予算委員会公聴会 第2号
- 発言数
- 78 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1975/02/10
会議録
○荒舩委員長 これより会議を開きます。 昭和五十年度一般会計予算、昭和五十年度特別会計予算及び昭和五十年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を行います。 御出席の公述人各位にごあいさつを申し上げます。 本日は御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。この際、各位の有益な御意見を拝聴いたしまして、今後の予算審議の上におきまして貴重な参考といたしたいと存じます。何とぞ、昭和五十年度総予算に対しまして、それぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べいただくようお願いを申し上げる次第でございます。 次に、御意見を承る順序といたしましては、まず佃正弘公述人、次に木村禧八郎公述人の順序で、お一人二、三十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただき、その後委員から質疑を願うことといたします。 それでは、佃公述人にお願いをいたします。
○佃公述人 佃でございます。 ただいま委員長からのお話のように、忌憚のない意見を申し上げろということでございますから、私は忌憚のない意見を申し述べさせていただきます。 また、委員長からお話のありましたように、今後の予算審議の参考にするということでありますから、ぜひ御参考にお願いいたしたい。今後の予算審議ということにつきましては、五十年度予算だけでなしに、さらに次年度、五十一年度、五十二年度、ずっと将来の予算審議、予算編成、そういうことにつきましても御参考にお願いいたしたい、私はそのことを冒頭に申し上げさせていただきたいと思います。 〔委員長退席、湊委員長代理着席〕 それから、私は自民党の推薦ということになっておりますけれども、これは全く形式的なものでありまして、私は中立的立場、国民的立場で率直に意見を述べさせていただきます。このことは、私に交渉がありました自民党の方にはっきり申し上げまして、そのことを条件として私はここに出席することになったわけであります。 私に与えられた課題は、財政構造についての問題でございます。したがいまして、このことにつきまして私は申し上げます。 財政構造の問題ということが問題にされておりますることは、財政構造の転換ということが問題であるということであると私は解釈いたしておるわけでございます。しかも、私に財政構造について意見を求めるのは、五十年度一般会計予算は四十九年度予算に比べまして四兆一千億円、二四・五%の増となっておりまするけれども、当然増経費、義務的経費と称するものがこのうち二〇・四%を占め、わずかに四・一%、つまり六千億円程度が新しい政策を実施する経費にすぎませんし、また地方財政が、特に人件費の増加によりまして窮乏しているものであると考えられまして、いろいろと問題になっております。いまこそ抜本的な対策を講じなければ、日本の将来は不安であるという国民的認識によるものと思われます。私は、前からこのことにつきましての認識を持ちまして、改革の手を打つべきことを主張しておりますので、本日は腹蔵なくこの財政構造の転換ということにつきまして率直に意見を申し述べたいと思います。 まず、財政構造の転換がなぜ必要であるかということの理由でございまするが、このことだけでも述べておりますると二時間や三時間かかりますから、私はほとんど項目的に、簡単にこのことにつきましては述べさせていただきます。 まず、社会や経済の構造は国際的環境の激動の影響もありまして、急速に変化し、かつ複雑化しております。国、地方を通ずる財政は、これに対応して先行的に誘導する機能を発揮することが必要であります。 その次は、経済、社会構造の変化に対応いたしまして、資源配分の適正化、すなわち租税、公共料金等の負担、公共的経費、つまり予算の歳出でありますが、歳出面の配分について常に再検討を要すると考える次第でございます。 次に、資源エネルギー、食糧等の自給率が低い日本は、国際競争力を輸出と資本の両面で強化しなければなりません。このため、新技術の開発を初めとする企業等の総合的な力を強めることが必要であります。これに対応する適切、合理的な財政、税制が再検討されなければならないと信じます。 次に、近年のスタグフレーション現象、つまり物価上昇、不況といったようなこのスタグフレーション現象から考えましても明らかでありまするように、景気対策、すなわち景気の振興及び鎮静化は、金融政策と並んで財政政策がもっと機動的に活用されなければなりません。すなわち、財政の弾力的運用によりまして、フィスカルポリシーの格段の創意工夫が必要となっております。 次に、日本は国際的に特に経済面で指導的役割りを果たすべき立場にあります。世界全人類の平和と繁栄と幸福のために、日本に対する世界の期待はきわめて大きなものがあると私は信じております。それを実行することが日本にとりまして有形無形のプラスになることは、全国民の認識すべきことであると考えます。このことは、国際的な組織や機構や国際会議等を通じましてリーダーシップを発揮するとともに、DAC加盟国の政府援助額が他の先進国より少額であるという現状から見ましても、思い切って増額し、しかも謙虚な気持ちで対処することが必要であると考えます。このためにも財政構造の切りかえは必要であると私は考えております。 次に、今後の日本経済は高度成長から安定成長へ進むべき運命にあります。したがいまして、財政収入に多くの増加を求めがたいために、現状を打破して必要な新しい政策的経費を捻出いたしまして、財政構造の転換を図らなければならないと考えております。 まだ述べればいろいろありまするけれども、時間の関係もありますので、私は、先ほど申しましたように、列挙する程度にとどめておきます。 次に、財政構造の転換の方向でございますが、現在の財政は、国、地方を問わず硬直化の度を年とともにますます嵩めております。これは既定経費、当然増経費、義務的経費と呼ばれているものがきわめて多く、新しい政策的経費が僅少であることに端的にあらわれております。五十年度予算につきましては、さきに述べた増加額に対する比率とは別に、総額に占める新規経費を見ますというと、総額二十一兆二千億円の中で新規経費はわずかに六千億円、すなわち三%という驚くべき少額であります。これで一体何ができましょうか。財政構造の転換に当たりましては、この硬直化を抜本的に打開することがまずその第一歩にならなければならないと信じます。 次に、財政の硬直化打開のためには、何によってこのような事態が生じているか、その原因の探求から始めなければなりません。 その第一は、政党並びに政治家であります。言いかえますならば、選挙と言えます。国会、地方議会議員、首長の選挙で安易に選挙民に公約しておることは、これは周知の事実であります。公約と称しまして、その実現に躍起となります。すべての制度は、行き過ぎますと弊害を生じ、自壊作用を発揮するものであります。私は、民主主義、民主政治を守るべきであるというかたい信念を持っておりますが、それを守るためにも、余りにも国民に引っ張られ過ぎておる現在の行き過ぎを改めまして、政党並びに政治家は、国民を国の向かうべき方向へ引っ張りまして、政治の真の姿を取り戻すべきであると考えております。政治家は財政硬直化打開の先頭に立つことを、私はこの際、心からお願いいたしたいと思います。 次に、行政面も硬直化の大きな原因となっております。官僚は自己の権益の確保に狂奔し、一たん獲得したものは死守することにきゅうきゅうとしております。保守とても——保守ということは保守党ということではありません。現状を守るということであります。現状を守るということと怠慢は、官僚の特性と言っても過言ではありません。国民の公僕として指導的役割りを果たすために、即刻総反省し、みずからえりを正す行動に徹すべきであると信じます。 次に、公共企業体も、その置かれている立場と実態を認識し、エゴイズムを排除すべきであると私は考えます。 次に、産業界は政治と政府、行政に頼り過ぎております。補助金を多く獲得したものが称賛されるような気風を払拭いたしまして、自主独立の経営に徹すべきであると信じます。 次に、職業団体、地域団体等のいわゆる圧力団体と言われているものも、この際すべて反省し、政府や地方自治体への依頼心を改めるべきであると私は考えます。 これを要するに、現在の日本は、予算の獲得競争と、一たび取ったものは死守する、この積み重ねが国、地方の財政を硬直化したのであります。 さらに重大なことは、予算は歳入と歳出の両面から成り立っておりますのに、頭に入っているのは歳出をふくらますことばかりでありまして、歳入と歳出の密着感、密接感というものがありません。国や地方の経費は、租税すなわち国民の負担から成り立っておるのであることは申すまでもありません。出るものが多くなれば負担も当然多くなります。当然多くなることはあたりまえでありまするけれども、その理論をこの際改めて再認識するということが必要であると信じます。 いま財政硬直化という重症に日本はかかっておる。これを治すには、全組織、全国民の思い切った意識革命が必要であると私は信じます。重症を治すには、メスを入れまして手術を行わなければならない場合と、自己の治癒力によりまして治す場合とがあります。願わくは私は、後者の、自己の治癒力によって治すことを期待するのでありまするけれども、差し迫ったこの重症患者を治すには大手術が最も効果的な部面が相当多いと私は考えます。 次に、問題点とその打開策について具体的に申し上げます。 第一は、行政機構と人件費であります。国、地方を通じまして根本的な改革が必要であります。これは行政機構の整理簡素化と人件費の大幅削減であります。五十年度一般会計におきまする人件費は約二〇%を占める。これは国の経費であります。そして、当然増経費四兆一千億円中一兆円、すなわち二五%を占めております。全体に占める割合よりもさらに五%ふえております。国家公務員は、減少方向にもかかわらず、約九十万人という数字は横ばいであります。地方団体職員は、昭和四十三年が二百三十五万六千人でありましたが、昭和四十八年には、その後の数字が出ておりませんから四十八年度をとりますが、四十八年度は二百七十四万五千人と、一六・五%増加いたしております。が、四十九年度、五十年度とさらに増加しておるものと私は考えます。人件費の歳出に占める割合は、四十九年度、五十年度ということがわかりませんが、私は想像するに、人件費の地方団体の歳出に占める割合は、六〇%から七〇%を占めておるところもあるやに新聞報道などで承っておりますので、恐らく五〇%前後には全体でも達しておるのではないか、これは私の想像であります。正確な数字がありませんから想像でありまするけれども、私はその程度はいっているんではなかろうかというように考えておる次第であります。したがいまして、この打開策といたしましては、まず第一に、中央官庁の思い切ったところの整理合理化、統合、これを行うべきであるというように考えます。次に、都道府県機構の簡素化と都府県の再組織であります。現在、御承知のとおり市町村合併は急速に進んでおります。一時の半分以下に下がっております。しかし、北海道は非常に広いから別といたしましても、都府県はそのままであります。市町村の合併ができて都府県の再編成ができないということは、私にはよく理解できません。都府県の現実の住民の姿はいまの姿とは全く変わっております。この現実と遊離しているのを現実に合わせるためにも再編成が必要であります。そのことによりまして、国民の便益と財政の弾力化か図られることは申すまでもありません。次に、中央、地方の事務の再編成及びその統合と、それによる中央出先官庁の廃止、自治体各部課の統廃合ということであります。私はここに資料も持っておりますけれども、時間も長くなりますから資料は省きますが、中央、地方の事務の再配分に基づくところの機構の統廃合ということにつきましてはほとんど進んでおりません。これは、交通機関の変遷、通信機関の発達によりまして、国民に二重、三重の迷惑をかけておる面が非常にたくさんあります。また、これも全く形骸化しておる機構が非常にたくさんあります。したがいまして、国の出先機関につきましては、全く廃止すべきものと、その一部分につきましては地方団体なり、あるいは農林省関係のようなものにつきましては農協なりに、事務を任せるという部面があってしかるべきである。また、地方団体の事務でありましても、国の出先機関でどうしても残さざるを得ないものにつきましては、これは国の出先機関に残すということも考えるべきであるというように私は考えるものでございます。次に、定年制の実施であります。 三木総理大臣は、この席上かどうか知りませんけれども、六十歳定年制ということを申しておるようでございます。六十歳以下の定年を六十歳の方向へ持っていくことにつきましては、私は原則的に賛成であります。ただ、一挙にことしやれとか、あるいは来年中に全部やってしまえということにつきましては、問題があるかもしれません。六十歳定年制を言うならば、私は、国及び地方団体——定年制は、国には定年制がございません。地方団体で定年制をとっておるところはごく一部にはございます。この定年制をこういうところにも設ける。六十歳定年制であるならば、六十歳定年制を実施すべきである。それが社会的公平である。六十歳以後の者に対していかにして職業を与えるか、これは私は腹案を持っております。いかに生活保障をするか、私は腹案を持っております。しかし、そのこととは別に、定年制は、六十歳定年制ということが必要であるならば、社会的公平の意味から言っても、六十歳過ぎて七十歳、八十歳になっている者までも雇っているという、こういう現実を率先して改めることこそ、六十歳定年制を呼びかけている人たちの責任であるというぐあいに私は考えます。これらのことによりまして人件費は、やり方によりますけれども、二分の一から三分の一に減少するであろうと私は考えます。これはやり方いかんによります。これを実施することによりまして行政事務は能率化する。国民は多大の便宜を受けます。また、これらを実施することによって、硬直化した不必要な経費を大幅に削減し、私が冒頭に申しましたように、それをもっと弾力的に有効に使うことが可能であります。 次は、社会保障あるいは福祉ということについてであります。 福祉という名に皆が弱い。何が福祉かということを徹底的にこの際解明する必要があると存じます。現状は、社会保障につきましても、福祉政策につきましても、広く薄くなっております。それを整理して、必要なところへは厚くする。私は、福祉政策、社会保障政策に反対ではありません。賛成であります。しかし、現在のようなやり方については反対であります。広く薄くなっているのを狭く厚くする、こういう考え方をとるべきであると私は思います。現状が続いておりますと、高福祉、高負担となり、勤労者の生産意欲を低下させます。 この実例につきましては、私は時間もありませんから申し上げませんが、イギリスや北欧三国においても指摘されておりまして、イギリスのごときは、租税負担をここ数年間相当軽減いたしております。しかも、日本の賃金の状況を見ますると、すでに欧米水準に達しております。あるいは欧米水準以上にもなっております。しかも上下の差は縮まっております。したがいまして、自分で自分の必要性に応じた社会保障、自分で自分の必要に応じた福祉制度を行えるように切りかえる時期に来ております。 このことにつきましては、政府、民間とも特段の工夫を要するところでありまするが、私は特にこの際、政府及び地方自治体にお願いしておきますることは、これを側面的に援助する、自分で自分のためにやることを側面的に援助する、こういう考え方をとるべきであるというように思います。 次に、農政であります。これは食管会計を含めた農政問題であります。 食管会計のごときは、ここに数字もありますけれども、いま数字は省きますが、昔の強制供出から現在のような状態になっておりまするにもかかわらず、食管会計の抱えておる職員はほとんど減っておりません。驚くべきものが残っております。私は、先ほど申しましたように、中央官庁を整理して中央の事務を府県や農協に委託すべきであるということは、この食管会計においては十分皆さんがお考えいただきたいと思います。また、一般の農政につきましても、現在の農政は、全部とは申しませんけれども、無定見なその日暮らしの農政というのが非常にたくさんありまして、この無定見でその日暮らしの農政の最大の被害者は農民と消費者であるということを私は強調しておきます。しかも、財政は非常に多額の減少になります。 さらに、国鉄その他の公共企業体でありまするけれども、私はこれについても資料を持っておりますが、いま数字を申し上げることは避けますが、政府とともに合理化、能率化の範を示す、政府も地方自治体も範を示すと同時に公共企業体も範を示すべきである、経費に生産性の観念を導入すべきであると考えます。 また、産業行政につきましては、過保護行政をこの際改めるべきである。必要なところには適正に合理的にやるべきであるけれども、現在のような過保護行政はやめるべきである、そうして自主的経営に徹すべきである。先ほど申しましたことでありまするけれども、私はそういうように考えます。 また、文教でありますが、現在の文教は甘やかし文教政策であります。また、大学も多過ぎます。しかも、それにもかかわらずますます多くなっております。このことが、日本人のモラルの低下、それからまた労働力の損失、国費の損失、こういうことになっておりますので、この点につきましても、私は格段の工夫を必要とすると考えます。 それから、補助金あるいは負担金といったような、一括しますと補助金という名前になっておりまするけれども、これも根底から見直すべきである。十数年前に補助金等合理化審議会が設けられまして、補助金のあり方につきまして合理的な案を提示しておりまするけれども、この案は、現在でも、私から言わしめるならば、ほとんど実行されておらない、ますます悪くなっておるというように考えます。 私が、以上申し上げましたようなこと、こういうことを実行することによりまして、国、地方の予算は、毎年三〇%から四〇%変動いたしまして、新しい政策を実行するように持っていくべきであると私は思います。この実現は現在をおいてありません。万一これがおくれまするというと、悔いを千載に残すことになります。現在、影響力を持っている人たちの責任は、私はきわめて重大である。私も多少の影響力はありますが、私を含めてのことであります。 それから、私はこの際ひとつ申し上げておきたいことがあります。政府は、現在の財政硬直化打開のため、地方制度調査会、財政制度審議会の両審議会に、この打開策について五十一年度予算に反映するためには七月までに答申するようにということで、審議を進めておるところもあります。しかし、いまそういうやり方で財政硬直化が打開できるということは、私は全く信じておりません。こういうものにつきましては、これは一本化して、そうして中立的な、強力なメンバーによる少人数で構成する組織をつくりまして、これに行政委員会的な性格を付与いたしまして、その答申は政府も国会も尊重しこれに従う、こういうようなやり方でなければ、私がいままで申し上げておりましたようなことを実行することはできませんし、それは日本の国の将来を誤ることであると私は信じます。 まだいろいろ申し上げたいこともありますけれども、私の予定の時間が参りましたので、私の意見はとりあえずこの程度にとどめておきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○湊委員長代理 どうもありがとうございました。 〔湊委員長代理退席、田中(武)委員長代理着席〕
○田中(武)委員長代理 次に、木村公述人にお願いをいたします。
○木村公述人 私たち東京都の新財源構想研究会は、ことしの一月、東京都を初め、日本の自治体が深刻なる財政危機に直面している、そういう事態を踏まえて、美濃部都知事に大都市財政の不公正是正に関する提言を行ったわけであります。この提言はこういう認識の上に立っているわけでありまして、東京都だけじゃないのでございますが、昭和四十六年のあのドルショックのときに非常に不景気が参りまして、東京都は三百九十億の赤字をあらわしたわけです。それをきっかけにしまして、大都市の財政をどういうふうにして確保すべきかというので、昭和四十七年からこの新財源構想研究会というのが発足したわけです。当時私は参与ということになりまして、その方の座長を務めることになったのであります。その後、四十八年に一月と十二月の二回、それから四十九年に一回、ことし一回と、四回提言をしてまいったのですが、その間、自治体独自、特に都独自で、現在の税法なりあるいは体制のもとでどれだけ財源を確保できるか、そういう点に焦点をしぼって、たとえば法定外独立税ですね、法人の事業税を、これは条例で制定して実施できるわけでありますから、そういう法律改正によらず——法律改正を必要とすると非常に時間もかかるし、また、それは国会の御審議が必要で、国会で通らなければ実現できないのでございますから、まず、都独自で現在の税財政のもとで実現できるものにつきまして、いろいろ提言をしたわけであります。 しかし、現在の地方自治体の深刻な財政の危機、これは自治体独自の努力だけではもう限界がある、とうてい克服できない、どうしても国、地方を通ずる税財政の根本的改革が必要ではないか。特にその中でも、今回提言しましたような大都市税制の不公平の是正が、どうしても必要ではないかということで提言を行ったわけであります。したがって、今回の第四次提言というのですか、主として法律改正によるものが多いのでございまして、どうしても国会の皆様方に御検討を煩わしまして、その実現のために御協力を願わなければならない。公述する機会を与えていただきましたので、研究会の座長という立場できょう伺いまして、その提言の要旨をこれから皆様方に御紹介し、陳述いたしまして、ぜひとも実現のために御協力をお願いをしたい、こういうわけなのでございます。 この提言は、まず大都市税制の不公正につきまして三つの点を指摘しているわけであります。その第一点は、法人、大企業の税負担の不公平なのでございます。実はこの法人の税負担につきましては、皆さん御承知のとおり、非常にいろいろ問題があるわけです。 私、税制調査会の方の第二部の法人関係の分科会ですか、特別部会に特別委員として参加することになりまして、そこで法人の税負担についていろいろ御意見が出ているわけです。財界の人なんかも、また政府の方からも、もう法人の税負担は限界だ。特に昨年法人税も増でございました。地方税も増でございました。それでも五〇%で、諸外国の法人の税負担と大体同じであり、国税、地方税を通じてももう限界なんだ、こういう御議論があるわけです。いわゆる限界論ですね。果たしてそうなのか。そうなるとこれは非常に重大問題だと思うのです。つまり、増税を考える場合、国の方で増税を考える、あるいは地方公共団体で法定外普通税、いろいろございます。もう限界である、事実そうであるならば、そうして増税をやった場合、経営を脅かす、経営が成り立たないと言ったらどうしますかと。ですから、これは非常に重大な問題であるというので、東京都では新財源構想研究会が中心になりまして、その企業経理に明るい専門家をお願いしまして、東京証券取引所上場の会社六十社、これは四十七年度所得でございますが、有価証券報告書というのがございますね、あれをもとにし、また東京都独自で入手し得る税務申告書というものをもとにしまして、そうして検討をしていただいたわけです。その結果、資本金、ここに報告書があるのでございますが、時間がございませんから、私たちの皆様方にお願いするその趣旨を御理解していただく必要上、数字にわたりますものですから、ごくその要点について簡潔に御報告したいと思うのです。 こういう結果が出たわけでございますね。資本金百億円以上の企業につきまして実態調査をやったわけです。そうしましたら、結局、私たちはそれを実質的な税負担と呼んでいるのですが、三六・二二%。