予算委員会第三分科会 第5号
- 発言数
- 186 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1975/02/28
会議録
○野田主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。 昭和五十年度一般会計予算及び昭和五十年度特別会計予算中、労働省所管を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田春夫君。
○岡田(春)分科員 きょうは若干、失業問題と日雇い労働者の問題、時間が三十分ですから、これだけお伺いいたしますが、まず最初にお伺いしたいのは、完全失業者が最近どんどんふえているわけですが、最近のこの趨勢はどういうようになっているのか。それから、実数などについても、この機会にひとつお知らせをいただきたいと思います。
○長谷川国務大臣 最近の景気停滞に伴いまして、失業は増加しておりまして、完全失業者は、昨年十二月において八十三万人となっております。なお、その他の問題については政府委員から答弁させます。
○遠藤(政)政府委員 ただいま大臣からお示しございましたように、十二月の完全失業者は、総理府の労働力調査におきまして八十三万という数字が出ております。最近の経済情勢からいたしまして、雇用面に相当な影響が出てまいっておりまして、私どもの方の業務統計によります失業保険の受給者数にいたしましても、十二月に五十三万五千ということで、対前年同月に比較いたしますと、失業保険の受給者が六〇%ふえる、こういう状況になってきております。ただ、幸いなことに、昨年の暮れに雇用保険法が成立いたしまして、雇用保険法の中の雇用調整給付金制度というのがございまして、これによりまして人員整理をできるだけ避けようという趣旨から、一月一日に繰り上げ実施されることになりまして、その関係で、この制度がなかりせば当然人員整理、失業という事態に立ち至るであろうものが、各業界におきましてこの制度を活用することによって、人員整理に歯どめが効いたような結果が出てまいっておりまして、その関係から、十二月、一月の失業保険のいわゆる離職率、初回受給者数が十一月までの激増の傾向から落ちてまいっております。十二月に一四%、一月に一三%前後を推移いたしておりまして、大体落ちつきを取り戻してきたという感じが出てまいっておりますので、もちろん総理府の労働力調査で完全失業者が一月には百万を超えるだろうというような予測の数字が発表されておりましたけれども、これは季節的要因がございますために、確かに百万を超すことは予想されますけれども、私どものこの失業業務統計からいたしますと、大体こういう平衡状態を取り戻しておりますし、こういった傾向で推移するのではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
○岡田(春)分科員 これはもうちょっと遠藤さん、実数で——去年の十二月の末が八十三万、一月が、この統計が出ているのかどうかわからないけれども、もうちょっと、十一月前後からの実数のカーブなどもこの機会に出していただいた方がいいと思うのですけれども……。
○遠藤(政)政府委員 完全失業者は十月七十五万、十一月七十万、十二月、が八十三万、こういうことになっております。
○岡田(春)分科員 一月は。
○遠藤(政)政府委員 一月は出ておりません。 ところが、これを前年度にいたしますと、四十八年の十二月が五十四万、それに対して四十九年の一月に七十三万、二月は八十三万、三月九十万という数字が出ております。したがって、一−三月はこの季節的要因から完全失業者の統計上もかなりな増加が見られるのは、これは例年のことでございます。これが四月になりますとまた急激に減ってくる、こういう傾向がございますので、当然一−三月は、総理府の予想数字が発表されておりますように、百万を超えることはほぼ確実ではなかろうか、私どもはかように考えております。
○岡田(春)分科員 これは百万を超えるということになると、なかなか問題なんですね。アメリカでもその問題で大変問題になっているわけですが、確かにいま局長の言うように、季節的な変動はあるだろうと思うけれども、去年と比べて問題なのは、ことしの段階における不況動向というものが相当深刻であるだけに、去年のカーブどおりに必ずしも行かないかもしれない。若干の季節的な動きなどがあっても、実数的には相当そのカーブの上昇というものは大きいんじゃないか。もう一つ、雇用関係法などによって若干の弾力性を持たせようとしているけれども、これは企業が現存する場合における弾力性の問題であって、企業そのものがつぶれてしまうという場合には、これは適用のしようがないわけですから、やはりこういう点では相当失業対策の問題をひとつ本格的に労働省としてはいまから講じていきませんと、これはなかなか問題じゃないかと思うのですが、こういう問題についての労働大臣の基本的な考え方、こういう点をひとつ伺っておきたいと思うのです。
○長谷川国務大臣 どこの国でもこのインフレ克服のためにいろいろな手当てをしているわけでして、まず私たちがいまやっていることは、国会でもずっと申し上げているように、物価抑制、そのために総需要抑制をやっております。消費者物価を三月末に一五%というのは、これは必ず実現するというかっこうになっております。 そこで、よその国の例を見ますと、よその国も大変で、御参考に申し上げますと、アメリカが八・二%の失業率でして七百五十二万九千人、それからイギリスが三・三%で七十四万二千人、イギリスは人口が日本の半分、それから西ドイツでさえも五・一%で百十五万四千人、こういうことでございますので、私たちといたしましては、こういうふうに完全失業者の数をふやさないために、国会で御可決いただいた雇用保険法の給付金制度で、きょうもまた追加指定をしたほどですが、それによって、一時帰休に中小企業の場合には三分の二の金を見てやる、こういうことで、ずっと温存というとおかしいのですが、工場の中におられるという姿が、よその国のようなシリアスな失業問題を出していない。こういうことをやりつつ、一方は、従来ある失業保険のいろいろな手当てをし、それから一番困ることは、やはり再就職の場合のあっせんをいままで以上に熱心にやるということで、全国の課長会議を開いて私自身が、こういうときに親切な行政をしてやるように言っているわけでありまして、御心配の点については、私たちも十二分に考えてまいりたい、こう思っております。
○岡田(春)分科員 やはり若干の弾力性を与えたとしても総需要抑制ということを強行しているわけですから、そうすると、この不況情勢を回復するというのは非常に困難だ。そこでそう簡単に、あなたはこの間の法律を出したからそれで弾力的にやっていけるというような簡単なものではない、やはり失業対策に対するいまから基本的態度を決めませんと、いわゆる景気の好転の可能性のめど、そういう点から見てもそう甘い状態ではない。若干これはそこら辺もう少し伺ってまいりますが、その前に地域的にどうですか。たとえば東京とかあるいは北海道とか、関西とか地域的にどういう形で完全失業者が偏在をしておるか、こういう問題も今後の対策としては一つ重要な問題になると思うのだが、こういう点もお聞かせいただきたいと思います。
○遠藤(政)政府委員 総理府統計によります完全失業者は、地域的な数字はこれはつまびらかにされておりません。私どもの方でもこれは数字の上で把握することはむずかしゅうございます。ただ沖繩県だけ、本土と沖繩だけ別途に集計されておりますので、沖繩は御承知のように完全失業者が本土の約三倍ぐらいという実情になっております。ただ申し上げられますことは、いわゆる常用雇用とそれから季節出かせぎのようなそういったのに分けて見てみますと、一般の常用雇用につきましても、御承知のように求人が昨年の秋以来急激に減ってまいりました。これは季節出かせぎにつきましても同じようなことが言えます。一番こういった経済情勢が悪化いたしまして、しわ寄せを受けやすいのがいわゆる臨時工、季節出かせぎだと言われております。昨年大臣もこの点を非常に御心配になりまして、直接現地も御視察になりましたし、私も東北、北海道の出かせぎの求人状況を視察に参ったことがございます。実態を見ますと、これは先生北海道で御承知のとおりでございますが、季節出かせぎにつきましても、やはり求人の減少の傾向は常用とほぼ同程度になっております。したがっていわゆるしわ寄せを一番受けやすい出かせぎが、特にそういった面で低下をしているというほどまでには至っておりません。したがいまして、昨年の秋からことしにかけての出かせぎの求職希望者に対してもほぼその職場が確保できる程度の求人が出ております。こういうことでございますので、いわゆる東北、北海道とかあるいは東京、こういったいわゆる工場地帯、需要地帯と供給地帯こういうふうに分けましても、さほど大きな差はなくて、全国的な失業情勢の悪化、こういう傾向が一般的に見られると思います。
○岡田(春)分科員 統計は総理府でやっているわけですからね。地域的にこれははじき出そうと思えばできるわけなんです。だからこれは労働省としては地域対策が必要になってくると思う。重点的にここを集中的にやるとか、こういうことを含めて検討するためには、総理府の統計局のそういう調査も基礎にして労働省がそういう地域的な傾向を少し調べる、こういうことをお考えになったらどうですか。
○遠藤(政)政府委員 総理府の労働力統計は、これは私どもは全体の一つの傾向の判断の材料にいたしますが、私ども具体的には全国各都道府県の有効求職者、求人者、求人倍率、こういったものと、それから失業保険の受給者の実態をこれは現実に把握いたしております。それに対応してそれぞれの対応策をとっているわけでございます。改めてまた別途地域的な集計というような必要はないと私ども考えております。
○岡田(春)分科員 私はそういう統計であっても、いわゆる地域対策が必要になるための基礎をやはりつくる必要があると思う。そういう意味で、そういう実数がつかめるならそれで結構です。地域対策の必要性を考える、ここら辺はひとつ労働大臣お考えをいただきたいと思うんです。時間がなくなってきたのでもっと進めますが、そういう点が一つ。 それから今日の不況状況から見て、失業保険のいわゆる受給期限が切れた場合、その後の問題をどうするか、こういうこともやはりいまから考えていかなくちゃならない。不承気の問題はそう簡単に私解決できると思わない。むしろこれは私から言うと意見になりますが、資本主義の体制的な危機の問題ですから、そう簡単ではないと思う。だから受給期限が切れた後どうするんだということ、それから職業補導の問題をどうするか、こういう点をもう少し具体的に労働省としては考えていかなければならぬじゃないか。いわゆる失業の弾力性の問題だけをやっておったんじゃ今日の完全失業者の問題をどうするかという問題は解決できないと思う。そこら辺をもう少し具体的に、いま申し上げた地域対策、それから受給者の期限が切れた場合その後の対策をどうするか、職業補導をどうするか、こういう点をもう少し具体的に伺っておきたいと思います。
○遠藤(政)政府委員 先ほど来御指摘の地域対策につきましては、時宜に応じて機動的な対策を今後ともとってまいりたい、かように考えます。 それから失業保険の受給期間が切れた場合の対策はどうかというお尋ねでございますが、四月一日から雇用保険法が適用になりまして、自動的に雇用保険による給付が受けられることになります。こういった失業情勢は、恐らくは新規発生はある程度食いとめることはできる、今後そういう状態が続くと思いますが、いままでの高度成長下と違いまして、発生した失業者がある程度滞留するということが十分予想されます。したがいまして、その際一番問題になりますのはやはり中高年齢者だ、私どもはこう考えております。確かに雇用保険法によりまして中高年齢者、こういった就職のむずかしい人たちにつきましては、給付期間がいままでの、現行の失業保険法よりは手厚くなっております。と同時に、さらにそういう人につきましては個別延長あるいは地域的な広域延長、こういう制度がございますし、こういうことによりまして給付期間の延長措置がとられることになっております。またいま御指摘になりました職業訓練につきましても、こういった必要な職業訓練につきましては訓練期間中給付が補償されることになります。こういうことによりまして、滞留した失業者の中で比較的年齢の若い三十歳前後の方以下、これについてはほとんど問題はないと私どもは考えております。それ以上の中高年齢者につきましては、いま申し上げましたような個別のケース・バイ・ケースによる延長とかあるいは広域地域的な延長、それから必要な職業訓練を施すことによりまして、その期間中補償する。こういつた措置によって十分対処できると考えておりますし、またそれに対応する中高年齢者の職業紹介につきましては最重点的に行政を進めてまいりたい、かように考えておりますので、一応私どもはこの雇用保険法なり、雇用対策法あるいは中高年齢者につきましては四年前に成立いたしました中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法、こういったものをフルに活用することによりまして、今後一年間十分対処していける、かように考えておるわけでございます。
○岡田(春)分科員 いま十分対処していけると、こういう話ですが、私は必ずしもそうは思わない。一つは、職業紹介の面でもいろいろ努力をされるでしょうが、これはやはり企業それ自体が不況なんですから、紹介する先がないという状態になってくるわけですよ。そういうことから言うと、どういうようにして先を開拓するかという問題になる。そういう点が一つ大きな問題になるという点をいまから私は指摘をしておきます。 それからもう一つは、中高年齢層の問題というのは、これは非常に重大である。その場合に、やはり職業補導の問題が非常に重要になってくると私は思う。そこで職業補導についても云々と先ほどお話があったけれども、それじゃことしの予算の中で職業補導をするためのそういう施設がどういう形になっているのですか。もっと増設をして、中高年齢層のために具体的な措置があるんですか、どうなんですか、新年度予算として。
○遠藤(政)政府委員 職業訓練校につきましては、全国に県が運営しております職業訓練、それから雇用促進事業団が設置いたしております八十九の総合職業訓練校というのがございます。新増設につきましては御指摘のように、特に今年度新設ということは、例年ベースでございます。ただ、従来この職業訓練校は、いわゆる中卒、高卒の新卒を対象として主としてやっております分が、新卒者が進学率が高くなり、したがいまして就職者も減っておりますが、職業訓練校に進学して訓練を受けようという人も非常に激減しております。したがいまして、この施設の収容定員が非常に、各校によって差はございますけれども、大体平均八割程度になっておるかと思います。所管でございませんので、私正確な数字を記憶しておりません。したがいまして、そういった従来の施設の内容を充実することによりまして、これを中高年齢者の職業転換訓練に振り向けるという措置を講じておるわけでございます。
○岡田(春)分科員 とおっしゃると、こういう意味ですか、あなたのおっしゃることは。新卒関係のスペースが幾らかあいているからそれを中高年齢層に向けるというような、具体的な措置を新年度においては考える、そういう意味ですか。
○遠藤(政)政府委員 そのとおりでございます。
○岡田(春)分科員 これは重要な点ですから、そういう点も大臣ひとつお考えいただかなければならない。そしてやはり中高年齢層の職業補導問題は、よほど考えていきませんと、いま局長は立て板に水を流すがごとき御答弁だけれども、そう簡単に、甘い状態じゃないのですよ。 それからもう一つ、これは通産省の関係で、不況産業の業種指定をやっておるでしょう。そうすると、それに対応した失業対策というのは必要になってくる。これはいまお考えになっていますか、どうなんですか。
○遠藤(政)政府委員 最近におきまして、私どもで不況関係の業種指定をいたしております。これは通産ではなくて私どもの方でございます。 雇用保険法によります、いわゆる不況に伴って操短、休業をやります、そういった業種の指定を、きのうは第三次の指定をいたしました。四十六業種の指定をいたしております。一月以来いままでに指定いたしました業種が全体で八十二業種、対象人員が七百十二万人、ほとんど大部分が製造業でございます。こういった業種指定が行われましたものにつきましては、操短に伴う休業中の賃金補償をする、それから先ほど申し上げました雇用保険法による給付期間の延長等も、こういった不況業種から出てきた人たちについては失業給付の給付期間の延長、こういう措置も雇用保険法施行後は予定されておるわけでございます。
○岡田(春)分科員 時間がなくなってきたので、北海道の石炭手当の問題をどうしても聞かなければならないんだが、いまの問題をもうちょっと伺いたい点が大分あるのです。しかしそれは後で、時間が許せばまた伺いましょう。 日雇い労働者の石炭手当ということでございます。まず第一点は、新年度としては失業対策事業に就労する労働者の賃金の問題、どうなるのですか。
○守屋説明員 いま先生お話の失対賃金、これは冬季加算の問題だと存じますが……(岡田(春)分科員「いや初めは賃金全体の問題」と呼ぶ)賃金全体でございますか。昭和四十九年度におきます失対賃金の現在における平均単価は千八百九十五円……(岡田(春)分科員「千八百四十五円」と呼ぶ)失礼しました。それが四十五円の上にこの間三十円の米価加算がございました。昭和五十年度におきましては、二千百二十円だったというように記憶しております。
○岡田(春)分科員 米価加算で千八百四十五円になった。九十五円になったんじゃない。あなたは課長になってからまだあれだから、時間が余りないからいいですよ。というのは、私数字を持っているからです。 それから、二千百二十円が新年度予算、そこで二千百二十円にしても、問題は石炭手当ですね。石炭手当は、最近は御承知のように北海道、東北でも、石炭も使うけれども灯油が多いのです。ところが一昨年から石油ショックで灯油がぐっと上がってきたわけでしょう。こんなに上がってきているのに、いまあなたの課長の方のお話の石炭手当、冬季の加算金ですか、これは去年は一銭も上げなかった。これはおかしいと思います。これはこの手当というものが法的にどういう根拠にあるかという問題はともあれ、北海道の場合、現実にいままで百四十円出しておったわけですから。それなのにその百四十円というのが昭和四十八年の四月から据え置きなんです。四十八年の下半期から石油ショックでずっと上がったわけでしょう。そうして去年いっぱい上がったわけですね。この間じゅう上げてないのですよ、百四十円で。去年上げなかったというのは私は納得できないのです。これは実績の問題として百四十円というものですから、これほど上がったのなら、要求した額は全部上がらないにしても、当然これは上げてあげなければならない。ところがそれについては去年もおととしも全然上がってないのです、おととしの下半期も。そうするとこの冬はたいへん気の毒な状態だと言わざるを得ないわけです。やはり私は四十九年度中に一つは加算をしてあげること、そうしてまた五十年度以降においても加算してあげるということを考えて上げるべきだと思うのだが、こういう点についてはどういうお考えなんですか。
○遠藤(政)政府委員 先生御指摘の点は大変ごもっともでございますが、従来から日雇い労働者に石炭手当というような考え方は、これはもう通用しないわけであります。さはさりながら、実態としまして、いま御指摘のように、従来から冬季加算という形で北海道地区では百四十円、内地はかなり差がございますが、そういう冬季についての加算が行われております。実は四十九年度は大幅な賃上げも私どもいたしたつもりでありますし、それにさらに年度途中で六%の引き上げをやるというようなことから、この冬季加算についてはいろいろな問題がございまして、御要求がございましたけれども実行がむずかしかった。五十年度については何とか考えたいということで努力をいたしておりまして、来月失対賃金審議会が開かれます、そこで五十年度の賃金決定をされます際に、できるだけそういった御要望の趣旨に沿って実現を図るようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。
