予算委員会第三分科会 第2号
- 発言数
- 478 件
- 登壇者
- 36 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1975/02/25
会議録
○野田主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。 昭和五十年度一般会計予算及び昭和五十年度特別会計予算中、厚生省所管を議題といたします。 この際、政府から説明を求めます。田中厚生大臣。
○田中国務大臣 昭和五十年度厚生省所管一般会計及び特別会計予算の概要について御説明申し上げます。 昭和五十年度厚生省所管一般会計予算の総額は、三兆九千六十七億二千八百七十四万一千円でありまして、これを昭和四十九年度補正後予算額三兆一千四十四億五千八百三十万一千円と比較いたしますと、八千二十二億七千四十四万円の増額でありまして、二五・八%の増加となっております。また、これは昭和四十九年度当初予算に対しまして三六・二%の増加でありまして、国の一般会計予算の増加率二四・五%を大幅に上回りますとともに、その占めます割合も一八・四%と過去最高のものになっております。 申し上げるまでもなく、最近におけるわが国の経済情勢はまことに厳しいものがあり、明年度予算もまたこうした情勢に対応して編成されているのでありますが、幸い厚生省予算につきましては、国民的要請の高まりを背景とし、各方面の絶大な御理解と御協力によりまして前述のとおり一応の成果をおさめることができたのでありまして、この機会に各位の御支援に対し衷心から感謝申し上げますとともに責任の重大さに思いを新たにして国民の暮らしと健康を守る厚生行政の確立に努めたいと存ずる次第であります。 次に、明年度予算の編成に当たりまして私が特に留意いたしました点を申し上げたいと存じます。 第一は、社会的不公正の是正を具体的に推進する方策として、社会保障の基本になります諸施策の充実に努めた点であります。 こうした観点から生活保護基準を二三・五%引き上げ、また、厚生年金、国民年金の年金額を物価にスライドして増額を行いますとともに、特に各種福祉年金の大幅引き上げを実現する等思い切った予算措置を講じたところであります。 第二は、国民生活各般の広範かつ多様なニードに迅速かつ適切に対応する施策の実現に努めた点であります。 在宅障害者に対する福祉手当の創設、老人及び障害者向け福祉電話の助成など、老人、心身障害児者等に対する社会福祉の拡充、僻地医療対策の画期的充実を中心とする医療供給体制の整備、国民健康保険助成費の増額等によります医療保険制度の充実あるいは原爆被爆者、戦争犠牲者のための対策、さらには日常家庭生活の安全確保対策の拡充等につきまして国民各層の期待にこたえるきめ細かい厚生行政の実現を目指して最善の努力をいたしたところであります。 第三は、社会福祉、医療等に従事する人々の確保対策の推進であります。 社会福祉や医療を支えて真剣に働いておられる従事者の処遇改善、養成確保に関する基礎的な施策につきましては、明年度予算において、かなりの前進を見ることができたものと信じております。 以下、主要な事項につきまして、その概要を御説明申し上げるのでありますが、委員各位のお手元に資料を配付いたしてございますので、お許しを得て説明を省略させていただきたいと存じます。 何とぞ、本予算の成立につきまして、格別の御協力をお願いいたす次第であります。
○野田主査 この際、お諮りいたします。 ただいま田中厚生大臣から申し出がありました厚生省所管関係予算の重点事項につきましては、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野田主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 ————————————— 〔田中国務大臣の説明を省略した部分〕 以下、主要な事項につきまして、その概要を御説明申し上げます。 第一は、生活保護費であります。 生活扶助基準につきましては、最近の国民生活水準の動向、消費者物価の推移等を勘案し前年度当初に比し二三・五%引き上げることといたしましたほか、教育、出産、葬祭の各扶助につきましても所要の改善を行うこととし、生活保護費として五千三百四十七億四千六百万円余を計上いたしておりますが、これは前年度予算に比し七百二十三億四千六百万円余の増額であります。 第二は、社会福祉費であります。 老人の福祉につきましては、後にも申し上げますが、老齢福祉年金を月額七千五百円から一万二千円に引き上げる等大幅に改善いたしますとともに、寝たきり老人のための家庭奉仕員制度の拡充、老人クラブ活動の強化等生きがいある老後を実現するための施策を推進することといたしております。 心身障害児・者の福祉につきましては、在宅重度障害者福祉手当の創設、特別児童扶養手当の二級障害児への拡大、身体障害者福祉モデル都市の拡大などの施策を講じますほか、国立の総合リハビリテーションセンターの設置を進めることといたしており、また、重症心身障害児・者のための施設につきましては、その整備とあわせて特に入所者の介護体制の充実に意を用いた次第であります。 社会福祉施設の整備費につきましては、公共事業費等の一般的な抑制にもかかわらず特に三二%程度の増額を行いました。また、社会福祉施設従事者の勤務条件と処遇の改善を図るため夜間勤務体制、休憩時間の確保等に必要な職員を増員いたしますとともに、保母等直接処遇職員給与の特別改善を行うこととして、これに要する経費を計上いたしたところであります。 このほか、母子福祉、同和対策等につきましても所要の措置を講ずることとし、これらの施策に必要な社会福祉費は、総額六千百六十九億一千三百万円余でありまして、前年度に比し一千二百五十億三千二百万円余の増額となっております。 第三は、社会保険費であります。 まず、社会保険国庫負担金でありますが、厚生保険特別会計及び船員保険特別会計への繰り入れに必要な経費として、四千二百一億五千五百三十四万円余を計上いたしております。 このうち、厚生年金につきましては、年金額の実質価値を維持するための物価スライド制の実施に要する経費を含めて一千五百八十八億八千二百万円余を計上いたしております。 また、日雇労働者健康保険につきましては、さきに改正を見た家族療養費の給付率の引き上げ、高額療養費の新設等を行うことに要する経費を含めて二百三億八千八百万円余を計上したところであります。 次に、国民年金国庫負担金でありますが、国民年金特別会計への繰り入れに必要な経費として七千六百四十六億九千百万円余を計上いたしております。 このうち、拠出制国民年金につきましては厚生年金と同様物価スライド制を実施いたしますとともに五年年金の特別改善を行うのに必要な経費をも計上いたしております。 また、福祉年金につきましては、年金額をそれぞれ六〇%程度引き上げますとともに、恩給等との併給制限の緩和を図るほか、老齢特別給付金を九千円に引き上げることとして所要の経費を計上いたした次第であります。 国民健康保険助成費につきましては、療養給付費補助金など総額一兆六百二十億七千六百万円余を計上いたしておりますが、このうちには、法定国庫補助金のほか臨時財政調整交付金等の特別助成費七百六十億円及び助産費の引き上げ、事務費の改善に要する経費が含まれております。 このほか、児童手当国庫負担金につきましては、手当額の引き上げを行うこととして六百五十億九百万円余を計上いたしております。 以上、申し上げました社会保険費の総額は二兆三千百六十三億七千万円余でありまして、前年度に比し、五千四百八十五億四千万円余の増額であります。 第四は、保健衛生対策費であります。 先ず、難病対策につきましては、調査研究費及び治療研究費の対象疾病の拡大、増額を図るとともに、専門的治療を行う医療施設の整備を計画的に実施することとして二百七十五億九千万円余を計上いたしております。 次に、原爆障害者対策でありますが、特別手当、健康管理手当等の各種手当につきまして、額の大幅引き上げを行いますとともに保健手当を新設することとして二百四十億二千五百万円余を計上いたしたところであります。 医療供給体制の整備につきましては、僻地医療対策の確立を中心に救急、休日・夜間診療対策等多様化する地域住民のニードにこたえるため必要な施設の整備を進めますとともに医療情報のシステム化を推進する考えであります。 また、がん、脳卒中、小児医療等の専門医療の確保につきましては、国公立医療機関を中心に引き続き研究費の増額、施設の整備に努めますとともに、特殊診療部門運営費の助成拡大をも図ったところであります。 さらに、医師、看護婦その他の医療従事者の確保のため、僻地医療従事医師に対する修学資金貸与制度の拡充、看護婦養成所助成対象の拡大、ナースバンク、院内保育施設の拡充を図る等かなりの工夫をいたしたところであります。 このほか、結核、精神等の対策費を含めて保健衛生対策費は、総額二千七百三十三億七千三百万円余でありまして、これは前年度予算に比し、百九十五億八千九百万円余の増額であります。 第五は、戦傷病者戦没者遺族等の援護費であります。 戦傷病者戦没者遺族等に対する年金につきましては、恩給法の改正に準じて引き上げますとともに、新たに戦没者等の遺族に対する特別弔慰金(交付国債)の支給を行う等援護の拡充を図ることといたしました。 また、戦没者の遺骨収集につきましては、終戦三十年という時期を迎えることでもありますので、十一地域を対象に積極的な推進を図ることにいたし、戦傷病者戦没者遺族及留守家族等の援護費として合計六百五十一億七千二百万円余を計上しておりますが、これは前年度に比し百三十五億二千百万円余の増額であります。 第六は、生活環境関係費であります。 まず、水道施設整備関係費につきましては、簡易水道の整備、水道水源の開発等、質量両面にわたる水道供給体制の確立のため三百五十一億一千八百万円余を計上いたしました。 また、廃棄物処理施設の整備につきましては、引き続き計画的整備を進めるとともに助成内容を改善することとして二百二十二億七千三百万円余を計上いたしておりますので、生活環境施設整備費は、合わせて総額五百七十三億九千二百万円余となり、前年度予算に比し百三十二億八千五百万円余の増額となっております。 次に日常生活の安全確保対策でありますが、食品、家庭用品及び医薬品の安全性確保という見地から調査研究費の増額、監視、情報収集体制の強化、試験検査体制の整備等について所要の経費を計上いたしました。また、血液確保対策、麻薬覚せい剤対策の強化などに要する予算の確保にも努めたところであります。 以上、昭和五十年度厚生省所管一般会計予算の概要を御説明申し上げました。 次に、昭和五十年度厚生省所管特別会計予算の大要について御説明申し上げます。 第一は、厚生保険特別会計についてであります。 一般会計から四千七百五十五億二千九百二十七万八千円の繰り入れを行い、各勘定の歳入、歳出予算をそれぞれ計上いたしております。 第二は、船員保険特別会計についてであります。 一般会計から九十六億三千五百五十三万五千円の繰り入れを行い、歳入一千三百三十億二千八百八十四万九千円、歳出一千七十八億二千四百五十九万一千円を計上いたしております。 第三は、国立病院特別会計であります。 病院勘定は、一般会計から百五十二億三千八百十万七千円の繰り入れを行い、歳入、歳出とも一千四百五十四億三百二十七万九千円を計上いたしております。 療養所勘定につきましては、一般会計から三百十四億九千百五十万八千円の繰り入れを行い、歳入、歳出とも一千四百二十五億九千三百六十三万五千円を計上いたしました。 第四は、あへん特別会計であります。 歳入、歳出ともに十一億六百四十万八千円を計上いたしております。 第五は、国民年金特別会計についてであります。 一般会計から七千六百四十六億九千百三十五万六千円の繰り入れを行い、各勘定の歳入、歳出予算を計上いたしております。 以上、昭和五十年度厚生省所管特別会計の予算について、その大要を御説明申し上げました。 何とぞ、本予算の成立につきまして、格別の御協力を賜りますようお願いする次第であります。 —————————————
○野田主査 以上をもちまして、厚生省所管についての説明は終わりました。 —————————————
○野田主査 審議に先立ち、念のため申し上げます。 質疑者が多数おられますので、質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いしたいと思います。 なお、政府当局に申し上げます。質疑時間が限られておりますので、答弁は的確に要領よく、簡潔にお願いいたします。 質疑の申し出があります。順次これを許します。松浦利尚君。
○松浦(利)分科員 私は三つの問題についてお尋ねをいたします。 第一点は、予防ワクチンの扱いについてであります。 御承知のように百日ぜき接種の問題をめぐりまして、幼児の痛ましい犠牲が出たということでいろいろと世論を沸かせたわけでありますが、最終的に厚生省としては、接種年齢を二歳に引き上げて、やはり従来どおり百日ぜきは予防接種をしていくというような方向が実は打ち出されてきておるわけであります。しかし問題は、実はそのことと同時に、予防ワクチンの扱いが今日きわめてずさんな状態にあるということについて、厚生当局に一、二質問をして御回答をいただきたいと思うのであります。 その一つは、大体予防ワクチンというのは、国が買い上げるものと民間ベースによるものと二つあるわけでありますが、民間ベースによるものの末端マージンは大体幾らというふうに見ておられますか。予防ワクチンを扱った最終末端の業者の扱うマージン率は幾らか、そのことをひとつお聞かせいただきたいと思います。
○宮嶋政府委員 ワクチンも種類がいろいろございますから、一概に申すことは困難でございますけれども、私どもが聞きますところでは、メーカーの蔵出し価格、それに大体上乗せ一割程度のものが中間の流通段階、具体的には卸でございますが、そのマージンとして手に入るというふうに理解しております。
○松浦(利)分科員 インフルエンザワクチンが卸で大体四千三百二十円、それが末端で平均四千五百十円で売られて百九十円程度のマージンしか、私が調べたインフルエンザというものについてはないのですね。 そこでお尋ねをしますが、大体、予防ワクチンを輸送する場合、あるいは予防ワクチンの適正温度というのは、法律で何度に規制されておりますか。
○宮嶋政府委員 実は、ワクチン類につきましては、生物学的製剤基準というものがございまして、特に物が物でございますから、その貯法、どういうふうに貯蔵するか、運搬するときにどういうふうに置いておくか、この貯法につきまして決めておりますが、先生御質問の温度関係につきましては、物によって違いますけれども、一般的に申し上げれば、大体摂氏十度以下に保存する、これは凍らない状態でというふうな基準が一般でございます。
○松浦(利)分科員 いま規定されたように摂氏十度以下に保持するということになると、輸送条件というのは相当厳しくなければならぬと私は思うのですね。ところが、実際に研究所からメーカーに運ぶ場合には、これは明確に十度Cに保つ車両で輸送される。それが今度は各県の卸段階にメーカーから持っていくのですが、これも正確に一定の規格で条件を満たした輸送で行われる。ところがそれから先ですね。それから先を実際にチェックされたことがありますか。卸から末端の病院に配送されるその流通段階をチェックされたことがありますか。
○宮嶋政府委員 私どももこのワクチン類の温度の保持という面につきましては、特に流通段階は心配しておりまして、四十年代の初めにおきまして、特に痘瘡ワクチンにつきまして温度管理がまずくて力価が下がったのじゃないかというふうな話も出まして、当時から、特にメーカー段階における貯蔵あるいは卸段階における貯蔵あるいはその間をつなぐ運搬、ユーザーの手に届きますまでの運搬の過程、この面につきまして、特に温度管理についてはその徹底を図るようにという指示もいたしましたし、その後十分注意もいたしまして指導もいたしております。私どもも先生の御質問の機会に改めて——もちろん一般的に関心を持っておりまして注意しておりますが、いろいろ聞きましたけれども、今日の段階におきましては、メーカーからユーザーに渡りますまでの期間をおおむね一週間と見る。余り早く持っていかない、あるいはまたメーカーから卸、あるいは卸からユーザーに渡ります過程における運搬の時期における保温管理の方法につきまして、業界が全体といたしまして大いに工夫もいたしまして、今日の段階では一般的に発泡スチロールの中に、断熱材の中に氷のかんを詰める、その中に商品を置くというふうなかっこうで、具体的に保温管理につきましては十分注意をしてやっておる、このように理解いたしております。
○松浦(利)分科員 いま厚生省の方では的確にやられておる、こういう話ですけれども、予防ワクチンというのはどこから入れてもいいわけですね。一定のルートではないのです。どこから入れてもいいのでしょう。そうなっているのでしょう。
○宮嶋政府委員 大体メーカー七社ございますが、そのいずれかから買うわけでございます。それは自由でございます。
○松浦(利)分科員 それでメーカーが自分のところで出した製品の管理体制というのはどうなっているのですか。もう出しっ放しでしょう。出したものについてどういうふうに管理されているかということは、メーカーが管理する責任体制というのはないですね。
○宮嶋政府委員 もちろんメーカーから一般的にワクチンの流れは大卸、これはブロック単位でございますが、それから県段階の小卸、それからユーザーというふうに流れてまいりますけれども、メーカーから出しますときに当然、ワクチンでございますから、卸に対しまして取り扱いの注意ということは申しまして、また卸の段階におきまして今度はユーザーに渡りますまでの段階で卸が注意する、そういうふうになっております。
○松浦(利)分科員 なっておるということと現実というのは違うのですよ。厚生省はなっておる、こう言われる。ところが実際に私が実態を見たら、結局真夏でもクーラーもないような車両でどんどん配送されるわけですね。なぜそうかと言うと、マージン率が非常に低いからそんなものにコストをかけるわけにいかぬと末端の方では言うのですね。だから現実に予防ワクチンというものはこうなければならない、こうあるべきであるということは規定づけられておる。確かに十度C以下に保温しなければならぬということも決められておる。ところが現実にそれが全く守られておらないのですね。それはなぜかというと、流通段階の下部、末端までにそういう行政の監督能力というものが及んでおらないわけですよ、逆に言うと。そのために決められておるとおりの配送なりあるいは取り扱いということをしないための事故というのが起こり得る可能性というものはあると私は思う。そのことによってまた事故が起こった例もあったのじゃないか、私は素人だからわかりませんけれども、あったのじゃないか、こういうふうに思うのですよ。事実ロットナンバーのないやつが出回ったという事件に私は遭遇した。ロットナンバーがないやつがあった、こういうことを聞いたのです。私は現実を見たわけではないから、そういう事実があったということをお聞きしただけだ。だからそのことを確認したいのだけれども、なぜかと言うと、そういううわさが出るということ自体が管理体制が非常に不明確なんですよ。 そこでこの際、百日ぜきの問題がこれだけ大きな問題になりましたね。予防ワクチンというものは恐らくこれからも大変な問題が起こってくると私は思う。ということになれば、品質管理という上からも一貫体制、輸送に対する規律、規定、そういったものをびしっと定めて、ある意味では管理体制というものをもっと明確にする必要があるのじゃないか。それでなければ大変な事故が起こる可能性を持った今日の医療流通体系、予防ワクチン流通体系だ、乱れておるというふうに私は思うのです。 この際厚生大臣の方から、いやしくも予防ワクチン等の管理体制の不十分によって事故が起こるということを防止する意味でも、こういった問題に対する大臣の御見解を承りたいと思います。
○宮嶋政府委員 ただいま先生の御指摘の点はまことに私どもも大事なことだと思いますし、最近のワクチンをめぐるいろいろな問題があるわけでございますけれども、特にメーカー段階あるいはまた流通段階、あるいはまた場合によってユーザーの段階における管理、保管の問題 一般的に私ども指導しておりますけれども、ただいまの先生のお話のように、もっとこれを定型化する、もっとがっちりそれを押さえる、行政的に把握できる方法を考えるというふうなことが大事であろうかと存じます。 そういう意味合いにおきまして、この際改めて私どもは関係の業界に対し、あるいはまた流通段階の業者に対しまして、特に保管ないしは運搬時における管理の面の規制につきまして、ひとつ私どもも一緒になって相談もし、一つの要領をつくる、がっちりその管理をやらせるという方向で処理をしたいと思います。
○松浦(利)分科員 いま事務当局から答弁がありましたが、私はやはり事務当局でやれない分野があると思うのですよ。あなたに言われても実質的に実行できない場合がある。それはなぜかと言うと、やはり人の問題があるでしょう、予算の問題があるでしょう、各医師会との関係がある、それぞれの都道府県との関係があるというような意味で、事務当局がこうなければならぬ、こうあるべきだということで、いままでもやってきたけれども、それがしり抜けになっておるのですよ。ということになれば、これは国民の健康を預かるという意味で大変重要な問題だから、言われることはよくわかっている。しかしこの際こういう問題に対してまた同じ質問がここで出ないように、大臣からこの際明確な答弁をしてもらいたい。
○田中国務大臣 物が物でございますだけに、厳重な品質管理等をいたすように、最大の努力と注意を払い、これを実施いたしたい、こう思っております。
○松浦(利)分科員 それでは事務当局にお願いしておきますが、一遍追跡調査をしてみてください。AならAというものに焦点をしぼって、ずっと末端までユーザーまで追跡調査をしてみる。その間の輸送がどうなっておるのかというようなものを私はできるだけ早く調査をしていただいて、できればこの予算委員会の締めくくり総括質問終了までに予算委員会の方に出していただければいいと思うのですが、その点についてはどうですか。
○宮嶋政府委員 おっしゃいますように、早急に追跡調査の方法によりまして実態を調べまして、実態をまず把握したいと思います。
○松浦(利)分科員 それでは一応予防ワクチンの関係は以上で終わります。 それから二番目の問題は、実はこれは今日の医療行政の基本に触れる問題で、早急に私はむずかしいと思うのですが、医療機関に携わるものの標記の問題ですね。 標記というのは内科とか外科とかその関係で——これは標榜というのですか、私たちはわかりませんから、標記という表現を使わせていただきますが、中国との交流が非常に盛んになってきましたために、東洋医学というのですか、これがあらゆる分野に相当進出をしてきておることは事実だと思うのです。そこで、治療をする場合も、たとえば内科なら内科という標記をして実際にはしておられる治療の方法というのは、東洋医学的な方法でやっておられるのですね。しかも薬も漢方薬を投与される。そういうケースが非常にいま多くなってきておるのです。ですから、この際、私は東洋医学といいますか、漢方というものについてある程度整理をしておく必要があるのではないか。しかも何かしらん非常に繁盛しておるわけです。私は決してそのことが悪いということを言うつもりはない。しかしそれだけ国民の中に今日定着してくるものであるとすれば、やはり漢方医は漢方医という明確な標記をする——標記という言葉は専門語でないのだそうですか、そういう形で開業するなら開業するという道を、この際あけるべきではないか。そうしなければ大変に混乱が起こってくるという気がしてならないのです。ですからこういった東洋医学といいますか漢方といいますか、こういったものと、いままで伝統的に保ってきておる西洋医学、近代医学といいますか、そういうものをどう調和させるのかという点について、これは非常に医療行政の中心にかかわる問題だと私は思うのですが、これほどあちらこちらで開業される方がふえてきておる段階ですから、厚生省の明確な見解をひとつ承っておきたいと思うのです。
○滝沢政府委員 先生の御意見による、わが国の医療の基本に触れる西洋医学あるいは東洋医学の導入、その調和というお言葉、私は今後の非常に大事な医療の問題だと思います。 ただ、標榜という問題になりますというと、医療法の中の広告制限という条項の中で取り扱っておりまして、それには国会の審議を経て医療法を改正してやらなければならない一般標榜というのと、それから麻酔科のように厚生大臣がこれを定めることによって許されるもの——これは麻酔だけでございますけれども、その二つの仕組みがございますが、一般的には先生おっしゃるような方向であることは確かでございますけれども、やはり医師の技能だとか治療方法あるいは経歴等の問題を広告制限という概念から禁止しているという医療の特殊性にかんがみまして、早急にはこの方向を認めることはなかなかむずかしい。特に先生が、内容というか、やっておることを国民にわかるようにという、そこのところを東洋医学科とか——いまは一般的には漢方の投薬を主としておる方は東洋医学的なものを内科と標榜しておられてその中でやっている、そこに何となく国民に知られていない、こういう御意見だろうと思うのでございますが、法律の体系がそういう広告制限的な条項の中で取り扱っているものですから、御趣旨は非常によくわかりますが、これは将来のわが国の医療を医師のやれることをむしろ積極的に示すような方向に変えるべきだというような一部御意見もございますけれども、いずれにしましても基本に触れる重要な問題でございますので、現段階では非常にむずかしいと思いますが、将来にわたって私は一般的に学会その他の動きに絡んでそういう問題が——現在の法律の体系の中でも一つの標示が要望として出てくることも考えられる段階があろうとは思いますけれども、現段階では困難だということでお答えとします。
○松浦(利)分科員 私は現段階で非常にむずかしいということもわかります。しかし問題は、それほどもう広範に国民の生活の中に入ってきておりますから、現に各医科大学でも、正規ではないけれども東洋医学というものについての研究グループがどんどんとできてきておりますね、実質的な学科としての存在はまだありませんけれども。そういうことを考えてくれば、やはり医療行政というのもそのときどきで変わっていくべきだと思うのですよ。いつまでも古いパターンでとどまっておって、逆に内容的には国民の生活の中にはもっと速いペースでそういったものがどんどんと吸収されていっておるのに、後追いになったのでは——私はなぜこれを言うかというと、やはり事故が起こったときが大変だからなんですよ、人の命を預かっておるんですから。事故が起こったときに大変だから、こういうものが現実にもう定着をしつつあるという段階になれば明確にする必要があるのではないか。だから、いますぐできなくても、治療、医療というのは人の命に直接かかわりのある問題だから、これはむずかしいことはわかるが、前向きで早く現状打開の道を考える必要があるという意味で今日提起をしているのですよ。ですから、あなたの言われることも私はよく理解をしているつもりでありますが、この際やはり大臣に将来の問題としてのお答えをいただいて、次の質問に移ります。
○田中国務大臣 わが国の医学、医術は明治政府によって西洋医学をもってその正統と評価され、そういう体系ができているわけでございますが、東洋医学についてはその節、実はほとんど顧みられることがなかったわけでございます。しかし最近東洋医学を見直すという傾向が出てまいりましたものですから、そういったような機運を受けて今後どこまで行きますか、要は私は、日本の医学界における東洋医学がどの程度に学問的に評価され定着されるかということと相絡んでくる問題だと思います。 したがいまして、医学界において東洋医学というものの評価が定まり、そしてそれが定着をするということになりますれば、そうした方向に動けるものと私は思いますが、率直に申して、現段階では医学界においてそこまでまだ高まりを見せていないというのが現実の問題だろうと思います。問題意識としては十分踏まえて今後の検討課題にいたしたいというふうに思います。
○松浦(利)分科員 大臣の言われることはよくわかります。しかし医学界はなかなかカラーが——言葉が悪いとまた後で医学界の先生たちに怒られますから言えませんけれども、非常にかたくななんですね。だから、そのことを理由にして行政が停滞をすると先ほど言ったような事故が起こる、起こった責任は行政が責任を負わなきゃならぬという意味ですから、ある意味ではやはりリーダーシップを発揮して、そういう医学界というものも思い切って大臣が指導すべきだ。政治的手腕を発揮して——あなたは大臣でしょうから、厚生大臣という非常にむずかしいことをやっておられるのだからよっぽど手腕があるのでしょう、この際ひとつ大臣のそういうものに対する手腕に私は期待をしたいということを申し上げたいと思います。 それから三番目の問題は、医療行政にしぼってなんですが、科学技術庁からおいでいただいておると思うのですが、これは前国会の分科会でも実は質問をしたのでありますが、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律、この中で医療でエックス線を扱う者についての定めが明確になっておりますね。それはどういう定めになっておりますか。
○小林説明員 お答え申し上げます。 先生ただいま御指摘になりました放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律、放射線障害防止法と略称しておりますけれども、この規制対象といたしておりますのは、放射線同位元素と放射線発生装置でございますが、いま先生御指摘の放射線発生装置につきましては、エックス線関係は百万電子ボルト以上を対象といたしておりまして、それ未満のものはこの障害防止法では規制対象外となっております。
○松浦(利)分科員 厚生省にお尋ねをいたしますが、医療用としての放射線管理、これはいま言った法律のたてまえ上医師もしくは歯科医、特別なものについては薬剤師ということに限定されておるわけでしょう。その点はどうですか。
○滝沢政府委員 障害防止法では、医師、歯科医師、特定な場所によっては薬剤師の資格があればそのまま取扱主任者になれるというふうになっている以外には、放射線技師は試験を受けてその主任技術者としての資格を取れば取扱主任者になれるというふうになっておると思います。
○松浦(利)分科員 それで、私がぜひこの際改めてもらいたい、考えてもらいたいというのは、診療所とかそういうところはお医者さんしかおられないのです。そういうところは管理責任者は医師であるべきだと私は思う。ところが総合病院とか、あるいは病院という名のつく開業医、そういったところには放射線技師がおるわけですね。ところが事実上その放射線技師というのは管理責任者にはなり得ないのですね。だから、りっぱなお医者さんもおられるのですが、どちらかというと放射線の取り扱いに関してはやはり放射線技師のほうが専門的な立場だと私は思うのです。ですから、この際厚生省にお尋ねをしておきたいのは、そういう意味で、放射線技師がおるところではその放射線技師が、仮に、取扱責任者というのですか主任技術者というのですか、という者になった場合は、当然お医者さん、歯科医、薬剤師、そういった者と当然同列に、やはり専門家である放射線技師が管理責任者になり得るんだ、なるんだということを明文化する必要があるんじゃないか。結局管理体制をはっきりする。放射線に対する分野については、あなたが責任者であり、専門家であるあなたが責任分野を持つんですよということをある程度明確にしておく必要があるんではないかというふうに思うのですよ。その点について医療行政の立場から、厚生省はどういうふうにお考えになりますか。
○滝沢政府委員 先に科学技術庁からの見解を申し上げて、私の方から厚生省の見解を申し上げたいと思います。
○小林説明員 御説明申し上げます。 放射線障害防止法では、先生御指摘になりましたように、放射性同位元素、放射線発生装置を使う場合は一事業所当たりで最小限一人一定の資格を持ちます放射線取扱主任者を選任しなければならない。こういう規定になっております。その資格につきましては、科学技術庁長官が行います国家試験がございまして、その試験に合格した者、これに対して免状が交付されておるわけでございますが、先生御指摘の医療機関の場合でございますが、医療機関におきまして、放射性同位元素等を診療のために用いるときにつきましては、そういう科学技術庁の行います試験に合格していない者であっても、医師または歯科医師であればその放射線取扱主任者に選任することができる、こういう現行制度になっておるわけでございます。この制度とのからみで先生御指摘の診療放射線技師を、放射線に関しては専門的知識をお持ちなんで同じように扱ったらどうか、こういう御議論があるのはかねて伺っておるところでございます。この主任者制度のもとになります放射線障害防止法につきまして、ただいま科学技術庁のほうで全般的な見直しの検討を開始しておるところでございます。その中で事業所の安全管理につきまして、放射線取扱主任者というのは非常に重要な役割りを担っておられますので、当然この重要な検討項目の一つとして制度のあり方について検討しておるところでございますので、科学技術庁としましては、先生御指摘の点を含めまして、厚生省とも十分連絡しつつ今後慎重に検討をいたしてまいりたいと考えておるわけでございます。
○滝沢政府委員 われわれもこの放射線技師会の請願の内容も承知いたしておるわけでございますが、いま科学技術庁から御答弁ございましたような、非常に重要な問題として見直しがされておる。私の方としても、特に医師であれば、先生御指摘のように診療所などはいいと思いますが、高エネルギーの治療設備を持つところの責任者が医師の資格があればそのままなっているということ自体に、むしろ、放射線技師を取扱責任者にしろという先生の御要望のもう一つ前の段階として、医師であればそのままなれるということ自体に私は問題意識を感じております。したがいまして、科学技術庁の検討の中でもおそらくそのような問題も検討され、医師自身がどういう条件の者が取扱者になるかということも将来の方向としては考えられる。しかも放射線技師がそのような資格を取れるようにするためには、やはり基本としては教育課程その他の問題も検討しなければならぬというふうに思いますので、科学技術庁の御審議の内容を連絡を密にしながら、われわれは先生の御趣旨の方向がやはり必要な段階に来ているという意識は持っておりますので、しかし医師も高めなければならぬ、そうなると、相当技師の養成課程なども考えなければならぬ。しかも国家試験というものに受かる力をつけなければなりません。国家試験を受けないでしろというのがあるいは先生の御趣旨かもしませんけれども、そのような問題意識をわれわれとしては持っております。
○松浦(利)分科員 誤解があるといけませんから……。放射線主任技師免許の資格を持っておる者、いまの放射線技師の方たちはほとんどの人が国家試験通っておるのです。一部の人は通っていませんけれども、ほとんどの人は通っているはずです。ですから、いま厚生省の御発言と、科学技術庁の御発言で了解をいたしました。 しかし、これがずるずるいつまでも引っ張られると問題があるんですよ。だから一つの目安を置いて、五十年度なら五十年度中には解決するんだ。どっちに動くにしても解決するんだというそういう方向づけをびしっとしておいてもらわぬと、ただ前向きでやります、やりますでは、ずっと走るだけのことですから、その点ひとつ大臣の方から、これは重要な問題ですから、五十年度中にでも早急に結論を出し得るのか、出すなら出すということをひとつお答えいただいて、時間でありますから私の質問は終わります。
○田中国務大臣 科学技術庁と緊密な連絡をとってできるだけ早い結論を出すようにいたしたいというふうに思っております。
○野田主査 これにて松浦利尚君の質疑は終了いたしました。 次に、堀昌雄君。
○堀分科員 いまの松浦委員の質問にちょっと関連して、あわせていまの最初のワクチンの問題を伺っておきたいのですけれども、松浦委員は何か不測の事故が起きると困る。大変それを心配されておるのですけれども、予防ワクチンの性格からすると、一体力価が確かにあるのかどうか。要するに十度C以下で保存すべきものが十度C以上のところに保存されたときに、厚生省が当初それを認定したときに予想しておるところの力価が果たしてあるのかどうかという問題がもう一つ起きてくると思うんですね。 ひとつお願いをしたいのは、両方の面を含めて末端における抜き取り調査を一遍少しやってもらいたいと思うのです。そうして力価及びその性状についてかなり広範囲にとってみれば、そこから力価のないもの、変化のあるものについて逆にトレースをすることにした方が——ただ漫然と上からおろしてきてもわからない。ですから、それを一遍やっていただけば、その商品がどこを通ってきたかということはわかるはずですからね。下からくればわかるわけだから、それはぜひやっていただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。
○田中国務大臣 さようにいたしたいと思います。
○堀分科員 私は、きょうは通称国立身体障害者センター及びそれに関連して、いますでに予算がついておりますところの国立リハビリテーションセンターの関連について少しお伺いをいたします。 最初にお伺いをいたしたいのは、これは通称でありますが、正規の名称で言いますならば、国立身体障害者更生指導所でありますね。この国立身体障害者更生指導所というものは一体どういうものかということですね。これはすでに昭和二十四年五月三十一日に法律百五十二号をもって法律になっておるわけです。これと、実は身体障害者福祉法の肢体不自由者更生施設というのがもう一つありますね。これとの関係がちょっとはっきりしない点があるのです。法律は、片方の国立身体障害者更生指導所設置法というのが早くできて、そうして身体障害者福祉法があとからできておるという関係があると思うのですけれども、これはどういうことになっておるかというと、身体障害者福祉法第二十九条は「肢体不自由者更生施設は、肢体不自由者を収容し、又は通所させて、その更生に必要な治療及び訓練を行う施設とする。」こういうふうにあるんですね。あとの方はそうあるわけですね。ところが国立身体障害者更生指導所設置法の方では、第一条「身体障害者の更生を指導するため、厚生省に国立身体障害者更生指導所を設置する。」第二条「国立身体障害者更生指導所は、左の業務を行うものとする。一身体障害者の相談に応じ、医学的、心理学的及び職能的判定に基き、社会的更生の方途を指導する」。二が、「身体障害者を収容し、その医学的及び社会的更生のため、必要な指導及び訓練を行う」。この設置法の前段の方だけ読みますと、実はちょっと違いがあるのは、身体障害者福祉法は「必要な治療及び訓練を行う」、こうなっているのだけれども、治療という問題は実は言葉の上にはないのですね。皆さんは、現在の通称国立身体障害センターというものは、法規上はどういう考えで運用されているのかをちょっと最初にお伺いしたい。
○翁政府委員 お答え申し上げます。 ただいま御指摘になりました身体障害者福祉法に基づきます更生指導所、そのうちの一環が国立身体障害者更生指導所でございます。いま御指摘がございましたように、国が設置しなければならないという身障法二十七条の規定によりまして、この国立身体障害者更生指導所設置法というもので国の設置する業務の内容が、ただいま御指摘になりましたように一号、二号に書かれてあるわけでございます。 ただいま御指摘がございましたいわゆる所沢に考えられております……
○堀分科員 所沢はまだいいです。 私がちょっとここへこだわっていますのは、要するに聾唖のセンターの方は身体障害者福祉法の中に書いてあるのですよ。それはいま私が言ったように、身体障害者福祉法の考え方、必要な治療をやると書いてあるわけですよ。設置法にもそれは入ってきているわけですね。ところが、先行した身体障害者更生指導所設置法には治療の問題は書いてないのですよ。「指導」という言葉が書いてあるのですよ。指導というのは治療と読めるかというと、私はちょっとこれは読めないのじゃないかと思うのですね。「医学的、心理学的及び職能的判定に基き、社会的更生の方途を指導する」、いいですか、片一方は。それから、「身体障害者を収容し、その医学的及び社会的更生のため、必要な指導及び訓練」、こういうふうに設置法の方は書いてある。だから、この設置法の方を本来改めておく必要があったのじゃないか。身体障害者福祉法ができたときに、それに整合するように改めるべきだった。光明寮の方とそれからこちらの身体障害者福祉法はきちんと重なっているのですよ。聾唖の方も重なっている。これだけは中身が違うわけだ。だから私は、いまもちろんこの法律の問題でどうこうと言うのじゃないけれども、少なくともこういうような内容の異なる規定が二つの法律にまたがる。一つの問題ですよ、これは。そういうときには、やはり法律の整理を速やかに行うべきだというふうに考えておるわけです。厚生大臣、いかがでしょうか、そういう点は。
○翁政府委員 非常に緻密な御意見でありまして、私拝聴いたしておりまして確かにその一面があるのではないかという感じがいたしますが、国立身体障害者更生指導所設置法の二条の中の医学的に必要な指導及び訓練というところで、広く治療的な面も読み込んでただいままで運用してまいったのでございまして、なお正確な点についてはもう少し検討さしていただきたいと思います。
○堀分科員 厚生大臣、日本語というのは正確に使わなければいかぬと思うのですね。私も、「医学的及び社会的更生のため、」というところはわかります。これは医学的及び社会的更生のためであって、その次は、「必要な指導及び訓練」とこう書いてあるのですね。治療というのは指導の中に入らないですよ、日本語では絶対に。あなた方、それを広く読んだと言う。だから、片一方の身体障害者福祉法は、ちゃんと「必要な治療及び訓練」と書いてあるわけですよ。聾唖の方は、要するに設置法にも書いてあるし、身体障害者福祉法にも書いてある。それは重なっているわけですよ。それから光明寮の方も重なっているわけだ。治療は省かれている。だから、別に言葉のあれをとるわけではないけれども、そういうふうに情勢が変わって、後から身体障害者福祉法ができたら、そのときにその「指導」という言葉のところをやはり後からできた、要するに全体を整理した法律に基づいて当然設置法の一部を改正しておくべきではなかったのかということですね。 私がなぜそこにこだわっているかと言いますと、実はきょうは最後にはリハビリテーションセンターの問題をやるのですけれども、法律でリハビリテーションということはどこに出ておるのでしょうね。どうも法律用語としてのリハビリテーションというのは探してみたけれどもないのですが、社会局長どうですか。これは法律用語としてどこに出ていますか。
