予算委員会 第19号
- 発言数
- 339 件
- 登壇者
- 46 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1975/02/22
会議録
○荒舩委員長 これより会議を開きます。 昭和五十年度一般会計予算、昭和五十年度特別会計予算及び昭和五十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。 本日は、参考人として社会保障研究所所長馬場啓之助君、厚生年金基金連合会理事長伊部英男君、全国難病団体連絡協議会会長石川左門君、東京都盲人福祉団体連合会職業部長三好信寿君、びわこ学園理事長岡崎英彦君、日本精神神経学会理事福井東一君、全日本ろうあ連盟書記長高田英一君、竜谷大学学生竹下義樹君、埼玉県立小原療養所所長藤岡萬雄君、日本歯科技工士会会長森谷誠司君、全国精神障害者家族連合会常務理事長山登君、以上の方々に御出席を願っております。 この際、お諮りいたします。 本日参考人として予定しておりました日本歯科医師会の武石信治君は、都合により出席できませんので、日本歯科医師会副会長斉藤静三君から意見を聴したいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 参考人各位には、本日は御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。厚くお礼を申し上げます。 次に、参考人各位には委員の質疑にお答えをいただくという方式で順次御意見を承ることといたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷川和穗君。
○谷川委員 最近、私の友人から聞いた話なんですが、私の友人はたまたま幼稚園に子供を送っておる。ところが都や区からあれやこれやと合計六万円近い補助金が回ってきた。友人自体も、実は相当な金額なものだから、いささかびっくりしたようなんですが、私もちょっと興味があって調べてみたのですけれども、これは私立の幼稚園に対する補助金でございまして、福祉の直接の関係はないが、例としてちょっと申し上げますと、東京都では、一律に四歳児に対しては年間一万二千円、五歳児に対しては二万四千円、そのほかに各区で独自の上乗せ補助をやっている区が十四区あるそうであります。その中でも一番たくさん金額を出しておるのは港区で、四歳児で年間三万八千七百六十円。これは所得の高い、低いに関係なく、区民であれば一律にもらえるものだそうであります。 〔委員長退席、小山(長)委員長代理着席〕 こういうような種類の金がいろいろなところに出ております。民生安定ということで、福祉の分野においても、必ずしも同じとは言えないにしても、同じような傾向の補助金が出ておるところがございます。そして国よりも先取りして福祉を行う。確かに福祉というものは地域に直結したものであり、それだけに地方行政そのものは福祉に直接に責任があるところだと思いますが、だんだん経済の高度成長がいわば安定成長の方へ移ってくる。当然のことでありますが、各地方自治体の財政収入額も、いままでのような大幅の伸びは期待できない。こういう時代に、こういったいわば先取り行政。各地方公共団体で行われた地方単独の福祉施策の中で、俗に呼ばれます先取り行政、これの実態がどんなものであるか。あるいは経費的に見てその総額はどのくらいの支出になるのか。この辺を最初に自治大臣からお伺いをいたしたいと思います。
○福田(一)国務大臣 お答えを申し上げます。 大体、自治省で計算をいたしますところでは、年間二千二百億円くらいのいわゆる先取り行政を行っておるというふうに計算をいたしております。こういう傾向はいろいろありますが、その主なものを言えば、老人医療、これなどは年齢の引き下げをして行う。それからまた所得制限を撤廃して行っておるというような事情がありますし、それから乳幼児の医療等については、零歳児から始まってもう相当範囲を広げておる。それからまた、生活保護世帯に対する年末あるいは夏期の一時金の支給というようなもの等々、これはいろいろございますが、等々を含めてそういうふうに先取り行政が行われておるということでございます。
○谷川委員 私は、先取り福祉行政、特に福祉に関して言いますと、これは国における制度化の先導的役割りを果たしたという非常に大きな意味合いも、これは当然無視できないものだ、こう思っておるのです。ただ問題は、私の少なくとも直観的に感じるものが二つありまして、一つは、経済の低成長下当然のことでございますが、先ほど申し上げましたように、地方自治体の財源問題が起こってくると思うのですけれども、その場合にこれはどうなるだろうかということ。特に最近は、人件費も含めて地方財源の大変な硬直化ということが議論されておる。そうすると、これはえてして、あとは国がそれをやってくれるだろうという期待感をもって先取りでやったが、さあ国と地方公共団体の間に何かぎくしゃくしたものが起こってくるのではなかろうかということを感じて、非常に気にしておるわけであります。 それからもう一点は、いま自治大臣は、二千二百億程度、こういうことを言われましたが、たとえば国保の国庫負担分のように、根っこから増大する分で隠れた分も相当あるわけである。しかも、たとえば競輪だとか固定資産税が特別に入る自治体、これは先取りしてそういう福祉行政ができる。またできてきた。しかし、一つ違って隣の区あるいは隣の自治体では、そういう財源はなかったからできなかった。そういうときに、安易にそれを国の方へ肩がわりと言ってはおかしいけれども、かわってくるような形になると、地方自治体内部でこれはまたいろいろ不公平が生じてきたりする。 こういうことを考えて、この先取り福祉行政、これは将来非常に大きな問題になると思うのですが、あわせてもう一遍、自治大臣からお考えをお伺いできればと思っております。
○福田(一)国務大臣 谷川さんが御指摘になったように、高度成長下においては福祉行政の先取りをすることはかなり可能でございますけれども、これからの低成長下におきましては、それぞれの自治体が歳入歳出の面を十分に押さえながらやっていきませんと、福祉の問題につきましては、若干俸給問題と同じように、後でやめるというわけにはいかないのです。与えてしまいますと、どうしてもそれは定時に支出をしなければならないということになりますからして、そこで財政を大きく圧迫する原因にもなりかねないわけであります。もとより、今後は、生活環境を整備するとか、福祉行政をやるとかいうことは、国民の願望とするところでございますから、これは当然やらなければなりませんけれども、この経済の問題あるいは歳出歳入の問題というようなものをも十分踏まえながら、長い目で見た財政計画に基づいて実施をしていくということが必要であると考えるのであります。また同時に、御指摘になったように、特殊の財源を持っておるところ、すなわち競輪とか競馬というようなもので特殊の財源を持っておる団体は、歳入が非常にふえますから福祉行政の先取りは容易でありますが、そうしますと、その隣ではそれがないために、どうしてもこれを国に要請するということになる。それがまたある意味で、福祉行政をやること自体ばいいのであるけれども、力がないのにやっていくということにもなり、国の負担増というものが非常にふえてくるということになります。私は、国の経済も高度成長下とは違ってまいりますから、これらの点をわきまえていかないと、今後重大な、ある意味においていわゆる地方自治体の運営というものが損なわれる可能性もあるということを非常に心配をいたしておるわけであります。
○谷川委員 私は人件費の問題でも同じことだと思いますが、特に福祉の問題でございますので、政府においても、いわば一種の福祉秩序というようなものを考えて、日本国民である以上はどこでもできるだけ平等でいけるということを原則にお考えをいただきたい、こういうことを要望いたしておきます。 次に、医療関係でありまするが、医療の問題というのは、私は大変な問題を含んでおるような感じがいたしております。特に、これまた俗に言われますスタグフレーション、こういう状態になってきたときの医療費、これは大変大きな問題だという感じがいたしております。社会保障関係費の二分の一は実に医療関係費であって、これは形としても、諸外国に比べて必ずしも健全な姿でないのではないか。医療のことを議論をしていて不健全というのはまことにおかしな話ですが、しかもこれは、国保を含めて国庫負担分が金額ですでに二兆円に近い。国全体の総医療費は、ここわずか数年間に、倍とまではいきませんが、たとえば昭和四十八年と五十年の推計を比べますと、その差額一兆五千億。六兆五千億に達しようとする。日本という国は大変な医療費国家、実にたくさんのお金がかかっておる。もちろんこれは、途中で何度か医療報酬関係で手直しが行われておりますから、当然、外のインフレの問題とかなんとかには直接は関係ないかもしれませんけれども、しかし、考えてみますと、医療費の増加そのものが、たとえば年金だとか身障者対策だとか、そういった部面の財源を圧迫する大きな要因になりつつあるのじゃないか、こういった社会保障のほかの施策が十分な発展ができないようなところに落ち込んでいくんじゃないか、こういった感じがいたします。 さらに、被保険者側も、考えてみますると、自己負担がほとんどないとか、自己負担が非常に低いとかいうことのために、非常に安易に医者にかかってしまう、こういう風潮があるように考えまするし、また、医療全体についても、どうも薬中心の医療でおかしいような感じがする。私も経験いたしたのですが、かぜを引いてもらった薬が、うちへ帰って結局二日半くらいしか飲まなかった。あとは袋に残したままだ。これも国民全体の経済から考えてみて大変な浪費だというような感じもします。 こういうことも考え合わせて、私ば、厚生大臣が医療費関係全体についてどういうふうにお考えになるか、お伺いしたいと思っておるわけでありますが、私自身は、特に若い人に対しては、若い人は自分の健康に対する責任をもっと呼びかけなければだめだ、こういう感じが一ついたしております。それから二番目には、軽い病気、軽度な医療に対しては自己負担を強化するというのは、これはやはり流れとして当然の方向だという感じがいたします。それから三番目に、国の財源配分についても、社会保障全体のバランスのとれた発展、こういうことを図る見地から、私はそろそろ見直していい時期に来ているのではないかと思うので、厚生大臣からその辺を含めて御発言をいただきたいと存じます。
○田中国務大臣 お説のとおり、わが国の社会保障費は医療保障に非常にウエートがかかっているところに特色があろうと思います。ヨーロッパの先進社会保障国と比較をいたしますると、向こうの方ではいわゆる所得保障に相当の金をかけておりますが、日本の場合は医療保障に相当の金がかかっているということでありまして、逆の関係になっていることは御指摘のとおりであります。今後、そういうことを踏まえて所得保障の推進を図っていかなければならないと思いますが、医療保障につきましても、国民の貧困の転機というものが病気にあるということを考えると、これについても意を用いなければなりませんが、総じて言うならば、今後社会保障の充実を図るのには、所得保障に重点を置くべきものであるという考え方は、先生と全く一致をいたしております。 そこで、医療費の問題でございますが、お説のとおり、薬剤の使用が非常に多いということについては、かねがね御指摘のあるところであります。これにつきましては、診療報酬のあり方等を検討いたしまして、今後、技術料を尊重いたしまして、物によるところの利潤などというものが考えられないようにいたしていくことが一番の方法だと私は思われるものでございまするから、そういったような努力を今後積み重ねていきたいと思います。 第三に、いわゆる軽い病気等々について、これを自己負担あるいは自己の補償にゆだねたらどうかという御意見でございますが、これについてもかねがねいろいろ御批評がございます。しかし、これについては、長年の間の医療保険の今日までの歴史を振り返ってみますると、考え方はわかるのでございますが、実際問題として、このようなことを実施するために国民的コンセンサスが得られるかどうかについては、さよう簡単なものではないというふうに思われるわけであります。また、ヨーロッパ等の医療保険を見ましても、そのような制度をとっている国は余り見当たらないようでありまして、薬剤の足切り制度というものをとっている国は間々あるようでございますが、そういったようなことを踏まえて、確かに一つの御卓見だと思いますが、これを実行するためには、大いに国民的な啓蒙とコンセンサスを得るように努力しなければ、簡単にできるものではないだろうというふうに思っておる次第であります。
○谷川委員 事、医療はわが身、自分自身のことに直接つながりのあることでありますから、一つ間違えると、医療というものは、その持っていき方いかんによっては、国民の考え方を非常に右左させる、そういう意味で、いまから歯科の差額徴収の問題についてお尋ねをいたしたいと思っております。 これは、医療費の問題というより、むしろ医療制度そのものの問題かもしれませんが、最近の新聞その他に報ぜられる歯科の差額徴収の問題は、まことに目に余るものがあるような感じがする。たとえば、私ちょっと拾ってみたのですが、入れ歯だけでも九十四万五千円かかったという。どうにもよくわからない。それから、神経を抜かずに歯を抜いたという話を聞いた。これは、神経を抜いていると時間がかかるけれども、歯を抜けばということ。こういうことも、どうも何か一種の医療の荒廃につながるような感じがするし、子供を連れていったけれども、子供はだめだと言われた。いろいろありますが、ある資料によると、金額が高いというのが二〇・九%、保険に関係してどうも苦情が多いというのが二七・八%、差額徴収治療の取り扱いを誤っているんじゃないかと言われているのが一八・何%かあって、事前に話がなくて後でツケが回ってきたという文句が一二・四%ある。これはもとを調べてみましたが、どうも電話や何かで出てきた報告だけで、件数から言ったら数百件で、日本全国で何百万人が歯医者に行っているのでしょうから、もう少し詳しく調べなければならないにせよ、何かいま日本全国民が歯科の差額徴収の問題について沸き立っているような感じ――沸き立っているというのは少し表現がオーバーかもしれませんが、という感じがいたしておる。 一体、これはどうしたことなんだろうか。その中にいろいろ議論もあるのだろうと思うのですけれども、しかし私は、やはり日本という国は国民皆保険というのが原則だ、だれでも治療を受けられるというのがたてまえになっておるはずだ、こういう感じがいたします。つまり、必要な医療を保険で行えるんだ、これがたてまえだ。やはりそれを考えると、一番大事なことは、これは行政の側に、もう少しそういう形のPR、国民に対してこれをしていないということ。行政怠慢だと言うのは、ちょっとこれまた言い過ぎかもしれませんが、もっとその点努力していいんじゃないか。 それから歯科医の側から言うと、確かに一部にせよ不正不当な行為がある。あることば事実。したがって、やはり歯科医師のグループの中で、そういう不正不当なものをはじき出すというような決然たる態度というものが非常に大事だ、私はこんな感じがするのです。なぜかと言うと、やはり医療というものは、結局は患者と施療者、医者との信頼関係がなければ成り立たぬものだ。私はその意味から言いますと、現在の日本の医療制度そのものは、医者の心も荒廃さしてしまった。受けるわれわれの側も医者に対する不信をつくってしまった。いろいろな形で非常にまずいところへ来ておるような感じがいたしております。 この歯科の差額徴収の問題を中心にいたしまして、厚生大臣から御所見を承りたいと存じます。
○田中国務大臣 先生お話しのとおり、歯科の差額徴収問題については、最近非常に問題化いたしているわけでございますが、俗に差額徴収と言われているものの中にも、調べてみますといろいろなものが実はあるようでありまして、その一部を先生は御指摘になっている。まさにそのとおりであります。しかし、歯科におきましては制度として差額徴収を認めているものが実はあるわけでございまして、たとえば金合金、白金合金等々、こういったようなものがある。これを不当に広く演繹をいたしまして、いろいろと問題が起こっている面もあるようであります。 そこで、何といたしましても一番大きいものは、差額徴収について制度として認められているものについて、患者との間に納得なしに後で法外な料金を取られるというようなものがございまして、これについては、あくまでも患者と歯科医師の間に、差額徴収であっても、よく話し合いをしなければならぬということだろうと思います。また、保険の対象になるものを、のっけから保険の対象にならないのだというふうに言って自由診療に回してしまった、これはもってのほかでございまして、こういったようないろいろなケースがございますが、いずれにいたしましても、一つには歯科医師の自粛自戒、自覚を促すということが第一でありますし、患者さんに、社会保険診療における歯科医療のあり方について、これを周知徹底するということが第二の問題だろうと思うのであります。 かような意味で、昨年来いろいろな方法をもってこのPRをいたしておりましたが、しかし、どうも十分ではなかったようでありますし、また社会保険というものが非常にむずかしいということもございまして、一般の患者さんには十分のみ込めなかった面もあろうかと思います。いずれにいたしましても、そういうことで厚生省といたしましても、従来から、患者に周知徹底をすると同時に、歯科医師等については、そのようなことの自粛、絶滅を指導いたしてまいったわけでありますが、なおこのような傾向があるということは、まことに遺憾であります。したがいまして、今後とも、この周知徹底と歯科医師に対する自粛自戒について、両面からさらにひとつ努力をいたしたいというふうに思っております。 承るところによりますと、日本歯科医師会でも、最近各会員に対しまして、そのようなことの周知徹底の相当に濃厚なアクションをとるということでございますので、その成果等も見たいと思っておりますが、いずれにいたしましても、このような状況というものは遺憾至極でございますので、さらに行政の面を通じてこのようなことの解消に特段の努力をしなければならないというふうに決意を新たにしているところでございます。
○谷川委員 むずかしいお立場で大変なことだと思いますが、ひとつぜひこれは早目に大臣も、国民の医療をめぐっての荒廃あるいは信、不信問題こういったものが拡大しないように、よろしく御努力のほどをお願いをいたします。ただ私は、医療の問題について、だれでも人間は自分の利益を第一に考えるのはあたりまえのことだと思うのですけれども、保険というものが、えてしてそういう風潮を国民全般の心の中へ拡大しちゃって、健全な心をむしばんでしまうような方向へ進み始めたような、ちょっと恐ろしい感じがしております。そういう意味から、これは何かこの辺で大きく考えを改めていかないと、この国全体が本当にだめになってしまうんじゃないか。 ちょっとよけいな話ですが、私、文教の出身なんですけれども、たとえば慶応の医学部全体で七十六万円くらい金がかかります。しかし、日本で医者一人つくろうと思ったら、千五百万円はどうしても金がかかる。国立大学で学んでいる諸君は、とにかく月に三千円で医者になれる。国立大学の卒業生が、公的医療機関あるいは社会的診療所にどの程度就職をしておるか、私はちょっと調べてみたかったことがあるのですけれども、完全につかめていませんが、私は、医療に従事する方々もひとつここで、大変むずかしい問題と思うけれども、考えてみていただきたいし、国民全体も、この問題については取り組まなければいかぬような時期に来ているような気がする。僻地は医者がなくて困っているところです。しかしこの大都会の中でも実質無医地区が一ぱい出てきている、こういうような状態。何と言っても人々の心がこれによってむしばまれるということを一番恐れておりますので、大変むずかしい、しかも大事な仕事かと思うのですが、厚生大臣、大いに御健闘をお祈りをいたします。 続いて、参考人にお越しいただいておりますので、馬場参考人あるいは伊部参考人、どちらでも結構でございますが、私、これから全体の社会保障体制の中で、年金制度が成熟するまではどうしても福祉年金に力を入れるべきではないかと考えておりますので、伊部さん、その点について御指摘といいますか、申し上げたいことがございますので、後、参考意見を御指摘いただければありがたいと思っております。 私、実は出身は広島なんですが、広島で、当然のことでございますが、原爆被爆者対策がございます。この被爆者を見ておりましても、被爆者の人口は年々歳々減っていくわけであります。しかし、国全体から言うと、さっき大臣が御答弁のように、医療費全体にぐっと力が入っておって、たとえば福祉の別の柱である年金の方へお金が回りかねておる。どんどんそういう人々は年をとってしまっておる。福祉年金も括弧でくくってみると、これは確かに経過的な制度でありますが、受給者はここ十年ぐらいでおそらく現在の三百数十万の半分くらいになるだろうという見通しもあるということを聞くのです。したがって私は、福祉年金に力を入れてみるようなことはどうだ。特にこういうふうな世界的なインフレ高進状態であれば、インフレの波をもろにかぶるのはまさにこの福祉年金受給者対象グループだという感じもいたします。お年寄りの生活保障というような面からも、ここへ思い切って力を入れたらどうだ。ただ、どうやったら入れられるかというような、何かここで発想の転換だとか知恵の出し方を考えなければいかぬ時期になっているような感じがするので、何か御意見がございましたら、どちらの参考人でも結構でございますが、ごちょうだいいただけばありがたいと存じます。
○馬場参考人 いま御指摘がございましたように、福祉年金の充実ということが現在非常に重要な問題でありますことは、御説のとおりでございます。これに生活保障的な意味を持たして充実さしていくということにつきましては、大方の意向がまとまりつつあるように思いますが、この生活保障的な意味と申しますときに、やはり現在七割以上が家族同居の形をとっておりますので、その生活保障的な意味を考えますときに、その同居しておる実態を踏まえまして考慮する必要があるのではなかろうか、これが第一点でございます。 第二点は、これに関連いたしまして、福祉年金の場合におきましては、国民年金との関連がございまして、すでに出ておりますように、五年年金が、福祉年金の一万二千円ということに関連いたしまして、かさ上げせざるを得ないという形になっております。したがいまして、公平性の原則から申しまして、拠出しておりまする国民年金の五年年金あるいは十年年金との関連ということを十分に考えざるを得ないし、先生はすでに御存じのとおり、国民年金につきましては、財政上重要な問題を抱えておるということでございますので、この関連を念頭に置いて考えるべきであろうというふうに考える次第でございます。
○谷川委員 ありがとうございました。 昨年暮れから正月にかけて、予算編成期では田中大臣は大変奮闘なさって、特にこの福祉関係の予算に対しては、いまだかつてないような伸び率を確保されたのですが、大臣、予算に関連して、五十年度はこういう新しいような大きな枠ができたということを何か御報告なさることがございましたら、この際お伺いしたい、こういうように思います。
○田中国務大臣 全般として私は、昭和五十年度厚生省予算はそう大きなものに評価をいたしておりません。しかし、五十一年度以降に対する大きなスプリングボードになったものというふうに考えておるわけでございます。いま仰せの福祉年金につきましても、七千五百円から一万二千円に上げるについては、非常な苦労がございましたことは事実であります。世上いろいろな御批判がございますが、しかし、いずれにいたしましても、一般会計でこれだけのことをやるということは、実際問題として非常に苦労があったことは、もう先生も党におられて御存じだろうと思います。こうやってみますると、一体、福祉年金というものが 一般会計でこれ以上に給付ができるかどうかという問題提起を私がしたということが、私としては大きな一つの成果だったというふうに踏まえております。したがって、いま馬場先生がおっしゃいましたとおり、今後、生活保障的な福祉年金というものを給付しなければならないという社会的なニードもございますので、これとの関連をどう調整するかということについて、年金制度全体の見直しの上にこれを処置しなければならないという政策課題が出てきたものというふうに思っているわけであります。 こういつたようなことで、いろいろと今後の年金のあり方すべてについて今日作業をいたしておりますが、いずれにしても、ただ一般会計に依存をいたしまして、福祉年金を三万円出せ、二万円出せという声というものは、心情的にはわかりますが、実際問題として問題があるということは、私は世間がある程度理解をしてくれたものというふうに思っておりまして、この一万二千円というのは実はかなり無理な措置でございましたが、そういったようなことを世間の人に再考を促すことに役立ったというふうに思っております。 ただ、福祉年金、これについては、私は、国民の間に実は微妙な意識の変化が出てきたものというふうに受け取っているわけであります。最初、昭和三十六年に月千円という福祉年金をやったときには、制度を施行した場合にあればあれなりに喜ばれたわけでありますが、あの節でも、千円で生活ができるというふうに考えた者はどなたもなかったわけでありまして、したがって、それがだんだんと十数年たってまいるうちに、これで生活保障的なものにしようという国民の微妙な意識の変化というものについては、われわれはこれを率直に受けとめなければなりませんが、いま馬場先生がおっしゃったとおり、経過年金を初めとする拠出制年金とのバランスの問題もありますし、財源の問題もありますので、幅の広い視野で、できるだけ生活保障的なものに近づけていくという目標を掲げながら、いろいろと検討をしていかなければならないということがはっきり浮き彫りにされたというところに大きな意味があろうと思います。 その他にもいろいろありますが、ただいまの話題になっておりませんから、この点については省略をさしていただきます。
○谷川委員 参考人でお出ましいただきました伊部参考人に、ちょっとお感じをお伺いしたいというふうに考えるのです。 私は、社会福祉、社会保障、こういったものは、国や地方公共団体からいわば与えられる、それを受ける、こういう関係だけじゃ成り立たないのじゃないか、もっとお互いにコミュニティー、手を結んでいかなければならぬのじゃなかろうか、そういうものがいっぱいあるのじゃないか、そういう感じを持っておるものですから、それを中心にちょっと私の感じを述べさせていただいて後、御参考意見をちょうだいいたしたいと思うのです。 私、実は友人がおりまして、その友人からこういう本を最近ちょうだいしたわけです。石坂直行さんという方の「ヨーロッパ車いす一人旅」、読んでおりまして、何と言うか、本当に愕然とした言葉があります。それをちょっとメモってまいりましたのですが、たとえば、非常におもしろい表現をこの石坂さんという方はなさっておられる。目の悪い人がめがねをかけるように、われわれ足の悪い者が車いすに乗るのはあたりまえ。ハンディキャップだ、ハンディキャップだと、こう言われるけれども、ゴルフのハンディと同じみたいなものだ。女性が身ごもったらこれはハンディキャップだ。旅行に行くサラリーマンがスーツケース二つぶら下げて駅の階段を上がっている、これもハンディキャップだ。身障者に対する考えを、物の見方を転換してもらえないかという、一種のチャレンジ、挑戦をこの本の中に書いておられる。しかも、身障者でもデートもすれば恋愛もする。実はわれわれは自動車がなければ社会生活を営みにくいから自動車の運転免許を取る、それだけの話だ。社会生活を営むことが基本なんだ。国会に車いすで入れない。これは先般公述人の方も車いすでお入りになられて、実は階段を皆さんで担ぎしげられた、こういう話を聞きましたが、私はそれを愕然として聞きました。われわれ身障者は国民ではないのかという意味の、非常に痛烈な批判をちょうだいしたような感じがいたしました。公共図書館では、車いすで入りて中で回れる、通れるぐらいの広さがない。あれやこれやでありますが、私はそれを、この本を読ませていただきながら、いままでの身障者というものに対する考え方、これを相当変えなければいけないのじゃないかという感じがいたしております。 私の友人で、ちょっと話が長くなって恐縮ですが、日本の女性ですが、アメリカのある有名な学者についてソシアルワーカー、日本で言えば、社会事業と言うのか、社会奉仕と言うのか知りませんが、それを専攻して博士号を取った女性がおられる。その方の話を聞いたのですが、ある特定のサイズの人口があれば、そこに目と耳と口が一緒に悪い三重苦の人がどのくらい出るかという出生率、二重苦はどのくらい、その他のハンディキャップがどのくらい生ずるかという、いわばいろいろな角度ではじき出される計算の方式があるそうです。したがって、日本にいまこのくらいのハンディキャップの人が存在しておられるはずということはおのずからわかるのだという話を聞いて、そういうものかなという感じがいたしました。 いずれにいたしましても、私が伊部参考人から御意見をちょうだいいたしたいと思っておりますことは、こういった問題に関して発想を転換させると同時に、当然そういうものに対してお金もかかるけれども、同時に、非常にここは大事だと思うのですが、特に若い人が、そういう身障者を一緒に自分らのコミュニティーの中に入れる、社会生活共同体の中に入れていく、共同に生活する。逆に言えば、そういうものに対する奉仕をするボランティアというもの、もっともっとこの精神を拡大しなければ、何ぼお金が出ても、結局はこうした政策がうまく成功しないんじゃないかということを、私、率直に感じておりますので、何か御意見があればちょうだいいたしたいと存じます。
○伊部参考人 ただいま谷川先生のお話ございましたように、身障者につきまして、社会復帰を前提とするということは、まことに御意見のとおりだと思います。アメリカなどにおきましては、ほとんどすべての職業に盲人がつくことができるというふうに伺っておるのでありまして、この点につきましては、わが国はまだまだ不十分である。特に、身障者と申しますか、そのリハビリテーションに関します学問的な研究がまだ非常に不十分でございます。またこれらに従事する人の養成が不十分でございます。こういう点、今後ますます進める必要があると思いますけれども、と同時に、ただいま御指摘のように、いろいろな制度が整備をいたしましても、やはり国民全体の温かい心構えがなければ、とうてい目的を達することはできないと思うのでございまして、石坂さんの本も私も読ましていただきましたが、その点につきまして大変感銘を受け、また、そういう意味におきまして、特に若い人の一層の自発的な努力というものを期待したいと思った次第でございます。
○谷川委員 それではついでに、年金制度における支給開始年齢の問題について厚生大臣にお尋ねをいたしたいと思います。 これは一つの考え方、提案をさせていただきたいという感じを持っておりますので、後で大臣から、その辺について大臣のお考えをちょうだいいたしたいと思います。 八つの年金制度の中で、支給開始年齢だけを調べてみると、ある種の共済制度では五十五歳支給というのもある。これは八つができた制度的な問題もあるのでしょうけれども、各制度ごとに年金額算定基礎となる報酬のとり方が違う。まあ当然のことだと思います。それから負担額、給付水準、それぞれ異なる。それはある程度当然のことでもあるし、仕方がないことだと思うし、またあってあたりまえのことだと思いますが、この支給開始年齢が実にばらばらだ。これをひとつ一本に近くまとめるという考え方はどうだろうか。特にわが国人口が老齢化構造社会へ移りつつある。当然のことですが、高年齢者の雇用や生活安定がまさに社会問題になってくるだろう。こういうことを考えた場合に、定年制と年金支給開始年齢とを連動させる考えをとることはできないだろうか。ちなみに調べてみましたが、厚生年金受給開始年齢は、西ドイツで六十五歳、スウェーデンで六十七歳、イギリスで六十五歳、アメリカで六十五歳、日本が平均して六十歳、こういう形。これを少し後へ下げ、そのかわり定年制を今度は逆に引っ張り上げる。そこをうまく連動させるようなことをお考えになっておられるか。また、もしそういうことがおもしろいアイデアだ、こういうことであれば、これは何も厚生省だけの問題じゃない、各省庁に関係のある問題だと思うのですが、そういう方向でお考えがおありになるかどうか、お答えをいただきたいと存じます。
○田中国務大臣 お説のとおり、各種長期給付年金、これにつきましては、実はいろいろな政策の不整合があるわけでございますが、なかんずく問題なのは、いま先生御指摘のとおり、支給開始年齢が非常にばらばらでございます。たとえば、国家公務員共済を主軸とする各種共済、あるいは船保、女子等は五十五歳ということですから、女子等については若干考えられる面もあろうと思いますが、今日の社会情勢上、五十五歳で年金の支給が開始されるということについては問題があり、いささか前時代的な考え方だろうと思うのであります。もちろん、国家公務員共済等については、従来から恩給の流れがこの中にひそんでおりますものですからこういったようなことになっておると思いますが、しかし、今日人口が老齢化をし、年配の方々も今後職業に従事をするということを踏まえてみますると、この年齢の引き上げというのは、私は一つの政策課題だとは思いますが、しかし、こうしたことをやるためには、先生御指摘のとおり、定年制や再雇用の動向等を踏まえてやらなければなりませんから、そういったものを無視いたしまして、ただむやみに繰り下げることについては問題があろうと思われますので、各省庁との連絡をとって、綿密な連絡、検討の上に立って、このことについて今後前向きにやっていかなければならない大事な問題だというふうに思っております。 なお、いま谷川先生御指摘のとおり、定年、再雇用、そしてまた年金とのつなぎということについて、一種のライフサイクル的なものの考え方については、私は大変御卓見だと思うのでありまして、これについては今後各方面の幅の広い連絡の上に立って、そのような方向に結びつけていくことが福祉国家建設の一つの大きな基準になるものというふうに考えておりまして、御示唆に富む御意見と思います。
○谷川委員 最後に、福祉政策の効率化、これは私が勝手に自分で呼んだ言葉ですが、福祉政策の効率化という問題についてお尋ねいたしたいと思います。 大変大きな問題をごく簡単に言ってしまうわけで、あるいは誤解を生ずるところがあるかもしれませんが、それはお許しいただくことにして、私は、福祉ということを何も狭い意味に考える必要はないような感じがするのです。国民生活の安定と向上につながるすべての政策はみな福祉、こういうような大きな面で取っついていいのだろう。しかも日本という国は、狭い国土で資源が乏しい国、限られた資源の上で経済生活を営んでおる。それから考えると、環状線の内側に平均建物の高さ二・八階という程度の平べったい都会をつくってしまって、しかも五十キロ圏から一時間も一時間半も満員電車に揺さぶられてきて、わずか三十坪、百平米の家を建てて、大変なエネルギーの消費だ。しかもそれらがみんな持っているものは何かというと、小さく小さくおのれのものに集中しちゃって、結局それが集中的にあらわれてきたのがテレビと車文化だ。小さく小さくおのれのものに集中してしまう。しかし、だれもが道路なんというものを自分のものだと思っている人はいない。みな共有物だと思っておる。そういうことから見て福祉の効率化ということを考えると、その一つの社会の中で共有できるものの範囲をもっともっとうんと広げていって、そうして国民生活全体を安定させていくというような考え方を持つべきだ、こういうふうに私は考えております。まあ、この問題については、福祉という問題がいま何か国民の間で限られた面だけで議論されておるし、福祉と言うと何か健全な者を対象にする以外の政策みたいな印象を受けやすいように思うものですから、あえてこのことを申したのでございまして、福祉の効率化といいますか、この辺のことが、これから先いろいろ国の政策を立てるのに重大な問題を含んでおるという感じがいたします。国民の健康といったものを直接御担当の厚生大臣から、そういったものについて何か御発言ございますれば、この際お伺いして私の質問を終わりにいたします。
○田中国務大臣 福祉という日本語、これについては、どうも広い概念と狭い概念がいろいろ混淆しているように思われることば、先生と全く同感でございます。 そこで、たとえば福祉国家建設などというときには非常に広い意味をとっているようでございまして、内容の充実した快適な健康的な生活ということになりますと、おっしゃるとおり、たとえば道路が快適である、あるいはほこりが立たない、水道の栓をひねるとお湯が出る、といったようなところまで含めて考えるのが本当の意味の福祉だろうと思います。社会福祉という狭い範囲に限定することもありますが、これはこれなりの概念規定をいたして截然と分けるべきものというふうに思っておりまして、ここに概念の混淆があり政策の混迷があるということは、先生御指摘のとおりであります。われわれとしては、厚生省は狭い意味の社会福祉の行政を扱うわけでございますが、これについても、やはり近代的な感覚の上に、これをどのように敷衍をしていくかという課題を踏まえつつやっていきますが、まあ政府全体としては、幅の広い意味の福祉国家建設というふうに、諸般の角度からそういったようなことについてアプローチしていくのが本来の政策課題であるというふうに思っております。
○小山(長)委員長代理 これにて谷川君の質疑は終了いたしました。 次に、加藤紘一君。
○加藤(紘)委員 いま谷川議員から、福祉の効率化、それからいろいろな内部の問題の検討ということを御発言があったわけですけれども、私はきょう、福祉の内容について、もうちょっと立ち入った内部のバランスの問題について御質問してみたいと思います。 御承知のように、ただいま厚生大臣は、五十年度の福祉予算というのはそんなに満足するものではないけれども、五十一年度のスプリングボードになったとおっしゃいました。確かに三兆九千億という金額は、私はそう小さいものだとは思いません。それで一八・四%というのもかなりの伸びを示したと思いますけれども、それにもかかわらず、国民各層にわたって福祉が十分に行われていないんだという、何かいらいらした感覚があるのは事実だと思います。また、きょうこの集中審議でも、各団体の方が来てそれを述べられると思います。 それと同時に、私はここでもう一つ問題なのは、何か最近世の中に、福祉をやり過ぎじゃないか、政治家もだれも全部福祉、福祉と言って、何か軽薄な感じはしませんかというようなせりふも出始めてきているように思います。何も年金とか医療なんかに金を使わなくても、道路、港湾をつくることも福祉じゃないかというような発言さえも出てきております。と同時に、これは財政硬直化の議論が出てまいります。その財政硬直化の議論の背後には、どうも福祉をやり過ぎているのじゃないかという感じも私は否定できないと思うのです。私は、福祉政策というのはこれからもっと進めるべきだと思いますけれども、しかし、そういったいろいろな背景がある段階では、これを堅実に育てていくためには、本当に福祉というのは必要なんだ、それで現在やっているのはそういう意味で非常に実のある福祉なんですよということを国民が納得しなければ、私は、予算の中における一八・四%が二十数%までに育っていくということは、不可能のように思うのであります。 そういう観点から、私、最近どうもいろいろな福祉政策の中で、本来余り優先度がない、つまり、福祉はやらなければならぬけれども、しかし、それよりはほかの制度の方が大切だということ。余り優先度のないところに福祉が行って、本来優先度があるべきところに行ってないような事態が生じていないかということを、各制度間にわたって少し細かくお聞きしたいと思います。 それでこの議論は、これから減速経済になるという、歳入の伸びが限られるという前提でも非常に大切だと思います。そんな議論はしないで、すべての制度に全部予算をつければいいじゃないか、まだ薄いところに全部予算をつけていけばいいじゃないかという議論はありますけれども、しかし、ちょっと私の責任で厚生省の方に計算してもらったのですけれども、野党の皆さんが主張されている福祉年金三万円、それから医療保険の九割給付というような要求を全部計算してみましたならば、医療保険と年金、それから児童手当、これだけで四兆二千億の追加財源が必要なんですね、五十年度の段階で。これができるわけないですから、どうしても内部の議論というのは必要になってくるのではないかと思います。それで、もう一つ先に申させていただければ、私は、本年度、住宅重度障害者の介護手当というのが成立したということは非常に大きな進歩だと思うのです。私が先ほど申しました、本来優先される部門に優先されてないというのはこの部門を指しておるわけですけれども、なぜ本来スタートすべきこの制度がことしまで見送られてきたかということを反省いたしますと、どうも福祉という問題に力関係が左右する配分というものが存在してきたのじゃないか。もっと悪く言えば、プレッシャーグループと申しますか、運動のうまいグループがより予算を取るという感じがあるのではないか、そういうようなことを感じるわけであります。 その福祉全体のバランスと、それから福祉予算が決まるプロセス全般について、最初に馬場参考人に全般的な立場から、アウトサイダーとしてどういうような御感想をお持ちなのか、お聞きしたいと思います。
○馬場参考人 いま先生から御指摘ございました問題は非常に大きな問題でございますので、私これから申しますことは、個人的な見解というふうにおとりを願いたいと思います。 まず、私、福祉政策というものにつきましては、これは複合的な性格を持っておる。つまり、産業主義と社会連帯主義という、性格の異なった原理を結びつけて福祉政策というものが展開をしておるのだということ、これがまず第一に申し上げたい点でございます。 したがいまして、産業主義の立場から申しますと、効率を上げるために業績主義、それから連帯主義の立場から申しますと平等化、公平ということが重要になるわけでございますが、この性格が異なっておりますものを何らかの形で融合、妥協させますのが政治の問題である。したがって、福祉政策についてバランスの問題というのは、これは政治的なバランスをおいては考えることができないということを第二に申し上げたいと思います。 それから第三点といたしまして、先生御指摘になりましたように、日本の福祉政策が生み出してまいりました福祉複合体と申しますか、社会保険、社会福祉、公的扶助等々の中で、産業主義と申しますか、経済成長の背後にありましたようなその考え方と結びついた社会保険の部分が最初に展開をしてきた。これに対しまして、ソシアルサービスと言われております社会福祉の面がやや出おくれてきていた。その意味から申し上げますると、先ほど御指摘ございました重度身障者に対する在宅介護手当の支給というのは、そういうソシアルサービスの面の充実ということに非常に意味の深い一歩を踏み出したということでは、先生御指摘のとおり、私もこのことは非常に重要な意味を持っているのだというふうに思うわけでございます。 それから最後に申し上げたいことは、性格の異なりました原理を結びつけて福祉政策ができているわけでございますので、そのバランスは政治のデモクラシーの面で行うわけでございますので、したがいまして、一義的にバランスがとれたとかとれないとかいうようなことばなかなか言いがたい。歴史的な過程で漸進的にバランスをとるように努力すべきであるというふうに考える次第でございます。 はなはだどうも抽象的なことを申し上げましたが、以上で私の意見といたします。
