商工委員会 第17号
- 発言数
- 93 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1975/06/17
会議録
○委員長(林田悠紀夫君) ただいまから商工委員会を開会いたします。 前回に引き続き中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。 この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 ただいま議題となりました本案の審査のため、本日の委員会に参考人として中小企業金融公庫総裁渡辺佳英君、全国中小企業団体中央会専務理事稲川宮雄君、税理士大宮具一君、明治大学経営学部教授渡辺睦君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(林田悠紀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(林田悠紀夫君) この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、皆様には御多用中のところを本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。 本日は、ただいま議題といたしました法案につきましてそれぞれのお立場から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の本案審査の参考にしたいと存じております。 これより参考人の方々に順次御意見をお述べ願うのでありますが、議事の進行上お一人十分程度でお述べを願い、参考人の方々の御意見の陳述が全部終わりました後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、まず渡辺佳英参考人にお願いいたします。
○参考人(渡辺佳英君) この近代化促進法の改正につきましては、改正の意図するところを見ますると、業種指定の要件を、従来の国際競争力の強化、産業構造の高度化を図るべき業種に加えまして、国民生活の安定向上を図る上で重要な業種を追加するということになっております点につきましては、時代の要請に対応したもので、時宜を得たものと考えております。また、近代化計画の内容に従業員の福祉向上、消費者の利益増進、環境の保全等を盛り込もうという御趣旨は、これまた時宜に即したものと思いますし、さらに、個々の業種グループ内での構造改善にとどまらず、関連事業者をも加えた総合的な構造改善を実施していくことについては、構造改善を産業ぐるみ、あるいは地域ぐるみで行うことによって、より実効の高いものにしていくことができると考えられますので、ぜひとも実現していただきたいと存じます。 さらに、今回の改正案で、中小企業者が共同して新分野を開発し、そこに事業分野を発展さしていこうとする新分野進出計画の新設が盛り込まれておりますが、中小企業が独自の特色を生かし、その活路を開いていく必要があるという意味から、今後の中小企業の進むべき方向として、これまたぜひとも実現していきたいところであり、はなはだ結構なことであると考えております。 私どもの中小企業金融公庫におきましては、これまで近代化促進法に基づいた特別貸し付け、われわれの方で近代化促進貸付、構造改善貸付という名前をつけておりますものを実施してまいっておりますが、中小企業者の融資期待も大きく、中小企業の体質改善に寄与するところが大であったと考えております。 その貸し付けの累計は、近代化促進貸付では大体二千百億円に上っておりますし、構造改善貸付では一千十九億円に上っております。今回の改正におきまして、この面での一層の充実が図られることは、今後の安定成長経済のもとでの中小企業の適応力を高める意味で望ましい方向であると考えております。 最近の中小企業の景況について一言申し述べますと、消費財関連を中心に底入れしたと思われるものもありまするが、大勢としては、依然停滞を続けているものと考えております。確かに自動車や弱電の中小下請の部面では受注が上向きとなっており、また、繊維品の一部では在庫整理が進んできたという現象も見られまするが、この傾向が今後とも継続するかどうかは、いまの段階ではまだ何とも言えないと考えております。 一方、一般機械関連業界では、むしろ最近収支の落ち込みが著しく、ことに造船下請、重電下請のように、いままではある程度の仕事と売り上げを維持してまいりましたが、先行き見通しについては非常に暗い業界もあります。 また、公共事業費の繰り上げ使用等、財政支出の促進が図られており、住宅着工もやや回復気配にあると伝えられておりまするが、中小建設業界や建設資材関連業界では、まだその効果が出るのがおくれているように見受けられます。 このような景気後退による売り上げ、受注の減少に加えまして、昨年来人件費等コストアップの圧迫は著しいものがありまして、また、雑貨や木材関連業界、モザイクタイル等のように、発展途上国の追い上げに面している業界もありまして、昨今の中小企業を取り巻く環境は、これまでになく厳しいものがあるのであります。 いままでは、かつての高度成長時代の利益蓄積を吐き出して繰り回してきたり、政府の中小企業金融対策による金融機関からの借り入れで、経営維持が可能であった企業が多かったと思われますが、いまのような状態が続きますと、力が尽きてくる中小企業も出てくるのではないかと懸念されております。 最近は、中小企業においても雇用調整とか不要不急な支出の切り詰め等、環境に適応した不況対策が進められており、後ろ向きの不況運転資金需要は、一時に比べればおさまってきたように思います。 一方、民間金融機関の中小企業に対する貸し出し態度も、一ころのきびしさがやや薄れてきたような気配もあり、金融面について一息ついたという意見もないではないのでありますが、しかし、最近の中小企業金融公庫の調査によりますると、製品需給の状況は依然軟弱でありまして、販売価格は低迷を続けていることから、貸し付け先のうち、約三七%の企業が当面赤字経営を余儀なくされるといったような状況にあります。このため、資金繰りは引き続き窮屈な状態が予想されておりますが、特に信用力の弱い企業に対しては、金融機関が貸し渋りがちであるために、中小企業金融は、大勢としてはなお逼迫感が継続しております。 一方、うちの中小企業金融公庫に対する資金需要は依然旺盛でありまして、うちが直接貸しておりまする、直貸しとわれわれは言っておりますが、直貸しでは、ことしに入ってから昨年に比べまして約二割ぐらいふえておる、二割増程度の申し込みを受けております。運転資金の需要が、後ろ向き資金を中心にいまだなお高水準でありますし、設備資金について見ましても、不況下にあっても企業体質改善に資する設備投資は必要であるということで、昨年暮れを底に次第に上向いてきております。 当公庫といたしましては、当面、まじめな中小企業者が資金面で行き詰まることがないように配慮しますとともに、中小企業者が現下の困難な情勢を切り抜けていく努力に対して、極力支援していく方針であります。 なお、今後安定成長経済へ移行する中で、中小企業の中には、事業を新しい分野に転換していこうとするものがふえてくると思いますが、こうした中小企業に対しては、政策的に十分配慮していただきたいと思いますし、その点、新近代化促進法によりまして新分野発展事業を支援していこうとされることは、大変結構であると思います。当公庫としましても、できる限りこうした中小企業の努力を支援していく所存であります。 また、今後中小企業の収益力は低下するものと考えられますが、当公庫の貸し付けにつきましても、貸し付け期間はできるだけ長期化する等、貸し付け条件の弾力化について当公庫として努力いたしまして、関係機関に対してもその旨をお願いしていきたいと考えております。 以上であります。
○委員長(林田悠紀夫君) ありがとうございました。 次に、稲川宮雄君にお願いいたします。
○参考人(稲川宮雄君) ただいま御紹介をいただきました、全国中小企業団体中央会の専務理事の稲川でございます。 私は、目下御審議中であります中小企業近代化促進法の改正につきまして意見を申し上げますとともに、引き続きましてこれとの関連におきまして、中小企業の現状なり、あるいは対策について申し述べたいと存じます。 近代化促進法につきましては、昭和三十八年、この法律が中小企業基本法とともに成立いたしまして以来、十二年間経過いたしておりますが、きわめて多くの実績を上げてきたと考えております。 まず第一に、いままで実態が明確でないと言われておりました中小企業につきまして、中小企業総合基本調査というものが行われましたこととともに、この中小企業近代化促進法によって指定を受けました業種につきまして、厳密な実態調査がそれぞれの業界ごとに行われておりまして、この結果がきわめて有意義なものでございまして、中小企業の実態がまず明確になったということが非常に大きな収穫であるというように考えております。 第二に、従来、中小企業対策は、一方的な抽象的対策が多かったのでございますが、この近代化促進法は御承知のとおり、各業種ごとのきめの細かいそれぞれの対策が講ぜられまして、生産なり販売なり、あるいは技術なり設備なり、あるいは適正規模等に関しまする近代化、合理化が講ぜられ、それが中小企業の改善に大きな貢献をしたということを私どもは率直に認めるものでございます。その効果は数字的にもいろいろ表明されておりますけれども、私は、数字にあらわれましたもの以上に中小企業の近代化施策にきわめて大きな効果がありまして、むしろ、数字でははかることのできないほどの大きな効果があったというように評価しておるのでございます。 たとえば、これはドルショックなりあるいは石油ショックのときもございましたけれども、私どもが業界の実情を調べました際に、各業界団体へ参りますると、近代化促進に指定され、あるいは構造改善に着手しておりますその業界におきましてはショックの受け方が少ない、あるいはそれに対する対策が適宜立てられるというような、そういう環境にあるのは、まさにこの近代化促進法のおかげであるということを申しております業界が若干ありました点を見ましても、この効果が非常に大きいというように考えるのでございまして、そういうショックを受けたような際に、特にその効果が顕著にあらわれてくると思っております。たとえば例で申しますると、作業工具などはその一例であったかというように思うのであります。 第三に、この近代化業種の指定を受け、あるいは構造改善業種として特定を受けました機会に業界の組織化が推進強化されておるのがほとんどでございまして、中小企業対策を進めます上においては、私どもの持論でございますが、やはり組織化ということが基本である、きわめて重要であるというように考えておるのでありますが、この近代化促進法の指定によりまして、各業界の団体組織化がきわめて進んでおるということも見逃すことのできない大きな事実であるというように考えるのであります。 要するに、この法律によって指定を受けました業種の中には、中途において挫折いたしまして、その計画を放棄したというものもないではございませんけれども、総じて申しますならば、中小企業の近代化、合理化、その生産性の向上、あるいは体質の改善というような面に、きわめて大きな貢献をしたということを私どもは信じております。 いま、この近代化促進法の改正が提案されまして、御審議中と承っておりますが、過去十二年間における実績に立って振り返ってみますると、時勢の変遷、あるいは環境の変動によりまして、内容を改正すべき点が幾つかあるわけでございます。昭和四十四年には構造改善を行うための改正がございまして、業界ぐるみあるいは産地ぐるみで、早急かつ徹底した近代化を行うための構造改善計画ということがもくろまれまして、自由化とかあるいは特恵関税、労働力の不足、公害対策等のためにこれはぜひとも必要であり、また、その一つの方法といたしまして企業集約が行われてきたのでございます。 この企業集約ということは、一面から申しますると、中小企業の整理淘汰を意味するという反面もございまして、批判の対象になる場合もございますけれども、しかしながら、従来のこの激動期におきます中小企業、特に零細企業が本当に身を捨てて浮かぶ瀬を発見するためには、場合によりましては合同とか合併とか、あるいは協業ということも行わなければならなかったのでございまして、その結果、従来のいろいろな問題、懸案を一挙に解決することができるといった効果も見逃すことはできないと思うのであります。したがいまして、そういう勇断を選びました人たちに対しましては、私どもはその勇気と英知と、かつ、その時代感覚には大きな敬意をむしろ表しておるのでございます。しかし、そういうようなやり方というものは、高度成長、あるいは規模のメリットというものが必要である時代において特に必要だったのでございまして、今日においても規模のメリットが必要でないというわけではございませんけれども、それだけではこれからのこの安定経済と申しますか、そういう経済に処していくことができませんので、そこでどうしてもソフトな方面の改善、いわゆる知識集約化、あるいは第三近促というものが選ばれることになったのでございまして、これも時勢の変遷に伴う一つの当然の方向であるというように考えるのであります。 しかし、最近におきましては、事態はさらに進展をしておりまして、中小企業をめぐる環境は大きく変動をいたしております。こうした事情に即応するためには、近代化の施策もさらに内容を充実させ、発展させていかなければならないのは当然でありまして、単に国際競争力の強化とか、あるいは産業構造の高度化ということだけではなくて、国民生活の安定向上のための業種までも対象にしていくということは当然でございまして、むしろ私は、それは遅きに過ぎるのではないかとさえも思うのでございます。あるいは構造改善方式を縦の関係と申しますか、あるいは異業種と申しますか、関連業種ぐるみでやっていくという構想も今日の場合は非常に必要でございまして、いわゆるむずかしい言葉でございますけれども、システム化ということが必要であるということが言われておるのでありますが、そういうシステムとしてこれから中小企業の経営なり組織というものを組んでいかなければならない今日の時点におきましては、この方法もきわめて必要な方向である、こういうように考えております。あるいは新分野への進出計画制度等もきわめて重要な線であると思うのございます。実はこれらの案につきましては、私どもは賛成であるというよりも、むしろその実現を心からお願いしておるのでございます。 と申しますのは、私ども全国中央会のお世話によりまして、中小企業近代化促進団体協議会という団体が設立されておるのでございますが、現在七十七の団体がこれに加盟いたしておりまして、ときどき集まりまして、研究会とかあるいは幹事会等を開きまして対策を協議しておるのでございますが、今回の改正案の大半は、私どもがお世話しておりますこの協議会において考えられ、そして政府にお願いをしたものでございまして、そういう意味におきまして、私ども並びにその関係業界はこれに御賛成申し上げるのは当然でございますが、むしろ、ぜひともこれを実現していただきたいということをお願いしておる次第でございます。 以上は近代化促進法の直接の問題でございますが、これに関連いたしまして、中小企業の立場から現状に対する若干の希望を申し述べたいと存じます。 これからの中小企業にとって大切なことは、言うまでもなくその経営の近代化であり、あるいは体質の改善でございます。自由経済体制のもとにおきましては、自分の努力で、いわゆる自己努力によりまして経済の合理性というものを高めていくということが必要であるということは、中小企業政策審議会におきましても、前後二回にわたってその結論を出されたところでございまして、中小企業が発展いたしまする基盤は、何と申しましても、みずからの経営の近代化にあるということは言うまでもないのでございます。そういう意味におきまして、この近代化促進法というものはきわめて重要な法律でございまして、近代化は中小企業対策のすべての基本であり、かつまた前提であると言っても言い過ぎではないと思うのであります。 しかしながら、中小企業の現状から考えますと、この近代化ということはきわめて必要な条件でありますけれども、中小企業の振興発展のためにそれは十分であるかと申しますと、私どもは十分であるとは考えていないのであります。必要条件であるけれども十分要件ではない。したがって、中小企業のためには近代化の促進ということがきわめて重要でありますけれども、それだけではなくて、近代化というものが実を結ぶために、さらに十分なる対策を考えていただきたいということが、今日の中小企業の希望ではないかというように思うのであります。 どういう内容かと申しますると、まず第一には、二年有余にわたって続けられました総需要の抑制ということによりまして、中小企業の経営は業種によりまして、地方によりまして若干の異同はございますけれども、まさに危殆に瀕しておると言っても過言ではないような状態でございます。したがいまして、中小企業に対しましては、先ほど中小公庫の渡辺総裁からもお話がございましたように、金融枠の拡大でありますとか、そういうことも今日必要でございますし、また、特に最近中小企業の要望いたしておりますのは、従来政府から借り受けました資金の償還を猶予してもらいたい、こういう要望もかなり強く出ておるのでございます。そういう意味におきまして、金融対策というものはいつの場合でもそうでございますが、特に中小企業対策としてぜひ御考慮をいただきたいのでございます。しかしながら、今日の問題は、資金よりもむしろ仕事をという切実な声がございますので、ぜひこの際、金融もさることながら、仕事がもっと中小企業に行き渡りますような施策をお願いいたしたい。 昨日、第三次の不況対策というものが発表されたようでございますが、財政の繰り上げ支出でありますとか、あるいは住宅に対する資金の拠出でありますとか、そういうような点によりまして景気を浮揚していただきませんと、いまや自律反転力と申しますか、自律回復力というものは、特に中小企業の場合には欠如しておると言わざるを得ないと思うのでございます。 次の対策といたしましては、中小企業分野というものをこの際確立してもらいたい、こういう要望でございます。憲法の関係でありますとか、あるいは消費者に対する関係でありますとか、あるいは近代化、合理化等のいろいろな関係がありましてなかなかむずかしい問題であるということは、十分私どもも承知しておりますけれども、しかしながら、大資本が弱い中小企業の分野へ、まるで弱肉強食のような形で進出してくるような状態を放任しておくということは、独占禁止法の立場から申しましても、私どもは非常に大きな矛盾があると思うのであります。独占禁止政策というものは競争を促進する政策である、大企業の進出を防止するということは、むしろ競争を制限するものである、こういう論調もございますけれども、しかし、独占資本が中小企業分野へ入ってまいりまして、中小企業がそれでなくなってしまうというような事態を想像いたしますると、それは競争状態がなくなることでございまして、まさに、大企業の進出をとめることこそ民主的な競争というものを維持し、促進するもとである、こういうふうに考えておりますので、ぜひこの大企業の中小企業分野への進出ということには何らかの歯どめをお願いしたいというのが、中小企業の全部ではございませんが、関連しております中小企業におきましてはきわめて切実な要請でございます。 次の問題は、下請に対する問題でございますが、下請取引の適正化、あるいは下請代金の遅延防止ということもかねがねの問題でございますけれども、また私どもは、下請代金支払遅延等防止法はざる法ではない、それはそれなりの効果を上げておるというふうに信じておるのでございますけれども、しかしながら、それが十分に機能していないということは、もはや今日では定説でございまして、この際、できるならば下請に対しまする手形には期日を設けていただきたいということが一つでございますが、仮に期日を設けることが困難であるといたしましても、親企業が下請に対して出します、支払いまするものは、少なくとも、中小企業が自分のうちの労働者に支払いまする賃金相当分だけでも現金で支払っていただきたいということであります。労働基準法によりましても、あるいは家内労働法によりましても、賃金は通貨をもって支払わなければならないということが法律で定められておるのでございまして、下請企業といえども、自分のところの労働者には、賃金は現金で払わなければならないのであります。受け取るものがオール手形でありましては、賃金も支払えないということになるのでありますから、少なくとも賃金相当分は現金をもって払っていただきましても、決してそれは無理な注文ではないというように信ずるものでございます。 中小企業や下請企業が、近代化促進法を中心とするこの近代化によりまして、あるいは合理化によりまして、みずからの経営を幾ら改善いたしましても、その改善いたしました成果というものが、いま申しましたような下請代金等の形におきまして大企業、親企業に吸い上げられてまいりましては、何にも後に残らないのであります。きざな言い方でありますけれども、働けど働けど楽にならなくてじっと手を見るというのが中小企業、下請の実態であるということでありましては、いかに近代化というものが促進されましても、それは中小企業の本当の改善にはならない、むしろ中小企業近代化促進法によって得ましたところの実りというものは、中小企業の今後の経営の改善なり、あるいはまた働く人たちの福祉なり、あるいは消費者に配分するというような方向こそが必要でございまして、働いた分だけが吸い上げられるというような機構をこの際あわせて是正していただくということ。中小企業基本法で申しますならば、中小企業の近代化、高度化は必要でございますが、同時に、中小企業の事業活動の不利の補正ということもございませんと、必要かつ十分なる対策にはならないのではないかというように考えますので、あわせてそういう点についても御配慮をお願いしたいというのが私の希望であり、意見でございます。 以上でございます。ありがとうございました。
