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75回国会衆議院1975/02/14

予算委員会 第12号

発言数
156
登壇者
24
会派数
3
開催日
1975/02/14

会議録

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 これより会議を開きます。  昭和五十年度一般会計予算、昭和五十年度特別会計予算及び昭和五十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。安里積千代君。

安里積千代民社党

○安里委員 沖繩問題を中心にお聞きしたいと思いますが、これは単に沖繩問題ということでなくして、国政の基本に触れる立場においてお聞きしたいと思います。  沖繩の施政権返還がされまして三年、やがて足かけ四年になろうといたしております。沖繩の長い間の復帰問題に関しましては、復帰協定が論じられる中におきまして、本土並み返還ということが政府の中心の看板として主張されました。本土並み返還ということは、民社党が真っ先に唱えたことでございまして、当時の佐藤総理におかれましては、むしろこれを受け入れがたいもののように思われておりました。三木総理が外務大臣をよされて自由民主党総裁に立候補されましたときに、三木総理は本土並み返還を真っ先に主張された方だと私は思っております。時の佐藤さんがこれに反対をされて、本土並み返還を主張するような者を外務大臣にしたということは一生の誤りだったんだ、不覚だったんだといった趣旨のことを言われたということを沖繩で新聞で見たことを覚えておりまして、これは大変なことだと思っておりました。それほど本土並み返還に真っ先に取っ組んだ三木総理が政権を担当されまして、今度の議会におきまして沖繩問題に一言も触れておりません。返還が済んだから、復帰をしたからすべて終わったんだというふうに考えられておられるのか、あるいはまた、問題はもう何もないんだというふうに考えておられるのか、疑問を持つわけでございます。それに今年は国際的な行事でありまする沖繩海洋博が持たれます。これは国にとりましても重要な問題であり、海洋博が不成功に終わりますならば、私は国際的な信も失うというようなことにもなりかねないと思うのであります。  このような重大な課題を控えておるにかかわらず、総理が一言半句もこのことに対して所信の中に述べていないことを私は残念に思うわけでございます。そこで、きょうはもちろん総理が出ておられませんので、私は特に、関係のある外務大臣、通産大臣、沖繩開発庁長官、防衛庁長官から、一体本土並み返還が実現したのか、沖繩の現状認識をどのように持っておられるのであるか。国際海洋博がスムーズに、成功裏に終わる見通しがあるのか。これを単なる一つの行事として終わらして、後はどうするんだということも考えておられるのか。それらの現状認識について各大臣の御見解をまず承りたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 御指摘のように、沖繩返還問題は、過去長い間、総理大臣の所信表明演説あるいは外務大臣の外交に関する演説におきまして、非常に大きな部分として幾たびも言及されてまいりました。沖繩返還とともに、そのような問題としての沖繩問題が解決をいたし、国内問題として、われわれと同じ日本国の問題となりましたことは慶賀の至りでありますけれども、さりとてしかし、沖繩における多くの悩みが解消したというわけではございません。内地並みという点では、いわゆる核抜き返還の実現は、(安里委員「内地じゃない」と呼ぶ)政府が国内——当時本土並みという意味では核抜き返還が実現したことは、御承知のとおりでございますけれども、私の関係いたします分野につきましても、たとえば日米安保条約の関連の基地問題これは国内では、最も面積に比例いたし、あるいは人口に比例して濃密に基地が残っておる、これにつきましての整理統合について、国会の決議もございますけれども、まだまだ十分にできているとは申しがとうございます。及び返還に伴いますいろいろな問題、沖繩におられる人々と従来の米軍との関係、いろいろな問題がまだすっきりとは解決をしておりませんで、したがって国内問題の中でも、沖繩に残っております問題がきわめて多い。そのような意味で、政府の施策が集中してより行われなければならないのが沖繩の現状であるというふうに考えております。

植木庚子郎自由民主党

○植木国務大臣 お答え申し上げます。  いま仰せられましたように、本土復帰後三年近くになるわけでございます。沖繩県の本土復帰に当たりましては、政府といたしましては、県民福祉の向上を図り、民生の安定を期するとともに、本土との各般にわたります格差を是正いたしまして、自立、発展のための基礎条件の整備を図るということを基本といたしまして、今日まで諸般の施策を進めてまいったのでございます。振興開発事業の推進につきましては、一応順調に進捗をしているのではないかと認識をいたしております。  しかしながら、この振興開発事業の推進に当たりまして、激動するわが国経済、社会の現状の中で、沖繩の置かれております経済的、社会的あるいは地理的な特殊な条件がございます。私どもは、これに十分配慮いたしまして、今後とも現地の実情に沿いました諸般の施策を進めてまいりまして、静かな環境の中にも躍動する沖繩県づくりのために最大の努力を払っていく決意でございます。  なお、過般、沖繩県を視察をいたしまして、現地の方々の生の声も聞いてまいりました。これらを十分施策に反映をしてまいりますとともに、また、お話のございました海洋博の関連事業も順調に進捗をいたしておりますので、これが成功いたしますことを強く期待をいたしますと同時に、海洋博後の沖繩県づくりのためにも最大の配慮をいたしてまいろうと考えているところでございます。

坂田道太自由民主党防衛庁長官

○坂田国務大臣 防衛庁長官といたしまして、復帰後の沖繩の現状についてどのような認識を持っておるかという安里先生の御質問に対しまして、お答えを申し上げたいと思います。  沖繩におきます復帰時の米軍の基地は八十七施設、面積にいたしまして約二億八千七百万平方メートルでございまして、本土におきます米軍基地の数量に比べまして、相当に密度の高いものでございまして、政府はその後、沖繩県民の強い要望と、日米安保条約の目的を達成するために必要な施設の提供との間の調整を図り、米軍施設の整理統合につきまして米側と折衝を重ねてきたところでございます。復帰後現在までに、全部返還施設は二十五、一部返還施設は二十九、合計返還数量約千三百万平方メートルでございます。しかしながら、なお沖繩全体に占めます米軍施設の比率は約一二%でございますので、今後とも、米軍基地の整理統合につきましては、地元住民の要望と安保条約の目的を達成するためとの調和を図ることを目的といたしまして、努力を続けてまいる所存でございます。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 先ほど海洋博のことについての御質問かございましたが、植木長官が御答弁になりましたように、準備はきわめて順調に進んでおります。ただ、私どもといたしましては、この海洋博が終わりました後、沖繩の経済が混乱しては困りますので、そういうことのないように十分配慮をしてまいりたい、かように考えております。

安里積千代民社党

○安里委員 各関係大臣の懇切な御答弁がございました。基地問題につきましては後で多少触れることかと思うのでございますが、外務大臣の御答弁の中におきまして、まず第一に、核の問題核抜き返還が実現をした趣旨のことがうかがわれております。私は一言お聞きしたいのは、沖繩返還協定の審議の段階におきましては、復帰時点において核はない、これが政府の基本的な答弁でございました。何度も繰り返されてその当時もあった論議でございますので、お答えは大抵察しがつくわけでございまするけれども、こだわるわけじゃございませんけれども、復帰時点において核は存在しない、この確認というものは、政府とされましては、どのような立場から確認をされておられますか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 この点は、よく御存じのとおり、核を排除するという形で返還を求めるというのがわが国の基本的な方針であり、またそれは日米両国の首脳によって幾たびか確認をされたわけでございます。及び返還時におきまして、米国のロジャーズ国務長官から当時の福田外務大臣にあてまして、かねて約束のいわゆる核の排除ということが実現した旨の公式の書簡があり、また同じ時点におきまして、米国のロジャーズ国務長官、パッカード国防次官が米国内の国会の審議におきまして同様な証言をいたしております。したがいまして、これらの事実をもとに、私どもとしては、日米間の約束が果たされたというふうに考えておるものでございます。

安里積千代民社党

○安里委員 アメリカ側からの公式の書簡があったということでございますが、その公式の書簡というものの内容をもう少しお聞かせ願いたい。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 一つは、当時の佐藤総理大臣とニクソン大統領との共同声明第八項でございます。それから、ロジャーズ国務長官から福田外務大臣に送られました書簡が、昭和四十七年五月十五日、返還の日でございますが、ただいまの共同声明第八項を引きまして、「沖繩の返還を同項にいう日本国政府の政策に背馳しないよう実施する旨の確約をいたしました。」「返還されるこの機会沖繩の核兵器に関するアメリカ合衆国政府のこの確約が完全に履行されたことをアメリカ合衆国大統領の指示と許可の下に閣下に通報することができますことは、本長官の大きな喜びとするところであります。」及び、今後「事前協議にかかる事項については、アメリカ合衆国政府は日本国政府の意思に反して行動する意図のないことをあらためて確認いたします。」これは返還の日付でございますが、このようなことが内容になっております。

安里積千代民社党

○安里委員 返還協定の中におきましては、三億二千万米ドルをアメリカに払うことが約束されております。審議の過程におきまして、その中の七千万ドルかと覚えておりますが、それは表面にはあらわれませんけれども、核撤去に関する費用という含みで三億二千万ドルの総額になっておるというふうに弁明をされたと覚えておりまするが、そのとおり間違いございませんか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 この七千万ドルの積算の根拠につきましては、当時から、当時の外務大臣は福田外務大臣でございましたが、核抜き返還、核を排除するという米国側に義務と責任がある、そういうことを含めまして七千万ドルの支払いにつき妥結を見たわけでございますけれども、その七千万ドルの積算が一つ一つどのようであるかということは、事柄の内容として、それを一つ一つ積み上げてこれがこれと申し上げることは、この金額の性格になじまないものであると、当時、福田外務大臣が答弁しておられる。これが政府の態度であると考えております。

安里積千代民社党

○安里委員 核があるかないかということは、アメリカはもちろん公表する立場にないということも幾度か聞かされておりますので、これをあえてどうのこうのということじゃございませんが、少なくとも復帰前におきまして三億二千万ドルをアメリカに払った中には、核抜きに関する費用が含まれておったということがいろいろの説明の中からあらわれておるとしますれば、逆に考えますならば、沖繩には復帰前に核があったということを裏づけることになるかと私は思います。しかし、それは復帰当時、復帰時点において撤去されたということでございますので、復帰前においてそれだけの撤去の作業が行われた、常識的にはそう考えられるわけです。そうしますと、この核の撤去というものが沖繩において復帰前に行われるには、全く秘密裏になされたとしか考えられません。毒ガス撤去の場合におきましても大変大騒ぎをいたしました。核の撤去については、いつどのようにして撤去されたということは、だれも知らない問題でございます。だから、あったということは想像できるけれども、それをどのようにして撤去されたかということについてはだれも知りません。もし本当にアメリカが核を撤去するということでありますならば、私はその当時も申し上げたのですけれども、核を貯蔵しておる、核を保管しておるというその施設の返還というものが伴えば、確かに撤去されたということが確認されるということが言えると思うのでございます。また、莫大な費用というものが撤去に関する費用として、積算の基礎はどうであれ、認められたということでございますならば、核が置かれてあったその地域、場所というものが、何らかの形で撤去される、あるいは返される、こういうことがなければなかなか信用ができないという疑惑が残っておるわけです。撤去されたということは仮りに真実といたしましても、その貯蔵されてある基地の部分というものに対しましては、どうなったかということは何ら確認もされておらぬのでしょうか。これだけの莫大な費用だとすれば、相当そういった面も含まれるのだというふうに一応考えるわけでございますが、施設の撤去という問題につきましては、何も確認をされておらぬでしょうか。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 御指摘の点はごもっともであると存じますけれども、沖繩返還以前に沖繩に核が置かれておったか否かということを、私ども今日まで知り得ない、存じない立場でありますし、まだ仮りにあったとして、それがどのような態様でどこにあったかというようなことについては、もとより同様でございます。七千五百万ドル程度の使途につきましても、したがいまして、どこでどのように使われたかというようなことについて、私どもは確認をいたしておりません。恐らくはこれは米国側の、核兵器の存在、不存在について発表しないという基本方針から発するところが多いのであろうと存じます。御説のように、どこからいかなる物を撤去したか。もししたといたしますと——もしございました場合でございますか、ということについて、私どもは今日まで知り得ないという立場でございます。

安里積千代民社党

○安里委員 このことを申し上げるのは、現在、沖繩におきましては、核爆弾投下の訓練、演習が行われておる。これは前回他の党の議員から御質問がございましたので、私は恐らくその御質問の中からさらに解明せられると思いますので、あえて詳しくは触れませんけれども、核は撤去したと言いながら沖繩がその演習の基地になっておる。演習するということは、またいつ持ち込まれるかもしれない。あるいは、撤去されたと、そうは言うけれども、まだ何らかの核基地としての沖繩の利用ということが考えられておるのじゃないかということが、当然に沖繩の県民としては考えられることなんです。この演習そのものに対しまして、前に福田さんから、国民感情から演習そのものも避けるべきであるという趣旨の御答弁があったと思いますけれども、今回の委員会におきましては、外務大臣は、演習はアメリカのやることであり、当然その演習も、することは差し支えないようなお答えがあったように思います。したがいまして、核問題に関しまして、沖繩基地がそのように利用せられるところの可能性がまだ抜けていない。本土にはないかもしれませんけれども、この点において、本土並みということに対しましては、基本的に非常な疑問が払拭し切れないということが考えられますので、外務大臣からもう一回、核の存在につきまして、核の演習をやっておる実態につきましてのお考え、また、あらわれたところに対しまして、アメリカ当局との間に、何らかの理解あるいは交渉でもあるかを明らかにしておいていただきたい。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 いわゆる模擬爆弾の投下につきましては、すでに政府が以前から申し上げておりますように、そのこと自身が日米安保条約との関連で違反になるというふうには考えないけれども、しかし、この問題についてのわが国の国民感情を考慮の上、できる限りやめるようにしてもらいたいということを何度か申しております。それに対しまして米側としては、国民感情は理解できるので最小限度にこれをとどめたいというのが回答でございまして、今日まで、全部それがやめられるように至ったということは、残念ながら確認をいたすことはできません。恐らくは、先ほど申し上げましたように、沖繩におきましては、米軍の区域、施設が非常に密度が高うございますこともありまして、万一の場合の防衛体制ということを、米軍としてもことに厳重に考えておるのであろうということは想像ができるわけでございますが、私どもとしては、機会あるごとに、日本国民、ことに沖繩県民の感情を考えますと、そのような模擬爆弾でありましても、実験、訓練はできるだけやめていってもらいたいということは、今後ともアメリカに要請をし続ける考えでおります。

安里積千代民社党

○安里委員 防衛庁長官にお伺いしますが、先ほど沖繩の基地の数、広さの数字を挙げていただきました。本土はどれくらいありますか。

久保卓也防衛施設庁長官

○久保政府委員 沖繩におきまするのが二億七千万平米、沖繩県の一二%と申されたわけでありますが、本土は二億三千九百万平米、本土全体で〇・〇六%に当たります。

安里積千代民社党

○安里委員 個所は。

久保卓也防衛施設庁長官

○久保政府委員 沖繩が個所数で……

安里積千代民社党

○安里委員 沖繩は聞いたから、本土は。

久保卓也防衛施設庁長官

○久保政府委員 米軍が八十カ所であります。

安里積千代民社党

○安里委員 駐留するアメリカ軍隊で、その中の海兵隊はどのくらいありますか。——ちょっと追加します。基地の数、それから広さはわかりましたが、そこにおりまするアメリカ軍人の数、そのうち海兵隊はどのくらい駐留しておると見ておりますか。

銅崎富司防衛施設庁施設部長

○銅崎政府委員 お答え申し上げます。  四十九年十二月末で海兵隊は、本土で六千五百人、沖繩は一万九千人になっております。全部の数は、本土が約一万八千人、沖繩が三万五千人でございます。

安里積千代民社党

○安里委員 本土並み返還ということが政府の御答弁で、沖繩が復帰すれば、安保条約及びその関連条項がそのまま沖繩にも適用になる、これが本土並みの姿だというようなことでございました。沖繩が復帰すれば諸条約、安保条約が沖繩に適用になるということは、もちろん当然なことでございます。したがって、事前協議事項その他も沖繩に適用になる、それは当然なことでございます。それが本土並みとは言えないのです。いま防衛庁の御答弁によりましても、沖繩における基地が八十七カ所、本土が八十カ所、そして広さにおいて沖繩で二億七千万平米、本土において二億三千万平米、この数字だけを見ましても、日本全体にある数と沖繩の数がほとんど等しい。広さにおきましても、狭い沖繩と言いながら、日本全体の地域に等しい広さを沖繩に持っておる。兵員数ならば、三万五千の沖繩、そして本土は全部で一万八千、海兵隊が本土では六千五百、沖繩で一万九千、こういうような御答弁でございます。これだけのことを取り上げましても、沖繩の基地の、いま外務大臣が言われた密度などが実に濃い、高い姿がわかるのです。単に言葉だけで本土並みと申しましても、本土全体に匹敵する基地が沖繩にある、集中されておる、この姿は本土並みという言葉で片づけられぬところの問題があります。しかも、復帰後におきまして、アメリカの演習というものはむしろ強化されておる。最近、沖繩の基地というものが、台湾あるいは韓国、あの方面の活動の拠点にもなっておると伝えられております。  こう考えていきますと、決して本土並みになっていない。形だけは本土並みと同じような法令が適用になりましても、実質においてはとてもこれは及ぶものではない。本土において基地を感ずるのと、沖繩において基地を感ずるのとは、大変な差があるのだということが私は理解できると思うのです。ですから、安保条約を論ずる場合におきましても、基地の問題を論ずる場合におきましても、あるいはこれによって起こるいろいろな問題を考える場合におきましても、この実態というものの上に立って諸施策も考えなければならぬ、こう思うのです。防衛庁長官、これで本土並みと言えるでしょうか、お考えを聞きたい。

坂田道太自由民主党防衛庁長官

○坂田国務大臣 安里先生おっしゃいますとおりに、この沖繩で感ずる基地の重さというものは、全くそのとおりであると思うわけでございまして、それだけに、基地周辺に対するいろいろの諸施策というものが、本土以上に十分に果たされなければならないというような認識を私は持っておるわけでございます。

安里積千代民社党

○安里委員 復帰後、いま御説明がありましたとおり、逐次返還されておる問題もございます。結構なことですけれどもひとつお聞きしたいのは、一体、復帰後において、土地の返還につきましては、どういう地域がアメリカから返されたのであるか。なお言いますならば、政府の方のここは返せという要求に基づいて返しておるのか、アメリカがこれは要らないから返すということで返されておるのか、はっきりお聞きしたいと思う。

久保卓也防衛施設庁長官

○久保政府委員 沖繩の復帰後、四十八年度までの政府の姿勢といたしましては、地元県民の要請にこたえまして、できるだけたくさん返還してもらうという態度でありました。その結果が、昨年一月の第十五回安保協議委員会の結果としてあらわれたわけでありますが、相当数返還され、また返還される予定になっておりますけれども、結果的に見ますと、ごく一部ではありますけれども、飛び地になっておりましたり、あるいは斜面地でありましたり、そういったところが含まれております。したがいまして、昨年来、われわれは地元の要請にかんがみまして若干の反省を加え、地元で十分に活用のできるようなところをわれわれが選んでやるべきではなかろうか。四十八年まではなるべくたくさんのものを返してもらうということでありましたが、これは地主方からの若干の反対もあります。そういう意味で、後で十分利用できるというようなところを選んでやろうではないか。米側から返すということではなくて、従来も今回も、われわれの発意によって返してもらうという態度でありますが、そういった若干の物差しを変更してわれわれは今後選んでまいりたい、そういうふうに考えております。

安里積千代民社党

○安里委員 体裁のいいことをおっしゃいますけれども、正直なところは、沖繩側の要求に基づくところの返還よりも、アメリカ側が要らないから返すというのが実際の姿だと思うのです。ということは、返還されて迷惑しておるところもある。袋地を返す、後はどうするかという問題で困る。そして都市計画あるいはその他の利用計画というものが何らなされないままに、押しつけと言っては語弊があるかもしれませんけれども、返される。返されたことによって、復元補償の問題もあるかもしれませんけれども、後の土地利用に対して、地方自治体がこれに対応するところの道をつくる、整備をするといったような負担も、市町村がまた負わなければならないというような問題も起こります。この問題、きょう私はあまり強く触れませんけれども、沖繩側の要求に沿うた計画的な返還をしませんと、あっち返しこっち返しされましたら、ころは返されてかえって迷惑します。那覇市がいま非常に混雑したような状況でございますけれども、その歴史をたどりますならば、アメリカがおるものだから、戦後、市民が帰ることができないで、アメリカが去った後にぽつりぽつり来る、非常に計画なしに開放されたところから人が入ってくる、こういうようなことで雑然たる市街構成になっておる。  こういうことを考えますと、今後の軍用地の返還につきましては、アメリカ側の必要云々よりも、日本側、沖繩側の要求というものが主体になって、その上でなされるということを十分配慮しなければならぬと思っております。沖繩側の要求からしますならば、全部の土地を返せということですけれども、現実に遭遇しますとそういうわけにいかない。計画的な返還がなされなければ、ぼつりぼつり返されたんでは、返されたことにならない。この基地の整理につきましては、当局とされまして十分なる配慮をしてもらいたいということを申し上げておきたいと思います。  基地問題ばかり取り組みますと大事な問題が抜けますので、以上にしておきますが、開発庁長官、先般、沖繩に長官として初めておいでになりました。そうして、現地におきまして長官が聞き、はだで感じられたことに対しまして、沖繩県民の持つ五つの不安があるということを述べられたと新聞で承りました。このことについて、この場で改めてお聞きしたいと思う。

