科学技術振興対策特別委員会 第5号
- 発言数
- 196 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1975/06/20
会議録
○委員長(中尾辰義君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題とし、原子力船「むつ」に関する件についての質疑を行います。 本日はお手元に配付のとおり参考人の方々の御出席を願っております。 参考人の方々には、御多忙中にもかかわらず御出席いただきましてまことにありがとうございました。 本日の委員会の進め方でありますが、まず大山参考人から「むつ」放射線漏れ問題調査報告書について十分程度御意見を伺いましてから各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。 それでは、大山参考人お願いをいたします。
○参考人(大山義年君) 大山でございます。それでは私から「むつ」放射線漏れ問題調査委員会の報告につきまして、報告に盛られました趣意と申しますか、考え方について簡単に申し上げます。 すでに報告書は先生方のお手元に届いて、一応お目通しをいただいていることと存じますので、調査の目的あるいは経緯等は省略さしていただきます。 「むつ」の放射線漏れの事情について正確な判断をいたすためには、本来ならば調査委員会が改めて漏れ自体の観測、測定をし直すことが望ましいとは考えられますが、御承知のようにそのこと自体は現在の情勢では不可能でございます。しかし、すでに「むつ」放射線しゃへい技術検討委員会において運転できた範囲において測定を行い、かなり詳しい検討が行われておりましたので、その詳細の説明を聞いて判断の資料といたしました。その結果今回の放射線漏れは、主として高速中性子が第一次遮蔽体の間隙を伝わって漏れて出る、いわゆるストリーミングと称する現象に起因するものであり、局部的には予測した線量率をはるかに上回っておりましたが、全般的に見て新しい形状、新しい材料を用いた遮蔽の設計をした場合には時として起こり得る程度のものと言えないこともありません。また、このような放射線漏れが起こることになったのは、「むつ」の原子炉設計をいたしました当時、約十年近く前には、遮蔽設計の実例が少なく、経験の蓄積が設計の上に重要な資料となるこの分野におきまして、いまだ遮蔽設計の専門家が育っていなかったとも言えるのであります。したがって複雑な形状をいたしました遮蔽体の遮蔽能力についての判断力が未熟であったということがこの原因の一つと考えられるでございましょう。そのような条件のもとで、経験の不足を補い、計算コードをチェックするためにJRR−4を用いまして、遮蔽効果の実験を行ったことは評価されるべきであると存じます。しかし、この遮蔽実験によって中性子のストリーミングの現象が一応とらえられました。したがって実験の目的の一つが得られているにもかかわらず、その成果が設計に効果的に生かされなかったということはまことに残念なことであったと存じます。この実験の結果が何ゆえに効果的に遮蔽体の設計に適用し得なかったかということに関しまして、われわれ委員会はその原因が那辺にあるかということを検討を重ねた結果、次のような結論に達しました。 今回の漏れの問題は、たまたま表面にあらわれた一つの技術的な問題とも見ることができます。が、調査委員会といたしましては、これを単なる偶発的事象と見るよりも、むしろ現実に放射線漏れの問題を起こすまでに至った過程の間に内在していた本質的な諸原因を解明することがこの際重要であると考えたわけでございます。よってこの問題の発生原因を単に技術的な問題に限らず、国の政策の面、原子力船事業団の組織、運営、研究開発の面、契約の面等を含めて、可能の限り広範な見地から調査検討を行いました。それによりまして、この問題には多くの要因となり得る因子が存在することが判明いたしました。さらにこれを、これらの問題点を整理いたしまして、政策、組織、技術、契約の四点にしぼって指摘を行いました。これらの要因はそれぞれ相互に関連し合っておりますし、いずれが主であるとかいずれが従であるとかというようなことは容易に申し上げられませんが、しかし程度の差はあれ、それぞれ問題に責任があるものということができると存じます。 原子力船「むつ」は、このように研究開発過程において誤りを犯しましたが、全体としてはかなりの水準に達しております。今後適当な改善、改修をいたしますれば、十分所期の技術開発の目的に適合し得るものと判断しております。 報告書の最後に、結論といたしまして、今後「むつ」の研究開発を進めるとした場合、考慮しなければならない事項について提言を行いました。われわれといたしましては、政府関係当局、関係諸機関がわれわれの提案を虚心坦懐に検討を行って、今後の技術開発の実行に移されるよう希望する次第であります。 なお、この報告は、起草委員を設けまして、最初から委員会の手元で報告を起草し、検討、形成いたして結論を出したわけでございますが、したがって表現の点におきまして文章その他粗野あるいは素朴な表現等がございますが、どうぞわれわれの真意をおくみ取りの上、御審議をいただければ幸いと存じます。 以上でございます。
○委員長(中尾辰義君) ありがとうございました。 それでは、ただいまから質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○杉山善太郎君 きょうは大山義年先生、内田秀雄先生、大変御多忙のところを御出席いただきましてありがとうございました。私の持ち時間は一時間でございますし、委員長から承りますれば内田先生は午前中という、そういう立場でおられるそうで、そういうことを配慮しながら、まず最初にずばりで大山先生にお伺いいたしますが、私は実はわが国の原子力行政の欠陥と開発体制の不備というものがずばり言って象徴的にあらわれたのがいわゆる原子力船「むつ」問題じゃないかというふうに私なりにとらえております。なぜさように申し上げますかというと、たとえば「むつ」放射線漏れ検討委員会にいたしましても、大山先生に御苦心いただきましたいわゆる答申イコール大山報告書についても、その政治的背景は言うならば昨年の十二月二十九日の閣議決定によって、これは大変なことだと、一事が万波に響くというとわが国の原子力開発に大きな影響を及ぼすおそれがあるから、ともかく権威ある委員会を設置しようというかっこうで委員会ができたと、そういう背景を頭の中に置きながら、実は苦悩のこの調査報告書というものを拝読させていただきました。そういう状況の中で、実は私は、総論あり、各論あり、提言あり、そして六項目という具体的な提言が書いてあると、あとがきもあるというような形で非常にこれは親切な、そして苦悩の一つの労作であるというふうにそれなりに私は一定の評価をしておるつもりでございます。でありますが、この報告書がすでに閣議に提出され、そして大山答申が出てから、これが私の記憶では五月十三日だと思いまするから一カ月有余の日月が流れておるわけであります。問題は、この報告書の中身を政府がその責任においてどういうふうに具体的に具体化していくかということにかかっておると思うのであります。そういう意味で、政府に対してそれなりの要望なり、あるいはかくしてほしいというような、答申なされてから一カ月の経過を踏んまえて、政府もそれなりにこの答申したものを政審あるいは閣議等の議を経ていろいろと処置しておられると思いますけれども、結局、大山答申の生みの親として、大山参考人はこの段階においてひとつ何か、サムシングあってしかるべきじゃないかと、私もずばりで歯にきぬ着せずにお尋ねいたしますから、先生の方でもなければないんだと、これでいいんだというふうにお考えになっているかどうか、その一点をまずお伺いいたしたいと思います。
○参考人(大山義年君) 御質問の趣意が私に余りはっきりいたしませんでしたんですが、御質問の御趣意は、一カ月たった今日この状態でいいのかという御質問でございましょうか。
○杉山善太郎君 言うならそうです。
○参考人(大山義年君) われわれといたしましてはあくまでも委員会でございまして、行政的の面に対しまして希望は述べましたけれども、こうあれとかこうしろとかというような問題を——できるだけ早くわれわれの希望を達成するよう御努力いただきたいと存じますが、たびたびこういう機会にお話しがございますように、原子力行政懇談会がそういう問題をおやりになっている点で、政府の方もその結論をお待ちになっているのではないかというようなことを考えております。
○杉山善太郎君 原子力行政懇談会が、有沢報告によって、また有沢先生を会長にしてすでに発足しておることも知っておりますし、それからもう一点お伺いいたしますが、「むつ」問題について私これを何回か熟読反復勉強さしていただきましたが、なるほど「むつ」問題について報告書は科学技術庁であるとか、運輸省であるとか、事業団等に対する行政上、運営上のそれなりの責任は、追及という形はなくて、こういう点については問題があるんじゃないか、一日も早く問題を解消してあらゆる技術を駆使してというようなふうにこれを受け取りまするけれども、私はすべての原子力行政、原子力開発のいわゆる行政上のかなめというものは、言うならば原子力委員会だと思います。この権威ある原子力委員会の本質的なあり方、それから本質的な任務あるいは責任、これは設置法に基づいてある行政機関でありまするけれども、これについてたとえば原子力委員会のあり方だとかその本質的な任務だとか責任問題等について何にも大体触れておられないじゃないかというふうに、私はこの報告書を見た限りにおいては、この点一体何も御遠慮なさる必要はないので、ずばりとやっぱり従来のたとえば各種諮問機関であり、委員会の報告がどうあろうとも情勢の動く推移の中では勇気を持って先生の立場あるいは学者の良心、そういった問題についてずばり言って欲しかったんだというふうに思いまするけれども、今日的な心境について、その点それはどういうふうにお考えになっているんですか。その点もずばりでお答えいただきたいと思います。
○参考人(大山義年君) この放射線漏れ問題委員会の性格と申しますか、最初われわれがこれをスタートいたしましたときに、何と申しますか、主としてなぜ漏れたんだろうかという技術的の問題を中心としてやっていくというような委員会の心構えでございました。ところがやってみますと、先ほど申し上げましたようにJRR−4によってやられた実験のストリーミングがある。これを設計にアプライする場合に、もっと突っ込んだ考え方と申しますか、はっきり申しますれば本来の問題は高速中性子の漏れの問題でございますが、これをいわゆる熱中性子——エネルギーの低い中性子の問題として基礎設計の方で考えて設計がされた。いま事後になって言えばこれはあたりまえだということになるかもしれませんけれども、その当時でさえも十分そういう問題を調査しあるいは責任を持って設計と申しますか、プロジェクト全体を把握している体制になっていれば設計、製作等の長い時間がございましたから、その間にこれはおかしいんじゃないかというような議論が当然出てしかるべきだ。それが出なかったというのはなぜだろうかというようなことから、われわれは体制——国の政策のこういう大きなナショナルプロジェクトをやる場合の心構えというようなものの欠点を感じて、この報告をこのようにまとめたわけでございます。ただこれをこうしなさいとか、行政的にこうしろというようなことはわれわれに課せられた任務の外であるというような感じを持っています。
○杉山善太郎君 時間もありませんし、先生の立場というもの、また調査委員会の性格、慣行、位置づけ等についても私どもはそれなりきに理解はしております。しかし、すでに先生の口からも拝聴いたしましたように、内閣総理——首相の諮問機関である原子力行政懇も発足しておることでありますし、過去の原子力行政のあり方、そして現状、将来の展望に立って、いわゆるこれを見直しをするというような点について、やはり原子力行政懇談会が各界、各学識経験者の意見も徴して苦悩の作業を進めておられるというふうに私どもは善意にすべてを解釈し理解をしておりまするが、ただ問題は、原子力委員会のあり方は、なるほど原子力委員会の設置法というものがありまするけれども、一体この状態でこれがいいかどうかということについては、私どもは、やはりこの原子力行政懇談会の中で十分洗い直していただいて、そういう一つの前夜的な——前夜的なというのは、いまそういう状態に迫られておるのだというかっこうで、そういう視点から絶えず次元を変えて有沢会長にも来ていただいて参考人として質問しようと、こう思っております。 先へ進みますけれども、私はこう思うんです。私なりに思うのですけれども、つまり、要は「むつ」問題をめぐって表面化したわが国の原子力行政の欠陥についてそれを表面的にどれほど並べてみても、そしてこういうふうに苦悩のやはり報告書が答申されても、あるいは視点が若干違っても放射線漏れ検討委員会というものが、そういう結果が出ても、要は問題の根本に迫る契機としない限り積極的な意味を持ち得ない、こう思うんです。いま国民が求めているのは、今回の報告書で指摘されたわが国の原子力開発の重大な欠陥を抜本的に改め、言うならば安全優先、国民本位の原子力行政を進めるための具体的な処置をとることだと思います。この際、先生はこの点について、それは違うのだと、そうあるべきだと、それについて一つの感じ方をひとつ先生の口からお聞きしたいと、こう思うんです。
○参考人(大山義年君) 具体的な御構想を伺わないと何とも申せませんけれども、お考え方としては私も全く同感でございます。
○杉山善太郎君 これは若干次元が原子力問題とは違うかもしれませんけれども、私は、先生が東京工大の名誉教授であると同時に国立公害研究所の所長であるということを実は勉強して初めて知ったわけでありますが、たとえば、この点に私どもは勉強として教えていただきたいと思うんでありまするけれども、ヒントとしてどうお感じになっておるか。いまアメリカの前原子力委研究所の所員であるこのタンプリン博士がこっちへ参っておりますね。この間読売の主催で、これは先生もお目通しになったことと思いまするけれども、タンプリン博士と、それから日本原子力発電の建設部次長の板倉さんと、それから動燃安全管理室長の黒川さんという方が鼎談をやっておられまするが、私はこれについてどうこう論議をする必要はありません。ただ私は、原子力の問題を論ずる場合については科学技術の側から、そういう視点のとらえ方の側面というものと、政治的にあるいは国民だとか、それから情報というものをしてそういう立場で、たとえばこのタンプリン博士が言っていることは、私の言うことは、要するに原子力の開発、それは日本ということに、国境を越えて原子力の開発というものと人間というものが共存できるかどうかというものを、結局世界の人民、国民に訴えて、そしてこれはやはり日本で言えば主権在民の国民が決定する問題であり、世界の民族もこういう問題についても、たとえばそういうような問題についてやはりいろいろと世界じゅうを歩いておられるだろうと思います。これについて私は、公害の最たる、一番親玉といいますか、一番、各種ある公害の中で、原子力公害の中で、たとえばそれが温排水、あるいは大気に発散するにいたしましても、今日的にはストロンチウムであるとか、トリチウムであるとか、クリプトンであるとか、こういったものが重複複合して子孫に遺伝という形で影響するということについて私どもは心配しておるわけでありまするが、そういう点について、いま次元が違うから答えられないということではなくて、ひとつお答えをいただけばと思うのでありますが、いかがでしょうか。
○参考人(大山義年君) 大変むずかしい問題で適切なお答えができないという感じでございますが、いまの、将来の問題として原子力に限りません、一般の公害問題につきまして国民が不信感を持っているという点が私どもは常に感じるわけでございます。「むつ」問題にいたしましても、それだけとは思いませんが、非常に強い不信感がある。そういう点で国民の合意を得るためには、われわれが、たとえば原子力で申しますならば、われわれは原子力の問題につきましてここまでわかっている、しかし、これよりこちらはまだはっきりしないというようなことを正直に国民に知らして、それによって合意を得るということがいま一番大事なことではないかと思っております。何でも大丈夫だ、大丈夫だというようなことではもう国民は信頼しない。そういうようなことで現在の国民の不信感をここまで持ってきたという点で、そういう形で今後は国民の合意を得ていく必要があると思います。ただ問題は、原子力という問題は、根本的にこれは将来にわたって人間と共存できないんだという結論、そういう御意見の方もいまのお話しのようにあるわけですが、われわれは必ずしもそう思っておりませんし、また、こういうフィッション——核分裂によるエネルギーが今後永遠に使われるわけでもないわけでありますので、そこら辺の問題は私も勉強しておりませんので、そう簡単には結論は出せませんが、たとえば核融合とか、そういう問題に発展していくということを期待しながら、できるだけ問題のない形においてこれでわれわれの生活するエネルギーをとるのは現在の状態においてやむを得ないのではないかと思っております。
○杉山善太郎君 実は、これは次には内田先生の方に移りますけれども、移る前に、私は所属は社会党でありますが、そういう中で、わが社会党は政策次元でこれは党の方針、たてまえと言っても差し支えないと思いまするけれども、原子力行政をどう変えるべきか、そういう一つの基本方針、展望を持っておるわけであります。これはここでは蛇足でありまするけれども、衆議院あり参議院あり、二院制を踏襲している限り、衆議院の段階では内閣委員会担当の、やはり五十年度の予算化されておるこの科学技術庁の一部、技術庁の制度改正の問題について安全局というものができておるわけでありますが、それらの問題に関して衆議院ではやはり本会議で質問をした。やはり原子力行政をどう変えるべきかということをわれわれの衆議院の同僚議員が言っておりまするので、ここでそれを、同じことを再び読むということは蛇足でありますけれども、一応それは衆議院の本会議において、やはりこの原子力行政をどう変えるべきかという、一つの社会党なりの方針を持っているんだと、そういう方針を党人としても踏んまえておるし、また、いま申し上げたとおり、各種公害のある中で、やはり科学は人類の幸いのためにあり、文明が人民の幸せのためにあるというとらえ方をするならば、各政党次元でやはりそれなりの方針があってしかるべきだというふうに考えておりまするので、この点でもちょっと触れておきまするけれども、われわれの方は、実は原子力開発次元では核分裂型の既成在来の開発については反対をするという立場をしています。ただ既成事実については目を覆うべくもないので、より安全に情報等によって地域住民の行政に対する信頼と、国民的なコンセンサスをするような処置をすることが政府の責任だと、行政の責任だというふうに理解はしておりまするが、要するに核分裂型から核融合に発展をすべきである。今日の科学技術の段階においては、きようの理事懇の中でもまあ百聞は一見にしかずだから、東海村なり、その他に行って見ようじゃないかというようなことをお互いに話し合っておるわけでありまするが、そういう時点で核分裂という型には反対をするが、核融合型にあらゆる技能と、政府はもっと金も、銭金を惜しまず、十分な、日本にはそういう技術と能力があるじゃないか。世界の先進国に比べて劣ってない、ただ足りないのが金じゃないかというようなふうに考えておるわけでありまするので、そういう点を一応申し上げておきます。 それからこの機関についてでありますが、先ほど原子力委員会のあり方について、われわれはこう思っているわけであります。原子力委員会は新たな行政委員会に変えへ委員長は科学技術庁長官やその他の大臣の兼務ではなく、委員長も委員も別に国会の決議を得て決定するものとすること、原子力委員会は国民の安全の立場から、原子炉や放射性物質にかかわる装置、施設の建設及び運転管理について許認可、検査などに関して最高権限を持つ規制委員会とする、任意の立ち入り調査権も持ち、建設や運転を中止し、装置、施設の建設、改造や運転管理の変更を命ずることができる。原子力安全局に相当する機関はこの新たな原子力委員会の中に設置する。原子力委員会のもとにおける原子炉安全専門審査会を初め、すべての審査会や部会の委員は労働者、農漁民の推薦する専門家と使用者側の推薦する専門家との同数ずつで構成する。内閣官房に置かれた原子力行政懇談会は、労働者、農漁民の推薦する人と使用者側の推薦する人と同数ずつで構成する。原子力計画については云々といってありまするけれども、これは非常に長いのでありまするけれども、要するに、政党政治の次元でやはり社会党というとにかく政党は原子力問題について非常に勉強しようと、そして非常にこれを国民の幸せのために、あるいはエネルギー資源の代替処置としてもこれは大きな比重があるのであるから、現実には目を覆うわけにはいかぬからとこういうことを持っておるということをひとつこれは別にそういうことを言って、今度われわれも一生懸命で勉強いたしまするから、先生たちにもいろいろとお知恵を拝借いたしたいと、こういうふうに考えておりますので、これでまあ大山先生の私の感じ方と受けとめ方と、わが党の立場というものを理解していただくために、また後世のために、記録に位置づけるためにこういうことを申し上げましたが、これはいま申し上げたとおり衆議院の段階では本会議でわが党の同僚が全文を一応読んで、これは議事録に載っておる、議事でありますけれども、二院制のたてまえから言って、これからもじゅんじゅんとして、法案のあるないにかかわらず、やはり科学技術の健全な発展のために原子力分野においても勉強する必要があるというかっこうで、そういうようにとらえておるわけでありますから、御了承をいただいておきたいと、こう思います。 次に、内田先生、大変お忙しいところをお越しいただいてありがとうございました。 私は歯にきぬを着せずどんぴしゃりで申し上げまするけれども、もう日限は忘れたわけでありまするけれども、ある日のことです。年月は昨年の八月から九月の段階だと思い出していただけばわかりますけれども、下北半島の沖合いで、やはり私は「むつ」の荒舩長よく知っておるわけでありますが、いずれにいたしましても、彼は有能な技術を持つ船長だと思っていますけれども、幸か不幸かは別として、太平洋上に漂流をすると、そういう時点において、それがともすれば社会問題であるとか政治問題ということはオーバーな言い方かもわかりませんけれども、私の受けとめ方はそう受けとめたわけでありますが、そういう中である日のこと、NHKのテレビの放映の中で、あなたの画像を初めて私は拝見をいたしたわけでありますが、その中で、やはり、まあこれは先生直接ではありませんけれども、安全専門審査会の段階では、基本設計の段階では万遺憾なきを期しておるのであって、詳細設計の段階に入れば、言うならば船は運輸関係の方であるからというようなニュアンスで、ともすれば基本設計についてはこれは誤りもないし、審査の段階もそつはないんだというようなふうに私は受けとめ方をしたわけでありまするが、今日的には、たとえばいま申し上げておるとおりに原子力行政懇談会もでき、あるいは調査委員会もでき、原子力船放射線漏れ検討委員会もでき、かてて加えて、一昨日は衆議院の科技特では、集中審議とも判断されるべき形で、たとえばこの三菱原子力工業KK社長であるとか、あるいは船をつくった石川島播磨重工の永野副社長も来ておられて、参考人として来ておられまするけれども、顧みて、時間がありませんから、先生は非常にお忙しい立場にもありますし、そしてやはり原子力工学なりその他の権威だというふうに私ども評価いたしておりまするから、学者の良心を含めて、ひとつ先生のありのままのずばりとしての御見解を承りたいと、所信なり承りたいと、そして今日の問題についてどのように考えておられるかというふうに、ひとつお答えいただければ幸せだとこう思うんです。
○参考人(内田秀雄君) 内田でございます。 私、あの大山調査委員会の報告書を読ましていただきまして、ここに盛られております内容、非常にもっともな御意見であり、またいま現在持っています問題点を十分御調査になったと思いまして非常に敬意を持って拝読したわけであります。 いま御質問のございました原子炉安全専門審査会における安全審査の要点でございますけれども、現在原子力委員会の諮問機関としての原子炉安全専門審査会が帯びております機能といいますのは、これは原子力船ばかりでなく、また原子力発電所もしかりでありますし、研究炉もそうでありますが、基本計画についての妥当性を審査するのが役目でございます。その後の問題すなわちその基本計画がどのように設計され、工事され、建設され、あるいは運転によって原子炉の安全が確保されるかということは安全専門審査会の外の問題であると私たち理解もしておりますし、それが事実であろうと思っております。もう少し具体的に申し上げますと、放射線の遮蔽の問題でございますと、これは原子炉施設の各区面におきます放射能のレベルが妥当であるかどうかということの検討でございまして、そこの放射線量率までは検討しないわけでございます。すなわち設計上の放射線量率の規定ではなくて、そこの区画におきます運転後の管理を含めました放射能のレベルが適当であるかどうかの検討でございますので、それに基づきまして設計あるいは工事、検査等は安全専門審査会の外の問題であると理解しております。
○杉山善太郎君 いま先生の大山報告書について若干それなりの見解を承りましたが、私は先生のそのお言葉に関連いたしまして、大山報告書の中には要するに一つの原子力開発の過程におけるかなめである安全審査の問題に関連をして、やはり安全審査会あり審査委員あり会長ありと、今日私どもの知る限りにおいては、また実際は現実はそうであろうと思いまするけれども、原子力委員会のもとにおける安全審査会の会長はやはり内田先生であるというふうに受けとめております。したがいまして大山報告書の中には、高名で多忙な学者、研究者にゆだねること自体に無理があると。この結果責任をあいまいにしてまた「無難な結論が採用される恐れがある。」「恐れがある」とこう言っておられますが、これはやはり各マスコミの社説あるいは社説に準ずる論説で論説委員の記者名を明らかにして同様のことが書いてありまするが、顧みて先生はやはり東大の第一線の教授でいらっしゃいますが、同時にやはりこれはパートタイム的な性格であられると思いますが、そういう点についてはそれでも差し支えないんだと。それとも、いや私は求めてこの地位に位置づけておるわけではないが、とにかく事情——過去の経過、今日の状態においてやむを得ないんだと、そういうふうに御判断をなさっておるのですか、その辺についてずばりでお答えをいただければ、答えられなければ答えられないと、それで結構ですが、いかがでしょうか。
