決算委員会 第8号
- 発言数
- 403 件
- 登壇者
- 32 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1975/05/07
会議録
○委員長(前川旦君) ただいまから決算委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る三月二十六日、喜屋武眞榮君が委員を辞任され、その補欠として野末陳平君が、四月二日、二宮文造君が委員を辞任され、その補欠として鈴木一弘君が、また昨六日、加藤進君が委員を辞任され、その補欠として近藤忠孝君がそれぞれ選任されました。 —————————————
○委員長(前川旦君) 次に、理事の補欠選任を行います。 橋本敦君が三月三十一日に一時委員異動したことに伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、この際理事の補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(前川旦君) 御異議ないと認めます。それでは、理事に橋本敦君を指名いたします。 —————————————
○委員長(前川旦君) 次に、本日の議事に入るに先立ち、輸出保険特別会計計数処理問題を議題とし、河本通商産業大臣、大平大蔵大臣及び白石会計検査院長から順次本件に関する報告を聴取いたします。河本通商産業大臣。
○国務大臣(河本敏夫君) 昭和四十七年度及び昭和四十八年度の特別会計決算に添付いたしました当省所管輸出保険特別会計の財務諸表等に関し、一部推計に依存した計数が含まれており、当委員会の御審議において御指摘を受けましたことは、まことに遺憾であります。 このような事態に至りましたことは事務処理の不手際によるものでありましたが、推計に依存した保険料について、個々の案件の計算作業の進捗に努力を払い、問題となりました案件について先般計算作業を終了するに至りました。その結果に基づき、昭和四十七年度及び昭和四十八年度の財務諸表等の確定計数を把握することができましたので、会計検査院の実地検査も受け、当省といたしましては四月十二日付で大蔵大臣に財務諸表等の訂正方を依頼いたしました。 確定計数を当初国会に提出いたしました計数と比較いたしますと、昭和四十七年度につきましては、保険料及び年度末未収保険料を約八億円減額すべきこと、未経過保険料を約三十二億円減額すべきこと、これに伴う関連項目を増減すべきことが明らかとなり、また、昭和四十八年度につきましては、保険料を約十三億円増額すべきこと、年度末未収保険料を約五億円増額すべきこと、未経過保険料を約二十一億円減額すべきこと等が明らかとなりました。 今回かかる事態を招きましたことを深く反省いたしておりますが、当省におきましては、今後再び同様の事態を生じることのないよう十分留意したいと考えており、このため、次のような措置をとることといたしております。 第一に、保険料の徴収時期について、原則としては保険契約締結後一カ月以内に納入告知することとし、月ごとにまとめて処理するものにあっては、締結の翌月中には納入告知を行うことを事務処理規定に明示することといたしております。 第二に、特別会計決算関係の決裁範囲の統一を行うことといたしました。これは従来の専決処理規程上、各特別会計について取り扱いに差がありましたものを、今回、大臣官房会計課の審査を経て、事務次官までの決裁を受けることといたした次第であります。 第三に、省内に、輸出保険業務改善委員会を設け、輸出保険業務につきまして、一層の合理化及び改善を図るための検討に着手しております。この委員会におきまして、今回の問題に関しての国会の御審議の趣旨をも勘案いたしまして、所要の改善策の結論を得たいと考えております。 以上、御報告いたしましたとおりの次第でありますが、当省として、今後とも会計経理の適正を期するため、十分に意を用いていく所存でありますことを申し添えます。
○委員長(前川旦君) 大平大蔵大臣。
○国務大臣(大平正芳君) 昭和四十七年度及び昭和四十八年度の特別会計歳入歳出決算に添付して国会に提出いたしました輸出保険特別会計の財務諸表等について、先ほど通商産業大臣からも説明がありましたが、保険料計算事務の不手際による事務遅延のため、計数の一部に推計額を含んだままこれを作成せざるを得なかったことは、まことに遺憾なことであると存じます。 本件につきましては、会計検査院の検査を経た確定数字に基づき、去る四月二十五日付で内閣総理大臣から両院の議長あてに特別会計の財務諸表等の訂正方をお願いいたした次第であります。 大蔵省といたしましては、本件に関連して各省各庁の経理実務責任者に対し、今後この種の事例が再び生ずることがないよう、関係職員に対する指導・監督、研修等の徹底を図り、会計経理の適正を期するとともに、決算関係書類の正確を期するよう、文書をもって注意を喚起したところであります。 さらに、大蔵省において実施している各省庁の会計事務職員に対する行政研修におきましても、このような観点に立って決算に関する講義内容等のより一層の充実を図り、関係職員の資質の向上に努めていくことといたしております。 このような措置を実施することにより、今後とも会計経理の適正な処理に努めてまいる所存であります。
○委員長(前川旦君) 白石会計検査院長。
○会計検査院長(白石正雄君) 輸出保険特別会計の保険料徴収遅延の事態及びこれに伴う財務諸表の推計処理の事態につきましては、昭和四十八年度決算検査の際これを発見し、昨年十一月に通商産業大臣あてに是正改善の処置を要求したところであります。 しかして本年四月初旬に至り、通商産業省から財務諸表の修正計算を了した旨の報告がありましたので、直ちに関係検査課の総力を挙げて綿密な実地検査を行わせましたところ、相当項目の誤りを発見し、この点について質問を発しました。 そして四月十五日に内閣から受領いたしました最終的な訂正報告の内容を検討いたしましたところ、その内容は、この検査の指摘により、すべて適正なものとなっておりましたことをここに御報告申し上げます。 なお、この席をおかりして一言付言させていただきたいと存じます。 もともと本件のような事態が発生いたしましたのは、経理の適正な執行に関する当局の認識の欠如によるものでありまして、今後再びかかることがないことを期待する次第でありますが、本院といたしましても、四十七年度分の検査の際にこの事態を発見できなかったこと、また、四十八年度検査の結果発見した処置要求について検査報告に記載いたします際の備考の記述が必ずしも十分でなかったことを率直に反省している次第でございます。
○委員長(前川旦君) 以上をもって報告聴取を終わります。 本件についての質疑は、議事の都合上後刻行うこととし、これを一時中断いたします。 —————————————
○委員長(前川旦君) 次に、昭和四十七年度決算外二件を議題といたします。 本日は午前中大蔵省、午後法務省、運輸省及び日本国有鉄道の分を行うこととなっておりますので、直ちに大蔵省関係の審査に入りたいと存じます。 本件につきましては、御承知のごとく、昨年以来数回にわたり審議を続けてまいりました田中前総理資産問題等に関連して、本年一月二十三日大蔵大臣及び国税庁当局から税関係についての中間報告を聴取いたしましたが、その際三月末の調査結了を待って、再びこれを行うこととなっておりましたので、本日はこれらの最終報告を聴取するとともに質疑を行うものであります。 それでは、まず大平大蔵大臣から報告を聴取いたします。大平大蔵大臣。
○国務大臣(大平正芳君) 田中角栄氏及びその親族等並びにその関連企業といわれておる法人などに関する国税の課税関係の見直しのための調査につきましては、昨年十一月以降実施してきたところであります。その状況は、本年一月二十三日当委員会におきまして中間的に御説明申し上げたところでありますが、このたび調査を完了するに至りました。この結果、全体として特に大きな非違は個人、法人を通じて発見されませんでした。ただ、中間報告でも申し上げましたとおり、所得計算に当たっての誤りや税務当局の解釈との食い違いなどが見受けられ、その結果、是正を要すると認められるものについて所要の措置をとることにいたしました。この見直し調査の内容につきましては、調査方法、調査に際しての問題点、それに対する当方の考え方などを事務当局から説明申し上げますのでお聞き取りをいただきたいと思います。
○政府委員(磯辺律男君) ただいま大蔵大臣から御発言がございましたが、国税庁からこのたびのいわゆる田中金脈問題についての税務上の調査の内容、その結果等について御説明申し上げます。 調査は、東京国税局及び関東信越国税局が中心となって行い、国税庁がその総合調整並びに指導に当たりました。調査に際しましては、納税者本人、法人の役職員、その他関係者の出頭を求めて事情聴取を行うとともに、帳簿書類、物件の見取り図、公簿の写し、その他の証拠書類の提出を求め、また、必要に応じて現地の調査を行うなど、課税関係を判断するに必要な基礎となる事実を的確に把握することに努めた次第であります。 なお、田中角栄氏本人に対する事情聴取、目白私邸の現場調査等につきましては、納税者側の方から当局の求めに応じ必要な資料が提出され、また、調査上の協力も得られましたので、直接本人に当たらなければその実情がわからないといったような問題もなくなりましたので、本人に対する直接の事情聴取並びに私邸に対する立入検査というものは行っておりません。 調査対象といたしましては、個人については田中角栄氏のほか、親族、秘書等、関係者数名の所得税及び贈与税についての課税関係を中心として行いましたが、調査の過程で関連調査の必要があると判断されたものについても逐次見直し調査の対象といたしました。また法人については、当委員会等でも問題となりました新星企業、室町産業、東京ニューハウス、浦浜開発、パール産業などの会社を中心として行いましたが、個人に対する調査の場合と同様に、関連調査の必要があると認められた会社につきましても逐次調査の対象としたものであります。 調査の結果といたしましては、現在、個人、法人を通じ事実関係の調査は終了いたしました。この結果、税務上全体として特に大きな非違は発見されておりませんけれども、所得計算の誤り、税務当局との解釈の食い違い、その他通常の税務調査で見られる否認事項が発見されましたので、これら是正を求めるべき点につきましては、それぞれ修正申告を徴し、または更正処理を行うこととしております。問題となった点につきまして、その主要なものにつきまして若干御説明を申し上げたいと思います。 まず第一に、当委員会等でも問題となりましたことでございますが、いわゆる関連法人による資産の取得というものが、実態は田中氏並びにその一族の個人の財産の隠匿のために行なわれたのではないかという問題であります。で、この事実につきまして、私どもは問題となった事案について検討いたしましたが、それぞれ各法人が取得した資産の取得資金というものが当該法人から支出されておる。しかもその資金の出所も明確である。それからまた、取得後も法人の経理上法人の資産として経理されておるといったような事実から見まして法人所有であることが明らかである。したがって、法人名義の資産が個人のものであるということは認めがたいということで、これは法人の資産としてこれを是認しております。 第二の問題としては、関連企業からの経済的利益の享受が考えられるが、これについての課税関係はどうかという問題でありますが、その具体的な事例としましては、田中角栄氏の邸宅の一部として使用している東京ニューハウス所有の土地について検討いたしましたが、その使用の実態等から見て経済的利益として課税すべきものがあると認め、個人については雑所得として課税し、法人については寄付金として限度計算をし、その限度超過額を法人税の益金に加算をいたし、課税をいたしました。また、宮の森の土地については、贈与を受けたのではないかといったような問題がございましたが、これは当初、登記名義の移転があったときに、本人から一時所得として適正に申告されておるといった事実から見まして課税上問題は発見されておりません。このほか、政治活動に従事している使用人等の給与を関連企業に負担させておると、そういった事実が指摘されたわけでありますが、これについては当該法人の支払い給与というものを否認し、寄付金としての課税処理を行いました。なお、関係者についても、同様に若干の関連企業からの経済的利益の享受が認められておりますので、それぞれ給与所得、または雑所得と認定して課税を行ったものであります。なおまた、田中氏が使用している東京ニューハウス所有の軽井沢の別荘につきましては、応分の賃借料が支払われておるという事実から見まして経済的利益と認定するものはございませんでした。 第三に、田中角栄氏の競走馬に係る所得の問題であります。田中氏の競走馬に係る所得申告につきまして念査いたしましたところ、経費や譲渡原価の計算の誤り、あるいは所得区分の入り繰りなどがありましたけれども、全体として特に漏れは発見されておりません。なお、田中氏が自己の所有する競走馬を妻名義で登録している問題につきましては、もともと妻名義の競走馬に係る収入金は田中氏本人の所得の中に組み入れられており、競走馬の登録名義の変更も出走馬の登録手続上なされたものであるということが判明いたしましたので、課税上の問題は生じておりません。 第四に、個人の不動産、多額の不動産を取得しておるが、その不動産の取得資金の出所はどうであるかという問題でありますが、問題となった事案につきまして、それぞれ資産の取得時期、取得しましたときの価額、その取得資金の出所、そういった問題につきまして調査をいたしました。そしてその資産を取得いたしました当該年分、及び可能な限り過去からの資金繰りといったものを念査いたしましたけれども、新たに課税関係を生ずるといったものは発見されておりません。 第五に、関連法人の株式取得に伴う課税関係の問題であります。関連法人の増資といった場合に、その増資資金の出所といったことが問題となるわけでありますけれども、関連法人の株式所有関係を念査し、その設立、増資に際しての払い込み、またその払い込みの資金の出所といったようなものを解明いたしたわけでありますが、その結果、一部に名義株の存在が認められましたが、その場合にも単なる他人の名義の使用であり贈与の事実は認められなかったので、贈与税の課税関係は生じておりません。なお、田中氏とは直接関係はございませんけれども、ごく一部に贈与税の課税を要するものがあったので、これに対しましては課税を行っております。 第六番目に、関連法人の関与した土地売買の問題であります。この土地売買の問題に関連いたしましてはその価額の適否というものが一番問題になるわけでありますけれども、近傍類地の売買実例の価額、税務署の見込み時価、そういったものと比較検討いたしました結果、いずれもその売買価額というものが時価に比し著しく低額または高額であるといったような事実は認めがたく、また譲渡によるその収入は実質的な権利関係に基づいて適正に申告されております。 以上申し上げましたほか、田中角栄氏及びその他の個人関係では配当金、印税、テレビ出演料、家賃収入などの申告の若干の漏れ、関連企業からの資金の無利子立てかえ、有価証券の客観的時価に比し低廉な価額による取得、そういったことの経済的利益の享受がありましたので、それにつきましては課税処理を行っております。なお、経費の控除漏れあるいはすでに源泉徴収済みの税額の控除漏れといったような減学要素もあわせて処理いたしました。 また法人関係では、指摘されました事項に関連を要する事項のほか、通常の税務調査において調査する事項等につき、それぞれの角度から収入、経費の各項目につき基礎的事実の精査、帳簿経理の分析、取引先等に対する反面調査などを実施いたしまして念査いたしました。その結果、関連企業間の受取配当金、手数料の計上誤りなどがあったため、これを益金に加算し、さらにさきに述べました個人に対する経済的利益の供与についての個人関係の課税に伴いまして供与した側の法人側におきましても寄付金として限度計算を行い、その限度を超える部分を益金に加算して課税いたしております。このほか貸し倒れ損失の計上で否認を要するもの、損金に計上した役員賞与や損金扱いした中間納付法人税額で否認を要するもの等がございましたので、これを否認し、課税を行っております。 以上が田中氏並びにその関連企業等の見直し調査の結果でありますが、個人関係につきましては、一般の例により、すでに修正申告を受理しております。 法人関係につきましては調査関係が終わりましたので、近く所要の内部手続を経て是正措置を終了する見込みでございます。 簡単でございますが、以上をもって御報告を終わります。
○委員長(前川旦君) 以上をもって報告聴取を終わります。 それではこれより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○久保亘君 ただいまの報告を聞きまして大変不愉快な気持ちであります。そのことを前提にしてお尋ねいたします。 問題は一国の総理大臣がこれらの問題をめぐって辞任せざるを得なかったという事件なのであります。それらの問題が本人の事情聴取も行わず、また、現地の調査もなし得ず、これは行わずというよりは、国税庁がやれなかったと言った方が正しいと思うのであります。そういうことで大きな非違は発見できなかったという一言でもって、そして詳細は守秘義務によって明らかにできないということで、国民の政治への信頼、また徴税に対する国民の平等感とか、信頼とかいうものを完全に回復できるとお考えになっておりますか。大蔵大臣、完了と言われております調査結果によって今回の問題について国民の信頼を回復できたというお考えに立っておられるのかどうか、その点について最初にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) この調査に当たりまして本人に面接いたしましたり、あるいはお屋敷に立ち入って調査をするというようなことはしなかったという報告でございましたが、これは久保さんもお聞き取りいただきましたとおり、本人並びに関係者から国税当局が必要とする材料は十分ちょうだいできましたので、そういうことをする必要がなかったということにすぎないのでございまして、国税庁当局が手を抜いたということでは決してないのであります。 それから、守秘義務は私ども国税当局がやりましたことにつきまして知り得た事実を公表してならないということでございまして、このことは徴税調査並びに決定の仕事をぞんざいにしていいということには決してならないわけでございまして、国税当局といたしましては、その点につきまして所要の要員を動員いたしまして長い年月、長い時間をかけて念査をいたしまして、疑問が残らないように解明いたしまして、ただいま御報告申し上げたような考え方をもちまして問題を処理いたしたわけでございまして、私は国民が国税庁の見直し調査に対しまして御信頼を賜るよう期待をいたしておるものでございます。
○久保亘君 本人に対する事情聴取や私邸の立入調査などを行わずとも必要な資料が得られて、また協力が求められたからそういうことは必要なかったのだ、こういう報告であります。 一方では、最近本人を自殺にまで追い込みました大阪の歯科医の脱税事件があります。この脱税事件も少し似たようなところがありまして、新聞の報ずるところによれば、豪邸を建て、競争馬も買っておったということでどこか似た感じがするのでありますが、こういうような人たちの場合には、これは所得税法違反の疑いで大阪国税局はこれを摘発しただけではなくて、大阪地検に告発、刑事責任も追及するという厳しい立場をとり、そうしてその脱税の内容についてもかなり詳しい数字が報道されるような状態がありました。そうしてこの歯科医はその後脱税の問題で自殺したということが報道されております。 総理大臣の場合には、本人に事情聴取をすることもやらないばかりか、いまの報告を聞いておりますと、いろいろ形式上のミスがあったから、大きな非違はなかったけれども何がしかの追徴金を取ることにした。その追徴金は、巷間漏れてまいりますところによれば、累計一億数千万と言われているのであります。その一億数千万の追徴金を取るようにした。これはしかし、本人の方の悪意ある脱税行為ではなくて、形式上のミスや解釈の食い違いによって生じたものであるから、一般的な修正申告で済ませよう。それだけではなくて、過去に源泉徴収の控除などで漏れておった分まで全部国税庁が調べてやって、そういうものの控除まで加えてやるこれだけ手厚いやり方を田中さんの場合にはされておるわけです。 もちろん、事件の性格は違うということはあるかもしれませんけれども、一方の一市民の場合には、国税局は、所得税法の違反によって強制調査に踏み切って、そしてかなり厳しい処置をもって本人はそのことのために自殺をするという事件に発展をしているわけです。こういうやり方を見ておりますと、日本の国税庁というのは言葉で言われているように一納税者として田中さんの事件を扱われたのでない、こういう感じを国民は持つのであります。この点について大蔵大臣はどのようにお考えですか。
○国務大臣(大平正芳君) たびたび申し上げておりますように、田中角栄氏も納税者でございまして、国税庁といたしまして、特に田中さんに対して厳しく、あるいは田中さんに対して特に甘くというようなことをしてならないことは当然でございまして、はかりのように、事案に即して正確に事柄の処理をしなければならぬことは国税当局の責任でございます。したがいまして、私は、国税当局がそういうみずからの責任にこたえて厳正に処理いたしたものと確信をいたしておるわけでございます。田中さんが総理大臣の前歴にあったからということで御遠慮申し上げた覚えはございません。
○久保亘君 であるとするならば、この一納税者として再調査をされた、田中さん並びにその関係の再調査の結果について、少なくとも完了をした段階において、それぞれ個別にどれだけの申告の手直しが行なわれ、そして追徴金がどれだけ徴されることになったのか、それらの点は報告されてもよいのではないかと思うんです。それが守秘義務に当たるとは思いません。なぜかと言えば、本来一千万円以上の所得については公示されることになっておるわけです。そのときに公示されておったものがその後修正申告を行われたら、修正部分については、これは守秘義務で公示の対象に当たらないという考え方は法律の解釈としてもおかしい。したがって、今回国税庁の最終的な見直し調査の結果について具体的な数字をお示しいただきたいと思うんであります。その点については、今回田中さんの場合に、国民は聞きなれない守秘義務という言葉をずいぶん聞かされてまいりましたけれども、従前は、第五十八国会において、私予算委員会でもお尋ねをしたんでありますが、森脇将光氏の事件については、かなり詳細な加算税、延滞税等の数字についても報告をされておりますし、また同じ国会において、日通事件に関しては、日通社長の脱税事件で詳細な脱税の経過や調査の方法、課税処理について、国税庁長官は国会に報告をいたしております。こういう点と引き比べて考えてまいりますと、今回は明らかに特別な取り扱いが守秘義務という名前のもとに行われたと、こういう感じを国民としてはどうしてもぬぐい去ることができないのであります。この点について矛盾をお感じになることはありませんか。また、先ほど私がお尋ねいたしましたように、最終調査の結果については、それぞれ個々についての修正の内容と追徴金の額についてぜひ本委員会に御報告をいただきたいと思うんでありますが、この点についてお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 国税当局といたしましては現行制度の中でこの問題を処理しておるわけでございます。田中さんであるからといって現行制度と変えてやりますと、これはまた新たな疑惑を生むわけでございます。私どもといたしましては、いま与えられた制度の中で適正にこの問題を処理してまいることがわれわれに課せられた責任を果たしていくゆえんであると考えておるわけでございまして、守秘義務は田中さんの場合にだけ援用しているわけでは決してございませんで、本来、国税当局というのはそういう制度の中で仕事をしておるものであるということは、久保さんも御案内のとおりでございます。
○久保亘君 いや、私は、残念ながらその点については御案内ではないのです。そうじゃなくて、むしろ逆に、泉国税庁長官は五十八国会でその脱税事件について、それらの内容について質問に答えてちゃんと報告されておるのですよ。ところが、今度の田中前総理の場合に限っては、初めから守秘義務を強力な盾にして、どちらかといえば、この事件を防衛をするために大蔵省も国税庁も全力を挙げられた。その防衛の成果としていま報告をされているという感じがしてならないのです。そうすると、あの森脇事件や日通事件の際の国税庁の立場と今日では、守秘義務に対する考え方が変わっておるのですか、この点についてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(磯辺律男君) ただいま久保先生から御指摘ございました、かつて予算委員会等の席におきましてお示しになりました事件についての課税内容について、それからまた、その課税の数字等につきまして、当時の国税庁長官が御答弁申し上げたことは事実でございます。 ただ、ここでお断り申し上げたいと思いますのは、基本的にそういった例と今回の例とが違いますのは、その前の森脇将光事件であるとかあるいは田中彰治事件であるとか、あるいは日通の問題であるとかいったようなものは、税法上のいわゆる租税犯というものが問題になった事案でございます。御承知のように、所得税法、法人税法等におきましては、偽りその他不正の行為によって不当に税金を免れた者に対しましては云々という罰則の規定がございます。こういったものをわれわれは狭義の意味におきます脱税犯と言っておりますけれども、そういった事案に対しましては、裁判官の発行する令状を得ることによりまして、国税反則取締法の規定によって強制捜索をし、それを検察庁に告発して刑事訴追を求める、そして公判廷においてその罰則の適用を請求するといった一連の手続で行われるわけでありまして、これはいわば準司法的な処分としての国税庁の調査でございます。したがいまして、これは一般のたとえば刑事訴訟法の規定によりまして警察当局あるいは検察当局が強制捜索をする、それからこれが刑事事件に移行していくといったような例と同じようにまあ大体私たちは考えておりますので、やはりこういった問題についての国会での御質疑がございましたときには、いずれ公判廷でも明らかになる、あるいはすでにそのときに公判廷で明らかにされておるといったような事実でございますので御答弁申し上げているわけでございます。 ただ、これに反しまして今回の調査は、国税反則取締法の規定による調査権の発動ではございませんで、所得税法及び法人税法に基づいて当該職員の質問調査権に基づいて任意調査として、強制調査じゃなくて任意調査として調査したものでありまして、これはあくまでも納税者の協力といったことが前提となってくるわけであります。したがいまして、現在まで、私の記憶している限りでは、こういった所得税法あるいは法人税法の規定によります調査によって知り得たそういった数字等につきまして、当国会で御答弁申し上げた事例はないというふうに記憶しております。 しかし、今回、田中角栄氏並びにその関連企業に関する課税問題につきましては、当委員会をはじめ、国会でいろいろと論議され、それからまた、納税者の方々の非常な御関心の的であるといったようなことから、国政調査権と守秘義務とについての論争が行われたことも事実でございますが、その結果、昨年の十二月の二十三日の参議院の予算委員会におきまして、政府のこの国政調査権と守秘義務に関する統一見解が出されたわけでありまして、その最後の結びといたしまして、政府としては国政調査権といったものが適正に発動できるようにできるだけの御協力をすべきものであるといった結論になっております。そういった意味におきまして、このたびの当委員会におきます御報告は、従来以上に詳しい御報告をしておるつもりでありまして、政府といたしましては、やはりこういったところまでの御報告というものが、これは今後の税務行政を円滑にしていくといった税務上の要請等と比較勘案いたしまして最大限のものではないかというふうに考えております。 いずれにしましても、私どもはこういった事実の御報告ということをさしていただきまして、その結果、具体的な課税いたしました、あるいは追徴いたしました税額そのものについての御答弁を申し上げるということは御容赦お願いいたしたいというのが、私たちの気持ちでございます。
○久保亘君 そこが大変問題なんですな。結局、あなた方は今度の田中氏並びに田中氏をめぐるいろいろな問題については、初めから国税犯則事件ではないという立場に立って、そしてこれは本人の善意に基づく修正申告で是正を行うべき問題であるという立場に立ってやられているところに問題があるんですよ。そうじゃなくて、これだけ国会でも問題になり、国民も大きな疑惑を持った政治問題にまでなって、総理大臣が辞任するような事件になった問題なんでしょう。それらの問題について国税犯則事件ではないという立場で出発しているところに、あなた方の基本的な出発点の間違いがあるんじゃないですか。 それと、もう一つお聞きしたいのは、国税犯則事件として告発したものについては数字を発表することは守秘義務に当たらないと、こういう意味に聞こえましたが、そういうことですか。
○政府委員(磯辺律男君) 後の方の御質問についてまずお答えいたしたいと思いますけれども、公判廷で明らかにされる数字でございますので、おそらく、その泉当時長官が御説明したのは、すでに起訴後の問題、時点であったと思います。その段階におきましては、各種の数字というものがすでに公にされておりますのでお答えしたのだろうと私は思っております。 それから、前段の問題でありますが、御承知のように、国税犯則取締法の規定に基づきまして、調査をいたします場合には、これは法人税法あるいは所得税法の規定によりまして、偽りその他不正の行為によって不当に税金を免れたということが構成要件であります。この具体的に、偽りその他不正の行為というものは何かといいますと、具体的には二重帳簿を作成しておったとか、あるいは意識的に収入を除外していたとか、あるいはまた、除外した資産というものが架空名義等で隠されていたといったような事実というものがなければならないわけでありまして、そうすることによって初めて私たちは裁判官に対しましてこの強制調査の令状を請求できるわけであります。税務が国税犯則取締法の規定に基づきまして調査する場合には、前提としてそういった事実というものが必要なことでありますけれども、今回の田中氏の問題につきましては、そういったいわゆる偽りその他不正の行為によって不当に税金を免れたといった事実というものがございませんでしたので、私たちは、一般の所得税法あるいは法人税法の規定による調査に入ったわけであります。もちろん、調査の過程におきまして、それが偽りその他不正の行為というものが発見されたような場合におきましては、その段階において、通常の国税調査官から国税査察官の方に移しかえると、そして国犯法の調査に移行するということはあるわけでありますけれども、今回の調査におきましては、そういった事実も発見されなかったということで、私たちは国犯法の適用をしなかったというのが事実でございまして、決して、これは田中さんが前総理であるから、そういった特別な扱いをしたといったようなものではないということを申し上げたいと思います。
○久保亘君 初めから、あなた方は前提を置いて出発されているんですよ。それだから、そこから先へは踏み込む意思もなかったし、踏み込む度胸もなかった。それでこういう結果を初めからちゃんと予測してつくって、それに合わせたと、それだけしか、私たちはこれから読み取ることはできないんです。しかし、そういうやり方をもってしても、伝えられるところ、一億数千万の追徴金があるというんだが、この一億数千万の追徴金というのが、国民の間には報道機関を通じて流されているんですが、このことについては、もうあなた方も別に否定もされないわけですね。それはそういうふうに受け取ってよろしゅうございますか、あとの質問をそこからやりますから。
○政府委員(磯辺律男君) 報道機関で報道しています数字は、いろいろな数字がやられておりますけれども、これにつきましては、私たちは正しいとも、あるいは違っておるとも、何ら否定も肯定もいたしておりません。といいますのは、この数字というのは、私たちは新聞社の取材活動に対しましても、全然それを発表したことも、あるいは話したこともございませんので、これを否定したり、肯定したりする立場にないからであります。
○久保亘君 それでは、少し、あなたが先ほど報告をされたことに関連をしてお尋ねをしたいと思います。 一つは、関連企業からの経済的利益の享受ということについて御報告がありました。その中で、東京ニューハウス名義の土地については、企業から田中さん個人が、あるいはあの中にいる法人が経済的利益を享受していたという立場に立って、これは新たに課税処理を行ったと、こういうような報告でありますが、大体この東京ニューハウスが目白に持っております土地の借料というのは、常識的に考えてどれぐらいになるとお考えになっておりますか。
○政府委員(磯辺律男君) 経済的利益を計算する場合には、御指摘のように、その土地の借料がどれぐらいが正当であるかということがまず前提になるわけであります。これを算定するにつきましては、東京国税局としましては、その図面に基づきましてそれに対する評価をしたわけであります。評価も、これは技術的な問題で直税部長の方からあとからちょっとお答えさしていただきたいと思いますけれども、土地そのものが道路に面してないとか、あるいはそれが細長いとか、あるいは行きどまりであるとか、それからその土地そのものが平面ではなくて何度の傾斜を持っているとか、そういったことによりましてその評価額が変わってくるわけであります。その評価額の計算に基づきまして、通常、その土地を借りた場合にはその土地の評価額の何%というふうな地代が正当であるといった税務計算ができますので、その計算によって計算をしたわけであります。
○久保亘君 だから幾らですか、金額を聞いているんですよ。評価は幾らですか。
○政府委員(横井正美君) 補足的に御説明申し上げますが、現地の実情を、御案内のように、田中邸と東京ニューハウス所有地との間におきましては、堅固なへいによりまして……
○久保亘君 いや、説明はいいから、幾らで評価したかという、それだけ答えてください。
○政府委員(横井正美君) そういうふうな使用の実態、それによります田中角栄氏の受けます経済的利益、これを勘案いたしまして評価をいたしたわけでございます。で、現在、法人税法の通達によりますると、こういう場合におきまして固定資産税の課税標準額の六%程度を課税するという方式もございます。また、一時使用という場合におきまして民間の慣行もいろいろ調べました。
○委員長(前川旦君) 横井直税部長、説明を簡単にしてください。説明を簡単に結論だけおっしゃってください。
○政府委員(横井正美君) その結果によりまして、固定資産税課税標準額の六%程度の経済的利益の認定をいたしております。
○久保亘君 いや、私が聞いているのは、目白の東京ニューハウスから無料で借りておった土地を、これを経済的な利益として認める場合には、当然常識的に支払われるべき借料を基準にされたのだから、その借料を大体どの程度の相場であなた方が押さえられたかという数字を聞いているのですよ。 それから、軽井沢の元徳川家の別荘は借料を幾らで見られたのか。そしてこの別荘については応分の賃借料が支払われているから問題ないという報告なんだが、それならばその応分の賃借料というのは大体幾らで考えられておるのか、それの金額をお聞きしたいのです。
○政府委員(磯辺律男君) 固定資産税の評価基準、四十六年分としては約二千六百万円、四十七年分約三千四百万円、四十八年分約四千四百万円、それの六%でございます。それに、その土地そのものに対しまして田中氏が負担しました管理費、それから固定資産税、そういったものを差し引きまして、差し引き合計いたしまして、賃貸料としましては約四百万円近い金額を計上しております。
○久保亘君 四百万円というのは三年間で四百万円ですか。
○政府委員(磯辺律男君) さようでございます。
○久保亘君 そうすると、目白付近で三千平米、一千坪近い土地が一年間に百三十万くらいで借りるというのが大体常識的な線ですか。
○政府委員(磯辺律男君) 最初、そういった御疑問がおありと思いましたので、税務上の計算のやり方を私たち御説明したつもりでありますけれども、税務上で計算いたします場合には、これは田中氏であろうとだれでありましょうと、固定資産税の標準価格というものを算定いたしまして、それに平均の賃借料のパーセントを掛けて、それから個人が支出した経費等を差し引いて課税の額の標準とするというのがやり方でございます。したがいまして、一般の通常の土地の賃借といったその値段と、それからこういった経済的利益の享受とその額が幾らかという計算をするその問題とは、現実の取引とは若干ギャップがあると思います。
○久保亘君 それじゃ、軽井沢の別荘は応分の賃借料ということですから、その応分の賃借料というのは大体どの程度であなた方は見られたのですか。
○政府委員(磯辺律男君) 年百万円であります。
○久保亘君 わかりました。 その次にお尋ねいたしますが、個人の不動産取得資金の出所については新たな課税関係を生ずるものはなかったと、こういう報告になっておりますから、目白の邸宅や軽井沢の別荘などの取得資金とか、あるいは田中氏の親族の土地取得資金とか、佐藤昭氏の赤坂の邸宅や山中湖畔の別荘の取得資金など、これらのものについて資金の出所はきわめてはっきりしており、納得のいく方法で調達されておって、田中氏の、あるいは田中氏の関係者の人たちの申告所得額との間に何らの矛盾を生じていない、こういうふうに考えられるわけですか。
○政府委員(磯辺律男君) 結論としては久保先生の御質問のとおりでございます。どうしてそういうふうに税務部の方で認定したかという問題でありますけれども、固定資産の取得あるいは増資払い込み資金の出所、そういったものにつきましては、私たちはその資金の出所というものを解明するわけであります。そのときに、その資金というのは、これは言うまでもありませんけれども、ある不動産を取得したその年分における可処分所得の中からだけ出たというふうに考えるというのは、これは実態とは異なっておりまして、やはりそういった不動産を取得するというためには、過去からの資産の蓄積あるいはたとえば所有していた有価証券を売ることによってそれが転化している、それからまた金融機関から借り入れをすると、そういったことによって資金をつくるわけでありまして、私たちは、その当該不動産を取得したような場合には、その取得した不動産の価格、それはどういった資金によって賄われたかといったようなことをできるだけ税務調査で許される範囲内にさかのぼってその資金繰りを調査したのでありますけれども、その資金繰りによって現在の固定資産並びに株式等の所有が行われておるということがわかりましたので、新たに課税関係を生ずるものはないというふうに認定したわけであります。
