大蔵委員会 第8号
- 発言数
- 60 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1975/03/13
会議録
○委員長(桧垣徳太郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、内藤功君、青木一男君が委員を辞任され、その補欠として渡辺武君、亀井久興君が選任されました。 —————————————
○委員長(桧垣徳太郎君) 昭和四十八年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○近藤忠孝君 前回、大臣いないときに、この国債の償還制度の問題について局長に中心にお伺いしました。そこで、どうしても納得できないことがありますので、大臣にお伺いしたいと思います。 この国債償還制度が、この償還制度を明確に規定することによって国民の信頼を確保する、そこに一つの重要な要素がある、だから、必ず二分の一返すことを決めたんだと、そういう趣旨だと思うんです。と、なれば、決まったとおりやるべきである。 しかも、今回のように多額の金が余ったときこそ償還すべきだろう、こういう質問をしたんですが、しかし、本年はたくさん余ったんでそんなに返す必要はないと言うわけですね。こんなにたくさん余ったんだから返す必要はないと言う、その理屈がどうもわかんないです。と申しますのは、これも前回指摘いたしたわけでありますけれども、借りかえがうんと多いわけです。実際、返す金よりずっと多い。数字で申しますと、償還額四千七百八億円のうち、現金償還はわずか八・五分の一の五百五十二億ということで、借りかえが四千百五十六億なわけですね、と、なりますと、こんなにたくさん戻す必要がないと言いながら、また借りかえをしているんです。この辺の理屈がどうしてもわからない。そこで、ひとつわかるように御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 仮に、全部、近藤さんのおっしゃるように、四十八年度の剰余金を五十年度の歳入に一たん入れまして、そしてそれを国債整理基金特別会計に繰り入れていくという手順をやりますと、どういう結果が起こるかというと、五十年度の予算がそれだけふえるわけでございます。それだけの歳出を用意せないけませんから、二千六十八億円というものを、もっと公債を発行してそれに応じなければならぬわけでございます。で、それをわれわれいとうわけじゃございません。そういうことをしてもよろしいわけでございます。けれども、本来は、公債発行下の財政におきましては、剰余金が生じないのが普通なんでございまして、借金でやっておる財政なんでございますから、剰余金が生じないというのが普通でございますが、たまたま、四十八年度多くの剰余金が出ましたので、ことしは余り予算の規模がふえるということもよくないことでございますし、ことしの公債の発行額を多くすることもよくないことでございますから、通常の程度の繰り入れにとどめきしていただいても、公債消却を、これを通常やってまいるという、財政法の精神にそうもとるものじゃないのじゃないかという判断をいたしたわけでございまして、まさに、この前にも大塚先生からもおしかりを受けたわけでございますが、これは便宜手段なんです。これが原則であるということで使っているわけじゃないので、こういう便宜的な手段をことしに限ってやらしていただきたいということで、お願いをいたしておるわけで、これが正しいからやらしてくれという意味で強弁をいたしているわけでは決してないのでございまして、あからさまに申しますと、そういうことで、そういう結果になるわけでございまして、どちらを選択するかということでございまして、私どもとしては、全体の予算の編成を考えた場合に、まあいま御審議いただいておるような方法をとらしていただきたいということでございます。
○近藤忠孝君 正直に便宜的だとおっしゃれば、まさにそのとおりなんですけれども、問題は、そういう便宜的にやっていいんだろうか、そのことによって国債に対する国民の信頼が失われやしないかという、そのことが問題なんですが、これは国の財政だから、民間あるいは個人の家計とは違うという、あるいはそういう意見があるかもしれません。しかし、基本的には同じだと思うんですね。 まず、借りかえの問題を申しますと、毎年毎年借りかえがどんどんふえているわけです。ですから、期間の来た金はまず返さないで、そうしてたまたまたくさんもうかった、よけいな金が入ってきたら、それも多過ぎるからということで、償還の額を五分の一に減らしてしまうんですね、それで片や、また、新しい借金は、昨年よりは低いけれども、きわめて大型の二兆円という、これまたふえているわけです。そうなりますと、借金は大型化し、期間の来た金は返さない、そうして同時に、たまたま入ってきた金ぐらい返してもいいんですけれども、それも返さないんですよ。これは民間の企業でしたらだれも信用しなくなってしまうわけなんですが、私が心配するのは、これは結局公債の恒常化、恒久的にもう公債が残ってしまって、まさにこれが国の財政の中になくてはならない、仕方ないけれど、なくてはならないものになってしまいやしないか、そのことを心配するわけですけれども、そういう観点から便宜的であっていいのかどうかというのが私の質問なんです。いかがでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せの意味は、結局方法論ではないのでありまして、要するに、二千六十八億円というものを一般会計に繰り入れて、公債整理特別会計に一般会計から繰り入れるという普通の手段を、財政法が求めておる手段を講じても公債の発行もふえない。財政の規模もふえないということを保証すれば、先生のおっしゃるとおりになるわけでございます。要するに実体論でございまして、つまり二千六十八億円という財源を一般会計、ことしの一般財源に使わしていただいたというところに問題があるわけでございまして、そういうことをしないで、これをちゃんと国債整理基金特別会計に繰り入れろ、繰り入れるべきでないかということになるわけでございまして、私はその方がいいと思うのです、本当は。あなたが言うとおりだと思うのです。ただその二千六十八億円というものを、今度は歳出を見ていただきまして、われわれもそうしたいのだけれども、これだけメジロ押しに歳出の要求がきておるものをいろいろ取捨選択いたしまして、査定をいたしまして、ぎりぎりこれだけ要るということが決まったわけでございまして、そうなった場合に、それをあなたのおっしゃるとおりやることによって、二兆円の公債のほかに、二千六十八億円という公債を新たに発行して埋めるか、そういうめんどうなことをしなくても、四十八年度の剰余金の一部を五十年度の歳出財源として使わしてもらうか、どちらがいいかというと、いま御審議いただいておるような方式をとらしていただくことがめんどうがなくていいのじゃないか。これは便宜手段でございますけれども。ですから、あなたと私との議論は、結局二千六十八億円というものを一般財源に使わないで、使わない方がいいじゃないかという議論になると思うのです。それは私はあなたの言うとおりだと思うのだが、それをやりたいのですよぼくも。だけれど、それが歳出をそこまでなかなか切れなかったわけでございます。その点は結局歳出を二千六十八億、限界歳出費を切るか切らぬかという議論になるわけでございまして、形式論でなくて実体論になるのではないかと私は思います。