○参考人(内田秀雄君) 原子炉の安全の確保につきまして行政面の検討ばかりでなしに、やはり学識経験者といいますか第三者的な機関でもってそれを技術的な面から検討する機関が必要であると私は思っておりますし、また日本では各問題そういう問題でございますし、また原子力関係としましては各国とも行政と諮問機関とが両立しているのは妥当だと思います。ただ日本の原子炉安全専門審査会の審査員が、いまお話しのとおりすべて非常勤でございますが、それが現在のような原子力開発の急速と、それから詳細にわたります検討に対しましては、すべてが非常勤である審査員の審査会ということは決して妥当とは思っておりません。
○杉山善太郎君 関連をして、やはり現実において先生は原子力委員会のもとにおける安全審査会の会長でありまするので、私は先ほど、「むつ」問題は日本の原子力開発の欠陥あるいは原子力行政のあり方について一つの悪い面の半面が浮き出したんだとこう思いましたが、私は、実は新潟県地方区選出でありまするけれども、新潟県の柏崎・刈羽、これは東電の、現象面では一号機を、とにかくいますでに安全審査の段階に入って柏崎部会というものが特設されて第一回の全体会議が開かれておりますると思いまするけれども、この扱いについて、やはり私の一つの思想といいますか私の哲学と申しますればきわめて常識的だと思いまするけれども、やはり海にしてもおかにしても安全と環境と立地と核燃料サイクルと原子力公害と、こういう五本の柱を中心として見た場合に、柏崎はいまは一基一号炉ということで百十万キロワットでありまするけれども、東電の意図する計画の展望は八基八百万キロワットと、私どもが自治体の地域住民の情報を収集すればそういう状態までにすべてが進むとすれば、これは十基一千万キロワットの、日本における集中原発の基地という形についてそういう展望持っておると。それであるだけにいま地域住民はこの地盤問題について、反対のための反対ではなくて、県の段階におかれましても、柏崎におかれましても、地域住民の立場におきましても劣悪地盤のこの新潟県の要望とかあるいはその主張だとか説明を聞いてもらいたいというような意見についていろいろと問題があるわけでありますが、この柏崎の部会は二十七名とかいう委員で構成するというように聞いておりますが、これは前のこの委員会で資料要求という形で科学技術庁の方にそう言っておきましたけれども、この問題について、たとえば既成在来のことではなくて、この地盤問題に関連する審査体制について現地の調査であるとか、それから実施の方針であるとか、そういったような問題について安全審査会の会長として、部会としては別な次元でできておっても、慎重審議やるという、そういう方向になっておるかどうか、それは部会長は決まっておりますが、そういう点について、実は原子力船問題とは仮に次元が違っても、やはり原産会議においては原子力開発については、たとえば六十年度末六千万キロワットとか、原子力船問題については第一船は原子力船「むつ」であるけれども、これでピリオドを打つのではなくて、こういう展望の上に立てば、海陸ともにそのものの根底を流れる思想と根拠が一致するというふうに考えますので、私の質問時間は幾らもありませんが、その辺についてひとつお答えをいただけば非常に幸せだと、こういうように思うんです。
○参考人(内田秀雄君) いま直接のお答えになるかいかがかと思いますけれども、ただいまお話しにございましたように柏崎の申請書が出まして、前回の原子炉安全専門審査会でその部会を構成したわけでございますけれども、私もその場で発言いたしまして、これは従来のような部会を中心というよりもむしろ審査会全部が一致してひとつ慎重に審査をしようではないかという提案をしておりまして、そのつもりで処置したいと思っております。ただ柏崎問題ばかりでなしに、原子炉安全専門審査会に任せられております内容といいますのは、いま先生がおっしゃいましたような非常に広い意味での安全問題、環境を含めました広い意味での安全問題なり、あるいは将来の多数炉が描いたところの環境まで含めました安全問題をその審査会が直ちに審査するという任務を現在受けておりませんので、そういう問題につきまして私は審査会を離れますと非常に大事な問題だと思っておりますので、原子力委員会なりあるいは行政府なりにおいてしかるべき適切な検討、審査が必要であろうと私は個人的には思っております。
○杉山善太郎君 この問題は次元としては原子力船「むつ」問題とは離れておりまするけれども、すでに御承知のように、これは昨年の七月の四日だと思いまするけれども、九州電力の大分県における玄海の一号炉と同じ時期に電調審で許認可を与えられておるものだと思いますが、向こうでは御承知のように行政訴訟が起きて、反対住民が原告として、国が応訴しておると、告訴になっておりますけれども、柏崎の問題につきましてはこれはいまの問題は一号炉でありまするけれども、これがやはり位置変更がされたり、それから最初炉心の底辺が二十メートルであったものが四十メートルにこのサイトが下げられておるといったような関係で、そしてやはりこれは地質工学からいっても、土木工学からいってもあの柏崎地帯はやはり地震予知地帯でありまするので、やはり専門審査会の中では地質工学だとかあるいは地震工学であるとか土木工学というような権威であるないにしても、そういう学識経験者というものも導入していただいて、大所高所からして問題を現地調査なり慎重にやってもらいたいということを私は会長の立場におられる内田会長に強く要望をして、先生に対する質問を今日的な時点では終わりますけれども、私の真意を受けとめておいていただきたいと、こういうふうに考えます。いかがでしょうか、その点については。
○参考人(内田秀雄君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、今回の柏崎を対象とします部会へまたそれを契機としまして審査会あるいは調査委員の中には地質、地震の専門家を多数増員いたしまして、全力を上げましてその方面を中心にして審査するつもりでございます。いま先生のおっしゃいましたお言葉、胸に体しましてよく検討したいと思います。ありがとうございました。
○杉山善太郎君 これは、両先生ともにお答えをいただかなくてもいいのでありまするけれども、九州電力におけるいま試験段階である一号原子炉の問題にいたしましても、柏崎の問題にいたしましてもいろいろな情報を十分傍受しながら、私はこの点は大山報告書の中に四項目の指摘事項の中で最後の段階で地域住民の真情を、言うならば総合情報というものを十分キャッチをして、やはりコンセンサスと信頼というものを受けるということに、これは指摘事項、提言、進め方の提言の最後の項にありまするけれども、この点が海陸ともに共通して重大なポイントであろうとこういうふうに理解をしておりますし、さらに公聴会制度のあり方でありまするけれども、柏崎の場合は、たとえば柏崎市長あるいは新潟県知事、それから市会、それから住民意識、反対という立場にあっても反対のためではありませんので、科学的な根拠でありまするけれども、たとえば会社側の選んだところの学者であるとか、あるいは反対住民側の学者を選んだものであるとかという意見を何らかの方法で聴取するということはこれは必要であろうと思いまするけれども、福島の型の公聴会方式の延長線上ではとてもそう簡単にいくものではないんだということを私は私なりに感じております。そういうことを申し上げまして、私の質問時間もう若干ありまするけれども、これで両先生に対する今日的な質問を終わりますが、また必要に応じて勉強の立場、またお越しいただくように委員長を通じて、あるいは委員会を通じてお願いする場合もあると思いまするから、その節は何分よろしくお願いいたしたいと思います。 これで私の午前中の質問を終わります。
○塩出啓典君 きょうは御多忙の中ありがとうございました。 それでは最初に、大山先生を中心とする委員会のこの答申、答申と申しますか、その結論は一つは事業団というものがやはり時限立法で期限を決めたと、そういう点に非常に無理があったと、こういうような内容に私は拝見したわけでありますが、やはりこのような新しい技術を開発していく場合にはいろいろな困難もあるわけでありまして、そういうものを何月何日までにこれを完成しなければならないというその目標を決めて、そうして進めていくということ自体に無理がある。だからまあ一歩一歩やはり積み上げて、最終期限を決めるとか、そういう余りにも急いだやり方が根本的にやはり間違いである、このように私は判断をしたわけでございますが、そのように理解してよろしいでしょうか。
○参考人(大山義年君) いまの御発言は大体において正鵠を得ていると思いますが、研究というものが予定を立てて研究開発ができるというようなことは実際上は非常に不可能であると思います。ただこの昭和三十八年十二月に発表されました原子力事業団の長期業務計画では、三十九年十月に第一船の基本設計を完了し建設契約をする。四十二年の初めに進水。四十四年の三月に引き渡し。四十六年の末に解散ということになって、九年間でございますか、おっしゃるようにいわゆる時限立法でこの研究開発が行われたということは、すでに三十二年ごろから運輸省の、いまで申します船舶技術研究所ですか、その他で長い基本的な設計をやられ、研究並びに基本計画をやられた点を受け継いでおやりになっていくというようなふうにこの計画からは読み取れるわけでございますので、そういう点で、あくまでもこの時点と申しますか、その当時の国の考え方と申しますか、事業団の考え方としては、研究開発が主というよりも建設運転等の、まず原子力船の技術的な面はまあまあこう大した問題はないのだろうというような形で進まれたようなふうに私どもは考えているわけでございます。 そういう点で報告に書いてございますように、技術者その他がなかなか定着できないというようなことは、もしも時限立法だから悪いと申しますよりも、これが成功すれば次の段階の第二船以降はこういうふうにやるのだというような第二船以降のわが国としての原子力船に対する政策がはっきりしてたらばいろいろこういう問題の定義が、いまも申しました技術者の定着とか、そういうような問題は相当避けられたんじゃないかというようなふうに考えています。 ちょっとお答えにならないかもしれませんが……。
○塩出啓典君 まあそうしますと、いま原子力発電につきましてもこれはもう実証炉であるという意見と、まあまだ実験段階だと、こういう意見があるわけでありますが、この原子力船の推進に当たって、まあ政府の姿勢、そういうものはもうむしろ実験段階ではなしに実用段階であると、半ばそういう気持ちが強過ぎたわけであって、むしろこれが本当の実験のための「むつ」であり、このいろいろな研究を通した技術というものをさらに今後の第三船の発展に生かすという、そういう実験であると、だから非常に技術的にはむずかしい問題があるのだと、こういう認識が非常になかったと、そういう点で私はまあ政府の姿勢に根本的な甘い考えと申しますかね、そういうものが根本的な原因である。こう判断していいわけですね。
○参考人(大山義年君) 私どもの委員会で検討いたしました点、多少ニュアンスが違いますけれども、大体いま先生の御指摘のような方向でこの問題が行われたのではないかという危惧を持っているわけでございます。ただ軽水炉が実証炉だと、実証炉という言葉が非常に問題がございますが、普通、プルーブンというような言葉が使われておりますが、船の場合はそれに加えていろいろむずかしい問題がある。遮蔽の問題にいたしましてもまあ船のバランスの問題、私は素人でようわかりませんが、バランスの問題とかウェートの問題とか大きさの問題等の制限があるというような点で、普通の陸上とは違った問題があるという点、これももちろん御承知で、運輸省の関係の研究所でそれはおやりになったのでしょうが、やはりそういう点であくまでも開発研究だという非常に強い姿勢が足りなかったというふうに私どもも感じております。
○塩出啓典君 武谷先生は非常に原子力は危ない危ないと言いながらそう考えている人はやるときに辛うじて安全である、安全だ安全だという人がやる場合には危ない、そういうことを言われておるわけであります。私ももっともじゃないかと思うんでありますが、事業団といたしましても、いままで余りにも安全だ安全だということをPRし過ぎて、内心と発言とは別だったと思うんでありますが、そういう点、もっとあくまでも未知の分野を開拓する本当に実験であると、こういう配慮が足りなかったということを事業団としてもいま反省されておるのかどうかですね、これは簡単でいいんですけれど。
○参考人(島居辰次郎君) 私は途中から受け持ったものでございますから、ずっと長い間のは書類その他で拝見するよりしようがないんでございますが、しかし、いろいろ今回の大山委員会の報告を承りますと、いま先生のおっしゃったようなこともあったのではなかろうかと思うんであります。しかし、やっておられた方々はできるだけパンフレットや何かつくってやっておったようでございますが、そこが自分が一生懸命やっておったと思っても、さっきのいろいろ先生方がおっしゃいましたように、地方におきましては御存じの日本には従来の歴史的の複雑な感情もございますので、その辺が食い違いがあったのではないかと思うんでありますが、いままでの方々は機械的な安全性というものを強調をし過ぎまして、一般のいわゆる先生の御指摘がございましたような点については、あるいはおっしゃるようなことがあったんではないかと思っておりますので、途中から引き受けた、今後これをやるように言われましたわれわれといたしましては十分この報告書の内容に感銘を深くしておりますので、それにのっとってできるだけよく地域住民の方々にもひざを交えて懇談していきたいと、かように考えております。
○塩出啓典君 それではちょっと、内田先生が午後は御出席なさらないようでございますので、質問の順序が非常に逆になるわけでございますが、この原子力委員会のもとで、原子炉安全専門審査会がいろいろ炉の審査をすると、その場合にこの審査資料というものは現在すべては公開はされていないわけですね。ということは、やはり商業秘密ということが言われておるわけですね。これは午後の中島さんにもいろいろお聞きしようと思うんでありますが、現在のたとえば原子力発電所にいたしましても、あるいは今回の「むつ」の審査においても、そういう企業秘密というものが、いわゆる外部に発表できない企業秘密というものはかなりあるのかどうかですね、その点どうですか。それはちょっと数字ではあらわせない問題かもしれませんけれども、本当にこれは発表したら企業で困るようなそういう企業秘密というものが実際にかなりあるものかどうかですね、その点はどうなんですか。
○参考人(内田秀雄君) 審査に使いました資料がどういう形でどの程度公表されているかということは私存じませんで、それは行政府の方に御質問いただきたいと思いますが、また審査に使いました資料が商業機密であるかどうかということは私たち知らないのでございます。どれが商業機密であり、どれが商業機密でないかということなしに、私たちが審査に必要な資料は全部メーカーなり、あるいは建設者から提出を受けております。
○塩出啓典君 政府の方どうですか。
○政府委員(福永博君) 塩出先生のただいまの安全審査に使われた資料はすべて公開されているかどうかという御質問でございます。私どもとしましては可能な限り、とお答えするのが正解と思いますけれども、なるべく審査に使いました資料は公開するようにいたしております。私がなるべくと申し上げますのは、先生御指摘のように、いわゆる企業秘密に属するものもございましょうし、あるいは審査に使われると思って用意いたしました資料が審査委員会の方では利用されなかったというような、審査委員会の先生方の御判断で利用されなかったようなもの、こういうものもございます。しかしながら、原則といたしましては、可能な限り公表することにいたしております。 それから、それじゃ残った企業秘密に属するといわれる資料がどれくらいあるかということでございますけれども、これは量的には非常に少ないものでございます。それで、これも全然どんなものがあるかということは出さないでいるわけではございませんで、こういうものがございますといういわばタイトルみたいなものでございますが、その程度の内容は公表いたしましております。
○塩出啓典君 こういう質問を私はここでしていいのかどうかちょっとわかりませんが、日本にいわゆる東海村の一番最初の炉を導入するときに、その当時の日本学術会議の先生方が、原子炉の機密はいずれ大幅に解除されるに違いないと、機密が存在している間はそういう個別的な協定を結ぶことはよくないんじゃないか。ということは、原子力基本法には、自主、民主、公開という、そういう原則があるわけで、こういう新しい技術を進めていく場合には、できるだけ大勢の学者の方々の批判を受け、そういう中から出てきたときに本当に技術としてもより安定性のある技術ができていくんじゃないかと、そのためには多少の時間がかかっても、やはり長い目から見ればその方がいいんじゃないかと、そういう意味で、そういう現在いろいろな技術はアメリカ等からも入ってきておるわけでありますが、あくまでも日本においては、事原子力の問題に関しては企業秘密はできないんだと、公開にしなくちゃいけないんだと、だからアメリカのそういうメーカーも日本に技術を輸出する場合には、特許なり、そういう手段でちゃんと技術防衛をして、そのように日本の方針が決まればそれでいけるんじゃないか、決して、そのために多少の技術のおくれはあっても、私は長い原子力産業の発展のためにはその方がいいんではないか、このように考えておるわけでありますけれども、そういう点についての大山先生と内田先生の御意見を簡単にお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(大山義年君) ちょっと御質問の御趣意が私によく了解しかねるのでございますが、力に関しては機密がなくなるだろうという、たとえばいまおっしゃった商業秘密とかいうのはある、と。
○塩出啓典君 いまいわゆる商業秘密ということを理由に、たとえば審査会で審査する資料も公表はされていないわけですね。それはやっぱり、あくまでも原子力基本法の方針から言えば公開をすべきじゃないか。そうすると、公開ということになると、外国の技術を輸出する会社がおそらくそれでは困るということになっておるんじゃないかと思うんですけれどもね。けれども日本は公開なんだ、だから向こうが技術を出す場合には、ちゃんと公開されてもいいように、もし本当の商業秘密で困る問題があれば、特許を取るなり、そういうことをして、あるいはそれでできないものは輸入しなくてもよろしい。やはりそういう形でやった方がいろいろな大ぜいの人のいろいろなチェックを受けるわけで、日本の国にもたくさんの、やはりこういう遮蔽の問題にしてもいろいろな研究をしている学者がいるわけでございまして、それが現在の限られた専門委員だけの審査にゆだねるよりもその方がいいんではないかと、これは昭和三十年ごろのいわゆる日本学術会議等の主張でもあったわけなんですけれども、私はそういう考えがいまになっても正しいんではないか、こう思っているんですけれども、その点はどうですか。
○参考人(大山義年君) 公開の原則というのは原則的には全く正しい、またそうあるべきだと私も思います。ただ、いま商業秘密というような問題、これは何も原子力に限った問題ではないと思いまするが、特許で保護すればいいではないかという御意見のように承りましたが、一般に特許というのは基礎的な原理的な問題でございまして、それを実際の実地にアプライし、それをつくり上げる長年のいわゆる特許にならない技術のノーハウとか、そういう問題が非常にあるわけです。むしろ現実の問題としては特許で抑えられてはおるにしても、ノーハウという問題がこれが一番むずかしい問題だと思います。私はそのように考えます。
○塩出啓典君 内田先生は。
○参考人(内田秀雄君) 私も大山先生の御意見と同一でございますけれども、安全専門審査会が安全審査の際に参考にしました資料と言いますものは、これは審査に必要な十分な資料を提出されていると私たちは思っておりますけれども、その資料がすべて十分に評価されてそのままのものとして審査に適応したというものばかりではないわけでございまして、そこには幾つかのふるいにかけられておりまして、その正味のところが実際の安全の評価に利用されるわけでございます。また、安全の評価と言いますのは、狭い専門だけでなしに、原子炉の安全全体のフィロソフィーを十分把握した上でのそれぞれの専門分野からの評価が必要でございます。したがいまして、安全専門審査会に提出されました資料がそのまますべて外に公開されることが必ずしも私は適切だとは思っておりません。それには、やはり十分これを、一般と言いますか、公開して十分に他の専門家なり専門分野の方の批判を仰いでよいというような資料をつくる準備段階があるのではないかと思います。この問題は、やはり商業秘密とは別の問題としまして、審査会に提出された資料がそのまま全部出るということは、私は適切とは思っておりません。
○塩出啓典君 これはあれですか、先生は、商業秘密とは関係なしにいわゆる審査会に出された資料をすべて公開されることは望ましくないというのは、どういう理由で望ましくないわけなんですか。
○参考人(内田秀雄君) 安全専門審査会がその提出されました資料あるいはこちらから提出を要求しました資料のうちで実際に評価に使いました正味の内容と言いますのは、これは報告書によって公開してございますので、したがいまして、その資料を全部外に出すか——外に出すと言うの変な言い方でございますけれども、公開しなくても実際の安全審査会がその資料に基づいて評価した内容が公開されておりますので、それで十分であろうと思っております。
○塩出啓典君 今回のこの大山先生のレポートにおいても、原子炉安全専門審査会は、先ほど質問がありましたように、非常に多忙な学者、研究者等が多くて非常に無理がある、また、今回、この中にも放射線防護についての専門家は含まれていたけれども遮蔽専門、設計の専門家と評価された人はいなかった、こういうことを言っておるわけですけれどもね。確かに、限られたそういう一つの、何百人という大ぜいの人が参加するわけじゃございませんから、当然そこには必ずしも日本の全体のすべての最高の技術が集まるとはやっぱり言えないんじゃないかと思うのですね。そういう意味で、私は、いま内田先生が言われたような考えは非常に納得ができないわけでございまして、やはりより多くの人に——より多くと言っても、われわれ素人が見てもわかりませんけれども、日本にはいろいろな各分野において、大学においても企業においても、研究をしているわけで、そういう人たちが必ずしも一つの系統のもとに集まってはいないわけですね。そういう意味でもっと公開をすべきじゃないか、こういうことを考えております。 これは、まあここで論議をしてもなかなか結論の出ない問題だと思うのですけれども、私はそういう主張だけを述べておきたいと思うのであります。 それで、先ほど、現在の安全専門審査会の方々が非常勤であるとか、そういうことで内田先生としては、これは非常によろしくない、このようにおっしゃっておられるわけでありますが、これは、この報告書においても体制が非常に不十分である、こういうことは言っているわけですけれども、それではどういう体制にすればいいか、こういうことについての御意見はここに書いてないわけでありますが、これは、今回のいろいろな検討を通して、大山先生として、原子炉の安全審査とはどうあるべきか。私たちは、この「むつ」がそうであれば、原子力発電についても同じことが言えるのではないか、同じところが審査しているわけでありますから。そういう点で非常に心配をするわけでありますけれども、これはどうあるべきかという点についての御意見等があればお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(大山義年君) ただいまの御質問に対しまして、私どもといたしましては具体的な問題について委員会で検討はいたしてはおりません。ただ、先ほど内田先生も言われているように、私どもの委員会に、大変失礼な、これはいつでも問題になるんですが、高名にして多忙なる云々という言葉が方々で話題になりますが、実際そういう御専門の方は非常に少ないし、またできるだけその道の一流の方にお願いしたいという希望を持って安全審査に当たられる先生方の選択がなされておると思います。したがって、先ほど内田先生も言われるように、私ども、これは全く私見でございますが、専門委員と申しますか、非常勤でない専門職の方が相当多数安全審査会のスタッフにおられれば、相当、私どもが指摘したような問題はある程度防げるんじゃないかと思っております。
○塩出啓典君 それでは、もう時間が参りましたので最後に、地元住民との対話の問題につきまして、今回もそういう点が非常に不十分であったと、こういう結論が出されておるわけでありますが、これは、昨年十月に出された原子力委員会の環境・安全専門部会の報告書においても、地元住民の理解と協力を得る方策のあり方についてずっと審議を行ったけれども、昨年の報告書では非常にむずかしい問題で結論は出なかったと、こういうことで、これは非常に私は大事な問題だと思うんですけれども、これは公聴会のあり方等も含めたいろいろな問題じゃないかと思うのでありますが、こういう問題について原子力委員会においてはさらに検討しているのかどうか。これは長官がお見えになっておりませんので、次長なり局長から御答弁いただきたい。 それと、今月十七日の新聞、これは一般紙でございますが、通産省が原子力発電所の立地を円滑に進めるために施設計画提出前に企業が環境事前調査などの資料を公開し、公聴会などを通して地元住民の意見を十分に計画に反映させ、地元住民、地域の合意を得た上でなければ環境審査に応じない方式を考えたいと、ある程度地域の住民の皆さんの意見を十分に反映し、合意を得たものでなければ環境審査には応じない、こういうことを通産省が考えておるということを拝見をしたわけでございますが、こういうことが事実であるのかどうか。非常に必要なことじゃないかと思うんでありますが、こういう問題について通産省と科学技術庁、両省から伺いたい。