これは三税である。つまり法人税と、それから地方税は法人事業税と法人住民税、この三税でございます。百億円以上の企業におきまして、この三税の負担率は三六・二二%なんです。ところが政府の方がいわゆる実効税率として発表しているのがございます。これが四十七年につきましては四六・六九%なんです。その間に一〇・四七%の差があるわけですね。政府の方のいわゆる実効税率というのは大体申告所得ですね、申告所得から地方税の法人事業税というのを引いて課税するものですから、それを引いたものです。その申告所得で三税を割ったものですね。法人税と法人事業税と法人住民税を割ったものです。それが四六・六九%。ところが、われわれの方の専門家に調査していただいたところでは三六・二二%です。どうしてこういう差ができるか。一〇%以上の差があるのですね。そうしますと、現在の税負担は、それで限界としましても、一〇%以上差があればまだそれだけの負担の余裕がある、そういうことになると思うのです。だからそれだけ全部増税せよというわけじゃございませんけれども、とにかくまず事実を調べなければいけませんからね。大蔵省もこういう調査をやっていないのですよ。これは一遍どうしてもやる必要がある。どこかでやらなければいけない。東京都はこういう実態調査をやったのですから、もし大蔵省なり政府の方で、これは事実と違うと言うならその反証を出していただいて、そうしてこれを議論し煮詰める必要があると思うのですね。だから事実問題をまず確認する。調査なくして発言なしと言いますが、実態調査をやってから議論を進めなければいけません。その一番の議論の基礎になるものについて、とにかく現時点では、私たちの調査では、一〇・四七%、これだけの差があるということが明らかになったわけなんです。われわれは相当確信があるわけです。有価証券報告書と、東京都自体が入手し得る税務申告書をもとにしてやったのですから、大蔵省はもっといろいろ資料がおありと思うのです、それならば大蔵省で、これをもとにしてはっきりとまた実態調査をやって、突き合わせていただきたいと思うのです。 こういう差ができますのは、結局、租税特別措置ですね。たとえば価格変動準備金とかあるいは特別償却準備金とか十一項目あるのですが、それは租税特別措置に規定されたものでございます。政府の方が実効税率を計算する場合、租税特別措置による減免規定、主としてそれをもとにして計算する。ところがわれわれは、そのほかに法人税法によっていろいろ引当金がございますね。たとえば貸し倒れ引当金あるいは退職手当引当金、そういうものが七項目あるのです。あるいは圧縮記帳とかいろいろあるのであります。それを合わせて、それを利益として申告所得に加えてこれを割ってみると、さっきお話ししたような三六・二二%という負担率になるわけなんです。こういう結果が出たわけなんです。このいまの調査は、資本金百億円以上の二十五社について調査したのでございますが、資本金百億円以上の会社は百六十四社あるわけです。これをもとにして計算すると、四千四百億円、いわゆる税負担が軽くなっておる。実質税率に対して実効税率の方が軽いわけなんです。そういう結果が出たわけなんです。それで企業全体としては一兆円以上軽減されているということになるのです。 しかし、その過程において明らかになったことがあるのですけれども、それは業種によって法人税の負担率が実に差があるということです。こんなアンバランスで一体いいのかどうか、これもひとつ御検討願いたいと思うのです。決して一例じゃないのです。たとえば建設、機械、銀行などは四〇%以上。ところが一〇%台は航空、海運、それから損保ですね。同じ企業でありながらこんなに差があるのですよ。そういう非常なばらつきというかアンバランスがある。われわれこういう検討しておる過程において、法人というのは皆大体負担率というのは同じだと思ったところが、業種によってこんなアンバランスがあるということがわかったわけです。それはそれぞれの合理的理由があるのかないのか、いろんな過去の経緯からこうなっておるのか知りませんが、これはやはりこの際根本的に検討する必要があるんじゃないか。こういう御検討もお願いをしたいと思うのです。これが法人に関する調査なんであります。 第二は、個人の所得の税負担の不公平でございます。なお、法人の税負担の不公平につきましては、前に東京都で調べたのがございまして、非常に逆累進課税になっておるという調査もあるのであります。これはまあ資本金で見たのでありますが、たとえば資本金百億円以上と、それから資本金が百万円未満とか、あるいは五百万円から一千万円程度は、非常な逆累進になっているのであります。個人の方もそうでございますけれども。この点は、原則論として、一般論としまして、民主社会、福祉社会におきましては、税の役割りは、国及び地方の財源確保とともに、税制を通じて所得、富の分配を公平ならしめるという一つの役割りがあるわけです。これは釈迦に説法のようでございます。皆さん十分御存じと思うのであります。その税制が法人税及び個人の所得税を通じまして逆累進であるということは、これは問題だと思うのです。このことは実態調査からはっきり結論が出たのでありまして、資本金の大きい大企業ほど国税、地方税の負担率は軽くなる。中小零細の方が負担率が重くなる。あるいは個人につきましても、一億円以上の所得の人を東京都民について調べたのです。一億円以上の人は九割が資産所得なんです。利子、配当、土地の譲渡所得なんですね。利子、配当、土地の譲渡所得は、今回の税制改正によってある程度改正はされましたけれども、しかし、依然として分離課税という制度は残っておる。五年もこれを今度は延期してしまうわけですからね。いままで二年、二年で時限立法で延ばしてきたのを今度は五年に延ばすわけですけれども、この逆累進課税というのはもっと根本的に——高度成長のときには、どうしても資本蓄積のために、そういう逆累進もあるいは仕方がなかったかもしれませんけれども、今度安定成長の段階に入ると、いわゆる分配問題、社会福祉関係が非常に重要なことになっておりますから、高度成長時代の税制のあり方、これは非常に特徴的な逆累進ですよ、これを根本的に再検討して、そうしてこれをやはり累進課税に是正する必要があるのじゃないか。土地税制につきましては、この譲渡所得につきましては、今度の税制改正で、短期につきましては現状どおり——現状どおりというより、むしろ五年間延ばしたのです。長期譲渡所得につきましては、一応二千万円まで現在どおり二〇%でございますけれども、二千万円を超えるものにつきまして四分の三について総合課税する。これは確かに一歩前進だと思います。しかし、短期につきまして、また二千万円につきましてやはりそれは残っている。ただその場合、どうして土地の税制改正について五十一年に延ばしてしまうのか。私は五十年にできるはずだと思うのです。この点はもっと御検討願いたいと思うのです。どうして五十一年に延ばしてしまうのか。私はこの点は、五十年でできるのを、そしてこの税制改正が必要なのにわざわざ延ばしてしまった。 それから利子、配当につきましてさっき申しましたが、これは分離課税をやるために、たとえば五千万円から一億円の人の国税、地方税の負担率は三〇・二%。これは今回の税制改正以前です。今回は源泉選択二五%を三〇%にしますから、これよりまた少し負担率が変わってくると思うのです。ところが一千万円から二千万円の人は三六%なんですよ。非常に大所得者ほどと言うか、それは少しずつ是正はされておりますけれども、まだまだ非常に逆累進は直っておりません。ですから、これはもっと逆累進を直していただく必要があるのじゃないか、こう思うわけであります。 それからもう一つ、第三番目の不公平は、いわゆる地方自治体の課税自主権の侵害の問題なんですけれども、これは御承知のように、東京都が昨年、現在の法律によりまして法定外普通税というものが許されておるのですから、そして法人事業税というものは制限がないのであります。そしていまの法律では、これは企業別で言いますと、小零細企業が六%、中企業が九%、大企業は一二%、六、九、一二となっているわけです。それを東京都は実態調査をやりまして、つまり大都市には大企業が高度成長の段階で非常に集中しまして、そうして都市化現象をいろいろ起こしているわけです。大企業は東京に集まることによって集積の利益というものを得ているわけです。集積の利益を得ながら非常に集積の不利益を出しております。これは大体経済企画庁で計算しているのでございますが、東京都に一人他府県から人が就業のため入ってくる場合、都はどのぐらい投資が必要かと言うと、三百三十六万円必要なんです。これは昭和四十年から四十五年について実態調査をやったわけです。大体年に七万人ぐらい入ってくるわけです。そうしますと二千億以上の投資が必要なんです。そうして大企業に人口が集中しますから、集積の利益もありますけれども、不利益も出す。それについては、集積の利益を得ている大企業が応分の負担をされてもいいんじゃないか。そうしてこの税負担を調べたところが、大企業の方が税負担が軽いから、それで六、九、一二のうち一二だけ、これは不均一課税というのでございまして、昭和二十六年に通達として不均一課税してはいけないということになっておるわけですが、これは通達ですが、法律ではないのであります。そこでこの不均一課税をやってもいいという理由があればいいのでありまして、やったわけです。そして一二を一四に引き上げたわけです。そして四十九年は約百億の増収があり、五十年は約五百億の増収を見込んで、日本の財政危機の折から適切な措置をとったと思った。ところが今度政府の方は、事務所事業所税を実施するに当たって、東京都の一二%を一四%に引き上げたのを、これに制限税率を設けている。いままで制限税率がないのですから。その制限の仕方も、非常に納得のいかない制限の仕方になっているわけです。大体最高税率が、つまり最高というのは大企業が一二%です。一二%の一割というのですから、一・二で一三・二、これを制限税率にする。東京都は一四%まで上げたのです。そうすると制限税率は一〇%なんです。これは自民党の政調会でも一四・四までいいんじゃないか、そういう議論が出たんだそうですよ。それで東京都の一二%を一四%に上げた場合は一七%なんです。ところが自民党の政調会では四四%までいいと言ったのですよ。ところが、ほかのたとえば法人の住民税にしましても、都道府県の住民税にしても、制限の範囲がみんな二割あるいは二割以上です。三五%のところもあります。それなのに東京都だけどうして二〇%か。一〇%なんですよ。これを私は憲法違反とは言いませんけれども、憲法九十四条で法律の範囲内において条例をつくることができることになっている。条例制定権があるのです。だから、法律の範囲内と言いますけれども、宮沢俊義先生などによると、地方自治体は条例というものを制定ができるので、これは法律も侵害することができないという御議論があるのです。 そういう根本はとにかくとしまして、現実が制限税率を設けるときは大体二〇%以上なんです。それなのにどうして東京都が行った法人事業税について一〇%の制限税率にするか。何か江戸のかたきを長崎で討つような、東京都が前にやったことに対して、これは税体系を乱すものだ、あるいは他府県に負担を多く与えるものだというのですけれども、しかし、法人事業税が東京都が二%というのは、それが法人税を減らして、国の収入を減らす。そうすると、法人税が減りますから、今度三二%の地方自治体の交付税を減らす、こう言うのですけれども、しかし、法人事業税というのは、東京都が今回やった二%の上乗せだけではないのです。その本体が、法人事業税それ自体一兆六千億ぐらいあるのですから、それは所得課税ですから、企業の方ではそれを引くわけですから、そうすると法人税が減るのです。そうすると政府の方の収入が減る。これは政府の方の収入を地方に移譲することになるのです。移転することになる。これは非常にいい傾向だと思うのです。つまり、余り集中しますから、国が七割税金取って地方が三割でしょう。これを通じて中央に行く税金を地方に還元するということなんですから。ただ、それによってほかの地方自治体が交付税が減るということにつきましては、これは交付税の方につきましていろいろな特別の調整があるわけです。調整ができるのです。税制調査会においてもそういう議論がありまして、それはできるのであります。国がやるべきであります。 そういうふうに事務所事業所税を実施する、その条件として東京都の二%の法人事業税の引き上げについて制限を設けている。このため五百億増収が大体二百二十億減るわけです。そういうこと。だからこれは私は地方自治体の財政自主権の侵害だと思うのです。もちろん制限税率を設けるなと言うのじゃないのです。それはできると思うのです。法律でお定めになればできます。ですけれども、その場合、いままでずっと、たとえば法人住民税につきましても、どこも制限税率は二〇%以上なんですから、それをどうして一〇%に低くするか。そういう意味において私は侵害だと思うのです。ですから地方自治体は、このように自主的に、国に御厄介にならないで、いまの法律で許されている法定外普通税にのっとって自主財源を確保したのですよ。それを今度は、国のほうで法律によって制限税率を設けた。それは制限税率を設けるのも結構ですよ。しかし、いままで東京都が設けたのをもっと減らすというんですよ。しかも、ほかの制限税率はみんな二〇%以上なんですよ。東京都だけ一〇%なんてそんな異例なことはありません。これは地方財政の自主権を侵害するものだ。そういうことで、ぜひともこれは国会の皆さんに御検討していただきまして——不当ではないか。制限税率を設けるなら二〇%ですね。一般に行っている制限税率で制限をするということなら納得性も一応あると思うのですけれども、その点についてはどうか御検討をお願いしたいと思います。 最後に、時間がありませんので簡潔に、提言でございますが、まず法人税の租税特別措置につきまして、この改廃をお願いしたい。それから第二番目は、いまの法人事業税は所得課税なんです。これをどうしても、いわゆる物税としまして外形課税にしていただきたい。このために、欠損法人で大きな会社なんか法人事業税を納めてないところがあるんです。ですから、本来なら、経費として落とすならば物税でなければならない。所得課税で経費で落とすのはおかしいのです。全部すぐに所得課税をはずしてしまって外形標準にしろというのは無理かもしれませんから、所得の算定の基礎にするとしましても、そのほかに、売上税とか、あるいは従業員とか、あるいは免税点とか、そういうものを加味して行うべきじゃないか、こう思うわけです。事務所事業所税はすでに外形課税ですね。ですからいまの体系はおかしいと思うのです。外形課税にする。欠損法人で、配当しながら法人事業税を納めてないなんて、そんな不合理なことはない。名前は言いませんけれども、為替差損が出たというので利益へ計上しない、そういう不公平は許されないと思います。 それから第二番目は、資産所得につきましてですが、これはさっき申しましたが、土地税制の改正につきましては早期実施すべきだ。一年おくらせるべきじゃないということ。それから、利子、配当所得につきましては、公表をすべきじゃないかと思うのです。大体全体の利子というものは一兆八千億ぐらいあるんですよ。そのうちで所得税のかかるものもありますけれども、今度は把握が困難なせいもあって、地方税がかからないものが相当あるんです。それから、配当についてもそうだ。配当は大体五千億くらいあるのですよ。その中で、所得税はかかるけれども地方税はかかってない。利子、配当の把握が非常にむずかしいわけですけれども、これは銀行と協力すれば、コンピューター時代ですから私はできると思います。この点も御配慮を願いたい、こう思うわけであります。 それから、先ほど申しました課税自主権の確保をぜひともお願いしたい。 それから最後に、税制につきましては、特に企業の経理の内容はよくわからぬものですから、それで、この企業内容を知るには、いま有価証券報告書というのがあるのですが、もっと企業の経理を公開するように、これは独禁法とも関連があるのかもしれませんが、お願いをしたいわけであります。 それから、いま国の方では、大資産とか高額所得については公表しておるのです。しかし地方自治体はそういう制度はないのです。ですから、地方自治体もそれをできるようにしていただけないかということなんです。 以上、いろいろ申し述べましたが、法律改正による分が非常に多いのでございまして、ぜひとも皆さま方の御検討と、それから御協力なくしては実現できないわけです。ですから、われわれはこういう実態調査に基づいて問題提起したのでございますから、この事実を踏まえてぜひ御検討していただきたい。今後の地方自治体の財源確保というのは重大な問題なんですよ。皆さんも御承知のとおりです。ですから、いまわれわれが提起しましたこの問題につきまして、ぜひとも御検討願い、その実現のために御協力をお願いするわけでございます。 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
○田中(武)委員長代理 どうもありがとうございました。 —————————————
○田中(武)委員長代理 これより両公述人に対する質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石野久男君。
○石野委員 公述人の方に、十分間の時間ですから簡単な質問をさせていただきますが、まず最初に佃公述人にお尋ねいたします。 財政構造の転換ということで非常にたくさんの項目についてお述べいただきました。時間の関係がありますので、多く聞きたいこともございますが、そのうちの一つ二つのことでお尋ねいたします。 とにかく世界経済の中における日本への期待が非常に大きいんだ、だから特にリーダーシップをとるためにということでの御提案がございました。そのことにつきましての先生のお考え方が、ただ項目だけ出されておりますので、もう少しちょっとお聞かせいただきたい。特に経済援助の問題ということが重点であろうと思いますけれども、スタグフレーションのもとにおける経済外交、ことに低開発国における諸国と、また東南アジアあるいは太平洋諸国との間における日本の経済外交の面における、いま醸し出されている幾つかの問題があると思います。そういう問題について、リーダーシップのとり方、そのあり方の問題について先生のお考え方をひとつ聞かしていただきたい。 いま一つは、定年制の問題につきまして、社会的公平の問題から生活保障ということについて、六十歳以上の定年制には賛成なんだけれども、それについて若干の御意見があるようでございました。そのことについてのお考え方もひとつ聞かしていただきたい。 それからいま一つは、農政に対する政府の無定見ということでございましたか、そういうような意味のお話もございました。そのことについてもひとつ御所見を承りたい。 それから木村公述人に、先輩に一つお尋ねしたいのでございますが、先生のお話の中で幾つか示唆に富むものがございましたが、特に大都市におけるところの大企業の集積利益に対する課税、特にそれの応分の負担をすべきだということでのお話がございまして、このことについて、ずっと関連してきますけれども、とにかく配当しながら税金も取られていないじゃないかというようなことでのお話がございました。これはそう言われればそうかなと思いますけれども、やはりなかなかはっきりわかりにくいところもございますので、もう少しちょっとわかりやすくひとつ御説明がいただければと思います。 以上。
○佃公述人 ただいまの御質問にお答えいたします。 私が先ほど申し上げましたように、日本は資源に乏しい、食糧も少ない、原油もない、そういう国でありますから、ある意味においては、リーダーシップをとりやすい国である。つまり、持てる国と持たざる国とがある、しかも貧困な国々が非常にあります。日本はいろいろな意味から、これもまた詳しく申しますと時間がありませんからあれですけれども、そういういろいろの国々の調整をとっていく、こういうことにおいては最もいい立場に置かれておる。これを世界のために、ひいては日本のために活用すべきである。 したがって、私が先ほど申しましたように、ただ経済援助だけのことでありません。国際機構あるいは国際会議、そういうものを通じて、日本が大いに発言し、リーダーシップをとっていくべきであるということでありますけれども、そのいま一つの問題でありますところの経済援助ということについて見まするというと、DAC加盟国の政府の開発援助につきましては、これは一九七三年までの統計しか出ておりませんけれども、アメリカ、フランス、西ドイツ、日本、イギリス、カナダ、オランダ、オーストラリア、イタリアという国が加盟しております。この国のGNPに対する政府開発援助の比率は、全加盟国平均で〇・三%、日本は〇・二五%、フランスなどは〇・四八%。イギリスなどでも日本よりも多い。カナダ、オランダ、オーストラリアなどは日本より多い。私はやはり、日本はもっとこの金額をふやすべきであるというように考えます。 もう一つ、それと同時に、民間の海外投資、これは最近は相当ふえております。こういうものを含めまして、日本は世界各国に対しましていろいろ経済的にも考えていくべきであるというように思いますが、そのあり方という御質問でありまするから申し上げますが、私は、謙虚な気持ちでやるべきであるということを申し上げておきました。したがって、政府の援助につきましても、こういうものを日本が出すから、したがってその見返りがすぐに日本に来るのだということを考えてやるべきではない。 民間の投資についても同じであります。民間が諸外国への投資をやります。そこで生産されたものは全部日本に持ってくるんだという原則でやるべきではない。またそこで働く人たちも、日本人がその首脳になるべきであるという考え方でやるべきではない。そういうことをやりますというと、必ず反発が起きてきます。したがって、日本が望んでいるような方向に持っていけないことは、私は事実であろうと思います。いろいろの問題が起きております。したがいまして、進出する場合には、そこの首脳部なり職員なりというものは、できるだけ現地の人たちの協力を得るという形が必要である。また、生産されたものは、それは全部日本に持ってくるのではないんだ、世界のために供給をするんだ。その結果として日本にも供給が多くなるんだ。資本が進出しておれば、あるいは経済援助が多くなっておれば、その見返りが日本に、これは言わず語らずのうちに多くなることは、私は当然だと思います。したがって私は、そういう気持ちでやるべきであるというように考えております。 それから定年制の問題でありますが、いまの御質問は、六十歳以上のものを六十歳に下げる問題かと思います。そういうことですか。ちょっとその点が私よく理解できなかったので……。
○石野委員 六十歳定年制には賛成だが、それについてはいろいろの問題があるじゃないか。特にもうそれだったら、六十歳以上の人は全部やめるべきだというようなことになるんじゃないか。そういうことについて私はまた別な構想がありますからという御発言でございましたので、そういうことについての公述人のお考え方を……。
