予算委員会第四分科会 第2号
- 発言数
- 45 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1975/02/25
会議録
○正示主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。 昭和五十年度一般会計予算中、経済企画庁所管を議題といたします。 まず、政府から説明を聴取いたします。福田経済企画庁長官。
○福田(赳)国務大臣 昭和五十年度の経済企画庁関係の予算及び財政投融資計画につきまして、その概要を御説明申し上げます。 総理府所管一般会計歳出予算のうち経済企画庁の予算総額は、百二十一億八百八十四万円でありまして、前年度予算額に比較いたしますと、九億一千百二十一万円の増額となっております。 また、財政投融資計画につきましては、海外経済協力基金に係る分、総額二千百六十五億円でありまして、前年度に比べ百八十五億円の増額となっております。 以下、重点事項につきまして、その内容を御説明申し上げます。 まず第一は、物価安定及び国民生活充実のための諸対策の強化に必要な経費でありまして、六十六億六千二百万円を計上しております。 物価問題は国民最大の関心事であり、インフレを抑圧し、経済を安定軌道に乗せることが政府の最重点課題であります。 物価対策のための予算としては、各省庁に広く計上されているところでありますが、当庁におきましても、重点事項の第一として計上いたしておるところであります。 まず、国民生活安定特別対策費について申し上げますと、これは国民生活安定緊急措置法及び生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律の施行に必要な経費を初め、生活必需物資等の価格・需給動向の監視、低廉安定供給のためのきめ細かい施策及び物価対策に資する情報の提供等を実施するための経費として、五十億円を計上しております。 さらに、流通問題対策調査、価格動向調査の実施等のための経費として二億七百万円を計上しております。 また、国民生活の安定及び向上に寄与するため、国民生活センターの充実を図るための経費として十一億三千万円を計上するとともに、消費者行政を推進するために必要な経費等として三億二千五百万円を計上しております。 第二は、経済計画及び経済見通し作成の充実を図るために必要な経費でありまして、一億五百万円を計上しております。 現行の経済社会基本計画は、計画策定後の内外諸情勢の急変により現実に適合しなくなってきております。したがいまして、五十年度に新しい経済計画を策定することとし、そのための経費として八千六百万円を計上しております。 また、最近のわが国を取り巻く経済情勢の激変に対処するため、経済見通し作成方法の改善強化を図るための経費として、千九百万円を計上しております。 第三は、経済政策調査研究の充実に必要な経費でありまして、二十二億八千九百万円を計上しております。 この内訳といたしましては、まず、内外情勢の変化に即応した政策立案に資するための基礎的調査分析等の充実を図るほか、新しい国民経済計算体系の整備促進を図るための経費として六千七百万円を計上しております。 また、各省庁の経済政策を推進し、総合的な効果を確保するために必要な調査等のための経費として二億円を計上しております。 さらに、国民のすぐれた頭脳を結集して総合的な研究開発を推進するため、総合研究開発機構の機能をさらに強化するための経費として二十億一千七百万円を計上しております。 第四は、海外経済協力の拡充強化に必要な経費でありまして、海外経済協力基金の事業規模として、前年度に対し百八十五億円増の二千百六十五億円を予定しているものであり、その内訳は、直接借款一千八百九十億円及び一般案件二百七十五億円であります。 以上、経済企画庁の予算並びに財政投融資計画について、その概要を御説明申し上げました。 何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
○正示主査 以上をもちまして、経済企画庁所管についての説明は終わりました。 質疑の申し出がありますので、これを許します。松尾信人君。
○松尾分科員 去る二月十四日の経済対策閣僚会議で、不況対策十項目というのが取り上げられて決定されました。それで、引き続いて通産省は、来月二十日ごろ、不況対策の第二弾というものをいま考えて、推進しておるということが言われておりますが、現在の不況、これをどのように乗り切るかという点について、まず経済対策閣僚会議の主宰者である副総理、また主管庁である企画庁長官といたしましてのお考えというものを明確に聞いておきたい、このように思うのであります。
○福田(赳)国務大臣 いま当面する最大の課題は物価の安定、また経済を安定軌道に乗せる、こういうことと心得ております。 そこで、物価につきましては、大変鎮静の傾向が出てきまして、それで三月末の消費者物価の年間上昇率一五%程度以内、これは大体そういうふうにいくと思うのです。それを踏まえて、五十年度におきましては一けた台にどうしても持っていきたい。それから五十一年度につきましては、定期預金金利水準以内にしたい、こういうプログラムを持っておるわけであります。 そこで、その過程において問題として考えておりますのは、二つあるわけでございます。 一つは、春闘問題、賃金と物価の関係であります。そこで、賃金問題につきましては、労使双方で、いままでと日本の国の経済の先行き、さま変わりになった、こういう状態を踏まえまして、良識のある解決を図ってもらいたい、こういうふうに考えております。 それからもう一つの問題、これは松尾さんがいま御指摘の景気と物価問題との調整の問題。そこで景気につきましては、物価政策を強力に進めてきたそのうらはらとして、いま非常に沈滞しておる、沈滞の傾向が出てきておる。これは、沈滞が出てきておりますけれども、大勢として考えますときに、これはよけて通ることのできなかった問題であり、また予見もしておったところでございますが、しかし、摩擦現象といいますか、そういう物価政策を進める上のもろもろの跛行現象といいますか、摩擦現象に対しては、これはそれ相当の対策をとらなければならぬ、これが私の基本的考え方でございまして、景気対策と申しますか、摩擦に対する対策と申しますか、それにつきましては、先般来財政金融を主軸とする対策をとっておるところでございますが、情勢をじっとよく見ておるのです。これが企業の運営を非常に困難ならしめる、また日本経済が冷え切って、もうよみがえるというチャンスがなくなるというようなことになっては困る。また一方において、就業の問題、これにも十分配意しなければならぬ、そういうふうに考えまして、この間の十項目の対策をとりましたが、あの対策がそういう問題に対してどういうふうな響きを持ちますか、これらを見きわめまして、必要があれば、三月中下旬において、また第二の処置も考えなければならぬかな、——これは第二で終わったわけじゃないのです。またその先々の動きを見まして、必要な対策はとらなければならぬ、これが基本的な考え方でございます。
○松尾分科員 いまのお話で、物価の安定、鎮静ですね、これが最大の課題である、それで、いまの不況対策をとっておる中においても、物価安定ということはしょっちゅう中心課題として考えておる、こういうお答えですね。 それで、二月十四日の不況対策の中に、公共事業の問題ですけれども、第四・四半期の枠というものを速急に消化していきたい、このような一つの考え方が述べられておりますが、公共事業と言うてもいろいろあります。ですから、いかなる公共事業を、物価抑制という面から、この第四・四半期の枠を消化していかれるのか。ものによってはかえって物価というものが反転する恐れのある、そういうものが公共事業の中にたくさんあるわけです。そういう点が一つ。 それから、第二弾というものが気になりまするのは、通産省の考え方等は、鉄鋼、石油化学等を中心に三十何業種を調査して実態を知る、そして生産状況、在庫、金繰り等の面を考えて第二弾を打ち出すというような考え方が強いのじゃないか、そういうのが次の第二弾のときの経済対策閣僚会議の主な議題になって出てくるのじゃなかろうか、こう私は心配をしておるわけでありますけれども、長官いかがですか。
○福田(赳)国務大臣 日本の経済は、いま非常にデリケートな状態です。まさにインフレと不況の谷間にはさまっておる、こういうような状態でありまして、その右の谷へ足を滑らしてもまずい、左の谷に足を滑らしてもまずい。行く道は非常に細いのです。 そこで不況対策、こういうふうに申し上げましたが、これがまた、行き過ぎまして、物価対策を、過つというようなことになってはまずい。ましてこれがまた勢い余って過熱だというような状態になったら大変なことになる。そこで非常に慎重にやっておるわけですが、いまお話しの公共事業につきましても、これは全面的に公共事業を積極的に推進するという、そこまでの踏ん切り方はいたしておりません。そういう考え方をとれば、本年度におきまして計画的に繰り延べをいたした予算もあるわけです。それを繰り上げまして、繰り延べを解除いたしまして、そしてそれを執行するというところまでは踏ん切りはつけない。その繰り延べをした残余の予算のうちなお一兆四千五百億円、第四・四半期において支出し得る額が残っておるのです。それをできる限りここで消化していきたい。もとより完全にこれを消化するということは技術的にもなかなか不可能でございますが、それを大方消化する、こういう考え方でやっていきたい、こういうふうに考えております。 通産省といたしましては、とにかく産業を預かる主管官庁でありますので、景気という側面に非常に敏感であり、そしてまたそれらに対して対策を講じなければならぬというような立場になりがちでございますけれども、これは通産省とも十分意見の調整がとれております。とにかく総需要抑制という基本態勢は崩さない、その枠内において、特に物価対策に支障のない範囲内において、生産、雇用、この問題を堅実に維持していきたい、こういう考え方、これはもう政府部内において、通産省のみならず、あるいは農林省におきましても、あるいは労働省におきましても、寸分の意見の違いはない、こういう態勢で立ち臨んでいきたい、こういうふうに考えております。
