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75回国会参議院1975/06/19

外務委員会 第15号

発言数
245
登壇者
24
会派数
3
開催日
1975/06/19

会議録

二木謙吾自由民主党

○委員長(二木謙吾君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  昨十八日、亘四郎君及び星野力君が委員を辞任され、その補欠として石本茂君及び沓脱タケ子君が選任されました。     —————————————

二木謙吾自由民主党

○委員長(二木謙吾君) 次に、船舶料理士の資格証明に関する条約(第六十九号)の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。  本件について、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  船舶料理士の資格証明に関する条約(第六十九号)の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

二木謙吾自由民主党

○委員長(二木謙吾君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

二木謙吾自由民主党

○委員長(二木謙吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

二木謙吾自由民主党

○委員長(二木謙吾君) 次に、社会保障の最低基準に関する条約(第百二号)の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。  本件についてこれより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 ただいまILO六十九号を採択、批准をしたわけですが、百二号、これは社会保障の最低基準に関する条約で、一九五二年に条約として採択されたものなんで、実は私ども今回、きょうの夜中からメキシコシティーで国際婦人年の世界会議が開かれますし、同時に忘れてならないのは、ILOの第六十回総会がジュネーブでいま開催中でございます。婦人の要求しております社会保障に関する基準とかあるいは労働婦人の労働条件に関しては国際水準よりはるかに低いものですから、せめて国際水準の条約のところまでという要求を大変婦人がしているわけでございます。  それで、今回国際婦人年に関連して、衆参の婦人議員がたびたび、久しぶりに集まりまして、いろいろ意見を交換して、この年を契機として何か一つでも実績といいますか、婦人の地位を進めたりあるいは権利を高めるために共同にがんばろうじゃないかという話し合いをしているわけです。ですから衆議院でもILO百二号条約に関しては、外務委員会が窓口ですけれども、中身が社労に関係しているものでございますので、婦人が皆差しかわって発言をしたはずでございます。今回もこの百二号に関しては、外務委員会に婦人議員が各党皆差しかわって次々と発言するということで、婦人がどんなことをいま問題にし要求し、そして日本の社会保障の水準がまだどんなに低いかということをはっきりさせないと、この百二号条約の批准ということも大変気が進まないわけなんですね。外務大臣、これは百二号条約を批准したところで何にも実益がないわけなんです。五二年に条約が採択された当時は、ここにいらっしゃいます寺本委員は当時労働省の基準局長で、そして初めてILOの総会に日本が復帰といいますか、入って、そのとき代表でいらっしゃって、その百二号条約の採択に参加されたわけでございます。それから二十三年もたっているんですが、日本は遂にその間批准することをしなかった。ですからこの条約に決めてあるようないろいろの条件を少しも満たさない——少しもと言っちゃいけませんけれども、批准できる状況にしないままに来たわけで、今回批准いたしましてもあんまり大して実益ない。つまり何もさわらないでも批准ができる。九つの部門のうち四部門が受諾できるからということで批准をするわけでございますね。その四部門と申しましても、私はちょっとこれまあインチキな言い方だと思います。業務災害給付は、その後、百二十八号条約を去年批准しているんですね。百二号よりはもっと進んだものを批准してしまっておりますから、これに関しては今回批准をしたところで受諾の義務がそこで生ずるわけではないわけですね。そうしますと、九部門のうち三つだけがとにかくつまり最低の基準のうちの最低基準で日本はパスする、批准するということになりますので、本当に私ども実は婦人たちが議論しましたとき、もう一年ぐらいこれは継続にしていただいて、その間にもう一つや二つ受諾できるような条件をつくった方がいいんではないかという議論が出たくらいでございました。ですけれども、私どもかねてILOの条約は日本は大変批准の数が少のうございますから、早く批准をしてほしいということを要求してきておりますし、批准をした以上は、その批准した項目の受諾ができるように当然がんばっていかなきゃならないものだ、こういうふうに考えて、それで批准をしたことに義務を感じていただいて、それぞれの関係している政府でもこの九部門のうちをどんどん満たしていくようにしていただきたいということで、私どもは不本意ながら批准を通さなければならないんじゃないかというふうに考えているわけでございます。特に、ILO百二号条約の中では婦人に関係した部門がみんな受諾できない、つまり俗な言葉で言えば落第なんですね。それですから私たちが、婦人議員が一生懸命に力を入れたわけでございます。  そこでいまILOの第六十回総会がジュネーブで開かれております、六月の四日から二十五日まで。この方では直接婦人労働者の問題が重要なテーマになっておりますので、それで婦人の代表が政府からも行っていらっしゃいますし、それから労働組合の婦人代表も初めて代表として出席をしているわけでございますね。このILOの第六十回総会で特に婦人に関して課題になっているものはどういうものであるかということを御説明願いたいと思います。

鈴木文彦外務省国際連合局長

○政府委員(鈴木文彦君) 現在ILO総会が開催されておりますけれども、たまたまことしが国際婦人年であるということに対応しまして、今度の総会の議題の中に、婦人労働者の機会及び待遇の均等という議題のもとに、重要な項目として討議されておるわけでございます。この問題は、婦人労働者の教育あるいは訓練、雇用の機会あるいは職業その他、婦人の置かれている実情にかんがみまして、婦人労働者が社会において男子労働者と同等の地位を得ることができるようどのようなことを考えたらいいであろうかという意味の検討が行われているわけでございます。最終目標としましては、そのための活動計画及び宣言、二つのものの採択を目的として現在審議が行われているわけでございます。  なお、詳細につきましては、必要によりまして労働省の政府委員からお答えいただいたらいかがかと思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 そんなに詳細に言っていただくと時間があれですけれども、特に百号条約と百十一号条約については批准を進めるというふうになっていると思うんです。百号はもうすでに日本は批准しておりますね。それで、百十一号条約というのはどういうものであるかということをちょっと御説明いただきたい。

森英良労働大臣官房国際労働課長

○説明員(森英良君) お答え申し上げます。百十一号条約と申しますのは、雇用の問題あるいは職業訓練を受けることに関連しまして、人種、皮膚の色、性、宗教、政治的見解、あるいは国民的出身または社会的出身というようなことを理由といたしまして差別待遇をすることを除去するために国のとるべき原則的な方針を規定しておるわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 いまおっしゃったように、雇用及び職業についての差別待遇に関する条約なんですね。それで、その中に、性別によって差別してはいけないという意味で性というものが入っているわけですね。これは大変いま婦人労働者が批准を要求しているILO条約でございます。  それで、百号条約、同一労働同一賃金の条約、これは日本は批准しているけれども、賃金の格差というのがなかなかなくならない。同じ仕事をしていても同じ賃金がもらえない。その大きな理由は、雇用の機会の方に不平等があるから、昇進、昇給、昇格、あるいは就職の際、あるいは退職、定年退職を若年定年、女だけ若い年で定年にするというような、そういう雇用の機会の差別があるから賃金も同一になっていかない。こういうようなことでこの百十一号条約の批准を日本の婦人労働者が大変強く要望しております。この条約を批准するお考えはございませんか。

青木勇之助労働大臣官房長

○政府委員(青木勇之助君) 本条約の趣旨はただいま説明員の方から説明いたしましたが、条約の趣旨につきましては、わが国におきましてもおおむね規定されておるところでございますが、なお細部につきましては若干の問題がありますので、現在鋭意検討を加えているところでございまして、そういう点さらに詰めまして、できるだけ早い機会に批准の運びに持ってまいりたい、こういうふうに考えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 百十一号条約の趣旨というのは、何もこれは反対することのできない趣旨だと思います。日本の憲法十四条でも差別を禁止しているわけですね。そうすると、もしこれを批准した場合に、労働基準法の第三条、均等待遇の条項がございますね。あそこのところに性によるというのが入っていないわけですが、その場合には労働基準法の第三条にも改正を加えなければならないものだとお考えになりますか、どうですか。

青木勇之助労働大臣官房長

○政府委員(青木勇之助君) いま先生御指摘のとおりに、基準法の第三条におきましては、「国籍、信条又は社会的身分を理由として、」労働条件等について差別取り扱いを禁止いたしております。それから職安法の第三条では、「人種、国籍、信条、性別、社会的身分、門地、」云々を理由として職業紹介、職業指導についての差別的取り扱いを禁止いたしております。そういう点で、基準法の第三条におきましては性が抜けておるわけでございまして、もちろん次の条項で男女同一労働同一賃金の規定はございますが、基本条項であります三条にそういう点が欠けておる点、さらに先ほど説明をいたしませんでしたが、国家公務員法とか地方公務員法で職員の政治的行為を制限いたしております。これについての制裁規定がある、こういう点、ひっかかる点がまだ若干ございますので、これを条約を批准いたします際にどういう措置をとるかという点もいま検討いたしておる最中でございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 百十一号は、ことし国際婦人年で、雇用機会の平等、均等ということを非常に強く叫ばれておるのですね。それで、この間から御承知のように、ことしを起点として十カ年の計画を立てる、世界行動計画あるいは国内行動計画を立てて国内婦人の地位の向上を図る、これは外務大臣も御承知だと思う。こういう中で、いま百十一号条約の批准をぜひ急いでいただきたいと思います。しかし、いまおっしゃいましたように、基準法の第三条のところに、性別、性というのが抜けておるということは非常に大事なことで、入れなければならないと思いますけれども、そのことが同時に婦人労働者の保護の方を取ってしまうような口実に使われないように、この点は私ぜひ、労働省の方は婦人労働者の権利を守るということであるし、それから性別によって差別をしないということは、母性を保護する権利を差別と考えてもらっては困るのですが、その辺をちょっと確かめておきたい。

青木勇之助労働大臣官房長

○政府委員(青木勇之助君) 基準法の改正問題等につきましては、先生御案内のとおり、現在、労働基準法研究会、ここで三部会を設けまして、女性問題等につきましても一部会ございまして、検討いたしております。そういう点十分含んで検討がなされておるものと思います。その検討の結果をまって対処してまいりたい、こういうふうに考えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 少し伝え聞きますところによりますと、その研究会の中の学識経験者の中には、均等の待遇をするためには保護の部分を取る必要があると、こういう意見が出ているように伺っているわけです。一体、何が保護であるか、私は権利だと思います。女性が妊娠、出産というような機能を持っているということは、これは女が好んでやっているわけじゃなくて、人類のために必要なことなんで、それに付随してきている保護、それを国際の水準にまでまだ上げていない。そういう段階で、もし、この百十一号を批准するならば、そうしてこの基準法の三条の均等待遇のところに性も入れるということになって、性別でも待遇の差別をしてはいけないということを入れるならば、保護の方は取るぞというような姿勢があってもらっちゃ困りますので、そのことを念のために申し上げておきまして、百二号の方に移ってまいります。  先ほども申し上げましたように、百二号は批准をしても何のメリットもないというもので、私たちは、すでに年金に関して百二十八号というもっと進んだ条約もあるし、医療に関しては百三十号というのがその後でもうすでに条約として採択されている。ですから、百二号というのは最低基準という名前がついているとおり最低線なんですね、その最低線にも日本はさっき申しました三部門しか実質的には及第しないわけです。もう一つの業務災害補償というのは、もっと高い条約を去年批准しているわけですから、実質的には三つしか及第しないという状況で批准するわけですから、非常にその点で私たち気が重いわけでございます。したがって、その百二号条約に関連して、ここにあります特に女性に関係あるものについて、ぜひ国際水準まで引き上げることを今後年次計画を立ててでもやっていただかないと困るわけでございます。  宮澤外務大臣は、この間提案理由の説明の中で「なお、当面義務を受諾しないその他の部につきましては、諸条件の成熟を待って受諾することが適当であると認められる時期が参りましたならば、随時、条約第四条1の規定に基づき政府において当該部の義務を受諾する通告を行うこととしたい考えでございます。」とおっしゃっていますね。これは「諸条件の成熟を待って」と、そう言われればそのとおりだけれども、この成熟を進めなければならないと思うんですね。外務大臣は窓口でいらしゃいますけれども、外交や防衛や経済協力や、そういう問題のほかに、こういう文化的あるいは社会的な、あるいは社会保障に関連して、あるいは労働条件に関連して条約を結ぶ責任を持っていらっしゃる方でございますので、関係しております各省を督促して、日本は批准の数が非常に少ないという大変情けない国でございますので、ILOの理事国でもありますから、いま申しました百十一号条約の批准、それからさらに、婦人労働者たちの労働条件を国際水準にまで引き上げるために百三号条約の批准というところをみんな要望しているわけですね。その批准とともに、この百二号条約の中の、ことに女子、婦人に関係のあります部門の受諾ができるように、条件を整えるようにという督促あるいは奨励をしていただきたいと思うんですが、いかがですか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) わが国の場合、条約に加盟いたす際にその規定を誠実に履行するという見地から、国内体制の整備をまつという点でかなり厳格に、いわばあいまいでない状態において加盟をするという立場をとっておりますことは御承知のとおりでございますが、この百二号につきましても、そういうようなことから加盟をすることがおくれたということであったと思います。田中委員が言われますように、とにかく特定一部門を含めて四部門、体制が整備をしたので加盟をいたすわけですが、これでもうこの条約関係は済んだというふうにもとより考えるべきではありませんで、田中委員が先ほどから御指摘になっておられることは、すべて私はそのとおりであると思いますので、残りの部門、ことに残りの部門には婦人に関係するのが多いわけでございますから、これもできるだけ早く国内の体制を進めまして、条件に合致するような体制をつくった上で受諾をするという必要が当然あると思います。もう批准をしたんだからこれで当分いいんだということはとるべき態度でありません。もとよりそれは外交的な立場からというばかりでなく、むしろ、基本的にはわが国が福祉社会を整備していくという政府の基本方針から出てくることでございますが、同時に、条約の受諾の観点から申しましても、他の部門が充足されなければ相済まないことであるというふうに考えております。これは、国内の所管から申しますと主として厚生大臣の御所管でございますけれども、私といたしましても、ただいま御指摘のことはまことにそのとおりと思いますので、厚生大臣にもお願いをして、政府全体の責任でそういう体制の整備を進めてまいりたいと考えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 いま大臣がおっしゃいましたように、これは批准の数をふやすだけの員数そろえのためというような考え方じゃなくて、百二号条約は五二年ですから、二十三年もたって一つも内容的には余り変わりがないと、批准ができない状況であるというような状況が問題であり、そして宮澤外務大臣は経済問題のベテランでいらっしゃるわけで、日本がGNP第一に物すごい発展をした、そのいわゆるひずみといわれる中に、社会保障のおくれといいますか、非常にたくさんの女性が労働力として引っ張り出された。それを支えますところの社会保障の条件などのおくれというのが一つのひずみとして出てきている。こういう状況は本当に恥ずかしいというように考えていただいて、国際婦人年に当たって年次計画を立てる中で次々と受諾できるような状況に持っていっていただきたいということを私は御要望しておきたいと思います。  そこで、百二号条約の性格なんですけれども、これは社会保障に関して大変総括的に扱った唯一の条約だと言うことができると思います。と同時に、これは最低基準でございます。この百二号条約というのは、医療、傷病、失業、老齢、業務災害、家族、母性、廃疾、遺族、この九部門を含んだ非常に大きな条約なんですけれども、これの一番もとになりましたものというのは一九四四年のフィラデルフィア宣言だったわけです。そのときにできました医療保障並びに所得保障の基準についての勧告というものがありますね、六十七号勧告、六十九号勧告。これは百二号条約よりももっともっと高いものでございますね。どういうふうにいまの百二号条約と違っていたか。つまり、基本的に、このたくさんある九部門を分けますと医療保障と所得保障に分けられると思うんですが、その二つに分けてみて、最初の一九四四年当時の勧告、フィラデルフィア宣言によった勧告の中身というのはどういうふうに違っていたものでございますか。

鈴木文彦外務省国際連合局長

○政府委員(鈴木文彦君) いまの御指摘の点、詳細、相違については厚生省の方からお答えいただきますけれども、若干、経緯だけ簡単に御説明さしていただきます。  いまお話がありましたように一九四四年のILOのフィラデルフィア総会におきまして、所得保障と医療保護に関する二本の勧告が採択されたことは言われたとおりでございます。当時わが国は戦争中でもございましたし、また、ILOからも一九五二年までいわば脱退というような状態でございましたために、当時の審議の状況を必ずしも詳細つまびらかにいたしておりません。ただ、一九五二年に百二号条約が採択されました際に、一九四四年の二つの勧告が十分取り入れられたというふうにわれわれは一応認識いたしております。

綱島衛厚生大臣官房国際課長

○説明員(綱島衛君) 先生御指摘になりました一九四四年の所得保障勧告、それから医療保障勧告でございますが、この中身は、その後できました百二号条約、これに比べますと、いわば一言で申せばかなり程度の高いものということが言えると思います。と申しますのは、一九四四年当時、この前の大戦が終わりに近づいた時期でございますが、たまたまその前に、たとえば英国におきまして有名なビバリッジ卿の報告がございますし、さらにILO自体といたしましても、同じ年に社会保障へのアプローチと、こういう題でレポートをつくっております。そういう動きの中で、戦後の、戦争中の荒廃から立ち直る今後の各国の社会保障というものについての指導指針と申しますか、ガイドラインというものを考えまして、一九四四年の五月と存じますが、この二つの勧告を採択をしたと。したがいまして、たとえば所得保障の勧告につきましても三十項目にわたりまして各般の指針を示しております。それから医療保障の方につきましては百十四と記憶いたしますが、それだけの項目を示しまして、所得保障の分では先生おっしゃいましたように各種類の所得の喪失につきまして、こういう注意のもとにやりなさいというような意味での指針を示しております。医療保障につきましては、これはそれまでの、古い時代の社会保険条約、社会保険の見地からする国際文書の性質が変わっておりまして、たまたまバックには英国の新しい包括的な社会保障という観念があったものと思いますが、医療の給付というものを、これを単に被用者だけではなくて全住民にやる。しかも、いままでの現金給付にくっついたものではなくて、医療としてすべての国民に均てんさせると、こういう高い理想のもとにできております。したがいまして、そのあとできました百二号条約というものは、その精神は踏まえておりますものの、より現実的に、それぞれ各国の国内事情に即応して、できるだけ多くの国が批准できるようにというようなことも留意いたしましたために、多少二つの勧告の線からいきますと、程度を落とした形で規定されておると、こういうふうに理解されると思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 ですから、社会保障のあり方というものを、かつて一九四四年のフィラデルフィア総会で示して、一つのガイドラインを出した。それが一種の目標みたいに本当はなっているわけですね。百二号条約ができた五二年というのは、それを世界各国に当てはめてみて最低基準というところで落として条約が結ばれたと、こういうことだと思います。ですから私の言いたいのは、最低基準なんだから、その最低基準が受諾できないというような条項を残してもらっては困ると、こういうことでございます。  そこで九部門のうち母性給付、遺族給付、家族給付、みんな婦人に関係しているものです。それから医療給付の部門が受諾できない、つまりパスしないのもやはり母性給付がパスできないからでございますね。ですから、大変婦人に関係しているもの、あるいは子供に関係している部門の社会保障が日本は特におくれているというふうに言わなければならないと思うわけです。それでこの際、このことをぜひ力を入れていただきたいと思うんです。  そこでひとつ、これは技術的になるかもしれませんが、伺いたいのですけれども、業務災害給付、これは去年百二十一号条約を批准していると、ですからその方が高いんですね、百二号条約よりは、内容的に。それを批准しているんだけれども、今度の百二号の中でカウントしてあるわけですね、四部門がパスしているということですが、こういう場合に、百二号の中の業務災害の部分の取り扱いはどういうことになりますか。別に受諾の義務を表明することも何も要らないんじゃないですか、どうですか。

伊達宗起外務省条約局外務参事官

○説明員(伊達宗起君) 先生も御指摘になりましたように、業務災害の部門につきましては、昨年の国会におきまして百二十一号というより高い基準を定めた条約の御承認を得て、日本はこれに加入いたし、締約国となったわけでございます。これが本年の六月七日に効力を生じまして、したがって、日本につきましては業務災害の部門につきましてはこの百二十一号条約が現実に適用になるということでございます。しかし、この百二号条約の七十五条にもそのことが取り決めてございまして、「この条約において取り扱われている事項に関して将来総会が採択する条約にその旨の規定がある場合には、当該条約に明記するこの条約の規定は、当該条約を批准した加盟国について当該条約が効力を生ずる日から、その加盟国について適用されなくなる。」すなわち、どうも条文を読みますとごたごたいたしますが、言わんとするところは、百二号で取り扱っている、つまり業務災害の部門に関して、将来百二十一号のような条約ができ、そしてその百二十一号の条約にその旨の規定がある場合には、百二十一号に明記いたします百二号条約は、百二十一号条約が効力を生ずる日から、日本について適用されなくなるということでございまして、この百二号条約に定めます業務災害の規定は日本について適用がなくなるわけでございます。翻りまして、この百二十一号条約の二十九条というところになりますと、ここではこの百二号条約はこの百二十一号条約に加盟した国については適用されなくなるが、しかし、この百二十一号条約の義務を受諾したものはこの百二号条約の規定の適用上、第六部の規定、つまりこの業務災害の百二号条約の規定の義務の受諾とみなしますということになっておりまして、規定は停止されるけれども、しかし、この部門を、何部門受諾したかというときには百二十一号を批准した国は百二号のこの業務災害部門を受諾したものとみなされるということになっております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 大変苦しいところですね。九部門のうち三部門パスすれば批准できるんだけれども、日本は四部門パスしていますというのには大変便利ですけれども、内容的には何にも意味しないということですね。もう百二十一号条約の方で批准していて、よりよいものを持っているんで、これはあってもなくても構わないものですね。それで私が申し上げているのは、だから本当に最低点で及第したというところだということなんです。  そこで、百二号条約は社会保障の問題を非常に総括的にたくさん扱っていて、九部門ありますけれども、それを大きく分ければ医療保障と所得保障に分けられると思います。  その医療保障の方からお尋ねしてまいりますが、社会保障の中で医療というものがどんなに重要であるかということはよくわかると思います。医療と、それから所得がなくなったときのそれを保障すると、この二つがないと、働いている者も、あるいはその家族も生きていけないわけですから、そういう意味で非常に重要なもので、ILOという働く人々のための機関でも、その保障でもって突っかい棒していくということだと思うんですが、この医療の部門が受諾できない、つまりパスできない一番大きな原因は、もうわかっておりますけれども、母性給付がパスしないからですね。それからそのほかに、ここには「予防又は治療」、まず七条ですけれども、医療給付の問題で「予防又は治療の性質を有する医療」ということがありますね。  この問題をまず伺いたいんですが、予防的というのを厚生省の方の御説明によりますと、そうして日本の国内法がそうであるから私はそういうふうにしているんじゃないかと思いますが、病気にかかって、そしてもう一遍悪くならないための治療というのを予防というふうに考えておっしゃるのか、これちょっとおかしい感じがするのですが、どういうふうに解釈なさるんですか。