○佃公述人 六十歳定年制というのは、民間は現在五十五歳の定年制が多い、六十六歳もあれば、六十七歳も六十八歳もあります、六十九歳もありますけれども、これを六十歳に持っていくということは、私は原則的に賛成であります。が同時に、私が先ほど申しましたように、定年制のないもの、特にこれは国及び地方公共団体でありまするけれども、その人たちを六十歳定年に持っていくということは、社会的公平の意味からいって必要である。 しからば、六十歳以降、六十歳で定年退職した者はどうか、こういうことにつきましては、私は、これはこの人たちに働いてもらうべき職場というものを大いに検討して考えなければいけない。また職業の訓練につきましても、これは政府も民間も大いに考えなければいけないと思います。その職場は私は数限りなくあると思います。具体的な例を挙げて申しますならば、これは私が非常に主張して、私が主張したから実現したというようなおこがましいことは申しませんけれども、たとえば高速道路で切符を売るという人たちは、定年退職者を採用すべきであるということは、私がもう昔から主張しておることであります。あるいは今後は、週休二日制ということがだんだん進んでまいりまするというと、レジャー関係というようなものがやはりどうしてもふえてくると私は思う。そういうところにそういう定年退職した人たちを大いに活用する。あるいはサービス業。レジャー関係だけではありません、サービス業、こういうところには定年退職者を活用するということは十分できます。また、定年退職者のそれまでに得た経験、技術、こういうものを活用して、いろいろところでこの人たちを再雇用するということに対しては、各企業ともこれは積極的に行うべきである。また、官庁関係におきましても、そのままいまの形で延ばしていくということではありませんけれども、別の形でいろいろの機関がありまするから、そういうところで活用する方法もあろうかと思います。ただ年金をやることだけが生きがいではありません。年金をやることも必要であります。必要でありまするけれども、やはり職場を与える、働いてもらうということに老人の生きがいというものはあります。私も、もうその年齢に達しておりますが、やはり仕事をすることに生きがいがある。この生きがいを与える、こういうことは大いに考えるべきことであろうかと私は思います。 それから農政の問題でありまするが、私は食管会計を含めてということを申しました。まず、食管会計について申し上げますると、食管会計の定員は、昭和四十五年に二万六千七百十三名でありました。五十年が二万二千三百九十七名と若干減っておりまするけれども。四十五年当時の二万六千人も多かったが、現在のこの人数も多い。いまのような食管のやり方をすれば、この人数は私は絶対に多いと思う。先ほど申し上げましたように、都道府県及び農協などにこの事務は移管すべきである、私はそういうように思います。これによりまして非常に多くの人件費が省けると私は思います。 それからまた、一般農政について、その日暮らしである、行き当たりばったりであるということを私は申し上げました。たとえば米の問題について言いますというと、食糧増産、食糧増産と言って食糧を増産させた。食糧が余って日本の食糧が腐るというような状態になってどうしたかと言いますと、休耕田をつくる、休業の奨励金をやる、補助金をやる。また、食糧増産である、ミカンを大いにふやすんだということで、ミカンをふやすために補助金をつけて農民にミカンをふやさせた。御承知のとおり、ミカンがなりますには十年から十五年かかります。その間その畑はそんな収穫はありません。農民は非常に苦しみます。ところが、それがふえて、ミカンが木になった途端に、いまはどうですか、これをみんなもぎ取って捨てるんだ、そのために補助金を出すんだ、こういうことでしょう。国費も大いにむだだと私は思う。しかし、それによって迷惑を受ける者は農民であり消費者であると私は思います。 例を挙げれば数限りありませんけれども、時間の制約もありますから、私は例はこの程度にとどめておきます。
○木村公述人 法人事業税がいま所得課税になっているのですね。所得課税ですから、法人に利益がなければかからないわけなんですね。ただし、住民税の均等割りはかかるわけです。いま標準税率四千円、制限税率七千円ですか、それはかかるのですけれどもね。たとえば大会社、名前を言うのは避けますが、前のドル・ショックのときの為替差損で利益を出さない。しかしその会社は大きい会社なんですがね。それで東京都から非常ないろいろなサービスを受けているわけなんです、水道なり、あるいは住宅なり、あるいは交通なんかについて。だけど、それは負担していないのです。 それで、これは千葉県でやはりそういう外形課税を要求したようです。それは大きな石油会社なんですけれども、利益課税だけではとても千葉県がいろいろなサービスをするのにコストが足りないのです。たとえば石油会社は大きな面積を占めるのですから、それで千葉県が会社に非常にいろいろなサービスを行うのですよね。それに対して、利益課税では相当少ないから外形課税を認めてくれと自治省に言ったところが、やはりいま原則が利益課税になっていますから、まだ認可がおりないようでございます。しかし、欠損法人と言いましても、中小企業が相当ありますからね。利益というものを考えないで全部外形課税にしてしまわずに、やはりある程度利益も考えながら、それに外形も加味して調整したらいいじゃないか、そういう考え方なんですね。 それから、この際ちょっと、先ほどの提言で、ぜひ地方自治体の財源確保のために御検討をお願いしたことを二つ加えさせていただきたいのですよ。 というのは、今度土地税制の改正をやりまして、大体四十八年所得ベースで一兆六千億ぐらい増収になるのです。これの八割が国の方へ行ってしまうのですね。そこで、その半分の八千億円を地方自治体の方に配分をされるべきではないか。たとえばその八千億の三分の一の二千六百六十億を都道府県ですね。それからそのうち三分の二、五千三百三十三億、これを市町村。と申しますのは、地方自治体は環境整備いろいろしても、それによる還元の利益がないのですよ。ですから、この土地税制の改正を機会に、一兆六千億ぐらい増収になる——増収じゃない、増収になる部分も含めての全部の収入ですね、一兆六千億。その半分は、いま言ったような市町村、都道府県ですね。いまの交付税と別に、この税制改正による増収を特別交付金として地方自治体に交付する。とにかく環境整備にしても、地方自治体には還元利益がないのですから、国の方へ八割行ってしまうのですね。ですからその点が一つ。 それからガソリン税は目的税ですが、ガソリン税がふえるとまた全部道路ですよ。道路を建設するとまた自動車がふえて、またガソリン税が入る、また道路をどんどん建設する。これは目的税をやめて、そして道路以外にもこれを使える、そしてやはり地方自治体にも還元する、それによって地方自治体の財政危機を直す。地方自治体は税制上、ものすごく国と違いまして、累進課税でない面が非常に多いのです。県民税でも市町村民税でもみんな比例税的なんですよ。ですから、そういう改革もできるように、やはりある程度財源をそういった面から付与する。それから、国よりも課税最低限は低いですからね。同じ課税最低限と言いながら、地方自治体の方が住民の課税最低限が低いなどというのはおかしいのですから、その課税最低限を国の水準に上げる。そういう財源を確保するためにも、いまのような新しい財源をぜひとも地方自治体の方に確保するように御配慮を願いたい、こう思うわけです。よろしくお願いいたします。
○石野委員 ちょっともう一問よろしゅうございますか。
○田中(武)委員長代理 それじゃ簡潔に。
○石野委員 それじゃ佃公述人に、実は定年制の問題での御説明、およそ理解できるような気持ちなんですけれども、どうしてもちょっとわかりにくいのは、今度お述べになりました意見というのは、大体人件費が多過ぎるのじゃないかということに論拠がございます。財政批判の中でですね。できるだけ人件費は詰めなさい、こういうような御所見でして、定年制の中で六十歳定年に賛成だ、それ以上の者については年金なんかで食わないで、職場へ行って働くようにしなさい、職場は幾らもあるんだ、こうおっしゃられたのですが、現状は実はその職場がなくて、みんなあっちでもこっちでも首切りだとか配転が出てきているという実情がございます。こういうような実態と、公述人のお述べになられました、職場は幾らでもあるじゃないかということとの矛盾点について、どうも政治をやる者からしますというと、なかなかわかりにくい点がございますので、片方では人員は整理する、職場がないから人員は整理するのだが、職場はあるじゃないかという、こういう御所見についてはどういうような観点がございますか。
○佃公述人 ただいまの状態は、人が余っている、首を切っておる、こういう状態はこれは一時的な現象である、私はそう思います。また、一時的な現象でなければこれはおかしい、そういう国であってはおかしいと私は思います。全く一時的な現象であります。労働力は将来にわたって不足いたします。必ず不足いたします。低成長時代であっても不足いたします。したがって、その職場は私は必ず確保できると思います。
○石野委員 ありがとうございました。
○田中(武)委員長代理 次に、湯山勇君。
○湯山委員 佃公述人にお尋ねいたしたい点が一点。それから木村先生に二点お尋ねいたしたいと思います。 佃公述人にお尋ねいたしたい点は、文教政策についてでございますけれども、いまの文教政策は甘やかしている、大学が多過ぎるとか、モラルが低下している。内容的にはわからないことはないのですけれども、それを一括して甘やかしているというお言葉で表現されたのですけれども、私どもは逆に、子供の立場から言えば甘やかしているのじゃなくて、ずいぶん痛められているというような把握をしておるのですが、同じことを指しておるかもしれないと思います。今日の社会では、どういうものですか、学歴尊重というようなこともありまして、いい大学を出ていないといいところへ就職ができない。そこで、いい大学へ入るためにはいい高校、そのためにはいい中学と、とにかく幼稚園から大学に入るまで、ほとんど子供たちはそのために追いまくられている。こういう現象が入試地獄。相当大学が多いにかかわらず入試地獄というものをつくり出しておるし、子供たちの日常というものは、テスト、テストで追いまくられて、実際に子供自身の生活それ自体が大切にされるというような状態はなくて、非常にいじめられている。痛められている。なおその上に、塾に通うとか、家庭教師につくとか。とにかく、それぞれの子供の年代に応じた生活というのがあるにもかかわらず、それが犠牲にされている。こういう実態を直していくということのためには、単に文教政策ということだけでは改まっていかないので、もっと大きく社会全体が変わってくる、変えるということでなければならないと思いまして、そういうことを一言で、甘やかしているということで御表現になりましたので、私どもは、むしろ逆じゃないかなという感じを持ちましたものですから、この点についての御所見を改めてお伺いいたしたいと思います。 それから、木村先生にお尋ねしたい点の二点は、御説明の中で、法人税の不公平、これを御指摘になりましたときに、業種別によっても非常に違っている。たとえば建設、機械、銀行、これは四〇%を超えている、それに対して損保、海運、航空、こういうものは一〇%程度ということで、それは租税特別措置法によってそういうふうになっているのか。あるいはもっと他にいろいろ要因があってそうなっておるのか。もしそうだとすれば、これは、課税の仕方とか、いろいろな面でずいぶん重要な問題を含んでいるというように感じますので、いまの点をもう少し御説明をいただきたいということが一点。 それから第二点は、法人事業税の問題でございますけれども、標準税率について、制限につきまして、今度の国会にこの改正案が出る。それは一〇%以上はいけないというようなことであって、そうなると、大体一三・二%、御公述の中にもそういう数字がございましたが、それだと、一四%というようなものは現行ではもう当然認められているということだと思いますけれども、しかも、いま政府の方はそういう法案を用意しているということを聞いておりますので、これについては、東京都の方で政府に対して何らかのお話し合いをなさったのだろうかどうだろうか。政府の方は、今度改正案を出すということから言えば、当然いまの点については行政指導によって抑えるということ自体非常に問題があると思いますので、ひとつこの点をもう少し詳しく御説明をいただければというように思っております。 以上、二点でございます。
○佃公述人 ただいまの御質問に私の考えを率直に申し上げます。 甘やかし文教政策ということとは現実は逆じゃないかというお話でございます。そのためには社会的な制度を変えなければいけないのじゃないか。これは具体的にはどういうお考えか私はわかりませんけれども、私にもその点については幾つか思い当たる節があります。私にも同じような考えはあります。ただ、抽象的に言えば同じような考えはありますが、具体的に言うとあるいは違うかもしれませんけれども。しかし、また一面から見ますると、私、先ほど社会保障制度などのところでちょっと申し上げましたが、日本の賃金は全体的に欧米水準あるいは欧米水準を抜いているところもある。これは退職金なども含めての話であります、あるいは福利厚生施設を含めての話でありますが、これが全体は多くなっておりまするけれども、上と下との差が縮まってきておる。これは事実であります。ということは、大学卒業生と高校卒業生あるいは中学卒業生を同年齢で比較しますと、賃金格差というものはきわめて少なくなってきております。それからまた、管理職というようなことにつきましても、私は現実は必ずしも理想的な姿ではないかもしれませんけれども、やはりこれは実力主義ということにもっと徹すべきである。 それからまた、大学の面についてみても、国立大学偏重ということでなしに、私立大学についても尊重すべきである。私はそういう点については全くそういう考えを持っております。それから大学のやり方につきましても、現在のやり方がよろしいかどうか、私はこういうことについては疑問を持っております。ということは、国立大学と私立大学、多過ぎる——多過ぎるということは、私はそう信じておりまするが、またそれとは別に、今度は大学生の負担の面から見ますると、国立大学と私立大学との学生の間に非常に大きな格差があります。私ははっきり申し上げますと、国立大学の学生はそういう面では甘やかされておる。それから私立大学におきましても、まじめに私立大学を経営している経営者もございます。しかし私はすべてではないと思います。やはり大学の運営について、教授、授業のことなんかにつきまして、必ずしも私は真剣にやっているとは思いません。たとえば定員よりはるかにオーバーしているところもあります。そういうところの学生が現実にどういう姿であるか。毎日まじめに勉強しておるかどうか。日本の大学の制度は、御承知のとおり、入学すればそれは即卒業である。入学するか否かが問題であって、入学すれば卒業である。完全なパスポートということになる。これは私は、欧米がよろしいかどうかということは別といたしまして、日本でもかつてそういう学校がありましたし、現在でもそういう制度をとっているところもありますから、別に欧米がいいということではありませんけれども、入学はさせる、しかし途中の試験で大いにふるい落とす、そうして卒業生は入学者の何分の一かになる。私はやはり日本の大学にもそういう制度、そういうやり方を考えるべきである、そういうふうに思います。そういう考え方をそのままやるかどうかは別として、そこにそういう点についての工夫が必要であるというふうに考えます。 まだ何か再び御質問ということであればお答えいたしますが、そういうことでよろしければ御了承願います。
○田中(武)委員長代理 次に、木村公述人。
○木村公述人 御質問の第一は、業種別で法人の税負担に非常にアンバランスがある。これはやはり引当金とか準備金が非常に違うのですね。たとえば異常危険準備金というのがあるのです。これは損害保険ですね。それから公共工事の前払い金保証事業を営む法人とか、こういうもの。それから製品保証等引当金、これは建設業とか造船。それからテレビ、電気冷蔵庫あるいはルームクーラー、自動車、写真機とか、そういうふうに業種によって決まっているのです。それから特別修繕引当金については、船舶とか、あるいは周期的に修繕があっていくものとか、こういうふうに業種別にずっと法律で細かく決まっているわけですね。ですから議論も相当あるわけです。たとえば損保の異常危険準備金、そういうものを特別控除をこういうふうに入れていいかどうかと議論がいろいろあるのですけれども、とにかく非常なアンバランスが出てくるのは、租税特別措置あるいは法人税における特別措置ですね。法人税法に定めてある準備金とか引当金ですね。ことに引当金が主です。準備金は租税特別措置が多いですけれども。その差によるのですよ。その差は一体どこから出てくるかというと、いろいろ業種によってそれぞれ理由はあるのかもしれませんが、それぞれの理由でこういうふうにあるのです。業種別にずっと違っているのです。だけれども、こんなに差が出るのですから、一〇%台と四〇%以上と非常に差がありますので、そこでわれわれは、どうもこんなにばらつきがあるのはおかしいじゃないかというので、とにかく問題提起なんです。問題提起として、こんなにばらつきがある。一般には全然知られてないですよね、こんなばらつきがあるということは。これはやはり深く検討してみる必要がある。こんなに差があっていいのか。なぜ、あるところは一〇%台でいいのか。 それから第二の御質問は、五十年度予算の復活要求のときに、東京都から大蔵省、自治省に申し入れを行っているわけですよ。それはこういう内容でございます。法人事業税に対する制限税率の法定化につきまして、国においては現在検討中の法人事業税に対する制限税率を標準税率の一一〇%、つまり一割ですね、一一〇%とするとされている。したがって、現行の制度における他の税率と比較してあまり低税率にしないようにしてほしい、そういうことを文書で申し入れてあるわけです。それで、またそれには、たとえば法人の住民税なりあるいは個人の住民税なりにつきまして、みんな制限税率と標準税率の比較があるのです。大体個人なんか三五%ですよ、制限税率は。それから法人の方は、一番低いのは一九%ですから約二〇%です。どうして東京都だけ一〇%にしたかというのですね。そこのところは、何かいままで東京都が法定外普通税の条例によって行ったのに対して、いろいろ自治省の方から税体系を乱すとかなんとか言って、ほかの自治体が損害をこうむるということでずいぶんPRされたのです。それが結局こういう形で事務所事業所税を実施するに当たって東京のそれを引き下げてきた。これは私はどうしても不合理で、憲法上にもいろいろ問題があると思うのですが、どうぞ御検討をお願いしたいのです。
○田中(武)委員長代理 次に、青柳盛雄君。
○青柳委員 佃公述人と木村公述人に、いずれも簡単に御質問申し上げます。 まず最初に、佃公述人に対しては三点ございますが、財政の硬直化を言う際によく既定経費といいますか、そういったものが固定的にあって、しかもインフレなどで当然毎年毎年何%か増額していかなければならぬというようなことで、この辺のところにも硬直化の原因があるように言われております。同時に私どもは、国の財政、経済政策は長期の展望をも持って行われなければならぬという観点に立ちますと、何カ年計画というものがあってしかるべきじゃないか。福祉行政につきましても、年金にせよその他の政策にせよ、一挙にはなかなか実施できないから、徐々に増額をしていくんだというような計画が立てられるわけであります。 そこでお尋ねしたいのは、第一点は、このような将来の展望の上に立っての何カ年計画というようなものをも否定される趣旨かどうか。それはそれなりにいいんだということであるのか。まずそれが一点。 それから第二点は、具体的でありますけれども、幾つか出された打開策の提案の中に、産業界に対するいわゆる過保護というものが問題なんだというお話がありましたので、その具体的な例を一、二お示しいただきたいと思います。 それから最後に三番目には、打開策と言われて相当幾つかの項目にわたってお話がありましたが、これを行うということは、政治、経済の面でも非常な転換、ある場合には非常な変革をも意味するような状況があると思いますが、こういうような行財政の改革について、日本あるいは外国で過去にどんなわれわれの参考にすべき例があるか、御研究になったかどうか。この三点をお尋ねいたします。 それから木村公述人には二、三点でございますけれども、まず法人に対する課税が非常に逆累進のような形になりかねない。いわゆる中小企業と大規模企業、大企業とは一律には考えられないという前提に立っておられた。事実またそうだと思いますが、法人所得が税制の面で非常に優遇され過ぎているのじゃないか、つまりいろいろの控除額というものがあって、それが一つの根源をなしているのじゃないかと思われる節があるわけでありますが、そういう点について少し具体的にお話をいただければと思います。 それから、個人の所得について分離課税が行われておりますが、その中で配当あるいは利子については分離を認められる。しかしながら、そのパーセンテージを上げるとかいうようなことによって徐々に解決するというような話がよく論議されるわけでありますが、そしてその問題についてこの委員会でも質疑が行われたわけでありますが、先ほどのお話に、個人の利子所得が大体一兆八千億くらい、あるいは配当が五千億くらいあるのだ、しかし正確なところは把握できてない、だから政府の協力のもとに、というよりもむしろ財政当局の協力によってこれを正確に把握することが大事じゃないかというお話がありました。私どもまさにそうだと思いますが、どうもそれはできにくいのだというような話が出ました。つまり、仮空名義の預貯金あるいは配当というようなもの、株ですか、というものがある結果、なかなか把握できないのだという話がありますが、それ以外にも何か把握しにくいような原因についておわかりになっておられるかどうか。いずれにしてもこれが片づかない限り、ただ率を上げるというだけでは納得いかぬということではないかと思いますので、この点をお尋ねいたしたいと思います。大体これは、法人の所得及び個人所得について非常にわれわれの納得のいかない原因が存在していると思いますので、お尋ねをいたしたわけでございます。
○佃公述人 それではお答えいたします。 経費につきまして、既定経費というものがあって、その上に当然増経費がついていくのだ、それは長期の展望が必要だ、そういう点についてはどうか。私は長期計画そのものを否定はいたしません。否定はいたしませんが、現在政府が立てておる長期計画にいたしましても、たとえば五年計画、三年計画というものを立てましても、一年たちますとその考えておった内容が全く変わってまいります。それが現実の姿であります。したがって、それをその実態に合わせてつくり変える、あるいは必要でなくなったならばその長期計画もこれはやめる。一度長期計画を立てたからそれを継続するのではなくて、必要がなくなったならばやめるのだ、こういうことが私は必要だと思います。 それから、産業界の過保護で具体的な例を示せということでありますが、じゃ具体的な例を申し上げますと、たとえば石炭産業につきまして、かつて石炭産業について政府がいろいろ国家補助をいたしております。その当時は必要だったかと思いますけれども、その必要性がなくなっておりましても、それをそのまま継続しておる。あるいはその中に、私は全部必要ではないとは申しません、必要なものがあると思いますが、しかしそれは、現在のような石炭及び石油対策特別会計というような形で、石炭に原重油関税の十二分の十をそのまま充てる、その金額をそのまま充てるというやり方は私はいかがかと思います。そのうちのあるものは一般会計になり得るものもあります。そういうことは考えるべきである。それからまだそのほか、私はいまここで具体的な産業の名前を申し上げるのは差し控えておきますけれども、私がある産業界の人に、政府に頼り過ぎるということを申し上げましたところが、そのとおりだ、実際は半分あればよろしいのだ、こういうことを言っておりました。その業界の人が半分あればよろしいということは、私はもっと少なくてもよろしいだろうと思います。 それから、こういう変革をやるためには相当なことが必要ではないかというお話であります。私はそのとおりであろうと思います。外国にも日本にも若干の例はあります。けれども私は、そういう例にとらわれないでやるということが、先ほど申し上げましたような私の趣旨であります。それはイギリスにもあります。日本にもあります。たとえば補助金などにつきましても、補助金等合理化審議会が昭和三十八年に答申を出しました当時は、補助金の件数も金額も減りました。しかし、その後また、補助金の件数も金額もどんどんふえております。そういうこともその一つであります。これは私の案で、しかし、根本は発想を転換するということを私は申し上げております。外国や日本の例にとらわれないで、全く新しい角度で、新しい立場で、新しい認識のもとにおいて、新しい方策で実行することが必要であるということを私は申し上げたいと思います。
