予算委員会第二分科会 第3号
- 発言数
- 430 件
- 登壇者
- 46 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1975/02/26
会議録
○山本(幸雄)主査代理 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。 昭和五十年度一般会計予算中、外務省所管を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。清水徳松君。
○清水分科員 これは二月二十四日の新聞の記事ということになっておりますが、「政府筋が二十三日明らかにしたところによると、米国政府は、米本土向けに発射される大陸弾道ミサイル(ICBM)を探知するため、わが国に置いている米軍のOTHレーダーの送信所三カ所を早ければ三月ごろ、遅くとも六月末までに撤去する方針を通知してきた」という記事でございますが、これは非常に重要な問題でございます。これは事実であるかどうか。それから、もしそういう通知がされてきたというのであれば、どういう形でされてきたのであるか。そのことについて、こういう公式の場できちっとした答弁をお願いいたしたいと思います。
○宮澤国務大臣 政府委員からお答えいたします。
○山崎(敏)政府委員 政府といたしましては、わが国におけるOTHの施設の廃止に関しましてアメリカ政府からまだ正式の通知を受けておりません。ただ、二月十二日に発表されましたシュレジンジャー国防長官の年次報告によりますと、OTH関係の送信及び受信施設は、アメリカの会計年度の一九七五年度中、つまりことしの六月末までに漸次廃止される、フェーズアウトするという趣旨の記述がございます。したがいまして、そういう記述から見て、わが国に置かれておりますOTHの送信施設、これは三カ所あるわけでございますが、これがどうなるということにつきまして、早速アメリカ側に現在照会している次第でございます。まだ回答は受け取っておりません。
○清水分科員 これは大体いつごろまではっきりした答弁がもらえるわけですか。全然見通し立っていないわけですか。
○山崎(敏)政府委員 公表されましたアメリカの国防長官の国防報告の中でそういう方針が打ち出されておるわけでございますから、われわれも、もうすでにこういうふうに公表されておる以上、至急、アメリカ側としての方針、ことに日本に置かれているOTH基地に関する方針を承知したいということを申し入れておりますので、近日中に返事が参るものと期待しておるわけでございます。
○清水分科員 近日中に答弁が参るということでありますので、それを期待いたしたいと思います。 御承知のとおり、このOTHレーダーは、昨年七月、所沢と千歳と泡瀬、この三カ所に設置されておるということが確認をされたわけです。それでわれわれとしては、これは米国の核戦略体制の中に組み込まれておるものである、そういう明確な証拠であるということで即時撤去を要求してきたわけでございます。その理由としては、これはもちろん、日本の安全というものを第一番に考えたものじゃなくて、むしろアメリカの安全ということを主としたものである、そういう見地から安保条約第六条の違反になるのじゃないかというのが主なる理由であったわけです。これに対して政府側の方は、米国の核抑止力が日本の安全に寄与している以上は、この施設をわが国に置くということも日本の安全に寄与する一環であるという立場で、第六条違反にはならないという考え方のようであります。 しかし、いずれにしても、その後全国的にOTH撤去の反対運動が盛り上がってきておると思います。特に、関東における基地であります所沢市においても、全市挙げての反対運動が展開されておる。しかも、これを撤去して基地を全面的に返還をしてもらいたいという要望が起こってきておるということも、御承知のはずでございます。こういったような、OTH撤去、そしてまた所沢においては、基地を全面的に返還をしてもらいたい、こういう要求。しかもその要求に対して、付近の市町村こぞって、撤去要求、基地の全面返還ということを支持しながらそれぞれ意思表示をしておるわけでありますが、政府はそういったような動きに対して、どういうような対応をされてきたか、外務省としてどういうような対応をしてきたか、それをお伺いをいたしたいと思います。
○山崎(敏)政府委員 もちろん、一般的な問題といたしましては、安保条約の目的の達成に支障のない限り、基地の整理統合を進めることは、わが国の立場として望ましい次第でございます。 ただ、このOTH施設に関しましては、先ほど先生からもお触れになりましたように、政府の立場といたしましては、わが国がアメリカの核抑止力に依存しておる以上、この施設の存在はわが国の安全にも寄与するものであるという意味で、その設置を認めてまいったわけでございます。ただ、アメリカ側の戦略の上から、ほかのICBMの発射の早期探知の機能が発達して、このOTHを特に必要としなくなったという判断があるならば、それはそれで結構なことでありまして、そういうOTHの機能が必要でないという見地から、この施設について漸次廃止していくということは、われわれとしても歓迎するところでございます。 ただ、あくまでOTHの機能をやめるということでございまして、具体的な施設がどうなる、あるいはこれは、この前からも申し上げておりますように、そういうOTH関係の送信機能とともに通常の通信機能も備えておりますし、その通信施設そのものが他に転用されるかどうか、その他の点はまだ全くわれわれもわかっていないわけでございまして、直ちに物理的に施設が撤去されるというところまではなっていない点をひとつ御留意願いたいと思います。
○清水分科員 そうすると、OTH撤去あるいは基地の返還についての何らの動きもしなかったということでございますか。外務省としても、専門家ではありませんから詳しいことはわからないとしても、とにかくOTHというものが非常に危険な存在であるというように、国民の相当部分から受けとめられておるというこの事実くらいはおわかりだったと思います。そして実際、基地のある地方自治体を中心として、相当広範にわたりまして、OTH撤去要求の動き、それからまた、それを支援する多くの自治体からの要望がある以上は、それに対して何もしないで今日まで至るといったようなことは、われわれとしては考えられないわけでありますが、その点について、外務省は何らかの動きをいままでされておったかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
○山崎(敏)政府委員 政府といたしましては、OTHの施設が危険な存在であるとは考えていないのでございまして、むしろわが国の安全に寄与するというふうに考えており、またそういう見地からその施設の存在を認めておったわけでございます。したがいまして、OTHを早く撤去してくれという立場を政府としてはとっておらなかったわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、他の手段によってICBMの発射の早期探知の機能が行われるということになるならば、このOTHの施設が廃止されるということは、それはそれで結構なことであるというふうにわれわれは考えておる次第でございます。
○清水分科員 OTHは危険な存在ではないというようなことで何ら動きをしなかった、むしろ歓迎をしておったというふうに解釈してよろしいですか。
○山崎(敏)政府委員 われわれとしては、日本に置かれておりますすべての米軍の施設、区域は、日米安保条約の目的の達成に役立つものと認めて、これを認めておる次第でございますから、このOTH施設に関しましても、その一環として認めてまいったわけでございます。
○清水分科員 そういうようなお考えですから、OTHについて国会で論議されてから初めて——昭和四十二年にOTH設置についての事前通告を受けながら、それをどういうものであるかといったようなことについての検討もしなかった。OTHの実際の機能というものについては、皆さんの方も恐らく十分おわかりになっていなかったのじゃないかというふうに思います。だからこそ、技術的に専門部門である防衛庁にすらも全く知らされておらなかったというようなことも、議事録で明白なところであります。いま言ったようなお考えですから、安保条約上非常に疑義のある問題を、非常に疑義のある形で、大変無責任な形で対処されておったということになるのではないかというふうに思います。そしてしかも今度は、昨年七月になってOTHが国民の前に明らかになり、そして撤去の運動が起こってくると、それは安保条約体制下当然であるといういまみたいな考えで、そう強弁しながら国民の要求というものに対しては少しも耳をかそうとしなかったわけです。これはいまの答弁でも非常に明確にあらわれておるわけであります。 ところが、一方において、その要求が出てきたころには、アメリカにおいては、あのOTHの機能というものはほとんど役に立たないものである、確実にミサイルをキャッチできない、電波に非常に混乱があったりその他の不確実な要素がうんとある。またすでに人工衛星が上げられて、そっちの方がよほど的確にミサイルをキャッチすることができるというような状況になっておったわけでございまして、その点については、われわれ素人の方が、このOTHの問題がクローズアップされたころから、すでにそういう話を聞いておったわけでございます。 このシュレジンジャー米国防長官の国防報告書が出されたのは二月十八日ですか。ちょっとお伺いします。
○山崎(敏)政府委員 日付はたしか二月五日でございますが、発表されたのは十二日だと思います。
○清水分科員 シュレジンジャー国防長官の報告書が出されたのは十二日だそうでありますが、これによると、来年の六月までに全部撤去してしまおうという報告のようであります。それが一年間繰り上げになって、三月から六月の間に撤去してしまうということになったわけでございますが、その撤去する寸前まで、OTH撤去について何らの国民的要望にこたえるような動きを全然しなかったというのは、まことに無責任であると同時に、設置されたときも防衛庁にすらも通告をしない。そしてまた、いまのいま、来月から撤去が始まろうというのに、この辺のことについては皆さんの方は何らの動きもされないし、そしてまた様子もわからぬといったようなことでは、余りにも無責任のような気がするわけでありまして、その点は皆さんの方でどういうふうに思われているか、ひとつお考えを承りたいと思います。
○山崎(敏)政府委員 昭和四十二年に、このOTHの送信施設を設置したい旨、アメリカ側から通報がございましたときに、外務省としては、もちろん一応の検討をいたしまして、差し支えないというふうに考えた次第でございます。 ちなみに、米軍は施設、区域内においてこういうものを設置することについては何ら制約はないわけでございますが、新しい施設でもございましたので、念のためにわが方に知らしてきたわけでございます。当時におきまして、外務省としての検討はいたしましたが、防衛庁に対して通報しなかったということは、われわれとしても遺憾に存じております。 ただ、この問題に関しましては、昨年の七月に国会で論議がありました際に、政府もたびたび申し上げましたように、われわれとしては、OTHの施設はわが国の安全に寄与するものであるという見地から、積極的にその意義を認めてまいったわけでございます。また、これが働くことによってアメリカの核抑止力の効果を増し、日本の安全により寄与し戦争を防ぐ効果があるというふうに考えておった次第でございますから、外務省がこれについて撤去を求めるという態度をとるべきでもないし、とってもおりません。 ただ、先ほどから申し上げますように、他のICBM発射の早期探知機能が発達してこのOTH関係の機能が必要でなくなったというふうにアメリカ側において判断されるならば、それは結構なことであって、その関係の機能が停止されることについて、あえてわが方として異議を唱える立場ではないというまでのことでございます。
○清水分科員 異議を唱える立場じゃないという、そこを議論しても根本的に見解の相違があるわけですから、それはそれとして、アメリカのOTHを設置したり、あるいはまた撤去したりする場合に、皆さんの方で、OTHというものの機能について、あるいはまた意義について常に検討を加えておったならば、何とかもう少し早くこういうような動きというものをキャッチしてしかるべきじゃなかったか。ただ報告書を見て、ああ今度撤去するそうだという、最も責任のある外務省がわれわれ一般国民と同じような状態でおっていいものだろうかどうか、非常に疑問に思えてならないわけであります。 しかもそれは、立場は違うとは言いながら、しかし、政党政派を超越して、所沢、あるいはその他の千歳にしても沖繩にしても、この撤去については真剣な要望が出ておったし、その周辺においても、地方自治体は撤去に対する非常に強い要望を出しておったということは、皆さん御承知のとおり。したがって、相なるべくならばこういった要望にこたえてやりたいということで、少なくともこの基地というものはどういう機能を果たし、そしていつごろまでこれが設置されておるものだろうか、特にまた、人工衛星がすでに打ち上げられておって、そしてこのOTHのレーダー基地よりももっと的確にミサイルの発射を事前にキャッチできる機能を備えた設備が新しく存在することが、われわれですらもわかっておるわけですから、外務省がこれに対して全然無関心でおったということは考えられないような気がするわけですが、その点、全然責任を感じないですか。普通の一般国民が新聞で見るような、そういう段階に外務省があっていいものかどうか。私はどうも信じられないのですよ、その点は。誠意がないと言うよりほかないと思います。
○宮澤国務大臣 アメリカの国防報告書によりますと、他に代替の方法も発達してきたし、このOTHそのものは大気中の変化に対して敏感過ぎて欠陥があるというようなことから、いずれ段階的に廃止しようと考えていたけれども、下院の歳入委員会から強い意見もあって、一九七五会計年度中に段階的に廃止することにしたというような趣旨のことが書いてあったと思います。それから判断いたしますと、いずれはやめて他の有効な方法でやっていこうという考え方がずっとあったのであろうと思いますが、ただいまのお尋ねは、そういうことについてもっと政府が勉強しておれば、早くそれを日本側からも促進することができたはずではないか、ことに国会において御議論もあったことでございますしと、そうおっしゃいますことは、私はごもっともな御指摘だと思います。が、実はわが国の場合は、核兵器とか中長距離ミサイルとかいうものは、持つ気持ちは全くございませんことは御承知のとおりで、無縁のものだというふうに考えておりますために、その勉強をして向こうと対等の知識まで持つということは、事実上なかなかむずかしゅうございます。ことに、そこまでいきますと、また機密の保持という、好ましくない種類の問題を考えなければならぬということにもなりますので、そういう意味では、われわれが持たない、持ち込ませない、つくらないという決心をしておることから、どうも知識がはなはだ貧弱になる。持っている国の専門家と太刀打ちできるような知識をなかなか持てないということは、これはある意味では御理解をしていただけることであろうと思うのでございます。しかし、それでも勉強が足りないではないかとおっしゃれば、それはまさにそのとおりでありまして、事柄としてはもっとよく勉強しておくべきである、そういう心構えでなければならないと思います。
○清水分科員 時間がありませんので進みます。 この三月から六月までの間にこのOTHが撤去されるということは、外務省としてもこれはきわめて信憑性というか、実現性のあることと理解しておるかどうか、その点をお伺いします。
○山崎(敏)政府委員 新聞報道で三月から六月までというふうに報ぜられておりますけれども、われわれとしては、三月からということは特に聞いておらないわけでございまして、ただ、先ほど申し上げましたように、シュレジンジャー国防長官の国防報告によって、本年六月末までにこのOTH関係の機能を全部やめるということは書いてあるので、論理的に言えば、日本にある三カ所のOTH施設についても機能が廃止されるのであろう、というふうにわれわれは考えてアメリカ側に問い合わせておるわけでございまして、この点につきましては、アメリカ側の回答をもらいませんと、正式のことは申し上げかねるわけでございます。
○清水分科員 実現性がありと確信しておるかどうか。あやふやな情報ですが。これは、外務省としてどう見ているかによって、現地の市民あるいは各自治体としてもやはり非常に心配しておるところですので、その辺のところをもう少しはっきり確信のほどを知らせてもらいたい。
○山崎(敏)政府委員 シュレジンジャー国防長官の報告その他から見て、実現性のあるものと考えております。
○清水分科員 外務省は、この二月十四日に所沢市長平塚勝一氏から、「所沢通信基地の一部返遷(一時使用)の要請について」の要請文が出ておるはずですが、これは見ておられるのでしょうか。
○山崎(敏)政府委員 実は、所沢市長からのそういう要請書については、まだ外務省としては受け取っておらないのでございます。
○清水分科員 これは二月の十四日に、外務省、防衛施設庁、大蔵省等々に出されたものでございます。これは「所沢通信基地の返還については地元所沢市民はもとより県民ひとしく念願としており、絶えず返還要請をしておりますが、下記の事由により所沢通信基地の南部地区について早急に返還されますよう要請いたします。」という内容のものです。「下記」というのは、所沢基地の六〇%はもうすでに返還されておるわけですが、四〇%がいわゆる通信基地として残されているわけです。そのうちの約七万八千平米を、小学校や中学校、保育所、幼稚園をつくるためにぜひ貸してもらいたい。ということは、返還をしてもらいたいという内容のものであります。政府は、それを直接いま見てないとしても、こういうOTHが撤去される事態になったときにまだ見てないと言うから、これは答弁も恐らくされておらないだろうと思いますが、これに対してどういうようにお考えでしょうか。これは出ておるはずですから、ぜひ見てもらいたいと思うのですよ。
○山崎(敏)政府委員 二月十四日付ということでございますので、あるいは私たちの方にすでに来ておったかもしれませんが、私としては承知しておりません。いずれにいたしましても、所沢の市からそういう御希望があるということはわれわれも聞いております。ただ、いままでは、この点についてアメリカ政府の方針も確定しておりませんでしたので、われわれとしては回答することについて困難を感じておったわけでございますが、今回そういう方針も決まりそうでございますから、それを踏まえまして御回答申し上げるつもりでございます。 ただ、先ほどから申し上げますように、OTHの機能は廃止されることになるとは思いますが、具体的なその通信施設がどうなるかということ、米軍としてはいろいろな目的のために通信施設を使っておりますので、それがどういうふうに使用されるか、あるいはわが方に返されるかというふうなことについては、これからアメリカ側と話し合っていきたいと思っております。
○清水分科員 すでに返還をされた六〇%の基地跡地には、防衛医大、税務署、航空交通管制部、福祉産業会館。それから大蔵省関係、これは税務署ですね。それから公害研究センター。それから公園もあります。こういったようなことで、それぞれ国の機関を中心にしてその建設が決定をいたしまして、目下工事中のものもあるわけですし、完成したものもございます。ただ、この中で問題になってきたのは、小学校、中学校という学校の建設と、それから保育所、幼稚園、こういったような施設の問題でございまして、本来最初の計画のときには、返還された跡地の中だけで小学校、中学校、高校までも建てるわけですから、全部賄い得るというふうに総合的に計画を立てておったわけなんですが、それが今日に至って、その六〇%返還された跡地に建てられる小中学校、高校は、全部その周辺の住民のためにほとんど満杯になってしまうという事態が明らかになったわけでございます。これは所沢市だけの責任じゃなくて、これはみんなで協議会をつくって計画をつくり実施したわけでありますから、防衛庁も入っているし、それから大蔵省も厚生省も運輸省も県も市もみんな入っているわけです。ですから、これはいまになって責任のなすり合いをしたところで始まらない問題であろう。そしてたとえば防衛医大をつくるにしても、六百戸の付属の住宅が必要になるわけですね。それからまた公務員宿舎が四百十八戸も建てられるわけです。それからまた、その他のいろいろな厚生省関係、雇用促進事業団が九十戸ですか。それからリハビリテーションの宿舎等が三百戸。それから住宅公団が一番大きくて、全部で四千五百九十八戸というのがすでに返還した基地の跡地につくられるわけなんですが、それに見合うところの小学校が二つ足りないわけです。中学校が一つ、それから保育園が二つ、幼稚園が二つ足りない。所沢じゃ、この小中学校、それに保育園、幼稚園のめどがつかないと、これらの建設はストップだということで暗礁に乗り上げておるというのが今日の状態。だからこそ、何とかひとつ残り四〇%の基地の一部返還をしてくれ、貸してくれ、こういうような要請になってあらわれているわけなんです。ところがいままでは、OTHの撤去のめどが立たない間は皆さんの方はだめだだめだと、そういう答弁しか恐らくなされなかったんじゃないか。しかしこのままで済まされる問題ではなかろうと思う。防衛医大の開校はわれわれは賛成しておりませんが、とにかくそれもできない。それからリハビリテーションも動かない、航空交通管制センターも人がいなければ動かない、そういう状態でありますので、これを何とかするためには、OTHのあった残り四〇%のこの基地というものの一時使用なり返還なりは絶対必要だということになろうかと思いますが、その点について、外務省ひとつその辺についてのいささかの理解がないかどうか、その辺のところをお伺いをいたします。だめだと言ったんじゃだめですよ。これはもう絶対に何にもできませんよ。
○山崎(敏)政府委員 外務省は手足を国内に持っておりませんので、現地の事情については必ずしも詳しくないわけでございますが、御趣旨のような事情は防衛施設庁では承知していると思います。したがいまして、いまおっしゃいました点は、防衛施設庁にもよく伝えまして、またアメリカ側とも相談してまいりたいと思います。 ただ、施設の返還は自動的にやるというふうにいまの時点でお考えいただくことは、ちょっとわれわれとしても困るわけでございまして、この施設そのものは、もともと安保条約の目的の達成のために提供しているわけでございますから、その点も勘案いたしまして、防衛施設庁とともにアメリカ側と話し合ってまいりたいと思います。
○清水分科員 時間がありませんので、このことについては、いままですでに返還された跡地の利用すらも円滑にいかない、そういう状況というものをよく理解されまして、降ってわいたチャンスといったような感じもするわけですから、これは、OTHは賛成とか反対とかという見地を別にして、とにかく、OTHが撤去された以上はもう要らない、返還の余地というものはうんと出てきたわけですから、その辺のところは外務省は前向きに真剣にやっていただかないと、ほかの役所が大変迷惑します。防衛庁も、それから大蔵省もみんな迷惑しますから、ぜひその点は積極的に前向きに取り組んでいただきたいと要望いたします。 それからもう一つ。余りOTHの問題で外務省が情報不足で希望のないような話をするものですから、千五百万円を使っていま電波障害のための処置をやっております。工事中です。それも、OTHが六月までぐらいに撤去されるということになれば、そんなのは要らなかったんですよ。この総需要抑制の中、予算のない中を千五百万円まるでむだ遣いをしたというような事態も出ておりますので、時間があればもう少し言いたいところでありますが、この程度にして、そういうむだも皆さんの不勉強のおかげであるということを御承知願いたいと思います。 これでもって終わりますが、答えだけはしてください。
○山崎(敏)政府委員 電波障害帯の共同電波塔をつくるのがむだな金になったというお話でございますが、先ほどから申し上げますように、この送信施設は通常の通信機能も兼ね備えておりますので、果たしてすぐ撤去されるかどうかもまだわかりません。したがいまして、いまの段階で、果たしてむだな金であるかどうかということも言いかねると思います。ただ、皆さんの御要望をわれわれも承知しておりますし、そういう地域の教育施設や福祉施設のために、ある一部なりとも利用できるかどうかということは、われわれも、もちろん国民の立場に立ちまして、防衛施設庁ともよく相談した上で、アメリカ側にも話してまいりたいと思っております。
○山本(幸雄)主査代理 これにて清水徳松君の質疑は終わりました。 次に、山原健二郎君。
○山原分科員 昭和三十六年四月十九日の調達庁の告示四号、それから昭和四十七年六月十五日の防衛施設庁告示十二号、これにつきまして質問をいたします。 この問題は、すでに私も数回取り上げてまいりました。四十七年の十月から三月にかけまして取り上げてきたわけですが、これは、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二条の規定によりアメリカ合衆国が使用を許されている施設及び区域について提供及び共同使用等が決定された、こういうものです。私どもしばしば政府側に対して質問をしまして、この規定は明らかに公海、公空については適用はされないものである、こういう主張をしてまいりました。それに対して政府側からも一定の見解が表明をされて、安保条約六条並びに地位協定二条によって公空、公海を規制することは間違いである、こういうことを言われたのですが、その後この告示についての何らかの変更が行われておりますか。
○奥山説明員 御質問の告示の件でございますが、従来の告示では、日本国の領域の施設及び区域と領域外の区域とを区別しないで告示を出しておりました。そこで、御指摘もございましたので、昭和四十八年の八月四日に、防衛施設庁告示第十四号をもちまして、二つの範疇に分けて告示をいたしました。一つは、地位協定第二条の規定に基づきアメリカ合衆国が使用を許されている水域及び空域という範疇でございます。第二は、日本国の領域近傍におきまして、船舶、航空機等の安全を図る等のために、区域を指定してアメリカ合衆国が使用する水域及び空域という区分にいたしました。その二つに分けて区分をいたしております。
○山原分科員 告示十二号によりますと、これは沖繩に関係しておりますので沖繩協定との関係がありますが、ホテル・ホテル、あるいはインディア・インディア、マイク・マイク、ゴルフ・ゴルフ、その他、沖繩北部訓練区域、沖繩南部訓練区域があるわけです。それから告示四号によりますと、これは本土関係でありますが、チャーリー、フォックストロット、ゴルフ、リマ、キロ、デルタ、こういうのがありまして、これはいずれも特に本土関係の場合はほとんど全部公海、公空ですね。そういう点で私どもは、公海、公空をこういう規定によって制限をするというのはけしからぬ、こう言ってきたわけですが、いまお聞きしますと、四十八年の八月四日に告示の訂正をしておりますが、これすら、一昨日来、私、該当地域の各県に、特に水産関係の各県に連絡をしてみますと、そういう告示の変更になったことをまだ知らないんですね。いままでどういうふうに言われてきたかというと、安保条約という国の政策によって公海が制限されておるんだからやむを得ない、こういうことで漁民の中にはあきらめがあったわけですが、それが二十年も続いて、そして今度一昨年の八月にやっと変更になる、こういう状態です。しかし、そのことも知らないということにも問題があるわけですけれども、同時に依然として状態は変わっていないわけですね。これは表現上の変更が行われたわけですね。実態は全く変わっていない。どうですか、変わっていますか。
○奥山説明員 御指摘のとおり、実態は従来とは変更されておりません。
○山原分科員 この前の、ちょうど一昨年のこの予算委員会におきまして、私が質問しましたときの答弁をちょっと読み上げてみます。これはこういうふうに言っておられるのです。これは政府委員平井(啓)さんですが、われわれもかねてから関係者の声を尊重しながら、また在日米軍の実態の変化等をつぶさにながめながら、海上の演習場につきましても解除と申しますか、使用しないような折衝を従来とも続けてきた、こういう答弁がなされているわけです。だから、単なる表現上の問題ではなくて、これらは、たとえばリマあるいはチャーリーにおける米軍の演習がどういう様態を今日示しておるのか、そういうものと、その実態の変化等をつぶさにながめながら、解除もしくは使用しないような折衝をしていく、こういう折衝はなされたでしょうか、今回の告示の変更の際に。
○奥山説明員 告示の変更と海上演習場の整備ということは別の問題と考えております。告示の問題につきましては、公海上の演習場を施設、区域として提供することに疑義がございましたので、公海上と領域内とを分けました整備をいたしたわけでございます。そこで、海上演習場の整備につきましては、これは別途所要の検討を続けてまいったわけでございます。
○山原分科員 別途所要の検討とはどういう機関でなされておったのですか。
○奥山説明員 リマに関しまして申し上げますと、リマにつきましては、昭和四十八年の四月の十一日に施設委員会に対しまして全面返還の要求をいたしました。その四十八年の四月十一日の要求に対しまして、六月十二日に米側から、その返還はできない旨の回答がございました。したがいまして、直ちに七月二十三日の覚書をもちまして、リマの演習場区域は漁場といたしまして非常に利用価値が高いので、漁民の要望も非常に強い、したがって、米側の演習任務遂行上に支障のない範囲で一部の縮小方を決めたという経過がございます。
○山原分科員 その縮小方に対してどういう回答でございましたか。
○奥山説明員 この日本側の提案に対しまして、ただいま日米の機関におきまして討議中でございまして、日本側はこちら側の実情を詳しく説明しておるという段階でございます。
○山原分科員 これは外務大臣にもお願いしたいのですけれども、その縮小というのは、地域の縮小ですか、それとも期間の縮小ですか。
○奥山説明員 区域の縮小でございます。
○山原分科員 期間の縮小はお考えになっておりませんか。ちょうど三月、四月、五月、六月、七月、まさにこれはカツオの最盛期ですね。どうでしょう。
○奥山説明員 期間の縮小につきましては、かつて昭和四十一年の十月十七日に提案をいたしまして、四十二年六月八日に合同委員会で決定がされましたわけでございますが、それによりまして、従来は月曜日から土曜日までの制限でございましたのを、月曜日から金曜日ということにいたしまして、土曜を除いたという経過がございますので、期間についての折衝はいたしておりません。
○山原分科員 在日米軍の実態の変化等、つぶさにながめながら、海上の演習場につきましても、解除と申しますか、使用しないような折衝を行う、こういうふうに言っています。私はこの答弁は非常に不十分だと思いますけれども、しかし一応の前進した発言だと思っているのです。ところで、今日米軍はどの程度の演習をやっているのでしょうか。
○奥山説明員 実はリマの演習は常時制限区域になっておりますので、演習の通報がその都度発出されないという事情がございますので、正確にその演習通報に基づく利用度というのは把握できないという状況でございますが、各種の情報によりますと、ただいまリマは月平均約十一日、十日くらい使用しておるというふうに承知しております。
○山原分科員 月平均十一日と申しますと、年間百日を超すわけですね。それが現在でも行われているのでしょうか。大体そういうことですか。
○奥山説明員 ただいま私どもの得ました情報では、そのように承知しております。
○山原分科員 自衛隊の演習はどれくらいですか。
○友藤説明員 自衛隊は、リマ区域におきまして、艦艇、航空機によりまして射撃投下訓練をやっておるわけでございますが、年間約七十日から百日程度実施をいたしております。
○山原分科員 現在におきましても、昨年、四十九年一月から十二月まで、海上自衛隊が四十四日、航空自衛隊が五十二日というふうに私は承っておりまして、合わせて九十六日、ほぼ百日、米軍も百日を超す、二百日を超す演習が行われておる、こういう状態だと思うのです。 大平外務大臣は私に対する答弁でこういうふうに申しております。「何としても漁業者の利益と航行の安全、訓練の実施というような点に最大限の調和点をどうしたら見出せるかというような点は、確かに御指摘のように大きな問題であろうと思いますので、検討させていただきたい」、こういうふうに言っておるわけです。したがって、この告示四号、告示十二号の変更に当たりましては、これは単に表現の変更ではなくして、大平外務大臣の答弁によりましても、この調和といいますか、そういう点ではいままでのままの状態が内容として存続することではなくして、ここに何かの変化を加えたいというのが私たちに対する答弁であったわけです。だから私どももそれを期待しておったわけですが、事態は一向に変化してない。 これは外務大臣にお伺いしますが、前の大平外務大臣はこういうふうにお答えになっていますが、実際に米側との折衝において、本当に戦争が済んで三十年も経過して、なおかつ公海上が線引きされて、しかもそれは日本の漁民にとっても重大な漁場である。しかも最近は、御承知のように、瀬戸内海等の汚染によって沿岸における漁獲というのが非常に大きな制約を受けておる事態の中で、当然日本国として強力な折衝をしてこれを返還をさす、あるいは使用制限をさすということが必要だろうと思いますけれども、それについてどういうお考えを持っておられるか、お伺いしたいのです。
○宮澤国務大臣 従来から縮小につきまして米側と折衝をしてきておるよしでございますけれども、満足の結論を得ておりません。ただいま御発言の御趣旨ごもっともなことでございますので、使用の実態等を勘案しつつ今後も努力を続けてまいりたいと思っております。
○山原分科員 表現上の変化ではありますけれども、公海、公空におけるものは安保条約六条、地位協定二条によるものではなくなってきたわけですから、表現上はその変化があるわけですね。そうしますと、漁業制限法の場合、漁業制限法は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に基づき日本国にあるアメリカ合衆国の軍隊の水面の使用に伴う漁船の操業制限等に関する法律、こうなっているわけであります。こうなりますと、このように表現上変化した場合には、リマあるいはチャーリー、これらは公海ですから、安保条約六条、地位協定の二条によって規定されるものではないわけです。そうしますと、この漁業制限法がリマやチャーリーに適用になるのかどうか。私は、法律の文章づらから見ればそれは非常に解釈としてはおかしいと思うのですが、これはどう解釈されているのですか。
○窪田説明員 先生のお話しの漁船の操業制限法の第一条を見ますと、在日米軍が水面を使用する場合、必要があるときは操業の制限をし禁止する、こうなってございまして、実はこの法律は、昭和二十七年に水産庁関係の方の御研究の結果できた法律でございますが、当初から公海上、領海を問わず適用があるというふうに運用されています。
○山原分科員 この前もそういう解釈をされておるのですけれども、いま私が読み上げましたこれは第一条じゃないですかね。
○窪田説明員 第一条でございます。
○山原分科員 一条ですね。これによりますと、「安全保障条約に基づき日本国にある」となっているのですけれども、「日本国」と言えば領海、領空ですわね。公海、公空の場合は、この法律の第一条からすれば、いまおっしゃったことは少し拡大された解釈になるのじゃないかという質問ですが、いかがですか。
○窪田説明員 「日本国にあるアメリカ合衆国の陸軍、空軍又は海軍が」、すなわち在日米軍が「水面を使用する場合において」というふうに私どもは読んでございます。
○山原分科員 それで時間をとるとあれですから、その解釈は、そうすると、日本国にある在日米軍が使うところはどこでも漁業制限ができると、こういうわけですか。
○窪田説明員 私どもはそのように考え、運用しております。
○山原分科員 だけれども、その前に「安全保障条約に基づき」というのがあるんですね。だが、これはちょっと時間がかかりますから、また日を改めて……。私は少し無理な解釈ではなかろうかと思っているのですが、そのことはいまおきます。 それから、同じく第一条に、「陸軍、空軍又は海軍が水面を使用する場合において、必要があるときは、農林大臣の意見をきき、一定の区域及び期間を定めて、漁船の操業を制限し、又は禁止することができる。」こうなっているのですけれども、これは漁業、漁場というものを守る立場にある水産庁として、実際に農林大臣の意見が聞かれたのか、あるいはその際に農林大臣としてどういう意見を出されたのか、これを伺っておきたいのです。
○平井説明員 ただいまの御質問でございますが、われわれは文書では照会はなかったというふうに聞いております。ただ口頭で、内容は変わらないけれども、これはどうかという御意見がありまして、われわれの担当は、それでは結構だとお答えをしたというふうに聞いております。
○山原分科員 頼りないお話ですけれども、あれだけ問題になって、そして表現上も、日米安保条約第六条、地位協定第二条に基づいてやるというのは、公海、公空の場合はおかしい、これは政府側も一致した見解です。それから法制局も一致したわけですね。だから変更する。で、変更するわけですけれども、その際に漁業制限法がどうなるかということは当然問題になるわけで、私がいま申しましたような、漁業制限法第一条にはこういうふうに書いてある、一体これはどう解釈すべきかという問題を含めて、現在この漁場の問題で、特にリマ、チャーリー、それからフォックストロットあるいはキロなども、みな千葉県あるいは伊豆半島沖とか土佐沖という、もう黒潮の本流の一番魚の回遊しているところですから、当然、外務省なら外務省が折衝される場合には農林大臣の意見を聞く、農林大臣はこれに対して、口頭でやるなどというものではなくして、本当に文書をもってこの日本の漁民の漁場、ことにリマのごときは、県議会の満場一致で四回も決議をして、撤去をしてもらいたいという強い要請があるわけですね。そういう日本の漁民の、あるいは日本の該当自治体の見解に対してこたえるという姿勢がなぜなかったのか、私は非常に残念であります。そういう点で、当然農林大臣としてはこれに対する意見を出すべきであるし、また外務省もこれを折衝する場合には、そういう意見を背景にしなければ、ただ魚がとれるところを何とかしてくれぐらいでは、引っ込むような相手じゃないと思うのですよ。だから、撤去しないとか、あるいはいま言われた区域の制限も、恐らくアメリカ側は納得しないと私は思うのです、こういう状態であれば。そういう点での強力な交渉というものが必要になってきているのじゃないですかね。その点、大臣、いかがでしょうか。
○山崎(敏)政府委員 この点は御理解願いたいと思うのでありますが、一般国際法から申しましても、公海の一部を使用して海軍や空軍等が演習を行うということは認められておるわけでございます。ことに、日米安保条約の目的を達成するためにアメリカが日本周辺の公海においてそういう演習を行うということでありますれば、わが方としては、これを容認し、また協力する立場にあるわけでございます。ただ、もちろんそういう演習が公海の一般の船舶の航行の安全に支障のないようにし、また漁業操業についても損害を最小限度にとどめるべきであることは申すまでもございませんので、この点については、防衛施設庁その他でいろいろ御配慮してやっておるわけでございます。したがいまして、政府といたしましても、そういう使用の実態を常時フォローいたしまして、ある程度区域を制限するとかそういうふうなことは、今後も努力してまいりたいと思います。ただ、一般的にそういう演習をやってはいけないという立場は、われわれとしてはとっておりません。
○山原分科員 アメリカの立場に立つこともないわけですよね。何十年もたっているわけですから、一挙にはいかないかもしれません。しかしながら、本当に農林大臣の意見を聞いて、それを反映させていくというのが漁業制限法の第一条の趣旨じゃないのですか。それすら口頭でやるなんという、そんな甘いものじゃないと私は思うのですが、そこらに問題があると思うのですね。 それから、漁船の損害をこういうことによって防除すると言っていますが、もう何十年もそこに入れないのですから、損害も何もないわけですよ。初めから大きな漁獲ができないという損害を受けているだけなんですよ。こういう状態にあるわけです。事実上もう入れないのです、常時制限区域ですからね。しかも、そこにおける演習も、どんなものが行われておるか、日本国政府すら知らないという。常時制限区域であるから、そこでどんな演習が行われておるか実際わからぬわけでしょう。いまもお話にあったように、ほぼ月平均十一日という程度のことしかわからないわけですね。これではいけないと思います。そういう意味で、きちんとした折衝をしていただきたいと思うわけです。 そこで、この海上における演習の状態ですけれども、これはわれわれにも全くわからない。常時制限区域における演習は政府も知らないということですが、今度横須賀へ入りましたプランジャー号ですね、これについてちょっと聞きたいのです。 これは二月十八日に入ってきております。外務省に対しては約十日間停泊するということで入ってきて、それが突然二月十九日の夕刻出港しています。この四日間このプランジャーはどこへ行ったのかわかりますか。そして二十四日、一昨日また入港している。こういうことはしばしばあるのですか。入ったり出たり勝手にしているのですか。
○山崎(敏)政府委員 仰せのとおり、プランジャー号は十八日に入港いたしまして十九日に出港し、再び二十四日に入港してまいりました。その入港の都度、日米間の取り決めに従いまして事前にその通報があったわけでございます。ただ、十九日に出港いたしましてからプランジャー号がどこへ行ったかということは、私たちとしては承知しておりません。
○山原分科員 シードラゴンが一昨年入ってきましたときにも、そのときはたしか、これは月を忘れましたが、九日に入って十一日ですか、入ってきますと同時にすぐ出港したわけですね。そしてあのときにはたまたま、チャリー区域で日米合同演習が行われておるという事実がわかりました。そのときに、私どもの質問に対しても、防衛庁の方では、こういう対潜訓練は今後も機会があれば実施をしたい、こういうふうに言っております。そしてこの経過から見まして、米原潜を対象とする対潜訓練が日米合同の形の演習として常時行われているのではないか。今度もこのプランジャー号が四日間姿を消している。最初は十日間停泊するというのが突如いなくなる。そして数日すると帰ってくる。この間に何が行われているかも全くわからないのですね。そばにはチャリー区域がある。相模湾は依然として米潜水艦の行動区域になっている。そうしますと、ここで演習が行われたのじゃないか、場合によっては日米合同演習が行われたのじゃないか、こういう疑問が出てくるのも、前の経験から見まして当然です。そういう事実はないのでしょうか。
○友藤説明員 日米共同演習につきましては、今年度第二回目の演習をこの二月の二十日から二十四日までの間実施いたしております。
○山原分科員 日米合同演習がその間に行われているわけですね。
○友藤説明員 さようでございます。
○山原分科員 プランジャー号は参加していますか。
○友藤説明員 艦名については、まだ米側から正式の通知はございません。
○山原分科員 それはどうすればわかるのですか。
○友藤説明員 現在問い合わせ中でございます。
○山原分科員 これでは、日本国の主体性というものは、非常に希薄になってくるわけですね。これは演習が行われている。プランジャーは入ってきて突如出ていった。四日かして帰ってきた。私は、その間に、いまのお話によりましても、演習が行われたのではないかと思うのです。この事実については、防衛庁として調査をして報告していただきたいのですが、いかがでしょうか。
○友藤説明員 上司とはかりまして調査をいたしたいと思います。
○山原分科員 最後に。このプランジャーが停泊をしました場合に、原子炉をとめていなかったんじゃないか、こういうことが言われているのです。その真偽のほどは私にももちろんわかりません。けれども、エードメモワールによりますと「てい泊後間もなく停止され、また、通常、出港の数時間前に始動される。」こういうふうにエードメモワールはなっているのです。ところが、そのエードメモワールの前に外務省が発表しました「米国原子力潜水艦について」という昭和三十八年六月五日の説明書、これは国会にも提示されておりますが、それによりますと、こういうふうに言っているわけです。原子力潜水艦の出入に当たりましては、「原子炉は碇泊後直ちに停止し、また出港の数時間前に始動させる。」これが国会に説明された。直ちに停止するということです。ところがエードメモワールでは、これは後退をして、「てい泊後間もなく」というふうに修正されている。この間の事情を聞きたいということと同時に、この停泊をして直ちにとめるかどうかということの点検はどこが行うのですか。今度のプランジャー号に対して行われておるかどうか。最後にその点を伺っておきたいと思うのです。
○山崎(敏)政府委員 原子力潜水艦がわが国の施設、区域に入港いたします場合の基準としては、仰せられておりますエードメモワールに書かれておることに従って行われるわけでございます。その点につきましては、いまお読み上げになりましたように、「原子炉は、通常、てい泊後間もなく停止され、また、通常、出港の数時間前に始動される。」ということになっておりまして、これがアメリカ側の運用の態様であると承知しております。実際にその原子炉が動いておったかどうかということは、外務省としては承知いたしておりません。この点は科学技術庁の方の御担当でございまして、あるいは科学技術庁の方では調べておられるかと思いますけれども、これも別に中へ入って見ておるわけではないと思いますので、その点を承知しておられるかどうかということは存じません。
○山原分科員 最後に。原子力潜水艦が停泊しても、原子炉がとまったかどうかも点検することはできない。外務省はわからないと言うし、科学技術庁に聞きましても、その点はわかりませんという昨日の答弁でございました。そうすると、日本の国としては、エードメモワールに書かれておることだって、実際実行されておるかどうかということも米任せということになりますし、それから先ほど言いました演習の問題にしても、戦後三十年経過した今日でもなおかつ公海航行が制限を受けて、それで日本漁民が被害を受けるというような状態は、これは一刻も早く改善しなければならぬと思うのです。もう時間がありませんから、最後に大臣に、私が質問しましたことについてどういうお考えでございますかお聞きして、終わりたいと思うのです。
○宮澤国務大臣 わが国の安全保障上の利益と、その他の国民たくさんが持っております多くの利益との調整の問題になるであろうと思います。私どもといたしましては、最小限の安全が確認される限り、なるべく国民の多くの人々の利益を増大していくという方向で今後ともやってまいりたいと思っております。
○山原分科員 終わります。
○山本(幸雄)主査代理 これにて山原健二郎君の質疑は終わりました。 次に、安宅常彦君。
