予算委員会第三分科会 第1号
- 発言数
- 312 件
- 登壇者
- 38 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1975/02/24
会議録
○野田主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。 私が本分科会の主査を勤めることになりましたので、何とぞよろしくお願い申し上げます。 本分科会は、昭和五十年度一般会計予算中、厚生省所管、労働省所管及び自治省所管、並びに昭和五十年度特別会計予算中、厚生省所管、労働省所管及び自治省所管について審査を行うことになっております。 本分科会の審査日程につきましては、お手元に配付いたしております日程表により審査を進めてまいりたいと存じます。御了承をお願い申し上げます。 昭和五十年度一般会計予算及び昭和五十年度特別会計予算中、自治省所管を議題といたします。 この際、政府から説明を求めます。福田自治大臣。
○福田(一)国務大臣 昭和五十年度の自治省関係歳入歳出予算につきまして、概要を御説明申し上げます。 第一に、一般会計予算でありますが、歳入は三千五百万円、歳出は四兆五千二百八十八億八千五百万円を計上しております。 歳出予算額は、前年度の予算額四兆二千九百二十二億二千五百万円と比較し、二千三百六十六億六千万円の増額となっております。 また、この歳出予算額の組織別の額を申し上げますと、自治本省四兆五千百九十六億五千三百万円、消防庁九十二億三千百万円となっております。 以下、主要な事項については、委員各位のお許しを得まして、説明を省略させていただきたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。
○野田主査 この際、お諮りをいたします。 ただいま福田自治大臣から申し出がありました自治省所管関係予算の重点事項につきましては、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野田主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 ————————————— 〔福田(一)国務大臣の説明を省略した部分〕 以下、この歳出予算額のうち、主な事項につきまして、内容の御説明を申し上げます。 最初に、自治本省につきまして、御説明を申し上げます。 まず、地方交付税交付金財源の繰り入れに必要な経費でありますが、昭和五十年度は四兆四千八十六億四千万円を計上いたしております。 この経費は、昭和五十年度の所得税、法人税及び酒税の収入見込額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額の合算額を交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるために必要な経費であります。 次に、臨時沖繩特別交付金の繰り入れに必要な経費でありますが、二百九億円であります。 この経費は、沖繩県及び同市町村に交付する必要があると見込まれる地方交付税交付金の財源の一部の交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れに必要な経費であります。 次に、選挙に関する常時啓発に必要な経費でありますが、十一億円を計上いたしております。 この経費は、選挙をきれいにするための国民運動を展開するとともに、常時、選挙人の政治常識の向上を図るための啓発に要する経費について、地方公共団体に対し補助する等のために必要な経費であります。 次に、交通安全対策特別交付金に必要な経費として、四百九十五億九千五百万円を計上いたしております。 この経費は、交通安全対策の一環として、反則金収入に相当する金額を道路交通安全施設に要する費用に充てるため、都道府県及び市町村に対し交付するために必要な経費であります。 次に、小災害地方債の元利補給に必要な経費でありますが、八億二千万円を計上いたしております。 この経費は、昭和四十年以降昭和四十九年までに発生した公共土木施設及び農地等の小災害に係る地方債に対する昭和五十年度分の元利償還金の 一部に相当する金額を地方公共団体に交付するために必要な経費であります。 次に、新産業都市等建設事業債調整分の利子補給に必要な経費につきましては、五十七億一千七百万円を計上いたしております。 これは、新産業都市、工業整備特別地域等の建設、整備の促進を図るため、建設事業債の特別調整について利子補給金を交付するために必要な経費であります。 次に、地方公営企業再建債の利子補給に必要な経費でありますが、五十億四千三百万円を計上いたしております。 これは、地方公営企業の再建を促進するため、再建企業を経営する地方公共団体が起こす再建債について利子補給金を交付するために必要な経費であります。 次に、再建公営路面交通事業のバス購入費の補助に必要な経費でありますが、二十一億五千九百万円を計上いたしております。 これは、再建を行う公営路面交通事業を経営する地方公共団体に対する当該事業のバス購入費の補助に必要な経費であります。 次に、公営企業金融公庫の補給金に必要な経費でありますが、十三億八千八百万円を計上いたしております。 これは、公営企業金融公庫の水道事業、下水道事業、工業用水道事業、交通事業、市場事業、電気事業及びガス事業にかかる貸付利率の引き下げのための補給金を同公庫に交付するために必要な経費であります。 なお、このほか、同公庫につきましては、出資金を増額するための経費三億円が大蔵省所管産業投資特別会計に計上されております。 次に、公営地下高速鉄道事業助成に必要な経費でありますが、八十一億七千九百万円を計上いたしております。 これは、昭和四十六年度末における公営地下高速鉄道事業債に係る支払利子に相当するものとして発行を認める企業債の利子相当額について、地方公共団体に助成金を交付するために必要な経費であります。 次に、公営病院事業助成に必要な経費として、九億四千万円を計上いたしております。 この経費は、昭和四十八年度末における公営病院事業の不良債務の範囲内で発行を認めた公立病院特例債の利子について、地方公共団体に対し、助成金を交付するために必要な経費であります。 次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に必要な経費につきましては、八十六億円を計上いたしております。 これは、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し、助成交付金を交付するために必要な経費であります。 次に、施設等所在市町村調整交付金でありますが、三十二億円を計上いたしております。 この経費は、特定の防衛施設が所在することに伴い税財政上特別の影響を受ける施設等所在市町村に対し、調整交付金を交付するために必要な経費であります。 以上が自治本省についてであります。 次に消防庁についてご説明申し上げます。 まず、大震火災対策に必要な経費として、十二億七千万円を計上いたしております。 この経費は、大震火災の発生時における住民の避難及び初期消火に必要な施設の整備に対する補助、空中消火の実用化を推進するための飛行艇の改装並びに防災知識の啓発宣伝に必要な経費であります。 なお、空中消火用飛行艇の改装は、昭和五十年度、昭和五十一年度の両年度にわたりますので、国庫債務負担行為四億四千万円を計上いたしております。 次に、石油コンビナート地帯防災対策及び林野火災対策に必要な経費として、一億六千七百万円を計上いたしております。 この経費は、石油コンビナート地帯における防災体制の整備に資するため、防災資機材の整備に対する補助及び石油コンビナート地帯の防災診断、消防機関が行う防災対策に対する技術援助に必要な経費並びに林野火災用資機材の整備に対する補助に必要な経費であります。 次に消防施設の整備に必要な経費として、六十億九千七百万円を計上いたしております。 これは、消防ポンプ自動車、防火水槽、はしごつき消防車、化学消防車及び消防吏員待機宿舎等消防施設の整備に対して補助するのに必要な経費であります。 以上のほか、消防防災無線通信施設の整備に必要な経費として五億五千万円、救急業務協力推進費補助に必要な経費として八千万円、活動火山対策に必要な経費として五千九百万円を計上しております。 第二に、特別会計予算につきまして、御説明を申し上げます。 自治省関係の特別会計といたしましては、大蔵省及び自治省所管交付税及び譲与税配付金特別会計がありまして、この特別会計の歳入歳出予定額は、四兆八千三百十三億四千二百万円となっております。 歳入は、地方交付税交付金、臨時沖繩特別交付金及び借入金等利子の財源に充てるための一般会計からの受け入れ見込額、地方道路税の収入見込額、石油ガス税の収入見込額の二分の一に相当する額、航空機燃料税の収入見込額の十三分の二に相当する額、自動車重量税の収入見込額の四分の一に相当する額、特別とん税の収入見込額等を計上いたしております。 歳出は、地方交付税交付金、地方譲与税譲与金及び借入金の償還財源等の国債整理基金特別会計への繰り入れ等に必要な経費であります。 以上、昭和五十年度の自治省関係の一般会計及び特別会計予算の概要を御説明申し上げました。 よろしくご審議のほどお願い申し上げます。 —————————————
○野田主査 以上をもちまして、自治省所管についての説明を終わりました。 —————————————
○野田主査 この際、分科員各位に申し上げます。 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。 なお、政府当局におきましても、答弁はでき得る限り簡潔明瞭にお願いいたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
○大出分科員 三十分という大変短い時間でございますから、端的に承りたいのです。なお、いま新聞紙上等で取り立てて大変やかましい議論になっております地方財政の硬直化に伴いましての人件費の問題等々につきましては、きょうも少しは触れますが、改めて私の委員会で少し長い時間をかけてやりとりをしたいのであります。この間、まあお忙しいところだからやむを得ぬのですけれども、給与課長さんしかお見えいただかなかったわけでございまして、公務員部長さんも財政局長さんもお出にならぬ。元凶があらわれぬものですから議論がいたしにくかったわけでございまして、この次は必ず御出席をいただきたいのであります。できれば大臣もお運びを願いたいわけであります。 そこで、まず第一に、ここに二月十五日の朝日新聞がございまして、これによりますと、皆さんが四十九年度の調査を横浜市に求めて、資料を出せとこうおっしゃっている。これは例年やっておりますが、四十八年には悉皆調査がございました。五年に一ぺんずつ悉皆調査をやっている。個表と集計表とこう出しているわけですね。昨年は集計表だけであります。にもかかわらずここで「職員給与で“ミス報告”横浜市 実際より低く算出国との格差問題を重視 自治省が厳重注意」を与えたとこうあります。 中身を見ますと、ラスパイレス——これは横浜市がコンピューターではじいたものを自治省に送る。そこから先の処理は皆さん勝手におやりになる。料理は皆さんがおやりになる。そこまでは横浜市は責任がない。だがしかし、ここで自治省がお出しになった指数が四十八年は一二二上であった。人件費の問題であります。これが四十九年は一一八・三ということで、一年間で三・八%減少した。これは虚偽の報告である、ミスの報告である、したがって自治省は横浜市に厳重注意をしたと、こういうのです。ここに書いてあるのを読んでみると、横浜市がごまかしたとこうなっている。これは、選挙もまいりますし、二百五十万の市民を抱えておりますから、これは市民に対して、横浜市当局、行政長官たる市長の大変な責任問題であります。放任ができない。いろいろな党の方々がこの点を取り上げて物を言う。ほうっておけない。そこで、皆さんの中で一体だれが横浜市に厳重注意をなさったのか。だれが一体ミス報告とおっしゃるのか。だれが虚偽の報告とおっしゃるのか。属人的にどなたが言ったのか、はっきりしてください。
○植弘政府委員 ラスパイレス指数につきましてはまた詳しく御説明するときもあるかと存じますが、(大出分科員「そんなものはわかっているからいいです」と呼ぶ)はい。やはり毎年出しておりますと各団体ごとにいろいろと変動がございます。もちろんこれは一〇〇%ということは申しておりませんが、そこであまり前年との格差が大きいような場合には、どこか事務上の間違いがあるのではないかという点検をいたしておりますが、そういう意味で、横浜市の場合に三・幾らも減ったということについては、その原因が何であるか、たとえば非常に新陳代謝をたくさんやったとか、いろいろなことがあるだろうと思います。そういうようなことを聞いて事務的なミスがないかどうか、そういうのを点検する。そしてラスパイレスの正確性といいますか信憑性を高めたい、こういう意図でやったものでありまして、特にここの新聞で書いているような厳重注意といっても、私自身も覚えがございません。
○大出分科員 異なことを承るわけですが、これは自治省が厳重注意と書いてある。言ったことはないとおっしゃる。そうすると財政局長も——この間給与課長さんは、ワーストフォーというのが一つある、それから虚偽の報告、ミス報告したというのがある、あなたは言ったのかと言ったら、給与課長以下給与課はそういうことを言ったことはないと言う。給与課長さんが言っていなければ、あとは公務員部長さんか財政局長さんか大臣かしかない。いまあなたが、言ったことはないと言う。だれが言った。言ったことがないのに新聞が書くことはないでしょう。朝日新聞の記者の方もおいでになるはずで、新聞がそんなでたらめ書きますか。あなた方は新聞をそんなに信用しないのか、新聞記者の方を。言わないのにこんなに大きな記事になりますか。中身を読んでごらんなさい、そんなことを言うなら。自治省が言ったと書いてある。だれが言ったのか。大臣にひとつ承りたい。大臣の責任においてはっきりしてください。こんなことを書かれて迷惑千万なんだ。
○福田(一)国務大臣 いまの御質問でございますが、われわれの方ではだれもそういうことを申し上げた覚えがない。私も申し上げたことはございません。そうすれば、新聞の方でどうその表現をおとりになったかという問題であって、その問題まで立ち入ってわれわれとして責任を負うわけにはまいりません。
○大出分科員 立ち入って責任を負うわけにはいかないと、こうおっしゃるのですが、ここには、自治省が横浜市からこの数字をとった、とったら昨年一二二・一であった指数が一一八・三ということになった、したがってこれは自治省によれば虚偽の報告である、それで横浜市を呼んで厳重に注意を与えた、横浜市はミスを認めたとはっきり書いてある。だれが注意を与えたのですか。大臣はおっしゃらぬと言うんだが、言わない、そこまではわかった。だれもおっしゃらない。虚偽の報告だのミス報告だのおっしゃらない。じゃ、これは注意を与えたと書いてあるんだが、一体厳重注意というのはだれが与えたのですか。
○植弘政府委員 先ほどのお答えでも申し上げましたように、毎年相当の変動がある場合にはどこか事務的なミスはないのかということはお互いに注意をし合うわけであります。そういう意味においての事情はどうであったかと聞きまして、そして事務的に一般的に行われておる方法と違っているところがあれば、これから注意してくださいというのは、これは行政指導としてあたりまえでありまして、私ども知りませんというのは、特に何か厳重注意したとかいったようなそういう事実がないということであります。
○大出分科員 私の方は非常に慎重でございまして——横浜市の方々に出てこいと言う、三人お伺いしましたよ。おたくの方の出席者も全部ここにございます。やりとりも全部これは速記的にメモをとっておる。全部わかっている。厳重注意もヘチマもない。 あなたはラスパイレスを後から申し上げるとおっしゃったが、そんなことは、私も給与を十二年もやっているので、官公労事務局長から勘定すれば昭和二十四年からやっているのです。人事院ができる前からやっているのだから、あなた方御存じのとおりじゃないですか。年齢が高い高いと言うけれども、私が官公労事務局長になったときに地方公務員法ができた。鈴木俊一さんが自治省においでになったころですよ。六大都市には当時は退職者の定年制条例があった。ところが地方公務員法によれば法律によらなければ首は切れぬことになっている。私が文書で鈴木俊一さんに手渡したのです。法律によらなければ首は切れない。一体定年制条例というのは地方公務員法に照らして適法か。御回答いただいた。適法でございませんから全部取り崩させますと言って六大都市の定年制条例は取り崩した。なくなった。そこから私は皆さんにつき合っているのだから。これは定年制法案をあなた方が出したときに当時の長野行政局長相手に私は質問した。野田武夫さんが大臣であった。その事実をお認めになった。かくて定年制法案は通らなかった。そうでしょう。知らないのじゃない。ラスパイレスなんという問題は、おたくの方で一番詳しいのは課長補佐でしょう。山崎さんでしょう。山崎宏一郎さん。地方公務員の給与水準についてラスパイレス指数をどう見るか、全部説明なさっている。四に「ラスパイレス指数の限界」とここにある。出発点のとり方、インプットしているコンピューターの入方が違っていれば正確に出ないことは明らかに本人が認めでいるじゃないですか。そうでしょう。しかも、この忙しい世の中に——人口が私が三十八年に衆議院に当選したときに百六十万市民、十二年間やっている間にいま二百五十万市民ですよ。そういう人口急増都市で、行政的にはサービス行政だからいたし方ない。いろんなことをせざるを得ない。やむを得ない。東京都で部民税を払って横浜へ来られた。市民税も払っていないうちから道路を直せ、下水を直せ、学校を直せとおっしゃるのだから。そうでしょう。だから、忙しい世の中におっしゃられるから忠実に出しているのだが、コンピューターのインプットの方式を全部変えるなんといったら半年かかる。いきなりできやしません。四十六年も四十七年も四十八年も四十九年も同じ方式で自治省に御回答申し上げている。何にも変わっていない。コンピューターがはじいている。それをミス報告だの、ちょうちんだの、虚偽だの、給与が高いの、ごまかしたの、もってのほかです。知らないわけはありません。ちゃんと全部書いてあるのだから。あなたより詳しい。 そこで的確にこれは大臣にお答えいただきたいのですが、「自治省給与課での質疑応答(雑談形式での話し合い)」。五十年一月十四日午前十時から十一時までちょうど一時間。自治省給与課の部屋。自治省の給与課の課長補佐山崎さん、ベテランです。権威者です。浦山係長さん。本市、つまり横浜市ですが、杉本労務係長、石井定数係長。定数は石井君がやっている。定数係長。内山労務係員。これはちゃんとメモをとっている。そして、先週山崎課長補佐から東京事務所に電話があり、来週中に調査の件で事務的な話し合いをしたいのでおいでいただきたいという連絡がございました、したがって三人で出かけました、とある。そこで、 横浜市の学歴区分はどのようにしておりますか。石井定数係長 本市の学歴区分は八区分になっております。 山崎さん 八区分に入らない学歴取得者があった場合にはどうされますか。一番近い学歴区分に入れております。この場合修学年数差は経験年数調整をいたしております。 当然なことです。ああそうですかとわかっておる。 山崎さん 基準学歴はどのようにとらえておいでになりますか。 本市の場合、採用時に高率であった者が在職中に夜間の大学を卒業した場合には、大学卒扱いとしております。 ここに一つ問題がある。この三年間で横浜市の皆さんが対象にする一般行政職は九千人しかいない。二万何千人いるけれども、技能労務だ、何だ、看護婦さんだ、教員だというのは抜きますから、九千人しかいない。わずかに九千人。この中で大学を卒業して資格をおとりになった方が千四百人いるのですよ。ところが、自治体と国の官庁の違いは、国の場合は国家公務員の上級職試験式の試験をやって、通らなければ大学卒という格づけはしない。あくまでも高校卒でいっている。これは矛盾があります。横浜市のような場合には、大学を卒業するときには大体たとえば国で言えば新高卒は八等級の三号が初任給でしょう。そうでしょう。八等級の三号、新給与で言えば五万九千二百円。そうすると大学を卒業するまでには大体八等級の七号になっちゃっているのです。なっちゃっているから、大学を卒業したらいきなりそこで資格に組み入れるのですよ。九千人の中で千四百人三年間で大学を卒業していれば、最終学歴という報告をすれば当然大学卒の比率がふえるのはあたりまえでしょう。これはラスパイレスの限界ですよ。そうでしょう。しかも港高校という学校が横浜にある。専攻科というのがある。教育課程から言ってこれは短大と同じなんです。卒業した方がこの三年間に六百人ぐらいおりますが、この方々を短大卒にしているのはあたりまえですよ。横浜という町の学校の特殊な事情で、港高校の専攻科というのは年限から言って短大と同じ学歴を持っていい。だから横浜市はそれは短大卒にしている。ここに問題がある。この点は皆さんお認めになっている。その説明をしている。 ところでまた、上位の等級に昇格する場合、大卒の方が早く昇格することができるようになっております、国家公務員のように上級職試験みたいなことをするのじゃないのだから。そんなことは義務づけられちゃいないですよ。この場合、いま私が申し上げるように、大学を卒業すればそこまで行っちゃっているのだから、給与の格づけ変更は行っていない。そこから先は入っていきますよ。だから、そのために給与は上がっているのじゃないのですよ。つまり格づけはしていないのだから。ただ、大学卒という資格は与えている、将来大きく影響しますから。おわかりになると思いますよ。 山崎さん 給与実態調査上の学歴は基準学歴でお願いをしたいのですが。本市は電算機上最終学歴しか入っていないのです。 四十六年も、四十七年も、四十八年も同じように報告しているのです。これをやりかえると言ったら大変な時間がかかるが、それをやっていただきたいとおっしゃられるのなら、本年の八月ごろを目途にそれは全部やりかえます、御協力しますと横浜市は言っている。わからぬ話を言っているのじゃない。ずっとそういう報告をしてきたのだが、ここを山崎さんが変えてくれとおっしゃるなら変えましょうというわけです。それはぜひそうしてくれと言っている。 今年は無理であれば来年からで結構でありますと山崎さんは言っている。調査の趣旨に沿った方法でやってもらえるのですか、どうかひとつ事務的な引き継ぎをよくやっておいていただきたい。 これは人がどんどんかわるから。逆に頼まれたわけですよ。 横浜市の定数係の 石井さん 市は国と異なり学歴差を設けていないので違います、また国と地方自治体とのラスパイレス方式による給与較差の発表が行われておりますが、この比較は経験年数と学歴の二つの要素による比較だ これしかない。年齢は入っていないのです。そうなると構成が違っちゃう。だから、大変に粗い比較でございますと、こう言っている、指摘しているわけですよ。おたくの課長補佐の 山崎さん 自治省としても日本の賃金形態が年功序列型賃金であることにかんがみ、人事院が行っている年齢要素を加味した比較を今後検討していきます。 横浜の提言に対して賛成されている。人事院は年齢をとっている。国家公務員の給与というのはあなた方が調べているのじゃないのですよ、所管が違うのだから。人事院がやっているのですよ。人事院のには年齢要素がちゃんと入っているのですよ。学歴、経験年数、年齢、あなた方のは年齢がない。正確じゃないじゃないですか。だから粗いと言っている。そうしたら自治省の山崎さんは、専門家ですよ、自治省もそういうふうにしていきたいと言っている。横浜市の課長 杉本さん ラスパイレス方式は、国家公務員のうち局長クラスが指定職俸給表に入っており、比較の対象からはずれているのは疑問がある。 高いところはみんなおたくのほうは指定職をはずしちゃっている。これも指摘している。 長くなりますから省略しますが、そこで横浜市の 石井定数係長が 本来の比較は年齢、学歴、経験年数及び補職等級の要素を組み入れた比較でなければ純粋な総合比較はできません。 横浜市にだって専門家はいるのですから……。おたくの 山崎さん 四十八年、四十九年に自治省で出したラスパイレス指数が横浜市では四十八年一二二・一、四十九年一一八・三と、三・八落ちている。 だから実は事務的な御相談をしたかった。だから言ったんだ。意図的にやったのではなく、本市の学歴区分の取り扱い上そうならざるを得ない、なるのだ。 と説明している。さっき私が申し上げましたように大変な違いがある。これは大臣からでも御答弁いただきたいのだが、全部自治省がやっておるおたくの表です。コンピューターに入れておられる表。これは自治体が出す個表というものです。個表、集計表、これは皆さんの表全部、一つ残らずここにある。時間がないからずばっと言いますが、これによると、皆さんは行政職として十六万一千五百五十三名を対象にしている。これはおたくの表だから間違いない。一般行政職をとっている。ほかみんな抜いているのだから、指定職は入ってない。あなた方の調査は一六万一千五百五十三名を対象にしている。ところがこの中で大学卒という資格を持っているのはわずかに二万六千三百九十四人しかいない。十六万人のうちの二万六千しか大卒はいない、あとは全部高校卒になっている、皆さんの調査は。つまり夜間大学を卒業しても、国家公務員は試験に受からなければ格づけができないからですよ。自治体はそういう規定がないから、そのまま大学卒の資格を与えているわけですよ。最終学歴を調査すれば全部大卒に出る。あたりまえでしょう。だから、皆さんの場合には、国家公務員は一四%しか大学卒はいない。横浜は三三%から三四%大学卒です。短大卒も圧倒的に多い。港高校の専攻科等を出た人はみんな短大に格づけしているから……。給与の方は変わりません。だから、最終学歴というとり方をすれば差が出てくるのはあたりまえじゃないですか。 とりあえずここらあたりにいたしますが、この辺のことかわからぬで——あなた、これはちゃんと速記とってあるのだから、やりとりは明確になっている。にもかかわらず虚偽の報告だのミス報告だの横浜はミスを認めただの、いいかげんにしなさい。選挙を目前にしているのに、あなた、行政長官の市民に対する責任があるじゃないですか、大臣。何ですか、この新聞記事は。そこから先は責任を持たぬと自治省が言ったとここに書いてあるじゃないですか。一体だれが言ったのだ。御答弁願います。
○植弘政府委員 いま先生からるる御説明いただきましたように、私御答弁申し上げたように、事務的に変動しているのはどういう事情かということを聞いたわけでありまして、その速記、まさにそのとおりなのでございますから、そこで「厳重注意」ということになってくると、大臣以下存じませんということになりますと、そこは、ちょうどその場に記者さんでもお見えになって、そこらのやりとりをどのように御判断になったか、それはわかりませんが、少なくともはっきりしておるわけでございますから……。 それからもう一つ、ラスパイレスのやり方等につきまして種々御教示いただきましたが、そこらのところは、先生もいま御指摘のように、私ども十分わかっておるつもりでありまして、ラスパイレスそのものが一〇〇%ということは一度も申しておりません。やはり給与管理といいますか人事管理の大きな指標だという立場で指導しておるわけでございます。
○大出分科員 何も統計というのはラスパイレスだけじゃない。パーシェだってフィッシャーだってある。だから中にはあなた方はパーシェを使っているところだってある。その方が高く出る場合があるからですよ。これはかつて労働省の次官で公労委の事務局長をやっておられた富樫さん、統計の大家ですよ。私は富樫さんとさんざんやりとりしたこともある。そんなことは知らぬわけはない。ラスパイレスにも限界があるのですよ。しかもこれは諸元の入れ方で違っている。 そこで私は承りたいのだけれども、横浜市の人件費比率というものは予算の全体に対して五〇・九。それは地方財政、県と市は違う。違うけれども、神奈川県だって、財政に対しては人件費比率は五四%なんですよ。寄ってたかって革新市政がけしかるのけしからぬの言われたら迷惑なんです。保守県政だって、至るところ、高いじゃないですか。滋賀県なんか見てごらんなさいよ。財政の伸び率は来年度三%しかないと見ている。武村という革新知事はぶっつぶれる会社に行った再建社長みたいなものだ。ひどいものだ。そんなことを言えば、だれがやったのだ。ここに私は、横浜、大阪、川崎、東京、名古屋、神戸、福岡、札幌、北九州、京都から相始まりまして、厚木、海老名、大和、平塚、茅ケ崎、横須賀、相模原、秦野、逗子、小田原、全部ラスパイレスでとったものを持っている。革新が革新がとおっしゃるが、迷惑千万。こういうことは政治的にからめちゃいけませんですよ。これは保守政党と言ったって——横浜はライパレスで、国家公務員を一〇〇とすると、正確ではないけれども、ぼくら専門家なんだから、あなた方もそうだ、このくらいのことは勘だってある程度わかる。初任給が幾らで、個表で見ていけば、そんなことはわかります。ただ勘じゃ勝負にならぬから、統計数字を出さざるを得ないわけでしょう。これは山崎さんのこれにも書いてある。専門家なら勘でわかると書いてある。あるが、それだけじゃうまくないからラスパイレスを使っているのだと言っている。間違いもある。そうでしょう。そうすると、横浜市は、昭和四十八年は確かに一二二・一だった。四十九年は一一八・三なんだ。一一八・三に対して、厚木というのは一二六・一ですよ。そうでしょう、給与というのは高い方は高いのだ、このラスパイレスを正しいとすれば、海老名は、去年が一二六・一で、ことしは一二三・三、はるかに高い。大和一二二・八、平塚一二五・〇、茅ケ崎一二三・三、みんな高い。相模原一二一・六、昨年の横浜市よりみんな高いです。革新だ保守だと言ったって、これはみんな保守なんだから。問題はそういうわけにはまいらぬのですよ。 そこで、私はあなた方にお認めをいただきたい。というのは、自治省がお調べになったものをもとにして計算をしても、指定都市というものは——悉皆調査、全部調査するのは五年に一遍でしょう。そうすると、昭和三十八年、指定都市の平均でいきますと、国の一〇〇に対して一三四・二あったのですよ。大変高かった。高い高いと大騒ぎになった。私がちょうど国会に出てきたとき、地方行政委員会まで行って私は質問したことがある。四十三年の四月、このときも——実は不況になると必ず地方公務員の人件費が高いとこう言う、その原因は政府にあるのに。そうでしょうが、公営交通だってそうでしょう。公営交通それ自体の原因でない、外郭の七つの理由が赤字の原因と認めておられる。そこで四十三年四月、一二四に落ちた。五年経った四十八年四月、一一六・二に落ちている。四十九年の四月一一六・一に落ちている。四十三年のやりとりで、これは柴田財政局長のときに地方行政委員会に行って、私は出かせぎ出張質問みたいなもので、細かく質問していったら反論がないから、なければ自今高い高いとおっしゃるな。ただしかし、これはできるだけ縮小していくのが行政長官の義務だ。だから、私は指定都市についても、六大都市についてもそれは言うた。一生懸命苦労して落としてきているのだ、直接住民相手にしているのだから、どこだって行政機構は拡大しかねない、国とは違う、サービス行政なんだから。それをどこでコントロールするかが問題点なんだから。ずっと下がってきているわけでしょう。努力しているこの現実をお認めにならぬですか。いかがでございますか。
○植弘政府委員 三十八年からずっとラスパイレスの比較を見ますと、ラスパイレスというものは若干の誤差があるといたしましても、指定都市平均的に落ちているのは事実でございます。しかしながら、それにいたしましてもすごく高いことも事実でございますので、そこらのところはやはり当局として十分考えていかなければならぬところだと思います。
○大出分科員 これは保守市政だとか革新市政だとかというものでなくて、地方自治体の長が真剣に物を考えれば、多少は高くならざるを得ないのですよ。それは普通の人間なら、新高卒なら新高卒で、同じ給料なら国家公務員に行きますよ。かつて永山忠則さんが自治大臣をやっておられるときに、私が市長なら多少高くしておくと本人がおっしゃった。それはそういう傾向があるのですよ、地域で直接住民と接触している行政なんですから。そうでしょう。そうでなければ人は集まらぬ。だから、それがどの辺が限度かという問題は確かにある、おっしゃるとおり。一〇〇がいいのか一一〇がいいのかという問題はある。あるけれども、ラスパイレスというのは傾向をあらわしているわけですから、問題はここにあります。ありますが、傾向として落ちてきていることだけは間違いない、あなたがお認めになっている。しかし、高いことも事実なんだ、初任給が高いことも知らなくはない、私も給与の専門家なんだから。ただし、歴史的にそうであるもの、さっき私は昭和二十三年の定年制条例の取り崩しの話をしましたが、あのころから六大都市は高いのですよ。しかも、定年制条例がなくなったからおれは一生いられるのだというと、年齢的には高くなる。これは有効な手をその間に打つべきなのだ。年金を高くするとかいろいろなことがありますよ。だから、そういう傾向を持っているわけだから、保守だからとか革新だからとかという筋合いではない。だから、その現実を直視して、どうすればベターなのかと考えるのが自治省なんで、大蔵省ではないのだから、自治体の側に立った親身な相談がなければならぬのですよ、実際は。親身な相談をしないと、いまにこんなことで一々みそ報告だ、ちょうちんだ言い出したら、こんなものは地方公務員の義務ではないのだと言って、自治省のこんな報告はみんなけれと言って、自治労が運動を起こすかもしれませんよ。そういう不穏な空気がある。しかも、おたくの財政局長なんというものは、必要もないところに行って、現場の担当者を督戦して、革新市長のところを洗え、洗えと言っている。言われた方は組合員だからちゃんと知っているのだ。そういうことをすると、そんな財政局長は出て行けということになってしまう。そのために大きな問題を起こすことは正しくない。自治省というのはやはり自治体の側に立って、一生懸命いままでも皆さんが大蔵省と予算獲得に苦労されているのだから、その努力はぼくらも認める。だからそっちの方に持っていって、やはり共通の土俵の上で、山崎さんと話し合って、なごやかな話し合いで、最後は笑ってお別れをしたと書いてある、だから非常に好感を持って帰ってきている。山崎さんという人は人格者で、だから大出さん、まかり間違っても山崎さんがけつを向いては困ると皆さん言っている。本当ですよ。本当の親身の話し合いをしているのだから、私もこの議事録を読んで実は感じるところがある。だからやはり私はそういう角度で物を考えていただきたいので、これから先自治省相手に革新市長会その他が大変大きな争いを起こしたくないから、政党政派が絡んでくると自治省の立場というのは非常にあれになるから、だから私はこういう形の出し方というものは不穏当であると思う。 最後に大臣に承っておきたいのだが、自治大臣なんですから、やはりこういうことについてはしかとひとつお含みをいただいて、こういう正当でない、正しくないことがのっかってしまうようなことをしないように御注意をいただきたいが、いかがですか。
○福田(一)国務大臣 私は何も革新とか保守とか、そういう形で物を考えておることはございません。しかし地方公共団体の公務員の給与が高いという現実は、いろいろの理由があるにしても事実であります。これはまた事実だと思う。そこを、あなたも自分で先ほどもおっしゃいましたけれども、市町村長あるいは県知事が良識をもって努力すべきである、こういうことを言うておられる。ただ問題は、こういうときにクローズアップされたのは恐らくは目につくのですね、大体世の中では小さいのは余り目につかないのですよ。大きいものほど目につくのだ。だから自由民主党なんというのはやはり大きいから大いに攻撃を受けるので、小さいところほど余り影響を受けない。だから大きいところが目についたから大きいところが出ただけの話で、それをとってわれわれがそういうような行政をやったなどとお考えくださっては非常に残念である。私たちはそういう考えはございません。しかしやはり国家公務員の給与に比較して地方公務員の給与が高いという事実、これはやはりなるべく近づけるような努力をしてもらいたい、こういうことだけは将来といえども自治省として努力をいたさなければならない命題であると考えております。
○大出分科員 だから高いということは、地方に人事委員会があるのですよ。人事委員会が独自の権限を持って勧告しているのですよ。地方自治法という法律があるのですよ。国に準ずるということに形の上でなっているだけです。自治省が四の五の言うからというので、勝手に決められないでいるだけですよ。そんなことを言ったら地方自治法というのはどこかに行ってしまうじゃないですか。市条例で勝手に決めてもいいのです。ただそこにおいでになる方々がやかましいことをおっしゃるから、江戸のかたきを長崎でしっぺ返しを食ってはかなわないと思って、苦労をしているだけのことです。地方自治法の精神から言えばそういうことです。だから地方人事委員会がある、勧告をしている、勧告に基づいてやっている、何も間違ってはいない。ただし、サービス行政というのは、世の中複雑多岐にわたればどんどん広がっていくものだ。国の行政だってそうです。機構いじりを内閣委員会でぼくはまる十二年やっているのだから、すぐその隣に行政機構があった方がいい、だがしかし、予算規模だ、税収だというものと絡み合って、どこがその調整をするポイントなのかということが問題だということを申し上げている。市民サービスをしているのだから。そうでしょう。だからそこのところは、高いとか低いとかいうことだけで問題を決める論点はそこにはない、いかに正しく住民自治が行われるかというところにある、自治法の精神からいけば。高い、安いというのはそういうところから見なければいけない。だからそれは改めて議論をする。私がいまここで取り上げたのは、ミス報告だ、やれ虚偽だ、やれごまかした、厳重注意だ、そういうことを言われたのでは迷惑だ、まじめにやっているのに。そうではない、しかも全体をながめてみて高くない、だからそういう点は正していただきたい、こう申し上げているのですね。この点がおわかりいただければそれでいい、改めて高い、安いの議論はしますから、大臣、ぜひひとつお出かけをいただきたい。
○福田(一)国務大臣 先ほどからしばしば申し上げておるとおり、われわれのほうではそういう意味の発表をしたり、警告をした事実がないと申し上げたのでありますから、その点は御了解をいただきたい。ただしかし、先ほども申し上げたように、やはり大きいところが注意をしてもらわぬと目につくのですよ。それは注意をしていただきたいということを申し上げたのです。
○大出分科員 わかりました。そういうことを申し上げたことはないとおっしゃるのだから、その点は了承いたします。 それから確かに革新市長会会長だとか、社会党副委員長なんかやっていますと、とかく目につくのかもしれません。そこらのところは私どもの方も十分目につかないように考えますから。
○野田主査 これにて大出俊君の質疑は終了いたしました。 次に、田口一男君。
○田口分科員 私は、公職選挙法の関係で前々から言われてきておるのですが、いわゆる障害者、視力障害であるとか、聴力障害、こういったハンディキャップを負った、いわゆる選挙民に対して、いまの公職選挙法のたてまえからいくならば、ひとしく候補者からの政見を聞く機会を与えなければならぬ、こう思うのですが、今日までの、たとえば去年の参議院選挙、その前の衆議院選挙、さらに各地方選挙、そういった場合にこの聴力障害を起こした方々が、たとえば立会演説会に行っても聞くことができない、また視力障害を持っている方は選挙公報が配られたにしてもそれを見分けるわけにはまいらぬ、こういう事実があるわけですね。こういった方々に対する、いま言った立ち会いの機会なり、公報を通じて政見を聞く機会を均等に与えることについて、自治省の選挙の担当の方では、いままでどういう措置をとってきたのか、まずそれをお伺いしたいと思います。
○土屋政府委員 ただいまお尋ねがございましたように、身体障害者の方々がいろいろハンディキャップもあるわけでございますし、選挙権の行使についていろいろと便宜を考えていかなければならないということは仰せのとおりだと存じております。 そういった意味でいろいろな問題があるわけでございますけれども、たとえばことしから身体障害者等の在宅投票制度とか、一つずつ私どもとしても進めてきておるわけでございますが、ただいまお尋ねの視力、聴力の障害者の方々の立会演説会の場合における便宜供与、あるいはまた、選挙公報の発行といったような問題も確かに前々からございます。選挙に際しまして有権者がどの候補者を選択するかを判断する手段、方法というのはいろいろあるわけでございますけれども、たとえばいまの立会演説会もその一つでございますので、聴力障害者、聾唖者の方々もその場において政見等を知り得ることが望ましいことは言うまでもないわけでございます。 そういった意味で私どもも過去いろいろ努力をしてまいったわけでございますけれども、ただ立会演説会場ごとに参集してまいります有権者の態様もいろいろ異なっておりますし、施設の状況も異なります。すべての立会演説会において実施することが必要かどうかということも私どもとしては判断しなければならない。また特に公正を要求される選挙のことでございますので、公正な通訳が行われることが手話通訳の場合は要求されるわけでございます。 さらに候補者の演説の内容が的確に訳出されなければならない、そういうこと等もございますので、私どもとしてはこうした点を考えながら、従来からこういった聾唖者の方々の便宜を考慮いたしまして、立会演説会において手話通訳を採用することについては聾唖者の数等を考慮し、必要に応じて決定されたいが、その実施に当たっては最も効果的と考えられる場合について行うこととし、努めて公立聾唖学校の教諭等、公正な通訳のできる者を充てるよう、通達で指導してまいってきておるわけでございます。もろもろの条件もございますので、直ちに全部というわけにはまいりませんが、そういった配慮をして、できるだけそういった方々の便宜を考慮しておるつもりでございます。 もう一つの点字公報を発行する問題でございますが、この問題につきましても点字による選挙公報の制度化の問題等を含めまして、各方面からいろいろ御要望もございまして、いろいろ検討してまいったのでございますが、これにつきましても通常の選挙公報を発行する場合と異なりまして、何と申しますか、特殊性のゆえに選挙に際して短期間に点字訳とか、あるいは校正、印刷、配布といったようなことを的確に処理するということはきわめて困難な状態であるわけでございます。そういったことから、御趣旨はよくわかるわけでございますけれども、今日まで他のいろいろな公報の内容全部ではございませんけれども、いろいろな経歴等を出しておった点字毎日等を利用しておった。ところが、この点字毎日もいよいよ発行されなくなったというようなこともございまして、できるだけそういったものを発行されるところと地方団体等も提携して、そういった方々の便宜に供するようにいろいろな手段を講じておるわけでございますが、一遍にいわば制度化するところまではいっていないというのが現状でございます。