○近藤忠孝君 新しい公債発行を昨年より減らしたという名目をつくりたい。そのことによって公債は少なくしていくのだというような、いわば名目をつくりたいために返すべきものを返さないで減らしたという、そういう理屈だと思うのです。しかし、私はそういう名目を得るがために、一番大事な必ず決まったとおり返していくのだという国民への信頼を失うことが、よく大臣が言っておられる公債市場が未熟な状況を克服していく、公債が一つの魅力のあるものだという問題を国民に植えつけていく、そういう面から問題がありはしないかというのが私の指摘なんです。 それからもう一つは、公債が本当に恒常化しやしないかという問題ですね。これはいろいろ表ができているわけですけれども。これは毎年の公債の発行額の線ですね。この下の赤が実際返したものです。一番下が現金償還です。この点線がこれは借りかえですね。そうなりますと、結局実際返したものは本当に少ないのです。ですから、こちらの発行額はどんどんふえてしまうという、そうなりますと、この差額がこれから実質的に本当に残ってしまう、ますますふえてしまうという、この問題につながっていくわけです。だから、基本的にはまず返して、残った財源で支出を考えていくというその面が必要だと思いますし、そういう面では、大臣と私とでは、何を削っていくかについてはずいぶん意見が違うと思いますけれども、それは削るべきものはずいぶんあると思うのです。ですから、ともかくまず返すという、そして期限の来たものも返していく。よけいに入ったものも返していくという、そういうことを確立することが本当に大事じゃないかというのが私の意見でありますし、大臣もそれは認めておられるわけですね。ただ便宜的な措置を認めてもらいたいというわけでありますけれども、しかし、それは何と申しましても、実際の公債市場に私は大きな影響があり、今後ますます発行した公債が、それこそまさに必然的に日銀に戻ってきてしまいやしないか。それがインフレ要因につながってしまいやしないか、こういう心配があるわけでありますけれども、これについての御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 国民の信用の問題でございますが、だから、これはことし限りの特例として認めてもらいたい。これを原則に、今度切りかえてこういう原則をとろうとしておるわけじゃ決してないのです。ことしのように繰り入れが多いときでございまして、普通の整理基金特別会計の繰り入れも、通常の金額はあるわけでございますので、こういうときでございますから、ことし限りはこういう特例措置をお認めいただきたい。しかし、これを原則にするわけじゃないということでございまして、財政法の原則をわれわれは崩そうというようなことではないということをまず御理解をいただきたいと思うのでございます。 それから第二の問題は、だんだんと発行残高が多くなってくるということ、歯どめについて御心配のようでございまして、それはもう御指摘を待つまでもなく、私も非常に心配をいたしているわけでございます。ただいまのところわが国の公債発行残高というのは、決して多い方ではございません。多い方ではございませんけれども、しかし、これはそれだからといって、調子に乗って公債を発行していいとは、私、考えていないわけでございまして、できるだけ公債発行額を減らしていこうということで、ことしも公債依存率も減らし、公債の実額も減らしてまいるという意味で、こういう便法もいろいろ考えて苦労いたしたわけでございまして、今後もこういう方向で努力をしたいと思います。ただまあ非常に経済が低成長と申しますか、マイナス成長と申しますか、停滞の色を濃くしてまいりましたので、これから自然増収を期待するなんということは非常にむずかしい。と言うて、歳出はどんどん要るというようなときになりまして、これからの公債政策というのは非常に私は厳しくなってくると思うのでございます。したがって、これはイージーに公債に依存しておったらもう大変心配な状況でございますので、仰せを待つまでもなく、これについてはよほど厳しい姿勢で対処をしてまいらなければならぬと思っております。御指摘のとおりだと考えております。
○近藤忠孝君 公債依存の体制がだんだん大きくなっていきますが、同時に消化の問題ですね。公社債市場育成の問題が、大臣自身も心配されているようですが、これをどういう措置によって育成しようとされていくのか、具体的な方策をお持ちでしょうか。
○政府委員(吉瀬維哉君) 公社債がやはり自由な市場におきまして合理的な価格と条件で発行されて消化されるということは申すまでもなく重要なことでございますが、この前からの御審議でもいろいろ御意見も出ておりますが、遺憾ながらわが国の個人の資産構成というものが、個人の判断においてそれを株式なり、それから公社債なりに直接投資するというような形のものが育っていないわけでございます。これにはいろいろな歴史的な事情もございますが、私どもといたしましては、公社債、国債につきましても、たとえば累積投資制度だとか、あるいは国債の特別の非課税枠の設定とか、そういうようなことを通じまして国債をできるだけ魅力のあるものにする。それと同時に、やはり国の債券でございましても、一般の事業債とかすべての金利体系と合理的な連動性を持って設定していくということも大事だと思いまして、過去における金利改定期におきましては、五回にわたっていろいろ国債の条件改善を行うというようなことも行っているわけでございます。御質問の公社債市場の育成、これは非常に大きな問題でございまして、やはり間接金融重点のわが国のいまの一つの市場構成、こういうものはやはり個人の資産構成とか、たとえば個人の財産形成とか、そういうものとにらみ合わせて長期的に考えていく必要があるんじゃなかろうか、こう考えております。
○近藤忠孝君 結局こうしたいというだけであって、具体策はないようですね。ですから、よけい日銀に戻ってきてしまって、インフレの要因になるという、この事実は消えないようでありますし、そういう点で償還制度がよけい確立しないという面でも心配がある、この点を指摘したいと思います。 時間の関係で、最後に大臣にお聞きしたい点は、前回の委員会に日銀総裁が見えまして、その際に、日銀調査局でつくりました「一九七〇年代の世界インフレーション」という調査報告書がありますが、その中で、世界が同時インフレに突入したのに、アメリカの過剰ドル散布の問題があるわけですが、それで日本は、そのインフレの流入を阻止するための適切な政策をとらなかった、西ドイツなどに比べまして大変弱かった、この点でいま考えると手ぬるい点があった、それは円の切り上げアレルギーがあって、その対策に気をとられて、インフレ対策の打つべき手だてが欠ける点があった、反省すべき点があるということを日銀総裁がお認めになりました。現にこの中にちゃんと書いてあるんです。これは、いわば調整インフレーションで、政府と日銀が積極的なインフレ政策をあの時期にとった結果が、いま思うと誤りだったと、こういった率直な反省であり、また批判であると思うんですけれども、日銀総裁がこう言っておられる事態について大臣としてどうお考えになりますか。
○国務大臣(大平正芳君) あの当時は、ちょうど日本の国際収支が大変大幅な黒字に転じまして、明治、大正、昭和百年の歴史始まって以来、日本は終始資本の輸入国でございましたけれども、ようやくわが国も資本の輸出国になり得たのではないかという、そういう希望が出てきたころでございまして、対米貿易が、四十一億ドルのアメリカにとっては赤字になる、わが国にとっては黒字になるということでございまして、アメリカ政府からはこんな顕著な赤字は早く消してもらわなければ、とてもオーダリーな貿易はできないじゃないかという注文が政府側に届いておりまして、なるべくということで……。そして国内では、いままで生産中心の経済をやってきたけれども、生活中心に移るべきじゃないか、福祉中心にいくべきではないか、量中心の経済から質的な転換をやらなければいけない時期じゃないか、これは与党も野党も朝野を挙げてそういう風潮になってきておったときでございますから、政府といたしましても、ちょうど輸入をふやして輸出をセーブする、そして国の経済の内外のバランスを保つということの必要を感じて、また、それができるんじゃないかということをやや楽天的に考えておったときは、確かに私は、その日銀の総裁の御指摘を待つまでもなくあったと思うんですよ、私どもの気持ちにあったんだもの。これは正直に告白します。だけども、そのあとやがてアラブのほうから嵐が来たわけですよ。これは政府のせいじゃないんですよ。これは政府が悪いから来たんじゃなくて、全世界に嵐が吹いてきたわけでございまして、そこでぱたっと、そういう体制で質的な転換を内外にわたってやろうという構えをずっとしいたところへ痛棒を食らったわけなんでございますから、これは政府も民間も非常なショックを受けまして、非常にあわてふためいたわけでございます。で、ございますから、あれがなければ、ああいうラインで私は、より着実な日本経済の質的な転換というものは相当定着してきておったんじゃないかと思うんです。だからそれは、指摘されておるとおりだと思うんです。確かにその当時そういう考え方であったことは事実で、過剰流動性というようなものの素因を政府がつくっておったということは、私は御指摘されるとおりだと思うのであります。