○松尾分科員 第四・四半期の公共事業投資枠一兆四千五百億ですね。これがいかなる方向に向かって解除されていくか、これはいま副総理がお答えになりましたとおりに、物価が上向くか、本当の不況対策として、いま苦しんでおるいろいろの企業、特に中小企業関係の方へ主力が向けられていくのか、また国民がいま一番困っておる住宅関係の方に伸びていくのか、下水道なりまたはいろいろ省資源等の産業の方へ向いていくのか、それは公共投資と言えない面もありますけれども、設備投資の面も含めて、設備投資の方もやや緩和していこうというようなお考えのように聞くのでありますけれども、基本的なお考えは、設備投資についてはどのように考えていらっしゃいますか。
○福田(赳)国務大臣 景気対策と申しましても、ただいま申し上げましたように、これは物価抑制という基本的な枠を外れるわけにはいかない。そこで生活関連といいますか、それにとにかく重点を置く。つまり住宅だとか、その住宅周辺の事業でありますとか、こういう方面には特に配慮をいたします。また、中小企業が非常に困っておる。そういうことで、中小企業に需要喚起の機会を与える、この方面には特に配慮をする、こういうことでございますが、産業設備の方は、これはいま相当過剰がある状態でありまして、まあ金を出しましても、これが全体としまして盛り上がるというような傾向とは見ておりません。ですから、たとえばビルの建築、そういうものにつきましてはかなり厳重な規制をずうっとしてきておりますが、そういう面につきましては多少の手心はしますけれども、これは、住宅だとかあるいは上水道、下水道でありますとか、あるいは中小企業でありますとか、それらに対する配慮、それに比べますと、かなり低目の配慮をするというような姿勢で臨んでいきたい、こういう考えであります。
○松尾分科員 それで、結局心配になるのは、いろいろの政府の施策の中から物価が上がっていくのじゃなかろうか、ということであります。 もう一つは、いま一番困っておりまするのは、大企業はもう在庫調整も大分やりました。雇用の調整もほとんど手当てが済みました。そしてレイオフなりまたは整理なり、そういう調整もいたしまして、内部関係というものはほとんど整理し尽くしまして、いよいよ大企業というものは外に向かって、これは下請等に対してでありますけれども、ますます代金の支払いを延ばすとか、また、いろいろあの手この手で、今度は振り向かっていくわけでありますけれども、やはりインフレ、物価高で一番困って、倒産が続出したのは中小企業であります。 それで、第一弾、二月十四日の不況対策のことにつきましては、大体主力が中小企業にあった、このようにわれわれも理解いたしまして、これはよかったなあというように私は思っております。ところが、第二弾からは、やれ鉄鋼だとか石油化学だとか、そういうところに重点が移っていって、不況対策というものから逐次景気刺激というような、そういう面へ延びていくおそれがあるのじゃないかということを、私は重ねてここで言うておきたいと思うのです。そうしますと、あなたのかねがね一番大事にされておる物価というものが、どうもうまくおさまっていかないのじゃないか。三月が一五%程度、そしてやがてというような、だんだん物価が下がっていくというお話でありますけれども、私は、期待に反して、やり方一つでは、これは物価が必ず上がるであろう。というのは、あなたの方の企画庁の調査で、二十四日にいろいろそういうものを、これは「転換期における企業行動に関する調査」、これがきょうマスコミに発表されておるわけであります。そういうものから見ますと、大部分の企業、七割ぐらいの企業が、物価というものは反転していく、このようなことをはっきりと、あなたの方の調査されたものの中にちゃんと載っている。むしろいまあなたがおっしゃって、だんだん物価というものは下がっていく、そういう傾向を政策的にとっていく、こうおっしゃいますけれども、企業の実態というものは、もう物価は上がるのだ、七〇%以上のものがそれを期待しておる、期待しておるんじゃなくて、そのようになっていくであろうということを確信を持っている。そこに私は、政策担当者の長官と、そして産業界を中心に景気を刺激していこうとする通産省との関係、その調整が、今後の副総理に課せられたる一番大きな課題であるというような感じがするわけです。私の考え方が杞憂にすぎないのか、それであれば結構であります。しかし、そのように経済界自体が、物価の値上がりというものは当然というように考えておる。そしていまの政府の施策から、そうなっていくであろうというような予測を下しておる、こう思うのでありますけれども、これは私の考えが間違いでありましょうか。
○福田(赳)国務大臣 松尾さんの御心配するところは、まさに私の心配するところでもあるわけであります。そこで、経済界を私もずっと見ておるのですが、やはり機会があれば値を上げたい、そういうような風潮がかなりあります。ですから、ちょっと油断をするということになると、また物価が頭を持ち上げてくるという傾向にあると思うのです。さらばこそ、総需要抑制政策はこれを堅持する、こう言っておるのです。ですから、物価というものは、申し上げるまでもございませんけれども、需給の関係とコストの関係で決まる。いま、今日この時点では、需給問題には問題はないのです。しかし、勢いをつけ過ぎて需要超過だということになると、需給の関係から物価が上がってくるという傾向にもなりまするし、またコストの問題から言いますと、これは春の賃金問題、これなんかは非常に大きな影響を持つ問題だろう、こういうふうに考えます。その成り行きが、妥当の限界を超えて決まってくるということになると、コストの面からも問題があろう、こういうふうに思います。そういうような見地からも、これから先々の物価問題は予断を許さぬ、こういうふうに考えております。 私どもがそういう全体の情勢を踏まえて、総需要管理体制はこれを堅持すると言うわけは、これは松尾さんが御心配になられるように、これから先々の物価問題、もう手放しの楽観はできない、これはかなり厳重な警戒体制で臨んでいかなければならぬ、こういうふうに考えておりますので、その枠内においての景気対策をとるという場合におきましても、この総需要抑制、それから物価の鎮静ということはもう目を離さない、厳重にその辺をにらんで対策をとっていきたい、こういうふうに考えております。
○松尾分科員 総需要抑制の問題でありますけれども、これが長らく続きまして、お金も非常に苦しい、長らく金融的にも苦しんできた。堅持するとおっしゃいますけれども、なし崩しにこれはもう解除されつつあるんじゃないか。それが不況対策の第一弾でややその傾向を示し、やがて行われるであろう第二弾で、少しはそれが明確になってくるであろう。第三弾もお考えのようでありますけれども、いまのお話と非常に違った方向へ、政策的にだんだん進んでいくんじゃなかろうか、このように私は感ずるのです。 なぜこんなことをくどくど申し上げるかといいますると、何といっても、やはりあなたに対して大きく期待をつないでおるからであります。物価が安定してきたということは、福田さんの大きな功績だ。物価に取り組んでこられたあなたとしては、非常に意気揚々たるものがある。それはいままでのことであって、今後その方向を誤りますると、これは何だ、一時的であって、やがて経済界の不況等でそっちに引っ張られて解除になって、物価はこうなったじゃないかということになると思うのです。二月二十一日の物価安定政策会議に副総理が出席されて、そこでいろいろ話も出ておりますけれども、いま景気刺激をとるよりもやはり慎重にやっていくべきである、そしてこの三カ月、四カ月は、いまの物価がどのようにたどっていくかということを見守っていかなければいけない、ですから、公共事業もよく見て、設備投資等もしっかり引き締めの方向でいかなくちゃ相ならぬ、というようなことであったと私は思うのであります。これは副総理が出席されていろいろ意見を述べておられるのであります。これは私一人の心配でなくて、やはりそのような方面においても、物価が反転するんじゃないか。ですから、いま大きく、政府が真剣に物価安定に対する方向をはっきりしていくべきときではないか。 重ねて申しますけれども、この第二弾、第三弾というものは、やはり社会的な弱者である——倒産件数も史上最高、ことし一月の中小企業の倒産もまた史上最高であります。そういうところに、第一弾が出ましたように、第二弾、第三弾として、手厚い手当てをやる、そして下請企業の方へやるというような方向をとるべきであると思うのですが、いかがですか。
○福田(赳)国務大臣 要するに総需要抑制政策、総需要を厳重に管理していくという方向は、当分の間堅持するという考えであります。 総需要抑制政策と申しますが、その中でとる政策は、別にもう固定したわけじゃないのです。特に、若干の緩和もあります。ときにまた、これをさらに厳格にするという問題もあります。その辺は経済事情をようく見まして、右へ転落してもいかぬ、左へ転落してもいかぬ、そういう慎重な配慮を払いながら、緩厳、臨機の措置をとってまいりたい、こういうふうに考えております。 〔主査退席、倉成主査代理着席〕 これから先々、緩和ばかりというわけでもないのです。ときには手綱を締めるという場合も、これまた当然あり得るわけであります。その辺は、抜かりなく慎重にやっていくつもりでありますのでどうかひとつ御協力のほどをお願い申し上げます
