予算委員会 第6号
- 発言数
- 221 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1975/02/04
会議録
○荒舩委員長 これより会議を開きます。 昭和五十年度一般会計予算、昭和五十年度特別会計予算及び昭和五十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。河村勝君。
○河村委員 外務大臣にまず伺います。 最近の新聞の報道によりますと、ごく最近、イランがインドネシアに対して二億ドルの借款、これは西ジャワの肥料工場の建設に関するものでありますが、これを供与した。同時にインドネシア側では、日本がこれまで同じ肥料工場に対して六千万ドルの借款供与の約束をしていたものを、これはもう要らぬと言って破棄をしてきた、そういう報道がなされておりますが、それは事実ですか。
○宮澤国務大臣 私の承知しておりますところでは、そのようなことがございまして、わが国とインドネシア側とで、援助の額につきまして折衝を進めております間に、イランからそのような申し出があった、ついてはわが国が用意をいたしました額は、インドネシアの他の目的に転用をしたい、こういったような申し出が先方からあったというようなことを承知しておりますが、なお、もし必要でございましたら、政府委員から申し上げます。
○河村委員 三木総理、あなたは一昨年の暮れ、石油危機に当たりまして、中東諸国に特使としておいでになって、大変苦労なさいました。そうしてかなり多額な借款の供与を約束されたわけであります。イランについては、これはあなたがおいでになったのではなくて、中曽根特使でありますが、しかしイランに対しても、同様かなり多額な借款の、約束ではないかもしれませんが、話し合いが持たれて、現に政府からの資金援助の話が進んでいるように聞いております。ところが一方で、イランはかなり——かなりどころではない、非常にオイルダラーをたくさん持っておりますので、豊かな国になっております。だからインドネシアに逆に今度は借款を供与する、被援助国ではなくて援助国に変わってしまっておる、こういう状況になっておりますが、三木さん、これについてどういう感想を持たれますか。
○三木内閣総理大臣 御承知のように、アラブ諸国はオイルダラーを持っていますから、したがって、これはやはり援助する場合もあると思います。しかし一方において、技術協力などの面は先進工業国から仰がなければならぬけれども、資金の点では、そういう石油を生産しない発展途上国などに対して、アラブ諸国が相当関心を持っていますから、そういうケースは今後もあり得る、こういうふうに考えます。
○河村委員 確かにイラン等は金はありましても技術がございませんから、日本からの技術、ノーハウ、そういうものの供与を求める、それに対する協力はわかります。同時に、いままで約束したものは、これは国際信義ですから、これは当然履行しなければなりません。ですが、これからの問題として、同じようなことで政府ベースの資金援助を続けていくということは、私はやはり経済協力の精神からいってもおかしいのではないかと思う。これからこういう産油国に対する協力のあり方、こういうようなことは当然考えられなければならないと思いますが、一体それをどうなされるつもりですか。
○宮澤国務大臣 ただいまイランとのお話があったわけでございますが、河村委員の言われますことはごもっともなことであると思います。実はせんだってもこの委員会で御指摘のありましたパンダルシャプールという石油化学のプロジェクトにつきまして、見積もりと実際必要でありそうな額とが非常に食い違ってまいったという問題がございまして、わが国としては、約束をしたことは何としてもいたさなければなりませんけれども、いわゆる値上がり分等々については、場合によって、イラン側も何がしかの支出をしてくれないかというような話を、これは約束を破るという意味ではございませんで、それを超えるものにつきまして、というようなことをいま話しつつございます。やはりわが国から主として求めるものは技術でございますので、先方に金融能力がある限り、ある程度のものは見てくれないかというようなことは、だんだんに申していくべきことかと考えております。
○河村委員 過去のものについては、処理はそうだと思いますが、これからどうするかということを私は聞いているわけです。過去のものは一応それをきちんと履行することにして、その点はいかがなんですか。
○宮澤国務大臣 それはいわゆる産油国の資金のリサイクルの問題とも関係をいたしてまいるとは存じますけれども、それらの国に対しては、今後の問題といたしましては、主としてわが国は技術面あるいは人の訓練等の面で協力をしていくということで、先方の了解を求めながらやってまいるのが本則であろう。ただ、その場合、わが国がある程度の金融を約束いたしませんと、何と申しますか、途中で手を引いてしまうのではないかというような考えを先方が持たれる場合もあるようでございますから、その辺はよくわかってもらいまして、お示しのような方向に移行していくべきかと思います。
○河村委員 その点はそれで結構でございます。 いままで約束した中東援助は、総額で——三木さんと中曽根さんが行かれて、約束ないしはそれに近いものをやられた額が、総額で政府ベースで千七百億、民間から三千五百億ぐらいということでございますが、その約束の履行がなかなか思うようにいかないで、現にアラブ諸国の非難を招いたり何かしている例もあるようであります。一体、そのおくれている主たる原因というのは何だと思われますか。
○宮澤国務大臣 ただいまの段階で、私の見ますところでは、わが国側の資金力の問題であるよりは、大型のプロジェクトにつきまして、見積もりがなかなか一致しないというようなこと、あるいは各国が似たようなプロジェクト、たとえば石油化学でございますとかいうものを考え、しかもそれがどちらかというと大き目になりますために、先々の需要が果たしてそれだけあるであろうか、これは製品の需要でございますが、そういったようなことについての見通し難など、プロジェクトそのものの内容が具体的に決まってこないということから、先方としてはいら立ちを感じている。ただいまのところは、私は、それが主たる原因のように考えております。
○河村委員 そういうこともあろうと思いますけれども、三木さん、やはりあの時期の場合に、三木さんが行かれていろいろ苦労された、それは大変わかるし、全体としての功罪は長期的に見なければいけないと思いますが、経済協力というものに関する限り、短期の目的に使おうとすれば、いままで中東諸国に余りつながりもなかったし、したがって出先にスタッフもないし、事情もわからない。だから、急につかみ金でもって約束をすれば、それがおくれてくるのはあたりまえなんですね。同時に、あの時期には、日本が大量の金を持って、それでアラブ諸国を歴訪しているということ自体が、西側の諸国にも相当な疑惑を招いた、そういう面がございますね。 ですから、経済協力に関する限りは、そういう短期の目的に使うのではなくて、やはり長期の国益ですね、長い目で見なければならないものであって、こういうやり方というものは本来望ましくないものだ、そういう反省をしてもらわなければならない、私はそう思うのですが、三木さん、どうお考えですか。
○三木内閣総理大臣 私が参りましたときに、いろいろ緊急な向こうの要望に対しては、もう極力要望にこたえるために努力もしましたし、また、政府間でやれることに対しては、極力向こうの要望に沿うようにしたのですが、河村さん、問題は民間協力なんですよ。これはやはり相当プロジェクトの大きいものですから、そういう点で、民間協力の場合には、先方との間にいろいろな経済取引の条件というものに対して、合意を得なければなりません。それが、日本のこういうインフレなんかの影響もあって、なかなか契約に至らないような場合もあって、そういう点は非常におくれておる面もあるわけでございます。しかし、日本政府が約束したことは誠実に履行しようとして、われわれはもう全力を尽くしたわけでございます。 いま河村さん言われるように、こういうのは短期的にというよりも、やはり長期的に見て、結局はその国の経済基盤を強化して、経済自立に日本ができるだけ協力をするということでしょうから、そうなってくると、そのときそのときの一時的なものでなしに、確かに言われるような長期的な計画、先方もまたそういう見地から経済社会開発の計画を立てて、それに対して日本が協力するという、御指摘のようなことにすることが、日本の協力が生きてくる道だ、長期的に考えるべきだというお話はそのとおりだと思います。
○河村委員 あなたも指摘されておりますように、アラブの石油戦略が成功して、第三世界の力が非常に強くなりましてから、これから国際経済秩序をもう一遍立て直すまでは大変なことですね。いわゆる相互依存時代だと思います。そういう時期になりますと、日本の外交というものも相当しっかりしてもらわなければ困るので、特に公正であることと、一貫性があるということが、私は一番必要だと思うのです。最近おやりになっていることを見ますと、その点はどうも多少不安で、どうもあっちこっち気がねして、あいまいな態度を表明して、結局は両方から不信を招くのではないかと思われるようなことが出てきているように思うのです。 きのうも問題になりましたが、去年の秋の二十九回国連総会で、パレスチナに関する二つの決議、これがございました。これはきのう説明がありましたから説明は求めません。特にパレスチナの民族自決権に関する決議については、賛成するような発言をしておいて、最後は棄権。それからもう一つ、国際権利義務憲章がございます。これについては、決議を延ばすようなECの提案に賛成をして、そうして同時に、一番重要な五項目、天然資源の恒久主権、多国籍企業の国有化、それから途上国への特恵拡大、生産者カルテル、それからあとは第一次産品のインデクセーションですか、そうしたものについて反対の案を提案しておいて、最後は棄権をしたということですね。 大体、棄権というのは望ましいことではない。すらっと考えますと、この国際権利義務憲章については、そこまで反対をしたのなら、反対したらよろしいのです。反対のまま投票したらよろしい。それから、パレスチナの決議について、PLOをすべての国連会議に招請するという問題はともかくとしまして、民族自決権に関する限りは、総理も施政方針演説で、パレスチナに対して正当なる権利を認めるというところまでおっしゃっているわけですね。それならば、国連安保理事会の決議の二四二というものは、前々から日本はこれを支持して、イスラエルの存立というものはこれを守るのだということは前々から言っておるわけですね。ですから、具体的にこの決議案の中にイスラエルに関する条項がなくたって、イスラエルの存立を守ることは当然なものと理解をして、それで賛成投票をしたらいいのですね。そのほうが、私はよほどすっきり明快であると思いますが、いかがですか。
○宮澤国務大臣 確かに、いま二つお挙げになりました両方の問題には、私、共通点があると思うのでございます。先ほどの権利義務憲章のほうでございますけれども、エチェベリア・メキシコ大統領が提案をされた段階では、その理想とするところは、われわれとしてもよく理解ができるという感じがしておりましたが、だんだんそれが各国、発展途上国が議論をしてまいりますと、非常にエスカレートしてまいりまして、われわれから見て、かなり極端なものになって、それでさあ採決をしようというような感じになってくる。そうしますと、おっしゃっていることは、確かに将来の方向を示唆するものであるということはわれわれもわかりながら、いまこれを全員を拘束する一種の憲章にしてしまうということは、少し極端ではないか、もうちょっと議論を詰めたらいいではないかというような気持ちがしてまいります。その点は、先ほどお話しの安保理事会二四二号の決議と、御指摘の決議との関連でも、おっしゃっていることはわかる。しかし、決議をされる以上は、やはり普遍的なものにしておきませんと実効が伴わないでしょうというような気持ちが、私どもの間に出てまいります。 そうしますと、御趣旨はわかっていながら、棄権をすべきかなというようなことになるわけでありまして、その点は、ですから、そういう動きをよくわかりながら、実は内面的に上手に持っていくという努力をすれば、ああいうことにならぬのでありましょうけれども、どうしても動きそのものが、一遍始めますとかなり過激なものになっていくというような実情が、両方の問題に共通してあったように私は考えるわけでございます。
○河村委員 余り答弁にならない答弁でありますが、三木さん、私が申したいのは、この問題はわずかの例であります。これからこういう種類の問題が非常に多いと思います。日本は確かに、非常に資源がなくて、それで軍事力もないし、武器を売り込んで石油をもらうなんということももちろんできない。そういう意味で、バーゲニングパワーは小さいけれども、しかし日本は、他の西側の先進国と違いまして、南の世界に対しては旧宗主国としての特殊な関係はございませんね。それから国内に人種問題もありません。ですから一番公正な立場をとり得る。日本のような資源的に弱い立場にあるものは、やはり信頼をかち得る道というのは、公正であることと一貫性があることだと思うのですね。だから、そのときどきでもって、どっちかの側に多少不利になりあるいは有利になっても、一本筋が通って明確であれば、かえってそのほうが——日本の言うことはどんな場合でも正しい、公正である、それが自分のほうに不利であっても、それは公正であるというような信頼感をかち得るようにしていきませんと、国連総会は棄権もできるでしょうけれども、日本は安保理事国にもなりました。経済社会理事国の地位も持っております。これから私はそういう立場を堅持してもらいたい。これは個々にはいろいろな問題はありましょうけれども、そういう立場を貫いてもらいたい。それを三木さんにお願いをしたいと思います。
○三木内閣総理大臣 やはり国際社会で相当な影響力を日本は持っておるわけですから、そういう決議の場合に、こういう場合があるのですね。趣旨には賛成だ、そこへ行くまでの間には一つの均衡のとれた案でないとぐあいが悪いから、賛成だけれども、もっとそのためにはいろいろな条件というものを整えなければならぬというようなことで、棄権なんですよ。 たとえばパレスチナの自決権でも、日本は熱心に、パレスチナの自決権そのものに対しては、一九七一年の国連総会からずっと賛成しているのですね。しかし日本の望んでおるものは中東の永遠の和平なんですね。中東の永遠の和平を考えた場合に、イスラエルの生存権という問題に触れないとバランスがとれないということで、だからパレスチナの自決権には賛成だけれども、それだけで中東の和平は来ない、どうしてもイスラエルというものの生存権に触れなければ均衡はとれないと悩むんですね、そういう場合に。これは河村さんの言われるように、賛成か反対かどちらかやった方がわかりやすいのですけれども、良心的に考えたら、趣旨には賛成だけれども、その決議を通すのにはもう少しいろいろなほかのバランスのとれた考えも必要である。 たとえば、いまの権利義務憲章にしても、日本人はその資源保有国の気持ちはよくわかるし、南北問題というものが世界のこれからの最大の問題になってくることもよくわかりながら、しかし、そうするためには、一般的な国際経済の秩序というものも維持しなければならぬ。趣旨には賛成だけれども、その決議を通すためには、もっと国際経済の秩序というものに対して急激な変化が起こるような条件でも困る、こういう悩みが、河村さん、それをどちらかやればいいと言われても、日本が影響力を持っておるいまは、国連の安保理事会の非常任理事国でもあって、影響力がありますから、良心的に考えると、そういう羽目に陥るので、私は、だからそういう場合には、誤解を生じないように日本の趣旨というものを明白にすることと、日本は国連でそういう重要なメンバーですから、その決議案に至るまで、日本が中へ入って、もう少し皆が賛成できるような案の作成に対して骨を折るという面があるのではないか。そうでないと、棄権と言うと、いま河村さんの言われるような、反対というニュアンスが出て来過ぎて、これは日本の真意でないのですから、趣旨には皆賛成なんだ、やるために条件を整える必要があるというだけで、その良心の苦悶が棄権ということになっておるわけですから、それをよく説明するのと、至るまでの過程に、もっと日本外交で努力をせんならぬ面があるという反省を、私は持っておるものでございます。
○河村委員 余りくどくど説明されますと時間がなくなりますので……。 結局、棄権というのは、自分が棄権しても大勢は変わらない、だから安心して棄権していることなので、責任を全うすることにはならないのですからね。ですけれども、これをいつまでも議論しておりますと本題に入れませんので、次に移ります。 おととし、一九七三年の経済協力援助、経済協力の総額はGNPの一%を超えて一・四二%に達しました。これは大変なものですね。ところが逆に、ちょうど七四年の一月の田中総理が行かれたときのジャカルタでの暴動、これをピークにする東南アジアでの対日批判が非常に高まりました。日本の経済協力が最高に達したときが、ちょうど対日批判が一番大きくなった時期、こういう逆の方向になっているわけですね。これは一体どういう原因だとお考えになりますか。
○宮澤国務大臣 やはり、経済援助とわれわれが従来言っておりましたものが、事実問題として、わが国の輸出であるとか、あるいは民間資本による投資であるとか、そういうものがどうしても先行し先導しがちであって、もう少し高い意味での政府援助というものがどうしてもおくれがちである。しかもわが国の経済成長が高うございましたために、民間主導によるそのような経済協力はGNPの一%を超えてまいりましたけれども、もう少し純粋な意味での政府援助というものは、何としてもそれについていけなかった、こういうことの結果であろうと考えています。
○河村委員 一般論としてはそのとおりでありますが、特に目立つのは、この年に、経済協力総額の中の民間の直接投資、これが千四百二十八億から一挙に五千六十九億、一年間に四倍以上ですね。通産大臣、聞いていてください。経済協力総額に占めるウエートが、それまで四〇%であったのが六〇%を超えちゃったのですね。これは民間直接投資です。政府開発援助も確かにふえましたけれども、相対的にウエートは下がっちゃった。この民間投資が一挙に四倍になる。これはちょうど資源確保援助の流れに——一ぺんに四倍になれば、もともと大きいオーバープレゼンスがあるところにこれだけ出れば、相当大きな影響を与えることは当然ですね。投資は政府でコントロールできるはずだ。通産大臣、あなたの時期ではないけれども、一体これはコントロールができなかったのかどうか。
○河本国務大臣 民間の投資がふえたということは、ある意味では、私は大変結構だと思うのですが、しかし反面、御指摘のように急激にふえた関係もありまして、大きな影響を現地に与えておるわけでございます。これをコントロールできないかということでございますけれども、原則的には、海外の投資は一応自由ということになっておりまして、政府の方で全面的にコントロールするということはむずかしいのです。ただしかし、これがあまり無秩序に行われるということも大きな影響がございますので、そこで各企業に行動基準というようなものをつくりまして、海外にある企業が全部寄りまして協会をつくりまして、そこでフォローアップしていく、そういうふうに自主的に調整をしていく、そういうふうに指導をしておるところでございます。
○河村委員 私は、経済進出が悪いなんて言っていないのですよ。一年に四倍はひどいだろう。それで、あなたはコントロールできないと言うけれども、これは経済協力の中の、民間の直接投資ですよ。ですから、ハードであるかソフトであるかは別として、輸銀の資金を使うなり、とにかく政府の影響力下にある直接投資がこれだけふえているのですよ。そうでなくても、大体行政指導と称して、通産省というのは非常な権限を持っておる。そうしたものがあるのですから、さらにこれをモデレートな伸び方にするぐらいなことは、私はできないはずはないと思う。どうですか。
○河本国務大臣 海外の投資は、原則的に一応自由ということになっておりますが、それはやはりお話のように、あまり無秩序になりましても問題がありますので、そういう点についてはコントロールするように、積極的に検討してみたいと思います。
○河村委員 いまは日本も経済力がちょっと弱っでおりますから、すぐには起こらないでしょうけれども、これからこういうような急激なものをやったら、それはほかにどんな努力をしても、いわゆるオーバープレゼンスというのは急に目立ってしまうのです。これは暴動そのものには、ほかにも原因がございますよ。ですけれども、やはりこれが一番大きな原因になったことは疑いがない。今後、いまおっしゃったようにコントロールする体制をつくってください。 同時に、この政府援助につきましても、これは前々から言われていることでありますけれども、相変わらず政府援助の中での技術協力のウエートが非常に低いことですね。今度の場合でも、政府援助の中で技術協力の占める割合が五三%。DACの諸国、先進諸国の援助国の平均は二二%ですね。ですから、二二%対五%、四分の一以下です。ここにやはり問題があるのです。 私どもは、この数年来、南北問題というものはこれからの日本の将来を握るかぎだと思いまして、特に経済協力を中心に、いろいろ調査を進めてまいりました。昨年は、実際現地に、延べ六十日ぐらいかけまして実態調査もいたしました。つくづく感じますことは、きのうも韓国のことで問題になりましたが、韓国はまあ中進国ですから、これからはだんだん協力の対象ではなくなるでしょう。一般的に新興国というものは、独立はしたけれども、まだ社会体制は近代化されておりません。ですから、わが国が相手側の要望に応じて政府援助を、資金援助をやってまいりましても、それが必ずしも全体の国民生活レベルを上げることには、なかなかつながってまいりません。 経済協力理念を総理に伺えば、これまた時間がなくなりますから、こっちから代弁をいたしますけれども、それは発展途上国の自立と繁栄に寄与するものでなければならぬとおっしゃるだろうと思うのです。そのとおりなんですけれども、なかなか思うようにまいりません。だから、せっかくいろんなプロジェクトエードをやったり資金援助をしましても、豊かなところはますます豊かになって、本当の一般は容易に生活が向上しないというのが現状でありまして、実際現地で働いている、日本から行っている専門家、技術者等も、最後はそこにぶつかって非常に苦労しております。だけれども、あきらめるわけにはまいらないので、そこでやはり現地のいろんな活動を通じてわかりますことは、ただ物をつくり、金を出すというだけでは、どうしてもだめであって、人と技術をつないで、技術というものは人を媒体とするものですから、実際現地に優秀な人を派遣して、それでその人が技術とノーハウをトランスファーし、その間に相手の国の国民一般との連帯を深めていく。これでもって徐々に生産性も上がっていくし、それで対日関係においても信頼関係が生まれる。これだけは現実にはっきりしております。 ですから、どうしてもこれから政府援助というものは、プロジェクトエードももちろん必要ですけれども、これも技術協力と結びついたものでなければならないし、総体として政府援助の中のウェートが五%程度というようなことでは、これから私はほんとうの南北問題の解決にはならないと思う。だから、これからの経済協力の中心というものを技術協力にする。これは広い意味の技術協力です。いま行っている海外青年協力隊というものもございますし、それからいわゆる専門家の派遣もあるし、現地からの留学生の受け入れもあるし、そのほかいろいろな形の技術協力がございますが、そういうものを中心にやっていかなければならない、そう考えておりますが、あなたはどうお考えでございますか。
○三木内閣総理大臣 全く河村さんと私、同意見です。高度経済成長期と違って、日本の、海外への援助というものにもおのずから限度が生まれてくるでしょう。そうなってくると、援助の質ということが問題になってくる。質ということになってくると、この技術の面にこれだけの高い水準を持っておる日本として、技術が中心になって、むろん資本も要るでしょうけれども、やはり技術というものが将来そういう発展途上国に対しての日本が寄与する中心でなければならぬ。 それには、いま河村さんの御指摘にありましたように、人も要るのですけれども、何というのですか、やはり海外で、そういう発展途上国の社会経済開発に寄与するということに生きがいを感じて、大いにやってやろうという気風は、今後いろいろな面でそういう機運というものが若い人に起こってくるような、こういうことは一段と工夫する必要があると思うのです。意識の中にも変化が生まれてきつつあることは事実ですけれども、またなかなか海外に出てやろうという人は、技術者でも募集にも困難で、そういうので人の養成ということも問題になるだろうし、また海外に行って、帰ってきてからのいろいろな処遇の問題もあるだろうし、いろいろな点で技術協力が中心にこれからなってくるとすると、それに関連する諸問題は、改革点が非常に私は多いと思っております。 これはやはり一遍、海外経済協力、ことに技術協力を中心としたあり方については、よほどいままでのことに反省をして、そして新たなる出発をする必要があると考えております。
○河村委員 そこに問題があるんです。技術協力というのは、予算だけふやしてできることではございません。実際現地で見ますと、本当に山間僻地まで入って、現地住民と一緒に暮らして、本当に献身的に仕事をやって、住民の信頼感を受けている者はたくさんございます。だけれども、国内体制が——相手方の政府にも問題があることはありますけれども、日本の国内体制が余りにも不備なものですから、非常な障害にぶつかって、それでもしんぼうして、何とかかんとかみんなやっておるわけですね。だから、そこを解決するのは政府の役割りなんです。若い人は、青年協力隊の人たちは、みんな飛び出していって一生懸命やっています。それから逆に、定年過ぎた年寄り——年寄りと言ったら失礼かもしらぬが、六十前後の方、これはまた非常によくやっている方が多い。ところが中堅になる青壮年がだめ。まあ例外はもちろんございますけれども、一般的になかなか問題が多い。後顧の憂いが多過ぎるんですね。ですから、いまいろいろな専門家の派遣の実態を見ますと、ほとんど役人で間に合わせているのです。民間から出る人は、ほとんどやめなければならない、そういう体制なんです。 外務省、わかりますか。いまこういう専門家の派遣の中で、公社、公団まで役人のうちに入れて、民間の人でちゃんと職を、身分を保証されたままで出ているパーセンテージがどのくらいあるか、おわかりですか。
○鹿取政府委員 ただいま現在の数字を申し上げます。昨年十二月三十一日現在でございます。国家公務員が二百十四人、二八・八%、地方公務員が三十九人、五・三%。特殊法人、先生おっしゃった公団その他でございますが、ここの職員が二百三十四人、比率は三一・五%。民間が百七十九人、二四・一%でございます。そのほか、分類が非常にむずかしい、いま職業を持っていない方とか自分で商売をなさっている方、それを含めまして、その他といたしますと七十六人、その比率が一〇・三%。これは総人数を七百四十二人ということで計算した比率でございます。