植木庚子郎自由民主党

○植木国務大臣 お話ございましたように、訪沖いたしました際に、私は、現地を視察し、また現地の方々とお話をいたしまして、五つの不安の解消に努めたいということを申しました。医療の不安、また自然環境及び文化財保護の不安、離島の不安、雇用の不安、そして物価の不安、この五つの不安を申し上げたのでございます。  医療につきましては、僻地、離島等におきまして無医地区が多いこと、また従来からの医師不足に加えまして、皆保険制度がとられましたので、医療需給がアンバランスでございます。また、県民が十分な医療を受けられないという事実は、公的な医療機関の不足ということも相まちまして、立ちおくれている実情でございます。  これらの対策につきましては、長期展望のもとに計画的に進めてまいらなければならない課題でございまして、方向といたしましては、全国的な視野に立って、沖繩県と十分に協力をしながら、まず医療従事者の不足対策といたしまして、本土からの医師その他看護婦さんたちの派遣措置を講じているところでございます。特に五十年度は海洋博の関連のいろいろな需要増が考えられますので、派遣人員の増加を予定しておりますが、今後十分にこのためにも努力をしていかなければならないと思います。また、病院、僻地診療所等の公的な医療機関の整備につきましては、五十年度予算におきましても必要な措置を講じておりますが、引き続いて努力をしなければならない課題でございます。  次に、沖繩は非常に美しい自然環境とすぐれた文化を持っておられるわけでございますが、国際海洋博の関連事業等の執行段階でこの自然環境が破壊され、また文化財が損壊をするというようなことが憂慮せられたわけでございます。開発庁といたしましては、沖繩県の環境を守り、また厳しく公害防止対策等も行っていく、それによって実効を上げてまいりたいと存じますし、また、各種公共事業の執行に当たりましては、県とも協力し、県に対して指導もいたしまして、ただいま申し上げました自然環境及び文化財の保存、保護のために努力をいたしたいと存じます。  次に、離島の問題でございますが、沖繩本島自身が離島とも言えるわけでございますが、同時に多くの離島がございます。従来から意を用いてまいりましたが、特に昭和五十年度におきましては、離島振興を最重点施策としてまいることにいたしているのでございます。国費の重点的な配分によりまして、交通確保、基幹産業であります農業の振興、生活用水の確保、医療、教育施設の充実等、各離島の実情に即しました施策を進めまして、過疎化による離島での生活の継続についての不安を解消してまいりたいと考えております。なお、安里委員御承知のとおり、県が本年度中に離島振興計画を策定することになっておりますので、県とも協力しながらきめ細かい施策を展開してまいりたいと存じます。  次に、雇用不安でございますが、現在、沖繩の雇用状況は、四十九年十月現在でございますけれども、労働力人口三十八万一千人に対しまして、完全失業者が一万九千人でございます。これは失業率五%に当たるのでございまして、全国平均失業率一・四%に比べますと相当高い数値になっております。これは地元産業の脆弱性を背景に雇用需要が乏しいということが一つの原因でございますが、特に総需要抑制策の浸透や金融逼迫の影響を受けまして、生産規模が縮小いたしましたり、企業整備に伴いまして雇用環境が著しく悪くなってきているという状況もありますし、また米軍基地からの離職者も依然として発生をしている状況でございます。したがいまして、私どもとしましては、地場産業の振興に努めますとともに、新規産業の積極的な導入を図ることが必要と考えております。いずれにいたしましても、沖繩の地理的、自然的特性を最大限に活用いたしまして、農業、また雇用効果の大きい工業、観光業等各般にわたる産業の振興に努めまして、雇用不安を解消いたしたいと存じます。  最後に、物価の問題でございますけれども、沖繩の物価が、復帰後、本土に比べましてその平均を上回る高い率で上昇をいたしました。これは、自然的、地理的な制約によるほか、生産基盤あるいは流通基盤の整備がおくれているというようなところが原因でございましたが、最近は本土並みに物価は次第に鎮静化しつつございます。しかし、沖繩海洋博が行われますと、物価動向については最大の注意を払ってまいらなければならないのでございまして、大いに警戒を要すると思うのでございます。     〔委員長退席、谷川委員長代理着席〕 復帰後、消費者米価と生活必需品については各般の特別措置を講じてまいりましたが、今後、生産基盤あるいは流通基盤の整備を図りますとともに、生活必需品、特に生鮮食料品の確保につきまして、地域事情に即しました物価対策をきめ細かく推進してまいりたいと存じております。

安里積千代民社党

○安里委員 長官がいま、沖繩を視察されて沖繩の不安五つを挙げられ、不安解消のために所信を述べられたのであります。この問題は、本土と共通する問題もありますとともに、沖繩の特殊な事情からくる問題というのもたくさん含まれておると思うのです。決して沖繩を特別扱いしろということは私は申し上げたくはございませんが、少なくとも国の施策の基地問題がありまするし、あるいは海洋博、これはもちろん沖繩の振興開発に資する、あるいは復帰記念事業というふうに言われておりまするけれども、こういったものが集中的に行われるということによりまして、物価の問題であれ、自然環境の問題であれ、あるいは医療の問題であれ、あるいはまた離島の問題であれ、いま全部浮き上がっておる問題でございます。  そこで、私が申し上げたいのは、このような持たれておる不安に対して、お言葉だけじゃなくして、いまどれだけ具体的に本当にやられるかどうか、これが私は問題だと思うのです。言葉でいろいろとおっしゃることも結構でありまするけれども、これを本当に具体化し実施するだけのお考えを持っておっしゃっておるのかどうか、これが一つ。  もう一つ、海洋博の問題について、これはいま現地におきましてもあるいは反対の声もございます。私たちは、これを何とか成功させなければならぬと考えておるわけでございますけれども、一部に反対の声もあります。これは、決して海洋博のもたらす意義について反対するというよりも、これが行われることによって、いろいろな物価の問題環境破壊の問題。もう一つには、将来これが済んでから後に来る打撃、反撃は大きいと思うのです。一時、金が落ちましても、その後どうなるかという不安というものが私は大きいと思う。そこで問題は、現在の不安に対する解消も必要でございまするけれども、これからどうするかについていまから基本的な方策を樹立するということが私は大事だと思うのです。これは海洋博に関係をして必ず起こってくる問題でございますので、海洋博が済みさえすればいいという無責任な考えじゃなくして、通産省とされましても、海洋博後どうするか、その施設の跡をどうするのだ、こういう問題に対する計画と申しますか、見通しと申しますか、そういうものを樹立されておく必要があるし、それに取っ組まなければいつでも後手を打つ。もう一年後には来る問題でございますので、これに対する責任のある御答弁をひとついただきたいと思う。

植木庚子郎自由民主党

○植木国務大臣 先ほど申し上げました五つの不安の解消につきましては、すでに五十年度の予算におきましても十分配慮をしているところでございますが、これは先ほど申し上げましたように、やはり計画的に推進をしていかなければならぬのでございまして、言葉だけではなしに、十分各関係省庁とも連絡をとりまして、重点的に施策を充実をしてまいりますことをお約束を申し上げます。  また海洋博についてお尋ねでございましたが、これはいまお話がございましたように、海洋博の開催も沖繩の振興開発計画の一環として意義を持つものだと考えるのでございます。この海洋博を契機といたしまして、沖繩振興開発計画の目標の達成のために施策をさらに推進をしてまいりたいと思います。  ただ、現在わが国の経済情勢はきわめて厳しいものとなっております。これは沖繩県においても例外ではございませんが、しかし、本土との格差というものが大きいという状況でございますので、各産業の近代化施策を一層充実をいたしまして、先ほど申し上げましたような県づくりのために努力をしてまいります。  なお、海洋博後の問題についていろいろ御心配がございますし、私どもも非常に心配をしているところでございます。ただ、今回の五十年度の予算措置におきましては、この影響が起こらないように、落ち込みが起こらないようにということを配慮した予算の編成をいたしておりますと同時に、五十年度から五十二年度にかけまして、各種公共事業の国庫債務負担行為の枠を確保いたしておることは御承知のとおりでございまして、こういうような施策とともに、今後海洋博後の経済の落ち込みがありませんように、そしてまた、海洋博を契機といたしまして物価等の問題が悪化いたしませんように、最大の配慮を払ってまいります。

安里積千代民社党

○安里委員 海洋博を、沖繩の振興開発の一環として、あるいは沖繩振興の起爆剤としてというようなことが、よく政府側から、また一般の側から言われます。本当はこれには抵抗を感ずるのです。沖繩の振興開発は、海洋博そのものがなくても計画的になされなければならぬ。それ自体やらなければならぬ問題であります。それに海洋博というものを乗せることによって開発に資するのだという考えは、私は不純だと思う。いかにもそのことによって、現地沖繩に恩を着せるような感じを受けてしようがありません。海洋博は、海、その未来の姿という、もっと崇高な立場において、文化的な立場においてなさるべきものであって、ただこれに便乗して沖繩の開発をするという基本的な考えには、私は抵抗を感ずるものでございます。  それはそれといたしまして、確かに海洋博後に来るところの大きな問題それからいま行われつつある環境の破壊。いまは破壊しか目立ちません。狭い沖繩に集中的に仕事がなされておりますので、破壊しか目立ちません。でき上がりますればそうでもないでしょうけれども、建設よりも破壊ということが非常に目をとらえるものでございまして、特に海洋博後の処理につきまして、私は、絶対にその反動的なしわ寄せが来ないように、十分なる配慮を願っておきたいと思います。  いま開発庁長官が触れられました不安の中に医療問題がございました。特に海洋博に備えての問題もありますけれども、一般的な医療行政というのも沖繩は非常におくれております。田中厚生大臣の沖繩の医療に関する認識、御意見を承りたい。

田中武夫日本社会党

○田中国務大臣 沖繩の医療水準、これは旧本土と比較いたしますとかなり低位にあることは、私も存じております。大体、病床数が二分の一、医師の数が三分の一だというふうに言われております。これに対応して現在やっているのは、医師を派遣するというような制度でやっておりますが、これもできるだけ人員、予算等を伸ばしていかねばなりませんが、本質的には、私はやはりあそこに定着するお医者さんというものをつくり上げなければ、問題の根本的解決はないというふうに思っているわけであります。  しからば、一体あの地域に定着するお医者さんをどうしてつくり上げるか。これは医科大学の設置——しかし医科大学の設置も、下手をいたしますと、本土の出身者が学生になって修業する、そしてまたこちらへ帰ってくるというわけで、もっときめの細かい方策をとらねばなるまいということを考えておりますが、いずれにいたしましても、私どもは、今後あそこに定着するお医者さんをどうしたならばつくることができるかというところに、基本的な観点を当てて検討をいたしたい。私も非常に心配をいたしておりますので、国会の時間的余裕ができましたら、一遍この点に焦点を当てて沖繩に行ってみたいというふうに実は思っているわけでございます。

安里積千代民社党

○安里委員 一般的な治療行政もそうでございますが、復帰とともに、国自身が責任を持ちます療養所の問題がある。本当に弱者という言葉はいやでございますが、日の当たらないところに療養しておられるところの方々、これはもう復帰前、琉球政府だけの力ではどうにもできなかったものでございまして、いろいろな点においておくれており、復帰することによって、まずこれが国に移管されるというので大きな希望を実は持った。ところが、復帰後におきまして、確かに施設の改善がなされてきたということを私は認めます。しかし、依然として非常に大きな格差があるということも否めないのです。  その一番いい例というのが二カ所あります。南静園、愛楽園です。愛楽園には六百五十名ほどの方々がいらっしゃるはずです。そこに園長を除いて医師が二人しかいない。南静園に至りますれば、園長を除いて一人しか医師がいない。こういうことは、国の療養所になっておりながら、余りに配慮が足りないのじゃないか。前から、医師を派遣しろ、特に内科医を配置しろということは要望されておる問題でございますが、なかなか実現をされておりません。定員の関係とか、あるいは費用の関係、場所の関係もございましょうけれども、  私は、田中厚生大臣の厚生事業に対しまする熱意、医療問題に対しまする熱意のあらわれとして、国立になった療養所がこんな貧弱な姿では恥だと思うのです。医師の派遣を必ずやる、こういう確約をやっていただきたい。そうでなければ、いかにうまいことを申しましても、現実の問題としてこれがあらわれないと思います。大臣の御意見を承りたいと思う。

田中武夫日本社会党

○田中国務大臣 沖繩愛楽園、それから宮古南静園これについては現実に医者の欠員がございます。しかし、愛楽園について一名の定員増をいたしましたが、現実問題として、愛楽園に内科のお医者さんがおらないということが一番の問題だそうでございまして、ただいま本土から応援をいたしておりますが、何とか定着するお医者さんを見つけるよう、ひとつ原局を督励いたしまして、せっかくの安里さんの御指摘でございますので、懸命の努力をしてみたいというふうに思っております。

安里積千代民社党

○安里委員 信頼申し上げましょう。  そこで、海洋博に関連して、環境問題環境破壊ということが、先ほど開発庁長官から御指摘がございました。環境庁、おいででしょうか。この問題に関しまして、環境庁としまして、沖繩の軍事基地で破壊される、海洋博ができるということでいろいろなことが行われる、その中におきまして、沖繩には、保護しなければならない、維持しなければならない環境保全の問題が数あると思うのでございます。関連いたしまして、沖繩の環境保全について所感を承りたいと思います。

小沢辰男自由民主党環境庁長官

○小沢国務大臣 お答えいたします。  海洋博開催あるいはその他沖繩の万般の開発に伴いまして、自然環境が若干いろいろ影響を受けることはもう当然でございますが、できるだけ最小限度に食いとめなければいけないと考えて、私ども、海洋博の各省連絡会議に強く申し入れをいたしましたり、あるいは沖繩県にその観点から強くいろいろと指導をいたしましたりして、この環境保全についてできるだけ配慮をしてまいっております。また、開発の途中につきましては、やはりそうした御指摘のような事例が起こりますが、これはできるだけ後で自然度を回復するような措置を、たとえば植林をやる等の配慮をいたしまして、もとの環境の姿に返すような努力をさせていかなければならないことといたしておるわけでございます。  同時に、御承知のとおり、沖繩には西表の国立公園沖繩海岸の国定公園それから戦跡国定公園がございます。また海中公園等も指定をいたしておるわけでございますが、これらは自然環境を守るわれわれの保全法に基づきまして、できるだけ管理を徹底をして、沖繩の自然環境を守っていくように最善の努力をいたしたいと考えております。

安里積千代民社党

○安里委員 狭い沖繩でございまするけれども、保護しなければならぬ環境がありますとともに、そこに住む人間はもちろんでありまするけれども、鳥、けもの、世界にも類例のないと申しますか、沖繩だけにしか住んでおらないというような大事なものが生息をしております。単に道をつくるために山を切り開いた、こういったものによって環境が破壊されるというのでなくして、そういったものの保護ということ、環境保全は大変大事なことだと思うのです。ことに鳥獣類保護に関しましては、法によって規制をされておりまするし、国際的にもこれは大きな問題でございます。そういう立場から、沖繩に生息するノグチゲラの問題が前から問題になっているはずでございます。世界的に注目をされておりまするノグチゲラ、これも沖繩の現状がだんだん生息しにくいような状況にある。これは軍事基地にも関係があります。演習にも関係があります。いろんな問題がありまして、この保護ということは、当然、鳥獣保護に関する責任のありまする環境庁とされましては、考慮しなければならぬ問題だと思っております。生息しておるところには私有地があるけれども保護しなければならない。そうすると、その私有地の所有者は、山を開墾することもできなければ、利用することもできない。こうして実際上大事なものを保護するために個人に大きな負担をかけてやってきておる。国が何ら配慮しない。そんなばかなことはないはずであります。そこで、その地域を国が買い上げて、そうして施策として配慮する、これはもう当然の要求だと思うのです。  ところが、環境庁の本年度の予算の要求に対して、大蔵省はこれをけっておる。環境庁の予算に入っておらない。これは国際的にも文化的にも非常に大事な問題です。ほかのはでな問題には金を出しても、こういうじみな、一見目立たぬようでありますけれども大事な問題に政府が金を出さないということは、私はふんまんにたえないのです。環境庁としてはこれを保護するために、当然用地の買収ということを考えられておったはずなんです。どうなりましたか。

小沢辰男自由民主党環境庁長官

○小沢国務大臣 御指摘のように、沖繩には鳥獣につきまして二つの非常に貴重なものがございます。第一はいま御指摘のノグチゲラでございます。それから第二は、イリオモテヤマネコという、世界的にも沖繩本島にのみ生息するというような、貴重な鳥獣がございます。私の方は、いま先生、予算について大蔵省がこれをけったというような話がございましたが、そういうことではございませんで、私どもの方では、このノグチゲラの生息につきまして必要な民有林の買い上げの問題は、十分検討いたしております。ただ、御承知の文部省の文化庁、後で文部大臣がお答えになると思いますが、そちらの方が、むしろ地元のために補助率その他負担の割合から見てよりいいんじゃないかというので、文部大臣にせっかく御検討願っておるわけでございます。  それからイリオモテヤマネコにつきましては、昭和四十九年と五十年と五十一年の三カ年で、相当の金額をかけまして、実態調査を十分やって、その調査の結果に基づいて十分これをひとつ保護していこう、こういう考えでいま調査を進めております。当然五十年度も予算を計上してございます。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 ただいま環境庁の長官が申し上げましたように、このノグチゲラにつきましては、文化庁で検討いたしているわけでございます。ノグチゲラの生息しているところは与那覇岳周辺地域と承っておりますが、先ほど御指摘がございましたように、このノグチゲラの保護のために、いままで非常にお骨折りを願っている方々もあるというふうに承っております。また、沖繩県、それから国頭村がこの土地を買い上げまして、ノグチゲラの保護を図る方針が固まったというふうに承っておりますので、文化庁の方で、この問題につきましては、前向きに取り組んでいくという考えでございます。

安里積千代民社党

○安里委員 文部大臣がお立ちになりましたので、ついでにちょっと文教問題についてお聞きしたいと思います。  沖繩の事情、ことに軍事基地の問題が先ほど取り上げられました。一面またこのように文化的な大事なものが沖繩に存在する、こういう矛盾した中にあります。そこで、大臣は御就任なされましてから、平和教育ということを御答弁なさいましたし、また日ごろからの御主張もそのとおりだと承っております。とともに、文教問題は政治から中立性を維持せなければならぬ。これもごもっともなことであります。  そこで私、ちょっと大臣に承りたいのは、沖繩の実情は、先ほど防衛庁長官からもありましたとおり、たいへんな稠密な軍事基地、しかもその軍事基地は、普通の基地と違って、いろいろな訓練、そしていつでも戦争につながる不安と申しますか、環境の中にございます。教育は環境が支配すると思いますが、そういう沖繩の中にあって平和教育を推進するということは、本土の場合と違って十分考えなければならぬ問題があると思います。軍事基地の問題と平和教育の問題これに対する大臣のお考えを聞きたい。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 お答え申し上げます。  沖繩の方々は、軍事基地の問題ばかりでなく、第二次戦争以来の非常な御苦労がございますから、とりわけ平和教育というのは私は大事であると考えております。ただ、御指摘がございましたように、軍事基地が多い中で平和教育を推進していくということは相当むずかしいことでありますだけに、十分な配慮も必要であると考えております。これは原則につきましては、沖繩であろうとどこであろうと別に変わらないわけでありまして、わが国の平和主義憲法でございますね、この精神に基づいて、国際協調ができる人、これを育てていくということでございますし、また、沖繩の教育委員会にこの問題について伺いますと、もちろん教育委員会も、そういう意味合いにおきましては、当然憲法、教育基本法というものにのっとって教育を進めていきたい。そこで、次の問題は、具体的にいまのような軍事基地の問題をどう取り上げていくか、そういうことだと思いますが、これについては、私よりも御郷里が沖繩である先生の方がはるかに詳しいと思いますけれども、私、多少勉強いたしたところを申し上げますと、次のようなことでございます。  まず六月二十三日、この慰霊の日というのは非常に大事なんだと思うのでございますが、この慰霊の日に当時の沖繩の戦争の様子の事実を教えている。こういうことは私非常に大事なことの一つであると考えております。  さらに、子供を教えていきます場合に、小学校、中学校、高等学校と発達段階が違いますから、その発達段階に応じてどういうふうにやっていくかということが大事なんだと思います。そこで、沖繩で使っております教科書についても多少調べてみたわけでございますが、これを見ますと、小学校段階は、平和主義、そして国際協調という基本的な原則を非常に明らかにしている。そういう教科書が用いられているということはわかりました。私はそういう方針がいいのではないかと思います。ただし、中学、高校に進んでまいりますというと、もっと具体的に、自分たちの生活に即しながら考えていくということでありませんと、やはり非常に教育が観念的になる。そこでまた、中学、高校の教科書を見てみますと、やはり沖繩の教育委員会はいろいろお考えになっているんだということを感じるわけでございますが、そういう基地の問題というものも取り上げている教科書、これを使っておられる。ですから、これは具体的なことはたくさんございますけれども、中学校の理科の教科書のある部分を読みますと、「三十年近くも外国の支配下にあった沖繩県には、今なお多くの困難な問題が残されている。そのなかでも、合衆国の巨大な基地が残されていることはもっとも大きな問題であり、それが人々に大きな不安を与えている。」こういう教材が用いられておりますが、こういう教材に即して、そうしてなるべく冷静に問題を考えていく、そして本当に平和を建設していく、こういう意味の教育におきましては、もちろんどこでも重視すべきでございますけれども、沖繩の教育というものはその点においてとりわけ大事である、私はかように考えております。

