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75回国会衆議院1975/01/30

予算委員会 第2号

発言数
220
登壇者
24
会派数
2
開催日
1975/01/30

会議録

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 これより会議を開きます。  昭和五十年度一般会計予算、昭和五十年度特別会計予算、昭和五十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、これより質疑に入ります。  質疑の通告があります。これを許します。江田三郎君。

江田三郎日本社会党

○江田委員 昨年十二月四日に、いわゆる椎名裁定の中から三木自民党総裁が生まれたわけでありますが、総理は、去る二十二日の自民党の大会において、椎名さんの言葉、党を解党して第一歩から出直す覚悟で当たるということをあいさつの中に入れておられまして、私も非常に印象深く承りました。ただ、率直に申しまして、総理はなかなかあの言葉の重みを肩に背負っておられるようでありますが、総理の周辺、つまり自民党の党内においては、だんだんとあの言葉の持つ重みが失われつつあるんじゃないのか。だんだんとあなたがこうもやりたいということがいろいろ枠をはめられつつあるんではないか、そういう印象を受けるのであります。  そこで、それはともかく、総理が多年国民に訴えてこられたことは、一つは話し合いによる協調、一つは清潔な政治、もう一つは社会的公正の実現ということだと受け取っております。この三つの柱そのものについては、私たちも何ら異存のないことでありまして、まことに結構だと思っております。ただ問題は、抽象的な言葉でなしに中身です。田中前総理は哲学なきブルドーザーという異名を受けましたが、ただ哲学だけで具体的な政策内容がないというのも、これも困りものでありまして、政治家は評論家ではないのですから、いまあなたは一国の総理大臣ですから。  そこで、どうも総理の施政方針演説、その後の本会議の質疑応答を聞いておりますと、依然として抽象論の段階から抜け出しておられないような印象を受けるのであります。これは私だけでなしに、多くの国民がそういう印象を受けておられると思うのであります。それは非常に不幸なことであります。この際、与野党の話し合いの場であるこの国会、この予算委員会において、ひとつもう抽象論でなしに、具体的な質疑応答ができるようにやっていただきたいということをお願いして、社会党を代表して、私の質問に移るわけでありますが、第一のあなたの柱は、協調による話し合いであります。  去年の暮れの臨時国会で、わが党の石橋書記長が、予算の修正にも触れてということを前提としてでありますが、与野党の話し合いということについて、あなたに質問しました。あなたは、野党の言うことも、国家、国民のためになることであれば、何でも採用します、こう答えられておるわけであります。その後党首会談を持たれた。あるいは野党の予算編成に当たっての要請にも耳を傾ける場をつくられました。それはそれで一歩前進と思うのでありますが、しかし、議会政治において真の話し合いというのは、この議会なんであります。ここが本番なんであります。ただ、事前にどういうことがあったとかなんとかということも、まあ悪口を言えば、話し合いの演出にすぎなかったじゃないかということも言えるわけで、国民が注目しておるこの国会の場でほんとうに話し合いをする気なのか。それならば、法案の修正だけでなしに、予算についても聞くべき点は聞いて修正に応ずるのか、この点をまず第一にお聞きしたいのです。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 江田さんの言われるとおり、国会は法案ばかりでなしに予算案の審議もございますから、一般論として言えば、野党から修正案が出て、与党もこれに賛成すれば、予算の修正も可能であることはもう当然でございます。しかし、この予算案を提出して御審議を願うわけでありますから、その場合に、政府の立場としては、事前にいろいろお話も承って、できる限り、野党の諸君の予算編成に対する御要望も、取り入れるだけは取り入れたつもりでありますから、この冒頭でこの予算を私が修正いたしますというようなことは、これは私は、そんな気に入らぬ予算案をこの国会に提出したわけでございませんから、予算は修正の意思はございません。それだけやはりこの条件のもとでは精いっぱいよい予算を組んだという自信のもとに御審議を願うわけでありますから、さようにお答えをいたしますことが協調の精神に反しておるとは私は思わない。  ただ、江田さん、どうでしょうかね。党首会談というものを、もう少し形式的なものでなしに、予算編成前にみっちり時間をかけて、そして現実を踏まえて、財源なども踏まえて話し合いができるような工夫はできないものであろうか、こういうふうに、私は、与野党間の話し合いというものを、何かこう一時間というような時間を限っての形式的なものでなしに、もう少し実のあるものにできないかという考え方はいま持っておるわけでございます。これは江田さんの方でもいろいろ御研究を願いたいのでございます。

江田三郎日本社会党

○江田委員 これから審議に入るわけでありますから、審議に入る前から修正に応ずるということは言えぬじゃないか、それはそのとおりだと思うのです。  私はかつて社会党の委員長代行をしておりまして、そのときは池田内閣でありますが、前年度の防衛費が二百億円繰り越しになっておりました。せめてこれを削って社会保障に増額することはできないか、そういう予算修正はできないかということを池田さんに申し入れましたが、何か話が大分進みかけておったわけであります。ところが途中で実現できなかった。私は、まあ二百億円でありますけれども、従来の、予算案を出した以上は一円といえどもこれを動かさぬぞというような硬直した姿勢でなしに、与野党の話し合いの中で、いいことはいいでそれが取り入れられる、こういう慣行がもしあのときにできておったら、日本の議会政治が不毛の平行線論議というようなそしりを免れたんじゃないのかと、非常に残念に思っておるわけであります。  だから、いまの、党首会談でじっくり話し合う、これも結構なんですけれども、実際、三木さん、考えてごらんなさい。今度の予算編成でも調整費が五百億。ところが、実際には官房調整費というのですか、二千億もあって、あなたも知らなかった。それは新聞に書いているのだから、あなたは本当は知っていたかもしれませんよ。そういう状況の中で、話し合いといったって限界があるわけなんで、野党というものは情報はきわめて乏しいのですから、やはりこういう国会の中で、国民の前でいろいろ論議をして、いまから修正すると予約せいとは言いませんけれども、それで聞くべき点があれば、お聞きになったらどうでしょう。議会の子である三木さんとしては、そのくらいなゆとりを持っておられなければ——あなたがかつて中央公論に書いておられました。政治家は官僚がつくった予算案を賛成する機械じゃないんだということを言っておられましたが、それはそれでいいでしょう。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 これは国権の最高機関であり、ここで法律案も予算案も決めるわけでありますから、野党の諸君の言うとおりになるわけではございません。与党も全部賛成をするということであるならば、いかなる修正も可能であることは、原則論としては当然のことでございます。