○河村委員 それは恐らく、コンサルタント会社みたいな技術者集団として会社ぐるみ行くのも入っていると思います、民間の中に。ですから、実際民間企業から個々に出ている者というのは、もっと少ないはずです。ここに出し得る体制がないんですね、全然。みんな自分のところの機械やプラントが輸出されるときにはぞろぞろついて行ってやります。だけれども、直接自分の仕事と結びつかない一般的な協力になりますと、さっぱり出ない。三年行くなんと言ったらもう首です。仮に認めてくれても、帰って来れば、もうはるかに自分の仕事はなくなってしまって、どうされるかわからぬ。帰ってからの地位の保証もない。だからその人材の確保ができない。 通産大臣、総理、あれですね、政治資金なんか集めるときには百何十億でも集まる。事実そのときには経済界にも非常に大きな声をかけられてやっていかれる。一体こういう問題で、本当に本気で財界の協力を求められたことがあるでしょうか、今日まで。
○河本国務大臣 確かに海外へ出て行く人の問題につきましては、いま御指摘のような問題があるわけでございます。この問題がやはり海外経済協力のこれからの最大のキーポイントでなかろうかと、私どもも考えております。これまで、お説のように、国を挙げての組織的な体制というものが十分でございませんので、今後はやはりそういう面を十分研究していかなければならぬ、かように考えております。
○河村委員 研究ではなくて、本気でやってもらわなければ困るんです。私はやる気ならできると思うんです。結局、企業だって、長期の利益にはつながるんですね。日本は今後だってやはり経済的には進出をします。企業も進出をします。しかし、そこでもって本当に日本と受け入れ国との関係がスムーズにいっていなければ、企業だってやりはしないですよ。直接自分の仕事につながらなくたって、長期的の利益になるんですから、現に人を出しても、ただで供出をしろというわけではなくて、それに対する補てんの措置すらできているわけですね、金銭的には。それでもなおかつ出さない。ですから、ただ研究しますでなしに、これは本気でやるとおっしゃったらいかがです、通産大臣。
○河本国務大臣 当然積極的に、私はやらなければならぬ課題だと思います。でありますから、実現するという方向で、どうやるかという方法をひとつ検討していきたい、こういうことでございます。
○河村委員 時間の関係で、私はこの技術協力の問題についての欠陥はいろいろお尋ねしたいんですけれども、問題をしぼって、二、三申し上げたいと思いますが、現在、技術協力はかなりの実績を上げております。しかし、それは多くは派遣された専門家たちが、自分たちの努力で切り開いてやっているんであって、政府の考え方というのは、まだ人を送って何とか向こうの仕事をさせればそれでいいという感じが非常に強いんですね。ですから、技術協力に伴うプロジェクトの期間なども、二年、三年とかいうふうに細かく区切って、それでずるずる延ばしていく、そういう傾向が非常に強いんです。 ですから、一例を申しますと、いい方の例と悪い方の例を申しますが、西ジャワのチヘアというところに、稲作指導のプロジェクトがございます。これは六年たっておりますが、これも三年、三年でつないでいる。それで政府の方は、これで終わりだ、期限が来たから。ところが現地の二人の職員、専門家が、これじゃただ稲作指導をやっただけであって、本当の民生向上にはつながらないとがんばって、二人はアフターケアという名義で残って、それで農業の普及だけでなしに、農業協同組合までの組織化をやっている。そうでないと、中国人に中間段階でみんな金を取られてしまいますから、そこまで指導をやって効果を上げておる。これは現地の人の総意で始まっている。逆にそうでない場合には、ラオスのタゴン農場のごときは、五年の期間はことしで終わるけれども、これは本当にパイロットファームをつくっただけ。デモンストレーションの効果はあるかもしらぬけれども、技術をトランスファーし、それで一般に潤していくという効果は何もないのですね。 〔委員長退席、谷川委員長代理着席〕 ですから、こういうプロジェクトの期間、目的、そういうものをもっと当初出発するときからはっきりして、農業なんというものは、大体十年ぐらいの期間でもって初めからスタートしなければだめなんです。農林大臣、わかりますか。返事はいいです。——じゃ返事してください。
○安倍国務大臣 いまお話がございましたように、農業協力関係のプロジェクト、技術援助等につきましては、従来は三年というふうなことが多かったわけでございますが、やはり御指摘のように、農業につきましては、長期的な視点に立って相手方と協力を進めていくということが大事であろうと思って、そういう点で今後努めてまいりたいと思います。
○河村委員 いま、たまたま例を農業に引きましたけれども、これは農業だけではございません。各地でやっております職業訓練のいろんな技術の指導でも、みな同じことなんです。いわゆるプロジェクトをつくっても、目的がはっきりしない。だから短く切ってずるずるやっていく。だから能率が上がらぬ。最初の人を出すときでも、最初に行くまでの期間というものは、一カ月ぐらいでみんなどんどん行くんですね。ことばもわからぬ、現地の事情もわからぬ。だから最初の一年はむだになりますね。各省から外務省に行くアタッシェだって、半年は教育しているでしょう。そんないきなり現地に飛び込んで働かなければならぬ専門家を、一カ月ぐらいの養成期間、これは金の問題じゃないと思います。これもやはり出す方の体制ができていないからです。 この際、大蔵大臣、どうも眠そうな顔をしていられるので、この技術協力で一つ問題点がございますのは、単年度予算主義、これはいますぐ直せとは言えない、無理だと思います。だけれども、こういう技術協力予算なんというのはわずかなものです、全体から見れば。ところが、実際現地では、技術協力のために毎年機材を供与いたしますが、それが毎年きまるものですから、東南アジア諸国などは、ずいぶん田舎もございます。スマトラとかスラバや市とかいろいろ方々にございます。そういうところになりますと、単年度で機材が発注をされて、現地に到達するまでに秋ごろになってしまうんですね。そうすると、結局半年ぐらい遊びになってしまうのです。ですからこのくらいのものは、単年度主義をやめろとは言わないけれども、それを弾力化する方法ぐらいできるでしょう。いかがですか。
○大平国務大臣 御案内のように、単年度主義を厳しく貫いておる中でも、経済協力基金でございますとか、繰り越し制度、あるいは債務負担制度、そういうものを通じて、年度を越えての予算の執行を実態に合わすように努力いたしておるわけでございまして、いま河村さんがお挙げになりました問題につきましても、運用上できない相談ではないと思うのでありまして、たとえば債務負担行為を通じて、御期待に沿うことができることではないかと私は考えます。
○河村委員 何しろ機材ですから、細かいものですから、大きな船でばっと持っていくようなわけにはいかないし、債務負担行為というものになじむかどうかもわからないのです。ですけれども、これは検討してください。 いまもって、総理大臣、経済協力というのは、各省どこで何をやっておるのか、調査すればするほどわからないのです。この弊は、国際協力事業団ができましても変わらないのですね。ただ協力基金あるいは輸銀等があるというだけではなしに、やはり各省それぞれなわ張りがございまして、これの弊害がある。だものですから、いま一番困ることは、いろんな開発調査に調査団が各省からぞろぞろ行って、現地の政府も迷惑、現地に行っている日本のスタッフも迷惑。それだけではなくて、そのために、調査ばかりやって、さっぱりものが決まらぬということが非常に多い。 その代表的な例が、タンザニアのキリマンジャロ計画というのがございます。一九六九年に向こうの大統領から日本の大使館に話があって、それからスタートしたものでございまして、最初、河野ミッションというのですか、三菱重工の河野文彦さんが出かけて行ったのが最初だそうでありますが、これはそれだけを目的としたものではありません。それから十数回ミッションが行っておられる。大来佐武郎さん、きのうここに来ておりましたが、きょうは来ていませんが、この人が代表したミッションなどは、相当大がかりなミッションを出して、それで農業開発を大いにやるのだと言って、帰ってきてから、将来の日本の穀倉は東アフリカにありなどという大きな格言までかけて、結局だめで、現在十数回やって、何でもごく最近、国際協力事業団が中心になって、各省一緒になって、初めて総合的な政府ミッションが調べに行ったということでありますが、結果はどうなっているのか私も知りません。十数回行って、何も結論が出ない。だから、せっかくタンザニアがキリマンジャロ地域という一番よいところを日本に提供して期待しておるにもかかわらず、だんだん評判が悪くなって、いままで青年協力隊が非常に評判がよくて活動したのが、それの要請もだんだん減ってくる、そういう情勢にまでいっているという事実を、外務大臣は御存じですか。
○宮澤国務大臣 そういう批判はしばしば聞いております。わが国はコンセンサスで動く国と言われておりますので、そのようなことはしばしばございまして、御説明には、決して重複はないというふうに細かく御説明をここに書いてございますけれども、実際には、河村委員の言われることの方が現地で受けた印象に近いと、私も感じておりまして、そのために現地でいら立ちを生んだりしておることは事実でございますから、やはり何か考え直さなければならぬ点があるのではないか、私はそういうふうに感じています。
○河村委員 この問題は、総理大臣、外務大臣でもだめなんです。一応何か経済協力の窓口になっておるようでありますけれども、依然として通産は通産、農林は農林、建設は建設、関係のないところはあまりない。本当は関係しなければならぬ文部省が関係していないぐらいのものであって、ほとんどみんな関係がございまして、その調整ができない。しかしこれは本当に大問題なんです。ですから真剣にもう一遍、経済協力の総合性——役所のセクショナリズムというのは決して直りません。直りませんけれども、それを前提とした上で、何とか、対外的に一番大きな影響のある経済協力関係問題に関してだけ、そういうそごのないようなことを考えていただきたい、お願いをいたします。 この経済協力問題の最後に、私は教育問題を聞きたいのです。文部省は、日教組対策に忙しいせいかどうか知りませんけれども、この経済協力問題については、さっぱり関心がないように見受けられます。しかし実際は、技術協力の主体として強力なのは人の問題なんです。人をつくらなければいけないのです。西側の先進国というのは、これは最近まで植民地を持っていたせいもございますが、大学などでも、開発学というようなものを講座として持っております。それから高校等の教育でも、そうしたものを重視しております。ですから、そういうものをひとつこの際、積極的にあなたに考えてもらいたいし、それから現実に、現地からは教育についての技術協力の要請もあるのです。これは日本語教育に限りません、理科、数学。日本は教育によって立国をして、教育によって成功したのですから、そっちのほうでは相当大きな口がきけるはずだし、特に理科、数学等になれば、これは日本の独壇場と言ってもよろしい。ところが、要請がありましても、地方の教育委員会は、人が足りないからだめでございますと言って、大体受け入れない。行けば首です。実情を御承知でしょうか。意見を聞かしてください。
○永井国務大臣 ただいまの河村議員の御質問は、わが国の教育の根幹にかかわる、きわめて重要な問題であるということを私は強調いたしたい。 実は私自身は、メキシコ、それから香港で教えておりました。それから東西センターというところで、開発途上国の人たちの協力のために、コミュニケーション研究所長をやっておりました。そこで、必ずしもいわゆる西欧先進国というものが日本よりすべてよろしいとは申しませんが、私は、これは日本人が相当奮起しなければならない問題だと思う。そこで、おっしゃった問題よりも、もう少し掘り下げて考える必要があると思う。 どういうことであるかというと、国の中で日本人が対立をしたり、ちょっと毛色の違う人だと、会わないというようなことがあるのですね。そこで私は、教育における対話、協調ということを熱心に言うのも、これに関係があるのです。国の中でろくに人に会わないで、外国に行ったら外国人とうまくいくなんということはあり得ないです。これが第一です。 次に、国の中で、GNPが大事であるとか、一人当たりの所得が大事だということを非常に人々が信じている。これではだめなんです。そういう考えでいくと、開発途上国というのは低いじゃないかという見方になりますが、これは金銭とか権力とかいうことに関係なく、人間に値打ちがあり、国に値打ちがある。私は、その教育の根幹というところからやりませんと、いまおっしゃったような各省庁の連絡とか、あるいはミッションを出すというようなことで問題は解決しないと思っております。そこで私は、河村議員よりももっと、ある意味においては積極的にこの問題は考えていかなければならぬ。これは非常に国家の安危にかかわる重大な問題でありますから、強調いたしたい。 そこで、わが国から外国に人を送ることもいいのですけれども、まず国内において、そういう研修をしなければならぬ。わが国に相当いま留学生を受け入れております。数年前の統計ですと、私立大学を含めまして五千人ですが、しかし国内にいます朝鮮半島出身の人あるいは中国人を含めますと、およそ一万人おりますが、こういう外国から来られた方と日本人がどうやって協力するかという、国内研修でございますね、これも非常に大事だと思う。そしてまた、日本にいろいろおられる日本人以外の人たちとの協力ということを、高校や中学のレベルで考えていくということも大事だ。しかし、なお一層具体的に、おっしゃったように考えていかなければならないのでありますから、どうするかというと、いま留学生などの関心は理工系という方に向いてきております。これは、たとえば東京工業大学で、ユネスコ関係の事業をいま引き受けましてやっております。あるいは京都大学の東南アジアセンターというようなものも、そういうことをやってきておる。それから国際関係論というようなものも相当盛んになってきています。しかし、これは新設講座ということで解決するような問題ではなくて、今日までの既設講座の中の考え方というものが変わっていくと、私はいままでの講座でも相当のことができるのではなかろうかという考えを持っております。 さらに、現地に行く人たちを見ていますと、もちろんわが国の雇用の問題もありますけれども、なかなか若い諸君に熱心な人もいるのです。こういう若い熱心な人々を、やはり年輩の人々が官民を問わず認めて、こういうところにわが国の将来があるという、そういう精神というものが盛り上がらなければいけないと私は考えております。文部省では、もちろんいろいろなことをやっているということになります。それはたとえば、先生方を派遣するとか、あるいは日本語の教育ということなんですが、私自身思っておりますことは、何か根本的な教育の問題にかかわっていて、そうすると、日本人同士でもどんどん話ができるし、ちょっと違った人とももちろんできる。そしてさらに、金銭などよりも本当に人間が協調して伸びていくという、ここのところまで掘り下げて、われわれがいまがんばっていかなければいかぬ、こういう角度から、私は今後この行政には特に力を入れて働いていくつもりでございますので、御協力をお願い申します。
○河村委員 どうも文部大臣に講義を受けちゃったようなかっこうでありますが、あなたのおっしゃったことは全然同感。逆みたいな話でありますが、時間がないので、私はごく具体的なことだけしか述べなかったのですが、全体的な抱負がないわけではないので、誤解のないようにしてほしいと思います。 それで、いまのあなたの話でつい思い出したのでありますけれども、一つ申し忘れましたのは、せっかく青年協力隊等あるいは専門家の優秀な人が現地で働いて、本当に現地の事情にも詳しく、また本当に心から現地とつながりを持った人、働く人が事実上できているわけですね。さっき私は、帰ってきても就職口がなくなるということを申しました。それだけではなくて、あっても、青年協力隊の場合なんか、戻ってどこか田舎に帰って、八百屋の主人をやったり手伝いをやったりというように、みんなばらばらになってしまって、生かされないのですよね。だからそういうことも、これから体制づくりには、そういう人たちが必要なのです。だから、そういうことを、特に私は考えてほしいと思います。 それから後の問題に進む前に、一つだけ。これは経済協力とは直接関係はございませんが、対日感情の上で非常に心配なことが一つあります。それは、去年の秋ごろちょうどフィリピンに行っております時分に、田舎の方に入りまして、現地でこっちから派遣されている方々が苦労しているのを見て、そしてマニラへ戻ってきますと、観光客がたくさんおります。これは結構です。いまフィリピンは一カ月一万人くらいでしょう。これはマニラに集中しております。それで、たくさん来られるのは結構で、またフィリピン政府も、外貨獲得の上でも喜んでおりますが、その行状なんです。大抵の行状は、私は構わないと思うのです。どうもこの委員会でしゃべるのにふさわしくないので、間接的な表現を用いますが、三百人の観光団がキャバレーに参ります。するとそこにいる三百人のホステスがことごとく姿を消してしまう。これは私は、いいかげんなことを言ってはいけないと思いまして、相当裏づけ調査をいたしました。これは日本の旅行業者が直接やっているということは、少なくとも形式的にはございません。そうしたことではありません。だけれども、そうしたことを好む国民性もあるのかもしれませんが、だんだんそういうものが現地にできまして、おのずからそういうものを業とする者ができて、媒介する業ができているようでございます。 これはせっかく一方でもって営々と積み上げて、対日感情を、友好関係を深めている一方で、こういうのが続きますと、壊す方は簡単でございます。これは運輸省には、私は警告をしたことがございますが、運輸省だけでなかなかできることとも思わないのですね。ですから、こういうものは各省の出先を持っているものが協力しませんと、なかなかつかめませんから、事実上そういうものがあった場合には厳重に取り締まる、そうしませんと、マニラがだめならサイゴンがあるさというようなぐあいに、また移っていくような傾向もございますし、行く先々が悪くなっては困る。その点をひとつお考えをいただきたい。
○木村国務大臣 ただいまのお話、私も当時うわさとして聞いております。最近ことにフィリピンに対する旅行者が非常にふえまして、ここ一、二年の間に、五万くらいのが十二万くらい。確かにおっしゃるように、月一万人くらいにふえてきた。そういう中で、いま御指摘のようなことがちょこちょこ起こっておるということは、私も想像ができるわけでございます。 そこで、いまお話がございましたが、旅行あっせんの業務に当たる旅行業者がそういうことに加担してやるということは、とんでもないことでございまして、調べましたところ、いまもお話がございましたが、積極的にはそういうことはないようでございます。しかしやはり、そういう旅行の案内をするのが旅行あっせん業者でございますから、まず案内側の方の旅行あっせん業者がよほど注意をしなければならない、こういうことは痛感しておりまして、こういった旅行あっせん業者でもって、国際旅行業協会というかなりりっぱな協会ができておりまして、運輸省といたしましても、その協会を通じまして、いろいろそういう面での指導もいたしております。この協会で、旅行業者の憲法ともいうべき旅行業綱領というふうなものをつくらせまして、それを守っていこうというようなこともやっておりますし、また間違ってそういうふうなことをやったということがわかった場合には、除名をするなり制裁を加えるなり、そういうことも指導をさせております。 また一方、国内においてもそうでございますが、このごろ非常に海外旅行者がふえまして、海外に出ます旅行者自身のマナーあるいは公衆道徳、そういったものを十分事前に教育しておかなければならないと思います。これはいろいろな資料をこの協会にもつくらせて、そして旅行業者に渡して、旅行業者が旅行者に事前にいろいろそういった教育といいますか、指導もやらせますし、またパスポートを発行いたしますときに、パスポートの中に、こういった旅行のマナーをちょっと書いたものをつけて、やらせております。それからなおもう一点申し上げますが、総理府と協力いたしまして、週刊誌等でも、マナーの宣伝をやっております。今後十分に気をつけるようにいたします。
○河村委員 マナーの教育などで間に合うようなことではないのですよ。もっと力をもってやらなければだめです。要するに集団行動がいけないのです。どこの国の人間でも、そうりっぱなことをしているとは思いませんが、集団行動を阻止することを考えなければだめだということをつけ加えておきます。 残った時間で、核防条約のことと原子力問題を、時間の制約がございますので、簡潔に、ひとつ要点だけ御返事をいただきたい。 核防条約については、いまの政府の態度は、査察の平等性について保証が得られれば、批准案を提出したい、こういうことでございますか。
○三木内閣総理大臣 いま国際原子力機構との間に、査察というものが、日本とヨーロッパと不平等なそういう条件では、原子力の平和利用に対して支障を来す、こういうことで、いま保障協定の交渉に入ることになっておりますから、この結果を見まして、そして核防条約は批准すべきものである、これは政府の態度でございます。しかし、それは、そのことによって、日本が不利益な条件に置かれてはいけないわけでございますから、そういう諸条件を整えた上で、国会の批准を受けたいという考えでございます。
○河村委員 われわれも、この核拡散防止条約というものは、本来不平等条約であり、米ソの核支配体制をつくり上げるものである、そういう意味では、決して好ましい条約とは思っておりませんし、現に、査察の平等だけではなしに、他の条件である核軍縮あるいは非核保有国に対する安全保障、そうした面も決して十分だとも思っておりません。しかし、米ソの核均衡ができ上がって、SALTその他のいろいろな体制ができて、とにかく核をコントロールする状態ができたことは、これは一つ認めなければならぬし、事実上核は使い得ざる兵器になってきた、そういう前提に立って、われわれも、この査察の平等性ができ上がって、日本の原子力産業の自立を妨げないものであるならば、批准したらよかろう、そういう態度をとっております。ただ、ユーラトムとの査察の平等性を、予備交渉において確保されるということになっておりますが、いまもうニューヨークへ出かけたのですか。これはIAEAとの交渉が始まったようでありますが、本当に査察の平等性を確保することができるかどうか。これは相当むずかしい条件がたくさんあると私は思いますが、いかがでございますか。
○佐々木国務大臣 お答え申し上げます。 予備交渉には、おととい本隊が出発いたしました。 それから、ユーラトムとの間に平等性が確保できるかという問題に関しましては、条件がございまして、わが国内の査察に対する自己査察の体制、方法等が、ユーラトム並みに主体的にできるならば、その平等性は確保できるんじゃないか、こういうお話で、御承知のように、今度の予算で原子力の安全局もできまして、わが国の自己査察体制が整備されつつございますので、それを踏んまえまして、ただいま、ユーラトムとの間に平等を保つためにはどういう条件を満足させたらいいかということで、十分研究いたしまして、ウィーンに出発した次第でございます。したがいまして、その交渉の結果は、必ず実質的に平等になるような取り決めができるのじゃなかろうかというふうに考えております。
○河村委員 一説によれば、私なども各方面から意見を聞いておりますが、この独自の計量、管理体制を作るということ、核物質を管理して、それで軍事目的への転用を防止するための体制、これのためには、測定技術能力というものが正確であり迅速でなければならない。そうしたものについて、日本の技術というものは、大体が長く輸入技術に頼っていた結果、まだまだだめであって、五年ぐらいかからないとだめであると、そういう説がございますが、いかがでございますか。
○佐々木国務大臣 従来の二国間協定に対して国連機関に査察をゆだねたわけでございますが、したがって、現在までのところ、たくさんの査察が現在そのまま行われております。国連機関から査察官が参りまして、そして査察をしております。それに関連して、わが方も、先ほど申しましたように、自己査察の準備が必要でございますから、十分技術的にも検討を加えまして、この国連の査察に劣らないような技術を身につけつつございます。 今度予備交渉に参りましたのは、従来のそういう査察じゃなくて、それをはるかに簡易化しあるいは機械化し、といったような査察状況になっておりますので、その点は、いわば炉に対するインプット、アウトプットと申しますか、肝心のところさえ見ればよいのであって、例を申し上げますと、原子炉内まで一々見なくとも、その中に入っている燃料等に対しては、コンピューター等で精密に計算すれば、おのずから、炉内にある燃料にはどれぐらいプルトニウム等が蓄積されるか、といったようなことができるような操作がだんだんできてまいりましたので、いまお話しの測定問題等に関しましては、私は十分やっていけるのじゃなかろうかと、実は思っております。
○河村委員 これは十分御承知のことだと思いますが、ユーラトムの場合、西ドイツが、イギリス、オランダと共同事業として、遠心分離法によるウラン濃縮の計画をつくっております。これは結局、ウラン濃縮の作業はイギリスにおいて、核物質と関係のない部分を西ドイツでやる、あるいはオランダでやるということによって、イギリスは核保有国でありますから査察を受ける義務がない。だから、日本と当然比較して考えなければならないのは西ドイツでありますが、西ドイツは事実上、本質的な部分について査察の義務を免れる、そういうことになるので、平等にはならない、こういう見方がございますが、その点はいかがですか。
○佐々木国務大臣 お話のように、遠心分離による濃縮ウランの工場は、三国で合同研究しておりますが、英国につくられるようでありまして、しかし同時にまた、オランダ等にもつくる予定のようでございまして、ただ、英国でやった工場は全部査察の対象でないかと申しますと、必ずしもそういうふうには考えられぬのでありまして、たとえば英米は、平和目的に限るものであるならば査察を受けるという態度に出ておりますので、この英国につくられる炉が査察の対象になるかどうかという点は、その炉の性質自体にもよりましょうし、これからの問題だと私は考えております。
○河村委員 これからの問題にしても、しかしそれは重要なことですから、そういうものを、多分そうであろうというようなことで、平等であるというわけにはまいりませんね。その点はこれからはっきり確認をされたい。 それからもう一つ、さっき簡単に言えば、核物質のインプットとアウトプットだけ調べれば、中はのぞかなくてもよろしい、一種のブラックボックスみたいな扱いになるというお話でありましたが、しかし、自己査察のほかに特別査察というのがあるはずですね。特別査察というものはどこでも見れる、そういうことは残るのじゃないですか、どうなんですか。
○佐々木国務大臣 通常の場合の最近のIAEAの査察条項は、先ほどお話ししたとおりでございますが、特別の場合と申しますのは、ある程度その国の動きと申しますか、いろいろな問題に対して不審等の面が生じた場合には、あるいは資料等に不十分な点があったとかいったような場合には、通常の場合と異なる事態になるわけでございますから、そういう場合には、特別にもっと精密な査察をするように規定されてございます。しかし、わが国の場合には平和に徹しておりますので、そういう点はなかろうかと、私は考えております。