○政府委員(福永博君) 先生御指摘の地元住民との対話と申しましょうか、一般的な言葉で申しますとPRという意味でございましょうか、そういうことにつきましては、環境・安全専門部分でも、もちろん、最終的な報告の形にはなっておりませんけれども話題になっておるわけでございます。原子力委員会ないしは私ども科学技術庁としましても全く先生の御指摘のような考え方で進めているわけでございますが、大きく分けますと、一般的な経常的なPRと申しましょうか、そういう住民の方々の理解を深めて協調を求めていくと、こういうものと、それから先生御指摘になりました特定の発電所等が建設されます際の公聴会の問題と分けられるわけでございます。その前段の方につきましては、昨年来予算的にも大幅に増額いたしまして努力しているわけでございます。後段の方の公聴会の問題につきましては、この委員会でもしばしばお答え申し上げておるところでございますけれども、従来のようなやり方ではなくて、もっと住民の方々の御期待にこたえるようなうまいやり方があるんではないかということで、この基本的な考え方からして見直していこうということで、ただいま、原子力委員会を中心にいたしまして検討を進めているところでございます。 なお、通産省の方の点につきましては、私、まだ詳細を承知しておりませんので、通産省の担当官来ておりますので、発電課長からお答えさしていただきます。
○説明員(高橋宏君) 先生おっしゃいましたように、原子力の立地に際しましては、従来から地元住民の理解と協力を得るということが基本であるということで通産省といたしましても対処いたしております。今後とも、まず、電気事業者がそういう立地地点を調査決定する段階では、なるべく、事前と申しますか、前広にこの計画を説明するということが必要かと思っておりますが、省といたしましても、電源開発調整審議会に提出いたします地点につきましては、それ以前に、先生御指摘になりました環境審査というものを通産省の立場からやっております。特に地元の皆さんの理解と協力を得るに当たりましては、環境に対するインパクトがどうかというようなことが一番このお話し合いのベースになることでございますので、環境審査をやっておりますが、この環境審査は、たとえば温排水の問題とかあるいは火力発電所におきましては大気汚染問題等ございまして、もちろん、最終的には水産庁とかあるいは環境庁とかあるいは科学技術庁等関係省庁に関連する分野が非常に多うございます。ただ、そういう問題ではございますが、通産省の立場から、事前に、なるべくそういうことを可能な限り調査をいたしまして、その資料はすでに、公開と申しますか公表いたしておりますが、そういう形で、開発調整審議会に上げる前の段階で地元の理解と協力を得る一つの手段として重点的にやっておるということでございます。もちろん、最終的には電源開発調整審議会におきまして、これが、いろいろと各省各関係方面の立場から審査され、かつ、最終的には地元知事の基本的合意をもとにして決定される。そういうシステムになっておるわけでございまして、そういうことから、通産省としまして、今後さらに力を入れていきたい、そういうように考えております。
○小巻敏雄君 内田先生にまずお伺いをしたいと思うんですが、「むつ」の問題が発生をいたしまして、九月十日の衆議院の科学技術特別委員会に、当特、内田先生御出席になって、当時の時点で幾つかの御説明をされました点についてひう一度お尋ねしておきたいと思うわけです。 原子炉の安全専門審査会の審査は、結論的に言えば、あの時点でそれが間違っているという結果は出ていないということと、特に遮蔽について言えば、この遮蔽は、一次遮蔽と二次遮蔽の総合効果による遮蔽効果に関する設計基準を審査をしたのであって、その中身は格納容器の外のハッチの外側周辺の監視区域の放射線量率の妥当性と、こういうものがかくあるべしとなっておるが妥当か否かということを、そういうことを審査したのであって、いま是正しなければならぬことはない。結果が基本基準をかなり大幅に上回って狂ったのは、基本計画に基づいたその先の設計なり工事なりの施工の妥当性に問題があったのかもしれない、こういったふうなことを御説明いただいておるわけですが、現時点でもそのとおりということでよろしいのかどうか。
○参考人(内田秀雄君) そのとおりで結構でございます。
○小巻敏雄君 一つは私どもこれを聞いて初めてわかったことですけれども、気になるのは原子炉の設置の安全審査というのは、いま言われたようにハッチの外側の放射線漏れといいますか、線量率が法定基準の範囲内に抑え得る設計であるのかどうか、そこでアラームの鳴らないような状況になっておるかどうかということについてお調べになるということですが、原子炉なんかの場合だと、温排水の問題だとかそこで使う冷却水や水の問題だとか、いろいろ全体の住民に対する安全の問題はかなり広範囲にわたってあるわけですが、そういうことには安全軍門審査会はかかわるものでないということになるわけですか。
○参考人(内田秀雄君) いまの御質問の趣旨、はっきり理解できないんでございますが、前半におっしゃいましたことでありますが、ハッチの外は周辺監視区域として「むつ」の場合には計画するということでございます。そこでハッチの表面の環境というものを毎週——三十ミリレム・パー・ウィークに抑えることができるように設計し、工事し、また運転士の管理をするというその趣旨が妥当であるということが審査の対象でございます。 それから後段で御質問になりましたことがよく私にははっきりいたしませんが、専門審査会の安全の立場での評価の対象といいますものには、温排水等の一般環境は入っておりません。
○小巻敏雄君 私、去る十三日のこの特別委員会で、今日の「むつ」の取り扱いについて福永次長から説明をしてもらった内容があるわけですね。福永次長の説明では、現在改修計画のために計算をし、そして計画をし、実験をしていくというストーリーを、計算をいまやっと終わったような段階にあるということで、その中で大体どういうことが浮かんでおるかといえば、ここで改修をするべき部分は、圧力容器と一次遮蔽の間のボイド部分を通ったストリーミング、これを抑えるためにすき間を縮めるような、こういう改修工事が必要であろうということと、上部の方の問題については、ポリエチレン及び鉛で補強するというような問題とか、三番目には、船底部分の補強については、下の方向に対しては遮蔽の弱いところがあるので、その部分にも二重遮蔽を利用して増強を図るというような、そういう方策を考えながらやっていると、こういったふうなことが報告をされておるわけですが、こういったふうなこのボイドの距離の問題とか上部の遮蔽の材質の問題とか、それから船底に対して補強しなければならぬような具体的な設計上の弱点の問題とかこういったふうなものは、この許可段階での審査の対象からは全くはずれたものであったのかどうか、この点内田先生にお伺いしておきたいと思います。
○参考人(内田秀雄君) 審査報告のところにも出てございますように、格納容器の遮蔽効果に対しましては、先ほど申し上げましたのは基本計画でありますけれども、格納容器の上部を鉛とポリエチレンでもって遮蔽すると、それから圧力容器の両側はコンクリート、水、鉄でもって遮蔽するというようなおよその計画についてはそこで審査しているわけでございます。それを適切に設計し工事することによって放射能のレベルをそれぞれの区画において守ることができるであろうということを対象にして審査したわけでございまして、いま先生のおっしゃいましたような細かい、これから、いま大山委員会等が御指摘なさいましたような設計上の細かい問題はそのあとの問題でございます。でありますので、審査会ではそういう設計の詳細については審査の対象外でございます。
○小巻敏雄君 許可段階における基本審査というのは、内田先生が御説明をされたように、私どもも現在で理解しておるところは、これは原子炉の設計、製作、運転の安全確保のための基本計画であって、一次遮蔽と二次遮蔽の総合効果により遮蔽効果が上がるかどうかという設計基準が妥当かどうかを、これを申請書に従って点検をされて、そして妥当であるとみなして許可をされる、こういうことですか。
○参考人(内田秀雄君) そうでございまして、その遮蔽の設計基準といいますのは、先ほど申し上げましたように船の各区画であります、たとえばハッチの表面というのを一つの区画と考えますと、その区画におきます放射線のレベルをあるレベルに保つのであると。それが設計と管理でもって保つことができるという、その保ち方が適切であるということを言っているわけです。 たとえばハッチの表面で三十ミリレム・パー・ウィークに保つことが妥当であって、それを二十ミリレム・パー・ウィークに保つ必要があるかないかということを判断するわけでございます。
○小巻敏雄君 その際一つ材質の問題を挙げますと、事業団の方から許可申請書を出された、その際の添付書類の中に、遮蔽の問題については、特に二次遮蔽で、原子炉格納容器上半分に鉛とポリエチレン及び両者の接合部分にはコンクリートを使用する構造となっているというようなのがあって、これが妥当だということをお認めになったと、こういうことですか。
○参考人(内田秀雄君) 各区画におきます放射線レベルをどれどれに保つという基本計画が設計において可能であるという見通しをつけることがもちろん必要でございます。その見通しが、ここにいまも先生がおっしゃいましたように原子炉格納容器の上部に鉛とポリエチレンを使えば、適切な設計と工事があればその放射線レベルはこれこれに保つことができるであろう、それが妥当であるということの判断でございます。
○小巻敏雄君 この設計において可能であるという見通しをつけるためには一定のいままでの実験結果もしくはデータの集積、専門知識と、そのほかにやっぱり図面等も提出をされておるでしょうし、それに対して専門的計算等を行われて、そして確認をされるということではないんですか。
○参考人(内田秀雄君) いま先生がおっしゃいましたような設計図面でもって確認するという、設計はまだその段階ではできておりませんから、基本的な計画、方針だけでありまして、設計図面の結果はその段階ではできませんし、またする必要はないと判断いたしております。
○小巻敏雄君 この圧力容器と一時遮蔽の間のボイドのすき間の問題でも、これは実際には十五センチぐらいあって、これではまずくてかなりのニュートロンが出ていきよったから、もしこれを五センチぐらいに詰めれば二けたぐらいは下がるとか、そういうようなことがいま出ておるようですけれども、こういうものの構造とか、それから複雑な形状をしておるものですから、これに対する概念設計段階での提示がなければ、それは何というのか、形をなさないようにぼくらとしては思うわけですけれども、こういうものの形なり全体の体積としてやってくるもの、こういうものに対しては何もなしで素通りをするわけですか。
○参考人(内田秀雄君) 遮蔽の計算には原子炉そのものの設計と、結局放射能としてのソースが決まりませんとその後の遮蔽はもちろん計算できませんし、またチェックもできないわけでございます。最終的には遮蔽の効果というものは幾ら計算をいたしましても後で原子炉を出力を上げながら計測することによって初めてそれの確認ができるわけであります。したがいまして、設置許可の段階で、まだ詳細設計に入る前の段階でおきますと、いま先生がおっしゃいましたように細かい寸法、五百ミリであるとか百五十ミリであるかというようなことは出てまいらないわけでありまして、またそこまで審査の対象にすることは必要ないと思っております。
○小巻敏雄君 この二次遮蔽の鉛とポリエチレンの場合でも鉛とポリエチレンと書いてあって、初期段階では鉛とポリエチレンが上部の方向についてリングの上に二重の図面がPR資料等でも出ておったのが結果的にはリングの方にポリエチレン、そしてふたの部分は鉛だけというふうになっておるけれども、これも常識で鉛とポリエチレンというのは、これはそれじゃごく一部分だけに鉛を使って他の部分にポリエチレンを使っても、二重にしてもどっちでもいいものなのかどうか、これらのところも許可段階での遮蔽では鉛とポリエチレンということだけあればこれは重ねられるものか、部分的にはずれて使われるものかというようなことも全く審査の点では審査対象になっていないのか、その辺のところもひとつお伺いをしておきたいと思うんです。
○参考人(内田秀雄君) 昨年の国会でも参考人として呼ばれましたときにお答え申し上げましたように、鉛とポリエチレンをどのように使い、どういうような寸法でもってつくり上げるかということは、これは詳細設計の段階でございまして、その総合効果としてハッチの上面での区画の放射線レベルの妥当性を審査するわけでございますので、詳細設計におきます原子力規制法の二十七条以降は専門審査会の設置許可の段階における審査には入ってないわけでございます。
○小巻敏雄君 いままでのお答えで、すでに九月段階でお答えいただいたような段階と、その後安藤委員会、大山委員会等の調査結果も出ておるわけでありますけれども、何ら是正する必要はないという結論的な審査委員会としての態度をお伺いしましたので、内田先生に対する質問はここで一たん終わりたいと思うわけですが……。
○加藤進君 関連。 内田先生、午前中しか御出席いただけないという事情があるようでございますから、一つだけ午後の質問に関連しますのでお聞きしたいと思います。 先ほど大山参考人からJRR−4をつくって遮蔽実験を行った結果、中性子のストリーミング現象がすでにその時点でわかっていた、こういうことが報告されておりますが、私は安全審査委員会の責任をとっておられる内田先生には少なくともこのような事実は伝えられてしかるべきだと思っておるわけでございますけれども、これは伝えられましたか、伝えられませんでしたか、その一点だけお尋ねしておきたいと思います。
○参考人(内田秀雄君) JRR−4における遮蔽の実験のそれの適用というのは、これは詳細設計におきましてそれが適用されることでありますので、審査会はJRR−4の実験がいま行われており、将来これを適用するのだということは伺っておりますけれども、それを具体的に設計にどう適用するかということは設置許可の段階では対象にはなっていないわけでございます。
○加藤進君 重ねて確認さしていただきますけれども、こういう放射線漏れが起こったというような問題については、安全専門審査会でも、いわば自分たちの仕事以外のことであると、こういうような現状だったんでございますか。
○参考人(内田秀雄君) ちょっと御質問の趣旨がよくわかりませんのですが。
○加藤進君 じゃ、もう一つお聞きしますが、そういう実験段階において放射線漏れが起こったと、しかし安全専門審査会で審査するのは基本設計であるから、こういう実験段階における問題についてはわれわれの関知するところでなかったと、こういうふうに理解していいかどうか、こういうことでございます。
○参考人(内田秀雄君) さようだと思います。
○加藤進君 ありがとうございました。終わります。
○小巻敏雄君 内田先生、それじゃ最後にもう一つだけお伺いをしておきます。 基本設計段階では許可に当たって行われた審査というのは、いまも何ら是正する必要ないということであれば、その後に問題が起こっておるのですから、「むつ」が改修をしてまた運転をするというような際には再度審査をするというようなことは全く必要がないものというふうにお考えになっているように聞こえるわけですが、その点はいかがでしょう。
○参考人(内田秀雄君) 私はそう申し上げているのではございませんで、今回出ました問題あるいは大山委員会が御調査になりました内容は「むつ」の設置許可の段階におきます基本計画の是非が問われているのではないと思います。もし大きな設計変更がございまして、それが設計変更の申請のような対象になれば、これはもちろん原子力委員会の指示を受けまして原子炉安全専門審査会が現在の体制でも当然検討せられるわけであります。しかし現在出ておりますのは設計と工事の問題でございます。すなわち二十七条以降の対象でございますので、これはその問題、二十七条以降をどういった機関でこれを検討するかということでありまして、審査会は二十七条以降のことを現在検討する任務を受けていないわけでございます。
○小巻敏雄君 わかりました。やはり審査会で審査をした点には問題はなかったんだから、その後に発生した問題だから、いまから改修をしてまた動くときには、これは審査会のらち外の問題だというふうにお答えいただいたものとして間違いありませんですね。そういうことですね。 じゃ、大山先生にお伺いをいたします。 今度の先生の報告書、熟読玩味をさしていただいたわけでございますが、特に安全審査体制の問題についてお伺いをしたいと思うわけです。報告書の三十一ページから二ページにかけて一定の記述が行われております。特にこの中で幾つかの問題点が指摘をされておる。第一には原子力第一船の遮蔽の安全専門審査会で審査を担当したのは環境専門の委員を主体とするグループであって、遮蔽設計の専門家と評価された人がいなかったと、こういうような点で申請者側の計算を再計算によって確認することなどは事実上困難であったというような点、書面審査のみであるために、設置許可を決めた原子炉がその後どのように運転されているか、技術的に問題はないかというような点、結果に対する責任と役割りの限界はあいまいにしたままで無難な結論が許可段階で採用されるおそれがあるというような点について御指摘があるわけですが、いま内田先生の御説明を聞いた限りでは、このようなことは全くする必要もないし、また権限外の問題であるというふうな御説明にも受けとめるわけですが、そこらの関係はどうなんでしょうね。
○参考人(大山義年君) ただいま先生と内田先生とのお話のやりとりで私が感じましたことと、ここに書いておりますことと多少ニュアンスが違うと思います。現在の、正確に申しますと、われわれは安全審査、安全審査と申しますけれども、原子炉安全専門審査会の現在の与えられた任務がそれでいいんだろうかというような意味で、こういうことをわれわれは申し上げているわけでございます。
○小巻敏雄君 私も全く先生が感じられるところは前々から大いに感じておったところなわけですけれども、この審査会の許可段階で何ら問題はないのに、中性子が外まで飛び出していくというとんでもない基本的な大問題が起こっていて、それは現在どこに責任があったかというと、責任をとる者はどこにもない。国民がいままでのところ炉の設置については、専門家の審査があるから大丈夫だと、森山長官なぞは何遍言われたかわからぬですよ、これは。これを疑う者は、けものの勇気を持って、けものが火を恐れるのと同じことだというようなことまで申しまして、全国の人々にパンフレットまで配って、これに対する疑念を表明する者に対してはばか呼ばわりをされたんです。しかしながら、現実にこういう審査体制であるということが明らかになったのは、はしなくも「むつ」のトラブルがこれを外に出してきたんですが、大山先生がここで言われておるところを素直に読み取っていきますと、こういう添付書類が出され、申請書が出てきたときに、遮蔽の問題についてわかる人がいなくて、何を審査しておったんだろうということですね。それはこの字はぼくだって読むことができますよ。そんな審査ならだれでもできるんじゃないか。問題は完全に安全であるかどうかを試される場所が詳細設計以後にあるんじゃないか、審査会というのはなくてもいいんじゃないかというようなことを、極論をすればですよ、極論をすれば、遮蔽の問題について遮蔽の専門家でない人がやっておって、環境専門家がやっておる。ところが、温排水がどうなって、住民の安全がどうなるかというようなことはこの任務でないと、こう言うんですから、どうしたってわからないわけです。これはこういうふうな点を聞きますと、許可段階における審査というのは少なくとも飾り物であったのか、よそからノーハウでも買っておればそれでも素通りしてばれないで済むわけですね。しかし、これが自力でやろうとするときには、たちまち詳細設計以後に積年の弱点が表に出てきて、この問題が明らかになっておるというような弱点は、審査体制全体の中に問題がある。こういうふうなことを私は大山先生のこの報告書の中でも、パートタイマーの問題と専門家、技術的に弱点がある問題と、結論に対して責任を持たないで、無難な結論を採用しやすいような体制にあるというような問題が指摘しておるものだと思うわけですが、そういう読み取り方というのはどうなんでしょう、大山先生。
○参考人(大山義年君) 冒頭に申し上げましたように、この報告書は全くわれわれ委員だけでつくった報告でございまして、文章、表現等に非常に素朴と申しますか、粗野な点があって、誤解をお招きするということを恐れておったんですが、私どもは、現在の安全審査の体制の決め方のもとで内田先生方はやっていらっしゃる、そういうやり方だけでいいんだろうかということをわれわれは申し上げているわけで、いま内田先生たちがやられたことがどうこうということを申し上げているわけではございません。
○小巻敏雄君 私もその点はよく理解できると思います。内田先生が全力を尽くされたことをいささかも疑うものではありませんしね。しかし、この制度では必然的に安全を保障しないということが問題ではないか。こういう点について私は、大山先生のこの報告書が問題を提起しておるというふうに読んであるわけでございますが、そういうことではありませんか。
○参考人(大山義年君) この点この報告書をつくりますときも非常に議論になったことでございます。基本設計と申しますか、いわゆるそれだけのことができるだろうかどうかという問題もございましたけれども、やれる範囲においてやるべきだろうというのがわれわれの方の委員会の意見でございます。
○小巻敏雄君 この問題が出た後で、参考にというのでサバンナその他が設計から運転に至るまでどのような状況でやっていったかというようなことを見ましても、それは初めてやるときには途中で線量率が計算以上に出たりすることは、当然といっては何ですけれども、あることで、それを調べるからノーハウがずっと獲得をされて、第二船、第三船とすぐれた自力開発の技術ができ上がっていくんだと思うわけですけれども、これらの点について、いまの体制で不十分だということは、これは大山先生が言われておるとおりではなかろうか。そういう中でとりわけ一、二、特に大山先生にお伺いするんですけれども、JRR−4ですでに出ておった計算結果ですね、こういったふうなものが船舶技研とか三菱とかの間で活用されなかったというような問題があるわけですけれども、やっぱりこの許可段階でこれらのものが反映されるという状況の方が望ましいのか、そうではないのか、そこらについてはどうでしょう。
○参考人(大山義年君) 許可段階において実験までしてから許可に持ち込めばそれは最も好ましいことかと思いますが、そういう、実際問題としてそれはまず不可能ではないかと思います。そういうことで、御質問に、JRR−4の実験で出ていたのに設計その他に反映しなかったという点は、ちょっと先生のおっしゃることと私どもの考えていることとちょっと違うわけでございます。
○小巻敏雄君 それではちょっと重ねてお伺いをしますが、申請者側の計算を再計算によって確認することが事実上困難であり、原則として書面審査のみであったと、こういう状況がやっぱり審査段階での弱点として指摘をされておる。この点は間違いありませんですね。
○参考人(大山義年君) はい。
○小巻敏雄君 そういう段階であれば、そういうことであれば、やはり望ましい状況は、基本設計審査、これらのときにも申請者の側の計算を再計算によって確認をして、許可の段階から安全性を技術的にも確認をしていくというのが本来の審査のあり方ではないか、こういうふうに言われているんではありませんか。
○参考人(大山義年君) 私、法規的のことははっきり申し上げられないんですが、安全審査が終わって、今度建設ですか——船の場合ですと、船舶安全法によって定期検査等が行われる。その場合に、設計をより安全に、確かにするために実験をやる、行うと、その実験において出た結果がミスアンダースタンディングされたということをわれわれは問題にしておるわけでございます。
○小巻敏雄君 先生、この報告書は、先生を代表者として、調査委員会で合議をして出された報告書で、三十二ページに記述されておる問題は、三十一ページから続いて、当面問題になっておる原子力第一船の遮蔽について安全専門審査会で審査を担当した。そこで起こった問題について、ずっとそのまま審査会の問題点が問題点として三十二ページいっぱいに記述されておるのでありますから、私は委員会全体としての結論は、審査の許可段階での安全専門審査会での審査の弱点として挙げられておるものと、こういうふうに理解するわけですが、その点は間違いありませんか。
○参考人(大山義年君) 私もそのように了解しております。
○小巻敏雄君 これらの問題について、私はここに指摘された問題は今後の行政、根本的な見直しというところでどうしたって生かされなければならないというふうに強く感じるわけでございますけれども、これらの問題について実は先生の御報告書、事業団等についてはかなり具体的に、辛らつに内容が挙がっておるわけですが、あとの提言なりなんなりのところで、安全審査会の今後のあり方については比較的触れられておるところが少ないわけですね。審査会等についての、しかし問題点というのはここに明確に挙げられておる。これについてやっぱりあるべき姿について先生の御意見をいただきたいと思うんです。
○参考人(大山義年君) 審査会のあるべき姿でございますか。
○小巻敏雄君 そうです。
○参考人(大山義年君) 委員会といたしましては審査会のあるべき姿という具体的なディスカッションはしておりません。ただ、ここに問題点としていろいろ申し上げている点、そういう点が反映されることを期待しております。
○小巻敏雄君 それじゃ時間いっぱいでございますので、また午後に質問いたします。
○委員長(中尾辰義君) 午前の質疑はこの程度にいたしまして、午後一時十分まで休憩いたします。 午後零時十三分休憩 —————・————— 午後一時十六分開会