○木村公述人 第一の御質問でございますが、法人の税負担の不公平、これにつきましては東京都で調べたものがあるわけなんでございます。東京都の企画調整局で四十七年の全国分につきまして調べたのですが、資本金百億円以上、国税、地方税合わせましてこの負担が四〇・五〇になっております。平均が四一・五一で、平均以下でありまして、資本金五百万円が四二・七一、資本金一千万円が四三・三六となっております。この一千万円からずっと負担率が下がっておりまして、五十億円ですと四〇・九四、百億円以上が四〇・五〇、こういうふうになっておる。これはやはり中小企業でも法人である以上租税特別措置の適用は受けるわけですけれども、その恩典の受け方が比較にならないほどもう大企業の方が大きいわけなんです。たとえば機械の特別償却ですね。大企業なんか最近では一つでも百億とか五百億とかいう大きな機械ですから、その特別償却というものは非常に大きいのでありまして、ですから比較にならないですね。それから退職引当金なんかにしましても、大企業のたとえば一万人、二万人いるところと、わずかに百人とかそこらのところとはお話にならないです。退職引当金は退職のために取っておくのだから別に減税じゃないと言いますけれども、専門家に聞きましたら、これは利益の保留だと言っていますよ。利益保留しておいて、これを運用してやはり利益を得ているのだ、だから一種の補助金をやっているようなものであって、それはやはり一つの特別減税と見るべきだ、そういうことになります。 それから利子、配当、これは預金の目減りとも関連しまして、何か背番号でも実施しないとこれは把握できないという説があるのです。しかし、いろいろ専門家に聞いてみたのですが、これは金融業者が協力すれば、いまのコンピューター時代でできないはずないと言うのです。本当にやる意思があるのならばできないことはない。いろいろ工夫すれば、このコンピューター時代にこれができないことはあり得ない。ただやる意思がない、だからできないんじゃないかというお説もあるのです。なかなかむずかしい点があると思いますけれども、私はできないことはないと思うのです。これは金融業者にお聞きすれば一番よくわかると思うのです。
○田中(武)委員長代理 次に坂井弘一君。
○坂井委員 二、三要点だけお尋ねしたいと思いますが、佃先生から御意見ございました、財政硬直化の打開のために財政構造の転換が必要である、さらに、今日までの高度成長期、それから安定、あるいは低成長という時代を迎えた、したがって本年度予算においても、財政構造の転換ということをまず第一義的に考えて、やはり将来を展望する中でどうするかという予算編成がなされなければならなかったはずである。ところが、どうも予算を見る限りにおきましては、インフレの後始末的水ぶくれ予算に終わってしまった。先ほども御意見がありましたが、確かに既定経費等については十分メスを入れるまでには至らなかったのではないかというような点についても、私もそうした点に意見を持つものでございます。ただ、その中で、先生が行政機構と人件費の問題に触れて御意見があったわけでございますが、もし承ることができますれば、しからば行政機構あるいは人件費、そのどの部分に具体的にこの打開策を講ずるかというような点について、なお触れて御公述いただければひとつお伺いいたしたいと思います。 それからなお、福祉関係予算につきまして、狭く厚くすることが必要であるという御意見でございますが、どの部分からまず厚くすればよろしいか、お考えをお持ちであればひとつお伺いいたしたいと思います。 次に、木村先生に、これは非常に基本的なことでございますが、いわゆる財源対策に関連いたしまして、国債発行の問題がございますが、四十年度に赤字国債を発行いたしまして以来、どうも国債発行ということが常に問題になってきております。本年度予算におきましても二兆円を超える。かなり減ってはきておるけれども、相当な額に上るということでございます。私は国債発行には非常に問題があると思っておりますが、今後の国債発行のあり方につきまして、基本的にひとつ先生から御意見をちょうだいいたしたいと思います。 なお両先生に、現在公定歩合の引き下げの問題がございますが、アメリカあるいは西ドイツ等に比べまして相当な格差が出てきておる。この際非常な対立した際立った意見がございまして、不況の打開ということからしますれば引き下げは必要である。あるいは物価、総需要抑制策から見るならば、これは引き下げるべきではないというようなことで、非常に対立しておるわけでございますが、この公定歩合の引き下げの問題につきまして、両先生からそれぞれ簡単にひとつ御意見を承りたいと思います。
○佃公述人 ただいまの坂井さんの御質問ですが、これは初めの部分がちょっと私の表現とは違いますので、訂正させていただきます。 坂井先生は硬直化打開のために構造転換が必要だ、こういうお話でした。そういう見方もできると思いますけれども、私は財政構造を転換するために硬直化を打開することが必要である、こういうように申し上げたはずでございますので、この点はひとつ私の考え方はそういうことであるというように御理解いただきたい。 それから、行政機構と人件費との関係を具体的にというお話であります。私は先ほども具体策についてはるる申し上げた点もあります。特に中央の出先機関と地方の府県、市町村との事務の移管、事務の整理、こういうことによってそういうことが可能である。現在中央の出先機関の中でも有名無実の出先機関もございます。そういう点につきましては勇断をもって廃止するなり、あるいは必要なものは統合するなりする。統合するというのは、国の中で統合するということもあると思います。あるいは府県、市町村と国との関係で統合するということもあると思います。具体的なことを申し上げればいろいろありますけれども、あと一時間ぐらいいただければ、私はこのことをもっと詳細に申し上げます。 それから福祉関係予算につきまして、御質問はどういう点を厚くすればよろしいかというお話でありましたが、薄くて広い部分、これを整理することがまず必要である。もし私がどの点を厚くすべきであると言いますならば、切るべきところを切らないでただこういうところだけ厚くしろ、こういう御意見が出てくるかと思いますので、私はこの際具体的に申し上げることは避けておきます。 それから公定歩合引き下げの問題については、だんだんとそのタイミングは迫ってきておる、ただそれだけ申し上げておきます。
○木村公述人 五十年度予算で公債の償還費がついに一兆円を超えました。これは財政硬直化の非常に大きな一つの要因だと思います。前からこれは指摘されていたわけですね。公債の元利払いがとうとう一兆円を超えたのです。私はこんな財政の不健全性はないと思います。第一、予算の伸び率が二四・五%と言いますけれども、経済成長率が名目で一五・九でしょう。経済成長率よりはるかに超えているのですよ。ですから、もっと総合的に財政の長期計画をひとつここで立てなければだめだと思います。前からそれは言われているんですけれどもね。もちろん財政だけで長期計画を立ててもだめですが、財政投融資もありますし、あるいは金融面もあります。財政、金融全体を通じてやはりこれから——新しい経済社会発展計画をまたつくられているようでございますが、その中にいまの社会保障の長期計画も含めて、きちんと計画を立てなければいけないと私は思います。硬直化しなければいけない方が硬直化してないんですよ。硬直化してはいけない方が硬直化しているんでしょう。諸外国では一番硬直化の原因というのは防衛費と社会保障費ですよ。日本はその逆でしょう。それでものすごく公共事業費が硬直している。もう飛び抜けて大きい。ようやく今度は社会保障費が金額としては公共事業費を昨年から上回りましたけれども。私は、まず長期計画をきちんと立てて、そしてこれは漸減的に。一挙には困難でしょう。二兆一千六百億が今度二兆円になりましたが、漸減していく。それで、公債を発行しては絶体いけないとは言えないと思うのです。公債というのは財政法である程度認められているのですからね。ですから、ある程度そこを弾力性があるように、私はこれ以上公債費をふやすべきじゃないと思うのです。これはもうここのところで限界だと思うのです。これからはなるべくこれを減らしていくように、それには税制の改正とやはりうらはらですよ。いままでのインフレ所得を温存しておいて、こんな逆累進課税の税制をもとにしておいて、そして公債発行をしないと、高額所得者、大企業に増税することになりますから、それがいやなんですよ。私はそう思うのです。避けているのですよ。それで、そういう利益を温存することによって公債を発行してしまう。ですから私は、そういう不健全な財政運営というのは反対である。何でもかんでも公債を発行してはいかぬという、そんな窮屈なことを言っているのではない、財政法でも一応認められているのですから。しかし、全体総合的に考えまして、今度公債費が一兆円を超えたときを機会に、公債費については再検討をしなければいけない、そういう時期に来た、これが硬直化の一つの大きい原因になってしまっている、こういうふうに私は思っているのです。いままでずいぶん指摘されましたが、とうとうそこまで来てしまった、こういう感じでございます。
○田中(武)委員長代理 以上で両公述人に対する質疑は終了いたしました。 この際、委員会を代表して、両公述人にお礼を申し上げます。 本日は、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。(拍手) 午後一時より再開することとし、暫時休憩をいたします。 午後零時十二分休憩 ————◇————— 午後一時四分開議
○湊委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 御出席の公述人各位にごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。 この際、各位の有益な御意見を拝聴いたしまして、今後の予算審議の上におきまして貴重な参考といたしたいと存じます。 何とぞ昭和五十年度総予算に対しまして、それぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べいただくようにお願いを申し上げます。 次に、御意見を承る順序といたしましては、金森房子公述人、川上正道公述人、牛嶋正公述人、吉田忠雄公述人、以上の順序で、お一人約二十分ないし三十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後委員から質疑を願うことにいたします。 それでは金森公述人にお願いをいたします。
○金森公述人 御紹介いただきました財団法人日本消費者協会の金森でございます。 五十年度予算につきまして、意見を申し述べる機会をちょうだいいたしましたことを、大変光栄に存じております。 日本消費者協会は、昭和三十六年発足以来、商品の比較テストに基づいて消費者に適切な商品選択の情報を提供するとともに、商品やサービスについての苦情処理等を行ってまいりました。 設立当初の消費者をめぐる環境は、技術革新に伴って消費財の供給や生活様式が著しく変革し、消費生活に大きな混乱を来しておりましたが、当時まだ国及び地方自治体においても消費者行政の専課が設置されておらず、苦情窓口も皆無に近い状態でございました。その後先生方の御努力によりまして、昭和四十三年に消費者保護基本法が制定され、これを契機といたしまして、消費者行政が整備拡充されるようになってまいりました。今日、国及び地方自治体における消費者行政の取り組みを拝見いたしますと、全く隔世の感がございます。 昭和五十年度の予算の中で特に消費者行政関係予算は、政府から伺ったところ、七十八億七千六百万円で、昭和四十九年度の五十四億六千百万円に比べ四四%増ということでございます。五十年度予算総額の二十一兆円に対しまして百億円未満であるということは、まだまだ少ない金額であると言えます。しかし、総額の前年度比伸び率が二割増しであることを考えますと、消費者行政の四割増しの伸び率は、ふやす方向で一応努力されているものと理解いたします。しかし、消費者の立場からいろいろお願いしたいこともございます。 なお、お願いに際しましてちょっとお断り申し上げておきたいことは、消費者と申しましても、全国にはいろいろな考えをお持ちの方々がおられますが、私は、全消費者の代表としてではなく、消費者からの苦情相談にあずかったり、あるいは商品の比較テストの仕事をしてまいりました体験の範囲で、一消費者として考えておりますことを申し述べさしていただきたく、この点御了承賜りたいと存じます。 まず第一に、物価の安定をお願いいたします。一昨年の石油危機をきっかけとしまして、苦情相談の窓口には、商品の値上がり、あるいは物価高騰について苦情や怒りの声が急増いたしました。私ども日本消費者協会では、昭和四十八年度より、通商産業省の苦情処理制度であります「私書箱一号」の事業を委託されております。中央郵便局私書箱一号に、全国からいろいろな投書が寄せられるわけですが、四十八年度は全体で七千三百三十一通、そのうちの約七五%に当たるものが、物不足あるいは物価高に対する苦情、あるいはこれに関連して政策に対する不満を訴えたもので、一日百六十通を超える投書数の日もあり、時勢を反映して大変な混乱の一時期が見られました。 国民生活安定緊急措置法の制定を初め、各界の御努力によりまして物不足も解消し、昨年三月以降は投書数も一日平均十通程度の平常ペースに戻りました。しかし、各種商品の価格や料金の大幅な値上がりに対しまして、生活苦を訴える投書はその後も毎日のように寄せられております。たとえば老夫婦が、食を減らす以外に道はないので二人で一人前の食事をとっているが、空腹を覚えがちの日常で実に情けないと訴える者もございます。また、物価が不安定でありますと、消費者は、少しでも安い物を買おう、あるいは多少なりとも収入をふやさなければということを考えます。そこにつけ込んだ悪徳商法による被害も私どもの窓口にかなり寄せられております。 先日、代表者が詐欺容疑で全国に指名手配された通信販売会社、ジャパン・トレーディング・サービスは、その折り込みチラシに、物価高騰を切り抜けるため食料品や台所用品を超安値で提供すると称して、主婦から前金を払い込ませ雲隠れしてしまったので、被害者は千数百人、被害額は六千万円に上ると見られております。この会社は、同様の手口で外車などの輸入代行も行い、その方の被害も出ておりますが、食料品の通信販売による被害者は圧倒的に主婦が多く、いずれも、狂乱物価にこりて一円でも安いならばと思って、苦しい家計をやり繰りしてまとめ買いの申し込みをしたと口々に申しております。また、マルチ商法あるいはネズミ講商法などによる被害の相談も後を絶ちません。東京都内を中心に学生の被害者が多いと言われるあるネズミ講の場合も、小遣いが物価高で昼食費ぎりぎりしかないから何とかふやしたかったと、誘いに乗った動機を学生たちは説明しております。 もちろん、基本的には特殊販売に対する早急な規制が望まれますが、物価が安定することにより、消費者もこのようなインチキ商法を警戒するゆとりが持てるようになるのではないでしょうか。 最近の物価の動きを見ますと、毎月の上昇幅も小幅になってきており、前年同月比で見ても、四十九年一月以降続いた二〇%台の上昇が一年ぶりに二〇%以下に縮小され、一応鎮静化の方向を示し始めたように思われます。何とか一けた範囲の上昇におさまるところまで物価安定に力を入れていただきたく、この点、ぜひお願いを申し上げます。 二番目に、商品の安全性の確保をお願いしたいと思います。その中で、まず食料品の安全を確保していただきたいということです。食料品に関する苦情は、日本消費者協会の苦情相談に占める割合としては、チクロ問題が発生したころから毎年第一位を占めており、昭和四十五年度には全体苦情の約半分を占めました。中でも相談の多いものは食品の安全性に関するもので、食品添加物とか残留農薬などについての相談が少なくありません。食品は他の商品よりも直接健康にかかわりの深い商品ですし、しかも子孫にまで影響を及ぼすものであるだけに、強い不安感を覚えている消費者が非常に多いわけです。現在食品衛生法で許可されている食品添加物なら全部安心であるかどうか。数年前から安全性について疑惑が持たれながら、やっと昨年になって使用禁止になったAF2の例もございます。安全性の再確認をできるだけ早くやっていただきたい。 なお、その際、現状では一日数十種類の食品添加物を食べ合わせていることを考慮し、個々の慢性毒性、催奇形性等の試験のみではなく、相乗毒性試験も含めて安全性の確認をしていただくことが強く要望されます。また、危険な農薬は一応禁止されましたものの、土壌に残留する農薬は相変わらず私たちの食卓を脅かし続けております。また、廃棄物などの環境汚染に起因する食品の汚染、あるいは食品そのものではありませんが、食品の容器あるいは包装等から溶出する有害物質などについても、大きな不安を持ちながらの毎日です。ぜひ安心した食生活ができるようにしていただきたいと思います。 その他の製品の安全につきましては、たとえば日本消費者協会で電気製品をテストしてみますと、ときどき、電気用品取締法の技術基準に適合しないものが見られる場合がございます。テスト商品の半数近くが不合格というような例も過去にはございました。それに比べますと最近の成績はかなりよくなっており、また現実には、安全度を見込んだ技術基準に適合しなかったからといって、すぐ感電とか火災が発生するわけではございませんが、国の基準が守られていない商品が流通しているということは問題であり、もっと規制措置に力を入れ、監視体制が強化されることを要望いたします。 消費生活用製品安全法が制定されまして、すでに乳母車、歩行器にSGマーク表示商品が出回っており、安全の確保の面では画期的な制度と歓迎しております。ただ、難を申しますと、このような制度ができたことについて、まだ十分周知徹底されていないということです。せっかくよい制度ですので、ぜひ強力な広報が行われるように計らっていただきたいと思います。 なお、安全につきまして各業界で自主基準を設け、それぞれ安全への取り組みが行われるようになってまいりましたことは一歩前進と評価しておりますが、率直に申しまして、基準のレベルあるいは運営面におきまして消費者の信頼に足らず、たとえば玩具のSTマークのように苦情の絶えないものもございます。このようなすでに自主基準の設けられているものでも、ぜひSGの対象として御検討をいただきたいと思います。 なお、安全の確保に関連しまして、昨年十月から事故情報収集制度がスタートし、事故情報が積極的に集められるようになりましたことは大変結構であり、今後の活動に注目したいと思います。 三番目に、省資源に関連しまして、廃棄物の回収システムの確立をお願いしたいと思います。消費者サイドでも、資源を大切にする取り組みがじみちに行われるようになってきましたが、たとえば故紙については、昨年秋の暴落以来、せっかく消費者が整理し、まとめておきましても、業者が引き取りに来ないというのが現状です。せっかく高まってきました資源愛護の盛り上がりに水を差さない政治をお願いしたいと思います。 また、資源問題に関連して、商品の耐久性の標準化についても要望したいと思います。使い捨て消費の名残ですが、一般に商品の耐久性がまだ短く、壊れやすいという苦情が少なくありません。商品の品質、機能について日本工業規格により標準化されているものでも、耐久性の点についてはまだまだ不十分な内容のものが多いように思われます。省資源時代の商品規格として、少なくとも耐久消費財についてだけでも、使用実態に即した耐久性の標準規格が整備されるよう要望いたします。 四番目に、消費者教育の徹底をお願いしたいと思います。私どもは、商品テストあるいは苦情処理、その他消費者の啓蒙、啓発など、消費者教育に日夜苦労してまいりましたが、石油パニックのときの混乱に見られますように、まだまだその成果が上がっていないのが現状であり、大変残念に思っております。これは、一つには、基礎的な教育に欠けていることが大きな原因ではないかと思われます。真に賢明な消費者、賢い消費者というのであれば、ある程度の経済知識とか商品やサービスについての判断能力を持ち、社会、経済の変動に対応して節度ある行動基準を持つものと考えておりますが、一部に見られます行政指導型の消費者教育には、消費者の自主性を育てるよりも、甘やかしが見られるものもなきにしもあらずです。国及び地方自治体の行う消費者教育は、あくまでも民間の盛り上がりの不足の部分を補うという立場でぜひやっていただきたいと思います。そして、社会人になってからの消費者教育ではすでに遅い、不十分であるということを常々痛感いたしております。やはり学校教育、義務教育の段階から消費者教育の徹底、十分な取り組みをしていただきたいということも含めまして、国におけるあるいは地方自治体における消費者教育の徹底を要望いたします。 なお、消費者意見の反映につきましては、消費者の生活様式、消費生活が非常に多様化している現状に即しまして、国の出先機関あるいは地方公共団体の消費者行政を通じまして、把握していただくようなお願いをしたいと思います。 最後に、重ねてお願いしたいことは、われわれ庶民が子供の教育あるいは老後の安定などに不安のない生活設計が立てられますように、ぜひ適切な政策を講じていただくように切に要望いたしたいと思います。 以上で私の公述を終了させていただきます。(拍手)
○湊委員長代理 どうもありがとうございました。 〔湊委員長代理退席、山田(太)委員長代理着席〕
○山田(太)委員長代理 次に、川上公述人にお願いいたします。