○翁政府委員 法律上の用語でリハビリテーションそのものを規定したものはございません。リハビリテーションの中身を書いてあるのが身障者更生指導所設置法の一号、二号であります。
○堀分科員 そうすると、いまの答弁間違いありませんね。リハビリテーションの内容については、設置法の一、二に書いてあるのがリハビリテーションの内容だ、よろしゅうございますね。あとから違いますと言ったら困りますよ。確認します。
○翁政府委員 そのとおりでございます。
○堀分科員 そうしたら、ちょっと今度は身体障害者福祉法の方を少しきっちりやらしてもらいたいのですが、身体障害者福祉法の第一条は、「この法律は、身体障害者の更生を援助し、その更生のために必要な保護を行い、もって身体障害者の生活の安定に寄与する等その福祉の増進を図ることを目的とする。」第四条、「この法律において、「身体障害者」とは、別表に掲げる身体上の障害がある十八歳以上の者であって、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けたものをいう。」身体障害者福祉法の対象は、この法律が明記しておるように、身体障害者、その身体障害者というのは、第四条の規定によるところの身体障害者手帳を持っておる身体障害者である、こうなりますね。
○翁政府委員 そのとおりでございます。
○堀分科員 そうすると、要するに、あなたの言ったさっきのリハビリテーションという問題は、身体障害者福祉法の範囲で処理される問題だということになりますね。
○翁政府委員 ただいま御指摘のございましたリハビリテーションセンターはまだ……。
○堀分科員 いや、違うのです。センターの話はしてないのだよ。私はリハビリテーションという言葉の定義を言っている。
○翁政府委員 そのとおりでございます。
○堀分科員 リハビリテーションの定義は、身体障害者福祉法に書かれておる範囲であるということは確認をされました。 そこで、今度はもう一つ先に行きまして、その第十九条に「更生医療」という項目があります。「援護の実施機関は、身体障害者が更生するために医療が必要であると認めるときは、その者の申請により、その更生のために必要な医療の給付を行い、又はこれに代えて更生医療に要する費用を支給することができる。」四項で「更生医療の給付は、厚生大臣が次条の規定により指定する医療機関に委託して行うものとする。」こうありますね。よろしいですね。 そこで、要するに、この身体障害者福祉法で更生医療というものは、医療が必要であると認めたときは、その者の申請により、その更生のために必要な医療の給付を行うことができる、その医療の給付は、厚生大臣が定める医療機関に委託して行う、こうなっておりますね。よろしいですね。
○翁政府委員 そのとおりでございます。
○堀分科員 それでもう一つ先に行きますと、十八条には「援護の実施機関は、身体障害者の診査及び更生相談を行い、必要に応じ、左の措置を取らなければならない。」「医療又は保健指導を必要とする者に対しては、医療保健施設」これは第五条の二に規定してありますね。「に紹介する」こうなっておりますね。ですから、いまの身体障害者福祉法の医療に関する部分は、厚生大臣の定めるところの第五条によるところの「医療保健施設」あるいは第十九条の四項で規定するところの厚生大臣が指定する「医療機関」というところに委託するのが原則、これはよろしいですね。
○翁政府委員 そのとおりです。
○堀分科員 そこで、保険局長入っておられますか。——聞くところによりますと、身体障害者センターに二十床程度健康保険の患者のためのベッドがとってある。それに健康保険適用の人が入っておるわけですね。私は全然この点がよくわからないんです。なぜかと言うと、身体障害者福祉法というのは、この施設は更生医療を受ける者が入るものだと理解しているわけですよ、この法律の体系をずっと読んでいきますと。更生医療を受ける者が身体障害者センターに入る。「収容し、若しくは通所させ、」云々という、こういうような規定は法律の中にありますからね。だからそれを健康保険の適用者が入るとこうあるんだが、健康保険の被保険者または家族でしょうけれども、ここで規定されておる更生医療というのは国が費用を見るわけですからね、無料でしょう。その無料の道が開かれて、これの第十九条で、その者の申請により実は更生医療を受けられることになっている。にもかかわらず、なぜそういう本来、更生医療をたてまえとする施設に、健康保険の患者のために二十床のベッドがあけてあるのか、これはどういうわけですか。健康保険というのは、本来的には、私はそれは使用していけないというのじゃないけれども、片方に国がちゃんと費用を持ちますという制度があって、そのための施設の中に負担までさして、家族なら自己負担がありますよね、恐らく二十床の中に本人ばかり入っておるわけじゃないでしょう、家族も入っていると思うんですがね。自己負担をするようなことをさせるということが、私は本来の趣旨ではないと思うんですよ、この身体障害者福祉法の精神は。これをずっと読んだけれども、ない。にもかかわらずわざわざそこをあけて健康保険の人も入れるというのは、裏返せば更生医療を受けられる人を、それだけ入れないということじゃないかと思うんです。更生医療が優先することになっているんですよ、この仕組みは。更生医療が優先することになっていて、聞くところによると、入りたい人がまだいっぱい待っているというんです。入りたい人がいっぱい待っている、更生医療を受ける人が待っているときに、健康保険の者に二十床ベッドをあけてそれを入れるというのはどうしてもわからない。私は保険局の見解をちょっとそこで聞きたいんです。
○北川政府委員 いま先生がおっしゃいました実態関係につきましては、社会局長から申し上げることと思います。 ただ医療機関は、先生御承知のとおり、健康保険あるいは各種の福祉医療等、一つの医療機関がいろんな医療によって、あるいは指定医療機関になりあるいは療養取り扱い機関になり、そういった性格を持っているものだと思います。そういう意味合いで、現在のいま先生御指摘のセンターは、健康保険の指定医療機関になっていると思うんでございます。健康保険の指定医療機関になっている限りは、なっているいきさつは、実態関係は私もよく存じませんけれども、なっている限りは、そこに健康保険の被保険者あるいはまた自己負担が伴う者が入りました場合には、保険が優先するのでございますから、費用負担関係では保険が優先するであろう。 ただ根っこの、どういうわけで指定医療機関になっているかということにつきましては、私も実はよく存じておりません。これはあるいは社会局長から申し上げると思います。
○翁政府委員 御指摘のとおり、国の更生指導所は更生医療を中心に行うのが趣旨でございます。ただそこにおられるお医者さん、特に整形外科等のお医者さんにぜひかかりたいという患者もおられるわけでございます。したがって一部そのために指定医療機関の指定を受けさせて、そして一部の患者についてそれの便宜を供与しているというのが実情でございます。
○堀分科員 厚生大臣、行政は法律に基づいて厳格にやられなければならないと思うんですよ。内部のお医者さんが、要するにわれわれは健康保険をとりたいんだといえば、法律を曲げてそういうことがやれるんですか。私はこれは重大な問題だと思うんですね。もちろんあいていて、ずいぶんあいてスペースがある、あいているのはもったいないからそれでそういうのを入れるというのなら話は別ですよ。厚生省に聞いてみたら入りたい人がちゃんとあると言うのですよ。入りたい人が後ろにあるにかかわらず、そういう内部の医師の恣意的な処理によって法律が曲げられるわけにいかぬでしょう。厚生大臣どうですか。——ちょっと待ってください。これは政治的問題だから、行政の問題じゃないんですよ。本来厚生省というものは、ここに定められた法律に従って行政を運営する責任があるでしょう。にもかかわらず、その行政は逸脱しておるんじゃないんですか、この法律の規定に。問題ありますよ、厚生大臣。
○翁政府委員 ただいま申し上げましたように、身障法による更生医療を担当する指定医療機関として健康保険の適用を受けさせているわけでございます。
○堀分科員 ちょっと待ってください。これは医療機関じゃないですよ。あなた、いまの第五条の第一項、第二項を読んでごらんなさい。医療機関というのは、国立病院以下になっているのですよ、医療機関及び保健施設は。この国立身体障害者更生指導所設置法というのが言っているのは医療機関ではないから、更生医療が必要なら医療機関にやれと、こうなっているのじゃないですか。これは医療機関じゃないんですよ。
○翁政府委員 最初に申し上げましたように、ここの二条の二号にある「医学的及び社会的更生のため、」ということで、これを指定医療機関としているわけでございます。
○堀分科員 それは法律違反です。なぜかと言えば、あなたは身体障害者福祉法にのっとってやります、リハビリテーションをやりますとこう言っている。身体障害者福祉法の中には、ともかく医療の必要なものはやれます。それは厚生大臣が指定した医療機関でやらせます。これは指定した医療機関というのは外にあるのですよ。いいですか。これを医療機関と指定するということ自身問題があるわけですよ。この法律には医療機関とちっとも書いてない。だから、これは後で予算委員会のどこかで別にやらせてもらわなければ、これほど違法な処理が一方的に行われることをわれわれは了解するわけにはいきません。身体障害者福祉法第五条に、「この法律において、「身体障害者更生援護施設」とは、」云々と書いてありますよ。「肢体不自由者更生施設、」の中に——一はそれですよ。二項「この法律において、「医療保健施設」とは、厚生省設置法に基く国立病院及び国立療養所、」云々、「病院及び診療所」と、規定がはっきり区別されているわけだ。区別されておるのに、あなた方の方は、施設として別になっておるものを医療機関というのはおかしいじゃないですか。この法律はちゃんと医療機関は医療機関として別個に定めてある。
○翁政府委員 第五条の第二項に、「この法律において、「医療保健施設」とは、厚生省設置法に基く国立病院及び国立療養所、保健所法に基く保健所並びに医療法に規定する病院及び診療所をいう。」ということになっておりまして、この更生指導所については医療法に基づく医療機関としての開設をしているわけでございます。
○堀分科員 法律はもちろん医療行為はできるようになっていますよ、ここでは。医療行為ができるようになっておるけれども、一般的に言われる医療機関ではないんじゃないですか。 だから厚生大臣、いいですか、時間がありませんから簡単に言いますけれども、まず、身体障害者の設置法に基づくところのセンターでは、更生医療を受ける者が後ろに控えている間は、健康保険の患者を扱うべきでないと思うのですよ、どうですか、更生医療が趣旨なんですから、これは原則として。そこへ内部のお医者さんが、この患者を入れたいと言って健康保険の患者を入れるというのは、法律の趣旨に反していることを行っているのじゃないですか。だから、私は絶対いかぬと言っているのじゃないですよ。あいているならば入れてもいいけれども、身体障害者福祉法によって更生医療を求める人たちがあるにもかかわらず、それをほっといて入れないで、内部のお医者さんにやりたいことをやらせるということは、これは法律に違反している。だからまずこの点を厚生大臣きちんとしてもらいたい。 なぜ私がその問題を言うかというと、皆さんの方でいまこのリハビリテーションセンターというのを扱うことにしているわけですね。これは時間がないから予算上の問題はちょっと触れられないけれども、ここで対象者の範囲、対象者については、このセンターのたてまえから、リハビリテーションを必要とする者のすべてをその対象とすべきであるが、設置と同時に、あらゆる種類の障害者等を取り扱うことは運営上の困難も予想されるので、当初は身体障害者及び身体障害者になるおそれのある者を中心に取り扱う、こう書いてあるわけですよ。リハビリテーションというのは、さっき私が何回も確認をしたように、身体障害者福祉法にいう範囲だとあなたが答弁した以上、身体障害者福祉法にいうのは、身体障害者でなければならぬのですよ。おそれのある者というのは、身体障害者福祉法の中には一項もないですよ。
○翁政府委員 最初の点につきまして、先ほど申し上げましたように、この更生指導所に福祉法の五条の二項に基づく医療機関が開設されておる。ただ、ただいま堀先生がおっしゃいましたように、これはあくまでもやはり更生医療を中心とすべきでございまして、その限りにおきまして、もし更生医療以外のことをやっているとすれば、これは改めていかなければならない。現在保険の適用を受けておりますのは、更生医療を受けられる方についての健康保険の適用をやっているわけでございます。 それから第二点のセンターにつきましては、ただあれは中間報告を受けた段階でございまして、私どもとしては、これからそれをどうするかということは、厚生省の主体的な立場で判断し、そして運用してまいらなければならないというふうに考えているわけでございます。
○堀分科員 実は大臣、あなたも初めてのことだから、よくおわかりにならぬと思うのです。私も少し勉強してみたわけです。勉強してみますと、いまの身体障害者センターで、約十年ぐらい前に問題が起きたことがあるのです。患者さんが座り込みをされたりいろいろ問題がありまして、参議院で大橋委員が論議したことがあるのですが、そのときは現象面にだけ触れておられて、私ずっと調べてみますと、身体障害者福祉法というのは、要するに身体障害者のための施設なんですよ。これは法律もきっちりそうなっているのです。身体障害者のための施設ということは、私は、リハビリテーションというのは、いま社会局長が答えたような範囲だと実は考えていないのです。要するに、いろいろな障害が起きたときにできるだけ早くリハビリテーションをやって、その障害が固定しないように、そしてさらにもとへ戻るようなリハビリテーションをやることが必要だということは、私も医者だからよくわかっているわけです。ただ、私がいまここで特に触れているのは、身体障害者福祉法というきちんとした法律がありまして、それに基づいてやるべきことがやられないで、そうしていまの新しいものが医師の興味の対象として行われるために、本来の身体障害者福祉法の期待し、目的とするところがないがしろにされつつあるところに、私は、この問題の基本がある、こう考えているわけですよね。だから私は、将来的に、まず身体障害者のための更生医療が完全に行われるということが行われた後で、さらに当然必要な問題をやるのはいいけれども、その他の問題は、いま国立病院その他で治療との関連で新しいものはやらなければならないものでして、固定したものはどうしても更生医療で、身体障害者センターでやる、これが第一の任務だということが法律的にも明確にされておる以上、法律に基づいて行政はそこは厳しくやりなさい。お医者さんがいろいろな希望を言われても、この施設はこういう施設ですからこうしていただきますということにしてもらいたい。 同時に、もう一つ問題があるのは、どうして患者が負担のある方に手を挙げますか。負担のある方に手を挙げないで、負担のない方に手を挙げるのは当然でしょう。身体障害者しか入っていないというならば、皆更生医療を受けられるはずなんですよ。それに健康保険をなぜ適用するかと言えば、いまの問題がここに介入してきておるところにこういう問題の派生があると私は考えておるわけですね。ですからこの問題は、まだ後、予算上いろいろ問題がありますのでちょっと留保させていただいて、時間が来ましたから終わりますけれども、ちょっと厚生大臣の明確な答弁だけを一ついただきたいと思います。
○田中国務大臣 この施設の本来の目的のとおりこれを管理運営するのが正しいと思います。ただいまとっさの御質問でございまして、内容等私よく存じておりませんが、あるべき姿に運営するように検討をいたしてみたい、こう思っております。
○湯山分科員 議事進行。ただいまの堀委員の質問につきましては、大臣もなお検討してということでございますので、質問は留保することをお願いいたしたいと思います。
○野田主査 承認いたします。
○堀分科員 終わります。
○野田主査 これにて堀昌雄君の質疑は終了いたしました。 次に、太田一夫君。
○太田分科員 私は厚生省に対しまして、主として年金関係につきまして三点についてお尋ねをいたします。一つは年金の時効という問題であります。二つ目は、厚生年金と特に共済年金とはその格差が大きくて非常に不公正であるのではないかという問題。三つ目におきましては、障害福祉年金につきまして、脳性麻痺患者に対する政策が一つ忘れられたり、ないしは非常に不適当なものがあるのではなかろうか、この三つの問題であります。それぞれお尋ねいたしますので、お答えをいただきたい。 最初に、厚生年金の中の時効という問題であります。これは各保険にありますから、別段厚生年金だけが不当だと申しておるわけではございませんが、厚生年金の中にあります障害年金に関しまして、受給権者が敗戦直前に負傷いたしましたところ、戦後どさくさまぎれ等がありまして、五年の期間を経過いたしまして、本人並びに周囲の者が申請をするということを忘れて、気がつかなかった。そのために、気がついたときには、もう五年の時効が過ぎておるから障害年金を受けることはできない。これは足首切断でありまして、その後本人が非常に苦しんでおるというのは、実は二年前の四十八年三月五日の当厚生省関係分科会におきましてお尋ねをしたことなんであります。その際に私は、言うならば一級ないし二級に該当する障害年金がいただける人が五年の時効にかかって何ももらえない、気の毒ではないかという話をいたしましたときに、当時の厚生大臣齋藤さんは、こういうふうに答えられたのです。その答えについて、その後どうなったかをお尋ねしたい。 それは、厚生大臣の齋藤さんが 私からお答えいたしますが、年金局長から先ほど申し上げましたように、こういう恩給なり年金なり共済組合の年金というのはこういう短期の消滅時効になっておるわけでございまして、本人が知らなかったといって本人ばかり悪いともいえないかもしれませんが、ほんとうに気の毒な御家庭のように承っております。 こういう制度、特に障害年金でしょうが、過去にさかのぼってもう少しあたたかい、もう一回調べ直すような制度がないものだろうか、こういうお尋ねでございますが、いまの法律からいうと、どうもそれは出てこない。でございますけれども、なるほどそう言われてみればこれも大事なことでもありますから、こういう際にどうすればいいか、将来の問題として私も十分研究したいとは思います。いまの制度ではちょっとどうしようもないという感じがいたしますが、障害なんという問題はそういうことはあり得ると思いますから、将来の問題として、どうすればいいのか、いま結論は出ませんが、私ももう少し研究させていただきたいと思います。 言うならば、こういうふうに若干の理解と前進の態勢をお見せになったのでありますが、その後、この問題が解決されたということを聞いておりません。したがいまして、それはどうなっておるか、お答えをいただきたいと思います。
○河野(義)政府委員 ただいま御指摘のケースにつきましては非常に気の毒なケースでございます。現在、この時効の制度の運用につきましては、現行法令の許容する限度内におきましてできるだけ弾力的に運用しておるわけでございます。しかしながら、この障害の認定につきましては、その事実関係が明らかでない限り、廃疾の認定、障害年金の裁定が困難であるわけでございます。このケースが、業務上の事故によりましていつ障害を受け、その内容がどうであって、いつの時点で廃疾、障害は固定したか、こういう問題につきまして医学的に明らかにされなければならぬわけでございます。したがいまして、時効制度の運用につきまして弾力的に運用するといたしましても、障害年金につきましては、ただいま申しましたような一定の制約であるわけでございます。その中におきまして、このケースについての事情を十分調べまして対処したい、かように考えております。
○太田分科員 弾力的に運用するということ、特に業務上の障害ということになりますと、いろいろ調べ、その結果がどうなったかという、等級表に別途に照らし合わせなければなりませんから、途中で申請するというわけにまいりませんね。したがって、五年というのが妥当であるかないか、私は非常に問題があると思いますから、五年そのものの弾力的——時効そのものの中断ということがあってもいいのじゃないか、ないしはうっかりしていた場合にはさかのぼってこれを救済する必要があるのではなかろうか、何か特例の道を開くべきではなかろうかと思うのです。大臣、いかがですか。あなたからも一言。
○河野(義)政府委員 時効の制度については、厚生年金保険法だけでなく、各公的年金制度に共通した制度でございます。ただし、先生が御指摘になりましたケースは戦争末期でございまして、本人が十五、六歳の少年であるということ、それからまた制度が発足しまして、制度に対する理解が十分でなかった、いろいろ事情があるわけでございます。この具体的なケースについてどう取り扱うかという観点から考えました場合に、問題は廃疾の認定をする場合、先ほど申しましたようにそれをどうして明らかにするかということが問題になるわけでございます。たとえば診療録等に基づく医学的な判断とか、そういった障害年金につきましては医学的にそれを明らかにする必要があるわけでございますし、また受給資格があるかどうかという事実関係についても明らかにしなければならぬわけでございます。したがいまして、このケースにつきましては、そういった点、受給要件を満たしているかどうかという判断についてなかなかむずかしい問題があるわけでございまして、このケースにつきましては、そういった観点から個別なケースとして十分検討したい、かように考えております。
○太田分科員 大臣、それでいいですか。
○田中国務大臣 この種の年金共済の時効制度でございますが、これについては法律上やはり時効制度というものは置いておるわけですが、これの運営については、いま事務当局が言ったとおり弾力的に運用をする、また法律上も、消滅時効は当事者がこれを援用することがなければ適用しない、こういう学説も固まっているようでございますので、したがって問題は、私は障害認定の事実認定の問題であるというふうに受けとめておるわけでございまして、この認定については、古い事故でもございますので、事務的になかなか困難をしているようでございますが、制度の問題というよりも事実認定の問題として処理を急いでいきたいというふうに考えております。
○太田分科員 了解です。そういうふうにさらに昨年より進歩したというふうに私も理解いたしますから、事実関係についてひとつ十分の御検討の上、本問題の解決に当たっていただきたいと思います。 それでは第二番目の質問に移りますが、厚生年金と共済年金というものの給付金等非常に格差が大きいということが非常に問題になっておるわけでありまして、各家庭におきましては、おやじさんの方は厚生年金、いわゆる民間の事業場に勤めていて厚生年金をもらっておる、三万何千円である。ところがその息子さんないしは弟さんというのは官庁関係に勤めていて、いわゆる共済年金の受給者であるために少なくとも三倍から四倍の年金を受けておる。同じ二十年なり三十年勤めても、そういうぐあいになっておる。こういう例がしばしばあるために、どうも民間の厚生年金というのは不当に低いのではないか、給付条件が悪いのではないかという意見がある。 それについて概括的にお答えいただいておってもしようがないと思いますから、もう少し具体的なことをお尋ねしたいのでありますが、なぜ厚生年金が冷遇されているというように言われるだろうかと調べてみますると、共済年金の受給資格は五十五歳、しかも無条件であるという問題が一つあります。それから、民間の方の厚生年金受給者は、六十歳になって、そしてその後民間の企業に勤めていた場合にはこれは支給しないという、こういうきつい条件があるわけであります。そういう点から厚生年金の受給者というのが非常にひが目で見ておるわけでありますが、この制度の格差、不公平というものに対して、どうお考えになりますか。
○曾根田政府委員 厚生年金と各種共済組合との格差の問題でございますが、一般的に申しますと、共済組合あるいは厚生年金、それぞれの制度の目的、沿革というものがございますから、形式的に必ずしも全部整合しなければならぬと当然にはならないと思いますけれども、しかし、できるだけ基本的な部分については今後の方向としては整合性を持つように、それからまた少なくとも国の助成、すなわち国庫負担等の対象となる部分については、できるだけバランスをとるようにということが望ましいものと考えております。 具体的にお尋ねがございました支給開始年齢あるいは退職要件の点でございますが、共済組合の場合は五十五歳でかつ共済組合からの退職というのが要件になっておりますけれども、先生御指摘のように、共済組合という狭いグループから離脱をいたしましても、民間の会社に入っておれば共済組合からの退職要件は満たしておるわけですから、そういう方は共済年金を引き続きもらえる。しかるに厚生年金の場合は、厚生年金適用事業所を転々としておる以上は退職要件が満たされないわけですからそういう問題がございますけれども、この点につきましては、先生御承知のように、実は昭和四十年の改正で、そういうことも考慮いたしまして、少なくとも厚生年金も六十五歳になれば退職要件を問わないことにしよう、現在は六十五歳で資格期間を満たしている人については、全額ではございませんで八割ということになっておりますけれども、一応年金を支給することにいたしましたし、それからまた、その後、六十歳から六十五歳未満の人につきましては、いわば低所得の方々につきましては一定の率で、四段階に分けて年金を支給するということにいたしておりますけれども、しかし御指摘のような問題点はいずれにしてもあるわけでございまして、これは結局はわが国の年金制度の分立といいますか、そういうことからくるやはり問題点の一つと考えられるわけでございますので、将来年金制度を、全公的年金をどういうふうに調整するか、その場合の一つの大きな課題になるだろうと考えております。
○太田分科員 四十年の改正によって厚生年金六十五歳で八割、厚生年金の加入者であっても八割、それから六十歳から六十五歳の場合は段階別に支給するというお話でありましたが、しょせんそれは、共済組合年金の受給者との間には格差が開き過ぎるのです。もともと少ない。厚生年金の平均受給年金額の統計を発表されたものを見ますると、これは昭和四十九年三月の統計らしいのでありますが、厚生年金が平均して三万八千二百七円、国家公務員の共済年金の場合は四万八千四百二十円、地方公務員の場合は五万四千百十円、公共企業体共済の場合は五万一千四十八円と、これはもう平均値においてはるかに離されておるわけなんです。しかも、加入者というのが厚生年金は実に多いわけでございますね。加入者は非常に多い。こういう点から考えましても、共済組合の方を下げるというのじゃない。いまの福祉国家時代において厚生年金の支給条件が厳し過ぎて、その支給額が少ないというところが一番問題だと思うのです。これはどうしても早期に改善をしてもらわなければならぬと思いますが、重ねてお答えをいただきたい。
○曾根田政府委員 支給開始年齢の改善の点でございますけれども、あるいは先生のお考えと反対の方向になるかもしれませんけれども、やはり将来のわが国の年齢構成、急激に老齢化するわけでございますから、それからまた諸外国における開始年齢等を見ましても、六十歳という開始年齢を共済の方に繰り上げるといいますか、そちらの方向に持っていくということは、やはり長期的な方向としては私は逆行するのではないか。共済制度でございますから私ども所管にいたしておりませんけれども、私どもの共済組合に対する率直な意見を述べさせてもらうならば、むしろ現在の五十五歳というのは、将来長期的な方向としては六十歳という方向に向かうべきではなかろうか。これは将来の人口構成、年金制度、諸外国の例、そういったことから見ましても、方向としてはやはり支給開始年齢を繰り上げるということには基本的に問題があるというふうに考えております。
○田中国務大臣 長期給付の年金、厚生年金あるいは共済の間に、先生仰せのとおり、かなりまだ給付の格差があるわけでございます。したがいまして、厚生年金から各種共済に移行いたしたいというグループが出てくることもありまして、常日ごろ国会でいろいろ問題になっているわけであります。その原因はいろいろあると思うのです。沿革的には制度の立て方、趣旨等が違っているということもございますが、やはり国民が老後についてできるだけ等しくその恩恵を受けるということが望ましい姿でございますが、これにはいろいろな問題がございまして、いろいろな理由があってこういうふうになっておるもののようであります。たとえば、支給開始年齢あるいはまた退職要件、そしてまた保険料も実は各種共済の方が、私ながめるときにやはり幾らかよけい出しているようであります。国庫負担のあり方、それから標準報酬のとり方がまた一つ問題がございまして、こういったようなことがございましてそういう格差が出てくるわけですが、私どもとしてはできるだけこれの総合調整に努めて、できるだけ格差を少なくするように努めなければならない今後の一つの重要な検討課題であるというふうに私どもとしては認識をいたしております。
○太田分科員 格差についてはひとつ大いに調整をされることを望みますが、私は必ずしも五十五歳にしてくれと言っているわけじゃありません。欧米型は六十五歳だと盛んにあなたのおっしゃることも、六十五歳まで働けるという条件と六十歳にはすでに辞職するというのとは違うわけです。離職して年金の支給されるまでに空白期間があるなんということを見逃しておっては相ならぬと思うのです。それからもう一つは、人の足らないときには再雇用制度というのがありまして、雇用期間も延びれば、あるいはまた退職時の給与は逆に前よりは下がるという時代もありましたけれども、それはやはり計算の方法を改めていくべきであり、六十歳になれば完全支給という方向に向かって進んでほしい。 そこでさらに、時間がないのでもう一点重ねてお尋ねをいたしますが、運用益の問題が等閑に付されておるのではなかろうか。もう十兆円を超えて、十一兆円を超えておるという積立金は、これは運用の方法を一つ誤れば、加入者に対して、あるいは給付者に対して非常な損害を与えるのでありますから、大企業に融資するということも、必要ならば何も理解しないわけじゃありませんが、これは不当に低い利率で貸し付けられるということについては、われわれとしては、一般国民の声を率直に反映させていただくならば、それは正しい態度ではない、こういうことを言いますから、運用益の問題についてひとつ十分な再検討を願いたい。 同時に、その陰に隠れて女子の退職者ですね。これは二十年勤めて三十代でやめても、十年勤めて二十代でやめましても、ともに脱退手当金しかもらえません。それで、十年ぐらいの人、二十年の人それぞれ調べてみましたけれども、脱退手当金というのは本人の掛金の七割ぐらいしか返ってこないというようなことは、はなはだ片手落ちではなかろうか、冷たい制度ではなかろうか、こう思います。少なくともこれに対して、脱退手当金は恩恵的なものだというのでなくして、本人はそれでも後、老齢年金を受ける意思がない場合には、これは返すというのは当然のことではなかろうかと思うのです。少なくとも金利を加えて返すくらいのことを考えられておるかどうか、この点についてお答えいただきたい。
○曾根田政府委員 脱退手当金のお尋ねでございますが、現在、女子につきましては特例的に昭和五十三年五月末まで従前の例による脱手の支給を認めておりますけれども、実はこの脱退手当金制度は、基本的には昭和三十六年に国民皆年金体制ができまして、原則としてすべての国民はいずれかの年金に加入してもらうことによって将来老齢年金の受給に結びつくわけでございますから、たとえば女子が工場で働いておった、結婚して退職して厚生年金からは抜けるといたしましても、国民年金に入る、あるいは仮に国民年金の任意加入をしないような場合でも、配遇者である期間は国民年金の通算老齢年金の資格期間とみなすと、そういう手当てまでいたしておりますので、基本的には私は、脱退手当金というのはできるだけ早い機会にむしろなくした方がよろしいんじゃないか。結局、脱退手当金をもらってしまいますと、その期間につきましては年金通算の上ではゼロの期間になってしまいますので、長い目で見ますと、さしあたりの少額の一時金よりはやはり年金を差し上げるというのが本来の目的でございますので、むしろそういう考えでございます。したがいまして、御指摘のように金額の点で多少の問題があろうかと思いますけれども、少なくとも本人の納めた掛金に利子相当を付したものを一応お返しすることにはしておりますけれども、しかしいずれにしても少額だという問題はありますが、基本的に私どもはむしろできるだけ早い機会にこの制度はなくして、長い目で見て女子の不利益にならぬようにというのが私ともの考えでございます。
○太田分科員 五十三年末までの脱退手当金の特例は廃止したい方向だとおっしゃるのですが、いまの年金制度そのものが将来どう改善されるかは別として、共済年金とこれだけの格差を持って非常に不評判な中で、六十歳まで通算年金の発効を待とうなんという人は少ないのです。ですから、脱退手当金は必要に迫られておつくりになった暫定措置ではありますが、本格的に考えられることを望みます。これは時間がありませんからこれでとめますが、運用益の問題はお答えがありませんが、これは預かった金であり、どこへどのように使っても自由だ、勝手のものだということのないように、十分ひとつこれは配慮してほしい。 最後に障害福祉年金についてお尋ねをいたしますが、これは脳性麻痺の患者に対して、現在の法の規定は非常に妥当を欠いていると思うのです。それは一級、二級の適用条件といいました場合に、障害度の判定か非常に——脳性麻痺患者の手足が十分に動かない、あるいは機能を喪失しておる、言語も障害があって定かでないという場合に、あなたは一級である、あなたは二級だというようなことを言うたり、三級だから福祉年金は支給しないというようなことをお決めになるのは、これは非常にむずかしいことでありますし、不公平なことが出てくると思うのです。したがって、脳性麻痺患者に対しましては、すべてこれを一つの、一級なら一級と認定ができるような表現に改正されることと同時に、年金額も今度一万八千円だというようなことでありますが、これじゃお小遣い程度でありますから、少なくとも生活の糧になるというこういう考え方のもとに大幅増額を考えらるべきではないか、こう思いますが、いかがですか。
○曾根田政府委員 この脳性麻痺の患者の方に対する障害年金の支給の問題でございますが、国民年金の場合、まあ厚生年金もそうでございますが、外科的障害あるいは内科的障害を問わず、一応、一定の日常生活の制限を受ける度合いに応じて、一級、二級という等級を設けておるわけでございまして、疾病によってどうこうという取り扱いはいたしておりませんので、脳性麻痺を他の疾病と区分してどうこうということは制度の上では非常にむずかしい問題があろうと思いますが、しかし、現在の等級区分あるいは認定基準が、これは医学、医術の進歩等によりましてやはり見直しが必要かとも思いますので、そういう立場で検討いたしてまいりたいと考えております。 金額の点につきましては、今後とも改善に努力をいたしたいと思います。
○太田分科員 これは大臣、ちょっとあなたから……。いまのお答えは大体、私の希望する方向に沿っておるように思いますから、厚生大臣としても、あなたからのお言葉でひとつお答えいただきたいと思うのですが、脳性麻痺患者というのは御承知のとおりに、足はあれども、もつれて歩行が非常に困難、言うなら、酒の深酔いした人が歩くよりもひどいのですね。手はあれども、物を握り、字を書く、食事をする等に非常に不自由をする。口はあり言葉は発せられるけれども、言語明晰ならず、意思の疎通に困難するということでありまして、これがどこかで業務上の障害等によってそうなるのじゃないわけですから非常に気の毒な人でありまして、どうしても福祉年金で救わにゃならぬということであります。ですから、この人たちに対しては、そういう症状の方は、私は原則として一級に認定すべきだと思うのです。ところが福祉年金には一級、二級しかありませんで、障害度として三級障害ということになると、これは福祉年金の対象にならぬわけです。できるだけ救うということについては御異存がないのでしょうねということと、いま局長がおっしゃったように、一級でも、今度のお考えで一万八千円と承っておりますが、これは生活保護費との関連から考えても低きに失します。速やかに理解をされて、大幅引き上げ等を考えられるのが福祉社会への一投石であろうと思いますので、大臣として御見解をひとつこの際承っておきたい。
○田中国務大臣 障害年金につきましては、傷病のいかんを問わずその障害の程度によって決めることになっておりますので、脳性麻痺患者に対して特別にこれを軽視するとか無視するとかいうことはございません。症状によってそれを定めるということで御理解を願いたいと思います。 金額については、ただいま年金局長の申したとおりでございます。
○太田分科員 これで終わりますが、年金局長、いま大臣の症状によって決めるとおっしゃったことは、この福祉年金法の規定をそのまま変えないということを意味するのか、いや、いまの福祉年金法の規定ではいささか不明確な点があり、妥当でない点もあるから、見直すことも必要だという意味を持っておるのかどうか、どういうことですか。
○曾根田政府委員 いま具体的に直ちにその廃疾表が問題があるということではなくて、しかしいずれにしましても、医学、医術等の進歩によりましておのずから認定基準、したがいまして、場合によると廃疾表ということの検討も必要になろうかと思いますので、そういう点には絶えず気を配ってまいりたいという意味でございます。
○太田分科員 終わります。
○野田主査 これにて太田一夫君の質疑は終了いたしました。 次に、和田貞夫君。
○和田(貞)分科員 時間もありませんので、質問も簡単にいたしますから、答弁も簡単に願いたいわけでありますが、非常に問題化し苦情が起こっておる歯科医療の問題についてお尋ねしたいわけでございます。 もともとこの歯科医療の問題についてこういうように問題になってきておるというのは、国民皆保険ということで国民のすべてが保険によって治療を受けることができる、こういうたてまえになっておるにもかかわらず、厚生省自体が、保険歯科につきましては保険治療と自由診療という制度を認めたところに問題があるのじゃないか。むしろ国民皆保険という立場に立つならば、自由診療の域に出ておるものもすべて保険診療に組み入れる、こういうたてまえに立ってやることを忘れておるために、患者の方からも問題が出てくるし、医師は医師としての立場があるわけで、せっかく長い間健康保険に加入して比較的健康で職場で働いておって、年がいって歯が悪くなった、たまさか歯を治療に行くと、これは保険でどうもならないんだということで差額負担を強要される。医師の中には、全部とは言いませんが、やはり悪意に満ちた、便乗によって何とかしようというような悪質な医者があって、これに便乗して暴利を患者に強要する、こういう結果になっておるのじゃないかと思うわけですが、この点について、まずこの基本的な考え方をひとつお聞かせ願いたいと思います。
○北川政府委員 皆保険下でございますから、あらゆる診療を保険でということでございますけれども、歯科診療というのは、先生も御承知のとおり非常に特殊なものでございます。そういう意味合いで、長年の経緯を経て、三十年あるいは四十二年から現行のような差額徴収を組み合わせた診療の態様になっているわけでございます。でございますから、私どもは、現在の仕組みをできるだけルールどおりに運用する、こういうことについて行政庁側も留意をし、また、実際に診療を担当していただいております歯科医師の方々についても、その辺を御理解願って診療していただく、こういうことで現在までやってまいってきたわけでございますけれども、いろいろ最近、両三年と申しますか、そういった間にいろいろな苦情、トラブルが起きておりますことはまことに残念でございまして、この点は今後十分に留意をしてやってまいろうと思っております。
○和田(貞)分科員 自由診療というのをこれからもなお認めていくというお考えなのかどうか。
○北川政府委員 これは歯科の診療についての保険との関係の非常に重要な問題でございます。そういう意味合いで、この差額に関連をいたしましていろいろな問題が出てまいりましたので、一体この保険診療の領域における差額という問題についてはどういうふうに考えるべきか。保険治療としての内容はもとより、場合によっては制度の仕組みについても、どのような手を加えるべきかということで、昨年の十月に、中央社会保険医療協議会に対しまして厚生大臣からその辺のあり方について諮問をいたしておりまして、現在、歯科についての部会を設けて、そこで専門的に御検討願っている段階でございますから、そういったところの御意見も十分に拝聴し、かつまた関係団体、学会等の意見も聞きながら、将来の処理としてこの問題を取り扱っていきたいと思っております。
○和田(貞)分科員 こういうように騒ぎ出すようになってから各県の歯科医師会の方で声明を発表したり、あるいは名古屋の歯科医師会では苦情処理機関を設けるというようなことを決めたり、あるいは昨日も大阪の歯科医師会が医師会の決定として苦情処理機関をつくるということで、行政機関もそこに参加してほしいということを府の方に申し入れておるということでありますが、肝心かなめのいま御答弁のありました中医協の歯科部会が、せっかく支払い側と診療側とそれから公益側と三者構成でこの問題についてひとつ話し合いをしていこうということになっておるにもかかわらず、日本歯科医師会がこの委員を引き揚げるというような行為、この行為は、まさに前向きになっていま問題になっておるこの種の問題について解決しようというような姿勢じゃなくて、全く消費者に背を向けた背信行為であろう、こういうように私たちは思うわけです。その点についてはどうですか。