○委員長(中尾辰義君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を再開いたします。 午前に引き続き科学技術振興対策樹立に関する調査を議題とし、原子力船「むつ」に関する件について質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○杉山善太郎君 きょうは参考人の方に来ていただいて、先回の委員会で、委員会を通して要望する形で実は原子力船懇談会の会長でいらっしゃる福田久雄会長にぜひきていただくことを要望したわけでありますけれども、お見えにならないようでありますので、しかしこのメンバーの中にはやはり生田原子力局長それから大山先生もやはりメンバーの中には入っておられるというふうに理解いたしますが、実際の実務の担当は、次長が来ておられますから、次官もおられますから、それで、しかし大臣と局長が来ればこれは実は大臣に質問したい点がありまするけれども、いずれにしても限られた枠内でそういうふうにしますので、いま委員長にあらかじめそのことを了解得ておきまして、時は金ですし、他の委員の関係もこれありますので、大臣来るまでなんというようなことは余計なことだと思いますので、そういう意味でお伺いしますが、やはり行政委員会である原子力委員会の中にこの原子力船問題が発生してから原子力船懇談会というものが位置づけられた。そういうふうに私なりに理解しておりまするけれども、その懇談会のねらいであるとか、今日までの作業経過というものは一体、簡単に、このごろ行政先行で新聞で見たり見ないだりしておりまするけれども、われわれあれも思いこれも思いで頭が混乱しておりますので、やっぱり後日、子孫のためにもありますので、今日的な時点で、やがてすべては歴史が解決するでありましょうけれども、ひとつそういう状態、あり方、今日までの作業経過、そういったものをひとつ次長何もかもわかっているはずなんですから、ひとつ説明してください。
○政府委員(福永博君) 原子力船懇談会でございますが、原子力委員会の中に、去る三月の十八日の原子力委員会決定をもちまして設置したわけでございます。 先生御案内のように、メンバーにつきましては学識経験者を初め造船界、海運界、原子炉メーカーの方、それに関係官庁といったような構成でございます。そのねらいと申しましょうか、目的につきましては、今回の「むつ」の事態にかんがみまして、今後原子力第一船をどういうふうに併置したらいいだろうかということでございますけれども、それにつきましては、今後わが国の原子力船開発というものがどういうふうに進められるかということをまず検討いたしまして、その中において原子力船「むつ」がどういう位置づけになるだろうか、さらに具体的な問題としましては、そういう原子力船「むつ」の今後の措置といったことを踏まえまして、原子力船開発事業団はどういうふうな姿になったらいいだろうかということ等々を主な審議内容にしているわけでございます。ただいままでのところ、三回会議を開催いたしまして、いままでのところは、これまでの経緯ですとか、あるいは諸外国における原子力船開発の現状でございますとか、それから原子力船事業団がいま実施しております「むつ」の改修計画の概要みたいなこと、こういったような一連のいわば調査みたいなことを御報告申し上げ、御審議願っております。 次回は七月の初めごろを考えておりまして、そのときには、いままで私どもが事務局の方で御報告申し上げたりしたような状況を踏まえて、関係各界の方々、委員の方々の御意見をちょうだいするというような段取りでおります。
○杉山善太郎君 実はどうしてもきょうは私が福田久雄会長に来ていただきたかったという基本理念は、伝えてもらいたいと思いますけれども、福田久雄会長は、言うならば大阪商船三井船舶の会長でいらっしゃいますし、会日の海運界の、ひとつ最高スタッフにおられまするそういう立場上、しかもこの懇談会の会長をしておられると、そういう点について、原子力船問題に関する専門家であるないというようなことは別として、今後の将来を展望してみるというと、造船海運業界は原子力船の開発をどんな態度で受けとめておるかと、石油やそれから原子力エネルギーとのコスト関係から、資本の倫理に基づけば、実は都合がよけりゃこれでいくんだが、コスト高であるんなら、おれの方は採算がとれないから政府の方にもたれかかってというような、そういう思想であるかどうかということを——ないであろうことを信ずるのでありまするけれども、その本音はやっぱり造船なり、海運業界なり、原子力船開発にどんな態度をもって、いわゆる海運資本家というものが資本の倫理で、そういう時勢——もうその時点は、資源問題を根幹として、高度経済成長時代にはそういう理念であったのでありまするけれども、今日のような状態の中では、そういう倫理は基本的に転換してもらわなきゃならぬので、そういうような点を実は私は御本人からひとつお聞きしたいと、こういう念願をしておったわけでありまするけれども、お見えになりませんので、いずれ長い時間の中において、いずれはぜひ御出席をいただいて、そういう点について伺わしていただきたいというふうに記録にとどめておきますが、ひとつ、委員会のメンバーである生田さんがそうであっても、あなたが次長でありますから、そういうふうに言っておいていただきたい。こう思うのです。 それで「むつ」の今後の処置についてでありまするけれども、科学技術庁と運輸省とで、「むつ」問題対策本部というものをつくっておると思いますが、これはいま開店休業の状態ですが、これがたとえば事業団とも十分かみ合った形で、生き生きとした作業が進められておるのかどうかと、そういうような状態については、ありのままにひとつ、仮眠状態であるか、いまそれが機能しておるだとか、そういう点について、ひとつお答えいただきたいと、こう思うわけです。
○政府委員(福永博君) 先生ただいまのお話しは、一つは運輸省と私どもと合同で、この「むつ」問題が発生しました際に設置いたしました「むつ」問題技術検討委員会がございます。これは主として技術的な面から、「むつ」の今回のトラブルは、原因、実態等はどうであったかということを検討する会でございまして、去る二月でございますが、報告書を取りまとめております。その報告書に基づきまして、事業団の方で改修計画をまとめていくという段階にあるわけでございまして、技術的な面につきましては、一応の区切りを見ているわけでございます。 それからもう一つは、新しい母港の問題に関連いたしまして、運輸省と原子力船開発事業団と私どもと三者で合同いたしまして、定係港推進本部と——ちょっと正確な名前じゃないかもしれませんが、設置いたしまして、定係港の技術的、事務的詰めをやっております。これは現在も続けているわけでございます。 それから将来の問題といたしましては、今後、「むつ」の改修の計画、それから大山先生の報告に盛られております総点検の問題等々が出てまいります。こういった問題につきましても、両省庁、事業団一体になったような検討委員会のようなものをつくりたいと考えておりますが、まだ具体化しておりません。
○杉山善太郎君 「むつ」の母港問題については、非常にこれは原点はやはり陸奥湾あるいはむつの漁民、むつ市、青森県等々について、過去の経過措置は、ここで蛇足的に再現する必要はありませんと思いまするけれども、果たすべき責任は、やはり行政の段階で、あるいは政府責任において、いずれかの地に求めなきゃならぬ、経過の中では、たとえばその期間に統一地方選挙等もある等々して、また、マスコミや情報網を総合化して、やはり言うならば北海道から沖繩まで列島を点検すれば、二十数カ所に及んでそういうものがないではないんだと、そういう点の中で、やはりまだ模索中だと思いまするけれども、したがいまして、そういったものを、たとえば運輸省なり、科学技術庁なり、それから事業団なりが、一つの三者一体というようなそういう不可分関連の中で、この原子力船懇談会というものが一応ひとつの根回しといいますか、基本の何かなくて行政が動いていくのであるかどうか、そういう点については、私、不勉強であるから聞くのですけれども、そういう点については……。 それから第二船計画、これは第二船計画は、そう軽々に、要するにこれは造船、海運その他の関係も十分されなきゃならぬけれども、やはり展望としては、やはりこの第二船計画、さらに、私、これはずうっと古い資料で見たんでありまするけれども、原産会議——原子力産業会議でたとえば二十世紀を展望して、たとえば原子力開発については、どういう方の数字かは別として、二億二千万キロワットだと、そういう時点において、海上においては、たとえば原子力船は種目まで言って、コンテナはこれこれだと、タンカーはこれこれだというかっこうで、トン数別、年月別に——だけれどもそういうことが、私は仮に原子力産業会議というものが、権威あるないは別としても、一応そういうものが実在をして、大きな一つのこの原子力界に、海陸を通して一つの原点的な、現在の体制の中では位置づけられておると思います。そういう中で、しかもいまの事業団法はやはり時限立法でありましょう。厳密に言えば、来年の三月三十一日までで時限が切れるわけでございまするから、それは政府の政治責任、行政で第二船までにいく一歩前で一体これをどういう扱いをしておるのだ。船が動けばやはりもう港に近づいて来た。いかりをおろすのだ。そこでがらがらやるということになれば船舶操作として非常にまずいということになるわけでありますが、そういう点について一点どうなっているのか、その点についてはこれはあなたからで結構ですから、これで大臣が来られましたから一応質問を打ち切りますけれども答えてください、その点について。
○政府委員(福永博君) 先生御質問の第一点、科学技術庁、運輸省、原子力船開発事業団三者一体になって今後の計画を進めていくようにという御趣旨は私ども全く同感でございまして、そのとおりいま新しい事業団の陣容になりましたので、打ち合わせをしつつ連携をとって進めているわけでございます。 それから、第二点の原子力産業会議がかつてまとめて発行された原子力船の見通しの問題でございますが、実は先生も御承知かと思いますが、この五月の末にニューヨークで原子力商船に関する国際会議というものがございまして、世界の主要造船海運国が集まって原子力船の将来に対する見通しといったようなシンポジウムのようなものがあったわけでございます。それには、わが国からも参加いたしておりまして、詳しい報告を聞いておるわけでございますが、それの結論を非常に簡単に申しますと、原子力船が建造されるのは一九七七年ごろであろう。それが就航するのが八一年から八三年ごろではなかろうか。それでさらに原子力船が本格的に海運界において活躍するのは一九八〇年代後半ころと見込まれている、こういったまとめの言葉がございます。こういった最近の情勢を踏まえまして、原子力船懇談会でこの報告、この国際会議は前回開催いたしました原子力船懇談会にも御報告申し上げておりますので、こういった情勢を踏まえて各界の方々の御意見がちょうだいできるものと期待しております。 それから、最後の原子力船開発事業団の問題でございますが、これは御案内のように来年の三月末日をもって事業団法の期限が切れるわけでございますが、その後の事業団の措置というものも、先ほど私、御答弁申し上げましたようにこの原子力船懇談会の中の重要な議事の一つでございますので、こういった御意見もちょうだいして今後の対策をまとめていきたいと考えておるところでございます。
○杉山善太郎君 大臣が来られましたので、大臣に質問いたしますが、二点について質問をいたしたいと思いますが、まず第一点は、これはわが国における原子力の開発が既存の核分裂型の開発である限りにおいては、好むと好まざるとによらず核防条約との関係が不可分的について回るものだ、こう思うのであります。したがって、本件に関して佐々木長官は外交だとか防衛とかいうそういう問題としてではなく、原子力の平和利用という、そういう観点から大臣の現状認識というものについてずばりお答えをいただきたい。これをまず一点お答えをいただきたい。
○国務大臣(佐々木義武君) 核防条約に対する原子力の平和利用のサイドからその必要性、重要性を、というお話しでございますので、私は二つあると思います。 一つは査察保障措置の問題でございまして、これはどういうことかと申しますと、ただいま二国間条約で相互条約で数カ国と結んでおりまして、主としてその条約の許す範囲で燃料を各国から、主としてアメリカからちょうだいするのでありますけれども、あるいは設備等を供与されるわけでございますが、これが軍備に転用しないようにということで、その査察を国連機関に依頼してございまして、国連機関がもういままで毎年、いまでも現在しておりますが、毎月二人、大体一カ月に二十日くらいの平均でいままでの査察条項で、二国間条約に基づく査察の仕方でやっておりますが、これは非常に実はシビアなものでございまして、機密の漏洩に対する防止の方法もない。いつでもどこでも何でも見たいと思うものは見れるというふうになっておりまして、それを受ける方は私どもの方の企業でございますので、あるいは研究所でございますので、せっかく自分で英知をしぼって技術を開発しても、それがどうなるかわからないということでは、あるいは非常に運転上にディスターブが多いものですから、こういうことのままを続けていくのであれば、日本の原子力開発はやめた方がいい。これはもうやっていけぬぞという非常に強い実は要望がございまして、そこで核防条約に調印をすれば保障——いまの言った査察問題に対する別個の協定ができますので、その協定の審査、審議等に、立案に参加できるということでございましたので、わが方といたしましてはどうしてもひとつ調印をして、そうしてわが国の平和的な原子力の開発を促進できるような査察に、しかえようじゃないかということで、ウィーンの原子力機関に人も派遣し、特に技術開発部長なんという要職をわが方から行った連中が皆占めておったわけですから、査察官にも人を配し、入りまして、そして御承知のような、今度御審議をいただくはずになっておる保障協定ができておりまして、これはわが国の希望をほとんど取り入れたばかりでなしに、ユーラトムとも不均衡のないようにということで、これほど各国が日本の存在を認めて、日本の主張を取り入れたものはなかろうと思うくらい実はこの保障協定がわが国の意向を取り入れてくれまして、その取り入れてくれました理由の一つは、国連機関としては、あるいはそれらの主要国としては日本は必ずや保障措置さえ満足すれば、国是が三原則等で平和利用に踏み切っておる国家なので、これに批准をしてくるだろうという非常に強い期待を持ってわが国の査察問題に対して譲歩と申しますか、協調してくれたに違いないと私は思っております。したがって、もしこの条約を批准せずに、またこのまま残してまいりますと、各国の日本に対する、軍事上に対する懸念のみならず、従来と同じ査察を今後も繰り返されるということは非常に実は忍びがたいのでございます。 第二番目は、核燃料の確保の問題でありまして、これは先ほど申しましたように、二国間条約でそれぞれ確保できるようになっておりますが、特にアメリカとは、去年の油の問題以来濃縮ウラン等に非常に需要がふえておるわけであります。従来の二国間条約では濃縮ウランに対する供給を保障してございましたが、六千万キロの発電に対する分に限って、その分は保障じゃなしに契約が成立するならば出しましょうというふうに国としての保障条項は実はその次の、この前の二国間条約の改定のときに変わっております。また今度のレビューの会議で、この核防条約の会議で、米国は濃縮ウランが主でございますが、カナダ、豪州、一番日本としては濃縮ウランの原料である天然ウランを供給されている先でございますが、このカナダ、豪州とも核防会議に——米国もそうでございますが、批准した、加盟した国を優先しようではないかという発言を非常に実は強くしてございます。したがって、いま、きょうあすをどうという問題ではないんですけれども、しかし、だんだん時がたってくるに従いまして私はこの核燃料に対するギャランティーというものはこの条約に入っておると入らぬでは大変な安心感に相違があるんではなかろうかと。そういたしますと、わが国の原子力発電等がそうでなくてもいろいろトラブル、問題が起きて逡巡しておるときに、将来に対する核燃料の保障がない、見通しのないということになりますと、十年後、十五年後あるいは二十年後を考えて、われわれが希望するような方向で問題を進め得るだろうかと申しますと、これはまた大変危惧の念にたえないような状況だと思いますので、平和利用の面からいたしますと査察の問題と、もう一つは核燃料確保、安定確保という面からぜひともこの批准をお願いしたいというのが私ども強い念願でございました。
○杉山善太郎君 それはやはり長官の現状認識という形で今日的な時点では承っておきます。 もう一点は、総合エネルギー対策閣僚会議という、言うならばこれは三木首相を座長として四月の時点から第一回、第二回、第三回というように会を重ねておられるようでありますが、この果たす役割りとその真のねらいは一体何でありますか。長官はもちろん主要なメンバーだと思いますので、その点についてお聞かせいただきたい、こう思います。
○国務大臣(佐々木義武君) 総合エネルギー対策閣僚会議には私もメンバーの一人でございます。お話しのようにいままで三回やりました。いままでの前二回は主として油を中心にする世界の情勢と申しますか、あるいは日本のエネルギーの需給関係等を主にして現状の分析でございました。三回目はエネルギーに非常に造詣の深い財界の皆さん、あるいは学界の皆さん等に主に集まっていただきまして、大変けんらんたるメンバーでございました。一人一人それぞれエネルギーに対する今後の日本のあり方の事情を聞きまして三回を終わったんでございますが、今後はそれに対する対策等に入るわけでございますけれども、しかし、副総理から申しておりますのは、この会議は細部にわたって細い検討をするのじゃなくて、日本のエネルギーが安定経済下、安定国民経済下においてどういうふうな姿であるべきか、またどういう地位をそれぞれのエネルギーが占むべきかといったような点をこの段階でもう一遍振り返って、そしてエネルギーの問題は必ず今後の日本経済の見通しを言てる上において制約条件になるはずでございますから、そのエネルギーの見通し等を十分踏んまえて今後の中期計画をつくってまいりたい、いわばそういうような非常に大きい国の戦略的な面をねらいましての会議というふうに承知しております。
○杉山善太郎君 わかりましたが、たとえば石炭であるとか、石油であるとか、原子力などによるエネルギー資源をどのように位置づけてとらえていくか、かてて加えて原子力開発分野において、これは通産省所管であったかあるいは経企庁であるかは別として総合エネルギーの中間報告というものが出ておりますね、その時点において六十年、六千万キロワットというものが位置づけられておるわけでありまするけれども、しかしそれはそのままの形の状態になっておると私どもは平面的にとらえておるのでありまするけれども、現実はマスコミにおいてもたとえば稼働中のものがこれこれであっても五体満足はこれこれだと、試験中のものでさえこれであると、建設中のものはこれでもあると、そういうかっこうで年次別に推定をしてみるというと、これはどこかの時点で手直しをしなければならないのじゃないかということがこれは判断されるわけです、手がたくいくためにはですね。そういう点において六十年、六千万キロワット問題について各界の関係者の意見とか見解などを徴して総合エネルギー分野における原子力の関発をコントロールしようとするような、そういうことがこの総合エネルギーの閣僚会議の積み重ねの中から出てくるというふうに推定をすることは間違っておるかどうか、私はどこかの時点で、実際問題として私は田中内閣の時代の森山長官に対して日本の原子力開発が少なくともやはり六十年、六千万キロワットという方向については、原点はそのすべての行政と原子力の開発が国民的なコンセンサスと信頼感を持たない限りは、これはいくものじゃないのだというふうに、これは歴史が解決するでしょうと、そういうかっこうで森山長官は胸を張って、そういうことはないと、路線は路線として進んでいくのだというようなやりとりをした覚えがあるのでありまするけれども、この際長官はこの問題についてこの六十年、六千万キロワット問題について客観的にも主体的にもやはり総合エネルギーの中間報告としてマークされておるこの問題について、総合エネルギー対策閣僚会議も権威ある閣僚会議であるとするならば、これはどういうような形に発展をし、長官自身の見解としてはどういうふうにいまこれを認識しておられるかということを実は長官の口からこの時点で承りたい、そう思うのです。
○国務大臣(佐々木義武君) この会議で結論を出すときには恐らく六千万キロでよろしいかどうかという検討が結論として出てくると思います。私自体も計画の性格自体にもよりますけれども、たとえば努力目標という目標を掲げるのか、そうじゃなくて現実から出発して可能性としてはこれほどしかなかろうという可能性の吟味からした形式でいくのか。御承知のように、社会主義国家じゃございませんので、そこら辺の計画の立て方というのは大変資本主義下の計画というのはむずかしいのでありますけれども、しかし少なくとも六千万キロワットというその数字は、もし後者のように現実の状況から判断して各十電力でございますか、会社等の意向もしんしゃくしながら、その人たちの意向を中心にして組み立てていくということになりますと、私は六千万キロというのは大変達成がむずかしいのじゃないかというふうに実は考えております。
○杉山善太郎君 もう一問質問いたしますが、これはきわめて質問することがやぼかもしれませんけれども、この権威ある総合エネルギー対策閣僚会議には三木首相がたてまえの上では座長ということになっておりますけれども、三木首相自身は出席されたことがありますか。
○国務大臣(佐々木義武君) 出席するどころじゃなしに、みずから采配をふるっております。
○杉山善太郎君 長官に対する私の質問はこれで今日的には一応終わっておきますが、次には、参考人という形で開発事業団の島居理事長が来ておられますのでお尋ねいたしますが、佐々木周一前事業団理事長が、あるいは専務理事が、一体事態の責任をとっておやめになったのか、その点については私は不明確で不勉強でよくわかりませんけれども、いずれにしてもおやめになったことは事実でありまして、そのあとへ一応あなたがやはり事業団の理事長という形におなりになったわけでありまするので、かてて加えて、やはり原子力船問題にスポットライトを当てて大山答申というものも出ておるという関連の中から、従来の事業団的な既成在来の性格の位置づけというものが、たとえば、申し上げることが蛇足かとも思いまするけれども、この前でも申し上げましたけれども、この報告書のあとがきの中に「政府関係当局、関係諸機関は、報告書に盛られた内容を十分吟味し、心を新らたにして問題点のは握解消に努められ、一日も早く原子力船開発研究が十分な成果を上げるよう期待するものである。」というふうにあとがきで書いておられまするけれども、私はきょうは大山答申の、これは歴史の上ではやはり大山答申、大山報告書ということになるのでありましょうけれども、この辺は実は甘過ぎるのじゃないか。だから午前中の質問についてももっと、閣議で問題になったし、答申したのだから、後はどうでもいいということではなくて、監視役としてそういうことを十分しっかりとひとつしてもらわないと、このあとがきについては重要なことであるけれども、甘いのじゃないか、答えていただかなくても、そういう認識を持っておるわけであります。しかし、いずれにしても事業団の性格は、前理事長の時代と違って、「むつ」問題が因になり果になり、放射線漏れが因になり果になって今日的には、建造至上主義でなくて原子力開発のやはり研究機関の原点になるのだ、そういう形で総括的な事業団としての主査、総括責任者が理事長であり、それからまた開発のための研究機関だということになるというと、やはりきょう、倉本さんですか、専務理事という方も来ておいでになると思いまするけれども、その辺の私どもの俗語で言って根性だ、しっかりやってもらわなければ困るという辺の点については、どういう一つの現状認識を持って事態に対処していこうというふうに思っておられるか、その点をやはりお伺いしたいと、こう思うのです。
○参考人(島居辰次郎君) 私はまことに重大なる段階のときにやってくれということになりまして、非常に任務の重さを痛感して、また恐縮しておるわけでございます。 そこで、原学力船事業団は、大山委員会の報告にございますように、ほかの先生方からもお話しもございましたように、原子力事業団は非常にひどく取り上げられておるではないか、ほかのところももう少しやったらいいじゃないかというふうな発言もあったように聞いておりますが、ほかの方はとにかくといたしまして、私が引き受けてこれからやっていく原子力事業団につきましては、まことに、ことに私としては感銘深く感じておるのであります。 そこで、いままではこの報告書にございますように、あるいはこれは私の読み方が違うのかもしれませんが、事務の取り扱い、そしてただ船をつくるだけのようなかっこうに見えるようにも見えるというふうな表現があるのでありますが、今後の問題といたしましては、これは原子力船事業団だけでも決められませんし、ことに先立つものは予算でございますので、科学技術庁、運輸省、大蔵省その他いろいろ関係するのでございますが、まあその内容といたしましては、諸外国の、原子力船の開発にもございますように、そう簡単にはいかぬのでございまして、ことに今回のような事件もございますので、相当基礎段階からやっていかなければいけないのではなかろうかというふうに感じておるのでございます。そこで今後この内容をどういうふうに持っていくかということにつきましては、先ほど来お話しの出ております原子力船懇談会その他におきましてある程度の結論ができるかと思うのでありますが、われわれの希望だけから申させていただきますと、もうちょっと、いま申し上げましたように基礎的な段階から、そうして相当根本的に研究、発展、開発、そういうふうなことをやっていただければ私としては非常に幸せに存ずる次第であります。 そういう意味合いにおきまして今後原子力船というものが日本でりっぱに開発していけたら非常に結構だと思うのでありますが、そういう方向に向かって、そういう心構えで、しかもこの大山委員会の報告にいろいろ書いてございますので、事業団だけでできるものはさしあたりすぐ取り計らってやっておりますので、そういう方向に向かって邁進しておる段階でございます。
○杉山善太郎君 時間も余りありませんから、私は資料要求という形で、原子力船開発事業団の今後のあるべき姿に関連して、事業団の役員人事というものを——たとえば事業団がいわゆる建造という形に向かって一船があれば二船があるという形でなくて、むしろ原子力船開発の研究機関の原点である、そういう点について、首脳部人事が刷新されるであろうことを予測いたしますので、それについてひとつ決まったものの事業団の役員人事の名簿というものを一応資料として御提示をいただきたいということを希望申し上げておきます。 それから同時に、いま「むつ」は陸奥湾に係留しているわけでありますけれども、やっぱり仮に、下北半島の沖合いでむつが漂流しておった時代の当時の船員人事というものと、係留中の船員人事というものは非常に削減されておると言われますが、今日ただいままでの現状の船員人事について、これも資料要求でありますが、ただ、船長は、私は前の船長をよく知っております。それから後任人事はやはり運輸省の方から派遣されておる船長にかわっておると思いますけれども、その人事配分の理由とかどうとかは知りませんけれども、現状の船員人事についての資料要求というものを出しておきますから、それはようございますか、出していただけますか。