○委員長(林田悠紀夫君) ありがとうございました。 次に、大宮具一君にお願いいたします。
○参考人(大宮具一君) 税理士の大宮具一でございます。 今日、独占資本主義の復興の過程で、中小企業は、自己蓄積を大幅に上回る近代化促進による企業自己資金の不足を外部資金に依存する体制であります。中小企業向け貸し出し融資の不安定性は根が深いというわけでございます。中小企業が賃金上昇に処すべく新生産、販売体制を確立する意志と条件を持っていても、積極的に近代化融資を遂行し得ないことを意味し、全体として、大企業と中小企業の不均等発展をますます助長することになるでありましょう。いわゆる融資集中機構の批判されるべきは、このことにあると存じます。この融資集中機構そのものが中小企業問題を激化させているのでありましょう。その変革なしには、中小企業問題の解決なしとする見解が強いわけでございます。 しかし、ここで注意すべきは、この機構だけを変え、中小企業すべてに総花的に大量の資金をばらまいたとするならば、全体としての経済の発展を阻害するだけでなく、むしろ前近代的企業を温存して、かえって中小企業問題の解決をおくらせる可能性が大きいと存じます。 中小企業近代化とは、個々の企業内に多少の新しい設備をまんべんなく与えるのではなく、中小企業の構造自体を近代的に変革することであると存じます。中小企業の問題を解決される決定的な要因は、融資集中機構それ自体にあるのではなく、今日の生産力の水準に見合った、つまり、金融機関採算ベースに乗るような中小企業の社会的発展を図ることにあると存じます。 この中小企業近代化政策の徹底を前提として、中小企業に対する長期資金の供給不足解決の方向に融資集中機構が改められたときは、初めて中小企業金融問題が解決されることになると存じます。減速経済の進行により、中小企業の近代化促進貸し付けも減速しているような状態であると考えられます。 そこで、お願いやら要望でございますが、金利負担の軽減、低金利と申しますか、無利息でひとつ貸し出しをお願いしたい。かつまた、据え置き期間が近代化促進は一年になっておりますが、 〔委員長退席、理事熊谷太三郎君着席〕 他の貸し付けはほとんど二年になっております。そういう関係で措置期間の延長を要望いたしたいと存じます。 なお、中小企業近代化促進法の第九条に減価償却の特例というのがあります。これは私見で申しわけございませんが、税制の中で不公平なことが起こる原因だと私は考えるわけです。あらゆる業種あらゆる事業の事業主に特別措置法を現在適用しておりますが、それらは逐次廃止をしていただきたいということです。ですから、近代化の中でも、減価償却の特別課税の軽減ははずしていただきたいというのが私の私見でございます。他の法律に依存をして近代化促進法の中に導入するのではなくて、第九条の特別措置法の適用をはずしていただきたい。その見返りとして無利息の資金貸し付けをしていただくことがまことに当を得ているんではないかと考えるわけです。 以上申し上げて、簡単でございますが、要望にかえます。
○理事(熊谷太三郎君) 次に、渡辺参考人にお願いいたします。
○参考人(渡辺睦君) 近代化促進法に対する一部改正案の問題点について、私なりの批判的な見解を申し上げてみたいと思います。 まず第一に、中小企業近代化促進法の役割りでございますが、まず、昭和三十八年に近促法が制定され、今日までの間に、この近代化促進法を基軸とする中小企業の近代化、構造改善事業が推進されてきたわけでありますが、その成果とともに、制度上の欠陥や問題点を関係当局がどのように評価され、反省を踏まえられているかどうかという点に、この提案理由においては何ら触れられていないという点を第一の疑問といたします。 それは国際競争力の強化と、産業構造の高度化を促進する観点から、一部上層の中小企業あるいはまた、いわゆる中堅企業の経営規模の拡大、設備の近代化、生産性の向上を進めてきはいたしましたが その半面において、市場の拡大に対して生産設備の過剰傾向、過度競争の激化、企業間格差の拡大などをもたらしました、中小企業の下層部分、小零細企業の整理淘汰、転廃業の促進を推し進める、そういう現実的な役割りをも果たしてきたということを強調しておきたいと思います。 しかも、総花的な指定業種の拡大によって焦点がぼかされる反面、近代化指定業種に属する上層部分を中心に中小企業の近代化、構造改善特別融資の重点的な貸し付け、税制上の特典を付与することによって、企業の集約化を通じ企業間格差を拡大し、中小企業の上層育成、下層淘汰の役割りを現実に果たしてきたと言っても過言ではなかろうと思います。特にこの数年、ドルショック、オイルショック、さらに発展途上国の追い上げなどによって多くの中小零細企業は深刻な影響を受け、今回のインフレ不況下におきましては、これまでの高度成長政策、とりわけ、その一環として構成されている中小企業の近代化、構造改善政策の事実上の破壊によって深刻な経営危機に直面している、転廃業を余儀なくされている業者が非常に多く出ているというのが現状であります。 次に、今回の改正法案の評価でございますが、基本的にはこれまでの近代化促進法と、その性格上本質的な変化は見られないというふうに私どもは理解いたします。提案理由の説明を読みましても、「わが国経済がいわゆる安定成長経済、福祉型社会へと移行しようとしていること」、「中小企業をめぐる環境が著しく変化して」いること、したがって、「中小企業近代化施策は、このような変化に適切に対応できる中小企業を育成すると同時に、国民生活の安定向上に寄与するものであることが必要であると考えられます。」云々と記されてはおりますけれども、この提案理由の説明には、これまでの近代化施策の果たしてきたマイナスの役割りについて何ら反省点も見られません。また、いわゆる「国民生活の安定向上に寄与するもの」など、いずれもいまさらのような表現を使っておりますけれども、つまり、従来国民生活に最も密着している地域の中小企業、伝統産業の振興という点について重点的な施策が講じられない。経営規模の拡大、生産性の向上という点にのみ力点が置かれてきたということについても反省点が見られないわけであります。 特にこの不況期こそ、これまで意図してきてもやれなかった末端の小零細業者のスクラップ化を促進し、いわばぜい肉をそぐというような大企業本位のやり方が見られるということであります。これまで高度成長時代に、国民生活の充実や生活環境の整備、従業員の福祉向上、消費者の利益増進、環境の保全などがなぜ軽視されてきたのか、なぜこれが今回の改正法で特に強調されなければならないのか、これまでの近代化施策の限界と矛盾の拡大に関する批判的な総括なくして、これらを一面的に強調するのは、一般的に言って理解ができません。 次に、今回の改正案の問題点を幾つか要約して申し述べてみたいと思います。 まず第一に、関連業者を含めた構造改善を図る云々と書いてありますが、関連業者の中には中小零細業者ばかりでなく、大企業も入っているのかどうかという点が必ずしも明確ではありません。 第二に、成長が期待される新規事業分野への進出を促進する云々とありますが、これはまず第一に、中小企業の既存の分野から多くの中小零細企業を締め出し、営業の自由や生存権すらも脅かすことになりはしないだろうかという点が危惧されます。 第二は、新規分野への進出を促進する以前に、既存の分野で活動している中小企業が、発展途上国からの追い上げや逆輸入によって苦境に立たされている現状を直視し、これを規制し、速やかに輸出中小企業、伝統産業を守り、育成し、発展させる道を講ずべきではないのでしょうか。 三番目に、追い詰められ、転廃業を余儀なくされているおびただしい数の小零細企業に対する適切な措置を講じなければ、片手落ちと言わざるを得ません。 四番目としましては、いわゆる停滞産業部門から成長が期待される事業分野への進出と言っても、成長が期待できる事業分野ほど大企業がすでに支配し、むしろ競争が激甚をきわめるという分野であるということを私は強調せざるを得ません。そこへ後発の中小企業が新たに進出する場合に生ずる、当然予測される摩擦をどのように調整されるのか。この点についても必ずしも明確にされておりません。大企業に対する有効適切な規制措置を抜きにして、いたずらに新規分野へ進出を促進することによって矛盾をさらに拡大し、事業転換を実施し、中小企業が直面するであろう困難な問題をどのように克服したらよいのでしょうか。この点のきめ細かな配慮を抜きにして、ただ単に、新規事業分野への進出をプッシュするだけでよいのでしょうか。 第五番目としましては、既応の分野から新規事業分野へ転換し、事業が一応の軌道に乗るまでに、一般的に言って二年ぐらいはかかると言われております。その間、準備期間を含めて休業補償をどのように考えられているか。特に、追い詰められて転廃業を余儀なくされる末端の小零細企業者に対する休業補償を考える必要がありはしないかと思います。 六番目、新規事業分野への進出を促進するだけではなくて、既存の中小企業業種の抜本的な振興対策、伝統産業や産地企業の育成振興対策、あるいは中小企業の自主的、民主的な共同、協業化の促進に対しても、抜本的な助成措置を講ずるべきであろうと思います。この点になぜ対策を商工組合の加盟者に限定するのか。個々の事業主をも含めて考えないのはどうしてか。 以上、簡単でありますけれども、幾つかの疑問点を提起したいと思います。 最後に、当面中小企業は金も欲しいけれども、それ以上に仕事がないという切実な叫びを直視しまして、緊急対策として次の五点を特に要望申し上げたいと思います。 第一は、大企業の横暴な商法、とりわけ中小企業分野への無制限と思われるような進出を規制すること。少なくとも中小企業が七〇%を占めているような業種に対しては、速やかに大企業の進出を食いとめるという法的な規制措置を講ずる必要があるだろうと考えます。 二番目には、下請代金支払遅延等防止法を一層強化することによって、下請いじめの大企業のやり方に一定のくさびを打ち込むということが要望されます。 第三点としましては、金よりも仕事をという切実な末端の業者の要求にこたえるために、官公需要のうち、少なくとも五〇%以上は中小企業に対して優先的に発注を保証するような制度的な保証を確立すべきではないかと思います。 第四番目には、中小零細企業への無担保・無保証の融資制度枠を拡大し、制度の抜本的な拡充を要求するということであります。いつでも業者が必要なときに借りられるような制度の改正をという声が零細業者の中には非常に要望が強いということに対して、ひとつこたえられるような措置をしていただきたい。 最後に、中小業者、とりわけ末端の零細事業主に対する租税負担の軽減を図るための事業税の免税点を引き上げるという点についても、抜本的な対策を講じていただきたい。 以上申し上げまして、私の簡単な参考人としての意見発表にかえさせていただきます。
○理事(熊谷太三郎君) 以上で参考人の方々の御意見の陳述を終わりました。 それでは、これより参考人に対する質疑に入りますが、大体参考人の方のお時間の都合もございますので、十二時から十二時半ごろまでの間に終了していただきますように御協力をいただきたいと思います。 それでは、質疑のおありの方は順次御発言をお願いいたします。
○小柳勇君 四人の参考人の方に一、二問ずつお尋ねをいたします。 まず第一は、中金の総裁にお尋ねいたしますが、いまの中小企業の不況の実態でございます。きのう第三次不況対策も政府で決められましたが、中小企業向けといいますものは案外少ないのではないかと思います。現在の実態に対して総裁の観点からどのような対策を熱望されておるか、これを総裁にお願いします。 それから第二は、稲川参考人でございますが、下請代金支払遅延等防止法の活用なり実施というものについては、委員会でも再々論議いたしております。あの法案をつくりましたときにも相当論議してまいったのでありますが、なお適用は不十分である。それは親企業だけの責任ではなくて、下請企業の責任も相当ある。責任といいましょうか、権利の主張が足らないという面も大変あるのではないかと思います。さっきの公述の中で、団体の組織化が進んでおる、これが一番大事だとおっしゃいますが、組織化が進むと同時に、せめて親企業に対する、下請企業の下請代金支払い遅延についてぐらいはもう少し組織的に対処できないか、これはもう再三この委員会でも問題にすることでありますが、御見解をお聞きをいたします。 それから同じく、現在の不況に対して専務理事としてはどういう対策を一番お考えであるか。私ども小さい観点でありますが、諸外国を視察いたしまして、中小企業対策というものをいろいろ探ってみますと、法的に対処しておるのは日本が一番すぐれてはいないか。諸外国では、大体金融面で中小企業対策が事足りるとしているように考えている、そういうものが私の大ざっぱな考えですが、いまの中小企業の不況対策に対してどういうことをやったらよろしいか、これをお尋ねいたします。 それから大宮参考人には、同じく融資集中機構がいまの近代化促進を妨げているというお話がありました。私の聞き違いかわかりませんが、融資の集中機構についてのいま一歩突き進んだお話と、それから無利息の金が欲しいとおっしゃいました。最後の渡辺参考人も無担保・無保証の金をもう少しふやしてくれというお話でありましたが、大宮参考人が言われる無利息の金、まあ措置期間の延長はわかりますけど、無利息の金と言われるものは、渡辺参考人が言われました無担保・無保証の金の増額、そういうものであるかどうか、もっと違うものであるかどうか、お尋ねをいたします。 それから最後に、渡辺参考人でありますが、三十八年に近促法ができまして以来、大きな手直しを三回ぐらいいたしてまいりましたが、私はあとあさっての質問のために、現在の近代化促進法による組織近代化、あるいは構造改善の実態を表にしたものを持っています。で、団体組織化は進んでおりますけれども、その組織化された団体の中の企業が協業組合あるいは協同組合などをつくって、いわゆる一企業が大同団結するという機運というのは非常に少ないのではないか。各グループともまだ遅々として進まないということが表に出ておりますが、いまのような安定経済成長の中で企業が大きくなることが有利であるのかどうか。 大企業なり親企業に対抗するといいましょうか、一緒に競争して成長していく中小企業が、たとえば十五社なり二十社が協同組合なり協業組合をつくって対抗していくそのこと自体、大きくなること自体が一体有利なのであろうかどうか、そういう問題をいま考えるわけです。高度経済成長の段階では、小さくありますと追いつきません。ところが、いまの安定経済成長の中では、小は小なりにその存在価値があらなければならぬし、あるべきである。したがって、協業化なり共同化、あるいは構造改善については少し違いますけれども、大きくなることが有利であるという大ざっぱな観念は、是正する必要があるのではないかと考えるわけでありますが、この点について御意見をお伺いいたします。 以上です。
○参考人(渡辺佳英君) お答えいたします。 現在の不況度を中小企業金融公庫の総裁としてどういうふうに見ておるかというお尋ねでありますが、私は、中小企業を相手としておりまして、どうも景気に対する見方、一般の意見よりも一層シビアに考えております。なかなかこの景気というものがよくならないんじゃないか、したがって中小企業の困難は当分続くのではないだろうかというふうに見ておるわけであります。 中小企業といいましても、大体大まかに言いまして二つに分けることができまして、独立した中小企業と、それから大企業の下請の中小企業ということに二つに分けて考えてみますと、前の方の独立した中小企業の方におきましては、これは相当のそれぞれ企業努力を払いまして、そして経営内容を引き締めまして、あるいは業容を縮小いたしまして、この不景気にどうやらこうやら備えていくという態勢ができ上がりつつあります。もちろん赤字が多い。先ほども申しましたように、これは全体を通じてでありますが、三七%赤字経営という調査がわれわれの方に出ておりますけれども、赤字が多い。しかし、その赤字の幅をできるだけ少なくする、あるいはせめてとんとんまで持っていくといったようなかっこうで努力をしておるのでありまして、したがって、これに対しましては金融的な対策がある程度念を入れて行われるということになりますると、倒産とか破滅するとかいうようなことのケースは非常に少なくて推移していけるのじゃないだろうかと考えております。 しかし、やはり心配なのは大企業の下請の企業でありまして、ことに景気が全体としてよくなりませんと、大企業の経営の困難というものは、世帯が大きいだけに中小企業の場合よりももっと深刻な場合がある。そうしますと、非常に経営が苦しいものですから、やはりそのしわ寄せを下請の企業に寄せてくる。下請にも二次、三次というのがありまして、一次の下請の方はまだ大事にされましても、一次の下請もいろんな意味で苦しいものですから、二次、三次にしわ寄せをするといったような関係で、親企業からのしわ寄せというものが、これからひどくなってくるケースが相当起こってくるのじゃないだろうか。 先ほども申しましたように、造船業界とか、あるいは重電の業界とか、あるいは素材産業の業界とかいうものは、むしろこれから長いトンネルに入る。したがって、いままではその下請の企業もどうやらこうやら仕事があったのでありますが、これからは仕事がなくなるのみならず、場合によるとその再整理、いわゆる下請の切り離しというようなことも行われるおそれがある。幸いにして、いままでは大企業もいろんな社会的な批判ということもありますし、それから自分の経営上の理由もありまして、そう下請に対してつらい態度をとっておらない。まあこれも企業によって大分差がありまするけれども、おおむねいままでのところはそう手荒い処置はとられておりませんけれども、これからどういうことになるかということについては、非常に懸念をいたしております。 いずれにいたしましても、しかし中小企業は不況度がそう簡単に軽くならない。むしろ場合によっちゃ深刻になるものもあるという状態でありまするけれども、私の感ずるところによりますと、皆それぞれ非常に努力をしておられる。決して甘える一方ではないという感じがするわけであります。したがって、政府の方で適切な対策をとられるなり、あるいは方向を示されるなり、それからまた、われわれの方もいろいろな制約はございますけれども、われわれのできる範囲内においていろいろなお手伝いをするということになりますると、中小企業の業界というものは、これからの不況に対しまして非常によく健闘していかれるというふうに感心もし、また、期待もしておるというのが現状でございます。 以上でございます。
○参考人(稲川宮雄君) 私に対しまする御質問が二点あったと思いますので、この点につきましてお答えを申し上げます。 まず第一は、下請法についてでございますが、一般に下請法は、中小企業関係の法律の中でもざる法という名称がございまして、そのざる法の代表のように言われておるのでございます。しかし、私は先ほどもちょっと申し上げましたように、きわめて不十分な点はございますけれども、この法律があったからこそまだようやく今日の状態が維持されておるという意味におきましては、これはなかったよりはあった方がはるかにいい法律でありますし、また、これがありますために、かなり親企業も遠慮をしておるという点もございますので、この法律が一般に言われておりますようなざる法というよりは、むしろ私はこれを評価しておる次第でございます。 しかしながら、お話もございましたように、この法律が決して十分機能していないことは、これはもう今日の定説でございまして、それにつきましては、御指摘のとおり親の方も不十分であるが、下請自体にも反省すべきところがあるのではないか、こういうことでございまして、これは全く私も同感でございます。特に、下請関係の団体、組織におきまして、個人では言えないような点はもう少し団体の名前をもって言った方がよろしい、こういう点もございますけれども、その団体というのが、多くは特定の親会社を中心にして組織されておりますいわゆる下請組合でございますので、なかなかそれが言えない。ネコの首に鈴をつけに行くようなものでございまして、もっと要求をしたらいいようなものでありますけれども、そこは労働組合とは非常に違う点でありまして、取引でございますので、余り要求をいたしますると、次の取引の注文はもらえないということで、労働組合にありますような不当労働行為というものが全然法律上ないわけではございませんけれども、どうも労働組合の不当労働行為のようなわけにはいかない点が非常に残念な点でございまして、こういう点につきましては、むしろ第三者的な組織団体、たとえば私どものような団体が、もう少し公正取引委員会とか中小企業庁に訴えていかなければならぬというふうに反省をしておるのでございますが、今後そういう点につきましてもさらに検討いたしまして組織的に実行してもらうようにいたしたいというように考えておるわけでございます。 第二点は、現在の不況に対してどのような対策を考えておるかということでございます。 御指摘がございましたように、日本の中小企業政策は非常にきめ細かく、また、数多く行われておりまして、私はいつも言うのでありますけれども、日本の中小企業政策は、世界多しといえども、これくらいたくさんの制度のあるところは世界じゅうどこにもないのでありまして、まさに世界無比の中小企業対策国であるということを言っておるのでありますが、それは欧米に比べましても、けた外れに日本は中小企業対策があの手この手とられておる。しかし、遺憾ながらそのPR、施策の普及が十分でないとか、あるいは予算が十分でございません。日本の国の全体の予算の〇・六%しか予算がないというような状態でございまして、十分浸透していないという点のうらみがございますけれども、政策自体はきわめてたくさんの政策をとっていただいておるわけでございます。 今回の不況対策といたしましては、先ほども申し上げましたが、要するに、自律反転力というものがきわめて乏しい現在でございますから、どうしても政策によってこれをカバーしていただくことが必要ではないか。その一つは、やはり公定歩合が第二次まで引き下げられましたけれども、〇・五%が二回程度ではとうてい反転力はありませんので、さらに第三次あるいは第四次の公定歩合の引き下げによりまして、貸し出し金利の引き下げ、コストの低下ということをぜひ考えていただきたい。それから、返還の猶予につきましても先ほど申し上げましたように、これは個々の事情によって違うと思いますけれども、そういう幅をもう少し広げていただきたい。 それから、最近の要望でございますが、雇用調整によりましてレイオフされたような場合には、若干の手当が出ておるのでございますが、その期間をもう少し延長してもらいたいというような要望も出ておるのでございます。何といいましても、先ほど来お話ございますように、金よりも仕事という事態でございますから、ただいまの不況対策といたしましては、やはり財政の繰り上げ支出、特に中小企業に対しまする官公需発注の機会を大幅に考えていただくということによりまして、中小企業の仕事がもっとふえますようにしていただくということが、中小企業としては当面最も望んでおるところでございます。 以上でございます。