○岡田(春)分科員 ここに統計を持っていますけれども、四十九年並びに五十年−五十年の問題は別として、四十九年に大幅の賃上げをやったと、こういうお話だけれども、パーセンテージにして二〇%ですよ。二〇・七ですよ。一般産業は三〇%でしょう。これから見たらそう大幅な賃上げではないですよ。金額の単価でいって三百三十円です。そんな大幅な賃上げをやったのだから冬季加算はいいのですなんということは理由にならないですよ。これはたとえば千八百四十五円で計算をしても、月二十二日の満稼働で四万円にしかならないのですよ。四万円にしかならないのに、それだけ上げているのだから、石炭あるいは灯油の問題は、これは上げなかったというのは理由にならぬですよ。灯油の値段は、あなたは私が言わなくたってわかっているでしょう。その証拠に、国家公務員の場合には最高六三%でしょう。最低でさえ五四%のいわゆる石炭手当のアップですよ。それが一銭も上げなかったなんて理由にならぬですよ。局長もだけれども、これは大臣どう思いますか。今日の問題として、実績の問題として、生活のこの苦しい状態を一体どういうように思われますか。やはり上げてあげるのが当然じゃありませんか。大臣ひとつ御意見を……。
○長谷川国務大臣 従来の経過は先生と局長のやりとりでわかりました。そしてまた五十年度においてはそういう問題について前向きの姿勢で審議会の方にも話ができるということでしたから、それを踏まえながら考えていきたい、こう思っております。
○岡田(春)分科員 その審議会の関係では、労働省としては大体どれぐらい上げるというおつもりで進めておられるのですか。
○遠藤(政)政府委員 これは言いわけになるかもわかりませんけれども、この冬季加算がそのまま灯油代、石炭手当に相当するものだというわけではございませんで、賃金そのものにそういった配慮が加えられている面もありますし、それにプラスアルファを加算いたしている、こういう考え方でございます。したがいまして、私どもとしましても、失対賃金の予算の、これは冬季加算として別途そういう予算があるわけではございません、その枠内の操作で私どもは最大限にこの冬季加算の配慮をいたしたい、かように考えております。
○岡田(春)分科員 まだちょっと時間がありますから伺いますが、私は知っているんですね。あんな数字ではだめですよ。大臣は御存じないかもしれないが、今度二十円上げる。二十円なんかじゃ話にならぬじゃないですか。しかも去年というか、四十九年度いっぱいは全然上げないで、いままで十円ずつ小刻みに上げてきたんです。去年だけは十円上げなかったんです。灯油が上がったとき上げなかったのです。そして今度は二十円上げる。これではだめですよ。ここでもっと思い切って措置をお考えいただくように特に私は希望したいと思うのだが、大臣、どうですか。これではひどいですよ。ひとつ御意見を大臣から伺っておきたい。
○長谷川国務大臣 従来の関係もわかりましたし、いま局長が話したように……(岡田(奉)分科員「思い切って」と呼ぶ)思い切ってというわけにはどうか、その辺はわかりませんけれども、検討いたすことをひとつ御理解願いたいと思います。
○岡田(春)分科員 どうなんですか。加算金制度というものはここまできたら固定化して見ますからね。ここでやはり賃金体系といいますか、そういうものを抜本的に再検討してみる必要があると思う。ということは、基本給の中でも先ほどは相当思い切ってとお話しになったが、私はこれで十分だとは思わない。やはりそういう点を根本的に検討して、それからやはり現実に北海道、東北は冬季に灯油がなければ、石炭がなければやっていけないのは事実なんですから、これは制度化することが必要だと私は思うのです。そういう点で体系全体とそういう寒冷地における暖房関係の手当、そういうものをここで根本的に再検討されて制度化されるということを含めてひとつお考えいただけますでしょうか、どうでしょう。
○遠藤(政)政府委員 失業対策事業の制度そのものにつきまして、法律なり規則によりまして一定期間ごとに再検討いたすことになっております。ちょうど五十年度は制度検討の年に当たっております。いま先生お説のような失対就労者の賃金そのものにつきましても冬季加算だけでなくて、賃金のあり方自体について、これは制度的にいろいろ問題が出てまいっております。そういった点を根本的に検討し直したい、こういうことでいま準備を進めておるわけでございます。その中でこういった寒冷地の石炭手当的な冬季加算というものが果たして制度的にこういう定額的なものがとり得るかどうか、あるいはそれを賃金との関係でもう一遍考え直す必要があるのかどうか、そういった点、根本的にひとつ検討してみたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○岡田(春)分科員 これで終わりますが、最後に、これは最初に申し上げたように、不況は相当長期間、それで雇用の関係は非常に悪いから、大臣、いいですか、そうすると完全失業者はふえる、日雇い労働者もふえると見なければならない。ところがこういう人の中では、北海道、東北に住まっている人のようにストーブをたかないでいるという人なんかだれもいないんだから、やはりそういう問題を、いま遠藤局長が言われたように、制度的に根本的に検討するときには、何かお恵みで百四十円を百六十円にしたなんというのじゃなくて、制度的にここは確立をしていく、灯油に対しても少なくともそれに見合ったものを考えていく。そうでないと労働省のやり方としては本当に労働者を守るということになりませんよ。いま百四十円あげておるのですなんて言ったら、大臣、恥ずかしくてちょっとほかに言えないんじゃありませんか。もう二十円上げてあげますなんて、そんなのちょっと話にならぬですよ。これはひとつ大臣、この機会に政治方針を根本的に再検討される段階だそうでございますので、そういう点を含めて、冬季間における問題を、政治方針をここで言明をしていただいて、私も時間があり比せんからこれだけにいたしますが御意見を伺っておきたいと思います。
○長谷川国務大臣 こういう不況のときでございますから、ただいままで御説明申し上げましたように、いろいろな手当などもしております。なお将来の問題に対してもきめ細かい手当てをするように改めてお互いにひとつ勉強していく、こういうふうにお考えをいただきたいと思います。
○野田主査 これにて岡田春夫君の質疑は終了いたしました。 次に、藤田高敏君。
○藤田分科員 私は、昨年の暮れの臨時国会で成立を見ました雇用保険法の適用状況の問題、いま特に重要な問題として国会の中でも論議されております最賃制の問題、いま一つの問題は労働者の未払い債権の問題、この三点についてお尋ねをいたします。 まず第一に、昨年成立を見ました雇用保険法によっていわゆる雇用調整給付金、この適用状況はどうなっているか、特に大企業、中小企業に区分して説明をしてもらいたいと思います。
○小粥説明員 雇用調整給付金制度の手続としましては、事前の届け出と、その後休業してからの申請、それから支給決定、こういう手続になっておりまして、その事前の届け出の状況を一月末現在で私どもが取りまとめたところによりますと、届け出事業所数は、総数で約三千四百、そのうち、大企業が三百事業所、それから中小企業が約三千百事業所、休業予定の延べ人日が総計で約三百五十万延べ人日、そのうち大企業が約百六十万延べ人日、中小企業が約百九十万延べ人日となっております。
○藤田分科員 いまの報告を聞きましても、事業所数はこれは当然のことでありますが大企業の場合は数が少ない。しかし延べ人員でいきますと百六十万対百九十万、これは直感的な比率でありますが、四分六くらいということで、大企業に対する適用というものが相当多いと思うのです。これは法律のたてまえからいけば、大企業も中小企業もこの法律の適用を受けることになっておりますが、問題はこの大企業が特に莫大な利益を上げておる。不況下とはいいながらその決算において内部留保をやり、配当においても一割五分とか、ひどいのになると二割ぐらいの配当をやっておる。株の一部、二部上場にも名を連ねておるような大企業がこの雇用調整交付金の対象になっておるということについては、私は少しくこの法律のたてまえからいって、こういう不況下における中小企業の倒産を未然に防止する。そして企業それ自体の救済もさることながら、労働者自身の雇用を安定するというところに重点を置いてこの法律が制定されたいきさつからいけば、無条件で何のチェックもなく、莫大な内部留保をしておるような大会社に対して、この調整給付金が支給されることについてはいささか問題があるのではないか。その点に対する見解をまずお尋ねしてみたいと思います。
○遠藤(政)政府委員 この雇用調整給付金制度の適用に当たりましては、まずどういう業種を対象にしてこの制度を適用するかということが前提になるわけでございます。その業種を指定いたします際には、当該業種の生産実績、業績というものが最近三カ月間にどういう状況になっておるか。業績が一般的に不況の影響を受けて低下をしておる、そういう実態をとらえてこの指定をいたします。と同時に、もう一つは、それによって雇用面にどういう影響が出てくるか、雇用面で労働時間がどのくらい短縮されてくるか、あるいは雇用指数がどのくらい落ちてきているか、こういう両面からとらえることにいたしておるわけでございます。 そこで、そういった業績なり雇用面の指数から見て、不況業種と指定されましたその業種に属する各企業の中で、大企業、中小企業、それぞれいずれの場合も比較的景気内容のいいもの、悪いもの、これは差があると思います。そういうことで、いま御指摘のように、特に大企業あたりで内部留保あるいは高配当を持続しておる、こういったものについてチェックすべきではないか、こういう御意見かと思いますが、この点につきましては、実はこの運用基準を定めます際に、中央職業安定審議会の労、使、公益、三者の中でもそういった御議論がございました。ただ、この制度の趣旨からいたしまして、要するに、そういう不況業種から操短等によって人員整理失業を出さないということがこの制度の趣旨、目的でございます。その場合に、こういった内部留保とか配当、そういった点を要件として取り上げることにつきましては、これは時期的な問題とそれから技術的な問題、これは非常に高度な技術を要する問題でございます。こういうものを取り入れることについては非常に問題があるというようなことで、ずいぶん御議論の結果、ただいま申し上げましたような私どもの定めております基準に基づきまして、その上で当該企業における労使が協定をいたしまして、その協定に基づいて、操業短縮、休業をした場合にこれを適用する、そこでチェックする、こういうたてまえになっておるわけでございまして、御指摘のような点をこの制度の中に取り入れることは非常にむずかしい、かように考えるわけでございます。
○藤田分科員 技術的にむずかしいということと、いま私が主張しておることを何とか実現するということとは別じゃないか。というのは、これは時間の関係で細かくお尋ねすることはできないと思いますが、たとえば大企業がどのように内部留保をやっておるかという一つの例でありますが、これは電機労連という有名な労働組合であります。この調査によると、昭和四十八年下期から四十九年上期、三月にかけて日立、東芝、三菱、富士電機など電機総合四社の内部留保は、前期よりも七・一%伸びて五千九十五億円、安川、明電舎など重電機器十社では、九%の伸びで六百二億円、日電、富士通など通信機器十社で八・四%の伸びで千八百五十億円、松下、ソニーなど家電音響九社では、七・九%の伸びで七千二百二十七億円、部品五社では、二八・七%の伸びで百四十一億円と、それぞれ大幅な伸びを示しております。これら電機各社の内部留保の総額は、四十九年の上期、三月現在で一兆四千九百三十億もの莫大な額に上っておる。これは電機関係でありますが、時間の関係で、同じく四十八年度、大企業申告所得上位五十社を中心にして調査したものによりましても、その隠し財源とも言うべきものが、かれこれ五十社で四十八年度で七兆五千四百九十四億円にも達しておるわけですね。ある会社においては二千億からの内部留保をやっておる。それで、去年春闘であれだけ、三〇%の賃上げをやったといいますが、内部留保額と賃上げ額とを比較しますと、いま私が読み上げた電機メーカーの関係の平均は、内部留保額に対する賃上げ額はわずか一一%しかないのですよ。これだけ莫大な内部留保を抱えておって、そうしてこの雇用調整金で、労働者や使用者のいわゆる保険金でこういう大企業のいわば救済に当たるということは、私はこれは社会的不公正じゃないけれども、今日の大資本家に社会的モラルを要求してみても、これはしょせん利潤追求の大会社ですからそういうモラルはないと思いますが、やはり問題は、考え方としては、この給付金を適用するときには、本当に赤字だ、企業が赤字で、もうこれは休業でもやらなければ倒産をするんだ、こういうような会社に対して、その労働者の救済策としてこの給付金がいわば休業補償として支給される。そういうものでなければこの法律自身の制定の基礎が崩れるんじゃないかと思うのですが、どうですか。これは大臣からひとつ。
○長谷川国務大臣 藤田さんのおっしゃる気分は私もわかるような気がします。しかし問題は、審議会などにおきましても、業種指定のときには労働組合の委員が出ているわけですよ。いま、この雇用保険給付金が出まして、一番人数としてカバーされているのは実は電機労連なんです。そう私は記憶しているんです。繊維よりも何か、数は電機関係の方が多い。そのときに大企業とか中小企業とかということもあるけれども、やはり労使が、過去三カ月間の生産実績の落ち込みなどからして労使で話をつけたものを、私の方が実績を見ながら指定していくというかっこうですからね。何か、政府がほかの、大企業の労働者ばかりを助けるというふうなことじゃなくして、労働者を助けるというところにひとつ視点を変えていただきたい。私の方は、大企業であろうと中小企業であろうと、やはり労働者、そしてその場合に、御承知おきのとおり、中小企業の場合には三分の二出して、よけいカバーできるようにというふうな感じ方を持っておることを御理解いただきたい、こう思います。
○藤田分科員 私は形式論としては大臣の言うとおりだと思うのですよ。労使の協定ということは、なるほど大事な条件です。これはやはりこういう雇用条件を決めることですから、当然のことだと思います、手続的には。しかし私は、労使の協定というものを今日政府は隠れみのにしておるんじゃないか。いわば大蔵省だったら大蔵省に対する有価証券報告書あたりを点検すれば、これは労使が仮に協定をしても、いま私が前段指摘したような実態であれば、これはやはりその適用に当たってそこに一定の行政指導というか、おたくはこれだけの隠し財源を持ちながら、この雇用保険法の申請をしてくることはいささか問題があるんじゃないか。私はそういうチェックをやるべきだと思うのですよ。労働者の雇用条件の保障は、私は、まず大企業、中小企業を問わず、その企業体の責任において、経営者の責任においてやるべきものだと思うのです。いま大臣の言うようなことを言えば、労使が協定したら無条件で何でも適用する、こういうことにもなりかねない。私はそういう点では、大企業の労働者といえども中小企業の労働者といえども、失業することについては反対であります。それは救済しなければいかぬ。しかしその場合に、こういう制度ができて給付金を出すには、おのずからそこには一定の節度というものがあってしかるべきじゃないか、こういうことを言っておるわけです。そういう点についての厳格なチェックの方法についての見解をいま一度尋ねておきたいと思います。
○遠藤(政)政府委員 内部留保とかそういった点について、大蔵省とか他の省庁にあります資料を参考にすればいいのではないかというお話でございます。 先ほど御指摘になりました内部留保等につきましても、実は業績がよかった四十八年あるいは四十九年上期の数字をお示しになりましたけれども、結局問題は、昨年の秋以来急激な不況で業績が落ち込んでいる。私どもの方は、指定の直前三カ月間の業績、雇用実態を取り上げておるわけでございます。その時点において、果たしてその留保がそういうことになっているのかどうか、これをチェックすることはまず不可能に近い。私どもは、そういう生産実績なり雇用面の指数というものを過去三カ月間をとりまして、それをもとにして休業の計画ができ、その休業の計画が労使合意の上でなされる、こういうチェックをいたしておるわけでございます。そういった実態に照らして、なおかつ先生の御指摘のような明らかに不当だと思われるものは、何らかチェックする方法を考えるべきだと思いますが、私どもは、こういうきわめて厳正な数字をもとにいたしまして、労使関係の上に立ってこの運営をやっていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○藤田分科員 問題が詰められないところは、いずれ改めて社労委あたりで継続して私は質問します。 そこで問題は、この雇用保険法との関係において労働者の未払い債権の問題であります。この雇用保険法の給付金からいけば、まだ働いてない、しかし実態としても、企業が不況でどうにもならないということで働いてない労働者に対して給与を払って、そうしてめんどうを見ようというのがこの制度でしょう、形の上では。ところが一方、労働者が働いて、労働者の当然な正当な権利として要求される労働債権が、企業倒産でいま未払いになっているものがたくさんあるわけです。これは時間の関係で一々申し上げませんが、たとえば全国金属の労働組合が二、三調査したところだけでも、五十件近くで、たとえば東京、千葉、埼玉に工場を持つ浜田精機、あるいは東京に事業所を持つ渡辺製鋼所、静岡に工場を持つ東海無線、ことしの一月に倒産をした石川県の北陸機械、いま私が読み上げた四社だけでちょっと五十億からの賃金と退職金が未払いになっておるわけです。私は非常に矛盾を感じるのですが、今度の制度ができて、働かなくとも未然に八割になるか九割になるか、この給付金を支給して労働者のそういう失業対策といいますか、めんどうを見る。ところが、一方、働いた労働債権に対して、もういまの民法なり破産法なり商法から言って、この債権の請求順位でさえ、税金、そうしてその担保債権、賃金、退職金というふうな順序になっているのですね。私は、この後で法律改正の問題に触れたいと思いますけれども、やはり税金を払わなくても、それが直接個人の生活権には影響しないのです。しかし、労働者の働いた賃金なり退職金——一番最後に言った北陸機械なんかはこの一月に倒産しておるのですけれども、この会社のある人なんかは、三十六年働いて九百万の退職金を目前にして一銭ももらえない。もう直接、生存権というか生活権に結びつくのですよ。こういうものに対して、せっかく政府が今度雇用保険法をつくった、こういう立場から行くならば、まずそういうものを救済する方法というものを考えるべきじゃないか。これが一つ。 この雇用保険法との関係から言うなれば、この雇用保険法の運用拡大を通じて何か救済する方法がないかどうか。これが第二点。 第三点は、確か昨年の九月であったと思いますが、文書で労働省なり内閣官房に対して、いま私が言っておるような救済策を講じろ、こういう申し出を全国金属労働組合がやった。この間、二月の十二日、ここに監督課長もお見えだけれども、監督課長、そうして基準局長を中心に交渉をやった。そのときにも、いま私が言ったような賃金の未払い債権については単なる基準法上の違反問題ということではなくて、人道上の問題としてその救済策を考えなければいかぬ、こう言っておるわけです。そうすると、時間的経緯からいけば、去年の九月の時点でそういう文書申し出をやっておる。あの雇用保険法が問題になったのは、七十二国会であれだけ問題になって一回流れて、そうして去年の臨時国会で成った。当然この過程で本当に労働省が労働者の問題についていま私が指摘をしておるような観点から労働対策を講ずるとするなれば、並行的に、この法律が提案されるときに、私の言っておる労働者の未払い債権救済の対策というものも制度の問題としてもひとつ提示されてしかるべきじゃないか、こう思うわけでありますが、その点についての見解を聞かしてもらいたい。