○参考人(島居辰次郎君) 首脳部の人事はもう先般発令いたしまして全部かわりました。それから船長につきましてはつい最近交代いたしましたような次第でございます。いま名前を……資料で結構でございますか、それじゃ後から資料で御提出いたします。
○杉山善太郎君 船員人事ですから、いま係留中の船に対してこれは大事な船でありまするので、どういう装備で、船長だけではなくて、すべて何人あってどういう任務の位置づけにおるかということも含めて船員人事について私は資料要求をしているわけでありまするから、そういうふうにひとつ……。 それからきょうは倉本専務理事もお見えになっておるわけですね。お伺いをしますが、「むつ」の改修計画と原子炉の燃料棒引き抜き作業について、その時期、手順、方法などについては、現状の段階であなたの責任範囲で基本構想を持っておられると思いますが、そういう点についてはありのままをひとつお聞かせいただきたいと、こう思うんです。
○参考人(倉本昌昭君) ただいま御質問は、燃料の抜き取りの問題だと存じますが、現在事業団におきましては、この「むつ」の原子炉におきます遮蔽の改修について検討を行っておりまして、この圧力容器と一時遮蔽体との間のすき間からのストリームというのがこの放射線漏れの主たる原因であるということでございますが、遮蔽改修をいたしますに当たりましては、やはりこの部分のみならず、ほかの底部からの散乱の問題でございますとか、圧力容器の貫通部、細管がございますが、そういったところからの漏れ等も、計算により解析を行ってチェックをいたしました。それらを、データをもとにして、この遮蔽の改修計画を現在検討をしておるわけでございます。その遮蔽工事の改修方法、具体的にどういうふうな工事方法で進めたらいいのかという点につきましては、まだ現在検討中でございまして、これらが固まった上で、その工事方法とのからみで、燃料を抜き取るか抜き取らないかということをきめてまいりたいと考えておるところでございます。 それから、これは先ほど理事長に御質問ございました船の方の体制の問題でございますけれども、昨年は船の方は五十五名の定員でありましたが、この運航がしないということになりまして、本年度は三十三名の定員で維持管理を行っておるというような状態でございます。
○杉山善太郎君 実は、これは機密に属する問題ではないと思いますので、員数はわかりましたけれども、職階、職能ということについて、名簿という形式でこれは資料要求をしておきますから、決してあなたの方の邪魔になるような、私も元は船乗り上がりでありますので、そういう点についてそれなりに、ただし原子力船に乗ったこともございませんし、原子力船の実態というものもよく把握しておりませんので、そういう点について、ものは船であっても、操作するのは幾ら科学的ないろいろなものができてもやるのは原点はやっぱり人間ですから、そういう問題について、人事は一体これは係留しておるから、いいかげんなものはいいかげんに当たっていいかどうかという問題は、この問題がはっきりしないと、それは模索しても、母港問題というのは、一カ所できらわれたものがおれの方へということには、それはそう簡単に局部がいっても、全体の情報というものとその地域社会の住民というものが迎え入れるという、そういう雰囲気がなければ、なかなか母港問題というものは、いわゆる標流する「むつ」と同じように、母港問題も行政の間で標流するというような形がいつまでもやはり悪循環をしてくるのではないか、ということを私は私なりに心配をするのでありますが。そこでですね、この母港問題は、そうは言っても相手のあることでありまするから、時間がかかるといたしましても、その前に一体母港決定以前のやはり処置として、それ以前に「むつ」をドックへ入れられるというような、そういうことも模索しておられるか、それはもう方針は決定済みであるか、そういう点についてはどういうような状態になっておりますか。これは事業団の段階でなくても、行政の段階でもしっかり、むしろ長官は四月の時点で青森県知事に会ったり、それからむつ市長もそれから漁協の会長にも会っておられる。そういう経過の流れの中で、これはひとつ行政ルートの中でお答えいただいても結構であります。
○政府委員(福永博君) ただいまの倉本専務理事の発言とも関連するわけでございますけれども、「むつ」を今後どういうふうにするか、つまり改修計画の方案を立てましてそれによって改修するわけでございますけれども、その方法と関連してまいりまして一つの考え方としましては、「むつ」をどこか造船所といいましょうか、ドックといいましょうか、そういう施設のあるところに入れまして改修して、安全総点検もいたしまして、安全上の疑念がないようにして母港に移っていく、こういう考え方も一つ成り立つわけでございます。それからもう一つの考え方としましては、私どもがいままで努力、考えておりましたような、母港を選定してそこで改修等もやると、こういうような考え方もございまして、いま技術的、事務的な面で事業団、運輸省ともどもに検討している段階でございます。
○杉山善太郎君 その辺がどうもはっきりしないんですね。この「むつ」の改修計画と原子炉の燃料棒引き抜き作業の問題とかその時期、手順、方法については、この前の委員会の時点で生田局長はいとも簡単に、遮蔽の装置の欠陥はあって放射線はなるほど漏れたけれども、しかしこの燃料棒というものの扱いについては、燃料棒そのものに故障があるわけではないから、いとも簡単に朝やって晩に抜けるというようなニュアンスを受けとめるようなあれであったんでありまするけれども、実際は母港を出して船体を修理するにしても、どういうふうにしても、これはこの燃料棒をやはり手順、時期、方法について、これならばというかっこうのそういう情報を通し、マスコミ等に対してはっきりしないと、たとえばいまなかなか、それから仮に段階的にまず燃料棒を抜いたと、そしてこれならばやはり仮に佐世保なら佐世保ということを仮にマークしてみましょうか。そこにはそういう施設もあるからというようなのが手順、手だてについてはっきりしてこないというと、いつまでも母港は漂流しておるというふうに私はとらえるわけですよ。時間もありませんけれども、これは長官思い出していただくとわかりますけれども、先月の二十一日だと思いますけれども、知事会議があったときに、たとえば長崎県の知事だとか鹿児島県の知事にあなたお会いになっているはずなんですよ。鹿児島県の知事は甑の母港問題について、マークされても迷惑だと、しかし実際は一から十まで腹を立てているわけじゃないんだと、仁義を尽くしてこれこれと安全感があるならばというようなことをやはりあなたは聞いておられるわけなんだ。私もこれはマスコミを通しての認識でありまするから、本音はやっぱり一遍聞かなければならぬと思っておりまするけれども、この母港問題はやはりその決定の以前に、一体その決めるにはこれを修理をすると、修理をするとするならば、いま言ったようなその点の腹構えというものがはっきりしていないと、いつまで過ぎてもこれはうまくいかぬじゃないかというふうに思うのですから、その点ひとつ答えていただきたいと思います。
○政府委員(福永博君) 私から多少事務的、技術的に燃料棒の問題につきまして御説明さしていただきます。 燃料棒の抜き取り作業と申しますのは、所定のマニュアルに従いまして実施するわけでございますけれども、この前、私正確に記憶しているわけではございませんが、局長から申し上げましたのは、あの燃料自体が非常に低い出力、つまり一・四%といった低い出力でかつ時間も短かった、したがって燃料そのものの燃焼がほとんど進んでいないので、放射能の問題といったものは安全上ほとんどないというような趣旨のことを申し上げたわけでございまして、私自身も、その放射能レベルは正確に勘定しているわけではございませんが、おそらく非常に低いものだと考えておりまして、安全上何ら問題があるとは考えておりません。
○国務大臣(佐々木義武君) 御理解をいただきたいと存じますが、去年の十月に青森側と覚書を交わしまして、そのときには、いまお話しのように、半年後までに第二定係港を決め、二年半後を目途として船体を他に移動させますということになっておるわけでございます。その意味するところは、新しい定係港が決まったならば、そこで修理改修等をいたしたいという気持ちで決めたことは事実と存じます。ところがいろいろ、強権をもって第二定係港を決めるんじゃなくて、話し合いで決めなさいという、その意を体していろいろ予定地は考えてみたんでありますが、実際に発動してまいりますと、問題は、その船の安全性の問題が先決であるぞと。——安全性とは何ぞやということになりますと、これは安全だということを言うだけでは困りますと、そうじゃなくて、大山委員会——大山さんここにおられますが——でもありますように、修理をし、総点検をしまして、できれば、必要であれば原子力委員会で再審査をして、これで安全だということであれば私どもこれを喜んで引き受けましょうというのは受ける方の私は立場だと思います。それが悪いというわけじゃなくて、受け入れる方からいたしますればそう考えるのは不自然じゃないわけでございまして、そういう問題にこたえるためにはどうするかと申しますと、やはり修理、総点検を先にしなきゃいかぬわけでありまして、かたがた船自体もまた長い間定期検査をしておりませんので、原子炉もさることながら船自体の検査もせにゃいかぬじゃないかという事態になっているわけですから、できますればそういうものもあわせてどこかで修理、総点検をしたいということで、ただいま事業団の方ではせっかく修理あるいは点検するための計画と申しますか、そういうものを鋭意ただいま立案中でございますので、近く結論が出るようでございますから、これに基づきましてそれを実施するためにはどうしたらよろしいかという問題に入ってまいりたいと考えておる次第でございます。
○杉山善太郎君 この母港問題決定の以前の段階で、「むつ」を、仮定すべき段階を、手順と方法を構えて、ドックに入れて、そして、その間にも母港探しをするということを相兼ねて、そういう方向について、そういうふうに理解をしていいんですか、その点についてはどうですか。
○国務大臣(佐々木義武君) 必ずしもドックでなくちゃできないかどうか、それも問題でございまして、修理の方式がいろいろあるわけでございますから、そういう点もあわせてただいま検討中でございまして、母港と同時に決まれば一番望ましいわけでございますけれども、しかし受け入れる方の立場からいたしますと、先ほど申しましたのは、おそらくはほかの多数のところのやっぱり希望するところだと存じますので、円満に問題を解決しようとすれば、少しぐらい時期がおくれても、その方が一番スムーズに解決する道であるし、また、青森の現地からいたしましても、ただいま船自体はもうそのまま何の支障もないようになっておりますので、円満に解決する方がむしろ望ましいんじゃなかろうかというふうにも考えられまして、青森側にもその由をよく話してございます。
○杉山善太郎君 これで終わりますが、私先ほど思い違いしましたけれども、具体的には五月の二十一日全国知事会議があった場合に、三木首相が鹿児島県の金丸三郎知事とこの甑島ですね、これが有力候補地になっておることについて政府に対して、個々の候補地の選定を急ぐよりも、原子力の平和利用とエネルギー対策について根本的な政策の確立が先決であると申し入れておるわけであります。政府方針に事実上の反対通告を出しておるということは、結局政府に対しては、幾ら鹿児島の甑島をマークされても反対ですよと、それよりも実はこれこれでエネルギー対策の根本的な政策を確立してもらわにゃ困るんだということを、知事会議の席上会っておられるわけでありますし、その関連において佐々木長官にも——やはりあなたとお会いをしてるわけでありまして、そういうような問題をいま、あなた自身が会っておられますから、ここでどうこうする必要はありませんけれども、あなたの記憶をよみがえらせるために、——こう言っておりますね。佐々木長官には、「むつ」の放射線漏れ事故の原因、結果、対策をはっきりすべきだ、全国各地の原子力発電所の建設問題が「むつ」問題によって暗礁に乗り上げている、「むつ」の解決とともに、各地の原発問題についても安全性対策などの政府のはっきりした方針を全国民に明確にするのが先決問題であると、これが決着しない限り話し合いの余地はないというふうに通告しておると、——これは久保長崎県知事で、三浦湾の母港反対に対して二十二日に表明しておると、これはマスコミの言うならば情報として出ておるわけですが、これは間違いであるかないかということはいいんですが、そういう私は認識の上に立っておるわけでありますから……。
○国務大臣(佐々木義武君) 鹿児島と長崎とごっちゃにしておられるようでちょっと因りますんですが、鹿児島の知事と直接に話したことはございません。ただ、去年の暮れ、原子力発電をしております担当——担当というか、その地域に原子力発電を持ってる数県の知事が、八県でございますか、知事さんが集まりまして会議をしたことがございます。私も呼ばれまして参ったんでありますが、そのときに、各知事とも口をそろえて同じ主張でございますが、その要旨は、要するに「むつ」問題以来自分らとしては、政府がこの原子力の安全問題に対してどういう姿勢をとるかということをはっきりしていただかないと、これ以上進めるのに大変困却いたします、という主張が全部でございました。そのときはもちろん鹿児島県の知事さんも出席されておりまして、強くその点を主張してございました。それがあらわれたのが今度の安全局、とりあえずは安全局でございまして、根本的には有沢機関の結論を待っているのが実情でございます。 それから、長崎県のことはこの前にも詳しくお話し申し上げたと存じますけれども、一応机上的には私どもも対馬が一番よろしかろうというので、あらゆる条件を加味いたしまして勘案いたしまして、その交渉に当たるべく準備したんでありますが、正式交渉に入る前にやはり地元選出の国会議員、もちろん参議院、衆議院問わず、の皆様に打診、御了解をいただいた上で、できますれば現地の調査等に入りたい、あるいは現地交渉等に入りたい、その際には知事さんにも御協力いただいて、決める、決めぬの問題は別にして一応現地とのそういう話し合いには協力いただけないか、そういう手順を踏むのが民主的な一つの行き方だろうというふうに考えまして、私自体も選挙をしている人間でございますから、自分が知らぬ間に自分の足元へ役人が来て実地調査と称してどんどん調査をする、あるいは自分の支持者その他のところへ来て話を進める、こういうことになった場合には、これは実に失礼な話だと思うに違いない。したがって、やはり非公式に順序を追ってまず地元の国会議員の皆様に打診もし、その真意もひとつお伝えしてと思いましてそういう手順から実は入ってまいりました。私は決して間違ったやり方だと思っていません、いまでも。しかし、その間、ある党の代議士のところへ参りましたら、すぐ地元の漁民大会かなんかで詳細に実はお話しになったそうでございまして、すぐえらい反対運動が起きてしまいまして、知事さんも上京して、こういう状況下においてはいま強引にやるということは大変自分の方としても困ると、白紙還元という非常な余韻のある言葉で、白紙還元にしてもらえないかという話でございますから、私どもも白紙還元とはどういうことですかということでいろいろ知事さんとも私電話で真意のほどを確かめまして、白紙還元でそれでは正式交渉はこの際は慎みましょうということで事態を静観しているというのが実情でございます。
○杉山善太郎君 時間が超過いたしましたのでこれで終わりますが、やはり言うならば母港問題もまだ白紙であり、原子力行政問題も何か本当に詰めの段階がまだ「むつ」問題に関する限り終わっていないような気がいたしますので、私自身も勉強をするつもりで、実はきょうは生田原子力局長にこれを、終始一貫かかわり合いがあるので、こう見てもいつまでもお見えになりませんから、きょうはこれで終わります。
○塩出啓典君 最初に長官にお尋ねいたしますが、核防条約が今国会では参議院の方に来ないんではないか、したがって、本国会において批准が行われない、こういうふうな見通しでございますが、それぞれこの条約の批准には賛否いろいろな意見があると思うんですけれども、この核防条約が今国会で批准されないということが、ウランの確保とかそういうような点に支障を及ぼすのかどうか。これは科学技術庁長官としてどう考えておるのか、これをひとつ簡単に御説明願いたいと思います。
○国務大臣(佐々木義武君) 先ほど杉山先生の御質問がございまして、塩出先生おいでかどうか、実に詳しく私御説明したんで繰り返しませんけれども、査察の不平等、あるいは無条件と申しますか、いつでもどこでもいかなるものでも査察できるといういままでの査察の体制では日本の平和的な開発はできないということで、五回にわたりましてウィーンに使節団を派遣し、またウィーンの機関にはこちらからチャンピオンを何人も出して、査察員そのものをやった人もおりますし、あるいはウィーンの機関の技術開発部長をやったのも日本人でございます。ですからわれわれは、向こうはいまの段階と申しますのは非常に簡素で、機密保持等もまずまずこれであればいいというところまでなり、しかも運転等ディスターブせずに査察ができるということになってきますと、他国との不平等性もないということであればまずまずこれはいいんじゃないかと実は安心しておりました。一方、ですから、今度逆にそれをそこまで日本の主張を取り入れた国際原子力機関側といたしましては、必ずや日本は、ここまで保障措置の問題で、列強と申しますか、が譲歩したというからには必ず批准に踏み切ってくれるものと大きい期待をしておったに違いないということはよく理解できるところでございます。ですから、その面からいたしまして、もしこの際批准が延びたということになりますと、引き続いてこの次の機会で批准するということであればこれまた問題は別でございますが、このままその問題はどうにもならぬということでありますと、私は、列強が日本に対する信義と申しますか、あるいは疑惑と申しますか、こういう点においてはわれわれが想像している以上の問題になっていくんじゃないかと実は恐れております。 もう一つは、先ほど申しましたように燃料確保の問題でございままして、これもレビューの問題等の会議の際の米国あるいはカナダ、豪州の主張、言いかえれば核防条約に入った国に優先しようじゃないかという主張、同時にまたこれから核武装するおそれのある国々に対して、言いかえればまた、核不拡散条約に入っていない国に対する燃料の提供は厳重にしようじゃないかという主張がなされておりまして、ごく最近にもまたそのための会議を持つやに、新聞でございますけれども出ておりましたので、だんだんそういう面が強くなっていくんじゃないか。きょう、あすどうという問題でなしにそういう傾向が強くなることはどうも否めない事実じゃなかろうかという感じもいたしますので、私どもといたしましては非常に残念に実は思っている次第でございます。
○塩出啓典君 きょうの昼のニュースでは、米国が濃縮ウランの生産のいわゆる民間移管を発表した。これは、これから今後五年、十年の濃縮ウランの需要に対して非常にたくさんの設備投資の資金が要るために、政府としても、現在オークリッジ等にある三カ所のウラン濃縮工場だけを国営で残し、これからできるものは全部民間に移管をすると、こういう方向で法案も提出すると、こういうニュースが流れておるわけでありますが、われわれは、これが民間に移管ということになればますます、まあ先般キッシンジャーも日本への濃縮ウランを確保するということは言っておるわけですけれども、民間移管になると非常にそういう点心配があるんじゃないか、こういうことを私たちは心配をするわけでありますが、こういう点の科学技術庁としての見通しはどう考えておりますか。
○国務大臣(佐々木義武君) 濃縮ウランを民間のほかの工場をつくった場合にはその工場間の契約にという、そういう計画のあったことは事実でございまして、現在も、先ほど申しましたが、日米原子力平和利用条約によりますと、初めの私どもがつくった条約では、核濃縮ウランを供給する義務を明確に向こうはうたっておりましたが、発電六千万キロワットに相応する濃縮ウランを提供しようという条約改定をした際に、向こうは供給の義務は抜きまして、そして契約によってそれに必要な量は供給しましょうというふうに実はなっております。したがって、もし向こうが供給に余力がない、各国から大変申し込みが多くて余力がないという場合には、必要量は必ず国が責任を持って供給しますよとは言えませんぞと、こういう趣旨かと私解釈してございます。 そういうことでございまして、以前の供給義務を負った条約から見ますと大変不安定な条約にはなっておりますけれども、しかし、いままでは五千五百万キロワットに相当する分は大体契約ができまして、残りが残っておるわけでございますけれども、それが仮に民間との話し合いになって、民間同士、たとえば日本の電力会社といまは向こうのAECとの契約でございますが、したがって国家対日本の九電力との契約になりますけれども、そうじゃなしに、向こうで新しい民間会社ができてそれとの契約でのやりとりとなりますけれども、それは契約上の話でありまして、国といたしましてはこれを供給するときには無条件で渡すわけはないんでありまして、必ずやまず一番大きい条件は厳重な軍事転用禁止の査察条項をつけるに決まっております、これのない条約はございませんので。その査察は、従来の状況によりますと、さっきも申しましたように国連機関の査察、非常に厳重なものでございまして、もし核防条約に入ってない国に提供することになりますと。それでそれ以外にも、たとえばエジプトとかその他いろいろ問題があったようでございますけれども、従来の二国間条約のような条約よりもその査察の条項以外にさらにいろいろ厳格な条件をつけたいような空気が見えるというように実は感じております。
○塩出啓典君 だから結局、あれですか、心配はないと。どうも長官の御答弁の意味が、もしそのようになっても心配はないということなのか、それとも、やっぱり日本としてはこういう手を打っていかにゃいかぬのか、そのあたりどうなんですか。要点だけでいい、局長からでも答弁していただきたい。
○政府委員(生田豊朗君) ただいま大臣の御答弁のとおりでございまして、私どもは供給について心配ないと考えております。 恐らく民間移管の問題というのは、いまあります政府所有の三工場を民間移管するというよりも、今後の建設をむしろ民間中心でやるということではなかろうかと思っております。 全体の供給量につきましては大臣の御答弁のとおりでございますし、昨日新聞で報道されておりますが、キッシンジャー国務長官が演説をいたしまして、核燃料の対日供給について、それを約束するということも言っておられるようでございますので、私どもは、その点につきましては、現在特に不安は持っておりません。
○塩出啓典君 次に、「むつ」の問題につきまして、午前中いろいろ参考人の方々にも質問をしたわけでございますが、長官に、この「むつ」問題についての政府の反省ですね、これはいろいろなことがこの中には原因として書かれておるわけでございますが、結論的に一言で言えば、今回の「むつ」の建造を、実験船というよりも、もうそういう実験的な研究的な諸問題は解決をされて、むしろ船をつくるですね、そういう研究というよりももう実施の方の事業団であると、こういうようなやはり考え方ですね。だからいろんなそういう技術的な困難性に対する非常に認識がなかったということもそういうところから起因をしている、私はそのように拝見をしたわけでありますが、そういう意味から、この前の当委員会における質問と同じようになるかもしれませんけれども、政府としては「むつ」を実験のためのやっぱり研究のための船というよりも、何か実用化へ一歩踏み出していく、そういう船であると、こういうように、非常に技術的な問題を軽視したと申しますか、楽観視した、そういうところに根本的な原因がある、私はそのように大山先生のこの報告書を読んだわけでありますけれども、長官は、率直に申しまして、いま私が言いましたように反省をしているのかどうか。その点どうですかね、簡単にひとつお願いしたいんですけれども。
○国務大臣(佐々木義武君) この船の本質は実験船であることは間違いございません。ただ、二年間実験をしてそしてもう実験の段階は船としては済んだという、その後何に使うべきかということが問題でございましたけれども、初めはたしか観測船のように、国で、まあまる抱えと言っちゃ語弊がありますけれども、全部費用を負担して運航したらどうだという議論のようでございましたが、途中から、せめて運転経費くらいはということで荷物を運んだりといったようなことでやったらどうだろうということに変わったように実は——後でまあ詳しく、間違いであればあれですから、私の記憶ではそういうふうに記憶しておりますけれども。しかし本体はあくまでも実験船でございまして、言うなればいまの故障というものはその実験の過程において起きたものでございまして、本来でありますと、実験過程でございますから、いわば大事故に至る前に発見してこれを補修する、改善するというのもこれは実験の一つの過程でございますからというふうにも解釈されます。また、各国ではそういうふうに処理して完成していったはずでございます。しかし日本は、幸か不幸かは知りませんけれども、大変に、こういう問題になってしまいましたのでいまのようなてんまつになりましたが、しかし今後も自主開発の線で、せっかくここまで来た問題でございますから、大山委員会の報告を受けまして修理総点検をいたしてりっぱな実験船にいたしたいというふうに実は考えておるのであります。