○田口分科員 いろいろと説明があるのですけれども、結局一言で言うならば、めんどうくさいし、むずかしいからやっていないのだということになるのじゃないですか、いまのお話しですと。私はこれはずっと聞いてみたのですが、たとえば昨年の参議院選挙を例にとりますと、ある県の市町村に聾唖者、いわゆる障害者の団体がございますね、そういった団体からたとえば立会演説会場において手話通訳をひとつ認めてもらいたい。ところが、いまのお話しですと、立会演説会場というものはいろいろな条件で違いがある。小学校の講堂でやったり、公民館でやったり、そういった場合に選挙の公正、他の聴衆に対して迷惑をかけてはまずいという配慮が先に立って、どうも手話通訳なり、障害者の方々の要望に対してはまあ片手間でやっておけ、こういう傾向がなきにしもあらず、しかもいま言ったこの手話通訳というのは、私もちょっと調べたのですけれども、しゃべったことをほんとうに同時通訳という形で手話通訳のできる方というのは大体一県に数が限られておる。三重県で例をとりますと、そういった人がたった一人しかいないというわけですね。そうなると、参議院選挙の場合に、これは一組の班しかない。それについて回るといったって、限度があるわけです。衆議院選挙の場合には大体一県で二区あった場合には四班程度の班に編成されるわけです。そうなった場合に、会場の条件の違いは、これは否定はいたしませんけれども、まず手話通訳のできる者をやっぱり選管か厚生省かそういったところになるのでしょうけれども、まず積極的に養成するということがいままで欠けておったのじゃないか。これがないから、むずかしいから、めんどうくさいからやらぬということになれば、いかにいいことだと言っておきながらも、これらの障害、ハンディキャップを負った方々に対する選挙の機会均等ということは結果として与えられていない。だからもっと積極的にこれからやる公職選挙について、これはもう手話通訳なり点字公報という問題は義務づける。もし条件のむずかしいところがあれば、たとえば参議院選挙で例を言えば、参議院選挙の場合には県都の立会演説会場とか、そういった一カ所、二カ所はどうしてもやりなさい、義務づけるようなことはできないのか、むずかしいとは思うのですが、いまのお話でわかりますけれども、それではいつまでたっても解決はできぬのじゃないか、こう思うのですが、どうでしょう。
○土屋政府委員 立会演説会における手話通訳を義務化すべきであるといった御提案でございます。またその趣旨は私どもも十分理解できるわけでございます。 何かいい方法はないかということで、従来からいろいろ議論をしてまいったわけでございますが、先ほども申し上げましたとおり、一つには、会場ということよりも、むしろ、御指摘もございましたように、義務化ということになりますと、公正に通訳ができる者を確保できるかどうか、これがまず第一点にあるわけでございます。ただいまのお話のように、三重県でも何か一人というようなことでございましたが、いろいろ学校の先生とかそういった方々も動員したりしておるわけでございますが、そういった公正な通訳ができる者を確保できるか、これが全国的に非常にむずかしい問題の第一点でございます。 それから第二は、公正な通訳ができると考えられる者でも、確かに選挙の問題でございますから、正確な判断に資することができないのでは困るということで、演説の内容を正確に訳出できる熟達者というものが得られるかどうか、これが第二の点でございます。 第三には、これは先ほどちょっと、会場ごとにいろいろな必要度が異なる、ばらばら見える場合もあるし、まとまって見える場合もあるし、あるいは会場の施設そのものにもございましょうが、これはやはり義務化して公営でやっていくんだということになりますと、総体的に条件というものが整ってまいりませんとなかなかやりにくい。一つミスがあっても、これは管理上の大変大きな問題になるわけでございます。そういう点がつらいので、先ほどのお話からよく先生も御了解いただいておると思うわけでございますが、私どもも、一挙にこれを制度化していくというようなことはなかなかむずかしい問題がある、直ちに義務化することは容易でないということを申し上げておるわけでございまして、理解はできるのでございますが、そこらのあたりをひとつ御了解を願いたいと思うのでございます。
○田口分科員 いま三つほどむずかしい条件を出しましたけれども、確かにそれはそれとして私も理解はできるのです。 ところが、去年三重でやった例で、これは、そういうことならば全国的に普及できるんじゃないかと思うのですが、それは、差別をするというふうな言い方にもちょっと問題がありますけれども、立会演説会場の一すみにそういった聴力障害を持った方々に座っていただく、そして、舞台で候補者が演説をやっているすぐそばでやられては、私もそういう経験があるのですが、それは問題があるでしょう。だから、舞台のそでといいますか、その聴力障害の方が座っておる近くでそれを手話通訳をする。 いま言った手話通訳をする方が、こちらが黒いことを言っておるのに白いことを言ったというふうな、これは選挙ですから、そういう懸念もあるでしょう。当然に手話通訳をする方と、その手話通訳を正確に聞き分けるといいますか、読み分ける選管の監視といいますか、そういった者を配置をする、こうすれば、これは手話通訳者が一会場二人で済むわけですね。これならば、多少条件のひどいところがあるにしても、聴力障害の方々には、政見を聞くといいますか、読み分けるという機会が与えられるのです、そういう点で実例があるわけですから。 ただそこで言われていることは、結局去年の三重の例なんかは、じゃそういう便宜を与えましょう、選管の責任じゃありませんよというわけですね。片すみに手話通訳をする場所とそういった便宜は与えましょう。それに対する日当なり旅費なりというものについては、これは義務づけていないのですから、平たい言葉で言えばめんどうは見ませんよ、こうなってくると、せっかく便宜を与えたにしても、それは手話通訳をする人も人間ですから、そうそう何会場もやるというわけにはまいらない。だからやめておこうということになってしまう。ですから、それを義務づけて、そういった場合にはそれに対する費用なり何なりは国の方でめんどうを見ますよ、こうやれば、積極的に掘り起こしていく姿勢が地方自治体にも、県、市町村選管にも起きてくるんじゃないかという希望を持つわけであります。そういった意見も二、三の市町村選管には言っておるわけであります。そういう点についてひとつ積極的に義務づけるという方向でやるべきじゃないか。重ねてそれを聞きたいのです。 同時に、今度は、視力障害の場合の点字公報、私もずっと調べてみたんですが、いま点字公報という点字で新聞なんかを打っているのは、日本全体を探しても数少ないそうですが、試験的にやったところの話を聞くと、ヘレンケラー協会というものがある。そこで、政見全部を点字に打つということは大変なことですから、とりあえず候補者の経歴、そういったものに限って印刷をしてみたそうです。去年の相場ですから、大体いまそれがどれくらいするか知りませんけれども、経歴のみを点字に打って一千部つくって約十万。ですから、ことしあたりは十四、五万すると見ていいと思うのですが、こういったことも、点字を打つ、経歴だけの点字公報を発行するのも市町村の負担ということになればやるところがありませんから、そういったことをやれば国の方でめんどうを見よう、経歴ぐらいは点字公報で出しなさいというふうに義務づければ、いま公職選挙法の百六十七条から言っても、一回発行し、有権者が属する世帯に配布するということになっておるのですから、そこに一項ちょっと書き加える、またおたくらの好きな行政指導でも十分できるのじゃないか、こう思うのですが、どうでしょうか。
○土屋政府委員 最初の立会演説会における手話通訳の問題でございますが、何度も繰り返し申し上げましたように、全般的に義務化をするということになりますと、全国的にいろいろなところですべてこれは義務としてやらなければならないということになりますと、申し上げたように、公正な通訳、的確な通訳をできる人が得がたいとかいろいろ理由がございますので、なかなかそれは踏み切りにくい。ただ先ほど通達をちょっとお読み申し上げましたように、必要に応じていろいろと考えていってやれということで、最も効果的な会場については、それに必要な先生方を集めて、手話通訳のできる方を集めて便宜に供するようにということで指導しておるわけでございますし、ある意味ではこれは啓発活動の一環として実施するということで、報酬等も臨時啓発費等から出せるということにしておるわけでございます。 ただ、条件の整っておるところはそういうことをやりながらやっておるわけでございまして、全国的に全部これを義務づけるということ、これがなかなか容易でないということを申し上げておるわけでございまして、できるだけ私どもとしても今後ともそういった事情を考慮して、実態に応じてそういった聴力障害者等の方々の便宜のために努力をいたしたいと考えております。 それからもう一つの点字公報の問題でございますが、これも先ほどすでに申し上げたわけでございますけれども、短期間に点字訳とか校正、印刷、配布等を的確に処理するということが、現状ではなかなか困難な状況にあるわけでございます。制度化するとすれば、全国にわたって短期間に点字印刷をして、これを配布する体制を整えなければならないわけでございますが、なかなか条件がそろっていない。たとえば点訳をする、あるいは校正、印刷ということになりますと、全国にわたって適格者というものやあるいは施設あるいは設備の確保が十分そろっていなければならないわけでございますが、それがなかなか得がたいということでございます。それと御承知のような特殊な技術を要しますので、相当に長期の時間を要するわけでございます。たとえば適格者という場合は、点字製版士と申しますが、製版をする方、校正をする方、印刷技術を持った方、そういったものが非常に熟達した者でなければならないということでございますが、その数が非常に少ないわけでございます。 それから施設につきましても、先ほどヘレンケラー協会の例をお引きになりましたが、確かにあそこはなかなかりっぱなものもございます。しかしながら、一般には亜鉛版ローラー方式という機械、それからサームホームといったような機械等がございますが、なかなかこれは手数がかかって、時間がずいぶんかかるということでございます。いまのヘレンケラー協会のようなところではソリッドドット、こう言われておりますが、いい機械がございます。したがって、これはわりと能力があるわけでございますけれども、このヘレンケラー協会でも、聞いてみますと、この選挙が始まったときの短期間に異なるものをこなしていくということはせいぜい二、三件しかできないといったようなことでございます。中央であと数カ所大きなところもございますし、地方に小さな施設も若干はございますが、なかなかそういった施設、設備というものがむずかしい。それにまた適格者が得がたいということもございます。 それからもう一つは、選挙公報ということになると、先ほど別な御提案もあったわけでございますけれども、非常にページ数が多くなる。一般の選挙公報でございますと、衆議院の場合には二ないし四ページで終わるわけでございますが、点字公報ですと四十五ページくらいかかるということでございます。全国区ということになりますと、一般の選挙公報が六ページございますが、これが百八十五ページくらい要るというような計算になるわけでございます。製版をして校正をして印刷をする、そういったことで、いい機械を入れたとしましても相当な日数がかかるということを、私どもいろいろ調べてみたのですがわかったわけでございまして、先ほどの全国区のごときはこれは三十三日もかかるということでございます。そうなりますと、いまの公示あるいは告示がされてから四日間に掲載文等が出てくるわけでございますけれども、それから衆議院でも投票日の前二日までとなると十五日しかございません。そういうこと等を考えてみますと、なかなか短期間に処理するということ、これが非常にむずかしいわけでございます。おっしゃる趣旨はもちろん私どもよくわかるわけでございますが、それをもう少し短い、経歴とかそういったものに限ってはどうかということでございますが、そこで私どもいろいろ長野とか埼玉とか聞き合わせてみたのでございますけれども、なかなかそれぞれの県内にいい施設もない、短期間に処理するということはとても容易ではないということでございます。東京あたりには、先ほどの御指摘のように若干のものはあるわけでございますが、全国的に義務化してこれを短期間に処理するということになりますと、なかなかむずかしい問題がございます。何とかと思ってあっちこっち私ども調べてみるのではございますけれども、いま直ちにそういうことに踏み切るということは残念ながら多くの障害があってむずかしいということでございます。まあなるべく便宜を図って、いろいろな地方団体でも選挙の都度考慮されておるわけでございますけれども、全般的に義務化というのはなかなか容易でないということを御了承願いたいと思うわけでございます。
○田口分科員 これは大臣にお答えいただきたいと思うのですが、いま答弁を聞いておるといろいろな問題がある。私はそんなことば全然問題じゃないと言うんじゃないのですよ。各府県選管の書記、市町村選管の書記のいろいろ話を聞きますと、いま言った点字公報を試験的に昨年経歴だけやってみたというのです。これが間違いがないかどうかということを調べてもらうのに、素人じゃできませんから、全部読んでもらうのに県の点字図書館の職員が四日かかったというのですね。そこで間違いがあればそれをまた打ち直す、その苦労だけでも大変だということ、これは私はわかります。それから手話通訳の場合に候補者のじゃまをしてはいけない、また一般聴衆が、その会場で手話通訳でこういうことをやっておれば、候補者の顔を見るのじゃなしにそっちの方を見るという人情もありますから、そういったことになってはまた一般聴衆に迷惑を与えるから大変ぴりぴりと神経をとがらしておるということも聞きました。大変むずかしいということは私はわかるのです。わかるのですが、むずかしいからやめだということになれば、やりたいところは勝手にやりなさい、そういう言い方はしませんが、そういった方法で指導するならば、結局めんどうである、また下の方の選管の書記の方の意見としては大変神経を使う、めんどうであるということが先に立って、そういうバンディキャップを持った有権者に対する機会均等ということについてはどうもおざなりになってしまうのじゃないか。ですから、そこはハンディキャップを持ったものを埋める。聴力障害ならばそれを手話通訳、視力障害ならば点字公報、それは大変費用もかかるし、いろいろな神経も使うでしょうが、やはりハンディキャップを持った者のハンディを埋めるのが政治の任務だ、行政の立場だというふうに考えれば、ここは大臣、ひとつむずかしいけれども、そういった手話通訳者の養成をどんどん積極的にやろう、もし点字公報を打つようなそういう機関が乏しければこれも積極的に助成をしようというふうなことをやって、いま言った政見を聞く機会均等、機会を与える、こういう姿勢がいま必要なのじゃないかと思います。その点について大臣、多少むずかしいだろうがそれはやるべきだということにならぬのかどうか、これをはっきりひとつお答えいただきたいと思う。
○福田(一)国務大臣 身体障害者の能力を政治においてカバーしていく、それを選挙権の面においても認めていこうというお考えは私は結構だと思うのですが、実際問題としてどの程度どういうふうにやっていくかということについては今後われわれとしては前向きではやりますけれども、いろいろにあなたのいま御指摘になったような困難な事情もありますので、この点も御了承願いたいと思います。
○田口分科員 最後にこれだけ要望します。 むずかしいむずかしいということでは一向に解決になりませんので、いま先ほど私が申し上げたように、手話通訳、これは一朝一夕には養成はできぬと思います。それから点字を早く正確にということも私はむずかしいと思うが、いまの日本の技術をもってすれば、またやる気があれば、次の選挙、次の参議院選挙くらいを目途にして計画的にやるならばできるはずだ。したがってことしやるか来年やるか、衆議院の場合は別ですけれども、少なくとも定期の参議院選挙を目途にひとつ義務化する、法制化するという方向で取り組んでもらいたい、これだけ要望して、それに対する御見解があればお聞きをして、終わりたいと思います。
○土屋政府委員 先ほどからるる申し上げましたような事情でございますので、直ちにいまどうするということを御返答申し上げにくいわけでございますけれども、御趣旨の点はよくわかりますので、いろいろと私どもとしても検討をいたしてみたいと存じております。
○野田主査 これにて田口一男君の質疑は終了いたしました。 次に、山口鶴男君の質疑に入ります。山口鶴男君。
○山口(鶴)分科員 宮内庁がお見えでないそうですから、お見えになる前に、若干自治大臣にお尋ねしたいと思うのです。 その一つは、いま中央地方を通じて財政硬直化ということが言われております。私どもは、財政硬直化ということ自体にいろいろ問題があると思っております。また仮に財政硬直化ということを地方財政に対して認めるとすれば、そのよって来る原因は一体どこにあるのかということも当然考えなければならない、かように思います。しかし、政府におかれては、地方財政硬直化に対してどう対応したらいいかということを地方制度調査会に諮問をされて、できれば七月中までに一応答申のおまとめをいただきたい、こういうお話をされておるわけです。私も地方制度調査会に属しておりますので、その間の経緯は承知をいたしております。問題は、この答申をいたします際に、新聞等で拝見したのですが、三木総理大臣は、この際、中央、地方のあるべき姿について根本的な見直しが必要であるという趣旨の御発言もいたしております。本会議における総理大臣の施政方針演説におきましても同様の趣旨が述べられておるのでありますが、自治大臣は、この中央、地方の税制、財政、行政の見直しというものについて、どうもあまり御熱心でないのじゃないかという感じを、一般質問の際の御答弁を拝聴しながら実は私考えざるを得なかったわけであります。かつて臨時行政調査会の行政に対する答申もございます。それから地方制度調査会の中では、しばしば地方と中央との税制の配分については検討すべきだという趣旨の意見というものが繰り返しあったと思います。それから交付税制度その他、地方財政の強化につきましても数々の提言があったと私は思います。この際、単に近視眼的に財政硬直化は人件費の増大にあるというようなことではなしに、中央、地方を通ずる税制、財政、行政の根本的見直しというものをすべき時期ではないかと私は思います。今後私どもが議論する場合の重要な参考にもなるわけでありますので、自治大臣の御見解を承っておきます。
○福田(一)国務大臣 総理大臣が地方行財政の根本的見直しをしたいということを閣議で発言されまして、私もそれに同意をして、そして地方制度調査会にひとつ見直しをしてもらいたい、それも長い間かかっては困るから、来年度の予算編成の七月ごろまでにはぜひひとつ見直しをしてもらいたい、こういう諮問をいたしたことは、もうあなたも御承知のことだと存ずるのでありますが、そういうような諮問をした場合に、自治大臣はあまり熱心じゃないようだという御指摘というか感想でございますが、私はそういうような諮問をするときには、こうしなさい、ああしなさいと言って諮問すること自体がおかしい、自由に討論をしていただき、そして結論を出していただいて、そしてその結論をできるだけ尊重して、そして政治をやっていくのが私は民主政治の一つの姿である、こう考えておりますので、あまり積極的でないようにおっしゃるかもしれませんが、私は三木総理大臣が言ったその日に実は事務次官を呼んで、すぐにこれを取り扱ってもらいたい、諮問しなさいということを言っておるので、私自体としてはそういう意味で消極的であるとおりになることについては間違いであると考えていただきたい。
○山口(鶴)分科員 自治大臣は根本的見直しに大いに積極的な決意をお持ちであるという趣旨の御答弁でありまして、それは結構であります。山本弥之助議員が質問されましたときば大蔵大臣も隣におったので、大蔵大臣の方は大いに消極的の感じを受けましたが、それにつられて、どうも自治大臣もあまり歯切れがよくなかったので、ついそういう感じを持ったのでありますが、ただいま大いに積極的である、こういうお話でありますから、そのことをそのまま受け取っておきましょう。ひとつ大いに積極的に対処をいただきたいと思います。 それでは、それに関係してひとつお尋ねしたいと思うのです。 今国会の提出予定法案の中に地方自治法の一部改正が入っております。今回の国会に対する提出法案、政府は大いにしぼる、こういうお話であります。たしか六十数件だったと思いますが、大変提出予定法案をしぼってまいりました。私、そこで議運で、井出官房長官お見えでございましたからお尋ねをいたしました。この提出予定法案は必ず出しますねとお尋ねしましたら、必ず出します、こういう答えでございました。私が聞いたのは、その地方自治法一部改正が心配だから聞いたのでありますが、必ず出しますという御問答でございました。 ところがその後、昨年承りますと、厚生省、労働省、運輸省等、いろいろ異論を唱えておる、またこれに関係する自民党のそれぞれの部会も、地方事務官制度については大変いろんな疑義を出しておられるということだそうです。しかし、少なくとも昨年この地方自治法の一部改正、これは区長公選と連合法案が内容でございましたが、これを議決いたしまする際に、全党一致して丘十一年三月までにこの地方事務官制度については廃止をすべきであるという趣旨の附帯決議をつけたことば大臣もよく御存じのとおりであります。昭和五十一年の三月までに解決するとすれば、少なくとも今国会にこの法案を提出するということは私は予算編成の手順からいって当然のことだと思うのですが、この地方自治法一部改正は必ず今国会お出しになりますか。出すとすれば一体いつごろ、官房長官のお話では、予算関係法案以外の法案は三月の中旬までに出します、こういう言明であります。三月中旬までに地方自治法の一部改正、必ずお出しになりますか、これをお尋ねいたします。
○福田(一)国務大臣 ただいま御指摘になりました附帯決議、私がちょうど国会対策委員長をしておったときなんですが、実はそのときにも党内において非常な反対がございまして、しかし地方行政委員会関係の委員の方が非常に御熱心でもあるし、また考え方としてこれは当然のことであると思って、まあこれは附帯決議だからいいじゃないか、決議ということになりますというとどうしてもやらねばいかぬが、附帯決議というのはその方向で検討するという意味だと私は解釈いたしまして、それならばその程度でやったらいいじゃないかということにして、実はまあ決議として認めていただいたという経緯があるわけでございます。これは私は何も言い逃れをするわけじゃございませんが、そういう経緯もある以上、やはり一応出すということで予定法案として出したわけでありますが、その後やはり党内におきましても政府部内においてもなかなかこれは、もう二十四年か、相当長い期間問題にされてきておって、特に法案としても政府としては四十三、四年ごろから何度も何度もやっておった経緯がありまして、いろいろこれはむずかしい。そういうことを言うとセクショナリズムということが問題になるかもしれませんが、各省庁の間において意見の一致を見ておりません。しかし、私としては何とかしてこれを解決するように今後も努力していくつもりでございまして、いまのところここでお答えをするのは、前向きで検討をいたしておりますということ以上にはお答えをするわけにまいりません。
○山口(鶴)分科員 どうもいまの御答弁、遺憾であります。ですから私、冒頭見直しの問題を聞いたわけです。積極的に見直しに当たられる、こういうお話です。この地方事務官の問題は、いま大臣お答えございましたように、長い間の問題です。しかも、これは公選知事に対する不信感からこのようなおかしな地方事務官制度というものが暫定的にこの自治法の中でくっついてきたという経過も大臣御存じだと思うのです。ですから中央、地方の行財政、税制を見直すというような場合は、まずもってこの問題は解決をしなければならぬ課題だと私は思うのですね。これすら解決できない、これすら今度の国会に提案できないというようなことでは、私は大臣の言う中央、地方の根本的見直しをやるというような御決意には疑いを持たざるを得ない。また、三木総理がこのことに対して御熱意があるとするならば、総理大臣裁断をもってしてもこの地方自治法の一部改正は出すべきだと私は思うのです。私は経過のことについては大臣同様詳しいわけですから、細かいことは申しません。そのくらいの決意が自治大臣と総理大臣にない限り、私は中央、地方の見直しなんというのはやめたほうがいいと思うのです。どうですか。
○福田(一)国務大臣 御指摘をいただいてはなはだ恐縮いたすところでございますが、しかしこういう問題は、やはり一応各省庁間の話し合いをつけ、また党内においての調整もいたさなければなりません。おしかりはごもっともだと思いますけれども、なお前向きで検討をさしていただきます。
○山口(鶴)分科員 少なくとも官房長官が提出予定法案はみんな三月中旬までに出します、こう言ったのですから、それが守られないということになれば、これは重大問題だと思います。その際は私どももそのつもりで対処をいたします。しかし、大臣も前向きでやると言うのですから、ひとつ三月中旬までに前向きで答えが出ますように、強く要望いたしておきます。 次に、ゴルフ場の問題についてお尋ねをいたしたいと思うのです。 ある週刊雑誌を私昨日買いましたら、「着々と実を結ぶ太平洋クラブの大レジャー網」というようなことで、太平洋クラブの副社長さんとそれからある女性の方との対談を拝見をいたしました。七百五十万円で個性豊かな二十七のゴルフコースが利用できるというような、大変結構な内容がございます。 ただ、そこで私、官内庁の方にお尋ねしたいと思うのですが、この太平洋クラブというのが大変りっぱなパンフレットをつくって会員を募集しておられるわけでありますが、これを拝見いたしますと、役員の中に大変りっぱな方が並んでおられます。会長は藤井丙午さんであります。それから名誉顧問は高松宮殿下、高松宮妃殿下、顧問が岸信介、永野重雄、植村甲午郎、木川田一隆というりっぱな方が並んでおられます。ただ、ここでお尋ねしたいのは高松宮殿下御夫妻の問題です。こういったものの最高顧問に正式に御就任をされたのですか。
○富田(朝)政府委員 お答え申し上げます。 高松宮殿下、同妃殿下がいまお尋ねの太平洋クラブという任意団体の名誉顧問に御就任を承諾されたのは事実でございます。若干経緯を申し上げたいと思いますが、四十八年の年初かと聞いておりますけれども、この太平洋クラブという任意団体の関係者が直接殿下にお願いをしたようでございまして、その際は任意団体である太平洋クラブについての説明を申し上げ、そして名誉顧問に就任していただきたいということをお願いしたようでございます。そこで、スポーツを通しての親睦である、また太平洋をめぐる云々というようなこと等もございまして、国際親善の一助ということにもなろうか、また説明を受けましたように営利団体ではないという御理解のもとに名誉顧問のことを御承諾になった、かように聞いております。
○山口(鶴)分科員 営利団体ではないと富田さんお考えですか。その後、太平洋クラブなるものの性格について宮内庁は御調査になりましたか。
○富田(朝)政府委員 私も最近パンフレットを拝見をいたしたわけでございますが、御指摘のように、別人格ではありますけれども、非常にまぎらわしい株式会社太平洋クラブ、こういうものがある。しかも、その株式会社太平洋クラブの会員募集のパンフレットに殿下のお写真を載せておる、四十八年の春にそういうことを知りまして、直ちに関係の幹部が同クラブの関係者を呼びまして、多額の金銭の授受が伴うようなこういうパンフレットに皇族を利用するということは厳重に避けてもらいたいということを抗議をいたしたわけでございますが、同社側はこれを陳謝をいたしまして、同パンフレットの回収を約したのでございます。その後、その道行きを見守ってまいったわけでございます。ところが、どうもまだそういうのがあるんじゃないかというような話もちらほらあったようでありまして、本年の一月にさらに関係者を招致をいたしまして、一体どういうことになっているんだ、そういう約束をしたじゃないか、こういうことで強く事情を確かめましたところ、ただいまはそういうものを使っておりません、四十九年の十二月に出されました新しいパンフレット、これには一切そういう写真もお名前もないわけでございますが、それを示しまして、こういうふうに前にお約束したことをやっております、こういうことでございます。 以上でございます。
○山口(鶴)分科員 これは明らかに会員募集のパンフレットですね。金銭の授受を伴うものです。それにりっぱなお名前が載っておるわけですね。新しいパンフレットからは外したということでありますが、営利事業を伴う太平洋クラブ株式会社、それから親睦団体の太平洋クラブ、二つあるそうでありますが、しかし明らかに営利事業を行っておる太平洋クラブにお名前が載せられたということが事実である以上、親睦団体の太平洋クラブからも最高顧問の職を辞任なさることが私はしかるべきではないか、かように思うのです。この点はどうですか。
○富田(朝)政府委員 お答え申し上げます。 いま御指摘のように、当初の経緯で申し上げましたように、殿下としてはあくまでも親睦団体である太平洋クラブ、かように理解をされまして御承諾をされたものと思われますが、いまるる御説明申し上げましたように、それをその株式会社のパンフレットに利用しておるということはまことにけしからぬということで厳重な抗議をし、その道行きを見守ってきたわけでございますが、その過程において、四十九年までの間に同社がその回収を約しながらまだそれを使っておったのだとすれば——私はその事実はわかりませんけれども、とすれば、まことにそれは信義に反することでありまして、遺憾だと思っております。また、皇族が営利事業というようなものに誤解されるようなことは厳に慎しむように慎重に考えなければならぬ、かように考えております。
○山口(鶴)分科員 その後、藤井さんも、さっき私が挙げました方の多くの方も、営利事業に利用されておるということもあり、いろいろございまして辞任されたということも聞いておるのであります。ともすれば、私は、高松宮御夫妻につきましては少なくとも利用されたことは事実なんでありますから、やはり明確なけじめをつけるべきであるというふうに思います。そのことは強くお願いを申し上げておきましょう。 時間がありませんので先へ進みますが、自治省からゴルフ場の許可に関する資料をいただきました。時間がありませんから一々読み上げることは避けたいと思いますが、これを見ますと、いま各自治体がゴルフ場につきましては、周辺の環境整備の面から、あるいは災害防止の観点から、あるいは周辺の県民その他の意向もございましょう、許可につきましては相当厳しい条件を付して承認する、許可するというケースが多くなっていると存じます。そういう意味で、認可いたしましたのが昭和四十九年の二月二十一日とか同年の四月二十日とか四十八年の八月二十日とか四十八年の八月九日、四十八年の五月十七日、さらに現在は審査中、審査中、それから四十九年の九月三十日に許可、あるいは四十八年の十月五日に承認とかいう状況になっておるようです。しかも許可条件が、相当具体的な条件を付してそれぞれ許可し承認をしておられるようです。 ところが、これらのゴルフ場は会員を募集しておられるわけでありますが、これを見ますと、たとえば四十九年の二月二十一日に承認になったゴルフ場が、第一期完成予定、いわばオープンですね、これが四十九年の十月ということになっている。さらに四十九年の九月三十日に許可になったものが四十九年の十一月にオープンということになって会員の募集がなされておる。いずれもごまかしであり偽りだと私は思うのです、自治省からいただきました資料を拝見いたしますと、許可、承認等がなされておって、いずれもオープンしたものはない、こういうことなんですね。こういったいわばまだ承認がされたばかり、そういうもので会員権を募集する際にすでに期限が来ていまなお着工ないしは着工の緒についたばかり、こういう形で会員募集をすることは果たして適法かどうか、通産省にお尋ねします。
○鯨井説明員 お答えいたします。 会員権の募集の時期につきましては特に法律上の規制はございませんので、許可等をとる前に、あるいはとった直後に会員を募集するということが直ちに違法であるということはないかと存じますが、まあ余り適当でないということは事実だろうと存じます。
○山口(鶴)分科員 適当でないというのですね。会員権を募集する際にはいつオープンしますというのが必ずついて募集しますね。それが皆それまでに完成されていない。しかも、やっと許可がとれた程度だという形で会員募集をしたものについては好ましくない。確かに法律的に規制云々ということはあるかもしれませんが、少なくとも会員権でオープンの日を約したということは、これは私は一つの民法上の契約だと思うのですね。そういった契約の不履行がどんどん行われるような会員権の募集というものが一体どうなるか、こういうことです。
○鯨井説明員 いま先生おっしゃいましたように、たとえそれが違法でなくても、余りにも早く会員権の募集を行いまして、実際に新聞の広告等に予定された日時よりも大幅におくれるという事態は非常に好ましくないというふうに考えております。
○山口(鶴)分科員 時間がありませんから、さらに大蔵省に聞きますが、いま総需要抑制の時期であります。住宅の貸し付けについても制限があるということで、国民の間からずいぶん批判もあるという時期であります。しかるに、個人のレジャー、こういった不要不急のゴルフの会員権をローンで扱うということは私は好ましくないと思うのです。住宅あるいは車のローンというのはこれは当然だと私は思いますが、こういったゴルフの会員権というようなものをローンで扱うということについて、大蔵省どうお考えですか。
○吉野説明員 ゴルフローンというような形での融資の問題でございますが、先生ただいま仰せになりましたとおり、少なくとも今日のような経済情勢、金融情勢のもとにおきましては、これはやはり厳しく抑制的な態度で金融機関が取り扱っていくということが必要だというふうに私ども心得ております。 そういう考え方のもとで、実は一昨年の暮れでございますが、金融機関に対しまして、融資のあり方ということで、私ども銀行局長から通達をいたしております。俗に選別融資の通達というふうに言われておりますが、その中でも、ゴルフローンという文字は使ってはございませんけれども、消費者ローンの中で、住宅ローンを除きます一般の不要不急なもの、これにつきましては極力抑制をするようにというふうに指示をいたしております。この選別融資通達は、御承知かと思いますが昨年の暮れに廃止をいたしました。いたしましたけれども、私どもその趣旨、つまり不要不急のものにつきましては極力抑制をしていく必要があるという趣旨は依然として生き残っているということで、廃止をいたしました通達の中で、その点につきましては特に注意をいたしております。御指摘のように、今後ともこういった不要不急のものに対する融資につきましては、金融機関が節度を持ちまして抑制的な態度で臨むように、私どもなりに注意をしてまいりたい、かように考えております。
○山口(鶴)分科員 これで終わりますが、大臣、私は大臣にお尋ねしたいと思うのです。 大臣の直接の所管でない宮内庁あるいは通産省、大蔵省からの御答弁をお聞きいただいたと思うのです。私が具体的に挙げた問題はすべて太平洋クラブに関係のある事柄であります。本来の趣旨とは違う営利事業の会員募集に宮様のお名前を使う、それからさらにオープンの時期を偽って、通産省も好ましくないというような方法で会員募集をおやりになる、さらにまた大蔵省の銀行局当局もこれまた好ましくないという方法で会員募集をやっておられる。これはすべて同じ太平洋クラブです。こういうものにつきましては、私はやはりずばり違法だというところで、まあ言えないにいたしましても、こういった好ましくないということを各官庁がそれぞれ口をそろえて言っておられるこれについては、いま総需要抑制で、不要不急の問題については抑制もしていくという、これからそういう時代である、ぜひひとつ国務大臣として、私はこういう問題につきましては十分なやはり対処をいただきたいものだ。それぞれ主管官庁は異なりますが、やはりこういった問題については考えるべきだということをおっしゃっていただいて、そうして世の批判を受けるような事柄を解消する方向に努力をいただきたい。特に「クリーン三木内閣」こう言われているのですから、そういう意味でクリーンでないようなことがありますことは好ましくない。大臣としての御決意を承って、質問を終わっておきましょう。
○福田(一)国務大臣 ただいま御指摘がありましたように、違法性がないからといって何でもやっていいというものではないと思います。いま御指摘のあったような諸点を勘案いたしますと、十分に注意をして措置をしてもらいたいものだと考えておるわけであります。私としてはそういう意味で、いま国務大臣としてとおっしゃったわけでございますが、国務大臣としてでも一議員としてでも、違法性がないというだけで何でもやってもいいということがいいことにはならない、私はやはり社会的な一つの道徳観念というものもそこに含まれなければならない、かように考えております。
○野田主査 これにて山口鶴男君の質疑は終了いたしました。 次に、吉田法晴君の質疑に入ります。
○吉田分科員 私は先般行われました北九州市の市長選挙を中心に質問をいたしますが、余りに目に余るものがございました。そして八年前の北九州での企業選挙が全国に広がりました。去年の参議院選挙での企業選挙は国民の批判を受けました。しかし、北九州では再びそれを上回る企業選挙、あるいは町内会を通じての選挙運動、あるいは行政による利益誘導等が行われましたから、三十分のわずかの時間ではございますが、四点についてお尋ねをいたしたいと思います。 第一は町内会による選挙であります。私が住んでおります小倉北区の下到津一丁目の主婦から告発がございました。それからもう一つは、私が住んでおります下到津の団地の主婦の中から私に話がありました。町内会から回覧板を回して特定の候補を支持するように指導されることは間違いではないでしょうか——婦人たちはこそこそ言いましたけれども、これは取り上げられませんでした。そうこうしておりましたら、その隣の近くの中井五丁目というところで、町内会長が回覧板を回しました中にそれがございました。北九州市では町内会は自主的な組織とされておりますけれども、月々手当を出して一緒に回覧をされておりますが、大型家庭廃品の収集という問題。ですから、これは末端の行政組織にも利用されている面があるのです。市の通知等は町内会を通じて各戸に配られているわけであります。各戸に配られている行政の通知と一緒に回覧が回されて、明るい町づくりの会、いわゆる明町会、そういう名前の機関紙で、それには相手候補の逆宣伝と中傷と、それから谷市政は市民優先で支持されているという記事が載っております。これは回覧をした形跡が残っておりまして、回覧をしたところは名前に丸がついております。回覧の途中でこれは問題だということで、ある人を通じて私の手に入ったわけであります。戦争中の翼賛体制としての町内会、隣組は廃止になったはずであります。それがいつの間にか復活をして、そしてそれが選挙運動に使われるということになったらどうでしょうか。これは自治大臣にお尋ねをいたしたいと思います。 なお念のために申し上げますが、四十二年までは町内会は各区ごとに分かれておりました。これは御承知のタッチ・ゾーンで各区の収入は各区で使うという規則、申し合わせがございましたから分かれておったわけです。ところがいまは一本になっております。そして町内会連合会長を大坪さんという人がしておられます。その大坪さんが谷さんの選挙の責任者ですから、町内会を使いたくなるのはわかりますけれども、かつて八幡の市長もした人がこの辺の道理がわからぬはずはございません。隣組といいますか、回覧をされた婦人の中から話や抗議が出るくらいでございますから、私は物の道理はわかっておると思いますが、改めて自治省の見解を承りたい、特に大臣から承りたい。
○土屋政府委員 北九州の市長選に関しましていろいろお尋ねがあったわけでございますが、明るい県政をつくる会でございますか、ビラなり機関紙等を回覧したといったようなことのようでございます。私は事実関係は直接存じませんけれども、御承知のように、いまもまた御指摘がございましたように、町内会自体は自主的な任意的な団体でございまして、直接それが行政機構であるということはないわけでございます。そういった意味で、そういった団体、町内会を使って政治活動をするということは、そこの町内会なり何なりの役員あるいは構成員、そこの町内会の人々、それが自主的に協力をなさる場合においては、これは特に問題はないというふうに考えるわけでございます。ただ御指摘もございましたように、そういった町内会を通じていろいろと行政上のことに使っておるというようなこともあるようでございます。たとえば市政協力員というものを置いておるというところもほかにもあるように承知しておりますが、そういったものもあるわけでございますから、そういう町内会を使って特に選挙運動に紛らわしいようなことをするということになりますと、これはやはり注意しなければいけないというふうに考えるわけでございます。そういったことで、実態がどうであったか存じませんが、一般的政治活動としての協力をお願いしておるという分にはこれは差し支えないと思うのでございますが、行き過ぎて選挙運動と紛らわしいというようなことで疑惑を持たれるようなことは慎むべきことだと考えております。 なお、そこの町内会の役員が選挙の責任者であったというようなお話でございますが、先ほど申し上げましたように町内会というのは任意団体でございますから、個人的に協力すること自体は特に問題はないと存じます。ただ全般的に申し上げますと、そういった市に協力しておるということもあるわけでございますから、選挙運動に紛わしいような行為をするということは、これは慎むべきことだと一般的に言えるかと存じます。
○福田(一)国務大臣 ただいま選挙部長がお答えをいたしたようなわけでありまして、紛わしいことはなるべく避けるようにしてもらいたいと思っております。
○吉田分科員 紛らわしいことは避けてもらいたいという話は、たとえば大坪さんなどは市長もなすったのですから、町内会の北九州市全体の連合会長が選挙の責任者をやられることは、これは紛らわしいことでございますからおやめいただくというようないまの大臣の答弁でもいいかもしれません。ところが各町内会がそういうことで動いておる。いま私は例を三つ挙げましたけれども、これは三つとどまらぬでしょう。前に私の町内会で、市会議員の選挙に町内会が回覧を回しました。私は言いました。それは間違いでございましたということで取りやめた。ところがいまの町内会長はかわっておるわけです。いかに谷さんの支持者であろうと、町内会長がかわったら下から異議が出るのは当然だと思います。それを回覧をしておるわけです。回覧をしておる実態はここにございます。これはうそだと思われるならば見せますよ。そういう町内会を使って選挙運動をすることは違法でしょう。好ましくないことですか、違法ですか、どっちですか。選挙部長にお尋ねいたします。