○東村政府委員 ただいま先生御指摘ございましたように、賃金、それから退職金等の未払い問題、これは重大な問題でございまして、私どもも従来労働基準法第二十四条という規定によりまして早期発見、早期解決に努めておったわけでございます。去年の三月から九月にわたる間約四十倍の未払い賃金が出たわけでございますが、その際も、いま申し上げました早期発見、早期解決ということで三十数億、大部分を払わせるということをやってまいりました。しかしながら、それでも若干積み残しがございますし、情勢にいろいろ問題がございまして、賃金未払いというものはもちろん楽観は許しません。 そういう中で、一方先取り特権の問題とか優先弁済の問題等いろいろございますが、これは企業が倒産するというような限界的な場合にいろいろ問題になるわけでございまして、そういう場合におきましても、会社更生法の適用があるというそういう形に限られた場合に発動してくるということでございますので、どうしても救済の措置ということが必要になってくる、これは先生御指摘のとおりでございます。これにつきましては、ただいま申し上げましたようないろいろの私法上の優先順位の問題、法体系の問題、さらには予算の問題あるいは求償権の問題、いろいろ問題ございまして、制度を一たん立てるということになれば、なかなか研究を要する問題もございますので、せっかくいまその具体策について検討しておるところでございます。したがいまして、その間冒頭申しましたように、早期発見、早期解決というところに全力を挙げている、そういう次第でございます。
○藤田分科員 大臣、三木内閣のある意味において一枚看板というのは、やはり社会的不公正の是正だと私は思うのですよ。しかし、これまた三木内閣に余り多くのものをわれわれ期待しようとは思っておりません。もう何もかも、最近見ると、言うところからだんだんだんだんしり抜けの方が多いわけですから。しかし、そうは言ってみても、今日この審議に当たって私考えるのは、いま私が指摘したように、働かない労働者を救済するために給付金がなにされる、働いておる労働者の賃金、退職金がもう踏み玉にされてもらえない。これほど社会的不公正の最たるものはないと私は思うのです。そのことについて労働省がせっかくこういう制度をつくりながら、そういうものを救済するということが先行して考えられないところに今日の内閣の労働政策なんてものは全くなってないというように憤慨さえ感ずる。 そこで一つお尋ねしたいのだが、いまの労働基準局長の答弁では、ある意味では答弁になってない。私の言っておるのは、雇用保険法の運用拡大を通じて何らかの形でそういうものを救済する方法はないかどうかということを聞いておる。それが一つですよ。 二つ目は、これはいろいろ私の仄聞するところでは、今度保険法ができて、例の保険料千分の三ですか、名前は何というのですか、労働保険特別会計というのですか、そういう金ができる。ひとつそういったものを中心に、いわゆる私が言っている未払い労働債権をそれによって立てかえ払いをする。立てかえ払い制度によって、非常に賃金の未払いができた、その賃金を払っていこうとすれば企業倒産に追い込まれそうだというときには、そういうもので、国の制度でカバーしていくというようなことを考えるべきじゃないかと思うのですが、どうですか。
○長谷川国務大臣 段々ごもっともな御議論でもあります。そしてまた、こういうときでもありますから、労働省とすれば、労働基準監督署がいろいろ動いて解決しているものもたくさんありますが、なおかついまのような問題等々も出ますので、これはやはり賃金不払いに対して手当てをするということを制度としてひとつ考えよう、こう思っております。
○藤田分科員 大臣のひとつ制度としてそういうものを考えようというお答えで、やや具体的なお答えがあったと思いますが、ここで、それでは注文をつけておきます。 この保険法は、四月一日発足が、もう一月一日に遡及してまでやったんですから、この不況の中で、やはりいま大臣が頭の中に考えておることが具体化されることが大事なんですよ。それがやはり労働者の現実の要求にこたえることなんです。そういう意味で、私は、その制度は早く考えて出してもらいたい、そしてその実施は一月に遡及してでもやってもらいたい、このことをひとつ注文しておきます。 次に、時間があともう五分しかないようですから、最賃の問題について質問をいたします。全国一律最賃制の問題については、長年労働者階級の要求であり、いわゆる今日の社会的不公正ではありませんが、この社会的不公正を是正する最大の基礎的条件として、全国一律の最賃制というものが非常に重要な政治的意味を持ってきておると私は思うのです。これは歴史的な経過は御承知でしょうが、時間がありませんから端的に申しますと、かつて大橋労働大臣の当時に、大臣と労働団体との折衝の結果——いわばその当時の最賃制というのは、最賃制という名に値しない、ILO条約に照らしても問題がある、これが大橋労働大臣の公式な答弁であったわけです。それで交渉のやりとりの結果、それでは全国一律の最賃制をつくる用意があるかどうかという質問に対して、その当時の大橋労働大臣は、全国的に、鹿児島とか岩手とか一、二の地域はともかくとして、そういう特定な地域を除けば、全国一律の最賃制は可能であると考える、したがって、そういう全国一律最賃制をつくることについて積極的に取り組むという意味の答弁があって、そして、その答弁を前提にして全国一律最賃制の実施方法については労働組合と交渉を継続する、そういう歴史的経過がある。ところが、もう最近になってずっとそのことが後退をしてきておるわけですよ。私は個人的なことを言おうと思いませんが、長谷川労働大臣はそういう労働問題に対しては非常に理解の深いベテラン大臣だと思っておるのですが、少なくとも年齢的にも大橋さんよりはうんと若い大臣ですから、そういう条件も入れて、考え方としては少なくとも大橋労働大臣が言った当時のところぐらいまでは返してくる、このことが必要だと思うのですが、どうでしょうか。
○東村政府委員 大臣のお答えの前に事実の経過を申し上げますと、いまも御指摘がございました大橋大臣の御発言、昭和三十九年当時だったと思うのですが、その後、四十年にこの問題が公労使三者構成でできております最低賃金審議会に諮問されましていろいろ検討をされました結果、昭和四十五年というときに「今後における最低賃金制度のあり方について」という答申がございました。その答申におきましていろいろ触れられておりますが、この一律制の問題につきましては、このようにうたわれております。つまり「なお地域間、産業間等の賃金格差がかなり大きく存在しているという事実を確認せざるを得ず、現状では実効性を期待し得ない。」というものでございます。したがいまして、現在、この答申に基づきまして、地域別、業種別に実効性のある最低賃金制の設定並びにその改定に努めている、こういう次第であります。
○長谷川国務大臣 大橋さん以来の経過はいま答弁したとおりですけれども、最賃制が生まれましてから、御承知のとおり、いま地域、業種別に約三千六百万の労働者がカバーされておる。それと同時に、三者構成のいまの審議会においても、一律というのはなかなかむずかしいという話が出て、結論になっているわけです。そういうことですから、先日以来も労働四団体からも私要請を受けましたけれども、これはひとつ問題として、制度の基本にかかわることですから、将来とも慎重にひとつ検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
○藤田分科員 先ほどの答弁では、いわゆる昭和四十五年の答申を盾にとって、賃金格差が拡大しておるので全国一律最賃制についてはその実効性がなかなか期待できがたい、こういうわけでありますが、これは私継続して社労委でやりますが、それではなぜ賃金の格差が拡大してきておるかということが一つ問題ですね。これはもう問題点として残しておきましょう。しかし、消費者物価の生活の実態からいけば、東京も僻地も余り違わないのです。そういう点から言って、この賃金格差の拡大は、むしろ大資本の賃金政策としてそういう実態が生まれてきておる、それに行政が、私をして言わしめれば従属しておる、ここに問題点があると思うのです。 しかしそのことは私留保いたしますが、大橋労働大臣が先ほど言ったような答弁というものは、私は大臣がかわってもその行政責任、政治責任というものは継続されてしかるべきだと思うのですよ。したがってこれはひとつ強く要請をいたしておきますが、全国一律の最賃制を実現する方向でさらに努力をしてもらいたいということを強く要求いたしておきます。 この機会に……
○野田主査 時間が来ておるのは御存じですか。
○藤田分科員 知っております。ですから、あと一分ちょうだいしまして、ただ一つこの現在の最賃制の適用に関して、心身障害者を最賃の適用外に置いておる工場があるわけです。これは昨年も六月段階で、たしか和歌山であったと思いますが、そういう実態が生まれておる。身体障害者雇用促進法ですか、あのたてまえから言っても、そういうことは絶対にあるべきでない。そういう心身障害者をいまの地域最賃の適用外に置いておるような実態を基準局は調査したことがあるかどうか、私は時間の関係で答弁を求めると同時に、全国的なそういう実態について調査の結果を私のところまで報告してもらいたい。 そして、いま法制局からも来たようでありますので、前段私が申し上げた労働者の未払い債権の確保に関する問題でありますが、いわゆる先取り債権、優先弁済の問題についてでありますけれども、現行の法体系の中ではなかなかむずかしいというわけですが、先ほどから強調しておるように、労働債権についてはもう税金よりも何よりも優先して支払うべき性質のものであると私は思う。これは特別立法をつくってでも——、何回こういったことをやっても、皆さんの方からの答弁は、現在の法体系から言えばむずかしい、こう言うわけですが、私はその部分に関しての特別立法をつくって労働者を保護すべきだと思うのですが、労働大臣からもひとつそういう法改正に向けての努力をしてもらいたいということと、法制局としては、そういう法改正は可能であると思うのですが、見解を聞かしてもらいたいと思うのです。
○東村政府委員 ただいま最賃制と身体障害者等の方の適用除外の問題について御指摘がございましたが、これは最低賃金制に適用ございます。ございますが、その企業、その事業で働いていて、特に仕事との関係において能力ないしは能率の面で問題があるという場合には申請を出させまして、その申請があった場合に審査をいたしまして、審査の結果、野方図に最賃を外すのではなくて、その人たちについては別途の一応の歯どめをつくる、こういうことになっております。
○藤田分科員 その実態はどうなんですか。調査したことがあるかどうか。
○東村政府委員 実態については、いま手元にございませんが、ありますからまた御説明いたします。
○茂串政府委員 未払い労働債権の問題の御質問と思いますが、先生御承知のとおり、現行法でも、民法、商法等に先取り特権の規定が被用者の給料についてはそれぞれあるわけでございますけれども、なお立法政策的に考えてこれでは非常に足らぬという点があるとすれば、それは当然労働省の方でいろいろいま御検討なさっているようでございますので、その結果を見た上で私どもとしては対処したいというふうに考えております。
○藤田分科員 最後に大臣、どうですか。
○長谷川国務大臣 賃金未払いは、働く諸君はもちろんのこと、家の奥さんとても大変なことでございますから、いままでもそういうことのないように厳重に指導監督に役所は動いておりますが、なおいまのように私どもの方でも制度としてこれを発足させようということで、ほかの法律との照らし合わせ等々もございますので、研究させております。これはいずれ発足するような勉強をしておるということを御理解いただきたいと思います。
○藤田分科員 終わります。
○野田主査 これにて藤田高敏君の質疑は終了いたしました。 次に、安井吉典君。
○安井分科員 失業対策事業に従事する労働者の冬季加算金の問題について、岡田春夫委員からも先ほど質問があったそうでありますが、私はそれの中身を聞かないでおりましたので、あるいはダブるところがあるかもしれませんけれども、まずその問題からお尋ねをしてまいりたいと思います。 失業対策事業に従事する人たちに対する賃金の決定の方式だとか各種手当の問題等で、関係者からのいろいろな不満や、その不満に基づく要望等が労働省にこれまでも出されていると思うのでありますが、とりわけインフレがどんどん進んでくる状況の中で、言葉は悪いかもしれませんけれども、弱者救済というのはいま慣用語ですからその言葉を使うといたしましても、そういう問題の中の一つの焦点ではないかと思います。そういう中で、とりわけ冬季加算金と言われるものについて、私ずいぶん問題があるように思うわけであります。現在は北海道で日額百四十円、北海道以外の寒冷地九県については日額四十円という冬季加算金の支給があるわけでありますが、これではとても一冬の灯油その他の燃料を準備するには問題にならない額だということでありますが、現在では制度的にもいわゆる寒冷地手当といいますか、そういうような仕組みがないわけでもありますが、私は制度論としても明確に手当という形でつくるべきだということと、もう一つ、額を実情に合うように大幅な増額をすべきだと思うわけでありますが、その点いかがですか。
○遠藤(政)政府委員 失対就労者の冬季加算の問題につきましては、先生従来の経緯をよく御承知のことだと思いますが、従来は、本来日雇い労働者に支払われる賃金というものの性格からいたしまして、いわゆる冬季加算的な、こういう形で行われておりますいわゆる冬季間の燃料代の問題でございますが、こういうものをいわゆる石炭手当とかあるいは寒冷地手当というような形で制度化することにつきましては、日雇い労働者の性格からいたしまして、また緊急失対法のたてまえからまいりますと非常に問題のあるところでございます。ただ、実際上当然そういった生活費の中に燃料費も含まれているわけで、そういうものが賃金として一般的に行われて、その賃金に類似の賃金という形で失対賃金が定められているというたてまえからいたしますと、制度化は非常にむずかしい問題でございまして、実行上、いま御指摘になりましたような、現行が北海道地区で日額百四十円加算をされているという形で推移してまいっております。 先ほど岡田先生の御質問もございまして、五十年度は失対のあり方自体につきまして根本的に再検討を加えるという時点になっております。賃金のあり方それ自体につきましても再検討の必要があるか、かように考えておりまして、冬季加算の問題がいかにあるべきか、こういった点も含めて検討いたしてまいりたい、かように考えております。
○安井分科員 北海道百四十円、府県四十円という額は、月に二十二日働いて、北海道の場合は六カ月問ですか、支給期間があるにしても、それを満度に百三十二日間受ける場合、北海道の場合は一万八千四百八十円、それから東北六県、北信越三県の九県が四十円の対象になって五カ月分、それですと四千四百円ぐらいにしかならないわけですね。私は、一番ティピカルな北海道の例を中心にして申し上げても一万八千四百八十円、それを全国一律の、いろいろ差はあるわけですけれども、大体に全国的な統一された失対賃金の上に、寒い北海道だから一万八千四百八十円だけ一冬足してやればそれで済むのだという考え方自体、どんなことがあっても納得できないと思うわけであります。最近はインフレで灯油も値上がりしている。政府はほとんど石炭山をつぶしてしまったから、石炭はもうありませんよ。石炭ストーブもなくなって、灯油しか燃料がない。じゃ、これ以外に基本給の方でまかなえばいいと言ったって、せいぜい二十二日働いて、最高、北海道で四万二千四百六十円ぐらい。月の収入が四万二千四百六十円じゃ、この中で灯油を買えと言ったって買えるわけがないじゃないですか。しかも、働かなければ当たらないわけでしょう。そしてまた、百三十二日、六カ月間といいますけれども、北海道などは大体七カ月はストーブをたかなければならない日がある、こういうわけです。ことによれば真夏でも北海道の人はストーブを外しません。寒い日があったらたくというくらいなことですから、まあ真夏の灯油代を私は言うのじゃありませんけれども、せめて六カ月分だけでも十分たけるぐらいの額にならなければおかしいのではないか。とりわけ私はいまの段階においてこれを取り上げるというのは、一月二十三日に人事院は国家公務員の寒冷地給についての勧告をいたしました。そしてきのうの衆議院の本会議でこの法案を可決して参議院に送りました。今度の値上げは、灯油の恐ろしい値上げ状況を反映して——従来は石炭を中心にした算定であったわけですね、それが今度は灯油計算に変わったわけですが、最高六三・六%も引き上げが行われるわけです。北海道の乙地でも平均十三万円ぐらいの額になるはずです。きのうそれが国会を通ったわけですね。これでも一冬どうかというふうなことであります。これは燃料代のほかに寒冷地独自のいろいろな支出が必要だというので、燃料手当の部分と、寒冷地に住むことによっての支出増とをプラスした形で現在の寒冷地給の支給が行われているわけですから、それの合計が平均で十三万円以上になる、こういうふうな状況です。国家公務員についてそれが行われれば地方公務員も全部これに準じて、これは昨年にさかのぼって支給が行われる、こういうわけです、四十九年度中ですから。そういう段階で相変わらず一万八千円ぐらいしか燃料代が当たらない、こういうふうな状況ではいかにも国の政治は片手落ちで、三木さんが不公正是正というのを大きな看板に掲げている段階において、余りにも考えがなさ過ぎるのではないか、私はそう思うのですが、大臣どうですか。
○長谷川国務大臣 いまの話ですとそういうことになりますけれども、こういういろいろな制度については、いまから先も是正の方向に検討してまいりたい、こう思っております。
○安井分科員 生活保護世帯に対する冬季加算もあります。これも冬季の薪炭費としての支給の基準、一級の甲地なら八万百五十円くらいになりますね。だから、生活保護の適用の人にも八万円くらいの薪炭費が出るというふうな段階で、全くこれはお話にもならないのではないかと思うのであります。第一、日給の上に加算をするという考え方自体が実はおかしいので、働かなければその日はストーブをたかなくてもいいというふうに聞こえるわけです。働くときにはうちじゅう、恐らく細君も一緒に働きに出るというふうなことで、空っぽですからストーブをたかなくてもいいが、休んでいるときはうちの中にいるのですから、むしろ休んでいるときの方がストーブの必要がある、こういうわけです。北海道はことしは雪も多いし寒いんですけれども、しかし普通の年でも二日で二十リッターくらいの灯油をたきます。一冬でドラムかん十一本はどんなうちでもたくんですよ。つくりのいい、きちっとした家ならそれで済むかもしれませんが、すき間だらけのがたがたした家ならもっとたきます。ちょっとこちらで想像のできないような燃料の消費量があるわけであります。 ですから私は、五十年度に再検討すればその中から何か答えが出るだろうというふうな簡単なお考えでものごとを済まされては困ると思う。国家公務員は、いま法律を国会で通すということは、これは間もなく参議院も通りますから、法律になって、四十九年度内に支給をするために——従来の法律の支給は八月に行われておりますから、その差額を三月一ぱいまでに支給するために、いま大急ぎで国会は審議しているわけです。その支給の財源は予備費を流用してやるということまで政府部内で了解がついて、それでいま国会での通過を進めているわけであります。だから私は、五十年度の中で何らかの結論が出るなどという悠長なことを言わないで、いまは特に寒冷地給という制度的なものがないとすれば、なければないでいいじゃないですか、暫定的な措置としても四十九年度分をさかのぼって支給をする、それくらいの構えがあっていいのではないかと私は思うのですが、どうでしょうか。
