ありますけれども、むしろ特に妻の座を守らなくても、堂々と税金取られても、ちゃんと暮らしていけるこれらの層が、本当に今回の法案によりますと大きく税金を免れる、その点でますます差は大きくなるんじゃないか。この点は、今回の大平さんの説明ではとても説明になってないわけですね。 それから、いままで言われておった巨大な富の集中排除、あるいは再分配という問題があるんだと、この点についても、もういつの間にか消えてしまって何ら説明がされてない。大平さんの説明では、同世代で非課税としても差し支えないということですけれども、少し前ではそうは言ってなかったわけですね。なぜいままで、たとえば四十七年末の説明ではそうでなかったものがこうなってしまったのか、その辺をわかりやすく説明していただきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) そういうことを今度いよいよやろうと決意したわけなんでございます。いままでは、そこまで踏ん切りがつかなかったわけでございます。今度は同世代の間の財産の移転ということは、相続税の対象として考えなくていいじゃないか、夫婦の共同生活の結晶というようなものを尊重しようじゃないか、夫婦の財産形成寄与を尊重しようじゃないかということ、素直に見ていただきたいということを申し上げておるんで、財産の、これで富の配分の不公正を結果するとかなんとかいうのは、そんなことと全然関係のない、これはそういう政策的判断でやったことなんでございまして、それは相続税の税率の刻み方とかいうことでそういうことは判断してもらいたいわけでございまして、それと全然別に異質な政策上の判断からやったことが今度の妻の座の重視であります。
○近藤忠孝君 いままで何にも説明してなければそれで素直に理解するんです、妻の座保護ということ。いままでの国会審議の中では、私が先ほど指摘したようなことが三分の一を全額非課税とするという、それに対する消極的な論拠として言われておったわけなんですね。それが今回何も説明ないまま素直に理解しろと言われても理解できない、これが私の質問の趣旨なんですよ。
○国務大臣(大平正芳君) いまの近藤委員が御指摘のような経緯はあったんです。あったんですが、今度われわれが決意したのは、全然そういう考え方でないわけなんでございまして、大蔵省の政策的な一つの決意、決断でございまして、大蔵省にもそういう決断をする活力があるということでございます。
○近藤忠孝君 活力とか、あるいは進歩的とかいろんな言葉が出てくるんですけれども、しかし、そういうことで、そういう抽象的な言葉で、いままでこれに対する消極的な理由に対して何も説明がないままいってしまうことに疑問を感ずるんですよ。ですから、たとえばいままで、相続財産が大きくなればなるほど非課税の金額も大きくなってきて、公平に欠けるんだということが指摘されておったわけでしょう。そうしますと、今度は妻の座確保ということで、確かにその面は強化されるけれども、もう一つの、相続財産が大きくなった階層の方がよけいに税金免れて、そうでない人との間の格差が大きくなってくる。これ前々から言っておったことが、いま何も説明されていないんですよ。そのことについて、この問題はどうなのか。その御答弁をいただきたいんです。
○国務大臣(大平正芳君) で、ございますから、そういう考え方は古いと言っているんです、私どもは。そういう考え方から脱却して、同世代の間の財産の移転ということに対しては、相続税をかけない方がいいんじゃないかという判断、そういう政策的な判断の方が正しいんじゃないかという決断をしたわけでございまして、同世代のことでございますから、やがて片一方も相続の機会があるわけなんでございますから、もともと同世代の間での財産の移転について、相続税をかけるかかけないかという問題が、初めから問題はあるわけなんですが、いままでずっとそれはかけるということできたわけでございます。だけど、今度はもうそれを思い切ってかけないことにしようという決断をしたわけでございますから、これは相当な決断なんですよ。だから、従来そういういろんな議論がありまして、愛知さんもそう言われた、高木主税局長もそういう意見を言われたことは、あなたの指摘のとおりでございますが、そういうところで曲折しておっちゃいけないと、われわれはこういう決断を今度やるんだということなんでございますから、そこは買っていただかなけりゃいかぬじゃないでしょうか。
○近藤忠孝君 そういう考え古いという説明を受けて初めてわかったんです。しかし、果たして古いのかどうかですね、ということは、やっぱり議論になると思うんですね。どう言いましても、いままでの、一昨日来の説明から見ましても、特に巨額な相続については、大分免れるわけですね。その点はやはり不公正じゃないかという疑いは消えませんし、また入場税の資格から申しますと、入場税であんなわずかなものを残しておくのはなぜかと言いますと、それだけの、たとえば三千円でも四千円でも出せる人は担税力があるというわけでしょう。担税力となりますと、一億円、十億円相続する人は十分もう担税力あるわけですよ。