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75回国会参議院1975/03/27

商工委員会 第11号

発言数
288
登壇者
12
会派数
3
開催日
1975/03/27

会議録

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  前回に引き続き特許法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 私、商標についてお伺いしますけれども、最初に基本的なことをお伺いさせていただきます。商標制度とはどういうものかということをお尋ねいたします。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 商標制度は、似た商品の識別をいたします標識といたしまして、当該業者が自分の商品につけまして、これは自分の取り扱いの商品である、あるいは自分の製造した商品であるということを明らかにするものでございます。したがいまして、その商標を続けて使うことによりまして、利用者の方から見ますと、この商標をつけておる商品につきましてはこういう人が製造したものである、あるいはこういう人が販売したものである、こういうことがはっきりいたします。したがいまして、製造業者、販売業者にとりましては、自分の商品につきます信用をそこでその商標で化体と申しますか、シンボライズと申しますか、するという作用がありますと同時に、今度は、利用者側にとりましては、あるいは消費者にとりましては、その商品がだれのものであるかということが明らかになりますので、利用者側にとりましても非常に便利と申しますか、取引上安心して取引ができる、こういう性格があるわけでございます。したがいまして、それを抽象的に申し上げますと、結局商標は取引秩序の維持ということ、それの根幹をなしておりますと同時に、消費者にとりましてもこれは非常に重要な働きを持っておるということでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 商標制度の役割りもあわせてお答えのようです。  ではもう一点伺いますが、商標法の今回の改正目的、これをお伺いいたします。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 商標制度の基本的な役割りにつきまして御説明申し上げたとおりでございますが、今回の改正に当たりましては、現在商標の出願が非常に多うございまして、たとえば、昭和四十八年ではおおむね十八万八千件余の出願がございまして、それに対します審査の、処分をする能力等が、増強をいたしましたものの、余りにも出願の増加が大きいものでございますから追いつきませんで、いわゆる未処理案件と称するものが非常にたまっておりまして、おおむね五十万件前後ございます。年間の、四十八年の処理の件数が大体十一万五千件ぐらいでございますので、五十万件と申しますと、大体五倍近いものがあるということでございますので、そういうふうなことにつきましては、やはり商標制度の本来の目的でございます確実な権利を申請者に付与する、あるいは付与しないということを迅速に決定するということにつきまして、これは非常に差しさわりがあるのではあるまいかというふうに考えまして、これを何とかして早くいたしたい、未処理案件を減らしたい、あるいは処理の期間を短くしたい、こういうことが今回の私ども御提案をしております商標に関します改正案の目的でございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 未処理案件が多いから、その迅速な処理をということが改正目的とおっしゃいましたけれども、非常に出願がふえているというお答えでございます。この出願のふえたことは、よいことなのでしょうか、悪いことなのでしょうか、お答えください。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 商標の出願がふえましたことにつきましては、これはいろいろ見方がございます。当然そういう制度があるわけでございますから、商標の出願というのは当然必要があれば出願するのが当然でございます。したがいまして、出願自身がいい悪いということは言えません。しかしながら、これは程度の問題でございまして、商標の出願がいまのように非常に多いということに関しましては、つまり、原因がどういう原因であるかということによってわれわれは判断すべきものだと考えております。  それで、その原因につきましては、先般御説明したかとも思いますが、いわゆる経済の発展が過去数年間非常に高かったということに伴いまして、商品が非常に多様化してくる、あるいは所得水準が上がりますと、当然消費物資につきましてもいろいろと利用者側の方々のいろいろな要望が出てまいります。それに応じましていろいろ商品が出てくる、商品の多様化があるというふうなことが、商標の出願の非常に大きな原因になっているのではないかと思われます。  それから二番目に、やはり日本の商標は言うまでもなく、言語が日本語もありますし、あるいはローマ字もありますし、最近ではフランス語風のものもございますし、いろいろそういう多様なものが日本の文化の中に渾然としておりますし、あるいは商売の中の名前にも使われております関係上、そういうものがほかの国に比べては違った事情でふえているということもあろうかと思います。  それから三番目には、日本の商標法自身、制度の問題につきまして三点ばかり私あると思いますが、一つは、現在の商標は、最初の出願のときに使用の意思があればよろしいということで、使用のエビデンスを提出さしていないというのが現行法の解釈でございます。したがいまして、いわゆる使用義務というものは、当然商標法の一条なり三条なりに明らかに見られるわけでございますけれども、それにつきまして、その使用の意思ということで出願が出ております関係上、そのチェックが不十分であるということ。したがいまして、私ども曲解をいたしますれば、最初から使用する目的でないものが、あるいは出願があるのではあるまいかということが考えられるわけでございます。  それからなおその次には、私ども考えますのは、やはり商標のいわゆる類否の判定というものに関しまして、これは商標の小委員会でもいろいろ議論ございましたが、類似を判断する判断基準が少し狭過ぎるために、自分の商標を守るためにやはり類似のものを出願せざるを得ないということもあるのではあるまいかということが非常に強調されました。それも一つの原因ではあるまいかと思います。なお、それ以外に私ども現行商標の出願手数料は二千円でございますが、この二千円というのは、与えられる権利の大きさに比較しては、あまりにも安いのではないかという意見も、これは小委員会で非常に大きな議論になったわけでございます。  大体、出願の多い原因並びにその状態は、申し上げたとおりでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 私は、出願のふえたことはよいことなのか、悪いことなのかとお伺いしておりますのに、それに対するお答えは、程度の問題だと、こういうことであって、ほかは私のお伺いしていないことをお答えでした。いま程度の問題だと、こうおっしゃいましたけれども、それでは、出願が少なければこれはいいことで、出願が多いから悪いというふうなことなのでしょうか。元来、商標法の本来の趣旨どおりでしたら、これは多種多様の商品が出回っている、その出所が明らかだ、消費者保護になる。私はよいことじゃないかと思うのですけれども、一体いかがなのでしょうか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) いまお話し申し上げましたように、商標の出願というものは、これは自分自身が自分の商標に使用をするということをお考えになりまして出願されるということに関しましては、私どもはそういう出願に関しまして、これは出願をされるのがむしろ当然であるというふうに考えております。しかしながら、あるいはそうでない目的のために出願をされるようなことも間々あるのではあるまいかというふうに、先ほど曲解と申し上げましたけれども、そういうふうなものも見受けられますので、そういう出願に関しましては、私どもはその出願は抑制していただきたいと考えております。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 商標の不使用があるというお答えですが、それでは商標の不使用の多い理由をお聞かせください。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 現在の商標法におきましては、最初の出願におきまして、商標を使用しているというエビデンスを徴さないことになっております。したがいまして、商標法の三条にその規定があるのでございますけれども、現行法の解釈では、それは商標を使用する意思を有するものであれば、出願をして他の要件が整えば登録できるということになっておりますために、そういう関係でそういう出願がかなり出てくるということは考えられるわけでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 今度はお答えが丁寧じゃないですね。必要なときは丁寧にお答えいただきたいと思うのですけれども、不使用の多い具体的な理由をお挙げくださいますか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 私ども、不使用の多い原因、これはいまの制度上の問題を一つ申し上げました。それ以外に、実態的なことを申し上げますと、先ほど申し上げましたいわゆる類似範囲との関連で、防衛的な商標というものがかなりあるのではあるまいかというふうに考えられます。それからなお、いまの使用制度の結果、当面使用予定がはっきりしていなくても、考えれば直ちにこれを出願するというそういうこともございますし、あるいはこれを持っておりまして、場合によりましては他の目的に使う、あるいは自分が使わないでほかの人に使わせるというふうなことも非常にあろうかと思います。それから、なおこれは悪循環になっておりますけれども、現在未処理案件が非常にふえております結果、いわゆる処理期間が非常に長いものでございますからして、すぐ出願してもすぐ権利にならない、その結果、かなり先のものまでも予定をして出願をしておかなければいけない、そういうふうな傾向も見受けられます。そういうふうなことがいろいろ重なりまして出願が多くなっておるのではあるまいかというふうに考えられます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 何か抜けておりませんか、それだけでしょうか、もう一度お伺いいたレます。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) いまいろいろ不使用の原因を申し上げましたが、私どもが各種のアンケートでとりました結果は、大体以上のとおりでございますが、なお、現在の企業の実態といたしまして、非常に商品が多様化をされておるということを申し上げましたが、多様化されるに従いまして、当然各企業間の競争というのは非常に激しいわけでございますので、ある会社が出せば、自分の会社もそれにつれて出すというふうな、そういうこともございます。いわゆる企業間の競争がかなり激しかったというふうな経済実態も反映しているようにも思われます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 重ねてお伺いいたしますけれども、じゃ学校法人とか宗教法人、サービス業、これは使用されているという御認識に立っていらっしゃるのでしょうか。いまの私の不使用の多い理由の中にはお挙げにならなかったですけれども、これはいかがなんですか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) いわゆるサービス業、宗教法人等の問題につきましては、これは正式に申し上げますと、商品に関係のないマークであるということでございますれば、正式にはこれは商標登録の出願ができないわけでございます。しかしながら、それぞれサービス業を行っておられます方でも、付帯的な業務をいろいろ行っておられる場合がほとんどではなかろうかと思います。したがいまして、その付帯的な業務に関連をいたしまして商標の登録、出願をしてくるという例がかなり見受けられるように思います。しかしながらその問題が、非常に現在の商標登録出願を多くしている原因であるかどうか、原因の一つだとは思いますけれども、その重要部分をなしているというふうには私どもは考えておりません。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 重要部分をなしているかどうかなどという、私そんなお尋ねをいたしてはおりません。不使用の多い理由の中の一つにそれが抜けているのではないかということをお尋ねしたにすぎません。これは後でもう一度お尋ねしますので、これはおいておきます。  次にお尋ねいたしますけれども、先ほどお答えになりました商標の不使用の多い理由として、防護標章の問題ですね。第一点お挙げになりました。それから第二点には、使う予定だけれども、まだ使っていないというふうなことをお挙げになりました。それからその次に第四点として、三点はちょっとおいておきます。第四点として、これ早期に間に合わないので、あらかじめとっておくのだ、こういうお答えでしたけれども、このいま私が申し上げた三点は現行法の運用の問題だと思います。ですから、法を改正するということは要らないのじゃないかというふうに思うわけです。それから先ほどの私が申し上げました学校法人云々ですね、これは後で申し上げますので、私はまず、いま抜かしました、お答えになったのは、商標を自分で使うのじゃない、売買を目的にするのだというふうな、いわゆる商標ブローカーですね。この件についてお伺いいたします。  第三条がありますけれども、第三条には、自己の業務にかかる商品について使用する商標については商標登録することができることになっているというふうになっております。商標それ自体を売買するのを目的にしているいわゆる商標ブローカー、この登録はいまもおっしゃったように、法の趣旨から見てもこれは趣旨に反するということだと思うのですけれども、長官は先日その旨の発言をなさっていらっしゃいます。私は、こういうものを認めるから未処理がたまる、こういうふうに思うわけです。答申でもそういうことが書いてございますけれども、こんなものをなぜ法の趣旨に反してお認めになるのか、私は、これは大臣にお伺いいたしたいと思います。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 事実の問題でございますので、私から答えさせていただきたいと思います。  現在、その商標ブローカーと称します方、俗に商標ブローカーと言われます方々は、出願の当初から自分が使用するという意思をあるいは持たないで出願をされまして、それで商標を取って、取った権利をさらに場合によりましては他の需要者に移転をする、こういう行為をしておられるんではあるまいかと推察をいたしますが、出願をいたします場合には、当然商標とそれに対します指定商品というものを両方並べまして、それで商標の出願をするわけでございますので、当初から何ら商品なし、あるいは使用する意思がなしということで出願をされるわけではないわけでございます。私どもの方の出願としましては、通常の出願と全く同じ出願をされまして、結果的にそういうふうになっているということでございます。したがいまして、先般、その商標ブローカーというものにつきましての実態のお尋ねがございましたけれども、私どもはなるべくそれの解明に努めておりますけれども、実は出願自身が正当なるかっこうの出願が出てまいりますために、はっきりしていないというのが現状でございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 それではお伺いいたしますけれども、いわばこれはブローカーは野放しでよいということになりますけれども、そう解釈させていただいてよろしゅうございますか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 第三条にあります「自己の業務に係る商品について使用をする商標」、先ほど、使用するというのは使用する意思があればという現行法の解釈であるということを申し上げましたが、自己の業務にかかわっているかどうかという観点に関しましては、従来は出願者の善意に依存をいたしまして、これはいわゆるチェックをいたしておりませんでした。指定商品によって判断をいたしておりました。当然出願をするからには使用する意思があるという前提のもとに審査をしておったわけでございますが、いま御指摘がありましたようなことがございましたので、やはり業務というものに関しましては、これを指定商品と結びつけてもっと強く考える必要があるということで、今回、その業務は商標登録出願の願書に記載をさせるというふうにいたしたいというふうに考えております。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 じゃお伺いいたしますけれども、いま使用義務のチェックの問題おっしゃいましたけれども、今度の法改正の何条にそのことが書いてありますんですか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 現在の商標法の第三条の「自己の業務に係る商品について」ということを明らかにするために、省令でそれをその願書の中に記載をさせることになりますが、その根拠の条文としましては、第五条の一項で必要な書類を提出させることができることになっておりますので、それによりまして願書を記載をさして提出をさせる、こういうふうに考えております。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 使用義務のチェックはそれだけですか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 私どもが考えております使用義務のチェックの一端を申し上げましたが、法律の改正といたしまして私どもが今回いたしておりますのは、更新登録出願時におきまして、すなわち、設定の登録から十年たちましたその後におきまして、その時点において過去三年間を振り返りまして、過去三年間の間に使用しているかいないかを更新登録出願時に、職権審査をいたしまして、不使用のものにつきましては、これは更新登録を認めないということを一つ考えているわけでございます。  それから二番目には、現在の商標法の五十条にございますが、不使用のものにつきましては登録を抹消するという審判制度がございます。これにつきまして、従来は審判の請求人に挙証責任がございましたのを、今回これを被請求人に挙証責任を転換をいたしまして使用義務の強化を図りたいというふうに考えております。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 登録の更新時のチェックの仕方、いまおっしゃいましたが、それは今度の法改の何条に書いてありますんですか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) いま御指摘がございましたものにつきましては、改正法で御提案をしております第十九条第二項の改正案の中に書いてございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 具体的にどうすると書いてありますか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 更新登録出願の審査の場合には、従来はいわゆる絶対的不登録事由と申しますか、あるいは公益的な事由と申しますか、そういうものにつきましての審査を主として行っておりまして、これは条文がございますが、それで十九条の第二項の第二号に「更新登録出願前三年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもがいずれの指定商品についてもその登録商標の使用をしていないとき。」これは商標登録出願ができない、こういう規定がございます。ただ、それにつきまして、いま括弧書きを省略して申し上げましたけれども、こういう場合には云々というのが括弧書きに例外として書かれておりますが、それは省略さしていただきます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 それは三年間に使用していなければ登録ができないということだけであって、チェックの仕方を私はお聞きをしているんです。チェックの仕方は どこに今度の法改で載っておりますんでしょうか。法政の中心になる部分ですので、詳しくお答えください。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) いま申し上げましたのは、審査をいたしますところの根拠条文を申し上げたわけでございます。それで二十条の次に一条加えまして、「更新登録の出願をする者は、次に掲げる書類のいずれかをその出願と同時に特許庁長官に提出しなければならない。」という規定がございまして、そこで一号と二号で、先ほど申し上げました十九条第一、一項ただし書き二号に該当するものでないことを証明するに必要な書類でございますとか、あるいは、もし使わない場合には、正当な事由がある場合には使わなくてもよろしいということになっておりますために、正当な事由を明らかにするために必要な書類を提出するということになっております。  それから、二十一条の規定に改正をいたしまして、個別理由の中に、その出願が、前条の規定により提出された書類によりましては、いま申し上げましたようなものに該当するものでないとは認められないとき、または前条の規定により提出されました規定によりましては正当な理由があるとは認められないとき、こういうものにつきましてはこれは更新登録かできない、こういう規定の改正をしておるわけでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 ちっともお答えになっておりませんので、私がお伺いしておりますのは、今度の法律改正の目的というのは、先ほどお答えのように、未処理案件の迅速な処理だ、こうおっしゃっておるわけです。じゃ未処理案件を迅速に処理するためには、私が先ほど整理して申し上げたように、学校法人とか、こういうようなのは後で申し上げますけれども、いまのところ現行法でできないということになっておりますのが、残った問題が先ほどから私がお尋ねしている問題ですね。その中で、じゃどうするのかということをお伺いしましたら、使用義務のチェックだ、こうおっしゃる。これは、じゃ今度の法改の中心じゃありませんですか。この中心部分を一体どう運用するのかということを私はさっきから念を押してお伺いをしておるわけです。法改の中心になるので、もっと具体的にここはお答えいただかないとだめですけれども。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) いま御質問がございましたように、私は商標登録の更新登録の出願につきましての改正条文を申し上げたわけでございますが、それ以外にも、五十条の挙証責任の転換という点につきましても当然同じような規定の改正でございます。なお、これにつきましては、いま申し上げました実際の条文に基づきましてどういうふうな運営をしたらいいかということを、現在運用要綱として素案をつくっております。素案は実はでき上がっておりますが、素案につきまして庁の内はもちろんのこと、内外関係者の御意見を聞きまして、それの最も効率的な、かつ正確な運営をいたしたいと思いまして、御相談をしている最中でございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 今度の法改のまさに中心部分を、御相談をしている途中だと、素案だと、これは私、国会軽視じゃないかと思います。私たちに対してこの法律の改正を提案しておきながら、そのまさに中心部分はここで審議をさせないということになるんじゃないですか。大臣、こういう態度はいかがなんでしょう。こういう法律の改正の出し方というのはあるんでしょうか。私は国会軽視だと思いますけれども、お答えいただきとうございます。——大臣にお伺いしております。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 先にこちらの方から。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) いま申し上げました条文の根拠に基づきまして運用要綱を作成をしておるわけでございますが、いずれも運用要綱と申しますのは、当然条文で規定をいたしております範囲内で書かれておりますと同時に、それにつきましての詳細なる記載方法なり、あるいはそれにおきますいろいろの添付書類の内容であるなり、そういう詳細なことが実は書かれておるわけでございます。それは法律の内容で記載をするには適しないことではなかろうかと存じまして、運用要綱の方に譲っておるわけでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 どうぞ大臣。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) いま長官が申し述べたとおりでございまして、こういうやり方は私は往々にしてあるのではないかと思います。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 いまおっしゃいました、詳細なこととおっしゃった。私は詳細じゃないということを再三重ねて申し上げているわけです。今度の法改の提案の理由、未処理案件の処理、余り聞いたことありませんね、こういう法改の趣旨なんというのは。それを促進していく中心部分になるのにそれを法案に載せない。しかも、おたくの方ではこういう運用要綱というのをおつくりなんですね、二月五日。なぜお出しにならないのですか。私の手に入ったのはけさなんですけれども、こういうものをお出しになって、なぜ一緒に審議を国会の場にのせようとなさらないのですか。国会軽視じゃないですか、こういうやり方は。そして、法の範囲内かどうかということをおっしゃいますけれども、これが範囲内かどうかということは審議をしてみなければわからないのじゃないでしょうか。もう一度、大臣、こういうことについてどうお考えになりますか、お伺いいたします。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) いまさっき長官がるる申し述べましたように、こういうやり方は往々にして私はあると思います。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 こんなものが往々にあってもらっては私は困ると思いますので、この点は厳重に申し上げておきます。  では、その法の範囲内で運用規定をつくっているのだとおっしゃるこの中身の問題について触れさせていただきますけれども、願書に出願人の業務を記載するということを先ほどおっしゃいましたですね。間違いございませんね。——この指定商品に係る業務を行う予定がある場合、その旨の説明書を提出すること、こういうふうになっているわけです。でも、これ、特許庁がどうやってこのことを確認されるのですか。書類審査だけなんですか、それともこの書類がおかしいなと思えばほかの方法でこれを審査なさいますか。その点をお伺いいたします。