○久保亘君 それらの点については政治資金の使用との関係は全くないと判断をされておりますか。
○政府委員(磯辺律男君) 私たちがこの政治資金についての課税をするというのは、これははっきり申しまして税務の調査上非常にむずかしい問題でございます。これは私は認めざるを得ないと思います。したがいまして、政治資金というものに対する課税を行うかどうかということは、その政治資金として流入した資金が政治活動のために支出されたということでありますと、これは収入支出ゼロでありますから、雑所得として雑収入、雑支出ということでこれは課税がない。しかし、その政治活動にそれが出なくて、それが別途に個人資産の形成につながっておる、あるいは個人の私生活の消費につながっておるといったような場合には、そういった事実をつかまえて、私たちはこれを雑所得として課税するというやり方をとっておるわけであります。 このたびの田中角栄氏についての調査につきましても、私たちはやはりそういった点も重点項目として取り上げて調査したわけであります。その調査をする場合には、やはり積極的に資金繰りがどうしても合わない、したがって、その合わないところはそういった事実があったのではないかというふうに推計せざるを得ないわけでありまして、ところが、今度の場合には資金繰りが合いますから、そういった事実はないと認定せざるを得ないわけであります。一般に政治資金そのものに対して課税する場合には、明らかに政治資金がそういった個人資産の形成もしくは個人の消費生活につながっておるという積極的な理由がない限りにおいては、なかなかそこまで突っ込んで課税ができないというのが、これは私、はっきり申しまして、税務執行上の実態だと思います。
○久保亘君 それでは、それだけ言われますならば、こういう資金の出所についてあなたの方でもう何ら問題を生じないというところまで判断をされるに当たっては、関係の政治団体の帳簿とか、それから政治資金の提供を行った企業の帳簿とか、それと本人の申告所得、そういうものをクロスチェックされて、それによって問題はないという判断をされておりますか。
○政府委員(磯辺律男君) このたびの調査におきましては、国税当局の方で一般の企業あるいは個人等を調査いたしましたときに、政治資金として寄付をしたあるいは会費として払ったという資料を全部、これは田中角栄さんだけでありませんで、調査の段階においては各種そういった政治資金の出た場合にはつかんでおります。それを全部それぞれ分類いたしておきまして、今度の場合も越山会その他につきましてその資料を持ってまいりましてクロクチェックをいたしました。その結果、私どもはクロスチェックの結果は不正はなかったと見ております。ただ、それがどこに今度は出ていったかということになりますと、これは自治省に届けておりますように、その支出先というものが明示されておりますから、やはりそういった支出先について出されたもの、それは政治活動として使われたものであるというふうにわれわれは認定せざるを得ないわけであります。
○久保亘君 それは帳簿の突き合わせは行われておらぬわけですね。
○政府委員(磯辺律男君) 先ほど申しましたように、入金の伝票と、それから帳簿、それの突き合わせはやっております。
○久保亘君 それじゃ次に、最後に六項目述べられた後、以上申し上げたほかというところから述べられたところで少しお尋ねいたしますが、有価証券の客観的な時価に比し低廉な価格による取得などの経済的利益の享受があったので適正な課税処理を行った。こういう意味のことを述べられておりますが、この中には越後交通株式を新星企業から二百五十一万株譲り受けたものが含まれておりますか。
○政府委員(磯辺律男君) 田中さん個人の資産の内容並びにその運用の問題でございますので、具体的にお答えすることは差し控えたいと思いますけれども、そういったものは含まれております。
○久保亘君 二百五十一万株ですので、これは時価よりも、適正な評価額よりも安くということになりますと、十円違っても二千五百万の違いになってくるわけです。だから、これはかなりの修正が必要であったんじゃないかと思うんですが、大体一株についてどれくらい適正な評価額よりも安く譲り受けていたという判断をされたわけですか。
○政府委員(磯辺律男君) 具体的に数字を申し上げるのは、先ほど申し上げましたような理由で御容赦願いたいと思いますけれども、これはそういった時価に、客観的な時価に比して安く譲り受けているといったような場合には、これはもらった方としましては一時所得であります。したがいまして、一時所得ですから、これは課税する場合にはその利益額の半分が課税対象になるわけでございます。したがいまして、先生の御指摘になった数字よりは単価で見ますと大きい、しかし、課税する場合にはその差額のものというものの半分が課税標準になっておるということでございます。
○久保亘君 そうすると、一株、私がさっき指摘しましたのは十円という額を一つの例と申し上げましたので、それよりも大きいと、こういうことですから、大体課税対象になった所得の修正が、この越後交通株式の譲渡に関して二千五百万以上あったと、こういうことになりますかね。
○政府委員(磯辺律男君) 具体的な数字になりますので、その点は私たちはそういった事実に着目して課税処理を行ったということの御報告にとどめさしていただきたいと思います。
○久保亘君 それから、私がちとお聞きしましたところでは、今度の調査の中では田中邸の中のいろいろなものについても検討をされたと、調査をされたというふうにお聞きしておりますが、その とおりでしょうか。
○政府委員(磯辺律男君) よく言われておりますのが、田中邸にあります庭石あるいは池に飼っておられるコイの問題であります。この点につきましては、私たちも実際にその田中邸の図面、そこにどれぐらいの石がどういうふうに配置されておるか、どの池には何センチぐらいのコイが常時何匹泳いでいると、それは調査いたしましてその数字も全部把握しております。ただその場合に、庭石につきましては、これは田中角栄氏が昭和二十八年にあの目白の私宅を買い取られましたときにすでについておった庭石である。それからまた大部分の庭石につきましても、工事の際に掘り起こしてそこに据えた石というものでございまして、それがほとんど昭和四十年以前のものであるといったような事実が明らかになりましたので、これについてはあえて課税する必要はないと認めたわけであります。 なお、またコイにつきましては、何センチのどういったコイが何匹ということも調査いたしましたけれども、それは地元のそういった方々から贈られたとかいったようなものでございまして、平均しまして取得されましたときにはかなり小さなコイで、そのときの時価というものを見ますとあえて課税する必要はないというふうな結論で、これについては課税をしなかったというのが実情でございます。
○久保亘君 いま庭石やコイを例に挙げて話をされましたけれども、私はそういうところまで国税庁が国民の疑惑にこたえようということで取り組まれたのならば、なぜ現地の立ち入りを行われないのかということが不思議でならぬのです。庭石やコイまで調査対象にしたと言いながら、それも図面で見たとか、人に聞いたとか、そういうことでやられるのはどういうわけだろう。それを調査対象にしようということなら、田中邸に入っていろいろ見せてもらって調べるというのは、これは常道じゃありませんか。それがなぜできないのか。そこにやはり今度の問題の根源があるような気がするのです。どうですか。
○政府委員(磯辺律男君) 私たちが調査いたしますときには必ずしもその御本人に直接お会いして調査をしなければならない、あるいは調査をするとは限らないわけであります。たとえば、いろいろなお忙しい方、それからまた公職を持っておられてなかなかその十分な時間をいただけないといったような方に対します税務調査のときには、通常御本人にお会いするよりはむしろその秘書の人、あるいはその資金的ないろいろな実態を明らかに知っておる人、そういった人に対していろいろな資料を提出していただき、あるいは聞き取り調査をするといったのが私たちの税務のやり方であります。したがいまして、今度の場合でも、それからまたその私宅に立ち入りの場合でも、これは強制捜索の場合にはもちろん国犯法の第二条の臨検、捜索、差し押さえの規定によりまして強制捜索をするということはあるわけでありますけれども、通常の調査におきましては、私邸に入りましてその中をずっと見て歩く、あるいはどういった置物があるかとか、あるいはどういった骨とう品を置いておられるかとか、そういったところまでは調査をしない、あくまでそれは御本人の申告にまつというのがわれわれの任意調査の限界であります。したがいまして、田中さんの場合におきましてもやはり同じような例によってやったというだけでありまして、これは田中さんだから直接本人に会わなかった、あるいは田中さんだから目白の私宅に入って中を全部現場確認をしなかったという問題ではないわけでありまして、当委員会におきましても、国税庁は田中角栄氏個人に対して調査をするのかという御質問がございまして、そのときに私がお答えいたしましたのは、田中さん御自身にお会いしなければ実態がわからないといったような問題が生じた場合には直接お聞きすることもあるべしという御答弁を申し上げたように私は記憶しておりますけれども、この点につきましては、最初御報告いたしましたとおり、十分な資料の提供、それから調査に対する協力が得られましたので、あえて田中さん個人、それから目白邸への立ち入り検査、そういったことはやる必要はなかったというのが実態でございます。
○小谷守君 磯辺次長、久保委員さんの御質問に関連して申し上げますが、一月の中間報告の際に、あなたは田中さん個人に対する面接についてはいまあなたがおっしゃったとおりの御発言があった。田中邸に対してあすこに入って調査をするかどうかという委員の追及に対しては、当然そうなると思います。あなたはこういうふうにお答えになった。速記録ありますよ。いまあなたは大変変わった、二、三カ月の間に変わった見解をお述べになった。どういうことでありますか。
○政府委員(磯辺律男君) 失礼いたしました。ちょっと私もあるいは小谷先生御指摘のように記憶違いであったかもしれません。田中さん個人について面接するかどうかという問題を中心に御答弁申し上げましたので、田中邸の立ち入りの点につきましては、私がこの前御答弁申し上げたことと食い違ったということであると、これは申しわけございませんので、ここで訂正させていただきます。 ただ、結果といたしまして、先ほど申しましたように田中邸のいろんな見取り図、それから各種そういった資料、そういったものが提出されましたので、その必要がないというふうに判定いたしまして、あるいは当然立ち入り検査をするというふうに、私、御答弁申し上げたかもしれませんけれども、その必要がなくなりましたので立ち入り検査をしなかったというふうに答弁を訂正させていただきます。
○久保亘君 結局、いままでいろいろお尋ねしまして明らかになりましたように、初めから今回の脱税事件については、これは形式的なミス、それから解釈の違いによって生じたものであるという前提に立って事を進められておるので、肝心の問題について的確な調査が行われていない、私はこのような感じを持ちます。特に、そういう立場に立っているから、国税通則法六十五条による適用をしているのであって、過少申告加算税で五%と延滞税、しかも三年しかさかのぼらない。調査は五年前にさかのぼって調査をやると言っておきながら、前の二年は打ち切ってやらないという方法をとられているわけです。それは今回の問題を形式上のミス、解釈の違いということでもって結末をつけてしまうために、重加算税——通則法六十八条を適用することは後に問題が残るという立場から、そういうような処置をとられたような感じがするんです。そういう点で、今回のこの報告は私どもはとうてい納得のいかない問題であります。 で、この点についてはまた引き続き機会を得て質問をいたしたいと考えておりますが、最後にお尋ねしたいのは、仮にいま大蔵大臣や磯辺次長が言われましたような立場で結末がつけられるとするならば、私どもが伝え聞いております一億数千万に上る追徴金、この追徴金が納税者側の悪意の間違いではなくて、むしろ国税庁側の徴税上の、形式上のミスとか解釈の違いをそのままにしていたということによって生じているものだとするならば、国税庁側にそういう結末をつけられるならば重大な責任を生ずるのではないかと思うんです。一億数千万の、当然国庫に入るべきものをあなた方の処理の仕方を誤ったために取りそこなってきた。過去にさかのぼればもっとあると思う。そういう問題について国税庁の責任はどういうふうになるんでしょうか、大蔵大臣にお答えいただきたいと思う。
○政府委員(磯辺律男君) 国税庁の責任でございますので、私から御答弁申し上げたいと思いますが、基本的には私は国税庁として非常に遺憾に思っております。といいますのは、やはりこれだけ調査をいたしまして、これはもちろん解釈上のミスであるとかあるいは重加算税の対象とならぬようなミスであるとしても、やはりなぜそれを国税庁がいまごろになってわかったのかと、解釈上の問題についてはなぜ事前に調査をしてそれを是正させておかなかったかという問題があろうかと思います。 ただ、この問題につきましては、一つは弁解になると思いますけれども、現在の納税者に対しまして国税の職員が一人で担当しています件数というものは百数十件になっておる。そういったことがございまして、なかなか一件一件綿密な、これほど綿密な調査をするということは人員的にも時間的にも不可能である。たまたまこういった問題が生じましたので綿密に調査いたしました結果、そういった事実が発見されたといったことでありまして、これは通常のわれわれの事務処理ではなかなかむずかしい問題であったと思います。 ただ国税の方としては、それは単なる弁解でございますので、改めて綿密に調査をやって、そこにこういった問題が発見されたといったことについては、国税庁の事務というものがまだ甘かったのではないかというふうな考え方、それから同時にはなはだこの席上で申し上げるのはいかがかと思いますけれども、政治家というものに対する課税というものが不十分であったのではないかということは、われわれの痛切な反省でございます。そういった意味におきまして、今後十分にいろいろな重要な問題につきましては調査をすることによりまして、納税者の方々の御信頼を失わないように努めるつもりでございます。
○久保亘君 それでは時間がまいりましたので、これで終わりますが、最後に大蔵大臣に私の方から申し上げておきますが、三木総理はこの問題をきちっとやらなければ日本の政治の信頼に関する問題だということを国会で述べられております。だから、そういう点から考えましても、守秘義務という問題について、もう一遍大蔵大臣の権限において総理大臣とも相談をされた上、政治の信頼回復という立場に立って、ぜひあなたがこの段階において明確な態度をとられるよう強く私の希望を申し上げて、質問を終わります。 —————————————
○委員長(前川旦君) 委員の異動について御報告いたします。 ただいま鈴木一弘君が委員を辞任され、その補欠として二宮文造君が選任されました。 —————————————
○峯山昭範君 先ほどから種々同僚議員からも質問がございましたが、今回の問題につきましては、中間報告を含めまして、きょうが最後になるわけでございますね。でございますが、先ほどから聞いておりましても、国税庁次長の口からも、大蔵大臣の口からも、いわゆる抽象的な話ばっかりで、具体的な数字なんというものは一言も出てこないわけです。先ほど最後に同僚議員がおっしゃいましたが、これは大平大臣、守秘義務の問題につきましても、私はこの問題を論議する前に何回も取り上げてきたわけでございますが、きょうもまた国税庁次長が答弁の中でも、昨年の十二月二十三日の三木総理の参議院の予算委員会における守秘義務という問題についての答弁をなさいました。その中にもございますように、「政府としては、国会の国政調査活動が十分その目的を達成できるよう、政府の立場から許される最大限の協力を」すると、こういうことがございます。しかし、私たちが審議を進めてまいりまして、どれ一つ具体的に解明される問題がないわけであります。これではやっぱりまだ審議が、私、進まないと思いますし、国民の疑惑が解明されるかというと、何一つ解明されないように思うんです。この点について、大臣どうお考えか、まず初めに大臣の所信をお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) その問題につきましては、たびたび本委員会でもお尋ねをちょうだいし、私からもお答え申し上げ、そして終局的には政府の統一見解という姿で国会に対してお答えをいたしたわけでございます。その趣旨はもうすでに皆様御承知のとおりだと思いますので、ここに繰り返す煩は避けさしていただきたいと思うのであります。 私といたしましては、行政権としてその責任を全うしていかなければならない。それに対しまして、国会・立法府の御理解と御協力をお願いしたいと。しかし、同時に、立法府がそのお立場におきまして国政についての御調査をされるという場合におきまして、行政府が全幅の御協力を申し上げるということも当然の責任であると心得ておりまして、政府の統一見解もそういう基本の構想でお答えができておると思うのでございます。立法府から申しますと、隔靴掻痒の感がございまして、必ずしもそれで十分でないじゃないかというおしかりもあろうかと思うんでございます。しかし、同時に行政府の立場から申しますと、与えられたいまの制度のもとにおきまして、われわれといたしましてできる限界というのは精いっぱいこういうところでございますということをたびたび国税当局からも御説明申し上げておるとおりでございまして、問題はやはり立法府と行政府の間の相互理解、相互信頼が基本になければならぬと思うんでございまして、それを損なうことがないように私としては全力を挙げていきたいと思います。そしてそれがあって初めて私は、国民の本当の意味の政治に対する信頼が維持されるというように理解するものでございまして、これからもたびたびこの問題ばかりでなく、いろいろ行政府に対して御注文があろうかと思いますけれども、誠心誠意お答え申し上げまして、立法府と行政府との間にある協力関係、信頼関係というものを損ねないように私としても全力を挙げてまいりたいと心得ております。
○峯山昭範君 大臣、大臣のおっしゃることはよくわかるわけです。しかし一般的に考えました場合には、確かに大臣がおっしゃるように納税の秘密を守るということは、これは一般的には税務当局への信頼を高め、かつは納税を促進する、そういうことに私はなると思いますね。しかしながらそういうふうな意味から今回の場合考えてみますと、要するに守秘義務ということで今回のいろんな問題を公表しない、あるいは具体的な数字は何ら発表しない。先ほど新聞に発表されております数字等も私もこれから申し上げるつもりでございますが、そういう問題が出てまいりましても、それはすべて私たちが一言も発表したことではないということになってまいりますと、これは国会でもこれだけ問題になりましたし、またたびたびマスコミ関係の皆さんからも報道された問題であります。そういう点から考えた場合、田中さんの問題は、田中さん個人の問題というよりも総理大臣在任中なんですね。そういう点から考えてみますと、これはあくまでも公人ですね、私人といいますより。そういうような立場のときが一番多かったわけです。そういうような立場から考えてみましても、納税者の秘密を守るという、いわゆるこの守秘義務というのを一般的な原則そのままに適用していいのかどうかというのはやっぱり納税者の納税意識を高めるという意味から言ってもかえって逆な作用があるんじゃないか、こういう気持ちがするわけです。そういう意味からも私は、いまこれから質問を進めますが、もう少し具体的な話をしていただいてもいいんじゃないか、こういう気がするわけです。大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) あなたの言われるお気持ち私もよく理解できるわけでございます。ただ、国民がこのままの姿ではなかなか疑惑を解くわけにいかないじゃないかという御指摘でございますが、その御指摘は大変重大だと思うんでございまして、田中角栄氏ばかりじゃございませんで大ぜいの納税者の所得を調べて決定して徴収いたしておる課税当局の立場から申しますと、どの調査決定もおろそかにしてはならないわけでございまして、田中さんの場合に疑惑があるようでございましたならばほかのものにも疑惑があることになるわけでございまして、そういうことは課税当局として耐えられないことでございます。したがって私は、国民がわれわれ五万二千の国税に携わる者に御信頼を置いていただきたいというのが第一のお願いなんでございます。 それから第二に、しかしそうは言うものの、政治家、とりわけ要路の立場におる者にかかわる問題になった場合に、いまの守秘義務の制度にはばまれて一向解明されない状態というのはいいか悪いかという問題、これは確かに私は立法政策としてあり得ると思うんです。いやそうでなくて、やはり国の財政権の基本にある税の調査決定というこの仕組みは、国の名においてちゃんと保証してやらにゃいかんので、当然守秘義務はあってしかるべきだ、それには何ら例外があってはならないという考え方もあろうと思いまするし、いやそうじゃなくて、若干の考え方に弾力があってしかるべきではないかという立法政策上の配慮も、私は議論としてあるんじゃないかと思います。 現在この問題はいまの制度のもとにおいて起こったことでございますので、先ほど久保先生に私お答え申し上げましたように、それではこの守秘義務は、田中さんの問題が起こったから急にあたふたと政府として守秘義務はこのように立法し直して国会にお願いして総理大臣の場合は別な制度でもってひとつやりますというようなことをやることは私はおかしいと思いまして、いまの制度のまま田中さんであろうとだれであろうとやっぱり一納税者として処理さしていただくということがわれわれの立場じゃないかと考えてやったわけでございます。しかし将来あなたが言われるようにこれはそういうことで未来永劫にいいものかどうか、これは立法政策の問題として私は検討に値する問題であろうかと、それは思います。思いますけれども、この問題は少なくともそういう考えでやらしていただいたというように御理解をいただきたいと思うのであります。われわれただ田中さんであるがゆえに何か非常に隠し立てをしておるとか遠慮しておるとかいうようなことは先ほど久保さんにもお答え申し上げたとおり毛頭そういうことはございませんから、その点は御信頼をちょうだいいたしたいと思います。
○峯山昭範君 それではこの問題につきましては私は最大限の協力を希望しながら質問を続けたいと思います。 先ほど国税庁次長から調査結果の最終の報告がございました。特に田中さん個人からの、本人からの事情聴取は行わなかった、そして田中邸の立ち入り調査は行わなかったというところは特にでっかい声でおっしゃったような気がしますが、その前に出頭を求めて調査したということ、それから幾つかの現地におもむいて現地調査を行ったというような報告がございました。この点についてもう少し詳しく次長の具体的なところを教えて いただきたいのですが、一つは、出頭を求めて調査をした人でございますね。これは一体どういうような人になるのか、その人たちの肩書きなりあるいは名前なりを教えていただきたい。それから二番目に現地調査に行ったということでございますが、どういうところへ行かれて調査をされたのか、この点二点、まずお伺いします。
○政府委員(磯辺律男君) 先ほど私のほうから申し上げましたのは抽象的に申し上げましたけれども、直接出頭を求め、あるいは面接をすることによっていろいろと聞き取りをいたしましたのは元新星企業の社長の山田泰司氏、それから室町産業社長の入内島金一氏、それから元パール産業社長佐藤昭氏、それから東京ニューハウスの社長遠藤昭司氏、その他田中さんの御親族の人たち、全部で約十五、六名になります。 それから現地の調査の場所でありますけれども、一番大きな問題としましては、信濃川の河川敷の現地、それから鳥屋野潟の現地、それから不動産の売買に関連いたしまして、御殿場の土地、それから千駄ヶ谷の土地、そういったところでございます。
○峯山昭範君 現地調査はこれは四カ所でございますか。あの北海道とかそのほか問題になったところずいぶんございますが、そういうところは現地調査は行っていないのでございますか。
○政府委員(磯辺律男君) 北海道の宮の森の問題につきましては、何分古いことでございましたので、現地には参りませんでした。
○峯山昭範君 もう一点、質問に入る前にお伺いしておきたいと思いますが、田中氏個人の所得については、本人から調査を、事情聴取をしなかったということでございますが、どなたからお聞きになったわけでございましょうか。
○政府委員(磯辺律男君) 主として山田泰司さんであります。
○峯山昭範君 これは先ほどの元新星企業の社長さんでございますか。
○政府委員(磯辺律男君) さようでございます。
○峯山昭範君 以上を前提にいたしまして、以後質問を進めたいと思いますが、まず私は、先ほどからもちょっと問題になりましたけれども、この今回のいわゆる修正申告という形になったわけでございますが、そういう形をとった理由をまず初めにお伺いしたいと思います。この問題につきましては、先ほどからも議論がございましたように、当委員会でも相当いろんな問題で、この田中金脈という問題、もうやがて半年近くこの問題取り上げてまいりました。その結果、この見直し調査を行うということになったんだと私は思います。そして結局昭和四十六年から四十八年までの三年間分の所得を、この見直しをして、そして申告税額を修正する申告、すなわちいわゆる東京国税局を通じて小石川税務署ですか、ここへ提出されたと、こういうふうに伝え聞いております。それでその田中前総理の修正所得額、増差所得と言われるその所得額は約六千数百万と私たち聞いておるわけですがね。これが三年間のいわゆる所得の申告漏れと、こういうことになっておるわけでございます。これに対して追徴金というのか、追徴税額というんですか、これは付帯税も含めまして、過小申告加算税、それから延滞を含めるとほぼ二千六百万円の国税の追徴が行われた。それに地方税の追徴分を含めると約三千四百万円ぐらいが追徴税額となるというようなことが伝えられているわけです。ここら辺のところは、これは国税庁次長どうですか。大体合うてますか、これ。
○政府委員(磯辺律男君) たびたび申し上げて恐縮でございますけれども、税額その他の数字につきましては、国税庁の方としてはどこにも発表してございませんし、この当委員会におきましても、具体的な数字についてのお答えを申し上げることは御容赦願いたいと思います。
○峯山昭範君 これは大臣、そんなことを言うといかぬのですよ。大体合うているかとこう言うておるわけですからね。ですからこれが全く違うというんじゃこれは次長、話にもう審議の進めようがないでしょう。大体こんなものなのか。われわれもこれわからぬわけですわ、実際ね。ですからこれは大体こんなものであるかどうか、われわれ推定で言うておるわけです。ここら辺のところはやっぱり全く違うのか、どうですか。全く違うか、もうちょっと何か言うてもらわぬとこれはいけませんが、これ、次長どうですか。
○政府委員(磯辺律男君) まことに恐縮でございますけれども、数字につきましては御答弁申し上げるのは御容赦願いたいと思います。
○峯山昭範君 これは、われわれも国税庁自身も守秘義務ということがありましょうけれども、私たちはこの調査のしようがないわけですね。マスコミの皆さん方のいろんな調査に基づく新聞の資料等、いろんな新聞やいろんな資料からまとめてこんなものじゃないかと、こう推定する以外にないわけです。これを全く何といいますか、申し上げるわけにはいきません。違っているのか合うているのか、とんでもない違いをしているかもわからないわけですね。私たちはもっとたとえばたくさんの税額になっているかもわからないわけです。ですからそういうふうな点から考えてみましても、しかもあれでしょう、高額所得者というのは一千万以上は最近は公示されておるわけでしょう。そういう点から言っても、私は当然修正額についてもこれは公示というのは、後で行われるなんということはないんですか、どうですか。
○政府委員(磯辺律男君) ただいまの、現行の税法では、個人につきましては三月の十五日から三月三十一日までに——三月の十五日までに申告すべき税額についての修正申告があった場合には、五月の一日から十五日までに公示をするということになっておりまして、そのときに申告すべき——その年の三月十五日に申告すべき年分以外の年分についての修正申告は提出されましても、それは公示することにはなっておりません。
○峯山昭範君 そうすると次長、三月の一日から十五日までにたとえばの話、私が税額を、要するに本当は五千万ぐらいある、にもかかわらず、一千万しか申告しなかった、一千万以下でもよろしい、その場合、後で気がついて十五日以降申告した、これは公示されないのですか。そういうことか結局たびたび——たびたびかどうかわかりませんが、許されていいんですか。そういうことがどんどん許されるということになりますと、これは非常にまじめに申告する人がいなくなるのじゃないですか、どうです。
○政府委員(横井正美君) ただいまの例につきまして、三月十六日から三月三十一日までの間に修正申告を出されますと、これは五月一日の公示になるわけでございます。四月一日以降におきまして、修正申告が出ました場合は、公示にならないという制度になっております。
○峯山昭範君 その場合……
○政府委員(横井正美君) このような制度になりましたことにつきましては、本来ならば主税局からお答えすべきことであろうと考えますけれども、この公示制度は申告の内容を公示することによりまして第三者からの情報を期待するということによりまして適正な課税ができる、あるいはまたそういう公示制度があることによりまして適正な申告が期待できると、こういうことにあるというふうに言われておるわけでございます。そこでこの制度の趣旨といたしましては、一回公示をすれば足りるというのが大蔵省の考え方のようでございます。 それでなお申し上げたいと思いますのは、現行制度がそのようになっておりますので、実は納税者との関係におきまして従来から個人につきましては修正申告を慫慂する、納税者の方も修正申告をしたがる、こういうことで推移いたしておりまして、八〇%の納税者の方は、調査の結果でございますけれども、修正申告をされておる。二〇%だけが更正通知を受けておるということでございます。逆に法人の場合におきましては特に調査課所管法人でございますと九〇%が更正でございまして、一〇%が修正だという慣例でございます。で、田中角栄氏の御本人の課税並びに関連法人の課税につきましても従来の慣行に従いまして処理いたしたいと、かように考えておるわけでございます。
○峯山昭範君 きょうは非常に大臣の時間が短いので詳しく突っ込んでできませんが、これは大臣、実際問題今回の場合は、私は先ほどからいろいろ話を聞いておりますと、修正申告ということで修正申告そのものが——非常に端的に申し上げますが、この議論はまた後ほど何かの機会にやりたいと思います。いずれにしましても今回のこの前総理の税のこれが修正申告という何といいますか、先ほども話がございましたが、私たちは少なくとも国税通則法の第六十八条の重加算税を課すべきではないか、こう考えておるわけです。先ほどお話がございました六十五条の過少申告加算税ということでいわゆる税額にして五%ですね、五%の加算税で済んでいるわけです。しかしながら私たちは、重加算税というのは三〇%ですが、これはあくまでもこの五%の、これは私たちが考えた場合に、善意の納税者が自分では間違いがない納税をしたと、そう思っていてその人たちが計算ミスとか単純なミスでいわゆる後で申告して納めたと、こういうふうな取り扱いなんですね。こういうふうな取り扱いではわれわれどうしてもこれはどこから考えたって納得できないんですよ。そういうふうな意味では私は数字ももう少し公表すべきだと思うし、またいろんな角度から考えてみましてもこの問題は国民が納得できるような状態ではないということを大臣わかってもらいたいと私は思うんですけれどもね。いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) いまの制度から申しますと大変窮屈にできておりましてお気に召さぬわけでございますけれども、私どもといたしましては、したがって調査の経過それから問題点、そしてその処理をいたしました当方の考え方、まあそういったものを御披露申し上げましてこの問題についての御理解をいただくよすがにいたしておるわけでございます。したがって具体的な計数ということは申し上げかねますけれども、処理の考え方という点を申し上げてございますので、大きな問題点につきまして国税庁といたしましてこれを処理いたしましたやり方につきましては御理解をいただけるのではないかと思っておるわけでございます。で、計数をどうするかという点につきましては非常にかたくなにこれをわれわれは公開しないということで突っ張っておるわけでございますが、これをどうするかということは立法政策の問題にかかわると申し上げますことは先ほども申し上げたとおりでございまして、現行制度を忠実に守りながら適正な処理をいたしたいと熱心にやりましたことだけは御理解をちょうだいいたしたいと思います。
○峯山昭範君 もう時間ございませんので、簡単に申し上げますが、今回の、まだ法人関係終わってないそうでございますが、何らかの形で国民にわかりやすくあるいは今回のいろんな疑惑を解く努力というものについてされる意向があるのかどうか、この点もう一回お伺いいたしたい。
○政府委員(磯辺律男君) 法人関係につきましてはもう事実上の調査を終わっておりまして、あとは内部手続を待って更正処分を打つ段階でございます。私たちといたしましては、当委員会で誠心誠意お答えしておるつもりでございます。各税務調査の項目にわたりましてそれを是認した、否認した、それに対して益金に加算してさらに税金をかけた、あるいは更正処分を行った、そういったことについて数字こそここでお答えするのはお許し願っておるわけでありますけれども、いままでにないような細かい点まで御説明をしておるつもりであります。そういったこの場を通じまして納税者の方々の御理解を得たいと私たちは本当に衷心からさように考えております。
○近藤忠孝君 いま質問のありました見直し調査後の所得金額について個人の分については金額言いませんでしたが、それに関連してお伺いしたいのは、その関連企業につきまして見直しの結果、いままで公示されてなかった企業についてそれが公示すべき金額に達したかどうか、またいままで公示されておった企業につきましては、その所得金額について変化があったかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(磯辺律男君) いままでは公示額に達してなかったけれども、公示額を超える調査所得になる企業がございます。
○近藤忠孝君 それはどこですか。
○政府委員(磯辺律男君) 具体的な会社の名前を申し上げることは御容赦願いたいと思いますけれども、三社程度ございます。
○近藤忠孝君 それからいままで公示されておった企業についてその所得金額に変化があったかどうか、この点どうですか。
○政府委員(磯辺律男君) 変化のあった会社もございます。そのままの会社もございます。
○近藤忠孝君 変化のあった企業は幾つですか。
○政府委員(磯辺律男君) 大部分ございます。
○近藤忠孝君 ですから、その数を先ほど三社という話があったんですが、今度の場合には何社であるのか、その数ぐらいここで明らかにしてもらえると思うんですが、どうでしょう。
○政府委員(磯辺律男君) いわゆる関連企業ということが非常に問題でございまして、最初申し上げましたように、私たちこれを調査いたしますにつきましては、新星企業、室町産業、東京ニューハウス、パール産業等を中心としてそれ以外の関連企業にもと申し上げましたけれども、この関連企業というのがこの四社を調査するにつきまして次々やはり調査が発展してまいります。反面調査であるとか取引先調査であるとか、いろんなことがございまして、かなりの数の会社に及んでいるわけであります。したがいまして、幾つの会社がそういった増差し等が出てきたかということになりますと、これは非常に問題の整理がむずかしくなりまして、ちょっと何社というふうに申し上げるのは、どの範囲について何社と申し上げていいのか、非常にむずかしいもんでございますから、御容赦願いたいと思っています。
○近藤忠孝君 じゃ、答弁しやすいように、もっとわかりやすい質問しますと、今回調査した結果何社変化があったか、それなら答弁できるでしょう。
○政府委員(磯辺律男君) 調査いたしました会社は——まあ調査といいましてもそういった関連調査も含めまして二十五社であります。そのうちの十四社でございます。
○近藤忠孝君 そうしますと、結局、公示達成額の企業のうち十七社問題のある企業のあることがはっきりしたわけです。 そこで、これは大臣にお伺いしたいんですけれども、先ほどから、公示されるべき所得額についても先ほど言った一定の期間以外の修正申告については公示しないと、こういう答弁でありますけれども、これは私は法の精神に反するんじゃないかと思うんですね。法の精神から申しますと、所得税法二百三十三条ではこれは公示が義務づけられているわけです。これは公示しなければいかぬわけですが、決して公示しなくていいという規定はどこにもないわけです。ですから、これは立法上の問題というよりも、むしろ大臣がこれは発表しないようにしようと、そういう判断をしたんじゃないかと思うんですが、どうでしょう。
○政府委員(磯辺律男君) いま近藤先生そういうふうに御質問でございますけれども、これはたびたび申し上げまして恐縮でございますけれども、私たちは一般の例に従ってこれを処理するというのが大原則でございまして、したがって個人については修正申告、法人については更正といった一般の例に従ってやっているわけでありまして、田中角栄氏だから、あるいはいわゆるここで問題になった企業だからというふうなことは毛頭考えておりません。ですから、そういった意図を持ってやったというふうに御疑問を持たれると、非常にわれわれ国税当局としては残念でございます。決してそんなことはございません。