○近藤忠孝君 政府に全く責任のないようなことを言うもんですから一言言わなきゃいかんですが、この中にちゃんと、西ドイツでは金融財政面の引き締め政策を行って、そのインフレを最小限に食いとめたと、しかし、日本はそれをとっていなかったと書いてあるのです。そこが反省すべき点だと言っているのですけれども、いまの大臣の答弁ですと、全く政府に責任のないような、全く外因的な原因のように言っておりますけれども、日銀総裁は、外国と比べて日本のやり方は間違っておったと、反省すべき点があると言っているのです。この点について簡単で結構ですから御答弁いただきたい。
○国務大臣(大平正芳君) 何も私は西ドイツのまねをする必要はないと思うのです。日本の経済といたしまして、許された範囲内におきまして、日本経済の質的な転換をやることに何も西ドイツに私は遠慮する必要はないと思いますよ。日本の経済がそれができればいいじゃないですか。私どもはようやくそれができる状態になったと、そういう構えを用意し始めた段階に、それを阻む外的な要素が来たということでございまして、西ドイツと日本の場合とは立場が違っておって、私どもようやくそのころになって、西ドイツがずいぶん前からすでにやっておったことでございましょうけれども、私どもようやくここで初めて日本の経済が相当こなれた質的な発展ができる段階に内外とも来たんじゃないかということで、いろいろな政策的な用意を始めておったと、したがって、当時の予算にいたしましても、補正予算にいたしましても、相当大胆な予算を組んで国会にお願いいたしたことも事実でございますが、いまから見れば、それはみんな流動性を高めることに役立っておるのでございますから、それは各種の歴然たる政府の政策的な意図が出ておったわけでございまして、政府は、そういうことをやりましたと私は告白しているのでございますよ。それは善意でそうやったんですということ、しかし、環境がそれを阻んだということでございまして、こいねがわくば、あれがああいうことでなくていっておれば、もっと明るい日本ができたと思うのですけれども、非常に残念でした。
○近藤忠孝君 続きは別の機会にやります。
○栗林卓司君 大臣にお伺いする前に、ひとつ主税局にお尋ねいたしますが、前回の質疑で、四十九年度に絶対に歳入欠陥が起きないんだという前提の議論をもしするんなら、四十九年度の税収見通しについて確実な予測をすべきであり、資料を出していただきたいと申し上げました。しかし、なかなか困難であるということなので改めて質問いたしますので、四十九年度の税収見通しについてどういう観測をお持ちになっているのかお伺いします。
○政府委員(中橋敬次郎君) 今日私どもの持っております数字は、まだこの一月末におきますところの税収でございます。それは補正後の予算十五兆三千七百四十億円に対しまして十一兆八千四十六億円の収入でございまして、進捗率と申しますと七六・八%、ちょうどこれを前年の同月の対決算進捗率七五・一%と比較をいたしますと一・七上回っておるわけでございます。ただ、実は二月も済んでしまいまして、いま大体その数字がやがて確定的なものが入ってくると思いますが、三月、四月という二月を見ましても、二兆余りの数字がそこに予測されるわけでございます。今後の見通しとしますれば、その三月の確定申告の状況、それから十二月決算法人の申告納付の状況というようなものが大きく左右するわけでございまして、まだ非常に大きな不確定要因が残されておるものでございますから、ひたすらその推移を見守っておるのが現状でございます。
○栗林卓司君 そこで、大臣にお尋ねしますけれども、二分の一か五分の一かではなくて、その少し前の議論を実はしておりました。で、大臣がたびたび御指摘になりますように、これから余り大きな自然増収は期待できない、そのとおりだと思います。これをもう少し取り越し苦労をしてまいりますと、歳入欠陥が絶対にないということを言うことが大変つらくなってきた、そういう時期に入ってきたのではないか。それを踏まえて、前々年度に発生した剰余金を翌々年の予算にまるまる使うよう計上することがこれからいいんだと、従来はよかったわけですよ。ずっと高度経済成長が続いてきましたし、何がしかの自然増収は見込めたのですが、これから大変不確定要素が多くなっていく。そうなると、仮に五十年度予算の例をとれば、四十九年度がわからないのに、四十八年度の剰余金を五十年度予算の前々年度剰余金繰り入れとして歳入計上していいのかという新しい問題が出てくるのじゃないか。で、前々年度剰余金をそのまま使っちゃって、本当にこれからいいのだろうかという問題が一つ。そうはいっても、なかなか歳入欠陥は出るものじやございません。もし仮にそうなるのなら、固め固めの見積もりはお気持ちとしてはわかりますが、ずいぶんあこぎな税の取られ方をしているのだろうかと、下世話なことにもなってくるわけです。その意味で、おっしゃるように自然増収がなかなか期待できないのだという時期になると、剰余金の取り扱いについてもちょっと考え直してみる時期に来たのではないだろうかと思うのですが、御所見を承ります。
○国務大臣(大平正芳君) 御指摘のとおり自然増収を期待するなどということは大変むずかしくなってまいりましたばかりでなく、歳入欠陥が全然ないというようなことを大担に申し上げることができるかどうか、これも大変危ない状態だと思うのでございます。ことし四十九年度にいたしましても、三月十五日の確定申告状況がどういう状況なのか、十二月決算法人の納税がどういうことになるのか、この二つの山がどうもよくわからぬので、いま大体ことし予定された税収がそのとおり入ってくるかどうか、非常にわれわれも日夜心配いたしておるわけでございます。で、ございますから、栗林さんおっしゃるように、第一に、自然増収を安易に期待できるというような状況ではまずないということはおっしゃるとおりだと私は思います。 それから第二に、しかしながら、今度のとった措置は、そういうことを頭に置いて決めたのではないということです、正直に告白いたしますと。あなたが言われるような、今後いろいろ低成長といいますか、非常に景気が停滞してまいりまして、歳入の確保がおぼつかないということを念頭に置いたとか、それとの関連においてとった措置では決してないのです。これはこの間からもいろいろ議論がありましたように、普通の意味の繰り入れ程度は確保できるし、たまたまたくさんの剰余金がございましたので、こういう方法で使わしていただきたいというだけのことを考えてやっておるわけでございます。したがって、今度の措置は、そういうこととは関係がないということが第二点でございます。 しかし、第三点といたしまして、そんなことを言うても、それではいまあなたが提起されるような問題についてどうするかという問題があると思うのでございます。もうこれから先、余りいままでのような成長財政というようなものは期待できないということだとすれば、この剰余金問題というような問題をどのように取り扱うべきかというような問題がやっぱり新しい問題として私は提起されてくると考えます。
○栗林卓司君 いまの大臣のお答えで、あらかたこちらが申し上げたい点は尽きるわけですが、さらに重ねて考えてみますと、財政法のでき方についても、これだけ環境が大きく変わってまいるわけですから、見直しをしていい時期じゃないか。申し上げる理由は、なかなか単年度だけで決着をつけていくのがこれからむずかしくなるんじゃないか。中期的な取り組みをしようといっても、財政法では、会計年度の独立ということで、単年度で決着をつけていかなければいかぬ。しかし、中期的な取り組みができるように、平たい例で言いますと、場合によっては損して得取れというような配置ができるような財政法があってもいいのじゃないか。ということは、公債発行下の財政でございますから、ある意味では多少でこぼこ——対応ができるという議論があるかもしれませんけれども、出た剰余金の扱いについて、歳入面のバッファーとして考えていく、それを期待しながら、会計年度の独立というたてまえは残しながら、中期的な取り組みをする、いわばフリーハンドの部分を残していく。いまたまたま素人の議論でしているわけですが、そういったことも含めた見直しが必要ではないんだろうかと思いますが、この点について、いま私が申し上げた内容についてではなく、財政法の会計年度の独立云々という従来からの仕組みについても見直しをすべき時期に来ているのではないかと思いますが、御所見を伺いたいと思います。