○加藤(紘)委員 非常にむずかしいけれども、その政治的バランスにおいて考えろということだと思います。 そうしますと、それは一義的に言えないし、そのときどきの社会の国民の意識、そういうものを見きわめて政治的に決定しなければいけないということになりますと、ここで厚生大臣が、一体いまの諸制度の中で、福祉諸政策の中で、どの分野が、そしてどのような人たちが一番緊急に光を当てなければならない分野であると考えておられるかというのは重大な問題になってくると思いますが、この辺いかがですか。
○田中国務大臣 社会保障ないし社会福祉は非常に細かいニードもございますので、一がいにどの分野だけに力点をしぼるということについて申し上げることはいかがかというふうに思われますが、しかし、強いてこのことを申すならば、やはり今日、生活自立のできない者つまり生活保護者、老人、身障、母子といったような人々に対して、第一義的に施策を考えていくというのが必要であろうというふうに私は思われるわけであります。そのほかに、いま先生のお説の中にいろいろな問題を提起していただきましたが、いまの在宅障害者福祉手当等の創設をめぐりまして考えられることは、従来わが国においてはとかく入所者の処遇に対しては力を入れてまいりましたが、在宅者についてはおくれがちだったという反省もいたさなければなるまいということを、この制度の創設に当たって感じたところであります。 いろいろなお話がございましたが、とりあえずお答えはこれだけにしておきますが、いろいろと先生の諸説について私も考えるところがございます。
○加藤(紘)委員 大体、生活保護、老人、身障、母子というような、漠然とながらかなりの論議が出てきているように思いますが、その最大の問題は、いまだれが一番福祉が必要かと私なりに素人的に考えますと、極端な難病で、二十歳ぐらいになったら必ず死ぬ運命にあるかもしれないという筋ジストロフィーの人、それからどうにもならない障害を抱えて本当にもがき苦しんでいるけれども、更生しようとしているけれどもなかなかだめな重度の身体障害者、特に在宅というのは大変なことだと思います。それでその点は、一つのプライオリティーだというような示唆をいま大臣からいただきまして、ありがたく思うのです。 この際ちょっとお伺いしたいと思いますが、事務局でも結構ですが、いま在宅重度障害という概念ではどれぐらいいらっしゃるのか、そしてその人が施設に入った場合には国はどの程度の費用をかけているか。つまり、その人を完璧にやるためにはこの程度の費用がかかるし、そして在宅にはいま国はどういう手を打っているかということをお伺いしたいと思います。
○翁政府委員 お答え申し上げます。 ただいま御質問のございました在宅の重度の障害者の数でございますけれども、四十五年の調査を敷衍いたしまして、現在推定されますのが大体三十万前後ではなかろうか。ちなみに身体障害者全部の数が百三十一万でございます。 それから在宅の重度の障害者の人々に対する福祉の措置でございますけれども、これはホームヘルパーを派遣すること。それからその方々が病気になった場合の介護人の派遣。それから、いろいろ日常生活に必要な特殊の便器であるとか、あるいは特殊の寝台であるとか、あるいは本年度から新しく設けたいと考えております電動車いす、そういった日常生活用具の給付というものを考えております。それからさらに五十年度から、新たに福祉電話の創設ということをいたしたいと考えております。 それから第二の御質問でございます費用の問題でございますけれども、施設はいろいろございます。非常に重い療護施設あるいは福祉工場とございますけれども、生活費にかかるものを除きますと、大体一人二万円から八万円程度。二万と申しますのは福祉工場の事務費でございます。普通の身体障害者の更生援護施設では大体四万、それから重い療護施設等では八万、大体そのくらいの数字ではなかろうかというように考えております。
○加藤(紘)委員 いまの数字はいろいろ議論のあるところだと思いますけれども、かなり重いところでは施設はどうしても四万ぐらいはかかってしまう。これは生活費を除き、それからいろいろな措置費、職員のいろいろなものをかなり抜いてある計算じゃないかというような感じがいたします。一軒一軒で重度障害者を抱えた場合にはかなりの負担になるということで、本来国がこの施設にもっと早く入れなければならないけれども入れないで、在宅で見ている場合、また家族が在宅で見たい場合、その差の問題をいままでかなり放置されてきたのを、今回介護手当ができたということは非常に大きな進歩であり、明るい気分になると思うのです。 それで、その重度障害者との関連で私がちょっと気になりますのは、児童手当の問題であります。先ほど大臣も、やはり重度障害者なんかの方が先である。そう考えますと、児童手当というのがいまこれから本当に伸ばしていかなければならぬ制度であるかということについてお伺いしたいと思うのです。 私は三十五歳でありまして、大体われわれ三十五歳前後の人間が考えることは、子供は二人つくった。これは標準的につくるわけです。しかしもう一人産みたい、しかし経済的にどうかなといって、産むか産むまいか考えて、やはり産むということを決めた人は、どちらかと言えば経済的余裕のある方なんです。この児童手当というのは、その比較的経済的余裕のある三人目を産む人に月々五千円差し上げましょうという、若干の社会保険的な色彩はありますけれども、しかし、国及び地方自治体がこれに投下する予算が一千億であります。なおかつ、所得制限を見ますと、昭和四十九年の収入で三百二十二万、現在月収三十五万のサラリーマンには児童手当が出るということであります。これは、そこまでやらなくても――あるに越したことばないのですけれども、ほかにもっと重点を置くべき福祉施策があるのではないかという観点から、これを来年以降どう考えるかという重大な問題があると思うのですが、大臣いかがですか。
○田中国務大臣 さっき社会福祉の対象者についてのニードの強さということについての御質問がありましたが、背後に恐らく児童手当についての御疑問があろうと私は推察をいたしておりました。私自身も実は児童手当創設について党の立場でずいぶんと努力をいたしました。その節いろいろ勉強をいたしましたが、この制度というものが果たして日本の社会的風土になじむものであろうかどうかということについて、非常な疑問を実は持っておったわけであります。 これは前に予算委員会で、私、就任早々に、たしか八木委員に御説明申し上げたと思いますが、簡単に繰り返しますが、この制度がヨーロッパで発足をいたしましたのは今世紀の初めごろ、ヨーロッパでは何といいましても能率給主義による給与の体系ができておるものですから、子供ができて生活費が非常にふえてきたときに、その人たちが苦労するというようなことを考えて、児童手当というものを創設をしたもののようであります。しかし、わが国におきましては、いわゆる年功序列型賃金というものが定着をいたしておりますし、その上にまた家族手当というような制度もございますので、したがって、このような制度がわが国の今日の社会的土壌の中になじんでいくであろうかどうかということについて非常に疑問に思いましたが、政治情勢上つくるということでございますので、私もこれについて深く参画をいたしました。したがいまして、今日これについてのいろいろな疑問が世間にあることば事実でありますし、また率直に申して、これについての非常に強いニードというものが余り政治家のわれわれのところに出てこないということも踏まえてみなければならぬと思うわけでございまして、したがって、この制度を今後急速に第二子、第一子というふうに拡大をしていくかということについては、私も先生と同じように、他の制度との優先度においては落ちるものであろうというふうに率直に申し上げなければならぬだろうと思います。しかし、児童の健全育成ということをテーゼにしているこの制度を全く没却、否定をするというのはいかがかと思いますが、他の制度で優先すべきものがあるならば、そっちの方に予算をかけていくというのが正しいやり方だろうというふうに私自身は思っておるわけであります。 なお、所得制限について緩いではないかというお話がございますが、これはそういうわけで、独特の低所得階層に対して支給をするものでございませんので、したがって余り低い所得制限をかけますと、どなたにも渡らぬというかっこうになるものでございますから、この程度のものが大体妥当のところじゃなかろうかというふうに思っているところでございます。
○加藤(紘)委員 いまはしなくも大臣は、いろいろな政治情勢もありましたのでこの制度が発足しました、年功序列制度の日本の風土に合うか合わないかということを考えたいということをおっしゃいましたけれども、これは私、われわれ与野党とも政治家が本当に考えなければならぬ本質的な問題だと思うのです。どうしても、人間が多い、福祉対象人員が多いところにわれわれは福祉予算をつけがちであるというような癖を持っているのじゃないかということを考えて、声のないところにもつくというような、そういう観点からこれを考えていくべきだと思います。特に、もらった本人から、政治家は私たちにやらないでほかに回すところがあるのじゃないですか、というような発言が出るような福祉政策というのは、考えるべきだと私は思います。 次に、もう一つの問題として老齢福祉年金がございます。これは、先ほど馬場参考人が、家族同居の日本の実態からいろいろ単純に考えることはできない、むずかしい問題であるとおっしゃいましたけれども、また福祉年金の性格をどう考えるか、これは本当の正確な年金という意義づけをするのか、いろいろ議論はあると思いますけれども、いま非常に生活が困っているところに所得保障的に老齢福祉年金を出す、そういう気の毒なおじいさんに対して出すというような観点から見ますと、同居親族、扶養親族の年収が八百七十六万、つまり月収七十三万の家庭にも老齢福祉年金一万二千円が今度出るというのは、どうも私、納得いかないのであります。去年までの支給対象人員の枠を守っていくためにだんだん所得制限額が上がってきたという、そういう行政上の問題はあると思いますけれども、しかし、月収平均七十三万といいますと、最近強い者の代表と言われる大商社の部長さんのクラスの賃金じゃないでしょうか。そしてその方の家庭というのは、大体、住宅問題というのは解決していると私は思うのです。老人問題というのはほとんど住宅問題だとまで言い得るわけですけれども、家族の老人室もしっかりつくれる大商社の部長さんクラスまで老齢福祉年金を差し上げる必要があるのかというようなことを考えるわけです。 それで、その点から私一つ提案したいのですけれども、来年度から老齢福祉年金を二段構えにして、本当に所得保障が必要で、一人暮らしで大変なところに対するいわゆる所得保障的な一級年金と、それから、大変家族の収入もいいけれども何か国が敬老的に差し上げる二級年金と、そういうふうに段差をつけていくということを、もう具体的に考えてしかるべきじゃないかと思われますけれども、大臣、いかがでございましょうか。
○田中国務大臣 お説のとおり、所得制限制度と絡みまして、老齢福祉年金に一級と二級と、俗にそういったような種別をつけるべきであるという議論をなす人が先生以外にもあることを実は私は知っております。社会保障制度審議会の有力委員の中にもそういう御意見がありまして、私もしばしば聞いております。一つのアイデアだと思うのでございます。しかし、今日の社会情勢、そして今日まで積み上げてきた福祉年金制度で、このことが果たして簡単に実行できるかどうかということについては、私、今日まだ自信を持たないわけであります。 と申しますのは、まずその福祉年金の金額そのものについて、それほど差別をつけるような必要があるかどうかという議論が出てくるだろうと思います。 〔小山(長)委員長代理退席、湊委員長代理着席〕 それから技術論でございますが、一体どのグレンツでもって一級と二級とを分けるか、またグレンツ周辺では逆の現象が起こるというようなこともあり、それを避けるために細かい段階をつけるということになると、これまたいろいろ技術的に、あるいは公平の面で問題が出てこようということでございまして、一つの御提案ではございますが、今日これを直ちに実行することには、かなりむずかしい問題がいろいろ含まれているというふうに私どもには思われるわけでありますが、福祉年金並びにそれらしいものが非常に金額が多くなってくる場合においては、お説のとおりのようなことは考える余地はあるというふうに私は思っておりますが、一万二千円内外のところでは、この制度を直ちに導入することは、さっき申した制度の立て方あるいは国民感情、そしていままで定着した福祉年金に対する国民の意識等々を勘案をいたしまして、そう簡単なものではないのではなかろうかと思っている次第であります。
○加藤(紘)委員 大臣の立場としてはなかなかむずかしい言いにくい問題だろうと思いますけれども、一万二千円という額は大したものではないから、そう差をつけるべきではないというお話であります。しかし大臣も、五十一年度から二万円ぐらいを考えているということをおっしゃっていますね。それで、確かに二万円ぐらいになりますと、全国に五百万受給者がいるわけでして、これは国民の間では、もらうもらわないというのは、かなり深刻な議論だと思います。 それと同時に、やはり国がもっと見てあげなければいかぬのじゃないかという、一人暮らしの老人に対する国の施策の弱さの発言もかなりありますので、これは年金制度全般との絡みになってむずかしい話だと思いますけれども、後ほど深刻にお考えいただきたいと思います。これは要望であります。 それから次に、一つの制度の中でも優先順位をつけなければいかぬのじゃないかという議論をしたいと思います。具体的に言いますと、先ほど谷川さんがおっしゃいました医療保険制度内部の問題であります。 ちょっとお伺いいたしますが、田中厚生大臣が選挙区でかぜ引いて二千円ぐらい医療費がかかったら、国は幾らぐらい全体で見るでありましょうか。恐らく国民健康保険だろうと思います。ですから、国で二千円かかったら一千円出していることになると思います。大体そんな感じになりますね。ですから、かなりの高所得者の層がかぜを引いても、また一般の健康な人がかぜを引いても、国はそのたびごとに一千円出している。これが積もり積もって一兆九千億の医療国庫補助ということになっておると思うのです。それで医療保険というものは、本来、多額の医療費の出費が家庭経済破壊を招くことに対する一種の保険である、危険分散のための保険であるという考えでいきますと、通常のかぜ引き、二日酔い、腹下し、これにまで出さなくたっていいじゃないかという議論は非常に説得力があると思います。しかし同時に、これは受診抑制だとか福祉逆行だという議論になりますから、やはりセットとして、その分の財源を、たとえば高額医療とか差額ベッド解消のためとか、それからいま一番困っておるのは、保険で付添看護婦さんが認められてないことでありますね。そういう面に向けて出すというような、一つのセットとしての議論で福祉財源の配分を、重点配分、傾斜配分を考えるということが必要ではないでしょうか。考え方はわかるが、コンセンサスが得られるかどうかというさっきの谷川議員に対するお答えでしたけれども、国民全体は、かぜ引きよりも付き添いを見てもらいたいという感じがあるのじゃないでしょうか。大臣いかがでしょう。
○田中国務大臣 お説のとおりの議論が世間にあることをよく私も知っております。同時に、また制度といたしまして、一部負担制度を導入したこともあるわけでありますが、どうもこれについて、医療の世界は率直に申しまして、なかなか当事者の利害が鋭角的に対決をする場でございまして、制度の改正ということが非常にむずかしいということを現実問題として踏まえて考えなければなるまいと思うわけであります。 かような意味で、いまおっしゃるような程度のものについては、これを足切り制度にしたらどうかということについては、私は貴重なまた大変次元の高い御意見だと思いますが、しかし、これについていま直ちにこれを実行するということについて、実現性があるかどうかということについては、なかなか私は簡単じゃないということを申し上げた方が率直だと思います。 いずれにいたしましても、そういう政策要請は私はまじめなものだと思いますので、今後、国民のコンセンサスを得つつそういう方向に持っていくことについては、私としては政策として悪いことだとは思っておりません。しかし、諸外国でも、さっき申しましたとおり、こういったような方策をとっている国は余り医療保険の分野ではないようでありまして、薬の足切り制度などということをとっている国が間々ありますが、高額医療制度などの充実と相まって、その方面について検討はいたしていきたいというふうに思っております。
○加藤(紘)委員 いままでのいろいろな経緯、利害関係からむずかしいというお話ですが、私も国会議員になった当初、確かに親戚の医者と薬屋さんから、医療問題にだけは手をつけるな、命取りになるからと言われておったのですけれども、委員会でこんな質問をするような姿になっておるわけであります。私は、厚生大臣の立場もわかりますけれども、ある程度もう大胆にやらなければ、国民もそれを望んでおるのじゃないですか。厚生行政に詳しい大臣ですから、その知識を超えて大いにやっていただきたいと思います。 さて、ひとつ年金制度についてお伺いいたします。 世上一般に、賦課方式で行くか、積立方式で行くかという議論がありますね。しかし、国民年金を五十年度について見ますと、収入は保険料と国庫負担で四千九十億、給付は四千二百十億、ほぼとんとんですね。言うなれば、賦課方式というものを、この世代の人間がこの世代の老人を見るという制度であると定義しますと、もう国民年金は完全に賦課方式ではありませんか。ですから、賦課にするか積立にするかというような議論というのは、かなりもう空虚な議論であって、すべての制度にわたってもう賦課方式に移行する時期に来ているのではないかということさえ感じます。 そうなりますと、ほかの制度との関係になるわけです。厚年とか共済とかですね。これは、単に国民年金の五十一年度以降の財政の立て直し云々の議論じゃなくて、各種年金制度に共通したある種の基礎的な部分の方式を考えるというような大胆な議論も含めて、そろそろ年金の抜本的な問題に取り組む時期に来ていると思いますが、いかがですか。財政問題も含めてです。
○田中国務大臣 先生おっしゃるとおり、昭和五十年度の単年度収支におきましてはやや収支が均衡しておりますが、年金は、御案内のとおり長期にわたる数理計算に基づいてやるわけでございまして、今後の経過年金を含めての拠出年金の給付状況を見ますと、今後とも収支が均衡するというふうな数理にはなっておらないようでございますので、したがって、単年度だけを見て簡単に賦課方式に切り変わったと見ることはいかがかと思われるわけでございます。 しかし私は、賦課方式にすれば万事問題が解決するというふうな、安易な考え方をとることはできないというふうに思います。賦課方式というものが一体何であるかということについての考え方も、人々によってそれぞれ違っておるようであります。極端な賦課方式と申しますれば、恐らく今日もうすでに福祉年金の受給者になっておる人についても、過去の経過期間を踏まえて全部これを拠出年金と同じように考えるなどという賦課方式などもありますし、そうではない、俗説で言われる修正的な賦課方式等々いろいろな問題があると思いますから、これについての考え方の統一をしなければなるまいというふうに思っているわけであります。いずれにいたしましても、各種年金あるいは共済の長期給付等を含めまして、できるだけ政策の整合性を打ち出すようにしながら、年金の基本的な考え方について洗い直しをしていく時期が来ているというふうに心得ております。
○加藤(紘)委員 そうすると、もうちょっと突っ込んでお聞きしますと、五十一年度については国民年金の財政がかなり問題になりますね。そのときの財政を考える際に、ほかの厚年とか福祉年金の本質的な問題にまで関連させて、突っ込んで考えていくということですか。それとも、国民年金の保険料の値上げという段階で終えるということでありますか。
○田中国務大臣 ただいま作業中でございまして、その作業の範囲をいかがにするかということについても確定をいたしておりません。しかし、私が先般予算委員会で申し上げました福祉年金のあの程度の給付財源を捻出するためには、いままでの方式ではやっていけないことは事実でございます。したがって、拠出制年金との関連においていかがこれを組み直すかということは、少なくともいたさなければなるまいというふうに思って、その手法についてあれこれ今日検討中でございまして、具体案を御相談申し上げるのについては、若干の期日をかしていただきたいというふうに思っております。
○加藤(紘)委員 この年金制度を抜本的に考える際にも、それから医療保険もそうでありますが、いろいろな制度を考えていくと、いま日本の社会には、社会保障制度内部にかなりの社会的不公正がありまして、そしてそれぞれの主義、主張を持って、エゴを持っておるグループがそれぞれの制度を守りたいと主張する。特に医療保険なんかはっきりしておりますけれども、労使ともに制度を守ろうとする。私は、公害の問題でも言えることですけれども、いま日本の社会で大きな組織を持っておる労使が一緒に利害が一致したら、どんなことだってできるというような感じがするのですよ。それでまた逆にどんな制度だって守っていってしまうのじゃないかとさえも思います。 それから私は、社会保障体系全体をこれから見ていく場合に、すでに存在する社会保障制度間のエゴの問題に、政治家が敢然として立ち向かっていかなければいかぬと思うのでありますけれども、厚生大臣は当面の担当者であり、なかなか言いにくいところもあると思いますので、大蔵大臣に、財政論全般から見て、いまの社会、それから政治風土から、医療と年金とを考えた場合に、大きな集団と小さな組織されない人間に対する制度間の問題について、政治哲学的にどう思われるか、その辺をお伺いしたいと思います。
○大平国務大臣 これまで、とりわけ戦後を問題にしてみますと、戦後わが国の経済は幸いに復興成長の軌道を順調に走ることができまして、戦後、財政も年々歳々相当額の自然増収を期待することができたわけでございます。したがって、社会保障ばかりでなく、各種の要求に対しましても、大きな抵抗なくその要求をある程度満たすことができたわけでございます。したがって、厚生省といたしましても、加藤君がいま問題にされておる内部の問題の検討もさることながら、大蔵省に対しまして要求をされることに果敢であったし、また大蔵省も、それに対しましてある程度応ずることができたのが、いままでの経緯であったと私は思うのであります。ところが、最近になりまして、世の中さま変わりいたしまして、そういう経済の成長はとまったばかりでなく、マイナスの成長になったということでございまして、これは相当長く続きそうだ。自然増収を期待できるような甘い環境ではないわけでございます。 だといたしますると、財政当局といたしましても、これはひとり社会保障ばかりではございません、あらゆる国費の要求に対しまして、これからが本当に厳しい査定をし、対応をしていかなければならない時期に来ているんじゃなかろうかと思うのです。 したがって、厚生省さんにおかれても、大蔵省に対する、財政当局に対する御要求より前に、あなたがきょういみじくも指摘されたように、内部の不均衡、内部の不経済、そういった点について、私は、周到に綿密に御検討いただいて、そしてできるだけそこで問題の解決を図っていただくようにお願いしたいと思いますし、賢明な田中厚生大臣であられますから、必ずわれわれの期待にこたえてくれるに違いないと期待をいたしております。
○加藤(紘)委員 質問の時間の関係で最後になりましたが、厚生大臣にお伺いしたいのですが、その内部のバランスの問題と、それからどうしても福祉にプライオリティーをつけろというのが私の主張なんですけれども、そういう観点でこれから五十一年度以降の福祉政策の体系づくりをお考えいただけるかどうか、お答えいただきたいと思います。
○田中国務大臣 お説の点は、私は社会保障、社会福祉の大問題だと思うのであります。それで、実際問題といたしまして、これに手をつけようということを、いろいろ過去においても努力をいたしましたが、壁にぶち当たってできなかったことが間々あったわけでございますが、社会的公正ということを考えるときに、これについては手をつけねばならぬというふうに思っておりまして、ある意味では蛮勇をふるわねばならぬというふうに思っておりますので、これについては、特に国会の皆さんの強力な御協力がなければできないわけでございますので、お願いをいたしたい。 わが国の社会保障制度は、できるものからやっていって、だんだんと全部に網をかけたというような歴史的経緯がありまして、これがアンバランスを生じた一つのゆえんであろう。しかもこの種のものは、一遍制度化いたしますると、既得権の擁護については異常な熱意を示すというのが、これが世の常だろうと思いますが、これにつきましては、いろいろとまた問題がありまして、とにかく先生のおっしゃりたいのは、医療保険における組合管掌と政府管掌の問題あるいは、厚生年金あるいは他の共済年金と国民年金との問題、どれを踏まえましても、実は労使いずれの方々の互譲の精神というものがなければやっていけないわけでございますので、どうぞ国会における与野党の方々の特段の御理解をお願いいたしたいというふうに思います。
○加藤(紘)委員 最後に、経済企画庁長官に簡単にお伺いいたしますが、新しい五ヵ年計画が、名前は決まっていないそうですけれども、お考えのようですね。それで、これからの福祉社会を、振替所得をどこまで伸ばすか、それが世の活力にどう影響を与えるかという基本的なむずかしい問題を、低速経済の中でビジョンづくりをしていかなければいかぬという時期に来ていると思いますが、どういう姿勢で社会保障問題、福祉の問題を五ヵ年計画の方に盛り込んでいかれるか、基本姿勢を簡単に質問して、終わりにしたいと思うのです。
○福田(赳)国務大臣 大蔵大臣が、いま世の中がさま変わりになる、こういうふうに申し上げましたが、私も全く大蔵大臣とその点については見解が一致しております。大福寸分のすき間もない見解でございます。 そういう情勢になりますと、諸制度、諸政策、これはもう一変しなければならぬ。この福祉政策の考え方にいたしましても、いままでの高度成長のときは、世の中の苦しい立場といいますか、小さい、弱い立場の人、そういう人も、高度成長の成果に大いに均てんをして、去年よりもことしはよくなったなという満足感を持っておったと思うのです。低成長時代になりますと、そういう余恵といいますか、均てん度というものが非常に低くなる。それだけに、この国民経済力の配分問題、これに配慮をしなければならぬ、こういうふうに考えておるのです。 ですから、五十一年度を始期とする長期計画をつくりますが、そのときには、前にも申し上げましたが、省資源、省エネルギー、こういう線で貫かれなければならぬ、こういう問題がある。ありまするけれども、この国力の配分面、つまり、私どもが社会的公正と言っていますが、そういう線、これを太い基軸にしなければならないだろう、こういうふうに考えておるのです。 そういう考え方をとりますと、この振替所得の比率ですが、ことしは七・八ぐらいに見ております。しかしこれは少しずつ上がっていく。そうすると、低速経済下ですから、財政との調和という問題が起きてくるわけです。そこから高福祉高負担論、こういうようなものも出てきますが、その高負担の限度をどの辺に見るかということが、また高福祉の限度がどの程度まで進むかという問題にもつながってくる、相見合うわけです。 そこで、その程度が、両々相まってどの程度がいいのかという点は、これはもう少し、国民の気持ちというものがどういうふうに整理されていくか、福祉をうんと充実する、しかし反面、負担がそんなにふえたんじゃ困るというような声が圧倒的に強いというのでもまた摩擦がありますので、その辺は、国民のコンセンサスがどこの辺にいくかということをよく見詰めて、また皆さんに御相談をしたい、こういうふうに考えております。
○加藤(紘)委員 質問を終わります。(拍手)
○湊委員長代理 これにて加藤君の質疑は終了いたしました。 馬場参考人、伊部参考人には御多用中御出席をいただき、まことにありがとうございました。御退席をいただいて結構でございます。 次に、小林進君。
○小林(進)委員 私は、社会的不公正という集中論議のテーマの中で、特に、最も社会からあるいは行政から冷遇、あるいは残酷と言ってもいい取り扱いを受けている精神障害者の問題について、御質問をいたしたいと思うのでございます。 まず、政府にお伺いいたしますが、この高度成長下における社会的ひずみの中で、精神障害者の数は漸次増加をしていると思いますが、一体どの程度にふえているのか、実態についてお聞かせいただきたいと思うのでございます。
○佐分利政府委員 精神障害者の数についてでございますけれども、全国精神衛生実態調査は去る昭和三十八年に実施しておりまして、その当時は推計患者が百二十四万人となっておりました。こういった調査は十年ごとに実施しておりますので、去る四十八年にも実施したのでございますけれども、そのときは一部地方自治体の反対がございまして、十分に実施することができませんでした。したがって、厳格に推計患者を比較することはできないのでございますけれども、患者調査その他によって入院患者、外来患者の推移を見ますと、ただいま先生御指摘のとおり、精神障害者の数は少しずつふえておるような印象を受けております。
○小林(進)委員 精神障害者がふえているというお答えをいただきましたが、それに対応する病院の数は一体どの程度にあるものか、これも政府からお伺いをいたしたいと思います。
○佐分利政府委員 精神病院の数、また精神病棟を持っております一般病院の数は、年々少しずつふえておりまして、四十九年の末では、およそ千四百五十程度の病院ができております。
○小林(進)委員 私の質問は、ごく初歩の常識的な質問でございますので、できれば厚生大臣から御答弁をお願いいたしたいと思うのでございます。 現在、病院数は、国立、都道府県立、市町村立、公的医療機関、その他法人、個人病院を含めて一千四百四十九、まあ一千四百五十とおっしゃいましたから大体間違いない。それに対する病床数が二十六万一千七百四十五、大体二十六、七万人を収容するだけの病床があるようでございますが、大体これらの病床は、それぞれ満員に近く収容されているものと見て、その病院の内部における精神障害者の入院の状況でありますが、その実態は一体どんなものなのか。これは本日、御多忙の中をおいでいただきました福井東一先生にひとつお聞かせを願いたいと思います。
○福井参考人 ただいま御紹介いただきました福井東一であります。 私は現在、精神神経学会の理事をやっておりますけれども、同時に医療問題委員会の委員長をやっております。と申しますのは、いろいろ新聞で皆さんがごらんになったと思いますけれども、精神病院でいろいろな不祥事件が起きております。これは、現実の問題としてひどいと思われるようなことがいろいろ新聞に出ているわけですけれども、そういった問題は、もしか治療というものが、学術的に考えられていると同じようなものが現実に行われているとしたら、そういうことはあり得ないわけです。その間をつなぐために、一体その食い違いがどこにあるかということをわれわれ委員会が調査をして、それを学術的にまとめたいということで始まった委員会であります。私は、その委員会の責任者としまして、数々の不祥事件の起きました病院に、何の権限もないのですが、何とか中へ入りまして、いろいろ実情を確かめたわけであります。 その結果をいろいろまとめておりますけれども、その中で一番はっきり、だれが見てもおかしいと思うようなことは、たとえばこれは滋賀県の病院でありますけれども、精神薄弱者という知恵おくれの患者さんに対して、ちょっと暴れたからといって投網みたいな網の中に包みまして、そして寝転がしていたわけです。そういう中で暴れているうちに心臓が弱って死んでしまったということであります。そんなようなことも、やはりただ.おさめておけばいいのだ、入院して治療をされる者が、その中で逆に網の中に拘束されて――私も自分でかぶってみましたけれども、その中で身動き一つとれない。極端に言えば、間違えればそのひもが首にかかるということも可能性があるわけであります。そういう中で死んでいったということが事実としてあったわけであります。それから、やはりその同じ病院ですけれども、ちょっと言うことを聞かなかった患者さんが、特別な保護室といいまして、個人だけ入れておく部屋があるわけですけれども、そこの柱にひもでもって手足を張りつけみたいな形でくくりつけられて、それも、いまの精神医療というものが要請されている現状の中では、多少の職員と患者さんのトラブルはやむを得ないのでありますけれども、その方は三日間ぐらいそのまま放置された、食事も運んでもらえなかったそうです。大小便の始末もしてもらえないで、結局おしりが腐りまして、それでただでさえ不自由だった片足がほとんど使えない状態になってしまった。そんなようなことも、現実には精神病院の中で行われているわけです。そのことを、われわれが学会で調査しまして、県庁などに改善方の申し入れをしているわけであります。その申し入れば、結果的にはどこまで現実に取り入れられたかわからないのが現状であります。 それから、そのほか、たとえば北海道に、これは新聞に出ました有名な病院でありますけれども、北全病院というのがございます。脳の手術というものは、十分にそれまでの経過を見て、最終的にやるべき手術であるということが厚生省の治療指針にあるにもかかわらず、その病院では、入院して間もなくその手術を決定し、行ってしまっておるわけであります。ということは、脳という人間にとって非常に重要な臓器というものが、治療するはずの精神病院において非常に軽視されている、そういう実態があるわけです。これは、あくまでもロボトミーという療法でありまして、治療でありますけれども、現実には、本当の適用でなく非常に安易に患者さんに行って、とにかく結果的には廃人にしてしまったわけですけれども、そういうようなことを気軽にやってしまっておる現状があるわけです。 それからまた、ある病院で、そういう現状を見かねた患者さんたちが立ち上がりまして、暴動が起きたわけであります。これは静岡県の病院であります。ですけれども、患者さんが暴動を起こして何をやったかと言いますと、自分たちのひどい状況をマスコミに訴えたいということで暴動を起こして、それでどうしたというのではなく、とにかくマスコミを呼んでくれれば自分たちは暴動をおさめるということ、それで自分たちがいかにひどい目に遭っているかをマスコミに発表したところで暴動がおさまった。ですから逆に精神病院の中では、患者さん方が常識のある態度をとっておる。そういう現状もわれわれは実際に見てきたわけです。これは正式な学会の報告として報告してございます。 そういう中で、これは京都府に十全会系の病院というのがありまして、京都府の入院患者の中の三三%がそこに入院されておるわけでありますけれども、京都府で一年間に亡くなる患者さんが大体九百数名、その中の八百数名がその病院でなくなっているわけです。余りにも死亡率が高い。極端に言うと約三倍の死亡率を持っている。なぜそういうように亡くなるかということを調べたわけですが、そうしますと、やはりその病院では、いまの厚生行政の中で非常にりっぱにやっているわけです。何というんでしょうか、一生懸命考えれば当然こういう病院ができ上がるのではないかというような病院なんです。ということは、建物も非常にりっぱですし、ドアなんかも自動ドアなんです。前に立ちますと自動的にドアがあくようなりっぱな病院であります。その病院の中で患者さんは、一人の人間として扱われるのではなく、完全にマスとして扱われているわけです。特に老人がそこに多く入院しているわけでありますけれども、それ自体も、実は老人内科というのが、入ったところにかかっていまして、家族は内科病院にでも入れたつもりで入れているわけです。ところが実際には、精神病院という、非常に拘束あるいはレッテルを張られる病院の中に入れられたわけでありますから、それ自体が一つの問題点として残りますが、それはさておき、とにかく入れられた老人は、たとえば食事なんかは特定の人が運んでくるわけですが、その老人が何か悲しいことがあって食べなかったら、次にまた運び去る専門の人がその食事を運び去ってしまうわけです。ですから、その間に、食事を食べたらどうだかというような、老人に対する思いやりというものは一切ないわけです。そうして全員おむつを取りかえてしまっているわけです。ということは、立ってトイレットに行けるような、まだまだ人生に余力を残している老人までがおむつという形で、もう立っていくという人生すらもそこで切り捨てられているということなんです。そして、そういうようなコンベアシステムで、最後に寝るときには、眠れる老人であろうが眠れない老人であろうが、注射をされて眠らされてしまう。これは非常に膨大な大きな病院であるだけに、そういうようなことがもうほとんど機械的にしか行われないわけです。しかも日本全国から集まってきた患者さんが、その中へ収容されているわけですから、家族からも切られ、職員からも切られ、それがもっと極端に言いますと、同僚の患者さんとお互い同士で話をしていても、病状がちょっと変わると次の部屋にすぐ移されてしまう。患者さん同士からも切られ、結局、物としてしか扱われていない。そういう病院の中で、結局老人はどんどん死んでいくという形があったわけです。そういうような実情をわれわれは報告しているのでありますけれども、これは私から申し上げるべきことかどうかわかりませんけれども、京都府なんかに申し込んでも、その結果はやはりあいまいになっているわけであります。 それからもう一つ、ちょっとそのこととつながって一言だけ申し上げたいのですけれども、作業療法というものがあります。この作業療法というものが治療となっているということが盛んに言われたわけです。それでわれわれも、いまあるいは治療かもしれないとも思っているわけですが、しかし、これが現実の医療の場においては、結局、患者さんが働くことが治療であるという側面が生かされないで、何か病院の役に立つ面の方が生かされてしまっている。そして現在われわれは、その調査をいろいろやっている段階でありますから、そのことは申し上げられませんけれども、少なくとも本当の純粋培養の理論から言えば治療であるかもしれないものが、結果的には患者さんの賃金のピンはねという形であらわれている。そういったことに関してわれわれは、やはり厚生省にその点いろいろ要望書を出しているわけですけれども、そのまんまになっているわけです。われわれの学会として、要するに純粋培養である学問というものがあくまでも患者さんのものでなければいけないという視点から、患者さんにそれがどういう影響を与えているかということを中心につなげて考えているわれわれは、現在のところ行政から無視されている状態にあるわけです。 その辺を現状として申し上げたいと思います。
○小林(進)委員 これは大変な、恐ろしいようなお話を承ったわけでございます。病院の中で、どうも拷問よりもひどいような、両手両足を縛られて三日もつるし上げられていたり、網の中に包まれて投げられていたり……。これは、いま、近代的な刑務所でも、あるいは近代的な警察でも、こういう残酷な拷問行為は行われていないと私は信ずるのでありますけれども、はからざりき、いわゆる精神障害者に対して病院の中でそういう残酷なことが行われているということを、寡聞にしていままで知らなかった。政治家の席を汚す者として私も大変ざんきにたえない次第でございます。 私は、いまのお話をひとつ確認する意味で、ここで私の持っている資料をちょっと読み上げてみたいと思うのでございますが、最後にお話のありました医療法人十全会系統の系列下にある東山高原サナトリウム、双岡病院、ピルネ病院というこの三つの病院が、京都府における全入院精神病者六千四百二十八人の中の二千百二十四人の患者を収容し、三三%を占めている。その三三%を占めている三病院の死亡率を京都府の衛生部で調査をされた。その調査結果によりますと、七三年の一月から九月までの死亡患者が九百三十七人。これば京都全部であります。京都十四の精神病院の中の六千四百二十八人の中の死亡者、そのうち十全会系の死亡者が八百五十九人、九一・七%の高率を占めている。また、そのほかにも七百八十一人、八三・四%が入院をして一年以内に死亡をしているという、こういう統計が出ておるのでございますが、この点、先生、この統計に偽りはございませんでしょうか。
○福井参考人 いまの統計は、私たちも府庁まで行きまして確認してございます。
○小林(進)委員 どうもその死亡の内容が少しも明白でない、また病名も明白ではないのでございまして、ただ、とにかく入院して一年もたたないうちにばったばったと死んでいく。死んでいくと、この病院は患者狩りと称して、何か病院では十五台ほどの白い十全会パトロール車というものをお持ちになっていて、頻々に、府内はもちろん、府外、近郷近隣、広域地域にこのパトロール車を出動せしめて、そうして新しい患者を集めている。これはほとんど外来者ではなくて人院患者を集めている。そうして一年もたたないうちに、多量に生み出される死亡患者というものをつくり出している。これが流れ作業のごとく絶え間なく循環して行われているというのでございますが、こういう事実は、先生いかがでございましょう、間違いございませんでしょうか。
○福井参考人 これは私として確認したことであり、しかも私たちが行うたときに、このような車が門のところへずらっと並んでおりましたので、台数に関しましては数字を根拠にいたしましたけれども、病院の前に並んでいたことは、私たち現実に目で見ましたし、また実際に、遠くの福祉事務所から、というのは兵庫県ですけれども、かなり定期的にここに送られてきているという事実も確認しております。
○小林(進)委員 精神障害者を扱う精神病院は、あくまでも自傷または他害のおそれがあるという人に、相当高額の入院料や治療費、本人が負担したり、国が負担したり、あるいは府県が負担したりして、大変潤沢な金を支払いながら入院をしていただいている。ところが、どうもこの病院の内部を見ますというと、その治療費に該当するような治療というものが行われていないという懸念が非常に多い。ほとんど治療という観念がない。単に隔離をするというだけの名目でどうも病院内部の行政が行われているようでございます。しかも、隔離が目的なのか、なお加えて営利のためなのか、経済のためなのか。むしろ一般病院よりは精神病院の方が経営上、経済的にも非常に有利だ。どうもそういうことのために盛んに精神障害者を収容している。そして、保安処分と同じような形でそういう残酷な病院内の生活が繰り返されているというふうに考えるのでございますが、先ほどは先生の極端な実例がございましたが、常日ごろ、内部におけるそれ以外の一般の患者に対しても親切な治療が一体行われているのかどうか、看護が行われているのかどうか、こういう点についてもひとつお尋ねをいたしたいと思うのであります。
○福井参考人 老人は結局、隔離収容ということもありますけれども、家族にとっても、いま核家族化が進んでいる中で、病院に入院することば一つの合理的な処理になるわけです。それを受けとめて、この病院としては非常に巨大な病院をつくっていったということであります。そして、その中で利潤を生むためには、やはりこういったコンベヤーシステムにどうしてもなってきてしまうわけであります。そして、それだけでなく、私が申し上げたいのは、治療というものがもろ刃のやいばであるということだと思うのです。治療というものが、純粋に学術的に治療であると同時に、それが現実の患者さんとの間に問題になったときには、その治療は、ときによっては純粋に隔離収容の武器になり、あるいは経済的利潤追求の武器になるものであるということであります。たとえばこの病院で、他の、老人でない、いわゆる純粋に精神障害者と称せられる人たちが少しはいるわけでありますが、その人たちに対して、これもやはり厚生省の治療指針をはるかに超えました大量の薬が出されているわけです。しかもかなり長期にわたって出されている。ということは、なぜそれだけの薬をその人に出さなければならないかという根拠もまた非常にあいまいでありまして、そういうあいまいの中でそれだけの薬が出されていくということは、やはり薬を出すことによってその病院がそれだけの利潤を生んでいく。ですから、相手が文句を言えない患者でありますものですから、その中でやはりそういった利潤追求の武器として治療というものがどんどん使われていく可能性があるということを私たちは確認したわけであります。