○塩出啓典君 どうも、なかなか論議がかみ合わないわけですけれども、今回の「むつ」の放射線漏れというものは、量にすればこれはレントゲンの一回の放射能よりもはるかに小さい量でこれはもう大したことはないじゃないかと、当然実験の段階だからこういうことを含めての実験だと、だからこういうことを大騒ぎする方がちょっとおかしいんじゃないか、こういう意見が確かあると思いますね。これは私たちもよく聞くわけで、確かにそれはそういう点の考え方はあると思うのですけれども、しかし、この大山答申と申しますか、大山レポートにおいては、そのもとにある一つのフィロソフィーといいますか、やっぱりこの原子力船「むつ」の開発に取り組んだそういう姿勢に大きな問題があると。そういうことを私は言っているように思うんです。それを改めていかなければ、結局新しい母港が一生懸命探して見つかってもまた同じことを繰り返すんではないか、私はそういう、もう一歩底にあるものを改めていかなければいかぬと。これは大山先生に再びお聞きするんですけれども、大体そういう私は趣旨の答申であった、こう理解しているんですが、その点どうでしょうか。
○参考人(大山義年君) ただいま先生の御質問で、実験船というよりも、もうすでに既成の、プルーブンの何と申しますか船として扱われたんじゃないかという御質問があったと思いますが、もちろんいま長官が御答弁なさったように、あくまでも実験船であることはそのとおりであると思います。ただ、私どもの特に感ずることは、いままでわれわれとしてはステーショナリーの、陸上の発電炉というものを扱っていたに対しまして、船であるという特殊な点、それが相当強く強調されて、炉の方がいわばわりあいに、まあ炉の方は陸上でもやっているからというような点を安易に考えられた点が大きく影響しているんじゃないかというふうに考えます。御質問の御趣意にもちろん私が反対しているわけでなく、全くそのとおりだと思いますが、ただウェートの置き方がそういう点があったんじゃないかということでございます。
○塩出啓典君 そこで、今後原子力委員会としてもこの「むつ」の計画は継続をしていく方向と聞いておるわけでありますが、そういう計画を推進するに当たりまして、私たちも当然研究は進めていくべきだと思っております。進めていくに当たりましてどこが中心になっていくか、これは私は一つの大きな問題じゃないかと思います。この今回の大山委員会のレポートによれば、たとえばJRR−4の試験結果というものが本当に原子力船の設計計画に十分生かされるとは言えない。一つ一つのデータというものを解析をし、それを新しく設計される、その上に生かしていくという、こういう体制が非常に欠けておった、こういうことが私は言われていると思うんですね。したがって、今後は原子力委員会を強化していく、こういうこともあり、原子力委員会がもうすべて設計から施工の段階までチェックしていく、こういう考え方もあるでしょう。あるいはいまの事業団というものをもっと強化をして、これがもっともっとそういう最初から終わりまで一貫的にチェックできる体制にしていくか、いろいろな考え方があると思うわけでごいますが、この大山レポートにおいては、そういうものについて具体的な今後どうすべきかということについては触れていないと思うんですけれども、これは大山先生の個人的な見解でもいいと思うんですけれども、諸外国の例から見て、やはりこういう原子力船を進めていく場合には、現在の日本の体制としてやはりどこを強化していくべきであるとお考えになっておるか、これを承っておきたいと思います。
○参考人(大山義年君) 午前中も申し上げたかと思いますが、私ども問題点を指摘して、具体的に対策というものは一つも挙げておりません。それよりも私どもは、これを開発していくためにいわゆるナショナル・プロジェクトといたしましての態度と申しますか考え方、その点を強く申し上げているつもりで、具体的にはそれを受けて原子力行政懇談会その他でわれわれの期待するようなお答えが出るということを期待しているわけであります。
○塩出啓典君 長官はどうお考えでございますか。やっぱり原子力懇談会待ちですか。
○国務大臣(佐々木義武君) お話しのように、このストリーミング問題そのものは解決するにそれほどむずかしい問題ではないようでございますけれども、しかし、大山先生の報告にもありますように、そのよって来る背景が非常にいろいろな問題を含んでおりますから、行政機構問題も、あるいは事業団の技術的な統轄性と申しますか、いろいろな面で、どこの人が悪いという意味じゃなくて、そういう体制あるいは運営等、非常に改善を要する点があるんじゃないかという非常に重要な御指示がございますから、その中でもうこういうふうな改善に着手しております点もございますし、それからただいま改善を了したものもございます。たとえば事業団の技術的な統轄とか、あるいは技術的な検討をいままでのようなあり方ではいけないぞという御指摘でございますから、それに改善を加えるように人事その他も改めましたというようなこともございますが、肝心の原子力委員会までも含めたその抜本的な安全を主とした改革ということになりますと、これは早急に、すぐというわけにはまいりません。と言って、ほうっておくわけにいきませんから、先ほど来もお話し申し上げましたように、とりあえず安全局というものをつくりまして、そしてこれで第一ステップの、あるいは経過的な一つの安全に対する国の気構え、姿勢というものをまず示そうじゃないか。これで決して万全だとは思っておりません。そして、有沢機関の答申等の出ました暁には、それにのっとって抜本的な改善に向かうべきだ、こういうふうに実は考えておりまして、くどいようでございますが、大山機関の指摘いたしました諸点に関し、すでに実行済みのもの、あるいはただいま実行しつつあるもの、また近くそれを実行するであろうもの、いろいろございますけれども、一つ一つ吟味いたしまして、ただいま実行に移すように努力中でございます。
○塩出啓典君 まあ長官、やはり、一つの体制をつくるにしても、なかなか一朝一夕にはできないと思うんですね。それだけの技術者を集めるにしたって、地からわいてくるわけではないし、やはりそれだけの体制をつくるには長い年月とまた非常にじみちな研究の積み重ねというものが必要じゃないかと思うんですね。だから、体制をつくるのにもうそれだけの時間がかかるわけですから。だから、私の言いたいのは、いままでの原子力行政というものが余りにも結果の方ばかりを先走りをして、そういうところからいろいろこういうそごが出てきたんじゃないか。現在新しい母港を探すことに躍起になっておりますけれども、結局は、しかし根本的な体制づくりというものをつくっていかなければ、結局新しいところが万一地元の住民の同意でできたにせよ、またトラブルが起きる。そういうことを私は非常に心配をするわけで、体制を整えて、そうしてやはり一歩一歩積み上げていく、このようにひとつやってもらいたい。これは考え方の問題ですけれども、その点について長官は同意されるかどうか、ですね。
○国務大臣(佐々木義武君) もちろん、そういう心組みでやるべきだと思います。
○塩出啓典君 そこで、中島参考人にちょっとお尋ねしたいわけでありますが、日本の今日までの原子力の開発において、当初から日本学術会議等が中心になって、余り安易に外国の技術を導入することはむしろ日本の自主的な発展には余り役立たないんじゃないかと、そういう意味から、日本と西ドイツとを比較した場合、かなり西ドイツ等は基礎研究に力を入れて、そしてアメリカから輸入した技術というものを西ドイツ流の技術をこなしてやっておる。そういう点が、日本の国は余りにも成果を得るに急であり、一方では基礎研究への投資というものを非常に惜しんだために今日のように弊害がきたんだと、こういう意見があるわけでありますが、第一線で研究をされておる立場から、こういう意見についてどう考えておられるのか、これを率直に承りたいと思います。
○参考人(中島篤之助君) 御承知のように、「むつ」の問題と申しますのは単に原子力船をどうするかという問題だけではなくて、ただいま御質問でございましたように、日本の科学や技術の開発のあり方にかかわる問題であるという御指摘だと思いますが、それはそのとおりでございまして、私、この問題が起きましたときに、私が現在所属しております学術会議の中などで、たとえば私どものように自然科学をやっておらない社会科学関係の会員がおられますが、そういう方から、日本の、たとえば技術水準というのはあれほど低いのかというような質問をしばしば受けまして、大変返事に実は窮しておる。私ども科学者として、やはりこの問題は徹底的に解明してほしいと実は思っておったわけであります。と申しますのは、たとえば今度問題になりました遮蔽の問題について申し上げれば、たとえば「むつ」の開発に当たって日本の技術者が計算したものと、たとえば西ドイツがオットー・ハーンの設計やるに当たって計算したのとどっちが水準が高いかというようなことは、これは比較するのは余り意味がないんですけれども、どっちかと言うとドイツの方が簡単な計算をやっていると私は思うんです。それはどうしてかと言いますと、それは原子炉そのものを、簡単な構造といいますか、つまり還流型とかインテグラルタイプとか申しますが、そういう原子炉を採用しておりますために、むしろそういう意味では非常に見やすい形になっておりますから、単に複雑な計算をしているということを言えば、日本の技術者の方が私はきっと複雑な計算をしたに相違ない。ところがああいうことが起こっているというあたりにおいて——これは、ですから、その辺一つをとってみましても、これは単なる例でありますけれども、やはり、技術のあり方についての、大山先生が言われておりますように、基本的な考え方あるいはその中での科学者の発言権の問題といったものが私は非常に大きな因子を占めているんではないだろうかというふうに現在は考えております。この点についてはまた改めてきょう申し上げさしていただいてもいいと思うんですけれども、一つ申しますと、いま、きょうこの委員会にお招きを受けましたので、ぜひ申し上げようと思っておったことが一つあるわけでありますが、それは、現在はしゃへい検討小委員会等によって「むつ」の船上では十の四乗から十の六乗エレクトロンボルトの中性子が漏れたんだということになっておるようでありますけれども、私どもはそれに対して非常な疑いを持っております。そういうことが果たして言えるとは思えないんでありまして、これはその基礎になるいわゆる安藤委員会と申しますか、安藤先生を座長にして得ました委員会の測定結果があれで十分かどうかについては私は大変な疑惑を持っているということを申し上げたいと思います。そういうことを申し上げたいといいますのは、実は、そういうことをわれわれの方はすでに、たしか十月の十六日のこの参議院の科技特におきまして、私どもの原研の労働組合から青柳君がたしか参りまして、それでそのことを申し上げました。ただ、そのときは「むつ」が母港へ帰ったばかりというような時期でありましたし、しゃへい検討委員会も結論を出しておられなかったんですけれども、そのときは、ただ、いわゆる専門家と目されるような十分な人が行っていないということから見て、あのデータは非常に危ないんじゃないかということだけはたしか指摘しているわけです。それが残念なことにまだ取り上げられておらない。せっかくこれだけの問題が国会等で何回も議論されているように私聞いておりますけれども、そういう科学者の提言がどうも無視されているというのは大変残念なことだと思うのであります。まずその辺を尊重していただきたいと私は思います。それについては、私は、科学者として責任を持っていずれ発表したいと思っておりますけれども、これは大山先生の御報告でも、大変りっぱな、突っ込んだ分析をなさったのでありますけれども、その点に関しては——こういうふうに書いてございますね、大山先生は前に置いて大変失礼なんですけれども、「むつ」の放射線漏れの原因について正確なことを言うためには、本来ならばみずからが調査をしなければいけないと思う、というふうにこの調査委員会の報告には書いてございまして、ところが、諸般の事情によって安藤委員会の意見を聞いて決めざるを得なかったと。これは確かに、諸般の事情というのは私は大変よくわかりますけれども、やはり、科学者の立場から言えば、いろいろ諸般の事情はあろうが、やはり、政府に対して、もう一度原子炉を動かして実験をしてほしいという報告をお出しになることも可能だったはずでありまして、やはりそうなさるべきじゃなかったかというのが私の考えておることであります。つまり、そういうふうにいたしませんと——先ほど来ずっと聞いておりますと、「むつ」の改修計画というようなものがどんどんどんどん進んでおるように思いますけれども、本当の原因が追及されないで改修計画が立つというのは非常に不可思議なことでありまして、少し言い過ぎかもしれませんが、私は、あの委員会のデータはやや幻のデータに近いと言わざるを得ないような点があるということを最初に申し上げたいと思います。 いまの御質問に直接関係なかったかもしれませんが、私は、やはり、ドイツと日本の例を比較すれば、もう少し科学者の意見を科学者の意見として率直に取り上げるような体制をつくっていただきたいということを申し上げたいと思います。
○塩出啓典君 私も今日までの原子力の発展において、日本学術会議等のそういう専門家の意見というものが、実際には、利益を急ぐ産業界の意思の方が優先をする。そういう点におきましてただいまの御意見には私も非常に同感でございます。 そこで、私いまお聞きしたがったのは、基礎研究というものが非常におくれておると。たとえば、原子力発電の研究をしておる国々はいろいろあるわけでございますが、そういう諸外国に比べて、その研究所の人員とか、体制とか、そういうものがどうなのか、これを、実際に研究されている立場において、簡単でいいと思うんですけれども。 それともう一つ。これは事業団にもお尋ねしたいわけでございますが、今回のこの大山委員会の報告によれば、事業団においてはいろいろなそういう技術的なことを研究するスタッフもないし、ただ、よその技術を集めてきて、そうしてつくるということに何か主体が置かれているような状態であるわけでありますが、そういう点で、事業団としては、事業団が責任を持って推進をしていくという点から考えて、いまの体制では余りにも弱体ではないかと、このように思うわけでありますが、事業団として、諸外国——西ドイツとか、そういう国々も原子力船の開発をやっておるわけでありますが、そういう国々と比較して体制がどうなのか、これを両者の方から簡単に御説明願います。
○参考人(中島篤之助君) 大変ありがたい御質問でありますので、この機会に申し上げさしていただきたいと思いますけれども、原子力研究所ができましたのは昭和三十一年でありまして、昭和四十三年までは大体毎年百名以上増員が認められまして、研究者の数がふえてまいったわけであります。ところが大体その以前、その四十三年になる少し前ごろから原子力研究所では基礎研究ばかりやっておって、それでその博士ばかりこさえているではないかというような御批判がどうも財界方面からあったやに聞いておりまして、それで四十三年に御承知のように動力炉・核燃料開発事業団というものが発足いたしましたわけですけれども、それと同時に原子力研究所に対する増員は完全に停止されまして、ことし初めて原子力の安全のための研究ということでかなりな人員の増加が認められましたけれども、ずうっと人員増加がないということが実態でございます。この辺は御指摘のとおりもういわゆる基礎研究というものを結果として軽視したということになるのではないかと私は考えております。 それから基礎研究と言います場合に、これは学術会議の立場から申せば忘れてはならないことは大学関係の研究があります。大学関係の原子力研究につきましては、これは日本の原子力研究が発足いたしますときに、いわゆる国大協の矢内原先生が有名な矢内原提言というものをされまして、国会の附帯決議で、つまりこれは大学の自治を守るという精神で本来出されたものなんでありますけれども、それが科学技術庁の設置法に入りまして、原子力委員会はたとえば文部省関係の大学の予算等について審議するという権利を持たないというようなことになっておるわけです。これが大学の自治を守るということで使われたこと自体は評価できるといたしましても、それが大学関係の基礎研究を軽視するということにも結果としてはなっておる。これはたとえば大学関係の原子力研究全部の予算を合わせましてもわずか二十億ぐらいだと思いますが、たしか一昨年ぐらいでその程度の規模だと思いますが、ですから大学関係の原子力工学科関係の諸先生方の御不満というのは、科学技術庁関係の研究所に比べて研究施設においてもその他あらゆる面でいつももう慢性的な、何といいますか、予算不足のコンプレックスのようなものをどうもお持ちになっているというような現状がございます、はっきり言って。これは核融合を除いて全体そうだということを申し上げざるを得ない、そういう大変残念な状態にありまして、学術会議としては何とかこの科学技術庁と文部省関係の間の研究者の交流を図りたいということで、たとえば原研の原子炉の共同水利用でありますとかそういうようなことはすべて学術会議の先輩方が努力をされまして、多少のそういう交流の道が開かれておりますけれども、全体としては日本の研究能力を十分に利用するような状況には決してなっておらないということが現状でございまして、これにつきましては、国会等におきましても十分御審議——つまり私あれほど尊重された国会決議というのはほかにはないんじゃないかと思うくらい完全に分断されておるというのが実情でございます。 それからそういうことでわれわれ学術会議は十期になりましたので、そのことを主なテーマで今期やりたいというふうに実は考えておるということでありますが、そのほかに実は学術会議としましては、動燃団が発足いたしますときにその開発基礎研究所というものをつくってほしいというようなたとえば提案もしておるわけであります。それはそのナショナル・プロジェクトということで非常に膨大な国費を投じて高速増殖炉等々の開発をやるのであれば、当然これは決して基礎研究ではなくて、かなり原子力のいわゆる目的的な基礎研究ですね、そういうものをやる研究所として開発基礎研究所というものを充実すべきだという反対提案みたいなものをやっておるんですけれども、これは残念ながら無視されているというようなことでありまして、はっきり申し上げますれば、いままで学術会議が提言したことは決して十分には、はなはだ残念ながら取り入れられてきておらないというふうに申し上げてよろしいかと思います。 それで、きょう実は午前中この委員会からお招きがありましたのに出席できませんでしたのは、原子力委員会の方々と会談することでおくれたわけでありますが、そのときに申し上げたことでありますが、やはりこの有沢機関が原子力行政の抜本的な見直しをされるということであれば、私どもは少なくとも学術会議の意見が制度的に反映されるといいますか、そういうようなシステムというものを今後お互いに考えていこうではないかという御提案をいたしまして、今後そういうことで密接に協議をしていきたいというようなことを申し上げてきたということでありまして、実はそういうことがやはり日本の科学者の意見を、総意をやはり全体として原子力行政に組み入れていくということが実は何よりも大事だということを申し上げたいと思うのであります。
○参考人(倉本昌昭君) この事業団発足の当初、やはりこの原子力船「むつ」のプロジェクトというものは、やはりナショナル・プロジェクトとして開発をするということで、官民協力のもとに体制が組まれまして、この大山報告書でも指摘されておりますように、この原子力船「むつ」自体は全体としてかなりの水準に達しておるということがお認めいただいておるわけでございまして、それなりのやはり実力を持ってこの「むつ」のプロジェクトは進められてきたと私も思っております。ただ残念でございますのは、この大山報告書にも指摘してございますが、この技術の開発というものにつきましては、この設計及び検討の当初から首尾一貫した開発の推進を行うためには、その主な責任者は開発の段階を通して変わらないことが望ましいんだと、こういうぐあいにうたっておられました。またさらにこの開発の過程におきまして、そこで出てまいりました問題をフォローアップをしていくということが、非常にこのプロジェクトというものにおいては重要だと存じますが、まことに遺憾でありますのは、やはり昨年放射線漏れという事態が起こりましたときに、先ほど先生がおっしゃいましたように、こういった問題は起こり得る問題であるというその点を十分認識をして、それなりのその試験の体制及びそういう問題が起こったときに、事業団の中でこれを受けとめて直ちに対応できるという体制がそのときにはなかったという点が、やはり私どもとしては今後大いに反省をしていかなければならないんではなかろうかと思います。
○塩出啓典君 では時間も参りましたので、これの続きは次回にまた——また長官にお願いしたいことは、やはりいろいろ御意見がありましたように、余り急がないで、やっぱりこう一つ一つ積み上げていかなくちゃいかぬのじゃないかと思うんですよ。そういう基礎研究にも力を入れると、そして学者の意見もやっぱりよく聞くと、政府に都合の悪い意見を言う人もやっぱりよく聞いて、そこから国民的なコンセンサスも得られるわけですから、そういう方向でひとついろいろ御苦労は多いと思いますけれども、ぜひともひとつ信念を持ってやってもらいたい。ただ何もかも何とか懇談会、何とか懇談会の上に乗っかっておるんじゃこれはいかぬわけで、やはり長官としての一つのものを持って私はひとつぜひともがんばっていただきたい、このことをひとつ要望いたします。 〔委員長退席、理事杉山善太郎君着席〕
○加藤進君 大山参考人、中島参考人、御苦労様でございます。ただいま塩出委員からの発言もございましたし、これに対する中島参考人の御意見もただいま聞いたばかりでございますけれども、この点に関連して私は重ねて大山参考人にお尋ねしたいことがございますが、それは午前中の大山報告についての御説明の中に、放射線漏れの原因究明はすでに独自の調査が事実上不可能になっているから、今回の報告書は「むつ」放射線しゃへい検討委員会の調査に基づいてつくりましたと、まあこういうふうにおっしゃったと思います。そこで果たして独自の調査検討はいまの段階において事実不可能になったと言われるのはどういう理由なのかということ、もう一つは「むつ」放射線しゃへい技術検討委員会の調査は十分信頼の置けるものであるかどうか、その根拠はどこにあるのか、この点をお尋ねしたいと思います。
○参考人(大山義年君) 現在の、御承知のように、「むつ」が置かれている状態で、「むつ」の原子炉を運転して測定を行いますということは、われわれとして不可能と申し上げたことは、現実の問題といたしまして、国と青森の漁連ですか、あえて私よく存じませんが、むつの港に係留している間、原子炉は運転しないという約束をとっておいでになる。そういう意味でわれわれは現在は不可能という表現をいたしました。しかも暇をかけてやっていいものならともかくも、この報告は非常に政府筋から早急にやれという御命令もございましたし、五月十三日に出しましたが、二月ころまで出せというような御希望もあったような状態でございます。そういう意味で不可能と申し上げたわけでございます。それから「むつ」放射線検討委員会でございますか、そちらの検討された成果が信頼おけるものであるかどうかということは、どういう根拠から言ったかという御質問でございますが、私どもといたしましてはあれを測定された安藤委員会でございますか、その方たちの技術を信頼して申し上げている。それ以上はっきりした根拠は何だとおっしゃられましても、それ以上申し上げることはできないと思いますし、またそれ以外にはデータは何にもないわけでございます。そういう意味でございます。
○加藤進君 ただいまの御説明をお聞きしまして、それでは余り十分の信頼できるような根拠は明らかでない。だとするなら、何らかの意味で再調査をしなくてはならぬじゃないかという、いわば私の気持ちを持つようになったわけでございますが、その点につきまして中島参考人の方に、もし御意見がございましたら、この際お聞きしたいと思います。