○河村委員 いまの発言でも、平和に徹しているから見ないだろうというのは、これは単なる期待にすぎないのですね。
○佐々木国務大臣 そういう点は、予備交渉で厳密に決めてくるわけでございまして、査察にはいろいろな種類がございますが、いま申しましたような通常査察におきましては、主として燃料の流れを中心に見ていく、しかもそれが軍事的に転用されるかどうかという点を査察するのが主眼でございますので、河村さんのおっしゃったような、そういうことは特別の場合以外にはなかろうと、私は考えております。
○河村委員 いま日本の場合には、アメリカのGEとウエスチングハウスから買ってきた発電炉を使って、それでアメリカから買った濃縮ウランを使ってやっておるわけですから、いま確かに機密はないでしょう。だから、どこを見られたって、アメリカにあるものばかりだから、向こうは見る必要はないですね。だけれども、これからそれでは困るわけですね。これから日本は、本当に原子力を開発しなければならぬ大事な時期になる。もちろん単独でなしに、いろいろな技術協力をしながら育てていくのでしょうけれども、いままでと違って、単に技術を貸してくださいと言ったって、貸してくれる国はないのであって、こっちで相当高いレベルの技術を持って、それと組み合わせるのでなければ、相手は貸しませんね。ですから、いま育っている芽を一々のぞかれて、向こうに知られてしまえば、こっちのバーゲニングパワーはなくなってしまうわけですね。そこのところが一番最大の問題なのです。ですから、きょうは時間がありませんから、また結論も出ようとは思いませんから、そこに本当のポイントを置いて、これから臨んでください。それで、その結果どういう保障措置協定ができるか知りませんが、それについての細目を、国会において、ごまかしなしに明確にしてほしい。その上で、最終的にわれわれは、この核防条約の批准をやるべきかやるべからざるか判断をしたい、そう考えますので、ひとつその点を誠意をもってやってほしい。これは要望しておきます。 それから最後に、原子力開発の出直しという言葉を使って、題目にしておきました。いま石油がこういう状態になりまして、たとえ石油がそう急に減るということがなくても、とにかくいま日本で原子力産業をほんとうに自立させなければならない一番大事な時期。ところが、そういう時期にいま一番悪い状態になりました。簡単に言えばデッドロック。これは日本ばかりではございませんで、アメリカでも、いま原子力発電の操業度は三割ぐらいだろうと言われております。日本の場合、新しい立地は柏崎その他ほとんど壁にぶつかってできませんし、「むつ」はああいう状態であります。それから既存の原子炉にもいろいろ問題が起きて、休んでいるところが多い。だから、どうここでもってあがいてみても、いまの体制でそのままいけるわけはないし、六十年六千万キロワットアワーというのは無理にきまっておりますから、この際、そうした何万キロにするということよりも、ひとつ出直しをして、原子力の安全というものについて、国がもう一ぺん新しく乗り出して、それで国民合意を求めるべきではないか。 原子力でありますから、すべてこういうものがそうであるように、絶対安全なんというものはあるわけがないのですね。しょせんは確率の問題であります。新幹線だって、何百万分の一くらいの人の死ぬ確率はあるわけだけれども、やはりその便益対確率を比較して、皆さん乗っておられる。だから原子力の場合には、その便益が設置する近所に直接に及ばないから、むずかしい問題がございますけれども、それにしても、国民全体として許容し得る安全度、こういうものを、いままでのような、ただアメリカのデータで間に合わせるのではなしに、本当に政府自身が乗り出して、自主技術で、そうした許容し得る安全の度はこういうものである、そういうものをはっきりさして、国民合意を求めるようなことをまず考えなければならない、そう思いますが、いかがですか。
○佐々木国務大臣 簡単にお答え申し上げます。 安全に関しましては、第三者と申しますか、それに対しましては、国際放射線防護委員会でございますか、その取り決めによりますと、五百ミリレムというのが基準になっておりまして、日本の規制法でもそれをそのまま採用しております。しかし、いわゆるアズ・ロー・アズ・プラクチカブルという法則で、そのままではいけませんので、できるだけひとつ実用ができる範囲でこれを低めようというので、大体百分の一、そのくらいにしております。 それでは、それを確保するためにはどうするかというところが問題でございまして、御承知のように、発電炉は、いわゆる事故と称するものは、私このごろ事故の内容に非常に疑問を持つのですけれども、第三者の人体その他に影響を与えるような、そういういわば狭義の事故というものは全然ないのであります。 〔谷川委員長代理退席、委員長着席〕 ただ、いわゆる故障とか、あるいは誤作業と申しますか、こういうものからくるいろいろないわゆる故障が出てくるのでございますけれども、それに対しては、何重にも、あるいは各系統独立して、絶対に早期の間にこれを発見し、対処方法を講じ、あるいは万が一それが不可能な場合には、また何段かの対処方法で炉を消すとか、いろいろな方法を考え、あるいは天然災害に対しても対処法を考え、たとえば地震等の対策も十分考え、なおかつほかの産業では全然考えられない万々一の異常現象等をも考慮して、それに対する特殊な対策を講じておく。しかも、その上になお出たものは、炉外には出ないようにというので、これまたいろいろな容器等を何重にも使いまして、これでもか、これでもかというくらい安全のための施設をしておりますので、先ほど申しましたように、第三者的に影響を与えるということはまず万々ないと思いますけれども、しかし、お話のように、故障等が随時相当アメリカ並びに日本でもありますことは事実でございます。したがって、故障がありますれば、炉に対する、あるいは原子力開発そのものに対する国民の信頼度が減っていくのはあたりまえのことでありまして、今後とも故障等をなくすために、できるだけの努力をいたしたい、こういうように考えております。 それで、少し長くなりますが、それではそのための体制等をどうするかという問題に関しましては、いままでの原子力委員会あるいは原子力局といったような体制のみでよろしいかといいますと、どうもお話のような客観情勢がございまして、私はもうそれではいけないのじゃないかという感じがいたしますので、内閣に原子力行政懇談会というものを設けまして、この場において今後の、特に安全サイド等を中心にいたしまして、責任体制をどうするか、あるいは審査、検査等の一元化、一貫性等をどうするかといったような問題を、これから推し進めたいというふうに考えております。ただ、それが結論ができますまでほっておけるかといいますと、そうはまいりませんので、御承知のように、ことしの予算で、総理の特別の御裁断によりまして、原子力安全局というものを設け、そしてこの機関を中心に、法律改正のいとまもございませんから、従来の原子力等規制法あるいは電気事業法等の法律をそのまま適用しまして、そして運用の面で、とりあえずできるだけ事故等を少なくするような検査、監査等をやっていきたいというように実は考えております。
○河村委員 最後に、総理大臣、いま原子力安全審査の機構について、内閣に原子力問題懇談会をつくって検討するというようなお話でございましたが、懇談会、懇談会で、何か逃げられるような感じでございますが、これは回答は私ははっきりしていると思うのですね。いまの原子力委員会というものは科学技術庁長官が兼任をして、それで安全審査会というものは原子力局の諮問委員会にしかすぎない。みんなただ学者がときどき来てやるだけの話であるし、それだけでなくて、この原子力委員会は基本設計の審査しかやらないのですね。それで発電の方になれば、設計、施工、運転等に至るまで全部通産省、原子力船になれば運輸省ということになって、基本設計以外にはタッチできないのです。しかも運輸省、通産省というのは開発主体ですね。安全を独立して担当しているものじゃないのです。アメリカでも、あれだけりっぱな原子力委員会がありながら、なおかつ開発と両方一緒にやっているというので、原子力規制委員会と分けて、これは一貫安全審査体制をつくりましたね。だからこの際、原子力委員会を独立させて行政委員会にすべきであると思います。行政委員会にして、それで安全に関する限りは、基本設計から施工、運転、検査、立地、ここに至るまで一貫して責任を持つ体制をつくる。そういう体制をつくっておいて、それで本当に国民に呼びかけて、原子力というものはこれだけの安全の体制もあり、こういう安全度でいくのですということを、真正面から国民に訴えていく覚悟がなければ、原子力のいまのデッドロックというものは打開できません。私はそう思います。総理大臣はどうお考えになるか、それをお伺いして、質問を終わります。
○三木内閣総理大臣 新しいエネルギーの開発ということも言われていますが、これは時間がかかる。どうしてもやはり原子力の発電というものが、日本のエネルギーの問題を考えた場合に、相当なウエートを占めてくることは明らかであります。いまのような状態では、昭和六十年に六千万キロといったって、だれが考えたってできるわけがないわけですから、それは根本的に、どういうところに不安があるかといえば安全問題ですから、安全に不安があるというところで、原子力発電の立地も非常にむずかしいし、国民の拒否反応というものがあるわけです。もっともなことですから、これに対しては、いま河村さんの御指摘になったようなことも、今度懇談会を置こうというのは、とにかく根本的に原子力行政を考えてみようということで、十分この安全に対して国民の不安が解消できるような、そういう体制をつくりたいということで、懇談会で十分検討を加えたいということでございます。
○河村委員 終わります。
○荒舩委員長 これにて河村君の質疑は終了いたしました。 午後一時より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午前十一時三十三分休憩 ————◇————— 午後一時三分開議
○荒舩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。石野久男君。
○石野委員 アメリカのフォード大統領は、一般教書で、エネルギーの自立体制のために、非常に力強い演説をなさったようです。中国の周総理は、二十世紀までに中国を、農業、工業を通じて世界の先進国の前列に立たすという、これまた非常に自信に満ちた演説をいたしました。総理は施政演説で、「特に重要なエネルギー対策としては、石油九十日備蓄の計画的推進、原子力平和利用の促進、原子力安全局の新設、新エネルギーの技術開発に重点を置きました。」——激動しているわが国の国際情勢の実情に見合うエネルギーの総合的開発計画は、国民生活の安定と向上、環境保全の観点からきわめて重要であります。 政府の総合エネルギー政策をこの際お聞きしたい。特にその中で、エネルギーの自給についての考え方、その最低限の方策というものを現時点でどのようにお考えになっていられるか、また、エネルギー資源としての原子力のエネルギーをどういうふうに見ておられるか、その位置づけ並びに長期にわたるところの計画の問題等について、この際お述べいただきたい。
○三木内閣総理大臣 詳細については通産大臣から補足をいたしますが、基本的には、石野さん、アメリカにしても中国にしても、国内において相当石油の生産が可能だし、アメリカのごときは、中国でもそうですか、無尽蔵な石炭もあるし、エネルギーの事情が日本と非常に違うわけですから、私が施政方針演説で、異例なことであったが、冒頭に中東問題をとらえたのは、現在でも約八〇%中東の石油に依存しておる。だからどうしても日本は、国際協力といいますか、そういうものを除いて国内でエネルギーを自給せよといっても、アメリカとは無論違うし、ヨーロッパ諸国とも違う。そういうことで、中東問題というものは、和戦の動向も含めてきわめて重大であるということで、ああいう施政方針演説になったわけです。 中東諸国、これは日本の石油の八〇%といえば、本当に依存度が高いわけですから、そういうところで国有化の傾向があって、DDオイルというものもふえてくるでしょうし、またメジャーとの関係というのは維持していかなければならぬ。そういうことで、石油の海外からの安定供給というものは当分確保していかなければなりませんから、そういう点で、日本の場合は諸外国とエネルギーの事情が違う。だから、私が中東との力による対決に反対であるということを言っておるのは、日本の場合は、そういうことを言って石油問題というものの解決の見通しはありませんから、そういうことで、海外の依存度が高いだけに、国際協調というものが一番の基礎になる。 そして国内においては、やはり原子力発電というものに対して相当なウエートがかかってくる。かかってこざるを得ない。昭和六十年度に六千万キロワットと言っても、これはいまの状態でだれが見てもそういう目標が達成できぬことは明らかで、これはやはり練り直さなければならぬ。これには安全性というものが——国民にも皆わかっておるわけですよ、原子力発電というものを相当開発していかなければならぬということは。安全の確保という点に不安がある。そういうことで、行政機構の上においても、局の新設なんというものは全然認めないという方針でしたが、科学技術庁に安全局を設けて、そしてこれから原子力行政というものも根本的に立て直してみなければならぬということで、安全確保という面から見れば、いまの機構にはなかなか国民に安心さす、政府が責任を持つのだというような体制までいってない点がありますから、こういう点で、そういう原子力の開発という面で、安全というものを中心に置いて、原子力行政の機構を見直してみよう。 新しいエネルギーの開発、ことしも金額としては、諸外国の新しいエネルギーの開発に比してそうびっくりするような金額ではございませんけれども、どうしたって、太陽エネルギーとか、日本の場合は、核融合、これの開発というものは、いままで相当手がけて、水準としては日本なんかは大いにやっておる方でありますから、そういう方面の新しいエネルギーの開発というものにも、今後やはり力を入れて、それにも国際協力の面もありますが、そういうことを一つの大きなエネルギー政策の骨格としては考えておる。その間、フォード大統領なども教書で強調しておったように、節約という問題も、これは国民の日常生活、産業構造、そういうことで、できるだけ石油の輸入を減らすというような努力も要ることは、そのとおりでございます。 そういうふうに考えておるのですが、もう少しこれに通産大臣から補足をして答弁をいたすことにいたします。
○石野委員 通産大臣の補足説明もですが、総理の考え方として、いわゆる新しいエネルギーへの考え方はわかりましたが、いまの現状で日本の国が持っている資源の自給度というものについて、たとえば石炭とかなんとかというようなものなどは、もう全く炭鉱をつぶしたままで、そのままにしておくのか、そういうようなものについての構想は持たれておるのかどうかということについて、所見をお聞かせいただきたい。
○三木内閣総理大臣 石炭も、エネルギー革命の中であのような転換をしたわけで、日本の石炭の条件というものは、諸外国に比して非常に悪いわけですが、こういう機会に、石炭鉱業というものも見直してみる必要はあるけれども、大きな期待は持てない。海外からの石炭の輸入ということも、これはやはり一つの課題になってくると思いますが、まあ、どうしても日本の産業設備が石油というものに依存していますからね。だから石炭というものに対しては、いろいろそういう制約もあるが、見直さなければならぬことは、お説のとおりだと思います。
○石野委員 福田企画庁長官は、所信表明の中で、資源有限時代の到来を意識するようになった、資源消費国では、当面、省資源、省エネルギーという方向で対処せざるを得ないという観点から、「新しい経済運営と国土の総合利用の指針として、五十一年度を初年度とする新たな長期計画を策定する」、このように述べておられますが、この新たな国土総合利用としてのエネルギー資源開発は、別段の施策として、何か御構想を持っておられるのですか。
○福田(赳)国務大臣 新長期計画ですね、これは大体二つ考えております。一つは経済社会基本計画であります。それからもう一つは国土利用総合開発計画。そのいずれの計画にいたしましても、これはどうしても資源エネルギー、これが計画の前提になるわけです。ですから、その資源エネルギー長期計画、これの見当をつけまして、その上に立って、もろもろの長期計画を進める、こういうことになるわけであります。 資源有限時代になってまいりましたので、その間に処して、わが国がどういうふうな対処をするかということになると、これは長期的には、何といっても代替資源の開発ということだろうと思うのです。しかし、当面、代替資源にそう多くを期待することはできない。その当面の考え方としては、どうしても一つは省資源、省エネルギー、それから一つは備蓄、もう一つは資源外交、こういうことになろうと思いますが、そういう考え方を踏まえまして、当分の間のエネルギー計画はどうなるか、それを策定いたしまして、その上に立ってもろもろの諸計画を立てていく、こういうことであります。
○石野委員 省エネルギーあるいは備蓄、あるいは資源外交というような、大体のそういう方向というのは一応わかりますが、それならば、具体的に何をそういうものとして取り上げていくかということについては、全然お考えはないのですか。
○河本国務大臣 先ほど来、わが国のエネルギーの基本的な方向及びその具体的な内容、今後のプラン等についてのお話がございましたが、御案内のように、一番大きな問題は、何といたしましても、現在わが国のエネルギー資源というものが海外に大幅に依存しておりますので、これを自立の方向にできるだけ近づけていくということが最大の課題でございまして、そういうことのために、先ほどお話しのような国内においての石炭の開発はもう不可能であるかどうか、こういう問題も検討しなければなりませんし、あるいは原子力発電というものは、答申を受けまして一応のプランはできておりますけれども、果たしてその線で実現できるかどうか、こういう問題もございます。さらにまた、積極的には、先ほどお話しのように、エネルギーをできるだけ少なく使うような産業の育成、それから節約、備蓄、こういういろいろな問題があるわけでございます。それぞれの分野におきまして、具体的な方策を進めておるところでございます。
○石野委員 原子力については、すでに四十七年の開発長期計画があります。その後、稲葉私案のようなものも出ておりますし、四十九年度に、長期計画として、一応の手直しのようなものが出ておりますけれども、現状、原子力開発という問題については、計画としてはどれによるのか。稲葉私案によるのか、どういうふうなのか、その点をひとつ明確にしていただきたい。
○佐々木国務大臣 お説のように、原子力発電の長期計画に関しましては、原子力委員会でつくりましたのは四十七年で、大分前のことでございます。その後、稲葉私案、稲葉委員の私案のようなものもできておりますけれども、しかし、まだ正式に原子力委員会として、その後の情勢を勘案しながら決定したものではございません。 ではどうするのかと申しますと、ただいま経済企画庁あるいは通産省等で、新しいエネルギー情勢等を考慮しながら、経済全般の、安定経済下の経済の伸び等、これから作業に入りますので、そういう点を勘案いたしまして、全体としてエネルギーがどのくらい必要か、その中で、原子力発電はどういう地位を占めるか、といったふうに決めてまいりたいと存じております。
○石野委員 そうしますと、原子力の開発計画について、昭和六十年度六千万キロワットというものは、一応現状では消えているというふうに考えてよろしいのですか。
○佐々木国務大臣 現在のところでは、十年後に六千万キロ開発しようという目標は変えておりませんけれども、先ほど総理大臣からもお話がございましたように、安全問題等で、着手が大分計画よりずれておりますので、六十年度までに果たして六千万キロが完成できるかどうかという点に関しましては、大変危ぶまれる点もございますけれども、ただいまの目標といたしましては、その目標を変えておりません。
○石野委員 長期計画がまだ固まっていないという情勢でありますが、総理は原子力に力を入れるという話でした。 そこで、原子力問題については、先ほど来お話しのように、いろいろ問題があります。これから少し原子力の問題でお尋ねしたいのですが、まず最初に承りたいのは、昨年問題のありました原子力船「むつ」の件についてでございますが、「むつ」の問題については、自民党の前の鈴木総務会長が、青森の漁連の諸君といろいろ取り交わしをした条件がある。 その条件は幾つかありますが、特にその中で、母港を早急に撤去するということ、新しい母港を見つけるということになっております。先般、江田委員からも、この席で母港の問題について聞きました。しかし、母港の問題は非常に重要でございますので、その見通しがあるのかどうか。 特にこの際聞いておきたいのですが、新聞の伝えるところによりますと、自民党の伊藤科学技術部会長が、二、三の地区から打診があった、原発と廃棄物処理場のあるところに新母港をつくる一大原子力センター構想もある、こういうふうに言っております。だから、そういうふうな観点で進められておるのかどうか、その点をひとつはっきりさせていただきたい。これは総理からちょっと。
○佐々木国務大臣 具体的な事実の問題でございますので、私から御答弁申し上げます。 御承知のように、「むつ」問題は去年の十月に決着がつきまして、その後地元側と交わしました契約は、極端に言いますと、新定係港、新母港の指定だけが残りまして、それ以外は全部約束どおり進んでおります。 そこで、お尋ねのありました新定係港はどういうふうになっているんだということでございますが、これは御承知のように、なかなかむずかしい問題でございますので、片手間でこの問題を進めてはいけない。また、そういう性質の問題ではなく、大変重要な問題でもございますから、科学技術庁と運輸省、それから原子力船事業団の中からそれぞれチャンピオンを出しまして、対策本部をつくりました。科学技術庁の片山政務次官を首班にいたしまして、もっぱらこの問題の解決にただいま努力中でございます。いま申しましたような予定地と申しますか、いろいろ条件がございますが、相当数ございまして、その選別等にせっかく努力中でございます。
○石野委員 予定地がたくさんあるということは初耳です。おそらくどこも拒否するだろうと思っておりますけれども、政府はそういうようなお考えのようですが、特に自民党の伊藤科学技術部会長が、原発と廃棄物処理場のある場所と言えば、いまは茨城県東海村しかないんですね。再処理工場なんかがあるところはありませんが、そういう話が茨城では進んでおるのですか、どうですか、そこのところをちょっと。
○佐々木国務大臣 全然進んでおりません。
○石野委員 母港がなくなる時点は、もうあと三カ月ぐらいしかありません。その時点で新母港がない場合に、原子力船「むつ」というものは、これはどういうふうになるのですか。母港のない船ということになりますと、また漂流ということになるのですか。
○佐々木国務大臣 去年の十月の取り決めでは、ことしの四月中旬までに第二母港を決め、「むつ」そのものの移転は二年半後、それもおおむねということになっております。したがいまして、母港そのものの決定と現物の移転の問題というのは、もちろん関連はございますけれども、母港が決まらぬから「むつ」はそのまま漂流するという性格のものではございません。 それから、お話でございますけれども、私の見通しでは、第二の母港に関しましては、先ほど申しましたように、非常な勉強をしておりますし、いよいよしぼれば、しぼった上で、それぞれ交渉段階に入るわけですから、いまのところでは、見通しはどうかと言われても、大変はっきりした見通しは立て得ないのでございますけれども、しかし、必ず四月中旬ころまでには決め得るであろう、また決めなければいかぬというふうに、せっかく努力中でございます。
○石野委員 母港がなくなったときの原子力船「むつ」というのは、居場所がないということになるわけですね。置く場所がなくなるわけですね。そのときにはどういうふうに処置するのかということと。それから、そういう船というのは実際にあるのかどうなのかということが問題になるので、それは法律的にはどういうふうになりますか。
○佐々木国務大臣 先ほども説明いたしましたように、四月の中旬まで第二定係港が決まらなければ、「むつ」はすぐ海上へまた漂流しなければいかぬなんというものではないのでありまして、現物が実際に移転するのはおおむね二年半ということでございますから、おっしゃるようにはならないと思います。 そこで、いまの定係港を決めますのには、ただいま申しましたように、あらゆる努力を尽くしまして、ただいま作業中でございますので、必ずお約束どおり決め得るものと確信しております。
○石野委員 原子力船のこれからのあり方ですが、特に原子力開発という問題についてはどういうふうな考え方を持っておられるか。ことにいまの原子力船「むつ」というのは、率直に言って、これは実用化された船と見ていいのかどうかという、この点が非常に重要でございます。私どもの考え方では、これは実用船ではない、まさに実験船であるというふうに思いますが、そういう点、政府はどういうふうに考えておりますか。
○佐々木国務大臣 先ほどちょっと失言したそうでございまして、発電を、六十年度まで六百万キロと言ったそうでございますが、六千万キロの間違いでございまして、訂正しておきます。 それから、今後の原子力船の見通しがどうかという問題と、いまの「むつ」はどういう性格の船であるかという二点の御質問でございますが、ただいま原子力委員会に、原子力船の将来、あるいはいまの「むつ」の今後の運転、操作等の扱い等の問題に関して、どうしたらよろしいかということで部会を設けまして、これから検討するつもりでございますが、ただいまの段階では、発電と同様とまではいきませんけれども、しかし、油の方が、御承知のように大変値段が高くなりましたので、原子力船も長期で大型のものであれば、ある程度採算ベースに乗るんじゃなかろうか。これはまだ確実にそうなるとは申せませんけれども、そういう傾向になりつつあるやにも考えられますので、各国とも、将来を目指して原子力船の開発には相当意欲的な傾向を示しつつございます。 したがいまして、海運国であるわが国も、原子力船に関しては全然無関心である、あるいは他の国の原子力船は日本の港には一切入れないというふうな現状を長く続けるならば、将来日本が海運国として非常にゆゆしい問題になりはしないかという点を憂えまして、先ほど申しましたような部会をつくりまして、そういう問題の立案に当たるつもりでございます。 ただいま「むつ」は、それではどういう性格のものかと申しますと、端的に申しまして、私は試験船だと思います。ただ、その試験の期間は、大体二年半から三年ぐらい試験いたしまして、もうこれで大丈夫だというときに、それからどうするのだという場合には、実際の運転経費というものが必要なわけですから、これを全部、未来永劫国が支出するというのも大変なことでございますので、そういう際には、特定の貨物等の運搬にも使い得るようという意味で、少し欲張った考えではございますけれども、実は実用にも供し得るようにという設計になってございます。