○参考人(大宮具一君) 御質問の点でございます融資集中機構についてでございますが、この近代化促進法の今度の改正の第一条に、「中小企業の構造改善を推進するための措置を講ずること等により、」とずっとありますが、この項目を私は指して申し上げたつもりでございます。旧法は、ございません。新しくこれが載ったことについて、私どもは非常に歓迎する次第でございます。 二つ目の金利負担の軽減でございますが、でき得る限り低金利、無利息にしていただきたいということでございます。これは、中小企業設備近代化資金が県段階では無利息になっております。そういう関係で、無利息にしてはいかがと存ずるわけです。これは減価償却の特例と見返りをして、中小企業の恩典にされてはいかがですかという私見でございます。
○参考人(渡辺睦君) 私に対する質問が一点ございましたので、簡単にお答え申し上げたいと思います。 先ほど来のお話の中に、日本の中小企業対策が非常に系統的で、かつ組織的にも整備されている。特に、海外先進国との比較において関連された御発言があったようでありますが、私自身も、狭い視野からではございますけれども、一年余りにわたってヨーロッパ諸国を歴訪いたしまして、各国の中小企業に対する施策と日本の中小企業対策との比較検討を試みてまいりました。なるほど日本の中小企業対策は、網の目のように非常にきめ細かな角度から張りめぐらされているようでありますが、それだけ諸外国に比べまして日本の中小企業問題の歴史的、社会的な矛盾が一層深刻であるということの一つのあらわれであるというふうに私は見ざるを得ないのであります。 それは多くを語る必要はありませんが、たとえば下請代金支払遅延等防止法のごとき、つまり、一定の契約の範囲内で当然支払われるべき支払い代金で、経済的弱者に対する圧倒的資本力に物を言わせる親会社が、理不尽な形で代金を引き延ばす、あるいは買いたたきをするというようなやり方は、少なくとも社会的な分業の広がりの一環としての欧米先進諸国における大企業と中小企業の関係にはほとんど見られません。したがって、私が先ほど強調いたしました中小企業の組織化の問題、とりわけ上からの組織化ではなくて、自主的、民主的な組織化を強調いたしましたのは、確かに御質問者の申し述べられましたように、ただ単に経営規模をスケールアップするということが、今日のような経済状況のもとで果たして適切であるかどうかという点につきましては、各方面から疑問を投げかけられている向きがございます。 なるほどスケールアップをし、経営規模の拡大を図り、経営規模の利益を追求するという、そういう単純な成長経済の時代ではないということはよく存じ上げておりますけれども、現在中小零細業者が深刻な状態に置かれている一つの理由には、資本力に物を言わせる大企業が弱小企業、弱小資本に対して圧倒的な支配力を持っている。たとえば、中小零細企業の固有な活動分野に対する無制限な進入、進出ということも規制できないという状況のもとでは、中小零細企業の営業と生活を守るという観点から言いましても、一定の大企業に対する自衛力といいますか、あるいは中小企業のみずからの経営を守るという観点から言いましても、経済的な弱者である業者が横に団結を強化する、組織化するということは自然の方向であろうと思います。 そういう点につきまして、先ほどの御質問の方の御意見の一つには、つまり大同団結する機運が非常に弱いのではないか、これも確かに御指摘のとおりだと思います。一般的に指摘されますように、中小企業主というのは一国一城のあるじ的な意識が容易に克服できないという弱点を持っております。しかし、組織化を図る、あるいはみずから自主的に組織を拡大するという中で、自分自身が持っていた伝統的な意識の主体的な克服という点についても、かなり前進面が図られている経験がございます。したがって、問題は、協同組合なり協業組合なりの構成と運営を徹底的に民主化するという方向において、加盟する中小業者の一人一人が自由に発言し、みずからの組織であるという自覚の上に組織の拡大を図るというような方向が、当然促進されてしかるべきだろうと思います。 なるほど、大きいことはいいことであるという一般的な表現は、今日の時代ではかなり批判の爼上に上り、むしろ中小企業の小回り性、あるいは経営の弾力性ということが強調され、たとえば人件費の負担割合から言いましても、他人を雇っているよりは、家族従業者主体の経営の方が人件費負担が軽くて済む、こういう小企業、零細企業の固有な特殊性をむしろ発揮した方がいいという、そういう考え方が最近ではかなり中小企業白書などでも強調されている向きがございます。 しかし、こういった点について、たとえば知識集約型の企業の育成、あるいはベンチャービジネスの育成というような問題は、全面的にそういう方向を否定するものではございませんけれども、個々の企業の経営戦略、ビジネスストラテジーとしては一定の有効性を持ちながら、国政あるいは行政レベルにおいて、つまり中小企業政策なり対策としてそういう方向性を追求することが、果たして適切であるかどうかという点に私はかねがね疑問を持っております。ですから野放しで、大きいことはいいことだという形で規模の利益を追求するということは確かに限界があります。だからといって、中小零細企業が、小規模の企業であるがゆえに持っている特殊性を発揮すればいいというだけで、いわゆる企業の拡大に対する意欲を抑制するという形はとっていただきたくないというふうに考えます。 以上でございます。
○対馬孝且君 稲川参考人にお伺いをいたします。簡単にお伺いしますから、ずばりお答えを願いたいと思います。 先ほどの中で、大企業の分野がかなり中小企業を荒らしている、そのために非常に危殆に瀕しているということを言われ、強力でない、それに対して何らかの歯どめをかけてほしいということが強調されましたけれども、私、北海道でありますけれども、すでに去年一年間で一千百件の倒産が起きておりまして、このうちの三八%まではほとんどもう大企業の進出によって荒らされているわけです。この点から言って、歯どめをかけていただきたいということは、現行法の中で歯どめを、行政指導をというようなのは限界で、現実にはもうできなくなっている。この点について一つの団体、全国中小企業団体中央会として、この時点では行政指導だけで事足りるという判断に立っておるのか、あるいは、新たに法律をつくって歯どめをかけるという考え方なのか、これひとつ簡単にお伺いをしたい。 それから、渡辺参考人にちょっとお伺いしたいのでありますが、先ほど、既成の企業が新分野に進出する場合に二年ぐらいかかる、この間の保護、つまり救済といいますか、保護措置というものがやっぱり必要ではないか、全く同感であります。ただその場合、新分野ということなんでありますが、渡辺先生は大学の立場でおいでになっているそうでありますから、簡単にお答えを願いたいのでありますけれども、いまの日本の現状の中で、不況下の中で、知識集約型産業とかいろいろな説はありますけれども、実際に中小企業が新分野として進出をする場があるかどうかという問題になりますと、実際問題としてはむずかしいという答えになるのですね。この点の新分野と称される考え方を、まあヨーロッパあたりと対比をして考えた場合に、どういう新分野が想定をされるかということが、もしお考えがあったらお聞かせを願いたいことが一点。 それから二つ目。先ほど、大企業が今日の中小企業のシェアを荒らして、現実に倒産をしているわけですから、これには今日の中小企業基本法の第十九条はございますけれども、これでは現実に行政指導という範囲では、もう大企業を抑え込むことができないという現実になっているわけです。そういう意味で、法的措置をと渡辺参考人から提起がございましたが、その意味での法的措置というのはどういうふうにお考えになっていられるかということを、ちょっと参考までにお伺いをしたい、この二点でございます。 以上であります。
○参考人(稲川宮雄君) ただいま御質問ございました、大企業が中小企業分野へ入ってくることに対する歯どめといたしましては、私ども全国中央会の意見といたしましては、全国大会あるいは役員会等でこれは議論された問題でございますが、法律の規定によって分野を確立してもらいたいというのが私どもの要望でございます。
○参考人(渡辺睦君) 御質問を二点いただいたと思います。 第一の点は、新規分野に対する中小企業の進出を助成するという、本改正案の問題点の一つでございます。これについては、どうも私に御質問いただくのはちょっと困るわけでありますけれども、つまり、改正案の提案理由の中にそういうことが強調されているわけであって、私が積極的に、既存の分野はどうでもいいので、成長が期待される新分野に促進すべきであるというふうに強調していることはないのであります。その点をひとつ誤解のないようにしていただきたいと思います。 したがって、先ほど私が最初に申し上げた中では、新分野、たとえば今度の改正案の中にも言われておりますように、成長が期待される分野ほど既存の大企業が支配力をふるっており、それにつながる中堅企業がかなりのシェアを誇っておる。そこに資本力の弱い弱小中小企業が後発の企業として進出する場合、かなり摩擦が生じるだろう。いわゆる弱肉強食という言葉が一般的に通用するように、つまりかなりのシェアを誇り、大企業が君臨している中に後発企業が入っていく場合の当然伴うであろうリスクを覚悟していかなくちゃならない。そして、従来の分野から新規分野に一挙に転換するのではなくて、暫時的経営多角化というやり方で事業転換を図るやり方と、どうにもこうにもならなくなって、追い詰められた企業が一挙に転出を図る場合では、そのリスクの割合が相当違うと思います。 つまり、資本力に余力があれば、成長が今後も期待され、利潤率が保証されているという分野に暫時的に移行することができるでしょう。つまり、追い詰められて既存の営業分野では生活がもう維持できないということで店を閉め、よろい戸を閉めて新たなる進出を図るという場合には、相当転業に当たってもさまざまな資金的な手当てなり技術的な問題なり、新しい分野に対するそういう仕事の上で練達の従業員を養成する問題とか、あるいは設備が備わっても、新しい商品をつくった場合、市場をどうやって確保するかというマーケティング戦略、そういったものについて十分な配慮がないことには、ただ新規分野に進出すればいいというだけでは、かえって、競争の激烈な分野に巻き込まれることによって手ひどいやけどをこうむりはしないだろうかという点に対する、私は危惧を持っているという点を強調しておったわけでございます。 第二の御質問については、大企業の進出をどうやって食いとめるかという問題については、いろいろな角度から御議論がおありのことと思います。 たとえば、一つの方法としては、大企業の横暴な中小企業に対する支配と進出をどうやって食いとめるかという問題については、現行の独占禁止法を抜本的に改正するという方法もありましょうし、また、中小企業の独自の活動分野、事業分野を確保するという観点から、一定の大企業の進出を一定の期間認めないとか、あるいは新たに中小企業の活動場に、進出分野に進出する場合には、届け出制ではなくて許可制にする。たとえば都道府県知事の許可制にするというような強い規制措置を講ずることなしには、現在のような、野放しにも匹敵するような大企業の進出は食いとめることができないだろうというふうに私は考えるものであります。
○桑名義治君 最初に、渡辺金融公庫総裁にお尋ねしたいと思います。 不沈の長期化によりまして中小企業が望むものは、先ほどからもお話がございましたが、金融面よりもむしろ仕事の確保ということが非常に望まれているわけでございますし、それと同時に、こういうふうな長期不況が進んでまいりますと、企業債務の返還猶予という問題がまた重要な観点になってくるわけでございますが、これをどのようにいままで対処されてこられたか、また、今後どのように対処するお気持ちなのか、そこをまず一点お伺いしたいと思います。 次に、中小企業金融公庫の貸し付けの対象というものが中小企業の中でも比較的上位のものになるということで、弱小企業あるいは小企業業者が非常に恩典を受ける率が低いというふうに言われているわけでございますが、この点についての配慮をどのようになさっておられるか、この問題ですね。 その次の問題でございますが、今回の法改正の理由の中にも、中小企業の発展途上国からの追い上げということが大きな一つの焦点として述べられているわけでございますが、金融面から見た場合、政府の転換対策についてどのようなお考えを持っていらっしゃるか、まず、この三点についてお伺いをしておきたいと思います。 それから稲川参考人でございますが、昨十六日に第三次不況対策が発表されたわけでございますが、現在の中小企業の実態から見まして、果たして業界が望んだ内容がどれだけ盛られているか。また、その対策の中で何が重要であるというふうにお考えになっていらっしゃるか、これが一点です。 それから二点目は、政府は、不況対策を進めるに当たりまして、値上げ自粛ということを強く訴えているわけでございます。これは大企業とそれから中小企業の製品、これに対する今回までの実態をながめてみますと、中小企業は、この不況下におきまして非常に中小企業製品の価格が下落している、こういうふうに言われ、その点大企業は、わりにそのままの安定した価格を保持している、こういうようなデータも出ているわけでございますが、この点について業界としてどのような取り組み方をなさろうとしておられるのか、これが第二点目でございます。 第三点は、大企業の中小企業の事業分野への進出について、わが点も分野調整班というものを出しているわけでございますが、政府の中には、自由競争に逆行するものである、こういうふうに反対をしている向きもございます。先ほどのお話では、この事業分野調整についてはぜひとも推進をしてもらいたいという御意見のようでございましたが、この点についてさらにお伺いをしておきたいと思います。 それからもう一点は、こういうふうな不況が続いてまいりますと、下請条件の悪化ということが言われているわけでございますが、現在、中央会としては下請企業対策として何を求め、そうして何を政府に望んでいるのか、そこらをお話を承っておきたいと思います。 それから渡辺参考人にお伺いをしたいんですが、いろいろと細かく御意見の開陳があったわけでございますが、その中でも転廃業者の弱小企業の改善対策というものをきめ細かく打ち立てていかなければならないという御意見がございました。渡辺参考人の何か素案的なもの、これに対するお考えがございましたらお伺いをしておきたいと思います。 以上でございます。
○参考人(渡辺佳英君) お答えいたします。 最初の御質問の第一点、いま金よりも物、仕事という時代でございまして、確かに金を中小企業がこれ以上借り増しをするということになりましても、返済のめどもつきませんし、それから金利の負担もあるということで、金を借りるよりも、仕事がなければできるだけ金がかからぬ経営をしていった方がいいという考え方がありまして、それが運転資金の資金需要というものをある程度相当防いでいるということは御指摘のとおりであります。その場合に、そういうことになってまいりますと、むしろいままで借りておる金の返済を延ばしていくという話になってくるわけでありまして、これは実際、近ごろ、うちの公庫の窓口にも逐次そういう方がふえております。私どもといたしましては、できるだけそういった希望には沿うと、ケース・バイ・ケースに相手の実態を伺いまして、そして返済の猶予なり、あるいは月々の割賦償還の金額を動かすなり、あるいはさらに進みますと、中間据え置きといったような据え置き期間を置きまして、しばらくは返さぬでもよろしい、そして後になって、一年たってから返してくれといったようないろいろな措置をその都度具体的に講じていくということをやっております。昨日の第三次不況対策におきましても、やはり中小企業金融については、返済猶予を適切に実行しろということがうたわれておるようでありまして、今後といえども、その点を十分注意してやっていくつもりでおります。 それから、中小企業金融公庫の貸し出し先は、存外、中小企業といってもむしろ小規模の企業が少ないんじゃないか、上位の方にだけ貸しておるんじゃないかというお話でありますが、私どもは、できるだけ小規模の企業に対しても貸し出しをするつもりでいろいろ工夫をこらしております。 御承知かと思いますけれども、うちの公庫の貸し付け方法に、公庫自体が直接貸し付けております直貸しという制度のほかに、代理貸し、代理店を選定いたしましてそこに代理貸しを頼む、むしろ従来はそちらの方が金額的に多かったのでありますが、このごろはちょうど直貸しと代理貸しと半々ぐらいになっておりますけれども、代理貸しという制度がございます。 これは大体、八百十六の銀行——都市銀行、長期信用銀行、信託銀行はもちろん、地方銀行、相互銀行、それから信用金庫、信用組合、各機関にわたって代理店を依頼しておるのでありまして、地方銀行、相互銀行のごときは、これは一〇〇%全部の銀行にお願いしております。信用金庫に至りましても、ほとんど九九%の信用金庫を代理店に指定しております。このことは結局、そういった金融機関の方が地元の小規模の経営者と非常に縁が深いと。で、小規模の経営者というのは非常に地域的に分布されておりますし、それから非常に経営内容も単純でありますし、賃金も低いし、生業的でもあるといって、非常にそういう意味で目につきにくい存在でありますが、信用金庫あたりはその業態よくつかんでおる例が多いのであります。したがって、そういった方面に金を流しまして、そして小規模経営者のめんどうを見てもらうという方法をとっております。 小規模の貸し出しというのを代理店がやりました場合には、その手数料というものも、うちは優遇しておりまして、そういった方面に金が流れることを期待しておるわけであります。したがって、現在、この代理店、代理貸しの中で、ほとんど三分の一ぐらいは従業員二十人以下の小規模の経営者に行っておるというわけでありまして、決してうちの場合、中小企業の中の上位の方にだけ力を入れておるわけじゃないんでございます。しかし、御指摘の点はさらに気をつけなきゃいかぬと思いますので、これからも一層注意してまいるつもりでおります。 それから、第三番目の御質問の点は、発展途上国の追い上げなどによりまして、日本の中小企業で非常に困った立場に立っておる企業がある、これが業種を転換しなければならないという場合に、転換対策を公庫の側としてどういうふうに考えるかという御質問かと思うんでありますが、私の見聞きする範囲では、それは発展途上国からの輸入ということによって、あるいは海外の市場を発展途上国の側に取られる。したがって、こちらの輸出がむずかしくなるというケースは確かに多いんでありますが、それに当面した日本の中小企業、先ほど来申しましたように、非常に皆さん工夫して、努力しておられる、懸命にがんばっておられるというのが実態だろうと思うのであります。決してそのときに、直ちにその事業を放棄いたしまして、そして、それじゃほかに仕事はないかと言ってうろうろするというような状態かと言いますと、そういうのはすこぶる少ないんでありまして、やっぱり石にかじりついてもがんばっていこうというような業態が多いように思うのであります。 その場合に、あるいは輸入の規制であるとか、あるいは特恵関税を少なくとも適用しないとか、いろんな希望はないわけではないんでありまするけれども、いずれにもなかなか実現するのにはむずかしい問題があるということになりますと、やはり当面は自分の仕事を懸命にがんばって、できたら産地で横にも連絡をとって、そしてある程度組織的に事業を守り、それからまた、自分らの希望を外へ伝えていこうという形になっていくのであります。こういった場合に、われわれとしましても、まあ個々の事業がやはり行き当たりばったりに業種の転換を図るということは、これは非常に成功率が少ないと思うのでありまして、したがって、できるだけ産地なり業界なりが、ある程度そこで出た結論に従って業種転換を図ってもらいたいと考えておるわけであります。 業種転換に対しましては、うちの場合は幾つかの制度をこしらえておりまして、そして金額的に普通の限度以上に貸すとか、あるいは特に輸出入の関係で、為替相場の関係で非常にぐあいが悪くなった事業とか、あるいは、公害関係で非常に苦しんでいる事業とかいうものに対しては特別低利で金を出すとか、いろいろな業種転換については制度的には用意をしております。しかし、いまのところまだそういった意味の業種転換、あるいはこれは見方を変えますと、新事業分野への進出ということになるのかもしれませんけれども、それほどケースは多くない。また、ぴったりしたケースというのはなかなかないものでございまして、ただ、われわれ金融機関としましては、いかなる場合にもそれに処することができるように用意だけはしている、こういうのが実情でございます。 以上でございます。