○川上公述人 私、東京経済大学の川上でございます。 早速、昭和五十年度の予算案について検討しました結果の要点を申し述べてみたいと思います。 従来の国家予算の基本的な仕組みを一言にして要約すれば、対米従属的で独占的大企業本位の高度経済成長推進型であったと言えます。そして、その基本的な仕組みを維持しながら、ただ予算編成時の景気局面に対応して、あるいは景気抑制的に、あるいは景気刺激的に調整してきたにすぎません。 三木首相は、口では社会的公正、国民福祉優先の施策を行うと言われるが、今度の予算案では、ただ目先の粉飾をこらしただけで、従来どおりの予算編成のやり方を受け継いでしまっていると言わねばなりません。 本質ですけれども、すなわち、この予算案の本質は、すでに高度成長が破綻し、低成長あるいは安定成長に移行せざるを得ない事態であり、政府自身そのように考えているにもかかわらず、租税、財政、金融の仕組みを対米従属、独占的大企業本位の高度経済成長推進型の仕組みを温存しているところに求めることができます。 五十年度一般会計の収入の大半は税金十七兆円強で、その他専売益金四千八百億円弱、国債二兆円があり、構成比も例年とさして変わりのないものです。ところで、その税のうち、大きいのは所得税と法人税で、前者は文字どおり国民の血税です。後者の法人税は大部分会社の利潤から取られます。その利潤は独占的大企業が圧倒的な比重を占めていますが、租税特別措置法などの運用によって、大企業の法人税は大きく合法的に減らされる仕組みになっており、五十年度もこの点、大きな変更が行われていません。ちなみに、租税特別措置による四十九年の減免税額は、政府発表資料によっても七千二百七十億円に上っています。 実は租税特別措置は、昭和二十六、七年ごろ、企業の資本蓄積を促進するために、事実上、独占的大企業の重化学工業への設備投資を拍車させるねらいで、多面的な内容をもって実施され、今日に至っているものです。 そのころ、きびすを接して創設された開発銀行、輸出入銀行などの政府関係金融機関は、電力、鉄鋼、造船などのいわゆる基幹産業に低利、大型の融資を開始しましたが、これらの金融機関もますます肥大し、なお健在です。そして昭和三十年ごろから始まる高度成長は、右のような政府の財政金融政策に支えられながら、独占的大企業が日銀と一体となった市中銀行の膨大な融資を満喫して実現したところです。 高度成長の初めのころまで、日本はアメリカの政府資金をかなり援助され、その後はアメリカの民間資本の導入が強まります。戦後日本の対米従属性は、とりわけサンフランシスコ、安保条約の屈辱的な取り決めに表現されているわけですが、経済的にも、さきに見ましたような金融的な側面だけでなく、エネルギー、食糧の対米依存という形で強められてきています。 さて、五十年度予算案を支出面から、一般会計だけでなく特別会計、政府関係機関、財政投融資、地方財政を一体としてとらえるならば、その本質は一層明確になると考えられますが、ここではその一端を指摘しておくにとどめざるを得ません。 総需要抑制の堅持というふれ込みで、五十年度の災害復旧費を除く公共事業関係費は前年度なみの二兆七千億円弱を計上していますが、前年度からの繰り越しを加えると三兆二千億円に及ぶこととなり、さらに財政投融資九兆三千百億円のうち、道路、国鉄、住宅などの公共事業関係が前年度をかなり上回るおよそ四兆円近くにもなります。また下水道事業ですが、それ自体は国民の立場からも増加が期待されるものとはいえ、これは一般会計では昨年を下回る千七百九十二億円を計上していますが、総事業費は六千億円を超え、右の差額は地方債などでまかなうこととするなど、そのふやし方に大きな問題を含むとともに、一般会計の公共事業費を見かけ上小さく見せるような細工も行われています。 従来から公共事業費の約三分の二は大企業のための産業基盤整備に向けられ、財投の約六割は大企業貸し付け、産業基盤だけに使われていましたが、今度もほとんど変わっていません。周知のように、財政投融資の原資は郵便貯金、厚生、国民年金、簡保資金などの国民の貯蓄、保険料負担が約九五%を占めているのです。 以上、五十年度予算の本質が、国民収奪、対米従属、独占的大企業本位の二十一兆円を超える大型、高度成長促進の仕組みを温存したところにあることが一応確認できたと思います。 次に特徴ですが、高度成長型財政が不生産的な土地代金や軍事費、つまり公共事業、防衛費に回され、収入面では国債発行で補われる形をとるとき、ひときわインフレは高進せざるを得ません。戦後財政の際立った特徴はインフレ促進的な点にこそあると言えますが、五十年度財政は、さきに指摘しましたような膨大な公共事業費、前年度を二千三百億円以上上回る一兆三千億円を超える防衛費、そして二兆円国債発行を予定し、依然として体質はインフレ促進的なものとなっています。 しかるに日本経済は、アメリカ、西欧の資本主義諸国と軌を一にして、一昨年末ごろから、いわゆるインフレ、不況、スタグフレーションの局面に突入し、昨年秋ごろからその深刻の度はますます強まりつつあります。 このような事態が発生した外的あるいは国際的な要因は、一九七一年八月のニクソンの新経済政策の発動、すなわち金とドルの交換制の停止によるドルたれ流しの増幅、七三年十月のアラブ石油戦略の実施を契機とする原油価格の高騰ですが、内的要因としては、高度成長政策によるインフレ促進的な独占資本が掌握するところの、高水準、重化学工業の独走的拡大が労働者を過酷に搾取し、中小企業、農業を犠牲として行われたことが根本的なものとして挙げられねばなりません。 ところで、政府は、右のような経済局面の変動に対応して、高度成長推進型財政の仕組みを堅持しながら、昭和四十八年度はいわゆる列島改造予算を編成し、いやが上にも高度成長をあおり立て、すでに高度成長を支える諸条件が失われるか、あるいは弱まりつつある段階であったため、この年度は、狂乱物価を伴う水ぶくれ高度成長から始まり、十月の石油危機の勃発でさらに大企業の便乗、意図的製品値上げで狂乱物価がはずみをつけて暴騰し、国民の消費力をはるかに上回る過剰生産ないし設備過剰が、繊維、家電、自動車、建設分野にまずあらわれ、ここにインフレ、不況が訪れることとなったのであります。 あわてた政府は、四十九年度財政を総需要抑制型に切りかえますが、もちろん財政の仕組みは、従来どおりの高度成長推進の仕組みを温存していたばかりでなく、四十九年三月には、新価格体系と称する大企業製品価格高位安定措置を実施し、事実上、一方でインフレを抑える政策を行いながら、他方でインフレを促進する政策をやるという二面作戦をとるという苦肉の策を弄しました。政府、財界は、この矛盾した二面作戦を、労働者、中小企業者、農民、つまりは国民の犠牲のもとに統一しようとしてきました。しかし、それは当然国民の反撃を呼び、このような中途半端な政策ではなかなか事態は好転するわけがありません。しかし、卸売物価が四十九年夏ごろまでの対前年同月比三五%も上回るという狂乱状態は、輸出の増勢を弱める要因となるため、政府、財界もインフレ抑制にはそれなりに力を入れざるを得なくなり、四十九年度は総需要抑制の方に重点を置いた政策が実施され、その結果、そのしわを受けた中小企業の倒産が著増し、失業者が急増し、農民は兼業収入の急減で生活を脅かされるようになっております。 かくて、五十年度予算案では、引き続き高騰を続ける消費者物価もこの三月には対前年同月比一五%にまで抑え込み、春闘の賃上げ率を同程度にとどめることをねらって、前年度に引き続き総需要抑制を堅持するとうたいながら、実は、一般会計対前年度二四・五%、財投も一七・五%という大幅拡大の大型予算を組み、内容的にも、既述のように、インフレ促進、景気刺激型に十分移行できるものを編成し、従来と同質の国民収奪の独占本位の景気回復をアメリカに追随した形で達成させることをねらっていると言えると思います。このことが実現しても、もはや従来のような高度成長にはなる条件はありませんが、高度成長推進の財政の仕組みが温存されているため、恐らく水ぶくれインフレ高進の低成長という形となり、国民は再びひどい目に遭うこととなってしまいます。 次に、以上見てきましたような本質と特徴を持つ五十年度財政を、特に国民の立場から見て重要と思われる費目を四つ五つ取り上げて若干の検討を加えておきたいと思います。 一番。労働者にとっては、所得税の基礎、配偶者、扶養控除額のそれぞれ二万円引き上げなどの措置の面で考慮が払われたように宣伝されていますが、この異常なインフレのもとでは実質増税と見るほうが妥当であり、歳出面では、五十年度の賃上げ率を一七%と見ていますが、とうていこの程度の賃上げでおさまるとは考えられず、大幅補正に追い込まれることが予想されます。 二番目。国民福祉を重視し、弱者を救済することに力を入れると言って、社会保障関係費を三五・八%ふやしてきましたが、前年度の三六・七%に及ばず、大部分は高福祉・高負担ということで、実は国民の保険料大幅引き上げとの見合いでの福祉充実であって、社会主義国や西欧の近代的なやり方での充実ではない点に注意しなければなりません。財政投融資の原資の約二一・五%を占める厚生年金は、いわゆる積立方式によっており、大企業の設備投資や公共事業に大半使われてしまっていることはすでに周知の事実ですが、五十年度の右の金額は二兆円が組まれています。なお、無拠出の老齢福祉年金は、四、五年前まで月額三千円、あめ玉年金と言われていましたが、現行七千五百円のものを一万二千円にこの十月から引き上げるというのが三木首相の御自慢の措置になっていますが、この二、三年間の狂乱物価のもとでは、一万二千円では日額四百円で、天どん一杯で消えてなくなる程度にすぎません。 第三番目。一九六〇年代の高度成長は実質GNP年率一〇%の勢いで上昇しましたが、それを支えたエネルギー物資はほかならぬ米系メジャーの掌握する中東原油の年率一八%に及ぶ大量輸入でしたが、この調子に乗ったむちゃくちゃな暴走は、ついに一昨年の石油危機の原油価格の四倍化によって大きな壁にぶつかることとなりました。日本には、埋蔵量二百億トン、即時採掘可能埋蔵量六十億トン、年六千万トン掘り続けても百年ももつという炭鉱が存在します。日本の政府は、アメリカのエネルギー政策に追随し、自国の石炭を放棄し、他国の石油と石炭に依存する度合いを強めてきたばかりでなく、前年度に引き続き五十年度も、石炭の見直しをやるどころか、その取りつぶしを推進し、依然として中東原油に期待をかけ、石油備蓄に二千四百億円を超える大金をつぎ込み、対米従属の原子力、新エネルギー開発などの研究開発に千億円近くの金を投じています。もちろん石油の後のエネルギー開発研究は重要ですが、アメリカに押さえ込まれた形の原子力協定を結んだままでの非自主的な研究開発は、きわめて危険だと言わざるを得ません。 四番目。戦後日本の農業は、アメリカ農産物の大量輸入で、いまや穀物自給率は、米を含めて四三%、米を除くと七%にまで激落してしまっています。一九七二年、ソ連、中国その他の不作を契機として、アメリカはソ連と中国に膨大な穀物を輸出し、食糧不足から食糧価格が暴騰し、世界的食糧危機の様相を帯び、にわかに日本農業の見直しが政府筋でも真剣に論じられ始めました。しかし、今度の予算案を見ると、農林省予算は総予算の一割弱の約二兆円で、前年度より二割近く伸びていますが、補正後に比べると八百四十二億円の減で、総花的にいろいろ色をつけた程度で、とうてい国内食糧の自給率向上を目指しているとは考えられず、むしろ海外投資、特に東南アジアへの農業開発投資を増強し、食糧の安定供給を新植民地主義的な形で確保しようとねらっているとさえ推測できます。 次に、いま中小企業は未曾有の危機的状況に追い込まれていますが、一般会計の中小企業対策費は、総予算のわずかに〇・六%の千二百七十八億円しか計上されていません。もっとも財政投融資などから中小企業向け融資を一兆四千億円ほどつけていますが、利子率や担保力から見て、とりわけ小零細企業については、このような措置では当面の危機を乗り切ることはできないと言わねばなりません。 次に、戦後教育基本法の設定により日本の教育の民主化は大きな前進をかち取りましたが、アメリカ追随の日本政府の姿勢は、アメリカの朝鮮、ベトナム、インドシナ侵略戦争を推進する過程で日本の防衛力の増強が義務づけられ、さらにベトナム和平後の現在は、石油危機の元凶をアラブに押しつけるキッシンジャー路線が再び第五次中東戦争を引き起こしかねない情勢を招き、日本もこれに巻き込まれかねない情勢にあるとき、私たちは教え子を再び戦場に送らないという決意を固め直すときだと考えます。 ところで、この情勢において、今度の予算案に示された防衛費や教育費の内容については、深く考え検討すべきものがあると思います。しかし、ここでは、私が東経大という一私大の教員であるということから、私立大学等経常費補助金に関連して一言するにとどめたいと存じます。 この補助金は、五十年度には千七億円計上され、前年度の六百四十億円に比べ大幅に引き上げられました。御承知のように、日本の大学生の八割は私大に学び、ごく最近まで政府は一文も私大に補助してこなかったのです。もともと教育を学生の授業料、納付金だけで行うことは無理な相談であり、その結果日本の私大の教育は荒廃の方向をたどってきました。政府が補助金の交付に踏み切り、増額せざるを得ないのも当然です。東経大の例では、いまの年間経常費が約十億円で、五十年度の補助金が約一億円と推定されています。イギリスの私大に対する補助金は八割を超え、スウェーデンでは小学校から大学まで授業料はただだと言われています。私大の経常費補助を行うなら、政府は予算全体の見直しを本格的に行い、徹底的な形で行わない限り、私学の教育はよみがえらないと考えます。 結論。さて、この対米従属、独占的大企業本位のインフレ、景気刺激的な五十年度予算を、国民本位の、そして産業をつり合いのとれた形のものに変えるにはどうしたらいいかという点を最後に述べて、締めくくりとしたいと思います。 三木首相は、国民本位の政治を行うような口吻を絶えず漏らしながら、実際にはそれとはまさに正反対の予算を編成されてしまったと考えます。幾らかでも国民本意の立場に立った方向へ編成替えするよう、長年、日本経済の研究と講義を続けてきた者の一人として要請したいと思います。 まず、つり合いのとれた産業の発展を図るようにすべきです。そのためには、いまの公害列島化した日本国土を、緑の山河と汚染されない海を取り戻し、国内の食糧とエネルギーの自給率を高め、中小企業の経営する産業の効率を向上させるために、大幅な予算措置を講じ、他方、重化学工業についても、国民生活の充実に必要な部分に重点を置き、公害産業の汚名を返上させるように資金を投入すると同時に、余りにも過大になり過ぎた部分については調整することも必要となります。そのためには、いまの公共事業費の配分を生活関連に重点を切りかえる必要があります。エネルギー産業については、総合エネルギー公社を創設して、国が一元的な管理を行なうことも考えていいと思うわけです。 次に、国民の社会保障、教育については、西欧並みの近代的水準に極力近づけるようにすべきであります。 さらに、いまのインフレを根本的に解決するには、独占的大企業の不当な価格つり上げを規制し、そのために独禁法の強化その他適切な措置を講じ、五十年度予算案に組み込まれている郵便料金引き上げ、酒税やたばこ代金の引き上げなどを取りやめ、さらに、国債発行や防衛費、公共事業費のうちの土地代金など、インフレ促進の三大費目を大幅に切り詰める必要があります。インフレがとまれば、賃金の引き上げがそのまま実質賃上げになり、春闘も一けた上昇で妥結するようになるでしょう。 以上の国民本位の財政の仕組みを提唱すると、必ず財源はどこにあるかという声が政府筋から巻き起こってくるような気がいたします。しかし財源はもともと国民の労働から生み出されたものです。だから、その年の国民所得を基礎として、国民本位の財政支出を考えればよいわけです。しかし、資本主義社会では、一たび利潤になったものは自分のものという私有制のもとにありますので、その財源は、租税特別措置の中止、防衛費や土地代金の削減、予算単価の適正水準までの切り下げなど、知恵をしぼれば、かなり膨大な財源が確保できることとなるはずです。 以上をもって、私の公述を終わります。(拍手)
○山田(太)委員長代理 どうもありがとうございました。 次に、牛嶋公述人にお願いいたします。
○牛嶋公述人 いま、紹介にあずかりました名古屋市立大学の牛嶋でございます。 きょう、五十年度予算に対する意見を述べる機会をいただきましたことを感謝いたします。 きょうの私の意見は、新しい財政運営を中心にして述べさしていただきたいと思います。 税負担の公正の確立、減税要求、インフレ対策のための総需要抑制、そして一方では、景気回復のきっかけを財政に求める期待、超過負担及び公企業の赤字解消を初めとする地方財政の立て直し、生活環境施設整備の推進、社会保障の充実、公共料金の適正化と物価問題等、山積した当面の課題を受けとめるためには、現在の財政構造は余りにも非弾力的であると言わざるを得ません。このため、これらの課題の多くのものが、数年来継続的に取り上げられてきた問題でありながら、五十年度の予算編成に当たって、一段と対処の困難な問題としてわれわれの目に映るわけであります。 税収弾性値のきわめて高い所得税と法人税の二税目によって国税収入の六〇%以上を占める現行税制は、これまでの高度成長経済のもとできわめて大きな自然増収をもたらしてまいりました。この自然増収はまさに財政の配当とも言うべきものでありまして、減税、公共事業の拡大、国庫支出金及び地方交付税の増額による地方財政への分配、さらには国債償還と、種々の分配方法が想定され、これまでは、この財政の配当を使って当面の財政課題がイージーに解決されてきたというふうに見ることができます。もし、このような状況のもとで、財政の硬直化要因を除去すべき抜本的な対策をこれまで怠ってきたとすれば、これまでの財政運営は税の自然増収に安住したイージーな運営であったと言わざるを得ません。しかし、いわゆる自然増収依存型の財政構造が必ずしも低成長経済に適した構造であるとは言いがたいわけでありまして、むしろ、税の自然増収がこれまでほどに期待できなくなりますと、その配分を通じて一応抑えてまいりました財政問題が、一度に深刻な形で顕在化することになります。 資源及びエネルギーの制約、物価上昇率からくるところの制約などを考慮いたしますと、低成長経済がわが国経済のこれからの姿であるというふうに考えなければなりませんが、それに適合した財政構造と財政運営の確立こそ、この五十年度予算編成の最大の課題にすべきではないかというふうに思うわけです。 私、この低成長経済に適合した財政運営といたしまして、次の三つの基本方向を提案したいのであります。 これまでもしばしば言われてきたことでありますが、その第一点は、重点施策を決定し、その推進を図っていくという点であります。当面の課題を総花的に取り上げる場合には、予算の性格を非常にあいまいなものにするだけではなくて、新規の政策に使い得る限られた財源さえ十分には生かし得ないで終わってしまう恐れがありますし、また、そういった総花的な予算配分でいきますと、翌年の予算編成におきまして新しい財政硬直化の要因をつくり出すことになります。 第二番目の基本方針は、これまでの予算編成でとられてまいりました増し分主義から、アウトプット志向型の予算編成への転換であります。目的別経費分類に基づいて、各経費項目に前年度に比べて一定の割合だけ予算額を増額するような予算編成、これが増し分主義と呼ばれているわけでありますが、この増し分主義でいきますと、前年度の予算内容に非常に拘束されることが強く出てくるわけでありまして、必然的に当然増経費による財政の硬直化の問題を引き起こすことになります。これに対して、配分された予算額によって各行政項目の水準がどのように引き上げられ、国民の福祉にどのように還元されていくかを見るアウトプット重視の財政運営に切りかえるならば、当然増経費とみなされるものに対しましても再検討が加えられ、財政に弾力性が与えられるということが十分に期待されると思います。 三つ目の提案は租税政策の活用であります。フィスカルポリシーは、その手段といたしまして、支出政策、租税政策及び公債政策を含みますが、これまでのフィスカル政策を見てまいりますと、政策の実行に伴うタイムラグを理由に、租税政策は例外的にしか用いられてまいりませんでした。しかし支出政策の場合でも、財政支出の規模及び実施のタイミングのしばしばの変更が事業計画を大幅に崩してしまって、行政効率の側面で大きな不利をもたらすことが考えられます。このことを考慮いたしますと、租税政策の積極的な活用は、フィスカルポリシーの施策に幅を持たせるだけではなくて、この面からも財政構造に弾力性を与えることになるというふうに考えます。 以上、財政運営に関する三つの基本方向に立脚いたしまして、五十年度予算案をいま少し詳細に検討し、評価したいと思います。 五十年度予算案は、その重要施策といたしまして、社会保障の充実、文教・科学技術の振興、公共投資の抑制と生活関連施設の重点的整備の三点を挙げ、国民福祉の向上を図るために、社会的不公正の是正と弱者の救済を目指すものであるとしております。 この予算編成の姿勢は、さきに挙げました新しい財政運営の基本方向に一応合致するものとして評価したいわけでありますが、しかし、姿勢がそのまま予算内容にあらわれるとは限りません。社会的不公正の是正とか弱者の救済の問題は、いずれも所得分配の問題と言えますが、この種の問題を政策課題に掲げる場合には、前もって社会的公正とは何かという基本とすべき基準について明確にしておかなければなりません。ところが、この社会的公正の基準はノーマティブな問題でありますから、客観的に導出するというよりも、国民のコンセンサスを必要とする基準と言えましょう。この場合、もしこの基準があいまいなままに、社会不公正を是正するという姿勢だけで予算が編成されましても、その結果が常により適正な所得分配状態へ導くものであるとは言えません。 ここで、社会的公正の基準について私見を述べるものではありませんが、ただ、一点だけこの問題に関しまして強調しておきたいことがあります。それは、税負担の公正を十分に満たすような税体系を確立することこそ、他の社会的不公正の是正のための課題に先駆けて取り組むべき問題であるということであります。 その理由といたしまして三つほど挙げたいわけでありますが、第一点は、税負担が国税と地方税と合わせて国民所得の二〇%を占めるに至っているという量的な理由であります。ですから、もしこの税制が不公正でありますと、国民所得の二〇%を占めるこの量的な比率から申しまして、全体の所得の分配状態を大きくゆがめるということになるわけです。二番目の問題は、公共料金の適正化の問題等の他の公正基準に取り組む場合にも、課税の公正が前提となるということであります。そして、第三の理由といたしまして、現在、ある程度の累進課税が税負担の公正を満たすものであるという社会的合意がすでに得られているという点であります。 このような観点に立つとき、五十年度予算案は、社会的不公正の是正を基本方針としてうたいながら、税制改正の面で若干の後退が見られ、したがって、そのため重点施策の内容がぼやけてしまったと言わざるを得ないと思います。とりわけ、所得税における租税特別措置の整理統合化の後退と、国と地方の間の税源配分の争点の一つになっております法人課税についてほとんど手がつけられていないという点が指摘されるかと思います。 また、五十年度予算案の主要経費別分類でながめてみますとき、社会保障関係費は前年度当初予算に比べて三五・八%増、文教及び科学振興費は前年度当初予算に比べて三四・五%増と、他の経費項目をはるかに超える予算額の配分がなされておりますが、この予算額の大半は国庫支出金を通じまして地方財政に移っていくものであります。したがって、予算の内容を、個々の経費項目にどのように予算額が配分されていくかというインプット面からの評価ではなくて、財政支出の成果をアウトプット志向で評価する場合には、国と地方との財政関係が特に重要視されることになります。すなわち、国の予算が地方公共団体の行う行政にどのように反映され、住民の福祉増大においてどのような成果を上げるかを見きわめながら予算の編成が行われなければならないわけであります。 この場合に、社会保障関係費の増額が、地方財政におきまして扶助費の増大あるいは人件費の増高をもたらし、地方財政をますます硬直化させて、地方公共団体が行います単独事業を圧迫するといたしますと、それはまさに増し分主義に基づく予算編成の弊害というふうに言えましょう。 また、国の縦割り行政が、地方公共団体において育ちつつあるアウトプット志向型の行政態度の芽を、国庫支出金制度を通じて摘み取ってしまうような傾向も見られます。たとえば、地方公共団体が進める住宅政府は、住宅建設だけでなく、交通手段、上下水道、学校、公園などの関連公共施設を一括したグローバルなコミュニティー計画であるのに対しまして、国からの補助支出金の給付は、事業項目ごとに省庁別に行われている。そのために、せっかく地方公共団体で育ちつつあるアウトプット志向型の財政態度がゆがめられるという点であります。 さらに、国庫支出金制度で従来から問題になっています超過負担の問題も、国の側からのインプット重視の予算編成の弊害とも見られます。なぜなら、地域の実情を無視した補助基準額の設定や補助負担率の決定は、予算額の配分がどのようなアウトプットを生み出すかということを全く考慮の外に置くものであるからであります。 以上のことから、新しい財政運営の基本方針の一つとして打ち出しました増し分主義からアウトプット志向型の予算編成への転換と関連いたしまして、国庫支出金制度を初めとする国と地方との財政関係を早急に見直すことを提案したいのであります。 五十年度予算案のいま一つの性格づけとして、前年度当初予算に比べて二四・五%増、前年度補正後予算に比べて一〇・九%の伸び率で示されておりますように、予算規模を極力圧縮することに努めたことが挙げられます。これは総需要抑制政策が引き続いて実施されるためでありますが、同時に、わが国のフィスカルポリシーが従来どおり支出政策を基調として進められることを意味するものでもあります。 フィスカルポリシーの政策手段の中に租税政策を組み込むならば、政策実施の幅は一層拡大されることになりましょう。たとえば、総需要抑制政策をとる場合でも、増税によって予算規模の圧縮を図ることなく政策目標を遂行することができるからであります。この場合に、公共事業の進捗を鈍らせ、これまでに投下された資源の不効率な利用を避けることが可能となります。 しかし、私がここで租税政策の導入を提案いたしますのは、資源及びエネルギーの制約に食糧、環境等からの制約が加わって、これからのわが国の経済が低成長経路をたどらざるを得ないと想定されるからでありまして、その場合、これまでの高度成長の軌道から低成長の軌道へ円滑にわが国の経済を軌道修正していくためには、今後の経済運営はきわめて高度かつ弾力性に富んだ政策手段を駆使していかなければならないと考えるからであります。 この問題に関連いたしましては、たとえば特定の納税者に対する現行の優遇措置を廃止することによって増税を行い、そこに今後フィスカルポリシーの有効な手段として租税政策を活用していく基盤を用意していくことを提案したいと思います。 以上でございます。