○政府委員(辻敬一君) 財政法につきましては、ただいま御指摘の問題を含めまして、いろいろな観点から財政制度審議会の法制部会で、ただいま御検討を願っているわけでございまして、私どももいろいろな意味で勉強している最中でございます。 そこで、ただいま特に御指摘のございました、剰余金をバッファーに使って、景気調整的に使ったらどうかという御指摘でございますが、実は、財政制度審議会の法制部会でも、そういう観点から種々御検討を願っているわけでございます。たとえば景気調整資金というような構想が成り立つかどうか。決算上の剰余金などを資金に積み立てて留保することによりまして、景気を引き締める。そしてその資金を財源といたしまして機動的な財政支出によって景気を刺激する、そういうようなことが可能かどうかにつきまして、いろいろ御議論をいただいたわけでございますが、ただ均衡財政時代でございますと、剰余金の変動によって財政規模が自動的に左右されることになるのでございますが、公債発行下の財政では、原則といたしまして、公債発行額の増減によって財政規模を調整できますもので、そこは多少違うのではないかという御意見もあります。しかし一方、そういう資金的なものができますと、財政の景気調整の手段が多様化して充実してまいるという御意見もあるわけでございます。それからまたさらに広い観点から申しますと、こういう問題は単に予算制度の問題だけではなくて、税制なり金融なりその他の政策手段も含めまして、広い視野から総合的に検討すべきではないかという御意見もあるわけでございます。いずれにいたしましても、財政制度の面から考えましても、こういうような資金をつくりますことにつきましては、法制上制度上のいろいろな問題があるところでございますし、制度の仕組み等につきましても、なお検討すべき問題があるわけでございます。今後さらにいろいろな見地から勉強してまいりたいという段階でございます。
○栗林卓司君 では、最後に一点だけ、大臣に承りますけれども、まあ見直しということが再々あちらこちらで言われます。見直す時期はやっぱり五十年、五十一年、この辺のところでという議論もあるわけです。これは時期を区切るという意味で申し上げているわけではございません。そういう見直しの中で、剰余金の取扱いなり、あるいはもっと広い財政法の骨組みの問題なりも、その見直しの中に位置づけて取り組んでまいりますというふうに理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおり考えております。
○栗林卓司君 終わります。
○大塚喬君 剰余金の特例に関する法案の問題について、前回に引き続いて、ひとつ大臣の見解をただしたいと思います。率直に申し上げてこの法案は、政府自身の歳入見積もりの不備による剰余金の増収を奇貨として、渡りに船のようなかっこうで財源難を切り抜けるために、国の財政運営の基本法である財政の規定をきわめて安易に変更しようとする政治姿勢に問題がある、私はこのように考えるわけでございます。一体、公債政策というのが、いままでの論議の中でも、何度か繰り返されたわけでございますが、公債政策の節度という問題について、やっぱりこの段階でもう一度考えてみなければならない、私はいまこそその時期に来ていると思うわけでございます。大蔵大臣として飾磨ある公債政策というものはどういうものであるか、ひとつ率直に大臣の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 予算規模は、いま主計局の方からもお話がありましたように、公債の発行の多寡によりまして予算規模を規制することができるわけでございまして、予算規模を国民経済とのバランスにおきましてまあ適正なものにしてまいる、公債を活用さしていただくにいたしましても、その点まず心がけなければならぬと思います。それから、先ほど近藤先生とのやりとりにもありましたように、公債が市中で円滑に消化されるという状況でないと、むやみやたらにお構いなく資本市場の、債券市場の状況いかんにかかわらず、財政が一方的に公債を発行、財政の都合によって発行するというようなことはいけないことでございまして、市場の状況とのバランスが保たれなければならぬと考えるわけでございます。と同時に、本来財政は財源を確保して国家の必要とする需要に応じてまいらなければならぬわけでございまして、いざとなれば公債を発行しなければならぬということになるわけでございますが、その場合いつでも発行できるだけの信用と申しますか、弾力性といいますか、そういうものを持っていなければならぬと思うので、公債がいつも国民経済の中で食滞気味であるというようなことでは、火急の場合に当たって弾力性を確保することはむずかしいと思うのでございまして、そういう意味で、できるだけいろいろなことを考えた上で公債の発行額というのは適度でなければならぬと思いまするし、またことしの予算をもっていたしましても、利子負担がすでに年額七千億を超えておるというようなことでございますならば、これもむやみにふやすということも自重してまいらなければなりませんで、いろいろな角度から、先生の言われる節度というものを心得て、公債政策の運営に当たらなければならないと考えておりまするし、大蔵省といたしまして、一番気をつけなきゃならぬ課題であると思います。
○大塚喬君 いまの大臣のお答えで、一つは、公債の市中消化の原則を守って信用、弾力性というようなことと、もう一つお話をいただいたわけですが、やっぱりきわめて抽象的なお答えで納得するわけにはまだまいりません。たいへんぶしつけな話ですが、大臣は自動車の運転なさいますか。自動車の運転免許証をお持ちでございますか。——実はそんなことを申し上げたのは、いまそのブレーキを踏まなきゃならない時期に来ておるのに、どうもアクセルを踏み続けるという、こういうやっぱり私は印象が強いわけでございます。私が理解をいたしておりますところは、国債の市中消化の原則を維持することが一つ。それから公共事業費の枠に限って国債を発行する。これが政府がいま考えておられる国債政策の歯どめと申しますか、そういうふうに理解をいたしておるわけでございます。ところが、その歯どめだけで一体、ブレーキを踏まなくちゃなんないときに、歯どめをかけなくちゃなんないときに、いまの大臣の答えではどうも危なっかしいと、率直に言ってまだアクセルを踏み続ける気だなあと、そういう感じをいたすわけでございます。 一つの提案でございますが、国債残高について何らかの歯どめの必要があるんではないか、私は一つはこういうことを考えるわけでございます。 それからもう一つは、国の財政の中で国債依存度について何かの歯どめを、これは客観的に、もうだれでも国の国債政策がこれ以上はそこへはもう危ない橋は渡らないんだと、こういうものが必要ではないかと、こう考えるわけでございますが、国債残高についてのブレーキ、それから国債依存度についてのブレーキ、こういう問題について大臣がどのようなお考えか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(吉瀬維哉君) あるいはこれは主計局の方の答弁になるかもしれませんが、国債発行を管轄しております理財局としても同じ考えでございまして、私どもやはり国債発行の残高、現在十兆でございまして、五十年度末には十二兆になるこういう残高はやはり相当これから注意していかなければいけないんじゃなかろうかと思っております。ただ、各種資料等を点検いたしまして、たとえば先ほど大臣が御答弁申し上げましたとおり、たとえば英米に比べれば、わが国の対GNPの長期債務残高は非常に小さい、ドイツ、フランスなどに比べればやや大きいというような形もあります。これは国債の制度が違うので単純に計数の比較はできないのでございますが、結局つまるところは長期の効用を発揮する資産的な支出の世代間の財政負担の交代の問題に帰すると思います。