○参考人(稲川宮雄君) 私に対しまする御質問、四点ございますので、逐次お答え申し上げたいと存じます。 昨日、第三次の不況対策が発表せられましたが、第一次あるいは第二次の不況対策は、どちらかといいますと、不況がさらに落ち込んでいかないための下支え的な要素が多かったように思いますが、第三次の分につきましては、むしろこの際景気を浮揚していこうという意図が見受けられるように思います。したがいまして、その面においてはわれわれ中小企業も歓迎するところでございます。 特にどういう点が中小企業の望んだものであるかと、こういう御質問でございますが、まず、その中で住宅建設の促進ということが上がっておりますが、これは福祉の充実ということにもつながってまいりますし、また、波及効果から申しましても、住宅というものは、各関連方面にその需要が及んでまいりますので、住宅建設を促進するということは、今後、かなり効果が出てくるのではないかというふうに思っております。 また、財政支出を上期にできるだけ繰り上げていく、しかも、それを七〇%まで繰り上げるということが出ておりますが、七〇%というのは従来から比べますとかなりの率であり、したがってかなりの額になりますので、これも先ほど来お話があります金よりも仕事という面から申しますると、かなり歓迎されるところではないかと思っております。 そのほか金利負担の軽減でありますとか、あるいは中小企業金融の円滑化であるというようなことが出ております。これは先ほど申し上げましたように、特に中小企業が望んでおるところでございます。 それから、官公需の中小企業者への発注機会の増大ということも指摘されておりますが、これも申し上げましたように、非常に望んでおるところでありまして、果たして実効がどの程度上がるかということにつきましては、われわれは必ずしも危惧がないわけではございませんけれども、ぜひこれを実現していただきたいというのが中小企業の希望でございます。 それから第二点でございますが、不況対策に関しまして、値上げの自粛を要求されているが、これに対して、中小企業はどう考えているか、あるいは中央会としてはこれにどう対処するかという御質問であったかと思いますが、まあ値上げを自粛することはこれは当然であると考えます。したがってまた、コストがいろいろな面において上昇しております分は、できるだけ企業努力によって吸収するという方向がぜひとも必要であります。そういう意味におきましても、今回の中小企業近代化促進法の改正というものがぜひとも必要になってくるということにもなると思うのでございます。 しかし、先ほど御指摘がございましたとおりでございまして、大企業の方はまだ余裕があると思いますけれども、中小企業の方はぎりぎりになっておりますし、かつ操業率が非常に低下しておりますだけに、このコストというものを企業努力だけで吸収するということは非常に困難な面がございます。これは業種によって一律には言えませんので、個々に違うかと思いますけれども、まずそれに対しましては、政府の公共料金というものは、これはいま上げなくても非常にそれはしわが寄ってまいりますから、やはり上げなければならぬものだとは思いますけれども、いまの時点におきましては、ぜひ公共料金は値上げを政府の方も自粛をしていただきたい。 また、大企業の方も自粛をすると言いますけれども、その自粛とは何かと言いますると、下請なりあるいは出入りの中小企業に対するしわ寄せによってこれをカバーするということが従来の一つの慣習でございますので、大企業の自粛が中小企業に波及しないようにしていただきたい。その上で中小企業も価格に転嫁するというようなことは極力自粛をしていかなければならないと思いまするし、また、私どもの団体におきましてもそういう方向で指導していきたい。特にこの際、カルテルを組むというようなことは、極力これは避けていかなければならないと思っております。 のみならず、われわれ中央会におきましては、本年度の事業といたしまして、中小企業の行動基準というものをぜひつくりたい。行動基準一つだけで中小企業の行動がすべて改まるものとは考えておりませんけれども、少なくとも今日の時点におきまして、中小企業がどういう考えを持って事業を進めていくかということに関する行動基準をつくって、これを示したいということを本年度の事業計画にしておるのでございます。 そういう意味におきまして、極力価格に転嫁することは避けていかなければならぬと思うのでありますけれども、中小企業の現在の実態から申しまして、また、経済が自由経済であるという点から申しまして、全然価格に影響をしない、こういうようにしていくことは、場合によりましては企業倒産にも進んでくるものでありますから、万やむを得ないものにつきましては、やはり価格をある程度認めていただくということも、私どもはやむを得ないというように考えております。それが価格自粛の問題でございます。 第三点は、大企業の中小企業分野への進出につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、あくまでも私どもは法律によって中小企業分野というものを定め、そこへ入ってくる場合は許可制というようなことで処置していただきたいというふうに考えておるのでございます。しかし、これはむずかしい問題がございまして、すぐにはなかなか法律ができないということでありますならば、そういう法律ができます間でも、今度は確定ではなくて、分野の調整ということについて行政的な配慮をお願いしたい。それは、現在の団体組織法による商工組合の特殊契約というものを活用するというようなことでやっていただく。あるいは団体法の特殊契約でなくても、行政官庁が介入をいたしまして、介入と言うと言葉が悪いのでありますけれども、あっせんをしていただきまして、大企業が中小企業分野へ入ってくる場合には、極力調整をしていただきたいということが私どもの希望でありますけれども、しかし、基本的には法律の規定によってこれを抑えていただきたい、こういうのが希望でございます。 それから第四番目に、不況で下請が非常に悪化しておる、中央会としてこの下請に対する対策として何を望むかということでございますが、先ほどもちょっと触れましたように、下請に対しましてはもうオール現金にしていただくにこしたことはないのでありますが、そういうことを申しましてもなかなか実現はできませんので、手形期日というものを法定化していただきたい。業種によって違うと思いますが、現在でも指導方針としまして九十日とか百二十日とかありますけれども、これを期日を法定化していただきたいというのが第一の希望でございます。 第二は、先ほど申し上げましたように、少なくとも下請企業が従業員に支払いまする労働賃金分だけは現金をもって払うように法律を改めていただきたい。 第三点は、公正取引委員会とか中小企業庁によってもう少し立入検査をしていただきまして、先ほど、中小企業みずからも努力が足りないという御指摘がございましたけれども、ネコの首に鈴をつけに行くということはなかなか困難でございますので、ぜひこの立入検査によりまして勧告をもっと進めていただきたい。場合によりましては公表をもっとしていただきたい。まだ公表をされた例はないはずでございますが、もう少しその立入検査、それから勧告、公表という措置をとっていただきたいということが希望でございます。 以上であります。
○参考人(渡辺睦君) 私に対する御質問は、転廃業を余儀なくされる企業に対して、きめの細かい対策として具体的に何が考えられるかという、こういう御趣旨だったと思います。 どのような中小企業の経営者であれ、親代々から続いてきた事業をやめて転業するということは、大変忍びがたいことだろうと思います。しかし、さまざまな条件の制約を受けて転廃業せざるを得ない、そこまで追い詰められた業者に対してどうするかという点については、幾つか要約をいたしますと、まず第一には休業補償の問題であります。つまり店を開いておったのが廃業せざるを得ない。また新しい事業にスタートする間の準備期間、懐妊期間といいますか、その間における補償の問題をどうするかという問題が、とりわけ末端の零細事業主にとっては非常に深刻な問題になっております。 それとあわせて、既存設備の廃棄と買い上げの問題があるかと思います。それから、新しい事業に転出するための休業期間中あるいは準備期間中の租税負担の軽減、免税措置を具体的にどうやって講ずるかという問題があります。それから、新規事業分野に適合するための従業員、労働者の技能訓練の問題があります。それから、新しい分野に対処するための従業員のまさに確保の問題があります。それと、商品開発とあわせて技術指導を十分確立できるかどうか。それから、先ほども申し上げましたように、この市場開発に対する国及び地方自治体の援助の問題。それから、大企業と違って中小企業が未経験の新しい分野に進出するというようなことになりますと、大変なリスクを伴うということだけではなくて、情報の欠如といいますか、非常に狭いローカルマーケットではなくて、全国的な、あるいは場合によっては海外市場との兼ね合いにおいて、つまり広い角度からの情報サービスの提供、これはやはり公的な機関からなされるべきであろうというふうに考えます。 以上幾つかに要約いたしましたが、とりあえずこの点ぐらいは押さえていただかないと、余儀なく転廃業に踏み切らざるを得ないという業者に対する先行き不安感を克服させることができないだろうというふうに考えます。
○中尾辰義君 渡辺総裁、ちょっと事務的なことですけれども、細かいことで恐緒ですけれども……。 いま金融のやり方で直貸しと代理貸しがある、こういうふうにおっしゃったんですが、直貸しの金額は、私の承っているのは二千万円以上ですか、それ以下はまあ地方銀行であるとか信用金庫の代理貸しであるとかいうようなことを聞いておるんですが、この代理貸しにつきましていろいろ批判もあるようでありますし、ちょっと承っておきたいんですが、どうも地方の中小公庫の支店に行くと、それはどうか銀行に行ってくれと、こういうお話がある。銀行に行きますというと、一つは、そこの銀行と取引の関係がなければなかなか非常に不利である。そんなことでいろいろ苦情も私は聞いているわけですね、なかなか貸してくれないと、それでまた、そういう関係で国の機関が融資をしておるわけだから、一体こういう貸し出しの決定というものはどうなっているのか。銀行の調査によって銀行が貸し出しを決定してやるのか、あるいはまた、焦げついた場合に銀行にどの程度の責任があるのか。それと、直貸しの銀行等に対しての融資の割り当てといいましょうか、あるのかですね、その辺のところをちょっと承っておきたいんです。 これは言わんとするところは、要するに中小公庫が、先ほどおっしゃったように地方銀行なり信用金庫にお手伝いをしてもらうような、委託したようなかっこうになっておるわけですけれども、趣旨はやはり、国の金融機関である以上は、国の金融の方針に基づいてこれは貸し出しもやってもらわなけりゃならぬ。それが一つの銀行なり信用金庫なりそういう中間の金融機関で、民間の金融機関が真ん中に入って、そこで事務的に調査をして、そこで判断をするということになると、どうもお国の方針と反するような、期待に沿えないようなことが起こっておる。非常に不満であるというような声もあるわけですよ。それでお伺いをしているわけですが、実情はどうなっているのか、それが一つ。 それから、中小公庫に頼んだら、貸し出しが決定するまで大体三カ月ぐらいかかる、これが実情のようでありますが、これをもう少し——緊急のときになかなか間に合わないという苦情もあるようですが、いろいろ理由はあるでしょうが、その辺はもう少し短くならないものか、ちょっとお伺いします。
○参考人(渡辺佳英君) お答えいたします。 中小企業金融公庫が代理店を使う理由は幾つかあるわけでありまして、元来私のところは初めは支店も非常に少なかったものですので、どうしても中小企業といいますと、地元でもってお金のお世話をしなければいかぬということもありまして、それは全国に支店網を持っておる民間の金融機関に頼まなきゃならないというケースもございました。 それから、金融というものはやはりうちの公庫だけでめんどうを見るというわけにいかない場合が多いのでございまして、やはり民間の金融機関とまあ協調するというところまでいかなくても、中小公庫からこれだけ金が出ておる、おれのところでもこれだけめんどうを見ると、ことにうちの公庫の出だしは設備資金であったものでありますから、設備資金をうちが出しますと、あとのそれに伴う運転資金はめんどうを見るといったようなのが市中の金融機関に期待しておったのでありまして、そういったことで、結局代理貸しをむしろ原則として出発したようなかっこうになっておったのでありますが、逐次直貸しをふやしまして、現在は直貸しと代理貸しとが半々といったようなかっこうになってきたわけであります。 何もこれは、金額が必ずしも二千万円以上でなければ直貸しにしないということはないのでありまして、直貸しに向いているものは直貸しでお扱いするし、それから代理貸しの方にお願いした方がいいと思われますのは代理貸しにお回しする。したがって、全く市中金融機関とは全然縁がなくて、代理貸しに行けと言われても困るというようなところは、決して無理なことは言っていないはずでございます。 それから、代理店に対しましても、私どもの方でやはり中小企業金融公庫の代理店としてはこういう方針でやってくれということを厳重に契約もできておりますし、通達をいたしまして、それで市中金融機関の固有の貸し出しとは区別して扱わしておる。その辺のところはうちに監査部というのがありまして、そこから職員が分担いたしまして代理店に出かけまして、厳重なチェックをしておる。もちろん、その結果非常にしぶりの悪いというところがありますと、次期の代理貸しの枠を減らすというような措置をとっております。 したがいまして、いま申し上げましたように、代理店に対してはやっぱり一定の枠がございまして、うちの方から金を渡すのに、代理店の方で勝手に中小公庫の金だと言って貸し出したものを、こちらの方から制限なく出しておるわけじゃございませんで、大体四半期四半期で枠を決めまして、これだけお願いするということにしておるわけでありまして、それに基づきまして代理店が貸し出しました場合に、かりに焦げついたとすると、そういう御質問があったかと思うのでございますが、その場合には、その金額の二割はその代理店の責任になるという措置をとっております。全額うちでそのしりをぬぐっているというわけじゃないのでございます。 それから御質問の第二点、中小公庫の貸し付け三カ月ぐらいかかるという御非難があったのでありますが、これは私も中小公庫に着任いたしまして以来、非常にその点を神経質に指導してまいっておるのでありますが、現在のところ、うちが受け付けましてから貸し付けを実行しますのに、大体平均しまして一月半というのが出ておる数字でございます。一ころは確かに百十一日かかったというようなのが出ておりますが、あれは四十七年ごろでございますか、それが大分改善されてきておる。ただ、うちが受け付けます前に、相談に見えまして、そして受け付けになるまでの間に多少時間を要する場合がある。これはやはりうちの方で、せめてこれだけの資料は持って来てくれ、そうしないと受け付けることができるかどうかわからないという時間があるわけでありまして、そのときに、借り入れ申し込み者の方でやはり資料的にある程度協力してもらえませんと、ちょっとそこのところでたなざらしになるという期間があるかと思います。 それから、この期間を短くするために、実は最近は、二回目、三回目と貸し出すような場合には、もう大体事業内容がよくわかっておるものでありますから、一切の審査を省略するという場合もございますし、それからごく二、三ページの調書で済ますという場合もございまして、非常にそこのところスピードアップすることにしております。そういたしませんと、実はうちの公庫も定員が一向ふやしていただけない、貸し付け規模だけは三倍ぐらいになりましても、定員がずっと昔の定員でやっておるというようなことであって、とてもこれは事務が多くてさばき切れない。したがって、そういった意味で効率化というのには特に注意をいたしまして、効率化を図りました結果は、したがって貸し付けの決定もそれだけ早くなるというようなことになっておるかと思います。しかし、まだいまで十分だとは考えておりません。きょうのお話もございましたし、今後も一層そういったことに努めてまいりたいと思います。 ありがとうございます。
○安武洋子君 お忙しい中をお越しくださいました参考人の皆様にお礼を申し上げます。 私は最初に、まず渡辺睦参考人にお伺いさせていただきたいと思います。 今回の改正によりまして新分野進出計画制度、これが創設されることになっております。法律案によりますと、第五条に、「需要が需給構造その他の経済事情の変化による著しい影響を受けている」、こういうことになっておりまして、要するに不況業種の中から指定して新分野進出を促進させよう、こういうものです。本来事業転換というものは、中小業者の自由な意思と創意工夫に基づくべきものであって、業種指定を行って強制的に行われるべきものではない、こういうふうに考えるわけです。しかも実際上、政府の考え方でいきますと、商工組合に限定されているなどと、こういうことで小零細企業がはじき出される、こういう危険性がきわめて大きいと思うわけです。この点についての御意見をお伺いいたしたいと思います。 それから第二点としましては、事業転換を行う上でどうしても欠かすことのできない条件があると思うわけです。しかも、この条件はきわめて厳しいものだと思うわけですけれども、この点についてはどういう条件が必要なのかというのは渡辺参考人が先ほど述べておられましたので、稲川参考人の御意見をお伺いいたしたいと思います。 それから、先ほどから再三御意見が出ている問題でございますので、基本的な考え方だけをお伺いしたいと思いますが、新分野進出を図る場合、当然大企業の激烈な競争、それからあるいは大企業の新規参入などの大きな障害があると思うわけです。この点で新分野進出を本当に成功させるためには、大企業の進出を規制することが大前提だと思うわけですけれども、この点につきまして、渡辺参考人と稲川参考人の御意見を伺わせていただきたいと思います。
○参考人(渡辺睦君) 御質問にお答えいたします。 新規事業分野に対する進出計画制度の問題でありますが、確かに御指摘のように、需要の著しく変化しておる分野、それはもう現在インフレ不況の中で仕事がない。たとえば不況業種に指定されている繊維産業であるとか、あるいは重電、自動車の末端の下請業者、こういったところが一つ考えられると思いますけれども、昭和三十八年の七月の国会で、中小企業基本法が制定されるに当たって、その提案の説明理由の中に、とかく物議あるいは論議をかもしました一つの対象には、事業転換の問題があったと記憶しております。当時の中小企業基本法の制定、あるいは提案理由に当たっては、事業転換はあくまで強制されるべきものではないということを明白に提案理由の中に述べられています。 事業を転換するか継続するかは、あくまで事業主の自主的な考え方を尊重する、これは営業の自由の原則に照らしまして、憲法で保障されている明確な規定がございます。したがって、大方の批判あるいは誤解を招くような、つまり国が何らかの力を加えて、行政的に一定の目標を設定して指導する、転換を指導するようなことは毛頭考えていないということを、昭和三十八年の七月の国会で、基本法が提案される理由説明の中に明白に述べられています。私はそのような提案説明を記憶しておりますので、したがって、こういう憲法の営業の自由の保障の観点からいたしましても、強制的にある特定の業種、たとえばそれが仮に何らかの成長が期待されるとか、あるいは一定の利潤率が保証されるというような形で、つまり行政レベルで誘導し、促進するというような形で、転換ムードに巻き込んでいくということは、新規事業分野を促進するという名前に隠れて、末端の小零細事業主の営業権あるいは生存権すらも脅すような、そういう転廃業を促進するというような方向を通じて、官僚統制と業界のボス的な支配を強化する、こういう危険性がなきにしもあらずという点を、私自身は大変危惧するものでございます。 以上でございます。
○参考人(稲川宮雄君) 中小企業が新分野へ進出いたします場合の条件という御質問でございますが、この進出につきましては、税制上なりあるいは金融上なりの助成措置も講ぜられておるわけでございますから、どんな業種がどんな事業に行ってもよろしいというわけにはやはりまいりません。最近の需給構造の大きな変化がございますので、そういう需給構造の変化に見合いまして、どうしてもこれからは発展できないような、後退するような分野というものがございますので、そういう方面からやはり計画的に発展をしていく、そして新しく発展する分野というものが、それぞれまた最近の変動によりまして展開してくるわけでございますから、そういうような分野を指定していくというようなことが必要でございまして、何でも転換するものはアトランダムにいけるということでは、これは自由でございますけれども、国の施策としては、やはりそこに一定の条件と申しますか、範囲というものを置かれるのはやむを得ないというふうに思っております。また、商工組合等が中心になっておりますけれども、これは商工組合だけではなくて、商工組合に類するようなそういう組織が一定の計画を立てまして、研究と計画によりまして、計画的に転出していくということがどうしても必要ではないかというように考えております。 それから、そういう分野に対しまして、大企業との競争が激しくなってくるので、これをある程度規制する必要があるのではないかという御意見につきましては私も同感でございますが、しかし、先ほど渡辺先生からもお話ございましたように、そういう分野にはかなり大企業もございますので、こういう場合には、まあ分野の確定ということは無理でございまして、そういう場合には、それぞれその調整を講じていただくということが適切ではないかというように思っておる次第でございます。