○遠藤(政)政府委員 緊急失対法によります失対就労者の賃金のあり方については、これはいろいろ従来からも御議論のあるところでございます。こういう日雇いという労働形態、これは労働者であるどうかはいろいろ御議論もございますけれども、いわゆる国家公務員なりあるいはその他の常用労働者の場合に、給与の面で冬期手当あるいは寒冷地手当あるいは燃料費相当分というものが制度的に支給されること、これはあり得ることでございますけれども、こういう形でありますと、北海道地区あるいは東北の寒冷地におきましても、日雇い労働者にそういった燃料手当、寒冷地手当が支給されるような例は従来もないわけでございます。現実もございません。法律上のたてまえからいきますと、失対就労者の賃金は、こういった日雇い労働者など類似の作業に従事する労働者の賃金、これを参考にしながら決めるということになっております。それにさらに、そういった冬季の燃料費相当分の寒冷地手当的なものを制度的に支給するということは、これは非常にむずかしい問題でございます。そういうことから実態上いろいろ問題があるので、実行上の問題として、こういう冬季加算という形で何がしかそれに足し前として、こういう実行上の措置がとられておるわけでございます。 そういったことで失対就労者の賃金自体にいろいろ問題がございますので、先ほど来、五十年度は検討時期にも当たっておりますので、賃金のあり方自体についても再検討いたしたいと考えて準備を進めております。その中でこういう冬季加算をどういうふうに処理したらいいのか、御趣旨の方向で処理できるかどうか、そういった点も検討してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○安井分科員 北海道では氷点下三十度くらい下がる日もあるわけですね。テレビは、水道管が凍ると困るから部屋の中を暖かくしてお休みください、こう流すわけです。これは別に労働大臣がそのテロップを流しておるのじゃないと思いますけれども、一方燃料代として一年間に実際は十万円かかるのに一万八千円しか当たらない、そういう事態に置かれているのをそのままにして——私は局長から公式論を伺いました、もう何度も何度も聞いたお話です。そういう教条的な一つ覚えを流しているだけで問題が解決できる道理はないと思う。やはりここでもうひとつ思い切った発想の転換をこそすべきだと思う。三木さんは洗い直しという言葉がお好きなようですけれども、そんな洗い直しをしている前に、いまことしの冬をまだまだこれからストーブをたくわけですから、最後までどう過ごすかということで苦労をしている人たちがあるわけですから、大臣どうです、四十九年度中に何らかの暫定措置をおやりになるというお気持ちはありませんか。
○長谷川国務大臣 私も寒いところに育った者で、しかもすき間漏るところから雪が入ってきて、朝見ると布団の上にすうっと雪が線を引いたように積もっておるというところに育ったものですから、寒さに対する恐怖ということは感じられます。お話の趣旨はよくわかりました。私自身は専門家じゃありませんけれども、失対の方々が最近非常に年をとっておられたり、いろいろなこともありますので、これは制度全体を一遍みんなで見直して、検討して手当てをしていくというふうな方向に行かなければいかぬのじゃないか、こういう感じ方を持っているわけです。いまお話しのことは十分胸にとめて、いますぐこれをやるとかなんとかということは私がここで申し上げるわけにはいきませんけれども、制度全体の問題として考えてみたいという気持ちのあることだけは御理解いただきたいと思います。
○安井分科員 岡田君の質問の段階から、五十年度には考え直す、洗い直す、そういうことでありますけれども、それはそれとしても、もうとりあえず何らかの措置をいま講ずべきだと私は思うわけであります。その点、まだ年度末まで日がありますから、来月中に決定されれば予備費の流用で払えるのじゃないかと私は思う。そういうことの御努力を大臣にお願いしたいし、それからまた、それはもう暫定的なものでしかないので、もっときちっとしたものを次の五十年度の段階で十分検討していただく、こういうことをこの機会にお願いしておきたいと思います。
○長谷川国務大臣 段々の御議論を伺って、私自身も勉強ができたというところでひとつお許しをいただきたいと思います。
○安井分科員 勉強だけじゃなしに、ひとつしっかりした結論を出していただきたい。 もう一つは、最近の不況による失業者の増大の問題であります。完全失業者は百万人を超すという総理府統計局の推計に対して、労働省としては異論があるというふうに伝えられておりますけれども、この失業の見通しについて、労働省としてはどうお考えですか。
○遠藤(政)政府委員 先般、総理府から労働力調査によります完全失業者が、十二月八十三万という数字が公表されました。その際、一月は百六万、二月百十六万、三月が百二十七万になるで去ろうという予測値があわせて報道されたわけでございます。 〔主査退席、三ツ林主査代理着席〕 完全失業者の統計は総理府の労働力調査でございまして、私どもの方自体では調査のデータを持っておりませんが、別に異論があると申し上げるわけではございません。失業者の動向がどうなるかということは、昨年の八月当時からいろいろな機会に、来年の一−三月、つまりこの一−三月でございますが、来年の一−三月には失業者が百万を超えるということは当然予想されるであろうし、それに対応して必要な対策を十分講じていかなければならぬということをかねがね私は言ってきたわけでございます。 失業者が百万を超えるであろうという予測を私なりにいたしましたのは、昨年の秋以来不況が深刻になってまいっておりまして、私どもの方の全国の六百の職業安定所の求人求職のデータ、求人倍率、失業保険の受給状況、こういったことから判断いたしますと、総需要抑制によりまして経済情勢が悪化していく、そうなると、従来の傾向からいたしまして当然雇用面にしわ寄せが出てまいります。それを考えますと百万を超えることは当然予想されることでございます。したがいまして、それに対する対策として、先般来、この国会におきまして雇用保険法の成立をお願いしてまいったわけでございます。そのほか現行法制、予算措置あるいは行政措置でこれに対応する対策を検討してまいったわけでございます。 総理府の統計数字につきましては、これはただ単に統計上一つの方程式を当てはめると、過去の傾向からしてこういう数字が出るであろうという予測が出たわけでございまして、私どもは私どもなりに、現実の失業発生率、失業保険の受給者数、そういったものからこの一−三月が相当厳しい情勢になるということは予測をしておるわけでございます。
○安井分科員 統計局の方の三月末百二十七万人という数字について、労働省はどれぐらいだというふうにお考えですか。
○遠藤(政)政府委員 二月、三月がどうなるか、これは全く統計専門家が過去の傾向値から一つの方程式でそういう数字をはじき出した結果であろうと思いますが、これはそうなるかもしれないし、あるいはそうならないかもしれない。完全失業者の内容は、いろいろ統計上の基準がありまして、それによって出てきた数字でございますけれども、現実の安定所におきます求人求職の動向、失業保険法の施行上の統計データとはかなり食い違っております。果たして百二十七万になるかどうかという点についてのお尋ねでございますけれども、私どもはそれにはお答えいたしかねますが、失業保険法の適用上の失業の発生率が、昨年の十一月まで急増しておりましたものが、十二月、一月と非常に落ち込んでおりまして、大体横ばい状態の数字が出てまいっております。そういうことからいたしますと、雇用保険法によります雇用調整給付金制度によって人員整理、失業が食いとめられた、歯どめが効いてきている、こういう結果が数字になってあらわれているのじゃないかと思います。大体こういう傾向でこのまま推移するのではないかという感じを私どもは行政のデータから持っております。したがいまして、百二十七万になるかどうかということについてはお答えいたしかねますけれども、この十二月、一月の傾向がそのまま一−三月の動向として推移するのではないか、こういうふうに私は考えておるわけでございます。
○安井分科員 つまり百二十七万人まではいかないだろうというふうにお考えになっているわけですね。
○遠藤(政)政府委員 いま申し上げましたように、私どもの方の行政執行上のデータと、総理府の労働力調査によります完全失業者とが必ずしも内容的に一致いたしておりません。労働力調査の完全失業者はいわゆる意識調査で、抽出調査をいたしました結果を引き伸ばしたものでございますので、それがそのまま行政上の現実の失業データと一致するかどうかということは、私どもからは申し上げられません。
○安井分科員 いま見通しの数字を挙げて、違っていたら後で責任問題が起きそうだということなのかどうか知りませんけれども、えらく慎重なお考えでありますが、見通しがなければ仕事ができないわけでしょう。一定の見通しを持ってお仕事をお進めになっておられると思うのですが、それは見通しが合うこともあるし、外れることもあったって構わぬ。どれぐらいの失業状況があらわれるのかというぐらいの見通しを国会で明確におっしゃらない方が私はおかしいように思うのですがね。どうなんですか。
○遠藤(政)政府委員 私は、あやふやな予測を言って、後で責任を問われたら大変だというようなことを考えているつもりは毛頭ございません。実は私は、だれも言わないときに、昨年の八月に、来年は百万を超えるであろうと公言してきております。したがって、私どもはそれに対応する対策を考えなければならぬ、こういうことで予測をあえて言ってきたわけです。しかしながら、私は雇用保険法の成立後いろいろな措置をとってまいりまして、失業に対して相当に歯どめが効いてきている。こういうことからいたしますと、百万を超えることは確実だと思いますが、しかし百二十七万という、統計の専門家が推計された、過去の傾向からそのまま判断された数字が果たしてそのとおりになるかどうかについては、私はお答えいたしかねます、こう申し上げておるわけでございます。
○安井分科員 もう時間がなくなってきたので、いまの問答はこれでやめますけれども、ただ、このための、いわゆる本来の意味の失業対策という点について、たとえば給付日数をもっと延ばせとか、賃金日額の最低額をもっと引き上げよとか、給付枠を広げよとか、そういう具体的な要求もあるし、これに絡んで、労働時間の短縮や週休二日制の完全実施をもっと進めよとか、こういうさまざまな要求があるわけで、これについては労働省としても受けとめていろいろ検討されていると思うのです。きょうは失対事業についての議論で最初始めたわけでありますが、いわゆる失業対策事業をこの百万人を超えるという予測においてどう運用していくのか。特に出かせぎの農民がそのかせぎ先がなくなるという事態に対して、造林だとか土地改良等の、冷害、凶作のときに失対事業があるのと同じようなそういう仕組みでの失対事業を実施するという点について、政府としてどうお考えになるか、それをひとつ伺います。
○遠藤(政)政府委員 この一−三月は、宗全失業者というデータでも恐らく百万を超すであろうという予測を私もしておりましたし、また現実に失業保険の対象になります受給者、いわゆる行政上の失業者、これも一月には九十万人という、これは失業保険法始まって以来の最高の数字を示しております。その中には、いま御指摘になりましたいわゆる季節出かせぎ受給者、季節要因が入っておりまして、季節出かせぎ受給者を除きますと、五十三万ということであります。こういう傾向も、私どもは十分実態を把握しながら、これらに対する総合的な失業対策を考えてまいっておるわけでございます。いま御指摘になりました給付日額の引き上げ、あるいは給付期間の延長、あるいは特に問題になります中高年者に対する措置、こういったものは、先般成立いたしました雇用保険法の中で、御要請に応じ得る程度の相当な措置をとったつもりでございます。 そこでもう一つの問題は、こういった事態に対して、いわゆる臨時応急的な失業対策事業的なものを実施することが必要ではないか、こういうことでございます。これも、現行の失業対策事業につきましては、四年前に成立いたしました中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法という法律がございまして、失業者に対して事業吸収方式というのは、これは失業対策の考え方からいたしますとむしろマイナスであって、プラスにならない、こういうお考え方であの法律が成立いたしたわけでございますが、なおその中で、こういった特に問題になります中高年等の人たちに対しましては、いろいろな援助措置をとりながら就職あっせん、職場の確保を図ると同時に、なおかつ問題が非常にむずかしゅうございますので、そういった人たちにつきましては、そういった人たちの集中的に出るような特定の地域、そういったものにつきましては特定地域開発就労事業という事業が予定されております。現に、全国的にはございませんけれども、局部的に各地域で実施されておるわけでございます。こういったものが今後活用されることも十分考えられることだと思います。
○安井分科員 大臣、いまの点について大臣としてのお考えを伺って、それで終わります。
○長谷川国務大臣 失業の問題は大変なものでございますから、皆さんに御審議いただいた雇用調整給付金、この問題でいま失業というものが一応歯どめになって横ばいしているという、この効果はあろうと思います。 それからもう一つは、いまから先の問題といたしますと、やはり御審議いただいた中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法、この場合でもいろいろ議論がありましたのですが、失業対策事業の基本方針としては、従来の事業吸収策によらないで、手当を支給しながら、いま御報告のあった雇用保険法によるいろいろな手当て等をしながらやってまいりたい、こう思っております。
○三ツ林主査代理 これにて安井吉典君の質疑は終了いたしました。 次に、斉藤正男君。
○斉藤(正)分科員 私は、特に阪神地方に続発いたしております港湾労働者の不当労働行為の問題について、関係者にお尋ねをいたしたいと思います。 最初に、御承知かどうか知りませんけれども、御承知ならばその詳細をお伝え願いたいし、御承知でなければ後日またお尋ねをいたしますので調査をいただきたいと思いますが、その前に、大臣はあまり細かいことは御存じないと思いますので、私のお尋ねをしばらく聞いていただいて、最終的な判断等をいただけば結構です。 昭和四十一年、神港労連の大利という委員長が亡くなっております。さらに昭和四十二年、関光汽船の全港湾関光分会の脇田という分会長が命を落としております。近くは昭和四十八年、神港労連上津港運労働組合の永井という副委員長が死亡しております。これらの一連の自殺もしくは扼殺行為はどういう背景で起きたのか。冒頭申し上げましたように、御承知だったら簡潔にその内容を御説明願うし、御承知でなければ十分調査の上、後日御報告いただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
○松井説明員 お答え申し上げます。 いま先生のお挙げになりました幾つかの事件につきまして、私どもも背景というような点についてまで調査いたしておりませんので、現在のところ十分にそのような点についてはつまびらかにいたしておりません。
○斉藤(正)分科員 事が自殺であり扼殺でございますので、当然刑事事件あるいは警察の事件であるので、労働省として知ってないということもわかるわけでありますけれども、少なくとも労働組合を結成し、労働組合の正常な発展のために努力をした、それが理由で自殺に追い込まれたりあるいは扼殺をされたということだとするならば、これはゆゆしき問題だと思うわけであります。港湾労働者でありませんけれども、トラックの労働組合に関連をして、片岡運輸の組合の役員が殺されたことも御承知のとおりである。こういうまことに恐るべき前近代的なことが続発しているというのが、私は大阪、神戸を中心とした港湾労働者なりあるいは運送労働者の今日置かれている実情ではなかろうかというように思うわけであります。片岡運輸の組合の役員が殺された事実等々も関連をし、この背後に、いま警察庁が頂上作戦を展開し、いろいろな手を打ってはおりますけれども、今日なお隠然としてその勢力を張っている山口組の背景があると私は断定をいたしております。これまた筋違いであって、それは警察庁に聞いてくださいということかもしれませんけれども、その辺の認識は労働省としてどのようにお考えになっておりますか。
○松井説明員 私どもといたしましては、労使関係の紛争につきまして、たとえば不当労働行為になったりあるいはそれがこじれまして暴力事件に至るというようなケースが最近もたびたび起こっておるということにつきましては、非常に遺憾に思っておるわけでございます。全般としましては、私は労使関係の改善の状況というのは進んでおるとは思いますけれども、いま先生御指摘のように、一部にそのような遺憾な状態がなお残されておるということは、私どもとしてもきわめて残念に思っておるわけでございまして、このような暴力事件が起こりますことは、いろいろな事情なり背景なりがあるとは思いますが、いずれにしましても、暴力事件というものは労使関係から根絶されるべきものだ、こういうふうに思っております。ただ、先生がいま御指摘になりました背景のまた背景というふうな点につきましては、私どもといたしましても、事柄が労使関係の問題でありますので、そこまで調査いたすこともございませんし、あるいは暴力事件になりますと事柄が警察当局の手にわたりますので、そちらの方の調査なりしかるべき処理をお願いしておるというところであります。
○斉藤(正)分科員 大臣、途中ですけれども、あなたは労働大臣としてその実績を高く評価され、再任をされておるわけでありますが、ナショナルセンターとか、あるいは労使間の協調とか、あるいは政府と労働者間の話し合いとかいうものにはきわめて敏腕をお持ちで、三木内閣でも大変期待をされていると思うのでありますけれども、今日、以下私が申し上げますような、労働運動として想像のできない、全く非人間的な、非人道的な、憲法なり労組法なり、あるいは労働基準法なりのもとで考えられない事実が続発しておるわけでありますが、大所高所に立っての春闘の問題だとか、あるいはストライキの問題だとかいうことであなたが敏腕をふるうのはこれまた御自由でありますけれども、私は、法の以前の問題、労働組合に加入したことによって、あるいは労働組合をつくろうとすることによって一命が落とされる、命がけでやらなければできないというような事実があることを御承知だと思いますけれども、きわめて遺憾だというような表現でなく、あなたも多少は細部について——多少どころじゃない、全部を知っているのじゃないかと思うのですけれども、いま法規課長からお答えがありましたけれども、労働省が所管する範囲内でのことというのはきわめて限られたことであって、それは警察庁の問題であり、あるいは運輸省の問題であり、あるいは法務省の問題であるということになってきましょうけれども、少なくとも労働者を保護する、労働運動の健全な育成を図るという立場に立ったときに、ここ数年のうちに三名も四名もの人命が、労働組合をつくった、あるいは健全な労働運動を進めるという上において命を落とさなければならないという事実を深刻に受けとめていますかどうか。途中ですけれども……。
○長谷川国務大臣 近代国家において労働組合を弾圧するなどということは、これはだれも考えることじゃないことです。いわんや、そういうことによって暴力が起こり、お話のように扼殺された、そういうふうなことは、これはとても大変な、聞くだけでも身の毛のよだつことです。しかも、先生がそちらの方の調査団長として行って、いろいろ御調査をされておることは私もわかっております。きのうもほかの委員会でいろいろ話が出ました。出た個所とその件数をけさ書いて、私は運輸大臣に、諸先生方はこういう問題について非常に関心を持っている、所管である運輸省は、いままでもやったろうけれども、一生懸命になお解決に労使の正常なコンセンサスを得るようにがんばってもらいたいと言うて、件数を書いて渡したところであります。一つ一つに体当たりで、労働運動というものは正常なコンセンサスを得るようにみんなで努力をしてあげなければいかぬ。どちらにもいろいろ言い分はあるでしょうけれども、そこに暴力があるということになると大変なことでございます。そういう意味で、いまから先も皆さん方の御意見をお伺いし、行き過ぎがあればそれを是正する、問題をなぐするような方面に懸命にがんばっていきたい、こう思っております。