安里積千代民社党

○安里委員 沖繩の地域に関連をいたしまして先ほど海洋博の問題もございました。私は、沖繩の地域が地域だけに、教育の問題についてもその条件、立場の中において考えてしかるべきものがあるのじゃないか、こう思います。と申しますのは、前から言っておりますけれどもなかなか日の目を見ませんが、海洋博の跡をどうするかという一つの問題といたしまして、単にこれを一つの行事に終わらしちゃいけない、これを通じて、たとえば海洋研究所をつくる、海洋に関する何らかの恒久的な施設をすることによって、文化的な、教育的な、世界にも貢献するようなことを考えろ。これは大学に置くか特別なものにするかどうかは別といたしまして、少なくとも海洋博を起点といたしまして、海洋に対する学問、研究の場というものがあそこを中心にできる、こういうことがなされなければ、海洋博が単にお祭り行事に終わってしまうじゃないか、こういうことが考えられます。これが一つ。  もう一つ、医療問題とも関連をいたしまして、沖繩にもちろん琉球大学に医学科が設けられることの前から要求がありますが、総需要の抑制の関係もあってこれは延ばされたということもわかっております。けれども、いつまでも調査じゃなくして、考えてみますならば沖繩は亜熱帯地域にございます。医学の問題でございましても、熱帯医学というような面もありましょう。こういう特殊な立場もありましょうし、大学を設けたから必ずしもそこに医者が来るとは限りませんけれども、少なくとも医療行政とも相まち、学問のいろいろの立場からしますならば、沖繩の置かれた立場というものは——もみろん各県に置く方針だということも承知しておりますが、優先してこういう熱帯医学に特殊な医学の研究をも含めて、早目に手をつけるということが必要じゃないか。これが一つでございます。  もつ一つ私は申し上げたい。これは前に私が文教委員会で主張したことがあるわけですけれども、東南アジアそのほかから、ずいぶんたくさんの留学生を日本は受け入れているはずであります。私はいつも思いますけれども、東京の真ん中にあるいは本土におきまして教育をされております。それも意義はあると思いますけれども、暑い地域から来て寒い地域での教育は、大変いろいろ無理があると思う。どうしてこれを気候、温度の似たところの沖繩で教育ができぬか。必ずしも中央に留学生を入れなければならないというあれはないはずなんです。そのためには、琉球大学の内容を充実する、そうして相まって大学の充実も図るというようなことが願わしいのじゃないか。国の全体の教育の面から見た場合に、また単に国内の教育だけではなくして外国にも及ぼすという、そういう高い立場から配慮すべき問題があるのじゃないか。これは一つの問題提起にしかすぎないかもしれませんけれども、そういうことが考えられていいのじゃないか。文部大臣としての御意見を承りたい。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 先ほど中学の理科の教科書と申しましたが、地理でございます。ちょっと訂正いたしておきます。  それから今度は大学の問題先生が御指摘の点、非常に重要なことが多いと思うのです。まず、海洋の研究でございますが、これも御承知のように、琉球大学の農学部附属熱帯農学研究施設、それから理工学部臨海実験所というのが四十七年度に設置されておりますが、本年度は理工学部に海洋学科の新設を予定しておりますから、海洋学の研究というのはまず少し前進する体制ができ上がったわけでございます。ただ、そのほか、熱帯医学あるいは熱帯農学、そういう問題をどう考えていくかということでございますし、それから医科大学の問題もおっしゃいましたが、医科大学の問題は、先ほど厚生大臣が答弁されましたように、どういうふうに設計していくことが本当に沖繩に役立つかということを、やはり検討しなければいけないと思います。現段階では、熱帯医学の問題は、これもよく御承知と思いますけれども、長崎、東京、鹿児島、そういうところの医学部で熱帯医学を研究しておりますから、その人たちが沖繩における調査研究というふうなものをやることによって、そちらの方の研究を進めていきたい。また、農学につきましては、先ほど申しましたように、琉球大学に研究施設がございますが、これも、沖繩ではございませんが、九州大学に熱帯農学研究センターというのが昭和五十年度にできますから、ここでもまた沖繩における調査研究を進めていくということが望ましいというふうに思っております。  なお、東南アジアの人たちが来られた場合に、もっと沖繩を国際的に活用したほうがいいんじゃないか、こういう御意見は相当前から出ていたというふうに承知いたしております。それも一つの検討すべき重要な課題でございますし、また、わが国の学校教育全体の中でいろいろな形で国際教育というのは強化していかなければならないことでございますので、御指摘の点につきましては、重要な研究課題といたしたい、かように考えております。

安里積千代民社党

○安里委員 時間がございませんので、あと簡単に労働大臣と運輸大臣にお聞きしたいと思いますが、先ほどの開発庁長官の沖繩の不安という問題の中に、雇用の問題がございました。多数の軍雇用者がアメリカの一方的な処置によって解雇される。相当な数になっておりますし、いろいろな面において労働問題は大事でございます。沖繩の労働行政について、あるいはそういった軍雇用者の解雇問題に関連いたしまして、大臣の御意見を承りたい。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 安里先生が海洋博のことを大変御心配ですが、私も本土復帰に非常に関心を持っておった者として、私自身も海洋博に行こうと思って、三年くらい前から積み立てまでしております。  そこで、ただいま駐留軍の離職者の問題等々ございましたが、御承知のとおり、駐留軍の離職者は、家族持ちが多くて中高年者が多いということ、それから長期間にわたって一般企業と異なる環境できわめて細分化された仕事に従事している、こういう特殊事情がございますので、昨年の十月に労働省は沖繩駐留軍関係離職者等総合職業相談所を開設いたしまして、本省から専門的知識を持つ就職促進指導官数名が参りまして、きめ細かい職業相談と職業指導に当たっております。  また、沖繩県において、県内においての就職の場はなかなか少ないということでございましたから、本土就職希望者に対しましては、四十九年十月から失業保険金の給付日数を九十日延長、そういう特別措置を講じております。  さらに、新しい年度におきまして、五十年度におきましては、沖繩から本土へ就職する駐留軍離職者に対して運賃、移転料を実費で差し上げる、そういう特別対策のほか、単身者あるいは世帯者にそれぞれ特別なるところの移転援護金を出すように配慮していることも御理解いただきたい、こう思っております。

安里積千代民社党

○安里委員 ついでに一つだけ承っておきます。  労働者の福祉のために労働金庫がありますが、沖繩におきまして、この労働金庫の加入の問題について、同盟関係の加入に対してこれを拒むという問題があって、いま裁判問題までなっておるのがございます。こういうことに対する労働省としての指導助言、あるいはこれに対しまするお考えを承りたい。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 その件につきましては、私も承知しております。沖繩県及び沖繩労働金庫から事情を聴取して、円満な解決を図るようにいま指導に当たっておるところでございますが、ちょっと詳しく申し上げますと、沖繩労働金庫においては、訴訟の原因となった「いかなる組合でも分裂組合を労働金庫へ加入させるのは適切でない」という四十九年五月の理事会の決定を、同年十一月の理事会で白紙撤回させて解決の方向に向かっておりますが、まだ関係組合と労働金庫の間に意思の疎通を図らなければならぬことがありますので、私としては、速やかにこの円満解決を図るように期待しているところであります。

安里積千代民社党

○安里委員 運輸大臣に承りたいと思います。  いま長谷川大臣も、海洋博に行くために貯金もしておられるということで、やはり大臣でさえも海洋博に行くためには、相当な苦労をしなければ行けないと言う。ということは、沖繩が遠い、あるいは金がかかり過ぎる、運賃が非常にかかる。海洋博に対する関心がありましても、現実の問題として、家族を連れていくというようなことになりますと、確かに多くの負担だと思うのです。  そこで、本当に海洋博を成功せしめるためには、そういったことに対する配慮もなさなければならぬ。そのためには、いまの海洋博に行く方々の、たとえば御本人はとにかくとして、家族を連れていく場合に、家族に対して何割引きかする。あるいは特に若い人々に見てもらわなければならぬ、単なる物見遊山でなくして。そういう立場から若い方々に航空賃を割引をする、こういった措置とも相まって初めて海洋博は成功するのだと思うのです。それだけの配慮がありませんと、なかなか行きたくても行けない多くの方々ができると思うのです。海洋博に対しまする国民の関心を高め、成功せしめるためにも、そのような方向で考えるということが大事だと思うのでございまするが、御意見を承りたいと思います。

木村睦男自由民主党運輸大臣

○木村国務大臣 私も海洋博には行ってみたいと思っておるのでありまして、いまのお話、私も本当によくわかります。ただ、交通関係の事情も、いま非常に苦しいやりくりをやっておるのでございまして、沖繩博のために特に割引制度をやるということは、ちょっと現状ではむずかしいように私には考えられるわけでございます。実は、東京オリンピックあるいは万博、札幌冬季オリンピックと、同じような催しがございましたけれども、特に割引制度は過去においても実施をしていないわけでございます。そういうことも考えまして困難ではないか。いまあります、たとえば往復割引でありますとか団体割引等を極力うまく利用されて、できるだけ多くの方が行かれることを望んでおるような次第でございます。

安里積千代民社党

○安里委員 これは海洋博のためじゃないのです。国民のためなんですよ。海洋博のためというふうに考えてもらっては本当に困る。これは国民のために配慮する、こういう積極的なことがなければ、やったから見に行きたい者は行けというようなことじゃ、私はこれは政府の熱意が一貫せぬと思うのです。この点は行政が頭を振らなければ——その行政に対しまする考えはまたあると思うのです。政府がその気になりさえすればできると思うのです。ここであれせずに、必ずこれは配慮しなければ海洋博が成功しませんよ。その点を申し上げまして、私、時間でございますので終わります。

谷川和穗自由民主党

○谷川委員長代理 これにて安里君の質疑は終了いたしました。  本会議散会後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ————◇—————     午後二時二十二分開議

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求の件に関してお諮りいたします。  昭和五十年度総予算審査のため、来る十七日、日本銀行総裁、全国銀行協会連合会会長、全国地方銀行協会会長、全国相互銀行協会会長、全国信用金庫協会会長、全国信用組合中央協会会長、農林中央金庫理事長、生命保険協会会長、日本生命保険相互会社社長、日本損害保険協会会長、日本電機工業会会長、全国建設業協会会長、第一勧業銀行頭取、日本不動産銀行頭取、日本貿易会会長、三井物産株式会社社長、株式会社トーメン社長の出頭を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 質疑を続行いたします。佐野進君。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 私は、社会的不公正是正という三木内閣の方針、それに基づきまして、本委員会においてもいろいろ質疑が続けられておるわけでありますが、その中において特に中小企業の不況対策、この問題を中心にいたしまして、社会的不公正の是正に関するいろいろな問題を取り上げて、関係各大臣に質問をしてみたいと思います。  福田さんと河本さんには、この前、商工委員会の席上、約一時間ばかりいろいろの面で質問をいたしました。そのとき申し上げたとおり、中小企業問題は残しておきますよ、こう言っておりましたので、そのことに関連して、きょう改めて、大蔵大臣を含めて質問をしてみたいと思うわけであります。  その第一は、けさの新聞等にも出ておりましたけれども、いわゆる中小企業の不況対策の一環として、中小企業を中心にしていろいろの対策を立てる、こういうようなことで、幾つかの、十の項目と言われますが、方針を出されておられるようであります。  そこで、私は、まず第一に大蔵大臣に質問してみたいと思うわけであります。これは後で福田さんにも関係がありますので、聞いておいていただきたいと思うのですが、政府は、中小企業の不況対策その他につきましては、口を開けば、中小企業にしわ寄せがいかないようにあらゆる問題について細心の配慮を払いながら対処する、こういうことを言っておられるわけであります。しかし今日の現状、この現状が、けさ新聞で発表されておるようなその程度のことで、果たしてその処理が行われ得るのかどうかということについては、私はノーだという考えを持っておるわけであります。いわゆる足りないという考えを持っておるわけです。  そこで、大蔵大臣に質問をいたしたいのでありますけれども、今日の不況の現況が、いわゆる総需要抑制策の続行の中で、どの程度のいわゆるしわを中小企業に寄せているか、そうしてこの不況対策を解消する柱として、あなたは何と何と何とをお考えになっておられるか、この点をひとつお聞かせいただきたいと思うのです。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 これは佐野さんも御案内のように、現在生産は大分停滞をいたしております。出荷も不振である。在庫は空前の積み増しになっておるということ。雇用にも深刻な影響が出てきておるわけでございまして、中小企業ばかりでなく、大企業、中小、零細全体、経済界全体を通じまして、広範にわたって広く深く影響を受けておると思うのでありまして、その影響は、中小企業において、平均的な影響より重くこうむっておると、私ども感じておるわけでございます。     〔委員長退席、谷川委員長代理着席〕 したがって、政府の施策におきましても、中小零細企業についての施策は、それだけの特別の配慮が必要でないかと思うのであります。だから、総需要抑制政策とは申しながら、中小三機関はそのらち外に置くとか、あるいは財投の特別枠を年度途中で考えるとか、市中金融機関について特別な措置をお願いするとか、その他いまあなたがよく御承知のように、いろいろな中小企業対策を講じてまいっておるわけでございまして、これで私ども決して十分とは思いませんけれども、しかし、これほど大きな石油ショックを含む世界的規模を持った深刻な状況のもとで、日本の中小企業がともかくも今日あるがままの状態においてあり得たということは、それなりに政府の施策は評価していただいてしかるべきじゃないかというように考えております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 これから質問申し上げる事項は、大変多岐にわたっておりますし、時間は限られておりますので、できる限りひとつ、答弁をされる際は、私の聞きたいと思うことについて御答弁をいただきたいと思います。大臣のいまの答弁が筋が違っているということじゃないのです。全般的に言っておるわけです。  そこで、福田さんにお尋ねしたいのですが、あなたはこの前、商工委員会でも、この委員会においても、厳しい今日の情勢、いわゆる総需要抑制策は、さらに長期にわたって続けざるを得ないであろう、しかし、その中で起きてくるひずみについてはきめ細かな対策をとる、そのきめ細かな対策は財政と金融が柱である、こうおっしゃったわけであります。その財政と金融ということに、私はこの前のときも質問しながら不満があったわけでありまするけれども、いまもその考えは変わらないのですが、何かもう一つ足りない面があるのではないか、こう思うわけでございますが、大臣、このきめ細かないわゆる不況対策について、きめ細かな対策の中に足りない面がないと、いまもお考えでおられるかどうか。  大蔵大臣にもお尋ねいたしまするが、不況対策、これは中小企業だけではなくて全体の不況対策でも結構です。その中で財政と金融、総需要引き締めの中で起きてくるひずみについては、財政と金融をもって適宜適切な対処をしていく、それでは、私は今日の不況対策、深まりつつある不況対策については足りないのではないかという考えがあるのですが、その点について、足りない、いやこれでいくのだというお考えかどうか、原則的な問題でありますので、経企庁長官と大蔵大臣にお聞きします。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 この間、佐野さんに申し上げたのですが、不況というかそういう面の対策というもの、これはいろいろあります。ありますが、その主軸をなすものは財政と金融である、こういうことを申し上げたので、ほかにいろいろありますよ。財政、金融対策に次いで重大な問題は雇用対策、この問題であろう、こういうふうに思います。その他いま問題になっておる独占禁止法というような、国家が法的に企業のマナーに対して介入するという諸問題もある。いろいろ国政全体にわたって、中小企業というような問題また広くは景気対策という問題随所に伏在しておる。それらを総動員するわけでございますけれども、主軸をなすものは財政と金融である、こういうことでございます。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 御質問の趣旨を、あるいは履き違えているのかもしれませんけれども、わが国の国内における財政政策金融政策ばかりでなく、外周り、いわば国際経済、国際金融、そういうものが安定的になってまいらなければ本格的な景気対策にはならないことは、もう申すまでもないことと思うのでございまして、国内政策と相呼応いたしまして、私ども、国際経済との間の調和といいますか、連携というか、そういうことについては終始気をつけていかなければならぬのではないかと思います。国内政策につきましては、いま副総理からお話し申し上げたとおり心得ております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 私は、そういうもろもろの対策があるということを否定しているわけではないわけです。もちろん当然だと思うのです。しかし、私は福田さんの考えないし大平さんの考え方の中で、いま一番中小企業、一般産業界もそうだろうと思うのですが、中小企業を含めた一般的な経済界の要望の中で、いわゆる仕事量の確保、これが総需要抑制策の一環として、当然制約を受けておるわけですが、この仕事の確保ということがいま最大の願望になってきておる。この仕事を与えるという立場におけるところの対策を、いわゆる総需要抑制策を長期にわたって堅持するんだというならば、その中においていかに一般的に需要を喚起し、その喚起と対応する中で仕事を確保するかということについて、きめ細かな最大の配慮をしていかなければならぬのではないか。このことを実はお聞きしたかったわけですが、お二人の答弁の中にそれがなかったので大変残念なんでございますが、この点どうか。一言でけっこうでございます。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 仰せのとおり、もういまや金を回していただくということよりは仕事が欲しいんだ、端的に言えば、そういう願望が強いことを承知いたしております。そのためには、端的に申しまして、金融よりは財政が端的に役に立つわけでございますので、公共事業の契約枠消化促進というような手も打っているわけでございますが、しかしやはり根本は、物価が安定して、経済の将来に対する展望が明るくなってくることによって初めて、投資意欲も出てくるし、じみちな消費に対する堅実な需要も出てくると思うのでございまして、したがって、根本は、やはりいま政府が追求しておりますように、この際インフレ対策をこじゃんとやるということが、遠いようで案外近い対策の道じゃないかと私は思っております。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 私どもは、仕事をいまつくることが非常に大事な問題になってきておるということを決して忘れているわけではないのです。そのために財政を活用し、また金融をひとつ動かしていこう、こういうことなんで、ねらいは、仕事を与える、こういうことにあるわけです。財政、金融と申し上げたのと、仕事を与えるか与えないかという問題は、ちょっと異質なものでございますから、それを申し上げなかったまででございます。さよう御了承願います。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 私は、異質だということで、異質ということは、こたえる形について異質だ、そういう意味だろうと思うのですが、私が問題としている、いわゆるきめ細かな対策をとるということの中においては、絶対忘れることのできない政策であろうと思うのです。したがって、いま両大臣とも、そのことについては十分配慮するということであるわけでありますが、そうなりますと、私はここで一言通産大臣も含めて答弁をいただいておかないと、これからの質問に大変差しさわりが出てくるのでありますが、いわゆる中小企業に対する総需要抑制策というものについては、政策の転換、手直しをする時期にもう来ておるのではないか。中小企業関係については、大平さんにはまだ聞いていませんが、大蔵大臣も福田さんと同じように、あと一年半ぐらい総需要抑制策を堅持していくんだ、こういうようなお考えに立っておられるかということを聞きながら、中小企業に対しては仕事を確保するという意味においては、もはや今日その総需要抑制という政策とはおのずと異質のものである、そういう状態の中に来ておるのではないか。私は全部何も転換をしろということじゃないのでありますが、一部の業種、業態に対しては、そのような配慮をすべき時期に来ているのではないかと判断するわけですが、この点について、三人の方の答弁を、一言ずつでよろしいから、お伺いしたいと思うのです。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 総需要抑制態勢下でも、中小企業につきましては格別の配慮を払っておるわけです。総需要抑制政策の浸透の結果、いろいろ摩擦現象が出てきておる。摩擦現象が出てくれば、そのしわ寄せが中小企業の方に偏りやすいということを踏まえまして、さらに中小企業に対する配慮を厚くしておこう、こういうのが、今日私どもの考え方であります。中小企業といえども、これは日本経済の一環ですから、中小企業を含めての日本経済全体に対する総需要抑制政策、これを転換するというわけにはいかぬ。が、その中において、格別の配慮を中小企業に対しては行う、こういう考えでございます。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 中小企業政策も含めまして、政策の転換ということをやることは、そういうつもりもありませんし、また私はそうすべきでないと考えておるのでございます。いま副総理からもお話がありましたように、いまの政策の基調を変えないで、その枠内におきまして、中小、零細企業に対しましての弾力的な配慮を、周到な配慮を極力やってまいるということが、当面のわれわれの任務であるし、またそれが結局、中小、零細企業のためにもなるし、経済全体のためにもなるという判断でございます。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 日本の産業構造は、外国と違いまして、非常に特殊な構造になっておりまして、中小企業が非常にウエートが高い。企業の数にいたしまして約五百万もあるわけでございまして、生産も半分上がっておるわけです。そういうことでございますから、中小企業だけに対して総需要の抑制の枠を外すということは、私は日本の場合は不可能じゃないかと思うのですね。そういうことはちょっとむずかしいんじゃないかと思います。でありますから、先ほど両大臣からお答えになりましたように、やはりこの総需要の抑制という枠は堅持しながら、その中で、金融と財政の面から、考えられるあらゆる対策というものを立てていく。それで十分効果が出てくるんではないか、かように考えております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 三人の大臣の認識も甘いし、特に通産大臣の認識が甘いんですよ。あなたは逆の立場に立たなければいかぬ。ということは、いま中小企業の置かれている現況は、後で労働、厚生大臣にも質問いたしますが、もう仕事がなくて困っているんですね。いわゆる金よりも仕事だ。その仕事をどうやって確保するかと言えば、ほとんど大企業の方へ行ってしまう。したがって、われわれ下請の場合には親企業から仕事が来ないのだ、だからこれをどうしてくれるのかということが血の叫びとなって、いまちまたにあふれているわけですね。だから、そういう面において、金融を緩和したから、金が出たからという形だけでは処理できない問題がある、これから逐次質問してまいりますが。  私は、したがって、政策の転換ということを、ここで口に出すわけにはなかなかいかないということはわかりまするが、しかし答弁のニュアンスとしては、中小企業に対しては特別の配慮をするんだという具体的の、きょうの方針に示された中でも、これは具体的な政策の転換ですよ。不況対策という名で言われておるけれども。ただ枠を持っているといったって、枠を外さないというだけの話だと私は思うのです。まあそれはいいです。あなた方答弁できないということだから、それはしようがない。  そこで、私は質問したいのですが、しからば現実の中小企業の置かれている厳しい情勢については、きょうの対策を出しておられるから認識しておられる。これに対応する対策は、いま通産大臣が答えられておりましたけれども、広範多岐にわたっておって、なかなかとらえどころがない。広範多岐にわたると、いみじくも所管大臣である通産大臣が言っておられる。それを、一通産省の中小企業庁という庁が、この仕事の全体的な責任を負うといったって、これは負い切れません。私ども、多年にわたって中小企業省をつくりなさいという要求をしていることも、そこに真意があると思うのです。これは、佐藤前総理大臣は中小企業省をつくれということの先頭に立って運動しておられます。田中前総理大臣は、選挙運動のときに、つくりますと言った。ところが、現実のこういう公的な場になると、つくるとかつくらないとかいうことは言えない状況であります。いや、言わないようになる。  私はここで一つの提案をしてみたいと思うのです。いわゆる仕事量を確保し、中小企業に安定した状況の中でこの不況を乗り切らせ、総需要抑制が続く過程の中でその不況を乗り切るために、いますぐできない中小企業省について、前向きの姿勢があるかどうかということが一つ。  二つは、国土庁をつくって専任大臣を置いて、あるいは環境庁をつくって専任大臣を置いて、それぞれやっておるわけでございまするから、中小企業庁という専任所管大臣を置くところの庁をつくって対処する必要もあるのではないか。しかし、これはすぐできません。これに対してはどうか。  当面する問題としては、これら後半の、いわゆる総需要抑制の枠は長期に続く。先ほど三木総理大臣は、これからの高度成長というものは夢である、現実に返らなければいかぬ。現実に返るということは、仕事の量が少なくなるということなんです。成長がとまるということは、仕事の量がそれだけなくなるということなんです。したがって、なくなる経過の中におけるひずみを少しでも少なくするために、ここで中小企業対策本部というものを設置して、その中において、総合的、一貫的な行政を行う必要があると思うのですが、副総理、いかがですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 第一は中小企業省設置、それから第二は中小企業担当専任大臣、第三は中小企業対策本部、こういうお話ですが、そのいずれにつきましても、私はいわゆる意味はよくわかりまするし、理由もなしとしない、こういうふうに考えます。  つまり、理由といたしましては、中小企業というものがわが国の経済の中で非常に重要な役割りを持っておるという点が一つと、しかしその重要な役割りを持ちながらも弱い立場である、これは国として特にめんどうを見なければならぬという性格の中小企業である、この二つだろう、こういうふうに思います。同時に中小企業者の中に、中小企業省をつくるべしというような声がたくさんあることは、私どももよく承知しております。ただ、私まだ、踏ん切りがつかない、それらに対して明快な積極的な回答ができない。できないのは、さあ中小企業と言い大企業と言いましても、同じ製品などを対象としている企業なんです。それを規模の大小で分けちゃって、そして別々の省がこれを扱う。また、そこまでいかないにしても、専任の国務大臣が中小企業庁を管理するというようなことになると、これは通商産業行政として、果たして統一のある円滑な行政ができるのだろうかできないのだろうかというところに、実は疑問があるわけであります。同じ対象のものを非常に機械的に分けて、そして別々の人がこれを担当して、果たしてこれが中小企業者のために有利な結果になるであろうかなかろうかということを考えると、私はにわかにこれは結論が出ないのです。いずれ財政硬直化、行政硬直化というような問題も提起されるでありましょう。そういう際に、行政機構をどうするというような問題もありましょうから、そういう際には根本的に政治機構全体として再編を考えなければならぬ、こういうふうには思いまするけれども、いま直ちに、現在の機構のもとで、中小企業省だあるいは専任の国務大臣だあるいは別個の対策本部をつくるというような考え方はいかがであろうか、積極的なお答えができない、そういう段階でございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 副総理の考え方が、私の言っていることについての理解がまだそこまで進んでいないからだと思うのですが、いわゆる今日の中小企業界における一つの要望を具体的に処理する、それが長期にわたる総需要抑制下における不況対策の中で、重要な柱になっていかざるを得ない。だから、新聞や何かにあなた方が発表する場合には、常にそのことを言っているわけですよ。それならば、総合的に、各省庁にわたるところのそれらの行政機構に対して、強力に一体化した形の中において指導できるようなものをつくりなさいいうことは要望だけれども、それができないなら、対策本部をつくって、この新しい状態に対処することについては前向きに検討するということぐらいは、当然あなた方が答弁したりやったりしている中においては、出てくる答えじゃないですか。だから私は三つ目のことを、不満だけれども、あえてつけ加えて言っているのです。ひとつもう一度答弁してください。逃げなくたっていいですよ。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 私も先ほど副総理のお述べになりましたことと全く同意見なんです。それで答弁を差し控えようと思っておったのですが、副総理から答弁しろ、こういうお話がありましたので、あえて御答弁申し上げます。  中小企業は、日本で非常に重要な分野を占めておりますが、しかし別個の世界を形成しているのではなくして、やはり大企業と表裏一体の関係になっておると思うのです。ですから、むしろいまの段階では、そういう別の組織をつくるということは、かえって産業政策全体としてはやりにくくなる、行政機構としても煩雑になる、こういうふうに思いますので、中小企業対策というものは十分力を入れなければならぬと思いますけれども、機構として別につくるということはいかがかと、私は思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 制度としての機構は改編はしないまでも、何か臨時というか対策本部的なものはどうかという点につきましては、そういう仕組みをつくらぬでも、いま経済対策とすれば、何といったって、この不況下における中小企業をどうするのだ、こういうことなんですよ。ですから、内閣の経済対策閣僚会議、これなんかでも、論議するところは、もう中小企業という問題が非常に大きな部分を占めるわけであります。それ自体が中小企業対策本部的な実体を持っている、こういうことでありまして、要するに中小企業対策がぴしんといけばいいのでしょう。そのつもりでやっておりまするから、ひとつ御理解をお願いします。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 もう少し詰めたいのですが、時間がなくなりましたから、次の質問ができなくなりますから、ひとつ前向きに検討を続けてください。  二つ目の問題としては、いま中小企業界は、仕事が欲しい、いわゆる金より仕事だというのが現実であるということは、先ほど来申し上げたとおりです。この全体的な中小企業界における仕事量の減少に加えて、このしわ寄せがどこへ行くかというと、最も弱いところへしわ寄せされていく。だんだん弱いところへ行くわけです。したがって、その象徴的な面は、厚生大臣、労働大臣に関係するところに、結局しわ寄せされていくわけであります。そこで私は、一つの問題点として、いろいろな条件を設定しながら質問を続けてまいろうと思ったのですが、時間をとり過ぎましたから、具体的な質問に入ります。  ある新聞と、それからラジオあるいはテレビ等を通じて報道されておりまするから、もう両大臣ともおわかりであろうと思うのでありまするが、いわゆる福祉工場である、葛飾におけるところの東京プラスチックスという企業が——いわゆる東京都が設備を持って、それを福祉法人に貸与して、その貸与された福祉法人が身体障害者を使って仕事をやっておる。こういうようなのが全国に数カ所あり、さらに身体障害者でない社会福祉事業の一環の授産場等が何百カ所とあるわけであります。これらがおしなべて今日不況下のしわ寄せを受けて、受注量が減退して、その事業の存続が危ぶまれておる。毎月一万円か二万円の収入しか得ない人たちであっても、そのような苦しい状況に置かれておる。その中においても特にこのプラスチックというようなところにおいては、新しいアイデアに基づいて積極的な市場開拓を行う中で、一定の条件を今日まで確保してきた、それが今日、大企業の進出に対するおそれ、あるいはまた現実の問題としての仕事の減退、こういうような形の中で、大変困っているというようなことが報道されております。さらにまた、これに関連いたしまして、あらゆる企業の中から、身体障害者が一律首切りの対象者となって、首を切られているというようなことが今日の実情であろうと思うのでございます。したがって、こういうようなことについて、私は時間がございませんから、厚生大臣にまずお聞きいたしておきたいと思うのでありまするが、この種企業に対する仕事を確保してやるということについて、積極的なお取り組みをなさっておる経過があるかどうか、このことについて、まずひとつ御答弁を願いたいと思います。