○参考人(渡辺佳英君) ちょっと訂正さしていただきます。 先ほど中尾議員の御質問に対してお答えした際に、代理店の補償責任二〇%ということを間違えて申し上げましたけれども、八〇%でございます。 訂正さしていただきます。
○安武洋子君 渡辺先生にお伺いしましたのが、一点抜けておりましたので……
○参考人(渡辺睦君) 商工組合の問題でございますか。
○安武洋子君 いいえ、新分野進出を図る場合に、当然大企業との激烈な競争があると思うのですね。ですから、大企業の新規参入などの問題で、基本的な問題として、やはり大企業の進出を規制することが大前提になるのじゃないかということでお伺いしましたので、その点、簡単で結構でございますので……。
○参考人(渡辺睦君) これも先ほど来の私の発言の中にも幾つか具体的にも御指摘申し上げたことで、繰り返す必要もなかろうかとは思いますけれども、やはり既存分野以上に新規進出が中小企業のサイドから試みられる分野というのは、何といいましても利潤率が相対的に高い、あるいは一般的に成長が期待される分野であるというふうな方向を考えるわけだと思います。したがって、その分野においては、もうすでに大企業がかなりのシェアを持っております。また、新規参入に対する障壁もかなり度合いが高い。そういうところに、果たして中小企業の進出を促進するといいましても、どの程度できるだろうか。 あるいはまた、一定期間できたとしても、それがかなりの成長性を期待され、利潤率が高いということが客観的に明らかであるならば、大企業なり、また、いわゆる中堅企業が黙って指をくわえているはずがない。そういう点になりますと、新たに進出した中小企業のところに、また大企業なり中堅企業が押しかけてくるということになりますと、相当なリスクを伴う。したがいまして、中小企業の固有の領域を法的にも守っていく、確保していくということがなければならないし、大企業の進出に対しても、現在のような野放しで放置するというようなことがあっては、ますます中小企業の存立条件そのものが脅かされてしまうとい点について、きつい規制措置が加えられてしかるべきであろうというふうに考えております。
○須藤五郎君 まず最初、渡辺睦参考人に質問したいと思いますが、今回の改正で、関連業種を含めた構造改善が新しく入れられようとしておりますが、この場合、当然大企業も参画するということになりますと、大企業の意向を大きく反映したものになる可能性が大きいと思います。関連業種を含めた構造改善のねらいが一体どこにあるのかという問題につきまして、ひとつ渡辺先生の御意見を伺っておきたいと思います。
○参考人(渡辺睦君) これは産業構造審議会の「七〇年代の産業構造のビション」ということの中にも指摘されておりますけれども、つまり産業構造の大幅な改変を図っていくという一つの方向として、たとえば知識集約型の産業構造という表現があろうかと思います。そういう方向を今後国の方向としてたどるとすれば、七〇年代後半を志向する中小企業がどういう角度で対応していくかというふうに考えますと、言うなれば、知識集約型の産業構造に関連するシステム化の方向をたどっていくという角度から、国の施策もかなり積極的な角度から推進されていく機運が予想されます。 したがって、いまの御質問にもありましたように、今回の改正案で、関連業種を含んだ構造改善を推進すると、つまり企業単位ではなくて、産地ぐるみ、業界ぐるみ、あるいは異業種の協業化を含んだ構造改善ということになりますと、当然大企業の参加も予想され、あるいは協業組合の中の中核的な企業というものが果たしてどの程度の規模のものであるかは別として、かなり大企業の参加も想定されているように私は理解されてならない。したがって、異業種を含んだ協業化、構造改善という方向性が、大企業を中核とするシステム産業の一環として、知識集約型の中小企業がかなり積極的に組み込まれていくという方向で、その路線に乗り得ない大多数の小零細企業はどうなるか、これはもう自助努力が肝要であるというような方向で切り離される危険性が多分に予想されると考えられます。
○須藤五郎君 各参考人にお伺いするわけですが、近代化、この基本は、何よりも自主的かどうかという点にあると思っておりますが、政府も、口では自主的ということを言われておりますが、現実にはいろいろな問題があると聞いておりますので、自主的という場合に、どういうことが保証されておらねばならないのか、こういう点をひとつ各参考人に伺っておきたいと思います。
○参考人(渡辺佳英君) 私は、中小企業近代化法、これはやはりやる気のある企業に対して適用される法律であると考えております。政府がいかに笛吹けど踊らずといって、まあ眠ったような企業もあるでしょうし、努力を忘れている企業もある。むしろ、中小企業の中にはそういった企業も少なくないと思うのでありますが、やっぱりその中でもってこれではいかぬ、近代化を図らなければならないという企業に対して、その道を開いておるのがこの近代化法であると思うのであります。したがって、結局この法律の適用になるのは、やっぱり自主的に企業努力をするという意欲を持った企業であるというふうに考えておるわけでありまして、こういった企業に対して政府がいろいろな施策を講じて、そうして元気づける、それによって中小企業の業界全体を引きずっていくというのが、中小企業問題の解決の近道ではないかというふうに考えております。
○参考人(稲川宮雄君) 中小企業近代化促進法の基本は、自主性にあるという御指摘はそのとおりであろうと思います。最初三十八年に近代化促進法ができました当時の業種別近代化におきましては、その基本計画なり、あるいは実施計画というものはそれぞれの主務大臣がおつくりになる、こういうことになっておりました。しかし、構造改善になってまいりますと、これは各業界の自主性というものが非常に強調されることになってまいりました。これは当然であろうと思います。自主性のないような計画では、これは決して成功するものではございませんので、この自主性というものは非常に大切でありますし、現在でもやっておりますものを見ますると、非常にその業界の意欲に燃えておる積極的なところはうまくいっておりますが、ただ、税制上なり金融上なり、特に税制上の三分の一の特別償却でありますとか、あるいは二分の一の特別償却を受けたいというようなことだけを当てにしておるような計画というものは、あまりうまくいっていないという点を見ましても、自主性というものは、御指摘のとおりきわめて大切なものであると思うのであります。 何をもってその自主性の判断にするか、こういうことでございますが、これはやはり業界のそれぞれ商工組合等の団体がございまして、その団体の内部における役員はもちろん、全組合員の気概というものが大切でございまして、それを十分に見きわめていただくということが、こういう業界を指定したり、あるいは特定する上における一番大切な点であると思います。しかし、実際問題といたしましては、かなりこれは経費のかかる問題でございますし、また、手数もかなり要するものでございまして、膨大な資料を整えなければならぬということもございますので、やはり国の方の金融上、税制上の措置だけではなくて、そういった非常に多くの負担がかかる、こういう点につきましてももう少し御配慮を願いたいというように考えるのでありますが、しかし、それはそれといたしまして、やはり業界の前向きの姿勢というものがきわめて重要であるということは、御指摘のとおりであると思っております。
○参考人(大宮具一君) 渡辺参考人と同じ意見ではございますが、政府の方も、中小企業庁でひとつそういったことの研究指導をしていただきたいと考えるわけです。 なお、民間にはそれぞれの組合もございますので、組合が中小企業の構造、あるいはその他について研究をして、自主的に指導をするという方法をとればいいのではないかと考えます。
○参考人(渡辺睦君) 近代化計画の作成は、主務大臣が決めることに法案ではなっておるようでありますが、事実上は、主管の行政指導と業界の指導層によって、話し合いによって基礎が、素案がつくられるという一つの実行過程のプロセスを考えますと、どうしても近代化策定のプロセスには、商工組合なり協同組合なりの有力な指導層、あるいは業界の指導層の意見がかなり強く反映せざるを得ない。しかも、その実施過程におきましても、業界の上層部の利益が反映する。たとえば近代化資金にしても、あるいは構造改善資金にしても、その具体的な配分の問題、実施過程になりますと、かなり末端の業者の意見が退けられて、上層部分の意見が中心となって推進されているという実情を、幾つか私は実態調査を通じて知っております。 したがって、近代化という場合の自主的かどうかという一つの判断は、その近代化計画の策定のプロセスに末端の中小業者の意見なり要望なりを十分に吸い上げられているかどうか、あるいは一部業界指導層の意見だけに頼って近代化計画が策定されているとすれば、これはきわめて非自主的なものであるというふうに言わざるを得ません。したがって、やはり近代化計画の策定の問題と、それから実際の幾つかの特典の利用の問題にしましても、商工組合なり協同組合なりが傘下構成員の全体の利益の観点から公平な運用がなされてしかるべきであろう。特に、末端の業者の犠牲において業界の頭数を少なくするというような転廃業の促進計画が推進されるということにとっては、大変な困る実情にあると思います。 それからまた、関係金融機関におかれましても、ただ単に資金効率を第一に考える立場からではなくて、公平に行き渡るように、なるほど、考え様によってはやる気のない、眠った企業の経営者に一定の資金貸し付けを与えてもどうかという御批判の向きもありますけれども、そういう眠った人たちをふるい起こすような方向でやっていく。そのためには、一つの推進の母体である商工組合なり協同組合なるものの運営が、本当に傘下構成員全体の利益の観点から運営されているかどうか。また、策定計画が全体の意見なり要望を取り入れて近代化計画が策定されているかどうかという点に、私は力点を置いて注目していきたいと思います。
○理事(熊谷太三郎君) ほかに御発言もなければ、参考人の方々に対する質疑はこれにて終了いたします。 参考人の方々には、長時間にわたり御出席をいただき、また、貴重な御意見を拝聴さしていただきまして、まことにありがとうございました。委員一同を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 これにて午後一時十五分まで休憩いたします。 午後零時四十六分休憩 —————・————— 午後一時二十分開会
○委員長(林田悠紀夫君) ただいまから商工委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○鈴木力君 まず最初に、大臣にお伺いしておきたいと思いますが、中小企業問題というのは、私自身も全然素人でよくわからないのですけれども、いろいろな具体的な施策をあらゆる角度から突っ込んでみても、基本的に言うと、やはり中小企業それ自体の力の弱さをどうするかという一語に尽きるだろうと思いますが、まず、そのうちの一つに、これはもう前の質問者も質問されましたし、政府の御答弁もいただいておるのですが、問題は、いまの総需要抑制からくる不況という問題、この不況に対する中小企業の角度からの対策というものがいろいろあるだろうと思いますが、そういうお答えもさきにもいただいておったようでありますけれども、特に私は、今度第三次の景気浮揚策ですか、方針が今度政府から出されました。それに対しての、大臣は大臣の立場からのまた御意見があられるようでもありますが、この政府の計画、考え方と、さらに、中小企業という立場からすればなお問題がどこにあるのか、まず、大臣に最初に承っておきたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) きのう政府の方では、現在の経済情勢にかんがみまして、ことしになりましてから三回目の不況対策というものを決定したわけでございますが、その中におきましても、中小企業は、日本の経済に占めております非常に重大な役割りということにかんがみまして、いろいろ対策を考えておるわけでございますが、一つは何と申しましても、基本的に経済活動を盛んにするということが根本でございますが、中小企業に対する特別の対策といたしましては、今回の、たとえば官公需の中小企業に対するシェアをできるだけふやす、こういうことも特に強調しております。 それから、住宅関係の仕事をずいぶんふやしたつもりでおりますが、これなども中小企業には相当大きな影響があろうかと考えております。 さらにまた、中小企業の資金面でのいろいろな対策を積極的に、講じていきますと同時に、中小企業は仕事がなくていま困っておるというのが実情でございますから、借入金の支払い期日が来た場合には、特に政府機関の場合には、できるだけ必要とあらば支払い援助等についても政府がこれを協力して押していく、そういうこと。つまり、仕事をできるだけふやすという問題と、それから同時に、金融面でできるだけめんどうを見ていくということを中心といたしまして、中小企業対策というものを相当力強く織り込んだつもりでおります。
○鈴木力君 それで、そういう方針を、第三次を出されまして、そこで中小企業のいま困っている問題がたくさんあるわけです。あれだけで解決するなどということは、これはもちろん言う方も無理だと思いますけれども、これからの見通しとして、大臣、どういう見通しを持っていらっしゃいますか。いま中小企業が、大臣がおっしゃったように、資金面もさることながら事業量が減っておる、そういうところに対する対策として第三次の不況対策が今度打ち出されたわけであります。したがって、その第三次の不況対策が打ち出された後、今後の見通し、つまり何月ごろからその効果が出てくるだろうか、あるいはどういう業種には特に効果が期待されるとか、そういう見通しはまだできておりませんか。
○国務大臣(河本敏夫君) 今回の第三次不況対策、計算方法でいろいろあるわけでありますが、大体一兆六千億ないし二兆円近い新たに仕事をつくり出す、そういうことが言えるかと思います。そういう意味から、大体GNPを一%押し上げる、こういうふうに期待されておるわけでございます。しかし、何分にも景気は底をついたと言われておりますけれども、その底というものは非常に深い。たとえば一年前に比べますと、鉱工業生産は一五%も落ちておりますし、一年半前に比べますと約二割も落ち込んでおる、そういう状態のもとで底をついておるわけでございますから、なかなかこの上昇機運に転ずるということは相当な私は努力が要るのではないか、こう思います。 特に日本の経済というものは、国際経済と非常に密接な関係を持っておりまして、アメリカもヨーロッパもいろいろ景気の回復策に対して積極的にやっておりますけれども、事志と違いましてなかなか思うようにいかない。アメリカの経済も下げどまったようでありますけれども、なおこの上昇は、秋または年末からでないと期待できないという状態のようでございますし、ヨーロッパも、ドイツあたりはずいぶん工夫しておるようでございますけれども、なかなか上昇しない。こういうふうに世界全体の情勢が悪いという状態でございますので、日本だけが今回決めましたような、国民経済全体から見ますとほんのわずかばかりの景気刺激策をやりましても、そうなかなか上昇しないのではないか。 そこで、通産省といたしましては、三月、四月の指標は比較的よかったわけでありますが、五月がどうも悪い状態がまた出ておりますので、六月、七月ぐらいの様子を見まして、そして様子が悪いようですと、八月には産業界の実態調査をしたい。幸いに情勢が上向くようであれば、まあ若干延ばしまして、九月に産業界の実態調査をしたい。こういうことで、いずれにいたしましても、二、三カ月後にもう一回今回の不況対策というものがどの程度産業界に浸透したかということをよく調べてみたい、こう思っております。 中小企業対策といいましても、たとえば下請で言いますと、親企業がしっかりしませんと、幾ら下請関係がいろんなことを言いましても、結局は何もならない、こういうことでございますから、要するに、日本の経済に早く活力を取り戻させるということが肝心でございますので、さっき申し上げましたような方向に沿いまして十分今後の景気動向を見守っていきたい、その中において適切なる中小企業対策をあわせ行っていきたい、こういうふうに考えております。
○鈴木力君 きょう時間が私、一時間ということですから、いまの問題については、やはり大臣がいまおっしゃったように、一つの施策があった後の追跡調査ということを抜かりなくやっていただいて、そしてその後にどういう具体策が出るかということで、いずれまたこの問題についてはお伺いする機会もあるだろうと思いますが、特に私がこの不況対策を最初に伺いましたのは、法案とも多少関係すると思うんです。 たとえば、今度の法案で構造改善事業ですか、そちらの方もずっとさらに強化をされていくわけですね。ところが、何かいま一つの計画例を見ますと、時間がありませんから、具体的なことはできるだけ抜きにして申し上げますけれども、たとえば鋳物なり鉄なりの構造改善をやる、そういう計画があるけれども、たとえば三重県ですかの調査によりますと、特に構造改善事業が計画どおり実行されていない。その三重県の——多分三重県だったと思いますけれども、来年の一月が完成年度であるのに、何か二十何%ぐらいしかまだ進行していないというようなことを伺っているんです。これは三重県ばかりじゃないだろうと思うんです。そういたしますと、せっかくこういう近代化法案をつくり上げてやり出すにしても、基本的な、この不況なりあるいは経済の波にいつでももまれているということがあると、相当計画も狂ってくるだろうと思いまして、最初に伺ったわけです。 ついでですから、いま申し上げたんですけれども、この構造改善事業についてだけ伺いますと、これはどなたでもいいんですが、長官に伺った方がいいかもしれません。計画より相当おくれているということがどれだけあるんですか、いま。
○政府委員(齋藤太一君) 構造改善計画は、大体五ヵ年間の年次計画で実施をいたしておりますので、年度の途中におきましては、若干ずれがございましたり、あるいは非常に進んだりということもございますけれども、大体まあ一応五ヵ年間の年度間に完成をする、こういう目標で進めておりまして、おおむねそういう方向で進んでおるように考えておりますが、特に一昨年からの石油ショック以降の不況によりまして、ここのところ若干のおくれぎみの業種が多いようでございます。
○鈴木力君 これは中小企業タイムスの三月二十一日付のものですが、特に「構造改善事業進まず」という見出しで三重県の調査の例が出ておるんです。これによりますと、「三重県がこのほどまとめた同県下の中小企業構造改善事業実施状況をみると、」という形になりますが、一番いいのは清酒製造業、これはことしの三月までということになっておるようですけれども、八七・二%ぐらい、こっちの方はですね。それからずっといろいろこうありますけれども、さっき言いましたように銑鉄鋳物製造業、これは五十一年三月までに五カ年の計画が切れるわけです。それで、これの進捗率は三九・二%と、まあいろいろとたくさんあります。時間がありませんから、一つ一つどうこうというわけにまいりませんけれども、こういう状態であるのに、しかし中小企業庁の当局は——まあこの申し上げた具体例はどうこうじゃなくてもいいけれども、おおむね順調にいっているという見方で全部そういう把握をなさっていられるとすると、もう少しメスの入れ方が私は足りないんじゃないかという感じがするんですね。これは幸い三重県だけで、よその県は全部うまくいっておれば別だけれども、三重県の例というのは必ずしも三重県だけの例じゃない。不況というのは全国的に不況風が吹いているわけでありますから、全体の傾向としてそういう傾向が相当出ているんではないか、こう思うんですが、いかがですか。
○政府委員(齋藤太一君) 業種別の構造改善ですと、三、四十ございます。進捗状況は担当の原局で随時調べてもらっておるわけでございますけれども、鋳物は、御承知のように機械鋳物が中心でございまして、特に今回の不況の影響を大きく受けておりまして、操業度が半分ぐらいまで落ち込むぐらいの状況でございます。 鋳物の構造改善は、御承知のように自動鋳造装置を導入をする、こういうふうに非常に能力も増加をいたしますし、合理化される形になるわけでございますが、そういう意味におきまして、需要が落ちてまいりますと、なかなかその自動装置の導入がずれる、こういう面がございまして、鋳物につきましては、特に今回の不況の影響を強く受けて、その関係で進捗がおくれておるように考えております。