○北川政府委員 中医協の委員を歯科医師会が引き揚げられた件につきましては、いろいろ事情もあるように聞いておりますけれども、まことにわれわれといたしましては残念なことでございます。一刻も早くこういう事態が正常化をいたしまして、先ほど申しました本来の目的に沿った審議が行われ、適切な結論が得られることを期待している次第でございます。
○和田(貞)分科員 期待するだけで解決できますか。日本歯科医師会の態度がこのままで、期待しておったところで、再び部会に参加する、あるいは他の審議会の引き揚げをもとに回復するというようなことが期待できますか。
○北川政府委員 いまおっしゃいましたように、今度の引き揚げ問題は中医協の委員だけではなくて、厚生省関係のすべての審議会の関係委員の方々についてでございます。そういう意味合いで、この問題は大臣はもとより関係者の間で一刻も早く先ほど申し上げたように正常化をするように努力を続けておるところでございますので、大いに努力をいたしまして、もとの軌道に回復することをわれわれは念願しておるところでございます。
○和田(貞)分科員 今後もなお自由診療を認めていって差額治療費を患者から請求するという方向をたどっていくならば、自由診療という以上はこれは保険診療とは別の制度でありますから、当然医師に対する特別措置、この自由診療によって得られる医師の収入についてはその特別措置というのは適用されないものだと思うわけでありますが、それは間違いないですか。
○北川政府委員 税制の問題でございますので私は一〇〇%確信を持ってお答えを申し上げられないかもしれませんけれども、現在まで承知いたしております限りでは、現在の税制の特別措置は保険診療だけに限っておるというふうに承知をいたしております。
○和田(貞)分科員 それじゃ、自由診療によるところの収入面については特別措置を受けないということには間違いないですね。
○北川政府委員 いまおっしゃったように私は承知をいたしております。
○和田(貞)分科員 それであれば、その部分についての治療を受けた患者から請求されると否とにかかわらず、当然すべての物品の販売にいたしましてもどういう商取引でありましても、請求をすると同時に、金品の授受があれば領収書を出すということがたてまえでなければならぬ。これは商取引の原則であるわけです。ところが、私の承知しておるところでは、歯科医師が患者から請求を受けても領収書を発行しない、こういうことでありますが、そのことについてはどういうようにお感じですか。
○北川政府委員 領収書の問題は、実は一昨年の十二月の中医協におきましても差額問題に関連をいたしまして問題のあったところでございます。それで、昨年の三月に、つまり二月改定が行われました後の時点で、差額徴収全般についての通知を出したわけでございます。なお、五月にはさらにそれに敷衍をいたしまして通知をいたしております。その中でやはりいまの問題に触れまして、差額徴収の要件といたしまして、十分な説明をするあるいはPRをするということと同時に、患者さんからの申し出があった場合には領収書の発行をするというようなことを指導をいたしておる現状でございますが、なお今後とも十分にこれが徹底をいたしますように留意をしてまいりたいと存じます。
○和田(貞)分科員 通知を出したということは十分承知しております。しかし、その通知を出しっ放しで、果たして領収書を出しておるかどうかということを現認されたことはありますか。
○北川政府委員 これは、通知を出します際にも関係団体でございます日本歯科医師会と十分な連絡をとりまして、双方のコンセンサスのもとでわれわれは都道府県に対して出しました。また日本歯科医師会におかれましても、それぞれの都道府県段階の歯科医師会に対しまして同様な趣旨をやっていただいておりまするので、われわれはそこは、こういうことがすぐには一〇〇%実行できなくても、逐次こういう趣旨の徹底をしていくということを期待をいたしておりまして、全部の歯科医療に対して絶えずそのことが励行されているかどうかということを現認をしているかと言われますと、そこまでのところはいろいろな関係でまだ手が届かない点もございますけれども、現状から見て、そういう点を含めて十分な指導をし、また関係団体の協力を求めてまいらなければならないと思っているような実情でございます。
○和田(貞)分科員 あなたの方は、たとえば、先ほど言われた二回、三回にわたって通知を出されて、その結果、患者に対して理解を求めるためのポスターの掲示だとかあるいは料金表の掲示というようなことを通達を出して、そのことがなされておるかなされておらないかということを調査されているじゃないですか。調査されているでしょう。そういうような調査をされているにもかかわらず、領収書を発行しておるかしておらないかということを把握できておらないのですか。一片の通知を出して事が足りると思っておるのですか。日本歯科医師会を通じて十分に話し合いをしているからということで領収書が出されておるもの、あなたの方から出された通知が守られておるものというように思っておられるのですか。なぜそのことについて現認しないのですか。調査しないのですか。
○北川政府委員 先般の調査につきましては、領収書問題もございますけれども、三月のこの通知あるいは五月の通知というものが実際にどの程度守られておるか、また守られていない場合にはどのような指導をしたかというふうなことで調査をいたしたわけでございまして、その範囲内におきまして、いま先生がおっしゃいました領収書が全部についてきちっと守られておるかどうかということについては、全部について私どもは確認はいたしておりませんけれども、もちろんやっておるところもございましょうし、またやってないところもまだあるということで、これは繰り返し指導の徹底をやっていく、また関係団体の協力も十分に求めていく、こういうことでやっていくつもりでございます。
○和田(貞)分科員 やっておるところがあると思うということであれば、やっておるところを一回資料を出してもらいたいと思うのです。主査、どうですか。主査にお願いしたいと思います。
○北川政府委員 私がいま申し上げました、すでにこれは一般に申し上げておる資料でございますけれども、調査の中で、都道府県の保険課が扱いました分で領収書がもらえないというものが十四件ございました。やはりそういう調査をやっておるのでございますから、もらえない十四件についてはもらえるように今後も指導をしていくということでございます。
○和田(貞)分科員 時間がありませんので言いませんが、何件中十四件か、それもわからない。もしもあなたの方でやっておる形勢があるとするならば、大体どの程度やっておるかということを、私は的確な資料をいただきたいと思うのです。むしろ私の当たったところでは、ただの一件も領収書をもらったところはありません。あなたの方から通知が流れておることでもありますし、私たちの方へもいろいろと苦情が百出しておるわけでございますが、その都度、実態を把握するために領収書をもらってきなさい、こういうように私は苦情を受けた人には言っておるわけです。そうすると、むしろ領収書を出すところか——、たとえばある医者では、子供の虫歯の治療のために親が連れていって七千五百円ぐらい取られた。これは当然保険治療でまかなえる範囲内のものであります。にもかかわらず七千五百円取られたというのですから、それじゃその領収書をもらってきなさい、こういうふうにいたしましたら、領収書を出すどころか、かえって現金三千円返してくれるのですよ。こういう恥知らずの、良心に恥じた金を請求しておるために、領収書を請求すると、領収書を出すことをきらって金を返す、これが実態じゃないですか。今後それでは私たちもあなた方に協力いたしまして領収書を請求します。領収書を請求したにもかかわらず領収書を出さないというような具体的医師名がわかりましたら、どんどんとあなたの方へ持っていきますから、それに対する対処なり行政指導は今後しますか。
○北川政府委員 いずれにいたしましても、この歯科の差額徴収問題は、いまおっしゃいました問題も含めまして、現在非常に問題になっておる事案でございます。そういう意味合いで、私どもは先般の通知のさらに徹底をはかりますと同時に、個々のケースにつきましても、それぞれの歯科医療機関あるいは歯科関係の団体、歯科医師会等でももちろん団体内部の問題として指導をし改善をはかるでございましょうけれども、行政庁といたしましても、できるだけ現行のルールが、また運用の方法が正しく行われるように十分な留意をしてまいりたいと思っております。
○和田(貞)分科員 領収書というのは、本人が請求するせぬにかかわらず、金を受け取ったら当然出すべき商行為じゃないですか。自由診療なんですよ。基金の方から金を調達するのじゃないでしょう。保険診療の場合は患者から直接金を受け取るのじゃないですから、これは領収書を発行する必要がない。これは先ほどあなたの方から確かめましたけれども、保険診療と別建てに自由診療もこれからなお継続をしていくということであれば、当然の商行為として、請求されるされないにかかわらず、金を受け取ったら領収書を出すのが常識じゃないですか。だから、請求をされれば領収書を出すようにと、こういう行政指導自体が誤っておるのです。もしもそういうことだったら、住民運動として領収書を集めて税務所へ持っていきますよ。だから、請求があったら領収書を渡せというのじゃなくて、当然の商行為として——商行為の初歩ですよ。患者から金を受け取ったら領収書を渡すという行政指導を今後されるかどうか、もう一度お答え願いたい。
○北川政府委員 私どもは、この患者さんの申し出によって領収書を出すということにつきましても、いま先生がおっしゃったような意味も含めて言ったつもりでございます。しかし、何せ歯科治療にいたしましても、基本はやはりお医者さんと患者さんとの信頼関係でございますので、そこはお医者さんの側でも、これに対する十分な倫理感と申しますか、そういうものを堅持してもらいたいと思いますし、また患者さんとの間に十分な信頼関係があって初めていろいろなことが円滑に運んでいくと思っておりますので、そういった面の基本的な問題もこの際改めて考え直してみなければならぬと思っておる次第でございます。
○和田(貞)分科員 時間もありませんので長く言いませんが、領収書というのは、これは繰り返しますけれども、商行為の初歩です。どこの商売人だろうが、どこの事業家だろうが、あなた方個人の金品の貸借関係がありましても、やはり金を受け取ったら領収書を出すでしょうが。普通の常識じゃないですか。 それからあなたの方で調査されたポスター、苦情をなくすための患者に対する周知の仕方について、ポスターあるいは料金表の掲示、これも通知を流されて、あなたの方でかなり言うことを聞いておるというような資料をつかんでおられるわけですが、これも私が把握するところではそうじゃない。あなた方の資料とは逆でありまして、ほとんどが周知されておりません。ポスターを張っておらないところもたくさんあります。むしろ、いまだになお患者が行きますと、そういうようなことを十分納得するような説明も話もしない。ただ受付に紙が置かれておって、あなたは紹介者はだれであるかとか、あるいは保険治療を希望するかとか、あるいは自由診療を希望するかとか、差額を払うか払わぬかとか、何も説明しないでそれに記入さすというようなことをして問題を起こす原因をつくっている医者があります。あるいは、うちの診療機関では保険診療はやれませんと初めから断っている医者もまだあるのです。それから、初めにこの治療のためにはこういうというような金額を明示しないで、終わると法外な金を請求するというような医者もあります。あるいは、当然保険診療で常識的に治せる虫歯の治療あるいは欠けた歯の治療、そういうふうなものにつきましても、差額診療ということで法外な差額を便乗して請求しておる医者もあります。 たくさんあるわけですが、極端な例は、定年でやめまして、そして医者に行きまして、前歯五本の治療、それから奥の六本の治療——これは材料も何も使っておらない。材料も何も使っておらないのにもかかわらず、先生、これで前歯五本と奥歯六本とを治療してもらったら、一体どのくらいかかりますかというように尋ねますと、百二十万円。何ですかこれは、やめましたよということで、その医者にかかるのをやめて別の医者に行きましたら、それでもなお二十万円かかっておる。こういうような具体例もあるわけであります。あるいは、前歯二本にすきがあいておるからということで、前歯二本のすきを埋めてほしいということを言いますと、その医者は八万円請求する。それでやめまして別の医者に行きましたら、二万五千円で済んだ。 あなた方の方は、こういうことを言いますと、それは自由診療だから、医者医者によって技術も違うんだから、それぞれ自信を持って、八万円のところもあれば十万円のところもあるし、二万円のところもあるだろう、こういうように言われるわけですが、常識的に考えまして、そういうことはあり得ないわけです。そういうところにやはり患者の不満というものがあるわけであります。あなた方の資料によっては徹底しているかのように見えておりますが、なかなか徹底しておりません。先ほどの領収書と同時に、今後なおこの点についてはどういうような行政指導なり、あるいは適確に患者に不満を持たさないように周知するかという方法を考えているのかお聞かせ願いたい。
○北川政府委員 いま金額の問題でございますとか、あるいはポスター問題等について重ねてのお尋ねでございましたが、私どもはこういう問題に対する基本といたしまして、やはり患者さんの希望が第一。それから十分にお互いに納得をする。患者さんも納得をするということが一つ。それからまたどこまでも患者さんと医者の関係というものは信頼関係が基本でございますから、そういうものにふさわしいような懇切丁寧な治療、また患者さんの方もいろんなことを知っていただいた上で治療を受けられる、こういう方式、これはすべてすでに通知をしたところでございますけれども、こういうものがさらに徹底をしてまいりますように、関係団体の理解と協力も得ながら、これはもう十分にひとつ努力をしてまいりたいと考える次第でございます。
○和田(貞)分科員 時間もないわけでありますので、私は率直に申し上げますが、やはり医者の技術料が安い。医者の技術料が安いために一般医科についてはそれをカバーするためにいわゆる売薬治療が行なわれる。しかしながら歯科医師にはそのような一般医科のように売薬医療ができない。だから、そういうところで差額治療をやらなくてはならぬ、自由診療をやらなければならぬ、差額徴収をしなければならぬというのが本音じゃないですか。あるいはそのようなことをあなたにここで言えというたところで、なかなか言えないことだと思いますが、やはり原則として国民皆保険という立場に立つならば、自由診療という制度があることがおかしいのであって、これらを包含した保険診療に持っていく。国民は、歯の治療であっても腹痛の治療であっても頭痛の治療であっても保険によって賄ってもらう、それがたてまえでなければならぬと思うわけであります。 そのようなことを考えないでやっていきますと、いま歯科医に対するところの苦情というのが起こっておるわけでありますが、たとえばこの間新聞にも載っておりましたように、広島県の福山で幼女が急病になって十一の医院に、消防署もあるいは本人も電話で探し求めたけれども、電話の応答がない。あるいは消防署が行きましても断られた。こういうことでようやく翌朝未明に一軒の医師を握った。ところが、もうすでにその幼女は死んでしまった。お母さんが、前の晩に診てもらっておったならば、自分の子供の命はあったのにということで非常に激高しておられるという記事が載っておるわけです。あるいは歯科医だけでなくて、たとえば私の方に言ってきております中に、六歳の子供がかぜを引いてある病院に行った。健康保険証は持っていった。注射を一本打った。薬を二日分もらった。これは当然健康保険であるにもかかわらず、これは歯科医でありませんが、やはり薬代ということで請求される。あるいは一晩とにかく病院におっただけで約一万円の請求をされたというような苦情もあるわけでございますので、せっかくこの歯科医師の問題についていま住民からこういう不平不満が出ておるわけでありますが、この解決いかんによりましては、今後一般医科の方にも住民運動が波及していく、こういうおそれがあるということを私はこの機会に警告をしておきたいと思うわけであります。 ひとつ、これらの点について、先ほど具体的に申し上げましたように、領収書を出すということはたてまえであるということ、あるいは自由診療を認めるということであれば、その自由診療については周知徹底するということだけでなくて、患者のまず同意を求めるということ、これが原則でなくてはならないと思うわけであります。そういうようなことを含みまして、今後この問題についての解決策について、厚生大臣の決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
○田中国務大臣 歯科の差額徴収問題これはいろいろな態様を実は含んでいるわけでございまして、先生ただいま御指摘の問題はその一部でございます。まだいろいろ実は問題になっているものがありまして、これを総称してそのような表現でいろいろと世間が批判をしておるわけでございますが、いずれにいたしましても、このような事態というものは、社会保険診療のルールと外れておるものでございまするから、したがって、こういうことが近年一般的になりつつあるということはまことに遺憾至極であります。 そこで、今後、社会保険における歯科医療の給付のあり方等を含めまして、なお現在の態様——要は私は、やはりここの通牒に盛られていることを適確に実行していただけば、ある程度解消するものと思っていますから、これの適確な施行のために、ひとつ、関係団体と相協力をいたしまして、この問題の解消に努めたいというふうに思っております。 なお、再三の注意にもかかわらず、このようなことを続ける者については、健康保険法等々の法律の定むるところによってそれぞれ処置をいたさなければなるまいというふうに思っております。
○和田(貞)分科員 終わります。
○野田主査 これにて和田貞夫君の質疑は終了いたしました。 次に、津川武一君。
○津川分科員 最初に大蔵省にお伺いしますが、大蔵省には後にアルコール中毒の人にどのくらいお金を出すべきかということもお伺いしますので、これからの論議をずっと聞いていただきたいと思うのです。 最初に、酒税の収入、四十八年、四十九年、どのくらいになっているか、五十年度の見通しがどのくらい入るのか、まず明らかにしていただきます。
○梅澤説明員 御質問の酒税の収入額でございますけれども、四十七年度から申し上げますと、四十七年度七千百三十六億円、四十八年度七千二百六十六億円、四十九年度は歳入予算の見積額でございますけれども八千八百五十億円、それから五十年度も歳入予算におきまする酒税歳入見積額は一兆三百十五億円でございます。
○津川分科員 厚生大臣、精神障害者の対策を中心にして大臣に方針を立てていただきたいと思うわけでございますが、精神障害者の発生に対しては、たとえば家庭の不和、職場のいろいろな思わしくない空気、破産、倒産、出かせぎ先で家族から離れて生活しておる、こういう環境の悪化によって、精神障害を来たすのがこのごろかなりふえています。この対策をどうする。 第二番目には、そういう対策の中で、発病しないように予防する、これが二つ目。三つ目には、発病した患者を治療する。四つ目には、治療して治った後社会復帰させる。この社会復帰がなかなかめんどうなんです。一遍入院させると、家族にとってみれば、まあ悪いけれども、邪魔者、厄介者を預かってくれたのだ、社会復帰が非常におくれておる。この四項目がございますが、局長でもいいし、大臣でもいい。これはやはり全部必要だと思うのですが、この四つに対する厚生省の方針を伺わしていただきます。
○佐分利政府委員 まず第一の環境の悪化対策でございますけれども、これは関係各省とも協力いたしまして、できるだけ快適な環境をつくるように努めていかなければならないと考えております。 次に予防の問題でございますが、これはほとんどの県にございます精神衛生センター、また各県にございます保健所、こういったものを第一線の機関といたしまして、精神障害の発病予防に努めておるところであり、今後さらにその対策を強化いたしたいと考えております。 次に治療対策でございますけれども、かつては入院治療が精神医療の基本になっておりましたが、ここ十数年前から諸外国においても日本においても通院治療、外来治療を大いに奨励していく、これが結局は入院を防止しあるいは再発を防止し、社会復帰を促進するために大いに役に立つ。また施設に入れるよりも患者の治療上いい影響を与えるということでございまして、厚生省としては通院治療の強化に力を入れておるところでございます。 最後の社会復帰対策でございますけれども、これは厚生省としてもここ数年行ってきたまだ新しい対策でございますが、本年度は社会復帰施設二施設、デーケア施設一施設、整備をいたしておりますし、また明年もそれぞれ一施設ずつ整備をすることにいたしております。さらにデーケア施設については従来運営費の補助がございませんでしたけれども、明年度は新たにその補助金を計上いたしております。 さらにこういった社会復帰関係の施設の対策のみでなく、話がもとに戻りますけれども、保健所における地域精神衛生対策を強化いたしまして、患者の再発とか再入院を抑制して社会復帰を円滑に進めていく、こういった対策についても新年度新たに保健所における社会復帰促進事業費というものを計上いたしておりますし、また保健所に専門医を置きます数も百保健所ふやしてそういった対策に応じようとしておるところでございます。
○津川分科員 大臣、患者が発生する、一つには環境をよくする、二つ目には予防する、三つ目には治療する、社会復帰させる、局長の答弁でけっこうです。 そこで局長、精神障害者の治療のために使ったお金、これは精神衛生法の二十九条もひっくるめて、どのくらい。その次に、いまの予防、社会復帰のために使っているお金はどのくらいか、この二つを明らかにしてもらいます。
○佐分利政府委員 精神障害者の治療費でございますけれども、精神衛生法関係だけでも、措置入院に本年は六百六十五億使っておるわけでございます。通院医療にも約十八億くらい使うところでございますが、そのようにいまの精神衛生対策費の大部分を入院治療費に使っておるわけでございまして、その他の保健所における対策費、精神衛生センターにおける対策費、また社会復帰施設の整備費、運営費そういった治療費以外の予算は約六億程度になっております。
○津川分科員 大臣、聞かれたとおり、障害者が出ない環境を整備する、予防する、治療する、社会復帰する。治療費には六百六十五億円、その他には六億、これを入院治療でなく、外来治療に十八億円入れていてもこういうことなんです。したがって、大臣、ここのところで、まあ破産をしてその結果ノイローゼになって自殺する、これは論外にしておいて、予防体制の社会復帰体制、そして外来治療体制に、精神障害者対策を根本的に変える必要がある。変える必要と言っても、いまの入院治療が必要ならそのまま残しておいて、そしてここのところをふやしていく、ここにいまの精神障害者対策があるのですが、大臣の方針を聞かしていただきたい。これは一年ではできない、私はこのために長い計画を立てていかなければならないと思うのですが、大臣の所信を伺わしていただきます。
○佐分利政府委員 先ほどからいろいろ御示唆がございましたように、厚生省といたしましては、入院治療から外来治療へ、また社会復帰の促進へ、さらに将来は発病の防止へ、そういうふうな目標で政策を進めておるところでございます。したがいまして、先ほども申し上げましたように、確かにまだ治療費が大部分を占めてはおりますけれども、そういった通院医療費は、たとえば本年の十八億が新年度の予算案では二十三億になるとか、あるいは社会復帰施設の整備費も、数はことしよりは減っておりますけれども金額はふえておりますし、デーケア施設の運営費も補助するようにしておりますし、そのほか保健所の社会復帰事業促進費、こういったものも計上するなど、逐次そういった方面に重点を移しつつあるわけでございます。
○津川分科員 大臣の所信を——やはりここのところへ重点を移していく、重点と言わなくてもかなりこれをふやしていく、これは年次計画を立てなければならない。この二つの点を大臣に答えていただきます。
○田中国務大臣 精神医療、精神衛生の問題は、これは先生はお医者さんで、もうよくお詳しいのだろうと思います。私は素人でございますが、いろいろと承ってみますると、近年非常にやり方が変わっておるそうでございます。いま先生の御指摘のような方向に移りつつあるというふうに私も勉強さしていただいております。したがいまして、従来は、入院を一本と言っては恐縮ですが、入院がその主軸でございましたが、今後はそういったような新しい精神医療、精神衛生の方向に対策を移しかえていくということについては私も全く同感でございます。ただ、年次的にこれをどうするかということについては、ただいまはまだこれを策定をいたしておりませんので、この点についてはいま少しく時間をかしていただきたい。
○津川分科員 年次計画、やはり立てていただきたい、このことを大臣に申し上げて、次に移ります。 そこで予防体制ですが、弘前の保健所で、患者のところへ保健所の担当医がカウンセリングで相談に行った。暴れて締めつけられちゃった。一人じゃだめなのよ。二人、複数で置かなければだめ。こういう点が、人員の増加が必要なのだ。その次には高等学校の養護教諭。相談を受けるのが、大部分が精神衛生です。おなかが悪くなったという相談を受ける、けがをしたという相談を受けるけれども、相談の件数の大部分が、眠れない、ノイローゼになった、お母さんがこういうことをしている、これは私として見ていられない、どうすればいいのだ、こういうことなんです。そこの点で、保健所の中で働いている人員がふえなければ、この方たちの専門的知識がふえなければ、高等学校にいる養護教諭の専門的な知識がふえなければ、こういう点で陣容をふやしていく、卒業後のポストグラデュエートの教育をしていく、こういう人員をふやしていくということが何よりも必要なことです。ところが、皆さんはお金はふやす、人員はふやさない。一番の問題はそういう人につながってくるので、この点のふやし方、精神衛生相談所、保健所には民間の精神病院でこれをやらしていかなければならない、こいつの補助金を出さなければならない。民間の病院はこれをやれない。私たちの病院ではやってみたけれども負担が大変なんです。ここらあたりで民間が本当に予防をやるとすれば、こういう点が具体的に必要な日程に上ってくるわけです。デーケア、これは本当にいいです。これをやらなければだめなんだ。ところが、補助金は国立、公立だけしかない。民間でやろうと思っても、こいつに対しては非常な負担が要る。そこでこの点が三つ目の問題。まあ結論言ってもいいけれども——後でまた聞きます。この点、答えていただきます。
○佐分利政府委員 まず、保健所におきます精神衛生相談の人員をふやすべきであるということでございますけれども、なかなかまず専門医の場合には専任で確保することはできませんので、嘱託の形で月二回おいでいただくことにしておるわけでございますが、この数を一人でなく二人にするということは将来考える問題であろうと思います。現在は、まだ本年が五百四十ぐらいの保健所にしか嘱託医が置いてないものを、百カ所ふやして六百五十ぐらいに来年したというところでございまして、できるだけ早く全保健所に嘱託医を置きたいというところでございます。 養護教員の問題につきましては、員数の問題がございましょうが、これは文部省の問題でございまして、私どもはそういった連中の精神衛生に関する再教育と申しますか、研修をやらなければならないわけでありますが、これは各県の精神衛生センターが中心になってお手伝いをしておるはずでございます。 デーケアの方は、先ほどお話ございましたように、国公立しか国のお金は行かないということでございますけれども、実は昨年の二月の医療費改定のときにデーケアの診療報酬が新設されまして、民間のデーケア施設でございましても一定の基準を満たしておるものには、保険からデーケアの診療報酬を支払うようにいたしておるわけでございます。また、そういうところにつきましては、国としてはまだ直接補助はいたしておりませんけれども、各都道府県の方でいろいろな方法で、たとえば船舶とか競輪のお金を補助するとか、あるいは県の方もいろいろな財政の援助をするとか、そういった援助策は講じておるところでございます。
○津川分科員 大臣、デーケアというのは、東北で言うと健康保険に採用になっているところは二つよりない。条件が厳しくてとてもできない。本当はこれを中心にきょう議論したいと思ったけれども、これは後で保険局長と大臣に話をするから。これは保険局で是正する方向にあるそうですけれども、やはり是正しなければならぬ点がある。施設でデーケアを——普通の施設、かなり大きいです。見ていただければわかるとおり、かなり何でもやらなければならぬ、かなりの施設費が出る。これを民間に出すとぐっと変わってくる。大臣もいま急に答えられるかどうかわからぬけれども、民間施設のこれから立てるデーケアに対する国の援助、これをひとつ方針があるならお伺いしたい。大臣がまだまだそこまでいっているかどうかわからぬけれども、局長でも大臣でもいいです。
○佐分利政府委員 民間のデーケアに対して国が直接補助金を差し上げるということは考えておりません。先ほども申し上げましたようないろいろな他の制度によりまして、できるだけのお世話をしていくということになるのではないかと思っております。 なお、こういった精神衛生相談とかデーケア等の貴重な要員の一つでございますが、精神衛生相談員というような制度がございまして、四十年度から厚生省が養成しておりますけれども、本年も六百五十人ぐらい養成する予定でございます。来年も六、七百養成する予定で、すでにそういった人たちは三千三百を超すような数になっておりますので、これも非常に貴重なキーパー層として活躍してくれておると考えております。
○津川分科員 大臣、いま民間の施設がかなりの患者を入れておる。これに対してデーケアも出さない。デーケアの施設費を出さない。補助しない。それから民間で精神衛生相談所をやろうと思っても、これにも補助を出さない。こういう点でもう一度改めて大臣の考えを——私は端的に民間の人の手を引っ張るべきではないかと思う。 というのは、アルコール医学会でもそうだけれども、社会復帰を国家がやって成功した例がないのです。社会復帰の問題で成功しているのはみんな民間なんです。これは学会で明らかになっておる。公衆衛生局長、そうでしょう。——そのとおりてす。だから、ここのところは局長の方針はわかったけれども、大臣の気持ちを伺わしていただきたい。
○佐分利政府委員 具体的にはアル中というようなお話が出てまいりましたので、同じデーケアとかナイトケアでも一般精神障害と変わってくるかと思いますが、アル中については確かに非常にむずかしい事業でございまして、特に民間の御援助を得なければならない。アル中の先輩格の人たちが後輩の指導をなさるわけで、これが一番いいわけでございますけれども、そういう意味で、各国ともアル中対策についてはほかの精神障害対策とは特別な手を講じておろうかと思います。そういう意味で、日本においてもアル中に対しては、現在は先ほど申し上げましたような競輪、船舶から補助金を差し上げる、そう他県の方が何かの助成を差し上げるというようなことでございますけれども、このアル中につきましては、あるいは将来そういうふうなことが必要になってくるかもしれないというような感じがいたします。しかしながら、日本はなかなかボランティアの発達しにくい国でございますので、当面のところは、アル中対策についてもやはり国や都道府県が相当やらなければならないのじゃなかろうかというような感じを持っております。
○津川分科員 アル中のことはもう一回問題にします、せっかく大蔵省からも来てもらっているから。 そこで、外来の治療。家庭の中から職場の中から精神病院、精神科の外来に通ってそこで訓練を受けて、いろいろな指導を受けていくことがいま何よりも必要なんです。とすれば、この体制があるかというと、精神病院というのは世捨て人みたいな山の中なんです。なかなか楽じゃない。したがって、普通の町の中央にある総合病院の中に、こういう精神科の外来が来られるような体制をつくらないと、変えていこうと思っても変えていけない、これが一つ。 第二番目には、本当に精神病院の患者は沈でんしているのです、古い人たちが。困ったものだ。なぜかと言うと、外来治療をやると、まず精神療法、私はこのごろ国会に来てからやってないけれども、精神療法をやると少なくとも一時間、うまくいけば三十分、精神分析をやる、二時間、それからカウンセリングをやる、これが三十分から一時間もしくは三時間。しかも、このカウンセリングは患者直接対象でなければならない。ところがアル中の場合だと患者はなかなか来ない。どうするかというと、職場の長、お友達、家族、こういう人たちとカウンセリングをやらなければならない。こうなってくると大変なんです。このカウンセリング料が何と四百円、精神療法が四百円、精神分析、標準型ですばっと二時間かかってやって八百円、簡便でやると四百円で四十点、だからどなたもおやりにならない。われわれがやるとすると出血だ。だから定着しない。この点で一番の問題は、公衆衛生局長はどうするのか、社会保険局長はこれに報いてあげなければ道か開かれていかない。この点両局長から答えていただきます。
○佐分利政府委員 まず通院医療、外来医療を普及徹底するためにはもっと便利のいいところに精神科のクリニックがないといけないのじゃないかというお話でございますが、総合病院の精神科、神経科というのは、十数年前から厚生省として大いに推進してまいりまして、予定どおりほぼ総合病院の精神科、神経科はできておるのではないかと思います。ただ個人開業医の精神科の診療所というのは日本にはほとんどないわけでありますが、これはなぜないかというと、先生おっしゃいましたように、精神科はそういった特殊な技術料について点数が設けていないからだというような御意見になろうかと思うのでございます。 ただ、私、これは全く個人の意見でございますけれども、日本のような専門医制度のはっきりしていない国では非常にそういう点がむずかしいと思うのでありまして、いろいろ点数の新設は、そういった非専門の人がやって請求をするというような混乱が起こらないように、そういう面では公衆衛生局や医務局の方が、何かそういった体制について、今後考えなければならないのじゃないかと思っております。ただ方向としては先生おっしゃいますように、精神科の診療所が成り立つような診療報酬の体系があるべきではなかろうかというような感じがしております。
○北川政府委員 精神障害者の方々についての通院医療につきましては、いま公衆衛生局長から申し上げましたように、また先生もおっしゃったように、最近の流れに沿ったいろいろな施策が行われていると思います。そういう中で、これを保険の方においてどういうふうに評価するかということで、御承知のとおり四十七年の改正ではカウンセリングの新設をし、昨年二月の改定のときにはいわゆるデーケアについての新設をしたわけでございます。もちろんこれにつきましては、新しい評価でございますので、関係団体等の意見もいろいろ十分に聴取したわけでございますけれども、今後精神障害者の方々の医療のあり方というものはなおいろいろまた検討すべき点があろうと思いますから、そういうことも考えながら今後の問題を検討してまいりたい、このように考えております。
○津川分科員 大臣、検討してその方向にやはり進むように本当に考えなければ——この点で大臣に見てもらいたいのは、私の友達で上目黒の診療所で精神科をやっている。小豆沢病院で専門医がいる。代々木病院にいる。この人たちの苦労というのは、ペイしないものだから、こちらで何としてもこれをやらなければならぬというので、こういう実態を見た上で大臣からこの方向を打ち出さなければならぬ。両局長一生懸命なんだよ、だからあなたがバックをすると、これはすぐできる話なんで、そこにあなたの出てきた理由があるわけなんだ。こういう点でぜひそうしていただきたいと思います。
○田中国務大臣 先ほど申しましたとおり、精神科医療の態様が非常に変わってきて、新しくなってきているということだそうでございまして、通院、デーケア、そして社会復帰というふうな方向に大きく流れが変わっておるようで、どうもいろいろ承ってみますると、これに対応するようなかっこうに診療報酬の面でも施設の面でもすべてが前時代的なものにとどまっておるというところに私は悩みがあるのだろうというふうに思っております。したがって、幅の広い視野でそういう方向に合わせるようにしたいと思いますが、半面どうも現実問題として、たとえば精神科の医療機関のあり方がこれについていっていないものがあるというところなどにまたむずかしい問題があるんじゃなかろうかと素人ながら考えているわけでございまして、新しい流れに対応するような、そういう方向に指導すると同時に、そういう施策を強化をいたしていかなければならぬもの、言うなれば精神科は曲がり角に来ているというふうに私は受けとめ、その方向で努力をいたしたいと思います。
○津川分科員 時間も来たのでそろそろ終わりますけれども、問題はそこにあるので、外来診療がやれるように。その点はまあいい。 そこでカウンセリングなんです。アルコール中毒、うちの方では一年にカウンセリングが六百件あるのです。この中で本人とやり合うのは四十件、あとは家の人たちとやっておる。そうすると、保険の制度としては本人とやらなければ払わないんだ。このためにわれわれがどれほどケースワーカーを置いて、保健婦を置いて苦労をしておるかわからない。病院に来ればいいけれども、うちに出かけていく、この方がうんと食います。こういうところで道を開いていかなければならぬ。これでどうするかが一つ。 二つ目は、アルコール対策に対して、アルコール問題全国協議会、十団体が入って、これは死にもの狂いの苦労をしておる。ここへそういう予防、それから社会復帰の援助をかなりしなければならない段階に来ている。実際にアルコール中毒患者の社会復帰をやっているのはこの人たちなんです。国はほとんど効果を上げていない。この人たちが効果を上げている、あの断酒会なんかで。私のところなんかは、酒の親から家庭を守るという形で運動を展開しておる。こういう人たちに——まあ自分のところを挙げるとぐあいが悪いのだけれども、そういう点でやらなければならない。これが二つ目の問題。 大蔵省、一兆円も取っておいて、酒税をどこへ使うかというのはひもがついてないからわからぬけれども、少なくとも農業用のガソリンは農免道路に出しておる。このアルコール対策にもっと返すべきだと思う。これから厚生大臣が要求すると思うのだけれども、これに対する大蔵省の見解、この三点だけを聞かしていただいて、終わります。
○佐分利政府委員 ただいま御示唆のございましたような考え方もあろうかと存じますけれども、私どもといたしましては、精神障害対策の中のやはりバランスの問題がありまして、それはアル中だけでも完璧にやるのだということもあろうかと思いますが、一定の財源もございますので、アル中対策も分裂病対策もノイローゼ対策もやっていかなければならないわけであります。そういう関係で、ただいま具体的にお話のあったアル中の相談事業、そのための相談所だとか、あるいは中間施設、デーケア施設、こういったものにつきましては、従来もやっておりますように、競輪等の補助金を優先的に差し上げまして助成をしていくという方法でまいりたいと考えております。
○梅澤説明員 冒頭に申し上げましたように、五十年度の歳入予算で酒税の見積額は一兆円を超えるわけでございますけれども、分科員が御指摘のように、酒税というのは御案内のとおり租税収入として一般財源を構成するものでございますから、まあ目的税的に酒税の収入とアルコール中毒対策経費を結びつけて考えるということはいたさないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、アルコール中毒対策を含めまして精神衛生対策の問題につきましては、先ほど来厚生省から御説明ございましたように、年々着実な進捗を見ておるわけでございまして、私どもといたしましても、今後とも厚生当局と十分協議をいたしまして所要の処置を講じてまいるという姿勢を引き続き堅持したいと思うわけでございますけれども、ただ一、二、先生の御提案になりました、将来の問題としてたとえば現実に国庫補助の対象となっていない各種の事業について一体どう考えるかという問題でございますけれども、これにつきましても、主管省として今後どういう取り組みを行われるか、それから財政処置として、各般の制度あるいは地域社会の問題、あるいはボランティアの問題等も含めまして財政処置としてはどういう処置をとったらいいのかというのはそのあとの問題になると考えます。したがいまして御提案の件については、一つの御意見として本日のところは承っておきます。
○津川分科員 終わります。
○野田主査 これにて津川武一君の質疑は終了いたしました。 次に、新井彬之君。
○新井分科員 まず議事進行について主査に申し上げますが、きょうは本会議が一時から開会するようになっておりますので、現在四十分でございます。残り時間二十分でございますけれども、この件については主査、いかが取り計らいになりますか。
○野田主査 終わってから追加をいたします。 〔主査退席、三ツ林主査代理着席〕
○新井分科員 まず初めに私ば大臣に基本的な問題でお伺いしておきたいと思うのでございます。いまの厚生行政、特に福祉にかかわるいろいろな問題を担当されておるわけでございますけれども、いろいろな基準がございまして、それを守るために一生懸命やられているという問題がございます。またわれわれから見て、一般的に見て非常に基準がまだあいまいだけれども、それなりの理由をつけてやられておることがあるように思うわけでございます。とにかく毎年時代はどんどん進んでおりますから、たとえて言いますと、生活保護世帯一つをとりましても、毎年毎年改定をされていく、これは当然だと思います。物価高とか、そういうものだけではなくて、エネルギーの消費量であるとか、あるいはまた文化施設のいろいろな発展に伴っての改定というものが非常に必要ではないか、こういうぐあいに思うわけでございます。健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有するという憲法の基本精神にのっとってのことをやられておるわけでございますけれども、こういう一つの基準を毎年見直さなければならない、こういうぐあいに考えるわけでございます。その点については大臣いかにお考えになりますか。
○田中国務大臣 お説のとおりでございまして、したがいましてできるだけそういう方向に合わせるように努力はいたしております。