綱島衛厚生大臣官房国際課長

○説明員(綱島衛君) 先生御指摘の、「予防又は治療の性質を有する医療」云々とございまして、ここに言っております「予防」、この意味でございますが、一つの、先生がいま御指摘になりましたように、病気にかかったと、あるいはけがをしたと、それからさらに病気が悪くならないようにと、それを予防する意味でございますというふうに申し上げておるんでございますが、その理由の一つといたしましては、その次の第八条におきまして、「給付事由は、」と、具体的に給付をしなければならないときは、その事由は「負傷又は疾病」云々と、こうなっておることが一つございます。それからもう一つは、この条約の採択されましたときの事務局、それから各国に対する照会、それに対する意見等々の経過を見てみますと、やはり病気の発生を事前に予防をするという意味は入っておりませんで、病気になってそれがさらに蔓延するのを防ぐと、こういう意味であるということはILOの公式のレポートにも載っておる、これが二番目の理由でございます。さらに三つ目の理由といたしましては、これも先生が先ほど御指摘になりましたように、この後、一九六九年でございますが、医療に関しましてもう少し高次の基準を決めました第百三十号条約というのがございます。ここでははっきりと予防的医療でございますか、そういうものを新しく規定をしておる。そこでこの百二号におけるものとの差というものがはっきりしておるんではないかと、こういうふうに考えられております。その三番目と同じ性質でございますが、業務災害給付に関しましては、やはり予防ということが明確に入っておりますので、それもこの百二号におきましては、先ほど申し上げましたような病気のフォア・ザ・ディベロップメントと申しますか、これを防止する意味であるというふうにとれると、こういうことでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 英文の方で meddicalcare ofa preventive or curative nature その preve−ntive という意味は、いまおっしゃったように病気にかかって、それがもう一遍ひどくならないためとか、あるいはまた発生しないためというふうに、一応百二号のときにはそういう解釈であった。しかし、後にできてきた医療に関する条約ではもっと一歩進んできていると、こういうことですね。

綱島衛厚生大臣官房国際課長

○説明員(綱島衛君) はい。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それで私は、日本の健康保険法その他医療に関する保障がその点でどういう立場に立っているかということなんです。これはここに、「妊娠、分べん及びこれらの結果」というのが母性給付ですね、母性給付といいましても、出産給付といいますか、母性給付に対して。「妊娠、分べん及びこれらの結果」というのが医療給付の中で母性に対しては与えられなければ、給付されなければと、理由として挙げられる。ところがこの妊娠という場合、一体予防的というのは当てはめたらどういうことになるのか。私は、そのほかここに大変もう一つ問題だと思いますのは、医療の給付の事由のところで、この法律の訳で、「すべての負傷又は疾病」となっておりますね、原因のいかんを問わず。これがこっちの英文では mor−bid condition だから病的な状態ということですね。病的な状態というのを「負傷又は疾病」というふうに変えたのはどういうわけですか。つまり、病的状態といったら、もっと広くとれると思うのです。これの中には予防的な意味も含めるのじゃないか。それからつわりの状況ですね、妊娠の初期に起こってくるつわり。気分の悪い状況とか、あるいはいろいろと検診を受けなければならないような状況というのは私は予防的にも含まれるはずだし、それから病的な状況というのにも含まれるはずなんだけれども、この条約の日本文では「すべての負傷又は疾病」というふうにはっきりとしてしまっているのですね。これは一体どういうわけなのかということです。

綱島衛厚生大臣官房国際課長

○説明員(綱島衛君) 先生の御指摘になりました諸点でございますけれども、一つは、第八条におきまして、医療給付の給付事由でございますが、「すべての負傷又は疾病」、それと並べまして、「妊娠、分べん及びこれらの結果」と、二つになっております。したがって、先生おっしゃいましたように、「妊娠、分べん及びこれらの結果」におきましても、病的状態になれば、病気と認められることになれば、この「すべての負傷又は疾病」のの「疾病」の方に入っていくわけございます。したがいまして、この条約の考え方といたしましては、「妊娠、分べん及びこれらの結果」の方は、いわば「疾病」とは一応分けて正常なものを予想していると。多少病気でないものであっても、母性保護の見地から「妊娠、分べん及びこれら」というものが別の字句として入っていると、こういうふうに解釈されると思います。そこで、たとえば妊娠の間におきます、いろんな気分が悪くなる、あるいは悪阻と申しますか、そういうような現象でございますが、これは一体どちらかという点もお尋ねございますけれども、一体これは病気なのかどうかということは、いわば専門の医者が判定することでございまして、どこからどこまでということはなかなか困難だろうと思うわけでございます。いずれにいたしましても、もしもぐあいが悪くなりまして医者のところへ行く、そういうときには健康保険法におきましてもこれは医者は取り扱うわけでございまして、仮にその結果これは病気でないよということになりましても、健康保険法上は疾病給付の対象になると、こういうことになると思います。  そこで、病気というものは、先生御承知と存じますけれども、社会生活の変化なりあるいは医学の進歩なり、そういったいろいろな要素がからみまして非常に複雑化しておりまして、どこからどこまでが病気であるということの限界はなかなかつけにくいと存じまして、この辺は医者の判断に任せる。かつ、そういう morbid condition というものに対しましては、現在の健康保険法で十分見られるということを申し上げたいと思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 そうすると、「すべての負傷又は疾病」というふうに、言葉を病的状況としない意味はどういうことですかということ、それから、つわりのようなものは、これは「妊娠、分べん及びこれらの結果」というのに入りますね。妊娠初期に起こってくる結果でしょう、妊娠の結果でしょう。

綱島衛厚生大臣官房国際課長

○説明員(綱島衛君) まず、「すべての負傷又は疾病」と訳した理由でございますが、これは一つには、こういう条約文等の翻訳につきましてはやはり前例というものがございまして、たしか昨年の百二十一号条約のときにもこういうふうに訳したというふうに存じております。それから実際面におきましても、先ほど申し上げましたように、morbid condition に対する給付といたしましては、健康保険法で使っておる負傷または疾病という言葉を使いましても、実質上は差がなくなるわけでございまして、言葉が変わったことによる実害というものはないと、こういうことでございます。  それから、後段のお尋ねでございますが、つわりでございます。これはやはり、その「結果」という中に含まれると思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 含まれますね。そうしますと医療給付、医療を受ける理由としては、おかしいなと、何となく気分が悪いなということで診察を受けにいったような状況から、それもみんな入る。それから、「妊娠、分べん及びこれらの結果」という場合には、初期のつわりのような状況もみんな入ると、こういうふうに考えていいですね。

綱島衛厚生大臣官房国際課長

○説明員(綱島衛君) そのように解しております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 医療の中でそういう給付が実際には扱われていない、「妊娠、分べん及びこれらの結果」というものが、日本の国内の法律あるいは国内の制度において批准することのできない状況であるということになるわけでしょう。現状では。どうですか。

綱島衛厚生大臣官房国際課長

○説明員(綱島衛君) この部分で、先生のお言葉を拝借すればパスしないということでございますが、この部分ではむしろ第十条の方にいきまして、この場合には本人に負担させてはいけない、そういうところでアウトになる、こういうことでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 そうすると、いまの日本の健康保険法その他、医療の保障に関する制度によっては、「妊娠、分べん及びこれらの結果」、つわりも含めて扱われることができるんだと。しかし、自己負担があるから、そのところでアウトになると、こういうことですね。

綱島衛厚生大臣官房国際課長

○説明員(綱島衛君) さようでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それで、その自己負担の問題なんですが、十条のところですね。まず、受ける給付は、十条の一の(b)のところですが、「妊娠、分べん及びこれらの結果については、」「医師又は資格のある助産婦による分べんの介助及び産前産後の手当」「必要がある場合の病院への収容」、だから、医者や助産婦の手当てが受けられること、それから病院に入ってもよろしいと、しかし、それらに関しては負担があってはいけないという部分ですね。これはその次の十条の2ですね。このことなんですが、現状では実際みんな分娩費を支払っているわけです。自己負担が相当あるわけです。この状況は、私は百二号条約の特に母性給付のところはできるだけ早く受諾できるようにしてほしいと思うのだけれども、現状で日本の健康保険法その他一体どういう状況にあって、負担の部分が、公費負担あるいは保険での負担、そういった部分、そういうことが不可能なのかどうか、このあたりの見通しを聞かせていただきたいんですがね。

綱島衛厚生大臣官房国際課長

○説明員(綱島衛君) 現在、健康保険法におきましては、分娩に対しまして、現金給付といたしまして、本人の場合には標準報酬の半額、最低保障として六万円、それから家族の場合、被扶養者の場合には六万円と、一律こういうものが給付されております。ただし、実際問題といたしまして、その金額で全部が賄えるかどうかという点につきましては、必ずしもそのようにいかない。どうしても本人が負担する部分がある。これは先生御案内のとおり、健康保険法というものは、そもそものたてまえといたしまして、正常分娩というものは病気ではないというたてまえに立っておりまして、そのために、いわば現金給付として一時金が出るという形になっておりますので、これを健康保険本来のたてまえであります点数表の方に持ち込んで現物給付化していくというのには非常に困難な問題がございます。  さらに、つけ加えて申し上げますと、それでは現金の方を高くすれば、追いつくようにすればいいではないかということでございます。これも一つの方法ではございますが、実際の慣行料金というものが、これはなかなか統制できません点からしますと、仮にもっと倍に上げると、そうしますと一般の慣行料金はまたさらに上へいくという問題に逢着するわけでございます。したがいまして、目下のところでも社会保険審議会におきまして、この健康保険法におきます現金給付の問題というものが討議項目の一つとして検討は続けられておるわけでございますので、その結論をまってしかるべく措置をいたしたいという考えでおるわけであります。  現実にどのぐらいの差額があるのかということでございますが、ただいま申し上げました現行の最低保障六万円という改正になりましたのはたしか一昨年でございました。その当時におきましては、これで大体賄えるということであったんでございますが、その後一般の慣行料金が上がった等のために差が開いてきておりまして、病院の種類あるいは地域等によって差はございますけれども、全国どこでも六万円ですべて賄えるかということには、相当の差額があるということでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 お話を聞いていると、この問題に関して絶望的なんですよね。百二号条約という最低の基準で言っていることは、無料出産の原則なんであって、出産に関して、「妊娠、分べん及びこれらの結果」に関しての医療は自己負担があってはならないことです。一部自己負担を許していないわけですね。つまり、無料出産という原則が貫かれていると思います。これはやっぱり命をかけて生むんです。ですからどこの国でもこういうことをだんだん取り入れてきているわけで、医療保障の進んでいる国では全部無料にしているわけですね。入院費も無料になっている。この点が日本の場合に非常にたくさんネックがあるように思われるのです。しかも、条約は被保険者の妻も同じように無料でなきゃいけないことになっていますね。その点も、日本の状況はどういう状況にあるのか。どの程度被保険者の妻に、まあいまのところ分娩費が出ているかというようなことも伺いたいわけなんで、道がはるかに遠い感じがするわけなんです。一体そのネックはどこにあるとお思いになるのか、これは私厚生省、労働省両方から伺いたいわけなんです。  働く婦人の場合には、健康保険法で、その人の標準の報酬の二分の一はもらっている。あるいはそれに付加給付があるところもあります。だけれども、健康保険次第では、政管健保の場合、つまりもっと小さな企業で働いているような婦人の場合、あるいは国保の場合、あるいは日雇い健保なんかの場合、ずっと給付が悪くなるわけです。そして、まして被保険者の妻というようなところにまでは行かない場合が多い。一体、この百二号条約で言っているように、働いている婦人も、あるいは働いている男の人の扶養者、妻子の場合も、妊娠、分娩及びそれらの結果に関しては全部自己負担しちゃいけない、無料にしなきゃいけないんだというその原則を貫いていくためには、もうやたらにたくさんのネックがあるようにいま思われるわけなんです。いまおっしゃった、たとえば点数制を変更して、それで分娩費を高く取れるかということ。その辺は大変困難だとか、あるいは、それじゃ分娩料を六万円というのを十万円というふうに引き上げたと仮にいたしましたら、そうするとこれは産婦人科医の方の非常な抵抗があると私聞いております。いまそれこそ金づるだと、お産は。それが、保険の方で、あるいは国の医療保障制度か何かで全部見られるということになるともうけ口がなくなるじゃないかという一つの抵抗もあるというんですね。それから、十万円まで引き上げたとしたら、民間の産婦人科医が直ちにまたそれより倍にも引き上げるというようなことが起こったりするという、大変いろいろな困難が私はあると思うんですが、一体どこからこれほぐしていくことができるのか。  先ほど申しました、本人が働いている場合はみんな果たして保障されているのか、それから被保険者の妻の場合は一体どういう状況にあるのかということも含めて、どういうところから解きほぐしていったらいいか、どういう見込みがあるのか。これ母性給付という名前になっていますけれども出産給付と言う方がもっとはっきりするんですけれども、出産給付に関して果たして見込みがあるとお思いになっていらっしゃるのかどうか、厚生、労働両方から伺いたいんです。

正木馨厚生省保険局企画課長

○説明員(正木馨君) お答え申し上げます。  現在の健康保険を初め医療保険における仕組みにつきましては、先ほど国際課長からも御説明しましたし、また先生御案内のとおりでございますが、改めて申し上げますと、働く労働者と申しますか、被保険者については、健康保険で申しますと、標準報酬月額の半額で六万円の最低保障の金額と、それからその奥さん、配偶者につきましては、定額の六万円を出すことになっております。これは健康保険、日雇労働者健康保険、共済組合、健保組合、被用者については共通でございます。ただ、健保組合、共済組合については付加給付という制度がございます。  なお、この六万円というのは、一昨年、四十八年の法改正によりまして、当時二万円でありましたものを六万円まで上げていただきまして、当時としましては、先ほど国際課長も申しましたように、おおむね出産に要する費用が賄えるということだったわけでございます。ところが、その後、社会経済情勢の推移によりまして、今日においては一部負担が生ずるという面が出てきておるわけでございます。  で、その取り組み方といたしましては、先生おっしゃいますように、あるいは巷間言われますように、現物給付化をすべきではないかという考え方が一つあるわけでございます。しかし、これにつきましては、現在の健康保険というのが疾病に対する現物給付というものをたてまえとしておりますので、現在の健康保険制度の中で取り組むということについて制度的に非常に検討を要する点があることと、もう一つは、先生も御指摘のように、現在自由料金、慣行料金で行われておりますものをどう評価していくかという非常に困難な問題がございます。  そこで、もう一つの手法といたしましては、ILO条約の一条の二項にもありますように、ここで言う給付とは直接給付または費用の償還による間接給付をいうと言っておりますので、現金給付による形というものもILO条約上認められておるわけでございます。したがって、私どもといたしましては、現在の六万円が実情に即さないということであれば、これを現状に即するように改善を図っていくということに強く取り組まなければならないというふうに考えておるわけでございます。  先ほど国際課長も申しましたように、現在社会保険審議会の中でいろいろ健康保険、医療保険の問題の検討をなさっておるわけでございますが、その一つのテーマといたしましても現金給付の改善というのが取り上げられておりますので、分娩費の問題も含めまして御論議をいただいて、私どもとしてはできるだけ速やかにその改善の方向に取り組んでいきたいというふうに考えておるわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 健康保険法の改正でございますね。——労働省はいかがですか。

青木勇之助労働大臣官房長

○政府委員(青木勇之助君) ただいまの問題につきましては、厚生省の方からお答えがありましたように、厚生省の方で目下鋭意検討中でございますので、その結果を待って緊密に連絡をとって対処してまいりたいと、こう思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 婦人労働者を守る立場に立って、先ほどもちょっと言いましたけれども、百三号条約の批准を非常に熱望しておりますね。百三号条約というのは、産前産後休暇をもっと延ばしたり、出産給付をちゃんとしろと。社会保険によって従前の所得の三分の二までは所得保障もしろと、出産時に。そういうことを要求しているわけですね。そういうことに対して、やはり婦人労働者の立場に立って労働省はこういう問題についてどういうことを厚生省当局に要望していらっしゃいますかということを。

久保田真苗労働省婦人少年局婦人課長

○説明員(久保田真苗君) 労働省といたしましては、婦人労働者の保護につきまして、国際水準まで上がるということを婦人労働者の保護のたてまえから希望しておるところでございまして、それにつきまして、私どもといたしましては、現在、専門家会議あるいは労働基準法研究会の中におきましてそのようなことを検討しておるところでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 百二号条約を批准するんですから、せめて百二号条約の中で全部抜かされている母性給付なんかに関しては、やっぱり私は、婦人労働者を守る立場の労働省が一生懸命に推進していただかないと困ると思うのです。  それから、さっき御質問しました妻に対する給付のことのお答えがまだないんですが、妻あるいは扶養者に対する給付の状況はどんなですか。それぞれの違った健保でですね。

正木馨厚生省保険局企画課長

○説明員(正木馨君) 妻に対しましては、先ほど申し上げたと思いましたが、配偶者分娩費というのがございましてこれが定額の六万円で健康保険の方では支出しております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 健康保険はですね。そのほかはどうですか。——だから、もらえていない、つまり被保険者の扶養者、妻、妻子に対して、分娩費も与えられていない場合が相当あるんじゃないかということなんです。

正木馨厚生省保険局企画課長

○説明員(正木馨君) 被用者保険におきましては、健康保険、共済組合、日雇労働者健康保険等々含めまして、配偶者につきましては配偶者分娩費というのが出ております。配偶者以外の被扶養者でございますが、その被扶養者につきましては、被用者保険では給付の対象になっておりません。しかし、考えますと被保険者の奥さん以外の被扶養者の場合で出産なさる場合には、その方自身がまたほかの被保険者の被扶養者になっておるか、あるいは自分で独立されておる方が多いのではなかろうかと思います。実際問題といたしましては、ほぼカバーされておるのが現状ではなかろうかと思います。  それからもう一つ、被用者保険以外の地域保険におきましては、国民健康保険におきまして、これは任意給付でございますが、現在逐次給付額の改善がなされておりまして、現状におきましては、この七月からは、被用者保険よりは若干おくれておりますが、四万円という給付が行われるような体制が整いつつある状況でございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 いまほとんどカバーされているんじゃないかとおっしゃったけれども、それは現実とは大変違いますね。  少し資料を調べていただいたんですが、厚生省の資料によりましても、政管健保で分娩費を大体三万円程度、組合健保でやっぱり三万一千円、日雇い健保の場合は六千円程度ですね、これは四十八年度。五十年度になって少し改善があるかもしれないんですが、実際には本当にこれは分娩費もカバーしていない状況です。これは国で最低保障額六万円と決めたけれども、現実にはさっきもおっしゃったように、十万円ないし十五万円もかかっているわけですからですね、分娩費というのは相当お金がかかるんだということですね。  それで、分娩という仕事は、これは私は社会的なものだという認識を持ってもらわないと、何か健康保険も大体男性中心のたてまえで最初できた法律ですから、扶養者に対して非常にその点を入れていない。ところが、国際的にはやっぱり家族ぐるみの社会保障という方向に進んで行っておるわけですね。ですから本人に関しても、それから本人が婦人である場合、それから被用者の妻あるいは子供の場合、妻子、扶養者といいますか、そういうものも全部ひっくるめていくという方向に向かわなければならないと思います。  それで、働く婦人の場合、出産に関してやめる人が多いでしょう、出産の前後に。これは労働省の方から御説明いただきたいと思うんですがね。

久保田真苗労働省婦人少年局婦人課長

○説明員(久保田真苗君) お答え申し上げます。  妊娠、出産に関しまして退職いたします女子は、女子雇用者の二・五%に当たっております。また、有夫女子雇用者に対する割合は六%でございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 労働省の資料を見ますと、四十八年版の婦人労働の現状、これなんか見ますと、妊娠した者の半分がお産でやめているんですね。産前あるいは産後、出産のためにやめているんですよ。これはいろいろ調べてみると、分娩費の給付を受けてやめたり、それから退職一時金みたいなものをとったり、あるいは退職金をとったり、保険からの脱退一時金ですか、ああいうものをとったりして産前か産後にやめてる場合が多い。だから、婦人労働者の働く権利とか、働く機会を守っていくためには、出産のところで費用の面からも突っかい棒してもらわないと、出産費をかせぎ出すためにやめて一時金をとるとかという状況ですね。こういう状況にしたんでは、雇用の機会を平等にしろと言ったって、それはできませんよ。こういうことは、私はやっぱり婦人労働者が百三号条約の批准を要求していたり、百十一号の条約の批准を要求していると、そのバックとしては、ちゃんと支えるものがなければ、せめて分娩費ぐらいは全額何かの形で見るということがないと、育児の大変さということも加わりますけれども、出産のときに半分がやめていってしまう。こういう状況を認識していただかないと困るんですが、いかがですか。これに対する対策をどういうふうにすべきだとお思いになりますか。

久保田真苗労働省婦人少年局婦人課長

○説明員(久保田真苗君) 先ほどの妊娠、出産でやめます女子労働者の数は約五割でございまして、このような方の中には、やはり育児のため、家庭の状況等から育児休業等希望する向きもございますので、労働省といたしましては母性の健康管理ということに努力いたしますとともに、この育児休業の普及にも努めているところでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 いま局長がお留守でございますのでやむを得ないところもあるかと思いますが、私たちは働く婦人が本当に働くチャンスを平等に与えてもらいたいという場合に、女性だけが持っている妊娠、分娩というこの仕事、これが保障されないと働けないわけですから、これは厚生、労働両方の面からがっちりと持っていってもらわなきゃならない。ところが、先ほどから健保のあり方などを考えていても、分娩費だけでも、これは「妊娠、分べん及びこれらの結果」ですから、本当を言えば妊娠の初期から全部自己負担があってはならないという条約だと思うんですが、いま私は分娩のところだけにしぼってお尋ねしておるわけで、せめて分娩費だけでも保障する方法はないのかということなんですね。  それで、仮に分娩費一件当たり十万円というふうに計算をした場合に、何か方法はないものだろうか。つまり、現在ある各種の健康保険法の中に取り入れることがむずかしいんだったら、ほかに方法をとって、たとえば英国のように国民医療サービスという別途の方法で妊娠、出産全部をカバーしておりますが、何かそういう方法を考えられないか。いままである大変複雑な各種の健康保険法をさわるということはむずかしいとか、点数制がむずかしいとか、あるいはそういうことがあるとしたら、私は医者の反対というのはこれは押し切らなきゃならないと思うんです、産婦人科医の反対なんというのは。やっぱり女性が命をかけて子供を生みながら、しかし社会参加もすると、そしてこれは労働力として国家も要請、要求しているんだから、そういう場合に男性にないこの母性というものを守っていく方向として何か考えられないかということなんですね。これをやっぱり高い見地から、厚生省、大臣もいないし、それから労働大臣もいるわけじゃないんで、それかといって外務次官に伺っても婦人問題に関してお答えになるわけにいかないかと思うのですけれども、どうですか、労働省と厚生省の方でこういう問題に関して……。  私、厚生省の方にちょっと試算をしてもらってみたんですが、分娩費を仮に十万円という計算をして推定をしてみて、大体政管健保、日雇い健保、組合健保の方は自分で一応カバーするというふうにさせてもらって、国が幾らか補助していく部分なんかを考えてみると、どのくらいお金が要るものだろうかということなんですが、十万円で分娩費どういうふうに計算なさいますか。私は試算してもらったので政管健保、日雇い健保、国保で大体六百五十億ぐらい、それにその他いろいろ入れていって千億もあったらできるんじゃないですか。それじゃ足りませんか。