○安宅分科員 私は、きょう、韓国に対する民間借款の問題について具体的な例でもって説明をし、対韓経済援助というものを再検討すべきではないか、こういうことを中心にして質問をしたいと思います。 早川、太刀川両君の釈放後、でっち上げ事件だということを知りながら、釈放していただいたのはありがとうございますなんて言って、またまた韓国一流の駆け引き要求にこたえて、そうして、日韓定期閣僚会議や、あるいは韓国が要求する二億一千五百万ドルの借款供与などをさらにやろうとしている。このような汚い政治的な駆け引きや、それからこの間私が総括質問で暴露したように、政財界との癒着、こういうものによって南朝鮮の人民の経済に全然寄与をしていない。これは、私がこの問題で数年間しつこく予算委員会で取り上げているのですが、こういう、政府に警告しておるとおりのことが全くまたそのとおり行われようとして、私、非常にこういうことには憤激を覚えているのです。朴政権の権力者の利益だけが先行して、リベートは横行し、政財界の癒着をさらに深めるだけじゃないですか。それは韓国の経済五カ年計画視察団が報告したことにちゃんと書いてあるし、外務大臣が、人道上の問題だということを理由にして、全文公表を拒否している韓国の不実企業の実態にあけすけ書いてあるものですから、こういうことは日本政府はすべて知っていることなんでしょう。あなたの方で公表しまいとしようと、私の総括質問における要求が満たされない限り、これは私の自由だと思っておりますが、こういうものを明らかにしたならば、日本政府も困るし、韓国の政府も困るでしょう。しかし困らないのは、日本の国民と韓国の国民ですよ。こういうことを基礎にして、きょうは、そういう書類には書いてないまるっきり別の例を挙げて、不実企業の起こる原因、その実態、その末路、こういうものを具体的に申し上げて、政府の責任を追及したいと思っているのです。 まず、第一番目に聞きたいのは、日韓条約締結当時の、いわゆる経済援助協定の民間借款三億ドル以上という、その枠のうちに入っておって、かつ韓国の第二次経済開発五カ年計画の一つの事業である電力開発、その必需品であるところの碍子、瀬戸物の碍子、これは基幹的な産業です。この韓国国内の生産を目指そうということで、韓国政府の肝いりもあって、新韓碍子工業株式会社に対してあなたの方でやったらどうかということで、日本の輸銀の融資を使用して、これを愛知県の朝日碍子株式会社の技術設備をもとにして、川崎重工、それから輸出の業者は日商岩井を通しての輸出プラントは現在どのような結末になっているのか。 私どもの調査では、初めから操業もできずに、社屋だけは——朝日ジャナルだかどこか、一九七三年にちょっと書いてあるんですよ。そうしたら、あわ食ってそのときかっこうだけつけてみたり、いろいろな細工はしているんですが、とにかく輸出したプラント類は、五年前に船積みを完了しているのです。ところが、その設備類は今日そのまま埠頭に積んであるのもあるし、これは朝日碍子の重役の方からいろいろ聞いてみたんですが、まだ完成していない。完成に近かったわけですが、その会社の中に梱包のまま眠りっぱなし。そしてその経営者といいますか、企業者はまる裸になって、韓国の事情で管理を任せられた韓一銀行の管理に入って、新しい経営者を任命して、いま投資者を探しているんです、だれかおりませんかと。こういう状態になっているということをあなたの方で知っているんでしょうか。 これが「企業体現況説明書」というものです。韓一銀行が出したりっぱな印刷物です。そしてこの中には、宋という人なんですが、「この人が在日僑胞であるために国内の資金を調達することができなくて、そして操業ができなくなった、したがって、大変りっぱな技術であり、世界の最高水準のものである、どうかひとつどなたか投資経営する人はいないでしょうか」とすばらしい印刷で書いているんです。こういうものを出している。あなたは知っているんですか。外務省、どうです。
○鹿取政府委員 いま先生の御指摘のございました新韓碍子工業の件でございますけれども、これは第一回の日韓定期閣僚会議におきまして……。
○安宅分科員 知っているかどうかだよ。時間がないからね、三十分しか。
○鹿取政府委員 知っております。
○安宅分科員 いつから知ったのですか。
○鹿取政府委員 私ども、先ほど申しましたように、第一回閣僚会議におきまして、二億ドルの限度を輸出信用に設けまして、その枠の中で承認が行われた。その承認が行われたのは六九年であるということは、その当時から知っておりました。
○安宅分科員 あたりまえじゃないか、そんなことは。こういう状態になっていることを知っているかと聞いているのですよ。質問に対して答弁してください。時間がないのです。
○鹿取政府委員 それから、昭和四十五年、国内の資金が不足になりまして事業が中断されていた、そして昭和四十八年韓一銀行の管理下に入って再建中であり、近く操業再開の予定であるということを承知しております。
○安宅分科員 操業再開のときは、技術協力をする会社はどこになる予定でございますか。
○鹿取政府委員 操業再建の場合の技術者につきましては、日商岩井、川崎重工がもともとやった案件でございますので、その関係のものであるというふうに考えております。
○安宅分科員 朝日碍子が協力しなければできないでしょう。前からの契約がありますね。コミッションのこともあるし、そうして川崎重工も、それから日商岩井も、そんな技術は持っていないでしょう。朝日碍子の方では、何だ、くそ食らえと言っているのですよ。どうして再建できるのですか。そんな分析はどこから出てきたのですか。
○鹿取政府委員 外務省といたしましては、いままで私が申し上げましたことと、それから問題は、先ほど申しましたように、延べ払い資金……。
○安宅分科員 ちょっと待ってください。済みませんけれども、技術協力の会社が選定されているのか。再建の準備をしている、その予定だと言うから、それを聞いているのですよ。
○鹿取政府委員 その点については、私どもの方は具体的には承知しておりません。
○安宅分科員 技術協力する会社がなくて、どうして再建できるのですか。何を言っているのですか、あなた。余りなめないでくださいよ。これは重要なことなんです。——まあいいですよ、あなた、そんな知らないというのだもの。 それで、こういうことになった原因は幾つかあるのです。まずその一つには、契約成立から輸出承認まで大体二年有余要っているのです。これはなぜかということを調査してみたら、日本碍子株式会社などが通産省に圧力をかけて、上品に言えば働きかけまして、プラントそのものの輸出に反対している。当時の通産省の、名前まで私申し上げることができるのですけれども、そういうところに相当うるさく圧力をかけた。これは当時の通産省の課長さんや日商岩井の内部の人たちが言っていることです。あるいはまた、朝日碍子の人たちも、迷惑がかかっているのですから言っているのですが、率直に申し上げて、日本碍子が自民党の早稻田柳右エ門さん、それから佐藤さんという代議士、岐阜の出身の方ですか、おられますね。この人を頼んでいるんですよ。この人たちが悪いことをしたというのではありません。とにかくその人たちを使ってやった。それでたまりかねて、通産省のその当時の課長さんが——まあきょうは、通産省筋ということにしておきましょう——輸出業者である日商岩井や、あるいはその当時韓国から来て、なかなか許可が出ないものですから奔走しておった、恐らく宋という人だと思うのです。この人たちに防いでくれということを要請しているのですよ。業者はそのために、韓国に大きな発言力のあるある政治家に頼んだけれども、それでも、通産省が二、三カ月でこれはオーケーだというふうに言っていたのが、二年もおくれているのですね。これは非常におかしいと思うのです。日本碍子が日本の碍子の七〇%のシェアを占めておりながら、韓国で安いものができたりなんかした日には自分の方が不利益になるということで、心死になって働きかけているのですね。だから、そういうことを考えたならば一体どうするかということは、きょうは時間がないから言いませんよ。まずそれが一つ。 第二には、その間、あるいはまた建設中のウナギ登りの韓国のインフレ、これをうけにして二年間もおくらせられた。これは重大なことなんですね。建設資金は何割もなっています。それから余利の重圧に耐えかねた、これがあるんですね。この金利の問題については後で申し上げます。 第三部目には、日本開発銀行に相当する韓国の産業銀行というのが、一九七〇年六月三十日の理事会で、韓国の国内資金の融資というものを決定しておきながら、その金を出さなかったのですよ。その理由は、私ども、日本に発行されている雑誌やあるいは情報や、向こうのいろいろなそういうものを探ってみますと、銀行の幹部などから数千万ウォンの現金でのリベートを要求されているのです。そうしたら、韓国の通例で申し上げますが、この新韓碍子の場合というふうに特定はしておりませんけれども、たとえば銀行の総裁にリベートを出すと、その次には経済企画院のだれかの親類の人だなんだと言って、砂糖にアリがたかるみたいにして何人も来るものだから、これはかなわないというので、それを拒否しているのですね、よく調べてみたら。そうしたら、ああそうかというので、もうあなたは要らないよと言わんばかりで、数字を詳しく挙げる時間がもうないのですけれども、結局、先ほど言ったようなインフレや何かの関係で余裕もなくて、リベートなんかは出せなかったし、ついにその年の九月、韓国内の建設業者に対して発行した手形が不渡りになった。これが三番目の理由なんです。韓国では不渡りを出した者は刑法の対象になるんですよ。日本みたいに会社更生法だとかなんとか調子のいいことにいかない。うろうろしていられないのです、会社の再建に努力しますなんて。直ちにやられるのですよ。あなた方はそれも知っているのでしょう。だからしようがないから、この人はまる裸になって日本に来ていますよ。 こういう事情をあなたは知っているのですか、政府。外務省、輸銀の総裁、知っていますか。自分の方で金を貸したのですからね。それから、通関、つまり輸出関係を扱っているのは通産省でございましょう。簡単にひとつ願います。
○鹿取政府委員 外務省としては、そのような詳細な点については知りません。
○橋本(利)政府委員 ただいまの延べ払い輸出の承認が非常におくれたという御指摘についてのみお答えいたします。 当時、碍子の製造業界におきましては、特別高圧碍子以外は中小企業者がその生産を主として行っておるわけでございまして、急速に体質改善を図る必要があるという点から、四十年度から一カ年で……
○安宅分科員 いや、知っているかと言うのですよ。そんな言いわけ、私は何も聞こうと思っていませんよ。三十分しか時間がないのですよ。
○橋本(利)政府委員 三菱商事がおくれた理由といたしまして、近代化計画を進めておりますので、その間本国におりまして、韓国から日本向けに普通碍子と申しますか、特別高圧碍子以外の製品が輸出されてきた場合に、日本の中小企業界が非常に混乱に陥るということで要請がございましたので、その内容等について検討し調整する機関が必要であったために輸出承認の発給がおくれた、こういう事情でございます。
○安宅分科員 あなたそんなこと言うなら、当時の課長さんの名前まで言いますよ。何ですか。それは日本碍子が中心になって反対運動を起こしているのですよ。日本碍子は中小企業ですか。零細企業ですか。そんなことありません。日本の碍子産業の七〇%のシェアを占めているのですよ。先ほど言ったように、朝日碍子なんというのは数%のシェアしかないのです。これはあなたの方では、韓国と約束したとこう言うけれども、日本碍子も、その次の大東というのですか、これもちょっと大きいのですが、そこでも拒否して、結局朝日さんに川崎重工が頼んで、そうして日韓の国交が樹立されたんだし、国策に沿ってがんばってみようということでひとつ理解してくれというふうに言われて、よしきたというので、余裕もないけれども、当時朝日碍子はその気になってがんばったのですよ。その専務さんなんか向こうまで行って、百メートルのトンネル——これは窯ですから、トンネル窯を竣工して、火入れ直前までやってきて、日本に帰ったら病気するほど難儀をした。にもかかわらず、こんなばかなことがあるかと言って、非常に感情的になっていますよ。そういうことを、あなた方は、よけいな聞きもしない答弁でごまかそうなんてだめですよ。 それから私、役人の人から、どういう御質問でしょうと盛んに来る。あなたもそうです。皆答弁で責任逃れする。外務省知らないと言うのですから。あなた方、交換公文を結んだり協定をしたりするのが外務省でしょう。外務省には国際協力課があるんじゃないですか。何を調べて何をやっておるのですか。そんなばかな外務省がありますか。 私どもは、この問題については、非常におもしろいことを知っているのですよ。これは自民党さんなんかも言っているのですからね。この経済援助については、一府、これは総理府だ。三府四十三県じゃないけれども、一府五省四庁、経済企画庁、科学技術庁、環境庁、行政管理庁、部局は七十、課に至っては三百十三が関係している。ばらばらです。それに輸銀がある。基金がある。これらの人々は、商取引でございますから、商業の取引の秘密でございますから、国会議員の皆さんといえども、どういうことになったかは資料は出せませんと言う。国民の税金が一年間で一兆円を超す金がどんどん出ておるでしょう。私が国会で論議をする場所を要求しているのは、宮澤さん、そのためなんです。こういうばかなことをされて、それであたりまえな顔をされては私は困るのですよ。 それから四番目に問題にしたいのは、輸銀使用の許可条件です。これは非常に重要だと思うのですが、日本の場合には、延べ払いの場合に、輸出業者が輸入業者から一〇%の頭金を取ることを要求していますね。通産省、そうでしょう。だから、そういうことになりますと、この場合は二百九十九万九千五百、ちょっと、そのくらいのドルなんですがね。それを満額、韓国はそのような外資をそろえなければだめだというのが韓国の条件。日本では頭金一〇%取るのです。合わないわけですよ。だから仕方がないから、その新韓碍子やあるいは日商岩井、相談をしてどういうことをやるかというと——これは日商岩井だけじゃありませんから、日商岩井を非常に批判するという意味じゃありませんけれども、その商社は必ずそのドル一〇%を調達しなければならないのです。日本では調達できない。いま為替管理はどうなっているか知らぬけれども、そのころ非常に厳格だったはずですよ。ニューヨークの日商岩井にそれをやらせて、そうして貸して、結局、結論から言うと、時間がないから言いますが、日商岩井は国際金融業者に早変わりするわけですよ。いいですか。そうして韓国政府には、外資全部一〇〇%そろいましたという証明をつけて申請書を出す。日本には一〇%天引きされた、危険負担はやっていますから大丈夫でございますという書類を出す。そうして二つの申請で出さなければならない。そうして調達した金は、いかにもそれはドルでその業者が日商岩井などから調達した額のごとくごまかして、虚偽の申請書を出さなければならない。こういうことになるのですね。これはどうなんですか。大変違法な問題じゃないですか。これはどういうことですか。
○澄田説明員 輸銀の総裁澄田でございますが、私の関係する範囲についてお答えを申し上げます。 本件につきましては、いま御指摘のように、頭金一〇%というものを入金しなければならない、それが条件になっております。したがいまして、輸銀の融資の場合に当たりましては、そういった金が入ったかどうかという証明書を付するわけでございますが、本件については、調べてみましたところ、日本の第一銀行、これはこの件の幹事銀行でございます日本の第一銀行に、輸出貨物の代金の前受け証明書というものを、その金が入ったからそういう前受け証明書を出した。実態は、その新韓碍子から四十四年九月十日に第一銀行本店の日商岩井の勘定に入っている、そういうことで輸銀としては融資をいたした次第であります。
○安宅分科員 それは形式ですね。ニューヨーク日商岩井からこれは調達したことは明らかです。そんなのが許されるかというのですよ。どうなんですか。質問内容どうでしょうかと聞きにきた人に私言ったら、そういうことがあったかどうか、いま調査中でございます。調査した結果どうなりました。
○宮原説明員 お答えいたします。 ただいまの御質問の頭金の点につきましては、日商岩井の方から聞いたところによりますと、日商岩井のアメリカ法人が韓国の法人に融資を、金をつけてやったということは聞いておりますけれども、それは別の目的の金だということです。
○安宅分科員 そんなことありません。少なくとも先週の金曜日には、私が質問することを日商岩井が知っているということは重要です。そして、こういうからくりを暴露されたら対外経済援助ができなくなるので、何とかなりませんかと私のところに来ているのですよ。うそ言っちゃ困るよ。重要なことじゃないですか。何ですか、あなた。 そこで、時間がないからあとは具体的にずっと言いますよ。結論的に言うならば、不実企業というのはどういうことになっているかということですが、こういうことさえも起きているのです。日商岩井じゃないですけれども、一般的に商社がやっていることは、こういう抜け道を利用して製品にかぶせておるのですよ。だから単価がべらぼうに高くなるのです。金利も高い。アメリカが正式に決まった金利のほかにコミッションを要求していますしね。全部高くなっていく。たちの悪い商社だと、今度はそれを利用して香港の自分のダミーのところに送金させて、そして韓国の要人にドルで政治献金をしておる。いまや日本でなんかやらないのです。海外にドルを逃避さして、たとえばスイスあたりにそれを貯金しておけばオーケーだ、こういう形。これは韓国で非常に忌みきらっていることです。有力な連中がみんなその手を使ってそれを援助しておるのですよ、日本の業者なり輸銀は結果的には。そういうことから、これは公然の秘密になっていて、日本を非常に非難する、こういう状態になっているのです。時間がないから答弁要りません。 結論的に言うならば、不実企業というのは政府、輸銀、基金などが——金融そのものは韓国の国立銀行との契約だから、韓国の銀行がつぶれないうちは元利ともに間違いなくずっと返ってくる。返ってくるけれども、韓国の銀行は取れないわけよ、新韓碍子なんて動いていないのだから。そうですな。そうすると、元利合計がみんな韓国の国民の負担になる。韓国の国民が借金を背負わされたことと同じになる。日本の方は左うちわで利息つきで金は返ってくる。それで私の方は間違いなく金は返っております。こういうことよ。そうしたならば、これは韓国側が泣き面にハチで、日本側はけろっとしている。こういう対外経済援助というのは、あとは野となれ山となれという言葉がありますけれども、それをろくに監査もしないで、実情も知らないで、知っていても知らないふりをして、そういうからくりの手続までさせておいて、国会での論議は事を構えて拒否するなんというのは不届き千万だと私は思うのです。 外務大臣、私がそういう機関をつくれとか場所をつくれと政府に言っているのは、そこにあるのですよ。特に新韓碍子の場合も、表面は六%の輸銀の融資で援助したことになっているのですけれども、そういう一〇%の頭金やら反対運動への経費やら、韓国側から要求される賄賂やら、あるいは韓国内のインフレやら、そういうことで諸経費がぐんと上がって二百九十九万ドル、そのほか建設資金四十五万ドル、利息などを合わせて三百八十万ドルくらい行きそうだという計画。結局、先ほどの経費などから五百万ドルを超しておるのです。だから、地下鉄の車両が倍になったりするのは不思議でなく、あたりまえになっているのです。この場合もそうなんですよ。いいですか。こういうことを私は具体的に皆さんに知ってもらいたいと思うのです。ツケは全部あちら側、こっちの方は左うちわ、こんなばかなことはない。国民経済が自立するようにするために経済援助を行っておりますと言うが、そうじゃないのです。まるきり反対です。基幹産業である電力の開発のために碍子を輸入する、これは困るから国内で生産しようと意気込んだのが、まだ韓国は全部輸入に頼っておるのです、この工場が動かないから。 それは結局どういうことになるかと言いますと、これは本当におもしろいのです。韓国の不実企業というのは、大臣、なかなかつぶれないのですよ。なぜつぶれないか。創業当時にやった功労者は、途中から政府の権力者の縁故の関係とか何かというやつが入ってきて社長になって、ほとんど追っ払われるのです。そのときの出しぐあいによってあれだが、ほとんどそうです。そして不実企業になったものは、政府の権力者の関係が入ってきたのだから、今度手厚い援助を仰いだり、あるいはどこかと合併したりして、不実企業というのはなかなかつぶれないことになっておるのです。これが韓国の不実企業の特色です。だから、そういう三〇%とか四〇%くらいずつ政府出資しておるいろいろな銀行がありますが、こういう銀行がアップアップしておるわけです。こういうのが特色なんです。そういうことは、あなたの方で公表をはばかっておる「不実企業の実態」の中に詳しく書いてあります、あけすけに。大臣おっしゃったとおり。 こういうやり方は、ちょうど大阪城が完成したときに、逃げ道の通路をつくったやつは首をばっさり切られたと同じでんです。たとえば元北大の研究室の有名な科学者であったキム・チョルウという人が、浦項の製鉄所の火入れ式、完工式直前に逮捕されて、そして新日鉄の社長だとか偉い人は皆全部最高の勲章をもらって、その技術者は追い出される。余り内情を知り過ぎるとポイなんです。それはスパイだとかなんとかいってやられる、こういう仕組みになっておるのです。 このことを考えてみた場合に、私は今度はこういうことを全部追及します。対外経済援助というものは、私は言うならば新しい植民地侵略だと思うのです。こんな援助は国民の恨みを買うだけですから、ぜひやめてもらいたい。外務大臣どうですか。少なくとも再検討するくらいのことはあなたは考えませんか。
○宮澤国務大臣 経済援助の仕組みが非常に複雑で、各省庁にまたがっておって、これをもっと効率化したらいいではないかということは、かねて安宅委員の御意見であり、また政府としてもそのように努力をいたしますということを申し上げておるところでございます。 それからまた、援助あるいは方針を決定するに当たって厳格に審査をいたさなければならないことも仰せられるとおりでありますし、また仮に借款の支払いが滞るというようなことになりますと、これはわが国民に直接の害を与えるわけでございますから、そのようなことがあってもならないということも仰せのとおりでございます。 そういうふうに、経済援助というものは非常に注意をいたしてやらなければならないわけでございますけれども、それから後、その相手国の政治のあり方あるいは経済のあり方、私どもそれらの知識、情報等はできるだけ勉強しておかなければならないとはもとより思っておりますが、それについていろいろこちらから注文がましいことを申すということは、なかなかむずかしい問題になってまいります。経済援助はもともとその国民の民生の発展向上を主たる目的にしているわけでございますが、相手の政府を話の相手方といたしませんと、実際上これを行うことは困難でございます。こういう政府であれば経済援助を考えるが、そうでなければ考えないというようなことは、実際上、ぎりぎり相手方の政治のあり方に、考えようによっては干渉をするととられかねないところでございますから、その辺はよほど慎重にいたさなければならないということは御了解いただけることであろうと思います。しかし、いずれにいたしましても、援助の目的が相手方の民生の維持と向上にある、それが主たる目的であるということは、私ども常に仰せのように考えておかなければならないと思います。
○安宅分科員 最後にちょっとお願いしたいのですが、輸銀の総裁来ておるようですが、あなたの方の海外援助の方針、これにあなたの写真がこんな大きく美男子に写っている。調子のいいこといっぱい書いて、そしてうまくいったところは、何ができた、こういうのができたと、そんなことを書いておるが、しくじったものは一つも書いてない。国会には資料を出さないでしょう。あなた方、出せと言っても、企業の秘密だと言って出さない。こういうことをどうするか、ひとつ検討してもらうこと。きょうは分科会だから要求だけしておきます。これは国民の血税ですからね。 それから、さっき言った、最近それが方針だということ。愛知県の朝日碍子という企業の部品、プラント全部ですよ。見なさい、ここにある。これをあなたに見せましょうか。会社の中に梱包になったまま入っているんですよ、五年間も。大臣、見てくださいよ。かっこうだけはもうできているんだ。中身は全部梱包になったままです。埠頭で何か盗まれたりしてどうにもならないし、とてもできませんと朝日碍子は言っています。恐らくだめでしょうなと言っているんですよ、五年もぶん投げられたら。そういうことをはっきりさせるということを要求します。これは質問主意書を出してもいいけれども、そんなめんどうくさいことをする前に、あなたの方から正式に何らかの機会に答弁してもらうということを要求します。 それから日商岩井——日商岩井だけじゃありませんけれども、商社が一〇%の頭金に関してのからくりをやっているのは、違法であるか、違法でないか、この答弁はありませんでしたね、事情説明だけで。この問題については、非常に重要なことですから、日商岩井が、それをやられたら対外経済援助ができなくなるので何とか御勘弁という意味の、私に対することがあったんです。これは何か国会議員の憲法上保障された発言権を抑圧するような感じを私は受けましたが、そういうことは、日商岩井に恐らくだれか教えたんでしょうな。どうも通産省あたりじゃないかなとねらいをつけているんだけれども。そういうことは違法なのか違法でないのか、それをはっきりさせてもらいたい、こういうことを要求して質問を終わります。
○山本(幸雄)主査代理 これにて安宅常彦君の質疑は終わりました。 次に、井上泉君。
○井上(泉)分科員 答弁を要領よく、何を言っておるのかわからないような答弁をして時間をかせぐというような、不誠意な答弁の仕方というものは、私はあってはならないと思うわけですけれども、国会の委員会の審議の中では、そういうことがよく見受けられるわけであります。しかし、そこはまじめな大臣でありますので、そういうことはないと思いますので、よろしく明確に見解を述べていただきたいと思います。 さきに大臣が、ソ連から日ソ善隣友好条約の申し入れがあったことに対して、そういうことはできない、そしてまた、そういう申し入れば日本国民の共感を得ることはむずかしいであろう、こういうことが談話で発表されたことを新聞で見て、私は本当にうれしく思ったわけであります。その精神をもってして日ソ平和あるいは日中平和友好条約を締結をされるならば万誤りはあるまい、私はこういう確信を持つものであります。 そこで一つお尋ねするわけですが、日中平和友好条約は日中共同声明の精神を体してこれを行う、こういう方針であるということには間違いないと思いますけれども、なおその点を確認をしておきたいと思います。
○宮澤国務大臣 仰せのとおりでございます。
○井上(泉)分科員 そこで、きのう、あるいは一昨日、それぞれの委員会の中で、覇権を求めないという、いわゆる日中共同声明の第七項の条項は、これを入れない、これを明文化することはあくまでも反対である、こういう見解を表明をされたわけでありますが、明文化に反対をするということ、そういう御意見を出されたことは依然として変わりはないですか。
○宮澤国務大臣 日中共同声明に盛られましたそのようなものの考え方には、私ども決して反対ではないわけでございます。ただ、これを条約という形で申し述べますと、不測のいろいろな誤解、疑惑を招く恐れは十分にあると考えますので、そこをひとつ中国としてもよく考えてもらいたいということを私どもは申しておるところでございます。
○井上(泉)分科員 そういうことを中国に申し入れされて交渉されておるということでありますが、共同声明の第七項の覇権の問題にいたしましても、これは何も第三国に対するものではなしに、この共同声明というものが日中相互間のものであるということから考えましても、私は、せっかくこうしたりっぱな共同声明が発表されておるのに、覇権という文字を明文化するということに対して反対であるということになると、明文化することには反対であるけれども、しかし覇権を求めないというこの共同声明の精神には賛成である、それならその明文化しないものをどういうふうに日中の平和友好条約の中に生かそうとされておるのか、その大臣のお考えを承りたいと思います。
○宮澤国務大臣 本来でございますと、その点はもう共同声明にこれだけはっきり申しておることでございますから、あえてこの条約に同じことを言わなくてもいいのではなかろうか。本来私どもはそう考えておるわけです。しかし、今回の条約の作業過程において、この共同声明の趣旨を何かの形で具体的に盛り込みたいというふうに中国側は考えておられるようでありまして、その間がただいま両者の意見の調整をしておるところでございます。
○井上(泉)分科員 双方の交渉の過程にあるので、どういう結果を得られるのか、予測はできないわけですけれども、しかし大臣が、共同声明の精神に立脚して条約を締結をする、さらにはまた、この条約が第三国に対するものではない、この共同声明の第七項に明記をしてあるこのことはしかと確認をしておるということでありますので、その確認をしておることが何かに表現をされないと、せっかく共同声明で盛られた、しかも日本が中国に対しては大変な被害を与えておる、それを中国側は賠償も求めない、こういうふうに言っておるのでありまするから、私は、かたくなにこれを入れることにちゅうちょする必要はないと思います。そのことは、あなたが覇権の条項を入れても、日本国民は、支持こそすれあなたに対して反感を持つ者は、これはもう一握りの人しかいない、こういうふうに思うわけであります。 そこで、その条項については、私は、共同声明と日中の平和友好条約の交渉の経過というものは、昨日来お聞きをいたしておりますので、ここで改めてそのことは申し上げませんけれども、日本と中国、日本とソ連との平和友好条約の違いというものは、私は、あなたが、ソ連が善隣友好条約を呼びかけてきたことに対して、北方領土問題をたな上げしてこういうことをやってきても、これは日本国民の共感を得ることはできないだろう。国民の共感を得ないような平和友好条約というものがあり得ないわけでありまするから、これはあなたも適切な考え方だったと私は思うわけです。 そこで、日本は中国に侵略をして多大の犠牲を与えている。そして日本と中国の間にあるところの台湾問題も、共同声明によって解決をしておる。そしてまた、尖閣列島の問題にいたしましても戦争以前からの問題である。ところが、ソ連との間におきましては、日本固有の領土である千島の諸島というものをたな上げして日ソの平和友好条約というものはあり得ないと思うわけであります。この点につきましては、あなたは、領土問題をたな上げしての平和友好条約はあり得ないという姿勢を、あくまでも堅持をされなくてはならないと思うわけでありまするが、堅持するおつもりで交渉に当たっておられるのかどうか、あわせて承りたいと思います。
○宮澤国務大臣 日ソ間の領土問題を最終的に解決をすることが先決でありまして、それを差しおいて日ソ友好善隣というような条約を結ぶということは、物事の順序が間違っておるというふうに考えておりまして、この立場は堅持をしてまいりたいと思っております。
○井上(泉)分科員 そこで、私はソ連との友好親善というものを深めていかなくてはならないと思うわけでありますが、最近におけるソ連の漁船の日本近海における無謀操業、これはまことに言語に絶するものがあるわけで、きょうの新聞でも、駿河湾の沖合いにも出たことを第三管区海上保安本部においても確認をしておる。これは二十一日だっと思うわけですけれども、あなたがソ連の大使に、日本近海における漁業について自粛を申し入れた。その前にも何回も自粛を申し入れた。そのことを一切承知をせずに、次から次へとこういう無謀操業を繰り返してくるソ連に対しまして、あなたは今後どう臨まれようとするのか、そのお考えを承りたいと思います。
○宮澤国務大臣 今月の二十一日にトロヤノフスキー大使を外務省に招致いたしまして、有田審議官から改めて日本政府の立場を申したわけでございます。すなわち、わが国の漁船、漁具等に損害を与えることのないように指導をしてもらいたいということ、それからわが国の漁業者と競合をするようなことを避けてほしいということ、さらに、かねて懸案になっております本件につきましての取り決めを促進したい、この三点でございますが、これにつきましては、トロヤノフスキー大使は直ちに本国にその旨を伝えることを返答されたわけであります。 ソ連側は、それ以前に実は私もモスクワでそういう話をいたしたこともあり、昨年中にもそういう申し入れをしておることもありまして、漁業相から現地に対してそのような訓令をいたしたいと言っておりますし、そのようでございますが、どうもそれが徹底をしておらないということのようでございましたので、重ねて二月二十一日に大使を招致いたしまして、さようなことを申したわけでございます。今度はそのような形をとりましたし、先方も本国に伝えると申しておりますので、何かそれが現地で具体的な姿になってあらわれるであろうと私どもは期待をいたしておるわけですが、同時に事柄の基本になります取り決めというものを日ソ間で早く結びたいと思っておりまして、昨年来そのための専門家会議をやってまいりましたが、間もなく日本側の提案を固めまして、ソ連と本格的な交渉に入りたい、こういうふうに考えております。
○井上(泉)分科員 ソ連の漁船の無謀操業、あえて無謀と言うわけですが、それは公海上であるから自由と、こう言うのですけれども、日本の零細な漁民が操業しておるところですから、いわば海に対する先取権というものがあると私は思うわけです。道路でも歩行者優先というなにがある。海上でも、日本の零細な漁民がやっておる、それを傍若無人に、これは公海だから自由が許されるというような形でやっておるのが、現在のソ連の漁船の日本近海における無謀操業の実態である。大臣も、そのことを強く交渉をする、そして申し入れもした、こういうことでありますけれども、この数日後のNHKのテレビニュースを聞いておりますと、ソ連のステパーノフとかいう漁業省の日本担当部長とかなんとかいう人が、この問題については漁業協定を結ぶ用意がソ連側にはいつでもある、あるけれども、日本側にそういうふうな態度が見受けられないというような話をされたという報道を私は聞いたわけでありますが、この点について外務省の担当者から、どういうふうな状態になっておるのか承りたいと思います。
○橘政府委員 ただいま大臣から御説明ありましたように、協定の交渉につきましては、ただいまわが方の案を鋭意つくっておりまして、ソ連側に対しても、この協定の交渉に入ろうということの折衝を外交ルートを通じてすでに始めております。
○井上(泉)分科員 これはいわゆる北洋のサケ・マスというような問題と切り離した、日ソ間の漁業問題であろうと私は思うわけですが、この問題は切り離して話し合いをされておるのかどうか。
○橘政府委員 この問題については、別個に話し合いを始めようという折衝を進めております。
○井上(泉)分科員 話し合いを始めようというのは、それはいつから始めようとするのですか。向こうはいつでも用意があると言っているのです。
○橘政府委員 三月早々にでも始めるつもりでただいま折衝を進めております。
○井上(泉)分科員 三月早々にも始めるということですが、ソ連も、現実のこうした日本漁民の怒りというものがいかに日ソの友好親善の上に障害を与えておるかということは承知をしておるはずですけれども、それをあえて傍若無人に、わがもの顔に日本の近海を荒し回る、こういうことは日ソの友好のために本当に好ましくないことだと私は思うのです。だから、きのうも駿河湾の沖合いにソ連の漁船が来た、これは日本の第三管区海上保安本部も確認をしておるのでありまするから、せっかく大臣も二十一日に申し入れをしたということですが、二十一日に申し入れたそのすぐ後に熊野灘にも来た、あるいはまた駿河湾の沖合いにも出たというようなことでは、この大臣の申し入れというものをあまりにも無視したやり方だと思うわけですが、きょうでも再度ソ連大使に——きのうは千葉の漁師の人たちがソ連の大使館に対して抗議をしておるわけですよ。千葉の漁民自身がソ連大使館へ直訴に行っておるという事実もあるわけですから、そういうふうな事態を起こさないように、これは外務大臣もきょうのことを、国会の中でも話があって、国民の間から非常な憤りが出ておるし、日ソの平和友好のために好ましくないから即刻中止をするように——私は、ソ連の上の方がやって下が聞かないというようなことはないと思うのです、社会主義の国ですから。だから、そういうふうなことはないと思うのでありまするが、再度申し入れをするお気持ちがあるのかどうか、その点を承りたいと思います。
○宮澤国務大臣 確かにソ連という国の体制がわれわれと違いますので、方針がどのようにして決まり、どのように伝達されるのか、またそれにどのくらいの時間がかかるのかということが、私どもにもちょっとわからないところがございます。しかし、二十一日にそう申したのでございますから、さてそれが一向に事実になってあらわれてこないということになりますと、再度注意を促さなければならないということになろうかと思いますが、まだ数日でございますので、もう少し様子を見させていただきたいと思います。
○井上(泉)分科員 私どものところへも来ておるわけですが、二十八日にはソ連漁船団の即時退去を求める全国漁民抗議大会、こういうものが開催をされるわけで、こういうふうな国内の世論が高まっておる中で、そうしてせっかく外務大臣も農林大臣も申し入れたことを無視してやっておることについては、これはやはり日ソの平和友好のために好ましくないから、数日の経過ということを待たずして、こういう大会にせっかく集まってきた漁民の人たちに、外務省としての力強い、そしてまた愛情のある行為というものを承知してもらうためにも、早急にこの要望をしていただきたいということを重ねて申し上げておきたいと思います。 そこで、水産庁がおいでになっておると思うわけですが、先ほど山原代議士からもリマ海域の問題について質疑をされたわけですが、リマ海域というものがいかにりっぱな漁場であるかということを、私、高知県でありますのでよく承知をしておるわけです。日本の三大漁場の一つとして本当に豊富な漁場である。それがアメリカの占領水域の中に置かれておるということ、これは私どもいつもこのリマ海域の撤廃を要求しておるわけですが、このリマ海域というものが漁業上どういう状態であるのか、一言御説明を願いたいと思います。
○平井説明員 お答えいたします。 リマ海域と申しますのは、黒潮が九州から四国の方へ流れてきておりますけれども、その流路の中心になっております。魚道といいますか、そういうふうなところに当たりまして、近海性の魚のすぐれた漁場でございます。 とれます魚としましては暖流系の回遊魚で、主力はカツオとかマグロが主力でございますが、そのほかにもアジとかサバその他がございます。 関係の漁業者としましては、高知、愛媛、大分、宮崎、鹿児島等の県の漁業者がございまして、生産数量につきましては、制限されております関係上、われわれの手元に数字はございません。 以上でございます。
○井上(泉)分科員 大臣もお聞きになったとおりの豊富な漁場であるわけです。そこでソ連の漁船がいわばだんだん南下して、いま熊野灘の沖合いというが、あすは土佐沖あるいはリマ水域へ入って、一万トン級の船で、そうして二、三千トンの船を従えてこれをやるというと大変なことになるわけですが、その場合に、リマ海域へ日本の漁船はアメリカの演習中は入れない。ところがソ連の漁船は公海上だから自由に入れる。こういうことになると、日本の漁師は、アメリカからもソ連からもはさみ打ちになってしまってにっちもさっちもいかなくなるわけですが、こういうことを考えた場合、日本の漁師がいままで守ってき、操業し続けてきた漁場に対して、外交上何らかのけじめというものをつけるべきだと私は思うわけです。アメリカとの間においてこういう区域が設定されておる、その区域に対しては、日本は行かれないけれどもソ連は自由である、そういうことから考えて、こういう日米安保条約に基づくリマ区域を設定をするということが、いかに不合理で、そうしてまた日本の漁民、国民にとって不幸なことであるか、私はこういうことを指摘せざるを得ないわけでありますが、この点についての大臣の見解を承りたいと思います。
○宮澤国務大臣 先ほども申し上げましたように、わが国の安全、防衛という観点から必要最小限度のことはいたさなければなりません。そのことと、国民のその他の要求というものを、どのようにして調和するかという問題でございますから、私どもとしては、わが国の平和、安全に関するものは必要な最小限ということに考えまして、その他の諸利益との調整を図っていくべきものだと思っております。
○井上(泉)分科員 そこで、いま外務省の方で、いわゆる日ソの漁業協定として言われておる北洋の漁業の問題とは切り離して、こちらの日本近海に出てくるソ連の漁業の行為に対する協定を結ぼうとする準備を進めておるということですが、これについては、その条約を結ぶところの基本的な姿勢というものが私はやはり必要だと思うのですが、それについてはどういう考えで臨んでおられるのか、この機会に承っておきたいと思います。
○橘政府委員 御存じのとおり、ソ連側の操業しておりますのは、現在、公海上の問題でございます。したがいまして、そういう点を踏まえましての上でございますが、先生のおっしゃいましたような資源の保護とか、そういうような観点も含めまして、いろいろの操業の調整、事故の防止、あるいはそういう紛争が起こった場合の処理といったようなものをどうするかといった点を踏まえて、協定の交渉を行っていきたいと考えております。
○井上(泉)分科員 ぼくは余り海における権利関係というものは承知せぬわけですけれども、たとえば日本のわれわれの生活関係の中に水利権があるとか、あるいはまた漁業権があるとかいうようなことがあるわけですが、いままではソ連の漁船もやってきてなかった、そうして日本の漁船が操業しておった、そうしてその操業した長い長い歴史的な経過があるわけですが、そういう場合に、これは公海であるから、そういう既得権があるとかいうようなことは国際法上通用しないのですか、通用するのですか。
○平井説明員 漁業権とか既得権というのは、公海でございますので、直ちには主張できないかと思います。したがいまして、われわれとしましては、北西大西洋における漁業操業に関する条約というのがあるのですが、そこでは、後に来た船の漁業者は妨害してはいかぬというような規定があるわけです。そういうふうな考え方で、公海におきましても規定をつくって、先に来た船から何メートル離れなければいかぬというような形でお互いの操業の安全を守っていきたい、そのように考えております。
○井上(泉)分科員 ちょっと聞き漏らしたのですがそれはもう国際間もそういうことになっておるのですか。日本の国内だけですか。
○平井説明員 国内的には漁業権というものがありまして、それはほかの人が侵してはいかぬということになりますけれども、公海においてその漁業権がそのまま外国に通用するかということは、それはそのまま通用しないということになろうかと思います。
○井上(泉)分科員 そうなると、たとえばこれはリマ区域でアメリカ軍が演習中には入ってはならぬ、こういうことになっておるわけですけれども、それは日本の漁師だけに通用する問題であって、外国の漁師には通用しないことですか。
○窪田説明員 漁船の操業制限法は日本国民だけを対象にしております。
○井上(泉)分科員 いよいよもって日本国民というものは、戦後三十年たった今日もアメリカのためにがんじがらめに縛りつけられている。日本国民の不幸の源泉というものは、日米安保条約に存在するということが証明されるわけですが、私はその点についてここで安保条約のことを論議をする時間もありませんし、また、ここではそんなことを言うても始まらぬと思うわけですが、そういう日本国民の不幸の源泉である。その源泉の中で、しかもソ連の漁船が無謀操業する。そういう中で私は、この国際間の友好関係というものをより一層深めていくためには、やはり日中共同声明の中で、日本と中国とがそれぞれもう日本と中国だけの覇権を求めない、覇権を求めるような国がアジアの地域に出てきても、それはともに阻止しよう、日中ともにそれにくみしないというような趣旨の中でつくられた日中共同声明の精神というものは、私は実に日本国民の願望にこたえたものとして評価をさるべきことだと思うのです。その評価の上に立って、この日中の平和条約を速やかに締結をし、そうして、ソ連との間における領土問題を解決をし、日ソの平和友好条約を結んで、日米安保条約を解消して、日本の国が真に独立国として、自主的な誇り高い国として、国民が本当に自信を持って安心をして暮らせるような、そういう条件というものをつくっていくのがこれからの日本の外交の大道ではないか。これは、陣笠代議十が大きなことを言うて宮澤さんのような大先輩に申し上げるのもどうかと思うわけですけれども、私のこの考え方に対して宮澤大臣の御見解を承って、私は質問を終わりたいと思います。
○宮澤国務大臣 日中間の平和友好は、わが国にとりましてきわめて大切なことでございます。そのように考えつつこの条約の締結の交渉を進めてまいりたいと存じますが、同時にまた、他の国との友好関係というものも大切でございますので、その点も同時に配慮をいたしてまいるつもりでございます。いろいろ御指摘をいただきまして、十分に参考にしながら交渉を進めてまいりたいと思います。 なお、最後のリマ水域の問題につきまして、ちょっと条約局長から御説明を申し上げたいと思いますので、発言をお許しいただきたいと思います。
○松永(信)政府委員 ちょっと補足的に、一般国際法上の問題として御説明申し上げたいと思います。 リマ水域の問題につきましては、先ほど政府委員からも御説明いたしましたように、一般国際沖上、一定の条件のもとに軍事演習のために必要とする水域を設定することは合法的に認められているという立場に基づいて、リマ水域の設定についての措置をとっているわけでございます。したがいまして、日本の漁船につきましては、日本の国内法によっての規制、これが働きますけれども、外国の漁船につきましては、その日本の国内法は公海でございますから適用はないという点はそのとおりでございます。しかしながら、それならば外国の漁船は自由にここに出入りすることができるかと申しますと、それはそうではございませんで、国際法上、合法的に設定を認められている水域でございますから、そこに外国の漁船が入ってきて漁業を営もうとする場合には、その演習を実施します国からその漁船を排除するための措置がとられるというのは、当然であると考えているわけでございます。 なお、もう一つ補足させていただきたいと思いますのは、日ソ漁業関係におきまして、近海漁業における日本の漁業利益、これを国際法上ソ連に対して主張し得ないかという御質問がございました。これは、公海上のことでございますので、権利権原という見地からこの日本の漁業利益を主張するということはできないと思いますけれども、しかしながら、既得の漁業利益、そこですでに漁業を営んでおり、合理的、合法的に営んでおります漁業の実態については、その漁業国の利益を国際的に主張し得ないということはないという考え方で私ども処理しております。この考え方に基づいて、海洋法会議でも、私どもとしましては、日本の漁業利益が尊重され考慮されなければならないということを主張し続けてきておりますので、ソ連との関係におきましても、その立場に立って交渉したいというふうに考えているわけでございます。
○井上(泉)分科員 どうもありがとうございました。
○山本(幸雄)主査代理 これにて井上泉君の質疑は終わりました。 次に、渡部一郎君。
○渡部(一)分科員 お疲れのところ恐縮でありますが、外務省予算を拝見しておりまして、ここ数年私が一貫して述べておりますのは、一つは文化外交予算関係が非常に少ないどころでなく、ネグリジブルスモールであり、話のほかであるということであります。 私、いまこちらに資料の御提出をいただきました。情報文化局海外広報課が、昨日付の「海外広報予算及び活動実績・計画」というのをこちらに持参されました。四十九年度は一括して十五億四千七十一万一千円、今期は十八億三千八百四十七万六千円であります。十八億という段階のお金は新しい戦闘機の二分の一にしか当たらない。日本は軍事優先国家とは見えないのですけれども、これじゃ軍事優先国家と言っても差し支えない。この程度で海外広報予算と見れるかどうかについて、大臣は最後にお答えいただくとしてしばらく黙っていていただいて、情報文化局長という方が恐らくこの責任者でしょうから、この程度でできるかどうかについて返事してもらいたい。戦闘機半分で十分か、まず答えなさい。