○鈴木力君 私、これ一つ一つどれがどうかということをきょうお伺いする時間もありませんですけれども、どう見ても、この計画どおり相当いっているものもあるけれども、まあ八七%いっていればおおむね順調ですというお答えですと、通産省の基準が九〇%かなと私は思うんです。 それは別としましても、鋳物の話をすると、鋳物が一番悪いんですという御答弁をいただきますけれども、たとえば同じ三重県の例で言いますと、自動車分解整備業というのがありますね。これは五十二年の三月まででありますけれども、進捗率は二二%、これがそういう数字になっておるわけです。もちろんまだ先がありますから、あるいはこの鋳物よりはいいかもしれません。私はこれを、計画が悪かったと一概に言い切るつもりでいまこの例を申し上げているわけじゃないんです。そうじゃなくて、せっかくこういう法案をつくって、そして前進をしようとしても、それほど中小企業というのは他の条件によって左右されるといいますか、別の条件によって、非常に影響といいますか、その波風を受けやすい体質がある。こういう点をもう少し真剣に、何といいますか、理解してといいますか、見て、その上での事業を進めていかないとというような感じが、どうも私素人でわからぬですけれども、最近商工委員になりましてから、多少そちこちの業界紙を読んでみたり、あるいは業者の人たちに聞いてみたりすると、どうも私の勘がそれほど狂っているようにも思えない。 それで、これは、私の方も前もって御調査をお願いしておかなかったことでありますから——でありますけれども、やはり私は、一つのこの追跡調査ということを、特に中小企業関係を担当されていらっしゃる通産省あるいは中小企業庁においては、いまはもう少しきめの細かい調査というものが一つあっていいのではないかということを申し上げたいわけです。まあいろいろ調査があって、細かい調査等も拝見もしているし、伺っていますけれども、この調査の視点というものを、いま申し上げたようなことがもう少し明らかにできればという感じがしたので、ついでに申し上げたわけでありますが……。 そこで、前に戻りますけれども、私は、中小企業の問題をいま申し上げたような例でこう見てみますと、たとえば不況なら不況という大きな波には非常に弱い、どんなに近代化促進法をもってしても、これはそれぞれの力をつけるというねらいがまだまだ相当あるように見受けられます。だが、それよりもう一つ私は中小企業の問題で、これも何遍も恐らく皆さんの専門家の間では議論済みかもしれませんけれども、この中小企業のうちの下請問題についてもう少し伺っておきたいと思うんです。 それは、下請というのは、俗にこう下請とわれわれも言うんですけれども、一体下請というのはどういう形態にいまなっているのでしょうか。つまり、言いますと、たとえば大手のメーカーから何かの部品なら部品、あるいはその一部なら一部というものを直接下請で製造をしているという一つの形態があるだろう。あるいはもう一つ、そういうメーカーから中間のメーカーに来て、それからまたその次の下請に行くというようなものもありはしないか。もっとひどいのになりますと、これは私がどうも的確な、具体的に行って見たわけじゃありませんけれども、何か下請の零細企業に対する、この部品なら部品の製造をまあやらしている下請の何といいますか、ブローカーと言うと言葉は少しよくないのですけれども、企業からそれを受けて、そして御自分のところは製造せずに、零細のところにこれをまた発注をして、集めていって上に売るという、そういう存在もあるというようなことを聞いておる。これは中小企業庁で恐らく相当調査をなさっていらっしゃると思うのですけれども、どんな形が、大体何組と数字で言うわけにもいきませんけれどもあるのか、ひとつ先に伺っておきたい、こう思います。
○政府委員(齋藤太一君) 自動車でございますとか、家庭電気品のような組み立て産業になりますと、幾重にもピラミッドをなしました下請層があるわけでございます。たとえば自動車の例で申し上げますと、数万の部品を使うわけでございまして、それをシャシーメーカーと申しますか、最終の組み立てメーカーが全部その末端の部品までみずから調達をするということは非常に能率の悪い面もございますので、この数年来の自動車の生産の方式といたしましては、ユニット生産発注方式というのをとっております。 これは自動車の部分を幾つかに分けまして、たとえば、ブレーキ関係ならブレーキ関係というものを特定のブレーキメーカーに任せるわけでございます。そのブレーキメーカーがそのブレーキをつくります、構成する素材、部品をさらにみずから下請から調達をいたしまして、それを集めてブレーキとしての形をつくり上げまして、それを自動車メーカーに納品をする。そういった幾つかのブロックを自動車メーカーが集めまして、最終的にそれをアセンブリーして自動車の車体として仕上げる、こういうふうな形が通常でございます。 そういう場合には、自動車メーカーが直接細かい下請に出すケースはわりに少のうございまして、まず、中堅企業であるそういった一次下請を使ってある程度まとめさしておるわけでございます。この一次下請の中堅メーカーも、まだ自動車の生産が少ないころは非常に町工場的なものでございましたけれども、自動車産業の発展とともに大きくなりまして、現在は資本金十億から二十億くらいの中堅メーカーが幾つかでき上がっております。こういうメーカーが第二次の下請を使いましてそういったものをつくり上げるわけでございます。それから、その二次の下請が、また物によりましてはさらに三次の下請からその部品を購入をする、こういうケースもございまして、総体として数千の下請群がおりますけれども、それが累層を成して三次下請ぐらいまである、こういう形が自動車の場合の普通の生産形態でございます。 家電関係もややそれに似たような形になっております。 それからおもちゃのようなものでございますと、メーカーというよりも問屋みたいなものが部分部分を発注して組み立てましたり、あるいは製品を買い付けるという形の下請の形態をとっております。そういう場合には製造問屋というふうな呼び方をいたしておるわけでございます。 それから繊維製品のような場合には、たとえば合成繊維等で見ますと、最初の糸をつくりますメーカーが、機屋さんに織物にする加工を委託をいたしまして、そして織物を引き取りまして、さらにこれを染色加工業者に染色に出します。そして、それを染めたもので出します場合と、さらに縫製加工まで下請を使いまして最終製品的なものにして出す場合と、まあ繊維の場合にはさまざまでございますけれども、この場合は、いまの自動車のような形の何層かをなした一次、二次、三次といったような形の下請の形態は余りとっておらないように思います。
○鈴木力君 それで、いろいろそういう型がありますが、これは私がいまこの点に一つの関心を持っているわけです。どうして持ち出したかと言いますと、一番末端のメーカーがつくった部品なら部品、ネジならネジが、製品として出るときに、価格がどれだけになっておるだろうかということに非常に疑問を持っておるわけです。たとえば、いまの自動車なら自動車で言いますと、ブレーキならブレーキ、そのブレーキのうちの何か心棒なら心棒というものをつくるわけです、それがブレーキの一つのメーカーに行って価格がどれだけに変わっていくだろう。それから最終的に言って、自動車となった場合のコストの計算にその価格がどれだけになっているだろうか。 私は、いまの下請の問題をいろいろ検討というか——私はまだ検討したなんて口幅ったいことを言うところまでいっておりませんけれども、疑問に思っております一つはそこにあるんじゃないか。中間のいろいろな形で下請が孫になり、ひ孫になってきて、その間に中間のマージンといいますか、これが非常に重なってきて、そして、一番末端の零細の下請業者というものが非常に安い値段で納品をさせられておる。そこに一つの零細下請業者のいまの苦しみがある、力が非常に弱いという点がそこにあるんじゃないかという気がするのです。もしこういう点を具体的に、中小企業庁でどなたか調査なさっているとすれば伺いたいし、調査なさっていらっしゃらないとすれば、どこかでやっぱりサンプル的にでも、そういう調査をして、そして、これが適当なのか不当なのかという問題をやっぱり検討する値打ちがありはしないかと思うのですけれども、いかがですか。
○政府委員(齋藤太一君) 二次から一次に納入します際の価格の決定は、私どもの指導といたしましては両者協議をして、一方的に親事業者が下請に単価を押しつけるというふうなことをしないで、十分協議して決めてほしい、こういう指導をいたしておりますが、それぞれの価格がさらに中間で何と申しますか、上積みされた形で中間のマージンを親事業者が取って、もう一つ上の親事業者に納めておるかどうかといったような点につきましての、原価計算的な意味での調査は実はいたしておりません。 ただ、いま私申し上げましたような自動車の生産形態は、各メーカーがばらばらに自分の自動車に合うように、細かい部品まで発注するよりも、ブレーキならブレーキをまとめてどこかが量産をするという仕組みができますと、そのブレーキメーカーは、単に特定のトヨタならトヨタに納めるだけでございませんで、日産にも納めるというふうな形で、非常に量産がきくわけでございまして、その意味では量産効果が上がりまして、ブレーキのコストが下がってくる。 同じように、そのブレーキの部品を納めておるもう一つ下の下請にしましても、相当大量に製品を納入できるということで、合理化の可能性が、あるいは近代化設備導入の可能性が生まれてまいるわけでございまして、そういう意味では、下請がむしろ独自のそういった技術によりまして、特定の親事業者に非常に一辺倒で支配的な形で納入するということよりも、ある技術を確立をして大量に幾つかの企業に納入をする、こういうことになる方が下請自体の交渉力が増すんではないか、こういうふうに実は考えておるわけでございまして、そういう意味では、そういった量産が可能になるほど下請側の力も増してくるのではないかという意味で、自動車におきましては、そういった生産体制をむしろ指導してまいってきておるわけでございます。
○鈴木力君 もう時間がありませんから、簡単に。 私は、そういうやり方がいいか悪いかということ、いろいろいい点もあるかと思う。それよりも、価格がどうなっておるか、ぜひひとつこれはどこかを調査してみていただきたいと思うのです。それから、協議するように指導しておるということは、もうこの委員会でも前にもそういう議論があったように伺いましたけれども、協議というのは力の強い方が勝つということなんで、大体本当の一番下なんかにいきますと、とうとうここに押しつけられたというのが協議の結果なんですから、それは協議するように指導しているから心配ありませんということでなしに、御指導といいますか、いただきたいのですが、きょうはいまの価格の体系がどう動いていくのかということを、あとでひとつ御調査いただいて教えていただければと、こう思います。 それからもう一つは、下請の関係ではこれももう言い古されたことなんですけれども、支払いの状況です。公取委員会の方もおいでいただいていると思うのですけれども、たとえば川崎市の金融課で調べたのによりますと、これは五十年の一月末日現在の調査でありますけれども、納品から支払いまでの期間に鉄鋼、金属が一・五ないし三カ月というのがずっとあります。それから手形になってまいりますと、九十日から百八十日というのがある。大体前年比、四十九年の九月に比較をしますと、もう三十日ぐらい延長しているという状態が出ておるようであります。それから、現金と手形の割合にいたしましても、だんだんに現金の方が細くなってきて、これは、まあせめて賃金支払い分だけは現金にということは、午前の参考人もそうおっしゃっておったし、最低でもそれくらいという要求があることは私も知っておりますけれども、現金部分がどんどん少なくなってきている。しかも、手形の場合は百八十日、あるいは重電機は百五十日、こういうような数字が出てきて、業者にとっては非常に深刻な問題だろうと思うのですが、公取委員会では、こういう点についての調査などしたものがあるのですか。
○説明員(相場照美君) 御説明いたします。 下請代金支払遅延等防止法という法律がございまして、この法律に基づきまして、下請取引の実態をある程度調査をいたしております。 法律の運用面で申しますと、まず親事業者に対しまして下請代金の支払い状況についての詳細な報告を求めております。四十九年度の件数で申しますと、親事業者、約一万の親事業者に対しまして、下請……
○鈴木力君 前に出てやってください、ちょっと聞こえない。
○説明員(相場照美君) なお、そのほかに下請事業者にも報告を求めておりまして、下請事業者が親事業者からどういう条件で下請代金を受け取っているかということを調べているわけでございます。これが四十九度の実績で、約四千の下請事業者に対してそういった報告を求めております。こういった報告を求めまして、さらに下請法違反の疑いのあるものにつきましては、立入検査等を直接実施いたしているわけでございます。四十九年度の実績で申しますと、正確には八百四十二の事業所に立入検査を実施いたしております。 ところで、先生のおっしゃいました、全体の支払い条件がどうなっているかという点でございますが、確かに現金比率あるいは手形期間、あるいは支払い期間というようなもので、ある程度こういった点は平均的に悪くなる傾向が出ているように思うわけでございます。ところで、支払い期間あるいは長期の手形等につきまして、ある程度この法律で禁止している事項がございますので、こういった違反があれば是正させるという作業をいたしているわけでございます。
○鈴木力君 そこで、たとえばさっき私が言いましたように、現金と手形の比率が鉄鋼、金属では現金がゼロ、手形が一〇〇%というものが相当にあります。それから、機械工業では現金が一〇%ないし五〇%——五〇%もありますけれども、一〇%が非常に多い。それから、重電機はもう現金が一〇%で手形が九〇%、弱電機は現金がゼロから三四になり、手形が六六から一〇〇になっておりますけれども、化学工業の場合には一〇〇%現金支払い。これが川崎市の金融課調べのようでありますけれども、少なくとも現金一〇%、手形九〇%というような、こういう支払い形式は適当だとは私には思われないのですけれども、いかがですか。
○説明員(相場照美君) 御説明いたします。 現在の下請代金支払遅延等防止法、先ほど申しました下請法といっておりますが、この法律では、下請代金の支払いに充てるべきものは現金あるいは手形、直接これでなければいけないというふうな規制はないわけでございます。しかしながら、手形の支払いにつきましては、特に条文を付しまして、割引の可能な手形でなければいけない、割引が非常にむずかしい手形ではいけないということで規制しているわけでございます。しかし現金比率、おっしゃいます現金比率が幾らでなければいけないということまではこの法律では現在規制いたしていないために、こういった状況があろうかと思うわけでございます。
○鈴木力君 それでは公取委員会の方には、いまの点は法律的にはあれだと。公取委員会は、法律違反を、法律というものが基準だと思いますから、おっしゃる意味は無理もないと思いますけれども、しかし、手形なんかにいたしましても、手形の期日やなんか、やはりそういう点については、なお相当綿密な調査をひとつお願いしたいと思うのです。 これは中小企業庁の長官にむしろ伺った方がいい。法律ではそうかもしれないけれども、いま見る限りは、それこそ長官のお手の物である行政指導というものが、もう少し強化されてもいいのではないかという感じがします。特に私が聞いた範囲ではひどい例があるみたいですよ。六十日以内に支払えというのが法律で決められているから、五十九日目に支払った。しかもその支払いは手形で支払った。六十日以内に支払えという法律だから、五十九日目に支払えば、これは法律の枠内だ。そうして九十日なり百二十日なりの手形を支払う、こういうことになってきますと、法律違反ではないけれども、これほど中小企業、下請業者を泣かせるやり方というものはないだろう。いまいろいろと知恵を働かしているときなんです。 時間がありませんから、これももう要望にとどめておきたいのですけれども、こうした面は、私は特にいまのように資金が引き締めの中にあって、そうして不況にさらされておる下請という場合に、中小企業庁、そういう面からの調査と、行政指導というものがもっと強化をされてもいいのではないか、こういう感じがしたので、これを例に申し上げたわけでありますけれども、さっきの価格のあれと一緒に後で結構です、きょうはもう時間がありませんものですから。——それじゃ伺っておきます。
○政府委員(齋藤太一君) 下請代金支払遅延等防止法の施行は、公正取引委員会と中小企業庁と連携をしてやっておりまして、私どもの方も、昭和四十九年度に全国で約二万二千件の親事業者並びに下請事業者から報告を求めまして、取り締まりを行っているところでございます。 去年の十二月までの実績で、違反容疑が二千三百件ございまして、九百三十四件の立入検査をいたしております。これによりまして、ただいまお話のございましたように、品物を受け取りましてから六十日以上経過しても金を支払っていないもの、これは法律の違反でございますので、支払うように指導をいたしております。それから、非常に長期の手形を交付しているものにつきましては、割り引くことのできる手形に手形を書きかえさしておりまして、そういった指導をいたしておるわけでございます。 それから現金比率の問題につきましては、これは法律では現金比率を強制はいたしておりませんけれども、下請中小企業振興法という法律がございまして、その中で親事業者の守るべき、順守すべき事項というものを定めることになっておりまして、その順守事項の中にはこれは告示がなされておりますが、少なくとも下請事業者が支払う賃金相当分は現金をもって支払うことということを定めておるわけでございます。したがいまして、現金比率が全くゼロというのは、その下請振興法によります親事業者の遵守すべき事項にももとっておるわけでございますので、最低賃金相当分というものは現金で支払うように指導をいたしておる次第でございます。
○鈴木力君 いまのは、結論として法律はこうなっている、指導もこうしている。そうすれば、いま私が引いたような事例が出ないはずなんだけど、これはたまたま川崎の例を申し上げただけで、まず私どもと会った限りにおいては、下請業者の人たちはほとんどこの問題で同様な指摘をしているんです。したがって、指導していますは結構ですが、その指導が効果のある指導をしてもらいませんと、少なくともそういう事例が出るということは、どこかに指導の足りなさがある。それはもうやってもどうにもなりませんとおっしゃるなら、これは別の話です。そういう点で私は、もっと指導を強化していただきたいということに一応とめておきたいと思うのです。 それで、本当を言いますと、実はこの法案について若干伺いたいのですけれども、時間がどうも余りありません。私はいま申し上げたような、たとえば先の構造改善の例等から、そういう観点から申し上げて、この法律を改正をした後五年後なら五年後ということを想定した場合に、大体どういう効果をねらっておるのかということを実は伺いたかったのですが、これはちょっと時間がありませんので、この次の機会に譲らしていただいて、実は文部省と労働省においでいただいておるものですから、具体的な問題を残りの時間でちょっと伺わしていただいて、いまのさきの問題は後回しにさしていただきたい、こう思います。 そこで、この法案の改正の趣旨にも、提案理由の説明を拝見をいたしましてもありますように、「従業員の福祉向上、消費者の利益増進、環境の保全」、こういう方向に、いままでのこの法律の趣旨からこれを新たにつけ加えてという趣意がございます。それで、時間がありませんものですから端的に伺います。 従業員の福祉についても、現在、制度的にもいろいろな施設あるいは制度があるということは承知しております。したがいまして、現在あるこの制度についての御説明は、時間がありませんのでいただきませんが、この法律を改正することによって、具体的に「従業員の福祉の向上、」というものはどういう効果をねらっておるのか、端的にまず伺いたいと思います。
○政府委員(齋藤太一君) 従来の近代化計画に対しまして、今回特に、「近代化に際し配慮すべき重要事項」ということで幾つか追加をいたしたわけでございますが、その追加項目の中にいま先生御指摘の「従業員の福祉の向上、消費者の利益の増進、環境の保全」といったような問題がございます。「従業員の福祉の向上、」という場合には、非常に多方面にわたるわけでございまして、労働条件の改善あるいは作業環境の改善、福利厚生施設の整備でございますとか、あるいは健康管理の問題でございますとか、さまざまな問題がございます。 今回の改正によりまして、今後は、これからつくられます近代化計画につきましては、ただいまのような点をどういうふうにその業界としては配慮をしようとするかを計画の中に盛り込んでもらいたい、かように考えておる次第でございますが、それの資金面等の裏づけといたしまして、特に福利厚生施設の整備、たとえば従業員の託児所でございますとか、あるいはスポーツ施設とか、従業員の共同宿舎とか、こういうものにつきましては、中小企業の振興事業団が融資を行っております高度化資金、これが事業量にいたしまして五十年度は約二千四百億円ございますので、この資金をなるべくそういった従業員の福利施設に優先的に使用いたしまして、そういった福利施設の整備を図ってまいりたい、かように考えておるところでございます。
○鈴木力君 その考え方はわかりました。 そこで私は、中小企業の従業員の問題というのに、いままである施設が全部むだだというものもありませんし、みんなそれぞれの有効な効果を上げているということはそのとおりだと思いますが、これは大臣にもひとつ伺っておきたい。伺いたいというか、私の方からも聞いていただきたいと思うのは、もっと基本的な問題に通産省全体が取り組む気持ちがありませんかということなんです。 それの一つは、やっぱり私は賃金だと思うのです。この賃金が、これももう時間がありませんから、具体的なことは余りやりとりするつもりはありませんけれども、企業の大小によって余りにも賃金の格差がある。これは現実です。したがって、従業員なら従業員も、中小企業から規模が小さくなるに従って従業員の募集ということが非常にむずかしくなる。そういうことが一つあると思うのです。 退職金制度にしても、せっかく政府があの制度をつくられた。しかし、まだ退職金制度をつくっていないそういう事業所だって相当数まだあるというふうに私は伺っておるんです。念のために労働省の方においでいただいているんですけれども、わかりやすく、簡単に傾向をひとつ説明してください。