正木馨厚生省保険局企画課長

○説明員(正木馨君) 分娩に要する費用でございますが、五十年度で考えますと、政府管掌健康保険の出資金件数が六十五万二千件ばかりです。それから日雇い健康保険が二万四千件ばかり、国民健康保険が六十五万件ばかりでございます。それぞれ先生おっしゃいますように、仮に十万円給付するということになりますれば、それに十を掛けたものが給付額ということになるわけでございます。ちなみに、政管健保で六十五万二千件、これを十万円とした場合の給付所要額はどの程度になるかといいますと、六百五十二億余りということになりますし、国民健康保険の六十五万、これを仮に十万円とすれば六百五十億というものが所要額になる、給付額になるということになるわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 そうすると千億じゃ足りませんね。大体千五百億ぐらいは要るかもしれませんね。  それで、人間を生み出す仕事なんです。それくらいのものをどこかでやる方法はないかということです。たとえば、母子保険法を強化してそこのところでやるとか、あるいは単独に母性保障というか、母性給付とかなんとかということで、あるいは出産給付法ですか、何か出産に関して国がこれを保障するというようなことは考えられないのかどうか、これ厚生省は官房長はいらっしゃらないのですか。

綱島衛厚生大臣官房国際課長

○説明員(綱島衛君) 先生御指摘の点でございますが、あえて私から申し上げますと、先般の衆議院におきます審議、あるいは社会労働委員会におきます集中審議の過程におきまして、本日大臣参っておりませんが、大臣も十分にその問題点は心得ておりまして、先ほど申し上げました健康保険の中での現金給付問題としての検討はもちろんございますが、妊娠の場合の健康診査、こういった点は母子保健法の際にもやっておりますし、問題の核心は先生がおっしゃいましたように、新しい別の特別な法体系か何か考えられないかという点でございましょうが、そういう問題も含めまして、先ほど申し上げましたように審議会等々で鋭意検討するということでございます。この点は大臣におきましても、十分その問題意識というものは持っておられますので、申し上げておきたいと思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 実は社会党は、前に出産費国庫負担法というのをつくったことがあるのです。たしか公明党さんは母子保健法の中で出産費十万円、分娩費十万円というのを案として出していらっしゃいますね。だから母子保健法でやることができるか、あるいは出産費を別に単独の法律をつくるかなんかして、少なくとも分娩に関して保障する。私は分娩だけに百二号は十分じゃないと思いますけれども、「妊娠、分べん及びこれらの結果」というふうになっていますから。ですけれども、最初、手初めにそこからやるというようなことを、私はこれは、きょうは厚生省官房長もおいでにならないし、責任者がおいでにならないので、厚生大臣にぜひお伝えいただきたいと思うんです。研究課題にぜひしていただきたい。ゆっくり答申を待ってというような問題ではないと思います。さっきも申しましたように、働く婦人が出産前後に半分、妊娠した人の半分はやめざるを得ない状況になっている。だからこれはいろいろな方法で守っていかなきゃいけないので、一つはその出費の方から、もう一つは、育児休業のような制度、あるいは保育所とかいろいろなことをやらなきゃいけないと思いますけれども、そういうことをぜひやらないと、百二号条約は今度批准したらもう永久にそのままみたいになってしまいます。ですから私たちは、婦人がみんな一生懸命に今後これに関してはずっと要求していきたいと思いますので、ぜひそれをお伝えいただきたいと思います。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 関連。  ちょっと私は意見があるんだけれど。質問者が政府委員を、だれを出席を求めたか私知りませんけれども、きょうは関係の各委員会があるので、政府の方から出る人も非常に少ないと思うのですけれども、役所には審議官もあるし、向こうに大臣が出るというなら局長をこっちに呼んでもいいし、いまの田中さんのような質問になれば、課長が答弁するというのは私は無理だと思うのですよ。それで、官房長もあるし、もう説明員で出て来れる人はあると思うんですよ。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 百二号を軽視しているんでしょう。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 そうですよ。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 批准さえすればいいと……

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 それで、政府委員が出てきて説明員の課長が出てくるならいいけれども、課長が出てきて政府委員が出ていないなんて、そんな不まじめな取り組みじゃ困ると思うんです。  それからまた、私はこの点についてはやっぱり委員長あたりにも責任持ってもらって、呼んでもらうということ、せっかくきょうは国際婦人年で婦人の議員の皆さんが集まって質問をするというのに、厚生省の関係の政府の委員も来ていない、政務次官も来ていない、局長もいない、そんなばかなことで審議ができますか。全くこんなことならやめたっていいし、こんな不まじめな取り組みの仕方というのでやるなら、委員会なんて意味がないと思うわけです。善処を求めますよ。私が質問者じゃないからやめるとは言いませんけれども、とにかく政府の方が反省しなきゃいかぬじゃないか。こんなばかなことはない。委員長の責任もあると私は思うが、善処をしてもらわねば困ると思うのです。

二木謙吾自由民主党

○委員長(二木謙吾君) それはいまも話があったように、やっぱり質問者がだれとだれとを出てもらいたいということを申し出てもらって……。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それはこれの関係の責任者が出るのはあたりまえです。

二木謙吾自由民主党

○委員長(二木謙吾君) 大臣がよければ大臣、あるいは次官がよければ次官、局長がよければ局長に出てもらうということを申し出てもらわぬと……。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 委員長、議事進行。  少し意見があるんですよ。この委員会における委員長としてのあれはあるが、事務当局で十分これは連絡しているはずですよ。しかも、新聞紙上においてもこの問題は大きく取り扱われて、衆議院においても参議院においてもこれが取り扱われるというのは、日本だけの問題でなく、国際社会においても日本の婦人がどういう意見を持っているか、政府はまたこれに対してどういう態度であるか、これを見れば日本の政治というものはちゃらんぽらんだという印象を与えられると思うんです。きょうはいろんな行き方をずっと見ていようと思ったんですが、これはあと二回、三回あると思いますが、もう少し政府がまじめにこれと取り組んで、特に厚生省なんかけしからぬ、こういう態度がなければ、私はこれは自民党、政府にとっても大損失ですよ、国民の半数以上の婦人に対して非常に不まじめだという印象を与える意味において。これはイデオロギーや党派を超えて、重要問題が山積しておりますから、理事会なり何なりにおいてもこの問題は追及しますけれども、委員長はこの問題で余り個人的意見を発言しないで、そうして委員の要請というものに対して順応する態勢をとってもらいたいのですよ。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 きょう外務大臣はEC諸国の方とどうしても会わなければいけないとおっしゃったので、私は外務大臣は窓口だから、実質的には厚生、労働だから、それは一時間でも結構ですというふうに了解したんです。ILO百二号条約に関しては当然厚生、労働が責任ある人が出ること、これはあたりまえのことなんですね。それでほとんどちゃんとした答えがいただけないんでは、私も質問打ち切りたいと思うんです。連合審査か何かしなければ各大臣が出てこないようならば、切りかえていただきたいのです。労働、厚生両大臣が責任ある返事をしてもらわないとね。批准をするという段階なんでしょう。批准しさえすればいい、こんなもの大したことないと思っていらっしゃるなら、非常にまじめに勉強した者がばかを見ますから。

二木謙吾自由民主党

○委員長(二木謙吾君) ようわかりました。この点については、私からも政府の方に十分厳重に申し入れをします。  暫時休憩します。    午前十一時四十四分休憩    午後一時十六分開会

二木謙吾自由民主党

○委員長(二木謙吾君) ただいまから外務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き社会保障の最低基準に関する条約の質疑を行います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 委員長に一言お願いしておきます。  外務委員会もほかの委員会と同様に十分重視していただいて、責任ある人がいつも出るように御協力いただきたいと思います。私もむだに何だか質問していたような感じがいたします。一時間以上質問していたんですけれども、責任あるお答えがいただけないわけなんですね。本来なら大臣の御答弁をいただきたいと思っているようなことがいっぱいあるわけなんで、これは社労との連合審査を私はお願いしたいと思っているわけなんです。  午前中のいろいろは省きますが、ILO百二号条約というのは社会保障の最低線を決めている条約で、ようやくそれを批准すると言っても、メリットは何にもなくて批准するということについて非常に私どもは問題にしているわけで、だからこそ婦人議員が一生懸命にみんな各党ともやりましょうという約束をして出てきているわけでございます。私、トップをやるものですから、総括的にやっておりますが、後、各論でみな婦人議員が次々とやるつもりでおるわけです。  その百二号の九つの部門の中身というのは、医療保障と所得保障に分けられる、医療保障のことをずっといままで質疑していたわけです。医療保障の中でも、日本が百二号条約の中で、医療給付と母性給付、両方とも受諾できないという状況というのは大変情けない状況じゃないか。今日においては、医療保障の概念というのは、一般に病的な状態という言葉でこの条約の方には書いてありますところの状況と、それから「妊娠、分べん及びこれらの結果」というのを医療対象にしている。したがって、出産医療と言いますか、そういう考え方がある。ところで、「妊娠、分べん及びこれらの結果」というものに関しての医療は無料であるべきだという考えを貫いているのが百二号条約だと思います。ところが、現在自己負担があるので、これがある限りは、母性給付も医療給付も受諾できない、パスしないという状況のままが続いていくじゃないか、しかもこのことは、単に日本が非常に低い資格のままで批准するということが問題であるだけではなくて、もっと大事なことは、私たちは命をかけて命を生み出す、その妊娠、分娩に関して無料にするという考え方は、ぜひ今後発展していってもらわないといけないと思うということを申し上げていたわけなんです。  それは、働いている労働婦人、本人の場合も、それから男の人が被保険者である場合にその被保険者の妻の場合も、同じように妊娠、分娩及びそれらの結果に関しては無料で保障されていかなきゃならないというふうに百二号は解釈できるわけで、そのことについては、政府委員からそのとおりだというふうに説明があったわけです。そうしましたら、それを実現していくためには、日本の医療制度なりあるいは母性給付なりをどういうふうに変えていかなければならないかということが問題になるではないかと。  そこで、仮にいまの各種の健康保険の中での分娩費、一番大きいのは分娩費ですから、いま最低保障六万円がありますけれども、現実には十万から、都会地でしたら十五万もかかると、入院費その他含めて。これは入院でも、助産婦でも、あるいは医者が診たんでも、みんな保障されるべきだというふうになっていますから、仮に分娩費だけ取り出してみて、六万円じゃ足りないから、平均して十万円というふうに仮定して推算したならばどのぐらい費用が国の財源として要るだろうということを計算してみていただいたわけです。それらを総合してみますと、大体いま十万円の計算なら約千五百億ぐらいは財源が要るだろう。これを生み出すのには一体どうしたらいいだろう。各種の健康保険法の中身を変えていくことができるだろうかということになると、大変先ほどから説明でネックがいっぱいある。点数制がむずかしいとか、あるいは産婦人科医の猛烈な反対があったりしているし、健康保険が各種大変いろいろ違っておりますから、複雑でさわるのが大変困難である。そうすれば、ちょうど英国が国民医療サービスで別途に出産とか妊娠に関して保障しているように、何か単独の法律を考えることはできないかというのが私の提案だったわけです。  たとえば分娩、まあ分娩だけじゃ足りないとしても、少なくとも分娩の時期からやっていくとして、分娩費を全面的に保障するような単独の法律が考えられるか。たとえば、かつて社会党が考えた出産費国庫負担法みたいなものが考えられるか、あるいは母子保健法あたりで公明党さんが十万円というのをいま出していらっしゃいますけれども、母子保健法あたりでカバーすることができるか、そういう方法は考えられないだろうかということを質問したわけで、それにお答えする方がいなかったので、改めてお尋ねいたします。

山下徳夫自由民主党厚生政務次官

○政府委員(山下徳夫君) いま田中先生からいろいろ御指摘ございましたけれども、基本的には医療保険制度というものが、日本の場合は医療に限定されておるということは御承知のとおりでございます。そこで、まあ私が申し上げるのはまことにどうも口幅ったいようなことでございますけれども、やはり長年にわたる慣習が一つの法制化の要因となるわけでございますから、分娩というものが日本において従来医療行為とみなされてきたかどうかということも一つ問題点じゃないかと思うんです。これは私事にわたって恐縮でございますが、私も四人の子供を持っておりますが、この四人は全部家で取り上げて、病院に入院させたことはないわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 政務次官が取り上げたんですか。

山下徳夫自由民主党厚生政務次官

○政府委員(山下徳夫君) いえ、助産婦さんが来て取り上げるんですけれどもね。それは助産婦さんが来るんですけれども、そういう一つの従来の日本の慣行からすれば、電話をかけて助産婦さんが来て、取り上げて産湯を使ってすぐ帰るというものが果たして医療のカテゴリーに入るかどうかという問題。  しかしながら、いま御指摘のとおり、現段階におきましては、やはり医療というものを再検討する時期が来ていることは、御指摘のとおりだと思うのです。保健からリハビリまで含めて、いわゆる従来の正常でない状態に対する治療だけが医療という考え方から、保健からリハビリまで含めてということに変わっていかなきゃいけないと思いますから、その点はもうおっしゃるとおりだと思います。  そこで、現段階におきましてこの社保審の健康保険懇談会、これで現在審議をお願いしている段階でございますので、ひとつ今後の医療保険の医療というカテゴリーから十分御検討願って、そしていまおっしゃるような線に近づくように努力をいたしたいと思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 もう先ほどからこの百二号条約に出ているものは、そういう病的な状況、原因のいかんを問わない病的な状況の医療と、それから「妊娠、分べん及びこれらの結果」についての医療、つまり出産医療といいましょうか、この二つのカテゴリーがもうすでに百二号条約には出ているわけですね。そして、それよりもっと進んだILOの条約ができている段階ですから、もういまや医療という概念は、病気その他の医療と出産医療と、両方になっていくべきであるということがここには書かれているということは、厚生省の政府委員もそういうふうに説明されたわけで、問題は、日本政府がその方向に向かっていくかという問題ですね。それは先ほどから私質問の中で申し上げましたけれども、働く婦人が妊娠して出産の前後に半分がやめているという状況があるので、これは職場のいろいろな設備だとか制度とともに、この出産の給付というものがないので、やめて退職一時金をとったり、あるいは保険の脱退一時金をとったりして出産費に充てるというような状況があるから、まあ命をかけて産むというこのことに対してそういう費用の保障があってしかるべきで、その方向に向かってぜひやってもらいたい。そのやり方としてどういう方法があるかというところまでいまお話をしていたわけです。これは私も政務次官も大臣にぜひお話しいただきたいし、大臣からもいつか御答弁をいただきたいと私は思いますが、何らかの方向を考える時期がきている。一歩踏み出していただきたい。そうしなければ、母性給付ということに関して大変なおくれた国ということになる。母性に関して最もおくれているんですからね、日本は。そういうことを申し上げて、その決意をいま進めていただきたいということで、後戻りしていただかないようにお願いをしたいと思います。  それから、その場合に、これは医療給付の方じゃない、所得給付の方ですけれども、妊娠、分娩などで休んで所得が停止するという場合に、その標準賃金の従前所得の四五%以上は保障せよというふうになっておりますね。これらのことも、これは健康保険なんかではいま六〇%保障しているところが多いわけです。しかし、その保障のない部分もあるわけです、保険によりましてはね。それで、もしこれを、国内法を改めなければならないようですが、国内法を改めていくとしたら、これは健康保険関係ではどういうところを改めなければいけないか。あるいは、私は労働省の方に伺いますけれども、労働基準法の中の産休も有給の規定にしなければいけないようになるんじゃないかというふうに思うんですが、どうでしょう。国内法をどのように改めなければならないか。

山下徳夫自由民主党厚生政務次官

○政府委員(山下徳夫君) いまおっしゃいましたいわゆる出産に関する保障という問題で、一昨年の六万円に対する改定では、一応最低保障というたてまえで改定されたわけでございますけれども、いまおっしゃるように、これは全部保障するということになれば基本的にはまた変えなければいけませんが、ただたてまえとして、先ほど申し上げたように、医療というもの全体にメスを入れないといけませんので、金額をどうする、保障するということでなくて、医療の概念から変えてかかるということで、そのためにいま一つの作業を急いでいるわけでございますから、この点につきましては御意見として十分承って、ひとつこの作業の過程において十分考慮をさしていただきたいと思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 所得保障の方、労働省。

青木勇之助労働大臣官房長

○政府委員(青木勇之助君) 現在は、先生先ほど申されましたように、六割出ております。それでもって一応カバーできておるわけでございますが、百三号条約の方は、一応先ほど先生申されましたように、三分の二保障ということに相なっておりまして、そうなりますと、その差が問題になります。そういう関係もありまして、百三号条約は現在まだ検討中というかっこうになっておるわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 私の言いました意味は、母性給付という今度の百二号条約の中に、所得がとまった場合には所得保障をしなきゃならない。妊娠、分娩に関する費用を無償にするだけではなくて、その間に所得がとまった分を保障しなきゃいけないことになっているわけですね。そしてその保障は、従前所得の四五%以上というふうになっているけれども、もしこういうものを国内法で、日本で実施しようと思ったら、国内法を変えなきゃいけないわけですね。国内法を変える場合に、どこをいじらなければならないかということなんで、たとえば労働基準法の産前産後休暇というのは有給の規定になっていないが、あれを有給としなければならないんだろうかどうかということをお伺いしているわけです。

久保田真苗労働省婦人少年局婦人課長

○説明員(久保田真苗君) 先生御指摘の基準法の中にということことにつきまして、この国際基準に合致するか否かということと、それから基準法の中にこれを定めますことにつきましては、国際基準の方は健康保険の給付によるという場合を考えられるわけでございまして、基準法のところは使用者に対する定めをしておるわけでございます。その辺の違いがあると存じます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 つまり、必ずしも基準法は変えなくても所得の保障はできるということですね。いいです。そうだろうと私は思っているわけなんです。  それで、結局、政務次官さっきから日本の医療体系のことを大変心配していらっしゃいますけれども、日本の医療保障を相当考えを変えて飛躍さしていかないと、二十三年前の百二号条約にすら医療給付が合格しない、母性給付も合格しないという状況なわけですね。いままで臨床医療を中心にいたけれども、やっぱり予防と治療とリハビリと、全部含めていかなきゃいけないと同じように、母性の保障というか、出産の保障、医療といいますか、そういうものは非常に大きな柱であるというふうに考えをぜひ切りかえていっていただきたいというふうに思うわけです。  そこで、この所得保障の方の問題に少し入りたいと思いますが、百二号条約がほとんど全部にわたって所得保障に触れているわけですね。それで、母性給付に関してはいまも申し上げましたので、遺族年金のこと、遺族給付のこと、第十部ですね、これは大変問題のところだと思います。妻または子に支給する遺族年金の額は、基本年金額の百分の五十に相当する額、ある場合は加算しているところもあると思いますけれども、基本年金額が百分の五十に相当する額が二十四万円に満たないときは、二十四万円まで支給する。二万円ですね、月にして。現在、二万円の遺族年金の人は相当いるんですよ。たとえば、参議院会館の私たちのところのビルの掃除をしているおばさんたち、トイレの掃除をしているおばさんたちに聞いてみると、遺族の人多いですよ。だんなさんが亡くなって、それでだんなさんの年金の半分ですから二万円です。二万円から二万三千円くらい。暮らせませんから、それでパートでああいうビルの掃除をやったり、あるいは、デパートの食品の売り場でパートあるいは臨時職員になっておるわけですね。そういうような年金のあり方というもの、二分の一というのはもう全くこれはよくない。この百二号条約の考え方というのは夫の年金そのままだと私は思いますけれども、このことに関して厚生大臣は、衆議院の予算委員会で聞かれたときに、四分の三くらいまでになるべく早くやりたいというふうに答えていられる。私も社会保障制度審議会に出ておりますが、あそこの方でもこの部分だけ、遺族年金のこの二分の一というのはいかにしても少ない。これは夫が死んだ後の妻の生活の保障には全然ならない。男性を中心にした年金の制度でございますからね。ですから年金の考え方、この百二号条約の保障全体の考え方は家族単位に、家族がみんな生きられるようにという考え方であると思うのです。ですから、この二分の一というのは私はもう削除して、本当に全額と言いたいところですが、もしあれでしたら、この百二号条約の中で一番先に受諾できる——婦人に関するものとか、子供に関するもの、みんな受諾できない当分まだ時間がかかるその中でも一番先に受諾することができるとしたら、この遺族給付のところだと思うのです。この遺族給付をまず四分の三なんて言わないで、全額と私は言いたいけれども、その辺はどういう考えでいらっしゃるか。

山下徳夫自由民主党厚生政務次官

○政府委員(山下徳夫君) ただいま御質問の遺族年金の給付水準でございますけれども、実は来年度、五十一年度にこの厚生年金の財政再計算の際に制度改正を行うというふうに予定をいたしております。したがって、この際にこの問題を含めてひとつ再検討をするということで、いま御指摘のとおり、各案件の中でこれが一番義務受諾に至近距離にあるわけでございますから、来年を目途として受諾するような体制に持っていきたい。数字については課長からひとつ答弁させます。