○小林(進)委員 ここにも資料がございますが、第一、この精神障害者を収容する病院には、それはおむつを当てるというそういう一つの責任もありますが、先ほどのお話のように、歩いてトイレへ行ける者は努めてそういう労働をさせて治療をさせるということも、これは定められておる。それをもう一律一体に時間決めで、さっささっさと、大体百人の患者を三人くらいで分担して、それでもう機械的にぱっぱぱっぱとおむつをかえていって、治療の方は全然しょうとしない。 それから、この病院内部における食事なども、私の調査によると、朝飯は朝の六時、昼飯が午前十一時、夕飯が午後の三時三十分。三時三十分に夕飯を食わせる世界なんというものは、私はこわも初めて知ったのであります。そして先ほどのお話のように、眠かろうと眠たくなかろうと、さっさとコンベヤーに乗せた形で寝させてしまう。精神患者は、昼間はともかく、食事はのどに通らない。それは、十一時の昼飯、午後三時三十分の夕飯でございますから、とても食事が入らぬ。夜になると腹が減って仕方がない。それはそうでございましょう。三時半から翌日の午前六時まで水一杯飲ませないのでございますから。 一体、こういう治療法が、福祉を優先するなどというこの自民党政治の中に、公々然と行われていていいのかどうかですね。 そして、いま薬のお話がございましたが、その薬などというものは、本当に馬に食わせるほど薬を飲ませているということでございまして、十全系の病院から、余り薬を飲まされてもう衰弱し切った患者が転院をしてきた。よその精神病院へ移されてきた。その精神病者が告白して言うことには、まさに信じがたいほど多量の向精神薬を服用させられており、そのために全身の衰弱が激しく、向精神薬の投与を打ち切っただけでも大変その患者の健康が回復をした、心身ともに健全に向かう顕著なる結果があらわれたという、こういう事例もあるわけでございます。だから、薬を飲ませるためにむしろ患者を衰弱せしめ死に追い込んでいるという、こういう実例があるわけでございます。 入院患者の医療費の中には、この薬の費用がむしろ一番多額を占めているというのが、ほとんどの精神病院の通例のようでございます。特に、狭義の精神科の患者、まあこれは若い患者とも言いましょうか、こういう方々には、非常識きわまる多量の向精神薬が投与され、そのために精神活動を抑圧されてしまった。それで催眠作用を起こし、肝臓や心臓障害などにも冒されて、一生、これはもう精神だけじゃありません、身体的な不具者になってしまった。こういうふうな実例もあって、厚生省の精神科の治療指針などというものはちっとも行われていない。この指針とは天地水火の差があるくらいかけ離れておるというのが現状だというのでございますが、一体この事実に対して先生心かがでございましょう、先生の御意見とともに、厚生省の御意見も承っておきたいと思うのであります。
○福井参考人 この現状というものは、やはり医学のひずみだと思います。一般的に学会というと、いかにも純粋な学問だけをいじっているように見えますけれども、学問がなぜ存在するか。特に医学の場合には、受ける患者を抜きにしてはあり得ないわけです。だから、その患者との間のつながりに関して、特に患者の権利とかに関しての検討が、まだあらゆる面から不足しているのではないかという感じがいたしますが。
○佐分利政府委員 確かにこの病院は、薬の使用量が他に比べて多いようでございますけれども、その点につきましては、事件発生後、京都府の衛生部、民生部が共同いたしまして、改善、指導に努めておるところでございます。
○小林(進)委員 私は、京都府がどういう処置をしたか後でお伺いいたしたいと思いますが、私が厚生省にお伺いしているのは、ただ十全系の病院だけに限っていま御質問しているのではないのでありまして、こういうような傾向が全国的に精神病院の中に共通してあるのではないかということをお尋ねしたわけであります。 この際、厚生省にお伺いいたしますが、こういうような生々しい実態をとらえて、日本精神神経学会精神医療問題委員会から厚生省保険局長あてに要望書が出されている。その要望書等について、一体、厚生省は、これをどのように受けとめ、どのように実態を掌握し、どう改善処置をとられたかをお伺いしておきたいのであります。
○佐分利政府委員 ただいま保険局長が不在でございますけれども、私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、事件発生後、京都府の衛生部と民生部が協力いたしまして、その点等についての改善、指導に努めておるところでございます。 また、その他の病院につきましても、若干薬の使用量の多いような病院も見受けられますので、それにつきましては、各県の衛生部を通じ、また私どもの方で病院の医師等の研修を四十五年からやっておりますので、その機会を通じて改善、指導に努めておるところでございます。
○小林(進)委員 私はいまの御答弁では了承できません。 実は京都の府議会でこれが問題にされて、京都の府知事がそれに対して答弁をしている。そういう資料もここにみんなありますから、いまあなたの御回答とは少し内容が違っておるようであります。これは、自治大臣でも来られましたら、自治大臣にもお伺いすることにいたしますけれども、いずれにいたしましても、厚生省の行政は、この精神病院、精神患者に関する限りは、人間とした扱いをおやりになろうという心がけは残念ながら見るわけにはまいりません。 おいおいまた質問をいたしていきますけれども、この病院に収容をされている精神障害者の内容を見ると、単に精神障害者――これは精神衛生法の中で精神鑑定医二名以上の同一の意見に基づかなければ云々というふうに一つの資格が定められてありますが、この福井先生と日本精神学会の方々が、現地において、現地というのは病院内部でありますが、精神病院内部において事情を聴取されたその結果を総合してみると、生理学的に生ずる老人の記憶あるいは記銘力の不足――年寄りになれば少し記憶力は鈍ります。あるいは記銘力が不足します。ここにいらっしゃる方々も、いまほとんどそれに近い方もいらっしゃるようでございますが、そういうような方々が患者として入院させられている比率がかなり多いという。別な言葉で言えば、単に老人病にしかすぎないという者が、これがどういう経路か精神病者のレッテルを張られて、そしてこういう監獄よりもひどい状態の中に入院させられているという報告がございますが、この点についてひとつ福井先生から詳しく承りたいと思います。
○福井参考人 これは私なんかも現場で案内していただいて見たわけですけれども、たとえば、碁の本とかあるいは修養書とかを静かに読んでいる老人もその中におられたわけなんですが、そういう老人なんかも全部含めて、ベッドの上にきちんと座らされて、一様にコンベヤー的なシステムの中で扱われている。そういう現状がなぜ起きてくるかということを全然配慮なしに、精神病院というものが、たまたま自動ドアの中で、そしてりっぱな建物の中で――たとえばその建物にはべランダがございます。非常に広いベランダがあるのです。ですけれども、だれ一人として、まだ寒い時節じゃなかったにもかかわらず、出ている人はいないわけです。結局、それだけの施設というものが、治療のために一体どう利用されているのかというと、逆に病院を富ましていくためにあるのではないかと思われます。たとえばこの病院の医師の募集の広告があるわけです。その医師の募集の広告は、初任給で年俸千二百万という、われわれの常識から言うと想像つかないような巨額のものを実際にそこでは出せている。出せるからには何か原因があるのだと思うのです。極端に言えば、その病院で亡くなったら亡くなったなりに、また病院でもうけることができる。死後の処置料から死体の安置料から何から全部お金を取られるわけです。そういうように堂々ともうけることができるということで、先ほど佐分利先生からお話があったように、確かに薬の点では現在減っているという話は私は聞いております。しかし、そういった基本的な精神病院のあり方に対して、やはり府で問題になって、知事からどうしていいか厚生省に対して問い合わせて、その返事があった上でわれわれにも答えをいただけるという話があったわけです。ところが現実には、われわれは答えをいただけるのではなくて、これはうわさ話ですけれども、確実な話として、調査に入った人たちを告訴するというような病院側の話が返ってきているだけで、単に薬だけでなく全体的な医療内容の改善ということに関しては、全くペンディングの状態になっているわけであります。その点を私は憂慮するわけであります。
○小林(進)委員 これはいまもお話がございましたように、大学を卒業をして医師の試験を取った程度のものを一年間一千万円から一千二百万円で雇い入れるというのを医師会関係の雑誌に公然と広告するくらい、多額の費用を払って、なおかつこれがペイするのであります。そして入院患者が入っておりますと、生活保護患者はまあ国からめんどうを見てもらえましょうけれども、それこれを問わずおむつ代だけで一ヵ月一万五千円、そして一日百円から二千円までの室の差額料を取られたりいろいろの金を取られているわけだ。それにもかかわらず、先ほども言いますように、基準看護というものは全く行われていない。もう排尿指導、トイレットへ行く訓練をするということも、これは重大な治療の一つなんでありますけれども、それを全然やらない。六時、八時、十時、十三時、十六時、十九時三十分、一日六回、まあ補助婦によって一律一体におむつをさっさっさっさっと取りかえて、後はほうり出されておるという、こういう現状なんです。一体、看護婦の定数がいるのか、医師の実際数はどれだけいるのか。若干内部の実情を調査に行こうと言えば、そういういまの先生方をも告訴をするというふうな、そういう構えで手も足も触れさせない。だれが一体、こういう気の毒な精神障害者の生命を保障してくれるのですか。監督官庁たる厚生省と自治省にまつほかないじゃないですか。ところが自治省もそれができないようにできている。頼みに思うのは厚生省です。厚生省はこういう実情に対して一体どういうふうな行政指導、調査をされたのか、いま少し確信のある答弁をしていただいて、やらぬならやらぬで結構でございますから御答弁を願いたいと思うのであります。
○滝沢政府委員 この三つの病院の医師の数、看護婦の数を申し上げますと、医師は、十七名が必要なところ十三名で、四名不足でございます。東山でございます。それから双岡と申しますか、ここが十九名必要なところを十四名でございまして、五名不足でございます。ピネルが十一名必要なところを不足が五名でございまして、六名おられるわけでございます。 看護婦につきましては、東山が百四十二名必要なところ百五名でございますので、三十七名の不足。それから双岡が百四十八名必要なところ百四名しかおりませんので、四十四の不足。それからピネルが八十二名必要なところ五十七名しかおりませんので、不足が二十五名でございます。 このような医療機関の医師、看護婦の不足につきましては、医療監視の際に確認いたしまして、これは医療監視そのものは都道府県知事の権限でございますが、文書をもちまして、その都度各病院にそれぞれ改善の命令を出しておるわけでございます。
○小林(進)委員 いま定数の不足だけをお話しになりましたけれども、またその不足の中の看護婦の実情は一体どうかと言えば、看護婦はパート制が多い。同一病院で働かされることがなく、他病院へと回される。だから、パートのそういう場所として、そういう厚生省や主管官庁の調べに応じられるように、定数だけはあるようにしているが、内容はパートでぐるぐる回って歩いている。そういう名目上の看護婦の数をそろえるだけの形ができ上がっている。こういうふうな報告も来ておるのでございまして、言えば言うほどどうも尽きないのでありますが、このぐらいでちょっと観点を変えて文部大臣にお伺いをしてみたいと思うのでありますが、一体この精神障害者というものは遺伝なのか。私はちょっと言葉がイと工の区別がわからないのでありますけれども、一体、子々孫々に遺伝をしていくという遺伝の病気なのか。やはり社会の環境、風邪のように社会の空気が悪い、環境が悪い、こういう高度成長の密度の社会の中から生まれてくる病気なのかということを私はお尋ねをしたいのでございまして、お答え願いたいと思います。
○永井国務大臣 私はこの問題の専門家でございませんから、政府委員の方からなお詳しく御説明申すべき事柄と思います。 精神障害者という言葉をお使いになりましたが、これは内容が非常に多岐にわたるものでございます。そこで、その内容によりまして、いまノイローゼと言われているニューロシスのようなものについては、環境の影響が相当多いという説が多いと私は了解いたしております。しかしながら、サイコシスというようなものについては、体質的なものがあるという学説もあります。したがいまして、精神障害者全般につきまして、遺伝的であるかあるいは環境的であるかということは断定できないように、私は本を読んで了解しているわけでございまして、むしろその内容を細かく区分して考えるというのがこれまで私が了解している点でございますが、詳しくは政府委員から御説明すべきことと思います。
○小林(進)委員 時間もありませんから私は申し上げますが、あえて文部大臣にこれをお伺いいたしましたのは、実はこの精神障害というのはノイローゼから神経衰弱からある。けれども、精神衛生法には、いわゆる自傷他害と言って、みずからの体を傷つけたりひっかいたり、あるいはときには他人をも傷つけるおそれのある者を法律上定めた精神障害者として特別に扱う、こういうことになっておりますが、私はここで文部大臣、いまの学説はその精神障害者に対して広義も狭義もないのであります。近代学説は、これは遺伝ではない、やはり社会環境の中から生まれた病気であって、社会が健全であり公害もなくなる、そういう乗り物もなくなる、静粛な平穏な社会が与えられれば完全に治癒するというのが近代医学の結論なんです。それにもかかわらず、私はまだこんなに資料を持っているが、文部省が出している教科書の中で、精神病は遺伝であり不治の病気であるから結婚をするな、つき合いをするなというふうな、そういう文章が含まれている教科書が、いまなお文部省の検定ですか認定ですかの教科書の中にあるということでありまするから、これは近代国家において大変重大問題でありまするから、そこで私はあなたに問題を提起してお伺いしたのであります。いま一度、そういう事実があるかないか、教科書の中でそういうことを含めておくことが妥当であると考えられるのかどうか、ひとつ御答弁を願いたいと思うのであります。
○永井国務大臣 ただいまの教科書の問題でございますが、学説の変化に伴いまして、教科書の内容というものは注意をいたしているつもりでございますが、しかし、学説との関連におきまして、教科書の内容というものには今後一層注意を払っていきたいと考えております。
○小林(進)委員 時間もありませんから、いまの文部大臣の御答弁に私は満足するわけにまいりません、まいりませんが、ひとつあなたの下僚を通じて、そういう精神病は遺伝であるから結婚をするな、断種をすべきであるというふうなことを書いた教科書がありましたら、資料として私のところへひとつ提出することを約束していただきたいと思います。私はそれによってこの問題をさらに追及いたしたいと思いますので、今日の場合はその点において留保いたします。 次に、私は、自治大臣がお見えになりましたから、自治大臣にお尋ねしますけれども、京都府議会の中でこの問題が大変やかましく論ぜられておるのであります。同時に、日本精神神経学会精神医療委員会から京都府知事に対して申し入れが行われている。その申し入れの内容は、「(1)精神衛生法第二〇条の保護義務者の規定に違反し、同意入院の手続を取つていない者については、ただちに退院を指導し、内科医療や福祉行政等の適当なケアーにかえていっていただきたい。老人医療の矛盾を精神病院の貧困さの中におおいかくすべきでないと考える。(2)精神衛生法第三三条で入院している者には、法第三七条の知事の審査を行っていただきたい。精神病院入院医療の継続が必要でない者も、多数存在していると思われる。精神鑑定にあたっては、一鑑定医の鑑定数を一〇名ほどにし、厳密に行っていただきたい。(3)無意味、無謀な向精神薬の多量投与は、精神病者の人権にかかわることであり、ただちに中止するよう指導していただきたい。(4)看護らしい看護もなく、カルテや看護記録も不備なまま、患者の拘束がおこなわれている。このようなことのないよう指導していただきたい。(5)精神病者を本来病院職員がすべき作業に、あまりにも低額の小遣いをあたえて使用しているが、これは患者の長期不当な入院につながるおそれがあるので、中止するよう指導していただきたい。(6)医師数、看護婦数など医療法の規定が実質的にみたされるように指導し、それまでは大量死の事実にもとづき、入院患者を看護できる範囲にへらしていただきたい。」こういう要望書ができており、これを受けて、京都府の府会議員の諸君も激しく蜷川知事に質問をしている。これに対して蜷川知事は、それはおっしゃることは正しい、現在の医療法では、医師、看護婦の数などを調べられるだけで、精神病患者かどうか疑わしい老人が死んでいくのは問題だとして、もう一度経営改善を勧告するが、効き目がなければ、国の力でやってもらうしかございません、こう答弁をされて、国の調査活動と指導活動を蜷川さんはちゃんと要求されておるのでありまするから、自治大臣もこれをお受けになっているはずであります。厚生大臣も京都府知事のこういう申請を受けていらっしゃるはずであります。これを受けて、どのように処置をされたか、私はそれをお伺いいたしたいのであります。
○福田(一)国務大臣 ただいま小林さんの御指摘になった問題、特に蜷川知事がいろいろ指摘しておる点は、厚生行政に関係のある面が多分にあると思うのでありますが、地方自治体の問題といたしましては、やはりこれは非常に重要視すべきものでございますので、公立の病院について、精神病患者の入っておるようなところに対しましては、これをつくる場合においても、あるいは運営費の場合においても、地方交付金の問題あるいは起債の問題で十分処置をいたして、努力はいたしておるつもりであります。特に、一病床当たり四十八年度には八万円の特交を見ておりましたけれども、四十九年度には十万八千円に引き上げまして、三二%の引き上げを行い、順次これを増強するというか、補助を徹底してまいりたい、かような考えでおるわけでございます。
○小林(進)委員 厚生省は呼べども答えなしであります。答えがなければしようがありませんが、先ほども何か公衆衛生局長は、京都府の衛生部長などによく連絡をとって指導していると言っておりまするけれども、ここにもちゃんと府会の中における村浦京都府衛生部長の答弁が載っておりますが、彼はこう言っている。「千九百四十五床のうち、千八百七十五ベッドが精神病床だが、入院患者の六〇%が六十才以上の老人という実情であり、実際は精神病院でなく、老人病院になっている。看護婦も不足しているうえ、患者を超過入院させている。立入り調査は検討中だ」、これが部長の答弁です。京都府の衛生部長自体も、精神病院ではなくて老人病院だということを公式に発表しているのです。そういう実情もちゃんと皆さん方は掌握していられるはずであります。いなければおかしい。それを受けておりながら、あなたは先ほどから連絡をとって万遺漏ないように処置をしておりますと答弁しておるのは、いささかこれ国会軽視のおそれがありますぞ。これ以上、私を怒らせないでください。(笑声) 私は時間が参りましたから、次に、最後の結論を出す前に、作業療法の点についてお伺いをいたしておきたいのでございますが、実際はこういう病院は、病院内の当然職員がやるべき軽作業やあるいは雑作業に入院患者を使って、そして小遣い程度の金を与えている、それが一つであります。いま一つは、この軽患者を院外に連れ出して、そして院外の民間の工場や機械業者、土木業者等々と契約をして、そしてそこで一般の労働者と同じような作業をさせておる。そしてそこから労働に相当する報酬を受けているが、その報酬を受けるのは病院が受けている。そして本人には形も姿もにおいもかがせないで、済んだ後にはほんの小遣い程度、いま一日十八円ですか五十円ですかぐらいのものをくれている。その言い分は何かというと、これは作業療法だ、こうやって働かせることによっていま治療をしているのだから、むしろ病院側は、この患者から金をもらわなければならぬので、患者に払うべき理由はないというふうな言い分を通している。この実情を先生はよくごらんになっていると思いますが、先生からひとつ御所見を承って、次に労働省の所見を承りたいと思うのであります。
○福井参考人 先ほど申し上げましたわれわれ委員会の二つの柱の一つは、病院の不祥問題で、一つはいま作業療法の問題に集中して検討しております。 作業療法の各データはいろいろございますけれども、たとえば公立の病院ですら、患者がいなくなるとその機能が停止すると言われている病院が現実にあるわけです。東京都の有名なさる病院でも、やはり五十円でもって患者さんを病院の清掃作業とかそういったことに使っているわけです。それが果たしてその患者さんの権利を重んじた形になるかどうか。結構働く患者さんもいるわけです。それがそれだけのことに値するかどうかということもありますし、まして事業所に行きまして、これは後ほど労働省の方からの見解がおありだと思いますけれども、これはかって精神病院における患者の作業ということで諮問がありますが、その諮問のその問い合わせに対して答えが出ております。その答えの中で、事実患者の作業療法であろうと、それは労働と見なされるという条件が幾つか示されておりますが、その条件にほとんど大部分の作業療法というものが当たっているわけです。それにもかかわらず、これは大部分の病院において、それから得られた報酬の何分の一かのみを、患者にいわゆる還元という形で渡しているだけであります。ですから、もしか労働であるならば、賃金は当然本人に直接現金あるいはその他の形で渡されなければいけないという基本的なものが全く守られていないわけであります。ですから、それが医者の中では、医者の社会的な勉強の不足をもって、治療だから渡さなくていいというような論理が通っているわけでありますけれども、そのような論理が社会の中では通らないはずだと思っております。 そのようなことがあるものですから、それがまして今回点数化されたわけです、作業療法というものが。点数化されることによりますと、そういうことをやった人が、またその上に金をもらうということになるわけです。ということは、病院が患者をいろいろ使って、あるいは病院が直接使わなくても、患者から金を、とにかく平たい言葉で言えばピンはねしておいて、それをしながらなおかつその病院には、やらせたことによって金がまた入ってくるということができるおそれが多大にあって、全部の病院がそうであるかどうかは別として、いまの病院の一般的な趨勢の中で、当然そうなっていくことが目に見えているにもかかわらず、それが点数化されたわけであります。で、現実に点数化には条件があるわけですけれども、その条件が満たされている中で、患者さんが実際だれにも連れていかれないで、そしてしかも事業所に勝手に行って勝手に働いてきたものまで、点数として請求されているという事実を私たちは確認しております。ですから、一切そういう点数化の条件と関係なく患者は働かされ、そして労働の中で得られた賃金は取られ、しかも病院の方には、労働を全然無責任にやらしたにもかかわらず金が入っているという事実が現在ございます。その辺、この点数化というのはそういう危険があるので、点数化される前及びされた直後に、私たちは要望書を出しておりますけれども、その要望書に対しては、一切われわれと会っていただくこともできなかった実情があるわけです。そういうようなわれわれの杞憂は現在現実化しておりますので、その点なお、今後きわめて憂えるものであることか申し上げたいと思います。
○長谷川国務大臣 ただいま病院内部の話をお伺いしたのですけれども、治療目的で精神病院が患者を屋外で働かせる、あるいは事業主に委託して作業に従事させる、そういう場合は、原則として労働基準法は適用されないのであります。しかしいまお話のようなことがあった。私の場合には、申告なり投書なりいろいろな問題がないと、なかなかこういう実態がわからないわけです。そしてまた、労働者として事業所と契約したということになりますと、これは労働者としていろいろ権利が生ずるわけでして、そういう実態がわかった場合には権利を守るようにしたい。しかし、その治療の問題の場合には、私の方にはわからない、こういうことを御理解いただきたいと思います。
○小林(進)委員 いまもお聞きのとおり、精神病院は患者を入れて、入院費、治療費、差額ベッドからおむつの代金までもらって、そしてその中で、作業療法と称して職員のやる仕事、雑役に全部使っている。しかしこれが精神異常者だということで、こういう人たちが世間に何を訴えても、世間は取り合わないということで、使いたいほうだいに使っている。それが今度は院外の土木業とかあるいは機械業あたりに連れていかれて、一般労働者と同じように使われてもいるわけです。ところが、その使った賃金も、いわゆる作業療法と称して点数制にして、院外で本人は働いているが、それにいわゆる作業士がついていって指導したといって、作業者の賃金を、正当な費用を点数で病院はもうけて、そのほかに、本人が働いてその作業場あるいは工場からもらう賃金のその金を、また病院は取り上げてしまう。治療費でもうけ、作業指導でもうけ、働いた患者の労働賃金でもうけるという三重四重だから、これくらいもうかるおもしろい商売はないから、精神病院を一日やったらやめられないという、そういう悪口も出てくるわけであります。 いま労働大臣が言われたそのお答え、これはちゃんと労働省の報告の中に出ております。院外作業に従事する入院患者、こういうことで、それぞれ労働省が、その報酬問題や作業状況や、あるいは事業主との関係やら細かく出しております。内容は私は一応これは整っていると思いますが、しかし、その中にも言うように、作業指導員がついていかない、それで工場の中へ入って、工場主が一般労働者と同じようにこの人を使役をし、ある程度の拘束をし、ある程度の仕事の責任を与えている場合には、これは完全なる労働賃金だ、作業療法じゃないというのが明確にされている。それはそのとおりであります。作業療法と言うからには、院外にいようと工場の中にいようと、ちゃんと病院から派遣された作業士がその患者を監視し監督をしながらその中で仕事をしている、これが作業療法なのであります。彼らの監督から離れて、工場主や使用者の幕下に入って、彼らの命令、指示どおりに、一般労働者と同じように作業をしている、その作業の賃金をも、彼らがそのいわゆる治療費と称して本人がら取り上げて私しているというようなことは、私は許されていいことじゃないと思う。 で、労働大臣もし御見解があるなら承りますけれども、問題はやはり監督官庁たる厚生省の問題なんです。実に人道上人権もないこういうやり方を放任していることば、社会的不公正のその罪きわまれりと言わなければならないと思うのでありまして、いま私の言うことをひとつ拳々服膺して、これは改めていただかなければならないと思うのでございまして、御回答があるなら、御回答いただきたいと思うのであります。
○東村政府委員 ただいま御指摘ございましたとおり、労働基準局といたしましても、精神病院の患者の方が院外で働くというような場合に、この方が労働者と認められるかどうかという問題がございます。御指摘のように、いろいろの条件を設けまして、これは労働者であるというふうに認められまするならば、労働基準法上のいろいろの権利が生じますので、それについては適切な監督指導を実施してまいりたい、かように考えております。
○小林(進)委員 先ほども申し上げましたように、この院外作業に従事する入院患者のその扱い方を、いわゆる作業療法と見るか、賃金労働者と見るかという、これに対する労働省の見解は、私はこれは一応筋が通っていると思います。しかし、実情は先ほどから福井先生がおっしゃるように、実際あなた方の指令どおり行われていない。内容は完全なる賃金労働者と同じような仕事をさせておきながら、実情は全部その労働賃金を搾取しているということが行われている。これがいまこの精神障害者に関連する大きな問題の焦点の一つになっているわけでございます。 時間も参りましたから、私ば結論を急ぐことにいたしますが、第一に、こういう残酷な事態がこの近代国家の中で公公然と行われているということは、これはどうしても許されることではないのであります。 そこで、厚生大臣に幾つかの要望を申し上げますが、第一番目には、こういう精神障害者を物として扱わない、人間として扱っていただきたいということが一つであります。これは基本的な問題であります。 それから第二番目には、その病院は先ほどのお話のとおり一千四百四十九ございますけれども、なかなか地域性がないのであります、この病院は。でありまするから病人は、あるいは東京なら東京の精神病院へ全国から集められてきて、そこへほうり込まれてしまう。この病人は、先ほども言うように、精神患者じゃない、単なる老人にすぎないのでありまするけれども、入ってしまうと、いわゆる隔離されて、外出は許されない、外泊は禁止される、私物の特ち込みも最少限度に制限されてしまう。そして食事ものどに入らない、もはや生きていく自覚症状さえも失ってしまうという、全くおまえはひとりぼっちだという孤立感を徹底的に味わわせるという状況の中に投げ込まれる。でありますから、こういう病人を孤立化し、たったひとりであるという思いを徹底せしめて死に追い込んでいくという、こういうやり方をやめてもらわなくちゃいけない。そのためには、やはり病院の地域性、同時に、家族、身内もときには面会に来、ときに外出もでき、ときに家族の交流もできるような、そういう制度に改めていただかなければならないということが第二であります。 第三番目は、普通の老人、ただ病気であるにすぎない老人、あるいはほんの記憶力が少し年をとって衰えたという、われわれと余り差のない程度の老人、そういう老人を精神病院に入れる、そういうことをやめるために、いままでの鑑定医の鑑定数というものをこの際改めてもらわなければいかぬ。いまは二名以上ということになっておりまして、二名のお医者さんが同意をすればさっさと入れてしまう、むしろ家族の同意を得ればでなくて、家族は、年寄りなんかうちにいたらこうるさいから、ひとつ病院にでも入れて置こうというので、お医者さんに頼む。口やかましいおやじだから、これは精神病の一つですからよろしくと言うと、本人の同意はいらないんだから、家族の同意でいいんでありまするから、それじゃよろしゅうございますと言って二名の鑑定医に、実情によってはみな送り込まれて、そしてこういう状態に投げ込まれるのでありまするから、決して医師を信頼しないわけじゃございませんけれども、この鑑定医の数をふやして、少なくとも五名か十名以内ぐらいにしていただくということが一つであります。 第四番目は、薬の大量投入です。これは先ほど、少し改められるというお話がございましたけれども、これがむしろ老人を衰弱せしめて死に追い込んでいる。若い患者には特に多くの薬を与えて、これを苦しめているのでございまするから、そういうことをやめさしていただく。それから病人は病人であります。作業療法に値するものなら結構でありまするけれども、職員がやるべき仕事を、作業療法に名をかりて病院内部の雑役を全部やらして、この患者がいないと病院はもはや平常どおり動かないだろうと言っているというような、こういう本末転倒、間違えたやり方をやめていただきたい、こういうことをお願いしたいのでございますが、厚生大臣、御所見を承りたいと思います。
○田中国務大臣 精神衛生法の扱いでございますが、自己主張ができない、ないしは少ないこの種の人たちを扱うものでございまするから、いろいろと問題が出てくるわけでございまして、人権の問題と一番深く触接するのもこの問題であるということを、私どもも知っておるわけでございますが、どうもただいままでのところ、いろいろと御指摘がございました点については、まことに遺憾千万であります。したがいまして、今後、精神衛生法の運営並びに病院の管理運営については、厳重にこれを指導監督いたすようにいたさなければならないということを、先生の御説を聞いて感じておるわけでありまして、直ちにそのような措置をとろうと思っております。 具体的な点につきましては、要は、人道主義に基づいて精神病者を扱うことが大切なのでございまして、かようなことを中心にいたしましてやっていこうと思いますが、いやしくも精神病院が営利に走って、患者の人権を損なうようなことが絶対にないようにいたしたいというふうに思っております。 なお、精神鑑定医の問題でございますが、これは諸外国の立法例を見ましても、やはり日本程度のもののようでございますが、これはむしろ運営の問題だろうと思いますので、さらにこの点についても厳重に監督をいたしますと同時に、検討をいたしたい。 いずれにいたしましても、御指摘をいただいた点については、私どもとしてはまことに行き届かなかったことについて、おわびを申し上げたいと思います。
○小林(進)委員 厚生大臣は社会保障、社会福祉の専門家でベテランであることを、私は認めるにやぶさかではありませんけれども、サルも木から落ちるで、この精神医療の問題だけについては、ややいままでの長い厚生行政の中に、一つ見落としをされていたのではないかという感じを深めたのでありまするが、その意味においても、この点もひとつ他の専門部門と同じように徹底的に研究調査をして、私の要望を入れていただきたいと思います。 なお、その改良の具体的策として、この精神衛生法に基づいて、中央精神衛生審議会というのがございます。その審議会の委員には、それぞれの専門家が任命せられておりまして、今日おいでを願っている福井先生等の所属せられている日本精神神経学会からもメンバーは出ておりまするけれども、この学会の最も責任者である理事長がまだ委員には任命されていない。そういうのは、やはり学会と厚生省のこの部門との連合、密着、意思の疎通をはかるためにも、やや画竜点睛を欠くきらいがありますので、今後はこの審議会にはどうぞ学会の理事長を代表して含めるようにしていただきたいと思います。 それからなお、いま政府の御回答の中に、厚生大臣は精神病院の抜本的改善を図るため努力をするというお話がございましたが、やはり改善努力をしていただくためには、何といっても実態を掌握して、そこで改善策というものを立てなければならないと思うのでございまして、その意味において、いま申し上げました中央精神衛生審議会の中に精神病院問題検討委員会 まあ、仮称でございますが、ひとつ、こういう委員会を設けて、早速この問題に具体的に取り組んでいただくという、こういう要望を私は提出する次第でありまするけれども、これはひとつぜひとも受け入れていただきたいと思うのでございますが、厚生大臣の御見解を承りたいと思います。
○田中国務大臣 関係方面とよく協議をいたして、検討、善処をいたしたいというふうに思います。
○小林(進)委員 時間も参りましたから、これで終わりたいと思いますが、いままでの討論や厚生大臣の御答弁等も受けて、最後に福井先生から、ひとつ忌憚ないあなたの御意見をお聞かせをいただきたいと思います。
○福井参考人 時間もないことと思いますので、結論的に申し上げたいと思うのですけれども、やはり精神科医の中にもいろいろございまして、いろいろな意見がございます。これは学術の団体としてはいろいろ出てくるのは当たりまえだと思っております。ただ、やはり現在の非常に重要な趨勢としまして、学問が、特に医学が、一人一人の患者さんから遊離してしまって、そして、本当にその一人一人の患者さんを大事にした医学でなくなっていることが、基本的に一人一人の皆さんにとっても重要な問題ではないかと思うわけです。ですから、そういった意味で、そういう視点に当てて、現在動いております学会というものを、今後もう少しまじめに話し合っていただけるように関係諸機関――いま関係諸機関というお話か出ましたけれども、関係諸機関の中で、そういうことを否定することが実際にありまして、何か純粋培養の学問だけが学問であるように思われているところがありますが、そういう現実と結びついた学問を重要視しております現日本精神神経学会のことにもう少し目を向けて、あるいは耳をかしていただきたいと思うわけであります。 〔湊委員長代理退席、委員長着席〕
○小林(進)委員 いまの福井先生のお話は、私も痛感をしているところでございまして、どうも官僚といいますか、行政は、学会の正当な学問的見解を拒否するという傾向があるのでありますが、これはひとつ厚生大臣は、そのコースの上に立って、こういう特別むずかしい情勢については、純粋な学会の学問的意見等もくみ入れるような、そういうお考えとシステムをもって、行政をもって、さっき言った諮問委員会等は私の要望の一つでありまするが、ひとつ善処されんことをお願いするものでございます。 なお、大蔵大臣、天井を見るばかりが能ではございませんが、せんじ詰めるところは財政の問題でございます。社会的不公正という題目の中で、これほど弱い不公正な扱いを受けているものはないのでありまするから、ひとつあなたの握られた財布の中からも、こういう方々にもひとつ目を通して、公平な財政的処置を講ぜられることを強く要望いたす次第でございます。大蔵大臣ひとつ……。
○大平国務大臣 厚生省その他関係省の方々の真摯な財政的な御要請に対しまして、財政の許す限りこたえたいと思います。
○田中(武)委員 ただいまの小林委員の質問に対する労働大臣の答弁で、いささか腑に落ちない点がございます。 そこで、まず第一点は、労働基準法の適用外になるとおっしゃったその根拠です。その実態を御調査していただきたい。そのいかんによっては、労働基準法二十四条第一項、職業安定法三十二条三項になりますかの違反の疑いがある、こういうように私は思います。したがって、この予算委員会の総括質問の終わるまでに、ひとつその実態調査と、労働基準法適用外であるとおっしゃった根拠を示していただきたい。これを要望いたしておきます。
○長谷川国務大臣 先ほどの答弁からいまのようなお話が出ましたから、資料あるいは見解というものを、後で御提出申し上げます。
○荒舩委員長 それじゃ、よろしゅうございますか。これにて小林君の質疑は終了いたしました。 午後一時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。 午後一時七分休憩 ――――◇――――― 午後一時五十二分開議
○谷川委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。田邊誠君。
○田邊委員 社会福祉の問題は数多い問題がございますけれども、その最も象徴的なものに障害児問題があることは御案内のとおりであります。いま、動く障害児と言われる心身に非常に障害を持った児童に対しては、その施策を確立することが急がれておるわけでありますけれども、この問題を中心といたしまして質問をしてまいりたいと思います。 びわこ学園の岡崎園長さんがお見えでございますが、昨年、私、社会労働委員会の現地調査でお伺いをいたして大変御厄介になりまして、今回また参考人においでをいただいたわけでありますけれども、岡崎さんにおいでをいただかなければならぬほど、実はこの事態は急迫をしていると私どもは認識をいたしておるのであります。 まずお伺いいたしたいのは、岡崎さんは一つの使命感を持ってこの仕事に従事をされてこられましたけれども、この重症心身障害児対策というのは、私は一つの基本的な考え方がなければならぬと思うのであります。それは、いかなる障害を持った人であっても、人間としての生きる権利がある、生活をする権利がある、そしてまた教育を受ける権利がある、こういう、いわば人間としての権利というものをわれわれは意識の上に置いてこの問題に対処しなければならないと思っておるのでありますけれども、まず最初に岡崎参考人から、この問題に対するあなたの所見を、簡単で結構でございますからひとつ御披瀝をいただきたいと思うのであります。
○岡崎参考人 ただいまのお尋ねでございますが、私ども毎日子供と一緒に暮らしておりまして、やはりどんなに障害が重くても、生きておるということば育っていくことだというふうに感じ取れるわけでございます。そういう意味で、やはり生活していくあるいは育っていく、そのことのためにいろいろ手だてを考えていくということは、当然のことであろうというふうに考えております。
○田邊委員 厚生大臣、あなたは一体どうお考えでございましょう。
○田中国務大臣 岡崎さんと同じ考えであります。
○田邊委員 人間としての権利を認めながら、これに対して手だてを講じ、その支えになるということがいわば対策の基本であるということについては認識が一致されておると思うのであります。 しからば、現在の障害児施設、重度の精薄並びに重度の肢体不自由と重複しておるところの児童、いわゆる重症児、この施設というものが現在一体どうなっておるかということに実はわれわれは大きな関心を持っておるわけでありますけれども、岡崎先生に、マクロ的に見まして、現在の重症児施設というものの現状はどうなっておるのかということを、あなたが実際に実務者として携わってこられた経験の中からどういうふうに感じ取られておるか、お伺いしたいと思います。
○岡崎参考人 約十二、三年前に重症心身障害児施設というものが発足したわけでございまして、そして十年前に児童福祉法の中に入ったわけでございます。そういう最初のころの状態と申しますと、非常に障害が重くて、家庭では治療も訓練もあるいは生活すらも非常に困難であるという、そういう子供さんを処遇をしていきますのにはどうしても施設でなければならない、施設がなければならない、そういうことで、つい最近まで、そういう処遇としては施設建設しか方法がないというふうに感じ取られて、私どももある程度そういうふうに考えておった時期があるわけでございます。それで施設づくりを進めていただいてまいったわけでございます。ここ十年くらいの間に実際の収容人数が一万人に達するくらいの施設建設が行われたわけでございますけれども、肢体不自由と精神薄弱の重度、両方がダブっております子供さんの収容が、まだ五割くらいは在宅のままいらっしゃるということ。それから途中でいろいろ問題が出てまいりまして、いわゆる動く重度障害児と言われます、身体障害の方はそれほど重くない、そういう子供さんの問題というのが出てまいったわけでございます。そういう経過の中でいろいろ問題が起こりまして、また子供自身の要求の変化、そういうものから考えてみますと、どうも施設建設だけでは十分ではないのではないか。もちろん施設そのものも最初考えておりましたものよりも相当変わらなければいけない。その上に在宅あるいは地域でのいろいろな問題を考えていかなければならないというふうに変わってきたように思っております。
○田邊委員 引き続きお伺いをいたしますが、いま岡崎さんの担当されておるところのびわこ学園は、お話のありましたように、精薄と肢体不自由児と重複しておるところの重度心身障害児でありますけれども、児童福祉法四十三条の四によりますならば、このびわこ学園は、重症児施設としての対象に当てはまらない児童まで受け持っておるのじゃないかと私は思うのであります。したがって言うなればそういう施設に全部児童を収容するのでなくて、本来的に言いますならば、これは精薄の施設の重度棟、肢体不自由児施設の重度棟、あるいは児童精神病院、こういうふうにいろいろと区分をされて収容されることが望ましい、こういうふうにも受け取られるわけでありますけれども、現在あなたが受け持っておられるところの児童の中には、そういったものまで含まれてお世話をしておる、われわれはこういう認識をしておるわけですけれども、そのとおりですか。