○新井分科員 その場合の基準というのはあくまでも実際を直視した基準でなくてはならない、私はこう考えますけれども、いかがですか。
○田中国務大臣 できるだけそのような方向で取り計らうのがよろしいと思います。
○新井分科員 たとえて言いますと、超過負担の問題等がございます。一つの建物を建てる場合に国の方の試算というのはこれだけになるのだ、しかし現実に建てた場合にそこに何らか追加をしなければならない。だけれども実際にはこれだけかかるということは実務単価です。それと同じように、生活保護費とかあらゆる補助にいたしましても、それだけはかかるのだという基準があって、それに対して補助をしていくんだ、それを毎年見直すんだ、こういうことでございますけれども、いかがですか。
○田中国務大臣 生活保護基準に限ってのお話でございますれば、これは一般世帯との格差をできるだけ縮小をするという方向で補助基準を決めているというふうに心得ております。
○新井分科員 そこで、老人ホームのいろいろな実態のデータをいただいたのでございますが、その中で養護老人ホームの問題でございます。この養護老人ホームの一人当たりの月額の事務費と生活費は幾らになっておりますか。
○翁政府委員 四十九年から五十年度に限って申し上げますと、養護老人ホームに入っておられる御老人一人当たりに直しまして、生活費が大体二万円、それから事務費系統に属するものが三万何がし、こういうようになっております。
○新井分科員 生活費でございますけれども、この中で食費というのは幾ら見ておるのですか。
○翁政府委員 御承知のとおり、生活費の中身は日常生活に必要な経費と食費になるわけでございますけれども、これはわれわれといたしましてなるべく総合的に使えるように指導いたしております。ただ、ただいま御指摘がございましたように食費を一応試算したらどの程度になるか、大体一万円をちょっと超える程度じゃなかろうかと思います。
○新井分科員 そうしますと、去年いろいろなデータの中で実際問題食費はこれだけなければ食べていけないんだというデータ、そういうことについては調査されましたか。
○翁政府委員 先ほど大臣からも申し上げましたように、生活保護世帯につきましては一般の世帯との格差をできるだけ縮めていくということを一つの前提にして決めているわけでございます。収容施設一般につきましても、大体いままでのところ考え方としてはこれにならってやっております。特に施設につきましては、御承知のとおり光熱費等は施設の事務的な運営として大多数の人をやる場合に安く仕上がるというようなことも勘案しながら、おおむねこの程度であればそれぞれの施設の特殊性に応じた生活ができるという前提に立って改善をいたしておるわけでございます。
○新井分科員 具体的に食費の計算の基準は何ですか。
○翁政府委員 これは、大体前年度で決まっておりますものについて新しい年度における消費者物価指数の伸び等を総合的に勘案してその率を掛け、そして改善を図っているわけでございます。
○新井分科員 実際の問題としては、これは大臣も非常に福祉行政についてはベテランでありますし、力を入れているということを聞いておりますけれども、こういう実際のいろいろなところから聞きますと、やはり現実にはできないんだ、どうしてもその少しの差が大変な苦労になって担当者の方々にのしかかってきているんだ、そういう件についてはなお見直していかなければならない、こういうぐあいに思うわけでございます。これがまず一つの問題です。 それからもう一つは、養護老人ホームについては、これは基本的には健康な方がお入りになっているわけでございます。特別養護老人ホームの場合は、寝たきりの方、お体が悪い方ということで三人に一人の寮母さんがおられるわけですけれども、養護老人ホームの場合も実際問題寝たきりの方が、調査によりますと東京都内で一八%いる。一つの例をあげますと、東京老人ホームなんかでは、定員が百六十名でございますけれども、その中で寝たきり老人が十一人おられる。これは七%です。それから周りの世話になっている人が三十人いる。だからほかの健康な方がそんなに悪くないけれどもお世話しなければならないということですね。四十一人の方が多かれ少なかれ不自由をされておる。そういうところから見ますと、これがもしも特別養護老人ホームの場合でありましたら三人に一人の寮母さんがつくわけでございますけれども、そういう計算でいきますと、これらの方々の寮母さんだけでも十四人が必要となります。これは現状の寮母さんの数の十一人をオーバーするという実態があるわけです。それとともに、そういう方は特別養護老人ホームに移ったらどうですかと言うと、やはりここがいいんですと言って無理に元気を出して、これがかえって非常に悪くしているというような現状にもなっている。こういうようなことでございますけれども、こういう寮母さんの問題について、こういう実態を御存じなのかどうか、その上でその対策をどのように考えておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
○翁政府委員 ただいま御指摘がありましたように、養護老人ホームに入っておって最初は健康であった老人が、病気になり、そして寮母さんなり周囲の方にめんどうを見ていただくようになるという傾向にあることは承知しております。ただいま御指摘がございました寮母の数等につきましては、三十年来すでに過去四回改善をしております。特に来年度におきましては、養護老人ホームについては寮母さん全体で約六百名、それから、ただいま御指摘がございました寝たような状態になっておる施設につきましては、非常勤保母という形で全国で二百十二名、したがいまして、仮に定員規模五十名ということにいたしました場合に、いままで四人配置されていました寮母さんを来年度から五人にするというような対応措置を講じておりまして、できるだけ寮母さんの負担の軽減ということには全力を挙げている次第でございます。
○新井分科員 そういうぐあいに本年度伸びていることはわかりますけれども、その伸び方も、私の言っているのは、一つの基準があってこの場合はこうじゃないかという計算の上からなってない。ただ何でも積み足し方式であって、それでやっている間は基本的な解決をしないんじゃないか、私はそういうぐあいに思っているわけです。それは当然、本年ふやし、また来年もふやしていきます。おいおいにその基準といいますか、それに到達するようにしますということでございますけれども、毎年毎年困っている方でございますから、とにかくそういうことについてもよく実態を掌握してやっていただきたいというぐあいに思うわけです。 その次に、寝たきり老人とかひとり暮らしの老人対策につきましては、いままでもいろいろと施策をされて検討がされ、実行されてきたわけです。その中で家庭奉仕員、これはホームヘルパーでございますが、そういう方々であるとか、あるいはまた日常生活用具の貸与とか支給、あるいはまた介護人の派遣、それから緊急の通報装置ですね、これは電話等の設置でございますけれども、そういうことがとられてきたわけでございますけれども、諸外国と比べた場合に、まだいろいろと格差といいますか、やってやれないことがないことがたくさんあるわけですね。そういうことで、今後そういうような問題についてはどういうようなことを考えておるのか、それをお答え願いたいと思います。
○翁政府委員 老人福祉につきましてただいまお示しのあったことは、大体予算的に、過去また将来にわたって伸び、また伸びつつあるわけでございますが、基本的に私ども考えておりますのは、老人の家庭奉仕員であるとかあるいは介護人の派遣、こういったものは、御承知のとおり地域社会にきわめて密接したことでございます。国としてこれをいわば後ろから後押しをするという形で、いわゆる地域の福祉というものがまず優先していかなければならないのではないだろうか。その意味におきまして、国は補助金を出しながら、地方のそういった自治体の意欲並びにボランティアの方々の意欲をさらによりよく刺激をするということを基本的に考えているわけでございます。 ただいまお示しのありましたホームヘルパーにいたしましても、去年、ことしと相当大幅に伸ばし、介護人等も伸ばしながら、そのあり方等については自治体の、あるいはボランティアの創意工夫をできるだけ活用していくという方向で進めてまいりたいと考えております。 福祉電話につきましても同様でございます。
○新井分科員 ボランティアと、いまもそういうようなお話が出ましたけれども、確かにこれは非常に大きな問題です。しかしながら、いまの現状から見ますと、余りそういうことがないように見えるわけですけれども、今後そういうものの具体的な育成といいますか、そういうことについてはそれではどのようなことをやられる予定ですか。
○翁政府委員 私どもといたしましては、そういった地域における善意というものを、現に各地に善意銀行というものもございます。それから特殊の法人として社会福祉協議会というものがあるわけでございます。こういった団体等を拠点といたしまして、地域の善意のある積極的なボランティアの方々に仕事に立ち向かっていただく。そのための一つのメニューと申しますか、そういったものを国なりあるいは地方が示しながら、そして地域に密着した福祉を伸ばしていくということをわれわれの一つの方針としてまた実行してまいりたいと考えているわけでございます。
○新井分科員 ある意味では、現在も、近所の方がおつき合いの中でいろいろのめんどうを見られている現実の問題もたくさんあるわけですね。ただ、それが地方公共団体とかあるいは国とかいうことと現実は結びついていないわけです。しかしながら、本当にそういう方々がめんどうを見られて、自分の家族のようにしてやっていただいているところもたくさんあるわけですね。だから、たとえていいますと、そういう寝たきり老人がだれにお世話になっているのか、あるいはまたひとり暮らしの老人がだれのお世話になっているのだ、あるいはまた重度身体障害者の方がどういう方にお世話になっているのか、そういうことをやはりきちっと調査をされて、いま現実には、こっち側からはその方針だとかホームヘルパーだとかいろいろのあれはないけれども、現実にはやはりそういうもので支えられているんだなあという実態というものを知る必要があると思います。そういうことについてはいかがですか。
○翁政府委員 確かにそういった正確な事態の把握というものが必要でございまして、五十年度におきましては、身体障害者につきましては全国一斉に調査をいたすことにいたしております。そしてこれについては、いまお示しのあったようなことを調査の対象にいたしております。 なお、老人の問題につきましても同様に暦年調査をしておりまして、この調査の内容をよりよくきめ細かくするのがわれわれのとるべき態度であろうということで、そういう方向で進めてまいりたいと考えております。
○新井分科員 寝たきり老人の方が三十六万人おられるわけです。その中で約八七%の三十一万人の方が日常生活に何らかの支障を来たしておる。それからひとり暮らしのお年寄りの方は、全国で約四十九万人おるわけですが、そのうちで約二十万人が病気がちのお年寄りの方です。こういうことであるわけでございますが、ことしも多数家庭奉仕員の方が増加をされたというわけでございますけれども、これは基本的には、やはりそういうのを調査をして全体に行き渡る、これが公平ではないかと思います。そしてまた、何らかの形でそういう一つのボランティアの活動にしましても、きちっとした体系的なものをつくっていくということが大事だと思いますとともに、もう一つは、やはり所得制限の緩和というものを当然やっていかなければならない、こう思いますけれども、その点いかがですか。
○翁政府委員 ただいまお示しのありました老人の中で寝たきり老人の数、これは大体三十五、六万人と思います。この中で養護老人ホームなり特別養護老人ホームに入っておられる方、それから家族でお世話のできる人、こういったものを取り除きまして、なおかつ、そういった方々で、日常の介護を必要とするという人を対象にして家庭奉仕員というものを一応考えて、市町村に補助金を流しておるわけでございまして、またお示しのありました所得制限等については、大体総合的に毎年改善を図ってきているわけでございます。したがいまして、考え方としては、一応何らかの形で御自分なり家族なり自治体なりあるいはそういった家庭奉仕員等でカバーできるようにするのが、やはり福祉の本筋であるという基本線に沿って行政を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
○新井分科員 もう一つ、寝たきり老人等をお持ちの家庭でございますけれども、これは家族の方がおられて非常に苦労されているわけです。そういう方々が一時もしも入所できるような施設があれば、たとえ十日間なら十日間でもめんどう見てもらえれば、非常にくつろぎができて、また引き取ってやるということが提言されておりますけれども、そういう問題についてはどのようになっておりますか。
○翁政府委員 まさに地域に密着した福祉の一つのあり方であろうと思います。このことは単に老人に限らず、やはり重度の障害者の方についても言えることでございまして、われわれとしては当面なすべきことをいたしながら、そういった問題点については、やはりいろいろな意味でどうあるべきかという対応を考えてまいらなければならないというように存じております。
○新井分科員 次に、遺族年金のことを一言だけ聞いておきますけれども、遺族年金については厚生省も調査をされまして、それで現実に生活はできない、だからこれは何とか見直さなければならないということであると思います。この前の調査の結果によりますと、七十歳から七十九歳のお年寄りの方でも仕事をしなければならない方が一〇・七%、それから八十歳以上でも一三・八%、こういうことでデータが出ております。当然これは、金額を上げる問題とそれから制度そのものを変える。欧米諸国を見ましても、遺族年金については、やはり食える年金であるということで約八〇%くらいの水準になっておると思いますけれども、今後のこの改正についてはどのようにお考えになるか。
○曾根田政府委員 御指摘の遺族年金のレベルと申しますか、支給割合が、日本の場合、恩給以来の流れをくんで老齢年金相当額の二分の一ということになっておりますけれども、これは諸外国の例あるいはILOの条約等を見ましても、それ自体必ずしも十分合理的な根拠があるとは言い切れない点もございますので、五十一年度厚生年金並びに国民年金の制度見直しを予定いたしておりまして、現在関係審議会で御検討願っておりますが、その中での検討項目の一つにもなっておりますので、前向きに検討してまいりたいと考えております。
○新井分科員 では本鈴ですから……。
○三ツ林主査代理 それでは本会議でございますから、本会議終了後新井彬之君の質疑を続行いたしたいと存じます。 この際、暫時休憩いたします。 午後一時一分休憩 ————◇————— 午後三時十分開議
○野田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。 厚生省所管について質疑を続行いたします。中村重光君。
○中村(重)分科員 質問したいことがたくさんありまして、一問一答する時間的余裕がありませんから、一応問題点を指摘いたしまして、後で一括してお答えをいただきたいと思います。 厚生大臣、言語障害の口蓋裂という、くちびるが割れている三つ口症というのがあるのですが、この障害者の口の中は変形をしておりまして、歯はあちこちにある、奥の方にも歯が生えているというようなことでして、この歯列矯正をやらなければならないということになるわけですが、しかし歯列矯正はおしゃれ行為として医療行為に入っていない。国保の適用もなければ育成医療の対象にもなっていないわけです。したがって、全額自己負担でやらなければならない。五十万円も百万円も出しているという実例があるわけですが、これは国保の方を改正をして、歯列矯正を含むというものにしなければならないのではないか。あるいはまた、三つ口手術等の関連ですから、これはやはり育成医療の対象にする必要があるんだろうと考えていますが、この点後でお答えをいただきたいと思います。 それから、自治体が身障者の医療の無料化を図っているわけですが、この間新聞報道で、自治省は、地方自治体の医療無料化については交付税を削減をするのだといったような意向を明らかにしておったようでございますけれども、国としては当然医療の無料化を実施をしなければならないと思うのですが、この点に対しての大臣の考え方はいかがであろうか、伺っておきたいと思います。 それから、障害児の保育の問題というのは実に深刻な問題です。保育所にいたしましても、あるいは幼稚園にいたしましても、非常に手がかかるので、障害児を預からないのですね。そこで、障害児保育ということに対してはどのようにお考えになっておられるのか。私は障害児のための保育園をつくるということも考えなければならないでしょうけれども、それよりも健康児と一緒に保育をする、幼稚園にも通わせるということでなければならないわけですから、そうした障害児を保育する場合の特別措置費を支給をするということを当然考えるべきだというように思います。この点もひとつお答えをいただきます。 カトリック系の友愛会というのがあるんですが、この友愛会で障害児の保育をしておりますけれども、お母さん方がその友愛会に行って、そして保母さんのかわりをやっているという、それはやはり集団教育の必要というものを母親としては痛切に感じている結果であろうというように考えますから、友愛会の実態等も十分御調査になって、適切な措置を講ぜられる必要があるということを申し上げておきたいと思います。 それから、身障者には、御承知のとおりに、運賃の割引があるわけですが、前大臣の齋藤さんに対して私が、新幹線の時代なんだから特急、急行の割引も当然やるべきじゃないかと申し上げたことに対して、そのとおりだというようなことを言っておりましたが、田中厚生大臣とされては、この身障者の国鉄運賃の割引について、いま申し上げた点をどのようにお考えになるのかという点と、それから、身障者の内部疾患の障害者には割引の制度がございません。これも当然やるべきだと思いますし、精薄者にも実施しておりませんから、精薄者の運賃割引も当然やる必要がある、この点のお考え方はどうなのか。 それから自閉症児、これは自閉症児というのか異常行動児というのか、大変手数がかかるわけですから、この点に対しては、保育園にいたしましても、あるいは幼稚園にいたしましても、学校にしましても、副担任制という制度をとる必要があるのではないか。この点は文部省とも関係がありましょうから、それぞれお答えをいただきたいと思います。 次に、指摘したいことは、障害児の機能訓練というものは非常に不十分であるわけです。それは訓練士や理学療法士あるいは作業士というものが非常に少ない。少ないということは、そうした訓練士等を養成する機関が充実をしていないという点にあります。そこで、国立大学等で養成をするということ、それから訓練士、理学療法士あるいは作業療法上等に対して、いわゆる先生としての資格を与えてやらなければ、なかなか希望者もないんじゃないかというように思います。特殊な業務であるだけに、やはりこの点に対するきめ細かい施策というものを考える必要があるのではないかというように思います。 それから、これと関連をいたしまして、授産所というのが非常に少ないんですね。各県とも福祉事務所と一部でやっているわけですけれども、本格的な授産施設とは言えないと私は思います。不十分な授産所でありますと訓練が十分行き届きません。したがって、必然的に不十分な技術だから職場もないというようなことになってまいりますから、本格的な授産所を多くつくっていくということについてどのようにお考えになっておられるかという点であります。 それから、手話の通訳の養成をやっていらっしゃるわけですけれども、せっかく養成をいたしました手話の通訳が、派遣制度がないために、宝の持ちぐされとは言いませんけれども、この点をお考えになる必要があると私は思います。相談員のような制度をお考えになって、各福祉事務所に一名とか二名とか相談員のように配置をいたしますと、必要な場所に、養成をいたしましたこの手話の通訳が派遣できます。しかし、派遣制度や、また予算もついておりません。それで手話の養成と同時に、派遣制度を考えていくということが非常に急を要する問題であろうと私は思いますから、この点に対しても考え方をお聞かせいただきたいと思います。 それから、福祉モデル都市の指定というのはよろしいわけですけれども、中身が明らかではございません。車いすを利用する障害者が歩行しやすいように、道路を整備するというようなことに主体があるのではないか。これは各種事業とも伺われる誘導的な予算であるということも伺っているわけでございますけれども、この中身をひとつ明らかにしてもらいたい。一千万円の補助の増額と、それからこれが特定の事業に偏っておるといたしますならば、対象の拡大が必要であろうと思いますから、その点に対する考え方をお聞かせいただきたい。 それから、車いすを電動いすに切りかえたことはよろしいのですけれども、しかし百台とはこれは余りにも少な過ぎます。県当たり二台弱ですから、これは福祉電話の千二百台とあわせて、年次計画を持っておられるならばその点もひとつ明らかにしてもらいたいというように考えます。 それから、大変深刻な問題の一つといたしまして未熟児の網膜症の問題です。これは医師の不注意のために、保育器に入れてそして酸素過剰ということで目や脳をやられるという事例が非常に多い。裁判問題等にも発展をしておるわけですが、先進諸国家の例等から見ましても、早期発見をいたしますと盲にならないとか、あるいは弱視で済むといったような点もあります。しかし、日本の場合は、医者に早期発見の義務づけをしていないという点で、どうしても医師が注意を払わないということになっているのではないかというように考えますから、医師に注意をさせる、早期発見をすることを義務づけていくということを、当然おやりにならなければいけないであろうというように考えます。 それから、保育所の問題については、もちろんこれも措置費の引き上げであるとか、あるいは長時間保育をやっていかなければなりませんけれども、公私立の保育所に勤務時間の差がある。私立は週五十四時間ですが公立は四十八時間、一時間長く働きますが、超過勤務手当もない、それから土曜も半ドンという制度がありません。ありましても超過勤務手当がないというようなことですから、当然公立と私立との均衝をはかるような措置は、措置費の引き上げをやるということ以外には、ないんじゃないか。さらにまた、施設の補助単価にいたしましても、実勢単価とはるかに差があるというわけですから、それらの点に対しても十分検討して、もっと中身の充実した対策を講じられる必要があるのではないか。 まず、以上申し上げたような点について、大変盛りだくさんで恐縮でございますが、お聞かせをいただきまして、また時間の許す限り再質問をしてまいりたいと思います。
○翁政府委員 所管が児童家庭局と社会局と分かれておりますので、便宜、社会局からただいま御質問のありました点について、あるいは順序が若干狂うかもしれませんが、それはお許しをいただいてお答え申し上げたいと思います。 内部障害者の鉄道運賃の割引並びに精神薄弱者の鉄道運賃の割引及び新幹線ができたことによる新幹線の鉄道運賃の割引について、もっと具体的に進めるべきではないかという御質問でございます。 御承知のとおり、国鉄運賃の割引につきましては国鉄の方で便宜を計らっていただいておりまして、私どもも、御趣旨のとおりなるべくこういった福祉の措置が均てんするように、再々国鉄当局にはお願いをしておるわけでございます。しかし、国鉄のいろいろな事情もございまして、ただいまのところ、いまだ新幹線の割引並びに内部障害と精神障害の割引については、その実現を見ていないわけでございます。 ただ、この問題につきましては、いわゆる身障者の方々に対する所得保障という面での措置を拡充強化することによって、この方々のいろいろな福祉を伸ばすということも一つの方法ではないか、厚生省といたしましては、もっぱら厚生省のできるそういった所得保障的な、あるいはその他福祉の面についてできるだけの努力もし、またその線に沿って今日まで進めてまいった次第でございます。 それから次に、身体障害者の福祉モデル都市の件についてでございますが、御指摘のとおり四十九年度は十七市、来年度におきましては三十市を予定いたしております。ただ、これはあくまでも地域ぐるみの福祉、これが身障者にプラスになるように考えていくということで、たとえば道路交通安全施設の整備であるとか、あるいは身体障害者の方々のための公衆便所の整備であるとか、あるいは移動浴槽車、リフト・バス、こういったものの整備というようなことを、自治体の実情に応じたものとして進めていただいておりまして、補助金は、国が一千万、都道府県が一千万、それから実施する市町村が一千万、少なくともこの程度のものを最低限度といたしまして、具体的な内容について、ただいま申し上げましたのはほんの一例でございますけれども、身体障害者全体の福祉につながるように実施をしてまいっておる次第でございまして、五十年度はさらにこれが三十市についてその実現を図ってまいりたいと考えているわけでございます。 それから、聾唖者のために手話通訳の派遣制度を考えるべきではないかという御指摘でございます。五十年度には福祉事務所及び身体障害者更生相談所等の職員を養成いたしまして、そして少なくともこういった福祉事務所なり相談所に見えた聾唖者の方に、手話で内容の要点がわかるようなものにいたしたいということで、ただいま準備を進めておる次第でございます。 なお、現在までに手話奉仕員として市町村に登録されております方々は約五千名でございます。また、四十八年度におきましては、福祉事務所に週に一回ないし二回、聾唖者の方が相談に見えたときにそこに来ていただいて、手話通訳ができるような手だてを講じております。ただこの点は、まだ制度発足間もないものでございますので、全体的に行き渡ってはおらないわけでございますけれども、これはさらに進めてまいりたいというように考えておるわけでございます。 それから、身体障害者の授産施設等において理学療法士なり作業療法士が少ない、これについては、養成とそれから資格を与えることに前向きに進めるべきではないか、まことにごもっともな御指摘でございます。われわれといたしましても、現在これらの施設における理学療法士あるいは専門職員がなかなか確保できておりません。そこで、予算的にはこれらの人々の給与のアップをいたすということが一つ。さらに、先ほど御指摘のありましたように、これらの人々に対する養成を優先的に考えいく。来年は国立の施設が一カ所、それから公立の施設を一カ所新設いたしまして、理学療法士、作業療法士の養成をしてまいりたいと考えております。 ちなみに現在免許を取得しておられる人は合わせて約二千二百名でございますけれども、これらの数はまだ不十分でございまして、この養成はさらに関係方面とも相談をしながらこの強化を図っていかなければならないというように考えております。 ただ、御指摘がございましたように、その社会的な身分、地位というものについて、わが国の歴史的な評価等からいって必ずしも十分でない点がございまして、これがネックになっていることはまことに残念でございます。何とかこういった専門職の専門化と優遇措置ということについて積極的に努力をしてまいりたいと考えております。 それから、身障者の人々に電動車いすが来年度百台は少ないじゃないか、ごもっともでございます。ただ、この点につきましては、使用される方の使用の頻度、それから現在におきます電動車いすの開発の実情、それから将来の見通しということを一応考えまして、とりあえず来年度百台としておるわけでございまして、この点につきましては、今後さらにその内容を十分検討しながら、この拡充については努力をしてまいりたいと存じております。 私どもの関係についての御質問に一応お答え申し上げました。
○上村政府委員 児童家庭局で所管しております事項について七つお話しになったわけでございますが、順次お答え申し上げます。 まず最初の御質問でございますが、御案内のように、更生医療なり育成医療というのは、身体障害者の生活能力の向上に役立つことと、それから社会保険で療養の給付が認められているというものに限って行っておるわけでございます。そこで、御指摘の単なる歯科の矯正手術につきましては、現在社会保険で療養の給付の対象になっておらない。したがって単なる歯列の矯正手術というのは育成医療の給付対象として取り上げることができないわけでございます。しかしながら、身体に障害のあるような場合に、言語障害でございますが、これを治療するために育成医療、これは当然対象になるわけでございますので、その場合にどうするかということにつきましては、個別事例ごとに検討さしていただければというふうに考えております。 それからその次は、心身障害児の医療の無料化についてのお話でございます。私ども、自治省で心身障害児医療の無料化をやっているところについて、交付税を減らすとかどうこうというふうな話を聞いておらないわけでございます。ただ、私どもの考え方としましては、心身障害児の医療につきましては、御案内のように特定の疾患について育成医療等必要な医療が行われることになっております。それから四十九年度、今年度でございますけれども、小児の慢性特定疾患について病気を加える等大幅な改善を図ってまいったわけでございます。したがいまして、障害児の一般的な医療費について公費で助成することにつきましては、先般の医療保険制度の改正によりまして家族給付率が引き上げられましたし、高額療養費等が導入されたというふうな情勢でもございますので、そういった医療補償施策全般との関連で検討する必要があるわけでございますが、目下のところこういった公費負担を導入する考えはございません。ただ、昭和五十年度に、障害者の場合には、医療費負担もさることながら、障害があるためになかなか医療が受けにくい、つまり身体に障害がある、あるいは精神に強度の薄弱があるために医療が受けにくいというふうな状況がございますので、特に問題の大きい歯科治療について、そういった歯科治療の医療の機会が確保できるように、都道府県に口腔保健センターというものをつくりまして、そこで障害児の歯科医療を行わせるようにしてみたいというふうに考えているわけでございます。 それからその次は、障害児の保育の問題でございます。従来から障害児につきましては、在宅対策というものを進めていかなければならないということで、各種の通所施設等の整備をしてきたわけでございますが、最近特に軽い障害のある子供について、御指摘になりましたように、一般の子供と一緒に指導すれば、その子供の心身の発達にも役に立つというふうなことが言われておりますので、保育に欠けておる子供であれば、そういった子供について試験的に今年度から障害児保育事業というのを始めたわけでございます。この障害児保育事業は、軽い障害のある子供を保育所の中で一般の子供と一緒に保育するわけでございますが、現在の保育所の機能なり役割りを考えますと、障害の程度が軽くて、集団保育が可能で、毎日通所ができるという、大体四歳以上の子供について行うことにしたわけでございます。ただ、今年度初めてスタートした実験的な試みでございますので、今後さらにこういった障害児保育をどう考えていくかということは、これからの経験の結果によって考えてまいりたいというふうに思っております。 それからその次は、精神薄弱者の関係は私どもの所管でございますが、先ほど社会局長の方からお答えいたしましたように、身体障害者に比べて精神薄弱者の方は、心身障害者対策基本法があるにもかかわらずまだ実現されておらないということで、運輸省なり国鉄当局に私どもの方からもお願いしておるわけでございますが、先ほどお話ございましたように、向こうの方にも向こうの事情がありまして、まだ実現に至っておらない。今後引き続いて努力をしてみたい、こういうふうに思っております。 それからその次は、自閉症の問題でございます。この問題はもう非常にむずかしい問題でございます。研究者の御意見でも、全国で四千人から二万人ぐらいいる、非常に幅のある数で言われておるわけでございます。これに対して、いまどうしておき、今後どうするかということになるわけでございますが、一つは、自閉症児の施設で療育をしておると、なかなか自閉症児については診断なり治療の方法について明確じゃございませんので、モデル的に東京と大阪、三重の、三つの公立の精神病院に、自閉症児の施設を整備しまして、医学的管理のもとで生活指導等を行わせておるわけでございます。これが一つでございます。 それからもう一つは、いま申し上げましたように、自閉症の原因なり発生機序等なかなかわかりませんので、四十六年度以降、心身障害研究費これは相当大きなプロジェクトの研究でございますが、その中で異常行動児の療育に関する研究として実施しております。その中身は、学問的な研究と同時に、子供を実際に扱ってもらって、そこで療育方法を開発していくという研究でございます。 これからの問題でございますが、自閉症児の中には、自閉症だったために精薄と同じように知的障害なり行動障害を残す者が相当あるわけでございます。その中には精神病院に通わせるのが適当な者もあり、精神薄弱児の施設に入れることが適当な者もあるというふうなことでございますので、こういった点も検討してまいりたいというふうに思っております。 次に、未熟児網膜症の対策でございます。御案内のように、未熟児網膜症の治療方法については、適当な時期に光凝固なり冷凍凝固手術を施せば視力の喪失を防ぐことができると言われておりますので、御指摘されましたように、眼底検査による早期診断なり経過観察を進めてまいりたい。ただ、この病気につきましても、まだ原因なり診断基準、手術をするにはどういう場合が適当かというふうな基準が確立されておりませんので、四十五年以来研究を続けておるところでございます。もちろん未熟児の発生予防が一番大事でございまして、それについては母子保健対策を今後も引き続いて充実させていくつもりでございます。 最後は、保育所について御指摘があったわけでございますが、保育所の措置費につきましては、五十年度は前年当初に比べまして約五割の増額を進めております。その中身としましては、一番大きな点が、保育所の保母さんが休憩時間を確保できるように、保母さんの増員を図るという点が一つ。それから保育所の保母さんの給与のかさ上げを図るというのが二つでございます。その他多くの改善事項を五十年度予算案では考えておる次第でございまして、実際に私ども予算を計上しており、実際に措置費を配る中では、公立、私立の違いというものは考えておらない、私立についても公立と同じように措置をするということにしておるわけでございます。 それから最後に、保育所の施設整備の単価のお話がございましたが、四十九年度も補正で二十数%の建築基準単価を引き上げました。来年度につきましても、引き上げることによりまして、自治体のいわゆる超過負担を解消するように努力しておるところでございます。
○中村(重)分科員 もう時間がありませんから、大臣に後でお答えいただかなければなりませんので、一点申し上げますが、三つ口症の手術の問題これは個別で考えてだとおっしゃるのだけれども、明らかに国保の中に適用されるようになってないのですよ。だから、それを含むというように法律を改める必要があるということと、さもなければ育成医療の中に、これは関連なんだから、歯がばらばらになって奥の方にあったりしているわけなんで、これは歯列矯正をやらなければ三つ口症の手術にならないのですよ。ですから、これは一連のものとして当然対象にするということでなければ……。現在国保の対象になっていないというので個人負担になっているわけです。それで何十万あるいは百万以上の金を出してやっている人たちがいるわけですから、実際問題として、あなたの方もこれは気がついておられなかったでしょうから、これは早速法律を直すべき点は直すということにしてもらいたいということです。 その他にありますけれども、時間が参っておりますし、大臣のお答えも聞かなければなりませんから、これで終わります。 それから、文部省からせっかくお見えですから触れておきますが、五十四年から障害児を義務教育にする、こういうことです。ところが、それは基準がありますね。いま八名なら八名で学級編制がある。健康児は義務教育だから、これは一人でも教育をしなければならぬ。離島、僻地の場合でもですね。ところが、障害児なるがゆえに、就学猶予の制度等によってこれは教育が保障されていない。ですから、五十四年度からこれを実施する場合、その基準の関係がどうなるのかという点が一点と、それから、訪問教育でこれをかえるというような形で、ごまかしにもなるわけですが、そういうことを考えているのではないか。それらの点に対する考え方を明らかにしておいていただきたいと思います。大臣からお答えをいただいて、文部省からもひとつお答えをいただきます。
○国松説明員 ただいま先生のおっしゃいました養護学校の義務制を五十四年からやりますにつきまして、学校におきます学級編制をもう少し少なくするとかいうふうなことで考えていくべきではないかというふうなお話でございますが、いま先生おっしゃいましたように、養護学校の学級編成、普通の障害の場合は八人で編成をいたしております。それからさらに、重複障害の場合には五人で編制するというふうなことをいたしておりますが、それは編制の基準でございますので、たとえば一つの養護学校の地域に子供が四人しかいなかった場合でも、四人で一つのクラスを編制するというふうな実態になっております。実際の編制の数字というのは五人を下回るというふうなことになっております。 ただ、先生御心配いただいておりますように、重度、重複の子供に対する教育をどういうふうにやっていくかというふうなことにつきましては、まだまだその教育内容とかその方法について研究課題を持っておりまして、現在私ども、国立特殊教育総合研究所あるいは内部の研究会等でもいろいろ研究をしておるところでございまして、医療機関だとかあるいは福祉施設だとか、そういうふうなところとの連携もやらなければなかなかやりがたい面があるだろうというふうなことで検討中でございますので、そういう点も十分配慮してまいりたいと思っております。 いまお話のありました訪問指導につきましては、現在養護学校が足りませんために、訪問指導をとりあえずやっておるというふうな実態と、それから、やはり養護学校を整備いたしても、在宅のままで、先生が出かけていかなければならないというふうな子供がいるだろうという二つの形が考えられます。いまはいわば過渡的な形でございますけれども、その残ります、どうしても訪問指導でしかやれないというふうな子供につきましては、訪問指導という形でやる。ただ、その中身を、いまこれもまだやり始めまして、いわば試行錯誤を繰り返しながら先生方に努力をしていただいておるというふうな段階でございますので、その中身を充実していくようにというふうな点につきましては、私どもも心がけておるということでございます。今後とも研究をしてまいりたいと思っております。
○田中国務大臣 歯列矯正でございますが、元来、疾病治療を目的とする社会保険診療では、単なる歯列矯正はこれを扱わない。これはそういう思想から出てきていると思いますが、先生御指摘の兎唇、口蓋裂、これに伴うものについては、やはり疾病治療の一環として取り上げ得るものがあるだろう、かように私は考えますので、その限界等についてはこれから綿密に策定をいたさなければなりませんが、兎唇、口蓋裂に基因をして歯列矯正をしなければならぬものは、社会保険診療の中に取り込むよう検討をいたしたいというふうに思います。
○中村(重)分科員 では終わります。
○野田主査 これにて中村重光君の質疑は終了いたしました。 次は小林政子君。
○小林(政)分科員 私は、一つは、児童福祉法と厚生省令によって国が定めている措置並びに保育施設の最低基準、この問題を一つの問題とし、また保母さんの職業病の認定の問題この二点についてお伺いをいたしたいというふうに思っております。 私、途中から参りましたけれども、保育所の最低基準の問題等については、すでにいろいろと論議がされていたようでございますけれども、四十九年十一月二十八日に中央児童福祉審議会の答申が出されておりますけれども、婦人労働者と乳幼児保育の保障という二つの社会的な機能を果たすために、保育所の施設あるいは保育内容という問題を、この答申に基づいて、基本的な姿勢はどこに重点を置いてどのように今後改正を図っていかれようとしているのか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
○上村政府委員 いま御指摘になりましたように、保育所の物的な設備なり人員について、先般の中央児童福祉審議会の答申でも検討する必要があるというふうな御指摘を受けたわけでございます。それで私どもも、その答申の趣旨を尊重いたしまして、内容を十分に検討し、具現化していきたいと思うわけでございますが、人員の点につきましては、御案内と思いますが、一番最初でき上がりましたときには、二歳児は十人につき一人とありまして、それから二歳以上児は三十人につき一人とありましたのを、年々改善いたしまして、現在のように三歳未満児についてはおおむね六人につき一人、四歳以上児は三十人につき一人、あるいは三歳児は二十人につき一人というふうになったわけでございます。 来年度の場合でございますけれども、来年度は、先般来お答え申し上げておりますように、保母さんの休憩時間を確保するという点にポイントを置きまして、定員六十人以下の施設には、常勤の保母さん一人、それから定員六十一人以上の施設につきましては、非常勤の保母さんをふやすというふうなことで保母さんの増員を図ってまいるつもりでございます。 物的な問題につきましては、正直なところ、制定当初以来ほとんど変わりがございません。今後どうするか、さらに詰めて検討してみたいと思っております。
○小林(政)分科員 いまの国の社会福祉最低基準といいますか、特に保育施設の最低基準というものはいかに実情に合わないものであるか、本当に子供たちの保育施設という問題が全く実情に即していない、私はこの点を多くの地方自治体から、非常に劣悪なこの基準をもっと向上させなければならないということを、非常に強く要望されておりますけれども、こういう児童福祉審議会の答申も出たわけですし、この問題については、本当にこの際抜本的に、婦人労働と乳幼児保育の保障という、この二つの社会的な機能を本当に果たしていくという立場から改正を図っていくべきだ、これは大臣に基本姿勢をお伺いしたいと思います。