江田三郎日本社会党

○江田委員 初めからかた苦しいことは申しませんから、そのくらいのゆとりのあるところでいいでしょう。  そこで第二の柱は、言うまでもなくクリーン三木、清潔な政治ですね。この清潔な政治ということに入る前提として、問題になりました前総理田中さんの金脈問題について、どういうような処理をされようとしておるのか。三木さんは金権政治に抗議の意思を込めて辞表をたたきつけられました。しかし、辞表を出したからといって、それでいいということではないのであります。あなたは田中総理のときの副総理として重い責任を持っておられたわけです。  それからもう一つは、国民が一体あの問題をどう受け取っておるかということなんで、これは田中個人の問題というだけでなしに、実は現代の政治の体質あるいは自民党の体質にかかわる問題というように受け取っておるのでありますから、この際、これをどういうように処理されるのか、いまどこまでいっているのか、これははっきりしていただきたいと思うのです。特に、ことしになりましても、たとえば、電電公社の新しい庁舎の建設の敷地が、田中さんの関係しておられた会社がからんでおるとか、いろいろな新しいこともマスコミに出ておりますから、やはり国民は、もう年を越えたから忘れておるということじゃないのですから、クリーン三木の大前提として、過去のことですけれども、これは明確にしていただきたい。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 田中さん自身としても、これは大変なことでございます。総理を辞職されたようなことですから。政治家の名誉のためにも、御自身が国民に対して釈明をする責任を持っておると思います。田中さん自身がしばしば申しておるように、これは非常に多岐にわたっておりまして、私も江田さん、よくわからないのです、田中さんの事業、どういうふうにやられたかが。一番御存じになっておるのは田中さん自身ですから、これはやはり政治家として、国民の前にこういうことであったということを明らかにされる責任があります。それを自分はやる、できるだけ早く国民に対して全貌を明らかにして国民の理解を求めたいと言っておりますから、私は、一日も早く田中さん自身が、国民の前に、いろいろ疑惑を受けておる点に対して、これを自己の立場を明白にされることを強く希望しておるわけです。これは田中さん自身のためにも、日本の政治のためにも必要である。  また、政府の方としては、国税庁初め政府機関で調査検討を進めておるわけでございます。まだいまそれを発表する段階ではございませんが、法律に照らして、これは田中さんだからといって特別な扱いができるわけではない。厳正な処置をとります。また、国会などに対して、いろんな資料の提出の要求がございますならば、重大な国益に反しない限りはできるだけ協力を申し上げたいというのが政府の態度であります。  いわゆる田中金脈問題と言われるものに対する私の考え方は、さような点でございます。

江田三郎日本社会党

○江田委員 ただ、自分は辞表を出したのだから知らぬよということじゃないということですね。あなたが副総理として、一緒に責任を分かち合ってこられた田中さんのことなのだから、あなたがこれをいいかげんにされると、三木も一つ穴のムジナかということを国民は考えてくるわけであります。  あなた自身の問題についても、昨年の国会において、いわゆる三木派の政治献金の問題がありました。あるいはまた、あなたのグループの兵たん部を担当しておられる河本さんが通産大臣になられたのはいいのかどうかという問題もありました。まあ、どうせこういう問題は、後から同僚の議員が質問すると思いますから、私は余り触れませんが、とにかく、田中さんのことは田中さんのことだ、わしは構っちゃおれない、かかわりはありませんよということでないことだけは、十分頭に置いていただきたいのであります。  そこで、田中金脈問題でなしに、今度はあなたの方ですけれども、あなたは、企業から政治献金は受けない、こう言っておられたわけで、ここに中央公論の昨年の九月号、あなたが辞表をたたきつけられた、まだ生きのいいときに書かれた論文がこれにありますが、近ごろちょっとさめている。「保守政治改革の原点」というものをあなたここに出されておるのです。その中で、党近代化のためにやらなければならぬ三つの問題として、第一は自民党の総裁選挙のあり方。第二は政治献金について、企業は政治献金を行わず個人献金とし、かつ献金に限度を設ける、こういうことを言っておられるわけですね。ところがちょっと変わりましたね。今度の国会の答弁でも変わっておりますが、そのそもそものターニングポイントは、あの一月四日ですか、経済四団体のパーティーへおいでになって、そのときに、企業献金は必ずしも悪くないと言うだけでなくて、自民党は百億の借金を持っているという苦衷を訴えておられた。あそこから変わりましたね。どういうわけで変わったのか。  さらに、私は非常におもしろいと思ったのは、あの四団体パーティーのあなたの発言の後を受けて、東京瓦斯の安西会長が、東京瓦斯がとめておる政治献金を再開するということを言われました。安西さんとあなたとの関係は、なかなかごじっこんであります。ところが、安西さんがそう言った後、消費者団体などから東京瓦斯に対する抗議の電話が集中して、そして東京瓦斯の社長は、企業献金を再開する意思はないということを談話として出さざるを得なくなった。私はこのことも、企業の諸君も、あるいは政党のわれわれも、大きな教訓としておかなければならぬと思うのです。安易に企業献金ができると思ったら大間違いであって、恐らくそれは、国民のごうごうたる非難の中に立ち往生しなければならぬことになってくるんじゃないのか。  私は、総理が、企業献金必ずしも悪ならずというように、少なくともこの中央公論で当初言明しておられたところと、大きく変わってこられたのはどういうわけなのか。また、その延長線に、いまちょっと一つの例として東京瓦斯のことを申しましたが、簡単に企業献金ができると思ったら大変なやけどをするのじゃないかということを申し上げながら、御意見を聞いてみたいと思う。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 私はやはり、政治献金というものは——政治献金といいますか、政党の活動には金がかかる。これは相当莫大な金がかかることは、政治活動をすれば当然でありますが、まあ、その金をやはり党費と個人献金で賄うことが理想的だという原則は、いまも私は変わっていない。そして企業献金が悪いから、企業献金というものから個人献金にかわれという考えではないのです。  企業献金がなぜ私が悪いと思わないかというのは、やはり企業も大きな社会的存在でありますから、その企業がある節度を持って、そしてまた裏に対して疑惑を持たれるようなことのない、そういう公明正大な資金を、自由社会を守り、あるいはまた民主政治の健全な発展のために政党を応援するということは悪だということは考えないのですよ。それは、いろいろな方面で、企業だって社会的にいろいろな寄付もしておりますし、社会的な貢献もしておるわけで、それが悪だという観念ではないのですが、どうも自民党がいままで安易に企業の献金というものに依存し過ぎてきた。甘えてはいけないのだ、企業の献金というものに安易におんぶしないで、もう少しみずから政党の活動資金というものを苦労して集めるという努力をしなければならぬのだということです。悪いからというのでなくして、自民党がもう少し慎み深い態度をとって、そして安易に企業献金に頼らないで、みずから資金のために苦労すべきである、こういうことで言っておるので、悪いということではないのです。しかし原則としては、個人献金あるいは党費、こういうことで賄うことにすれば、国民からややもすれば疑惑の目で見られることは政治の信用を害しますから、したがって、そういうことが理想である、こういう原則的な考え方は、私は変わってはいないわけでございます。  また、東京瓦斯の話は、私も何かこう話し合っているという、非常に迷惑しておる話でしかないわけでございます。それは誤解のないように。関係のないことでございます。