○黒田政府委員 ただいま御指摘のとおり、本年度の海外広報予算は十五億円ちょっとでございます。来年度の政府予算原案十八億円ちょっとでございます。これで十分であるのかと言われますと、確かに十分ではございませんけれども、毎年着実に海外広報予算というものは伸ばしてきていただいておりまして、その伸びが不十分であるということは、私どもとしては感じておりますけれども、この与えられたものでかなりな活動ができるというぐあいに考えてはおります。
○渡部(一)分科員 これで出されたのだから、そういうお答えなさるしかないのでしょうけれども、いいですか、ここにありますのは、海外における文化活動事業昭和四十九年度三千万円、五十年度三千四百万円です。一つくらい書いてあるなら三千万円でもわかりますが、「在外公館実施文化活動」と書きまして、「日本人形展 人形製作指導 日本文化紹介展音楽会一ピアノ演奏一 児童画会 カラー写真展 現代版画展 民俗手工芸展 講演会 生花教室 国際文化の夕 浮世絵展日本文化の夕 図書展 日本・ベルギー友好の夕」と書いてある。これを逆に言いますと、ここに書いてあるのは大体全部学芸会程度のやつですね。小学校の運動会の横で行われて、小学校の講堂で行われておる学芸会ですよ、これは。むだなんだ、こんなものに金を出すこと自体が。三千四百万円の中にまだほかにも項目がある。在外公館主催映画会と称しまして、ソ連における日本映画会あるいは劇映画購入の費用がこれに加わって三千四百万円です。こんな費用で仕事ができるかどうか、のんびりしてないでちゃんと見てもらいたい。 私に言わせると、いま、少ししゃれた人形展なんかを行うとすれば、一回やって三千万円ぐらいかかります。ということは、こういう総花的な予算のつけ方をするということは、逆に言えば、これはしないのとほとんど同じ効果しか上がらないということを示しているじゃないですか。これをどうお考えですか。
○堀説明員 ただいま御指摘の本年度三千万円、来年度三千四百万円という予算は、これは在外公館で直接に行う文化事業のための予算でございます。御承知のとおり、一昨年国際交流基金が発足をいたしまして、在外における文化事業、大きなものはすべてそちらでやるということになっております。
○渡部(一)分科員 交流基金の話にずらそうとなさるのはわかるけれども、それはもうちょっと待っていてください。交流基金の方でなく、まだ私は情文局関係の予算をぎりぎりもう少し詰めたい。 ここに「広報資料」と書いてあるのがあります。今期四億六千五百三十万四千円です。「インフォメーション・ブレティン、グラフ ジャパン、今日の日本、リーフレット ジャパン、ファクトシーツ他」がここに出されると書いてありまして、すごい予算がついているようであります。それが一体どんなものであるか、ここでもう少し詳細に見さしていただきますと、四十九年七月十七日付「海外広報課活動実績要覧」と称するのがここに来ております。「ザ・ジャパン・オブ・トゥデー」これは幾ら出ているかというと十一万部、ただし十五カ国ですから、一国当たりにすると八千部ぐらいですね。しかもそれが三十八カ国語に訳されているのですから、笑っちゃうな、これは。一カ国当たり五千部ですよね。東京都で選挙をやりますときに、五千部というビラの数は区議会議員を当選させるにも不足ですよ。「ジャパン・トゥデー」十一万部、三十一カ国語に訳されている。「レファレンス・シリーズ」というのは六万八千部で十種類に訳されている。「リーフレット・ジャパン」は六カ国十三万部二十カ国語に翻訳されている。つまりこれはどういうことかというと、一カ国当たりに二万部しか行っていない。もっとひどいのは「インフォメーション・ブレティン」が月二回、五十五公館で発行されているが、大臣、九百部なんです。一公館当たり幾らかと申しますと、これは笑い話に近いが、大体二十部です。こういうのが海外広報というものすごい名前をつけて出されるべき資料であるかどうかについて、私は御認識をいただきたい。恥ずかしくって返事ができなかろうと思うのですね。どんなお気持ちで出されているのですか、こんな予算。大蔵省と話し合うときに声も出さなかったのですか。これは一体何事ですか。返事しにくいだろうから返事を求めないでもうちょっと言いましょうか。もう悲惨をきわめているから、私は答弁を求める勇気がない。あんまりひどいから。
○黒田政府委員 ただいま御指摘のように、発行部数が不十分であるということは事実でございますが、「インフォメーション・ブレティン」と申しますのは、これを基礎に在外公館がその国の国情に応じまして、さらに印刷をいたしまして、新聞社でございますとか、それから有識者、そういうところへ送りますので、これが増幅されていくものなのでございます。そういう次第でございまして、この点だけは了承していただきたいと思います。
○渡部(一)分科員 「インフォメーション・ブレティン」だけ御説明をいただいた。それは非常に結構なことですね。 「海外文化センターを設置している公館について」というリストがここに来ておりまして、アジアで十、北米で三、中南米で三、欧州で四、大洋州で二、中近東、アフリカで四、今回設置するということになったんだそうであります。この広報文化センターというものを大臣御訪問になったことから、おわかりだろうと思いますから申し上げるのでありますが、これは倉庫とほぼ変わりがない。中が何もない。がらんどう。そしてくだらないグラフがそこへぺたぺたと張りつけてあるにすぎない。これは意味がないのじゃないかと思うのですね。広報文化センター設置公館をふやしたのはいいですよ。予算どれくらいふやしたのですか。中身何にもないじゃないですか。人間もいないじゃないですか。倉庫になっているだけじゃないですか。フランス館だって去年までは倉庫ですよ。それ、どうお考えなんですか。何もしてないじゃないですか、これは。
○黒田政府委員 広報文化センターの活動ぶりにつきましては、格差があるという御指摘はそのとおりでございますが、非常に活発な活動をしていて、人手、材料の不足にかかわらず相当の効果を上げているセンターがございます。たとえばアジアで申しますと、タイのセンターは非常に評価されております。それから中南米ではメキシコのセンターが非常に評価されております。アジアでは、たとえばインド、フィリピン、そういうところのセンターも評価すべき活動を行っております。中には、おっしゃいますように、活動の不十分だと認められるところがございますけれども、これも鋭意、われわれといたしましては鞭撻いたしまして、御満足のいくようなものにしたいと、いませっかく努力中でございます。
○渡部(一)分科員 もう言うことがちょっと気の毒なんですけれども、言うのが私の仕事と思って、もうちょっと言わしていただきますが、今度は国際交流基金の方について申し上げたい。 国際交流基金、国際交流基金と、でかい声でおっしゃいますけれども、今期予算で組まれておるのは、寄付金その他がまだ入っておりませんで、当初予算で計画されているのは二十一億九千二百万円であります。たった二十一億です。これも妙なことに戦闘機半分ぐらいになります。だから、さっきの半分とこっちの半分と合わして、外務省は文化活動、国際交流基金含めた分を合わして戦闘機一機分ぐらいですね。ところが、アメリカはどれくらい使われておるか、あるいはフランスはどれくらい使われておるか、ドイツはどれくらい使われておるか。過去の議事録を見ていただいたほうが早いのですが、アメリカにおいて、各種財団もありますので一概な統計はできかねますけれども、大体七百億、フランスにおいて大体三百五十億、そしてドイツにおいて、ちょっと差があるのですけれども、三百億前後というのが昨年の委員会において私が指摘したところであります。ところがわが方は、両方合わして三十億ちょっとです。ということは、フランスと比較して十分の一、アメリカと比較して二十分の一のランクであります。私は、国情もありますから、それはいいと思うのですけれども、少なくとも、日本が東洋の端、極東の何を考えているかわからない人々というニュアンスを取り除くためには、こんな文化活動の費用じゃどうしようもないのではないかと思う。国際交流基金はさぞはでにやっておるようですが、二十一億九千二百万のうち、大臣聞いておいていただきたいのですが、日本語の研究だけ、日本研究事業という大事業がここに書かれている。これが七億一千四百万。その中には、日本語だけではなくて、日本研究のための講師派遣とか研究講座に対する助成も含んで七億一千万です。アメリカは語学についてどれくらい出しているんだと聞きましたら、アメリカは、これは当委員会のためにメモしか出てきませんでした。これは多少整理の要るデータのようでありますが、米国は百八十九億円、フランスは三百三十五億円。これはラフな数字ですから多少の出入りはあるようでありますが、日本が七億円というのとフランスの三百三十五億円と比べていただきたい。日本が七億円というのとアメリカの百八十九億円と比較していただければ、日本語教育に対する熱心、不熱心がすさまじいランクのものであると思うのですが、もうこれはどういうことなのかと私は言いたいんですね。これはもう、やる気がないのじゃなくて、気持ちの問題でなくて考え方がないのを示している。そういう考え方が存在してなかったことを示していると私は思う。 ですから私、大臣にこうやってずっと聞いていただいて、答弁を求めないで、いぶし場であぶっているみたいにこうやってお話をしているのは何かというと、大臣のような非常に文化的な方に方向づけをきちっとしていただきたいなと実は思っているのです。これはしようがない、今度の予算では直らないということでこのまま押してこられるのでしょうけれども、こんなことをしておったら収拾がつかぬ。私は、日本の国は武器で守る国家ではなく、少なくとももうちょっと何とかして文化関係において他国にわからせる、日本の平和というか、日本の姿勢というものをわかってもらうというところから始める、日本語もわかってもらうというところから始める、そういう基礎的な姿勢が要ると思うのですけれども、もう関係の情文局長なんか、こんな予算を出してしまって御答弁できかねるだろうと思うのですね。もう悲惨をきわめておる。さっきからあのしかめた顔を見るにたえない。こんなみっともない予算では答弁できないじゃないですか。ですから、私は憎まれ口を言うようですが、大臣、この辺の方向づけを何とかしていただけないか、どうお考えか、それをちょっと聞かしていただきたい。
○宮澤国務大臣 御指摘のように、まことに貧弱な内容であることは事実として認めなければなりませんが、実は私は、先ほどちょっと渡部委員が言われましたように、これはよって来るところが深いと思うのでございます。つまり、われわれが福祉国家であるとか文化国家であるとかいうことを、本気に現実の問題として議論したり考えたりすることができるようになりましたのが、ついここ十年でございます。その前の二十年というのは、とにかく一人前の生活をしようということで一生懸命やってきたということでございますから、実際から言いますと、この問題はよって来るところが深うございます。いかにも予算も少ないし、恐らく先ほどから答弁を申し上げております政府委員の諸君も、もっと金があったらこういうこともしたいということはいろいろ持っておるに違いないわけでございますけれども、いかにもわが国全体が、そういう問題に本格的に取り組もうとしてからまだ日が浅いために、先ほど言われました幾つかの国とはけた違いの貧弱さではないかということになると思うのでございます。 それでありますから、今後、わが国が一応生活水準が充足されて、文化国家あるいは福祉国家として進んでいく、これからそういうところへ政策の重点を当てなければならぬということ、いまからが大事であるというふうに私、考えておりますし、同時に、いま御指摘になりましたのは予算関係のことであったわけでございますけれども、そういう対外的に文化活動をしたり、外国から留学生なり研修生なりを受け入れるための、それだけの人がいるだろうかということがまた同じ大きな問題だと思うのでございます。それはただ、外交官をふやす、これも大事でございますけれども、日本人全体がそういう文化活動というものに本当に関心を持ち、自分のライフワークとしてそれをやるというふうになってまいりませんと、極端かことを申せば、金だけありましても、それが正しい方向に使われないということになりかねない。でございますから、予算の面に御指摘がありましたのは、まさしくそのとおりですけれども、同時に、日本人がそういうものになっていかなければならないという問題を含んでおる。それでよって来るところが深いと思います。これは考え方の問題なんだと言われましたことは、私はまさしく子ういう意味で同感でございます。
○渡部(一)分科員 大臣、これはこれほどひどいのですから、大臣は先頭切って今度の本会議における予算の投票で反対なさらないといけないほどの問題だと、私はいまの御答弁を聞いていて思うのですね。 それから、もう一つ言っておきますけれども、情報文化局という局が少なくともあるのですが、去年十五億だった海外広報予算を今年十八億にしか上げられなかった。二〇%ですか。減ったところがあるのだから、ふえたことは大したことだという議論は成り立ちますが、予算というものは前年度何%で上げることが私は正しいと思わないのです。つまり、大事なところはうんとふやすべきだし、だめなところはうんと削るべきだ。少なくともこういう予算は大規模に上げなければ収拾がつかない。いまおっしゃった、人というのはお金がかかるもので、予算というものはその一つの具体的な指標として私は見るべきだと思うのですけれども、この指標のあらわれ方は、少なくとも全くと言っていいほどその努力がこの一年間行われなかったことを示していると私は思うのです。それで私はさっきから語気荒く申し上げている。 この間、情文局長がかわったというなら、私は余り言いません。しかし大臣がかわられた。だけれども、前の大臣もその前の大臣も、そして愛知大臣でさえも、この問題は非常に前向きな姿勢を示し続けてこられた。そしてなおかつこれである。私は予算分科会で必ずこの問題をやり続けて何年かになるわけですが、外務大臣の御意見というのはその程度のものかという反省をいただかなければならぬのじゃないかと実は思っているわけなんですね。大臣が公開の席上でそこまで言われたことを、十五億を十八億程度にしてお茶を濁したという感じを否めない。これはもうやる気がないことを示したものだ。私がいつもよりしつこく申し上げるのはそこなんですね。これでは日本は恥をかかなければならない。昨年度はオイル騒動のときに、アラブ諸国に国会議員を派遣して歓心を買わねばならなかった。そういうことの背景の底には、通常のおつき合いというか、心のつながりがなさ過ぎることを私は示していると思う。 だから、要望措置として、戦闘機の半機分とか一機分とかという例で申し上げたけれども、そんなことよりも、ともかくもう少し前に出てきて、ここで外交というか、諸国と仲よくしていくという外交の基本的な姿勢に目覚めて、もうちょっとがんばっていただきたい。それがあっていいんじゃないか。大臣、どうでしょうか。私はしつこいようですけれども、いままでもずいぶんいい御答弁をいただいて今年もこの様子だから、私は数年越しの分を込めていま指摘しているわけなんです。
○宮澤国務大臣 そこで、先ほど申しましたことの続きになるわけでありますけれども、そのようなわが国の今日までを反映いたしまして、わが国の外交というのも、御記憶のように、戦後は何とかして日本の経済自立をしなければならないという外交努力がそういう面で非常に行われた。あるいはまたわが国の安全保障をどうするか。外交努力はそういう国の当時の必要を反映してずいぶん行われてきたわけでございますけれども、文化の面でどうしようということは、そこまでいわば外交努力が及ばなかったというのがほぼ最近までのわが国であったと思うのであります。 しかしわが国は、いまや現実にそういうことができるようになってまいりましたから、やはり外交努力の重点というものをそっちの方へだんだん移していくという大きな方向が必要ではないかと思っております。今年度の予算の伸びは、確かにいわばどうこう申し上げるほどのものではない。ということは、基本的にそういう認識がまだまだ国の予算編成方針の上に、あるいは政府の基本的な考え方の上に十分にあらわれていないということになると思います。私としては、先ほど申しましたような観点から努力をいたしてまいりたいと思います。
○渡部(一)分科員 じゃ、今後の努力をまたお願いいたします。これは一年後にまた申し上げなければならない。だけれども、今度は一年後ではとても追っつかないだろうと思うので、途中で私はもう一回申し上げたいと思うのです。 その次に、核拡散防止条約と絡みまして、日本の核政策について私は資料要求をしました。そしてSALTについてどういうふうに外務省はお考えかを聞いた。そうしたらこのペーパーを出していただきましたが、その資料が全くお粗末で、新聞の切り抜きの十分の一以下とでも言った方がいいほどの情報量しかない。 私はもっと驚きましたのは、ここでわが国の核軍縮政策についてというのを最後に質問しました。そうしましたら、ここに書いてあるのは全部で七行だけなんです。どんなことを書いてあるか、短いですから読み上げますと、「わが国は、核軍縮を推進するためには核実験の包括的禁止をはかることが当面最も有効な具体的方法であると考えて、これを核軍縮の重要な第一歩と考えている。また、核軍縮の推進にあたっては核兵器国の責任が重大であり、核軍縮措置を効果的ならしめるためには全ての核兵器国の参加が重要であるとの立場をとっている。」言っていることに間違いはないと私は思うのです。しかし、この程度の核軍縮政策であっていいかと言われなければならないと思うのです。これは包括的な議論でもなく、具体的項目の議論でもないからです。つまり、具体的項目で言うなら、核実験の包括的禁止のために地震研究その他の力を使ってがんばりたいということが別の資料に出ています。それから、核保有国の核軍縮というものが大事だということは、日本が数回にわたって意見を国際外交場裏で述べたというところで示されてくるようであります。しかし日本が、全体的な核軍縮政策をどういう方向でとり、どういうのを続けていくかということは、事実上今後のNPTの審議の際に初めて大問題になり始めたと思います。それであるからこそ、NPTの議論をする基礎に、一体非核三原則がいいのか悪いのかとか、核の兵器を持てるようにわが国はしておくべきではないか、フリーハンド論などというものが堂々と国会内でも横行するという理由にもなろうかと私は思うのです。 それで、これも文化、広報と似た手法ですが、日本の核軍縮問題を扱うところは軍縮室、これは国連局の政治課のそのまた下の軍縮室ですね。室長一名、室員六名、うち一人は女性である、こういう編成ですね。人間が多いのを私は別にいいとしているわけじゃないけれども、核軍縮の問題なんという大問題の中で、編成というか、研究が足らなさ過ぎるんじゃないかと思われる。これは資料要求をした際にもう明快にあらわれてくる。沖繩・北方領土の問題の際、総理府北方対策本部が出されてきた予算、北方対策本部に必要な経費として今年度要求額は二億七千九百十万円であり、メンバーはがっちり編成されておる。ここにそのリストがある。読み上げてもいいですが。リストは一応かちっとしておる。北方領土とどちらが大事であるかとは言いませんが、核軍縮に対するわが国の熱意というのはなさ過ぎるんじゃないか、予算配分も悪過ぎるんじゃないか、そういう感じがするわけですね。 核軍縮にもうちょっと熱意を持ち、機構の上、予算の上からこうした大問題についての研究プロジェクトチームをつくるつくり方から、外務省の中の軍縮室などという小さな室というものにしておいていいかどうかという問題から、いま反省が必要じゃないかと私は思うのですが、もう余り時間がありませんから、御答弁をまず国連局長からいただいておいて、その御答弁をちょっと吟味したいと思うのです。
○鈴木政府委員 軍縮室は、いまお話がございましたように、政治課の担当しております問題のうちの軍縮の部面を取り出しまして、一種のタスクフォース的な考えから、これに必要な最小限の人員をつけまして現在作業を進めているわけでございます。もちろん、この人員、あるいはこの機構で十分であるかどうかということについては、われわれとしては満足はいたしておりませんけれども、しかし、発足以来軍縮室の機構は若干ながら整備いたしておりますし、特に日本の軍縮代表部がジュネーブにできまして以後の機構としましては、一応満足できるものというふうに考えております。
○渡部(一)分科員 大臣、これは六人の機構で、整備されたというのは四人が六人になったということですね。最近整備されたというのは、タスクフォースみたいにNPT用にほかから人を借りてきてメンバーを編成しておるということです。ちょっと悲壮な言い方ですね。局長としてはあそこまでしか御答弁できかねるだろうと思う。 大臣、核軍縮問題というのは日本外交の中心課題です。どうしても中心課題にならざるを得ない。ただNPTの審議だけではない。そうすると、この問題に対してはもう少し力をお入れになることが大事ではないか。その辺について御見解を最後に承りたい。
○宮澤国務大臣 確かに、わが国の外務省、内外合わせまして全体としては、世界各国に比べまして、実は非常に人員が少のうございまして、今回特に政府でも、こういうときではありますけれども、定員増をかなり大幅に考えておりまして御審議を願っておるわけでございます。 そういう問題が一つございますが、同時にまたしかし、そうではありますけれども、現在おります者に機動的に働いてもらうということが大事なことでございまして、今回の核拡散条約の問題につきましても、そういう軍縮の観点、世界のこれからの軍縮問題、あるいは核問題の動向等を、資料として各方面に実はお目にかけたいと思いまして、そのような作業も、軍縮室ばかりでなく調査部の方を動員いたしましてやったりもいたしております。私どもとしては、できるだけ機動的に仕事をしてもらうようにこれからも考えてまいりますし、また増員につきましても、御承認をいただきまして強化してまいりたいと考えております。 確かに軍縮というのは、これからのわが国にとって非常に大事な問題でございますから、そういう認識のもとに、ただいま申しました両方の方向から充実をしてまいりたいと存じます。
○渡部(一)分科員 終わります。
○山本(幸雄)主査代理 これにて渡部一郎君の質疑は終わりました。 次に、小沢貞孝君。
○小沢(貞)分科員 外務大臣にお尋ねしたいのですが、こういうことを外務大臣御存じですか。在外公館にいる者には選挙権がない。国政参加権がない。
○宮澤国務大臣 私、実は定かでありませんで、自治省の政府委員からお答えいたします。
○秋山説明員 小沢先生が十分御案内でございますように、日本国民で一定の年齢以上の方につきましては国の選挙権がございますし、地方団体の長、地方議員につきましては、そのほかに三カ月の住所要件があれば選挙権がある、このようになっております。
○小沢(貞)分科員 われわれ外国を回ってみて、異口同音に公館の方から言われるわけです。それで外務省として、在外公館の人に国政参加権がない、こういう重大なことについて、いままでどういう対策をとってこられたか。自治省と打ち合わせ、その他何かやってきたか、何もやらなかったか、その点ずばりと。事務当局でいいです。
○松永(信)政府委員 御指摘の問題があるということは、私どももかねがね承知しております。在外に在勤しておりまして、選挙権はあるけれども、それを行使する実際上の手段がないということは、私どもも知っているわけでございます。選挙権がありながらそれを行使する手段がないということにつきましては、国内法的にいろいろの問題があるようでございます。すなわち、どうやって選挙人名簿を作成するか、あるいは実際の投票を行う場合にどういう場所で投票をするかというような問題、あるいは投票をした結果をどうやって集計するかというような問題、これは選挙自体が、参議院の全国区の場合は別といたしまして、選挙区というものが基幹になっております関係上、その観点からどういうふうな手当てをするかという問題、そういったような、いろいろな選挙権を行使するに当たりまして解決されなければならない問題があるということを、私どもも関係省、自治省等から聞いているわけでございます。この問題につきましては、選挙権があるわけでございますから、できる限りその選挙権を行使できるような方途が見出せることが望ましいという観点から、今後とも種々検討をしていくべき問題であろう、そういうふうに考えているのでございます。
○小沢(貞)分科員 大臣も知らなければ、これから検討しなければいけないというようなことで、これは実は憲法違反だと私は思うのです。実質的に国政に参加できない。いままでそういう訴えがあったかないかということは、私はよくわからない。これは憲法違反で、特に日本がこれから、国際的に広い視野から外国にいる者の方が日本をよく見ることができる、そういう国政参加の上においては一番大切な人、それが全然国政参加権が実質的に剥奪されている、こういう状態だと私は思うのです。いまも大臣は答弁されておったようですが、在外公館におられる者をふやす、その他のこともあるのですが、大体幾人いるか、これは自治省の方がよく知っていると思いますが、外務省関係の者が一体幾人、国政に実質的に参加できていない者、それからその他商社、これもやはり現在は道が閉ざされているわけです。一体人数はどのくらいありますか。
○秋山説明員 おおよその数でございますが、外国に長期滞在しておられます数が約九万人でございまして、そのうち政府関係の職員の数は約八千人、商社関係は約五万六千人ということでございまして、特に政府関係のうち外務省の職員の方は、私どもの調べによりますと約千四百人程度おられる、このように承知いたしております。 〔山本(幸雄)主査代理退席、湊主査代理着席〕
○小沢(貞)分科員 九万人の人が国政参加する道を閉ざされているわけです。これは私は大変なことだと思うのです。先ほども申し上げるように、日本というものを、外国から、国際的な視野から見るような目、それが一番大切だ、こう思います。私はこれは、技術的になかなかむずかしい問題があることは、百も承知しております。地方選にはどういうように参加するかという問題があるが、技術的な解決ができたならば、少なくとも国政には、衆議院、参議院選には一〇〇%参加できる道を開かなければならないのではないか、こう考えるわけです。 だから、技術的に困難な問題はどういうところにあるか。大体外務省が、この問題について、いままで勉強もしてなければ何もしてないみたいなことで、大臣さえ知らないでいるみたいなことでは、これは大変な手落ちじゃないか、こう思うので、ましてや外務省がこれに対して熱意も示さぬ、こういうことじゃなかったかと思うのです。技術的にはどういうようにできるか。いま外交の秘密だってテレックスかなんかでやっているわけでしょう。だから、そういうものを利用して投票する、そういうような方法が考えられないか。何らかの方法がなければ、これは全く憲法違反の問題です。どうでしょう。自治省からお聞きします。
○秋山説明員 選挙権をお持ちになっている方でございましても、実際に選挙権を行使できるためには、十分御案内のように、三カ月以上その市町村の住民基本台帳に登録をされているという要件を満たしました上で選挙人名簿に登録されているということが必要であるわけでございまして、在外におられます長期滞在者の方々につきましては、このような観点から、現行の上では選挙権の行使が事実上できないような状況にあるのではないか、このように思うわけでございます。 もちろん選挙権の行使を確保するということは非常に重要な問題でございますが、ただいま御指摘のような点につきまして、どのような問題があるかということでいろいろ検討しておりますが、たとえば参議院全国区を除きまして、他の選挙につきましては、一体どのような選挙区に属せしめるか、またはどの都道府県にその方を属することとするかというような問題。また、地方議員の選挙のときには住所の要件が必要でございますが、一体どこを国内における住所地と見るのかというような問題。さらには、登録を行う選挙管理機関をどうするかというような問題がございますし、さらには投票を具体的にいたすといたしましても、一体そのような時期をいかに周知することができるか、また投票用紙が時間的に十分到達可能かどうか、投票の秘密が保持できるかどうかというような、いろいろな点を総合的に検討する必要があるかと存ずるのでございます。いずれにいたしましても重大な問題でございますので、今後とも十分慎重に検討を続けてまいりたい、このように考えております。
○小沢(貞)分科員 住所をどこにするのがいいかよくわからぬ、住民台帳へ登録して三カ月というのだから、要するにないのですよ。これは明らかに憲法違反だ、私はこう思います。ただ訴えがあったかなかったということはまだ調べてありませんが、訴えがあったら必ず負けだ、憲法違反だ、私はこう思うのです。いま選挙部の方は、住民台帳へ載せなければいけないと言う。そういうような法律になっているかと思うのだけれども、それなしで少なくともできる道を開かなければ、一つとしては投票することができない。もう一つは、投票用紙をやるのか、ほかの方法でやるのかという、技術的な時間に間に合わせるという問題がある、こう思うわけです。だからこれは、ここで押し問答をやっていても仕方がないが、外務省と自治省で打ち合わせて、少なくとも次の選挙までに、一行か二行法律を直せばすぐできることじゃないかと私は思う。九万人からの者に国政参加権を剥奪しているということは、私は重大な問題だと思う。どうでしょう。外務省と自治省と打ち合わせて、至急その道を開く。
○宮澤国務大臣 なかなかむずかしい問題のようでございますので、よく私ども検討させていただきます。
○秋山説明員 ただいま大臣の申されましたように、非常に重要な問題である、こういう点につきましては当然でございますけれども、いろいろと先ほど申しましたような困難なむずかしい問題点もございますので、この点を十分検討させていただきたいと思っております。
○小沢(貞)分科員 それでは、次の問題に移りたいと思います。 在外資産の補償の問題、実はこういう嘆願書が来ておるわけです。「終戦後の昭和二十一年三月十三日に、左記の経緯でのべますように、私は、中国の江蘇省」云々「において私の経営する田中水産を中国側に接収されましたが、全く平和裡に水産業に従事していたことであり、接収に際しては日本側と中国側との間で「引継目録表」の調製までしたものでありますので、日中国交正常化が実現しました今日、その返還ないしは補償につき、中国側と交渉して下さるよう、茲に嘆願書に及びます。」あと細かいことはたくさんあるわけですが、この人は日本の領事か何かの立ち会いのもとで証明書をつけて、財産目録一覧表があるわけです、「田中水産引継目録表」というのが。昭和三十二年と四十二年に法律ができて、引き揚げ者に対してつかみ金みたいなものをやって、それで一括終わり、こういうことにはならぬではないか、私はこういうように考えるわけです。その当時は、確かに財産をどうこうということで補償をしてない、いわばつかみ金みたいな形の補償だ、こう思います。特に中国とは、これから平和条約が結ばれよう、こういうときですから、これはなお問題が大きかろう、こう思います。事務当局でもだれでもいいですから……。
○島村政府委員 政府におきましては、昭和四十二年に引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律というのを実は制定をいたしておるわけでございますが、これは御承知のように、第三次の在外財産問題審議会の答申に基づいて法律を実は制定をしているわけでございます。その第三次の在外財産問題審議会におきましては、法律的にはこの在外財産については、補償義務はないという結論を一応出しておられるわけでございます。ただ、そういう在外財産を失われた方に対して、これは通常の一般の戦災の方と非常に違う、外地においてそういう在外財産をなくされた方は、生活基盤を失い、あるいは人間関係というものもなくされているということで、そういうものについては特別に何らかの措置を講ずる必要があるということで、国はそういう法律をつくりまして給付金を支払っておる、こういうことでございます。
○小沢(貞)分科員 だから、その審議会では、いまおっしゃったようなことが言われたにしても、外国から引き揚げてきた人にとっては、平和条約が結ばれて、法律的にその資産に対しては、向こうへ没収されてそのままになったのは、これは日本としては、その国民に対しては、簡単に言えば公共の用に供してしまったみたいなかっこうじゃないか、こう思います。そうすると、公共の用に供してしまったものは憲法上当然国で補償する、こういう論理が成り立っていくのではないかと思います。それが一つ、講和条約が結ばれたところにおいても未解決の問題として残りはしないかということと、中国とはこれから平和条約を結ぶわけであります。だから、中国とはまだ結ばれていないとするならば、中国においてはそういうものは未解決のままにいるから、これから中国との交渉に当たってその点をどうするか、こういうように二つの面に分かれるのではなかろうか、こう私は思います。前段から御答弁をいただきたい。
○島村政府委員 最初の、すでに条約を締結している国につきまして、いろいろ平和条約等によって規定されているので、それは公共の用に供されたのではないかという御意見も実はございますが、この点につきましては、いま申しましたように、第三次の在外財産問題審議会におきまして種々の議論が実はなされました。憲法の第二十九条の三項によるものには該当しないということが一点でございますし、それからサンフランシスコ平和条約による規定についても、それは必ずしも賠償の義務はないというのがこの在外財産問題審議会の一応の結論でございます。
○小沢(貞)分科員 後段の方、これは外務省だ。これから中国と平和条約を結ぶときに、やはり同じ問題が出てくると思うんだ。
○松永(信)政府委員 御承知のごとく在外財産につきましては、サンフランシスコ平和条約第十四条の規定がございまして、それに基づいて、接収その他連合国においてとられた措置についての請求権を放棄するという規定があるわけでございます。そしてその同じ桑港条約の第二十一条に、中国はこの第十四条(a)2の利益を受ける権利を有するという規定があるわけでございます。したがいまして、中国との関係につきましても、私どもといたしましては、中国において接収された在外資産につきまして請求を提起することはできないという立場に立っているわけでございます。
○小沢(貞)分科員 その第三次審議会は、どういうメンバーでどういうように構成されたかはわからないが、これはとても調べるのはめんどうくさくて、とてもじゃないが調べようがない、こういうような調べるになかなか困難な問題とか、あるいは法律的に、これは一体国家が補償する義務があるかないか、政策的にまあ一時金でやってしまえ、こういうような過程を経てやっているのではないかと私は思いますから、これが憲法上も明確にこの一時金だけでもって済むものかどうかということは、これは全然別個の問題ではないか。サンフランシスコ平和条約十四条によって放棄したといっても、国家はその人の財産を補償する、これは国としての当然の責任になってくる。こういう点が法律的には残っておるのではないか。前者についてはそうであります。 今度は、中国との条約ということになると、これは日本人が大変たくさんいたわけですから——この間、田中総理が行ったときに寸向こうでは賠償を求めない、こういうようなことを言っているようであります。だから賠償を求めなければ、山国にいた日本人のいろいろの財産もまた日本は請求をしないみたいなことに、いままでの条約と同じようなことになろうかと思いますが、さてこの事態になったら、在外財産、特に中国におった人の財産というものは新しい条約締結の際にまた新たに検討されなければならない、こういうようになってくるのではなかろうか、こう思うわけです。 だからこれは、前者のように、すでに講和条約が結ばれて放棄してしまいました、国は本人に何もやりません、これで済まされるかどうか。私はまだそれも残っているような気がします。ましてやこれから条約を締結しようというその中国には、在外資産がめっぽうにたくさんあったんじゃないか。これは締結の際に考えなければならない新たな問題として出てくるのではないか、こう思います。これは総理府と外務省からそれぞれ御答弁をいただきたいと思います。
○松永(信)政府委員 平和条約第十四条の関係につきましては、先ほど総理府の方から御説明がありましたように、この結果、国はその在外資産を失った国民に対して補償の義務を負うものではないという立場に政府としては立っているわけでございまして、このことは最高裁の判決の中にも明確にされているところと了解しております。 〔湊主査代理退席、山本(幸雄)主査代理着席〕 ただ、その場合に、国あるいは政府が国民の財産そのものを奪い取ってしまったという考え方ではございませんで、そもそもそういう立場に政府はないわけでございますから、平和条約十四条で放棄いたしました請求権というものは、国際的な関係においてこれをとらえれば、国と国との間でこの請求権の問題を提起しない、いわば国際法上言いますところの外交保護権というものを放棄するということであると私どもは解釈しているわけでございます。したがいまして、ある国において接収その他によってなくなった財産に対して救済の措置を求めるということは、その国の国内法の問題になってくるということであろうかと考えます。
○島村政府委員 サンフランシスコ条約の関係につきましては、いま外務省の方の御答弁のとおりでございますが、審議会で一つの問題点になりましたのは憲法二十九条との関係でございますけれども、憲法第二十九条の関係につきましても、これは具体的に、そういう公権力を行使して財産を没収したものについて限定されるべきものであるというふうに考えておるわけでございます。したがって在外財産の問題については、憲法二十九条第三項の規定には該当しないという考え方に立っておるわけで二ざいます。
○小沢(貞)分科員 これは水かけ論みたいになるかもしれませんが、この「嘆願書」です。「昭和二十一年三月十三日、私の経営していた田中水産は、中国側に接収されました。その際、日本側の海州終戦事務処理本部副部長(領事)藤井啓二氏と中国側との間で、その授受の完了を確認する「田中水産引継目録表」(別添写)が作成され、私にも手渡されました。」これは外務省が立ち会いで「引継目録表」をつくってあるわけです。だから、この本人にとってみれば、これから平和条約が結ばれる、在外資産はみんな放棄してしまうぞ、こう言われた場合に、この財産については当然国がこの田中さん本人に補償してやる、これが本人にしてみれば当然のことではなかろうか、私はこう思うわけです。だから、四十二年に引き揚げ者の何とか法によって一時金をやったのとまた性格が異なって、このように明らかに目録表までつくってある、そういうような人が国内にたくさんいるのではないか、こう思います。しかも、それは外務省の「処理本部副部長(領事)藤井啓二氏」こういう人が立ち会いでつくってある。だから、この本人にとってみれば、やがて日中平和条約が結ばれる、そのときは国家は、これだけの目録表をつくってあるのだから補償してくれるであろう、こういう期待で今日まで待っていたわけですが、こういうように明確に国が立ち会いで目録表までつくったものについてはどうでしょう。これは当然、平和条約締結のときのいわゆる国内問題として処理されなければならない、こう思うわけです。
○宮澤国務大臣 中国政府と日本政府との関連で申せば、これは先ほどサンフランシスコ講和条約の御説明を政府委員がいたしたとおりと思います。 そうしますと、残りは日本国と日本国民との関係になるわけでございますが、それについては、最高裁の昭和四十三年の判決があるということを先ほど申し上げました。 そこで、ただいまのようなケースでございますが、もう一つ考えておかなければなりませんのは、ずいぶん昔のことになりますけれども、昭和二十一年でありましたか二年でありましたか、いわゆる補償打ち切りを法律によっていたしたことがございます。御記憶でいらっしゃるかと思います。あれによりまして、国が国民に持っております債務を全部打ち切ったわけでございます。そういうこととの関連が、いわゆる均衡論が出てきそうに私ら存じます。 外地でいろいろ苦労された方を、国内にいた人々と同等に論じますのは、いささか酷かもしれませんけれども、しかし国内で、たとえば自分の家、財産が戦争によって失われた、この場合、法律によりまして国が国営保険をやっておったわけでございますから、戦争保険があったわけでございます。しかし、その国の債務もあの法律によって打ち切ってしまいましたので、したがいまして、法律によりまして、本来なら国の当然履行すべき債務、はっきり確立した債務を法律によりまして解消せしめた、打ち切ったという措置をあのときにとっておりますので、ただいまのようなことは、それとの関連も考えてみなければならないのではないか。私、法律の専門家でございませんけれども、多分そういうこととの関連があるのではないかと存じます。
○小沢(貞)分科員 時間ですから。 私は、いま大臣が言う、国が国民に持っていた債務をそのときに打ち切ったのと、この在外資産と一緒になるものかどうか、なかなかこれは疑問のあるところだと思います。 いずれにいたしましても、こういうように具体的に外務省が目録までつくって引き継いだ、こういうケースというのは、たくさんあるのではなかろうかと私は思う。平和裏に向こうへ喜んでお渡ししますと、立会人に外務省が入っておる。だから、こういうものがどのくらいあるか、これは総理府でやるのかどこでやるのか、少なくとも調査をして、こういうケースについては、いま言った昭和二十一、二年の補償打ち切りのことにもどうもなじまないような気がするし、昭和四十二年の何か海外からの引き揚げ者に対する一時金をやったのにもなじまないような気がする。だから、これは調査をして改めて対策を立てる、研究をする、こういうぐあいにしていただけませんか。
○宮澤国務大臣 いろいろむずかしい問題らしゅうございますので、政府部内でもう少し協議をさせていただきます。
○小沢(貞)分科員 終わります。
○山本(幸雄)主査代理 これにて小沢貞孝君の質疑は終わりました。 これにて外務省所管の質疑は終了いたしました。 —————————————
○山本(幸雄)主査代理 昭和五十年度一般会計予算及び昭和五十年度特別会計予算中、文部省所管を議題とし、政府から説明を求めます。永井文部大臣。
○永井国務大臣 昭和五十年度文部省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。 まず、文部省所管の一般会計予算額は二兆四千三十五億九千八百九十九万円、国立学校特別会計の予算額は七千二百三十九億九千四百三十万円でありまして、その純計額は二兆五千六百六十四億七百八十一万円となっております。 この統計額を昭和四十九年度の当初予算額と比較いたしますと、六千六百九十八億三千三百九十三万円の増額となり、その増加率は三五・三%、一般会計予算額の増加率は三五・五%となっております。 以下、この文部省関係予算の主要な事項につきましては、分科員各位のお許しを得まして、説明を省略させていただきたいと思います。 何とぞ、よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