○土屋政府委員 いまお話がございました最初の点の、町内会連合会長であるからといって、それが後援会の責任者になるといったようなこと自体は、そういう地位が直接的に公の地位というわけでもございませんし、それは個人的にお引き受けになることは差し支えないと思うのでございます。ただ町内会自体の活動として、回覧というのが何の回覧であったのか、いわゆる法定ビラを頼んで配ってもらった形態であるのか、あるいは特定の機関紙的なものであったのか、回覧というのがどういう形か私も存じませんが、回覧をしたというようなことになりますと、法定ビラをただ配ったというだけでは、これは協力をお願いしたことになるのだろうと思います。ただ、特定の党と申しますか、確認団体と申しますか、そういうところの政策等を載せたものを持って回ると、勢いそれはその党への運動に紛らわしいということにもなるわけでございますから、それは問題があるであろうというふうに考えられるわけでございます。
○吉田分科員 選挙部がそういう態度だからどこでも公然と行われるわけですが、私はその前に市会議員の支持者が、町内会長がそのビラを回しましたときに、支持者が各戸に配るならそれは別に問題はありません。しかし、町内会、隣組でかつては入場券を配っておった。入場券を配るときに町内会長が口添えをして、これは入場券でございますが、だれそれに入れてくださいともし言ったら——かつては言ったんです、言ったらこれは選挙違反に明らかになります。町内会の地位利用でしょう。だからそれはおやめなさいということで入場券を直送することになった。かつての北九州の状況はまさにそうであったが、町内会で配ることをやめた。そして直送することになったんだ。ビラを支持者が各戸に配られるのは問題がない。これはわれわれもやる。しかし、回覧をして、明らかにごみを二月二十一日の金曜日、いつものところに集めなさいというのと一緒に、谷さんを支持しなさいという趣旨を書いて、相手の候補を非難しながら、これは名前は書いてありませんけれども、「ウソでかためた社共の宣伝ビラ」と書いてありますが、これは松本候補に対する中傷のことは明らかです。そして「谷市政は市民優先」の姿勢、町内会が配った。このビラを通じて、ごみをいつもの場所に二月二十一日に集めなさいというのと同じに、谷さんに入れなさいという趣旨がこのビラの中に折り込まれているとすると、それは選挙運動でしょう。そして、町内会を通じて選挙の活動をなされたということになりませんか。
○土屋政府委員 町内会長であるから政治活動をしてはいけない、これはないと思うのでございますが、いまおっしゃったように、機関紙であるのか法定ビラであるのか、ちょっと私そこはよく存じませんけれども、それを配ることはおっしゃるように問題がない。ただそれを持って、これを支持してくれといったような形で回るということになりますと、これは実態によって異なると思いますが、戸別訪問ということになる場合もあり得るわけでございます。そういったことでございますから、直接回る際に、そういった町内会のほかの行政上の回覧をされる際にそういった選挙運動に紛らわしいような行為をすることは、これは慎むべきことでございます。実態によってはまさに戸別訪問になるということもあり得ると存じますが、ちょっと実態はわかりませんので、いまの場合にどうであるかという確言ができないわけでございます。
○吉田分科員 法務省から来ていただいておると思いますが、選挙関係の担当者の見解をお願いいたします。
○土肥説明員 自治省の述べられておる見解と同じでございますが、結局町内会長であるがゆえに選挙運動をしてはならないということにはならないと思いますが、御指摘の文書が公職選挙法の百四十二条とか百四十六条に違反するような文書であるならば、これは公職選挙法に違反する行為かと思いますが、いずれにしても具体的にその文書等を見ておりませんので、一般的にはそういうことは申せる、この程度でよろしゅうございますか。
○吉田分科員 どうも問題の重大性が考えられていないようですが、先ほど申し上げましたように、法定ビラであるのかあるいは明町会の機関紙であるのかよくわかりませんが、紙上には明らかに革新市長候補を中傷をし、特定の保守候補を支持する記事が載せられておりますものを回覧板として回した。町内会を戦時的に復活をして、それを選挙運動に使っていいかどうか、こういう問題であります。私は一つの戦争中の翼賛体制の復活だと考えますだけに、重大に考えておるわけでございます。 時間がございませんから次に移りますが、次は買収供応であります。 いまのような態度だからかもしれませんけれども、立会演説会で酒と折り詰めが公然と配られました。そのことは「酒あおりバ声合戦」あるいは「開場前にいいきげん 酔いにまかせ騒然」となる、「聴衆が会場に消えたあとには酒カップやビールの空きかんがごろごろ」と写真入りで報ぜられております。それは新聞記事だけでなくて写真も掲載されておりますが、余りのひどいそういう情景に対して新聞は世論にかわって非難をしたものだと思いますが、これについて小倉の支部長検事に伺いますと、具体的に聞かないと何とも言えません、あるいは検察庁は何にもなしに動き出しません、こういう話で、検察庁が特定の候補に大変加担するがごとき回答を得たのであります。時間がございませんから一緒に申し上げますが、これは若松の会場、それから八幡の立会演説会の会場、若松の体育館で行われた事態、それから八幡は二カ所でございましたが、新聞に載りましたのはいずれでありますかよくわかりませんけれども、おそらく二カ所とも行われたんだと想像されます。そのことは私の経験からしてもそういうことがあっただろうと考えられますが、それが一つ。 それからもう一つは、一月二十八日、投票は二月九日です。一月二十八日午後五時過ぎから六時三十分ごろまで、当日はその付近の北九州高校で立会演説会がございまして、谷候補は七時からその立会演説会に出ることになっておりましたが、それまで北方の大同館というところにおられました。この大同館というのは小倉の南区の北方何町目か忘れましたが、北方の大同館と言えばだれでも周知のところであります。そこに中小企業者を集めました。中小企業者は二つのグループに分けられておって、工業関係と商業関係とに分けられておりましたが、その日は南区の中小企業者を集めたということですから、いずれも列席をしておったと思いますが、その席に谷市長候補は出席してあいさつしております。その席上に折り箱と酒とが配られた。その折り箱の中には一万円が入っておったということであります。これをまさか見てはおられぬかもしれませんけれども、御存じなかったとは考えられませんけれども、こういう事態に対して、法務省あるいは自治省の選挙部長としてはどのように考えられるか。
○土肥説明員 清潔な選挙は民主政治の基盤をなすということは当然かと思っておりますが、検察はこういう明正な選挙を害する買収行為に対して不偏不党、公正、厳正な態度で従来からも捜査を遂げ、処理してきているところであります。御指摘のような事件についてもやはり検察がそういう態度で捜査を遂げ、適正妥当な処理をするであろうと信じておりますが、先生御指摘のように、具体的な事実については、やはり捜査というものは具体的な事実を検察庁において掌握することが必要でございますので、果たしてどの程度検察庁がこの件について事実関係を掌握しているのか当方においてはまだ存じておりません。しかし十分捜査し得る事実があるならば、先ほど申し上げましたような厳正な態度で捜査するであろうと信じております。
○土屋政府委員 最初にお話しの立会演説会場等で酒食が配られたといったようなことは、選挙を公正にやると申しますか、きれいな選挙をやるという意味で、余り乱れた形になることは好ましくないと思うのでございます。ただ、理論的に申しますと、立会演説会場内で飲み物を飲み、何か食べるということ自体は特別この法律しでどうということはないわけでございますが、それが特定の候補者の側から、当選を得るために供応接待をしたような形としてやられておるものならば、それはやはり利害誘導罪的な要素を含んでおるというふうに考えられるわけでございますが、どういう形でそこで酒食をしておったのか、そこらは内容を見なければ私どもにはわからないわけでございます。 それから、その後の一月二十八日のお話でございますが、中小企業者を集めて酒食が配られた、中には金まで入っておったというようなことをお聞きいたしましたが、これは一体その候補者の後援団体であるのかどうか、一般的な業者の集まりでそういうことをされたのか、そこらの団体の性格は存じませんが、それもただいま申し上げましたように、当選を得る目的で供応接待をしたり金品を贈ったということになれば、これは明らかに利害誘導、買収ということになるわけでございます。しかし、それはいま私のお聞きしただけでは、これは捜査当局の手に任さなければ何とも申し上げられないことでございます。 そのほかにも、仮にこれが後援団体であるといたしましても、御承知のとおり、通常用いられる程度の食事の提供を除いて、その時期には供応接待をしたり金品を贈ったりしてはならないということになっておるわけでございますから、いずれにしてもそういった事実の内容を確かめなければわかりませんけれども、仮に事実があったとすれば、そういうことは決して許さるべきことではないというふうに考えております。
○吉田分科員 法務省にお尋ねをいたしますが、具体的にならなければ検察庁は動かぬ、こういうお話でございますから事実を挙げたわけでありますが、事実を挙げたことでも、なお支部の検事さんたちは活動を開始をされぬのですか。新聞に載っておるだけでなくて、ここで問題にするだけでも当然その活動があってしかるべきだと私は思うのですが、その所見をお伺いしたい。
○土肥説明員 先生御案内のとおり、捜査は法務省がやるものではございませんで、検察庁が行いますので、そういう具体的な事実関係についてひとつ告発状を提出していただくなり、あるいはそういうことを管轄の検察庁に御申告いただくのが最良の方策ではないだろうかと思います。
○吉田分科員 これだけ天下に明らかな問題を、検察庁は告発がなければ依然として動かぬというのは、こういう事実を公認をし、新聞社等は非難をしておるのに、検察庁は、その買収、供応が明らかになっておっても動かぬというように考えますから、その辺は検察庁でどういうように自主的に判断されるか、その判断に任せます。 時間がございませんから、次の問題に移ります。 一つは、行政による選挙であります、利益誘導てあります。二月八日——九日か投票日でありますが、前日にウルトラC戦術がとられたと言われております。そのウルトラC戦術というのは、住民から各地で道路舗装の要望が出ておったら、夜通しかかっても、徹夜でもこれを舗装せよという命令が出たわけであります。そして各区でこういうことが徹夜で行われた。徹夜で行われますから、若松等で住民から苦情が出たりいたしましたが、そういうことが許されるかどうか。 それからもう一つ、中期計画——これは前にも中期計画が出されておるのですが、基本的なマスタープランでなしに、数年先を目標にした中期計画が出されてまいりましたが、今度の中期計画は、選挙期間中、一月二十七日に新聞広告として出されました。異例なことでありますが、新聞広告をなぜしなければならなかったか。それは選挙に結びつけられたからであります。あとで触れますけれども、大企業、特に新日鉄八幡製鉄所の下請会社等を中心にして孫請会社、あるいはその孫請の管工事でありますとか電気工事でありますとか、そういうところまで、こういう仕事をさせるからということで利益誘導がなされておりますが、その中期計画にありますそれぞれの施設について、この仕事はだれそれに請け負わせる、そしてその下請の管工事はAならAの管工事会社に、あるいは電気工事はBの会社にというように、具体的に結びつけて投票が誘導をされました。こういうのは許されることであるのかどうか、ひとつ両省から伺いたいと思います。
○土屋政府委員 行政による利益誘導ということでの御質問でございますが、市の行政の執行として道路の舗装をおやりになるということは、これは一般的にあり得るわけでございます。ただ、いまのお話としては、前日に舗装をしたとかどうとかいうようなことがございましたが、一般的には、市は常にいろいろな行政をやっておるわけでございますから、それが選挙のために利用するという形でおやりになったのかどうかということが問題でございます。そういう点になりますと、通常の行政とそういった利益誘導的なものがどう結びついておるかということは、私どもとしてはなかなか判断しがたいわけでございますが、ただ、利益誘導という形で行政を利用すべきものではないということは言えるかと思うのでございます。 同じようなことで、いまの市の中期計画でございますか、新聞広告で計画を御発表になったということのようでございます。従来からどういった計画をつくられ、またその計画というものをどういう形で住民に知らせるか、どういった手段をそのためにとっておられたかは私存じませんが、新聞広告でやるということも、ある意味では広報の一つの方法であろうというふうに思うのでございます。ただ、内容が地域の利益に結びついておるということで、そのために特に利用されたのかどうかということになりますとよくわからないわけでございまして、個所づけがあっても、ある意味では行政のスケジュールとしてそういう個所づけをするということもございます。そういうことで、計画をやったこと自体が直ちに利益誘導かどうかということは、私どもではちょっと判定しにくいのでございます。特に工事の請負等の関係は、どういう形で約束をされたのか私ども全然存じませんし、ちょっと判断のしようもないわけでございます。
○吉田分科員 時間がございませんから最後の問題に移って、あとは大臣に所見と、それから調査を要請いたします。 その次の問題は、私は人権問題だと思うのですが、四十二年のときには、革新候補に手を振った人たちに対して一人一人呼びつけて——これは会社の労務部です、投票を強要されました。従わぬ者に対しては、それではあなたの子供さんは北九州で就職ができませんぞ、八幡製鉄も採りません、三菱化成も採りません、北九州で就職することは不可能ですぞ、こう言って翻意をさせて投票を強要いたしました。それから、いままでは下請会社にやらせて——下請会社の従業員の名前を全員つけ出させて、それを点検をして回るという方法で票に結びつけられた。下請会社の責任でいわば投票を誘導するわけです。それをさらに点検をして回って、保守の特定候補の投票をしなければおまえの方には仕事をやらぬぞという形で投票が強制された、誘導された、今度の場合にはそれがさらに強くなりまして、下請会社、まあ名前を挙げてもいいのですが、それが全部だと思いますが、何々工作所とかあるいは何々選鉱会社だとか、あるいは中立的な、あるいは従来は革新を支持しておった労組の中にも転換が行われたようでありますが、やり方は、その下請会社に、たとえば下請会社の中で土地、建築部門を持っておれば、この土地の開発、建築をAの会社に請負させるとすると、そのまた下請会社に、さっき申し上げましたような管工事あるいは電気工事一つ一つを、松本さんの革新市長ができればおまえたちの仕事はなくなる、おれの方で言うと谷さんが市長になったらこの仕事のこういう仕事をさせる、特定の施設の、あるいは福祉施設にしましても、あるいは各区に図書館をつくるとして、その図書館の管工事はおまえにやらせる、あるいは電気工事はおまえのところにやらせるんだという利益誘導が先ほど申し上げたとおり行われたのであります。 その下請会社、孫請会社の営業社員には、十二月までは営業訪問ということで各戸を個別に訪問をさせました。そして地図をつくって、一月二十日からは泊まり込みで、早朝の門の朝立ち、あるいは看板立て、あるいはポスター張り、そういうものを会社の営業に関係あるとして、いわば会社の仕事として、業務命令としてそういう選挙活動をやらしたわけでございます。ですから、恐らくその業務命令を受けて、早朝からあるいは夜遅くまで、朝立ちから看板書きから、それから点検から得票活動をされた人の中には問題があったと思いますけれども、少なくとも私が聞いた話では、下請会社あるいは孫請会社の営業社員はその七〇%がそれに従事をしたという話でありますが、こういう企業選挙が行われるということは問題ではなかろうか。あるいは投票をしない人については、おまえの子供さんについては連帯をして就職の機会はないぞ、こういうおどかしをしながら投票を強要するということは、私は投票の自由を拘束するものだと思います。 大臣の答弁と、それから法務省の人権擁護局に来ていただいておりますから、御所見を伺いたい。
○宮本説明員 お答えいたします。 いま御指摘の北九州市における事件については、法務省人権擁護局としてはまだ報告も何も受けておりませんし、初めてお伺いいたしました。事件についてどうこうと言うのは、そのような次第ですので、意見など述べることは差し控えたいと思いますが、一般的に申し上げますと、選挙運動に関していろいろ問題が起きた場合に、それが刑事事件になるものであれば捜査機関がやるのは当然でございますけれども、人権擁護機関としても、人権思想の啓発という立場から、参政権に対する不当な侵犯の疑いがあるような事案については、積極的に調査をし、所要の措置をとるということで臨んでおりますし、今後もその点については変わるところはございません。 以上でございます。
○福田(一)国務大臣 いま吉田先生が御指摘になりました事実関係につきましては、私これをつまびらかにしておりませんので、とやこう申し上げることはできませんが、一般論として言えば、いま御指摘になったようなことが行われることは好ましくない、そういうことはないのが当然だと私は思っております。
○吉田分科員 調査を願えるかどうか。
○福田(一)国務大臣 そういうことは調査するしないは私が事実を認定したということに通じていきますから、それは警察あるいは検察庁の態度に任せたいと思います。
○野田主査 これにて吉田法晴君の質疑は終了いたしました。 次に、青柳盛雄君。
○青柳分科員 私は、東京都の選挙区で当選をさせていただいております議員の一人といたしまして、東京二十三区の特別区の財政問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 東京都の特別区は、出発するときには他の市町村と同じような地位が与えられておりましたが、昭和二十七年に地方自治法の一部が改正になりまして、区長が任命制に変わる、それから事務事業も大幅に東京都庁の方に移されるというような関係で、いわゆる地方自治体としては非常に不完全なものになってまいったわけでありますが、二十七年そういう改正が行われた後、地方住民を中心に超党派的な区議会議員などの自治権拡充運動が展開されまして、昨年の通常国会でついに地方自治法が再改正になりまして、御案内のとおりこの四月には区長の公選が実施される、また事務事業も、一、二のものは除きまして大半が他の一般地方自治体、つまり市町村並みに戻されるという状況になりました。つまり首長であるところの区長が任命制から公選制に変わったということが一つ。もちろんそれには職員の人事権もちゃんと区長に移ったわけであります。それから二番目は事務事業が大幅に移管されるという、二本の分はどうやら曲がりなりにも自治体らしいものになってきたわけでありますけれども、それを裏づけるところの財源がどうなるかということが非常に重大な関心事でございます。 このことでお尋ねをするわけですが、改正規定によりますと、地方自治法の二百八十二条の第二項の中に、従来は「都と特別区及び特別区相互の間の調整上必要な措置を講じなければならない。」というふうに単純に書いてありましたのを、答申もありまして、十五次地方制度調査会の答申の第三項には、「事務の再配分に伴い都区財政調整交付金の総額について所要の増額措置を講ずるとともに、特別区財政の自主性を確保するため、その算定に当たっては、一件算定方式の廃止等極力その改善合理化を図るものとする。」とこういうふうにあって、それを受けた形で、「都と特別区及び特別区相互間の財源の均衡化を図り、並びに特別区の行政の自主的かつ計画的な運営を確保するため、」の措置をとるようにしなければならぬ、こういうふうにまことに一般的な抽象的な訓示的な規定が設けられたにとどまっている。したがいまして、これはあとは自治省の行政指導、たとえば政令の改正とかいうことや、それからあとは東京都と特別区との間の協議、そういうものに任され、従来からありますいわゆる都区調整というような形で運営されざるを得ないという状況になっているわけでありますが、いよいよ実施するに当たって自治省としてはどのような措置をいまとりつつあるのか、もうすでにとられたのか、それをまず最初にお尋ねしたいと思います。
○松浦政府委員 先生御承知のように、東京都の特別区が行う仕事は、自治法上の市が行うべき事務のうち非常に重要な部分を都に任せるという形になっておりますので、一般の市と同様の算定方法は財政についてとっておらないわけです。御指摘のように都区間において財政調整をお願いする、このことについては、私どもとしては現在その制度はそのままで差し支えないものと思っております。 今回の自治法の改正に伴いまする都区間の財源調整問題については、都と区の間でいろいろと御検討がなされておるようでございます。両者の間で十分意見が煮詰まるということになりますれば、都区の御意見を尊重しながら差し支えない限度で政令を決めてまいりたい、このように考えているところでございます。
○青柳分科員 私どもは二月四日付の朝日新聞の記事を読みました。都区協議会が基本方針を出した、区の財政力を強化し、調整税取り分を三%ふやしたというような見出しで、いろいろ協議された模様が報道されております。これは地方自治法の二百八十二条第三項によりますと、報告を受ける時期があると思います。そして四項に基づいて、必要があると認めるときには自治大臣が助言または勧告をする。もちろん政令の改正という問題もあると思いますけれども……。いままでのところそういう正式な報告はないにしても、いろいろと連絡が自治省との間で行われておりますか、どうですか。その点はいかがですか。
○松浦政府委員 まだ正式に都区間にこういう協議が整ったという形での御連絡はございません。事務的にはいろいろ御相談を受け、あるいは数字の御連絡をいただくというようなことはございました。
○青柳分科員 そうすると、政令を当然改正しなければ実施できないような問題がその中に含まれているようであります。いわゆる財政需要額及び財政収入額の算定に当たりまして、私がいま言いましたのは、むしろ収入額の算定のほうで、自主財源を確保するような形の基準税率というのがございますが、それが現在特別区の基準税率は百分の九十になっているようであります。自動車取得税交付金の見積額に対するものも百分の九十になっているようでありますが、これをいずれも八十五にしたい、こういう方針を立てておりますが、当然これは地方自治法施行令に基づく改正が必要になってくると思いますが、この点、いかがですか。
○松浦政府委員 正式な御報告をいただいたわけではございませんが、都区間でそういう協議が整い、都区の間で争いが起きないということでございますれば、私どもとしては御要望の線で措置をすべきものではなかろうかというふうに考えております。
○青柳分科員 そのほかにも、交付金の基本額についてもやはり政令の改正が必要となるような措置を考えているようでありますが、これも同様でしょうか。
○松浦政府委員 基本的に財政制度として成り立たないような御要望でございますれば別でございまするが、そうでないものについては、都区間で協議が整い、意見がないというものについては、できる限りこれを尊重して、政令なり省令で決めてまいりたいというのが基本的な態度でございます。
○青柳分科員 先ほど局長の御答弁の中に、これは都区財政調整制度というのを運用することは東京都の特殊事情から言って妥当なものであり、いまこれを改める必要は考えられないということでございましたが、何分にも東京都の財政そのものが非常に逼迫をしておりまして、ただ特別区相互間の調整役を東京都がやるというのであれば、それは簡単でございますけれども、そうじゃない、都と特別区との間の調整でございますから、ないそでは振れぬというか非常に苦しいことになりかねないということが考えられるわけです。ですから、国の制度として都区調整制度というのをつくって、この枠の中でしかるべく協議してやりなさいというのでは、もはや解決のできない壁にぶつかりつつあるのではないかというふうに考えます。二月四日付の朝日新聞の報道によりましても、この都区間の財源配分については別途検討をしなければならない。先ほど触れました基準税率を百分の八十五にするとかあるいはその他の行政費とか調整費というようなものを新しく設けるとかいうようなやり方で自主財源を大体百分の七十五くらいのところまで持っていくように都の方で特別区の財源緩和のために協力するというようなことをやっても、それだけではとうてい区の財政需要に適切な対応ができないというような面があります。 そこで私は考えてみたいと思うのでありますが、そもそも地方交付税法の二十一条という規定、これは「都にあっては、道府県に対する交付税の算定に関してはその全区域を道府県と、市町村に対する交付税の算定に関してはその特別区の存する区域を市町村と、それぞれみなして算定した基準財政需要額の合算額及び基準財政収入額の合算額をもつてその基準財政需要額及び基準財政収入額とする。」という第一項の規定でございます。これでいわゆる合算というのが行われておりますが、こういうやり方でまいりますと、本来、特定の行政区が当然市町村並みに扱われるならば、国から地方交付税を受けるべき立場にある、つまり財源がそれだけ不足しているわけでありますのに、これを国の方からはもらえない。要するに逆交付をするような区だってあるんだ。だからこれは納付金をプールする。それから都の方で一定の都民税とか固定資産税の何%かを留保してあるから、それを交付金の基本額としてもらえばよろしいんだといって国の方では涼しい顔をして見ているという現象が起こっているわけでありますが、これで果たしていいのかどうか、合理性があるのかどうかお尋ねをしたいと思います。
○松浦政府委員 今回の自治法の改正に伴いますのは事務の一部の移譲でございますから、従来のたてまえというものを変える必要があるとは思っておりません。もっと基本的にさかのぼって本来の二十一条の規定が正しいのかどうかということになりますと、私どもといたしましては、現在の東京都と区の間の事務配分というものが、ほかの都道府県と市町村との関係とは全然異なった形になっているわけであります。そういう意味で、この二十一条というのはそういうことを前提にいたしましてつくった条文でございます。現在においても何らその意味というものは変わっておらない。したがって、二十一条は改める必要はないというふうに考えております。
○青柳分科員 いま申し上げましたような特例措置によりまして特別区がもし普通の市町村並みに扱われるならば地方交付税交付金をもらえるべきものをもらえないのを試算してみたようであります。私がいま手元に持っております「新地方自治講座」の「地方財政制度」という書物の三百六十九ページによりますと「昭和四十七年度においては、特別区分についてみれば四百三十六億円の財源不足であるが、部分において七百八十二億円の財源超過となるので、これを合算すれば三百四十六億円の財源超過となり、普通交付税は交付されていない。」こういうふうになるわけです。それからまた別なところで試算したところによりますと、同じ四十七年度の基準財政収入が二千四百二十九億九千三百万円。ところが需要の方が二千九百億五千七百万円。差し引き四百七十億六千四百万円というものが交付されるべきであるにもかかわらず交付されていない。 この特別区の基準財政需要の計算というものは、なるほどいろいろ仕事の重要な部分を東京都に取り上げられているというか、たとえば水道の問題とか消防の問題だとか清掃の問題だとかいうようなのは東京都がやっております。しかしそれはそれということにしながら、なおかつ地方交付税法の算定方式をそのまま準用いたしまして、もちろんそっくりそのままではありませんけれども、そして出た額というのは不足しているわけですね。だから当然、水増しをしているわけでも何でもないので、普通の地方自治体としてもらえるべきものをもらえない。東京都からもらえばいいんだというようなことは、どう考えても合理性がないと私は思うのです。数年前に私、同じ質問を国会でしたことがありましたが、その当時、東京都の職員が大半特別区の方に配属されているというような事実があるとか、あるいは事務事業も多少は特別区に昭和四十年ごろに移ったけれども、しかしまだ大半残っておる、だから構わないのだというような御答弁を得たわけです。しかし今度は非常に大幅に、原則としてほとんど重要な部分が特別区に移ったわけであります。だから当然それに伴う財源が確保されなければ、言ってみれば裏づけのない仕事を押しつけたというようなことにもなりかねないし、自主的な単独事業などにも大きな支障を来すのではないか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
○松浦政府委員 御指摘をいただきましたように、昭和四十七年度で三百四十数億円、全く独立した市町村という観念で計算をいたしますれば交付基準が出てくるということについては私どもも同様に考えております。具体的に四十九年度の最後の交付税の採算点を見ましても、区には五百二十二億円財源不足という形で出てまいっております。そのかわり都の方には八百二十二億円の財源オーバーというものがあるわけでございまして、交付税制度といたしましては当然のことながら東京都と区というものが仕事を一般の都道府県と市町村とは全然違った形で、特殊な形で運営している実態があるわけでございます。当然東京都が余裕財源として持っておる八百二十二億の中から五百二十二億というものを区へ回せばよろしい。これが地方交付税法二十一条の趣旨でございます。両方合算をいたしましても、交付団体に比べればまだ三百億余円の余裕が都区を通じてある、こういう計算になります。したがって繰り返して申し上げるようでございますが、二十一条の趣旨を改める気持ちは現在持ち合わせておらないということでございます。
○青柳分科員 そこで、結局は平行線の議論になってしまいます。というのは、都区財政調整制度というもの、これは日本では東京都にあるだけで、全国どこを探してもないわけです。外国の例は私は知りませんが、何かロンドン市にあるとかいう、こういうやり方で新しい——新しいというか、戦前からあるいは戦後にかけて東京都というものの特殊性が都区財政調整制度というものが沿革的にあることは私どもも認めますし、またそれが完全に不合理であるかどうかということについても検討しなければならない問題はあると思います。しかし問題は、東京都の財政というものをやはり考えてみないというと、先ほど局長は余りがあるんじゃないか、だからそれからもらえば少しも不自由はかけないで済むのだというようなことを言っておりましたけれども、結局は東京都の財政というものが、言ってみると富裕地方公共団体、いわゆる不交付団体にされているところに問題があるということでございます。 時間がありませんし、私は最近調査しておりませんからお尋ねはしないのですけれども、たとえば四十二年度の東京都の決算を見ますというと、東京都の租税収入総額は一兆五千五百三十六億円、全国の二三・七%。ところが、東京都の方へ国の方から来る金は、——国の方から来る金といいますか、東京都の地方税プラス国からもらう金の合計が五千二百八十五億と三分の一であって、その全国に占める都の割合は二・七%にしかすぎない。一割強だ。東京都からは租税がそっくりに近いほど国へ行ってしまっている。そして東京都は貧しい金でやらざるを得ない。三割自治と言われているけれども、七割以上国に持っていかれて一割しか戻ってこないというような——戻るというか、使えるものがないというようなことで、たとえば四十二年度における住民一人当たりの納税額は、東京都民は十三万九千円、全国平均は六万五千円と相当の開きがあるにもかかわらず、住民一人当たりの支出額では、東京都が五万八千円、全国平均が五万七千円。だから、非常にたくさん納めて使う部分は平均的だ。しかし、東京都でやる仕事というもの、また、そこで受けるサービスというものは、決して全国と同じような形で金額面でいいということにはならない。こういうことで、不交付団体であるがゆえに、また、財源調整を法人事業税だとかたばこ消費税、所得税、地方道路譲与税、入場譲与税、国有提供施設等所在市町村助成交付金あるいは義務教育国庫負担金、こういうもので差別を受けて、本来、東京都が四十二年度にもらえるはずのものが百五十一億円も削られてしまっている。だから、不交付団体にもってきて、さらに国からの支出がそれだけまた削られるというような不合理なことが起こっている。これを改めるという方向はありませんか。もう時間がありませんから、お答えだけ大臣にもお聞きしたいと思います。
○松浦政府委員 現在、御指摘をいただきましたものの中には調整をしていないものも入っているようでございますが、その点は別におくといたしまして、私どもといたしましては、現在の制度をそのまま存続さしていきたいという気持ちでおります。
○福田(一)国務大臣 財政局長がお答えしたとおりと考えるものであります。
○野田主査 これにて青柳盛雄君の質疑は終了いたしました。 次に、沖本泰幸君。
○沖本分科員 私は、最近非常に問題になっております同和問題について大臣にお伺いしたいと思います。細かい問題は抜きにいたしまして、粗々した問題でお伺いしたいと思います。また、この問題大臣非常に頭を痛めていらっしゃる問題じゃないかとも考えられるわけでございます。 そこで、明治四年に太政官布告が出て、それによって制度上の身分差別から解放されたわけだけれども、その後依然として差別問題は解決されていない。 同対審の答申によりますと、抜き書き的に申し上げますが、 戦後のわが国の社会状況はめざましい変化を逐げ、政治制度の民主化が前進したのみでなく、経済の高度成長を基底とする社会、経済、文化の近代化が進展したにもかかわらず、同和問題はいぜんとして未解決のままでとり残されているのである。 しかるに、世間の一部の人々は、同和問題は過去の問題であって、今日の民主化、近代化が進んだわが国においてはもはや問題は存在しないと考えている。けれども、この問題の存在は、主観をこえた客観的事実に基づくものである。 同和問題もまた、すべての社会事象がそうであるように、人間社会の歴史的発展の一定の段階において発生し成長し、消滅する歴史的現象にほかならない。 したがって、いかなる時代がこようと、どのように社会が変化しようと、同和問題が解決することは永久にありえないと考えるのは妥当でない。また、「寝た子をおこすな」式の考えで、同和問題はこのまま放置しておけば社会進化にともないいつとはなく解消すると主張することにも同意できない。 こういうふうな形で答申文が出ておるわけです。 また、この「同和対策事業特別措置法制定の経緯」の中にも「昭和四十年八月、同和対策審議会の答申が行われると政府は、その趣旨にそって同和対策の推進を図るため、具体的施策の検討に入つた。民間においても、この答申を一つの契機として同和問題の認識が高まり、部落解放同盟、全日本同和会等を中心として、同答申の完全実施についての要求が、広範な層の支持を得つつ強まつていつた。」こういう関係で、政府と国会の各党によってこの問題が検討されたわけです。 そこで、この特別措置法の一番の「目的」で、「この法律は、憲法の基本的人権の理念にのつとり、同和問題のすみやかな解決を図ることは、国の責務であると同時に国民全体の課題であることにかんがみ、国が必要な基本的施策及び特別の措置を定め、もつて同和対策を促進し、同和問題のすみやかな解決を図ることを目的とすること。」こうなっておるわけですけれども、この「政策の目標」の中に「同和問題に関する国の政策の目標は、国民のこの問題に対する正しい認識の確立、」こういうことがうたわれておるわけですね。そうして最近のいろいろな問題で紛争を起こしておって、一般国民の中には何が何だかわからないということの方が強いわけです。そしてまたこういう紛争事件が起きておるときこそ、国民に先ほどの中に言われておる正しい認識をさしていくということが重大な課題ではないかと考えられるわけです。 そういうことで、この同和対策事業特別措置法も五十三年で終わりになるわけです、十年の時限立法ですから。そうすると、あと四年間しか残ってないということになりますけれども、この紛争がもたらしたものは、かえって複雑にしてしまって、むしろ国民の認識自体を誤らしておる、認識をしないままにまたわけがわからないような事柄から横の方にそれてしまっておるということも言えるのじゃないかと思うし、むずかしいから、この問題は考えないというような考え方もいろいろ出ているわけです。 それで四十四年の七月にこの法律が施行されて現在まで来て、政府も補助なりいろいろな形でいろいろな財政的な措置も講じられ、対策も講じられてきたわけですけれども、果たして現段階で、この法律ができたときの根本に従って、ずっとこの事業が進展し、十年の時限立法の中で十分な責任を果たしておるかどうか、あるいは効果が上がっておるかどうかという点について、まず大臣から御認識なりお考えなりというものをお伺いしたいと考えるわけです。
○福田(一)国務大臣 政府といたしましては、同対審の方針に基づきまして、順次予算措置等も講じておるのでありますが、その量が十年間に十分できるかどうかということについては、これからの予算に対する支出をどれくらいできるかということも関係がありますので、ここで明確に、それはできますとお答えするのもできないとお答えするのも、いささか困難であるかと思うのであります。 ただ、この認識の問題で、この認識の確立をせにゃいかぬという同対審の方針というものは、私は、今後もずっと続けていかなければならないと思っております。私は、十年で果たして十分に済むのかどうか、こういう問題もあると思っておるのでありますが、いずれにしても、対象住民に対しては受益がひとしく及ぶということを目的にして予算の運用は図られていかなければならないもの、かように考えております。
○沖本分科員 まあ大臣のおっしゃっていらっしゃるのは、対象地域という点をとらえてお答えになったんじゃないかと、私はいまのお答えでそう考えておるわけですけれども、ただ、先ほど申し上げたとおり、国民全般に対してこの問題を正しく認識を確立しなければならないということがうたわれているわけです。それで、いま紛争が起きて、国民はどう認識したらいいかという点で迷っておる面がたくさんあるわけです。テレビの生中継でばんばん出てきたり、いろいろな問題が新聞紙上に報道されていって、対象地域の人は渦中の人になるわけですから、もちろんその問題を深刻に受けとめて、お互いに解決しなければならない問題として受けていらっしゃるでしょうし、対象地域の行政担当の方々も、それぞれ苦心はしていらっしゃるということはわかるわけですけれども、ただ、対象地域でない方々、国民全般に、国民の責任でもあるし国の責務でもあるし、それを国民が正しく認識していくという面について、これは新しい問題だと思うのです。 いままで毎年、同和問題についていろいろ御質問はしてきましたけれども、ただこの対象地域に対しての施策なり対策なりということだけがお答えの対象の中にあったわけです。しかし、広く広めていって、現実に一番大事なことは、差別をなくしていくというものに対する国民の認識ということが重要な課題になってきておるわけですし、その方向に向かって、ある程度の方向をとっていただかなければなりませんし、先ほど大臣がおっしゃったとおり、物の面と認識の面という面も出てくるわけですし、そういう面について正しい認識を確立していくために、いままでとった自治省の施策が十分果たしておるかどうか、あるいはこの紛争を中心にして、国民に十分認識させるための対策をどうおとりになっているか。事実はこうなんですと、その紛争そのものの説明ではなくて、差別とはこういうことなんだということであり、国民に正しくそれを解決していくためにはかくあるべきなんだということについての自治省としての対策なり何なりをお伺いしたい。そして、この紛争そのものをとらえる国民の目が正しく問題をとらえていくような形で対策を立てていただかなければならない、こう考えるわけですが、その点についてお答え願いたいと思います。
○福田(一)国務大臣 いまの認識の問題についてのお話、それで、一般にみんなにわからしたらどうか、こういう御質問かと思うのであります。 私は、実は、私などはどちらかと言えば、余り同和問題に切実なあれがない地域におるものですから、そういうところでは余りこういう問題を取り上げてもらいたくない。もう私らは、事実は、そういう感じを一つも持っておりません。同和対策の人だからどうだとか、同和関係だなんという考えを持っておらないわけでありますが、しかし、これはあなたが御質問になったように、一定の地域になりますというと、非常に切実な問題になっておりますので、そういう意味から言えば、やはりもっとよく認識をしてもらう必要があると思います。 まあこれは私は一般論を申し上げたのですが、日本人全体としてもっと認識を持たせるようにすべきじゃないかというのが御趣旨かと思うのですが、これについては、御案内のように、連絡調整費のうちで、同和問題講演会委託費というものを計上いたしておりまして、一部やっておることは事実でございますが、それが不徹底じゃないかということになれば、これからも努力する、こういうことに相なろうかと思います。
○沖本分科員 少しそれた話になるわけですけれども、大臣、きのうテレビで「あまから問答」をおやりになっていたわけです。そういう一つの例ですが、そういう中にでも、いま社会的な紛争を起こしておる同和問題については、実はこういうことなんだ。紛争の時点に問題を当てずに、実際差別というものはこういうところから起きているんだ。あるいは太政官布告令が明治四年の八月に出て、そしてその身分的な差別はなくなったんだけれども、実際には結婚とか就職とかあるいは就学、こういう面にたくさんの問題が起きておるし、そのためにその地域から外へ出ておる人もやむを得ずまたその地域に戻ってきてしまうという、いわゆるスラム問題と同和問題との大きな食い違いがあるんだ。だから、同和地域というものもあるわけだし、そこにおる人たちのいままでの扱われてきたいろいろな差別問題というものはこういう問題なんだとか、短時間で十分はできないかもわかりませんけれども、たとえば大臣の「あまから問答」の中に出てくるとか、そういう形、広く国民に、この差別とはどういうことなんだということを十分認識させていけば、いろいろな紛争が起きても、正確に判断して、こうなんだというとらえ方があると思うのですね。 そういう面が、いまの紛争の中では偏って、あれが本当なのかとか、いやそうじゃないんだとかというかっこうで国民は迷わされてしまうという面が出てくると思うのです。だから、政治的ないろいろなイデオロギーであるとかいろいろな形の中の紛争ということよりも、正確な、差別とは何ぞやという問題を徹底さしていくことも一つの大きな役割りで、そのために地方自治体ではこういう問題が起きているんだ、だから自治省としてはこういうことを解決を図るために努力しておるというような内容の周知徹底というものが私は必要じゃないか、こう考えます。ともすれば、これは臭い物にはふたをするということで逃げがちなのが現状なんですね。その点についてもう一つ突っ込んだ大臣のお答えがいただきたいと思います。