曾根田郁夫厚生省年金局長

○政府委員(曾根田郁夫君) いま政務次官からお答えいたしましたように、来年の改正の一つの検討課題として、目下厚生年金、国民年金、それぞれの関係審議会で御検討をお願いしておりまして、近々その中間意見書が得られると思いますけれども、具体的に支給率をどうするか——先ほどのお話では、厚生大臣が何か七五%ということを言われたというふうにお話がございましたけれども、私の承知している範囲では具体的な数字はたしかおっしゃってなかったと思うんですが、関係審議会でやっておりますので、具体的数字は差し控えさせていただきたいと思いますけれども、いずれにしても改正を行うからには百二号条約の基準を達成できるように、そういうことで私どもも考えております。ただ、この問題は厚生年金だけの問題ではございませんで、被用者年金に共通する問題ですから、関係各省庁とも十分連絡をとりながら作業を進めていきたいというふうに考えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 そうしますと、来年の予算では百二号条約の中の遺族給付は受諾できるところまで法改正もして、やるつもりだというふうに解釈してよろしゅうございますか。

山下徳夫自由民主党厚生政務次官

○政府委員(山下徳夫君) いまおっしゃるようなことを目途として現在作業を進めております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 そうですか。私たち婦人が、国際婦人年でございますので、何かはことし実現するように、婦人の権利を高めるとか、あるいは保護を強化するとか、あるいは不平等をとっていくとかいう面で一つずつでも進めたいと思っているわけで、いま遺族給付は一番可能性のある点でございますので、これだけはもう絶対にやっていただきたいわけです。もし連合審査がありましたら、厚生大臣から私は、お約束をとりたいというふうに思うわけなんですが、ぜひそのつもりで当局の方は準備していただきたいと思います。  時間の都合がありますので、家族給付のことは多分ほかの方、それぞれおやりになると思うんで、私も、厚生大臣でないとわからないことがあるわけなんで、厚生大臣は、家族給付、つまり児童手当ですね日本で言えば、あれは全然日本の実情にそぐわないようなことをいつもおっしゃっていて、てんでこれは受け付けないようにおっしゃっているんですが、あれはどういう意味か、ちょっと聞かしてください。

高橋三男厚生省児童家庭局児童手当課長

○説明員(高橋三男君) ただいまの点でございますが、日本の賃金状態とそれから諸外国の賃金状態とが異なっておるわけでございますので、御案内のとおり、諸外国では職務給を本則といたしまして年功序列型賃金や家族手当というようなものがございません。日本の場合におきましては、年功序列型賃金を大体主としておりまして、それに家庭給が加わっておるわけでございますので、そういうふうな、基本的な社会的な経済的な状態が異なっておるという点に一つの問題があるというふうに承っております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 この問題はまた大臣がお見えになるときに議論したいと思いますが、百二号条約の中の医療保障と所得保障に分けて、所得保障の中では、まあ所得保障という概念は何らかの理由で所得を喪失した者を保障するという意味ですから、そういう意味では児童手当みたいなものはその所得の損失を保障するという質のものじゃないということは私もわかります。ですけれども、児童手当の意味というのは私はまたもっとほかにあると思いますので、ただそのことは大臣がいられませんから一応やめにしまして、所得の保障の中で、今度は私は労働省に失業給付のことでお尋ねしたいと思います。  これはパスした方なんですね、労働省関係の百二号条約の中でみんな合格した部門に載っているわけなんですが、失業の認定についてなんですね。この条約で失業というのは「労働能力を有し、かつ、就労することができる状態」というふうになっておりますね。つまりこれはちょっと客観的な規定だと思うんですが、雇用保険法、前の失業保険法ですね、第三条の失業の定義みたいなところでは「労働の意思及び能力を有する」者というふうに規定しておりますね。これは百二号条約で言う労働の能力があって就労することができる状態というのとどういうふうに違いますか。

関英夫労働省職業安定局雇用保険課長

○説明員(関英夫君) お答え申し上げます。  この条約の二十条では、「労働能力を有し、かつ、就労することができる状態」にある被保護者がということで規定しております。雇用保険法の四条では、先生のお話のとおりに、前の失業保険法と同じでございますが、失業を定義いたしまして、「労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態」、こういうことにいたしております。したがいまして、両者を比較してみますと、「労働の意思」というのが就労できる、「就労することができる状態」と同じ意味かどうかということが問題になるわけでございます。  で、この条約が採択されました第三十五回のILO総会の議事録によりますと、第二十条の就労することができる状態とは、保護対象者が進んで働こうとしかつ適当な雇用を受けようとする意思を意味することというふうに述べられておりまして、こういう点から考えまして、条約の趣旨とそれから国内法の失業の定義とは一致するものと、こういうふうに私どもは考えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 その労働をする意思というのはどこで見るわけですか、失業者の場合。

関英夫労働省職業安定局雇用保険課長

○説明員(関英夫君) 具体的には、雇用保険の場合には、失業給付を受けますためには、公共職業安定所に出頭いたしまして求職の申し込みをする。そこのところでまず、進んで職業につこうとするという意思があると一応推定されます。  それからもう一つの状態といいますのは、安定所で職業の紹介をいたします。そういう職業紹介に応ずるか否かというようなところ、そういう求職の状態からその都度失業の認定をいたします。そのときに判断すると、こういうことになっております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 つまり、職安に行って求職活動をするということが条件になるわけですね、失業者と呼ばれるのにはね。そして失業給付を受ける条件になっているわけですね。  それで、この条約の方で「労働能力を有し、かつ、就労することができる状態にある」というふうになっているのに対して、疑義があったということになるんでしょうか。そういう三十五回総会の、私も議事録を拝見しました、でもってそういうふうに決めたというか、つまりこれはILOの関係の専門家の方にお尋ねするわけですけれども、ILO条約を国内に批准して、そしてそれに相当した国内法をつくるときに疑問が出てくる、疑義が出てきたときに、どこがそれを解明して決定してくれるのかということなんですね。そのことをちょっと——。この問題に関しても、そういうことがあったのか、あったからその総会でそういうことになったのかどうか。

伊達宗起外務省条約局外務参事官

○政府委員(伊達宗起君) お答え申し上げます。  条約をつくります際は、このILO条約に限らず、多数国間の条約でございますと、でき上がった後で若干このように、「就労することができる状態」とは何かというような疑問は間々起こり得る問題でございます。その場合、このILO条約のように多数国間条約でございますと、有権的な解釈を下す単一の人間というのはおりませんで、やはりその条約の当事国である多数国が合意によって、相談によって定めていくということでございまして、その具体的な場といたしましては、ILOの場合でございますと総会ないし理事会というようなところで決められると。したがいまして、疑問がある場合には、そのような総会ないしは理事会での審議を通じて明らかとされていくことになっていくのではないかと思います。  なお、さらに疑義が生じて総会ないしは理事会でも紛議があるというようなことになりますれば、ILO憲章にも定めてございますように、国際司法裁への判断を求めるという手続の道も開かれておりますが、戦後はそのようなことが実例としてはないということでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それで、私最初にけさお尋ねした医療の「予防的」というところですね。  Preventive or curative という、その予防的というのが、厚生省の係官の説明ですと、一たん病気になってからまた発生することを予防するんだというふうな考え方なんだというふうに言われたのは、ILOの総会か何かでそういうふうな、何といいますかね、合議になったのかなというふうに思っていたわけなんですけれども、後でそのことは、その後の社会保障に関する条約なんかでもっと進んだ考えを政府委員から説明されましたから、もうその点は私追及してもしようがないと思いますのでやめますけれども、やはり国内法をつくるときに、なるたけ国際条約よりは低目であってもこれはパスさせたいというようなことで解釈を曲げていったり、それから、その解釈を確認させるために何かそういうようなことをするというようなことはないようにしていただきたいと思うわけです。  それでは時間があれしてきましたから、業務災害給付のことなんですが、日本の労災保険法なんかによって相当リハビリは私はやっていると思うんですけれども、それによりますと障害等級一級から七級までは年金、八級以下になったら一時金というふうなことになっておりますね。これでは定期的な給付ということになっているわけですが、八級というのは果たして軽微な場合なんでしょうか。私はちょっとこれで見てみると片目が喪失したのはこれ八級ですね、こういうのをやっぱり軽微として——そのほか脊椎の損傷したもの、これも八級ですね、労務災害の場合。そうすると、こういう方々はやっぱり一時金の方がいいんですか。それとも一時金もらってその後どういうふうになっているかというようなことまでフォローしていらっしゃるでしょうか。

田中清定労働省労働基準局労災管理課長

○説明員(田中清定君) 七級以下の方は先生御指摘のように一時金でもらいますので、一時金で障害補償としては打ち切られるわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 打ち切られますね、それでよろしいんですか。

田中清定労働省労働基準局労災管理課長

○説明員(田中清定君) この点につきましては、年金をどこまで軽微な障害まで及ぼすか、あるいは軽微なものについては一時金で補償するか、この辺のところはいろいろ考え方あろうかと思いますが、ILOにおきましても軽微なものまで年金でやれということではないわけでございます。どの辺が軽微かということについては、それぞれの国内の障害についての判断でおのずから決まっておるのじゃないか、かように考えておるわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それはそうですけれども、だから私は労働省にその辺の判定を、つまり一時金をもらってそのまま打ち切られて後、生活が立ち行くようになっているのかどうかという問題なんですね。それでむしろこれは定期的な年金のような形で給付をするようにということになっていて、ただし、軽微なものの場合は一時金でもいいということになっているわけですね。ですから、これの判断を労働省は、労働災害、労働者が働いていて起こす災害、そういう結果ですので、これは立ち行くような方法を考える場合に、果たして八級以下全部一時金というふうにしていいのかどうかということなんです。それはどうお思いになりますか。

田中清定労働省労働基準局労災管理課長

○説明員(田中清定君) まあ条約との関連で申しますと、百二号条約の軽微な分については一時金……。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 軽微という解釈をしていらっしゃるわけですね。

田中清定労働省労働基準局労災管理課長

○説明員(田中清定君) それから百二十一号条約の方ではまあ若干その点表現が弾力的な形になっておりまして、七級、八級あたりも軽微かどうかということにつきましては、百二十一号条約の観点から見ますと、国内的な判断にゆだねられておるというふうに思うわけでございます。七級ないしは八級以下の人たちまで一時金でいいかどうかということは御指摘のようないろいろ御議論があろうかと思いますが、いままで日本の労災を含めて、あるいは厚生年金を含めまして、年金の水準から申しますと大体その辺のところが一時金と年金との一つの境界に相なっておるわけでございます。したがいまして、八級以下を年金にするかどうかというような問題につきましては、かなり慎重な検討が必要であろうと思うわけでございまして、現在労災保険審議会においていろいろ給付の問題も検討しております。ただ、従来の給付の改善の経過から申しますと、その辺は現状で一応何とか補償の内容としてはフォローされておるというふうに思うところでございまして、今後の研究にゆだねたいというふうに思うわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 研究じゃなくて、何しろ労災保険金というのは相当たくさんたまっているんですね、だから労働者の福祉という観点に立って改善していくようにぜひやっていただきたいですね、これ政務次官。

中山正暉自由民主党労働政務次官

○政府委員(中山正暉君) お答え申し上げます。  片目の喪失が軽微かどうかということは、これは御本人にとっては大変軽微とは思われないことであろうと思いますので、そういう面に関しましていろいろこれから検討もし、前向きで考えてまいりたい。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 最後に廃疾給付のことなんですが、これも私は政務次官、百二号条約の受諾できていない、つまり落第している部分の中で受諾させようと思えばわりあいに短い期間にできるんじゃないかと思われるもう一つの部門だと思うんです。障害年金の支給の開始は最初の診療日から三年目、傷病手当金の方の支給期間が六カ月、これ健康保険法の四十七条によってですね、ですからその間の給付にギャップがあるんですね、そこを埋める方法がないのかということなんですが、これはどういうふうに考えていらっしゃいますですか。

山下徳夫自由民主党厚生政務次官

○政府委員(山下徳夫君) 廃疾認定日の取り扱いにつきましては、疾病の種類、まあ相違と申しますか、あるいはまた廃疾の態様等によって非常にいろいろ複雑でございますので、ただ一律に簡単に短縮するというわけにはまいらない面があると思います。しかしながら、いま御指摘のとおり、これはいつまでもいまの状態でいいとは思っておりませんので、医学的な専門家等にも十分ひとつ御相談しまして五十一年度の目途にこれもいたしておきます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 いま五十一年度目標というのが二つあるわけですね、遺族給付と廃疾給付と。これはぜひ実行していただきたいと思います。  そのほか、私たち婦人にとっては母性給付、これは何とか最短時間で追いついていただきたいわけです。そのことに関して多分また皆さんからもお話があると思う。私はさっき申し上げたようにひとつ提案があるわけなんで、それはまた大臣の御意見をいつかの機会に伺いたいと思っております。  以上で、私の質問を終わります。

石本茂自由民主党

○石本茂君 私は、まず初めに外務政務次官にちょっと御所見を承ります。  と申しますのは、このILO百二号、いわゆる社会保障の最低基準に関する条約が三十五回総会ということで採択されましてもう二十三年の年月を経たわけでございます。そうして今回わが国は、いただきました資料によりますと、二十六番目の批准国になろうとしているわけでございますが、いま田中委員もいろいろ御意見ありましたけれども、この中には九つの科目があります。そのうちで今回四つの項目を一応最低基準を満たしたということで批准をされようとしているわけでございますが、この四つの部門のことについて私は触れようと思いませんけれども、二十三年も経った今日、約半分以下じゃなくて、せめて六つか七つぐらい満たしまして批准ということになぜしなかったのか、こんなにいまあわててここでなぜこういうことをしなければいけないのかという疑問をひとつ持っております。  と申しますのは、いまから三年前でございましたと思うんですが、わが党の政策の中にもこの問題が提起されまして、そのときに私女性ということもあったと思うんですが、なぜ女性に対するいわゆる分娩給付等の問題を置き去りにして、そしてこれをいま急がなければいかぬのかということと、それからこの問題をめぐりましてやはり人間の幸せとか社会保障の原点を考えますと、医療というものが非常に大きなやはり役割りを持っていると思うんです。そのものを全部見切り発車をするということに大変私は疑問を持った一人なんですが、今回もそのままでございますので、この辺の御見解をちょっとまず承りたいと思います。

羽田野忠文自由民主党外務政務次官

○政府委員(羽田野忠文君) 先生御指摘のように、このILO百二号条約につきましては、批准までに非常に長い歳月がたっております。そして今回批准のための御承認をいただく段階になったわけでございますが、九部門のうち四部門しか受諾できないということについては、私どもも、できれば九部門全部を受諾できるような状態にして御承認いただいて批准するという方法も考えられたわけでございますが、実際一つ一つの各部門にわたりますと、わが国の社会保障は相当程度進んでおりますが、各部門の中で何らかのところでその条件を具備していないというような問題がございまして、九部門全部を受諾するのには相当な時日を要するのではないか。そうすると、さしあたり国内体制が整備した四部門についてこれを受諾し御承認をいただいて批准をするということを、まずそれを第一ステップにして、そして百二号条約を受諾したのであるから、後の部門についてもなるべく早く受諾できるような状態に持っていくと、かえって今回御承認いただいて批准することの方が、後の部門を受諾する一つのステップになりはしないかということで、またそういうふうにぜひしたいというので、今度四部門だけの受諾で御承認をお願いしているわけでございます。  外務省の方では、これは条約案件でございますので外務省が窓口でございますが、その実際の内容はいままで御質問にございましたように、厚生省、労働省その他の各省庁にまたがっている問題が多うございますが、窓口である外務省が横の連絡をとりまして、関係省庁にお願いして、今回受諾できない部門について早く受諾できるように国内体制を整えていただきたい、これがまた社会保障に対するわが国の国際評価を高めるゆえんでもございますので、そういうふうにぜひしていただきたいというふうに考えております。

石本茂自由民主党

○石本茂君 次官の申されますことは一応納得しておきたいと思います。と申しますのは、この四つの部門が承認されますことによって、他の残されたものもごく近い時期に必ず最低基準を満たすように一つの起爆剤になるんだとおっしゃることにおいて私は納得したいと思います。  そこで、置いてきぼりになりました問題の幾つかについてお伺いしたいのでございますが、まず第二部の医療のことでございます。この条約上の医療の範囲というものをどのように考えてよろしいのか。まあ字句に書いてあるものから判断いたしますと、やはり予防的あるいは治療的なものが中心になっての医療だというふうに納得し理解しておりますけれども、百三十号条約というものが後にありますので、この辺とのかみ合わせを、これは厚生省のお立場でひとつ聞かしていただきたいと思うんです。この百二号で言う医療とはどの範疇を中心にして言っているのかということをお伺いしたいのです。

綱島衛厚生大臣官房国際課長

○説明員(綱島衛君) お答え申し上げます。  百二号条約で、医療の部で規定しておりますのは、疾病、負傷、妊娠、分娩、それからこれらの結果、こういうものを広く医療というふうに解釈して言っているわけです。その次の百三十号条約の方では、その中にさらに一定の条件下における予防的医療、それからいわゆるリハビリ医療、この辺までを含めて言っているわけです。ただ、日本の国内におきましても、条約ができたころでございますけれども、医学の進展その他に伴いまして、医療というものを法制上も次第に広く援用する、こういう傾向がございます。

石本茂自由民主党

○石本茂君 そこで、この医療の問題と非常に関連の深いのが第八部の母性給付のことかと思いますので、母性給付のことにつきまして、一体どこがどう欠陥理由になって、要するに満たされない理由は何かということを、わかり切ったようなことを聞くわけでございますが、ひとつお示し願いたいと思うのです。

正木馨厚生省保険局企画課長

○説明員(正木馨君) お答え申し上げます。  先生のお尋ねの点は、第二部の医療と第八部の母性給付、両方に共通した問題でございますが、この両部が受諾できません問題点は、十条の二項一にございますように、「受給者が負傷又は疾病について受ける医療の費用は、受給者」に「その一部を負担させることができる。」ということがございますが、これは医療の費用に言っておるわけでございます。分娩、出産費用につきましては一部負担を認めておらない。それで、これまた先生御案内のように、現在の健康保険におきましては、本人の場合には標準報酬月額の半月分で、六万円の最低保障、配偶者の場合には六万円の定額の現金給付をしておるわけでございます。これは一昨年の法改正によってそこまでの水準に高めていただきまして、当時といたしましてはほぼ必要な出産費用を賄える水準であったわけでございますが、その後の社会経済情勢の推移によりまして、今日におきましては出産費用を十分賄えないという面が出てきておりまして、この出産費用については一部負担を認めないという点に抵触するわけでございます。したがって、要は出産費用の一部負担の面につきましてこの二部ないし八部を受諾できないというのが実情でございます。

石本茂自由民主党

○石本茂君 そこで、いまお言葉にもありました第十条の(b)項に示す(ii)の問題ですが、ここでいわゆる「必要がある場合の病院への収容」というふうになっておりまして、私二十三年前ということを一応頭に描きますと、むしろ分娩は、異常産を除きまして、正常分娩等は自宅分娩が中心であって、施設に入っての分娩というものは、特定と言うんではございませんが、余り想定されていなかったんじゃないかというような気もするんでございます。その辺についてどのように、現在ただいまをどう当てはめるかということももちろんこれはこの後に続く問題でございますが、二十三年前にこの条約ができましたときのここに書いてある文章等から私が何となしに受けとめますのは、ことさらに「必要がある場合の病院への」という言葉についてちょっとこだわっているわけなんですが、これどういうふうにお考えでございましょうか。

山下徳夫自由民主党厚生政務次官

○政府委員(山下徳夫君) 先ほどから私はみずからの例をとって申し上げたように、いまおっしゃるとおり、自宅分娩というのはこれは医療ではない。ということは、医療というのはあくまで日本の場合には医者が行う治療という解釈でございまして、自宅で行う場合は助産婦が主として従来行っておったということでございます。したがって、たとえば現在は、はり、きゅう等についても一部医療保険を適用しておりますが、この場合は、やはりあくまで医師の同意ということが前提になっておりますから、あくまで医師の治療ということでございますから、そういう意味において、日本の慣習というものは、長い間正常分娩というものは医療でないという考え方で来た。したがって、御指摘の二十七年においては、その時点において条約が採択されたので除外された。それで、もちろんその当時でも保険の趣旨からして、自宅で助産婦による分娩で困難な場合、いわゆる異常分娩はすべてこれは保険の給付の対象となるということでございます。

石本茂自由民主党

○石本茂君 それで、さらにいま次官が申されておりますように、現に異常分娩は一切これは医療費の対象になっております。問題は、正常分娩の場合が問題になってきているわけでございまして、この正常分娩がほとんど、世界もそうだと思うのですが、わが国ではもう八〇%、九〇%が施設分娩になってしまっているのです。ですから医療ではない、だからそれは保険医療にはなじめないというようなたてまえできょうまで押してきたわけでございますね。しかし、この観念をどこかで変えないことには、医療給付につきましても、あるいはいま問題にしております母性給付につきましても、永遠にILO百二号からはみ出していくことになると思うのです。  そこで、いま私どもがこだわっていることに対しまして、今後どういうふうに一体考えを直していこうとしていらっしゃるのか。私、これはぜひ少し具体的に聞かしてほしいと思うのです。いやそれは、正常分娩なんてものは、一種の生理的なものだ、生理的なものはまあ二、三日ほっときゃもとどおりになるのだからという、母性の果たす分娩という役割りに対して、それはもう普通のことなんだ、生理なんだというたてまえで今日まできているわけですから、私はこれを、生理的な現象を病理的なものと言えと言ってはおりませんけれども、何かその辺の考えをひっくり返して考えてもらいませんことには、この問題は解決できないと思うのですが、いかがでしょうか。

山下徳夫自由民主党厚生政務次官

○政府委員(山下徳夫君) 具体的な問題についてのお尋ねでございますから、その面につきましては事務当局からお答えいたしますが、いま御指摘のとおり、法制定の当時と現在と違いますのは、約八〇%が入院分娩であるという実態でございますから、これはやはり従来の慣習がだんだん変わりつつあるわけでございますから、現時点をとらえて私どももこれは十分検討しなければいけない、このように考えております。

石本茂自由民主党

○石本茂君 もう一つ、これは重なり合っていることでございます。さっき田中委員も申しておられたことですが、この正常分娩の場合の入院に要する経費でございますけれども、六万円で済むところもあれば、十万円のところもあれば、十万を超すところもある。これは現在の日本の医療体制そのものからきていると私は思うのです。ですから、ここで正常分娩だけをえぐり出して考えましたときに、正常分娩というものに対する医療経済、経費の問題、何か尺度を、これは物差しではかるわけにはいきません。その人の体質にもよりますし、年齢にも差がございますので一概には言えませんけれども、いまのような医療体制の中でこのものを解決するということは、これはものすごく困難なわけです。自由診療で、しかも医療ではない、点数ではございませんということでございますから。ですけれども、どこかで何か尺度でも決めないことには、いまの日本の医療体制の中ではとても乗り越えていけないと思うのですが、この面についてはどういうふうなお考えを持っていらっしゃるでしょうか。