○山本(幸雄)主査代理 この際、お諮りいたします。 ただいま、永井文部大臣から申し出がありました文部省所管関係予算の主要な事項につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本(幸雄)主査代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔永井国務大臣の説明を省略した部分〕 以下、昭和五十年度予算において取り上げました主要な事項について御説明申し上げます。 第一は、初等中等教育の充実に関する経費であります。 まず、教員の給与改善につきましては、教育界にすぐれた人材を確保するため、抜本的改善を図る措置として、四十八年度において義務教育教員の給与の一〇パーセント相当額の引き上げの措置を講じ、四十九年度においても同様の措置を講じましたが、五十年度においては、四十九年度の第二改善措置の平年度化分のほか、さらに第三次改善分として五パーセント相当額の一カ月分の財源措置を講ずることとし、計八百十六億円を計上いたしました。なお、この第三次改善をもちまして教員給与の計画的改善を完結させることといたしました。 義務教育諸学校の教職員定数につきましては、四十九年度を初年度とする第四次の教職員定数改善五カ年計画に基づく定数の増を行うとともに、教頭職の法律化に伴う教員定数の増についても配慮し、これにいわゆる自然増及び特殊学級の増設に伴う増員等を合わせて一万六千百二十三人の増員に必要な経費を計上いたしました。 次に、教材につきましては、義務教育諸学校の教材について引き続き年次計画による充実を図るとともに、学級当たりの単価の改定を行うこととし、また、義務教育教科書につきましても、五十年度前期用教科書から購入価格を三三パーセント引き上げるのに必要な経費を計上いたしました。 次に、公立文教施設の整備につきましては、児童生徒急増地域の小、中学校校舎の新増築事業に力点を置くとともに、屋内運動場の補助基準面積についても、学校教育以外の社会教育、社会体育等の諸活動にも十分利用できるよう、補助基準面積の改定を行うことといたしました。また、建築単価につきましては、超過負担の解消及び最近における物価上昇を織り込み、三二パーセントの引き上げを行うことといたしております。なお、児童生徒急増市町村の小、中学校建設用地の確保を促進するため、用地取得費補助金の単価を引き上げるとともに、交付率の引上げを図ることとしております。これらの施策に要する補助金として、四十九年度に対し三七・三パーセント増の二千七十四億円を計上いたしました。 公害対策につきましても、大気汚染地域及び市街地域の公立小、中学校に引き続き健康増進特別事業及び学校環境緑化事業を推進することといたしております。 次に、学校給食の整備充実につきましては、最近における物価の上昇に対処し、低廉、良質な学校給食物資の安定的供給に資するため、新たに学校給食用物資安定供給対策特別事業を実施するための経費十二億五千万円を計上することとしたほか、給食施設設備整備の補助単価の引き上げ等を行うことといたしました。 次に、定時制及び通信制の教育の充実につきましては、新入学者に対して合宿による修学指導を行う経費を新たに計上するとともに、定時制課程について教科書の給与を三年次生まで拡大し、修学奨励費を二年次生まで拡大することといたしました。 次に、特殊教育の振興につきましては、前年度に引き続き年次計画による養護学校及び特殊学級の増設を推進することとし、特に養護学校については、五十四年度からの義務制実施に備えて、都道府県、市町村等に設置する就学指導委員会を拡充するとともに、重度、重複障害児のための訪問指導員及び介助職員の増員、特殊教育就学奨励費及び特殊教育設備整備の拡充等を行うことといたしました。 次に、幼稚園教育の振興につきましては、引き続き公私立幼稚園の増設を計画的に進めることとし、施設整備の補助単価の引き上げを図るとともに、父兄の経済的な負担を軽減し、幼稚園教育の普及に資するため、幼稚園就園奨励費補助を拡充いたしております。 以上のほか、準要保護児童生徒に対する新入学児童生徒特別援助事業措置の計上等就学援助の強化、教育課程の改善、理科教育及び産業教育の振興、教員の海外派遣等各般の施策につきましても、引き続き所要の経費を計上いたしました。 第二は、高等教育の整備に関する経費であります。 まず、高等教育改革の推進についてであります。放送大学一仮称一につきましては、新たに教育方法についての各種の実験を行うなど実施のための調査をさらに前進させることとしています。また、教員大学院大学及び技術科学大学院一仮称一の創設準備等をさらに進めるとともに、筑波大学につきましては、第二学群及び芸術専門学群を増設するほか、大学院を設置し、大学附属病院の設置準備を進める等本格的な整備を図ることといたしました。 なお、大学入学者選抜制度の改善につきましても、共通学力検査等について引き続き調査を進めることといたしております。 次に、大学院の拡充整備につきましては、東京工業大学に新しい構想に基づく学部から独立の研究科を新設したほか、研究科の新設、専攻の増設等により七百三十人の入学定員増を行うことといたしました。 医学教育の拡充につきましては、四十九年度に国立医学教育機関創設準備費を計上した五校のうち、準備状況等を考慮して富山医科薬科大学及び島根医科大学の二校の創設を行うこととし、他の三校については引き続き創設準備を進めることとしたほか、徳島大学歯学部の創設準備を継続することといたしております。さらに、医学教育機関三校の創設準備調査と琉球大学医学部の設置調査を行うとともに、大学附属病院、歯学部等の設置に関する調査も行うことといたしております。また、千葉大学に四年制の看護学部を創設するとともに、弘前大学、京都大学及び鳥取大学の三大学に医療技術短期大学部を創設することといたしました。なお、大学附属病院につきましては、新設の医科大学等の附属病院の創設準備を開始するとともに、既設の大学附属病院の整備充実についても配慮をいたしております。 次に、教員養成の改善充実につきましては、前述の教員大学院大学の創設準備等を進めるほか、国立大学の教員養成学部について、小学校教員、幼稚園教員、特殊教育教員及び養護教員を養成する課程の新設、拡充を図るとともに、附属養護学校等を新設、整備する等その充実を図っております。 国立学校の整備充実につきましては、これらの諸施策のほか、高等教育の機会増大に対する社会的要請にこたえて、学科、課程の新設、改組と入学定員の改定を行うこととし、前述の学部等の新設による増員を含め、大学学部及び短期大学の入学定員で総数千九百人の増募を行うことといたしました。また、教育研究条件の整備のため、基準的経費、施設、設備等の充実に努めるとともに、必要な分野について教職員の増員を図っております。なお、国立学校の入学料及び検定料につきましては、私立学校との均衡等を勘案し、五十年度に引き上げを実施することといたしております。 以上の諸施策等に要する国立学校特別会計の子算といたしましては、四十九年度の当初予算と比較して一千五百三十五億円増の七千二百四十億円を計上いたしました。その歳入予定額は、一般会計からの受け入れ五千六百十二億円、借入金三百七十一億円、自己収入その他一千二百五十七億円であり、歳出予定額は、国立学校運営費六千百四十六億円、施設整備費一千九十四億円となっております。 第三は、学術の振興に関する経費であります。 まず、重要基礎研究の推進につきましては、エネルギー開発を進展させるため、核融合研究を格段に充実する等、原子力研究の一層の推進を図るとともに、地球をめぐる宇宙環境を解明するため、科学衛星及びロケット観測等を推進することといたしました。また、国立大学の共同利用機関として分子科学研究所を創設することとしたほか、既設の研究所についても計画的に整備を進めることといたしております。 次に、科学研究費につきましては、がん、難病等の生命科学、地震予知を含む災害科学、情報科学、環境科学等に重点を置き、国際共同研究計画の推進経費を含め、総額百七十億円を計上し、その拡充を図りました。 第四は、私学助成と育英奨学事業の拡充に関する経費であります。 私立学校の助成につきましては、まず、私立大学等の経常費補助について、専任教員及び専任職員の給与費の拡充と教員経費及び学生経費の物件費の充実を図り、四十九年度に対し五七・四パーセントに当たる大幅な増額を行って、一千七億円を計上いたしました。なお、その内容として、私学の教育研究の質的向上に資するための特別な助成の方法を取り入れることといたしております。 また、新たに、高等学校以下の学校法人立の学校についても、国庫補助を行うことといたしました。 日本私学振興財団の貸付事業につきましては、政府出資金十億円を計上するとともに、後述の私大奨学事業も含め財政投融資資金からの借入金三百四十五億円を計上し、自己調達資金を合わせて四十九年度に対して七十五億円増の四百五十五億円の貸付額を予定いたしております。 このほか、私立学校教職員共済組合補助につきましては、四十九年度に引き続き長期給付の改善を図るための補助の拡大を行うことといたしました。 次に、育英奨学事業の拡充につきましては、日本育英会貸付金のうち大学院の人員及び貸与月額の増、私立大学特別貸与奨学生の人員増、私立高校人員の別枠設定及び私立学校の貸与月額の増等を行うこととし、このための貸付金の増額を図ったほか、私立大学を設置する学校法人が当該大学の学生を対象として行う奨学事業に対して、国が日本私学振興財団を通じて財政投融資資金を融資する私大奨学事業の援助についても、さらにその規模を拡大してまいることといたしました。 第五は、社会教育と体育、スポーツの振興に関する経費であります。 まず、社会教育の振興につきましては、社会教育の指導者層の充実を図るため、四十九年度に新設した社会教育主事の給与費補助について員数及び単価の引き上げを行うとともに、社会教育指導員の設置費補助についても単価の引き上げを行うことといたしました。 公立の社会教育施設につきましては、公民館、図書館、博物館、青年の家及び少年自然の家等の補助単価の引き上げを行うことといたしました。また、青少年のための国立の施設につきましては、国立青年の家の整備を進めるとともに、国立少年自然の家については、高知県室戸市に建設中の第一少年自然の家を五十年度中に開設することとし、その他についても引き続き計画的な設置を進めるための施設費、創設調査等の経費を計上いたしました。また、国立婦人教育会館一仮称一の建設につきましても、本格的な工事に着手することといたしました。 社会教育事業の促進につきましては、高齢者教室、家庭教育相談事業等の事業の拡充を図るほか、新たに乳幼児学級を開設するとともに、特に青少年関係団体を重点に社会教育関係団体補助を増額することといたしました。 次に、体育、スポーツの振興につきましては、社会体育の指導者層の充実を図るため、都道府県にスポーツ担当の社会教育主事を設置し、市町村の求めに応じて派遣できるよう、都道府県に対しその三百人分の給与費の二分の一を補助する経費を新たに計上することといたしました。 体育、スポーツ施設につきましては、引き続き拡充整備を進めることとし、施設建設費の補助単価を引き上げることといたしました。 体育、スポーツの普及奨励につきましては、前述のスポーツ担当主事の新設その他指導者の養成等と合わせて、特に地域住民のための体育、スポーツの振興に意欲的に取り組む市町村を地域住民スポーツ活動振興指定市町村として指定し、援助する事業を拡充するとともに、学校体育施設の地域住民への開放を一層促進することといたしました。 また、青少年の健全な心身の発達、育成を助長するため、全国高等学校総合体育大会の運営費を充実するほか、新たに都道府県単位の中学校体育大会、全国中学生選抜大会等の開催に必要な経費を補助することとするとともに、少年スポーツ教室の開設に必要な経費を補助することといたしました。 第六は、芸術文化の振興と文化財保護の充実に関する経費であります。 まず、芸術文化の振興につきましては、芸術祭三十周年を記念して主催公演を拡充し、さらにアジア民族芸能祭を実施することとしたほか、移動芸術祭、青少年芸術劇場の拡充を行うとともに、子供を対象に成長段階に応じた音楽、舞踊、演劇の巡回公演を行うこども芸術劇場についても拡充することといたしました。また、地方文化施設等が行う自主事業に対する助成、芸術関係団体に対する助成、芸術家の在外研修及び文化テレビ放送についても拡充を図ることといたしました。 次に、文化財保護の充実につきましては、東大寺金堂の修理等の重要文化財建造物の修理、史跡の保存修理、環境整備、埋蔵文化財の発掘調査等の国宝重要文化財等保存整備費補助を重点的に充実するとともに、無形文化財の保護についても、重要無形文化財の保持者に対する特別助成金の増額、伝承者の養成、保存団体等に対する補助金の増額を行うほか、能楽の調査に続いて文楽の保存に関する調査を行うことといたしました。 また、国宝重要文化財等の美術工芸品の国に上る買い上げを促進するとともに、史跡の保存についても、藤原宮跡等の国による買い上げを継続して実施するほか、地方公共団体による史跡等の買い上げに対する補助の充実を図っております。 地方文化施設等の整備につきましては、文化会館の建設費に対する補助単価を引き上げるとともに、文化財保存施設の整備充実を行うこととしております。 国立の文化施設につきましては、国立国際美術館(仮称)の設立準備をさらに進めるとともに、国立歴史民俗博物館(仮称)の設立準備として新たに基本設計費及び土地購入費を計上することとしたほか、第二国立劇場(仮称)及び演芸資料センター(仮称)の設立についても引き続き調査を進めることといたしております。 なおまた、内外の社会情勢の進展に即応し、長期的観点に立って、新しい見地から日本文化の振興を図るため、文化行政の長期総合計画を策定することとしております。 第七は、教育、学術、文化の国際交流の拡大に関する経費であります。 まず、国際連合大学につきましては、四十九年度に大学本部が東京都内で開設されたことに伴い、事務所の借り上げ、協力会議の開催等に必要な経費を計上することといたしました。 次に、留学生の交流につきましては、国費外国人留学生の給与月額の引き上げ、留学生宿舎対策の充実強化等留学生に対する世話体制の整備を図るとともに、海外派遣人員を増加し、学生の国際交流を推進することといたしました。 また、学術交流につきましては、日本学術振興会の機能と活動を拡充し、研究者の交流等の国際協力を拡大することとしたほか、国際深海掘削計画及び国際磁気圏観測計画に参加する等国際共同研究を推進することといたしております。 さらに、ユネスコを通ずる国際協力につきましては、国際大学院コースの受け入れ等の教育協力のほか、科学協力として新たに東南アジア基礎科学ネットワークに対し資金を拠出することといたしました。このほか、文化交流、海外勤務者子女教育等につきましても引き続きその推進を図ることといたしております。 以上、昭和五十年度の文部省所管の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。何とぞ、よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
○山本(幸雄)主査代理 以上をもちまして、文部省所管についての説明は終わりました。 —————————————
○山本(幸雄)主査代理 この際、分科員各位に申し上げます。 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。 なお、政府当局におかれましては、答弁はできるだけ簡潔明瞭にお願いいたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。湯山勇君。
○湯山分科員 私は二点についてお尋ねいたしたいと思います。 その第一の点は、教育の中央集権化ということがだんだん進行していっている。その一つのあらわれは、県教育委員会あるいは市町村教育委員会の教育長が、県の人事の枠内で任命されている、あるいは市町村の教育長が市町村人事の一環として任命されているというようなことがかなり目立っているような感じがいたします。 この点について以前にお尋ねいたしましたところ、その傾向というものは必ずしも悪いことではないんだ。というのは、法的には三十一年に教育長の資格要件が撤廃されたということで一つ問題は解消する。いま一つは、教育長というのは、予算あるいは各機関との協議あるいは議会との折衝、社会教育あるいは文化財のこと等もあって、純粋な教育のことだけじゃない、そういう幅広い仕事もしていかなければならないんだから、いまの一般行政職から教育長になるというようなことも決して悪いことではないんだというような大臣の答弁がございました。これは釈然としないまま今日に至っておりますので、この点をもう少し明確にしていただこうというのが、第一点でございます。 それから第二点の質問は、OECDの「日本教育政策に関する調査」、これが行われて報告書が出ておりますが、この中で入学試験のことに触れた部分がございます。これは非常に重要なものだと思いますので、この点についてお尋ねいたしたいというのが第二点でございます。 まず第一点でございますけれども、三十一年に教育長の資格要件が撤廃された当時の政府側の説明は、これは教育公務員特例法と、それから都道府県の教育長については、文部大臣の承認という条件があるから知事部局と混同されるようなことはないというものでございました。ところが最近は、一年前でございますけれども、むしろそうなったからといって悪いことではない、法的にも職務内容の面からも、それは決して悪いことではないんだ、こういうことで、若干変わってきておると思います。教育公務員特例法はもとのままで生きていて、資格要件だけがなくなったという、これは非常に特殊な例になっておりますので、一体、県の一般行政の人事の操作の中で教育長が動かされる、あるいは極端に言えば自治省の課長が教育長になって出ていく、こういったようなこと、これは好ましいことなのか、好ましいことではないのか。これはあとで大臣に御意見をお聞きすることにして、その前提となる質問を局長の方へいたしたいと思います。 この三十一年に資格要件が撤廃になった教育長というものは、もうここで実際は教育公務員でもなくなったというように解していいんじゃないかと私は思いますけれども、局長の御意見はいかがですか。
○安嶋政府委員 御承知のとおり、教育公務員特例法におきまして、教育公務員の定義が第二条の第一項にあるわけでございますが、それによりますと、教育委員会の教育長は教育公務員である、したがって教育公務員特例法の適用があるということでございまして、具体的な規定といたしましては、御承知のとおり、特例法の十六条に、その「採用は選考による」「その選考は、当該教育委員会が行う。」というような規定がございますし、また十七条におきましては、給与について特別な規定が設けられているということでございます。したがって、教育長は教育公務員として法律上の規制を受けている、こういうことでございます。
○湯山分科員 そうなんです。問題は、任免の形式というのは、地方教育行政の組織及び運営に関する法律で決められておりますから、ここになくても構わない。それから給与も、これはどこかに移せば簡単にできることで、問題の本質は教育公務員であるかどうかという内容の問題だと思うのです。 これで見ると、教特法によれば、教育公務員は、いま局長がお述べになりましたように、学長、校長、それから教員及び大学の部局長ですから、学生主事とか図書館長とか、それに教育委員会の教育長及び専門的教育職員をいう。そこで専門的教育職員とは、次の項で、指導主事、社会教育主事とちゃんと規定されています。どれをとっても教育の専門職であるという規定です。 ところが、三十一年に教育長の資格要件がなくなりましたから、専門職でなくてもいいという解釈が成り立つので、そうすれば、教特法へ教育長を残しておく必要があるかどうかということです。これは私は、もし今日政府の考えておるような解釈に立つのならば、教育公務員から外すべきであるし、そうしないのであれば、この教特法にふさわしい教育の専門職の能力を持った人ということでなければならないと思うのです。この点はいかがでしょう。
○安嶋政府委員 教育公務員特例法に教育長の規定が残されておるということは、やはり教育行政の専門性に着目をいたしまして、ただいま申し上げましたように、採用、昇任につきましても、給与につきましても、一般法でありますところの地方公務員法の特例規定を設けておるわけでございます。ほかに、たとえば研修の規定が十九条にあるわけでございますが、これは教育公務員一般が「その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。」こういった規定が、教育公務員ということで教育長にも適用になるわけでございます。したがいまして、文部省といたしましては、教育長のあり方といたしましては、教育行政に関して高い識見を有する、あるいは教育行政について必要な力量と熱意を有する者、こういうことが選考あるいは承認の原則でございます。したがいまして、やや具体的に申しますと、やはり教育行政機関においてある程度の職歴を有する、あるいは教育の機関におきまして教職の経験をするといったようなことが、原則的には望ましいことかと思います。しかしながら、先ほど先生がおっしゃいましたように、教育長という者が常にそうした経歴の者でなければならないかと申しますと、これは例外的に、適材がございますればこれを任用するということは、これはあり得ることでございます。 そこで、最近の都道府県教育長でございますが、その任用の例を見てみますと、先ほど先生から御指摘がございまして、知事部局の人事の一環として教育長人事が行われている面があるというお話でございますが、四十五年と五十年を比較いたしてみますと、直前の職が知事部局の職員であった者が現に教育長になっておるというようなケースは、四十五年の十八人が五十年の一月におきまして二十人になっておるというような程度でございまして、最近特にそうした傾向が顕著になっておるということも申せないわけでございます。先ほど申しましたように、原則はやはり教育行政あるいは教職歴があるということが望ましいということでございますが、しかし、それがなければ教育長として不適格かと言えば、まさに先生が先ほど御質問の中でおっしゃいましたように、一般行政との調整ということもございますし、また本人の力量なり、あるいは仮に教職の経験がない場合におきましても、教育について識見がありあるいは熱意があるということもあるわけでございますので、文部省といたしましては、そういう点を総合的に判断をいたしまして、教職歴あるいは教育行政歴のない者も、教育長として適格な場合にはこれを承認をしていくということでございます。
○湯山分科員 いまの局長の御答弁で、例外的にというようなお言葉がありましたが、例外的には、いまのような適当な人があれば、必ずしもその前歴が教育行政歴、教育職であることにはこだわらないというが、いまお述べになりましたように、知事部局からの教育長就任者が二十人と言えば大体半数近い者です。だから決してこれは少なくない。たとえば十八人が二十人になったと言いますが、質的には、知事部局から出てきてまた知事部局へ帰っていく、内容的にそういう現象を特に指してもいるわけです。 それから何にしても、局長の御答弁で言えば、それは例外的だ、いい人があればというのですが、そういう人が二十人もあるということは、これは私は異常だというように判断せざるを得ないので、このことは、県だけじゃなくて市町村の教育長にも、同じような傾向が相当ございます。そこで、他の教育公務員と比べてといいますか、この法律で教育公務員が第二条で規定されております。その並んでおる中へいまの行政部局の者がぽっと入って、それでこの教育公務員特例法の形というのですか、バランスがとれているでしょうか。その職についた途端にそういう身分ができるという性格のものではなくて、この教育公務員というのは、学長にしても校長にしても、教員それぞれの、形式的なものは別として、ある資格要件があると判断せざるを得ないのです。そういう点から言えば、知事部局から教育長に就任した者が二十名もあるということについて、それは妥当だというようにお感じでしょうか。
○安嶋政府委員 先ほど申し上げたとおりでございますが、要は個々の人材が教育長としてふさわしい資質なり力量なりを持っておるかということだと思います。したがいまして、そういう点から判断をいたしまして、結果的にただいま申し上げましたような実態になっておるわけでございます。文部省の指導方針といたしましては、教職歴あるいは教育行政歴のある方が望ましいということは申しておりますが、実際上その方面から適任の方がなかなか得られない。したがって、むしろ知事部局で部長等を経験された方の方が総合的に判断をしてより教育長としてふさわしいという場合があり得るわけでございまして、そういう総合的な判断が教育委員会においてなされました場合には、文部省としては、特にその方についての教育上の考え方なりあるいは能力なりについて疑義がございます場合を除いては、やはりこの地方分権というもののたてまえからいたしまして、承認をすることが妥当であろうというふうに考えます。教育委員会といたしましては、教育長の人事というのはもちろん一番重要な人事でございますから、したがいまして、この人を教育長として承認をしてもらいたいという教育委員会の自主的な御決定がありました場合には、先ほど申し上げましたような観点を総合的に考えながらこれを承認するというのが私どもの従来やってきたところでございます。その結果、四十七人のうち二十人と申しますと、決して少ない数ではございませんけれども、結果的にはそういうような状況になっておるということでございます。
○湯山分科員 御答弁を聞いておれば、その限りにおいては納得できますけれども、事実の上からは納得できないので、これは何らかの方法を講じてこういう傾向をとめなければ、一般行政が教育に優先するということになりかねないことを心配しております。しかも、県がそうなれば地方もおのずからそういう傾向を持ってくる、これはもう当然のことです。 そこで、適任者ということをおっしゃいました。これは実際にあったことですが、教育長に就任してすぐインタビューがあります。そうすると、私は教育には素人でございましてと、儀礼的なのか何かは存じませんけれども、それからあいさつがスタートする。こういう例は一、二にとどまっておりません。それでもいいかというと、これは全くいまの局長の御答弁とは違っておるので、たてまえはたてまえ、実際はそうなっていない。これを何とかしなかったら非常に憂慮すべき状態が起こってくると思います。そこでどうするかというのは、いまおっしゃったように、たてまえから言えば、文部大臣の承認というのは形式的なもので、原則的には申請があれば認めるんだ、京都で多少トラブルがあったのもありましたね。だから、そういう問題もさることながら、傾向自体へどう歯どめするかというのも、中央としては教育行政の大きい問題だと私は思います。 そこで、この点について、本来能力のある教育長にしてほしいという私の希望を述べますとともに、大臣から御所見を伺いたいと思います。
○永井国務大臣 私は、教育行政の専門性を高めるということは非常に望ましいことと思っております。 実は、私が戦争直後アメリカに参りましたときに、教育行政の授業を一学期受けたのです。しかし、考えるところがありまして、教育行政でなく教育についての社会学の方にかわったのですが、いま思いましても、教育行政の授業というのは非常に刺激を受けました。いまの教育長の問題は、教育行政の学問の研究、それから教育、やはりそういうものとの関連においても考えなければいけないことだと私は思っております。もちろんわが国におきましても、戦争の後に、すべての大学ではございませんが、相当数の大学に教育行政という講座もできまして、そういうところで養成が始まっておりますが、二十数年は経ましたけれども、熟し切っていると言えない面があると思います。 そこで、これは現行の行政という角度だけでなく、つまり現在だれを教育長に任命することを文部省として承認するかということだけでなく、もう少し広く教育行政についての学問の研究や教育というものを、やはりその方面の先生方ともお話し合いをしながら強めていくということが非常に必要なんではないだろうか。そういうものと並行いたしまして考えていきませんと、机上の空論に終わるおそれがあるように思います。 現在の状況につきましては、初中局長がお話し申し上げましたように、こういう形で進めざるを得ないのであり、また、そこでそれを研修というふうな形で強化するという方法をとっておりますが、長い将来を考えますというと、やはり相当教育行政の専門家というものが次第に養成され、またそれとの関連におきまして、一層専門性を持った人が教育長になるような、そういうふうにいくことが望ましいんだと思います。ただし、それはいま申し上げましたように、大学の講座などとの関係もありますから、直ちに実現できるということでないように思いますが、そういう包括的な考え方で次第に目的を達成するようにすべきものと考えております。
○湯山分科員 これはまだ若干問題は残りますし、それから局長がおっしゃった、教育公務員であるから研修、特に絶えず研究と修養について努めなければならないと同時に、任免権者は研修奨励の計画、実施に努めなければならないという義務づけもありますしいたしますから、それらについてもお聞きしたいのですが、現在こういうことが本当に実質的に行われているかというと、なかなか行われていない面が多いと思います。現在カバーする道はこれしかないのですから、本当に教育長が教育公務員であるならば、それにふさわしい長期の研修等を計画してやるということも政府の責任だと思いますので、将来は大臣の言われたような方向に進めていただくし、当面それをひとつやっていただくのと、こういう傾向を何とかとめるという御努力を願いたいと思います。 それから次の問題は、OECD、経済開発協力機構の日本の教育政策に関する調査、これは私は非常に重要な幾つかの示唆を与えていると思います。書いておることは非常に丁寧に書いてあって、節度をわきまえながら痛烈な意見が述べられてある。 時間がもうなくなりましたので一点だけお尋ねいたしたいのは、この報告書の中に大学入試に触れております。日本の社会には出生による階級はないが、十八歳の大学入試によって階級が発生する。この入学試験の学生たちへの影響では、年齢別に見た自殺率は男女とも大学入試の年齢で最も高く、また男子の場合には入学試験の結果が発表される三月の自殺率が年間を通じて最高となっている、こういう指摘があります。これについては、この年齢は、春という季節、孤独感というのもあるが、大学入試が自殺への誘因の一つであることはほぼ間違いあるまいという指摘です。これに対して文部省は、だれがどこでおっしゃったのか存じませんが、「文部省は、このような自殺率の解釈は、あくまでも仮定の上に立つ議論だと指摘している」、こうあります。 この視察団の構成というものがそう権威のないものであれば、文部省の言うとおりだと思いますけれども、この視察団は、フォール元フランス首相、ライシャワー元駐日大使、ドーアというイギリスの大学教授、ジョセフ・ベン・デビッドというエルサレム大学の教授、ガルツングというノルウェーの国際平和問題研究所長と、相当りっぱな信頼できる人なんで、こういう人のこういう指摘があるのを、そんなに簡単に文部省は、あくまでも仮定の上に立つ議論だというので見過ごしていいかどうかということ。それから、もしそうではなくてそれを重要視するのであれば、こういうことについて調査されたことがあるかどうか。この二点をまずお聞きしたいと思います。
○安嶋政府委員 高校生の自殺の問題は、社会的にも教育的にも非常に重大な問題でございますが、昭和四十八年に文部省が調査をいたしましたところ、その一年間の高校生徒の自殺者数は二百三十三人でございます。そしてその自殺の理由を見ますと、全体を一〇〇%といたしました場合に、原因不明というものが約一八%で、これが一番多うございます。その次が精神障害の関係で、これが約二八%ございます。それから厭世というのが約一三%ございます。それから異性の問題というのが約一一%ございます。ほかにいろいろあるわけでございますが、学業の不振というのが約一〇%、それから進路問題というのが約九%ございます。大学入試に関連してという資料はございませんが、この自殺の理由からいたしますと、学業不振あるいは進路問題というようなところが関係があろうかと思います。 それから月別の自殺者の割合でございますが、このOECDのレポートとはかなり違いまして、一番多いのは九月の一四%、次が十二月の一一%ということでございます。 申すまでもないことでございますが、自殺ということは大変大きな問題でございまして、文部省といたしましては、生徒指導という面で各種の講座等を開いておるわけでございます。中央におきましては、生徒指導主事講座というものを設けまして、青年期における精神衛生、青年期における心理的な特質等の講義を行いまして、その中で自殺の問題を取り扱っております。都道府県の中学校、高等学校の生徒指導においても、ほぼ同じような講座を開いております。ほかに、中学校のカウンセラーの養成講座を開きますとか、あるいは資料といたしましては、生徒指導の手引き等を作成いたしまして、青年期の心理的な特質を取り上げ、また個々の指導事例といたしましては、自殺に陥るおそれのある場合等を示しまして、現場の先生方の指導の参考にいたしておるということでございます。 指導方針の基本は、言うまでもないことでございますが、生命を尊重するという教育の徹底、あるいは教師と生徒との人間関係、相互の信頼関係の確立、それから生徒の実態の把握に努める、家庭との連絡を密にする、その他、精神衛生上の対策を強化するといったような方向で各般の指導を行っておるわけでございます。
○湯山分科員 時間がありませんので、大変中途半端になりましたが、実はこの調査団の調査にぴったり合うような資料がどうも日本の政府にないようです、第一は。年齢別じゃなくて、二十歳から二十五歳までとか、そういうくくり方のものしかいまないのです、調べてみると。だから、これにぴったりしたお答えというのはいま出ないだろうと思うのです。重要に受けとめておるのであれば、これに資料で合うような検討をもう一度願いたい。それでなければちょっと議論しにくいと思います。私のその範囲で得た資料ではあるんです。だから、これだけ申し上げて終わることにします。
○山本(幸雄)主査代理 これにて湯山勇君の質疑は終わりました。 次に、松浦利尚君。
○松浦(利)分科員 私は二つの問題に限定をして質問をいたします。 第一点は障害者教育の問題であります。文部省にまずお尋ねをいたしますが、現在、障害児生徒、推定どれくらいだというふうに把握しておられますか。
○安嶋政府委員 学齢に該当いたします小学部、中学部の段階といたしまして、当該年齢に出現率を乗じて得ました推定対象者数でございますが、約五十五万人というふうに考えております。
○松浦(利)分科員 その五十五万人のうち、各種学校に就学している者、それから就学猶予または免除を受けておる者、それぞれの数字を言っていただけませんか。
○安嶋政府委員 そのうち盲学校、ろう学校、養護学校あるいは小中学校における特殊学級に在学しておる者は、全体で約十七万六千人でございます。それから就学義務の猶予、免除を受けておる者が約一万八千人ございます。したがいまして、約五十五万人のうち、ただいま申し上げました十七万六千人と約一万八千人を除いた者は、何らかの形におきまして小中学校等の普通の学校に在学をしておる、こういうことでございます。
○松浦(利)分科員 いま、各種学校に入学している者、あるいは二十三条による就学猶予、免除を受けておる者以外の者は普通学校に就学している、こういうふうに断定をされたわけでありますが、それでは具体的に、各学年ごとに普通学校にどれくらい入っておられるということは、文部省の方で調査をしておられるのでありますか。
○安嶋政府委員 普通学校に入っております者は、これはたとえば視覚障害者でございますと、視力が〇・一以上〇・三未満の者、それから聴覚障害者でございますと、聴力の損失値が、五十一デシベルから七十デシベル、ないしは三十一デシベルから五十デシベルの間にある者、そういった、比軽的軽度な者が小中学校に入っておるということでございます。
○松浦(利)分科員 私はこういう質問をしているんです。先ほど言った五十五万人から差し引いた三十五万六千人というのが、普通学校に入っておるという統計になりますね。表面に出た統計を引くわけだから、推計五十五万から。そうしたら、普通学校に入っておるということを具体的に調査したことがあるかというのですよ。それぞれ各教育委員会に指示して、普通学校に何人入っておるか、各学年ごとに何人入っておるかということを文部省は調査したことはないじゃないの。推計でしょう、あなたの言っているのは。現実にその資料があったら具体的に出してください。
○安嶋政府委員 確かに御指摘のとおり、精細な調査は遺憾ながらございませんが、五十年度におきまして、先生御指摘の、軽度障害者で小中学校に在学している者の実態調査をしたいということで、予算の措置も講じておる次第でございます。早急に調べたいと思います。
○松浦(利)分科員 永井文部大臣、聞いたとおりなんです。いいですか。従来から私は、この前の分科会でも、この身障者の問題を取り上げたんです。ところが、実際にどういう調査をしておるかと言いますと、表面的に、各種学校に入っておる者、就学猶予なり免除を受けた者だけをトータルしまして、あとは普通学校に入っておるんだということだけの言いわけなんですね。具体的に、それでは本当に入っておるのかどうかということを調べたケースというのは、いま言われたとおり、ないのですよ。これで一体、文部省がいままで身障者のための教育を重視してやってきたんだということは、私は言えないと思うのですね。しかも五十年度からは、いま言ったようなものしか調べない。全部調べるべきなんですよ、普通学校にどれくらい本当に入っておるのかどうか。大臣の感想を求めます。あなたは今度文部大臣に議員外からなられた人ですから、いま言ったことのやりとりを聞かれて、あなたの感想を求めます。
○永井国務大臣 ただいまのことに御答弁申し上げます。 これは一般学級に入っておりますが、しかし、それがどういう形で、どこにどのぐらい入っているかということによって、教育指導上の問題を考えることができますし、また考えるべきだと思いますから、いま初中局長が申し上げましたように、これは今後十分検討して調査をしていくことが望ましいと思っております。
○松浦(利)分科員 私たち社会党で、全国的な地方議員を動員いたしまして調査をしたのです。これが社会党の調査した結果です。後から文部省の方にも一冊差し上げますが、この調査から見ますと、実際には、親御さんが手続するのがめんどくさいからというので、教育委員会に対しての就学猶予なり免除の手続をしておらないのですね。そのことに対して、また市町村も具体的に把握しようとしない。ですから、私たちが調査をしてみると、いやもううちの子供は普通の人と一緒に行けないのだから親元に置いておきたい、それでは手続をしたらどうですかと言うと、そんなめんどくさいことを一々しなくったってもう私の方は結構ですというようなことで、埋もれてしまっておるというような人が非常に多いわけですよ。まさしく身障者教育というのは、そういう埋もれた人をどう発掘するか、どうこれを就学させるか、あるいはどのように社会に復帰させるかということが、私は基本でなければならぬと思うのですね。ですから逆に言うと、文部省の身障者教育というのは、五十年度初めて調査するそうですから、これからやっと緒についた、こういうことの批判を受けても、これは仕方がないと私は思うのですね。 そこで、一つの提案でありますが、いま文部大臣も言われたように、正確な未就学児の実態調査を実施をするということでありますから、これは早急にやっていただきたい、これが一つであります。 それからもう一つは、そういう意味で学齢を超えた子供さんがたくさんおられるわけですね。私たちの調査によると、いや、あなたのところは子供さんを各種学校に入学させてやられたら、少しは周囲の皆さんと生活環境をともにすることによって発展をするのですよ。そういうことを教えますと、それではひとつうちの子供も就学させたい、こういう要望が父兄から出る。ところが御承知のように、今日の教育基本法なりあるいは学校教育法によって、学齢制限というのがありますね。十五歳という年齢制限があるわけでしょう。そうすると、十五歳以上だと年齢制限からはみ出しておりますから、これは極端に言うと就学する可能性はないということになりますね。問題は、いまから調査をしてみる、調査をしてみたらそういう人がたくさん出てきた、ところが実際に調べてみたら、もう年齢制限を超えている、しかもこういう人たちは就学がしたい、そういう者について、それでは一体どのように対処しようとするのか、具体的にお聞かせをいただきたいと思います。
○安嶋政府委員 最初に調査の問題でございますが、約五百五十万円の予算措置を五十年度予算でお願いをいたしておりまして、小中学校に就学しておる比較的軽度と見られる心身障害児につきまして、障害の種類、程度、またそれらの児童生徒に対してどういうような教育措置が講ぜられているかということを、教育的、医学的な観点から調査をしたいというふうに考えておりますので、早急にこれは運ばせていただきたいと思います。 それから学齢の問題でございますが、御承知のとおり、盲学校、聾学校につきましては、すでに義務教育が施行されておりますので、該当年齢の者は就学の義務があるわけでございますが、しかし学齢を超えたからと申しまして、直ちにそうした子供に教育の機会を与えないというようなことはいたしておりません。父兄といたしましては、そうした子供を盲学校、聾学校に就学させる義務はないわけでございますが、就学させたいということであれば、盲学校、聾学校としてはこれを極力受け入れるという体制でございます。 それから養護学校につきましては、これは五十四年四月から義務制を施行したいというふうに考えております。したがいまして、現在は義務はないわけでございますが、これも希望者は極力収容してまいりたいということで、養護学校の計画的な増設、特殊学級の整備というものを進めておるわけでございます。
○松浦(利)分科員 それで結構ですが、早急にそういう方向で段取りをしてもらいたいと思うのですが、そこでさらに事務局にお聞きをいたしますが、夜間中学ですね。これはちょっと身障者とは関係ありませんけれども、夜間中学で年齢制限をオーバーした人がたくさんありますね。そういう人たちには卒業証書は渡るのですか。
○安嶋政府委員 課程を修了いたしますれば卒業証書は出します。
○松浦(利)分科員 それは、学齢制限はなく卒業証書を渡しておるのですね。間違いありませんか。
○安嶋政府委員 その事実関係につきましては、私は確認をいたしておりませんが、学齢に関係なく当然与えるべきものだと私は考えます。
○松浦(利)分科員 当然与えるべきだということと、この基本法ですね、学校教育法、こういうこととの関係は、それではもうないというふうに理解していいですね。実質的には文部省の行政指導ではないのだ、だから仮に十七歳であろうと十八歳であろうと、卒業した者については中学卒業の卒業証書を与えるのだ、十八歳であっても与えるというふうに理解していいですね。
○安嶋政府委員 就学義務の履行としての在学ではございませんが、中学校の課程を修了いたしましたならば、これは中学校卒業の証書を当然に渡すべきものだと考えます。
○松浦(利)分科員 それでは、渡しておらないところは間違いだというふうに理解をしていいですね。
○安嶋政府委員 そのように理解をしていただいて結構でございます。ただし所定の課程を修了した場合ということでございます。
○松浦(利)分科員 それから、さらにお尋ねをしておきますが、身障者の高校教育の問題ですね。これは永井文部大臣は、かつて非常に身障児教育に御熱心だったというふうに私は理解をしておるのですが、この身障者保護に上の教育が必要じゃないか。逆に言うと、福祉的な意味からすれば、身障者にとって高校というのは準義務的な教育ではないかというふうに私自身は思うのですね。ところが高等学校については、義務教育に比べて身障者を受け入れる施設というものが乏しい、こういう問題が私はあると思うのです。こういう点についても、永井文部大臣は今後抜本的に改革をするという御意思はあるのかどうか、その点をお聞かせいただきたい。
○安嶋政府委員 御指摘のとおり、身障者は社会的な自立がいろいろな点で非常に困難でございます。したがいまして、社会的な自立ができますように行き届いた教育をしてあげるということが必要なわけでございますが、そのための機関といたしましては、御承知のとおり、盲学校、聾学校、養護学校に高等部というものがございます。ここにおきましては、一般の教科の学習のほか、持に職業教育に重点を置きまして、社会的な自立の道を助けるというふうにいたしております。 一般の高等学校に身障者が進学する問題でございますが、障害の程度、種類にもよりますが、これが重度の場合には、一般の高等学校ではなかなかそれを受け入れる体制が整わないものでございますから、かえって十分な教育ができないというような面もあろうかと思います。したがいまして、心身の障害のかなり重い者につきましては、それぞれ盲学校、聾学校、養護学校において教育を受けるということがやはり適当であろうと思います。ただ、若干の障害であって、普通の高等学校でも、特定の教科を除いては就学ができるという者でございますれば、各学校の受け入れの状況等を考えて、収容、入学を認めてしかるべきことかと思います。
○松浦(利)分科員 いまの言い方は各学校の収容云々でしょう。いまあなたが言われたのは、各学校、だから校長の判断によっては入れないのですよ。狭まるわけですよね。ですから私は、いままでの文部省のあり方がそうだったから、文部大臣どうですかとこう聞いておる。もう前のことはわかっておるのだから……。
○永井国務大臣 これは私は、今後やはり高等学校で受け入れ体制がだんだんにできるように私たちは考えていくことが望ましいと思います。 すでに御案内と思いますが、社会教育の方では、青年の家、これは文部省が直接その責任を持っておりますが、そういうところでは、階段のほかにスロープを設けるというような形で、現在、身障者の方々も来ていろいろ研修をしやすいようにしておりますし、それから大学につきましても、入試のときに、特別に身障者の方たちの審査ができますように、補助金も出しているということです。そこで高等学校の場合には、都道府県の教育委員会というものが直接責任を負っている形でありまして、いま初中局長が申し上げたとおりでありますが、これもしかし、軽度のものについてだんだんそういう道を開いていくようにすることが非常に望ましいというふうに私は考えております。
○松浦(利)分科員 言葉では前文部大臣もそう言うんです。だんだんだんだんと、こう言うんです。だんだんということは非常に都合のいい言葉で、文部省は学校の先生がおられるから、言葉の使い方が非常にうまいんですが、だんだんだんだんということは、やってもやらなくてもだんだんなんですよね。いままでそうなんですよ。だからだんだんということは、やらぬということと同意語だと私たちはとるんです。私はやはり、文部大臣が特に身障者の教育というのには御熱心だというふうに、大臣になられる前からお聞きをしておるんです。ですから、少なくとも従来の文部省のパターンではなくして、各県教育委員会を指導して、もっともっと身障者に道をあける、高校の門をあけていくんだということを具体的にやってもらいたいと思うんですね。当面、高等学校の入学試験が始まりますね、各区一斉に。ぜひそのことをやってもらいたい、だんだんでなくて。よろしいですか。
○永井国務大臣 だんだんでなくて、もっともっとということをおっしゃいました。本当にそうだと思います。私が実は関心を持っておるとおっしゃいましたが、私の父が身障者で、中学二年のときに骨膜炎になりまして、当時ですと県立の中学だったんですが、自動的に退学になるんです。ですから退学になりました。それから大学を出るまでに非常に実は苦労をいたしました。そのことを私は子供の時分から何回も聞いておりますから、それはだんだんという言葉を私が使いましたのが、何もしないという意味合いでは決してないことを繰り返し申し上げます。 それで、先ほど大学や青年の家のことを申し上げましたのは、国が関与するところでは、直接的にそういうふうに一応いまやるところへまいりましたということを申し上げたんです。高等学校の場合に、これは都道府県の教育委員会が直接に責任を持ちますから、だから国が何もしないというのではなく、やはり国もそういう考え方をとっているのでありますから、次第にそれに歩調を合わせるように、私たちの方としても一層この考え方を明瞭にしていくように努力をいたしたいと思っております。
○松浦(利)分科員 ぜひお願いいたします。 それから、なかなかまとまっておられないものですから、それで昨年でしたか、訪問教師ということが言われましたね。すでに地方自治体では訪問教師をやっておられるところもある。ですから、これからやはり訪問教師というものを、もっともっと充実する必要があるのではないかというふうに思いますね。五十年度予算にも訪問教師の予算があるようですが、この際、画期的に訪問教師というものを充実をしていくということについても、ひとつ大臣の決意のほどを承っておきたいというふうに思いますね。
○永井国務大臣 訪問教師が私は非常に重要であると思っております。そこで、御指摘のように、どうしても学校に出てこないという人にいわば二種類ありまして、一つは、養護学校は充実していないために来れないという人があります。しかし、もう一つは学校ができましてもなかなか来にくい。これは医学的な理由などによってそうなる。そこで、一面ではやはり養護学校の義務化というものを実現するという形で、学校に来られる方は来ていただくようにすべきでありますが、それでもなお問題が残りますから、やはり訪問教師の数、それから内容の充実というのは非常に必要であると思っております。その意味合いにおきまして、本年度の予算にまたこれの充実強化の費用を計上いたしまして、これについて政府委員から御説明いたします。
○松浦(利)分科員 私もこれを見せてもらって、もうわかっておりますから結構です。しかし、あなたは予算を提案しておって、あなたがわからぬのじゃ困るわね。それだけは注意しておきます。 それで、訪問教師をぜひ充実していただいて、永井文部大臣になったからには、いままでは仕方がありませんが、これからは、猶予も免除も受けずにその家庭に幽閉されてしまわないように、埋もれてしまわないように、ぜひ画期的な手を身障者教育に打っていただきたいということを申し上げておきたいと思うのです。 それからもう一つは、これは各種学校の校長先生が卒業証書を渡すときにいつも感ずるんだそうですか、「引き返す道あるのみを卒業す」という感じになるというんですね。わかりますか。「引き返す道あるのみを卒業す」というんですよ。結局、各学校に寄った、ところが学校で卒業証書を渡すときには、社会的に受け入れる場所がないから、結局またもとの家庭に帰って入り込んでしまうんだ。だからこの卒業証書を渡すときに校長先生が感ずるのは、「引き返す道あるのみを卒業す」という実感に打たれる。このことは、教育というものと社会の受け入れというものが断絶しておるんですよ。この際そういう意味では、教育行政に携わる文部大臣から、もっともっと社会が身障児者に対しての道をあけるように、政府が一丸となった身障者受け入れの道というものを開いてもらいたい。 現に先ほども大臣が言われたけれども、特殊教育拡充整備計画要綱というのがすでに決まっておる。六十年度までにはあらゆる施設ができて、養護学級は義務化されていく、五十四年四月からは。そういう条件の中で、せっかく学校に入れて卒業したけれども受け入れるところがない。これではやっぱり非常に問題がある。この際、文部大臣が勇気を持って、そういったものについて、少なくとも三木内閣は福祉ということを重視するなら、文部大臣の意見を聞くはずでありますから、せっかく教育した者を受け入れる道というものを開くようにひとつ提起してもらいたい。そのことについて大臣の御決意を承りたいと思います。