○山田(太)委員長代理 どうもありがとうございました。 次に、吉田公述人にお願いいたします。
○吉田公述人 昭和五十年度の予算案につきまして最後の公述人だと思いますが、他の公述人の方々の御意見を聞いておりまして、賛成の部分もあり、また反対の部分もございます。しかし、賛成の部分をあえてここで重複して申し上げることはないかと思いますので、特に重点的に三点にわたって意見を申し上げたいと思うのであります。 第一点としまして、全体の予算の性格でありますが、一言で申しますと、私は、総花的な積み上げ方式であると、こう思うのであります。一番安易な予算の組み方は、前年度のものに平均的にプラスアルファするという、一口で申しますと歯車方式であろうと思うのでありますが、今年度の予算全般がこうした傾向を免れ得ないと思うのであります。全体として二四・五%の増加になっておりますが、ほぼこれに合わしているような総花式になっているのであります。わずかに見るべきものは、昭和五十年度の予算で社会保障関係が三五・八%になっていることと、文教及び科学振興が三四・五%になっていて、昭和五十年度の重点がここにあることを理解させるのであります。しかし、この内容につきましては私は次に触れたいと思うのでありますが、いま、全体としてのこの予算についてさらに申し上げたいと思うのであります。 本来、こうした予算を組みます場合に、その年度ごとの重点的な予算の配分が最も望ましいわけであります。三木新内閣が生まれまして、国民の多くは多くの期待を持ったと思うのであります。しかし、この予算、新味があるのかどうか、あるいは従来と違った新しい面を出しているのかどうか。 たとえば一例といたしまして、私は一つ出してみたいと思うのであります。御承知のとおり、昨年は国連人口行動年であります。昨年の八月ルーマニアのブカレストで国連人口会議が開かれました。そして厚生大臣を初め国会からも代表者が参加いたしました。そして宇宙船地球号をどうするかということを議論したのであります。そのときに厚生大臣は、ここで世界の喝采を博するようなすばらしい演説を行ったのであります。しかし、このような演説を行い、世界から支持されながら、本年度の予算には全く出ていないと言っても過言ではないのであります。この点、わが国の基本的な問題である人口政策あるいは人口問題につきまして、どのような配慮をしたのか、理解に苦しむものであります。前厚生大臣が世界のひのき舞台で論じたそのことを、やはり支持し、さらにまた、それを拡大するような方法をとっていただきたいと思うのであります。全般的に最も安易な方法ではなしに、絶えず政策的な意欲を盛った予算の裏づけを進めていっていただきたいと思うのであります。そうした意味で、今日短期的には物価高と不況の回避、二正面作戦でありますが、今年度からこの重点的な方法で予算を御配慮いただくよう要望したいものであります。 第二点といたしまして、本年度の予算の最も力点を置きました社会保障関係であります。 三木首相は社会的不公正の是正を明言いたしました。私はこの三木首相の発言に対して全面的に賛成であります。仮に主義、主張が違いましても、社会的な不公正をなくし福祉を増大するということについて、私は喜んでこれに協力することにやぶさかではないつもりであります。私は三木首相の発言を聞きまして、三木首相も民主社会主義思想に共鳴してくれたのだと、こう受け取ったのであります。福祉政策を実現するように私は望みます。 しかし、このような発言があって、その内容であります。五十年度の予算にこのことが盛られていることが政治的な義務であろうと思うのであります。大蔵大臣の御発言を拝見いたしますと、昭和五十年度予算についての提案説明の中で、こうしたことを画期的な改善だと自画自賛しているのであります。たとえば、生活扶助基準二三・五%引き上げ、老齢年金の六〇%引き上げが、果たして画期的なものかどうかであります。私は、この発言があるにもかかわらず、わが国の社会保障に対する予算関係は非常に大きな問題を裏書きしていると思うのであります。 たとえば、わが国の年金は大変低いことは世界的にも定評があるところであります。たとえば、私は同盟と協力いたしまして、数年前、同盟福祉ビジョンを作成したのであります。このときに、全世界の社会保障政策を体系化しようということで、日本にどの程度実現されているかということをいろいろ比較検討したのであります。驚くべきことに、諸外国でやっているものは日本で全部なされているのであります。ないものは全くありませんでした。しかし、ただ一つだけないものがありました。それは中身であります。この中身を今年度の予算で裏書きしてあるかどうか、これが問題であります。わが国のGNPはきわめて高い水準でありますが、社会保障は先進福祉国家の大体三分の一程度であります。今回、少なくとも二倍から三倍に近づくような軌道に乗せてこそ、福祉政策の実現として評価されていいと思うのであります。わずか三十数%ということでは福祉国家を実現するというふうな明言に反しはしまいかどうか、まず第一にそのことを感ずるのであります。 第二の点といたしまして、この社会保障、特に年金につきまして、いろいろな不公正がある中で、その中にさらにいま一つ不公正があるということであります。今日の公的年金保険制度は実に複雑怪奇でありまして、たとえば厚生省、大蔵省、農林省、運輸省その他の各省にわたって、これがまたきわめて不均斉なのであります。 大きく分けますと五つのカテゴリーに分けることができます。私はこれを船でたとえたいと思うのでありますが、特等の年金のシートに座っているのがいわば共済年金であります。たとえば国家公務員共済組合、公共企業体職員等共済組合、地方公務員等共済組合。年金についてかなり貧弱な点がありますが、それでもまだこれは特等の部類であります。特等の部類の中で若干落ちるのが、マル特あるいは一等、こう言っていいと思いますが、準特等、これが私立学校教職員共済組合、農林漁業団体職員共済組合、これであります。これらを比較いたしますと、財源から国庫負担の方法まで全部違っているのであります。まだそれでもこれはかなり高い水準ですので、まあまあがまんのしようがあるのでありますが、船で言いますと二等船客並みというのがあります。これが厚生年金あるいは船員保険であります。三等船客並みが国民年金であります。しかし客船並みに扱われていない年金もあります。それが福祉年金であります。私はこれは貨物室並みだと思うのであります。 今回、目玉商品になっておりますものはこの福祉年金関係であります。これが三十数%上がったということ、あるいは六〇%上がったということが、一体このような身分的格差とも言っていいような生活あるいは年金に対して、どの程度の改善の意欲を示したものか疑うものであります。七千五百円から一万二千円に上がった、このことは確かに事実であります。比率から申しますと六〇%ということで、大変高いようでありますが、一万二千円ということでどのような生活ができるのかであります。生活扶助基準についても同じであります。 ところが、こうした中で、たとえば一番みじめな状況になっているものは、特に老人あるいは心身障害者であろうと思うのであります。たとえば老人について見ますと、現在のわが国の老人たちは、老後のためにきわめて質素に、しかもいろいろ老後の蓄えをしたのであります。たとえば戦前の簡易保険、あるいはまた、そのほかいろいろな蓄えをやったのでありますが、戦後、インフレでほとんどお金をなくしているのであります。これは老人のせいではないのであります。あるいは、子供を育てましても、いまばば抜きをされておりまして、住むべきところはないようであります。 たとえば、最近の病院をぜひごらんいただきたいと思うのでありますが、病院にはずいぶんたくさんのおじいさん、おばあさんが詰めかけております。特に無料になりますと大ぜい詰めかけるようであります。お嫁さんが弁当をつくってくれますそうで、冬は特に暖房完備、テレビつきということで行っております。お医者さんがこれを診るわけですけれども、一体どこが悪いのか。悪いといえば全部悪いわけですが、悪くないといえば悪くない。どこが悪いのかと聞くと、おばあさんが言うには、本当はうちの嫁が悪いのだというわけで、そういうふうな状態になるくらい、おばあさんを現在は追い詰めております。たとえば、客観的なデータを申し上げたいのでありますが、今日おばあさんの自殺率は世界最高水準であります。このような低い水準では、いかにおばあさんを死に追いやるかということを知っていただきたいと思うのであります。 しかし、わが国のおじいさん、おばあさんで、年をとりましても、今日の福祉年金を受け取ろうとしていない層もあるということを知っていただきたいと思うのであります。わが国の福祉というときに、それは権利としての社会保障ではなしに、恩恵として、たとえばいろいろな私生活で制約を加えております。試みに厚生省へ行って福祉の概念をお調べいただきたいと思うのであります。児童福祉とは何であるのか、救貧法的な発想でとらえられております。母子福祉とは何であるのか、これもまた救貧的な発想であります。三木首相が約束いたしましたものはこれではないはずであります。権利としての社会保障である。しかも、年金で身分的な差別があるようなものではなしに、この整合をぜひ今年度から実施していただきたいと思うのであります。 老人たちは、先が長くないと思いながらも、しかし一生懸命生きてまいりました。年金を出すと言っても、それを拒否するくらい自立してまいったのであります。今年度の予算で、このような差別のある年金の一本化に一歩なりとも前進するような予算案を組んでいただきたいということであります。そして、老人を初め、心身障害者の福祉を本当に充実していっていただきたいと思うのであります。これが私の述べたい第二点であります。 第三点としまして、予算案で感じました点は公共料金の問題であります。 五十年度の予算では、郵便とたばこの値上げが考えられております。私は、公共料金につきまして、適正な料金値上げについては賛成であります。公共料金について何が何でも反対だということは、私は誤りであると思います。しかし、この公共料金が適正な価格に上げられるためには、二つの私は条件をつけたいと思うのであります。 一つは、異常な物価の上昇の中で、これを食いとめるというために、ある時期この公共料金の値上げを食いとめざるを得ないときがあります。私は、その水準になるものが、物価の上昇が年間一〇%以上であったときには公共料金をストップすべきであろうと思います。今日の時点で公共料金を上げることが果たして妥当かどうか。今日の物価の上昇の異常さを考え、いまややこの上昇が鈍りがちでありますが、この時期に上げることが妥当かどうか。あるいは、いまこのことを出すことによりまして、将来物価の上昇にはね返らないかどうか、こうした配慮が必要だと考えるのであります。 いま一つ、公共料金の値上げにつきまして必要なものは、それにふさわしいサービスが必要だということであります。たとえば、まず郵便について見たいと思うのであります。昨年までのテレビの朝の番組に「北の家族」というのがありました。ここでは、この主人公が便利屋をやっていたのであります。いま東京やあるいはそのほか大都会に便利屋が誕生しているということを知っていただきたいと思うのであります。便利屋が郵便を運んでおります。郵便を頼んでも、これは間に合わない、当てにならないということで。ただ、ほかのものをやりますと郵便法違反になりますから、関係のあるものをこの便利屋が運んでいるということであります。また、速達が最近かなり激増しているようであります。出しても日にちまでに間に合わない。そこでこの間に合わないために速達にする、あるいは書留にする、こうしたものが最近ふえているのであります。このような状態をつくったものは一体何であるのか。私たち、郵便料金の値上げをもし賛成するならば、確実に迅速に届くような体制をとることがその条件であります。そうでない限り、この郵便料金の値上げには賛成できないのであります。 しかし最も大きな問題を持つものは国鉄であります。今回も国鉄に対しまして、助成金、あるいは資本勘定よりの受け入れば多額のものが見られるのであります。このお金はいずれも血税でありまして、国民全体の国鉄であることがこの支出する条件になろうと思うのであります。 さて、昨年は順法ストあるいは実質的なストライキというものをずいぶん見かけたのであります。ことしもまたすでに予定されております。春になるからといってこうしたものが予定されるわけでありますが、たとえば新聞の伝えるところによりますと、国労は一週間程度のスト処分反対闘争、これをやりまして、三月下旬、最低賃金の問題で二十四時間スト、五月連休後九十六時間ストをやるということを提案しているのであります。私は、たとえば、新聞記者に聞いたのでありますが、五月連休後と言ってなぜ四月にやらないのかと、こう聞きましたら、多分、地方選挙があって、このために、やると不利だからというわけでありますが、これでは、このようなことでわれわれの血税を使っていいのかどうかであります。たとえば、いま公共企業体等閣僚協議会でスト権を与えるかどうかということを慎重に審議中のはずであります。そのときにこれを行う、あるいは行う計画をちらつかすということは、いわば追認し、あるいは既成事実、これらをみずから行おうとすることでありまして、法秩序を無視することであり、あるいは、ひいては国会で慎重審議しようとする、このことをも軽視することになりかねないのであります。 たとえば、昨年のストのときに私はこの目で目撃したのでありますが、だれがやっているかわかりませんが、車体には掲示板であるかのように多くの落書きが見られているのであります。たとえば「フォード来日反対」「安保廃棄」その他多くのものが書かれているものを私は目撃し、また記録をとどめてまいりました。私は、組合が組合の掲示板を使ってこのことを訴えることは当然の権利だと思いますけれども、国鉄の車両は国民のものであります。これは一部の勢力に私物化されていてはならないものであります。やはり、国鉄に対して血税を使う場合に、この管理体制、あるいはまたこれらを正常化する努力が国民として当然の前提であります。 それだけではありません。いま減産闘争というものが行われているのであります。私はこの実物を持ってまいりましたのでちょっと読みたいと思いますが、指令第十四号、昭和四十七年十月二十五日、各地方における本部委員長、地方本部委員長殿、国鉄労働組合中央執行委員長中川新一、「工場再編成合理化反対のたたかいについて」こういうテーマで通告を出しております。主な点を申し上げたいと思います。指令の三でありますが、「各地方本部はそれぞれの工場支部に対し業務切り捨て、順法闘争とくに最近工作労働者の自発性にもとづく減産闘争等に積極的にとりくみ、持続的な職場闘争を発展させること。減産闘争は明らかにストライキ行動の一つの態様でありサボタージュ行動である。従って、その自覚をもって組織しなくてはならない。」こういう指令を出しているのであります。減産闘争であります。生産性を高めて、社会の公器として国民に貢献するのではなしに、減産であります。 私はこのような状況に対して、はっきりと、国民のための国鉄になるよう、そのような条件がつかない限り、本年度のこの予算案について問題が多いと考えるものであります。特にこうした問題について、たとえば教育、訓練がなされております。たとえば枠内訓練ということで、運転保安のため一カ月間二時間の訓練が義務づけられているはずであります。しかし、このような教育、訓練が果たして正常になされているかどうか。たとえばある学園では、白紙答案あるいは教育ボイコットというふうなことがなされているのであります。安全な輸送ということが可能かどうか。もし、このような状況が放置され、しかも再びストライキの連発ということであり、しかも管理体制が十分行き届かないというならば、私は、場合によっては国鉄を分割して管理する必要もあるのではないかと思うのであります。 そうして、さらにまた、国民のための国鉄にするために——よく国鉄のことを言うのでありますが、国鉄というのは国の金を失う、まさにこれが国鉄であります。国鉄という文字はそうでありますが、そのような、国民の血税を失わせるようなものではなしに、国民のための国鉄になってほしい、そのような条件をつけたいと思うのであります。(拍手)
○山田(太)委員長代理 どうもありがとうございました。 〔山田(太)委員長代理退席、林(百)委員長代理着席〕 —————————————
○林(百)委員長代理 これより各公述人に対する質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。最初に、小林進君。
○小林(進)委員 まず金森先生にお伺い申し上げますが、消費者の立場から大変有意義なお話を承りました。食品の添加物に気をつけろ、化学肥料も危険性が多い、商品の耐久性についても努力をせよ、大変有意義なお話があったのでございますが、この中でも私は、商品の耐久性の問題についてお伺いいたしたいのでございますが、家電といいますか、家庭電器等を見ますと、どうも同じ品物を一年に一回ないし二回ずつ、ちょっとスタイルを変えて、そして故障したものを持っていきましても部品がない。むしろここで、新しいこういういいものがありますということで、消費経済といいますか、浪費経済といいますか、そういうふうな販売方法を大企業を中心にして一番悪くやっております。一々言わなくともおわかりになると思いますけれども、もちろん、こういう、浪費は美徳だなどと言って、部品をなくしてはそのすべてを浪費のほうへ回すような政策は、やはり根本的には政治のまずさがあった。長い間自民党さんが高度成長政策などをおやりになっておるものですから、何でも高度成長政策を支えるために、浪費は美徳だ、部品はつくらない、何でも捨てて新しいものを買え、こういうふうにやってきたのでありますけれども、これからのわれわれの生活では、先生も、これから省資源の経済でなければならないとおっしゃいましたが、そのためにも改めるべきだ、改めなければならないときだと思うのでございますが、これに対して先生の御感想を承っておきたいと思います。
○金森公述人 ただいま御指摘のモデルチェンジ、あるいは部品の保有年数が短いといったような問題、確かに消費者として従来苦情がたくさん参っていた問題でございます。なお、そのような消費者の苦情あるいは要望に対しまして、昨年より、部品につきましては従来の最低保有年数を、これは各メーカーに対して行政指導が行われておりましたわけでございますけれども、その保有年数を延長して、たとえば三年であったものが五年になるとか、五年が六年になるとかいう形で延長が行われるようになりました。その点につきましては、私どもは、実際の耐用年数、実際消費者が使っておりますわが家での寿命に比べますと、これもまだ不足かとは思いますが、従来に比べますと前進したのではないかというふうに考えております。 それからモデルチェンジにつきましても、最低必要な本当の技術を伴った新製品というのであれば大変結構なんでございますが、見かけだけのモデルチェンジであると、これは消費者にプラスというよりも、メーカーに利益を多くもたらすためのモデルチェンジではないかと思います。そこで、消費者がそういうものを真に、どこが原因でモデルチェンジされた商品であるかどうかを見きわめるような、そういう識別能力というものを持つ、あるいはまたその情報を消費者団体が提供するということも必要かと思います。科学の進歩というものは進めていただかなければなりませんけれども、本当の意味の新製品であるかどうかというものをできるだけ見きわめて消費者が選択をするという形で、消費者協会の商品情報などを今後も出していきたいというように考えております。
○小林(進)委員 ちょっと先生にお伺いしますが、去年から耐用年数が三年から五年に延びるようになったというのは、それはどこでそういうことが決められたのでございましょうか、いま少し詳しく承りたいと思います。
○金森公述人 私も直接このお手伝いをしたわけではございませんけれども、通産省の産業構造審議会の方の分科会で、当初昭和四十一年でございましたか、最初の部品の保有年数が検討されまして、それが昨年まで一応基準になっておりましたわけでございます。消費者側から見ますと、この部品の最低保有年数が電気製品の、逆に言いますと寿命の目安といいますか、たとえば電気がまが五年の部品の保有年数であれば、大体五年はもつものなんだろうというふうに解釈をしていた。これは実際とはかなり違いますけれども、一応の目安としていたというだけで、実際問題では、耐久年数というようなものは、まだメーカーサイドからも明確に公表されておりませんし、先ほど申し上げたように、規格の中でもそういうことはまだ盛り込まれていないのが現状だと思います。
○小林(進)委員 まあお話によりますと、どうも通産省の行政指導で、そういう耐用年数とか部品の年数を少し長めるようにした、そういうようなお話でございました。これは、何も個々の法律的な根拠があるわけではないものでございますから、非常に頼りないものです。特に通産省というのは、いつでもこれは経済省、産業省で、彼らの考えることは消費者の立場ではなくて、やはり産業、経済で、企業の立場でものを考えるのでございますから、これほど消費者にとっては、頼りにならない、迷惑至極の省はないのでございまして、その意味においても、ひとつこの点はぜひとも金森先生、幸いにして自民党さんの御推薦でもいらっしゃいますし、政府・与党に圧力をかけていただきまして、こういう部品なり耐久年数を法律で与党がお出しになれば、すぐ野党は賛成いたしますので、こういう耐久年数をきちっとするような法律をひとつつくるように、与党の先生方にこの際お話しをくださるように御努力を願えれば幸いと存ずる次第でございます。 なおあわせて、やはり同じケースでございますけれども、世界を歩きましても、日本ほどむだな包装の多い国はないというのでございます。どうもお菓子なんかも、何か上品なお菓子になればなるほど、二重も三重も五重も六重も、まことにラッキョウの皮をむくがごとくむいていくと、やっと最後に、ちっちゃい目にかすんで見えないようなお菓子が一つ残っておるという、実に日本という国は、そういう包装に金を入れて中身の少ない国だ。これは国会議員に似ているなんという悪口を言う者もいますけれども、(笑声)これはまあ余談にいたしまして、(「取り消し」と呼ぶ者あり)これは余談でございますので、取り消しをいたしましてもよろしゅうございますが、これはいずれにいたしましても、ちょっと与党の先生方は非常にひがんでいらっしゃるようでありますが、やはり何か心に当たることでもあるのかどうか。野党の方には、快哉を叫んでいる先生方が非常に多いのでございますが、これは別にいたしましても、こういうことも、この節約経済といいますか、浪費経済から福祉経済なり、高度成長から低成長に入ったこのときに、やはり国会、政治の場においても、きちっとこういうことは決めておく必要があるのではないかというふうに考えるのでございますが、先生の御所見を承っておきたいと思います。
○金森公述人 むだな包装の問題につきましては、やはり消費者側も全く同様でございまして、従来、まあ十二ひとえとかいろいろな表現で、過剰包装あるいは不適正な包装につきましての問題が、一部消費者の意識にはございましたが、一昨年の資源問題が大きく提示されるまでは、大きな消費者全体の問題意識にはまだまだ至らなかったわけでございます。一昨年を契機といたしまして、包装につきましても適正なものでなければいけない、それを負担しているのはやはり消費者であるということで、適正な包装の基準というものを、これは通産省の方で、品目別その他いろいろなお取り組みをいただいております。そこに消費者代表も参画いたしておりまして、たとえばコストの面から、あるいは大きさの面から、適正な包装というのはどういうのであるかということを、現在、検討を進めているように承っておりますので、そういうこととあわせて、消費者の方も、やはり過剰包装について正しく認識をし、それを利用するように消費者教育もしていく必要があるのではないかというふうに考えております。