山下徳夫自由民主党厚生政務次官

○政府委員(山下徳夫君) 六万円に改定したのは一昨年でございますが、当時の時点における、私も当時その職にございませんでしたのでよく存じませんが、そのときの物差しの目盛りがどういう基準であったか存じませんが、やはりいろいろな専門家の御意見を聴取して、この法にもございますように、六万円というものはあくまで最低保障という基準で示されておりますので、その問題が、今後それが最低ということでいいかどうかという一つの焦点だろうと思います。

石本茂自由民主党

○石本茂君 おっしゃることもわかりますけれども、六万円の算定基準は、当時私どもは、それでよいとは思いませんが、まあまあと思いました。しかし、社会の情勢がどんどん変わってきていますし、しかも医療点数になじまないということで、これはもう分娩をあずかる施設の考え方で、決して分娩、出産に要する点数は何十点ですよ、何百点ですよと仮に決めましても、さっきから申しておりますように、状況というものは個々皆ばらばらでございます。そういうことを考えますと、いま申されたように、ただ金額だけを積み重ねればこの問題は解決できると私は思えないのです。六万円が九万円になって十万円になった。田中先生はいま十万円という積算見積もりをしてみろと言っていらっしゃいましたが、仮に十万円という単価をここで出してみても、果たしてそれで十分かどうか、私は疑問を持っております。でありますから、私の物差しといったのは、分娩に要する経費というものを、金額的に物差しではかるのか、あるいはまた医療という範疇の中で保険というものにかぶせていくのか、あるいはまた全額国家がそれについては保障をするのだというたてまえをおとりになるのか、そのことをちょっとくどいようですが聞きたかったわけでございます。

山下徳夫自由民主党厚生政務次官

○政府委員(山下徳夫君) 先ほど課長から御答弁申し上げましたように、ILOにおけるこの条約の基準は、いわゆる負傷、疾病並びに妊娠、分娩及びこれらの結果、こういうことになっておりまして、私が先ほどから御答弁申し上げましたように、分娩はこのカテゴリーに入っておらない、日本の場合は。ですからただ金額を、おっしゃるとおり六万円を十万円にするとかという問題でこれは私は解決はつかないと思うのです。医療という概念からこれは根本的に変えなければいけない。したがって、それをいつの時点においてするかということは、私は大臣でございませんし、ここでお約束はできませんけれども、ひとつ御意見を十分尊重して、また大臣ともよく打ち合わせたいと思います。

石本茂自由民主党

○石本茂君 私は、非常にこれは重要な問題なのですが、日本の医療は決して諸外国に比べまして、その他の分野については決しておくれているとは思っておりません。それだけに、たったこの項目だけで最低の基準すらも認められないということは物すごく残念なのです、本当のことを言いますと。でございますから、この項目につきまして、いま申されましたようにぜひひとつ、来年とか再来年とかいうお約束は無理かもわかりませんが、ことしを一つの起点にいたしまして、いままでのお考えをさらに煮詰めていただきたい。そして何としてでも来年あたり、この近いうち承認されるであろうILO百二号の中に、わが国は医療も入った、母性給付も入ったというようにしてほしい、これが私の心からの念願でございます。  続きまして関連でございますが、なぜわが国の周産期の死亡率、要するに妊産婦の死亡率ですが、これはわりあい高いのです、諸外国に比べましても。なぜこんなに高いのでしょうか。この辺をひとつ政府当局の御見解の中で承っておきたいと思います。

山下徳夫自由民主党厚生政務次官

○政府委員(山下徳夫君) これは医学的な問題ですから、私から答弁できることではございませんが、ただ昨年の例の世界人口年における日本の政府が発表しました中にもございますように、アジア・太平洋地域においていわゆる人口革命をなし遂げた一つの国であって、いわゆる多産多死から少産少死へとはっきり転換してきたことは事実でございますし、ただ、いまおっしゃるように、他との比較ということになりますと、これは私、資料を持ちませんけれども、少なくとも日本国内における過去の歴史からすると非常に少なくなっておることは事実でございます。いま他国との比較ということになりますと、こちらの方、政府の方が資料を持っておりますれば、またお答えしたいと思います。

上村一厚生省児童家庭局長

○政府委員(上村一君) 周産期死亡率でございますが、昭和二十五年に四十六・六、これは出生千に対してでございます。四十八年の数字が十八でございますが、諸外国に比べまして相当高い。私どもの持っております数字では、昭和四十五年の数字でございますが、日本の二十一に対してスウェーデンが十六とかオランダが十八。  問題は、御案内のように、日本で、昭和四十八年の数字でございますが、妊産婦で亡くなった数が八百一名でございます。その率を見ますと、出生一万に対して三・八くらいになるわけでございますが、日本の場合問題になりますのは、周産期死亡、御案内のように周産期死亡というのは妊娠八カ月以後の後期死産と早期の新生児死亡に分かれるわけでございますが、問題になりますのは後期死産、後期死産が出生千人に対しまして十二・二という、これは諸外国と比べましてもイタリーに次いで高い数字だというふうにいわれております。なぜ高いかというのは、結局は日本の妊産婦死亡の主な原因でございます妊娠中毒症なりあるいは敗血症、そういったものが主な原因で、これは余り諸外国にないものだというふうに聞いておるわけでございます。

石本茂自由民主党

○石本茂君 そこで、いま申されましたこととの関連でございますが、妊産婦の健康管理体制でございますね。たとえば、現在ただいま例の人口問題などを中心にして母子保健センターを充実化しろとか、いや国立の母子保健センターを置けとか、いろんな注文をきのうあたりも出したわけでございますが、この健康管理体制につきましてこれでよい——たとえば母子保健制度でございますね、これは母子保健法がございますから、あの法律の中で定めてありますことと、行政の中で実際にそれを進めていくための状況があるわけでございますが、いま行われておりますことについていかがでございましょう。これでよろしいんでしょうか。どのあたりなんでございましょうか。これを担当の局長さん御承知の点を教えてください。

上村一厚生省児童家庭局長

○政府委員(上村一君) 御指摘になりましたように、日本の妊産婦の死亡率というものが先進諸国の中で比べて劣位にある、これを改善するためには妊産婦の健康管理というものが十分に行き届く形で行政を進めていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。  で、どういうふうに進めておるかということと、そこの進めておる中でどういう点に問題があるかということを申し上げますと、一つは、一番最初に妊娠の届け出というものがあるわけでございます。なるべく早い機会に妊娠の届け出をしてもらわにゃいかぬ。届け出は相当励行されまして、生まれました件数の九五%までは妊娠されたときに届け出があるわけでございますけれども、どうしても妊娠六カ月以降の者の割合がなお高うございます。なるべく早い機会に妊娠の届け出をしてもらって、それを契機に保健所が、あるいは保健機関が指導に入るという体制をとることが必要じゃないか。それからもう一つは、やはり母子保健についてのいろんな知識の普及を図ることがどうしても必要だろう。私ども母親学級とか、育児学級とか、あるいは婚前学級なんというものをつくりまして、そこで啓蒙に務めておるわけでございますけれども、それをさらに徹底する必要があるということ。それから妊娠中の生活指導なり、あるいはさっき申し上げました妊娠中毒症の予防のための指導、妊娠中のお母さんの栄養の指導、そういった指導とか、それから安全に赤ちゃんが分娩できる、そういった意味の妊産婦の体操とかいっておりますけれども、そういったものの普及も図ってまいりたい。それから健康診査につきましては、従前保健所で実施しておりましたものを数年前から、保健所以外の病院あるいは診療所でやりました場合でも、年二回でございますけれども、無料にするというふうな対策を進めておるわけでございます。そういった妊娠してから出産するまでの母体の健康管理というものについて行き届いた施策というものを進めていくことが、これからも引き続いて大事なことではないかというふうに思うわけでございます。

石本茂自由民主党

○石本茂君 労働政務次官に…。いま話し合っておりましたような事柄につきまして、女性の労働、いわゆる職場環境、そういうものといま話になっております母子保健、なぜ妊娠後期に死亡率が高いのかというようなこと、何かこれは、関係は全くないと考えてよろしいでしょうか。やはり、あくまでも個人の保健衛生に関する知識あるいは啓蒙が足りないんだということだけで足りるものでしょうか。やはり労働環境の中にも何かあるのじゃないかと私は思っているわけですが、いかがでございましょうか。

中山正暉自由民主党労働政務次官

○政府委員(中山正暉君) 勤労婦人福祉法もできまして、勤労婦人福祉対策というものを中心に考えております中で、そういう妊娠後期のいろいろな問題、次の時代を背負っていく次の日本の宝の問題でございますので、われわれも労働行政の中で留意していく面が先生のお話からいろいろ私ども参考になる面があると思います。そういう意味で検討してまいりたいと思います。

石本茂自由民主党

○石本茂君 これも関連でございますが、労働省の課長さんに聞きますけれども、勤労婦人福祉法ができまして、もう満三年ぐらいたったと思うんですが、いま話になっております勤労婦人の健康管理、特に妊娠中の婦人の健康管理、これは国民自身が自覚して、そして申し出るたてまえになっておりますけれども、果たしてスムーズに事業所側が行っていらっしゃい、ちゃんと行きなさいというような体制になっておりますでしょうか。知っていらっしゃる限りをちょっと聞かしてください。

久保田真苗労働省婦人少年局婦人課長

○説明員(久保田真苗君) お答え申し上げます。  労働省といたしましても、勤労婦人福祉法の制定に伴いまして、この九条、十条におきますところの健康診査、母子保健法に規定されておりますところの健康診査を受けられるように事業主に対して必要な時間を与えるよう努めなければならないということにしております。それからもう一つ、十条におきましては、医師の診断によりまして指導事項というものが示されましたときに、これが職場の中で守られるような措置を使用者に対して努力義務を課しているわけでございます。したがいまして、婦人少年局といたしましては、その後、専門家によりますところの母性の健康管理専門家会議というものを開催いたしまして、実際に妊娠の状況によりまして職場の環境あるいは作業の状態、条件、こういうものとの関連を詳しく調べました上、指導基準というものをつくりました。これによりまして、ただいま事業主に対して行政指導を実施しております。

石本茂自由民主党

○石本茂君 その指導がうまく徹底することを願っているわけでございますが、今年度の予算の中で、いわゆる事業主への奨励というか補償といいますか、例の出産後の育児休暇を与える事業主に対しまして八万円でございますか、何か奨励費が出ますですね。経費的にそれがあることは非常に私はすばらしいと思うんですが、いままでの、わずかな期間でございますから、果たしてそういうことが励行されておりますか、何件くらいあるかわかりませんが、調査などをなさったことございますか。もし調査なされましたら、その結果でございますね、幾つぐらいの事業所がもうそれに踏み切ったかどうか。

久保田真苗労働省婦人少年局婦人課長

○説明員(久保田真苗君) 育児休業の普及につきましては、まだそれほど高い普及まで至っておりませんで、事業所の約四・三%と私どもの調査ではなっております。御指摘の奨励金の件につきましては、まだ現在奨励金によって制度の普及を始めたところでございまして、結果につきましては、いずれ御報告申し上げたいと思います。

石本茂自由民主党

○石本茂君 もう一つ、しち古いこと申しますけれども、この母性給付につきまして、まだ一つ例の出産手当金といいますか、あったと思うのですが、これは現在ただいまでも満たされているというふうに考えてよろしゅうございますか。

綱島衛厚生大臣官房国際課長

○説明員(綱島衛君) お答え申し上げます。  出産手当金の件につきましては条約の基準を上回っております。

石本茂自由民主党

○石本茂君 そうしますと、また話はもとへ戻りますけれども、あくまでも分娩手当だけに問題が残ってしまっておりますので、このことにつきましては、さらにここでもう一遍、ぜひこの一、二年のうちにこの問題解決していただきたいことを心の底から強く要望いたしまして、次のところに移ります。  次の問題は家族給付のことです。七部の問題ですが、ここで満たされない事由ということは一体どういうものでございましょう。もし具体的におっしゃっていただければ……。

山下徳夫自由民主党厚生政務次官

○政府委員(山下徳夫君) 先ほど政府の方から答弁申し上げましたように、田中先生の御質問に対してもお答えしましたように、諸外国の賃金体系の中で、いわゆる家族手当というようなものが日本の場合はあって、これを含めますと大体基準を上回るぐらいの数字になるはずでございますが、それを全部取り払って、ILOのこの義務受諾のために一本化していいかという、そこに問題があると思うんでございます。そこらあたりを今後どのように考えていくかということだろうと思います。

石本茂自由民主党

○石本茂君 私は、現在日本も行っておりますのは、第三子以下でございますね、いまおっしゃっていることにつきましても。もちろん第一子、第二子は両親のいずれかの労働といいますか、賃金の中に含まれていると思うんです、いまおっしゃったように。ですけれども、現在、ただいま次官も御承知のように、人口静止対策が大きく出てしまいまして、むしろこの言葉が適当かどうかわかりませんが、平均二児というのは、これは夫婦の間、一単位の夫婦から二名の子供という意味だと思うんですが、健全な二人の子供を育成するべしというようなことが随所に新聞等に出てくるわけですが、そうなりますと、三子に児童手当を出しているということ自身は何か逆さまみたいに思いまして、むしろ私は第一子に思い切った手当を出すことこそ健全な子供の育成ということになるんですが、この辺、どうお考えでございましょうか。

山下徳夫自由民主党厚生政務次官

○政府委員(山下徳夫君) この制度発足の当時におきましては、たくさん子供さんをお持ちになった方に御苦労さんでございますという、御慰労の意味も含めてこれは制定された。いまおっしゃるように、人口計画から言うならば、一子、二子にのみ支給して、三子以上には支給しないということの方が理にかなっておるかもしれませんけれども、まだこれ実施してそう長くなりませんし、これは私がここではっきりこれがいいという意見は申し上げかねますけれども、御意見として承っておきたいと思います。

石本茂自由民主党

○石本茂君 これを本当に、私は笑いごとじゃない問題になってきたと思いますので、ぜひひとつ担当の局長もおいでになりますことですから、ことしではございません、五十一年あるいは五十二年、五十一年の予算等におきまして根本的に見直しをしていただきたいと思います。第三子に出すなと言っているんじゃございませんが、やはり若い夫婦の間では収入も少のうございますし、そのときに生まれた大切な第一子に全然国は何の保障もしないということは、私はこれは問題でございますので、先ほど次官申されました家族手当等々の問題もありますが、この辺も御参考の中に入れていただいて、ひとつよい結論を、これもここ一年ぐらいの間に予算的に詰めろと言うんじゃございませんけれども、方針、方向だけは私はお示し願いたいと思います。方向だけでもいいんです。そのことをお願いいたします。ここでするのかせぬのかと言ってみたところでどうしようもございませんので、できることなら次官のお考えだけでも結構です。わしはこう思うということで結構です。大臣じゃございませんから全責任はございませんから。

山下徳夫自由民主党厚生政務次官

○政府委員(山下徳夫君) 御意見として承っておきます。

石本茂自由民主党

○石本茂君 それではちょっと私も納得しませんですね。意見として聞くだけじゃ困りますね。

山下徳夫自由民主党厚生政務次官

○政府委員(山下徳夫君) やはり法律というものは社会のニードにこたえるべきものでなければなりませんので、先ほど私も申し上げましたとおり、同時にまた、一つの人口計画から申し上げても、従来のような三子から支給するというものがいいか悪いか、非常に私はいま問題だと思います。したがって、ただ先ほど申し上げたように、制定されまして日も浅いし、ここで私が次官という立場でこうしますということは申し上げられませんので、そういう意見において御意見を承っておきますと、こういう意味でございます。

石本茂自由民主党

○石本茂君 よく次官の御意向がわかりましたので、今後ひとつその実現方につきまして精いっぱい御努力くださいますことを重ねて私は要望さしていただきます。  それから、さっき第九部の廃疾給付につきましては、田中委員も意見を求めておられましたけれども、この満たされない事由ということと、それからなぜこれを満たすことが困難かということをもう一度恐縮でございますが、私、承知しておきたいと思います。

綱島衛厚生大臣官房国際課長

○説明員(綱島衛君) お答え申し上げます。  これにつきましては、条約が基準として定めておりますところは身体の欠損、心身の欠損、これによって労働不能の状態が永久的になる場合、いわゆる障害ともう一つ傷病給付、これは第三部にございますが、いわゆる傷病手当金でございます。これが切れた後の期間、これにもやりなさいと、こうなっているわけです。ところが、健康保険法によります傷病手当金は、御承知のように一般の疾病ですと六カ月、結核性疾病ですと一年半、片方、年金の方からまいりますと障害の年金が出ますのは、最初に病気になってから三年目に廃疾認定をして、そこで廃疾の状態に応じまして一級あるいは二級の年金を支給する、こうなっております。したがいまして、治らないでまだ傷病手当が終わった後存続する労働不能の状態、この間のものが抜けてしまう。これが第九部に定めております基準に合致しない理由でございます。

石本茂自由民主党

○石本茂君 問題は、抜けていく空白期間をどうするかということが接点だと思うのですが、これについては現在どうにも考えがないということでしょうか。やっぱり大体こういう方向で考えていこうということでございましょうか。状況をもしお話いただければ聞いておきたいと思います。

綱島衛厚生大臣官房国際課長

○説明員(綱島衛君) この点につきましては、先ほど政務次官からも答弁がありましたですが、一つは年金制度の方で、先ほど申し上げました三年目に廃疾認定をする、この時期を繰り上げる方法と、それから健康保険法における傷病手当金の支給期間を長くする、こういう二つの道があるわけでございます。それで年金の方の廃疾認定時期、それにからみ合ってまいります傷病手当金の給付期間というものは、まず廃疾認定時期の方をどうするかと、この方がまず先にくる問題だろうと私どもは考えております。したがいまして、そもそも三年目に、これまでやってまいりましたその根拠ですね、この辺はやはり医学的な判断、将来どの時点で安定して、もうこれ以上動かなくなるか、これを判定して年金化する、そういう点につきまして、専門家の意見を聞いて検討している段階でございます。

石本茂自由民主党

○石本茂君 ぜひひとつ、よい結論に導いていただけることを、これは大事な問題でございますので、労働者にとりましてはお願いしておきます。  この後ちょっと関連になりますが、労働省に聞いておきたいのです。  わが国の労働政策の面で、女子労働者の位置づけというものが、まあこれは私が女性で、少しひがんで物を言うのかもわかりませんけれども、なぜこんなにおくれたのかということ、またその原因につきまして、少しこの機会に聞いておきたいと思うのです。女子労働者に対する労働政策、何か非常に飽き足らないと申しますか、たとえばいまごろになって育児休暇をどうしようとか、いまになって分娩給付をどうしようかというようなことを言っているあんばいでございまして、なぜこのように立ちおくれが出たのかということで、ちょっとお伺いしたいと思います。これは官房長でもどなたでも、次官ならなおよろしいです。

久保田真苗労働省婦人少年局婦人課長

○説明員(久保田真苗君) お答え申し上げます。  わが国におきましては、長いこと女子の労働というものが若年の、結婚までの仕事であるというふうな位置づけと申しますか、そのような態様がございまして、最近経済の成長に伴いまして、急速にここに既婚者というものが登場いたしまして、現在既婚者は六割というふうな状況でございますけれども、そのような状況に至ります事情と見合いまして、勤労婦人福祉法を一般の基準法による保護を上回りました形で出さなければならないというふうに考えまして、このような立法を行ったというふうに理解しております。それでございますから、そのような立ちおくれというものはあるいはあったかもしれませんが、私どもといたしましては、従来から若年あるいは既婚者を含めまして、女子労働に対する職業知識あるいは技能の向上、職業意識の向上といったようなことも実施しておりましたので、特に既婚者に対する対策といたしましては、最近の既婚者の増加と見合って、おくればせではございますけれども、現在非常に精力的に努力しているという状況でございます。

石本茂自由民主党

○石本茂君 いま課長は、何か女性の労働者というのはあたかも嫁に行く前の腰かけ的な労働市場であったんだというふうに私は聞くわけでございますが、戦前戦後を含めまして、そういう部分も大きかったかもしれません、しかし、女性でなければ守れない職場もあったと思うんです。それも物すごく立ちおくれましたですね。その辺について私は、たとえばいま申されましたように戦後、しかも経済成長に伴いまして物すごい勢いで女性労働がふえました。現在ただいまは、三分の一ぐらいは女子労働者で占めている。このときに、ただ必要とする労働市場がそこにあって、どんどん若い人でも何でも求めていったその時代に、大変失礼な言葉になりますが、何の対応策も持たないで、ただこうじっと見ていたのですかということをもう一つ聞いてみたいんです。どんどん女の人が働き出すようになったと、あれでいいんだろうか、それもいいことだというようなぐらいの気持ちだったのか、調査、調査、調査を幾らされましても、やはり行政というものは実際でございますから、調査よりも——調査はずいぶんされていると思うんですが、やっぱり実際がすごくおくれたということありますね。

中山正暉自由民主党労働政務次官

○政府委員(中山正暉君) 日本の伝統的なものの中に長い間そういうものがあったのではないかと思いますけれども、実は私の友人にも外人の奥さんを持っている人があるんですが、結婚記念にめおと茶わんをもらいますと、女房の方がなぜ小さいんだということをおっしゃったと。ですから、めおと茶わんでも御主人の茶わんが大きくて、奥様の茶わんが小さいというような、日本の社会的な構造の中に、そういう女性の労働力を必要としない——ソビエトへ行きましても、女性の労働者が道路工事とか、大きなトラクターとかを——これは体力を見ましても大変、男性よりも大きな女性がたくさんおられるような、その体質的なものもありますでしょうし、日本の場合にはいままでは女性を積極的に労働市場に送り込まなかったということがあり、それに対して、戦後、経済発展の中で労働力不足が女性の力も必要としたという、それが私はおくれの原因になっているんじゃないかと思います。それを国際婦人年というようなときに当たりまして、いろいろ先ほどからお話のありました勤労婦人福祉法によりまして、勤労婦人福祉対策基本方針というのもつくっております。それは就業における男女の平等とか、それから就業能力の有効発揮対策とか、職場における母性の健康管理対策とか、育児休業の奨励金制度の創設を軸とする育児休業制度の普及促進、職業生活と家庭生活の調和対策とか、働く婦人の家の整備とか、そういうような基本方針を出しまして、おくればせではございますが、社会構造の上でそういうおくれに対しまして何としても追いつき、そして男女が職場で平等の権利を持って働く、そのかわり御婦人の方にもいろいろとその場で、私は女だからどうするというような態度もこれは考えてもらわなきゃなりませんし、そういう意味での取り返しということに対してわれわれも懸命にひとつ努力を重ねていきたいと思います。国会でも婦人議員の先生方がもう少し出てくださればいいのになということを希望をいたしまして、女性の方が日本は有権者も多いんですから、大いにひとつ御活躍を願いたいと思います。