○岡崎参考人 いま御質問いただいたとおりでございまして、現在では約四〇%以上ぐらいの子供さんが、法律あるいはそういう規則から見ますと、精神薄弱児者の重度棟、あるいは何名かは精神障害というために、子供の精神病院がありましたならばそういう方へ行った方がいいのではないかというふうな子供さんがおられます。そういう形で分類ということの問題が出てまいりますけれども、私どもといたしましては、分類するということはある意味では非常に危険を伴うことがある。つまり区分けをされてしまうというふうなことがあるわけでございまして、そういう一面を持ちながら、やはりその子供さんに最も適切な処遇の機会を持ってもらうために、やむを得ず分けなければいけないようなところがあるというふうに考えておるわけでございます。
○田邊委員 引き続きで大変恐縮ですけれども、びわこ学園は日本で有数の重症心身障害児施設でありますが、この手元にあります要覧を拝見いたしますと、現在、第一、第二びわこ学園を合わせて二百七十床の施設でありますが、昨年の春の現状では百七十四名の収容である、こういうことでございます。したがって、百床近いいわば空白があるわけでございますけれども、これは一体いかなる理由でございますか。
○岡崎参考人 ただいま二百七十床ということでございましたが、これは建築のときの公称定数でございまして、その後子供たちがだんだん大きくなってまいりまして、特に第二びわこ学園の方は平均年齢がもう十九歳を超えてまいりました。十何年間たっておりますが、ほとんど収容されております子供さんの動きがございません。つまり、十年近く年がたったというわけでございます。そういう意味で、ベッドを大きくしなければならないというふうなことでございまして、ここ三年ほど前から、両方合わせまして、許可ベット数と申しますか、それは一応二百三十床ということになっておるわけでございます。しかし、まだ現在員はそれに達しておりません。これは主として人員確保の困難ということが一番大きな問題であるわけでございます。
○田邊委員 厚生大臣、いまお話のありましたように、既設のびわこ学園においてもかなりの空床が目立つわけですが、あなたの方の社会福祉施設整備五ヵ年計画によりますと、現在入所を希望している者が一万三千四百人ぐらいある、五十年において一万二千三百九人、その程度の施設に対する要請にこたえられる、五十年において要入所者は入り切るのではないか、こういうお見通しを持っておるようですけれども、これは、こういうように実際に入所者はこの五ヵ年計画でもって大体要望にこたえ得る、こういうところまで来るわけでございますか。
○上村政府委員 お答えいたします。 昨年の五月に重症心身障害児で施設に入れる必要のある子供の数を調べますと約一万三千四百人ございます。それで四十九年度末までの整備計画では約一万二千三百床を整備できる見込みでございますので、残り一千百床を五十年度中につくり上げれば、一応私どもが調べました限りでの重症心身障害児者で施設に入りたいと考える者を収容し得るベッドは確保できる、こういうふうに考えております。
○田邊委員 岡崎さんは、施設に入れなければならぬと思われる人を、あなたも把握をされておるのではないかと思いますが、どのぐらいとお考えでございましょう。率直にお伺いいたします。
○岡崎参考人 私どもの方で調査というふうな大それたことはもちろんできませんので、感じしか申し上げられないわけでございますけれども、いま局長さんがおっしゃいました数字は、恐らく、法律に規定してございます精神薄弱並びに肢体不自由がともに重度であるという子供さんあるいは成人の方に限られるというふうに私は考えるわけでございます。そういう中で希望者の数ということになるわけでございますけれども、私が、滋賀県でございますが、巡回健診に参加させていただいていろいろ在宅の訪問をさせていただくわけでございますが、やはり家庭の方では、特に十歳前後以下の子供になりますと、放すに忍びないという気持ちを持っていらっしゃる親御さんが相当あるわけでございます。しかしながら、これは施設の状況との関連でございますけれども、やはり子供さんの状態を見ておりますと、いまの家庭の状態ではむしろ施設にお入れした方がいいと思える数が相当数ございます。そのときに、恐らく家庭の方では、そういう意味で希望をしない、まだ私の方でやりますというふうにおっしゃっておられる方が相当あるのではないか。私、施設の立場から言いまして、子供自身の問題を問題とするといたしますれば、やはりそれだけ親の説得をしてでも、子供を入れて訓練をしたり指導をしたりする方が正しいのではないかというふうに考えております。 それからもう一つ、これは途中から出た問題でございますけれども、先ほども該当しない子供が四割以上もあるというふうに申し上げたわけでございますけれども、これは動く重症児というふうな名前で呼ばれておりますが、当然、精神薄弱児者の重度棟が十分整備されますならば、そちらの方へ移っていただいた方がむしろいいのではないかと考えられる子供さんでございます。そういう子供さんが事実施設の中におるわけでございますし、また在宅児者の数も相当に上るであろうというふうに私は考えております。その辺の問題が別の形で解決がつくといたしますれば、それはそれで一つの方針が立つのではないかというふうに考えるわけです。
○田邊委員 だから厚生大臣、ただ一万三千四百が要入所者であって、これを満たせばこの障害児の施設の整備という点から言えば事終われりなんというのは、そもそもまことに役所的な発想であり、調査なんですよ。入所を希望しないというのはなぜ希望しないのですか。いまの施設が悪いから希望しないという人もいましょう。いま岡崎さんが言われたように、まだ小さくて、とてもそんな施設にいまの現状から言えば入れられない、入れたくないという人もいるでしょう。そういった者に対しては一体どういう手だてを講ずるかということなしに、ただ数の上でもって、一万三千四百は整備されましたからこれでもって障害児の施設は一応完備いたしましたなんて世の中に発表をすることが、そもそも間違いなんですよ。その点をあなたはきちんとわきまえて、そういう精査をした上に立って、いま言ったように、たとえばびわこならびわこに入れる。びわこだって二百三十床のうちに百七十床しかいま入っていないのです。なぜそれ以上入れられないのか。あるいは、びわこに入れるよりも実はもっと違う施設に入れた方がこの子の将来のためにいい、こういう者もあるでしょう。そういったものを区分けをして、なおかつ一体この整備計画はどうするのかということを洗い直さなければならぬのですよ。ですから、いままでの既定的な考え方でもって、一万三千四百であと千幾つか整備すればよろしゅうございますなんという考え方は、私はどうしても受け取れない。どうでしょう。
○田中国務大臣 重症心身障害児対策、これは私、実は国会議員になってから長い間いろいろと努力をしてまいった問題であります。恐らくこの施設を最初につくることに参加したのも私だろうと思いますし、また、びわこ学園等々も実はずいぶん古くから拝見をしております。 そこで、いまの問題でございますが、先生おっしゃるような問題がいろいろあろうと思います。したがいまして、昨年の調査そのものが不正確であるというふうには私は見ておりませんが、しかし、これにはいろいろな事情が含まれていると思います。在宅のままで手放したくない、施設に入れたくないという親御さんの非常にシンプルな希望等も、この中に反映されているのではなかろうかと思いますが、本当に子供の幸せのためにどっちがいいのかというきめの細かい調査というものが必要であろうというふうに思われるわけであります。 いま一つは、さっきからお話がありましたとおり、重症心身障害児の概念規定にはまりませんけれども、なおこの種の施設に入れた方がよろしい、ないしは類似の施設、隣接の施設に入れるべき者というものがあるだろうと思います。この典型的なものが、この制度の途中から出てきた動く重症児の問題でございまして、こういつたような点についてきめ細かい調査をいたしまして、今後のこの種の問題に対して対応しなければならないというふうに思っております。したがいまして、数字の上で去年の調査を一応充足をいたしたから、この種のものに対する施設の対処というものは必要ないというふうに考えるのは、私は早計だと思っております。
○田邊委員 大臣がいままでいろいろと苦労されてきたことを、ひとつあなたの大臣のときに頭に浮かべて、そうして、ただ単に通り一遍の対策でないものを本当に打ち立ててもらいたいというふうに私は思っておるのであります。 そこで、現状はどうなっているかということについて岡崎さんからお話がありました。施設の現状は、実はいま大変な状態であります。これは一昨年から昨年にかけて、実は私もいろいろと大臣や厚生省に対して意見を申し述べてきたのでありまするけれども、しかし現状は、私は、若干の手直しはあったけれども、しかしそれ以上に深刻になってきているということを思わざるを得ないのです。あるいは岡崎さんのお話の中に出てくるかと思いまするけれども、実際にこの中でもって、いま最初に述べられたような療育をする条件ができているかと言ったら、全くそうでないという状態ではないかと思うのでありまして、拝見をいたしました資料によりますると、食事の介助のために約三〇%の力を用いている。また、おむつ交換や衣類の着がえや、洗面やあるいは浣腸等のこういった仕事のために実は二〇・七%の力を用いなければならぬ。したがって、設定をされた療育のために持ち得るところの力というものはわずかに八・四%である、これはちょっと一年前のびわこ学園の資料でございまするから若干の相違はあるかもしれませんが、そういう状態であるということを実はわれわれは承知をしているわけであります。したがって、この状態というものを、これをさらに中身を改善しなければ、最初に大臣も確認をされ、岡崎さんも言われましたところの、本当に人間としてのいわば権利を認め、価値を認めた上に立ってこの人たちを支えていくという、そういう仕事は崩壊するのじゃないかと私は思うのです。 いみじくもいま、動く重症児のことを言われました。年々歳々その状態は実は深刻になってきているという状態でありまして、私ども知っておりまするけれども、十年前にこの問題を手がけたときと、いまそれが固定をされて、さらに施設の中でもって大きくなっている児童を見た場合に、これは実は大変なことだという気がしてならないわけでありまして、そういった点から、私は一つ具体的に岡崎参考人にお伺いいたしまするけれども、いまびわこ学園でもって職員が全部で百四十七名おいでのようでございます。百七十二人の児童に比べて職員数は百四十七名だということでございまするけれども、私が拝見をいたしました資料によりますると、出入りが非常に激しいのであります。たとえば、昨年の四月から増加をいたしましたのが六十六人、減員をいたしましたのが三十一人。四十九年の当初に比べて四十九年度中に増加をしたのが十七人、それに比べてやめていった方々が二十二人おる。こういう状態で、非常に出入りが激しい状態でありまするけれども、この原因は一体どこにありましょうか。
○岡崎参考人 一昨年、四十八年度の場合の増加が非常に多いという問題は、これは、それまでは大体一・五対一くらいの介護職員で何とかやっていかなければならないというふうな形でやってきたわけでございますけれども、いろいろ問題が重なってまいりまして、何とか一対一に近づけるようにというふうなことで、御了解をいただいた範囲の中で増員をした数でございます。 それにいたしましても、やめる方と申しますのは、やはり若い女性の方が多いということがございます。それも、高等学校を卒業してやってきていただくという方よりも、やはり短大あるいは四年制の大学。あるいは看護婦さんでございますと高校が済んで三年学校へ行って、それから出てこられる。そういたしますとどうしても二十歳あるいは二十歳を過ぎてから来ていただくということになるわけでございます。しかも滋賀県の場合には、少し事情が他府県と変わるかもしれませんけれども、滋賀県内の職員は、滋賀県に住居を持っておられるといいますか、滋賀県で育たれた滋賀県人というのは三分の一そこそこしかなくて、あとは全部他府県から来ていただくというふうな形になっております。そういう関係で、やはり結婚でありますとかそういう問題が一番大きな問題になります。そういたしますと、やはりくにの方へお帰りになるというケースが非常に多いわけでございます。そういうことが一番大きな原因ではないかというふうに、私、考えております。
○田邊委員 他の職場に流出をされる人もかなりあるというふうに聞いておるわけですが、いま、このびわこ学園でもって一番解決をしなければならない問題は、一つば人的な問題、一つは物的な問題二つあると思うのでありまするけれども、人的な問題として解決を急がれるということは、一体、岡崎さん何でございましょうか。
○岡崎参考人 介護に携わります職員の数が、やはり先ほどのケアの内容ということから考えまして、私どものびわこ学園だけではなくて、こういう施設の協会を持っておりますが、そこでいろいろ検討いたしまして、やはり一対一ぐらいはどうしても要るのではないか、そういう段階に達しましたので、それに至るまでの人数がまだ足りておりません。それを入れなければならない。その中で特に看護婦さんの確保ということが非常に困難でございます。それ以外にもまだいろいろなケアをやっていきます上で、たとえば、機能訓練士でありますとか、医師でありますとか、なかなか得がたい職種があるわけでございますけれども、とにかくいまの段階では、看護婦さんを中心にしてできるだけ人数を早く入れたい、そういうふうに考えております。
○田邊委員 いまお聞きのように、厚生省ばたしか一昨年の夏に、島田療育園やその他の実情に照らしてみて、どうしても必要なところは直ちに一対一にする、実はこういう指導をしたはずであります。まして昨年度は、この一対一に形の上ではなったと実は盛んに言われておるのですけれども、実際には、いまお聞きをいたしましても、児童数百七十二名に対して、このびわこば、第一、第二を含めて実は百四十七の職員でありまして、その中でもって、看護婦さんは、第一の場合が准看を入れて二十一名、第二は十九名であります。それ以外に保母は、第一が七名、第二が十四名という状態でありまして、いずれにいたしましても、これは一対一にはまだほど遠い状態であります。したがって、政府は盛んに――これは三木内閣の性格と同じようでありまして、外向けには非常に何かうまいことを言うけれども、中身をだんだん探ってみると、そういうふうに実態はなっていない。こういう状態ですけれども、せっかく熱意を示されて、過去長い間この問題を手がけてこられた田中厚生大臣の時代に、これは一体どうするのですか。
○上村政府委員 お答えいたします。 私ども四十九年度の予算をつくりましたときに、重症指導費というものを大幅に引き上げたわけでございます。御案内のように、重症心身障害児施設と申しますのは、医療費収入と重症指導費を中心に運営いたしておりますので、そういうものをまとめて仮にすべて人件費に回しているとすれば、一対一の体制が組めるだけの財源措置は講じたということでございます。そして四十九年度の補正におきましても大幅な引き上げをしてまいっておりますので、財源的には一対一の確保はできる。ただ、実際に人手が足らないがために、全国的に見ましても、重症心身障害児施設で一対一に至るまでに至っておらないというのが事実でございます。
○田邊委員 岡崎さん、どうでしょう。あなたのところの経営内容について、もし数字をお持ちでしたら、簡単で結構ですから、今年度の予算なら予算の収支は大まかに言って一体どんなものか。したがって、全体の医療費プラス重症指導費に若干のものが付加されますけれども、これと人件費の割合は一体どんなものでございましょうか。
○岡崎参考人 四十九年度の場合に、私どもの施設での収入が約五億ちょっと超えるわけでございます。ただし、その中には、先ほど局長さんからおっしゃっていただきました、増額された指導費が十月から入っております。それからまた医療費のアップも入っております。そのほかに、これはまだ最終決定になっておりませんけれども、滋賀県あるいは子供さんをお預かりしておりますそれぞれの府県から、子供さん一人当たり一月三万五千円程度の県単あるいは府単独の補助をお願いする、そういうことで五億ちょっとになるわけでございます。 ことしの介護職員は大体一・二対一ぐらいになっておるわけでございますけれども、私どもそれではなかなかちょっと回れませんので、臨時の職員あるいはアルバイトの方に相当応援をいただいております。そういうアルバイトの方あるいは臨時職員の方の人件費も含めまして、約四億ぐらいの人件費になる見込みでございます。したがいまして、今年度は各府県単独の補助を月三万五千円いただいて、どうにか八〇%の人件費で何とか越せていくということでございます。
○田邊委員 厚生省、大体この種の施設で、医療費プラス措置費と比べて人件費がどのくらいならば健全経営ですか。
○上村政府委員 五十年度の予算案では、重症心身障害児施設一人月額約二十三万円参るわけでございます。この中で人件費の占める割合がどの程度が妥当であるか、ちょっと一概にお答えいたしかねますのは、中に入っております子供の態様なり施設の設備等、いろいろあると思います。ちょっと何%が妥当であるかについてはお答えいたしかねます。
○田邊委員 いずれにいたしましても、人件費が八〇%という状態では、これはもうほかのいろいろなことはできませんよ。どうにもならないという状態でしょう。ですから、これでもって実は措置費は足れりというような状態でありますけれども、昨年の補正に比べてわずかに千五百円程度しかふえていないのが実は今年度の指導費ですね。三木内閣の看板であるところの社会福祉、社会保障、しかも、いまや象徴的にこの障害児問題が言われているのですけれども、この措置費が、昨年の補正に比べてわずかに千五百円増で、これでもって足れりなんという考え方では、私は全くもってお寒い限りであるというふうに思わざるを得ないわけであります。そういった点から、恐らくこの年度中にこれではどうにもならない状態が来る。いま岡崎さんのお話というのは、今後のベースアップ等は全然ないものとして計算をしたことではないかと私は思うのでありまして、この人件費がさらに上昇するということになれば、いわば医療費プラス措置費と人件費が大体おっつかっつになる、こういうふうに私ば実ば判断をするわけであります。これは私の判断が間違いないだろうと思っておるのですけれども、そうなった場合には、その施設のそれらの費用は全く出ないという状態でありますから、したがって、これはもう好むと好まざるとにかかわらず、この年度、いま始めようとする事態の中でもって、この重症児施設の措置費については考え直さなければならぬときに来ていると私は思うのです。もし私の言っていることが間違いでしたら、間違いと指摘してもらっていいですが、どうですか、厚生大臣。どうなりましょうか。
○上村政府委員 四十九年度の補正後の重症指導費と五十年度当初の重症指導費を比較になりましたけれども、四十九年度の場合に人件費の大幅アップ等もあったので、いままで重症指導費につきましては年度の途中で変えるということはしなかったわけでございますが、十月から思い切って約二万円ぐらい引き上げたわけでございます。したがいまして、それとの比較では、五十年度当初というのはやや低目に見えるというふうに思いますが、ただ、今後の人件費の動向なり医療費の動向等を勘案いたしまして、場合によると、四十九年度にとったような措置も考えざるを得ないというふうに思います。
○田邊委員 これはもうどうにもならぬところに来ておるわけですが、大蔵大臣、ひとつよく聞いておいてもらって、いまでも人件費で食われるという状態ですから、これは施設の改善等をしよう、いろいろな日常必要な用具を買おうといういろいろな要望があるわけですから、これらを充足するためにも、この重度の障害児施設のいわゆる重症児指導費という国から出すところの措置費は、当然ひとつ今後十分な配慮が払われてしかるべきである。いまそういうお話でありますけれども、大臣、あなたもよろしゅうございますね。
○大平国務大臣 いまの御質疑よく拝聴いたしてございますので、今後の予算の編成に当たりましてとくと配慮しなければならぬことだと思います。
○田邊委員 ちょっと順序があれですけれども、この際、いまお話が出ましたから、自治大臣にお聞きをしておきますが、いま滋賀県では、お話のありましたように、国から出すところの医療費プラス重症指導費ではどうにも足らぬ、したがって一人当たり三万五千円県単でもって補助を出しておるという状態です。これはもう都道府県どこでも、こういう施設を持っておるところは、そういうものを出しておるのですね。この自治体の負担は一体どうなるのでしょうか。 それと同時に、これは自治体によって負担の状態がみな違うわけですね。言うなればばらつきがあるわけです。ですから、多く出してもらっているところの県に所在する施設は、それなりに何とかまかなっているけれども、その県から出すところの補助が少ないところの施設は、より以上困難な状態であるわけですね。これはあなたどんな状態だが御存じですか。もし御存じでなければ、あとで自治省、ひとつ各府県別に施設に出しているところのものをお示しいただきたいと思うのです。私の方でも若干資料を持っていますけれども、お示しいただきたい。これが一つ。 と同時に、いま言ったように、多かれ少なかれ出しているが、これは都道府県の負担になっておるわけですね。しかもそれは傾斜がある。これに対してあなたは、一体どういうふうにされようとするのですか。国はこれに対して、一体どういう責任を感じられて措置をされようとするのか。そしてまた、府県によってそういう格差があることによって、経営上いろいろ状態が実は違ってくるのですけれども、これは一体どういうふうにされようとするのか。いずれにしても最終責任は国にありと考えなければならぬわけですから、そういった点で、あなたは一体どういうふうにお考えでしょうか。
○福田(一)国務大臣 お答えをいたします。 心身障害者の施設の建設あるいは運営費の問題で御質問があったと考えるのでございますが、こういうものにつきましては、自治省といたしましては、従来も起債の面でめんどうを見ており、さらにまた運営費等につきましては、地方交付税の際にそれを十分加味して、そうして配賦を行っておると私は承知いたしております。
○田邊委員 私の認識と若干違いまするから、これはちょっとここで時間とれませんから、あなたもう一度実情を調べてひとつ報告してください。よろしいですか。
○福田(一)国務大臣 実情を調べて御報告をさせていただきます。
○田邊委員 そこで、いま施設の実情が世の中に明らかになればなるほど、非常に大変な実情であることばもう言わずもがなでありますが、私は、その中で特に寒心にたえないのは、一つは職員の大きな犠牲によって仕事がなされておる。いま岡崎さんも言われましたけれども、やめていく中には結婚する方もありましょうけれども、実は非常な絶望感に駆られてやめていく、こういう人があることを私は直接聞いておるわけです。これはただ単に金の問題とか労働条件の問題だけではないわけです。さっき言いましたように、療育をしようと思ってもそういう時間がとれない、子供と本当に相対していろいろと一緒に生活をしよう、遊んでやろう、あるいはいろいろなことを学ぶこともしてやろう、こう思ってもそれができない。いわば若い人たちがせっかく使命に目覚めて勤めても、そのことができないということによって絶望感の中でやめていく。これが非常に多いことは大臣も御承知いただけると私は思うのであります。 そのことについて、多くを質問する時間もございませんから、二つだけお伺いいたしまするが、一つは人件費の問題であります。一体これはどのくらいが適当でありましょう。この中の看護婦さんのいわば流出の問題も私ちょっと言いましたけれども、出入りが激しい、充足ができていないという状態でございます。このことを考えたときに、いまの人件費の状態というのは、これは公立はさておきまして、民間の法人立の場合は実はまだまだ十分でない。公務員との差もあります。これは一体あるべき姿はどうでしょう。文部大臣もお見えでありますけれども、私は、あるべき姿は、これはやはり教育職とのことを考えたときに、これと同等の水準までいかなければ、本当の意味において、この人たちに定着をしてもらうことにならぬじゃないか、こう思いますが、厚生大臣、あなたの考えはいかがでしょうか。
○田中国務大臣 看護婦さんの給与水準でございますが、教育職と同じというふうに考えられるかどうかわかりませんけれども、それに準じたところまで持っていくようにするのがよろしいんじゃないかというふうに思います。
○田邊委員 いまは大体二号俸プラス一〇%ぐらい差があるわけでございまし、いま大臣がいみじくも言われたとすれば、これはひとつその点に対してあなたの意欲的な取り組みを私は期待をいたします。 それともう一つの問題は、何といっても労働条件が非常に悪い状態ですね。そこでいま一対一が実施されていないわけですから非常に大変なんですけれども、私は、あるべき労働条件から言えば、この重症施設というものは一対一では本来その職員はとうてい勤務にたえない状態ではないかと思うのですよ。しかも大臣が言われたように十年前はいざ知らず、十年前にいわば就学前の児童であった子供が、いまや成人に達しようという状態である。動く重症児とあなたは言われたけれども、この動く重症児を扱う状態の中でもって、十年前に一対一が理想だと思っておったのがいまは理想でなくなったのですよ。現にこの働いている職員の中でもって、大きな職業病にかかっている、腰痛症にかかっているという実態があることは、あなたも御承知のとおりでありまして、国立の施設の中でもって、一体どのくらい腰痛症にかかっていらっしゃるか。あなたの方で調べておありと思いますけれども、どのくらいの率でございましょう。
○滝沢政府委員 国立の重症施設、筋ジストロフィー等を含めまして二千人の看護婦のうち、腰痛症等で休業し、ないしは治療等含めまして百四十八名、七%でございますが、公務災害を認められている者が五名、申請中の者が十五名でございます。
○田邊委員 全くこれは認識不足もはなはだしい。私どもが調べたところで、これはもちろん全部休むという状態ではない。しかし、あなた方には言わぬかもしれないけれども、実際には、ときどき痛みを覚える者、ごく最近そういう症状になってきている者、しかも痛み方も鋭い痛み方や鈍い痛み方やいろいろあります。したがって、公務災害の認定申請をしている者、あるいは認定を受けた者、そういう状態だけでもってこれを律することはできない。コルセット使用は少ないと言っても、これはまだできない状態だ。そういうことの準備が整っておらない状態、これを含めた場合に、われわれが調べたところでは、この種の施設に従事しておる職員数の八百八十一人のうち、多かれ少なかれこの腰痛に悩んでいる人たちは驚くなかれ六百三十三人おるという状態であります。こういう状態というものを、あなたの方は正確に把握してないこともさることながら、実際はこれば刻々さらにひどくなるという条件にあることを御承知をいただかなければならぬと思うのです。 そこで、特にわれわれが寒心にたえないのは、腰痛症になっておる原因の中に、明らかに法律違反を犯して仕事をしている、こういうことがあることは御案内のとおりだろうと思うのです。これを否定する何ものもないと思うのです。岡崎さんには大変申しわけありませんけれども、第二びわこ学園に対して滋賀県の労働基準監督署は、いろいろな違反事項を指摘をいたしまして改善勧告をいたしております。四十八年八月十二日に回答が出されておりますけれども、その中に、女子労働者の勤務状態に対して、十八歳以上の女子看護職員に、体重三十キロを超える障害児の入浴等の取り扱いを行わせている、これは明らかに法律違反であると実は指摘をいたしているのであります。これは基準法違反でありますけれども、したがって、満十八歳以上の女子について、断続作業の場合に三十キロ、継続作業の場合に二十キロであります。もっとも、びわこ学園はこれに対して除外申請をいたしておりますから、あと十キロずつ、これは断続作業の場合に四十キロ、継続作業において三〇キロのいわば制限があるわけでございまするけれども、実はこれを超えて勤務せざるを得ないという状態になっているのであります。なぜなら、このびわこ学園の場合、昨年の三月の状態の中でも、四十キロ以上の児童が五十二名おるわけであります。これはどうしても、四十キロ以上の体重を背負って運び、ふろに入れざるを得ないという状態になっておるのでありまするけれども、この状態に対して、労働省は一体どういう調査をされておりますか。どういう指摘をされておりますか。さらに、この種の問題は世論をにぎわして、いわばこれば基準法違反である、女子就業規則違反であるということが指摘をされたその後において、どういう調査をあなたの方はされましたか、どういう勧告をされましたか、ひとつあわせてお伺いします。
○東村政府委員 お答えいたします。 ただいま御指摘ございましたように、労働基準法六十三条、それから女子年少労働基準規則の七条で一応規制がございます。
○田邊委員 そういうことはわかっているから言わなくてもいいのだ。
○東村政府委員 はい、わかりました。 ただ、その際にどういうかっこうで患者の方を介護するか、どういう手段で介護するか、いろいろございますけれども、違反という問題がございます。これに対しまして私どもは、いま御指摘ございましたように、是正勧告書というものを交付いたしまして、是正をお願いしておるわけでございます。それとともに、ただ是正そのものを強要するだけでも事態は改善できませんので、それに対する予防措置ということを考えまして、最近、二月でございますが、去年の夏、中間報告をいただきました研究会の研究結果に基づきまして、予防の措置を指示した次第でございます。 予防の措置と申しますのは、作業負担の軽減化、それから健康診断の問題、労働条件の問題、こういうものをあわせて実施するようにということを指示し、それによって問題の解決に努めている、こういう段階でございます。
○田邊委員 その後どういう改善をされているのですか。施設でもってどのくらい違反があるとあなたはお考えなのですか。それで一体どういう勧告をされて、その後の状態はどうなっているのですか。
○東村政府委員 ただいま申し上げたようなことで一般的に指示しておるわけでございますが、具体的な勧告の内容あるいはその後の状況をただいまフォローしてございませんので、早速調べさしていただきたいと存じます。
○田邊委員 あらかじめこの点に対しては質問通告をいたしておりまして、精査するようにお願いしておるわけでございまして、そんな怠慢は許しませんよ。そういう状態だから通り一遍の勧告に実は終わっているのですよ。大臣、それなら一体予防措置といってどういう措置をするのですか。そんなうまいわけにいきません。入浴をするときに一人で背負っているのに対して、どういう予防措置ができますか。実際にはそういうことはできないのですよ。これはもちろん厚生省も省力化の問題を言っていますよ。運搬の場合にはいわば動力車のいすで運ぶとか、それからふろ場をもう少し上下に動くように措置するとか、これは私も知っています。しかし、いずれにいたしましても、一番大切なときに四十キロ以上の児童を抱いて、あるいは背負って一緒にふろへ入れなければふろへ入れないのですよ。その状態をあなた方が知っているとすれば、それに対して本当にどういうことをすべきかということに対する措置は、おのずから明らかであるはずです。それをあなたの方で厳格にやっていないから、いつまでたっても実はずるずると違反が慢性化して、それが普通だといま思われているんですよ。そういう状態は許せないんです。ですから、まず労働省はこれに対してきちんと指摘をする。それに対して改善を勧告したなら、一体それが守られているかということを監査する。大臣、こういったことなしには、いわば原点に返って施設の中身を改善することはできないというふうに私は考えるわけでありまして、この点はひとつ委員長を通じて強く私は意見を申し述べておきます。私の質問に答えられぬことに対して私は納得しません。 いわばそういう状態というものを改善するために、もちろんいろいろと省力化の問題もありましょうけれども、厚生大臣、これは何といっても一対一の問題それから週休二日の問題あるいは腰痛代替の問題、こういったものを総合的に判断して、これに対して一体どうするかという手だてを講じなければならぬところに来ている。あなたは動く重症児のことを知っているんだから、言われましたから、したがってこの際ひとつ五十年度の行政の中でもって、これらの問題に対して一体どういうふうに対処するかという一つのアウトラインを示されて、それに対する年次計画は一体どうするかということに対するあなたの心組みを示してもらいたい、こう思っているのですが、どうでしょう。
○田中国務大臣 率直に申しまして、重症心身障害児対策につきましては、今日までいわゆる施設のベッド数をふやすことに狂奔をしておって、内実についてこれを固めることについていささかおろそかであったような感じがいたさないわけでもございません。したがいまして、今後は、こういう状況まで来ましたものですから、指導等々をめぐりまして、内容の充実をはかるよう努力をいたしたいというふうに思っております。
○田邊委員 時間がございませんから、その他いろいろとお聞きしたいのでありますけれども、省かしていただきますが、この施設も、ただ山の奥に大きな施設をつくって、その中に児童を収容すればよろしいという時代ではなくなったと私は思うのでありまして、これは岡崎さんもいろいろな御意見は持っていると思うのですけれども、お伺いする時間がございませんから、この分類収容についても再検討する、そしてまた細かい小規模の施設というもの、これはつくらなければいかぬ、地域社会との結合面についても考慮しなければならぬ、こういうことを含めていまの厚生大臣の発言を受け取りたい、私はこう思っておるわけであります。 そこで、最終的には岡崎さんも言われましたけれども、これは施設にただ収容するだけでなくて、できれば家においてもこれができるという状態が私は必要だろうと思うのです。しかし、現在のところは、発生予防あるいは早期発見、あるいは早期治療、訓練、こういったものが家庭ではできない。通院もできない。そして訪問診査等の実施状況というものはきわめて少ない。実は現在の厚生省なり地方自治体の仕事は、ほとんどが受け身の仕事である、こういう条件の中でもって、これに対してどうにも措置できないというふうに思っておるのでありますけれども、岡崎さん、この障害児問題というのは、金を出す、施設をつくるというだけでなくて、最終的には人をもってこれに対応するということが何と言っても大切じゃないかと私は思うのですけれども、あなたの御意見を一言だけ承っておきたいと思うのです。
○岡崎参考人 最初に申し上げましたように、施設をつくることだ、私どももそういうふうに初めは考えたわけでございます。唯一の重症児対策というふうなことでやってまいったわけでございますが、現在までのいろいろな経験から考えますと、やはり普通の子供さんと同じように、できることならば家庭において療育が続けられるという状態であれば最もいいのではないかというふうに考えるわけであります。そういう場合に、やはりその子供さんに必要な処遇、検診でありますとか、あるいは治療、訓練、指導、あるいは最近問題になっております教育、そういう全般の面にわたりまして、家庭において、地域がその療育に関係ができる、それだけの専門あるいは介護、そういう人たちが確保できるならば、私は必ずしも施設は要らないというふうに考えます。
○田邊委員 ひとつそういう御意見も私は尊重されて、厚生省は今後のあるべき姿について、この辺でもって根本からやり直すという考え方を持って対処してもらいたい、こう思っております。 それから文部大臣、大変あなたに対する質問がおくれておりますが、最初にお話のありましたように、この重症児についても当然生きる権利あり、生活する権利あり、そうして教育を受ける権利あり、しかし、この教育権の問題が実はおろそかにされているのです。いままでは、ややもすれば就学免除をしなければ施設に入れないというかっこうになっておったのですが、これは、だんだん変わってまいりましたが、しかし、いまのところ、そういうものがなかなか十分されていない。厚生行政にそればまつけれども、しかし文部省も、これに対するところの考え方をひとつ私は示すべきであると思う。特にこういった重症児は、重症児だけでもっていろいろ教育をすればよろしい、あるいは養育をすればよろしい、こういう考え方というものは、私は改めなければならぬところに来ていると思うのです。一般の児童との間におけるところの交流あるいは普通学級への編入の問題、あるいはできれば、たとえば体育とか音楽とかすぐできるようなそういった科目については、これは一緒に取り扱う、こういういろいろな配慮というものがされなければならぬところに来ているんじゃないかというふうに私は思っておるわけでありまして、そういったところに対するところの教育方法、養育方法、これに対する方針を明らかにしていただきたい、こういう国民の切なる希望があると思うのであります。 さらにまた、施設に教師が派遣されておりますけれども、一体教師の役割りは何なのか、あるいは児童指導員や保母の役割りは一体何なのかということに対する悩みが、いまいろいろとぶちまけられておるわけでありますけれども、この障害児の教育の教育権の問題に対して、私がいろいろなことを申し上げる時間がございませんから、大臣の所見を、簡単でけっこうでございますから承っておきたいと思います。
○永井国務大臣 先ほどの特殊教育の学校で学んでいる児童や生徒と、一般の児童、生徒との交流といいましょうか、そういうことの必要性をお話しになりましたが、それは全くそのとおりであると考えております。 実は私、二月十一日の休日に京都に参りまして、京都市でちょうどその日から身体障害者の共同の画展がございましたので、そこで先生方といろいろお話をしたんですが、やはり特殊学級の場合、これは一般の学校にありますが、いろいろな形で交流があって、その場合、絵とか音楽が多いのですが、さらに御指摘のように、養護学校というところと一般の学校の交流を強めていくということが非常に大事であると考えております。そのやり方について、文部省といたしましても、いろいろ指示をいたしておりまして、具体的に申しますと、どういうやり方がいいかというと、遠足ですとかあるいは学芸会ですとか、そういうふうなものが一番交流がしやすいという角度で、いま進めているわけでございます。 さらに、その原則的なことについてのお尋ねがございましたが、私は、この特殊教育というものも非常に大事だと考えております。でありますから、特殊学級につきまして十ヵ年計画、養護学校について七ヵ年計画がございますが、こういうものを年次充実していくことが大事でございますが、その教師が何を考えるべきか、これは申すまでもなく、本当にそれぞれの子供の人権を尊重いたしまして、そして、それぞれの子供が持っております問題に応じまして、伸ばし得るものを十分に伸ばしていく、そして社会に生きていくときに十分に助けになるように、その考え方でもって進んでいかなければならない、また、われわれ行政に当たる者は、そういう先生方が理想を持って仕事をしていかれるようにその条件を整備しなければならぬ、このように考えております。
○田邊委員 三好さん、おいでをいただいておるのですが、いろいろとあなたにお聞きをしたい点が多いんでございますけれども、時間もございませんので、非常に申しわけございません。 そこで、一つだけお伺いをいたしまするが、盲人の方々に対する雇用を促進しなければならぬという考え方をわれわれは持っておりますが、なかなか思うようにいかないのであります。そして、この身体障害者雇用促進法によっても、国の機関は一・七%、特定の機関は一・六%、民間は一・三%雇わなければならぬ、またあるいは民間は努めなければならぬとなっておりますけれども、なかなかこれが守られない。 私は、労働大臣に答弁を聞きませんけれども、あなたの方は民間企業に対しても、この雇用率というものが本当に達成できないというようなところは公表する。何か企業が大分反発しておるようですけれども、断固としてやってください。そういうことを恐れずにやってもらいたいというふうに思っているわけでありますけれども、しかしこれは、もうちょっときめ細かく、等級別に率を決めてやらなければならぬのじゃないかと私は思うのです。そうでありませんと、何といっても重度の障害者に対して敬遠をする、あるいはその中身によっては敬遠をする、こういう事態になってくるわけでございますから、これは、もう少しきめ細かく決めてやっていただかなければならぬ、私はこういうように思っているわけでありますけれども、そういう事態の中で、三好さん、ひとつ雇用促進を願うあなた方の立場からいいまして、この際、政府に対してあなたの御意見がありましたならば、簡単にお聞かせをいただくと同時に、その次善の策として、リハビリセンター等に盲人のための福祉工場、これを設けるべきだという御意見があると思うのですけれども、これに対するあなたの御意見がありましたならば、ひとつ率直にお伺いしたい、こう思っております。
○三好参考人 三好でございます。私も失明してからすでに十七年たちます。最近の盲人の問題の中で、やはり職業問題が一番重要だと考えるのであります。現在の盲人の中で何%が就職していないかなどということは、ここで申し上げませんが、問題は中途失明者であります。人生の半ばで失明した人々が、いまどういう職業についたらよいかということについては、関係者の方々が一生懸命努力していらっしゃることは、私もよく存じておりますが、それらの職業対策の中で、どれ一つとりましても問題がございます。昔から、とにかく盲人になりましたらすぐにあんまさんというのが通例でありました。ですから、盲学校を卒業した人は、全部あんまさんの免許を持っているというふうなやり方が従来のやり方であったように思います。このために現在、厚生省あるいはその他がとられている方法も、中途失明者と言えば、みんなとにかくあんまさんの学校に行く。これも現在問題が起こっております。最近、不景気風が吹きますために、失明とまではいかない残存視力を残している人々までが、視力障害センターに押しかけているというのが現状でございます。さっぱり収容ができない事態が起こっております。 もう一つ考えてみますと、たとえばお琴の先生あるいはピアノ調律あるいはプログラマー、いろいろな施策が最近までとられてまいりましたが、果たしてその中で中途失明者が安心して職業につけるだろうか、これを考えていただきたいのであります。私も中途失明をいたしましたが、そのときにやはりあんま、マッサージの職につくまでには相当の期間がかかりましたし、同時に、その日から食べるために、どんなにもがいてきたかであります。このもがいている人々に対して、現在のところ方法がほとんどございません。今度国立センターで、それに対する対策がとられるということは、まことに結構でございますが、要するに妻、子を抱えた主人なりその人たちが、あすから働けるという場がない限り、失明者はやはり自殺を考えるしか道がないのであります。これらの人々のために、私はあえてこの壇上に参りまして、この盲人のための福祉工場をつくっていただきたい、そうしない限り、これらの人たちは、個人個人の努力によって何とかしろという行き方はできるかもしれませんが、われわれ、国でやるべきことは、あんま業にだけなればよいというものではないと思うのであります。 そういう意味で、現在でも福祉工場をやられている政策を考えてみますと、目と手さえあれば福祉工場はできるというふうな感じしか、私には持てません。目がなくても働ける工場をつくっていただきたい、これを私は心からお願いし、これをやらない限り、盲人の人々のための福祉は一歩も進まないと考えるのであります。いろいろな施策をしていただいていることばまことにありがたいと思っておりますが、しかしながら、生きるためには職業であります。そのために、この中途失明した人々が、私の知っているだけでも、とにかく女中さんをしてもお茶わんをこわしながらまだ続けています。中途失明でゼロにならないまでの残存視力の人は、その残存視力を残して必死に働いています。しかし、それらの人が最後の土壇場になったときにどうなるかということを考えましたら、私はこれらの人を収容し得る福祉工場を国が一日も早く建設することが、この人たちを救う道だと考えるわけであります。ひとつぜひ実現のほどをお願い申し上げたい、このように思います。 終わります。