○林政府委員 沖本先生の御指摘、同和行政問題に携わっておるわれわれとしても全く同感でございます。その国民の認識をさらに深めるということを、関係者は常々みんなして協力して努力していかなければならないことと存じておりますが、ただ、現在いろいろな意味での紛争が起きておる、その紛争について、この原因とか、何が真実であるかということに大変見解が分かれているところがこの問題を扱うについては非常にむずかしいところでございまして、同和行政に携わっている者といたしましては、早く関係者の間で十分議論を尽くされて一致した結論が出るように、何が同和問題であるかということについても、国民的な合意が得られるようにということを願っておる次第であります。
○沖本分科員 たとえば、この問題について特別の措置を講じていく、その措置を講じる対象の人々を地域の中から、あなたは資格があります、あなたは資格が十分でないという点の選別に関してが東京都の問題ですね。それが大きな紛争を起こしているということにもなるわけですけれども、地方自治体がみずから選別を行った場合は、そこにまた差別が起きますね。あなたは資格があるのです、あなたはありません、もし資格があった人が出た場合にはそこで差別をしたということになるわけです。ですから、地方自治体としては、できるだけ広い範囲内から正確に資格のある人、あるいは十分恩恵に浴せるように、この法律のあれが十分行き渡るようにしてもらうためには、どうしても民間の人たち、十分そこで役割りを果たしておる人たちに仕事してもらう、あるいは選んでもらう、あるいはいろいろと手をかしてもらうというような形をとる、そのことが一つの紛争の原因にもなってきているわけです。そういう問題もいろいろあるわけですから、その問題に関して問題が起きないように、行政機関としての果たす役割りが十分あると思うのです。 去年もおととしもやはり分科会でいろいろこの問題は伺ったのですけれども、どの大臣も、予算はこの程度であって十分ではないと思うとか、あるいはあなたの御認識はどういう認識なんですかという御質問をしても、十分ではないわけなんです。そういう点から、大臣に失礼な言い方をするわけじゃないですけれども、特にこの紛争が大きく起きて、大臣も言葉の使い方に非常に気を払いながらお答えなさっていらっしゃるということになるわけで、私の質問に対してもいろいろ気をお使いになっていらっしゃると思うのです。しかし、行政機関の果たす役割りというものを十分果たしていただかないと、この法律ができて十分果たしたとは言えなくなってくるわけですね。ですから、認識の問題、財政上の問題いろいろあるわけですけれども、その辺をもっと検討していただいて、漠然としたことでお答えになるのも非常にむずかしい問題ではないかと思いますが、十分その点を考えていただいて、国民に認識を与えていく、正確にこの差別という問題あるいは現実にある問題はどういう問題だ、それを国民全体で解決していかなければならないというふうな内容のものを具体的に方法として今後検討していただいて、十分やっていただきたいわけです。先ほどのお答えですと、ただ予算の中でこういうことをやっているのはやっているのだけれどもというお答えだったわけですけれども、それをもっと拡大していただいて、こういうときですから、このときこそやはり一番国民に認識していただくチャンスではないかということも考えられるわけです。その問題を十分今後やっていただきたいわけです。 それと同時に、いますべての問題で、地方財政が硬直してしまって、きのう大臣の「あまから問答」の中にもたくさん出てきましたけれども、この財政硬直の中の地方財政、その中でこの同和問題に対する地方自治体のいろいろな問題点が出てきておるわけですから、それもあわせて解決していただかなければならないわけです。要求としては、地方財政が持つところの負担をもっと緩めてもらわなければならないという問題にかかわってくるわけです。これは全体の中に起きる超過負担なり財政の行き詰まった問題とは別に考えてやっていただきませんと、これはなおざりになって、大臣はあと残った四年で果たせるか果たせないかというのはいますぐには答えにくい問題だというふうにお答えになっていらっしゃいましたけれども、ますます解決しにくいということになっていくと思うのですが、その辺はいかがでございますか。
○福田(一)国務大臣 私、一般論としてすべての国民に同和問題を理解させろということであれば、いまお話しのような「あまから問答」でも取り上げるのも一つの方法だと思います。どれがいいとか悪いとかいう問題じゃなくて、起きてきた経緯。ところが、これにもいろいろ論があるのですね、この同和問題が起きてきた理由にも。そんなよけいなことを言うなということになる。定説があれば、これは全部言っていいのですけれども、これはどういうことから起きてきたかということについてもいささか疑義があるものもあるように私は聞いております。しかし一般論としては、差別を受けておった人があったということはどこでも大体わかっておりますけれども、大体は差別を受けないようにしようというんで、その差別を受けないというのは、同和関係の人であっても一般の国民と同じように取り扱われ、また自分もそう思う認識を持たれるようにするということが目的だと思うのですね。それが本当の意味の差別の撤廃だ。ところが、今日では事業をやったり何かする面でかえってまた紛争が起きたりして、いまあなたも御指摘になったように、差別のために差別が起きちや困るというんで、むしろわれわれ非常につらい立場にいると申し上げても差し支えないかと思うのであります。しかし、同和問題の認識を国民全般に与える措置をもう少し考えたらどうかということであれば、これは一つの御提言として承って結構だと思うのであります。 あと、今度はどういうふうに具体的にそれをしていけばいいかという問題になりますと、私が言を挙げればまた紛争に巻き込まれる可能性もあるわけでありまして、私としては、対象の皆さんに公平に行政が運営されていくような措置をとりたいと思いますと言う以上にはちょっとお答えをいたしかねる、こう考えておるわけでございます。
○沖本分科員 いまの御答弁の中にも、紛争ということよりも、むしろそういう問題はその地域だけでいいじゃないか、あえて掘り起こすことは必要ないだろうということですか、大臣先ほどおっしゃっていたのは。この疑義があるという点ですね、疑義があるというのは、具体的にはどういう点が疑義があるということになるのでしょう。
○福田(一)国務大臣 私が先ほど申し上げたのは、あまりそういうことを言挙げすることでかえって同和問題についていろいろ紛争になった問題に影響を与えるようなことがあるということは差し控えなければならない。一般の国民に対して同和問題というのはどういうことなんだということまではいいのですが、さて具体的にそれがこの地域ではこうだ、あの地域ではどうだということになりますと、これは私はいろいろ問題があると思うのです。御案内のように同じ同和でもいろいろ、こういうことを申し上げては失礼かと思いますけれども、同和関係でもどちらかというと保守系のものの考え方に立ってあられる人もあります。それからまた革新陣営の中でも御意見の違った方もおありになるというのが、いまの現実の姿だと思うのです。だから、そういうことから考えてみますると、いまのところは保守系の方はそれほど問題を取り上げておいでになりませんし、われわれもそういう認識をできるだけ頭からなくすることのほうがいいことなのだと思って、なるべく触れないようにしておるというのがわれわれの気持ちなんですが、現実の問題は、それが沸き上がってきたというか、対立が起きてきたということでありますので、ひとつ対立をなくして、そしてみんなで、いままで差別があったのならそういう差別をなくすようにしようじゃありませんかという一つの意見ができ上がることが一番望ましいのだ、こういうふうにわれわれは考えておるわけでございます。
○沖本分科員 余り時間もないので、問答を続けても平行線をたどるような気もするわけですけれども、いま大臣がお答えになったことと同対審で述べていることとは大分開きがあるのですよ。それで先ほど同対審の中身を申し上げたわけで、基本的な問題をとらえて先ほどお読みしたわけなんです。 ですから、一般的には、差別はわれわれ持ってないというのが一般の考えなんです。ところが、実際には差別はあるのです。それは事実なんです。ですから、いわゆる保守的な考え方と革新的な考え方との開きがあるというお答えもありますけれども、そういうものを全部おしなべて、保守的と思われるのが全日本同和会であるとか、あるいは革新的というのは部落解放同盟、そういういわゆる対象団体が、同対審の答申に基づいて、いろいろの関係なり何なり——基本の対象としていままで同対審ができる内容の中にもあったわけなんです。ですから、いわゆる同対審から起きて特別措置法を政府はつくったわけなんですから、特別措置法は十年間でそういうものをなくしようということなんですから、大臣がおっしゃるように、できるだけ丸くおさまってくれればいいということは、国民もそう考えているのですけれども、丸くおさまっていいというものの考え方の中に問題があるのだということでこの法律ができたということになるわけですし、現実に差別を受けて苦しんでいる方がいるということで、差別をなくするために物の面と心の面から解決するための施策がどんどん講じられていくということになるわけですから、その辺もやはり十分お考えになって、両面からむしろ進んで解決の方向へやっていただかなければ解決にはならないわけです。いつまでたっても、時限立法が終わる時分にも同じ問題がそのまま残っておるということになるわけですから、自治省としても思い切ったことをやっていただかなければならないと思います。 基本的な問題としては、近畿の市長会とかあるいはそのほか部落解放同盟からのいろいろな要望事項もあるわけですから、具体的な解決方法としてそういう問題も十分検討していただいて、予算の面にも生かしていただくように、そして少なくとも五十三年には解決していただく方向に向かって全力を挙げていただくということでなければならないと思います。恐らく積み残しはできてくると思いますけれども、全力を挙げていただきたい。時間がないのでお答えをとれませんけれども、その点十分御認識していただいて、紛争解決、問題解決のために大臣の御尽力をぜひともお願いしたいわけです。 以上で質問を終わります。
○福田(一)国務大臣 いま沖本さんのお話、私としてもごもっともな面があると思います。自治省だけの問題でもございません。関係各省いろいろございます。自治省は自治省なりにできるだけ問題の解決に努力をいたしたい、かように考えておるわけであります。
○野田主査 これにて沖本泰幸君の質疑は終了いたしました。 午後二時から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後一時十四分休憩 ————◇————— 午後二時一分開議
○野田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。 昭和五十年度一般会計予算及び昭和五十年度特別会計予算中、労働省所管を議題といたします。 この際、政府から説明を求めます。長谷川労働大臣。
○長谷川国務大臣 昭和五十年度一般会計及び特別会計予算中労働省所管分について、その概要を御説明申し上げます。 労働省所管の一般会計の歳出予算額は、二千五百二十八億百三十五万六千円で、これを前年度当初予算額一千九百九十三億七千六百二十七万二千円と比較いたしますと、五百三十四億二千五百八万四千円の増加となっております。 次に、労働保険特別会計について御説明申し上げます。 この会計は、労災勘定、雇用勘定、徴収勘定に区分されておりますので、勘定ごとに歳入歳出予定額を申し上げます。 労災勘定は、歳入歳出予定額とも七千七百三億四千五百九十四万円で、これを前年度予算額五千四百七十五億二千四百七十三万七千円と比較いたしますと、二千二百二十八億二千百二十万三千円の増加となっております。 雇用勘定は、昨年末の第七十四回臨時国会におきまして成立いたしました雇用保険法に基づき昭和五十年度より新たに設けられます勘定でございますが、これを前年度の失業勘定と比較して御説明申し上げます。 雇用勘定は、歳入歳出予定額とも七千百八億四千九十九万六千円で、これを前年度の失業勘定当初予算額五千八百六億七千九百二十二万四千円と比較いたしますと、一千三百一億六千百七十七万二千円の増加となっております。 徴収勘定は、歳入歳出予定額とも一兆七百十六億九千四百四十三万三千円で、これを前年度予算額八千百三十四億三千五十五万五千円と比較いたしますと、二千五百八十二億六千三百八十七万八千円の増加となっております。 最後に、石炭及び石油対策特別会計の石炭勘定中当省所管分としては、炭鉱離職者の援護対策等に必要な経費として百三十億九千二百七十一万八千円を計上しておりますが、この額は、前年度予算額百二十億九千九百一万八千円と比較いたしますと、九億九千三百七十万円の増加となっております。 以下、この労働省予算の重点事項につきまして、委員各位のお許しを得まして、説明を省略させていただきたいと存じます。よろしく御審議のほどをお願い申し上げる次第でございます。
○野田主査 この際、お諮りをいたします。 ただいま長谷川労働大臣から申し出がありました労働省所管関係予算の重点事項につきましては、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野田主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 ————————————— 〔長谷川国務大臣の説明を省略した部分〕 次に、その主な内容について、概略御説明申し上げます。 第一は、中小企業労働対策の積極的展開に必要な経費であります。 中小企業の労働条件、職場環境等は、大企業に比べて改善がおくれがちであり、社会的公正の確保のためにもこの格差を是正することが必要であります。 このため、地域の実情に即した実効性ある最低賃金の設定等労働条件の改善、特殊健康診断の充実、災害防止活動の推進等職場環境の改善、勤労者福祉センターの新設、働く婦人の家、勤労青少年ホーム等福祉施設の増設、労働保険の全面適用等を中心に中小企業に対する指導援助を強化することとしております。 特に、中小企業退職金共済制度につきましては、最近における一般の賃金水準の上昇にあわせ、本制度による退職金給付の改善を図るため、事業主が納付する掛金月額の範囲を引き上げるとともに、退職金給付に対する国庫補助を二倍に引き上げるなどの改善措置を講ずることとし、所要の法案を今国会に提出いたしております。 次に、中小企業の事業主等が行う事業内職業訓練に対する助成につきましては、補助率の改善、補助単価の引き上げ等の措置を講じその改善を図ることとしております。 これらに必要な経費として百四十六億二千五万九千円を計上いたしております。 第二は、改善の遅れがちな人々への福祉向上対策の推進に必要な経費であります。 最近における経済、社会情勢の急速な変化に対応し心身障害者、高年齢者等の職場の確保と福祉の向上を図ることは緊急かつ重要な国民的課題であります。 このため、心身障害者につきましては、治療から社会復帰までの一貫した総合リハビリテーション体制を確立するため、総合脊損センター及び国立職業リハビリテーションセンターの新設、心身障害者職業センター、勤労身体障害者体育施設等の増設を図るとともに、その雇用機会の拡大を積極的に推進するため雇用奨励金の増額等就職援護措置の拡充、身体障害者を対象とする職業訓練校の新増設などの措置を講ずることとしております。 また、高年齢者につきましては、高年齢者雇用奨励金制度の新設、定年延長奨励金の改善等再就職援助対策の拡充を図るほか、高年齢者に対する職業相談、職業紹介、職業訓練等の体制の整備を図ることとしております。 これらに必要な経費として百七十二億八十二万三千円を計上いたしております。 第三は、勤労者財産形成政策の充実強化に必要な経費であります。 勤労者財産形成政策につきましては、将来にわたる勤労者の生活の安定を図るため将来から積極的に推進してまいりましたが、来年度におきましては、それを一層促進するため、財形貯蓄の範囲の拡大、住宅取得を目的とする財形貯蓄に対する税額控除の引き上げ、事業主が一定の金額を拠出して、勤労者に援助する財産形成給付金制度の新設及びこの援助を行う中小企業の事業主に対する国の助成金の支給、財形持家個人融資制度の新設など制度の大幅な改善を行うこととし、所要の法案を今国会に提出いたしております。 これらに必要な経費として二億一千九百四十四万八千円を計上いたしております。 第四は、勤労者生活の質的な豊かさを実現するための福祉対策の推進に必要な経費であります。 今や、過半数を超える労働者に普及するにいたった週休二日制につきましては、さらにその普及促進を図るため、業種、地域等の実情に即した方法で計画的、段階的に指導援助を進めることとしており、特に中小企業に対しては、集団的導入についての助成等のきめ細かい援助措置を講ずることとしております。 なお、週休二日制の普及等によって増加する余暇の有効活用を図るため、国としても、勤労者が家族を含めて楽しく、かつ、手軽に週末等の余暇を過ごせるような勤労者いこいの村等の施設の増設を進めることとしております。 次は、勤労婦人、勤労青少年対策の推進であります。 近年、婦人なかんづく既婚婦人の職場進出は目覚ましいものがあり、勤労婦人の職業生活と家庭生活の調和、母性の健康管理及び就業における男女平等が大きな課題となっております。 このため、昭和五十年度は、育児休業奨励金制度を創設し、育児休業制度を普及促進させるとともに母性健康管理対策の推進、就業における男女平等問題の研究等総合的福祉対策を進めることとしております。 また、昭和五十年は、国際連合の主唱する国際婦人年でありますので、来年度は、その趣旨に沿って各種の記念事業及び勤労婦人の地位と役割に関する日米共同研究を実施するなど婦人の地位向上に努めることとしております。 勤労青少年対策につきましては、専門的・技術的資質を備える指導者を養成する勤労青少年指導者大学の開設を初めとする、勤労青少年指導者養成事業の充実強化、勤労青少年クラブ活動の指導援助、勤労青少年の健全な育成と福祉の増進を図ることとしております。 これらに必要な経費として五十二億九千四百十六万五千円を計上いたしております。 第五は、勤労者の生命と健康を守る人間を中心とした労働環境形成のための対策に必要な経費であります。 現在、労働災害による被災者は、年間約百二十万人を超え、五千人もの尊い人命が失われております。 また、職業性疾病の発生件数も年間約三万件に及んでおり、その防止対策の一層の強化が痛感されております。 このため、来年度は、職場環境の改善、健康管理対策、安全衛生教育の推進及び産業医科大学の建設を図るなど総合的な労働安全衛生対策を展開するとともに、被災労働者等に対する援護措置の充実等を図ることとしております。 これらに必要な経費として三千九百十九億一千六百五十六万三千円を計上いたしております。 第六は、職業生活の充実を目指した総合的雇用対策の推進に必要な経費であります。 不況の浸透に伴い雇用失業情勢は一段と厳しい局面を迎えようとしており昨年十月以降、一時帰休、人員整理などの雇用調整を実施する企業が増加するなど従来の不況期には見られなかった深刻な状況が生じております。 このため、さきの国会で成立を見た雇用保険法を軸に、雇用調整給付金制度の活用等により失業の防止に努めるとともに、職業転換給付金制度の充実を図る等総合的かつ機動的な雇用対策を強化し、今後に予想されるあらゆる事態に備えてまいる考えであります。 また、これからの雇用対策の基本的目標である質量両面にわたる完全雇用の実現をめざすための諸施策にも力を注ぎ、特に勤労者が職業生活の全期間を通じて不断にその能力を開発向上させ、急激な経済社会構造の変化に的確に対処し得るよう、職業訓練短期大学校及び技能開発センターの新設等公共職業訓練の刷新、成人訓練体制の整備充実を図るほか、有給教育訓練休暇奨励制度及び職業訓練受講奨励制度の創設等を図り、生涯訓練体制を確立していく考えであります。 また、炭鉱離職者、駐留軍関係離職者、同和、ウタリ地域対象住民等のための雇用対策については、これを一層充実するほか、失業対策事業につきましても、就労者の賃金を四十九年度当初に比べ二二・七%引き上げることとしております。 これらに必要な経費として六千二百六十四億八千八百三十八万七千円を計上いたしております。 第七は、社会経済構造の変化に応ずる合理的労使関係の形成に必要な経費であります。 石油危機の影響を初めとして、経済社会情勢が厳しくなっているおりから労使関係者が困難な事態を十分認識し、国民経済的視野に立って問題の解決を図ることがきわめて肝要であります。 このため、産業労働懇話会等を通じて労使関係者相互の理解を深めるなど、合理的労使関係の形成を図るとともに、労使紛争の平和的解決を推進することとしております。 これらに必要な経費として十一億三千五百十八万六千円を計上いたしております。 第八は、変動する国際環境に対応した多角的労働外交の展開に必要な経費であります。 近年のわが国経済の国際化の進展に伴い、世界各国の政治、経済、社会の諸分野における相互依存、相互補完の関係は、ますます強まっており、労働問題の分野における国際的なつながりも緊密化し、国際的視野に立つ積極的活動が強く要請されるようになっております。 このような情勢に対処して、ILO条約の批准の促進、ILO、OECD等の国際諸会議への積極的参加等を通じ国際機関の諸活動への協力を一層推進する一方、職業訓練の分野での国際協力の強化、多国籍企業の労働問題についての研究、指導の強化等の施策を通じ、積極的に労働外交を推進してまいることとしております。 これらに必要な経費として九億六千四百五十四万二千円を計上いたしております。 以上のほか、労働行政体制の整備充実、一般行政事務費等に必要な経費を計上いたしております。 以上、昭和五十年度労働省所管一般会計及び特別会計の予算について、概略御説明申し上げました。 何とぞ、本予算の成立につきまして、格段の御協力をお願い申し上げます。 —————————————
○野田主査 以上をもちまして労働省所管についての説明は終わりました。 —————————————
○野田主査 審議に先立ち、念のため申し上げます。 質疑者が多数おられますので、質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いしたいと思います。 なお、政府当局に申し上げます。質疑時間が限られておりますので、答弁は的確に、要領よく、簡潔にお願いいたします。 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石野久男君。
○石野分科員 労働大臣にお尋ねいたしますが、原子力発電所に働いております労働者のことでございます。あるいはまたその他放射線科で働く労働者の被曝線量の問題についてですが、本件については、予算委員会の中でもその点を指摘しましてお尋ねしておりますけれども、ACEが出しましたWASH−一三一一も示しているとおりですし、また日本の原子力発電所に働いている労働者もそのことを明確に示しております。そういう点で私は、放射線科で働いている労働者に対してその被曝線量を非常に少なくすることについての配慮が大事だと思っておりますが、最近特にまた原発の故障点検というのが数多く行われておりまして、その実情からも非常に問題が多いと思うのです。特に最近の場合では仕事が非常にむずかしいところでやらなければならぬというような実情にありますので、労働者の作業指導それから作業現場の安全確保というような問題について、労働者だけでなくして企業に対してこの監督指導をするということが非常に大事でないか、こう思われます。これは当然そういうことをやらなくてはいけないと思いますが、労働省はその点についていまどういうように具体的に労働者の被曝線量を、特に人レムが大きくならないようにするための配慮をしておられるかひとつお聞かせいただきたい。
○長谷川国務大臣 先生御指摘のとおり原子力発電というものは将来の日本にもエネルギーとして非常に大事なものでありまして、せんだっても電労連の第五次提案など私もいただきましてよく拝見したことがございます。三木内閣といたしましてもこれは国民的コンセンサスを得つつ、大事なことであるからというので政策をやっておりますが、私の方といたしますと働く諸君を守るというたてまえから、従来も法律に従ってやっておりますのですが、その具体的な問題については局長から答弁させてもらいます。
○東村政府委員 具体的の法規制につきましては労働安全衛生法というのがございますが、それに基づきまして電離放射線障害防止規則というのをつくっております。非常に細かい内容が規定されておりますが、ごく大まかに申し上げますと、被曝線量の限度それから汚染の防止及び汚染の検査さらには健康診断、こういうことをきちっと規制しているわけでございます。こういうことを規制しただけでは先生御指摘のとおり実効性ございませんので、大体年に一回集中的に——随時やることはやるわけですが、集中的にいろいろの監督指導を行いまして、この際には、言うまでもないことでございますが、下請事業の労働者の問題も含め監督指導に当たっております。ただこの問題は労働省だけの問題ではございませんで、科学技術庁等との関係も密接にございますので関係省間の連絡を十分にとってやる、御指摘のございましたような、業者に対するあるいは原子力発電所に対する措置等についてもあわせて励行している次第でございます。
○石野分科員 労働省では特にそういう問題について、ことに原子力発電所など現場の労働者がたくさんおるというようなところに対していまお話のありましたようなことを具体的に処理するための予算は、労働省の予算の中で「勤労者の生命と健康を守る人間を中心とした」云々というような資料をいただいておりますけれども、ずっと見ましても、それがどういうところに具体的に予算として出ているのか、がんだとか何だとかじん肺とか、いろいろなものが出ておるのですけれども、現場で働いておる労働者の被曝に対応する予算措置というものはちょっと見当たりにくいのだが、どこかに計上してありますか。
○東村政府委員 御指摘のように、私どもの方では一つ一つの業種業態について特別に予算を積み上げるということではございませんで、中にはそういうものもございますが、全体の監督指導あるいは監督計画の中でそういうところを重点的にやるという形になっておりますので、あるいはおわかりにくいかとも思います。さらには、人員の面でやはり専門的な知識を必要とするということでございまして、研修の予算等にもそれが入っているはずでございますが、特掲はしてございません。
○石野分科員 配慮はなさっておられるでしょうけれども、特にその面に対して予算計上しているというふうには見受けられない。しかし、ことしの原子力に対する行政的な側面からしますと、こういうための予算措置というものは非常に大事になってきているように私は見受けております。ことに、先般もお聞きしましたように、営業炉としての八基もあるうち現在動いているのは六基だ、そのうちの一基の東海発電所はコールダーホール型ですから、これはPWでもあるいはBWでもありませんので、違った種類でございますから、率直に言って、PもBも合わせて七基のうち一基しか動いていないというような実情なのです。そして、しかもそれに対していろいろな点検をするということが、先ほど大臣も言われておりましたように、電労連の提言でもはっきりしているように、非常に作業が困難な場所が具体的に出てきておるわけです。ですから、私は率直に言えば、大きな事故でありませんけれども、対応すべき対策としては、まさに石油における水島だとかあるいはその他の地区においてタンクの事故や何かがあって対応していく、そういう対応の仕方と同じように、放射能問題では被曝線量の問題については考えなければいけないのじゃないか、こういうふうに思うのです。そういう点から見ますと、労働省の予算で、その問題が予算の中には全然出てないというと、先見性がないように思われますし、何かそれは考えなければいけないじゃないかと思いますが、いかがですか。
○東村政府委員 お言葉でございますが、実は予算を組む際には、そういうのをいろいろ積み上げまして一つの結論を求めるわけでございます。労働省の予算と申しましても、具体的に言いますと、監督官の旅費であるとか庁費であるとかあるいは器具であるとか、さらには先ほど申し上げました研修の問題であるとか、こういうのが具体的な予算として出てまいります。実際にはおのおのの原子力発電所を持つ監督署ではそれが当然中心になってまいります。そこに配付される予算は、いま申し上げましたような監督署では集中的にそこに使われるということでございまして、私どもとしては、特掲をするしないあるいは別建てに特別の予算を要求しないということではございません。全体の中でそれをしているということでございますが、いまのお話にございますように、特に特殊な専門的な問題が出てまいりますならば、それはそれとして処理しなければいけない、かように考えておるわけであります。
○石野分科員 そうしますと、特に特別な処置をするというようなときの経費の支出というものは、予算の中ではどういうところから出すのですか。
○中西政府委員 予算といたしましては、事項では四の「労働災害を防止するための監督指導の強化及び安全衛生教育の充実」この中に入っているわけでございます。
○石野分科員 私は細かいことは時間もありませんから申しませんが、放射線下で働いておる労働者に対する労働省としての監督指導の問題というのは、労働者自体に対してもさることながら、やはり企業に対しても非常に重要な課題になっていると思うのです。企業については通産省の方で所管になるのかもしれませんけれども、しかし、労働者に対する被曝線量を多くしないようにということになれば、当然これは労働省としても意見を出していいと思いますので、そういう点については積極的に指導をしてもらいたい、こういうように私は思います。
○東村政府委員 監督、指導をいたします際に労働者が働いている姿を見て、これが違反しているかどうかということを確かめるのは当然でございますが、それを是正させるのは、いまもおっしゃいましたように、それを使っている企業、事業、そちらの方でございますので、監督指導の常道としては当然のことその企業、事業に対する是正を迫るわけでございます。特に放射線とかこういうむずかしい問題になりますと、いまおっしゃいましたように、それを使っている企業、事業、そういうところがきちっとやっていただかないと、なかなか是正ができないという姿になっております。そこで、たとえば非破壊検査の問題もございますが、地方は地方でそういうものをきっちり集めまして、こういう違反がこうあるというようなことを指導しながら事前に問題を解消していくような手を打っていきたい、これも科学技術庁と連絡をとりながら実効性のある姿で進めていきたい、かように考えております。
○石野分科員 そういうような立場から特に企業に対して指導、監督をするということについて、私は下請労働者を使っている下請業者に対する監視監督という問題はいま一番大きな課題であろうと思うのです。この点はただ監督しますと言っただけでは、ちょっとさようでございますかと引き下がるわけにはいきません。昨今の事情から見ますと、下請労働者の被曝線量というものはどんどんふえていくし、そしてまた事故点検の内容が厳しくなればなるほどその作業時間も短くなり、臨時の作業者ばふえる、こういう体制になってまいります。こういう事情に対応して監督官庁である労働省は下請業者に対する監督の問題で特にいま注意をし、あるいはこういうことをやっているのだという点がありましたら、その点をひとつ……。
○東村政府委員 ただいまの下請企業の労働者の問題でございますが、われわれといたしましては、下請であろうが通常の労働者であろうが同じ労働者であるという観点から、先ほど申し上げましたような安全衛生法ないしは電離放射線障害防止規則等を前提にいたしまして監督をしているわけでございます。ただいまの下請事業の問題でございますが、何といいましても、被曝の管理が大切だと思うわけです。これはおのおのの関係事業場においてその記録をつけさせることになっております。一部の事業場についてその追跡調査をしたことがございますが、それによりますと、まあおおむねといいますか大部分適正に保管されていて問題はないというふうに承知しております。また現在主力原子力施設のメーカー、先生御承知の三社におきましては、三社相互間で労働者ごとの集積線量に関するデータの交換をして労働者ごとの集積線量の把握に努めております。さらには手帳を交付しておるというような実態がございますので、そういうことを前提にいたしまして、それがきっちり守られるような、そういう監督指導をしておる次第でございます。
○石野分科員 普通の原子力発電所等に働く従事者とそれから下請に働いておる労働者は、労働者には変わりはないのだから同じに扱う、それはそのとおりなのです。しかし、実態は下請に働いておる労働者の中からいろいろな事故が数多く出ているわけです。それはあなたがいまおっしゃられるように、同じ労働者だからという形で同じように扱えない内容がある。それは一つには、発電所に働いている人には若干の教育、訓練が行われているけれども、下請の場合ではその教育、訓練が必ずしも発電所などによって行われるような体制にはなっていないというこの実情を見逃して、働く労働者は同じだというような形の管理、監督をいたしますと、大変なミスが起きてくると思います。私はいまの下請業者に対してことさらに厳しくしろとは言いませんけれども、ここでは必ずしも発電所や何かにおけるような放射能に対する訓練、教育というものは行われていない、そう言って、決して過言ではないと思うのです。それが一つ。それに対して、どういうふうに労働省としては特別の指導監督をするかということ。 それからいま一つ、下請労働者は、追跡調査の結果から言いましても問題はないんだということを言いましたけれども、実際問題として、下請に働いておる労働者の中には、一時立ち入り者という扱いの中で、先般私は労働大臣にもお話ししましたように、被曝手帳を必ずしも持っているとばかりは言えないのです。私は、具体的な名前をここで言いませんけれども、現場で働いていて、一時立ち入りをして出てくるまではそこの従事者扱いをされているわけです。出るときには被曝手帳を取り上げられて、健康保険証さえなくなってしまうという、こういう労働者が多いのですよ、実際問題。これは基準局がよくわかると思うのです。基準局で出てきておるデータと現場で出ておるデータと、差がたくさんあるわけですよ。なぜかと言うと、この基準局で集められる、健康手帳によって出てくる数が少ないわけなんです。それは、下請業者の方で手帳だけは保管してしまうわけですよね。ですから、こういうときには、追跡調査がうまくいっているというけれども、本人との間にぴたっとくっついておるかどうかは、これは疑問なんです。そういう点は、やはりもう少し厳密に管理監督しないとまずいであろう、こう思いますので、そういう点についての所見、この二つの点を聞きたいと思います。
○東村政府委員 ただいま私が申し上げましたのは、下請労働者も通常の労働者も同じだというのは、むしろ先生がおっしゃったような意味のことを申し上げたかったので、われわれとしてはやはり下請労働者そのものが保護されないと、なかなかこの問題は前進しないので、そこのところを考えているということを申し上げたかったのです。 それと同時に、いま御指摘ございましたように、下請労働者の方はなかなか把握しにくいということも、実は悩みの種でございます。こういう労働者の方に対して、やはり教育訓練であるとか管理の問題であるとか、あるいは相互通報制の問題であるとか手帳の問題いろいろ問題がございます。われわれも監督に限界もあるし、能力にも限界がございますが、そういうところは抜かりのないようにきちっとやりたいということを申し上げたわけでございまして、具体的な問題で御指摘があれば早速やりますが、いまのような気持ちでございますので、御了承願いたいと思います。
○石野分科員 そこで、具体的にそのものを出す前に、下請の労働者が原子力発電所なり、あるいはそういう放射線下における労働に従事するということについて、労働省としては、そこに働く労働者に一定の教育訓練を受けているかどうかということのどこかで線を引く、はっきり認知するというようなこともやられませんと、何にも教育のないままに、現場へ行ったときに、君、ガイガーカウンターがこうだったら出てこいよというぐらいで、ガイガーカウンターをちょっと持ったままで入っただけでは、これはとんでもない過ちが起きてくると思うのです。だから私は、下請の企業がそういう労働者を使うときには、一定の基準を示して、そういう労働者でなければ入れないんだということを、少なくともやる必要があるのではないだろうか、そういうことに対する何かの配慮をしないというと過ちが起きてくるのではないかと思いますが、実務をやっておる皆さんとしてはどうでしょうか。
○中西政府委員 先生申されたようなことは、確かに必要でございまして、各発電所では一応そのような考え方で、門を入るときには、下請については教育がすでにされておるかどうかということをチェックした上で入れておるということは聞いておりますけれども、問題はやはりその教育の中身が問題であろうと思います。必要な、具体的な教育をどの程度実施させるべきか、またしているかということが問題でございますので、その辺につきましては、さらに改善を図るように指導いたしたいと思っております。
○石野分科員 これは教育の問題にかかわりますので、特に下請に働いておる労働者というのは、率直に申しまして、大企業等に働いている労働者のように恒常的に安定した就職の場におるというふうには必ずしも言えないと思います。非常に転々と移る性格を持っている、そういう方が多いわけです。しかし本人は余り現場の実情も知らないし、放射線下におけるところの被曝がどんなにこわいものであるかも知りませんから、金が多く入るということであれば飛びついて皆入ってしまうわけですね。そうすれば、下請の企業をやっている企業家は、それを安易な形で使ってしまいます。そこからいろいろな問題が起きるのだ、こう思いますので、私は少なくともそういう、まだ経験もない、知識もない労働者を、ちょうど赤ん坊を堀端で監視をしないで遊ばせておくような形の労働の職場に入れるべきではない、したがって、そこでは一定の管理監督をする面での基準を明確にしないと、この問題についての解決点は出ないだろうと思いますから、この点は何かひとつ労働省として真剣に考えてもらいたい。いかがです。
○東村政府委員 ただいまのお話でございますが、原則は、そういう問題があっても汚染されないというような形ができれば理想だと思いますが、なかなかそうもいかぬという実態もございますし、現に非破壊検査等の場合などは、ちょっと常識で考えられないようなこともやっているという実態もございます。万々一そういう全然教育を受けなかった、あるいは教育がそう十分でなかった人が入って問題が起きるということがないように、物的施設といいますか、管理面をきちっとするということを前提にいたしますけれども、せっかくいまのようなお話がございますので、われわれとしてもどういうふうにしたらよろしいか、研究はしてみたいと思います。
○石野分科員 被曝線量をどういうふうに追跡管理していくかということは、将来国民の健康を保持する上から言っても、そこで働いておる労働者だけじゃないのですね。全体としてのわが国の国民の健康を自分の子供や孫の時代にわたって管理するという意味においても、非常に大事でございます。だから、これはただ単に職場で管理が不行き届きだからというような意味だけでなく、わが国の子孫に及ぶところの健康管理の問題として、慎重に考えていただきたい、こういうふうに思うのです。 そこで私は、この放射線管理について、特に工業用の問題では、いまこういうふうに論じるように、やかましく論議されておりますけれども、医者だとか医療用の問題になりますと、案外ずさんなものがあるのじゃないかと私は思うのです。たとえばお医者さんだとか歯医者さんだとかいう方々ですね、これはお医者さんであるということによって、放射線同位元素等による放射線障害の防止に関する法律に基づくところのいわゆる放射線取扱主任者という権威を与えております。これはお医者さんはいろいろ勉強しておられるからいいようなものですけれども、実際にはこれでいいのかどうかということを懸念されます。 きょうは厚生省においでいただいていると思いますが、——来ていませんか、それでは労働省にお聞きしますが、先ほどちょっとお話のあった非破壊検査の問題等についても、岡山だとか、あるいは東京大学なんかのああいう大学というようなところであってさえも、やはり問題が起きてきてしまうのです。ですから、私は、放射線取扱主任者としてお医者さんが選ばれて、もう無条件でその資格を得るということを何が保証しているのだ、だれがそういうことを保証しているのだということになると、これは結局放射線を扱っている技師がやっているからなんだと思うのですよ。そういう意味から言うと、私はちょうど歯医者さんと技工の関係みたいな関係になると思いますが、やはり放射線取り扱いをやっておるところの放射線技師というものがその扱いをする、主任技術者というような形になるというようなことについて、一定の資格を与えるとか何かやるようなことの方が、管理監督がうまくいくのではないだろうかというふうに実は思うのですよ。ここらのところはいろいろ考えなければならぬ問題でありますけれども、お医者さんである、歯医者さんであるということだけで無条件で取り扱い主任者という形でしていくということと、実際に扱っている放射線の取り扱いの技師というものがそういう資格を持たないということの違いを、実際に被曝線量を管理するという面から言うと問題があると私は思うのです。ですから、そういう点についてはやはり政府としても考えるべきじゃないだろうか、こういうふうに思いますけれども、いかがでございましょう。