石本茂自由民主党

○石本茂君 ただいま次官は励ましてくだすったのか、おまえら反省しろと言って一つの御示唆をいただいたのか、私は両方で受け取りましたけれども、確かに私ども女性自身もこういう機会を持ちますことによって大きな反省をしなきゃいけないと思っておりますが、先ほど来ここで話が出ておりますように、なぜ女性の労働に対する立ちおくれが出たかということは、女性自身にも問題があったと思いますけれども、取り巻く男性側のやはり理解が足りなかった、こう私は思います。たとえば、先生のおっしゃったことをしりを取って言うわけじゃありませんが、女性議員がんばれとおっしゃってくださいましても、なかなか、どう言いますか、議会に出てくること自身に物すごいこれは苦労があるわけです。まあ二言目には女子供のくせにと、はっきり申しまして今日まで私ども女性は人並みに認められておらなかった。それが労働市場の中でもそのようになってしまった。よい例が看護婦とか保母というような女性中心の職場におります者が、あのような激しい苦しい労働状況の中にありながら、物すごいみじめな賃金体制の中できたということ、これは裏書きをしているように思うわけでございますので、私は多少ひがんでいるかわかりませんけれども、本日この場をお借りいたしまして、各それぞれの政務次官、あるいはまた各省庁の行政官の皆さん、特に国会議員の先生方に非常に私は女性にまつわる施策につきましては、ひとつ本当に心を入れて御鞭撻、御指導、あるいは実行の中心になっていただきたいことを心からお願いするわけです。  まことに、ただ勝手なことを申しまして、大変私自身むしろ恥ずかしいと思っておりますが、最後に一つだけお聞きしたいと思うんですが、先ほど来資料にいただいておりますこの二十五の国の最低基準を満たす国国を見ておりますと、なるほど先進国もありますし、初めて聞くような名前のところもございますので、これを見ただけでよいとか悪いとか申しませんが、日本の現在のわが国の社会保障の状態と、それからまた欧米等の先進国との比較でございます。これを少し、具体的なことを聞いておったら時間ございませんので、ざっとしたところで結構ですが、比較されまして、この点はよい、しかしこの点は落ち込んでたと、あるいはわが国の国柄としてこれはできないんだというような、何も私はスウェーデンと比較してくださいとは申しません。というのは、やはり国柄も違いますし、そこに住む人々の心構えも違っておりますので、そことの比較とは申しませんが、何か比較をおとりいただいて、この際御所見をいただければと、あれもこれもと思いますから、児童家庭局長さん、いかがでしょう、児童家庭局の所管されております母性、子供にまつわる面だけでも結構です。ILO条約百二号を抜きにして。

上村一厚生省児童家庭局長

○政府委員(上村一君) 児童家庭局所管の仕事を諸外国と比較してと言われます場合に、非常にむずかしゅうございます。と申しますのは、ILOなりあるいは諸外国で社会保障をお互いに比較されますときに出てまいります指標というのは、結局年金であり、医療保険であり、失業保険であり、そういった社会保険のシステムを中心にした給付人員なり加入人員なり給付額を比較されておりまして、こういった金目で計算できないソシアルサービスというものが諸外国と比べてどうだというのは非常にむずかしいと思います。ただ何と申しますか、いろんな施設の面でのケアについては相当なところまできたんじゃないかと。と申しますのは、よく比較されます先進諸国というのは戦争の被害を受けなかった国々が多いわけでございますが、そういった国々に比べて戦後、私どもも相当努力してまいったんじゃないかと思うわけでございますが、たとえば保育所の数がよその国に比べてどうなのかと言われましても、そういった指数の持ち合わせがございませんので、一概に言い切れないというふうに思うわけでございます。ただILOと関係がありますのは、先ほど来お話に出ておった児童手当だけでございまして、これにつきましては、先ほど来お話しになっておるように、ILOの基準に照らしますと、日本の給付総額は四分の一ぐらいでございますから、それぞれの項目の中で一番相隔たることの大きいところではないかというふうに考えます。

石本茂自由民主党

○石本茂君 最後に山下政務次官、恐縮でございますけど、いまの比較の問題ですが、社会局の所管いたしております生活にまつわる問題の中で、いま私の申しましたどこの国をどうとってくださいと申しませんが、現在のような状況でよいのかどうか。他の国との比較の中で何かお示しいただけるものがありましたらお聞きしておきたいと思います。

山下徳夫自由民主党厚生政務次官

○政府委員(山下徳夫君) 実は私もまだ、正直に申し上げてILOの中身は非常に未熟でございます。よく勉強いたしておりませんが、ただオリンピックの標準記録みたいに非常に単一的なものでないということですね。複数的であって、それがやはり長いその国の伝統とか、歴史とかみ合わない面がいろいろございます。先ほど申し上げた疾病の問題にいたしましても、一つの条件を十分突破しておるけれども一方がついていけないというような、そういう問題がございますので、それらを社会局所管にかかわらず、それぞれ検討していく。せっかく一つ満たしているんだから何かもったいない、これ何とかならないかと私自身が個人的な感情でそういう気持ちもかなり働いている問題もございますから、そういう意味において努力をいたさなきゃなりませんが、二十四のこの批准国の中にアメリカさえ入ってないというところに、やっぱり国情の違いがあるように見受けられますんで、十分ただいまの御意見をしんしゃくいたしまして、ひとつ努力していきたいと思います。

石本茂自由民主党

○石本茂君 いろいろ何だかこう中身のないことをお聞きしたわけでございますが、私、最後に要望を一つしておきたいと思います。  きょうは厚生、労働の両政務次官おいでいただきまして、具体的な中身等のことについてもっとお伺いしたかったのですが、いただいている時間の関係もございます。ただ外務省とされまして、諸外国のいわゆる国情あるいはいろんな状況そのほかの中から、わが国とそういう外国との比較の平均値と言いますか、そういうものの見比べの中で労働問題あるいは厚生問題がずれ込んでおりますのか、まあまあでございますのか、いやこの点はよいという御判断をなさっているのか、最後にその辺をひとつちょっと聞かせていただきます。これは外交的な広い視野の中での御見解を承りたいと思います。

鈴木文彦外務省国際連合局長

○政府委員(鈴木文彦君) ILO関係の従来採択されました条約、これに対する日本の参加の状況から申し上げますと、日本は一応平均の水準よりちょっと上回っているということは言えると思います。ただ、参加しました条約あるいはまだ参加してない条約の内容的な検討からいいまして果たしてしかるやということは、これは十分慎重に研究しなければならない問題だと思います。きょういろいろ承りました意見、特に婦人関係の条約についての重要性、われわれとしても十分に理解いたしますので、この辺の点に重点を置いた今後の政府の作業というものを進めなければならないと思います。これは関係省いろいろございますので、十分連絡をとりながら、さらに一層努力いたしてまいりたいと考えます。

石本茂自由民主党

○石本茂君 どうもありがとうございました。  以上で終わります。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 私は、ILOの百二号条約の中の第十部、遺族給付にしぼってちょっとお話をお伺いしたいと思います。  先ほどから、田中委員からもいろいろお話出ておりましたけれども、もう一度念を押さしていただく意味でお伺いいたしたいと思います。  一家のあるじである配偶者、夫が病気または不慮の事故、交通事故などで死亡した場合、残された家族の状況は非常に厳しいということは御想像いただけると思います。ここに厚生年金保険遺族年金受給者調査報告がございますので、ちょっと御参考までに申し上げます。  日本じゅうで五十六万人の遺族年金受給者がいらっしゃいます。これは四十九年三月の調査でございます。正確に申しますと五十六万五千六百人いらっしゃいます。受給者の年齢別に見ますと五十歳以上、六十歳、七十歳、八十歳を含めまして七六%になっております。それから世帯の人員構成でございますけれども、二人、四人世帯というのが約八〇%占めております。これは、先ほど石本委員からも問題になっておりましたが、お子さんがやはり一人か二人という家族構成が非常に多いということでございますね。それでその平均の生活費でございますけれども、一人だと平均四万四千円でございます。二人だと六万六千円の生活費を必要としているわけでございます。そこで伺いたいのですけど、厚生年金における遺族年金の給付額の平均はどのくらいでしょうか。先ほども出ておりましたけれども、もう一度伺いたいと思います。

綱島衛厚生大臣官房国際課長

○説明員(綱島衛君) 遺族年金の平均額でございますが、昭和四十八年度末におきまして、一件当たり二万五百二十六円になっております。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 そうしますと半分でございますね。老齢年金の平均支給額は幾らでございますか。

綱島衛厚生大臣官房国際課長

○説明員(綱島衛君) 老齢年金は、同じ四十八年度におきまして平均額三万八千二百十一円でございます。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 遺族年金を老齢年金の額の半分とするという根拠があるようですけれども、それはどういうことなんでしょうか。

綱島衛厚生大臣官房国際課長

○説明員(綱島衛君) この点につきましては、古くから日本では恩給制度というのがございまして、その時分から遺族年金というものは老齢年金、いわば退職年金の半額という原則のようなものがございまして、理論的には根拠というものはどうもはっきりいたしておりません。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 恩給制度と申しますと、明治初年にスタートをしておりますね。先ほどいみじくも中山次官のめおと茶わんのお話で出ましたけれども、古い考え方、明治初年と言いますと、百年前の古い考え方が現在も貫かれているというのはおかしいとお思いになりませんか。

綱島衛厚生大臣官房国際課長

○説明員(綱島衛君) その考え方が貫かれているとおっしゃいましたんですが、ある意味ではそういう貫かれると申しますか、ある意味ではそういう伝統がそのまま残ってしまっておったということでございまして、先生御指摘のように、確かに理論的にも実際的にもおかしいものだという問題意識はかねてから持っております。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 明治のころ、大正のころ、私も大正の人間ですけれども、いいこともございますけれども、やはりいまどんどん社会が変わっているということは皆様お認めになったわけでございますけれども、やはり特に明治のころの男尊女卑の思想が、女性は男性の半分だというふうに受け継がれていると見てもいいと思いますけれども、いかがですか。

綱島衛厚生大臣官房国際課長

○説明員(綱島衛君) ただいまの半額というものが男尊女卑にストレートに結びつくかどうか、これは多少問題でございましょうけれども、実際問題といたしまして、遺族の場合には半額であったということでございます。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 配偶者が亡くなって、夫が死んだ後、子供を抱えて生きていかなければならない女性たちは本当に必死な気持ちで生活するわけです。その女性が非常に冷遇されているということを感じずにいられないわけですけれども、いろいろな面でいろいろな手直しをしなければならない現在の日本の姿だと思います。  次に伺いたいんですが、諸外国における遺族年金の水準はどのようになっておりますか。

綱島衛厚生大臣官房国際課長

○説明員(綱島衛君) 外国の例でございますが、私ども一番いい参考になると思いますのは西ドイツの例でございまして、西ドイツにおきましては、いまから約十八年前でございますか、一九五七年に年金制度の大改革をやりました。このときに、老齢のみならず遺族、障害につきましても、それぞれ年金につきまして計算の方法等々について大きな改革をやっております。その例によりますと、たとえば遺族年金をとって申しますと、一言で申せばきめ細かいと申しますか、まず額から参りますと、大体老齢年金額の六割というものが出ておりまして、その上に、たとえば遺族が未亡人だとしますと、一定年齢以上の未亡人にはフルで上げますと。それから若い未亡人、四十五歳未満でございますが、このときは子供さんがおればフルに上げると。子供さんがいなければ多少減額する。それから、遺族年金をもらっている若い未亡人が再婚をいたします、こういうときには一時金で相当の額を上げて、その後は遺族年金をストップする、こういうようなきめの細かいやり方をやっております。したがいまして、この辺が一つのいい参考かと実は思っております。なお、そのほか、フランスに参りますと、これはドイツに比べますと多少まだ古い考え方と申しますか、それが残っておるようでございまして、原則的には年齢は六十五歳以上で、しかも額は老齢年金額の五割と、こういうようになっております。スウェーデンにおきましては、三十六歳以上か、あるいは子供を抱えておる寡婦、この場合には老齢年金相当額、これはかなりいいわけでございます。イギリスにおきましては、四十歳以上あるいは子のいる寡婦、こういう者に対して支給をする。そして五十歳あるいは子供がいる場合には老齢年金相当額、こういうふうなことになっております。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 フランスの場合は悪い例だとおっしゃいましたから、そういうのは見習う必要ないと思うんですけれども、スウェーデン、イギリスは五十歳以上の寡婦または子供を扶養している場合、老齢年金と同額、これ間違いございませんね。——そうしますと、わが国の遺族年金は老齢年金の半分となっているのは低過ぎると思うんですけれども、いまの諸外国の例から見て大幅に引き上げるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

曾根田郁夫厚生省年金局長

○政府委員(曾根田郁夫君) この二分の一という支給率は、恩給に由来する、さして理論的根拠も十分あるとも思えませんし、諸外国の例等もございますので、先ほど田中委員の質問に対し政務次官からもお答えいたしましたように、来年の厚生年金の改正の際の一つの検討項目として関係審議会でも前向きな検討が進められておりますので、私どももできるだけその方向に近づけるように努力いたしたいと、かように考えております。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 年金制度というのは八種類ございまして、老齢年金については通算制度というのがございますね。だけれども、障害年金、遺族年金についてもそういう通算措置を行うという点についてはどういうふうにお考えになっておりましょうか。

曾根田郁夫厚生省年金局長

○政府委員(曾根田郁夫君) これも、障害、遺族という短期的な、資格期間の非常に短い年金について通算措置が老齢よりも後回しになったということはやむを得ない事情があったと思いますけれども、最近、実質的な年金権の確保という問題が非常に大きな問題になっておりますし、そういう方面の要望も非常に強いものですから、何とか来年の改正でできるものはやってみたいと。これは私どもの厚生年金、国民年金だけの問題ではございませんで、各被用者年金共通の問題、またその協力を得ないとできない問題でございますから、現在、関係各省庁で連絡会議を持っておりまして、そこで具体的な議論を進めておりますので、近々大体の方向が出るんではないか。ただ、この問題は、各制度の、障害にいたしましても遺族にいたしましても、支給要件あるいは廃疾表等の相違、そういう各制度ごとのばらつきがございますので、非常にむずかしい問題で、完全な形での通算というのはおそらく来年度期待できないのではないかと。しかし、実質的な年金の谷間を埋めるというのが一番肝心なことでございますので、そういう方向に沿ってできるだけ努力いたしたいというふうに考えます。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 来年検討してくださると先ほど厚生政務次官からお話ございましたけれども、それは昭和三十六年ごろから各方面からの要望があったと聞いております。ということは、十四年間そういうふうに政府の側は言い続けていらしてるわけなんですけれども、いままでなかなか実行していただけないというのが実情でございましたけれども、今度はそれを信用してよろしゅうございますの。

山下徳夫自由民主党厚生政務次官

○政府委員(山下徳夫君) 十四年間の歴史については私もよく存じませんが、私先ほど答弁申し上げたように、義務受諾についてこの問題が非常に至近距離にあるということでひとつ御理解願いたいと思います。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 空手形ではないということは約束してくださいますね。

山下徳夫自由民主党厚生政務次官

○政府委員(山下徳夫君) 大鷹先生のおっしゃっている形がどのようなものかはっきり私存じませんが、とにかく、義務受諾できる条件を来年度には満たしたい、こういうふうに考えます。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 ILOの遺族給付の水準は日本の場合と比較してどうなっておりますでしょうか。

曾根田郁夫厚生省年金局長

○政府委員(曾根田郁夫君) まず、この給付の事由でございますが、一応条約では、「扶養者の死亡の結果として寡婦又は子が被る扶養の喪失」となっておりまして、これは厚生年金保険でいいます被保険者または被保険者であった者が死亡したときにその遺族に支給すると、そういう仕組みから見てその点は基準に一応合っておると。それから保護対象者の範囲でございますけれども、これは他の分野と同様に、「すべての被用者の五十パーセント以上」云々と、そういう要件には、わが国の被用者総数から見まして、厚生年金の被保険者数は十分にこの基準に合致しておると。肝心の問題は給付内容でございますが、一応、条約で定めております五年以上拠出した場合に従前所得の三〇%、これを厚生年金に当てはめてみますと、所得の多寡によってでございますけれども、どうも一〇〇%該当するとは言えない、下回る場合も出てくると、そういうことで、この現在の二分の一という支給割合には条約の基準との関係では問題があるんじゃないかというふうに考えております。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 私がいただいております資料では四%の差でございますね。

曾根田郁夫厚生省年金局長

○政府委員(曾根田郁夫君) 一応、私どもの試算で、平均標準報酬八万四千六百円だったと思いますが、それで計算しますと、やはり二六%ということでございますので、御指摘のように四%ほど下回る場合がある。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 四%の差というのは大変わずかな差だと思うんです。後一息だというところだと思うんでございますが、これを百二号条約の批准を前に国内法を改正するという御意見はございませんでしょうか。

曾根田郁夫厚生省年金局長

○政府委員(曾根田郁夫君) これは先ほど申し上げましたように、関係省庁、各被用者年金共通の問題でございまして、目下各省連絡会議でも検討いたしておりますので、ことしの時点でというのはちょっとむずかしいんではないか。来年制度の見直しの時期でございますから、その際の検討項目にさせていただきたいというふうに考えております。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 四%の差と申しますと、金額にしてどのぐらいの負担になるわけでしょうか。

曾根田郁夫厚生省年金局長

○政府委員(曾根田郁夫君) いまの御質問の御趣旨は、費用負担でどのような影響をという意味でございますか。それとも給付面でどの程度……。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 国庫負担がどのぐらい。

曾根田郁夫厚生省年金局長

○政府委員(曾根田郁夫君) これはちょっと非常にむずかしい問題ですけれども、いずれにしても、二分の一を何がしか改善するとして、まあ三〇%要件を満たすようにしたとした場合に——実は、遺族給付全体の厚生年金財政に占めるウエート、総費用に対して非常に大ざっぱに言いますと約二〇%でございます。ですから、仮に遺族給付を五割引き上げるとすれば総費用としては一〇%ふえる。これが具体的に保険料にどう響く、あるいは国庫負担にどう響くかは、厚生年金の場合は、御承知のように完全積み立て方式のもとにおける平準保険料という考えではなくて、本来必要な保険料を取らないで、つまり賦課方式的な考えに少し近づけて保険料を設定しておりますから、具体的には来年度の改正における保険料率をどういう程度に、つまり修正の度合いをどうするか、そういう政策的な問題がからまってくるもんですから、どの程度の影響かということは、むしろそういう料率設定の政策範囲内の一つの問題になろうかと思うんです。  それから国庫負担のふえ方ですけれども、これは厚生年金の場合は給付費の二〇%が国庫負担でございますから、五十年度予算でおそらく厚生年金の給付費の中の遺族給付、これが二千億程度だろうと思いますので、これに対する二〇%の国庫負担というと四百億前後。これが来年仮に五割改定するとすれば二百億ですか、そんな見当ではないか、件数が伸びればまたこれは別ですけれども。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 それじゃ、母性給付、先ほどからお話が出ておりましたが、この場合を現金給付にしますと国庫負担どのぐらいになりますか。

綱島衛厚生大臣官房国際課長

○説明員(綱島衛君) お答え申し上げます。  健康保険と国民健康保険と両方で分娩費を約倍にするというふうに仮定いたしますと、ごく大ざっぱな数字でございますが、約千五百億円程度であろう、こういうふうに考えております。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 これはぜひ実行していただきたいし、どこからか捻出してぜひ出していただきたいと、先生方にもお願いしたいわけでございます。大した額じゃございませんので、母性給付、遺族給付をどうしても入れていただきたいんです。大変いろいろと事情を伺っておりまして、それでもどうしてもという気持ちで一ぱいなんですけれども、婦人にとって大変差し詰まった問題だということを御理解いただきたいんで、どうしても通していただきたいんですけれども、いかがでしょうか、外務省の政務次官。

羽田野忠文自由民主党外務政務次官

○政府委員(羽田野忠文君) これは厚生省の方にお願いしてやっていただかなければならない内容でございますが、条約関係では外務省が窓口でございますので、外務省の方も厚生省にお願いして、早く義務受諾ができるような状態をつくっていただいて受諾に持っていきたいと思っております。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 ほかの方から、外務省が大変やはり女性に冷たいということを聞いておりますですよ、積極性がないと言って。いかがですか。

羽田野忠文自由民主党外務政務次官

○政府委員(羽田野忠文君) 私どもは本当に女性を大事にしております外国の方々とは接触の機会が多うございますので、わが国においても女性を大いに尊重し、女性に大いに御活躍いただかなければならぬと考えております。  で、ことしは特は国際婦人年でもございますし、代表の方にメキシコにいまおいでいただいておりますが、そういう意味で、ことしは国際婦人年の意義を大いに国内的にも周知していただいて、御婦人の社会的経済的な地位の向上、こういうことは外務省の方もひとつ率先してやっていきたいと考えております。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 外交辞令としかちょっと聞こえないのでございますが、やはりこれは厚生省の問題に大変なってまいりますが、厚生次官、いかがですか、本当にお願いしたいのですけれども、通していただきたいのです。母性給付がむずかしいなら遺族給付を本当に。それまで私たちはこの条約批准をしたくないという気持ちを持っております。いま女性はもう本当に超党派でこれはがんばりたいと思っているのです。

山下徳夫自由民主党厚生政務次官

○政府委員(山下徳夫君) 大体厚生省というところは非常に女性のことに関して十分考えておる役所でございます。  そこで、たとえば今回の国際婦人年におけるテーマの「世界の人類の進歩と平和と平等のために」という中の、とりわけこの平等の面におきましては、法律的に、宗教的に、慣習的に、その中でどの部分が厚生省かということをこの際ひとつ全部厚生省でチェックして、御期待に沿うようにいたしたいと思います。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 ただ心配なのは、また何年かこのままにされてしまうのではないかということなんでございますけれども、今回この百二号条約を見送って母性給付や遺族給付が基準に達したとき改めて批准するという見方が、私どもみんな賛成しているわけなんでございますけれども、外務省よろしゅうございますか。