○小林(進)委員 どうもありがとうございました。先生のおっしゃったように、教育も必要であり、大衆運動も必要であり、そしてまた、国会内部において法律的、政治的な処置も必要だと思いますので、どうぞ今後ますます先生がその方面に御奮闘、御協力くださることをひとつお願い申し上げます。 次に、川上先生にお伺いをいたしたいと思いますが、先生は、最後の結論において、やはりこれからの予算、財政は国民本位にその姿勢を切りかえなければいけない、その切りかえるためには、具体的な方法として、つり合いのとれた産業を発展させること云々というお話がございましたが、この点いま少し具体的にお聞かせいただければ幸いと存ずる次第でございます。
○川上公述人 お答えいたします。 私は、戦後の日本の高度経済成長は、大きな企業、独占的な大企業の重化学工業が猛烈な勢いで発展した、それは農業とか中小企業を踏み台にして発展させたというふうに思うのです。その結果、ときどき高度成長の間でもそういう矛盾があらわれて、昭和三十五、六年に一つの頂点に達して、三十七年ごろそういう不況に転じますが、そこを切り抜けて、三十九年から四十年にまた行き過ぎからの景気不況が訪れたわけですが、その第一回目の重化学工業の行き過ぎの段階では、確かに農業や中小企業に比べて重化学工業は大きくなり過ぎたんだけれども、その重化学工業は、アメリカと比べてはもちろんですし、西欧に比べてもまだ水準が低かったというふうに思うのですね。しかし国内的なあれでは非常に不均衡になった。つまり、農業や中小企業に比べて非常に大きいのだけれども、そのでき上がった重化学工業というものは、欧米水準にまだ立ち至ってなかった。この段階に日本は、アメリカの要請もあって、貿易自由化などを推進するように言われて、日本も、それを推進することが大企業にとって有利だという判断がそのときも行われて、猛烈な勢いで重化学工業をまた推進した。この段階は、重化学工業についてよりもほかの産業の設備投資が多かったのですけれども、しかし、四十年段階で西欧水準には重化学工業が接近したというふうに思うのです。そこのところからまた、猛烈な高度成長が行われまして、昭和四十一年から四十五年の段階で、GNPで年率実質一二%ぐらいの猛烈な勢いで伸びたと思うのですが、この段階でますます日本の経済不均衡が激化したというふうに思うのです。そして、四十五年の八月を頂点としまして、それから以後不況に入るというような状況です。 そのころになると、高度成長を支えていたいろいろな条件が弱まる、あるいはなくなったものもあると思うのです。たとえば、アメリカからの在来重化学工業の技術の導入というものは、もう日本は導入し尽くして、新しい先端産業の重化学工業というものは、アメリカはみずから資本とともに入ってくるという姿勢を貫いていて、入ってこなくなるということ。それから、前は農業あるいは都市における広範な低所得層が存在していたのですけれども、特に農業が非常な収奪を受けた結果、農民層、農民が非常に減ってきて、その低賃金労働の給源である農民の数が、敗戦直後の千八百万から、労働統計だと、これは月々の動きを示していて相当問題がありますけれども、実に七百万を切るというところまで来ているわけですね。こういう状況のもとでさらに日本が高度成長を続ける中で、一ドル三百六十円が一ドル二百八十円、二百六十五円というふうになってまた下がってきて、大体いま三百円くらいですけれども、こういう段階になりますと賃金の評価が、たとえば一ドル三百六十円で七万二千円であれば二百ドルというものが、三百円に評価されると二百六十ドルになるということで、国際的なあれでも日本の賃金水準は、全体として低賃金構造というものがありながら、西欧水準にすでに平均では接近しておるわけですね。それから、日本がアメリカへどんどん輸出することをアメリカが好まないということもあって、高度成長をいままで支えたような条件はなくなってきておるということで、いま石油危機などもあって大変なことになっているわけですが、先ほどちょっとお話ししましたように、高度成長の財政とか租税とか金融の仕組みを残しながら今後いろいろな政策を行ってくると、高度成長の条件はないのだから、低成長に入る、あるいはよくても安定成長に入る、しかもそれに対して財政の仕組みが高度成長、インフレ促進的なものになっていると、非常にインフレだけはとまらないという状況になると思うのです。 そこでつり合いのとれた産業というものをつくっていかないと、これは単にわれわれが言っているだけじゃなくて、財界の方でも産業計画懇談会というのがありまして、その方たちも表面的にはつり合いがとれたということを言われていて、いま鉄鋼業は一億一千万トンくらいですけれども、五千万トンでいいんだということを言われておりますね。だからそういう意味において、重化学工業を目のかたきにするわけじゃないですけれども、国民の生活に必要な重化学工業に調整していく。そしていまの鉄鋼とか電力のように、公害をもたらすような仕組みになっている。これは自然に公害になるわけじゃなくて、公害を防止するようないろいろな装置をつければ緩和されるわけで、そういうことも現に行われているわけですから、公害を出さないような重化学工業、それも国民の生活に必要なもの、それ以上のものは縮小させてもいいんではないかと私は考えています。 そしてそういう日本の地についた産業をつくるためには、いままでの農業、林業、水産業、それから中小企業がやっております軽工業、あるいは重化学工業の下請になっているものは、適正なものあるいは効率の高いものに持っていく。 農業については、御承知のように、田中内閣の終わる時分には三十万ヘクタールの農地をつぶすというようなことを言われたのですけれども、最近の三木首相は、あれは田中個人の発言であるというようなことを言われているのをテレビの国会討論で聞きましたけれども、いまでも、列島改造の、国土開発計画のあれは、やはり残っていると思いますね。そしていまのようにやっていくと、そういうふうに取りつぶすということを宣言しなくても、農業は、重化学工業独走的なあれでは太刀打ちができなくて、どんどんあれする。特にアメリカの農産物を輸入する。 これも国会答弁に関連して聞いたのですけれども、アメリカの農務大臣が、日本のために日本の耕地面積と同じものをアメリカでとっておるというようなことを言っておるのですね。そういうことであると、先ほど申しましたように、農産物の自給率なんというものはどんどん下がっていくわけですね。これはやはりこの段階では農業は保護する。外国のある人が言っていましたけれども、農業機械をいまの段階で輸入するということはわが国にとっては不利なんだけれども、これを自分のところでつくらなければ永久にできないんだということを言って、目先の利益だけで国の運営をされるのは国民の本当の意味の独立を阻害するというふうに思うのです。 だから、食糧とエネルギー、特に食糧は日本の場合は自給する可能性が十分あると思うのですね。里山の方を開拓すると千六百万ヘクタールあると言われている。それから耕地にできるのが三百万ヘクタールもあるというふうに言われているわけで、そして農民をもっと大事にする、そういう政治をやれば食糧の自給は十分できるというふうに考える。直ちにできるという意味じゃなくて、国家が十分にそこに力を注ぐならば。それから漁業も、これはちょっと長くなりますが、いま沿岸は非常に汚染されている。重化工業のいろいろなたれ流しなどですね。そういうのを直していくというようなことでつり合いのとれたあれにしていく。 いまの予算の付表にあります数字だと、ことしの五十年度の鉱工業生産は、五・四%、昨年は減っちゃったんですよね、大不況で。それで今度は五・四%伸ばして、金属・機械工業を六・四%、窯業・化学工業を五・三%、パルプ・紙・繊維三・三%というふうに、やはり重化学工業を重点的にあれします。いままでほどは伸ばさないという若干のあれがあるのですけれども、農林水産業についてはわずかに一・三%の上昇率しか見込んでないというわけです。こういうものをもっと並行的に上昇させるような措置をする必要がある。 エネルギーについては、石油の備蓄もある程度は必要と思いますけれども、石炭をもっと本格的に見直していくということが必要でございます。 それから原子力については、先ほどもちょっと触れましたけれども、これは重要なあれですが、安全性に問題があるわけですね。この安全性を確保するために自主的な研究体制を整える。今度の予算では、新エネルギー、太陽熱その他についても予算が組まれていますけれども、こういう先行きのことは結構なあれなんですけれども、いまは日本では自主的なあれが、たとえば原子力協定というのがありまして、それの一番最後のところにこういうことが書いてあるのですね。原子力産業で三十年間濃縮ウランを日本に提供する、しかしそれを廃棄する場合には、アメリカと日本のどちらでもいいから申し込めば廃棄できるのだけれども、その際アメリカは、いままで売った濃縮ウランその他の核燃料を全部時価で買い上げてしまう。これは商取引にもないことを取り決められているので、そういうようなことをそのままにして原子力の問題をやっても、私は、自主的な研究は十分できないんじゃないかというふうに思うのです。 そんなようなことで、まだいろいろありますけれども、長くなりますからこの辺で、また御質問があったらお答えします。
○小林(進)委員 もう時間も迫ってきましたから、次に吉田先生に二問ばかりお伺いいたしたいと思うのでございます。 一問は、わが日本の社会保障制度といいますか、年金制度が、どうも特等から、一等、二等、三等から貨車までいっているということで、貨車が福祉年金で特等が共済、公共企業体の年金だというお話があったのでございますが、この点は私どもも仰せのとおり感じているのであります。でありまするから、この複雑化した多様な年金をできればこれは統一した方がよろしい。特に共済なんというのはやはり昔の恩給制度でありますから、国家公務員といいますか、官吏は特別やはり偉いんだ、だから恩給に準ずべき年金も特別多額なものをもらわなければならぬ。掛金も多いでしょうけれども、もらい分も非常に多いわけです。いずれにしても、まだそういう封建的な残滓も残しているような形もありまするので、これは大いにひとつ統一をすべきだという考えがあるのでございますが、これをどのように持っていったらいいか。この貨物から特等の問題をどう統一し単純化したらよろしいかということをお伺いしたいと思います。 それからいま一つは国鉄を例に挙げまして、国民の公器を活用してストライキをやっておるのは大変けしからぬぞというお話があったのでございますが、先生も御承知のとおり、終戦直後の日本の新憲法が生まれたときには、国鉄の労働組合もあるいは郵便もすべて労働三権は与えられていたわけですね。ストライキ権も団体交渉権も、あるいは団結権も与えられていたわけです。ところが途中に至って政府の御都合かどうか知りませんけれども、公に奉仕する者はということで途中労働三法が改正をせられてストライキ権というものは取り上げられた。そのかわり、人事院だとかあるいは公共企業体等労働委員会だとかいうものが出て、ストライキ権にかわるべき公平な、労使の中に立って客観的に公平なジャッジをする、問題の処理をする、こういう約束になっていたわけでありまするけれども、どうも政府の方はその非常に公正な判定に乗ろうとはしないし、大体いまの公共企業体労働委などの中立委員会それ自体が、だんだん政府のペースに巻き込まれて、客観的に見ても労働者の利益というものは毎年毎年削除せられていく。しかも時代の進歩とともに、外国の例をながめれば、それはもう、そういう鉄道でも交通でも郵便でも、皆先進国ではストライキ権を与えているわけだ。だが日本だけはそれを与えていない。そして、この高度成長の中でだんだんどうも不利の場に追い込まれていく。こういう実態の中で、やはり生きんがために、労働者が最後に自分たちが持っている固有の権利を用いたというだけの話であって、これほど先生がお力を入れて論ぜられる問題ではないとぼくは思う。一方の立場もやっぱり正しく見ていただかなければだめなのではないかということを感じたわけでございますが、いまはそれをおきたい。 それに関連いたしまして、先生のことをお伺いしましたら明治大学の教授でいらしゃるようでありますが、いま学費値上げの問題で各大学は全部学生が騒いで、ロックアウトをやったり、試験もできなかったり、あるいは学生によって校庭が占拠されたりしておるのでございます。私は明治大学の実情は知りませんが、これはもうおそらく学期末試験、学年試験ですか、やれないくらいロックアウトをやられているのじゃないかと私は思いますが、国鉄のストライキもなんでございますけれども、先生みずから奉仕せられている学校内部の異常な状態ですね、こういうことをどのように処置をされるお考えであるのか。ストライキにちょっと関連して、話は少しずれたようでありまするけれども、先生は学校に行かれれば、管理者ではないが学生でもない、どういう立場になるのでしょうかな、大学における教授というものは。一応管理者ではないが、あわせてそういうことの御所見も承っておきたいと思うのであります。
○吉田公述人 三点の御質問がございました。 第一は年金の問題でありますが、私は私の述べた意見の中で、年金の一本化、そして整合を速やかにやっていただきたいということを強調したのであります。これを具体的にどうするかと申しますと、上のものを低めるのではなしに、一番惨めな下のところから急速に高めていって上に合わせ、そして全体の水準を速やかに直していただきたい。今年度の予算では、しかしその跡が見えないということで私申し上げたのであります。 第二点でありますが、国鉄問題であります。国鉄問題、いまスト権を審議中でございます。私個人の見解をここで述べていいかどうか、若干ちゅうちょを感じます。ただ私は、諸外国の例は、全部先進国では与えられている、こうおっしゃっておりますが、これは事実と違います。基本的な点では、当事者能力のあるところでは与えられております。これが私は、今回のスト権を与えるかどうかの最大のポイントだと思うのであります。あと具体的にどうなのかということは、ここでは差し控えたいと思います。 しかし、御質問の中に、今日この仲裁裁定をやっている人々が政府側に寄りかかっているということについて、政府の言うとおりになっているという御質問ございましたが、私は、最近の動きを判断する限り、こうした見解については反対であります。これは三者構成になっておりまして、御質問されました先生も十分御承知でありますが、三者構成でやっていて、非常に努力をされている。私の恩師もこの中に入っております。そうした中に政府べったりだというふうな御発言ではございませんけれども、こうしたことは、現在の仲裁裁定に対しまして、必ずしも適切な表現ではないと私は思うのであります。 第三点、明治大学の状況について御質問ございました。私の大学は昨年の暮れから実質的にはロックアウト中であります。私も大学の一員といたしまして、学生諸君だけではなしに、国民全般にまことに申しわけないと思っております。私はただ、いま大学の役職からは退いておりまして、教授の責を全うしておりますけれども、大学全体の運営について、少なくとも学問の方は教授会が自主性を持っております。管理の部面については御承知のとおり理事会が持っております。理事の選出については教授会の意向を十分反映して自治でやっております。こうした点で私たち全力を尽くしているけれども、いろいろな問題があってなかなか正常化できない、しかし私も最善の努力を尽くしていきたい、こう思っております。
○小林(進)委員 質問を終わります。
○林(百)委員長代理 中川利三郎君。
○中川(利)委員 四先生に順番に一通りお伺いしますので、それぞれお答えいただきたいと思います。 まず金森先生でありますが、先ほどあなたは、消費者教育の問題につきまして、行政主導型の消費者教育というのはとかく消費者を甘やかし過ぎる、そういう問題があるのだ、こういう御発言をされましたが、ひとつその具体的な中身として、行政主導型の甘やかしの問題点といいますか、どういうことがあるのかということについて、まずお伺いしたいと思います。 それから二番目には川上先生でありますが、最近のインフレ、物価高につきまして、一般に政府・与党の人々の言うことは、主にその要因を海外要因説といいますか、外国の油の問題なんかですね、そういうものが主たる要因だ、こういうふうな説明をするわけであります。しかし、御承知のように、日本の物価高というのは世界一ものすごいという状況でありますので、それだけでは律し切れない。むしろ、そういう海外要因の比率並びに日本のそうした政府施策の何かの失点ですね、そういうもののバランスから見れば一体どういうことなのか、この点についてまずお伺いしたいということです。 それからもう一点は、最近物価も大体鎮静化してきた、特にそういう意味からすると低成長時代に入ったということですね。したがって今回の労働者の春闘、こういうもので大幅賃上げをやると、それがたちまち物価にはね返ってきて大変なことになるのだ、こういうことを特に政府側では力説しておるようでありますけれども、果たしてそういう論拠そのものが、低成長時代の春闘というものが物価に大きくはね返る、そういう要因になり得るのかどうか、この点についてお聞きしたいと思うのです。 それから第三点目には、政府は、ことしの三月に物価の上野の比率を一五%以内に押える、来年の同月期には一〇%以内にする、こういうようなことをおっしゃっているわけでありますが、その見通しがことし全体として果たしてそういうことになる可能性があるのかどうかということですね。この辺についての先生の見通しをひとつお聞かせいただきたいと思うのです。 川上先生の最後は、最近いままでの高度成長政策に対する見直しということが盛んに叫ばれているわけでありますが、肝心の高度成長の、先ほど先生のお話もありましたように、そうした土台ですね。そういう仕組みを変えないで、単なる見直し——見直しの中身はよくわかりませんけれども、いろんなそうした諸問題が国民の側に有利なように解決できるものかどうか、この点をひとつお聞かせをいただきたいと思うわけであります。 それから第三番目は、牛嶋先生でありますが、先ほど先生から、社会的公正の問題に対しまして、たとえば基準を明らかにすべきであると大変示唆に富んだ御発言をいただきまして、非常に勉強させていただいたわけでありますが、先生の最後の御発言のまとめの方に、高度成長の軌道から低成長の軌道へ転換する時代に入った、しかし、そうするためには、非常に高度な弾力的なそうした政策の展開が必要である、こういう御発言があったわけでありますが、つまり、低成長へ移行するための高度な弾力的な適応と、こう一般に言われましても、よく理解しにくいところがございますので、もう少し、その辺のところをひとつわかりやすく御説明いただければありがたいと思うのです。 それから吉田公述人でございますが、吉田先生は、三木さんが社会的不公正を是正するという問題について、民主社会主義のそういうものに三木さん自身が賛意を表した、こういうことで評価なされながら、しかしということでその中身の問題に触れまして、中身が問題だということで年金その他について御発言があったわけですが、その内容からいたしますと非常に厳しいものであります。 したがって私、お伺いしたいのは、吉田先生は今年度予算に対して賛成のお立場なのか、反対のお立場なのか。総論的なそういう社会的不公正是正については、非常にわれわれの考えと一緒なんだということを言いながら、中味の方でたくさんの問題を提起していらっしゃいますので、私たちは、吉田先生が一体この予算を総体としてどう評価しているのかということをまず一つお伺いしておきたい、このように思うわけであります。 もう一点は、先ほどストライキの問題がございましたが、いま国会なりその他のところでスト権の問題については審議中だ、審議中であるものを実力行使その他でやるということは、審議権に対する冒涜であり法違反であるというようなことを頭から、そういう前提での御発言のようでありますが、この問題は、先ほどいろいろ詳しいことを控えるという御発言もありましたからあれでありましょうけれども、そういうことになりますと、全くスト権そのものが、そうした歴史的な経過を踏まえて、今日の状況で闘わざるを得ないところに追い込まれている労働者の皆さんに対する先生の御見解は一体どうなのかということを、改めて簡単で結構でございますから、お伺いさせていただきたいと思います。 以上でございます。
○金森公述人 消費者教育というのは、やはり消費者の自主性を養うこと。消費者の権利意識に基づいて、自発的に自分で考え、判断し、行動するという、そういう自主性を養うということが非常に大事ではないかと思います。ところが現実には、消費者保護が非常に立ちおくれていたこともございまして、基礎的な消費者教育の取り組みが不十分のままで、その上の段階の技術的な生活の問題などを指導するといったような形が一部には見られるわけでございます。しかも、たとえば勉強するその資料にいたしましても、全部消費者の負担なしの形でいろいろと手を尽くされる。これももちろん必要な場合もございますけれども、やはり学習というのは、自分が財布を痛めて、そしてそれだけ熱心に取り組んで初めて効果が上がるというものもあると思います。その点、おんぶにだっこのような形の行政指導がもし行われるならば、どうしても消費者は、基本ができてないために、十分の受け取り方をしないで、誤った権利意識というものを持つことも考えられるのではないか。その意味で、やはり先ほども申し上げましたように、義務教育における基礎的な学習をしていなかったいまの社会人に対しては、それなりの自主性を育てながら、現実の対処の技法も学ばせるというようなことをあわせてやっていきませんと、非常に手取り足取りでやっていただいたにもかかわらず、せんだってのようなパニックが起きたときなどに、その成果が残念な評価を受けるということにもなるのではないかという点を実は問題点としと懸念いたしたわけでございます。