田中武夫日本社会党

○田中国務大臣 社会福祉施設、ずっと見てきたのですけれども、どうも授産施設ないしは福祉工場というのが、数ある種類の中で一番経営がめんどうであるということを、私、かねがね知っておったわけであります。しかし、こういう時勢になりますると、さらにどうも仕事がない、あるいはつくっても売れない、注文が出ないということに相なるものと思われますものですから、これについては十分留意をしなければならないということであります。まあ事務当局に聞きますると、かねがね都道府県あるいは指定市に対し指導をしておるというふうに言っておりまするけれども、せっかく大変きめの細かい御指摘でございますので、なお積極的にこの点について留意をし、督励をしたいと思っております。  なお、これにつきましては二十五条の規定がございます。しかし、これについては施行令で品目が決まっておるわけでありまして、どうも、ほうき、はたき、ぞうきん、モップ、清掃用ブラシ、封筒という程度でございますので、これ等については、これを広げることができないかどうか。しかし、これまた実はいろいろめんどうな問題がありまして、福祉工場でやっている製品というのは、いま御指摘の東京グラステックスのようなプラスチック製品などはまだよろしいようでございまして、これは消火用バケツを区の発注でやっておりますからまだ救われるのですが、それ以下の仕事になりますと、今度は零細企業との競合という問題が出てくるものですから、その辺のところは十分配慮しつつ、むしろ大企業というよりも、零細企業との競合問題を考えなければなりませんが、そうしたことを配慮しつつ、何とか需要の拡大、仕事の確保にさらに一段と努力をいたしたいというふうに思っております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 私がいま質問しようと思ったことを厚生大臣先に答えられましたが、いまお話しの身体障害者福祉法二十五条あるいは心身障害者対策基本法十五条等々において、法律的には、これらの業種に対して一定の解釈を加えることによって、それぞれ福祉法人あるいは身体障害者等に対して特別の措置を講ずることができるわけです。これは零細企業との競合云々ということは、ちょっと言い過ぎではないかと思うのです。私は、少なくとも法律に規定され、しかもその規定に基づき、都道府県なり社会福祉法人が、それぞれの対策の中でそれぞれの事業を行いつつあるという現況の中で、この法の精神に基づいて、厚生当局が、いまのようなこの社会的不公正を是正するという三木政策の方針を正しく実行しようとするならば、それらの面について、いまのような後ろ向きの答弁でなくして、いま少しく前向き積極的に、このために係員を動員して対処するという答弁があなたの口から出るかと思ったところが、ふだんはなかなかいいことを言っておられるにしては、まことにどうも中途半端な答弁であるように聞かざるを得ないのですが、もう一度ひとつ答弁してください。

田中武夫日本社会党

○田中国務大臣 基本的には、先生おっしゃるとおり、積極的に仕事の確保と受注、発注に努力をいたします。  ただ、私、実は知っているわけでありまして、あの細かいぞうきんとかモップとかいうものにつきましては、そういう現場を私見ているものですから、やや注意深く申したわけですが、基本の態度としては、先生おっしゃるとおりでございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 私も見ておりますから事情はよく知っておりますが、ただしかし、いまのような状況の中で、私の言わんとするところは、いわゆる最も弱いところへしわ寄せが行ってはいけないのだ、これに対しては勇断をもって積極的に取り組んでもらいたいという願いを込めて、あなたに質問しておるのです。そういう意味におきますれば、この際において、単にモップだとかぞうきんだとか、ほうきだとか、そんなところばかりに頭を置かないで、新しい分野におけるところの開拓を、この法律改正なり、規則、施行令等の解釈を拡大する中で、積極的にお取り組みになっていただかなければならぬではないか、こういうことであります。  さらに、そのことについては、民間受注を拡充するために積極的に対処する、あるいは一定の地域に需給センター等をつくる、いわゆる日本全国の何カ所かに需給センターをつくって受注を開拓する、仕事を開拓する、こういうようなことをおやりになっていただかなくてはならぬ、これは中小企業全般にもそうなるかもしれませんが、そういうことが必要ではないかと思います。  特に、この種施設ないし工場で働いておられる人たちは、一たびその職を失えば、再び就職の機会がなくなるわけであります。もうそのことは、今日健全なる身体を持っておる人をもってしても、そのような状況でありますので、この失業問題は深刻であります。これらについて、労働大臣はどのように把握され、どのように取り組まんとされておるか、これについて、労働大臣からも御答弁をお願いしたいと思うのでございます。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 おっしゃるとおり、こういう不況のときに一番しわ寄せが来るのは、こういう身体障害者、こういう方々でございます。でありますから、そういう情報の把握がまず第一番、こう考えておりまして、またそういうことで一遍職から離れますと、この方々は再就職はむずかしゅうございますから、私の方といたしましては、去る一月二十一日に全国の職業安定課長と職業訓練課長を招集しまして、私自身がその会合に出まして、こういうときにこそ、ひとつしっかりと就職上いろいろなことのないように、現に一昨日の晩でしたか、夕刊に大きく、宇都宮の重症身体の方が、職業安定所の人が行って、ようやく、子供二人を抱えて、御主人ががんで亡くなった、そういう人の就職のお世話を申し上げた、こういうふうなこともありまして、私は、苦しいときにお手伝いするのがわれわれ役人の仕事ではなかろうかということで、一生懸命にやらせております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 厚生大臣、さっきの私の質問いわゆる受注の確保のため、地域にそういうセンターをつくったらどうかという提案です。