江田三郎日本社会党

○江田委員 何も、東京瓦斯とあなたとしめし合わしている、そういうことを言っておるのじゃないのでありまして、公益企業というものが安易に企業献金の再開など言ったら、それがどういう大衆の反撃を受けるかという一つの教訓として、あなた方も考えていかなければならぬのじゃないのか。それはさらには、企業の政治献金全体にも多かれ少なかれ関係のあることだということなんであります。  そこで、あなたはいま、企業献金というものは悪とは考えない。だけど、この雑誌にあなたが書いておられるのは、やはり企業から献金を受ければ、どうしても企業のごきげんを損ねないようなことを考えざるを得ないということを言っておられて、いま私が読み上げたあなたの文章によると、企業献金はやめて、そして個人献金に限るということをわざわざ言っておられる。だから、どうも方向転換じゃないですか、こう言っておるわけで、いまの話を聞きましても、これは明らかに方向転換ですね。ここに書いてあることとは違っておるわけでありますが、私は、まあ方向転換がどうとかこうとかということよりも、もっと前向きに話を進めなければなりません。  この政治資金規正法について、どういう内容をお考えになっていますか。どうもあなたの言うことを聞いていると、政党は金がかかる、苦労しなければならぬということですけれども、この間の大会で、あなたのところの自民党は党費を幾らにお決めになったのです。日本の政党の中で、党員の払う党費が一番安いのは、あなたのところじゃありませんか。政権をとっているあなた方が、そういうあなた方が、政治資金規正法を何とかしようじゃありませんかなんて他党に呼びかけるのは、その資格があるのかどうかということを私は疑問にせざるを得ないのであります。あの第五次の選挙制度審議会の答申が出たときに、小骨一本抜かずと言われたのは、それはあなたじゃなくて佐藤さんですけれども、少なくともあの線で貫こうとされるのか、もっといいものにしようとされるのか。まさかあれより後戻りをされるということじゃないと思いますが、それはどうでしょうか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 私は、自民党の総裁にならない前から、政治資金規正法、また粛正選挙に関する選挙法の改正、総裁選挙の規程もそうですか、三つの試案を私自身がまとめて、それは公表はしなかったわけですけれども、新聞などにも、どういうところから取材したのか出ておるのですが、やはりそういうところから、理想はそうだけれども、ある一定の経過期間を置いて、そこへ行くまでは、いますぐ個人献金と党費ということになりますと、急激な変化において事実上混乱も起こるから、経過期間が要るということは、私はずっと主張をしてきておるわけです。原則としてはそうだけれども、そこへ行くまでの経過期間が要るということで、江田さん、私自身は後退したとは思っていないのですよ。ある経過期間を置くということは終始言っているわけで、また、いま御指摘になった佐藤さんの時代ですか、第五次の選挙制度審議会の答申ですね、これは私は重要な参考にしておるのです、私自身が試案をつくる場合においても。政治資金というものは、世間の批判もあのときよりもまだ強くなっておる。だから、できる限り前向きな、あれを参考にしながらも、前向きな処理をしたいと思っておりますが、その柱の一つは、やはり政治資金には節度を設けなければいかぬ。多ければ多いにこしたことはないということでは、天井がないわけです。節度を設ける。そしてその資金が、使う方も集める方も、できるだけ公明正大にそれが処理されなければならぬ、こういうことでございます。柱は二つであります。

江田三郎日本社会党

○江田委員 今度の国会が始まって、私もそうですけれども、言論界もあるいは一般国民も、あなたに飽き足らぬのは、どうも抽象的な言葉でいつも終わってしまうことなんです。そこなんですよ。節度というのは具体的にはどういうことを言うのか。この問題は、あなたが、話し合いの政治、清潔な政治、社会的公正を実現する政治、三つの柱として長年唱えてこられたことなんでしょう。あなたとしては、抽象論でなしに、具体案まで考えられたことなんでしょう。そうして、先ほど私申しましたが、あの椎名裁定の中には、党を解党して第一歩から出直す厳しい反省と強い指導力が必要だ、こう言っておるわけでしょう。あなたはこの言葉を二十二日の党大会でも述べられたのでしょう。なおいまの段階において、もたもたしたことしか言えないのか。こういうことにこそあなたがどんなに強い指導力を発揮されたところで、いやしくも三木総理を誕生させた自民党からは文句は出る筋合いのものではないし、また、国民はそれを待っているのじゃありませんか。まだ、いまの段階で、節度が要るとかなんとか、どうでもとれるような、ちょっと三木さん、そういうのはだめですよ。もうちょっとはっきりしなさいよ。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 節度ということは限度ということです。ある限度が要る。その限度を幾らにするかということを言えとおっしゃるのかもしれませんが、これはやはり自民党としても、いま調査会ができて検討をしておるわけでございますから、これは法案として出すというわけですから、それまでの間、限度を幾らにするということを私がここで言うことは適当でない。自民党にせっかく、やっぱり政党という中で調査会ができて、そういうことも大きな問題の中心点でしょうから、それは検討を加えておる。できるだけその限度というものは国民の常識に合致するような限度にしたいとは思っておりますが、金額をここで申し上げることは適当でないと思う。

江田三郎日本社会党

○江田委員 少なくとも、第五次選挙制度審議会の答申、これは重要な参考にするとおっしゃいましたが、まさかそれより後戻りをするということはないでしょう。これだけあなたの政治信条として訴えてこられた課題なんですから。さらに、金のかからないように公職選挙法を改正する、これも何とかしなければ、ここを変えなければ、いまのようにポスターと印刷物だけでとんでもない金がかかるような、こんなことをほうっておいてどうにもなることじゃないわけで、これもこの国会で、少なくとも国会解散前に処理しておかなければならぬ課題だと思いますが、どうもあなたの自民党は、そういう二つの課題と、いわゆる定数是正、それから参議院の全国区の問題は、組でなければ通さぬというのですか、どうですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 選挙に対して、私はこういう考え方を持っておるわけです。いまの選挙は、江田さんがお考えになっていても、どうも、どこの国の選挙を見ても、もっと冷静に選挙が行われておる。まあ、立て看板からビラのはんらん、こういうのはもう少しつつましい選挙をするべきだと私は思います。そういう点で、選挙のあり方に対してもいろんな規制を加える必要があるし、また、私は一番気にかかるのは、選挙に金がかかる、これは与党ばかりでもないと思う。野党の諸君は野党の諸君として、いろいろ御苦心があると思います。そういう点で、もう少し公営が拡大できる面も私はあると思う。公営の拡大できる面は公営を拡大して、そして選挙費用を少なくて済むようにせなければならぬ。その決められた法定費用というものは守られるような法定費用にしなければ……。いまの法定費用というものは、何か事実問題として守られていない面が多いわけでしょう。やはり立法機関として、選挙法という、そういうふうな重要な法律が守られていないということでは、これは立法府の権威を害しますから、どうしても守れるような法定費用、しかもそれを小さく抑えていく。そしてまた一方においては、腐敗選挙と目されるようなことはできるだけ厳重な取り締まりをすると同時に、いわゆる費用がもう少しかからないで選挙が行われるような工夫をするような、一つの選挙の粛正に関する選挙法の改正というものは、この国会にぜひとも提出をしたいと考えておる次第でございます。

江田三郎日本社会党

○江田委員 金のかからぬ選挙法に改正をしなければならぬということは、もうあなたが詳しくおっしゃらぬでも皆知っていることなんです。ただ、その法律をやるかどうか。それも具体的にこことこことこことを変えるというならいいけれども、いまのような答弁なら時間がかかるだけですから、もっと能率を上げてください。  私がお聞きしたのは、政治資金規正法の問題と公職選挙法の改正の問題は当然しなければならぬが、あなた方は、これを定数是正と参議院全国区の改正と組でなければ通さないという態度をとられるのかどうか。それとも、他の問題について意見が分かれる、しかし意見の一致した問題もあるというなら、与野党の意見の一致したところから次々とこれを実現していくという態度をとられるのか、どちらかということを聞いておるわけでありまして、あなたは肝心のことには答えぬで、とんでもないことばかり言っておる。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 内容についてもいろいろ、どういうことをやるかという御質問があったので触れたわけですが、これはやはりそんな、大きないろんな問題を含んで、選挙法の改正もある、政治資金規正法、定数是正、これを皆一斉に込みでなければ通さぬという、そんなばかなことはありません。