ただ、私どもやはり国債発行収入が二兆で、国債費が一兆を超えると、こういうような段階につきましては、やはりいま御提案のような、一つの財政的な面からのいつも注意信号を心に置いてやらなければいかぬ。ただ、これを何%以内とか、形式的な形ではなかなか各年度の財政金融事情もございますので、判断できないわけでございまして、場合によりましては、国債をさらに抱いて景気を刺激しなければいけない事態もくるかもしれませんし、現在の状況でございましたら、従来財政審などで言われておりますとおり、たとえば国債の依存度は五%であることが望ましいと、そういう目標に向かいまして、若干ずつ努力していくということが必要かもしれませんし、そのときどきのやはり事情かと思います。 それで、先ほど来借りかえ債が多いではないかというようないろいろ御指摘もございますし、まあ全体の国債発行に対して御批判もあるわけでございますが、私どもは、再々申し上げますとおり、国債の対象経費のやはり経済的な効用を長期にわたって冷静に判断する、しかも、毎年の国債発行額及び残高、これにつきましては、やはり客観的な比較を行いまして、できるだけやはり国債依存政策というものにつきましては、慎重な態度を持っていくということを——やや抽象的になりますが、具体的なたとえば一般会計に占める国債発行収入が何%以下とか、こういうことを固定化することは、かえって公債を抱いた弾力的な財政の執行を妨げるんではなかろうかと、こういうような判断を持っております。
○大塚喬君 いまのような答弁では、やっぱり国債の依存度というものを引き下げて健全財政を維持する、こういうことには私はならないだろうと思うわけでございます。私は長く地方議会におったものですから、減債基金制度の内容について幾多の疑問を持っておるわけでございます。で、一つは、いわゆる公債対象施設の耐用年数算定の問題について、どうも適当ではない、このように考えておるわけでございます。たとえば道路にしても、河川にしても、山林、砂防にしても、建築物にしても、耐用年数六十年なんということは全くいまの変転の激しい経済情勢の中ではもう陳腐なものであり、実際的なものではないということを感じておるわけでございます。で、いわゆる減債制度は、平均耐用年数を六十年ということにして、その期間内に償還するということを目途にして、七年満期の普通国債の場合には、満期到来の際にその六十分の七ずつを返していくと、こういうことでございますが、後の残りは借りかえをすると、こういうことについて、六十年という問題は、ともかくいまの経済情勢の中に適当なものではない、このことについて、これを短縮するお考えはございませんか。再検討するお考えはございませんでしょうか。
○政府委員(辻敬一君) 公債の見合い資産の平均的な効用発揮期間と申しますか、どの程度の期間にわたって経済的な効用を発揮するかということはなかなかむずかしい問題であるわけでございますが、私どもは、ただいま御指摘のようにもこれを六十年と押さえておりますのは、まず、公債対象事業の約二割を占める土地出資金につきまして、これはいわゆる永久資産でございますので、この効用発揮期間を百年と押さえておるわけでございます。その残りの約八割を占めます公共事業費などにつきましては、税法の耐用年数等を参考にいたしまして、効用発揮期間を五十年と考えております。したがいまして、二割のものが百年、八割のものが五十年でございますので、これを加重平均いたしまして六十年としているわけでございます。最近の新しい資料で見直しましても、おおむねその程度で妥当であると考えておりますので、現段階においてこれを改める考え方は持っておりません。
○大塚喬君 それは机の上でどなたかからの御報告をお聞きになったということで、実際は全くそんなことではございませんよ。いま、道路にしたって、河川、あるいは橋梁、六十年なんというのは全く現実離れをしたそういう算定の基礎でございます。で、この問題は、やっぱり私どもが、六十年で返還をする、こういうことになって、このまま進めば、国債というのがどんどん増加をして、その重荷に耐えられない、こういう心配から、その基礎になる六十年の耐用年数の問題についてぜひひとつ新たな検討を加えていただきたい、こういう要望を申し上げて、ひとつ今後の再検討をお願いしたいと、こう考えるわけでございます。 それから、昭和四十一年の国債の残高、この問題についての質問は、この特例法の前例は、昭和三十八年、昭和三十九年に二回ございましたですね。このときの基礎になった報告を読んでみますと、「わが国の公債残高は、国民総生産や国の予算の規模に較べて比較的少額であって、公債を整理し、公債残高を減らすための減債制度を必要とするような状況にはない。」と、こういうことで、前回の昭和三十八年、三十九年のこの剰余金の特例が行われたわけでございます。で、翻って、今年度の予算を見ますと、そのときの情勢とはまるきり正反対の情勢になっておるわけでございます。国債残高の少ない時期、国債整理の不必要性、そういうものは、現在のように国債の残高が累増し、そして国債費が増大をして、財政硬直化が叫ばれておる、こういう段階の中で、この問題について、剰余金が出たときこそ私どもは、この国債の返還、七年ごとに返還をするときに六十分の七だけ返して、あとその借りかえをする、こういう問題について、どう考えてもやっぱり適当な処置とは思われない、こういうことでございます。で、いまの問題について大臣は一体どのようなお考えで、三十八年、三十九年のときの特例とはまるきりこの特例法を出す条件が正反対の条件になっておるわけでございますが、今回それらを出したということについてひとつもう一度納得いただけるような御答弁をお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(辻敬一君) 前回特例法をお願い申し上げました四十年当時と現在とは情勢が違っておりますことは御指摘のとおりでございます。四十年当時はまだ本格的な公債政策に踏み切る前でございますし、現在の減債制度もできる前でございます。したがいまして、今日のような公債発行下の財政、減債制度のできました段階での情勢と違うことはそのとおりでございます。今回特例をお願いいたしております趣旨は、再三御説明申し上げておりますように、国債整理基金の資金の状況、あるいはまた、当面の財政状況というものを勘案いたしまして、本年度の特例として、二分の一を五分の一にさせていただきたいということでお願い申し上げているわけでございます。
○大塚喬君 どうも、先ほど大臣からもお話に出ましたが、便宜なということが余りにもやっぱり強過ぎる感じをいたすわけであります。 それで、いわゆる財政法第二十八条に基づく国債及び借入金償還年次表の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。で、これは借りかえをしない、こういうことを前提にした償還年次表であろうと思うわけであります。実際の問題としてはことしの二兆円、そこへ借りかえ債が入る、こういうことになると、われわれのこれらの問題の審議については、この年次表というものは全く無意味なものとしか受け取れないわけであります。財政法二十八条に意図するものは借りかえ債の発行を加味したものが実際に現金償還の年次表が国会に出されて初めてこれらの審議というのが、妥当な審議ができるものと考えるわけでございますが、この点について大臣はどのようにお考えでございましよう。