○田中国務大臣 保育所の保母等の直接処遇職員の増員でございますが、率直に言うて私どもも、中央児童福祉審議会の答申をいただいておるのでございますが、これは措置内容を向上させるために、できるだけもう少し人数をふやせ、こういう御趣旨のようでございます。私どももその方向に向かって進みたいと思っておりますが、率直なところ、先生、ことしはとにかく休憩時間等をとるために、いわゆる労働過重というものを解消しようということでこれに狂奔をいたしました。実はなかなか容易なことじゃなかったのですが、これはまあ私も予算委員会の本委員会で答弁申し上げたわけですが、二年計画で何とかこの方面は解消できるということになったわけでございます。二年というのも何か余り私としてはぞっとしなかったのですけれども、いろいろ実際の人が得られるとか得られないとかいう問題もありましたものですから、とにかくそれで一応予算を組みましたが、それに狂奔したものですから、今度はそれ以上いまの中児審の内容を実現するというのに手が回らなかったというのが正直なところでございまして、こういうことについては、私どもはできる限りやりたいというふうに思っておりまして、率直なところを御返事申し上げたわけであります。
○小林(政)分科員 この保育所のいわゆる最低基準を改善していくということは、この答申にも書かれておりますとおり、入所児童の福祉を確実に保障する方法として、もうこれ以下は絶対認めないんだ、これ以下ではいけない、ここにも書かれているとおり、本当に最低の必要限度基準というものを定めているものなんだというふうに答申では言っておりますけれども、そういう立場に立って、これは本当に子供の豊かな保育といいますか、そういうものを基準に当てて最低基準というものが決められているというふうに思いますけれども、大臣いかがでしょう。
○上村政府委員 最低基準というのは、それの最低限を決めたものであるというふうに考えております。
○小林(政)分科員 ですから、最低必要限度の基準というふうに、子供の福祉という点から考えて差し支えないわけですね。
○上村政府委員 そのとおりでございます。
○小林(政)分科員 次に入りたいと思います。 いま大臣がおっしゃったにもかかわらず、最近非常に保母の充実という問題がむずかしい、あるいはまた、病欠の職員が保育所には相当多発をしている、こういう問題が起こってきているわけでございますけれども、これは私、地域を少し調べてみました。たとえば葛飾区における今後の保母不足の状況という問題について調べてみますと、五十年度に新設開園の予定のところが四カ所ございます。五月が二カ所、六、七月、あるいはまた十月というふうに四カ所ございますけれども、ここでは必要保母の数は五十六名この四カ所の保育園で必要なわけです。ところが、ことしの一月一日現在で、新設を抜きにいたしましてすでに十三人の保母さんが不足をしている。そして今年度、四月ということでございますけれども、五十年度初め、四十九年度の最後にこれでもうやめるという方が約四十人、こういう状況なんです。 まとめて申し上げますと、新しくできる保育所を含めて今年度じゅうそれを充足していくためには百二十人どうしても必要なんです。ところが、何とか七十人は一応の目安といいますか、ついたけれども、結局新設分はいまだにめどがつかない、こういうような状況が具体的に起こっております。これは一つの区でありますけれども、そのほか幾つか聞いてみているところも、ほとんどこういう保母の不足の状況が出てきておりますし、また、この補充問題については、相当それぞれ苦労をされているようですけれども、しかし年々やめていく。なかなか補充がむずかしい。一体なぜこういう問題が起きるのか、そしてまた、この対策について、国として特別の対策を立てているのか、この問題をまずお伺いしたいと思います。
○上村政府委員 全国的な数字と申しますと、少々古くならざるを得ないわけでございますけれども、それで見てまいりますと、四十五年を一〇〇にいたしまして、保育所に在籍している子供の数が四十八年で一二六、施設で働いている人の数というのは一三六でございますから、その施設で働いている人の数の伸びの方が多い。さらに、施設に入っておる子供の数を調べまして、マクロで計算いたしますと、国全体として……
○小林(政)分科員 そんなマクロで施設も含めて何か薄めたような数字で言うのではなくて、私の目に見える地域の中で、これはいま一つの区しか挙げませんでしたけれども、たくさんそういう問題が出ておりますので……
○上村政府委員 それで、いま御説明申し上げておる最中でございます。その中でやはり大都市の保母さんというのが総体的に見て足らないというふうに考えておるわけでございます。 そこで、保母さんの確保対策としてどういうものを考えておるかということになるわけでございますが、一つは、保母さんを養成する施設に対する補助を充実してまいりたい。養成所の先生方の人件費等を見るということでございます。それからもう一つは、その保母さんになるために養成所に入った人に修学資金を貸す。これは保母修学資金貸与といっておりますけれども、これの中身をよくしていく。これが保母さんになる前の対策でございます。そして、そういった保母さんになる教育を受けた人が保母さんになるために、先ほど来申し上げておりますように、保母さんの給与の底上げをする、それから労働条件をよくするための増員をするというふうな措置を講じておるわけでございます。
○小林(政)分科員 保母の充足の問題は、それぞれ非常にいま深刻になっているということと同時に、やはり非常に体を壊しておる。病欠が多いのです。 私、これも東京全体の数字を調べてみました。そうしますと、一般の婦人労働者の場合には、働いている人たちの中で腰痛を経験したというのは二九・七%なんです。ところが保母さんの場合は五九・四%。あるいはまた、手とか首とか腕とか背中とか、こういうところに痛みがあったという自覚症状を訴えておる人が、保母さんの場合には七六・一%で、一般婦人の場合には、平均しますと六九・五。あるいは体のぐあいが悪いとか流産の数字なども、保母さんの場合は二三・八。異常出産も一六・四。いずれも一般平均の婦人を上回っている。残業等についても、保母さんの場合には九〇・七%の人が何らかの形で残業しておる。こういう状態から見て、やはり職場の中で健康が非常に損なわれている。しかもこの数字だけではなくて、病気にかかって、いわゆる腰痛症の検査を受けたという人は、保母さんの場合には、これは調査の統計ですけれども、腰痛症だとかあるいは椎間板ヘルニアだとか分離症だとかすべり症だとかいろいろございますけれども、全部合わせてみますと、全体の中でパーセントで一一・二%が数字として出ております。学校給食関係の方なんかも、重いものをぐっと持ち上げたりというようなことでむしろ高いというふうに言われておりましたけれども、この数字も調べてみますと、九・九%でして、はるかに保母さんの方が数字の上では——これはもし何でしたらあとで差し上げたいと思いますけれども、高い数字が出ているんですね。私は、こういう点から考えて、いま実際に大切な子供を預かる保育の施設の中で、保母さんたちの健康状態というものは異常な事態を迎えていると言えると思います。 そこでまず、この問題に入りますについて、労働基準局、見えていると思いますので、お伺いをいたしたいと思います。 職業病の認定という問題が起きているわけでございますけれども、職業病の認定ということで、災害性の原因によらない腰痛、この問題について労働基準局長通達というのが出されているわけです。恐らく、この労働基準局長通達の中に書かれている内容が、地方公務員災害補償基金にも適用されているというふうに考えますけれども、その中で、こういうことが言われておりますけれども、これはどういうことでしょうか。 「災害性の原因によらない腰痛」ということで、「一つは、比較的短期間の重量物取り扱いなど腰部に過度の負担のかかる業務に従事する労働者に腰痛が発症した場合である。例えば、約二十キログラム以上の重量物、あるいは軽重不同の物を中腰またはそれ以上の不自然な姿勢で取り扱ったり、毎日数時間も引続いて同様の不自然な姿勢で作業を行なったとき腰痛が発症した場合がこれにあたる。」、もう一つは、重激な業務に十数年にわたって継続してその仕事に携わっていた、この二つの場合を一応ある程度認定の基準にしているわけですね。 そこで、私は、お伺いしたいんですけれども、「毎日数時間」というのは、何時間のことを言うんですか。
○山口説明員 先生のいま御指摘のとおり、腰痛につきましては、災害性の腰痛と非災害性の腰痛と区分しておりますが、災害性の腰痛の場合にはその発生原因がわかりやすいし、負傷に起因する症病として認定が容易でございます。非災害性については、いまの三点ございますが、数時間という場合には、二時間以上通常の業務に従事している場合、これを扱うということを内部的には運用の基準にしております。 なお、この腰痛に関する認定基準については、その後いろいろの面から腰痛の請求が出ておりますので、現在、この認定基準について、専門家会議において再度見直しをしております。
○小林(政)分科員 何分にも三十分というきわめて限られた時間でございますので、できるだけ答弁は私の聞いたことに対して……
○野田主査 答弁は簡潔に願います。
○小林(政)分科員 簡単にお願いしたいと思います。 「中腰またはそれ以上の不自然な姿勢」というのは、どういう姿勢ですか。
○山口説明員 例として非常に申しにくいんですが、よく保母さんの幼児の抱きかかえあるいは重症身障施設における入浴、介護、こういうような姿勢がそれに該当すると思います。
○小林(政)分科員 「重激な業務」というのはどういう業務ですか。
○山口説明員 基準法による重量業務としては、二十キロ以上または年齢制限しております三十キロ以上、これを扱う場合に、重量業務として採用しております。
○小林(政)分科員 普通、ここに書かれているように、「毎日数時間も引続いて」というのは、常識的には五、六時間というふうに判断するわけですね。字で読んだ印象ではですね。しかも「中腰またはそれ以上の不自然な姿勢」というのは、一体どんな姿勢なのか、私もちょっとよくわからないのですけれども、それで長い時間をそういう不自然な姿勢でずっと作業を続けていくとか、あるいはまた、「重激な業務」というような何かはっきりしないような形で表現されておるわけですけれども、これは私は、いまのようなこういう基準に当てはまる職場というのはあるのだろうかというふうに実は思ったのです。五時間から六時間、一日八時間労働とすれば五、六時間にわたって中腰以上の不自然な姿勢で継続的に仕事をしている、そういう場合に認定の基準になるのだ。佐渡の金山じゃありませんけれども、実際いまのようなこういう労働条件で働いておる職場というのを聞かしてもらいたいと思ったのですよ。
○山口説明員 具体的には、先生おっしゃるとおり、この認定基準、四十三年にできておりますので、いま御議論になっております保母等の腰痛の認定に、必ずしも具体的に即応した形でできているかどうか問題はございます。したがいまして、先ほど申したように、ただいま認定基準を検討しておるわけですが、この「重激な業務」等について対象になったものとしては、フォークリフトの運転者とかあるいは大工等の腰痛症の訴えがございまして、この認定基準によって申請について判断をしておったわけです。最近のように、保母についてあるいは重症身障施設において腰痛の請求がかなり多くなっておりまして、この基準自体がよろしいかどうか含めて検討中でございます。
○小林(政)分科員 それじゃ次に伺いますけれども、この通達に、「災害性の原因によらない腰痛」の場合は、いわゆる重激な業務だとかあるいは疾病に関する基準を設けるということが医学上一般的にきわめて困難である。したがって、作業内容だとか、労働者の体の条件だとか、あるいはまた作業に従事している期間だとか、こういうようなものを取り上げて、腰痛発症が医学上の常識からいって業務に起因するものであるということが納得できるような場合、こう言っておるのですね。これは私は、また基準のない医学上の常識というのはどういうことなのか、あるいはまた、業務に起因するということを納得し得るような状況というのはどういうときに判断できるのか、この点も明確にお答えいただきたいと思います。
○山口説明員 たとえば、重量物の運搬等を主たる業務として従事しておる場合、それは業務起因性があると認められる。それから先生のおっしゃるように、起因性というのはなかなか困難であるということから、その発症が医学的に当該業務に起因するということに託して、医学上療養を必要とする場合、あるいは医学常識上業務に起因したと判断された場合というふうに、お医者さんの判断にゆだねておるわけだと思います。
○小林(政)分科員 基準を設けるということは医学上きわめて困難なんだ、当然でしょう。実際一日何時間くらい不自然な姿勢をとっていた場合には該当するのだとか、あるいは腰部の屈伸が一日何回、十回屈伸するのか、二十回屈伸するのか、こういうことが医学上決められるわけはないのですよ。そういうことを片一方では認めながら、だから基準がないのだということを言いながら、腰痛の発症が医学上業務に起因するものと納得し得るような場合、全くこれは相矛盾しておるじゃないですか。私はこの問題を、まだいろいろありますけれども、通達をずっと読ましてもらいまして、これでは実際に職業病の認定をもうしないための、これはまたできるような基準じゃありませんよ。しないためにつくられている基準じゃないか。不自然な姿勢を何時間か継続してとったとか、あるいはいまのような、全く基準にならないようなことが取り上げられて、そして医学上証明が納得できるようなものだ、こういうことで、実際にはこの基準そのものが、この通達で職業病というものはできるだけもう認定しないのだ、ごく限られた、極端に言えば、変形性脊椎症だとか、あるいはまた、骨粗鬆症だとか腰椎分離症だとかすべり症だとか、こういう問題がレントゲンでもって出てきた場合も、これはすべり症とか腰椎分離症の場合は、一般に業務との関係が乏しいからと除外されておるのですね。椎間板ヘルニアの場合は、これは災害性の場合以外は全部対象から外されているのですよ。ごく限られた変形性脊椎症、骨粗鬆症も、いわゆる退行性変化がある、いわゆる年をとったから骨が減ったのだとか、老化してきたのだ、こういうようなことでどんどん外していくわけでしょう。一体この基準で、実際にいまこの職場の中に、本当に東京都の場合には九千人の保母さんたち、あるいは保育所の職員の中で約三割、三〇%の人たちが何らかの形で苦痛を訴え、そしてまた、医者にもかかり、背中が痛い、肩が痛い、腰が痛い、こういう問題がいま深刻な状態になっているときに、もう基準としては全部オミットしていくようなこういう基準では、実際問題として私は、本当にその職場の健康、安全、こういう問題を職業病として認定するものはする、治療するものは直ちに治療する、こういう積極的な姿勢というのは全く認められないのです。私は、こういう点について、この通達という問題は、いま検討しているという話ですけれども、全くいままで職業病を認めないためにつくってきた基準ではないか、このようにすら考えるわけですけれども、これは所管ではありませんけれども、保育所の実態、こういう保母さんたちの、あるいは保育所職員の立場というもの、その実態に関連して、厚生大臣ひとつこれらの問題について御答弁いただきたいと思います。
○田中国務大臣 保育所等社会福祉施設における職員の腰痛症あるいは頸腕症候群その他の病気については、私も大変心配しております。したがいまして、労働省が認定基準をつくっているようですが、労働省によく連絡をして、的確な認定基準を急いでつくっていただくようひとつ連絡をいたし、その方向にとり進めたいと思っております。
○小林(政)分科員 この問題につきましては、私は最後に大臣に、こういうものはもういまの社会に通用しないという点で、新しく直ちにこういうものについての大臣の態度を示していただきたいということと、それから、時間が過ぎてしまって本当に申しわけございませんが、一言だけ乳幼児の、特にゼロ歳児の保育という問題の必要性ということを、大臣、どのようにお考えになっていらっしゃるか。その点を一つだけお伺いして質問を終わりたいと思います。
○上村政府委員 乳幼児の保育の方でございますが、現実に乳児保育の必要性がふえておるわけでございますので、私ども、ただ乳児というのはきわめてデリケートなものでございますから、設備なり運営面で、乳児の保育ができるように保育所を定め、それから保母さんを加配するというふうな措置を今後もとってまいりたいと思っております。
○田中国務大臣 乳児保育、ゼロ歳児保育については、社会的な要請が高まっておりますので、これが的確に安全にできるようにしなければいかぬ、こう思っております。 それから前の件は、いま労働省でせっかく検討中だそうですから、私からも労働省にお願いをして、これができるだけ早く実現するようにいたしたい、かように思います。
○野田主査 これにて小林政子君の質疑は終了いたしました。 次に、有島重武君、
○有島分科員 きょうは食中毒の問題と、それから国民の体力、なかんずく視力と、それから目と歯の問題そういうことについて伺いたいと思いますし 初めに集団中毒の予防ということについて御質問します。 去る二月二日に日本航空の旅客機でもって事故を起こしまして、百四十四名のうち一名は職員であったというのですけれども、機内食によります食中毒の被害を受けました。この原因につきましては、デンマーク製のハムである、これはアンカレジでもって搭載した朝食なんですけれども、これは機内給食をやっております会社IICC、ここの製品でありまして、機内でもって、搭載したものを三百度に熱して、熱処理の後給食したのだ。IICCというのは日本航空の子会社でありまして、資本金は八十八万ドル、日航本社が五一%の出資をしておる。会長は日航の専務で、社長は元日航ホノルル支店長である。役員七名と、それから職員数名が日航関係社員であるというようなことでありまして、この責任を感じまして取締役である桑原研治氏が二月十日に亡くなられた、そういった事件がございましたですね。 この事件の大体の経緯でございますけれども、運輸省、いま私が言ったので間違いがないかどうか。それだけ確認しておきます。
○薄木政府委員 いま先生のおっしゃいましたこと、間違いございません。
○有島分科員 これは一つの事件と言えば事件でありますけれども、これをどういうふうにとらえていくのかということについて、私も私なりにいろいろ考えるわけなんですが、厚生大臣としてどんなふうにこの事件をお考えになっていらっしゃるか、その所感を先に承っておきたい。
○田中国務大臣 本件事件が発生いたしましてから、これは本邦における業者の納入品でもございませんが、しかし本邦の機内で起こった事件でございまして、厚生省としても大変心配をいたして、原因の究明等についていろいろ調査をいたしました。結局ブドウ状球菌の食中毒であるということが判明をいたしましたしこれは化膿の指から出たものであるというふうに思っておりますが、一般的に申しまして、こうした機内食については、国際線はもちろん、国内線についても十分注意しなければならぬ。とりあえずわれわれは、国内線について厳重に機内食について監督指導の強化を指示したところであります。
○有島分科員 指示なさったのは、環食第二十二号、昭和五十年二月四日付の、厚生省環境衛生局食品衛生課長の、これは通達というんですか、そういうことではないかと思いますけれども、この通達をお出しになって、その後の反響といいますか、結果はどういうふうになっていらっしゃいますか。
○石丸政府委員 さきに食品衛生課長から全国都道府県の衛生主管部長あてに、この機内食をつくっている飲食営業店に対する立入検査等を指示いたしたところでございますが、現在、各都道府県から集まりました報告を集計中でございまして、まだはっきり申し上げる段階に至っておりませんけれども、大体、いままで報告を聞いておりますところ、わが国の機内食等につきましては、他の一般の国内飲食店と同様に許可営業になっておる関係でございますけれども、いまのところ心配するような状態ではない、かような報告を受けております。
○有島分科員 大臣、私はこれは一飛行機の機内食の集団中毒という話からもっと広げて考えてもよろしい問題ではないかというふうに感じたのです。と申しますのは、最近、食品についての取り扱いについて取り扱い常識というものがやや変化しておるのではないか。と申しますのは、最近に至りまして防腐剤の扱いということについて大変やかましくなってまいりました。これは環境衛生局の方に伺いたいのですけれども、最近二年間に使用禁止になりました防腐剤は何と何ですか。
○石丸政府委員 防腐剤と申し上げましょうか、法律的な分類で申し上げますと、むしろ防腐剤というよりは保存料に相当するのではなかろうかと思いますが、フリルフラマイド系統の薬品の禁止を昨年実施いたしております。
○有島分科員 いわゆるAF2ですね。それ以前、大体二年の間に基準が変わったかどうか。いわゆる添加物というものが次々に禁止になりましたね。そういうことについて……。
○石丸政府委員 ただいま先生おっしゃったとおりでございまして、昭和三十七年以来すでに指定いたしておりますすべての添加物につきまして、現在再検討を行っておるわけでございまして、その結果に基づきまして、その毒性の比較的強いものあるいは現に使用されてないもの、そういったものを主といたしまして、これは着色剤でございますが、たしか七品目か九品目すでに削除いたしておる、かような状況でございまして、そのうちにただいま先生おっしゃいましたAF2が入っておる、かような状況でございます。
○有島分科員 AF2を含んで七種目ないし八種目の保存剤といいますか、防腐剤といいますか、そういうものが最近二年間に使用禁止になった、そういうことですね。違うのですか。
○石丸政府委員 化学的合成品でございます食品添加物がその数だけ禁止されておるわけでございまして、その大部分は着色料でございます。いわゆる色をつける粉でございますが、そのうち防腐剤と申し上げましょうか、保存剤として使用を認めておりまして、その使用の取り消しを行いましたのがAF2でございます。
○有島分科員 その防腐剤を使用しなくなったということは、ぼくは食品の立場からすると大変いいことであろうと思うのですね。自然食に近くなってきたということは望ましいことである、私どもそう評価するわけです。ところが、それとうらはらに今度は食品の取り扱い上の注意というものが、これは相当注意をしなければならない。おそらくこれは温度の管理ということが第一番でしょう。それから、調理師の問題あるいは器具の問題あるいは調理環境の清潔さの問題というようなこともあるでしょう。また、調理をしたもの、それを今度は現実に食べるその間の時間という問題もあるでしょう。それからもう一つは、その摂取者の心がけと申しますか、この問の二月二日の事件におきましても、これはちょっとおかしいなと思って食べなかった人がいたそうですね。新聞には出ておりましたしというようなことに対してどのような処置をとっていらっしゃるか、あるいは今後おとりになるかということに広げて考えていってよろしいと思いますが……。
○石丸政府委員 昨年AF2を防腐剤として食品に使用することを禁止いたしました際、今後の食品衛生上の問題といたしましては、従来そういった防腐剤を使っておりました食品による事故の発生が懸念されたわけでございまして、そのためAF2を禁止いたしました時点におきまして、食品衛生法施行規則あるいは食品、添加物等の規格基準の一部を改正いたしまして、従来AF2の使用を認めておりました各種の食品の取り扱い、製造の基準あるいはその保存の基準、そういったものにつきまして、必要なる省令の改正を行って、現在各業者を指導いたしておる段階でございまして、その要点は、ただいま先生の御指摘のとおりのことでございまして、取り扱い上いろいろなそういった細菌が食品の中に入らないようにするということ、並びに食品を保存する温度をできるだけ低くするということ、及びその製造から消費までの時間をできるだけ短縮するということ、かような点につきまして必要なる施行規則の改正を行って、現在業者を指導いたしておる段階でございます。
○有島分科員 そこで、集団給食ということになりますと、その最大規模のものは申すまでもなく学校給食でございますね。文部省の体育局の方、来ていらっしゃいますか。 四十九年三月十三日から十四日にかけて、山形県の大石田町において集団食中毒があったということを聞いておりますけれども、これは三百六十四人の児童、生徒が被害を受けた。小学校七校、中学校三校というようなことがあったわけですね。私、心配いたしますのは、ことしはまだ寒いけれども、徐々に暖かくなってくる。六月、七月になったときに、私は、何か集団給食の上の集団食中毒ということが起こり得るいろいろな可能性が、かなり高まっておるのじゃないかという感じがするわけです。そういうことについて体育局長、どんなふうにお思いになりますか。
○諸沢政府委員 学校給食における衛生管理の問題は、文部省では再三教育委員会等を通じて通達を発しまして、この問題に慎重な配慮をしていただきたいということを学校に要望しておるところでございますが、その内容としては、学校の衛生管理体制の整備、施設設備の衛生管理の徹底というようなことと並んで、ただいまもお話がございましたけれども、給食従事者に対しての衛生思想の徹底と申しますか、この点につきましてはかなり詳細に、たとえば学校の給食従事者で下痢をしておる人、あるいはただいまお話に出ましたけれども、化膿性疾患にかかっている人、そういう人については、調理事務に従事することを直ちにやめて医者の診断を受けなさい、あるいは月一回の検便は必ず実行するようにしなさい、あるいはそういう方々の服装等については、常に白衣を清潔にし、衛生に注意するようにというようなことを申しておりますし、また、給食の食材料の問題でございますけれども、ただいまも食品添加物との関連におきまして問題がございましたけれども、学校で使います豆腐だとかハムだとか、こういうものを購入するに当たっては、常に新しいものを購入する、購入したものは、原則としてその日のうちに調理をして子供に供する、というような点を慎重に配慮してもらいたいというようなことでございまして、全般的に申し上げますならば、かなり詳細にこの給食衛生の問題は具体的に記載した通達をもって関係者の注意を促しておるところでございますが、御指摘にありましたように、昨年は山形県でブドウ状球菌による中毒と思われるものが一件発生いたしましたほか、その他若干給食の中毒の問題が発生しておることは否定できないのでございます。今後ともこういう問題につきましては、給食関係者の会議その他を通じましてより一層趣旨の徹底を図って、中毒事故の絶滅を期しだい、かように考えておるわけでございます。 なお、いまお話にも出ましたように、添加物の問題は、これをやめますと、腐敗の問題からして、低温貯蔵と申しますか、こういう観点からいたしまして、文部省では四十九年度から、給食の調理をいたしますところの学校につきまして、小型の冷凍庫を二百五十校分、それから大型の冷凍庫を、市町村にありますところの給食センター、何校か共同して調理する給食センターに百校分、補助金を計上いたしまして、これをもって冷凍設備を一層充実させるということで考えております。ただいまそういうようなことでございます。
○有島分科員 これは余り神経過敏にさせることもよくないのですけれども、いまおっしゃったのはもっぱら調理師について指導を徹底なさる、あるいは設備を整えたということですけれども、厚生大臣、どうですか。昔の主婦は、余り防腐剤が発達しておらなかったときの主婦というものは、いろいろな知識を持っていたと思うのですね。それで、もちにカビが生える、これは赤いのはいかぬ、青いのは大丈夫だとか、みそはどうであるとか、しょうゆの場合にはこうするとか、味がちょっと変わっておったらこうだとかというようなことで、常識的に持っておったと思いますね。現在の主婦ないしは調理師の方々は、食品というのはそれほど腐らぬものだというような常識の中でもっていろいろ教わってきて、そういうふうに習慣づけられている。また子供たちも、そういったしつけというものがほとんどないのではないか。この予防措置の中で、適正な食事常識といいますか、こういうことについて、これはもう一遍食品添加物やそれから保存料というのですか、防腐剤が使用されなくなっていくという傾向と同時に、今度は食事常識というものが普及されていかなければならないと私は思うのだけれども、大臣、いかがでしょうか。
○石丸政府委員 ちょっと技術的な問題でございますので、私から先に答弁をさしていただきたいと思います。 食品の保存につきまして、ただいま先生おっしゃいましたように、非常に常識が変わってまいっておることは事実だと思うわけでございますが、食品の保存には二つの方法がございまして、一つは化学的な物質を使う方法、一つは物理的な方法でございます。従来とかく化学的な薬品を使って食品を保存するという安易な方向に流れておったわけでございますが、むしろだんだんそういった防腐剤を使うことによる消費者の健康阻害ということが問題になってまいりまして、食品の保存には従来のように物理的な方法、たとえば温度管理等による食品の保存ということの方が重要ではなかろうかというふうに変わってまいっておるわけでございまして、そういった面につきまして、現在保健所におります食品衛生監視員等を使いまして、消費者に対する知識の普及にも当たってまいりたいと思っております。
○有島分科員 大臣、初めの日航機で使いましたハムですけれども、これはチューリップという会社のハム、これはデンマークの王室御用のいいハムなんだそうですよ。デンマークの基準というのは、亜硝酸塩が一〇〇PPM、ソルビン酸が一〇〇〇PPM、硝酸塩が五〇〇PPM、AF2は禁じている、こんなふうになっている。これは基準でありますけれども、恐らくその基準以下のものではなかったかと私は推定するわけです。 それで、こうした自然食に近いもの、今後はこの方向になると思うんだけれども、これが集団的なことが起こって、やはりあれを入れた方がいいんだみたいな逆戻りしちゃまずいと思いますね。 それからもう一つ、いま冷蔵庫のことを言われましたけれども、これも冷蔵庫に入れればそれでいいというわけにもいかないので、冷蔵庫に入れたり出したり、あるいはふたがあいたり締まったり、その頻度によりましては細菌の繁殖に最適の刺激になるという場合もあるわけですね。それで、新しい食品取り扱いを、専門家のみならず国民全般に常識化するということがぜひとも必要なのではないかと私は思うわけなんです。 最後に、厚生大臣から御所感と、今後そういったPRをするかしないか、検討なさるかどうか、ひとつお話をいただきたい。
○田中国務大臣 いま環境衛生局長が申したとおりであります。そのように努力をいたしたいと思います。
○有島分科員 環境衛生局長がおっしゃったとおりというと、まだ足りないわけです。と申しますのは、いまのは調理師の、専門家だけに限って話がいっているわけですよ。それをもっと国民全般の問題として受けとめるということが大切なのではなかろうかと私は思うわけなんだけれども、大臣はやはり局長と同じ意見なのか、もう少し全般的な御意見をお持ちなのか、それを伺いたいのです。
○田中国務大臣 先生のおっしゃるとおりの方向に努めたいと思います。
○有島分科員 努めたいと思っている、それじゃ、また今度ときどきお伺いをいたしますから。 時間がなくなってまいりましたけれども、国民の体力につきまして、特に歯と目の問題について伺いたいわけなんです。 御承知のように虫歯というのは、小学校を調べてみましても九〇%以上であります。初めに、もう一つの目の問題に行きますけれども、文部省の学校保健統計によりますと、視力一・〇以下のいわゆる近視眼は、小学生でもって一六・八二%、中学生でもって二六・七九%、高校生になりますと百人中四二・八〇、そういうことになっております。特に高校について見ますと、十五歳のときが四一・〇二だったものが、十六歳で四二・九六、十七歳で四四・四四。百人中四十五人は近視眼。また、高校の中で全日制と定時制の比較をいたしますと、昼間の生徒が十七歳で四四・八、夜間では三四・四三。昼間の方がずっと多いのですね。それからこれを男女別に見ますと、男子が十七歳で四二・〇八なのに、女子は十七歳で四六・八一でずっと高い。これは近視眼についてだけですけれども、遠視、乱視、弱視といったものがまた別にあるわけなんです。これは時間がないから言いません。 それで、体育局長に伺っておきたいのですけれども、大学生についてはどうなっておりますか。
○諸沢政府委員 ただいま先生御指摘のように、小・中・高等学校につきましては、学校保健法という法律によりまして、学校において身体検査の際に必ず視力を検査しなければいけないということになっておるわけでございます。したがって、その検査の結果をもとにして、御指摘のような統計事実が出てまいったわけでございますが、しからば大学はどうかと申しますと、大学生の身体検査につきましては、目の疾病につきましては、これは検査をしなければいけないことになっておるわけでございますが、視力はいかんということにつきましては、必ずしも大学で検査をやるというふうに義務づけられていないというその趣旨は、要するに大学生ともなれば、自分の視力の管理などは自分の問題としてやりなさい、こういう趣旨であろうと思いますが、法制上、そういうことになっておりますので、残念ながら、したがいまして結果として全国大学生の近視の実態いかんということは、調査統計の資料としてはお示しできない、こういうことでございます。
○有島分科員 義務づけられていない、それから目の管理は自分でやれ、こういうことであります。だけれども、実態調査ということはなさるべきじゃないかと私は思っています。おそらく五〇%を超えるのではないか。それから、厚生省のほうでは、国民全体にわたってこうした調査がおありになるのかならないのか、もう時間がないから結論を言います。ないでしょう。
○佐分利政府委員 残念ながらございません。
○有島分科員 厚生大臣、国民の視力の障害、おそらく六〇%超えるんじゃないかと思います。大臣もめがねかけていらっしゃるし、お隣の方もめがねかけていらっしゃる、こういった事実、どう評価するか、どう対処するか、ほうりっ放しにしておいていいかという問題ですね。学校教育の中で目の衛生といいますか、あるいは視力を回復するというか、そういうようなことについて何らかの指導をしていらっしゃるか、努力をしていらっしゃるかどうか、このことをお聞きしたいと思います。
○諸沢政府委員 学校におきましては、御承知のように保健体育という教科がございますが、この保健体育のうちの保健という分野に目の衛生あるいは目の構造、目に関する勉強というものを小中を通じてしていただくわけでございますが、そのほかに、さらに目の衛生の問題あるいは照明と視力の関係あるいは勉学の際の姿勢の問題とか、要するに視力と健康の関連等につきましては、教科外の活動として特別活動というものがございますが、その中の一環として学級指導という領域がございまして、クラス単位にたとえば給食を指導するというようなその中身の一つとして学級指導の中でいま申し上げたようなことをやる、さらに各種の学校行事がございますが、その学校行事の中で、たとえば十月十日に、学校に目の先生に来ていただいて子供にいろいろお話をしてもらう、そういったようなことをするという意味で、一般的に予防的な知識とその実践に対する意欲、態度を養うことをいたしますと同時に、そういう視力の低下した子供さんにつきましては、学校の身体検査の際にそれを指摘し、さらに校医さんが御相談に乗って適切な措置をとれるというようなことを指導するようにいたしておるわけでございます。 ただ、一つつけ加えさしていただきますけれども、こういう問題は、何としても学校だけではどうしてもいかない。たとえば近視の原因だといって、長時間うちで子供さんがテレビを見るというような問題は、いかに先生がその気になりましても、やはり家庭のお母さん方がその気になって協力していただかなければいけない。学校もこれからもっと努力をいたしますけれども、社会教育、家庭教育の面と協力してこれをやらなければいけない、こういうふうに考えます。
○有島分科員 教育の方で一生懸命いろいろ指導していらっしゃる、にもかかわらず、実態はこういったさまのわけでございますね。これは憂うべきことではないか、そのまま放置してはならない問題ではないかというふうに私は思います。大臣の御所感を承りたいのだけれども、まさかこのままでいいとはおっしゃるまいと思います。もう時間になりましたから、それではこの続きは、また文部省の時間のときに、今度は厚生省から来ていただいて大臣のかわりをしていただくようにいたしまして、それでは最後に、この問題は何とかしなければならぬ問題だと一言だけ言っておいていただかないと、次にお役人が来たときどんなことになるかわからないから、その大筋だけ、こうした五〇%、六〇%近眼、これは憂うべきことである、これは何らかの手を打たなければいかぬと私は思いますけれども、大臣いかがですか。それだけ……。
○田中国務大臣 おっしゃるとおり、日本人の近視等につきましては、やはり好ましい傾向ではございません。何とかひとつこのようなことにならないように努力をすべき一つの課題であるというふうに思います。
○野田主査 これにて有島重武君の質疑は終了いたしました。 次に、小宮武喜君。
○小宮分科員 ここに昨年十二月一日発行の全国精神障害者家族連合会の機関誌「ぜんかれん」の九十二号がございます。この機関誌を見ますと「革新府政の看板が泣く、この地獄絵」「老人処理工場化した、十全会系三病院の実態」という見出しで、京都市にある医療法人十全会の系列下にある東山高原サナトリウム、それから双岡病院、それにビネル病院のいわゆる十全会三病院における異常な老人の多量死について詳しく報じられております。それによりますと、京都府下の十四指定精神病院で一昨年の一月から九月までの死亡患者九百三十七人のうち十全会三病院での死亡者は八百五十九人と、全死亡者の九一・七%を占めておりますが、このような十全会三病院の老人の多量死について厚生省は調査されましたか。
○佐分利政府委員 まず四十九年の九月に京都府の衛生部に指示をいたしまして、十全会病院の模様を調査させております。また、同年十月には厚生省に京都府衛生部の幹部を呼びまして、公衆衛生局、医務局、社会局等で報告を聞いております。なお、京都府の衛生部といたしましては、この事件発生後直ちに指導を行っておりますが、そのほか四十八年の十一月、また四十九年の十一月から本年の二月にかけて十全会系三病院の指導、調査をいたしております。
○小宮分科員 調査、指導はされておるけれども、その原因についてはどうであったのか、その点いかがですか。
○佐分利政府委員 原因の第一は、この三病院では六十歳以上の老人の入院が異常に多いわけでございまして、ほかの病院はおおむね一五、六%の老人の入院率でございますが、十全会系の三病院では六〇%を占めております。しかも老人が多いだけでなく、病気の重い老人が多かったわけでございます。これが第一点でございます。 それから第二点といたしましては、そのような状態にありながら、医師とか看護婦だとか看護助手だとか、そういった医療の要員の数がかなり少なかったということが挙げられるかと思います。
○小宮分科員 のうのうとして、看護婦さんが少なかったとか、医師が少なかったとかというようなことを、よく厚生省は言えたものだと私は思いますよ。それ以外に、精神医療問題委員会がいろいろ調査した結果によれば、十全会三病院から転院してくる精神病患者は、信じられないぐらいの多量の向精神薬を服用させられており、この向精神薬の投与を打ち切るだけでもかなりの改善が見られるということを言われておるわけです。言葉を返せば、向精神薬を多量に投与していることが多量死の原因であり、打ち切ることが死亡者を減少させることになるわけです。そういうような原因を十分につかまぬと、ただ行って調査をした、来ていろいろ事情を聞いたということだけでは、この問題の解決にならぬと思います。したがって、調査されていろいろな事情を聞かれた。そこで、いま言われておるように非常に看護婦さんが少ない、医師の数も少ない、これはここの中にもはっきりしておりますけれども、そのことがここの中に言われているわけです。 もう一つ、こういうような報告がなされております。病床が非常に窮屈だ。たとえばベッドとベッドの間が五十センチしかないとか、あるいはピネル病院のごときは、天井が普通の病院より二メートルぐらい低いとか、あるいは運動場もない、散歩などの機会も全然ないとか、いろいろな調査が出ているわけです。それから病床の利用率だって一四七%になっている。だから、もうぎゅうぎゅう押し込んでいるわけです。それで東山高原サナトリウムの二病棟では、かぎをかけられた上、多数の患者が手をつながれておるというような実態もはっきりしているのだから、そういったものをただ調査したというだけではなくて、どういうふうに改善措置を命じたのか、その点いかがですか。
○佐分利政府委員 まず、患者が定床をオーバーして入院しておりますので、ベッドを適正に増床させまして、利用率を引き下げております。百四十数%から百十数%に現在は下がっております。 また次に、医師とか看護婦とか看護助手でございますけれども、これもその後改善いたしまして、四十九年末で医師は、非常勤でございますけれども、二十九名の増、それから看護婦、准看護婦は、これは三病院でございますが、八十九名の増、看護助手は百四十六名の増でございます。 また、先ほど御指摘がございました、薬を使い過ぎるのではないかといった医療内容につきましても、指導いたしまして、先般の集中審議でも参考人の福井医師がおっしゃっておりましたけれども、現在はそのようなことがなくなっております。