江田三郎日本社会党

○江田委員 いや、そこをはっきり答えてもらえばいいのですよ。  そこで、いわゆるクリーン三木というのは、あなたにとって光栄というべきではないかと思いますが、世間は、あなたがただ金に汚れない政治という意味でクリーン三木だけでなしに、日本の環境浄化、日本の美しい自然を清潔に守る人として、いままで大いに期待を寄せてきたわけでありまして、もういまの日本の国土がどんなに汚染されているかということは、私がいまさら申すまでもないわけであります。あなたが田中内閣で、副総理でありながら環境庁長官に就任されました。これは、副総理という人が環境庁長官になられるということは、この問題がいかに重要な問題かということを国民の前にクローズアップをしたことであり、私は、それだけでもあなたは大変なことをされたと思うのです。そしてまた、いろいろやられました。そしてあなたはあのときに、環境問題は政治の原点である、こうおっしゃった。なかなか重みのある言葉です。自然環境が汚れれば、人間の体も人間の心も傷つけられてしまいますよ、そういう意味で政治の原点だ、こうおっしゃったことはなかなか深い哲学だと私は思います。  ところで、皮肉なことに、あなたが総理になられた直後、水島の今度の三菱石油の事故が起きて、一万キロリッターと推定される石油が、岡山からあなたの郷里の徳島まで汚してしまった。前例のない大汚染を起こしたわけなんです。瀬戸内海については、三木さん、あなたは環境庁長官のときに、お互いにこの世界に誇る公園を汚れから取り返そうじゃないかというので、瀬戸内海環境保全臨時措置法を議員立法でやりました。あなたが長官のときです。そして一年余りたちました。くにへ帰ってみると、漁師の諸君が、ガザミが帰ってきましたと言って喜んでおった。それが今度の事故で、もとのもくあみどころじゃないですね。海の底へ沈んだC重油のボールや粒子というものを、これを清掃するのに一体何年かかるのか、見当もつかないということになってきたわけでありますが、あなたはこのことに対してどういう御感想をお持ちですか。あなたが環境庁長官としてやられたことに、何か抜けた点があったとはお感じになりませんか。これはあなたのホームグラウンドの環境問題ですから、お答え願います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 三菱石油のタンクの事件は、これはいま御指摘のようにたいへんな被害を与えたばかりでなしに、これは相当長期にわたって被害を与えるわけです。これの応急対策に対しては、政府は最善を尽くしておるわけでございますし、また、油の除去あるいは被害者の救済ということにも、会社側との間にできるだけのあっせんをしてやっておることは御承知のとおりであります。  私は、やはりああいう事故が起こって考えることは、一つの工場設置の場合のアセスメントといいますか、石油のタンクならタンクの場合、その設置する場合の事前調査というものを、その間の環境に与える影響であるとか地盤の関係であるとか、いろいろな点で、その事前のアセスメントというものをこれからは非常に厳重にやらないと、この点でやはりああいう事故というものが起こりやすい原因も一つあるという感じがしたわけでございます。そういう点で、単に企業側が十分な注意を払わなければならぬということは言うまでもありませんが、政府の側としても、いろいろな工場の設置あるいはそれの場合におけるアセスメントというものはきわめて厳重にやらなければ、瀬戸内海のようなああいう狭い地域で、水島のようなああいうコンビナートがあるわけですから、他の地域よりも非常に注意深く、一つの何か工場を設置するなら設置する、タンクを設置するなら設置する、そういう場合に対する事前のアセスメントの必要というものを非常に痛感しております。

江田三郎日本社会党

○江田委員 そういう程度の認識では済まぬのじゃないかという気がするんですね。一方に瀬戸内海、そうして、時を同じくしてマラッカ海峡の祥和丸の事故、内外にわたって、日本が石油公害の大きな事故を起こしておるわけであります。これは、ただアセスメントというようなそんなことだけでなしに、実はいまの法律にも大きな欠陥がありはしないかということがあの中から出てくるわけであります。消防法にしてもあるいはその他の法律にしても。  私はそのことを漸次お聞きしたいと思いますが、その前にまず確かめておきたいのは、今度の被害の原因者は三菱石油ですから、したがって、損害については三菱石油に全面的に責任がある。いわゆるPPPの原則からしてそうだということは、この間、本会議で、あなたの成田委員長の質問に対する答弁でもありましたから間違いないと思いますが、もう一ぺん念を押しておきます。  さらに、直接の漁業被害が目下百五十億円、それに間接の被害が次々に出ておるわけでありますが、あの海の底に沈んだC重油のボールや粒子というものは、これはだれが一体責任をもってこの清掃に当たるのか。そのときの費用というものはどうなるのか。先般、新聞で見ますと、海上保安庁は、あの油の流出処理に当たって出動した時間外手当、あるいは資材等の支出、あるいはまた海上保安庁の船舶の汚染に対する損害補償などを三菱に求めるということが報道されておりましたが、一体今後何年かかるかわからないこのC重油の清掃についても、最終的に三菱に責任がある、海上保安庁のいまの行き方からすれば当然そうなりますが、そう考えていいわけですか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 原因者負担の原則は貫かなければならぬというのが考え方でございます。

江田三郎日本社会党

○江田委員 それは非常にはっきりした答弁で、けっこうでございます。なかなかこれは、五年かかるか十年かかるかわかりません。  そこで、あれだけの事故が起きて、刑事責任というものはないとお考えになりますか。どうでしょう。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 刑事責任についても、いま検討中でございます。結論は出ておりません。

江田三郎日本社会党

○江田委員 新聞の報道によるというと、岡山県警は、今度の問題は、タンクに冷却水を二万トンも注いだ、そのことが港へ水と油と一緒に流し込んで、ついにあの海に行ってしまった、この点について、岡山県海面漁業調整規則の違反だということで取り上げようとしている、こういうことが報道されておりましたが、私はそれだけではなしに、あなたよく御存じの公害法、あの公害法というのはこれに適用されないのでしょうか。あるいは、いろいろな法律がありますね、消防法もあれば、水質汚濁防止法、海洋汚染防止法、自然環境保全法、瀬戸内海環境保全臨時措置法、ずいぶんたくさんの法律があって、直接の漁業被害が百五十億円、間接のものを加えると幾らになるかわからない、清掃に十年もかかる今後の海の汚れ、金に計算できません。そういうことをした者が刑事罰の適用にならないとしたら、不思議だとあなたはお考えになりませんか。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○福田(一)国務大臣 刑事罰の問題でございますので、国家公安委員長の立場からお答えをいたしたいと思うのでございますが、ただいま御指摘になりましたようないろいろの法律に関係があるかどうかという問題は、これは十分に検討をするというか、調査をいたさなければなりません。  特に私が考えておりますことは、今日のような新しい産業等が起きてきたような場合に、それに対処していく法律制度というものは、なかなかそう一朝一夕に簡単にはできるものじゃありません。しかし、何かその法律適用の場合には、私は、どちらにするかということになれば、こういう場合にはやはり一罰百戒というような処置をとって、今後こういうような事件が起きないような措置をとるべきではないか。いまあなたがおっしゃった法律のどれが適用されるかわかりません。しかし、同時にまた、法律を全然離れてやるというわけにはいかないのでございますから、私たちとしては、警察といたしましては、現場の調査の場合、あるいはまた参考人あるいは関係者からの事情聴取の場合には、必ず警察を立ち会わせておりまして、そうして、そういうような刑事問題にしなければならないかどうかということは、しさいにわたって研究もし、努力もさせておるつもりでございます。したがって、この結果は、消防庁において事故調査委員会というのがいまございまして調査をいたしておりますから、警察自体ですぐに結論を出すというわけにはいきませんけれども、この調査委員会の調査の経過並びに結果を待って、そして時宜に応じて事を処理してまいりたい、かように考えております。