○石野委員 「むつ」はまさに実験段階の船だということがはっきりしましたけれども、しかし、実験段階のその「むつ」が、いま動きがとれないで封じ込められている、どうにも手をつけることができなくなっているということは、率直に言って、科学の面から言えば悲劇ですよ。こういうような状態がなぜ出てきたかということについての反省がなければ、恐らく原子力の開発というものはできないだろうと思うのです。 そのことについて、政府にどうしても考えてもらわなくちゃならぬことは、この「むつ」については、「むつ」は世界一流だと、こういう宣伝が行われた。また、安全性に問題はないとまで言われた。しかも、このことについて若干の意見を持つ者については、科学に挑戦する者だと、政府の閣僚が言った。こういうような宣伝の仕方が、今日原子力船「むつ」をさすらいの船にしてしまっている。私はこういう点について、総理にお伺いしたいのです。原子力についてのこういうような非科学的な宣伝というものが、今後の原子力開発の問題に有利なのかどうなのか。 〔委員長退席、小山(長)委員長代理着席〕 そしてまた、政府は、こういうような非科学的な宣伝に対して放置しておくのかどうかということについて、総理の考え方を聞きたい。
○三木内閣総理大臣 私は、どういう宣伝が行われたかはよく存じませんけれども、こういう原子力の開発、ことに原子力船というようなものは、未知な世界への挑戦でもあるわけですから、いまいろいろ御指摘になったような、最初に余り気負い立ったような宣伝をしないで、やはり謙虚な態度で未知な世界に取り組むのだという態度が要ると思う。それがやはり国民の信頼にこたえる道で、初めから余り大きな宣伝をして——新しいわからない世界があるわけですからね。これは今後注意をいたしましょう。やはり謙虚でなければいかぬと思います。
○石野委員 やはり政府が責任を持って、そういう問題についての宣伝はさせないようにしなければいけないと思います。 私は、さきに科学技術の特別委員会でも述べたことがありますけれども、「むつ」の問題について、いま私はここに原子力船開発事業団の理事長をしておられる佐々木さんの本を持っております。「原子力船のはなし」というこの本は、もう徹頭徹尾、安全性には何も心配は要らないのだということが前提になっているわけです。残されているのは経済性だけの問題だ、そういうことでこの宣伝が行われた。だから多くの人々はこの本を信頼します。こう言ってはいけませんけれども、青森県の自民党の方々も全部この本を信頼して、「むつ」に対して批判を持つ者に対して、全く国賊扱いした。私は、そういうような過ちを犯させていたというこの本の罪というものは、非常に大きいと思うのですよ。それが現に「むつ」をいま動きのとれないものにしてしまっている。国民の血税が六十億つぎ込まれているこの船が、全く封じ込まれておるということについての責任を、これの事業を扱っていた佐々木君はとるべきだと思うのですよ。 こういう問題について、政府は行政上の観点からどういうふうに考えておられますか。私は、原子力の問題について、行政当局、政府が責任を全然持たないままに、しかも船をあのような形にしているということはまずいと思うのですよ。これははっきりとすべきだと思いますが、総理はどのように考えていますか。
○三木内閣総理大臣 相当な国費を使って開発するわけですから、その責任は政府は持たなければいかぬ。ただ、その書物がどういう書物であるか、私もまだ拝見していないのですけれども、こういうふうな新しい技術を開発するときには、やはり事故も起こる、起こった事故に対しては、こういう対策で国民に被害を与えないのだという、謙虚な態度がなければならない。もう事故は絶対に起こらないというようなことは、科学者として言うべきことではない。起こったときにおいて、これに対する対策は万全であるというような、そういう謙虚さというものが、やはり科学者には要るのだと私は思います。 そういう点で、石野さんの言われること、これはわれわれとしても、原子力の知識というものは一般に普及しておりませんから、そういう書物があれば、それを信頼するということは当然のことであって、今後の原子力行政として謙虚な態度を持するということは、やはりそういうことも反省の材料にして、十分な注意をいたします。
○石野委員 原子力船の問題は、ただ船としての問題だけじゃないのです。いわゆる原子炉にかかわる問題であります。したがって、今後原子力開発という問題を考える場合に、「むつ」に起きた問題について政府が責任を明確にしない場合には、原子力発電そのものについて、国民の信頼はどこからも出てこない。まず隗より始めよで、この原子力船についての責任を明確にするということは、何としても、原子力行政の上の出発点だと私は思うのですよ。これは機構をいじる前に、こういう具体的な問題について、政府の所信が国民の前に明らかにならなければいけないと思う。 いま一度お尋ねしますけれども、佐々木理事長のこの本の扱い方、この考え方、これは本だけじゃないのです。これは後で続んでいただけば、至るところでなにした講演なんですよ、全部。だから、こういう問題についての責任だけは、明確に政府としてはとらすべきだと思うのです。ひとつ総理の所見を聞きたい。
○三木内閣総理大臣 その書物、佐々木理事長ですか、理事長とすれば、そういう確信を持って開発に取り組むということは、まあ理事長の立場としてはそういうことであろう、非常に自信のないことを理事長が引き受けてやるわけじゃないのですから。私の言うのは、こういうまだ未知なものがたくさんあるような場合に、何かこれはもう絶対というような言葉を使っていくことは、科学的な態度でないわけですから、これに責任をとれと言っても——今後戒心をいたします。これはやはり謙虚な態度で技術の問題は取り組まなければいかぬということで、そういうふうに御了解を願いたい。全責任は政府が持たなければならぬことは、当然のことでございます。
○石野委員 私は、これにこだわっておりたくはないのですけれども、この本は、一々読めばすぐわかると思いますが、時間がたつので、私は読まないのです。私どもは、この「むつ」の問題については、安全性は大丈夫なんだということは間違いなんだということで、訴えてきたのです。ところが、そのことについては、そんなことを言っているのは科学に挑戦するのだということで、頭から否定してきた。担当する事業団の理事長が、大丈夫だ、大丈夫だ、これはもう経済性だけだ、こういう観点で述べてきているから、これはきわめて重大なんです。しかも、新しい科学だからこそ、やはり慎重でなければならぬし、絶対安全だなどということを言うべきでないということを、私たちは言ってきておるのにもかかわらず、当局側が、安全だ、安全だで来ている。 このPRのあり方について、絶対に安全だということを前提とする原子力のPRは絶対にしないということ、そういう指導をするということを、総理は明確にここで国民に対して言えますか。
○三木内閣総理大臣 私は、やはり絶対という言葉は容易に使うべき言葉でない。科学技術者の態度とすれば、そういうことは言える場合もあるのかもしれぬけれども、絶対という言葉は慎まないと、非常に誤解を生じて、かえってそのことが、物を知っている者にとっては信頼性を失うことにもなりますから、今後絶対というふうな言葉は使わないようにいたすことにいたしましょう。
○石野委員 原子力の問題は、まだ未知のものが非常に多いのであるから、絶対という言葉はあらゆる場合に使わせないということは、これは総理もまた長官も心すべきだと思います。 そこで、原子力エネルギーを使うということで積極的に取り組みをするというのですが、それは主として原子力発電所になるんです。原子力発電所というのは、現在の段階では電力会社がやっておるんですから、これはペイしなければならないと思いますが、原子力発電所がペイするのには、操業率は大体どの程度を目安として考えておられますか。
○河本国務大臣 大体七〇%を予定いたしております。
○石野委員 通産大臣、それはいつからそういうふうになりましたか、七〇%というのは。
○河本国務大臣 これは当初の計画を七〇%に置いたわけでございます。そういう趣旨でございます。ただ、実際は、各発電所の事情を見ますと、最低が二七%から最高が七八%になっておりまして、まちまちになっております。
○石野委員 私はいま資料を配りましたが、操業率問題をここのところ通産省に調べてもらいました。実際、原子力発電所にしても、普通の発電でも、採算点というのは八〇%操業なんですよ。七〇%なんていうのは、世界のどこを見たって、そんなことでペイするはずはありません。いま、その七〇%という河本通産大臣の発言は、私の質問に対する伏線を引いているだけなんです。そんなことでは通用しませんよ。七〇%などでは、とてもとても通用するものじゃない。それはアメリカの全米調査会議からAECに対して言っておりますけれども、石油が上がった段階でも、原子力発電所は経済的には競争力はない、安全性についても安易な取り組みは警戒しなければならない、ということを言っております。稼働率の問題でまいりますと、先ほど大臣が言われたように、日本の発電炉は非常に新しくて経験もないということもありますけれども、言われるように、稼働率は非常に悪いんですよ。 特に、いまお配りしました原子力発電所、美浜発電所のごときはひどい。これは通産省の調べですが、現在稼働している発電所で四十八年度の稼働を見ますと、東海発電所は七〇・四%、敦賀の発電所は七八・九%、福島の一号炉は四八・四%、美浜の一号炉は二七・四%、美浜二号炉が五四%です。そして美浜の四十九年度の稼働率になると七%ですよ。これでは原子力に依存しようとする政府の考え方は、こういう状態ではとてもやっていけないと思うのです。総理、こういうような状態でも、原子力に依存して日本のエネルギーを確保することが、経済的に見てできるのですか。
○河本国務大臣 原子力発電というのは、日本ではまだ成熟した段階とは言えませんので、この安全性の問題等がございまして、御案内のように、事故がたびたび起こっておるわけでございます。そういう段階でございますから、いろんな問題点を積極的に解決しながら、だんだんと採算点に持っていきたい、こういうふうに思っているのです。 大局的に申し上げまして、石油以外のエネルギーと申しましても、新エネルギーの開発などはなかなかむずかしい問題でございまして、やはり代替燃料といたしましては、当分原子力と石炭、これに主力を置かなければいかぬと思いますので、問題点は解決しながら、採算に乗るように持っていきたい、かように考えております。
○石野委員 日本はまだ経験が浅いから、非常に操業率が悪いとおっしゃいましたが、じゃ、非常に経験の富んだアメリカでは、どの程度の操業率にいっていますか。
○河本国務大臣 これは政府委員の方から答弁をさせます。
○石野委員 政府委員がやる前に、これは時間をとりますから私が申しますが、いまここに、デビッド・デンズモア・コメイという方が、アメリカのAECの材料で、PWR、それからBWRの百メガワット以上の運転中の全原発の平均効率を出しております。これで見ますと、大体最高いいというのは九五%というのが一つあるのです。これは稼働して時間がまだほんの間がないところなんです。八〇%以上になっているのはたった二つしかないのですよ。あとは全部六〇%、三二%。そして原子炉が稼働しましてから約五、六年のところで、皆ダウンしてきます。ここに約二十幾つありますが、それの一九七四年の六カ月間の平均で五〇・五%です。これをカーブにしますと、これは小さいなにですが、こういう形で、大体三年から四年のところでピークを引きます。あとはぐっと下がってきております。日本だけじゃありません。世界じゅうこういう状態なんです。 これはなぜですか。なぜこういうふうに操業率が予定どおりいかないのか、これが一つ。それから、皆さんが言うように、原子炉は二十年の寿命があると言うけれども、二十年の寿命などどこにもないのです。ほとんど皆五、六年で寿命が来てしまう。そういうものに頼れるのかどうかという問題について所見を聞きたい。
○河本国務大臣 これは非常に技術上のむずかしい点を含んでおりますので、政府委員の方から答弁をさせます。
○井上(力)政府委員 お尋ねの点でございますが、原子力の現在におきます運転状況でございますけれども、先生御指摘のように、かなり悪い稼働率のものもございます。 ただ、現在の日本の現状からいきますと、必ずしも全部悪いというわけではございませんで、先ほど御指摘の、たとえば美浜発電所は、PWR型三十四万キロでございますけれども、日本におきます第一号機でございまして、特にそういった点でもトラブルが多いというふうに考えられます。その他の発電所につきましては、必ずしもそう低くはないというふうに考えられます。 それから、御指摘の、ある程度の年数がたった場合に、稼働率が下がるのではないかという点でございますが、これは技術的に申し上げましても、経年的にトラブルが起こるケースがあるわけでありまして、そういった問題から、安全性第一ということで対処いたしておりますので、稼働率が若干下がるというふうな場合があるというふうに考えられます。二十年、三十年という期間にわたりまして、これがどのようになっていくかという問題につきましては、まだはっきりした点がないかと思います。
○石野委員 総理、いま専門屋が言っても、そのとおりなんですよ。まだ技術的にも非常に不解明のものが多い。案外に、皆さんがこれに期待しているほどの効果が出ていないのですよ。 たとえば美浜の一号炉は、初めてだからと言うけれども、これは御承知のように、蒸気発生器におけるところの細管の事故なんです。そして、私どもがこの事故の視察をしたときには、これはウエスチングハウスの子会社がやったんだから、新しいものにかえますから、今度は大丈夫ですと言ってやったのが、美浜の二号炉なんです。その二号炉は現在稼働しているのですか、どうですか。
○井上(力)政府委員 現在、熱交換器チューブにリークがあったということで、その辺を中心にいたしまして、定期検査に入っております。この定期検査は、年に一遍、法律に従いまして行います定期検査でございますが、その定期検査の中で、リークがありましたチューブその他、点検ができる部分すべてにわたりまして、詳細に点検をするということで、数カ月の予定で点検に入っております。
○石野委員 私どもが視察をしたのは一昨年の六月です。そのときに説明としてもらったのですが、ここに関西電力からもらった資料があります。時間がありませんから細かく申しませんが、とにかくこれはもう下請にやらせたことだからだめなんだ、新しく今度はウエスチングハウス自身がやりますからということで、それにかえたのが二号炉なんですよ。いま定期検査と言ったけれども、実際は定期検査じゃなくて、事故が起きたから、いまやっているのですよ。そしてやはり同じ場所なんです。これがPWRの現状ですよ、実際問題としては。また最近、総理もお聞きだと思いますけれども、福島の発電所なんかが、やはり同じように、今度は別な観点で事故が起きております。そしてアメリカも、御承知のように、そういう点でほとんどやはり再検査を命じているというような事情ですね。だからPもBもどちらもみんな事故続きなんです。 細かい事故の問題は別としまして、そこで問題になってきているのは、やはり応力腐食割れという問題が出てきておるわけです。こういう問題についての解明は、事実上できていないのですよ。そういうような状態の中で、なお原子力に依存していくということについては、政策的に言っても問題があると思うのですよ。総理は、そういう問題についてはどういうふうに考えますか。
○佐々木国務大臣 技術的な問題ですから、私からお答えします。 ただいま事故と称するものと操業率の関係等お話がございました。大変事故が多い、そのために採算が合わないのじゃないかというお話で、確かにそういう面はございます。しかし反面、採算の合わないものであるならば、フランスなどは今後は全部原子力発電に切りかえ、あるいはアメリカ等でも二億数千万キロワットの軽水炉をこれから発電に使っていこうという、こういうことは私はあり得ないことじゃなかろうかと思います。しかし、おっしゃるような操業率の問題は、事故が起きまして炉をとめますれば当然下がるわけでございますから、そういうこともあり得ると思います。 それから、事故の問題で、私、石野さんは大家ですからお聞きしたいのですが、従来のように、事故というのを一緒くたに——採算や何かの問題は別にして、炉の安全性という問題を中心に考えれば、事故という問題に対して、もう少し分析して考える必要がありはしないかという感じがしておるのでございます。そのわけは、環境、第三者に対して、人体的に障害を与えたというようなものを、かりに事故の中でも狭義の事故と見ますと、それ以外の炉内におけるいろいろな、ひび割れをしたとか、あるいはピンホール、穴があいたとか、あるいは操作を誤ったとかいったようなものは、これはむしろ事故というよりは、機械に付帯する一つの故障あるいは誤操作と言うべきでなかろうか。そういうふうに、私、同じ事故でも分けて考えた方がいいんじゃなかろうか。実は御異論があろうかと思いますが。 そこで、いまお話のありました、第三者、環境に被害を与えたというような事例は、原子力発電には一つもないのでありまして、これはその意味においては、石野さんも十分御存じだと思いますけれども、安全に関しては、いろいろな操作があることは御承知のとおりであります。 そこで、前者の故障あるいは誤操作があった場合どうするか。これが第三者、環境の被害に結びつかないように、炉を操作する、あるいは炉を設計する、こういうこと自体がすなわち原子力の本使命でありまして、原子炉の開発というのは、極端に言えば、そのものずばりと言ってもいいくらいの問題だと思います。したがって、そういう故障がずいぶん起きたじゃないかと言われますと、これは同じ炉を世界的に使っておるわけですから、アメリカで同じ炉で欠陥が見つかれば、日本でもすぐ炉をとめて再点検するというようなことで、あるいは、アメリカでやって安全装置がうまくいかなかったというなら、日本でさらに研究して、こういうふうにいくじゃないかというようなこともありますので、そこら辺は、私、事故の内容というものはもう少し分別して考えてみたらいいんじゃないかという感じがいたしますけれども……。
○石野委員 長官から、そういう素人だましのような話を聞くとは思わなかった。いまECCSにおけるところの問題は、そんなに誤操作の問題じゃありませんよ。蒸気発生器におけるところのピンホールは誤操作ではありませんよ。これはどんなことをやったって誤操作ではないのですよ。取りかえなければならぬ。だから美浜の一号炉のごときは、八千八百五十六本の細管のうち二千十四本というものを封じ込めたんじゃないですか。もう使えなくなったんじゃないですか。そしてECCSのひび割れの問題を、この前、GEの副社長が経団連へ来て、このひび割ればいわゆる送水管のひび割れだから、ここはひび割れておっても全然放射能なんか漏れてこないんだから大丈夫だという話をしたという新聞を見ましたが、こんなばかげたことがありますか。ECCSに入れる水というのは、事故時に緊急注入しなければならないパイプなんですよ。このパイプにひび割れがあったら、ものすごい高圧力で入れていくと、このひび割れがどういう事故になるかということは、水島のタンクを見たらわかるじゃないですか。水島のタンクのひび割れがどういう事故になったかということでわかるんじゃないですか。だから、ECCSの問題であるとか蒸気発生器の問題などは、誤操作の問題ではありません。これは原子力の技術上の問題なんです。技術開発上の問題なんだから、そういうことでごまかしてはいけませんよ。
○佐々木国務大臣 私は、ECCSを誤操作で云云と申しておりません。そういうことを一言も申していないのですよ。そうじゃなくて、ECCSは、御承知のように、原子炉の安全を確保するためにどういういろいろな操作があるかというと、幾重にも、また独立して、一つの事故が波及しないように、いろいろな操作をしていることは御承知のとおりで、たとえば、まず早期発見をする、あらゆる検査をして、ちょっとでも放射線が漏れればそれを抑える。それでもだめな場合には、さらに、もちろん御存じでしょうから詳しく話しませんけれども、障害があれば、それに対する措置というものは幾重にもできている。あるいは天然の地震とかの問題があれば、それに対する対策もできている。そうしておいて、ほかの産業では全然考えも及ばぬ一つの事故、こういう事故が、万万一、起こらぬけれども、仮に起きたらどうするかということまで考えて、そのときにはこのECCSシステムを使って、ばさっと水を流して水浸しにしてしまおうという、これはこういうための装置なんです。ですから、操作の間違いとかなんとかというものは、そんなものは使ったことがないのですから、あるわけはないのでありまして、私は決して操作の間違いなんて言っていません。誤操作ではなくて、私が言いますのは、そういう意味ではなくて、初めの早期発見した場合に、管から放射線が漏れたらすぐ炉をとめて修理する。それはなぜかというと、それをやって、環境とか第三者に被害を与えないようにする。初期の段階でとめてしまうわけですよ。そういう状況ですから、事故は、いわゆる狭義の事故と広い意味の事故と、やはり分けて考えたほうがいいのではないかと、私はそう思いますけれどもね。
○石野委員 広い意味も狭い意味の事故もじゃないのですよ。私の言っているのは、そんな狭い意味のことを言っているのではなくて、広い意味を言っているのでね。ECCSの問題は、もしこれが事故を起こせば、炉内に水が入らなくなる。水が入らなければ、もうウランは燃え続けてしまうわけでしょう。そしてついに炉自体を溶かしてしまうだろう。そしてウランの放射能は炉を溶かして、地下深くまでどんどん加熱したものが入っていくだろう。そして地下水まで到達するだろう、そして地下水に対して爆発を起こすだろうというようなところまでも懸念される重大な問題なんですよ。長官が言うように、あらかじめ予備工作をするから大丈夫なんだというようなことは、もうナンセンスなんですよ。そんなことは現に東海の原発だってあるじゃないですか。針が振り切ってしまって、わけわからなかったじゃないですか。針がすっかり振り切っちゃって、事故が起きておってもわからなくて、たまたまそこを通った人が見つけてやったのであって、何も計器ではその事故を防ぐことができなかったじゃないですか。そんなことを長官が言っているのではだめですよ。
○佐々木国務大臣 私は別に技術論争をするわけではないのですけれども、しかし、何か事故と言いますと、いかにも原子炉は第三者、環境汚染にすぐ結びつくものでないかというふうな御議論になるようにも見られますので、環境とかあるいは第三者の人体に損害を与えるというふうな、そういう事故は、事故はまさしく事故ですから、重大な事故ですから、そういうものは狭義の事故にして、普通の事故と言われる中に含まれている、故障とか誤操作とかいうものによる問題は、これは故障というふうなかっこうで分別して——なぜかというと、その故障によって重大な第三者に及ぼす事故にならないように、あらゆる操作を、安全装置をしているのが原子炉なわけでございますから、それをすぐ初期の段階でどうと、こういうふうに言うのはちょっとどうかと思います。
○石野委員 問題をはぐらかしてはいけませんよ。私は、炉がどれだけ安全性を確立しておるかどうかということを言っているのであって、操作がどうだこうだということを言っているのじゃないのですよ。もしあなたがそういうようなことを言うならば、それではなぜ、現場におるところの労働者が被曝するのですか。それは操作が悪いからですか。そうじゃないのですよ。問題が技術的にあるからなんですよ。 長官はごらんだろうと思いますけれども、ことしの一月十二日に、電労連の稲垣会長が原発建設の内部からブレーキをかけたという、大きな見出しの記事が出ております。これはやはり、現場で働いておる労働者の被曝線量がどんどんふえてきてどうにもたまらない、もうこれではやっていけないからということなんですよ。 ここで、稲垣さんのこれを要約してみますと、敦賀の発電所では、四十四年度に年間の被曝線量が二十人レムだった、四十五年度は二百四十九人レムになった、四十六年度には四百四十一人レム、四十七年度には五百六十七人レム、四十八年度では七百人レム、そして四十九年、昨年のなにでは千人レムになっている、こういうのですよ。被曝線量がどんどんふえてきている、こういうのです。また、福島の一号炉では、四十六年度は千五百八人レムだった、四十七年度では二千十一人レム、四十八年度では二千九百五十七人レムの被曝線量を労働者が受けている。こういうものに対する対策はなぜ出ないかということについて、まだ技術がそこまで行っていないのだと、こういうことを言っているのですよ。これは技術が行ってないだけじゃなしに、実を言うと、炉がこういうものを出すのですよ。だから、労働者の習熟度もありますけれども、原子炉自体に、こういうような被曝をさせるような放射線を出す、まだ不備なものがあるということなのです。だから、いま長官は、操作がどうだこうだというようなことで、原子炉に対する安全性に対しての不安感を与えるようなことは言わないでくれ、こう言うけれども、私は不安感を与えるために言うんじゃないのですよ。大事なことだから言うのです。 で、私は総理に——これは労働大臣に先に聞きますけれども、労働大臣は、この原子炉に働いている労働者の被曝線量については、どういうふうに把握しておりますか。
○長谷川国務大臣 お答えします。昨年、非破壊検査関係において労働者が被曝し障害を受けた事故は、水島、長崎、大分等で明らかになっておりますが、これらの事故は、素手で放射性物質を取り扱ったもの、そういうことでして、被曝量は数百レム以上と推定されております。さらにまた、原子力発電所関係では、最近、許容線量を超える被曝があったことは聞いておりません。民間の研究所におきましては、近年障害につながるような異常な被曝はないと、私は報告を受けております。
○石野委員 この被曝線量の問題では、個人の被曝線量か、集団被曝線量かということは非常に重大なんです。われわれにとって非常に大事なのは、集団的な被曝線量が問題になると思うのです。そういう点で、いま労働大臣の言われていることについては、十分じゃないと思います。少なくとも、これは現場の電労連の稲垣会長がこういうことを言っておるのですから。この資料は、集団被曝線量の問題を、各工場で調べたものです。いまのはアイソトープなどを使っておるところの話ですからね。 問題は、原子力発電所に働いている労働者がどういう被曝線量を受けているかということが、ここでは問題なんです、私の聞いていることは。と同時に、そこに働いている労働者だけでなく、ここに出入りしている下請労務者の諸君がどういう被曝線量を受けておるかということが、資料があれば出してください。なければあとでもいいんです。
○長谷川国務大臣 お答えします。 被曝の場合に、私も専門家じゃありませんけれども、どの三カ月をとっても三レム以下でなければならない、こういう規定のあることは御承知おきのとおりなんです。私もその新聞記事をよく拝見したのですけれども、何千、何万と書いておりますけれども、一人じゃなくて、何千人も働いて一レム以下を受けると、それが何千、何万ということになる。これは非常に大事な科学的なことですから、いずれまた、私の方で得たる資料を先生に御提供申し上げたい、こう思っております。