土谷直敏特許庁審査第一部長

○政府委員(土谷直敏君) お答えいたします。  この願書へ記載されました業務のチェックは、原則として書類に書かれているところに従って審査をいたします。ただ、非常に問題が多いと思われるような願書が続けて出されたような場合には、改めて調査をすることもあり得るかと思います。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 じゃ、書類に書かれたのはおおよそまるのみと、こう解釈させていただいてもよろしゅうございますね。

土谷直敏特許庁審査第一部長

○政府委員(土谷直敏君) そのとおりでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 大変結構なお答えで、それでは何にもならないということだろうと思います。  それから、第二にお尋ねいたしますけれども、業務に係る審査と、こういうのは、「出願人が指定商品に係る業務を行う蓋然性」を見るのだと、こういうふうになっておりますけれども、一体この蓋然性というのはどういうことなんですか、お伺いいたします。

土谷直敏特許庁審査第一部長

○政府委員(土谷直敏君) 先ほど長官から御説明申し上げましたとおり、商標登録の要件としまして、自己の業務に係る商品について使用するということでございますが、使用する意思があるかどうかということはチェックするのが非常にむずかしい。したがって、その業務を現在行っているかどうか、あるいはこれから先行うかどうか、またはその見込みがないかということをチェックするわけでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 じゃもっと具体的にお伺いします。  ここに一つ「パン・菓子製造業」なんて挙げていらっしゃいますので、パンでお伺いいたしましょう。業務が産業機械製造業、これでパンが指定商品、こういう場合は蓋然性が認められますか。

土谷直敏特許庁審査第一部長

○政府委員(土谷直敏君) 一義的には認められません。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 じゃ、この人は産業用機械で製パン機をつくっていて、そしてそれだったらパンもつくろうと、こういうことで出願したとします。これは蓋然性が私はあると思うのですけれども、この点についてはいかがなんです。

土谷直敏特許庁審査第一部長

○政府委員(土谷直敏君) 機械をつくっておりまして、いまお話しの点は、あるいは製パンの、パンをつくる機械をつくっているということかと思いますが、その場合に、私どもの方でそこまで当初判定できない場合は一応拒絶理由通知を出します。ただ、先方からそれについての説明が出てまいりました場合には、これは認めることになります。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 じゃ一体、蓋然性というのはどこで判断なさるのか、その判断基準を明確にお答えください。

土谷直敏特許庁審査第一部長

○政府委員(土谷直敏君) 蓋然性の判断は、本来社会通念に従って行うことと思いますが、一応私どもの方に現在も百二十名ほどの審査官がいるわけでございます。それが統一的に判断できますように、先ほどちょっと申し上げました運用要綱というものを目下作成しているわけでございます。そしてその中に、次のような場合に、「次のいずれかに該当しない場合には、拒絶理由を通知する。」ということで申し上げますと、一つは、「記載された業務中に指定商品の全部が含まれている場合は、全部の指定商品について認める」と、それから、「記載された業務中に指定商品の一部が含まれている場合には、」この場合にも「全部の指定商品について認めるものと」します。で、「記載された業務中に指定商品が含まれていない場合であっても、その業務中に含まれている商品の一部が指定商品の属する商品区分に含まれているときは、その指定商品について認めるものとする。」、こういうふうな基準をつくってございまして、このいずれにも該当しないときは「拒絶理由を通知する。」というふうに現在要綱試案として考えておりますが、この点は庁内外の意見を聞いて目下固めつつあるところでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 いまお答えの社会通念がやはり基準になるというふうなことじゃないですか。いかに十分に運用要綱つくってみたところで、こういうものは、いまお答えのように、社会通念というものが基準になると、一人一人の審査官によっても違うじゃないかというふうなことで蓋然性ということをお答えになっても、私はこれはやっぱり、こんなものでちゃんとしたチェックができるというわけはないと思うんです。  もう一点聞きますけれども、更新時における使用状況の審査、これは先ほどのお答えの中で少し出ておりましたけれども、書類と写真だ、こういうふうにおっしゃっております。この前三年間ですね、使用したかどうか、写真を写してきただけで証明になるかどうか、私はこのことをお聞きしたいんですけれども、これはいかがなんでしょう。

土谷直敏特許庁審査第一部長

○政府委員(土谷直敏君) この更新時の使用のチェックでございますが、やはり更新の申請をしてくる件数が非常に多いわけでございますので、出してくる、つまり、使用している証明の書類も画一的なものを私どもは期待しているわけでございます。したがっていまお話しのように、登録商標が指定商品に使用されている状態の写真をとって使用状況説明書に添付する、こういうことにいたしております。私どもとしては出願人の善意を信用して、その写真が正当なものであるというふうに一応は考えたいと思います。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 じゃ基準は、三年前かどうかそれは善意に待つと、こういうことなんですね。  じゃもう一つお伺いいたしますけれども、商標を使用している状態です。いま、よくこういうことがあります。お薬屋さんに行きます。お薬を買います。中は武田の製品、そしてそれを包装してくれます。外は三共のマークのついた包装紙。これはどこが悪いというのでもないに、まあ製薬会社はサービスしようと思って、そしてお店もそれをサービスとして使う。しかし、よく売れる商品については、あらかじめ包装もしてあって、お店に積んである、こういう状態です。中は武田、外は三共。まあお化粧品でもよくこういう状態があるわけです。消費者もずいぶん混乱はいたしますけれども、これは商標の使用についても大きな問題があろうと思うんです。この場合、外身でチェックをされるんですか、中身でチェックをされるんですか、それをお伺いいたします。

土谷直敏特許庁審査第一部長

○政府委員(土谷直敏君) 本来、中身について考えるべきだと思います。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 じゃ外身の写真を写してきたら、これは外身だということがどうしてわかりますか。

土谷直敏特許庁審査第一部長

○政府委員(土谷直敏君) お答えいたします。  この現在の運用要綱でも、その点も一応問題だと考えております。それで、登録商標が指定商品の包装または容器だけにつけられている場合は、その状態をはっきり示す写真を出していただくということに考えております。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 じゃ外身のこの包装に使われて、商標がそういうふうな形で使われているのは使ったことにならない、使用している状態じゃないというふうに受け取らしていただいていいんですか。

土谷直敏特許庁審査第一部長

○政府委員(土谷直敏君) そのとおりでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 先ほどからいろいろなお答えなんですけれども、それでよろしいんですか、そういうお答えで。実に運用次第で、まさに広くも狭くもなる。審査する者の考え方でどうにもなるというふうにしか、先ほどからのお答えでは受け取れないわけです。運用要綱もまさにそういう内容を私は示していると思うんです。ですからこれは、こういう特許の権利が、ある人には認められるけれども、しかし、ある人には認められないというふうな、非常にこの付与について不公平が起こる問題を含んでいるわけです。私はこういう問題については、もっと根本的に考え直すべきじゃないか。こういうふうな不十分な法については、再度私は考え直して国会に出されるべきだ、こういうふうに思うわけです。非常にこれは権利付与の不公平ができるという重大な問題を含んでおりますので、私はその点を強く要求申し上げます。いかがでしょうか。

土谷直敏特許庁審査第一部長

○政府委員(土谷直敏君) 商標を使用しているかどうかという点につきましては、これまでアメリカは使用主義をとっておりますので長い経験がございまして、そこでは幾多の判例が出ております。あるいはドイツの場合も、その使用についての判例がやはり出ております。私どもとしましては、当初考えられるものはできるだけ運用要綱に盛る、つまり審査官の審査の基準といたしたいと思っておりますけれども、あらゆるケースが考えられると思いますので、それらについては今後の実際の使用のチェックに当たって判断をしていく、あるいはそれにつきましての審決、あるいは判決等に従っていくというふうに考えられます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 大体採決間際になってからそういう中身の運用要綱をお出しになるというところに私は大きな問題があると思います。この運用要綱も、先ほどから私、御質問申し上げているように、明確な基準をお示しにもなれない、こういうことなんですね。私はここに重大な問題があるということをお伺いいたしておりますので、長官お答えくださいますか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) いま一部長がお答えを申し上げましたとおりの内容でございますが、この運用要綱試案と銘打っておりますものにつきまして、具体的な記載の方法、あるいは審査官が判断をする場合の審査の判断の基準というものにつきまして、やや詳細に記載をいたしております。しかしながら、法律もそうでございますし、あるいは運用要綱もそうでございますが、この世の中に起こりますすべての場合につきまして、これを明細にするということは非常に困難でございます。したがいまして、私どもとして考えられ得る最大限度のものをここに盛りまして、かつそれを、審査官の判断がばらばらにならないように一応の基準になるようにということでつくったわけでございます。しかも、これはもちろんできました場合には、庁の内外に確定をいたしましたならば公表をいたしまして、それで公平な運営をいたしたい、そういうふうに考えております。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 今回の場合は、私はこの問題が法改の中心だということを再三再四申し上げて、おかしいじゃないかということを言っておりますね。大体、法改の趣旨が未処理案件の促進だと、こういうおかしなものでしょう。それに対しての今度の目玉、ここが実にあいまいにかすむからこそ、私は最初から何度も何度もこの点を申し上げているわけです。わかっていただけないようですけれども、もう一度考え直してください。  次に移ります。  先ほど私が後でお伺いすると言った件です。学校法人、宗教法人、それからサービスマーク、こういう問題ですけれども、これは三十一国会でも問題になって、前向きの検討をお約束なさっていらっしゃいます。それが一昨日、長官は、この件について未処理案件がなくなってから前向きの検討をいたしますと、こうお答えですけれども、大変おかしいわけです。このサービスマークとか学校法人、それから宗教法人、こういうようなものが非常に未処理案件とかかわりのあるものだというふうなことは答申にも出ております、先ほどのお答えの中にも出たわけです。この問題を度外視して、未処理案件が済んでからというのは、私は大変無責任な態度じゃないか、こういうふうに思うわけです。それから、前向きの検討をお約束しながらいままで放置された政府の責任もまたこれはあると思います。無責任だと思います。  学校法人とか宗教法人、それからサービスマーク、こういうようなのは、権利が優害されたときに名誉毀損、こういうことで裁判に訴える以外にない、その使用を禁ずる法律がない。だから、やむを得ず商標法でその保護を求めているわけです。商標法にこの救済を求めておりますけれども、これは商標法の趣旨に合致しないわけです。そのことが出願をふやして、未処理を累積させているわけです。この学校法人、宗教法人、サービスマーク、こういうようなものを保護する道は、私は二つあると思うんです。その一つは、これは商標法を拡大して保護をするということですけれども、これは法律の趣旨ではない。じゃいま一つ残された道、それは別法でその保護を考える道、こういう道があると思うのですけれども、この可能性は一体あるのかないのかということをお伺いいたします。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) いまお尋ねがございましたサービスマークの問題は、言うまでもなく非常に重要な問題でございます。私どもはこれにつきましては現行の商標法の四条の一部におきまして、著名なものにつきましては保護をすることに相なっております。かつ不正競争防止法の規定でも一部これが保護されることに相なっておりますが、なお、それだけでは不十分であるということは十分私ども認識をいたしておるわけでございます。  したがいまして、現在いかなる法体系、法律のかっこうとしてこれを実現するかということはいろいろ考え方がございますので、明瞭に現在割り切って申し上げることはできないと思いますが、商標というものは本来商品に結びついたものであるということでございますので、それを商標法の中に加えます場合には、それと切り離したかっこうで一応加えなければいけないということでございますが、なお、それは法律のかっこうとして絶対に不可能であるかというと、それも言い切れないと私は考えます。したがいまして、商標法の一部でそれを実現するか、あるいはそれが法制的に検討しました結果、非常に不可能であればそれは別法で考えるということも考えられるわけでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 私はいま、別法をおつくりになるそういう道、そういう可能性があるのかないのかということをお伺いいたしました。それのお答えをもうちょっと明確にしていただきたい。そういうことなんですけれども、未処理を促進するとおっしゃりながら、これについては何となくあいまいなお答えをなさった。そうしてもう一つの使用義務のチェックの問題についてはまことにあいまい。一体どういうふうにして未処理を促進されようとしているのですか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 第一の御質問でございます、別法でやる可能性があるかどうかということにつきましては、別法でやる可能性もございます。  それから第二番目の御質問でございます、使用義務というものと審査の促進、未処理案件を減らすということとどういう関連があるか、こういう御質問であろうかと思いますが、先ほど申し上げましたように、商標の出願の多い原因というのはこれこれこれこれと申し上げました。繰り返しませんが、その中でやはり使用されていない商標というものが現在でも相当ございます。それから出願する時点においても、あるいはそういうことがあるのではあるまいかというふうにも考えられますので、その使用義務を強化することによりまして、本来使うというふうな意図を持っておられない出願をまず抑制をしていただきたいと考えておりますと同時に、今度は使っておりません登録商標に関しまして、各種の使用義務を課しました結果、登録商標が抹消されるという事態が起こります。したがいまして、当然抹消いたしますれば登録商標の数は減るわけでございますから、審査官のいわゆるサーチ範囲というのは減るわけでございます。そういう各種の方法を通じまして、未処理の案件の促進を図りたいというふうに私どもは考えておる次第でございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 別法の可能性があるとお答えでしたけれども、やる御意思はおありなんですか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 現在の特許庁の商標の処理の状況は累次申し上げたとおりでございますので、現在の状況のまま新しい業務をこれに付加することは実際上非常にむずかしゅうございます。したがいまして、現在のままで仮にずっといくとすれば、私どもはこれはかなりむずかしい事態だと思います。しかしながら、私どもが考えておりますのは、現在御審議をいただいておりますこの特許法等の改正案、ことに商標部分につきましての目的が未処理案件を早急に減らす、処理期間を短くする、こういうことを目的としておりますので、これが達成するめどがつきましたところでは、私は前向きに考えたいというふうに考えております。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 次に移ります。  消費者は商標を見て品物を買うわけなんです。一応商標でその品物がどんな品物かという目安をつけますけれども、その商標が消費者が知らない間に売買されていたら、これは消費者が混乱すると思うのです。それについて特許庁、処理をおとりですか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 商標権の売買といいますか、譲渡といいますかという場合には一定の制限がございまして、これは商標法の二十四条に規定がございまして、「商標権を譲り受けるには、通産省令で定めるところにより、その旨を日刊新聞紙に公告しなければならない。」、それから「商標権の移転の登録は、前項の規定による公告があった日から三十日を経過した後でなければ、することができない。」というふうな規定がございまして、一応公示制度になっております。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 日刊新聞で公告なさるということですが、その日刊新聞は朝日新聞ですか、毎日新聞ですか、それとも何新聞ですか、私はついぞ見たことがないんですけれども。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) この日刊新聞は、そもそも譲り受ける者が日刊新聞に公告をするわけでございますので、譲り受ける者が出せばいいということでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 何新聞に出ているんですか、私は毎日新聞も朝日新聞も一向に見たことがないんですけれども。特許庁も御存じない新聞に出るわけですか。

土谷直敏特許庁審査第一部長

○政府委員(土谷直敏君) 営業関係のことでございますので、私の存じております範囲では主として経済関係の新聞、あるいは通産省公報等に掲載されております。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 いまのお答え、間違いございませんですか。

土谷直敏特許庁審査第一部長

○政府委員(土谷直敏君) 私はそのように存じております。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 いま産業関係のことだからとおっしゃいましたけれども、じゃ法の趣旨から言いますと、第一番目に特許庁長官お答えになりました消費者の保護だと、消費者が全然知らないでこれで消費者保護になっておりますか。

土谷直敏特許庁審査第一部長

○政府委員(土谷直敏君) その点は先ほど長官がお答えになりましたように、譲り受ける者が選択できます関係上、その旨を日刊新聞紙に公告ということになっておりますので、譲り受け人が新聞紙を選択することになります。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 特許庁の方にお伺いいたしますけれども、こういう公告が中央紙に載っているということを御自分の目で確認されたことございますか。

土谷直敏特許庁審査第一部長

○政府委員(土谷直敏君) 朝日、毎日とかいつもような中央紙に載っているのは、私も見たことがございません。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 それを放置されて消費者保護とおっしゃるのは、特許庁いかがなものでしょうか

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) この日刊紙の公告の問題は、いま私並びに第一部長が申し上げたとおりでございまして、通常は広く見られる日刊の新聞紙には載っておりませんということは事実でございます。したがいまして、その場合の移転なりあるいはこれは実施権の場合にもあることでございますけれども、この移転なり実施権の与える趣旨といいますのは、その商標とその商標を使用している業務と一体になってそれを保護しているわけでございますからして、譲り受ける場合、あるいは実施権を付与する場合には、当然その商標権の持つ価値といいますか、それに対する営業の裏づけといいますか、そういうものが害されないという判断のもとにその譲渡をされる、あるいは実施権が付与されるというふうに私どもは考えております。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 だれもそんなことをお伺いいたしておりません。特許庁として消費者保護という法の趣旨を生かしておられるのかどうかということを、新聞の例を挙げて私はお尋ねしたわけです。それに対して明確なお答えがないわけですから、まあそういう特許庁ですから今度の料金も五倍にお上げになる、それでそれを先日の質問についても、いままでの料金は低きに失していたんだ、こういうお答えが出てくるわけですね。中小商工業者の苦しみがおわかりかどうかということを私はお伺いしたいです。こういうふうにして五倍にお上げになると私のところにも陳情が来ております、こういうような料金は高過ぎるのだと。私はこういうことをなさったら、まさに値上げ三木内閣と言われても仕方ないと思うんです。本心は、こういうふうに料金を高くして出願を押さえられる、そういう本心じゃないんですか、お伺いいたします。