田中武夫日本社会党

○田中国務大臣 お答え申し上げます。  需給センターの設置についての御提案でございますが、事務的にはなかなか困難だそうでございますが、私は一つのアイデアだろうと思いますので、前向きに検討をいたしたいというふうに思います。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 次に、三番目の質問に移りたいと思います。  今日不況の深刻化に伴い、大企業、大金融機関、あるいは中でも結構ですが、それらの企業のいわゆる身勝手というか、自分勝手な行動が、ともかくおのれさえよくなればいいという、そういう形における行動が随所にあらわれてきております。したがって、不公正を是正し、恵まれざる状況に陥ろうとする人たちに対して愛の手を差し伸べる、こういうことであるならば、そういう力のある人が力に任せた横暴な行動に対して積極的に対応することも、今日政府のとらなければならない行動の一つではないか、私はそのように考えるわけであります。  そこで、一つの例を申し上げながら、こういう問題についてどうお取り組みになるかということについて、通産大臣に質問してみたいと思います。  去年の十月十八日の各紙に報道されておりましたが、「倒産は大企業の責任 ユニチカを訴える」、京都のメーカーが一億五千万円の請求を出したということがあらゆる新聞に報道をされておるわけです、私はこの内容について、いわゆる追跡調査をしたり、あるいはまたいろいろな実情について調査をいたしました。結果的にこれに類する事件が、単にこの一つだけでなくして、あらゆる場所において発生しているという事実にぶつかったわけであります。今日通産省だけの調査によりましても、いわゆる会社更正法の適用が、申請しているものを除いて、すでに適用されたという企業だけでも、去年の一月から十二月の間におきましても十八社、いわゆる中堅企業以上が存在いたしておるわけです。一般中小企業のいわゆる倒産の数は、いまさら私がここで申し上げるまでもございません。したがって、このような倒産がこれから、大企業のいわゆる自己を保存しようとする本能からでもありましょうけれども、続々と出てくる可能性を持つわけであります。その可能性に対して手を打つことが、いま当面必要な対策の一つであります。これは中小企業だけでなくて、中堅企業を含めたいわゆる大企業の横暴なる、身勝手なる行動を防ぎとめなければならないと思うわけであります。  そこで私は通産大臣にお聞きいたしたいと思うのでありますが、通産省もこの種問題に対しては積極的に取り組んでおられるようでありますが、これら企業が現に倒産に逢着しようとしている、あるいは倒産を余儀なくされるような行動を大企業はし、その事実の経過が明らかになろうとしている状態が把握されたとき、通産省としてはどのような対策をおとりになるお気持ちであるか。この事件はこの事件といたしまして、これから発生するであろうことも予想されますので、この点について、ひとつ決意をお述べ願いたいと思います。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 いまの京都におけるお話でございますが、このような例は、私は全国に発生する恐れがあるということを考えまして、大変心配をしておるわけでございます。好況のときには、親企業が下請の企業にどんどん設備を拡充しなさいということでやらせる。不況になると、一挙にそれに対してめんどう見ない。いまのは、京都においても西陣の例だと思いますが、あらゆる業種において実は発生をしておるわけでございます。大変通産省といたしましても重大事件だと考えておりまして、いま実情をいろいろ調べておりますが、地方の通産局にそういう場合に指導官といいますか、専任の担当官を置きまして、いろいろ相談をさせておるわけでございますが、原則的にこうしますということは、事情がそれぞれ違いますので、一概には申しませんが、とにかく十分注意をいたしまして、個々のケースに従いましてできるだけ解決をしていく、そういうことで、よく状態を掌握したい、かように考えております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 前向きの答弁がありましたので、それ以上は無理だと思いますが、ただ、ここに私手紙を持ってきていますが、このような種類の、いわゆる今日の不況が深まる中において、いま大臣のお話しになったような点についての大企業の苦情、苦情どころか倒産の危機に瀕している企業が多発しておるし、これからさらにしようとしておるわけでございますから、その点については、いまの御答弁のような意味におきましても、ひとつ積極的に取り組んでいただきたい。特にこの問題につきましては、いま私の方から名前を申し上げませんが、あなたの方から西陣撚糸というお話もございました。よく実情を調査の上、一つの出来事に対して通産省はこうやった、こういうことになりますれば、そのことが全体的な影響を与えることになりますので、一つの問題点として、この問題について積極的に解決する行政指導なり何なり方法を講じて、善処してくださることをお願い申し上げたいと思います。  じゃ、もう一回それを答弁をしてください。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 詳細に事業を調べまして、その対策等も含めまして、結果を御報告申し上げます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 次の質問に入ります。時間が大分経過いたしましたので、ここでひとつ大金融機関の問題を取り上げたいと思ったのでありますが、後で金融機関の問題がありますので、省略をいたして、大蔵大臣に対する質問は、そのとき一緒にやります。次に進みたいと思います。  次の質問は、今日の、仕事がだんだん少なくなっていく、したがって企業の存立の基盤が揺らいでくる、それぞれの企業がそれぞれの条件の中において生き延びるために最善の努力をする、これは当然のことだと思うのであります。ただその努力をする経過の中で、いま申し上げましたような、いわゆる系列企業ないし下請企業切り捨てという形の中において、みずからが残ろうとする場合もございますし、新しい仕事の分野を開拓して生き残ろうとする、そういう場合もあるわけであります。私はその面について質問をしてみたいと思うわけであります。  まず最初に、通産大臣に質問をいたしたいと思います。  通産大臣は、御承知のとおり、一般産業全体に対する、それぞれの指導をやっておられるわけでありますが、軽印刷に対するいわゆるQプリント問題あるいはクリーニングに対するエーデルワイス問題等々、大企業が小規模零細企業業界に対して、新しい事業としてその分野を開拓しようとして、いろいろ努力をされた事実について御承知かどうか、そのことをひとつお答えを願いたいと思うのです。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 実は、この詳細、承知しておりませんので、長官からお答えをさせます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 いいです、長官はもうわかっていますから。私もわかっているんだが、あなたが詳細御存じないということだから。わかっているかいないかで、質問の内容を変えようかと思ったわけです。わかっていないということですから、これからよく勉強していただきたいと思うのです。と申し上げますことは、今日各党が中小企業問題を論ずるとき、第一番目か二番目の問題として、必ず取り上げているのがこの問題なんです。いわゆる事業分野確保に関する問題なんです。大企業は、小規模零細企業に対して、資本と組織とを持ってこれに参入する。そしてその事業分野を簒奪する。奪い取ってしまう。そしてそのことによって、小規模零細企業業界が存立の基盤を失われるどころか、家族離散というような状況にまで陥りつつある実情も幾多あるわけであります。その代表的なのが、いま申し上げた二つの業界であるということを申し上げたわけです。したがって私は、今日の中小企業が仕事の量が少なくなる。日本経済全体がいわゆる低成長に移らなければならぬ。したがって少なくなるとするならば、その少なくなった仕事量に対するところの奪い合いが出てくる。その奪い合いをどうやって防ぐかということが今日の最大の課題になってくるわけです。その最大の課題である問題について、あなたは大企業の経営者の一人であったから、余り御認識がなかったのだろうと思うのでありますが、私は、少なくともこの問題については、積極的に中小企業の事業の分野を確保してやるのだ。そして大企業が大企業の事業の分野の中でおさまれとは言わないけれども、少なくとも、小規模零細企業、先ほど申し上げた福祉事業等の場所にまで参入するようなことに対しては、厳に歯どめをかける。そういう政策に対して勇断を持って取り組むという決意がおありかどうか。この点ひとつ見解をお示し願いたい。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 実は、いま御指摘の具体的な事実について、詳しく承知していなかったものですから、さよう御答弁申し上げたわけでございますが、分野調整の問題が、いま中小企業問題としては最大の課題になっておるということについては、よく承知しております。つきましては、この分野調整につきましては、いろいろ考えていかなければならぬと思うのです。大企業は、みだりに中小企業の分野に入り込んでくる、そして経済の秩序を乱す、そういうことは絶対避けねばならぬ、かように考えております。それについての具体案としては、いろいろ考えておるわけでございますが、これはむしろ、法律で規制するということよりも、業界、業界、また地域、地域におきまして、それぞれ事情が違うわけでございますから、私は行政指導で細心の注意を払っていけば十分できるのではないか、かように考えております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 これはまた、長い間かかって論議した問題であります。これからも論議いたしますが、行政上の問題で処理をしたいということは、いままで一貫した方針であったわけです。だから、私はさっきから申し上げておるのです。これから一年ないし二年の間、総需要抑制を続けますよ、低成長になりますよ、世の中は厳しいですよ、皆さんお互いにしっかりしてやりましょう、こういうことを政府がおっしゃるなら、厳しくなる情勢に対して、皆さんしっかりしてやりましょうというにふさわしい体制をおつくりになることが、あなた方の責任じゃございませんか。そのふさわしい条件として、中小企業界全体が要求し、各党が一致して、自民党さんは一致していませんが、自民党さんも前向きだと思うのです。一致して、このような状況の中においてはこのような政策をとることは当然必要だということを考えているというのに、あなたがいま言われたように、行政上の——これは二年か三年前の御答弁ですよ。そんなばかなことはないでしょう。時代は進んでおるのです。世の中は変わっておるのです。変わっている状況にふさわしい体制として、少なくとも研究します、取り組みますということぐらいの答弁は出ないんですか。おかしいじゃないですか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 事業分野の調整につきましては、これはもう絶対前向きで取り組んでいかなければならぬと私も思います。それは先ほど来申し上げておりますように、経済秩序を乱しますし、それから、中小企業としても重大な影響を受けるわけでございますから、それは当然でございますが、そのやり方につきましては、何が一番効果的であるかということはよく考えてみなければならぬ。その問題自身を重大に考えまして、前向きに取り組んでいくというその姿勢には、全く同感でございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 公取委員長、来てもらって大変申しわけないのだけれども、建設大臣がまだ入ってこないわけで、いまここからあなたのところに行くつもりだったのだけれども、ちょっと一緒に聞いてもらなければならぬ問題で、大変どうも関係が切り離れてしまうから、私も質問しにくいのだけれども、やむを得ないから……。  そこで、私は、先ほど大蔵大臣に保留しておきました金融問題について質問をしてみたいと思うわけです。  御承知のとおり、大企業、大金融機関が、この不況期に対して、中小零細企業あるいは中堅企業に対して、その持てる力をもって、いわゆる横暴とまで言っても差し支えないような金融の取り組みをしつつあることは、幾多の事例が示しておると思うのであります。その一つ一つをここで申し上げておる時間的な余裕はございませんが、私は一つの問題として、このような状況に対して大蔵大臣はどう取り組まれるか、そして公取委員長はどうされるかということについて、ひとつ質問をしてみたいと思うわけであります。  まず第一に、手形の問題であります。一つには、御承知のとおり、不況になる、不況になると仕事がなかなかない、仕事がないということの中で、やっと仕事を獲得した、その品物を納める、納めたところが、それがいわゆる受取手形として支払われてくる。その手形が、ふだん仕事があり、金融が比較的緩やかなときは大したことがない短い時間であるにもかかわらず、金融が詰まり、仕事が少なくなってくるに従い、手形のサイトが延長されていく、こういうことが現実の問題としてあるわけです。こういう問題につきまして、下請代金支払遅延等防止法等によって、その措置をされておるようでございまするけれども、そういう問題につきましては、その措置をされていると言われる割りに、小規模企業——零細、中堅企業から中小企業に至る間、大変困る事例が幾つか私どもの耳に入っておるわけでございますが、これらに対する大蔵省の指導ないし公取委員会の指導はどのようにされておるかということを、ひとつお聞かせ願いたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 私が申し上げるまでもなく、手形が長期化して、いわゆる割り引き困難な状態になったものは、法律で禁止されております。ところが、実際に調査してみますと、最近の時点で見ますと、たとえば、これは一つの数字で申し上げますが、四十九年七月現在では、親事業社の調査によれば、その二六%が百二十日を超える手形を交付している実績がある。ということは、二六%全部が百二十日を超えておるというわけではありません。そういうものを出している会社の割合が二六%。それが四十九年の十月になりますと、一カ月後には二九%になっておりますから、やはりいまの事情としては、どうも延びている傾向があり、それから、ことし一月開催いたしました下請取引改善協力委員会というのがありますが、その会議で聴取いたしましても、何か手形期間長期化の傾向があるということで、これに対しては、やはり厳重——原則としては文書でありますが、訂正をさせておる。そういうことはできるだけやっておるつもりでございます。しかし、一般にどうも長期化の傾向があるという事実は認められます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 時間がないので、大蔵大臣、いまの問題はあとで一緒に、できなければできないでいいけれども……。  そこで、いわゆる公正取引委員会の調査においても、いまのような実例があるわけです。これは大変困るわけですね。特にこれから不況が深まる、あるいはまたその仕事量が少なくなる、こういう形の中において、大金融機関はこの手形割引に対して、一定の拒絶反応を示してくる。ここに全国銀行協会連合会から私どもの方へ陳情が来ている中に書かれている問題は、大変ごりっぱなことが書かれているのですが、私どもの知っている内容は、こんなごりっぱなものではないわけです七  そこで、私はお聞きしたいのでありますが、大金融機関が、たとえば三井銀行という言葉を使い、三菱銀行という言葉を使い、富士銀行でもよろしいと思うのですが、その系列企業に対しては、比較的融資も緩やかである、あるいはまた、その緩やかさが特段飛び越えてしまうけれども——飛び越えて、いわゆる規制を上回ってしまうような事例もたびたびある。だがしかし、系列以外の企業に対してはきわめて厳しい。厳しいどころか、その割引を含むいろいろな問題について、なかなか配慮ある措置を講じない、こういうようなことが幾つかの事例として、私どもは聞いておるわけでありまするが、これからの情勢として、そういう状態がますます広がっていくのではないかという気がするわけです。いまここでその具体的な例を出しながら、これだ、こうだという質問は、時間的に余裕がございませんからできませんが、それを防ぐ意味において、そのようなことが行われないようなことを願う意味において、大蔵大臣の現時点におけるところの決意を、ひとつお聞かせ願いたいと思うのです。

後藤達太大蔵大臣官房審議官

○後藤(達)政府委員 大臣の御答弁の前に、若干御説明をさせていただきたいと存じます。  先生の御指摘の点は、私ども大変重要な点だと存じておりまして、かねがね特に大銀行を中心といたしまして、大口の融資の集中というようなことを排除するように、行政指導に努めてまいりました。機も熟しましたので、昨年末、通達をもちまして、具体的な大口融資の規制の基準を示しまして、これを実行する決意でございます。  なお、さらに、中小企業の問題につきましては、これは普通銀行ばかりでなくて、中小金融の専門機関あるいは政府金融機関全体を通じて、なるべくその金融が疎通するようにという努力をすべきことは当然でございますが、特に御指摘の都市銀行の場合におきましては、中小金融の全体の中での量的なウエートはやはり一番大きなものでございますので、その帰趨は大変重要な点だと存じます。したがいまして、当面、具体的に例を申し上げますれば、中小企業に対する融資の量を確保すること、それから、さらに、質的な面では、中小企業の特別救済融資というものを、別枠を設定しまして、これを政府機関並みの金利で融資をする、この二つを、特に申し上げれば、最近は実行してまいったわけでございます。  ただ、引き締めがこういう長期にわたってまいりますと、各企業ごとにさらにむずかしい問題が出てまいるかと思いますが、要は、銀行がやはりそれぞれの企業、特に中小企業に対しまして適切なアドバイスをする、あるいは融資についてきめ細かい配慮をする、こういうことで、こういう困難な事態におきまして、企業と一緒にその困難を克服する、こういう気持ちで仕事をしてもらいたいというのが、私どもの基本的な願いでございまして、そういうことを基本といたしまして、これからも銀行に対しまして指導をしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 大臣の答弁は要りませんから、いまの実情に基づいて、積極的な指導をしていただきたいと思います。  そこで、金融に関係していま一つの点について、これも重要な問題でありますから、質問をしてみたいと思います。  御承知のとおり、中小企業金融は、その信用を補完するということが大変重要な意味を持っております。したがって、信用保険公庫、信用保証協会等を通じて、その信用補完に対して、政府は積極的な取り組みをしつつあることに対しては、私もよく知っております。しかし、ここに問題があることは、この信用補完という措置をとる中で、その補完さえ完全にでき得ない業種があることも御存じのとおりだと思うのであります。いわゆる無担保、無保証の要求が日ごとに高まりつつあることは、よく御承知のことだと思うのであります。  そこで、この無担保、無保証の問題と関連いたしまして、今日いわゆる中小企業の信用補完制度についてはいろいろな取り組みをされておりまするが、特にその中に保険がついておる、保険公庫におけるところの保険のついている融資に対して、さらに信用保証協会の方で担保をとる、そういうような問題が常識化している。常識化というか、それでなければ金が借りられない、こういうような状況になっているのですが、信用保険公庫は政府のものであります。政府が信用保証協会にしているわけであります。信用保証協会は、その保険がついたということを前提にして、保証人を立てて、十分なる調査をした上で、保証するわけであります。保証人を立てて十分な調査をした上で貸し付けるにもかかわらず、さらに担保をとるわけであります。このことについては、今日わが党の政審会等におきましても強い不満を持って、本日のこの委員会において、この問題については積極的に、ひとつ通産大臣ないし大蔵大臣に要求しろということになっておりますので、堀政審会長の方からも強く言われておりまするが、このいわゆる担保、今日五百万円以上は担保をとるということになっておるわけでございまするが、その点について、両大臣の見解をひとつお聞かせ願いたいと思うのであります。

齋藤太一中小企業庁長官

○齋藤(太)政府委員 この信用保険の制度でございますけれども、中小企業者が、府県等にございます信用保証協会で保証を受けました場合に、保証協会は、それを国の信用保険公庫に再保険をすることの仕組みになっております。その場合に、仮に貸し倒れが出ました場合には、国の保険公庫が損失をてん補いたしますのは通常七割でございまして、残りの三割分は、保証協会の負担になるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、保証協会は保証料を取りまして、その保証料によって、万一のそういった事故の場合の協会がかぶる損失につきましての財源といたしておるわけでございますけれども、問題は、保証料だけでは、保証協会が代位弁済しましたことによります損失の全部が埋まらないという状況にございまして、そのために一部担保を徴求いたしております。これをもし担保をとらないようにいたしますと、逆に今度は保証料を引き上げなければならない、こういった関係になっておりまして、私どもこの数年来、保証協会の保証料を毎年下げるように指導いたしておるわけでございますので、それとの関係におきまして、いまの担保を保証協会がとるかどうかという問題は考える必要があろうかと存ずるわけでございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 長官、わかって質問しているのですよ。私ども、わからないで、あなたから説明を受けようと思って質問しているわけじゃないのですよ。だから、私が一番最初に言った、社会的不公正の是正をどうするか、その中で今日の中小企業の問題を、どう前向きにとらえながら、この状態を乗り切っていかせるようにするかということなんですよ。だから、あなたが言われることは、たとえばいままで三百万円だったそれを五百万円にした、あるいはゼロだったそれを三百万円にした。段階的に上がっていっているわけですよ。いま要求されているのは一千万円ですよ。私たちは本質的に、その問題についておかしいじゃないか、あなたの言われるような意味におけるところの答弁を踏まえながら、おかしいじゃないかという議論が出ているということなんです。だから、いまのそういうような状況の中において、前向きにそれらの点については上限を取り払うように——取り払うということはできない、あなたの言われた答弁では。できないならば、前向きに検討する。これは、ことしは予算に出ていなかったが、来年の予算に出ないとは限らぬでしょう。そういう意味における答弁を、私は求めているわけですよ。

齋藤太一中小企業庁長官

○齋藤(太)政府委員 現在の信用保険におきまして、無担保保険の額は五百万円までとなっております。現実の付保状況を見てみますと、大体全体の件数の九割が三百万円以下でございまして、実績はそういった状況になっております。また、現在の五百万円という限度は、昨年の国会で改正をお願いいたしまして、昨年四月から従来の三百万から五百万に引き上がったわけでございます。そういう状況でございますことと、この無担保保険の限度を引き上げますと、協会の経理面にいろいろ悪影響を及ぼす面もある、そういう意味合いにおきまして、当面はこの五百万を直ちに引き上げるというような予定はございませんけれども、物価の上昇の折でもございますので、今後さらにこの推移を見守ってまいりたいと考えております。  なお、五百万を起えます分につきましては普通保険ということになりますが、普通保険は必ず担保をとるわけでございませんで、実際には五千万まで普通保険がつけられますけれども、このうちの六割は担保なしで保証をいたしておる、そういう状況でございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 大臣、あとでその点について答弁する機会があったら一緒に、前向きな意味において——中小企業庁長官はそう言っているのですよ。答弁の方で、私の質問している事態と、今日の一番最初のタイトルと合わないから、私は再質問しているので、意味がわかっていただけたと思うから、できたらひとつここで答弁していただきたい。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 中小企業金融というものは特殊な金融でございますから、普通の金融にない、いろんなことを積極的に考えていかなければならぬと思います。そういう意味におきまして、御案内のように、無保証、無担保という制度などもどんどんと拡充いたしまして、ことしは去年に比べて二倍にする、そういう方針でやっているわけでございますから、御質問のような件につきましても、できるだけ工夫をいたしまして、借りやすいような方法を積極的に検討していきたいと思います。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 そこで、建設大臣が出席されたようですから、先ほど残しておりました問題について、質問をしてみたいと思います。  先ほどの問題は、今日の不況下において、いわゆる大企業が中小企業の分野へ入り込んでくる。そのことによって中小企業の仕事の量が少なくなる。これをどうやって防ぐのかということについて質問をしたわけでありますが、それに関連して、今日政府の政策が出てまいりますると、必ずと言っていいほど、官公需を中小企業向けに確保するんだ、こういうことが出るわけであります。私ども、またその対策の一つといたしまして、多年にわたってそのことを主張し続けてきておるわけです。少なくとも中小企業に仕事を与えてやるんだ、こういうことになるならば、まず政府みずから、地方公共団体みずから、その仕事量をできる限り中小企業の方へ振り向けてやるようにすることが適切である、こういうことを主張し続けておるわけであります。ところが世の中がこのように不況になってまいりますと、その言うこととやることとはなかなか一致しない。みずからを守ろうとする本能の中で、大企業はますます仕事を自己を中心に確保しようとする。そのしわ寄せが結果的には小規模企業、中堅企業以下に行ってしまう。特に官公需の場合においても、その言葉と現実とはまことに違う。しかし通産省を初め厚生省等々、中小企業に理解のある役所等においては、比較的中小企業面におけるところの受注を確保しようとする努力は実績としてあらわれております。ところが建設省となると、これは全く違うのであって、大手建設業者と称する人たちを初めとする建設業者の、発注量に対して受ける受注の割合は、ほとんど中堅企業以上大企業に集中的にあらわれている。こういうような形の中で、今日不況が深まるにつれて、建設業、不動産業等々、あなたの所管する業種に対しては、その不況の影響が深刻にあらわれていると思うのであります。したがって、これに対する対策は、あなたとしては一刻もゆるがせにすることのできない重大課題でなければならない。ところが現実に見てまいりますると、相変わらず、そのような努力はなされないでおるように、私は見られるわけであります。  そこで、一つの具体的な例を申し述べながら、これらについてあなたがどういうことをされるかということについて、質問してみたいと思いまするし、これに関連いたしまして、先ほど残しておりましたけれども、公取委員長の見解も一緒にお尋ねをしたいと思うわけであります。  いわゆる独禁法条項の中には、カルテル行為に対してこれを禁止する、同時にまた、いわゆる独占的な支配に対してはこれを禁止するということに相なっておるわけであります。ところが、実際上の問題としては、そういうように禁止をされているにもかかわらず、それに類した行為があるわけですから、公取も大変忙しいということになるわけであります。  そこで、建設大臣と公取委員長の両方に御質問をしたいのでありますが、これは一つの象徴的な出来事です。したがって、これがすべてだということではございませんし、これがすべていいか悪いかという判断につながるということも考えません。ただ私は、いま申し上げましたとおり、官公需の確保ということをうたいながら、建設当局がその面については一番低い、官公需の中小企業に対する配慮が少ないということで、お尋ねするわけでありますが、東京都のある地域における仕事に対して、いわゆる建設の大手五社、いわゆる建設の大手五社とは、大成建設、清水建設、鹿島建設、大林組、竹中工務店と言われております。これらの五社が特定な場所において話し合う中において、このある地域におけるところの仕事を私どもに受注さしてください、私どもが共同企業体をつくることによってその仕事をやりますから、これをやらしてくださいという要請を続けている、こういうことがあるわけであります。そして、現実に東京都ないし建設省、政府等におけるところの発注の大半を見ましても、これら企業に集中的に発注が行われているということも、事実の問題として存在するわけでございます。  そこで、このようなことがもし許されるとするならば、ますます少なくなってくる仕事量に対して——公共事業の抑制等もまだ続けるのでありましょう、そうなりますと、中小企業、中堅企業以下の企業は、その大企業の持つ特別の力によって排除されて、この仕事量がますます減少していく。これらの企業はすべて何年分の受注を現に持っているわけでございます。そういう状況が許されてしかるべきかどうかということについては、先ほど御質問申し上げましたとおり、独禁法第三条によるところの規定に照らし合わせて果たしてどうなのかということについて、公取委員長の見解をお聞きしたい。  同時にまた、このような措置を認める指導を建設当局は当然されないと思うのでありますが、この種の要請が各都道府県公共団体ないし政府に行われたとするならば、どのような措置をとられようとするか。同時にまた、官公需の確保について、建設当局はその発注に際して、分割受注その他適切な指導を関係各機関に行う意思ありやなしや、この点について質問したいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 ただいまおっしゃられました事例は、ある東京都内の地区再開発事業であると思いますが、それ以上に非常に詳しいことは、私どももまだ調査してみないとわかりません。しかし、それは恐らく指名入札ではあろうと思うのですね。指名入札でなくて、随意契約でそういう大手五社とだけ契約するということは、ちょっとこれは考えられないことだと思うのです。そうしますと、その指名入札をするに当たりまして、その大手五社が結合しまして、恐らく共同体のようなものをつくって、それを指名してくれ、こういう話ではないかと思うのです。その点、実は私、確かでありません。その共同体が非常に強いものだ、それが指名されるということになりますと、それはもうわが国としては最大規模の建設業者ということになってしまうので、私どもの方の解釈は、いま、実態を調査した上でなければはっきり申し上げられませんが、おっしゃるとおり、第三条に言う私的独占かあるいは不当な取引制限、つまりカルテルでございますね、そのいずれかに該当するのじゃないか、こう考えます。つまり、その地区における、一定の取引分野ということがいずれも競争制限の条件になっております。その一定の取引分野というものをどう解釈するかにもよりますが、いまの規模等から見て、それに該当するおそれあり、そういうことであります。ですから、先ほど申しましたように、私的独占というのは、単独でなくても、数社が共謀して、あるいは結合してやっても、一定の競争制限を行えば、それに該当するわけでございますから、多分そちらの方ではあるまいかと思いますが、いずれにしても、問題になるおそれは十分にございます。