○田邊委員 厚生大臣、いまお話のありましたとおりです。今度はあなたの方で国立のりリハビリセンターをつくるわけですが、いままでの福祉工場というのは、実は盲人向けのものはないので、新設されるリハビリセンターの中にも、当座はまだないと聞いているのですけれども、これは何とかひとつつくってもらいたいと私は思うのです。どうでしょう、これは。最後に聞きます。
○田中国務大臣 盲人の人々の切々たる願いを踏まえて、前向きに、積極的に検討をいたしたいと思います。
○田邊委員 ありがとうございました。
○谷川委員長代理 これにて田邊君の質疑は終了いたしました。 次に、金子みつ君。
○金子(み)委員 ただいま田邊委員がお取り上げになっていらっしゃいました重度心身障害児の問題、これらは恐らく、この部屋においでになる方は皆さん御存じの問題だと思います。ところが、私がただいまから申し上げたいと考えておりますのは、いわゆる難病と呼ばれる種類の病気を持つ人たちでありまして、大変にじみでございます。恐らく余り御存じでない方が多いのではないかと思うわけでございますが、たとえば手がきかないとか、足がきかないとか、目が見えないとか、耳が聞こえないとか、物が言えないとかいうふうに、外にあらわれた障害でございますと、だれにでも気がつきます。そして、そのことを考えますと、何とかしてあげたいという気持ちが出てくるわけでございます。私たちの体は、外にあらわれております体形だけではなくて、この体形を動かしている、機能している体の内部の内臓及びそのほかの器官の働きによるものだということは申し上げるまでもないと思いますが、ただ、それが外に出て見えませんために、どのような異常があるのか、どのように障害があるのかということが明らかになりませんので、非常にむずかしい問題だと思います。いわゆる難病と言われている疾患を持っていらっしゃる方の中には、恐らく生涯難病とおつき合いをして天国まで行かなければならない方もあるだろうと思いますし、あるいは成人式を迎えることができないと宣告されてしまう方たちも多いことだと思うわけです。そういう方々が本当にじみにひっそりと社会の片すみで、本人ばもちろんですけれども、本人を世話する家族の人たちが、一緒になって大変に苦しんでおられるわけですが、現在の日本の状態におきましては、この人たちを手の届くようなお世話ができていない、その状態に対して、私は国のお考えを、猛省していただきたいというふうに思うわけでございます。 身体に障害のある人でしたならば、身体障害者福祉法という法律ができておりまして、この法律の適用を受けていろいろと援助が得られるようになっております。いま申し上げたいわゆる難病と言われる方々は、特定疾患という形で厚生省はお取り上げになっていらしゃいますけれども、特定疾患の中で国の援助を受けて治療費を得ていらっしゃる方というのは大変に少ない、その問題もございます。 そこで、私がお尋ねしたいと思っておりますことは、特定疾患の中で、国の援助を受けて治療をすることもできないし、身体障害者福祉法にも該当し得ない、させられない、させてもらっていない、そういういわゆる身体の内部疾患を持っておられる方たちは、どういうふうにして国が援助をしていらっしゃるのでございますか、現状を簡単に教えていただきたいと思います。
○佐分利政府委員 ただいまもお話ございましたように、特定疾患につきましては、子供は児童家庭局の方でお世話をしておりますし、大人については公衆衛生局の方でお世話をいたしております。また育成医療、更生医療に該当するようなものは、そういった制度でお世話をしておるわけでございます。 そこで、そういった制度の恩恵を受けない、谷間にある難病患者はどうなるかということでございますが、御案内のように、社会保険の方の家族の給付率の引き上げがあったり、あるいは高額療養費の支給が開始されたりしておりますので、そういった面でめんどうが見ていかれている現状でございます。
○金子(み)委員 それでは私は、きょうお願いして来ていただきました難病連の会長の石川さんに、いま申し上げましたような方たち、実際問題としては、指定されて援助を受けるようになっている方たちの状態と変わらないような状態でいる方たちがあるはずでございますし、そういう方々はどんな状態になっておられるのか、そのことについて、実情を少し説明していただきたいと思います。
○石川参考人 私も筋ジストロフィーという難病患者の一親でございますし、また患者運動の面では、多くの仲間の団体の方々と接触を持っているものでございます。そういった立場から、私個人としてお話を申し述べさせていただきたいと思います。 私ども、この難病患者というものは、病気という条件を除いては、全く重度な身体障害者の方々と同じような社会的状態におる、にもかかわらず、身体障害者の手帳等そういった制度がないために、医療対策はあっても生活面での保障、福祉対策が全く欠落しているのではないかというふうにかねがね思っているわけでございます。私どもの病気というのは治療法がございません。したがって、生涯病気と切り離せないで生活をいたします。生涯病気であるということは、自分で自分の体が当てにならないわけでございますから、まともな就職はできないわけでございます。ことに、こういった問題についての仕事ができない、社会復帰ができないがゆえの生活面の悩み、苦しみというのは、常人にはわからないほどの深刻な問題があるわけでございます。 幾つかの例を引いてまいりますと、先ほども金子先生の御指摘がございましたとおり、外見はなるほど身体的な問題はないかもしれない、しかしながら、内部的な疾患のために、さまざまな理解されにくい問題を実は抱えているわけでございます。たとえば膠原病系統、べ-チェット、そういった病気などは、まず外出する場合でも、きょうはお天気かどうかということが気になります。と申しますのは、非常に日光が強いというだけで、日光に、ある時間照射を受けたというだけで、すぐそれが病状にはね返ってまいります。したがって、天候が非常に気になる。それからまた寒さ、湿度、こういった条件で、その日その日のコンディションが非常に狂ってしまう。無理をすれば、すぐぶり返してしまうというようなことがございます。さらに加えてショック、いわゆる騒音であるとか、あるいはまた雑踏した人中へ出たときのいろいろな煩わしさ、あるいはまた感情的な問題、人間関係の煩わしさ、そういったことが常にすぐ病気のぶり返しということではね返ってきてしまうわけでございます。こういった病気の状態を抑える有名なステロイドというような薬がございますが、なるほどこの薬を用いている間は、若干体が言うことを聞きます。だが、これを飲み過ぎますと、たちまち副作用が出てしまいまして、働くために薬を飲んで何とか体を動かす、しかしながら、副作用でやられてしまう、しかしながら、働かなければ食べていけないというような、非常に深刻なジレンマを繰り返しておるわけでございます。 また、難病の中には、重症筋無力症という病気がございます。これは、いつ突然呼吸困難、クリーゼを起こすかわからない。そして、これを起こしたが最後、たちまちのうちに、いままでおしゃべりができていたのが言語障害に陥る、そのために助けを呼ぶこともできない、こういった状態では、常時何らかの介護者がそこに監視をしていなければならないというような状態でございます。それから先ほど申しましたように、温度差、湿度、こういった問題で、少し無理をすると、いわゆる筋肉が全く脱力をして無力になってしまいます。そして、いままで元気で歩いていたのが、たちどころに最重度の患者さんになってしまう、起き上がることもできない、自分でトイレに行くこともできないというような状態になってくるわけでございます。 こういったことを考えますと、たとえばこんなぐあいな状態では、最重度の身体障害者とまさしく等しいわけでございますけれども、身障手帳を取ろうといたしまして体を動かそうとする、そのためには自分で自分の体を使うわけですから、マイテラーゼであるとかワゴスチグミンであるとか、そういった薬を飲みながら何とか自分の体を動かす、そして身障手帳を取りたいのだけれどもというふうな相談に参りますと、何ですか、あなたはりっぱに体が動いているじゃございませんか、そういうふうに言われる。まさにそのとおりでございます。しかしながら、この薬も、下手な飲み方をしますと、だんだん効かなくなって、最後にはリミットの何倍もの薬を飲まなければ体が言うことを聞かない。そして同じく副作用で、むしろ本来の病気よりも副作用の結果、死亡するというような例が実は出てまいります。しかしながら、やはりこういった状態の中では、現在の社会環境の中では、こういったような病人、本当にどうしようもない状態にある病人の人たちに、働きの場を提供してくれるなどとは夢にも考えられないわけでございますし、また厳しい医療管理下の制限がございます。 こういうことを考えますと、目の前の症状の高低、あるいはまた介護負担の軽重を問わず、こういった状態にあるならば、現実的には全く社会復帰が望めないのではないか。むしろある病人にとっては、働いてはいけないというような状態さえあるではないか。また、やや軽度の場合を考えてみても、慢性の肝炎であるとか慢性の腎臓患者の方々は、お医者さんからば、あなたは一日何時間しか動いてはいけません、一日置きに体を動かしなさいというような制限がございます。一日に何時間、何日置きに働きなさい、結構でございますからどうぞいらっしゃい、というような企業主がございますでしょうか。こういうような状況の中では、まさに難病患者の社会復帰はきわめてむずかしい。その結果、私たちは若干の医療保障はあるかもしれないけれども、生活保障がない。もしも働く人たちが突如としてこの難病患者になってしまったとするならば、まず長年勤続して積み重ねた退職金が多少当てになりましょう。しかしながら医療費、公費負担以外の医療費が大きくかさむ現状では、そのなけなしの退職金ばまたたく間に消えてしまいます。そして結核患者のような三年サイドの傷病手当金もございません。発病して退職を勧告された途端から、たちどころに生活苦が始まるわけでございます。 また中には、母子家庭、年とった介護者が何とかめんどうを見ている、だが、この患者を置いて自分が先に死んだらどうしたらいいだろう、あるいはまた、この患者のめんどうを見るためには、自分自身が働かなければならない、だけれども、働いてしまったらだれがこの患者をめんどうを見るのであろう、そして、働きたいと思っても働けずに、暗い閉鎖的な在宅の状態を続けておる。これがいわば難病患者の生活の実態であります。なるほど病気という特殊な条件がございます。しかしながら、永続的に内科的な治療を生涯にわたって必要とする、しかもなお、その結果、日常的に著しい制限を加えられておる、その結果、社会復帰が非常に困難である、こういった概念をとらえてみますと、まさしく重度な身体障害者と同じような社会的な状態にあるのではないか、にもかかわらず、これらに対するところの生活面での保障が全くない、こういったようなのが現在の難病、ことに在宅患者の実態ではなかろうかというわけでございます。
○金子(み)委員 ありがとうございました。 いま石川さんから、そういう方々の実態を事細かに幾つかの例をもって御説明をいただいたわけでございます。いま御説明がありましたような実態でありまして、その人たちが、ただ医療を受けるだけでなくて、生活面を支えてもらわなければやっていかれないという訴えが、いまあったように思います。そういうことを考えますと、いままで国がやっていらっしゃる政策の中で、これを取り入れていっていただくという場合に、何が障害になって、これを取り入れていただいていないのであろうか。言葉をかえて申しますれば、特定疾患の中の国庫負担の対象にする問題、どんな基準があってそれをお決めになるからはずされてしまうのであろうか、あるいは身体障害者福祉法の適用を受けさせることができないのはなぜであろうかというようなことが、非常に疑問になるわけでございまして、その辺を厚生省に解明していただきたいのでございますが、実は四十七年の六月に開かれました六十八国会の席上で、前の社会局長だと思います、加藤局長からの発言でございますが、現在、身体障害者福祉法の中に取り入れてあります内部疾患としての結核と呼吸器とそれから心臓、腎臓というもののほかに、その他の病気につきましても、それが非常に永続して内科的な治療をやってもなかなか治らないというようなことになりますれば、これは、その中に取り入れる可能性も出てくると思います、という答弁をしていらっしゃるのでございますが、その考え方がいまも変わっていないのか。そうであるとすれば、それから先二年半たっております今日、厚生省では、その観点からさらに一歩進んで対象を拡大するということをお考えになっていらっしゃるのかどうか、それを聞かせていただきたいと思います。
○翁政府委員 お答えいたします。 ただいま御質問のございました難病の中で身体障害者福祉法の適用にならない理由、それから前に、元の社会局長が答弁したことについてのその後の経緯、こういう御質問であろうと存じます。 先ほど参考人の方もおっしゃいましたように、身体障害者福祉法が対象としておりますのは、外部障害では確かに外部的にそれとわかる身体障害の程度、それから内部障害につきましては、さっき先生もお示しになりました心臓、腎臓、そういったもので症状が継続しておるもの、そういった状態にあることをとらえまして、その方々の社会復帰、更生を援護することが身体障害者福祉法の目的になっているわけでございます。したがいまして、現在の時点において挙げられております多くの難病につきましては、その病因の究明、それから治療方法の確立ということが最大の要務になっているわけでございます。しかも、その多くは、病状として継続あるいは症状として固定したものではない、いわば御本人にとってはきわめて苦しいわけでございますけれども、不安定な状況にあるものでございます。したがいまして、身体障害者福祉法の別表で直ちにこれを福祉の適用対象とするということが困難なものになっているわけでございます。 ただ、難病と言われますものの中でも、たとえばべーチェットで失明された方あるいはスモンですでに筋無力症になられて体の自由を失っておられる方、こういった方々は身体障害者福祉法のいわゆる症状ということで、適用の対象になっている次第でございます。 将来、この別表の中におきます内部疾患の対象が、いわゆる現在ございます難病の中で取り上げられていくだろうか、こういうことでございますけれども、私どもは、やはりこの原因の究明あるいは治療方法等の確立によって、この症状が継続し、あるいは更生医療の可能なものができてまいりますならば、どんどんこの対象にしていくことによって、身体障害者福祉法のいわゆる対象として、福祉の措置をとれるようにしてまいりたいというように考えておるわけでございますが、何分この難病の問題は非常に多岐に分かれ、原因究明、治療方法が非常に困難なものでございますので、現在のところでは、別表を直ちに改正するという事態になっていないという状態でございます。
○金子(み)委員 御説明はわかったのでございますが、私が考えておりましたことは、それはいままでの経緯として御説明くださったのだと思いますけれども、これから先のお考えを聞かせていただきたいわけなんで、たとえば身障者福祉法の基準が大変に厳しいですとか、あるいはいま、別表の中身を変える意思はいまのところはないとおっしゃいましたけれども、そういった標準の内容を変えてでも、あるいは変えなければならない時期が来るのじゃないかというふうに思われるわけでございます。そのように、こういう難病の方々のことを何とかして援助をしてあげたいという基本的な考え方が国におありになるならば、少しでもその基準を動かす方向へ進めていかれて、そして法の適用の対象者をふやすということを考える意思がおありになるかどうかということについて、はっきり伺わせていただきたいと思うわけです。
○翁政府委員 身障者福祉法のいわゆる対象としての難病対策ということでは、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、難病一般をとらえての福祉というものをどうするか、これが一つの別の体系と申しますか、福祉の体系としてとらまえられる点がありはしないかという感じがいたします。 いずれにいたしましてもこういった症状にある方々、いわば不安定な状態にある方々の医療以外の福祉というものをどうするか、これは前向きに検討していかなければならぬ問題であるというように考えております。
○金子(み)委員 十分納得できないのです。前向きに検討していきたいというのは、いつの場合にも聞かせていただく言葉で、何年か前の議事録を見ても、そういう言葉が出ております。そしてその間に果たして前向きにどこまで進んだのかというと、一つも具体的になっていないというのが事実でございますので、私はそういう言葉は余り好きじゃないのですけれども、いまそういう言葉をお使いになりました。 それで、身体瞳害者福祉法の適用の場合は云々と、いまお話がありましたけれども、その条件として、更生できなければならない、更生することのメリットがなければ、というようなことがあるのだと私は思います。そうだとしますと、筋ジストロフィーなどが対象にして扱われているというお話がありましたが、筋ジスの患者さんというのは更生は不可能というふうに言われていると、私は承知いたしておりますし、どんなに長く生活ができても二十歳ぐらいまでと言われている方ですら、一部分でも対象になるとするのならば、なぜほかのものはならないのかという、大変に素朴な疑問が残るわけでございます。しかし、この問題だけで取り合っておりますと時間もかかりますので、厚生省のお考えの程度がわかりましたから、先へ進めさせていただきます。 先ほど石川さんがちょっと触れておられましたけれども、在宅の難病患者さんは非常にお気の毒な状態におられます。先ほどもおっしゃっていらしたと思いますけれども、在宅の患者さんこそ、本当に何もしてもらっていないのが現状だと思います。たとえば、一人で生活できない人たちがたくさんいらっしゃるわけですから、介護者は必ず常にいなければならない。で、国では介護人派遣という、これは制度でなくて厚生省の方針で、局長通牒をお出しになって、介護人が派遣できるという政策をとっていらしゃいますけれども、この介護人が派遣される対象というのは、よく読んでみますと、「一時的な疾病等により、日常生活を営むのに支障がある低所得の身体障害者であつて」と書いてありますから、これに該当しないということがわかるわけでございます。それからまた、先ほどの身体障害者福祉法の関係から、内部障害者更生施設に関する通牒がやはり出ておりまして、そういう施設が用意されて、そして医療とあわせて生活訓練あるいは社会復帰の指導をすることができるようになっておりますが、これもやはり対象は心臓病と呼吸器疾患の人たちだけということで、これまただめになってしまうわけでございます。 そのように、国が幾つか政策は出していらっしゃるようでございますが、その一つ一つがみんな外れてしまう、そういう方たちをどうやって救ってあげるかということを、一体どう考えていったらいいのかということなのでございます。ですから、実際問題として、そういう人たちのためには何がなされているかということを、私は国からも御答弁いただきたいのですが、石川さんからこの問題について、在宅の患者さんたちが具体的にどんなに困っていて、どれだけの援助が受けられていて、あるいは受けられていなくてということがおわかりでしたら、ちょっと御説明いただきたいと思います。
○石川参考人 先ほども申し上げましたが、私自身の家庭内に筋ジストロフィーの子供がございます。現在この介護の主なる人手は私の家内でございますけれども、現在十九歳でございますので、いわば最重度の状態になっております。自分では全く何もできずに、腕を食卓の上に置かしてもらえば、何とか指先ではしがいじくれるというふうな程度のことで、あとは何もできません。夜中は一時間置きに母親を起こして寝返りを打たせます。そうしますと、母親は昼間の家事労働から、入浴、用便、食事の世話から洗たくから、また夜は一時間ごとに起こされるというようなことで、本当に過労の極に達しておりまして、このままでは恐らく親子共倒れになるのではないかというふうな危惧を実は感じておるわけでございます。これはあながち私どもの家庭ばかりではございませんで、難病の子供を抱えた家庭では、多かれ少なかれ、このようなケースがたくさんあるわけでございます。この場合に、福祉事務所から仮にホームヘルパーの方々を派遣してもらえたとしても、ヘルパーさんは一週間に一回か二回、二時間程度のサービスでございます。しかも、患者さんを世話するという意味におきましては、まことに専門外の人たちばかりでございます。まだ介護者が元気のうちは、何とか家庭のさまざまな家事とか、そういった問題をお世話していただいて、幾らかでも労働の負担過重を軽減させるということもできますけれども、介護者がまいってしまって、介護者のかわりに何とかめんどう見てもらいたいというような場合になりますと、単なるホームヘルパーの方ではどうしようもない。そこに何とか専門職の、つまり看護の専門職の方々の在宅訪問といいますか、こういったことが実は切望されるのでございますけれども、そのような制度は残念ながらいまないようでございます。 それから、われわれの難病患者というのは、専門病院への入院が非常にむずかしい。何とか入院できたにせよ、治療期を過ぎた途端に在宅に帰されるわけでございます。そうしますと、病院の環境と家庭の環境とが余りにも段差がございます。そのために、せっかく病院から退院してきた患者さんが、たちどころにまた再発をして再入院をする。運がよければ再入院で、再入院できない場合には、救急車でたらい回しになって亡くなるというケースがたくさんございます。なるほど専門病院のベッドは貴重でございます。治療期が終わったらたちどころに退院してもらいたい、こういう病院の立場もわかりますけれども、在宅の方にしてみれば、なるほど治療期は終わったかもしれないけれども、まだ在宅の素人の看護では無理なんじゃないか。こういった状態の中では、何か病院と家庭の中間にあって、在宅に帰すための療養の指導、訓練、在宅に復帰させる自信をつけさせるための、何らかの中間の施設が欲しいと思うわけでございますけれども、それが残念ながらいまの、既存の施設体系の中には組み込まれていないのが実情でございます。 また、先ほど難病患者の医療対策の問題が出ましたけれども、実際は病院に行けないのが難病患者の実態でございます。病院にたどり着いて、ないしは入院、通院ができて初めて、医療費の公費負担という恩典に恵まれるわけでございますけれども、大部分の患者さんは入院もできずに、通院もできないような実態が事実でございます。こういった中では、むしろ病院に来たらサービスをしてあげようという医療の体制ではなくて、医療の側の方から在宅にアプローチをして、在宅に出向いてきてくれるサービスがない限り、この難病の在宅患者は全く日の目を見ない方が多いというふうなわけでございますけれども、専門病院のような非常に高度な医療技術を持った方々が、わざわざ在宅まではるばると出向いてくれるというような制度も、奇特なお医者さんも、全く見当たらないのが現在の実態でございます。 それからまた、親が何とかめんどうを見られるうちはいい。しかしながら、もしも親が先立ったとするならば、残る患者はどうしたらいいだろうかというふうな、非常に深刻な問題がございます。このままでは年寄りは死ぬにも死ねないじゃないか。親の亡い後でも、何かこの難病患者を扱ってくれるところ、その患者の生活の場所を確保してくれる施設はないものかということを考えてみましても、もちろん医療機関は施設ではございませんので、短期の入院しか許されません。かといって、既存の身体障害者関係のもろもろの施設にお世話になろうと思っても、ここは身体障害者という症状の固定した人を対象とするのであって、病人の来る場所ではございませんという理由で、既存の施設からもはみ出た存在でございます。このように、在宅の対策については、何から何までがこれから新しく手をつけなければならないというふうな実態にあるのではなかろうかと思うわけでございます。
○金子(み)委員 いま御発言なさったことの中には、二、三大変大事なことがあったというふうに思います。これらの問題は後で、おしまいごろに、一括して一緒に厚生省の意見も聞かせていただきたいというふうに考えております。 そこで、難病の中で、四十七年の身体障害者福祉法が一部改正されますときに、内部疾患として新たに加えられました腎臓疾患、腎不全の患者さんたちが対象にされるようになったわけでありますが、この問題について少し触れてみたいと思います。 私たちはみんなだれでもそうでございますが、腎臓が二つございまして、そしてこの二つの腎臓がフルに機能を発揮することによって生命を保っているわけでございますが、この腎臓に障害を来して、腎臓が全く機能しなくなったという状態にある患者さんが出てきておりますが、その状態が全く腎不全として機能しなくなった場合に、人工腎臓を使ってこれを動かすという新しい治療方法が発見されたことは、皆様も御承知だと思います。この人工腎臓を使う人たちを、対象として取り入れることになったわけでございますが、四十七年の六十八国会から、内部疾患のものとして身体障害者福祉法の適用を受けるようになったわけです。そのときに、この人工腎臓を使って人工透析を行うということについて、将来どういうふうにこれを進めていくのかというある議員の質問に対して、厚生省側は返答していらっしゃるのです。それが、これから五年計画を立てまして、その必要な透析の機械をふやしていくようにするということで、数字を挙げて言っていらっしゃいます。時間の関係もございますので、そのときの答弁資料から抜き出しました数字ですが、昭和五十一年には、来年になりますが、四千九十台というふうに考えるというふうにおっしゃっていらっしゃるわけです。それが四十七年のときの御計画ですから、今日までの間に経過的な状態としてはどのように進められてきているのか、そして五十一年にこの四千九十台を設置するということを考えていらっしゃって、そのとおりの計画が進められているのかどうか、いまでもそのとおりの考えでいらっしゃるのかどうか、ということをまずお尋ねしたいと思うのです。
○滝沢政府委員 お答え申し上げます。 当時、五十一年四千台という松尾局長のお答えがございましたが、四十七年から、国みずから国立病院、療養所に設置すると同時に、公的医療機関に対する補助を出しまして設置に努めたのでございますが、実は四十九年でほとんど四千台に達したわけでございますけれども、五十年度に残りました地域性を考えて、国立療養所に二十四台だけ入れまして、最終的に国立関係がこの四十七年からで百九十台、公的医療機関に対して四百七十六台、その他が民間医療機関において、この人工透析の機械の購入と医師の研修を経た方々に対応していただきましたので、実質的には五十一年を待たずに四千台に達し、患者数が、人工透析研究会の資料では、約八千名ということでございまして、ほぼ機械と患者数とのバランスがとれたのが四十九年度の末でございます。ただ、この患者数は、今後新規の発生が当然考えられますし、また継続してこれを使用する患者が累積していくわけでございますので、これら民間の普及の状態等々勘案いたしまして、地方の府県部局の御意見も徴し、この谷間を埋めて、医療機関における整備については引き続き検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
○金子(み)委員 わかりました。 ただ、もう一つお尋ねさせていただきたいと思いますことば、前の松尾局長の御発言にもございましたのですけれども、人工透析をする回数は、一週間に一回なり二回なりの程度で行うことが必要なんだ、定期的にするんだということが前提になってその御計画があって、四千台ということだと思うのでございますが、昨今では二回では少な過ぎて、むしろ障害が起こっている。カルシウムがたまり過ぎるというようなことが言われておりまして、三回説というのが専門家の方々の中では言われ、先進国ではすでにそれが進められているというふうにも聞いております。この点について、厚生省としても、もしそれが正しい説であるとお考えになっていらっしゃるとすれば、いまのお話の計画は計画がえをしなければならなくなるのじゃないかというふうに思いますが、その点はいかがでございましょうか。
○滝沢政府委員 確かに当初二回ぐらいと考えましたが、医療の必要上むしろ三回の患者が多くなってきております。先生御存じのように、機械そのものも、一台の機械による操作で何人分かできるという機械も開発されましたので、患者数と機械の台数との対応は、それぞれの医療機関の持っておる機械によって相違がございますけれども、現状においては、ほぼ必要患者数に達した。ただ、地域的なアンバランスなり、あるいは不足地区というものが現在まだ存在するのではなかろうかということだけは、残っておる問題だと思うのでございます。
○金子(み)委員 それでは、当分はこれでいけるというふうに理解してよろしいわけでございますね。――じゃ、そういうふうに本日は理解をさせていただきます。 引き続きまして、同じ人工透析の問題でありますけれども、これもやはり前回、四十七年の法律改正のときに、附帯決議がついていたわけでございます。この附帯決議では何がついていたかと申しますと、この人工透析というのは一回やるのに時間がかかるのですね。六時間から八時間かかってしまう。それで社会復帰をして仕事についている方たちなんかは、どうしても一日休んで来なければできない。それが一週間に二回や三回ということになりますと、仕事にならぬということです。それで、夜やってもらいたいという注文が非常にあるわけでございます。このことが先回取り上げられまして、附帯決議の一つとして、「万やむを得ず人工じん臓の夜間透析を行なわなければならない場合も予想されるので、その受入れ体制についても十分配慮すること。」というふうになっておりますし、国立の施設は率先してこれを実施することを検討いたします、と当時の局長は答弁していらっしゃるわけなんです。そういたしますと、現在国立病院では夜間透析をやっていらっしゃるのかどうか、そのときの附帯決議は守られているのかどうかということが一つ知りたいと思いますことと、それから、この附帯決議が出ましたことについて、各都道府県等にその旨を伝えて、公立の施設が率先して夜間透析をすることを促進するような通達などをお出しになったのかどうか、そしてこれを進めてくださったかどうか、ということについて聞かせていただきたいと思います。
○滝沢政府委員 確かにこの医療の必要上、夜間に透析をいたしますと、社会復帰の状態と医療とが並立するわけでございまして、望ましいことでございます。社会復帰の数字につきましても、昼間透析をしている者が三〇%に対して、これは結果的に当然でございますが、夜間透析の者が八三%というような数字が出ておるわけでございます。施設の数にしては、現在この透析を実施している病院、診療所の数が五百五十五ございますが、そのうち夜間透析を実施している施設数は百二十三、約二二%でございます。 先生御指摘の、あるいは決議等によります国立の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、この医療の普及が民間にかなり積極的に進んでおるわけでございまして、たとえば昼間ある病院に勤務した人が自分で開業して、夜間透析を友人なりあるいは後輩なりに頼んで、医師を確保してやるというような仕組みというものは、やはり民間に最も発展しやすい仕組みでございまして、この二二%のほとんどが民間施設でございます。国立につきましては、いままでのところは機械を普及してその体制を整え、医療関係者の研修をするということでようやく調節がとれた、いわゆる患者数と機械との調節がとれたという、わが国全体の趨勢と国立の趨勢もほぼ同様のことでございまして、決議にございましたように、国立、公立が優先してということにつきましては、それだけの勤務の医師あるいは非常勤医師等の確保をする必要がございますので、率直に言って、これからの対策の問題になるわけでございまして、ただいま申し上げました数字のほとんどは民間施設で、夜間と昼間とを同じ医師なり、あるいは昼間働いた医師が夜間一定の時間来てくれるというような仕組みを活用した民間活動で、夜間透析が行われているというのが実態でございます。
○金子(み)委員 御説明によりますと、国立は一ヵ所も夜間透析をやっていない、こういうふうになるわけでございますね。私はこういうむずかしい問題だからこそ、あるいはいろいろと新しい機械やらあるいはそのために訓練された人が必要であるということがわかっておりますからこそ、国がやはり率先してするべきではないかと思うわけです。大部分の数字は民間でございますと、医務局長おっしゃいましたが、民間にそんなに依存して――国も公立もとれほどかおっしゃらなかったのでわかりませんけれども、とにかく国立が一ヵ所もやっていないで、そして民間はこれだけやっていますとおっしゃっても、ちょっといただけないと思うのですが、大臣いかがでございますか。 これは国立でも早速なさるように方針を立てていただけませんでしょうか。これは夜間と申しましても、夕方からの方法もあるわけでございます。まるまる一日休まなくてもできる。よその施設を拝見してみましたら、四時ごろから始めていらっしゃるところがあるわけですね。そしてその日のうちに帰れるわけですから、そういうようなことを、国立でもこの際率先して大いになさるようにお考えになれませんものなんでしょうか。大臣のお考えを聞かしてください。
○滝沢政府委員 先ほど国立のことは個所数は申し上げませんでしたが、京都の宇多野療養所が一ヵ所だけ、夜間だけ透析をやっております。これはそのような勤務をしてくれる医師を確保できたというために、そのようなことが実施されております。 将来にわたっての問題は、私は、その地域の夜間透析の実施されている医療機関の状況を勘案しながら、ある程度この問題については対処する必要がある。要するに、人工透析の患者数がふえ、社会復帰が可能になってくると、そういう要望が高まるということでございますので、わが国の医療のたてまえから、公私というものが機能を果たしていただければ、私的に果たしていただいてもいいわけでございますが、しかし夜間透析がない地区には、少なくとも国立、公立が積極的に参加できるような予算措置等について検討いたしたい、こういうふうに考えております。
○金子(み)委員 いまのお話ですと、まず民間に依存して、民間がないところは、しょうがないから国と公立でやろうというふうに聞こえます。そうでなかったらお許しください。私はそういうふうに聞こえたのですが、これは大変な考え方でして、本末転倒もはなはだしいと言わなければならないというふうに考えます。最近のように、いろいろな面からそういう施設のないところというのは、いわゆる不公正な実態だと思いますから、不公正を是正するという意味におきましても、やはり国が率先してするべきではないかというふうに考えるわけです。せめて民間にそんなに頼った形になるのだったならば、その民間の施設に何か財政的な援助でもしていらっしゃるのでしょうか、どうでしょうか。それもやってないのでしょうか。その辺がもう一つ伺わせていただきたい点でございます。何か財政的な援助を考えていらっしゃるでしょうか。
○滝沢政府委員 民間と申し上げた言葉の感じは、先生おっしゃるような意味も含めて、いろいろ御意見があろうと思いますが、われわれは地域医療計画というものの立場から考えますと、民間が率先してそういう医療を提供するというものが生まれてくることがあって、なおかつそういうものを合わせながら、公私の力で医療の確保というものを考えてよかろうという意味で、決して公なり国なりが積極的に出ないで、民間を待っているという意味じゃなくて、いままでは機械の充足その他に力をいたし、今後は内容の充実に努めたいということでございます。民間の医療については、われわれの予算の中で、純粋の民間の医療に対する補助というものは、いわゆる民間といっても、医師会等の看護婦の養成のような問題の性格があるだけでござ、まして、医療の個々についての助成というものはございません。この人工透析は、保険医療の面ではある程度技術評価がきちんとなされている点が評価されておりまして、この点が、民間でもその医療のペイがされる、ある程度技術者を雇っても、それだけのペイがなされるような保険医療の報酬の設定がなされておるという点が評価されておるので、民間に比較的正しく普及しているというふうに思うわけです。ただ、これを実施できる医師の資格は、更生医療担当医師として認定されますので、だれもかれもというような形にならずに、この点に対する医療の技術的な面のチェックも、ある程度私はでき得るというふうに思っております。
○金子(み)委員 民間に直接国から援助することができないということは、わかっておりましたわけですけれども、別な形で間接的にこれを援助する方法、たとえば医療金融公庫でありますとか、あるいはその他の方法があると思いますので、それを利用して援助していらっしゃるかと思ったのですが、御説明で一応わかりました。ですから、この問題に対する厚生省のお考えも一応わからせていただいたことになります。 そこで、だんだん時間も迫ってまいりますわけでございますが、一つ別の観点から聞かせていただきたいことがございます。それは、予算に関連する問題でございますが、限局してお尋ねいたしますが、特定疾患研究費というのを、四十七年度からずっと続けてとっていらっしゃいます。この特定医療、特定疾患で研究をなさったその中から、今度は国庫補助を対象とする疾病というものを選び出していらっしゃるわけでございますが、この二つのものの関係がよくわかりません。それで、この二つのものがどういう形で選び出されてくるのかということが一つと、いま一つは、前々からの予算のことは別といたしまして、多分同じ形で進めていらしたのだと思いますので、五十年度の予算に関してだけお尋ねしたいと思いますが、五十年度はこれから始まるわけでございまして、あらかじめ予算をおとりになるわけでありますが、私がちょっと理解に苦しんでおりますので、御説明いただきたいのです。五十年度には、特定疾患の研究費として獲得なさいましたものは、現在三十疾患ですが、それよりも十疾患ふえた四十疾患でございます。それから、今度はその中から医療費の対象となる疾患というのが選ばれておりますが、これがただいまでは十あるわけでございますが、それが五疾患ふえるという形になっておりますですね。三十は四十に、現在十が十五になるという目算で予算がとられているわけでございますけれども、私がお尋ねしたいと思っておりますことは、病気が決まらない、まだ委員会で研究しておられて、どれだけの疾患が対象になるかということについてはまだ決まっていないのに、予算が先に決まってしまい、病気の数も決まってしまうということは、研究している過程において、五疾患でなくて七疾患該当するものが出てくるかもしれない。その場合に、あとの二疾患ばどうするのでしょう。あとの二つの疾患は来年度回し、そしてその疾患を持っていらっしゃる患者さんたちには、お待ちくださいということになるのでしょうかどうでしょうか。そこら辺を伺おせていただきたいと思うことが一つです。 そのことについて、関連してでございますけれども、こういうことになりました原因が、あるいは厚生省は準備して要求したのに大蔵省が機械的にこれを査定してしまったということなのでしょうか。それとも、厚生省は初めから要求しなかったのでございましょうか。あるいはいま一つは、この委員会が、研究しておられる方々が、来年度の予算ではこれだけは必ず確保してもらいたいということで、研究の過程で、そのことを準備しながら研究を着々とお進めにならなかったのでございましょうか。予算がついてから研究すればいいやということになっていたのでしょうか。その三つのことが考えられるのでございますが、いかがでございましたでしょうか、教えていただきたいと思います。
○佐分利政府委員 特定疾患対策には、御案内のように調査研究と治療研究の二つの事業がございます。調査研究は純粋に難病の原因とか治療方法を解明しようとするものでございますし、治療研究は、治療費の自己負担分を公費で負担いたしまして、本人の医療費の負担を軽減すると同時に、治療の研究を大いに進めていこうとするものでございます。 まず調査研究の対象疾患の選び方でございますけれども、これは、特定疾患対策懇談会の各委員の方々、また既存の各研究班の幹部の方々にお願いして、翌年度の候補になる疾患を出していただくわけでございます。それを、たとえば呼吸器系とか循環器系とか、そういうふうに分類をいたしまして、従来とのバランスを見ながら決めていくわけでございます。 問題の治療研究の方でございますが、これは、従来調査研究をしておりましたものの中から、診断方法が一応はっきりしておる、また治療方法も一応ある、また医療費がかなりかかる、さらにほかの制度でめんどうを見ていない、そういったものを選び出しておるわけでございます。 そこで、五十年度の予算案でございますが、調査研究の十疾患の増、治療研究の五疾患の増は、要求どおりを大蔵省で認めてくださったわけでございます。そこで、その後二つ三つ治療研究をしなければならぬというものが出てくるのじゃないかということでございますが、そういう点もあらかじめ予想しながら、五疾患で一万五千人、金額にして半年分でございますけれども、一億百万円を計上しておるわけでございます。
○金子(み)委員 いまの御答弁で一応様子はわかりました。大蔵省の方は厚生省の要求どおり、今年度はお認めくだすったのだそうです。いまの答弁ですと、そうだそうです。ですから、そうだといたしますと、これから先、この問題につきましては、厚生省の方へしっかりとネジを巻いていって、そして厚生省から出ましたものを大蔵省はそのまま受けとめてくださるという形になりますれば、大変にありがたいというふうに思うわけでございますが、この病気の問題につきましては、先ほど来いろいろ申し上げていたわけでございまして、やはりどこからも援助を受けられなかった人たちのためにこれをするのだ、といういまのお話でございましたから、それならばこそ、この医療費補助の対象になる疾患というものをできるだけたくさん選び出していただいて、そしてそれを対象として、生活に困りながら、あるいは治療に困りながらいらっしゃる気の毒な難病の患者さんたちを、少しでも楽にしてあげるということを考えていただきたい、そのために、大蔵省のほうでも十分御配慮がいただきたいということを要請させていただきたいと思います。 そこで、大変時間が迫ってまいりまして、もう最後の時間になりましたので、ここで最後の質問を一つだけさせていただきます。それは、先ほど来いろいろと申し上げたり、あるいは石川さんから説明をしていただきましたり、あるいは厚生省からも御答弁をいただいて、その中から私が考えついたことでございますが、どうもいろいろと見てみますと、この難病対策につきましては、非常に厚生省のお取り扱いがばらばらな感じがするわけですね。病気の数も多いということがあるとも思いますし、種類もあります。そして、これも医療だけでなく、生活の面も見ながら、あるいは子供の場合は教育のことも考えながらということでございますので、したがってそうなるのかもしれませんけれども、何か官僚組織のままで、非常にばらばらにこの問題が扱われているために、対象となる難病の方々は非々に苦労しなければならない、幸せな取り扱いになっていないのじゃないかと思われますので、これを何とかして、厚生省の中でというふうに考えたらいいのかもしれませんが、難病対策の総合的なプロジェクトのようなものをお考えになって、そしてただ単に医療だけでなく、それから生活面だけでなく、社会的な側面からも、教育的な側面からも、いわゆる包括医療が成立できるような形のプロジェクトチームというようなものをおつくりになって、そして、この病気の問題は大変に立ちおくれている感じがいたしますから、この立ちおくれを少しでも早く挽回していただくために、新しい形でお進み願いたい、私はそういうふうに思いますけれども、厚生省としては、どういう基本的な姿勢をもってこれからお臨みになりますか。これは政策として、大臣にひとつお答えを願いたいと思うわけでございます。