土谷直敏特許庁審査第一部長

○政府委員(土谷直敏君) 料金の引き上げが、今回の制度改正でそのねらっております効果を上げるために一つの重要な要素であると私は思っております。それで、この点につきまして私ども、答申が出ました段階で各地に説明会等にも参ったわけでございますが、実際に大企業でないところの方々が言われるところによりますと、むしろ大企業が買い占めのような、大企業すべてではございませんが、年間に二千件、三千件と出願をし、そして既登録が一万件に近いようなところも幾つかございます。そういう企業がかなりたくさんあるために、中小企業者が実際に使おうと思うときに非常に困っているということをむしろ聞いているわけでございます。  私どもの方の調査によりますと、大きな方の企業が年間平均しまして百件出しておりますのに対して、中小の方の企業は大体年間十件程度でございます。それで、私どもが個々に話を聞いております範囲では、この料金をたとえば十万円に引き上げてでも自分たちが使いたいときに使えるようにしてほしい。つまり、先ほど来話のございましたような、使わない商標を抱え込んでいるものをなるべくやめさしてほしい、こういうふうに聞いているわけでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 使いたいときに使えるようにするためにというのが中小業者の言った趣旨なんでしょう。そういうふうになさらないで料金だけぽんと上げるということは、これは不当じゃないですか。大企業がたくさんあるから、中小企業は少ないから上げてもいい、こういうことにいまのお答えじゃなってしまいそうです。これでは中小企業者の本当の苦しみというのはおわかりになっていない。私は、こんな五倍にも値上げするというようなべらぼうなことは再検討していただきたいと思います。  それから、もう一つお伺いいたしますけれども、出願の未処理件数というのが年ごとにだんだん累増しているわけですね、これは仕事が累増するということは、仕事のふえ方に見合って人員がふえていないことではないかと思うんですけれども、この点はいかがなんですか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 日本の商標の出願の増加というものは、たとえば昭和三十五年当時から比べまして現在は五倍強ぐらいになっております。それで、私どもの方はそれにつれまして商標の審査官、商標の審査官だけではありません、その前後に出願の処理もふえますし、あるいは公告の処理もふえますし、あるいは登録の件数もふえるわけでございますので、その全部の人員の増加をかなり大幅に図ったつもりでございます。おおむね三十五年当時から三倍程度になっておるかと存じております。しかしながら、出願の増加があまりにも多いというためにその処理が追いつかない、こういう結果になっております。それで、なおその間におきまして、人員の増加ということだけで考えるのは問題があろうかと思います。したがいまして、制度の改正もお願い申し上げておりますとおりに、それ以外の機械化その他いろいろな問題でこれを防止しようというふうに考えておるわけでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 法改正も一つの方法かもしれません、未処理案件を処理するというには。私のお伺いしているのは、もっと正確にお答えいただきたいのですけれども、仕事が、未処理案件が累増してきた、それはこの累増に伴うほど人員をふやしてなかったのではないか、人員についてはどうですかということでお伺いしているのですけれども、いまの人員のふやし方で十分だった、こうお答えなんでしょうか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 現在の商標の審査官の増加といいますのは、各種の官庁の人員の増加に比べますと異常の増加でございます。したがいまして、この点につきましては私ども努力が足りないといえばそのとおりでございますけれども、私どもは私どもなりの努力をいたしてまいったわけでございます。しかし、これは商品の類別、一類から三十四類までございまして、人員を主体に、審査官をふやしますと、たとえばある類を担当します審査官の数がだんだんふえて、審査官の担当業務が細分化されるという問題等もございますので、その辺について事務的な問題も、審査官の増加に伴っての問題点が別にございます。しかしながら、いまお尋ねがございましたように、私どもの努力が足りないんではないかというふうなお尋ねでございますので、私ども努力はいたしましたけれども、あるいはほかの役所に比べましてはるかに大幅な増員はしたつもりでございますけれども、その辺十二分であったというふうには考えられないと思います。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 だれも努力が足りないとか足りているとかまだ一言も申し上げておりません。人員が仕事について見合っていたかどうかということを私は二回もお尋ねして、いまのお答え、それに対する的確なお答えじゃないんです。人員が見合ってなかったと先ほどのお答え受け取ってよろしゅうございますか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) この問題につきまして出願の件数が増加することにつきまして、むしろ人員の増加だけで対処するということにつきましては、私どもはそうではないというふうに考えております。したがいまして、人員の増加だけでこれを処理するというふうに考えました場合には、それは十分ではございません。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 私も、法改も一つの方法であろうということを言っております。人員だけで解決をしてくださいということも、またこれ一言も先ほどから申し上げてないわけですので、私の言うていることもちゃんと受け取っていただきたいと思います。人員がやはり仕事に伴っていなかったということなら、私は、今後も人員を大きくふやしていただくということがこの未処理案件を処理していく大きな道でなかろうかということを申し上げたいわけなんです。この点よくおわかりいただきたいと思います。  それから私、先日庁舎にお伺いいたしました。ずいぶん大変な庁舎で、廊下でお仕事をなさってもいらっしゃいました。それで大変な膨大な書類、これもまたびっくりしたわけですけれども、あれほど膨大な書類を扱う、そしていま未処理が大変な、商標制度の存在の意義そのものが問われようかというほどになっているときにかかわらず、スムーズに処理をしようと思えばもっとスムーズに処理できる庁舎でなければいけない。二つに分かれている、これはもってのほかだと思うんですけれども、一体あの庁舎についてどのようにお考えなんでしょう。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 先日御視察をいただきましたあの庁舎の模様をいま御批判がございました。私どももいまの庁舎の状況は、これは商標のみならず出願あるいは公報関係、登録関係、特許、実用新案の審査官のいるところ全部含めまして、特許庁全部含めまして十分だとは思っておりません。これは、私ども、庁舎統合の問題を考えていることはその当時申し上げたかと思いますが、そういう問題も含めまして、この環境の整備にはさらに一層努力をいたしたいと思います。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 じゃいま現在、その庁舎はどういうふうな進展状況になっているのか。それから、いつまでに竣工されるのか、この時期を明示してください。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 現在の庁舎が二つに分かれておりますことは御指摘のとおりでございます。そのために非常に不便があり、事務能率の効率化が妨げられておるということは御指摘のとおりでございます。私どもも、一日も早くこれは統合するようにしていただきたいと思っておるわけでございます。  それで、やや事務、技術的なことをちょっと申し上げますが、この庁舎をつくります予算は、これは建設省の予算でございます。それでわれわれの方で、と申しますか、特許庁よりむしろ通産省でこれは建設省に予算を要求をいたしまして、大蔵省でいろいろお考えになるという、そういう次第になるわけでございます。  それで計画は、と申しますと、これは私が実は答えることではないかと思います。通産省の官房が答えるべきことだと思いますが、それを私の立場で答えますと、現在私どものほうの、いわゆる特許庁の本館と称する古い建物と、新館と称します新しい建物と二つに分かれて入っておりますことは御視察のとおりでございまして、新しい建物にはおおむね半分程度の人員が入っていることもごらんいただけたかと思いますが、それを今後——その新館のこちら側にもう一つ古い建物がございますが、その建物をほぼ半分崩しまして、その空き地に第三期工事と私どもが俗称いたしております工事を計画をいたしておりますが、第三期工事といたしましてそこにかなりの程度の大きさのビルをつくりまして、現在通産省の内局が入っておられます皆様方がそこへ移られて、そのところへいま私どもがおります、古い特許庁の本館と称しましょうか、その人間がそこへ移って新館に全部統合をする、こういう計画に相なっているわけでございます。  この計画に従いまして、私どもといいますよりは、むしろ通産省の官房でございますが、官房が各種の計画をつくりまして、建設省と折衝し、予算の獲得に努めておりますが、私どもも非常に強くその要望を通産の官房なりあるいは建設省なりに要望いたしておりますが、現在あるいはここ一、二年の経済情勢からくる予算の制約がございますために、残念ながら現在までその予算を認められておらない。あるいは一部かつて認められた予算も凍結されたことがございますが、そういうふうな厳しい事態でございましたので、現在のところ実現に至っていないわけでございます。それで、しからば今後どうであるかというお尋ねでございますが、これは私ども特許庁の希望といたしましては、あらゆる機会にこの予算化をしていただくように通産省なり建設省にお願いをいたしたいというふうに考えております。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 通産大臣、いかがお考えでしょうか。大臣のお考えを聞かしてください。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) やはり事務処理を能率化するためには、いろんな条件が必要だと思います。いまの役所ではなかなか能率的に仕事ができないのは当然でありますので、できるだけ早くいま長官も言いましたような方向に持っていきたいと考えております。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 できるだけ早くという時期はいつですか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) これはまあ何月何日というふうには……

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 言ってください。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) いま言えませんが、とにかく諸般の情勢を考えまして、一刻も早く実現するように努力をいたします。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 先ほどからいろんなことをお聞きしましたけれども、庁舎問題でも期日がはっきりしていない。そして私、何よりもこういう法案を審議させていただいてけしからぬと思うのは、法案の審議そのものが本当にできないという状態に私たち国会議員が置かれているということです。採決間近になって運用のこういう要綱をお出しになった。私は、やはりこういう不確かな、先ほどからお答えいただきましたけれども、どれ一つ明確なお答えが返ってこないわけです。だから、やっぱり抜本的な検討を加えた上で、再度国会にお出しになるべきだ、こういうことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時三十七分休憩      —————・—————    午後一時十五分開会

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き特許法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 この機会に特許法改正に関しまして、二、三お尋ねをいたしておきたいと思います。  最近の工業所有権制度は、世界的所有権機関を中心といたしまして、特に七〇年代に入りまして特許協力条約あるいは国際特許分類協定、また商標登録条約などの締結に見られておりまするように、単なる工業所有権制度の国際化という点にとどまらないで、急速に国際統一化の方向へ進んでおりまして、さらに日中、日韓など二国間の工業所有権保護問題等も出ているわけであります。そういう状況下を背景にいたしまして、特許庁といたしましては、五十年度の工業所有権行政の国際協力を重要施策に取り上げてお見えになるという前提の中で、まず最初に、国際協力に取り上げられました日中工業所有権相互保護問題、現在まで中国との国際協力についてどのようになされてきたのか、その経過について最初お尋ねいたします。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 日中間の工業所有権の関係につきましては、一、二年前からいろいろ双方で協力して工業所有権の保護をやろうではないか、こういう話がございまして、双方に何遍となく話し合いが行われております。たとえば昭和四十八年の八月、東京で開催されました日中の貿易交渉でございますが、その場合におきましても、特許を含みます工業所有権全般にわたりまして、それぞれ相互保護ということの議論が行われたわけでございます。しかしながら、中国と日本とは工業所有権に関しますいろいろな法制に関して、実は制度が違っております点がございます。それで、中国側は特許と実用新案、意匠に関しましては、国内法を整備するからもう少し待ってもらいたい、こういうふうな御意見がございました。商標に関しましては、これは相互に話し合いを進めようじゃないかということで、私ども現在中国側といろいろお話し合いをいたしております。  基本的な方向といたしましては、商標に関しましては、何らかのかっこうで相互に登録商標そのものを保護するということでは実質的な合意に達しております。ただ、その技術的な方法、どういう範囲のものをどういうふうに保護するかということに関しましては、双方の国の法制がやや違っております関係で、調整を要する問題ではなかろうかと存じております。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 そういたしますと、まず実質的に商標の点については合意に達しておる、ただ実施段階において、まだなお調整の要があるというお話でありますが、特許、実用新案、意匠等の問題については、中国側の国内法の整備がおくれている。いわば日本の場合には障害になるものはないというような御答弁がありますが、間違いありませんか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 本件につきましては、いま申し上げましたようなことでございまして、中国側の特許法あるいは等の問題につきまして、あるいは中国では発明者証制度とも俗称しておりますが、そういう制度があるようでございますが、法制が変わって違っておりますために、お話し合いをすることにつきまして中国側がちゅうちょされたというのは間違いない事実でございます。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 この問題で中国側にもしも障害がないと仮定をいたしますと、日本側はそれに対しまして十分対応できる体制というものがあるんですか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 中国側と日本側と制度が多少違うことは申し上げたとおりでございます。その前提のもとにおきまして、相互に発明なり法案なり意匠なりそういうものにつきまして保護をするということを、私どもは中国側と真剣にお話をしたいという意向を持っております。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 私は、午前中の質疑にもありましたように、言うならば国際化の問題の中でわが国のいわゆる審査制度でありますとか、あるいは審査体制と申しますか、そういうものが非常におくれておるのではないだろうかというような指摘がありまして、いわゆる審査件数がウナギ登りに累積として残されておるんじゃないかというようなお話があったわけなんで、仮にこの中国側の国内法等の整備がなされましたときに、新しいまた要素として加わってくるわけであります。そういうことを考えてまいりますと、先ほど申し上げた幾つかの国際協定なり条約の対応策、そして新しく日中、日韓というような問題についての対応策が出てくるわけなんで、そういうものを含めてわが国においては対応できるだけの体制というものができるのかどうかということを聞いておるのでありますが、重ねてその点についてお尋ねいたします。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) いまお話がございましたように、日本は出願が多く、かつ累積の案件も一般的にございます。ただ、特許、実用新案に関しましては数年前に比べまして実は累積案件は逐次減少しつつある状態でございます。商標は実は逆な状態にございます。そういう状態でございますので、二国間のお話し合いを申し上げます場合には、その辺の前提も含めましてお話し合いをいたしたいと思っております。ただ、二国間の話につきましては、それが非常に大きな障害になるかどうか、まだ具体的な話になっておりませんのでわかりませんが、私どもはその辺はそうではないのではなかろうかと思います。しかしながら、国際条約に入ります場合には、いろいろその問題につきましてはわれわれの方で早急に改善しなければいけない問題はございます。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 いま特許とか実用新案の問題について審査件数が減りつつあるというお答えでありますが、これは前回の改正の際に審査請求権という問題から一応そういうような現象がありますが、昭和七年から十一年の特許の件数を一応指数で一〇〇といたしますと、昭和四十八年は九三二・四、いわゆる九倍以上に出願件数というものはウナギ登りに上がっているわけなんです。したがって、審査請求権がいわゆる要求され、むしろ逆に言うならば、審査体制が非常に即応できるような体制下にありますれば、私は、さらにいわゆる審査請求権という制度よりも事実問題といたしましては、出願件数そのものが審査件数になり得るというような感じなきにしもあらずでありまして、実際問題として現在はややいま申し上げた減少しつつありますが、ここ数年来には再び審査請求権が出てまいりますれば、審査の件数というものはふえる傾向にあるのではないかというふうに感じておるんでありまして、そういう意味において対応策の点について十分にひとつ応じられるように、私は希望をまず申し述べておきたいと存じます。  次に、特許協力条約の問題でありますが、これは一九七〇年六月に締結された問題で、一応署名国は三十五ヵ国と聞いておりますが、間違いありませんか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) お話のとおり、三十五ヵ国でございます。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 この三十五ヵ国が調印をいたしまして、今日現在、いわゆるPCTを批准をいたしました国はどことどこですか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 現在PCTの批准した国は三ヵ国でございます。名前を申し上げますとマダガスカル、セネガル、トーゴ、三ヵ国でございます。  ただ、つけ加えさしていただきますと、これはPCTの批准と、それから直接署名をしない、直接加入という道もございますので、両方ございます。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 加入国も四ヵ国、しかも中央アフリカ、マラウィ、カメルーン、チャドですね。いわゆるアフリカ関係が非常に多いのでありまして、本来署名をいたしましたヨーロッパ、日本あるいはアメリカというような主要な国がまだ批准も加入もしていないわけでありますが、これは署名国が批准が終わると見込まれるのはいつごろになるのですか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) これはほかの国の事情がいろいろございますために、非常に先行き見通しを立てることはむずかしいのでございますが、一例といたしましてヨーロッパ諸国の例をとりますと、ヨーロッパ諸国は、現在ヨーロッパだけの特許条約をつくろうと思って努力をいたしております。すでに一九七三年、昭和四十八年の十月にはいわゆる第一条約と言われておりますヨーロッパ条約が採択をされております。それに伴いましていろいろ国内法の改正を考えているようでございますが、なお、それ以外にヨーロッパではEC諸国だけで第二条約と申しますか、こういうものも考えておりますが、これは諸般の事情によりましてまだ進んでいないのが現状でございます。  それで、聞きますところによりますと、ヨーロッパ諸国はヨーロッパ特許条約の成立と申しますか、それと相前後してPCTに加入をするのがしかるべきではないかという意見が多いように聞いてお  ります。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 同様にアメリカにおきましても、PCT批准というのは上院において通過をしたと聞いておりますが、現在はどのような状況下にあるのですか。

大谷幸太郎特許庁特許技監

○政府委員(大谷幸太郎君) お答え申し上げます。  先生おっしゃいましたように、アメリカにおきましては、PCTは上院を通過いたしまして、その後大統領の署名を得て、それから批准をするということになるわけでございますけれども、見通しといたしましては、ことしの中ごろ、遅くともことし一ぱいには批准するであろうというように言われております。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 いまお話がありましたように、三十五ヵ国が調印をして、しかも批准をした国が三ヵ国、これも非常にアフリカ関係の後進開発国ですね。それから加入もアフリカの四ヵ国でありますから、これも後進地域の非常に強いところだと思います。したがって、ソ連を初めといたしましてヨーロッパ地域並びに日本、それからアメリカなど、要するに、非常に先進地域の関係におきましては批准がおくれておるわけでありますが、これは一体どういうことが一番大きな原因でおくれているとお考えになっているのですか。

大谷幸太郎特許庁特許技監

○政府委員(大谷幸太郎君) 特許協力条約につきましては、先ほど先生もおっしゃいましたように、昭和四十五年、一九七〇年に条約が締結されたわけでございます。その後、諸般の準備を各国とも進めているわけでございますけれども、条約には条約自体、それからルール、規則でございますが、これがございます。これは昭和四十五年の時点でセットをしたわけでございます。ただし、いろいろの運用問題特に国際調査と申しますが、国際サーチの問題、この点につきましてはサーチの資料の問題特に非特許文献の選定というような問題もございます。それからそういったドキュメンテーションの問題、さらには規則の下にアドミニストレーティブインストラクションと申しますが、行政細則というものをつくる。行政細則をつくるためには、その四十五年以降の時点において毎年会議を行ないまして詰めているわけでございますけれども、そういったルールよりも細かい行政細則、これをセットしなければいけないというような問題もございます。したがいまして、四十五年以降毎年会議をやっておりますが、先ほど申し上げましたアドミニストレーティブインストラクションでございますが、これは実施細則と訳しております。訂正いたします。そういうことで、四十五年以降、毎年各国が集まりまして、そういったドキュメンテーションの問題やら、あるいは実施細則の問題、こういったことでいろいろと検討いたしております。したがいまして、その辺が実施細則もまだセットいたしておりませんので、したがいまして、全体的にまだ準備中という段階でございます。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 今回の特許法改正の大きな主眼は、いわゆるPCTの批准に備えまして、国内体制の一環といたしまして、国際的な観点から多項制、あるいは物質特許制度という改正が提出されておるわけでありますが、いまお話がありましたように、四十五年以降毎年会議を開いて、規則の下の実施細則すらまだ煮詰まっていないというような状況下で、主要な各国がいわゆる批准を見合わせておるというようなときに、わが国だけが、と言うと非常に語弊がありますが、わが国がそういった国際的な観点の中から多項制や物質特許制度の開設をするというようなことは、やや私は、言うならば全体を見きわめずして見切り発車のようなかっこうになっておるのじゃないかという感じがいたしまして、非常に将来、運用問題等において大きな危機をはらむのではないだろうかという心配があるのでありますが、この点、実施細則と本改正案との関連についてお答えをいただきたいと思います。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 今回、わが国が多項制を採用いたそうと思っておりますものは、いま先生お話がございましたように、PCTとの関連がございます。それで、PCTは、言うまでもなく条文とそれからルールといいます、いわゆる施行規則がございます。で、施行規則の段階まではほぼ固まっております。それで、いま技監が申し上げましたのは、いわゆるその下の細則につきまして議論が固まりつつある段階でございます。今回私どもが提案をいたしております多項制は、いまのルールと申しますか、その施行規則の段階等もよく勘案をいたしまして、それと一致するようなことで私どもの方は提案をいたしておるわけでございます。なお、細則はその制限のもとで、実際にどういうふうにやるかといういわゆる運営要領のようなものでございますので、ルールよりはずれたようなことはないと考えております。  なお、私どもが多項制を採用いたしますのは、そういう問題が一つございますが、それと同時に、国内的にも、いま先生御指摘がございましたように、たとえば特許権の範囲がはっきりするとか、あるいは出願人の対応が容易になるとか、いろいろそういうふうな利点もございます。そういうふうなこともございますので、なるべく早く多項制を採用いたしたいと思います。  なお、蛇足でございますが、諸外国はほとんど全部、現行法は現在でも多項制でございます。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 お言葉を返すようで恐縮でありますけれども、施行規則が固まっているので、そのルールに従って実施細則を決めるんだ、だから、わが国の国内法の改正は施行規則がほぼ固まった段階でやったって差しつかえないではないか、ルールが決まっている以上、大きなルールからはずれることはないんだというお話でありますが、施行規則のルールが決まっているにもかかわらず、今度は四十五年以降何年たっても実施細則が決まらないというのは、これは長官のお話とは逆に、ルールは決められたけれども、そのルールを今度はどう走っていくのか、歩いていくのか、あるいはこれはどういうふうにいくとかという、実際の運用はやりますけれども、実施細則が決まらないというのは、私はやはり大きな問題点がそこにあるからだというふうに理解せざるを得ないんでありまして、各国が多項制をとっているから、おれの方だって多項制とったって差しつかえないじゃないかというようなことは、私はやはり問題を残すだけだと思うのでありますが、この点を重ねてお尋ねいたしたいと思います。