○政府委員(吉瀬維哉君) 御質問の趣旨は、やはり借りかえ債も新規の公債発行であるので、これもすべて合わせたところで明らかにすべきであると、こういう御質問の趣旨かと思います。それで、大塚委員御承知のとおり、財政法二十八条の添付書類には、借りかえ債につきましてはその満期——新規発行後の借りかえ債につきましては、その満期に償還が行われるという形式をとっております。これはしかし、借りかえ債が六十年なら六十年、先ほど御質問ございましたが、そういう趣旨の耐用年数を前提として、耐用期間を前提として借りかえ債が発行されるということになりますと、借りかえ債の再借りかえという問題が起こってまいるわけでございまして、この問題が表の上に明らかにされていないのはおかしいではないか、こういう御指摘かと思います。確かに、私どもも現在の原則でいきますれば、本年発行する借りかえ債につきましては、十年後にはその六十分の十がまた現金償還され、その他が再借りかえされるという事態が予想されるわけでございますが、これをあえて一々償還年次表に明示いたさなかったゆえんのものは、これからたとえば繰り上げ償還が行われる可能性もありますし、たとえばこの間、ごく少額でありますが、消却を行った例もございますし、それからもう一つは、個人の所有分、個人消化分につきましては、原則として借りかえをしないということで、現金償還を前提としております。現在の個人消化分は新規国債発行額の約一割多い場合には一五%とか、そういうことになったこともございますが、今後の国債の消化状況が個人の方にどのくらいいくかというような変動条件もございますし、あるいは繰り上げ償還なりというような事態もありますので、そういうものをすべて織り込んで一定の過程でやることは、はなはだ技術的にもむずかしいという理由もあるわけでございます。しかし、現在のような、たとえば耐用期間の耐用経過年数に応じて現金償還をする、その前提でもいいから明らかにしろというような議論もあるかもしれませんが、そうなりますと、またいたずらに作業技術の問題になりますが、複雑になりますので、私どもといたしましては、借りかえ債の実態につきましては、特別会計の予算書の公債金収入、この中に借りかえ債が含まれておりますし、予算参照書には新規の建設公債の借りかえ債相当額が説明してある。それと同時に、これは予算の説明——大蔵省で作成するものでございますが、これには公債発行額のうちの借りかえ債相当額がどのくらいであるかということもあわせて説明してございますので、そういう点全般をごらんになれば、借りかえ債を含めました公債発行の全貌が明らかになるんじゃなかろうかということでございます。
○大塚喬君 大変懇切な答弁ですが、中身としては不親切な答弁だと思います。大変不親切な答弁をいただいてまことにどうも……。 前回、これは国債発行と関連をして間接金融の問題についてお尋ねをいたしました。どうしてもやっぱり日本の金融構造というのが間接金融に偏重しておると、率直に受け取れるわけでございます。前回のあの物価狂乱というような問題も、間接金融が著しく優位であって、その結果金融機関の行動が、他の分野に大きな影響を及ぼして大変国民に迷惑をかけたと、大商社の買い占め、売り惜しみというようなものの資金を後ろのほうからつないだと、資金供給の役割りを果たしたと、こういう一つの例があらわれたわけでございます。で、この間接金融偏重の是正について、大臣として具体的にどのようなお考えを持っておるか、ひとつお聞かせをいただきたい。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほどからも問題になっておりますように、わが国の場合、債券市場と申しますか、資本市場というものの育成が十分でございませんで、銀行、金融機関を通じまして間接的に専業資金等が蓄積され、融通されるという仕組みに大きく依存しておりますことは御指摘のとおりでございます。で、これはなぜこうなったのかということでございますけれども、これはわが国の資本主義の発達の歴史の中で、銀行、金融機関というものに対する国民の信用が非常に偏った姿において重かったということでないかと思うんでございます。しかし、大蔵省といたしましても、こういうアンバランスの姿においてありますことは決して健全なものではないということでございまして、債券市場、株式市場、資本市場の育成ということにつきましては常に気をつけてまいっておりますこと、御案内のとおりでございます。証券会社が漸次その経営の健全化を通じまして、国民の間に信頼の度合いを高めつつありますことは御案内のとおりでございまして、しかし、これには相当の時間をかけにゃなりませんので、急速に所期の成果を上げるというわけにはまいらないと思うんでございまして、いまわれわれが考えておりますることを着実に時間をかけてやってまいること、それから銀行と証券との分野調整というようなものもできるだけ適実に調整を進めてまいりまして、バランスのとれた金融市場の育成ということに心してまいらなければならぬと思っております。
○大塚喬君 国債発行の問題と関連をして以下お尋ねをするわけでありますが、前もってお断りをいたしておきますが、私は、国債政策を奨励をし強化しろと、こういう意味でなくて、現行の国債制度の中でどうするかという、一つの提案と申しますか、意見を述べ、大臣の所見をお聞かせいただきたいと思うわけでございます。 現在の国債の消化というのは、九〇%が金融機関が引き受けて、一〇%が個人消化と、こういうことになっておるわけでありますが、一年後にその金融機関の引き受けた分は、買いオペの対象になって、結果的には日銀の保有量の増大になり、日銀券の増加、不換紙幣の増大と、こういうことになっておるわけであります。で、これからの問題を抑制するという意味も含めまして、国債発行額全体を減らす、こういう立場を私どもは貫いていきたいと思うわけでありますが、そこで一つの問題としては、国債保有の個人の所有、シェアを拡大するという問題について、私は幾つか疑問を持っておるわけでございます。で、この国債の個人所有をもっともっと拡大をする、こういう問題について大臣はどのようなお考えを持っておりますか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(吉瀬維哉君) やはり安定した国債であり、しかも、国民からその保有について要望があるというような国債制度にできればしたいものでございまして、私どもといたしましても、国債の個人消化につきましては、相当その拡大を将来も図っていきたいと、こう思っているわけでございます。そういう意味で、先ほど御答弁申し上げましたとおり、国債保有者に対する課税上の特例とか、あるいは累積投資制度というような、国債の購入に当たっての便宜的な制度というようなものにつきまして、私どもはこれを維持、継続していきたい、こう考えているわけでございます。 なお、その国債の個人消化につきましては、先ほども申し上げましたとおり、現在の日本の金融市場の構成からいきまして、やはり金融機関を通ずる大量消化というものが、国債の発行の一つの有効な担保になっているわけでございますが、その中におきましても、やはりいま申し上げましたような個人消化の拡大につきましては努力してまいりたいと、こう思っておる次第であります。
○大塚喬君 いまの問題で、国債の発行と証券法六十五条の運用の問題について、私は先ほど疑問ということを申し上げましたが、そこに疑問を持つわけでございます。で、国債を国民が容易に持つことができるようにすると、こういうことが先ほどの直接金融を是正すると、こういう問題に関連をして金融資産の選択を国民に与えると、こういう立場から言えば、いまの六十五条の運用の中で、この国債の取り扱いが証券会社だけが取り扱っておる、証券会社の窓口と比べて実際に金融機関、これらの窓口というのはもう比較したら全く比べものにならない、そういう窓口があると思うわけです。で、この問題について、政府はどういうことでこの証券会社だけ窓口ということに一体なってきておりますか。今後の問題も含めてひとつ大臣からお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(吉瀬維哉君) すでに御承知のとおり、証券取引法六十五条によりますと、単に手数料だけを取得するという形で国債の販売を行うことは金融機関といえどもできないことではないわけでございます。ただ御承知の、証券会社といわゆる金融機関の間の分野調整という大問題がございますし、また金融機関には金融債という固有の自分の債券もございますし、そういうような問題から、従来金融機関の窓口販売ということは実際上行われていないわけでございます。しかし、場合によっては、金融機関の窓口販売を行っても個人消化を拡大すべきではないかという御意見があることも十分承知しております。しかし、現実におきましては、やはり分野調整の問題、それから証券会社におきましても、証券会社もその力を全力をふるいまして、消化に努力していると、こういう現状からいきまして、これをさらに拡大するということまでは現在踏み切っていない実情でございます。