○小宮分科員 それは現在では改善されてきているということですね。この報告によりましても、医師の数は実際どれだけいるか不明だというような問題それから、いまお医者さんが非常勤だということを言われましたが、看護婦さんにしても、三病院をぐるぐる回っているわけです。それで数から言えば、こちらの病院にはこれだけおるのだと言いながら、実はこちらの病院の数にも入っておる、またこちらの病院の数にも入っておるというようなことで、ごまかしているのですよ。医師の場合も、非常勤ということになれば、その医師が三つの病院を転々としておるかもわからぬ。そういうような実態を厚生省は把握しないと、特に先ほど言われたように、東山高原サナトリウムなんかは、基準看護すらとっていないのに、指定病院に指定されているわけです。ここの問題は、厚生省はもっと十分実態を把握して適切な措置をとらなければ、厚生省は何をしておるのかと言いたいのですよ。 これはきのう、きよう始まったことじゃない。この何十年か続けられてきた。その後病床はだんだんふえつつある。そういう中で本当にそういう基準看護がなされているのかどうか、医師の数は不足していないのかどうかというような問題も、やはり厚生省は監督官庁として、京都府に任せるのではなくて、十分指導監督をやっていただかないと、こういうような問題があるのです。特にこうした老人の多量死の問題は、私はこの病院の利潤追求の姿勢にあるのではないかということを言いたいのです。ただ向精神薬を飲ませる。何のために向精神薬を多量に投与するのかという問題についても、やはり原因を掘り下げていただかぬとこの問題の根本的な解明にはならぬ、こう思います。その点につきましては、私は厚生省の責任は重大だと思うのです。問題が起きてからあわてて調査をするとか、呼んで聞くとかいうことでなくて、そういうような問題が社会問題になったら、いち早く調査をして、そして適切な手を打つというような行政指導をやらなければ、こういうような問題はなかなか解消できないのではないかというふうに考えますけれども、この問題だけで時間を取っておりますと三十分過ぎますから、次に移ります。 それではもう一点。法務省来ておりますか。
○野田主査 法務省来ておられますよ。
○小宮分科員 昨年五月二十九日、法制審議会から刑法の全面改正の答申がなされておることは御存じのとおりです。その答申の中に、精神病患者の保安処分という制度が新たに加えられております。この答申を見ますと、精神障害者が禁錮以上の罪を犯し、裁判所が将来再発の恐れがあると判断した場合、刑の執行後さらに治療処分という名目で法務省管轄の保安施設に収容し、治療や看護を加えるという制度になっております。しかも、将来死刑、無期または二年以上の懲役に該当する犯罪を犯す恐れのあることが顕著と判断された場合は、無期限に拘禁することもできるということになっているわけです。したがって、今度これを受けて法務省としてはどのように対処するのか、まずその点をお聞きしたい。
○鈴木説明員 ただいま先生から御指摘いただきましたように、昨年の五月三十九日に、法制審議会から改正刑法草案という刑法の全面改正に関する案が法務大臣に対して答申されたわけでございまして、その中に精神障害者に対する治療処分という名前の保安処分の規定が入っております。法務省といたしましては、法制審議会で十年余りにわたって種々御検討をいただいた案でございますので、できる限りこの案を尊重して政府としてのとるべき措置を決めたい、こういうように思っておるわけでございますが、御承知のように、この刑法の改正につきましては、ただいまの保安処分の問題も含めまして、その後いろいろな方面から種々の御意見、特に批判的な御意見も出ておるわけでございますので、そういう意見をも十分考慮した上で政府としての態度を決めたい、こういうように考えております。
○小宮分科員 これは私が法務省の係官に聞いたところでは、今度の通常国会には法律案を出さないけれども、次期通常国会に提案する予定だということを聞いているわけです。われわれの立場としては、この保安処分制度というのは、精神障害者を予備犯罪者として社会から隔離しようというのが目的ではないのか。こういうようなことが制度化されますと、すべての精神障害者は予備犯罪者として世間から冷たい目で見られ、その家族まで非常に影響を及ぼし、ゆゆしき人権問題にまで発展すると思います。そういうような意味で、この答申があったけれども、この問題につきましては、むしろ私は答申を法務省としては採用すべきではないというように考えるのですが、いかがですか。
○鈴木説明員 ただいま保安処分につきましては、精神障害者を予備犯罪者とみなしておるという考え方に立っておるのではないかというようなお話がございましたけれども、法制審議会で審議をいたします際には、およそ精神障害者は犯罪を犯す可能性が高いとか、あるいは犯罪を犯す傾向があるとか、そういうことでできたわけではございませんで、精神障害者の中にも、もちろん他人に害を加えることのないような精神障害者も少なくないわけでございますが、中には大変危険な犯罪——精神障害者の場合には、厳密に言うと犯罪でないのかもしれませんが、犯罪的な行為をする人もあるわけでございまして、そういう危険の高い精神障害者については一定の措置が必要であろう、こういうことでできたものでございます。法務省といたしましては、この法制審議会のお考えに十分理由はあると思いますけれども、先ほど申しましたように、さらにいろいろな方面からの御意見を聞いて態度を決めたいというふうに思っておりまして、現在の段階でやるとかやらないとかいうことは、まだお答えできない状況でございます。
○小宮分科員 法務省の態度が決まってしまえば、それを覆すことは非常に因難なので、事前にこの問題は私は提起しているわけですけれども、精神障害者が犯した犯罪が、仮に精神障害者に起因するとするなら、このような犯罪を二度と繰り返さないための予防措置として、むしろそれ以前に精神障害者に対する医療措置、あるいは現在の精神医療の改善が私は先決だと思うのです。 私はこういうような例を一つ知っております。これは佐世保市で発生した事件なんですが、姉さんが精神障害で入院をしておった。弟さんは兵庫県で働いておって、非常にまじめな青年で非常に評判もよく、毎月治療費も全部送金していたわけです。ところが、自分もそろそろ二十六歳になって、結婚の相手も見つかった。結婚する年になったけれども、その中から姉さんのために送金するということになると、自分の結婚生活もなかなか思うようにいかぬということで、このまじめな青年は、思いあぐんで、佐世保に帰ってその姉さんを病院から連れ出して、車の中で刺し殺すという非常に悲しい事件が発生しているのです。 それで、この青年はそのことを警察でも自供しておるわけですけれども、ただ、現在の精神衛生法にしても、入院措置の問題だけが前面に出て、本当に精神障害者に対する医療措置の問題、予防措置の問題がまだまだ立ち遅れておるのです。したがって、一昨年ですか、厚生省があの精神障害者に対する調査をした場合も、全国的に反対が起きて、あの調査が非常にうまくいかなかった。むしろ調査ができなかったという事実は、現在の精神障害者に対する法律としては、精神衛生法があって、その中でただ措置入院の問題だけしか取り上げられていない。したがって、また今度その調査をやればどういうような法律が出てくるかわからぬということで、その家族やそういうような人たちは全部反対したわけです。だから、ああいうような調査を、本当に精神障害者の前向きの医療措置なり医療設備の参考資料とするならば、もっと私は協力できる。また協力するという人はかなりいるわけです。そういった政府の、ただ単なるこういうような精神障害者をすぐ何かと言えばこういうような犯罪予備者としてのレッテルを張る、そういうようなことによってますますその家族たちは世間から白い目で見られるということで、非常に苦しみ、悩んでいるのですよ。だからその面で、むしろこれは厚生省に聞いた方がいいと思います。そういうような人たちに対して、もっと精神障害者に対する医療措置の問題が一番前提ではないか、また先決ではないかというふうに考えるのですが、厚生大臣、いかがでしょうか。
○佐分利政府委員 精神障害者につきましては、御案内のように、措置入院患者については原則として全額を公費負担しております。また、社会復帰を促進したり、再発を防止したり、早期治療を奨励するために、通院医療費の二分の一を公費負担しておるところでございますが、そのほかに、一昨年の十月からは、医療保険の方で家族の医療費の支給率を引き上げておりますし、また高額療養費の支給を始めております。このようないろいろな関連制度も整備されておりますので、現在のところ、私どもは精神障害の一般的な医療費の公費負担は考えておりません。 そういうふうな制度をつくれば、また患者は入院させられて、長く病院の中に置かれるという、むしろ悪い弊害が出るんじゃないかということを危惧しているわけでございます。私どもとしては、通院医療とかあるいは社会復帰を推進することによりまして、患者さん及び家族の医療費負担も減少いたしますし、また福祉も向上するものと信じております。
○小宮分科員 この前の予算委員会の集中審議でも、全家連の代表から言われたのは、やはり社会復帰施設を早く充実してくれということなんです。ところが、厚生省も、それは努力しておることは認めますよ。しかし、その努力が遅々として、皆さん方の期待に沿うところまでにはなかなかいかないというところに、この人たちが非常に焦りもあるわけですよ。だから、そういうような意味で、こういうような人たちに対してはもっと温かい手を差し伸べてやらないと、これは家族を含めてまいってしまう。それはまたあとで申し上げます。 そこで、法務省、そういうふうな精神障害者に対する保安処分の問題をいろいろ言われておりますけれども、それでは刑法犯の検挙人の中で精神障害者は大体どれくらいおりますか。
○鈴木説明員 犯罪行為をした人の中に精神障害者がどのくらいあるかという点につきましては、実は正確な統計というものは現在のところございません。これは毎年警察の調べで刑法に当たるような罪に——これは成人、大人だけでございますが、大人で刑法に当たる罪を犯して検挙された人の中に精神障害者がどのくらいあるかという統計を発表されておるわけでございまして、たとえば昭和四十八年を見ますと、検挙された人の数が約二十五万人でございます。このうち精神障害者というふうに認定されておる人が五百六十三人、それから精神障害の疑いがあるというふうに見られておる者が千四百八十三人、合計いたしまして約二千人でございまして、検挙人員に対する比率は〇・八二%という数字になっております。 ただ、これは警察段階で、警察官が検挙した際にどうかという全くの素人判断でございますので、実際の数字とどういうふうにかかわってくるかということについては、確たることは申し上げられない状況でございます。 なお、ついでに申し上げますと、これは犯罪の種類によってかなり違っておるわけでございまして、たとえば殺人罪を見ますと八%くらい、それから放火になりますと十数%というような数字が出ておるわけでございます。そういう意味で、この殺人とか放火というような犯罪は、素人が見ましても、これは何かおかしいな、普通の人の行為と違うなということがわかるわけでございますので、こういう犯罪についてはかなり率が高くなっておりますが、窃盗であるとか横領であるとか、そういうような犯罪については非常に率が低くなっております。
○小宮分科員 それに将来再発のおそれがあるとか、あるいは犯罪を重ねるおそれが顕著であるとかということがどうして予測できるのか。だから、まかり違えばこれは大きな人権問題になる。そういうようなことが実際予測できるのかどうかということをひとつ聞いておきたいと思う。
○鈴木説明員 将来の行動の予測ということは、精神障害者の場合だけでなくて、普通の人の場合でも大変むずかしい問題でございます。ただ、精神障害者で、しかも精神障害があるために犯罪行為をしたというふうに判断ができますような場合については、精神障害とそれから犯罪行為との間に関連性があるわけでございますので、そういう関連性をもとにいたしますと、その精神障害が変わらない限り、また再び同種の行為をするというような場合も十分考えられるわけでございまして、これは精神医学の専門の方々の問題になる面が多いと思われますけれども、鑑定とかいうことをすれば、相当確実な予測と申しますか、あるいは危険性の判定ということは、現代の日本の精神医学の水準から言いまして不可能なことではないという考え方で法制審議会の案はできておるわけでございます。
○小宮分科員 次に、精神障害者の医療費の負担の問題ですが、いまこれらの精神障害者の家族の方々は、昨年の二回にわたる医療費の大幅な値上げ、そして物価狂乱によって非常に生活に困窮している人たちがかなりおります。だから、そういうような家庭に対しての精神障害者の医療費をやはり全額公費負担として、そういうような気の毒な家庭を救済するようにすべきではないのか。したがって、この精神障害者の医療費は全額公費負担にしなさいということですが、この点、大臣どうですか。
○佐分利政府委員 技術的な問題が多々ございますので、私からお答えいたします。 先ほど申し上げましたように、精神障害者の入院費を全額公費負担するということは、従来の傾向から見まして、ひいてはすべての患者が入院させられ、在院日数が非常に長くなるというような悪い面も若干出てくるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、やはり通院医療をもっと強化し、普及し、社会復帰をもっと促進するということが、ひいては本人、家族の医療費の軽減にもなり、福祉の向上にもなる、そのように信じておるところでございます。
○小宮分科員 冗談を言いますな。精神病院に精神障害者が入ることが、医療費がただだからといって、病気が回復してもいつまでもその病院に入院させておくというばかな人はおりませんよ。やはり家族の人たちは、ただ精神障害者ということだけで肩身の狭い生活をしているのですよ。それは、ただ厚生省が机の上で、金をただにすれば老人医療みたいに入院してなかなか退院しないのじゃないかとこれを同列に考えているところに、あなたたちの発想の転換をやっていただかないと困る。 そこで、そろそろ時間も参りましたので、最後に、結局わが国は百二十万人と言われる精神障害者と四百万と言われるその家族がいるわけです。そして、これらの人々は、毎日毎日精神的にも肉体的にも苦しみ悩みながら生活をやっておるのです。にもかかわらず、身体障害者には身体障害者福祉法が昭和二十五年に制定されております。また、精神薄弱者には精神薄弱者福祉法が昭和三十五年に制定されておるのです。しかるに、この精神障害者には、ただ精神衛生法による強制保護の法律があるだけです。したがって、政府が最近社会的不公正の是正だとか福祉社会の建設とか幾ら叫んでみても、このような精神障害者の方々から言わしめれば、それは虚言であって無縁のものだと言っているわけです。したがって、いまこそ政府がこの精神障害者福祉のために精神衛生福祉法を制定する考えはないかどうか、最後にひとつこれは大臣。局長じゃだめ、大臣答弁してください。
○田中国務大臣 もともと精神障害者につきましては、これは自傷他害の反社会性に対する社会防衛と本人の人権との調整というものが非常にめんどうだということを、私は精神衛生法をかつて国会に、党によっていろいろ取り扱ったときにしみじみと実は感じたところであります。その反面、精神医療の態様も、るる委員会等でお話がございましたとおり、近代化をいたしておるわけでありまして、それが通院、デー・ケアあるいは社会復帰という方向に動いております。単なる昔のような措置入院というようなものだけでは済まされない。この辺もまた、今後とも必要な面があろうと私は思いますが、そうしたようなことがパターンが変わってまいる、こうした中にあって、一体精神衛生あるいは精神障害者の福祉というものをどういう形で追求するか、私は今後の問題だろうと思います。 しかし、これについてはよほど慎重にやらなければ——私は決して慎重だと言って否定する意味ではございません。精神衛生ないしは精神障害者の法律というものは、さっき法制審議会のお話がございましたように、実にデリケートな神経を配らなければなりませんから、私は拙速はできないだろうと思っておりますが、なるほど皆さんのおっしゃるように、そうしたような問題がありますので、慎重に対処いたしたいというふうに、これだけは私は思っております。
○小宮分科員 時間が来ましたので、質問を終わります。
○野田主査 これにて小宮武喜君の質疑は終了いたしました。 次に、柴田健治君。
○柴田(健)分科員 まず大臣に先に一言聞きたいのですが、私きょう厚生省に身体障害者の実態の数字を求めたところが、昭和四十五年の時点のしかない、こう言うのですね。私はこの点ちょっとびっくりしたのですが、いまや弱者救済、不公正是正ということで、特に身体障害者についてはお互いに関心を持ってどうするということを真剣に考えておるときに、昭和四十五年の時点の統計数字しかないということは、大臣、どう思われますか。
○田中国務大臣 これは実はいま正直に言いますが、とっさの御質問なものですから、いま役所の者に聞きましたら、五年に一遍の調査だそうでございまして、したがって、明年新しい調査ができるというのが本当のところだそうであります。
○柴田(健)分科員 特にほかの統計的な面と同じような調査というのはどうもおかしいですね。この点はひとつ十分心がけてもらいたいということ。 時間ございませんから、簡単に質問申し上げますが、先般の予算委員会の一般質問で問題になったのですが、私ちょっと聞きたいのですけれども、千葉県で起きた、広田多久見さんという方が五年間も精神病院に強制入院された、この点について、私たちが不思議に思うことは、たとえば保健所の職員だと言って注射を打ちにやった。そして、保健所の職員だというごまかしたお医者さん、注射した限りは、これは看護婦ではない。男だから、医師の免許がなければ打てない。それから、家庭訪問して注射を打ったお医者さん、それから病院に入れて病院で治療したお医者さん、今度この問題が起きてから、この患者を救援活動するお医者さん、同じ精神科の系統のお医者さんが三つに分かれておるわけですね。同じ国家試験で精神科の医師の免許を取った人が、だまくらかして注射を打ったお医者さん、それから五年間も治療したお医者さん、それは間違いだ、人権無視だ、これはでたらめだということで救援するお医者さん、これは大臣、どう思われますか。
○佐分利政府委員 まず、どの科のお医者様も、お年を召した方あるいは若い方、いろいろありまして、時代も変わっておりまして、考え方も変わっておるのではないかと思うのでございますけれども、特に精神科の領域というものは、なかなか学問的にも意見の分かれる領域でございまして、それだけ医学としてはまだ固まっていないのではないかと思われるわけでございます。具体的に申しますと、ある人は、この患者は分裂病だと言う、ある人は、いや、これは躁うつ病だと言うようなところがあるわけでございまして、そういうことが最も象徴的にあらわれておるのがこの精神科の領域ではないかと思っております。
○柴田(健)分科員 大体一般的には良心的常識的ということが基本になって判断が出るわけですね。こういう現象が起きると、社会的にどこまで信用したらいいのか。しかも、国家試験を受けた優秀な、相当長年月学園で研究された人がこういう形になって社会で行動されたのでは、どのお医者さんを信用していいやらわからぬということになるのじゃないですか。だから、私はこの問題に関心がなかったところが、千葉県の問題であっても、全国的にいろいろな関心を持っているのですね。表面には出ないけれどもこういうのが数多くあるということから、いろいろ関心を持った人が私に警告をした。国会でも、この点については十分論議してもらいたい。だまくらかして気違いにされて、精神病患者にされて入れられるという方がある。なぜこんなことが起きるかというと、いろいろ社会の権力構造の中の矛盾というか——もう少し、全国にたくさんある保健所ですね、各都道府県にも保健所があるのですが、保健所の任務というものをもう少し拡充していくということを考えなければいけないのではなかろうか。いま大きく、広域市町村圏構想の中でいろいろ広域行政の区域拡大をやっている。保健所の任務というか、そしてその位置づけというものが、地域社会、経済社会発展の段階の中でいろいろ変わっているのに、それに対応するような保健所の機構になっていないという面もある。だから、もう少し保健所の拡充というものをすべきではないか、それに対する優秀な人材を保健所に配置していくというような考え方、これをやっていかないといろいろな矛盾が出てくる、こういういろいろなごまかしが段階的に出てくるのではなかろうか、こういうことを私は考えるので、保健所の整備拡充ということについて、ひとつ大臣の見解を聞きたいのです。
○佐分利政府委員 ただいま御提案のございましたように、保健所は衛生行政の第一線の機関でございまして、バックボーンというか、動脈というか、これがよくならなければ衛生行政はよくならないわけであります。 そこで、時間がございませんから簡単に申し上げますが、厚生省といたしましても、明年度の予算案を見ていただけばわかりますように、新設三カ所あるいは改築二十五カ所、また無認可の保健所認可六カ所、そういうようなことから始まりまして、公害職員を中心として職員の増も図っておるところでございますけれども、先生のお話では、それでも足らぬというお話だろうと思います。 私どもといたしましては、現在の保健所をどういうふうに再建整備するかということを、ここ数年慎重に、五つの県でモデル的な調査、実験等もやりながら検討しておるところでございまして、あとで大臣からお話があろうかと思いますが、できるだけ早く結論を出して、先生の御期待に沿えるような保健所にしてまいりたいと考えております。 特に専門職員の確保につきましては、従来の職員が、たとえば急性伝染病の予防で訓練された職員でございますので、これを早く新しい難病とか公害病そういったものに対応できるような職員に再教育訓練をしなければなりませんし、また、新たに衛生工学等の技術者も採用していかなければならないわけでありますけれども、そのためには保健所の職員の身分制度等も検討しなければならぬかと思うわけであります。そういうことを含めて目下検討中でもあり、明年度の予算案でもかなりの前進をしておると思いますので、いましばらく時間をいただきたいと考えております。
○柴田(健)分科員 前向きの答弁をされたのですから局長を信用しますけれども、これは保健所の職員だと言ってだましたということは、やはり保健所と住民との平素のつながりというものが少ないからだまされたり、そういう悪いやつが出てくるわけですからね。それから保健所が平素からもう少し十分な機能を発揮しておったらこういう事件は起きなかっただろうという気がするのですよ。だから、こういう事件が起きないように予防措置をしなければ、この問題を論議したところで、いま裁判にかかっておるのだから、裁判の結論を見なければわかりませんであなたは逃げるだろうから、もうこれから奥は言わない。 要するに保健所をどう整備するか、拡充するか、それから、もう少し保健所の内部の職員の、先ほどあなたの言われたように、役付の格づけというものを明確にしていかなければならないし、それから何もかも全部保健所へ持ち込むところにまた問題がある。私がいつも不思議に思うのは、野犬狩りまで保健所にさせていいのかどうかという問題もあわせて考えなければいけないと思うのですよ。だから、保健所の整備拡充については、大臣、見解をひとつはっきり一口言うてください、先へ進みますから。
○田中国務大臣 保健所のあり方整備等につきましては、かつて審議会の中間答申もございましたが、実際問題として相当めんどうな問題を含んでおるわけでありまして、ことに、現在あるような保健所にすべての要請に応じた専門職の方をそれぞれ見出すということは、言うべくして実はそう簡単なものではないわけでございます。したがいまして、保健所の今後のあるべき姿については相当基本的ひとつ再検討をしなければならないというふうに考えているわけでございますが、しかし、それの整備を待ってじんぜん日を過ごすわけにはいきませんから、局部的にその機能の充実改善をはかっていくというふうなことで今日やっているわけでございます。
○柴田(健)分科員 大体年次計画で、およそ昭和五十一年度なら五十一年度にやるとか五十三年度までに完全に措置するとか、何か目標はないですか。漸次やりますと言うたのでは、十年かかっても漸次……。
○佐分利政府委員 事務当局といたしましては、やはり五十一年度の予算要求をめどに決着をつけたいとは思っております。
○柴田(健)分科員 次に、大臣、今日の医療制度について、いま各地方公共団体、特に市町村における問題は、国民健康保険制度が財政的に困っているのですが、それの解決、これはいい制度であるから壊してはならないし、守り立てなければならぬ、これはみんなが考えておるのですけれども、何としても医療制度の抜本的改正、大臣も苦労されておると思うのですが、私たちはまずできるところから抜本的な制度改正に取り組んでいかなければならぬ。それぞれの機関の人々が取り組んでおられますけれども、私たちは長い間、まず医薬分業をすべきだという気持ちを強く持っておるわけですよ。だから医薬分業をぜひやるべきだ、こう私は思っておりますが、大臣の見解をまず聞きたい。
○田中国務大臣 医薬分業はできるだけこれを取り進めていきたいという基本の方針でございます。 なお、最近の傾向等については政府委員から答弁をいたさせます。
○宮嶋政府委員 医薬分業をめぐります背景でございますが、最近きわめて様子が変わってまいりました。医薬分業につきまして三十一年に法改正がございまして、一応法律的な形としてはそこに医薬分業というものができたわけでございますけれども、その後も先生も御存じのとおりなかなか分業が進みませんでした。しかし、たまたま昨年十月診療報酬の改定がございまして、そこで特に技術料の評価ということを中心にした改定があったわけでございます。 端的に申しまして医師の処方料が、従来の百円から五百円に一挙に五倍に上がるというような改定もございました。そういうことも一つの契機となりまして昨年十月以来、医師会、歯科医師会、要するに医療関係の団体でございますが、きわめて前向きの分業に対する態度を打ち出されたわけでございます。その後、医師会及び歯科医師会、それに薬剤師会、三師会でございますが、関係者におきまして今後前向きに積極的に進めるという合意ができ、その線に沿って現在三団体が末端の地域に至るまでいろいろな話し合いを進めておる。私ども関係省といたしましてもその中に入りまして一緒に進めるということで、すでに医薬分業については現実的かつ具体的に前向きに進む段階に来た。現にまた進んでおる。例を申し上げますと、去年十月から十一月にかけましての処方せんの発行枚数の状況を見ましても、対前年度の増加率が五割とか六割、その前の九月−八月と比べまして急激に伸びておる、そういう状況でございまして、すでに前向きの線はここでできた、スタートについた、これからわれわれが関係者とともにがんばって大いに伸ばす時期に入った、こういうふうに考えております。
○柴田(健)分科員 法の改正から数年が相当たって前向きでやっておるということはわかるのですよ。ところが、完全分業までいかないいろいろな理由があるわけですね。理屈がついておるわけですが、私たちが不思議に思うことは、この問題がなぜできないのだろうか。たとえばお医者さんの社会的の任務、薬剤師の社会的の任務というものを考えたら、どちらも国家試験でそれぞれの任務を社会的には平等に負わされている。お医者さんの任務も薬剤師の任務も対等だ、こう判断しておるわけですね。そして、今日の医療制度でそういう人々が協力し合ってそれぞれの責任を果たすというその位置づけを明確にしていけば、簡単にできるはずだ。なぜそれが対等に話ができなくて、対等の責任を持てないのか。そして対等の位置づけが社会的にできないのか。そういう点でわれわれが疑問を持つわけですよ。みんなが対等の立場でそういう医療制度に協力をしていく、協調をしていく、そういうものを持ったならば、できないことはないと思うのですよ。それをなぜもたもたしているんだろうかという気がするわけですね。その点をひとつ聞きたい。
○宮嶋政府委員 医薬分業の推進につきましては、たとえば国民一般の理解、あるいはまた薬局関係の側における経営体制の整備とか、いろいろな問題がございますが、端的に申しまして、処方せんを発行する側、すなわち医師の側あるいは歯科医師の側において、処方せんを発行しよう、そして調剤関係をすべて薬局に任せよう、こういう気持ちになられることが最も大事なことであろうと思います。実はそういう認識がなかなか得られなかったわけでございますけれども、近年に至りまして、一つには、医薬品の安全性に対する国民的関心がきわめて高まってまいりまして、医師自体が、投薬をやるということについて安全性を相当配慮する時代に入りました。そういうことがございます。 また同時に、診療報酬請求事務がきわめて厄介である。その厄介なものの大部分は実は薬剤に係る請求についての記載事項でございまして、そういう面できわめて煩瑣である。あるいはまた、調剤関係に人を雇う、労務費がかかる、人事管理もなかなか大変だ、もろもろの要素が動きまして、実はここ数年にわかに医療関係者の間におきまして、われわれはひとつ医療に専念しよう、勉強する時間を持とう、もっとすっきりやろう、同時に、薬という分野については専門家に任そう、こういう認識がきわめて強まってまいりました。そこに先ほど申し上げました診療報酬の改定というものが引き金になって、医療関係者がすっきり医薬分業について理解を持っていただいてやろうということになった、かように考えております。
○柴田(健)分科員 大臣、聞くところによれば、一年間に一兆六千億から薬を飲んでおるという国、世界的にトップクラスになっておるような気がするのですが、そこまで飲ます癖をつけた、そういうふうに薬を飲まなければならないようなやり方というのは、あなた、いいと思われるかな。
○宮嶋政府委員 日本における医療行為の中で投薬行為、特に薬剤の給与が多いか少ないかにつきましては、統計のとりよう、またいろいろな見方がございまして、一概に多い少ないの論議をすることはなかなかむずかしいと思うのでございます。一般的に要するに、最近におきまして特に医療技術も進みましたけれども、薬学の進歩というものによりまして薬剤によって治療するという分野が進んだことも事実のようでございますし、また、一般的に国民の方が薬を求めるという風習もかねがね強かったわけでございます。そういうことも影響しているかと思います。 ただ、現在国民皆保険のもとで薬が一般に多用されておるという指摘があることも事実でございまして、そういう面につきましては、いろいろまた保険の仕掛けの側におきまして、特に指導面におきましてそういうことができるだけないように、そういう指導はしなければいけない、大事であろう、かように存じます。
○柴田(健)分科員 いまごろは薬はほとんど錠剤になりつつある。何も医薬分業しなくても錠剤だから簡単なものだ、こういう投薬方式の考え方ですね。ところがわれわれ不思議に思うのは——錠剤なるがゆえに危険性が高い。五年前のものを使われるのやら十年前のものを使われるのやら正直言ってわからない。そこの認定はどういう方法でやっているのですか。
○宮嶋政府委員 医薬につきましては有効期間の表示等もございまして、特にそういうことは一般消費者にもわかるような仕掛けにも一部なっております。同時にまた、メーカーあるいは卸の段階、流通段階におきまして、特に品質管理面におきまして、有効期間の面でチェックするということは医家向け医薬品の場合——実はいま医薬品生産のうち八割は医家向け医薬品でございますけれども、これは特に流通管理面、品質管理面において最も意を用いているところでございます。私ども一般的な商取引の状況を聞きますけれども、有効期限が近いから返品する、あるいは有効期限が来たから返品する、これはもう一般的に行われていることでありまして、品質管理の面では医家向けにつきまして、有効期限の観点からする吟味というものは一般的に励行されている、このように私たちは確信しております。
○柴田(健)分科員 それは薬局で一びんずつ買えば年月日が入っておるわけです。しかし病院で一びんずつお医者さんは渡しはしませんよ。かぜの日に、これは何月何日に製造した錠剤ですと袋に書きますか。書きやしませんよ。患者の方から言えば、いつのやらわからないのですよ。それをチェックするのはどういう方法でやっているのですか。
○宮嶋政府委員 医薬品の品質管理につきまして、特に病院における薬剤師の役割りでございます。その薬剤師の最も大事な職能の、幾らか柱はございますけれども、一つは品質管理であるということは、病院薬剤師の一番大きい職能として彼らはもう十分認識しておると思います。また、今後医薬分業をやる場合におきまして、要するに病院が処方せんを切ったものについて薬剤師が錠剤を渡す、この場合において薬局薬剤師もまた一番大事な仕事はこの品質管理の面であろうと思います。陳腐化したものは捨ててしまう、常に新しいものを持っておく、いいものを出す。私ども現在の制度のもとにおきましてそれを期待するのは、しぼっていけば具体的にそれこそまさに医療に関する専門家たる薬剤師の職能としてそれを期待する、それを指導する、こういう筋であろうかと存じます。
○柴田(健)分科員 局長御承知のように、関東医師製薬というのがある。これはお医者さんが出資して、重役であり、株主であり、そして自分らがつくった薬品を自分らの病院で使っているのですね。市場には出さないのですね。これはあなた、ああいうやり方はいいと思いますか。
○宮嶋政府委員 そういう製薬会社があることは存じておりますけれども、資本がどこら付近から出てくるか、どういう方が関与しておるかということと、製薬企業として、薬事法でいいます医薬品の製造業者としてもろもろの規制を受けながら企業の活動をやっておりますし、また、具体的に企業活動の特に大事なユーザーに対する医薬品の供給という面におきまして、一般の医薬品製造企業と同様にやっておられる、こう思います。医師集団が入られるがゆえにそこに変なことがあるということは私ども考えません。
○柴田(健)分科員 一般の市場には出さないというやり方——それは株主はお医者さんでもいいです。いいですが、自分らの病院以外は使わない。独禁法の違反じゃないですか、あんなことをやられたら。一般の市場には出さない。いまあなたのような説明をして、企業だからいいって、企業なら市場に出してもいいじゃないですか。なぜ出さないのですか。厚生省はそんなことを認めておるのですか。
○宮嶋政府委員 関東医師製薬につきましては、要するにその販路につきましては関東一円の医者だということはわれわれ聞いておりまして、一般的に注文があれば当然取引に応ずるというふうな活動をやっておられる、そう理解しております。
○柴田(健)分科員 あなた、中身を少し勉強した方がいいんじゃないですか。あんなことをやらしたらかえって独禁法違反だし、それからまた医師としての社会的、道義的責任から見ても、あんな商法のやり方はいけない。あなた、それを厚生省が黙認すると言うたら、それは厚生省がどうかしているのですよ。この点について、大臣、どう思われますか。
○田中国務大臣 よく実態を調べて善処いたしたい、こう思います。
○柴田(健)分科員 それじゃこれ、実態を明らかにしてもらいたい。 次に進みますが、ハンセン氏病の関係で、いろいろ毎年毎年関係者の皆さんに御厄介になっておるのですが、特に全国、沖繩を含めて十三カ所のハンセン氏病患者の療養所の施設改善です。早急にやらなければならぬということはみんな認めておるのに、厚生省の医務局長、本気でやっておるとちょいちょい言われるのですが、何ぼかささやかに本気でやっていただいておるということで、少しは感謝しておるんだけれども、われわれは正直に言って全面的に感謝していないんだ。もう少しこの施設改善は、人件費だとか資材の値上がりその他を含めて——そうすると、いまのような、去年は八億八千万、五十年度の予算で十一億五千万だけでは、これはもう当初の五カ年計画を立てておったのが大きく狂ってしまうということになるわけだと私はそう思うのですが、局長の見解を聞きたいのですよ。
○滝沢政府委員 先生御指摘のように、この整備そのものは値上がり等によりまして若干のおくれは来ておりますけれども、不自由者棟につきましては七八%、重症病棟についても八六%という達成になっておりますので、これをできるだけ早めまして、特に治療棟も含めました三つの病棟関係が重点でございます。そのほかに、汚水処理の問題が新たに起こってまいりましたので、われわれとしてはらい療養所の環境整備、施設整備には相当重点を志向して今後も努力していかなければならぬという気持ちは、先生の御指摘をまつまでもなく十分持っておりますので、今後ともこの点については予算措置の上で格段の努力をしていきたい、こう思っております。
○柴田(健)分科員 まあ、局長には、常に連絡をとっていろいろあれしておるから、言いにくい弱さが私にもあるんだが、大臣には、この前齋藤大臣は、屎尿処理にしても思い切って施設整備には最善の努力をすると言われたのですよ。日本の厚生大臣は、人はかわろうとも一人しかいない。厚生大臣が言明をされたら、まあわれわれは大きく期待と希望を持つということになるわけですよね。大臣がやりますと言っておいて、それが狂うということになれば、私はだれを信用していいやらわからぬということになりますので、ひとつ大臣、このハンセン氏病の施設改善については田中厚生大臣で思い切ってできたということにしたいので、一言お願いしたいと思います。
○田中国務大臣 前大臣も努力をすると申しておりましたが、私もまたさようにいたしたいというふうに思います。
○野田主査 これにて紫田健治君の質疑は終了いたしました。 次に、堂森芳夫君。 〔主査退席、三ツ林主査代理着席〕
○堂森分科員 田中厚生大臣にお尋ねをいたしますが、かつて元総理大臣の佐藤榮作さんが七年間の総理大臣在職中に、たびたび本会議の席上で言っておられたのは、健康保険制度を抜本的に改正するような計画を持っておるから一時的なこの改正案で了承をしてもらいたい、いずれ必ず健康保険制度の抜本的な改正をやる予定であるのでと、こういう答弁を私は少なくとも三回ぐらいは佐藤内閣の七年間に承っておるのであります。その後田中内閣になっては、そういうふうな意味での答弁はなかったと記憶しておるのであります。いまの三木さんの内閣になってからまだ短期間でありまして、そういう意味での答弁があったということは記憶いたしておりません。 そこで、佐藤内閣の当時総理大臣が答弁をされたことは、当然次の自民党内閣である田中内閣あるいは三木内閣でも、これはそうした元内閣首班である総理大臣が答弁してきたことでありますから、責任は持ってもらわなければいかぬと思うのでありますが、健康保険制度の抜本的な改正は行われたと解釈しておられるのでありましょうか、あるいはそうではないというお考えでございましょうか、まずその点を承っておきたいと思います。
○田中国務大臣 医療保険の抜本改正、言葉は非常にあちこちで自由に使っておりますが、その考えるところは人々によってそれぞれ違うのではなかろうか、概念規定をはっきりしないでこの言葉を安易に使っておったところに社会の混迷があったというふうに私自身は考えております。 そこで抜本改正、これはいろいろな面から考えられるわけであります。一例を挙げますれば、保険の財政の面から考える抜本改正、患者の側から見た給付の向上、保険者のあり方、そしてまた医療保険における給付の基本的なやり方、こういったようないろいろな角度からのものが考えられるわけでございますが、率直に申しまして、こういったいろいろなカテゴリーから見てくるときに、全然やらなかったということも言い切れないだろう。やはり従来から健康保険法の改正等をいたしまして、患者の側から見た給付のあり方等につきましては、ある程度前進いたしましたし、また財政の面についても政管健保等で制度の改善を見たことは事実でございます。しかし、世に言われる抜本改正のすべてをこの際完了いたしたなどということはとうてい言えないというふうに思います。しかし、なお、この問題については、どうも当事者間の意見がとかく鋭角的に対決するということがあってなかなかめんどうであり、また慎重に進まなければなりませんので、私といたしましては、やはり全般の構図を書いてこれを一遍にやるということは言うべくしてできかねると思いますので、急ぐもの、いいものから逐次これを積み上げていく、これは齋藤前厚生大臣もそうでしたが、私も最近そういう心境に立っております。
○堂森分科員 そうしますと、田中厚生大臣の構想としての抜本的改正というものはどういうものでしょうか。抜本的というのは、いろいろな点から考えてこれが最も理想的である、これが抜本的だと思うのでありますが、田中厚生大臣はいまの保険制度がどういうふうに改正されたら抜本的な改正とお考えでしょうか。厚生大臣でありますからやはり構想を持っておられると思うのでありますが、その点もう一遍重ねて具体的にお考えをお聞きしておきたいと思います。
○田中国務大臣 私、まだ就任二カ月半ぐらいでございまして、この問題についての基本的構想は固まっているわけではございません。しかし、国民がそれぞれの立場におって、どの保険に被保険者として加入していても、できるだけ同じ保険料を払い、同じ給付を受けるということが望ましい。したがって、給付のあり方も当然そういうふうに考えられる。その背後には、保険者の財政力等々もできるだけ均等化していくという方向に持っていかにやなるまいというふうに思っております。 まだそのほかにもいろいろあると思いますが、急な御質問でございますのでとりあえずいま思いついているところだけを御説明申し上げたわけであります。
○堂森分科員 田中厚生大臣は、大臣になられたときに、老人の医療問題等について私はいろいろ構想を練っておる、こうも言っておられるのでありまして、厚生大臣にはやはりそういう方面の工キスパートが大体なられると思うのであります。まだ厚生大臣になって日が浅いので、保険制度についてのそうした構想はないようにおっしゃるのでありますが、これは非常に遺憾だと私は思うのであります。それでは、いまのままの保険制度では満足できない、こういうことでございますか。
○田中国務大臣 いまのままで結構だとは考えておりません。各保険者間の給付の差、財政力の差についていろいろな問題が世間にあることは私も承知をしております。なかんずく国民健康保険制度につきましては、いまやもう何とかしなければならぬ、焦眉の急であるというふうに思っているわけであります。さような意味で、私、就任早々あのような構想を立てたわけでございまして、あれについては今後鋭意案を詰めまして国会の皆さんに御審議を願うようにいたしたいというふうに思っているわけであります。これも強いて申すならば抜本改正の一環としてお考えになっていただいても結構だと思います。