大谷幸太郎特許庁特許技監

○政府委員(大谷幸太郎君) 先ほど私答弁申し上げましたように、条約、規則はすでにセットをいたしております。先生おっしゃいましたように、実施細則、目下各国が集まって検討中でございます。実施細則と申しますのは、これはルール、規則の中で非常に細かい問題、これを実施細則にゆだねるというような個所が数ヵ所ございまして、そういったことを受けまして検討しているわけでございますが、たとえば様式の問題とかあるいはさらに細かくは願書番号の記載方法であるとか、そういった細かい問題を検討しているわけでございます。  多項制でございますけれども、多項制につきましては、これは条約、特に規則でございます。ルールの中で明記してございまして、多項制自体の問題は、実施細則の問題ではございませんで、実施細則は先ほど申し上げましたような非常に細かな問題、これを詰めている、そういうことでございます。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 いずれにいたしましても、非常に問題が複雑でありまして、私は、やはり施行細則として一つの基本的なルールがきまっておるにもかかわらず、細かい運営の問題についてまだ完全な意見の一致を今日までも見ることができなかったというのは、非常に多くの問題をはらんでいることを逆に証左いたしているのではないかと思います。  そういう点で、いろいろな問題があるようでありますが、一体この条約はいつごろ発効になる見込みだとお考えになっているのか、お尋ねいたします。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) お答えいたします。  先ほど申し上げましたようなヨーロッパ諸国の状態なりアメリカの状態でございます。したがいまして、これはいつごろかということを見通すことは非常に困難かと思いますが、大胆に考えますれば、おおむね昭和五十三年ないし五十三年前後と考えるのがほぼ至当ではなかろうかというふうに考えます。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 後ほど、この条約の発効の問題と、いろいろな関係につきましては具体的にお尋ねをいたしますが、昭和五十三年前後だというお答えでありますが、果たしてわが国にそれだけの対応性があるのかどうか、非常に問題が私は残されているのではないかと思うのでありますが、これは後ほど細かくひとつ御質問いたしたいと思います。  そこで、先ほどちょっと長官がお答えになったのでありますが、このような多項制などの改正案によりまして、また、この条約を批准することによりまして、一体わが国の出願人並びに日本の特許庁が受ける利益というものはどこにあるのか、ひとつ具体的にお答えをいただきたいと思います。

大谷幸太郎特許庁特許技監

○政府委員(大谷幸太郎君) 特許協力条約のメリットでございますけれども、これは条約自体が言っておりますのは、一つは、出願人サイドのメリットでございます。もう一つは、特許庁サイドのメリットがございます。  第一の出願人サイドのメリットといたしましては、一つの出願で各国を指定して出願できる。それからその書類の書き方でございますが、これは統一される。PCTで決められたとおりに書けば相手国へ参りまして、そこで拒絶になるとか、あるいは無効になる、そういうことはございませんしたがって、一つの出願で各国に出願できるというメリットがございます。これは翻訳の問題はまた別でございますが、書き方はとにかく統一されるということでございます。  それから、第二のメリットといたしましての特許庁側のメリットでございますが、この点につきましては、特許協力条約では国際調査機関というものができまして、そこで、その出願について事前にサーチをする。各国の特許庁へ参ります前に、国際調査機関において国際サーチをするというたてまえになっております。したがいまして、そこでサーチをいたしまして、サーチレポートが比較的早い時期に出るわけでございます。これは出願人側にも参りますし、それから最後にはもちろん各国の特許庁に参るわけでございますが、そういったことから出願人としてはその時点でその出願の運命——許されるか拒絶されるかということを事前にキャッチすることができる。これは出願人サイドのメリットもまたそこにあるわけでございます。  それから、いま申し上げましたように、このサーチレポートが各国の特許庁へ参ります。したがって、各国の特許庁におきましては、そのサーチレポートにすでにもうサーチがしてあるわけでございますので、それを利用して審査ができる。一つの発明について各国に出す、数ヵ所に出願をするという場合に、従来でございますと、その数ヵ所の特許庁において同じ発明を審査をしている、サーチをしているというような状況でございますが、これが特許協力条約によりますと、一ヵ所の国際調査機関でそういったものをつくりまして、それが各国の特許庁に参るということでございますので、同じ発明についての重複サーチ、重複審査を避けることができる、そういうふうなメリットがございます。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 それで、いまお話がありましたように、特許庁側も先ほど申し上げましたように、いろいろとこれに対しまして対応策を考えていかなくちゃなりませんが、私は、やはり国内の体制の整備状況というものが現在のこの状況からまいりますと、なかなかむずかしい状況に相なっておるのではないだろうかという感じがいたします。これは午前中の質疑にも明らかであります。  そこで当然、長官からお話がありましたように、五十三年前後に条約の発効が見込まれるということになりますと、これに合わせましてわが国の対応策というもの、対応体制というものを決めていかなくちゃなりませんが、そういうものに対する計画と申しますか、そういったものを持ち合わせておみえになるのかどうか、まず最初にそれをお伺いいたします。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) PCTに入ります場合におきましては、私ども諸般の準備が要ることは当然でございます。一例をとりまして、書類の整備等に関しましても、審査関係の書類整備等につきましても、それは一つの重要事項でございます。そういうことを考えまして、特許庁の内部にPCTに関します検討の委員会を設けまして、PCT批准以後の事務体制、審査体制、関連法規の問題等につきまして準備を進めております。私どもの方におきましては、そういう問題を考えまして、それは現在予算で御審議をいただいております私どもの機構改正の一部でございますが、PCT関係あるいは商標の方のTRTというのがございますが、関係の国内整備をするための専門の調査官を設置していただくように、いま御審議をいただいております予算の中に機構改正の一部として計上してございます。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 私はそんなことだけではないと思うんです。たとえば、じゃ具体的にお尋ねいたしますが、まず、当然PCTが発効いたしまして加盟をいたしますと、先ほど技監からお答えをいただきましたように、サーチレポートを作成をいたさなくちゃなりませんので、わが国もいわゆる、言うならば国際調査機関を設置しなければならないわけですが、これは膨大なものですね。まず最初にこの国際調査機関としての機能を要求されるのでありますが、いまお話がありましたように、今年度予算で機構改正をして、たとえばPCT専門、商標関係の専門の専門官を置くんだというお答えがありましたが、こんな程度で私は国際調査機関を設置する対応策とは思われないのであります。一体本当にそういう国際調査機関を設置して、その対応できるだけの対策というものをお持ちになっているのですか。お持ちになっているとすれば、どういうものが何年にどういうふうにしてやっていくんだということを具体的にちょっとお答えいただきたいと思います。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) いまお答え申し上げましたPCTの検討の委員会と申しますのは、数年前から特許庁内においてPCTの検討委員会を設けまして進めておるわけでございます。したがいまして、今回の機構改正問題はそれにプラスして専任の調査官を置いて、その下にグループを置く、こういうことでございます。  それからなお、お尋ねがございました、しからば準備の具体的な問題はどうなるかということでございますが、一番大きな問題は、何といいましてもやはり国際予備審査をします場合の、審査機関になります場合には、そのサーチをする書類、これが一番問題になるわけでございまして、その点につきましてはPCTにおきましては最小限の書類を整備することを一応義務づけております。ミニマムドキュメンテーションと言っておりますか、義務づけておりまして、その対象になります特許文献は、七ヵ国の一九二〇年以降の特許文献を一応整備しなければいけないということでございます。あるいは非特許文献につきましても、現在いろいろ議論を行っておりますが、これにつきましても整備をする義務が生じてまいります。現在私どもの方はその特許文献、非特許文献につきまして逐次計画をつくりまして整備をしつつある最中でございます。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 いまお話がありましたように、この最小限の資料、たとえば、いまお話かあった一九二〇年以降の米、英、西独、仏、スイス、ソ連、日本、この特許明細書を完備する必要があるわけでありますが、私、特許庁の発行されました「特許庁公報」の第二十六巻四十八年版をながめてみますと、その七ページの「審査、審判資料の整備」というところで若干のいわゆる資料整備事業等が実は書かれております。そして何と申しますか、四十八年で三年目に入ったということが記されておりまして、一応四十八年度はドイツ及びフランスの特許明細書を整備したということが実は書いてあるわけでありますが、いまお話がありましたミニマムドキュメンテーションの七ヵ国の特許明細書を整備することは、一体いつまでに完備することができると予定をお立てになっているのか。お答えをいただきたいと思います。

大谷幸太郎特許庁特許技監

○政府委員(大谷幸太郎君) 先ほど長官からPCTの発効の時期、五十三年前後ということを申されたわけでございますけれども、私どもといたしましては、このPCTに関連をいたします資料整備につきましては、ただいま先生御指摘がございましたが、昭和四十六年からやっているわけでございまして、PCTの発効の時期、先ほど申し上げました五十三年ぐらいと私どもは考えているわけでございますが、その時点までにミニマムドキュメンテーションを整備したいというふうに考えております。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 では、いままで七ヵ国のうちで完全に一国一国整備できた国を一遍あげてください。

大谷幸太郎特許庁特許技監

○政府委員(大谷幸太郎君) 七ヵ国の特許文献がミニマムドキュメンテーションに指定されているわけでございますけれども、このうち日本はもちろん入っております。日本はすでにこれは従来から整備されているところでございます。そのほかにソ連が入っております。ソ連は、これは言語の関係がございまして、PCTの規定がそうでございますが、規則でございますけれども、日本とソ連の分につきましては、これはそれを母国語としない国際調査機関においては、その英文抄録がある分についてサーチをすればよろしいということになっております。  それにつきましての英文の抄録でございますけれども、これは一九六五年から一九七四年まであるわけでございますが、この分は整備をいたしております。それから、それ以外のアメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、スイスの五ヵ国がございます。このうちで米国、それからイギリス、西ドイツにつきましては、一九二〇年から最近まで整備をいたしております。したがいまして、残っているのはフランスとスイスでございますが、フランスにつきましては一九六〇年から一九七四年までを整備をいたしております。したがって、フランスのそれ以前の分、それからスイス、これはまだでございますので、その分につきましては今後整備をするということでございます。  なお、先ほど申し上げたソ連でございますが、数値がちょっと間違えたと思いますので、修正さしていただきたいと思いますが、ソ連につきましては、一九六九年から一九七四年までの英文抄録、カードでございます。  以上でございます。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 いまお話がありまして、日本もどの程度か存じませんけれども、一応六ヵ国は完全に終わってしまった、つまり一九二〇年から少なくとも今日一九七五年でありますが、この少なくとも三、四年分は全部終わってしまったという国は七ヵ国の中で、いまの御報告からまいりますと、部分的には集まっているけれども、全部終わってしまったという国は一つもないというようなものでありますが、間違いありませんか。

大谷幸太郎特許庁特許技監

○政府委員(大谷幸太郎君) 先ほど申し上げましたのは、順序がちょっと逆になりまして、特殊な例から申し上げたのでございますけれども、大きなところから申し上げますと、米国、英国、西ドイツでございますが、これは、ミニマムドキュメンテーションは一九二〇年以降ということでございまして、この三ヵ国につきましては一九二〇年以降整備いたしております。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 そういたしますと、件数とかいろんな問題になるのでありますが、一応いま七ヵ国のお話がありましたが、最小限の資料の整備という点については条約発効までに完全にできる、そういう確信を持っておみえになるのかどうか、最後にお尋ねしておきます。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 書類整備の詳細につきましては、いま大谷技官からお答え申し上げたとおりでございます。先行きの問題につきましては、残っておるところもございますので、私どもは条約が発効するまでの間にこれを整備するように計画をつくりまして進めております。なお、この問題につきましては、当然予算にも関連のある問題でございますので、そういう問題も含めまして、私どもは整備するという目標で計画を進めている次第でございます。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 長官、いま答弁の中に、計画を持って進めているんだというお話があったんです。ですから、計画を持って進めているんなら、私の質問に対しまして、五十三年と予想される条約発効の期間までに最小限の資料を整えるだけの確信があるかと聞いているんですから、計画がおありになるなら、残っておるものに対しまして五十一年度はこういたします、五十二年度はソ連の一九二〇年から四〇年分について整備をいたします、五十三年度は発効時にはかくかくどおり完成をいたします、そういうお答えをいただかなくちゃならぬと思うんです。計画がおありになるということなら、その計画を出してください。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 現在いま私どもの手元にその各年次別の計画の資料を実は持ち合わせておりませんか、いま確信があるかというお話でございますので、私ども確信を持って進めております。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 時間がありませんので、それでは各年度別の計画の資料については、別途委員長を通じて御提出をいただきたいと思います。  そこで次に、先ほどお話がありました、たとえばサーチレポートをこれは出願人が提出いたしまして、それの報告に対する義務、一定の期間が掲げられておるわけです。私の知るところでは三ヵ月間という規定が掲げられておりますが、このタイムリミットに応じられるように、問題はいろいろ審査官なり、あるいはまた事務を処理する人的配置が必要になってまいりますが、そういうものの計画というのはあるんですか。

大谷幸太郎特許庁特許技監

○政府委員(大谷幸太郎君) ただいま先生おっしゃいましたように、サーチレポートの作成期間三ヵ月につきましては、おっしゃるとおりでございます。そのほかにPCT関係のこれはいままでにない出願を扱うわけでございますので、事務系の職員の問題もございます。審査官につきましては、三ヵ月の期間というのは、これは私ども考えておりますのは、確かに精神的な圧迫になると思いますけれども、しかし、サーチにかかりましたら、これを一ヵ月も続けているということはないわけでございまして、要するにいっかはサーチをしなければいけない、その時期を早めるということで、精神的な面はともかくといたしまして、その三ヵ月の期間に対するロードの問題というのは、それだけの面ではいまのところは考えておりません。要するに全体のサーチのロードの問題といたしましては考えておりますが、期間の問題については、精神的な面はこれはよくわかりますけれども、ロードの問題としてはそこのところは要素としては入っておりません。  それから事務系の問題でございますが、事務系につきましては、これはやはりそういった特殊な出願、従来なかった出願が出てくるわけでございますので、その辺の体制整備、これは今後PCTに私どもが入るまでに十分に体制整備をしてまいりたい、そういうふうに考えております。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 いまお話を聞いておりますと、非常に私はずさんな対応策だと思うんです。先ほど私は、総括的に対応策は本当にあるのかと言ったら、長官は、対応策はあるとお答えになっておったわけでありますが、たとえばいま申し上げた国際調査機関の設置、これはもう義務づけです、簡単に言えば。PCT批准の一つの前提条件と言ってもかまわないんです。それがお話を聞きますと、一応最小限資料の整備については計画を持っている——これはいまここに持ち合わせがないから、本当は質問は続けられませんけれども、時間の関係で私やりますが、後ほど資料を拝見して、別な機会に、またあればお尋ねいたします。そして、たとえばサーチレポートのタイムリミットの問題を出しましても、人の確保、それから事務官や審査官の確保、配置の問題、具体的な計画がない。これで長官、五十三年発効を前提として特許庁がPCTに対する対応策を具体的に持っているというふうにわれわれは理解できるでありましょうか。先ほども指摘したように、国際協力、国際統一化の方向に向かって、しゃにむに、体制はともかくとして、国内法の改正も強行して突っ走ろうとする姿勢がそこに出ておるのではないかと思うのであります。問題は、長官が先ほど最後にお答えになりました人と予算です。  大臣にお尋ねいたします。  問題は、いま長官お答えになったように、対応策は具体的にできていない。特に人の問題についてしかりであります。この点について一応国際調査機関の整備について、発効までに必ず人及び資料等を含めて整備でき得る、対応策はでき得る、体制ができる予算を必ず確保する、そういうお考え方の上に立って、この問題についての大臣の所見を私は伺いたいと思います。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) そのような方向で努力するつもりでございます。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 そのような方向で努力するのじゃなくて、はっきりとやるとお答え願わなければ、これは国際的に問題になるのです。国内的な問題じゃないんです。条約に調印して批准して、国際的に責務を負うんですよ。その国際的な問題を、ただ単にそのように努力する見込みですなんて言われて、私どもは黙って引き下がるわけにいきませんです。現に長官自身が、問題があるということをいま明らかにしたでしょう。この点について私は、やはり国際的な問題として、いわゆる五十三年に発効を予定しているのだ、見込んでいるんだという前提に立つならば、この五十三年発効までにあらゆるものを整備して対応できる体制を整えねばならぬと思うのであります。当然であります。でありますから、大臣の明確な答弁を要求いたします。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) そのような体制をつくります。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 次に、第二は、先ほど申し上げました国際特許分類協定の問題であります。この問題の必要性というものと、これによって受けるメリットですね、この点をどういうふうに理解をしておるのか、まずお尋ねしておきます。

大谷幸太郎特許庁特許技監

○政府委員(大谷幸太郎君) 国際特許分類のストラスブール協定でございますけれども、この協定は昭和四十六年の三月に締結をされたわけでございます。その趣旨といたしますところは次の二点になります。  一つは、特許文献は世界を通じて広く利用されているわけでございますが、これが現在のところ各国語で出ているわけでございまして、それから、その調査の手段となりますのはこれは分類でございます。この特許分類というのが各国の分類をつけているところが多うございます。すでに現在ではこのIPC——国際特許分類をつけているところもたくさんございますが、出てまいりましたが、従来は各国の特許文献をつけている。そういたしますと、たとえばわが国におきましても各国の特許文献を調査をするという場合に、アメリカの文献についてはアメリカの分類、あるいは西ドイツの文献については西ドイツの分類というようなことで、分類が各国別に異なっておりますと、広く世界の特許文献を調査する上に非常に不便でございます。そういった意味におきましてこの国際特許分類というものか考えられたわけでございまして、これは従来からあったわけでございますけれども、従来は欧州理事会の加盟の国々、これらが中心になってつくったものでございまして、国際特許分類とは申しますが、実際には欧州特許分類というような実態でございます。この点をひとつ改善をいたしまして、アメリカなり日本なり、欧州以外の国々の意見も聞いて本当の国際特許分類にしよう、そういう趣旨が第一でございます。  それから二番目は、いま申し上げました前の国際特許分類、これは欧州理事会の加盟国が中心になってつくられたものでございますが、この条約会議に加盟国が出るわけでございますけれども、欧州理事会以外の国がメンバーになることはできるわけでございます。ただし、その条約会議におきまして、改正会議でございますが、会議におきまして、欧州理事会側の国とそれ以外の欧州理事会に入ってない国、これは同じメンバーでありながらその発言権に相違がございます。はっきり申しますと、欧州理事会以外の国はオブザーバーの地位しか与えられないというような状態であったわけでございます。この点を改善いたしまして、今度のストラスブール協定に入った国は同等の発言権を与える、それが第二点でございます。  以上でございます。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 各国はそれぞれ自国の特許分類を持っておるわけであります。これに基づきまして、特許明細書に分類を付与しているわけでありますが、わが国は、昭和四十八年度に分類表の改正を行いまして、四十九年四月一日から施行されておりますが、この改正の結果、類の総数は百七十七、補助数の総数は一千一百二、種目の総数は二万三千六百八十三と私、実は承知をいたしておるのでありますが、このような膨大な分類をIPC、つまり国際特許分類協定に基づく分類に改編をしていかなければならぬという大作業があるわけであります。その計画と現況、現在どのようになっているか。また、その改編について計画はどうなってくるか、その点をひとつお尋ねしておきます。

大谷幸太郎特許庁特許技監

○政府委員(大谷幸太郎君) 国際特許分類でございますけれども、これはすでにわが国の公開公報、公告公報につけております。日本特許分類と併記をいたしまして、国際特許分類をつけております。公告公報につきましては、IPCは四十八年の十月から、一番細かいところまで公告公報につけております。これは、日本特許分類と併記をいたしております。それから、公開公報につきましても同じく併記をしているわけでございますけれども、公開公報につきましての国際特許分類は、今月のやっといまごろ公報に載っているというような状況でございますが、いずれにいたしましても、国際特許分類をつけているわけでございます。  それで、今後の計画でございますけれども、先ほどの特許協力条約との関係もございまして、これは将来の問題といたしましては、やはり国際特許分類に統一した方がいいという考え方、これは外部の意見も聞いたわけでございますけれども、併記というのではなしに、やはり将来は国際特許分類の一本化ということで考えているわけでございます。そのためには、いま申し上げました最近の公開公報、公告公報につきましては、これは両方つけているわけでございますけれども、古いものはつけていないわけでございます。したがって、将来国際特許分類に一本化するという場合には、当然にこれは審査官のサーチファイルを国際特許分類で整理しなければいけないわけでございますので、その点の従来の古い公報でございますが、この点について国際特許分類をつけていかなければいけないわけでございます。それが全部終わった段階において、初めて国際特許分類で日本の公報が全体的に整理されるというような状態になるわけでございまして、その計画でございますが、これは五十年度、来月からになりますけれども、五十年度の初めから五ヵ年計画でこれを行うということを考えております。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 五ヵ年計画で果たして達成できるかどうか、私は非常に疑問を持つものでありまして、私の推算をいたしましたところ、十年かかっても従前の特許公報等に国際分類を付与することは非常にむずかしい難作業だ、これを一口にしていえば人と予算ですよと言えば、これは実も花もない話でありますが、現在の体制で一方において審査をやり、一方において多項制が入り、物質特許制度が入り、一方において国際調査機関としての機能を果たさなければいかぬというような受け、なければならぬ仕事がたくさんどんどん発生をしております中で、この作業を進めるということは、いまの現行体制ではもはや私は五ヵ年計画というよりも、事実上不可能な状態に近いのではないかと推測をいたしております。したがって、この点については先ほどお話をいたしましたように、今後の特許庁の誠意ある態度をひとつ見守っていきたいと思うのでありますが、簡単なものではないということだけは強く強調いたしておきたいと思います。  次に、日本特有の分類というものがあるわけですね。たとえばげたの特許、実用新案だとか、あるいは和がさ、番がさだとか、じゃの目がさとか、いろいろありますが、ふすまだとか畳、こういう日本特有の分類というものは国際分類の中でどういう取り扱いを受けているのか。また、日本の先進的な技術として世界的にはすぐれておるといわれておりまするエレクトロニクスの応用等の分類というものは、いわゆる国際分類の中ではやや大まかな取り扱いになっているというふうに理解をいたしておりますが、こういう問題はどういうふうに統一をしていくのか、この点について具体的にお答えをいただきたい。