○参考人(中島篤之助君) 私が、「むつ」が漂流しておりますときに実は調査団が——調査班というのが正確な名称のようでありますけれども、派遣されまして、それを受けてしゃへい技術検討小委員会等でいろいろ計算をされた結果を中間報告という形でたしか十一月の中ごろ発表されておるわけであります。しかしそれはいわゆるはっきり申しあげて、官庁の報告でありまして、われわれそれを読みましても、何といいますか、結果が書いてあるだけで吟味ができないような資料であったわけであります。最近になりまして、日本原子力学会誌に、たしか二月号に解説という形でそれらの結果がどういうことでこうなったというふうなことが発表されました。それから原子力学会が四月の初めに工業大学でございまして、私そこで実際に一連の御発表がありまして、「むつ」へ行かれた宮坂氏を初め計算をされた方々の御発表があるのを聞きまして、いろいろの実は疑問があったのが解けたということが現状でございます。やはり私の結論はつまり非常に不十分なデータであって、それはニュートロンが漏れたというぐらいのことは、これは確かに言ってよろしいんですけれども、それが十の五乗エレクトロンボルトであるとかなんとかということはとうてい言えるはずがないのではないかというふうに思います。第一に不備である点の第一は、これは調査班の構成でありますけれども、原研の宮坂氏以外は三菱の方が四人、それから石川島播磨の方がたしか二人、宮坂氏が入って合計七人という構成だったと思いますが、お持ちになっている測定器が非常に不十分である。一つの例を挙げますと、どう言いますか、測定器のキャリキュレーションができていない、ですからこれは、非常にこれは技術的な話になって恐縮なんですけれども、たとえば原子力学会誌に出されたものでも、たとえばTLDのデータ読み値——読み値そのまま、読み値というのが縦軸にありまして、それからBF3のカウンターにつきましてはこれは計数率というのが書いてありますけれども、ところがそういう発表がされ、読み値というのは、これは読み値でありまして、これはよくフォールアウトの実験なんかで空から放射能が降ってくるときに何カウントというのはこれは意味がないということは、このごろ大体常識になっているのですけれども、それと同じような値にすぎないのでありまして、それが物理的にどういう意味を持っているかということのためには、これは当然測定器のいろいろな中性子に対するエネルギースペクトル等々が計られていなきゃならない、つまりキャリキュレーションがされていなければいけないわけであります。にもかかわらず、どうしてああいう結果が出たか、これは結果を、実験値をそのまま使って出たのではなくて、あのしゃへい検討委員会のやつは、計算機をお使いになりまして、それで計算コードの計算値からどうもそういうことをおっしゃったらしいというのが、その当時はよくわからなかったんですが、原子力学会等の報告を聞いてようやく私はわかった。そうしてそのとき、同時にBF3カウンターはやはりこれも原研の同僚である小林君が船に乗っておって、そしてその使ったのを原子力学会に備えてキャリキュレーションした結果を原子力学会で発表されておるということは、十一月十五日にしゃへい小委員会が報告を出された時点ではそのBF3の較正実験は終わっていないわけでありますから、これはレスポンスのわからない測定器でもってお計りになった結果でもって非常に断定的なことをおっしゃってしまっておるということにならざるを得ないのであります。これは私の疑問であります。ですからそのほかにも非常にたくさんのそういう疑問がございます。それから第一、ああいうふうに計算機を使ってしかもそれにその実測値を当てはめるということをおやりになっているわけでありますけれども、こういうことは最近いろいろな科学のほかの分野でもやっておることでありまして、それ自体はかまわないのですけれども、そういう方法をおとりになったのが悪いということじゃないのですけれども、問題は計算にお使いになるモデルが正しいかどうか、それから使った計算コードが、たとえばどういうコードとどういうコード、二つも三つもコードがあった場合に、そのどのコードを使うのがよいかというようなことは、これは実は結論から申しますと、「むつ」のような複雑な体型で初めてそういうコードのチェックができるというのが私は正しい答えではないか、つまりやはり実験ということであれば、そのちゃんとした計測実験をやってコードの当否が判定されるべきものであるというのが私の考えであります。ところがどうもあの委員会ではそうではなくて、非常に不十分なデータを計算機を非常に、少し言葉悪いのですが、ひねくり回して無理に合わせる、しかも都合の悪いデータは知らばくれて、そして合った、合った。合ったというのですけれども、なぜ合ったのか全くわからない。これはモデルと実験結果を合わせる問題というのは、これはフィットの問題と申しまして、これはどういう方法を使うかということが、実は計算機を使う場合の一番基礎的なことですけれども、そういう吟味が非常に粗い、はっきり申し上げまして、と思います。私は決して遮蔽の専門家ではございませんけれども、何回も読みましてようやく話の筋道がわかるぐらい、あの報告はわからない、わかりにくい報告でございます。 それからもう一つ、申し上げておきますと、あのときに原研ではANISNとTWDTRANという二つのコードを使いました。それから船研の方では非常に最近竹内さんどいう方がPALLAS−2D−CYという新しいコードを開発しておられますが、たとえばそのPALLAS−2D−CYとというのは非常によいコードのように印象としては思われるのですけれども、原子力学会誌にはPALLASの計算結果とANISNの計算結果が黙って書いてあって、ところがそのPALLASの結果は全然お使いになっておらないわけなんであります。この辺のところも私はどうしてだかよくわからないというような疑問がございまして、これはやり方が悪かった、けしからぬというようなことを言うつもりはないので、やはり一番大切なことは、せっかく進歩した計算コードが開発されたのならまさにこの「むつ」のような大きな複雑な体系でこれをきちっとやる。それをやるだけでもやはり百五十億もかけてやった原子力船を開発した意味というのはむしろ初めて出てくるのであって、私はどうしてもきちっとした調査をしていただきたい。それと同様な御趣旨のことは大山先生も大変抽象的には表現しておられまして、改修の前には十分な再吟味の実験が必要であるということを書いておられまして、もしそういう御趣旨でおっしゃっているとするならば、私が大変こういう失礼なことを申し上げる必要はないのでありますけれども、そういうことを言いたい。それからもう一つ。これは戻って申し上げますと、さっき申しました「むつ」の調査班というのは実は原船事業団から派遣されたものだということを私うかつにも最近原子力学会誌を読むまでは知りませんでしたけれども、これですと、調査団の性格と申しますか、中立性と申しますか、これはたとえば水島の石油事故みたいなことが起こったときに石油会社だけの調査団だったらばこれは国民が納得しないというのは当然でありまして、当然政府なりなんなりが客観的な調査団を編成して御派遣になって初めて納得される、同じ結果が出るとしてもそういうふうになるというのが当然ではないかと思うのです。たとえば「むつ」の問題の場合も、これは大変失礼でありますが、たとえば大山先生が青森の現地に行かれて余り船に関係しなかった専門家の会議をお開きになるというようなことをわざわざおやりになり、その後立教大学の田島先生、服部学君などが一緒に行ってそれで漁民も一緒に見て初めて解決したというような経緯があるというのは、これは大変教訓的でありまして、そういう意味から言ってもこの「むつ」の調査班は私は不十分であると思います。だから少なくとも私の希望は、この大山先生の委員会で本当は調査団を派遣していただきたかった。それが諸般の事情ということをおっしゃる前に政府に対してやはりもう一度調査班を出してきちっとした調査を行うべきであるというふうに言っていただきたかったというのが私の感想、感じておることでございます。
○加藤進君 いまの点につきまして科学技術庁の立場から見てどういうふうにお考えになりましょうか、簡潔に答えてください。
○政府委員(生田豊朗君) ただいま中島参考人がおっしゃいましたこと、ただいまと前の塩出先生の御質問のときにお述べになったことは、私は専門家ではございませんけれども、大変共感を感じるところがございます。これはでき得ることであれば、やはりただいま中島さんの御指摘がありましたように、もう一度炉を動かしてみて中性子の測定をやってみるということが必要ではなかろうかと思っております。大山先生の委員会のメンバーの専門家の先生の中にも同様のことをお考えになっていた、あるいはおっしゃっていた先生が何人かいらっしゃったようでございます。ただ現実問題といたしまして、先ほど大山先生もおっしゃいましたように、いまこれで「むつ」の原子炉をまた動かすということになりますとこれはなかなか地元との話むずかしいわけでございます。私は素人でございますが、遮蔽をいまのままにしておいて、この前のときは出力一・四%で放射線漏れを起こしまして、そこでとめてしまったわけでございますが、もっと高い出力のところまで上げてみるというようなこともおそらくそういう試験あるいは研究の面から言うと必要なのではなかろうかと思っております。そういうことができるならば私どもといたしましてはぜひやるべきだというように考えております。ただ、諸般の情勢と申しますのは、そういう地元との関係でございまして、またもや原子力船が放射線をまき散らしているというようなことで、また大騒ぎになるということを恐れるのでありまして、理論的には中島参考人がおっしゃるとおりだろうというふうに考えております。
○加藤進君 もう一つの問題をお尋ねしたいと思いますけれども、報告書にも載せてありますけれども、大山参考人の午前中のお話しの中にも出てきたことでございますが、JRR−4をつくって遮蔽実験を行った結果中性子のストリーミングが起こっていることがすでにわかっていた。にもかかわらずこの実験結果が設計には生かされなかった、残念だという御発言だと思います。私はそのとおりであると思いますけれども、そこで私がお尋ねしたいのは、科学技術庁もこのことはよく御存じであったはずでございましょうと思いますが、こういうストリーミングが起こっていることがすでに実験結果としてわかっておるのに、何らこの意味で、設計の上でこれを生かすための措置がとられてしかるべきだと思いますが、その点はどのようにされたか、お尋ねしたい。
○政府委員(生田豊朗君) 私当時おりませんでしたが、その後いろいろ調べたわけでありますけれども、そのストリーミング現象につきまして新しい解明がされましたあと、特にそれを取り入れて設計の見直しをするというようなことをしなかったようでございます。この点が一番問題のところでございまして、大山先生の報告書の御指摘も、その点、つまり一言で申しますと、研究開発のシステムが非常に不十分であったというところを御指摘になっていると私ども感じておりますが、そういう点ではなはだ不十分であったと考えております。
○加藤進君 そこで中性子漏れの現象がすでにわかっていながら設計には生かされなかったとすると、その設計というものは一体欠陥がなかったと言えるかどうか。私は設計そのものがまさに欠陥設計になってきておるのではないかと考える点が一点、これをお尋ねしておるわけであります。 もう一つの問題は、午前中に内田参考人が、原子炉の安全専門審査会というものがそのような中性子の放射線漏れ等々を問題にするということは権限外であった、問題にすべき、いわば放射線安全専門審査会の問題ではないのだ、こういうことをおっしゃったわけでございますけれども、これがまた安全専門審査会の仕事ということから言うと、一体安全専門審査会というのは何を審査するのかと疑わざるを得ないというのがこれは常識的な立場でございますけれども、そうであれば、安全安全と言っていた安全審査をパスしたことにおいても、またこれは安全といういわば判断を下すことは不可能だという点では、私は安全審査そのものの体制こそまさに欠陥があったと言ってもいいのじゃないかと思うわけでございますけれども、その二点について大山参考人の御意見を承りたいと思います。
○参考人(大山義年君) JRR−4の実験結果が設計に反映していないというお話し、私どももそれを非常に遺憾に思ったと申し上げておりますが、これは先ほど中島さんが御指摘になりました。私ははっきり申し上げてストリーミングの計算その他については全く素人でございますが、それ以前の問題、たとえばその当時JRR−4でやった実験は御承知のようにスイミングプール型でございますので、高速中性子が皆熱中性子になっている。私どもの指摘したいことは、熱中性子として第二次の遮蔽の設計をやっていらっしゃるという点、これは私どもの指摘したいことは、そんなようなことも設計あるいは製作等長い期間の間に気がつかなかったというような状態が、いかに体制が、こういうナショナル・プロジェクトをやるような体制になっていないかということを指摘したつもりでございます。なお中島さんのおっしゃった中に、われわれが安藤委員会等の結果を用いて云々と申し上げましたが、われわれは何も計算しておりません。そういう意味で、本当にその問題、数値的、オーダー等について再検討すべきだという御意見は全く同感ではございますが、 〔理事杉山善太郎君退席、委員長着席〕 いまのわれわれの書きました報告の場合については、その数値を使って、あるいはオーダーがどうだとかいうような段階ではないわけでございます。 それから、第二番目の安全審査につきましては、これは私が御返答申し上げますより、政府筋の方が適当かと存じますが、私どもの報告会議も、これは午前中でもお話しが出たと思いますが、現在の原子力委員会の安全審査のやり方というのは、設計図面、その他のないときにやるので、こういう状態ならば安全だと、それをどう、厚みをどうするとかいうような問題をやっていらっしゃるそれ以前のことをやっていらっしゃるので、その点について、われわれはこの報告なり、そういう形じゃなくて、もう少し計算をチェックしてやるようにすべきであろうと申し上げておりますが、現在の時点では、そういう制度的にと申しますか、そういう形に安全審査をやっておいでになり、またその線に沿って安全審査会もそれぞれ進めていらっしゃるということだと思います。
○加藤進君 したがって今回の事故発生ということを通じて、厳しく問題が点検されたわけだと思いますけれども、安全審査だと言っているものが決して安全審査ではなかったと、こういう事実になってあらわれてきておるわけでございますけれども、これで、その点で中島参考人にお尋ねしますけれども、このような原子炉の放射能漏れ、放射線漏れというような事態をわれわれは厳しく考えなくてはならぬ。その点で一体どうすれば国民の納得できるような安全という点における審査が可能なのか、その点でもし御意見があれば、ひとつ建設的な御提案として承りたいと思いますけれども。
○参考人(中島篤之助君) 私、午前中の内田先生のお話しを聞いておりませんから、ちょっと先に、お答え申し上げる前にもう一つ確認したいのですが、たとえば今度の「むつ」の放射線漏れといったことは、基本設計ではないというふうに内田先生はおっしゃっておられるわけですか。
○加藤進君 基本設計の問題ではないと……
○参考人(中島篤之助君) 詳細設計とか、施工の問題であると、そういうことを。
○加藤進君 まあ言外にそういうことが言われておるのじゃないかと思います。
○参考人(中島篤之助君) わかりました。実はそういうことが、これは大山先生の報告書の中でも指摘されている現在の安全審査の一番大きな欠陥であろうかと思います。これはたとえば原子力発電所、この安全審査の場合に非常に重要なのは、「むつ」の安全審査をおやりになった、やはり安全審査会がどういうふうに原子力発電所の安全審査もやっていらっしゃるかということでありまして、そちらの方は、前私が新聞等で拝見しますと、それは通産省の方で詳細設計とか、竣工検査とかというのをやるから、したがって体制的にはそちらでカバーされるんだというような御答弁を何かどこかでなさったのを聞いておりますけれども、私はそういう、事が起こってからそういう御答弁をなさっているだけのことを繰り返してまいりますと、やはりこれ非常に国民の不信感というのはつのるばかりでありまして、どうも「むつ」の問題で非常に大きな問題が、やはりこの安全審査の問題ではないかというふうに考えておるわけです。この問題は、三年ほど前に学術会議が、実はシンポジウムを開きましたときに、内田先生にもおいでいただきまして、そのときに一つ明らかになった欠陥というのは、たとえば環境審査といったことが全然入ってないということが、これは内田先生自身からおっしゃっていただいて明らかになったことなんですけれども、何か歴史的に見ますと、だんだんだんだん何もやってないということが出てきているような感じがするのは非常に困ったことであると思います。つまり、環境審査やってないというのは、たとえば何と言いますか、いろんな地方へ参りまして、原発ができるところで反対運動が起こっていると、そこのたとえば漁民の方は、たとえば温排水がどうなるかということが非常に一番の関心事である。これは現在の安全審査では審査をしないことになっているというお答えをなさる。だから知らないと、だけども安全審査会を通ったから安全であるという主張がされる、この辺に非常におかしなことがあったわけですね。私は、そういう問題だけかと思って、今度のことはしかし少なくとも遮蔽のことであるから、私はやはり少なくも中性子が漏れるかどうか、つまり原子炉で、これは先ほどからの議論に関連して申し上げておかなければならぬのは、確かに漏れた放射線の量は、上甲板のエリア・モニターのアラームを鳴らした、ガンマ線という形でモニターを鳴らした量は、これは非常にわずかであって、これは確かにレントゲン診断一回分か二回分か知りませんが、まあ非常に小さいとしても、原子炉を設計して、ニュートロンが漏れるということは、これはそうちょっとした放射線漏れということではなくて、根本的な欠陥ですね。つまりこれはやはり設計に基本的な欠陥があったので、環境審査をおやりにならなくとも結構だし、それから詳細設計をおやりにならなくとも、審査されなくとも結構だけれども、やはり何といいますか、原子炉の基本的な構造といいますか、機能に関するような事柄についてぐらいがチェックできなければ、これは全く意味がないというふうにまず申し上げる必要があろうかと思います。当然遮蔽の問題というのは、これは基本設計にかかわるというか、これは前から内田先生がおっしゃっていることで申しますと、原子力委員会の安全審査会がやっておることは、原子力施設をつくると放射線が必ず漏れるのだと、ある量は漏れる。しかし、それが法律に決められたある値よりも少なければ安全とみなすと、これが安全の定義である。われわれがこういういわゆる原子力委員会の安全審査会の工学的安全性の定義に関して、これは非常に不十分だという批判をいままでずっとやってまいったのですけれども、依然としてそれが堅持されているとすれば、これはすぐ改めていただかなければいけない。今回の問題は、その工学的安全性さえもやっぱり崩れているということに結果としてはなっているということをきちんと認識する必要があろうかと思います。それで、じゃどうすればいいかという建設的な御提案ということでありますけれども、これは非常にむずかしい問題というよりも、まず安全だということは何かということなんですけれども、これには何をもって安全とするかという基準の問題があるわけです。この問題がまず原子力の問題では、いろんな意見を持った科学者の間で、まず意見の一致といいますか、これは多少の意見の食い違いは残しても、この点では一致したという点を明らかにする必要があるわけです。この問題が第一点だろうと思います。実は私、学術会議が前にシンポジウムを開きましたのも、たとえばECCSの問題について、評価の違っている科学者が、やはり意見を相互に闘わすということがまず第一に必要だと、その上で初めて安全という概念が確立するのでありまして、一方側の意見だけで安全だということをやってきたことがむしろ間違いのもとでありますから、まず、いろんな意見の科学者が意見を闘わして基準をやはりつくり上げていくということが第一に必要である。 それから次の点は、科学者が幾ら安全だと言いましても、住民が納得しなければ、残念ながらそれは安全にならない。ですから、これはどういう方法をとるかについて、私は具体的には考えておりませんけれども、たとえば公聴会もその一つでありますし、科学者が一致して、ここまでは安全なんだとみなされる事柄について、住民の何らかの形で同意を得る。これは大山先生の御報告の最後のところに非常に簡単に書いてありますけれども、何らかのそういう手続を制度的にといいますか、法制的にといいますか、要するにシステムとして取り入れないと、これは安全ということは確立しないのではないか。けさも原子力委員の方に私率直に申し上げたのですけれども、たとえば東京都内にも「むつ」の放射線よりはもっとエネルギーの高い高速の粒子線を出している研究所がちゃんとあるわけです。それは田無の原子核研究所でありますけれども、そこは非常に確かに厳重な防護をなさっていますけれども、私ども専門家の目から見ますと、かなりおっかない線が出ているということを、またこれ事実であります、構内においてですね。しかし、これは「むつ」のような騒動には決してならない。それはなぜかと申しますと、住民との間で一番最初に原子核研究所をおつくりになるときに、朝永先生がみずから住民と会われて、これはわれわれはこういうふうにしてやると、確かに危ないものなんだけれども、われわれはこういうふうにしてやるから納得してほしいということで、いわゆる合憲がやはりできておる。合意ができたら何をやってもいいということで、また核研がそういうことをおやりになっておるということを私は決して言うのではありませんけれども、そういうことが今後は朝永先生と住民というような個人的な関係でできたんではこれは困るわけでありまして、そういうことが国全体としてやはりできる。実は、それができないと幾ら科学者が安全だと言っても認められないものはやっぱり、不安だと思っておるものはこれは不安として残るというのが、これは民主主義のたてまえではないかと思いますので、私はそういうことが制度化されることが必要なんではないか。この二点を私は考えております。
○加藤進君 ありがとうございました。 最後に一言だけ。最後に長官にお尋ねしたいと思いますけれども、先ほどの報告書の信憑性という、信頼性という問題についていろいろ御意見を承りました中で、生田原子力局長もおっしゃいましたように、できるなら一度運転してみて調査のし直しをやる、まあこういうことが望ましいとこういう御発言がありました。そこで、私はそういうふうに御判断していただくほどの問題でございますから、安藤委員会の報告に基づいて「むつ」の改修計画を立てるなどということは、これは私は早計に過ぎるんではないか、むしろ調査をしっかりやっていくということが前提になっていかなくてはならぬのではないか。こういうふうに考えますけれども、その点についての長官の御所見はいかがでございましょうか。
○国務大臣(佐々木義武君) 御承知のように、「むつ」は燃料棒は抜くなということで、あらゆるがんじがらめの実は縛り方になっております。したがって、いまおっしゃるような調査はしたくてもできません、これは。それですから、そういう状況でそれをやれと言っても無理なんでございまして、そういうのは望ましいんですけれども、それできない環境にあるということを御理解願いたいと思います。
○加藤進君 この議論はまたいずれやることにいたしまして、参考人の御意見だけをお聞きしておくわけでございますけれども、無理だという点だけひとつこだわるんでございますが、中島参考人ちょっとよろしくお願いします。
○参考人(中島篤之助君) 中島です。 それは、私は何も青森で、現在協定がある青森の陸奥湾内でもってその実験をやるということになれば、これは確かに非常にむずかしいことがあろうかと思いますけれども、そうでなしに考えればこれはできるはずだし、第一改修ということ自体が、動かさないで改修ができると私は思いませんので、何らかの方法は必ずあるはずです。まあ非常に一つの案で、私もこれも昨年の十二月に学術会議の「むつ」検討委員会というので何人かの方に来ていただいたときに申したことでありますけれども、たとえばこれはドッグを使ってしかるべきところでそういう再実験をやるということは決して不可能ではない。そしてまた、それができなければ将来一〇〇%の出力で原子力船を動かすということはできるはずがないんではないかと思うんです。 それから、私は田島先生や服部君が行ってちゃんと説明をしたら納得されたということを非常に重視しますので、そういうことがやはり必要であるということを率直にやはり私は漁民の方に申し上げたらよろしかろうと、青森県民の方に申し上げたらよろしかろうと思います。大変個人的なことで恐縮ですけれども、私は再測定が必要だと思うということをむつの菊池市長には申し上げて、そのときは私はあなたは反対するなと言ったら、私はそういうちゃんとわかればそれはいたしますということは個人的には申しておられるので、それが初めから何かあそこは反対する、こわいのでがんじがらめというようなことは大変おかしいのではないかと、そういうふうに警戒しておられるのだったら今後の「むつ」の改修ということはとてもできないだろうと思います。
○加藤進君 ありがとうございました。
○国務大臣(佐々木義武君) 大変ありがたい御趣旨で、ぜひそういう方向に向かえるように学術会議でも御努力いただけると大変ありがたいと思います。
○小巻敏雄君 時間も後五分くらいになっておりますし、まだ御質問続くようですから、一つだけ長官の方にお伺いしておきたいと思うのですが、まあきょうの朝から特に内田先生にお伺いしたどころでは、やっぱり九月段階でまださまざまな調査が行われる前の段階でこの安全専門審査会としてやった審査の結果に対してこの事故は何ら影響をもたらすものではないと、とにかく安全専門審査会の中に見直さなければならぬようなことはなかったんだというのをきょうも御確認を求めてですね、それはまあ制度上安全専門審査会としては何らいまやり直すことはないのだということであったわけです。だから安全専門審査会としては正当な審査をして許可をして、その後で起こった出来事というものは、炉自身が安全専門審査会は通過しても大きな欠陥を持っておって、それもこの船上で補修をするはおろか、まあむつの港に、いま言われるようにがんじがらめでいなければならないような結果をもたらした。しかし、何らこれは原子力委員長に対して、この安全専門審査会が諮問した結果に対しては影響をもたらさないものだというようなことは国民的に見てとうてい納得できるところではないと、まあこう思うわけです。それから特にこの状況の中ですでに改修計画はまあ予算も組んで実験のところまでは年度内にやろうということで進んでおるのをお伺いすると、まあ上部の方には基本設計のところでも出てきたポリエチレンの問題が不十分だからこれを持っていくと、下の方にはどういうふうにやられるのか私どもにはとうてい想像も及びませんが、二重船底を利用しながら下の方に補強をすると、中ほどのところはこのボイドのところ十五センチぐらいあるのをこれを半分以下にすき間を詰めると、それは燃料棒も引き抜くことあるのかないのかですね、その母港に係留したままで行うというようなふうに一方では出ておる。まあ国民の大きな疑惑を持っており、根本的欠陥があると考えられており、設計上問題があったと考えられるこの「むつ」がですね、こういう状況で結局総点検、修理、実験航海という過程をとっていくなら、もはやこれは再審査という必要ないのか。この再審査というのはもしやるならどのようにしてやるのか。安全専門審査会ではやる必要はないのだということをもう明言をされておりますのでね、明確に。こういうふうな点について長官の方から再審査というようなものはもう必要なく、これは技術的問題として再度実験航海まで持っていかれるのか、結論次第ではやっぱり再審査が必要なのか、こういうことについてひとつお答えをいただきたいと思うのです。