○堂森分科員 社会保険の中でも政府管掌の保険と組合保険とでは非常に大きな条件の差があることは、もう田中さん御承知のとおりでありますが、同じ日本人で、たまたま小さい企業に働いておるから非常に不利な条件の健康保険制度の中に繰り入れられていく。それから大きい企業に働いておるからわりあい条件のよい保険制度の枠内の対象者となる、こういうことは大体言えると思うのであります。もちろん、財政的に大きな差が二つの保険の間にはある。それから、いまもおっしゃいましたように、国保には財政上大変大きな問題がある。抜本的な改正というならば、同じ日本の国籍を持ったわれわれが健康保険の対象となる場合、同じ保険制度のもとに被保険者として対象となる、これが理想だと私は思うのです。そうでないでしょうか。一本のものでやりにくい場合があるならば、たとえば老人保険あるいは普通の社会保険というような分け方もあるでありましょうが、それは一つが理想的だと私は思うのです。しかし、それはできないというお考え、たとえば老人医療の問題は非常にむずかしい、これは健康保険制度の中で財政を著しく圧迫するからむずかしいとか、いろいろな事情があることぐらいは知っておるのでありますが、田中さんは、社会保険がたくさんのものに分かれておる現在の姿を、これでいいと思っておられますか、あるいはできる限り単一の方向に向かう方がいいと思っておられますか、この点も伺っておきたいと思います。
○田中国務大臣 先生も御案内のとおりでありますが、日本の社会保険医療というものは、沿革的に見ると、できるものからつくっていって、いろいろな集団をつくり、最後に網にかぶらぬものを国民健康保険でセットして、それで皆保険ができたというふうに言っておった。この歴史的な沿革というのが今日私どもにとっては悩みの種であり、ガンであるというふうに思っているわけであります。したがいまして、世上よく言われるように、組合管掌健康保険は財政力が強く、政府管掌ははるかに劣る。また日雇健康保険などという、非常に財政力の弱い、保険財政として成り立つかどうかと疑われるものさえあるわけであります。国民に対しては、できるだけ同一の保険料を払っていただき、同一の給付をするという方向が望ましいわけでありまして、理想の姿としては単一の保険者であることが望ましいというお声もありますが、実際問題として、いまこのような姿になっているものを一遍に単一のものにするということは、私が言うべくしてなかなか簡単にできるものではないということを申し上げざるを得ないと思うのであります。その上に、どうも各保険者の間においては既得権等の主張も激しい。私はもっと、相互扶助の精神に立脚して、お互いがお互いを助け合うという精神を持っていただきたいものというふうに思っております。しかし、さればといって、拱手傍観をしてこのまま続けていくということは問題があると私は思いますので、できる限り知恵をしぼり、政治力を駆使いたしまして、公平な医療保険制度を各国民が受けられるようにできるだけ近づけていきたいというふうに思っておるわけであります。
○堂森分科員 保険制度の改善という面から言いますと、前は家族負担は五割だったのが三割になってきた。こういうようなことも一つの改善でありましょう。それからまた高額医療費の制度ができてきたということ、これは三万円以上にならぬように抑えていくということは、これはまあ改善ではありましょう。四十七年の一月ですか、七十歳以上の医療費を無料にする、それから四十八年の十月でしたか寝たきり老人の六十五歳以上の人はこれを無料にしていくとか、いろいろな制度ができてきました。こういう改善が次々できたことは一歩前進であったと思うのであります。いろいろと抽象的におっしゃいますけれども、医療の抜本改正、言葉は非常にむずかしい言葉でありますが、さしあたりこれからあなたは厚生大臣として現行の健康保険制度の中でどういうことを具体的にやっていこうとしておられるのか。それくらいは持っていなければ、私は厚生大臣として落第だと思うのでありますが、いかがでございますか。
○田中国務大臣 いろいろな問題が課題として目の前に立ちはだかっておりますが、私としては、できる限り一番最初に取り上げたいのは、やはり各種保険共済におった老齢者が吹きだまりのように入って医療財政を圧迫しておるところの国民健康保険の財政の健全化と、老人に対する医療給付の肯繁に当たるものを給付するというような二つの面から、老人医療というものを、この際、国民健康保険制度の中にただ入れ込むことではなしに、これとは別建てのものにしていきたいというふうに今日のところ考え、せっかく目下検討中でございます。
○堂森分科員 私は、厚生大臣としては、ただ老人の医療の問題について、それは保険財政の観点等からもいろいろと考えなければならぬというような発想の仕方には賛成できないところであります。本当に厚生大臣としてもっともっと数歩前進するような保険制度、したがってこれは医療制度全体にも関係することでありますが、もっと勇敢に取り組んでもらうべきだと思うのです。 今日健康保険制度について、果たしてわが国の患者が理想的な制度だと本当に思っておるでしょうか。これは私は問題があると思う。それからまた医療当事者である医師から見ても、歯科医師も加えましてやはり問題がある。そしてまあいろいろな問題点があるわけであります。従来、たとえば佐藤内閣のときに諮問機関つくりましたでしょう。そして答申も何もまるでやらないようなうやむやの状態になってしまった。やはり田中さん、長い間社会労働委員もされた方でありますから、やはりこの際、保険制度というものはわが国の医療制度の中核ではないか、これが理想的なものになっていくということがやはりわが国の医療制度というものをよりよいものにして——国民がいろいろな方面からも喜ぶ、満足するといかなくても、非常によくなったというような方向に行くような努力をやはり厚生大臣はしてもらわなければいかぬと思うのであります。 そこで、わが国における総医療費は大体幾らぐらいになっておるのでありますか。
○北川政府委員 現在まで公式に確定いたしておりますものは、四十七年度で三兆三千九百九十億でございます。
○堂森分科員 四十九年度で推定すると大体幾らぐらいになると計算をしておられるのでございますか。
○北川政府委員 これは四十九年度の予算ベースで推計したものでございますが、約五兆三千億というふうに承知をいたしております。
○堂森分科員 大体五兆円ぐらいになるだろう、こう政府は言っておるわけですね。そこで、これは総生産のどれぐらいに当たるのですか。
○北川政府委員 私どもがいま承知をいたしておりますのは、これは相対的に先進諸国との比較関係もあると思うのでございますけれども、そういったところで一九七〇年にベースを合わせますと、日本の場合は三・四二%でございます。
○堂森分科員 五兆円の総医療費だとすると、大体もっと多いのじゃないですか。四%ぐらいになるのじゃないですか。いかがですか。これは推定ですがね。
○北川政府委員 ちょっと正確な数字を覚えておりませんが、四%にはちょっとならないのかもしれないと思います。
○堂森分科員 そうしますと、他の欧米先進諸国と比較して、わが国の総医療費は、総生産と比較して、四%弱と見ましょう、多いのですか、少ないのですか、こんなものでございますか。よその国、比較できますか。
○北川政府委員 比較をいたします場合にいろいろ条件があると思います。たとえば、先生も御承知のとおり、諸外国では総医療費という場合に、医学の教育費を含めたりあるいは施設費を含めたりしております。また、薬が入院の場合には入ってないというふうな問題もございます。したがいまして、そういった前提のもとに比較をするわけでございますから、日本の場合が他国に比べてあながち低いとも言えませんけれども、先ほど申し上げました一九七〇年の数字を比べますと、アメリカが六・五%、イギリスが四・五八%、スウェーデンが六・六%、フランスが五・七%というような数字でございますので、いまのような前提条件を置きましても決して諸外国に比べて高いとは言えない。ただ逐次欧米各国に近づきつつある、このようなことが言えようかと思います。
○堂森分科員 あなたのさっきの答弁では、総医療費の中に医学教育に使う予算等も含まれておるから比較ができない、まあそういう話ですね。そうすると、わが国のこの総医療費は、大体これは妥当な程度のものと考えておられますか。多いと考えておられますか、少ないと考えておられますか、どっちでございますか。
○北川政府委員 非常にむずかしいお尋ねでございますので、私も断定的なことはお答えしかねると思いますけれども、最近の約十年余りの傾向を見てみますと、国民所得に対する割合ということで通常言っているのでございますけれども、大体四・二、三%のところで横ばいをいたしておりまして、四十七年度が四・四六%、これは四十八年になりますと四十七年度の医療費改定が影響してくる、あるいはまた五十年度になりますと四十九年の医療費改定が影響してくるということで、恐らくこの数字がかなり上がってくると思います。そういったことで私どもは、相対的にながめてこの水準というものはそんなに低い水準ではないじゃないか、ただ先ほど大臣からもいろいろお話がありましたように、制度を改善をしてさらにまた技術評価を高めていくという問題が依然として残っているわけでございますから、そういう点を考えますと、この程度のもので十分とは言い切れない、しかしまあまあの線に行っているのではなかろうか、こういう感じを持っているような次第でございます。
○堂森分科員 もう少し科学的に、まあまあというようなことではなしに、どういう点とこういうわけで大体妥当なところだろうとお考えでございますか、もう一遍説明してもらいたい。ちょっとはっきりしないです。
○北川政府委員 これは医療費が大体その年間に要したすべてのものをとりまして、それで皆保険という前提のもとで、いま先生御指摘になったような医療給付というものについて申し上げるわけでございます。でありますから、給付改善をすればそれだけ医療費が上がりまするし、それからまた診療内容、治療内容の上昇に伴って技術評価を高めれば高まってくるわけでございますが、全体の国の総生産とかそういったものとの関連もございますから、相対的に申し上げますと、私どもはこの程度のもので先ほど申し上げました一応のレベルに来ていると思うのです。ただ、これはもう先生の方がむしろ専門的でございますけれども、この健康保険の診療報酬の面におきましても、技術評価で十分でない面がございますから、こういう面をさらにまた是正をしていくということになりますとまだまだ改善の余地はある、そういうことで、十分科学的ではございませんが、相対的にながめますといまのようなお答えになるわけでございます。
○堂森分科員 そうしますと、推定でいいですが、たとえば四十九年度で大体総医療費の中で薬代に払うパーセンテージはどれくらいか、それからその他のもの、まあそれは引けばわかるわけですが、これもちょっとついでに答弁してください。
○北川政府委員 いまわかっておりますのは四十八年でございますが、四十八年度で全体で四四・一%でございます。
○堂森分科員 そうすると四〇%ちょっとぐらいが薬価である。他は技術料だとか、まあ入院患者の場合は食費とかいろいろあるわけです。そうでございますね。
○北川政府委員 薬剤費以外はいわゆる技術料というものだと思います。総体的にくくって申し上げますと、技術料でございます。
○堂森分科員 そうしますと、大体四〇%くらい薬価に支払われるものである、こうしますと、これは他の先進国における医療保険の中におけるそういう薬価等に支払われておる金と大体同じくらいですか、あるいは日本は薬価が多いのですか、少ないのですか、どうなんですか。
○北川政府委員 これも先ほど申し上げたことに関連をするわけでございますけれども、診療報酬に占める割合が結局は技術料との関連で相対的なものであるということが一つございますので、そういうことをどう考えるか。それから外国との比較で申しますと、先ほど申し上げましたように薬の比較の対象になる医療費が、内容が医学の教育費が入っておったりあるいは施設費が入っておったり、あるいはまた入院患者に対する薬剤費が含まれていなかったり、いろいろ分母の条件が違っておるわけでございますので、一概に、出ましたその結果だけを見て日本の方が高いということは必ずしも言えないのじゃないかと思うわけでございます。
○堂森分科員 しかし一般に言われておることは、日本の診療報酬として支払われるお金の中で、薬価が占めておる率は諸外国よりは高いんじゃないか、こう言われておりますが、そうではないですか。
○北川政府委員 ただいま申し上げました条件が違うということを前提にいたしまして一九七〇年度の例を申し上げますと、イギリスが一一・七%、西ドイツが二六・七%、フランスが二九・六%でございますから、前提条件を置く限りにおいては確かに日本の場合は高いかもしれません。しかし、先ほども申し上げましたように技術料との相関関係にございますので、そういう面を考えましてこれをどう評価するか、そういう問題は残っておるかと思います。
○堂森分科員 もう時間もないので、これはしり切れトンボみたいな質問になりまして非常に残念なんですが、やっぱり一般には薬に支払われるお金が諸外国よりは非常に多いのだという、そういうような考え方を持つ人が多いということは事実だと私は思うのです。 そこで、厚生省は、健康保険に使われる薬についてはどのような厳重な価格についての監督といいますか、どういうことをしておるのでございますか。薬務局長よくおわかりじゃないかと思うのですが。
○北川政府委員 健康保険で使用いたします薬剤の価格は、先生御承知の薬価基準で決めております。薬価基準を決めます場合には、最近は毎年一回薬価調査を行いまして、その結果を正確に健康保険の薬価基準に反映させる。また、年一回の薬価調査以外に、中央、地方を通じまして薬価適正委員会というものがございますから、そういったものを活用いたしまして経時変動調査というものをやっておりまして、できるだけ頻繁にそのときどきの実勢価格が薬価基準に反映をするように努力をいたしているつもりでございます。
○堂森分科員 もう時間がありませんから端的にお聞きしますが、厚生大臣、これからのわが国の医療制度は公的な機関を主たる機関として、医療制度全体としては公的な医療機関というものを充実していくような方向に行くのか、あるいはプライベートの医療機関というものを主体として医療制度を完備していくようにしようとするのか、あるいはどうなのか、その点を大臣から構想を承りたい。
○田中国務大臣 それぞれ公私相協力し合ってやっていくという姿が私は望ましいものである、どっちに偏ってもいかぬ、こういうふうに思っております。
○堂森分科員 そういう答弁でなしに、もっと私は厚生省にいろんなことを——広域圏の医療の何かセンターですか、そういうものをつくるとかいろんなことを言っておられますから、もっと聞きたいのでありますけれども、公的機関に重点を置いていくのかあるいは私的な機関に重点を置いていくのか、それは私はやっぱりなくちゃならぬと思うのであります。
○田中国務大臣 公的医療機関につきましては、それが公的であるような特殊な社会的機能を持たせられるようなものについては公的医療機関にできるだけそれを背負わせる、一般的には私的医療機関に持たせる、こういったようなやり方が私はよろしいのであるというふうに思っております。
○堂森分科員 時間がありませんので、中途でありますが、もうこれで私の質問を終わります。
○三ツ林主査代理 これにて堂森芳夫君の質疑は終了いたしました。 次に、松本忠助君。
○松本(忠)分科員 限られた時間でございますので、先に厚生省関係をお伺いいたします。その後まとめて労働省関係を伺いたい、こういうふうに思います。 大臣、御承知のように、三木内閣の根本的な政治姿勢といいますか、いわゆる弱者救済といいますか、あるいは社会の不公正を是正する、こういったことが大いに取り上げられているわけであります。先般の予算委員会におきます集中審議におきましても、このような観点から弱者救済あるいは社会の不公正を是正するというような問題が取り上げられて、一日それに費やしたわけであります。そういう点から考えまして、私がこれから問題にしたいというのは、いわゆる精神障害者の問題であります。 御承知のように、身体障害者に対してはある程度国といたしましてもいろいろの施策が、不十分とはいいながらもできていると私は一応は認めざるを得ないと思います。しかし、いわゆる精神障害者に対してなかなかどうも思うようなことがなされていないわけでございます。試みに私いろいろ調べてみましたが、精神障害者の実態の掌握というものがどの程度までなされているものか、最近の調査統計等がございましたらお答えをいただきたいと思うわけでござ、います。
○佐分利政府委員 昭和三十八年に実態調査をやっておりますけれども、そのときは全国で百二十四万人の推計患者があったということになっております。このような調査は十年ごとにやることになっておりますので、去る四十八年に再び実施したのでございますけれども、一部の地方自治体の反対にあいまして十分に実施することができませんでした。そこで推計値を比較することができないのでありますが、一方におきまして患者調査といったようなものが行われておりますので、その入院患者また外来患者、こういった動向を見ますと、少しずつ日本の患者もふえておるような感じを受けております。
○松本(忠)分科員 大臣、いまの局長の御答弁によりますと百二十四万、三十八年に実施された、こういうわけですね。十年後の四十八年にやったのだけれども、いろいろな道府県の反対にあってできなかったと言う。この間の事情はきょうはいまここでは問いませんけれども、とにかくいまの答弁にもあるように逐年ふえているということですね。そういう点から考えて、この実態の完全な掌握がないということは行政の怠慢じゃないかと私は思うのです。いろいろな事情はあったにせよ、これだけのものを過去においては三十八年に調査することができた。しかしその後の調査というものがいろいろな障害があってできない。そういうところから、御承知と思いますけれども、厚生白書の中でもそのことはもうはっきり言っているわけです。これは四十八年度の方の厚生白書でありますけれども、百二十八ページのところに「精神障害者の実態と受療状況」というのがあって、この中で「我が国の精神障害者の実態は、三十八年の全国実態調査によれば、精神障害者の総数百二十四万人、人口一万に対して一二・九人であったが、現在は、この数値には大きな変化はないにしても、その内容については、疾患別分類、受療状況等に相当の変化が生じているものと考えられる。」というふうにあって、みずから三十八年の実態調査以後何にもやっていないということをこの四十八年の白書の中でも正直に言っているわけです。正直がいいか悪いかはともかくとしまして、やはりこういったものの実態調査というものが完全になされないというところは行政の怠慢であり、そういうことをやらないことは、結局はそういうものに対する政府の取り組みが弱いというふうに思いますが、大臣、この点どうですか。
○佐分利政府委員 御提案のように、精神衛生実態調査が昔のようにできますれば一番結構なんでございますけれども、世の中もだんだん変わってまいりまして、人権侵害だとか秘密が漏れるとかそういうふうな時代になってまいりまして、昔のような全国精神衛生実態調査は実施することができないのじゃないかと考えております。もちろんこのような調査は日本だけがやっておったものでございます。
○松本(忠)分科員 大臣、私はいま大臣に考えを聞こうと思ったけれども、局長が答弁しました。しかし、やはりこういうものはいろいろな個人の秘密を守るという点からなかなかむずかしい調査だろうとは思います。しかし実態の掌握ができてやなければやはり対策の立てようがない。対策が後手後手になっているという点はこの辺にあるのだろうと私は思うのです。確かに非常に無理な問題とは思いますけれども、やはりこのまま放置はできない、ある程度掌握すべきだ。そしてまた、四十八年のこの厚生白書にもそのことをむしろ正直に書くべきではなかったかと私は思うのです。それを正直に書かないで、三十八年のこれを見ていると、これは明らかに行政の失態、要するに怠慢だ、こういうふうにしか私たちには受け取れないわけです。むしろ白書というのはあからさまに、その実態を掌握していること——できないならできないでいいと思うのです、こういう状態があって、昔はできたのだけれども、いまはできないのだ、この調査は日本しかやっていないのだ、こういうことはやはり白書に書くべきだと私は思うのです。それこそ本当の白書じゃないかと私は思いますが、大臣、見解はどうですか。
○田中国務大臣 この種の実態調査、これは基本的にやはり都道府県の御協力を得なければ実際問題としてできるものではなかなかないわけでございますが、当時、私就任前でございますが、いろいろに努力をいたしましたが、どうしても一部の県で御協力を得られなかった。その根拠は人権問題あるいは秘密保持といったような理由であったようですが、どうもこの点についてあからさまに白書等に記載をするということについてはいろいろと実は問題があるようでございまして、どこまでこれを正直に記載をしてよろしいか、なかなか実はめんどうなところだろうと思います。大変何か奥歯に物のはさまったような物の言い方をしておりますが、この辺については松本先生もある程度の御推測ができるだろうと思います。
○松本(忠)分科員 問題がたくさん控えているものですから、この問題にかかわり合っている気持ちはありませんけれども、私は、白書に正確に書くべきじゃないか、こういうふうに言うのです。その点はどうですか。
○田中国務大臣 一部の協力を得られなかったということは書くべきであったと思います。
○松本(忠)分科員 こういう精神障害者というのは、いわゆる不公平というものを自分の口から訴えることができない、こういう人が多いと思うのです。その点、政府が言うようにいわゆる弱者救済、その言葉は大変いいのでありますけれども、実態は弱者救済どころか弱い者いじめといいますか弱者いじめといいますか、そういうような実態になっているということを私は耳にしているわけです。その具体的な問題については、個人でいろいろ問題があることはもうよくわかります。しかし実際問題として、行政上にいろんな欠陥が是正されないままにいるということについて、今後どういう方向にこれを持っていこうとするのか、大臣の答えを聞きたい。
○佐分利政府委員 日本もすでに十数年前から方向の転換をしておるのでございますけれども、今後は特に入院医療よりも通院医療を重視する、また患者の社会復帰を強化する、さらに地域の精神衛生活動、これは保健所とか精神衛生センターが担当いたしますが、それを充実いたしまして、将来は発病防止にまで持っていきたいと考えております。
○松本(忠)分科員 わかるのです。ただ、この精神病患者というものに対して、いわゆる精神衛生法というこの法律一本ですね。私どもこの法律をよく見ますと、精神障害者というものを社会から隔絶する社会防衛的な色彩の濃い入院中心じゃないかというふうに思うのです。いま局長の答弁の中に、社会復帰のことについてこれから考えるというような話がありましたけれども、現実にはなかなか社会復帰が行われていないのが実情なんですね。いろんな障害があります。その障害は、私これから申し上げたいと思うのでありますけれども、とにかくいわゆる社会から隔絶してしまうのだ、その方が安全なのだというようなやり方でなくて、もう一歩進んだ、いま局長が言われたような社会復帰という面について、私はもう少し強い配慮があっていいのじゃないかと思う。 問題はこの法律の、もう釈迦に説法でありますから、むずかしいことを言ってもしようがないのでありますけれども、二条のところに、いわゆる国及び地方公共団体の義務というところがあります。これはもうおわかりのとおりなんです。見ますと、ここで社会復帰というような問題に対しては何にも配慮がされてないと私はこの条文の中から見るのです。第二条には「国及び地方公共団体は、医療施設、教育施設その他福祉施設を充実することによって精神障害者等が社会生活に適応することができるように努力するとともに、精神衛生に関する知識の普及を図る等その発生を予防する施策を講じなければならない。」発生の予防ということはあります。しかし社会から隔絶するのでなくて、その人たちを大いに復帰させてあげようという意味において、もう少し的確な言葉をこの中に明記すべきではないかと私は思いますが、この点、いかがでしょうか。
○佐分利政府委員 確かに社会復帰のことをずばり申してはおりませんけれども、福祉施設の整備等をうたっておるところは、この条項を書きましたときには社会復帰まで含めて書いたわけでございます。
○松本(忠)分科員 それじゃ聞きますけれども、これの窓口は一体どこかというと、まず保健所でしょう。その保健所が、われわれの知るところでは全国に八百五十の保健所があると言います。そういうところの窓口へ行って、実際どんな取り扱いを受けているかということなんですね。もちろん本人が行けませんから家族が行くのです。けんもほろろの応対しかしないのが保健所の実態ですよ。そういう実態を御存じかどうか。その点は恐らく、わかっておりますと言うか、いえそんなことはありませんと言うか、この二つの答えのうちの一つでしょうけれども、局長はどう思いますか。
○佐分利政府委員 全部の保健所が十分なサービスをしておるとは申しませんけれども、少なくとも五、六百の保健所では、御相談があれば十分精神衛生相談に応じるような体制がしいてあると考えております。
○松本(忠)分科員 実際問題として、国の施設、国立病院あるいは国立の療養所、こういったものも二百五十カ所もあるわけです。そういうところの施設が本当に一体になって社会復帰のために尽くしてあげなければ、私はかわいそうだと思うのです。本当に政治の谷間に置き忘れられて、そして治ってもその扱いをしてくれない、こういうところにいろんな問題があると思うのです。 特に私はここで問題にしたいのは、生活保護を受けているような方、こういういわゆる底辺の方々が精神障害者になる。この場合には、やはり私は国立病院とかあるいはまた大学病院、こういうところでやるべきじゃないかと思うのです。そういうところは当然施設も優秀でありますし、優秀なお医者さんもいるわけであります。ところが、そういうところではめんどうを見ない。結局、これらの底辺にあるところの精神障害者というのは、民間の病院に押しつけるというような形になっているわけです。私は、もっともっと国立病院あるいは国立療養所、どういったものが積極的にめんどうを見るべきであると思いますけれども、どうですか。
○佐分利政府委員 その点については御指摘のとおりであろうかと思います。しかしながら、民間の病院も貴重な社会的資源でございますし、貴重な医療供給組織の一員でございますので、その指導よろしきを得れば、あるいは国公立以上のサービスを提供できることもあるわけでございますから、そういうような方向で現在たくさんございます民間病院の指導もやってまいりたいと考えております。
○松本(忠)分科員 いまの答弁によりますと、確かに国立療養所等もやっておるが、民間の病院の方の施設、そういったものを十分に活用してほしいというようなわけでありますが、実際以上に押しつけられて大変な苦しみをして民間の療養所でやっているのですね。国立の方は施設もいいしお医者さんもいいことはもうはっきりわかっているわけだ。この問題に対して国の指導が、直接指導のできる国立病院、こういうものに対してもっともっと局長の方からしかるべき指導をすべきではないかと思うわけです。 予算の面で私いろいろ聞いてみますと、精神衛生関係の予算というものの大部分は、いわゆる入院患者のための入院に関連した費用といいますか、そういった方向に使われているものが九〇%以上を超えているのではないか。そしてまた、先ほどから私が言っております社会復帰のための施設、こういったものに使われるものは一〇%以下だ、こういうふうに私は聞いているわけです。もっともっとこういう面について社会復帰というものを考えなければいかぬと私は思うのです。予算の面からどのようになっておりますか。私の申し上げた九〇%以上、あるいはいわゆる社会復帰のための施策に使われるものが一〇%以下というのが正しいのかどうか。私はこの点について数字を掌握しておりませんので、局長の方から数字を具体的にひとつおっしゃってみてください。
○佐分利政府委員 本年度の予算で申しますと、総額は六百七十一億でございますけれども、そのうち医療費は六百六十五億でございます。また、現在御審議を願っております明年度の予算では、総額八百五十四億でございますが、そのうち医療費が八百四十七億ということでございまして、それぞれ六億あるいは七億が医療費以外の予算になっております。
○松本(忠)分科員 いわゆる六億ないし七億という医療費以外の予算というのは、私の言うところのいわゆる社会復帰に対する予算ですか。
○佐分利政府委員 社会復帰に対する予算はもっと少なくなってまいりまして、約一億程度になってくると考えております。
○松本(忠)分科員 大臣、お聞きのとおりです。これはもう大臣としても、口に三木内閣の大臣として、社会の不公正だとか弱者の救済だとか、そういったことをおっしゃっても、予算の実体は、四十九年度の予算を見ましても五十年度の予算を見ましても、本当に施設以下のものに使われるのはわずかであり、しかもそのうちのわずか一億ぐらいしか、いわゆるこういった社会復帰のために使われていないわけですね。これを改善する必要があると私は思うのですが、どうですか。大臣から……。
○田中国務大臣 精神医療のあり方は最近急激に近代化をいたしておりまして、いま仰せのとおりの方向に進まなければなりませんから、したがいまして、予算措置もそういう方向に次第に直していかなければならないというふうに思っております。
○松本(忠)分科員 それでは、一応思うだけでなく、これはやはり実現をしてほしい。やはり予算を組みかえる必要もあるのじゃないか。本当に弱者救済ということを口にされるならば、そういう面についての配慮が当然あってしかるべきだと思うのです。 聞くところによりますと、昔の治療というものは、いわゆるインシュリン療法というか、あるいは電気ショック療法、こういったものによって相当長期間にわたって治療を継続しなければならなかった、ところが、最近は——まあ最近といっても二十年ぐらいになるようでありますけれども、クロールプロマジンなどの向精神薬によるところの治療が行われるようになってから、二カ月ないし三カ月ぐらいでいわゆる精神症状というものがおさまって、自傷他害というようなおそれがなくなってくる、こういうふうに言っております。大変私は結構なことだと思うのでありますが、そして患者が早く治るのは結構なのでありますけれども、それに対して行政面の立ちおくれが見られるのじゃないかと思う。いまの予算で指摘せられるとおりであります。 ですから、せっかく治った者がいても、それは本当に社会復帰ができるかというとできない。いわゆる社会復帰のためのリハビリテーションの分野が必要になってくるのでありますけれども、それに対する施策というものが全く行われていないと言っても過言ではないと思うのです。大体こういったものの社会復帰施設というものは、たとえば人口百万について何カ所とか五十万について何カ所とかいうような一つの基準というものがあるのじゃなかろうかと私は思いますが、その点局長、どうなっていますか。
○佐分利政府委員 最も社会復帰が進んでおりますイギリスにおきましても、そのような人口何万に一つというような計画はございません。まだ、何と申しますかモデル的、実験的に社会復帰施設の運営をやっておるというのが現状でございます。また現在私どもが整備しております社会復帰施設あるいはデーケア施設、こういったものは社会復帰する方全部に必要なわけではございません。多くの方々は、病院内の作業療法、生活療法でそのまま社会復帰ができるわけでありまして、一部の方が現在整備しておる社会復帰施設とかデーケア施設を必要とする方でございます。
○松本(忠)分科員 それは確かに病院の中でもやれると思います。しかし、やはりこれから世間に出てきて、世間のいわゆる生活をするのですから、病院から外に出てくる、そうして施設によっていろいろの社会復帰のための練習を積む方が当然だと思うわけです。病院の中というのは一種独特の雰囲気の中にいるわけですから、そこから出てきてやって初めてその効果があると思う。イギリスにもそういう例がないとかよその国のことを言うのでなくて、日本の実態はどうかと調べてみると、世田谷に一カ所あるという話を聞きました。この東京の一千百万人にもならんとする人口の中でたった一カ所。そういうところに全部が全部かかるのじゃないのだといういまのお話でありますけれども、やはり百四十万からの人が日本全国にいるわけで、そうした人たちが逐次療法が発達してきて治ってくれば、当然のことそういった社会復帰施設にお世話になって、世の中に再出発していくと思うのです。そういう意味から、この世田谷に一カ所程度のものであって果たしていいのかどうか、この点どうですか。
○佐分利政府委員 私どもは、そういった社会復帰施設はやはりモデル的に当面実施することにいたしておりますので、少なくとも各都道府県に一カ所ぐらいつつ長期計画で整備できればということを考えております。
○松本(忠)分科員 大臣、各都道府県に一カ所欲しいんだ、これは理想かもしれません。しかし、いま東京に一カ所しかないのですよ。これはやはり各都道府県に一カ所は最低必要じゃないかと私は思いますが、大臣どう思いますか。
○佐分利政府委員 現在いわゆるデーケア、ナイトケア、トレーニングケアの三つを一緒にやっております社会復帰施設は、東京とそれから神奈川、川崎にございますけれども、本年の予算で岡山、島根を整備いたしておりますし、またデーケアは新たに茨城に整備しておりますが、その前にすでに三十五の県で持っております精神衛生センターの大きなセンター、Aクラスのセンターでは、やはりデーケアを実施いたしております。
○松本(忠)分科員 その精神衛生センターですか、それが実際上の活動というのが全くどうもいいかげんのようですよ。これは一遍よく実態を調査した方がいいと思います。 時間もあと十分ほどになってしまいましたので先に進めますが、この精神衛生法の二十九条、ここにはいわゆる強制入院させられる患者、これが書いてあります。そして、さらにその二十九条の五というところを見ますと「措置入院者を収容して精神病院又は指定病院の管理者は、措置入院者が、入院を継続しなくてもその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがないと認められるに至ったときは、直ちに、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。」こういうふうに届け出の規定がはっきりしているわけです。実際問題として、届け出をしましても、いわゆる自傷他害の疑いがなくなった、もう回復した、こういうものがあって届けても、それに対してその後やはりある程度の治療は続けなければならないということも聞いています。その場合に金がない、そのときに健康保険とかあるいは生活保護法、こういうものの適用を受けられるはずだ。ところが、実際上受けるのは本当にわずかなんですね。調べによりますと、健康保険法によるところの入院患者は九万五千とか、生活保護法による入院患者は十万七千とか、こういうことを聞いております。行管がこのことについても指摘している。精神衛生に関する行政監察結果に基づく勧告として四十八年の十月に行管が発表している。これの四ページに、「一方、精神病院について調査した結果では、自傷他害のおそれが消失していると病院側が認めている者や単独で院外の事業所の作業に従事していて措置解除が可能と認められる者が措置入院を継続している事例」が多い。実際問題としてそういう届けをしてみても、なかなか都道府県の方でそれに対する対応策がとられない、こういう悩みがあるんだ、こういうふうに言っております。「したがって、厚生省は、都道府県に対し、」精神病院が「精神衛生法第二十九条の五第一項の規定による届出を励行するよう指導するとともに、鑑定医の派遣による病状の審査とこれに基づく措置解除などの積極的、計画的な実施について指導する必要がある。」という行管の勧告が出ている。この勧告が出たのがもう四十八年十月なんです。ところが実際、それから後というものも、余りこの勧告の線に従ったところの措置がとられていないということの悩みを病院側が訴えているわけです。この点についてどうですか。
○佐分利政府委員 まだ十分ではございませんけれども、そのような予算も年々ふやしまして、たとえば本年度五千万円くらいのものを明年度は八千万円にしております。補助金で。で、力を入れておるところでございます。 なお、措置を解除すべき者で解除されていない者がときどきあるわけでございますけれども、そのような場合には、医療費負担、医療補償というようなことを考えて若干おくれるというような場合もあり得るわけでございますけれども、決して人権侵害になるような措置入院を引き続きするということがないように、特にここ数年、力を入れて都道府県を指導し、また都道府県が病院を指導しておるところでございます。
○松本(忠)分科員 いまの局長の答弁を実際に励行してほしいと私思うわけです。リハビリテーションにつきまして、入院患者の社会生活への適応性の回復のために重要なことだと私は思います。このことはもう再々私、申し上げたわけであります。 作業療法の問題であります。一般事業所の協力を得て行われているのが実態でございますけれども、実際問題として、作業療法に協力してくれる業種自体が限度があるわけであります。しかも、病院としても作業療法の実施についてはやはり患者に付添人をつけていかなければならない。それから、その付添人いわゆる職員の旅費というような経費、こういったものが重なって非常に負担増になっている。こういったところに対して予算措置がなかなかどうも考えられない。こういうものについて、私は、予算措置の拡大を考えるべきではないかと思うのが一点。 それからまた作業療法の実施について、精神病院の管理者等の判断に任されて運営されているのが実情でございますけれども、いわゆる一貫性を欠いたところの作業療法が行われている、こういうことが言われているわけであります。そこで、入院患者の適応能力、これに応じたところの作業というものが、画一的な作業が多くてなかなか困難でございます。それに対してもう少しきめの細かい作業療法の指導及び作業事業所の業種の範囲の拡大、施設等が必要と私は思うわけであります。いわゆるこのリハビリテーションをなお徹底していくために一般の協力を得なければなりません。そうしたところに対するもう少しきめ細かい配慮をする必要があるのではなかろうか、こう思うわけでございますが、この点についてはどうですか。
○佐分利政府委員 作業療法に必要な諸経費につきましては、おかげさまで医療保険の方も四十七年二月の改定のときに作業療法料を新設していただきました。したがって、当該件数を受けられる病院では、それをもって職員を派遣したりすればいいのではないかと思っております。 次に職親の問題でございますが、確かに精薄の場合に比べますと、一般精神障害の場合はおくれております。これは私どももいろいろ努力をしなければなりませんけれども、労働省にも御協力を願って、今後大いに推進してまいりたいと考えております。
○松本(忠)分科員 いまの労働省関係の問題は後でまた詰めたいと思うのでありますけれども、医師と看護婦の問題これはもうしばしば言われておりますので、ここで改めて申し上げることはないんでありますけれども、特にこの精神病院におけるところの医師それから看護婦さん、これは非常に不足しているのが実態でございます。その不足の実態についても、行管の四十八年十月の行政監察に基づくところの勧告の中にも言われているわけです。そうしたことが実際わかっているわけであります。実際、お医者さん一人当たりの患者数というものは、国立、公立の病院等では四十人、私立の精神病院に至りましては実にこの二倍の七十九人、こういうふうなものを一人で見なければならないというのが実態のようであります。しかも精神科の専門医というのが約四千人いるけれども、そのうちの三〇%が大学病院等に集中していて、残りがいわゆる八五%の民間病院の方において治療に当たっている、こういう状態であります。こういった点についても、最近いわゆる社会復帰ということを口にみんなが言うからには、この方面に対する配慮というものを当然しなければならぬのではないか。いかにもお医者さんといい、あるいは看護婦といい、アンバランスになっている。こういう点をひとつ直さなければいけないのではないかと思います。 なお、その回復者の生活相談等に非常に病院側は時間をとられているわけです。病院の方でもなかなかそこまで担当するお医者さんの手が回らない、こういうのが実情のようでありますので、これらの点についても私は細かい配慮をすべきではないか、こう思います。 それから看護婦についてですが、これも確かにその看護婦がないということはいままでも言われておりますので、自前のいわゆる看護婦養成所というものをつくってやっております。そして要員の確保に努めているわけでありますが、この点について民間の看護婦の養成所に対する補助の拡大というものが考えられるかどうか、この点はどうでしょうか。
○滝沢政府委員 民間も含めまして、今回新しく自治体も入りましたが、つとに看護婦養成については補助をいたしておりますけれども、具体的にはおそらくその金額、内容等に御不満があろうと思いますけれども、これは逐次改善していくつもりでございます。
○松本(忠)分科員 それでは、もう時間がないそうでありますから、せっかく労働省の方に来ていただいておりますので、もうちょっと時間をいただいて、後一問か二問でございますので、お願いしたいと思います。 さっきもお話が出ましたいわゆる労働安全衛生法の六十八条によりますと、病人の就業禁止の規定というのがあります。さらに労働安全衛生規則の第三節の六十一条においても細かく規定されているわけです。問題は、この第一項第二号の「精神障害のために、現に自身を傷つけ、又は他人に害を及ぼすおそれのある者」として、これに該当する者は当然だと思うのであります。しかし、回復して自傷他害のおそれがない、こういうふうになった者についてもなかなか社会復帰ができない。職安に行きましていい顔してくれない。この点について労働省の方でどのような掌握をしているか、これは問題であると私は思うのです。病院側でき、社会復帰をさせるためになるべく病院外のところへ行っての、いわゆる屋外作業というものに従事させた方がいいわけだ、こう言うわけです。そこで職安に行く、ところが職安の方では受け入れようとしない。ところが一方、精神薄弱者とかあるいは身体障害者の方は積極的なあっせんをしてくれている。この精神障害者に対しては全く思いやりがないわけでございます。この精神障害の回復者に対する職業の確保についてどのように考えるか、労働省の見解を伺っておきたいわけであります。
○岩崎政府委員 先生御指摘のように、精神障害者の回復者、これは身体障害者と同様に職業上取り扱うということについていろいろ業者側にも問題がございますので、私どもはそういった雇用対策につきまして、先ほど厚生省からお話がありましたように、精神障害の状況の判定等につきまして十分に協議をしながら、検討はしてまいりたいというふうに存じております。