となれば、これは政策的に見ましても、また財産が形成されたという社会全体の援助を得ているというそういう面から見ましても、たとえ同世代であっても、その際にやっぱり課税をして富の集中化を防いでいくという、そのことは決して古い考えではないし、むしろこれからだんだん国民がお互いに皆近くなってくる、そういう面から見ますと、その方がむしろ進歩的ではないか、むしろ逆行するのじゃないかというのが私の疑問なんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) いまの税法でも、相続が起こって十年以内にまた相続人が死亡するというようなことが起こった場合は、余り相続の機会が近接していますから軽減しますがね。つまりそこに財産が移転する金額は変わりないですよ。これは大変な財産の移転じゃないかということに変わりはないのだから、そこでまける必要ないじゃないかというのがあなたの理屈になるが、それは近いわけなんだから、だからそういう軽減をするのだと。それを極限までいきますと、同世代の移転は税金取らない方がいいんじゃないかと決断したわけなんですから、だから、公平であるとか、公平でないとかいうことと全然関係ないんです、これ。全然異質の政策的な選択ですからね、これ。
○近藤忠孝君 ですから、これも一昨日来議論されておりますとおり、そのことによって得をするのは結局資産家の、大資産家の妻であるということなんですね。
○国務大臣(大平正芳君) 損得じゃないです、これ。
○近藤忠孝君 となりますと、やはり地方選挙が近づいているので、自民党の一つの選挙政策ではないかと考えるんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) それは損得の判断で決してないんでございまして、そういう政策的な選択を今度政府と自民党は決断したというように、素直にお受け取りいただきたいと思うのでございまして、従来いろんな論議があったことでございますけれども、いよいよそこまで踏み切らしていただいたということでございます。ただそれだけにすぎないわけでございまして、素直にひとつ受け取っていただきたいと思います。
○近藤忠孝君 まあそれだけにすぎないと言われますとよけい勘ぐってしまうわけですけれども、時間の関係でこの程度にしておきます。 次に、入場税の問題ですが、一昨日大塚委員の方から今回の入場税をずっと少なくして、結局、間接税が少ないという状況をつくって、そのことによって付加価値税導入の道を開くんじゃないかという、こういう質問がありましたけれども、私は別な角度から同じような疑問を持つわけであります、というのは、本当にわずかなものしか残らないわけですね。にもかかわらず、入場税について千五百円以上と三千円ということにこだわって、本当にわずかに残っていないものをいつまでも未練持っている、未練持っているには何か意図があるんじゃなかろうか、こんなにこだわるのはやはり間接税というものを残しておきまして、そこから付加価値税へ入っていこうという、そういう意図があるんじゃなかろうかという疑問を感ずるわけですね。で、まあ大蔵大臣、一昨日も付加価値税について触れるのはいやだとおっしゃっていました。しかし、われわれこういう疑問を持つのは一定の根拠があるわけです。と申しますのは、経済社会基本計画でございますね、これによって五十年、五十一年度は高度成長から安定成長へと進んでいく時期だと、準備期間である。そして五十二年度を初年度とする新しい経済社会発展計画を策定するという、こういったことが言われているわけです。となりますと、ちょうど昭和五十二年度に新しい社会経済発展計画が出てくると、その時期にちょうど符合してやっぱり付加価値税が出てくるんじゃなかろうか、現にこの中に付加価値税について積極的に検討するということが具体的に出ておりますね。ちょうど五十二年というのがその時期に当たるんじゃなかろうかということを感ずるわけです。そこで、私のこの間の本会議の質問に対して、大平さんの答弁は、五十一年までは、五十一年度はやらぬと、こういう答弁がはっきりありました。しかし、五十一年度はやらないという答弁ですから、五十二年度以降はわからない。ちょうど五十二年度以降となりますと、これとの関係が結びついてくるわけです。そこで、間接税をわずかに残していることが、私の方ではそれに対する一つの橋渡しになるのじゃなかろうかという、こういう疑問があるのですけれども、その点についての御答弁をいただきたい。
○国務大臣(大平正芳君) 全然、そんな考えはありません。ちょうど釣り針でそれは鯨をつるような話だと思うんですよ。入場税のわずかな問題を残しておいて、それで付加価値税がつれるんなら、付加価値税なんというものは私はそんなに苦労しなくていいものだと思うんでございます。私どもは付加価値税というのはそんな簡単なものと思っていないのでございまして、これは容易ならぬ税制上の問題だと思っておるわけでございまして、検討はこれはすべき課題だと思っておりますけれども、これをいつになれば現実の課題として取り組めるのかというふうに言いますと、私どもも全くまだ自信がございません、正直に申しまして。入場税の若干のまだ担税力の比較的ある部面を残しておるということと、付加価値税とは全然関係がないということは、これまたもうごく素直にお受け取りをいただきたいと思うんでございます。