○松尾分科員 非常に大事なところだと思うのです。ですから、慎重に抜かりなくやる、これはきょうの一つの大きな成果である、われわれはそれを見守るというふうに進んでいきたいと思うのです。 もう時間がないので、最後になりますけれども、公定歩合の問題が出ております。日本はこの前五回上げましたが、諸外国ではだんだん下げてきて、アメリカでも下げてきておる、日本も、そのときに来たんじゃないか、このように言われておりますが、副総理の忌憚なき考え方はいかがですか。
○福田(赳)国務大臣 わが国の金利は一昨年以来ずっと上がってまいりまして、かなり高いところに来ているのです。私は、いまの経済の段階は、コストインフレというか、コストが物価を動かしておるという段階で、需給インフレという要素はもうない、こういうふうに見ておるわけです。そのコストの中で賃金コスト、これは非常に大きな要素です。原材料コスト、これも大きな要素です。しかし、次いで大きな要素は金利負担、こういうことになるわけです。物価の状況がそういうコストインフレの段階になってきた、そのことを考え、賃金コストという問題を考えてみますと、これは低い方が物価の問題には有利である、こういうふうにも考えておるわけであります。また企業の収益状態がいま非常に悪化しておる、そういう面から考えますと、金利負担という問題も考慮に値する問題である、こういうふうに考えておるのです。 ただ、考えておかなければならぬ問題は、公定歩合の引き下げをした場合の心理的な影響、これはいまかなりデリケートな段階で、大きな影響があるだろうというふうに考える。それからもう一つは、公定歩合を下げるということになれば、それに連動して貸出金利が下がる。そうしますと、どうしても預金金利にまた手をつけなければならぬという問題があるのです。いま目減り問題とかいうようなことについて、国民が非常な関心を持っておる。そういう際に、預金者の非常に重要視しておる金利を下げる、それが果たしていいものかどうかということも考えなければならない。そういうことで、公定歩合問題というものはそう簡単な問題じゃないというとらえ方をしておるわけです。 諸外国において金利を下げた、こういう状態でございますが、わが国の経済が一番関係のあるアメリカのプライムレート、それに比べてわが国の該当金利水準は格差が出てきておるかというと、格差はそうないという状態であります。したがって、金利上のアンバランスが日米間にあるというふうには考えておりません。そういう状態で、諸外国で多少の金利引き下げの動きがありますけれども、それに連動してわが国が金利をいらわなければならないという状況とは、判断いたしておらないわけであります。したがって、ただいまのところ、金利の象徴である公定歩合を引き下げるということは、政府部内また金融当局においても、考えられておりません。
○松尾分科員 では、時間が参りましたので終わります。
○倉成主査代理 これにて松尾信人君の質疑は終了いたしました。 次に、正示啓次郎君。
○正示分科員 副総理、お忙しいところ御迷惑ですが、私がかねがね、ぜひこういう場で一回副総理に御意見を伺いたいと思っておりました二、三の問題を、きょうは伺いたいと思います。 まず第一は、私も委員の一人として、いままでずっと予算委員会に出席をして、これからの新しい経済政策というものについて、いろいろ議論のあるところを伺っておりました。いま日本の経済のかじ取りは、まさに副総理が中心になってやっておられるわけでございますが、そのいろいろな議論を伺っておって、まだ余り出ていないような問題、これをひとつこの際持ち出しまして、せっかくこれから経済社会基本計画あるいは全国総合開発計画、そういうふうなことを立案される前に、一度問題の所在というふうなことについて伺っておきたい、かように思います。 いわゆる高度成長路線から安定成長路線に切りかえるということが、非常に強く主張されておるわけでございますけれども、どうもただ単に総需要を抑制するとか、あるいは物価を安定さすとかというふうな現象面、そういうことにばかり議論が行っておりまして、基本的な考え方というものについての突っ込みが足りないような感じが私はいたします。 経済、経済と言っておりますけれども、実は経済というのは、結局物に中心を置いた社会現象のとらえ方ではないか、こういうふうに考えるわけでございまして、経済学というものがいままでずっと発展してきた歴史から言いましても、物に中心を置いた経済、これが経済学であるというふうなとらえ方であったと思うのであります。人と物、個人と企業、こういうふうなものを想定して考えてみますると、私どもはいまや物や企業を中心に考える時代から、人あるいは個人、そういうものをもっと中心にして考えていかなければならぬ段階に来ておるのではないか、こんな感じが強いのであります。 最近のローマの人口会議というふうなものを見ましても、これは副総理御持論の、資源の制約あるいは原料の供給能力というふうなことを中心に考えざるを得ないのでありまするけれども、さて一体人口を抑制することが先なのか、それとも資源あるいは原料というふうなものについて、もっと人間という立場から、そういうものについてどこまでも人を中心とした、人類を中心とした考え方でやっていくのかということは、一つの大きな疑問だと私は思います。 そういうふうな点から、たとえば日本民族のこれからの成長発展ということを考えて、人口の制限ということに主眼を置いてこれからの政策を進めていくのか、それとも、やはり世界の人類の中で日本民族の占めるそういうものを考えると、これはやはり適正な役割りというものを日本民族がしょっていくためには、やはり日本民族というものの優秀性、そういうものを前提にして、世界の人類の中における日本民族の役割りというふうなものを考えていくのか、こういうふうなことについて、いろいろと疑問が出てくるわけでございます。 そこで、手近な議論をいたしますると、いま政治資金規正というふうなことで、三木総理が企業献金をやめて、個人献金でできないかというふうなことをぼっと考えておられる。あるいはぼっとじゃなくて、これは非常に執念を持って考えておられることかもしれません。そういうことを、私、じっと見ておりまして、しみじみ思うのは、日本の戦前には非常に個人というものの力が強かった。たとえばわれわれは役人生活を長くやったのでございますけれども、ここに植木先輩もおられますが、昔は課長になり、局長になると、十分部下の者をごちそうしてやって、楽しんで大いにやれたのです。年末の賞与というふうなものはわれわれも相当いただいたわけですね。ところが、いまや占領政策を契機にして、そういうものがすっかりなくなってしまった。それで役人は結局、いろいろ会合をやるにしても、結局事務費というふうなものを流用してやっていくというような悪い習慣がついたわけであります。これはいま非常に是正されておりますが、そういう経過を経て今日の事態になってきた。そうすると、やっぱりここに個人を中心にした営みというものがどうも社用族を出したように、企業あるいは役所というふうなもの、そういうものによって何とか賄っていくというふうな悪いことが今日行われてきておる。こんなようなことも指摘できると思います。これと税制とがまた非常に関係があると、私は思うのであります。 そこで、私は同じ郷里の早川先輩にもこの間申し上げたのですが、これは思い切って個人の献金ということに限定して、税制なんかもそれを中心にやっていくとすればできないことはありませんよと、私はあえて申し上げたのでありますが、今度党の方でまとめられたものは、そこまでいっていないようであります。しかし、私は考えようによっては、むしろそういうことさえももう企業というものはやらないのだということを中心に方針を確立していけば、個人献金というふうなことで十分賄っていけるし、あるいは党費というふうなものを、いまは御承知のように、これは野党の安宅先生もおられますけれども、各党が一体どうやっておるかというと、自民党なんかは党費を納めておるということについて党員の自覚を持つのでありますけれども、どうも党費をきちんきちんと自分で納めるというふうな習性が十分徹底していないというところが、私は問題だと思う。そこでわれわれは毎日毎日働いて何ほどかの収入があった中から党費を納める、それが所得税法で優遇されるということになっていけば、私はそれはできないことはない、こう思うのであります。だから、献金の問題に突っ走るよりも、まず第一に、各人が党費を納めていく、それによって党員の自覚を持つ、その党費というものについて税制上どうしてやるか、個人を中心にこういうことを考えてみる時代ではないか、こんなようなことさえも考えるのでありますが、この点について、まずひとつ副総理はどういうふうにお考えか、お答えをいただきたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 いまこの世の中を見ると、自然人と法人というものがある。その法人につきましては法人擬制説という考え方もあるし、実在説という考え方もありますが、この社会を構成する単位として現実的に考えてみるときに、法人というものの存在、これは現実問題として無視することは私はできなかろう、こういうふうに思うのです。その法人が、これはあるいは法人として社交もありましょうし、あるいは政治活動ということもありましょうし、そういう仕組みにいまなっておりますので、よほどこの社会の構成というものを根本的に改革しませんと、これは個人だけでという考え方で世の中全体を割り切っていくということは、なかなかむずかしいことかと思いますが、非常に貴重な御示唆でありますので、私どもこれは根本的な社会のあり方、こういう角度から考えてみる価値のある問題である、こういうふうに考えます。 それから正示委員は、これは経済の発展、物ばかりがいま論ぜられておるが、人間という側面があるという政治家としての見方、これは私は全く同感です。どうもいま社会全体を見ておりますと、もう物中心、そういうような考え方の風潮になってきておる。そうじゃないのです。人間というものの存在を考えるときに、物では与えられない人間の存在理由というものがある。物が幾ら栄えたって、それで人間が幸せになるかというと、私はそうじゃないと思うのですよ。経済全体として、人間と言いますか、人間の心と言いますか、そういう側面につきましては、これは全く正示委員の見解と私は同じです。いま私は経済のことを論じておりますけれども、経済だけが世の中の問題じゃない、それよりもさらに人間の心という問題を政治としてはとらえていくべき時期にまさに際会しておる、そういう考え方で誠実に取り組んでいきたい、こういうふうに考えております。