○東村政府委員 ただいまの資格の問題その他、私どもの直接でないかもしれませんが、医療関係の従事者、お医者さんとか技師の方含めまして、こういう関係の方、特に民間のお医者さんなどはわれわれの監督指導の対象になりますので、監督をしますと、いま先生御指摘のように、必ずしも十分な管理ができていないという姿があらわれております。これに対してどうしたらいいかという問題でございますが、私どもといたしましては、保護の方ももう少し周知徹底させなければいかぬ、注意を喚起させなければいかぬ、専門家なるがゆえにきちっとしたところが抜かっているという点もないわけではないような感じがいたしますので、いまの体制の中でもう少しきちっとできないものだろうかということを特に最近感じまして、先ほど申し上げましたような関係の業者とかあるいは病院、学校、そういうところをあわせて、この問題についての監督指導をそういう面からもやっていこうという体制をいまとっている次第でございます。
○石野分科員 放射線の被曝をなるべく少なくするというようなことも積極的にやらなくちゃいけませんが、一方ではやはり被曝した諸君をどういうふうにして早くその線量をなくするための療養をさせるかというような問題等を含めて、先般大臣からお話がありました、いわゆる電労連の提言の中にもありますし、また、私たちも従来ともそういうことを訴えておりますけれども、健康、被曝を管理するための管理センターのようなものをつくる必要があるのじゃないだろうか。むしろ企業がみんな一緒になってやることも一つありますし、国がそういう問題についてやはり管理センターのような一元的なものをつくるという構想を明確に打ち出すということがいいのではないかというふうに思いますが、特にこれは労働者を管理するという立場で、労働省としてはその問題についてどのようにお考えになるか。最後に大臣からお聞かせいただきたい。
○長谷川国務大臣 ただいまの問題につきましては、現在原子力委員会の原子力事業従業員災害補償専門部会におきまして、被曝線量中央登録制度が検討されておりますので、この報告を待って所要の検討を進めてまいる、こう思っております。 なお、これにつきましては、御案内のとおり、科学技術庁その他の関係省庁とも十分連絡調整を図る必要があろう、こう思っております。
○石野分科員 ありがとうございました。
○野田主査 これにて石野久男君の質疑は終了いたしました。 次に、米内山義一郎君。
○米内山分科員 近ごろ季節出かせぎ者に対する賃金不払いというトラブルのケースが非常に多くなっておりますが、労働省の方ではこの実態についてどのような把握をなさっているかをお伺いいたします。
○東村政府委員 賃金不払いの実情でございますが、私どもが最近把握しております数字について申し上げますと、出かせぎ労働者について一番問題になりますのは建設業でございますので、建設業の状況を申し上げますと、昭和四十九年四月から四十九年九月の間に二千百四十二件、金額で十億三千五百七十四万円、こういう数字が出ております。それをさらに出かせぎ労働者について限ってみますと、いま申し上げました四十九年四月から九月の間に、件数で三百三十六件、金額で九千二百七十八万円、かように相なっております。
○米内山分科員 これはきわめて重大な問題だと思うのです。オリンピック前のあの不況のときには非常に多かったのです。それが一ころ減りまして、去年の下半期から特に多くなってきた。 私はこのことを特に感じますことは、わが国のこの出かせぎ者の出身地というもの、その七〇%近いのは東北六県の雪の降る地帯の農民なんです。それの大半は建設業の単純な土工作業なわけです。近ごろ非常にそれを感じますのは、以前の池田内閣のころの不況のときの不払いよりも、非常にたちが悪くなってきています。 というのは、下請関係におきまして、ことさらに倒産を装うて不払いをするというケースですね、悪質、計画的にやっているというケースが実はあるわけです。このことを考えてみますと、たとえば東京都の下水道事業で、われわれの地方から来た農家の人たちが働いて、そして賃金不払いを受けたとすれば、発注者である東京都は元請に金を払っているかもしれないが、われわれの方から見ると、東京都の水道工事に無料奉仕したことになる。まことにこれは社会的不公正なものなんです。したがって、この不払いの責任は発注者にもある。問題はどこかというと、そういう下請をさせて賃金不払いを出すような業者に発注しているという責任があります。 それからその次に、工事能力のない者をわかりつつ下請にして、多少損が出ると、その下請業者を途中で打ち切る場合がある。おまえは工期をおくれたとか、おまえは予定価格よりもずいぶん経費をかけ過ぎたからというので下請契約を一方的に破棄します。そうすると、力のない下請業者は夜逃げせざるを得ない。そういう形からも不払いが出ます。 それから、もっと下になると、地方から何人かの出かせぎ者のまあ先立ち人に来た程度の人物がいる。これは単なる仲間の親分にすぎない。もちろん建設登録もないし、したがって、スコップ一丁も持たない。こういうのを、おまえこの部分をこの単価で、予算で請負せい。そうすると、素人のようなものだから、もうかると思って請負する。そうすると、おまえ経費かけ過ぎた、工期がおくれたというので、今度はこれをいじめる。そこで、その一緒に来た連中は全部不払いになります。われわれは地方で監督署へこのことを訴えると、それは請負関係だと、こういうふうなことになると兄貴分を訴えなければ物を取れないという問題になる。だからどう考えてみてもこれは不合理なんですね。第一、業者でない者に請負させているということは単なる企業、元請人の、まあ搾取と言えば言葉は厳しいが、そういうやり方なんです。 そこで、私はこういうことを緊急にやってもらいたいと思うのは、企業に対する、元請業者に対する賃金の問題の責任ですね、労賃に対する元請責任というものを明白にしてもらいたい。もちろん賃金というものは通貨で本人に渡さなければならないという原則はあるが、実際問題として日本の建設業の中には下請というものはこれはあるわけです。ただ問題は、その人夫頭のような者を下請だと言って、それが夜逃げするとあとの者は空手で郷里へ帰らなければならないというのは、これはきわめて不公正だし、こういうものを保護するための法律の整備は不公正だと思うのです。片手落ちだと思うのです。いま三木さんも政治姿勢の中で社会的不公正を是正するというのがこれは一つの表看板になっていますが、私はこういう観点から労災事故についてはもちろんですが、特にこの賃金不払いに対する元請責任というものをできるだけ早く法律制度的に確立してもらいたいという要望をいたしたいと思うのですが、大臣の御所見をお伺いしたい。
○東村政府委員 その前に一言申し上げますと、ただいま数字いろいろ申し上げましたけれども、それはその期間に発生した件数なり金額ということでございます。私どもはこの賃金不払いという問題がいかに重要であり、労働者の家族を含めた生活に大きな影響を与えるかということを考慮いたしまして、絶えず早期把握、早期解決ということを考えております。 出かせぎ労働者の問題に限って申しますと、どうもただいま先生お話しございましたように、就職をする際にきちっとしたルートをなかなか通らない場合がある。安定所なら安定所を通って、賃金はこうである、使用者はだれである、きちっと決められないままに働かされている場合がございます。したがって、その辺を入り口からわれわれも努力して直さなければいかぬと思いますが、不払いが一たん生じますと、いま申し上げたような観点からその解決に当たるわけでございますが、私どもといたしましてもなかなかその下請労働者を使っている下請企業者がどこへ行ったのかわからないという例もございましていろいろ苦慮しているわけでございますが、全国に労働基準監督署全部ございますので、そういうところとせっかく連絡をとりながらこの不払いの解決に当たっているわけでございまして、かなりのものはそれによって解決されているということをちょっと一言申し上げておきたいと思います。
○長谷川国務大臣 あなたと同じに私も東北の出かせぎ地帯でして、このごろ役所におればそういう不払いの諸君に直接なかなか陳情をもらう機会がありませんが、これは非常に耳にすることですし、私もよく注目しておりまして、いま局長の申されたように実を言うと基準局を通じていろいろ善処方をしまして、数字から言いますと、先ほど不払いの数字が九千二百七十八万と出ましたけれども大分解決をしまして、いま未解決が二千七百八十三万円、こういうふうな数字にもなっているわけであります。 それからいまおっしゃった基本的な問題につきましては私の方でも考えておりまして、まず第一は建設業を重点にして強力な監督指導を行うと同時に、不払いにつきましては建設業者団体等による自主的な賃金支払い保障制度の普及を図ってもおりますが、一方建設行政機関に対して通報制度を設けまして、賃金不払いした者を公共工事の入札参加資格の審査の要素とすること、それから建設業法による元請業者に対する立てかえ払いの勧告を迅速かつ的確に行わせるというふうにして労働者の権利を守ろう。なお将来は、やはりいまからなかなか厳しい情勢でございますから、賃金不払いに関しましては労働者の一層の保護を図る見地から建設業の下請等中小企業が倒産した場合などにおいて効果的な救済制度について、現在労働省としても検討を進めている次第であります。
○米内山分科員 大臣、実は工場に働いて労働組合もあるという場合と違いまして、季節的な農家の出かせぎ者というものは企業が倒産したって団体交渉する道もないし自分たちの労働の評価というものを自分でもできない、こういうふうなものなんで、したがって公共事業をやる場合にはすべてその予算の中には原材料費も含むし営業費も含むしさらに一定の標準的な利潤も含んで請負の予定額というものは決まっているわけです。その中で重大なのは、労働者の設計の基準になっている単価の問題。たとえばこういうふうな高度成長をやるときにはやはり公共事業による投資というものは莫大なものになるし、そこには国民の税金が大量に流れている。そこへきて一番の下積みになって働いているのは農民、こういうふうなことから考えてみると、こういう人たちの仕方なしに働かなければならない弱い労働者を不当に搾取してべらぼうなもうけをするということは、これは社会的に不公正だと思うのです。まあ資本主義の社会というのはそういう社会かもしれないが、それにしてもばかでかい建設業者がばかでかい利潤を上げているこの目に見える社会的な不公正。あるいはまた中手小手のも成り金になるようなことをやっている。これは明らかに労働者に対する搾取なんです。労働搾取なんです。これを防止するために、公共事業における平均の単価ですね、これは公表して差し支えないと思うのです。すべきものだと思うのです。たとえばそれはとび職とか単純な土工とかあるいは危険度の高い作業に従事する人は値段は違いがあるとしても、平均に含まれる設計上の単価、これはやはり役所もみんなそのときの事情、物価の状態やら一般賃金の問題を基準にして流動的に変わっているわけですから、この公共事業における標準労働単価は幾らであるということを公示する制度をつくれば非常に都合がいいと思うのですが、大臣、このことをひとつお考え願いたいと思うのです。いかがでしょう。
○長谷川国務大臣 私も地方育ちでございますから、よく毎年毎年PWの改定などは東北の場合にはお手伝い申し上げているのですが、さて業種がたくさんありますから、一律にどれがどうというふうに決めるのはなかなか大変じゃないか。そのときの社会情勢に応じて設計単価の改変というものは大蔵、建設あるいは自治省等々でやっている作業などありますが、いずれにしても原則論的にはやはり上と下との差があまり出てこないように、私たちの方の働く諸君が非常な不利をこうむらないようにするという前向きの姿勢には先生と同じ考えであります。
○米内山分科員 高いものを中心に平均しなくてもいいのですが、少なくともこの工事における一番低い、最低賃金はこの程度だというぐらいはやっても一向差し支えない、やるべきだと私は思う。 そこで、大臣もわれわれの方に近い御出身なのですから同じことをお訴えを受けてると思いますが、大体この間の雪は東京にも鹿児島にも降りましたが、先般あたり東京は暦どおり立春なんです。ところが東北本線へ行くと吹雪なんですね。こういうふうなやりきれない環境から出ている人に対しては これは東北は七割と言いますか、そうすると他の三割ぐらいは全国からですよ。単にこれは東北、雪国の問題じゃないが、こういうせつない働き手の問題なんですから、どうかこの点だけは、社会的不公正をなくするという意味でもひとつ御尽力を願いたいと思います。 以上をもちまして私の質問を終わりたいと思いますが、ぜひとも御善処のほどをお願いします。
○野田主査 これにて米内山義一郎君の質疑は終了いたしました。 次に、兒玉末男君。
○兒玉分科員 林野行政に関するもので、特に職業病と言われる振動病関係について、労働省並びに林野庁の見解を承りたいと思います。 最初に林野庁にお伺いしたいわけでございますが、先般九州並びに四国の現地の調査に参ったわけでございますが、その中でこの数年林野庁関係の職員の振動病の認定者が非常にふえている。この認定病に対して予防、検診対策並びに治療対策について真剣な取り組みをしなければ、これは後で大臣にも民間関係をお伺いしますけれども、今後の林野行政の中においても、やはり重要な要員関係あるいは生産関係にも影響を与えると思うわけでございますが、現在どういうふうな対策をとっておるのか、この際お伺いしたいと思います。
○滑川説明員 お答えいたします。 私の方では、予防対策といたしまして、振動機械の使用時間の規制を行っております。ただいまの時間規制につきましては、一日二時間の使用時間を決めまして、一連続、チェーンソーは十分、それからブッシュクリーナー、これは刈り払い機でございますが、刈り払い機は一連続三十分、一週五日、連続使用は三日、一カ月で四十時間、こういうことで振動機械の使用時間の規制をいたしておるわけでございます。
○兒玉分科員 私たちの調査しました熊本管内におきましても、約五五%を超える認定者がおるというふうに報告を受けております。でありますから、この状態が継続的に続くならば、対応する治療対策ということに真剣に取り組んでいくべきだと私は思うのでございますが、現在どのような対策をとっているか。
○滑川説明員 お答え申し上げます。 御指摘のように、国有林野事業の中でただいま振動障害を訴えている者が約四千名ございます。それを公務上の災害として認定をいたしました数字が、ただいまのところ約二千二百名ぐらいの認定者が出ておるわけでございます。そういう実態にかんがみまして、私どもの方では、先ほど申し上げましたような時間規制のほかに、治療対策といたしましては、薬物の投与、これは主として血管拡張剤あるいはビタミン剤等でございます。それから二つ目には温泉療法と機能回復訓練、それから温熱療法、これはパックとかパラフィン浴でございますが、そういう治療対策を講じておるわけでございます。 なお、療養の施設につきましては、四十九年度に熊本営林局管内に一カ所施設の設置をただいま進めております。それから五十年度につきましても東北地区に一カ所設置したいということでただいま予算措置等を講じておる段階でございます。さらにベッド数の確保ということで関係各省にもお願いを申し上げまして、ただいまベッドの確保のために積極的に御協力を得ておる段階でございます。 以上でございます。
○兒玉分科員 再度お伺いしますけれども、厚生課長のお話によりますと、現在相当数の認定患者がおるわけであります。しかもこの病気の症状というのは、私は長年この状況を見ておるわけでございまするが、三期的な症状というのは、そのままほうっておくと、ほとんどいわゆる人間としての機能を全く喪失する、こういう具体的な実例も聞き、また見ているわけであります。いまの課長の説明なりあるいは現地の状況から聞きますと、大分県の湯布院厚生年金病院に参りましていろいろ意見を聞いたわけでございますが、これでもベッド数が約四十、それから今度新しく同様な施設として霧島の労災病院もできるそうでございます。それでもわずかに十ベッドしかない、こういうふうな状態では、いま課長が言われたような全国四千名、こういう国有林部門だけでもそうでございますが、恐らく民有林の場合これに倍する以上の該当者がいるものと私は推定いたします。そうしますならば、やはり予防対策、検診含めて、認定者の治療対策についてもう少し私は全国的な規模のこういう療養施設の拡大ということが当面の緊急課題だと思うのですが、課長はどういうふうにお考えになるか。
○滑川説明員 お答えいたします。 治療の方法等につきましては、ただいま労使間でいろいろの協議の中から生まれてまいりました林業労働障害研究委員会、これは労使双方から先生方を推薦して設置しておる機関でございますが、すでに四問ほど開きまして、これからも年度内にさらに開催をして詰めてまいりたいと思いますが、そこでは、健康診断要領の問題やらあるいは予防治療等について緊急必要とする助言をいただくということで着々進めております。 そこで医療施設につきましては、申し上げたように、ただいまのところ二カ所を予定しておりますが、今後ともさらに、認定者の数が申し上げたように二千二百でございまして、ただいままでに約七百三十名程度の者がこの入院治療に当たっております。したがいまして、あと年度内に三百、そういたしますと年度末までに約千名の者が治療を受けられる。さらに残った千名余につきましては、来年度なるべく早い時期に一巡ができるように、私の方自体でも施設ないしはベッドの確保等を計らいながら早期に治療ができるように引き続き最善の努力をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○兒玉分科員 国有林関係については、きょうは時間の関係もございますので次の機会に譲ることにいたしたいと存じますが、この際労働大臣にお伺いしたいことは、いま国有林関係のように非常に検診制度も定期的に行われ、また先ほど説明があったように、チェーンソー関係による労働時間をかなり厳しくチェックされておるようであります。それでも二千名近い認定者がおるということは、これはやはり労働省としても、労働安全衛生という立場から、この治療施設の早期的な拡張なりあるいは整備ということと同時に、これに関連する医療関係なり医者なり、あるいはこれに対応する機関の整備ということが、私は非常に大事だと思うわけでございますが、大臣の御見解を承りたいと思います。
○長谷川国務大臣 白ろう病関係、これはもう国有、民有を通じまして、林業労働者にとってはたいへんなことでございます。いつの委員会でも御指摘をいただき、また、私どもといたしますというと健康診断というものを定期的にやること、さらにはまた、山の奥深くにいらっしゃる方々ですから、こういう方々に健康診断のPRとか、さらにはまた、診療施設を充実させるために地元の医者とのタイアップとか、あるいはまたチェーンソーそのものの改善、あまり振動のないようなものを国産でつくるとか、いろいろな手当てなどをしているわけでありまして、具体的な問題については政府委員から答弁させたいと思います。
○東村政府委員 ただいま大臣からお話しございましたとおりでございまして、働いている方がとにかく山の中の方へ入って働かれる、お住まいになっているところもそれに近いところでございますので、なかなかむずかしい問題がございます。そういう方々が健康診断を受けやすいところと言えば、やはり作業現場に近いところでなければいかぬ、治療ができやすいところと言えば、そういうところに近い病院でなければいかぬ、そういう制約が一つあるわけでございます。さはさりながら、法律の規制によりまして、健康診断をやらなければいかぬという義務が課せられておりますので、われわれといたしましては、その使用者がしなければならない義務を少しでも促進しようということで、予算もしかるべくとって、巡回健康診断というようなこともやりながらこの問題を進めているところでございますが、いずれにいたしましても、医療体制、治療体制、これから大いに充実していかなければならない、かように考えておる次第でございます。
○兒玉分科員 私、この際労働省にお伺いしたいことは、こういうふうな振動病の状態について、どういうふうな状況になっておるのか。大体その数についても、私たちが先般九州なり四国の調査で、民有関係労働者の状況についてはほとんどこれが把握をされてない、これが実情であります。とするならば、せっかく振動病対策を進めようとしても、いま局長が御答弁になりましたが、その把握の仕方についていまどういうふうな作業をしておられますか、お伺いしたい。
○中西政府委員 労働省では、先ほど局長からも説明がございましたように、昨年度から国の予算をつけまして健康診断を実施をいたしております。昨年度、今年度約六千名について全国各地で健康診断を実施しておりまして、その健康診断の結果から実態を把握し、また予防対策を進めていきたいと考えておるところでございます。
○兒玉分科員 いろいろと問題がございますが、この前の九州の調査の中で、いま言われたような検診が確かに行われております。ところが、まあ私どものほうの宮崎県の場合で、県の林務部長の報告ですけれども、現在民間労働者が使っているチェーンソーの数は六千台と言われているわけです。ところが、いま言われたような検診については、去年三百三名しか検診を受けてない。しかもこれは第一次検診だけで終わっております。そうしますと、結局は六千台のチェーンソーを持っている労働者がいながら、わずかにその二十分の一しか検診をされないという実態。同時に、第一次検診において約半数近くが何らかの所見があり、そのうちの七十四名が完全にこれはもう認定患者同様の状態だ、こういうことが出ております。しかし、基準局長としては、二次検診で精密検査を受けなければこれは何とも言えない、こういう指摘をされておるわけでございますが、去年三百名、本年二百名という、検診者数がむしろふえなくてはいけないのに減っている現象を、一体労働省はどういうふうに理解されておりますか、お聞きいたします。
○東村政府委員 ただいま申し上げましたように、安全衛生法等におきまして健康診断を実施する義務が、その当該労働者を雇っている使用者に課せられております。つまり使用者としては、安全衛生法に基づきまして健康診断をやらなければならないことになっている。しかし、そういうことを言っていただけではなかなか健康診断が進捗いたしませんので、強いて、表現は悪いかもしれませんが誘い水的に国のほうから予算をとりまして、巡回健診という制度でやっているわけでございまして、これはいわば本来は事業主がやることを、その限りにおいてかわってやっているというわけでございます。御指摘のございました人間の数、対象者の数が少なくなっておるといいますのは、一定の計画の枠の中で対象の都道府県を、十二であったのを二十一に増加いたしまして、ただいま私申し上げました効果をもっと波及させようというようにした結果、御指摘のように宮崎県についての対象者が減った、さような次第でございます。
○兒玉分科員 私は、もう少し労働省の取り組みが積極的であるならばそういうようなことは起きないというふうに判断をしております。というのは、であるとするならば、四十左年の二月、基準局長通達によって、チェーンソーの作業時間は二時間に規制する通達が出されております。ところが、これが全くほったらかしになっている。ということは、通達は出したが結局結果的にはそれは業者の責任でございますという責任回避的な姿勢ではないのか。しかも労働関係の安全衛生というのはそれぞれ基準監督署なり地方の基準局があるわけであります。そういう監督行政というものについても、通達を出した以上はこれが末端まで浸透し、しかも少なくとも労働監督署が基準監督を所管する作業場については的確な把握があってしかるべきだ。県の林務部長ですら六千台のチェーンソーがある——これは全国で言うと、林野庁も聞けばよくわかると思うのですけれども、そういうふうな客観的な情勢というものを把握されながら、主体的な監督機関である基準局が、出しっ放しの通達で積極的な取り組みをしない。これは技術的に不可能なのか、あるいは予算的にできないのか、それはいかがなのですか。
○東村政府委員 ただいま御指摘がございましたように、チェーンソーの操作時間等については、四十左年に通達、指導指針を出しているところでございます。われわれといたしましては、もちろん出した以上これをきちっと守らせることが本来でございますので、監督署、基準局を督励してやっておるわけでございますが、何分にも先ほどから申し上げておりますように作業の現場が非常にばらばらであり、しかも山の奥深いところであるというような事情がございまして十分でないことは私どもも残念に思っておりますが、出しっ放しということではなくて、やはり出した以上はこの線に従って何とか作業時間その他の指導基準が守られるというふうに、せっかく努力しているところでございます。一々作業現場まで行ってそういうことをやらせるということはなかなかむずかしい問題でございますので、いろいろの機会をつかまえながら、いろいろの会合等を利用しながら、それらのチェーンソーを使っている労働者を使っている建設業者の関係の方に呼びかけまして、こういうことになっているんである、もし障害をこうむった場合、災害をこうむった場合には労災保険で補償ができるんだということを十分PRしているつもりでございます。なお御指摘ございますし、今後もわれわれはその線に従って十分努力していきたい、かように考えている次第でございます。
○兒玉分科員 この際、私は労働大臣にお伺いしたいわけですけれども、山奥であるとかあるいはへんぴだとかいろいろ局長は、できる姿勢をどうすべきかということではなくて、もちろん通達もこれは法律で拘束権がないわけでございますけれども、現実に私が実態を見ておりますと、林業労働者というのは大体国有林の所在する地域のあるいは国有林の下請作業なりまたはこれに関連する業種であります。ですから、国有林がこれだけの積極的な取り組みをしているわけでありますから、こういう検診なり実情等については、同じ職業意識を持つ林業労働者です。だとするならば、そのような所在地なり作業状況なりというものは、同じ地域に住む国有林関係の所管を通じても協力体制を求めるなど、あらゆる手段を私はこの際とって対応すべきじゃないかと思うのですが、それらについての見解はいかがですか。
○長谷川国務大臣 お説ごもっともでございます。健康診断というのは本当は自分の体のことですから、こういうものがあることはおわかりいただければ出てきて健康診断してもらって、そいつにかからないようにやってもらわなければなりませんが、なかなか民有林労働者の場合は、御承知のとおり自分でチェーンソーを持っていて、そして働いて、そっちこっち移るというようなことなどもありまして、本人が健康診断を受けなければならぬことはわかっていても受けないというふうなこともありますし、私も宮城県の林業団体連合会の会長をしておりますので、そういう気持ちはよくわかる。でありますから、やはり事業主にやかましく言うなり、それから一方そういう林業労働者に対して、自分の体のことであるからぜひこういう制度があるからこれを使ってくれというふうなことをやりながら、あわせてひとつ推進していきたい、こう思っております。
○兒玉分科員 これは考え方としては非常に消極的な考えだと思うわけでございますけれども、現在相当数のこういう振動機具を使って伐木なり倒木をやっておるわけです。そうするならば、その発生原因というものはこのチェーンソーそのものにある。もちろん私はそれだけとは断定しませんが、だとするならば、振動機具、チェーンソーに対する構造上の欠陥あるいは防振装置あるいはこのチェーンソーの基準といいますか規格といいますか、こういう点は厳正にして、そして基準以上の振動を出すものはこのチェーンソー等の発売なり製造を禁止する、あるいは輸入関係を停止する、こういう法的な規制を機械そのものに加えて労働者を保護するということはきわめて必要ではないか。その点について、労働省並びに関連する通産省の方の見解を承りたい。
○東村政府委員 白ろうの問題振動障害の問題を起こさないためには、御指摘のように使用する工具の問題、非常に重要な問題だと思います。 ところで、振動の測定方法は現在国際的にもいろいろ問題でございまして、議論がされているところでございます。統一的な基準がまだきちっと出ているわけではございません。したがって、振動の許容水準についての医学的な解明もこれからでございまして、十分進んでいると言えない状態でございます。したがって、現在直ちにチェーンソーの振動についての明確な基準を設定するということには至っておりませんが、ただいまも御指摘ございましたし、私どももさよう考えておりますので、これらの基準に関するいろいろの研究等をできるだけ早い機会にやりまして、基準等が定められるようせっかく努力していきたい。 なお、チェーンソーにつきましてはメーカーにたびたび改善方を要請しておりまして、最近ではかなりこの方面の改善が進みつつあるというふうにわれわれ考えております。
○安田説明員 御説明申し上げます。 チェーンソー等によります振動障害は、これは取り扱っている方がそんなに間違った取り扱いをしてないにもかかわらずそのような障害が出ているわけでございますので、機械の改善というものはぜひともなさなければならないというふうに私ども考えておりまして、労働省、農林省とも打ち合わせをとりましてその措置をとりつつあるわけでございます。 具体的に申し上げますと、まず第一点は、機械の整備あるいは取り扱いに若干の改善を加えることによりまして、少しでもその障害を少なくすることができはしないかというふうに考えまして、販売業者、メーカー共同いたしまして、取り扱いの手引きを販売に際して添付するようにいたしているわけでございます。 第二に、やはり先生御指摘のとおり機械につきましての基準を設けて、その基準に達するよう業界を指導していくということが必要なんではないかというふうに考えまして、通産省の中に機械安全化・無公害化委員会という委員会を設置いたしまして、その中に林業用手持機器分科会というものを設置いたしました。この分科会には農林省、労働省、学識経験者、ユーザーの代表、メーカーの代表等々が委員として加わって、このチェーンソーの振動障害の防止のための基準につきましていろいろ審議、議論いたしたところであります。現在なお十分とは申せませんが、一応の基準というものをつくりまして、これでメーカーがその基準に合致するよう努力していただきたいということで、現在指導を行っておる段階でございます。 なお、振動障害防止のための防振装置等につきましては、現在相当部分につきまして防振装置が装備されておりまして、なお一部残っておるものにつきましては、今後ともやはりその防振装置をつけるように指導してまいりたいというふうに考えております。 なお振動障害の防止のためには、チェーンソーのほかにさらにこれに代替する機械を開発する必要があるのではないかと考えまして、現在たとえば伐木機、ツリーフェラーというふうに申しておりますが、これの小型の傾斜地で使えるようなものの開発につきまして、技術開発の補助金を出して研究を促進いたしておりますが、なおこれにつきましては傾斜の問題、狭い林道の問題その他の問題がありますので、チェーンソーの改善とこの代替機の開発と両々推し進めてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
○兒玉分科員 時間がもうございませんので、まとめて質問しますので、まとめて御答弁願います。 一点は、基準局長にお伺いしたいわけですが、この前の宮崎県内の調査の際、一次検診だけで終わって二次検診しなければ最終的な認定はできない、なぜできないのか、私の質問に対しまして宮崎の基準局長はこういうふうに答弁しておるわけであります。二次検診について基準局長は、二次検診の器具がなく、購入する予算もないので実施してないというふうに答弁をされているわけです。では一体、これに要する予算はどれくらいかかるのかと聞いたところが、百万から百五十万程度。そこで私たちは、この道の専門的な経験されている産業衛生学といいますか、九州の久留米大学の高松教授も実は同席されておりまして聞いたところ、それはもうそんな金は要らぬ、六十万程度あれば十分だというふうな医学的見地からも説明されておるわけです。だとするならば、仮に百万だろうが百五十万であろうが、これは私は労働安全衛生という立場から見るならばきわめて些少な予算である、これに対してはもう少し労働省が積極的な姿勢で指導するならば、これは万全とは言えなくても、可能性というものが拡大されていくんじゃないか、このことについての局長の見解。 それから大臣にお伺いしたいことは、そういうふうな問題を含めて、今日の民有林労働者がなぜ検査に行かないのかというと、もしこの認定を受けると、いわゆる一人親方あるいは企業主がなかなかそういうものが出た場合に仕事ができない、そうすると生産が減る、こういういわゆる利害関係の問題。もう一つは、民間林業労働者は非常に賃金が安い。実際には、仮に六千円の賃金であってもチェーンソーの償却費等で四千円ぐらい引かれる。実際に賃金契約の中では二千円がその人の契約になって、結局は労災保険等のいわゆる基準掛金といいますか基準賃金といいますか、労災掛金を安くするためのごまかしの労働契約が結ばれているんじゃないかという疑いが、現地のいわゆる林業労働者から意見が出ております。このことは同時に、そういうふうな賃金契約についても突っ込んだ調査をしていただきまして、労働者が仮にチェーンソーの病気にかかっても十分補償できるような、いわゆる林業補償一〇〇%というシステムをこの際とっていくならばそういう問題もなくなるであろう。同時にまた、言われるところの労災掛金の負担をできるだけ軽減するために労使間の賃金契約が不当に抑えられているという具体的な例も指摘をされているわけです。こういう点は特に第一線の行政指導上の面、あるいはこういう職業病を撲滅する手段、さらには広範な——先ほど局長が再三言われるように、患者なりそういう作業主との関係において調査が困難だという問題も解消できる。 以上の点について局長並びに大臣の総合的な見解をお伺いしまして、私の質問を終わります。
○東村政府委員 ただいま御指摘のございました二次検診の問題でございますが、現地のお話がございましたが、二次検診におきましては御指摘のような特別の機器が要ることは事実でございます。しかし、機器だけではなくて多くの人手を要するわけでございます。専門家を要するわけでございます。したがいまして、通常の医療機関ではなかなかむずかしい面がございます。そこで、地方自治体とも連携を密にしながら公共的病院など中心となる機関に依頼するなど検診実施体制の確立を積極的に進める、こういうことが必要になるわけであります。これによりまして二次検診が容易に実施されるようにということに努めておりますので、ただいまの御指摘のことを頭に置きながら全体の体制がうまくできるようにというように考えております。 それから労災の問題でございますが、いろいろ賃金の支払い方等について特別のやり方等があることもわれわれ存じております。具体的な問題についてはさらに調査をして申し上げなければならないと思いますが、以上のとおりでございます。
○長谷川国務大臣 最後の、チェーンソーを自分で買っているから賃金とそれを解消するというか、そういう関係の話が出ましたが、そういう機材の損料ともどもに賃金を計算しているという話なども間々聞いておりますが、具体的な問題などについてわかって、その上で調査してみたい、こう思っております。
○兒玉分科員 終わります。
○野田主査 これにて兒玉末男君の質疑は終了いたしました。 次に、小林進君。
○小林(進)分科員 勤労者財産形成促進制度だけについて御質問をいたしたいと思うのでございます。 まず第一に、政府は一九七二年でございますか、勤労者財産形成促進法を大変自信を持って国会にお出しになりました。しかるに、四十九年の末にその成果を見ますると、まず加入者が三百九十六万人、全勤労者のわずかに一割、貯蓄残高が三千七百五十億円、貸出金に至ってはわずかに三十一億円という、決して見るべき成果のないような形でこの法律が終わった。そこでいろいろの場合を勘案されたのでございましょう、今国会でこの法律の一部改正案を用意せられておるのでありますが、その改正案に論述を進める前に、なぜ一体この法律が政府の予期するような成果を上げ得なかったのか。後でも言いましょうが、ドイツの方は全労働者の五分の四が財産形成の法律に参加をして非常に安定した生活をしているが、わが日本はわずかに一割。なぜ一割にとどまったかというその原因を一体政府はどう考えられているか、お伺いをいたしたいと思うのでございます。
○長谷川国務大臣 おっしゃるように、勤労者の財産形成というのは、いまから先の労働行政としてもあるいはまた社会的な問題としても大事なことだと思います。ただドイツほど進んでいないというおしかりは受けながらも、これは労使ともどもの話で始まって、三年間でおっしゃるような契約高ができたというところに日本の勤労者の非常な御熱心さがわかりまして、いまから先もこの問題をいろいろな改正案などやりながら推し進めて、西ドイツに負けない程度のこともやりたい、こういうアンビションを持っていることをまず御報告申し上げたいと思います。
○小林(進)分科員 結論をお出しになって、将来はドイツに負けないようにやりたいというその意欲は私は非常に高く買います。しかし私は、現在の姿を見る場合には物足りない。その物足りなく、なおかつ労働者が魅力を持ってこない原因は一体どこにあるか。それは、まずこの法律の真の目的が明確でないのではないか、あるいは勤労者の預金の目減りなどもこの法律によってきちっと解決するというふうな、そういうすっきりしたところがない。一体この法律の目的はどこにあるのか、その基本線をひとつお示しをいただきたいと思うのであります。
○東村政府委員 ただいまのお話にございましたが、またお答え申し上げましたが、生まれて日それほどたっておりませんし、見方によっては数字の上では大分出てきたような感じがいたしますが、まだまだ問題がある。特にいま御指摘のように魅力に欠けているのではないかという点は、これはしかるがゆえにわれわれはやはり改正を考えなければいかぬというふうに思うわけでございまして、量的な問題もございますが、質的な問題だと思うわけです。 本来この法律がねらっておりまするところはいろいろございますが、大きく申しますと、賃金所得というようなものがある程度わが国経済の成長の過程の中で上昇しつつあるけれども、ストックの面でほかの階層ないしはほかの国に比較して見劣りがあるのではないか、その辺をもう少し厚くいたしまして、労働者がその生活の安定を図り、さらには生きがいのある生活ができるようにというのが基本的なねらいではないか、かように考えております。
○小林(進)分科員 私が要望する目的に若干ひっかかっているところもありますが、やはりこういう法律というものはその基本を明確に示していかなければならぬ。労働大臣、私参考までにドイツの同じく財産形成促進法の目的を短いから読み上げます。ドイツの勤労者財産形成促進法の目的は何だ。彼はこう言っているのです。「企業は戦後の荒廃からありとあらゆる政府の助成を受けて資産を築き上げ繁栄を遂げてきた。勤労者の預金は信用の形で産業に供給され、勤労者は預金金利を受け取ったが、企業はそれ以上の利益を上げた。企業資本の蓄積の一部はこの差額である。」企業はこれほど大きくもうけた、その一部はいわゆる勤労者がもらう預金とその信用貸しの差額だと言うのです。企業の利益はその差額なんだ。だから「いまや勤労者が政府と企業の助成を受け、みずからの財産を築くべきときだ」こうして企業だけが少しよけい持ち過ぎたのだから、今度は労働者の方にそれを配分をして、そして社会の正義、社会の公正をこの法律でつくらなければならない、こういうことを明確に示している。私は、実に高邁な目的が明記され、哲学的に香り高いと思うのです。こういう形でありますから、この理念のもとにできたドイツの財産形成促進法というものは非常にうまくできている、あなたも知っておられるように。 まず、西独はしからばどういうふうにいまのこの理念を具体化しているかといえば、第一には、住宅貯蓄割増金法というものができて、これは五二年から実施しております。住宅獲得を目的とする貯蓄には、労働者が貯蓄をすると、七年間据え置きを条件として国が二五%ないし四五%まで割り増し金をつけている。勤労者財産形成促進法、どうも名前は、西ドイツもいまあなたがおつくりになる日本も同じだけれども、内容がまずこれだけ大きく違っている。それから第二番目には、一定規模以下の住宅建設について、それはもうブルジョアじゃないのですから大きな住宅は別だけれども、一定の規模以内の住宅建設については、新築後十年間は不動産税、こちらで言えば固定資産税でございましょう、税金は免除してやる、これが第二番目の特典です。第三番目では貯蓄割増金法、プレミアと言いましょうか、一般の労働者が貯金しているその全般の貯金についても、五年間ないし七年間据え置くことを条件にして、国が二〇%ないし四二%割り増し金をつけてやってくれる、大変これをやっている。いずれも割り増し金や税の優遇措置で勤労者の貯蓄意欲というものを非常に盛んならしめているから、ドイツにおいては五分の四、ほとんどの労働者がこの割り増し金の貯蓄の制度に入っている。家も建てているし、貯金もふやしている。日本のような春闘などというような激しいストライキも余りやりません。それは政府がいわゆる富の配分にこれほど気を使っているから。 それに加えて、今度は一九六一年に成立した勤労者財産形成促進法、これです、いまから言うのは。これは第二の法律でありますけれども、これは、いま申し上げました住宅貯蓄割増金法や貯蓄割増金法がありましても、これらの法律では貯金の余力のない低所得者、収入の少ない者は貯金するわけにいきませんから、その割り増し金なんかの恩典に浴するわけにはいきません。こういう低所得者に対して一体どういう手をドイツが打っているかというと、そこでまたいま申し上げました法律を新しくつくって、今度はどんな低所得者でも、無一文でもちゃんと家を建てられるようにしてやるというのが勤労者財産形成促進法であります。 その具体的な方法は何かというと、年収単身者でドイツは二万四千マルク、一マルクは百十円か百十五円くらいですかな、百十円としても、日本円にして二百六十万円以下の収入しかない勤労者を対象として、雇用主との間で契約を結ぶ、あるいは経営協定あるいは労働協約を結ぶと、雇用主がその二百六十万以下の低所得者の労働者に最高六百二十四マルク、日本の円にして七万一千円を通常の賃金とは別に支給するわけだ、くれてやるわけだ。財産貯蓄用の糸口としてくれてやる。そうすると、勤労者はこれを元手にして、先ほど申し上げました貯蓄割増金法または住宅貯蓄割増金法による貯蓄をやったり、住宅建設、宅地の取得代金の返済などに充てるとかあるいは方々のことをいたしますと、今度は国はまた、雇用主が労働者のために積み立ててくれるその金に対し、その雇い主が支給する額の三〇%、七万一千円の三〇%、これが三人以上子供がいる場合には四〇%、日本の円にすれば一年間二万一千円か二万五千円程度でございますけれども、それをまた付加金として労働者の貯金に入れてやるわけです。そういたしますと、今度はそれを扱う銀行は、またその財形貯蓄する労働者に奨励金というものをそれにつけてやる。 あるいはこの労働者がその金を元にしてさらに住宅を建てる場合には、ドイツ国家、それからドイツ連邦の各州から返済不要の建設助成金をまたこの労働者にくれるわけです。そうでしょう、くれるでしょう。私の言っておることはうそじゃないでしょう。そうやりますと、企業がまた独自の持ち家奨励金というものをその労働者にやるわけです。だから無一文でもかくのごとく国と州と銀行と雇い主が交互にこうやってその労働者を守っている、いわゆる富の再分配をやってくれるから、勤労者はこれを全部組み合わせることによって、一文の貯蓄ができなくてもちゃんと自分の家を持つことができる。しかも、こうして借り入れた金は一体何年間で返済するかというと、家はつくった、借りた金の返済期限は五十年間、五十年間で返済すればよろしい。 これが現在行われているドイツの大ざっぱな財産形成促進法の内容でございますが、これに比較して、労働大臣、いまおやりになろうとする改正案の内容は一体どんなものでございますか。時間もありませんけれども、かいつまんでひとつ言っていただきたい。せめてこの程度に近いものかどうか。まさにわが日本の経済の成長は世界の第二位まで来ている、ドイツよりもすぐれても劣らざるわが家でありますから、ドイツにできることがわが日本にできないなどという、そういうお粗末な話はないはずであります。しかも、これから福祉行政専門にいって、社会の公正を期そう、社会の正義を実現しようというこの三木内閣において、よもやその看板に偽りがあろうはずはございませんので、ひとつ具体的にお示しをいただきたいと思うのであります。