○斉藤(正)分科員 以下私がお尋ねすることは、たとえば大阪府労働委員会で提訴を受け付けて扱っている案件だとか、あるいは裁判所で審理の途中だとか、あるいは警察で捜査の段階だとかいうことで、労働省の発言の限りではありませんというようなことを答弁として予想いたしますので非常に質問がしにくいわけでありますけれども、たとえばという話で公式的に物を申し上げますので、それは労組法違反だ、それは何だというようにお答えいただければ、大変結構だと思うのです。 最初に聞きますけれども、神戸市葺合区浜辺通四の五の一、株式会社上組という港湾荷役業者がございます。代表者は吉本勲造、資本金五十億、港湾倉庫運送では業界第二位、六大港シェアはトップ、ちょっと統計は古いのでありますけれども、四十七年九月現在で従業員総数五千九十三名、わが国における港湾荷役業者としてはまことにそうそうたる会社であります。この会社に上組労連と称する労働組合があると言われているのです。この上組労連と称する労働組合と称するものは、いわゆる労働組合法に基づく正規な労働組合であるかどうか、御存じですか。
○松井説明員 お答えいたします。 私どもが現在知っております限りでございますが、申し上げますと、上組労連は千二百名くらいの組合員があるということで、東京横浜、大阪それから神戸各本支社の従業員をもってつくられておるようでございますが、これが四つでございまして大体千二百名、こういうふうになりまして、その連合体の上組労連を結成しておるようでございます。 それで、先生の御質問、労働組合であるかどうかということが、仮に労働組合法上の労働組合であるかどうか、こういうことになりますと、労働組合法におきましては御存じのとおり二条に実質的な要件が書いてございまして、五条にはいわゆる形式的な要件と申しますか、規約の記載事項が書いてございまして、これに合致しておるかどうかということが労働組合法上の労働組合であるかどうか、こういうことの決め手になるのではなかろうかと思います。それで、これに当たるかどうかということは、先生御存じのとおり労働委員会が審査をする仕組みになっておりまして、ここで出された結論が最終的には労働組合であるかどうかということになって判断されるのではなかろうか、こういうふうに考えます。
○斉藤(正)分科員 答弁のとおりですね。労働組合の結成の届けをして、条件に合っているかどうか、労働委員会が審査をし、その判断を下すわけであります。これも後日また必ず伺いますので、それまでの間に関係都道府県の労働委員会に照会をして、いわゆる労働組合法における労働組合であるかどうかということも御調査をいただきたいと思います。 〔三ツ林主査代理退席、主査着席〕 そこで、具体的に一、二伺いたいと思うわけでありますが、昭和四十八年十一月十四日と言われておりますけれども、ある団体が労働組合をつくろうとした。ところが、その労働組合をつくろうとしていることをいち早く察知をした会社側が、夜中に、明らかに会社側の職制であろうと思われる者が、組合役員に予定されている者を連れ出し、強制的に自動車へ押し込んで、しかもモーテルの一室に監禁をして、組合をつくるんじゃない、もしつくったならば脱退しろということを強要した事実があるわけであります。これなんか、もう具体的にどこのだれと言わなくたって、組合をつくろうとした張本人、あるいはつくったとするならばその役員らしき人、これをいやがるのに深夜自宅から連れ出して自動車へ積んでモーテルの一室に監禁をして、組合結成を妨害をし、おどし、そして長時間拘束をした、こういうことは明明白々でしょう。いかがですか。
○松井説明員 お答えいたします。 先生の言われましたのは、条文に照らしますと、七条三号の支配介入ということになってくるのじゃないかと思います。それで支配介入というのは、私が申すまでもなく組合をつくること、あるいは組合の意思なり何なりを左右しようと申しますか、あるいはそれに至らなくても決定的な影響を与えようといいますか、そういうようなことを考えてやることでございます。それで、いままでも幾つも先例がございまして、たとえば脱退するなり、あるいは結成を妨げるなりといったようなことでもって、強要してみましたりあるいは干渉をしてみましたり、そういうようなケースが支配介入に当たると言われているような事件は幾つもございます。先生がおっしゃいましたように、拉致していきましたりあるいは監禁していきましたりということになれば、不当労働行為以前の問題のような感じが深うございます。 ただ、いかなる事実が慫慂に当たるかとかあるいは強要に当たるかということになりますと、これはいわゆる事実認定の問題でございまして、私どもも事件が起こった場合に関係者から聞きますと、関係者の意見が対立することもありまして、それで労働委員会なども事実認定に大変なエネルギーを割いておるわけでございますけれども、いずれにしましても、慫慂に当たるあるいは強要に当たることになれば、これは支配介入に該当するということはそのとおりでございます。 それから、ちょっと恐縮でございますが、先ほどのところに戻りまして、各県調査して、各上組労連の支部なり何なりが労働組合であるかどうかということを調べなさい、こういう御指示がございましたが、先生御存じのように、労働組合であるかどうかということで労働委員会が審査いたすのは、労働組合の方から、労働組合法に定める手続にあずかるために審査してください、こういうような申請があるという仕組みになっております。たとえば不当労働行為の手続に参加するとか法人格をもらうとか、そういうようなことで申請がありますと、初めて労働委員会が審査するというような仕組みになっておりますので、先生もおっしゃったのでございますが、届け出というものは現在の労働組合法上実は必要ではございませんので、一般的に現在ある労働組合が労働組合法上の労働組合に当たっているかどうかということを書きましたリストのようなものは実はございませんので、申請がありますと初めて審査するというような仕組みになっていることで、先ほどおっしゃいました点については御了承いただきたいと思います。
○斉藤(正)分科員 課長、あなたおかしなことを言わないでください。私はそれを知っているのですよ。知っているけれども、あなたの方の権能なり機能からいけば、いま言ったように横浜、名古屋、大阪、神戸といったようなところは、それぞれ神奈川県であり愛知県であり、大阪府であり兵庫県でしょう。そこの労政課へこういう組合が労働組合法上の組合であるかどうかということは問い合わせればすぐわかるじゃないですか。それを言っているのですよ。余りあなた博学多識なところばかり見せないで、もっと現実的に物を考えてくださいよ。それならできるでしょう。
○松井説明員 先生の御趣旨よくわかりました。それでは私どもとしましても、県の労政課に連絡いたしまして、そのような労働組合の実態についてできる限りの調査をいたしたいと思います。
○斉藤(正)分科員 一つだけ例を申し上げましたけれども、実はこの上組という港湾荷役業者は、全港湾に加盟をしようとしたり、あるいはした組合並びに組合員に対し、全く常識では考えられない不当労働行為あるいは脅迫、軟禁、暴行あらゆることをやっているのであります。これはまたほかの委員会でもお尋ねをしなければなりませんけれども、たとえば第三者が証人として証言のでさるやりとりの中でも「組合事務所の鉄扉を乱打しつづけ睡眠を不可能にさせ、食事の搬入すらこれを妨害し、ホースで水をあびせ、投石し、組合事務所入口でピケットに立つ分会員のヘルメットをはぎとり、ハンドマイクで「お前らなめてんのか、イッテまうぞ」」こういうような言葉を次々に吐き捨て「支部委員長代行をとりかこみ、えり首をつかまえて腹部をけりあげて負傷させた。」「お前さんも命はわかっているだろうな」「おぼえとれ、お前を一番先にやったる。殺したる」こういう全く想像のつかない、これがこの世かと思われるような言動を繰り返しているわけなんですよ。 これに対して、なるほど大阪府労働部もさらに運輸省の出先もそれなりの解決のための努力はしてくれていますけれども、たとえば地労委の裁定が出ようがあるいは裁判所の決定がされようが、全くその裁定なり決定に服そうとしてないわけです。しかし、労働省としては労働省の範囲でしか指導あるいは監督はできませんということだろうと思うのですけれども、全く常軌を逸した非道な言動が白昼堂々と横行している、こういう事実に対して労働省として打つ手があるとすれば何ですか。それは係争中だから第三者機関の決定を待つだけです、決定が出た、従わない、しようがないですね、これでは世の中やみだと思う。少なくとも法治国家における労働運動ではないと思うのです。あるいは労使間の関係ではないと思う。どうお考えですか。
○松井説明員 お答えいたします。 この上組の事件といいますのは、暴力事件もたびたび起こり、先生御指摘のように、不当労働行為の事件になって、地労委に上がっておるケースも幾つもございます。それで労使の対立は非常に険しいというような状況にあるのではないかと思いますが、ただ、最近では年末手当の交渉につきましても、額の点については合意を見ているとか、あるいは解雇の問題につきましても、復職の話が出ておるとかいうようなことで、私どもとしましては、全体として見ましては若干ではありますがいい方向をたどっているという面もあるのではなかろうかと思います。それでこういうような、険しい対立のときに、それぞれ労使に円満な話し合いに努めるようにというようなことを言いましても、これはなかなかむずかしいことだとは思いますが、しかしながら根本は話し合いが軌道に乗るというようなことが結局はその解決の根本なのではなかろうかと思います。私どもとしましては、その現地の大阪府の労働部労政課、労政課だけでは足りませんので、海運当局とか、あるいは大阪市当局とかと連携と申しますか、協力と申しますか、そういうことで何とかこの紛糾した争議が解決の方向に向かうようにということで骨を折っておるというようなことでございますが、今後とも実態を正確に把握しながらその紛争が解決の方向に向かうように一層の関係当局のお骨折りを期待しておるところでございます。
○斉藤(正)分科員 以下申し上げることも全く言語道断なんですけれども、自宅、職場、通勤の途中ありとあらゆる場所で、「全港湾を脱退しろ」「会社をやめろ、退職金にプラスアルファーをつける」「きかなければお前の体の保障はできないぞ」「アンコに行け」「月夜の晩ばかりはないぞ」「音のしない道具もあるぞ」、われわれの社会では考えられない言葉であり、行動です。しかも最近の情報によれば「「近く(株)上組は山口組系暴力団を使って大々的に全港湾の組織つぶしにかかる」或いは「黒塗りの乗用車四台と鉄砲玉二十名を組合幹部を攻撃するためにすでに配置した」」、こういう情報が、しかも巷間、さもないところから出てきているんじゃない、取り締まり当局も非常に神経を過敏にし組合幹部の身辺の護衛等についても、いい意味にしろ悪い意味にしろ配慮しているんです。こういう事態が起きてきているときに、いま課長の答弁にもあったわけであります。私は労働省だけで解決できる問題ではないし、労働省が本問題に占める責任といったものはごく一部分だと思うけれども、しかし労働組合法を所管をし、労働組合育成強化をする、あるいは健全な発展を図るという立場にある労働省として、当然もう少し実態の把握にも精を出していただきたいし、関係各省との協調も十分いただいて既往のことをすでに大臣から運輸大臣に要請していただいたことも大変時宜を得たものであると思いますけれども、全く憂慮すべき事態だと思います。大臣最後に、再度のひとつ御決意を伺って私の質問を終わります。
○長谷川国務大臣 この事件は他に及ぼす影響も非常に大きいと思いますので、労働省といたしましてはこれまでも重大な関心を持って推移を見守ってきたことでありますが、この席上において先生から、しかも現地調査されたその立場においてのしさいな実情をお聞かせいただいたことを胸の中に入れまして、今後一層行政機関と緊密な連絡をとりながら問題の早期解決に積極的に努力してまいりたい、こう思っております。
○斉藤(正)分科員 終わります。
○野田主査 これにて斉藤正男君の質疑は終了いたしました。 次に、梅田勝君。
○梅田分科員 日本共産党の梅田勝でございます。 私は、じん肺問題につきまして労働省に質問をいたします。 御承知のように、昭和三十年にけい肺特別保護法、昭和三十五年にじん肺法というように、この問題についての対策は次第に講じられてきておりますが、しかしじん肺はなくなっているわけではございません。依然として労働者にとりましては深刻な問題でございます。京都陶磁器労働組合の機関紙「清水焼」という名前の新聞に載りました労働者の投書を読みましても、そのことは明らかでございます。私、いま持ってまいりましたが、このように書かれております。「清水焼関係でも近年じん肺患者がふえ、管理四の人達の年令も六、七〇才代から四、五〇才代へと広がって来ており、一日も早い発生予防が重視されなければならない」あるいはまた「管理四の認定を受け離職し収入の道をたたれる時、我々はどうすればよいか。」こういった深刻な切実な声が出ておるのであります。これはまさに職場からの告発というべきものでございます。全国的にはじん肺法適用の事業所は三万一千百五十五、粉じん作業に従事する労働者は五十四万一千五十五名と言われ、昭和四十八年度における健康管理区分決定状況を見ますと、対象労働者数二十一万七百五十八名に対して、有所見者数は一万七千四百五十九名、有病率は八・三%という状況でございます。京都の例でございますが、昭和四十一年より見ますと、有所見者数は二百一名、これが毎年ふえてまいりまして、昭和四十五年には三百三十一名、昭和四十六廣には五百二十七名、昭和四十七年には六百三十四名、昭和四十八年には千九名、このように暦年ふえておるのであります。有病率も四十八年は京都におきましては三八・一%というように非常に高いのであります。粉じん作業の職場の実態は労働省の調査でも明らかなように、三百人以上の職場が全体に対しまして一四・七%でありますが、三十人未満の職場は全体に対して五九・五%というように圧倒的に零細企業が多いのでございます。京都の陶磁器の場合を見ますと、三十人未満は九七・五%であり、ほとんど零細企業でございます。こういう零細企業に働いている労働者の健康を管理し、またそれを守るということはきわめて大変な仕事でございます。 そこでお伺いしたいのでございますが、じん肺法第六条による労働者に対する予防や健康管理に必要な教育、これは法律によりまして使用者に義務づけられておりまするが、これを労働省として実際にどれだけ実行されておるか、数としてつかんでおられるかどうか、これを具体的に承りたいと思います。
○東村政府委員 ただいま御指摘のように、じん肺関係の適用事業場非常に小さいところが多くございます。たとえば先生いま触れられました清水焼の場合などそうだと思います。特にじん肺問題というのは非常に恐ろしい病気であって、これを知っていると知っていないとではその心がけと申しますか、意識するとしないとではずいぶん違ってくると思う。そこで教育ということが非常に重要な問題になることは当然でございます。われわれとしても何とかしてじん肺の恐ろしさといいますか、じん肺はこういう場合に発生するんだというようなことを教育し、宣伝するといいますか、そういうことが大切だというふうに考えておりまして、私どもとしては事あるごとに関係事業場に対して監督指導を進めるとともに、集団で指導をしながら、ただいまのようなじん肺についての意識を広める、問題を進めていく、こういう態度をとっているわけでございます。 ただ具体的な数字、どういうふうにどこで何件くらいそれをやっているかということは、ちょっと手元にございませんが、いずれにいたしましても、私どもにございます中央災防協会等でパンフレットなどつくりながら、その徹底に努めている、かような次第でございます。
○梅田分科員 労働省がいろいろパンフレット等をつくって、その安全教育について努力されておることはわかるのです。しかしながら、実際にそれでは使用者が雇った労働者に対して一々安全教育をやったかどうかというその具体的な遂行状況、これについてはその資料をお持ちでない。実は私どもいろいろ調べたのでございますが、やっておられないのです。数はつかんでおられない。なぜそれをやらないんだと聞きますと、なかなか大変だと言うのですね。対象事業所が非常に多い、そこで労働基準法適用事業所は御承知のように毎年ふえ続けておりますが、これに対応していわゆる労働基準監督官がふえていない。労働基準法適用事業所は昭和二十五年のときには六十八万一千でございましたが、昭和四十九年には二百九十一万二千に達しております。実に四倍以上でございます。ところが、労働基準監督官は、事業所が二百二十三万一千もふえておりますのに、その数は昭和二十五年二千七百七人から昭和四十九年には三千十人というようにたった三百三人しかふえていない。二百二十三万もふえているのに、監督官の方はさっぱりふえていない。 そこでお伺いしたいのでありますが、昭和四十一年よりの毎年ごとの、暦年ごとの監督実施率をお伺いしたいのであります。数字で言ってください。
○東村政府委員 監督実施率について申し上げますと、四十一年が一二・四%、四十二年が一二・四%、四十三年が一一・九%、四十四年が一一・四%、四十五年が一〇・%八、四十六年が一〇・一%、四十七年が九・三%、四十八年が八・八%、かようになっております。
○梅田分科員 十年たっても事業所監督に回れないというのが現場の声でございます。労働大臣、こういう状態につきまして改善の必要があろうと思いますが、御所見を承りたいと思います。
○東村政府委員 ただいま先生御指摘のように、事業場がどんどんふえている、それからやらなければならぬ仕事がふえている、ところが監督官がなかなかふえない。私ども非常に苦慮しておるところでございます。そこで、われわれが現実にやろうとしていることは、問題をしぼって、対象業種をしぼって、重点事項をしぼってそこに効率的な問題を展開していく、機動力をふやしてそこで問題を展開する、かように相なるわけでございまして、定員削減等いろいろ問題がある中で何とかして監督官をふやしながら、いま申し上げました実施率をさらにふやしていこうという努力は続けていきたいと思っております。
○長谷川国務大臣 労働者の安全を守ることは、労働省としては重点事項の一つでございます。 ただおっしゃるように、事業所がどんどんふえていくこの世の中に、監督官の数が一つもふえないということは、御指摘のとおりでございます。各工場を毎年ずっとみんな歩けばいいでしょうけれども、歩かれるということがわかれば、かえって相手の方がいろいろ警戒か準備することもある。逆にぽっぽっと歩くことによって、十歩くことが百に影響するということもありますので、人をふやすことも考え、また機動力を持たせて、最小限度の人員で最大限度の効果を上げる、こういうところに一生懸命努めていることも御理解願いたいと思います。
○梅田分科員 抜き打ち的に行くかもしれぬ、そういう点では少なければ少ないほどいいというような御発言とも受け取れるのですが、そうじゃないでしょうね。労働者の安全のために万全の体制をしくということを要望しておきたいと思います。 そこで、じん肺の検診率を高める問題でありますが、全国的には昭和四十八年で受診率は三九%と言われております。京都府におきましては適用事業所千二百二十四、従事労働者数八千二百四十一名、受診者数二千六百七十二名、受診率は三二・三。陶磁器関係におきましては適用事業所三百三十八、従事労働者数千三百六十六、受診者数六百九十、受診率は五〇・四%、こういう数字が出ております。 管理一の方は三年に一回というような形になっておりますが、これは現実問題として、一たん病気にかかりますと相当進行が早いということもございます。病状が早く進行するのでありまして、たとえば管理二の方は三分の二くらいが五年以内で管理三へ行っております。その六割くらいが三年以内に管理四に進むというような場合がございます。管理四になりますと非常に大きなショックを受けまして、私ども聞いたのでございますが、たとえば死刑の宣告を受けたようなものだ、あるいはがっくりして一週間ほどそのまま寝込んでしまった、あるいはその苦しみというものはもう言葉では言いあらわせないというように、一たんこの病気にかかりますと大変苦しいものでございます。 そこで、やはり発見、予防ということが一番大事でございますから、現在三九%段階の受診率というものをもっと高める必要があるという点におきまして、最低年一回はやる必要があるというように改める意向があるかどうか、お伺いしたいと思います。