○近藤忠孝君 ですから、私がお伺いしておるのは、発表する気になればできるんでしょうと聞いておるんです。どうですか。
○政府委員(中橋敬次郎君) 申告書の公示の問題でございますので、私からお答えをさせていただきます。 いまの関連企業の方は法人税の公示の問題でございます。法人税の方は、それぞれの申告書あるいはそれに伴います修正申告書を公示することになっておりますし、所得税につきましては、先ほど来御質問ございましてお答えしましたように、その年分の個人の所得金額の確定申告を公示するのが原則でございまして、それにつきまして付加的に修正申告も公示するということになっております。 そこのところがなぜ違うかということでございますけれども、この公示制度は、法人税、所得税、相続税を通じまして、趣旨は、ねらいは同じでございます。と申しますのは、申告者に正しい申告書を出していただくということでございますけれども、それを果たします一つのよすがといたしまして、申告書を公示することによりまして第三者がその申告されました所得金額等につきまして疑惑を持ったというようなことから、税務の調査の端緒をそこで得まして税務調査の発動を促すというのが趣旨でございます。 そこで、所得税につきましては、先ほど御説明申しましたように、毎年大体三月十五日までに確定申告を出してもらうわけでございまするが、そこは、法人税が毎期毎期の申告期、相続税が死亡の六カ月後というような、随時に出てまいります申告でございませんで三月十五日という大量処理を要します一定の時期に多分に出てまいるものでございます。大体最近の実例で申しましても、毎年公示をする件数が非常にふえるわけでございます。それからまた、調査上も所得税につきましては、事後調査をやりましても、毎年のことでございまするから、更正という手続を経ないでできるだけ修正申告をやってもらいたいということでございまするので、いわば調査の結果が修正申告にあらわれるということでございまするから、守秘義務との関係でもって、所得税につきましては、修正申告については、いわば調査の結果をあらわすような修正申告につきましてはあえて公示の対象にしないというのが基本的な思想でございます。
○近藤忠孝君 この問題、時間ありませんのでこれ以上は別の機会にしたいと思いますが、少なくともいまの答弁ではっきりしたことは、いままで公示額に達していない企業でも具体的には三社が公示額に達することになった。と申しますと、具体的に国会の各委員会で問題になった東京ニューハウス、新星企業あるいは関新観光等々、特に疑いのある企業だろうという気がするわけです。となりますと、国会で審議しておったこの問題、大変重大な問題であったというふうに考えます。今後の問題としまして、これは立法上の問題と申しますよりも、むしろ大蔵大臣の決断によってこれは公示しても一切差し支えないものである、こう思います。今後公示するように、この数字を明らかにするように求めて次の質問に入りたいと思います。 そこで、次にお聞きしたいことは、国税庁で出しております「昭和四十八年度における査察事績」というのがあります。これによりますと、昭和四十八年度におきましては、特に「四十七年頃の株式ブームを反映して株式売買による大口脱税が目だった。」、こういう指摘がありますし、さらに、「脱税の手段、方法等」という段になりますと、「株式売買で巨額の利益をあげながら、」「他人名義や家族名義を使って」課税にならないように「仮装し、その所得を申告しなかったもの」ということとか、「仕入れた土地を第三者名義で登記のうえ、」云々とか、さらに今度は、「脱税によって得た利益の留保形態」としての例として、たとえば競走馬を購入したとか、まるで田中角栄さんのことを書いたような、こういう具体的な指摘があるわけですね。となりますと、われわれが国会で問題にしました幾つかの事例というものは、まさに国税庁から見ますと、脱税の手口だったと思うのです。そういう面からこの問題を調べなかったのか。先ほど来の話ですと、脱税犯という形よりはいわば脱漏があったというごく軽い形で調べておったような観しか見えませんし、最初からそういう態度だったと思えるわけですが、少なくとも国税庁の国民一般に対する目から見ますと、これは明らかに脱税の手口じゃないか。こういった点で調べたのか調べなかったのか。こういう点、明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(磯辺律男君) 近藤先生法律の御専門家でいらっしゃいますから、私から税法の罰則の問題について申し上げるのはいかがかと思いますけれども、御承知のように、所得税法あるいは法人税法によりますと、「偽りその他不正の行為」によって納めるべき税金を不当に免れたというのがいわゆる脱税犯としての構成要件でございます。したがいまして、私たちは、この構成要件を具体的に適用します場合には、それが積極的な犯意というものが必要である、「偽りその他不正の行為」というものに犯意というものが必要であり、それから同時に、その脱税を立証するためには物的証拠というものが必要であるということは、これは先生御承知のとおりであります。こういった観点で査察というものを、われわれは事案を選別し立件しておるわけでありますけれども、田中角栄氏の場合にはそういった事実がなかった。さらにまた、これは国税通則法で言いますところの隠蔽仮装ということもない。それは、単なる——単なると言ったら若干語弊があるかと思いますけれども、やはり納税者とそれから国税当局との税務上あるいは解釈上の相違がある、あるいはその経済的な利益として受けていたそれを申告するというのは、あえてそこまで申告されなかったといったようなことが中心でございますから、あえてこれを所得税法あるいは法人税法の罰則対象の事件として強制捜査あるいは査察立件をするに至らなかったというのが私たちの基本的な考え方でございます。
○近藤忠孝君 各委員会での審議の状況、またみんなが追及した問題点について、国税庁では必ずしも正確に理解していない。と申しますのは、いま言った「偽りその他不正の行為」というのを単に一回限り見ているのではないかと思うのです。一回限り、たとえば四十八年度に利益のあったものをこのように架空名義で隠した、そういった事例だけで追っておったのではないかという気がするわけです。しかし、今回の金脈問題の一つの特色は、巧妙かつ計画的であったのじゃないかということが各委員の指摘した点だと思うんです。一回限りじゃなくて継続的、系統的だと思うんです。たとえばこれは私も指摘した問題ですけれども、各幽霊企業に対する増資の問題ですね、これはほとんど関連する企業全部、これは架空名義もしくは他人名義の名義であった。ほとんどあったことは明らかであります。これはそういう答弁もあります。となりますと、これは明らかにこの国税査察で指摘している架空名義です。しかもこれを長い間ほとんどの企業に系統的にやっておったとなりますともっと大がかりなものじゃないか、こういう面から見ますと、たまたまこの国税査察なんかに出てくるのは一回限りでやってばれてしまったいわばきわめて下手くそな事例がつかまっているんじゃないかと思います。むしろこのように系統的に反復的にやってきた、こういう問題がむしろ今回見逃されておったんじゃないか、この辺でわれわれが指摘した点が全く無視されたんじゃないか、この点いかがでしょうか。
○政府委員(磯辺律男君) 御承知のように、株式の譲渡所得につきまして課税されます場合には要件がございまして、当該納税者が一年間に二十万株以上かつ五十回以上という要件を満足した場合に初めてそれを申告する義務があるわけであります。今回の場合におきましてはそういった事実はございませんので、査察事件あるいはそれが罰則の適用を受けるような事案というふうには認めていないわけであります。
○近藤忠孝君 私の質問にまともにお答えいただきたいんですが、たとえばみんなが指摘した幽霊企業というのは、いわば長期にわたって田中氏の所得を隠したりその行方をごまかすようなものじゃないか、こういう指摘なんです。そういう意味で架空名義が使われた、あるいは他人名義が使われた。その他人名義については相当あって、それがもとへ戻された。その中には田中角栄氏が自主的に出したということも明らかになった。こういったことも大蔵委員会で明らかになっている事実です。となりますと、具体的にそういう他人名義を使ったりなどして、いわば国税庁から見れば財産隠しの一事例と見られるような例が各所にあるわけです。しかもほとんどの企業にある。となれば、もっと大きな全体的な財産隠しもしくは脱税の意図があるという、このことが当然考えられると思うし、またわれわれもその点を指摘したと思うんです。その点に対して国税庁はどのように考えて調査をしたのか、これが私の質問なんです。
○政府委員(磯辺律男君) 先生御指摘の、他人名義を使って株式を取得していたのがそれが脱税につながるということは、ちょっと私も理解できないわけでございますけれども、脱税というのは、当該年分の所得がありながらそれを申告しなかったというところにその脱税という問題が出てくるわけであります。ただ、すでにもう申告をしておった、あるいは申告を要しないような所得がございます。たとえば先ほども言いました株式の売買による所得、そういった資産の運用としてそれをやって第三者の名義を使っておられたといったような場合には、これはそれだけでは何も脱税につながっているわけじゃない。ただそういった場合の株式の配当があった、その配当を源泉選択をしておれば別ですけれども、本人が申告しなかったと言ったらこれは脱税につながると思いますけれども、実際いろんな人が名義を使っても、配当があるような会社については当該申請の株主の配当所得として申告されておるということであればそこには脱税という問題は起きないわけでありまして、ですからそういった意味では先生の御指摘の点についてはちょっと理解できないわけでございますけれども。
○近藤忠孝君 いまの答弁の中に国税庁の態度がはっきり出たと思うんです。要するに一つ一つの事例で、あったかなかったかといういわば単純に考えていると思うんです。しかしこの金脈問題をその単純に考えたのでは真相はわからないということが私ども指摘した点なんです。だからこそわれわれは苦労して幽霊企業の実態についていろいろと究明したり、株の実際の取得のぐあいまで調査してやったわけです。 そして指摘した点は、そういう幽霊企業を事実たくさんつくって、いわば本来田中角栄氏のところに入るべきものを分散してそしていわば累進課税を免れた、そういった点も指摘したわけですよ。それに対していまだに答弁ないわけでありますけれども、そういう数年間にわたる大がかりなものを、これに対してそれを見る目があったのかどうか。しかもこれは全然国会で指摘されたのではなくて、みんなが指摘した点がその点が全然調査をしてなかった。そういう面ではきわめて不十分な調査じゃないか。ですから、たとえばその年度分だけでたまたまうまく合理的に説明がついても数年間あわせれば説明のつかないものもあると思うんです。そういったものについて調査をしたのかしないのかというのが私の質問の趣旨なんです。
○政府委員(磯辺律男君) 今度のいわゆる関連企業というものが、田中さん個人の財産の隠匿の手段あるいは田中さんの別働隊であるのではないかという御指摘につきましては、先ほどの私の最初の御説明で御報告したつもりでございますが、やはり個人のものなるや法人のものなるや、いろんな、その資産というものが個人か法人かということはわれわれはそういった税法に従い、いろいろな通常の法人の経理状態あるいはその資産状態そういったものから勘案して判定するわけでありまして、そういった一つの要件が備わっておればすべての法人格を否認してそれは個人のものであるというふうにもっていくというのはこれは税法としてはできないところでございます。われわれとしては、あくまでも税法の適用ということを中心に考えておったわけでありまして、その結果、これは田中さんのものでなくて独立の法人として税制上処理するのがしかるべきであるという結論に達したということでございます。
○近藤忠孝君 終わります。
○田渕哲也君 この委員会におきまして、大平大蔵大臣初め国税庁当局は、田中氏の関連企業の申告及び課税は適正に措置されている。こういう答弁を何回もされております。ところが、今回の調査の結果きわめて多額の税金を追徴することになったという報告があったわけでありますけれども、これでは適正に措置されていなかったということになろうかと思います。前に言われたこの適正に措置をされているという答弁は間違いであったと思いますが、この点について大蔵大臣並びに国税庁次長の答弁を求めたいと思います。 〔委員長退席、理事小谷守君着席〕
○政府委員(磯辺律男君) 確かに仰せのように委員会で当初この問題を取り上げました段階におきまして私が御答弁いたしましたのは、現段階におきましては適正に処理されているものと思いますということをお答えしたことは事実でございます。しかし、こういった非常にむずかしい問題でございますので、改めて膨大な人員を投入いたしましてこれを調査いたしまして、その結果、先ほど申し上げましたようにいろいろな被疑事項なりあるいは更正をすべき諸点が発見されたということでありまして、ですから振り返って見ますと、その当時においては適正に処理されていたと思っておったわけでありますけれども、現時点においては不十分であったということは申し上げたいと思います。
○田渕哲也君 つまり、いままでの税金徴税の業務というものは田中さんに対しては一般並みではなかったということをお認めになるわけですね。
○政府委員(磯辺律男君) これはたびたび申し上げますけれども、現在税務職員で所得税を担当している者は全国で一万人ございます。それに対しまして還付人員を加えまして納税者というのは約八百万人ございます。一人の税務職員が八百件の処理をしなければいかぬ、まあそういったことで、やはり重点的に困難事案あるいは大口事案というものを重点的に調査をいたしておりますけれども、やはりそこには税務署で厳密な徹底した調査をやった場合には当初申告との食い違いが出てくるケースもあろうかと思います。ですからこれは田中さんだからそうだと言うんじゃありませんで、私は納税者の方々を疑うわけじゃありませんけれども、徹底した調査をした場合には、やはりたとえ善意であっても当初申告と調査所得との食い違いというものが出てくることはこれは間々あることでありまして、何も田中さんだけに限ったことではないんじゃないかと、かように考えております。
○田渕哲也君 そうすると、この程度の——まあ金額は明らかにされておりませんけれども、推定によればやっぱり何千万円という追徴額だと思います、田中さん個人についてですね、この程度の税金の誤差というのは一般的にあたりまえだということですか。
○政府委員(磯辺律男君) やはり絶対額というよりは、当初の申告額とそれから増差額との割合、元が大きければやはりどうしてもその差というものはぶれが大きくなりますからやはり大きくなるということは間々あることでございますし、特にこのたびの田中さんの関連の問題につきましては、かなりそういった解釈上の食い違いであるとか、あるいは通常であればそれほど申告もしないような場合でも、厳密に調査することによってやはりそれが課税所得と認定したといったような問題も含まれておりますので、結果としましては、通常の一件当たりの増差額よりはやや大きな増差額になったということは事実でございます。
○田渕哲也君 田中さん以外に個人について調べられております先ほど言われた十五、六名の方、この方の中で追徴の税金をかけられるべき人は何名おりますか。
○政府委員(磯辺律男君) これも法人と同じようにここで取り上げられました方々以外の方についても、やはり反面調査とかそのほかいろいろ調査いたしておりますから、ちょっと申し上げにくいんでありますけれども、いろいろと言われております人たちについては五人の方が増差されております。
○田渕哲也君 その氏名は。
○政府委員(磯辺律男君) これは先ほどの会社につきましても、近藤委員の御質問に対しまして御答弁するのはお許し願ったわけでありますけれども、個人の人の名前を申し上げることはお許し願いたいと思います。
○田渕哲也君 私は今回のこの脱税問題ですね、これは田中氏個人にとどまらず、その親戚、秘書を含め、いまの発表では五名、それから関連企業の中で十数社、こういうものが全部脱税しておるわけですね。言うならばこれは一つの脱税集団であり、脱税グループなんですよ。これについて単なる不正や偽りがなかったというような処置だけで済まされるという処置は納得できませんけれども、この点はいかがですか。
○政府委員(磯辺律男君) たびたび申し上げましたように、当初申告額と調査額との差が出てきたというその理由は、偽りその他不正の行為であるとかあるいは隠蔽仮装による税金の脱漏であるとか、そういった性質のものではございませんので、これを脱税というふうに定義づけるのはいかがかと思います。まあいわば過少申告であったということは言えても、いわゆる脱税、まあ結局同じようなことかもしれませんけれども、脱税だというふうに決めつけるには若干無理かと思います。
○田渕哲也君 時間がありませんので、また改めてこの問題取り上げますけれども、最後に大蔵大臣にお伺いしたいんです。この田中金脈が国会で取り上げられた、それはなぜか。やはり田中氏が資産形成についての不当性というものが疑惑が持たれた。その資産形成についてどういう不当なことをやったかというと、地位利用、脱税あるいはその他の不法行為、不当行為であります。現在これ答弁されているのは税金問題だけでありますから、そのうちの一部にすぎないわけでありますけれども、それについても国会でこの問題が論議されたということは、国会の場で疑惑が提起されたわけです。この疑惑を解明するにはそういう事実はなかったということを証明しなければならないと思うんですね。それでいままでの大蔵省、国税庁の報告によりますと、何ら証明されておりません。かつて田中さんに対する税金の処理は適正に処置されておるという答弁をされたけれども、事実はそうでなかった。そこで今度は洗い直して適正にやりましたと言うけれども、それは勝手に言われておるだけで、国会に対して証明は何にもされておらないわけです。守秘義務の関係でそれはできないと言われますけれども、守秘義務の問題についてはここで論議しませんけれども、ということは、田中さんに対して国会で提起された疑惑は解明できないということになると思うんですね。守秘義務があるからか、あるいは大蔵大臣が田中氏をかばっておられるからか、それはわかりませんけれども、とにかく解明できないという結果になろうとしておることをお認めになりますか。
○国務大臣(大平正芳君) 現在の制度のもとで私どもといたしましては、国会の御調査に最大限の御協力を申し上げておるつもりでございます。本問題が国会で取り上げられまして以来、御解明に御努力されたわけでございますが、私どもも最大限の御協力を申し上げたつもりでございます。現制度のもとにおきましては、私はこれが精いっぱいのことと考えております。 それから適正に処理されたかという表現でございますが、この問題を特に政治的に取り扱うということでなくて、一般的な税務の処理といたしまして厳正にやったつもりでございまして、俗に脱漏があるということでございますれば、それは当然なこととして修正申告を求めて徴税してまいるということでございますので、不適正にやったとは考えておりません。 〔理事小谷守君退席、委員長着席〕
○野末陳平君 先ほどからお答えを聞いていますと、どうも田中さんをかばい過ぎるような気がしてあまり気分がよくないんですが、改めてお聞きしますが、田中さんの税務処理というものは、御本人がもちろん直接記人して申告なさったんじゃないと思います。多分だれか専門の方がついておられたと思いますが、税理士とか経理士ですか、その点についてはいかがなんですか。
○政府委員(磯辺律男君) 田中さんの従来の申告は、主として秘書の方が整理されておられたようであります。
○野末陳平君 そうすると、その秘書の人はいままで長い間いろんな関連企業を含めてやっていたはずなんです。ですから、ただの一般納税者、いわゆる税金申告の素人ではない。それから田中さん自体も大蔵大臣もおやりになって、税についてずいぶんと詳しいということで、税務処理を考えますといわゆる解釈の食い違いとか計算上のミスとかいうような単純なことで、これを割り切ってしまっていいのかというふうに考えるわけなんですね。それから計算上のミスにしちゃ、もちろん額も多い。先ほど所得が多いから更正決定後の額も多いというお答えでしたけれども、私はどう考えても、これはやはり故意のごまかしという線がかなり強いんじゃないかと、三年前にさかのぼってかなりの額になっている。もっと十年かりにさかのぼればやはり相当またあると、やはりこれは単純なミスだといって、いわゆる一般の任意調査による更正決定で済ますというのはぼくはおかしいと、この点だけでも一般納税者とこの田中さんに関する結論の差が出ていると、そういうふうに思いますが、やはり故意という点は全然そちらでは認めないわけですか。
○政府委員(磯辺律男君) 私どもとしましては、そこに積極的な——仮装隠蔽あるいは詐欺不正といった積極的な行為は認められなかったということでございます。
○野末陳平君 これが一般の納税者の場合は、積極的か消極的かこれはお互いの主観の問題で、最後にこういう形になって更正決定がされると、その途中で相当しぼられたり、いわば犯罪者扱いのようなケースがかなり多いと私は思うんですけれども、その点でまずどうも田中さんはかばわれ過ぎたという印象が非常に強いんです。 それともう一つは、やはりこれは国会で取り上げられ、マスコミで大きく扱われたからこそ国税当局も積極的に調査に入ったわけです。ですから国会でこういう金脈追及がなければ、おそらく田中さんに関しては当初のお答えのとおり適正な措置だというままで更正決定もなかったはずなんですね。そういう点を考えますと、これはただのいままで次長がお答えになった所得上の任意調査で片づけておられるけども、これは間違いであると、やはりただの任意調査以上のものをここに感じて、一般の納税者のこういうミスの場合とは区別するのが当然だと思うんですが、それはいかがですか。
○政府委員(磯辺律男君) 確かに先生御指摘のように、国税犯則取締法の規定によって強制調査いたしませんでしたけれども、実際に今度の問題に投入いたしました国税局あるいは国税庁の職員、その質、人数等を考えますと、しかもこれは国会で一方では論議され、それから一般の各種マスコミではこれを注目していると、世間の、日本国じゅうの納税者が注目しておられる中でわれわれはこの調査をやったわけであります。したがいまして、この投入しました職員の数あるいは質それからその意気込み等を考えますと、これは決して一般の調査であったということは言えずに、実質的にはかなり厳しい調査であったと私は考えております。
○野末陳平君 実に何といいますか、いい答えをいただいたと思うんですがね。そこで大蔵大臣にお聞きしたいんですよ。いま強制調査のとき、いわゆる査察が入りますと、具体的な数字まで国会でも報告する、それからたまたま私が古い新聞を読んでみましたら——やはりこれは脱税ですよ、脱税容疑。脱税容疑でもって捜索という記事が出ておりまして、あるいは摘発という記事が出ている。これは容疑があって強制調査に踏み切ったという初日の新聞記事ですが、ここにはこの男は隠し預金が幾らあって申告はどうだというような具体的なことがもうすでに出ている。ということは、査察というのはそれほどの重みがあるということで納得します。とすると、いまの今度は次長のお答えは、田中さんの場合は、査察ではないけれども、もうそれと同じぐらいの意気込み、人数それから捜査の質、そういうもので全く厳しいものをやったんだと、私が言うような任意調査ではないというお答えですね。そうすると査察と同じぐらいの重みのある今度の強制調査ならば、これは当然数字でも発表しなきゃおかしいという気がするわけですね。当初の段階で一般の納税者の場合はすでに、それは新聞記者に漏れたのか、正式に発表したのか知りませんよ。少なくとも公表されているわけですね。プライバシーはないわけですね。そうなるとこれは片や査察だからいいと、脱税容疑だからいいんだと、田中さんの場合は違うとおっしゃったことが、いまのお答えでは、田中さんの場合もそれと同じぐらいの、強制調査と同じぐらいの意気込みと重みを持ってこれをやったんだということになりますと、私は本質的にこれは結果が出た以上はある程度公表するのが当然であると、そうしなければ、そちらが幾ら強制的にいろいろやって厳しくやったということを言われても、これは甘く見ている、田中さんをかばっているんだということになりますね。大蔵大臣、どうでしょうかね。普通のいわゆる査察で強制調査に入ったと同じぐらいの重みであるならば、そういう決意と努力でそちらが田中さんの問題を調べられたならば、やはり当然数字に対しても発表するのが国民に対する、あるいは国会に対する義務だと思うんですけれども、いかがですか、大蔵大臣。
○国務大臣(大平正芳君) まず第一に、査察であろうと普通の調査であろうと、国税当局といたしましては、一方は査察の場合と違ってやや軽い気持ちでやるというようなそんなことであってはいけないと思うんです。本来査察案件というのと普通の調査案件というのは案件の性質が違うわけでございまして、査察で取り上げられるべきものと、そういう案件でございますから、そういう性質は違いますけれども、これを取り扱う国税当局といたしましては最大限の注意を集中して当たらなければならぬと思います。 それから第二の問題は公表の問題でございますけれども、これはまた先ほどからもるる申し上げておりますように、いまの許された税法のたてまえの中で私ども公表すべきものは公表するし、公表すべきでないものは公表しないというたてまえでやっておるわけでございまして、勝手に気分的にこれを色分けしてやっているわけではないということは野末さんにもたびたびお答えいたしておりますので御理解をいただいておることと思うのであります。
○野末陳平君 どうもその公表の点は余り理解はできませんけれどもね。 まあ時間ないですけけれども最後に、では次長に再びお伺いしますけれども、先ほど久保委員からもその他の委員からも当局の責任の問題がちょっと出ました。そのときに非常に遺憾であるというお答えながら、しかし人手が足りないんでそう全部はできないというようなことをつけ加えられましたけれども、そうしますと、田中さんの場合はやはり人手が足りないために見逃がされていたというふうにも、また、とれる。あるいは小口の方はやっつけるけれども、大口の方は、あるいは偉い人の場合は何となく済まされていたという解釈にもとれるわけですね。ですから、人手が足りなくて田中さんの場合はたまたま見過ごしたということでなくて、どういう点で、もっと具体的に、遺憾だというのはどういうことをおっしゃっているのか、それをはっきり教えてほしいんです。やはり私考えるには、これは田中さんが故意になっていたとも思うし、故意でなければ税務当局がこれはもう怠慢だと言われても、責任をとらされても仕方がないと思うし、いずれにしても何かその遺憾の内容がはっきりしない。結局甘くかばわれて、一般の人は厳しくという不公平感がいまだに残るんですがどうでしょうか。最後になりましたが。
○政府委員(磯辺律男君) 先生御指摘のように、いわゆる偉い人とかあるいは資産家に対して甘くて、そして小口の所得者の市民については非常に税務署は辛くきつく当たっているというふうなことがあるとすればこれは申しわけないと思っております。先ほど申しましたように、人手の足りないこともありますし、国税としてはいわゆる大口事案それから重要困難事案というものに重点的に人員を割いております。こういった割き方が必ずしも当初の目的どおり行われていないということでありますとこれはわれわれとしては申しわけなく思っておりますので、今後はさらに一層そういった大口重要困難事案に対しましての調査というものを徹底することによって納税者の方々の信頼を失うことのないようにわれわれは努めてまいりたいと決心しております。
○委員長(前川旦君) 他に御発言もないようですから、大蔵省関係の審査につきましては一応この程度とします。 —————————————
○委員長(前川旦君) 次に、先ほど一時中断いたしました輸出保険特別会計計数処理問題を再び議題といたします。 これより質疑に入るわけでございますが、本日はエリザベス女王来日公式行事のため大臣が中途退席されるので、本来ならば質疑終了後申し上げるのが妥当かと思いますが、特に質疑に先立って申し上げます。 本件は、去る二月二十五日本委員会で会計検査院審査の際、昭和四十八年度決算検査報告に関連して峯山委員から問題が提起され、その後四月二十五日に内閣総理大臣から参議院議長あて訂正が送付されたことにより一応手続的には解決したわけでございますが、その訂正は昭和四十七年度及び四十八年度決算の二カ年にわたっております。昭和四十八年度決算につきましては、いまだ本委員会に付託されておりませんので言及いたしませんが、昭和四十七年度決算については現在審査中であり、特に輸出保険関係につきましては通商産業省所管審査が終了した後に訂正されたということでは、政府から提出された書類を正しいと信じて審査を行ってきた各委員が迷惑するばかりでなく、本委員会の権威を傷つけ、ひいては国会の尊厳を損なう行為ともなりますので、この点政府及び関係大臣は十分注意して今後かかることのないよう、特にこの点私から一言申し上げておきます。 それではこれより質疑に入ります。
○峯山昭範君 この輸出保険の問題につきましては、ただいま委員長の方から報告がございましたように、私は非常に重要な問題として審議を続けてまいりました。そこできょうはこの輸出保険の問題が先ほどからそれぞれ名大臣から発言ございましたように、きょうで一応終わりますので、終わるに際しまして二、三確認をし、かつ確めておきたいことがございますので質問させていただきます。 まず初めに、これはそれぞれ、会計検査院も含めましてお伺いしたいんですが、決算書というものに、決算書そのもの、いわゆる決算書及び決算の付属書類も含めましてでございますが、いわゆる推計というような数字が含まれていいのかどうかという問題があるわけであります。これはやっぱり今後、先例のないことでございますし、この際はっきりさせておきたい問題でございますのでお伺いいたしますが、要するに、こういうふうな決算書及び決算参照書等が、いかなる理由があるにしろ、私は、推計という数字で決算書が提出されるということは非常にまずいことだと考えておりますが、大蔵大臣を初めそれぞれの大臣どうお考えですか。
○国務大臣(大平正芳君) 御指摘のように、理由がどうであれ、決算上推定による数字を計上するというようなことは許されないことと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 今回の輸出保険特別会計の問題につきましてはまことに申しわけないと思っております。先ほど大蔵大臣がお述べになりましたように、いかなる場合でも推計ということで処理するということは許されないと、かように存じておる次第でございます。
○会計検査院長(白石正雄君) 決算は確定した数字に基づいて行わねばならないことは申すまでもないことでございまして、推計によって行うということは妥当ではないと考えます。
○峯山昭範君 きょうは非常に時間が短いし、それぞれ大臣も時間の都合がございますので端的に申し上げますが、それでは、いわゆる推計に基づいたこの予算書というのがあります。これは昭和五十年度の予算書でございますが、この数字はどのようにして訂正をされるのか、大蔵大臣にお伺いします。
○政府委員(田中敬君) 予算書に添付いたしました特別会計の財務諸表につきましては、去る四月二十六日でございますか、内閣より院に対しまして正誤という形で訂正をさしていただいております。——五月六日でございます。
○峯山昭範君 それでは、その点は五月六日ですか、きのうですな。まだ私たちの手元に届いておりませんが——わかりました。 それでは次に、先ほどの通産大臣の発言並びに大蔵大臣の発言を聞いておりますと、これはあくまでも事務処理の不手際によるものであると、こういうふうに述べておられます。私は、これは通産大臣お考えいただきたいと思うんですが、昭和四十七年度と四十八年度、二年間にわたって決算書が推計でなされているわけです。これは実際問題、通産大臣は大蔵大臣に対してはどのように報告をされていらっしゃるのか、これは要するに自発的に報告をされたのか、あるいは特に、会計検査院からは初め四十八年度しか指摘がなかったわけですね。しかも、だれかが推計でもいいということを判断しないとこの推計の決算書はできなかったはずであります。一体この推計でもいいという判断をして、国会に対してこの推計の決算書が——先ほど報告ごさいましたように決算書だけじゃございません、予算書の中にもそういう数字が含まれて提出をされておったということは、一体これはどこに責任があったのか、だれが判断をされたのか、この点はっきりさしていただきたいと思います。
○政府委員(岸田文武君) いま御指摘ございました四十七年度、四十八年度の当初の財務諸表等に関しまして通産省から大蔵省に対して推計を行ったという旨の説明は事前にはいたしませんでした。会計検査院で問題になって以降、大蔵省も逐次お打ち合わせをしておるというのが実情でございます。このような形で、事前に問題を提起しなかったということにつきましては私どもも重々反省をいたしております。
○峯山昭範君 ということは、通産省は事前にはしなかったということは、特に四十七年度、四十八年度、少なくとも二年間にわたって、去年いわゆる会計検査院の検査報告で指摘をされるまでこれは二年間にわたってこういうふうなものがはっきりしなかったということですね、結局。これはやっぱり非常に私は重要な問題ですし、大蔵省自身もこういうふうな問題をはっきりさせることができなかったといいますか、チェックできなかったという責任はやっぱりあると思いますね。こういう点も今後どういうふうにして大蔵省はこういう問題に取り組んでいかれるのか、この点についてまずお伺いしておきます。
○政府委員(田中敬君) けさほど冒頭大臣が発言いたしましたとおり、各省の会計処理事務について、より一層の正確を期するための警告的な文書を大臣名で発送いたしますとともに、私どもが主催しております行政事務研修の会計科目におきまして決算処理等の講義時間数をふやすというようなことで会計職員の資質の向上を図っております。これは非常に事務的なことでございますが、決算書の作成に当たりまして、私どもがただいま御指摘の推計部分が含まれておるということを知りましたのは、昨年会計検査院から御指摘があった以降でございます。それで、改めて推計を含んだままでの訂正をさしていただいたわけでございますが、その段階では、大蔵省といたしましても、推計額が含んでおるというものを国会に提出した一半の責任者だろうと存じます。しかしながら、その段階におきます私どもの考えは、決算というものは、あくまで過去の予算の執行の実績、計数の記録でございますので、それをより実体に近からしめるためには、推計額に大きな誤りがあるとすれば、より近い正確な数字に改める方が、決算の性格にかんがみてその方がより正しい決算の作成方法であろうということで、やむなく推計額を含んで提出したものでございますが、先ほど通産省から御説明がございましたように、通産省におきます事務改善手続も相当進んでまいりましたので、再びかかる事態がないことと確信いたしておりますので、今後は、私どももこういう事態が発生しないように十分注意してまいりたいと存じます。
○峯山昭範君 いまの次長の答弁を聞いておりますと、推計でも万やむを得ないこともあるみたいな感じがするんですが、これはどうですか。
○政府委員(田中敬君) 本来、財務諸表等につきましては確定額であるべきことは当然でございます。通常の歳入歳出決算におきましては、これは現金主義のものでございますので、この部分には推計部分が含まれる余地は全然ございません。損益計算書等の財務諸表等につきましては、たとえば、はなはだ異例な事態ではございましたけれども、今回のような機械処理の不手際というような事態に追い込まれたときに、本当にこれは全く異例の措置として発生したというふうに考えておりまして、今後、かかる事態があってはならないというふうに考えております。
○峯山昭範君 まだまだもう一つはっきりしませんね。今回の事態が異例であるということは私も認めます。それは当然ですね。しかしながら、質問の冒頭で私が大臣に確認したのも、その異例な事態が起きた場合であっても、財務諸表も含めて決算の金額というものはやっぱり確定したものを記入すべきであると、そういう主張を私はずっと続けてきたわけです。いまのあなたの答弁を聞いておりますと、何となく、何と言いますか、そういう万やむを得ないという事情のときには、その実体の金額に近い数字のいわゆる財務諸表でもいいんじゃないかというような感じがするんですが、そうなんですか。
○政府委員(田中敬君) 先生の御指摘のような場合に、万やむを得ず推計額を含まざるを得ないというような場合には、私どもとしては今後そのような事態が発生するとは考えませんが、万々一起こりました場合には、その金額には一部推計が含まれておると、かくかくの理由で推計部分があるということを御提出申し上げる書類にはっきり明記するということで処理さしていただきたいと存じます。
○峯山昭範君 わかりました。要するに、今後は、もしそういうような事態が起きた場合には、その旨を明記して損益計算書やそれぞれつくると、そういうことですね。
○政府委員(田中敬君) そのとおりでございます。
○峯山昭範君 そう理解いたします。わかりました。 それでは次にお伺いしますが、この四十七年、四十八年度のいわゆる決算参照書並びにこれをつくるために相当御苦労されたということは私も認めますし、何回もお伺いをいたしております。 そこで、四十九年度ですが、これは実際問題としてどういうふうに進んでいらっしゃるのか。先般、私ちょっとお伺いしましたら、四十九年度は非常に仕事が忙しくて、コンピューターに入れないで処理した分もあるとか、まだ手作業でやっている部分もあるのだというような話を聞いたこともあるのですが、そういうことも含めまして、四十九年度はこれは間違いなくいけそうなのかどうか。また、滞貨のぐあいはどうなのか、またコンピューターの使用状況あるいはその使用実情、そこら辺のところはどうなのか、そこら辺のところも一遍あわせましてお伺いをいたします。