○正示分科員 私、ちょうど福田副総理がイギリスからお帰りになったころ大蔵省に入りまして、私はアメリカに行った。戦後の日本のいろんな制度が、先ほどもちょっと申し上げたように、アメリカからいろいろ直接指導というか、強制を受けてやった面が多いと思うのでありますが、戦後ヨーロッパを回って見て、やはり日本の戦前のものにヨーロッパ、特にイギリス、ドイツ、そういう方面の制度が取り入れられて、非常によくいっておった面もある。また悪い面ももちろんあるわけでございます。軍国主義なんかあったのですけれども、いい面もあった。ところがアメリカから取り入れたものが、たとえばアメリカでは非常に個人中心にいろんなことが行われておるわけでございますけれども、どうも税制なんかの面では、アメリカの悪い点が取り入れられておった。フランスで、流通税と言いますか、こういうものについて話を聞いたときに、どうも日本はシャウプの税制というようなことで、アメリカの税制をそのままとっておるけれども、実情に合わぬじゃないか、もっとヨーロッパ風の、また日本の在来の流通税を中心にした、あるいは間接税をもっと中心にしたものを考えたらどうかというようなことを非常に教えられた点があったわけであります。 そこで、さっきのような問題もそれに関連があるのでありますが、持にここでひとつ、時間の制約がありますから結論を急ぎたいと思いますが、福田副総理の言われる安定成長路線、これを進めていくのに、果たして税制なんかそれに対応して考えられつつあるかというと、私はまだ絶対出ていないと思うのであります。これは党の税制調査会でも出ておりませんし、あるいは予算委員会の審議等でも、安定成長、安定成長と言うけれども、一体これからの税制はどうするんだ、いままでは高度成長でずっとやってきたじゃないか、租税特別措置にしても、あるいは法人税なんかの償却というような制度にしても、とにかく副総理がよく言われるように、かせいで得たものをまたさらに再生産、拡張生産に、増産に、こういうやり方じゃないんだ、今度はそういうものをひとつ公共投資、あるいはわれわれのいわゆる社会的公正の方面に、これから大いに使っていく必要があるのだから、それをもって生産の増強とか、企業の拡張とかという方面に使うんじゃないんだというふうなことを非常に強く主張されるのでありますけれども、さて、それでは税制上それをどうするんだ、企業がかせいだものを、獲得したものを企業の拡張に使っていくという体制がいままでずっととられてきたのでありますけれども、そうじゃなくて、それを社会資本、そういう方面に使う、あるいは福祉の方面に使う、 これは税の収入になっていくわけでありますが、そういうことに切りかえていこうという税体係というふうなものについて、これから大きく転換をしていかなければならぬというふうな配慮がまだ行われておりませんし、そしてそういう議論というものが、少なくとも今日までの国会の論議の中には、余り出てきていないように私は思うのであります。まあこれからいろいろな計画をおつくりになる上において、経済社会基本計画というふうなもので見直されるわけでございますが、そういう点について、副総理としては、これから、これは大蔵省を中心に税制をやるわけでございますけれども、その基本の統括を推進していかれるお立場において、どういうふうなことをお考えになっておるか、この機会に、大ざっぱなところで結構でございますから、お考えを述べていただきたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 これからの低成長というか安定成長下において問題になる一つの大きな点は、御指摘の社会的公正、こういう問題であろうと思うのです。安定成長と言いますと、これはどうしたって成長の速度は下がるという問題もあります。それから同時に、成長の過程においてでこぼこがない——あるときは非常な過熱状態だ、あるときはこれを非常に引き締めて沈滞の状態になる、そういうでこぼこをなるべく少なくするということもまた考えなければならぬ。同時にこれは、高度成長時代では国民全体が高成長の成果に均てんをし得るわけですが、低成長下においては、その均て九の度合いが、弱いもの、小さい立場の人、そういう人に少なくなる、こういうことで、この弱いものの立場というものへの配慮、これを相当考えなければならぬ。 そういうことを考えますと、いまのお話のように、財政というのは非常に大きな役割りをすると思うのです。一番大きな役割りは、これは財政の配分の問題にある、こういうふうに考えますが、次いで、そこまでの大きな力はないですが、税制、これにもまた大きな力があるわけであります。 とにかく、ただいま申し上げましたような基本的な考え方に立って、税制もこれを見直しをする必要がある、こういうふうに考えておるのでありますが、特に高度成長下にできた特別措置、こういうものについては、もう根本的に洗いがえをする必要があるであろう、こういうふうに考えております。
○正示分科員 そこで、きょうは時間をあまりとっては恐縮ですから、飛び飛びになりますけれども、いま副総理が一番大切な政策として大事にしておられること、また中心になっておられる物価政策に関連して、あまり議論の出なかった点をちょっと指摘したいと思うのですが、私は農山村の実情というものについて、日ごろから非常に関心を持っておるわけであります。 〔倉成主査代理退席、植木主査代理着席〕 たとえば、私の郷里はミカンの産地でございますが、このミカンが豊作になると、産地では非常に値段が下がる、ところが東京の消費者にはあまり安く行っていない、こういうことを毎年毎年体験しておるわけであります。そこで流通機構、これがもう社会的公正の一環としても、非常に重要な問題だと思うのであります。副総理は、かつて農林大臣もおやりになりましたし、いまや経済企画庁においても、その方の一番大事な総元締めでいられるのでありますが、どうも日本の流通機構の近代化がおくれておる、これが私は非常に大きな問題だと思うのであります。こういう問題については、これは流通機構だけというよりは、日本の社会の中によどんでおるところの長い間のいろいろの非常に矛盾したもの、濁りと言いますか、汚濁と言いますか、一種の公害みたいなものでありますが、そういうものを徹底的に洗い落とさないと、出てこないのかもしれません。しかしこれはやらなければいけない、われわれのクリーンなる政治として。私もかつて東京都に奉職したことがございます。そのときに東京都で、これは敗戦に近いころの、あのときですらも、どうも流通機構にもう一つ徹底的なメスが入っていないような印象を残したままで、私は地方勤めを終わったのでありますけれども、戦後になっても、占領軍が来てさえも、この点については一向に徹底したメスが入っていないように思うのであります。これにひとつ徹底的にメスを入れるということが、今度の出直し改革をやった自民党内閣に課せられた大きな仕事だと私は思います。もちろん、これは私も十分調べておりません。しかし私の薄々感じるところでは、国の中央政府と、たとえば東京都というもの、これは東京都が一番大きな役割りを占めておりますから、そういうところが一体となって、流通機構に徹底したメスを入れる、根本的なメスを入れるということをやれば、できないことじゃない。そしてたとえばミカンが産地で幾ら、それが中央市場へ来て、あるいは神田の市場へ来てどのくらいの中間的なコストがかかって、それが末端の消費者に行っておる、その中間的な経費のうちのこれだけは節約できるんだ、セーブできるんだということが明らかになれば、これは物価問題に相当大きく寄与するんじゃないか、私はこんなことを一つ大きな疑問として感じておるわけでございますが、この点について、副総理から率直な御意見を伺いたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 まさにこれからの国の経済を近代化、合理化していくという上において、流通機構の問題というのは最大の問題です。ただ、わが国においては、流通機構という問題が多年叫ばれながら実効を上げておらぬという問題はありますが、これは私は、日本経済の体質的なものがあると思うのです。つまり中小企業問題、この中小企業というか、非常に末端機構が多岐に分かれておるというところに、非常に非能率的な点がある、こういうふうに見ておるのでありますが、さりとて、長い間に自然発生的にできたこの中小企業の問題、これを根本的にどうするというほど簡単な問題じゃございません。