江田三郎日本社会党

○江田委員 一罰百戒、まさにそのことが大事なんでありまして、私がここで水島事故を言っているのは、ただ水島の事故があったからというだけではないのであって、たとえばタンクの不等沈下というものが、調べてみたら日本国じゅうだったということなんでしょう。地震でもあったらどういうことになるのか。どこだってめちゃくちゃになりますよ。あるいはいまのタンカーというものは安全なのか。ああいうシンガポールのタンカー事故についても、太平洋海運の社長は、海運に事故はつきものだということを記者会見で言われた。現地住民の感情をまるで逆なでするようなことを言われる。あるいはあの堺のタンクでその後油が流出しまして、それなんかも一カ月にもう三回目の事故だ。それも消防署には通報していなかったというようなことがあったりして、とにかく一リットルでもたくさんの油を一円でも安く入れなければならぬ、扱わなければならぬということの要請の前に、安全も何もめちゃくちゃになってしまっておるわけなんだから、こういうことについては厳正な態度をとってもらわなければ、どんなにアセスメント、アセスメントと言ってみたところで、それだけで片づく問題ではないということなんです。たとえば今度のあの水島事故でも、最初に会社は消防署へどういう通報をいたしましたか。二百トンの油が流れたという通報でしょう。それが後の処理を根本的に誤ってしまっているわけなんです。  そこで、あなたの答弁、一罰百戒、けっこうですが、三木さん、ちょっと、素人として素人らしくしますが、例の公害罪ですね、あれは人の健康を害した者は公害罪が適用になる。ところが、油が流れて、苦労して手がけた養殖のハマチが死んでしまう。そこで、総動員でこの吹き寄せた油を取らなければならぬ。なかなか、政府も自治省も地方自治体も有効な手をやってくれないから、昭和五十年の、高度成長のこの国で、ひしゃくを持って、総動員してくみ取ったわけです。そうして、坂出あたりにおいても、漁師の諸君が集団的にのどと目をやられたわけでしょう。岡山では、あの作業へ出てかぜをこじらせて死んだ人もあります。これは人の健康に明らかに影響があるのじゃありませんか。こういうことを人の健康に影響がないとお考えですか。人の健康に影響があれば公害罪が適用できると思うのですが、これは素人流に。私は、いまあなたが答弁されたからといって、法律的にその責任を最終まで追及しょうというのじゃない。少なくとも政治家の心構えとしてどうだという観点から聞いておきたい。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 立法府において、法律事項でありますから、素人の考えといっても、公害罪というものがこういう場合に適用されるかどうかということは、法律論としてお答えをすることが適当である。政府委員の方からお答えをいたします。——法務大臣から答えさせます。

江田三郎日本社会党

○江田委員 三木さん、政治にも、官僚制度を離れたアマチュアリズムというものが必要なんですよ。いまそれが必要になっているんですよ。私はそういう意味から聞いているのであって、あなたに法律の解釈と、それをとことんまで追及しようというのではないです。まあ、答えにくかったら答えぬでもいいですよ。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 しかし、法律論は、話し合いといっても、公害罪が適用になるかどうかという法律論を、話し合いということで、私の常識で申し上げることは適当でない。これは、立法府でありますから、法務大臣からお答えいたします。

稻葉修自由民主党法務大臣

○稻葉国務大臣 ただいま、公害罪が適用になるかどうかの点も含めまして、現地の海上保安庁と警察が、その原因、結果の因果関係を調査中でございまして、それに基づいて捜査権の発動をするわけでございます。その結果、公害罪になるという判定ができれば、もちろんそれはもうあたりまえのことです。

江田三郎日本社会党

○江田委員 法務大臣も、ときどき野人ぶりを発揮されることがあるのですが、今回非常に処女のごとくで、見直しました。  こういう問題は、実は三木さん、これは大変な手抜かりをやっているのですよ。たとえばタンクというものは、どこが監督権限を持っておるのですか。これはどうでしょう。あのタンクを消防庁が監督するといったって、消防庁が何をやっているかと言えば、タンクができ上がったときに水を入れて、水が漏れたか漏れぬかという検査をしているだけでしょう。そんなことで任務が全うされているわけじゃないのですが、あのタンクというものはどこの監督権限下にあるのか。  それからタンクから油が流れた。私はいろいろ調べてみたけれども、そういう事故を想定した訓練も演習も、企業でも消防庁でもただの一回もないわけですね。それは、どこにこの責任があるのかはっきりしないから、そういうことになるのじゃないですか。その点はどういうようにお考えになりますか。あの複雑な高度の技術を要するタンクを科学的に検討するというような能力が消防庁にあるのですか。どこがやったらいいのか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 私も一々細かいことをよく知らぬことはお許しを願いたいのですが、それは、タンクは通産省、消防庁というものが、これも常識的な判断、これは私の考えですが、当然に責任を持つべき、その監督の衝に当たるべきものだと思います。

江田三郎日本社会党

○江田委員 通産省にも責任があると言うのなら、通産省はこの国会に、石油コンビナート災害の未然防止のために高圧ガス取締法の改正案を出されるということを聞いております。ところがこの中身は、タンクの爆発事故だけでしょう。タンクは爆発もするのです。これも恐ろしい。しかも油が流れて瀬戸内海を汚してしまった。日本じゅうのタンクが不等沈下で同じようなことを起こすかもわからぬということがあるのに、それについては、今度通産省が出そうというこの法律には何ら対象にされておらないのですが、通産省にも責任があるとすれば、通産省はその点をどうするのか。あるいはあのタンクの設計基準については通産省が責任を持つのか。持つのならば、岩盤の上にあるタンクのアメリカと、埋め立てのヘドロの上につくった日本のこのタンクの基準と同じでいいのかどうか、その点をお聞きしたい。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 重油タンクは消防庁がその保安を監督しております。ガスタンクのほうは通産省が監督をいたしております。

江田三郎日本社会党

○江田委員 だからだめなんです。わけがわからぬのですよ。タンクの中で、C重油のようなタンクもありますよ。LPGのタンクもありますよ。いろいろなタンクが入りまじっているのでしょう。ここのタンクは消防庁で、こっちは通産省で、その隣はどこがやる、こんなことで一体国民は安心しておれるのかどうかということなんであって、私たちは、いまのこの行政が、高度成長の中で状況はどんどん変わってきた、それに対する対応というのは全然できていないのじゃないかということを言うわけなんです。とにかく、ああいう事故が起きても、役に立つオイルフェンス一つないじゃありませんか。オイルフェンスを持つということは義務づけておるのですか、義務づけていないのですか。水島の企業、タンクを持った企業六十社の中で、オイルフェンスを持っているものは三十しかありはしません。そのオイルフェンスも何の役にも立たなかったじゃありませんか。しかもあそこには、油の回収船というのは一そうもないじゃありませんか。それが通産省なのか、消防庁なのか、海上保安庁なのか、わけがわからぬものだから、どこも人ごとみたいに考えておるわけなんです。  消防庁にちょっと聞いてみたいのですけれども、仮に海上で油がこぼれて火事になったときには、その海に接岸する工場というのは見物しておったらいいのかどうか。見物しておったのじゃいけない、何かやらなければいけないというのなら、どういう法律的根拠で、その出動を求めることができるか。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○福田(一)国務大臣 ただいまの御質問は、私、ごもっともな御質問だと思っております。それはどういうことかと言いますと、新しいことをやっていきます場合、人間の知恵というものはそこまで行き届かない場合があり得る。私はそういう意味では、確かに消防庁等においても、そこまでの注意、あるいはそこまでの法制等をつくっておらなかったということについては事実でございますから、今後これを踏まえて、また将来新しい問題が出てきたときには極力注意をして、そうして法案の作成その他をやるべきである、かように考えております。