○説明員(川口義明君) 賃金の問題と退職金の問題かと思いますが、事業所規模別の賃金格差でございます。三十年代の後半から四十年代の前半にかけてかなり縮小をしてまいりましたが、ここ数年間はちょっと格差保ち合いという状態でございまして、四十九年で申し上げますと、大体五百人以上を一〇〇として、百人から四百九十九人が八二・五、三十人から九十九人が七〇・八というくらいの状況でございます。 それから、もう一つの退職金の方でございますが、中小企業退職金共済法というので、自分のところで退職金制度を持たない中小企業のために、中小企業退職金共済事業団を中心として掛金を事業団に掛けて、将来事業団から給付をするという退職金共済制度を設けておりますが、これの加入率でございますけれども、四十七年時点で大体中小企業労働者が約千五百万人あるというふうに推定されます。それに対しまして中小企業退職金共済事業団への加入者は百五十万弱でございますので、加入率は一〇%程度かというふうに思います。ただ、中小企業でも三十人以上になりますと、大体八割から九割ぐらい、百人以上になりますとほとんど退職金制度を持っておりますので、退職金の恩恵が全然ない者が九割ということじゃございません。この制度の加入率は一〇%弱というところでございます。
○鈴木力君 私は、いま特にこの問題を取り上げましたのは、いろいろな施設をおつくりになることもそれぞれ大事なことだと思うんです。特にレクリエーション施設でありますとかなんとかという施設をずいぶんつくられる。これも勤労青少年にとっては大変な一つの恩典ではあるだろうと思いますけれども、私は、いまの問題が基本だと思うんですね。 賃金のこういう格差というものをそのままにしておいて、後でレクリエーション施設を、しかも何分の一しか、県に一つぐらいつくっても、もちろん金の額のそれ自体が全然違うはずですから、賃金の方はそう簡単に、施設一つ節約すればできるというそんな筋合いのものじゃあるけれども、こういう問題にもう少し通産省の重点を置いた御指導というものがあってしかるべきではないか。時間がありませんが、せっかくいろいろなものをつくられましても、たとえば雇用調整給付金制度、こういう制度になりましても、企業が小さくなればなるほど利用率が少なくなっていく、私はそういうふうに見える。これは一つの総括として私は大臣にもよく伺っておきたいのは、今後の中小企業の一つの施策の柱として本当を言えば私は、一遍に全国一律最低賃金制度をつくれと言いたいんですけれども、今日言うとまた時間が足りなくなりますから、言うのをやめますけれども、基本的な柱を立てた検討といいますか、そういうことをぜひひとつ着手をしていただきたいというふうに、大臣にもこれはお願いを申し上げたいと思うのです。 それから、もう一つお忘れいただきたくないのは、これはせっかく通産省にも、通産省といいますか、中小企業庁でも御指導なさっていらっしゃいますけれども、中小企業の従業員の教育問題ですね。特に定時制高校あるいは通信教育を受けている生徒たちに対する会社側の、企業側の無理解といいますか、非協力といいますか、そういうことが非常に大きな現象となってあらわれてきておると思います。私は、最近のこの総需要抑制によって、たとえば繊維業界なら繊維業界が破産をしたことによって、学校を退学せざるを得なくなったと。学習権を奪ったとか奪わないとかというようないろいろな議論がありますけれども、それはそれとして一つ重要な問題なんです。 同時にあわせて、公正の定時制なら定時制に通うにしても、企業側の方が許可をしないで通えない。せっかく採用されたときには通い出したけれども、途中から退学をしてしまう、こういうケースが非常に多くなってきている。あるいはまた、通信教育ですと、せっかく通信教育は受けておるけれども、スクーリングに行けないというような、だから、この制度というものがあるけれども、制度は制度のままにして、中身というのはきわめて問題をはらんでおる、こういう傾向があるように私は見ているんです。文部省の担当の方、おいでいただいていると思うんですけれども、まず、文部省でそういう把握をなさっていらっしゃると思うんですが、どうでしょうか。
○説明員(柴沼晉君) 定時制及び通信制の生徒、昭和四十九年五月一日現在で約四十二万の生徒がおりますが、ことに定時制の生徒の場合には、一年生に入った者のうち約三分の一の者が脱落する。それから通信制の場合には、これは通信制教育自体が多少、勤労青少年教育というよりは生涯教育的な観点が強くなりまして、必ずしも単位の取得を目指さない者が多くなってきておりまして、そういうような関係で、実態では、四年以上で卒業できるわけですが、六年間で卒業した者の比率というのは二〇%弱というような数字が出ております。 私どもとしては、定時制あるいは通信制高校生の生徒ができるだけ通学できるようにということで、これは労働省の方にもお願いをいたしまして、また、文部省自身としても定時制、通信制教育の改善委員会というものを設けて、昨年の秋に就学条件の改善ということで、定時制高校生に対しても卒業を条件としての給与とかそういうような形で、できるだけ働きながら学ぶ勤労青少年が通学しやすいような条件整備を図っていきたい、そのように考えております。
○鈴木力君 そこで、これは大臣にひとつ聞いていただきたいのは、私は前に文教委員をしばらくやっておりましたから、この問題はずいぶん文教委員会でも議論をしたはずです。しかし、幾ら文教委員会で議論をしましても、あるいは労働大臣がどんな通達を出しても、具体的にはもう企業が力がないと言えばないと言える。具体的に労働力という問題とかみ合わせることもあるだろうと思いますけれども、少なくとも四時半から学校だというのに、五時までは働いていけ、学校にはやるけれども、時間、給与はどうこうするとか……。あの法律によりますと、中身は、そういうことをしないようにという条文になっておる。だから、入学はしたけれどもやめざるを得ないというのが実態なんです。したがって私は、この問題を解決をするのには、相当思い切ったやっぱり中小企業行政のサイドからの強力な一つの何かがないと、とてもじゃないが、幾ら議論をしたってこの問題は前進をしないだろう。 だから、一つの試案でありますけれども、企業のたとえば退職金何々に加入した場合には、どれだけの助成をするというようないろいろな制度がありますが、そういう制度の中にひとつ組み入れることができないかどうかということなんです。たとえば従業員のうち、定時制高校に、あるいはこれからはもう高校に限らないかもしれません。勤労者教育の対象としておる二部の大学も考えられるかもしれません。少なくとも高等学校ぐらいまでのところは、そういうところに入学をさしておる者については何か助成をするとか、そういうような方途をつくっていかないと、こうした問題は解決をしないだろうと思う。私は、従業員の福祉という問題に、従業員みずからの教育ということを置き忘れた福祉というのは、やっぱり大きな一つの穴があるんではないか、こういうふうに考えて、この問題をいま持ち出したわけなんです。大臣にひとつ御所見を承りたいと、こう思う。
○国務大臣(河本敏夫君) いまの問題は、要するに中小企業が力をつける、体質改善をいたしまして、大企業に負けないようになるということが一番肝心でございますが、先ほど労働省の方からも答弁がございましたように、昭和三十年代の後半から四十年代の前半にかけまして、中小企業と大企業の格差がある程度少なくなるという程度に中小企業の体質改善が行われたと思います。しかし、いま足踏み状態でございまして、なおその差が開いておる。なかなかこの問題を急速に解決するということもむずかしいと思います。 そこで、いま御指摘のような定時制の、あるいはまた定時制に通い、また、通信教育を受けておる人たちをどうするかということでございますが、これも新しい御提案でございますので、中小企業対策の新しい問題といたしまして、今後、文部省とも十分相談をいたしまして前向きに検討してみたいと思います。
○鈴木力君 これは制度上から言いますと、「勤労青少年が高等学校定時制や通信制の課程において学ぶ場合には、勤労青少年福祉法第十二条に基づき、事業主に必要な時間の配慮が義務づけられているが、その実情や問題点をは握し、関係 関と密接な連携をとりつつ啓発指導を行う。」と、これが中小企業庁の出した「中小企業施策のあらまし」の中にはっきりとそう書かれておる。書かれておるけれども、実情はその把握もどうも私は余り十分でないようにも思うし、また、これは把握をして指導しただけではやっぱりだめだ。いま大臣のおっしゃったように、ぜひこれは具体的に一つの大きな制度をつくるといいますか、具体的な施策というものをつくり出していただいて、この問題の一歩前進を図る。そうすることが従業員の福祉という問題の非常に大きな質的な前進になるんだろうと、こう思って申し上げたわけです。ぜひひとつ大臣のいまの御答弁のように、具体的に実現をさせるように、これは強く御要望申し上げておきたいと思います。 あと、さっき申し上げましたように、この法案を改正をして今後の見通し、どういう展望があるのかということを実はお伺いする予定でしたけれども、前もってそういうことを申し上げておきまして、後で機会がありましたら伺いたいと思います。 きょうは、これで一応やめさしていただきます。
○対馬孝且君 まず最初に、通産大臣に、時間が三時までという、衆議院の方に回る予定になっておるようでありますから、基本的な問題をお伺いをしておきたいと思います。 まず、先ほどもございましたが、第三次不況対策についての基本的な考え方につきましてひとつお伺いをしたいと思います。 実は、なぜこれを聞くかと申しますと、北海道では四十九年度三月末までに、現在、倒産数が一千百十二件、史上初の最高を突破しております。一千百十二件であります。負債額が八百三十億三千二百万円というきわめて新記録を出すに至りました。これほど不況によって中小企業は北海道で落ち込んでいるという状態であります。そこで私は、この落ち込んでいる企業を見ますと、建築関係、軽印刷、それからクリーニング関係、豆腐業界、これはいずれも伊藤忠であるとか、森永であるとか、ヤクルトであるとか、大日本印刷であるとかというようなものがどんどん進出をいたしまして、結果的には仕事が大企業によって圧迫をされて倒産をした、こういう特徴が北海道の典型的な特徴になっておるわけであります。 そこで私は、いま大臣がお答えになりましたが、第三次不況対策の基本姿勢として一つは仕事だ、仕事をふやすことだ。それはもう同感であります。第二の問題は金融対策の問題だ、こうしぼって答弁がございました。ところが、きょうの朝日の「気流」という見出しで出ております中に、ちょっと通産大臣の勇み足という表現で話題が出ているんですが、大臣、これはどうなんですか。第三次不況対策ということであれば、少なくとも公定歩合はアメリカでは五回下がっているんですよ。当然いまの段階で不況対策の決め手をしなければ、まだ第四次、第五次という対策ではこれは対策にならないのじゃないか。いま一番底入れをしているのですから、この段階で大臣の考えているとおり、やっぱり第三次の公定歩合の引き下げということをはっきり打ち出されるものと私は考えておったんですが、結論的にはこれは、まあきょうのを見ると、大臣の勇み足の見出しで終わっているのですけれども、これは一体どうなんですか。 金利については、公定歩合を引き下げるということには解釈されていないということに理解をされているようですけれども、問題はここらあたりに、第三次不況対策ということについてこれだけではやっぱり救われないのではないか。こういう点について、見通しを含めての考え方について、大臣がいまなおこの考えを持っているなら持っているという基本姿勢を明らかにしてもらいたいと思うのです。その点ひとつお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 第三次の不況対策につきまして、要点を簡潔にもう一回申し上げてみたいと思いますが、第一は、やはり需要の喚起でございまして、需要の喚起対策といたしましては住宅建設の拡大、それから公害関係の仕事の拡大、それからさらにまた、昭和五十年度の公共事業関係が、前年度からの繰り越し分も入れますと大体七兆八千億ばかりになります。七兆八千億弱になるわけでございますが、その上半期の契約率を七〇%に持っていく。実際はそれを相当超えると思いますが、とにかく七〇%に持っていく。それからさらに、建築制限等は一切撤廃するとか、そういうことを内容とする一連の需要喚起策のほかに、もう一つは、産業活動を非常に圧迫をいたしております一つの大きな原因といたしまして、現在、日本の金利水準が非常に高いということが大問題になっておるわけでございます。 二年前に比べますと、大体日本の金利水準というものはほぼ二倍になっております。国際的に見ましても、いま御指摘がございましたが、アメリカは連続五回の公定歩合の引き下げをやっておりますし、ドイツもいま連続五回やっておるわけでございまして、ドイツあたりは四・五%という公定歩合になっております。また、世界的に金融緩和という状態の影響を受けまして、ユーローダラー金利なども実勢は三カ月もので最近は五・五%ということで金融は行われておる。そういう状態でございますから、比較的金利の高い日本を目がけましてアメリカやヨーロッパの銀行の余裕資金が流れ込んでくる。こういうことになっておるわけでございまして、日本だけが非常に高いという水準になっておるわけでございます。 こういうことのために、先般のOECDの会議におきましても、先月二十八日、二十九日とヨーロッパでOECDの会議が行われたわけでありますが、一部の国からは、日本は不況対策に対して熱心ではない、ということは、結局日本の不況を外国に輸出するということになってわれわれも迷惑するのではないか、けしからぬではないか、やはり日本もヨーロッパ、アメリカと歩調を合わせてもう少し景気振興策をとるべきである、こういうふうな議論も出ておるわけでございます。そういうふうな背景でございますので、現在の日本の金利水準というものが非常に高いわけでありますから、何とかしなければならぬというので、今度の不況対策の中にも一つの大きな柱といたしまして、金利を下げるという項目が一つ書いてあります。 金利を下げるという項目が書いてあるわけでありますが、その解釈は、第三次の公定歩合、あるいはさらに第四次の公定歩合、今後の公定歩合引き下げを含むという考え方と、それから含まないんだ、実勢金利を引き下げるのだ、こういう考え方の解釈がいろいろあろうかと思うのです。そこについて若干の意見の食い違いがあったということでございまして、大勢は、仮にあの文章自身が第三次の公定歩合の引き下げを含むという文字になっておりませんでも、私は、実質は当然引き下げなければならぬと思いますし、また、近く引き下げられる大勢でなかろうか。これは日本銀行のおやりになることでありますから、私が余り具体的に申し上げますといけませんので、多くを申し上げるのは控えますけれども、大勢といたしましてはそういう方向に行きつつある、こういうふうに私どもは理解をいたしております。
○対馬孝且君 いま、大臣の見通しを含めてお答えを願ったわけですが、勇み足でなくて先取りをしたと、こう言う。先見通しで勇み足をしたということであるかどうか、いずれにいたしましても、結果的には第三次の公定歩合を引き下げる見通しが強い、そういう事実は来ると、こう確認していいですね、よろしゅうございますね。 そこで私は、次の問題でひとつぜひお伺いしたいのでありますが、三月二十四日の予算委員会で私は大臣に質問をしておりますし、中小企業庁長官にも申し上げておるのでありますが、いま午前中参考人の方々から言われたことは、ともあれ一つは仕事だと、いま大臣が言うとおり、仕事が欲しい、中小に仕事を与えることがもう何よりのカンフルだ。二つ目は金融だ、こういうことですよ。そして中小企業金融公庫総裁でさえ、現在の中小企業金融公庫の中で三七%の赤字経営の資金繰り等があって、二割増をやはり考えなければならない、自然に二割増になっている、こういった面ではやはり長期低利子ということが必要だということも言われておりますし、それから、全国中小企業団体中央会の稲川専務も長期低利子を強調されました。それから、新たな中小企業の分野の進出ということをぜひ法律で定めてもらいたい。これは中央会の代表も、それから明治大学の教授も強調されました。そこで、税理士の参考人の方から強調されたのも長期低利子あるいは無利子にしたらどうだ、こういうようなことが強調されているわけです。 ともあれそういう意味では、やはり何といってもただこの金利を下げるという抽象論ではなくて、具体的に中小の窓口に行ったら一体本当に下がっているのかということが問題なんですよ。先ほど午前中もちょっとありましたけれども、参考人に質問しましたけれども、確かにこれは中小金融公庫に行けば、市中銀行に回ってくれというようなことで、結果的には市中銀行の取引がなかったら断られるというような結果です。こういう問題が大臣、いままだあるわけですから、まさしくそういう意味では大臣が言われるとおり、ひとつもっと思い切って、時期を見ててこ入れをするというやり方ではなくて、やはりいまのうちに見通しをつけたてこ入れをしなければ基本的な対策はできないのではないか。この点をはっきり申し上げたいと思うのです。 したがって、私は、そういう点の関係の中で大臣にひとつお伺いしたいのは、この仕事を確保するということについて、前回、官公需の中小企業向けが二九・四%であります、それを三〇%にいたしたいというのが三月二十四日の予算委員会で私に対する答弁であります。しかし、先ほど参考人も強調されておりましたけれども、この段階では、もう中小企業を本当に官公需で救おうというのであれば三〇%ではだめではないか。そういう意味では、私は、やっぱり五〇%を目標にして官公需発注を増大をするという基本的な考え方があるかどうか、この点についてお伺いをしたいんです。大臣にお伺いしたいんです。
○国務大臣(河本敏夫君) 中小企業向けの官公需をできるだけふやすという基本方針は堅持をしておるわけでございます、できるだけふやしたいと。これは強い要請が総理からも出ております。何回も政府といたしましては確認をいたしまして、その方向で努力をしておるわけでございますが、県とか市などと違いまして、中央におきましてはなかなか中小企業に回せないような仕事もありまして、そういう関係で何%ということは正確には言いにくいのですけれども、できるだけ努力をしていく、こういう基本方針には変わりはありません。なぜパーセンテージがそんなに、おっしゃるように急に伸びないかということにつきましては、長官からもう少し説明をさせます。
○政府委員(齋藤太一君) 御承知のように、国の予算の場合には非常に大型プロジェクトが多いわけでございまして、たとえば防衛庁の発注の艦船、武器のたぐいでございますとか、あるいは高速道路でございますとかいったような、公社、公団の大型工事になりますと非常に大型プロジェクトで、技術的に見ましても、中小企業では受注できないようなものが多いわけでございます。その点たとえば府県等でございますと、四十八年度の実績で見ましても、中小企業向けが六五%発注されております。私どもは各省庁にお願いしまして、中小企業に回せるものはもう極力回してもらう、こういうことで現在五十年度の計画を立案中でございますけれども、ただいま申しましたように、予算の性格が大型プロジェクトを含んでおります関係で、そう一挙になかなか率が上がらないという面がありますことを御理解いただきたいと存ずる次第でございます。 特に、たとえば紙のたぐいでございますとか衣類の関係でございますとかいったような、わりに中小企業が受注しやすいものにつきましては、大体八〇%ぐらいまで中小企業に発注されておる実情でございます。
○対馬孝且君 これは長官、いつもそういう答えが返ってくるんですが、なかなか中小では技術的にとかあるいは機械能力とかという、いろいろな高度の技術がむずかしいとかとおっしゃいますけど、実際実態はそうでないですよ。中小といえどもかなり技術が向上して、もう対応できるような体制になっていると言うんだ。 現実に水道問題なんか一番いい例ですよ。これは高度の技術がああだとかこうだとかと言いますけども、実際に中小の水道の方の業者に私も陳情を受けましたけども、現場へ行ってみると何も変わらないんですよ、大手も中小も。一例ですけども、水道なら水道工事を大手が請け負って、どこがやっておるかといったら、全部下請に落としているじゃないですか、これ。結果的には違わないじゃないですか。こういうやり方なんだから、私はそれは理屈にはならぬと思うんだ、いまの答弁では。 私は、少なくとも今日の中小を救おうとすれば、これは通産大臣、大臣にもう一遍申し上げますけども、関係各省に対して三〇%ではなくて、三〇%プラスアルファでもって関係官庁は中小に優先発注をせいと、こういうもっと強力な、この間の第三次不況対策で大臣が強力な発言をしているようですけれども、そういう対策を、目標を定めてもらいたいということを強調したいんですよ。この点ひとつ考え方をお伺いしたいということが一点。 それから二つ目は、これはきょう建設省来ていただいておるのでありますが、実は、建設省の関係でも申し上げますけれども、「昭和五十年度建設省所管事業の執行について」ということで、昭和五十年四月七日付各県知事あてにこう出しているんですよ。これはつまり、官公需の仕事をできるだけ中小に発注せいという趣旨なんです。趣旨は私は賛成なんです。ところが、このとおり各県段階ではこの通達が生かされていないということを指摘したいんですよ、これ。率直に申し上げます。これも私のできる調査で聞いた範囲ですけれども、やっぱりこの地元業者を優先させるということが筋ではないか、地場産業を育成するという意味では地元の建築工事を優先させる。相変わらずいま齋藤長官がおっしゃったように、大型工事はとても大企業でなければできないのだから、たとえば鹿島とか大成とか、まあ建築工事で言うならばこういうところに発注しているわけですよ。結果的には、この地元の地場産業というものへは発注契約はなされていない。こういうやり方は正しくないと思うんです。 本当に中小を考えるならば、地場産業を育成強化するということが大事だと思うんですよ。この通達の中にはもちろん大企業との共同発注あるいは分割発注なども載っていますけれども、私はこの点もう一回、これはこの次の二点目でありますが、大臣に、ひとつこういう通達に立って、むしろこの中小企業の発注強化のために大臣としての何らかの行政指導を各県に出してはどうか、こういうことを私はぜひ大臣にとってもらいたいと思うんです。 札幌の例ですけれども、これは率直に申し上げますけれども、実態はほとんどこれは大成、鹿島、もう大建築会社です。地場産業は入っていないですよ、これは本当に率直に言うけれども、これではやっぱり問題があると思うんです。中小の連中がもう泣いているんだから、これは率直に言って、現実に先ほど私が、これはここにありますから申し上げますけれども、これは興信所調べの統計がここに出ています。私がこれ持ってきていますよ。お見せします、長官に。後でこれ出しますから、長官に。これでごらんになっても、札幌興信所の調べによると、五十年一月です、これは四十九年から。これを見ると、全部大企業の受注減、大企業の受注進出によって中小全部つぶされて倒産したというんです、これは。これ、ちょっと中小企業庁長官に出しますよ。単なるうわさじゃないんですから、これは興信所調べのところにこれだけのデータがあるんですからね。 こういう実態というのは、私は官僚的な今日の行政指導だということを言わざるを得ないですね。そういう意味で通産大臣がこの段階では本当に中小企業の振興対策のために考えて、基本的に何らかの行政指導をとってもらいたい、その対策をとる意思があるかどうかということについて、ひとつお伺いしたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) これまでも中小企業に対する官公需の増大ということに対しては、いろいろ努力をしてきたわけでございますが、昨日の第三次の不況対策におきまして、正式に中小企業に対して官公需の増大を図るということが新しい決定として決まったわけでございますから、これが決定されたのを機会にいたしまして、さらに中小企業庁が中心になりまして、関係各省と相談をいたしまして、一応目標といたしております三〇%にプラスアルファ幾らぐらいできるかということにつきまして、至急に、かつ具体的に検討してみたいと思います。