○近藤忠孝君 そうしますと、安定経済計画策定と付加価値税とは関係ないと、こう伺っていいのかどうかという問題が一つです。 それからもう一つは、入場税との関係ですけれどもね、これで鯨をつるようなもんだという話ですが、もしそうであるなら、そういう疑いを避けるためにも、ひとつその入場税を撤廃をして、私が言ったような足がかりじゃないかと疑われる根拠をなくしてしまった方がいいんじゃないだろうかというぐあいに考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) われわれが考えていないことを、そういう誤解を受けるからそれはやめたらどうかいうと際限ないですよ、それは。いろんなことを誤解を受けるからそれは政府がやめたらいいなんということになったら、私は政治にならぬと思いますよ。だから、われわれはやるべきことはからにゃいかぬわけでございますので、いま入場税に関しましては、担税力が相当あるところにおきましてはごくドライに考えて、入場税は若干残さして取らしていただきたいとだけ考えておる、それ以上のものではないわけでございます。 それから、社会経済長期計画でございますが、それはこれから先政府が策定をすることでございましょうし、いままだその中身がどうなるであろうかというようなことを私がまだ申し上げる材料もございませんし、立場にもないわけでございます。ただ言えることは、五十年度は少なくともそういうことを考えることはやるまいということで、五十一年度にそういう長期的な計画は考えようじゃないかということだけが、いま政府としてみんなのコンセンサスを得ておる考え方なんで、そういう段どりが決まっておるだけでございまして、中身はまだ全然決まっていないわけでございますので、そのことを申し上げる段階ではございません。 —————————————
○委員長(桧垣徳太郎君) この際、委員の異動について報告いたします。 本日、藤田正明君、細川護熙君が委員を辞任され、その補欠として初村滝一郎君、山崎竜男君が選任されました。 —————————————
○委員長(桧垣徳太郎君) 質疑を続行いたします。
○栗林卓司君 すでに時間が経過していますので、大臣に相続税を考えていく、いわば考え方といいますか、味といいますか、そんな点で御見解を伺ってまいりたいと思うんですけれども、相続が起きて相続財産をどう処理するかというと、現在の民法の規定では、共同均分相続を一つのたてまえとしているわけですけれども、実際の相続財産の処理というのはいろんな姿があるんだろうと思うんです。頭から共同均分相続なんだということではなくて、実際に起こっている相続財産の処理に見合いながら、税法としては幅のある取り組みというものを考えてもいいんではないだろうか。たとえばという例で一つ申し上げるわけですけれども、相続財産のうち、何がしかを、博物館とかなんかに寄付をしよう、諸外国では例がございます。そういう処分もあっていいのだから、当然それは免税にしよう、そういうさまざまな相続財産の処理ということに見合った相続税法上の取り扱いということもあっていいのではなかろうかと思いますけれども、最初に細かい問題で恐縮ですが、たとえば博物館とか公益団体に対する慈善団体に対する寄付について、免税ということも考えてみてもよろしいのではないんだろうか、そういう発想についてどうお考えになりますか。
○政府委員(中橋敬次郎君) すでに活動いたしております公益事業を行っておる法人に対しまして寄付をいたしますときには、そこに相続という問題が起こりませんから、非課税になっております。
○栗林卓司君 それは相続のいかんにかかわらず非課税であるということですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 相続または遺贈により財産を取得しました者が、いま言われたような法人に財産を移転しましたときには、租税特別措置法七十条の二によりまして課税されないことになります。
○栗林卓司君 はい、わかりました。 二番目にお尋ねしますけれども、共同均分相続ということになると、相続を契機にして、相続財産を分けて処分をしていくというのが一つのたてまえの議論になるわけですけれども、相続財産そのものを実際問題としては家族の共同体に集団的に帰属している財産として使っていこう、これは処分の対象では実際問題はないわけです。先ほどの何で評価するかということに絡むわけですけれども、お尋ねしたいのは、一応相続という段階で清算が起きて処分がなされるというたてまえで時価評価をされると言いますけれども、実際に家族共同体に集団的に帰属をしている。実現をする価値というのは用益的な価値なんだ。ある場合にこれを売却すれば当然処分的な時価になるわけですけれども、実際に実現する利益というのは用益的な価値だ。一つ極端な例を挙げますと、相続が起きて、相続人がずっと長い生涯を終わって、さらに渡すまで用益のしっ放しですと、処分としての価値は未実現に終わるわけです。ところが、相続の課税のときには、処分というたてまえを置いて未実現利益にあらかじめ課税をする。何かここに私は無理があるような気がするんです。本当は細かい技術的にどう評価するかは別にして、考え方としては、相続が起こったときには、さあこれ全部売っ払ってしまおうかとみんな受け取るんだ。