○松本(忠)分科員 最後でありますが、この精神障害者が回復をして、社会に向かって人生の再出発をしたい、ところがいろいろと患者は目に見えないところの不安と負担をかけているわけでございますので、なかなかもとの職場に復帰するなどということはとうていできないわけでございます。なかなかもとの職場に復帰することはまれであると同時に、大部分の人が離職してしまうわけです。そして新しい職場といっても、積神障害者であったということで採用される例が少ない。採用されても賃金に差がつく。こういった不公平な、不平等な待遇を受けているわけです。一方、身体障害者とこれらの点を比較した場合に、身体障害者を常用している企業に対しては、雇用対策法によって国から一人当たり月九千円の雇用奨励金というものを十二カ月にわたってつけている。本人に対しても税の免税とか非課税というような問題があって、税法上の特典を受けている。そして雇用の促進をはかっているわけでありますが、一方私が問題にしている精神障害者については、何らこのような措置がとられていないわけであります。ここで何とかしてやはりこういう不平等はなくすべきではないか、こういうふうに思うわけでございます。しかも労働力がいろいろ不足していた場合には、かつて第二次大戦のときにイギリスなどでは、精神障害者を大小の企業を問わず雇用するところのものに対しては特典を与えてやっておった。ところが日本においてはそういうことがない。そこで、大企業はいまもうけたいほうだいにもうけていると言われているとおり、そういう大企業が税の特典を受けている。こういう点から考えて、私は大企業こそこういう人の雇用を積極的にする必要があるのではなかろうか、こう思いますので、この点について最後のお答えを聞いて質問を終了いたしたいと思います。
○岩崎政府委員 精神障害の回復者につきまして、できるだけ同一事業主のところで雇われるようにということが好ましいことは先生御指摘のとおりでございます。 ただいろいろな障害がそこにあります。したがいまして、これらの方が職場復帰を行うにつきましては、医師の医療上の指示、それから事業主の雇用面におけるいろいろな配慮というようなことが必要な点もありまして、きめ細かく配慮できる中小企業というようなことになるわけでございますが、その場合、過去に精神障害のあったというようなことを理由に賃金その他労働条件について区別をするということがあってはならないというように考えております。 それから大企業につきましては、これは単に精神障害者のみならず、身体障害者も含めまして雇用の状況がよくないということにつきましては、しばしばこういう機会にも御指摘を受けるところでございますし、私どもも、このごろの大企業につきまして雇用率の非常に悪いところには公表制度なども適用してやっていくというようなことも考えておりますので、そういうものも利用いたしまして今後大企業のそういった者の雇用についての促進を図ってまいりたい、このように考えます。
○松本(忠)分科員 どうもありがとうございました。いまの審議官の答弁で一応了解はいたしますけれども、現実には差別の待遇が行われていることは事実であります。そういう点を考えて、ひとつこの点についての改善を十分してもらいたいということを大臣に強く要望しておきます。
○三ツ林主査代理 これにて松本忠助君の質疑は終了いたしました。 次に、野坂浩賢君。
○野坂分科員 大変時間がかかっておりますし、ごく簡単に質問をして終わりたいと思いますが、初めに大臣にお尋ねをいたしておきます。 田中内閣から三木内閣にかわりました。かわって、人間尊重の政治ということを標榜して、特にその中で社会保障の充実、このことが重点であるように三木内閣は位置づけをされておるというふうに理解をしております。したがって、まず大臣にただしておきたいと思いますのは、今度の老齢年金をながめましても、四月から一万円とか、あるいは十月から一万二千円とか、あるいは来年の四月は二万円だとか、こういうふうに上げようとする意欲も見られておりますが、国民の側から見ますとまだまだ不十分だ、こういうふうな批判もあります。したがって、拠出制、無拠出制、あるいは退職年金、こういう全体の社会保障の年金の問題をとらえて、大臣としては、これから老後の安定を図るためにこれらの社会保障制度といいますか、年金を充実し、さらに生活の充実を図るようにするための引き上げというものは全体的に考えていらっしゃると思いますが、そのように考えてよろしゅうございますか。
○田中国務大臣 簡単に申し上げますが、さような方向で進んでいきたいというふうに思っております。
○野坂分科員 その間に国民の側から見てバランスがとれておるとか、あるいはバランスがとれていないとかいうような見方もいろいろあろうと思うのですが、もしそういうような国民の側から見てバランスがとれていない、アンバランスだというような点があれば、お直しをいただく、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
○田中国務大臣 仰せのとおり、各公的年金制度の間にはいろいろな条件の違い、給付の違いがあることは間違いがございません。できるだけこれらについて整合性を持つように近づけていきたいというふうに思っております。
○野坂分科員 七十三国会だったと思いますが、たしか四十八年の九月に改正され、四十八年十二月一日から厚生年金法は改正実施をする。この中で、昭和三十二年以前ですか、これを全部切って、三十三年以降から換算をして、いわゆる五万円年金といいますか五万二千円年金といいますか、こういうものが実現できました。したがって、この厚生年金の現状に合わせるという意味で、一・一五倍から三・八七倍、こういう倍率を掛けて標準報酬に直す、いわゆる五万二千円年金にするということになったわけでありますが、この倍率というものは、標準報酬八万四千六百円だったと思うのですが、八万四千六百円というふうな標準報酬に合わせる倍率であるというふうに考えてよろしゅうございますか。
○曾根田政府委員 四十八年改正の際に、四十六年以前の標準報酬の見直しと申しますか再評価をいたしましたが、それは御案内のように、その後の経済情勢の変動によりまして過去の賃金が低いランクになってきておりますので、それを現在の時点に置きかえるというために見直しをやったわけでございまして、八万四千六百円の方は、改正時点における被保険者の標準報酬の平均額が八万四千六百円でございます。
○野坂分科員 そういたしますと、いわゆる国民に徹底をした五万円年金、定額部分が九百八十円が一千円になって一応五万二千円程度になったわけですけれども、あの状況のときに標準報酬、いわゆる平均報酬は八万四千六百円、二十七年勤務ということで出ておる。出ておりますとそれに合わせていくのが——一・一五倍から三・八七倍というものはそれに合わす、見直しをして置き直したというふうになるわけでありますから、それが大体八万四千円程度のところにとまるというのが平均値からいって私は妥当なものだ、こういうふうに考えておるわけですが、そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
○曾根田政府委員 過去の標準報酬の見直しは基本的には現在の賃金に応じて再評価するということでございますけれども、そのほかにいろいろ補正要因がございまして、たとえば平均年齢が過去数年間で変動しておるとか、あるいは三十二年以前の賃金を切っておりますその影響の度合いとか、いろいろ細かい操作をいたした結果でございますので、基本的には現在の賃金に置きかえるということには変わりございませんけれども、そういう細かい綿密な補正要因を加えた作業をいたしております。
○野坂分科員 私はこの倍率そのものにつきましても、それより下回っておるような気がしてなりません。したがって、いわゆる全厚生年金の関係者が平均は八万四千六百円なんだ、五万二千円なんだ、こういうことでありますけれども、ほとんど平均して五万二千円もらっておるというふうに思えません。この形式でまいりますといま平均はどの程度もらっていらっしゃるのですか。
○曾根田政府委員 先生御指摘のように、四十八年の時点で一応モデル計算で五万円年金という設定をいたしましたけれども、当時の全被保険者の平均の年金額が約三万八千円であったわけでございます。この金額はその後もスライド等もございますので、一番新しい数字は、昨年の九月末現在の数字を申し上げますと、全受給者の平均の老齢年金額、約八十三万一千人の総平均が四万四千四百三十六円になっております。これは男女全部平均いたしました数字でもあり、御案内のようにまた老齢年金には十五年という短期で発生するものでございますので、この四万四千のうち最も代表的な男子のしかも二十年以上の本来の退職年金だけを取り上げてみますと五万一千九百二十三円というのが、約三十万件ございますが、男子の平均の年金額でございます。さらに九月時点で新しく裁定した新規裁定分でございますけれども、この九月裁定分の中の二十年以上のは約三千件ございますが、これの平均を見ますと、三十八円という端数がございますけれども、約五万七千円というふうになっております。
○野坂分科員 この五万二千円年金で去年の九月といいますと、物価のスライドの関係で一六・一ですね。今度は二二%程度上がると思うのですが、そのときには六万円年金ですから、だから平均からすれば非常に低いということになります。それは三十三年以前を切った。その倍率は給与ベースに合わせますと、たとえば昭和三十五年は二万四千三百七十五円だった。それに三・〇九倍掛ければ大体七万五千円だ。たとえば四十年の三万九千三百六十円に一・九を掛ければ七万五千円だ。だから形式は八万四千六百円というふうに見えていますけれども、置きかえ計算をすると、それよりも下回ってまいりますから、いま大臣が劈頭にそういう矛盾は直していくということもおっしゃった。いわゆるいろいろな諸要因があると言われますけれども、その諸要因を入れても、これはベースは全部入れておるわけですから、平均というかっこうになりますと、この倍率に私は矛盾と問題があるではないか、こういうふうに思うのです。どうでしょう。
○曾根田政府委員 先ほども申し上げましたように、過去の標準報酬を各年数年分段階刻みで一定の率で評価し直したわけでございますけれども、こういうふうに総合的に再評価をいたしましたのは四十八年が初めてでございまして、私どもとしては十分補正要因等を含め妥当な再評価をしたつもりではございますけれども、結果としてこれが最善のものであったかどうかということになりますと、なおあるいは検討の余地もあろうかと思いまして、そういった点は来年度いずれまた同じような事例が控えておるわけでございますので、そのような御意見も十分考慮しながら次の作業に臨みたいというふうに考えております。
○野坂分科員 来年は再計算をする時期でありますから、十分徹底をしてやっていただきたいし、さらにこれを御検討いただきまして、いますぐ矛盾があれば、また、アンバランスがある、しかも給与の実態から見てあのとおりになっていないという点が指摘をされますので、御検討をいただいて善処していただきたいと思うのです。 次に、公的年金は八つある、こう言って大臣からもお答えをいただきました。その中で、たとえば公務員共済年金といいますのは五十五歳で年金をいただく、厚生年金は六十歳だ、国民年金は六十五歳だ、こういうかっこうになっておるわけであります。厚生年金を例にとりますと、これは戦前につくられた。これはまあ、いまも大臣がお話しになったように、歴史的な背景と伝統がある、そう簡単には直せないというニュアンスがあったようですけれども、大胆に直すという田中さんの意見に私は賛成であります。これについても、たとえば千分の七十六とか、あるいは国民年金は千百円とかその他いろいろと保険料率が違いますね。違いますが、厚生年金を例にとりますと、こういうことがあるのです。一般の会社に勤めていらっしゃる皆さんは五十五歳で定年というのが私どものところでは多いのです。五十五歳で定年になりまして、一遍退職をして再就職するということになりますと、賃金が大幅にダウンをいたしますね。年金は六十歳だから、そのものと退職金とで五年間食いつぶす。六十歳になって年金をもらってわずかに糊口をしのぐ。こういうかっこうになりまして、退職時に年金をもらわなければ、とてもこれからの経済生活の中で生きていくことがむずかしい、こういう素朴な声が多くの労働者、特に中小零細企業に多いのであります。これにつきまして、受給者の側から見て退職時にこの年金をもらえるように、言うなれば五十五歳まで年金の年齢を引き下げる、こういうことが強い要望として出ておるわけであります。これは政治的な課題でありますから、厚生大臣は、国民の側から見てアンバランスは是正をしたい、こうおっしゃっておるわけでありますから、この点についてはこれからどういうお考えで取り組んでいただけるだろうか、お答えをいただきたい。
○曾根田政府委員 実際問題といたしまして、年金の開始年齢と定年制との間にまだ現実のギャップがあることによる開始年齢繰り下げと申しますか、その御要望が非常に強いということは承知しておりますけれども、この開始年齢はやはり将来の人口の老齢化傾向等を考えますと非常に大きな問題でございまして、まあ諸外国等でもおおむね開始年齢は六十五歳、現に厚生年金自体、制度発足時五十五歳で発足したものを、昭和二十九年の改正でいまのように六十歳に改めたという経緯も現にあるわけでございまして、これはかなり長期の経過期間を置いて切りかえたわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、定年制、そういった方面でまだ十分改善と申しますか、その方の余地はあると思いますけれども、年金制度の方で開始年齢を六十から五十五というのは、基本的な方向として私はどうも逆行すると言わざるを得ないと考えております。
○野坂分科員 局長のお話は、定年の延長か、年金の年齢引き下げか、二つを提起とすると、将来の給付人口の増、こういうものから考えて、逆行するという言葉は適当でありませんけれども、それではいまの五十五歳の定年というものについては厚生省側としては——労働省はおいででないと思いますけれども、大臣に答えていただいた方がいいのですが、定年は六十歳まで延長するというニュアンスですね、局長のお話では。そしてそのときに年金をもらうんだと。労働省とそういうふうなことをお話しになって、定年制の延長、こういうことは当然六十歳までというふうにこれからそれぞれの企業を指導していただくようにお話しになるのか、あるいは退職時の退職年金ということになれば、労働省と話し合って、六十歳を五十七歳まで引き下げる、あるいは五十五歳まで本当なら引き下げるというかっこうで、安心をして人間尊重の経済生活を営める体制というものを樹立するのがあなた方の責任だし、われわれの期待されることを実現をするという責任もあろうと思いますが、その点についてはどちらをおとりになって、厚生大臣としてはどのように労働省とお話しになるか伺っておきたい。
○田中国務大臣 政府といたしましても、定年制は、できるだけ最近の社会情勢等々にかんがみまして延長するように指導をするということであります。理想的に申しますれば、定年制の延長、そして年金というものを上手につないでいく、一種のライフサイクルシステムというものを達成することが、私は政治の究極的な目標だろうと思いますが、これについては、理想は理想でございますが、いま直ちにというわけにはいきませんが、そういう理想を掲げて、その方に歩一歩近づけていくのが正しいのではないかというふうに思います。
○野坂分科員 時間がございませんから簡単に……。いまのことはそのとおりですが、われわれは、理想を実現をするのが政治でありますし、退職即年金、こういう方向をとるということでありますが、これから積極的に努力をされまして企業指導をしていくなれば、せめて外国並みという立場ならば、これからは退職即年金受給、こういう姿をとっていくように、厚生大臣としては経済閣僚会議とかあるいは労働大臣とかとお話しになって、早期実現を期していただくというふうに考えてよろしゅうございますか。
○田中国務大臣 その方向に努力をして、歩一歩近づけていきたいというふうに考えております。
○野坂分科員 最後に伺っておきたいのでありますが、厚生年金を一つの例にとりましたけれども、昭和三十四年に発足をした国民年金でございますね、これは六十五歳でありますし、受給資格も二十五年間掛けなければならぬ、こういうことになっておりますね。この二十五年間ということよりも、これを六十歳とか、歴史的な背景はありますが、できるだけそれを縮めていくということも必要であるわけでありますし、いまの日本の給付人口というのは世界各国に比較して非常に少ない。あなた方が御心配になっておるのは将来の展望でありますから、それらについては六十歳にして、そしてこの厚生年金なりほかの国家公務員の年金等と縮めていく、この方向を農家の皆さんとかあるいは自由業の皆さん、こういう方々が非常に望んでいらっしゃる事項でありますから、そのように努力をしなければならぬ、また矛盾であるというふうに一般の国民の側は——それなれば掛け金をということでありましょうが、いまの社会保障充実の実態からして、そのような方向で努力をしていかなければならぬ、こういうふうに思うのでありますが、どのようにお考えでしょうか。
○曾根田政府委員 国民年金の開始年齢六十五歳、これを繰り下げるという問題でございますが、御車知のように国民年金は、その対象者が自営業者あるいは農業者等々でございますので、被用者保険と違いまして、退職プラス老齢ということではなく、老齢年金として六十五歳到達によって年金を支払う、そういう仕組みになっております。それからまた、国民年金の場合は、どうしても対象者の関係で保険料負担というものを、被用者保険のようにそう多額の負担を期待できない、そういう問題もございます。開始年齢を五歳早めるということは大変な費用の差が出てまいりますので、したがいまして、いまのところ、国民年金の開始年齢六十五歳というものを変える考えは私どもは持っておりません。国民年金の場合は、六十歳以降減額年金という制度もございまして、現在それがかなり活用といいますか、請求件数も非常に多くなっておりますことなども考えますと、六十五歳の開始年齢に手を加えることは適当でないというのが私どもの考えでございます。
○野坂分科員 この老齢年金の受給者の割合なんですけれども、世界的に見て、諸外国は大体一八から二五%というのが実態でありますし、わが国では三%程度でありますから、いまの場合はできる。ただ、昭和八十年程度になればどうかということが一番あなた方の頭の中にあろうと思うのですけれども、せめて、この受給の資格でございますね、これについては、二十五年ということは、他の公的年金は二十年で資格要件を整えるわけでありますから、二十年間でそういう措置ができるということが、先ほど大臣が冒頭にお話をいただきましたように、バランスなり、国民の側から見ての矛盾解消ということにつながると思うのです。政治的にそういう歴史的な背景もありましょうが、世の中はいますべて見直す時代でありますから、そういう点について大胆に措置をして、足らざるところは政府から出していくということで整理をした方が非常にわかりやすいし、納得しやすい。またそれは多くの国民年金受給者が喜ぶことでありますから、それについてぜひ実現をされるべきであろうと思うのでありますが、これは厚生大臣に、政治的な課題でありますから、お答えをいただきたい。
○田中国務大臣 実は、国民年金につきましては、拠出可能保険料の問題が非常にむずかしい課題になっておりまして、他の公的年金とバランスをとるということは非常にむずかしいことでございまして、私どもとしてはいろいろと苦心をいたしておりますが、なかなかこれについては簡単にまいらぬということで、私どもせっかく腐心をいたしております。この際私は、簡単に他の公的年金とバランスをとって同一条件化するということについては相当の困難があるというふうに存じておりますが、なお、努力、検討は続けたいと思っております。
○野坂分科員 それでは、以上で終わります。
○三ツ林主査代理 これにて野坂浩賢君の質疑は終了いたしました。 次に、山本政弘君。
○山本(政)分科員 せんだって予算委員会で金子みつ議員が、慢性医療疾患の患者にも手帳を給付されたい、そしてもろもろの恩典が受けられるようにという質問をされました。そして枠の拡大あるいは総合対策のためのプロジェクトチームをつくれ、そういう話がありましたが、その点についてまだはっきりとしたお答えがなかったように私は思っておるわけです。 きょう、それに引き続いてその点についてお伺いをいたしたいと存じます。お伺いというか、むしろ私教えていただきたいと思うのでありますけれども、質問に入る前にまずお伺いしたいのは、特定疾患というのは一体どういうものかということを簡単に、定義で結構です。
○佐分利政府委員 二種類ございまして、一つは、原因が不明で治療法がはっきりしていないで、後に後遺症を残すおそれの多いもの、もう一つは、経過が非常に慢性で医療費がかかるだけでなく、介護等の手当てもかかって物心両面で家族に負担をかけるもの、こういう定義でございます。
○山本(政)分科員 そうしますと、心臓病それから腎臓病、結核、こういうものについては原因がわかっておる、後遺症はあるのですか、ないのですか。
○佐分利政府委員 いまおっしゃいました病気は、全部後遺症はあり得るわけでございますけれども、原因がかなりはっきりしておりますし、診断方法も治療方法もかなり確立しておる疾患であると思います。
○山本(政)分科員 そうすると、特定疾患というのは、治療法においてもいろいろ困難があるし、原因が不明だということで、したがって難病という名前をつけられておるというわけですね。
○佐分利政府委員 はい、そうでございます。
○山本(政)分科員 そうしますと、更生医療というのは一体どういうふうに理解されるのでしょう。
○翁政府委員 身体障害者福祉法に基づきまして、外部障害といたしましては手なり足なりに欠損のある方々、それから内部障害につきましては、心臓、腎臓または呼吸器の機能の障害が永続する、こういった人、いわゆる身体障害を持っておられる人々に対して、その方々が社会復帰できるために必要な医療を行うことを更生医療としております。
○山本(政)分科員 昭和四十七年六月一日の社会労働委員会で橋本議員それから古寺議員、両議員が質問したのに対して、当時の加藤政府委員がこういう答えをしております。「内部障害についてこのたびじん臓を取り入れる、そのほかにどういうものを考えておるかというお尋ねでございますが、身体障害者に取り入れて更生医療を実施いたしますのには、先ほどちょっとお答え申し上げましたように、何か外科的な医療を加えて、それによって障害が軽減され、そうして社会復帰の可能性が出てくる、そういうものが更生医療としてなじむわけでございます。」こう言っておるわけですが、外科的な医療を加えるということが更生医療ということになりますか。
○翁政府委員 たとえば手足の欠損等につきましてこれを外科的な治療を行うのはその一つの例であろうかと思います。また内部疾患につきましては、心臓に疾患のある障害者の人について心臓手術を行ってこれを更生していただくというのはそれに該当するかと思います。
○山本(政)分科員 特定疾患について四十七年に八つの病気、四十八年に二十の病気、それから四十九年に三十の病気、こういうものが特定疾患として指定されたわけでありますけれども、この中で、つまりそういう意味では外科的な医療を加えてそれによって障害が軽減され、そして社会復帰の可能性が出てこないというふうにごらんになっているわけですか、この点については。
○佐分利政府委員 いまお話しになりました疾患については、むずかしいと考えております。
○山本(政)分科員 そうすると、要するに外科的な治療を講じて、そして症状が固定をするということは、一応患者にとっては安定といいますか、そういうことが得られるわけですね。そうすると、難病の人たちは、そういう外科的な手術というものがないがゆえに、結局は悪くなっていく可能性がある。 せんだって厚生省の方に来ていただきまして、八疾患の治療状況についての資料をいただきました。これはおそらく四十七年度のあれだと思いますけれども、その中で六一・六%の人たちが病状が変わらない、徐々に悪くなる、急速に悪化する、そして死亡する、こういうようなデータが出ているわけです。そうすると、症状が安定をしないというだけではなくて、そういう人たちは多くは、つまり六一・六%という数字でありますから、この多くの人たちは症状が悪くなるというふうに考えていい、それでいいですね。
○佐分利政府委員 多くはとも申せませんけれども、かなりの方々は症状が悪くなったり死亡なさったりなさるということであろうと思います。
○山本(政)分科員 多くとは申しませんというけれども、六一・六%というのは多い数字じゃありませんか。
○佐分利政府委員 その中には不変が入っておると思いますが……。
○山本(政)分科員 不変というのは三九・八%、これは症状が固定しているのじゃないでしょうか。
○佐分利政府委員 はい。
○山本(政)分科員 症状が固定をしておるということになれば、要するにこういう人たちも身体障害者であるということは間違いない。そして症状が固定しておるということになれば、なぜこの人たちに身体障害者の手帳が与えられないのだろうか。
○佐分利政府委員 この場合の不変と、症状が固定しておるという場合とは違うと思うわけであります。病気がはっきりございますけれども、悪くもならない、よくもならない、安定した状況で、まだ治癒とか鎮静固定ではないわけでございまして、この段階では、たとえば一年間では不変でございますけれども、まだよくなったり悪くなったりする可能性があるというグループであろうと思います。
○山本(政)分科員 私の知っておる人で人工腎臓の透析を受けた人がおったのです。三十七歳でした。そして透析を受けながら、やはり去年亡くなりました。ということは、その人が症状が固定をしてなくて人工透析を受けながらだんだん悪くなっていった、こうなるんです。そうすると、その人は症状が固定していると言えるだろうか。
○佐分利政府委員 固定しておるとは申せません。
○山本(政)分科員 そうすると、固定をしていると考えて更生医療を適用するというんじゃないでしょう。
○佐分利政府委員 これは社会局長から御答弁いただいた方がいいかもしれませんけれども、そのあたりになりますと、政策的な判断になってくるのではないかと思います。
○山本(政)分科員 政策的な判断であるがゆえに政策的な判断をして、そうして内部疾患の人たち、慢性疾患の人たちもなぜ政策的にそういうふうに救済をしておやりにならないのか、この点なんですよ。その点いかがですか。
○翁政府委員 身体障害者福祉法に基づきます内部疾患につきましては、先ほど申し上げましたように心臓、腎臓、呼吸器の障害ということでとらえているわけでございます。ただいまたくさんございます難病につきましても、その病状の結果、視覚障害あるいは肢体不自由あるいは腎臓機能障害、こういう障害が固定している状態になっておられる方々については、身障福祉法のいわゆる別表に該当する状態となっておりますので、こういった方々については身障福祉法の適用を現に受けておられるわけでございます。
○山本(政)分科員 つまりそれは、ベーチェットとかスモンとかということではっきり視力というものが障害を起こしたということが確定している場合にはそうなりますね。それではお伺いいたしますけれども、たとえば、肝臓の疾患、これは前に申し上げた四十七年六月の当時に、加藤政府委員のお答えは、肝臓疾患でも外科的な治療が開発されれば、少しはよくなるというようなことがあれば、そういうような場合にはこれは適用するということが考えられる、こうおっしゃっているんです。それで間違いないですかね。
○翁政府委員 腎臓につきましては、先ほどお示しのありましたように、腎臓透析があるわけでございます。私、実は専門家ではありませんけれども、肝臓の障害につきまして、その病域につきましてそういった腎臓透析に等しいような治療方法というものはまだ確立されておるというふうには伺っておりません。
○山本(政)分科員 ですから私がおかしいなというふうに疑問が解けないのは、つまりそういう要するに外科的な手術をやった結果、症状が少しはよくなる、そして社会復帰が可能である場合には更生医療というようなことで救済措置がある。しかし、たとえば仮にいま申し上げた肝臓疾患の場合、そういうものが開発されておらぬとするならば、その人は症状が悪化するほかはないだろう。そうすると、症状が固定するより悪化をされた人の方が、あるいは悪化をされるような傾向のある人の方が大変ではないだろうか。そうすると、その悪い条件の人たちになぜ更生医療という恩典を与えないんだろうか、これが私はわからないのですよ。
○翁政府委員 現在の身体障害者福祉法では、御承知のとおり症状が固定した人々の社会復帰のために必要な医療を更生医療として給付しているわけでございまして、いま先生お示しのそういった意味での難病の非常に重い方、こういった方々は現在難病対策としての原因なり治療方法の究明をしているわけでございますけれども、それとは別個の福祉対策と申しますか、これを身障福祉法の体系で行うかあるいは別途の立場でこれを考えるかということはこれからの一つの検討——これからと言っては少し言い過ぎでございますけれども、われわれが当面しなければならない課題ではないかと考えております。
○山本(政)分科員 更生医療というのをもう一度説明してほしいのです。
○翁政府委員 身体障害者福祉法の「更生医療」のところに「援護の実施機関は、身体障害者が更生するために医療が必要であると認めるときは、その者の申請により、その更生のために必要な医療の給付を行い、又はこれに代えて更生医療に要する費用を支給することができる。」とございます。
○山本(政)分科員 そうですね。そうするとこの十九条には「身体障害者が更生するために医療が必要であると認めるときは、その者の申請により、」と書いてありますね。つまり外科的な手術が必要であるということはどこにも書いてない。なぜ外科的な手術が必要であるということが繰り返し繰り返し言われるのだろうか。ここに書いてありますか。外科的な手術というものは書いてない。医療というものは——その前にそれじゃお伺いしますが、投薬をするということは医療じゃありませんか。
○翁政府委員 おっしゃるとおり、治療の一部でございます。
○山本(政)分科員 そうすると、この医療というのはもちろん手術も含まれるだろうけれども、投薬ということも含まれているというふうになぜ考えられないのだろうか。
○翁政府委員 投薬あるいは手術によって安定したと申しますか一つの症状として永続した姿、固定した姿になることがはっきりと予見できるというものについて更生医療を行っているわけでございます。
○山本(政)分科員 つまりあなたのおっしゃるようなことをやれば、要するに慢性疾患というものは判断のしようによってはことごとく——ことごとくと言ってぼくはいいだろうと思うほど予見できないと思うんですよ。しかし、判断のしようによっては固定をするということが言えるだろう。つまりそれが三九・八%という不変だという数字になって、厚生省の答えになって出てきているんじゃないでしょうか。
○翁政府委員 私、その三九%の内容についてつまびらかにいたしませんけれども、いわゆる特定疾患と申しますか難病のそれぞれの中におけるパーセンテージではないかと思うのでございまして、その点についてはちょっと私……。
○山本(政)分科員 それじゃお伺いしますが、投薬によって病状が固定するという例証を挙げていただきたい。たとえばどんな病気がどういう薬を投薬をすることによって固定をしたかということをちょっと教えてほしいのです。
○翁政府委員 ちょっと私、医療の専門家でないものですから恐縮ですが……。
○佐分利政府委員 たとえば関節炎を起こしまして抗生物資を投与して、関節炎は治りましたけれども、関節が曲がらなくなったという場合がございますが、これが典型的な例ではなかろうかと思います。
○山本(政)分科員 それは明らかに外形的にも障害者と認められるわけですね。
○佐分利政府委員 はい。
○山本(政)分科員 だけれども、肝臓疾患の場合にはどうやって判断するのですか、たとえばの話ですが。
○佐分利政府委員 肝臓疾患の場合には、はっきり申しますと判定の手段もまた治療の手段もまだないと言った方がよかろうかと思います。
○山本(政)分科員 そうすると、内臓の疾患についてはあなたのおっしゃるとおりになるとするならば、救済の方法がないというわけですね。それをはっきりさしてほしいのです。救済の方法がないわけでしょう。
○佐分利政府委員 現行制度ではないということでございます。
○山本(政)分科員 現行制度というのは、どういう法規に従ってないと言うのですか。
○佐分利政府委員 予算措置としてやっておりますのが特定疾患対策でございますし、また児童局の育成医療、また社会局の更生医療その他療育医療等ございますけれども、そういった法に基づくものあるいは予算措置によるもの、そういった現在の制度で、国の制度としてはめんどうを見てないということでございます。
○山本(政)分科員 だから私が申し上げているのは、現行制度という中で予算措置ということはわかりますよ。しかし法的にというあなたのおっしゃる法的な根拠というのはどこにあるのですか。
○佐分利政府委員 たとえば更生医療でございますと身障福祉法に規定がございますし、育成医療であれば児童福祉法に規定があるという意味でございます。
○山本(政)分科員 身障者福祉法にはこう書いてありますよ。十九条の三項に「更生医療の給付は、左のとおりとする。」といって、「診察」「薬剤又は治療材料の支給」というのがあるじゃありませんか。「病院又は診療所への収容」「看護」「移送」、そういうのがあって、そして手術というものがある。これだけですよ。そういうことを内臓の慢性疾患の患者に適用していかないという法は何もここに書いてないじゃないですか。そうすると、法の解釈としては、ぼくは救済措置をするのが法の精神であると思うんですよ。しかし、かたくなにあなた方はそういうものを適用されようとしていないじゃありませんか。そうするとこういうことになりはしませんか。特定疾患というものは原因不明で後遺症がある、そして慢性だ、そして介護の手当てがある、物心両面で大変苦労されている、こういうことなんですね。これが一つ。そして心臓病とか腎臓病とか結核というのは、要するに外科的な措置を講ずることによってそういう症状が固定をする、こういうことです。ところが特定疾患の場合は、多くの場合が症状が固定するのではなくて、なお一層悪くなる、こうなるわけです。なぜならば原因が不明なんですから。だからあなた方は特定疾患ということの対象にしたわけでしょう。そうでしょう。そして更生医療というものは、あなた方のおっしゃり方をするならば、要するに外科的な治療開発というものを進めなければならないということになったら、救済措置というものはないじゃありませんか。そういうように特定疾患に規定をされた人たちというものは、つまり、逆に特定疾患に規定されるがゆえに、ある意味では追いやられてしまうということになるのじゃありませんか。そうじゃないでしょうか。
○佐分利政府委員 更生医療の問題は別でございますけれども、たとえば、ほかの身障福祉法の適用の面で見ますと、ベーチェットだとかスモンで視力が落ちて失明すれば、それが固定の状態になれば身障福祉法でお世話をしておるわけでございますから、特定疾患になれば身障福祉法から追いやられるということはないと思います。
○山本(政)分科員 あなたは逃げておられるのですよ。ベーチェットの人たちにしたってスモンの人たちにしたって、症状が固定をするというのは、最終的には盲目になるということなんですよ。そうじゃありませんか。一歩譲っても、要するに視力の障害度によって規定をするということだけでしょう。だから、スモンとかベーチェットとかいうのは明らかに障害の程度というものが外見的にわかるということなんですよ。だけれども、内臓疾患の場合にはわからないじゃありませんか。私がお伺いしたいのは、わからないからといって放置をしていいのかということです。それだけなんですよ。ベーチェットは、あなた方の言うように救済をされる。たとえば、視力というものがある程度進んでいく段階ごとに障害等級があるわけですから、救済される。これは外見的に見えるわけですから。だけれども、外見的に見えない、しかしそういう病で苦しんでいる人たちは、そこに救済の方法がないじゃありませんか。ベーチェットとスモンだけを例に出してやることは問題を避けて通っていることですよ。それじゃ、ほかの病気はどうなるのですか。つまり特定の、外から見える病気だけをもって全般をカバーすることはいけませんよ。ほかの病気はどうなりますか。明らかにここには手術以外に、要するに投薬をしてもいいんだ、そして局長のお話のように投薬もまた治療であるというのなら、この十九条の三項というものはぼくは救済規定だと思うのですよ。なぜそれが適用できないのだろうか。きのうも説明をいただきましたけれども、何としてもぼくはそれがわからないのですよ。
○翁政府委員 身障福祉法で申しております更生医療の適用を受けられる方々というのは、この法律に基づく別表によって規定しているわけでございます。別表で決めておりますのは、一つは外形的な廃疾の状態にある人、それからもう一つは、先ほど申し上げました内臓で特定の部位が冒されている人で、社会復帰についての可能性のある症状の固定した人というように規定をしているわけでございます。ただ、先生お示しのように、こういったいわゆる難病にかかっておられる人が現在受けておりますのは、いわゆる原因の究明であり、同時に治療方法の開発ということに主力が注がれているわけでございまして、それ以外の医療あるいは福祉にわたる措置というものが現在においてのわれわれの課題であると考えているということを申し上げているわけでございます。
○山本(政)分科員 あなたのおっしゃるこの別表をごらんなさいよ。別表を見れば全部外形的に判断ができるというものが一つ、もう一つは手術によって、たとえば心臓病なら人工弁をつけるとか、腎臓の場合には人工透析を受けるようにそこに機械をはめ込むとか、そして結核の場合は気胸をやるとかというようなことがはっきりと判断できるものがあるわけですよ。だけども、いま申し上げたような内臓疾患の方々は判断のできないものがあるでしょう。現実に判断できないのです。あなた方は予断ができないとおっしゃっている。予断ができないから、要するに捨て去るのか救済をするのか、そのことだけなんです、私の申し上げるのは。これは大臣にその精神というものをお伺いしたいのです。予断ができないのだから、切り捨て御免になるのかあるいは救済をなさろうとするおつもりがあるのか、この点をひとつお伺いしたい。
○田中国務大臣 私もこの方面は率直に言うて余り詳しくございませんが、身体障害者福祉法における更生医療というのは、さっき公衆衛生局長が申したようなものを典型的に頭に描いてやったことは間違いないだろうと思うのであります。ところがこの法律の条文を読みますると、これをさらに敷衍することが可能であるかのごとき文言になっているわけでございますが、一体これをどう扱うかということは今後の研究課題だろうと思います。 総じて言うならば、更生医療、難病の特定疾患、そして児童局系統の育成医療、療育医療というのがそれぞれの形でそれぞれに制度が発足をし、今日になってみますと、どうもそれぞれの連絡なりあるいは横の対照というものが不十分であり、また、いろいろと問題が浮き彫りにされてきているような気が私はいたすわけであります。これについてはもっと綿密な検討をしなきゃならぬものだというふうに、先ごろ以来の集中質問等々で私は感じておったところであります。
○山本(政)分科員 大臣も局長もよく聞いていただきたいのは、身体障害者福祉法の第二条に「(更生への努力)」というのがあるんですよ。で、身体障害者というのは、内臓疾患の方も身体障害であるということは間違いない事実です。そうすると「すべて身体障害者は、自ら進んでその障害を克服し、すみやかに社会経済活動に参与することができるように努めなければならない。」という一項があるんですよ。そして、いま申し上げた特定疾患の人々と身体障害者福祉法によって適用されている人たちとでは、そういう面では恩典に大きな差がある。つまり、後者の方があるかに手厚いわけでしょう。とすると、その特定疾患の人たちに対してもう少し配慮があっていいと私は思う。そして身体障害者というのは、そういう意味では外部的に判断ができる人たちだけではなくて、内部的に、局長のおっしゃる意味では予断ができない人たちも当然含まれるべきだ、こう私は思うのですよ。身体障害者福祉法というのはそんなに小さなものだろうか。私は、身体障害者福祉法というのは文字どおり身体障害者に対する福祉だ、そのことに関する法律だと思うのですが、そうすると、当然そういうことに対して適用の拡大というものを考えていいはずだ、こう思うのですよ。そしてそのことに当然努力をするのが皆さん方の任務だと私は思うのですが、もう一ぺん大臣にお伺いいたします。
○田中国務大臣 身体障害者福祉法の福祉の対象になっているものについては、従来の考え方はおおよそ先生と御案内のとおりのものであります。しかし、これがだんだんと内部疾患等に敷衍をしてまいったことも歴史の示すところでございまして、こういったような状況を踏まえてこの種のものをどう扱うかは、今後の検討課題だろうと思います。
○山本(政)分科員 大臣、くどいようですが、いま申し上げたことに対してひとつぜひ前向きでお考えを願いたいと思うのですが、いかがでしょう。
○田中国務大臣 慎重に検討いたしたいと思います。
○山本(政)分科員 慎重というのはわからないのですよ。慎重というのは往々にして後ろ向きの態度である。いま申し上げたように大変な格差があるわけなんですよ。そして身体障害の手帳を受ける受けないによっては、特定疾患の人たちはそのまま切り捨て御免になるという可能性もあるのですよ。いかがでしょう。
○田中国務大臣 非常に沿革のあるものであり、技術的な問題もございますので、私としては慎重に勉強いたしたいということでございまして、決してあしかれと思っているわけではございません。
○山本(政)分科員 終わります。
○三ツ林主査代理 これにて山本政弘君の質疑は終了いたしました。 次回は、明二十六日午前十時から開会し、厚生省所管について審査を行います。 本日はこれにて散会いたします。 午後七時五十一分散会