○石野委員 総理、この問題を私がきつく言うのは、実は放射線というものは非常にこわいものだということなんですよ。これは細かいことは言いませんけれども、たとえばプルトニウムがございますが、このプルトニウム239というのは、まあ私も科学者じゃありませんから、ここにその恐ろしさというものを書いたのがありますから、ちょっと読みますと、「Pu239の不溶性粒子の特長的な組織照射は、Pu239が壊変する時五・一Mevのエネルギーをもつアルファ粒子を放射することによって起こる。この粒子は生体組織ではわづか四〇〜四五uの飛程(生物学的損傷をもたらす)しかもたない。つまり生体組織のPu239は半径四五uの球状の容積の組織しか照射しないということである。この球体の表面より内部に入るにしたがって、放射線の強さは幾何学的に増大する。」そして、このアルファ粒子のエネルギーがどういう障害を与えるかということを言っているのです。これがほとんど肺がんを起こさせるということなんです。ほんの十グラムぐらいのプルトニウムが散れば、計算の仕方によっては、何億人という人に肺がんを及ぼすという非常に猛毒なんですよ。そういうものを、常時原子力関係の機関からは出してまいります。そういうことですから、私は、労働者なりあるいは周辺地住民が放射線被曝というものを受けることについては、もう非常に神経質的にならなければいけないんだと思うのです。 そこで、よく、科学はまだ未知であるから、試行錯誤があたりまえだという言葉が言われます。しかし、原子力についての試行錯誤は、私は許されないと思うのです。よくそういうことを言う総理の同僚がいるわけですけれども、私は、放射能における試行錯誤が行われたら大変なことになると思う。だから、原子力開発においては、試行錯誤という言葉を使うべきじゃない。これはもうまさに実験段階における中で閉じ込むべきものだ、こういうように思っておるのですが、総理は、そういう問題については、どういうようにお考えになりますか。
○三木内閣総理大臣 まあ、私も専門家でありませんけれども、原子炉を開発したアメリカあるいはヨーロッパ、フランス、イギリスなどの関係者と話をしてみましても、やはり次は原子力時代というものが新しいエネルギーを開発するまでに来るという確信ですね。それはやはり彼みずからが——日本の場合はみずから開発していないところに、いろいろなハンディキャップを持っておると思うのですが、開発した者自身でも、原子力のエネルギー時代というものを確信しておるということなんです。それはわれわれが考えると同じように、やはりそのことが、環境とか人体に与える影響というものをいろいろと考えての上の、そういう一つの長期の見通しだと思うのです。日本の場合はやはり、これは原子炉をみずから開発するというよりも、海外の技術開発に依存しておるわけですから、非常にその点は用心深くやらなければならぬし、原子炉の事故というか故障みたいなことは、それは機械でしょうからあるけれども、その事故が環境あるいは人体に影響するということは重大なことですから、石野さんの言われるように、これはもう新しい技術の開発だから試行錯誤があるのはあたりまえだという態度は、私はよくないと思うのです。これは機械だから、故障のような場合が起こりますよ。だけれども、人命なんかに影響を与え、それがまた肺がんなんかの原因になるということは重大なことですから、当然のことだという態度でなくして、やはり安全性というものに対しては非常な周到な注意をすることが、こういう新しいエネルギー開発に当たる者の態度でなくてはならぬ。きわめて厳格に考えなければいかぬという石野さんのお説に、私も賛成でございます。
○石野委員 科学技術庁長官にお尋ねしますが、プルトニウムというものについての考え方ですが、これはもう、いまも申しましたように、非常に猛毒だ、微量たりとも外へ出してはいけない、こういうふうにわれわれは考えてきておりますが、これもまだ技術が十分でないというと、どうしても外へ出ます。これは開発途上だから仕方がないのだというような考え方でおられますか、こういうものはやはり少したりとも外へ出してはならぬというふうに考えるのか、どうなんですか。
○佐々木国務大臣 お答え申し上げます。 私も、英国のウインズケ−ルなんか、二回ほど参りまして、このプルトニウムの危険性と申しますか、よく見もし、また勉強もしたつもりでございます。おっしゃるように、これは微量でも肺がんになるという学説、学者もいますし、また必ずしもそうじゃないという学者が、同じ英国、米国でもおりまして、いまのところは必ずしもそうなるという断定はできないように存じますが、しかし、いずれにしても、大変危険なものであることは事実でございますから、石野さんのおっしゃるように、こういうものは微量たりとも本当は出すべきでないと思いますけれども、しかし、操作の過程で、ごく微量、これぐらいであれば絶対——さっきから絶対という言葉は使っては困るというのですから使いませんが、いまの科学上は、影響なかろうと思う程度のものは、どうしてもまじるようでございまして、しかし、それに対しては、おっしゃるように、今後もいろいろ注意いたしまして、間違いのないように努力すべきだと存じます。
○長谷川国務大臣 安全の問題は大事なことですから、私からも気のついたことを御報告しておきます。 現実に放射線障害の事故が発生して、労災保険の請求が提出されたものは、現在までのところ必ずしも多くありません。また、私の方は安全を第一にしておりますから、昨年の八月に全国一斉に事業所を点検し、監督指導した結果に照らしましても、何らかの法違反、たとえば、定期的に測定をしていないとか、あるいは管理地域の標識が落ちておるとか、そういう違反の発見などもしております。そして、さらにまた、この問題につきましては、御承知のように、労働安全衛生法及び電離放射線障害防止規則、これによりまして、事前防止に努めておりますが、違反が発見された場合には、個別に、使用停止命令七事業所を含め、こういうところに是正勧告をしております。またさらに、本年一月二十四日に開催した全国労働基準局長会議においても、放射線障害事故の未然防止をはかるために、重点的に監督指導をやって防止に努めておることも、御理解いただきたいと思います。
○石野委員 安全の確保のためにいろいろな手だてをすることは非常に結構なことなんです。 そこで、放射能についての警戒心を高めなくちゃならぬということは、だれもが考えておることですが、特にこの再処理工場の問題についてです。 一昨年の三月に、前田元科学技術庁長官から、再処理工場から大気や海中に放出させる放射能廃棄物をゼロにするために努力するという言明がありました。このことについて、いまの考え方、そして政府はどういうふうにそれの実施のために努力しておられるか、総理はまたどういうふうに指示をしておられるか。
○佐々木国務大臣 技術的な問題でございますので、私からお答え申し上げます。 ただいまの、大気あるいは海洋に出しているものに対して、今後研究を進めまして、だんだんこれを減らしていこうということで、実はただいまお話しのように、非常な研究費を投入いたしまして、たとえば廃液につきましては、四十八年から第一次の蒸発処理施設、これは御承知のように建設しまして、いまの放出量の十分の一くらいに低めようじゃないか。それから第二次の蒸発処理施設をさらに建設いたしまして、そしてこの十分の一をさらに低めようというふうに、ただいま努力しております。 また、排気の方でございますけれども、これは御承知のように、クリプトンの蒸気の問題でございまして、いまパイロットプラントをつくって、そして四十九年からこれの実施にかかるわけですけれども、目標はもう九〇%くらい除去してしまおうということで、それを目標としてやっております。 それから、問題のトリチウムでございますが、これに関しましても、基礎的な研究を今後とも進めて、これをなるべく除去するようにしようということで、前田前々大臣がお話ししましたように、できますれば、アズ・ロー・アズ・プラチカブルでございますから、もう実用できる範囲に研究を進めまして、その目標に近づけたいということで、せっかく努力中でございます。 〔小山(長)委員長代理退席、委員長着席〕
○石野委員 再処理工場ができた場合の、いわゆる廃棄物の処理の問題でありますが、処理の問題については、いまの状況から見ると、大体処理をし切れないものがたくさん出てくるはずなんです。現在の稼働しているところの発電所、そこから出てくるところの廃棄物は、大体、見通される限りにおいて、六千万キロワットの発電という六十年までには、どのくらい廃棄物がたまりますか。
○生田政府委員 お答え申し上げます。 原子力発電所から出てまいります低レベルの放射性固体廃棄物でございますが、現在までの累積量が、二百リットルのドラムかんにセメント詰めにいたしましたもので約四万五千本でございます。昭和六十年度に六千万キロワットの原子力発電が動くということを前提にいたしまして計算いたしますと、六十年度の発生量が、ドラムかんにいたしまして三十一万本、六十年度までの累積量は約百三十万本でございます。
○石野委員 それだけの廃棄物の処理は、どういうふうになさいますか。
○生田政府委員 先生御承知のように、低レベルの固体廃棄物につきましては、現在、原子力発電所の敷地内に貯蔵しているわけでございます。ただ、ただいまも申し上げましたように、今後とも発生量がふえてまいりますので、これを原子力発電所の敷地内だけではございませんで、別に特定の敷地を確保いたしまして、そこで集中的に処理したらいいのではないかという考え方がございます。そのいずれをとるかということにつきまして、ただいま検討中でございます。
○石野委員 敷地というのは、国内ですか、それとも外国ですか。
○生田政府委員 具体的な場所についてはまだ決めておりません。
○石野委員 現在発生しているところの廃棄物の処理は、どのようにしておりますか。
○生田政府委員 先ほども申し上げましたように、現在、原子力発電所から発生しております低レベルの固体廃棄物につきましては、原子力発電所の敷地内に貯蔵しております。
○石野委員 使用済み燃料の処置は、どういうふうにしていますか。
○生田政府委員 使用済み燃料につきましては、先生御承知のように、原子力発電所の中のプールに貯蔵いたしまして、その後、現在のところは、海外の再処理工場に送ることにしております。
○石野委員 海外の再処理工場というのは、どこですか。
○生田政府委員 従来、英国に送っていたわけでございます。ただ、先生御承知のように、英国のウインズケールの再処理工場が現在停止しておりますので、現在のところは、発電所の構内と申しますか、構内のプールの中に貯蔵するということでございます。
○石野委員 英国のウインズケールの発電所は、なぜとまっているのですか。
○生田政府委員 ウインズケールの再処理工場でございますが、再処理工場内の酸化物の処理施設に故障が起きまして、現在運転を停止しております。 それから、先ほど答弁が不十分でございましたが、発電所の中のプールに置いておりますほか、ウインズケールに送りまして、先方のプールに貯蔵しているものもございます。
○石野委員 ウインズケールの再処理工場は、いつからとまっているのです。
○生田政府委員 一昨年の秋からでございます。
○石野委員 いつごろになると再開しますか。
○生田政府委員 明年ごろまでは再開できない見通しと、聞いております。
○石野委員 長官、ウインズケールというのは非常に先輩なんですよね、日本からすれば。特にコールダーホール型の生まれたところですが、この非常に先輩の国のウインズケールの再処理工場が、ちょっとした事故でとまって、もう三年になるのですよ。なかなかこれは、三年たってうまくいくかどうかもまだわからないという、大体そういう見通しなんですよね。 そこで、再処理工場というのは、プルトニウムを精製するということもあり、燃料サイクルの上から言うと、発電の上から言えば非常に重要な位置づけもなっておりますけれども、ウインズケールは、御承知のように、イギリスが原爆をつくるためにつくった炉なんですよ。そういうこともあって、われわれにとっては、この再処理工場のあり方というものは、周辺地の住民やあるいは国民に対して、被曝線量をふやさせないようにする配慮が非常に大事です。したがって、やはりここから放射能漏れがあるようなことがあってはならないわけなんです。昨年、放射能被曝線量の問題について、政府が諮問している機関から、いままで五百ミリレムの全身被曝線量というものを、百分の一の五ミリレムにせよという勧告がありましたね。これは長官、十分受けとめておるのでしょうね。
○佐々木国務大臣 実施目標としては、そういうふうにしております。
○石野委員 これは勧告ということだけでなく、大体そういう形でやらないと、周辺地の住民の放射線からの安全性を確保することができないということですから、政府もそれを受けとめるという決心はしておるというふうに聞いておりますが、どうなんですか。
○佐々木国務大臣 国際放射線防護機関の基準は五百ミリレムでございまして、五百ミリレムまでは許容されておるのでございますけれども、わが国としましては、さらに念を入れまして、いま申しましたように、実施目標としてはもっともっと低い、百分の一の五ミリレムまで下げようじゃないか。五ミリレムでなくては人体に非常な影響があるという性格のものではなかろうと思っております。
○石野委員 これも当然なんで、別にわが国においてはじゃなくて、アメリカは、もう三年前から、そういうふうにしているのですよ。 そこで、周辺地の全身被曝が五ミリレムだということになりますと、動力炉・核燃料開発事業団再処理施設の設置に係る安全性を査定しましたこの専門部会の答申は、再処理工場から出る放射能の被曝線量は、煙突からの距離二キロないし二キロ半のところでおよそ三十二ミリレムということになっておるわけですよ。そうすると、新しいその設定される五ミリレムから見れば、この三十二ミリレムは七倍近く多いわけでございますから、これはやはり改めなくてはならないことになりますが、その措置はしておりますか。
○佐々木国務大臣 いまの再処理施設の安全審査の結果、三十二ミリレムは出ます。しかし、先ほど申しましたように、あらゆる手段を講じまして、これを下げるべく、あるいはゼロに近づけるように下げるべく、せっかく努力中だということを申し上げました。
○石野委員 あらゆる努力をして、じゃなくて、とにかく国が、たとえば環境・安全専門部会の勧告がそうなるわけですよ。その場合に、放射能は、軽水炉から出る放射能と再処理工場から出る放射能とには、性質の違うものがあるのですか。
○生田政府委員 放射能と申しますか、放射線を出します核物質に差はございますけれども、放射線そのものは同じでございます。
○石野委員 だとすれば、放射線には違いがないんだから、周辺地の一般人に対して五ミリレムということの設定が行われれば、当然のこととして、この安全審査をやりました線量の改変をしなくてはならないことになるわけですが、それはそのようには考えませんか。
○生田政府委員 先ほど大臣が答弁されましたことでございますけれども、五ミリレムと申しますのは、原子力発電所につきましての目標値でございます。これはいわゆるアズ・ロー・アズ・プラクチカブル、実用可能な限り低くという原則に立って行ったわけでございまして、原子力発電所につきましては、現在の技術水準から考えまして、五ミリレムを目標値として設定いたしますことにつきましては、技術的に可能であるということに考えましたので、それを目標値として選んだわけでございます。 再処理施設につきましては、先ほど大臣の御答弁にありましたように、現在ゼロリリース、つまりなるべくゼロに近づけるという目標で、研究開発あるいは実験を進めているわけでございますが、プラクチカブルと申します、いわゆる実用可能な限りで、どこにその目標値を設定するかということにつきましては、まだはっきりした数字を持ち合わせておりません。これはわが国だけではございませんで、世界各国とも、再処理施設につきましては、原子力発電所の五ミリレムに匹敵いたします目標値が、現在まで設定されていないという現状でございます。
○石野委員 いまの局長の答弁は、それは施設者側の意見なんです。しかし、被曝される地域住民にとっては、そんな理屈は成り立たないわけですよ。原子炉から出る放射線と再処理工場から受ける放射線とは違うものじゃありませんから、そして一般人が五ミリレムが一番安全だということになれば、三十二ミリレムというのははるかに高いのですから、そういうようなものをだれも承知するはずはありません。あなたのおっしゃるのは、それは経営者の側、施設者の側の意見である。政府は住民の立場に立たないで、いわゆる経営者、資本家、そういう立場に立った理屈しか持っていないということにしかならない。そういう考え方ならそれでもいいんですけれども、しかし地域住民は、それでは承知しませんよ。
○佐々木国務大臣 言わずもがな、石野さんよく御存じのとおり、自然放射能、普通何もないところの放射能も、全国平均百ミリレムであることは御承知のとおりでございまして、それから見ましても、三十二ミリレムというものは決して不当なものじゃないし、まして基準の五百ミリレムからいたしますと、十分安全なものと思いますが、しかし、それでもなおお話のように、もっと下げたらいいじゃないかという御議論が強いものですから、私どももまた当然だと思いますので、せっかく下げるべく、いま試験を行っている最中でございます。
○石野委員 自然放射能は百ミリレムだから、それよりもはるかに低いのだからというときの発言は、いつでも原子炉あるいは再処理工場から出てくるときは、自然放射能はどこかに飛んじゃって、ないという考え方になるのと同じなんですね。自然放射能を受けている上に、それだけまた加わってくるのですよ。そんな自然放射能より低いのだからというようなことで、いつでもそういうごまかしのやり方をするから、国民はだまされるし、怒るのですよ。こういう発想はよくないと思います。 とにかく時間がありませんから……。総理もいまお聞きのように、原子炉というのには、まだ炉自体についても、機能的に問題が多いのです。そして、PWRにしましても、BWRにしましても、いずれも事故続きで——誤操作の問題じゃありません。事故続きで、どんどん作業がとまっております。そしてもう総理はすでにおわかりだと思いますけれども、この核爆発によるところの原子力のエネルギー利用というものも、恐らくは二十一世紀になりますと、太陽エネルギー、あるいはまた核融合、その他風力とか潮流とかというような、そういう他の新しいエネルギーにとってかわられるだろうというふうに言われておるわけです。その間、西暦二〇〇一年まであとわずかに二十五年間なんです。その間にこの原子力から出るところの放射能というものは恐らく大変なものになる。それで、クリプトンのごときは、もう世界を覆い尽くしてしまうだろうと言われております。それで私は、やはり高い次元に立って、事故続きであり、しかも経営の側面からいっても、恐らく経営は成り立たないだろうと思うのです。もう多く言いませんが、きょうの新聞なんかでも、東京電力は、原子力に対する投資を削減しておりますね。こういうものにかけるだけの金があるのならば、むしろこの際、核融合の問題に力を入れるべきだろう。あるいは太陽エネルギーを開発するために、もっと政治的な高い次元で問題の転換を図るべきじゃないか。特に、核分裂をもってする原子炉は、わが国の自主技術というものを持っていませんから、あらゆる場面で、事故が起きても迅速な対策ができないという事情がある。私は、この際総理に、原子力開発ということはよろしいですけれども、核分裂による原子力のエネルギー利用という問題は考え直すべきだろう。むしろ核融合の方面に先手をとっていくべきではないか。プラズマの研究においては、日本は世界のどこの国にもおくれていないだけの能力を持っているのです。金を出しさえすれば、イギリスやフランスや、あるいはアメリカやソ連よりも、はるかに有能な知恵を持っておるはずです。私は、むしろやはりそういうような転換が、新しいエネルギー政策として出るべきではないだろうか、こういうふうに考えるのです。それで、現にもう現在稼働しておる炉は、至るところでとまっているわけですね。そういうことを考えましたら、エネルギーの対策としては、むしろ大胆に、そうした自主的な開発の側面に、総理の決意があってしかるべきではないだろうか。私どもの考え方では、もう核分裂による原子力エネルギーの利用というのは、いわゆる軽水炉というのは、まさにこれはかん詰めだと藤本早大教授は言っているのですが、もうかん詰めなんです、これは。これは本当に何か大事なときに、必要なときに出して使うくらいなもので、ふだんはもう使えないものなんだ、そういうように思うので、私は、原子力の積極的な開発という問題を、いたずらにアメリカの軽水炉に頼るというようなことから、日本の自主開発の側面に、特にいま申しましたように、核融合とか太陽エネルギーの開発というようなものに、飛躍的な資金投入をするというような政策を立てるべきではないかというふうに考えますけれども、総理の所見を、この際ひとつ聞かしてもらいたい。
○三木内閣総理大臣 私も、二十一世紀は新エネルギーの時代になるのではないか、こういうふうに考えるわけです。いま御指摘のように、プラズマなんかの研究は、名古屋大学で相当な水準に達しておるわけです。今年度も、新エネルギーの開発に対して予算はふやしましたけれども、いま石野さんの言われるように、まだ思い切った予算はついていないわけです。それで、金をつければ、金だけで解決するという問題でもないわけです。技術者の問題もありますし、そういう意味で、国際協力もあると思いますよ、こういう問題では。そういうものを合わせて、新しいエネルギーの開発というものは、言われるとおりだと思います。 ただ、その間に、核分裂によるエネルギー利用という、一つの二十一世紀につなぐ時代として、原子力発電の持つ意義というものを否定するわけにはいきませんから、きょうのお話、非常に傾聴をいたしました。やはり原子力のようなこういう新しい技術の開発には、もう一段と環境や人命に与える影響というものを周到に考えないと、開発の目的というものを結局は見失うわけでございますから、きょうのいろいろな御注意、これを原子力行政の中に十分に取り入れて、今後慎重な原子力行政を運営していきたいと考えております。
○石野委員 二十一世紀につなぎのエネルギー源として、核分裂の原子炉というものを捨てられないと言うとき、私はそれは前提があると思うのです。これは、あくまでも安全性が確立しなければ、幾らなにしましても使い物にならぬと思います。だから、その前提だけは確認してもらうことを、特に総理には要求しておきたいと思います。それはそういう指導をなさいますね。
○三木内閣総理大臣 石野さんごらんになっても、局なんかふやせないのですが、原子力安全局というようなものを特にふやしたわけです。これは私の意図に出るものでございます。やっぱり原子力発電を進めていくときに、安全というものに対して国民が信頼感を持たなければ、どうしてもこれは立地だけでも、すでにそこで行き詰まるわけでございますから、言われるとおり、原子力行政全般を、安全という見地から見直してまいる所存でございます。
○石野委員 この安全を確保するという意味で、原子力安全局というのができたということについては、私はやはり、安全局ができたから安全性の問題を確立したというふうには思っておりません。これはどうしてもやはり原子力委員会がその性格をしっかり持たなくちゃいけないと思います。そういう意味で、原子力委員会が行政委員会のような立場に立つような工作をしなければいけないのじゃないかというように私は考えております。その点について、後で総理からひとつ所見を承りたい。 時間がありませんので、いま一つ、私は資源問題でどうしても聞いておきたいことは、食糧資源の問題なんです。食糧資源の問題について、先般やはり農産物等についての一つの答申があったようですが、その中で、私は水産資源の問題は非常に重大だと思う。水産資源については、恐らくこの三月ジュネーブで行われるいわゆる海洋法会議で、大陸だなの問題等について、当然やはり二百海里というものは出てくると思うのです。その場合に、遠洋漁業というものが非常に困難になってきて、必然的に近海漁業かあるいは沿岸漁業というふうにならざるを得ないだろう。このときの食糧資源を確保するについて、近海なり沿岸の漁業をするに当たって、いま非常に大きな問題があると思います。これは環境庁がこの前調べた「公共用水域水質測定結果」というようなものも見せていただきました。これらのものを見まして、河川の汚濁あるいは海岸線の汚濁というものは非常にひどいものがある。 私が先般、科学技術特別委員会の委員長をしておるときに、実は海洋開発に関する問題で、参考人に来ていただきました。そのときに、東京水産大学の佐々木学長から、非常に傾聴に値する意見を聞いておる。その意見は、時間がありませんので多く申しませんが、大陸だなが非常に汚れてしまっておる、それはただ単に油で汚れているとかなんとかいうのじゃないのだ、これはもう、たとえば農民が使ったビニールテントが海底に捨てられておるとか、あるいはジュースの空きびんがあるとか、ビールの空きかんがある。そしてとにかくもう千メートルぐらいの深海からでも、トロールを引きずると、そういうものがどんどんひっかかってくるという状態だ。これではとても沿岸漁業なんかやれるものじゃない。そこで、思い切って相当な金をかけて、このナショナル・プロジェクトというもので、大陸だなの大掃除をしてほしい、こういう意見がありました。 最近の水島の事故などで、ずいぶん海底の汚濁なんかも出てありますけれども、それはまたそれとしまして、現にあるこの海床を水産資源確保の場として持つについては、こういうような日本近海の海底の大掃除をするという仕事があるのではないか。これは、田中さんの言う日本列島改造論よりももっと現実的でもっと切実的なものだ、こういうふうに思っております。そういう問題についてどういうふうに考えておられるか。これはむしろそういうような立法をしてもいいんじゃないかと思っております。党はそういうことを考えておりますけれども、どういう所見か、この二つのことをひとつ聞かしてください。
○三木内閣総理大臣 原子力委員会の件については、内閣の中に、原子力行政制度全般についていろいろ検討を加えるというので、懇談会を置きたい。その中には、いま御指摘のような原子力委員会というもののあり方も含めて、検討を加えていく所存でございます。 また、海洋法会議の方は、日本の利益とは反する面もありますけれども、経済水域二百海里というものが世界の一つの大勢である、こう認めなければなりませんから、日本の遠洋漁業による魚獲高というものは、やはり相当制限を受けることは事実であります。多角的な外交を展開して、そしてここにいろいろ漁業の交渉をしなければならぬことになってきます。そうなってくると、近海沿岸漁業の振興ということも、大体、半分くらいは遠洋漁業でございますから、そしてまたたん白質の供給源として、やはり水産に頼るところが多いのですから、こういう点で、いま御指摘のような問題が確かに問題点だと思いますが、環境庁長官から、この後段の問題についてはお答えをいたします。
○小沢国務大臣 海洋における水質及び底質の状況のお話がいまございましたが、まだ総合的な調査を実施したことがございませんので、ことし新規に八千二百万ばかり予算を計上いたしまして、日本近海の汚染実態調査をいたすことにいたしました。日本近海の五つの測線をつくりまして、そこで徹底的な調査を、底質の状況等も含めまして、いたしたいと考えております。この調査の結果を待ちまして、いま先生お話しのような徹底的な清掃に取りかかりたい、かように考えます。