それをそのまま続けて使っていこうということで、恐らく大多数は考えるんだとしますと、時価評価の考え方は、処分時価ではなくて用益的な面、性格は、厳密な意味では、用語としては違いますが、今回の農業用土地について特例を配慮せざるを得なかった一面の評価の問題も絡めながら、処分時価というものは、やっぱり余りにたてまえに過ぎて、実態に沿わないのではないか。その意味で、評価の立て方というものを処分時価から用益時価の方に移しながら、今回は、土地価格の評価委員会も設置されるわけですから、含めて、基本的な見直しを私はすべきではないかと思いますが、いかがですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) いまお示しのように、確かに実現に使っております財産を売買時価から評価するわけでございまするから、そのときに相当しんしゃくをしなければならないことは当然でございます。それだからといいまして、すべて収益、用益を基本にしました評価をやるかということになりますれば、やはりわが国あるいは各国ともそういった処分時価というものを基本にいたしてやってまいりましたから、その収益というものが、その時々の収益事情にも非常に反映されるものでございますので、処分時価を基本としながら、現実には売られないということもしんしゃくして、今後ともそういう評価を続けてまいりたいというふうに思っております。
○栗林卓司君 時間ももうたっておりますから、いまの問題で一つ確認しますけれども、その処分時価と言い、収益時価と言っても、どのような水準できめていくのか、それをまたより客観点な基準で考えていくのかという面であるわけですから、たてまえ論は別にして、実態に応じた見直しはされていかれると理解してよろしいわけですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 特に一般的なしんしゃくのほかに、事業用あるいは居住用の、特に土地でございますけれども、そういったものが、それを持っておる人にとって最後まで売らないであろうというような事態を想定しましたしんしゃくということについて、今後もなおより多く加えるという方向で検討をいたしておるところでございます。
○栗林卓司君 終わります。
○委員長(桧垣徳太郎君) 他に御発言もなければ、相続税法の一部を改正する法律案に対する本日の質疑はこの程度とします。 —————————————
○委員長(桧垣徳太郎君) 入場税法の一部を改正する法律案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 御異議ないと認めます。 辻君及び近藤君から委員長の手元に入場税法の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されております。修正案の内容はお手元に配付のとおりでございます。 この際、本修正案を議題といたします。 辻君から修正案の趣旨説明を願います。辻君。
○辻一彦君 ただいま議題となりました日本社会党、公明党及び民社党の三党共同提出による修正案につきまして、提出者を代表し私から修正案の内容及び趣旨を御説明申し上げます。 まず、修正案の案文を朗読いたします。 入場税法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。 第四条から第六条までの改正規定のうち第五条中第二号を削り、第三号を第二号とし、第一号を次のように改める。 一 第一条第一号に掲げる場所 一万円 以上でございます。 今回、政府の提出している入場税の減税法案は、現行百円の免税点を映画については千五百円に、演劇、演芸、音楽、スポーツ等については三千円にそれぞれ引き上げを行うこととしており、これは非課税範囲を拡大するもので、一歩前進と評価できるものでありますが、税率を現行五%及び一〇%とあるのを、高い方の一〇%一本化するなど、われわれから見れば、なお不徹底を免れませんし不満が残るのであります。 映画、演劇、演芸、音楽、スポーツ等の文化、芸術や健全娯楽などは、人間性の回復を図るものであり、まして文化、福祉国家を標榜するならば、これらの催し物に対し入場税を課すべきものではないとわれわれは考えるものでありますが、しかし、極端に奢侈的な催し物まで非課税とすることは種々疑問があり、またそれぞれの催し物の入場料金は、現下のインフレの影響を受けてかなり高い額になっていること等を考慮して、ここに映画、演劇、演芸、音楽、スポーツ等の免税点を一万円に引き上げる修正案を提出いたしました理由でございます。 この修正の結果初年度約十億円の歳入減となる見込みであります。 以上が修正案の内容及び趣旨でございます。 何とぞ御審議の上、御賛成をいただきますようお願いいたします。
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、近藤君から修正案の趣旨説明を願います。近藤君。