○永井国務大臣 ただいま御指摘になりましたように、これは文部省だけでなく関係各庁、官庁と協力をいたしまして、卒業された方たちが社会に出にくいという情勢を一掃するようにしなければいけないと思います。しかし、教育の方について申しますと、これに関連して私、重要だと思っておりますのは、これは特殊教育と申しておりまして、そこで、えてしてこの特殊教育というのは、心身障害者だけに教育をすればよろしいという考え方に傾きやすいわけでございますが、実は、それ以外のいわゆる一般の教育のほかの人たちが心身障害者と協力して生きていくという、そういう教育が非常に必要だと考えております。 そこでその角度で、いわゆる特殊学級を含めております一般の学校の中での交流でございますね。これをやはり強化しなければいけないと思いますし、他方、養護学校と一般の学校との交流というものも強化しなければならないと思っております。特に教育の角度ではこの点を重要視したいと思いまして、実は二月の十一日には京都に参りまして画展を見たのですが、画展は幸いに、そういう一般、特殊の両方の人たちがだんだんに協力しているという話を聞いたんですが、こういう点を特に留意して進んでいきたいと思っております。
○松浦(利)分科員 もうあと時間がわずかになりましたが、最後に、昨年の第二分科会で私は東大教養学部の敷地問題について質問をしたのです。国有地が、国の財産が何らの処置もされないまま使われておるのですね。戦後一貫してただで使われておる。しかもそのただで使っている土地を有料駐車場で貸しておる人がおるのですね。アパートをつくって、アパートの家賃でかせいでおる人がおる。しかもその土地はただなんです。これは毎日新聞の昨年の十一月九日でありますが、この東大の教養学部構内の敷地の問題について、「またまた国有地の勝手な使途」、地代無料の国有地があるなら私もぜひ住まわせてくれ、という主婦の投書が載っていますね。しかも私は、こういうことがあるから昨年指摘をしたら、奥野文部大臣は、善処します、こう言ったのです。そのまま勝手に使われているでしょう。一体どういうふうに責任をとるのですか。約束したこと守っておらぬじゃないですか。どうしますか。
○宮地政府委員 先生御指摘の件は、昨年この分科会でも取り上げられた問題でございまして、文部省といたしましては、その後、東京大学とも連絡をとりながら、この土地の行政財産としての用途を廃止の上、当面居住者に貸し付けを行う方向で処置をするということで、現在その準備を進めております。貸し付けを行う場合、防災上どうしても必要となる道路の図面上の設定と各民家の使用面積を確保するための測量を現在までに終わらせておりまして、現在その結果に基づきまして、居住者の代表の方々と東京大学側とで話し合いが行われておるわけでございます。 文部省といたしましては、直接の管理部局である東京大学が現在居住者と話し合いを進めている段階でございますので、その折衝過程をよく見守って、適切な処理が行えるよう指導してまいるつもりでおります。
○松浦(利)分科員 大蔵省来ておられるでしょう。そういうことで賃貸していいんですね。
○村上説明員 いまの現状は非常に遺憾であるとわれわれ思っております。それから昨年この委員会で御指摘があったことは十分存じております。大蔵省もかねがね、こういう不適正な使用の状態を早急に改めるように文部省とも話し合ってまいったわけですけれども、先ほど文部省の方からもお話がございましたように、一応各居住者の実際に所有している面積の実測をしたり、あるいは必要な措置をとって、具体的にいまお話し合いに入っておる、こういうことでございますので、早晩解決されると思っております。 それから、いまお尋ねの点でございますけれども、現状は行政財産でございますけれども、文部省当局として、これを用途廃止をして普通財産にする、こういうことで貸し付けるということでございますから、この方法としては結構かと思います。
○松浦(利)分科員 行政財産から普通財産にして貸し付けるのですね。そうすると逆に、簡単に質問しますけれども、駐車場をつくったり、現実に十月にもあったのですが、ことさらに上物を登記してそれを他人に千二、三百万で転売をして出ていった人もおる。そういうことが現実にやられておるわけですね。そういうことは今後一切できないということでしょう。そういうことはさせないということでしょう。その点ははっきりしておるのですね。どうですか。
○宮地政府委員 国有財産の管理が適切に行われるように、それらの点についても、十分大学当局と協議して適切な管理が行われるように指導してまいりたいと考えております。
○松浦(利)分科員 いまここに傍聴に来ておられる人に地元の人がおられるのです。ところが、この一年間あなたの言ったことは一遍もされてないわけだ。東大が話をしたというけれども、全然しておらないんだ。早急にさせてください。そのことを約束してください。いいですね。
○宮地政府委員 大学側と居住者側との話し合いも、東京大学からの報告では、私ども行われておるように伺っております。それらの点についても、東京大学側と十分協議をして、適切な管理が行われるように指導したい、かように考えております。
○松浦(利)分科員 終わります。
○山本(幸雄)主査代理 これにて松浦利尚君の質疑は終わりました。 次に、小川省吾君。
○小川(省)分科員 時間の厳しい制限がありますので、端的にお伺いをいたしたいと思います。 学校教育の本来の目的を達成をするためという見地に立って、教員を除く学校職員の主として処遇の改善の問題を中心としながらお伺いをしてまいりたいと思います。 教員を除く学校の職員というのは、どんな職種がどのくらいおるのですか。
○安嶋政府委員 教員以外の職員と申しますと、事務職員、看護婦、用務員、そういったところが通常の職種かと思いますが、高等学校の職業課程等におきましては、その他各種の実習関係あるいは工場関係の職員がございます。
○小川(省)分科員 それらの職員は、職務内容であるとかあるいは位置づけというのは、法的に明確にされておりますか。
○安嶋政府委員 学校教育法あるいは施行規則におきましては、校長、教頭、教員といったいわゆる教育職員と申しますか、教育に直接従事する職員についての各種の規定はございますが、ただいま私がお答えいたしました種類の職員につきましては、格段の規定はございません。
○小川(省)分科員 私は、教育というのは、学校に関係をしておる教員以外のいろいろな職種の方々を含めて、総合的な教育の効果というものが発揮をされて、初めて教育の効果が上がるというふうに思っておりますけれども、それらの点について位置づけなり職務内容等を法的に明確にしていかれる意思がおありでありましょうか。
○安嶋政府委員 どこの職場におきましても、その職場における職員のすべてについて、その職務内容等について法律上あるいは法例上の規定があるということではないわけでございます。学校は、御承知のとおり教育を行う機関でございますから、教育に直接従事する職員についての各種の規定を整備いたしておるわけでございますが、それ以外の職員についてどの程度の規定を整備するかということは、これはかなりむずかしい問題であろうかと思います。どういう職種についてどこまでの規定をするかといったようなことにつきまして、さらに検討をしてまいりたいというふうに考えております。
○小川(省)分科員 このような方々が、それぞれ自分たちの職務内容を厳正に果たしながら教育の効果が上がるわけでありますから、検討されたししに立って、それらの人たちの生きがいといいますか、教育に対する張りというものを持たせるために、ぜひひとつ明確にしていくよう努力していただきたいと思います。 時間の関係がありますから、幾つかの点だけにしぼってお伺いをいたしたいと思うのです。 現在、教育の現場というものは、学校の中で非常にぬぐいがたい不信感といいますか、違和感があります。これは、四十六年に教員に対する調整額が実施をされ、さらにその後人材確保法によって教員に対する優遇措置が講ぜられたわけでありますが、そういう点で、従来ずっと一緒に来て、教員の方々だけが、これは当然そうだったと思いますが、優遇されて、それらの方々に対しては手が打たれていない、こういうことによるものが主だろうというふうに私は思っております。教員以外のこれら職員について、何らかの処遇改善の措置を講ぜられるための努力といいますか、検討がやられているのだろうと思いますが、それらの点については、どのような検討がなされておるわけですか。
○安嶋政府委員 まず第一に、教職調整額のことについてお触れになったわけでございますが、御承知のとおり、教員に対する教職調整額の支給は、これは時間外勤務に対する手当という要素が非常に強いわけでございますが、事務職員につきましては、正規に時間外勤務手当が支給されておりますので、その点で、教員と事務職員の間に差別があるということは言えないかと思います。 次に、いわゆる人材確保法に基づきます教員の処遇の改善でございますが、これは御承知のとおり、教育者に人材を求めるということが趣旨でございまして、昨年から始まっておるわけでございますが、事務職員の場合は、これは学校事務職員の問題だけではなくて、教育委員会の事務局やあるいは府県の一般の部局等におる事務職員との関連もございまして、教員の処遇改善との関連において事務職員の処遇の改善をはかるということは、これはきわめて困難な事柄かと思います。 しかしながら、一方、学校事務職員の処遇が現状で適正であるかというふうに考えますと、いろいろ問題があるわけでございます。たとえば等級の格づけでございますが、一般の官庁等でございますと、相当年齢に達しますと、係長とか補佐とか、そういった職務につくわけでございますが、学校におきましては、事務職員の配置が比較的少のうございます。特に小、中学校におきましては、一人、二人といったような配置が多い関係上、その事務職員の等級の格づけが他に比べてややおくれがちであるというような点がございます。こういう点につきましては、私ども、一般の職員に比べて学校事務職員の処遇が落ち込むことがないように三十二年以来指導をいたしておるわけでございますが、そうした指導につきまして、今後ともさらに努力をしてまいりたいというふうに考えております。 それから、任用あるいは配置の問題といたしまして、相当年齢に達したような場合におきましては、教育委員会事務局あるいは他の学校等との交流を図りまして、その事務職員の経験、年齢等にふさわしい配置等を考えてもらいたいということを指導しておる次第でございます。
○小川(省)分科員 事務職員の問題については後ほどお尋ねしようと思ったのですが、答弁が事務職員の問題を中心にしてお答えがあったわけですから、そこの点から入りたいと思いますけれども、学校の教育行政、いわゆる事務というものが非常に重要であることは、文部省は当然承知をしているわけですね。事務職員の協力がなければ学校運営というものはやっていけないことは当然でありますが、教育職員の教育活動というのも、事務職員の協力があって初めて教育の効果が上がるんだというふうに思っているわけですけれども、いまお答えのように、非常にそういう点では格差が開いてきたために、事務職員の勤労意欲といいますか、そういうのが非常に落ち込んでおります。 ここに資料もあるわけでありますけれども、私は、群馬県ですが、群馬県の事務職員の場合でも、この五年間に百九十五名ぐらい採用をして、五年間に百十五名ぐらいやめていく。それも若い者ばかりですね。その退職後の状況を見ると、ほとんどが資格を取って埼玉や東京の教員になっていくという点が非常に多いわけであります。このことは、やはり何らかの処遇の改善の措置を講じなければ、事務職員の定着化、いわゆる学校事務というものが万全に行い得ない、こういう要素が非常に顕著に出てきていると思うのですね。いまずっと三十二年以来指導してきたと言われますが、確かに三十二年に通達が出ているようであります。地方の教育委員会では、文部省からの指導があればある程度考えたいのだということを言っておりますけれども、なかなか文部省から具体的な通達なるものが行かないので、実は普通職員との間にも関連がありますから、手をつけかねているという状態があるわけです。いま任用についてのお話がございましたけれども、そういう点について、定着化対策も含めて、具体的に処遇の改善に手を打っていただく意思がおありかどうか、重ねて伺いたいと思います。
○安嶋政府委員 ただいま御指摘がございましたように、一般的な方針といたしましては、三十二年に指導通達が出ておるわけでございます。これにつきましては、教育長会議でございますとか、人事主管課長会議でございますとか、いろいろな機会をとらえましてこの指導通達の徹底を図る指導をいたしておるわけでございます。今後ともそうした努力を続けてまいりたいというふうに考えております。
○小川(省)分科員 任用制度の再検討であるとか、いわゆる事務職員が定着をするような確保対策等も含めて、ぜひひとつ検討をして具体的な指導をやるようにしていただきたい。当然教育委員会事務局との交流等もあるわけでありますが、学校にいる間は調整額を付するというふうなことも可能なわけでありますから、喜んで学校教育の一環としての事務職員としての仕事が果たせるような状態をぜひひとつつくっていただきたい。こういう点を要請をしておきます。 それから、それに関連して、高等学校の職業校に実習助手という職種がございますね。これらの方々は、正規の免許状を持っていない教員でありますけれども、現実には、たとえば植物の接木をするとか、そういうふうな点では、もう教師にはできないような経験と知識を持っているわけで、生徒の指導に当たっているわけであります。これらの人たちに対しては、どういう具体的な処遇をして、これらの人たちの意欲を沸き立たせてくれるわけですか。
○安嶋政府委員 高等学校の職業課程におきましては、実習教諭と実習助手という二つの職種があるわけでございます。御指摘の問題は、実習助手であって実習教諭の免許状を取得した場合に、その処遇をどうするかということのお尋ねではないかと思いますが、御承知のとおり、資格を取得したということは、そうした資格にふさわしい任用を行うべきであるということには直ちにはならないわけでございます。欠員等が生じました場合には、常識的には実習教諭の免許状を有する実習助手の昇任を図るということが適当かと思いますが、欠員等が生じていない場合には、そういうこともなかなか行いがたい実情にあろうかと思います。 そこで、現場におきましては、そうした状況になりました場合に、格づけについて一等級進めますとか、あるいは呼称につきまして、たとえば従来の実習助手という呼称を実習講師というふうな呼称に改めるとかいった、実際上の配慮が行われておるわけでございますが、実際の問題の処理といたしましては、そうした行き方も一つの工夫であろうかというふうに考えます。
○小川(省)分科員 資格取得による任用のあれはわかるのですが、実習助手の間についても、これは指導等については資格を持っているベテランなのでありますから、そしてやはり具体的な生きた教育をやっているわけでありますから、これらの人たちを手放さないためにも、ぜひひとつ何らかの手を打ってほしい。こういう点を要請をいたしておきたいと思います。 次に、学校給食に関連をしてお伺いをいたしたいわけでありますけれども、給食調理員の問題であります。学校給食法は昭和二十九年に施行されたわけでありますけれども、この法律がいわば奨励法であって義務法ではない、こういうところにかなりの問題の根源があることは明らかだと思うのです。これをやはり義務法化をしてやっていかないと、学校給食にかかわる問題についてはなかなか問題が解決をしないというふうに思っております。 この前、この問題に関連をして文部大臣のところにお伺いをいたしたわけでありますけれども、特に文部大臣は、学校給食については前々から非常に関心を持っておられるそうでございますので、理解のある文部大臣を得たわけでありますから、学校給食法の義務法化についてぜひひとつ取り進めていただきたいと思いますけれども、いかがでございますか。
○諸沢政府委員 御指摘のとおり、現在の学校給食法は奨励法でございますが、法律を直して学校教育における義務とする、こういうことにいたすという御指摘でございますけれども、そのためには、現在、学校給食というものに対します教育的意味はどなたも疑いを持たないところでありましょうけれども、しかし給食という事柄の性質からいたしまして、それを義務にするのはどうであろうかというような意見もやはりあるわけでございます。昭和四十八年に、文部省で一カ月ほどかかりまして、いろいろ保健体育審議会で学校給食の問題を御議論願ったのでありますが、その論議の過程におきましても、いま言ったような意味におきまして、これを義務制にすることにつきましては賛否両論ございました。 また、給食を義務制ということにいたしますと、財政的にも現在、中学校では全生徒数の五五%が完全給食になっておるということでございますから、残りの四五%の生徒について給食の体制を整えなければならぬというようなことになりますと、これまた財政的にも十分慎重に検討しなければならない課題であるというふうに考えますので、これらを総合いたしまして、私どもといたしましては、引き続いてこの問題は検討を重ねたいというふうには考えておりますけれども、いま直ちに結論を出せる問題ではないのではないか、こういうふうに思っております。
○小川(省)分科員 保健体育審議会の中でも、そういうふうな論議が進められておるということでございますけれども、給食というのは、教育の一環だろうというふうに思うんですね。そういう点では、ぜひひとつそういう意向で検討を進め、前向きの姿勢で検討してほしいと思いますが、再度重ねていかがでございますか。
○諸沢政府委員 この問題は、今後も引き続き保健体育審議会において検討を願いますと同時に、いろいろ関係の方々の御意見も伺いまして、私どもさらに検討さしていただきたいと思います。
○小川(省)分科員 ぜひお願いをしたいと思うのです。給食調理員は、文部省の配置基準が決定をされて以来、そのままにずっと据え置かれているわけでありますが、非常に低いわけですね。数字が少ないわけです。そういう点で、たとえば腰痛症であるとか、あるいは洗剤の使用による皮膚炎であるとか、職業病に近いような状態も多発いたしているわけでありまして、何としてもあの中の配置基準が実態に見合わないというふうに思っているわけであります。 そこで、この配置基準は、栄養基準が三十五年ですかに改正をされた、そういうときに当然直すべきであったというふうに思うのですが、現在の配置基準を改めていくような考え方はございませんか。
○諸沢政府委員 学校給食に必要な調理員を置いて、適正な給食処理をするということは、非常に大事なことでございますが、そういう意味で、文部省の従来の指導も、給食調理員につきましては、給食の規模あるいは施設、設備の整備状況等を勘案して適正な配置をしていただきたいということを、教育委員会を通じてお願いをしておるわけでございますが、文部省が示しました基準の中身は、御承知のように、児童生徒の数に応じまして段階を設けて、何人、何人という目安を示したものでございます。そしてこれと対応いたしまして、地方交付税の積算において、現在では、小学校の場合で言いますれば、十八学級、八百十人の学校では四人というふうな積算をいたしておる、つまり財政的な裏づけをしておるということでございます。これは、まさに定数のあり方とその財政の裏づけは同じように考えてまいりたい、こういうことでやってきた結果でございます。 ところで、いま申し上げました局長通達の基準とその交付税の積算とは、積算の仕方は違いますが、計算としてはほぼ同じようになるわけでございます。ただ、その文部省の基準と実態との差はどうか、こういうことでございますけれども、これは全国を平均してみますと、調理員の配置数は、ほぼ文部省の基準と同じところまで来たわけでございますが、そのことは平均して同じということでございますから、一つ一つの学校なり市町村をとりますれば、まだ基準に達しないところも相当ある、こういうことでございます。 したがいまして、せっかくの御指摘でございましたけれども、いま私どもの考えておりますことは、全国的なレベルにおいて、この基準に達しないような学校について、基準まで調理員の数を引き上げていただきたい、こういう点についてお願いをし、指導してまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
○小川(省)分科員 いみじくもお答えになったわけでありますが、文部省の指導基準がそのままなんですよ。いまここに持っておりますけれども、非常に低いわけですよね。それでしかも指導基準以下のところもあるわけでありますから、当面、当然それは指導基準のところまでは完全に引き上げる。しかもこの配置基準が三十五年以来そのままになっているわけでありますから、ぜひひとつ、配置基準も含めて指導基準まで引き上げて、一歩前進をさせるような形で検討願いたいというのが趣旨でございますけれども、いかがでございますか。
○諸沢政府委員 御趣旨のほどはよくわかりました。ただ、先ほど申し上げましたように、配置基準を変えます際は、やはり地方財政の問題も考えなければならない問題だろうと思いますので、同時に、交付税積算基礎というものを念頭に置きながら、これを将来の課題として検討してまいりたい、かように思います。
○小川(省)分科員 それから、いまだに給食調理員の中では、PTA雇用などといういわゆる前近代的な雇用形態が残っているというふうなことを伺うわけでありますが、文部省は、こういうふうなものをなくすような形で指導していらっしゃると思うのですけれども、まだそういう状態が現実に残っているのですか。
○諸沢政府委員 ここにちょっとその資料がございますけれども、昭和四十五年度を例にとりますと、全額公費負担という方が六万一千九百、それに対して一部私費負担が一千四十四、全額私費負担が四百八というふうな数字でございまして、これが四十八年度になりますと、全額公費負担というのが六万八千でございまして、約一〇%の増になっております。これに対しまして、一部私費負担というのは千四十四が三百三十八ということでございますから、三二%に減っております。全額私費負担というのが四百八が百九十三でございますから、四七%に減っておるというようなことで、逐次減りつつあるわけでございますし、私どもも、またそのような方向でこれはかねがねお願いもし、指導もしておるわけでございます。今後引き続き努力してまいりたいと存じます。
○小川(省)分科員 ぜひひとつ早急に、こういうふうな前近代的な雇用形態は、文部省がやっておられる事業の中ではなくしてもらいたい、こういうふうに要請をしておきます。 それから最近、給食センター化の方向がかなり出てきているわけでありますが、私は、これは何としても取りやめていただきたいというふうに思っているわけであります。何と言っても給食というのは教育の一環でもありますから、単独校方式でやっていくことが教育の効果を上げることにもなると思うのであります。やっぱりセンターとなってまいりますと、仕出し弁当屋さんじゃありませんけれども、いわゆるそういう形になってまいりますし、勢い冷凍食品であるとか、あるいは半加工製品等を使うので、いわゆる食中毒のようなものが発生するおそれもあるわけでありますし、ぜひひとつ、この給食センター化の方向というのは今後進めないようにお願いをして、単独校方式を充実をしてほしいと思うのです。 ここにもありますが、これは単独校の例でありますが、今月の二十日ですか、千葉の小倉小学校で食中毒が出ております。これも冷凍食品のようでありますけれども。これはセンターとばかり限りませんけれども、センターについては今後どうするおつもりですか。
○諸沢政府委員 共同センター方式というのは、一面では確かに、学校の先生その他の事務負担量が減るとか、あるいは大量によい品物を一括購入することによって給食の中身を充実させるとかいうような利点もございますけれども、御指摘のとおり、何といっても学校外ですっかり調理を済ませますから、子供と給食関係との密接な気持ちの上でのつながりが十分でない。あるいは食事が冷めてしまうとか、あるいは献立の内容にどうしても制約が加わるとか、いろいろ御指摘のような点があることは、これは否定できないと思うわけでございます。そこで、現実の問題として、やはりその長所短所、両方十分に考え合わせながら、今後給食センターをつくるような場合には、一概に給食センターはいけないということではないと私は思いますけれども、御指摘のような点は十分念頭に置きながら進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
○小川(省)分科員 教育というのは、やはり何といっても、魂の触れ合いの場だと思うのですね。いわばいま失われようとしているような手づくりの味といいますか、給食を通じても子供たちの情操なりしつけなりを養っていくというふうな、非常に重要な一環でもあるわけでありますから、子供に魂のふるさとを忘れさせるような、仕出し弁当屋のような方向を教育の中に持ち込まないように、これはぜひお願いをして、給食センター化を助長するようなことはぜひお取りやめをいただきたいということを要請をいたしておきます。 時間が来たようでありますから、最後に学校栄養士の問題でありますが、実は昨年の文教委員会の中で私もかなりタッチをした問題でありますが、切りかえに当たって問題を起こさぬようにということで、実は文部省ともかなり折衝させていただいたわけでありますが、まだ若干問題が残っているようであります。そういう点で、学校栄養士全校必置というふうな形を、ぜひひとつ、この中で進めていっていただけるのだろうと思いますけれども、五カ年計画と例の切りかえの際の具体的な状況については、順調に進んでいますか、どうですか。
○諸沢政府委員 切りかえの問題は、昨年の十二月末現在で、東京都を除きましてほぼ各県において順調に進んだ、こう申し上げてよろしかろうと思います。ただ現実には、市町村の給与と県の給与との差があるということで、相当折衝をしなければならないケースもあったことは事実でございますが、結果としては、いま申し上げましたような事情であります。 そこで、この栄養士の計画でございますが、四十九年度から五カ年計画で二千五百名ということでありましたが、増員をするということでいま進行中でございますので、将来の課題として、先生御指摘の各校一人の栄養士というような問題も検討はさせていただきたいと思いますが、とりあえず年次計画を計画どおり達成するということでやりたいと思います。
○小川(省)分科員 切りかえの際に若干の問題も残っておるようでありますが、ぜひひとつ、そういう点はなくしながら、五カ年計画の中で各校必置の方向に向かって努力をしていただきたいと思います。 それから最後に、これは要望だけにしておきますけれども、学校用務員の問題でありますけれども、職務内容なり位置づけなりを明確にして、特に学校無人化、宿日直廃止等に絡んで、用務員に非常に多量な責任が課されようといたしておるわけであります。それらの点については、やはり職務内容なり位置づけなりというものを明確にしてまいりませんと、非常に重要な職責が用務員に偏ってしまうというふうなこともございますので、これらの点について、教員以外の学校関係職員がいかに総合的な教育の向上と充実というものに果たしているかという役割りを改めて認識をされて、ぜひひとつ今後とも処遇の改善を含めて対処していただきたい、こういうことを最後に要請をして、時間も参ったようでありますから質問を終了いたします。
○山本(幸雄)主査代理 これにて小川省吾君の質疑は終わりました。 次に、長谷川正三君。
○長谷川(正)分科員 私は、海外から引き揚げ帰国をなさった方々の日本語の教育について現状をただし、そしてこれらの方に行き届いた方策が確立されまして、速やかにそれが実施されますように政府に要望し、文部大臣並びに関係の方々から明確な御答弁を賜りまして、日本における社会生活に日本語というものは欠くことができないわけでありますから、その教育を血の出るような思いで待ち望んでいるこれの人々に対しまして、ひとつこたえていただきたい、こういうふうに思います。 戦後三十年たちました今日も、引き揚げ帰国者が続いております。特に日中国交が回復され、また航空協定ができましてから、中国からの帰国者がふえております。今後、平和友好条約の問題も急速に進む模様でありますから、これが実現した暁にはさらにふえるのではないかと考えられます。また、南朝鮮からはすでに帰国者が以前から続いておるわけでありますが、朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化の問題もいずれは行われるでありましょうが、そうなりますと、朝鮮からの帰国者も今後なおふえることが予想されると思います。さらに、日ソの平和条約の締結も、領土問題等で時間は要すると思いますが、しかし、これもいずれ解決せられますと、それを待って帰国をしたいという方々がサハリン初めシベリアその他にまだかなりおられると考えられます。さらに、南アメリカ等へ移民された方々の中にも、これは必ずしも多数ではありませんけれども、帰国者が出ている。これらの方々の多くは、日本のアジア侵略政策の犠牲者であり、あるいは移民政策の失敗、ないしは、失敗とまで言わなくとも、非常に不備なために帰国を余儀なくされている、こういう事情にあると思われます。 いずれにいたしましても、このような海外同胞が帰国され、なつかしい祖国に帰ったこの人々に対して、国は温かい手を差し伸べ、その更生に万全を期すべきであると思います。こういう仕事は、外務省や厚生省、労働省、文部省、その他関係各省が一体になって行うべきことが多いと思いますが、本日は分科会でありますから、そのうち、文部省の所管と考えられますこの引き揚げ帰国者の日本語教育について、これから質問をいたしたいと思います。 何と申しましても、ことばはもう社会生活に欠くことのできない第一の要件であります。日本に帰ってきて、全く日本語がわからない子供たち、青年たち。大人でも、大体四十歳未満の方はほとんど日本語を忘れていらっしゃる方が多い。こういう方が日本に帰ってきて、親戚を頼り友人を頼ってお住みになりましても、全く途方に暮れるということは、想像に余るものがあるわけであります。これらに関しまして、文部省は、特に日本語教育、もちろん学齢期の子供は直接責任がありますが、社会教育的な意味におきましても、これらの方々に日本語教育の機会を十分保障するということは、その当然の責任と思うのでありますが、それに対して現状をどう把握され、現在どういう方策がとられているか。それで十分と思われているか。不十分ならば、今後どういうふうにしようと考えておられるか。簡明にお答えをいただきたいと思います。
○安嶋政府委員 海外から引き揚げてこられた方々ないしはその子弟の教育の問題でございますけれども、学齢に該当いたします児童、生徒につきましては、すでに中国引き揚げ者等につきまして通達が出ておりまして、極力一般の小中学校で正規に受け入れるという方針を立てておりまして、そういうふうに運んでおるのでございます。ただ、ただいま御指摘の学齢を超過した方々の取り扱いにつきましては、問題がいろいろ多いのでございます。 まず、現状を申しますと、御承知のとおり、夜間中学と言われているものがございますが、これは中学校の夜間学級の俗称でございます。戦後間もなく、大都市を中心にいたしまして、経済的な事情等から就学の機会を逸しました子供たちに対しまして、夜間という異例な時間をその教育のために当てるということでつくられたものがこの夜間中学でございます。四十九年五月現在で、六つの都府県におきまして二十六校が設置されておりまして、千五百三十人が学んでおるという実情でございますが、この夜間中学に、外国からの引き揚げ者ないしはその子弟が、ただいまもお話がございましたように、日本語を学習するという目的で入学してくる生徒が最近かなりふえております。昭和五十年の二月現在におきましては、東京都内の四つの中学校の夜間学級にいわゆる日本語学級というものが設置されまして、九十四人がこれに学んでおるということでございます。 その在学者の実態を見ますと、ほとんどが就学年齢を超過しているということでございまして、年齢もかなり高年齢者にまでわたっておるという状況でございます。こうした方々は、ただ単に中学校教育を受ける、あるいは各種の資格試験を受けるために中学校の卒業資格を得るという目的では必ずしもなくて、御指摘のように、日本語だけを学びたいというような目的のために入ってこられる方々のようでございます。そういうことになりますと、異例な措置としてではございますが、戦後設置されました中学校の夜間学級あるいは夜間中学校の趣旨と、そこにかなりずれが出てくるわけでございまして、これにどう対処していくかということが、私どもの検討の課題になっておるわけでございます。 この問題は、教育の問題という面と同時に、引き揚げ者援護という問題の性格がございますし、またその教育の内容も、先ほど申し上げましたように、日本語の習得ということのほかに、日本の社会に、職業その他の面におきましても、どうやって対応していくかという、そうした目的、課題も含んだ養成ということになっております。私どもは現に受け入れておりまする中学校につきましては、これは引き続きお世話することになるわけでありますが、基本的なあり方といたしましては、厚生省の引き揚げ援護局等とも十分連絡をとりながら対処してまいりたいというふうに考えております。
○長谷川(正)分科員 いま東京都で夜間中学四校で九十四人の者が学んでいるというお話がございました。その前の御報告に、六県で三十六校、千三百三十人というお話がございましたが、これはそこで日本語の教育をちゃんとやっているという意味ではなく、たまたま入っているという意味でしょう。
○安嶋政府委員 最初に申し上げました数字は、六つの府県におきまして二十六校の夜間中学が設置され、千五百三十人が学んでおるということを申し上げましたが、これは必ずしも引き揚げ者だけではなくて一般の在学者でございます。そのほかに、先ほど申し上げました東京都内の四つの中学校には、九十四人の方が学んでおられるということでございます。
○長谷川(正)分科員 いま御答弁がございましたが、大臣、実際、学齢期の子供も含め、また中卒ないし高卒だけれども日本語がわからないので夜間中学で学ぶ青年たちと申しますか、子弟たちを含め、また四十未満のお母さんたちで、何か職業につくためにもまず日本語がわからないことにはどうにもならない、こういう方々がほとんどほうり出されている、その機会は与えられていない、これが事実です。わずかに東京で、これは文部省の御指導、御援助というよりも、一応引き揚げ者は、政府が旅費だけ出して都道府県に送り帰すと、都道府県で世話するというたてまえになっているから、その一環として東京都が特に夜間中学に頼み、そこに特別人も置いてやっている。大体法律で認められている夜間中学というのはないわけで、夜間学級もあり得べからざるところだけれども、実情上黙認しているというところです。これに対して、ようやく文部省も定数はやや認めるようになったらしいのですが、主として都道府県の必死の対策でかろうじてこれが行われている。 しかもそこに置かれている先生は、私は昨日その一校である世田谷の新星中学というのに参りまして夜学んでいる実情を見てまいりましたけれども、その若い先生は、自分の私費で日中学院というところ——恐らく夜学でしょう。昼間勤めながら通って、中国語を一生懸命学んで、そうしてその学級をあえて担任しているのです。そして初級、中級、上級に分けて、初級の組は若い女の先生が、これも懸命に教えていました。しかし教科書も適切なものがないから非常に苦労しているようです。それから、いま私の申し上げた若い男の先生の方は、一つの組を二つに分けて、黒板を両方に置いて両方に半分ずつ向かして、こっちに来てはこの級を教え、こっちに来てはこの級を教える、そういう状態です。その努力はまことに涙ぐましいけれども、こんなことでいいのか。これは国がしっかり考えてくれなければ困る。大臣にもぜひ見ていただいて、抜本策を早急に講ずべきじゃないか。 私は今後、きめ細かいことはまた文教委員会等で取り上げたいと思いますが、とりあえず数点について、やや思いつきでありますけれども私なりに御提案をしまして、そしてぜひ文部省として検討して、現在の予算の予備費その他の範囲内でできることは、大したお金じゃないと思いますから、すぐ措置をとっていただきたい。 具体的なことをちょっと申し上げます。 まず、学齢児がいるわけですね。小さい子供は非常に順応性が強いですから、わりあい日本語の覚え方も早いと思いますが、国立大学の付属にぜひ日本語学級を置いて、受け入れ体制を整えて、そしてそこに、そういう子供たちに最もスムーズな形で日本語が習得できるような、そういう技術を持った教師というものを至急に置いて、そしてこの子供たちが帰ってきたらすぐそういうところへすっと入れる。各県どこでも、すぐそこへ行けば日本語が学べる。そして会話ができるようになったならば、それぞれの地域の普通学校に行けばいいわけですから、ひとつそういう道を開いたらいかがか。 それから、これは地方教育委員会に御指導をいただいて、教師はみんな大学を出ていくのが原則ですから、その中で、中国語、朝鮮語、ロシア語、スペイン語等のわかる教師を各県とも何人か必ず置いて、そしてそういう拠点校にそういう子供が行けば、帰ってきた国の学習ができる、そういう体制をとれるようにしたらいかが。 それから、私きのう行って非常に感激したのですが、中卒以上で十五、六、十七、八、二十前後の青年たちは、やはり学びたいのですよ。何としても日本の中学、高校を卒業した資格をとって、できれば大学まで学びたい。そのために一生懸命になっているわけですから、そういう中卒以上の年齢になっていて学校教育を求めている者に対しては、貧しくて、働きながらでなければやれないという実情の方が多いから、やはり定時制高校にぜひ日本語の授業を設けて、そしてそういうところでやれるような道を開く。あるいは定時制高校を地域的に配慮して、そこに日本語学級を置く、そして専門の教師を置く。また、全日制高校に行ける方もあるわけですから、全日制高校に対しても、日本語の時間を設けるとか、あるいは数によっては日本語学級を一つ設ける、こういうことを工夫していただきたい。何しろこういうお子様は、帰ってからどういう順序で日本語を習得したら一番スムーズにいくか、そういうカリキュラムの研究が全くないといっていいんじゃないかと思う。ですから、これは外国語学校その他から協力を得ればいい道がつくと思いますから、これをひとつ工夫してカリキュラムをつくって、一刻も早く格差をなくしていって、普通の日本の中学、高校に入っても大丈夫なような状態にいく方途を講じてもらいたい。 それからもう一つ、さっき申し上げたように、中卒以上ではありますが、別に学校教育を求めるのじゃなくて、将来職業につきたい、これは御婦人が多いと思いますが、こういうのは、労働省等ともタイアップして、職業訓練と日本語教育をやり、日本語教育の面で文部省が協力する、こういうことが必要じゃないか。それから日本語の講習会といいますか、講習へ週何回か行って半年ぐらいやれば、日本語は大体正確に使えるようになる、こういうような施設も各都道府県に適切に設けるというようなことも、ぜひ工夫してあげていただきたい。 それから、学齢以上で義務教育がまだ終了してない、将来ずっと小学校も中学校も出ないことになっちゃう、それがその人の履歴になってしまう、こういう心配がありますから、やはり各都道府県に一校以上、夜間中学校といいますか、正式の名前は中学における夜間学級というものを置いて、そこで、日本語を担当する教師も置きながら、普通の教育を受けてそういう資格が得られるようにしてあげる、こういうことと、それからそのためには、ぜひ先生を複数以上置いてもらいたい。 私、きのうも行って非常に感激したのですが、初めは二人のきょうだいがいるので、その先生が中国語を習いに行ってその二人のきょうだいを一生懸命教えていたのが発端で、この夜間中学にいま大ぜいの子供が関東地区から集まってくるようになったのです。その子供に聞いたら、二人でもって先生に教わったときはとてもよくわかった、いま見ていると、大ぜいになってしまって、やはり先生の数がほしい、二つの組を分けて両方へ行っているような、こんなことがないように、これは教師の配置をしてもらいたい。こういうようなことをぜひ御工夫を願いたい。 それから総括的に言って、今後当分の間こういう引き揚げ者が続くとすれば、全国的に見れば数は少ないにしても、これは一人でもほっておけないものですから、教科書、教材、教育方法の開発について文部省として工夫していただきたい。それから、こういうものに向く教員の養成、貧困と学習が両立できるように公的扶助の問題。それからいろいろ困ったときに受け付ける窓口がないので、そういう総合的な窓口をつくること。それからそういう教育機関を各都道府県で努力した場合の財政的援助を適切にとっていただきたい。 もう一つは、ラジオ、テレビ等による日本語教育、これの可能性として、何かこういう子供たちがそれによって学べるような道はとれないものか。これは文部省のイニシアチブでひとつ工夫していただきたい。 私もかつて教師をいたしました経験等を含めて、これらの学校の先生の意見もいろいろ聞きましていまのようなことを一応提起いたしますので、御工夫を願いたいと思います。総括的に御答弁をお願いします。
○永井国務大臣 長谷川先生のただいまの御提案、すべてきわめて重要かつ建設的なものでありまして、私たちとして、どの御提案についても十分考えていかなければならないと思います。 そこで、それについて二つの観点があるかと思いますのは、一つは、現在の予算の中でやっていきやすいもの、それからもう一つは、新たに相当の財政的な裏づけを必要とするものと、こういうふうに区別して考える必要があるかと思います。 もう一つは、初中局長からお話し申し上げましたのは、主として夜間中学の年配の人たちでございますが、他方、すでに文部省といたしましても進めていることの幾つかは、先生が御指摘になったこととかなり類似なものもあるわけでございます。たとえば、東京の大泉の付属、そのほか付属学校におきまして、帰国の子弟の日本語教育というものを行っております。また小、中、高の公立の学校におきまして相当数、日本に帰ってきた子供たちに対して学校を指定をしてそういうことをやっております。ただ先生、全日制だけでなく夜間高校も考えよとおっしゃいましたが、この点は私の記憶では全日制高校でやっておりますが、まだ夜間高校はなかったように思います。 それからもう一つやっておりますことは、このカリキュラムの問題ですが、東京外国語大学の中に、これは帰国の人ではなくて外国人のための日本語学科を設けまして——やはり国語教育と日本語教育とはちょっと違うのだと思うのです。この日本語学科で日本語をどうやって教えるかということが発足いたしまして、やっといま相当充実してきた段階でございますから、ここでの研究というものも、外国人だけではなくて、帰国した日本人の子弟ないしは大人の人たちに役立つのではないかと思います。それを総合的に関連づけて考えるべきであるという先生の御指摘は非常に重要でありますから、そういう角度から考えるべきであると思います。 しかし、そのほかに、たとえばラジオの利用、そういうものなどにつきましては、私の理解するところでは、まだ特にラジオを使っているというところはございませんが、申し上げましたように、財政の中でできるものは直ちに、そして現在進めているものは特に充実して次の段階に進んでいくように、そういう観点で先生の御提案を大いに生かしていくようにすることがきわめて大事であると考えております。
○長谷川(正)分科員 大臣から前向きの御答弁がありましたので、大いに施策を敏速に進められるように要望します。 時間が非常に短くなりました。もう一点御質問申し上げます。 実はこれは前々から私は非常に気になっておったのですが、ことしの元旦の毎日新聞だったと思いますが、「ぜに」という見出しで、そのわきに「日展タクシー」という添え書きがしてありまして、「一当八落」というのです。こういう記事が載っていて、私は読んでみて愉快でない、大変残念な記事だった。これが単なるやじ馬的な記事にとどまるならいいのですが、これはかなり今日の日本の芸術界をえぐっている部分があるのではないかということで、私は個々のスキャンダルをどうこうするのではありませんが、日本の文化行政のあり方はいかにあるべきかという意味で、大臣及び文化庁長官に御質問をいたしたいのであります。 一つは、この「日展タクシー」というのは、芸術院会員で東京と大阪に住んでいる方々に、日展の時期になるとでしょうか、日展の会員の人たちなんでしょうか、それがずっと芸術院会員回りをする。そして、どうもお金を配って歩いて、入選とか、その上の会員の選挙での推挙とか、そういうことをしている、いわばそういう記事ですね。「一当八落」とは、芸術院会員になるのに、一億なら当選で八千万円じゃ落選だというのですね。なるほど芸術院会員は、会員の過半数の投票を得てそれを文部大臣が任命するということになっているようですが、この件については、昭和三十二年にわれわれの先輩の高津正道先生が文教委員会で三日間にわたって取り上げていることがありますし、私も直接聞いておったのですが、四十二年の六月には、麻生良方委員がやはりこういう芸術の問題を取り上げたことがございます。その後もあるかもしれませんが、こういうような記事がある。特に、その記事の中にある人の言として、日展と芸術院が非常につながりが強い。日展だけとは限りませんが、大宗が日展系の人がみんな芸術院会員になる。で、入選を三、四度すると次は特選。特選を三、四度すると、今度は審査員になる運動をする。審査員になると、次は芸術院賞を取る運動をする。芸術院賞を取ると芸術院会員になる運動をする。それでいまの「日展タクシー」というものが生まれてきて、タクシーがちゃんと家を知っておって、それに頼んで、料金を二倍にしてプレミアムを一万円つけると、さっと要所を案内してくれる。そういうタクシーがあるということはもう公然化している。こういうことなんです。事の真偽はともかく。そして今度は、芸術院会員になると次は文化功労者になることをねらい、次に文化勲章へと、こういくんだという。 どこの世界にも、人間の世界にはいろんなことがあると言ってしまえばそれまでだけれども、芸術、文化の世界は、やはり最も至純至高な真実というものが根本にあり、高い芸術性というものが育つというものでなければいけないので、お金が背後に動いてそういうことがあり、死んでしまうとその人の作品は二束三文になるというようなこともよく聞くわけです。それから、最近ずっとここ数年、雑誌、週刊誌等にこういうことのある程度の暴露的記事——これにはいろんな利害かからむものもあろうと思いますから、私はそれを個々をとってやることは避けたいし、したくないのですが、こういう傾向が全くないと思っていらっしゃるのか。憂うべきことで心配はしている、何とかしたいと思っていらっしゃるのか。まずその基本認識を大臣及び文化庁長官にお伺いします。
○安達政府委員 日本芸術院会員の選出等につきましては、一応会員の間におきますところの推薦の手続、それから、各部会ごとでございますが、全会員によるところの投票などの手続によって決定されてまいるわけでございまして、その間に、いま御指摘のようなことがいろいろ従来から言われてきておるところもございまして、われわれとしては、できるだけそういうことのないように、至純至高に行われるようにできるだけ願っておる、そういうことでございます。
○長谷川(正)分科員 大臣、いまのは大変悪いけれども官僚的なお答えで、文化庁長官というのはそういう答えしかできないことになっているのかもしらないけれども、大臣は、もう少しずばり、それじゃこのままでいいと思っているのか、何か改革の方途を考えていらっしゃるのか。大臣いかがです。
○永井国務大臣 私もこの毎日新聞の記事を読みました。この記事を読むと大変なことです。しかし私は現場を突きとめたわけではないです。そこで、こういうふうなことがあるとすれば非常に困るのであり、文部省はどうすればいいかということになりますと、やはり、仮にこういうことがあるといたしましても、審査というのを非常に厳重、厳正にやるということ、これはもう当然のことでございますが、一層注意をしていくということがまず一つだと思います。次に、やはりこういう運動がないようにということも、すでにある程度そういうことを言ってきておりますけれども、なお一層強くそのことを要望するということが必要である、こういうふうに考えております。