○田中国務大臣 先生お説のとおり、難病問題につきましては、昭和四十七年度から初めてできた制度でございまして、いま、これを起こしたときには、いろいろ苦心してやったなと思いますけれども、ここまで来ますと、やはり御指摘のように、いろいろ横の連絡あるいは横の結び目が不十分なような点がよく見られるわけであります。難病と身体障害者福祉法、これば政策の志向するところが違うものですから、したがって、これをどう結びつけるかという問題もあろうと思いますし、それから児童家庭局でやっている育成医療あるいは養育医療、こういったものと、これが大人になったときに対する対処の仕方は、お説のとおりいろいろ脈絡があるようでないというような欠点も気がついてまいりました。そこで、これについては御指摘の点について検討を加えて、何とかもう少しシステマチックにやりたいものだというふうに考えておる次第でございます。
○金子(み)委員 ただいま厚生大臣から、そのようにおっしゃっていただきましたので、ぜひそれを実現していただきたい。そして、谷間にはまり込んでいるような、山の陰にあるような難病患者さんたちのために、明るい暖かい日が差すように、田中厚生大臣の時期に、そして大平大蔵大臣の時期に実現できますように、心からお願いいたしたいと思います。大蔵大臣、よろしゅうございますね。
○谷川委員長代理 これにて金子君の質疑は終了いたしました。 すでに三好参考人、福井参考人には御退席を願っておりますが、石川参考人、三好参考人、岡崎参考人、福井参考人には、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。 ―――――――――――――
○谷川委員長代理 この際、お諮りいたします。 本日、寺前君の質疑の際、最高裁判所当局から出席発言の要求がありました場合には、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷川委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 ―――――――――――――
○谷川委員長代理 寺前巖君。
○寺前委員 最初に、全日本ろうあ連盟の書記長の高田英一さん並びに竜谷大学の学生さんで視力障害者であります竹下義樹さんに、私たちの委員会に御出席いただいたことに対して、心からお礼を申し上げたいと思います。 さて、きょうは社会福祉、きわめて社会的な不公正な問題について、この分野について論じようということでございますので、私は、最初に、振り返って六〇年代、七〇年代を考えてみたときに、貧富の差がひどくなってきているということについて、つくづく思いをはせなければならないと思うのであります。松下幸之助さんや上原正吉さんや鹿島守之助さんというようなああいう大資本家、あるいは最近は土地成金の方々もおられますが、長者番付の上位十人の人の平均所得額というのを、昭和四十年の国税庁の資料で見ますと、平均が二億九千三百七十二万円、三億円近くでありました。そのときの平均の民間の労働者の給与というのはわずか四十五万円です。まさに六百五十二・七倍という大きな格差がありました。ところが、これが昭和四十八年になりますと、何と上位十人の人の平均は二十三億六千六百八十二万円、民間の平均の労働者の賃金は百三十二万円、その倍率は千七百九十・三倍、何とこの八年の間に二倍どころか二倍半近くにも大きく格差が開いていきました。もちろん物価を抑えるためにいろんな施策も重要ですけれども、余りに大きなこの違い、これは考えてみなければならない問題じゃないでしょうか。民間給与の実態というのを国税庁が出していますが、それを見ましても、今度は給与の上位の一〇%の人と一番下の人とを比較してみると、その率は昭和四十年に二・三一倍であったものが写れが昭和四十八年になると、ここでも五・〇五倍と、二倍以上の差が開いてきました。私は、上の方の人たちの問題をどう抑えるかということと、下の方の人たちをどう引き上げるか、これは政治の仕事だと思います。下の方といえば、勤労者の所得というと、それは失対の労働者とか、あるいはまた最賃の適用されるところの範囲の人たちとか、あるいは御婦人の家内労働のような人たち、こういうところの人が低いところの層の問題だと言わなければなりません。私は、そういう意味において、きょうは時間もなんでございますので、これらの中で、勤労者の一番低い層をせめて高めようという一つの役割りをしなければならないはずのあの最賃の問題について、労働大臣に最初に聞きたいと思うのであります。 昨年の末からことしにかけて、全国の都道府県ごとに四百種を超える産業別最賃、地域最賃の決定が行われておりますが、現在に至っても未決定のところが幾つかあります。その一つに群馬県、昨年の十二月の末から決裂状態になっているということを私は聞いているのですが、なぜ決裂状態になっているのか、担当の労働省の人からお答えをいただきたいと思います。
○東村政府委員 お答えいたします。 群馬県の地方最低賃金審議会では、現在、地域別最低賃金の改定を審議中でございますが、専門部会におきまして、構成員の皆さんの間に見解が対立する等の問題がございまして、現在、地域別最低賃金の決定がおくれているという事情を聞いております。
○寺前委員 労働大臣は報告を受けられたことがございますでしょうか。意見の対立とは、一体何事なんだ。労働者がどう言っているかということについて御存じなのかどうか、お聞きしたいと思います。
○長谷川国務大臣 群馬県で、そういうふうにしてまだ問題が解決しないという実情は、報告を受けております。
○寺前委員 ちっともはっきりしない。何でまとまらないのか。意見の違いだと、何でそういうあいまいなことを言わなければならないのか。現に群馬県の県評では大問題になって、一公益委員の罷免要求をするという事態まで起こっているのを御存じないのですか。担当の局長は知らないのですか。何で労働者が罷免の要求をしたのです。御答弁願いたい。
○東村政府委員 お答えします。 ただいま申し上げましたように、地域別最低賃金を決定する専門部会におきまして、専門部会の公益の方の案をめぐりまして、それに対する労働者側のお考えが対立して、ただいま先生が御指摘のような問題が起こっているということを聞いております。
○寺前委員 労働者側の意見の対立なんて、そんなことで労働者が言っていますか。冗談じゃない。労働者はこう言っているのでしょうな「地域最賃額を、県の失対賃金一日千六百十八円を一円下回る額にしようとした基準局の指導が判断される。」この基準局の指導を代弁したようにして公益委員が、「公益委員は基準局と同じ立場に立つので、失対賃金以上は困る。」こういう発言をしたと言って、労働者は退席してしまったのじゃないですか。失対賃金以上を最賃で決めてもらったら困る、公益委員がそう言った。どこかの指導があるのか。基準局の職員の言っておるのと同じような立場じゃないか。これが労働者の間で問題になっているのじゃありませんか。あなたははっきり事実を知らないのですか。私はここで再度聞きたいと思うのです。労働省としては、失対賃金以下でなければ最賃は困るということの指導をやっているのですか。これははっきり聞きたいと思うのです。
○東村政府委員 最低賃金の賃金額を決定いたします場合には、最低賃金法にございますように、労働者の生計費、類似の労働者の賃金、さらには通常の事業の支払い能力というような要素を総合して決める、こういうことになっておりますが、失対労働者の賃金につきましては、労働大臣が決めたものでございますので、大いに参考にしなければいけないということは、われわれ考えておるところでございます。それについて、これ以下でなければならない、そういうふうにしなければいかぬということは申しておりません。
○寺前委員 労働大臣は、昨年の三月の予算委員会の分科会で、この問題について、私どもの党の石母田議員の質問に対してお答えになっています。失対賃金と最賃とは別のものであって関係がない、これ以下でなければならないなんというような指導はやっておりませんというのが、その御答弁の趣旨だったと思うのです。ところが現実には、群馬県でこういうことが起こっている。問題は群馬県だけにとどまりません。私は、基準局長が本当に正直に、それ以下でなければならないという指導をやっていないのかどうか、絶対にそういうことを指導していないと言い切れるのだったら、もう一度やってもらいたいと思うのです。 私は具体的に聞きましょう。昨年の九月十八日に、福岡県の福岡共済会館で、昨年の九月十九日には北海道で、九月二十日の日には島根県の国公共済保養所の千鳥荘で、九月二十五日には大阪府の共済会館で、九月二十六日には千葉県の千葉ステーションビルで、九月二十七日には愛知県の地方共済名古屋宿泊所において、あなたたちは最賃のブロック打ち合わせ会というのをおやりになっているはずです。そこにはあなたの方から、ところによって違いますが、水谷部長あるいは松澤賃金課長、長沢家内労働室長、川口企画課長、こういう人々が手分けをして出ておられます。出ていったところのそれらの最賃のブロックの打ち合わせ会議で、全国の都道府県の基準局賃金課長を集めて、そこであなたは、あなたの局は、そういう指導は絶対にやっていませんと、ここで言い切れますか。私はそれを聞きたいと思います。
○東村政府委員 ただいまも申し上げましたとおり、そういう会議、いろいろ開いておりますが、その際におきましても、ただいま申し上げましたとおり、失対の賃金というのは最低賃金を設定する場合に重要な参考になるので、よくそれを頭に置いてやりなさいという趣旨のことは申し上げております。
○寺前委員 どういう話をしたかというのを、私はここにその部分を、それじゃ読んでみましょう。「今年度の地域最賃改定にあたっては、失対賃金のC3以下におさめることを基本方針として堅持していただきたい。」C3って何ですか。軽労働の一番地域の安いところで抑えなさいということでしょう。それを基本方針として堅持していただきたい。困難だが、絶対にを突破してはならないということである。その理由として、説明しています。第一に、C3を超えることは、失対賃金の引き上げを最賃によって行うことであり、組合の攻勢を地方基準局がまともに受けることになる。第二は、労働者側は地域最賃の審議に当たり、失対賃金のレベルを意識している。一局でC3を突破した場合、他の局もC3を突破しなければ地域最賃を決められない。労働側委員の立場からすれば、メンツがなくなることになる。第三は、失対賃金は労働大臣が決定するものである。同じ大臣あるいは地方基準局長により変更を加えることは行政方針の矛盾になる。同じ労働行政機関の立場としていかがなものか。見方によっては、むしろこの観点の方が大きい。第四は、最賃法第八条の適用除外にすればとの考えもあるが、この決定は地方基準局長が全面的に責任を負うことであり、生ずるであろうトラブルはさらに大きい。こういうことを言って、さらにつけ加えて、制度上、失対労働者にも当然最賃額以上の賃金を支払わなければならず、他の事情がどうあろうと、失対賃金を超えない最賃を決めることにしているということは公式には言えないことで、このような指導を本省がしていることは問題があるので、対外的には十分留意してもらいたい。あなたのところの説明者自身が、対外的には十分留意してもらいたいとまで言い切っているじゃありませんか。許されることですか。こんなことが。 私は、一番最初に言いました。本当に社会的不公正を言うんだったら、これだけ大きなお金をもらっている人と低い人との間にはますます格差が大きくなってきているのでしょう。その低い層――勤労者の中で見ても、四十年代には二・何倍であったものが、いまではそれが五・何倍という格差に変わってきている、どんどん広がっているこの低い層に対して、失対賃金で片一方は抑える、最賃をそれより上げるなよ、これが社会的不公正を是正するというところの基本的な態度でしょうか。考え方の上においても私は重大だと思うし、また最賃法も、あるいは失対賃金も、決め方は別々に法律があるのに、まさにここにあなたたちが説明しているとおりです。失対労働者にも当然最低賃金を支払わなければならず、他の事情がどうあろうと、失対賃金を超えない最賃を決めることにしているということは公式には言えないことである。まさにそのとおり。別々にそれぞれが必要な場合には決めていくわけです。そうして、それぞれの地域において最低賃金はもっと上げなければならないとなったら、その地域の失対賃金もまたこれとの関連で上げていくというのはあたりまえじゃありませんか。法律はそうなっている。ところが、その失対賃金はどうなんです。国で全国的に低いところへ決めて、ぐっと抑えておいて、それを上回らすなという指導をする。去年の三月に予算委員会の分科会で労働大臣がおっしゃっていることと全然違うことを現実に行っているじゃありませんか。全然そんなことをやっていないと言い切れますか。大臣、この問題についてどう処理されますか、お聞きしたい。
○長谷川国務大臣 局長からも答弁しましたように、最賃の問題と失対の問題とは別である。いままで最賃の問題は、御承知のとおり地域最賃、これは三者構成で円満に片づいているわけであります。そして、私は、去年の暮れあたりなども、一つ一つが改定されていく模様なども聞いておりまして、それが地方に出張した場合にいろいろな議論が出るだろうと思いますが、その内容については、あなたがおっしゃったことを私一々報告ば受けておりませんが、三者の公正な話し合いの上において、群馬県の場合も、いきさつはどうであろうとも、私は早く最賃を決めていただきたい、これを期待しておる者であります。
○寺前委員 大臣、どうなんです、私が聞いている点は。こんな指導が許されるのかということを聞いている。やられた指導が、こんな指導が正しいと言えるのか。これ、どうなんです。これについてお答えいただきたい。
○長谷川国務大臣 私は、自分の役所の者が間違ったような指導をしているとは思いませんが、先生のお話でありますから、帰って調べてみましょう。
○寺前委員 大臣はこれを調べられるとおっしゃるのだから、この質問については保留しておきます。委員長の方において、報告を受けてから再度質問さしていただくことを、お許しいただきたいと思います。
○谷川委員長代理 再度質問の問題に関しましては、理事会で、いろいろいままでのいきさつの申し合わせの事項もございますので、十分検討いたします。
○寺前委員 それでは理事会で御検討いただくということにして、私は次の問題に移りたいと思います。 今国会で、政府は、社会保障の最低水準に関する条約であるILOの百二号の条約の批准を提案しようとしておられます。これはもう言うまでもないことですが、戦争後の、いまから二十三年も前にILOの総会で採択されたもので、日本政府の代表も賛成したものであります。ところが、今度このILOの百二号条約の中で四つの種類のものについては、すなわち傷病給付、失業給付、老齢給付、災害給付の四種類については、批准の条件が達したとして出されるわけですが、私は気になって仕方がない。これがいまから二十三年も前の時代の、その時代に社会の最低基準にしようではないかという国際的に話し合ったもの、そのうちのこの四種類が最低基準に達したと言って、大きな顔ができるのだろうか。あとの問題については、それでは放置してよろしいということになるのだろうか。 気になって仕方がないのは、残された問題の特徴点です。医療給付、母性給付、そこで達しないというのは一体何か。それは、お母さん方が子供を産む、その負担は持たないようにしようではありませんかという、国際的な約束事です。この問題はどうするつもりなんだ。あるいはまた、遺族の給付の問題についても、年金の給付率が日本の場合二六%だ。ところがこの国際的な約束事のときには、拠出五年で三〇%、十五年で四〇%、ここでも主として御婦人の、妻の年金権の問題にかかわる問題です。これを放置しておくのだろうか。あるいは家族給付の問題において、児童手当法という法律ができました。ところがこの問題についても国際水準に達しない。これらの内容を全体として見ていくならば、ことしは国際婦人年とこう言います、世界の人々が婦人の地位の向上を訴えている年です。この年に私どもはILOの批准をしましたと言って、主として御婦人にかかわるようなこういう問題について、それではどうするのだという態度を抜きにして、この年を迎えるのだろうか、私は気になって仕方がありません。大臣、どうでしょう、二十三年前のこの水準をもう必要としないという段階に来ているのか、あるいは改正する必要があると認められるのか、ILOの批准をしてしまえばもうあとは知らぬとおっしゃるのか、私はこの取り扱いをどうするかということについて、ここではっきりしていただきたいと思うのです。
○田中国務大臣 ILO百二号条約は、九部門のうち四部門を満たせば一応批准ができるということでございまして、先生仰せのとおり、四部門については到達をいたしましたものですから、近く批准承認の手続を国会にお願いするつもりでございます。 そこで残された部門についてでございますが、いろいろとわが国の実情と照らしましてこれを改正し、そめ方向に向けて進むべきものもあろうと思われますし、またわが国の実情では近い将来困難なものもあろうと思われるわけでありまして、このようなものについて今後どのようにしていくかということについては、今後検討をいたしていきたいと思っております。 もし必要がございますれば、詳細な点については、政府委員より答弁をいたさせます。
○石野政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げたとおりでございますけれども、実は基準に合致していない部門につきまして、医療、家族給付、それから母性給付、廃疾給付、遺族給付の五部門がございますけれども、これを今後どうするかということにつきまして、たとえば遺族給付の問題につきましては、条約におきましては、五年の拠出期間を満了したものに対しまして従前所得の三〇%の給付を行うというふうになっておりますけれども、現在の厚生年金の遺族年金につきましては、基本年金額の二分の一ということになっておりまして、わずかに条約の水準に達していないということは、先生の御指摘のとおりでございます。これにつきましては、御存じのとおり年金の改正問題を五十一年度に控えておりますので、その際におきまして前向きに検討を進めてまいりたい。他の部門につきましては、たとえば家族給付のごとき問題でございますけれども、これはわが国の賃金体系というものと西欧諸国の賃金体系、相当の相違がございます。そういうものから由縁してまいりますけれども、児童手当制度の大幅な改善ということは、なかなか困難な問題もございます。そういうわが国の社会事情の特殊性もございまして、直ちに全部門につきまして批准をいたすということはなかなか困難でございますけれども、わが国の特殊事情も十分踏まえながら、世界的な動向というものも考えて、広い観点から検討を進めてまいりたい、かように考えております。
○寺前委員 そういうような問題については、早いこと処理をしていくというきちっとした態度というものが私は必要だと思うのです。 またそれは別な機会に譲って、せっかくきょうは参考人の方々においでをいただいておりますので、障害者の問題に、私は移っていきたいと思います。 昨年の暮れに、本予算委員会におきましても、私どもの党の村上議員からも、今日のこの雇用、失業問題の大きなときに、障害者の問題というのは特別な位置を占めておるではないかという指摘をやったと思います。大臣自身も、民間事業所の雇用率というのは一・三%だけれども、大企業の事業所の未達成率は四四・五%にも及んでいる、この問題については、近くその名前を公表しますというところまで言い切られたわけであります。私は、当然のことながら、近く公表されて積極的に雇用の促進を進められることだと思っておりました。ところが、最近新聞紙上で、あなたの方で発表された内容を見ると、その公表の時期というのは、近いというのは十月のことだということを知りました。大体こういう大企業が障害者を困らせておいて、法律にはちゃんとその責任が明確になっていながら、ほったらかしておいて、そうしてそれに対して、身体障害者雇用審議会においても、早く公表の問題を考えなさいということが出されたのが一昨年の暮れです。そして昨年の暮れ、一年たったときに、近くやると言っておって、それからまたことしの十月までと言ったら、一体大企業のこれらのしわざに対していつまで放置しておくのだということを、声を大にして聞かざるを得ないと思うのです。私は本当に、今日のこの失業、雇用問題の大きなときに、障害者の問題というのは一刻を争い、スピーディーに仕事をすることが重要だと思う。一体、大臣はこの問題について十月まで待っておるというのか。もう一度私は、近くと言われた問題を、十月と考えられることについてお聞きしたいというのが一点。 さらに、この問題について、私はこの間、この予算委員会に対する資料として、飯田橋職安の管内における千人以上の事業所のうち、身体障害者雇用率を著しく下回る事業所を十例持ってきてくれと要求しました。そうしたら、持ち込まれてきたところの事業所、一番は金融保険業三百人以上ゼロ%、製造業三千人以上ゼロ%、金融保険業二千人以上三千人未満のところゼロ%、ずっと次々並んでくるのはゼロ%、一人も雇っていない。私は、これは唖然としました。本当に指導というのが何でなされないんだろうか。さきも雇用の問題を言いましたが、そこで今度は、公表するということを具体的にやっていったら、軽い障害者だけを雇って、困難な障害者をめんどう見ないという事態も生まれてくるんじゃないかという、また別の心配も私はするのであります。大臣、本当に障害者のためを考えるならば、困難な障害者を対象にすることも計算に入れる、そういう法改正というものを検討してみなければいかぬのじゃないだろうか。障害者問題というのは、一刻を争わなければならない大変な問題だと私は思うのです。大臣は、この障害者の雇用率の発表がこれだけおくれるという問題と、そうして、この困難な者がまだそのまま残っている法律では、仕事にならぬではないか、法改正を準備してでも積極的に、身体障害者だけじゃなくして、精神の分野まで含めて、十分な検討をする用意があるかどうかを、ひとつお聞きしたいと思うのです。
○長谷川国務大臣 身障者の雇用問題は、労働省の政策の中の重要課題の一つとしておりまして、御承知のとおり、事業所に向かって雇用促進をお願いし、あるいは、ときあれば労働組合の方々にも御協力をお願いしてきたことは、先生御承知おきのとおりでございます。 公表ということも言うておりましたが、これなどは、まずその公表の前に、審議会にかけて制度の御研究を願うということがございました。そして一方においては、御案内のように、身障者の雇用促進協会というものを中央でつくり、各府県にそういう団体をつくりながら、そうした方々の自主的な協力運動をやっていただきつつ、やはり漸を追ってやっていく。その間に公表ということになって、いまおっしゃるような雇用率の悪いようなところがそれを推進して雇用してもらうなら幸いだ。そして最後には、いまのような制度によって発表していきたい、こういうふうに考えているわけであります。
○寺前委員 私の聞いているのは、そうすると、そういうことをやっていくと、軽度の問題だけを取り上げて、パーセントの中には軽度も重度も差がありませんから、そうして重度の人は依然として残されていくという結果になっていくんじゃないか。そこで重度の人も計算に入れるような法改正というのを準備する必要があるんじゃないだろうかということを、私はもう一つ聞いているわけです。
○長谷川国務大臣 直ちに新しい制度というのは、なかなかむずかしいと思いますが、そういう軽度だけが雇用されないような、いろいろな問題なども含めて、私の方で考えてみたい、こう思っております。
○寺前委員 大体、障害者問題に対する取り組みというのが非常にスピーディーでないというところに、非常に大きな問題があると思う。もっと積極的に処理してもらうようにしてもらわなかったらだめだと私は思う。 その非常にいい例の一つに、きょうここにおいでいただいている視力障害者の学生さんの竹下君の問題があります。竹下君の問題というのは、弁護士になりたいということで、司法試験を受けたいと申し出をされたけれども、それは無理ですといって断られたというところから始まる問題なんです。これは前の話なんですよ。四十七年のときにお断りを受けているのですよ。ところが、竹下君だけじゃなくして、その前にも多くの人が、なりたいということについて申し出をされた方があるわけなんです。何でこの世の中で視力障害者は弁護士になれないのか、司法試験が受けられないのか、その叫びなんです。なかなかこれが理解されないのです。障害者の問題に対して何でスピーディーにやれないのか。私はここが非常に大きな問題だと思うのです。 せっかく竹下君が来てくれておりますから、私は直接竹下君から発言を求めたいと思います。
○竹下参考人 私は、中学三年のとき網膜剥離症にかかり、現在、右眼視力ゼロ、左眼視力〇・〇一の第一級身体障害者であり、京都の竜谷大学法学部に学ぶ学生です。 小さいころからの念願であった弁護士になりたいと思い、昭和四十七年に司法試験を申し入れましたが、諸般の事情、実施方法等の点で困難な点があるからとのことで拒否されました。以前にも、点訳のための費用を負担するから受験させてくれとの希望者もありましたが、政府のかたくなな態度の前に、あきらめていきました。私はこれにがまんできず、政府に対し再三要望を重ねてまいり、昭和四十八年にようやくにして受験することができました。しかし、盲人には点字六法は用意されないとか、点字受験に伴う時間延長をしてくれないなどの制限つきのままでした。この点の制限を撤廃していただくために、その後も交渉を重ねてまいりましたが、今日までいまだ解決されていません。点字はひらがなだけの文字であり、指の先で一字一字を押さえて触覚で読み取らなければなりません。したがって、普通の人が文字を読む場合に比べて、より多くの時間がどうしてもかかるわけなのです。他の試験において見ますと、厚生省の理学療法士試験、また教員採用試験、大学入試などでは、この点を考慮して時間延長がすでに実施されています。なぜ司法試験においてこれらが実現されないのか、私は残念でなりません。障害者のこのような苦しみをぜひ理解していただきたく思います。国会におきましても、この障害者の苦しみをぜひ御理解いただきたく思います。 また、この機会に一つお願いしたいのですが、私たちは、法律が改正されても、それを知ることができないのです。先日も、商法が改正されていることを、友人との勉強会の中で聞き、初めて知ったような次第です。ですから、これらのことについて、国会でどういう法律がどういうふうに改正されたのか、それの趣旨だけでもよいのですから、それを点字にして、地方にあります官報販売所に、点字で配布していただきたいのです。 最後に、司法試験に私たち盲人が合格しても、司法研修所に入って果たして勉強できるのだろうかという不安が残っているのです。教科書類等がすべて点訳できれば一番よいのですが、それが大変な場合には、録音してぼくたちは勉強するのですから、その録音のための体制がとれているのでしょうが。また実習を行うときのヘルパーが必要になることも考えられるのですが、これらはどうなんでしょうか。外国においては、公務員としてのヘルパーが公的機関などに配置されていると聞きます。日本においても、これらのことを実現していただきたく切望します。 障害者が一日も早く社会人として扱っていただけるよう、御配慮していただくことを強く要望いたします。
○寺前委員 法務大臣、答えてやってもらいたいと思うのです。四十七年のときには拒否されたのです。四十八年には嘆願をしてやっと受けに行ったけれども、そこには条件が備わらなかった。四十九年もそうでした。一体何年がまんしなければならぬのか。ハンディがあることは、だれが見たって明らかなんです。こういうのは即刻解決しなければいかぬ問題だと私は思う。できない話じゃない。できる話とできない話はありますよ。できる話はどんどん大胆にやること。私ははっきり答えてやってもらいたいと思うのです。 それから、最高裁の方でも、それじゃ司法修習生になったときに、またそこで同じようなことを、何年も何年もかからなければならないということにならないのかどうか、これもはっきり答えてやっていただきたいと思うのです。 さらにまた、総務長官になりますか、国会でいろいろなことを決めても、それを広く国民に知らすのはこれは政府の仕事です。それは政府は官報でもって出しますが、その官報というのは、視力障害者には届かない話なんです。一体これをどうするのか。これは私はやはり大事な問題だと思います。答えてやっていただきたいと思います。
○稻葉国務大臣 寺前さんの御発言及び参考人のいまの御発言は、至極ごもっともであると拝聴いたしました。 司法試験は法務省の管轄でありますが、試験の公正を期するため、司法試験管理委員会という独立機関がこれに当たっておることは御承知のとおりです。現在まで視力障害者たる受験者に対する試験の実施方法について検討してまいりました。試験問題の点訳に関する問題であるとか、試験地及び試験場における具体的な試験の実施方法に関する問題であるとか、論文式試験において受験者に使用させる司法試験用六法の点訳に関する問題であるとか、最後に、いま参考人が強く要望されました試験時間に関する問題、これを検討してまいりました。特に試験時間の問題につきましては、これまでも司法試験管理委員会において種々検討が重ねられてまいっておりますが、視力障害者であるということで試験時間をどの程度延長するのかはむずかしい問題がございまして、余りに不当に延長すれば、視力障害者たる受験者の方が一般の受験者よりもかえって不当に有利な取り扱いになるということも起き、試験の公正を害するおそれともなりかねないという困難な問題があるため、今日、今年の試験に間に合わせるように、司法試験管理委員会において関係資料の収集、検討を続けているところであると聞いております。 そこで、法務大臣として、御質問及び参考人の御希望をいま承りまして、なるべく早くこれを解決したいという希望を持ちつつ、管理委員会がこれに善処してくれればいいなあという、独立機関に、そういう気持ちを持つことを私が表明することは、独立機関の独立性を侵すことにはならないと私は思う。 そこでなお、昭和五十年度の試験における視力障害者受験者に対する試験の実施方法は、五月に予定されている短答式試験の実施前に決定されることと相なります。 以上お答えを申し上げる次第です。
○寺前委員 六法はどうです。
○稻葉国務大臣 六法の点訳、点字六法をつくりたい。(寺前委員「つくっているの」と呼ぶ)それは管理委員会の事務局が来ておりますから、なお詳細に、参考人に対し、こういういい機会ですから、われわれの方の試験管理委員会の努力の現段階のやり方を、ここで発表さしていただきたいと思うのですね。
○前田説明員 ただいまの視力障害者の方の受験のことでございますが、大臣からお答えがありましたように、いろいろと検討を要する問題がございまして、仮に、たとえば試験問題の点訳につきましても、先ほど参考人として御発言されました竹下さんの意向などもいろいろ聞きまして、点訳のやり方もいろいろあるようでございまして、それを統一するというような問題も実はございまして、また試験地を、いろいろ点訳等の関係で厚生省の方の御協力をいただいておるわけですが、そういうことの便で、初年度は東京でやりましたけれども、二年度は御本人がぜひ京都でやりたいということでございましたので、京都で試験を実施するということで、厚生省の方にも行っていただくというようなこともして、幾らかといいますか、改善したように考えておる次第でございます。 また、実際の試験の実施も、他の一般の受験者の方と一緒の試験場でやることが適当でない面もございますので、別な部屋を設けてやるとか、できるだけ、及ばずながら努力をいたしてきたつもりでございます。 また、先ほど御指摘のございましたいわゆる六法、司法試験用六法のことでございますが、これも当初は、大変大部なものになることもございまして、受験者御本人が希望すれば、しかるべき者が適当なところを読んで差し上げるというようなことではどうかというような検討をしたこともございますが、やはりそれでは不十分だというようなこともございまして、点字六法と申しますか、六法全書の点訳にも実は現に取りかかっておりまして、何とか本年の内に完成するようになる見込みでやっておる次第でございます。 最後に、試験時間の問題でございますが、それは先ほど大臣から御答弁がありましたようなことで、延ばすかどうか、延ばす場合にどの程度が合理的、客観的に正しいかというような大変むずかしい問題がいろいろございまして、先ほど参考人が仰せになりましたように、ほかの試験の例等も一部あるようでございますので、それを随時照会して検討を続けておるわけでございますが、果たしてどの程度延ばすのが相当かということも、科学的と申しますか、客観的に相当な程度というものがなかなかっかめない状態でございます。そこで、さらにその資料の収集を重ねて続けておる次第でございまして、広く各大学、あるいは先ほどお話もありましたような教員の採用のための教育委員会等に手広く照会を出しておりまして、その回答が一部参っておりますが、まだ全部そろっていないというような状態にあるわけでございます。これもなるべく早く督促をいたしまして、できる限りの実態を調べ上げまして、それを参考にして結論を出したい。で、その時期は、当然のことでございますけれども、本年度の司法試験の二次試験の短答式試験が実施されるその前に、なるべく早く管理委員会の方で決めるように運んでいただきたいというふうに考えておる次第でございます。
○矢口最高裁判所長官代理者 司法試験に合格された場合に弁護士となられる道は、やはり司法修習生になって修習をやられるということが必要であるわけでございます。その点につきましては、私ども十分前向きの姿勢でこれまで検討してまいりました。 先ほど参考人御指摘の二点がございましたが、録音機の使用を十分に考慮されたいということでございました。この点については、私どもも、当然そのような十分の便宜を図るべきものというふうに考えております。 それからまたヘルパーの問題でございますが、これはなかなかむずかしい問題を含んでおります。と申しますのは、普通のどなたか非常に親しい方とか、そういうような方をおつけするというだけでは済まない点があるのではなかろうか。ことに、御承知のように修習生の場合には、現地の裁判所、検察庁、弁護士会に参りまして、生の事件の修習をいたしますが、そういった場合に、そばについておられる方が、やはりこれは専門家の方でございませんと、十分に事件をとらえてこれを修習される方にお伝えするというところに難点がございます。しかしそういった問題につきましても、せっかく修習をされるということになりますと、十分弁護士としての実力を備えて世間のお役に立っていただくように、できるだけの配慮はいたしたい。やはり現在のところまだ結論は得ておりませんけれども、そういった暁には、専門家の方、そういった方に何らかの助力をお願いするという方向で問題を解決していくべきではなかろうか、このように考えております。
○植木国務大臣 ただいま官報の問題についてお話がございました。官報は、法令公布、国の公報紙あるいは裁判所の公示催告など公告紙としての機能を持っているわけでございますが、この官報を、何とか点字官報を発行いたしまして、視力障害者の方々にも読んでいただけないものかということについては、いろいろ研究を重ねているのでございますけれども、実は技術面の制約がございます。これは点字訳をいたしますのに大体十倍ぐらいの手間がかかるというような点がございます。それから複製部数に限界があるという点も、ほかの活字印刷と違うところでございます。また体制面の制約といたしまして、原稿を作成しましたりあるいは編集いたしましたりいたしますのには、やはり点字の専門職員が各省庁におらなければならないというような点がございます。 〔谷川委員長代理退席、湊委員長代理着席〕 それから、これは販売するわけでございますが、販売所でありますとかあるいは下部の取次店にも点字の専門店員がおりませんと、十分お役に立たないという点、あるいは経費でございますが、これまた大変高くかかるというような面がございまして、実は点字官報を出すということには、今日までまだ至っていないというような事情があるわけでございます。 そこで、総理府といたしましては、視力障害者の方々を対象とする特別の広報というものを行っているわけではございませんけれども、しかし中波のラジオ、これは「マイクでこんにちは」というのをやっております。それから短波ラジオで「暮しのマイク」というのがございます。また有線放送等も行っているわけでございます。これらを総合いたしますと、たとえばラジオにおきましては週に三回、年には百五十回、こういうことになるのでございまして、その中におきまして、現在でも、国民生活に関係の深い問題について、それぞれ十五分間時間をとって、いろいろ広報しているわけでございますが、視力障害者の方々にも大いにこれを活用していただきたいということを期待いたしますとともに、私といたしましては、このラジオ放送等を通じまして、法令の内容及びその説明を行うということによりまして、視力障害者の方々が、ただいま参考人の方が仰せられました、たとえば商法の改正を知らなかったというような大変お気の毒な御発言がございました。こういう点をひとつとりあえずラジオを活用することによりまして克服してまいりたい、このように考えているのでございます。 なお、点字広報紙につきましては、厚生省において扱っておられますことを申し添えさせていただきます。
○寺前委員 竹下君から、何かこの際にさらに発言がございましたらどうぞ。
○竹下参考人 第一点と第三点については、よろしくお願いしたいわけなんですけれども、その第二点の点字公報ないしは官報の問題なんですけれども、私はきょうここに「点字厚生」というものを持っております。これはまさにさっき言われました、厚生省が担当してやってくださっているわけなんですけれども、これには障害者の動き、すなわち法律関係または年金がどうなっているのか、その辺を詳しく書いていただいておりますので、非常に助かりますし、よく読ませていただいております。 ただ、さっき放送でと言われたのですけれども、確かに放送も聞くようにしたいと思うのですけれども、放送はどうしても耳で聞くとはいうものの、聞き逃すこともありますし、聞いたとて確認することもできません。それで、このような点字にすると、いつでも読めますし、確実な情報が得られるわけなんです。 技術等の問題なんですけれども、これは日本盲人連合会というところに、厚生省が委託して出版しているわけなんですけれども、それをもう少し拡大してやっていただいたら、よりよいものができると思うし、またぜひそうしていただきたいと思う次第なんです。 以上です。
○寺前委員 いまの件について答えてやっていただけますか、総務長官。
○植木国務大臣 点字官報につきましてのいろいろな問題がございますこと、先ほど申し上げたとおりでございます。とりあえず、ただいま申し上げましたように、ラジオを通じまして法令の解説等もさしていただきたい。そのために特別の時間をつくるということを直ちにさせてまいりたいと存じますし、また、いまお話のございました厚生省でやっておられます点字広報紙等に、こういう法令についてのラジオの放送はいつ行うというようなことも特定ができるわけでございますから、それを広報紙においてそういう広報を盛り込ませていただいて、ただいま申し上げましたように、とりあえずラジオをもってこの法令の認識をしていただきたい、このように考えるのでございます。
○寺前委員 せっかく厚生省で日盲連に委託をして、ああいうものを出しているのだから、これを障害者の狭い範囲に限らず、もう少し広げて、役に立つようにしていただきたいという申し出だと思います。いまの大臣の御答弁も、さらに積極的にということだと思いますので、より研究して、障害者なるがゆえに放置されないように、積極的にスピードを上げて実施を検討してもらいたいということを強くお願いをするわけです。 同時に、私これは郵政大臣に聞きたいのですが、私の方で「点字赤旗」というのをことしになってからつくりました。御存じのように、点字は無料で送るように、いまの法律の中でもなっているわけです。ところが、竹下君の例にも見られるように、彼も中学校一年生でもって失明になっているわけです。失明者というのは圧倒的に中途失明者なんですね。ですから一定の援助なしには、読むという段階に到達するのにも時間がかかるわけです。ですから、こういうものを郵送することを保証しようということと同時に、一定の援助をすることを、ここに印刷さしてもあたりまえじゃないか。ところが、私のところで最初にそれをおたくの方に持ち込んだときには拒否された。それはだめです、晴眼者向けのそういうものは、この法律では理解できませんということでけられてしまった。それやったら、私は法律をなぶったらどうじゃ。本当にこれを役に立つものにするためには、せめてそういう点字の読み方の一覧表ぐらいはここに印刷さして、そして援助者が役に立つようにしたらどうなんだ。私はそういう法律改正をやろうじゃないかという話までしたわけですけれども、ところが調べてみたら、何と「点字毎日」の場合にはそれが印刷してある。何で、私のところが考えたときには、それを取り上げてくれないのだろうか。これまた不公正な話じゃないけれども、一体何を考えているんじゃろか。これは政治的意図があったとは私は思いませんけれども、本当に障害者のためを考えるならば、私は当然考えていい処置だと思うのですが、ひとつ大臣のお答えをいただきたいと思います。
○村上国務大臣 お答えいたします。 盲人用点字を郵便で出す場合、無料として扱うのはこれは世界共通の制度でありまして、わが国では昭和三十六年以来無料として、盲人の福祉を図っておる次第でございます。郵便法では「盲人用点字のみを掲げたものを内容とするもの」を無料とすることとしておりますが、この制度の趣旨から見て、点字以外に点字一覧表のような必要最低限度の印刷は認めてよいと考えます。そういうような観点から、今後とも指導を徹底いたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと思っております。
○寺前委員 期待に沿うようにやるとおっしゃるのですから、この問題はこれで終わります。 今度は、せっかく聴力の障害者、聾唖者である全日本ろうあ連盟の書記長さんの高田さんにおいでをいただいておりますから、高田さんの社会的不公正というこの課題に対する御意見をひとつ聞かしていただきたいと思います。