○東村政府委員 その健康診断を現行の回数からどういうふうに改善したらいいか、御指摘のようにいろいろ御意見ございます。実はただいま中央におきますじん肺審議会という場におきましてその問題も含めて検討しておるところでございます。
○梅田分科員 具体的な実態は零細企業が多いでしょう。だから、当然受けなければならない人でも一々受けていないという例がある。これが実態なんです。 たとえば、ここに症例として挙げますが、男性で五十四歳でございます。陶磁器の職場で働いておられる方でありますが、成型工で三十三年の職歴を持っておられます。この方が昭和四十九年八月四日にある診療所で外来としてかかられた。ところが、いままでじん肺の健康診断は一度も受けていないという方でありますが、その最初の受診のときにはや右肺上野に大空洞があり、喀痰検査をやりますと、培養にてコロニー無数検出されるということで、現在は京都大学の胸部疾患研究所に入院をなさっている。この方は三十三年も陶磁器の職場に働いておられて検診を受けていない。零細企業というものはえてしてこういうことがあるんですね。十人ほど働いておる事業所です。事業所の名前はちょっと言いませんが。 また、ある五十三歳の男性でありますが、二十五人くらいの職場で働いている方でございます。この方は三十一年間陶磁器の職場で働いておられました。昭和四十二年の七月には管理一であります。ところが、その後は受診をしなかった。四十七年の二月に受けまして、精密検査が必要だと言われまして、同年の十月に検診を受けますと、もう手術をしなければならぬというような状態になっている。管理一から一挙に管理四にいくのには、非常に短い期間に進行するということが具体的な事例で明らかでございます。 いずれも非常に零細な企業なんです。だから、そういうところに対して、健康診断がきちっと実施されるようにもっと監督を強化する。少なくとも、陶磁器、粉じん作業に従事している労働者は、全部毎年一回はじん肺の健康診断を受けなければならぬのだというように習慣づけることによって、私はこういった悲惨な病気というものはなくなるのじゃないか、このように考えるのでありますが、その点で検診の改善を考慮されるかどうか、お伺いしたいと思います。
○中西政府委員 先生のおっしゃるとおり、検診の受診率が非常に低い、三十数%だということは非常に問題がございまして、これは監督あるいは指導をさらに強化して受診率を高めなければならないと考えております。 なお、いま御指摘ありました一例で、四十二年に管理一の者が四十七年には管理四になっていた、急速にじん肺が進行しているようだというお話につきましては、お話の様子では、どうも結核の合併症ではなかろうかと存じます。ですから、じん肺そのものが悪くなったのではなくて、たまたま肺結核が合併して管理四とされたということになるわけでございます。 健康診断につきましては、粉じん作業労働者については、管理一の者は三年に一回でございます。しかしながら、そういった特別の健康診断以外に、一般の健康診断についてはどういう職場でも年に一回やらなければならないことになっておりまして、健診の内容としましては、結核等を発見するということが一つの大きな目標になっているわけでございますから、その毎年一回の一般健診をやっていれば発見できたであろうと思われるわけですが、恐らくその一般健診もやってないということが問題だろうと思われます。そういう点につきましては、一般健診も十分行われるようにさらに監督指導を強化してまいりたいと考える次第でございます。
○梅田分科員 じん肺にかかりますと、御承知のように、結核だけではなくて、ほかの病気にもかかりやすい、体全体が弱まるということがあるわけでございます。したがって、やはり毎年厳重な健康管理を実施することが必要じゃないかと私は思うのです。 そういう点におきまして、いわゆる健康管理手帳というのがございますが、これは現在幾ら交付されておりますか、数をおっしゃってください。
○中西政府委員 健康管理手帳につきましては、じん肺健診管理区分三の方が退職する際に交付することになっておりますが、四十九年一月から十二月までに全国で交付しました件数は千四十七件でございます。
○梅田分科員 これは管理三の方が、いわゆる配置転換を必要とされる方にしか交付されないようになっていますが、私はこういう粉じん作業に従事する労働者にはすべて交付する。零細企業が多くて職場を転々とするケースも多いわけでございます。そうなりますと、やはり使用者も注意しなければなりませんが、働いている労働者も全体として、これだけの期間粉じん作業場で働いておって、じん肺の危険性があるということを十分本人も自覚できるような、そういう施策をやはり実施すべきではなかろうか。そういう点で、どうでございましょうか、健康管理手帳を粉じん作業に従事する労働者全員に交付をして健康管理をするというお考えがないかどうか、お伺いしたいと思います。
○東村政府委員 ただいま御指摘ございましたように、こういう手帳を持っていると非常に利便があるといいますか効果があるといいますか、そういう点は確かに認められるところだと思います。ただ、その問題については、その労働者に対するプライバシーの問題とか、再就職の妨げになるのではないかというような声も出ていることも事実でございます。そういうメリット、デメリットいろいろございますが、いずれにいたしましても、いまのようなメリットをどう生かしていったらいいかということで、現在じん肺審議会でちょうどその問題を検討しておりますので、その結論を待ちたい、そういうふうに思っております。
○梅田分科員 その点は、交付されるように改善をお願い申し上げたいと思います。 また、使用者が労働者のそういった健康状態の記録を、じん肺法の第十七条によりまして五年間保存となっておりますが、この病気の性質が非常に長期にわたって観察する必要があるという点から、少なくとももう少し長く永久保存をするように改正する必要があるのではないかということも要望しておきたいと思います。 次に、じん肺法の第五条によりまして、粉じんの発散の抑制を義務づけております。安全や予防の、作業における環境基準というものは、たとえば一般の環境基準におきましては、自動車に例をとりますならば、一酸化炭素や炭化水素、窒素酸化物、こういうものにつきましては環境庁が規制値を明らかにいたしております。ところが、この法第五条によりまして「粉じんの発散の抑制、保護具の使用その他について適切な措置を講ずるように努めなければならない。」というように書かれておりますが、こういう粉じんについての規制値、これが示されていない、まして立ち入り検査等もやられていないということは私は問題ではないかと思います。そういう点で、少なくとも粉じんの測定方法や規制値、これを定めるということが私は必要だろうと思いますが、労働省のお考えをお聞きしたいと思います。
○中西政府委員 粉じんの許容濃度につきましては、現在産業衛生学会におきまして一応の規制値を定めておりますので、これによって行政指導をやっているところでございまして、先生御指摘のような、強制基準としての抑制濃度は現在決められていないわけでございます。強制基準としての濃度を設けることにつきましては、いろいろの問題がございまして、これにつきましては現在専門家によって検討をいただいておるところでございまして、その結果を待って処理をしたいと考えております。
○梅田分科員 何か新しい作業環境測定法といったものをつくって、その中において規制値を定めていくというようなことでございますか。
○中西政府委員 作業環境測定法とも関連がございまして、できれば、今後粉じん抑制対策を強化するためには基準を設定したいと考えて検討をしておるわけでございます。
○梅田分科員 厳重にやっていただきたいと思います。 さて、さらにじん肺法の三十二条によりますと、じん肺の予防等に関し技術的援助の必要を定めております。この点につきまして、現在、予算をつけて研究開発を援助されておるものがありましたら、ひとつ聞かしていただきたいと思います。
○中西政府委員 じん肺の健康管理等につきましてあるいは濃度の抑制等につきましての研究でございますが、実はこの健康管理につきましては、比較的古くから医学的研究が進められてまいってきておりますけれども、じん肺の抑制につきましては研究がおくれております。しかしながら三十九年から四十六年にかけまして、局所排気装置の標準設計それから保守管理、具体的な設計事例の研究を専門家にお願いしまして、その結論をいただきましたので、事業場の作業環境の整備に資するよう指導の指針として現在用い、その普及を図っているところでございます。 なお、じん肺症の発生のメカニズムとかあるいは局所排気装置等の基本的な事項につきましては、労働衛生研究所において現在研究を進めておりまして、現在のところ、他に特別委託をしているという関係はございません。
○梅田分科員 これは非常に悲惨な病気であるにもかかわらず、労働省の対策というものはきわめて不十分である。もっともっと研究をして、集じん装置その他研究開発をやっていただきたいと私は思うわけでございます。 最後に、じん肺患者の長期療養補償の問題につきまして質問をしたいと思います。 管理四になりますと、法第二十三条によりまして療養となり、休業しなくてはなりません。しかしこの人たちは生活扶助におきまして重要な問題がございます。資料によりますと、じん肺年金受給者の総数は、四十八年度末におきまして五千九百八十人、一人平均の給付年額は六十万九千三百八十三円、こうなっております。四十九年七月現在の京都労働基準局管内の調査におきましては、六〇%以上の方々が年額七十万円以下でございます。百万円以上の人は一〇・六%でございます。ほんのわずかです。大部分がきわめて低い年金で生活を余儀なくされているのが実態でございます。平均家族数は三・八人。一級地における生活保護基準は四人家族で七万四千九百五十二円でございます。これは昭和五十年度当初におきましてそういう水準になるはずでございます。四十九年までは六万円ほどでございましたか、しかし、いずれにいたしましても、この年金受給者の七十万円以下というのは生活保護水準以下だということでございます。これは、労災保険がたとえ八〇%給付になりましても、もともと低い賃金水準のところでございますから、そこで発生したじん肺という悲惨な病気に対しての長期療養の補償が生保水準以下というのでは、これは国の施策としてあまりにも問題だ、こう思います。その点、最低基準をもっと引き上げる必要があると私は思いますが、労働大臣、政府はここらあたりで決断して改善を図るべきだと思いますが、御所見を承りたいと思います。
○東村政府委員 ただいま先生御質問の中にすでに触れられておったようでございますが、実はこういう長期にわたる補償を必要とする方々に対する問題について、先般の臨時国会におきまして法を改正いたしまして、障害補償給付、遺族補償年金等の改善が行われました。それは昨年十一月から実施されたわけでございます。この改正に伴いまして、休業八日以上の休業補償給付受給者及び療養三年以上の長期傷病補償給付受給者には、平均賃金の六〇%の給付のほかに、それに加えまして平均賃金の二%の特別支給金というものが出されることになりまして、労働省としても十分努力をしているつもりでございます。 ただいまの具体的な数字でございますが、四十九年三月末において、長期傷病補償給付の受給者のうち、じん肺患者六千人の受けております年金額は平均約六十万円でございますが、ただいま申し上げました特別支給金が加わりますと約八十万円と相なります。さらにスライド等の問題を考慮すればそれがさらに引き上げられる、こういうふうに考えております。
○長谷川国務大臣 事業主に対しては啓蒙はしておっても、働く諸君には届かないというふうなことなどもあるようでございます。一番働く諸君にやってもらいたいことは、そういう職場にいる人ですから、やはり一年に一遍の健康診断は受けてもらうような習慣をまずつけてもらうことが必要で、だから予防がまず第一。そしてまた、いまこういうところで詳しい地方の実情、さらに安全の問題、さらには将来のいろいろな生活の問題などが御議論されますと、やはり事業主も気がつくでしょうし、ある場合には働く諸君も気がついて健康管理を進める一方、いま局長から申されましたように、労災保険法の改正等々で生活保護基準以上のものを差し上げるようになっている。またいまから先もそうした問題については前向きに私たちは考えていく。これをひとつ御了解いただきたいと思います。
○梅田分科員 終わります。
○野田主査 これにて梅田勝君の質疑は終了いたしました。 次に、沖本泰幸君。
○沖本分科員 私は、同和問題につきまして御質問したいと思います。 四十四年の七月に同和対策事業に関する特別措置法ができまして、十年の時限立法ですから五十三年が最終年度になっていくわけです。措置法の中では、長期計画を立てて対策をしていくということでスタートしたわけですけれども、その中に、前期と後期五年ずつに分けて実態調査をしながら、後期の五年間では前期の方を見ながら検討を加えておくれた部門に対してはこれを直していくということが言われているわけです。 そういうところで先日も総理府の方へ質問をしていろいろ長官に伺ってみたわけですけれども、それによりますと、今年度の後期の分についての調査はやるということになるわけですし、各省庁はその総理府の調査に基づいて後期の検討をするというようなことをほかの省でもおっしゃっておられたわけで、労働省でも同じことをお考えになっていらっしゃるんじゃないかということになるわけですけれども、今年度を含めましてあと四年しかない。だから五十年度に調査をした上で検討を加えるということは、五十一年度にそれに対する各省の対策が出てくると、五十一年度、五十二年度、五十三年度ということになりますから、ずいぶん計画的にはおくれたことになってくるということになります。当然、四十四年の法律ができてから調査を始めたわけですから、その結果が出たのも、総理府の方で実態をまとめたのが四十六年度ということになるわけで、その時点でもう二年ずれ込んできているということになるわけです。それから各省が事業をいろいろおやりになってきておるわけで、スタートからもう二年ずれ込んできておるということになってきますと、後期の分というのは、二年か三年の時限立法を考えますと落ち込んでくるということになるわけですから、事業別にいろいろな問題を考えてみても、あるいはこの法律の恩恵に浴していく方々にしてみましても、あと二年か三年のうちに何とか全部をやつでもらいたいという要求も出てくるだろうし、それからこれは十年で打ち切られて、積み残しは一体どうなるんだろうかということも出てくるわけです。打ち切るか打ち切らないかあるいは継続するかということは、当然これからいろいろ御検討なさる段階だと思うわけですけれども、そういう面を含めて考えていきますと、いままでしばしば問題が出てきておるのは、法律はできたけれども、実施をするのはほとんど地方自治団体ということになって、そこへ全部しわ寄せがいっている。そのしわ寄せに対して、直接請求なさるのは市町村の窓口ということになってきますから、その辺でいまいろいろ社会的に問題が起こってきておるということは御承知のところだと考えるわけです。 そういう点で、現在、労働省の方として、今年度予算をお組みになったわけでございますが、以前からの経緯をお考えになりながら、今年度から後期に向かってどういう対策をお立てになっていらっしゃるか、具体的にお伺いしたいと思います。
○長谷川国務大臣 総理府の方でいま仮に調査をしておりましても、私の方とすればずっと参加もしておりますし、それから時限立法で、後の方で全部そこへしわ寄せするんじゃないかというお話もありますけれども、労働省としますと、一番大事な問題は、何といいましても就職の機会均等、こういう問題をテーマにして、私のうろ覚えでございますけれども、今年度予算でもたしか六十数%予算が伸びております。いろいろな施設などもありましょうけれども、やはり一番基本の問題は私の方の扱っている就職の機会均等、これは時限立法であろうと、仮にその間に調査をしておっても、ずっと続いていく問題として私たちの方は把握していることを御理解いただきたいと思います。
○沖本分科員 大臣、いろいろと労働省の関係で、自分らの問題だということで大まかにお話をしていただいたわけでございますが、同対審の答申の中にも、差別をなくするために、まず責務は国にあるんだということが述べられておるわけです。そのためには、国民に正しい認識をさせることが一番大切な問題だということがうたわれておるわけです。 そういう点について、これは直接労働問題とは関係ありませんが、最近の国会の論争なりあるいはいろいろ発生しておるところの事件、そういうものでむしろ一般の国民は、一体何だろうと、こういうふに考え直させられておる、あるいはわからない、結局わからないことはすみへやってしまって考えないというかっこうになっていきますし、また自分の主張に基づいていろいろなことを述べる方なり団体なりいろいろあるわけですけれども、そういうことによって一体どれが本筋なんだろうということに戸惑いを生じておるということになります。いわゆる同和指定地域というものが比較的西の方に偏しておるということで、直接同和事業の恩恵を受けたりまたそれを行っていく人たちあるいはその周辺では、認識の正しさ、不正確というものは別にしても、ある程度認識の中にあるわけですけれども、そういうものが、いま現実には日本じゅうに一つの問題点としてクローズアップされているということになるわけです。そういうことを考えていきますと、いまこういう問題を国民に正しく認識させていく一番重大なときではないかということになりますし、われわれの生活から国民全体の生活、すべては衣食住ということが重点であるわけですから、この衣食住の食ということになってくれば、食べる方と働く方、働いて食べていくということになるわけです。 そういう中にあって、結局同和対策の一番重点になっていくのは、職業の問題と住宅の問題あるいは環境を整えるということにしぼられてくると思うのですけれども、その中で一番問題にされたのは、劣悪な労働条件のもとに差別をされてきたということですね。これは江戸時代からあるいはそれ以前から職業という問題に一番差別の問題点があったわけです。それは現在も続いておるということが一番大きな問題であるわけですから、労働省として一番重大な問題だということをいま大臣もおっしゃっておるし、それに従って対策が立てられてきておるわけですけれども、とりわけ職業の低さと、生活しておる環境が集約されてしまっておるということがあるわけです。一番比較されるのはスラム問題と同和問題ということになるわけですけれども、スラムと同和の問題とは全然質が違っておるということになってきますから、その地域から離れて住まって、何がしかの職を持ちながら生活をしておっても、差別問題に突き当たってやむを得ずもとのところへ帰らざるを得ないという深刻な問題があるわけですね。そして大臣がおっしゃった就職の機会均等という面からいくと、明らかに職につくその段階で差別が起きてきているということは事実でもあるわけです。そういう例は無数にあるわけですけれども、現在置かれているインフレ、不況という中で、企業の倒産あるいは失業の波をもろにかぶる人たちであり、一番ひどいかぶり方をしている方々であるということになるわけですから、そこにやはりスポットを当てていただいて、重点的な施策をしていただくということが一番大事な問題だと考えるわけです。 以前、私は、韓国人が日本人名を名のったということで、企業が採用決定をしておりながら不採用になったという問題を取り上げましたが、これは企業の方が裁判からおりたということで、労働省のいろいろなお手助けもあったりして解決したわけです。韓国人あるいは朝鮮人の方が日本に住みついて、日本人の名前をやむを得ず名のっておるという点、これも一つの差別になるわけですけれども、こういう問題と、あわせて、この辺の就職に対する差別という問題が一番重大な問題になっていき、より不況になり失業者がふえていくということになると、人減らしと、それから使うときには明らかに人選をしていくということになりますから、ぼろぼろこぼれてしまうということで、再び差別問題が大きくなっていくんじゃないかというふうに考えられるわけですが、その辺についてのお考えをお伺いしたいわけです。