○長谷川(正)分科員 時間がありませんから、またこの問題は文教委員会等でも扱わせていただきたいと思いますが、私一言申し上げたいのは、芸術の世界というのはある意味で非常に主観的な世界です。学術、文化、いろいろありますけれども、一代の碩学が清貧に甘んじる、その方に文化功労賞を上げて、老後をあるいは最後まで研究を続けていただくとかいうようなことについて私は否定しないのですが、特に芸術の問題については主観的な要素の入るものであって、これはあくまで民間のそれぞれの芸術の妍を競う中で百花繚乱と咲き乱れるというのがいいので、これに国家権力が結びつくために一つの地位ができ、一つの傾向ができ、そこにハエがたかるような状態が起こってきて、芸術本来の姿と比べますとまことにひんしゅくすべきようなことが伝えられる。ですから、この芸術については、国家が力を入れる方式について根本的に洗い直す必要があるのじゃないか。 外国の例を見ましても、宮廷、王侯、貴族が音楽家や芸術家に大変援助をして、りっぱな作品をつくらせるとか、宮殿を飾らせるとか、それが歴史的作品になることがありますが、しかし、同時に、そのときには非常に虐げられていた人たち、認められなかった人たちの中により、すぐれた芸術品を人類不朽の傑作として残すようなものもたくさん生まれているわけです。そういうことを考えますと、国家が芸術の中身評価に関与するようなことは、この辺で一遍考え直す必要があるのじゃないか。むしろ、国民全体の芸術活動とか発表活動とか、そういうものがもっと自由にできるように、たとえばいま在野のいろんな絵かきさんにしても、あるいは陶芸をやる人にしても、発表する会場一つなくて非常に困っていますね。こういうようなことの普及充実に力を尽くして、芸術の評価はこれは国民に任せよう、そういう思い切ったひとつ検討を——私はいま軽率に、全部廃止してしまえというようなことをここで短兵急には申しませんけれども、こういうような風評が多年にわたって起こってくる。日本では一流の芸術だと思ったのが、パリに持っていけば何の値打ちもないというようなことがよく言われますね。こういうことは日本の真の文化の発展のためにも憂うべきことだと思いますから、そういう意味で、ひとつ十分な御検討を願いますように強く要望し、それについてのお考えを大臣及び長官からお聞かせいただいて、私の質問を終わります。
○安達政府委員 文化庁か発足いたしましたのは四十三年でございますが、それ以来数年を経過いたしておりますので、来年度の予算案の中で文化行政の長期総合計画の策定ということも考えておるわけでございまして、国と芸術の関係、非常にむずかしい問題でございますが、そういう段階の中で、そういう問題も含めていろいろと検討をすべきであろうというように考えておるわけでございまして、特に現在の私どものやっております施策としては、芸術の普及というようなことで、移動芸術祭あるいは青少年芸術劇場、子供芸術劇場というようにいたしまして、芸術の普及面に、最近におきましては重点を注いでおるというようなことも、お含みおき願いたいと思う次第でございます。
○永井国務大臣 長谷川先生おっしゃいますように、芸術を尊重しなければいけないのでありますが、その普及の問題は、いま文化庁長官が御答弁申し上げましたとおりであると思います。これは先生もおっしゃいましたが、国家が何もしないでいいかというと、それはそうではなくて、やはり非常に質のいいものをどんどん高めていく、あるいは普及していくということは大事だと思います。ただ問題は、質がいいとは何か、何が質がいいんだということに国家が直接評価、断定するということは正しくないと思います。これは現在におきましても、いろいろ専門の方々に委嘱をいたしまして、そして専門の方々が評価をなさるという形をとっているわけでありまして、文化庁長官が評価しているということではないわけです。そういう制度というものは非常に大事でありまして、その制度を名実ともに充実して、そして専門家の方々の御評価によって良質の芸術作品というものを一層評価するようにする、そしてまたそれが広く国民の中に普及していく、国民もまたその中において評価していく、こういうふうにしていかなければならないと思っております。
○長谷川(正)分科員 終わります。
○山本(幸雄)主査代理 これにて長谷川正三君の質疑は終わりました。 次に、山原健二郎君。
○山原分科員 大学における暴力の存在について質問をしたいと思います。 この間の臨時国会におきまして、超党派で暴力排除の決議が行われました。それからまた今国会におきましても、わが党の不破書記局長の質問に対しまして、三木総理の答弁にこういう言葉があります。「いかなる理由によるにせよ、暴力が許されて民主主義が成り立つわけはありません。いかなる種類、いかなる場所においても暴力を排撃するのが政府の態度であります」と言っております。わが党も、四つのテロ、暴力について、これを排除すべきであるという立場をとりまして、きょう私が質問をします大学内における暴力の問題につきましてもこの何年間の間に二度大学の実態を調査いたしました。昨年もいたしまして、そして昨年は九月の三日に調査の結果を発表いたしたのであります。今日、大学には、せっかく子供をやりましても安全だろうか、あるいは大学へ行っても授業を受けることができないなどという、ばかげたことが存在をしておることですね。恐らく世界に類のないことだと思うのです。これはやはり実効ある対策が立てられなければ、学内に暴力が存在して、学問の自由も大学の自治もあったものではないわけですね。そういう点で質問をいたしたいと思います。 このことについて、文部大臣も御承知だと思いますが、今日なお大学においては暴力が存在し、なおかつ大変先鋭化した、しかも非常に殺伐な状態が起こっておることは御存じでしょうか。
○永井国務大臣 存じております。
○山原分科員 最初に私どもの調査した状態をちょっと申し上げますと、全国約四百の国公私立大学のうち、トロツキスト暴力集団により、程度の差はあれ、教職員、学生の教育、勉学、研究活動、自治活動あるいは政治活動の自由を侵されている大学は、二十都道府県の五十三大学に及んでおりまして、この五十三大学に学んでいる学生の数は約五十七万人でございます。こういう状態が私どもの調査で出ておりますが、文部省としては、こういう数字をつかんでおりますか。
○井内政府委員 文部省としましても、大学の研究、教育の正常な運営が阻害されておる状態につきましては、各大学からの報告、あるいは新聞報道、あるいは各大学関係者の会合等における事情聴取等を通じまして、随時実態の把握に努めておるところでございますが、文部省の調査能力もおのずから限界がございますが、可能な限り実態把握に努めるという態度で努力をいたしておるところでございます。
○山原分科員 私の方の調査をもう少し申し上げましょう。 まず第一番に、暴力集団を批判したり暴力に反対をする学生が、長期にわたって授業を受けることができず、大学構内に入ることもできない、あるいはビラの配布や学内集会などの自主的な活動が公然とできないところが、大体六つの大学、学生数にしまして十六万七千二百名。それから二つ目の問題として、大学構内でのビラ配布など自主的な活動がテロ、リンチの危険にさらされているところが三十二大学ございます。この大学に学ぶ学生数は二十八万八千二百名。三番目に、状況によって学生大会や集会などが暴力集団によって襲撃されるというおそれのあるところ、これが二十二大学、学生数にしまして十一万四千名、こういうふうになっております。これは前に調査をしましたときと比べますと、先ほど、一、二、三と、私、分けましたけれども、一の大学が前の調査のときには三つの大学でございました。それから二の大学が十四。それから三の程度の大学が十五大学。合計三十二大学でしたが、この間多くの学生や教職員の努力によって、十五の大学では暴力支配がほぼなくなっております。けれども、新たにまた三十六の大学に、程度の差はありますけれども、暴力的な支配が横行しておる、こういう状態になっているわけです。そして一九六八年、一昨年以降、この六年間に死者三十数名、重軽傷者四千数百名を数えております。 これは警察庁で調査してもらったのを私どもいただいたわけですが、それによりますと、四十九年度じゅう、昨年度じゅうに、殺人が十件、それから傷害が二百六十一件、こういうふうになっているわけです。警察庁の方お見えになっていますか。この数字は合っておりますでしょうか。——まだですね。わかりました。 こういうことです。だから、私どもの調査はかなり精密に行ったわけですが、そう間違いはないと思っています。こういう状態の中で、学校へ行けない、あるいは学校へ行くことによって危険を感ずるとかいうような学生が出ております。たとえば、いわゆる中核派と呼ばれる暴力集団の非常に全国的な、中心的な拠点と言われておるというわけですけれども、法政大学の場合、文部省の調査では、大体どれくらい学校へ行けない生徒がいるでしょうか。
○井内政府委員 私ども、法政大学の問題につきまして、大学当局の方から、必要に応じまして事情聴取もいたしておるのでございますが、通常の授業を受ける際に登校できない学生が果たして何人ぐらいおるかという学生数の把握等につきましては、大学の方もわかりかねておる。ただ、いろいろと学生団体で、ある宣伝活動をしますとか何かあります際に、現にその衝突が起こり、暴力事件にまで及ぶという事実がございます。 なお、現在、各学部の教授会に、学生が平穏な形でどうも試験が受けられない、だから何とか大学当局の方で図ってくれという申し出をした学生は二十三人ある、こういうふうに大学当局の方から私ども聞き及んでおります。
○山原分科員 試験を受けることができない、何とか身の安全を保障してもらいたい、試験を受けられるようにしてもらいたい、こういう申請が大学当局に対して二十三人の学生の間から出るということ自体、これはもう大変悲しむべきことなのです。 法政の例をちょっと申し上げて見ますと、一つの形態は、学生の前から隔離して目の届かぬところで身体に危害を加える。もう一つの形態は、集会の形式で糾弾、暴力を加える。さらにもう一つの形態は、その場で鉄パイプで殴る、こういう状態があります。 ちょっと一例を申し上げますと、七一年にK君というのが、図書館に連れ込まれてリンチを受けています。裸で鉄パイプで殴られ全身打撲、その打撲を受けた場所をそろばんでかきむしる、そこにまた塩をすり込む、そして黒い布に包まれて五五年館前に放り出される。このK君が、血圧ゼロ、入院六カ月という状態です。 二つ目の例を見てみますと、これは七一年の六月十二日のT君の場合です。彼は、「橋のない川」の上映ビラを女子学生が配っておりましたが、その女子学生を、黒いヘルメット、赤いヘルメットをかぶった、黒ヘル、赤ヘルと呼んでいるそうですか、それが、お前は差別者だと言って殴りつけた。これにとめに入ったこのT君が、学生ホールに連れ込まれて、机の上のいすに座らされ、六時間にわたって暴行、危篤状態になっています。そのときに虫ピンで刺されてもいます。これは学生がその現場を見ておりまして、約百名の学生が見守る中で行われたわけですね。この学生諸君が、やめろやめろ、こう言っておるのですけれども、この君を取り巻いておる集団は武器を持っているわけですね。どうにもならないわけです。そして同じくT君が翌年の十一月に再び赤いヘルメットをかぶった連中につかまって、学生ホールに連れ込まれて——この首謀者もわかっておるわけです。第一法学部の森垣という自治会委員長を僣称しておる人物でありますが、四時間にわたって暴行を受けています。そしてこのT君の場合は、学校の正門に、ちょうど警察のやる指名手配の顔写真を張るようにして、これに対する暴力宣言、これをやっつけるんだという宣言文と一緒に顔写真が張られるというような状態ですね。 それから昨年、七四年九月十九日には、Y君の場合ですが、奨学金を受け取りに学校へ行きまして、そこでつかまって四時間半暴行を受けます。五五年館の前で机の上のいすに座らされて暴行を受け、あげくの果てはたばこの火をすりつけられて殴られる。このときには当局の学生課の職員もこれを目撃いたしております。このときに解放同盟の腕章を巻いた人物が、徹夜になってもよいからやれ、こういうけしかけをやっておる事実も明らかになっています。 三つ目の例として、これは無数にあるわけでございますが、昨年五月十七日に、S君が授業に行って、帰りにつかまって殴られる。めがねは壊され、まゆ毛の上を三針縫うという状態。同日にU君というのも、科目の登録に行って、帰りにつかまって殴られるという状態が起こっております。 こういう暴力事件の中で、登校することができない状態、登校すれば危険であるという状態が起こっているわけです。先ほど大学局長が言われた二十三名というのは、その中の一部の方たちだと思うのです。 こういう状態で、ちょうど学校の教授会に対して、この学校へ登校できない学生諸君が訴えの手紙を出しております。私もその写しを見せていただいたのでございますけれども、これは全くやり切れない気持ちにさせられるわけでございます。 その中で、大体どういう状態かと言いますと、本校キャンパスに入れば直ちに暴力集団にねらい撃ちにされ、授業を受けることは全く不可能な者が、法政大学一部に三名、二部に九名、計十二名。それから暴力集団にねらわれており、入校することが非常に困難であり、ほとんど本校へ入れぬ者、一部九名、二部四十二名、計五十一名。それから絶えず一定の危険にさらされているという者、入校するのに非常に用心が必要な学生の数は一部十二名、二部八名、計二十名。入校することが状況により危険である学生の数は一部二十六名、二部ゼロ名、計二十六名。以上総計しますと百九という数になりますが、これはもちろんこういうふうにわかった数でございますから、そのほか多くの学生、教職員が脅威を感じながら生活をしておるというのが実情だと思います。こういう状態ですね。 これはいまここでお聞きしても、きょうのところは、大学当局に聞いて調べる以外にないと思いますけれども、しかし、これは偽りの報告がなされておるなどという状態ではありません。こういう事態は法政大学だけではありません。九州大学の場合も、昨年一年間に三十四件の暴力事件が発生をしまして、ことしに入りましてから九州大学の場合は一層ひどくなっている、こういう状態が報告されております。 私はまず第一番に、こういう事態の認識を、形式的にはちょっとわかりにくいと思うのですけれども、もう少し大学の深部の状態というものをつかんでいただく必要があるのじゃないか、こう思います。どうでしょうか。
○井内政府委員 先ほどもお答えしたところでございますが、文部省としましては、新聞報道あるいは大学当局から、私ども、より以上の注意をいたしまして、できるだけ詳細な実態を把握する努力を一層継続してまいりたい、かように存じております。
○山原分科員 法政大学当局が、武器の持ち込みとか夜間宿泊を認めないなどという六項目三原則というのを出しておられます。これは四十八年六月の十一日に法政大学として出しておられるわけです。たとえば六項目を見ますと、「人身に対して危害を加える行為」「凶器となるべきものの所持と集積、威嚇行為など、暴力行使の準備となる行為」「大学の運営に重大な支障をおよぼす業務、授業、試験の妨害」「大学施設の不法使用・占拠・封鎖および破壊」「許可なき者の大学施設の徹夜使用・宿泊」「許可なき学外者の大学構内への立入り」、これが六項目で、また三項目という建物の使用その他について出ています。三番目には「すべての学生団体は、思想・信条の相違と対立を暴力によって決しない旨の意思表示を、大学が確認しうる方法で行なうこと」などというものがあるわけです。そしてもちろん一定の努力はいたしておるわけでございますけれども、しかしなかなか実効が上がらない。一方は武器を持っているわけですから、武器を十人が持てば、百人行ったってこれはかなわないわけですね。そういうことが公然と行われるということは大変残念なことだと思うのです。 そこで、ではそういう暴力を使う連中が各大学において多数を占めておるかというと、調べてみますと全く少数なんですね。本当に少数なんです。それと同時に、この法政の場合も、いわゆる外人部隊、学外から来る、これがいるわけです。だから大学だけ責めたってちっとも問題は解決しません。 たとえば、これは法政大学で四十五年八月三日に起こった事件でございますけれども、これは新聞にも出ましたのでもう御承知だと思います。これは八月三日に革マル派系の東京教育大学の学生の海老原俊夫という人物を、中核派と称する連中が池袋駅でつかまえまして、そして同人をタオルで覆面をさせてその両わきを抱えて、約三十名が三列縦隊で彼を隊列の中に閉じ込めて、そして池袋から法政大学まで連れてくるわけです。そして法政大学の第二校舎の地下、全関東美術連合本部なる部屋に押し込めまして、そして彼に目隠しをし、いすに座らせロープでいすに縛りつけた上、数人で取り囲み、同人の当日の行動、東京教育大学における革マル派の組織、活動状況等について追及しながら、生きて帰ると思うななどと脅迫し、そうしてついに最後には、同人に対し、金づち、角材、ヌンチャクあるいは空ビン、手拳等で同人の両大腿部、両下腿部、両肩部、背部、両腕、胸部、腰部等を多数回殴打し、同人が気絶するとその全身に水を浴びせて意識を取り戻させ、さらに同様の暴行を繰り返し、よって同人をして全身にわたる打撲挫傷等を負わしめ、間もなく同所において右傷害に基づく失血性ショックにより死亡するに至らしめた。その死亡した死体を東京厚生年金病院の正面玄関に運搬してこれを遺棄する、こういう事態ですね。 この中心人物は、中核派の中央大学生の富山保信という人物であります。殺人行為の首謀者です。ところが彼は、逮捕されておりますが、四十八年八月十一日に六十万円の保釈金を積みまして保釈になっているわけです。保釈になって、今度起こりましたところの、全逓の革マル派と呼ばれる山崎殺人事件が発生するわけです。その殺人事件にまた参加する、こういう状態ですね。まさに殺人行為の主犯が保釈になる、そしてまた殺人を繰り返す、こういう事態ですから、こういうことが許されているという、全く異常な状態なんです。これは警察庁の方おいでになりましたか。またですか。このように、法政大学といいましても、学外から来て殺人行為を行っているわけでございます。 そして昨年の五月十三日に第一次の法政大学前での大規模な衝突が発生をして、死者一名、重軽傷十数名が出るわけです。このときに警察当局が学生自治会室百六号、百七号、百八号室に入っておりますが、これは学校当局が発表しておりますけれども、ここでは鉄パイプ八十八本、竹ざお四十四本、その他ヘルメットその他の武器が押収されるわけです。 それから、昨年の九月に至りまして第二次衝突が行われています。これは学生会館に革マル派が乱入をするという事態ですね。学生会館を見てみますと、これは警察当局も述べておるようですが、入り口がトーチカのようになって、人がほんのわずかのすきしか入れないようにしているわけですね。一人しか穴を通って入れない。いわば学生会館が要塞化されている。しかも、この学生会館はりっぱなものでございまして、平常ならばここで学生諸君がサークルをやり、そうしてここでお互いに討論をし、そうして勉学にいそしむ、すべての法政大学の学生諸君がそこで教育を受けたり研究したりすることのできるものです。それがまさに占拠されているという状態。警察が入りましても、窓を破って、さくを壊して、やっと三名の人物を救出しなければならないという状態なんですね。そのときの中核派の出しております新聞を私持ってきておりますけれども、それを見ますと、これは学生会館というのは学館とりでだと呼んでいるわけです。まるでとりでですね。学生会館が暴力のとりで、武器庫、宿泊所、出撃の基地、こういう状態にあるのが実情ではないかと思うわけです。一体その学生会館の中がどうなっているのか、こんなことをお聞きになったことがありますか。
○井内政府委員 ただいま法政大学の学生会館の問題につきましてお話を承ったわけですが、学生会館が建設され、これを使用し始めるときからいろいろ問題があったようでございますが、一応十五人の代表者からなります学生連盟というものができて、これがこの運営をやっていくのだということでたてまえは来たようですが、学生会館の管理並びに運営につきましては、非常に多くの問題が出てまいりましたので、法政大学としては現在学生会館の使用を禁止して、ロックアウトしておる、こういうふうに聞いております。
○山原分科員 禁止しロックアウトしても、その中がどういう状態になっておるか。仮にロックアウトして中にだれもいなければ、学生会館の中がどういう状態になっておるかわかるはずなんですね。だけれども、それができないわけですね。そういう実情になっているわけです。警察庁の方、お見えになっていましたら、その実情をちょっと報告していただきたいのです。
○山本(幸雄)主査代理 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○山本(幸雄)主査代理 速記を始めて。
○井内政府委員 ただいまのお答えに補足させていただきますと、一月十八日の事件で現在本校地区全体をロックアウトしておりまして、学生会館につきましても、学生が中に入れないという状況でございます。現在は法政大学の職員が会館の中を巡回し注意を払っておるというふうに報告を受けております。
○山原分科員 そういうことなら学生会館の中の実態もわかると思うのです。私の聞いたところでは、そういうふうになっていません。ロックアウトを宣言して、学生会館の中へ入ってどういう状態になっておるか調べることができるようなら、問題はとうに解決しているわけですね。 いま三者自治会連盟の話が出ましたが、三者自治会連盟はどう言っておるかというと、こう言っておるのですよ。革マル分子を捕捉せん滅したと彼らの暴力を賛美しながら、「あらゆる方法、手段で、頭目黒田、朝倉から活動家、シンパにいたるまでひとりのこさず、せん滅することを宣言する。」いわば殺人の予告まで宣言しておるわけですね。せん滅することが「権利であると同時に義務でさえある」、こういう書き方をしておりますから、とてもそんななまやさしい状態ではありません。 それからもうちょっと申し上げておきますと、昨年の一月十四日付の中核派の機関紙「前進」というのを見ますと、こう書いてあります。「にえたぎる復讐心がバールのきっ先に集中し、うなり音をたててふりおろされたバールがにぶい音とともにのめりこんだ」「われわれは「傷の深さと血の量」をこそ、せん滅度をこそ目的意識的に追求する」。それから革マル派の方は、昨年五月二十四日付の機関紙「解放」というのにこう書いています。「われわれは一片の仮象存在をも許さぬ絶滅解体を一挙に完成する」。こう言って、お互いに殺人の予告をしながら殺人行為を繰り返しておる、こういう状態です。 そこで大臣にも聞いていただきたいのですけれども、こういう中で、ほとんどの学生諸君、教職員は、暴力のない法政大学を求めていると私は思います。先ほども言いましたように、当局も六項目三原則というものを出しておられますし、それから学生の方たちからもこういう幾つものビラが出ていますけれども、その中で、大学に危険で入れない学生諸君がこう書いています。「当面、私達は次のことを要求いたします」として「(一) 当局は百九名の学生が安心して登校、受講できるようただちに万全の措置をとること。(二) 当局は暴力を行使し、テロ宣言を出している暴力集団を処分すること。(三) 鉄パイプ、チェーン等武器の搬入所持の禁止を完全実施すること。(四) 当局は暴力集団の武器貯蔵、製造の場所となっている学生会館を、学生代表を含む学内民主団体代表の立会いのもとに総点検し、すべての武器を撤去し、その実態を公表すること。」幾つかの項目の中の二、三を読みましたが、私はこれは当然の要求だと思うのです。それがなぜ実行に移せないのかという点ですね。 その点では、私は文部省に対して、法政大学に対してこうこうせよということをいま申し上げるつもりはございません。しかしながら、本当に登校できない、あるいは困難である学生だけでなく、全学生、全教職員が学内で自由に活動のできる、自由に研究、教育のできる事態をつくり出すということでは、この暴力に対して毅然たる態度をとることがいま要求されておると思うのですよ。特に、外人部隊が入りまして、ときどき学校を封鎖して検問をやるのですね。その検問の竹ざおの下を当該大学の教職員が検問を受けながら通らなければならぬなどということは、まさに大学人にとって最高の屈辱ですね。しかも、その検問をしておるのは当該大学の学生ではなくて、どこからともなくやってきた連中なんです。 こういうことを考えましたら、これは本当に大変なことでございまして、いままで文部省はしばしば言われてきたのですけれども、セクト間の争いだとかいうようなことではないのです。暴力を使う者と、その暴力に対して反対をする者、あるいは大学を真に大学らしい大学にしようとする者との対決であるわけです。しかも暴力を使う者は、まさに反社会的な行為を行っている連中ですね。これまで擁護する必要は全くないわけです。大学の自治や学問の自由を侵している、そんな者まで大学の自治だからといって擁護したりすることは、いささかも必要でないわけですね。その点で、学生の要求や、あるいは大学当局の、暴力を排除しようとする決意に対して、文部当局としてこれを激励して、本当に日本の全大学から暴力を排除するという決意を持つことが必要だと思うのです。まず第一番に、この状態を文部省に正しく認識していただいて、本当に大学の自治を守るためにも暴力に対して毅然たる態度をとることが、いま暴力排除のために奮闘しておる教職員や学生に対して一番大きな激励になるのじゃないか。この点を文部大臣はどのようにお考えになるか、お聞きしておきたいのです。
○永井国務大臣 先ほど三木総理の言葉を引用なさいましたが、まさにそのとおりであって、暴力というものはいついかなる場所においても絶対に許されないものであると思います。暴力があって民主的社会が成立するということは考えられません。とりわけ、民主的社会の中における学校また大学、そういう場におきまして暴力が存在すれば、大学の自治も学問の自由も成立する余地がございませんから、これは日本の学校また大学から絶対に暴力を排除しなければならないと考えております。
○山原分科員 いまのようなお答え以外にはいまのところないと思いますけれども、本当に実効の上がる適切な——大学当局として、文部省として、越権なことはできないにしても、やるべき手はきちんと打っていくということがいま必要になってきておると思うわけです。 あと残されました時間でもう一つの問題、これもしばしば私どもが問題にしてまいりました東京大学の精神神経科病棟の問題について質問したいと思いますし、私の方もこの問題については一つの具体的提案をいたしたいと思っています。 六九年の九月八日以来すでに五年六カ月を経過して、この精神神経科病棟は異常な状態に置かれたままになっています。医師、教授二十五名、看護婦十二名、看護助手二名、この人たちが職場に入ることが五年六カ月にわたってできておりません。それからこの精神科病棟において臨床実習をして卒業していく東大の医学生の数ですね。この占拠のために、臨床実習ができないまま卒業していく学生の数が、いままで計算をしてみますと約六百人、こうなっています。それから患者の方たちで、入院治療を受ける方たち、これはそのまま入院できない状態に置かれているわけですね。こういう状態でございますが、この状態について文部省はどういうふうに把握されておりますか。私の言ったこと、間違いでしょうか。
○井内政府委員 東大病院の精神神経科の病棟問題につきましては、山原先生からすでにさきの国会でもお尋ねをいただき、御指摘もいただき、御注意もいただいた点でございますが、特に昨年の八月一日以降のことを若干御報告をさしていただきたいと思います。 昨年八月一日から、学生に対する教育関係かと思いますが、精神医学講座関係のその責任を医学部長みずからがとる。それから精神神経科の科長の事務取り扱いを病院長みずからがとるということとし、学生の全般的な精神神経科に関しまする教育は、東大の場合、医学部に保健学科がございまして、保健学科の精神衛生学の教授と、同じく医学部に脳の研究施設というのがございまして、脳の研究施設の教授と二人が学生の教育について自主的な担当を行うということに八月一日からいたしました。 なお今春の一月八日に、脳研究施設の教授は、保健学科の方の講座の助教授に一応交代をいたしておりますが、保健学科の精神衛生学の講座で教育関係の実質はめんどうを見ていくという体制を一つ八月一日からとりました。 なお、ただいま御指摘のあった点でございますが、東大におきましては、いわゆる病床の部分で行います教育、ベッドサイド・ティーチングにつきましては、各診療科の特殊性、教育上の配慮などによってさまざまな形態で行われておるわけでございますが、精神神経科での卒前教育は、外来で約三十人の外来患者を、デーケアと申すそうでございますが、一日じゅうめんどうを見ながら、そういう形で勉強させるということを行い、卒業後の臨床教育につきましては、小石川にございます東大の病院の分院並びに関東逓信病院等の協力病院で卒後の研修を行っております。 なお、八月一日以降、医学部長並びに病院長が直接この面の研究、教育、診療の責任者ということになりまして、学部長、病院長の相談、協力のもとに、八月以降、特に病棟側の方ときわめて精力的に話をしながら今日に及び、事態収拾の努力をいま医学部長、病院長にやっていただいておるわけでございますが、残念ながら、本日、この問題につきまして完全に事態が収拾できたという御報告ができないことが、まことに申しわけない次第でございますけれども、文部省といたしましては、ただいま申しましたように、せっかく昨年の八月一日以降、学部長、病院長みずからが責任を持ちましてこの事態の打開のために精力的に努力をしておりますので、この努力を何とか激励し、この努力が実を結ぶようにと私ども強く要請し念願しておる、これが率直なところでございます。
○山原分科員 いろいろ苦労されていることはわかりますけれども、学生を分院で勉強させるとかということ自体は、学内にちゃんとした病棟があるのに、それでやれないということが、しかも五年六カ月続いているわけですからね。しかも正規の医師や看護婦が入れないという事実、これは打ち消すことのできない状態でございます。 そして私は、文部省の方に、国公立、私立の大学の建造物、機関などが占拠されている状況を御報告していただきたいということで、予算委員会の資料提出項目に出したのです。ところが出てきたのは、国立大学では事務室の一部占拠が一カ所だけだ、こういうのですね。聞いてみますと、京都大学の事務室が一カ所だけ占拠されている、ほかには全国立大学では全くない、こういうことです。あるいは私学にしましても、占拠されておる場所が五カ所、こういうふうになっています。けれども、先ほど言いました法政大学における学生会館の問題とか、あるいは前の東京大学の病院長の吉川さん、この方が、一昨年の三月二十九日、おやめになる直前でございますが、そのときにこういう声明を出しておられます。「病院長として、精神科の職員である医師、看護婦、看護助手が職場(精神科病棟)にたちいることすらできず、医学生、看学生の精神科病棟実習ができず、多くの患者さんの入院治療の環境と機会もそこなわれる状態を改善できず、東大病院の公的機能である医療と教育研究に多大な支障をきたし、責任を果たせなかったことを反省し深くおわびする。昭和四十八年三月二十九日 東京大学医学部附属病院長吉川政己」こういう文書が出されています。異常なことはこれは病院長も認めておられるわけで、その状態が続いているわけですね。 それから、同時にこの問題につきましては、七二年の四月以来数度にわたって、松本善明議員、津川武一議員、私が質問をしましたが、依然として改善をされていない。当時、佐藤総理大臣も、高見文部大臣も、話し合いで解決しようとしているから時間をかしてほしい。あるいは私に対しましては、もう間もなく解決するからもう少し待ってもらいたいというお話がありました。しかし、あれから考えてみますと、三年、二年と、こうたっておりまして、依然と改善をされていないわけなんですね。 それで、病院長、学部長が話し合いをするといいますけれども、一体どういうことなのか。たとえばこの病院の中におるのは、石川清という講師が正式な東大病院の職員であるだけなんですね。ほかの者はそうじゃないんです。たとえば、現在出入りしております。これは医師といいましょうか、そういう資格もどこで確認するかちょっとわかりませんけれども、花岡という人物がおります。それから、富田という人物、ほか三名おるわけですけれども、もう一人の人物は、医師の免許すら持っていないという状態でございますが、これが昨年の十二月十二日に、外来病棟にまで参りまして、花岡、富田ら十数名が医師、研修医に突然襲いかかりまして、顔面をなぐったり壁に頭を打ちつけたりするような事態が起こっています。昨年の六月六日にも、害虫駆除に入った職員が追い出されるというような状態も起こっております。 そして、この花岡という人物を調べてみますと、何と三年前から法務省の職員なんですね。これはお調べになったらわかりますが、八王子医療刑務所の職員で、恐らく医師として勤めておると思うのです。こういう全くの部外者がこの病棟内におって、これと交渉するなんて、交渉する相手でも何でもないわけです。そこらが全く間違っているわけですね。東京大学の職員でも何でもない。そして暴力を使う。しかも、これは、別の国家公務員、法務省の職員ですよ。お調べになったらわかります。私は不思議に思って調べてみたんです。法務省の八王子医療刑務所の職員なんです。こういう者と何の話し合いができるのですか。そんなことでどうして問題が解決するでしょうかね。 しかも、ここに対して病院長は入院を認めている。正常な治療機関でもない、しかも学外者、医師であるかどうかもわからない、そういう者が占拠しておるこの病棟に対して、患者を入院さすことを認めている。そこに問題があるわけです。そしてそれに対して、心電計とか大型カラーテレビその他を買い与えていく。不法占拠している者に対して、しかも東大の職員でない者に対して、ちゃんと経費は出している。国の予算を出している。そんなことが行われれば、いつまでたっても解決しないわけです。第一、話し合うべき相手ではないじゃないですか。どうしてそんなことが明確にならぬのでしょうか。暴力がこわいからですか。やはり、私はその点はきちんとしなければならぬと思いますよ。その点、局長どうですかね。
○井内政府委員 先ほどお答えしたところでございますが、昨年の八月一日から、東大病院長がみずから精神神経科の科長の事務取扱をするということで、病棟への入院の許可でございますとか、この辺も、病院長が神経科の科長という立場もあわせて、入院の許可をいたしておるわけです。 このことにつきましては、外来の方と病院の方の状況が、ただいま御指摘のように、長期間、非常に不自然な、不正常なことに相なっておるわけでございまして、そこのところは、ことにこれをどう打開するかということが今日の引き続きの問題でございますが、病院の精神神経科の正式文部教官とすれば、御指摘のように、講師一名、それに看護婦三名その他職員三名、それに非常勤の看護婦二名ということで、病棟の方は定員等の措置はそういうことになっておるわけでございますけれども、その病棟におきます診療については、いろいろ不自然なことになっておるわけですけれども、東大病院長の、精神科科長も兼ねました立場における責任において、現に処理を力いっぱいやっておる。非常な不自然なところもあろうと思いますけれども、その側面はそういう現実だということをひとつ御理解をいただきたいと思います。 しかし、そのことによって、ただいま先生が御指摘になりました問題が処理されるわけではないわけですけれども、外来と病棟との間は音信不通であり、まことにむずかしい問題になっておりますが、これを何とか収拾しようということで、病院長は診療科の方の責任をとるという立場で、いまそちらの話も精力的にやっておるのだ、こういうことでございます。
○山原分科員 この問題につきましても、東大精神科常勤医一同、看護室、小児部、三者の三項目の要求が四十八年五月十一日に出されております。それによりますと、三つありますけれども、要約しますと、まず「外部勢力の排除」、二つ目は「今後の暴力の禁止」、三つ目は「職員の出入りの自由」、この三つです。これはもう当然のことでして、自分の研究室、自分の病棟へ正規の医師や看護婦が入れないということ自体、解決しなければならない問題なんですね。いま病院長が兼ねておるというようなお話がありましたけれども、そういうことで問題は解決しないわけです。 だから私は、この前にこういう提案をしました。国立大学は、あれは国民の財産です。だから国有財産法に基づく文部省所管国有財産取扱規程があります。この規程に基づいて、不当な状態が生まれたときは、文部大臣は、大学当局に対して報告を求め、それに対して速やかな措置を指示することができるようになっているわけですから、何も別の法律を使わなくても、国有財産が五年六カ月にわたって占拠されて、しかもそこで異常な状態が続いている。これに対して、いわゆる文部省所管国有財産取扱規程によって、それに基づいた一つ一つの手を打っていくということがなされる必要が私はあると思います。 こんな状態は恐らく全世界にないですよ、そんなことが余り大したことでないように放置されているなんていうことは。やはりどこかできちんとした姿勢をとらなければ問題は処理されませんし、それから、いま言われたような異常な——病院長が兼務するなんて言いますけれども、大学は大学の運営の方針があるわけでしょう。大学自治の線にのっとった大学運営の方針があるわけですから、教授会なら教授会、あるいは評議会なら評議会、そういうちゃんとした機関を通じて物事が処理されるというのが当然のことなんです。それが大学の自治なんですよ。それが変則な変化球を出して、病院長が自分の個人の考えで入院患者をどんどん入れていく。入院患者がおるから、それに対して経費を支出しなければならぬ。何遍繰り返したって、何十年たったって問題は絶対解決しないわけです。 だから、そういう点で、時間がありませんから最後に提案をしますけれども、私の提案は、こういうことです。 東京大学の精神神経科病棟については患者を入院させないということです。これは当然のことです。二つ目は、この事態の続く限り、予算の便宜を図らないということです。三つ目は、いま言いました国有財産に対する取扱規程など、法令に従って厳正な措置をとるということです。そして、文部大臣としましては、この国有財産取扱規程に従った適切な措置を行っていく。さらに四番目は、大臣は現在の精神科病棟の状態を大学としてあるべき姿でないことを言明をして、大学に対しまして真に東京大学にふさわしい解決策を求めるべきだと思います。そしてその解決策に従って適切な指導助言を行っていく、これがいま、東大神経科病棟問題という五年六カ月にわたった長期の異常な状態を解決をしていく、当面やらなければならない仕事ではないでしょうか。このことを私は提起をいたしますが、これについて、大学局長、そして最後に文部大臣の決意のほどを伺いたいのであります。
○井内政府委員 ただいま四点お触れになりましたが、予算の関係を御報告しますと、精神神経科として一括予算の配分をいたしまして、その関係は病棟の方には回っていない。患者に対しまする医薬品でありますとか、衛生材料でありますとか、その辺は病院として一括購入等の処理をいたしておりまして、物の形では診療等に伴いまして病棟の方にも供給はされておる、こういうことでございますので、その点は御報告申し上げておきます。 ただいま新しい患者の入院の問題、それから国有財産の観点からの問題、こういった点につきまして御意見がございましたが、この辺も、私ども御意見として承りまして、先ほども申し上げましたように、いま医学部長、病院長を中心としてせっかくの努力が続いておるところでございますので、具体的な問題をどのように処理してまいるかということにつきましては、やはり大学自体で具体的に案を考えさせなければ本当の実効が上がらないのではないであろうか、かように思いますので、ただいまの御意見等も私ども大学の方にも伝えますが、その点はひとつ、大学みずからがどういう具体的な方法で現状に対処することが最もベターか、大学の判断を文部省としてはやはり尊重して対処してまいりたい、私としてはかように存じます。
○山原分科員 ちょっと大臣の最後の御答弁の前に。いまおっしゃいましたけれども、病院長だって今度おやめになる。停年に来られているわけでしょう。本当にもう残された時間というのはないわけですね。やっぱりそこへいろいろな重荷をかけたってなかなか解決できるものでないと思いますね。しかも、病院長がそういうことをやろうとしているというそのこと自体が、わからぬではありませんけれども、大学には大学の自治の方式というものがあるわけですね。これを活用しなければどうにもならないと思うのですよ。そのことを私は申し上げているわけです。 それから、患者のことを申し上げましたけれども、病院でありながら、患者を受け入れるな、入院させないと私が言うと、何か冷たいことを言うておるように聞こえるかもしれません。けれどもここは救急病院ではないのです。精神神経科の外来を受け付ける先生方がちゃんといらっしゃるわけですからね。しかもそこに、二十数名の医師の方、看護婦の方たちもおいでになるわけです。そこへ来るのが当然なんです。ここは、病院へいきなりかつぎ込むなんという、救急病院、交通災害の病院じゃないのです。そういうルートをちゃんと通って、外来で診察をして、この患者は入れるべきかどうか、これをやって、そして入れるべきであるけれども病棟が不正常な状態であるならば、いま現に先生方やっておられるんですね。どこかの病院へ委託するとかいう苦労をされているわけです。あるいはときには外来のところで一日二日ためて、そして容体の変化を診るとかいうことをやっておられるわけです。病院へいきなり患者を連れ込むなんという、こんなばかなことは、これは医療法の問題だって大変なことなんです。そういうことはやめて、そうして新しくは入れない。それから入っておる患者の方たちも、場合によっては適切な病院を探す。そうして学外の者はこの病棟からは出ていってもらう。これがなければならぬのです。外人部隊がおってどうして大学の中で解決できますか。外人部隊は大学の交渉の相手じゃないのですよ。その辺をきちんとしていただきたい、こういう意味で申し上げているわけです。大臣、いかがでしょうか。
○永井国務大臣 まずこの東京大学の病棟の問題につきまして、正常でないと私は考えます。そこで、この正常化を目指して絶対に進めなければいけない。一日も早く問題を解決すべきであると考えます。きわめて具体的な御提案がいろいろございました。国有財産法との関連、あるいは患者を入れないこと、あるいは予算措置の打ち切り、こういう具体的な方法というものを御提案になりましたので、これはまず私どもこれを承って十分文部省の中で最初に検討いたします。 そうして大学の運営の方法というものは、これは決まった方法がございますから、そこで大学の運営の方法にのっとりまして、その中に当然自治という重要な原則もありますから、そこで文部省と大学と話し合いまして、目的を一日も早く達成するようにいたしたいと考えております。
○山原分科員 ありがとうございました。
○山本(幸雄)主査代理 これにて山原健二郎君の質疑は終わりました。 次に、山中吾郎君。
○山中(吾)分科員 私は、永井文相は大臣になる前から、その世界観、人生観、教育の思想については大体理解をしておるはずのものでありますので、大臣に就任をされて大いに期待をして、また何か限界を感じ、また期待をして、また限界を感じておるというような心境で、なおかつ大いに永井文政に期待をしておるのであります。 この機会に端的にお聞きしたいことは、私は理屈を離れて、文部省と日教組の対立は非常に悲しむべきことである、理屈を離れて何としても国民教育の共通の広場を発見をして、教育行政と現場の関係が、対立次元から何かそうでない協力次元にアウフヘーベンをしてもらいたい。これが私のある意味における政治的な最大の課題である。そこで端的に、日教組と文部省の対立の原因はどこにあるのだということをお聞きしたいのです。
○永井国務大臣 私自身も、山中先生が長くこの問題に肝胆を砕いてこられたことをよく存じておりますので、先生のいまの御質問に対してでき得る限り、私の考えというものを明確に申し上げたいと思います。 これは原因はどこにあるかというと、かなり複雑な問題と思います。しかし、まず第一は戦争の直後、冷戦というものがございませんでした。冷戦がなくて、そこでわが国が敗戦、そして連合軍に占領されたのでありますが、しかし、連合軍の中にも相当の対立というものがなくて、そのときには、実は文部省も組合というものも、お互いに話し合いながら進んでいくという勢いだったと思います。これが急角度に変わりましたのは、やはり昭和二十三、四年という時期だと思います。さらに朝鮮戦争を経まして、きわめて険悪なる情勢に相なりました。 その後のことは省きますが、要するに、この冷戦状況というものが続きまして、極東におきましては、特にベトナム戦争、そして長く中国の封じ込め政策が続くという状況であったのでありまして、これが非常に重要なことだと思います。 次に私は、それが日本の政治に反映いたしまして、政界におきましても、相当激しい断絶関係ができたと思います。保守、革新、これが教育界に反映した。教育というのは、政治の方で相当激しい対立がありましても、教育のそういう問題についての扱いというのはおのずから違ってしかるべきものだと思うのでありますが、しかし、遺憾ながらそうはいかなかったというふうに私は考えます。 そこで、その点から見ますと、単にいわゆる保守政党だけの問題でなく、保革を通して悪い循環関係が生まれた。これが第一。 第二は、わが国でそういう傾向ができますというと、どうも自分と違う集団とは話をしないという習性が非常にあるように思います。これは日教組と文部省に限りませんで、私自身大学におりまして、大学と文部省とのコミュニケーションというものもきわめて悪いのでございます。まことに不幸にして、大学紛争以後いろいろの騒ぎがあり、そこで、これではいかぬということで、最近相当程度コミュニケーションが生まれるようになりましたけれども、実はその前には決してコミュニケーションがよかったとは言えない。これはどういうわけかと言えば、なかなかむずかしい問題だと思いますけれども、どうもわが国では、これは教育者の集団に限らないような気がするのですが、ほかの集団も、わりに違う集団の人とは話をしない、そのかわり自分の集団の人とは必要以上に話をするということになりますから、自分の方とは非常に仲よくなる、同時に敵対関係を他と生ずるようになるということがあると思います。 第三番目には、そういう状況が生まれますと、相手方をレッテル化して考えるという傾向が生まれると思います。そこで、日教組というのは必ずこう考えるであろう、中身に余り立ち入って考えませんでそういうふうに言う。また日教組は、文部省の人一人ずつを知っているわけではないけれども、文部省の人は文部省のあのビルにいる限り必ずこう考えているに違いないという、一種の非常に不幸な政治的敵味方関係のような、単純化といいましょうか、類型化、これが一番困ったことなのではないだろうか、私はこういうふうに考えております。
○山中(吾)分科員 いま社会学的、心理学的分析をされたわけですが、それはそれとしまして、現実の政治と教育の問題として、やはり共通の広場はもう憲法に求めるしかないんだ、いわゆるイデオロギーの対立だとか、いまのような日本的な性格の対立だとか、あるいはそのバックに違った政党があって政党の代理戦争になったりとか、そういうふうないろいろの原因はあると思うのですが、国民の合意でできた憲法の理念を、もう雑念も捨てて共通の広場でそれを原点としていく、これ以外にもうないと思うので、永井文部大臣も素直に——憲法もやはり政党的解釈は違います。しかし、前文の普遍的真理という立場に立って、偏見を捨てて、戦争の結果与えられた憲法でありますから、意識は古いが、憲法自身の理念はこれから国民に浸透させなければならないので、そういう意味においては教育憲法だと思うのです。できた後で、憲法の理念を国民教育の原点として意識を変革しなければならぬ任務を持った憲法なんですから、この憲法を素直に認めて、憲法の広場、文部省と日教組はこの共通の広場をさらに拡大していくということだと思うので、この点は、永井文部大臣がそれを原点としてこれから努力をされ、具体的に言動で示されることを期待するのでありまして、それをお聞きしていきたいと思うのです。