○高田参考人 私は、聾唖者として、国会の皆さんに訴えたいと思います。 聾唖者というのは全国で二十五万人もいると言われております。私は聾唖者でありまして、全く耳が聞こえません。それで、皆さんの話はここにおられる通訳者、貞広さんの手話を通じて初めて理解できます。聾唖者は耳が聞こえないだけでなく、またしゃべる言葉も持たない人が多く、話をするためにも聞くためにも手話通訳が必要です。そのために私は、聾唖者に手話通訳を保障することを、国として責任を持って制度化してほしいと思うのです。そのことが、私の訴えたい第一のことであります。 次に、訴える手段がないために、人格を無視されることがよく起こります。 その二、三の例を申し上げますと、私の友人で京都に住む木村満さんは、ある漆工所で特殊な技術の持ち主として働いています。子供が欲しい、奥さんの両親と同居をしたいとわき目も振らず働いて、家を買うための金をため、昭和四十七年に、その漆工所の社長さんの紹介で、京都のある信用金庫に二百五十万円の融資を申し込みました。ところが、窓口の担当者は、木村さんが聾唖者であるとして、民法第十一条の準禁治産者扱いにして、融資を拒否しました。この問題は、結局長兄の猛さんがその家を買うことにして解決しましたが、本人が聾唖者であるために準禁治産者扱いにされ、融資を拒否されたことは少しも解決しません。 また、同じ京都の山本泰三さんですが、三十年間、図案一筋でやってきて、現在は自宅で仕事をし、かなりの収入を得ています。昨年の十月に、仕事を手広くやるために、京都のある信用金庫に百万円の融資を申し込みました。けれども、ここでも保佐人がない限り融資できないと断られました。 このようなことば京都だけでなく、東京のある信用金庫の貸出業務規程では、聾唖者、唖者、盲者はイコール準禁治産者というような表現になっておりますが、これは法律の正しい解釈でしょうか。こうしたことは全国にあり、国会の先生方にこのような事実を是非知っていただきたいと思います。政府が、銀行や金融機関にどのような指導をされているか、残念ながら私にはわかりません。 せっかくの機会ですので、もう一つ訴えますが、福祉年金は障害一級で現在月一万一千三百円で、この国会で一万八千円に値上げされると聞いています。働くことのできる、自立することのできる障害者は、それなりに生きるためにがんばりますが、この福祉年金に頼らなければならない人は、この金額では、障害者として負担の多い生活をどのようにしのげるでしょうか。また値上げ分の実際の支給は来年の一月になりますが、その間にまた物価が上がっていくでしょう。時期を失うことのないようにいますぐ値上げをし、支給を早めてくださるようお願いします。 それから、先ほど盲人の方の弁護士の話が出ましたが、実は聾唖者にも弁護士が一人おります。それはいろいろな困難を克服して司法試験に合格し、いま弁護士として活動しているわけです。国の適切な保障や介護があれば、障害者には無限の可能性が開けます。 皆さんの御協力をお願いしたいと思います。
○寺前委員 手話通訳を制度として設けていただきたい。これは弁護士活動をやる上においても非常に重要だということが、いまの訴えの一つだと思います。 それから、障害者は実際上準禁治産者扱いを受けるようなことになっているというのが結果じゃないか。一体いままでにこういう事実があったことを知っているのか、あるいはどういう指導をいままでにされたのか聞かしてもらいたいというのが、第二の問題でなかったでしょうか。 第三に、年金を上げるのだったら時期を早めてもらえぬのか、もっと高くならぬのだろうかと、障害福祉年金の話だと思うのです。関係の大臣から答えていただきたいと思います。
○翁政府委員 最初の手話通訳の点についてお答え申し上げます。 四十八年度から、手話の奉仕員についての制度化を始めました。現在、各都道府県の福祉事務所に約五千名の奉仕員が登録されております。また一方では、四十九年度から、各福祉事務所に聾唖の方が、言語障害の方が相談に見えたときに、手話で相談に乗れるいわゆる手話通訳という制度を設けました。ただ、これは遺憾ながらまだ数がふえてございません。さらに五十年度から、各福祉事務所の職員に、少なくとも言語障害の方が見えた場合に、その内容がわかる程度の、とにかく養成をしようという新規事業を始める予定にいたしております。 ただ、ただいまお話がございましたように、その全体の数並びにその制度化についてはまだ緒についたばかりでございますので、これは今後ますますその数並びに内容を拡充しなければならない、かように考えております。
○後藤(達)政府委員 ただいま先生御指摘の、金融機関の融資のしぶりの点につきまして、お答えをさせていただきたいと存じます。 ただいま参考人の方からお話のありました点は、実は私どもうかつで申しわけございませんが、いま初めて伺いました次第でございます。基本的に、私どもそういう聾唖者の方であるから、こういうことによって融資を断る、こういうようなことはあるべきでない、当然のことだろうと考えております。ただいま具体的に具体例のお話がございましたので、そういう考え方を金融機関がやっておるとすれば、これは大変不当なることであると存じます。これは即刻是正させるようにいたしたいと存じております。 なおもう一つ、第二点といたしまして、そういう聾唖者の方を準禁治産者のような扱いをしておる、こういうお話でございました。私、その私法上の規定を詳しくは存じませんけれども、しかし、準禁治産者の宣告があった方の場合は、これは当然であろうかと存じますが、そうでない場合にそういう扱いをするということは、これもあるべきことではないと存じます。ただいまのような具体的な例のお話もございましたので、そういう点については、態度あるいは扱い方、これを改めるように指導をいたしたいと存じます。
○寺前委員 年金の話を……。
○田中国務大臣 障害福祉年金でございますが、御案内のとおり、ことしかなりの金額に上げることになりましたが、これについて実施時期を繰り上げることについては、ただいまのところ、残念ながらさような取り計らいをいたしかねる次第であります。
○寺前委員 ああいう御答弁をいただいたわけですけれども、どうでしょう、高田さん、もう言うことございませんか――どうぞ。
○高田参考人 先ほど厚生省から、手話奉仕員養成講座についてお話がありました。国民の間に、そのような形で聾唖者に対する理解というか、手話に対する理解が広まっていく、ボランティア活動が広まっていくということは、私たちとして非常にうれしいことと思います。けれども、手話通訳をやるということになると、やはりもう少し考えていただきたいと思うのです。それは、やはり専門職としての手話通訳を保障する、そういうことが大事ではないかと思うのです。聞くところによりますと、文部省は、都道府県に社会教育主事を国の予算で置いており、またことしはスポーツ指導主事を置くことになっているそうです。このような制度を手話通訳にも適用してもらいたいと強く希望します。
○寺前委員 厚生大臣、いまの問題おわかりでしょうか。そのいい、悪いは別として、文部省のほうでは社会教育主事とかあるいはことしからスポーツ担当の主事を、二分の一の予算を国が持って府県に出してある。そして、府県が市町村に派遣をするというやり方をいよいよやる。本当に障害者のためを考えるならば、国がそういうようにやってもらえないかということをぜひ検討してもらいたいというのが、高田さんの意見だったと思うのです。厚生大臣の御意見を聞きたいと思います。
○田中国務大臣 手話通訳者については、いままで厚生省ではその養成についてやってまいりましたが、どうも手話奉仕員の方々のあの熱心な姿を見ますと、これについて何らかのお報いをしたいものだというふうに考えておりますものですから、したがって、これについては実態を調べまして、何らかの形でお報いをするようなことをいたしたいというふうに考えております。
○寺前委員 高田さんの御意見というのは、奉仕員の人たちだけの問題を検討してくれということじゃないと思うのです。さっきのスポーツの話でも、やはり地域にはスポーツ指導員というのがおるわけですよ。しかし、それだけではだめだ、やはり制度として、本職の職員を配置することによって、スポーツ振興を高めることができるという制度が、ことし文部省から提起されておると思うのです。本当に、生きるためには、コミュニケーションをやるためには、手話通訳というものを職員として配置してもらわなければ相談にならないということを切々と訴えておられると思うので、ぜひとも御検討いただきたいということを、私は添えておきたいと思うのです。 なお、もう時間がございませんので、最後に一言だけ。 国鉄あるいは私鉄などの場合に、障害者が通勤をする場合に、やはりいろいろな障害を受けます。最近、私のところの養護学校の子供たちが東京へ修学旅行に来る。車いすの人が十七人おるわけですが、まず京都駅で言うと、短時間の間に車に乗せなければならないという問題に直面します。ところが車いすのままでばっと乗れない。「ひかり」には一定の部分にそれが乗れる車両をつくったそうだけれども、「こだま」にはそうなっていないから、車いすからはずして、かついで、だだっと命がけだ。ところが今度は、とまる駅、静岡へ着いたら、そこにはエレベーターがないから、かついで、段階を歩いで行かなければならない。大変な事態に直面する、こういう問題が含まれております。本当に私は、今日の輸送機関の中で、車いすやその他の障害者に、安全に、そして近代的なそういうものが使えるように改善をしてもらわなければならないと思うのです。 この間も国鉄の人に、運輸省の人ですか、来ていただいて、お話をいろいろしたら、厚生省で考えておるモデル都市を中心にして、整備をしていきたいということをおっしゃっていました。結構です、やっていただいたらいいと思うのです。ところが、調べてみたら、四十八年に、既存の駅で手を打ったのはモデル都市六ヵ所のうちで二ヵ所だけであった。あるいはその次の四十九年度、現在の年度を見てみると、そこでは全体の中で、四十九年度で十七ヵ所のうちで既存のところは六ヵ所だ。やるのだったら、積極的に厚生省と打ち合わせして、全面的に取り組むという姿勢をぜひとも持っていただきたいと思うのです。 その話のついでに出たことですけれども、新幹線駅で、一体障害者の車いすで乗れない駅はないのかと聞いたら、名古屋駅がある。何で名古屋駅にはエレベーターで上るようにできないのかと聞いてみたら、弁当を売っていないからだ。さあ、障害者を弁当と比較するのでしょうか。弁当も、売ってもらったらいいと思います。だけれども、弁当が売れなかったら、障害者の手を打つことはできないとおっしゃるのか。私は情けない話だと思いました。これが障害者に対する遇し方だろうか。運輸大臣おられますか。私は、最後にそのことのお答えを聞きたいと思います。
○木村国務大臣 身体障害者の方々が交通機関を利用していただくときに、なるべく便利に利用できるように、かねて心がけてまいっておるわけでございますが、まだまだ不十分でございます。いまも新幹線の話が出ましたが、三月の十日に博多までさらに延びますが、岡山以西の各駅では、車いすでそのまま乗れるような施設ができるように計画をいたしております。そのほか、トイレの改良でございますとか、あるいは盲人の方についての誘導ブロック、点字テープをつけたり、あるいは点字の運賃表等いろいろやっておるのでございますが、駅の数からいたしましても、まだきわめて少ないわけでございます。今後、こういう方面には年々予算をつけまして、整備をいたしたいと思います。 それから、ただいま名古屋のお話でございますが、弁当との関係で、ちょっと聞き取りにくかったのですが、弁当を売るから、身体障害者のいろいろな施設ができないというふうなお話でございましたが、ちょっと私、理解しかねますので、一度よく調べてみたいと思います。
○寺前委員 もう時間があれですから、やめますが、もう一度言いましょう。あそこにはエレベーターがないのです。何でないのだ、設備しないのかと聞いたら、ここは弁当を売らないからだ、こうおっしゃる。弁当を売ろうと売るまいと、障害者のために必要な施設は設けるべきではないのですか。これだけのことです。おわかりになりますか。どうです、それだけの質問なんです。関係なしに、やはりつくるべきものはつくらなければならないのじゃないですかというのが、私の質問です。いかがでしょう。
○木村国務大臣 よく調べてみたいと思います。
○湊委員長代理 これにて寺前君の質疑は終了いたしました。 高田参考人、竹下参考人には、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。御退席をいただいて結構でございます。 次に、大橋敏雄君。
○大橋(敏)委員 私は、まず藤岡参考人にお尋ねしたいと思います。 保険あって医療なしという言葉に象徴されますように、わが国の医療行政というものは、全く欠陥と矛盾の集合体であると言っても過言ではないと思うのであります。したがいまして、早くから抜本改正をやれという久しい叫びがあるわけでございますが、今日まで解消されていません。そういうことから、各所にひずみを生じ、いわゆる社会的な不公正を生じているわけでございますが、特に看護婦確保について非常に苦労しているということを聞いておりますので、いわゆる現場の立場から、本当の苦労、真実をここで述べていただきたい、お願いいたします。
○藤岡参考人 いま重症の病気になって入院するとしますと、大抵の病院では付き添いをつけてください、こう言われると思います。それで派出婦を頼みますと、一日少なくとも五千円ばかかります。また、病室も一人部屋とか二人部屋を希望しますと、室料差額として一日三千円とか千五百円とかを払うことになります。そうしますと、一ヵ月で二十万円くらいも自己負担をすることになります。これば一般庶民にとっては容易ならぬことであります。皆保険でありながら、このような状況になったことについては、たくさんの要因が考えられますが、本日は時間もありませんので、看護婦に関連した三つの問題にしぼって、私の意見を述べさせていただきます。 第一は、入院料、ことに看護料が適正でないことであります。私の勤務しております埼玉県立小原療養所は、二百床を使って百八十人から百九十人の患者が入院しておりますが、差額は一切取っておりません。看護婦が七十三人おりまして、患者三人に看護婦一人という、特一類看護という看護を行っております。したがいまして、付添人は全然不要であります。これだけ看護婦をそろえますと、人件費もかさみまして、四十九年度の決算見込みでは、人件費は六八・八%にもなりまして、全体収支の不足額は二億九千万円にも上るわけでございます。全国約一千の自治体病院について見ましても、同じような方針で経営に当たっておりますので、四十八年度決算では、一般会計から六百七十七億円繰り入れても、なお四百十七億円の赤字を計上している実情であります。結局、これは主として入院料、特に看護料が適正でないためであります。現行の看護料は、四十九年十月改正のときに、看護婦一人一ヵ月の原価を十七万円として算出してあるようでございますが、われわれの調査によりますと、給与費に管理費などの間接費を加えた実際の原価は二十二万円余りになります。すなわち、約五万円の差があるわけです。このようなことが診療報酬の不適正の実例の一つでありまして、病院の赤字の原因の大きな一つの理由になっております。したがいまして、早急に入院料、特に看護料の適正化を図っていただきたいのであります。 第二に、看護婦の確保の問題について申し上げます。 現在、看護婦の絶対数の不足がはなはだしくて、全国至るところで、病棟閉鎖とか病床閉鎖が起こっていることは、すでに御承知のことと思います。これに加えて、二・八制の完全実施とか将来の週休二日制の実施のことなどを考えますと、現場の責任者として、不安の念を押さえることができないのであります。 私どものところも、定員八十名の准看護婦学校を持っておりまして、その養成に当たっておりますが、毎年多額の経費を要しております。五十年度から県立の准看護婦学校にも補助がいただけるということで、大変喜んでおりますが、年間経費が二千二百万円もかかるのに対して、九十八万円の補助ということでは、五%にも満たない額であります。ぜいたくを言うようで申しわけありませんが、今後さらに大幅な補助をお願いしたいものでございます。 第三は、夜間看護婦手当の問題であります。病院勤務には夜間勤務がつきものでありますが、責任が重く、体力的にもきつい勤務でありますので、どうしても敬遠されがちであります。これに対する対策の一つとして、夜間看護手当の増額が望ましいのであります。 聞くところによりますと、厚生省では、国立病院、療養所の看護婦に対して、現在の一回一千円の手当に四百円を上乗せする予算措置をされたということでありますが、これは結構なことでありまして、私どもも、これにならって引き上げたいわけであります。しかし、前に申し上げましたように、大幅な赤字経営の状態では、その財源がないので困っております。何とかしてわれわれの方でもこれができるような財源措置をお考えいただけると、大変ありがたいのであります。 これで私の意見を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○大橋(敏)委員 厚生大臣、いま参考人の述べられた内容はお聞きになったと思いますが、現在、自治体病院等の病院が非常に赤字で苦しんでいるのは、診療報酬の不適正であり、またその中でも、看護料の不適正が非常に問題になっているという意見でございました。これはいずれ、医療費改定の中で、きょうの参考人の意見を十分参酌をされた上で、適正な看護料にしていただきたいところでございますが、私は、いま特に問題にしたいのは、非常に矛盾を感ずることは、国立病院あるいは療養所に関係する看護婦さんに対しては、いわゆる千円の夜間看護手当が四百円上積みされる。私は、看護婦さんのあの苦労の立場を考えると、四百円ぐらいではとても低い、もっともっと上げてもらいたい、こう思うわけでございますが、いまの参考人の話を聞いてみますと、国立関係で上がれば、当然自治体あるいは公的病院、一般病院等もそれにならっていくわけでございますが、どこからもその金の出どころがない、こういうことであります。医療費改定が直ちに行われるというのならば問題はありませんが、もうすぐ春闘も始まって賃金の要求も始まりますが、いま夜間看護手当を受給できる全国の数というものは、大体二十二万前後だと推計されますが、国立関係の看護婦さんは、そのわずかの一割でございます。二万人前後であります。ということになりますと、そのわずかな二万人前後の方だけが、夜間看護手当の引き上げの保障があって、後はわからない、保障されない、こうなってきているわけでございます。 自治大臣にお尋ねいたしますが、まず、いまの参考人の話を聞いてみると、とても一般会計からの繰り入れも無理ではないかと思うんですが、この四百円の引き上げについては保障できますか、看護婦さんに対する引き上げが保障できますか。
○福田(一)国務大臣 お答えをいたします。 確かに、いま申されたとおり、地方自治体の問題はかなり深刻なものがあると考えております。しかし元来こういうこの看護婦の手当の引き上げというのは、やはり社会保険の診療報酬の改定ということを根本的にやらなければいけないと思うので、自治省といたしましては、関係各省と連絡をとってこの改善に努めたい、かように考えておるわけであります。現実にいま債務があり、あるいはまた収入不足ということで非常に困っておられる面もわかっておりますが、自治省は、いままでやはり施設費等においてもめんどうを見ておりますし、それからまた起債等でもいろいろ考慮を払っておるのでありますが、看護婦のところまでは、はっきり手が、そういう意味では、伸びておらなかったと私は考えております。もちろん、自治体によっては、ある程度めんどうを見ておるところもあるのですが、それが十分ではありません。これは、やはりどうしても全般の問題として考えませんと、私は無理である、こう考えますので、今後、関係各省と連絡をとって、十分ひとつ手当てをするようにいたしたいと思います。
○大橋(敏)委員 この資料は、昨年の十月、診療報酬改定に当たりまして、厚生省が中医協に提出された資料でございますが、これを見ますと、自治体病院はすでに一七・八%の赤字になっております。また公的病院の日赤、済生会等も、日赤病院は九九・九%でとんとんだということにはなっておりますけれども、これにしましても、いわゆる差額徴収といいますか、差額ベッド、これが四%見込まれてのことでありまして、実質的には赤字であります。そうなってまいりますと、自治体もあるいは公的の関係の病院も、この中には全く手当の引き上げの内容は見込まれておりませんが、現実問題として厚生大臣、一体どうなるんでしょうか、これは。金はないのです。自治体病院ないしは公的病院、一般病院等は、この夜間看護手当の引き上げが、いま案が出されておりますけれども、今回予算が通ればそれが実施されます。国立関係の看護婦さんだけは保障されましても、ここに差別がつくじゃないですか、格差がつくじゃないですか。どうしてくれますか。
○田中国務大臣 看護婦の夜間看護手当でございますが、これは今年千四百円に引き上げたわけでございます。去年は三百五十円から千円に引き上げたわけでございますが、これにつきましては、民間の夜間勤務手当、看護手当等を勘案して決めたのでございますが、率直に申しまして、これについては国は主導型をもって決めまして、その後、各種のものについてこれに準ずるということになっておりますが、これをリカバリーするためには、もちろん診療報酬の改定をやらなければならないということだろうと思います。いま先生おっしゃるように、自治体病院の経営難については、私どももよく存じておりまして、いろいろと手当てをしておりますが、まだ十分なものではございません。しかし、自治体病院の財政が非常に苦しいということについては、われわれも知っておりますが、その原因等については、いろいろとまた精査をしなければならない問題があろうと思われますが、いずれにいたしましても、自治体病院に対する助成については、逐年これを積み上げてきたところでございます。
○大橋(敏)委員 厚生大臣、私はそういうことを聞いているのでなくて、要するに四百円の引き上げがなされた場合、自治体病院あるいは公的病院等の看護婦さんにも、それが保障されるだけの手を打ってくれますか。はっきり簡単で結構です。
○田中国務大臣 敷衍いたすものと思いますが、これについては、とりあえず病院経営の中でやっていただきまして、後ほど診療報酬の改定で、これをリカバリーするという以外に方法はなかろうと思います。
○大橋(敏)委員 診療報酬の改定はいつやるのですか。
○田中国務大臣 今後の社会経済の情勢の推移を見て考えることでございまして、今日、いつということを申し上げることはできません。
○大橋(敏)委員 要するに、本当に無責任だと思うんです。主導型は結構ですけれども、ここに国立と、一般のあるいは公的の自治体に働く看護婦さんとに大きな格差が生まれることは目の前に見えております。いままでは何とかなってきましたけれども、現在ではどうにもなりません。私はそう思います。そこで何としても厚生省の、国の医療費体系の中で、何とかしてここは切り抜けられるだけの助成措置をしていただきたい。いかがですか。
○福田(一)国務大臣 公立病院の、いまおっしゃった四百円アップした場合のいわゆる所要金額は、大体二十億円と、いまわれわれの方で見ておるわけです。これは、もちろん国の方と話をしてやりますが、もしどうしてもむずかしいというような場合には、これは私、非常に大事な問題だと思っているのです。私も実は看護婦さんからじかに聞きまして、本当に気の毒だと思っておりますが、やはり特交とかあるいはその他の面で、こういう面はひとつカバーしていかなければいかぬじゃないかという考えを持っております。いずれにしても、何か解決をするように努力をするつもりでございます。
○大橋(敏)委員 自治体関係は、自治大臣が何としても格差がつかないように努力するという話だったけれども、じゃ公的病院関係はどうなりますか、厚生大臣。
○田中国務大臣 この件に関しましては、いずれにいたしましても、そういうことをあれこれ勘案しておっては、看護婦の夜間看護手当が上がりませんから、率直に申しまして、この問題については、私は党時代にいろいろ努力をいたした経緯がございますが、先生のおっしゃるような懸念と心配を持っておりましたが、ここでひとつ、ある意味の蛮勇をふるって、国が主導型でやる以外に方法はないということで踏み切ったわけでございまして、これのリカバリーについては、今後さらに金額が上がってくるに従って考えねばなりませんが、基本的に、この種の問題は診療報酬でカバーするのが通例でございますので、そういったような方向で解決をしたいというふうに思っております。
○大橋(敏)委員 それでは、診療報酬を改定されてカバーできる状態になる前の段階において、特別の助成措置を考えていただけるかどうか。
○田中国務大臣 目下のところ、さようなことについての措置は考えておりません。
○大橋(敏)委員 全く無責任発言ですね。もう御承知のように、公的病院では、土地を持っておる者は土地を売ったり、あるいは銀行から金を借りて今日まで賃金の支払い等に充ててきておりましたけれども、この不況下で、もう銀行も金を貸してくれなくなりました。あるいは持っていた土地もなくなった。いよいよ困っております。これは重大な問題でありますが、こればかりやっておりますと、次の問題ができませんので、これはこのぐらいで終わります。 次に、わが国の福祉行政の谷間に放置されております精神病院関係についてお尋ねをいたしますが、これは大きな社会的不公正だと思います。精神病院にかかわる人権侵害問題や、あるいはその弱い立場を利用して営利に走るなど、よく見聞するのでございますけれども、人の生命は何よりもとうとく、いかなる状態にあろうとも、その人の人権は擁護されねばなりません。侵害されるものではない。現在、全国に千四百四十九ヵ所の精神病院がございますが、措置入院といいまして、自傷他害、比較的重症者を命令で入院させる、こういう措置をとる患者がありますけれども、その入院医療費というものは、当然全額公費で賄われているわけでございますが、現在、全国で七万一千八百五十九人でございます。昭和四十八年度で、それに費やした費用が五百七億八千百九十六万五千円でございます。また生活保護、いわゆる医療扶助に頼って入っている精神患者の方は十万六千五百四十六人、これも相当の額になると見込まれますが、その他の患者で九万四千八百八十四人。お気の毒な病気でありまして、その治療費を公費で見ることについて、私は異議を申し立てているものでございませんが、どうも、この精神病という特殊性を利用いたしまして、営利に走り過ぎる病院があると思われるのであります。もし、これがあるならば、公費のむだ遣いである、重大な問題であると考えまして、私は真剣にこの問題と取り組んでいるわけでございます。 つい先般、新聞に報道されたのでありますが、神奈川県の生活保護患者を収容している財団法人日本生活保健協会聖ルカ病院の前理事長が、医療費二百四十万円を着服したと報道されておりました。また、二月の十八日、つい先日ですが、これも新聞報道でございますが、東京足立区の精神病院が「幽霊看護婦で水増し報酬」「一年半で五千万円」などの見出しが出ておりました。また千葉県の東金市、これは広田久見、四十四歳の方でございますが、千葉の伊藤病院という精神病院に、やはり生活保護の医療扶助で入院していた人でございますが、その方は、私は精神病でないのに五年四ヵ月も強制入院させられ、監禁されたとして、二月の八日に人権侵害で裁判所に訴えております。 厚生大臣、御承知と思いますけれども、これはいずれ、裁判所で決着されるわけでございますが、私は、この事実を知りまして、千葉県の精神病院に関して調査してみました。大変好ましくない実態を見たのでございますが、この問題は、これからの精神医療のあり方あるいは精神医療行政の基本的な改革にきわめて重要な資料となると考えますので、この際、問題点を指摘しておきたいと思います。 この伊藤病院の院長さんはだれかと言えば、千葉県の旭市の市長さんであります。そして、ここに入院している患者さんの入院日数、つまり在院日数というものは、全国平均の約三倍となっておりまして、もう異常的に長いのであります。これは千葉県の衛生センターの四十七年度の調査でございますが一全国平均が四百六十一日、千葉県の平均日数は四百四十六日、これに対しまして、伊藤病院は千三百八十六日でございます。とても長い期間でございますが、自治体病院の精神科における一日の平均入院費が二千四百三十七円ということでございますので、これを基準にして単純計算いたしましても、全国平均では一人の患者が退院するまでに百十二万三千円余りになるのに対しまして、伊藤病院は三百三十七万七千余円という、まことに大変な開きになるのであります。 さらに、この伊藤病院は、他の病院に比べまして一日平均入院患者数も百人ほど多いのであります。国保旭中央病院は百五十一人、銚子市立病院は百五十二人に対しまして、伊藤病院は一日平均二百五十一人で、百人多い。 また、費用別に見ましても、先ほど申し上げました措置入院、これは銚子市立が四〇・二%、国保旭中央が四一・五%に比べまして、伊藤病院は二〇%という、比較的重い患者は半分だ。これは四十七年のときの状態でありますが、今日は多少変わっているでしょうけれども、こういうところにも問題がありそうでございます。 また、生活保護患者はどうなっているかと見ますと、銚子市立は一九・八%、国保旭中央病院は一五・一%に比べまして、伊藤病院は何と五七・八%であります。旭市の福祉事務所を通じてあっせんされた状況を見ますと、伊藤病院が三十三人、あと海上寮療養所が十人、国保旭中央が八人、銚子市立が二人、成田一人で、この四つの病院を合わせても二十一人、こうして全体の六三%が伊藤病院に入っております。四十八年十二月末を調べますと、この生活保護患者は、伊藤病院は百三十五人、国保旭中央病院は二十二人、全然比率が違います。要するに、この福祉事務所というものは市長の管理下にあるわけでございます。言うならば、この市長が福祉事務所を通じまして、生活保護患者の半数以上の五七・八%を自分が経営する病院に送り込んで、全国平均の三倍もの長い日数をかけて入院をさせ、安定した公費収入を得て経営しているという見方ができるのであります。あるいは地位利用じゃないか、利益誘導ではないかという声すらあるわけでございますが、私は、やはり公費のむだ遣いがここにあるように考えます。 時間が非常に限られておりますので、結論的に厚生大臣にお尋ねします。この病院をどう思われますか。伊藤病院についてどう感じられましたか。それから、こういう少しおかしいと思われる病院については、立ち入り調査をするかどうか。それから旭市の福祉事務所の状況もあわせて調査して いただきたい。 それからもう一点、医療法違反があります。ここは二百五十一名の入院患者という資料でございましたが、ここには正看十八人、准看一人と、十九名しかおりませんが、これは六対一の医療法に照らしますと完全な違反でございます。こういうものを含めて、どう判断されて手を打たれるか。また、調査されるならば、その報告を伺いたい。
○佐分利政府委員 千葉県の伊藤病院につきましては、ただいま御指摘のございましたような問題点が多々ございます。したがいまして、私は公衆衛生局でございますが、医務局、社会局、保険局等、関係各局とよく協議をいたしまして、県の協力も得て、調査をいたしたいと考えております。
○田中国務大臣 午前中に、小林進委員から精神病院の問題についてるる、いろいろお話がございました。重要な御指摘をいただきました。 精神衛生法の問題につきましては、人権の問題と絡み合いまして、なかなかむずかしいことが多いのでございますが、どうも最近の精神病院の管理、運営については、遺憾な点が多々あるようでございますので、厚生省といたしましては、急遽これについて厳重な指導、監督をいたすとともに、必要なものについては調査の手を進めたいと思いますし、御要望がございますれば、調査の結果について御報告をいたします。
○大橋(敏)委員 要するに、いまの精神病対策は、外国に比べてわが国は非常に劣っております。というのは、外国は私立が二割、公立八割という病院の姿でありますが、わが国はその全く逆で、公立二割、私立八割でございます。そしていま精神病を患っている方、その家族、またそれを担当している医師のもっぱらの要望というものは、公的によるいわゆる社会復帰、社会福祉施設である、社会復帰医療施設といいますか、中間施設といいますかね、あるいは解放医療、通院医療である、あるいは保健所を通じたアフターケアである、こういうものに全力を挙げない限りは、いままでのような問題は根本的に解決しない、こういうことでございますが、厚生省としてはこういう考えがあるのかどうか、お尋ねします。
○佐分利政府委員 まず精神病院でございますが、国立、都道府県立等の国公立の病院の整備についても努力をしておるところでございます。また現在ございます民間病院も、貴重な社会資源と申しますか、医療供給組織の一員でございますので、十分適切な指導をいたしまして、健全な入院医療を営むようにさせてまいりたいと考えております。 また、先生御指摘ございました社会復帰の対策、あるいは発病防止の対策、さらに進んではそういったポジティブな対策でございますが、これは先生も御案内のように、精神衛生センターを整備する、保健所の機能を強化する、またさらに数年来やっております社会復帰施設、あるいはデーケア施設の整備をもっと進めていくという方向で、今後努力をしてまいりたいと考えております。
○大橋(敏)委員 大臣、社会復帰医療施設を今後努力していきたいと言っておりますが、先ほど言いました、いま公的病院がわが国は少ないですが、需要供給の立場からいきますと、施設の上では一応整っておりますので、いま言われます社会復帰のための医療施設、これを都道府県にいわゆる早い機会に整備してもらいたい、私はこう思うのでございますが、どうでしょうか、それは。
○田中国務大臣 私は素人でございますが、精神科医療の進歩発展の方向は、いま先生のおっしゃるように、社会復帰とかデーケアの方に進んでおるということでございますので、そのような方向に進むようにいろいろと助成、指導等をいたしたいというふうに思っております。
○大橋(敏)委員 自治大臣にも聞きたいところですが、これはやはり地域の要請がないと、厚生省もなかなかやらぬと思いますから、大事な精神病対策の問題でございまして、社会復帰医療施設を地方自治体の方からどしどしと要請していただきたい、そして国の援助のもとに整備をしていただきたい。これは要望にとどめておきます。 次に問題を移します。公益法人の姿勢を正したいということが根本でございますが、労働大臣にお尋ねします。 財団法人全国勤労青少年福祉協会、これはいつ許可されたのか。許可された日だけで結構です。
○長谷川国務大臣 昭和三十七年三月十日に設立認可をしております。
○大橋(敏)委員 通産省の方にお尋ねしますが、同法人は四十八年度に勤労青少年福祉センターを山梨県東八代郡石和町に建設するとして、補助金二億円の補助事業の申請をしていると思いますが、その後どうなったか。
○森山(信)政府委員 ただいま先生御指摘のございました全国勤労青少年福祉協会から、昭和四十八年度の公益事業振興資金といたしまして、山梨県東八代郡石和町に勤労青少年福祉センター建設の申請が出されております。ただし、この申請の内容につきまして若干不明な点がございましたので、実地に自転車振興会の担当課長が現地調査いたしましたところ、すでにこの建物は着工済みであるということが確認されましたので、自転車振興会のこの資金は着工済みのものについては補助をしない、こういうたてまえ上、この補助につきましてはお断りをしたことがございます。
○大橋(敏)委員 労働大臣、いま聞かれてわかるように、この申請には非常にインチキ性がございました。うちも調べてみましたら、同センターの建設予定地は、山梨県の東八代郡石和町松本字前河原千二百二十二の三になっておりますが、ここは大成建設の土地であり、そしてもうすでにここには大きな建物が建っておりました。 〔大橋(敏)委員、写真を示す〕 こういうりっぱな建物ですけれども、これは昭和四十四年の五月に、甲府市の中込百貨店がスーパーマーケットとして建てたものでございまして、それが昭和四十六年八月には、経営難か何かで、大成建設に売却されたという、もう石和町の土地登記簿にはっきりしているんですよ。これをあたかも福祉センターを建てるがごとく申請しているんですよ。その内容も、いまスーパーマーケットのその建物の内容で記載されて、新設となっている。全くの虚偽です。さらに言いたいことは、自己資金の中に、商工中央金庫から二億二千万の借り入れをした、これだけの借入金をしているというわけでございますが、これば商工中金から金が出ようはずがない。あたかも自己資金があるかのごとく、こうして申請をしているわけですね。中身といい、あるいはその申請の記載といい、すべてこれはインチキです。こういう法人を大臣はこのままほうっておかれるつもりかどうかということです。
○長谷川国務大臣 先ほど通産省からも話がありましたように、申請のときのいろいろないきさつでそうした手配ができなかったということを聞いております。 いずれにいたしましても、私の方が財団法人として許可したことですけれども、その仕事それ自体は、今度のやつは仕事ができなかったわけです。書類の不備とかいろいろ現場を調べた結果、その事業はだめになったわけです。私の方はそれを確認いたしました。そして、日常の仕事はどんなことをしているかということを、ずっと事業報告を聞いておりますが、日常の事業は中小企業、そういうところの青年を集めて、いろいろな訓練をしたりして、よくやっているというふうに私は承知しております。
○大橋(敏)委員 私がいま問題にしようと思うのは、こういうでたらめな人の土地、そしてそこに建っている建物をあたかも自分が建設するかのごとく申請をして、あわよくば二億円の補助金が手に入ると、しかも自己資金もないのにあるかのごとく見せかけた、大体こうした虚偽の申請をするような精神の持ち主といいますか、その会長は一体だれだったのですか。この法人の理事長といいますか、会長というのはだれですか。
○長谷川国務大臣 会長は迫水久常氏だと承知しております。
○大橋(敏)委員 こうした参議院の先生だから、解散させられないと言うんですか。こういう偽りの申請をするような精神の持ち主、これに対しては厳しく措置をすることが肝心だと思うのであります。つまり、公益法人で非常にまじめにやっている方々に対しては、大いに援助をしなければなりませんが、逆に、こうした偽りの申請をするような者に対しては、どしどしと処置をしていくことが不公正是正であろう、私はこう思うのであります。労働大臣は正義感の人だと聞いておりますが、これを許すようであれば、私も少し労働大臣の精神を疑いたくなるのですが、どうでしょうか。
○長谷川国務大臣 この事件そのものについては、いまお話のあったように、書類の添付とかあるいは手続とか、事業計画の不備ということで、却下されているわけです。 私が問題にしているのは、日常活動はどうしているか、こういうことでございまして、なおこの事件は、先生からも御指摘がございますから、事実をなお詳細に調査いたしまして、会の運営等について善処を、ひとつしっかりと警告したい、こう思っております。
○大橋(敏)委員 せめて警告だということでございますが、日ごろの仕事はまじめにやっていて、たまたまこれはインチキ書類を出したのだ、それについては警告で済ませよう、こういうことですから、現実問題として、民法には解散命令権があるにもかかわらず、いま法人の中におかしいのがありながら、解散させられたのは一つもありません。これは重大な問題です。これは総理のかわりに来ていらっしゃる副総理に、こうした公益法人のあり方、休眠法人やあるいは公益よりも営利の方が上回っているような内容になっている法人もありますし、また反社会的な法人もたくさんあります。こういうものに対して今後どういう処置をとられていくか、最後にまとめて答えていただきたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 公益法人につきましては、民法の規定によりまして、確かに解散を命ずることができることになっているのです。ところが、その条件というものが非常に限定されておりまして、その設立の目的以外の仕事をしたときとか、あるいは法に違反した行為があるとか、あるいはその他公益に反する行為をしたことがある、そういう条件のもとにおいて初めて解散権が発動できるというふうになっているのです。いま私も休眠法人という話を聞きましたが、そういうのが非常に多い。それから、休眠ではありませんけれども、さほどの仕事をしていない、ただ名ばかりの存在であるというようなものも非常に多い。私どもとしてはそれを整理したいのですよ。整理したいのですが、民法に決める三条件に該当しないと、この整理ができない。そういう問題がありまして、私ども実は残念に思っているのです。公益法人はそういう状態で解散命令はできませんけれども、これは公益法人ですから、あくまでも公益法人として認めた社会公共のための任務を達成していかなければなりませんから、認可をしてそういうものができた以上は、政府は責任を持ってその指導に当たらなければならぬ、こういうふうに考えております。
○大橋(敏)委員 三つの条件で、なかなか解散までにはできないというお話でございますので、それではいずれ、わが党はいま総点検をやっておりますので、その実情を皆さんに明らかにしまして、いかに甘い態度で臨んでこられたかということを指摘してみたいと思います。 きょうは時間が限られておりますので、次に移ります。参考人は帰られて結構です。 厚生大臣年金問題でございますが、つまり優遇されるべき立場にある人が最も冷遇されているとなれば、これほど不公正はありませんですね。現在のお年寄りはまさにそのとおりだと思います。なかんずく老齢福祉年金を受給していらっしゃる方々に対して、何としてもいまお助けしなければならぬ。老齢福祉年金については確かに今回引き上げを考えていらしゃいますけれども、制度審の答申を見ましても、あらゆるところの関係の声を見ましても、もうすでに二万円の老齢福祉年金は当然である、こういう声でございます。言うならば社会的要請です。そしてあなたもこの前の予算委員会で、二万円は出したいというような雰囲気で話をなさっておりましたが、残念ながら財源が、ということでお逃げになっていたようでございます。 そこで私は、きょうは財源も含めて具体案を持ってまいりましたので、あなたのお手伝いをするつもりで申し上げますが、どうか真剣に検討していただいて、五十一年度から実施に移していただきたい、こう思うのであります。 まずそれには三つの要件をのんでもらわなければなりませんが、御承知のように、受給権者数は ことしはピークで、来年度五十一年度からずっと減っていきます。四百十八万五千。五十二年は三百九十七万四千と、ずっと減っていきまして、昭和八十四年にはゼロになります。老齢福祉年金の員数を、ずっと減っていくというように厚生省の方では推計いたしております。 私は、その数字を基礎にいたしまして考えたのでありますが、いわゆる財政負担、老齢福祉年金に要する負担額、今年度は約五千五百億でございますが、来年度から一割ずつこれを上積みしていっていただきたいという問題です。これは大蔵大臣も了承してもらわなければなりませんが、一〇%の上積みということはそう無理な計算ではないと思います。 それから、それだけの上積みをしていただきましても、五十一年度二万円を支給しようとすれば、所要額が一兆四十四億円かかります。この財政負担額だけでは足りません。そこで工夫をしたのは、この足りない部分については資金運用部から貸していただきたい。五十一年度で三千九百九十四億円貸していただければいいのですが、決してこれを借りっ放しにはいたしません。利子をつけて複利でお返しします。大体八年間ずっと借りてまいりまして、九年目から返済ができる計算になります。もちろん十四年間は財政負担を毎年一〇%ずっとふやしてもらわなければなりませんが、そのかわり十五年たって十六年目からは、財政負担はぐっと減りまして、もう所要額だけしか要りません。 こういう案でございますが、どうでしょうか。まず一番問題になるのは、資金運用部からお借りするという問題になると思うのですが、いかがでございますか。