○石野委員 大陸だなの問題につきましてですが、一つだけ、これは外務大臣にお聞きしておきたいのですけれども、いわゆる大陸だな開発という問題で、特に日韓の間で、東シナ海におけるところの石油開発というようなことの論議があると、前々から承知しておりますが、この問題については、どういうふうにいま話が進んでおるのか。そしてこの場合中国との関係はどうなるのか。その点について、ひとつ所見をお伺いしておきたい。
○宮澤国務大臣 すでに条約に調印をいたしまして、韓国側におきましては、条約の国内手続を終了しておるわけでございます。わが国におきましては、今国会におきまして、条約につきまして御決定を願いたいと考えておるわけでございます。この中におきまして、両国が、領土、領海等の問題に関係なく、共同の開発地域を定めまして、その中でもって、いわばフィフティー・フィフティー、半々の立場でもって共同開発を行おうというものでございます。 なお、中国との関係についてお尋ねでございましたが、海洋法等々の議論にかんがみまして、中国側がみずからの大陸だなであると主張し得る限界、それをなおかなり余裕をとりましたところで線を引いておるつもりでございますので、紛議が起こることはないであろうというふうに考えております。
○荒舩委員長 以上をもちまして、石野君の質疑は終了いたしました。 次に、楢崎弥之助君。
○楢崎委員 私が提起したい問題は、非常に重大であるし、範囲が広うございますので、時間は限られておりますし、答弁のほうでだらだらとやっていただきませんように、答弁のほうも明確に、つぼを得た答弁をお願いしたいと思います。 まず冒頭に、私は昨年十二月十九日、臨時国会の予算委員会で、資料要求をいたしておきました。一つは「兵学研究会記事 昭和四十六年四月二十日 第六号」、いま一つは、国際情勢と日本の安全保障、この両資料は提出願えますか。
○坂田国務大臣 兵学研究会は、昭和四十一年六月に始めた陸上自衛隊幹部学校所管の幹部職員の有志からなる私的な同好会でございますし、その目的は、会員の自発的な兵学研究を推進し、わが国の防衛目的達成のための兵学の発展に寄与することでございました。その主な行事は、会員の研究成果を発表するための会を年一回開催し、その研究成果の一部を「兵学研究会記事」としてまとめ、会員と自衛隊内の関係機関に配付しておりました。しかしながら、当該研究会の研究活動が会員にとって負担となりましたので、昭和四十六年五月、当該研究会は解散いたしました。こういうわけでございまして、これは、この前もお答え申し上げましたとおりに、自衛隊としまして、教育規範として使ったものではないという意味で、私の方からこの資料を御提出申し上げない方がよろしかろうということで、御相談を申し上げた次第でございます。
○楢崎委員 いま一つの方の、国際情勢と日本の安全保障に対する御答弁はございませんでした。それは後で聞きますが、いまの兵学研究会というのは、陸上自衛隊幹部学校の公認した研究会でありますか。
○坂田国務大臣 公認したわけではございませんで、自主的につくった団体でございます。
○楢崎委員 黙認をしておったというわけですね。それで、これはわれわれにとっては非常に重要な内容を含んでおる。十二月十九日も申し上げたとおり、われわれが指向するいわゆる革新連合政権、いよいよ射程の中に入ってきたわけですが、それができたときに、一体自衛隊はどうするのか、われわれにとっても、革新連合政権樹立の場合の政策の最も重要な一つの柱であります。その問題に触れておるわけです。シビリアンコントロールの立場にあるわれわれとしては、重大な関心を持たざるを得ない。しかも堂々とその研究が行われておる。クーデターです。私はなぜ堂々と行なわれておるかというと——ちょっと、総理に差し上げてよろしゅうございますか。 〔楢崎委員、書類を示す〕 表紙を見ておわかりのとおり、これは「陸上自衛隊幹部学校兵学研究会」、堂々と印刷されておるとおりです、表面に。そして「取扱注意」、この中に、私が指摘した「国家と自衛隊」という論文がある。この第六号の全部の厚さは二百ページを超しています。いろいろな論文がある。問題にしておるのは、その中の「国家と自衛隊」という論文です。 全部やるとお金がかかりますから、大事な点だけ、そこにゼロックスをしておきましたけれども、まず「自衛隊は何を守るか」という点について、「領土や民族を守るよりも、現代の脅威の面から自衛隊の守るべきものは、現在の国家体制」、領土や民族を守るんじゃない、守るべきものは国家体制だと冒頭に述べておるわけです。さらに「自衛隊はこの本質から由来して現在の体制を守ることが最も基本的な任務であろうと思います。」「現在の体制」とは何か。自民党体制です。五ページにそれがあります。そしてその次に、現在の体制とは憲法体制と言っておる。ところが、その憲法体制の中身の認識が問題なんですね。「現行の憲法秩序体制とは何かという事になりますが、憲法に盛られている思想原理からみまして、その根本理念は、議会民主々義体制であり、西欧民主々義体制であり、自由主義体制であると思います。」ここです、問題は。したがって、後から申し上げますけれども、社会主義体制は敵になるわけですね。それが五ページ。 第六ページ「現代においても制定当時の憲法解釈を固守して、自衛隊違憲論や安保条約違憲を称える者がいますが、時代の進展についていけないのか、或いはタメにする為の議論であって国を混乱させる基であろうと思います。但し、自衛隊員として憲法第九条は状況が許せば疑義のないように改正するのが望ましいことは申すまでもありません。」そうすると、長沼判決は国を混乱させる判決、こうなりますね、自衛隊違憲という判決を下しておるんですから。 それから第七ページ、「人民民主主義体制はわれわれの体制と全く相異なるものである。」したがって敵ということになるわけですね。それでずっと述べてきて、第八ページ、「理論的にも心情的にも、われわれが守るべき体制と絶対実現させてはならない体制というのは何かということが明らかに理解していただけたと思います。」ここで、自衛隊にとって絶対実現してはならない体制。そしてその次に出てくるのが九ページ、いわゆるわれわれが言っている平和革命です。「平和革命と申しますか、東欧型或いはナチス型の形式上は合法的ななし崩し革命にあたり、自衛隊自身その行動の去就に迷う場合であります。」 そして十一ページになると、「真にやむを得ざる緊急事態においては、責任の追及を恐れる余り、機を失して事態を悪化させ国を誤るよりも、いわゆる「警察比例の原則」を適用して、その事態に即した機宜の措置をとり、事後報告し、その正当性は、平静状態に復帰後、国会なり裁判所なり国民の判断を仰ぐのが、武人としての正しい姿であろうと思います。」すなわち、自衛隊の判断で事を起こして、鎮圧した後は、国民の批判にまつ、これでしょう。 そして十三ページになると、「平和革命を指向する合法的な政権ができたらとの仮定のもとに、われわれ自衛官の踏み絵としてこの問題を考えてみたいと思います。」これが仮定であって踏み絵である。しかし、もう仮定じゃないのです。さっき言ったとおり、革新連合政権は射程内に入ってきた。仮定じゃありませんよ。 そして十四ページになると、そういうわれわれが指向する、革新連合政権と言ったほうがわかりやすいでしょう、「そういう体制になったら、それに従うよりも、むしろその体制を打倒して、本来の憲法秩序体制に復帰させるべき使命があるものと信じます。」ということは、自民党の体制に復帰させる、こういうことになるんですよ。 そうして十五ページ、ここがおもしろいんですね。もし社会党あるいは革新連合政権ができたら、一体自衛隊はどういう姿になるかということが書いてある。「我々の指揮官である内閣総理大臣や防衛庁長官が革命を指向する党員やシンパであった場合、」たとえば成田委員長が総理大臣になる、楢崎弥之助がなるかどうかわかりませんが、防衛庁長官になったときには、一体どうなるかということでしょう。「上からの人事的圧力、幹部の相互離間工作、幹部の威信低下策、予算的冷遇処置等で彼等の云いなりになる自衛隊をつくるか、或いは硬骨漢はその地位に居たゝまれずに自ら去っていくように仕向けるとか色々な手を打ってくるものと思います。又、現在の青法協や大学の問題にみられますように隊員、陸曹、初級幹部に手を伸ばし、下からの造反運動も公然活濃化することを覚悟しなければなりません。この時機は、自衛隊の幹部にとっては憂うつな重苦しい試練の時でありましょうが、本当に国を思い民族を愛するのであればじっと耐え抜くべきであります。」じっとがまんの子でおれということですね。そうして、この最後の方は、なぜならば「議会民主々義は、復元力を持っているので実力の伴わない人気的政策は、忽ち国民に飽きられて勢力分野が変更することは、戦后社会党の急伸とその後の凋落をみても明らかであります。」やはりこれは、私はこの凋落云々はどうでもいいのですが、社会党というものを描いておるということでしょう、ここに社会党の名前が出てくるということは。平和革命をやる政党はどの政党か。そうして「現憲法秩序体制を破壊する兆しのある場合における自衛隊の行動は、国民の動向と関連してタイミングの選定が必要であろうと思いますが、機敏果敢に行動して禍根を絶つ必要があろうと思います。」「以上、形式的合法革命時に処する幹部の心構えの面を主として述べました」、これが幹部の心構えであります。 いいですか、たとえばわが党の元佐々木委員長が表明しておりますような社会主義的的政権の場合はじっとがまんの子でおる。今度は社会主義的政権になったら行動を起こす、こういうことになるんですよ。こんなことが許されますか。しかも陸上自衛隊幹部学校兵学研究会、堂々と印刷されておる。いいですか、長官。——まだ聞いていませんよ。ゆっくり待ってくださいよ、私まだ聞いてないのだから。(「じっとがまんしておれ」と呼ぶ者あり)そうです、じっとがまんしておってください。 あなたは、十二月の質問のときに、自衛隊員個個がどういう思想を持とうと、それはいいということをおっしゃいました。これは個々の思想じゃないんですよ。陸上自衛隊幹部学校兵学研究会でしょう。あなたが幾ら首を振ったってだめですよ、印刷をしてあるのだから。じゃ、この責任はどうなるのですか。——いや、まだまだ、そんなにあわてなさんなよ。 そこで、いままでこの種のことが出てくると、それは一部の者が勝手にやっておるのだ。しかし、これは幹部学校の研究会ですよ。一隊員じゃないんですよ。陸上自衛隊幹部学校ですよ。これはゆゆしいことです。だから、こういうことが隠微の間でも——福田大臣がよく使われる言葉ですけれども、隠微の間でもこの種のことが行われるということは、われわれにとっては看過できない問題である。したがって、これは徹底的に解明しなければならない。しかも国会の立場としては、シビリアンコントロールの立場で、先ほど申し上げたとおり、こういうことは絶対に許すことができない。どうですか。
○坂田国務大臣 先ほども申し上げましたように、これは私的なものでございまして、われわれが防衛庁の公的見解を示したものではございません。それから私は、やはり自衛隊員といえども、いろいろの政党がどういう防衛についての考え方を持っておるか、たとえば社会党さんのおっしゃるような防衛論というものが、果たしていいのであるかどうなのであるかということを、個人的に考えたり、あるいは研究したりするということまでとやかく言うべき問題ではないんじゃないか。余り自衛隊、こうしてもいかぬ、ああしてもいかぬというようなことは、かえって非常に考え方を狭くしまして、そして広い視野あるいは常識、そういうものを忘れ去って、独善的に陥るということもあろうかと思うのでございます。と申しますのは、御承知のとおりに、いまの、たとえば高等学校や大学におきましては、非常な研究の自由、思想の自由があります。そういう中で育ってきた人たちが自衛隊に入っておるわけでございますから、いろいろなことを考えるわけなんです。これにいたしましても、一自衛官としての悩みというようなものを率直に述べたものである。ただ、私から言いますと、政党批判、明らかに批判するようなところは、行き過ぎだと思います。御説のとおりだと思います。あるいは、部分的にはいけないところもあると思いますけれども、そういうサークルのいろいろなことまでも、一々われわれが責任を負わなければならないのかどうなのかというところについては、私はちょっと考えさしていただきたいというふうに思うのですが、楢崎さん、どうですか。
○楢崎委員 ちょっと待ってください。あなたが責任をゆっくり考えるのはいいですよ。どんなにゆっくり考えられても。われわれはそうはいかない。 総理、大臣はああいうことを言っていますが、この行動は、自衛隊法のどこに値するのですか、かかる行動は。憲法のどこにその根拠があるのです、自衛隊員が反憲法的あるいは自衛隊法にないこの種のクーデター的な研究をするということは。個人的にも許されることですか。——ちょっと待ってください。私は総理に聞いているのです。
○三木内閣総理大臣 自衛隊といえども、法治国家として、憲法、諸法律の制約を受ける存在であることは、もう申すまでもないことでございます。
○楢崎委員 そうしたら、このような研究をするということは許されないことでしょう。個人的には自由だということにならないでしょう。しかも一つのグループを組んで、個人じゃないのです、研究会として堂々とやっておるのでしょう。(「憲法何条に違反しているのだ、はっきりせい」と呼ぶ者あり)知らぬ者がああいう雑音をしますから、制止してください、何も知らぬ者が。
○荒舩委員長 静粛に願います。
○楢崎委員 いいですか。自衛隊法によると、自衛隊の行動は防衛出動、治安出動あるいは災害出動あるいは警戒出動と申しますか、八十一条か二条の、その四つに限られておるんですよ。こういう出動はないのです。これは間接侵略ですか。平和革命が、革新連合政権ができるのは間接侵略ですか。(発言する者あり)知らぬ者が何を言うんだ、黙っておりなさい。 それで総理、私はこれは看過できない問題である。単に個人の研究ではない。幹部学校の兵学研究会なんです。これはひとつ真相を国会の責任で明らかにする必要がある。いかがでしょうか。——総理に聞いているんですよ、時間がなくなりますからね。
○三木内閣総理大臣 国会は、国政全般に対しての審議の権限をお持ちでありますから、国会において解明されることは当然でございます。
○楢崎委員 それで、これは私どもとしては看過できない問題ですから、当委員会で解明する必要がある。一体この兵学研究会はどういうメンバーで構成されておるのか、そしていままでどういう研究をやってきたのか、すべて明らかにする必要がある。これは、ここでとは言いませんから、ひとつ理事会において、その取り扱いを協議していただきたい。これを委員長にお願いをいたします。どうでしょうか。
○荒舩委員長 理事会で研究することもいいのですが、さっきから防衛庁長官が答弁をしたくているのですから、答弁をさせます。坂田防衛庁長官。
○坂田国務大臣 いま楢崎さんもおっしゃいましたとおりに、この人の論文は、全体としてお聞きしますと、確かに、政党を批判しているところ、その辺は私は余りいいとは思いません。しかし、現憲法体制を維持する……(楢崎委員「中身が問題です、認識が」と呼ぶ)現憲法をということで非常に一貫しておりまして、それで、しかし自分は、その憲法とかあるいは法律とかに違反するあれではない、そういうことをしようと思っているんじゃないと、こういうことなんで、自衛隊員としての悩みをむしろ告白したものであるというふうに思うのです。それに対してどういうふうにわれわれがシビリアンコントロールを果たすかということこそが問題であって……(楢崎委員「関係ない」と呼ぶ)それは国会に、このわれわれに与えられた課題ではないかというふうに私は思うんですが……(「了解、了解」と呼ぶ者あり)
○小林(進)委員 議事進行。 これは防衛庁長官は大変な間違いを犯しております。これは防衛庁長官が言われる、学生だとか、あるいは幹部学校の幹部だとかというのは、国で抱えられている特殊な公務員です。これは軍人です。それが幹部学校の幹部という地位にありながら、この民主的な国民の中の政党を、一つの特定政党を敵に回して、一つの連合政権ができたらサボタージュをせい、もっとそれが強い連合政権ができたら、あるいはそれに対しては機敏に行動を起こせなどということ、これを、いわゆる幹部学校のそういう現在の軍人の地位にいる者に、そんなことは自由だなどという発言は、とても了承できません。もしその人たちが軍人の地位を離れ、幹部学校の地位を離れ、国家から支給せられる官服を着てその給料で飯食っているという地位を離れた、それならば、いかなる研究をされようと自由でありまするけれども、いわゆる自衛隊の幹部学校のその軍人という地位において、そういうような研究をされることは、私どもは断じて認めるわけにはまいりません。これは重大問題であります。
○楢崎委員 いまのような防衛庁長官の見解であれば、なおさらこれは問題です。これは、もう先ほど申し上げたとおり、理事会でひとつ明確にしたいと思います。 ざらに、もう一つ要求した、この国際情勢と日本の安全保障、その中の「福祉国家をめざす安全保障」という、これは陸幕のいわゆる自主研究グループです。この中でも政党の研究をしておる。十二月の委員会で明らかにしたとおりですよ。この中には津金君の名前も出てきておるんですよ、個人的に。だから、この資料も含めて、ひとつ明確にしてもらいたい。
○荒舩委員長 わかりました。理事会で研究することにいたしましょう。 次へ進んでください。
○楢崎委員 二つの資料の提出も含めて、防衛庁長官の見解も絡めて、徹底的にこれは明らかにしたい。 それでは、次に移ります。核搭載の艦船がわが国の領海を通るときの問題についての政府の統一見解が出されました。それに対して、私は質問主意書で政府に質問申し上げました。十二月二十七日です。これに対する答弁が、本年一月二十一日、三木総理から議長に出された。これを読んでみますと、この統一見解は、安保国会から昭和四十三年三月段階までの見解に三つの点で変更が加えられておる。 まず一つは何か。統一見解は、まず核積載艦船の領海通航は、核持ち込みに当たり、事前協議条項の装備における重要な変更に該当し、事前協議の対象となる、これが今度の見解です。ところが、その前の見解はどうなっておるか。たとえば三十五年の安保国会、わが党滝井質問、高橋外務省条約局長答弁。通常の領海通過は問題ない、事前協議の対象にはならない、こう答弁されておる。これは三十五年五月六日。同じく四十三年三月十一日、これは私の質問に対する当時の三木外相答弁。領海通航は事前協議の条項にかからぬというこれまでの解釈に従う。次、四十三年三月十二日、衆議院予算委員会分科会、これも私の質問に対しての三木外相の答弁です。領海通過だけなら、安保条約で言う装備の重要な変更に当たらないと解釈しておる。同じく四十三年三月十五日、これは衆議院外務委員会、わが党の亡くなられた戸叶さんの質問に対する同じく三木外相の答弁であります。核の持ち込みは、日本に寄港するとか、領海内に停泊するとかいう場合であって、単なる領海内通航は核持ち込みの解釈には入らない、また日本へ来る意思がなければ、領海を通航しても核持ち込みにはならない。これがあなたの答弁です。 以上の答弁から明らかなとおり、明らかに今度の統一見解は、その点で変更が加えられておる。領海通航は全部事前協議にかかる、こうなっておりますから。 第二番目に、変更が加えられた点は何かと言いますと、今度の統一見解では、核積載艦船の領海通航はすべて無害通航とは認めない、したがって拒否する、それが今度の見解であります。ところが、いままではどうなっておったかというと、これも同じく三十五年五月六日、安保国会であります。滝井質問に対する高橋条約局長答弁、核積載艦船でも通常の通過をするだけでは、これは問題ない、一般国際法上無害航行として許可されておる。四十三年三月十一日、これは私の質問に対する三木外相の答弁です。佐藤総理もそれをコミットされました。一番代表的な例はポラリス潜水艦ですから、ポラリス潜水艦を私は例に挙げた。そうしたら、領海でも無害航行ならいい、国際法上各国が認めておる、わが国も認めざるを得ない、これは佐藤総理。それから四十三年三月十二日、これは私の質問です。予算委員会分科会、領海を通り抜けるようなことは、日本に限らず世界にもあり得るが、それだけで無害航行を束縛するわけにはいかない、これはポラリス問題です。ポラリス潜水艦の領海内通過は無害航行の典型であると、あなたはそこまでおっしゃっている。そして、それは世界にも認められておる、これがあなたの見解でありました。 それから三番目に、この統一見解が過去と違う点は何かというと、今度の統一見解では、核積載艦船がわが領海を通航する場合には、相手国はわが国の通過許可を求めるべきである、こうなっています、今度の統一見解は。ところが、過去はどうであったかというと、これまた先ほどの三十五年五月六日の質疑では、通常の領海通航なら、たとえ核積載艦船であっても別に通知も何もない、これは高橋局長の答弁です。別に通知も何もない。だから、その問題を聞かれた三木外相は、その三月十五日、戸叶さんの質問に答えて、やはり核積載艦船の領海通航については、米側に事前に通告させることについて検討しなければならないという答弁をされておる。ということは、前提に何も通知しないでいいということになっておるから、これじゃいかぬだろう、こういう認識です。 だから、安保国会から昭和四十三年三月十五日段階までは、さっき言ったような見解だけれども、今度の統一見解では、以上三点において完全に変更されておる。この変更されたということはお認めになりますか。主として三木外務大臣がお答えになりましたので、宮澤さん、そのころどこにおられたかわかりませんから、三木総理大臣からひとつ御答弁いただきたい。
○宮澤国務大臣 いろいろ仰せられましたけれども、いわゆる楢崎委員の言われる変更という点では、一点でございます。それも今回ではありませんで、三十五年当時政府が御答弁いたしておりましたことと、四十三年の領海条約を御審議いただきましたときに、いろいろな御議論から、私どももお教えを受けました。それに従いまして、四十三年、領海条約成立とともに、従来の考え方、表現を改めました点が一点だけございます。 それは、三十五年当時、艦船が公海からもう一つの公海へ参ります間に、わが国の領海を一時的に通る場合、その場合に仮に核兵器を積んでおった、これは持ち込みであろうかどうであろうかというようなことについて、それは、まあごく短時間、公海から公海へ行く目的で通るのであるから、それを持ち込みと言わなくてもいいであろうと考えるというような答弁を、確かに政府はいたしております。しかしこの点は、四十三年に領海条約を御審議になりましたときに、楢崎委員からも御指摘がございましたし、たくさんの方から、それではそのけじめがないではないかという御指摘がありました。それについて私どもは、確かにお教えを受けるところがありましたので、そこで四十三年の段階で、やはりそういう場合でも、疑わしきは避けるということで、これは無害航行とは言えないというふうに考えるべきである、こう考えまして、当時、当局から、核常備艦の例を引いてポラリスのお尋ねがありましたから、これはもう核を持っているということが一見明らかであるとなれば、仮にちょっと公海から公海へついでに通るということであっても、やはり認めるべきではないであろう、これは無害航行とは言えないという解釈を今日までとっております。それを演繹いたしますと、核常備艦でありませんでも、核を積み得る艦が仮に核を積んで、公海から公海への途中わが領海を一時通る、この場合にも、やはりこれは無害航行とは言えない、こういうふうに考えておるわけで、それが先般申し上げました統一見解ですが、その見解に立ちましたのは、四十三年の領海条約を御審議願いましたその御審議の過程にかんがみまして、そのような解釈をとるに至ったわけでございます。
○楢崎委員 確かに、狭い海狭の通航の問題に絡んだ議論が行われ、その後、一般的に領海通過の問題に質問を発展したんですよ。いいですか。そうして以上のように、当時の三木外務大臣は、この前も申し上げたとおり、日本に寄港する意思がある、あるいは領海内にいかりをおろす、そういうときは別として、ただ通過するのは持ち回りであって持ち込みではない、という表現をあなたはされたのです。だから明らかに変わっておるのです。 そこでもう一つ聞いておきますが、核を搭載しておるときには相手国は通告をすべきである、統一見解はそうなっておりますね。ところが、無害航行かどうかということは、核を積んでおるかどうかがわからなくちゃ認定しようがないでしょう。そうでしょう。ということは、相手国から、わが艦は核を積んでおりますよと言うてこない限り、いかなる確認の方法がありますか。あるいは認定の方法がありますか。どうですか。
○宮澤国務大臣 詳しくは、必要があれば、条約局長から御答弁を申し上げますが、二つの問題に分けて考える必要があると存じます。 すなわち、わが国は、わが領海をたとえ一時的にでもあれ、核を積んで艦船が通るということは、わが国の平和と安全に害がある、かように考えております。領海条約によりますと、何を無害航行とし何を有害航行とするかは、一般の標準の基準の中では、当該主権国が判断できる問題でありますから、わが国は非核三原則をとっております以上、核を積んでいっときなりとも領海を通過してくれることは、わが国の平和と安全に害がある、したがってそれは無害航行とは認めない、こういうことを前国会にも申し上げました。これはわが国が内外にはっきりさせております基本政策であります。 次に、そのような艦船が果たして核を積んでおるかおらないかという確認をどうするかというのは、その次の問題でありまして、米国との関連におきましては、事前協議の対象になるはずでありますから、これは事前協議という形で、われわれにわかるという方法がございます。米国以外の国にどうであるかと言えば、わが国がそういう政策を宣明しておるのでありますから、それらの艦は無害航行はできない、無害航行の権利は当然には持っていないということを宣明することによって、それを知ってもらっておる。現実の問題として、わが国の領海をただ勝手にだれでも通っていいというものではないと思います。 つまり、領海航行というのは、国際的に航行の自由を妨げないという意味で、国際慣行に従って、主権国がある程度主権を一部緩める行為でございますから、用もないのにうろうろしてもらうという精神ではない。どうしてもやむを得ない用がある場合に、公海から公海へ行く間に領海を通るのでございますから、用のない艦船が来てもらうということは、本来この問題が前提にしているところではないわけであります。 でございますから、第二段のことで言えば、おまえたちはそういうことを十分には確認できないとおっしゃれば、それは何国の軍艦であっても、軍艦というのはある意味で不可侵権がございますから、なるほど出ていって確認することはできない。そうおっしゃることは、私は御無理はないと思うが、さりとて、わが国の、そのような艦船が通航することは無害航行とは認めないという原則ははっきりさせておきたい、こういうことでございます。