○長谷川国務大臣 あなたと一緒に十数年前にドイツに行って工場を見たときに、ドイツの経営者は、自分の国の労働者が非常に落ちついていることは住宅があるからだ、こう言うて、三時間も四時間も話を一緒に聞いたことがありますね。(小林(進)分科員「ありますよ」と呼ぶ)私はやはり住宅問題が一番大事だ、それと同時に、先生がいまここでお述べいただいたことは私もよく読んでもおり、そういうものにあやかりたい気分がございますす。しかも、日本の勤労者の所得というものは大蔵省でこれは一番把握しやすいわけでございます。こういう人々の人心の安定とやはりストックというものを持たせることが、いまから先の日本の労働政策の一番大事なことではないか。でありますから、いま先生がおっしゃったようなことを審議会などでもよく御検討いただきながら、いままでは初めは三年間でございますが、税額控除などをいたしましたけれども、一歩一歩というところで今度一応前進の形ができて、さらにはまた、いまから先、先生がおっしゃったそういう問題を大きく審議するために、ことしから調査費などもつけて御研究いただき、社会全体にひとつPRして、これが実現に、西ドイツに負けないように、それがまた労働行政その他の安定にもなることじゃなかろうか、私はこういう考えでありまして、詳しい、ことしやる問題については政府委員から答弁していただきます。
○小林(進)分科員 政府委員から具体的な一部改正案の内容はこの次に承ることにいたしまして、あなたの意欲は私は賛成なんですよ。確かにことしも春闘が目の前に来ている。何か春闘が物価値上げの犯人のようなPR宣伝を盛んに政府はやっていますけれども、私はそこをいまドイツの労働政策、勤労者に対する再分配政策と比較してみて、いままで日本の政府は何でこの手を打たなかったんだということを私は言いたいわけだ。 くどいようでありますけれども、いま一回言います。西ドイツには現在全勤労者の五分の四の人々が勤労者財産形成促進の中に入っておるわけだ。ドイツは、国も企業も、ためたその資産を働く階級に広く還元をして、そして社会的不公正を正す、是正をするという方針でこの法律ができたわけだ、五二年から。そして、だんだんこれを改正をしていって、六一年から六三年に完成したわけでありますが、これがドイツの労働者、勤労者に非常に共感を呼んだわけです。これが今日のドイツのインフレを日本ほど大幅にしなかった理由でもあるし、日本ほど毎年毎年激しい春闘だ、秋闘だという、労働者の怒りに燃えたこういう大きなストライキがドイツに起こらない理由でもあるし、またドイツの企業の中で労使がお互いに信頼し合ってやっていく理由でもあるわけです。また、今日のドイツ繁栄を来したその成果、そして企業の利潤は、やはり勤労者の大きな力なんだ、こういう観念がドイツ政府の中にある。彼らだって資本主義国家だ、日本と同じです。同じ資本主義国家の中でも、ドイツの為政者の中にはそういうことがきちんと位置づけられている。だから、企業ももうけた、国も繁栄した、今度は労働者のためにこの再分配をやって、この人たちにも安定した生活を国は保障しなければいかぬ、いいじゃないですか、この考え方。私は、できればいまつくり上げている日本の法律の中にこういう理念をまずきちっと入れて、そして大臣おっしゃるように急にはいきません。何しろ日本の自民党と政府はけちん坊でありますし、企業とは密着しているけれども、どうも労働者に対するというと敵に回そうという既成の観念があります。これは間違っているのでありますけれども、そういうものの——しかしまた大蔵省なんというのはさらにけちん坊に輪をかけているのでありますから、労働大臣が私と同じような大きなアイデアをお持ちになったとしたところで、一挙にドイツのようなわけにはまいりません。ドイツのようにいかないが、その理念だけは、ドイツ的な考え方だけは、ひとつこの法律にはっきり盛って、できるべくは、頑迷な閣僚会議の中から、広く国民にもこれを知らしめるという、こういう努力はやはり勤労者の生活を預かる労働省にお願いする以外にないわけですから、この点私は労働大臣に強く御期待をいたしたいと思う。この問題を、事実上ドイツのごとく理想的にいかないにしても、そういう理念を正しく至るところにあなたが宣伝され、信念的に語られれば、私はこれから予定せられる春闘だとかあるいは労働者のストライキだとか、そういう年々激烈化してくる闘いの中にも、静かに深く潜航していって、彼らの怒りをあるいは緩和する、直接ではなくても一つの間接な大きな働きをなすのではないか、こういうふうに考えるわけでございまして、どうか労働者階級や勤労者大衆を敵に回すという、そういう構えではなしに、こういう生きた政策を政府はやるのだという構えをもっともっと強く見せていただきたいというふうに考えるわけであります。 これだけ申し上げておいて、今度は改正案の内容をちょっと政府から御説明をいただきたいと思うのであります。
○東村政府委員 改正案の内容に入ります前に、簡単に現行を申し上げますと、昭和四十六年に勤労者財産形成促進法が制定されたことは、ただいま先生御指摘のとおりでございますが、その柱は、財形貯蓄についての税制上の優遇措置ということと、それから持ち家の建設という二本の柱でございました。持ち家建設の促進といいますのは、いわゆる分譲住宅という問題でございます。 ところで、今回の改正でございますが、いま申し上げました現行制度をどのように改正するか、三つの柱を申し上げることができます。 第一は、いま申し上げました勤労者財産形成貯蓄制度を改善したい。その中身は、財形貯蓄の範囲の拡大、転職した場合の継続措置、それから預け入れ方法の多様化、それから住宅貯蓄の税額控除率の引き上げ、こういうものが第一の柱の問題でございます。 第二の柱は、新しい問題でございまして、勤労者財産形成給付金制度というものを新しく設けたい。そして、こういう給付金制度を設けた場合に、中小企業勤労者財産形成助成金というものをあわせてそれに付加したいというものでございます。 第三の柱といたしましては、ただいま申し上げました分譲融資のほかに、勤労者の持ち家建設の促進といたしまして、財形持ち家個人融資制度というものを新設したい、かように考えておる次第でございます。
○小林(進)分科員 ざっと御説明がございまして、四十二年にできた法律は、ただ勤労者の貯蓄に対して非課税だ、単に最高五百万円を限度にして貯蓄への利子を非課税にするということが一つと、それから住宅貯蓄に限って税額を控除する、大体こういうものでございまして、先ほどから言いましたように、西ドイツ政府が行っている企業からの給付金もなければ、国からの割り増し金の支給も何もなかったわけであります。 今度の改正の中で、若干、政府ではない、雇用促進事業団を通じ、あるいは企業を通じて、ややこのまねごとをしようかというのが改正の重点でございましょう。それは、金融機関を多様化した、郵便局も入れた、あるいは信用金庫も入れた、生命保険も入れたという、そういう窓口は広げましたけれども、中心のねらいは勤労者財産形成給付金契約というものを労働者と事業主との間に結ばせて、それでその事業者が勤労者の名前で七年間財産形成給付金というものを積み立てた場合において、その給付金については課税をしない、こういうことになったことが一つ大きな改正点でございましょう。 いま一つは、中小企業勤労者財産形成助成の給付金です。契約に基づきその事業主が積み立てた、いわゆる貯金をした、その助成金の一〇%ないし五%を、国ではないが、雇用促進事業団がそれに付加するというか、そういう形の制度をとる——助成ですか、こういう形なんだが、一体その中小企業の勤労者の財産形成給付金のその中小企業者という、この区別だな。これはランクを十%と五%のその差を一体どこに置くのか。どれだけまでのものに雇用促進事業団を通じて一〇%をやる、そしてどれだけのものに五%の助成金を雇用促進事業団が出すのか。 それからいま一つは、事業主が賃金のほかに特別契約で給付をするその金の最高は一体幾らを予定しているのかをお聞かせ願いたいと思うのであります。
○東村政府委員 いまお話しございました給付金に対する助成金の割合でございますが、これは小規模企業の場合と中規模企業の場合と分かれておりまして、小規模企業といいますのは、一般の産業で申しますと二十人以下でございます。この場合には一〇%。それから、中規模企業の場合には、一般産業の場合には二十一人以上百人以下でございます。これが五%でございます。 それから、給付金の最高は一人当たり十万でございます。
○小林(進)分科員 そこでお伺いしますが、今度の改正案はもちろんドイツ方式にならって、やや前進したことは事実だ。しかし、先ほどから言っているように、西独は三〇%から四〇%ずつちゃんとプレミアをつけているわけだ。おたくさんはようやく二十人以下の零細業者に一〇%、百人までのものに五%の助成金をつけようということですから、ドイツから見ればスズメの涙でありますけれども、おやりになったのですから、改正の苦心の作はわかります。 しかしここで問題になるのは、そういう中小零細の業者がこの特別契約に一体応ずるかどうかということが一つ問題だ。自分のいままで払っている賃金のほかに、最高十万円でも一年間よけいにこれを出さなければいかぬのですから、事業主がそういう要望に応ずるかどうかということが一つ。ところが、要望に応じたら、おまえには特別財形貯蓄をやってやるんだから、その分だけは賃金の方は、定期昇給は少し内目だよ、上げないよと言って、片っ方はやってくれるかわりに片っ方は抑えられるという、そういう心配が一体ないかどうか。その点、どのように見通しをつけていられるか承りたいと思うのであります。
○東村政府委員 この制度は最初でございますので、どのくらい受け入れられるかという問題がございます。それに対しまして、われわれも、こういうことだからこうなるというはっきりしたものは申し上げられませんが、現在財形貯蓄を実施している企業のうち、一六%程度の企業において、従業員が行う財形貯蓄について、事業主の負担による上積みを行っている。つまり、いま政府が考えているような形のものが、全く同じではありませんが、行われている、こういう実情がございます。しかも、現在行っておりますのは特別の税法上の恩典があるわけでございません。それを今度は、改正法において税法上の問題までいろいろ考えているということがございますので、そういうことを考えれば、ある程度プレベール、一般的になるんじゃないかと思うことが一つです。 それから、もう一つの賃金のほかに云々というお話でございますが、給付金制度というものを設ける場合には、労使が協定をするという前提がございますので、そういう問題も避けられるのではないか、かように考えております。
○小林(進)分科員 もう時間も参りましたので、私は残念ながらこれで質問を打ち切らなければならぬのでありまするが、この改正案を見まして、どれだけ一体労働者がこの金を借りて自分の家をつくれるかという最高額を計算してみた。間違っていたら訂正してくださればいいが、大体政府の無税の最高額は五百万円。五百万円をやると、今度はそれに見合って、二倍までの金を借りることができるから、それで一千万円。それで千五百万円。そうすると、千五百万円に、今度は一般の住宅金融公庫から、これは現在は木造の場合は三百五十万円だが、改正されて四百五十万円になる。四百五十万円住宅金融公庫から借りるということになると、これで合計して一千九百五十万円の住宅建設の金を動かすことができる、自分で借りることができる。一千九百五十万円、大体二千万円ですから、これはまあサラリーマンの住宅——土地も含めていまの物価でこれどうかな、土地は大変だろうけれども、まあまあという形になると思う。 ところが、これをまあまあ二千万円でようやく、この法律に基づいて最高の金を借りてつくったとするが、じゃ今度は次の日からこれを返済に回らなければいけない。何年で返済するかというと、先ほども言うように最高十八年間。十八年間でこの金を返済しなくちゃならない。西ドイツは五十年です。五十年ならまあおやじから子供までいって大体気にならぬけれども、十八年はちょっと、これは相当苦しいのじゃないかと思うが、この点を一体どうお考えになっているか。いま少し西ドイツ並みに——くれるのもけちだが、取り上げるのは時間が早いというそういうことをひとつ改める気がないかどうか、お伺いしておきたいのであります。
○東村政府委員 いま御指摘の点ございますが、先生みずから御説明ございましたように、当面は資金量を何とか労働者が得られるようにという趣旨でやっておりまして、いまの十八年とか五十年とかいうお話でございますが、わが国におきまする長期というものとのバランスがございますので、そういうかっこうでこの改正法ないしは財形では運用していきたい、かように考えております。
○小林(進)分科員 これで終わりますが、労働大臣、最初に申しましたように、非常にけちな法案ではございますけれども、ないよりはいい。そして、これをつくり、かつ改正する面において、労働大臣御苦心になったその御苦労の点は非常に認めますけれども、しかし、これはあくまでもそういう労働者の財産形成あるいは社会の不公正を再分配をするという形において、この法律がようやく窓口を開いた。窓口を開いたという点において私はその価値を認めるのですが、このままに停滞していただけでは、われわれの要望する社会の公正にはちっとも適合いたしませんので、どうかひとつ今後は日に月にこれを改正して、だんだんドイツ方式に近づいていくという御努力をくださることを切に要望いたしまして、私の質問を終わることにいたします。
○野田主査 これにて小林進君の質疑は終了いたしました。 次に、多田光雄君。
○多田分科員 二月十八日の総理府の発表によりますと、十二月の完全失業者が八十三万人、さらにこれが年を明けて百万の大台を超すだろうということが報告されております。そしてまたこのことが、いまインフレ、不況という同時進行の中でいかに深刻な失業問題ができてきているかということをはっきり示しているのじゃないか、こう思います。そこで、私はこの失業問題を見てみますと、これは他の問題もそうですが、いろいろ施策がやられますときには、いつも勤労国民、そしてまた特に、いわゆる社会的に弱者と言われている、生活あるいは仕事の面で不安定な方々に大きなしわ寄せが来るということが非常に多いわけですね。こういう意味でも、私は、今回の失業問題に対して三木内閣がどういう態度で臨むか、これはやはり政治姿勢を問われる問題として、以下の季節労務者の問題についてお伺いしたい、こう思っているのです。 特に私は、季節労務者が従来全国六十一万人と言われているわけですが、その中で四二%を占めている北海道の季節労務者、これは二十六万人とも二十七万人とも、その前後を言われているわけですが、これについて伺いたい、こう思っているのです。 そこで、労働省に伺いたいのですが、昨年十二月十九日の当院の社労委員会で、北海道、東北、九州の一部の出かせぎの実態を調査してきたということが速記録にも載っているわけですが、だれがどこに行って何を調べてきたのか、これをひとつ伺いたいと思います。
○遠藤(政)政府委員 ただいま先生御指摘のように、不況がだんだん浸透してまいりまして一般の求人状況が低下いたしております。いまお話しございましたように、そういった労働市場の状況が、季節出かせぎの方々だとかあるいはパートだとか、そういった一番そういう事態になりました場合にしわ寄せを受けやすいと言われております分野につきまして私どもも重大な関心を持っておりまして、昨年の暮れ私北海道へ参りまして、それから福岡の産炭地、それから労働大臣のお供をいたしまして東北、北海道方面から出かせぎに出てこられる上野の現地相談所、こういったところに参りまして出かせぎ関係の求人状況等を視察し事情を聴取してまいったわけでございます。
○多田分科員 その結果どうだったのですか。どういう実態をつかんでこられましたか。特に私は北海道について伺いたい。
○遠藤(政)政府委員 その際私、労働市場の状況を聴取いたしましたところが、一般の求人状況も御承知のように大体三〇%から四〇%ぐらい求人減というような現象が出てきております。それに対して出かせぎが一番しわ寄せを受けやすいとよく言われておりますが、こういった一般の求人状況に比較して出かせぎ関係の求人がどの程度に減少しておるかということについて特に私実情を聴取しでまいりました。その際、北海道につきましては北海道庁それから札幌の安定所におきまして取り扱っております状況を聴取いたしましたところが、やはり一般の常用求人と同じように、業種その他によりますけれども、おおむね三〇%から四〇%ぐらいの求人減になっておる、こういう状況を聴取してまいりました。
○多田分科員 当時の速記録を見ますと、遠藤局長は北海道でも仕事があるんだということを言っておりましたけれども、実は道労働部で出している資料を見ますと、あなたの言うような状況じゃないのですよ。たとえばここに資料ございますけれども、四十九年一月から四月の新規の求人倍率は上昇して求職数を大きく上回っていることは事実です。しかしあくまでも新規の求職数について言いますと、これは月間有効求職数のうち新規の問題はわずかな数値であって、たとえば求人倍率が高いと言われている四十九年の一月でもその総数の中の二八%、二月では五%、三月では四%、四月は六%と、新規ですらこうなんです、その占める率は。しかも北海道の失業者三十三万、まあ三十万以上と言われているのですが、このうちの八〇%に余るのが、これがいわゆる季節労働者なんです。この人たちに一体仕事があるのかどうなのか。遠藤局長、非常に前回は仕事があると言っておられたけれども、いまの報告とはちょっとこれは違っておるわけです。 そこでさらに伺いたいのですが、今日のように公共事業、これは総需要抑制で相当減らされている。あるいはまた求人数が減少しているというとき、北海道でこの夏、北海道で夏場と言えば、仕事のあるのは大体五月から十一月の中旬ぐらい。この間二十六万人のいわゆる季節労働者に仕事が保障できるかどうか、これをひとつ伺いたいと思うのです。特に北海道の場合は二十六万人のうち大半が建設業に従事しているのです。したがって、単に一般的に仕事があるかどうかというだけじゃなくて、特に建設業界でこの労働力を吸収できる見通しを持っているのかどうなのか。持っているとすればその具体的な策をひとつここで示していただきたいと思う。
○遠藤(政)政府委員 私どもの出先の公共職業安定所、直接こういった方々のお世話をしております安定所の窓口で把握いたしたところによりますと、出かせぎ労働者の数は全国で約五十万人を若干上回るような数字でございます。そのうち北海道につきましては、私どもの窓口で取り扱っておりますいわゆる失業保険関係のデータからいたしますと、北海道で約六万七千人、このうち道内で、北海道地域内で就業いたしております者が五万一千人、そのうちの約八割が建設業ということになっております。道外へ就労していく人たち一万六千人ぐらいでございますが、そのうちの約四割、半分弱が建設業で、その他の五割が一般の製造業、こういうことになっております。 私は昨年の秋に参りまして、出かせぎ関係の求人が非常に減ってきている、こういう人たちが今後就労の場が確保されないような事態になるのじゃないかということを懸念いたしまして、実は現地で事情を聴取したわけでございますが、先ほど御指摘ございましたように、昨年の当初以来こういう出かせぎ関係の求人は求職者を大幅に上回っております。したがいまして三〇%ないし四〇%求人減になりましても……(多田委員「ちょっとそこをもう一度言ってください。出かせぎ」と呼ぶ)出かせぎ関係の求人でございます。従来は大幅に求職者を上回っております。したがいまして、昨年の後半から求人がだんだん減ってまいりましたけれども、実数としては求職者を上回っておる。まだ求人倍率は一を上回っておりまして、したがって、これは北海道のみならず一般的に言い得ることでございますけれども、いままでのように自分の希望するところに自由に選択して就職するということはむずかしくなっておりますけれども、求人先がいままで長年繰り返し行っておった現場は確保されないにしても、少なくとも求職者に対して求人は十分確保できるという状態だということを私聴取いたしまして、少なくとも職業を希望する方について出かせぎ関係の求人はまずまず確保できた、できておるという状況を聴取して帰ってまいったわけでございまして、いま御指摘のように北海道で二十六万人という数字は、実は私どもの取り扱っております限りではそういう数字になっておりませんことを申し上げておきます。
○多田分科員 数字の上で何か違っているようなことをいま遠藤局長が言っているけれども、これは道の労働部で出した資料です。私の言う出かせぎ労働者という中には、これは季節労務者、これは全部いわゆる九十日給付のことを言っているのです。北海道で九十日給付というのは、ほとんど出かせぎかもしくは地場であってもいわゆる出かせぎの枠に入っているのです。出かせぎというのは何も北海道から離れて東京へ来るだけじゃないんです。釧路から札幌へ来るだけでも東京以上かかるのです、同じ北海道でも。だから私の言っているのは、じゃ正確に言いましょう。従来の九十日受給者です。これは四十八年、これは道の労働部ですよ、そこでは北海道の初回受給者三十三万二千人、そのうち二十七万人なんです。二十七万人。あなた、いかにも出かせぎあるいは季節労働者が少ないように言っているけれども、実数はこれなんです。大半はこれなんです。しかもいまあなたは仕事があると言っている。先ほどの私の話をあなたは正確に聞いてない。このいわゆる失業者の中で九十日受給者というのが大半を占めている。この人たちに対する仕事が一体あるのかという問題なんです。たとえば四十八年十月からの四十九年十二月までの月間有効求人倍率、これは月間の有効求職に対して道内の月間有効求人数で出したものです、道外はわずかですから。これを見ると、一になっているのは昨年の四十九年の五月の一・二三、六月の一・四二なんです。これでどうして求人がはるかに上回っていると言えるのですか。しかもこの失業者の中の八割がいわゆる九十日受給者なんです。こうして見れば、あなたのおっしゃっていることは間違いではないだろうと思うけれども、悪意で言っているのじゃないと思いますけれども、私の言っているのは九十日受給者、しかもその大半が出かせぎと言われるそういう人たちなんです。 そこで私は、次にさらにこれは伺いたいのですが、給付が今度九十日から五十日になりました。この九十日で、いままでの冬場四カ月半あるいは五カ月、これを失業保険の給付で食べてやっていたわけですが、これが五十日になったわけです。この五十日で四カ月あるいは五カ月の冬場を食えないことははっきりしていると思うのです。これはどう思いますか。
○遠藤(政)政府委員 昨年の暮れの臨時国会におきまして雇用保険法が成立いたしました。従来、現行の失業保険法の中で、いわゆる季節出かせぎの方々の保険給付の問題につきましていろいろ御議論のあったところでございます。こういった人たちの保険給付のあり方について、最も現実に即して合理的な制度に改める必要があるということから、雇用保険法におきましては一時金で五十日分が支給される、こういう制度に改められることになったわけでございます。 そこで、従来はこの季節出かせぎの方々は毎年一年間のうちに五カ月以上働いて失業保険の受給資格がつきますと、郷里に帰って、そうして次の一年間に九十日分まで保険金の支給を受けることができる、こういう制度でございました。この九十日分を限度として保険金の支給を受けるという制度を、出かせぎから帰られますと、安定所へ一回出頭して、そこで失業の認定を受けて一時金五十日分が支給される。 そこで、従来の九十日分までの限度額の支給ということと、一時金の五十日ということでは余りに差が多過ぎるんじゃないか。それで、北海道初め東北六県の知事関係その他市町村関係からも、あるいは関係の団体の方々からも、この制度に改められることについて、関係者の生活に激変を与えないようにせよ、こういう強い御要望がございました。私たちもその点を十分留意しながら、今回の新しい法律によって制度が改められるに際しまして、給付の日額、基礎になります日額の大幅な引き上げに伴いまして、五十日分という一時金制度をとることによって、従来九十日分まで支給を受けることができることによって支給されておりました実績と現実の問題とそれほど大きな差がないようにという十分な配慮をいたした上で、一時金制度を導入したわけでございます。したがいまして、従来の受給実績からいたしますと、今回の四月以降実施されます一時金制度とは、受給者の実態から見ましてそう大きな激変ということにならない、私どもかように考えてる次第でございます。
○多田分科員 冗談じゃないですよ。いままで九十日で食ってる者が、少々日額が引き上げられたといったって、諸物価が上がっている中でどうして一体五十日の給付で食っていけるのですか。北海道は冬は仕事が全くないのですよ。しかもきょう、道の発表によりますと、この一月の失業保険の受給実数がかつてないくらいふえている。二万三千六百八十人ふえている。しかも季節労働者の受給者はその中の八五%だというのです。これは道の労働部の発表です。しかも五十年一月の求人数の動向を見ますと二万七千人も求人が減ってきてるのです。それでことしはどうなるかわからないと言っている。つまり夏場の仕事の保障も十分できないと言っている。きょう開発庁の方も来ておりますが、開発予算がことし初めて北海道は満額にならなかった。そういう中で夏場の仕事がない、冬は五十日で暮らせ、こういう状況でしょう。確かに一時金五十日分もらえばほかの仕事につけるかもわからないけれども、夏場ではない、冬場なんですよ。 そこで私は、これは遠藤局長に伺いますが、いま言った夏型の出かせぎ、冬はやむを得ないから家へ帰ってきて暮らす、これは東北の冬型とは違うのです。この二十数万の労働者を吸収できる冬の仕事、これは一体あなたはあると思いますか。あるんなら示してください。どういう具体的な施策を持っておられるのか。 これはもちろん労働省だけじゃないでしょう。しかし失業対策をどうしてもやるためには、この間も日本経済新聞によりますと、あなたは失業を食いとめるためには相当のむちゃなことをやってもいいというような表現の記事を書いておられる。レイオフをとるためには資本家も労働者もぐるになってやってもいいということを書いておる。それくらい真剣に考えるんだったならば、この冬の仕事を、二十六万人の労働者にどういう保障をあなたは考えておりますか、それを述べてください。
○遠藤(政)政府委員 私ども北海道につきましては、いわゆる出かせぎの人がどれくらいいるか、北海道道庁へ私の方で調査させましたところ、六万六千余、約六万七千でございます。いま先生御指摘になっておりますいわゆる九十日受給者、九十日まで失業保険金を受給できるという人の中には男子、女子、まあ女子が相当な大きな割合を占めておりますが、男子、女子を含めまして、若年者、高年者、全部入っております。その中のいわゆる季節出かせぎ受給者は、いま申し上げました六万七千程度、私どもはかように考えております。こういった六万七千の出かせぎの人たちが、現実に道内あるいは道外におきまして建設業、製造業にそれぞれ従来従事していただいたわけでございますが、この人たちに対する求人が従来より減っていることは、先ほど申し上げたとおり事実でございます。しかしながら、職場のいわゆるえり好みと申しますのは、従来何年間も繰り返し繰り返し同じ職場に行っておられた方が、いままでの過去に就労された実績のある職場が求人が減になったためにほかの職場へ変わらなければならぬ、こういう事態は確かにあちこちに起こっておりますけれども、少なくとも昨年秋以降私が実情を聴取いたしましたところによりますと、何とかお世話できるような求人確保には努力いたしておりますし、またそれだけのことが十分できると思います、こういう道庁なり職業安定所関係者のお話でございました。私は今後ともこういった人たちに対する求人確保について最大限の努力をしてまいりたい、かように現地第一線の職員諸君を督励しながら努力をいたしておる次第でございます。
○多田分科員 どうもその九十日季節のことをあなたは間違い——この北海道労働部失業保険課の出している資料を見ますと、たとえば初回受給者数の中に全道総計三十三万、そして「季節」と書いて二十六万六千人入っておるんです。あなたは何とかして出かせぎ労働者あるいは季節労働者、これを少なく見せようとしている。ここにちゃんと「季節」と書いてあるじゃありませんか。 そこで私の聞いているのは、冬の仕事に対して手当てを労働省として真剣にとっているのかということなんです。そのことを伺っているんです。どうなんですか。
○遠藤(政)政府委員 先ほどからお話ございましたように、季節出かせぎのタイプには二通り、夏型と冬型とございます。いま先生御指摘になりましたのは、北海道で夏場働いて冬は保険金をもらっているという方のことだと思いますが、私どもは、夏出かせぎに出る人、冬出かせぎに出る人、いろいろございますが、北海道で夏出かせぎをして道内で働いておられて冬仕事がない、こういう人たちが冬仕事をすることを希望されれば、これは東北以南の関東あるいは関西等におきまして建設業、製造業等におきまして出かせぎの方々が働いておられる現場たくさんございます。そういったことで、希望者についてはそういう道外での——北海道地区あるいは東北地区では冬場、そういった建設業等の就労がなかなかむずかしゅうございますが、その他の地域についてお世話することは私ども十分努力をいたしているわけでございます。また道内におきましてもここ二、三年来いわゆる通年雇用ということで建設現場等につきましても可能な限りいろいろ特別な融資等によりまして通年工事ができるような措置を逐次進めつつありますが、同時にこういった通年雇用の対象になりますものにつきましては奨励金を支給するとかあるいは特別な援助をすることによりまして、こういう道内の冬場働く希望者についてごあっせんできるような体制をとってまいっているわけでございます。
○多田分科員 大臣、北海道のいま言ったこの九十日受給者、これは六〇%が建設業なんです。これは府県と違うんですね。府県は大体建設業についているのとそれから——建設業についている者のうち道内建設が二十万人、これも私は労働部で聞いてきたんです。しかも二十万人が道内の建設業です。建設事業のうち、これを一〇〇とすれば、公共事業は約六〇%です。民間が四〇%なんです。この点は本州とちょっと逆なんですね。大半は建設業についているんです。その建設業の仕事がないんです。いま遠藤局長は、道外に行ったらいい、こういう話がありますけれども、道外にも行っております。しかしそれは残酷なことですよ。仕事がなければ道外に行け、食えなければ道外に行け、これはよく政府が使う言葉なんです。人間は将棋のこまじゃないんですよ。あなたは労働力センターでもって労働者の頭を一つ一つまるで木材か何かのようにはじいているかもしれないけれども、労働者には生活もあるし、そこの伝統もあるし、そこから簡単に動けるわけはないじゃありませんか。ところが、その冬の仕事についても、そういう言い方なのですね。つまり、北海道にいるこの二十数万のいわゆる建設業を中心にして働いている労働者、これの仕事が夏場の確証もない。冬場のはっきりした仕事も十分与えられてない。しかも給付が九十日から五十日、しかも一時金として与えられる。これは前回、私連合審査会のときにも、この件について伺ったわけなのです。 どう言っているのか、現場の労働者が。たとえば、どんなに皆さんがきれいごとを言ってみても——これは私じかに会ったのですか、岩内という小樽のすぐ南のところです。ここは非常に多いのです。ここで季節労働者の中学生の子供が、給付が五十日になったら高校進学できなくなると言って数人の子供たちと語り合って、雇用保険反対の署名活動を始めたのです。親は押さえたというのです。それから岩内では五十日給付では食えない、九十日にしてほしい、仕事をつくってもらいたいという署名を始めたら、一カ月で三万人の署名が集まったというのです。さらにまた、この二月十七日、東京で出かせぎ労働者の全国大会が開かれました。これに出席するために、この岩内というところで職安の出口で募金を訴えたところが、わずか二時間でもって一人が七千円の募金を集めている。どれほどの期待を持っているか。ある人は一日で三万円の募金を集めた。こういう状況なのです。さらにまた、ここにはいま炭鉱地帯その他の人々の訴えの文君がありますが、時間がありませんので、これは私、割愛しますが、実際は大変なのです。 そこで、私、労働大臣にお伺いしたいのですが、北海道のこの膨大な労働者、この失業者、そしてその大半が、これがいま言った九十日給付であり、あるいはまた出かせぎ、あるいは婦人であっても出かせぎのように近辺の食品加工に出かけていく。こういう失業問題の中で、最も手厚い対策を立ててやらなければならない、いわゆる季節労働者あるいは一時、短期の雇用者。これに対して、大臣、どういう施策をこれからおとりになろうとするのか、それをお伺いしたいと思います。
○長谷川国務大臣 こういう不況とインフレの中に、雇用の不安というのは非常に大事な問題でございまして、私はこういうときこそ労働省はいろいろいま持っている法律を活用いたしまして、全国の職業安定課長などを全部招集して、御親切にひとつ就職あっせん、ある法律を活用してそういう方々にこたえられることを親切にしてやることが、相手もまた一番苦しいときに親切されることは喜ぶことだから、徹底的な親切行政をやるように、職場獲得、あっせん、こんなことをいまお進め申し上げているわけでございます。
○多田分科員 特に東北、北海道、とりわけこの北海道の冬はどうしても仕事がなくて休まざるを得ない、この労働者のために、私、特に大臣、三点ほど提案したい問題があるのです。 一つは、何といっても北海道では仕事をふやす必要があります。そのために、特に先ほど言った、公共関係が建設の六〇%を占めているわけですね、少なくとも公共事業については地元の業者に積極的にさせる。こういう施策を、これは労働大臣だけではできませんから、建設大臣とこれを図って検討していただけるかどうかという問題なのです。これは地場産業を発展させて、地場に金を落として——そうでなくても地場産業は根づかないで資金がどんどん道外に出る、北海道にとっては非常に切実な要求なのです そういう点で、建設大臣と本当に話し合っていただけるかどうか、これが一点です それから第二点目。これは例の雇用調整給付金制度の問題なのです。 この制度については、われわれは一定の疑義を持っておりますけれども、この際、法律ができているわけです。そこで、対象業種に中小の建設業者を入れてもらえないかどうかということであります。これに対しては、雇用関係が不安定だからという話もございますが、しかし、六〇%の三分の二で、残り三分の一を政府の融資だとかあるいは助成でもって中小建設業者をやはりきちんとやらしていく、これが労使の雇用関係というものを私は本当に近代化する道だと思うのです。上からそうするだけでなくて、下に通年の雇用制度をつくらせていく、これが本当にこの建設業界の近代化に一番土台になるものじゃないか。こういうことをぜひひとつやっていただきたい。特に、失業対策ということを言いながら、いま一番倒産と失業が出ているのは、建設業界です。ここに手当てをしないでいて、いかにレイオフでございますと言ったって、レイオフを受けるような業種や大企業はよろしいでしょう。一番失業者をつくっている中小企業あるいは中小の建設業、これは救われないわけです。そういう点、大臣のひとつ積極的な御回答をぜひお願いしたいと思うのです。 もう一つ伺いたいのは、法の第二十三条の個別延長給付がございますね。ここでは季節労務者を除外しているということは私は百も承知なんです。しかしながら、これまで私は非常に短い時間ですが説明しておりますように、北海道の失業保険受給者の八〇%強が、いわゆる季節労務者、出かせぎ、これが圧倒的に占めている。そういう実態をひとつ踏まえていただいて、通年雇用はないわけですから、冬は。この二十三条に就職困難という条項がございますが、これをひとつ法の運用でもって特例として北海道にこれを拡大してもらう、こういう措置を思い切ってやっていただく。そして最小限度九十日給付をひとつ特例としてやっていただけないかどうか。こうして二十六万人の北海道の失業者、冬場の仕事のない労働者に対して仕事を与えてもらう、生活を保障する。 こういう三点をひとつぜひ御検討願えないか、これをお願いしたいと思うのです。
○長谷川国務大臣 前段の、公共事業をひとつ地元の業者になるべくやらせろ、こういう話は、私たちも自分の県などを見ておりまして、やはり地元の業者というものを育成し、何かあれば地元の業者にまた地元が大変お世話になることもありますから、やはり地元業者優先ということが考えられると思いますので、おっしゃるように機会があれば建設省とも話してみたいと思っております。 二番目の、雇用調整、この業種の指定についていろいろお話がありましたが、これは私たちは中小企業に手厚くするようにということで御案内のようにいままでやっておりますけれども、各産業の実態に即してやりまして、中小建設業につきましても基準に照らしてひとつ検討してまいりたい、こう思っているものであります。 三番目はひとつ局長から。
○遠藤(政)政府委員 雇用保険法によります失業給付の個別延長措置につきましては、これは個々人で就職困難な者について延長する、こういう制度でございまして、これを一括包括的に延長するという制度はございませんので、御了承いただきたいと思います。
○多田分科員 開発庁にちょっと伺いますが、開発庁で三千名以上の臨時職員を持っておりますね。これは目下労使の交渉もやられるというふうに思いますが、これは政府機関自身が、こういう雇用の深刻な状況の中に、これを一たん首切ったらどうなるかということもよく御存じのとおりだと思う。これはひとつぜひ通年雇用だとかあるいはまたことしはぜひ全員採用していく。こういう前向きの姿勢をとられるかどうか、簡単に答えてください。
○秋吉政府委員 先ほど来労働省から御答弁がございましたように、特例一時金の制度は十分まあ季節労働者の実態に配慮したものであるとは聞いておりますけれども、北海道開発局に勤務しております非常勤職員について、新しい雇用保険制度が具体的に個別運用された場合には、これはかなり実情にそぐわないという面も出てくる懸念があろうかと思います。 そこで、また先ほど御指摘がございましたように、北海道開発局の仕事を遂行するためには、かなりただいま相当数の非常勤職員を抱えているのが実情でございます。そこで御指摘がございましたように通年雇用化、さらにまた定員化というような御議論もよくございますけれども、定員化の問題につきましては現在先生御承知のように第三次定員削減が進行しているような現実の問題がございます。それからまた通年雇用化の問題につきましては、政府部内といたしましては三十六年でございますけれども、非常勤職員の常勤化の防止という全体の大きな線がございます。そういった実情にあることを御理解いただきたいと思います。 しかしながら、北海道開発局の非常勤職員は長年反復して雇用されているのが実情でございまして、職員団体ともこの点は十分話し合いをしつつ、毎年度の雇用に当たりましては、現実問題といたしましては四十五年度以前から採用になっている方々については事業執行計画の範囲内において採用する、雇用するということの努力をいままでやってきておるわけでございます。今後におきましてもそういった過去の経緯を踏まえ、また事業執行計画とにらみ合わせつつ、慎重に取り扱ってまいりたいと思います。
○多田分科員 終わりますが、それじゃ大臣ぜひ地場の仕事をふやすということについては建設省とも話し合って進めていただきたいし、それから中小の土建建設業者を入れるということについては、いまいろいろ結構なお話もございましたが、ぜひひとつそういう方向で努力していただきたい。特に九十日に上げるということは切実な要求になっておりますから、時間もありません、ひとつぜひこれを検討して本当に失業者を救済していく、仕事を与えていく、このことに力を尽くしていただきたいこと、重ねて要望して、私の質問を終わりたいと思います。
○野田主査 これにて多田光雄君の質疑は終了いたしました。 次に、石田幸四郎君。 〔主査退席、三ツ林主査代理着席〕
○石田(幸)分科員 私がこれから労働省にお伺いをしたい問題は、中小企業退職金共済制度の問題でございまして、この問題については大臣も御存じでございますが、去年の分科会におきましていろいろと御質問申し上げたわけでございます。その前の年の分科会でもやっておりますので、ちょうどまる三年ということでございます。今回、この中小企業退職金共済制度のいわゆる法律の一部改正をする御提案をなさっているわけでございますが、前回私が疑問として申し上げた点については、残念ながら全く触れられておらないわけでございます。この前の議事録をいろいろ読んでみますと、いわゆる前向きにお考えをいただくという御答弁が二年にわたってあったのでございますけれども、残念ながらそういう方向ではないようでございます。そこら辺の問題について、これからいろいろ大臣にお伺いをしていきたいと思います。 まず政府委員の方にお伺いをするわけでございますが、中小企業のいわゆる従業労働者、これはいま全国で何人くらいと推定をされておりますか。
○水谷政府委員 中小企業といいますと一応三百人以下ということにしますと、ごく大まかな数字でございますが、約千五百万人というように承知をいたしております。
○石田(幸)分科員 そうしますと、この共済制度の被共済者は大体中小企業に従事している労働者の約一〇%と、こんなふうに考えてよろしゅうございますか。
○水谷政府委員 退職金共済制度は、御承知のとおり建設業と酒造業につきましては別建てになっておりまして、それに合わせまして百数十万人入っておりますが、それを除きまして一般の企業では大体先生御指摘のとおり百四十万人程度でございますので、おおむね一割を多少下回る程度の人が現在退職金共済制度に加入しているということになろうかと思います