大谷幸太郎特許庁特許技監

○政府委員(大谷幸太郎君) お答え申し上げます。  最初に、先生おっしゃいましたわが国特有の技術でございますが、この点につきましては、従来の国際特許分類の改正会議で私ども特許庁も出席をいたしまして、いろいろと発言をしているわけでございますけれども、特有の技術についてはおのずからこれは限界があろうかと思いますが、私どもが日本特有の技術についていろいろと意見を述べました中で、畳とか、あるいはふすまとか、そういうものは取り入れられまして、入っているわけでございます。ただし、もちろん私どもの日本特有の技術というのはたくさんございますが、そういったものがすべて採用になるということは、これはなかなかむずかしい問題だと思いますけれども、一部は取り入れられているわけでございます。  それから二番目におっしゃいました、わが国において高度の技術、非常に進んでいる、たとえばエレクトロニクスのようなものが国際特許分類では展開が不十分であるというような面につきましては、これは、私どもといたしましてもこういった改正会議におきましていろいろと意見を述べまして、できるだけそれを精密にしていくというような方向で考えております。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 いま言ったように、非常にこれも多くの問題点があるということだけは、やはり絶えず関心を持ってやっていただきたいし またそのための対応策も強くひとつ私は希望しておきます。  このIPCの発効というものはいつごろになる予定ですか。

大谷幸太郎特許庁特許技監

○政府委員(大谷幸太郎君) 国際特許分類のストラスブール協定の発効でございますが、これはすでに所定の国の批准、あるいは加入がありまして、ことしの十月に発効ということを聞いております。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 これは大臣、さっきのいわゆるPCT問題と一緒でありますが、発効はされましても、日本の体制はいまお聞きのような貧弱な状況なんですね。これは私、やはり人と予算です。まあさっきのように人と予算、ここで出せとは申しません。しかしこれは申し上げましたように、非常に重要な問題でありますから、大臣もひとつ大いに関心を持って特許庁に対し配慮していただきたいということを大臣に希望しておきます。  次に私は、前回の改正の際の附帯決議として新しく新規性調査機関として設けられました日本特許情報センター——ジャパティックの問題について、まず最初にお尋ねをいたしておきたいと思います。これはもう時間の関係もありますので、端的にお尋ねをいたします。  まず最初にお尋ねをいたしますのは、予算関係についてでありますが、四十八年度の予算並びに四十九年度の予算を見てみまして、特にその収入面におきまして、いわゆる事業収入よりも事業外収入が上回っているのはどうしたことなのか、この点について最初にお尋ねいたします。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 現在日本特許情報センター、俗にジャパティックと呼んでおりますものの収入についてお尋ねがございました。現在やっております事業は、いわゆる特許関係の技術情報をコンピューターで処理をいたしまして、これを検索をする検索システムサービス、こういうものをやっておるのが主眼でございます。しかしながら、この特許分類、特許文献のいわゆる解析あるいはそのデータの蓄積というものにつきましては、非常な時間と経費を要するものでございます。しかもこのデータは、ある程度の量を蓄積ができませんと有効に利用するということがなかなかできにくいものでございます。かつ民間のサービスをやっておりますことはいまお話しのとおりでございますが、それにつきましても、相当量の蓄積がありました後に初めて有効に利用できるものでございますので、その間、現在はそのデータの蓄積に非常に大きな費用がかかっておる関係で、収支関係が合わない状況になっております。そのデータの蓄積関係につきましては、したがいまして事業収入というよりも、他のところからの収入でまかなっておる、これが現状でございます。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 この四十八年度、政府からジャパティックに対しまして事業を委託しておみえになりますが、この委託されております事業の総経費は幾らですか。

三枝英夫特許庁総務部長

○政府委員(三枝英夫君) 四十六年当センターが発足以後、このセンターの仕事としてやりますいわゆる検索業務の中で、第二検索業務というのがございまして、それにはいわば若干内容に入りまして、単なる書誌的事項だけでございません。内容に入った形での検索業務ということになっております。それのための整備費用としまして、政府補助金が四十六年度以降大体三千万から三千三百万見当のものが出されてございます。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 私の言うのは委託事業で、あなたの方から出している委託してある事業だ。

三枝英夫特許庁総務部長

○政府委員(三枝英夫君) 委託事業としては特にございません。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 あなたの方から出している、委託さしているでしょう、ジャパティックに。ジャパティックが受託している事業、ないはずないじゃない。

三枝英夫特許庁総務部長

○政府委員(三枝英夫君) ただいま申しました第二検索業務は委託事業ではございませんで、ジャパティックの事業に対して三分の二の補助で政府補助金を出すということでございまして、ジャパティックそのものに対する委託業務といたしましては、特に政府からの金というものの裏づけということではございません。ただ、実質的にインパドックという国際関係の機関ができてございますが、それとの関係におきまして、データに蓄積しました書誌的事項に関しますテープの交換ということをインパドックとの協定に基づきまして、政府にかわってジャパティックを通じてやっておる、これが実質的な意味での委託業務と申し上げられると思います。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 私は、内容よりも金がどうしていると聞いている。インパドックだけの事業じゃないのですよ。特許情報協力事業というのを委託しておみえになります。通産省の委託により、公開特許公報の中から、発展途上国向けのものを選択し、これを英文抄録化して発展途上国へ送付する、こういうものを御委託になっているじゃないですか。私の質問は、このことを聞いているのじゃない。委託事業があるはずだ。その委託事業というのは総額幾らだと、金額を聞いているのですよ。金額を答えないで、しかも片手落ちの答弁するなんて、けしからぬです。

三枝英夫特許庁総務部長

○政府委員(三枝英夫君) 大変失礼いたしました。  貿易局の方の所管事業といたしまして、海外の主として後進国に対します、後進国向きの日本の特許につきましての抄録サービス、英文にしたも  のを出してやらしていただいております。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 金額——金額わからぬか。

三枝英夫特許庁総務部長

○政府委員(三枝英夫君) いますぐ調べまして、早急にお答えいたします。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 このジャパティックは、いわゆる事業計画の中でいろんなものをやっておりますが、調査サービス部門が四十八年度事実上行われておりません。これはどういう理由かお尋ねいたします。四十八年度でいいです。——所管外でわかりませんか。所管外ですか、ジャパティックは。  これ、ちょっと大臣にお伺いします。大臣でもわからぬかもしれませんけれども、この財団法人は通産大臣の認可でできたんですから、この財団法人の管理・監督は通産省の中の当該監督官庁がやっているはずです。  私は、日本特許情報センターは特許に関することで、事業は特許関係ですから、本来ならばこの財団法人の管理・監督は特許庁が行うのが妥当ではないかという考え方を持っておるのでお尋ねをいたしておるんでありますが、そういう考え方は間違いですか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 日本特許情報センターの監督につきましては、特許庁が第一義的に責任を持っております。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 そうだとすれば、いま私が、四十八年度の調査サービスが行われていないのはどういう理由かと言ったら答えられるはずです。これは常時監督していないということじゃないですか。やりっ放し、ほかりっ放しじゃないですか。

三枝英夫特許庁総務部長

○政府委員(三枝英夫君) 先生のおっしゃいます調査サービスは、検索サービスということでわれわれ了解いたしておりますが……。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 違う違う。

三枝英夫特許庁総務部長

○政府委員(三枝英夫君) 検索サービスということであれば……。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 検索サービス、抄録サービス、調査サービス、複写サービス、資料閲覧サービス、サービスが分類されているんです。その中の調査サービスです。これはジャパティックの四十八年度事業報告書です。

三枝英夫特許庁総務部長

○政府委員(三枝英夫君) 民間企業からの調査庁頼に基づきます受託調査によりますサービスということでございますが、これは遺憾ながら、事業としては計上されておりますけれども、実績はまだ受注がございませんで、ほとんどやっていないに等しいという状況でございます。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 そこが違うんだ。民間から希望がないのか。私はわけを、どうして調査サービスが行われなかったのかと聞いているんです。

三枝英夫特許庁総務部長

○政府委員(三枝英夫君) これはいろいろなまだ事情があろうかと存じますけれども、検索サービスの方はとにかく相当実績を上げてきてございますが、それを一歩突っ込みまして民間の受託に応じたような高度の加工した資料についての調査依頼に基づきますサービスというのは、まだ体制が十分でないという事情もございまして、それに応じた需要がまだ伴ってきていないということに解しております。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 私は、これは全く四十五年改正時の附帯決議の趣旨を本当に特許庁が誠実に、誠意を持って履行しようとする態度じゃないというふうに実は思う一人であります。いま申し上げましたように、たとえば、予算決算の関係をながめてみましても、昭和四十八年度の収支決算をながめてみましても、事業収入は五億三千三百六十七万円を予算化いたしましたけれども、実際には四億五千六百三十八万余円でありますし、事業外収入また六億二百九十四万余円を予定いたしまして、これは若干寄付金が多うございまして、一億円ほど多いような経過になっております。言葉をかえて申しますと、本来の事業はおろそかに、そして、先ほど申し上げた自転車振興会とかあるいは大きな会社や工場などの寄付金に依頼してジャパティックの運営が行なわれているということを決算は物語っているわけであります。  私、この点についてひとつ本当に特許庁長官にもお尋ねをいたすわけでありますが、「日本特許情報センター(JAPATIC)の設立」の第一ページの後段に、「また、昭和四十七年十月三日付総理府賞勲局長から「褒章条例ニ関スル内規」第二条(公益団体に私財を寄付した場合には、褒章条例に依り表彰することがある。)に該当する公益団体としての認定を受けております。」その前段として、「日本自転車振興会等からの多額の補助並びに産業界からの多額の寄付をいただいております。」そうしてまた続くのですよ。これは全く自主的な運営を放棄いたしまして、褒章条例をえさにして大企業や大工場から寄付金を取っておる、このジャパティックを運営しておる。これがいわゆるパンフレットに明らかではありませんか。こういう運営の仕方は好ましいとお考えになるのですか。  イギリスのロンドンにありますダーウェント、あるいはアメリカのワシントンにありまするIFI社、これは民間の調査機関です。情報センターです。これは企業として成り立っているんです。全く私はいま、調査サービス部門を一つ取り上げて問題にいたしましたけれども、決算面からまいりましても寄付金が予算額より多い、事業収入が予算額よりも一億円も少ない。これは明らかに、ジャパティックが大企業とともに手を組んで特許情報をないがしろにしておる。全く私は、四十五年の国会における附帯決議を無視しておる、こう言っても過言ではないと思うのでありますが、こういう状態を好ましいとお考えになるのか、好ましくないとするならどう是正していくのか、大臣のお答えをいただきたい。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) この機関は、昭和四十五年五月十二日の委員会の附帯決議の趣旨に基づきまして四十六年に設立された機関でございますが、きわめて特許行政に果たす役割りというものは重要なものがございますので、運用の面につきましていまいろいろ御指摘がございました。十分運用の内容を検討いたしましてその育成強化、本来の趣旨に沿いまして運用いたしますように十分配慮をしてまいりたいと思います。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 それは実際私はそういう当たりさわりのないと申しますか、通り一遍の答弁じゃ納得できないんです。役員の名前を一々国会の場ですから申し上げませんけれども、会長、副会長、これは日本で名だたる財界人ですよ。そうして常任理事が規約によりますと二十名、理事が五十名、七十名ですね。私の調べによりますと、理事会は年に二回開かれておるようでありますが、とにかく常任理事、理事合わせますと七十名、常勤理事は四名でありますから、これは比較的規模から申しますと妥当な数だと思うのであります。しかし、このいわゆる常任理事、理事七十名をしさいに検討いたしますれば、その大部分が先ほど申し上げました寄付金を出すような大工場、大企業の関係者によって占められているのではないだろうかというふうに私は考えております。きょうはそれ以上は深く突っ込みませんが、私はそういうような実態等を考え合わせましたときに、大臣のようにありきたりの答弁じゃなく、これは根本的にジャパティックの運営については国会決議の趣旨に沿うようにやはり運営を正し、そうして機構全体を、言うならば洗い直していくという根本的な態度が必要だと思うのでありますが、どう思われますか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) ただいまダーウェント等の例を引いて御質問、御意見がございました。ダーウェントは御存じのように、非常に長い歴史を持って、膨大なるデータの蓄績を持った機関でございます。これはそれ自身として実は自主独歩でやっております。残念ながら、ジャパティックは設立以来まだ数年しかたっておりませんので、先ほど申し上げましたように、データの蓄績面一つとりましても、その辺につきましては不十分な点がございます。それを補いますためにインパドックその他との国際的なデータの交流、蓄績等をやりまして、逐次実力を高めつつあるというふうに考えておりますが、御指摘のように、現在の状態では事業外収入の方が多いことは事実でございます。しかしながら、毎年の経緯を見てみますと、事業収入と事業外収入の割合は、事業収入の方が逐次割合が多くなってきておるというのも、これまた事実だと思います。そういうふうな現状を考えますと、今後、私どもとしましては、なるべくデータの蓄績を迅速にかつ確実に行いまして、真にこれが日本の特許情報の中心的な存在となるように、あるいは民間に対しますサービスに対しましても、あるいは特許庁に対します審査の一助としての役割りといたしましても、そういう方面で充実をしていくように、私どもとしては及ぶ限り努力をいたしたいというふうに考えております。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 私は、いま長官の答弁に一々揚げ足を取るようなことを申し上げたくないんでありますけれども、たとえば事業外収入、これ予算面だけで四十九年度も六億八千七百四十九万五千円というものを計上されている。四十八年度予算案は先ほど申し上げた六億二百九十四万ですから、八千万円以上、八千五百万円に近い増です。事業収入はと申し上げますると、四十八年度の五億三千三百六十七万、四十九年度五億八千二百五十万、つまり五千万円近いいわゆる増です。パーセンテージで比較いたしますと、そう大して差はありません。いま長官の答弁で、年々事業外収入は減少して、事業収入の増大を図りつつあるということが正しければ、このような予算は組まれなかったのではないだろうかというふうに思う次第であります。  そこで私は、もう一つ問題点として挙げておきますが、日本特許情報センターは公開特許出願抄録というものを先ほど申し上げましたように事業の中でおやりになっている。ところが、別会社、ほかに幾つかの会社がこのような公開特許のカードダイジェストとか、あるいは公開特許TPI抄録だとかということで、それぞれほかの会社が発行しておみえになる。これはジャパティックができて三年目でありますから、既存の会社の領域に商圏を確保するためにがんばっているという事業活動がいまから軌道に乗るところでありますから、過去の会社の分野にまでも押し入っているんだというふうな理解をしろと言えば理解をしないわけにもまいりませんけれども、現実には公開制度の特許出願抄録にいたしましても、ほかの数社が同じような仕事をやって成り立っているという事実、これは私は、やはり日本特許情報センターというものが財団法人組織であるがために、いささか事業活動に熱意を欠いておるような結果ではないだろうかというふうに思うのでありますて、根本的な立て直しのために一層の努力を払われるよう希望を申し上げておきます。  次に、時間がございませんので、本改正案の非常な中心になっておりまする多項制の問題について一度お尋ねをいたしておきたいと思うわけであります。  今回のこの多項制の問題につきましては、非常に出願人等にメリットもあるんだというような前提に立ちまして、いわゆる実施態様プラス併合というような政正になったわけであります。こういうような問題について、一体特許法三十六条第五項の「発明の構成に欠くことができない事項のみ」と、今回の改正による発明の構成要件というのは一体同じなのかどうか、違うのかどうか、この点についてまずひとつ明確にお答えをいただきたいと思います。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 三十六条五項の現行法にあります「発明の構成に欠くことができない事項」と、いまお話がございましたのは、発明の構成要件というお話がございましたんですが、発明の構成要件といいますものは、俗には発明構成要件ということをいろいろ言われておりますけれども、厳格な定義というものはございません。したがいまして俗に構成要件、構成要件ということはよく言われておりますが、厳密に一致しておるかどうかという点に関しましては、私も現在明確に実はちょっと答えられないのでございます。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 そういたしますと、構成要件と、構成に欠くことができない事項というのは同じなのかどうか、あるいは違っているのかどうか、その点について明快な御見解というものは特許庁にはないという理解でいいのですか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 発明の構成要件というものに関しまして、私ども、発明の構成に欠くことができない事項と回しような意味に使っておる場合もありますし、あるいは厳密に法律的に表現すれば、それはあるいは多少表現としては不十分かもしれないという点も考えられますので、したがいまして、それが法律的意味において全く同じであるかどうかということは、さらに検討を要することではなかろうかと思います。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 次に、今回、実施態様という問題が非常に大きな問題になっておるのでありますが、この実施態様というものと、今日までの実施例というものとの違いというものがあるのかどうか、あるとすればどういう点が違うのか、また同じなのかどうか、この点についてもひとつお答えいただきたい。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 実施態様と申しますのは、発明の構成に欠くことのできない事項に含まれております発明の特徴をすべて含みまして、これを場合によりましては技術的に限定し、場合によりましては、これを具体化することによりまして記載をする発明の一つの態様でございます。  それから発明の実施例とは、発明を現実に実施に移したときにどういうふうに実施されるかということを具体的に例として示した事例でございます。  それで、それにつきまして例を引いて申し上げた方がよろしいかと存じますので、例を引いて申し上げます。  たとえば弱アルカリ性の条件のもとで、メラミンをホルムアルデヒドと反応させて化合物Aを製造する方法、こういう発明の構成に欠くことができない事項があったと仮定をいたします。その場合に、実施態様の場合には、その弱アルカリ性の条件のもとで云々というのを、PH八から八・五のもとでメラミンをホルムアルデヒドと反応させて化合物Aを製造する方法、こういうふうに技術的に限定を加えますのが実施態様になると考えておりますが、実施例といたしまして、たとえばですが、メラミンを百二十六グラム、三七%、ホルマリン二百二グラムを攪拌機、還流冷却器、温度計を備えた反応装置に入れまして、それを温度九十度Cに置きまして、PH八で九十分間反応させて、水及びメタノールに不溶性の化合物Aを三・二八グラムを得る方法、こういうふうに非常に具体的に書くのが、それは一例でございますけれども、実施例と、こういうことに相なるわけでございます。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 いまのようなことでは直ちに即断ができかねますが、要するに特許庁長官としては、実施態様と実施例というのは違うんだということを強調していまの例をお出しになったというふうに思います。私は、実感といたしましては、いまの答弁の速度と内容からいたしますと、どっちも一緒じゃないだろうかというような感じ、なきにしもあらずでありますが、これはまたひとつ速記録等を見ながら判断をしてみたいというふうに思うわけであります。  そういたしますと、いわゆるこの実施態様の問題は、従来の特許法の施行規則の中に実施例の説明事項というものの様式が明示されておりますが、実施態様についても同じように施行規則の中にそういうような様式等を御明示なさるのかどうか、それをお尋ねいたしたいと思います、様式16、備考13というやつ。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) この様式は省令の一部でございます。私どもの方でいま考えておりますのは、この様式のいわゆる備考ということではなくて、省令の本文に記載の方法を詳細に書くというふうに考えております。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 省令の本文にお書きになるということでありますが、従来実施例というものは、施行をいわゆる規則の様式16備考13の項に説明がなされているわけでありまして、実施態様をいま申し上げたように省令の本文に記載をするということはどういうような意味があるんですか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 失礼いたしました。いま私が申し上げましたのは、実施態様の記載方法を省令に書くという意味で申し上げまして、実施例を省令の本文に書くということはいたしません。もし私の答弁が勘違いでございましたら御訂正をいただきたいと思います。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 そうすると、実施例と同様に、施行規則の中にその様式等の説明の項目を設けられるというふうな理解でいいんですか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) お尋ねの実施態様の記載方法をどこに書くかというお尋ねだと思いますが、それは省令の本文に記載の方法を書くというふうに予定をしております。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 いや、私の言うのは、その方法はそれでいいんですけれども、今度は文書の形態というものがあるでしょう。どういうような内容をどういうところに書いてもいい、それは従来、実施例というものは施行規則の中にちゃんと明確に規定されているわけです。だから、実施態様になった場合にはそのことはどういうようにおやりになるのか、従前どおり実施例と同様に、施行規則でお書きになるのかどうかということを聞いているんです。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 実施態様の記載方法につきましては、いま申し上げましたが、省令の本文に書くと申し上げました。それ以外の詳細な書き方、たとえば例を挙げてブレークダウンをして、皆さんにおわかりやすくするように例示を挙げて説明をするとかいうふうな詳細なものにつきましては、運用要頒によりまして、これは親切にわかりやすく明瞭にいたしたいというふうに考えております。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 どうも時間がないんで申しわけございませんが、また端的にお尋ねいたします。  今回のこの改正によりますと、実施態様というものは権利としては法的にはどういう位置づけになるのかお尋ねいたします。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 特許請求の範囲の一部でございますから、当然特許権を判定をいたします。特許の判定をいたしますのは、特許法七十条に技術的範囲を判定する規定がございますけれども、それによりますその判定の基礎になるというふうに考えております。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 判定の基礎になるということは、言うならば特許権と同様の効力を持つという意味なのかどうか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 第一項と通常言われておりますものに書かれます発明の構成に欠くべからざる事項と、第二項以下に書かれております実施態様とを合わせまして、一発明として一特許権の対象になるということでございます。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 私がお尋ねいたしておりますのは、たとえば発明に欠くことのできない条件で、第一項で、第一項で言えば特許のいわゆる許可の対象にはなると。しかしその実施態様の中で若干幾つかの実施態様が出された、クレームが出されたけれども、その一つがたまたま公知の事実の問題を含んでおったということになりますと、全体がだめになるというふうに私は理解をいたしておるわけでありますが、しかし、逆に第一項のいわゆる発明に欠くことのできない条件というものが、言うならば何らかのかっこうで拒絶の対象になる。しかし、出されました他のクレーム、言うならば実施態様の部分が特許の対象として考えられるという逆の場合もあるわけです。そうだといたしますと、実施態様そのものも特許と同様に効力を、私の言うのは事実上です、特許と同様の効力を発するものとして理解していいのかどうかということをお尋ねしている。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) いまのお尋ね、いろいろなケースが考えられますが、第一項に書かれております、俗に主請求項と呼んでおります主請求項と、それに実施態様項というのが仮に二つついておるといたしまして、それでいま第一にお話がありましたのは、実施態様項にきずがあった場合、瑕疵があった場合には実施態様項は当然削除しなければ拒絶査定になります。それと同時に、第二項の実施態様にきずがあるということは、第二項で示しております技術的な特徴は全部第一項に含まれておりますから、第二項に相当する第一項に書かれておる部分につきましては削除するか、削るかいずれかにしなければ、そういう補正をしなければ特許にはなりませんというふうに私どもは考えます。それが第一のケースでございます。  それから、第二番目のケースは、いまお尋ねがございましたように、第二、第三の実施態様項にはきずがなくて、第一項の主請求項にきずがある。範囲が違いますから、実施態様項の方が当然技術的に限定されるので狭いわけですから、飛び出している部分がある。飛び出している部分についてきずがあった場合にどうなるかというお尋ねだと思うのです。その場合には、通常の場合には補正の方法としては、その飛び出している部分——公知部分がありましたら、その部分だけを削除するという方法が一つございます。そうでなくて、仮にそれが致命的な問題でありますれば、第一項を全部削除しなければいけないというそういうケースもございます。  その場合にどうするかということが問題じゃなかろうかと思いますが、その場合には、補正をいたします場合に、二項と三項の実施態様項をくくりますようないわゆる中間的な概念がもしありますればそれをくくりまして、それを主請求項として二、三の実施態様項を並べるという方法もございます。もし中間的なそういう概念が見つからないという場合には、主請求項を全部削除しまして、第二項、第三項でありますいわゆる実施態様項そのものが、これはそれぞれ、場合によりましてはそれぞれですが、いわゆる主請求項に補正をする、そういうケースもございます。それから、なおその二と三の実施態様項自身が、これはあまりくどくど申し上げますとあれですが、三十八条の併合要件を備えている場合と、備えていない場合ではまたその補正の方法が違います。いろいろ例を述べますと長くなりますので、いまお尋ねの点は以上のような点だと思いますので、一応答弁いたします。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 非常に私は問題のある実は答弁だと思います。これは弁理士会等からもいま長官の答えられたような方法でということで意見書が出ているようでありますが、私はいろいろな点で若干の問題点があると思います。  ただ問題は、そのことを逆の裏から見ますと、実施態様は特許ではないということにもなるわけであります。主請求事項についてだめならば云々ということになりますと、実施態様はこれは特許の対象ではないということにならざるを得ないと思うんてあります。もしも——いま長官頭をひねっておみえになりますが、このいわゆる実施態様の数項の事項、主たる項目でないクレームを特許の対象と見るならば、私はまた話は違ってくると思うのでありますが、いわゆる主請求事項を特許の対象にし、それに付随する複数以上のクレームはこれは実施態様というのが多項制の問題点なんですね。ですから私は、主請求項以外のクレームを特許とは見ないというふうな理解をしたいと思うんでありますが、そういう理解は間違いですか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 御質問がございました点で、特許と見ないという意味が私不勉強で実はよくわかりませんのですが、特許権の対象になり得るのであるのか、なり得ないのであるか、あるいは特許の権利の範囲内として考えられるのかどうかという、そういう御質問であると……