仮谷忠男自由民主党建設大臣

○仮谷国務大臣 まず、中小企業関係の措置について申し上げますが、大体、指名というのは御承知のとおり指名基準というのがありまして、それに基づいて、私ども厳正にやっておると思っておるのでありますが、特に昨今の状態で、中小企業にそれでもなおかつ受注の機会を持たすようにということで、努力をいたしてまいっておるつもりでありまして、本年度は特に、総需要抑制の件もありますけれども、大規模事業というのはできるだけ抑制をして、中小規模の工事を優先して実は配慮をいたしておりますし、先ほどお説のように、できることなれば分割をしまして、そうして中小業者に機会を与えるということも考えております。いずれにしましても、中小地元業者というも のは最優先すべきであるという、これは私は至上命令にしております。だから、事務当局も各県にもそのことをきつく申し入れまして、そういうふうに実行を要請いたしておるわけであります。  それと同時に、何といっても、小規模業者というのは建設業界の中で九九%以上でございますから、しかもその九九%以上の中で、まだ個人経営というのが五七%ぐらいあって、大変基盤が弱いわけなんですよ。できる限りひとつ、共同請負制度も活用するし、あるいは企業の合同といった面も指導したいと思いまして、そういう面でも努力をいたしております。五十年度予算では建設業振興基金も設立いたしまして、そういった面で特に中小業者の育成、合理化を考えていきたい、かように存じております。  それからもう一点の、いまの東京都の一つの例でありますが、これは率直に申し上げまして、そういうことがあれば、もってのほかだと私どもは思っております。大企業一つでさえも十分に仕事ができるのに、それがまた何社か一緒になって、全部事業を独占しようなんということはもってのほかでありまして、私ども断じてそういうことは認めません。これは受注者のほうでそういうことを考えておっても、発注者は絶対そういうことはやらないつもりでおりますし、これは独禁法以前の問題として、今後御趣旨に沿って努力をいたしてまいりたい、かように存じます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 それでは次の質問に入ります。  大蔵大臣に質問いたしたいと思います。  先ほど来、私は、当面する中小企業問題について、これから発生するであろう事態を予想しながら、積極的に取り組んでいただきたいという希望を含めながら、幾多の点について質問を続けてきたわけであります。これは、いわゆる弱者という言葉が適切であるかどうかわかりませんが、このことの意味にも通ずると思うのでありますけれども、今日、中小企業という対象の中にありながら、とかく最もおくれた——おくれたということが適切かどうかわかりませんが、その対象として比較的薄い対策しか立て得ないでいる業態が幾つかあるわけであります。その中で、近年、中小企業庁、通産省も力を入れて取り組みをしておるところに、いわゆる小売商業関係、さらにまた小規模の専売関係と言いましょうか、そういうような企業が存在していることは御承知のとおりであります。  そこで、まず最初に大蔵大臣に質問し、次に通産大臣に質問いたしますが、この問題につきましては、このようにインフレが進行し、物価高があり、仕事が少なくなり、消費が落ち込み、そうして国民の、心理が萎縮する中において、必然的に起こる問題としては、消費購買力の減退、いわゆる生活費の増高、こういうことになってあらわれてくると思うのであります。そういうようなことになってあらわれてまいりました際、一番影響の大きく出るのが小売商業者、さらにサービス業者と称する分野にある人たちであろうと思うのであります。そして、このサービス業者と称する人たちを含めて、これらまさに零細規模企業と言われる人たちに対する対策は、今日ゆるがせにすることのでき得ない重要な問題になりつつあると思うのであります。特に専売業、いわゆるたばこあるいは酒、その他ですね。専売というか、許可というか、政府所管というか、大蔵省所管というか、農林省所管というかわかりませんが、こういう人たちの受ける影響は非常に大きい。中小小売商業の中においても、この人たちの受ける影響は非常に大きいという声を私どもよく聞くわけでございますが、これらに対して、政府として今日いかなるお考えを持ち、将来どうされようとするお考えであるか、この際ひとつ見解をお示し願いたいと思うわけであります。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 まず、たばこでございますけれども、これは、他の業種に比べますと商品の回転率が大変高い、それから値引きの競争がない、現金制度であるというような意味で、特にこの業態が他の業態に比べて劣っておるとは私ども見ていないのであります。だからこのマージンは低くていいとは考えていないわけでございまして、従来から、たばこ小売業界ではマージンを全銘柄とも一〇%に引き上げるよう要望しておりましたが、五十年一月一日から、要望どおり一〇%になっておるわけでございます。今度定価の改定について国会の御審議をお願いしておるわけでございまして、これが実現する暁、この改定分につきましてどのように小売業者に均てんするように考えるかということはまだ決めておりませんけれども、政府として、実態に即して、慎重に考えていかなければならぬと思っております。  酒でございますが、酒につきましては、政府が決めるわけではございませんで、三十九年六月以降は、佐野委員も御承知のように、全面的に自由価格と相なっておるわけでございます。したがって、小売段階にありましても、仕入れ価格に必要なマージンを加えて、小売価格を自主的に設定できることになっておるので、私どもが介入すべき筋ではないと思いまするけれども、いまお説の趣旨は、行政当局としては十分念頭に置いて、指導に当たりたいと思っております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 それでは、時間が少なくなりましたので、全体的に質問をして答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。  いま申し上げました小売業界の対策につきましては、特に大規模店舗の無原則的なる地方進出、それに基づくところの付近小売商業に与える影響というものが大問題になっております。これについてはすでに大臣も御承知であると思いますから、私は、これについては積極的に、この不況の現況に照らし合わせた小売商業界における現状等の情勢を分析して、いわゆる店舗の進出に対する抑制であるとか、時間の問題であるとか、その他付近の小売商業に対して特定の悪影響を与える、いわゆる安くすることを抑えるという意味ではなくして、特定の品物だけ目玉商品に出しておいて、それで客を寄せておいて、後は実際に高くするというような形の中で、付近小売商業に悪影響を与えるようなことに対しては、厳重なる対策を立てる必要があろうと思うわけであります。この点について、通産大臣の見解をお伺いしたいと思います。  さらに、労働大臣にお伺いをしたいと思うわけであります。  今日、中小企業界の不況、あるいはまた経済界の状況から見まして、必然的に、そのしわ寄せが、小規模零細を含む中小企業に来ることは当然でありますが、さらにまた、その影響がそこに働いている人たちに来るわけであります。したがって、そこに働いている人たちの例として、先ほど身障者の問題について、大臣はきわめて温かみのある答弁をなさっておられたわけでありますが、これらの人たちに対する積極的な対策というものは、今日ゆるがせにすることのでき得ない緊急問題だと思います。幾つかの問題点を私はここに持ってきておるわけでございますが、それらについては、ここで申し上げる時間的な余裕はございません。  ただ、あなたが言っておられることは、「社会保険労務士会報」という中で、あなたが書いたかどうかわからぬけれども、あなたの写真が出ているこの中で言っておるわけでありますが、「いわゆる社会的公正の確保のため、この格差を是正することが必要でありますが、特に現下の景気停滞に際しては、賃金不払い、労働条件の切り下げ等を防止することが重要な問題となっております。」もちろん首切りもやってはならぬわけでありますが、こういう点について、あなたはいま積極的にどのようなことをおやりになっているかということについて、御見解をお示し願いたいと思います。  さらに、それに関連いたしまして、雇用調整交付金に係る指定業種の問題であります。今日、この雇用調整交付金の制度ができてから、指定業種たらんとする中小企業界の希望と、その希望に基づく行動というものが積極的になっております。ところが、ここに私はある資料を持っておるわけですが、時間的な余裕がございませんので、内容を詳しく申し上げるわけにはまいりません。あなたもお聞き及びになっておると思うのでありますが、プラスチックは、加工はいいが、その材料をつくっておるのはだめだ。同じ一体化した形の中にありながら、その規定をつくる際における、規則をつくる際における判断、しかもそれが、中小企業庁の方から、この業種はどうしても指定してくれよという強い要望があるにもかかわらず、その業種の指定ができなかった。もちろん四月一日から発足でございますから、いまそれを指定ができるようになるかどうかわかりませんが、これら業種の指定につきましては、だれが考えても常識的に考えられるものを、ただ担当者の役人さんの判断だけで切り捨てるということでなくして、でき得る限り温情ある配慮をもって、枠を広げて対処していただくことが必要ではないか、こう思いますので、この点の見解をお示し願いたいと思います。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 先ほどお話しの、大規模に小売業を営む者と中小規模の小売業、その事業の調整ということは、御指摘のように、各地方における最大の課題でございます。そこで、各地方ごとにいろいろ調整の協議会等を設けまして、そういう紛争が起こらないように行政指導しております。いま具体的にいろいろお話しになりましたが、そういう点は十分注意をいたしまして、さらに行政指導を強化してまいりたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 一番最後に、一番大事な雇用調整交付金、これがいま三十九業種指定しまして、約六百万。しかもこうしている間もいろいろな陳情がありまして、事情を聞きながら、なるべく中小企業の方々によけいそういう恩典にあずかってもらいたいということで、作業しております。  もう一つは、賃金不払いというものがたくさん出ておりますが、これは私の方は労働基準局の機関を動員いたしまして、これによって大分解決したものもございます。いずれにいたしましても、こういう救済制度についても、省内において考えているということを御理解いただきたいと思います。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 時間が参りましたから、これで終わりたいと思いますが、最後に、各大臣、特に大蔵大臣については、先ほど来いろいろ御注文申し上げましたので、実施段階においていろいろ御配慮願いたいと思います。  それから、福田さんは副総理として、きょうは総理大臣が来ないので、副総理という形の中で、私は先ほど来、中小企業庁を初め、いろいろな政策の面について御質問を申し上げたわけでありますが、私の質問の内容をお聞きになっていただいて、何を考え、何を聞かんとしているかということについては、御理解がいただけたと思うのであります。今日の経済界の情勢、中小企業業界の情勢等を踏まえるならば、私がいま質問したことはほんの一部でありまして、より多くの困難な課題が山積しておると思うのであります。そういう意味において、私もまた、たびたび意見を出したいと思いまするけれども、積極的に、三木内閣自身として、これらの問題に取り組んでいただくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