○大塚喬君 いまの答弁は、先ほどの、直接金融というものを是正するという大臣のお答えとは、やっぱり違う方向にこの問題が進んでいくんじゃないかと私は疑問を持つわけでございます。 で、次に申し上げます問題、それは先ほども魅力ある国債というお話が出ましたが、この問題とひとつ関連していまの問題をもう一度お尋ねをいたします。 で、前々回のときにも、いわゆる目減り補償の問題で政府がやっぱり責任を持つべきであると、私はこういう主張を申し上げたわけでございますが、現実はやっぱり国債についても、目減り補償という問題は、単に税金の問題だけでカバーできることではないと私は考えておるわけでございます。で、当面必要なことは、政府が国債についても目減り補償をする、こういう立場を明確にする一つの問題として、特定のものに対する、たとえば心身障害者とか、福祉年金を受け取っておるような経済的弱者の方に対して、この者が保有する国債については、高利の、二けたのそういう金利があってもいいと思うわけでありますが、これが初めて先ほどの魅力ある公債ということにつながるわけでございます。政府の責任において、こういう公債を発行することをお考えになっていらっしゃらないかどうか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 結論から申しますと、そういういわゆる特別の魅力のある金利条件を持った国債の発行ということは考えていないわけでございます。何となれば、これは金利体系全体に大きな影響を及ぼすことになりまするし、財政負担も巨額に上ることでございますばかりでなく、理屈の問題といたしまして、一般納税者の負担におきまして、国債保有者にのみ補償を行うということは、社会的公正の立場からいかがかという議論もあろうかと思うのでございまして、せっかくの御提案でございますけれども、政府としてはそういう公債政策は考えていないわけでございます
○大塚喬君 大臣からもう一度。先ほどの国債、政府保証債、地方債、こういうふうなものについて、いまの六十五条の運用というものを再検討する、そういうお考えはないかどうか、ひとつ大臣からお聞かせいただきたい。
○国務大臣(大平正芳君) いまの問題は、結局金融機関、銀行と証券会社、つまり金融機関相互の間の業務分野の調整の問題でございまして、非常に緊張した問題なんでございまして、それをそういう姿においていま調整を遂げて秩序を保っておるのがいまの実情なんでございまして、これを改めるということになりますと、また新たな問題が出てくるわけでございまして、いま、これにつきましても、変えるという考えはいまのところ政府は持っておりません。
○大塚喬君 時間が来たようですので、じゃ最後に一つ。 前回住宅ローン銀行というものをどうだと、こう質問を申し上げました。で、それは、信託銀行、長期信用銀行等の貸し付けの内容を調べたわけでございますが、大変中小零細企業に対するこれらの貸し付けの割合というのが、地方銀行、都市銀行に比べてずいぶん低い。現実に、私、宇都宮ですけれども、もう信託銀行の支店が軒並みにずうっとこうできまして、地方から資金を集めて、それがあの資金の貸し付け割合ということになって、大変これは何だ、資金だけ地方からそっくりごっそり持っていって大企業のところへ貸して、大企業偏重の運営じゃないかと、こういうことを素人ですが、ずばりはだに感じておるわけでございます。で、この住宅ローンの専門機関として、現在、住宅金融会社がございますが、これは直接金を出すのでなしに、金融機関からこう入って、こうくるわけですね、ですから、金利もやっぱり高くなる、こういう問題について、住宅ローン専門の銀行をつくって、前回の私の質問では、資金調達の方法が困難だというようなそういう答弁をいただいたわけでございます。で、私は、一つの提案でございますが、住宅ローン銀行、専門銀行を設けて、住宅債券というようなものを発行して、資金をそこで集めて、いま一番国民が強く望んでおる住宅の問題についての解決策の一助にしたらどうかと、こういう私は考えを強くいたしておるわけでございます。この問題についてひとつ大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○政府委員(後藤達太君) 大臣の御答弁の前に、私、この前先生の御質問をいただきましたので、ちょっと御説明をさしていただきたいと思います。 いまの住宅専門会社四社ございますが、いずれもこれは五大金融機関からの借入金でまかなっておる次第でございますが、将来の問題といたしまして、ただいまございます四社それぞれ設立の趣旨なり、あるいは業務の仕方なりに若干のニュアンスの違いがございます。四十六年に発足をいたしましてまだ三、四年でございまして、むしろこれからの発展に期待をすると、こういう段階でございますので、どういう形にするのが今後の住宅ローンにつきまして最もいいかという点につきましては、もう少し発展の推移を見定めた上で結論を出したい、こう考えておる次第でございます。ただ将来の問題といたしまして、やはりその住宅ローンという大変長期の金融をいたす組織でございますので、やはりその資金につきましては、いま御指摘のような債券の発行とか、あるいは借入金とか、やはりこういうところがどうしても中心になる、こういうことではないかと存じます。その点は御指摘のような方向で考えることに相なろうかと思いますが、具体的にどうするかということにつきましては、もう少し推移を見定めて検討さしていただきたい、こう考えておる次第でございます。
○大塚喬君 大臣からひとつ、いまの問題について……。
○国務大臣(大平正芳君) その点につきましては、すでにもうお聞き取りいただいておるのかもしれませんけれども、四十八年十二月の金融制度調査会の答申で「民間住宅金融のあり方について」の中でも、こういう答申がございます、「現段階においては、どのような住宅金融専門機関がわが国の実情に最も適応しているかについて、なお当分の間見守ることが適当と思われる。」という御答申でございました。現在は、各種の金融機関による住宅ローンが急速にいまともかく増加いたしておる状況でござざいますし、将来におきましてどのような金融制度が最も日本の実情に適合するかを見きわめるには、いまやや尚早の感があるのではないかと思いますので、大塚先生仰せの点につきましては、今後の研究課題とさしていただきたいと思います。
○大塚喬君 一言だけ。 大臣、実際の問題として住宅の需要の声というのは、いま大臣がお答えいただいたようなことでとても国民が納得できるそういう現状ではございません。大変住宅の事情については国民の要望が強うございます。そういう中で、いまのように逃げの御答弁でなくて、将来いつの話かわからないようなそういうお話でなくて、現実にこれらの問題をどう積極的に取り組んで解決をするか、ひとつそういうことで本気になって考えていただかなければ困ります。ひとつそういうことで、いま私が提案いたしました住宅ローン銀行の設立の問題、あるいは住宅債券の問題、ともかく政府が早急に手を打って国民の要求にこたえられるような、そういう政策をぜひひとつとっていただくようにお願いをいたします。 以上で私の質問を終わります。
○鈴木一弘君 私は、この間要求いたしました資料をいただきましたので、これに基づいて一、二質問をしたいと思いますが、公債の、国債の対象になっている貸付金の内訳をいただきました。その内容を見ますと、日本輸出入銀行への貸付金はこれこげつきのために、インドネシア債務救済のための貸付金ですが、三十年前後の償還になっている。また育英資金への貸し付けも三十五年というふうになっております。そういう点で一つは、国債のほうが十年物というのに、償還が三十五年とか三十年以上の貸し付けがあるということになりますと、やはりむしろここでは国債の償還も延ばすべきではないかという、そういう整合性を持たせるべきではないかということが一つ。いま一つは、母子福祉貸付金のように都道府県の貸し付け業務の廃止のときに償還ということで、廃止しない限り貸し切りというのがあるわけです。貸し切りの貸し付けなら、これはむしろ逆に出資というかっこうにした方がいいんではないかというふうに思わざるを得ません。これは、廃止をするということは、そういう母子家庭等の事業の原資になっておりますので、これは廃止しない限りの貸し切りということですから、出資金に変えた方がいいんじゃないか、そういう出資の方で私はした方がいいんではないかと思いますが、この二点だけをお伺いをしておきたいと思います。