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 いや、私は逆に言うと、長官、一つの特許請求が審査の結果特許としてできたと、一請求のやつがありましたですね、いま主たる請求が特許になったと、そうすと、数項のクレームを同じように実施態様として認められた、一貫して認められたという場合に、その数項の実施態様は特許という概念の中に入るのかどうかということを聞いているんです。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 特許権の範囲内でございます。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 そういたしますと、いわゆる実施態様と、言うならば特許の主たる請求項目と分けるということは、私は意味がないというような感じもいたすんでありますが、この実施態様そのものが特許として理解できるということは、国際的にはそういう概念で通っているんですか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 諸外国の制度は、諸外国でそれぞれ制度の持つ意味が違いますから、必ずしも一概には言えませんけれども、いわゆる全く回しような意味ではありませんけれども、特許請求の範囲、クレームと言っておりますが、特許請求の範囲にかかりました事項につきましては、これは特許権の権利の中と申しますか、権利の中であることはいずれの国でも変わりがないわけでございます。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 そうしますと、いわゆる一発明一出願という原則からまいりますと、いまの現行法で多項制を採用いたしましても、併合出願ということが認められているわけでありますが、そのいわゆる一発明一出願、複数のクレームと併合出願との差はどういうことなんですか、具体的に。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 併合出願と申しますのは、言うまでもなく発明が複数ございまして、その複数の発明の間にある関係がある。三十八条の各号に書いてありますが、三十八条の各号に書いてあるような関係のある二以上の発明を一つの出願でできるということが併合出願の意味でございます。  それで、いまの多項制の意味はどうかということでございますが、多項制の通常の場合、三十八条以外の場合を考えますと、これは発明としては一つでございます。一つの発明につきまして主請求項と実施態様項とを行を分けるといいますか、区分してといいますか、区分して記載ができるということでございます。ですから、一発明で多項でありまして、要するに、その一発明と他の発明とが三十八条の関係があれば、それはあわせて二発明でも一出願でできる、これが併合出願でござ  います。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 非常に法改正は、それは問題があると思います。たとえば、いま言ったように多項制で出された複数のクレームも特許だ、特許の数の範囲内に入るんだというお答えがありまして、そして、一面において併合出願は二以上の発明になっているんです。多項制の中でいけば、私はやはりこれは二つ以上の発明、複数発明だと、特許権の中に入るというお答えを前提とするならば、複数以上の発明で出されたものだという理解も実は成り立つわけでありまして、非常に問題か多いと思います。そしてアメリカ等におきましては、多項制の中におきまして、出されました多くの複数のクレームのうち、公知の事実あるいはその他問題になりました点についてはこれを削除して、残りの部分について、主たる事項について特許権を認めているというような方法か採用されておりますが、現状等からまいりますと、長官が言われたような、国際的な概念に基づきましていま申し上げたものは通用しているんだというふうな理解はなかなかできないところであります。  時間がございませんので、私、大急ぎで物質特許制度の採用の問題についてお尋ねをいたしておきたいと思います。  そこで、まず長官にお尋ねをいたしたいのでありますが、物質特許制度の問題について答申が出されましたときに、その答申は、いわゆる十九人の人々の意見、つまりヒヤリングが行われまして、そのヒヤリングの中からいろんな問題点を指摘をいたしまして出されてきたわけでありますが、そのヒヤリングの各部門別の中で「物質特許制度の国民生活に与える影響」という問題について論議がなされておりますが、この審議会の中におきまして、この「物質特許制度の国民生活に与える影響」等の点について非常に私は討論が不足をいたしておりまするし、事実上、言うならば確実な見通しがなされていないのではないかというふうに考えているわけであります。  たとえば、「物質特許制度の採用により、研究意欲の向上と研究の効率化が期待され、従来見られた防衛的製法の研究などは少なくなるであろう。中小企業も安心して、特定の研究テーマに専心できるであろうといった意見も述べられ」ております。これは全く私は中小企業の立場を無視したものでありまして、現在の日本の中小企業におきまして、物質特許制度のもとにおきまして事実上研究意欲が向上し、そして、そのための大きな期待が持たれるということはほとんど不可能ではないかと思うのでありまして、こういう点も非常に審議会の見方が偏見に満ちておるのではないだろうかと思うのであります。  また、「国民生活に与える影響」の中におきまして、「特許独占が価格の高騰を招くかどうかという点などを含めて、一般的に悪影響はないと陳述されていた。即ち研究費の効率的使用が可能になり、研究コストの低下が期待される」からである。全く、この点についてもほんとうの意味の国民生活の直視がなされていない。そして「製品は多様化されており代替品があるために、その間の競争で価格は制限をうける。」、また、「医薬品は保険薬価の制度のもとで独占価格を形成し得ない、などの理由により原則的には考えられる特許独占の強力化による価格の高騰という要素に対して、これを打ち消す反対の要素もあることが説明された。」と書いてある。これは全く私は現在の実情を無視しておると思うんです。  もちろん、十九人のヒヤリングはだれか。井深さんというソニー株式会社の社長、味の素の社長、石油化学工業協会会長、あるいは日本化学繊維協会技術委員長、食品特許協会会長、電子機械工業会専務理事、東京医薬品工業協会会長、日本化学工業協会技術委員長、あるいはキッコーマン、森永、こういうようにこの物質特許制度でメリットのある関係会社のおえら方が出てきて論議をしておるのでありまするから国民生活に影響ありませんよということに尽きる結論が出てくるのは当然であります。そのいわゆる十九人のヒヤリングを通したものを基礎にして物質特許制度採用を答申しておるに至っては、全く私はナンセンスな答申だと言わざるを得ないのであります。  しかも、発明団体連合会は、この制度によって巨大企業の寡占化が一層助長されないようにその歯どめ措置に特段の留意を賜りたいと言い、かつ新規物質の使用・販売については特許法第九十三条の公共の利益を広く解釈できるような運用規定を設けて、利害関係人が何人といえども裁定制度を活用できるようにしろ、しかも六ヵ月以内に裁定しろというような意見書をわざわざこれは特許庁長官あてに提出をいたしておるのであります。全く答申と逆のことを言っている。しかも、後ほど阿具根先生からも質問があるかとも存じますが、巨大企業がいわゆる物質特許制度によりまして寡占化を助長し、その独占価格によって国民生活に大きな影響を与えることは詳細に説明を申し上げるまでもないことであります。  現に、薬品の問題につきましては、かつて、もと公正取引委員会の委員であった有賀美智子さんが、いわゆるイギリスのロッシュ社が行いました、精神安定剤の専売特許を利用いたしまして大もうけをした、これをイギリスの特許法第四十一条で、公共の利益のためにということで、言うならばその実施権を政府が取って、そして約四〇%の薬価を下げさせたという事実を報道いたしております。日本にはそういうようなものはございません。こんなことを考えてまいりますと、非常に物質特許制度によりまする国民生活への影響については甚大な影響があると私は断定せざるを得ないのでありまして、この点について通産大臣は、この物質特許制度の採用によって巨大企業の寡占化が促進されないで国民生活に大きな影響を与えないという自信があるのかどうか、そのことをまずお尋ねいたします。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) この物質特許制度の採用ということは、これは当初この法案を提案をいたしますときに御説明いたしたところでございますが、最近、科学技術が非常に進歩をいたしておりまして、いろんな発明等が次から次へ出てくるわけでございまして、国際的にもこういう制度がすでにでき上がっておるわけでございます。そういうふうな諸般の事情を考慮いたしましてこの制度を採用するということを申し上げたわけでございますが、これは私は現在の産業の段階、技術水準の段階及び国際的な状態等から見まして、きわめてこの制度を採用するということは適切である、こういうふうに考えております。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 巨大の産業が、寡占化によりまして大きな利益を得ることは絶対ないという確信をお持ちですか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) あるいは一部の企業がこのことによってさらに大きくなる、そういうこともあるかもわかりません。しかし、全体の動きといたしましては、先ほど申し上げましたように、私は世界の大勢、それから技術水準の現状等から考えましてこの制度を採用することがよりプラスである、こういうふうに考えております。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 答申もその点については非常な心配を実は払っておるのです。答申も物質特許制度を、言うならば採用することを進めておきながら、一方においては、やはり第九十三条に基づく裁定行為、これは通産大臣が行うわけでありますが、その裁定行為を十分ひとつ運用をうまくやって、そして問題が起こればとりあえず——私はこんな九十三条ではだめだと思うのですよ。だめだと思いますが、現行法によれば九十三条しかございませんから、独禁法でやろうとすると非常に問題は複雑でありますが、九十三条しかとりあえずないのです。そこで答申は、この九十三条の裁定制度の運用要領の試案というものを出されております。この点について通産大臣は今日までこの問題をどう検討されたのかお尋ねいたしたい。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) いまお話がございました「裁定制度の運用要領試案」、これは答申の参考資料として一応出されております。私どもも、これは参考資料ではございますけれども、いまお話がございましたような、裁定制度をさらに効率的に意味があるように運用しろ、こういうあらわれではないかと考えておりますので、この運用要領試案にのっとりまして、さらにこれを工業所有権審議会発明実施部会にも具体的な事項を決めまして諮問いたしまして、これを尊重して運用いたしたいというふうに考えております。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 この趣旨を尊重して運用いたしたいということはわかります。私のいま聞いておりますのは、答申と一緒に出されているのですよ、試案が。答申の中の物質特許制度でありますとが多項制の問題は、今日こうして国内法の改正として出てきているわけであります。ですから、このいわゆる裁定制度の運用の試案については、どういう検討をなさって何らかの成案を得ているのかどうか、それをお尋ねしているのです。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 実は運用要領試案をつくります場合につきましても、小委員会におきまして数回にわたりましていろいろ議論が行われた結果でき上がったものでございます。それでその試案を見ますと、詳細に、たとえば裁定請求書の提出があった場合には、何日以内に答弁書の提出を求めるようにしろとか、そのほか具体的にいろいろ書いてありますが、これは要領の試案ではございますけれども、このまま私どもが行政上これをもとにして運用するということも、すぐできる程度に実は試案が成っております。したがいまして、本問題につきましては、それ以外の問題を多少詳細に私ども規定といいますか要領をつくりまして、それを工業所有権審議会の発明実施部会に諮問をいたしまして、その御賛同を得ましたならば、それをその要領に基づいて実施をいたしたいというふうに考えております。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 いや、その考え方は理解することかできるのです。私は、答申の中で——なぜこういうものが、国内法の改正だけはどんどんおやりになる。多項制にしても、物質特許制度にしてもおやりになる。ところが、肝心の発明団体等からも希望があり、私ども国民生活に大きな影響を与えておるわけです。そういう問題を救済するのは、現行法では九十三条しかありませんから、この裁定制度について運用をうまくやってもらいたい。そういうことをこの審議会の答申の中に付記しているわけです。それを国内法の改正だけはどんどんおやりになる、試案だけはいま申し上げたように、発明実施部会にこれから諮って、さらに細かく検討して、了解を得られれば実施をしたいと思いますよということでは、私なんか答申を一〇〇%尊重しようとは申しませんが、いわゆる答申の受け取り方に片手落ちがあるのではないか。私どもは一番問題にしているのは、国民生活にこの問題が大きな影響を与えないかという立場に立って問題を考えましたときに、国内法の改正よりも、あるいは国内法の改正と付随して、同時期に私は九十三条の救済の裁定の運用規定というものが、発明実施部会で了承をされて、かくかくの状況で大勢としては整っておりますよというように行政を進めていく方が妥当性があるのではないかというふうに思うのでありますが、一体この点について、発明実施部会に諮って了承を得られるのはいつごろですか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 私どもは、この運用要領試案は、言うまでもなくこの物質特許制度の改正法案が成立をした暁における裁定制度の運用であるというふうに考えておりますので、この法案が成立をさしていただきました暁には、速やかにこの裁定要領試案をもとにしました要領をつくりまして、諮問いたしたいと考えております。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 速やかじゃ困るんですね。一方において国内法の改正は、きょうこの委員会を通過すれば、間もなく参議院の本会議を通じて今度は衆議院に回るはずなんです。施行も間近いですよ。それをやはり施行されるまでの間に、いわゆる裁定制度の運用要領をつくってもらわなねれば困りますよ。それは提出できますか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) この要領につきましては、本法案が両院と申しますか、国会で御承認をいただきます間に発明実施部会に諮問をいたします。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 そうすると、いま言った実施部会ですね、これはちゃんといまお話がありましたように、この施行に間に合うように開いていただいて、そして出していただく。ちょっと私非常に恐縮でありますが、もしも発明実施部会におきまして何らかの苦情が出たり、あるいはそこまでもとか、成案がまとまらないというようなことも予想せざるを得ない場合があるかもしれません、いろいろな意見の方がお見えになりますから。そういうような場合には、特許庁としてはどう対処なさいますか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) この裁定制度の運用要領試案は、過去長い間各方面の御意見を聞きましてでき上がったものでございます。いま御指摘がありましたとおり、物質特許制度の採用に伴います非常に大きな意味を持つものでございます。それだけに慎重に各方面の御意見も聞きましてでき上がりましたものでございますので、発明実施部会にお諮りをいたしましたときに、これに対しまして、重要な部分につきましての御意見が出るというふうなことは、私どもは予想をいたしておりません。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 最後に、運用要領は本来ならば特許法の九十三条ですから、体系的にはややむずかしい感じがしますが、できれば施行規則の中に明記をするのが私は一番望ましいというふうにも思います、その施行規則の中には、九十三条の裁定制度の運用については、別途運用基準をかくかく設けるというような項を入れて施行規則までつくって、それからいま申し上げた運用の要領の基準というものを公表していく。そして、施行規則と一体のものとして国民の前に明らかにするということが必要ではないかと思いますが、これは事務的な立法技術上の問題も入りますが、長官としてのお考え方を、最後にこの問題についてお尋ねいたします。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 本裁定制度の運用要領試案を拝見をいたしまして、もちろん庁内では検討いたしておるわけでございますが、これをこのままのかっこうで省令にそのまま入れることはややむずかしいかという感じがいたしております。したがいまして、これは運用要領として私どもの方は完成をさしていきたいと思っております。なお、その要領試案が発明実施部会の御承認を得ました暁には、当然内外に公表いたしまして、広くこの点につきましてはPRをいたすつもりでございます。