○長谷川国務大臣 おっしゃるように、不況が続きますと一番先にしわ寄せされるような方々と言えば、やはり中小零細企業に勤めている同和の地域の方々、そういうことになりはせぬか。ことに臨時とか日雇いのようなところに勤めている人が比較的多いという感じ方を持つわけです。でありますから、私は、こういう人がそういう御不幸なことにならないように、まず雇用の安定を図ることが政治課題だ、こういうふうに感じております。 そこで、一月の二十二日でしたか、全国の職業安定課長それから職業訓練課長を招集して、私自身がそれに出席して、こういうときにこそお困りになるような方々に親切な行政をすれば、相手の方が非常につらいときに親切な行政をされれば一番感じることですから、そういうことでやろうじゃないかということで、そのためには情報を早くつかむことだ。そしてまた、事業主に対する指導強化、それからまた離職するような方々がありましたら、今度の予算の中にも大分入っております。後で局長からも説明させますけれども、援護措置を活用しまして、円滑な就職、再就職を図っていく。私自身は、人生で一番不幸なことは、能力があって、それから体がよくて、自分の意思ではなくして失業するということが一番悲しいことだ、こういうふうに思っておりますので、人間やはり就職して働くことによって自分が飯も食え、子供に食わせ、教育していく、こういうことを一番労働省としては担当しまして充実させていきたい、こういう感じであることを御理解いただきたいと思います。
○遠藤(政)政府委員 ただいま大臣からお話ございましたように、この同和対策の問題の基本は、職業の確保ということであろうと思います。 いま先生御指摘になりましたように、同和対策の問題は西日本に集中しておりまして、実は私も福岡でございます。子供のときからこの同和対策の関係の人たちとは交友関係も非常に深うございまして、私、自分のはだでこの問題を十分認識しておるつもりでございます。最近におきましても、ここ数年、私は同和関係者のそういった関係の就職の問題も相談を受けまして、私自身が保証人になって有力企業に就職させた例もたくさん持っております。 先ほど総理府の調査が五十年に行われて、五十一年からじゃ遅過ぎるというお話でございますが、労働省は四十七年に労働省独自の就業実態調査を実施いたしております。その時点で実態をとらえますと、確かに、るる御指摘になりましたように、就業上の地位で言いますと、いわゆる常用あるいは比較的地位の高いポストについている人は少なくて、日雇い、臨時、こういった形態が多い。それから就業先の産業別あるいは規模別に見ますると、やはり金融、銀行、不動産、そういったところは少なくて、失対事業を含めた工業が多い。あるいは規模別に見ますと、大企業は少なくて中小企業に集中している、こういう実態的な結果が出てまいっております。こういった点で、従来、長い間の差別的な観点からそういう結果が出てくるということは、私どもは十分行政運営上も留意してまいっているわけでございます。特に中卒、高卒等で、学校を新しく卒業して就職される方につきましては、先生御承知のとおり、ここ数年来一採用試験に際しまして、差別をしないようにということを強力に指導してまいっておりまして、その結果があらわれたこともございますし、一方また、労働力不足で、こういう新規学卒、若手の労働力につきましては、いわゆる金の卵と言われるような状態で、この二、三年は大企業、中小企業差別なく、同和地域の出身者であるか、あるいはそうでないかというようなことがほとんど意識の上に上らないような程度にまできておる、こういうふうに私ども考えておるわけでございまして、今後ともこういう方向で、就職上の差別扱いについては、そういうことにならないように、これは対象者の側にももちろんでございますが、受け入れる方の企業の側ないしは取り扱い機関、私どもの出先の第一線機関につきましても強力に指導してまいる考えでございます。
○沖本分科員 いままでは高度成長でしたから、比較的職業の安定という点についてはいろいろな面で問題が起きなかったわけですけれども、これからは成長がとまってしまって安定成長というような形になっていくと、雇用関係が御承知のとおり固まってくるということになり、外国のような扱いであればいいのですが、日本の場合は終身雇用制という一つのタイプがありますから、中年齢から高年齢にかけての人たちの働く場所がより狭められてくるということは、すべての労働の部門で同じことが言えるわけです。そうなってきていろいろと手厚い対策を立てていくと、今度またそこに、なぜあの人たちだけはそういうことになるのだとか、そういう逆の問題がいろいろ起きてくるわけですね。こういうものも十分考えていただかないとまずいことになってまいります。ですから正しい認識が必要であるという点にかかってくるわけですけれども、近畿の市長会の労働省に対する要望の中にも、差別をなくしていく使用者側の方に対するPRの予算を十分見てほしいという要望も出てきております。細かい具体的な就労に関する対策もいろいろお立てになっていただかなければなりませんけれども、こういうときですから、そういう面もひとつ十分徹底をしていただいて雇用が促進されていくように、同和問題の一番軸になる問題でございますし、一番熱心な労働大臣でいらっしゃるわけですから、その辺も御検討いただいて、十分な施策を講じていただきたいことをお願いいたしまして、終わります。
○長谷川国務大臣 まさにおっしゃるとおりでありまして、こういうときですから、ことに中高年齢者はなかなか大変でございます。そこで、特別にこういう方々が通うのに都合のいいようなところに訓練校をつくったり、それから別に援護、そこに行っている間の手当とかそういうものを新しくつけまして、私たちの気持ちのあるところを理解してもらって、そこで訓練——いまの時代でも技能といいますか、腕に力のある人はやはり尊重いたします。そういうところに行かれるような姿をしっかりつくって御期待に沿いたい、こう思っております。
○沖本分科員 以上で終わります。
○野田主査 これにて沖本泰幸君の質疑は終了いたしました。午後二時十分から再開することとし、この際、休憩いたします。 午後一時八分休憩 ————◇————— 午後二時十五分開議
○野田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。労働省所管を議題とし、質疑を続行いたします。湯山勇君。
○湯山分科員 私は、主として労働行政の中の同和対策についてお尋ねいたしたいと思います。もう大臣も御存じのように、同和対策審議会の答申におきましても、失われている市民的な権利の回復という中でも特に重要なのは、就職の機会均等であるということが指摘されております。それはなぜそうなのかというと、徳川時代の身分差別の中で、士農工商の範疇に入らない、当時で言えばいわば雑業といいますか、賤業といいますか、そういうものにしか就業できなかった。そういう職業差別がこれに絡んで非常に大きな要素になっていた。それが今日解消されておるかというと、そういう状態はいまなお残っておりまして、今日の同和地区の就業状況というのは、やはり日雇いあるいは行商、出かせぎ、それからその内容も、あるいは屠肉、皮革、履物あるいは仲買といったようなものが多くて、ここからどう脱却させるかということが最も重要なもので、この答申の中にも、「市民的権利と自由のうち、職業選択の自由、すなわち就職の機会が完全に保障されていないことが特に重大である。」ということが指摘されております。 そこで、労働省としては、ずいぶんいろいろな施策を講じておられると思いますけれども、どの程度効果を上げているか、このことについての施策、それについてどういうふうに把握しておられるか、まずこれをお伺いいたしたいと思います。
○遠藤(政)政府委員 同和対策の中で、労働省の所管関係では、就職の機会均等、いま御指摘のありました点が最重要な課題でございまして、私どもはこの数年来、同和対策審議会の答申、それから内閣の基本政策に基づきまして、特に重点的に新規学卒者の就職上の差別扱いをなくするようにするということに最重点を置きまして、強力な行政指導をしてまいっておるわけでございます。 そういった行政基本方針に基づきまして、第一線機関は、特にこの点をいろいろな機会を通じて事業主の啓蒙指導に当たりますと同時に、具体的には、安定所で求人を受け付けます際に、あるいは採用選考の機会に、採用選考のためのいろいろな書類、書式がございますが、こういった取り扱い上、いわゆる同和地域の出身者であることが識別できるようなたぐいの条項を一切取りはずさせる、こういう指導をいたしますことによりまして、同和地域の人であるかどうかという区別がつかなくなるように、こういう方向で処理をいたしてまいっております。 一方で、労働力不足が非常に急迫を告げでまいりまして、特にこういった中卒、高卒等の新卒者につきましては、いわゆる金の卵と言われるような事態になりまして、大企業、中小企業を問わず、中小企業はもちろんでございますけれども、大企業におきましても、こういった強力な行政指導と相まって、新卒者の扱いにつきましては、同和地域の出身者であるかいなかということをほとんど問題にしないような状態にまで最近なってきておる、こういう実情だと私ども考えております。
○湯山分科員 この十年来の高度成長政策の中で、いまの局長の御答弁では、ほとんどなくなったというようなお話ですけれども、決してなくなってはいない。それは、この同和対策について総理府が中間発表のようなものをいたしております。それをごらんになりましても、たとえば失業対策事業などは、多分これは四十七年と思います、全国的には失業対策で働いておる人というのはパーセントにして挙げるほどの数にもなっていない。数字としてあらわすような数ではない。ところが、同和地区では、有業者の就職先産業別というので見ますと六・二%、同和地区では、なおかつこの高度成長政策のもとでも六・二%は失業対策事業に就労しておる、こういう状態である。 それから、規模別に見ましても、やはり臨時工、社外工というのが多くて、そして生産の本流をなす部門への就業というのからは疎外されております。ただ中卒、高卒など金の卵あるいは銀の卵という時代に、若い層は若干緩和されておることは事実ですけれども、それがいま局長の言われたようないろんな施策が成功してそうなったというよりも、社会的な需要がそういう状態であったから若干解消したというにとどまって、実態は解消していない。 なお、就職はそういう状態でやっても、地区の出身者だということがわかると今度は昇進に影響してくる。つまりなかなか幹部になれないというような状態、これは端的にこの間も新聞にも出ておったからごらんになられたと思いますけれども、そういう状態である。果たしていまの行政というものが、そういう条件解消に本当に役立っているかどうか、こういう点について、どのように見ておられますか。
○遠藤(政)政府委員 ただいま先生御指摘になりましたのは、四十七年に実施いたしました労働省の就業実態調査の中身でございまして、もちろん先ほど私がお答えいたしましたのは、この同和対策の基本的な問題であります就職の差別の撤廃ということにつきまして、私ども強力な行政指導措置をとってまいっております。 いまお話がございましたように、労働力不足といったような、そいう経済社会的な情勢を背景にいたしまして、そういうことがこういう私どもの行政的な基本線をプッシュする非常に大きな要因ということもできるかと思いますが、そういうことで若年労働者につきましては、こういった面が比較的解消に向かっておりまして、ほとんど問題がないところまで来ているんじゃないかと思います。 ただ問題は、この就業実態調査にもありますように、就業上の地位、身分等を見ますと、あるいは就業先の規模別の実態を見ますると、確かに常用労働者とかあるいは地位の高い雇用についている者は少ない。臨時日雇い的なものが多い。あるいは常用労働者になりましても、比較的中小零細規模のものが圧倒的に多い。こういう実態を私ども十分把握いたしておるつもりでございます。幸いこういった行政措置が行き届きましたことによりまして、若年労働者については比較的問題が少なくなってきております。 問題は、こういう不況になりますと、一般的に失業情勢が深刻になってまいります。その中でも特に中高年齢層にしわ寄せが行って、なかなかむずかしい問題を抱えております。そういう中で、同和地区の出身者につきましては、いま御指摘のように、特になお一層困難な問題があろうかと思います。 私どもは、そういう点におきましても各種の行政的な、あるいは法律制度によります援助措置等もございますし、一つの例を挙げますと、今回の雇用保険法が成立いたしまして、その中でも非常に就職の困難な中高年齢層に対して特に手厚い措置を講ずることにいたしております。同和地区の出身者につきましては、この中高年齢者と同じような手厚い措置を法律的に措置することになっております。したがいまして、常用就職支度金でございますとかあるいは雇用奨励のための各種の措置、これは同和地区の出身者に対してはほとんど適用されることになっております。こういうことをフルに活用することによりまして、この同和対策の対象になる人たちの就職問題につきましては特段の努力をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○湯山分科員 そういう措置をおとりになっているということはよくわかります。それがどの程度効果を上げておるかという把握ですね、これが非常に大事だと思いますが、その点はいかがでしょう。
○遠藤(政)政府委員 全般的にその効果がどういうふうにあらわれているか、どの程度まで進んでいるか、これは具体的には今後の調査にまつほかはないと思いまして、先ほど御指摘ございました総理府の五十年度の調査に、労働省も一緒になりましてこういう結果の調査をいたすつもりにいたしております。 ただ、いま一つ例をお挙げになりました失対事業就労者の面につきましては、四年前に新しい法律ができまして、失対就労者の中の比較的就職しやすい、比較的若い年齢層の方々につきましては、失対事業から離れていただいて常用就職をしていただくということで、特定の地域につきましてはいまだに四十七年当時と比較的似たような状態が続いておりますけれども、西日本の同和地区関係におきましても、こういった失対に就労しておった人たちがかなり常用就職をされたという結果が数字的にも出ておりますので、非常に目立って効果的な結果が出ておるかどうか、これは調査の結果をまたざるを得ませんけれども、私どもといたしましては、こういった法律制度、行政的な措置の効果が逐次浸透し、結果にあらわれてきているのではないか、かように考えておる次第でございます。
○湯山分科員 いまのところは、私は若干見解を異にしています。これはいま言ったような施策が成功したというよりも、失対事業をなるべくやめさせようという全般的な政策をとられて、新たな失対事業の就労は認めないというようなことや、あるいは年齢等のそれもあるし、そこでだんだん減らざるを得ない。しかし問題は、あの失対にしても長い人はもう何十年ですね。そういうふうなところから抜けられない、そこに問題があるので、ある効果が上がってそうなったとは、私は考えない方が正しいのじゃないかというように思います。これは論議することはやめます。 ただ、非常に大事なのは人の問題ですから、特に、やっておられる施策の中で就職促進指導官とか職業相談員、こういう人の具体的な働きというものが非常に重要だと思います。同和担当の就職促進指導官というのが昭和四十三年から置かれまして、昭和四十八年には七十九名、いまはこれは何名になっておるのですか。
○遠藤(政)政府委員 五十年度は百二十三名になる予定でございます。
○湯山分科員 現在は。
○遠藤(政)政府委員 現在百三名でございます。
○湯山分科員 それから職業相談員、これは当初は専任のような形でなかったんだろうと思うのですが、四十八年からですか専任になって職業相談員という名前がついた。これはいま何名で、来年度何名になる予定でしょうか。
○遠藤(政)政府委員 この職業相談員は、当初は同和担当専任ということじゃございませんでしたが、いま御指摘のように、現在では同和の専任者ということになっております。これは四十九年度で九十名でございますが、五十年度、現在御審議中の予算では百二十名になる予定でございます。
○湯山分科員 こういう人たちの人選はどういうふうにしておられますか、条件とか。
○遠藤(政)政府委員 これは直接私どもの方では選考いたしませんで、県知事のもとで同和関係に十分な認識を持った方で、かつ職業指導あっせんに経験を積まれた方々の中から選考いたしております。
○湯山分科員 そういうことについて、実際にこういう人なら適切だとか、そういったことについての検討をおやりになったことございますか。
○遠藤(政)政府委員 個々の具体的なケースについて私どもの方までは上がってまいりませんけれども、これは行政それ自体が、職業安定行政は御承知のように県知事に機関委任をしてございます。それぞれの同和地域で同和問題を抱えておられる知事以下担当の部局職員につきましては、この同和行政について十分理解を持っております。この同和対策としての職業紹介、職業指導面に十分な認識を持った方の中から選ぶ、これは基本的には一致したところでございまして、従来こういった職員の選考、任用に当たりましては、いままで問題も出てきていないように私どもは承知いたしております。
○湯山分科員 非常にむずかしい問題で、問題が出ないというのは、むしろそこに問題があると思うのです。というのは、これをごらんになりますと、四十七年ですけれども、人権問題で特設の人権相談所へそういう差別の問題で持ち込まれた件数は三万を超えている。その順位は、結婚それから職場とかあるいは学校、近所づき合い。その中で大きいのはやはりいまの就職の差別というのが大きいものになっています。これは三万幾らが、直接具体的な差別というわけではありませんけれども、それに関連している。これだけあって問題がないということはどうもおかしいのじゃないですか。
○遠藤(政)政府委員 私がいまお答えいたしましたのは、この就職促進指導官なり職業相談員の選考につきまして、特に不都合があるとか問題が起こったというような事例を承知いたしていないと申し上げたわけでございます。こういった職業相談員なり就職促進指導官の扱います事例の中で問題がないと申し上げたわけではございません。
○湯山分科員 それで、そういう就職の差別がやはり上位を占めておるということですが、具体的にそういうのをお調べになったことがありますか。
○遠藤(政)政府委員 特にどういう問題があったかということを私の方で調査したのは、先ほど申し上げましたように、四十七年の就業上の実態調査というような形でやりましたもの、それから今後やろうとしておりますものはございますが、特別的にやった実態はございません。
○湯山分科員 これはもう大臣お聞きいただきましたように、これだけの人を置いて、全国で両方合わせば今度で二百五十名、それだけの人を配置してこの仕事に当たらしている。具体的にどういうことがあったか、そういうことを本家本元の労働省でつかんでいない。これは措置法ができてからでももう六年ですか、それだけたって、やはりかなり詳しくこの報告には、結婚問題等は名前こそ挙げてないけれども、A、Bというような個人的な問題を例示してあります。 就職の問題というのは、いまのように同和行政の中核をなさなければならないということであれば、かなり具体的な事例をつかんで、こういう場合にこうした、そしてこういう場合こうするのだというものがなければ、この二百名の人は本当に何をしていいかということが——ただ募集のときそれを書かないとか、そういうことを調べないとか、そういう形だけのものではこの問題は解決しない、こう考えますが、どうでしょうか。