○対馬孝且君 二点目。大臣、二点目答えてください。
○国務大臣(河本敏夫君) もう一点は何でしたかね。
○対馬孝且君 建設省のこういう通達が出ているけれども、各都道府県ではこのとおり実施されていないということです。だから、この点について、いま主管の官庁である通産大臣としては、特に中小企業対策のために何らかの措置を、各省に対して行政示達をしてもらいたいということです。こういう措置をとってもらいたいということですよ。
○国務大臣(河本敏夫君) それはさっき申し上げましたように、各省と基本方針につきまして具体的に打ち合わせをいたします。その段階におきまして、必要とあらば各府県に対して各省からそれぞれ指示をしてもらう、こういうこともやりたいと思います。
○対馬孝且君 それはぜひやってもらいたいということは、私は先ほど、建設省の方が来ておりますので、若干お答えがあればお答え願って結構なんですが、実施段階では適切な指導ではあるんだけれども、これが裏打ちされなければ意味がないと思うのですよね、やっぱり問題は。なぜそれができないかということについても、建設省の所管としてどう考えているかということをちょっとお伺いしたい。
○説明員(中谷善雄君) いまの御質問でございますが、御指摘ごもっともな点があろうかと思いますが、ただ、私どもは四十九年度の建設省所管の補助事業だけについて見ますと、御指摘の札幌市につきましても、件数ダウンは八二%というような大きな件数でございますが、金額にいたしましても五五・二%と、過半は中小の方にお仕事を願っていただいておる。先生の御指摘の興信所といいますと、まあ民間の企業等もあろうかと思います。中小建設業の対策につきましては、御指摘のとおり、国におきましてもいろいろ指導しておるわけでございますが、今後はなお知事さんとかあるいは市町村長さんにもさらに目を向けていただいて、その当該地域の中小の地元業者に行くような行政指導を、民間企業につきましては行政指導をしていただく以外にございませんので、そういう点なお格段の配慮をいたしていきたいと思います。
○対馬孝且君 そこで、あわせて私はきょうは、産炭地域の中小企業対策の関係で、この前大臣にも予算委員会で申し上げて、現地に調査団を出していただくということを申し上げました。幸い調査団を出していただきまして現地把握をさしていただきました。現実にいまなお石炭産業の閉山地帯はまさに暗い谷間です。率直に言ってスラム街と、こう言っているのですが、全く犬とネコが走って歩いているというような状況の中で、それで持って来る企業はまたつぶれるということで、この前申し上げましたように、美唄では恭泰産業、大日音響、夕張では額縁産業株式会社、こういった問題を私は提起をいたしました。それで、現地調査が行われておりますので、その結果どういう対策とどういう手が打たれているのか、また、今後どういう手だてを必要とするのか、この点、ひとつまず大臣に基本的な姿勢をお伺いをするとともに、現地状態を含めて、今後の諸対策を含めて考え方をお伺いしたい、こう思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 先般、産炭地に進出をいたしました企業の倒産が相次いでおるということで現地調査をいたしまして、一体どういうことでこういうことになったのかということについて、あらゆる角度から検討したわけでございますが、目下その結果を整理をいたしまして、関係者におきまして対策をどう立てるべきかということについて検討中でございますが、近くその結論が出ると思います。
○説明員(山梨晃一君) ただいま大臣から御答弁いただきましたように、私ども五月十九日から二十三日まで五日間現地調査に参りました。私どもと申しますのは、私、資源エネルギー庁の石炭部の産炭地域振興課長でございますが、中小企業庁の小規模企業課の指導官及び地域振興整備公団の融資担当理事、それから、現地から北海道庁に御参加いただきまして現地の実情をヒヤリング、これは北海道並びに地域振興整備公団の現地の支部の調査の結果、それから、進出企業連合会からのヒヤリングというものを済ませまして、それから現地の不況業種——繊維、電機部品製造等を中心にいたしまして、現地の八企業を見せていただきまして現地の人たちから実情を聞き、また要望を伺ってまいりました。 不況対策と直接関連のあるもの、それからないもの、非常に多岐にわたる質問がございましたのですが、細かい問題は省略いたしまして、やはり一番大きな問題というのは、金融面の問題と事業拡大の問題でございました。 それで事業拡大の問題につきましては、中小企業庁の方から参っていただいておりましたので、第三次不況対策の審議をする、不況対策で何をやるかという議論をしている過程でございましたので、なるべくその段階で生かしていただきたいということを申し上げておきまして、具体的には設備投資の抑制措置の枠組みの廃止。それから官公需の中小企業者の受注機会の拡大。それから、五十年度上半期の公共事業の円滑な執行というような具体的な項目で第三次対策に盛り込んでいただいたというように了解しております。 それから融資の問題でございますが、これは中小三機関によります返済の猶予という問題。それから、これも中小企業庁の方にお願いしまして、第三次不況対策の方に盛り込んでいただいたということでございます。それから私どもの方でいたしましたのは、地域振興整備公団で現在やっております制度の中で、設備資金の融資と、それから長期運転資金の融資をしております。これは昨年度実は予算が、運転資金の方でございますが、六億円の予算でございました。これは七分四厘で返済期間五年。そのうち返済猶予期間ですか、これが一年。非常に有利な運転資金制度でございますが、この六億を十二億五千万というところまで、これは大蔵省の御了解を得まして拡大いたしまして措置してきたわけでございますが、本年も引き続き——本年の予算が実は六億九千万円になっておりますけれども、これは引き続き弾力的に運用していきたいと、私ども去年の枠を超えてでもやっていくような姿勢をとりたいと思っております。 それから、これは現地に参りまして、特に私ども感じたのでございますが、返済の猶予と担保の再評価ということをやってくださいと、現地から非常に強い要望がございました。これについては、現地に参ります前から、昨年度の暮れから実は地域振興公団の方には指示しておりまして、そういう相談があったらいつでもやってほしいということを言っておったんでございますけれども、現地からあった要望は、それは地域振興公団に頼みに行きたいのだけれども、実は返済猶予をお願いすると、次期の貸し付けに非常に制約を加えられるのではないかということを心配していたということでございました。そういうことは、絶対いたしません、そういうことに関係なく返済の猶予、それから担保の再評価をいたしますということで、現地でもって各企業に対しても、進出企業連合会に対してもお答えしてきております。そういうつもりで実施していきたいと思います。
○対馬孝且君 大臣、これは時間がありませんから…。これは検討した結果、いま経過を答えられていますけれども、検討してから手を打つなんていうようなことでは、これは倒産してつぶれちゃって、後どうにもならぬということになるわけですよ。いつも対策が後手後手に回っているわけです。私は生きたうちに手を打たなければ、まくらお経上げる近くになってからいつも手を打ったって、こんなものは助かりはしないんだから、そういう対策では。 もう一ついま答弁に欠けておるのは、税金の特免ができないかという問題なんです、はっきり申し上げて。これは産炭地の地域の中では、入ってくるときの条件はあったにしても、それはやっぱり特免体制をとってもらわなければ、現実に先ほども鈴木先生から御指摘あったように、かなり産炭地に進出する企業というのは安い賃金で使っておるのです、ここに問題があるんです。これも明らかに地域包括最賃以下の労働者の賃金で使っているのだから。それでなおかつ倒産するという状態は、何があるかという問題です。これは明らかに大企業のメーカーに全部つながっているわけです、大体いま産炭にある企業は。大企業が全部吸い上げているわけです。製品は買いたたく、そして、結果的には労働者を安く使っている。そこへ持ってきて、政府はかなりの援助をしているにかかわらずつぶれていくというところに問題がある。これはもう一つ根本的にメスを入れなければならぬことは、やっぱり大会社にメスを入れなければだめだということです。産炭地に誘致する場合に、何でもかんでもただ産炭地に企業を誘致するならいいじゃないかと、それで政府は金もつけてやる、それで来たものは、労働者を二束三文で安く使う、こういうごまかしの手でやっている大企業の進出のあり方。私は、産炭地企業のあり方について、もっと通産省は、ただ送ればいい、企業を進出させればいいというやり方ではなくて、中小企業を本当に救う、労働者を保護する、労働者の権利が守られる、こういう立場での考え方をとってもらいたいということを強く要望しておきます。これは答弁要りませんから、後でひとつ、最後に大臣からこの点についてのお答えを願いたいと思います。 そこで、法案の根本的な問題だけひとつ大臣、時間がありませんから二つだけ聞いておきます。 いずれにしても、この中小企業近代化促進法の一部改正法案というのは、先ほど来何回も論議なされていますが、昭和三十八年に制定されて、その間手直しをされているわけでありますが、今回の改正案に対しまして基本的にお伺いしたいことは、ともあれ、近促法ができた時代というのは高度成長に向かった時代であると思うのです。いまの状態というのは、もはや安定成長、低成長時代と、こう言っているわけだ。この低成長時代に国際競争力の強化、産業構造の高度化、あるいは国民生活の向上というようなお題目は並べていますけれども、一体低成長時代に入った中小企業のあり方というのは、こういう中小企業近代化促進法の一部改正案という手直しでいいのかという問題ですよ、私の言いたいのは、先ほど来参考人が言っているように、もっと根本的に、中小企業を保護するための、たとえば中小企業の事業分野に対する法律をどのように定めるとか、独占禁止法における中小企業の保護をどう守るか、こういう立場での根本改正というものがやっぱりあってしかるべきじゃないか。何かどうもこの改正を見ると、相変わらず高度経済成長時代の名残をそのまま踏襲をして、一部国民生活の向上ということを、国際競争力と若干の手直しをしてかっこうをつけて通そうという、こういう何かつけ焼き刃のような印象では、根本的に中小企業を救うことにはならないのではないか。こういう考え方について、法案の経過からくる基本的な姿勢について、ひとつ大臣に先ほどの質問の関連と、お答えを願いたいと思うのです。
○国務大臣(河本敏夫君) 私は、いまは世界的な経済の混乱期だと思います。政府の経済に対する基本的な運営方針も、四十八年末の石油ショックによりまして世界経済が大混乱になりましたので、四十九年、五十年、五十一年と、この三カ年間を調整期間といたしまして、五十二年から安定成長の軌道に乗せる、こういうことを目標といたしまして、経済の運営をしておるわけでございます。そういうことでございますから、いまお説のように、根本的に中小企業政策全体を洗い直すべきではないか、その一環としてこの法律も検討すべきではないか、こういう御指摘でございますが、今回は、こういう混乱期でもございますので、とりあえずこの法律の改正だけにとどめまして、基本的な中小企業対策全般につきましては、一応日本経済がいまの混乱期を脱して安定成長に入る、このときを待ちまして再検討をしてみたい、こういうふうに考えておるわけでございます。 それからなお、北海道の産炭地に進出いたしました企業の問題でございますが、これは通産省といたしましても、また関係の省といたしましても、私は、企業がやはり完全に軌道に乗るまではもう少しきめの細かい指導といいますか、それをもう少し密接にやる必要があったのではないか、こう思います。 中小企業といいますか、産炭地に出ていかれました企業の責任者の方におかれましても、もっと積極的に経営の様子等につきまして関係方面にしょっちゅう御連絡をいただきまして、こういう点はどうか、こういう点はどうかということで積極的にいろいろな御相談をしていただければよかったのだと思いますが、何分にもそういう点では不なれであったと思います。でありますから、役所側におきましてもっと密接な連絡をして適切な指導をしていく、こういうことも必要であったと思います。今後はそういう点も十分気をつけまして、ああいうふうなトラブルのないように気をつけていきたいと思います。
○対馬孝且君 いま大臣から、北海道の産炭地域の疲弊による中小企業問題対策については、まさにそのとおりでありまして、つまり日常の企業診断がないということです。企業診断が適切に行われていないということが欠陥なんです。大臣の言われるとおりなんです。その点は大臣も言われておるとおり、率直に反省をしているということですから、私は何も追及の意味ではなくて、ただ、あるいは次官通達を出したとか局長通達を出して、あと点検をしていないという、この点が問題なんですよ、鈴木先生の言うとおり。自後の調査がどういうふうに行われているか、実態はどうなっているのかということを絶えずやらなければ、ああいう基盤の弱い中小企業の産炭地の中ですから、山がつぶれる、また、来た企業もつぶれるといったら、それはもう住む者がいなくなるのですよ、率直に申し上げて。 こういう問題について、やっぱり生きがいを持てと言ったって生きがい持てないでしょう、実際問題として。だから非行少年がふえてみたり、あるいはギャンブルの町になってしまうというようなことになってしまって、大変なことに犯罪が交わってくるということになるわけですよ。つまり、国の政治の欠陥になるわけだ。こういう問題について、大臣の言われるとおり、絶えずひとつ指導点検を願って、私はチェックをしてもらいたい。そういう企業診断等の充実をぜひ行ってもらいたい。これは強く要望しておきます。 そこで、時間がありませんから最後の問題でありますが、大臣は午前中いなかったからあれですけれど、午前中の近促法に対する参考人の意見として出たものだけでなくて、私は先ほど北海道の実例を申し上げたのですが、たとえば軽印刷の問題一つとっても、大日本印刷が来て全部仕事をとっちゃうのですよ。これでまいっちゃうわけだ。それからクリーニングなんか全部そうですよ、現実の問題として。これはリネン・サプライなんて北海道にありますけれども、これは伊藤忠の流れをくんだ会社です。系列会社です。それから豆腐なんか、森永、ヤクルトの関係でこれもどんどん進出をして、大スーパーでもって荒らして、それはもうどうにもならないですよ。太刀打ちせいと言ったって、これは率直に言って太刀打ちにならないですよ。こういう問題について根本的にいま考えるときに来ているのじゃないか。ただ仕事を与えると言ったって、大企業はやっぱり来て、どんどんここへ入ってくるのですから、これを抑えない限りどうにもならないと思うのです。 そういう意味で、大臣にお伺いしたいのは、午前中の参考人も異口同音に言っているように、特に全国中央会が強調されているように、何らかの歯どめをしてもらいたい、その時期はいまなんだ、こう言って強調されているわけです。そういう意味で、わが党も出していますが、中小企業の事業分野の確保に関する法律について、いまこそ真剣に考える時期に来ているのじゃないか。何らかの法律を、大企業進出の歯どめをかう法律をつくらなければ、何ぼ口で中小企業対策と言ったって、それは対策にならないということですよ。そういう点について、ひとつ大臣の最後の基本的なお考え……たくさんあるのですけれども、相当まだ、あともう一時間ばかり続けなければならぬのですけれども、きょうは時間がありませんので、いま基本的な考え方だけひとつお伺いをして、大臣は三時までということで協力いたしますから、ひとつ最後の答弁をお願いします。
○国務大臣(河本敏夫君) いま御質問の事業分野の調整問題でございますが、この問題は、申すまでもなく中小企業問題の最大問題の一つでございます。中小企業の分野にみだりに大企業が出ていきまして混乱をする、仕事を取り上げる、こういことはよくないことでございまして、これまでも何回かそういう例がございました。しかしその都度、通産省の方でそれぞれの行政指導をいたしまして、ほとんど全部問題は私は解決しておると思います。 そこで、この分野調整という問題を法律で決めることがいいか悪いかという問題でありますけれども、法律で決めますと、やはりいろいろな問題があると思うのです。一つは、この法律の上にあぐらをかいて新しい技術の進歩というものが行われない、安易に値上げが行われる、あるいは技術の進歩等、競争がなくなる、こういういろいろな面も出てくると思います。そこで、これまで行政指導がうまくいかないということであれば別でありますけれども、幸いに行政指導によって大部分解決をしてきたわけでございますから、今後も行政指導によってこの分野調整の問題は解決していく。そういうことのために、もちろん通産省といたしましては、そういうことについて詳細な調査を遅滞なく機敏に行うということも必要だと思いますし、同時に、通産省の省内あるいはまた各府県等におきまして、こういう問題を処理するために協力してもらう機関、こういうものをつくる必要もあろうかと思います。そういういろいろな方法をやりながら、法律でなく、行政指導によってこの問題を解決していきたいというのが私どもの考え方でございます。
○対馬孝且君 大臣、行政指導がうまくいっていれば参考人だってああいうことを言わぬし、午前中参考人が全部言っていますけど、また、われわれだってこんなことを言わぬですよ。現実にそれじゃ行政指導でうまくいっていますか、はっきり申し上げますけれども。 たとえば、北海道の印刷の例を挙げますよ、私は。実際に印刷の例が、大日本印刷が来て全部あなたシェアをとって、そして現実につぶれた印刷業者が三軒あるんじゃないですか、この問題については。これは現実に出先の通産局長が指導したと思うけれども、その行政指導がどうにもならないんですよ、これはどう言ったって、あなた。これはもう行政指導ではだめだという例もあるし、いまここにも岐阜県の生コンの例も出ていますけれども、中へ入ったって、それは競争力に太刀打ちならないですよ。 もう一つ、大臣、大事なことは、先ほど午前中の明治大学の渡辺先生もおっしゃっていましたけれども、やっぱり伝統工芸とか、あるいは民芸品による郷土的な民俗的な今日まで来た作品というものは、工芸製品というものは大事にすべきなんですよ、そういう意味では。ただそれは法律のつくり方だって、大臣の言うことは、いや、安易になるとか、あるいはまた簡単に値上げするとかということを言うけども、それは法律の中で、どういうふうに具体的に法律で規定をしていくかということをつくるべきであって、法律のつくり方はどうにもなると思うのです。しかし重要性は、何といっても弱肉強食という基本的な姿勢を改めて、一番基盤の浅い零細企業を基本にして、基本分野を保障するということが大事だということですよ、仕事を確保するということが。その視点に立たない限り中小企業はよくなりませんよ。何ぼ大臣が口でそれは行政指導でやりますと言ったって、行政指導が行き届いていないのだから、行われていないのだから。破産してパーになっているのだから、現実にはあなた。こんなことで行政指導はどうなっているか。私はそういうことではなくて、行政指導が行き届いていないということについては、一定の限界があるのだから、行政指導ではもうだめだという答えが出ているから、法律でもって制定をすべきではないか、こういうことを私は言っているのであって、この点はきょう時間がありませんから、十分にひとつ検討をしていただきたいということを申し上げまして、きょうのところはたくさん質問が残っていますけれども、とりあえずはこの次の機会に譲ることにしまして、質問を終わります。
○委員長(林田悠紀夫君) 他に御発言もなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後三時三分散会 —————・—————