谷川和穗自由民主党

○谷川委員長代理 これにて佐野君の質疑は終了いたしました。  次に、山本弥之助君。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 最近、地方行政の問題がマスコミをにぎわしておるわけでありますが、私は、今日の地方行政はまさに深刻な危機に当面しておる、こういうふうに考えているわけであります。いろいろ、地方行政の危機につきまして、どうも私どもの意図に合わないような報道を聞いておるわけでありますけれども、この点につきまして、自治大臣はどういうふうにお考えになりますか、まずお聞かせ願いたいと思います。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○福田(一)国務大臣 お答えを申し上げます。  山本さんは、地方行政の問題については実は専門家でもあられるし、非常に勉強もしておいでになるのでありますから、むしろいろいろあなたに教えていただきたい面もあるかと、私は思っておるわけであります。  いま地方財政は危機だという御認識をいただいておるのは、受けとめ方の問題ではないかと私思っておるのです。御案内のように、ずっと高度成長で経済が運行されてまいりまして、その間に地方の税収その他も相当ふえてきておる。また、そういうことから、ある意味では、人件費もふえておる面もあるし、それからまた、福祉関係の予算もふやしておるというようなことがあるところへもってきて、昨年あたりから、大分財政を締めなければいけないという空気になってきて、それが一つの転機といいますか、そういうことから、税収の面にもある程度影響が起こることが見込まれるし、かといって、いままでもふやしてきました福祉予算というようなものとか人件費などでも、私は、一遍に切り詰めるなどということは、実際問題としてなかなか困難な面があると思っております。  そういう意味から言えば、来年度の予算などになりますと、これはどうも地方財政が非常にやりにくくなる、これは非常な危機に直面しているんだ、こういう考え方があるわけなんですが、同時に、私らが考えておりますのは、それはそういう見方も一つあるけれども、こういう情勢下において地方財政を運営していく、地方財政、行政の面を処理していくという面では、いままでは毎年十数%の経済の成長があった、ことし五十年度からは四、五%せいぜい伸びるかどうか、そのあとうまくいっても六、七%しか伸ばせないのじゃないかというような状況下になるということを踏まえてみますと、地方財政、行政の運営についても、いままでのような高度成長の考え方で取り組んでいくということはどうも困難ではないか。そうすれば、そういうことを踏まえて今後の地方行財政をやるということになれば、これは一つの転機というふうに見てもいいのじゃないかという物の考え方もあって、これは私は表現の問題があると思いますが、しかしいま一つの節に来ているということだけは認めないわけにはいかない、かように私は考えておるわけでございます。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 ただいま自治大臣の御答弁をいただいたわけでありますが、私は、大臣の口からも、言葉の問題で、転機には差しかかっておるが、危機というふうに考えられないこともないというふうにも承ったわけでありますが、私はここは非常に重要だと思います。危機に対します否定は、大臣はされなかったわけでありますが、伝えられるところによりますと、自治省の首脳の方々は、地方財政は決して危機に当面していないのだ、転機にあるけれども、危機ではない。その原因は公務員の給与水準にあるのだ、これさえ是正すれば、今日の地方行政は今後も運営していけるのだ。もっとも、地方公務員の給与水準のことを心配されるのは、将来のわが国の経済の推移に関連いたしまして、成長が期待されない、いわば地方財政の伸びが期待されないので、公務員の給与が重要である、という意味のことを踏まえてのお話だと思うのであります。それにいたしましても、私は、地方行政の危機が公務員の給与水準にあるということに問題の焦点を置いておるということは、非常に遺憾に考えております。近く統一選挙も行われるわけであります。あるいは春闘もその前後に起ころうとしておるわけであります。そういった一連のことを考えますと、直接の原因は、大臣もちょっとお話しになりましたとおり、これはいままでの高度経済成長政策の破綻による、不況下の狂乱的なインフレであることは間違いないわけであります。この影響を受ける地方自治体も被害者だ、こういう認識がなければ、将来の地方財政あるいは地方行政のあり方は考えられないのではないか、私はかように考えておるわけであります。  私は、今回の危機は非常な危機だと思いますと同時に、かつて地方公共団体にも関係いたしました者といたしましては、地方自治体は終戦以来すでに危機に当面しておったということは言えると思うのです。敗戦後の十年間というのは、これは新しい憲法に保障されております第八章の「地方自治」ということに従いまして民主的な制度が整備されるのに、財源が追いつかない。あとの十数年はまた、いわゆる工業を中心とする経済成長に、地方自治体は全国各地で、いろいろなニュアンスがありますけれども、ひっかき回されてきたのです。東北なんかにおきましては、そのときの国の政策が、これは企業の自由意思によって立地がどんどん決定されたのでしょうけれども、太平洋ベルト地帯にどんどん立地をされておるので、東北方面にも工業が来るのではないかということで、各市で競って、あるいは県におきましても、見通しもなく、企業の誘致条例等をやって、それで財政がよくなるのではなかろうかという期待を持ってやったわけですね。ところが実際はそうではない。それに対する行政需要の方が先行いたしまして、必ずしも差し引き勘定に合わないという事態に当面したわけであります。いわばよく言われております二割自治とか三割自治とか、そういったことなんですね。ですから、地方自治体の体質のひ弱さですね、ひ弱さが常に危機に当面している。多少好転いたしますと、大蔵大臣もおられますけれども、景気調整で交付税は少しこっちの方に借り上げる、というよりも取り上げるぞというようなことで、地方公共団体はよくなったよくなったというふうな、これは自治省もこのことに対しては抵抗した時期があったわけであります。そういったことで、ひ弱い体質のもとにいじめられてきた。しかも、常に一定の枠組みの中に組み込まれておったというのが、今日に至るまでの地方自治体の実態であろうかと思うのであります。このことを、私は大臣によく御認識願いたいと思うのです。そうして、地方自治体は、本当にいまいろんな意味で危機に当面しているんだという認識のもとに出発していただかないと、地方行財政の問題は解決つかないんじゃないか、私はかように考えるのですが、重ねて、その点御確認したいと思います。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○福田(一)国務大臣 いまいろいろお説を承っておるのでありますが、私たちは何も人件費の問題だけを取り上げて、地方自治の問題を言うておるわけではございません。しかし、これはあなたはよくわかっておられるので、私が釈迦に説法するようなことはしたくありませんけれども、いわゆる標準的な年次に出た人が、国家公務員と地方の同じような仕事をしている人との間で差があるということは、だれが見てもおかしい。たとえば、こんなことも言いたくないけれども、今度警視総監がやめて二千七百万円前後しか退職金をもらえないのに、武蔵野市の何か議会の事務局長をされた方がやめられると四千万円だ、というようなことになると、そこらに何か不思議な点があるんじゃないかということを、だれでもお考えになるんじゃないかと思うのですよ。私は、何も地方行財政を論ずるときに、人件費だけを取り上げてすべての問題を律しようなんて、そういう考えはありません。やはり行財政の問題で整理すべきものもあれば、いろんなものもありますから、そういう面、国が超過負担を強いているような場合があれば、こんなものはもちろん是正しなければならないと、私はずいぶん前からそれを言っておるわけです。そして、四十九年度の補正予算でも、いわゆる学校とか保育所とか、そういうようなものについて相当やったことは、もうあなたがよく御存じのはずなんです。私は必ずしも人件費だけ取り上げて、そうして行政の面でやろうとかどうとか言いませんが、かといって、その問題はネグレクトしていいんだ、ほっておいてもいいじゃないかという理屈にはならないんじゃないか、私はこういうふうな考えを持っておるわけですから、いまいろいろお話がございまして、私はおっしゃる気持ちもわからないわけではありません。ありませんけれども、やはり地方行財政を見る場合に、人件費の問題が一つの大きな問題点であるということだけは、やはり御認識を賜っていただいておきたいと思っております。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 こういった問題ばかり言っていてもしようがないわけでありますが、しかし大臣、あまりそういった退職金の問題のことを言われますと、私どもの同僚、先輩がいわゆる高級官僚として、私ども友達でありますが、やめて退職金をもらい、二つ、三つ、四つと公団を回っていくうちにどのぐらいの退職金をもらえるか、そういったのが問題なんですね。トラの子のように、その金で老後を生き抜くという態勢は、それは金額の多寡について、われわれ余り金に縁のない者はうらやむ気持ちにもなりますけれども、そういった末節を余り大臣がおっしゃることは、私はどうかと思うのですが、しかしそのことはそれといたしまして、かつて大臣もされました福田大臣、私は自治体の将来のあり方がどうなるかということの見通しのもとに、自治体をよく見ていただきたい、こう思うのです。やはり自治体は国の財政硬直化とともに今後苦しい態勢にあるんだ、そういう前提に立たなければ、人件費の問題に歪曲されて、本当に過去苦労しておりました首長だとか、あるいは地方公務員というものの功績が、その歪曲した中で抹殺されることは非常に遺憾だと私は思いますので、非常に前置きがくどくなって恐縮でありますが、よろしくその点は大臣として御配慮願っておきたい。問題の本質を見失わないで、問題を矮少化しないように見ていただきたい、かように考えております。  そこで、今度の三木総理の施政演説につきましては、予算委員会で、私どもの江田副委員長が、非常にこれはいいことを言われた。いままでこういう地方財政の問題で触れたことのないことを言われたということにつきまして、私も非常に賛意を表するものであります。大臣が、地方行政というものに今後国の政治の重点が移るということについて理解を持っておるということは、私は、今後どういうふうに、総理が地方行政に対しまして具体的施策を打ち出していただくかということが問題だと思いますけれども、その地方財政の果たす役割りが大きくなるということと、大臣、これはもう一ぺん読み直してもらいたいと思うのですが、「自主的で責任のある地方行政が実現されるよう、国と地方との関係を初め、地方行財政のあり方について全面的に見直す必要があると考える」、こういう演説なんですね。このことは大臣の御答弁をいただかなくてもいいと思うのでありますけれども、昨日の地方行政委員会におきましても、大臣はこれと同じような趣旨の所信表明をされておりますし、また総理の御指示があったのかどうかわかりませんが、十六次ですか、地方制度調査会に国と地方との機能の分担のあるべき姿など、長期的視野のもとにおける社会、経済情勢の変化に対応する地方行財政の諸方策について御審議をお願いしたいということで、諮問をされたということでありますので、大臣も総理と全く同意見であるというふうに了解するわけでありますが、せっかく大蔵大臣にもお見えを願っているわけでありますが、私ちょっと気になりますのは、大蔵大臣の所信ですから、そうならざるを得ないのかと思いますけれども、大蔵大臣の本会議における演説は、従来と同じように、「国と同一の基調により、公共投資を初めとする歳出を極力抑制いたしますとともに、財源の重点的な配分を行い。」と地方行政に要望されておるわけであります。そして、特に「定員及び給与についての適切な管理を行うこと等により、節度ある財政運営を図るよう期待する」というふうに説明をされておるわけであります。このことは、昨年暮れに開かれました財政制度審議会の地方公共団体の問題につきましての中間報告の中に、公務員の給与の高いことに対する警告みたいな中間答申があったのですが、これらも踏まえてのことかなとは思うわけであります。しかし、いずれにいたしましても、「自主的で責任ある地方行政の実現ができるように、国と地方との関係を全面的に見直す」という考え方につきましては、大蔵大臣どうお考えになっておられますか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 地方財政法は、山本先生に申し上げるまでもなく、「地方公共団体は、その財政の健全な運営に努め、いやしくも国の政策に反し、又は国の財政若しくは他の地方公共団体の財政に累を及ぼすような施策を行ってはならない。」云々というようにうたわれておるわけでございまして、この趣旨は、中央、地方いずれも、両者が同一基調のもとで、調和を保ちながら健全に運営されることが肝要であるという趣旨であろうと思います。三木総理の御演説も、こういう趣旨と違ったことをおっしゃっておるものとは私は考えておりません。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 どうも、大蔵省の政府委員の関係の方に、ちょっと、私の質問の趣旨を言うことがとんちんかんだったかと思いますが、私のは、この際、国と地方との抜本的な見直しをやらなければいかぬのだ、そういう重大な時期になっているのだということについて、大蔵大臣はそれと全く同じ考えでおるのだ、こうお考えになっておるかどうか、そうだということをお聞かせ願えればいいわけなんです。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 国と地方との仕事の配分等につきまして、ここで見直さなければならぬとおっしゃった意味は、国と地方との取り組み方の中で、調和ある関係を犠牲にしてよろしいという趣旨ではないと、私は考えております。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 どうも大蔵大臣にいい答弁を願わないと、かっこう悪いのですけれども、どうも非常に警戒しておられるようですが、総理の考え方は、国と地方との行財政について今後見直すんだ。何を見直すかということは、私どももわからないのですよ。とにかく見直すんだという意気込みですね。それを大蔵大臣も踏まえて、国と地方との関係をお考えになる意思があるのかどうかということをお聞きしているのです。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 私も実は地方行財政に詳しい男ではないのです。けれども、今日の中央、地方の仕事の配分が適正で、間然するところがないとは考えていないのです。これはもう一度見直してみる必要があるということは、私同感なんです。総理大臣が言われることも理解できるのです。ただ、私が申し上げておるのは、だからといって、中央と地方との調和ある関係を乱してまでこれをやるということは、そもそも間違いではないかと申し上げているだけです。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 そういうお考えであれば、結構でございます。  そこでお伺いしたいのは、答弁が、だんだん総理の答弁も後退するような印象を受けるのですけれども、総理の言っておる、私ども重視しておる第一点は、「自主的で責任のある地方行政の実現」、私は含蓄がある言葉だと思うのですが、総理と同意見である自治大臣は、一体これをどういうふうに理解して、今後いかれるのか。地方制度調査会に諮問されておることについても、大臣のあいさつも読みましたが、大臣が、「自主的な地方行政」、「責任ある」ということもついておりますが、これをどう理解しておられるか、お伺いしたいと思います。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○福田(一)国務大臣 「自主的で責任ある」というのは、まあ「自主的」という言葉から出てくることは、やはり地方自治、自治という問題を、一つどうしても考えなければならない。それから、「責任ある」ということになりますと、やはり財政の、財源の問題も考慮し、しかも住民の要望もよく踏まえて、そうしてそれをよく調和させながら自治をやっていく、こういう気持ちを含んでおるのだと思うのです。行財政の整理というのとは、ちょっとそこはまた違っておりますので、もうそれはあなたはよく御存じだと思いますけれども、国で当然やるべきことを地方にやらせておるとか、あるいはまた、そう手続なんかを複雑にしないでもいいのを複雑にしておるとか、そういうものもありはしないか、そういうものをちゃんと直していったらいいではないかという意味で、地方制度調査会に諮問をされておる、私もまたそういう気持ちで諮問をしておる、こういうことでございます。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 大体お考えはわかりましたが、端的に申し上げますと、私はこの総理の言葉の中に、終戦以来やってまいりました今日の高度経済成長の中に、根づいているといいますか、根づいてまいりましたことは、地方行政に対する、あるいは地方自治体に対する中央集権的な考え方、これがどうしても離れていないと思うのです。今後国と地方との関係を見直す基本的な問題は、この中央集権的な考え方の是正、言葉をかえて言えば、地方分権といいますか、今後のあり方について、そういったことを念頭に置かないと、問題は解決しないのではないか。そのことは、重ねて申し上げれば、一面、ちょうどいままで地方公共団体がやってまいりました生活関連施設の充実だとか、あるいは住民福祉の強化だとか、いわば福祉社会をつくるという国の政策のことを、従来地方自治体の本来の仕事にしておったわけでありますから、そういった福祉社会の建設という方面に大きく転換するというのが三木総理のお考えであれば、当然地方に思い切って国のそれらの仕事をさせる、誤らないようにしてもらうのだという地方分権の考え方が、まずこの見直す際の基本になければならぬと私は思うのであります。  そうなりますと、具体的には、権限の委任だとか、あるいは公害立法で見られましたように、これもいろいろ議論したところでありますが、いわゆる地方自治体の憲法である条例によって、国の公害立法の足らざるところを地方の条例で上乗せするとか、あるいは幅を広げるとかということによって、地方住民の福祉のために条例を活用していくという考え方、これは公害ばかりじゃなくて、今後ほかの方の分野にもそれを拡大するんだということでなければならぬと思いますし、また、これは大きな問題になろうかと思いますけれども、後で触れますけれども、東京都のいわゆる自主課税の問題ですね、課税自主権。これは税体系の大きな枠組みを外すわけにはいかぬと思いますけれども、ある程度まで、それぞれ地域が違うわけで、国みたいに一本でありませんので、それぞれの地域に必要な税制を整備するという意味におきましては、やはり課税自主権というものが確立されておらなければならぬ。それは野方図になることは困ります。しかし、ある程度まで、そのときの変動ずる情勢に応しての課税自主権という問題も考えていかなければならぬ。それらについて自治大臣の御所信、また地方制度調査会等に諮問される際にも、それらの問題も踏まえて答申を求められるのかどうか、お聞かせ願いたい。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○福田(一)国務大臣 ただいま、自主性を持って福祉行政等もやっていくのが、一つの大きなテーマでなければならないというお話でございます。それは私は認めます。しかし地方、地方によっては、財源がずいぶん不足しておるところもあれば、地方の財政だけではどうにもならない、それから、そういう財源でもって福祉政策をやる場合と、いわゆる不交付団体等で非常な財源があるところでやります場合とでは、ずいぶん差が出てくると思うのですね。それではやはり不公正ということになりますから、そこで国として福祉行政をやります場合にも、まあこれだけは全体的にみんなやってもらわねばいけないというようなものは、やはりこれは国でやらなければいけないんじゃないか。財源の問題は別といたしましても、そのために、地方交付税とかなんとかいうような措置もやっておるのでありますから、そういうふうにして処理をいたしていくということが必要になると思うのでありまして、いま自主的に環境の整備をやるとか、あるいは福祉の行政をやるようにして、地方はその特徴を出していく必要があるじゃないかという御意見には、私、何も反対しておるわけではございません。しかし、そこにまた国全体として、非常に財源の多いところもあれば、財源の少ないところもあるというようなことを踏まえますと、福祉行政にしても環境整備の問題にいたしましても、やはり国がちゃんとやって、一応のめどをつけてやっていかなければならぬ面も、これは見逃すわけにはいかないのじゃないか、こういう考えを持っておるわけであります。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 ちょっと御答弁が食い違っているように思うのでありますが、地方に対しまして権限を移譲していくのだとか、あるいは条例立法というものを、さっきの公害立法のように、国の公害に対する考え方を逸脱はしないけれども、その地域の実情からいえば、条例でさらに上乗せしなければいかぬというような、その条例を強化するようなことを、さらに他の分野にまで拡大するとかいうようなことでなければ、いままでと同じパターンでは、中央集権的な考え方を変えるわけにはいかぬのではないか、地方分権という考え方でいくべきだというふうなことを私は申し上げたのであります。国全体との調和を乱すというようなことまで、私ども考えておるわけではないのであります。そういう意味でありますので、地方制度調査会等に対しましても、そういった方面につきまして、自治大臣として、十分審議を尽くしていただくという御配慮をお願いしたいと思います。  それから第二の点の、国、地方等のあり方の見直しということについては、第一点の地方分権を強化するという方向に関連しますと、当然行政事務の配分と同時に、地方の自主財源といいますか、税源の再配分ということを考えていかなければならぬのじゃないか。生活関連施設にいたしましても、福祉施設の充実にいたしましても、今後相当投資をしなければならぬ、しかも、今日の民間投資あるいは公共投資との関連におきましては、逐次公共投資の方にウエートを置くことになると私は思うのであります。そうなりますと、公共投資にウエートを置くとなれば、当然それらの仕事を——従来でも国が七割の税金を取っておるが、仕事は地方に七割させるというやり方を、地方の方に税源を持っていく、そしていわゆる福祉社会の建設のための努力をするのだという転換がなければ、これは国と地方との見直しと言えないのじゃないか。この点をどうお考えになっておりますか、お聞かせ願いたいと思います。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○福田(一)国務大臣 いま見直しの問題で、地方が自主的にやれる面をふやしていかなければいけない、それをやるにはやはりどうしても税の面その他を考え直してみなくちゃいかぬじゃないかというお話なんですが、私が先ほど申し上げたのも、その一面を申し述べたつもりでございまして、もちろんその土地、土地に応じた福祉政策あるいは環境整備というものをやらなければたりません。やるべきであると思います。しかし、それをやります場合にも、財源の問題等を無視するわけにはいかない。いかに財源を与えようとしても、そこにはそれがない場合もありますから、そういう場合には、やはり国の方から出さなければいかぬという面もございます。それがいまも地方交付金というものがあって、いま七割国が取って、それで三割しか地方に取らせない。確かに三割くらいしか取っておらないけれども、国が取ったのは交付金で相当額を渡し、あるいはまた、その他の方法によりまして、かれこれ計算をしてみますと、七割くらいは地方でやはり使っているということになるわけです。これはもうあなたもよくおわかりのことなんですけれども。だから、取る方はそういう取り方をしておっても、使う方は、やはり地方の方で七割くらい使っておるということはお認めを願えると思うのでございまして、そういう意味で、その七割を使うようにしておるけれども、そのところ、ところによって、また特にやらなければならない仕事があって、そこで財源があるということならば、それは法律の定めるところで、それをちゃんと規定してございますから、それを取っちゃいかぬとか、条例をつくっちゃいかぬとか、そういうことを言っておるわけではない。     〔谷川委員長代理退席、湊委員長代理着     席〕 そこはひとつもう少し柔軟な見方をしていいと思っておりますけれども、それだからといって、例を挙げては恐縮ですけれども、鹿児島と東京というようなものを、同じような形でとらえて、地方行政をやるというわけにはいかないのじゃないがということを、われわれは申し上げておるわけですから、ひとつその点も御理解をいただきたいと思うのであります。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 五十年度の税収をちょっと見ますと、国が十七兆三千四百億円、地方が八兆八千八百五十億円でございまして、地方は国の五一%程度でございますので、これは従来と変わっていないわけなんですね。そうして国は、ことしからたばこの値上がりがあるわけですから、さらにこれが伸びるわけであります。私どもの成田委員長は代表質問で、この配分、七対三といいますか、これを今後の将来の見直しの際に、五分五分の割合にする必要を質問しておるわけであります。これについて、総理は何ら答弁をしていないわけなんですが、そう一気にというわけにいきませんが、そういったふうな方向に行く努力をしたいというお気持ちは、自治大臣におありでございますか。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○福田(一)国務大臣 そういう問題も含めて、いまちょうど地方制度調査会に諮問をいたしておりますから、こういう問題も、そこでどういうふうな結論が出てまいりますか、なるべく早くというので、来年度予算には少なくとも間に合わせにゃいかぬというので、七月までにはぜひ出してください、こう言ってお願いしてございますから、そういう事務の配分の問題等も踏まえながら、考慮はしていいと思っております。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 これは大蔵省に重要な関係があるわけでありますが、大蔵大臣、これにつきましてはどうお考えになりますか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 大変恐縮ですけれども、その初めからパーセンテージを決めていくなんという考え方には、私は余り賛成できないわけでございます。中央、地方の税源の配分のあり方につきまして、篤と検討をし、見直していくということ自体には、私も賛成でございますけれども、五割、五割にすることが絶対的に現在より正しいのだということは、一つの独断ではないか、そういうことには、にわかに賛成できません。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 地方の方に税源をふやすということについては、御異議はないわけですね、比率はともかくといたしまして。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 それだけの理由がある場合は、賛成いたします。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 だんだん警戒的になりますので、まあ大臣も十分その点は、地方制度調査会の答申があろうかと思いますが、今後のあり方として、やはりそういうことをされなければいかぬのじゃないですか。それでなければ、いつまでも地方自治体は一本立ちになりませんよ。やはりそういうことによって、国は、自由に責任を持ってやれる自治体をつくるということから言えば、がんじ絡めにするようなことから逐次手を引いていく、そのことが国の福祉社会実現にかなう道であるという今後の見通しの上に立てば、私は当然、そうならざるを得ないと思うのですが、これは大蔵大臣も、大蔵省の立場で、財政硬直化の際、いろいろ難色があることは私どもわかるわけであります。しかし、そういう方向に行くことについては、これは積極的な御配慮を願いたいと思っております。  そこで、これも本年度の税制改正についてはお尋ねいたしましたが、先ほども触れた問題ですが、せっかく多年要望しておりました大都市の税源、これは大都市の税収をふやすということばかりではなくて、大都市のいわゆる課税の公正を期するという意味、いわゆる集積の利益のある企業、事務所に対しては税を課する、これは自治省としては多年の要望であったわけであります。これをすんなりと私は税制改革に——まあ結果においては盛れたのでありますけれども、ただどうも、そういった誠意を持ってというとおかしいわけでありますが、あり方をとっていただけないのが残念なのは、たまたま前年度に東京都で、いわゆる法人事業税の標準税率より高く取り、しかも不均一課税をしたということで、非常に自治省では問題にしたわけであります。こういった超過課税という問題が、事業税ばかりではなく、たとえば千葉県の事業税の外形課税の問題だとかあるいは法人住民税の超過課税、これは当然できるわけでありますが、こういった問題と関連して、いわば地方の自主的な課税自主権といいますか、これは当然法令に基づくものでありますけれども、それらのことに関連しまして、法人事業税の頭打ちをする、いわゆる標準税率より取れないようにするということに関連しての事務所事業所税というものが設けられたという経緯を私は聞いておるのです。  こういった考え方が常に国におありだということに、地方側の立場、しかも、地方側といいましても、全国民とも言えるわけでありますが、そういう感じをぬぐい切れないのでありますが、こういう意味におきまして、私この際、将来の税制上の問題としてお聞きしたいのは、良識ある法定外普通税の創設だとか、あるいは目的税の創設だとか、そういったものにつきまして、自治省というものは、将来の長い展望に立って、いわゆる地方の法律上に認められておる課税自主権というものについては、地域地域の実情に応じて十分これを認めていくのだという考え方に、将来の見直しということとも関連をして、お考えになっておるのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○福田(一)国務大臣 ただいま東京都の法人事業税の問題等に関連しながら、御質問があったわけでございますけれども、これは相当の理由があっても、ある一定の限度というものは、常識の範囲で決まっておるものでありますから、それをどの程度がいいか悪いかということになりますと、これは行政の問題ですから、認定の問題になると思う。その意味では、東京都のやられたのは正しいかどうかということでは、われわれは少し行き過ぎではないか、こういう考え方を持っておるわけでございまして、その意味では、あなたと意見が相違することは、これは、まあやむを得ないことになるかと思いますけれども、しかし、事業所税というものをつくりましたのは、先ほどあなたも仰せになりましたけれども、当然、大都会におって、それによって非常な利益を受けておるのだから、これからはそれに相当する分を取ってもいいじゃないか、こういう考え方で、今度税をつくることにいたしておるわけでございまして、直接これを関連を持たせるという気持ちはございません。  しかし、こういう問題これは大都市で取りまして、大都市のある程度の財源になりますが、これは一部は地方にも配分されるというようなことにもなりますから、まあ考え方としては、いろいろの面は出てくると思いますけれども、私は、これも一つの現在の過疎過密という姿においては、当然やってよい税制ではないか、かように考えておるわけでございます。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 詳細につきましては、いずれ地方行政委員会等で審議をいたしたいと思いますけれども、基本的な問題について、私、お尋ねをしておるわけでありますが、今日、国税につきましては、当委員会におきましても、堀議員が不公正な税制につきまして、いろいろ細かい資料に基づいて、質問をされたようでありますが、地方税側から見ましても、私は、国税において余りにまだ企業優先の税制が温存されておるという感じをぬぐい切れないわけなんです。  今日、個人住民税が所得税と性格が違うことは、私どもよく了承しておるわけであります。地方の財源を確保したいと思うのですけれども、今度の改正の百二十万という標準四人家族の課税最低限は、余りに低過ぎる。やはりこれは引き上げなければならぬ。しかし、それでは地方としては困るわけですから、ことしの減税を見ましても、国が二千億、地方はその倍の四千億もの減税、政府提案の予定されておる税制では、倍の減税をするわけでありますが、それ以上に減税しなければなりませんので、これに対しては確かに補てん財源を考えなければいかぬわけです。その意味におきましては、やはり法人課税の問題、さっきの良識ある超過課税をしなければならぬと思うのであります。あるいはできれば、千葉県なんかの事業税の外形課税。それにしても今日なお、自治省も同感であろうと思いますのは、租税特別法による地方の影響が遮断されていないこと。昨年は府県市町村合わせて三千五百億という入るべき税金が入らない。これの整理も早くしなければ、いつまでたっても企業優先の税制、いわゆる公正は期しがたいと考えております。ことに、これは自治省でも、大臣が言明されたか、ちょっと記憶がありませんが、電気税ですね。電気税のうちに、産業用に課税する電気税の非課税措置は、来年あたりから廃止をしたいという意向だったと思いますが、これは、そのまま残されておる。これもやはり五百億から七百億くらいの税収になると思うのです。そういう当然是正しなければならぬ財源があれば、所得税に比較して非常に負担が重いと感じておる地方の個人住民税を、もう少し軽減する措置も考えられるのではないか、こういった感じがするわけでありますが、ここらあたりにも、私のさっき申し上げた将来の税源の配分あるいは不公正を是正するという考え方というものが依然として直されぬで、企業優先の考え方、そういったものがやはり残されているという感じをぬぐい切れないのであります。私ども、これは修正をしたいと思っておりますけれども、自治、大蔵両大臣、どうお考えになりますか。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○福田(一)国務大臣 住民税の問題でございますが、お説のように、子供二人夫婦の場合には、百二十一万八千円以下は免税ということにいたしまして、いままでの百一万六千円よりは二十万円余免税点を引き上げたわけでございますが、これをやるにつきましても、何といっても住民税というのは、地方公共団体の一つの大きな税収の柱になっておりますから、これをこれ以上上げるということになれば、これを何か補てんする道を講じなければいかぬじゃないか、それならば電気税とかガス税、そういうようなものでもあるではないか、あるいはこの超過負担というか、法人税に対して、また何か上積みの税金をかけてもいいじゃないかというようなお話でございますが、これは国との税全般にわたる問題でありますから、やはりわれわれとしては、まあ税制調査会でありますとかその他、そういうところに審議を願い、また、われわれの方におきましても、委員も出しておって、そして国と地方との税の、どういうふうに徴収し、どういうふうに分けたらいいかということを公正に判断してもらうように、調査会もつくってやっておるわけでございまして、いま電気税の問題は、もうことしはやめることになっておったではないかということでございますが、やはり税源というものをあまり減らしますと、一度に減らしていくということは、地方の収入があれすることになりますから、あなたは、もうそういうことをよくわかって御質問になっているのでありますから、この住民税を減らすことに際しては、他の税収あるいは国からの交付金等をもっとふやして、そういうふうにしたらいいじゃないかというお考えだと思うのでありますが、いろいろの事情を調査いたしました上で、われわれとしてはここら辺が妥当な案ではないか、こういう意味で引き上げをさせていただいた、こういうことでございます。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 中央、地方通じての所得税、住民税の課税最低限につきましては、かねがね申し上げておりますように、諸外国と比較いたしましても決して劣らないばかりか、相当思い切った引き上げになっておりますので、私どもとして、欲を言えば仰せのような御説もあろうと思いますけれども、この段階におきまして、なお五十年度として、さらに最低限をもう少し上げなければならぬものというようには考えておりません。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 どうも了承できませんけれども、まあ基本的なお考えをお聞きしておりますので、さらに進みたいと思いますが、いままで私申し上げてまいりましたことは、国と地方との見直しに関連いたしまして、税金を配分するという考え方をしなければ、この見直しというものが、具体的には、何ら総理大臣の表明のようにならないのだということを申し上げたのであります。  それにいたしましても、将来の方向といたしまして、地方税が国からの配分によりましてふえてまいりますにつきましても、過去の大きな人口移動によりまして、今日、地方自治体さまざまでありますが、困っておりますのは、人口急増地帯あるいは企業や資本の集中した地帯、あるいは今日人口の著しい減少で困っております過疎地帯の市町村というふうに、地方公共団体はまちまちであります。したがって、税金を地方に譲ってもらって取ろうにも、取る税源というか、各地方団体が潤うような普遍的な税収が得られないということに当面するわけであります。そのためには、地方に税源を委譲していただきましても、どうしても必要になってまいりますのは、やはり自主財源であるところの地方交付税の問題なんです。これは決して減らせない。そういった制度的に収入を上げ得ない地方に配分する意味の交付税というものを考えていかなければならぬ、こう思うのでありまして、この点につきましては、税の再配分に関連いたしましても、交付税は重点を置いていただきたい。  将来どうなりましょうか。私どもやはり、今後何年間、五年とかあるいはさらに将来の展望に立って十年となりますと、恐らく地方税がふえると同時に、交付税もふやさざるを得ないんじゃないかという感じがいたしますが、この見通しにつきましてどうお考えでございましょうか。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○福田(一)国務大臣 過般、この交付税につきましては、国税の二九・五を三二に改めまして、いまはそれで国税三税についてはやっておるわけでありますが、これがどうなるか、それでは足りないのじゃないかという御質問、あるいは将来どうなるかという御質問かと思うのでありますが、来年度の予算につきましては、われわれはいま案をすでに国会にお出しする段階におきまして、十分地方行政がやれるように、あらゆる面において措置をいたしたつもりでございますので、これはまた、いろいろと御検討願うべきことであるとは思いますが、われわれとしては、あの案によって、いま考えておられるようなことが大体実現できる、こう思っております。  したがって、五十年度の問題としては、交付税の問題をすぐここでどうこうするという意図はございません。しかし、先ほども申し上げたように、いろいろ環境の変化等々がございますれば、そのときにはやはり何でもかんでも、もうきめたならばそれは絶対に動かさないのだなんというようなものの考え方でいくべきではない。それは、そのときに応ずる必要はあると思っております。しかし、五十年度の予算につきましては、われわれとしては、そういう考えを持っておりません。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 五十年は所得税のミニ減税でございますので、それに酒税もふえるわけでありますので、ある程度まで伸び率が大きいわけでありますが、これは補正予算に比べるとそう大した、五%くらいの伸び率だろうと私は思うのですが、とにもかくにも、年度当初比較からいくと、相当の伸びになるわけであります。将来の構想としては、その点、お考えになっていただきたいと思います。  と同時に、補助金の関連におきまして、いまの零細補助金の整理ということは、これは地方からもう言っているわけでありまして、後で申し上げます補助金の超過負担の問題というのは、これは地方自治体にとりまして、もう最大の悩みなんですね、摂津訴訟が起きているくらい。そうなりますと、補助金の中で残すべき補助金、今後新しい需要も出てくると思いますが、たとえば地方の重点事項の下水道というような問題は大きな問題になりましょうし、ありますけれども、補助金の整理をいたしまして、交付税が第二補助金みたいな性格よりも包括財源、あるいは補助金で出しておったものを、交付税の中にそういう零細補助金は吸収するのだというような意味におきまして、私は将来の趨勢からいって、税源の配分が地方に傾斜しても、交付税は減らすべきではないのではないかという見通しを持っていますが、これは、そういう意味におきまして、十分自治大臣、大蔵大臣にお含みおきを願いたい。  ことにこれは、いろいろ問題がありますが、今日独立採算制と公共性との板ばさみになっております公営企業であります病院とか、あるいは特に交通機関のバス、地下鉄、あるいはいままで大して問題にならなかったのですが、現在大きな問題になっております水道、これは独立採算をとれば、当然公共料金を上げなければいかぬわけであります。しかし、こういうものがどういう料金の体系をとるかということは、電気、ガスの料金体系等、いわゆる最小限度の需要については安く、大量に使う者には高く取る、電気料金、ガス料金の値上がりに伴いまして、そういった中で配慮がなされたのですが、そういった意味の配慮も加えながら、ある程度まで、公共料金、そういった水道料金というのは、経済の趨勢によって、上げなければならぬと私は思いますけれども、それには限度がある。そういうことになりますと、いわゆる社会政策的な配慮をするものについては、一般会計から繰り入れなければならぬ、そのある部分は交付税でもめんどうを見なければならぬという意味もありまして、地方交付税の将来の増というのは、決して減らぬのだというふうな見通しを私は立てておりますが、これらもあわせて、地方制度調査会その他におきまして、十分御検討願いたいと思います。  そこでこの際、あわせて地方債の問題でありますが、地方の財源として、将来の見直しをいたします際に、その地方債の手続関係が非常に繁雑なわけですね。これは自治、大蔵両省の所管であります。そしていまだに個別的に許可を受けなければならぬということになっているわけですね。私は、これはもう少し検討を願わなければいかぬのじゃないかというふうに感ずるわけでありますが、たとえば包括的な枠をつくる、そしてその配分がきまります。もっとも、中央における金融事情その他によりまして、いわゆる地方債も含めまして、融資の総枠をどう配分するかというようなことについては、私は、配分委員会等も必要かと思いますけれども、地方債それ自体につきまして大枠で配分をする、いわゆるいろいろな地方の実情に応じて大枠で配分をする、ただ特定の、たとえば住宅に力を入れる、下水道に力を入れる、学校に力を入れるとかいうふうに、重要な部分については、事項別の許可制を残すということはやむを得ないとしても、地方債はどのくらい発行すべきかということについては、毎年包括的に自治体の実情に広じて枠をきめるというふうなやり方にしまして、一々個別に審議する、繁雑な手続を経て実際にきまるのは一年もたってきまるというのでは困るのでありまして、見通しを立てて一年間の財政運営ができますように、そういったあり方に切りかえていくべきではないか。場合によりましては、その配分についても、しかるべき機関によって配分するということについて考えがあるかどうか。  それから私、おもしろいと思いましたのは、これは地方財務協会の記念誌か何かに、自治省の皆さん方で検討された将来のビジョンといいますか、十年後のビジョンということで、地方公共団体では金を借りることについて十分できないような町村もあるので、できたら公営企業金融公庫と同じような、地方公共団体の金融公庫みたいなものを設置する時代が来るであろう、というような皆様方の検討事項があったのですが、私は、非常におもしろい構想だと思うのです。これについては、大臣お聞きになって、局長、課長、皆さんで検討されたと思うのですが、おもしろいと私は思っておりますが、そういったことにつきまして、大臣どう考えておられますか。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○福田(一)国務大臣 政府委員から答弁させます。