○政府委員(吉瀬維哉君) 御質問の趣旨は、要するに、公債発行対象経費のうちに、耐用年数が短い貸付金もあるし、それから出資としてしかるべきものも含まれているのではなかろうかというようなことを含まれた御趣旨と思いますが、先ほど主計局の辻次長から御説明申し上げましたとおり、公債発行対象経費全体をいわば総体としてつかまえて、その中の平均耐用年数をとらえたところ、それが六十年にほぼ相なるということでやっているわけでございます。それで、こういう種類の、たとえば公債発行の耐用年数が三十年のものであれば、十年債でなくて、三十年債を出してもいいのじゃないかとか、いろいろな御意見もあると思います。ただ私ども現在の公債の償還期限を十年といたしておりますものは、たとえ効用発揮期間が六十年でございましても、やはり十年間のうちには相当金利体系その他の変動があるというようなことで、一応十年をめどにして発行している。一般の長期の債券の発行も慣例といたしまして、十年が限度であるようでございますので、そういう点に出たものでございまして、たとえば公債発行対象経費に適するものがあるかどうかというようなものにつきましての検討は、今後も十分その検討の機会が到来いたしましたときに続けてまいりたいと思います。
○政府委員(辻敬一君) 母子福祉貸付金につきまして御指摘あったわけでございますが、母子福祉貸付金は、国が都道府県に貸し付けをいたすわけでございます。そこで、都道府県の原資と合わせまして、それを母子家庭に貸し付けるという、かような形になっておるわけでございます。ただいま御指摘がございましたように、確かに国と都道府県の関係では、この制度は廃止になりませんければ、戻ってこないわけでございますけれども、末端が貸し付けになっておりますこと、それから国の貸し付け先が都道府県でございますこと、そういうことを勘案をいたしまして、貸付金として計上いたしているわけでございます。 なお、母子福祉貸付金の償還状況につきましては、これは厚生省の所管でございますが、私どもの承知しておる限りでは、ただいまのところ償還の率が九七%程度、かなり償還状況はよいようでございますし、滞納額、貸し倒れの額等につきましては、非常に少ないように承知をいたしております。 —————————————
○委員長(桧垣徳太郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日藤田進君、寺田熊雄君が委員を辞任され、その補欠として戸田菊雄君、赤桐操君が選任されました。 —————————————
○委員長(桧垣徳太郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 昭和四十八年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案を問題に供します。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 可否同数と認めます。よって、国会法第五十条後段の規定に基づき、委員長において本案に対する可否を決します。 本案については、委員長はこれを可決すべきものと決定いたします。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、相続税法の一部を改正する法律案及び入場税の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。大平大蔵大臣。
○国務大臣(大平正芳君) ただいま議題となりました相続税法の一部を改正する法律案及び入場税法の一部を改正する法律案につきまして提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 初めに、相続税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 政府は、今次の税制改正の一環として、最近における相続税及び贈与税の負担の状況に顧み、配偶者を中心として負担の軽減を図るとともに、制度の整備合理化を図るため、ここにこの法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。 第一は、相続税負担の一般的な軽減であります。 まず、相続税を課税するに当たって遺産から控除する額を、定額控除にあっては現行の六百万円から二千万円に、法定相続人比例控除にあっては現行の百二十万円から四百万円に、それぞれ引き上げることといたしております。なお、その際、従来の配偶者控除は、次に申し上げます配偶者の負体軽減措置に吸収することといたしております。この結果、相続税の課税最低限は、配偶者を含む法定相続人五人の場合、現行の千八百万円から四千万円に引き上げられることになります。 また、相続税の税率につきましても、その適用区分を拡大することにより、負担の軽減を図るとともに、最高税率を現行の七〇%から七五%に引き上げることにより、相続財産が高額な場合における課税を強化することといたしております。 第二は、配偶者に対する相続税負担の軽減であります。 すなわち、配偶者の相続財産については最高三千万円を非課税とする現行制度を抜本的に拡充し、配偶者が取得した財産のうち、遺産額の三分の一相当額か四千万円のいずれか高い金額まで相続税を非課税とすることといたしております。 第三は、贈与税負担の軽減であります。 すなわち、贈与税の基礎控除を現行の四十万円から六十万円に、居住用財産についての配偶者控除を現行の五百六十万円から一千万円に、それぞれ引き上げますほか、贈与税の税率につきましても、相続税の税率に合わせて所要の調整を図ることといたしております。 以上のほか、相続税の障害者控除及び未成年者控除の引き上げを行い、また、死亡退職金及び死亡保険金の非課税限度の引き上げを行うとともに、重度の心身障害者に対する贈与税の非課税制度を創設する等の措置を講ずることといたしております。 次に、入場税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 政府は、今次の税制改正の一環として、最近における入場税負担の現状に顧み、その負担の軽減を図るため、映画、演劇等の免税点を引き上げるとともに、税率の一本化を行うほか、所要の規定の整備を行うこととし、ここにこの法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。 まず、映画、演劇等の免税点を大幅に引き上げることといたしております。 すなわち、現行の映画、演劇等に適用される免税点は、百円でありますが、これを、映画については千五百円に、演劇、演芸、音楽、スポーツ及び見せ物については三千円に、それぞれ引き上げることといたしております。 次に、入場税の税率を一本化することといたしております。 すなわち、現行の入場税の税率は、映画については、一人一回の入場料金が千円以下の場合は五%、千円を超える場合は一〇%、演劇、音楽等については、一人一回の入場料金が二千円以下の場合は五%、二千円を超える場合は一〇%、競馬、競輪等については、一律一〇%となっておりますが、映画、演劇等の免税点の大幅引き上げにより五%税率を解消し、催し物の種類等にかかわらず、一律一〇%にすることといたしております。 以上のほか、興行場経営者等の事務負担を軽減するため、興行場の開発申告の制度を簡素合理化する等所要の規定の整備を行うことといたしております。 以上、相続税法の一部を改正する法律案及び入場税法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由とその内容の大要を申し上げました。 何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(桧垣徳太郎君) 両案に対する質疑はこれを後日に譲ります。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時三十四分散会 —————・—————