○遠藤(政)政府委員 どうも私のお答えの仕方が不適当であったようでございますが、実はこの一年半、私がこの職業安定行政を担当いたすようになりましてからも、具体的なケースで、企業側からこの問題について相談があったことも二、三ございます。そのほかに、それぞれの具体的なケースで、就職上の就職紹介あっせんの件で、あるいは新卒採用につきまして問題の起こったケースはたくさんございます。その件については逐次、特に県段階で処理できないような問題について、私どもの方へ相談が出てきております。こういった問題、もちろん当然把握いたしておりまして、適切な指示をしまして、御趣旨のような方向で、差別扱いがなくなるような指導をしてまいっております。こういったケースは当然私どもの方で処理いたしますと同時に、定期的に、こういった問題が起こったものについては、報告をさせるようにいたしております。その都度解決をしてまいっておるわけでございます。
○湯山分科員 年間それは何件くらいありますか。
○遠藤(政)政府委員 ちょっと手元に資料を持っておりませんので、私どもの方に上がってきた件数がどれくらいあるか、いまお答えいたしかねます。
○湯山分科員 後ほどどなたか調べて言ってください。 実は、学校の名前は差し控えますが、ある学校で調べた資料があります。これは地方の小都市といいますか、町といいますか、そういう単位でのことですから、全般ではありませんけれども、企業による就職差別実態調査、七〇年八月十五日にやったものです。それによりますと、同和地区出身者と在日朝鮮人、二つで調べておるのですが、アンケートの総数二百です。 その中で、同和地区の人を採用しないというのが三十一件あります。これはなぜ採用しないかというと、受験者がなかったというのも含まれておりますから、これは全部が問題だということではありませんが、とにかく採用しなかったというのが三十一件。 それから、採用しない場合、その理由。受験者がなかったというのが一番多いのですが、成績人物不振、これはたまたまそういう条件に同和地区出身者が該当したということだから、これもいいと思います。 その次に、問題は社の方針というのが十一件あります。会社の方針で地区出身者は雇わない。こういうのがそれだけありまして、これは大変な問題じゃないかというように思います。業種別に言えば金融、商事、食品あるいは卸売、まあそんなようなのが、この地域では、いまの採用しない、しかも社の方針でやらないというのに該当しておる。 では、何で出身者かどうかを調べるかというのについては、そういう調査をするのと調査しないのとがありますが、調査する方が数は多いです。調査をするのが多い中で、どこに調査を依頼するかというのについては、会社の担当課にやらせるというのが一番多い。それから興信所、出先の営業所、得意先、従業員の縁故その他で調べています。問い合わせ調査先はどこかというと、高校、中学、本人の自宅、自宅付近、町役場等となっております。具体的には、やはりこれだけ残っている。しかもこの調査は決して古いことではなくて、七〇年の八月ですから、五年ばかり前で、もちろん高度成長に入ってからのことです。 こうして見ると、果たしていまのように労働省でやっておられる施策というものが本当に効果を上げているかどうか、どうも私は何か足りないのじゃないかという感じがしてならないのですが、いかがでしょうか。
○遠藤(政)政府委員 いまお読みになりました実態は、恐らく七〇年当時はそのとおりだったろうと思います。私、昭和二十九年、三十年当時、大阪の府庁におりまして、御承知のように大阪地区は、御指摘になりました同和地域と、三国人といいますか、韓国人、朝鮮人、そういった人たちの一番多い地区でございます。当時は、まだ新卒者につきましていわゆる過剰時代でございまして、大阪地区はもちろんのこと、山陰、四国、九州あたりから新規学卒した人たちが大阪地区に押し寄せてまいりまして、これをいかにして就職させるかということが非常にむずかしい状態の中でございました。その際には、確かにただいま御指摘になりましたような、会社の人事方針として同和地区出身者を採らない、こういうことを明らかに公示しておる向きも多かったように思います。そういう事態が七〇年当時はまだ残っていたのではないかと思います。 実は私どもの方も、当時からこういった点につきましては、十分な注意をしておったつもりでおりますけれども、この同和地区出身者の対策として、就職上の差別廃止、撤廃ということで強力な指導を始めましたのは、いわゆる同和対策審議会の答申が出て以来この五年来のことでございまして、いわば出発点における時点の実態をいまお読み上げになったのじゃないかというような気がいたします。その後、先ほど来申し上げておりますように、若年労働者につきましては、私はそういった問題がほとんど解消しつつあるのではないかというような気がいたしております。 実は昨年、私のところに相談がありましたのは、就職の選考をいたします際のいろいろな選考条件につきましては、同和地区出身者であるかどうかということがわからないようなシステムになっておりまして、採用内定をした後で、もう採用が決まった、そこで職員としてのいろいろな書類を取りそろえるためにその身上調書等をとったところが、身上調書をとるということについて非常に忌避されまして、同和として差別しているのではないかということで問題になって、どうしたらいいかということで私のところに相談に見えたケースでございます。そういった問題は、これは会社側には全くそういう差別をしようという意識はなかったわけでございます。それが逆にとられたというケースでございます。 それにしても、そういう事態が起こらないように指導はし、当該府県に対しまして、こういうケースもあるのだということで私は指示をいたしたわけでございます。新卒のそういう取り扱いにつきましては十分徹底してきておりますので、中に一、二問題の起こりますケースもございますけれども、やはりこれからの問題は、先ほどお話しになりましたようないわゆる中高年齢者の人たちでございます。こういう不況になりますと、一般的な中高年齢者よりも同和地区の出身者について、この失業した人たちがとてもむずかしい事態に追い込まれておる、それをどうするかということに問題はおのずから集中してくるのではないかというような感じが私はいたしております。
○湯山分科員 私もいまその点をお尋ねしようと思っておりました。いまのように身元、戸籍関係の書類を採用決定後あるいは入社時、その間に出させるところと、それから願書提出のときに出させて、少なくとも受験、面接までにそれをとるのと、二通りあります。どちらが多いと思われますか。
○遠藤(政)政府委員 選考、採用に際して、いわゆる受験願書のたぐいの中に身上調書あるいは居住地の状況、こういったものを記載させることは、私の方は行政指導として強力に差しとめるようにいたしております。したがいまして、最近は新卒関係についてはそういうことはほとんどなくなっているはずでございます。ただ、採用決定をした上で、従業員としての必要書類としてやる向きは、いまもかなりあるように聞いております。
○湯山分科員 どれだけ改善されておるかわかりませんけれども、この七〇年調査の段階では五八・九%は事前にとっています。そういう状態ですから、私はまだまだ残っているのじゃないかという感じがしてならないのですが、それは具体的にはこういう事例がありました。 ある金融機関ですけれども、女子の高卒を採用試験をした。よくできるので何次かまで行ったわけです。途中でその学校の先生が呼ばれて、そして実はこうこうだけれども、ひとつ極秘であの子を不採用にするが了解してほしい、そのかわり就職はうちよりももっといいところへ世話します、それは責任をもってやるからということであった。確かに条件のいいところです。それから、まあ格から言ってもいいところですが、とにかくそうするから、うちの就職だけはひとつ勘弁してくれ、絶対ほかへ言わないようにしてくれということであった。で、その先生も相談に見えまして、こうこうだ、だから名前も何も言わない、ただ一般的に言えばいまのようなことだが、これはどうしたものだろうということでしたので、そこまで言って本人も納得すれば、そこよりもいいところなんだから、それも構わぬじゃないか、問題は本人の意思だと言ったら、本人もそれでいいということで、そうなったケースがあるのです。 ですから、これらも表に全然出ません。これは同和教育自体もはっきりしない、何か一本抜けたようなところがあるのですが、この就職指導というのにもどこかまだ抜けたところがあるのではないか。ですから、やはりたくさんの実態を集めて、その中からつかんでいく以外に道はないので、その点、いまの御答弁について、もっと具体的なものの把握をしっかりして、やってもらいたいということをお願いいたしたいと思います。 それから、仮にある程度効果が上がって若い人は基幹産業へ就職するということになったとしても、そのために、親は従来のそういう状態、子供はそういう状態ですと、家庭の中に断絶が起こってくる。これがやはり家庭の中のトラブルの大きな要素になっています。そこで、中高年齢層のそういう就職の指導、これもやはり若年と同じように同和行政では重要だと言わざるを得ないのですが、これはむずかしいですが、どうですか。
○遠藤(政)政府委員 私、福岡でございますので、福岡地区のことはいろいろな機会に耳にすることが多うございますし、また見てまいりましたが、結局同和地区の人たちは、先生御承知のように、いまだに就学率が低いのが残っております。特に中高年齢層になりますと学校に行かなかった人が多い。読み書きができない。さらにそれに加えて職業上の能力に欠ける人が多い。こういうことで、せっかく常用就職をさせようとしても、なかなかうまくいかない。そこで問題は、こういった人たちを臨時日雇いというような形でなくて、正規の常用就職をさせるためには、やはり何らかの形で必要な最低限の読み書きは教えなければならぬ。それから職業上のそれぞれ必要な技能を身につけさせるということが前提条件になると思います。 そこで私、自分の身近な例でございますけれども、福岡地区で炭鉱が相次いで閉山いたしまして、炭鉱で働いていた、いわゆる何もなくて済んでいた人たちが、一たん地上にほうり出されますと、就職ができない。こういうことで、同和地区を中心にいわゆる技能訓練、職業訓練を逐次充実いたしまして、たとえばそういった技能教育をやるかたわら、自動車の運転免許を取らせるというようなことが、現実に非常に効果をあらわしまして、あの筑豊地区の同和地区の人たちにつきましては、相当程度効果を上げてきているという事例もございます。これは単に福岡地区のケースだけでなくて、同和対策、同和行政の全体にこういう職業訓練の充実というような方向を進めることによりまして、常用就職の場を広げていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
○湯山分科員 新しい学卒だけじゃなくて、そちらの方も、むずかしいでしょうけれども、いまおっしゃったような点ですね、特に力を入れてぜひやっていただきたいと思います。 それから、私がいま心配になってきておるのは、採用取り消し、それから採用延期、そういう中で、いまの御説明その他から考えてみて、やはり同和地区の人の率の方が、そうでない地区よりも多いのじゃないかという心配が若干あるのです。そういうことの実態はわからないでしょうね。
○遠藤(政)政府委員 御懸念ごもっともだと思いますが、実は中卒、高卒につきましては、件数も対象人員も非常に少のうございます。若干ございますけれども、これは右から左にもう再就職が決まっておりまして、問題は大学卒でございますが、大学卒の場合は、同和云々とは直接関係はないように私ども承知いたしております。また具体的な事例も聞いておりません。
○湯山分科員 関東地区でも、何かけさテレビで言っておりましたが、やはり高卒でいまの取り消し、それから延期が相当数あると、何百か、もっとでしたか、そんなので、いまの点も、労働省の担当の各地におる諸君によく言って、ぜひそういうことにならないように、当然同和対策事業の一環としてやらなければならないのだからというようなことを言って、そして雇用主の方へ働きかけて、そういうことをさせないように——御存じのように、結局貧困と差別の両方が重なってそうなっておるわけですから、これが採用取り消しとか延期になればもろに響いてきますから、その点は特に御配慮を願いたいと思います。 それからその次にお尋ねいたしたいというか取り上げたいのは、先ほど申し上げましたように失対事業の就労者が非常に多い。その失対事業就労者がいろいろなことを言ってきておるのですが、その中で失対事業の賃金は生活に十分なあれじゃありません。ところが、これは級地の区別がありましてその格差がある。今日のようなときだから、その級地をもう撤廃してほしいという希望が非常に強いのです。ほかの要素もあると思いますけれども、これを御検討いただくわけにはまいりませんか。
○遠藤(政)政府委員 確かに東京、大阪とたとえば青森、鹿児島、こういった地域によりまして失対事業の賃金につきましてはかなりの格差がございます。四十年当時、いまから十年前でございますが、東京、大阪を一〇〇にいたしますと七〇・七、約七割ということでございましたが、これが四十九年、現在では八五・四ということになっております。 実は私、五年ほど前、失業対策部長をやっております当時から、一番低い地域の賃金をできるだけ上げるように、格差をなくすようにということで、この数年来そういう方向でやってまいっております。ただ失対事業の賃金は、御承知のとおり当該地域の類似の作業に従事する人たちの賃金をにらみながら決める、こういうことになっておりますので、これは、いま直ちに東京、大阪と青森、鹿児島あたりと同じにしろと言われても、制度のたてまえ上、実態から見ましても、かえって不合理な面を生ずるかと思います。私どもはそういうことも十分考えながら地域の格差をできるだけ狭めていく。ことに、これはおしかりを受けるかもわかりませんけれども、東京、大阪あたりでは失対事業の人は本当に働いてないわけです。一日二時間、三時間しか働かないということで、周囲の人から非常に注目をされておる。ところが逆に、いま御指摘のような地域の人たちは本当によく働いている。一日五時間半から六時間、休憩時間等入れますと大体七、八時間働いている。そういう人たちの賃金が低くて東京で三時間しか働かぬ人の賃金が高い、これは何としても不合理なわけです。ですから、そういうこともありまして、私は、できるだけそういった地域の人たちの賃金が上がるようにという、各年度の賃金を決めます際にそういうことを十分配慮しながらやってまいっておるつもりでおります。
○湯山分科員 その低い方ですね、一カ月の収入が大体どれぐらいになるか、ついでに東京、大阪の方が幾ら……。
○守屋説明員 これは日額でございますので、これをほぼ二十二倍していただければ結構かと思います。 まず、東京とか大阪あたりを申しますと、大体平均で日額が千九百四十円ぐらいのところでございます。それから、いまお話がありました鹿児島あたりで——これは鹿児島もいろいろ地域によりますが、千七百五十円か千七百七十円ぐらいのところでございます。いま申し上げました賃金の最高と最低、これはちょっと掛け算したのを申し上げますと、失対賃金だけで見ますと、最高で大体四万二千六、七百円、それから最低の部分で大体三万六千七百円ぐらい、これぐらいになるかと存じます。
○湯山分科員 大臣、いま一人が生活していくのに月どれくらい要るとお感じになりますか。
○遠藤(政)政府委員 その前に、いま申し上げましたのは、いわゆる月間二十二日就労した場合の失対賃金収入だけの額でございます。そのほかに毎月五日分程度の失業保険金の収入がございます。それから夏、冬に、いわゆる臨時の賃金ということで、これは各県、各市によって若干違いがございますけれども、国の措置分として三十三日分ございますし、それに県と市町村から相当額の支給が行われます。したがいまして、これを月額に引き直しますと、いまの額に、平均いたしますと大体五割程度加算をしていただければ、大体月収と見ていただいて結構でございます。
○湯山分科員 それはよく存じております。問題は県、市町村で負担するという分、これはまちまちになりまして問題が多いです。だから、これなどについても、きちっと国の方で決めて、それらを含めたようなものを出すというような方法はつきませんか。これ、言っておれば次々問題が切れないような問題なので……。
○遠藤(政)政府委員 この夏、冬の臨時の賃金につきましては、もう二十八年当時から具体的にモチ代というような形で出発いたしまして、御承知のような実情になっております。この点につきましていろいろ問題がございまして、いまお説のように、国で統一的にできないのか、こういうお話もございました。一方、これは国が規制をするな、県、市町村が勝手に出すのを国がよけいなことを言うのはけしからぬというような話がございました。私どもは、従来これを国の線に統一するような指導をしてまいりましたけれども、四年前にいわゆる中高年等の雇用促進に関する特別措置法ができまして、緊急失対法の一部手直しが行われましたが、その時点で、盆、暮れの臨時の賃金を制度化いたしますことによりまして、そのほかにこれに追加して県市町村が適宜の額を追加支給される、これにつきましては、大方御要望もございますので、あえて国として厳格な規制はしないという方針をとっておりますので、それぞれの県、それぞれの市町村、それぞれの地域に応じて適宜支給されているのが今日の実態でございます。
○湯山分科員 国の方で見る分が少ないですからね。多ければそういう必要がないですけれども、少ないから、そっちの方の手をあけておいてほしいということなのです。局長おっしゃったように、大体これの五割増しというならば、そこまでは国で見ようということになれば、財源の少ない地方が、ずいぶんこれは何日もかかってやりとりした上で決まっていくわけなんで、あそこの市はやった、うちの市はやらぬとか、県内の市長が集まって、今度これだけしか出さないようにしようとか、ずいぶんこれはトラブルのもとにもなります。五割増しぐらいになっているというなら、国がその辺まで一律に見ようということにすれば、これは本当に問題の解決が早いのですが、これは御検討願いたいと思います。 時間も大体参りましたので、大臣には聞いていただいて大変恐縮でございました。しかし、だんだん御理解もいただいておることでございますから、ひとつ事務当局の局長さん以下を督励という言葉じゃなくて激励していただいて、一番中心問題である同和地区の就業、就職問題を解決するためにぜひ御尽力をいただきたいと思いますが、最後に御決意だけ伺いたいと思います。
○長谷川国務大臣 いままでの質疑応答の中にも、だんだん私もわかったものもございますし、また、私が福岡におってそういう方々とおつき合いしたこともありまして、その方々、直接の境遇じゃないから本人の痛さといいますか、それは実感として出てこないというもどかしさもおありでございましょうけれども、やはり労働省が担当しております就職の機会均等というものは非常に大事だと思いまして、今度の五十年度予算の中においても、たしか六七%ぐらいアップして、援護措置あるいは指導をやろう。そしてまた、おっしゃるとおり一番大事なことでございますから、万般督励しながら私ともどもにひとつ前向きの姿勢でやるということをこの際御報告申し上げておきます。
○湯山分科員 終わります。
○野田主査 これにて湯山勇君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして昭和五十年度一般会計予算及び昭和五十年度特別会計予算中、労働省所管に関する質疑は終了いたしました。 これにて本分科会における質疑は全部終了いたしました。 —————————————
○野田主査 この際、お諮りいたします。 昭和五十年度一般会計予算及び昭和五十年度特別会計予算中、厚生省所管、労働省所管及び自治省所管に対する討論、採決は、先例によりまして予算委員会に譲ることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野田主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 これにて本分科会の議事は全部終了いたしました。 この際、一言ごあいさつを申し上げます。 分科員各位の格段なる御協力によりまして、本分科会の議事が無事終了することができましたことをここに厚く御礼を申し上げます。 これにて第三分科会を散会いたします。 午後三時四分散会