松浦功自治省財政局長

○松浦政府委員 地方債の問題につきましては、やはり事業ごとに地方債を許可するということが、地方債の性格上しかるべき措置であろうかと思いますので、ただいま御指摘をいただきましたような包括的な配分ということは、私どもとしては、現在考えておりません。  なお、御指摘をいただきました地方団体中央金庫の問題でございますが、これは自治省の長年の悲願でもございます。ぜひそういう方向で実現をいたしたいという気持ちは持っております。いろいろ関係方面との問題もございますので、今後努力をしてまいりたいと思っております。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 後のことは先でありましょうからあれですが、大臣、松浦財政局長は、どうも地方公共団体を締めつけようという考え方があるものですから、やはり個々に地方債というものは抑えておかないことには、財政的な締めつけがきかないのだというような含みがあるのじゃないか。もう少し信用して、起債ができる能力というものは、それはおわかりになろうと思うので、地方公共団体の総体の起債がわかれば、これは地方側に、その起債を何に充当するかまかすのだ、ことしは充当率六〇%とか八〇%とか、そのときどきにおいて、融通無碍に地方公共団体を操作されるというのが非常な妙手だと思うのであります。そういうことは余り細かくお考えにならぬで、財政力に応じて、地方が本当に金の要るときに借りられる、しかも十分償還能力があるのだ、そういったことでなければならぬ。私は、外国のことは余り詳しく知りませんが、こんな個々に細かく微に入り細にわたったようなやり方というものは、外国の地方自治の発達したところには、あるのかないのか一わかりませんけれども、ちょっと繁雑過ぎるのじゃないか。懸案として十分事務的にも御検討を願いたいと、自治大臣にお願いしておきます。  大分時間がたちましたので、私、重点を置かなければならぬ国庫補助負担金の問題であります。これは十年越しなんですね、自治大臣。これは大蔵大臣も十分考えておいていただきたいと思うのです。そしてこのことは、調査をして翌年これを是正する、これは地方では大きな問題になっております。これは補助金、負担金を含めまして、委任事務の経費もありましょうし、あるいは運営費の人件費もありましょうし、幸いことしは、補正予算で、年度当初に比べまして相当の単価補正だけはしていただいたわけであります。ところが、地方の実情によりますと、単価補正ではないのですね。門だとか便所が補助調査対象になっていない、これは当たっておるか当たっていないかは別といたしまして。そういった数量差だとか対象差の問題も問題なんです。恐らく調査をされたこともあるわけです。そういったことも含めまして、国保の人件費の問題だとか、その他保母さんの関係だとか、運営費も一部厚生省で配慮したようでありますが、そういった問題を、しかも補正された根拠もわからぬ、どうなっているかわからぬというような、中央と地方との、是正をしながらも不信感がいつまでも残っておる。これはあからさまに、両方が納得いくまで、この補助負担金の問題は詰めて、地方側から超過負担の問題がいつまでも尾を引いて、将来どうなるかわからぬ、将来も問題が残るというようなことのないようにしてもらいたいと思います。この際、厚生大臣お見えになっておりますので、質問事項には入れておりませんでしたが、今後厚生省の事業が多いと思うのです。厚生省は特に、保育所がふえる、老人施設がふえるというすぐの問題よりも、寒村でも老人ホームが必要だし、あるいは身障者の施設も必要なわけでありますから、そういうところに迷惑のかからないように、今後のそういった施設の補助金につきましては、運営費も含めて、超過負担になって地方公共団体が悩むということがないように十分配慮願いたい。今年度の年度途中においても、是正すべきものは是正を願いたいというふうに、強く厚生大臣に要望したいと思うのでありますが、この問題につきまして、自治大臣、大蔵大臣、厚生大臣の御答弁をいただきたいと思います。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○福田(一)国務大臣 この超過負担の問題につきましては、私はごもっともな御主張であると思っておるのでございまして、二、三年前から、私はその点は強く主張をいたしまして、ようやくではございましたが、根について、今度の是正が行われたのが、四十九年度の補正予算において行ったことは御案内のとおりでありますが、いま地方公共団体等で超過負担に対する特別委員会か何かをつくって、超過負担の内容を調査しようということである。私は、こういう場合には自治省あたりもどんどんそこへ出ていって、そうしてどういう事情であるかということを承って、そういう超過負担があれば、強力に国に要請するということはやぶさかでございません。私は、一番冒頭にも申し上げましたけれども、超過負担の問題については、地方のおっしゃっている意味はよくわかると思うのであります。そういうわけでございますから、御趣旨を体して、今後も運営費の問題についても、超過負担の解消というものは強力に進めていきたい、かように考えております。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 補助金制度の簡素化ということにつきましては、従来から政府も鋭意やっておりますけれども、なお十分成果を上げていないことは大変残念でございまして、今後も鋭意努力してまいりたいと思っております。  超過負担の解消につきましては、御案内のように、費目を特定いたしまして、実地調査をいたした上で、単価の是正等を通じまして鋭意やっておるわけでございまして、今年度からは、ことし調査を終えたものを明年度からやるということではなくて、早速当年度から着手するということにいたしたわけでございまして、今後も鋭意進めてまいりたいと思っております。

田中武夫日本社会党

○田中国務大臣 当省関係の超過負担、建築単価等につきましては、三省の共同調査によりまして、どうやら非常に幅が狭くなったというふうに考えられておるわけですが、いま一つ問題は、設置基準と申しますか、広さ、平方メーターという点について、地方へ行ってみますると、国の方の基準が小さ過ぎるじゃないかといったような別の角度の超過負担問題、しかしまた地方のあり方というものが、あれでぜいたくでないのかどうかというところに、むずかしい問題が実はある、現場を見ると、そういう感じがいたすわけでございます。こういったような面の超過負担というものについて、今後ひとつ検討を進めなければならぬ新しい問題が出てきている、というふうに認識をいたしております。  なお、運営費については、国保、年金等のいわゆる運営費補助金については、三省共同調査で、二年計画で、初年度分がことし入っておりますので、これは明年をもって解消しますが、さらに先に向こうが進んでしまわないよう配慮しなければならない。  それから、施設の措置費等についても、今後いろいろと検討し、できるだけ超過負担の解消に努めたいというふうに思っております。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 ここで、私、提案したいと思いますので、この問題は重要であり、地方自治体にとりまして非常に悩みの種でありますので、昨年、自治大臣もお話しになりましたように、町村自治大臣と飛鳥田市長との申し合わせというような、六団体を中心とした会議に自治省の方から来てもらうということになりますと、さらに大蔵省だとか各省の方の折衝をしなければいかぬわけですから、できればこの際、暫定的に、臨時的に、総理府に補助金の総括的な問題を含めて超過負担解消委員会というようなものを設けて、そして精力的にこの問題のあり方を、補助金のあり方も一緒に検討する、そして超過負担の問題を早く解決をつけるのだというような御意図はございませんでしょうか。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○福田(一)国務大臣 新しい御提案でございますので、超過負担を解消するということについてはわれわれ賛成なんでございますから、検討させていただきます。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 ちょっと時間が少なくなりましたが、地方公務員の定員と給与問題でありますが、これはラジオなんかでも取り上げていまして、あちこち取り上げておるようでありまして、にぎやかになってまいっておりまするが、広島県の加計町の問題であります。いわゆる住民運動として、一方では安くしろという住民運動としての大会、いわゆる町民大会等が出ておりますし、それから一方では、職員組合に対する応援ということで、本来その町の職員と町長との間で十分ひざを交えて話し合うべき問題が、実は町民運動というような姿で問題の解決を図ろうという町長の姿勢にも、私は考えるべき点があるのではないか、こう思うのですが、それにしましても、これは調査に行った人から私もらいましたので、おそらく間違いないと思うのでありますが、町長とその組合との間に、一応十分に話し合うのだというような確認書もあるわけでありますが、これの背景として、広島県の総務部長の田中さんから加計町長にあてまして、「職員の給与については鋭意御努力されているところでありますが、このたび昭和四十八年地方公務員給与実態調査(指定統計)の結果が公表され、これに基づく貴市(町村)のラスパイレス指数を別紙のとおりお知らせしますので、参考にして一層給与の適正化に努力してください。」という文書が行っているわけなんです。恐らくこれは自治省から行った文書を受けて、総務部長から加計町長に行かれたと思うのであります。そして国の一〇〇に対して、貴市のラスパイレス指数一一五・三、こういったのが行っているわけでありますが、これらを受けて、こういった騒ぎになったと思います。     〔湊委員長代理退席、委員長着席〕   私が非常に遺憾だと思っておりますのは、これは十分話し合う問題で、こういった大騒ぎになることを、あっちこっちで、しかも市民運動みたいなかっこうで引き起こすことは妥当ではない。しかもこういった通牒、ラスパイレス指数というのはわかっておるのかどうか。結果は町から集めたのであれだと思いますけれども、それにしても、こうなんですよと、ラスパイレス指数の説明を町長以下が理解して、本当に一一五なのかどうか、その高い事情がどうなのかということを、十分これは説明もしていると思いますけれども、実情はわかりませんが、一片の通牒によりまして問題を拡大しておる。この問題は、時間がありませんので、いずれゆっくり委員会等でもやりますが、私はこれでは困る。確かに野方図もなく高いということについてはともかくといたしまして、やはり私ども、国家公務員並みでなければならぬという強い姿勢、これはちょっとおかしいのではないか。やはり地方公務員は国の公務員のあり方とは違うのですね。行政職だから、国の管理部門と同じような管理部門の比較だ、こういいましても、地方の管理部門というのは国とは違うのですね。ことに府県よりも市町村になるほど、管理部門の職員というもののやっておることは、本省その他中央政府、国家公務員のあり方とは違うのじゃなかろうか、こう私は思うのであります。したがって、ラスパイレスなんかについても、よく徹底しておるとは思いますけれども、現実に本当にそんなに高いのかどうか。これは仮定があるのですね、現実よりも将来はこうなるという場合もありますね。国は平均三十八歳ですか、地方は三十六歳、三十三歳となります。それに加算して、現実に払っておらなくて高いのだというような仮定もありましょうし、あるいは経験年数のとり方によっての誤差も出てくるのじゃないか。この統計それ自体は完璧と言えないにしても、このラスパイレス指数というものが間違いであるとは私は言いません。だがやはり、そういった誤差も中にはあるのじゃないか。中央と町村とは大分実態は違うのじゃないかという感じもします。それにしても、余りにこういった問題で刺激して、今後ある程度まで経済が低経済に移行する中で、いろいろな苦労をした地方行政をやらなければならぬというときに、いたずらに紛糾を刺激するような、これが解決しなければ地方自治体の危機は解消しないのだというような意気込み、そえいった短兵急の行き方で行くことについては、私ども賛成できないわけであります。極端に高いところを言う問題はいろいろあろうかと思います、その首長なり組合との話し合いで、これは決まっていることですから。現に指定都市は、四十三年の調査によりますと相当高かったのですけれども、やはり五年間に自粛をいたしまして低くなっているのですね。そういった実情において努力をする面もあるわけなんですね。その点を、これはいずれあれしますが、十分配慮を願いたい。慎重な態度をとってほしい。重要な問題であれば、私は住民運動を避けるべきではないと思いますけれども、わけもわからない、細かいこういった問題を住民運動でやるには余りに——冷静に判断し、地域の平和を保つ、市の職員と地域住民は平生接触しているのですから、その辺の配慮も必要ではないかという感じがするわけでありますが、これらの問題を発表されるときには、十分その辺の配慮を願いたい、こう思っております。  時間が五分しかありませんので、すでに本委員会でも質問があったと思うのでありますが、自治大臣以外の関係大臣は御足労をかけましたが、自治省で出そうとしております地方事務官問題であります。これはなぜいつまでもごたごたしておるのか、何か結論をおつけにならないのか。自治大臣は地方自治法の一部改正案をお出しになるのかならぬのか。この点につきまして自治大臣、先ほどの公務員の定数問題、給与問題と、それから各大臣から地方事務官問題についての御答弁をいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○福田(一)国務大臣 ただいま広島県の加計町の問題でお話がございました。私も実は仄聞いたしておるのでありますが、何か町長が役場の職員との間でいろいろやっておるけれども、どうしても解決がつかないで、そしてこれは、あなたのお話もございますけれども、私が聞いておるところでは、また町長が相当つるし上げを食って、どうにも動きがとれぬ、それを見るに見かねて住民が決起して、そして住民運動を起こした、こういうふうに私は承っておるのでございます。詳しいことはまた別の機会に申し上げますが、私の仄聞しておるところでは、これも決して間違ったことを言うような人から聞いておるのではございません、私もなるほどなあと思って、それはちょっと困ったことであるなあと、私は思っておるのであります。  それはそれといたしまして、ただいま、いわゆる地方事務官の問題をどういうふうに処理するかという御質問でございますが、私としては、何とかしてひとつこの問題を解決したいと思って、鋭意いま努力をいたしておるということでございます。

田中武夫日本社会党

○田中国務大臣 当省の地方事務官は、社会保険事務を担当しているものでありますが、これはこの仕事が全国的に画一的、統一的にやらねばならぬということ、国が経営と管理の責任を持っているということ等を考えますと、現在、地方事務官制度を前提にして一部機関委任をいたしておりますが、これを全面的に機関委任をしてしまって地方吏員にすることについては、この業務の内容等勘案いたしますと、必ずしも適当ではないというふうに思います。しかし地方事務官制度というものについては、そうした問題を踏まえて、できるだけ早くピリオドを打ちたいというふうに思っておりますが、このやっている仕事の内容等勘案いたしまして、それに適当な方向でピリオドを打ちたいというふうに思っております。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 御案内のように、労働省の第一線の職業安定行政というのは非常に大変なことでして、その上に県の方に地方事務官ということでして、そういう複雑なところ、しかも、なおかつ最近は雇用不安のときですから、一線の諸君に不安、動揺を与えてはいかぬという気持ちもありまして、慎重に将来に向かって検討したい、こう思っております。

木村睦男自由民主党運輸大臣

○木村国務大臣 御案内のように陸運事務所が地方事務官になっております。陸運事務所の仕事の中で、登録、それから車両検査、これは陸運事務所を運輸省の出先機関といたしまして、この仕事をやらす。で、地方に移譲いたしますのは、そのほかの管理行政でございます。この管理行政の中で、県より以外、広範囲にわたるものと、県内で処理できるものと、いろいろそこは複雑な点がございますので、そこをどういうふうに分けていくかということで、いまその点を鋭意検討をいたしておる実情でございます。

山本弥之助日本社会党

○山本(弥)委員 委員長、ちょっと。これは一昨年も質問した問題で、そのときには、非常に前進したような印象を私は受けたのでありますけれども、どうも依然として後退という感じで、運輸省だけはめどがつきかけるというような感じがするわけです。厚生省、労働省は提携しているのか、非常に頑強に、一昨年私の質問したときよりも後退して、一体自治大臣が自治法を提出することができるかどうか疑問を持つのであります。  問題は、現実に仕事をやっておる、身分が国家公務員であるのと地方公務員であるのとの相違だけなんですね。現実の事務に何ら支障を来さないというところに、私は解決のめどがあるんじゃないかと思うのでありますが、とにかく慎重ばかりじゃなく、早急にめどをつけることに、関係大臣の御努力をお願いしたいと思います。  どうもありがとうございました。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 これにて山本君の質疑は終了いたしました。  次回は、明十五日午前十時より開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十二分散会

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