○政府委員(岸田文武君) 昨年の五月にコンピューターが復調いたしまして以降、全力を挙げて従来の滞貨の処理に当たったわけでございますが、それと同時に、現に進行しつつある四十九年度の処理につきましても、これをいたずらに延ばすというふうなことは適当でないと考えまして、両々並行しながら作業を進めてまいりました。その結果、四十九年度につきましては、大体三月末をもちまして一月末の船積み分につきまして計算が完了いたしておりますし、逐次その後の整理も進んでおりますので、決算結了時までには正確な数字をもって報告ができるという段階になっておると考えております。
○委員長(前川旦君) 大臣退席したいというが、よろしいですか。
○峯山昭範君 結構です。
○委員長(前川旦君) 大蔵大臣、通産大臣、どうぞ御退席していただいて結構です。 峯山君、終わりましたか。
○峯山昭範君 はい。
○委員長(前川旦君) 以上をもちまして輸出保険特別会計計数処理問題の質疑を終わります。 それでは午後二時から再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時四十三分休憩 —————・————— 午後二時開会
○委員長(前川旦君) ただいまから決算委員会を再開いたします。 午前に引き続き、昭和四十七年度決算外二件を議題とし、法務省、運輸省及び日本国有鉄道の決算について審査を行います。 この際、お諮りいたします。 議事の都合により、これらの決算の概要説明及び決算検査の概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(前川旦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 それでは、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○遠藤要君 まず最初に、運輸省並びに国鉄当局にお尋ねしておきたいのですが、きょうは御承知のとおり国民生活に非常な影響を及ぼすところのストが行われておるようでございます。このストに対する見通しについて簡単にひとつお答えを願いたいと思います。
○説明員(加賀谷徳治君) 春闘第一波、第二波、第三波と、総評系の組合が違法な闘争行動を組んでやっておるわけでございますが、今週、本日午後から国労、動労が指名ストに入っております。組合の計画によりますと、八日、九日、十日に至る間の二十四時間の違法な闘争計画であるということになっておるわけでございますが、目下賃金事案がずっとこれまで、三月の十四日に初めて組合から組合の要求案が提示されまして、一カ月半にわたって十数回にわたり団体交渉を重ねてまいりましたが、四月の三十日に各組合に定昇込み、国鉄で申しますと八・一%の有額回答をした。それをきっかけにいたしまして、同盟系の鉄労などはまあ団体交渉に応じる態勢になりまして、最終的にはその回答は不満であるということで打ち切られまして、五月に入って二日に公労委に調停申請がなされております。それから総評系の国労、動労を主体にいたします組合はなかなかいろいろこういう回答では交渉に応ぜられないというようなこと、それからまあ事前に回答が報道関係に漏れたというようなことなどを挙げて、団体交渉に応ぜられないというようなこともあったわけでございますが、昨日から交渉に応じるという形をとりまして、本日また最終的に団交を持ちまして、結局組合側の言い分としましてはこの回答では不満であるということで、鉄労なんかの組合と同じ形で物別れになったわけでございますが、本日ちょうど昼ごろ、これはまあ本来の姿としては望ましいとは思いませんけれども、非常に本日の午後から違法な闘争に入っておる緊急事態でございますので、国鉄の当局側から公労委に調停を申請するという運びになっておりまして、これ以降調停の場において、いろいろ賃金問題の解決がなされるという形になっております。私どもとしましては、その調停の場においてできるだけ早期に問題の解決ができるように努力をするというのが今後の目標でございます。
○遠藤要君 このストに関連してでございますが、ただいま御承知のとおり英国のエリザベス女王陛下が訪日されている。くしくも日本の皇太子がイギリスを訪英された際に、同じようにストが決行されたというような話を承知いたしておりますが、その際には国賓である皇太子に対しての、ストのさなかではあったけれども、列車や何かが皇太子の御乗車に対しては支障がなかった、こういうふうに聞いておりますけれども、今度エリザベス女王陛下が訪日されたに際して、うわさに聞きますると、新幹線を御利用されるというようなことも聞いておりますが、その点についてお知らせをちょうだいいたしたいと思います。
○説明員(加賀谷徳治君) エリザベス女王が十日に京都へおいでになるときに新幹線にお乗りになる。それからその帰りになりますが、十二日に名古屋から東京へお帰りになるときにお乗りになるという計画がございます。まあ十二日の方は問題はないと思っておりますが、十日の場合、ただいまも今日の闘争経過について申し上げましたように、あすから十日まで全面ストライキ、違法なストライキということになっておりますので、私どもとしましては、ぜひこれは御乗車していただきたいということでございますので、いま申し上げましたように、公労委の調停の場に賃金問題がのってきておりますから、その場でできるだけ早期に解決して、支障のないように努力したいというふうに考えております。
○遠藤要君 ぜひひとつ、日本の恥にもなる——国賓を迎えておって、新幹線に御乗車を希望されている、それがスト決行中のために不可能だというようなことになったならば日本国の大きな恥にもなるのでございますので、その点はひとつ十分善処方をお願いいたしたいと思います。 それからいま一つお尋ねしておきたいのは、きのうも国鉄の駅に行きますると、スト権奪還のためのストというようなビラが一分のすきもなく張りめぐらされている。こういうふうな点で、よくその辺の人たちから、スト権奪還のためのストというようなことに対して、一体どういうふうなことなのだろうというような疑問を問いかけられておるわけでございますが、この面に対して、このスト権奪還のためのストだというようなことが、いまになると何かあたりまえのことがまかり通るような感が、一般の人たちになきにしもあらずだというような点もなきにしもあらずであります。それは一つはやはり運輸省なり国鉄当局の姿勢がもっと正しくなければならないのではないか。どうも最近のいろいろの御発言や何かを聞いていると、きょうは違法ストだというお答えがあったようでございますけれども、本当に違法ストだということが、もっとやはり国鉄職員にも理解を深めていかないと、この問題の解決というのが進まないのではないかというような感を持っておりますが、その点に対してお尋ねしておきたいと思います。
○政府委員(小此木彦三郎君) 公共企業体職員のあのような争議行為は、どんな名目でありましても業務の正常な運営を著しく阻害する違法な行為でございます。このような争議行為に対しましては、政府といたしましては厳正な態度で臨むものでございます。今春闘におきまして計画されております国鉄の労働組合のストライキは、輸送の混乱と停滞によりまして国民生活に及ぼす影響はきわめて大きく、まことに遺憾でございます。政府といたしましては、このようなストライキは直ちに中止するよう関係組合の良識を強く期待するものでございます。 また、先生先ほどおっしゃられましたエリザベス女王の来日に関しましても、特に関係組合の良識を強く期待する以上に、せっかくの御旅行の快適であるためにも、われわれはこれが中止せられることは当然のことであるとも考えておる次第でございます。
○松岡克由君 関連。 ストの処分を保留してあるということでございますけれどもね、こういったことを保留した真意はどこにあるのか。私はこういった無法行為が許されてはいかぬ、厳重に処罰せいという私の意見なんでございます。私は、これはだれでも御承知のとおり、ストというものは法律で禁止されているわけでございますし、処分というものは法によってなされるものでありますから、それが国鉄当局の思惑でやるものでもなんでもないと思います。その法律が気に食わなかったら、法改正でも何でもして議会で多数を得るということでございますからね。私はこの処分の回避ということは民主主義の否定につながると、大変大きな問題であると考えておる次第であります。それをどう思うかという一点。 それからもう一つ、非常にこれは素朴な質問でございますけれどもね、ストのときに電車にべたべたべたべた書いてくる。あれ、国鉄と言って、国民の所有物にあのような行為が許されていいものか、それに対するどういうあれを国鉄当局は持っているのか、その二点について関連質問さしてもらいます。
○説明員(加賀谷徳治君) 第一点の御質問でございますが、御質問の御趣旨はいたくわかるわけでございます。まあ組合から見て悪法であっても法律である以上守らなきゃならぬということは当然でございまして、私どももこれまで一貫してそういう態度で臨んできている。昨年の春闘は非常にスケールが大きく事務量も大きかったことと、それから博多開業その他いろんなことがありましておくれておって、ちょうどことしの春闘に差しかかった際でございますんで、いろいろな複雑な事情があって、一応組合のさらに違法行為を重ねようとすることに対する一つの重大な警告といったようなことも含んだ意味で良識ある行動を訴えたということになりますが、私どもとしましては、ただいま御質問の御趣旨のとおり、けじめはけじめとしてつけるべきものはつけるという考えで臨んでおります。 それから、後の電車その他に対するビラ張り行動、そういった問題でございますが、これはまあ国鉄にとっては、一つの商品に落書きして提供するというようなことで非常に恥ずべきことであるということでございますが、これは長年の間労働運動の一つの行動様式としてとられてきている。こういったものにつきましては、いつでもできるだけそういうことの行われないようにあらかじめ予防措置を講ずるとか、見つけたら厳重に処分するというような態度で臨んできておりますが、こういったようなことがなかなか絶えないのは非常に残念でございます。しかし、一ころよりも、最近労使の全般の話として、ああいったようなことに対する反省ということも話し合っております。組合側ももちろんそのとおりだということでございまして、最近では普通ならば春闘の際相当たくさんな費用をかけてビラをつくってあれするという、ビラ張りをやるというようなことなんでございますが、まあまだまだ御承知のように、いま御質問のとおりこれが絶えてないということは残念でございますが、最近ではほとんどそういったもの、ビラとか何かを配布するといったようなこともだんだん少なくなってきておりますし、またビラがないもんですから、何かそうすると今度白いものでなぐり書きをするというようなこともありますんで、そういったようなことも絶対なくなるようにひとつわれわれも今後とも努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○遠藤要君 ただいま列車に対していろいろべたべたと張られているという話が出たのですが、私も列車に乗ってみて、よく国鉄の標語か何かに、「一人一人の注意が楽しい旅行」とか何かということをわれわれ乗客に対しては強いておるようでございますけれども、そういうふうな面ではもっと国鉄当局が、お客さんに求める前に、自分たちとしてやはり反省すべき点は反省してもらわなければならないと、こう思うのであります。 さらに、会計検査院から御指摘があるようでございますけれども、いろいろ広告料金の問題や何かについても、車内なりその他に対しての広告のあれが適正じゃないというような指摘もあったようでございますけれども、こういうふうな面なども私は、組合なり何かにそういうふうな場合の適当な金を徴収することもやはり一つのあり方でないかと、こういうふうにも感じておりますが、その点についてもひとつお答えをちょうだいいたしたいと思います。なおまた、時間が三十分きりでございますので、答弁の方はごく簡単にひとつお答えを願いたいと思います。 さらに、私は国鉄の赤字の問題についてでございますが、御承知のとおり、国鉄の赤字の数字というのは、われわれにはちょっと理解の苦しむような膨大な数字になっており、それが赤字解消のために大変御苦労されているということを聞いておりますけれども、それと逆行して四十八年度でも——まあ今度は四十七年度の決算でございますけれども、四十八年度にも赤字がまたふえていくというような状態の中にあっての国鉄ということは、一体これからの赤字解消がどうなるのかという点なども、私はストの解消に大きな影響があるのではないかと思います。やはり国鉄自体がこの赤字を何とかお互いに夢と希望の中において解決される見通しということを持っておらないと、なかなか国鉄職員もその意欲が出てこないという点もあろうと思うのでありますけれども、そういうふうな赤字の解消に対する見通し等についても、簡単で結構でございますから、お聞かせ願いたいと思います。
○説明員(天坂昌司君) いろいろ赤字の問題につきましては、国鉄の経営問題の根本の問題でもございますし、御心配をいただいております。四十九年度で——四十九年度の決算は八月にはっきりするわけでございますが、おおむね見当としましては一年間で大体七千億くらい赤字になるだろうと私ども見ております。 それで、赤字の原因がまさに問題でございまして、われわれといたしましても、これからどうやって国鉄の再建を図っていこうかということを検討いたしております。そのためにはいろいろなことが言われるわけでございますけれども、方法としましては、やはり赤字が出ないそういう仕組みをまずつくっていただくということが第一の問題であると思います。 なお、再建につきましては、数字の面だけで、つまり財政面だけで赤でなければ国鉄がすなわち再建であるということは、必ずしもそれだけでは相足らないわけでございます。先ほどからお話がございました職員の問題——職員も適当な状態、環境が与えられれば十分にやる、使命を尽くす、果たす、そういう素質を持っていると私ども確信しておりますので、財政の再建ともども、そういった職員の問題につきましても、今後明るい方向へ踏み出させていただきたい、さように考えておるような次第でございます。
○遠藤要君 明るい方向へということには、まあ私も希望しておるのですが、数字的にずんずんとふえていったのでは明るい方向とはもう言いがたいんじゃないかというような点を私としては感じておるからお尋ねをいたしておるわけでございますが、特に私は、四十八年は御承知のとおり高度経済成長ともいわれる年だと言われております。その年に当たっても御承知のとおり貨物輸送や何かが非常に鈍化していると、そういうふうな点での赤字が大きいというような点を考えると、まあいろいろ一般からは親方日の丸と言われている国鉄だけに、そういうふうな点については非常に緩やかじゃないかと、だから何でもよそでやりたいことはやっているというような感じを受けておると、そういうふうな点もございますので、ぜひひとつ明るい見通しに立って、首脳部も一般職員も何年後には赤字が解消して黒字になるんだと、そしてわれわれの働いた実績が一つ一つあらわれるんだというような見通しがつくと、私はこのスト問題等についても大きく解決の兆しが出てくるのではないかと、そういうふうな点でひとつしんから前向きの姿勢で努力してほしいということを強く要請しておきたいと思います。 さらに、運輸省に私はお尋ねしておきたいと思うのですが、日本航空の問題でございますけれども、日本航空がいま第二の国鉄になるのではないかと。一体、第二の国鉄というのは何かというと、やはり親方日の丸のもとに膨大な赤字がかさんでくるのじゃないかと、こういうふうな懸念を持っておる人たちもたくさんあるようでございますが、この日本航空に対するいま赤字解消の努力をしなかったならば、本当に将来については第二の国鉄以上の問題が惹起するというような点を感じられますが、この点について一言ひとつお尋ねをしておきたいと思います。
○政府委員(中村大造君) 日本航空につきましては、最近の需要の減退、それから燃料費等の高騰によりまして経営はきわめて厳しい状態に立ち至っておるわけでございまして、五十年度の見通しといたしましても決して楽観は許さないわけでございます。しかしながら、会社一丸となりまして経営の合理化、それから経営努力に努めておるわけでございまして、政府といたしましても、少しでも経営が改善されますようにあらゆる方途を講じさせるように努力いたしたいと思います。
○遠藤要君 会社が一丸となって努力されているということでございますけれども、全日空なりよその航空会社と比較いたしますると、果たしていまの御答弁のとおりかどうかということは非常に私自身としては疑問を持っております。しかし、そのような姿勢でひとつぜひ実行していただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。 続いて、新幹線についてお尋ねをいたしたいと思いますが、東北新幹線については今年度の予算で一千二百億の予算が決められたようでございますけれども、その一千二百億の金の使い道について簡単にひとつお知らせをちょうだいいたしたいと思います。
○説明員(内田隆滋君) 先生も御承知のように、東北新幹線につきましては、総需要抑制ということで予算を前年度と同じように一千二百億ということに抑えられております。したがって、大変現地としては苦しい状況にあるわけでございまして、簡単に申しますと、継続工事をようやっと維持していくのが精いっぱいで新しい工事には着工できない、また用地買収につきましても約束したものだけを、契約がもう完結する直前のようなものだけしか買収ができなくて、それ以外の方にはお待ちしていただくというような状況でございます。なお、継続工事につきましても、一部の工事については契約を解除しなければいけないというような状況にございます。
○遠藤要君 ただいまお話しのように、新規の工事は一切ストップだというようなことであり、すでに契約されているのも一部解約せざるを得ないというような状態であって、総需要抑制という形の中での予算の配分であるということで一応はやむを得ざることだというような感を持っておるようでございますけれども、御承知のとおり、東北新幹線は東北、北海道の夜明けを期待していると言っても誤りでないような新幹線でございます。それと並行して、それのみではありません、この新幹線について働いている一体人員が何名ほどおるかということを考えると、恐らく一万人は優に超しておるのではないかと思います。その人たちがこの八月からもう仕事がなくなると、そういうふうなことになりますると、大変な社会的な問題を惹起するのではないかと、こういうふうな点が考えられますけれども、この点について、運輸省御当局において、この工事が、一応一部現在までやった工事の契約の中において解約させたり、そしてこの八月以降の工事は一切東北新幹線の工事がストップするということをただ単に傍観されている御意思なのか、それともさらに予算を要求するなり何らかの方法でこれを継続して遂行せしめていくというお考えか、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(後藤茂也君) ただいまも国鉄当局から御説明申し上げましたとおり、今昭和五十年度の国鉄予算の中で工事費六千八百億、その中のさらに千二百億円を東北新幹線の工事に充てるという予算を組まざるを得ないことになりました背景には、さらにただいまも御説明申し上げましたように、国内の景気抑制に対する基本的な方針、さらに工事費全体を今後大きくすればするだけそれ自身の今後の国鉄に対する財政の負担がかかってくるという事情、その他もろもろの状況を考慮いたしました上で、ただいま御説明申し上げましたような予算というものを御審議願い、ただいま実施に移しているわけでございまして、ただいまの段階でこの千二百億円という金額そのものをこの年度中にどうこうしようとする考えはございません。この千二百億円自身の使い方につきましては、すでに国鉄当局が御説明申し上げましたように、すでに前年度までにいろんな契約を済ませておりますので非常に厳しい状況のもとでございますけれども、その中でできるだけ知恵をしぼって、なかなかむずかしい話だと思いますけれども、実際の現地の工事に携わるお方々に与える影響が最も少なくなるような方法を考えていただくしかないものと存じます。
○遠藤要君 私は、この新幹線の工事の予算の面について、国鉄の赤字が解消という話を、努力をされていると言うけれども、これが一応八月で解約または何らかで全部がストップした、工事現場も何も取り払ったということになって、たとえば来年大幅な予算がついたとしても、そのときになってはもうすべてが新規になってくるということはおわかり願えると思うのです。そういうふうな場合に対するこの国費のむだといいましょうか、この予算のむだが大きく私は考えられると、そういうふうな点が一層赤字解消どころか累積赤字の積み重ねが出てくると、こういうふうに思うのでありまして、そういうふうな点から、いま少しこの赤字解消の面からいっても、また東北、または全般的な新幹線の問題についてもっと真剣に考え、かつまたいまいろいろ総需要抑制という形で予算の抑制をされておりますけれども、もう今日はそうではなくして、不況ムードをどういうふうにして克服するかというような面に当たっているんじゃないかと、こういうふうに思います。そういうふうな際でありますので、運輸省としても、この予算のこのままで、今年はこのまま過ごしていくということになったならば、来年新たにこの仕事をまた続行するということになったならば、そのむだが一体幾らぐらいになるかということの御計算をされたことがあるかどうかということをお尋ねしておきたいと思います。
○政府委員(後藤茂也君) ただいまのような、状況のもとで東北新幹線の工事費の予算が千二百億円に抑えられているということが、工事の現場におきまして深刻なる社会問題を起こしておるということは私どももよく承知いたしております。で、御指摘のような計算といったようなことにつきましては、遺憾ながらいたしておりませんけれども、そういったような事態はよく認識した上で、先ほども申し上げました工事の進め方につきまして知恵をしぼってもらいたいと思っております。
○委員長(前川旦君) 遠藤君、時間が参っております。
○遠藤要君 時間でございますので、これ以上申し上げることは不可能でございますけれど、なお三陸鉄道と東北本線との接続の点についてだけ一言ひとつお答えを願いたいと思います。それで終わりたいと思います。
○説明員(内田隆滋君) 先生のお申し出の線路は、現在三陸縦貫鉄道が前谷地まで参っておるのを、東北本線にどっかの地点で短絡せよということでこざいましょうか。——この件につきましては、まだ予定線にも挙がっておりませんので、運輸省と建設審議会で審議の上、そういうような線を敷くかどうかということの御検討が今後あることになろうかというふうに思う次第でございます。
○佐々木静子君 それでは、私はさきに運輸省に対して主として航空問題、大阪国際空港の騒音を初めとする公害問題について運輸省当局にお尋ねいたしたいと思います。 まず、航空機の騒音に対処する問題といたしまして、この空港周辺の整備対策の問題と、それから公害の発生源に対する問題の二点に分けることができると思うわけでございますが、主として本日は時間の関係もございますので、周辺の対策についてお伺いしたいと思います。 私が当委員会でも再々お尋ねさしていただいているわけでございますけれども、いま議題となっております四十七年度の決算をとらえてみましても、この大阪国際空港周辺の対策として四十八年度の予算額は二十九億六千万円強という予算であったと思うんでございますけれども、そのうち実施された額はわずかに五億六千万円、予算の一九%にとどまっており、またこうしたことのために二十四億円という金額が四十八年度も消化されずに繰り越しておる。しかもその二十四億円のうち、一億円以上の額がその繰越予算の中で不用額としてされているわけでございます。そのように、これは再々お尋ねしているわけでございますが、大阪空港周辺の整備ということが非常にやかましく、また特に住民の方から強く要望されているにもかかわらず、こうしてせっかく獲得されたところの予算というものが一九%しか四十八年度も消化されずにほとんど残されてきている、そこら辺に運輸当局の誠意というものが私は全く感ぜられないように思うわけでございますが、まずこのようにせっかくの予算が消化されずに、しかも一億円以上のものが不用額としてなされておるというような事柄について御説明いただきたいと思います。
○政府委員(中村大造君) 先生御指摘のように、大阪国際空港の周辺対策につきましては、改正前のいわゆる騒音防止法に基づいて対策が講じられてきたわけでございまして、それに従って予算もついてきたわけでございます。ただ、実際の対策を実施する上におきましては、制度の面におきましても改善をすべき点が多々ございましたし、また政府のそういうふうな対策を実施するにつきまして、地元の公共団体あるいは地元の住民の方々に対して十分な御理解を得るに至らなかったということで、きわめて残念ながら四十八年度におきましてもせっかく成立をいたしました予算が消化をできないで終わったということはもう先生御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましてもきわめて残念なことだと思っておるわけでございます。そういうふうな制度上の不備と申しますか、そういうものを踏まえまして四十九年新しく騒音防止法が改正されまして、それに基づいていわゆる周辺整備機構というものを設立いたしまして、制度面あるいは予算面におきましても伊丹空港周辺に対する対策を充実強化する、こういうふうにいたしてきたわけでございまして、したがいまして、今後はもうそのようなことがないように万全を期していくことができる、またそうしなければならないというふうに思っておるわけでございます。
○佐々木静子君 いまの御答弁でございますが、今後はそういうことがないように万全を期していきたいというお話ですが、さしあたりいまお話しの四十九年の三月、航空機騒音防止法が改正されて、それから後、またそれに基づく大阪国際空港の周辺の整備機構というものが設立されているわけでございますけれども、その四十九年の末を見ましても、移転補償の申請申し込みが七百六十九件あった。しかし、そのうちせっかく申し込みしておったのが五十六件取り下げている、そういう事態もあるわけでございまして、必ずしも鋭意住民の納得のいくように整備を進めるという運輸省の御方針と実際とがなかなか合致しておらない。そういうことから地元の豊中市民——豊中市民には限りませんけれども、その周辺の大阪北部の人、それから尼崎市、伊丹市、それから池田市ですね、そのような近郊の空港周辺の市民の方々、最も被害の大きいのは豊中市ではないかと思うんでございますけれども、空港を早く閉鎖してほしい、空港を一日も早く出ていってほしいというところまで問題はもう来ていることは御承知のとおりですけれども、このようにせっかくの移転補償の申請というものが五十六件もこの整備対策というものができてから取り下げなければならない、そういうふうな実情をどのように考えていらっしゃるのか。また、いまお話しになったこの周辺の整備機構、その事業の進捗状態はどういうふうに進んでいるのか、そのことについて時間もありませんから簡潔にお述べいただきたいと思います。
○政府委員(中村大造君) 移転補償——四十九年の移転補償につきましては予算は五十四億成立いたしております。これはいわゆる金額的には全額これを実施いたしております。ただ、具体的な申し出の中には、両方で話がつかなかったというものもございます。その一つ一つについては、どういう事情であったかということは、いまつまびらかにいたしませんけれども、とにかく移転補償については全額成立予算を消化いたしておるわけでございます。 それから、その他いわゆる再開発事業、あるいは代替地の造成事業というふうな事業があるわけでございますけれども、これにつきましては、再開発事業につきましては、府県の再開発のための整備計画というものができなければこれは事業が実施できないということで、それが若干おくれておる。それから民家の防音工事につきましては、これは実は昨年の秋ごろから機構の機能がいわばフルに動き出したということでございまして、したがいまして、全体といたしましては四十九年度につきましても六十数%ということでございますけれども、これは五十年度におきましてそのおくれを取り戻すように実施してまいりたいと思っております。
○佐々木静子君 いま政府委員のお手元にも届いておると思いますが、豊中市における空港騒音の指定図、ここにも掲げておきましたように、(資料を示す)これはこの図面で言うと、ここが南になるわけですけれども、南から、大阪市の方から豊中市を北部に向けて飛行機が着陸する。また、離陸の場合は、大体の場合は北を向いてすぐにまた海の方へ、南の方へ旋回するわけでございますけれども、この中で、これは豊中市の部分だけとらえてみますと、緑色で書いている一番中の部分が、これが騒音九十五ホン、これは環境騒音でございますが、これが九十五ホン以上の地域、第三種と俗に申しております。そしてこの赤で書いてある区域が九十ホン以上の区域、これが第二種区域。そしてこのダイダイ色、ちょっと色がわかりにくうございますが、ダイダイ色で書いてある区域が騒音が八十五ホン以上の区域、これは豊中市のみをとらえて言っているわけでございますけれども、このまま大阪市あるいは伊丹市にも通ずるわけでございますけれども、そういう状態になっておって、いわゆる九十五ホン以上の区域というのが四十九年の二月末の状態で豊中市のみをとらえても二千七百世帯、人口は七千七百人。九十ホン以上の地域が七千四百世帯、二万百人、人口が。そうして八十ホン以上の第一種区域、これが世帯数が一万戸、人口が二万七千五百名、こういう状態の中でいま豊中市民が生活を余儀なくされているわけでございますね。 こういうことは、運輸当局の方もいろいろと机の上ではごらんになっている、よくわかっているとおっしゃるかもしれませんけれども、実際問題として、この三月の統計を見ましても、大阪国際空港へ離着陸する飛行機の数は一日平均四百回、しかもそのうちの六三%以上がジェット機、大型機になっている。四百三十回ということになりますと、過密のときにおいては一分三十秒ぐらいの間隔で離着陸しているわけでございますね。言うまでもないことですが、飛行機というものは、瞬間に着陸して騒音がとまるものでもなければ、離陸する前には特にかなりの時間エンジンを吹かさなければならないので、私などもこの空港の周辺に参りますと、周辺じゃなくっても、これ相当離れた距離ですけれども、参りましても、本当に何かの瞬間にほっとエンジンの音が、騒音がとだえるという瞬間ができる。しかし、一息、二息ついている間にまた次の騒音が始まるというような状態で、これはもう人間としてというよりも、生物としての生存が不可能な状態にこの人たちが立たされているわけでございますね。数から言いましても、豊中市だけでいま申し上げたように三万人近い人が八十五ホン以上の騒音の中にいつも置かれている。 そういう事態を本当に切実に考えていただいたら、そう口先ばかりでどうのこうの、これからどうしようと思うとか、そうのんきなことは言うておれぬと思いますよ。これは道路の立ち退きですと、本人が承知しなければ、納得するまで道路はつけられないという問題がありますけれども、飛行機の方は遠慮会釈なく、それこそ頭の上を本人の断りなしに通るわけですから、それが全く間断なしという状態ですからね。それに対して国がやはりもう少し誠意のある態度を示していただかないと、これはすでに病人は次々と発生している、死なないでいい老人までが死んでいくという状態を考えますと、もう少し誠意を持って前向きな姿勢で取り組んでいただかなければ困ると思うのです。きょうは大臣がいらっしゃらないけれども、次官にお尋ねいたしますが、次官は国際空港のこの現状はつぶさに御存じでございますか。どのくらい体験していらっしゃるわけでございますか、またどのようにお感じになりましたか。
○政府委員(小此木彦三郎君) つぶさに知っているほどたびたび私参ったことはございませんけれども、四十八年以前の問題を踏まえて、四十九年に法改正を行い、この周辺整備計画ができ上がりまして、鋭意努力いたしたのでございますが、四十九年度においては遺憾ながらこの計画どおりこれが進捗しなかったことは事実でございます。しかし、五十年度におきましては、四十九年度の残額あるいは五十年度の予算を合計いたしまして、三百億円余の事業を執行する予定になっておりますし、またこれが予算だけでもって解決するものではございませんので、私どもも地元側としばしば会いまして、事情等をつぶさに聞きながら善処いたしたいと思っておる次第でございます。
○佐々木静子君 その善処いたしたいと思っているというのじゃ、もう日々のことですので、もう早く何とかしていただかないと困るというところなんですが、いまもお話にございましたように、とりあえず第一種の一万戸に対して、これは豊中市だけですから、ほかのところももっとございますが、騒音防止工事を国の方でしていただいているわけですが、これで一番問題になっているのは、この豊中市の北部というのは、非常に人口の御承知のとおり密集した地域でございまして、しかも一戸建ての家よりも集団住宅、いわゆる木造アパートとか文化住宅がその大多数でございまして、そこに、一世帯について一間に限り防音装置の設備をいま進めていただいているわけでございますけれども、実情を見ますと、これはなるほど結構なことなんですが、大体の家は六畳一間とか、あるいは六畳と三畳しかないという家がもう大多数なわけですので、一間工事をするのに、せっかくしていただくのはいいのですが、一カ月ぐらいはかかりますが、一番短くしても二十日ぐらいかかる、その間はこの方々が住めないわけですね、工事中。その間の行き先がないので、一刻も早く騒音防止工事をしていただきたいけれども、移るところ、その間住むところがないからお願いできないという状態がありますので、やはり本気になってやっていただくなら、その間に工事中仮に入る住まいを、仮住まいをやはり国の方でこの近辺に保証をしていただかないと、実際問題として工事はしてほしいけれども、一間しかないところに三人住んでいる、二間のところに五人住んでいるという状態では工事ができないわけでございますので、その点を早急に何とか考えていただきたいわけですが、運輸省の方ではその点具体的に工事中の仮住まいの提供ということをどのようにお考えでございますか。
○政府委員(中村大造君) 現在までのところ、そういうふうな一部屋だけしがなくて、そのために民家の防音工事が施工できなかった、こういう例はいまのところまだ数件しか出ていないわけでございます。今後、防音工事の数が飛躍的に増大するわけでございますので、そういうふうなケースも出てこようというわけでございます。これに対してどのような対策を講ずるかということでございますけれども、いま先生おっしゃいましたように、全く一部屋の方、それから二部屋でございますか、そういう方というふうに千差万別でございます。 それからもう一つは、この工期でございますけれども、これも今後は工事に着手いたしまして約二週間で工事を完了する、こういうふうなシステムをほぼ確立できる状態になっておりますので、そういうふうないろいろな施策を総合いたしまして、具体的な事例に即して善処してまいるということで今後の問題として検討さしていただきたいというふうに思います。
○佐々木静子君 今後の問題とおっしゃいますけれども、今後の問題じゃなくって、もう現実ないし過去の問題なんです。あなたの方にそういう一間しかない人の申請がないとおっしゃるけれども、一間だけの人は工事に来られたって移るところがないから申請しないだけの話なんですよ。豊中の北部なんか行ってごらんになったらすぐわかると思いますけれども、大多数の家が一間ないし二間ですよ。五間も六間もある家に住んでおる方はほとんどないわけですね。それは広いところに御自分がお住みになって、ああ一間の家もたまにはあるかというふうに机の上でごらんになっているとぴんとこないけれども、現実に家族五人が一間ないし二間に住んでいるというのが豊中北部の生活の状態ですから、そこで防音装置をしてやると言ってもらっても、これはどうすることもできないわけですよ。だから、本当に住民の対策を考えるなら、そういう申請が出てきたら逐次考えるじゃなくって、仮住所をつくらなければ申請しようにもできない。もう少し血の通った行政をしていただかないと、これはとうてい住民が納得しないですね。どうですか、仮住まいを早急に提供されますか、国の責任で。
○政府委員(中村大造君) 工事期間中の住居、仮の住居等についてどうするかということについては、周辺整備機構といたしましてどのように具体的な対策を構ずるかということについて、周辺整備機構におきまして早急に検討をいたしまして善処してまいりたいというふうに思います。
○佐々木静子君 これは何度お話ししてもそういうことなんです。その間飛行機が飛ばないと約束してくださるのなら、私の方も住民の方もそれは話のつくまで待ちましょう。だけど、飛行機は遠慮会釈なく一日四百回ずつ離着陸するんですね。騒音をかき鳴らして排気ガスをまく、トラックにして何千台という数の。これ、一台の飛行機についてですよ。排気ガスをまき散らして、そしてそのうちにじっくり話をしましょうじゃ、その間に人は死ぬし、健康な者も病気になりますよね。いつごろまでにその大体の仮住宅のことについてお返事をいただけますか。
○政府委員(中村大造君) とにかく防音工事を希望される方々に対しまして、できるだけその御希望を達成するというのが私どもの趣旨でございます。したがいまして、その中に一部屋しかないという方について具体的にどのようにするかということを周辺整備機構といたしまして早急に具体的に検討をして対策を講ずると、このようにさしていただきたいと思います。
○佐々木静子君 私は、同じことを答えていただくのも、時間もないのに、ほかにも問題たくさんあるんですが、いつごろまでということを伺っているので、いつごろまでという返事さえいただけばいいわけです。
○政府委員(中村大造君) この問題は、もう時々刻々動いておるわけでございますので、現在におきましてもそういうケースが起こりました場合には具体的な対策を講じなければならないというふうに思っております。したがいまして、どういうふうな具体的な対策を講ずるかということは一律には申し上げかねますけれども、要はその民家の防音工事が促進されますように、そういう一部屋しかないという世帯について行き先が、一時世帯を移すという方法がなくって、そのために工事ができないということがないように、いろいろと方策を講ずるということはお約束申し上げたいと思います。