森下昭司日本社会党

○森下昭司君 結構です。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 私は関連でございますが、時間がないので端的に質問申し上げますが、まず、飲食物及び嗜好物の発明、及び医薬の混合方法の発明、この点について御質問申し上げますが、医薬品について厚生省等はどういうふうな話し合いがされているのか。医薬品については、これは厚生大臣の許可がなければ使用することができないことになっている。医薬として許可されたものに対するトラブルは、すべて厚生大臣が全責任を負うことになっておる。こういうことになっておるわけです。だから、いままでは医薬品に限っては特許を与えることはできなかったわけなんです。今度それを、三十二条を撤廃する、直す。そして医薬品にも特許を与える、これを物質という名前で言われておるが、物質ではあるでしょう。しかし薬には間違いないのです。それを薬事法では一体どう見ておるのか、それでいいのかどうか、そういう点、厚生省との関係、それに対して説明してください。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 特許法の考えておりますいわゆる新しいもの、発明に対しまして、これを公開いたしまして、それの裏返しというのですか、対価といたしまして、ある一定程度の独占的な権利を与えるというのが特許法のたてまえでございます。それで厚生省の方の薬事法の方のおたてまえは、私ども詳細には存じませんけれども、各種別の観点から、いろいろ製造なりあるいは販売なりを規制しておられるのではあるまいかと考えます。そういうふうなことで考えました場合に、それぞれ法律の目的なり態容が違うと思うのでございます。それでなお、御質問がございました厚生省との関係につきましては、私ども当然政府として御提案を申し上げているわけでございますからして、厚生省には十分趣旨を説明をいたしまして、御了解を得た上で提案をいたしておるわけでございます。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 薬については、厚生省には専門宝が全部おられて、そうして許認可されておるはずなんです。もしも薬事法によって、これは薬として認めない、そうして特許庁の方では特許として認める、こうなったらどうなるか、薬務局からどなたかお見えになっているならば、ひとつ率直に説明してもらいたい。

山田幸孝厚生省薬務局審査課長

○説明員(山田幸孝君) ただいま御質問の問題でございますが、先ほど特許庁長官からお話ございましたように、私どもの薬事法での承認あるいは許可は、保健衛生上の観点から所要の各種の措置を講じているものでございまして、特許法で目的としております観点とは異なるわけでございますので、私どもの考え方としましても、先ほど特許庁からお話があったような見解を持っているものでございます。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 私よくわからないのですがね。機械、器具というならばわかるのです。ところが薬品というなら、医者以外、薬剤師以外の人が薬品をつくっていいかどうか、私はこの前のときもテレビを見ておって、一番宣伝しておるのは薬、極端に言えば、効かないから宣伝して売るのだと思っているのです。私はそう思う。効くやつだったら、宣伝しなくても人は買う。効かないから、宣伝してうんと金をかけて薬を高くしている、私はこう言いたいくらいなんです。なぜかならば、医者でもない、薬剤師でもない、有名な女の人とか、男の役者とか、そういう人たちが薬を国民に売っていいと、これは効きますと、そういうことが言えるかどうだか。薬事法ではこれはできないのです。それを薬屋はやっているわけです。もしもそれに特許を与えたならば、特許は特効薬となると私は思うのです。これは特許をもらった薬ですよ、特効薬です、こういうように薬は宣伝されると思うのです。  薬務局お見えになっていますから、ちょっとお聞きしますが、かぜ引きの薬は何種類ありますか。何十種類ありますか。おそらく何十種類でしょう。そのかぜ薬の中身はどこがどれだけ違うか教えてもらいたい。私の聞いている範囲内では、中身は同じで、糖衣の色が変わっただけでも違う薬の名前になっている。糖衣の砂糖の入れ方によっても違う薬になってくる。中身の薬が少し違ってもこれは違う名前で出てくる。こういうことをやって薬ははんらんしておるのです。日本ぐらい薬を売っているところはないのです。そういうのを特許庁がこれを与えるとするならば、それ以上の機構がなからねば与えられない。食料の問題も後で質問しますが、食料の問題もそのとおり。それだけの陣容がありますか。そういうことができるか、私はこれを心配するのですが、いかがですか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 言うまでもないことでございますけれども、現在、医薬及びその調合方法につきましては不特許事由になっておるわけでございますが、医薬の製造方法につきましては、これは特許法の対象になっているわけでございます。したがいまして、その方面につきまして私どももそういう方面の技術屋と申しましょうか、専門分野の方と申しましょうか、そういう方を審査部の方に採用をいたしております。したがいまして、製造方法の特許に関しましてはそういう部門の方がそういう審査をして、それで特許を与えるか、与えないかということについて査定をいたしておるわけでございます。また審判も同様でございます。したがいまして、その点につきましては、私どもの方はもちろん十二分であるかどうかという点につきましてはいろいろ御批判もあろうかと思いますし、かつ非常に微妙な問題につきましては、厚生省なり各方面の御意見を聞くことはもちろんあろうかと思いますが、そういうことで補いつつ実施をすることができるというふうに考えておる次第でございます。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 薬の製造じゃないんでしょう。薬品でしょう。薬の製造なら私はわかると思うのです。薬品を特許として認めるんでしょう。いまの政府の部内では薬品の責任の長は厚生省なんです。そこで相当のスタッフがそろっておるはずなんです。それ以上のスタッフをそろえるというのは屋上屋で一体どうなります。薬品は厚生省の責任であるはずです。だから、いままでもちゃんと三十二条でこれこれは特許をやっちゃならないと決めてあったのを、今度はとるんでしょう。とるならそれ以上の機構がなかったならば薬品の特許なんか与えられないと思うのです。またそれをやるようになったら厚生省の薬務局は三分の一ぐらいでいいと思うのです、私は。要らないと思うのです。そこがそれ以上の権限を持ってきて、これは薬品です、特許ですと。そういうことを許可するならば。通産大臣どうですか、わざわざ厚生省にその責任があって、責任官庁があって、そして今日まで薬をこれはどうだ、あれはどうだとやっておられるのにも私は疑問か——さっき言ったように、同じかぜ引きの薬が中身がどのくらい強いかも、これはわかりゃせぬ、聞いても。書いちゃあります。わかりゃしません。そういう微妙な問題を特許を与えるというようになると、どういうところで特許をお与えになるか、私はそれがわからないのです。もっと、百歩下がっても、たとえば厚生省の薬務局の方でこれは薬としてこれはよく効きますということになった場合、それに特許を与えるというならこれはわかる。しかし、あなたの方でこれはりっぱな薬品ですと言って特許を与えた。ところが、今度は薬務局の方で、これは薬としては効くかもしれぬけれども、反作用が大変です、これ飲んだらあるいは反作用で死ぬかもしれません、こういうことになったらどうしますか。特許を与えられた特許庁が全部を責任持ちますか。それをちょっとお聞きいたします。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 私どもが判断をいたしますのは、出てまいりました物質でございますが、それが現行法の特許法のいわゆる新規性なりあるいは進歩性なり、そういう特許要件に合っているかいないかということを審査するわけでございます。それにつきましては技術的な知識も当然要ります。そういうことでその発明に特許要件があるかどうかということを審査をするわけでございます。したがいまして、その特許権になりましたものにつきまして、当然それは条約上にも実はそういう規定がございます。特許法で考えております目的と、いま厚生省の方で御説明ございました薬事法の方の目的なり態様とは違うようでございますので、私どもの方はその辺はそれぞれ別の立場で審査をして、それぞれの決定をするというふうなことではなかろうかと思います。  なお、念のためでございますが、パリ条約に同じような規定、そういう趣旨の規定がございまして、各国の特許庁も同じようなことをやっておりますが、パリ条約の四条の四というところにあるのでございますが、「物の発明におけるその物の販売又は物を生産する方法の発明におけるその方法により生産した物の販売が国内法上の制限を受けることを理由としては、これらの発明について特許を拒絶し、又はこれらの発明についての特許を無効とすることができない。」という新製品にかかわる発明の保護という規定がございます。それで、各国の特許庁ももちろんこれはパリ条約に入っている国は皆同じでございますが、そういう要するに特許法的な観点からの審査をいたしております。それが国内上、販売上の制限を受けるとか受けないとかいろいろございますが、それはそれぞれの行政目的に従いました法規がございますので、それに従いまして制限を受けることは、これはまた当然であろうかと存じております。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 各国のことをお触れになったので、相当御調査の上だろうと思いますから、それじゃ各国の薬務局の状態、特許庁の状態を全部言ってください。私はよく知りませんけれども、中国を見て回って、中国の薬の問題を私は知っております。日本とまるきり違うんです。これはもう私はここで言う必要もない。私はほかのところを知りませんから、あなたが外国でこれをやっているとおっしゃるならば、全部同じような姿でやっているなら私はそれでいいと思うんです。私は総理大臣に、事は別ですけれども、独禁法の説明をして外国の例を出したら、外国には外国の実情があります、日本には日本の実情があります、こう言っているんです。都合のいいときだけ外国の例を出して、都合が悪くなったらば日本の実情です、そういう政府のあいまいな態度は私はいやなんです。だから、外国の例をおっしゃたならば、薬事法でどうなっているか、どれだけのスタッフがおるのか、特許庁はどれだけの大きな機構なのか、それをこなすためにはどれだけの人員がおるのか、それを教えてください。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 私は、諸外国の厚生関係の組織その他に関してはほとんど存じません。  各国の特許庁の組織でございますが、これも正確に何人がどうということではございませんけれども、先般来の御質問にもお答えいたしましたように、諸外国のほとんどは医薬品に関しては特許を与えております。それはすべて特許庁で処理をしておるというふうに承知をしております。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 たとえば、食料の問題で石油たん白は特許を与えますか、いま特許の申請が来たら。御存じでしょう、石油たん白は。去年でしたか、鐘淵化学と大日本インキがたん白の企業化を発表したわけです。それは厚生省の食品衛生の方から、実験段階では安全である、こういう発表があったわけなんです。だからこの企業は石油たん白をつくろうとしたんです。それが世論の反対に会って、そうしてそんなものを豚に食わせる、その後の豚は人間が食うのだということで大変な問題になってきたところが、この所管は農林省なんですね。農林省はそういうものは食物として認められない。こうなって両者が醜い姿をさらけ出したのです。今度はそれが三つになるんですよ。石油たん白を特許庁ではこれは特許で認める。厚生省では食品衛生の見地からいいとか、悪いとか、農林省は農林省の立場から、これは食料として不向きだ、不向きじゃないと、ますます混雑にするようにして、やれますか、あなたは。  もう一つつけ加えたいのは、あなたにも注文いたしましたように、実際の実務をやっておる方々が、まだまだ議論が足らない。これじゃやれませんということを例を挙げて、私たちは陳情書をもらっておるんです。実際やっておる方々が、これじゃまだ早過ぎるというような状態の中で、なぜそういうものを無理せにゃいかぬのだ。石油たん白はどうなりますか。

大谷幸太郎特許庁特許技監

○政府委員(大谷幸太郎君) 今度の改正法によりまして特許できるものと考えます。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 まあいま言うように、厚生省の食品衛生の方でこれはいま管理しておる。しかし、食料ということになってくれば農林省なんです。それをあなたの方で、特許で許可するんですか。どうです、この三十二条の削除というのはおやめになった方がいいです。私は考え方そのものに頭から反対するわけじゃありません。しかし、実際できないと思うんです。石油たん白だけでも三省にまたがります。もしも、食品衛生からこれはだめです、あるいは農林省からだめですと言われたら、あなたの方はむだ骨折って、そうして一生懸命研究して特許を与えたけれども、これはだめですと言われたらどうなります。売ることできないですよ。薬でもそうでしょう。それはもう今度は、これができたら、薬九層倍でもうかってたまらぬ人たちがわんさとまた特許に持ってくるでしょう。そうすると、皆さん数は足らないのに、厚生省に負けないように一生懸命勉強されて許可されるかもしれない。特許をやられるかもしれない。しかし、今度は薬事法によってこれは薬として認めません、こうきたなら、これは薬として売ることができないはずです。それでも売りますか。食料の問題でも同じ。それでも売るとするなら、これは大問題。売らないとするなら、そんなむだ骨をなぜせにゃいかぬかというわけです。それならば、やはりそういう出願があったならば、これはその所管の厚生省なら厚生省が、これは薬として認められる、食料として認められるということになって、これに対して特許なら特許だと与えてやるなら私はいいと思うんです。そうじゃなかったならば、三省が打ち合わせせにやならぬじゃないですか。  時間が過ぎましたから、やめますけれども、私はこういう自信のないものを無理くり通そうとされるあなた方の考え方がどこにあるかわからないんです。外国だ、外国だとおっしゃるけれども、先ほどから言うように、都合のいいときは外国、都合の悪いときは国内事情と、こういうことで何でも処理されていく。これは実際この法律通ってもだめですよ。この前の改正のときも相当異論があったでしょう。どうですか、これ改正して、そういうことができると思いますか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) いまの物質特許の問題は、私どもの工業所有権審議会におきまして過去三年前後審議をいたしました結果の結論でございますとともに、当委員会におきましても早急に検討するように御指示をいただいた点でもございます。私どもそういうことを考えまして、審議をいたしました答申の結果を法文化をいたしましたわけでございまして、成立いたしました暁には、これをその趣旨に沿うように、その趣旨が十分実現できるように努力をいたしたいというふうに私どもは考えております。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 もうその話は、森下議員から詳細に御質問あったから、私は言わないわけなんですよ。その答申そのものがやられる方々は、全部その企業に関係しておる方々ばかりでしょう。その答申を尊重だ、尊重だと言って、自信がないものでやれますか。だから、審議委員の問題は森下さんがやったから、私は触れてないんですよ。こういうものをつくるなら、実際、これを利用する方々の意見も聞かにゃならぬのです。これを製作するような企業側の意見ばかり聞いたんじゃだめなんです。それも聞かれておらないんです。一方的な意見があって、それが結果になって、こういうことになってきている。だから、どうです、三十二条を削って、長官、これで特許を与えていいから、薬事法なら薬事法を通ったところ、厚生省なら厚生省の認可を得たところ、農林省なら農林省の認可を得たところについて特許を与えるなら与える、そうしたほうがやりいいでしょう、あなたの方も。私はそう思うんですが、三十二条削除できないんですか、いま削除してあるものを復活できないんですか。

山田幸孝厚生省薬務局審査課長

○説明員(山田幸孝君) ただいまの先生の御指摘は、直接は特許庁の問題かと思いますが、先ほど来、医薬品の問題を先生いろいろ御指摘になっておりますので、厚生省の立場から御説明さしていただきますが、薬事法に基づきまして、医薬品を人体に、これが使えるものかどうかという審査を行う際には、そのものの有効性あるいは安全性というものを私ども審査の重点項目としておるわけでございまして、そういう意味から言いますと、特許法で言っております目的とは若干異なるのではないか。ですから、現在におきましても、現在の特許法で許可が得られたものについて、必ずしも薬事法では許可を与えないという場合がございますし、特許法の改正が行われた暁においても、そういう事態は変わらないのではないかというふうに思います。といいますのは、それぞれ法律の目的としているところが違うわけでございますので、そういう事態は現状と変わらないんではないかと思いますし、この特許法の一部改正によって、薬事法に基づいた私どもの保健衛生上の監督業務が左右されるという事態はないというふうに私ども考えております。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 だから、いままでは特許がなかったんですよ。今度はそれを薬に特許を与えるんです。それなら、あなた方がこれは人体に与えていいか悪いかということを、いままでやってきた専門家がたくさんおられる。その上に立って特許を与えるか与えないかというならわかると私は言うんです。そうじゃなくて、特許庁で勝手に特許を与えられるわけです。そうしてあなたのほうで、これは人体に与えちゃならぬという結論が出たら、それは販売できるかできないかと聞いておるんです。できないんでしょう。できなかったら、そういうものを人も少ないのになぜ長時間かけて、そうして特許をやらにゃいかぬかと言うんです。あなたのほうで、これは人体に与えてもよろしいということになって、それが画期的なものであり、これは特許に値するということで特許を与えられるなら、私はわかると言うんです。そうじゃなくて、そういう人体実験とかなんとかかんとか、みんなあなた方のやるのを全部特許庁でおやりになるというから、それなら薬務局をもう一つつくったようなことになるじゃないか、そういう屋上屋をつくってまで、どうして特許庁はこれをやらにゃいかぬか、こう言うわけなんです。どうですか、長官。  いま、薬務局の方から言われたように、人体に薬を投入する場合はあらゆる検査をして、これは人体に与えてもいい、これは悪いということを出してきておる。だから、特許庁で特許をくれても飲ますことができないものは許可しない、こう言っているんですよ。そうでしょう。うんと繁雑な業務を、いまでさえも特許業務がつかえてしょうがない。それならば、そういうものに限って特許を与えるか、与えないかということをやった方が私はいいんじゃないか、こう言っているわけです。あなたは許可になろうがなるまいが、あなたの方で特許する、これは権限ありますよ、権限は。それは相談はしますとおっしゃる。相談はしますとおっしゃるけれども、この法律では、これは厚生省の許可を受けなければならない、厚生大臣と話し合いしなければならぬと何も書いてないですよ、どうですか。     —————————————

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 委員の異動について御報告いたします。  本日、熊谷太三郎君及び剱木亨弘君が委員を辞任され、その補欠として山崎竜男君及び森下泰君が選任されました。  また、本日、矢野登君が委員を辞任され、その補欠として斎藤十郎君が選任されました。     —————————————

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 薬事法と特許法の関係につきましては、いま厚生省でお話がありましたとおりでございます。私どもの見解と全く同じ見解でございます。  それで、私どもの方の医薬につきましての審査といたしますと、明細書の中に、詳細な説明の中に原則として臨床実験の結果をつけております。少なくとも。いわゆる急性毒性という問題に関しましては試験結果をつけさせておりますので、もしそれが認められれば、それは特許にはならないということに相なります。それで、先ほど申し上げましたように、いろいろそういうむずかしい問題がございます。ございますので、厚生省との間では密接な連携を保って本制度を運用いたしたいというふうに考えております。

阿具根登日本社会党

○阿具根登君 もうこれ以上はやるとしても同じことですからやめますが、事薬に関する問題です、事食料に関する問題です。だからくどいようでも私は言っているのです。石油たん白についてもお答えなかった。石油たん白についても本当にお答えないです。三省にまたがって一体どうなるのか、二省でさえもああいう問題起こしたじゃないか。だから、何とかして自分がつくった法律案だから、どうしても通したいというような考え方は、これは役人根性でだめです、こんなことじゃ。もっと大衆に意見を聞かなければならない。自分の庁内の方の意見でさえあなたは統一し切らぬじゃないですか。これでやれるわけないでしょう。だからいま言われたように、薬務局なら薬務局、厚生省がこれは人体に与えていいというやつを取りつけてから許可を与えるなら与える。法律にはそうなってないけれども、当然相談しますと、相談するということはそういうことだ。そうとっていいですね、食料問題も。それからそれでよろしいならよろしい、いかぬならいかぬ、反対なら反対、簡単にやってください。もう委員長がやめろ、やめろと言うからやめますから。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) これは、先般来いろいろ審査官の職務の独立性に関しましても御意見がございますように、第一義的には、出願案件につきましては審査官が責任を持っております。したがいまして、いろいろな案件につきまして審査官が審査をする場合に、必要があれば厚生省の担当のところに御相談になることもあろうかと思いますが、たてまえといたしましては、これは審査官が第一義的に責任を持って処分をすべきことであるというふうに考えております。

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 暫時休憩いたします。    午後三時四十四分休憩      —————・—————    午後三時五十九分開会

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、鈴木力君が、委員を辞任され、その補欠として浜本万三君が選任されました。     —————————————