○石田(幸)分科員 それではさらに質問に入ります前に、この退職金の支給状況でございますが、四十八年度においては件数にして十二万三千六百二十八件、金額にして約八十五億三千五百三十五万円となっておりますが、これは一体被共済者ということになりますと何名ぐらいに該当しましょうか。
○水谷政府委員 いま先生の申しました数字で割りますと、一人当たりの支給金額が四十八年度で六万九千円余になりますので、大体五年程度の人が対象になろうかと思います。
○石田(幸)分科員 そういうのを一切含めて件数が十二万三千六百二十八件ということになりますから、これはそのまま人数というふうに考えてよろしいわけですか。
○水谷政府委員 そのとおりでございます。
○石田(幸)分科員 そこで、この前から私が問題にいたしておりますのは、いわゆる一年未満の方は退職金をもらえない、また掛金をかけております事業主の方は共済制度の中に吸収をされて返ってこない、こういうことでございますね。この前私がいろいろ調べた数字によりますと、六カ月未満で退職をするのが、これは年数はちょっと忘れましたけれども、四十七年かと思います。六カ月未満で退職するのが二四・八%、それから一年未満の者が一七・四%、こういうふうになっておるわけでございますが、この数字は一年未満ということになりますと、六カ月未満も足して考えたのが妥当なのか、あるいは六カ月未満の退職者は除いて一七・四%になっているのか、この点はどうなんでしょう。これは労働省の雇用動向調査によるわけですが……。
○東村政府委員 ただいま先生御指摘の調査の問題は、私どもちょっと手元にございませんが、私どもがこの制度を運用している中で一年未満でどのくらいの人がやめるのかというのは、仮に一年未満が一八%程度というふうに想定してやっているわけでございます。 なお、加入後一年以上二年未満が一八・二%、加入後二年以上三年未満が一八%、このように考えております。
○水谷政府委員 多少補足させていただきますと、ただいま先生が言われました雇用動向調査の数字でございますが、雇用動向調査では三カ月未満が八%、それから三カ月から六カ月が一二・三%、六カ月から一年が一五・九%、したがいまして、これを全部合わせますと、一年未満は三六・二%ということになろうかと思います。したがいましてこの三六・二%というのは、すべての労働者についてということでございますし、この制度は御案内のとおり任意の制度でございますので、ただいま局長が申し上げましたようにおおむね一八%程度の脱退率といいますか、そういうことで見込んでおるわけでございます。
○石田(幸)分科員 そうしますと、この制度内においては一年未満の退職者というのは一八%と想定されておるわけでございますが、この想定の根拠いわゆる雇用動向調査とは相当数字がかけ離れておるわけでございますけれども、この推定の基準はなんでしょう。
○水谷政府委員 もちろん数字はかけ離れておりますが、従来の実績を多少勘案いたしまして、多少サンプル的に調査いたしますと、たとえば三十四年にこの制度が始まりまして、三十四年にこの制度に加入した人で一年未満に退職した人が、その加入した人のうちの一四・四六%とか、それから多少ピックアップして申し上げますと、昭和三十九年には二〇・三二%とか、そういう実績を調べますと、一年未満で退職した人の平均的な数字が大体一八から一九%ぐらいというような過去の実績をもとにいたしまして推定いたしておるわけでございます。
○石田(幸)分科員 これはずいぶんかけ離れておるように私は思うのでございますけれども、私もその推定根拠を判断するだけの材料がございませんから、一応その数字を信用して議論を進めたいと思うのでございます。 そうしますと、四十八年度におきましてこの被共済者の数字は約百四十二万人でございますので、一年未満でやめられる方がこの制度の中でも二十七万人ぐらいはおる、こういうふうに考えるのでございますけれども、大体その数字はよろしゅうございますか。
○水谷政府委員 推定いたしますと、大体そういうことになろうかと思います。
○石田(幸)分科員 それではいよいよ本論に入るわけでございますが、大臣、先ほど来いろいろ数字を政府委員の方で挙げられていることをお聞き及びでございますが、二十七万人以上の方が一年未満にやめられるわけでございます。そうしますと、これは大体平均がどのくらいになるかわかりませんけれども、相当な額になりますね。じゃ、もう一遍政府委員の方に、平均の掛金が幾らであるか、それに二十七万人を掛けた場合に一体どのくらいになるか、ちょっと計算しておいていただけますか。 そういうようなわけで、かなりの方が一年未満にやめられておるわけでございます。最近の、いわゆるこういう社会世相でございますから、定着率はかなりよくなっておると思うのでございますけれども、しかし三百人以下の中小企業と申しますと、中小企業そのものの体質も非常に弱うございますから、やはり移動ばかなり激しいというふうに見なければならぬのでございます。そういうようなことで、あるいはまた中小企業が人を採用する場合のことも考えまして、そうかといって、いまの退職者の実態を見ますと、むしろ壮年層というよりは高年層が退職率が多いわけでございますので、やはり壮年層を雇用するというようなことを考えますと、かなりしっかりした退職金制度というものをそれぞれの会社でもとらなければならぬわけですね。あるいはまた、そういうような状況でございますから、やめる場合も、その会社の悪評が立ってはなりませんので、実際はやはり一カ月程度の退職金を出しておるわけですね。たとえば会社がもうつぶれそうになったという場合におきましても、将来負債をたな上げして事業を継続しなければならぬ、その場合のいわゆる解散にいたしましても、一応やはり退職金を出して、そうして再出発をするというようなケースが多いわけです。これは私も実際に党の中小企業局長をやっておりますので、そこら辺の事情はよく聞いております。そういうふうに、世間の場合はそういう通例で行われておるわけなんでございますけれども、どうも共済制度がそこを補てんするような内容が含まれておらない。この点については私は何とも残念でいたし方ないわけでございますが、ここら辺のことはこの制度を審議されました退職金の共済審議会においては議論にならなかったのでしょうか。この点は政府委員の方でも結構でございますけれども、御答弁いただきたいのですが。
○水谷政府委員 この制度を検討する審議会が、中小企業退職金共済審議会というのがございまして、ここでは先生御指摘のような御議論は当然出されたわけでございます。ただ、出されましたけれども、やはりこの制度の本質といいますか、共済制度のたてまえといいますか、そういうことからいたしますと、いろいろ御議論はされましたけれども、結論といたしましては、やはり共済制度のたてまえからいたしますと、そういう一年未満の人の掛け捨て、それから一年から二年までのものについては掛け損、それからその次は掛金相当額というたてまえを変えるわけにはいかないという結論になったわけでございます。 ただ、そういうことでございますけれども、昨年の先生の御質問もございますし、それぞれの側の方々の要望もございますので、今回途中で掛金額を変更した場合といいますか、掛金額を十年掛けていた人が、たとえば十年間千円掛けていた人がそこで二千円に上げたという場合に、掛金額を変更したような場合につきましては何とか考えられないかというような問題も取り上げられまして、今回の法改正に伴って掛金額を変更したものについては掛金相当額はお返しするようにしようというのが第一点。 それから第二点といたしましては、通算措置といいますか、従来は被共済者が被共済者でなくなった場合には、任意退職の場合はすべてだめであり、かつ、再び被共済者になった場合であっても、その期間が一年以上になるとだめということでございましたが、その期間を二年に延ばすことと、それから自己都合による退職の場合でありましても、やむを得ない理由がある場合にはよろしい、こういうように改善を図ったわけでございます。
○石田(幸)分科員 大臣、これはどうでしょう。実態と少しまだ合わないんじゃないかと私思うのでございますけれども、大臣はどう考えておりますか。 じゃ実例をほかに挙げたいと思います。たとえばこれは労働省の方の資料でございますが、納付年数が五年で一万円の場合、これはこの共済制度によりますと六十九万五千九百二十円もらえることになっているのですね。それから十年の場合は、一万円掛金を続けておりますと百八十四万五千二百六十円、それから二十年の場合は、一万円同額で五百三十三万七千二十円なんでございます。ところが、これを会社の方で退職金積立金という形にいたしまして、そうして仮に銀行の追加式信託なんかに預けた場合、たとえば五年でございますと七十五万三千二百九十六円、約六万円差がある。それから十年で百九十一万三千六百六十二円でございますので、約七万円違います。それから二十年の場合ですと、これは大きく変わってまいりまして、銀行の追加式信託でいきますと六百四十五万円何がしですが、そうして見ますと、ざっと百十二万円二十年で違うわけですね。そうしますと、会社で追加式信託を活用して退職金制度をもし運用したとすれば、これはいつでも返ってくるわけでございますし、こちらの方がはるかに有利なわけですね。それで一年でやめられた場合は、事業主には掛金は返ってこないわけでございますし、銀行の場合は、事情が許せば大体返してくれるわけですから、そうしますと、この共済制度そのものがほかの制度を活用した方がいいということになりかねないわけですね。これではいかぬと思うのです。確かにこれは銀行預金だけは雇用者と被雇用者との関係を拘束するものではありませんから、積立金をつくってもほかに運用されてしまえばそれだけのものでございますから、そういう制度としてのメリットはあるかもしれないけれども、しかし本当に中小企業者がしっかりしておって、ほかの制度を活用するということを考えたら、この制度そのものが根本的に揺らいでくるんじゃないかというふうに私は思います。そこら辺の実態、それと勘案してお考えになった場合、どうでございましょう。
○水谷政府委員 先生御指摘のとおりいろいろ問題があるわけでございます。現在かなり金利が高い水準にございますので、現在の金利水準が続くとは限りませんけれども、私どももいろいろな比較をいたしまして、この退職金共済制度で、千円を拠出した場合の退職金制度の場合と、それから積立預金の場合、金銭信託の場合、貸付信託の場合で、このうち一番有利な貸付信託の年利八分五厘で計算いたしました場合と比較いたしましても、大体六年までは貸付信託の方が有利と申しますか、そういうことになりますが、八年を超しますとこの退職金共済制度の方が有利になる。ただ、非常に長い二十年になりますとまた貸付信託の方が有利になるというようなことはございます。したがって、大体十年から十五年程度を中心とする範囲ではこの制度が最も有利になっておるということになっておるわけでございます。 この制度は本来任意の制度であるということが第一点と、それから自力では退職金制度ができないようなものを対象とするといいますか、そういうことが第二点でございます。そういう制度もございますし、国庫、補助なども多少つけておるわけでございますし、さらに事務費は国が負担しておるわけでございますので、先生御指摘のように、非常に有利に運転した場合には、年数のいかんによってはそういう方が有利になるという場合もあるわけでございますが、この制度はこの制度なりに有利な点もあるということで御理解いただきたいと思います。
○石田(幸)分科員 しかし大臣、じゃ一体この一八%の人たち、二十七万人の人がやめるわけでしょう。そうすると掛け捨てですよ。そうしますと、この共済制度というのはその人たちの犠牲において行われているんじゃないですか。——幾らになりました、金額は。
○水谷政府委員 先生の想定の計算をいたしますと、その人たちが平均して半年掛けたとすれば約二十四億ですか、一年掛けたとしますと、その倍、四十八億円、つまり平均掛金額が大体現在千六百円程度ですので、千六百円を十二カ月掛けますと、一万九千二百円、一万九千二百円の二十七万人分でございますから、それを単純に計算しますと四十八億余、平均半年とするとその半分二十四億ということになります。
○石田(幸)分科員 ですから、二十四億から四十億ぐらいの犠牲のもとにこの共済制度が成り立っておるということは、私は、政府が管掌される一つの共済制度としてはやはり不備があるんじゃないかと思います。実際やめておるわけですから、掛け捨てになっておるわけですから、その四十億前後のお金でこの制度が成り立っておるということは私は矛盾していると思いますね。 なお、これがもし実際に掛け捨てであるということがどうしても改められないならば、やはりこの規約の中に、説明書の中にそれは明確にうたっておかなければなりませんね。そうでないと誇大広告ですよ。政府の管掌されるそういうものが誇大広告という形になったんでは、これはいささか政治の公正という点からも問題がある。むしろそれをうたえば共済制度への加入が減るのではないか、そういう御不安があってそういうものは書かないとすれば、やはり制度そのものに欠陥があるということを労働省としてお認になっているのかというふうに私は判断をせざるを得ないわけです。いかがでございましょう。
○東村政府委員 ただいま御指摘の一年未満掛け捨て云々の問題でございますが、私どもとしてはそういう形のものが徹底していると考えておりますが、いざ労働者個人の問題になりますと、なかなかそうも徹底してないという面もあるかとも思いますので、それはさらに気をつけてやりたいと思います。 それと同時に、先ほど来賃金福祉部長から話がございました途中で月額を変更するという問題、これについてもいろいろ問題ございますので、それについては先ほどごく限られた内容でございますが改正していこう、こういう姿勢でやっている次第でございます。
○石田(幸)分科員 もう五分しか時間がありませんので、ひとつ総括的に大臣にお伺いするわけですが、いま私がわずかの時間で御指摘申し上げただけでも、そういった犠牲のもとにこの制度が運営されているということではやはりまずいのじゃないか。やはりそれを補てんする制度というものをもう一つつくらなければならない、あるいはその分は国庫負担において補充してやっても、四十億程度のことであればそう大きな負担にはならぬのではないか。実際に今後の経済状態を考えてみますと、一八%ぐらいの一年未満の退職者というのは、あるいは社会の変化によって二〇%ぐらいまでいくかもしれません。そういうことも想定してみなければなりませんので、この制度は、私はそこら辺をどうしても補完をしてもらいたい、補てん措置を講じてもらいたいというふうに思うのでございますが、いかがでございましょう。
○長谷川国務大臣 石田さんは専門家でございますが、先ほど政府委員からも答弁しましたように、これが貯金制度じゃなくて共済制度で、おやめになった方々、掛け捨ての面もありますけれども、長くお勤めになった方々にはプラスアルファがついていくということもあり、さらにまたあなたのおっしゃるようなことが審議会などにおいてもいろいろお話が出て、その結果今度の改正法案の中においてもこの段階においてはいたし方なくて、その中においては半歩なり一歩なり前進というところに評価されていることもございますし、しかしおっしゃることも大事な問題でございますから、さらにまた検討事項として私も勉強させていただきたい、こう思います。
○石田(幸)分科員 そういうことでございますので、この法律の趣旨からいきますと、五年に一遍の改正だそうでございます。そうしますと今度は五十五年ということになるわけでございまして——五十四年ですか、さらに五年間そういう問題がそのまま放置されていくというのではこれは非常にぐあいが悪いわけでございますので、何とかそれの補てん措置というものをもう一遍ひとつお考えをいただきたい。これはまた半年かそこらしましたならば社労の委員会でも中身をお伺いしたいと思いますので、十分ひとつ御検討をいただきますようにお願いをいたしまして、終わります。
○三ツ林主査代理 これにて石田幸四郎君の質疑は終了いたしました。 次に、広瀬秀吉君。
○広瀬(秀)分科員 まず最初に労働大臣にお伺いをしたいのですが、労働金庫関係の問題で、労働大臣は労働金庫が今日果たしつつある役割りというものについてどういう所見を持っておられるか、その点をまず一言伺いたいと思います。
○長谷川国務大臣 第一、各府県に全部労働金庫があるということで認識しておりますし、さらにはまた労働者に対する生活金融及び団体の行う福利共済活動のための金融をやっている。そして順調に伸びているというところに私は期待をしているところであります。
○広瀬(秀)分科員 そこで、かつて労働金庫が出発したのはたしか二十八年だったと思いますが、それ以来ずっと労働金庫はそれなりの役割りを果たしてまいったように思うのです。特に一般の労働者が都市銀行であるとかあるいはその他の金融機関はなかなか利用しにくい。労働者にとって一番敷居の高いのはそういう金融機関だというようなところから、特に消費金融というような形が、やはり発足当初では一番ウエートの強い問題であったと理解をするわけなんですが、最近になって、そういう消費金融、生活金融というものから、特にこの金融引き締め段階を迎えた今日においては、もう住宅金融にきわめて比重がかかってきている。しかも、一般金融機関から断られた住宅ローンを利用したいという労働者が、あるいは間接に借りるというようなものまで含めて労働金庫に殺到して、今日労働金庫の貸し出しの中で住宅融資が占める比率がいまや六五%にも達している、こういうような状況になっている。 そうしますと、これは改めて労働金庫の役割りというものを、国の大きな住宅政策の中で、あるいはまたより一層大きな高次元の立場でとらえるならば、これからの金融というのは、やはり産業基盤、経済基盤の育成強化というようなところから、生活金融とかあるいは福祉金融という方向に向かわなければならない、こういう時代を迎えている今日の政治状況の中で、改めて労働金庫を——まあ順調に伸びていると言いますけれども、これは各県によって幾らかずつ発足が違いますが、全体的に言って、大体二十年余を経過している、そう言えると思いますが、そういう段階で、もう一遍労働金庫の役割りと、そして今日、出発の当初からかなり変化をしている状況というものを踏まえて、これに対する強化というものをどう考えるかということなんです。 順調に伸びているとはいえども、ほかの、たとえば当初、これは信用協同組合法の適用を受けるものとして出発したわけですけれども、そういうものの伸び方、これは数の違いもありますけれども、そういうものに比較してもこれはまだ伸びが足らない。ようやく昨年十二月現在で一兆円を四百数十億超したという程度であって、四十七金庫いまあると思うのですが、非常に資金枯渇を来している。預貸率も、ほかの金融機関よりも、九〇%に近い、八八%とか九%というようなところまで行った。今日やや下がってきておりますけれども、そういう状況にあるわけですね。 したがって、労働者の福祉、生活優先の金融政策というものがこれからの主流として登場してこなければならぬというときに、これをやはり強化する方向について、労働大臣としてどういうお考えがあるのかということをお伺いしたいと思います。
○道正政府委員 先生から住宅金融についてお話しございましたが、ほかの金融機関に比べまして圧倒的に貸出残高中に占める住宅部分は労働金庫は高いわけでございます。 四十九年三月末の数字で、ほかとの比較をする関係で申し上げますと、五五%でございます。これに比べまして、信用金庫は七・九でございますから、約八%、それから相互銀行が六・四、地方銀行が五・五、都市銀行が三・六ということになっております。勤労者の資金需要が圧倒的に住宅に集中しているということもございまして、重要な貸出先として住宅を考えておるわけでございます。 ただ、この住宅金融につきましては、どうしても資金が長期間ほかの貸し出しに比べまして寝るというようなこともございまして、いろいろ労働金庫としては苦心が要るところでございますけれども、今後さらに住宅についての資金需要は熾烈でございますので、預金量を伸ばす努力と相まって、極力勤労者の要求にこたえていくように、私どもも金庫と一体となって努力いたしますし、金庫でも、そういう問題意識をもってせっかく努力をされておるわけでございます。
○広瀬(秀)分科員 いま五五%と言いましたけれども、これはシェアが個人住宅分として五五%なんですよ。そのほかに労働者がつくっておる住宅生協、そういうところが一〇%行っておりますから、合わせますと六五%です。いま労働大臣も、ほかの金融機関がどのくらい住守ローンにその資金を割いているかということと比べれば、まさに圧倒的という言葉を使われましたけれども、いまそういう状況に変化をしているんですね。仮に五五%としましても、ほかの三%であるとかあるいは八%とか、そういうものから見ますれば、まさに雲泥の差があるわけですね。 三木総理以下、もう新しい福祉の時代だ、生活重点の施策を非常に大きな政策目標として掲げておる、こういう時代の中では、消費金融ということが労働金庫の主眼であるとして出発はしたけれども、こういう状況になってきておる。この傾向は相当期間続くであろう。これはいままでの金融が引き締まっている段階から仮に間もなく脱却するにしても、住宅に長期に固定するものに対して一般の金融機関はなかなか応じ切れない。もう相当われわれが、大蔵委員会やなんかにおいて、常にもっと住宅金融を重視しなさいということを幾ら言っておっても、まだそういう数字でしかないわけですよ。この傾向というものはかなり続くのではないか。私どもから言わせれば、国の住宅政策は貧困です。その貧困の中で、労働金庫がそれだけのシェアを、労働者大衆から集めた金をそういうところに向けているということは、まさにすぐれてこれからの福祉と生活重点の金融としては非常に大きな役割りとして、これをまず認識してかからなければいけないだろうと思うのです。 ところが、財投資金というか公的資金がどのくらい入っているかといいますと、この一番新しい数字で見ましても、わずかに貸出金融は一兆四百億に対して八千何百億ということでありますが、その中でこれは四十九年の十二月、そういう短期の年末ということだけで、しかもこれは財投資金が地方公共団体に還元融資という形で行く、その中から各都道府県と労働金庫の打ち合わせによって、四十七労金の中で、県によって全然やっていないところもありますけれども、大体半分ぐらいの都道府県はやっている、そういう資金、しかもこれは非常に短期なんです。暮れをしのげばいいということで、もう二カ月ぐらいの短期返済期間で、地方公共団体から労金に年末をしのぐというようなことで財政資金がちょっぴり入る。その金額全部を合わせましてもわずかに三十四億なんですよ。三十四億三千万というのが四十九年十二月の数字なんです。 こういうものじゃなしに、いまこそそういう役割り、非常に新しい時代に即応したものを労働金庫が背負わざるを得ない状況になっているのですから、これはもちろん住宅金融については住宅金融公庫もあるし、あるいは年金福祉事業団やらあるいは雇用促進事業団やらを通じてぽつりぽつり出されるものはありますけれども、これだけの実績を上げている労働金庫に対して、財政資金が、そういう年末の繁忙期をしのぐだけという、二カ月ぐらいの期間だけ融資される、財政資金が投入される、こういう現状に対して、労働大臣はそういう労働者の福祉という問題から、労働者の福祉を図る最高の責任者ですね。ですから、こういう状況でいいかどうか、この点についてひとつあなたの見解を率直に述べていただきたいと思います。
○長谷川国務大臣 広瀬さん、あなた大蔵委員会で多分これをおやりになったのじゃないですか。私より専門家だもの。私は時折報告を聞いておりますが、実はいま初めて住宅金融にそれだけやっているというパーセンテージを聞いたのです。ほかの機関との比率はいま初めて聞きました。一方、また政府の方でも、四十九年が三十四億とおっしゃったけれども、四十八年が十億五千万ですね。そういうことからすると、考えてくれている向きがありはせぬかなという気を持ちながら、基本的な問題に係ることですから、私も勉強させてもらいましょう。これはあなたの方が専門家ですが、そういうことで、新しい事実というものをここであなたの御質問を通じて勉強させていただきたいということで、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
○広瀬(秀)分科員 労働大臣、大蔵省というところは、まず労働大臣がその気になって、本気になって取り組まなければ、われわれがしょっちゅうやってもなかなか動かない。やはりいまの政府の中で閣僚であるあなたが、国務大臣であるあなたが、まずその気になる、そして財政資金をストレートに労働金庫に入れてもいいじゃないか、これだけの役割りを果たしているのだというような角度で、労働者福祉の観点からどうしてもやってもらわなければ困るのだという、あなた自身がいまおっしゃったような、かなり壁が厚いなということを意識してお話しになったのじゃないかと思うのだけれども、そういう態度であってはならないのだという気持ちで、私はあなたに、実力大臣なんだから、ひとつその気になって労働金庫に——これはいまの資金運用部資金法も改正しなければならぬだろう、労金法も改正しなければならぬだろう、いろいろな問題があるのです。これはいまの法体系の中ではストレートに労働金庫という特定機関にいくということはなかなかとれない。しかし、これだけの役割りを労働金庫は担っている。そういう状態、そしてこれからの政策目標の基本がそういうところに置かれるのだ。金融機関のあり方というものも、産業優先から生活優先、福祉優先だということを金融の面でも言われているわけです。ところが、こういう実態だということについては、もうあなた自身おわかりいただけると思うのですよ。だから、そういう立場で、労働大臣がまずその気になって、本格的にこれを大蔵省にぶつけていくということになれば、われわれも非常にやりやすくなるし、さらにバックアップを措しまないという気持ちを持ちながら、あなたにその気になってもらいたいということで、質問を通じてあなたの決意を表明していただきたい、こう考えておるわけなんですよ。
○長谷川国務大臣 ここでこういう勉強をさせてもらいまして、私も勉強してみます。いままで組合の諸君にもよくお目にかかっても、こういう問題について話が出たことがなかったのです。本当にここでこういう質疑を通じて、こういうパーセンテージやら、大蔵委員会であなたが一生懸命御奮闘いただいている話もいま初めて聞いたわけですから、勉強させていただきます。
○広瀬(秀)分科員 きょうすぐには言いにくいかもしれませんけれども、勉強のしっ放しにならないように、労働者の福祉について最高の責任を持っているあなたですから、これは本当に、ちょっとやくざっぽい言葉だけれども、体を張ってでも、雇用保険法を一生懸命通したような、あれ以上の意気込みで努力をしてもらわなければならぬということを強くあなたに要請をいたしておきます。 問題を次に移しますが、未組織労働者が今日労働金庫を利用する道は一応開かれております。その問題で、私、実は代表質問でも言ったのですが、大体概算して日本の雇用労働者は三千六百万人ぐらいであろう。そのうちおそらく千万ちょっと、千二百万に達していますか、そのくらいしか組織労働者はいない。あとの二千数百万という人たちは未組織労働者である。これは大体において中小零細企業に働いておる人たちと見ていいわけですね。いまいわゆる労金法の十一条四号会員といいますか、そういうもので、いわゆるちゃんとした労働組合を組織した正会員以外の準会員のような状況で、互助会というような名目を四、五人でつけて、労働金庫に出資して利用さしてもらう、こういうような人たちはどのくらいいるかということをいま調べてみましたら、わずかに十二万九千五百九十六人だというのですよ。これは労働金庫協会から得た数字なんですけれども、いかにも少ないですね。二千万人からの未組織労働者がおって、そういう道は開かれているんだけれども、そういうことで労金を利用している人たちはわずかに十二万九千五百九十六人。それで、預金量が三百十九億、貸し出しが四百億だ、こういうわけです。こういうことで、人数から言えば貸し出しが預金を九十億も上回っている。しかし、そういう人たちにこれだけの強い資金需要、必要性というものがあるのだということで、実はこの人数と貸出金額を見てみると、かえってそういう人たちの方が金庫から融資を受けたいという希望は非常に強いし、金額的にもわりと大きいことを、私は感じているわけなんですよ。 そういう立場から、この問題について、これはもう法律でそういう道は開かれているんだというだけではなく、こういう取り残された人たちに対する施策として、労働金庫がこういう人たちをも含めて機能を果たし、サービスをしていくということになっていかなければいかぬだろうと思うのですね。そういう意味では、こういう人たちにもっと利用しやすくし、そして、こういう人たちがだんだんに組織化されて、正規の会員になるような方向、それがなくとも、二十二、三年たってわずかに十二万人ぐらいの未組織労働者しか会員にならないというような状況に対して、どういう改善策を用意をされていこうとしておるのか、その辺のところをちょっと伺いたいのです。
○道正政府委員 先生、すでに御案内のとおり、労金は団体加盟がたてまえでございまして、一つの組合が入ればその組合員は利用できますけれども、たてまえとして団体ということになっております。ただ、個人が会員として加入する道も開かれておりまして、かなりの会員もおいでになるわけでございますが、問題は、御指摘のように未組織労働者であります。その場合、一番問題になりますのがやはり信用の問題だろうと思います。そういう見地から、全県ではございませんけれども、相当数の県、具体的に申し上げますと四十の都道府県におきまして信用基金協会というのを設けていることは御承知のとおりでございまして、そういう資金を借りる場合の保証を行ってもらうということで加入の促進を図っておるわけでございます。
○広瀬(秀)分科員 いま四十の都道府県で信用基金協会という、そういうものがあります。これは民法三十四条による公益法人といいますか、そういうものであります。しかし、これがいかにも弱体だし、そういうものがあるということも、商店とかあるいは下請零細工場に四、五人働いているという人たちなんかは、知らされる機会すらないのですね。こういうことに対して、やはり労働省は労働者へのサービス省ですよね、大臣そうでしょう。そうだとするならば、もう少しこういう問題をもっと知らせる努力、労政事務所というのがそれぞれかなり細かくあるわけですよ。そういうところでそういうものを積極的に知らしていく。そして借りやすい条件、こういう条件で、ここへ行けば、窓口になって、あなた方未組織労働者だって借りられるのです、利用できるのです、というようなことをPRし、普及宣伝をするということをまず当然やるべきなんですが、私はやった例を見てない。こういうものが存在することすらわからないという状況、その点が一つですね。だからそういうことを当然やるべきであろうということを聞きたい。これが一つ。 それから同時に、まだこれがいかにも弱体ですね。これをもっと拡充をして、中小企業退職者共済とかなんとか、ああいうものは中小企業にかなり浸透しています。あれと同じくらいの力をもって——国ではこれは何にも出していないのですよ。都道府県それから労働金庫とがお互いに寄付行為で、金を持ち寄ってそういうものをやっている。この資金の担保力、保証力というようなものも、ワクも小さいし、これはもうそういう面でそれほど決め手になるほどの活動はいま全くできない。全くできてないと言ったら言い過ぎかもしらぬけれども、これを本当にやるのならばもっと強化をしなければならぬ。そういう面ではやはり国も応分の労働福祉行政の中でこれの強化、そしてそれが本当に未組織の気の毒な人たちの資金需要に正しく適切にこたえられていくような機能を発揮させるための強化策、こういうものについてどういうお考えをお持ちか、この点もお聞きしたいと思います。
○長谷川国務大臣 いまのお話、私は至極共鳴するものがございます。ですから信用基金協会のあり方も含めながら、あるいはまた、私の方でPRといいますか、こういうものがあるということをおっしゃるように非常に啓蒙してもらう、あるいはまた、あわせて労金の方でもそれとタイアップしてやっていただくというふうなことを、ひとつ考えてみようじゃありませんか。そういうもの、あるものを活用していただくことは非常に結構なことですから。
○広瀬(秀)分科員 時間が余りありませんので、そういうことでひとつ……。 私せっかく代表質問でもこの点、未組織労働者にもやはり親しめる金融公庫として、われわれの金融機関であるという意識のもとに、どんどん積極的に労働金庫が利用できるように、そしてまた、そういうことでどんどん殺到すれば、これは当然財投資金も導入すべきだということとつながっていくわけですから、そういうことで労働者福祉金融機関としての労働金庫の役割りを強化させていただきたいということを強く要請して次の質問に、あと四、五分しかないようですから移らしてもらいたいのです。 やはり代表質問で、私は老人対策として、これは厚生省に聞くのがいいかもしれません。両省共管のような問題ですが、労働問題としてやはり労働大臣の御所見を伺っておきたいのです。 老後の生活というものを本当に人間らしく保障していこうというためには、生活保障も当然大事だ。あるいは健康に対する保障ということも大事だ。それと同時に、人間の生きがいとしての労働、老人にふさわしい老後の生きがいとしての労働、こういうものを開発して、たとえば、その条件としてはノルマを課さない。経済合理主義というような中でノルマを課さない。それから老人がそれをやらなければ生きていけないのだというようなことであってはならない。したがって、そういう面では所得を稼得することを目的とせざる労働、本当に人間か人間てあるために——人間は業かあると言いますが、業があるから人間なんであって、業がなくなったらお釈迦さんになるということなんです。その業というのは、仏教では業という字を書いているわけですね。それは何かの仕事につくということがやはり人間の生きがいだ、そういう意味で、そういう条件をつけながら老人向きの労働というものを保障をする。そういう場を何らか開発して、老後の生きがいとしての労働、仮に福祉型労働と私流に名をつけたわけですけれども、そういう問題に対して、いま労働省はどういう角度から取り組んでおられるか、そしてまた、将来そういうことを十分検討していく用意があるのかどうか、その点お聞きしておきたいと思います。
○長谷川国務大臣 御案内のように、最近の日本というのは非常に老人型になりまして、お互いとにかく男子なら七十一歳、女子なら七十四歳というのが平均寿命でございます。そういうことからしますと、やはり老人問題というのは本当に考えなければいかぬ。ただ金だけ差し上げて遊ぶということよりは、おっしゃるように、動くことによって金が入ってきて、そこに喜びがある、健康が保持されるということでございますから、先日来御審議いただいた雇用保険法などにも、そういうものを含めて、私たち労働省としては厚生省などともタイアップしながら、一層いまから先の時代の推移に合わせてやっていけるような姿勢をとりたい、こう思っております。
○広瀬(秀)分科員 開発の現状について、何かやっていることがあったら……。
○遠藤(政)政府委員 ただいま大臣からお話がございましたように、人口の高齢化に伴いまして、まず第一には定年延長についていろいろな施策を講じております。それと同時に、定年が延長されましても、それぞれの職場で高齢者にどういう仕事が向いているかという、いわゆる作業内容、職種についての研究開発がどうしても必要になります。私どもは一昨年来、職業研究費におきまして、こういった高年齢者向きの職種、作業といったものについての開発研究を実施いたしておりまして、これをもとにいたしまして高齢者の雇用率の設定等も進めておるわけでございます。したがいまして、今後は、ただいま大臣からお話しございましたように、六、七十歳以上の人については、雇用保険料も免除するというような援助措置、あるいは雇用奨励金制度等も充実することによりまして、こういう人たちが一層働きやすくなるような職場の確保に努力してまいる考えでございます。
○広瀬(秀)分科員 もう時間がありませんからこれ以上のことを申し上げませんが、やはり老人問題というのは、これからますます老齢化社会に進んでいくわけで、急速に進展してヨーロッパ諸国の高齢化社会に近づきつつある。まだピークは来てないと言われておりますが、その間にまだ若干時間もあるわけですから、この問題については、新しい問題であり、しかも人間生活の基本に触れる老後の生活という、忘れられておったけれども一番大きな重要な問題、そういう意識のもとに老人として体も弱くなっているのですから、それに最も適当な、職業ということではなくて仕事をしてもらう。それだって大きい意味ではやはり国全体のプラスになり、その仕事を通じて生産されたものというのは、ほかの人たちに対してプラスになっていくわけです。しかし、それを表面に出してノルマを課し、それで生きるのだというような形の制約があってはならない。そういうものとして、これはやはりこれから真剣に研究し、討議し、開発をしていかなければならぬ分野だと思うのですよ。そういう意味で、ひとつそういう仕事を開発して老人にやってもらうということも労働行政の非常に大きな新しい分野だ、こういうように考えますので、どうぞひとつそういう点を留意の上進めていただくように要請をいたしまして、時間が二分ばかり過ぎましたが、これで終わります。
○三ツ林主査代理 これにて広瀬秀吉君の質疑は終了いたしました。 次に、多賀谷真稔君。
○多賀谷分科員 まず、最近の雇用問題についてお尋ねいたしたいのです。 いろいろテレビあるいは新聞等の座談会でも言われておるのですが、まず私は、失業とは何か、大臣は失業とはどういう定義を持っておられるか、お聞かせ願いたい。
○長谷川国務大臣 私自身の感じからしますと、働く能力と意思があるにかかわらず仕事につけない、そしてまた、自分の意思じゃなくして、相手の都合で職場から離された、こういうふうに自分では定義しております。
○多賀谷分科員 総理府の統計による完全失業者とはどういう範疇のことですか。
○遠藤(政)政府委員 総理府統計局において行われております労働力調査の失業の定義は、月末の一週間で全く仕事をしなかった、収入を得られるような仕事についていないという定義でございます。
○多賀谷分科員 そういたしますと、月末の一週間のうち、一時間以上就業していない者ということになる。逆に言いますと、そういう完全失業者の中に入ってくる者はどういう者があるでしょうか。
○遠藤(政)政府委員 正確に言いますと、月末の一週間の中で収入が得られるような仕事を一時間以上してなくて就職を希望しておる者、就職を希望しておる者というのがつくわけでございます。 その具体的な内容としましては、離職をして失業保険金の支給を受けて安定所に就職申し込みをして就職活動をしておる人。ただ、その中で、失業保険金の支給を受けながらその間若干いろいろな仕事で働いておられる人もおられます。たまたま月末の一週間の統計調査の期間中に何らかの形で働いておる人がありますと、それは失業保険の受給者でありましても、完全失業者の統計上の数字には入ってこないと思います。それ以外に、失業保険の支給を受けておりませんけれども、現実に現在無業であって、そして就職を希望しておる、就職活動をしておる人、こういう人たちが完全失業者の数字の中に入ってくるのだと思います。
○多賀谷分科員 そういたしますと、まず第一に言えることば、一週間に一時間も全然働かなくて生活できる人はどういう人かということになるわけですね。そして、言葉は悪いですが、そんなに恵まれた人はどういう人か。一週間に一時間も働かぬで生活できるというのは一体どういう層なのか。これがまず問題なんですよ。ですから、少なくともこの失業保険金が全々ない人、たとえば正名未満の企業の失業者は、残念ながら完全失業者の中になかなか入り得ない。失業保険金をもらわないで、一時間以上の収入のない、それは生活できないのですね。これが一つある。それから失業保険が切れて失業しておる人は現実問題として入らぬでしょう。失業保険が切れたら、失業保険金もなくて全然収入がない、これも入らないですね、どうですか。
○遠藤(政)政府委員 いま設問にございました、失業保険金の給付期間が切れて失業保険金がもらえなくなっている、しかし、現実に仕事についてなくて、働いてなくて、求職の意思を持っている、こういう人たちは完全失業者の中に入ると思います。 そこで、いまお話しのように、保険金ももらえない、もらう資格がない、一週間何も仕事をしていない、求職活動をしている、一体そんな恵まれた失業者があるのかというお話でございますけれども、一つの例を挙げますと、現在いわゆる家事従事者といいますか無業者、これは家事従事者は無業者になりますが、そういう人たちが求職の意思を持って、何かどこかでしかるべき自分の能力に応じた仕事につきたい、こういう意思があれば、それは完全失業者の中に入ってくるわけです。いわゆるいままで雇用需要に応じて家庭の主婦、あるいは農村から都会へ出てきて、農業から、一次産業から転業して、二次産業、三次産業で働きたい、こういう人たちは失業保険の資格がない。したがって保険金はもらってないけれども、自分の居住地域なりあるいは居住を移転して新しい仕事を探そうと言っている人たちがこの範疇に入るかと思います。
○多賀谷分科員 そうすると、大学を卒業して四月から就職をしようとした人、就職がありませんね。これはどこに入りますか。
○遠藤(政)政府委員 調査の時点でもしそういう状態であれば完全失業者の中に入ると思います。
○多賀谷分科員 これは完全失業者の中に入るんですね。 そこで今度は、失業保険受給率、これは労働省の方の一つのメルクマールになる。そこで、例の全国一律給付延長の問題で失業保険者の受給率を上げられておる。傾向値としてはわかるのですけれども、学校を卒業して滞留して就職ができない人は入らぬですね。どうですか。
○遠藤(政)政府委員 それは御承知のとおり入りません。
○多賀谷分科員 それから、四月一日から五名未満の企業は適用になるわけでしょう。
○遠藤(政)政府委員 適用になります。
○多賀谷分科員 その場合には被保険者の概数に入るのですか。
○遠藤(政)政府委員 具体的に適用の手続がとられた後であれば、とられた者については統計データとして被保険者の数に入ると思います。ただ、適用手続が未済でありますと、統計上は被保険者数、分母の中に入ってまいりませんことがございます。
○多賀谷分科員 そうすると、五名未満の企業で雇用保険の資格がまだできない間に解雇された人は入らないでしょう。
○遠藤(政)政府委員 いま申し上げましたように、五人未満の零細商業、サービス業等で、法律上当然適用になりますが、事務的にいわゆる法律上の適用手続をしていない企業の労働者が、その未手続の期間中に解雇されたという場合には、当然、いままでと違いまして、その人たちは雇用保険法による失業給付の対象になるわけでございます。
○多賀谷分科員 なるんですね。
○遠藤(政)政府委員 資格をつけることができます。
○多賀谷分科員 では過去勤務といいますか、過去勤務に応じて、失業保険は払ってなくても失業保険の受給はされるわけですね。