○佐々木静子君 いつごろまでという質問をしているので、私の聞いてないことを、同じことを長長と答えていただく必要は何もないですよ。具体的に問題が起こったらって、いま、もういっぱいあるわけですよ。市民は、市役所は困り切っているわけですよ、工事はしてほしいけれども、その間住むところがないということで。具体的な問題はとうの昔から起こっているわけですよ。だから、いつまでに返事をしてくれるか、長い答弁要りません、十秒で答えられますからお答えいただきたい。
○政府委員(中村大造君) このようなケースについてどのように対処するかということは、これは一律には申し上げかねますけれども、そのケース、ケースが起こった場合に、それに対して万全の策を講ずるように至急周辺整備機構にも指示いたしますし、また私どもでも検討さしていただきたいというふうに思います。
○佐々木静子君 もう幾らお尋ねしてもあなたの方は全く誠意がない。これは運輸省は誠意がないというふうに考えますよ、私どもの方は。これは考えられてあたりまえだ。ここで聞いておられる方、みんなそう思われたと思いますよ。それじゃ、早急にというのは大体十日以内というふうに私の方で承っておきますが、それでよろしいですね、あなたの方は具体的に何にもおっしゃらないわけですから。これ、同じことを話していたって切りがないですね。大体十日以内ぐらいに御返事はいただけると、そのように承知しておいてよろしゅうございますね。——ほかにもたくさん質問ある。うなずいていらっしゃるから、そのとおりというふうに私の方は考えるより仕方がございません。また、あなたに立っていただくと五分ほど時間がかかる、それじゃ話にならぬわけです。 それからもう一つ。これはいろいろ議題があるわけですけれども、この豊中の北部ですね、この一種、二種、三種の地域。七〇%までが借家人。しかも共同住宅に住んでいる、いわゆるアパートとか文化住宅に。そうなると、移転補償をすると言っても、共同住宅の借家人が、その人一人出ようと思っても補償金は出ない。ともかくその共同住宅に三十世帯あるなら、三十世帯借家人が全部出て、しかも家主も立ち退くことに同意し、地主も同意しない限り補償金は出ないわけですね。ですから、現実には出れない。ですから、この区域の中で、この豊中市の周辺で共同住宅に住んでいる人はただ六世帯しかまだ移転できていないわけですね、何万とある数のうちで。そういう事柄について口先だけじゃなしに本当に住民のことを考えるならば、もっと積極的な施策はできるはずですよ。あなた方のやるのは金は出したくない、そして飛行機でどんどんどんどんやかましくやって、排気ガスをまき騒音をまいて、それじゃ死ぬか、もう仕方がなくって飛び出していくか、どっちかをあなた方はねらっているとしか考えられないわけですね。人の死ぬのを待っているような行政じゃ困りますね。そういうことで、かねてから公営住宅を建てて、集団住宅を国が責任を持って建てて、そこへ共同住宅の方に移っていただくようにするという話は再々伺っていたわけです。 そういうことで大変に苦労いたしまして、これは国の方も御心配いただいて、大阪府などが中心になって、いま府営なり公営住宅を、この共同住宅に住んでいる人たちの救援対策として建設の予定を進めているわけでございますけれども、そうすると、そこに公営住宅の入居基準というものがまた出てきて、所得制限を超える人は入るわけにいかない。ところが、このように大阪のように純消費——一〇〇%消費地帯においては、そのように狭いところに住んでおっても所得というものがそれほど低いわけじゃないわけですね。共働きのところも多い。そうなると、せっかく苦労して空港の騒音対策の一つとして建てようとしている公営住宅にほとんどの人が入居できない、こういう状態になっているわけですね。そのあたりについて建設省の方は、公営住宅というものは低所得者に対する対策としてつくったものだから所得制限は厳重に守ってもらわないと困ると言われるし、そうなると、結局アパートなり共同住宅に住んでいるいわゆる借家人というものは、これはもう行き先がないわけですね。立ち退くと言っても補償金が出ないし、ほかへ移るとなれば土地を買うことも、家を買うことはおろか、権利金も出ない。だから、国でやはり同じ条件で借りるところを見つけてもらわなければ現実にはどうにもならない、そのあたりはどういうふうにお考えでございますか。
○政府委員(中村大造君) 先生御指摘のように、公営住宅につきましては公営住宅としての本来の目的がございまして、それに照らしますと、先ほど御指摘のようないわゆる入居制限と、こういうものがあることは事実でございます。私どもといたしましては、従来からいろいろ連絡をいたしまして、われわれの希望も申しておるわけでございますけれども、むしろ私どもといたしましては、公的な住宅供給機関がそのような共同住宅を建てられることについて、整備機構として、たとえば土地を提供する、あるいは資金を融資するというふうなことをいたしまして、できる限りコストの安い公的な共同住宅を建設を促進していただく、そこへできれば優先的に入居枠を設定して入居できるようにいたしたいと、こういうふうなことを今後最大の努力目標としてやっていきたいと思っておるわけでございます。
○佐々木静子君 いませっぱ詰まっている住民の気持ちと、それからあなたの御答弁との間に非常なずれがあると、そういうことだけ申し上げておきます。非常に熱心に取り組んではいらっしゃるんでしょうけれども、もう一つ地元へ入ってですね、どういう状態なのか、どういうふうに困っているのか、一晩でもいい、あの周辺の近くの家にでも泊まっていただかなければ、そんなのんきなことを言ってらっしゃるようじゃ、行政の責任者の気持ちと市民の感情、切実な要求というものがもう非常に隔たっているということを私非常に遺憾に思います。この問題はすらすらと答弁していただくと、もっとほかにもいろいろお尋ねしたいことがあったわけですけれども、同じような御答弁ばかりで、正直言って全く誠意が見られなかった。また、別の機会をとらえてこの問題についてお尋ねしたいと思います。 それでは法務大臣がお越しになりましたので、法務省に対する質問に切りかえたいと思います。運輸省の方はこれで一応終わります。 それでは稻葉法務大臣にお伺いしたいと思いますが、去る五月三日の憲法記念日に、大臣が、自主憲法を制定しようと、そういう集会に出席されたと、そういう問題が御承知のとおりいま非常に大きな話題を呼んでいるわけでございます。そのことにつきまして私どもは、日本の国務大臣が、しかも特にこの法律、憲法を守らなければならない立場にあるところの法務大臣ともあろう者が、こういう会合に出席されたということに対して、大いなる疑惑と悲憤を持っておるわけでございますけれども、どういうわけでこのような会合に出席されたのか、そうした事柄からまず伺ってみたいと思います。本日、これは昨日から衆議院の議運が内閣の官房長官に要望しておりました内閣としての統一見解というものが先ほど、書面によるものが出されております。それによりますと、いろいろと説明がされているわけで、また後でこのことについても言及いたしたいと思いますけれども、法務大臣御自身は、いまそのような五月三日の改憲——まあ私ともから考えると全く憲法改悪のための集会に出席されたということは、憲法の精神にも非常にもとるものであり、遺憾のきわみという気持ちでおりますが、大臣御自身はどのようにお考えになっておられるのか、まず率直にお述べいただきたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 自主憲法制定国民会議というのは、今回で七回目でございます。これは諸団体の集まりでございます。その中には、自主憲法期成議員同盟という団体も入っているわけです。昔、緑風会がありましたときは、緑風会の参議院議員の方も多数お入りになっておりましたが、いまは緑風会所属の参議院議員がおられませんので、自主憲法期成議員同盟というものは自由民主党の議員だけになって、衆参両院で二百九十何名かおりますが、いずれも改憲論者の集まりでございます。私も改憲論者でありますことは隠れもない事実でございまして、私は改憲論者でないと言うわけにはまいりませんでね。それで、改憲論にもいろいろな幅がありますので、なるべく佐々木先生のおっしゃるように改悪にならないようにしなければいかぬがなと、こう存じましてね、ずいぶん長い間研究をしてまいりました。ことに昭和三十二年に内閣に憲法調査会ができまして、国会議員では衆議院では私一人だけが最初から最後までの委員でございました。そういう関係から、自由民主党の憲法調査会長になりまして、自主憲法期成議員同盟とは深い関係にあり、それが入っておる国民会議でありますので、五月三日はことに大事な日でございますから、これは憲法記念日で、国民の祝祭日でございますからね、国を挙げて憲法に関して検討集会が行われれば、まあそこへ出ても差し支えはなかろうと、私はそういうつもりでおりましたものですからね、いままでもずっと出ており、今度も出たわけでございます。別に他意はございません。そういう経緯からしてですね、出ないのはどうも、国民祝日にそういう集会があって、憲法に対して失礼じゃないかと。で、憲法改正反対の大会に出るのもおかしいし、それでは憲法改正の方が私の信条と合っているものですからね、そちらへ出ましたわけでございます。 それから先生いま、おまえそんなこと言って、天皇、摂政、国務大臣、国会議員その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負うという条文を知らないのかと、九十九条のあることをおまえ知らないかと、こういうきつい御非難の御質問のようでございますけれどもね、それは憲法理論的にはどういうものであろうかという私の考えを持っておるわけです。それはいろいろ考えがあってしかるべきでしょう。それは憲法を尊重しない不届きなやつだというおしかりも、それも一つの憲法理論であり、私としては、憲法の改正論議をすることと、現行憲法が現に存在する以上は、この憲法の条規に従って行動すべきものだということは別問題であるというふうに考え、きょうの官房長官の議運に対する文書の回答にも、「勿論、憲法改正を論ずることと、現行の憲法を尊重し擁護することとは別の問題である」ということは言っているわけです。それですから、もし憲法改正論議をすることは一切国会議員やそれから国務大臣はやっちゃいかぬということに相なりますと、何だか憲法九十六条の改正手続を規定した規定は無用の存在のようになってまいりまして、ちょうど旧憲法、明治憲法では国民は憲法に余り触れることができない、改正には。「将来若此ノ憲法ノ或ル条章ヲ改定スルノ必要ナル時宜ヲ見ルニ至ラハ」天皇が「発議ノ権ヲ執り之ヲ議会二付」す、こういうふうになっておりますのと現行憲法とでは、この点が大分変わってきておるのではないか。つまり、現行憲法は民主憲法でございますから、国民が憲法の論議を自由潤達にやって大いにもっとよい憲法にしたいという者があったら、その論議をやったらいいじゃないかということが、やっぱり憲法九十六条の精神ではないか、こういうように思いますものですから、まことにお言葉を返すようで失礼でございますけれども、私としてはそういう憲法解釈論をとっており、そういう憲法解釈論の方が通説のように存じております。
○佐々木静子君 それでは、いま御信言のほどはお聞きしていたのですが、その当日出席されたのは稻葉氏個人として出席されたのですか、法務大臣として出席されたのですか、そのどちらでございますか。
○国務大臣(稻葉修君) 個人として出席したと申しましても、法務大臣という身分をいま持っているわけですね。そこで、私としては自主憲法期成議員同盟の一メンバーという立場で出てあげるのが当然だし、出なければやっぱり何のために議員同盟などつくっているのかわかりゃしないじゃないかという気分もあるものですから出ましたのであって、きょうのように決算委員会に出てくる法務大臣は、法務省全体を代表して出てくるわけですが、そういう形で法務省を代表してああいう会合に出ているわけじゃありませんから、法務大臣として出たのではなくて、議員同盟の会員稻葉個人として出席したのでございます。
○佐々木静子君 それでは会の当日の話を聞きますと、「法務大臣稻葉修氏」と会場で紹介されているということのようですが、それは事実ですね。
○国務大臣(稻葉修君) それ、ちょっとよく覚えておりませんけれども、もしそういうあれだと、本当は正確ではないと思いますな。穏当ではないと思います。それははなはだもし私が聞き逃して訂正させなかったとすれば手落ちがあると思います。
○佐々木静子君 それでは、そのようなことがあったのに自分が訂正させなかったことは手落ちだというふうにお考えになるわけですね。——うなずいていらっしゃるし、そのようにお考えになっていらっしゃると承っておきます。 それでは、いま、きょうのように法務省を代表してここで答弁していると。そうすると、いままでの御発言は法務省を代表しての御意見と承ってよろしいのですね。
○国務大臣(稻葉修君) それはあなたが御質問なさいますから、こういうことは法務省の統一見解があるわけじゃないのです。ただ、問題になってあなたお問いになり、また議運でも問題にされたと言うていま九十九条の関係お問いになるから、私の一憲法学徒としての解釈論をお答えしたと、こうお受け取り願いたいと思います。決算の問題だとかそういうことになれば法務省を代表してお答えするということになりますけれども、憲法問題は統一見解はまだないものですから、内閣にも解釈論についてありませんのですから、私個人のそれは憲法学徒としての見解でございます。
○佐々木静子君 先ほどからお話を伺っていると、法務大臣は非常に都合のいい法解釈をなさる。法務大臣になってみたり、都合の悪いところは稻葉個人になってみたり、これではだれでも何でもできるんじゃないか。非常に有能な弁護士さんでいらしたからもあるでしょうが、都合のいいように解釈なさる腕前には私も敬服しているわけでございますが、その憲法擁護義務と、憲法改正あるいは改悪との問題について、これもある新聞が社説で書いておりますけれども、ちょうど稻葉大臣のやっていることは、息を吸うのに、ストローで飲み物を飲みながら同時に息を吐いているようなものだ、非常に器用なものだと、まあこれは全部読むと暇がかかりますけれども。一方では憲法を擁護していると言いながら、一方ではその改悪の大会で気炎を上げる、これを擁護と言うのか何と言うのか。だれが見ても、普通の国民感情から見ると、きわめて手前勝手な考えじゃないかと私は思うのですよ。 さて、その事柄は別として、先ほどから大臣が胸を張っていろいろと御所信をお述べになった。私は大臣がどのようなお考えから憲法のどの部分をどのように変えなければならないという確信を、御信念を持っておられるのか、ちょっとその代表的なところを述べていただきたい。大臣はどこの個所を自主憲法制定で改正しないといけないというお考えなのか、条文を挙げて、要点だけ述べていただきたいと思いますね。
○国務大臣(稻葉修君) 私は胸を張って先生の御意見に対して反駁したりそんなことをしているのじゃないのです。先生のような御心配もごもっともでございますから、これに対して私の誠意を込めた、顧みて他を言うようなことでなく、眞正面にお答えしなければならぬな、ことに憲法問題というのは非常に重要な問題であり、それから憲法記念日というものも重要な記念日でございますからね。そこにできた事柄で自分がでかした事柄でございますから、決して何が悪いかといったような思い上がった考え方で先生の御質問にお答えしているわけじゃありませんことを、まず言葉じりをつかまえるようでぐあいが悪いのですけれども、そういうことを御了察願いたい。 それから先ほども申しましたように、自主憲法制定国民会議の加入団体の中には、余りにも極端な天皇主権に戻すとか、明治憲法の復元だとか、そういうことを前には言うていましたから、私が出ましてから、そういうことではだめですと、それから無効論などというものがありますから、それはわれわれの改正は、あくまでも憲法九十六条の改正手続を踏んでやるのですよ、それでなければだめですよということで、私ども、議員同盟の考え方にみなお任せする、こういうことになっておりますから、改悪阻止にもなっておるのです、実は。そういう意味ではややあなた方としては不満足でしょうけれども、世間の普通の、一般国民から言っても、私は改悪阻止にはなっておると思うのです。 それで、いまちょっと、条文を貸して下さい、条文を挙げてとおっしゃいましたから。まあ同じ憲法の一つの法典でございますから、ある条文と別の条文との間に文字の違いがあったりしてはやっぱりいけませんわね、どうでしょう。十一条「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。」——「与へられる。」、しかるに憲法第九十七条「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、」——同じような文句ですね。「現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として」、今度は「与へられる。」ではなくて「信託された」とあります。与えられれば所有権は与えられた方へ移るんですが、信託された場合は、別に所有権者はあって、こっちはただ銀行が預かっているようなものですわな、信託というのは。そういうことですわね。同じ憲法法典の中に、一方には「与へられる。」と書いてあり、一方には「信託された」というように、別な内容なんですから、これは統一した方がいいではないでしょうか。こういうことは明確ではないのかなあと——まあこれは私の考えでございまして、また違った解釈があるかもしれませんけれども、私はそんなふうに思うんですね。たった一例を挙げろとおっしゃるから、一例を挙げればそういうことでございます。
○佐々木静子君 いまそういうふうな語句のことを言われましたけれども、憲法記念日の意味ですね、憲法記念日だから集会に出たと、まず。これは憲法を擁護するための集会、あなたはこれに出られることによって改憲のある意味では阻止をしたというお話ですけれども、しかし、あなたは、聞くところによると——聞くところによらないでも、私も法務委員会にも出ておりまして、しばしばひっかかる感じがするんですが、自民党青嵐会の老人組の代表であるというふうに私はかねがね聞いておるわけで、しかもそういう言動が非常に多いですよ、はっきりいいまして。この間、隣に座っておられる長島矯正局長に対する質問でも、人権を保障しようという刑務所のあり方に対してはチェックするような言い方をされた。あなたがいまこの字句のことを言われたけれども、基本的人権を尊重するというのは行き過ぎであるということ、これを否定されるならば、あなたがどこの会合でいつどう言われたかということも私申し上げてもいいと思いますし、憲法九条については、日本は軍隊を持つべきだという主張、それから天皇制については、天皇を、きょうお越しになったイギリスのエリザベス女王のように、国の元首にすべきだという、それを憲法上明記すべきだという事柄、これはいろんな会合で言っていられますよ。また、極端なのでは、日教組を総評から除外せよと、あなたがなぜそういう権限があって言えるのか、私は全く判断に苦しむわけですけれども、それも否定されたって、何人もの人が知っているわけですよ。 ですから、あなたがそれほど信念を持っていまの憲法を改正する方がいいんだと言われる。だからこそ自分の信念に基づいて出席したと言われるなら、先ほどの御答弁は矛盾するじゃありませんか。どういう点をそれじゃ改正するのかと私がお聞きすると、いや、もうこの自主憲法期成議員同盟の方に全部内容は任せてある。それじゃあなた信念も何もあったものじゃないじゃないですか。そうでしょう。どういうことなんですか。信念をお持ちなのなら、その御自分の信念をもっとはっきりおっしゃったらいいし、信念がないのならないということを言われたらいいじゃないですか。ごまかしてもらっちゃ困りますよ、法務大臣ともあろうお方が。
○国務大臣(稻葉修君) あなた、私の言うことを正確に把握していただきたいんです。自主憲法期成同盟に任せるというのは、自主憲法制定国民会議の諸団体が——以外の諸団体が、われわれの直接所属している自主憲法期成議員同盟の考えにお任せする。したがって、明治憲法復元だとか、天皇元首制だとか、そういうことを初めは言っておったけれども、だんだんそういうことをチェックしてきた。しかし、そのことを、あなたは——私は改正の大会に出ているんですよ。改正しないと言っているんじゃないですよ。改悪は阻止すると、改正はやると、こう言っている。そういう点も、正確に私の申し上げることを把握していただきたいんでございます。
○佐々木静子君 その改正とか改悪とかの判断の基準があるからで、これはもう、それじゃ改正というふうにまとめてもいいけれども、あなたがどのように改正しようとしているのか。しかも、いままでこの自主憲法期成議員同盟でこれは毎年やっているとすれば、その内容はどんなであったのか。あなたが賛成するからこそ来ていられたんでしょう。それだったら、そんな字句の細かいことを言うてごまかさないで、どういうことを考えて、どういう信念に基づいてきたのか、もっと具体的に、それほどいいと思うことなら胸を張ってお述べになればいいじゃないですか。
○国務大臣(稻葉修君) これは私が憲法調査会長時代にまとめたものがございます。ちゃんと印刷にもして、世間にももうみな発表されていることでございますわな。したがって、盛りだくさんございますから、ここであなたがどういう点を改正するんだと言われても、初めからやりますとずいぶん時間がかかるんですがね。 第一章の天皇制につきましては、現在の第一条でいいじゃないか。ただ、解釈として、国民統合の象徴、日本国の象徴ということは元首性が含まれているから、特に元首と書き改めなくてもいいじゃないかというのが私の主張でございますが、自主憲法期成議員同盟の皆さん及び自由民主党憲法調査会の最終的な世間に発表した結論の中には、やっぱり会長がそういうふうに元首性が含まれていると言うのだったら、簡明率直に天皇は日本国の元首であると書いたらいいじゃないかと言う人もありました。そこでいま、あれはたしか、日本国の象徴であり国民統合の中心であって、日本国を代表するという文言に改めたらいいのではないかと、こういうふうになっておると思います、正確にいまその文章を持っておりませんからあれですけれども、私の記憶によれば。 それから第二章の戦争放棄という点は、戦争放棄並びに国の安全保障と、こういう表題にした方がいいんじゃなかろうか。そうして将来の人類社会はやっぱり集団安全保障というか、世界連邦というか、そういう方向に行くのが一番各国とも平和でいけるんじゃないだろうか。したがって、平和主義という点を変革しようという考えはないわけでございますね。平和主義の日本の憲法には不十分な点があるから、もう少し完全な平和主義の条文にしたらいいじゃないか。こういうことで、第一項は結構なことじゃないか。第二項のこの点は両論があるものですから、学界にも、それから法曹界にも、それから一般国民の間にも、それから与野党の間にも、非武装中立がこの九条の正確な解釈であるという解釈もあれば、いや、自衛隊、自衛力を持つことは必ずしも禁止していないのだという、つまり簡単に言えば自衛隊合憲論と違憲論と、こういうふうにあるわけだから、まあそう大きな軍隊みたいなものは困るが、万一の場合、攻め込まれた場合にこれを押し返すぐらいの力は持ちますということを、自衛力の保持は明言をして、これが膨大になったり、外国へ出て行ったり、こういうことになってはいかぬから、その歯どめ、それから文民統制、そういう点、私は国会でも非核三原則というものは議決もされているんだから、第二項のほかにまた第三項でも設けて、そういうことも憲法上の制度として——きのう衆議院の本会議で松本善明さんが、法律でそういうことをあれする意思はないかと言われたが、私どもの間では、憲法上明記するのも一つの手だなと、そうなれば国民も、まあそれならば自衛力を持つこともその辺でコンセンサスにしようかということにもなるんではなかろうかと、こういうひそかなる——はかないというのか、ひそかなる期待も持ってそういう表現をつけてございます。
○佐々木静子君 関連質問がありますので、ちょっと……。
○小谷守君 法務大臣、佐々木委員さんの御質問に関連して伺いますが、あなたは胸を張って改憲論者だということをおっしゃっておる、強い信念をお持ちのようであります。 そこで、きょう井出官房長官は衆議院の議運に出席をして文書で政府の統一見解を示し、これに付随して口頭でこういうことを言っておる。三木内閣としては憲法改正は行わない方針である。個人として考えはいろいろあっても、三木内閣の方針を守って憲法問題に関する言動は慎重にしてもらいたい。稻葉法務大臣に厳重注意をした。こういう閣議の決定を報告しておりますが、この決定についてあなたはどう思われる。それだけ熱心な改憲論者であるならば、憲法を遵守するという三木内閣のもとに恋々としてあなた法務大臣におられぬでもいいじゃないですか。辞職をされる意思はないかどうか、この点をひとつ明確に答えてもらいたい。
○国務大臣(稻葉修君) 辞職をする意思はございません。まずそれを先に申し上げましてね。どういうことかといいますとね、私胸張って何か物事を言うたことないんです。きわめて謙虚に対処しているんです、しょっちゅう。びくびくしている。それできょうその官房長官の談話といいますが、私も、この案もまだできてない、国民にも御支持をもまだ得ない段階で、三木内閣が憲法改正の事業に取りかかるなんということについては反対です、私も。そんな軽率なことをやるべきものじゃないと。したがって、三木さんが三木内閣のうちに憲法改正する意思は持っておらないということは私も賛成、当然だと思っております。将来の問題は別ですよ、将来の問題は。そうして将来に備えていまやっぱりしょっちゅう熱心に研究をしていくことは将来何かの役に立つのではないかという期待は持ってますけれども、現内閣でやれなんということについて、私はやらないとは何だという気持ちはないんです。そのとおりで結構だと思ってるんです。したがって、自主憲法制定国民会議の憲法記念日に、会合に出席したことについて、国務大臣として出たのか個々人として出たのか誤解を生ずるおそれがあるので言動は慎しまれたいというのは、私は、全閣僚に対して総理は特に書いたもので読み上げているんですから、これは内閣の方針であって私も異存はございませんと、こういうわけでございます。
○委員長(前川旦君) 佐々木君、時間が参っておりますので……。
○佐々木静子君 時間がありませんので、最後に一言伺いますと、いまあなたの御所信はここで一々話していると時間がないとおっしゃった、書いたものがあると。その書いたものというのを出していただけますね。そうしてそれをあなたの所信というふうに、いまも変わりありませんね、御信念と。書いたものというものの表題、どういうものでございますか。すぐお出しいただくについて、名前とお書きになった日にち、そうして本日、この委員会終了してできるだけ早急にお出しいただきたい、そのことを最後に申し上げておきます。どういう名前の文書ですか。
○国務大臣(稻葉修君) 表題はいま正確に覚えておりませんけれども、私個人のものは二つございますね。それは、憲法調査会長時代に自主憲法制定国民大会、武道館でやりました大会に自由民主党憲法調査会長報告書というものがあって、私の主観を交えた、こういう意味でございますという報告書、これが一つですね。それから、新聞社のOBの方が何か政治問題みたいな研究会を持たれて、月曜会と言いますがね、そこへ出て、憲法調査会長としてどういう主なる改正点、改正意見を持っておるかということについて、天皇の章といまのこの戦争放棄の章と第三章について、主にこうやった方がより国民の権利擁後に正確でないかというふうなことを言うてあります。それから、自由民主党の憲法調査会で、従来の経過をずっと書きまして、その中に稻葉修私案というものが憲法調査会の議決になったと、結論があります。
○委員長(前川旦君) 法務大臣、結論だけをお述べいただきたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) そういう、表題はわかりませんけれども、そういうものがありますからお出しできます。
○佐々木静子君 委員会の方に提出を、委員長の方からはっきり話を決めていただきましたら……。
○委員長(前川旦君) 法務大臣、それでは委員会の方へお出しをいただきたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) かしこまりました。
○峯山昭範君 法務大臣にお伺いします。 先ほどから憲法の問題が取り上げられております。私も、大臣の話を聞いておりまして、非常に重要な問題であると思います。私たちは、現在の憲法は、生命の尊厳と自由、平等をうたった非常に大事な、また非常にすぐれた憲法であると、こういうぐあいに考えております。 そこで私は、先ほどから問題になっております中で、何分にも私は自主憲法制定国民会議というのがどういう団体か知りません。出たこともございませんし、余り聞いたことがございませんが、大臣にお伺いしますが、ここの議長さんというのがいらっしゃるんですね、これはどなたでございますか。
○国務大臣(稻葉修君) 岸信介さんでございます。
○峯山昭範君 岸さんは、元総理大臣の岸さんだろうと思いますが、この方が今回の、総会にメッセージを下さったそうですが、どんなメッセージでございましたか。——まさか聞こえないとは……
○国務大臣(稻葉修君) よく覚えておりませんのですがね、それは、元参議院議員の植竹春彦さんがいまその会議の理事長をしておられると思いますな、この方が代読されたのですが、いつもおっしゃっているようなことなもんですからね、いつものとおりだろうと思って余り注意しておりませんから、内容を覚えておりません。改正ができないのは残念であると、なるべく早く改正したいもんだと、皆さんよろしくといったようなごあいさつでした。
○峯山昭範君 大臣、私の手元にそのメッセージのあれがあるんですが、一遍読んでみます。大臣も聞いたと思うんですがね、このメッセージによりますと、「現憲法は米国占領軍により唐突に、わずか一週間でつくられた前代未聞のものだ。条文は、治安、教育、政治、福祉などあらゆる面で破たんをきたしている。この諸悪の根源である現憲法は、一日も早く改められるべきだ。強固な決意と団結で、改正運動を盛り上げよう」、これがメッセージの内容のようでございますが、大臣も大体このとおり聞かれましたか。
○国務大臣(稻葉修君) そういう点につきましては必ずしも私は同感ではない点もあるんです。私は現行憲法を諸悪の根源だと思ってないです。またそういうことを言うたこともありません。
○峯山昭範君 大臣は、要するに私がいま言いましたこのメッセージを聞かれたはずです。あなたは考え方が違おうとも、少なくともこの会合の議長がこういうメッセージをくれたわけです。いろいろ議論はありましょうけれども、諸悪の根源ときめつけたこのメッセージです。少なくともあなたは席を立って帰るべきじゃないですか。あなたが本当に先ほどからおっしゃっているような憲法に対する愛情と三木内閣の閣僚としてのあなたがあるならば、少なくとも現在の憲法が諸悪の根源ですよ、こうきめつけた言葉を聞いたならば、あなたは先ほど法務大臣稻葉修という紹介があったときは、それは聞こえなかったとおっしゃいましたけれども、これは少なくともマイクを通して中央の場で言っているわけです。だれが言ったって、あなたがおっしゃっておりましたように聞いているはずですね。少なくともこれだけきめつけた話をされた場合には、自分の考えともこれはまるっきし違うし、その場の席を立って帰るべきじゃないですか。そのくらいの毅然とした大臣としての締まりがあってもいいんじゃないですか、どうです。
○国務大臣(稻葉修君) 一応ごもっともでございますがね、しかし、私は諸悪の根源というほどではないけれども、欠陥の多い憲法だという点はいまでも思ってるんです。だから直そうというんで、欠陥がなけりゃ改憲論になりませんからね、そういう点で同感の点もあるわけです。制定の経過についての説明などはそのとおり事実ですから、それはそのとおりだなあと、こういう点もあるわけです。だから、席を立って帰れと、こういうのも少し極端ではなかろうかと思いますが。
○峯山昭範君 大臣、私は先ほどからいろいろ言っておりますけれども、個人的な立場とか法務大臣の立場というのは私はきょうは抜きに話をしてます。私は法務大臣にお伺いしますということで初めから言ってます、いいですか、大臣。現在の憲法が欠陥の多い憲法ということは一体どういうことなんですか。先ほどから大臣が、先ほどこういう点は改正したいと言いました。あなたがおっしゃっている、この欠陥が多い憲法ということと、あなたが先ほど第一条、第九条等で挙げられたその語尾のいろんな、その文章の、いわゆる語尾がちょっと違うとか、こうだとかああだとかいう問題とは違います。欠陥が多いと言うからには相当いろんな問題がなければそんなこと言えないはずです。しかもあなたは法務大臣としてきょうは発言しているんですよ、私の場合ね。しかもきょうの、私は、先ほどあなたは、官房長官の問題が出てまいりましたが、官房長官の談話の中にも、同氏は個人の資格においてであるが、しかし、誤解を招くおそれがあるという意見もあるから、要するに憲法改正を行うということは考えていないと。その方針に基づいた大臣が、あなたは欠陥が多いと、欠陥の多い憲法であると、そういうことを考えて、そういうことをあなたが内心思っていらっしゃる、大臣が。しかもいま欠陥が多いということは公式の場でおっしゃっているわけです。やっぱりあなたはそういうふうな点から考えてみましても、やっぱり法務大臣の席を去るべきじゃないかと私は思いますよ。そうでないと話は通じませんよ、やっぱり。これは先ほどからの答弁等、いろいろ考え合わせてみましても、非常に私は重要な問題です。国民に対して法の番人ですよね、法務大臣というのは。その法の番人である法務大臣が、要するに憲法を改正する、しかもそのメッセージというのは、その会合でのメッセージというのはマスコミの機関を通じまして日本全国に報道されています。その会合というのは諸悪の根源ときめつけた会合です。しかもその会合にあなたは、あのメッセージは諸悪の根源とは言わないまでも、欠陥が多いと、あのメッセージをあなたは九割方認めていらっしゃるわけです。だから、席を立って帰ろうとされなかったわけです。ですから、そういうふうな法務大臣というのは、私はこれはわれわれの信頼に足る大臣じゃないと思いますよ。また、三木内閣の大臣たるべきじゃないと私は思います。どうですか、大臣。
○国務大臣(稻葉修君) さあ、その辺は、まあ先ほど佐々木先生の御質疑にもお答えしましたように、憲法というものはやっぱり国の基本法ですからね。争いが国民の間にあるいは政党間に起きた場合に、憲法はどう書いてあると、ここへコンセンサスを求めて統一体たる国家を維持していくという大事な基本法でございますから、なるべく国の存立の基礎である安全保障などにつきましては、裁判が二つ出てくるというようなことでない方がいいんであって、裁判が二つ出てくるというのはやっぱり珍しい、そう世界の憲法に余り類例を見ない、一つの欠陥と言えば欠陥ではなかろうかと、こう思いますし、それからいまの憲法第三章でも、まあ国民の権利義務、権利、自由の保障は相当程度行われてはおりますけれどもね、ただ公共の福祉による制限という一般抽象的な規定があって、公共の福祉による制限ということになりますとね、やっぱり法律でやれることになりますから、国会の過半数で議決すれば、これも公共の福祉だから制限する、この自由も、この権利も公共の福祉だから制限するということが行われる危険性があるから、それよりもむしろ西ドイツ基本法の第一章国民の権利、自由というような形態をとった方が、ある制限の条項は憲法上規定して、その条件以外の条件では国会の過半数では制限できないとした方が憲法上の保障、三分の二の憲法改正の手続を経なければできないんだとした方が権利、自由の保障に完全ではなかろうかと、こういうふうに思うもんですから、不十分であるという意味のことを憲法調査会で先ほど申しました文書にして出してございますわけです。
○峯山昭範君 私は、大臣ね、やっぱりちょっと次元が違うんですよ。あなたは先ほどの自主憲法制定国民会議に出席されたわけです。そこで先ほど、岸さんが、このメッセージがあったように、こんなメッセージが現実に堂々と通るところですね、もう一回読みましょうか。これ。——こういうふうな諸悪の根源ときめつけているんです。少なくともあなたは現行憲法が諸悪の根源ときめつけたその集会に安穏として法務大臣が出ておったわけです。新聞には全部法務大臣と出ておりますし、紹介も法務大臣となっております。国民は現在の三木内閣は現在の憲法を諸悪の根源と見ていると見ますよ。国民に対する疑いをどうして晴らすんですか、あなたは。新聞に大きく出てます、あなたが出たということはテレビにも出た。それは稻葉修個人じゃないですよ、法務大臣として出てます。しかもそのメッセージに、私が言いましたように、諸悪の根源ときめつけているんです。ということは、あなたが出て、しかもメっセージはこうなっておる、昔の総理大臣だ。国民は三木内閣はやっぱりこういうぐあいに考えているんだなと、こうとりますよ。その疑惑に対して、あなたはどうそれを解くかというのです。あなたのいまの答弁、私は条文がどうのこうのと言っているんじゃない、国民に対してこの疑惑を解く責任があるじゃないですか。国民が納得するように説明してみなさい。どうです。
○国務大臣(稻葉修君) ですから、そういう誤解を生じましたことははなはだ遺憾でございますか、そういう誤解——それは誤解なんですから、これからいろいろなことで努力をして解いていかなきゃいかぬと、あなた方のこういう御質問に対しても私は弁解し、釈明し、疑惑を解くためには大変にありがたいと思って、いまお答えしている次第でございますが、これからも一生懸命にそういう誤解をないように。それから三木内閣が憲法改正をやる意思はないということは、私も閣僚の一人として大賛成。