○永井国務大臣 山中先生がおっしゃいますように、まことに共通な広場をつくっていくという地盤は憲法だろうと思います。そしてまた教育の場合には、それとともに教育基本法、これについていろいろ人々が違った解釈もいたしますけれども、そういう解釈というものは、これは議論を闘わせればいろいろ方法はあるわけであります。しかし、その基本的な原則というものについての一致がありませんとお話し合いができませんが、この基本的な原則というのは、やはりわが国において民主主義を達成していく、これが憲法の原則です。国際的には平和、そして国際協調というものを実現していく。これを教育の場でどうやってやるんでしょうかということで話し合いをしていくという方法で進んでいきたい、私はこう思っております。
○山中(吾)分科員 解釈の違いも、憲法を原点とする限りは、論議をしておれば一致するところが出ると私は思うので、そういう線でひとつ原点を憲法に求めて進められることを期待して、また政党文部大臣になると期待もなくなってしまうので、永井文部大臣在職中に、私は、教育集団と教育行政の代表である文部省の間に、民族のエネルギーが発揮できるように一つの方向を確定してもらいたい。この点についてもっと論議をしたいのでありますが、時間が少ししかありませんので、文部大臣の答弁がどういうふうに発展するか見守りながら、私もまた協力したいと思うので、ひとつがんばっていただきたいと思うのです。 そこで、私きょうお聞きいたしたいのは、これはだれも国会の場において論議をしないと思いますので、なかなかそういう機会を得ないので申し上げたいのですが、性の教育の問題についてお聞きいたしたい。 性教育というとどこか抵抗が日本語にあるのですが、人の性の教育と言ってもいいだろうと思う。広く言えば人間性の教育だと思うのでありますが、この点について私は、教育の理念というか、あり方の問題と密接に関係があると思っておるのです。それは、従来、日本の教育の場合には、科学教育において物理科学中心の教育であった。物質科学と言ってもいい。しかし、もう少し生物を中心とした科学教育、生物学、生態学的な科学教育に重点を置いて、人間の研究を離れた物理科学中心の教育から生物科学的な方向に持っていくという中で、こういう問題が、性道徳的な、あるいは純潔教育的な、そういう日本の偏見といいますか、そういうもののない、一つの正当な、人間とは何ぞやという姿の中で、余り抵抗なく科学情報に支えられた教育ができるのではないかと思うのでありますが、この点いかがでしょう。
○永井国務大臣 私も、性教育というのは、いわゆる生理的な意味における性というものだけを切り離して教育すべきものでないと思います。そうではなくて、性教育というのは、まさに人間教育といいますか、人間形成の重要なる一部分であるという考え方がよろしいと思います。ということは、性教育というのは、やはり知育、徳育、体育、このすべての面から考えていかなければいけない。 そこで山中先生は、特に知育の中で、物理科学という方向よりも生物という方向を考えなければいけないんじゃないかというふうにおっしゃいましたが、全くそうだと思います。このライフサイエンスということも非常に盛んになってまいっておりまして、人間並びに他の生物の環境への適応というようなことが問題になってきておりますが、学校の教育の方でも、次第にそういう考え方が強くなってきているように私は思います。これは必要でしたらば、いまの指導ないしは教科書にどういう傾向があるかということを政府委員から御説明いたしますが、生物、それから植物、そういうふうなものも含めまして、かなり子供の時分から人間教育の一環としての性教育が行われるのはよいと考えております。
○山中(吾)分科員 最近、文部大臣の発案というのか提案で、文明懇談会ですか、その中身についてはまだはっきりといたしませんけれども、何か新しい価値観を見出して日本の国民教育の方向を見定めたいという意図だと思うんです。そういう一つの問題提起をされておられるのですから、いまのような問題も具体的にお考え願って、こういう問題も、人間とは何ぞという人間学の問題の中でぜひひとつ解決をしてもらいたいと思うんです。私は、最近、学生運動の中でも思想が暴力化をする、あるいは青年の暴走族がたくさん出てくる、あるいは母親が簡単に子供を殺す。これも何か母性愛の衰退というような感じがする。ああいうふうなものの中にも、性が抑圧されますと、暴力エネルギーなり戦争エネルギーになりますから、むしろ性の充実感の中から愛情とか献身が出るので、私は、非常に大事な人間のエネルギーを、文化の発展の方向に、また憲法の理念から言えば平和、人権、民主主義の方向に発揮さすのには根本的な問題ではないか。そういうように思うものですから、ぜひ御検討願いたいと思うわけであります。 〔山本(幸雄)主査代理退席、阿部(助)主査代理着席〕 ことに先進国において、ヨーロッパあたりには相当大胆な教育が行われておりますけれども、日本では少しもないと思うんですね。これは地方の委員会で発行しておる「性教育の手びき」、これは広島県教育委員会。山口県の教育委は「純潔教育の手びき」。これじゃだめなんですが、出ておる。愛媛県の教育委は「性教育指導の手びき」。宇都宮市立泉が丘中学校で「人間形成をめざす性教育」。それから兵庫県の村岡町立兎塚中学校にも「中学生の性教育」が出ている。徳島県立名西高等学校、ここでも出ております。これをちらっと見ますと、どうもやはり昔の性道徳的な行き方が非常に多い。非常にまちまちである。この点については、文部省には、人間教育としての性の問題の確固たる指導方針が確立されていないために、まちまちに行われているんじゃないかという疑問が一つ。それから、こういうものをつくっても、教員自身がこれに対する基礎的知識と確信を持っていないために、たなの上に乗っておるだけであるというのが現実であります。それで、文部省においては、この人間の性の教育について、いままでどういう方針を持って指導されておるのか。あるいはしていないのか。なければ、いまどういう検討をしておるかということをお聞きしたいと思うんです。
○安嶋政府委員 現在、文部省でお尋ねの点についてどういう施策を講じているかという点でございますが、お話がございましたように、やはりこの基本は、人間性の問題と、それから生命に対する理解、あるいは畏敬という問題であろうかと思いますが、まず教科といたしましては理科の生物におきまして、先生が御指摘になりましたような方向の教育が、かなり行われていると思います。 たとえば小学校でございますと、詳しく申し上げると時間がございませんので、簡単に申しますが、三年生におきまして、植物のおしべ、めしべ、めしべがふくらんで実になるといったようなことでございますとか、あるいは昆虫の産卵活動について教えるといったようなこと。その他いろいろございますが、そうした動物、植物の生命の発展と申しますか、そういうことを通じてこの性の問題に接近をしていく。また体育におきましては、体の発達、特にその男女差について教育をする。また道徳の領域におきましては、男女相互の協調という点を強調する。それから特別活動におきましては、女子について初潮の指導を行う、こういった内容を盛り込んでおります。 中学校の保健体育につきましても、心身の発達の男女差の問題でございますとか、高学年になりますと性病の問題にも触れております。それから理科といたしましては、植物のあるいは生物の繁殖、生殖あるいは成長、あるいはそうしたものと環境との関連、あるいは遺伝の問題、そういう問題を教えるようにいたしております。また道徳におきましては、男女の清純な交際により健全な異性観を身につける、こうした指導事項も掲げております。また特別活動といたしましては、性的な発達への適応という問題を学級指導の内容として取り上げておる。それから技術課程の教科におきましては、幼児の心身の発達の問題や、あるいは幼児の保育の問題を取り上げております。 高等学校になりますと、保健体育におきましては、成長と性器官の機能でございますとか、結婚と優性の問題などを取り上げております。また理科におきましては、生命の連続性の問題、あるいは生命現象と分子の問題などが取り上げられております。また倫理社会におきましては、成年と人間形成の問題が取り上げられている。それから特別教育活動のホームルームにおきましては、男女の特性と相互のあり方について教育をする。また家庭科におきましては、妊娠と分娩といったようなことについて教育をいたしております。 このように、教科、道徳、特別活動全体を通じまして、人間性の問題と生命の問題というものを基本にした指導が行われておるわけでございますが、ほかに御承知かと思いますが、生徒指導資料というものを発行いたしておりまして、思春期における生徒指導の諸問題ということで、高等学校や中学校それぞれにつきまして、その基本的な考え方、並びに具体的な事例に即した指導の仕方等につきまして、中学校について申しますと、この資料を約九万部学校に配付をいたしまして、その指導の参考にいたしておるということでございます。
○山中(吾)分科員 いまずらっと聞きましたけれども、実際は少しもやっていないんじゃないですか。点検いたしましたか、実際に教育をしておるかしてないかを。いま、いろいろ副読本とか指導とか書いていますけれども、実際には有効な教育が行われていないんじゃないか。現実の点検をされていますかということです。教員自身に基礎教育というのはないし、それはできないですね。したがって、文部省で一番大事なことは、教員にそういう教育力を付与する講習会とか、それから教員養成課程においてもし専門性というものを強調するならば、人間学の中における性の問題を教師自身が自信を持って——変な古いはにかみ、あるいは自分でただ覚えたことを、歯の浮くようなしゃべり方の中で何にもならないことをやるくらいのことで、何もしてないと私は思うのです。一番大事なことは、やはり全国の教員にこういう性の教育についての能力付与の再教育というものを一遍計画的にすべきである。これがないと、いま局長が言われても、何も有効な手だてにはなっていないと私は思う。それはいかがでしょう。
○安嶋政府委員 ただいま申し上げましたような方針で各府県を指導し、また資料の提供をいたしておるわけでございますが、ほかに、文部省が主宰をいたしまして生徒指導主事講座というようなものも開いておりますし、各都道府県におきましては、中学校、高等学校の生徒指導講座、あるいは中学校のカウンセラー養成講座、こうした各種の講習会、講座等を開きまして、指導者養成あるいは指導方針の徹底を図っておるということでございます。 これが現場にどの程度徹底しておるかということにつきましては、私どももさらに調査をし、また指導の徹底も図ってまいりたいというふうに考えます。
○山中(吾)分科員 大臣、いま局長が言ったことを現実に点検されて、現実を見られて、具体的にこれをもっと充実し進める実践的な方途をひとつお考え願いたいと思うので、大臣の御答弁をいただきたいと思います。
○永井国務大臣 実は、先ほど初中局長が御紹介申し上げました指導の資料、思春期の教育という形で、その中に性の問題が出てくる。そういう意味で、包括的な扱い方ですが、これは御趣旨に沿ったように書けております。そしてこれは相当広く読まれたというふうに私、理解しております。ただ、初中局長申し上げましたように、なお研修をやったりして徹底していかないといけませんから、そういう点は初中局長とも相談しながら大いに努力するつもりでございます。
○山中(吾)分科員 ことに、戦後栄養が非常によくなりまして、女性の初潮も二年も早くなり、男性も早くなる。それから性の情報については、マスコミが茶の間に入り込んで自由自在にそういう情報が入っているということもありますから、やはり人間性教育の重大課題として具体的に文部省が取り上げないと大変になる。 性のエネルギーというものは、抑圧すれば暴力エネルギーになるのだ、残虐性のエネルギーにもなる、好戦的なエネルギーにもなる、こういう重要な認識をされる必要があると私は思うのです。個体の生命を保持する食、その延長線はエゴイズムで、物質文化、経済文化は発展するが、子孫のためのエネルギーは、愛情だとか、活用すれば献身とか、精神文化になるのだ。私は、生命尊重、生命を保持するエネルギー、性のエネルギーの位置づけというものを、そういう意味においてもっと深く哲学としてしっかり文部省が持って、そして指導をされるというのでないと、最近のいろいろの暴力化、ことに組織が巨大化しておりますからどうにもならない。爆弾事件なんという、取り締まるにも取り締まりの対象外ですから、価値観の形成以外にこういう問題をなくしていく道はないのじゃないか。そういう場合に一番大事なのは、人間の子孫のためのエネルギー源である性をいかに善用さすかということの中に大きい教育課題があるという考え方があると私は思うので、真剣に考えていただきたいと思うわけであります。 これは、いろいろと論議をしたいことがありますけれども、時間が参りましたのでこれで終わりにいたしておきますが、まだ二、三分あると思うので一言……。 国連大学について、永井文部大臣も就任前から非常に熱心で、世界的視野に立った教育思想から出た着想があったことを私も知っておるわけでありますが、国連大学の本部が日本にできたについて、国際共通語、英語、フランス語、ドイツ語、数カ国語を研究の中に用いていかなければならぬという一番大きな問題があると思います。現代のように、経済的にも思想的にも社会的にも学問的にも国際化した時代に、あらゆる国際会議がある。国際共通語として、英語というのは、民族語でありますからこれに抵抗もあり、普及されても一定の限界がある。将来、人類が国際共通語を研究して、大民族が小民族を支配する手段になる民族語でなくて、たとえば現実にエスペラント語がありますが、これも欠点はあるでしょう。それに限定しないで、こういう国連大学の付属の研究施設に国際語研究施設というもの、二十年、三十年、百年後に完成するとしても、これに着手すべきではないか。 そういう研究施設を国連大学の中につくっていく方向で、文部大臣として当局に進言する問題でもあり、外務省との意見交換もあると思いますが、そういう方向の提案をする、検討をしていただきたいと思います。それをお聞きして終わりにしたいと思います。
○永井国務大臣 現在、たとえばユネスコの公用語は、英語、フランス語、スペイン語、それから中国語、ロシア語ということになっておりますが、山中先生御指摘のように、エスペラントというのは、そういういままでの強大な勢力と関係のないもの、これは非常に検討を要することだと思いますが、その手続を申しますと、国連大学理事会が、国連大学が何を研究するかということを決めるわけです。現在まですでに決まりましたのは、三つの領域を選びました。これは、エネルギー資源、それから食糧開発、この三つでございます。 そこで、これを初代の学長は進めていかれると思いますが、しかし、国際用語の問題は非常に重要でありますから、これはもちろん私も十分考えますが、しかし国連大学というのは、いろいろな国の国民が民間で活動して、いろいろ提案もできると理解いたしております。そこで山中先生も、そういうことをむしろ民間から御提案になる、そういうこともあってしかるべきではないだろうか。私も十分これを考えていきたいと思っております。
○阿部(助)主査代理 これにて山中吾郎君の質疑は終わりました。 次に、有島重武君。
○有島分科員 私は、体力といいますか、体育について少し質問をしたいと思います。 命あっての物だねだということもございまして、いろいろと勉強をするにもやはり体力が大切であると思うのですけれども、そのうち、初めに視力について。 大臣、これは御承知であろうと思いますけれども、わが国におきましては小学生の一六・八二%が近視眼である。中学生は二六・七九%である。これは高校になりますと四二・八〇%が近視眼である。特に高校生も十七歳が四四・四四だそうであります。そしてこれは夜間学生、昼間学生と分けますと、昼間学生の方が高いんですね。そして男女別に分けますと、女子の方が四六・八一%、こういうような実態になっております。大臣として、こういったことについて、これが実情でございますけれども、どのようにお考えになるか、最初に大ざっぱなお話を伺っておきたい。
○永井国務大臣 本当にわが国には目の悪い人が多いんですね。それはどうしてそうなるかというといろいろなことがあると思いますが、一つは栄養の問題もあるのではないかという説もあります。それからもう一つは学校の採光、つまり教室の設計などの採光。それから、家でなかなか勉強いたしますから、家でそれこそ試験勉強などをやって、そういうときの採光なども十分ではないんだという説もございます。また、びっしり細かく書かれている字を読むとか、読むときの姿勢がよくないとか、いろいろそういうことが言われておりまして、私はこの問題について専門家でございませんから、大変決め手になるようなことを申し上げることはできないのでありますが、これはやはりいろいろな角度から予防を考えなければいけないのではないかと思います。 現在、学校でどういう指導をしているかということを申しますと、特別活動あるいは各教科で、そもそも目が大事であるということを教えるわけですが、そのほか、いま申し上げましたように栄養摂取、それから戸外活動を十分やる。それから、なるべく十分睡眠をとりなさいというようなことを教育いたしまして、目を疲労させないということでありますが、それを進めていかなければいけないと思いますが、確かに勉強時間がかなり長いですね。そして夜遅くまで勉強しているんですね。なかなか戸外活動もしにくい、こういう事情がありますから、恐らくこういう角度も相当考えていかなければならないのではないかと私は考えております。
○有島分科員 いずれにしろ、このままほうっておいていい問題ではないように私も憂うるわけです。それで、いろいろな指導をやっているのだけれども、その指導が有効であるかどうか、これは非常に心配なわけなんですね。いままでもそういった指導はなさっていたのだろうと思うのだけれども、これが本当に有効なのかどうかということを、これは追跡といいますか、そういうことをひとつよくやっていただくべきじゃなかろうか、そう思うのですが、いかがでしょうか。
○諸沢政府委員 ただいま大臣からお話がございましたように、学校教育としましては、教科のうちの保健体育あるいは学級指導、学校行事等の教科外活動等におきましてこの問題を取り上げ、近視の予防につきましては、できるだけこれを徹底するようにやっておるわけでございますが、果たして効果ありやいなやという御質問でございますが、この点はなかなかむずかしい問題でございますけれども、近視の発生状況等を見ますと、昭和四十二年から四十七年にかけましての実態というものが、小、中、高等学校を通じて必ずしも少なくなっていないということは、これはやはり問題だと思うのでございまして、そういう意味では一層教育を徹底すべきだと思いますし、それから、先般も申し上げましたけれども、やはりこの問題は、学校だけで片のつく問題ではなく、特に近視は、最近、小さい子供さんがめがねをかけているというような実態があるわけでございますが、これはやはり学校において常に先生の指導よろしきを得るということが必要でありますと同時に、私は家庭における一種のしつけ教育というような観点からも、たとえば長時間テレビを見るというようなことは、子供としてはよくないことでございますから、そういう家庭のしつけ、家庭教育、あるいは広い意味での社会教育というようなこと、全般にわたりまして、相互に協力し合ってこの問題を解決していくということにしていきたいと思います。
○有島分科員 大臣、これはいままでやっていらっしゃった。今後、いままでの方針を徹底していきさえすれば、それでよくなるのであるか。あるいは、いままでの方針がやや科学性を欠いているというか、まあ、そんなことはないと思いますけれども、もう一遍検討をし直して、医学的といいますか、生理学的といいますか、心理学的といいますか、いろいろな要素が入っているんじゃないかと思うのですね。四十二年から四十七年、これは増加しているわけであります。 それからもう一つ、目が一遍悪くなると、これはもうめがねをかける以外にしようがないのだ、視力を回復するというようなことは、このごろは余り考えないんじゃないかと思うのです。以前でございますと、兵隊検査というのがございまして、そのときまでにはよくしていかないと、びんたを食うとかなんとかいうことがあったりして、あるいは私も小学校からずっとめがねをかけておりましたけれども、それは戦争とは関係なしですけれども、大学を出ましてから目がよくなっちゃった。自分もそういった経験を持っておりまして、もう少しこれは心理的なこともあるんじゃなかろうか。いま体育局長が家庭環境ということを申されましたけれども、その方針そのものも再検討なさるべきではないか、そう思うのですけれども、大臣、いかがですか。
○永井国務大臣 有島先生の御体験に基づいたお話を実は初めていま伺ったのですが、有島先生からはいろいろそういうお話を伺っていましたが、目のことは初めてです。本当に重要だと思います。ですから、いろいろ専門家の意見も聞いたりして、本当にこうやって目が悪い人がふえていくことは困りますから、十分に検討して、そしていい方法、有効な方法というものを考えるようにしなければいけないと思います。
○有島分科員 それにつきまして、私、ちょっと老婆心に似ているようなことがあるわけなんですけれども、いままでと違った一つの方針を考え出していくとき、いろいろな障害が起こってくることがあるわけです。この近眼の方々あるいは遠視の方が、有効なる方法で減ったといたします、その指導徹底によって。そうすると損害を受ける人たちもいるわけですね。そういったことをちょっと先走って考えちゃったわけなんだけれども、厚生省、来ていらっしゃいますね。めがぬのレンズの年産というのがございまして、これは四十六年には三千六百十万四千枚できて一これが九十四億八千二百七十一万円である。それから四十七年には四千百数十万枚になりまして、これが百十一億円になった。四十八年度になりますとまた四千三百万枚ほどつくっておる。これは百三十三億円である。こういったような統計をいただいたわけです。 それからもう一つ、コンタクトレンズというのがございますね。コンタクトレンズの方も年産二十億、これが四十六年、四十七年が二十五億、四十八年が三十五億、大体こういうことになっているというふうに承っておるのですけれども、厚生省、これに間違いないでしょうか。
○森説明員 いま先生おっしゃったとおりでございます。
○有島分科員 こういう業者の方々が損害をお受けになるということも、これはちょっと困るということもあるのですけれども。それからもう一つは、コンタクトレンズがこのごろはやっておりますね。あれの単価ですけれども、これは昭和四十六年が一枚千百八十七円であった。四十九年度二千百六十円に上がっています。こういうようなお値段なんですけれども、これはセットしてもらいますと大体二万円くらい、もっとかかる場合もあるのですけれども、こういったような方々は、そんなことを言っちゃいけないのだけれども、目の悪い方がある、ないしは目の悪いことを早期に発見していくということがやはり御商売の上でもって大切なことなんですね。こういうことにもかかわらず、やはり目の方が大切である。商売も大切だけれども目がさらに大切であるというところに、本当に踏み切っていただけるかどうか。これは、いままでいろいろいいことを提案しても、大概うやむやになってしまうわけなんですよ。たどってまいりますと、いろいろな業界の方々だとか、そこについていらっしゃる学問的な方々だとかいう方が、意外となかなか進みにくい方向に機能なさるというようなことが往々にあるわけです。それを御覚悟の上で、本当に子供たちのこと、国民のことを思って進めていっていただけるかどうか。そのことをもう一つだめ押しをしたいわけなんですが、いかがですか。
○永井国務大臣 私は実は、めがね屋さんがどのくらい売り上げがあるか、数字につきまして、それもいま初めて知ったのですけれども、しかし、もちろん国民の教育をやっていきます上に、目は非常に大事なことですから、私は、レンズをつくるところの方々も、日本の国民の目は大事だということは必ず考えてくださるに違いないと信じておりますから、そういう考えのもとに進めていけばできるものと思っております。
○有島分科員 先日の分科会でもって、田中厚生大臣も、わが国の児童生徒ないしは国民全般に近視眼が多いということは望ましくないことである、何らかの予防措置をとりたい、あるいは回復しなければならないとおっしゃっておりましたね。いまの文部大臣も、そのお気持ちでいらっしゃるということを私も聞き、ぜひともその方向でもってひとつ進んでいただきたいとお願いいたしておきます。 それから次に、虫歯のこともやりたかったのですけれども、時間がなくなってしまいましたので飛ばしまして、やはり児童の体育の問題なんですけれども、運動場が狭いということがありますね。私たちの遊んでいた小さいときのことを考えますと、馬乗りとか馬飛びとか、それから野球だとか水雷艦長、それから鬼ごっこ、そんなことをやっておりましたね。それで、いま都会の小学校なんかでもってはやっている遊びはどんな遊びだか、大臣御存じですか。
○永井国務大臣 どうも有島先生にテストされているようで……。うまく答えられないかもしれませんが、もちろん昔からの駆けっことかそういうものはやっていますが、最近、私なるほどなと思ったのは、ミニサッカーというのをやっていますね。昔のような広さでなくて、狭いところでやれるサッカーというのをやっています。これはやはり、現在空間が不足なのに合わせたのだと思って、なるほどと思っております。しかし見ますと、なかなかうまくやっています。そうして相当活動的にやっている。そうしてミニサッカー・インター小学校なんという対抗試合みたいなものがあって、伊勢丹の屋上でもこの間やっているのを見ましたが、これは地面の上でやれる方がいいなと思いましたけれども、そういうことをやっているのを私見ております。それから、ときどきNHKの裏の織田フィールドに見に行きますが、ここではもう少しいろいろなことをやっております。水雷艦長とかそういうのは、余りやっておりませんけれども。これは普通学校でやるものですから。だけれども、やはりいまの子供も走るのはかなりうまい。それから最近上手になってきたなと思いますのは持久走。これはこの間渋谷の区の大会を見ましたけれども、持久走はなかなかいい。それから水泳がかなり盛んになってきております。私の見た経験に基づいて申し上げると、大体その辺のところでございます。これは小学校です。
○有島分科員 ぼくたち、メンコだとか、べいごまだとか、狭いところでもかなり張り切ってやったということはあるわけですけれども、最近はやっておりますのは、うちの近所なんかでも、あやとりがはやっているのですね。女の子は毛糸を編むのがかなりはやっております。男の子は低学年から高学年まであやとりがはやっているのです。それからリリヤンと言って、人絹の糸をもんでひもなんかつくっている。そういうのが昨年あたりからはやっているのを見て、ぼくは偶然としたわけです。これは悪いことじゃないかもしれないけれども。 それで、学校の運動場の広さなんですけれども、学校の運動場の広さというのは、基準は最低三千六百平方メートルだそうです。と申しますと大体千二百坪くらいですね。最低基準というのは、三学級しかない学校でこれであるということなんですね。大都会でこの最低基準に達するような学校はどのくらいあるでしょうか。おわかりになりますか。
○今村(武)政府委員 校舎については基準はございません。学校教育法の三条で設置基準を定めることになっておりますが、小学校、中学校についてはその設置基準の定めがないので、拘束力のある校舎面積の基準は目下ないわけでございます。
○有島分科員 校庭です。遊び場の話です。
○今村(武)政府委員 私が発言を間違えたかと思いますが、校地、学校の建物の敷地及び運動場含めまして、それに関する基準は目下ありません。
○有島分科員 そうしますと、この三千六百平米という数字は、ぼくは全然これは記憶違いというか、調べ違いというか、ないわけですか。三千六百平米という話を聞いたのですけれども。
○今村(武)政府委員 いま数字としてございますのは、急増市町村で土地の購入費について補助金を出す場合がございますが、その補助金を出す場合の補助の基準を定めたものはございますが、学校としてこれだけの面積を持っていなければならないという一般的な規定はないわけでございます。
○有島分科員 三千六百平米というのは何ですか。
○今村(武)政府委員 先生の御記憶にあるのは、急増地域で校地の補助を出す場合の運動場の基準に、小学校で三千五百六十四平米という数字がございますから、恐らくそういう数字を丸めて御記憶になったのではないかと想像します。
○有島分科員 そうすると、この三千六百平米くらいの運動場を持っている学校はどのくらいありますか。
○今村(武)政府委員 全国のすべての学校それぞれ生徒数が違いますし、それぞれ運動場の面積も違うわけでございますが、平均値だけで調べてみますと、小学校で一校当たり一万七十四平米、中学校で一万六千二百五十五平米が平均一校当たりの校地の面積でございます。
○有島分科員 ちょっと話がすれ違ってしまってまずいのだけれども、じゃ、先に飛ばしてまいりますと、うちの近所に千六百平米、五百坪ちょっとぐらいしか運動場がない学校が幾つもあるのです。それで、それは十五学級、十八学級ぐらいあるわけですね。ばかに狭いわけです。そのそばに公園があるわけですね。そういう学校が都内にやはり幾つかございます。それで学校の方ではこの公園が欲しい、校庭にしたいと思っているわけですね。ところが、公園当局の方では、都会に公園を確保していくという、これはまた一つの方針がございまして、これは一つの都市政策として非常に大切な問題でございますから、それを忠実に守っておる、そういうことになっております。これはもう代替地さえあれば渡してもいいですよということに大概なるわけですね。ところが、そんなにたやすくはできませんので、そのままになっているわけです。で、隣合っているんだから使わしてもらえばいいわけであります。ところが、それが余りスムーズに使ってはいない状況にあるというのがたくさん耳に入ります。公園側から言わせますと、学校の生徒さん方にこれを専有されるということは好ましくないと当然言うでしょう。それからまた学校側から言えば、これは学校側で全部買い取って校庭として使うならばいいけれども、何か中途半端な使い方をさしてもらっていて、そこに一般の方々も入ってくる、それでこちらも行く、そうすると学校の管理上、責任が非常にとりにくい問題が起こってきたときに困るというような事情もあるわけですよ。結局、公園当局の方も学校側もかなり消極的なふうになっていくわけですね。その谷間でもって子供たちが萎縮していくということがあっては恐ろしいと思うのですね。こういったようなことを、もう少し工夫して話し合っていただくことができないだろうか、こうぼくはときどき思うわけなんです。それで話題として出したわけですけれども、いかがでございましょうか。
○今村(武)政府委員 いまおっしゃいましたのは区立の小学校の例でございますか。——東京都の区立の小学校の校舎、校地等の管理権は区の教育委員会に属するわけでございます。また、公園についてはそれぞれ公園の所管の機関がございますから、その区内で、公園の所管の機関と学校の所管の教育委員会とのお話ということになるわけでございまして、文部省が直ちに物を言ってはおかしな話ではないだろうかという感じがいたします。
○有島分科員 いま局長のおっしゃったのは、まことにそのとおりなのでありまして、ですから、今後とも文部省はそのようなお考えでお進みになると思うのですよ。建設省の方も、いま局長さんのおっしゃったようにおっしゃって、そのままお進みになると思うのですよ。しかし、そのようなことでは子供がかわいそうな場合が起こりますのでね。ですから、局長さんはそれを忠実に守っていらして結構だと思うのです。教育委員会にしろ、それはいいんですよ。だけども、大臣、これはお互いの責任、なわ張りと言っちゃ悪いけれども、何か歩み寄るようなことをひとつやっていただけないだろうか、工夫していただけないだろうかということを大臣に伺いたい。
○永井国務大臣 その前に、先ほどのあやとりですけれども、あのあやとりは狭いからだけやっているんでなくて、私ちょっとあやとりのことを調べたのですが、あれは日本にも外国にもあるらしいんです。それで、やはり遊びの伝統を生かした方がいいというので、いま若い人の間で遊びのあやとりの国際交流みたいなことをやっていまして、その人たちに会いましたので、それはなか々かおもしろい試みの側面もあるということを、先ほどちょっと申し忘れましたから申し上げます。 それから、いまの公園のことでございますが、これは私も全国のケースを知りませんけれども、私の理解しているところでは、公園と学校が近いときにうまく利用しているところもあるようでございます。もちろん建設省と文部省は所管が違いますから、そこで子供のことを考えませんなんていうことは、これは建設省も言わないでしょうし、文部省も言わないのです。ただ、自分らがやらなきゃいけないところは何かと申し上げているだけです。それで、文部省も建設省も場合によっていろいろ話し合いをしていきます。それと同じように、地方自治体におきましても、公園の担当の方、学校の担当の方がやはり話し合って、相互に利用できるところは利用して、そうして子供が生活をしやすいようにしていくのがよろしいのだ、私はこういうふうに思います。
○有島分科員 それも結局詰めていくと、やはりいろいろな隘路が出てくると思うのですね。それをひとつ工夫していただきたいと思うのですが、建設省の公園の方の方、来ていらっしゃるけれども、これは一般的に申しますと、確かにぼくもこの問題をむしろ都市問題として、あるいは災害問題として、あるいは緑化の問題として考えてまいりますと、公園をもっとふやしていく、そっちの方向でもって今後ともやってまいりたいと思っているわけですけれども、個別的にケース・バイ・ケースのいろいろなお話し合いをしていっていただきたい、こういうふうに思うわけなんですが、建設省の方からどうぞ。
○三好説明員 ただいまの御指摘に関しましては、文部大臣並びに管理局長からお答えしたことと、基本的には変わらないわけでございます。建設省といたしまして、公園を整備するに当たりまして、当然のことでございますが、都市をつくるという枠組みの中で、特に御指摘の公園は児童公園という種別の公園であろうかと思いますけれども、本来その地域に住んでおります学齢以前あるいは学齢、さらにはいわゆる不特定多数の児童の用に供するというのが公共施設についての基本的な考え方であります。そういう面から、少なくとも不特定多数という中には、幼児も常時利用する、それに妨げになるようなことは困るということを言うのが一般的に公園管理者の言い方になると思うわけでございます。 いま大臣からお話がございましたように、その地域、地域におきましての施設でございますから、地域の実情に応じまして、スペースが少ない中で子供たちが育っておるわけでございますから、公園管理者と教育委員会が十分話し合いをされるように、われわれとしても指導してまいりたい、かように思います。
○阿部(助)主査代理 これにて有島重武君の質疑は終わりました。 次に、馬場昇君。
○馬場分科員 文部大臣とは初めて議論をしますし、共通の土俵をつくるという意味におきまして、まず教育の理念についてお伺いしておきたいと思います。 憲法二十六条で国民は教育を受ける権利を持っておるわけですし、教育基本法におきましては、特に教育行政は、教育の目的を達成するために必要な諸条件の整備確立を目標として行うことになっておるわけですし、学校教育法におきましては、保護者はその子女を就学させる義務を負っておる、こういうことでございますし、私は、憲法や教育基本法に一貫して流れておる理念というものは、正義の原則であり、自由の原則であり、特に機会均等の原則であると思います。そういう意味におきまして、いやしくも教育を受けるという権利、機会が、階層とか貧富によって差別されては絶対ならない、私はこう思うのですけれども、文部大臣はこの原点を確認をされて、特に新しい文部大臣ですから、再確認されて、再確認とともにこれを発展させていただきたいという切なる希望を持っておるのですが、いかがでございますか。
○永井国務大臣 ただいま御指摘の点、全く同感でございまして、憲法に基づいて、あるいは教育基本法に基づいて教育というものを充実すべきものと思いますが、その中に正義という言葉があり、また機会均等ということが大事である。そして国民が教育を受ける権利を持っているということでございましたが、まさにそのとおりだと思います。それをでき得る限り十分に達成するということがわれわれ教育行政に携わっている者の責任であると考えております。
○馬場分科員 全く同感でございます。そこで、この理念に基づきまして、具体的なことで一つお尋ねしたいのです。大臣も御存じと思いますけれども、最近PTAに対する出席率がどこでも非常に悪くなっております。自治体を三割自治だ、何とか自治だと言っておりますが、それになぞらえて、二割PTAだ、一割PTAだ、こういうようなことが言われておりますし、授業参観日にも、だんだん参観に来る人が少なくなっておりまして、少ない中でも固定化されておる、こういう状況が出ております。 そこで私ども、どうして集まりが少ないんだろうと先生方と一緒にいろいろ話し合いをするのですが、その中で、いま共働きが非常に多くなっておりますし、その共働きの人たちを対象にいろいろ聞いてみますと、休むと使用主とか会社に悪いんですよという意見から、同僚に迷惑がかかりますという意見、さらには切実な問題として、給料や手当に響くんですよ。こういうような意見がほとんどでございます。そこで、じゃどうしたらいいんでしょうというような話し合いをいたしますと、教育のため、子供のために学校に行くときには有給休暇を出してもらえれば一番いいんだ、こういうことを切実な希望として言われますし、それから休んでも給料に余り関係させてもらいたくない。特にいまは皆勤手当とかいうのがございまして、一日休みますともう五、六千円違うというような状況もあるわけでございます。こういうような状態があって、一割PTA、二割PTAとか、学校授業日の参観が少なくなっておるわけでございますが、こういう点考えますと、私は、さっき大臣と確認し合いました教育の理念から言いまして、やはり子供の側からとってみても、うちは一つも父も母も来ないとか、また父母の側から言っても、子供を教育する義務があるのに行けないとか、これは非常に問題だろう、こういうぐあいに私は思います。 そこで、実はこういう実情は共通の理解ができるかどうかという問題と、その対策として、特にまず企業に対して文部大臣の方から、学校の参観日とか、あるいはPTAとか、月一日かそういうことを考えられて、PTAに行くときに、皆勤手当とかなんとかに絡ませて五、六千円も収入が減るようなことはしてもらいたくないというようなこととか、あるいは有給休暇にしてくれないかとか、こういうことを、国民の教育を受ける権利という立場に立って、ぜひ要請して実現するようにしていただきたい。 少し違いますけれども、定時制高校なんかでも、勤務時間中から通学できるように勤務時間を考えてもらうとかということも、勤労青少年についてあるわけでございます。こういう点、労働省からも来ておられると思いますけれども、一応文部大臣が企業側とか使用主側にそういうことを働きかけていただきたいということに対するお考えと、それから労働省の方も、そういうことでいろいろ各方面と話し合いながら措置をしていただきたいという、この二つについてお答えいただきたい’思います。
○永井国務大臣 ただいまの二つのこと、一つは、まず私は実態を認識しているかということですが、私は実はわりあいにPTAの会によく出る方なんです。確かに減ってきています。ですから、全国を調べたわけではないですけれども、私の見るところでも、そういう問題があるということは御同意申し上げます。 そこで二つの問題ですが、一つは参観をしやすいようにするということと、それから働いている人たち、これが勉強しやすいようにするということ。後者の方につきましては、文部省といたしましてもいろいろ検討して、そうしてこれまで、働いている人が勉強しやすいようにいろいろ要望あるいは検討を続けてまいりました。前者の方につきましては、やはり学校で父兄の方々に訴えて、そしてなるべく来ていただくように、こういうことはいたしてまいりました。 しかし基本的な問題は、やはりわが国の雇用の問題がどちらにも関係があると思います。そこで、この問題については、労働省の政府委員の方も買えておりますから、まず御答弁を願って、その上で考えたいと思います。
○岸説明員 ただいまの御質問の件でございますが、労働省といたしましては、働く青少年がなるべく、特に定時制高校の方々がなるべく勉強する機会を与えられるような、そういう点については、すでに婦人少年局長から各事業主に対して要請いたしております。 ただ、御質問にあります、PTAに出席をするために事業側で配慮せよということは、これは先生の御意見、非常によく理解はできますけれども、なかなかこれは企業の実情から言って、むずかしい問題があろうかと思われます。ただ、全般的な有給休暇の拡大の傾向にある社会でございますので、企業の中には、そういうような労働協約、取り決めをしておるというところもあるようでございます。むしろ私どもとしては、全般的に休日、有給休暇を拡大していくような指導はしておりますけれども、当該問題について、いま直ちにどうするということは考えておりません。
○馬場分科員 大臣の方もちょっとはっきり答弁がなかったのですけれども、私は具体的に質問をしておるのですが、実はここにもいろいろ冊子を持っているのですけれども、各地域では、学校の先生方とかあるいはPTAが使用者と話し合われて、PTAに一日行っても皆勤手当としては払いますとか、その日は有給休暇にいたしますとかと、至るところでPTAとか使用主とか地方自治体が入って、改善されつつある報告が幾つかあります。そういうこともありますので、それについては、やはり出やすいように企業で、皆勤手当とか、あるいは皆勤手当は関係なしに有給休暇にしてくれ、これは大臣の立場から、教育権の保障という立場から言われてしかるべきじゃないか。 それから、いまの労働省の話ですけれども、一般的に有給休暇を拡大したいのだけれども、このことでいますぐ行動を起こすとか、使用主とかなんとかを指導する考えがないとおっしゃいますけれども、これは私は教育権という保障の上から問題だろうと思います。 そこで、時間が余りありませんから、さらにもう一歩進めて質問をしておきたいと思うのですが、大臣、実は労働基準法の七条に公民権行使の保障があって、選挙に行くとかいう公民権を行使するときには、勤務時間中でもよろしいというようなのがあるのですが、私はやはり、教育権というのは、人権、そして教育権と非常に重大な権利だろう、こういうぐあいに思います。そういう意味で、労働基準法を改正するのか、あるいはそのほかに方法があれば、そのほかでも結構ですけれども、教育休暇権とも言うべき、これは仮称ですけれども、これはきちんと法律に保障すべきだ、こういうぐあいに私は思います。そういう意味におきまして、現実の問題として、それができるまで企業にどう働きかけるか、そして絡局的には教育休暇権というべきものを法律で制度的に保障していただきたい、こういう希望を持っているのですが、これは両方からひとつ答弁していただきたいと思います。
○岸説明員 最初に、私から答えさしていただきます。 七条の規定は、先生御承知だと思いますけれども、国民としての基本的な権利でございます公の職務を遂行するとか、あるいは公民権の行使という問題がございます。これにつきましては、御承知のとおり、最低基準の中にも入れておりまして、そういう申し出があれば、労働時間中においてもその機会を提供しなければならないということになっているわけでございます。ただ、労働基準法と申しますのは、申し上げるまでもなく最低基準でございまして、罰則つきで強制をしなければならないというものでございます。したがいまして、確かに先生御指摘になりました問題は、私は重要な問題ではあろうと思いますけれども、個々の使用者に対して最低基準として強制するまでということは、若干問題があるのではないかというふうに思うわけでございます。ただ、現実には労働協約その他によっていろいろな休暇が拡大されておりますので、そういう面でそういう制度ができれば非常に好ましいことではないか、かように思います。
○安嶋政府委員 最近PTA等に対する参加が少ないという御指摘でございますが、PTAの会合その他授業参観日等は、御承知のとおり、なるべく父兄が多数参加できますように、休日等にそうした授業、行事が持たれることが多いわけでございます。また、そうした参観日に出席できなかった父兄に対しましては、事後に必要な連絡をするというようなことも行われておるわけでございます。これが通常のあり方でございますが、文部省の立場といたしまして、御指摘のようなことはよく理解はできますし、また、そういう措置がとられれば大変ありがたいことだとは思いますが、ただいま労働省からも御答弁がございましたように、そうした事柄を制度としてということになりますと、これはやはりいろいろ検討すべき多くの問題があるというふうに考えます。
○馬場分科員 これはなぜ直接お答えにならないのですか。私は、たとえば企業に対して、PTAに行った場合、月一日ぐらい欠席しても皆勤手当はやる。一日PTAに行ったら五、六千円も違うわけですから、そういうことはやはり皆勤手当をやるようにしてくれないかということを企業に言ってくれという要望があるから、それをどうしますかと言うのです。できれば有給休暇にすることを企業に認めさせるということに文部省なんかが努力してくれということをまず言っておるわけです。その努力もなさらないのかということをまず念を押しておきたいと思うのです。 それから、PTAとか授業参観を休日にやれということは、実情やっているところがあります。けれども基本的にはそれは正しくはないと私は思うのですよ。だから、さっき七条が国民の基本的権利でございますとおっしゃいましたけれども、私は、教育権たるや、まさに人権とか生存権とか、人間が生きるための最も大きい権利の一つだろう、こういうぐあいに思います。そういう立場から言って、いや公民権行使が非常に重大で、教育権の行使はそうでないんだということじゃ話にならないと思います。 時間が余りございませんから、具体的に、これは皆勤手当を払う、それから有給休暇制度にしてくれということを企業に言うかということだけと、やはり制度的に保障されれば望ましいと言っておられるわけでありますから、これについては、いますぐはむずかしいかもしれませんが、何らかの機関をつくるなり、あるいはどこかで検討を始めるということは、労働省なり文部省も当然だろうと思うのです。だから、こういう要望が強いから検討されるかどうかということについて、端的にお答え願いたいと思います。
○安嶋政府委員 ただいまお答えを申し上げましたように、また労働省からも御答弁がございましたように、いろいろ関連する問題が多いかと思いますが、私も十分検討させていただきたいと思います。
○馬場分科員 これはやはり大臣からひとつ検討することについての御答弁を願いたいし、労働省からもひとつ御検討願っておきたいと思うのですが、大臣は答弁されるついでと言ってはなんですけれども、企業に申し入れるとか、何か御相談をされるとかということも含めて答弁してください。
○永井国務大臣 企業に申し入れるとすれば、どういうふうに申し入れるかということも含めまして、ただいま初中局長が申し上げたように、これは前向きに検討したいと思います。