○政府委員(生田豊朗君) このいわゆる安全審査ということでございますけれども、先ほど加藤先生の御質問の中にもありましたように、安全審査ということの意味がとかく不明確であったという点が従来あったように思います。つまり原子力委員会の安全専門審査会が行います安全審査が安全審査であるのか、通産省あるいは運輸省が詳細設計の審査あるいは工事方法の認可あるいは各種の検査をいたしますそれも全部ひっくるめて広い意味の安全審査であるのかどうかというこの二つの、狭い安全審査と広い安全審査が人によりましてかなり混乱していたというようなきらいがあったように思います。したがいまして、原子力委員会の安全審査、すなわち狭い意味の安全審査が終わっているから安全上問題ないという言い方は私は言い過ぎであったと思います。これはそうではないので、その安全審査どおりに詳細設計がされ、それから工事もされ、そのとおり検査も終わればそれで安全であるというふうに言うのが正しいのであって、その後段の方を抜かしてしまって、原子力委員会の安全審査が終わったからもう安全であるというのはこれは明らかに間違いでございます。したがいまして、これからその辺のところを明確にしていく必要があると思いますし、はからずもこの「むつ」の問題を端緒にいたしまして安全審査の一元化の問題が問題になっておりますので、これも何らかの形で一元化を図るべきだという考え方でございます。これをただいま内閣の行政懇談会で御審議いただいているわけでございまして実は本日これから、ただいま行政懇談会をやっているわけでございまして、そこに前回座長の有沢先生からの御指示がございまして、私が個人的にまとめました問題点のメモをきょうお出ししまして、実は本来ですと私が説明しなければいけないわけでございますけれども、国会で、説明できませんので代理に説明させることにしておりますが、その中の問題点の一つとして、どういう形で安全審査の一元化を図ったらいいかということで、幾つかのケースを想定しまして、その中にも問題点を提起をしてございます。それが御質問の第一の点かと思います。 それから、もう一つの、再審査をするかどうかということでございますけれども、放射線漏れが起きたから直ちに安全審査——狭い方の安全審査でございますけれども、狭い方の安全審査の再審査をするというふうには直ちには考えておりません。ただ、たびたび大臣も答弁しておられますし、先般も原子力委員会の公式の見解を発表いたしましたように、原子炉の総点検をすると、総点検は事業団がやるわけでございますけれども、その結果につきましては政府が責任を持って審査するということを態度を明らかにしております。したがいまして、そういう形では総点検の結果を全面的に審査するということもいたしますし、総点検、改修によりまして恐らく原子炉の仕様の変更が出てくるのではなかろうかと思います。出てまいりました場合には、当然安全審査のやり直し、再審査、やり直しと申しますか、再審査ということに相なります。これは制度的に申しますと設置許可の変更に伴う安全審査ということになるわけでございますが、そういう形ではいわゆる再審査と言われますものをやることになろうかと考えております。
○小巻敏雄君 ちょっと最後に一つ。 いま、ようやく科学技術庁の責任ある答弁として、安全審査の一元化という問題は今日の時点での急務になっておるということが言われたわけですね。しかしながら、これが実現するまでの間は非常に不十分な許可の段階までは設計図面もないものを、これを審査をして、しかもかなり遠慮しながら、この大山先生の調査委員会での三十二ページあたりで指摘されておるような問題ですね。許可までの段階では設計書面にも当たらない、しかもあとの詳しい設計工事の方法の内容までについて専門的な審査、点検するという点では、ほとんど「むつ」ではあとでどこにも責任ある人がいないんですから、こういう状況のままであったということと、しかも、申請者の側の計算を再計算によって確認するというような保証も準備もないというような状況が指摘をされておるわけですけれども、こういうような問題について、いま言われた安全審査の一元化というような問題が現に日の目を見るまでの間のいまの体制というのはどうなっているのか。これは「むつ」だけの問題じゃないんですよ。原発だってこの体制でやっているわけでしょう。許可までの間は何もなしで、いわば「むつ」と同じ状況でやっておると、いままで許可されたものというのはかなりアメリカのノウハウのあるものだから、結果的に見て「むつ」のような極端な姿で出ていないのであって、こういう根本的な欠陥、行政欠陥がそのままになって、そして、一方では事柄がなし崩しに進んでいくと、こういうようなことは許されないことではなかろうかと、その点でやっぱり原子力行政のこの安全審査の一元化の問題は、ぜひとも一切の今日の開発に優先をする課題として取り組むという問題だという点ですね、再度長官からお伺いをして終わりたいと思います。
○国務大臣(佐々木義武君) まさしく一番のポイントの問題でございまして、先ほど申しましたように、有沢機関がこの問題を中心にして、いま局長のおっしゃるように、いま検討に入っておる最中でございます。そう長い時間かかるとは思いません。ただ、その結論が出るまで従来のように基本設計は原子力委員会で、詳細設計あるいは現物の検査等はそれぞれの各省で、という体制でそのままでよろしいかというと、これまた確かに問題があるわけでございますので、もう少しシステマタイズして、仮に法的には権限が分かれておっても実質上の行政的な措置として、安全の方が主でございますから、それはどういうふうに根本的な改善できるまで、改善していくかといった点は行政措置としてもできるはずでございますから、十分各省とも相談いたしまして万全の措置を講じたいと思っております。
○中村利次君 中島参考人の御発言を伺って、いまちっとやそっとの時間ではこれはとてもとても質問やってもむだではないかという感じが非常に強くしたんですけれども、大変大事なことだと思いますから、まず最初に、高速中性子が遮蔽体の間隙から漏れたんだということ自体がこれは疑いがあるということなのか、あるいは漏れた数値ですね、これが疑いがあるということでしょうか、念のためにお伺いをしたいと思います。
○参考人(中島篤之助君) 中性子が漏れて、それがかなりエネルギーの高いものであろうということは言ってよろしいと思います。しかし、それが十の五乗——十の四乗から十の六乗であるとかどうかということについては、実験的な検証が必要であろうというふうに申し上げているわけでございます。
○中村利次君 これは基本的にそういう疑いがある、これは何も自然科学の分野だけではなくて、医学界であろうと、あるいは地質学、工学、いろんな学界の各分野で必ずしも学者間に意見の一致を見ないということはたくさんありますよね。この点はお認めになりますか。
○参考人(中島篤之助君) おっしゃるとおりであります。いろいろな意見があってよいと思います。
○中村利次君 そこで、これはそれなりにやっぱり学者諸先生方が自分たちの信ずる、あるいはこうであるというものに基づいたことをおやりになっておるわけですね。やっぱり原子力の平和利用というものはこれは特殊なものでありましょうから、したがって、これは非常になかなかそう他の学界、他の部門と同一視するわけにはいかないんでしょうけれども、どうもやっぱり、私がいつもこの委員会でも強調しますのは、そういうことがむしろ科学の進歩、科学技術の振興、開発につながらないで、国民の不安を駆り立てて、何がやっぱり科学技術の振興にブレーキをかけておる結果になると私は考えるんですが、そういう点についての御見解は中島参考人いかがでしょうか。
○参考人(中島篤之助君) 私申しました、これは学者の間にいろいろな意見があるということはそのとおりでありますけれども、実は今度のことについては私が疑問を提出しているわけでありまして、それは科学者というのは、これは何といいますか、測定された結果が客観的に科学者同士が認める範囲内で一致すれば、これは素直に認めるというのがまた科学者のルールと申しますか、そういうものであります。ですから、そういうふうに実はむしろなってない。私どもは大山委員会の報告についても、大山先生が非常に努力をされまして、短期間で突っ込んだ解析をされたことには敬意を表しているわけですけれども、今度は報告を出されるときに非常に何といいますか、重大な結論を導かれている過程でお使いになった資料なんかをつけていただければ大変ありがたかったというふうに考えておるわけです。そうしませんとわれわれ吟味ができない。そのことは実は先日、十一日に衆議院でそういうことを私ども申し上げた、私と東大の小野教授が申しまして、公開してくださるという原子力局長の御返事がありまして、大変喜んでいるわけでありますけれども、できれば最初からそういうものをつけていただいて、直接そのことにタッチしなかった科学者がやっぱりフォローして意見を出せるようにするというのが実は科学の進歩のためにはぜひ必要だというふうに私は思っております。
○中村利次君 これはバックデータを公表しろというのは私もこれはいろんな機会に、あらゆる機会にそういう御意見を承っておるんですけれども、非常に限られた時間内の質問ですから、短絡をしながら質問をすることになるんですけれども、この報告書は私は非常にこれはある意味では大いに議論すべきものもあると思うんです。たとえば事業団の組織運用面、研究開発面等についての問題はこれはただ単にどうもこういう問題が起きたからということでの発想で必ずしも結論を出すべきものではないし、これは四十三国会で原子力船の開発の法案が成立をしたときに、これは附帯決議つきでね。そのいきさつもあり、あるいは動燃事業団との関連もあるんです、これは。ですからこの性格についてはこれは立法府としても必ずしも議論なくまるのみにするわけにいかないものを持っておりますけれども、しかしながらこの放射線漏れの原因調査を目的としたこの報告書がただ単に放射線漏れの原因調査のみにとどまらず、技術的な問題のみにとどまらないで、本質的な諸問題にメスをお入れになっておる。まあ具体的にこうせいああせいということはありませんけれども、しかしいろいろな面についての提言もあるというんで、これは私もずぶの素人ですけれども、強くやっぱり原子力の平和利用に関心を持っておる立場からしますと、大拍手をしたいようないろいろな問題の提起あるいは提言等もございますし、非常に高く評価をしておるんですが、この報告書によりますと「原子力第一船「むつ」の研究開発がひき続いて推進されることを期待する。 なぜなら、資源問題において次第に危機にひんしつつあるわが国の国民が、エネルギー政策に関して、その針路を判断するときの重要な一つの根拠として、この研究開発の結果が必要であり、また、この種の技術開発は、長い年月を必要とし、いったん中止した後は、簡単に再出発できるものでないからである。」というような問題指摘もあるんです。ですから私はこの点について、中島参考人の御所見を承りたいと思うんですけれども、原子力船の「むつ」の研究開発を引き続いて推進すべきとお考えになるかどうか、いろんなこれは何か見解の違いもあるようでありますけれども、そしてその理由として資源問題において次第に危機に瀕しつつあるわが国の国民のためのエネルギー源をどこに求めるかということを含めてその必要があると、そういうものを期待するということに対して御賛同か、あるいはいやそうではないんだという御意向をお持ちか、まあ中島参考人は原子力研究所という大変重要な役割りを持った研究所の非常に重要な役割りを持った科学者でございますから、そういう点についての御所見を承りたいと思うんです。
○参考人(中島篤之助君) 問題二つあるかと思いますが、一つは、大山先生の方で出された報告の原子力船を開発する根拠として、これが将来原子力はエネルギーとして使わなければいけないということがあるんだということでおっしゃっているんだと思うんですけれども、その意味であれば、これは当然でありまして、ただ原子力船をつくることがすぐエネルギーになるということとは直接は結びつかないんじゃないでしょうか。私は原子力船の問題いまどうすべきかということについての私の意見を申させていただきますと、むしろ科学の実験としてきちんとしてやるということがなかった。ですからそれがいきなり何か船として実用化するということではあったのかなかったのか、実験船という名前がついているから、その辺が明確ではないのですけれども、率直に申し上げれば原子力船開発事業団というような形でもっておやりになったという点にむしろ問題があったんではないかと考えております。その原子力船をつくれるような技術的な力をどこかにきちんとつくるというような考え方がなかった、つまり科学の実験としてきちんとやるということがなかったということが非常に大きな欠陥ではなかったか。実はそうしておれば、はっきり申し上げて、あの放射線が漏れるというようなことは実験であれば当然なことでありまして、これは皆さんがお認めになると思うんですけれども、そういう体制として取り組んでおやりにならなかったことが今日のような事態になっている原因だと思います。 それでついでに申しますと、原子力船をつくるというと、いきなり竜骨を置いて船の建造を始めるというのが原子力船開発では決してないはずであります。まず原子力船の開発であれば、これはよく知られたことでありますけれども、まず第一に小型で堅牢な強力な舶用炉を開発するということが当然出てまいるでしょうし、それから制御関係の装置が陸上のものとは違っているということで、そういうものをどうやって開発するか、それから遮蔽であります。この大体三つが世界を通じて原子力船を開発するときの技術目標であろうかと思います。その三つのものを一つ一つステップとして積むということを実は日本ではおやりになりませんでした、残念ながら。今後もその点を戻るようだけれども、科学技術の実験だという立場であれば、やはりそれをやらなければいけないというふうに私は考えております。原子力船については私そういうふうに考えておりますということを申し上げれば十分ではないかと思っております。
○中村利次君 これは原子力船であろうと、原子力発電所であろうと、原子力の平和利用を全般的に私はこれは今日以降のエネルギー源をどう開発していくのかということに通ずるもんだし、その一環だと思うんですよね。原子力船はエネルギー問題にはいま関係ないんだということにはならないと思うんです。ですから、そういう意味ではまた短絡して申し上げますと、核分裂によるこのエネルギーを否定をするのか、肯定をするのか、このことが実はたいへんこれは肯定をする立場はいかにも安全性なんかは二の次にして、そうしてやっぱり開発をすべきであるという立場をとるように受けとられるのはまことに心外でありましてね、これは。安全性についてエネルギーの開発にしても、これはやっぱり人間のために、人類のためにやるんですから、人類に有害な開発なんというのは、私はこれはあり得ないと思う。またそういう立場からしますと、核分裂に対するエネルギーの求め方というのは間違いであるということになりますと、やっぱりしからばなぜ間違いなんだということを追及していかなきゃいけないんで、とてもじゃないけれども、これは短い時間には尽くすことはできませんけれども、まず原則論として核分裂によるエネルギーに対してどういうお立場をおとりになるのか、たまたまやっぱりそういう研究をされておる科学者ですから、お伺いをしておきたいのです。
○参考人(中島篤之助君) どうも私などが原子力発電なんかについて大変批判的なことを言っているということをどうも御承知のようで、そういうことをお疑いのようなんですけれども、これは大変な誤解であります。先日も衆議院でそういう問題がありまして、これは学術会議で大変な激論をいたしました。それからもう一つ申し上げたいことは、核分裂の原子力が本当に平和利用できるのかどうかということについては、これはアメリカの科学者なんかの中には、最近大変悲観的な意見が強くなっておりまして、それでこれはこの間来たタンブリンだけじゃなくて、相当ペシミスティックな意見と申しますか、そういうものが出てきておるというのがむしろ私は特徴じゃないかと思うんです。そのことについて、学術会議が議論をしまして、昨年政府にエネルギー問題ということで勧告したときの立場というのがございます。それをまず御紹介したいと思うのですけれども、これは将来のエネルギー源の中で最も有望な新エネルギー源が原子力であるということであります。ですから、この立場は多少いままでの電力業界等がおとりになっている立場とははっきり違っております。つまり、もう現在の原子力発電はプルーブンであって、直ちに実用化すべきものであるという考えはとっておりません。そうではありませんが、原子力、核分裂のエネルギーは否定さるべきものであるというような見解ではなくて、もっとそれは将来必ずわれわれは使わなければならなくなるものであるから、相当それが及ぼすべきいろいろな問題について、その安全、特に安全の問題についてまず研究することが非常に大事だと、研究を充実することが最も必要だ、そういうことを強調しておるものであります。それがまた同時に私の立場でもあるというふうに申し上げればよろしいかと思います。
○中村利次君 これは原子力の平和利用にしてもいろいろ種別がございまして、核分裂によるエネルギーの引き出し、あるいは核融合あるいは将来は太陽熱の利用までやるんでしょうけれども、しかし、われわれはまだ核融合、太陽熱というのは、これはまあ二十一世紀あるいはそれに近い人類のやっぱり課題だと考えておりますし、核融合や太陽熱がまたどれだけ人類に利益を与え、あるいは何かリスクもあるのかないのか、そういうことは全く私どもはわかりませんから、希望はこれ持ちますよね、前進させるためには、あらゆる科学技術の振興開発を図っていかなければならないというのは当然でありまして、またこの科学技術振興対策特別委員会そのものが、そういうものを私は追求していく委員会だと承知をしておるんですけれども、やはり私は決して特別の感覚を持っておるわけではないつもりですけれども、やっぱり国論を二分するような、世論を二分するような何か非常に危険だ、危険だとする意向、意見というものが非常に先行しまして、そしてそれは人間のための安全というものをにしきの御旗として、そういうものが大変に百鬼夜行をするような気持ちが私には非常に強い。たとえば、これは非常に失礼ですけれども、先ほど「むつ」の放射線漏れの原因についてお伺いをいたしましたところが、やっぱりそれほど、その後おっしゃったこの報告書は幻の報告書であるとなさるほどの決定的欠陥なんというものは、私は先ほどお伺いした限りではないと思うんですよね。それが十の五乗エレクトロンボルトであるかないかは別にして、この報告書が幻の報告書として何の価値もなくて、むしろ有害無益であるというものにはつながらないというような気がするんですけれども、いかがでしょうか。
○参考人(中島篤之助君) 私は先ほどそのようなことは申しておりません。私が申し上げたのは安藤委員会の報告が幻のデータであると申し上げたんでありまして……
○中村利次君 ああ、なるほど。
○参考人(中島篤之助君) そしてその安藤委員会のデータを、諸般の事情を考え過ぎになられて採用された、これはよくわかりますけれども、やはり残念であったというふうに申し上げたわけであります。それで大山先生もおっしゃいましたように、確かに数値を使った結論ではないから、そのほかの部分については私は評価できる面が非常にあると、むしろいままでこういう種類の政府関係の報告書としては非常に出色のものであるというふうに考えております。しかし、安藤委員会の報告を安易にやはりお受け取りになりますと、必然的にそこから非常に改修が容易だという結論が出てくるわけであります。これは数値を使わないでそういう結論が出てまいりますので、私はその点をもう一度吟味していただきたいと、実は大山先生の委員会の報告でも、改修に当たっては総点検それから再吟味が必要であるというふうに申されておりますから、そのことがきちんと守られれば、私はそれはあるいは杞憂かもしれませんけれども、そういうふうに申したつもりでございます。
○中村利次君 その問題については大変どうも失礼しました。これは思い違いでございました。これは私も再点検ができるもんなら、これは当然すべきであって、した方が一番いいと思うんですよ。しかし、やっぱり何もこの大山報告書べったりではありませんけれども、現在の客観情勢はきわめて困難であるというよりも、不可能であると思うんですよ。可能にする方法は私もないわけじゃないと思う。むしろこれは中島参考人もおっしゃいましたけれども、線量そのものは、「むつ」から漏れた放射線量そのものは、人体に重大な影響を与えるものではないことはこれは明らかだと、そうなりますと、いまだってこれは政務次官どうですか、「むつ」の原子炉を運転して再点検をすることは可能でしょう。合意があれば、地元の。そうでしょう、そうじゃないですか、そういう状態にあるんでしょう。
○政府委員(片山正英君) いまの合意があればそれは可能だと思います。ただ、いまの実験の中で〇・二ミリレントゲン、それがもう少し発動した場合にはさらに大きくなるという状況の中では、やはり総点検の中でこれやっていかなくちゃならぬと思います。
○中村利次君 それはよけいなことですよ、それはおかしいんですよ。とにかく運転を再開をして、再チェックをすることに合意が得られれば、これは可能でしょう。可能な状態にあるわけでしょう、原子力船「むつ」は。何も出力をもっと上げて、それから放射線漏れが人体や環境に影響を及ぼすようなところまで上げなさいと私は言っているんじゃないですから。とにかくいろいろなやっぱり問題があるんだと、あの調査についてはということでありますから、それじゃもう一回「むつ」の原子炉を運転して、そうして同じ状態をつくって、そうして再点検をすることは、いまの原子力船「むつ」の状態からすると可能だとするならば、これやる方法はあると思うんですよ、これは。そうでしょう。そうなるとなぜそれができないかというと、やっぱりこれは地元の反対でしょう。地元の反対はなぜかというと、やっぱりこれは先ほどから私が強調しておりますように、学者の先生方の中でも大変に何というんですか、鋭く対立をした見解が、非常に危険だ、むしろ私はそういう方たちがとにかく再点検をしろという説得をされて、その方がいまあなた原子力の平和利用については、いわゆる学会でも賛成、反対があって、マスコミなんかでもえらいでかでかとこれが取り上げられて、危険だ、危険だと言われるから、国民世論というものは、大変に危険だ、危険だと言って恐れているんですよ。むしろ、危険でないならば、あの程度の出力試験で危険でないんだから、ないんならば、むしろ批判的な、反対的な立場を持つ人たちが地元を説得をして、大丈夫なんだからとにかく真実を追求するために、少なくともあの程度までの試験運転をもう一回やって、やり直すほかないじゃないかという、こういうことが可能ならいいんでしょう、いいんでしょう。どうですか、政府は。
○政府委員(福永博君) まず、技術的な点から御説明申し上げますと……
○中村利次君 いや、いいか悪いかの結論だけでいいですよ。
○政府委員(福永博君) 合意があればもちろん結構でございます。
○中村利次君 それじゃあ中島先生いかがでしょうか、それは皆さんが、私はやっぱり学術会議なんかの方たちも地元説得に当たって、そして中島参考人がおっしゃるように、やっぱり事実の究明を、そうすると、これみんな合意しているわけですから、いかがでしょう、そういう行動を起こしていただく点については。
○参考人(中島篤之助君) その問題につきましては、国会等には送られてないかと思いますが、学術会議では、昨年「むつ」の問題が起きた後の六十六回総会におきまして「原子力安全の全般的な課題解決のために」という対政府勧告を採決いたしまして、それは政府に送っております。その中には、いまもし先生がおっしゃったようなことであれば、つまり、何か科学者が協力しなきゃならぬことがあれば、学術会議に正式に諮問をしてくれと、相談をしてくれと、そうすれば協力ができるというふうに申し上げてあります。残念なことは、その諮問をしてくださらないことであります。
○中村利次君 どうも前の科技庁の長官時代は、学術会議と大変どうも対立関係にあったようですけれども、しかし、やっぱり国民の皆さんには本当に原子力の平和利用について、何というのかな、それこそ幻の不安を与えるような、そういうばかげたことを避けるためにも、私はこれは大臣がいらっしゃらないでもそういうあれできますか、これはどうですか、やるべきだと思うんですよ、これはいいじゃないですか、あなた、反対の立場と、それから新事実を究明するために協力をしていただくことは、何も協力をしていただいてからひもがついて後になって困るということはないでしょう。これは、私は双方が合意をして——そういうやっぱり何か国民の皆さんが不安がるような、そういうことを双方がやり合う必要は全くないんじゃないかと思うんですが、どうですか。
○政府委員(福永博君) どうも大変サゼスチョンをいただいているわけでございますが、私、ここで考えておりますのは、実はこの議論のもとになりましたのが、中島さんからの御発言にありました安藤報告書は幻の報告書であると、全く信頼を置けないと、こういうことから発展したように了解するわけでございますけれども、また、それで中島さんが幻の報告書であるということを論拠としておられるところは、たとえばカウンターのキャリキュレーションができてないとか、あるいはTLDの云々といったようなことが挙げてございます。その辺は私、中島さんに一度報告書をよく読んでいただきたいと思うわけでございます。そういう意味でございますので、私自身は安藤報告書は、それは精度の問題については、いろいろと、非常に低い出力でやりましたので、御意見もございましょうけれども、基本的には十分信頼が置けるものと考えておるわけでございます。
○中村利次君 これは一つの手法ですよ、きょうは大臣ももう何か——こういうことになるから私は困ると思うんだけれども、何か向こうの方に行かれなければどうしても時間の繰り上げがつかないようでして、そういうことだから、いろいろな私はやっぱり追及が後を絶たないのであって、少しオープンになって、私は正直言ってどうも原子力に批判的な学者先生方は、大変ショッキングな表現を用いて、この科技特に参考人として来られた人たちのあんた速記録を読み返してごらんなさいよ、いかにも危険であるという印象を与える。それからこれはまともな学者先生というと、お前の表現はけしからぬと言っていちゃもんがつくと、そういうときには改めますが、そういう方たちは非常に、たとえば仮想事故の問題についても百万分の一、一千万分の一、一億分の一の可能性についても、いかにもこういうことがあるんだというような反対派の学者先生がおっしゃるのに対して、やっぱり一億分の一の可能性でも、その他の学者先生方も可能性を否定をしない。これじゃ国民が不安がるのは当然ですよ。もっと、そういうものは、やっぱり国民の前にすべて明らかにするという姿勢を行政府もおとりにならなきゃ、原子力問題で国民の合意を得るなんてことは私はむずかしいと思っている、そういう姿勢に転換されることを要望しますよ、私は。 それで、これは時間はまだ残っているんでしょうけれども、ここであと十分や二十分、三十分ぐらいこんなことを続けてみたってそれはもう全くむなしいものですから、次官もひとつ、これはずうっと続けて、相当な時間をかけて、この問題をひとつやろうじゃないですか、追求しようじゃないですか、委員長にもそのことを要望して、私の質問をこれで終わりますよ、さまにならない。
○委員長(中尾辰義君) ほかに御発言もなければ、本日の質疑はこの程度といたします。 参考人の方々には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。 本日は、これにて散会をいたします。 午後四時二十八分散会