○峯山昭範君 あなたはね、誤解を解くと言って先ほどから一生懸命説明をしているんだとおっしゃいますけれども、誤解を解くとは言いながら、しかしながら、あのメッセージ一つにしても、あのとおり私は、何ですか、諸悪の根源とまでは考えていないけれども、欠陥の多い憲法だと、そう考えておるなんていうことになると、これはそう変わらないじゃないですか。国民が聞いても疑惑なんて全然解けませんよ、全然。全く疑惑解けておりません。あなたが必然的に現職の大臣として、少なくともこういう会合へ出て、しかもこういうメッセージが現実にあった。しかもこういうふうな問題が全国的に広がっておる。しかもあなたはきょうの閣議でこういう官房長官からの二項目の——これは官房長官から聞いているんですか、あなたはこれ。あなたも見ているんでしょう。うなずいていらっしゃるから見ていらっしゃるんだと思いますがね。こういうふうなのを出さざるを得なかったということ自体も、私は政府としては少なくともこの疑惑を解く努力をしていらっしゃるんだと思いますけれども、しかしながら、あなたの先ほどからの答弁を聞いておりますと、国民の疑惑を解くことには全くなってない。もう少し私はこのメッセージについてもまことに遺憾であると、それはやっぱりそれで、本当は席立って帰るべきですよ、何回も言っておりますように。こういうところもう一回大臣の答弁を私に、というよりも国民の皆さんに、本当にこの疑惑を、疑問ですね、解くように答弁をしていただきたいと思いますね。
○国務大臣(稻葉修君) その諸悪の根源ということは私としては使ったこともないし、不穏当だと思ってはなはだ私会合のたびごとにそういうことを言うのはどういうもんでしょうと。それからいまの憲法の民主主義、平和主義、人権尊重主義というこういう基本原理というものは動かしちゃ困るんだよと。むしろそれを確実ならしめるような保障規定をふやすという意味の改正を考えるべきではないかということは一貫した私の主張でございまして、いまでも変わっておりません。ただ、それは現内閣でやる意思はない。こういう点については私も閣僚の一人としてまだそれが固まってきていないのにそんなこと、不用意に時の内閣がイニシアとってやるべきもんでないぐらいのことは私も同感でございますから、そういう点では矛盾は私にはないと思って実はおるんでございます。
○二宮文造君 大臣ね、私、先ほどから質疑を伺っておりまして、きょうの時点では大臣の答弁は非常にまずいんではないかと、これじゃ収拾にならない、こういう気がしてならないんです。と言いますのは、官房長官の談話が出た。なぜ出たか。峯山委員が言いましたように、やはりそこに軽率であったかあるいは疑義を国民に持たせるとかそういう内閣の配慮があったればこそわざわざこの官房長官の談話が出たわけです。その出た直後に、大臣がここへ来て釈明をされているわけです。しかも議論の行き着くところ辞職、辞任すべきではないか、こういうやりとりまで出てくるようなそういう質問を引き出すような大臣の答弁が——よろしいですか、こういうふうにこれが出た。そうして大臣がその席にいられる。われわれはこれを問題にして大臣の立場を明らかにしたい。そして三木内閣は現行憲法を守るんだと、法務大臣はその一員なんだと、そういう姿勢をお互いにここで確認をしたいということで質疑をやっているわけです。ですから、先ほど来の大臣の答弁は、内容に入って私見を述べられているにすぎない。法務大臣としての立場でまことに適切でない答弁をなすっていると思いますが、そういうことをひっくるめて、この官房長官の談話が出たここまでのいきさつについて、大臣自身三木内閣の現職の大臣としてどうお考えになるか、そしてどう事態を収拾されるか、この決意をお伺いしたい。
○国務大臣(稻葉修君) 先生のおっしゃることはごもっともでございまして、異論を差しはさむ余地はございません。つまり、三木内閣は憲法を改正する意思はないというのに、法務大臣がああいう会合に出ることは改正する意思ある閣僚が一人いるじゃないかという誤解を与えたから、それはよくないじゃないかとおっしゃる点はごもっともでございます。ですから、このきょうの官房長官の談話には私は賛成なんでございます。 ただ、最初にね、最初におまえは憲法九十九条を守らぬやつだとおっしゃるから、いや九十九条を守らぬわけじゃないんですと、私は改正論者ではございますけれども、現行憲法を逸脱して何か行動するとか、そういうことをした覚えはありませんし、そういう意思もございませんということだけ弁解申し上げた。それがだんだんだんだん深入りをしまして、まことに申しわけありません。まことに申しわけありません。
○峯山昭範君 きょうは、委員長に申し上げますが、私たちきょうは法務省の決算を審査するということになっておりまして、昨日も私たちは、法務省を審査するに当たってこの憲法という重要な問題がありますので、これをやっぱりおいては法務省そのものの審査へ入るのが非常にむずかしいと、しかし、初めに一言大臣の所信をお伺いして法務省の審査に入りたいというのが私たちの意向でございました。ところが、先ほどから大臣の答弁聞いておりますと、とてもじゃないけれどもわれわれが納得できるような答弁じゃないわけであります。したがいまして、私はこの法務省の審査については、私の持ち時間ももうありませんので、別の日に改めて質問をすることにいたしまして、保留をいたしまして私の質問は終わりたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) 改正論者だと言うのならどういう点を改正しようと思っているというふうにお聞きになるものですから、本当は内容に入りますことはこういう際でございますからひとつ御勘弁を願わして遠慮さしていただきますと言えばよかったのかもしれませんけれども、ついしょっちゅう思っていることをお答えしましてお怒りを招いたことは深くおわびを申し上げます。
○委員長(前川旦君) 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(前川旦君) 速記起こして。
○田代富士男君 私は運輸省の関係、特にきょうは国鉄を中心とした問題に対してお尋ねをしたいと思います。 過日、四回にわたりまして新幹線の総点検をおやりになりました。その総点検の結果並びにどういう効果が出ているのか、まず最初に御説明願いたいと思います。
○説明員(山岸勘六君) 昨年夏以来、新幹線はいろいろな故障によりまして大変遅延あるいは列車の運休等によりまして多くのお客様方に御迷惑をおかけしたことを深くおわびするものでありますが、そのような背景の中にありまして、ことしの三月十日には山陽新幹線博多までの延長運転ということを予定いたしておりました。私どもといたしましては、山陽新幹線の開業を自信を持ってやらなきゃならないというようなことで、軌道関係あるいは架線の関係、ATCの関係、車の関係等につきまして、十分な点検を行い、どういう問題点があるかということを点検することを主たる目的といたしまして、四日間の半日の運休を、利用なさる皆さまにお願いいたしまして実施したわけでありますが、結果といたしまして、点検の結果、非常に重要な部分がこの点検によってわかったというような事実はなかったのであります。 それからまた、今後白昼の太陽のもとでなければ点検ができないと申しますか、その太陽のもとでなければ見つけられないというようなものも見つからなかったわけであります。ただ、レールの締結ボルトの緩み、あるいは架線金具の緩み等におきまして、その場で直ちに補修あるいは締め直し等のできる状態は幾つか発見いたしましたので、これらにつきまして同時に整備を行ったのであります。 また、せっかくこの午前中の列車を運休するというような間合いがございますので、これらの点検に支障を来さない、これらの点検は一日で全部できるというものではございませんで、四回に分けたわけでありますけれども、それによってこの間合いを保守作業、レールの交換とかあるいは道床の突き固め、あるいは架線の交換等の作業が、保守作業ができるものにつきましては、この機会を利用して作業さしてもらったわけでありまして、この点につきましても能率的な作業ができたということができるかと思いますけれども、以上申し上げましたように、その結果といたしまして、私ども今後の問題として幾つか勉強しなきゃいかぬ問題もあったわけでありますけれども、それは結局点検の仕方につきましてもう少し勉強してみようという点があったわけでありますが、十分勉強した後でやるべき性質のものでありまして、直ちにいま総転換を図らなきゃならないというものではなかったのであります。したがいまして、私どもといたしまして、この結果によりまして三月十日の山陽新幹線の開業を自信を持ってやれるという決心ができたのであります。 以上申し上げましたように、いままでの点検のやり方について大きな問題はなかったけれども、今後勉強していかなきゃいかぬ問題も幾つか発見できた。それから、せっかくの機会でございましたので、できるものにつきましては保守作業につきましてもやらしていただいた。そしてこれらの総合的な判断といたしまして、三月十日以降の博多開業をやれるという自信を持ったということでございます。
○田代富士男君 この総点検をやりました折に、私は大阪に在住しておりますし、大阪で公明党といたしまして調査班をつくりまして一緒に総点検に参加をしました。そのときに、公明党の大阪府本部の大久保府会議員を中心といたしました調査団が、主に新大阪駅構内を調査いたしました折に、まあ驚いたことに、ボルトが二十メートルの間に十一本抜けていた、それからレールの摩耗が十二ミリから十三ミリにも及ぶ個所があったと、その他防壁がぐらついたり、危険な場所がいっぱいあったことを、調査が終わりました段階で保線所長のところでいろいろ話し合いをしたときに、浜田所長は、ボルトについては車両などのものと違って一本抜けて直ちに危険とは言えないし、大阪保線所管内百四十九キロ間には二十四、五万本のボルトがあるが、抜けているパーセンテージは二%から三%である、これでは脱線につながらない。特に安全率を引き合いに出しまして、ボルトが抜けてないところは全国どこにもないと、緩みがわかっていても〇・五%などであれば来月に直すか、大まかな計画を立てるんだという、こういうような答弁が返ってきたわけなんです。 で、私たちはその報告を聞きまして、私自身が大阪の本部長でありますから、数カ所の報告を聞きまして、これが国鉄の姿勢であるのかと、私は、これはここに、こういうような安全第一を根本にする国鉄の根本的な欠陥がここに流れていると、たとえば新幹線当局の考えでは、新幹線の軌道整備基準規程というものが示されている。その基準よりもレールの摩耗率も高いし、いろいろな問題点が提起された、しかしこれでも安全度から見るならばまだまだいいんだという、こういうような基準があるのに、安全度で解釈すると、こういうような姿勢を改めていかなければ、何のための基準をつくったのか、基準をもとに補修すべきではないかと、ここに、積み重なって事故という問題が起きて、そうして事故現場でテレビで全国に放送させ、補償金とかそういうことで長い間苦しむならば、根本のこの問題から考えていかなくてはならない大きい問題点があると思うんですが、このことについては、いまの報告の中に一つも報告をされなかったけれども、大きな問題点があると思います。これは運輸大臣に聞いておいていただきたい、これが第一点。 第二点は、去る五月の一日午前十一時から五月の二日午前三時の深夜にわたりまして、私も新幹線と東海道の在来線を視察いたしました。真夜中です。そうして大阪保線所長にいろいろ伺いをいたしました。現場からのいろいろな問題点が提起されている、しかしそれが管理者まで届いてないというその点を私は現場で確認しました。これでは事故が絶滅するというわけにはいかないと、こういう点を総点検をするならば、これも総点検の中に私は入れるべきじゃないかと思うんですが、まずこの二つの点について大臣のお考えを聞きたいと思います。
○国務大臣(木村睦男君) 国鉄のみならず、交通機関が一番に注意しなければならないのは安全問題でございます。そういう観点から国鉄の運営に当たる当局者といたしましても、この問題は最も重視をしてやるべきであります。そういうことからいままでやらなかった、いわゆる総点検、こういうやり方にも踏み切ったわけでございますが、従来、いろんな安全を保障、担保するための規定がいろいろあるわけでございます。その規定が常に守られておるかどうかということにつきましても細心な注意を払っておくべきであると思います。いまお話を聞いておりますというと、そういった基準があるにもかかわらず、その基準に触れるようなところがあったと、しかし、それが事故につながるほどのことではないからいいんだと、実態はあるいはそうかもしれませんけれども、その辺にやはり油断というものが必ずあるわけでございますので、そういう点は十分に今後とも注意すべきだと思います。 それから、総点検の問題につきまして、私も当時は大臣をしておりませんでしたけれども、非常にいいことであると私もこれを高く評価をいたしておりますので、大臣になりましてからも、今後適当な機会を見ては、やはりあの総点検ということはやるべきである、かように思って、私のこの考え方は国鉄にも伝えておるわけでございます。
○田代富士男君 いま私が指摘いたしましたこういう新幹線軌道整備基準規程というもので基準が示されてあるけれども、これがその基準のとおりになされてないと、これでも安全であると言う、それを補修すべきであるということに対して、いま大臣は注意すべきであると、このように申されたけれども、一例を挙げますと、ここからも、国会からも見えますけれども、東京タワーがあります。あそこの東京タワーにはエレベータが上下動いておりますけれども、あのかごの荷重の十四倍の引っ張る強度が新品の場合ありますが、これがだんだん時とともに強度が十倍ぐらいに下がってきたときに交換するという基準があるんです。その場合には、十倍に強度が落ちてきた場合には必ず取りかえをしている。私は国鉄は安全第一、生命ということを考えたならば、基準をオーバーしているけれども、安全だからと、そういうことは一ミリたりとも私は許すわけにいかない、それを注意していくべきであるということですけれども、この際、私はこの基準どおりに、基準がきたならば補修するという、改める、これが総点検の原点じゃないかと思うんですけれども、その点は、元技術者であります総裁はどうですか。
○説明員(藤井松太郎君) お答えします。 基準という言葉はすこぶるむずかしい言葉でございますが、一般論としては先生のおっしゃるとおり、基準がくれば取りかえるという目安でございますけれども、この基準によりましては、先ほど御指摘の安全率が一〇あるものもあり、三あるものもあり、基準は決して最低限度を示しているものじゃございませんので、先生のおっしゃるように、基準がきたらもう必ずやるんだということになると、これは最低限度と言ったら言い過ぎでございますけれども、中間ぐらいで押えざるを得ない。しかるに基準で、先ほどの犬くぎのような話が仮に許されるとすると、基準はもう少し高いところに置いておいてもよろしいということでございますが、とにかく安全を守る目安たることは間違いない。したがって、これに抵触するものは御高説のように、できるだけ早くそいつを直すと、直ちに直すというのが原則でございます。
○田代富士男君 いま総裁が、いま基準は目安で立てているんだと、安全度だったらもっと高くしなくちゃならない、基準というものは、そういうあいまいにつくってある基準ですか。国鉄の場合は特に生命を預かっている。そういう場合にもうちょっと高くしましょうと、そんな簡単なものじゃないでしょう。だから総点検を今回やったならば、それに見合うべきそういう立場で大臣として、これは今回総点検をやった原点として、どうです運輸大臣、これはいまの言うようなあいまいさじゃなくして、基準に従って補修をするという、一本強い線を打ち出して、未然に事故を防ぐようにされたらどうでしょうか、大臣。
○国務大臣(木村睦男君) いま国鉄総裁が申し上げたことも、実態はそうであろうと思いますが、お説のように一定の基準というものがつくられておりまして、つくる以上はその基準の線に沿って整備をすべきであると私は考えるわけでございますので、これはやはりその基準に沿って整備をしなければいけない、かように思います。
○田代富士男君 次に、この総点検が行われました直後、総点検が終わりまして四日間のうちに三回も事故が起きております。御承知のとおり、五十年二月十九日の「ひかり八十一号」がATS信号の故障で事故が起きている。それから五十年の二月の二十三日、CTCの異常で、「こだま」が「ひかり」の路線に進入しようとして、これは全線がストップした。また二月二十三日、静岡−三島間のレールにひび割れを発見した。総点検を終わりまして四日後にこういう事故が起きているということをどうとらえられますか。どうです。
○説明員(山岸勘六君) 先ほど申し上げましたように、私ども総点検で先生のおっしゃるようなことのないようできるだけのことはやらなければならぬのは原則であろうかと思います。ただ二月二十三日の事故につきましては、取り扱いの誤りがあったわけでありまして、もちろん人間の取り扱い誤りによって、このような異線の「こだま」が、浜松の通過線である「ひかり」の線に線路構成がなされるというようなことは、やはり私どもとして、人間と機械関係においてこれを考えていかなければならないということで、その原因になりました、最初に列車を通す場合に、指令所では各線路の構成につきまして引き試しをいたします。その引き試しの際の最後のものが実はコンピューターに残りまして、これが優先して列車に対して指示を与えたわけでありますから、この点検後におきまして、点検が終わって、コンピューターに切りかえるスイッチによって、そういう記憶を消去するという方法が考えられるわけでありますので、これを早速研究し、設置いたしまして、四月の二十四日から自動消去法を採用して現在やっている次第であります。 また二十九日の事故につきましては、当初この点検を、十九番線から出す「ひかり号」として、最初の列車であります。その前に他の線から二本の列車が出ておりますので、点検後の全体といたしましては三本目の列車でございます。これに発車オーライという信号が時間がきても出てこないと、こういう事故であったわけであります。このために早速、指令所の近くでもあり、総局の人間のいる近くでもありますので、関係者を現地に派遣しまして、車上から点検をしているうちに七〇信号が出たと、で、信号関係の装置につきましても異常を認めないという返事がありましたので、三十九分おくれで発車をさせているわけでありますけれども、しかしながら、これで片づけていい性質のものではないことは当然であります。 この場合に、究極するところ考えられるところは三点当時あったわけであります。一つは、ATCの機器室から東京駅までのケーブルに何らかの異常はなかったか。もう一つは、車上の装置の中で、ATC装置の中で、フィルターと申しまして、最初信号を受けて、それを選別して、間違いないという確認をする装置でありまして、相当大きいものでありますけれども、この中において何らかの一時的な異常はなかったかと。もう一つは、当時東京駅で汚物を処理する際に……。
○田代富士男君 時間がありませんから簡単にお願いします。
○説明員(山岸勘六君) これらの三点につきまして、それぞれフィルターを取りかえるとか、あるいはケーブルにつきましては異常があるかないか、現在もその後測定を継続しているとか、あるいは工事につきましては、列車の走っているデータイムにおいては関連の工事は一切やらせないというようなことを再確認いたしまして現在やっている次第でございまして、これらはもちろん先生のおっしゃるように十分注意すべき問題ではありますけれども、いわば点検をやったから完全にすべてのものがゼロになし得るという性質のものでもまたございません。ただ、十九日から二十三日にかけまして三件もあったということはまことにお恥ずかしい次第でありまして、今後一層注意してまいりたいと存じます。
○田代富士男君 いま総点検後に三件も連続事故が起きたと、これはお恥ずかしいことでありますし、るる説明をされました。しかし、いま申しました二月二十三日のこのCTCの異常事故につきましては、今回初めて起こったことじゃないでしょう。四十七年九月の十六日静岡駅、四十九年八月二十七日相生駅、四十九年十月一日豊橋駅で同じようなことが起きている。今回もいま取り扱いの誤りにあったということでありますが、新聞やその他においては原因不明ということで流されております。そして、今回の総点検はすべての面の総点検をやるということであったけれども、今回の総点検ではCTC関係の総点検はなされていない。CTCはこれは人命に被害を与えるようなことがないと、ATCに比べて。そういうところから手抜かりといいますか、まあ間違いないだろうという、慢心というか、こういう姿勢というものが、私は一貫して姿勢を言っておりますが、慢心——CTCに対する慢心の姿勢と言うべきものがこういう事故を起こしてしまった。 そこで私は、いまCTC、それからATC、これはコンピューターにおいて作動しておりますけれども、これが原因がわからないと、こういうことであるならばコンピューターだけに依存せずにして、安全体制というものを根本的にこれを考えるべきじゃないかと。これも総点検の原点じゃないかと思うんです。こういう点について総裁どうでございますか、技術者でありますから。
○説明員(藤井松太郎君) 安全第一にいたすべきことはもうおっしゃるまでもないことでございますが、ATC、CTCというようなものは、総点検をやると申しましても、これ肉眼で見てどうこうというようなもんじゃないんで、やはり常時機械的に異常はないかどうかということを調べるより手がない。したがって、そういうことにつきましては、事故のお話は残念ながら事例はございますけれども、絶えずそれをそういうチェックをやっておるということでございまして、先ほどのレール部分の折損事故のごときものは、これは温度の変化がありましたらテルミット溶接は切れることが間々ございますので、切れても異常がないように継ぎ目板を入れてあるというようなことで、これはそう恐ろしい事故じゃございませんが、一番懸念されるものはATCといったようなものでございまして、これはちょっと目で見てからどうこうというような性格のものじゃないんで、機械的に常時こいつをにらむというより手がないというんでせっかく努力をいたしておるところでございます。
○田代富士男君 まだいろいろ総点検の原点の問題をお尋ねしたいと思いますが、時間がありませんからこのくらいで終わりますが、私がいま申しますとおりに、五月二日の深夜にわたりまして鳥飼基地の三十三号ポイントを見させていただきました。深夜のことでありましたけれども、関係者の皆さん方も一緒に来ていただきまして、その三十三号ポイント、この近くでは過去に二回事故が起きております。そこで、特にそのポイントを見させていただきましたが、そのトングレールのゲージを測定をいたしました。測定をしたのは素人のわれわれじゃありません。施設労のそういう専門家の方にゲージではかっていただいた。御承知のとおりに五十キロのレールは八ミリ、六十キロのレールは九ミリという基準があることも承知しておりますが、そのときにあのゲージを入れた場合に私は驚いたんですが、素人目にも。はるかに八ミリ、九ミリをオーバーいたしまして十数ミリの摩耗をしている実態を見さしていただきました。私も日ごろ忙しいもんですから新幹線は唯一の休息場所として私は楽しみにしておりましたが、あのトングレールの実態を知った場合に、これじゃ安心して新幹線に乗れないなということを率直に私は市民の一人として思ったのです、これは現実に。そこで驚いたことに、その場所に本社からおいでになっていらっしゃった小林さんだったと思います、小林さんの意見と、全施労の現場の働いている人の意見とが違う。小林さんはまあこのぐらいだったら大丈夫です、ところが全施労の人はこれは大変ですと言う。そういう管理者の意見と現地のその仕事をやっている人との意見の違い、こういうところにも秘められた事故の原因があるんじゃなかろうかと、私はこれは恐ろしくなってきました。私自身この目で見てきました、この目で。昨日も私は課長さんから、あれは大した異常はありませんというような話を聞きました。その課長さんに言いました、私は。あなたは現場を見たのかと、私は夜中の三時に現地に行ってこの目で見てきている、ゲージを当ててきたと、現実に摩耗している現場を見てきている。そこに、管理者は机の上の管理者であって、現場の声が反映されてない。ここに秘められた原因があると、この問題についてどうするんだと。大臣、この実態をどうするか、私は現実に午前三時に行って見てきております。大臣も岡山にお帰りになるとき、飛行機の場合もあるでしょうが、あの新幹線をお通りになるときは一緒に乗ります。三十三号ポイントです。過去二回事故が起きております。私は今度のあれで、五月の二日以後今度の連休で事故が起きなければよいがと、そればかりひやひやしていた一人です。この事件を大臣としてどうお考えになりますか。どうですか。
○国務大臣(木村睦男君) レールの摩耗が事故につながるかどうかという問題でございますが、現実に御指摘のレールが実際にどの程度の摩耗であったかということがまず前提となるわけでございまして、その摩耗の程度というものが客観的にはっきりした場合に、その程度の摩耗が事故につながるほどひどい摩耗であるか、あるいはこの程度ならその心配はないかということは、やはり責任のある国鉄のその責任者の判断に待たなければいけないと思います。恐らく現場で保守をしておられる方たちは常に事故ということに非常に敏感でございますから、それなりの判断もありましょうし、また中央でこれを監督しておる立場にある責任者は、責任者として客観的に見た判断もあろうかと思いますから、その辺は実際現場に当たっておる者と中央で監督管理しておる者とよく話し合って措置をすべきではないかと、どちらに軍配を上げるべきかということは、やはり両方がよく話し合ってみてそういう措置をやることが適当ではないかと私は思います。
○田代富士男君 そこで大臣、私が、私一人じゃないですよ、公明党の議員あと府会議員も市会議員も多数行きました。異口同音に言っておりました。これは新幹線にはおれは乗りたくないと言うのです。危なくてしようがないです、素人目にですよ、いま言うとおりに。小林さんはまあまあこんなものでしょうと言う。余りその場所を見ようとしませんでした。その施設労の人は真剣にこれを説明してくれました。私もそれをこの目で見てきた。摩耗している。だからそれは話し合いによって決めるとおっしゃるけれども、話し合いで決める基準となるべきものが必要、だからいまさき私が基準というものに対して最初に質問したのはそのことなんです。基準は五十キロのレールだったら八ミリ、六十キロのレールだったら九ミリという一応の基準が出ている。それをもう三ミリも四ミリも、五ミリもオーバーしている。現実に、話し合いで決めると言うが、そういう余裕なんかないですよ、大臣。毎日何回走っておりますか、あそこを新幹線が。話し合いをする余裕があるならばそうだけれども、だから直ちにそういう生命尊重という立場からいくならば、こういう所は取りかえるべきです。相談をする時間に事故でも起きたらどうするんですか。私は技術者出身の総裁ですから、こういう点については厳格に、やはり生命尊重という立場からこういうものは取りかえるべきものは取りかえると、基準を尊重するという精神を持っていただきたいと思うんです。総裁どうです。
○説明員(藤井松太郎君) 御高説、根本的には賛成でございますけれども、先ほど大臣がおっしゃいましたように、レールが何ミリ摩耗したら現実の危険が起こるのかというのは、これは非常にむずかしい問題であり、新幹線はどうか知りませんけれども、あるいは摩耗しますとクラスの低いやつに回してまた使うというような性格のものでございまして、それはその現場を預かっておる区長さんかなんか、全施労の方かなんかは、その局点だけを、そこだけを見てこれは減っているからって新しいのを欲しいというのはこれは実に当然だけれども、これ全体にそういうことで取りかえられる——そこの何号のポイントかは知りませんけれども、それ以外のところもどうせ……
○田代富士男君 三十三号ですよ。知りません——私はちゃんと例示しているじゃないですか、真剣に答えてくださいよ。何号ポイントかわからないなんて、そんな……。
○説明員(藤井松太郎君) 同程度のものがあるかないかというようなことが問題になりますので、詳しいことはひとつ施設局長が来ておりますのでよく説明さします。
○説明員(鈴木秀昭君) 先生御指摘の鳥飼の三十三号分岐のポイントでございますが、これは御案内のとおり車両基地から本線に出ますところの分岐でございますので、使用頻度が非常に多いところでございます。お説のとおり摩耗しやすい傾向にあるポイント。したがいまして、現場としても摩耗しやすいポイントであるということを管理者として意識しております。したがいまして、大体その摩耗の進度から、一応このポイントは特にその先端部分が先生御指摘のように、摩耗の限度としましては六ミリという限度内でございましたが、先端が多少剥離をしておりました。したがいまして——ただその剥離は運転そのものに支障あるものではございません。しかし一応現場としましては一年間にこのポイントは二回かえようという大体の基準をつくっておりまして、前回の交換は四十九年の九月十日にいたしております。で、今回はこの五月十四日に取りかえるべく計画をしておりましたが、先生がいわゆる御視察いただきました段階では確かに先端が剥離していた状態でございますが、一応私どもとしましてはそういう非常に重要なポイントであるということを意識いたしておりまして、この種の剥離等が出ました場合は、発見しましたらできるだけ計画を早めまして、早く取りかえるよう心がけてまいりたいと思います。
○田代富士男君 だから、総裁ですね、何号ポイントかわからない——私はちゃんと三十三号ポイントと明示している。そういう答弁をされるとその姿勢が不熱心と——だから、施設労の皆さんは夜中まで働いております、その声が上に反映されてないということを、私は足で見てき、そして耳で聞いてきました。そういう不熱心さが未然に事故を防ぐということはできないんです。だから、基準を守るという点をはっきりしていただきたいんです。安全第一ということは国鉄の使命じゃないですか。だから、新幹線のレール、五月に取りかえられるということで、これははっきりとしていただきたい。 それと、在来線の問題ですが、あの淀川大橋に在来線の線路が六本通っておりますが、この大阪の施設労の皆さん方の意見によりますと約六千本のまくら木が鉄橋の上にかかっております。そのうちに取りかえなくてはならないといわれるのが約三千本、そしていますぐに取りかえを必要とするというまくら木が千五百本。で、私がこの調査をしたのはことしの二月であります。その二月、調査をいたしました時点で、国鉄におきましては急拠この淀川の鉄橋のまくら木の取りかえ工事が始まったらしいんです。で、二月の時点に、私は現場の人の生の声を聞いておりますが、国鉄としてどれだけそれを掌握されていたのか、まず報告を簡単にお願いいたします。 その二月の時点で、公明党の私たちが実地を検査しました。その写真がここにあります。大臣と総裁、これ見てください。(資料を示す)これだけ全部あります。こういうような状況で列車がいま走ってるんです。これ全部見てください。だから、二月の時点で、淀川の鉄橋の上の、下り線二本、上り線二本、梅田貨物線二本の、そのまくら木の状況。 それからこれは、まくら木にくぎが打ってあります。そのくぎが抜けてるところが数カ所あります。数カ所どころじゃない。この実態を見てください。それはまくら木、これはくぎ。(資料を示す)がさがさです。これが当時のくぎの状況、これだけ細くなっている。で、総裁は技術者ですから、これでレールか固定できるかどうか——二月の時点の状況と、それで安全運転できるかどうかということを端的にお願いいたします。時間がありませんから、要領よくまとめてください。
○説明員(鈴木秀昭君) この淀川橋梁の不良まくら木につきましては、本数の——不良率の問題はさておきまして、約二千本不良まくら木があるということは、二月の時点において管理者が把握いたしております。ただ、それはいろいろ調べてみますと、なかなか計画——実際に不良を発見いたしましても、それを今度計画修繕をするわけでございまして、従来の保線は発生主義をとっておりましたが、最近、大阪保線区につきましては、発見をするパーティーと実際の直す作業をするパーティーとがございまして、この定期修繕と申しますか、計画修繕をすることにしておりまして、確かに計画のずれが長年にわたって、もう少し毎年数多く取りかえているべきものが、多少計画がおくれぎみになっていたようでございます。したがいまして、その三月の年度末の時点で約七百本、これを取りかえを完了いたした次第でございます。
○田代富士男君 私が掌握してるのは、不良まくら木が三千本と。いま二千本ということでございますが、現場からの声は三千本。これは、私はここに各路線の本数等、書いたのがありますけれども、時間がありませんから——三千本。そういうところの食い違いも一つあると思うんですが、その中で緊急にかえなくちゃならないのが千五百本。それが、私は二月にこれは委員会でこの問題を取り上げると言った、その時点で七百本かえられたと。これも未然に国鉄の起こるべき事故を防いだことになるでしょう。しかし、千五百本かえなくちゃならないうち、あと八百本残っております。これを定期的に逐次——いま総裁も大臣も見ていただいたと思いますが、早急にこれはやってもらわなくちゃならないし、残りの八百本に対してどうするのか、その点についても明確にしていただきたい。
○説明員(鈴木秀昭君) 残りの八百本と申しますか、不良まくら木につきましては重点的に本年度取りかえる予定にしております。
○田代富士男君 そこで、私はいま写真を提示いたしましたけれども、私が質問すると、国会の委員会のために補修をやるのか、安全第一のためにやるのか、そこの姿勢も私は改めなくちゃならないと思うんですが、私が質問するぞと言ったら六百本かわったと。これも、三千本はまだ不良品です。この点に対して大臣、その、いまごらんになった感想、いかがでございますか、これで安全運転できると、これでよろしいとおっしゃるのか、これでは安全運転するのには補修しなくちゃならないと思われるのか、どうでしょうか、大臣、写真を、現物をお見せいたしました。
○国務大臣(木村睦男君) 私は技術的なことはわかりませんが、なるほど、いまお示しの写真を見ますと、かなりひどい状況だなということはよくわかります。したがって、おそらく国鉄も、委員会で指摘されるからやるんではなくて、やはり安全という立場からこういう状態だと早く手を打たなきゃいかぬなという感じを非常に強く持っております。
○田代富士男君 いま、大臣、安全第一とおっしゃるけれども、私が質問すると言ってから動いたんですよ、事実。七百本かえられましたよ。それならば、あと三千本ですよ、じゃ、一カ月、二カ月の間にやってくださいよ、それは、定期的にやっているものであるならば。だから、端的にそういう点は、委員会のためでなくして、定期的にやるように、基準どおりにやっていくようにしていただきたい。そのためにはこの施設労働者の皆さん方の人員不足という問題が起きてくるでしょう。そこで私は、こういうような保守をやっている施設労働者の実態を調べてみました。 〔委員長退席、理事小谷守君着席〕 まず、施設職場の労働者は、端的に言うならばつらい仕事である。寒いときも風の日も雨の日も、これをやっている。それから汚れる仕事である。私もあの二時三十何分、深夜に東海道線に立ちまして、夜間特急が三本通りました。そのときに、便所のたれ流していったのを現実に見ました。汚れる仕事である。また危険な仕事である。端的にこういうふうに私は思いました。こういう人たちの賃金はどうなっているだろうと、待遇はどうなっているだろうと、労働条件はどうなっているだろうかと、一番先に私は思いました。そのときに、国鉄の労働者というものは全部平等であるべきでありますが、保線の職場をいやがる人が非常に多い。他へ転出したいという人が多い。こういうような、差別され、疎外されるような職場をどうするかという問題、またつらい、汚れる、危ない仕事に従事するそういう人々。まあ、国鉄で一番責任が重いといえば責任の重い仕事に従事しているでしょう。こういう人たちの待遇改善を検討すべきじゃなかろうかと。そうして、これも声として聞きましたけれども、こういう人たちの体力の消耗はレールの消耗以上に激しいです。退職した人が五年ないし六年で亡くなっていく人が多いということを聞いております。こういう体力の消耗するような仕事の仕組みを変えていかなくちゃならない。また、そういう職場としていやがられる職場でなくして、人間としての誇りを持てるような、安全で快適な職場づくりを、具体的にこれを進めて、生きがいと働きがいのあるような職場にしていかなくちゃならないと思いますけれども、この点に対しては、総裁、どうでございますか。
○説明員(藤井松太郎君) 保線の労務者が一般にきらわれる商売で、皆がいやがるということは事実でございまして、これをどうするかという問題は、これは後で御質問があるかもしれませんが、重機械を入れて、人間の労力のかわりに機械を入れる、それで彼らの労働力を機械で置きかえるという、こういう以外に道はないので、またその重機械も、これ、強いて言えば使いなれていないというようなゆえをもって、せっかく何十億を出して買ったけれども、あまり能率が上がっていないじゃないかというようなおしかりも受けておりますが、これは漸次使い方もうまくなって能率も上がりつつあるので、将来は機械に主力を置きかえていきたいと、かように考えている次第であります。 で、保線の非常な重労働に対して給与の面でどうしているんだということになりますと、これは基本給をどうこうということは、やはりほかにも職種がございますので、やっぱり同類、同じような負担の重い物を選んで同じ類別にして、しかも夜間のそういう仕事をやるということに対しましては、夜間の重労務に対する特別手当、これもお聞きになったかどうか知りませんが、千円ないし千三百円を支給していると、これは十分だとは決して思いませんけれども、そういうようなことをやって私どももできるだけのことはいたしていると思いますけれども、働く者の側に立って見ればこれは十分だとは決しておっしゃらぬし、私どもできるだけ改善していきたい。ただし、労務者がほかにもたくさんいますので、彼らとのバランスもとりながら、漸次、先生のおっしゃるような方向に持っていきたいと、かように考えます。