そこで、協業化でありますとか、そういうようなことが叫ばれておりますが、そういうことをかなり積極的に進めていかなければならないんじゃあるまいか、そういうふうに考えておりますが、この流通機構問題というのは、よその国に比べまして、わが国では非常に困難な問題です、日本経済の構造的なところに発展していますから。それはそれとして、しかし他の面における流通機構の近代化、これはどうしても手がけなければならぬ問題でありますが、その前に、私はわが国の物価問題というものを考えてみまするときに、いまミカンの話が出ましたが、国では総需要管理政策をやっているというが、国の大ざっぱな管理政策だけでは、本当の成果を上げ得ないと思うのです。やっぱり各業種ごとに、需要の調整機能というものが出てこなければいかぬ。ミカンは、あるときには非常に豊作だ、価格は暴落をする、不作のときにはまた値段が暴騰するということになれば、私は、ミカン業者ならミカン業者というものが、全体として需給の調整機能を持つことができないか、こういうことを常々考えておるわけなんです。需給調整が生産業者の全体の協力によってできるということになれば、ミカン農家のこういう立場はまず安定するわけですが、その上に立って生産された品物を、中間手数をなるべく省いて末端に供給する、こういうことを考えなければならぬだろうというふうに考えておるわけです。とにかく、生産者から末端に行くまで何段階もあるこの状態、これは何とかして合理化し、近代化しなければならぬということを常々考えておるわけです。簡単にはいかぬが、これは粘り強く検討し推し進めてまいりたい、こういうふうに考えます。
○正示分科員 流通機構に関連して、中小企業問題、これは御指摘のように非常に重要でありますけれども、私は、生鮮食料品として、いまの果物、野菜それから魚類、そういうものについて、中央卸売市場というのですか、末端の小売までいくところの問題が、どうももやもやしておるように思います。 そこで、それに関連をして、これは農林省が主管庁でありますけれども、そこで中央市場制度というもの、それが今日は東京都あるいは大阪府、市というふうなところで非常に大きな役割りを持っておりますから、今日選挙の問題で非常にデリケートでありますから、私はそこから先は言いませんが、とにかく中央とそういう末端の行政官庁は一体になって、野菜、果物、魚類等の卸売市場、そういうものについて、本当の中間マージンというのは一体どのくらいでしかるべきか、そして小売の問題、いまお話のありましたように協業化の問題にいく、こういう順序で、これをクラリファイする必要がある、こういうふうなことを私は前々から疑問に思っておりますので、これは経済対策閣僚会議の議長としての副総理が、ぜひひとつ取り組んでいただきたいということを特に要望申し上げておきます。 それに関連しまして、最近、行政機構の改革ということが大きく取り上げられておるわけでございますが、きょうは農林水産、後で農林省関係もこの分科会で審議をされますので、一回、副総理にこの機会に伺っておきますが、農林省の関係で水産関係、漁業関係、これはどうしてもこれから国際会議、海洋法の関係、それから日ソ漁業交渉、日中漁業交渉、そういうもので非常に大事な一つの部面であり、国内における漁業問題、これも非常に大事ではございますけれども、しかしこれは単に国内だけでは解決できない国際的な問題であります。そこで、これは農林大臣が片手間に水産関係をやっておるというようなことは、実は無理だと私は思うのであります。かつてソ連に参りまして、イシコフ漁業大臣ともいろいろお話をしたことがございますが、二十年以上漁業大臣をやっておって、それで福田副総理もおいでになったことがございますし、今度水産庁長官も行かれるわけでありますが、その来られる方はいつもニューフェースである、私は日本のフグは生でどんどん刺身でいただく、こういうことをイシコフさんは自慢話をしておりました。それほど、日本のどこにどういう魚がおるかということを、はばかりながらこのイシコフは一番知っておるぞということを言われてみると、日本の農林大臣は漁業を片手間にやりながら、イシコフさんを相手にいろいろ交渉してみると、どうもこれは歯が立たぬというふうなことになるのじゃないかと思います。 そこで、これから行財政の基本的な改革という問題もございますけれども、私は、できたら中小企業を一つの省にするという問題もありますが、これよりももっと重要なのは、水産大臣あるいは漁業大臣というものをつくって、そしてこれから非常に大きく重要性を帯びてくる国際的な会議においても、そういう担当大臣が常に外国の担当大臣と渡り合うというふうなことをやらないと、日本の漁業関係はいま非常なピンチに立っておるように思います。これは非常にデリケートな問題でありますが、副総理はその点についてはどうお考えでございましょうか、ひとつ率直に伺っておきます。
○福田(赳)国務大臣 漁業問題が、これからわが日本として非常に重大な問題であるということについては、私も心を痛めておる問題でございますが、さあその機構をどうするかという問題につきましては、いま正示委員は、これを昇格して水産省というような御提言でございますが、その方法が果たしていいのかどうかというような感じもいたします。いま政府におきましては、対外経済協力等の諸問題の処理、これを機動的に処理するために、閣僚を一名増員したいという御提案を申し上げておるわけですが、そういう機能なんかにこのむずかしい問題を乗っけて、そして適正な処置をするということも一案かというような感じがいたします。大臣を一人増員したから水産行政がうまくいくとも限らない。要は水産行政が非常にむずかしい重大な問題になってきたということをとらえまして、いまの機構の中でその道を探っていくという方が、むしろ効率的ではないかという感じがいたしますが、なおよく検討させていただきたいと思います。
○正示分科員 非常にデリケートな問題ですから、その辺にしておきます。 最後に、社会的公正の一つの問題点として、福田副総理は、かねて党においては山村振興議員連盟会長をなすったわけであります。私が社会的公正と言うときには、弱い者というふうなことで、やはり冒頭申し上げた、人を中心に言っているのであります。弱い者に対して国が適正な援護の手を差し伸べること、これはもう当然であります。しかし、弱い地域というものもあるわけであります。そこで、社会的公正というのは、人だけではなくて、地域的にも非常に狭い日本の国、カリフォルニア州よりも一割狭いだけの日本に、過密過疎の問題があり、あるいは人口がどんどん流出していって、花嫁を得ることができぬ、これが農山村の青年の今日の切実な悩みであります。 そこで、そういう山村の問題について、われわれもいま山村振興法を改正しようということをやっておるわけでございますが、これに対する社会的公正の措置、これは私は非常に大事な問題だと思いますから、かねがね山村振興議員連盟の会長もなさった副総理のお考えを伺っておきたいのと、それから、これに関連してですが、やはり山村問題を解決する大きな手だては、道路を整備するんだ、こういうことを言われております。私は都会の無料の道路なんというのはぜいたくだと思うのです。しかし、これも考えようによっては、人と車、これは車が強者で人は弱者であります。その強者と弱者が同じ道路を使っておることによって交通事故が起こるということは、これは社会的な不公正でございます。そこで、その強い車はもう高速道路、有料道路を走りなさい、都会では全部そういう最低限度の道さえ確保しておけば、遅くて結構だという人はその道を無料で走りなさい、しかしあとは全部有料あるいは高速へ行きなさい。こういう道路を整備することは、一般道路建設の問題として、一般会計の負担あるいはガソリン税の負担というふうなことでやるべきじゃなくて、これはもうどんどん公債を発行して、その公債を、有料の料金でもって償還していく計画を立てるべきだ。今日の道路政策というのはそういう段階に来ておるのじゃないか、一種の交通安全施設と考えてもいいんじゃないか、こういうふうに考えます。そして、一般財源を使っての道路建設というのは、やはり地域的に非常に弱い立場に置かれておるところの山村、農山村、そういう方面を中心にやっていくべきじゃないか、こういうことを考えるわけであります。これは新しい国土総合開発計画の中でも取り上げていただきたい問題だと思います。いわゆる高度成長下の開発ということに主眼を置いたものではなくて、社会的公正を確保する意味における新しい総合開発、まあ開発という言葉が入りますけれども、やはり最低限度の生活の糧としての、方便としての道路を農山村には確保してやる必要がある、こんなようなことを痛切に感じておりますが、この点について副総理のお考えを伺って、私の質問を終わります。
○福田(赳)国務大臣 農山村は、まさに正示さんのおっしゃるように、これからも政府はますます重点を置いて、その福祉の向上に国家的な援助をすべきである、こういうふうに考えておるのです。そういうような考え方から、山村振興法が制定され、これがかなりそういう方向に貢献してきておるわけですが、近くその時限が切れるのです。そういう際に、この法律をさらに見直しまして、そして温かい目で、この山村、農山村をながめると いうようなことにぜひしてもらいたい、こういうふうに考えておるのですが、あれはたしか議員立法でできた法律でありますので、正示さんにおかれましても、ひとつ格別の御配慮、御協力を賜りたい、こういうふうに思います。過密過疎、こういう問題の一環としてあの法律は重要な役割りを演ずるであろう、こういうふうに思いますので、こちらの方からも、ひとつお願い申し上げます。
○正示分科員 どうもありがとうございました。
○植木主査代理 これにて正示啓次郎君の質疑は終了いたしました。 次に、倉成正君。 〔植木主査代理退席、主査着席〕