○馬場分科員 次に、週五日制の問題これは児童生徒にとってですが、教師側にとりますと週休二日の問題になるわけですけれども、日本の学校の授業の日数というのは諸外国に比べて非常に多い。これは資本主義、社会主義の国を問わず多いわけですね。二百四十日ですが、多い。そこで利は、児童生徒というのは、伸び伸びと自由にして物を考えるとか、創造力を養うとか、体力を鍛えるとか、授業をいっぱいやって詰め込むというのじゃなしに、そういう自由に持つ時間というのが非常に必要だろうと思います。そういう意味で、授業日数が多過ぎるということは御検討なさった方がいいんじゃないか。 こういうことで、次に関係いたしますけれども、週五日制の問題と週休二日制の問題については、前の文部大臣とも十分話をし、国会でも議論いたしました。そのときに、教育課程審議会等で教育課程の内容なりいろいろ検討しておるんだ、それは二年を目途に検討してもらっておる、それによって週休二日の問題とか週五日制の問題は考えるというようなことを答弁なさっておるのですが、大体この問題について現在検討はどこまで行って、はっきり言いまして、いつごろこれが実施できるのか、具体的にお答えいただきたいと思います。
○安嶋政府委員 いろいろお尋ねがあったわけでございますが、最初に、わが国の年間の授業日数が諸外国に比べて多いという点は、確かに御指摘のとおりでございまして、小、中学校では御指摘の二百四十日というのが規定でございますが、アメリカにおきましては初等、中等教育が大体百八十日ということのようでございます。イギリスにおいても約二百日ということのようでございます。ただ、年間の授業の時間数といたしますと、わが国の方が多くてアメリカやイギリスの方が少ないということでは必ずしもないようでございます。 この授業日数の問題と授業時間数の問題、これをどの程度に抑えたらいいかということは、ただいま先生からもお話がありましたように、教育課程審議会におきまして、教育課程全体の内容との関連において現在検討されておるということでございます。 それから週休二日制の問題につきましては、これも御承知のとおり、昨年並びに一昨年と人事院勧告で言及されておるわけでございますが、ただいま、これをどういうふうに試行、トライアルをやるかということについて検討が行われているという段階でございまして、まだ結論を得ておりません。 しかし、この教員の週休二日制の問題と学校五日制の問題、これは関連はございますが、御承知のとおり直ちに教員の週休二日制が学校五日制につながるということではないわけでございます。最初に申し上げましたように、学校の五日制ということになりますと、ただ単に教員の労働条件の問題という点ではなくて、学校全体の、教育課程全体の問題として考えなければならないということでございまして、その両者の兼ね合い、つまり、教員の週休二日制の問題と、学校五日制の問題と申しますか、学校の授業日数の問題をどういうふうにかみ合わせるかということが非常にむずかしい問題になっております。 週休二日制につきましては、いわゆる開庁方式と閉庁方式があるというふうに言われるわけでございますが、閉庁方式でまいりますと、授業日数が減少し、授業時間数が減少する、したがって、教育内容の低下をもたらすかどうかといったような点が問題になってくるわけでございます。それから開庁方式ということになって、しかも先生を、いまのところ隔週二日ということでございますが、休ませるということになりますと、特に学級担任の小学校におきまして非常にむずかしい問題が起きます。休まれた先生が担当しておられたその学級をどういうふうに指導していくかというような問題がございます。それから、ちょっと戻りますが、閉庁方式でございますと、休んだ日の子供の教育が、社会教育や家庭教育の面においてどういうふうに扱われるであろうかというような問題もございまして、ただいま慎重に検討しておるということでございます。したがいまして、いつから実施されるかというめどは、全く立っていないということでございます。
○馬場分科員 実際、これは前向きで検討されておるそうですけれども、人事院も、さっき言われたように勧告しているわけですし、これは五十年度実施を勧告しているのではないかと思うのですが、最近衆議院でも、ここでやろうというようなことが二、三日前話し合いが出たということになっておりますが、そこで、多く時間がありませんから議論しませんが、人事院勧告を尊重するという立場、これは教職員の週休二日については、国家公務員、地方公務員、ほかの公務員に、ざっくばらんに言っておくれはとらない、そういう立場をとっておられるかどうか、もう端的に一言で答えてください。
○安嶋政府委員 一般公務員について週休二日制の制度が実施された段階におきましては、やはり教員についても何らかの措置が必要であろうというふうに考えております。
○馬場分科員 何らかの措置というのは、一般公務員が週休二日になった、だから教職員も二日にならないと、ということがあるという意味かどうか。人事院勧告を尊重するということと、一般公務員とこの問題について労働条件について差別をしない、こういうことについて端的に答えていただきたいと思います。
○安嶋政府委員 私もさっき、ちょっと人事院勧告というふうに申し上げましたが、正確には、これは人事院勧告に伴う報告ということでございまして、もちろん勧告は尊重するということでございますが、どういう勧告が出るかということも、ただいまの段階では予想がつかないわけでございますが、ただ、一般職員と全く同じ形でやれるかどうか、その辺のところは、さっき申し上げましたように、やはり教育現場の特殊性からしていろいろ考えなければならない問題があろうかと思います。 同じように、たとえば病院でございますとか、そういった特殊な勤務形態のところでも、一般の事務系職員と同じようにはやり得ないという事情もあるようでございます。それは教育の場合も同じでございまして、やはり何らかの措置ということを、現段階では申し上げるよりほかちょっとお答えのしようがないということでございます。
○馬場分科員 私が言っていますのは、その勤務条件の違いというのは知っているんですよ。しかし少なくとも勤務条件、労働条件というものに差がついてはいけないという意味のことを言っているので、同じようにぴしゃっとやれという意味ではないのですから、その辺は十分御検討願いたいと思うのです。 次に、最後に学校図書館の問題について御質問を申し上げておきたいと思うのですが、学校図書館法が二十八年に成立しましてから、この第一条には、ちゃんと「学校図書館が、学校教育において欠くことのできない基礎的な設備であることにかんがみ、その健全な発達を図り、もって学校教育を充実する」ということがあるわけでございます。 ところが、これは大臣、この図書館法が成立されてから二十年たっているわけですけれども、この目的が正しく実現して非常に効果を発揮しておると思われるかどうかということなんですよ。私は具体的に言いますと、私の見たところでは、やっぱりこの第一条の目的に沿ったような政策とか、あるいは予算の導入とかいうものに手抜かりがあったのじゃないか、こういうような気がいたしますが、この成立以来二十年間において、やっぱりこの一条の目的が十分達成されたと思われるかどうかということについて、まず第一点でございます。 第二点に、第五条に「司書教諭を置かなければならない」ということになっておりますが、附則に当分の間置かなくてもよろしいと、こうなっておるわけでございます。ところが、当分の間と言っても、二十年たっているわけでございますね。だから、当分の間というのはこんなに長いのかどうかということですよ。だから、これはもうはっきり言って、その批判をしながら、この附則なんか直ちに削除すべきではないかという点でございます。 それから第三点として、学校図書館に、名前はどうつけるかは別として、司書教諭のほかに新たな専門職員としての司書職員が必要であろう、こういうぐあいに思います。そういう制度を確立していこうという気はないかどうか。そうして、その専門職員たる司書職員を教職員と、こう規定いたしまして、教職員標準定数法の中でやっぱり定数を規定していくべきだ。そういう一種の司書職員というのを設置する、これが第一条の目的を達成するに必要な条件だろうと私は思うのですが、これについていかがなものですか、時間も余りございませんので、簡単にお願いします。
○安嶋政府委員 学校図書館の整備の問題でございますが、現在やっておりますることといたしましては、義務教育費国庫負担金の教材費におきまして、予算の総額といたしまして百二十一億円を計上しておるわけでございますが、この中には学校図書館の図書に要する経費が含まれておるのでございます。 また学校図書館の事務職員につきましては、四十四年の標準法の改正によりまして、一定規模以上の学校には事務職員を配置するような標準法の改正も行われたわけでございます。そうした努力が行われているわけでございますが、ただいま御指摘がありましたように、司書教諭は依然として当分の間の設置ということでございます。 で現在、司書教諭として発令されておる者が何人あるかと申しますと、わずかに千百人程度でございまして、小中学校では全体の学校数の一%強ということでございます。こうした状態にあります理由は、いろいろあるかと思いますが、一つは司書教諭の資格を持っておられる方がきわめて少ないということでございます。 この司書教諭の養成につきましては、国立大学におきまして毎年講習を行いまして、約五千人の有資格者を養成しておるわけでございますが、これが必ずしも学校現場の方ではない、あるいは学校現場に行かれないというようなことで、司書教諭の発令数が増加しないということでございます。しかし、現場の先生で司書教諭の資格を持っておられる方がこんなに少ないはずはないとも思いますので、資格を持っておられる方については、さらに発令を促進するような指導もいたしてまいりたいと思います。 こうした現状でございますから、この経過規定を近い将来に廃止するということは、実際問題としてはなかなか困難ではないかというふうに思います。 それから最後に、司書職員の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、標準法等におきましても定数が算定されておるわけでございますが、この方々は、資格におきまして事務職員ということでございます。確かに、学校図書館の仕事をなさっておるということではございますが、事務でございますので、この方々を現状のまま専門職として処遇をするということは、一般事務職員の均衡等から考えまして、やはり検討すべき問題が残されてくるように思います。
○馬場分科員 時間が来ましたので大臣に最後に一言。 やはりいまの事務職員ではなしに、専門職としての司書職員とか、さっき私が質問するときに言いましたような私の主張を含めながら、これはこの前、参議院で満場一致で図書館法の一部改正法が通って、また衆議院を通らなくて廃案になった経験もございますから、一条の目的を達成するために図書館振興に全力を上げてやってもらいたいと思うのですが、大臣の意見をちょっと聞きたい。
○永井国務大臣 私も学校図書館を強化することは非常に大事だと思っております。これは図書館だけでなく、読書指導というような問題も含まれておりまして、いろいろな角度から強化していきませんというとなかなかできません。 しかし、いろいろなその状況につきましては、初中局長から御説明申し上げたとおりでございまして、速やかにこの職員を置く、あるいは司書教諭を非常にたくさんにするということは、なかなかむずかしいのだと思いますが、しかし、方向としましては、学校図書館の強化充実のために努めたいと思っております。
○馬場分科員 終わります。
○阿部(助)主査代理 これにて馬場昇君の質疑は終わりました。 次に、河上民雄君。
○河上分科員 大臣に、文化交流と政治の関係というようなことで、しばらくの時間でございますけれども、御質問したいと思います。 大臣には、大臣になられる前にはしばしばお会いする機会もありましたのですが、御就任以来お忙しくて、どうも余りインフォーマルにお話しする機会がないのでございますけれども、きょうこういうテーマで質問させていただくのを非常にうれしく思っております。 永井文部大臣は、かねてから、アジア留学生と日本の問題ということについては、非常な御経験と一つの抱負をお持ちである方と私どもは承知いたしておりますので、少し変わった角度になるかもしれませんけれども、幾つかの御質問をしたいと思っておるのであります。 特に私、先般、外務委員会におきまして、日中共同声明に基づく実務協定が一つ一つ実を結んでおりますとき、実務協定の一つに、日中文化協定というものを検討してみてはどうかということを外務大臣に申し上げましたところ、外務大臣も、これはまだ具体的な俎上には上っておらないけれども、この展開いかんによっては、非常に興味ある問題であって前向きに取り組みたい、こういうような御答弁がありまして、私は、そうなりますと、これは外交交渉であると同時に、文部行政の一つの問題にもなると思いますので、それも含めて御質問したいと思うのであります。 まず第一に、最初に少し、アジア留学生と日本というようなテーマで、あるいは文化交流と政治というようなテーマで御質問するわけでありますけれども、まず第一に大臣にお伺いしたいのは、現在、東京外国語大学に朝鮮語科研究課程なるものが存在していると思っておられますか。
○永井国務大臣 いまございません。
○河上分科員 日本は、外国語を研究する学生の数というのは非常に多いと思うのでございますが、しかしその中で、最も近い国の朝鮮半島の言葉を専門に学ぶ学科というのが、国立、私立を通じて非常に少ない、ほとんどないに等しいわけでございまして、特に、外国語を専門に学ぶべき東京外国語大学、いわば外国語習得のメッカとも言うべき東京外国語大学に今日もなお存在しない、しかも、それがほとんど社会的にも問題にならないということは、私は非常に重大なことだと思うのでございますが、まず、その点について大臣、どういうようにお考えになりますか。
○永井国務大臣 東京外国語大学につきましては、朝鮮の一種の地域研究的なことはやっております。しかし言葉をやっておりません。大阪外国語大学、それから天理大学で朝鮮語の教育をやっております。 それで私は、これはとてもこの二つだけでは足りないと思います。そこで今後、やはり何といいましても隣邦ですから、朝鮮語というものを日本人が学習する、その機会、これがふえていくようにならなければいけない、こう思っております。
○河上分科員 私が若干調べましたところによりますと、東京外国語大学の前身であります高等商業学校ですか、その付属外国語学校には、明治三十年にロシヤ語とかフランス語、ドイツ語、英語、スペイン語、韓国語、中国語というような学科がそれぞれできたというふうに聞いておるのでありますが、それが途中で消えてなくなっておるんですね。これは恐らく、いわゆる朝鮮を日本が植民地化した段階でこれを廃止したのではないか。朝鮮語を、植民地の言葉を学ぶ必要はないということで廃止したのではないかと思うのでありますが、その点、文部省、経緯についてちょっと御説明いただきたいのです。
○井内政府委員 ただいまお尋ねの点でございますが、御指摘のように、明治三十年に高等商業学校付属外国語学校として発足をして、そのときに朝鮮語学科があって、明治三十二年に東京外国語学校に分離独立したときもありまして、どうも昭和の初期にそういうものがなくなったのではないだろうか。その昭和の初期になくなりました月日は、恐縮でございますけれども、まだ確認いたしておりません。
○河上分科員 いま大臣お聞きになりましたように、こういう非常に重大な問題について、いまだに文部省でも確認できないような状況でございます。戦争前から戦後の、つまり大阪外大に昭和三十八年に設置されるまで、日本では天理大にのみ一つありました。天理教の方に伺いますと、この天理大にあるということで戦事中軍から非常に強い圧力がかかりまして、植民地の言葉を正式に教えることは何事だというので、ずいぶんサーベルでおどかされたけれども、当時の真柱さんですか、中山先生ががんばり通したというような経緯もあるわけですね。 そういうことから考えますと、やはりこれは昭和二十年、朝鮮が日本から独立したその瞬間に、外国語として朝鮮語を位置づけるのが当然であったと思うのですが、そういう点、文部行政としては非常に怠慢であったと言わざるを得ないのでありますけれども、文部大臣いかがでございますか。
○永井国務大臣 これは文部行政もそこに力を注がなかったと思いますが、私は実は、これは文部行政だけでないと思います。わが国の学界におきましても、こういう案をどんどん出してくればよかった、あるいは政界においても保革を問わず出したらよかった。文部省もしっかりやったらいいと思いますけれども、これは、もう官民いずれにあるとを問わず、もっと考えてしかるべきものであったと思いますし、また今後考えていかなければならない問題だと思っております。
○河上分科員 文部大臣から、そういう反省を込めた積極的な御答弁があったのですが、先ほどの御答弁、つまり大阪外大だけではちょっと不足である、また東京外大には、語学科はないけれども朝鮮研究センターのようなものがある、これでは不十分だというお話でございましたが、少なくとも私は、東京外大、大阪外大というのは、二つの大きな外国語修得の中心地であるだけに、やはりこれはフランス語や英語科がすべての外国語大学にあると同じように朝鮮語科を設けるべきである。永井文部大臣、いつまでやっておられるかわかりませんけれども、ひとつこれは、こういう民間出身の、ことにアジア留学生の問題に関心を持ってこられた永井さんが文部大臣に就任されたその在任中の一つの仕事として、私は、これは早急に設けるようにしていただかなければいけないと思うのでありますが、ぜひこれと積極的に取り組んでいただく、そしてぜひ御在任中の一つの仕事として確立していただきたいと思うのですが、いかがですか。
○永井国務大臣 積極的に取り組みます。
○河上分科員 大変力強いお言葉をいただいて、私自身に反省を込めましてそういうことをお願いをするわけなんでございます。 そこで、これとやや似たような問題でございますけれども、外国人留学生が日本に参りました場合に、大学に入学する場合の学歴審査の仕方でございますが、いま文部省では、どういう方法で外国人留学生を日本の大学に入れておるか。たとえば文部省の検定試験のようなものを受けなければ外国の留学生は受け入れないというふうになっておるのかどうか、その辺を伺いたいと思います。
○木田政府委員 留学生は、それぞれの学歴に応じて相当のところに受け入れるということをしておるわけでございまして、基本的には、学部留学生と、それから学部を卒業いたしました大学院レベルの留学生と二通りあるわけでございます。そして学部留学生につきましては、日本の六・三・三に相当をいたします十二カ年の初等、中等教育の終了ということを、学部入学生を受け入れる場合の一応の目安にしておるわけでございますし、大学院の学生を受け入れます場合には、やはり日本の学校制度において大学卒と同等以上ということで考えておる次第でございます。
○河上分科員 そうしますと、就学の年数だけで、もうそれを先方の出身学校が保証すればそれで受け入れる、こういうことでございますね。
○木田政府委員 基本的には、学校制度上相当ということを、就学年を基礎にして考えておる次第でございます。
○河上分科員 日中文化協定の中に、留学生交換の取り決めをしたらどうかということを、私は先般要求したわけでございますけれども、そのときに一つ問題になりましたのは、当然中国では高等学校を出ましてから——日本式に言いますと高等学校ですが、出ましてから大学に入りますのに二年間、それこそ内モンゴルで二年間働いたりして、それから大学へ入るとか、いろいろあるわけですね。そして中国では、いわゆる成績表なるものは出さないというようなことが伝えられております。そうすると、日本の国立大学では、成績表がないとこれを受け入れないというようなことがあるというふうに聞いておるのでございますけれども、その点はいかがでございますか。
○木田政府委員 相当年齢就学をいたしまして、ある所定の内容の履修の確認ということができませんと、受け入れるということは困難かと思う次第でございます。したがいまして、留学生の受け入れば、私費でございますならば、国公私立の大学それぞれが学生を認定して受け入れるわけでございますが、その際に、やはり相当と考えられる内容のものを履修して、その履修の確認ということを、やはり求めることになっておる次第でございます。
○河上分科員 そういたしますと、中国側では今度は、私どももそう感じたのでありますけれども、中国を訪れた多くの方が日本と全く異なった文化のパターンがそこへすでに育っておって、いわば労働文化といいますか、労働ということに非常に中心を置く、学校の勉強だけしていればいいということではない、そういう学校の体系で来ておるわけですね。そうなりますと、いまおっしゃったような履修の内容云々というのは、見るところが違うと思うんですね。そういう場合にどうするかということが、これは日中文化協定なり留学生交換協定あるいは大学教授の交換をする場合の一つの問題になると思うのですが、そういう点をかたくなに日本の物差しだけでやるというのでは、私はこれはなかなか成立しないと思うのです。そういう点を打開する方法をやはり考えていただきたいと思う。
○木田政府委員 一般的には私、先ほど申し上げましたようなたてまえで日本が外国の留学生を受け入れるわけでございますが、いろいろな国のいろいろな学校制度がございますから、それを、それぞれどういうふうに相互に認定するかというのは、やはり国際的にも大きい問題になるわけでございます。 御指摘のように、中国につきまして、違った学校制度があるということでありますならば、それをどのように受け入れるかというのは、私どもも慎重に検討もし、事柄を解決するように持っていく必要があろうかと思いますが、大変恐縮なんでございますけれども、私どもも何分、中国の学校制度についてきわめて暗うございます。そうした点を、今後より日中間の動きが高まるにつれて進めていかなければならぬ、こう思っておる次第です。
○河上分科員 日本の中国研究というのは、非常に貴重な遺産をたくさん持っているわけですけれども、これから次どうなっていくかということは、非常に大きな問題でありまして、日本から向こうへ留学生を送る、またあるいは向こうから、日本文化の研究というかそういうために、単なる技術教育だけでなしに、ジャパニーズスタディーズみたいなものをやる方はやはり向こうからも送っていただく、こういうことがどうしても必要だと思うんですね。そこを、やはり官僚的な思考でなしに乗り越える必要があると思うのです。その点を、外務省とよく相談して乗り越えていただきたい、こう思うのです。
○木田政府委員 御指摘ございましたように、外務省とも相談しながらその点を進めていかなければなりませんが、外務省からも堀部長来ておりますので、お答えを重ねていただければ結構かと思います。
○堀説明員 中国との留学生交換につきましては、御承知のとおり現在の段階では、それぞれの政府から相手国の言葉を研修するというのが交換されておる段階でございまして、一般の留学生がまだ日本へ来たいという話を受けておりませんので、まだ研究も進んでいないわけでございますが、木田局長からも説明がありましたように、外務省といたしましては、もちろん文部省とよく相談をいたしまして、支障のないようにしてまいりたいと思っております。
○河上分科員 その点ひとつ積極的に取り組んでいただきたいと思うのです。 そこで、大臣に伺いましても、海外から来る留学生につきましては、おおむね何年修得したということを基準に履修内容を検討するということでございますが、ところで、日本の国内にいる朝鮮人学校を卒業した学生の扱いについては、どうもいまのところ、文部省の検定試験を通らなければ大学へ入れてもらえないということになっておるようでございまして、もし日本にいる朝鮮人が、在日朝鮮人というものが外国人であるとするならば、これは、はなはだ不平等な取り扱いになるわけですし、その辺が、東京外国語大学に朝鮮語科がいまだにないという事実と非常に関連があると私は思うのです。 つまり、われわれが本当に朝鮮人との友好関係というものを確立するためには、まずこれは、外国人であるという前提を確立して、しかもなお一緒に暮らしていく方法を考えなければならないと思うのですが、その点、いま資格検定試験をそこで受けなければならぬようになっておりますか。
○木田政府委員 私どもが外国から留学生という形で受け入れます場合には、現に外国の学校、その外国の学校も、やはり学校制度にのっとりました公の正規の学校制度による外国での一定の学歴を持った者を、日本の公の学校制度に受け入れるということをいたしておるわけでございます。 いま御指摘がございましたように、日本国内に長く居住をいたしまして、日本の中で生活をしている人、これは日本の学校制度を利用できるというたてまえもあるわけでございますが、それと違った学校制度を、韓国の方々等の御希望によってつくっていらっしゃるわけでございますが、これは日本の公の学校として位置づけるということにまだできてございませんで、今日の学校教育法の規定上では、各種学校として取り扱われていることは、先生御承知のとおりでございまして、その公の学校でないものの資格を、そのまま学校として認めることができないというのが、今日の法制上のたてまえになっておるわけでございます。したがいまして、別途資格試験によって大学入学資格を見る、こういうことに相なっておる次第でございます。
○河上分科員 その辺、何か朝鮮人と日本人との関係というのは、常にあいまいであると思うのです。たとえば日本の文部省が認定した学校に在学しておって、甲子園の野球で優勝した王選手なんかも、国体に出られるかというと、おまえは外国人だからだめだ、こういうわけですが、そういう問題をどうされるのか。おまえは外国人だからというので国体には出られない。そういう時期が来れば、先生はだんだん学生に耳打ちせにゃならぬというようなことがあるわけですね。そういう点がいつもあいまいなわけですよ。 私は、やはり東京外大というような、日本の外国語修得のメッカと言われるようなところに朝鮮語科がなくても、全く文部省もびっくりしないし、世間も、先ほど大臣も言われましたけれども、いままで放置されておるというようなことと非常に関係があるように思うのですが、私は、すぱっとした結論をここでいただけないかもしれませんけれども、日本に長く滞在している外国人が、幾ら有能であっても国体の試合に出られない、こういうような事態を一体どう考えられるか、その点をちょっと伺いたいと思います。
○諸沢政府委員 ただいまのは、国体開催基準要項というのがございまして、それによりますと、国民体育大会に出場できるのは、各都道府県を代表する日本国籍を有する者に限る、こういうふうに書いてあるわけでございまして、この基準要項は、日本体育協会の中にあります国体委員会という委員会、これは五十人ほどの委員がおります。文部省からも参加しておるわけでございますが、そこで決めた基準でございます。 そこで、国民体育大会というものは、日本国民の言ってみればスポーツの祭典でございますから、そのような資格制限というものは、私は一般的に言えば妥当な規定だろうと思います。ただ現実に、おっしゃるような特別なケース、日本に長くおられ、あるいは永住するような韓国の方をどう扱うかというようなことは、個別に検討すべき課題であろうと思いますが、いま申しましたように、この基準は、体協の中の国体委員会でやっておることでございますので、その辺の方々に十分御意見を伺って検討していただきますし、かつまた関係の役所等の意見を聞いた上でひとつ検討したい、かように思いますので、ひとつ今後の検討の課題とさせていただきたいと思います。
○河上分科員 時間が参りましたのであれですけれども、文部大臣も、いままでお聞きになっておわかりと思うのでございますけれども、つまり在日朝鮮人が朝鮮人学校を卒業しても直ちに大学に入れない。ちゃんと海外から来た者と同じような条件ではなかなか入れない。他方いろいろな規制を受ける。そして日本の文部省が認めた学校に入っておっても、スポーツで国体という場に出ようと思ったらそれはだめだ。そして一方、東京外大のような、文部省が認定しておる外国語修得の最高学府へ行きますと、朝鮮語は外国語と認められていない。こういうようなことは非常に間違っていると思うのです。いろいろな問題の根源というのは——文化と政治との関係というものは、どちらがどちらと言うのは非常にむずかしい問題ですけれども、やはりその辺から改めていかなければいかぬ、私はそう思うのでございますけれども、最後に大臣の御意見を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
○永井国務大臣 私は、河上先生が提起されました問題は、非常に重要であると考えます。そこで、日本に来る外国人あるいは日本に長く住む外国人、そういう方々とともに日本人が生きていくということを、学習の場で確保していくようにするということは、非常に大事であると思います。 しかしながら、意外に学校の制度というふうなものはむずかしいものでありまして、私、一つお話を伺いながら思い出しましたのは、アメリカと日本の学生の交換も、いまは普通になってきておりますけれども、実を言いますと旧制大学というのが日本にありました。あの旧制大学というのは、学士に当たるか修士に当たるかと言って、なかなかアメリカの人はわからなくて、人によってはアメリカに行くと修士扱いになり、人によっては学士扱いになり、この問題が解決するのに、戦争が終わってから大体十年ぐらいかかったと思います。 ですから、のんきにやればいいという意味で申し上げているのではなくて、日本とアメリカのように比較的制度が似ているようなところでもそんなことがありますし、また、学校が春始まるか、秋始まるかというようなことからも、またむずかしいことが起こってくるというわけでありますので、こういう日本人と外国人の学習の上での協力というものを推進していくという目標に到達するということをわれわれは常に考えるべきでありますが、その角度から先ほど御提起になりました問題というものを十分に検討いたしたい、かように考えております。
○河上分科員 じゃこれで質問を終わります。
○阿部(助)主査代理 これにて河上民雄君の質疑は終わりました。 次に、斉藤正男君。
○斉藤(正)分科員 私は、特殊教育の振興について、すでに質問された方もあるかと存じますけれども、具体的な例を挙げて文部当局の見解を伺いたいと思います。主として局長あるいは課長から答弁をいただくかと思いますけれども、私と答弁者のやりとりの中から、最後の段階で大臣に見解を伺いたいと思いますので、遅くまで御苦労さんですけれども、しばらくやりとりを聞いていていただきたいと思います。 最初に伺いたいのは、ここ二、三年の間に文部省は、たとえば盲学校あるいは聾学校あるいは養護学校というような学校の、特に高等部等の統合について文部省として方針を決められ、各都道府県教育委員会にその統合を要請した事実があるかないか、この点を伺いたい。
○安嶋政府委員 小、中学校の統合につきましては、かなり前から一定の方針を示して、補助金も出して促進をいたしておりますが、盲聾学校等につきましては、特にさような指導をしたことはございません。
○斉藤(正)分科員 四十七年の段階で、義務制の学校の統廃合についても無理をするな、地域住民の理解と協力のもとに進めるように、いたずらに経費の節減だとか、あるいは学校規模にこだわることなく、無理押しをするなというような通達まで出されて、義務制の学校統合について適切な指導をされた事実は、私も承知をいたしております。しかし、この特殊学校につきまして、都道府県によってはかなり統廃合を進め、特に高等部等について一県一校というようなやり方をやっている都道府県があるやに聞いているわけですけれども、特に盲学校の高等部の統合について、文部省はそういうものを指示要請したことは全くないのか。ないとするならば、各都道府県教育委員会が自主的にやったものというようにしか解釈できませんけれども、もう一度念のために伺いたい。
○安嶋政府委員 先ほどお答え申し上げましたとおり、文部省が高等部は一県一校が望ましい、そういう方向に統合してもらいたいというような指導をいたしたことはございませんが、ただ、御承知のとおり、高等部は教育の内容もかなり高度でございますし、かつまた盲学校の場合におきましては、社会的な自立を図るという観点から職業教育にかなり重点を置いた教育を行う必要があるわけでございます。そういう目的というか、そういうために内容の充実を図る必要がある、貧弱なものが県内にばらばらあるよりは、やはり一カ所で内容の充実した高等部をつくりたいという教育委員会の考え方もうなずけるところでございまして、一部の府県におきましては、そういう方針から統合を進めておるところもあるように伺っております。
○斉藤(正)分科員 いい悪いは別として、いい方向で統合がされるということならば、私も結構だと思うわけでありますが、それぞれこの特殊学校につきましては歴史があるわけであります。かつては大方が私立で、奇特な考え方を持っておられる方が社会奉仕的な意味も含めて学校形態をつくった。これが公立に移管をされた。そしてなお強いて言うならば、県立の特殊学校等につきましては、たとえそれが義務制であっても、高等学校的な扱いもされているという点から考えますれば、私は、この特殊学校の占める社会的な役割り、あるいは教育界における地位といったようなものは、人権尊重あるいは普遍的な教育の普及という意味からいって、非常に貴重な歴史的な経過をたどってきているというように思うわけであります。 そうした中で、いま局長からお答えをいただきましたように、統合することによって非常に教育の効果が上がるというならば別でありますけれども、これにつきましては、実は関係地域の住民、特に父兄の反対が強くあったことも事実であります。そうした意味から考えていきますと、経済情勢の変化等もありますけれども、教育委員会が提唱をした高等部の統合といったようなものが、事志と違って非常に劣悪な条件のみ残って、意図したものが達成されていないというような事実があるとするならば、私は、統合のねらいは残念ながら外れたというようにしか言えないのでありますけれども、統合をした学校が、統合の趣旨に沿って十分な成果を今日上げているとお考えでありましょうか。具体的にここと言いませんので、ケース・バイ・ケースだというようなお答えになるかもしれませんけれども、その点、経済情勢の変化等々から考えて、どのように把握をされておりましょうか。
○安嶋政府委員 斎藤先生のお話のとおりに私どもも理解をいたします。学校の統合というのは、これは、ただ単に経営の合理化とかあるいは経費の節減とかいった、そういう観点から行われるべきものではなくて、あくまでもやはり教育の内容、水準の向上を図るということがその趣旨であろうと思います。したがいまして、もしそういうことが逆の方向に行っているといたしますならば、その学校統合はきわめて疑問であると言わざるを得ないと思います。 また手続でございますが、先ほど御指摘がございました、通達でも触れておるわけでございますが、学校にはいろいろな沿革もあり、また地域とのつながりというものも非常に深いわけでございますから、特に地域住民その他関係者の理解を十分に得て、そして、その協力のもとに進めてもらいたいということが私どもの指導の方針でございます。
○斉藤(正)分科員 私どもの静岡県で、この盲学校高等部の統合について、そのねらいを当時はこういう形で表現をいたしました。まず第一は、義務制と非義務制の分離が可能である。内容としては、十七年間同一校舎で過ごすことの弊害が解消される。四歳児から四十歳までの同居の弊害も除去される。発達段階に応じた生活指導ができる。小学校の四十五分授業に合わせている矛盾の解消もできる。義務、非義務で区切りをつけて進学の喜びを与えることができる。二番目に、職業教育の多様化に対応することができる。従来はあんま、はり、きゅう等しかなかったけれども、新設される音楽科、家庭科、普通科等によって、いわゆる職業教育の多様化に対応することができる。三番目に、理療教育の近代化が図られる。すなわち、最新治療器具、リハビリテーションの導入等も可能になる。四番目に、全盲、弱視の障害に合った教育ができる。五番目に、重複障害児に特別の配慮ができるようになる。予算の集中化により施設、設備の充実が可能だ。こういうことを統合の理由として言ったのであります。 なるほど、統合すればこのような形の利点があることは明らかでありますけれども、現実にはこのような状態になっていないわけでありまして、統合はしたけれども校舎は建たず、教材、教具、備品、施設等これに追いついていない。きわめて劣悪なる条件で教育が行われているというような状態であります。 後ほど具体的に申し上げますけれども、こういうことでは、統合のねらいといったものからは外れている。そして御父兄の皆さん、あるいは教師の集団あるいは地域社会の皆さん方の期待はもろくも崩れて、統合に対し反対をした人たちから、それ見ろ、言わぬことではなかったではないかというようなことになっている現実を私は知っているわけですけれども、いま申し上げましたような統合のねらいについては、文部省も異議はないと思うわけなんです。ところが、容易にそのねらいが実現をされていないという現状の把握を、局長は一体どのようにされておりましょうか。統合後の学校形態と、統合せずに分散してやっているところとの教育効果——教育効果なんというものは、そう簡単に口では表現できませんし、機械的に図るすべもありませんけれども、統合の旗印が大きかっただけに、りっぱだけに、現実の悲哀を感じている生徒あるいは父兄あるいは教師の集団の多いことを、私は心配しているわけでありますけれども、そういう点について、現状把握をどのようにされておりますか。
○安嶋政府委員 ただいま先生からも御指摘がありましたように、統合のねらいはまことに結構であると思いますが、そのねらいが十分達成されていないというお話でございまして、それについて現状をどう把握しているかということでございますが、まだ私ども、詳細にただいまの件についての現状を把握することができておりませんが、伺いますと、この統合は、かなり前から企画され、また実施に移されて、昭和五十年度は、その統合の最終段階に至っておるようでございます。したがいまして、これをもとに戻すということも、実際問題としてはなかなか困難なことであろうと思いますので、むしろこの際は、その所期の目的を達するために、学校の整備にさらに努力をするということが、実際的な方法であろうと思います。もし具体的に御指摘がございますれば、私どもも、静岡県教育委員会と十分連絡をとって、必要な助言をいたしたいというふうに考えます。
○斉藤(正)分科員 これが全く正確な数字とは私も申し上げませんけれども、統合のねらいが一〇〇%施設の上にあらわれたと仮定をするならば、以下申し上げるような施設の不足があるわけです。教室の数において二十四教室、これは間違ってはいけません、もう御承知のとおりでありますが、こういう特殊学校は、一学年一学級というのはきわめて人数は少ないわけでありまして、義務制のように学級編制基準がどうこうというわけではありませんが、しかし、少ないから教室が少なくてもいいのだとか、教材、教具がなくてもいいのだ、少なくてもいいのだということではないと思うんですよ。たとえ一人であっても、そのために必要な最小限度のものは用意しなければならぬというように思います。 そして私どもの教育委員会では、この統合を実現するに当たって、全国に自負できる——自負できるということは誇れるということでありますけれども、全国に自負できる盲学校高等部をつくってみせる、それから当該校は、校地の拡張が十分可能だから、統合のねらいを実現するには容易だ、盲学校の将来計画は五年ないし十年計画を模索中であり、皆さんの意見を十分聞いて推進したいというようなことであったわけであります。 ところが、この盲学校の歴史というのは、公立になってから新規に移転をしたわけでありますが、その移転当時は、今日の約倍の敷地を確保いたしておりました。ところが、県の経済事情もあったのでありましょうか、盲学校の敷地として確保した敷地の約半分を、住宅用地として分譲してしまったわけであります。したがって、当初の校地というのは、約半分に減ったわけであります。そこへ持ってきて、三校あった盲学校を一カ所に統合したわけでありますから、当然これに必要な校地の拡張、校舎の増築等があるわけでありますけれども、いかんせん、移転当時は倍もあった敷地を分譲してしまって、いままた新たに接続地を、分譲した何倍、何十倍の価格で買収しなければ校地の拡張ができないというような歴史的経過もあって、なかなか容易な状態ではないわけであります。 たとえば音楽科というようなものが設置されましたけれども、ピアノ一台なかったわけであります。これが「拝啓文部大臣様」という一投書によって、県教育委員会もびっくりして、スタンド型でありますけれども、直ちにピアノ一台が予備費から購入されて備品になりました。そういう状態があるわけでございますから、これは全国的にもあるいは言えることかと思いますけれども、当初のねらいが外れていて、生徒や父兄の希望には全く遠いものだというようにしか把握できないわけであります。 一体、この種の統合あるいは校舎の建築、備品の整備等については、文部省としてはどういう補助助成措置をとられておりますのか、関係の方でわかった方がありましたならば知らせてください。
○安嶋政府委員 盲聾学校等の特殊教育諸学校に対します補助といたしましては、まず設備でございますが、五十年度予算におきましては五億七千百万円が計上されております。前年度に対しまして約七千五百万円の増でございます。 内容は、細かく申しますといろいろございますが、盲聾養護学校それぞれに対応した特殊な設備の補助をいたすことにしております。それから施設費といたしましては、九十四億円余が計上されておりまして、前年に比べて約二十二億円の増でございます。高等部の統合による新築等の場合につきましても、これが補助対象になっておると聞いておりますが、直接の所管は管理局でございますので、詳しくは、また別にお願いをいたしたいと思います。
○斉藤(正)分科員 文部省が配慮をされていることはよくわかりましたし、当然なことだと思うわけでありますが、ここで問題なのは、ここまで文部省が介入することがいいかどうか、あるいは指導できるかどうか疑問だと思うのですが、この種の学校の校長、副校長というのが、いわゆる特殊教育に経験のない、全く普通科の先生で年功序列によって発令されるのが多いわけであります。長い間特殊教育に従事をし、この道に一生をささげようとする教師の諸君が副校長になり、あるいは校長になるというような道がほとんど閉鎖されている。そして天下り的に、横すべり的にいわゆる高等学校の教師が発令をされるという例が非常に多いのでありますけれども、こういう点については、文部省があれこれ言う資格もなければ、権能もないかと思いますけれども、常識的に考えてどのように考えますか。
○安嶋政府委員 一般論といたしましては、この特殊教育諸学校の教育というのは、小中学校に対しましてかなりの特殊性があると思います。したがいまして、そうした教育についての経験なり、理解のある方が校長あるいは教頭に就任されるということが望ましいことだと思います。しかし、これは人事の問題でございますから、そういった一般論、原則論だけで割り切れないケースということもあろうかと思います。そうした経験のない方でありましても、そのことについて識見もあり、あるいは学校経営についての能力もあり熱意もあるという方でございましたら、一概にいけないと言うわけにはいかないと思いますが、一般的には最初に申し上げたようなことであろうかと思います。
○斉藤(正)分科員 だれでもできるということも言えると思うのですが、今日の学校経営というのは、専門的技術が必要であるかどうかということになりますれば、事学校経営となりますれば人格、識見すぐれていればできるということですが、しかし事特殊教育に関しましては、たとえばPTAだって数は少ないし力は小さい、同窓会だって数は少ないし力も小さい、地域社会必ずしもこういう学校を歓迎しているわけではない、そういうことからいきますと、学校の運営というようなものは、全職員が一丸となった機能を非常に必要とすると思うのです。特に施設あるいは教具教材等の整備につきまして、監督官庁は教師集団の意見を十分聞くべきだというようにも私は思うわけであります。 時間が参りましたので、最後に大臣の見解を伺いたいわけでありますけれども、とにかくあなたは教育の中立性を唱え、そして異色の大臣として三木内閣に入閣をされ、教育に対する理解と情熱は並み並みならぬものを持っておられることは、私も承知をいたしておるつもりであります。特に弱者救済、社会的不公正の是正といったようなものが三木内閣の大きな柱とするならば、私は、教育そのものに対する認識を改めて、さらに充実強化していただくことはもちろんでありますけれども、その教育のうちでもこの特殊教育につきましては、特段の配慮をちょうだいをし、情熱を傾注していただきたいというように思うわけでありますが、先ほど申し上げましたような、教頭なり校長の人事の問題、あるいは学校運営全般の問題あるいは施設、教具教材の整備の問題等々、その専門的な知識を持ち、技術を持っている教師集団の意見というようなものは、特に尊重されなければならぬというように思うのでありますが、御見解をちょうだいして質問を終わりたいと思います。
○永井国務大臣 私は、御質問の趣旨きわめて重要であると考えます。特殊教育という言葉を使っておりますけれども、一つの国の教育においてどれほど人間が重んじられているかという一つの尺度となりますのは、どれほど特殊教育というものを重要視し、そこでよい教育が行われているかという点にかかっていると言っても過言でないと思います。 そこで、先ほどから初中局長が御説明申し上げましたように、文部省におきましても、昭和四十六年度の中教審の答申以来、特殊教育整備充実計画というものがありまして、そうして養護学校につきましても、特殊学級につきましても、長期計画によってこれを充実していく、そして昭和五十四年度には養護学校を義務化するということを目指しております。 しかし、もう一つ重要なことは、私は、いわゆる特殊教育の対象になる心身障害者だけを教育するというのではだめだと思います。そうではなくて、一般に教育を受けている人たちが、決してこれがある意味で特殊ではないのだという考えで協力していくということを学習することがきわめて大事であると思います。 そういう意味におきまして、一般の学校内の特殊学級とそうでない人たちとの交流も非常に必要でありますし、また養護学校、聾学校、盲学校と一般の学校との交流も必要だと思います。文部省は、そういう方針で臨んでまいりますが、他方、私は教育界において、また一般社会におきまして、この種の問題というものがきわめて重要であるという考えが広まっていくことが非常に重要であるかと考えております。 昨年十月に、全国聾教育大会が東京で催されまして、私も実は出席いたしました。PTAの御父兄の方々、数は少ないのですが、しかし実を言うと、普通の、いわゆる一般教育のところよりも、やはり自分の子供さんに対して非常な熱意を持っておられる、また先生方にも実にりっぱな方がおられるということを知って、私も感銘を新たにいたしました。 本年は、わが国で国際聾教育大会が初めて開かれます。これに文部省も協力させていただくことになりますが、こういうことは、一つの大会という催しでございますけれども、しかし教育界、また社会全般にこの教育の重要性というものを認識していただくためにきわめて重要であるかと思います。そういうふうな大会なども催し、これに文部省が協力いたしますことによりまして、決して特殊教育というのは一部のものではなく、わが国の教育の、ある意味においてはきわめて重要なる根幹であるという考え方が国民全般の中にでき上がり、それをまた文部省としてもでき得る限りお助けする、そういう考えで進んでいかなければならないと考えております。
○斉藤(正)分科員 終わります。
○阿部(助)主査代理 これにて斉藤正男君の質疑は終わりました。 次回は、明二十七日午前十時より開会し、引き続き文部省所管を審査し、午後は大蔵省所管について審査を行います。 本日は、これにて散会いたします。 午後七時三十三分散会