○近藤忠孝君 ただいま議題となりました入場税法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、日本共産党を代表して、提案の趣旨を御説明いたします。 政府が、日本国憲法第二十五条にうたわれた「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を真に保障し、芸術、文化、スポーツの豊かな発展、国民の社会教育の充実を願うならば、すべての国民にそれを十分保障することば当然のことであり、むしろ、そのための助成措置をも講じなければならないと思います。入場税法は、この本来国のとるべき政策に反し、国民の芸術、文化、スポーツ活動の発展に少なからず障害となっています。もともと入場税は、昭和十三年四月に支那事変特別立法として、中国侵略のための戦費調達のため設けられたものであり、戦後三十年を経た今日もなおこの税法を存続させていることは、国民としてとうてい容認できるところではありません。また、欧米諸国におきましても、入場税は、西ドイツ、イタリアなどごく一部の国を除いてほとんど課税されていない現状から見ましても、当然撤廃すべきものであります。税収源としても、昭和五十年度歳入予算額から見ましても、入場税収入は国税収入中わずか〇・〇二%にすぎません。 このような観点から、この際、芸術、文化、スポーツの自主的で多面的な発展を願う国民の要求に沿うよう、入場税法の廃止に踏み切るべきだと考える次第であります。 ただ、競馬場、競輪場等への入場料金に対する課税につきましては、芸術などとは異質のギャンブルとしての性質にかんがみ、当分の間存続させることと考えています。 なお、本修正案による減収額は、昭和五十年度約二十四億円と見込まれます。 以上が日本共産党の本修正案提出の理由であります。何とぞ速やかに御審議の上満場一致の御賛成を賜りますようお願い申し上げます。
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいまの辻君及び折藤君提出の修正案は、予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から両修正案に対する意見を聴取いたします。大平大蔵大臣。
○国務大臣(大平正芳君) ただいまの両修正案につきましては、修正案どおりの改正を行いますと、他のサービスに対する課税との均衡を著しく失することになるのみでなく、昭和五十年度予算にも影響を及ぼすことになるので、政府としては反対であります。
○委員長(桧垣徳太郎君) それでは、ただいまの修正案に対し、質疑のある方は順次御発言願います。——別に御発言もないようでありますから、これより原案並びに修正案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようでございますから、これより直ちに採決に入ります。 入場税の一部を改正する法律案及び同案に対する修正案について採決いたします。 まず、近藤君提出の修正案を問題に供します。 近藤君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 少数と認めます。よって、近藤君提出の修正案は否決されました。 次に、辻君提出の修正案を問題に供します。 辻君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 可否同数と認めます。よって、国会法第五十条後段の規定に基づき、委員長において本案に対する可否を決します。 本案については委員長はこれを否決すべきものと決定いたします。 それでは次に、原案全部を問題に供します。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 山崎君から発言を求められておりますので、これを許します。山崎君。
○山崎五郎君 私は、ただいま可決されました入場税法の一部を改正する法律案に対し自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、第二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 まず、案文を朗読いたします。 入場税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 一、政府は、入場税の大幅減税の効果が、入場料金に反映されるよう、すべての興行界に対し適切な措置を講ずべきである。 二、政府は、映画、演劇等の免税点について物価等の動向を考慮し、適時に額の引上げをはかるべきである。 三、政府は、最近における競馬、競輪等の実情にかんがみ、ギャンブル性の行為にかかる低廉な入場料金について適切な料金の引上げ等税収の確保に配慮すべきである。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいま山崎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 全会一致と認めます。よって、山崎君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、大平大蔵大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大平大蔵大臣。
○国務大臣(大平正芳君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って十分配慮をいたしたいと存じます。
○委員長(桧垣徳太郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後八時二十分散会 —————・—————