羽田野忠文自由民主党外務政務次官

○政府委員(羽田野忠文君) これは先ほど諸先生から何回も質問の出たところでございます。今回御承認いただいて批准した場合に、非常に重要な部分でございます母性給付あるいは医療給付、こういうものがまだ義務受諾せないままに残っておる。これは批准が終わったからあとのものはもうのんびりしていいんだというような考え方は全く持っておりません。むしろ先ほどから私が申し上げているように、批准をしてやはりわが国の社会保障の国際評価を高めたんだ。ただしかし、それは四部門義務受諾できて批准をしたということだけで終わったんじゃなくして、これがいまから五部門、そのうちで特に重要な母性給付や医療給付を早く受諾する、この力になるように、私どもこれは本当に真剣に考えております。だから、あとの部門を義務受諾できるような国内体制をつくっていただくことについては私どもお願い申し上げて、できるだけ早い時期に義務受諾ができるように努力をいたします。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 大体そのめどはどの辺に置けばよろしいですか。   〔委員長退席、理事寺本広作君着席〕

山下徳夫自由民主党厚生政務次官

○政府委員(山下徳夫君) どうも外務省に対するお尋ねのようですが、外務政務次官が非常に謙遜しておられまして、私から。  いまお尋ねの各部門につきましては、先ほどからるるお答え申し上げましたように、遺族給付の部門につきましては、これは来年度を目途として受諾の線にこぎつけたい。これは私ども一様にそういう努力をいたしております。分娩その他につきまして、それぞれの項目については、先ほどからるる御説明申し上げましたように、従来の慣習が一つの法制化された時点においていろいろいまの条約とそぐわない点がございますので、その後の経過等をさらに十分検討しながら、なるだけひとつ各部門をより早く受諾にこぎつけるように努力をいたしたいと思っております。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 労働政務次官に伺いたいのですけれども、女性の社会保障についてどのぐらいの誠意をお持ちになっていらっしゃるか、その姿勢をお示しください。

中山正暉自由民主党労働政務次官

○政府委員(中山正暉君) 自分の所見を申し上げてみたいと思いますが、先ほどからの御質問、さっき例に引きましためおと茶わん式考え方があると思います。夫婦で一緒に内助の功でつくった財産なんですから、その財産をつくる御本人がお亡くなりになった場合やなんかは、御主人の半額とかそんな差を設けるというのはこれこそ差別だろうと思うのです。当然に私は、これ自分の所管でないので勝手なことを言っていいのかどうかわかりませんが、せっかくの御質問でございますので、私は当然にその分は差し上げて、それこそ本当に夜の世界に転落する女性をなくしたり、そういういい方策になるのではないか。先ほども申し上げましたように、女性の労働意欲の問題には、私は、安直に夜の世界なんかで多額の収入を得られる世界があるから、ある意味では、間違った道に入っていく、入らざるを得ない人が出てきたり、それからまじめに働く人がばかばかしいと思うような状態が出てくるのだろうと私は思って、御趣旨としては非常にその方向に向かって進むべきだと私ははっきり思います。

大鷹淑子自由民主党

○大鷹淑子君 私もう終わってしまいました。ありがとうございました。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 それでは、時間をちょうだいいたしまして、ILO百二号条約批准に当たりまして、まず外務御当局にお伺いをしたいと思うわけなんです。  ILO条約等にするわが国政府の基本姿勢は一体どうなっているのだろうかという点なんです。特に百二号条約というのが先ほどからもずいぶん論議がなされておりますように、社会保障の最低基準に関する条約であり、しかも二十三年前の条約である、そして今回さんざん言われておるように、九部門のうち四部門だけが受諾できるということで批准をするわけですけれども、残る五項目は婦人に関する部門が大部分だと思うのです。それが受諾できないままに批准をしようということになるわけです。まさに時あたかも国際婦人年という年にこれをやろうという、きわめて皮肉な状況であるわけです。  わが国は、昭和三十年代の半ばからの高度経済成長、これは非常に早いスピードで超高度成長を遂げてまいりまして、いわゆるGNP世界第二位だという経済大国を誇っておりますけれども、最低基準さえ満たせない経済大国、こういう言葉に代表されておりますように、国際社会における日本の地位向上に対する国内制度の貧弱さ、そのアンバランスが国際的にも非難を浴びておるという実態が出ております。こういう中で、日本を代表するいわゆる国際社会の代表としての外務大臣、これはILO条約とか勧告等に対しては一体基本的にどういうふうにお考えになっておるのか、まずその基本的な御見解を、きょうは大臣にかわりまして政務次官に、まず最初にお伺いをいたしたい。

羽田野忠文自由民主党外務政務次官

○政府委員(羽田野忠文君) 条約関係は一国対一国の条約であっても、あるいは多国間の条約であっても、少なくともその条約ができましたならば、なるべく早い時期にこれを国会の御承認をいただいて批准をするということが私は国際的な一つの道義であると考えております。  いま具体的に問題になっております社会保障の最低基準に関するこういうものにつきましては、できるだけ早くこれを批准をするということが望ましいわけでございますが、この条約はちょっと普通の条約と違う面もあると思います。というのは、普通の条約は、条約を結んでからその内容を実現していくものが多うございますが、この社会保障の最低基準に関する条約は、わが国のとっている立場は、この条約に示されております最低基準に適合する国内体制が完全にでき上がった時点においてこれを義務受諾するということで進んでまいっております。そこで御承認をいただくまでに長い歳月がかかったわけでございます。  そうすると、わが国の社会保障の最低基準はそれほど低いものかという点でございますが、私は必ずしもさようには考えられないと思います。わが国の社会保障の最低基準は相当ハイレベルにいっておる。ただ、ある問題については、この最低基準よりぐっと伸びている問題もありますし、ある問題については最低基準にちょうど到達している、ある問題については八分目から九分目にいっているけれども、まだ少しその基準に到達しない、こういうふうな状態が、まあ抽象的に申し上げますとある次第でございまして、今回その中で四部門については完全にその国内体制が条件を満たした、そこで御承認をいただいて批准をしたいということで、今回国会で御審議をいただいているわけでございますが、その場合に、それではなぜ九部門一緒に、すべての部門について最低基準の条件を満たしたときに国会で御審議をいただいて批准をする方式をとらぬで、四部門だけでなぜやったかという問題でございますが、いままでも御答弁を何回か申し上げましたが、私は基本的に条約はなるべく早い時期にやはり御承認をいただいて批准すべきだ。四部門についてはその条件が満たされたので、まずこれを御承認いただいて批准をすると。そうすると、あと五部門についての義務受諾の問題でございますが、   〔理事寺本広作君退席、委員長着席〕 この点先生も御指摘のように、確かに婦人に関する部門が多うございますし、そしてそれは重要な、いろんな部門全部重要でございますけれども、その中で特に重要な問題を含んだ部門であるということも先生御指摘のとおりでございます。ことしは国際婦人年でもございますし、婦人の関係の部門について最低基準を満たさない状態で見切り発車のような形で四部門だけ受諾するということは、日本政府の考え方が婦人というものをやはり軽視した一つの政治的な考え方ではないかという趣旨の御指摘もあったと思いますが、これはそういうことでなくして、少なくともその条件を満たしたものだけ早くこれを義務受諾をしようという結果がそういうことになったわけでございまして、私なども先生の御指摘をいただけば、なるほどこれ婦人部門について重要な部門の一つでも二つでもやはり今回の受諾の中に入れるような条件を整えたかったなあという気持ちは先生御指摘のようにいたします。しかしこれは、その要件が満たされなくてはなはだ残念でございますが、先ほどから申し上げておりますように、外務省は窓口で、その実体は厚生省あるいは労働省その他の省庁に属しておりますので、窓口である外務省はこれらの各省庁にお願いをいたしまして、あとの五部門についてできるだけ早い時期に受諾できるような国内体制を整備していただき、その体制ができれば窓口である外務省はすぐ受諾の手続をとるというふうに考えておる次第でございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 ちょっと私お伺いしたのとは若干お答えが違ったんですが、実はいただいている時間がごくわずかですので、ひとつ簡潔にお願いを申し上げたい。  そこで私は、国連総会で採択をされた文書等についての取り扱い、政府のこれに対する対応についてお伺いをしたいと思っているわけです。それで実は条約とか勧告、それらに対する基本的な姿勢はどうかということをお聞きしたわけでございますけれども、国連総会で採択をされる決議のうちで宣言と名のつくもの、これ外務省か労働省かでいただきましたけれども、この国連総会で採決をされた議決のうちで宣言と名のつくものというのは第三委員会の報告に基づくものでは七つしかないんですね。これらの一般的な決議とこういった宣言、これ違いがあるんだろうと思いますが、時間の都合もありますからお聞きをしたいのですが、こういった宣言等について、政府は国内ではどういうふうにお扱いになっておるのか、それをまず最初にお聞きをしたい。

鈴木文彦外務省国際連合局長

○政府委員(鈴木文彦君) いま御指摘のありました幾つかの宣言を含めまして、国連総会で採択される宣言の一般的な性格をまず申し上げますと、従来の国連の慣行から申しまして、宣言も実は決議の一つの形であるということが言えると思います。したがいまして、法律的に直ちに加盟国を拘束するという性格は必ずしも持ちません。ただ、この総会の決議が採択された時点において非常に多数の国がこれに参加したという場合には、やはり何がしか政治的あるいは道義的な拘束力といいますか、そういう意味合いを持ってくると思います。その宣言に、たとえば特定の国がどういう意思表示をしたかということが、その国が今後その宣言を道義的にどの程度実施していくかということを決める度合いになろうかと思います。一般的に申しまして、ある程度勧告的な性格を持つ宣言に対して、これをどの程度国内的にいわば実施していくかということにつきましては、その宣言の内容なりあるいはその宣言に賛成しました国の国内法の体制との関係で一概には申し上げることはできませんけれども、一応道義的にはそれに合わせる努力をすることが期待されるということが申せるかと思います。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 実は例を挙げてみますと、第二十六回の国連総会でわが国も賛成をして採択をされました精神薄弱者の権利に関する宣言というのがあるわけです。この宣言は、国内の施策と全く関係はないわけではないんですけれども、どういうふうに生かされたか、これ御説明を伺いますとまた時間をとりますので、若干事情を申し上げたいんですが、私は、特に外務省にお伺いをしたというゆえんは、その理由を申し上げるとわかると思うんですが、大変国内施策と深いかかわり合いのある宣言であるわけです。昭和四十七年の六十八回の国会の予算委員会では、障害児教育の教育権の保障だとか、福祉施設の入所基準の改善などが論議をされているわけです。この宣言が採択された翌年の国会でこういう問題がやられているわけです。ところがこの当時、宣言の日本語の翻訳文がなかった。外務省は全然翻訳をしておらなかったし翻訳をする気もなかったということです。その当時私おりませんでした。そこでやむなく当時は国会図書館にお願いをして仮訳をしてもらったというふうないきさつがあるわけです。現にその宣言が国内の諸制度に関係して国会で論議をされるというふうなほどこういった宣言というのは国内施策と関連が深いと思うわけですが、よく調べてみますと、五十年版の社会福祉六法にはこの宣言が載せられております。ところが国連の総会後、この宣言が出てから四年たって初めて関係法令に集載されている。外務省のこういう態度というのは改善する必要があるんじゃないかというふうに思うんですけれども、どうでしょう。そのためにちょっとお聞きした。改善しますか。

鈴木文彦外務省国際連合局長

○政府委員(鈴木文彦君) この宣言が採択されましてから、これが日本語の訳にし、かつ、それが一般に周知される手続が非常におくれたという事情、私自身必ずしもつまびらかにいたしませんけれども、一般的に申しまして確かに反省すべき点はあろうかと思います。今後ともこの種の事案に対しましては、できるだけ配慮いたしたいというふうに考えます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 国連総会による決議、宣言というふうなものはどうしても国内施策と深いかかわり合いがあるわけですから、国民に周知徹底をさせていくというふうな必要性はあると思うんです。外務省御当局は窓口だからということで、海外向けに責任があるだけではなくて、やはり日本政府の外務省ですから、日本国民にも責任を負うてもらわなきゃならぬ、そういうものはできるだけ早く周知徹底をさせ、関係者にもあるいは閣内、関係各省にも早く徹底をさせていただくというふうなことがぜひ必要ではないかと思うわけです。特にそういった国連総会あるいはILO関係の条約、勧告等について外務省の基本的な構えはどうかということをお聞きいたしましたのは、そういった過去の事例もあったので特にお伺いをしたわけです。時間の都合がありますから、それは改善をしていただくということでございますから、次へ参ります。  ILO百二号条約の批准をめぐる問題点なんですけれども、わが国のILOの条約批准状況というのは大変悪いというのは先ほどからも御意見が出ておったところでございますが、いま百四十の条約の中でわが国が批准をしたものは三十二条約ですね。ところが、フランスは九十六条約、イタリアは七十八条約、イギリスは六十八条約、西ドイツは五十四条約、こういう状態です。経済大国だと言われている日本でこういう状態でございますが、こういうところからも重化学工業を中心として発展をしてまいりました高度成長、この政策がいかに勤労国民のものでなかったかということが、このILO条約の批准の状況から見てもわかるわけです。  そこでお聞きをしたいのは、ILO百二号条約に限らず、条約の批准状態が悪いが、こういった状況というのはその国の経済政策、あるいは政治的影響力に比べて国際的に非常にぐあいが悪いのではないか。国際的評価が一体どうなるんだろうか。私冒頭に申し上げましたけれども、最低基準さえ満たせられない経済大国というふうな意見まで出ておるということですけれども、こういった点について外務省はどういうふうにお考えになっておられるのか、ちょうど大臣御出席でございますので、簡潔にひとつ御見解を伺いたい。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま言われましたように、フランス九十六、イタリア七十八、日本三十二、米国七ということがございます。これはしさいに検討いたしてみませんと軽率なことは申し上げられませんけれども、多少その国のとっておる経済体制と言いますか、そういうことにも何がしか関係があるかもしれないと思います。しかし、概して申し上げられますことは、恐らくはわが国は、たとえば婦人の労働問題にいたしましても、戦前は農村の労働というものは非常に婦人がやっておられましたけれども、いわゆる工業化して後の昨今のような状態ではありませんでしたし、また、わが国は戦前にはかなり農業に、第一次産業にウエートを置いた国であったわけでございます。それが戦後になりまして、急速にいわゆる工業化社会に転化していった。それは確かに非常に急速でございましたから、その間にいわゆる雇用の問題であるとか、あるいは婦人の問題であるとか、社会保障の問題であるとか、それは整備がどうしてもやはりおくれております。これは、これだけの経済力を持っておる国としては、工業化が急速であっただけに、もろもろのそういう体制がついていけなかったということは、私は素直にやっぱり認めませんと、これからの問題の解決に向かう姿勢がとれませんので、私は基本的にそういうことはあったと思います。  それからもう一つは、これはよその国のことを申す必要はないんでございますけれども、わが国の場合は、かなり厳密に条約の条件を満たしておりませんと批准をしないという、その辺の考え方の厳密さというものも、実際国によって多少私は違いがあるように思います。それも何がしかの理由だと思いますが、やはり基本的にはさっき申し上げましたような、日本の非常に早い工業化にこういうもろもろの施策が相応するだけ整っていないということだと思います。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 百二号条約、先ほどからもすでに論議がされておりますように、九部門のうち四部門が水準に達したので批准をするということになったわけですが、しかし、残されている問題というのがずいぶんもうすでに論議をされておりますように、残っております。  第一に、私はもう何と言ってもこれは言っておきたいと思いますのは、本条約が一九五二年、いまから二十三年前に成立した条約だ、全く二昔以上も前の論議をいまごろ日本の国会でやらなきゃならぬということ自体に問題があるとまず一つ思うわけです。昨今では、成長なくして福祉なしということで、高度成長の時代にずうっと入ってまいりまして、ちょうどいま大臣のおっしゃったように、経済高度成長が急であったということで福祉がついていけなかったということを率直にお認めになっておられるんですけれども、二十三年前の条約をいまごろ日本の国会で論議をしなきゃならぬというのは、国民はこの二十年間福祉を受けられずにがまんをさせられていたという結果になっておると言わざるを得ないわけですね。衆議院で女性の参考人もこういうふうに言っておられるんですね。先ほど大鷹委員もおっしゃっておられましたけれども、衆議院の参考人の方々も、「「日本としても同条約を早急に批准すべきだ」と述べたのは男性の参考人一人だけ、四人の婦人の参考人の間では「わが国の社会保障制度はまだまだ欧米諸国に比べて劣っており、とくに婦人に関する社会保障問題はほとんど解決されていない。この問題にメドがついてから条約を批准すべきで、現状のまま批准されると、かえって婦人の社会保障問題が行政の上で忘れ去られてしまう」と、批准に反対する意見、あるいは慎重論」、こういうものが出ておるというふうに報道されています。そこで、もうずいぶんたくさん論議を尽くされておりますので、私は残っておる各部門について一つずつ追及をしようとこの場では思っていないんです。  端的にお伺いをしたいと思うんですけれども、残った五部門、これ一体どうするかということです。論議の中で明らかにされておりますのは、いわゆる遺族給付、これは来年の年金関係の見直しの中で対処するということで、これだけ明確に答えられておる。  廃疾給付については一体どうするんだ、これももう国会ではさんざん論議をされておる諸問題のうちの一つです。傷病手当金は六カ月しかないし、廃疾認定は初診から三年までだ、その間が一年半も二年もゼロになるという問題、何とかしなきゃならないということになっておるわけですが、この問題は一体いつをめどにどう片をつけるのかということですね。これも先ほどからの論議の中で出ておりましたけれども、結論だけ端的にお伺いをしたい。  それから一番問題のいわゆる母性給付ですね、医療給付にするのか、あるいは療養費払いの制度にするのか、あるいは母子保健法で解釈をするのか、どれももう一つはっきり話が煮詰まっておらなくて、結局千五百億ほどの金が要りますという話だけになっておるんですけれども、隘路はそれじゃ予算の問題だけが隘路なのか、その辺のところは一体どうするのか。  家族給付の問題についても児童手当、これもいま出ておる日本の児童手当法は予算としては六百億余りだ、ところがILOの水準でいくと三千億以上の費用がかかる、これはとてもじゃないがという話になっておるようですが、そうするとこれも隘路は予算だけなのか。この問題についての結論はどうなのか。この残った五部門、実質的には四項目ですが、結論だけひとつお伺いをしたい。

山下徳夫自由民主党厚生政務次官

○政府委員(山下徳夫君) この機会に申し上げたいことは、やはり国連でもって国際婦人年というものが制定されたのにはそれだけの必要性があったからだと思います。そういう立場から私は非常にいい、ことしは踏み切るべきときだという、まずそういう立場に立って前向きにこれらの問題に取り組んでまいりたい。  その中で、いまの廃疾の問題につきましては、これは課長からも申し上げましたように、その給付内容につきましてはすでに五九%と四八%、いわゆるこの基準の四〇%をはるかにオーバーいたしておりますので、先ほど申し上げましたように、ただ問題はこの傷病手当とのすき間の問題でございますから、何か一つだけ標準記録を突破して、もう一つ何か残念なような気がするということ、さっき申し上げたとおりで、前向きにひとつこれは検討さしていただきたい。ただ、いつまでとおっしゃいますと、私も政務次官の立場でここではっきりお約束は申し上げられませんが、基本的には婦人年というのはいい時期だからこれをひとついい機会に、私どもはすべての問題をチェックしているわけです。その中の最大公約数である残された義務受諾の問題については、そういう形で進んでまいりたい、こういうことでございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 私繰り返したくないものですから、中身を詳細に申し上げるのじゃなくて結論だけ申し上げているのですけれども、ですから遺族給付は来年検討課題で解決をするというお話、それから廃疾給付はこれも検討課題になっておるわけで、これはできるだく早く解決を進めたいとおっしゃっているわけですね。問題は、家族給付と分娩給付ですね。これはいままでの論議の中では少しも煮詰まってないのですよ。とにかく金がかかるというふうにだけ言われている。ですから、煮詰まっていないという隘路は予算の問題なのか制度上の問題なのか、その辺のところをはっきりさしておいていただかないと、これは昨日も本院でも本会議決議もなされておりますように、国際婦人年を契機にしてあと一つずつ詰めていきたいという具体的な意思表示のあらわれでございますので、そういった点の結論だけを伺っておきたいのです。

山下徳夫自由民主党厚生政務次官

○政府委員(山下徳夫君) これも先ほどからお答え申し上げましたように、それぞれいま御指摘の二つの問題は日本における長い歴史と伝統の中で法制化された問題でございます。したがって、たとえばこの児童手当の問題にいたしましても、日本の賃金体系の中の家族手当というものを全部なくして一本化するならば、これでILOの義務受諾に見合うだけの支出はあるわけでございますから、そこらあたりの整理をどうするかという問題、それから分娩につきましては、これも申し上げましたとおり、現行における日本の医療保険というものは、いわゆる医療であって、従来の分娩は医療のカテゴリーに入っていなかったということでございますから、ただ先ほどから田中先生の御質問にもお答えしましたように、入院分娩というものがすでに八〇%に達しておるという現況からすると、そういう一つの伝統とか歴史とかいうだけで終わらない、できないということでございますから、これもひとつあわせて、現時点に立って、世界婦人年を踏まえて検討さしていただきたいと思います。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 先ほど大鷹委員もおっしゃったのですけれども、ILOの特に百二号条約についても批准状況というのは日本が二十六番目というようなことになるのですが、諸外国、特に先進工業国等を見ますと、九部門のうちでイギリスは六部門、西ドイツは九部門、オランダも九部門、フランスは六部門、日本が四部門なんですね。四部門というのは、ニジェールという国が四部門なんです。余りよく知らぬような国と同じ水準ということになるわけです。こういう実情から見ますと、これは経済成長を非常にスピードアップして遂げてきたわけですから、安定成長下の福祉ということで、社会保障の水準を特に重視をして引き上げていかなければならないというところへ来ていると思うわけです。そういう点で、私どもはこのILO百二号条約が批准をされたということで、後に残された部門が放置されるということを最も恐れます。できるだけ早く、これは決意としては先ほど冒頭に外務政務次官もお述べいただいておりますけれども、これは必ず実現をしていただきたいということだけを申し上げておきたいのですが、その点について簡潔にひとつ御決意を伺っておきたい。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 午前中、田中委員にも申し上げたところでございますけれども、今回この条約を締結するということで、もう百二号関係はこれで済んだというようなふうに絶対に私ども考えるわけではございませんで、ただいま御指摘のように、九部門を全部充足させておる国も幾つかございます。わが国自身の体制としても、そちらへ向かっていかなければならないことは確かでありますし、先ほども厚生政務次官が言われたとおりでございますので、主として厚生当局になりますが、厚生大臣にも私からも申し上げ、政府全体の責任として、残った部門の充足に努めてまいらなければならないと思っております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 私は、なぜそのことを強く主張しておるかと言いますと、先ほども申し上げたように二十三年前の条約だ。その間にやはり世界の情勢も大変変わっておりますし、わが国の国民の生活の実態も大変変わってきている。したがって、その条約の状況だけを見ましても、現在もう百四十号条約というところまで行っているのですね。勧告は百四十八号まできているのですね。政治的に見ましても、これは工業的先進国ではなくて、むしろたとえばベトナムとかカンボジア・ラオスというようなああいった国でも、いろいろと屈折はあっても、平和と進歩の方向へ向かっているという点だけでは明らかですよ。そういう点で国際婦人年のスローガンの、平和、平等、発展という立場で考えていただきますと、日本の政府も国際的な発展におくれないように、こういった国際条約等の問題については、国際社会での地位の向上のためにも、同時にそれが国内的には国民の切なる願いと、こういう両面にこたえるためにもこれはぜひこたえていっていただかなければならない。  そこで私は、先ほど田中委員からも触れておられましたけれども、ILO百三号条約について若干聞いておきたいと思うのです。すでにもう十五カ国が批准をしております。わが国でこのILOの百三号条約が批准できないのはどこに問題が残っているか、その点だけひとつ伺います。