○楢崎委員 要するに気休めなんですね。実効はない。何の保証もない。(「軍艦に対して言うておる」と呼ぶ者あり)特に軍艦の問題を私は提起しているのですからね。特にアメリカは、核の有無を明確にしないというのが最高政策なんですね。だからこれは、核を積んでおりますよ、領海を積んで通ってよろしゅうございますかという、核の有無のうちの有の方を、もともと通告してくるはずがないでしょう。ずっといままで一貫したアメリカの言い方、見てごらんなさい。われわれが核問題の疑惑を出したとき、政府側はそれを受けて、前後われわれに言うてきたでしょう、核の有無は明らかにできないと。だから、核はありますよということを、もともと言うてくるはずはないのです。私が言いたいのは、もともとアメリカは核の有無を明確にできない。原子力基本法に基づいておるのでしょう、この最高政策は。しかも日米安保条約の重要な柱である事前協議制度、これは条約です。この条約にかかわる疑惑が出たときに、アメリカの方は国内法の政策をもって、この条約の疑惑に答えない。ということは、アメリカは条約よりも国内法を優位に置いておるのでしょう。そうして日本側は非核三原則と言ってみたって、非核三原則とアメリカの最高政策である核の有無を明らかにしないということは、もともと矛盾するのですよ。もともとだ。だからあなた方は、幾らわれわれが核に関する疑惑を出しても、間接話法、形式論理でしか答えられないでしょう。しかもその形式論理、間接話法そのものに国民が疑惑を抱いておるときに、その疑惑を解くのに、また間接話法、形式論理であなた方は答える。つまり、われわれは事実関係で解明を迫っておる、実体論で解明を迫っておる、日米政府は形式論理でいつも答える。もうその段階じゃないです。 しかもいわゆるゼントルマンズアグリーメントをつくった藤山外相とマッカーサー大使の時代の認識と、この事前協議の内容にかかわる解釈と、いまは違っておるのですね。それにもかかわらず、なぜアメリカ側とこの見解について確認をとらないのですか。再協議はしないという答弁ですよ、私に対して。日米安保条約で——条約というのは双務条約でしょう。解釈について、双方が解釈を一致しておかないで、何の有効性があるのですか。だからアメリカの方としては、領海の一時通過は核の持ち込みに当たらないともし解釈しておるとすれば、事前協議にかけようがない。そういう解釈であれば、事前協議を言うてくるはずがないのです。そうでしょう。だから、事前協議にかけてこなかったから核はないんだというような言い方はだめなんです。アメリカの解釈がそうなっておれば、事前協議にかける必要はないんだから。だから私は、このような統一見解を出される限りは、これはアメリカともう一遍この解釈について統一をしなさいと言っているのですよ。統一をする必要がある。それが第一点。 次に、ラロック証言と、せんだって公明党から出された資料の問題です。もはや事実は動かしがたい。若干つけ加えておきますが、これは公明党自身がある時点で明らかにされる問題でしょう。 われわれが考えて、ちょっとつけ加えておきますけれども、サージャント・T・キムブローですか、この「T」というのはわれわれはよく今日も聞いておるのです。サージャント・トルーマンという船はよく聞いておるのです。だから私は「T」というのがトルーマンに違いないと思っておった。ところがそれが明らかになりましたね。だからこれはいまもわれわれ耳に入る船なんですよ、十年前の問題じゃないんですよ。それを一つ申し上げておきます。 それからもう一つ、十年前、岩国に、当時は第七艦のP3Aがおったのです。今日はP3BないしP3Cでしょう。何か当時オライオンがおったかどうかわからぬというようなことを、ちらっと政府側が言ったように新聞に載っておりましたから、念のために申し上げておきます。 それからさらに、私が岩国の問題を出したときに、政府側の答弁書によれば、ユニホームの高官の人が調査に行かれた、私が指摘をした核倉庫を見られた、核爆雷が置いてあった、それだけの私に対する答弁です。それがルルなんですよ、それがMK101というやつですよ。まさか核がありましたと言われぬでしょう。核爆雷があったというのは、P3Bの爆雷なんですよ。それ以外にないのです。それも申し上げておきましょう。 〔委員長退席、谷川委員長代理着席〕 いま一つ、たとえばMK101が核爆雷ではないとか、あるいは両用のものであったとか、訂正されるようなことは許されないということをあらかじめ申し上げておきます。アメリカからどう言うてくるか知りませんが。ということは、MK101の重量をお調べになれば、これが核弾頭しかないということははっきりわかるのですよ。いいですか、普通弾頭と核弾頭は重量が違うのです。もちろん核の方はすごく軽いのです。念のために申し上げておきます。それから、われわれが持っておるマニュアルによると、MK101は核のところにしか出てこない。普通、両用のときは絶対出てこない。もし両用と言うなら、まあどう言うてくるか知りませんけれども、またその際にはっきりさせたいと思いますけれども、いずれにしても念のため。この公明党が出された資料は、まことに信憑性があり、今日もあの状態は続いておると言わざるを得ません。 そこで問題は、もはやわれわれは、核システムに対するあらゆる問題を、事実関係を出してきた。核部隊がおるという問題、ミッドウェーにも核部隊が入っておるという問題、岩国にも沖縄にもあるという、それから核貯蔵庫があるということも出してきた。核投下の訓練も行われておるということも出してきた。そして核を運ぶ運搬の手段、たとえばファントムとか、あるいは原潜とか、あるいはミッドウェーとか、それも全部存在を証明してきた。 〔谷川委員長代理退席、委員長着席〕 この核システムで一点抜けておったのは、実は核弾頭の問題です。それを公明党が出されて、ここで核弾頭も含めて核システムはもう明確になった、日本にあることは。われわれが入手した資料によると、いわゆる横須賀のSRFですね、基地艦船修理所。ここの従業員に配られた安全規則にしても、あるいは民間業者に配られた防火訓練にしても、ちゃんと核兵器の所在が明確になっておる。もうこの種のことはたくさん出した。いまや問題は、こういう事態を受けて、この真相をどう解明すべきかをいまわれわれが集約せなければならないところに来ておると思うのです。 そこで、日米両政府の見解によると、ラロック問題についても否定しておりますから、結局、裏返せばサイミントン委員会でラロック提督はうそを言ったということになるのですね。いいですか。そうすると、サイミントン委員会の権威というのは一体どうなるのか。サイミントン委員長はそれを見過ごしていいのか。それが一つ。 あわせて、公明党の資料も含めて、われわれがいろんな事実を出した。しかも日米両政府は、先ほど言ったとおり、間接話法なり形式論理でしか答えない。国民の疑惑に対して、幾ら信頼せよと言ったって、朝日新聞の核持ち込みに対する世論調査を見てごらんなさい、七〇%以上が、持ち込まれておるだろうと国民は思っているのですよ、あなた幾ら信頼せよと言ったって。じゃその疑惑をどう解明するかは、もはや間接話法ではだめなんです。あくまでも両政府が間接話法でくるならば、国民が疑惑を持っておるのですから、国民の代表であるわが国会が、国会の責任において、これを解明して国民の疑惑に答える以外にないのですよ、政府にその気がなければ。 そこで私は、委員長にぜひ要望したい。わが予算委員会荒舩委員長も、これは権威のある委員長です。アメリカのサイミントン委員長もりっぱな方でしょう。ついきのうの新聞によりますと、同じようにマンスフィールド民主党院内総務に対するアメリカ国会からの報告も、この疑惑について、これをほっておくと日米関係はうまくないと憂慮している。アメリカの方も議会筋で心配が起こっておる。だから私はさしあたって、前回、ぜひ当委員会から代表を出して、委員長を先頭にアメリカの関係議員とひとつ明確にしていただきたいという、そういう話し合いの機会を持つべきではないか、議会サイドで、議会レベルで明らかにすべきではないかということを提案した。しかし、これは時間がかかるでしょう。 さしあたって、私はここにお願いをしたいのは、ひとつ荒舩委員長の手によって、公式にサイミントン委員長なりあるいはマンスフィールド民主党院内総務なりに対して、日本の国会ではこれこれこれだけの疑惑が起こっておる、一体アメリカの議会としては、私の先ほどの領海通過に対する解釈も含めて、どういう解釈をしておるのか、それからこういう事実が起こっておるが、一体どうなのかという点について、ぜひ公式に早速照会をしていただきたい。荒舩委員長の名誉にかけて、権威にかけて、ひとつそれをやっていただきたい。日米両関係委員長で、これを明らかにする努力をしていただきたい。どうでしょう。
○荒舩委員長 ただいまの御提案、一応ごもっともと思いますが、しかし日本の総理大臣の意見も聞かないうちに、私がどうだという、行政府の意見も聞かなければ……(田中(武)委員「立法府の権限において、三権分立の上に立って」楢崎委員「立法府と行政府は違うでしょう」と呼ぶ)三権分立の立場において、調査をいたしましょう。
○楢崎委員 次に、三木内閣の政治姿勢と関連をして、ずっと引き続いて質疑を続けておりました三光汽船並びに河本通産大臣の所得申告の点について、質問に入らしていただきたいと思います。 そこで私は、昨年十二月十九日の当委員会における質問並びにそれを、そこでは何も解明されなかったから、補足質問の形で、国会法に基づく質問主意書を提出した。二度にわたって提出した。大事な点においてはすべて「答弁を差し控えたい。」三木総理大臣の名による衆議院議長への答弁書はそうなっているのです。そこで、私がなぜこういう質問書を出したか、もう一度申し上げておきます。 私は十二月十九日の委員会では、主として河本大臣の個人的な所得申告の問題について取り上げた。つまり、あなたの所得申告で、配当所得が申告されていないのではなかろうかという疑惑があったから、いろいろ追及したのです。そしてその結果、あなたは、株を買うための金を銀行から借りた、その金利があるから配当所得と相殺された、そしていまは返した、つまり七億円をあなたは返したとおっしゃる。しかもそれは資産を処分して返したとおっしゃる。で、私は聞いたんです。どういう借り方をなさいましたか。そのときの借りた相手はどなたですか。あるいは金利はどうで、保証人はだれで、担保は何で、返済条件はどうですかと聞いた。全然お答えがなかった。それから、資産を処分されたと言うが、あなたはどういう資産を処分して、七億も返すことができたのか。あなたの所得申告から見ると、それだけの金をつくるだけの果たして資産があるのかどうか、こういう点も疑惑がある。じゃ、そのつくって何か売られたその売却益は一体どのように申告されたのか。いろいろ疑惑がある。これがその十二月十九日の私の質問に対する疑問点である。 さらに、私の質問書に対する三木総理大臣の十二月二十四日の答弁書、まず第一回目のものです。私の質問のAの二に対する回答がない。これは私はどういう意味で出したかというと、新光あるいは東光、瑞星の持っておる三光汽船の株が、もし配当を払わないでいい株であったら、これは三光汽船の自社株になるんですよ。いいですね。もしそうなら、自社株というのはもう違法ですがね。タコ配ができるのです、すぐ。それによって株価操作ができる、あるいは信用取引の担保になる。だから違法性がからんでおるから、これを明確にしてくださいという質問をやったのに答えがない。たとえばその子会社が、私が申し上げたとおり百八十億の、二百億の分の株を持っている、一体その原資はどうしたのか。もし三光汽船の自社株ならばさっき言った問題が起こる。もし名義貸しならば、一体その名義はだれが貸したのか、これがまた問題になるわけですよ。 さらに今度は、私の質問のBの五に対する回答がない。これは何かというと、いわゆる商法に関する分です。後ほど問題にしますけれども、三光汽船の巧妙なチャーターバック商法です。これと関係がある。だから聞いたけれども、お答えがない。 それから今度は、第二回目の十二月二十七日の私の質問書に対する答弁書です。まず質問のAの二に対する回答がない。これは答弁書によると、四十九年十月九日、安値五百三十円、三光汽船ですよ。四十九年十一月二十八日、高値千五十円、これは報告があっておる。その期間に子会社を通じて信用買いをやっている。疑問を私は提出した、四百万株ぐらいじゃないかと。それからクロス商いが行われておる、七百万株ぐらいじゃないか。それがあるから私は聞いたのです。この質問を出している。ところがこれに対する答弁もない。 ということは、たとえばクロス商いをしているとすれば、このときのわれわれの計算によると、この時期の、昨年、四十九年十月九日から十一月二十八日、約二カ月の間、もし七百万株のクロス商いが行われておるとすれば、終わり値を九百十円と計算すると、六十三億七千万円が三光汽船に入ったことになる。そうなるんですよ。そして、その商法は、赤字は全部子会社に背負わせる、こういうことにならざるを得ないのです、これがはっきりしない限りは。これがはっきりされないということは、そういう疑問は依然として残るということでありましょう。 しかも、こういうことは言いたくございませんけれども、ちょうどポスト田中をめぐって、その時期に自民党の実力者の皆さんで、やれ公選か、やれ話し合いかということが行われておる、その直前でございますね、この時期は。だから、これは私は、三木総理も、その責任において、この疑問を解明する必要があると思うのです、クリーン三木であるならば。 それから今度、同じくCに対しての回答もございません。これは先ほど言った河本大臣の所得申告の点であります。先ほど言ったとおり、疑いが消えない。だから、その疑いは依然として残っておるということです。しかも三木総理は、答弁を差し控えるとおっしゃっておる、この答弁書によれば。 私は時間がないから、疑問点だけをずっと羅列しておきます。 次に私が問題にしたいのは、いわゆる巧妙きわまりない、われわれから言うと陰険悪質な三光汽船の商法です。つまりチャーターバックです。私は、その代表的な例として挙げたいのは、昨年十一月九日、雄洋丸とパシフィック・アリス号が衝突をしましたね。大問題になった。そして雄洋丸は東京湾外に漂流していって、わざわざ自衛隊がこれを沈めたわけですよ。この重大な事故ですよ。このパシフィック・アリス号は実はどういう船であるかということを明確にしたいんですよ。このパシフィック・アリス号は、昭和四十三年三月、三光汽船がつくった船です。当時の船の名は、「たじま丸」と言っておりました。そして四十九年、昨年一月九日売船された。譲渡先はリベリアのパシフィック・バルクキャリアズ・インコーポレーション、そうなっておる。ところが、これがパシフィック・アリス号に名前が変わるのです。そして、その船をイースタン・シッピングというところがチャーターして、それをまた三光がチャーターしておるという、まことにややこしい用船。つまり、私から結論だけ言うならば、イースタン・シッピングは完全に三光汽船の子会社である、分身である。だから、いきなりチャーターバックせずに、まずイースタン・シッピング、分身であるところに借りさしておって、チャーターバックさしておって、自分が使う、こういうやり方です。 いま一つチャーターバックの問題点は何かというと、ペーパーカンパニーに売った形式にするのですから、何もない幽霊会社ですから。後で証明しますけれども。二十億の帳簿の価格の船を五十億で売ろうと六十億で売ろうと、右手から左手に移すだけで、勝手にできるんですね。いいですか、何に通じますか。これは粉飾決算に通じますよ、いかにもいい成績を上げたように。株価を上げさせることにも通じる。 さらに、税金のほとんどないところに、リベリアという国に持っていく。固定資産税、登録料も安い。しかも、わが国の船ならば日本の船員を乗せなくちゃいけぬけれども、一遍外国の船籍にしておくと、それも安い東南アジアの人を雇うことができる。しかも国際条約に入っていない。だから、これが結果としては海難を起こす。海の汚染に通ずる。まさにその結果が昨年十一月九日の雄洋丸とパシフィック・アリスの衝突ですよ。いいですか。つまり東南アジアの船員ですから、日本船員じゃないから、日本近海のことはよくわからない。だから、このチャーターバックというのは、いまはOECDでも問題になっているのですね。非常にうまいやり方だから、どんどんいまやこれがふえていますよ。世界全船籍の二割から三割になるでしょう。これじゃいけぬということで、やっと注目を浴びてきた、けしからぬやり方だということで、無責任なやり方だということで。だから見てごらんなさい。昨年四月、和歌山の沖で衝突事故が起こった。マグロ船を沈めた。この沈めた相手のオーシャン・ソベリン号、これも三光汽船が雇っておった船でしょう。衝突事故が起こった。その持ち主に交渉しても、幽霊会社だから、損害補償の請求のしょうがない。だから、調べに調べたところが、やっと六カ月後に、三光汽船が借りておるということがわかった。それでいま訴訟問題になっている。しかも、それは私どもに責任はないという態度ですよ、三光汽船は。一体、死んだ人はどうなるんです。浮かばれますか、それで。補償のしようがない、どこへ言っていいかわからない。 このイースタン・シッピングというのはどういう会社ですか、河本さん。
○河本国務大臣 御質問についてお答えをいたしますが、その前にちょっと御理解をしていただく意味におきまして、先ほどお話しのような外国置籍のいわゆる便宜置籍船の問題でございますが、その実情について簡単にひとつお話をしたいと……(楢崎委員「時間がありませんから、私の質問だけに答えてください」と呼ぶ)簡単にひとつお話をしたいと思います。と申しますのは、それをお話ししませんと、実は御理解をしていただけないわけなんです。 この便宜置籍船方式というのは、戦後の海運界に起こってきた一つの大きな事実でございますが、先ほど楢崎さんが御指摘のように、大体全世界の船のいま三割ぐらいが便宜置籍船になっております。それから特にタンカーであるとかバルクキャリア、こういう船の半分以上が便宜置籍船になっておるわけであります。それから現在日本は、日本の海運界全体といたしまして、非常にたくさんの外国船をチャーターしておりますが、チャーターしております船のやはり半分以上は、この便宜置籍船にいまなっておるわけでございます。 なぜ戦後、そういうふうに世界の海運の半分近くを制する便宜置籍船があらわれたかと申しますと、これは船舶というのは不動産でございますけれども、動産的な不動産でございまして、それぞれの母国の国籍にいたしておきますと、この船を売るときに手続が非常に長くかかりまして、六カ月とか一年ぐらいかかるのですね。それから、それぞれの母国の船員法等に縛られまして、それぞれの国の船員を乗せなければならぬ、こういう事実があるわけなんです。 ところが、この海運市況というのは非常に激変を続ける産業でございまして、十倍も二十倍も運賃が暴騰する。したがって、船の価格も暴騰するというふうになったかと思うと、また十分の一にも暴落をする等、非常に激しい動きを続けるわけですね。そういう場合に……(楢崎委員「質問だけに答えてください、時間がないのです」と呼ぶ)ちょっと待ってください、一口だけお話ししたいのです。 そこで、母国籍にしておきますと売れないわけですね。六カ月も一年も手続にかかる。そのうちに市況も変わって、もう売船契約ができない、こういうふうな事情がありますので、戦後この便宜置籍船というものが世界の大勢になっておるわけなんです。便宜置籍の国籍というのは、リベリアであるとか、パナマであるとか、バーミューダであるとか、その他数カ国あるわけでございますが。 そこで、先ほどのお話のパシフィック・アリス号のことでございますけれども、パシフィック・アリス号というのは、確かにいまお話しのように、昨年、四十九年一月に、三光汽船が日本の造船所で数年前につくった船を外国に売りまして、それをイースタン・シッピングという会社がチャーターしまして、材木船に使っておったわけでありますけれども、材木市況が昨年の八月以降非常に悪くなりましたので、三光汽船が二航海頼まれまして、二航海臨時の用船をするという短期の用船をしておった船でございます。 それからもう一つオーシャン・ソベリン号というお話がございましたが、これは三光汽船が、これはリベリア籍でございますけれども、ギリシャの船主から、これはギリシャ人船員でございますけれども……(楢崎委員「私の質問に答えてくださいよ、時間がなくなるですから」と呼ぶ)いや、ちょっとお待ちください。もう一言だけひとつお願いしたいと思うのですけれども、先ほど非常に迷惑をかけたというお話がございますので、ちょっとその事実だけを解明させていただきたいと思うのでございますけれども、ギリシャの船でございまして、これは一年の短期の用船なんです。こういう事故が起こりましたときには、百年の近代海運の歴史におきましては、大体船会社の方ですね、船の所有者の方が責任を持つ、こういう海運界の鉄則があるわけなんです。それに基づきまして、ギリシャの船会社と、漁船の乗組員の遺族の代表である弁護士との間で、補償の交渉が続いておったわけでございまして、これは、補償しないとか、幽霊船であるとか、そういうことでございませんで、海難審判の結果が結局出まして、この場合には漁船の方に主たる責任がある、こういう判決が出たものですから、その船会社の代理店の保険会社が、こういう場合には要求額の二五%だけお払いしましょう、こういう返事をしたわけです。それに対して漁船側の方は四〇%支払えということで、紛争中だった船でございまして、まだ解決しておりませんで、その後の経過を申し上げますと長くなりますので、これは打ち切りますけれども、そういうことでございまして、いまおっしゃいましたことは、ソベリン号などは少し事実とちょっと違いますので、その点ひとつ御理解をしていただきたいと思うのです。 それからもう一つ、所得の問題等についてのお話もございましたけれども、これは後ほどまた解明の機会があれば、ひとつ申し述べさせていただきたいと思うんですが、それからイースタン・シッピングというのは、昭和四十年代の初めにできた会社でございまして、もと三光汽船の船乗りをしておりました若原というのが会社をやめまして、そうして設立をした会社でございまして、現在、新橋の方に事務所がございますが、百人ほどの社員がおりまして、海外から船を数十隻チャーターしておりますオペレーターでございます。それから、なお海外の会社の代理店などをたくさんやっておりまして、なかなかいま盛大にやっておる会社でございますが、その会社が先ほど申し上げましたパシフィック・アリス号を用船しておった。それを臨時に三光が用船した、こういうことになるわけでございます。
○楢崎委員 委員長、注意してください。私の質問に対する答弁は一分間で済んだのです。その前のやつを長々とやられた。時間が限られておるんですから。 冒頭私が申し上げたはずです、イースタン・シッピングとはどういう会社か。私は、三光汽船の分身だ、だから形は、直接三光汽船はチャーターバックしていないけれども、実質的な三光汽船のチャーターバックだ、分身だから同じことなんだ、それを私は指摘しているのです。いいですか。私はなぜ分身であるかというと、若原という代表取締役の方は、いまおっしゃったとおりですね。昭和二十四年から四十一年まで、三光汽船のたしか元第一船員課長事務取扱であったはずです。だから、イースタン・シッピングの設立の時期についても、ちょっと私疑問があるのですけれども、それは残しておきます。それから常務の吉田稔という方、この方は、これは河本大臣の人脈になるのでしょうが。大臣のお姉さんの嫁がれた吉田市之助氏でございますか、三光汽船の前身の創設者ですね。言うならば三光汽船の創設者ですね。そうしてあなたが譲り受けられて、ずっと今日に至ったわけでしょうが。この吉田市之助氏の次男でございますね、この吉田稔という常務は。言うならば御姻戚でしょう。そして三光汽船の大株主である。さらに、この方のお兄さん、つまり吉田市之助氏の長男は吉田寛氏である。これは三光汽船の現専務である。そうしてこの吉田さんは、たしか四十二年九月まで、いわゆる別の三光汽船の子会社である新光海運の取締役でありました。それから今度は三光汽船の経理部の課長をされた方ですね。それから同じく取締役の西村敏男さん、この方も、四十二年九月まで子会社の新光海運の取締役をされておった。監査役の上田昇さん、この方はかつて三光汽船の船乗りでありました。そして新光海運ができてから、そこの取締役として行かれて、そうして代表取締役もやられた方ですね。言うならば、新光海運という子会社等も兼務をしたり、もう一緒なんですね。しかもこれはあなたの同族会社です。役員は、報告によると四名しかおられぬわけですね。報告が間違っておれば、それは政府に聞いてください、郵政省から報告を求めたのですから。役員は四人しかいない。全部あなたの子会社の関係とか姻戚関係。だから私は、イースタン・シッピングは三光汽船の分身だと言うのです。そして、御答弁にもありましたとおり、代理業、エージェントをやっておられますね。三光汽船の大株主の、しかも香港在住のよくわからない方、これが大株主だそうです。それの代理をイースタン・シッピングはされておる。五人ほどおられますよ、会社あるいは個人、香港に。念のために、私、調べたのです。日本字で、かたかなで書いてあるこれの英語のスペルを明らかにしてもらいたい。一体香港のどこにおられる方か、そしてあらかじめ私は予告しておきますけれども、かつての香港在住のこの種の方を中心として、外人会というものがあって、ドル操作の疑いがある。これは後日明らかにしたい。だから、いま申し上げたとおり、このスペルを明確にして、香港のどこか。そうしたらどういう所在か、どういう方かわかるはずだ。 さらに、このイースタン・シッピングのメーンバンクの一つは大和銀行。大和銀行と三光汽船の関係については、十二月十九日に、私はいろいろ問題点を指摘して、参考人としてお呼びいただきたいと申し上げたが、これもだめ。そしてあなたは、新光海運なり東光あるいは瑞星、これは子会社じゃないということもかつておっしゃいました。完全に子会社であるという一つの証拠を私は明らかにしたい。 ここに「南洋材輸送協定第十二年度及び新南洋材輸送協定第二年度会員名簿」というのがある。この中の会員になっておる東光商船を挙げましょうか。私が子会社だと指摘した、なぜそう言うかという一つの証拠はこれです。南洋材を扱うとき、いいですか、この東光商船の議決権行使者は一体だれになっておりますか、三光汽船でしょう。議決権の行使は三光汽船なんです。決定権は三光汽船が持っておるのです。これが全部ありましょうが。私がこの問題に入り出したら、どこもこれを出さなくなった。全部あるはずですよ、この種のことが。瑞星でも、いまは瑞東に引き継がれておるはず。イースタン・シッピングとの間にもあるはず。これはこういうりっぱな名簿ですよ、三木さん。まさに私が言っておるとおり、子会社であることはもう一点の疑う余地もない。それに新しくイースタン・シッピングが加わった。つまり、株の転がし、船の転がしで粉飾をやっていく。さらに、私に言わせると反社会的な商法であるチャーターバック方式、これをやはり子会社を使ってやらせる。 私は、あなたが単に経済人だけなら、こういうことを言わないのです。あるいは大臣になられていなかったら、私は言わないですよ。そういう方が通産大臣であるというところを、私は問題にしたい。やはりこのような反社会的な商法というものは、たとえ法律にはひっかからないでも、通産大臣というその地位にある者としての商法としては適当であるかどうか、私は問題があろうと思うのです。しかも、三木総理大臣の答弁書では、いま申し上げた疑惑の点に対する回答は一切ない。私は、十二月十九日、質問の冒頭に三木大臣にお願いをいたしましたね。確認をいたしましたよ。「もし、説明のできない、あるいは解明のできないような疑問点が残ったり、あるいは不当な商法のあり方等が明白になった場合は」やめさせられますねと、あなたに確認をいたしました。三木総理大臣は「それは当然のことでございます。」 もう一つ、時間がないですから、一遍で言うておきます。売船のからくりを、もう一つ申し上げておきますよ。これは何あろう、三光汽船の有価証券報告書から明らかにしたいと思うのです。例を二つばかり挙げてみましょうか。国光丸という船をつくられた。これの帳簿価額は二十億五千七百七十九万円、これをオリエンタル・シッピングという会社に売られたことになっている。ところが、この船を三光汽船はチャーターバックされております。借船先は住友になっている。だから住友の有価証券を私は見たのです。そうしたら、住友商事が買っておるのですね。どうしてこういうことになるのですか。いいですか、これは運輸省、考えてもらいたいのですよ。運輸省に対する届け出では、リベリアのいま申したオリエンタル・コーポレーションに輸出するということになって許可を求められたわけでしょう。ところが、買ったやつはオリエンタル・シッピング・コーポレーションじゃない、買ったのは住友商事ですよ。そうしたら、どうして輸出許可をされたのですか。どうして三光汽船は住友商事に売却する許可を求めなかったのですか。 まだありますよ。何ぼでも疑問点はあります。竜光丸でもそうでしょう。八億のやつを十八億で売ったことになっている。そしてあなたはまたチャーターバックされている。これもオリエンタル・シッピング・コーポレーション。それから「ながと丸」、これは八億四千七百二万円、八億ですね。売った先はミダス・シッピング・コーポレーションになっておるのです。幾らで売ったかというと、十八億で売ったことになっている。二倍もしくは三倍に売ったことになっているでしょう。それでそれをそのままチャーターバックしているじゃないですか。なぜこういうややこしいことをするのです。 私が先ほど申し上げたとおり、三木総理、お約束どおり、あなたは疑問に対して答弁なさらないのだから。答弁書によると、答弁を差し控えさせてくださいということです。どうされますか。まさに申し上げたとおり、説明のできない、あるいは解明のできないような疑問点が残っておるのです一しかもチャーターバック方式。あの雄洋丸とパシフィック・アリスの衝突でどれだけの損害が起こりましたか。雄洋丸は沈められた。約九十億積んでおったLPG、これは約百億。これはまた、自衛隊が、沈めるのにおたおたしているんですよ、じっととまっている船に対して一億円もかけた、弾が一遍で当たらずに。それからこのアリス号の方、船員は二十九名中二十八名亡くなったでしょう。台湾の方ですよ。総額二百三十億ぐらいの損害ですよ。しかもアリス号二十八名、雄洋丸五名の犠牲者、計三十三名が亡くなっておる。私は許せませんよ。こういう商法自体を問題にしなければならない。 私は時間がないから、総理の御見解を聞いておきたい。このままでは、私は先に質問を続けることができない、何も答弁しないんだから。