○田代富士男君 いまつらい仕事、汚れる仕事、危険な仕事であって、まあ機械化とかそういうことをおっしゃいますけれども、根本的な問題がある。これは屋内の労働者に対してはいろいろなものが決められております。ところが、屋外の労働者に、たとえば労働者の基本権の問題、あるいは労働環境権の問題、あるいは人格権の問題、こういう労働基準法的にも屋外労働者に対しては保障されてない。で、いま私がずっと列挙したような大変なそういう状況で苦しんでおります。だから、屋外労働者によりよく、そういうような希望が持てるような、生きがいのあるような、働きがいのあるような、そういう面に対する配慮というものをこれはどうしてもやってもらわなくちゃならぬ。これは大臣としてこういう問題についてどういうふうに今後対処されるのか、大臣のお考えを聞かしていただけますか。
○国務大臣(木村睦男君) それぞれの職場の仕事の内容によって非常にきらう仕事、またかっこうのいい仕事、いろいろあると思いますが、ことに屋外で、しかも非常に深夜あるいは早朝、時間的にも無差別に労働しなければならないといったような種類の仕事につきましては、いま総裁が申し上げましたように、できる限りその機械化をして、そういう職場から合理化のためにも機械化で補っていくという努力も必要でございますけれども、それには限界もありますし、また無理な点もあろうかと思います。で、そういうところで、労働に従事する人たちに対しましては、やはりその労働の量と質に応じて待遇というものを十分それに合うように考えていくということが必要であろうと思いますし、 〔理事小谷守君退席、委員長着席〕 同時にそういう職場環境というものをできる限り環境の改善ができるならば、できるだけいい環境に持っていく配慮をする。こういうふうなことで労働の質その他によって待遇とうまくバランスがとれるような給与制度、手当制度、そういうものにもし欠陥がありとすれば、直していくという努力も必要であろうかと思います。
○田代富士男君 それはぜひともやっていただきたい。 それで、私は現場を見まして、私の声として反映さしてもらいたいことは、国鉄の方針といたしまして、運転関係、いま総点検の中で話が出ましたATC、CTCとか、こういうふうに改善されて、コンピューターによる操作ができ上がってきている。そして、高速、高密度化したこういう中であって、この保安関係、保守関係だけは従来と何ら変わりのないような危険度の多い職場として取り除かれている。運転関係に重点が入れられている。いま進められたというなら、タイタンパーの仕事くらいなものでしょう。しかし、これかてあの列車が走ってくるときに、ちょっと避難するのをおくれて機械を置いたら脱線につながる、危険度が非常に多い。そういうところで線路を保守するために必要な作業の間合いの問題とか、あるいは線路の修繕費とか、必要要員の問題とか、軌道強化費など、これは確保しなくちゃならない。そして、無理な仕事はやめさすようにしなくちゃならぬ。私自身、夜中の三時にあの東海道線を歩きまして、これはどうしても夜間照明、それから作業通路、危険防止の安全設備等作業環境の改善を進めなくちゃならぬじゃなかろうか。これは現実に夜中に、深夜に歩いてわかりました。 それと、機械化に力を入れていくという、これは結構なことでしょう。しかし、私は夜中の二時半ごろマルチプルタイタンパーというその機械の作動しているのを見ました。しかし、これは機械化と簡単に言いますけれども、大変ですよ。この機械が私は作動しているのを見たときに第一に考えた、騒音の問題。このタイタンパーに乗っているオペレーターの席で騒音調査をしましたら、百十五ホン、真横でとりましたら百十ホン、ちょっと離れても九十六ホン。これで一時間も二時間も仕事をしましたら、大変なことです。途中数台の列車が通りましたが、警報機が聞こえないぐらいの危険度をはらんだタイタンパーです。機械化機械化と言いますけれども、こういう騒音をまき散らし、それで沿線の住民の皆さんも悪評を起こしている、こういうことに対しても私は改めていくべきじゃなかろうかと思うんですけれども、どうでしょうか。
○説明員(鈴木秀昭君) どうしても線路を保守いたしますためには、機械化を進めます上におきましても、マルチプルタイタンパーというのは、私ども線路を預かるものとしましては、一つの偉大な新兵器でございます。ただ、この機械がなかなか音が大きいということも御指摘のとおりでございまして、私ども作業をいたします場合には、事前に住民の方々に御理解をいただきながら実は作業をしているのが実態でございますが、御指摘のとおり、なかなか今後ともそういうことで毎日やる作業ではございませんけれども、夜中に二時間、三時間音を出し続けるということについては、これでいいということは決して思っておりません。したがいまして、遅まきではございましたけれども、国鉄といたしましては、四十九年度にこのマルチプルタイタンパーの騒音防止の技術研究に取りかかりまして、一番発生音を出しますエンジンにカバーをかけますとか、どうしても相手が金属と砂利でございますので、この金属と砂利のところに加工をいたしまして、騒音を減らすというような開発をして相当の音が低下するというような一応実験が成功はしておりますけれども、まだまだとてもこれからの問題だと思っております。したがいまして、騒音の制限効果を見られますよう五十年度も引き続き具体的に技術開発を進めてまいろうと思います。 なお、この機械の音が大きいために職員の安全に問題がありはしないかという御指摘でございますが、私ども大集団、こういうある程度集団でいたします作業につきましては、ちゃんと見張り要員も置くように指導しておりますし、そして、この見張り要員が千メートル近づいたら一応マルタイの四すみに設置しておりますボタンを押しまして合図をして列車の接近を知らせるというようにしておりますが、いずれにせよ保守要員の人命を預かる私どもといたしましては、何しろあらゆる手段を使いまして、まず人命尊重とともに、将来ともマルチプルタイタンパーはどうしても私ども保線にはかけがえのない新兵器だけに技術開発を進めてまいりたいと思っております。
○田代富士男君 そこで、こういう施設労の人たちが縁の下の力持ちとして、晴れた日も風の日も雨の日もやってくれているわけなんです。これはどんな優秀な列車ができましても、軌道が強固でなかったならば安全運転はできないと思うんです。そういう意味からこの軌道の新保守体制というものが国鉄で検討されて軌道の強化、それから定期修繕、計画的保守、機械化保守、合理的保守と、こういう基本施策の実施を通じて軌道保守近代化を計画されたんです。これは現在行き詰まっております。まず最初の軌道構造の強化が行き詰まっておる。いろいろ理由はあるでしょう。ここで全部の理由を述べるわけにいきませんが、一つはいまさっきから私が提示しているとおりに、この保線の職場に働く人が少ない、いやがられた職場である、雇用を変えなければならないというのに、要員減が先行したために軌道の保守近代化が進んでない。それに比べまして列車の増発、速度の向上、こういうのに伴いまして荷重の強度の増大あるいは振動衝撃周波数の増大、こういうところから軌道が狂ってきている、保守エネルギーの投入が困難になっている。この事態は私は安全を第一とする国鉄に対しましては、何をさておいてもこれは総点検をやるくらいの国鉄であるならば、原点としてこれを考えなくちゃならないんじゃないかと思うんです。 特に私はここで忠告を込めて申し上げたいのは、鉄道輸送路である軌道の保守度を無視した現在の列車増発、スピードアップ、こういうような経営施策というものはもう一度考え直すべきじゃないかと、私はこういうように列車増発、スピードアップをした、そのためにもたらした弊害というものはいろいろあるでしょう。その中で一、二取り上げますと、まず一つは、公共機関としての国鉄企業の基本問題であります安全に、早く、そして安く、正確に輸送するという、これが、安全性の低下というものが目立っております。輸送の連続性、継続性の構造的に困難な面が目に見えてきていると、こういう点をどうするか。また、いま申しました安全性の低下というのは列車徐行個所が増大しております。現状のまま推移していくならば軌道保守度の低下で脱線事故の起きてくる率というものは避けられない、これが一般化しつつある、この問題をどうするか。また列車増発による荷重強度の増加、高度運転によるところの振動衝撃波の増大、それによるところの道床、路盤の破壊が、これが非常に進んでいる、そのために乗り心地が極度に悪化して乗務員あるいは乗客からも不安と不愉快ないろいろな訴えが出ていることも事実であります。私も東海道新幹線に乗さしていただいております。特に浜松−豊橋間を走るときの横振れの多いこと、私はこの前からこれは気になって仕方がない、こういう問題をどうするか。それと、作業も間合いの極少化によりまして軌道狂いの調整とか、そういうものができない、老齢化したレール、分岐点などの軌道材料のそういう更換だとか、道床、路盤、排水設備の改良、こういうものが困難になってきて軌道破壊の先行——それに軌道保守か追いつかないような状態になってきている。それはもちろん車両を近代化し、スピードアップすることも営業を目的とした方針では考えられるべきでありますが、安全運転の原点とも言うべきこういう問題に対してどうするか。そういうところから列車増発、スピードアップという、こういう優先の経営施策というものについて、もう一度安全第一という点で考え方を新たにする必要があるんじゃないかと、私はこのように思うんです。特にいまさっきそこに提示しました東海道線でさえもそういうような状況です。 私はいろいろな現場の声を聞きました。軌道整備の基本的な考え方には臨時整備と恒久整備との二種類ある。その臨時整備をしなくちゃならない。これは軌道状況が著しく悪化している区間というものが提示されている、その臨時整備として提示されている区間にその東海道の一級線は入ってない、入ってないところですらそういう状況である。その臨時整備をやらなくちゃならない一級線はたくさんあります。二級線に至っては、大阪で言うならば阪和線等はこれは特徴のある路線です。ほかにもたくさんあります。これは時間がありませんから申し述べません。三級線、四級線、臨時整備をしなくちゃならないところ、この臨時整備として指定に入ってない東海道線ですらいま私が提示したとおりである。この問題を国鉄として、また運輸大臣としてどのように取り組むか、安全第一とした場合に、総点検をやった国鉄としてこういうことをおざなりにするわけにいかないと思いますが、どうでしょうか。
○説明員(藤井松太郎君) いろいろ御忠言をいただきましてありがとうございますが、おっしゃるとおり軌道というものは鉄道運転の基礎をなすものでございまして、これをできるだけ整備するということは実に当然な話なんでございまして、われわれやっていることに及ばぬところがございますので、今後ともひとつ努力を重ねたいと思いますが、御指摘のように、これは国鉄が営業政策に走っちゃってスピードアップしたり、列車をむやみに増発したり何だりするから保守の間合いはないじゃないかと、そのあらわれたところを見ますとまさにそのとおりなんでございますけれども、それだけやはり社会の要請があるから、社会の需要を満たすためにはやっぱり多少無理でもそういう政策をとらざるを得なかったんだということもひとつ御理解願いたいと思います。 それと同時に、安全と申しましても、私どもがねらっているのは、これ安全は絶対に優先すべきものであるけれども、要するにその労力であるとかお金、これをできるだけ小さくして必要な安全の確保がどの点でできるかというのは、実は技術者が一番苦労しているところでございまして、いや金は幾らかかってもいいから安全なものをつくれということではまあ国鉄のようなとこは許されるわけない。これは申し上げるまでもないんでございますが、要するに金だの何だのできるだけ節約して必要な安全を確保するかと、これがもう最大の問題になっておるんでございまして、これは申し上げるまでもないことでございますが、まあそういうようなことも踏まえながら先生の御忠言をありがたくちょうだいしてこれから軌道を強化をいたしたい、かように思います。
○田代富士男君 私は総裁のいまの話を聞いておりますと、これじゃいつまでたってもよくならぬと思うんです。国鉄の方針は安全第一でしょう。事故を起こさないということでしょう。いま総裁は、社会の要請があって、多少は無理であるけれども列車増発、スピードアップをしたんだと、これは無理かわからぬけれども、社会の要請があったから、国鉄だけに言っても責任がありませんよと、極端に言ったらこういう取り方、この姿勢。そして安全第一ということで、安全には、できるだけ節約をして安全にできるようにという考え方、私は反対だと思うんです。安全のためにはどんどん金を使うべきだと思うんです。限度はありますけれども、節約をして安全のためにと、この総裁の考え方を改めない限りには事故はおさまらないと思いますよ。総裁どうですか。あなたのいまの考え方は私は国民の一人として——あなたの意見としては尊重しますけれども、これじゃ社会のどういう要請があっても、これは危険ですという、安全第一でいくならばいくべきです。そういうあいまいさが、基準があっても、じゃ基準を高めましょうかと、総裁としてそういうことを言うべきでないような言葉が出てくる。いまのようなあれもスピードアップを国鉄がやったわけじゃありませんよと、社会の要請で無理からぬことであります、そういうことであったならぴしっととめるべきじゃないでしょうか。この点、大臣いかがでございましょうか。総裁がこういう姿勢であったら、運輸大臣として、指導監督すべき運輸大臣、どうでしょうか。私はいまの総裁の発言はちょっと国民として納得できないです。
○国務大臣(木村睦男君) 安全第一ということは交通事業に携わる者の至上命令でございます。したがって、これ以上の使命はございません。したがって、国鉄におきましても経営の改善のために合理化もいろいろやっております。輸送需要がふえてくればそれに対応した輸送力をつけなければなりません。しかし、いずれも安全性を犠性にしてやるということは私は絶対に許されない、かように思っております。安全第一ということを至上命令にいただきながら、その下でもって合理化をやり、あるいは輸送力の増強をやるというこの精神は貫かなければいけないと思います。総裁も恐らくそういう気持ちには変わりはないと私は信じておるわけでございます。
○田代富士男君 しかし、そういう答弁と違うじゃないですか。どうですか、総裁。
○説明員(藤井松太郎君) 私の舌が足らなくて誤解をいただいたようでございますが、先ほど先生の御指摘の、私が申し上げたのは、例の東京タワーのエレベーターの議論がございましたが、このワイヤーのごときは安全率を十倍にとって、これが五倍になったらそれを取りかえるのだというお話がございましたけれども、まことに結構だと思いますが、これを安全率を十とるか、あるいはそれより下がって八とるか七とるかというようなことが、七で安全を壊されちゃかなわぬので、七でも必要な安全が確保できるかどうかということが実は技術屋の最も頭にくる問題であって、その安全率を十よりもまだ二十とれというようなことでは困るので、そういうところに苦労しておるのだということを申し上げたつもりでございます。 それから、国の要請で何とかいうので、お前断われと、こうおっしゃるんでございますけれども、まあ国鉄というのは皆断わってもその殺人的の混雑のごときでお乗り願うので、やはりこれは現にこの線路の容量はこれだけしか運べぬからそれ以上はお断わりしますということが、こう社会的に何というか、皆様の御納得がいくまでにはまだ相当何とかわれわれのPRも必要なんでしょうけれども、距離があるんじゃないかというんで、まあ国鉄はその営業政策とおっしゃられましたけれども、これは全部運べば運ぶほど損しているのですよ、いま。したがって、運ばぬ方が一番経済的になるのだけれども、それじゃ社会に申しわけないから一生懸命で要請だけは、安全を壊さないで運んでいると、こういうことを申し上げておるのです。
○田代富士男君 あのね、総裁ね、そういうことを言っちゃね、ますます私は国鉄のあり方論から進まざるを得ません。運べば運ぶほど損するというようなそういう発言は慎しんだ方がいいです。そういうことだったら国鉄のあり方というものから——もう時間か私ありませんからね、そういう考え方はね、もう聞けば聞くほど、これはとね、もう首をかしげたくなるほど——失礼な言い方で、大先輩に対して申しわけありませんですけれども、これはね、私はそういう率直に感じを言っておきますが、これはね、本当に根本から改めてもらわなくちゃ困ります。だから、いまおっしゃるけれども、技術屋さんが技術屋として一番苦労していると、そういうことですけどね。 もう時間もありませんから最後に質問しますけれども、私は国鉄のいまの保守体制というものは、ちょうどいま東京都でも道路を掘り起こしばかりする。電話線を通す場合、水道管を通す場合、何回も道路を掘り返し掘り返し。何とか一本化できないものだろうかと、これは全部東京都民の声です。これと同じようなことを国鉄もやっておる。まず一番最初レールを取りかえる、まくら木を取りかえる、道床を取りかえる、それから路盤の取りかえと、こういうことを、掘り起こしと同じような順番にやっている。こういうような保守体制の再検討というものもやるべきじゃないか。今度路線改良費がかなりついたということを私は聞きましたけれども、あれは三百億ぐらいですかね、鈴木局長。どのくらいつきましたですかね。
○説明員(鈴木秀昭君) その程度でございます。
○田代富士男君 その三百億ぐらいの予算がついたならば、今後レールあるいはまくら木の取りかえ等をやられるけれども、どういう計画でおやりになるのか。まくら木を買われてもいいんですけれども、いまさっきもたくさん写真を示しましたが、この写真は——これも大阪です。まくら木を野ざらしにしてある、買ったままで。腐り始めているまくら木の写真です、これ。こういうような結果になったならば大変です。またまくら木自身が木製のまくら木からPC——コンクリートのまくら木と、今後これを統一すべきか、あるいは木製は資源の問題もあるでしょう、こういう点に対する今後の方針、これが一つです。 それから防災の問題です。これはもう大臣に聞いてもらいたいけれども、ここで国鉄一つとしてどうにもしょうがないでしょうけれども、建設省、農林省、各省が独自にいろいろな開発をやっております。ところがその開発をやったすべての余波というものが全部鉄道にきている。たとえば建設省は団地の造成をやる、どんどんどんどん。その団地の造成をやったら水はけがない。その水はけが全部線路にきている。農林省が伐採をやる。そうして植林の事業がおくれるために鉄砲水として水が線路の方に流れ込んできている。まあこういう特に団地の造成の問題、高崎線なんかその典型的なものでしょう。線路の両脇が土盛りされた。そのためにその排水、汚水の流れる場所もないから全部鉄道が流水路みたいになっている。道床が噴き出して通称梅毒路線と言われる。道床が噴き出している。高崎線。これは阪和線にも言えます。こういうような状態。それと都市計画が、これは鉄道と都市計画というのが複合されていない。線路のそばに大きなビルが建っている。もしも地震があった場合にこれどうなるか。こういう問題はどうするか。河川工事の問題、河川の改修という名のもとにその河川の水の容量というものは決まっている。それをさらに容量をよけいにしようというところでいろいろな工事がなされる。中小河川がはんらんしたときに鉄道の決壊。そういうような道床流失とか、こういうような防災の問題に対して今後運輸大臣としてどう取り組まれるか。時間が参りましたから、私まだあと質問がありますけれども、次回にまた質問を続けますけれども、最後にこの二つの問題に対しまして御返事お願いいたします。
○国務大臣(木村睦男君) 確かに御指摘のように開発の過程において鉄道はいろいろとそういういわば被害を受けておることは事実でございます。これらはやはり政府全体といたしまして、国土発展のためのいろんな開発、そのプロジェクトの遂行に当たりましては関係各省とも十分そういう点に配慮をしながら進めていくということが私は肝心かと思います。私は国鉄を監督しておる主管の大臣として、その点は先生の御意見を十分参考にいたしまして今後善処いたしたいと思っております。
○田代富士男君 まくら木とか改良費の具体的の方針をちょっと言っていただけませんか、国鉄として。保線改良費の三百億。
○説明員(鈴木秀昭君) 先生の御指摘のとおり、一部いわゆるまくら木が使われずに残っているではないかという御指摘がございましたが、私ども間合いが問題でございまして、保線の従事員が作業をする間合いがありませんと、いわゆるまくら木を取りかえたくてもできないわけでございますが、この点につきましては間合いを設定をいたします委員会を設けまして、特にこのたびの博多開業におきましてはダイヤそのものに百二十分と、また一部については六十分、いろいろございますが、保線及び電力の修繕のための保守間合いをダイヤ上設定いたしていただきまして、したがいまして、その間合いを十分使いますとともに、あるいは一部地元の御協力を得ながらバス代行等の計画もしつつ十分保守間合いを確保いたしまして、与えられましたわれわれの材料、特に基盤整備をしろという政府からの強い御指示につきまして御期待に沿いたいと思っております。
○橋本敦君 法務大臣が五月三日に、自主憲法制定の国民会議に来賓として出席をした。いまこれが非常に大きな問題になっているわけですが、あなたはきょうの答弁では、それについて誠実な反省をしていないどころか、当委員会で、法務大臣として堂々と自分は改憲論者であるということを明らかにし、さらにかつ、この現在の憲法は全く多くの欠陥を持った欠陥憲法である、ここまであなたは極論をするということで、二重に重大な誤りを犯していると私たちは考える。現在、三木内閣は憲法を改正しないと、こう言明しているけれども、たとえば公選法改悪に見られるように、憲法をじゅうりんする言論統制を行うという問題があるだけでなくて、そのようなあなたを法務大臣にこのまま置いておくことによって、憲法改正しないという言葉とはうらはらに実際に改憲の作業を進めるのではないか。重大な国民の疑惑をきょうのあなたの答弁は喚起をしておる。こういう重大な問題があるということをあらかじめ申し上げておいて、この問題について私の質問をいまからしたいと思います。真剣に問題の重要性を深く認識して答えてもらいたいと思うのです。 まず第一に、大臣は五月三日のこの会議にどういう資格で出席をしたかという問題について非常にあいまいな答弁であった。しかし、はっきりしている事実は、来賓として出席をしたこと、これははっきりしているのではないか。そして来賓として出席をした場合に、どういう来賓として招請をされたのか、これもはっきりしているはずである。その点について、大臣の事実についての答弁をまず求めたいと思います。
○国務大臣(稻葉修君) ことしの国民会議に出席した私の資格は来賓としてではないんでありまして、自主憲法期成議員同盟の会員の一人稻葉修という立場でございます。
○橋本敦君 それはおかしいではありませんか。各紙やあるいはマスコミの報道によっても、あなたは来賓として出席したというように報道されている。そうすると、あなたはこの報道の事実は間違いだとはっきり言えますか。
○国務大臣(稻葉修君) 間違いでございます。
○橋本敦君 しかし、その答弁は承服できませんよ。たとえばあなたは、この自主憲法制定国民会議には、自民党の国会議員で自主憲法期成議員同盟、この皆さんも行っていると、よろしいですね、したがって自分も行ったのだと、こうあなたは先ほど答弁をした。これは間違いない。そうすると、自民党の議員の皆さんで自主憲法期成議員同盟に入っておって、この日この会議に出席された人は一々名前を挙げて紹介されたかどうか、その事実はいかがですか。
○国務大臣(稻葉修君) これで七回目ですけれども、いままでは大会と称する会合であって、今度は総会でございますから、たくさん行っていませんので紹介はいたしませんでした。
○橋本敦君 たくさん行こうが少なかろうが、紹介はされていない事実をあなたは認めました。ところが、あなたは紹介されていますね。どうですか。
○国務大臣(稻葉修君) それはそのとおりです。
○橋本敦君 あなただけがなぜ紹介されるか。まさに会としては、司会者としては、あなたを来賓として扱っておるからこそ紹介をしたのである、こう考えるのは当然じゃありませんか。さらにそのときにどのような言葉で紹介をされたのか、あなたは記憶していますか、していませんか、その点だけ言ってください。どういうように紹介されたか。
○国務大臣(稻葉修君) けさもそれ質問されましたから調べましたら、やっぱり法務大臣稻葉修という紹介です。 それから自主憲法期成議員同盟所属の自民党の国会議員は、ことしは総会だからいいだろうというんで一人も出てなかったようですな。前議員はたくさんおられましたけれどもね。それだから、会員としては一人しか出てないから紹介したんじゃなかろうかと思うんですが、現に法務大臣の職にある者ですからそういう紹介をしたのであって、法務大臣として出席したとは私考えておらないわけです。
○橋本敦君 それはあなたの詭弁ですよ。私はテープを、こうした原文をここに持っていますが、司会者があなたを紹介した言葉を読んでみますよ。「ちょっとここで御案内申し上げます。非常にうれしいことには、本日お忙しい中を法務大臣の稻葉修先生がお見えになりました」。いかがですか、そういうように紹介された記憶ありますか。あるでしょう。
○国務大臣(稻葉修君) さようでございます。
○橋本敦君 ここで二つの重要な問題があります。一つは、あなたは法務大臣として紹介をされたということについて、いや、きょうは違うんだと、法務大臣ではないんだと、全く稻葉個人だというような訂正は一言も言っていない。これがはっきりした事実。もう一つは、「非常にうれしいことには」という表現で紹介されている趣旨は何を意味するか。これは現職の法務大臣であるあなたが来たことによって、その会議がまさに憲法改正の運動を促進するという方向に向けて鼓舞され、勇気づけられ、促進されるという期待があって「非常にうれしいことには」と言われている。これはまさに常識的な判断でそうなります。おわかりですね。首を振っておられるからお認めになると思う。これは常識的な判断です。 このような紹介をされ、非常にうれしいことだと喜ばれて、しかも法務大臣だと紹介をされてあなたは一言の訂正もしないで平然と座っている。これは一体あなたの心境として何を意味したんですか。はっきり述べてください。あたりまえだと思ったのか、その紹介は。当然だと思ったから異議も言わないで座っていたのか。ああ結構、賛成だと、私はそういうことで皆さんが喜んでくれれば来たかいがあったという意味で座っておったのか、あなたのそのときの心境を言えますか。
○国務大臣(稻葉修君) 前者とも後者とも全然深くは考えませんでした。
○橋本敦君 問題ですよ。自主憲法制定国民会議という会議は、あなた自身が言っているように、きわめて悪い改悪をしようとするような、私どもの言葉で言えば右翼的な反動的な人も入っている。むしろあなたは、それをチェックするんだとさえ言ったじゃないですか。そういう会議に法務大臣として出席をしてうれしいことだと喜ばれる、こういう紹介を受けておきながら、何とも判断できない心境のままであったと、無責任きわまるじゃありませんか、大臣として。これが法、憲法を守る職責にある大臣として、そんな無責任な心境で座っておって職務が務まると思いますか。これが第一にあなたのそもそもこの会議に出席した第一の問題として、あなた自身がまさに法務大臣としての職責に真剣でないという一つの証左だと私は思う。 次に、質問を移しますが、岸元総理からメッセージが届いた。あなたはそれを正確に覚えていないというので、議論を発展させるために峯山委員からも話があったが、正確に読んでみます。そのメッセージはテープを起こしたところによると、いろいろ書いてありますけれども、要するに、現在の憲法は国の治安、教育、政治、経済、福祉のあらゆる面に破綻を露呈している。いいですか、あらゆる面に破綻を露呈しておる。これら諸悪の根源である現憲法は、一日もすみやかに改められなければならない。これがまさにこの自主憲法制定国民会議の議長であり、岸元首相のメッセージの一つの部分ですよ。こういうメッセージが堂々と朗読される会議は、一体何だろうか。一言で言うならば、現在のわが国の憲法体系下にある教育、政治、経済、福祉、あらゆる面が破綻をし、その破綻の原因となっているのがまさに現憲法、そのものが諸悪の根源だと、こう言っている会合ですよ。このようなメッセージは、今度は法を守る法務大臣としてのあなたに聞くけれども、まさに現憲法の基本精神と基本体系、これを侮辱し、侮べつし、全面的に批判をし、そしてまさに現憲法を守ることを中心に行われている今日の議会制民主主義、これをないがしろにすると言ってもいいほど憲法の基本精神に対する侮辱的言辞だということは客観的に見てはっきりしていると思います。いまこれについてあなたは、どういうお考えを持ちますか。そのときどう聞いたかじゃありませんよ、いま、このメッセージについて。
○国務大臣(稻葉修君) いま、そのメッセージはよろしくないと、しかも、そのときも、これ岸さんの自分でお書きになったものじゃないなとは思ったんです。それは岸さんといままで話してきたことと大分違っているものですから、そういう感じです。
○橋本敦君 これはよくないと、よくない理由は、現在の憲法の基本精神と体系に対する正しい批判どころか、全く侮べつ的な許しがたい侮辱であるということですよ。しかし、あなたはいま重要なことを言われた。これは岸元総理、議長がじきじきに書いたものだとは思えぬ——そんな不見識なことがありますか。岸さんという人はこういう重要な問題を人任せにして自分で手を入れず、考えもせず、堂々と自主憲法制定国民会議で読まれることを平然としておるような無責任な人と解してよろしいか、あなたのお考えどうですか。岸総理よく知っているから、自分で書いたんじゃないと、こう言うんだけれども、それほど無責任な人ですか。
○国務大臣(稻葉修君) どうもこの起草者の見解がたくさん入っているように思いますしね。
○橋本敦君 岸さんという人はいつも……
○国務大臣(稻葉修君) 私は、自分は自民党の憲法調査会長のときはしょっちゅう出て、ふだんの、月に一回やっていますがね、われわれのは、憲法の基本原則は動かさぬと、それから改正の手続はあくまでもやると、こういうことでやってきたんですからね。
○橋本敦君 質問に答えてください。
○国務大臣(稻葉修君) ですから、そのメッセージは穏当でないと、私の思想から言うと穏当でないと、こういうことを申し上げている。
○橋本敦君 岸さんという人はこういう重要な問題を人任せにして何の責任もなしに朗読されて平気であるというようなことをやってきた人かどうかと聞いているんですよ。
○国務大臣(稻葉修君) そういう点は、人のことですからわかりませんけれどもね。
○橋本敦君 よろしい。それがあなたが言ったように、これは岸さんが書いたのではないということも根拠ないでしょう。
○国務大臣(稻葉修君) ええ、ありませんね。
○橋本敦君 そうでしょう。根拠のないことを答弁してもらっては困りますよ。
○国務大臣(稻葉修君) それはどうも……。
○橋本敦君 「それはどうも」で済まぬですよ。
○国務大臣(稻葉修君) 委員長、ちょっとすみません……
○橋本敦君 時間がないですから、いいですよ。真剣に答弁をしてもらいたいですよ。 ところであなたは自民党の憲法調査会の責任者として稻葉私案というものを発表されたことがありましたね。そして現在自民党の憲法改正大綱草案というのがこれは公に発表されていますが、この憲法改正大綱草案はあなたがつくられた稻葉私案を基本的に踏襲をして、それをもとにして作成されたものだというように理解をしておりますが、それは間違いないでしょうね。
○国務大臣(稻葉修君) 簡単に言えばそういうことでございます。
○橋本敦君 したがってあなたは改憲論者であるということを堂々と国会の場で言われたのだが、あなたの改憲の方向は何かという問題はこの憲法改正大綱を見れば基本的に理解ができる、これも間違いないですね。
○国務大臣(稻葉修君) さようでございます。それと一番私の申したいことを言うてあるのは、第四回自主憲法制定国民大会あいさつ自由民主党憲法調査会長稻葉修と、この文章が、これはこのまましゃべったわけですから、これを見ていただくと私の思想傾向をおわかりいただけるのではないか……
○橋本敦君 読んでいます。 私が次に聞きたいのは、この自民党の憲法改正大綱草案によると、「憲法改正の方向」と題して、まず第一章として、天皇についてはこれを国を代表する旨を規定すると明記してある。つまり、これは憲法上の用語で言えば国家元首の問題。それから第二章の戦争放棄については、九条一項はそのまま置いておくけれども、陸軍、海軍、空軍その他の一切の戦力は保持しないという明文は削除をして、あなた方の言葉で言えば自衛力、われわれの言葉で言えば軍隊、これを憲法上疑義なく保有できるようにするという問題。第三の問題は、国民の基本的人権について、第三章では、これは公共の福祉との関係が現憲法では明確を欠くので、したがってこの点については個別的にその権利の内容、限界を定めるというように明文化されている。これは基本的人権についての制約の問題として理解される内容がある。第五章内閣という問題では、内閣に緊急状態における特別の立法、財政措置の権限、つまり非常事態権限、これを付与するという規定を設ける、こういうことを明記している事実は、これはもう文章上発表されているから明らかであります。そうすると、あなたは改憲論者であるということを堂々とここで主張してその方向づけをあれこれ言われたが、憲法の細かい字句のあれこれではなくて、まさにいま言ったような問題は現在の憲法が基本原則としている原則、これを根本的に変更するということになる、そういう問題を提起していることになる、これは間違いありませんね。
○国務大臣(稻葉修君) そう思わないんですよ、私ね。あなたがおっしゃるのは、憲法九条の問題について、これは本当は内容にここで入るのはいやなんですけれどもね。
○橋本敦君 九条だけじゃない、基本原則に……
○国務大臣(稻葉修君) あなたがお聞きになるものだから、もういまこういう問題ですからね、本来ならばこういう内容に立ち至った論争みたいなことをここで申し上げるのは差し控えた方がいいんではないかと。というのは、内閣の議運に対する文書の回答もございますし、私自身も三木内閣の閣僚として、内閣全体としてこんなまだ未成熟なものをあなたとやりとりをして誤解を与え、内閣の方針である、現内閣は直ちにいま憲法改正の作業に取りかかる意思はないということと矛盾するんじゃないかという誤解を世間に与えるようになりますので、なるべくこの内容に立ち至ったそういう議論を、せっかくの御質問でありますけれども、本当はお答えしない方がいいのかもしれませんけれども、お聞きになるものですから。
○橋本敦君 要するに、あなたの改憲の方向は、あなたの私案をもとにして自民党の憲法改正大綱草案にこれがつくり上げられていると、これははっきりしているのですよ。この改正の大綱草案では、いま私が指摘をした重要な改正方向が明文化されておる、これもはっきりしているのです。だから細かい議論はしませんよ。あなたは、もちろんあなたの私案をもとにしてできた改正大綱だからこれに賛成でしょう。これだけ答えてください。
○国務大臣(稻葉修君) 私の私案とあなたがお読みになったこととが内容的に違っているものですから……。
○橋本敦君 私案を読んだのじゃないです。あなたの私案をもとにしてつくられた自民党の改正大綱草案、これは賛成でしょうと聞いているのです。
○国務大臣(稻葉修君) 私は賛成なんです。そしてそれに対する解説を私しゃべっておりますからね。あなた、ただね……
○橋本敦君 内容に入るのですか。
○国務大臣(稻葉修君) いや、ただね、あなたがそうやって一方的に内容の一部を、たとえば憲法九条第二項を削るのだと、それだけをおっしゃるから、削ると同時に、同時にだね、自衛力を持つということを規定すると同時に、歯どめを憲法上きちんきちんとつけなければいけませんという点は省かれますものですから、それがいやなんですよね。
○橋本敦君 あなたがいやであろうが何であろうが、質問は質問だから答えてくださいよ。 ところで、現在あなたは御存じでしょうが、自民党の中で自主憲法期成議員同盟というのがあって、これはやはり同じく岸さんが会長ですね。この会では、すでに自民党内部のこの自主憲法期成議員同盟では、小島徹三会長が言明されたところによれば、党内ではこの憲法改正論議は出尽くしておって、すでに成文化の段階に入っておると、第一章は天皇の項ですが、すでに成文化されておるというように報道されているのですが、この事実はあなたも御存じでしょうね。成文化の方向にその会が動いている事実、いかがですか。
○国務大臣(稻葉修君) 小島徹三・自由民主党憲法調査会長はそういう意向を持っておることを直接本人から聞いております。条文化を急いでいかなければいけないと。
○橋本敦君 そうすると、自民党の内部の会は成文化を急いでいる、これはあなたは御存じでいる。そしてあなたの私案をもとにして自民党の改正大綱もでき上っておる。そうして自主憲法制定国民会議は、一日も早くこの憲法制定を運動的にやろうということで今次総会を持って、岸議長からはメッセージが寄せられている、こういう会にあなたは出席をしていると、こういうことなんですよ。 そこで、もう一つこの会について聞きますが、岸元総理のこの会議へのメッセージは、出席した諸君にどういう呼びかけを行ってこれを結んでいるか思い出してもらいたい。一々覚えておられないでしょうから、私が速記を起こした文章を読みますから、そのとおり間違いないなら間違いないと答えていただきたい。こう言っていますよ。「自主憲法制定議員同盟の諸君は、」——いいですね、「議員同盟の諸君」——あなたも入る。「国家のリーダーの立場から又国民会議に参かくをした同志諸君は、」——これは議員同盟以外のその会議へ来た皆さん、これはまさに「国の志士として共に共にこのうずまきの中心をなす回転の大きな柱となって」「奮起しなければならない。」、こうメッセージが寄せられている。こういう言葉御記憶ありますか。——当然ありますね、うなづかれたから。そうすると、あなたは岸議長から、あなた自身が法務大臣として出席し、かつ自主憲法期成同盟の一員であるあなた自身は、ここに書いているように、国家のリーダーの立場から奮起をして憲法改正を急ぐようにというメッセージを寄せられ、あなた自身激励されているわけですよ、このメッセージに。いいですね。そういう会合にあなたが出席をした。いいですか、これは改憲の是非を単に議論するということではなくて、いいですね、まさに改憲の運動それ自体の中に、あなたが岸議長から、憲法は諸悪の根源だと称する岸議長から激励をされ、一層奮起をして改憲を急げと、こう言われた。あなた自身の出席が会場の人たちに非常な喜びだと迎えられてその改正運動を鼓舞しておる。こういう結果に事実としてなっておるということになる。この事実はお認めになりますか。