○倉成分科員 副総理に、これからの日本経済の問題について少しお尋ねしたいと思いますけれども、最初に、景気の現状判断と申しますか、現在の景気について二つの見方があると思います。一つは、景気がもうすでに冷え切っておりまして、抑制策を早期緩和しないと景気は自律的に回復しないという考え方と、もう一つは、景気がこれ以上落ち込むということはないであろう、物価の安定のめどがつけば景気は徐々に回復していくであろう、しかし、そうは言ってもやはり総需要抑制政策は続けていかなければならない、この二つの見方が、いろいろ学者、評論家等で意見が違うわけでございますけれども、このどちらをとるかということによって、これからの景気政策の打ち方が変わってくると思いますが、副総理がどういうお考えを持っておられるかということを、まずお伺いしたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 日本経済が冷え切ってしまって、再びよみがえらないような状態になるというような見解を言う人があります。よく聞いておりますが、私はそういうふうにも考えないのです。ただ、一昨年まで非常に活発な活動をしてきたその日本経済が、先もそういう状態だろうというので、かなり先々を見通した投資が行われておるわけです。あるいは投資が実行されないまでも、その投資の準備もしておる、こういう状態です。それがにわかに、石油事情等もある、また物価を安定させなければならぬ問題もある、そういうようなことで急ブレーキがかけられておる、そういう状態で生産は減退し、雇用状態は悪化する、こういう状態になっておる。まあ今日そういう状態ではないか、そういうふうに見ておるのであります。日本経済は、私はそんなに弱いものとは思いません。復原力がない、こういうようなとらえ方はしておりませんが、ただその急ブレーキの結果、かなり深刻な側面も多々出てきておるということは率直に見ておるわけであります。 そこで、どういうふうな対策をとっていくか。これからの日本経済を考えると、もちろん自律反転といいますか、経済循環、この原理も働くであろう、こういうふうに考えておるのです。在庫調整、これが一段落というようなことになれば、そういう経済が反騰する、こういう勢いになる。ただその時期が一体どういうふうになるかというと、去年あたりは一−三説というのがあり、またことしになりましても、それが少しずれた、しかし四−六にはというような見方もある。私は、どうも最近の状態を見ておりまして、四−六に在庫調整が終わり、景気が反転をするという状態はちょっとむずかしいのではないか。多少またずれているのではないかというような感じがいたします。そういう状態の中で、急ブレーキの結果いろんな摩擦現象が起きておる。それに対して手をこまねいておるというわけにはいかない、何らかの対策をとらなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。自律反転、それの作用が起こる、その過渡期におきましては、政府がやはり摩擦諸現象に対しまして積極的ないろんな施策を考えなければならぬのだろうというふうに存じまして、総需要抑制というか、そういう政策はこれを堅持する。堅持しますが、その間におきまして機動的、弾力的な措置を講じてまいりたいというのが基本的な考え方であります。
○倉成分科員 副総理の御認識、よくわかりましたので、摩擦現象をできるだけ避けるように、また特に国際的な環境ということも配慮に入れつつ、遺憾のない対策をお願い申し上げたいと思います。 そこで、私はたとえて申しますと、いまの日本経済というのは、高速道路をフルスピードで走っておったけれども、インターチェンジに入って、そして少し狭い道をいま走っておる。そしてこの狭い道をずっと続けていくということになるとこれは大変なことでありますけれども、まあこれから広い道が出てくるであろう。しかしその道はかつての高速道路のような広い、フルスピードで走れるような道ではない、かなりでこぼこの道であるし、いま入っておるような狭い道ではないけれども、いままでの高速道路と比べるとかなり道幅が狭いのではないか、そういう感じがするわけであります。また同時に、高速道路を走っておる間は追い風経済で、いろんな意味で日本の経済は条件が恵まれた。しかしこれからは向かい風の経済で、途中で事故が起こったりいろいろなことが予想されると思うわけでありますけれども、そういうことを考えてまいりますと、これからの日本経済というのはどの程度の成長というのが考えられるのか。またその考えられる基礎としてどういうことが前提になるか。これはいまから計画局で長期の計画を立てられるわけでありましょうから、細かい数字は要りませんけれども、大まかな基本的な考え方だけをお聞かせいただければ幸いと思います。
○福田(赳)国務大臣 これからの日本経済は、いままでのような一一、二%、時によると一三、四%というような高い成長は、これはもう望み得ません。しからばどの程度の成長ということを考えておるか。私は、成長ストップ論、ゼロ成長論とか、そういうものにはくみしないのです。何とかして成長政策をとりたい。ただその成長政策の速度、これをどの辺に置くかということにつきましては、率直に申し上げましてまだいま何%ということを言い切れない段階でございます。と申しますのは、世界じゅうの経済が石油ショックの影響を受けましていま混乱をしておる。世界の経済が一体どんなふうな動きをするかということについて、長期的な展望がつかみ得ないのです。私はこれからの日本経済を考えますと、やはり世界経済の中での日本経済という立場を根本的にしっかりとらえていかなければならぬだろう、こういうふうに考えております。 資源有限時代だ。その資源有限時代に、わが国だけが貴重な資源を使い荒らすというようなことはとうてい許されない。また資源が仮に多量に入ってきたにいたしましても、その資源は何にするのだと言えば、海外にこれを加工して売りさばく。世界のマーケットが日本製品で席巻されるという状態も世界は黙っておりません。やはり私は、わが国のこれからの資源有限時代に処しての経済のあり方を考えると、これは世界経済並みの動きをするのだ。並みと申しましても、わが国は長い過去を顧みてみますと後発国です。まあGNPは、生産は非常に大きくなったけれども、ストックは非常に少ないというようなことを考えますと、全世界の水準で日本の経済が動くということはこれはいかがかと思うのですが、とにかく世界先進工業国、それらの国々の中ではAランクというか、その辺の動き方をしたいものだなというふうに考えておるわけです。アメリカだとか西ドイツだとか、そういう国々がどういう動き方をするか、これから世界情勢によってそれらの国々のこれからの動き方の方向というものも決まるでしょう、その辺をにらんで、わが国の成長路線、その高さを求めていきたい、こういうふうな感じでございます。
○倉成分科員 副総理のお考え、よくわかりました。これからの世界経済、非常に不確定な要素が強い。いまのお話は、明治百年で日本が近代化、西洋に追いつけ、追い越せということで、昭和四十年代に一応の物的な面でのそういう西洋に追いつけ、追い越せの夢を達成したわけですが、次の百年の幕あけの幕はまだあいていない、いわば現代をいままでの百年またこれから先の百年の幕合いの時期、したがってその幕合いの時期に、いろいろな国内の体制や産業やあるいは国民の心構えや、そういうものを十分準備をして、そして次の百年のドラマの主役を日本が演じていくというような意味に受け取ったわけでございますけれども、これから先の成長を制約する一つの条件は、端的に言って石油の問題、これはやはり一つの大きなファクターになるんじゃないか。石油の輸入がどの程度確保され、またそれを確保することによって世界の経済をディスターブしない、そういうことが一つの条件になるんじゃなかろうかと思うわけでありますけれども、私ども自由民主党の政務調査会で、物価の安定ということに焦点を合わせまして、近代経済学者六名の方にお願いしましていろいろ作業いたしてみました。そういたしますと、必ずしも経済の成長が低いことが物価の安定には通じない、ある程度の成長をしていかなければ物価はかえって高くなる、こういうシミュレーションの結果が出たわけでございます。また、最近いろいろ学者の論文等を読んでおりますと、これから先の日本の経済の中で、物価の動向、これは狂乱物価の経験を経た国民にとって非常な関心事でありますけれども、必ずしも経済の成長が落ちたからといって、狂乱物価のときは別でありますけれども、しかし、かつての昭和三十年代のような物価の状態にすぐはなかなか戻らない、そういう見通しの方が多いようであります。 したがって、これから先の経済の中でやはり一番大きく考えなければならないのは、物価がある程度安定するということが一番大事なことではないかと思いますけれども、物価の安定ということを、ことしの三月で一五%の目標、来年の三月で一けた以内、それから先一体どの程度の物価を考えていくのが妥当であるか、またそのためにはどういうことを考えていったらよいかということについて、これも基本点なお考え方だけで結構ですから、お聞かせいただきたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 高度成長でないと物価は安定しないんだ、こういう説をなす人がある。これは、高度成長でありますれば生産性の向上、これがあるわけです。大量生産、そういうような状態になりますから、自然そういうことになってくるわけであります。そこで大量生産になれば、これは物価に対しましては、確かに生産性の向上を通じていい状態になる。しかしそれには前提があるのです。