江田三郎日本社会党

○江田委員 私が申すまでもなく、このところ毎日、新聞へ出てくるのは、タンクの不等沈下の問題なんですよ。日本国じゅう皆ですね。おそらく日本じゅうが不安にさらされていると思うのですよ。何センチ沈下したからどうといったって、これは専門家じゃないのですから、だれもわかりはしないで、不等沈下、不等沈下ということが出てくれば、みんなびくびくしているわけなのであって、それについて現行の法律が欠陥があるなら——明らかにあるのですから、これはこの国会でも、きちんとやっていただきたいと思う。  さらに、ただタンクの問題だけじゃないのですよ。タンカーの問題がそうなんです。たとえば三菱石油のあの六号桟橋というのは二十万トンが着くのですよ。だけれども、これは当初三万トンの着岸の設計になっているわけです。そこへ二十万トンが着くのですよ。この桟橋というのはどこの監督下にあるのか。タンカーはどんどん大きくなったけれども、設備は一向に改善はされなかったわけなんです。しかもあの二十万トンが入ってくるのですよ。水島へ入る前には、三十度でカーブを切らなければならない。二十万トンの船というのはエンジンをとめても四千メーター走るのでしょう。六百メーターは視界ゼロでしょう。そういう中で水先案内人なしで入っているのです。水先案内人は港の中に入ってからあるだけなんです。きのうの国会で、運輸大臣が水先案内人の増強をすると言うけれども、実は水先案内人の団体というものはどういう構成になっているのか。本当に新鋭な人をどんどんふやすことができるようになっているのか。大きな欠陥があるわけです。そうして三木さん、あの二十万トンのタンカーというのは喫水が二十一メーターです。水島は水深十六メーターです。途中でどこかで油を一部空っぽにしなければ入らない。そのときに、余裕水深は二メーターというのが常識なんです。いま一メーター二十で入ってますよ。  これは水島のことだけ言っているんじゃないんですよ。多かれ少なかれ、日本の石油基地というものはみんなそんなものだということを私は言っておるわけなんであって、そこで、瀬戸内海の汚染防止の措置法のときにも、あそこに大型タンカーを入れていいのかどうかということを問題にしましたけれども、残念ながら、私たちの主張は通らなかったが、ここに全面的にひとつ再検討しなければならぬようになっているんじゃないのか。特に、先ほどちょっと触れましたけれども、海の中で流れた石油が火事を起こしても、接岸地にある企業というものは、見ておればいいのかどうなのか、それは現在の法律上どうなっているか、その点はどうでしょう。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○福田(一)国務大臣 率直にお答えいたしますが、その場合に責任をもってそれをやれということを、私はいまのところ言えないと思います。協力義務という、お互いにまあひとつ助け合おうじゃないかということでやってもらうことはできるが、それはないと思います。  要するに、あなたのおっしゃっておられることは、いまの制度が、新しい産業あるいはその他のことについて十分な先見性がない、またそれに対する法制がないじゃないかということなんですから、私はそういう意味では、あなたの御質問を肯定せざるを得ないと思うのです。それで、その肯定の上に立って、そして新しく今度りっぱな法制をつくる、こういうことにいたしたい。(「政府の怠慢じゃないですか」と呼ぶ者あり)私はそれを怠慢とは——怠慢と言われれば怠慢かもしれません。しかし、それだけの先見性を持つ人が、もしあなた方のうちにその先見性があったら、なぜもっと早くわれわれに教えていただかなかったのか。(発言する者多し)

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 ただいまの福田国家公安委員長の発言中、ちょっと腑に落ちない点もありますので、ひとつ補足の説明を願います。ちょっと江田さん待ってください。

江田三郎日本社会党

○江田委員 参議院でも、国民を尊敬しないなんていうことを言われて、あなたそういう癖があるんだから、取り消してもらったところで、また同じことなんです。参議院で取り消して、また衆議院でやっているんだから、そんなむだな取り消しならしないほうがいい。取り消すなら信念を持ってやりなさい。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○福田(一)国務大臣 まことにそういう意味でおしかりを受けて申しわけありませんが、私は、それは私たちが確かに怠っておるというか、そこまでの先見性がなかったことは申しわけないと言って、おわびを申し上げた答弁をいたしておるわけなんです。それを申し上げたわけでございますから、その点はひとつ御了承を願いたいと思います。

江田三郎日本社会党

○江田委員 二度あることは三度あるというて、またそのうちやるでしょう。そのときには大変なことでしょう。  そこで、大型タンカーの問題だけじゃないんですよ。これはどこのことか知りませんけれども、たとえば二百トンの小型タンカーというのは何人乗っているんです。船長と機関長だけでしょう。夫婦で乗っているんですよ。それが鹿児島から東京まで、休みもなしに駆けつけるわけなんです。しかも、ガソリンスタンドだって危険物取り扱いの資格が必要ですね。ところが、あの小型タンカーに乗っている人には、そういう資格は何も必要ないんです。きのうまで漁船へ乗っておった夫婦が、きょう二百トンの小型タンカーに乗っても構わない。しかもそれは重油のようなものだけじゃありません。たとえば、LPGにしても、塩ビのモノマーにしても、ああいう危険きわまりないものを積んで走っているんです。それ、ごらんなさい、ことしになっても、瀬戸内海だけでも何件相次いで起きているんですか。愛媛の沖で起きたり、ついこの間も香川の沖で起きたり、しょっちゅうやっているじゃありませんか。そういうことについて、石油というものに対する取り組み方というのがなしに、ただ高度成長だけで一円でも安く、一ポンドでもたくさんということだけを追っかけたんじゃないのか。それがいま集中的に問題が出ているんじゃないのか。しかも今後、石油備蓄を九十日、そのために備蓄会社をつくるというようなことまで言われておるのでありますが、いままでの姿勢で、そんなことができるわけがないじゃありませんか。  そこで、ただ消防法とか個々の法律だけじゃないんですよ。いろいろな法律を大改正しなかったならば、とても国民は安心しちゃおれないということなんであって、これについて総理の考え方を聞かせていただきたい。総理、断っておきますけれども、見直すではいけませんよ。これから見直してというんじゃだめですよ。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 事故の頻発に対して、私も憂慮しておるわけです。事故防止のために、関係法律の改正ということを目標にして検討を加えます。

江田三郎日本社会党

○江田委員 これはいろいろまだ問題があるんです。  時間の制約がありますから、私はここだけにとどまっておるわけにいきませんから、次に進むのでありますが、考えてみると、日本経済の高度成長というのは、公害とかその他の外部不経済というものを考えないで、ただひたすらに進んできたというところに、いま諸矛盾が爆発しているんじゃないかと思うのであります。やはり日本の海は世界の海につながっているわけなんで、日本の大気は世界の大気につながっているわけで、あなたの今度言われた世界船ですよ、世界船の運命共同体なんです。その中で資源のない日本がきらわれ者になったらどうにもならぬということなんで、私は、日本こそ公害の問題については最も先進的な方策をとらなければならないと思うんです。  そこで、いま問題になっている例の自動車の五十一年規制の問題なんです。どうも三木さんが長官時代に取り組んでおられた姿勢から非常に後退を示しているんじゃないのか。私は、あるいは技術的に不可能だというのならば、あの中公審の議論の詳細を国民の前に公表していただきたいと思うのです。そうでなければ、あなたが技術的に不可能だと言っても、中堅メーカーの中にちゃんとそれに適合するものをつくっているんですから、どうも合点がいかないわけなんで、まずそのことができるかどうかを聞いていきたい。