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 休憩前に引き続き特許法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 今日まで論議いたしました問題点、なお若干疑義がありますので、その疑義の点をただした上、附帯決議を提案したいと思います。したがって、簡潔に要点のみ質問いたしますので、記録に残すように簡潔に答弁願います。  まず第一は多項制の問題でありますが、今回の改正は、実施態様なる言葉をもって多項制に移行することを法定化しようとしております。つけ加えますが、いま私のこの質問は、各党を代表して質問いたします。この附帯決議も、これは各党共同の提案になっておりますから、そういう意味で御答弁を願います。  それでは、もう一回初めから質問いたしますが、多項制について、今回の改正は実施態様なる言葉をもって多項制に移行することを措置しようといたしておりますが、実施態様なる言葉は法文上明確でございません。したがって、今後どのようにして特許出願者並びに国民にこれを明確にわからせようとするのか、長官の答弁を求めます。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 実施態様を表現する上で法文上いろいろ苦心をいたしましたが、適当な表現がないということでこういう表現を使いました次第でございます。実施態様としてどのようなものを記載できるかということにつきましては、省令でその記載につきまして規定をいたしますとともに、多項制の運用要領を定めまして、これを明確にいたしまして、庁内外へ徹底を期する所存でございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 省令をつくられ、あるいは実施要領など今後慎重に検討されて、わかりやすく十分に国民が運用できるように措置願います。  同時に、多項制でありますから、いわゆる従属項なるものにも出願料など料金を付加すべきではないかという意見がありますが、この点についてもう一回明快な答弁を求めておきます。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 審査をいたします場合のポイントといいますのは、発明の新規性あるいは進歩性、あるいは先にあります発明と同一であるかどうかとの判断にあるわけでございます。したがいまして、実施態様の記載が増加いたしました場合にも、これは発明の数は増加をいたさないということでございます。また、出願書類の大部分のものは詳細な説明の記載でございますので、詳細な説明を理解いたしますれば、特許請求の範囲の記載にそれほどの手数はかからないというふうにも考えられます。したがいまして、実施態様の数に応じまして手数料を増額させることは、私どもとしては適当でないと考えております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 第二の問題は、ただいま阿具根委員が質問いたしました、今回物質特許制度を導入するのでありますが、たとえば薬品、たとえば食料品など、専門分野の発明の特許を許可する場合に、特許庁のいわゆる審査官、審判官だけで大丈夫であろうか、こういう問題でありますが、どうでございますか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 私ども、医薬あるいは食料品等につきまして、従来から製造方法につきましては、これは特許の審査をいたしておるわけでございます。したがいまして、その方面のスタッフは私どもとしましてはそれにたえるだけのスタッフをそろえているように考えております。  なお、蛇足かもしれませんが、わが国が入っておりますパリ条約におきまして、その「物の販売が国内法上の制限を受けることを理由としては、これらの発明について特許を拒絶し、又はこれらの発明についての特許を無効とすることができない。」こういう条約上の明文がございますので、特許法上は、国内法上の他の制限によりまして効力を左右することは非常にむずかしいかと存じます。それからなお、審査官、審判官は、これは出願案件につきましては、当然第一義的に責任を持つ立場にございます。したがいまして、審査官、審判官の判断につきましては、私どもとしましてもこれを左右することは差し控えております。そういうことでございますので、これは必要がございますれば、厚生省あるいは担当部局に御相談することは当該審査官の判断としてはあり得るかもしれませんけれども、それは審査官の判断でございまして、第一義的には審査官の責任において出願案件の査定なり、あるいは審判におきます審決なりをさせるようにさせたいというふうに考えております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 第三の問題は、全文公開に要約をプラスすることを再三提案いたしました。この点についての長官の見解を求めます。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 要約が技術情報あるいは権利情報として意味がありますためには、あるいはこれを活用いたしますためには、やはりその質がよくなければいけないということでございます。そのためには、やはり技術内容を熟知しております審査官がこれをチェックせざるを得ない、こういうことになるわけでございます。したがいまして、審査官の負担が増すことは当然でございます。なお、言うまでもなく審査請求制度におきましては、審査請求のあるもののみを審査するわけでございまして、それ以外のものは審査しないわけでございますからして、要約につきまして、すべての出願について、これを審査ほどはいかなくても、これを見るということになりますと、その辺は手間が非常にかかるということが言えるのではなかろうかと思います。  それからなお、経緯的に見まして、前回の改正、すなわち昭和四十五年の改正におきまして、公開方法につきましていろいろの議論がございました経緯があります。したがいまして、私どもは本件を考えます場合には、やはり重要事項でございますから、工業所有権審議会の御意見を聞かなければいけないと思います。しかしながら、これはわが国がこれから国際化の時代にいよいよ入ってまいります。PCTにも先ほど答弁申し上げましたように、近い将来にわれわれは入りたいということを考えております。その場合には、当然この要約の問題というのは問題になる事項でございます。したがいまして、私どもは、現在ジャパティックで抄録もつくっておりますが、そういう問題も含めまして、この問題はどういうふうにしたらいいか、関係各方面の御意見を十分聞きまして進めたいというふうに考えております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 大体期間としてはいつごろ、どのくらいの期間にこれが一応の結果をお出しになる予定ですか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) PCTが発効いたしますときには、これは国会の御承認を得なければいけないわけでございます。国会の御承認を得ました上で、わが国もこれに加入をいたしたいと私は考えておりますので、それまでの間に本問題につきましては進めるように考えたいと思っております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 第四の問題は、商標の手数料が第七十六条で五倍も引き上げるのは高いではないかという意見が再三出ておりますが、われわれも五倍なんていうのはとんでもない、三木内閣の生命に関すると思うが、この点について引き下げる用意があるのかどうか、答弁を求めます。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 商標の出願手数料を現行より五倍にいたしました理由につきましては、すでに御答弁を重ねておりますので、その意味につきましては省略をさしていただきたいと存じます。  法律で決めておりますのは、出願手数料の最高限を決めておるわけでございまして、その法律の定めるその範囲内において、政令で定める額の手数料を納付しなければいけないというのが法律の規定でございます。したがいまして、各委員の方々からの御意見もございまして、現在の経済情勢もまたございまして、私どもそういう点を総合勘案をいたしますと、当分の間現在の最高限はそのままに置いていただきたいと思いますが、当分の間は三倍程度に手数料を政令で決めたら適当ではなかろうかというふうに考えております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 次に第五は、けさ、さっき森下君も質問したのでありますが、物質特許制度の導入につきまして、特許法第九十三条所定の公共の利益の解釈を明確化する必要があるのではないかというのが一つ。  それから同時に、裁定の期間を六ヵ月など法定化してはどうか、こういう意見も再三出たのでありますが、この点についての見解を求めます。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 公共の利益という表現でございますが、またはこれに類似する表現は、実は他の法例にもいろいろ見られるところでございます。したがいまして、これをこれ以上具体的に表現することは非常にむずかしいし、かつ前例も非常に少ないことではなかろうかと存じます。しかしながら、この運用に当たりましては答申の裁定運用試案にもございましたように、その解釈運用につきましては、答申の趣旨に沿いまして運用要領を作成いたしまして、これを審議会の発明実施部会の議に付しました上で公表いたしまして、これを効率的に、かつ公正に運用いたしていきたいというふうに考えております。  それから、第二番目の御質問がございました六ヵ月の点でございますが、裁定の期間を法定化いたします問題につきまして、やはり裁定申請が出ますと当事者間で協議が急激に進むということもございまして、実は形式的に六ヵ月、あるいはもう少したてば両当事者間の協議が相成るという場合も考えられるわけでございまして、一義的に六ヵ月で期間を切るということにつきましては、私どもは適当ではないと考えております。かつ六ヵ月間の期間を決めました場合におきまして、仮にその法定期間を渡過した場合、過ぎました場合における法律的効果につきまして 私どもはこれは疑問な点が多いのではなかろうかと思います。しかしながら、先ほど申し上げましたように、答申の中にも、裁定を迅速に行えという趣旨の試案が出ておりますので、その趣旨に沿いまして、いま申し上げましたようないろいろ手続を経ました上、迅速にこれを進めるようにいたしたいというふうに考えております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 第六は、商標法の一部改正で、証明書類の不備は拒絶理由通知に対する意見書提出のときに補正することができるように考慮してもらいたいという意見がありますが、この点についていかがですか。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 使用証明書を同時に提出をするということでございますが、これは多数あります出願案件を迅速に処理をするという意味におきまして、同時にという規定をおきまして審査の促進をはかりたい、こういう趣旨で置いたわけでございますが、なおこれにつきまして、たとえば誤記の訂正であるとか、そういうふうな私どもで申します要旨を変更しないというふうな範囲内におきましては、いまのような誤記の訂正その他のことに関して私どもは弾力的に考えたいというふうに思っております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 最後は、審査官、審判官の職務独立を法文化してもらいたいという意見も再三出てまいりました。現在職務を独立してやっているのだから、特許法に入れて明確にしてもらいたいという意見がありましたが、この点についての見解を聞いておきます。

齋藤英雄特許庁長官

○政府委員(齋藤英雄君) 審査官あるいは審判官、これが判断をいたします職務の内容は、いわゆる司法官と申しますか、裁判官に類するような性格を有しているということもございますし また、当然特許庁は行政庁でございます。あるいは工業所有権という無体財産、財産権を付与するという、いわゆる行政処分行為でもございます。したがいまして、そういう両方を考えました場合には、行政処分につきましては、これを審査につきまして、なるべく統一を図りたいということで統一的な審査基準も作成をして運用いたしておる、こういうふうなこともございます。それからなお、審査官のそういう職務に関しまして、あるいは他の法令等とのことを考えますと、法制面の整備をするに当たりましては、その性格あるいは資格、あるいはその身分と職務との関係、類似制度とのバランスの関係等いろいろのことを考えなければいけないわけで、問題点が多々あるかと存じます。かつ、諸外国の例を見ますと、イギリスにおきましては、すべての処分は長官名でございます。それからまた、アメリカ、西ドイツなどでも審査官に関しますそういう規定は実はございません。そういうふうなことを考えますと、私どもといたしましては、いま御質問ございました点につきまして法定化をすることは適当ではないと考えます。しかしながら、審査官、審判官の職務の重要性にかんがみまして、審査官、審判官の待遇の問題、あるいは資質の問題、待遇を改善し、資質を向上する、こういう問題につきましては、私どもといたしましては、従来以上に格段の努力をいたしたいというふうに考えております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 以上で理事会で決まりました各党代表しての質疑を終わります。

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  特許法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  小柳君から発言を求められておりまするので、これを許します。小柳君。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 ただいま可決されました特許法等の一部を改正する法律案に対し、自由自主党、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党の五党共同提案による附帯決議案を提出いたしたいと存じますので、御賛同願います。  案文を朗読いたします。    特許法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、次の諸点につき万全を期すべきである。  一、多項性の採用にあたつては、運用要綱等を通じて、その趣旨、実施態様の記載方法等を明らかにし、もつて円滑な運用に努めること。  二、特許情報の増大、国際化の進展に対処するため、発明の要約の整備等の対策をすみやかに検討するとともに、特許分類付与の精度向上のために、万全の措置を講ずること。  三、日本特許情報センターは、新規性調査機関として必らずしも十分な機能を果たし得る状況にないことにかんがみ、その強化拡充に努めること。  四、商標の出願手数料に関する商標法第七十六条の政令の制定にあたつては、出願人に急激な影響を与えることのないよう配慮すること。  五、登録商標の不使用に関する商標法第十九条及び第五十条の「正当な理由」の解釈及びその運用については、産業の実態等を考慮して弾力的に行うこと。  六、裁定制度の運用を円滑ならしめるため、特許法第九十三条の「公共の利益」の解釈を明確にするとともに、その運用要領を作成し、裁定にあたつては、工業所有権審議会の意見を尊重すること。  七、審査官、審判官等の待遇を改善するとともに、審査官、審判官等に対する研修を強化する等その資質の向上に努めること。  八、ソフトウエアーならびに学校法人、宗教法人、サービスマーク等の登録に関する法的保護についてすみやかに検討すること。   右決議する。  以上です。

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) ただいま小柳君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 全会一致と認めます。よって、小柳君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの附帯決議に対し通産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。河本通商産業大臣。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) ただいま御決定になりました御決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、今後行政を進めてまいりたいと思います。

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 高圧ガス取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。河本通商産業大臣。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 高圧ガス取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。  現行の高圧ガス取締法は、昭和二十六年に高圧ガスの保安に関する基本的な法律として制定され、その後昭和三十八年の高圧ガス保安協会の設立に伴う改正等を経て今日に至っております。  その間に、高圧ガス製造事業所の大規模化、複雑化等が進行し、一昨年の一連の大規模な爆発火災事故に見られますように、これらの事業所が一たん事故を起こすと、公共の安全の観点からもきわめて問題であり、高圧ガス製造事業所における保安体制の抜本的な強化を図ることが急務となっております。また、一般消費者等における液化石油ガスの急速な普及とともに、その災害の防止のための施策を一層充実することが要請されております。  このような事態に対処するため、政府といたしましては、高圧ガス取締法に基づく保安基準に関する規制の強化等により保安の確保に万全の努力を傾注してまいりましたが、保安問題について抜本的な見直しを行うため、高圧ガス及び火薬類保安審議会に、今後の高圧ガス保安体制のあり方について審議をお願いし、昨年七月に答申をいただいた次第でございます。  今回の改正は、この答申の趣旨に沿って、高圧ガスの保安体制について緊急に必要とされる改正を行うものであり、高圧ガスの利用の量的、質的変化に即応した保安体制の整備を図ろうとするものでございます。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一は、高圧ガス製造事業所における保安管理組織を強化することであります。高圧ガスによる事故を防止するためには、事業所における保安管理について責任体制を明確化するとともに、高圧ガスに関する十分な知識経験を有するものがこれに当たることが不可欠な要請であります。かかる観点から、事業所の規模に応じ、保安統括者のもとに、工場の主要な分野、機能ごとにピラミッド型に保安管理組織を整備するとともに、これら保安の責任者の資格についても法定することといたしております。  第二に、保安の確保のためには高圧ガス製造事業所における自主保安の一層の推進を図ることが必要であることにかんがみ、危害予防規程の充実と従業員の保安教育の強化を図ることといたしました。すなわち、危害予防規程については、その認可申請に際して、保安に関し高度の専門的能力を有する高圧ガス保安協会の意見書を添付させることとし、都道府県知事の認可に当たっての判断材料に供することとしたこと、また、事業所の保安教育計画に対して都道府県知事の変更命令権を新たに設け、従業員教育の内容を不断に改善、向上するための措置を講じ得る道を開くこととしたことであります。  さらに、保安担当者の再教育についても法定し、事業者は、保安の担当者に対して高圧ガス保安協会の行う講習を一定期間ごとに受けさせなければならないことといたしました。  政府といたしましては、これらの規定を厳重に運用し、もって保安の確保に万全を期す所存でございます。  第三に、高圧ガスの製造のための設備のうち特に爆発等の災害の発生のおそれがあるものについて、製造段階から公的機関による検査を義務づけ、設備の欠陥に基づく災害の発生を未然に防止することといたしております。現行のユーザー段階での完成検査に加えて、メーカー段階からの製造検査を導入することによりまして保安の確保に万全を期する所存であります。  第四に、高圧ガスの容器及びバルブ等の容器の附属品に対する規制の改善強化であります。バルブ等の高圧ガスの容器の附属品につきましては、新たに容器本体と同様の検査制度をとることにより、これらの欠陥による事故を根絶することを目指しております。また、液化石油ガスの急速な普及に伴って、現在膨大な数の液化石油ガス容器が流通しておりますが、現行法の容器証明書制度は、このような容器が普及する前につくられたものであるため、実態にそぐわない面が出ていることにかんがみこれを改善することといたしております。  第五に、高圧ガス保安協会に対し、新たに政府出資を行って、同協会の高圧ガス保安の中心的役割りをより強化しようとするものであります。高圧ガス保安協会は、昭和三十八年に設立されて以来、高圧ガスに関する保安対策を推進する中核的機関としての役割りを果たしてまいりましたが、液化石油ガス消費者保安対策等に関する業務を抜本的に強化することとするほか、保安情報の収集及び提供等を行う等業務の一層の充実を図ることといたしております。  このほか、小規模な高圧ガス製造事業所に対しては、事後届出制を事前届出制に改めることとするほか、手数料、罰則等についても所要の改正を行うことといたしております。  以上がこの法律案の提案理由及び要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 次に、補足説明を聴取いたします。佐藤立地公害局長。

佐藤淳一郎通商産業省立地公害局長

○政府委員(佐藤淳一郎君) 高圧ガス取締法の一部を改正する法律案の内容につきまして若干補足させていただきます。  第一に保安管理組織の整備につきましては、一昨年の一連のコンビナート事故の反省の上に立って事業所内の職務、機能に応じて法的責任体制を整備しようとするものであり、大規模な事業所においては工場長クラスの保安統括者を置くとともに、これを補佐する保安技術管理者を置くほか、製造設備ごとに製造保安主任者さらに直ごとに製造保安係員を選任させることとしております。また、保安教育、危害予防規程等の作成実施の責任者として保安企画推進員の選任を義務づけることとしております。  さらに一般の製造事業所についても、以上のうち原則として保安統括者、保安技術管理者、保安係員の選任を義務づけ、高圧ガス製造工場の保安に万全を期することとした次第であります。  第二の危害予防規程の充実と保安教育計画の強化でありますが、一昨年の一連のコンビナート事故の原因を見ますと、誤操作や異常時における対応措置の不適切さ、さらにその背後にある事業所の保安管理体制の不備が事故の原因となり、あるいは事故を拡大したケースが見られたことからも、保安の確保のためには危害予防規程を一層充実するとともに、従業員教育を一段と強化することが必要であります。このため、大規模な事業所に対して危害予防規程の制定改正に当り、高圧ガス保安協会にプールした専門家による保安診断を受けさせて、その意見書を添付させることとしました。また、保安教育計画についても、都道府県知事による変更命令の創設により一層きめ細かい保安教育基準を制定し、これを事業者に遵守させる道を開くこととしたわけであります。  さらに、高圧ガス関連技術の急速な革新に対応して、十分な保安知識を有した者が保安を担当するよう、保安企画推進員、保安主任者及び保安係員について定期的な再講習を受けさせることとした次第であります。  第三に、高圧ガス製造のための設備のうち、特に危険なものについて製造段階からの検査を受けることとしたわけでありますが、検査対象設備としては、当面、貯槽類、反応塔、蒸留塔の高圧ガス設備を考えており、これらについて現行のユーザー段階の規制では検査が困難な設備の材質、溶接方法等について、設計段階及び製造工程において検査を受けることを義務づけることとしております。  第四に、高圧ガスの容器の付属品に対する検査制度の導入でありますが、検査の対象としては、バルブ等を考えております。  また、LPガス容器についての容器証明書制度の改善は、現在、容器証明書に対する記入によって行っている検査合格の証明を容器本体に刻印することにより行うほか、新たに容器自体にその所有者氏名を表示させ、その安全性の確保と管理責任の明確化を図ろうとするものであります。  第五の高圧ガス保安協会に対する出資は、来年度においては一億円を予定しており、約二億五千万円の補助金と合わせ、付属研究所の建設、消費者保安啓蒙等により液化石油ガス消費者保安対策を格段に強化するほか、保安基準作成業務及び保安情報の収集、提供業務の充実を図ることとしております。  このほか、小規模な高圧ガス事情所に対しては現行の事後届け出制度にかえ、新たに製造開始の二十日前までに届け出を行う義務を課することとするほか、製造許可等の手数料が昭和三十一年以来改められていないことなどもあり、この間の対象事業所の大規模化、諸経費の上昇等に見合った手数料を定め得るよう法定上限の引き上げを行うこととしております。  また、罰則についても、罰金等を中心に実情に合わなくなっているため、所要の改正を行うこととした次第であります。  以上をもちまして、高圧ガス取締法の改正の主要な点の御説明を終わります。

林田悠紀夫自由民主党

○委員長(林田悠紀夫君) 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十二分散会      —————・—————

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