前提がありますのは、これはもう賃金が生産性の向上を上回らない、こういうことでなければならぬわけでございますが、賃金が上がる、そうすれば国民生活全体の水準もそれにつれて上がってくるわけでありますから、これはいいことには違いない側面を持っておるわけでございますけれども、さてそれで、それじゃ高度成長が許されるか、こういうことになると、いま御指摘のように石油の問題もあります。石油ばかりじゃない。資源有限という思想が進むに従いまして、いろいろな資源についての国々の考え方というものも変わってくる。金を出しても買えないんだという事態がだんだんと強くなってくるんじゃないか。また、わが国が高度成長政策をとるということになりますれば、先々もう有限の資源を日本が使い荒らすというようなことになる。経済社会発展計画、この趨勢を推し進めていくということになったら、二十年、三十年先には、わが国が重要資源の多くのものの輸入をほとんど独占しなければ日本経済の運営はできないというようなことになるわけですが、それが果たして世界的に許されるかというようなことになる。また国内的に考えましても、高度成長というものが勢い余ると、あの狂乱物価というような状態を生み出す。これも国内としては大変なことになってくるわけです。あるいは、そんな高度成長というようなことを続けておって、わが国の経済の命の綱である国際収支が一体もっていくかという問題があると思います。これはメリットはあると言いながら、他の非常に大きなデメリットがある。しかもそのデメリットというものは国の存立にもつながる、こういう問題でありますので、私は、物価だけの見地から考えて、しかも狭い国内的な立場から考えて高成長をやらなければいかぬという考え方、これは非常に危険な考え方である、こういうふうに思うわけであります。 そこで第二のお尋ねであります、物価水準は一体どうするかということにつきましては、これはさしあたり五十年度におきましては一けたということを言っておりますが、五十一年度は定期預金金利以下にこれを持っていきたい、こういう目標です。そういう過程を経まして、そしてわが国が正常な経済運営の軌道に乗っていくわけでありますが、その先一体どうするかということにつきましては、これからしさいにこれを検討しなければならぬだろう、こういうふうに考えておるわけであります。その際にも、世界の経済の動きが一体どういうふうになっていくかということもまたよく考えなければなりませんけれども、目減り問題だとかなんとかが非常に意識されるような、そういう物価状態は、これはもうどうしても避けていかなければならない。世界情勢、そういうものに大きな変化がないという限りにおきましては、とにかくなるべく低い消費者価格の上昇という状態にしていきたい、こういうふうに思うわけであります。物価をゼロ上昇ということはむずかしいと思うのです。つまり、成長経済をとりますね。成長経済をとりますと、これはどうしたってそれだけ賃金が上がる。賃金水準が上がれば、これは生産性向上がありますから、大企業物価、卸売物価は安定すると私は思うのですよ。ですから、長期的な観点としても卸売物価は横ばい状態、これを実現しなければならぬ、こういうふうに考えておりますが、消費者物価の方、これは、もう非常に大ざっぱな言い方をしますと、中小企業物価なんです。わが国は特異体質で中小企業が多い。その中小企業が大企業並みの賃金ということをやれば、どうしたってこれは生産性の上がらない中小企業でございますから、やはり売り値、そういうものにこれをひっかけていかなければならぬ、こういうことになる。そういうことを考えると、非常に低目であるけれども成長経済をとる限りにおきましては、これはどうしても消費者物価の上昇は避けられない、そういう関係にあると思いますが、まあ三%、四%、その辺あたりにぜひ持っていきたいということを念願しておりますが、正確には、これから長期経済計画を策定いたしますから、その段階で結論を出したい、こういう考えであります。
○倉成分科員 世界経済の中で日本を考えていくという副総理のお考え、私も同感でございます。 ただ、こういうことはやはり考えておかなければならないんじゃないかと思うのです。それはどういうことかというと、日本の人口が特別な政策をとらない限り毎年一・一ないし一・二%伸びていく。したがって、経済成長が一・二%程度であったら、これはゼロ成長に通ずることでございますから、そういう経済はとうてい考えられない。また福祉、社会資本の充実ということを考えていくと、やはりそれだけのものを生み出すだけの経済でなければならない。そうすると、ある程度天井を高くしないとなかなか時代の要請にこたえることができ得ない。しかし、さればといって、いまお話しのように資源、環境、労働力あるいは世界的な環境ということで、これまでのような高度成長は望み得ないということを考えてまいりますと、やはりどうしてもこれから先、活力を持ちながら、いわゆるスタグフレーション、非常に低成長の中で賃金だけが上がり、またそれが物価にコスト要因としてはね返る、そういうことになり、また輸出がうまく伸びない、いわばイギリス型の経済に日本がなってしまったらこれは大変なことになると思うわけでありまして、その辺のかじ取りをするためには、いろいろな国内的な要件が必要になってくる。一つは、いまお話しのように賃金と物価との悪循環を避けていく、そのためにはやはり労働組合ともいま副総理が精力的におやりになっているようにいろいろと対話をし、労働組合が国民経済の中で責任を持ってもらう。またこの要請については政府も誠意をもってこたえていく、こういう姿勢でこれからやっていかなければ、これから先の日本の経済というのはなかなか大変なものになるのじゃないかという感じがするわけでございますけれども、いま副総理を中心におやりになっている労働組合との対話、またこれからそういう点を推し進めていく上において考えなければならない基本的な問題は何であるか、これはごく簡単で結構ですから、お示しをいただきたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 当面一番私が関心を持っておる問題は、とにかく国民の圧倒的多数の人が物価を安定さしてくれ、それからさらにその上に立って経済を正常な状態に乗せてください、こういうことだろうと思うのです。その途上において大事なことは、景気と物価対策との調整を誤らないこと、これが一つ。それからもう一つは、政府は直接介入することはできませんけれども、賃金決定が良識的な結論で解決される、この二点だろうと思うのです。私は、その二点にいま最も重点を置いた考え方を進めておるわけであります。 そういうことを考えますと、景気と物価対策との調整、これは政府自身で考えられる問題ですから、これは慎重に誤らないように考えますが、賃金問題だけは政府が介入することはできない、労使の自主的な話し合いだ、こういうことなんで、何とかして労使の間で、世の中が変わってきたんだ、日本経済をその中で安全運転をするためにはこれが決め手になるのだという意識を持ちまして、妥当な解決を導き出すようにお祈りをするようなつもりでこいねがっておるわけでございますが、しかしその環境づくり、これはまた物価の問題でございますが、その他の諸問題につきましては最大の努力をするし、世の中が非常に変わってきておるのだ、賃金と物価がこういう関係になってきたんだという認識、これを理解してもらうというための努力、これに最大限の精力を傾けてまいりたい、私はこういうふうに考えます。
○倉成分科員 経済が高度成長から低成長に行く過程における摩擦現象、それからまた、この摩擦現象を克服して、これからある程度の成長過程に入ってまいった場合に、高度成長になれてきております日本の経済の体質を根本的に改めていかないと、なかなかうまく行かないのじゃないか。 たとえば、行政機構の問題にしましても、御案内のとおり現在の国、地方を通ずる行政がある意味において非常に非能率的になっておる。また財政も硬直化してきておる。また産業構造につきましても省資源、省エネルギーと言われながらも、その大きな方向というものは、これは非常にむずかしいことでありますけれども、なかなか簡単に進んでいっていない。また、国民生活の面から申しましても、いま物価が高いので、貯蓄というようなことで自己防衛はしておるけれども、必ずしも国民生活がそういう将来の低成長に備えるような形に意識の転換が行われていないということを考えてまいりますと、やはり基本的にいろいろな問題に手を触れていかないと、これから夢よもう一度というような高度成長の時代は来ないわけでありますから、非常に大変なことになると思うわけであります。端的にひとつ副総理、こういう議論はでき得るだけ具体的な事例が国民には非常にわかりやすいと思います。 たとえば、いま物価その他の面については優等生と言われておる西ドイツ、それから典型的なスタグフレーションで停滞経済に入っておるイギリス、こういうのがわれわれの頭の中に描かれるわけでありますけれども、これだけ世界の経済が非常に不安定で物価が非常に上がっておる中で、西ドイツが一体どうしてああいうように消費者物価が安定しておるのか。これから先、日本が学ぶとすればどういうところを学んでいったらいいのか、そういうことについて何かお考えがあればお聞かせいただければ幸いと思います。