小沢辰男自由民主党環境庁長官

○小沢国務大臣 御承知のとおり、中央公害対策審議会で、国民的な立場で熱心に御討議をいただいたわけでございます。昨年の十二月二十七日にその答申をいただいたわけでございますが、公害対策審議会ではいろいろ御検討になりまして、現在の技術開発の状況から見て、理想値の〇・二五を達成するということは当面なかなか困難であるから、したがって、五十三年までの暫定値として、御承知のような〇・六と〇・八五の暫定値を決定いたしまして、その審議会の総会のときに、主婦の代表、あるいはまた労働組合の代表等の方方から、そういうような技術開発をいつまでも待っておらないで、やはり厳しい規制をやって、その目標を示してそこへ追い込んでいくのが人の健康を守る上で大切じゃないか、という議論もございましたが、いろいろ御検討の上で、御承知のとおり、そういうような意見もあったが、現状からやむを得ないという答申になった次第でございます。

江田三郎日本社会党

○江田委員 答申の経過のことを聞いているのじゃないので、審議会の討論の詳細を国民に発表できるかできぬかということを聞いておるわけなんで、経過がどうなっているということはいいですよ。われわれが見ていると、どうも三木さんは、審議会で民主的に決定されるのだと言うけれども、審議会に出てくるメンバーが問題なんですよ。しかもその技術陣においては、大企業から出てきている関係のある技術者が、やはり技術的には何かほかの技術者よりも専門家めいた発言をして、それに押されているのじゃないかという気がするわけなんで、あの議事経過、議事内容というものを国民の前にはっきりすることができるかどうかということなんです。  もう一つは、これに絡んで課税問題が出ているわけでありますが、物品税で二五%、取得税で二%、低公害車の方を減税するということが言われておりますけれども、これで一体低公害車を普及することができると考えておるのかどうか。特に問題は、保有税の問題ではありませんか。どうしても低公害車の方がガソリンの消費量が多いのだから、保有税が同じだということになれば、これはなかなか低公害車を進んで使おうというようなことにはなってこないと思うので、私は三木さん、これは逆じゃないかと言いたいのですよ。この差をつけなければなりませんよ。差をつけなければならぬけれども、その差というものは、低公害車を低くでなしに、普通のいままでの公害車に高い課税をするということでなければいけないのじゃないのか。  いま人類はマイカー文明から足を洗わなければならない時代が来たのじゃないのか。これこそ見直さなければならないのじゃないのか。だから、どうやってこのマイカーというものを抑えて、公共輸送というものに重点を置きかえるかということを考えなければならぬのであって、低公害車の減税じゃなしに、普通のものを高くしてもっと抑えるということが必要なのじゃないのか。  そこで、宮澤外務大臣の弟さんが、広島県知事ですか、税金を高くするのだと、この間自治省に相談をしに来たら、自治省の方でいい顔をしなかったということが言われているのだけれども、私はこういう問題は、もっと地方の自主性というものを尊重しなければいかぬというのです。地方自治体というものをもっと尊重しなければならぬ。たとえば北海道における自動車の役割りと東京における自動車の役割りというものは違うのだ。日本海の方と山陽側とは違うのです。  そこで、どうやって地域環境をよくしていくか、いずれにしろ、住民の総意が高まってこなければ解決つかぬ問題なのであって、それを一律に中央で決めちまって、身動きができないようにするのは間違いじゃないのか。そもそも根本の発想が、低くでなしに高くしていく、マイカーを減らす、公共輸送を充実する、そこへいかなければならぬと思うのですが、その点はどうでしょう。

小沢辰男自由民主党環境庁長官

○小沢国務大臣 先ほどちょっと答弁が足りませんでしたが、審議会の内容を公表するかということは、私どもは、自動車の窒素酸化物排出制限のための技術的な評価というものを、公害審議会の経過も全部書きまして、発表をすでにいたしておりますから、どうぞいつでもお届けいたします。また必要あればそれを公表します。  それから、ただいまの税の問題でございますが、先生おっしゃるような方向については、五十一年度の税制までに、いま政府内で検討いたしまして、十分そういうような方向で、われわれもやはり考えていかなければならぬと考えておるわけでございます。  当面の税制をごらんになりまして、いろいろ御批判ございましたが、あれは、五十年に、一年先に出た場合にいかにメリットを与えるかということだけの税制を取り上げたわけでございまして、いまおっしゃいましたようなことにりきましては、私どももその必要性を感じまして、現在、政府部内で各省寄り寄り、自動車排ガスの対策閣僚協のもとで検討いたしておるわけでございます。

江田三郎日本社会党

○江田委員 三木さん、予算修正をやってもいいというのが一つもう出ましたよ。五十一年からは、いま私が言ったようなことにやってもいいと。五十一年でやってもよければ、ことしやってもいいのですから、まあそういう問題をこれから次々出します。  そこで原子力の問題ですね。原子力発電所の事故というものが相次いで起きて、電力の労働組合では、いまの段階で就業することは、組合員である従業員の健康に責任が持てないから拒否するということを言っておるわけなんであって、これは従来の姿勢を抜本的に変えなければならぬということは言うまでもないことなんです。  そこで政府は、この予算で原子力安全局を設けるというのでありますが、私はアメリカの原子力委員会と日本の原子力委員会をひとつ比べてみていただきたいと思うのです。アメリカの原子力委員会は日本とは違っている。日本の原子力委員会は基本設計だけにタッチするのでしょう。しかしあとの詳細設計は運輸省なりあるいは通産省がやる。そこに断絶があるわけですよ。そこに無責任が生まれるわけなんです。アメリカの原子力委員会では、基本設計から最終設計まで委員会がずっと責任を負うのですから、責任が一貫するわけですよ。それだけではなくて、原子力委員会が被告になって、そうして住民が原告になって、ある意味の原子力裁判というものが行われて、そこで、原告である住民が被告である原子力委員会を相手に、安全性の問題その他をとことん論議をして、そこから、実施すべきか否か、実施するとすればどうするかということが進められておるわけなんです。しかもそのアメリカの原子力委員会は、ことしからまた改革されて、一層厳しいものになってくるわけなんでありますが、日本の場合、原子力安全局をつくったって、一体まず第一にどこから技術者を集めるのですか。またどういう運用をするのでありますか。そういうことを聞いてみたいのです。

佐々木義武自由民主党科学技術庁長官

○佐々木国務大臣 お答え申し上げます。  技術者を——その前に、運用をどうするかという問題でございましたので、運用の面から申し上げたいのですが、今度つくります安全局は、主として安全そのものの研究体制、あるいは充実をどうするかという問題あるいはただいまもお話しございました設計の審査、あるいはできたものの検査等の体制をどうするか、充実をどうするかといったような問題、あるいは国民の理解を得るためにどうしたらよろしいか、そういう問題が特に主になると存じます。  そこで、アメリカのAECは、お話しのように、ことしの一月十九日でございますか、やめまして、お話のような安全サイドの規制委員会に衣がえいたしました。非常な充実をいたして、ただいま発足しております。その所要人員等も、日本とはとても比較にならぬほど膨大な検査員でやっておりますることは、御指摘のとおりでございまして、私どもも、できますれば、発電の規模等は違いますけれども、安全の保障に対する必要性というものは、アメリカには劣らぬほどもちろん必要でございますので、逐次これを充実してまいりたいと思います。  そこで、御質問にありました検査員をどうするかという問題でございますけれども、これに関しましては、ただいままで原子力局あるいは通産省等で培いました審査官に加えまして、今度の安全局ができますについて、原子力研究所とかあるいは民間等からも、できますれば採用し、その充実を図っていきたいというふうに実は考えております。