○河本国務大臣 ちょっとその前に、事実関係について少し誤解があるように思いますので、その点だけひとつ修正をさせていただきたいと思います。簡単に申し上げます。 一つはこの売船関係でございますが、ここ数年、日本の海運界は毎年二、三百隻の船を外国へ売っているんです。それは何も私の方だけではございませんで、各オペレーターとも。(楢崎委員「質問だけに答えてください。時間がないんですよ。肝心なときには答えないんですよ」と呼ぶ)そこで、これは私の方だけの傾向ではない、日本海運界全体がそういう傾向にあるんだ、この便宜置籍船方式を活用しておる、こういう傾向になっておるということだけを申し上げます。 それからもう一つ、売船の船価のことにつきまして、大変疑問があるようにおっしゃいましたけれども、これは先ほども申し上げましたように、船の価格というものは常に、数倍に上がったり数分の一に下がったりしておるわけなんです。そういう問題が一つありますのと、それから、八億ということをおっしゃいますけれども、これは償却をして八億にはなっておるわけなんです。いま仮に新規につくろうと思いますと、それはやはり三十億もかかるわけなんで、でありますから、その売価が帳簿価額から比べて高いとおっしゃるのは、これは少し私は経済界の実情と違うと思います。 それから住友商事云々というお話がございましたが、これは確かに私は正確な記憶はありませんけれども、あるいは住友商事を経由して、仲介人として売船したような事実があったのかもわかりませんが、何か以前に、この住友商事のことで御質問がございまして、その点につきましては、いろいろ調査資料を出しまして、その点は御理解を、前にいただいたように思うんですけれども、ずっと前に。(楢崎委員「だめですよ」と呼ぶ)そういうことがあったと私は思うんですけれども、そういうことでございます。 それからもう一つ、南洋材輸送協定のお話が出まして、これを理由に子会社であるという断定をせられましたけれども、この南洋材の輸送協定というのは、これはグループごとに入っておるのです。たとえばNYKグループとかOMグループとか、グループごとに入っておりまして、その傘下には、仲のいい、あるいはまた主たる取引先の船会社がやはり多数入っておるわけですね。あるグループには十社も十五社も入っておる、その行使権を委任しておる、こういうことでございまして、私、三光汽船の方も、そういうことで一つのグループを結成しておりまして、そのグループには主たる取引先が入っておるわけでございますから、これはもうこれまでの南洋材の輸送協定というものをお調べいただきますと、そのことと子会社であるということとは、これは別問題であると、ひとつ御理解をいただきたいと思います。 それからもう一つ、イースタンは非常に密接な取引がありまして、常に十隻以上の船をチャーターしておりますけれども、三光汽船といたしましては、相手は数十隻の船を動かしておるわけでございまして、その中から十杯前後の船をチャーターしておるわけでございます。株式は三光汽船の方では持っておりませんししますから、そういう意味におきまして、これで子会社というふうに断定されるのはいささか事実と違う、こういうふうに御理解をひとつお願いしたいと思います。
○楢崎委員 イースタン・シッピングは、三光汽船の上位の大株主でしょう。このイースタン・シッピングの持ち株と言われておる三光汽船の株が、果たしてイースタン・シッピングが自分の資力で買った株ですか。一体、いま千四百万株ほど持っているという話ですが、これも明らかにしてもらいたいと思う。一体、この原資はどこから持ってきたのか。だから、言えばもう切りがないのですよ。 問題は、この私への答弁書に、読んでみましょうか。いいですか。「答弁を差し控えたい。」「答弁を差し控えたい。」「公表された資料はない。」「答弁を差し控えたい。」「答弁を差し控えたい。」これだけあるのです。大事なところ全部。われわれが政府に、質問主意書を国会法に基づいて出すときに、この答弁書は何ですか。「有価証券報告書によれば」、有価証券報告書なんというのは公表されておりますから、聞かないでもわれわれわかりますよ。有価証券報告書に記載されていない点で不明な点があるから聞いておるんですよ。それを「有価証券報告書によれば」というところしか答弁がないのです。そんなこと、私は必要ないですよ。あたりまえの話でしょう、公表されておるんだから。だから三木総理、これを差し上げてもいいですよ、お持ちになるなら。全部答弁を差し控えたい。どうなさいますか、この私の疑問点に対して。
○荒舩委員長 ちょっと申し上げます。 これは河本敏夫氏個人の問題であって、総理は、これに対して一々答弁がわからないんじゃないかと私は思うのですよ。ですから十五分程度、あるいはもう少し延ばしてもいいですが、一方的だけでなく、河本通産大臣の説明も、あるいは答弁も必要であろうと思う。どうぞ時間を許しますから。
○楢崎委員 ちょっとその前に、田中前総理の金脈問題については、当委員会でも問題になった際に、三木総理は、これはわからないのだ自分には、田中氏自身が知っておることだから、田中氏自身が明らかにする以外にない。私はそのとおりであろうと思います。ところが、河本通産大臣の場合は、あなたの閣僚です。だから、あなたは知らない、河本君しか知らないから、河本君が答えるでしょうでは済まされない。つまり、あなたは御存じなくても、三木内閣の責任において、この問題を明らかにする必要がある。なぜならば、私に対する答弁書は、形式論を言うようですけれども、三木総理大臣の名前で前尾議長に出されておるのです。だから私はそう言っているのです。もちろん、これは形式的なことでしょう。それはわかります。だから私は、問題は解明されればいいんだから、その方法についてはいろいろあろうと思います。 そこで、三木総理にお伺いしたいのは、この答弁を差し控えたいということについて、今後どのようにされますか、それを聞きたいのです。
○荒舩委員長 ちょっとお待ち下さい。私は委員長として、総理のいまの答弁書について、これは私が責任をもって憶測するのですが……(笑声)あははじゃない、黙れ。それじゃ、私が想像いたします、言葉が適当でなければ。想像いたしますが、真実はやはり河本通産大臣がよく知っておるので、河本通産大臣の答弁により、その上になお必要であったら、総理の答弁もすべきであって、どうぞ河本さん、答弁してください。
○河本国務大臣 ちょっと、発言の機会を得ましたので、できるだけ簡単にお答えをしたいと思いますが、たとえば、一番当初にお述べになりました私のこの所得の問題等につきましても、これは毎年、詳細に報告すべきところには報告しておるわけでございます。そうして納めるべき税金もきちんと私は納めておるわけなんです。持っておる株式については、もちろん当然配当金も受け取っておるわけなんです。でありますから、配当金を受け取っていないんだろうとか、自己株であろうとか、そういうふうに言われますのは、どうも少し、私としましては困ったことだと思っておるのですけれども、どうかそういう点をひとつ御理解をしていただきたいと思います。 そういうことでございまして、一つ一つ詳細に釈明をしろと言われれば、ある程度のことは言えると思いますが、しかし、ここで一々申し上げますと時間がかかりますので、たとえば大和銀行のこと等につきましても、先般も御質問がございましたけれども、大和銀行などは、三光汽船は創立四十周年になるわけでございます。ことしで四十一年目になるわけでございますが、これは創立当初から取引のある主力銀行でございまして、借入金額も、私がその後調べましたら、大体百五十億から二百億前後動いておる、こういう程度でございまして、いまの三光汽船のやっております営業規模から見まして、決して多額な金額ではない。四千億近い資産を運用しておるわけでございますから、決して多額な借り入れではないと思います。 それからもう一言だけ追加させていただきたいと思うのでございますけれども、たとえば三光汽船の方は、御案内と思いますけれども、政府のお金を借りないで、政府の補助金をもらわないで、十年前からやってきたものですから、いろいろ工夫をし努力をして、わずかな人間が一生懸命働いてやってきたわけなんです。ですから、いま陸上の管理部門なんかは、同じ程度の規模の会社から見ますと、三分の一ぐらいな人間でやっておるわけなんです。そういうふうな努力をして、補助金をもらわないで、国の金を借りないでやってきたわけなんです。三光汽船程度の規模の会社ですと、お調べになればわかると思いますけれども、開発銀行から大体二千億以上の金を借りておるのです。そうして、十年間にもらった利子補給なども、二百五十億ぐらいに達しておるわけなんです。ですから、そういうふうな、非常に国がまる抱えのような経営をしておるところに対抗しまして経営をしておるわけでございますから、いろいろ創意工夫、ほかの会社のやらないようなことを新たに開発しましてやっておる、そういうことでございまして、チャーターバックのことなどもいろいろお話しになりますけれども、これはもう世界の海運界の大勢でございまして、いまの日本の海運界にも、売った船の相当数が、やはり日本の海運によって運営されておる。私の方だけじゃなく、数百隻の船が再び日本の海運によって運営されておる、そういう事実でございますから、海運界の大勢というものをひとつ御理解いただきまして、ひとつお願いしたいと思います。
○荒舩委員長 ちょっと私から申し上げます。ちょっとお待ちください。 楢崎君に申し上げますが、先ほど来の質問全部を通産大臣が答えていると思いません。したがってまだ疑惑の点もあると思います。そこで、なるべく速やかに答弁書をおつくりいただいて、この速記に基づいて答弁書を出してもらう。そうしてそれについてなおあなたが疑問の点がありましたら、三木総理に対してなお答弁書を要求される、それに対してはどうぞ総理がお答えを願う、こういう解決でいかがでございましょう。
○楢崎委員 私はいたずらに混乱させようと思っていません。私は疑問な点を、国会法に基づいて、この質問書で印刷にして堂々と渡しているわけですね。そうしてそれに対する答弁がないということを問題にしているのですね。これに対する答弁があれば、そうしてその答弁が私の疑問点に正しく答えるものであれば、また解明されればいいことですから。それが全然解明されない。いまのお話も、この質問書に対する御答弁じゃございませんね。だから、いまの委員長の御提案に対して、ちょっとわが党の理事と相談したいと思いますが……。
○荒舩委員長 はい、どうぞ。——田中武夫君。
○田中(武)委員 ちょっと混乱があるようでございますので、若干、整理の意味で、議事進行で発言したいと思います。 実はいま楢崎委員が取り上げておるのは、国会議員の一つの権利というか、法に基づく政府に対する質問主意書に対する答弁でございます。したがって、これはいわゆる三権から言うならば、国会と政府の関係である。もう一つの点については、これは個人の問題だ、こういう意見はありますが、私と言っても、本当の私人ではなくして、内閣の閣僚の一人であるという点で問題です。したがって、これをやりとりしておってもあれですから、ひとつこの質問主意書に基づく点につきましては、理事会等で十分質問主意書及び答弁書をよく検討して、整理をしたい、このように思います。そういうようにお取り計らいをしていただきたいと思います。
○荒舩委員長 ただいま田中君の御発議でございますが、きわめて妥当であると私は思います。さよう取り計らうに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○荒舩委員長 御異議なしと認めます。さよう決定いたします。 楢崎弥之助君。
○楢崎委員 いまの取り扱いで結構ですが、政府側からの私の質問書に対する答弁が、新しく詳しく出てきた段階で、再質問を、ひとつこの問題については許していただきたい、そういう点で、一応保留をして、理事会にお任せをいたします。それでよろしゅうございますか。
○荒舩委員長 それも理事会で相談いたしまして、納得するような処置をとりたいと思います。どうぞ。
○楢崎委員 それでは、その点は保留をいたしまして、次の点に移りたいと思うのです。 当委員会でも、ずいぶん銀行の金融のあり方について、大企業偏重ではないかという問題点が指摘されましたが、私はそれらの点に加えて、いま一つ観点を変えて、政治融資と申しますか、政治権力を背景にした銀行の異常融資について、問題をただしてみたいと思うわけです。 埼玉銀行でございますが、埼玉銀行について、異常融資がある疑いがある。それで、これは問題を、この点も明らかにしてもらいたい。具体的には、谷古宇産業グループに対する埼玉銀行の異常な融資の問題であります。谷古宇産業というのは、谷古宇甚三郎という方が社長ですね。この谷古宇甚三郎という方は、埼玉で市会議員、県会議員、そして四十四年暮れの総選挙に自民党公認で出られた。まあ残念ながら落選をされたようであります。そういう方のようであります。この谷古宇産業というのは資本金八千万円。この谷古宇グループに対する埼玉銀行の融資の仕方がどうも異常であるという、そういう告発的なものが大蔵省に対してあったのではないですか、どうでしょうか、昨年の春の段階で。
○高橋(英)政府委員 埼玉銀行が谷古宇産業に融資があることは事実でございますが、告発的なことは、私の方では受けておりません。
○楢崎委員 特別に調べられたことはありますか。
○高橋(英)政府委員 特別に調べたことはございません。ただ、昨年の三月、四月にかけまして、一般の都市銀行あるいは信託銀行と長期信用銀行につきまして、当時のその銀行の大手、メーンになっております会社というものを対象に、一般に土地とかそういった、あのころ問題になっておりました融資につきまして、一連の調査をいたしたことがございます。その中に、埼玉銀行も対象として含まれておりました。
○楢崎委員 昨年の十一月の——暮れごろですか、まだ柳田桃太郎氏が政務次官をされておったときに、この問題で柳田次官に報告されたことがありますか、銀行局長。
○高橋(英)政府委員 正確に覚えておりませんけれども、実は谷古宇産業に対する銀行の融資という場合に、埼玉銀行ではございませんで、日本信託の融資が、参議院の決算委員会で問題として取り上げられたことがございます。恐らくそのときに私、日本信託の貸し金として、政務次官に御報告したことはあろうと思います。その場合に、谷古宇産業にはほかにも貸しておるところがございますから、その折に、あるいは埼玉銀行からも貸しておりますということは申し上げたかもしれません。
○楢崎委員 実は告発があっておるはずであります。そしてそれに基づいて特別の調査が行われたはずである。そして谷古宇産業の埼玉銀行からの融資残高を調べられた。この残高を見る限り、非常な異常融資である。 一応申し上げておきますが、四十四年十二月十一億六千万、四十五年三月十六億四千万、十二月十七億九千万、四十六年三月二十四億九千万、十二月二十九億二千万、四十七年三月三十一億二千万、六月五十八億六千万、七月五十九億一千万、八月八十一億二千万、九月九十一億四千万、十月百十四億一千万、十一月百八十七億二千万、十二月二百一億六千万、四十八年一月二百七十二億三千万、二月二百七十七億三千万、三月二百十九億一千万、四月百九十八億九千万、五月百二十七億二千万、六月百二十七億二千万、七月百二十九億六千万。 この期間を問題にしたい。この融資残高が合っておるかどうかをまず明らかにしていただきたい。一番残高の高いときは三百億近いわけですね。なぜ私は、もしこれが事実ならば、異常な融資かと言うと、調べてみましたら、この谷古宇産業の総事業費は約四百二十億、これは四十四年から四十九年まで、昨年までの六年間の実績。そうすると、この六年間の総事業費が約四百二十億、だから年間に平均しますと、六で割ったらいいわけで、年間約七十億。それに対して、これはちょっと異常融資じゃないでしょうか。三百億の、二百億の、百五十億の、一体その事業費との差額はどこに行ったか。谷古宇という方が、いわゆる田中金脈でいろいろ名前が出てきたのは御存じのとおりでしょう、参議院の決算委員会、大蔵委員会で。もうそれはくどく言いません。 特にこのうちで私が問題にしたいのは、この残高から見ても非常に疑問に思われるのは、あの例の田中グループの関新観光開発が、四十七年五月三十一日に、新星企業から、例の新潟県の鳥屋野潟二十六万坪、これを三十四億九千万円で買いましたね。これは国会で明らかになった。実はこの買収資金の三十四億九千万円が、埼銀から谷古宇に融資されて、それが回った疑いがある。必要ならば、ある人を証人として喚問してもいい。それで、この点はひとつ残高を明確にしてもらいたい。これはいまできないと思いますから、残しておきます。 いま一つは日本信託、先ほどおっしゃったとおりです。日本信託もいわゆる田中グループの関係に異常融資がある。これが問題になった。そうして三光汽船では大和銀行、異常な融資ですよ、これは。そして子会社と大和銀行との関係も私はあると見るけれども、答えられないから……。 こういう政治権力を背景にした政治融資というもの、これはひとつ大蔵大臣は大いに目を光らせる必要があろうと思うのです。これは埼玉銀行の残高が、あの谷古宇グループに対する残高が明確になった段階で再質問したい、このように思います。 それで、実は日本信託銀行の問題も、これは三菱銀行が背景におるわけですね。これは国会で問題になった。わが党の和田参議院議員が昨年問題にしましたね。それで、三菱銀行の当時の頭取であったのは田實さんですね。そして田實さんが国家公安委員に任命されたのは田中総理によってでしょう。いま一つ、田中金脈と関係のある小佐野さん、これは電電公社経営委員。国会承認人事でしょう。いまその在任中です。特に国家公安委員などというものは、これは権力の中枢ですよね。しかも、この方が例の問題になった企業ぐるみ選挙の坂健氏の陣頭指揮をとられた。国家公安委員である方が、こういうことをされるということはふさわしくない。これは国会承認人事ですから、われわれにも関係があるけれども、われわれは反対したけれども任命は通った。これはひとつ三木総理、いまとは言わないが、考えるべきではないでしょうか。三木内閣の政治姿勢としてはどうでしょう。
○三木内閣総理大臣 いま楢崎委員の御指摘になったのは、みんな国会承認人事です。国会の承認を受けている。どういういきさつでそういう推薦になったかは、私は存じませんが、今後、人事の点で国会承認事項というのは、野党の方々の意見もよく聞いて、そうして公正な人事をするというのがたてまえでございましょう。いろいろと今後そういう人事もあるわけですから、十分注意をしなければならぬことだと思います。(「副総理だよ」と呼ぶ者あり)
○楢崎委員 いまも声がありましたとおり、田中内閣当時、副総理格でございますから、責任がないとは言えない。これは十分ひとつ今後考慮されるべきであろうと思います。 最後に一問だけお許しをいただきたい。 福岡県の岡垣射爆場、これは四十八年に、当時の防衛政務次官の三原さんが中へ入られて、防衛庁長官と地元の岡垣町を含めた五町との間に合意ができまして、五年間でどこかへ移す、こういう合意ができた。昭和五十三年まででしょう、期限は。移転先について物色をされておるという話を聞きました。これが有力候補地として鹿児島県の三島村竹島、ここに白羽の矢が立っておる。これは鹿児島県の佐多岬から約二十八・八キロ離れたところ、新田原基地から約百五十キロメートル離れたところですね。面積は四・二平方キロメートル、岡垣射爆場よりやや太い。住んでおる方はほとんど老人とお子さん、約百名。買収しやすい。島ぐるみ買収しようという、そういううわさが地元では飛んでおる。そしてすでに防衛庁から非公式に隠密に調査が行われた、関係者が調査に行っている、そういう事実があるかどうか、明らかにしてもらいたい。
○坂田国務大臣 お答えいたします。 岡垣対地射爆撃場の移転先につきましては、地元五町との約束もございますし、防衛庁といたしましても、かねてから検討いたしておるところでございますが、まだその見通しを得るに至っておりません。防衛施設庁からお答えをいたします。
○平井政府委員 ただいま大臣から御答弁がありましたとおり、岡垣対地射爆撃場にかわる移転先地の代替射爆撃場を検討しておりますけれども、まだ具体的にどこと決めたところはございません。御指摘のありました鹿児島県の竹島につきましては、これも、主として九州地方を中心といたしまして、候補地を幾つか検討いたしておりますが、その一つであることは事実でございます。しかしながら、まだ図上と申しますか、机上におきまして、防衛庁において検討している段階でございまして、御質問にありましたように、現地に具体的に調査の要員を派遣したとか、そういった事実はございません。
○楢崎委員 いまのは、それはあるんですね。もう時間がないからあれですが、すでに名前もわかっております。あえてそう言い張られるならば、内局から行かれておる方の名前もわかっております。これは現地からの報告でございますから、間違いない。それはそれでよろしゅうございます。問題を分科会に移しますから。 それで私は、実は私の担当でございました防衛問題、あるいはポスト四次防はどうなるか。五次防方式でいくのか、あるいはローリング方式でいくのか。あるいは低高度経済成長時における防衛構想のあり方というのは一体どうあるべきか、防衛力整備計画は。これは福田副総理、経済企画相、経済担当の指導者でありますし、恐らく五次防の段階では大いに活躍される方だと思いますから、福田副総理に、低高度経済成長時における防衛力整備構想というのはどうあるべきか。たとえば四次防は、もうすでにインフレーションのために、達成率は七割とか八割とか言われている。つまり、防衛構想が現実に影響を受けているわけですね。そのことを承ると同時に、防衛庁長官に、もし日本社会党が公式にユニホームとの懇談会を申し出たら、お受けになりますかどうか。それだけお二方に聞いておきます。
○福田(赳)国務大臣 防衛力は、これはその時点における国力、国情を考慮いたしまして、そして他の諸政策とのバランスをとりつつ決める、こういうかねての方針でありますが、いま、低成長時代になったらどう変わるのだと言うが、基本的な考え方は変わらないと思います。ただ、防衛以外の他の国家諸施策とのバランスという点になりますと、低成長時代になりますれば、どうしたって、われわれの生活環境の整備とか、あるいは社会福祉の充実でありますとか、そういう点が重視されるわけでありますから、そういう点において、変化があるであろうと言えば変化がある、こういうふうに考えられます。
○坂田国務大臣 ポスト四次防につきましてのお尋ねでございますが、まだその四次防計画が、御承知のとおりに非常に達成が困難な状況にございます。したがいまして、まず四次防計画をどういうふうに達成するかということに一生懸命にいま努力をしておるというところでございます。いま検討をいたしております。 ユニホームとの問題につきましては、まだ考えておりませんが、その時点でお答えをいたしたいと思います。(「その時点とは何だ」と呼ぶ者あり)ユニホームと楢崎さんとを会わせるかどうかということだと思うのですけれども。それじゃもう一ぺん……。
○荒舩委員長 坂田防衛庁長官、もう少しはっきり言わなければだめだ。わからない。
○坂田国務大臣 ちょっと質問が……。ユニホームと会わせよとおっしゃるのですか。
○楢崎委員 日本社会党として、私がなるかどうかわかりませんよ、日本社会党として公式に、自衛隊の各級ユニホームと懇談会を持ちたい、お互いの考え方を大いに述べ合って、賛成反対は別として、懇談を持つという申し出をしたら、お受けになりますかと聞いておるのです。
○坂田国務大臣 私は、日本の防衛のあり方について。どういうふうにわれわれは考えておるんだということを、各党とも御承知おきを願いたいことがずいぶんございますので、そういうことがございましたら、私を仲介としてやることもひとつ考慮したらどうだろうかと、いまは考えておるのですが……。
○楢崎委員 あと七、八分残っておるそうですか、保留した問題もありますから、あとの時間、わずかですけれども残して、一応これで終わります。保留の問題を残しまして、終わります。
○荒舩委員長 これにて楢崎君の質疑は終了いたしました。 次回は、明五日午前十時より開会いたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後五時三分散会