○遠藤(政)政府委員 そのとおりでございます。
○多賀谷分科員 そういたしますと、それは被保険者にも入るし、受給者にも入るから、これはちょっと問題がないと思います。 そこで、新規雇用されるべき学卒が就職しないで滞留しておる、これは私はかなり失業率の大きな指標になるんじゃないか。問題は、完全失業者の統計の中にはそれらの者は入ってくるけれども、失業保険受給者の統計には入ってこない。ですから、あなたの方で全国一律の給付延長をされる場合に、ただ失業保険受給者だけの比率では無理じゃないですか。どうですか。
○遠藤(政)政府委員 確かにいろいろな統計データがございまして、いわゆる労働力調査による完全失業者の数字と、それから雇用保険法によりますいわゆる受給率の数字との食い違いがございます。ただ、完全失業者の中にそういう学校を卒業して就職をしていない人たちがいるわけですが、御承知のとおり、いま新規学卒、若年労働力につきましては、金の卵といわれるように、中卒にしまして全国で六、七万、高卒にしまして男女合わせて五十万前後といったようなことでございまして、こういう人たちの就職希望者は一〇〇%就職しておる現状でございます。 仮に就職後短期間に失業保険の資格がつかないで離職しましても、右から左に再就職が可能な状態でございます。大学卒業者につきましても、昨今いろいろと、採用取り消しとかあるいは採用延期というような事例が若干出てはおりますけれども、少なくとも就職希望者につきましては、ほとんど大部分の人が就職を確保できておるような現状でございます。 その中で、一部大学卒業者等で就職をしていない人たち、これについては、自営業に従事されるとか、あるいは自分で仕事を何か始める、こういうことで一時就職を見合わしているというような状態で、こういった人たちは私は数としてはごくまれな、いわゆる統計上はネグリジブルなものでございまして、雇用保険法による給付延長の基準としてとります場合には、そういったものが仮に雇用保険の適用外であるから、そういうものを考慮に入れなければならぬじゃないかという御趣旨かと思いますけれども、私どもは、こういった数字はネグリジブルで、雇用保険の受給率を基準にすれば差し支えないのじゃないか、こういうふうに思っております。
○多賀谷分科員 完全失業者の場合でも、失業保険受給者の率をとりましても、短期的には傾向値としてはよくわかるんです。しかし、長期的になりますと、これは両方とも資格がなくなっている。でありますから、長期の形になってくると、この率というのは非常にあやふやな率になる。そうでしょう。一週間に一時間も働かぬで生活できるというのは珍しい方でしょう。ですから、短期解雇された六カ月あたりは、統計に出てくるけれども、長期になると消えてなくなる。そして、不況になると、大体あきらめて就職活動に行かなくなる。どうせだめだからというので安定所の窓口に行かなくなる。ですから、この統計というのは、そういう点がかなり完全失業者の戦後の状態にも見られるけれども、わりあいふえてないのですね。結局失業保険の受給者がふえた分だけしか完全失業者はふえていないのです。コンスタントにある程度完全失業者というのがある。それからあとは全部失業保険受給者がふえた分だけ新規にふえていく。そういう形になっているのです。 いままでのをずっと見るとわかる。どうして完全失業者が少ないかなと思って見ると、新規に交代してはなくなっていっているわけです。その統計から消えていっているわけです。ですからこの問題というものは、もう少しすぐ敏感に感ずるような統計の出し方をしないと、一月のうちの最後の一週間一時間も働かなかった者なんて、そういう統計はとても出っこない。アメリカの統計でも、御存じのように、これは真ん中、毎月の十二日を含む一週間に十五時間未満しか働かなかったというのですから、十五時間という少し幅の広いものがある。それからドイツのように、次の就職まで完全に、失業保険が切れても失業手当を見るというところはぐっと出てくるんですよ。正確に出てくる。それは、もう失業保険が終了しても失業手当が次の就職までもらえるのですから、統計がはっきり出てくる。日本の場合はどうも統計がはっきり出てこぬというところに、今日のような不況の状態が出ますと数字がいろいろ違ってくる。どうも感じから言えばまだ多いはずなのに統計には余り出てこぬ、こういうことになるわけです。ですから私は、完全失業者がふえていく状態というのは、失業保険受給者がふえる、それからさっき話がありました、本来ならば四月になったらどっと減るはずの新規卒業者がまだ就職できなかった部分がふえていくんじゃないか、こういうように考えるわけです。そこで、統計をもう少し整備してとる必要があるんではないか、こういうように思うのですが、どうですか。 ちなみに、昭和四十六年に、就職構造基本調査によりますと、三百二十五万八千人の失業者がいるわけです。これは内職やパートもおりますからこれは引かなければなりませんが、そのときは労働力の六%の失業者になっている。そこで、本業の分、いわばパートや内職を除きますと、百二万六千人という統計が出るわけです。そういたしますと、労働力の二・三%が失業したことになる。ところが、完全失業者の統計は、そのときに一・二%なんですね。完全失業者は一・二%しか出てきてない、こういうことなんです。ですからパートとか内職でさらに就職を希望したいという人を除きましても、少なくともここで完全失業者の二倍は対策を要する失業者と見なければならないのじゃないか、こういうように考えるのですが、どういうようにお考えですか。
○遠藤(政)政府委員 まず初めに、アメリカの完全失業の定義は日本とほぼ同じでございまして、ちょっと多賀谷先生のおっしゃったのには違った点がございまして、完全失業者の場合は、毎月十二日を含む一週間完全に仕事をしなかった者、十五時間というのは家族従事者の場合で、家族従事者で求職をしている者についてのことでございます。したがいまして、完全失業の定義は全く同じと考えていただいて結構かと思います。 そこで、完全失業者が日本とアメリカで非常に大きな違いがあるということはしばしば言われることでございます。たとえば、いまの不況の時点で考えてみますと、毎月いわゆる非労働力化する数というのは相当ございます。大体毎月四、五十万くらいは非労働力化していると考えられますが、最近、この間十二月の発表によりまして百四十万が非労働力化している、こういう数字が出ております。 日本の場合は、アメリカと違います基本的な点は、一つは企業の終身雇用制ということで、不況になりまして、アメリカやヨーロッパですとたちまちレイオフということで解雇、いわゆる失業者ということになりますが、日本の場合は企業内で抱え込んでいく。加えて、今度雇用保険法のいわゆる雇用調整給付金制度ができまして、本来ならば何もなければ人員整理ということに至らざるを得ないものが、操短休業という形で企業内に抱え込まれている。こういうことで、いわゆる失業という方に流れていかないで企業の中にとどまっている。こういうものがアメリカの場合とはっきりした数字の差が出てくる。 もう一つは、いま申し上げましたように、いわゆる非労働力化でパートとかいい収入の口があれば働こう。だけれども、不況になって職場がぐあい悪ければやめてもいいという形で、主として家庭婦人等が非労働力化して家庭に入ってしまう。これが失業者ではなくて家庭従事者ということで無業者になってしまう。そういう関係で、いまお話がありました就業構造基本調査の中で出てきた数字と、それから完全失業者の数字との間に食い違いはある。確かにございますけれども、その数字の差が果たして全部いわゆる要対策と考えられるかどうか。(多賀谷分科員「いや、全部とは言わない」と呼ぶ)いま先生が差し引かれました残りの数字も、それがそのまま要対策対象者であるかどうかという点は、はなはだ問題がありはしないかというふうに考えております。
○多賀谷分科員 ぼくは、就業構造基本調査は六%が失業だと言ったけれども、本業だけを見ると二・三%くらいじゃないか。そのときの完全失業者は一・二%ですから、大体二倍くらい考えたらいいんじゃないか、こういう話をしたわけですが、これはひとつ労働省としてはもう少しはっきりしておく必要があると思う。 たとえば、かなり以前ですけれども、大牟田で失業しますと、三井財閥の企業しかありませんから、六カ月後には必ず失対労働者になってあらわれてくるわけです。筑豊では、解雇されても、六カ月たったら、失業保険が切れたらどこへ行ったかわからなくなってしまう。ですから大牟田の市長を細谷君がやっていたとき、ぼくは、大牟田は首切ったら六カ月後には予算を組んでおかぬと必ず出てくるぞと言った。ところが、筑豊には、待っておるけれども出てこない。それは六カ月たったらどこかへ入っちゃうんですね。ですから、そういうふうにかつては地域的に雇用構造が違っておったという点もあるのですが、どうもアメリカと日本というのはそういう点がやっぱり違うのじゃないか。それであきらめるんですね。あきらめるというのは、役所をもう信用してないということです。安定所へ行っても余り役に立たぬから就職活動をしない。そうすると、統計に出てこない。こういうこともある。 そこで、さっき一時帰休の話をされましたけれども、いろいろ聞きたいのですが、時間もありませんから一つだけ。 この一時帰休をやっておりますと、賃金が下がるのです。下がると、一時帰休が終わって解雇されると、失業保険の日額が下がるのですね。これはどうして救済してやるのですか。
○遠藤(政)政府委員 確かに、昨年まで操業短縮、一時帰休というような制度が行われまして、その間の賃金につきましては、いわゆる基準法に定められた休業手当六〇%ではなくて、労使の話し合いで、おおむね中小企業等を含めましても最低八〇%から九〇%ぐらいというのが昨年十二月までの実情だったようでございます。雇用保険法によります雇用調整給付金制度が一月一日から実施されるに当たりまして、いままでは企業が全額負担で八〇ないし九〇%支払っていた。今回のこの給付金制度ができますと、大企業は二分の一、中小企業は三分の二が国の助成によって補てんされますので、したがって、企業の負担分は、大企業でも二分の一しかない、中小企業は三分の一を負担すればいい、こういうことになりますので、私どもは、この制度を適用するに当たりましては、できるだけ一〇〇%に近い賃金を保障するようにという行政指導をしているわけでございます。したがいまして、現実に一月、二月に出てまいりましたものを見ますと、大体九五%とか一〇〇%の賃金保障というのがほとんどのケースにあらわれているようでございます。したがいまして、私どもは、この行政指導を強化することによって、いまのような御懸念の点は解消できるのではないか、こういうふうに考えております。 ただ、現実に、そうは言いましても、レアケースで七〇%あるいは八〇%しか払わなかったという例がないとは限りませんので、そういう場合に、確かに御説のように、失業給付の基礎となる賃金額が下がりますので、それによって失業給付の金額が下がることになります。しかし、それには底入れの規定がございまして、最低を支えることになっております。不当に低いという場合には七割以上保障する、こういうことになっておりますので、現実にはさほど問題にならないのじゃないかと思います。
○多賀谷分科員 それは政策でやらなかったら私は言いませんよ。国が奨励して一時帰休をやらしているわけでしょう。一時帰休についてはめんどうを見る政策をつくったわけですね。われわれも賛成したわけです。ところが、それによって今度はもらうときの失業保険が下がるのでは、やはり片手落ちじゃないか。 もう一つ言うならば、私は、分母と分子からその一時帰休の分を差っ引いたらどうか、こう言っているのですよ。そういうふうにされたらよりいいじゃないか。こんなに一時帰休をやってくれるけれども、今度失業保険のときには下がるぞと言ったら、これは制度としてやはりどこか欠陥があるのです。ですから、分母と分子から、時帰休の間はそれを引いていく、こういうふうにされたらどうですか。
○遠藤(政)政府委員 先生のお考えのように、その期間中分子、分母からはずすというのも、これは一つの方法かと思います。私どもは、政策的にその目的に沿って、そうならないように行政指導をしておりますし、同時に、休業してその休業直後に人員整理があるというのでは、この制度の趣旨も本当に生かされないわけです。人員整理にならないようにこの制度をつくったわけでございます。 そこで問題は、いろいろ労使間の協定の問題もありますし、今後そういった問題についても私どもは研究課題として研究してみたいと思います。
○多賀谷分科員 これは早くやってやる必要があるのですよ。分子と分母から、政府の政策に乗っかった一時帰休の期間を差っ引けばいい、控除すればいいのですから、計算だって簡単なんですよ。どうですか、大臣。それが本当の親切ですよ、だんだん下がるのだから。一時帰休が長引けば長引くほど、今度は失業保険の方が下がるのですよ。ですから、せっかくやってやるのに、私は分子と分母から差っ引くようにすれば、計算も簡単だし、何もそんなにこだわることないでしょう。
○遠藤(政)政府委員 こだわりませんけれども、研究課題として研究させていただきたいと思います。ただ、一定期間、三カ月、四カ月という期間を分子、分母からはずしますと、ベースアップなんかしたりあるいは定期昇給なんかした場合、その分だけは結局ダウンしたかっこうになってしまいます。ですからそれが必ずしもいいかどうか。むしろ行政指導で一〇〇%払われるようにする方が現実的じゃないかという感じもいたしますし、いずれにいたしましても、この問題は研究させていただきたいと思います。
○多賀谷分科員 時間がありません。きょうは厚生省とかあるいは通産省にも来ていただいて、雇用計画の見直しをやる必要があるのじゃないか、こういう大きな話をしようかと思ったのですけれども、何さま三十分しかありませんので、厚生省と通産省にはなはだ申しわけありませんけれども、この問題は別の機会にやらせていただきたいと思います。 そこで、身体障害者訓練がいままで一年でありましたのを、今度二年に延ばされたそうですが、私も現実に身体障害者職業訓練校を見まして、これはもう少し政策よろしきを得れば、より気の毒な方々に前進をする政策ができるのじゃないかと思ったわけです。たとえば洋服でも洋裁でも、一年ですと紳士服のボタンとズボンぐらいですよね。それから洋裁でも婦人服の下だけしか習得できない。それから軽印刷でもそうです。製版工程、印刷工程、製本工程とありますが、一年では基本的な実技訓練さえも時間不足だ。それから義肢、装具、これはいま交通事故がいろいろありますから、とても注文が殺到しておるわけです。ところが肝心な医学的知識も十分教えられぬという。しかもこの義肢と装具はまた訓練の内容が違うんですよ。これもどうしても必要だ。それから判を彫る印章彫刻もそうです。これもいろいろ種類があるわけですけれども、もう一年余分に訓練をしてやれば、本人たちが社会復帰をする場合にずいぶんいいのじゃないかと思うのです。 そこで、具体的にどの科目を二年にされるのか、どういう科目を二年にして、それをどういう計画でされておるのか、今度予算が二年になったそうですから、お答え願いたいと思います。
○藤繩政府委員 身体障害者の訓練につきましては、先生御承知のように、全国で十一の国立身障校、それから県立の三校ということで、約二千人の規模でやっておりますが、従来からも、身障者といえども職業訓練はできるだけ健常者と一緒の訓練をしていくというたてまえで、できれば普通の訓練校に入れる。しかし、そうは言いましても、重度の者あるいは特に念入りな訓練を必要とする者については、いま申し上げましたような特別の訓練校を設けてやるということでまいりました。したがいまして、訓練を指示しました場合には、失業保険あるいは訓練手当が延長になりましたけれども、しかし、それは一般の者と同じように一年が限度でございます。ところが、今度雇用保険法が成立をいたしまして、それが二年に延長されることになりました。そこで、私どもかねがね訓練の関係者から、いま先生がおっしゃいましたように、もう少し時間をかければよりよくなるのだという話をよく耳にしておりまして、今度それができることになったことを大変喜んでおるわけでございます。 ただ、いま具体的にどの科目をというお話でございますが、当面入っております者は一年ということで入っております。そこで、科目ということも大事でございますけれども、むしろ身体障害の程度あるいは部位と職種との関連というものを考えまして、特に延長する必要があるものはどういうものであろうかということをよく見まして、とりあえずは延長してまいりたい。 そこで、今後二年というものを設定します場合には、来年度から入ってまいります者を二年にするわけでございますので、その辺の科目につきましては、いま御提案のような点もわれわれ常日ごろ考えておりますので、今後関係審議会にも諮りまして十分検討してまいりたいと思っております。いずれにしましても、そういう道が開けたことは大変ありがたいことだというふうに私どもは思っておるわけでございます。
○多賀谷分科員 そうすると、個人の障害の程度によって延長するのですか。それとも、この科目はとても無理だから二年延長するというふうにするわけですか。どちらですか。
○藤繩政府委員 当面は、現在入っている者は一年ということで入っておりますので、これをこの三月にどう延長するかということにつきましては、実態に即して個別に措置をしていきたい。しかし、今後どうするかということにつきましては、なお関係審議会とも十分相談をいたしまして、その科目の設定等を考えたい。たとえばいま御提案になりました義手義足というようなものは、恐らく事の内容から言いましても、科目全体として考えなければならぬと思いますけれども、通常の訓練で行っております洋裁、和裁というようなものが、身障であるから通常の者は一年だけれどもこれは二年、こう一律にいくかどうかにつきましては、なお十分検討してみたいというふうに考えておるわけでございます。
○多賀谷分科員 そうすると、五十年度の入学者については新規に科目として考えたい、しかし、四十九年度にもうすでに入っている者については、個別にその身障の度合いによって考慮したい、こういうように理解してよろしいですか。
○藤繩政府委員 そういうことでございますが、ただ、丘十年度の入所者もいま募集に入っておりますので、実は雇用保険法成立の時期等もありまして、そういった点が若干手おくれになっておりますけれども、今後どうするかについては、いま申し上げたとおり早急に検討いたしたいと思います。
○三ツ林主査代理 これにて多賀谷真稔君の質疑は終了いたしました。 次に、上原康助君。
○上原分科員 まず最初に、すでに議論もあったことだと思うのですが、最近失業問題が非常に深刻な状況になってきております。政府も特に労働省が中心になってそれなりに失業対策という面でいろいろ対策を講じておられるようですが、これだけ失業問題が深刻化したというのは、戦後二番目ないし三番目に大きな失業問題である。社会問題に発展する気配も十分考えられますし、いろいろ最近のマスコミ報道を見てみましても、総需要抑制、物価鎮静、そういうものに重点が置かれて、失業対策、不況対策ということについて、まあ春闘との兼ね合いもあろうかと思うのですが、一般的に受けとめられているほど、労働省の方では余り深刻に受けとめておらないのじゃないかという感なきにしもあらずなんですが、もうすでに十二月段階で八十三万、あるいは今年二月から三月にかけては百二十万を超すんじゃないか、場合によっては三月以降はそれを上回る可能性もあるというような見通しもあるわけですから、失業対策について、今後労働省としてはどういうふうに進めようとしておられるのか、そこらについて御見解を承りたいと思います。
○長谷川国務大臣 いまの世界の悩みは、いかにしてインフレを抑えるか、これは各国、公なる第一の敵と言うて一生懸命やっている国もございます。そういう意味からしますというと、私は、消費者はもちろんのこと、御家族のためにも物価を安定させることが第一だというところで、三月末の消費者物価一五%をいままで目標にして、これは労働者を守ることであり、御家庭を守ることであり、また、日本の経済の一応の将来の安定しためどをつけさせること、こう思っておるわけでして、といって、失業問題をないがしろにしているわけではございません。何といってもそういう意味からして雇用調整交付金などを出したりしまして、よその国ならすぐ街頭に失業者として出すものを、こういう一時帰休する場合に、中小企業は三分の二、大企業の場合には二分の一というふうなことによって抱えていただきつつ、その間いまあるところのいろいろな法律を適用して、こういうときにこそ労働省は一生懸命失業問題に対して対処するという姿勢でやっているわけであります。
○上原分科員 その姿勢はわからぬわけでもありませんが、それじゃちょっと具体的にお尋ねしたいのです。雇用保険法で言う調整交付金を申請した企業は、一体一月末か現段階までどのくらいになっているのか。また、その調整交付金を適用することによっていまの失業問題というのが幾分の歯どめにはなると思うのですが、対策として調整交付金制なりそういう面で十分できると思っておられるのか、その見通しはどうなんですか。
○遠藤(政)政府委員 雇用保険法によります雇用調整給付金制度が一月一日から繰り上げ実施されることになりました。一月末現在でこの給付金制度の適用を申請してまいりました数は、これは全数でございませんでまだ若干二月に持ち越した数字でございますが、一月末までの集計した数字では、全体で三千三百九十一事業所、このうち大企業三百六、中小企業が残りの三千八十五事業所でございます。それによります休業予定延べ日数が三百四十六万二千人目、こういうことになっております。 この給付金制度が活用されることによりまして、大企業、中小企業を問わず、こういった制度がなかりせば人員整理というようなことに立ち至らざるを得ないものが、この制度の実施によりまして相当食いとめることができている。その結果は、実は一応の予測ではございますけれども、現行の失業保険法によります離職者数、離職票の交付件数がございますが、実は十二月中旬以降企業側から、第一線の窓口に人員整理の予定という申し出が相当ありまして、もし雇用保険法が通ってこの調整給付金制度が実施されるならば、その見込みがはっきりすれば手控えたい、あるいはこちらの方から行政指導でもう少し待ったらどうだというような指導をした結果、十一月までは失業保険の離職数が相当大幅に対前年同月比を上回っておりましたものが、十二月に入りまして一四%、一月に二二%強、こういうふうに落ちついてまいっております。これは明らかにこの雇用調整給付金制度が実施されることによって人員整理、失業ということに対する歯どめになったのじゃないか、こういうふうに私ども考えております。
○上原分科員 ちょっと後の議論と関連しますので、いまの数字に、特に中小企業の三千八十五企業の中に沖繩関係があるのかどうか、もしわかればお聞かせいただきたいと思います。
○遠藤(政)政府委員 これは、帰りまして各県の状況を点検すれば沖繩関係があるかどうかはっきりいたしますが、いま手元に数字を持ち合わせておりませんので、お答えいたしかねます。
○上原分科員 確かに、私も申し上げましたように、一時的な歯どめになる、あるいは鎮静をするという意味では、調整交付金を適用することによってある程度の効果は上げ得ると思うのです。しかし、先ほども多賀谷先生の御議論にもあったような気がしますが、各企業とも相当余剰の労働力をいま抱え込んでいるわけですね。ある意味では春闘対策ということもあるでしょう。しかし、それを一時帰休をやって雇用調整交付金が切れた段階、春闘が済んだ四、五月段階においては、新卒とかいろんな問題が出てくる。その時点で抱え切れなくなった場合は、この失業問題というのはもっと深刻になるとしかいまの情勢からして見られないわけですね。そこら辺まで含めて失業対策というものを講じていかなければいかないのじゃないか。ややもするとこの雇用保険法というものが一時帰休を奨励したり促進をする、中小企業対策ということで宣伝をしたのだが、大企業を含めての何かそこに歪曲されていくような結果になりかねないということも指摘をしておきたいのです。そういう面はどう見ておられるのかということ。 さらにもう一つ、時間がありませんから急ぎますが、やはりこういう失業問題との関係において、いわゆる労働力の再配置ということについてもこの際十分検討する必要があるのじゃないかという感じを持ちますね。たとえば看護婦さんを幾ら養成しようとしても、これは厚生省との関係でしょうが、なかなかできなかった。しかし、いまこそ国民のあらゆる層で求めている本当の技術開発や労働力というのは一体どういうものか。こういう時期に労働省としてはそこまで検討して産業構造の問題なり労働力の問題というものを見直していく、そういった長期的な見通しも立てた上での雇用政策、雇用対策、失業対策というものが必要じゃないか。これは基本政策ですので、大臣はどういうお考えを持っておられるのか、御所見を賜っておきたいと思うのです。
○長谷川国務大臣 こういう大事なときでございますし、大変化のときですから、私の方でも先生がおっしゃったような雇用計画というふうな問題については考えております。なお、詳しいことは局長から答弁させます。
○遠藤(政)政府委員 いまの雇用面では失業問題が大変厳しい、ある意味では深刻な状態であることも御指摘のとおりでございます。その中で、なおかつ御指摘のように労働力の再配置というお話がございましたけれども、いままで私どもが再配置というようなことを言うと、強制労働だというようなことでおしかりを受けたわけです。しかし、考え方としては——確かにいろいろな地域的なアンバランスあるいは産業間のアンバランス、あるいは若年労働力は金の卵と言われるように非常に足りない。その中で中高年齢者あるいは身体障害者といった人たちについては、非常に厳しい情勢の中に置かれております。こういう点をどうやって是正をし誘導していくか、私どもはいろいろな奨励策をとり、あるいは是正のための行政指導をし、そういうことによって、いま先生のおっしゃるような再配置という言葉は使いませんけれども——使うとしかられるわけですよ。強制労働におまえたちやるのかと言われるのですが、そうじゃなくて、世間が、社会が必要とする部門へできるだけ就業していただくような誘導政策をとっていきたいこういうふうに考えているわけです。 今回の雇用保険法の中にも、そういった雇用改善のための各種の施策を盛り込んでおりまして、これを五十年度から実施をしていきたいと思っております。そういう意味で、いま大臣からお答えがございましたように、雇用基本計画の面でも——これから日本の経済は大きく転換をしようとしております。そういうこれからの新しい日本経済の体質、パターンに合った雇用計画というものをこれから見直していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○上原分科員 私が言っているのも、再配置という、機械をこっちから移すようなそんな合理化を言っているのじゃないのです。必要に応じた再分配のことですよね。それを何も官僚が上から押しつけてやりなさいということじゃないのですから、そういうふうに受けとめてもらったらこっちの方が困る。そこで、そういうこともあわせてやはりこの段階において考えてみる、あるいは検討を進めて政策を進めていくことは私は大事なことだと思うのですね。その点要求をしておきたいと思います。 そこで、この失業問題と関連をして、多くを指摘するまでもなく、沖繩の場合の失業というのはもっと深刻なんですね。一%としても、人口が大体八十三万なら八千三百ぐらいが大体の割合で、ほかの方は一般的にそういうふうな見方をされているのですが、現にもう二万近い失業者が一月末現在で出てきている。求職倍率にしましても、たしか本土の場合は平均で一・五ないし六ぐらいかと思うのですが、沖繩の場合は七・七、八%前後に達している。こういう状況下でもっと深刻な失業を抱えている沖繩の問題、これはいろいろな面で、制度的にもあるいは政策的にも本土と込みでやらない面もあるわけですが、局地的に労働市場が本土よりもなお狭い、しかも産業基盤が脆弱であるという状況下では、本土以上にきめ細かい対応策、対策というものがあってしかるべきだと思うのですね。これについてはどう受けとめておられるのか。また、政府としてはどのような施策を持っておられるのかということについてもお聞かせいただきたいと思うのです。 さらに、時間がありませんからたくさん質問しますが、施設庁の労務部長に来ていただいたのですが、たしか私の記憶では、今年度は、本土、沖繩を含めて、駐留軍の解雇というのは一万人前後だと思うのですね。しかし、五十年に入っても相当数の解雇者が出るとわれわれは見ているわけなんです。現にそういう動きもある。今年も一体どのくらいの基地労務者が解雇を余儀なくされていくのか、その見通しがあれば、今後の失業対策問題、雇用問題と関連しますので、それもあわせて御答弁をいただきたいと思うのです。
○長谷川国務大臣 前段のみお答えいたします。 私も沖繩が本土復帰までは何遍となく参りましたが、いままではなかなか本土の方にそういう方々が来ることはなかったようですね。こういう時期でございますから、労働省といたしましては、去る一月に、沖繩県において、本土企業へ職場見学ということで、旅費から何からみんな労働省で出しまして、初めてでございますが、参加者が三十八名ありました。そのうち十六名がすでに採用決定、不調はわずか二名で、残りの二十名は雇用条件等について現在交渉中と聞いております。 今後とも沖繩県と十分に連絡をとりながら、県外就職が可能な者については、情報の提供、綿密な職場指導、良質な求人確保を行うほか、本土への就職を積極的に推進するため、就職援護の拡充等の措置を講ずるなど、沖繩における離職者の再就職対策に万全を期してまいりたい。これは御承知のとおり、旅費やら就職支度金というのですか、そういう金まで——申し上げますと、五十年度の予算においては、沖繩から本土へ就職する駐留軍離職者に対しては、運賃、移転料、実費です。ほかに特別対策として、単身者に対しては三万二千四百円、世帯者に対しては七万四千四百円を支給することに、実はいまお願いしているわけでございます。
○松崎政府委員 お答えします。 今年度四十九年度で人員整理通報を受けております数は約八千名でございます。いま御質問は、五十年度も引き続いてどのくらいあるだろうかという御質問でございますが、一応私ども大蔵省等と五十年の見通しを立てます際には、約五千名弱と考えております。
○上原分科員 そこで、それも含めて失業対策を考えなければいけないわけですが、ただ従来は、沖繩の失業対策と言いますと、基地関係労務者あるいは復帰時点において転廃業されたいわゆるマル沖関係ですね、そういうのが重点だったのですが、最近の傾向を見てみますと、一般の失業者というのがかなりふえているわけですね。四十八年度の実績を見ても、四千九百四十一人がいわゆる駐留軍関係、一般にマル沖関係と言われているのが二千二百三十一人、一般の失業者というのが九千六百七十一人と、最近のインフレ不況下における中小企業の倒産なり合理化によって、この一般の失業者というのがどんどんふえてきている。これがむしろ深刻化しつつあるということもぜひ念頭に入れていただきたいと思うのです。 そこで、いま大臣の御答弁で、ようやく広域職業紹介ができて、本土に就職をするためのいろんな旅費とかあるいは就職するまでの経費を政府が補助をして、できるようになったということですが、これもいろいろ調べてみますと、本土就職——個人の意思はもちろん尊重しなければいけませんし、いろいろ事情はあると思うのですが、四十八年度が大体五千百十件くらいの本土就職をやっているわけですね。しかし、四十九年は逆に三千前後に減っているのです。その間、二千四、五百はUターンをしてまたむしろ沖繩に行っている。これは海洋博関連の事業、いろんなこともあると思うのですがね。こういう傾向を見てみますと、広域職業紹介と言ってみても、なかなかそう簡単にいくまいという気がしますね。 いま一つは、これまでは、本土に来れば、特に若年労働者なり技術を持っている人は、本土では幾らでも需要があるということで、できたわけですが、先ほど指摘をしましたように、本土だってもう窓口というものは各企業とも大変に厳しい。むしろ控えている。こういう面からすると、従来のように広域職業紹介を推進をしていく、あるいはそれに対して政府が予算的な措置をやっていく。これ、もちろん必要でないとは言いませんよ。この段階よりもっと進んだ何かの方針というものを出さないと、私はいまの失業問題というのは沖繩の場合は決して解決しないと思うのです。 これも一例を挙げますと、すでにニュースでも報道されておりましたが、昨日ですか、二十三日に中部の浦添市で、職員三名の新規採用に対して何と九百二十名の応募があった。三百倍以上の競争率なんですね。もう前代未聞ということで、市の方がむしろびっくりしている。これだけ異常な事態で、応募をしたのは九百名余りですが、願書をもらいに行った方々は三千名を余っておったというのですね。これだけ就職が深刻になったということは、沖繩の今日までの特殊事情の問題と、やはり政治の問題だと思うのですね。 何としても失業というのはなくしていくことが、これは最低の条件だと思うのです。こういう深刻な状況に対して、いま大臣がおっしゃるように、広域職業紹介あるいは従来のようなマル駐、マル沖手帳というようなことだけではどうしても解決できない。さらに一歩進んで何かをお考になっているかどうか、そこら辺について、お考えがあれば聞かしていただきたいと思うのです。
○遠藤(政)政府委員 ただいま沖繩の失業問題につきまして、広域紹介が効果が上がらないのじゃないか、あるいは後退しているのじゃないかという御趣旨でございますが、実はこの広域紹介につきましては、先生御承知のとおり、いままで沖繩県当局、関係団体でも非常に強硬な反対がありました。沖繩モンローというか、沖繩を過疎化させるのかというような意味での反対がありまして、私ども、広域対象として行政を進めることについてはなかなか思うに任せなかった。昨年の十月にようやく沖繩県当局も、労使関係団体におきましても、本土就職を積極的に進めるということで御了解いただきまして、目下それを進めているわけですが、本土の雇用事情がこういうふうに悪化してまいりまして、当初の予定よりは遅々として進んでないことも事実でございます。 沖繩の失業状況が、十月一万九千、十一月一万六千、十二月、御指摘のように二万二千、こういうことで本土の約三倍くらいの失業率を示しております。私どもは、この沖繩県下の失業問題は、何としても本土就職を進めること以外に決め手はないのじゃないか、こういうふうに考えておりまして、長期的には、雇用保険法なりあるいはその他の各種の法律制度、予算措置によります本土就職促進対策を今後とも強力に進めたいと思っておりますが、そのための対応策として、沖繩県下に現在総合高等職業訓練校の新設なり、従来の職業訓練校の内容の整備等も進めておるわけでございます。これも予定より大分遅れておりまして、私どもやきもきしているわけですけれども、県当局の御協力もこの間も勧奨したところでございます。あるいは職業安定所の充実強化につきましても、五十年度新規措置をとりまして、先生から再三御指摘ございました、いわゆる駐留軍関係者等の専門化等の措置も、事実上そういうような措置をとるようにいたしております。 私ども、こういうことが、本土の雇用事情が今後、来年度下半期以降好転するに伴いまして実効を上げてくるのじゃないか、こういうふうに期待をいたしております。じゃ、それまでの間ほっておいていいのかという御指摘かと思いますけれども、海洋博も近く開かれることになります。その間にやはりサービス関係等でかなり雇用の吸収ということも考えられます。その終った後の時点になりますと、いま申し上げましたような雇用事情の好転というようなことも私どもは十分考慮に入れながら、本土就職の促進を図ってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○上原分科員 いろいろな方途があると思うのですが、これは国だけでもできませんし、県や該当者の協力も必要と思いますが、もっとそういった面の積極的な対策というものをぜひ打ち出していただきたいと思うのです。 そこで、これとの関係で、労働省予算の方に失業対策事業運営費というのがありまして、約五百九十七億くらいが計上されている。特定地域開発就労事業ということ、これは公的な失業対策というもの、失対事業的なものについて定着させるということはにわかに賛成しがたい面もありますし、いろいろ検討すべき点もあると思うのですが、こういう公的な面の失業対策費というものも、集中的にといいますかあるいは優先的に、沖繩の場合配慮をしていくということもあわせて考えなくてはいかぬのじゃないかと思うのですね。これについてはどういう方針を持っておられるのか、明らかにしておいていただきたいと思うのです。
○遠藤(政)政府委員 こういう多数の失業者を抱えている沖繩県で失対事業を実施したらいいんじゃないか、こういう御指摘かと思いますが、実は失業対策事業、正式に申しますと失業者就労事業につきましては、四年前に中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法という法律ができまして、その時点で就労している人以外は今後こういった恒久的な失業対策事業に就労させない、こういう制度が確立をいたしております。その際に、沖繩復帰に伴いまして、沖繩県下の失業者をどういうふうに処理していくか、どういうふうに対策を講じていくかということで、実は私も復帰前に沖繩に参りまして、現地の県当局、市町村の関係者ともいろいろ相談をいたしまして、そのときの新しい法律によって予定されております特定開発就労事業を沖繩県で実施する必要があるじゃないかということで、予算面でも措置をいたしました。これの実施について関係当局といろいろ相談をしてまいりましたが、残念ながら、いろいろな事情があって今日まで実施されておりません。私どもは、こういった措置が県当局なり自治体等で必要だということになれば沖繩の開発にも役立つことでございますし、そういった点も十分考慮してまいりたいと思いますが、いま御説のような失業対策事業という形で実施することはできない、こういうふうに考えております。
○上原分科員 それは私もわかるわけですが、方途については県や関係市町村がそれなりの計画を持った場合は、優先的に配慮をする段階にあるんじゃないかという点だけは指摘しておきたいと思うのです。時間がありませんので、次に進みます。 そこで、いま一、二例を挙げましたこととも関連をしますが、これは国の方にも注文つけたいのですが、県の方も再検討をしたいということで、いまパインの加工とかサトウキビの収穫時に韓国から労務者を入れているわけです。こういうのも予盾がありますし、そろそろ県自体も再検討したい。しかも、たくさんの失業者を抱えているという状況下では、国の方も検討すべきだと思うのです。 同時に、性格は違いますけれども、雇用保険法にいう調整交付金制度の一時帰休ということで、失業対策の歯どめという面で大企業に二分の一、中小企業に三分の二という国の補助があるわけです。そういう面からしますと、失業対策の一環ということで、やはり関係者と協議の上で——そこには賃金問題があるわけです、実際に韓国から労務者を入れてこなければいかぬという事情は。したがって、こういう面についても、政府の方でもっと真剣に考えて、雇用対策の転換の一環として何らかの解決策を検討していいんじゃないかという考えを私は持ちますが、この点についてどうお考えなのかということ。 さらにもう一つは、マル沖関係の特別措置法がそろそろ切れて、今年末以降は五百名以上はもう手帳の給付が受けられなくなる。こういうようなものについても、これだけの失業者を抱えている段階ですから、いま少しその適用期限を延長するとか、制度面においても、法的な面においても、よりきめ細かい対策をこの際お考えになっていただきたいということ、これはぜひ前向きに御検討いただいて実現をしていただきたいのですが、この点について、できれば大臣の方からお答えいただきたいと思うのです。
○遠藤(政)政府委員 パイン、サトウキビの問題につきましては、復帰時点におきまして、当時台湾、フィリピン等から労務者が入っております。私どもは、外国人労働力を入れないという閣議決定の基本方針に基づいて、この処理に非常に苦慮をいたしたわけでございますが、沖繩県当局、関係団体等から、経過的にぜひこれは認めてほしいというような切実な御要請がございまして、五年間を限って従来の実績相当分を認めるということで、その後台湾からの国交途絶等に伴いまして、それにかわって韓国から入ってくる、こういう実情でございます。 私どもは、現在こういうふうに、失業情勢が沖繩におきましては本土以上に非常に深刻な状態の中で現に失業している人たちがたくさんいらっしゃる。その人たちが、こういったパインとかサトウキビとか、どうしても必要な労働力、そういった就業の場につかれないで外国から入れなければならぬ、これは全く予盾した話だと思います。おっしゃるように、この点につきましては、労働条件の問題等、あるいは農業政策上の問題もあるかと思いますが、私どもは、この五年間の猶予期間が過ぎた時点で、なおかつこういう措置をとり続けることはいまのところ考えておりません。その間に、こういった企業内の労働条件なり就業上の問題あるいは農業政策上の問題を是非解決をしていただいて、沖繩の雇用情勢の好転のために役立てたい、こういうふうに考えておるわけでございます。 それから、マル沖の関係で、マル沖失業者の手帳の期間が切れる。これはもう当然そういうことも制度発足のときから予定されておることでございますが、私どもは、こういった人たちの再就職のあっせんにつきましては、その期間切れになる人たちを特に重点的に、本土就職なり、可能な人はそういうふうにしていただきますし、沖繩県内の就職についても最優先的に就職あっせんをしてまいりたい、かように考えております。その意味でも、先ほど申し上げましたように、海洋博等によって新しく雇用増が見込まれますものについて、私どもはできるだけ努力をしてまいりたい。制度上この法律的に決められました手帳の期間の再延長ということは、私どもは現在考えておりません。御了承いただきたいと思います。
○上原分科員 もう時間が来ましたので終わらざるを得ませんが、いまの御答弁は余り納得できないですね。制度上も考えていただきたいし、同時に、パインの労働者を韓国から移入せざるを得ないというそれだけの背景があるわけですからね。やはりそこには政策的な配慮というものがもっと真剣に考えられてしかるべきだと思うのですよ。大臣、この点は一応御検討いただけますね。
○長谷川国務大臣 沖繩の問題については、私は沖繩出身じゃありませんけれども、いままで一生懸命やってきたつもりです。いまから先もいろんな情勢の変化を周密に検討してまいりたい、こう思っております。
○三ツ林主査代理 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。 次回は、明二十五日午前十時から開会し、厚生省所管について審査を行います。 本日は、これにて散会いたします。 午後六時三十二分散会