○川上公述人 中川先生の方から四点御質問がありました。 初めは、政府は最近の日本の物価上昇、インフレの主たる要因を海外要因に求めているけれども、正しいのかという御質問です。実は昨年の、いま出ている経済白書だったと思いますが、計算をしまして、統計的な計算で言うと、物価上昇の要因の六割が海外要因であるというふうに書いているわけですね。だからそれは、いまの統計的なあれではそうなるのですけれども、それは一つには、特に、御承知のように、いまの世界的なインフレーションは、一九七一年の八月に行われましたニクソンの措置で、アメリカのドルをアメリカ以外の政府が持った場合に、これを金一オンス三十五ドルで交換するというIMFの約束をこれからは実施しないと言ってからドルのたれ流しがひどくなって、世界的なインフレを巻き起こしたというわけですけれども、その場合でも、国の財政の姿勢によってその影響のあらわれ方は違っていて、特に西ドイツは、これは第一次大戦後のものすごいインフレの経験もあると言われているのですが、インフレアレルギーが国民に強いということもあって、西欧の中でも西ドイツは、総需要抑制政策などもかなりきっちりとやったということもあって、物価の上昇が一けたにとどまっているというふうに言われている。したがって、どういう政策をとるかによって海外要因というものは違ってくると思うんですね。しかし、いまの日本の姿勢だと、アメリカに追随する面が強い面もあって、海外要因が六割というような計算が出てくるというふうに思うわけです。 次の御質問は、物価もだんだん下がっているから低成長、これは中川先生の誤解であって、物価が下がっても低成長と言わないと思うんですね。生産が下がると低成長、つまり今度の予算の背景になっております政府の統計によりましても、五十年度の名目的な国民総生産は、一五・九%上昇するということを予定しているわけですから、そういう意味では非常に伸びているわけですね。物価はそれに対して実質の伸びが四・三です。だから大体物価の上昇率を一一・二ぐらいには見ているわけですね。だから物価の上昇率は、いまのに比べると下がるというふうに見ているわけですが、この四・三%という実質的なGNPの伸びが低いことを低成長というわけですね。その点は、だから御質問の内容が若干問題があると思うのですが、こういう低成長だから賃金は上げられないと政府は言っておるようだけれども、これはどうかという御質問だと思いますが、いまのような物価上昇があれば賃金は当然上がるわけでして、賃金は生活を維持するために払われるわけですから、物価が上昇する限りは、それに見合っては少なくとも上がっていくと思うのです。だからこそ政府も、この三月には消費者物価を昨年の一五%ぐらいにしたいと言っているわけです。この一五%というのは、決して低い物価上昇率ではないわけですけれども、最近麻痺しまして三〇%とかひどい対前年同月比が続いたものですから、一五%というとずいぶん物価上昇率が低いように思うのですけれども、実は高度成長の昭和三十五年以降、日本の消費者物価が年率平均して六%ずつぐらい上昇したそのときに、先進国の中で上界率は一番高かったですね。そういうことも考えると、政府が抑えると言っているのにもかかわらず、その抑えたところの一五%という上昇率は異常にものすごい。しかも、今度の予算の背景にある物価上昇率、賃金上昇率は一五%に抑え込みたいと言いながら、この予算の中では一七%の上昇率を予定しているわけですね。だから政府ですらその一五%を信用していないわけです。それほどの状況にあるというふうに思います。 三番目の御質問は、物価を三月で一五%にすると言っている、そして来年の年度末には一けた、一〇%ぐらいにしたいと言っているけれども、そういう見通しはそうなるだろうかという御質問ですけれども、まずこの一五%というのは、先ほど言ったように非常に高い上昇率なんですよ。いまちょうど手元に持ってきておりますのであれしますが、日本経済新聞で統計を速報しているものの要約しているのが一週間に一遍ずつぐらい出るのですけれども、これによりますと、昨年の三月の卸売物価の、昭和四十五年を一〇〇とした上昇率は一四八・四。それから消費者物価が一四五・三。だからいま、この三月に、昨年を基準として一五%に消費者物価の上げ方を抑えたいということは、すでにその基準になっている段階の昨年の三月が、昭和四十五年に比べて四五%も高いのに比べて一五%も上げようということですから、いま狂乱物価以来のインフレはものすごいものがあるというふうに思うわけです。したがって、それくらいの上昇率にすることは、必ずしも不可能ではないというふうに思いますね。いま、すでに消費者物価の対前年同月比は一七%、これは昨年の十二月で一七%になっていますから、統計がこれからだんだん出てくるわけですけれども、一五%ぐらいにすることは、この政府の発表している統計は相当問題がありますけれども、上昇率などについては、かなり信頼していいのじゃないかというふうに思っています。その上昇率は一五%あるいは一七%ぐらいに抑え込むことは可能ではないかと思われます。ただし、来年の三月に一〇%に抑え込むということは、相当困難じゃなかろうかというふうに思います。 というのは、先ほど公述いたしましたように、今度の予算は表向き総需要抑制であって、実質内容は景気刺激策になる可能性が非常にあると思います。これは、これから中小企業の倒産などが、この三月にかけて非常にふえる見通しがあると思うのです。そういう中で、すでに西ドイツ、アメリカはもう景気刺激政策の方に重点を移しておりますので、日本もこれに追随することはほぼ明らかであって、そういう予算がまかり通るときには、補正予算も必ず行われて、かなりインフレを高めるというふうに思うのです。だから、来年の三月末に一〇%というのは、その中で景気がまた非常にダウンするようなことがない限り、非常に困難なものだと思います。 それから第四番目の御質問は、高度成長の見直しということを政府は一応は言っておる、しかし、いまのような財政の仕組みを変えないでおいてそういうことが可能であろうかというふうな御質問だと思いますけれども、これは私の本日の公述の一つのテーマでありまして、いまの財政あるいは租税、金融の仕組みを、いまのような高度成長型のものをそのまま残して、高度成長の仕組みを直すと口だけで言っても、それは直らないというふうに思うわけです。 以上です。
○牛嶋公述人 簡単に答えさせていただきます。 いま川上先生も御指摘になりましたように、低成長経済というのは、生産能力と申しますか、供給能力の拡大の速度が非常に小さくなるということでございます。そういった状況のもとで経済安定を求めていくためには、それに対して総需要を合わせていかなければならないわけでありますが、いま申しましたように、供給能力の拡大率が非常に狭いわけでありますから、したがって、その非常に狭い範囲の中に総需要を抑えていく、合わせていくということで、私、高度の経済運営が必要であると申したわけです。もしそのタイミングを誤りますと、当然総需要が供給を上回るということになるわけでありますが、その場合にはたちまちインフレの問題が出てくるわけでありまして、そういう意味で非常に機動的に、弾力的にその経済政策を行っていかなければならないということであります。そうなりますと、従来の総需要に対するコントロールというのは、金融政策か財政政策でミックスでやってまいりましたけれども、財政政策の場合、総需要の一項目であります政府支出をコントロールしていくということで行ってきたわけでありますが、総需要はさらに消費需要、投資需要があるわけでありますから、そういったものに対しても、影響力のある租税政策をそこに組み入れていって、できるだけ多くの政策手段を用意し、それを組み合わせて、いま申しました非常に狭い範囲にその総需要をコントロールしていく、あるいは機動的にそれを行っていく、こういう意味で申し上げたわけであります。
○吉田公述人 二点の御質問にお答えいたします。 第一点、予算に総論として賛成か反対かでありますが、私は、たとえば社会保障の点で整合化の軌道に乗らない限り、この予算案に反対であります。 第二点、ストライキの問題でありますが、今日、公共企業体等閣僚協の委員会に労働者の代表が入っております。元総評の大幹部も入っております。入って、これから審議しようというときに、その事実を追認させるような形でのストライキは、私は議会制民主主義の立場からとるべきではないと思います。ただ、そうした中で国鉄が歴史的に追い詰められてきたというこのような状況について、私はその一面を認めます。特に私は、国会議員の方々にもその責任の一端があると思います。といいますのは、政治路線というふうなものをぼんぼんつくりながら、一方において大変問題の多いものを国鉄全体の中に追い込んでいく、こうした政治的あるいは経営的な諸問題に対して姿勢を正し、そうして姿勢を正した中で国鉄の運営に取り組まなければならないと思いますが、ただ、それだから、では、いま審議中のストライキをやっていいということにはならないと思います。たとえばこうした経営上の諸問題については、なぜ経営参加を要求しないのか、なぜ国鉄全体の諸問題について理解できるような教宣活動を進めないのか。あまつさえ、今日、減速闘争をこれまで進めてまいりました。これは一体何でしょうか。それらの点で私はこのストライキについて反対であります。
○中川(利)委員 川上先生と吉田先生にもう一度一問だけ質問させていただきます。 川上先生でありますが、前の高度経済成長時代にはひずみが非常に多い、農村と都市のひずみだとか、あるいはいろいろなひずみを是正するから高度経済成長でやらなきやならないんだということを言っておったわけですね。今日、低成長時代に入りまして、また高度経済成長のひずみを直すために新しい政策をとらなければならない。どっちにしても、ひずみということが一つの根拠とされているわけですね。国民の立場からしますと、たまったものじゃないわけですね。何か政府は、自分の都合のいい論拠にすがりついて、その中心をなすものは、すべてひずみを直すという言葉でいろいろなことが合理化されてきている。そうして実態はますますひずみが拡大する、こういう経過をたどっているように思いますが、その点について先生の御見解はどうかということであります。 それから吉田先生でありますけれども、先ほど社会的不公正に関連しまして、先生は民主社会主義の思想というものと全く合致するというお話がございました。この機会に、大変恐縮でございますが、民主社会主義の思想というものの本当のエキスで結構でございますから、どういうものであるか、お知らせいただければありがたいと思います。 以上でございます。
○川上公述人 政府は、まず、いま中川先生の言われたように、所得倍増計画が出された昭和三十五年末に池田内閣が、それまでの高度成長でひずみができた、これは主として所得格差、地域格差、そう言って特に農業のずり落ちを認めたわけです。それから中小企業のずり落ちも認めましたが、それを直すためにはパイを、つまり国民経済を大きくしていくのが先決であるということで高度成長を続けていった結果、昭和三十六年に農業基本法、それから三十七、八年に中小企業近代化法その他が出されて、中小企業とか農業の零細あるいは小さい部分を切り捨てていく、そうして大きな部分を育成する、こういう政策をやった結果、実際のひずみは直らなかったというふうに思うのです。そしてひずみ、ひずみと言いながら、いろいろ今度も弱者を救済するというようなことで、同じような論法でやられていますけれども、この点もきょうの私の公述いたしましたテーマになっておりまして、最後の結論のところで、先ほども小林先生だと思いますが、御質問があったように、産業の発展をつり合いのとれたものにする、そういうことを基本的に一ひずみを直すというだけでは、ひずみの意味が非常にあいまいなので、やはり根本的に、日本の基本である農業あるいはエネルギー産業、あるいは中小企業、重化学工業はもちろん基礎の一つでありますけれども、一番下である労働者あるいは農民というものの働きが、結局は日本の国民経済をまともに成長するようにさせる。ただ、いままでの高度成長も、国民の労働によってあれしたのだけれども、これの使い方が、非常に大企業本意に使ったためにいまのような状況になったので、それと反対のことをやるということにしなければいかぬというふうに思います。
○吉田公述人 民主社会主義について御質問ございました。民主社会主義を一言で申しますならば、議会制民主主義を通じて社会主義社会を築くことであります。資本主義を克服して新しい社会を築こう。その柱には四つございます。第一は議会制民主主義、第二は経済計画、第三は権利としての社会保障、第四は産業民主主義であります。特に第三点で、五十年度の予算にその精神が盛られていないので、三木首相の発言は、言葉は民主社会主義であっても、実態はこれと違うということで反対の意向を表明したわけであります。
○中川(利)委員 終わります。
○林(百)委員長代理 坂井弘一君。
○坂井委員 基本的な問題二つにつきまして、いま少し具体的に掘り下げて御意見をちょうだいいたしたいと思います。 最初に、牛嶋先生にお伺いしたいのでございますが、いま社会的不公正を是正する、一番の課題でございますが、そのためには何よりも従来の税体系というものを根本的に洗い直さなければならぬ、そういう中で不公正の是正をはかっていこう。先生の御意見でも、課税の公正ということにまず手をつけなければならないのではないかということでございますが、私も全く同感でございます。 そこで、社会的不公正云々ということが言われながら、その基準がきわめてあいまいであるというような御意見等もございましたが、しからば税の公正ということにつきましては、先生はどのようにお考えになっていらっしゃるか、御意見をちょうだいいたしたいと思います。 それから次に、川上先生、牛嶋先生、吉田先生、三人の先生からそれぞれお聞かせいただきたいと思いますが、これまた基本的な問題でございます。つまり、従来から、国と地方の行財政の区分の問題は、ずいぶん議論がされてまいりました。いま非常に大きな転機に立っているのではないかと思うわけでございますが、財政の洗い直しということ、これがきわめて大きな問題として提起されているわけでございますけれども、国と地方の財政の洗い直しについて、具体的に要約してそれぞれ三人の先生方から御意見をちょうだいできれば幸いでございます。 以上二点につきまして、よろしくお願いいたします。
○牛嶋公述人 まず最初の課税の公正についてお答えいたします。 普通、課税の公正と言われておりますが、中身をもう少し検討してみますと、二つの内容に分かれることになるかと思います。一つは、等しい担税力を持つ人々の間に課税上等しい取り扱いをするという、よく言われております水平的公平であります。そしていま一つは、担税力の異なる、所得階層の異なる人々の間に差別的な課税の取り扱いをするという垂直的な公平の問題であります。垂直的公平につきましては、先ほど意見を述べるときにも申しましたように、現在では累進課税という形で大体のコンセンサスが得られていると思いますが、この垂直的な公平が実現するための前提として、私、水平的な公平が確立しておらなければならないのではないかと思います。そして、現在の所得税中心の税体系では、この垂直的公平をある程度満たしているとは思いますが、いま申しましたように、その前提として水平的公平が充足されなければならない。ところが現在の所得税についてこの点に多少の問題があるというふうに考えているわけであります。ですから、課税の公正あるいは公平を確立するために、いま申しました二つの公平を充足するといたしますと、早速に所得税中心の税体系の中で、所得税のいま持っております水平的公平を是正していかなければならない、こういうふうに考えております。
○川上公述人 国と地方との区分という問題ですけれども、区分というよりもいまの地方と国との財政のあり方の点についての意見ということだと思いますが、現在は、坂井先生も御承知のように、地方に対して国から交付税その他で金を相当出すということで、地方の自主財源が非常に少ないような状況になっていますね。そして国の委託の業務が非常に多いような状態になっていて、地方の自主的な活動が十分に行われていない。それからいまのように景気が悪くてちょっと税収の上がり方も思わしくないというようなときは、今度はかなり税収も上げることにはなっていますけれども、国から地方に出す分についてはかなり渋い点があると思うのです。たとえば下水道などについては地方債でまかなう部分を非常にふやしたというようなことで、地方財政を圧迫するようなことがあると思うのです。こういう点を私はやはり、地方の自主的な財政、つまり自主的な活動が地方自治体で行えるというふうにすべきだと思います。公共事業費についても非常に同様の問題があると思います。地方の負担が非常に重くなるとか、そういう点を直していくような方向にすべきだというふうに思います。
○吉田公述人 デモクラシーは権力の分散が必要であります。そうした意味でわが国の歴史的な影響という点もございますけれども、中央集権的な面をはっきり指摘できると思います。そこで、地方に対してどのようにしてこの財源の点で豊かなものに持っていくか。私は、つまるところ産業の移転、特に既成地方中都市を育成するような方法で財源を確保することが、現在最も賢明な方法ではないかと思います。現在、地方交付税で、本当にこそくな手段で地方の財政がまかなわれているわけですが、そうではなしに、やはり抜本的なものが地方の育成になるのではなかろうか、こう考えます。
○牛嶋公述人 私、財政の講義をしておりますときに、いつも国と地方との財政関係を学生に説明いたしますとき、事務の量では国と地方は一対二になっている、しかし財源は国が二、それから地方が一というふうに逆になって、これがいまの三割自治をつくり出しているということだろうと思います。税源配分の問題をこの事務の量に合わせて一対二にする前にやらなければならない問題は、もう一度事務の再配分を検討するということであります。それから、その再配分を適正に行った後、それではその事務量に応じて税源を配分していけばいいかと言いますと、そこに一つ問題が出てまいります。それは地方公共団体と申しましても、たとえば市町村で申しますと三千以上の市町村団体があるわけでございまして、それらは非常に大都市から小さな市町村まであります。これらが一律に地方財政の中に組み込まれて議論されているわけでありますが、もし、いま申しましたように、事務配分が適正に行われた後それに合わせて税源を配分したといたしますと、現在以上にその地方公共団体間に格差が出てくるであろう。ですから、この地方公共団体間の格差是正、私これを水平的な財政調整の問題と言っておりますが、これが出てくるわけでありまして、この点を考えますと、いまの交付税制度をある程度残しておかなければならないのじゃないか。その上でもう一度地方自治の問題であります税源配分をあわせて考えていくということでありまして、手順といたしましては、まず事務配分をもう一度洗い直す、そしてその上で地方公共団体間の格差の是正と、それから地方自治とをどういうふうに調整していくかを考えていく、こういう手順で改革を提案したいと思います。
○坂井委員 ありがとうございました。
○林(百)委員長代理 河村勝君。
○河村委員 初めに牛嶋さんと吉田さんにお伺いをいたします。 お二人ともさっきの公述で、今度の予算というものは総花的な積み上げ方式であって、重点的な施策が行われていない、したがってそこには政策的な意欲というものがないという欠陥を指摘されておりまして、それでは効果が上がらないだけではなくて、来年度以降の予算に財政硬直化の原因をつくる、そういうような御指摘があったと思います。御説のとおりだと思いますが、それにしましても、重点的に施策をやり、あるいは社会保障を充実をするにしても、これからの低成長時代で税の自然増収が非常に少なくなってくるということを前提に考えますと、いわゆるいまの硬直化の主たるものである当然増経費、これが予算の過半を占めておる限りは、いかに重点的にやろうと思ったって、大して効果は上がらないのではないかと思います。その点をどうお考えになるのか、この自然に当然増というような形でふくらんでくる予算のどこから手をつけて、どういうふうにしてこれを打開したらいいかということについて、御意見をお伺いしたい。
○牛嶋公述人 いまの御質問でありますが、いまの問題が出てくるために、私、新しい財政運営として三つの基本方向を意見として述べさせていただいたわけであります。御指摘のように、私は高度成長過程のこれまでの財政構造というのは自然増収依存型であったと思います。この自然増収に寄りかかっていろいろな政策、当面の課題というものが解決されてきたというふうに考えているわけです。そういう自然増収がなくなるといいますか、自然増収が非常に小さくなったような現在であるがために、重点的、そしてまたもう一つ私が申しました、増し分主義ではなくてアウトプットを重視したような財政の運営を行うべきである。そのときにも申しましたように、いま御指摘になりました必要経費あるいは当然増経費までも、そういったアウトプット志向型の財政運営のところでは当然再検討されるはずであります。今度は逆にそういう形で三つの基本方針を述べさせていただいたわけでございます。
○吉田公述人 ことわざに、乏しきを憂えず等しからざるを憂うという言葉がございます。私は、かりに自然増が減りました場合でも、できる限り平等な社会を築くという、それが姿勢にあらわれるならば、国民が満足できる予算内容になろうと思います。そうした中で予算を考えますと、私はたとえば一つ問題点を指摘できると思います。それは防衛費であります。米国、ソ連ともに防衛費を削減しております。私は現在の水準の防衛を全く無防備にした方がいいとは考えておりません。しかし、防衛費が二一・四%ふえております。これをたとえばゼロ%にして前年どおりというふうな方法でそれを福祉に回す、そういう意欲と姿勢を示してほしいと思います。
○河村委員 次に、吉田さんにお尋ねをいたします。 先ほど公共料金の値上げについて二つの条件を挙げられて、一つは、消費者物価が一〇%低下に下がること、もう一つは値上げに値するだけのサービスがなければならないというお話でございました。その際に、例証として郵便の遅配その他のサービス低下、それから国鉄の減産闘争その他のストライキの状態、それをお引きになったわけでありますが、現実に確かにそういう事態が起こって、国民の目から見ればサービス低下の要因を逆につくりつつある、そういうことが行われていることは間違いないことであって、国民的立場に立てば、いかに赤字であっても、そういう状況のもとで運賃を上げたくないと考えるのはもっともだと思います。 そこで、いろいろ例証をお挙げになりましたが、郵政にいたしましても、国鉄にいたしましても、こうした減産闘争とか遅配とかいうものは、これは一日だけのストライキとかなんとかいうことではなくて、毎日毎日サボタージュという状態ですね。簡単に言えば、あたりまえに仕事をするように命令をしても動かない状態ができている。簡単に言えば職制麻痺状態、こういうものが一体どうしてつくられ、それをいかようにして打破をすべきかということについて御意見がございましたらお伺いしたい。
○吉田公述人 郵政、国鉄の今日国民に対するサービスが私は著しく低下していると思います。特に、たとえば国鉄のストライキのときに多くの人々は泣いております。あるいは荷主たちも本当に泣いております。しかし、どこへ訴えたらいいのか困っている状況であります。こうした中で、ことしもさらに展開されようとしているわけでありますけれども、しかし、国鉄内部ではほとんど職場の秩序が乱れっ放しである、こう言われております。特に、管理者の自信喪失、そして職場の秩序を正すこと自身が罪悪視され、突き上げられ、場合によっては、力によって押しつぶされておる状況が全国に見られているのであります。そしてときには暴力事件も起こっているわけであります。 こうした中で、たとえば国鉄を再建するためにどういう方法があるのか。私は、この国鉄の問題の一つの焦点がストライキの問題である。これについて閣僚懇談会で公正な立場で、特に国民的な立場で、スト権はどうであるのか、たとえば与えるとしますとその場合の条件はどうなのかということを踏まえ、その問題が解決した後、たとえば国鉄が抱えている政治な圧力や経営上の障害を一つ一つ解決するよう、国鉄職員だけではなしに、外部の国民全部、あるいは政府も、あるいは国会でもいろいろな方法で協力し、国鉄の再建を図っていただきたいと私は思うのであります。 考えてみますと国鉄は国の動脈であります。かって国鉄は国民のあこがれの的でありました。そして国民は尊敬し、たとえば村では、駅長といえば学校の校長と同じくらい尊敬されたのであります。いま国鉄に対する尊敬の念が全く地に落ちているわけですけれども、その外部的な要因はたくさんあると思います。しかし、同時にまた内部的な要因もあろうと思います。管理者が正常な形にできるようなものに速やかに復帰する、そして良識的な労働者が国民のために働く、安全に迅速に運ぶということを全うするようなものが内部からわき出てくるように、外からいろいろお手伝いをする必要もあろうと私は思うのです。 その方法はいろいろございます。たとえばその具体的な方法、こうした点、私がここで簡単に申し上げますよりも、慎重に考え、そうして多数の労働者が納得できるような形で出していく、これが国鉄を再建する方法だと私は思います。もしそれができなければ、たとえば大き過ぎてできないと言うならば、電力並みに分割することも必要でありましょうし、あるいはまた、国鉄とそうでないものと分離することも必要でありましょうし、そういう根本的な問題から取り組んでいただきたい、こう思うわけであります。
○河村委員 終わります。
○林(百)委員長代理 以上で各公述人に対する質疑は終わりました。 この際、委員会を代表して、公述人各位にお礼を申し上げます。 本日は、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。 次回は、来る十二日午前十時より開会いたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後三時四十五分散会