○福田(赳)国務大臣 これからわが国の経済の運営を考える場合において、基本的な諸条件が全部変わってきた、そして大きな切りかえをしなければならぬ、そういうことについての国民的な認識、これは家庭も企業も国、地方公共団体も皆そうですか、いままでの高度成長体制の上に立って積み上げられた体制というものが、基本的に全部変わってくるのだということの認識がまず大事であろう、こういうふうに思うわけであります。それからまた、その認識の上に立って諸制度、慣行、そういうものが一変してこなければならぬ。そこで初めて新しい時代に対応した日本の行く道というものが安定をする、私はこういうふうに考える。そういうまず第一の認識問題、これについて政府が理解を得るための努力、これは最大の努力をしなければならぬだろうと思います。第二に、その上に立っての諸制度、諸慣行の改革、こういうことにつきましても、国民にも企業にもそれぞれの立場がありましょうが、そういう改革をしてもらいたい。それからまだ大事なことは、政府、地方公共団体は先頭に立って、そういう諸制度、諸慣行の改革をしなければならぬ。いま硬直化問題ということが国や地方団体の行財政面で強く叫ばれておりますが、まさにそういうことを大胆に、強力に、粘り強くやっていかなければならぬだろう、こういうふうに思います。そういう間において諸外国は一体どうだ、こういうことでありますが、西ドイツは国内の経済の運営につきまして国民のコンセンサス、これが非常に行き届く国柄になっておると思う。特にインフレの問題ですね、これなんかにつきましては、第一次世界大戦後、苦い経験がある。その経験が国民的にしみ通っておる。またそれが子々孫々に伝えられておる、こういうような歴史的な立場もありますが、とにかくインフレを引き起こしてはならぬという背景がドイツの経済の運営、それに大きく反映して影響しておる、こういうふうに見ております。でありまするから、四十七年、わが国においては過剰流動性が発生する、ドイツにおいても過剰流動性が発生する。そしてその過剰流動性が発生する原因としては、外資の急激な流入というものがあった。そして世界各国からドイツ、日本は外貨がたまり過ぎる、そしてドイツ、日本に外貸が偏在する、世界経済に非常に悪い影響を及ぼすという批判も出てきた。そういう際にドイツは、そういう際であるにかかわらず物価問題を強くとらえまして、そして逆に総需要抑制政策をもって過剰流動性の問題に対処するという方針をとった。わが国の方は逆に、外貨減らしのための俗に言われる国内の調整インフレというような政策をとるということで、日独の間に非常に大きな開きが出てきておるというふうに見ておりますが、英国あたりになりますと、これはどうもドイツのようにインフレ問題に対応する熱意というか、情熱がそれほどまでではなかったんじゃないかというような感じがします。その前提といたしましては、国民の間にそういうインフレにしてはならないという意識が非常に薄かったんじゃないか、そんなような感じがいたします。労働組合の行き過ぎというようなことがイギリスについては言われますけれども、しかしその背景には、国民的なコンセンサスとしての国内経済の安定についてどうするんだという考え方、こういうものがドイツに比べて薄かったんじゃないかというような感じがいたしますが、他国の経済政策の行き方、これを批判をする、とやかく言及するということ、これも機微な問題でありますので、それ以上は触れませんけれども、そんなような状態があったのじゃないか、そんなふうな感じでございます。
○倉成分科員 ドイツの場合、第一次大戦のインフレの経験から、インフレに対する恐怖感、またインフレは共同の敵であるという国民的なコンセンサスが得られている。これがドイツの成功の一つの大きな柱ではないかという副総理のお考え、私は全くそう思います。したがってこれから先、新しい安定成長の経済ということを考えてまいります際に、まず何よりも大事なことは、国民の各界各層のコンセンサスをどうやって求めていくかということではないか。そのためにはまず隗より始めよで、政府みずからがなるほどということを国民に具体的に示すことではないかという感じがするわけであります。行政あるいは財政の問題の改革ということも、そういう意味において非常に大事な意味を持つと私は思うわけでございます。 いま市場経済の中で政府、企業、労働組合、消費者、こういうものが入って経済を営んでおるわけでございますけれども、その市場経済の効率をいろいろ追求していく過程において、この市場経済の限界と申しますか、公害であるとかあるいは資源であるとか、そういう問題についての一つの限界が出てくるし、また市場経済で効率性をむやみに追求してまいる間に、いわゆる社会的な不公正が出てくる。したがって、市場経済の中にある程度の計画性を導入していかなければならない。競争政策は進めていくけれども、同時に計画性ということを入れていく。競争政策と計画性、計画化ということをどういうふうに組み合わせていくかということが、これからの日本経済の課題ではなかろうかと思うわけでありますけれども、そういう効率化と公正、これは独禁法の概念の中にもあるわけでありますが、これを進めていく上において、よく社会的公正ということが予算委員会等でもいろいろ議論されましたけれども、端的に言って、社会的公正というものは何を言うのかということ、これもひとつ国民にわかりやすく、副総理のお言葉で御説明いただければ幸いに思います。
○福田(赳)国務大臣 社会的公正ということが非常に強く叫ばれておる。また経済が様相が変わってくるという中で社会的公正問題が特に重要な課題になってきますが、いまは自由社会ですね。自由社会でありますから、これはほっておきますれば力のある人あるいは知恵のある人、これはどうしても前に進み出るわけです。逆に力の弱い人あるいは知恵の乏しい人、そういう人は遅れるわけであります。そこでこの自由社会というものは、ほっておけばこれはどうしたって社会にでこぼこが出てくるわけでありますが、そういう状態の中に政治が、あるいは国家権力と言ってもいいです、それが割って入りまして、そうして先に出た人、これに対しましてブレーキをかける。それから遅れている人につきましてはこれを助け、前進をさせる。つまり政治あるいは国家の使命というものは、そういう角度から申し上げますと、弱い人を助け、強い人を押さえる、こういうところにあるだろうと思うのです。人間社会というもの、これは持って生まれた資質も違います。それから生まれ育つ環境も違いますけれども、それにしても大きなでこぼこのないような状態に社会を維持するということ、これが社会的公正である、こういうふうに私は考えております。
○倉成分科員 非常にわかりやすく、弱い者を助け強い者の横暴を防ぐ、こういう意味での社会的公正の御説明がありました。私も同感と思いますが、ただ一つ、私がいまのお話につけ加えさせていただきたいのは、もう少し端的な言葉を使いますと、正直者がばかを見ない。いわゆる社会的公正というのは悪平等ではない、怠け者をただ弱いから救ってやるというのであってはならない。やはりそういう社会的公正の前提としては、それぞれの立場の者が責任を果たす。個人は個人としての責任を果たす、労働組合は労働組合としての、単に企業内において賃金を上げるということではなくして、その企業のつくります商品が安く消費者の手に渡るというような責任を考えていく。また、企業も単にモデルチェンジで物を売ればいいということでなくして、こういう資源の制約下においては長い間使えるような商品を開発して、アフターケア、後のサービスに重点を置いていくとか、いわば効率を追求しながらも、それぞれの市場経済に参加する者が公正を追求していく。いわゆる社会の共同の目的、先ほど副総理が言われました社会的なコンセンサスに向かって努力をしていく。そういうものがなければなかなかこれはうまくいかぬのではないか。 確かに明治百年にしてわれわれは西洋に追いつけ追い越せという夢を達成はしたけれども、いわゆる国民的なコンセンサスというか、社会あるいは国家と名前をつけたらいいでしょうか、そういうものに対する共同の責任ということを国民全体がいま忘れてきておるというところに、私は基本的な問題があるような気がいたすわけであります。これから先、低速経済に入っていくということが安易に言われておりますけれども、その道は非常に険しいし、でこぼこの道であり、またどういう障害が起こってくるかわからない。途中からダンプカーが飛び出してくるかもわからないというような険しい道ではないかと思いますので、ぜひ副総理を中心にして、新しい日本の進路を開くための方策をひとつ大胆に提示していただいて、そして国民の批判にさらしていくということが大切じゃないかと思いますけれども、副総理の御所見を承りたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 これはいつの世においてもそうだろうと思いますが、社会全体というか、この考え方が社会の根底に定着しているということですね、これが社会の安定する基本である、こういうふうに考えるわけであります。つまり、人は一人で生きるわけにはいかないです。やはり社会の中において自分が完成されていくんだ、この考え方ですね。ですから、一人一人の人間というものが、自分が安居楽業だというような状態であることに喜びを感ずるという社会、そういう社会はいい社会じゃない、長続きはしないと私は思うのです。やはり人のため世のために尽くすことに喜びを感ずる、そういう人々の集積する社会、そういうものこそが安定した社会だ、こういうふうに考えますので、経済問題とは直接の関係はありませんけれども、この社会全体の思想というものは、これは政治の基本的な目標として取り組まなきゃならぬだろう、こういうふうに考えております。
○倉成分科員 終わります。
○正示主査 これにて倉成正君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして、昭和五十年度一般会計予算中、経済企画庁所管に対する質疑は終了いたしました。 次回は、明二十六日午前十時より開会し、通商産業省所管について審査を行うこととし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時五分散会