○国務大臣(稻葉修君) そんな力は私はないんでございまして、そうしてこれからもまだ容易なことじゃないと思うんです。条文化を急ぐなんと言ってみても、これはなかなかもっとうんと検討に検討を加えなければならない重大な問題でございますからね。
○橋本敦君 質問に答えてください。奮起を促されているんでしょう、奮起を。
○国務大臣(稻葉修君) それはまあそういう総会にもなれば、それぐらいのことは、奮起を促すとかなんとかいう演説はあるんでしょう。
○橋本敦君 法務大臣、不見識ではありませんか。国の基本法である憲法、いいですか、これの根本原則を変更するかしないかというような大問題になっている改正問題について、あなた自身が奮起をして、そうして改正の方向を一日も急げと激励されるようなメッセージが、その会に出て、法務大臣として。それで、こういう会議はそのくらいの言葉の激励のメッセージはあるでしょう、そんなことで大臣として済ましていいですか、あなた。問題はそこですよ。反省しませんか、あなた。どうですか。答えてください。こんなぐらいの激励のあいさつはあたりまえだと、それでおしまいですか。やはり自分はあの会議に、いいですか、だれが何と言おうと、法務大臣という資格で紹介をされ、現実に喜ばれ、そして岸議長からは、同志諸君とも言われ、同盟の議員の皆さんは国家のリーダーとして奮起せよというメッセージの激励を受けてきたと。反省しませんか。一言答えてください。
○国務大臣(稻葉修君) 反省という意味はどういうことか。わしはこれからああいう激烈なことにならないようにもっとやらなければならぬと思っているのですよ。
○橋本敦君 激烈な会議にあなたが出たじゃないですか。
○国務大臣(稻葉修君) だから、それを聞いた以上はまた押さえる方向に努力します。努力しなければならぬなと、法務大臣としても、そのくらいのことはやらにゃいかぬなと、こういうふうに思いますね。
○橋本敦君 全く反省も、あなたの大臣としての責任もないですよ。そこにあなたが出席したという、そのこと自体が国会でも問題になって、現にきょうは官房長官から内閣の統一見解まで出されているじゃないですか。その中で、あなたが言ったことは、「個人の資格においてであるが、」と、こう書いているが、これは私どもは承認しないけれども、「これについて誤解を招くおそれがあるという意見もあるので、」、この文章の書き方もけしからぬけれども、要するに誤解を招くという意見がある、その意見を無視できないから、意見があるのでと、これを認めてこれを出しているわけですよ。当の本人のあなたがいま私が指摘したような、運動としてどんどんどんどん憲法の改正をやっていくというような、そんな激烈なというあなたの言葉の集会に出て、いま反省せぬでいいですか、このきょうの統一見解が出た段階でも。反省すべきところはないと、ないならないと言ってください。いいです。
○国務大臣(稻葉修君) イエスかノーかというような問い方をなさらぬで……
○橋本敦君 あなたが言ったのです、激烈と言ったのは。
○国務大臣(稻葉修君) もう少し、私、前にも慎重の上にも慎重を期すべきものでございますと、何度も言っているんです。私に発言させてくれれば……。しかし、今度の総会は発言すべき資格でなく行っていますから、それだから慎重の上にも慎重を期すべき重大問題でございますということは言えないんでございまして。それから官房長官のことについては異論ございません。だから、誤解を生じたという点については遺憾だと、残念だなと。
○橋本敦君 あなたは法務大臣として閣内にあって、まさに憲法を擁護する、最も先頭に立って擁護しなければならない、尊重しなければならない義務のある立場だ、これは百もわかっておられると思うんです。 そこで聞きますが、あの自主憲法制定国民会議にあなたが法務大臣という資格で紹介され、そこで喜ばれ、鼓舞激励を受けるというようなことで出席したことは、あなた個人が改憲の意見の自由という問題ではなくて、そういう会を鼓舞激励したという結果になっている。そのことを考えれば、単に改憲を論ずることはこれはできるんだという問題ではなくて、現実の改憲運動に手をかしておる、そういう改憲の政治的促進に手をかしておるという結果になっているという事実、これを考えれば、まさに憲法を尊重し、擁護する義務がある法務大臣として、みずからの服務規律、これに違反すると考えませんか、どうですか。問題はそこですよ。
○国務大臣(稻葉修君) どうしても違反するとは思っていないのです、私。
○橋本敦君 話にならぬというがんこさですな、あなたは。いいですか、憲法九十九条の直接の問題を私はしないけれども、前に倉石さんがめかけ憲法などと称して大問題になって辞任された事例は人の知るところですよ。そのときに、上智大学の佐藤功教授が憲法の尊重とは何かという論文を「世界」という雑誌にお書きになっている。ここで言っておられることは、閣僚が憲法を尊重する義務があるということは、だれに対する義務か、国民に対する義務としてあるんだと、はっきり言っておりますよ。これは認められますね。あなたが憲法を尊重するという責任は、国民と国会に対する責任の問題なんですよ。そうしてしかも、その尊重する内容とは何かと言えば、まさに憲法のあれこれの規定の条文に一々合致するかしないかというより以上に、憲法の基本精神に誠実であり忠実であるかどうか、これが憲法を擁護するあなたの国民に負う責任だと、こう書いております。この意見はあなたも理解できますか、賛成しますか。
○国務大臣(稻葉修君) 大賛成でございます。
○橋本敦君 それに大賛成ならば、少なくとも内閣が統一見解で疑惑を招いたと、こう言っている。そうして国民は、三木内閣は口ではきれいなことを言うけれども、国会で堂々と胸を張って改憲論者であることを主張し一欠陥憲法だと、こう言い、いいですか、きょうの答弁をされたようなあなたを閣僚に置いて、三木内閣は公約とは逆に憲法改正を急ぐ内閣ではないかという国民の不信感をかき立てたとすれば、まさに国民に対する憲法尊重義務という忠実性、誠実性、これをあなた自身の行為が欠いたということですよ。反省しませんか、それでも。
○国務大臣(稻葉修君) そういう誤解を招いたことははなはだ自分の本当に思っていることと違っているから遺憾であるから、今後はもっとあれして慎重にやるべきものだと、こういうことでなければいかぬし、私、閣内においてもいろいろな法律でそれはちょっと憲法に触れるんじゃないでしょうかねと、現行憲法のその点のいいとか悪いとかいう問題じゃありません。現行憲法にそれは触れますよということを、二、三わずかな時間でありましたけれども、一生懸命に擁護しているんです。
○橋本敦君 本当に憲法を擁護する人なら、こんな集会に行けるはずないですよ、行くべきではないですよ。そんなことは通りません。いまあなたは、国民の疑惑を招いたということについては、今後慎重にやらねばならぬとおっしゃった。これは、あなたが反省しないということを言い続けている中で、一つの反省にやっと到達し始めているのではないかと思うのだけれども、いいですか、しかしそれにしても、きょう閣僚に対して、及びあなたに対して厳重注意をするということを総理及び閣議の方で決められたということだけれども、あなたはこれについてどう考えていますか、いま。自分が注意を受けるのは相当だと考えていますか。
○国務大臣(稻葉修君) えらい反響を呼んでいますからね。総理大臣は、三木内閣では改正する意思はないと言い、国会に答弁している責任上、そのくらいの注意はあってしかるべきであると、私もこれを非常に容認し、三木内閣がさらに進んで憲法の改正の意思はないということを国会に明らかにする責任があると、私自身は一番ある、こう思って、先ほどから三木内閣がそういうふうな方針であると同じように、私もせっかちにそんな改憲を一日も早く急げ急げなんていう気持ちは毛頭持っておりませんということを申し上げて、反省の意思を表明するということになりはせぬかと思っていますが。
○橋本敦君 わかりにくいのですね、あなたの答弁ね。要するに、あなた自身は注意をせよというような、処分とは言わないが、そういうことを受けたことについて、自分の行為が原因となってこの注意を受けたこと、これは異議がない、その注意は相当であると、やむを得ない、自分の行為はやはり間違いであったと、こういう意味で受け取っているのか、三木内閣は憲法を改正しないと言っているのだから、注意するのはあたりまえだと、それでしまいなのか、どっちなんですか、一体。
○国務大臣(稻葉修君) 私は全然反省しないという無神経なことを言っているのじゃないのですよ。ただ新聞のとり方や何かが、改正論をすることは九十九条違反だというようなことを言うものですから、非常に抵抗を感じまして、それじゃ九十六条というのは空文化して、そういうことを、いわゆるそれを守って改正論議を進めていく一切の言論が封圧されて、そういう言論をなすやつは閣僚にはしないということになりますと、これは思想信条の違いによって妙な差別をすることになりはせぬかと思うものですから、そういう点はもう少し自由にしてもらいたいものだなあと、ただ今回の場合はえらい反響を受けて、私はしかし、倉石さんの場合と違って、軍隊を持って漁民を守れなんという、そういうことを言っているのじゃないのですから、その辺の違いは法律家である橋本先生はよくおわかりであると思います。
○橋本敦君 あのね、大臣ね、問題をそらしちゃいかぬですね。私が言っているのは、三木内閣は改憲の意思はないということを、あなたの行為自身から問題が起こってきょうまた改めて表明した、いいですか、それであなたは、いま三木内閣はそういうように改憲を目指さないと、こう言っている内閣だから、一日も早く憲法を改正せよというようなことではないのだ、私もそうじゃないと、こう言ったでしょう。一日も早く憲法を改正せよというような会合へあなたは行っているのですよ、そうでしょう。だから、本当に改憲をやらないという三木内閣であるならば、このような一日も早く憲法を改正しようというような会議に出たことについて反省しなければならぬのじゃないですか、どうですか。もう一遍答えてください。
○国務大臣(稻葉修君) それで、いままでそうでなかったのだけれども、慎重にしなければいかぬ、研究に研究を重ねてこういう問題はやらなければいかぬということをしょっちゅう言ってきて、いままでの大会ではそうだったのですな。ところが、今度はそういうお読みになったようなことであったり、諸悪の根源になったりしますからね、もうだんだん何だかこうエキサイトしてくるし、これは後で幹部に話さなければいかぬなということで実は途中で帰ってきたのです。
○橋本敦君 いやいや、途中までおったっていかぬよ。あなたはそういう会合に行ったことを反省していますかという質問です。
○国務大臣(稻葉修君) 結果としては。
○橋本敦君 これは憲法という国の基本法と国民のやはり政府に対する信頼、三木内閣に対する信頼の問題、そしてまさに憲法という国民の基本的人権を擁護する民主国家としての大事な根幹にかかわる問題を本当に真剣に議論しているんですよ。ところが、大臣のああいう答弁で、法務大臣が本当にこの民主憲法を閣僚である限りは必ず守るんだという誠意と決意があるように私は思わぬですわ。だから、私は大体質問をこれで終わりますけれども、これ以上もう質問する意思ないです。だから、もう一遍この法務省審査をどうするか御検討願いたいですね。
○小谷守君 議事進行についての意見でありますが、稻葉法務大臣の五月三日改憲集会出席に関する問題について各党から心境をただしたのでありますが、内閣の統一見解とも不一致の点が多い。あなたは、現職の法務大臣が国会の場において改憲論を繰り広げるがごときは前代未聞のことであります。当委員会としては、昭和四十七年度法務省関係決算の審査に入ることはできないと思います。法務省関係の審査は中断し、事後の処置については理事会で協議することとされたいと思っております。委員長におかれましてよろしくお取り計らいのほどをお願いいたします。
○委員長(前川旦君) ただいま小谷君から議事進行についての発言がありましたが、委員長といたしましても、法務省関係の審査を保留といたし、事後の取り扱いについては理事会で協議することにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(前川旦君) 御異議ないと認めます。 それでは、法務大臣及び法務省関係者は退席していただいて結構です。 なお、運輸省と日本国有鉄道の審査は、これを継続いたします。 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(前川旦君) 速記を起こして。
○田渕哲也君 私は国鉄の再建問題について御質問をしたいと思います。 国鉄の財政再建計画というものが過去何度か立てられたわけでありますけれども、いずれももうすでに破綻しておるわけです。四十四年のやつはもちろん、その後新たに立てられた四十八年の再建要綱に基づく計画についてももうすでに破綻し、現在この膨大な繰越赤字あるいはその年度期間の赤字というものがあるわけです。この破綻の原因というものはいろいろあろうかと思いますけれども、私はこれから先の国鉄再建についての見通しと方策について、運輸大臣並びに総裁の所信をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(木村睦男君) 国鉄がいまのような破産に頻するような状態になりましたのは、もうすでに十年という歳月を経たわけでございますが、昭和三十九年ごろから毎年の経理が赤字になってきたと、それがずっと今日まで続きまして、今日負債、借金全部入れまして六兆円にもなんなんとするような状況になっておることは御承知のとおりでございます。なぜこういうふうになったかということを、まず今後の再建のめどを立てるためにも反省が必要でございますが、いろいろ原因があるわけでございますが、一つには、やはり再建計画も二回にわたって立てたわけでございますけれども、当時経済の高度成長の時代でもございました。したがって、経費の面におきまして予想以上に物価高の影響を受けて非常に増大した、あるいはマイカーその他、他の交通機関が非常に発達しましたために利用旅客の数が減る、またトラック輸送が非常に道路交通の面で発達しましたために貨物輸送も減ったと。収入の方の思わない収入減、これらがずっと続いたわけでございますが、それらの中にありまして、さらに人件費が予想以上に上がってきた、こういった事情があるわけでございますが、それらの中で収支のバランスをとるために、やはり交通事業でございますので、運賃収入というものが交通事業経営の一番の根幹になるわけでございます。 適時適切な運賃改定をやることによって交通事業の健全経営ができるわけでございますが、実は二回にわたります再建計画におきましても、いろいろと運賃改定の計画を立てたわけでございます。ことに四十八年からの十カ年再建計画におきましては、大体三年に一回、実収一五%程度の増収になるように運賃改定の計画を組みまして、これが実は四十八年以降の五十七年に至る最後の十カ年計画の根幹をなしておったわけでございますが、この最初の運賃改定も約一年半延びた、そういうようなことがあり、また今後三年ごとにやることを予想しております運賃改定も、現状ではそのとおりにできるかどうかということにつきまして非常に不安定な要素が予想される。そういうふうなことで、四十八年に立てました十カ年計画もとうていこれでは達成できないということになりまして、そこでさらに改めて今後の再建の計画をつくり直さなければならないという羽目になったわけでございます。 そこで、五十年度におきましてその計画を立てるべきであったのでございますけれども、御承知のように、ちょうど高度成長経済からインフレ物価対策のために経済政策もここで大転換をしなければならない、そして経済の成長も緩やかな安定した成長に持っていかなければ物価対策上も困るというふうな、政府の財政政策も従来とは変わった財政政策に移っていきつつある五十年でございますので、五年なりあるいはそれ以上の長期計画を立てるために、その背景となります経済発展計画等もここで見直しをしなければならない状況に立ち至っておるわけでございます。したがって、それらの構想を練り直すためにも五十年度という一年間が必要でございますので、これらの背景になる経済発展計画等の見通しが立ちましたのを背景にいたしまして国鉄の再建計画を組まなければ実情に合った再建計画はできないわけでございます。そういう意味におきまして、現在その計画の見直しと今後の再建の構想を練りつつあるのが現状であるわけでございます。 で、将来の展望をいたしますときに、現在の国有鉄道というものが御承知のように公共企業体と称せられておるとおりに、企業性を発揮すべき面と、企業性とは理論的に一見矛盾いたします公共性の発揮、両方の使命を持って国鉄の再建を図らなければならない、これが国鉄の宿命でもあるわけでございます。そこで、公共性を強く強調しようとすれば、これはやはり企業採算の面ではマイナスの作用が働く、そういうふうなことでございますので、今後の再建につきましては、従来とも国が財政の面でいろいろと措置をいたしてまいっておりますけれども、この面におきましても、一体今後の国鉄の経営に当たって、一つの原則といいますか、一つの原理といいますか、そういうものの上に立って、それでは国鉄自体の企業努力なり、あるいは運賃収入によってどの程度経費を賄うか、また国の財政的な援助はどの程度あるべきかということも、この際ある程度一つの原則というものを見出して、その上に立って今後の再建計画を立てていかなければならない、かようにも考えておるわけでございます。 同時に、一番必要な運賃問題につきましても、今日まで国鉄の運賃の改定の仕組みというものが、今日やっておりますこの行き方で果たして本当に適時適切な運賃改定ができるであろうかという問題も、この際は思い切って検討をしなければならないであろうということを私は痛感いたしておるわけでございます。これらは、いずれにいたしましても、国民の大なり小なり日常に非常に密接な関係のある問題ばかりでございます。したがって、そういう要素を含めて今後の国鉄の再建を考えますときに、やはり国鉄当局あるいはわれわれ監督の衝に当たっております者だけの間でこういう問題を検討をいたし結論を出しても、国民の納得も得られないでありましょうし、あるいは国民を代表しての国会の了承も得ることはかなりむずかしい問題であろうと考えております。 したがって、今回はそういう再建計画をつくり上げる過程におきまして、十分国会の皆さんの御意見を聞き、またお力もかり、さらには利用者といいますか国民を代表する方々の御意見も十分に聞きまして、そうして皆さんが納得をされ、皆さん方が賛成をしていただくような空気の中で最終的な再建計画を立て、そうして今度はその再建計画がそごしないように、中途で挫折しないような再建計画を立てなければいけない、かように考えて、現在その根幹ともなるべき基礎作業を私の方並びに国鉄とタイアップをしながら検討をしておるという現状でございます。したがいまして、いずれこの再建計画のあらましができました際には、国会の皆さんにも十分御意見をお聞きし、また御検討をいただいて完成をしていきたい、そうして今後の国鉄の再建に邁進をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
○説明員(藤井松太郎君) ただいま運輸大臣がおっしゃったとおりでございますが、国鉄といたしましては、現在、四十九年度におきまして累積の赤字は二兆二千億もあり、長期債務が五兆五千億もあるというようなことで、五十年度はさらに純損失が七千億も出てくる、五十一年度になれば一兆にもなるだろうというようなことでございますので、今度の五十一年度を目標にした国鉄の再建計画は、国鉄の赤字の原因を徹底的に洗って、できるだけこれを解決していただくものじゃないと、また数年ならずして同じことを繰り返すことになるじゃないかということで、そういう点を皆さんにお願いして、その骨子の検討をいたしておる次第でありますが、これは多少語弊があるかもしれませんけれども、国鉄はなぜそんな恐ろしい赤字になってきたかということを考えてみますと、昭和十年なんて戦前を基礎にするのがいいか悪いかは別として、仮にそういうものを基礎にしますと、昨年の十月に上げていただいた旅客運賃が三百二十七倍、昭和十年ごろの三百二十七倍、賃物運賃は二百九十五倍になっているというようなことでございまして、物価政策とかなんとかの影響で国鉄の運賃が不当に抑えられてきたということがはっきり言えると、かように考えられまして、それがやっぱり赤字の根本的の原因じゃないか、かように考えるのであります。 それで、消費者物価も御承知のように昨年あたりで大体九百十一倍、同じ指数を使って。つまり昭和十年ごろを一とすると九百何十倍になっておる。その当時一人一キロが国鉄は大体一銭五厘見当であって、はがきも一銭五厘だったんだが、はがきは六百六十倍の十円にして、さらにこれを千何百倍の二十円にしようというような時代でございますので、国鉄の人件費であるとか物件費が物価指数に支配されて動いていきますので、やはり不当に抑えた賃金というものは、これは政府からお金を借りてその負担を将来の国鉄の利用者にツケを回すという以外に方法はないのでございまして、私どもの考え方としては、やはり要るだけの金は原則としては旅客からちょうだいするということが原則じゃないか、これにはいろんな御議論ございますけれども。そういう考えに立ちますと、昭和五十一年度におきましては大体一兆円ぐらいの赤字が出まして、これは運輸収入よりも若干下回っておりますけれども、大体そんなような似寄ったような同じけたの数字になりますので、運賃だけに依存するということになりますと現行の運賃の二倍程度、つまり現在三百何十倍になっているものを昭和十年ごろの指数に直して七百倍ぐらいにしていただかぬと国鉄の赤字は依然として消えぬということになりますが、政府の御援助があったり、いろんなことになりますが、国鉄の四十三万の働く者の気持ちとしては、やはりその運賃でいただかないと、政府のお助けを願ったということではこの連中はなかなか張り切り方が少ないというような欠点もございますので、でき得べくんば、そういったものはひとつ運賃二倍程度の運輸収入をふやしていただいて赤字を消していきたいと、かように考えている次第であります。
○田渕哲也君 確かに適正な運賃あるいは政府の適正な助成というものも必要だと思いますけれども、私はこの運賃引き上げが国民の合意を得られるような情勢をやっぱり国鉄自体がつくらなきゃいかぬと思うのです。それには私は余りにも不合理な面がそのまま残されておると思います。一例を挙げれば赤字路線の問題ですね。赤字路線の問題については四十六年に総合交通体系についての基本的な考え方が明らかにされました。この考え方としては、鉄道の主要な任務は長距離幹線輸送である、地方ローカル輸送はむしろ自動車の方がいい、こういう交通手段の適正配置ということについての考え方が何ら生かされていないわけです。一時、その時期には八十三線二千六百キロの廃止の問題がいろいろ論議されました。ところが、田中さんが総理になって以来、日本列島改造論にかこつけてぼやかされてしまった。現在、赤字路線についてどういう考え方を持っておられるわけですか。これは運輸大臣にお伺いしますが。
○国務大臣(木村睦男君) 赤字路線をどういうふうに処理するかという問題でございますが、先ほど私がちょっと触れましたように、国鉄は企業性と同時に公共性というものを使命としておるわけでございます。したがって、単純に経営の面からだけで、赤字路線であるから国鉄はやるべきでないという議論には私はくみし得ない面があるわけでございます。総合交通体系の中で、先ほどお話しになったような陸上交通機関それぞれについてのそれぞれの使命というものは一応できておるわけでございますが、しかし、現状を見ますときに、必ずしも現状がそのとおりぴったり合っているということもまた言えない面もあるわけでございます。したがいまして、赤字路線の処理につきましては、四十八年につくりました再建計画の中でもいろいろ方策を講じておりますけれども、やはり赤字路線とは言いながら、それが地元の住民の皆さんに対するメリットは相当持っておるわけでございますので、これを廃止するかどうかという問題はかなり社会的な問題でもあるわけでございます。 したがって、極端に赤字である路線につきましては、できる限り地元の了解を得て、また自動車その他代替交通機関の便宜を供与することについても政府が力を尽くして、そして廃止するというふうな方向で行っておりますけれども、そうは申しましても、赤字路線というものは、いまの国鉄の中で、新幹線と国電と高崎線を除いたら全部一応赤字路線というふうな状況で惨たんたる状況でございますので、赤字路線全体について廃止すべきかどうかという議論はこれは極論でございますので、その中で、地方の閑散線区の中で代替交通機関もあり、また地方住民が十分に納得し、またその地方の公共団体もこれに対していろいろと方策を講じ得る状況のもとで廃止していこうという立場をとっておるんでございまして、またどうしても赤字でも存置しなければならないものも、ほとんどが残るわけでございますから、それらにつきましては国鉄の運賃収入ということだけで、つまり企業性の面においてこの赤字路線の運営をやるということも無理でございますから、ここにやはり政府として公共性の立場からどのように資金援助をするかという問題も出てくるわけでございまして、そういう実情をすべて総合的に勘案しながら今後の赤字路線の対策を講じていきたい、かように思っておる次第でございます。
○田渕哲也君 私はきれいごとじゃいけないと思うんですね。公共性の名のもとに赤字路線を残さなきゃならぬ、これは当然だと思うんです。しかし、それを言うなら私は、ナショナルミニマムとして、国民の足として鉄道が奉仕をするなら、人が一人でもおれば全部鉄道を敷くべきですよ。そういうことはできないでしょう。どっかで線を引いて、この程度なら鉄道を敷く、この程度のところはがまんしてもらって自動車を利用してもらうとか、そういう体系がなかったらいかぬと思うんです。公共性だから赤字路線をなくせないとか……。なくせないならまだいいんです、いままである既得権を奪うことはないわけでね。昭和四十年以降廃止した赤字路線のキロ数は、御承知だと思いますけれども、四十三線二百七十キロです、わずかに。ところが、大体同じ期間に、三十九年以降鉄建公団がつくったAB線ですね、大部分が赤字路線だと思います、これは二十線で三百九十二キロです。それで、現在建設中のAB線が三十八線、千五百五十七キロ。新しくつくるのを少し検討してみたらいいと思うんですがね。きわめてあいまいなところでものを決定されるからいかぬと思うんです。だから、公共性といって赤字路線も必要だと言われるなら、一人でもいたら全部鉄道を敷くべきだと思いますが、この点どうですか。
○国務大臣(木村睦男君) そこで、私が先ほど申し上げましたように、同じ赤字路線の中でも、廃止すべきであるという判断に立つ路線と、存置しなければならないという線区との区分けをしなければならないわけでございまして、田渕委員御指摘のように、すべて赤字であっても運営するのだという考え方には立っていないわけでございます。ことに現在このように線区別に見て赤字が非常に大きいということは、必ずしもそこで旅客貨物が採算面を割って少な過ぎるというところばかりではなくて、やはり私はこれも運賃との関係が非常に色濃く出ておる赤字線区があると思うわけでございます。先ほど国鉄総裁が申し上げましたように、運賃というものが極端に低く抑えられておるので、これを正常な運賃に戻した場合に、一体いまのいわゆる赤字路線のどれだけが正常の路線になるかというふうなこともやはり検討しながら、廃止すべき赤字路線というものを考えていかなければならない。したがいまして、一人でも利用者があれば廃止すべきでないという議論ではございませんので、その点は田渕委員のお考えになっておることと私が考えておりますこととは、そう違いはないように私は考えております。
○田渕哲也君 いずれにしても、こういう問題に対するはっきりした方針を出し、国民に納得のいくようにしてもらわないと、政治家の選挙のために赤字路線をどんどんつくって、赤字がふえたから運賃値上げだということでは国民は納得しないと思うのです。 それからもう一つ私がお願いしたいのは、内部の管理体制といいますか内部の体制の問題なんです。これにはいろいろ問題がありますけれども、時間が余りありませんので簡潔にポイントをしぼって質問をしたいと思いますけれども、まず第一に職場の管理体制ですね。特にマル生以降、マル生後遺症というものがあるわけです。これについて国鉄総裁はどうつかんでおられるか。また、その改善の方策、見通しについてどう考えておられるか、お伺いをしたいと思います。
○説明員(藤井松太郎君) 御指摘のように、マル生というのは生産性を上げようという過程において不当労働行為というようなものが起こって御承知のような後遺症を生ずるというようなことになったのでございますが、私どもとしては、もうこれ二年もたっているので、マル生の後遺症の最も尤なるものは、現場の管理者と申しますか、現場の助役とか区長とかいう者が下を使う自信を喪失したということなので、私も副総裁も幹部理事諸公も暇があるごとに現場を回らして、おまえらは部下だからかわいがってやらなくちゃいかぬけれども、不当なことを、つまり現場の秩序を乱すような者があれば厳然たる処分をやって取り締まれというようなことを言って歩いておるので、最近は現場の秩序も多少はよくなったのじゃないかというような気もいたしますが、要は現場の管理者に自信をつけてやるべきであるというので、せっかくその面に努力をいたしておりますが、まだ十分とはもちろん申し上げかねて、現在のような事態に相成っておるという次第でございます。
○田渕哲也君 それから労使関係の問題があると思うのです。ストライキの状況も年々エスカレートしてきておるように思うわけです。そしてもちろんストライキは違法でありますから処分の対象になる。そしてストと処分の悪循環が続く、それがますます拡大しつつある。この悪循環をどうして断ち切るのか、それについて具体的な方策をお伺いしたいと思います。
○説明員(加賀谷徳治君) 私どもも長い間頭を悩ましている非常にむずかしい問題でございますが、このスト処分、ストという悪循環、そういったようなことは世論その他でもいろいろな観点から議論されておることでございまして、そのたびに私ども国民にいろいろ迷惑をかけておることは大変相済まぬと思って、何とか断ち切りたいという気持ちはただいま御質問の気持ちと変わりございません。この問題は、私どもとしましては、まず第一に、幾ら組合から見て悪法といえども法律としてある以上、それを守らないということについては、けじめはけじめとしてはっきり処置するという立場をこれまでもとっておりますし、今後もそういうふうに考えておるということをまず申し上げたいと思いますが、いずれにしましても、この問題、一つの労働問題としての大きな意味から申しますと、国民世論その他いろいろな関係がございます。また、組合はただいま目下労働基本権の問題で盛んに運動を展開しておりまして、政府も秋までにこれを解決するというような言明もしておりますので、そういった情勢その他からいきますと、大分様子が変わってきておるということも言えるのじゃなかろうかというふうに思います。要は、私どもとしても、当時者同士の問題としましては違法行為を繰り返させない、話し合いによって労使の間の問題を解決するということが基本であろうというふうに思いますので、その点についても、労使間の問題としては十分に留意して今日に至っておる。まだなかなかこういうふうになったというふうには申し上げかねるわけでございますが、大分一ころの不信感といったようなものも除去されまして改善されつつあるというふうに考えている次第でございます。
○田渕哲也君 総裁は三月二十五日の談話で、この処分の留保ということを発表されたわけです。この処分を留保された理由といいますか、それに関連して、労使はお互いに信頼し合い、自粛自制し、良識ある行動をとらなければならないときである——この良識ある行動というのは一体どういう行動を指しておるのか。さらにその後に、今春闘においてより高い見地から良識ある行動をとることを期待して、あえて年度末に予定していた七四年春闘処分の発令を当面留保する——この良識ある行動というのは具体的に何を指すのか、お答えいただきたいと思います。
○説明員(藤井松太郎君) 申し上げるまでもなく、国鉄は国民の足でございますので、良識ある行動とは、いかなることがあるにせよ、国民に最小限度の迷惑で済ますような行為をするということを意味したつもりでございます。
○田渕哲也君 この良識ある行動と、この留保というものとの間にどういう関係があるのか、お答え願いたいと思います。
○説明員(藤井松太郎君) その留保と良識ある行動とを何か取引したんじゃないかというようなおしかりも大分受けておるんでございますが、そういうことじゃなくって、三月の末ごろに、ほっておけば相当のことをやりそうなかっこうになっておりましたんで、まあその処分もしばらくは猶予してやるから、おまえらも暴れるなというような比較的軽い意味で申したつもりでございます。処分をやめたということじゃございません。
○田渕哲也君 つまり、三月の終わりごろにストライキに突入して国民の足を奪うことが避けられれば処分を留保してもいいというような意味だったと思うんです。それから、ことしの春闘についても処分は留保するから良識ある行動をとってくれと、そういう趣旨じゃないんですか。
○説明員(加賀谷徳治君) 三月末までの一連の春闘のスケジュールの中で、昨年の春闘処分がまだ行われずにおったという事態であったわけでございますが、まあ一応ただいま御指摘の談話の意味といたしましては、なおこの上違法行為を重ねるということについてはいかぬと、国民生活に重大な影響を及ぼすことについては絶対避けてほしいという意味の、ある意味では重大な警告でもありますし、そういった意味で私ども出したわけでございますが、ただ、これはまた、春闘のこういった問題と法律のけじめをつけるという問題はまたこれは別問題でございまして、私どもとしましては、けじめはつけるべきときにはきちんとつけるという考えを持って臨んでおるというふうに御理解願いたいと思います。
○田渕哲也君 時間がないからもうじき終わりたいと思いますが、きょうの正午から在来線の特急、急行はもうすでにストに入っております。そのほか順法闘争で一割の減速である、これはもうすでに実施されておるわけです。そしてあす以降は予定どおりストライキが実施される。藤井総裁のこの談話の良識ある行動をとることを期待してというのは、これは裏切られたわけですね。いかがですか。
○説明員(藤井松太郎君) 私が良識ある行動ということは、そういうことをするなということであって、裏切られたと言われれば、まさにそのとおりであります。
○田渕哲也君 そうすると、留保した処分についてもこれはまだ白紙に戻して考えるということになりますか。
○説明員(藤井松太郎君) 先ほども申し上げましたように、これは春闘のいかんに関せず、処分ということは法治国だからやらざるを得ない。ただ、その処分の時期その他について、いたずらに国民にかけるトラブルを大きくするような時期は時期として適当でないだろうという判断をしただけであって、三月二十七日の段階においても処分はやめたという意味じゃございません。したがいまして、けじめはつけるつもりでございます。
○委員長(前川旦君) 田渕君、時間です。
○田渕哲也君 それじゃ最後に一言だけ。 やめたということは私は河も言っていないわけです。留保を解除するのかということです。これを読んでみると、良識ある行動をとることを期待して、あえて年度末に予定していた処分の発令を当面留保すると。この関連から見ると、ストライキをやるということは良識ある行動ではないということをはっきり言われておるわけですから、期待が裏切られたと。そうすると、留保は自然に解除されると、この文面から見るとそうなるわけですね。この点いかがですか。
○説明員(藤井松太郎君) しかるべき時期を選びまして、けじめをつけるという決意でございます。
○遠藤要君 議事進行について一言だけお尋ねしておきたいんです。 先ほど二時に私が質問いたしました、国鉄再建策についてお尋ねをした。ただいま六時二十五分に田渕さんがやはり同じような再建策についてお尋ねをした。ところが、答弁が非常に異なっている。私の場合には、いま検討中だが明るい見通しだというようなお話で、私も大いに明るい見通しに期待しておるというようなことで結んだわけでございますけれども、ただいま田渕委員への総裁からの答えは、大変問題が大きいように承知をいたしたわけでございますが、同じ委員会で同じ日に、答弁が同じような質問に対して異なっているということは、一体どういうふうなものかということをただしておきたい。
○説明員(天坂昌司君) 先ほどは私がお答えいたしたわけでございますが、あの折の私のお答えとしましては、いままでの赤字の原因を振り返りまして、それを根本的になくしていただく、そういうことによって明るい方向へ一歩でもお進めいただくようにお願いいたしておりますと申し上げたつもりでございまして、答弁としては、趣旨は異なっていないと私考えるわけでございますけれども、なお言葉が足りなくて別な意味におとりいただいたとすれば、私の言葉足らずでございまして、この席をおかりしましておわびいたしたいと思います。
○委員長(前川旦君) ちょっとその前に、運輸大臣、どうぞ予定の時間ですからお立ちください。
○遠藤要君 私は、やはりこの再建、赤字が累積しておると、そういうふうな面での対策を尋ねたわけでございます。私は田渕委員の質問と何ら異なっておるとは思っておらないわけでございます。そういうふうな点がありまするので、いまの総裁の答弁を聞くと、大分明るい見通しだということと、いまの答弁でいくと、これは大変だなというような非常に異なった感じを抱いたものだから、そういうふうな点で、同じ委員会で質問して、同じ日に、しかも日にちがずれておるというような点があったならば別でございますけれども、同じ委員会において答弁が異なるというようなことは、これからの、次回の議案審議に大きな影響を及ぼすんじゃないか、こういう点を感じたのでお尋ねしたわけでございます。
○委員長(前川旦君) ほかに御発言もないようでございますので、運輸省及び日本国有鉄道の審査につきましてはこの程度といたしますが、法務省関係の審査は、先ほどお諮りのとおり、これを保留といたします。 次回の委員会は、明後九日に、内閣、総理府関係を行うこととし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時三十四分散会 —————・—————