○田中国務大臣 大橋先生の福祉年金についての御提案でございますが、実はけさほど初めて拝見をいたしまして、まだ十分に検討をいたしておらないわけでございますが、いずれにいたしましても、福祉年金の原資を一般会計だけに求めるということではなしに、幅の広い視野でもって御検討くださったことについて深い敬意を払いたいというふうに思います。 ところで、この制度でございますが、まだいただいたばかりでございますので、しさいに検討をいたしておりませんけれども、いろいろな問題点があるようでございます。一つには法律上の問題がありまして、資金運用部資金を借りることについて財政法の制約がある。あるいはこれについて拠出制年金の原資をお借りするものですから、拠出者の了解を得なければならない。あるいはまた還元融資枠に影響するなどという問題がございますが、これはいずれにいたしましても法律制度の問題でございますから、国会で、これを改めればよろしいだろうという反論が参ると思いますが、こうしたことについてどのような対処をいたすべきかという問題があろうと思います。 なお、これについては、私、全部話してしまった方がよろしいと思いますから、私の方からお話をいたします。 いずれにいたしましても、こういうわけで、一つのおもしろい制度ではございますが、問題はこのようにして原資をお借りいたしまして、返す時期になりますると、拠出制年金の給付の国庫負担が相当出てまいる時期でございますので、これをどのようにして返すか、返せるか等々の問題について、いま言ったような単なる役人的な法律論などだけではなしに、いろいろともう少し検討をしてみなければならないと思いますし、いま申すような月額二万円程度の福祉年金を給付するための財政的手法としては、いろいろのものが考えられて、今日私どものところでもいろいろと検討中でございますので、参考にさせていただきたいと思います。
○大橋(敏)委員 これをそのままのんでいただければ、もう来年度からは実施ができるわけです。 そこで、いま厚生大臣は財政法の関係があるのでどうのこうのとおっしゃいましたけれども、これは前例がありますよ。財政法はちゃんと許されます。大臣が本当にその気になられればやれることなんです。健康保険の赤字は、この資金運用部資金から借りられましたね。これはどうでしょうか、間違いないですね。三千三十三億、四十八年の赤字はこの資金運用部から借りられたはずでございます。厚生年金保険法を四十八年度に改正なさって、借りられるようにしたじゃありませんか。そうでしょう。だから、これはできるのです。また、厚生年金の被保険者の了解を求めなければならぬとおっしゃいますが、これはやってください。相談してください。相談なさいますね。決して反対はないと思います。なぜならば、被保険者はこの福祉年金等、福祉に使われることについて何が反対がありますか。つまり、財投資金が大企業に流れることこそ反対がありまして、こういうものについて福祉年金を改善していくために一時貸してくださいということに対して、反対するわけがございません。ですから、あなたが本当にやる気があればできるのです。拠出制年金との関連は、いろいろおっしゃっておりましたけれども、わが党もその問題も考えております。そして国民年金に対する、拠出制年金に対する対策も用意しておりますから、それはこの次の委員会で論議しましょう。問題は、いま言わんとするのは、老齢福祉年金が、いまわが党が考えていることでいけば、できるということであります。どうですか。
○田中国務大臣 先般私は予算委員会で、総理もおっしゃいましたが、月額二万円程度の福祉年金を支給いたしたいということを申しておりましたものですから、これは公約でございますから、何としても財源を見つけてこれを実行いたさなければならないというかたい決意のもとに、あれやこれやの手法を駆使いたしまして、その実現をはかるべくいろいろと努力をいたして、検討をいたしております。その間にあって、いま先生が御提案になりました一つの案でございますが、これにつきましては、ただいまのところ、これが最もベストであるというふうに結論づけるのはなお軽率だと思いますので、よく参考にさせていただきたいということでございます。
○大橋(敏)委員 あなたは、ベストではないけれども大変参考になる、五十一年度には二万円を実施する、こういうふうに見ていいですね。
○田中国務大臣 二万円の方は、私は必ず実施をいたしたいというふうに思っております。
○大橋(敏)委員 それでは結構な話でございますが、わが党のこの案をのんでもらえば、毎年二万円の年金額を一〇%ずつふやしていっても、なおかつ十分に運営できる、また支給できる内容でございます。いま厚生大臣は五十一年度から二万円にいたしますと確約なさいましたので、その点については私は多といたしますが、副総理と大蔵大臣に、念のためにお尋ねしておきます。 財政法云々という話がありましたけれども、健康保険での前例もございますし、財政審議会に諮問していただくならば、その問題は簡単に解決できる問題だと思います。財政審議会に、お借りすることを了解できるように、ひとつ取り計らっていただきたいと思います。
○吉瀬政府委員 大臣から御答弁がある前に、運用部資金の問題につきまして、理財局長として一言申し上げたいと思います。 いま大橋委員の御指摘のように、確かに健康保険勘定その他につきまして、運用部資金を貸しております。ただ、これは一般の運用部資金の貸し付けと同じように、料金収入と給付金支出が均衡するというような一つの料金収入体系があるとか、返済可能の体系があるということを前提に貸しているわけでございまして、そういうわけで、一般に租税負担を前提として支出さるべき福祉年金、こういうものが運用部資金の体系として取り入れられるということは、制度上非常に問題がございます。 それからまた、委員の御指摘になるように、これが財政法の一般の借入金の基本原則、これとも違背することも、この際ちょっと念のため御説明しておきたいと思います。
○大橋(敏)委員 いま厚生大臣は、これは役人的な判断で進めるべき問題じゃないと、大臣そのものがおっしゃっているのです。そしていま健康保険の赤字については、運用部資金から一応借用して一般会計から返済していく内容にもなっておるわけでございまして、その気になればできる話なんです。これは大臣に任せればいいわけですよ。 もう時間が来ましたので、最後の答弁をいただく前に、もう一つ、不公正是正という立場から、お尋ねしておきたいと思います。 それは、厚生年金の標準報酬でございますが、保険料が、標準報酬は上限が二十万円で頭打ちになっておりますね。去年は労働者の賃金が大体三〇%ほどアップされたわけでございますが、八万円の賃金あるいは十万円の賃金の方がどれだけ標準保険料が上がったか、二十万円の人は上がったのか上がらなかったのか、これを考えてもらえばすぐわかることでございますが、私はこの上限を引き上げることは早急になさらなければ、要するに不公正是正はない、こう思うのでございますが、どうでしょう。
○田中国務大臣 先生がただいま厚生年金の標準報酬の件をお話しになりましたが、御主張のような向きはございますが、もっと問題なのは、私は医療保険の標準報酬だろうと思います。なぜかなれば、医療保険の方は給付がフラットでございます。したがって、これを上限にためておくということは、私は非常に問題があろうと思います。厚生年金は標準報酬に対して給付がリンクをいたしますものですから、この点についてはまだ若干宥恕すべきものがあるだろうと思われますが、いずれにいたしましても、最近の賃金動向等を考えまして、五十一年度には標準報酬の上限改定をいたしたいというふうに思っております。
○大橋(敏)委員 めどはどのくらいに引き上げたいと思われますか。
○田中国務大臣 ただいまのところ、幾らということを申し上げる段階まで検討が参っておりませんが、いろいろと世間で言われている金額がございます。たとえば今年、財政当局から、三十万円程度にこれを引き上げたらどうかというようなお話もございましたが、そういったようなことを踏まえていろいろと検討し、合理的な結論を出したいというふうに思っております。
○大橋(敏)委員 もう時間が迫りましたので、言いたいことはたくさんありますけれども、最後に副総理と大蔵大臣に、二万円年金の実現のための、努力をしていただく気持ちを聞かせておいていただきたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 五十年度には一万二千円にするわけですが、これでとまりというわけじゃないので、政府といたしましては、これが引き上げには今後とも努力をしていかなければならぬ、こういうふうに考えておりますが、その財源として、先ほど大橋さんからの資金運用部からの借り入れ金という案ですね。これは考えてみると、国民年金特別会計が公債を出して、その公債を資金運用部が引き受けする、こういうことですね。さらに進んで言えば、国が公債を出して、それを資金運用部が引き受けします、これと全く同じ考えなんですね。この考え方は、これは先ほど制度の問題とか予算のたてまえだとか、そういうお話があるということを厚生大臣が言っておられる。まあそういう問題があるかもしらぬが、これは審議いたしまして、国会が御承認するということになれば解決する問題かと思いますが、しかし、年金の給付の財源を公債、しかもそれを資金運用部の引き受けに求める、こういうのは財政政策として非常に大きな問題だろうと思うのです。さればこそ、厚生大臣はにわかに御返事できません、こう言っておるのじゃないかと私は思いますが、せっかくの御提案でありますので、厚生大臣が検討する、こういうふうに申しておりますので、十分検討させていただきます。
○大橋(敏)委員 もう時間が来ましたので、これで終わりますが、いずれにいたしましても、この問題は重要な問題でございますので、また他の委員会に譲りまして、論議を続けたいと思います。終わります。
○湊委員長代理 これにて大橋君の質疑は終了いたしました。 次に小宮武喜君。
○小宮委員 私は、まず斉藤参考人にお尋ねします。 参考人も御承知のように、近年目に余る歯科料金をめぐって、いろいろなトラブルや苦情が相次いで起きておりますが、この点について参考人はどのように考えておられるか、まずこの点を最初にお聞きします。
○斉藤参考人 御指摘の点は、国民医療のために感謝申し上げ、私たちの努力の至らないことをまずおわび申し上げます。 この苦情相談というものの各都道府県におきます処理委員会は、四十二年以来ほとんどどこの県においても設置されておりまして、その県ごとに、苦情が出たものについては、本人または申し入れ者両方の意見を聞きまして、処理されている実情がほとんどでございまして、苦情の中で多いのが電話が多いのでありますが、そのような状態が続いておりますが、本年からは、日本歯科医師会自体においても苦情の申し入れを受け付けて、誠心誠意これが了解に達するように努力を払っておる実情でございます。
○小宮委員 この一番問題になるのは差額徴収制度の問題ですが、この問題はすでにスタートしてから二十年になるわけですが、この二十年間に、この歯科料金についての苦情や相談が何件くらいあったのか、その点いかがですか。
○斉藤参考人 いまここにデータは持っておりませんが、中医協に出されている去年の五月から十一月ですか、五百十九件と心得ております。その以前は、数はかなり少ないのじゃなかったかという気持ちもしておりますが、はっきりしたデータは持っておりません。
○小宮委員 この問題は、この制度がスタートした時点から、いろいろな問題が起きていたわけです。ところがこれはもう厚生省も含めてですが、いままで厚生省にしても皆さん方にしても、何らこの問題に積極的に取り組もうとせずに今日まで放置されてきたわけです。ところが最近この問題が非常に大きく社会問題にまで発展してきたので、厚生省もようやく重い腰を上げて、ちょうど昨年の五月から十一月までのこの苦情問題を調査したところが、いま言う各都道府県の保険課と、それから歯科医師会の各県の苦情処理委員会に出された問題が、千百五十六件ということに発表されているわけです。しかもその中で各都道府県が扱った分の六百三十七件については、その苦情をどのように処理されたかということが明らかにされておりますけれども、歯科医師会の分についての五百十九件については、どういうようにその苦情が処理されたのか、いまもってまだ明らかにされておらない。ということは、この苦情処理をそのまま放置しておるのか、あるいはこのことを外部に発表することによってぐあいの悪いことがあるのか、その点はわかりませんけれども、ただ悪く勘ぐると、そういうような不正、不当の問題が表面に出るとぐあいが悪いから、むしろ何も記録がないとか、あるいはどういうふうに処理されたかわからぬとかいうような口実で逃げておるのではないかとさえ考えられるわけですが、たとえば制度がスタートしてから二十年間の苦情問題がどういうふうに処理されたかは、それはわからぬならわからぬでやむを得ぬとして、少なくとも去年の五月から十一月までの間の歯科医師会が取り扱った五百十九件の処理はどうなっておりますか。
○斉藤参考人 各県とも一応報告された中は、処理委員会で了解点に達しているという報告だけでありまして、実態がどういう問題をどのようにしたか、どのような問題がどのようになっていたかということについては、明らかではございません。おおむね処理されておりますという報告だけであります。そして私たちのいま考えておりますのは、記録がなかったということについて反省もいたしておりますし、苦情を申し入れられる患者さんの立場に立って、これから善処していく努力を払いたい、そのように申し上げたいと思います。
○小宮委員 厚生省も、この制度がスタートしてから二十年間、何らこの問題に触れようとしなかったというその理由は何ですか。余りにも無責任ではないですか。
○田中国務大臣 歯科における差額徴収問題につきましては、制度は確かに二十年前から道が開けたわけであります。しかし、このような社会的な問題になるような苦情がにわかに出てきたのはここ一両年でございまして、したがいまして、この間、私どもといたしましては何もしなかったわけではございません。中医協の御意見もあり、またそういうことを踏まえまして、昨年三月及び五月に、各方面に、各都道府県に対し通知をし、その適正化を図ってまいったわけでございまして、いろいろと今日までやってきましたが、しかしなお徹底をせず、このような問題が相次いで起こったことについては、大変遺憾に思っております。
○小宮委員 厚生省も、中医協から指摘されて、重い腰を上げて調査に乗り出したというのが現状なんです。それまで中医協が指摘しなければ、厚生省は今後ともほおかぶりするような態度であったのではないかとさえ言いたいのだが、それは別として、しかし、去年の五月から十一月のこの六ヵ月の間だけでも千百五十六件の苦情が出ておるということは、二十年もさかのぼれば別ですけれども、恐らく二、三年前にもかなりの件数がやはりあったんだというように私は考えますが、それでは、厚生省が五月から十一月にかけて調べたのは、どういうような意味ですか。
○北川政府委員 お答え申し上げます。 いまお尋ねにございましたように、この問題は、大臣も申し上げましたが、ここ一両年非常に大きな社会問題になってきたような実情でございます。四十八年十二月の中医協が終わりました後、昨年二月に医療費改定をしたわけでございますけれども、それに関連をいたしまして、医療費改定の際に、その辺の実情をしっかりつかんでおこうということでございます。 さらに、十月には二回目の改定もあったわけでございますから、そういう意味合いで、両中医協とも、この問題を強く取り上げまして、お話しのような話があったわけでございますので、直近の半年間の実績を事細かに調べてみる、こういう意味で、この間の実情について報告を求めたような次第でございます。
○小宮委員 この苦情問題が特に問題になったのは、確かにこの二、三年前からです。であれば、何も去年の五月から十一月の時点を調べるということでなくて、むしろ、そうなら二、三年前からの時点でも、私は調べるべきだと思うのです。だから、調べておらないと言うのなら、早急に調べて、ひとつその調査結果を公表してください。いいですか。約束しますか。
○北川政府委員 ただいまのお話は、昨年の五月前の問題でございますので、行政ベースでどの程度のものが把握できますか、そういったことも含めて、検討さしていただきたいと思います。
○小宮委員 だから、結局昨年の五月以前の問題も、さらに最近十一月以降にも、やはりいろいろ問題が起きておるわけですから、そういうようなことも含めて、調査結果を発表していただきたい。 そこで、私考えますのは、歯科医師会の方々には本当に申しわけないのだけれども、歯科医師会で苦情処理委員会をつくって、いろいろ苦情の相談を受け付けておったとしても、いま言うように、それがどのように処理されたのかが一つも明らかにならぬ。電話であったとかなんとか言うけれども、電話が何件あって書類が何件あったのかということも突っ込んで聞きたいのだが、私も限られた時間であるから、そこまでは言いませんけれども、歯科医師会としては、苦情処理委員会をつくっていても、やはり自分たちに直接利害関係がある苦情処理については、なかなか表に出したがらぬということでは、歯科医師会の苦情処理委員会は各都道府県別にありますけれども、これには、私は苦情処理を期待することは非常にむずかしいのじゃないかというように考えます。その意味では、各都道府県の保険課で取り扱った苦情処理は、わりあいにその処理状況が明らかにされておるわけですが、今後こういった歯科料金の問題に関する苦情処理というのは、各都道府県の保険課に窓口を一本にしぼるか、それとも、御承知のように、医療事故についても、厚生省は医療紛争委員会をつくろうとして、現在研究会を設けておるわけですが、そちらの方も兼ねて、そこで歯科料金に対する苦情処理も受け付ける、そこで処理するというようなことを何らか考えなければ、こういうような問題が相次いで起きても、一つも明朗にならぬと思うのです。その意味で、苦情処理の窓口を各都道府県の保険課にするか、あるいは保険課ではなかなかそこまで手が伸びぬというのであれば、公平な第三者機関を設けて、そこで苦情処理を受け付け、処理するというようなことを考えたらどうかと私考えるわけですが、この点については厚生省いかがですか。
○北川政府委員 お答え申し上げます。 一つの御提案があったわけでございますけれども、ただいまお話しの中に出ました一般の医事紛争に関する苦情処理と申しますものは、平たく言えば医療過誤等の問題であろうと思います。その問題と、ただいま提起されております歯科の差額分に関する苦情等につきましては、内容がやや異なるものであろうと思います。これは歯科に限らず、やはり医療は患者さんとお医者さんとの倫理と信頼感というものが基盤にあって、その上ですぐれた技術の提供がある、そこに初めて医療が本然の姿をあらわすというようなことでございますので、そういう中で物を考えますと、いまお話しのようなもので、この問題の苦情処理というものをやっていった方がいいのかどうか、この辺は相当慎重に考えていかなければならないと思っております。 そういう意味合いで、私どもは今後、従前からのいろいろな実態の究明ということも続けてやってまいりますが、御提案の点は一つの考え方でございますから、そういうことも念頭に置きながら、関係団体とも十分に相談をし、協力を求めて、最も適切な方法はどういう方法であるか、こういうことを十分に検討してまいりたいと思います。
○小宮委員 今度の調査結果を見ましても明らかなように、苦情の大半は差額徴収に関する問題です。それで、これが全体の四八・五%になっているわけです。さらに今度差額徴収に関する中身を分析しますと、保険だけで治療できるのに、保険がきかないと言って差額徴収をしたり、差額代を不当に高く取ったり、保険でなければ早くできると言って差額治療を行うなど、患者の弱みや無知につけ込んでの悪質な行為が行われておる。この点について、今後歯科医師会としてはどのように指導するのか、また厚生省はどのように指導するのか、その点、お聞きしておきたいと思います。
○斉藤参考人 日本歯科医師会としましては、機会あることに患者との対話――医療の実態は、その効率は信頼関係が最も大切であるというようなことで、対話が十分に行かない場合は、お互いに疑心暗鬼の中で進められるのじゃないか。そのことのために、すべて対話を十分に持って、その了解点に立ってから診療に進まれるというふうなことを、各種会議の席上においても、その他機会あるごとに進めてまいっておりますが、今後とも、患者の立場に常に考えを置きまして、もっともっとこれが指導徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。
○田中国務大臣 歯科における差額徴収の実態については、先生のおっしゃるとおりのいろいろなバラエティーのものがあるようです。そこで、これを解消いたすためには、一つには患者のサイドの、社会保険診療における歯科医療のあり方について、できるだけ周知徹底をいたしまして、制度を知らずにいろいろと間違いの中に入り込むということのないようにいたさなければならないという一面があろうと思います。 いま一つは、歯科医師の側において、こうしたことについて、制度にのっとって治療をするというふうなことについて努力をしていただく、またそういう心構えを持っていただくということにならなければなりませんから、したがって、この両面について、今後厚生省としては歯科医師会と協力をいたしまして、そのような方向で具体的に対策を進めてまいりたいと思っております。
○小宮委員 斉藤参考人、いままでも歯科医師会としては、会員に対して、そういうような不都合なことがないようにということで、いろいろ指導されてきたでしょうけれども、それでもなおかっこういうような不祥事件だとか問題が起きるというのは、ただ参考人のような人ばかりが全部おれば問題はないのでしょうけれども、私は歯科医師会全部とは言いませんけれども、やはり一部にそういうような人がいるということになりますと、全体の問題として、国民から不信感を抱かれるわけですから、その意味では、いま参考人が言われるように、やはり患者と、あるいは国民との信頼関係が一番必要ですから、むしろその信頼関係を破ってここまで問題になってきたのは、私は歯科医師会にあるというふうに言いたいのです。 そこで、この問題が発生してから、特にこの厚生省の発表がありましてから、歯科医師会の武石専務の方からも、このような不良医師がもしおるならば、独自の立場から調査をして告発したいというようなことをも言明されておるし、やはりこの方針を十分認識してもらって、そういうような強い態度に出てもらわなければ、この問題はただ単なる口頭の指導であるとか、みんなを集めて言ってみたって、なかなかこれはうまくいくはずがないと思うのです。だから、その点はこういうような方針で、歯科医師会としてみずからの姿勢を正すという立場で、この問題は取り組んでもらいたいと思うのです。 それから、厚生大臣も、差額徴収については絶滅するように指導するということを言われておりますけれども、従来もいろいろなことをやってきたのです。きたけれども、なおかつこういうような問題が起きている。その点について具体的に、絶滅するというような言葉を言われておるわけですが、しかしそれであれば、ここではっきり具体的にどうするということを言っていただかぬと、いままでのように、ただ病院の内部に一応ポスターを張ってみたりしたって、これはなかなかむずかしいのです。だから、差額徴収を絶滅する指導をするというならば、具体的にひとつどういうような考え方で指導するのか、これを御参考までに聞かせていただきたい。
○田中国務大臣 一つには、やはりさっき申したように、患者側と診療側と両方に、制度にのっとった社会保険診療が授けられ受けられるように啓蒙指導をしなければなりませんが、なおかつ、これについて踏み外す者がありますれば、これは健康保険法等の定むるところによって処置をするといったような、毅然たる態度も必要かと思っております。
○小宮委員 差額料金が一番高いというこの問題ですけれども、歯科医師会の方でも、各地域別に慣行料金というものが決められておるわけですが、現在その慣行料金の最高最低、それで平均が幾らになるのか、それをひとつ教えてください。
○斉藤参考人 慣行料金の問題でございますが、これは各県、それから各郡市区、そのようにまちまちでございます。高いところに行きますと、いまの点数の十倍、低いところに行くと四倍程度でございましょうか。平均すると、健康保険の点数の五倍ぐらいではないか。そして一応私たちの方でも、標準的なものを考えておこう、これを参考に各地域ごとに、その地域に合うような状態を早く考えてもらいたいというふうに、いま資料が全部集まり切って、整理を終わるところでございます。
○小宮委員 斉藤参考人、点数の何倍とかなんとかじゃなくて、はっきり金額で、大体幾らになっておるか、金額で示して下さい。
○斉藤参考人 いま資料を持ちませんので、直ちに何が幾ら何が幾らと質問をされても、即答はできませんので、資料が必要ならばお送りすることにいたします。あしたでも送ります。
○小宮委員 資料はひとつ出してもらいますけれども、斉藤さん、あなたが知らないということはないはずです。あなたは自分の地域で、この慣行料金によって徴収しておるわけだから、あなたがどこにお住まいか知らぬけれども、少なくとも自分のところぐらいは知っておるはずです。その点いかがですか。ぼくらはやはり点数で言ったって、あんまり頭にぴんとこぬものだから、金で示してもらわぬと。非常に差額徴収は高いということは、金の問題で言っておるわけですから、ひとつ金で幾らということを言ってもらわぬと。
○斉藤参考人 義歯の問題を先に申します。義歯は一般的には四万から五万だそうです。金冠が三万から六万だそうでございます。あとはどこの地区においても、平均値をとりましたので、五倍程度が平均ではないか。点数というと、私もぴんとこないのですけれども、その程度でございます。
○小宮委員 それじゃなかなか具体的にはわからぬのです。三万なら三万、五万なら五万という、その計算の根拠をひとつ説明してください。おそらくこの慣行料金というのは、いわゆる技工士料、それから処置料、それから金なら金の材料代、これによって三つの条件が積み上げられて、幾らというように大体決まっておるわけですから、それではその内容をひとつ説明してくれませんか。そうしないと、この問題のポイントがつけぬわけですよ。
○斉藤参考人 慣行料金の基本は、人件費、材料費それから技術料等が含まれて、総合的にでき上がると思います。特に、歯科の補綴の問題は、完全に機能が回復しない限り、それは価値が薄いものでございまして、仮に一万でも非常に高いものになるものがありますし、三万出しても、これは患者が感謝感激して、ああよかったというようなこともなきにしもあらずでございます。ですから、一人一人のキャリアというものにかなりウエートをかけまして、慣行料金という一つのものをつくっても、すべて「以上」と書いてございます、何円以上と。こういう中で、私自身はこのような金額であるという人が、個人差がかなり出てきております。だから慣行料金なんか要らないという空気も半ばあるわけでございます。
○小宮委員 慣行料金でも、はずされたら、これこそ皆さん方の自由裁量でやられるわけですから、大変なことですよ。われわれが、やはり不当に高いかどうかという判定の基準というのは、そういった慣行料金があるからこそ、それを見て言うわけだから、それを歯科医師会が撤廃しようという動きでもあることは、大変なことですよ。 それでは、斉藤さんにはまたあとで質問しますけれども、歯科技工士会の方が来られておりますが、森谷さんですか、大体技工士料は幾らですか。その点、いかがですか。
○森谷参考人 ただいま技工士料というお話でございますけれども、これは非常に種類が多く、どれかというのを指摘していただかないと、私もお答えできませんです。
○小宮委員 われわれが言うのは、技工士料がいろいろあろうけれども、それでは最高は幾らですか。
○森谷参考人 最高とか最低と言いましても、どういうものが最高幾ら、最低幾らと言うのか、その名前を言っていただかないと困るんですがね。
○小宮委員 それは品物によってはいろいろあるでしょう。
○森谷参考人 あります。
○小宮委員 それでは金歯ではどうでしょうか、十八金で。
○森谷参考人 金歯というお話でございますけれども、大体歯科に使う金は二十二金ないし二十金でございます。したがいまして、ただいまの御質問は一本についての御質問だと思いますので、技工士料という言葉でございますが、私どもは技術料として技工料金ということで申し上げておきます。 まず、平均いたしまして、これは七千円ぐらいじゃないかと思います。ただし、これは技術の差がございますので、人によっては高いのもあるでしょう、あるいは非常に安いのもあるでしょう。しかし、これは私ども、個々の取引でございますので、一々だれが幾らということは、私どもわかりません。平均でございます。
○小宮委員 それば私もわかります。そうしますと、それでは現在、金の相場は一グラム幾らになりますか。そしてもう一つ、金歯を一本入れるのに必要な金の量はどれだけか。
○森谷参考人 お答えいたします。 金の相場は毎日変わりますので、私どもの購入する価格は五グラム単位で買ってございますけれども、一グラム大体二千円だと思えば間違いないと思います。その次に、一本にどれほどかかるのかという御質問でございますが、これは四グラムと、私どもは承知しております。
○小宮委員 それでは今度、また斎藤さんに質問しますが、技術料ですね、いわゆる歯を入れるまでの処置をせにゃいかぬ。また、技工士さんがつくってきたものをまた入れる、そのいわゆる技術料というか処置料というか、これは大体幾らになるのですか。それで、どういうようにして計算するのですか。
○斉藤参考人 大分細かいことでございまして恐れ入ります。 まず一番お考えいただきたいということば、材料費が幾らで、それがどのくらいの時間かかって何ができ上がっていく、そういう考えが基本になりますと、これは商品、品物という感じに置きかえられやしないかと、そういう心配があるわけなんです。私たちは常に、口腔内をもとのような健康状態に回復させる、そしてそれがその人の健康保持に重大な位置づけられたものにしたい。 〔湊委員長代理退席、委員長着席〕 こういうことで、先ほども一言述べたが、一万円でも高いしというような言葉が出てくると思うのです。機能回復というものは、かみ方、かみ合わせぐあい、それから、その審美的なもの、そのことによって顔つきがすばらしくよくなったというようなことなども含めて、総合的な機能回復をしなければならないのだということで、これを総合して、私の方は技術というふうに考えるわけなんです。それがその過程で幾らだというふうに考えられても、これは非常に高度に技術の進んだ方と、まだ未熟な方との差はやむを得ないのです。そういうことで、すばらしいなあということもたくさんある。この先生はいいなあ、いい仕事をしますなあという――私もそういうことを考えたときに、ああすばらしいなあという、みんなもこういうふうに勉強してくれて、患者も喜び、術者も喜ぶ姿こそ、医療の本質ではないかというふうに思うわけです。その間の、それが幾らで、それがどうなってという計算は、私にはちょっと……。機能回復の状態によって評価されるべきではないかというふうに思うわけです。
○小宮委員 逃げの一手を使っておるようですけれども、いわゆる処置に要する時間が何分かかったか、大体、普通慣行料金の中では五十分だと見ておるわけです。それから、その一分間の労賃が幾らかということで、大体それを一分間三百円なら三百円と見て、これに五十分掛けて幾ら、それからいまの技工士料が幾ら、材料費が幾らということで、大体決めてあるんですよ。だからその意味で、いまのような回りくどいことを言わぬでも、われわれが計算をする場合に、皆さん方、余り国民にこういうふうなことを全部知られては困るものだから、なかなか言いたがらぬのでしょうけれども、やはりわれわれが、本当にどういうふうにしてそういうような金が出てくるものか、たとえばいま百二十万かかったとか、それは金歯を二十本も三十本も入れれば別ですよ。この前、私ある人から聞いたのですが、ともかく病院に行ったら、八十万円コースでやりますか、それとも五十万円コースですか、それとも三十万円コースですかと、現に言われた人がおるわけです。八十万円コースとか五十万円コースとか、どこから計算すればこの金が出てくるのか、ぼくらもさっぱりわからない。だから、私がいましつこく言っておるのは、こういうようにただどんぶり勘定で言うんじゃなくて、何を基準に計算して慣行料を決めたのか。慣行料を決めておりながら、なおかつ八十万円だとか、五十万だとかというのはどうして出てくるのか。ちょうど観光コースではないけれども、これは八十万コースですよ、これは五十万コースですよと言われてみたって、皆さん方、ただ患者との信頼関係を幾ら主張されても、それがどうして八十万円なのか。それは高いということで、びっくりして診療を中止して帰った人もいるのですよ。皆さん方の周囲にも、皆さん恐らくみんな知っておるだろうと思うのですよ。だから、どうしてそうなるのかということを、やはり本当にその百万円なり、八十万円なり、五十万円の治療費が必要だというなら、むしろ歯科医師会としては、国民に、このとおりです、だからこれだけかかるんですということで、説明をして、それで国民の納得を得た方が、国民にいろいろ、高いとか、あるいは高く不当に取っておるんじゃないかとか、不正なことをしておるんじゃないかと言われぬでも済む。皆さん方が自発的にここの席上で、こうです、だから高い高いと言われるけれども、実際こうなるんですという説明をしていただかぬと、いまの答弁を聞いても、それではまず、いま言う慣行料金はまあ四万か五万かとなる、技工士の技術料は大体七千円かとなる。一万円くらいになったとしても、じゃどうして――今度は残るものは、医師の処置料の問題だけなんです。それがものすごく何十万かつくのかといいますと、これは私もちょっと調べてきたのですが、やはりいま言う一本歯を治療するのに、いわゆる一回に五十分かかる。だから三回行けば百五十分でしょう。一回一分間の処置料が三百円なら三百円だと、そうすれば国民は納得するわけですよ。ただ、いまのような答弁では、どうしてこういうふうに歯科料金が高いということで問題になるのかというと、われわれまだわからぬ。いまいわゆる五万か六万、両方入れても六万か七万、それがどうして二十万も三十万もになる。それは金歯を、二十二金か二十四金か知りませんが、十本も二十本も入れれば別ですよ。ここにおられる方々も、それがどうして高いのかという問題について、一つも解明されていないと思うのですよ。もう少し、斉藤さん、これはむしろこういうふうな場で、こうですよとあからさまに言って、なるほどそうか、高い高いと言っておったけれども、言われてみればなるほどなというふうにすることが、皆さん方の立場でもいいんじゃないか、こういうふうに思うのですが、もう一度こうして高いんだということを、何か納得するような説明はひとつできませんか。
○斉藤参考人 私は、在郷でございまして、八十万、三十万というのは聞いたことがございません。そして、苦情の中で、ほとんどそのような高額な苦情はございませんということは、やっておらないということであると思うのです。いま八十万コース、五十万コース、初めて聞きました。これから十分に、そのようなことの中で、何がそれをさしているんだということについても、多分これは自由診療の中の問題であると思うので、これから勉強さしてもらって、国民に納得のいくように、私も努力したいというふうにお誓い申し上げます。
○小宮委員 私はまだ納得しないのですけれども、時間ももう来たようですから、この問題は、今度は厚生省あたりと委員会でやりますから、よう勉強しておいてくださいよ。 それは別として、それではもう一つ最後に斉藤さんにお聞きしたいのは、歯科医師会が、厚生省の審議会、協議会関係から委員の総引き揚げを決定しましたが、私はちょっと意地悪いものだから、勘ぐれば、御承知のように、中医協の中に、差額徴収制度にメスを入れるために、歯科差額検討部会を発足させたわけですが、それが原因ではないか。しかし、そうではないと言うに違いないのですが、私は大体真相はそうだと思っておるけれども、正式にここで、総引き揚げをした理由は何ですか。
○斉藤参考人 委員長さんに、この声明を読ませてもらう時間を与えられませんか。
○荒舩委員長 時間が来ておりますから、もしなんなら、それをひとつ出しておいてください。
○斉藤参考人 はい。それじゃ、ありがとうございました。
○小宮委員 一言しゃべりなさいよ。
○斉藤参考人 一言申し上げます 私たちが、押し寄せる患者に対してどうしてこれをせきとめるか、どうして患者さんの大ぜいの中を処理して、安心できるような歯科医療ができるかということについて、もう十年も前から、これば予防の問題からスタートし直さなければだめだ、特に学童については、この九八%のむし歯、一億の国民の中で平均七本のむし歯を防ぐのに、三万開業医がどうして防げるかということで、まずこれからの若い子供たちのむし歯を抑制しなければならないんだということから始まったのであります。この予防活動が、保健所においても、歯科医師がほとんど置かれていない。いかに要求しても歯科衛生士も置かれていない。齲蝕予防法の制定が十年かかってもまだ実ってくれない。そうすると、いま砂糖分がこれだけふやされて、もっともっとふえていくに違いない。非難が私の方だけしか来ないのだ。厚生行政にも来るかもしれないけれども、開業医に来る。私の方は予防処置までをしなければならない立場に追い込まれて、何をしているんだというようなことで、砂糖抑制運動というものを起こしたわけなんです。いつか大臣にも言ったことがあります。たばこが健康に害だ、ケースに……(「そこになればうまいですな」と呼ぶ者あり)私の気持ちなんです。たばこのケースに、これはたくさんやると一応健康に害だ。それならば、むし歯がこのようなことになっているのに、私の方は非難がいっぱい来ている、マスコミにもいっぱいやられている。目下歯科医業のみ焦点に上げられている。それじゃ安心して歯科医業できないじゃないか。じゃ、厚生行政に対しても、ひとつ意見を申し入れてやってもらおうじゃないかというような精神――まあ先生は勘くればという言葉を使っているようですけれども、実際は何とかしてくれないか、精いっぱい国民をやりたいんだけれども、非難が来ていちゃどうしようもないじゃないかというようなことが基本でございます。
○荒舩委員長 ちょっとそれ、こっちへちょうだい。 そこへ行ってみてください。先ほど小宮君から質問がありましたが、私は、どうして高いとか安いとかという解明を、ひとつ歯科医師会の方でだれにもわかるようにして、何分かかったから幾らだというようなわかりやすい書類をつくってお出しが願えれば、解明できると思いますが、そういう点いかがですか。――じゃ、そういうことをひとつお約束をお願いいたします。
○森谷参考人 この問題は、私ども技工業界としても大変深い関係があろうと思うのです。この点につきましては、十分皆さん方にわかっていただきたい。またその方が一番妥当じゃないかと思いますので、私どもの担当常務もついておりますので、説明させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
○荒舩委員長 説明より、ひとつ書類で……。
○森谷参考人 それでは申し上げます。 まず、私どもの技工料がいかに安いものであるかということですね。
○荒舩委員長 ちょっと待ってください。時間が来ておりまして、約束の時間はもう過ぎておるので、ひとつ書類で、私、予算委員長の荒舩清十郎ですが、私あてにお出しを願います。よろしゅうございますか。
○小宮委員 だから、いま歯科医師会とそれから歯科技工士会の方から、わかりやすい資料を出していただいて、それに基づいて、またわれわれとしては検討して、またあらゆる機会に、この問題はさらに質問していきたいと思います。 委員長さん、まことにすみませんが、せっかくきょうは全国精神障害者家族連合会常務理事さんの長山参考人を呼んでおりますので、質問はしませんけれども、いま全家連として政府に要望するところがおありだと思いますので、その点だけ参考人から述べていただいて、それで私の質問を終わりたいと思いますから、それだけお許し願いたいと思います。
○荒舩委員長 長山参考人お待たせしました。
○長山参考人 時間もないようでございますので、簡単に申し上げます。 私ども精神病者を持った家族として一番念願したいことは、社会復帰でございます。現在の精神病院の医療が、前回の質問者である大橋先生からも指摘されたとおり、必ずしも、私どもが念願しているような方向に進んでいるとは思われません。中には悪徳精神病院と言われるような病院もないではございませんけれども、幸いに厚生省としましては、一昨年来、入院中心治療から通院治療に方向を転換しようという動きが見られまして、私どもそれに大いに共鳴しているわけでございます。そして私どもの方は、発病した時点から、非常に社会の偏見の中で苦難の道を歩むことになるのでございますけれども、まずもって、これからは、精神病院の治療を充実するとともに、社会復帰のための施設あるいは社会復帰のための就労の訓練あるいは職業の訓練、そういうような施設と制度というものを充実していただきたい、このようにいつも念願しているわけでございます。 それから、幸いに病気が回復いたしましても、社会の偏見の中で、なかなか思うように働く場がございません。これは皆さん方も御承知のように、精神病は気違いである、あるいは何をするかわからないというふうな観念が根強く社会にはびこっておりますので、たとえ回復しても、就職あるいは結婚という問題が重大な支障を来しておりますので、この点も厚生行政の中で、いままで必ずしも正しい精神衛生普及という仕事に本腰を入れて取り組んできたとは、私どもは思われませんので、この点についても、特に大蔵省が思い切って、社会復帰と正しい精神衛生思想の普及、こういう面に発想の転換をいたしまして、思い切った予算を投入すべきである、このように強く要望いたすものであります。ありがとうございました。
○荒舩委員長 ただいま長山参考人から申されたことについて、厚生大臣のお考えを一言お願いいたします。
○田中国務大臣 先ごろ質問に答えましたところでもございますが、ただいまの参考人の御意見は、われわれの志向しているところとほぼ同様なことをお考えになっておりますから、いまの参考人の意見を踏まえて、今後その方向に行政を充実させていきたいというふうに考えております。
○小宮委員 いまの問題につきましては、また委員会でじっくり大臣とやりたいと思います。 きょうは、質問をこれで終わります。
○荒舩委員長 これにて小宮君の質問は終了いたしました。 斉藤参考人、森谷参考人、長山参考人には、御多用中のところ御出席を願いまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。どうぞお帰りを願って結構でございます。御苦労さまでございました ―――――――――――――
○荒舩委員長 この際、御報告いたします。 去る二十日、分科員の配置及び主査の選任につきましては委員長に御一任を願っておりましたが、分科員の配置につきましては、公報をもって御通知いたします。 なお、各分科会の主査を次のとおり指名いたします。 第一分科会主査 笹山茂太郎君 第二分科会主査 前田 正男君 第三分科会主査 野田 卯一君 第四分科会主査 正示啓次郎君 第五分科会主査 谷垣 專一君 以上御報告いたします。 来たる二十四日より分科会に入ることといたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後七時十七分散会