森英良労働大臣官房国際労働課長

○説明員(森英良君) お答え申し上げます。  問題点はおおむね三つございまして、一つは出産休暇の期間でございますが、百三号条約におきましては、少なくとも十二週間、かつ、産後の強制的休暇期間を最低六週間を含まなければならぬ、こういうふうに規定されております。この関係の国内法は労働基準法でございますが、これによりますと産前六週間、産後六週間ということで、そこまでは合っておるのでありますが、産後につきましては、本人が請求し医師が支障がないと認めた場合に、それらの業務につきましては、産後五週間を経過した女子については就業を認めるということになっておりまして、この点が若干食い違っております。  二番目は出産休暇中の金銭給付でございますが、これは厚生省の所管でございますけれども、社会保険で与えられる金銭給付は、従前の所得の三分の二を下回ってはならないというのが条約の規定でございますが、健康保険法上は、現金給付は標準報酬日額の百分の六十ということでこの点も食い違うように思われます。  第三点は育児時間中の賃金の問題でございまして、条約は、保育のための労働時間の中断は労働時間として計算し、かつ、それに応じて報酬を与えなければならないということになっております。労働基準法上、この保育のための労働時間の休暇について、有給とするという面の規定がございません。  以上の三点が、現在百三号条約を批准できない問題点となっております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 そういたしますと、そのいま批准の要件に満たない問題を国内法でいいますと、労働基準法、健康保険法ということですね、関連する国内法は。そういうことになりますね。

森英良労働大臣官房国際労働課長

○説明員(森英良君) そのとおりでございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 さらにお聞きいたしますが、この百三号条約よりさらに高い水準を要望しております九十五号勧告、これも百二号条約、百三号条約と同じ総会で採決をされたんですけれども、これはどんな内容になっていますか。

森英良労働大臣官房国際労働課長

○説明員(森英良君) 九十五号勧告と申しますのは、百三号条約を補足いたしまして、条約ではございませんけれども、百三号を上回るような基準を一応勧告しているわけでございます。出産休暇につきましては十四週間ということで、百三号よりも二週間長いものを設定しております。また、母性給付につきましては、休暇中の給付を従前の所得の一〇〇%というふうに規定いたしておるわけでございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 この百三号条約、九十五号勧告というものに対して、国際的に見てみますと、フランスやイタリーというのは大変高い水準なんですね。ちょっと参考に申し上げてみますと、フランスでは、出産休暇は、「出産予定日の六週間前から出産後八週間の期間中、労働契約を停止する権利を有する。」  母性給付は、所得保障を「産前六週間、産後八週間、所得の五〇%が母性手当として支給される。」  現物給付、「妊娠、出産、産後に必要とされた医師の費用、薬代、入院費が全額払戻しされる。」  それからイタリーも、出産休暇は、「出産予定日以前の二カ月間、出産が予定日より遅れた場合」とか、「出産後三カ月間は使用されてはならない。」  母性給付は、所得保障として「賃金の八〇%を受ける権利がある。」  現物給付は、「妊娠している婦人労働者は、無料で定期検診を受けることができる。また正常分娩であっても、医療給付を受けることができる。」  育児時間は、一回一時間、「一日に二回または一回にまとめて休憩時間を与えなければならない。」イタリーには育児休暇も一年間というふうな、一期間六カ月、三歳以下の子供の場合にというふうなものも付加されておりますが、こういう水準にすでに到達をしているということが報道されていますが、わが国は、一体この百三号条約、これ先ほど申し上げた国内法では労働基準法、健康保険法に当たる中身になるんですが、いつごろ批准をする見通しでしょうか。

青木勇之助労働大臣官房長

○政府委員(青木勇之助君) ただいま御説明申し上げましたように、百三号条約とわが国の国内法との関係、いまだ三点ばかり要件を充足いたしておりません。一件は厚生省の関係でございますが、基準法関係につきましては、現在労働基準法研究会におきまして検討をいたしておる段階でございまして、その結果をまって対処してまいりたい、こういうふうに考えております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 この百三号条約の内容で、わが国の要件に満たないという内容は、最も働いておる婦人たちの強い要望になっておる母性保護の内容になっているわけですね。参考にお聞きをしたいんですけれども、労働組合の婦人部、どんな要求出ていますか、主な労働組合の婦人部から。

久保田真苗労働省婦人少年局婦人課長

○説明員(久保田真苗君) お答え申し上げます。  労働組合からも産前産後の延長、それから母性保護の充実といったような内容の要望が出ております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 多くの労働組合でも、婦人部から長い間要求も出ておりますし、また、この間開かれております働く婦人の集会でも同様の決議がなされておるということで、母性保護の強化を要求しておる声というのはきわめて強いわけです。労働大臣もせんだっての予算委員会で、わが党の山中議員の質疑の中で、前向きに取り組んでいきたいというふうにお答えをいただいておりますが、大体いまごろこの問題を、たまたま条約の関係で言っておるわけですけれども、蒸し返されるというふうな論議じゃないわけです。もうすでに何とか早く解決が迫られているというふうな問題だと思うんですけれども、研究会にかけておるとはおっしゃっておられるんですが、この問題は先ほど中山政務次官大変前向きな御見解をお述べになっておられたんですけれども、こういう具体的な問題の早急な取り組みのめど、解決のめど、こういうものをお持ちかどうか、これは持っておられると思うんですよ。大臣すでに前向きに検討していくとおっしゃっておられるんだから、その点はどうでしょう。

中山正暉自由民主党労働政務次官

○政府委員(中山正暉君) いつまでという日時を限るわけにはいきませんが、できるだけ早い機会に結論を出すように、労働基準関係の委員会の第二部門の方で検討いたしておりますので、その結論を待ちまして、できるだけ早く解決をいたしたいと思っております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 時間の都合がありますので、その問題はまあそれまでにしておきまして、後、すでにわが国で批准されておる百号条約、この条約をめぐる問題について若干お聞かせをいただきたい。  といいますことは、冒頭にも申し上げたように、条約が批准されて、後は野となれ山となれとなったんじゃ困りますので、そこですでに批准をされた条約の実態というのはどういうことになっているかという点を、少し明らかにしていただきたいと思うわけです。  百号条約は御承知のように、同一価値の労働に対して男女労働者に同一の報酬に関する条約ということで、いわゆる男女同一労働同一賃金といわれておる内容でございますが、この条約が批准できたのは、これはお聞きしてもいいんだけど、もうはっきりしていることだと思うんで、恐らく労働基準法第四条で、「使用者は、労働者が女子であることを理由として、賃金について、男子と差別的取扱をしてはならない。」、こういう規定があるからだと思いますけれども、そうですか。

青木勇之助労働大臣官房長

○政府委員(青木勇之助君) 法制的にはそういうことでございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 そこで百号条約を批准することができた、批准されて現実的に実質的、実体的にこの条約の趣旨のとおり、日本の実情は進んでおるというふうにお考えになりますか。

青木勇之助労働大臣官房長

○政府委員(青木勇之助君) 現在わが国におきまして男女間の実際の賃金、これにはかなりの格差がございます。これは事実でございまして、この格差につきましては、原因といたしましては学歴とかあるいは勤続年数とか能率、経験、職能等々、多様な要因に基づきましてこういう差異が生じているものというふうに一応考えられます。先生御指摘のように、労働基準法の第四条におきましては、これらの要因につきまして労働者が女子であること、それのみを理由として賃金に差別的取り扱いをすることは禁じております。そういうことで、現在なお間々労働基準法第四条違反のケースも見受けられるわけでありますが、これらにつきましては、発見の都度、監督指導を厳正に行いまして是正をさしてきております。しかしながら、こういう四条違反のケースというものはそう数が多いわけではございませんので、もちろんその数少ない法違反につきましては、厳正な態度で是正を図ってまいっておりますが、しかし、それのみでは格差全体を縮小するということには相ならないわけでありまして、労働省といたしましても、女子労働者の方々が職種や熟練度等におきまして男子に匹敵するような能力を発揮されると、あるいはそのような基盤を醸成していっていただくということが基本であると考えまして、そういう点についても鋭意努力いたしておるところでございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 私がお聞きしたように、百号条約は批准したけれども実態はそのとおり進んでおらないということで、いろいろと鋭意努力を傾注していただいておると、こういうことでございますね。確かに女子労働者の実態はもう大変格差が大きいんですね。これは統計上から明らかでございまして、わが国ほど男女格差の、女性の側から言えば男女差別の大きな国はないというのは統計上はっきりしてるんですね。けさもちょっと御意見が出ておりましたけれども、賃金格差で、これは労働省の婦人少年局の婦人労働の実態という資料によりますと、四十八年度の一人平均月間現物給与総額、男女間の賃金格差は、男子を一〇〇として女子は五〇・二というふうに報告をされています。ところが諸外国はどうかといいますと、フランスでは、この男女間の賃金格差の推移、これも労働省の婦人少年局の資料でございますが、これによりますと、フランスでは八七・八%、西ドイツでは七〇%、デンマークでは七五・七%、オーストラリアで七八・四%というふうなことで、わが国のように五〇%というところはないわけです。こういうふうにわが国は女子だけではなしに男子の賃金格差というのも大きいのが一つは特徴でございまして、先ほどお話がありましたように、大企業、中小企業あるいは本工、臨時工あるいは社外工というふうなことのいわゆる雇用形態の違いというふうな問題。それから女子でもパートタイマー、不安定雇用、臨時というふうな複雑な雇用形態をつくり出しているというふうなこと。そしてそういう中で基本的には、学歴だとか職歴だとかあるいは職階だとか、そういうふうなものが全部組み合わされて、男子の中にも非常に賃金格差というのは大きい。女子にはそれがさらにプラスアルファをされて大きな格差をつくっていっているというのが特徴だと思うわけです。  そこでちょっとお伺いをしたいのですけれども、いま申し上げたような賃金実態の中で、わが国では労働者にとっての生活保障の原則に立ついわゆる全国一律最低賃金制というのはないわけですから、ますますこの賃金格差に拍車をかけていくというふうな不安定さを残していくと思うんですが、現実の姿はそういうことだと思うんですが、なぜ外国のいわゆる資本主義国と比べて、こんなにびっくりするほど、先ほど申し上げたようにフランスでは八七%、わが国では五〇%というふうな大きな男女間の賃金格差が起こってくるのか、これはどういう御見解でしょう。

青木勇之助労働大臣官房長

○政府委員(青木勇之助君) 賃金格差につきましては、先生御指摘のとおりに、男子を一〇〇といたしました場合、四十八年の賃金構造統計基本調査によりまして、私どもの方の数字では五九%と、こういうふうに一応なっておりますが、まあ各国の実情は先生御指摘のとおり、フランス、西ドイツ等はかなり高い、格差があまりないというかっこうになっております。しかし、先進諸国の中におきましても、たとえばイギリスの場合でございますと、これは統計がちょっと古いんでございますが、六〇・五%、アメリカが一九七四年で六一と、こういう国も一応ございます。  まあそれはさておきまして、男女間のこの賃金格差の原因はどこにあるかという御質問でございますが、わが国におきましては一般的に従来から女子を短期的、補助的労働力として見る風潮がやはりかなり強くあって、これがまだ現在に残っておる。さらに、このような風潮を背景といたしまして、一般に女子の就業分野というものが男子に比べてなお狭い、そういうこと、あるいは女子の勤続年数が男子よりも短いということ、さらに、現在わが国の賃金制度の特色の一つでありますところのいろんな生活関連の諸手当が出ております。こういう生活諸手当は世帯主である男子に支給されるということが非常に多くなっております等々のことが原因と相なりまして、このような格差が生じておるのではないかと、一般論でありますけれどもそういうふうに考えております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 私はきょうお伺いしている一つの問題点は、ILO百二号条約を、特に婦人に関連する部門をたくさん残して見切り発車で批准するというふうなことで、あと残されたら大変だと、実はこの百号条約でも、男女の賃金差別をなくするということで百号条約は批准されている。ところが先進諸国と比べても相当な格差がある。これはやはり片方で条約批准されてりっぱにやっていますと対外的には言っておりながら、国内ではそういう実態にあるという点を一つは認識をしてもらわなきゃならないと同時に、それを解決するための本当の原因、これを労働省がしっかりつかんで対策を立ててもらわなきゃならぬと思うんですよ。その点でいまおっしゃられた点は、いろいろ言われておりますけれども、私は私自身の論理を申し上げるんではなくて、昨年の三月に出ました婦人に関する諸問題調査会議、これは総理府でやっていただいたこの報告に書かれていることを申し上げておきたいと思うんです。こういうふうに男女賃金格差というところに、「新規学卒者の初任給の段階では、労働省の新規学卒者の初任給調査によれば、一般に男女の格差は小さいが、学歴が高くなるほど格差が大きくなっている。また、昇給の段階では、女性は一般にその職務の等級が下位に格付けされているなどの理由によって男子より昇給率が小さく、同一昇給率でも人事考課によって差ができる場合が多いという状況なので、ここでも男子との格差が生じる。」と、こういうふうにこの報告書は明確にされているわけです。これを見ますと、いろいろいわれておるけれども、短期雇用者、短期間の雇用労働者だというふうな問題云々というようなこと言われておりますけれども、そうではなくて、いわゆる同一価値の判断というのを全部使用者が、資本家側が勝手にできるというふうなところに問題があるんではないかと、この報告を見ますとね、その辺をしっかりメスを入れなければ問題の解決というのはできないんじゃないかというふうに思うんです。ですからこういう実態に即して、本当に百号条約をすでに批准されて、対外的にはりっぱにやってますよということを表明しているんですから、これは政府、労働省としてはこの問題にはきちんと対処してもらわなきゃならぬと思うんですが、どうします。

青木勇之助労働大臣官房長

○政府委員(青木勇之助君) 先ほど申し上げましたように、男女間の賃金格差の問題につきましては、かなりの格差があることは事実であります。そのよって来る原因、これにつきましても先ほど申し上げましたような点、あるいはいま先生御指摘のような点も確かにあると思います。そういう点につきましては婦人少年局、基準局が中心になりまして御指摘のような点、同一労働については同一賃金、こういう点につきましてはさらに指導を強く進めてまいりたい、こういうふうに考えております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 指導を強くとおっしゃるけれども、労働基準法の第四条にはちゃんと項目があるわけですね。ところが四条違反も時には出ますので鋭意指導を強めていますというさっきのお話もありましたけれども、それだけではだめなんじゃないか、四条だけではだめなんじゃないかというふうに思うんですけれども。これはたとえば外国の同一賃金法というふうな法律をつくるとか、あるいは四条の運用上の行政指導を強めていける体制をつくるとか、いろんな問題があるんではないかというふうに思うんですが、そういった点については具体的に施策を講じておられますか。何もやってないですか。

久保田真苗労働省婦人少年局婦人課長

○説明員(久保田真苗君) 御指摘の賃金の問題につきましても、職場の職域の問題、職種の問題、昇進、昇格の問題、採用の問題、定年の問題、これらのものとすべてからみ合った一つの婦人労働の特徴、あるいは障害、問題といったようなものを形成していると存じまして、ただいま就業における男女平等問題に関する研究会議というのを昨年発足いたさせまして、ここで逐次いろいろな問題を緊急なものから検討しておるところでございます。この結果を施策に生かすように努めてまいりたいと思っております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 男女平等問題研究会議ですか、研究会というふうなところでやられておるということですが、そこでは賃金格差を縮小していくというふうなことをテーマにしておるのか、あるいは格差を生じてまいります仕組み、先ほど課長もおっしゃった仕組みの解明というふうなこと、あるいはこれに対する対処の仕方、そういったことが検討課題になっておるんでしょうか。

久保田真苗労働省婦人少年局婦人課長

○説明員(久保田真苗君) ただいま先生のおっしゃいました後段の問題も含めて検討するということにしております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 こういうふうに、すでに批准をされた条約の国内法での対処の仕方、施策の対処の仕方にはぜひ具体的に推進をさしていただきたい。  さらに私は思うんですけれども、わが国の大企業を中心とする高度成長を支えてきたといいますのは、特に労働力の中では農民と婦人だと思うんです。高度成長に低賃金労働者として農民と婦人が特に駆り出されたということは、これは明らかだと思うんですね。総理府の労働力調査、これを見てみますと、非常に婦人の労働の態様というのはパートだとか臨時だとか、大変不明な点が多いわけですけれども、こういう不十分な統計の中で、婦人の短時間就業者の実態というのはどうなっているかというと、これは総理府からいただいた統計ですが、高度成長の開始された三十五年を一といたしますと、四十八年は婦人労働者は三倍になっておる。三十五年のちょうど数字としては三倍になっておる。それで私は、こういう実態というのはやはり一つの実態だと思うのですけれども、労働省にこういう実態の中で不安定雇用あるいは低賃金の婦人労働者に対する対策、こういうふうなものをどういうふうにとってきたか、私は余りとってこられなかったのじゃないかと思うのですよ。といいますのは、これも、時間がないということで、委員長大変申しわけありませんが、もうちょっとしばらく……。  時間が来ておるようですので詳しく申し上げませんけれども、これは社会労働委員会の中でもパートや臨時の婦人労働者が大変なひどい目に遭っておるという問題で、ずいぶん改善に対する御質疑などを申し上げておりますように、忙しいときはたとえ五時間でも六時間でもというて引っ張り出す、ちょっと景気が変動してくると全部首にされる、しかも失業保険も手当も何もないというふうな状況で、全くこの婦人労働者というのは企業の高度成長の、あるいは経済変動の安全弁に使われているというふうな状況というのは、労働関係の中での、特に婦人労働の動態を見ますと非常にはっきりすると思うのですが、そういう点でやはり私は労働省や政府の責任というのは大きいと思うのですけれども、これらに対して労働省はそういう点が無策に過ぎたということが、同一労働、男女間の賃金格差というのをさらに大きくしたというふうに思いますが、そういう点で、これらのいまなお続けられているこういった婦人の労働者の保護対策、そういったものについて具体的に検討するべきであると思いますけれども、いかがでしょう。これは労働省として簡潔にひとつお伺いをしておいてこの問題終わりたいと思うのですが。

青木勇之助労働大臣官房長

○政府委員(青木勇之助君) 先生御質問のとおりに、女子労働者あるいは短時間労働者、こういう人たちが非常に数多くあるということは御指摘のとおりでございますが、しかし、労働時間が一般の常用労働者に比べて短いというだけで、労働基準法の適用につきまして一般労働者と何ら変わるところはあってはならないわけでございます。したがいまして、短時間労働者であるがために労働条件について不利不当な取り扱いがなされぬよう、従来から労働基準監督官を通じまして監督指導を行ないますと同時に、労使を初め社会一般につきましても啓蒙指導をやってきておるわけであります。また、職業安定機関におきましても、すでに御案内のように、ターミナル職業相談室やら職業安定所の窓口等を通じまして、短時間労働者の職業紹介、職業の安定というものについても努力をしてまいっておりますし、今後ともさらにその努力を続けてまいりたい、このように思います。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 委員長まことに申しわけありません、文部省来ていただいておりますので一問だけちょっとお伺いをさしていただきたいと思うのですが、特に小中学校の教員の中で女教師の占める率は幾らかということ、それからわが国で小中学校の校長先生というのは何人ぐらいおるか、それは全体の校長の中で占める率はどのくらいおるか、昭和二十五年ごろと昨今と比較をいたしましてその率はどういうふうに動いているか、そのことをひとつお伺いしたい。

浦山太郎文部省初等中等教育局地方課長

○説明員(浦山太郎君) 現在、これは昭和四十九年の調査でございますけれども、小学校で女子教員の占める比率は五四%、中学校で女子教員の占める比率は二八・七%でございます。  それから校長の数でありますけれども、小学校では、全校長数二万二千五百七人に対しまして女子校長の数は三百七人、割合は一・四%。中学校におきましては、全校長数九千三百三十七人に対して女子校長数は十七人で〇・二%であります。昭和二十五年と四十九年——五十年の統計はまだまとまっておりませんので、四十九年と比較をいたしますと、昭和二十五年で小学校におきましては女子校長の数が百三十七人でありましたのが、昭和四十九年では三百七人となっております。中学校におきましては、百二十四人が十七人であります。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 もう終わります。  そういうことで、いまお伺いしましたように、女子の管理職という問題をちょっと若干触れたいと思ったんですけれども、いまお伺いしたような実態で、これも総理府の婦人に関する諸問題の調査会議の報告では、ほとんど、人数は変わっているけれども、率としては変わっていないというふうに報ぜられているというふうなことでございますので、そういう点で、ILO百二号条約の批准に関して私どもが参加をさせていただいてこういった審議をさせていただくということは、まさに今日的な意義があるというふうに考えておる次第でございます。そういう点で、冒頭にも申し上げたように、最低基準さえ満たせない経済大国というふうな汚名を返上するためにも、ぜひこの批准をしたら、後は野となれ山となれということをやめていただいて、特に国際婦人年に、これを契機として本会議決議でも明確にされておりますそれを、具体的に行動計画の中で、これは婦人の悲願になっておる諸要求、これをひとつぜひ実現をしていただくように御努力をいただきたいと、最後にひとつ、もう決意だけ一言お伺いをして終わらしていただきたいと思うんです。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○国務大臣(宮澤喜一君) 便宜私から申し上げますが、先ほども申し上げましたように、この百二号条約につきましても、充足部門ははなはだ不満足な状態でありますし、ILO条約、たくさんの条約につきましてわが国の締約国になっております率も決して高くないという実情でございます。先ほど申しましたように、政府といたしましては、国内の体制のおくれを早急に取り戻さなければなりません。条約という観点ばかりでなく、これはわが国自身の問題といたしまして、政府といたしましてせっかく努力をいたすつもりであります。

二木謙吾自由民主党

○委員長(二木謙吾君) 本件についての質疑は、本日はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十四分散会

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