江田三郎日本社会党

○江田委員 アメリカと比べて雲泥の差があるんだということは、もうお認めになっておるわけなんで、私は、原子力の問題にしても、あるいはクリーンエンジンの開発の問題でも、政府の持っている技術陣というのがあまりにも弱過ぎるということを痛感しているわけなんです。  そこで、三木さん、お尋ねしますが、大体、科学技術振興の予算というものは、諸外国に比べて、日本の場合には国の負担が低いですね。あなたもおっしゃるように、われわれに何があるのか、資源はないのだ、人間がおるだけだ、頭脳があるだけなんだ、すぐれた頭脳があるだけなんだ。そういう点からいけば、何としてもわれわれは科学技術陣というものを強力にしていかなければならぬのであって、しかもその際、幸いなことに、われわれは軍事科学に力を注ぐ必要はないのです。つまらぬ宇宙開発なんかと取り組んではいないのであって、われわれがいま何をしなければならぬのかと言えば、やはり安全の問題であり、環境の保全の問題であり、そういうことについて、もっと思い切った技術陣を養成できるような措置をとっていかなければならぬのじゃないか。少なくとも、クリーンエンジンの開発ぐらいは国の手でできるぐらいなことがあって、初めてわれわれが世界の舞台へ出て、日本民族の誇りというものを持つことができるんじゃないでしょうか。そういうことについて思い切った改革をなさる用意はあるのかないのか。  それから、ついでに科学技術庁長官に、あの「むつ」という船の母港は今度どこになるのですか、そのことをちょっと答えておいてください。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 いまの江田さんのお話、私も全く同感であります。日本はやはり技術、頭脳というものを中心にして、これからの発展を図っていくべきでありますから、科学技術というものにもっと力を入れるべきです。ことしも二五・四%ですか、三千二百三十一億円だったと思いますが、しかしこれはやはり私は少ないと思う。今後この問題は、もっとやはり基礎的な研究から政府がもう少し——民間ばかりでなくして、基礎研究というのはやはり政府が相当力を入れなければできませんから、この点は将来、いま言われるように、もう少し政府が科学技術振興に対しては本腰を入れてやるようにいたさなければならぬ。これは将来の課題としてぜひ取り組みたいと思っております。

佐々木義武自由民主党科学技術庁長官

○佐々木国務大臣 お答え申し上げます。  原子力船「むつ」の第二定係港、第二の母港でございますが、これを先般、去年の十月に地元と妥結した際の申し合わせでは、ことしの四月中旬までに母港をきめまして、さらに二年半後にはその母港にいまの「むつ」が移転するという申し合わせになっておりまして、ただいま第二母港の選定に取りかかっておりまして、科学技術庁と運輸省、それから原子力船事業団から、それぞれ選手を出しましてチームをつくりまして、専門に選考中でございます。できるだけ四月中旬までにはきめたいと思っております。

江田三郎日本社会党

○江田委員 いろいろありますが、時間の制約がありますから、次へ進みたいと思うのですが、三木さん、あなたの三本目の柱は社会的公正ですね。社会的公正ということに関して現在何が一番問題かと言えば、何といってもインフレをどうやって抑えるか。大きな者がいよいよ大きくなり弱い者がいよいよ苦しむ、この社会的不公正をどう是正するかということが第一の課題であるということは、申すまでもありません。しかし、われわれが注意しなければならぬことは、現在不況が非常な速度で進行しているということであって、三月末の失業者は百万人に達するのではないかと言われております。また健全な企業が倒産の危機に追い詰められております。私はきのうも、ある業者に会ったら、先生、何とかしてくれなければ、もう仕事がないんだから、こういう悲鳴を聞かされました。このインフレの犠牲者が低所得層です。同時に、インフレを克服するための不況の犠牲者も低所得層なんであって、捨てておいていいことじゃないわけなんです。しかもそれが非常に深刻になってきたということ。  三木さんの施政方針演説を聞いていますと、この不況ということに対して、ただの一言も触れていなかったのでありますが、これについて、やはりタイミングを失しない対策をとらなかったならば、手おくれになったならば、後どんなことをしても追いつかぬというような事態の発生も憂慮されるわけで、われわれは、インフレ抑制を第一の課題にして追及しなければならぬけれども、同時に起こるこの問題についてどういう考え方があるのか、お聞きしたい。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 インフレの進行中、中小企業などに対して強いしわ寄せが行く可能性を持っておりますから、政府の方としても、中小企業対策には特に力を入れている。昨年の年末にも、七千億円の特別の融資枠を設けまして、必要があればこれは増額をしようということで、今年度の御審議を願っておる予算においても、中小企業には特に力を入れ、ことに零細企業などに対しては、その中においても特に配慮を加えた予算であることは、おわかりのとおりでございますが、これは、いろいろな場合に対してきめ細かく、中小企業が不当な圧迫を受けないように、通産省においても、特に不況の進行下における中小企業の動向には、中小企業庁を中心にして、注意をいたしておる次第でございます。

江田三郎日本社会党

○江田委員 これはあなた、いまの不況というものの性格を十分に御承知ないんじゃありませんか。ただ中小企業に対する融資をどうこうするというような段階を、すでに通り越しているんじゃないかということなんである。しかも、私たち非常に戸惑いをせざるを得ないのは、あなたは、インフレ抑制一本やりで景気政策を変えることはないと言うが、片一方で通産大臣は、国会の外や内で、景気政策を変えるんだというようなことも言われる。一体どっちがどっちなのかということなんであって、勘ぐりようによっては、春闘対策というものが頭の中にあって、そのために、本当のことを国民に教えないで、何か春闘を切り抜けるためだけに、三木さんは言っているんじゃないだろうか。そこに勘ぐりもあるし、勘ぐりより何より、戸惑いを感じるわけなんです。  あなたが、現在の不況というものが中小企業の金融ぐらいで片づくような認識なら、それで一貫してもらいたい。通産大臣もそういう発言に歩調を合わせてもらいたい。そうでないというならば、国会ではこちらを言い、外ではこちらを言うというような態度はやめてもらって、この際どうするかということを国民の前に正しい情報を与えてもらいたい。そうでなければ、私は、下手をすると、もたもたしている間に、取り返しのつかない不況に落ち込むのじゃないかということを心配するわけなんです。その点をもっとはっきり答えてもらいたい。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 どうでしょうかな。やはり江田さんお考えになっても、政府の総需要抑制の政策をいま転換することが適当だとお考えなのでしょうか。やはりインフレをどうしても抑制するということが一番大きな課題であって、そういうことを考えれば——なかなか不況という問題も深刻であることは十分承知しておるわけです。倒産の件数もふえておりますし。しかし、いまこの場合に、政府が大きく経済政策を転換するということが、その与える影響ということを考えたら、いましばらくごしんぼうを願って、インフレというものを抑制して、そして日本の経済というものを正常な形に持っていくという政策が誤っておるとは私は思わない。したがって、その間に、政府はいま言ったようなきめ細かい政策をとって、できるだけそういう犠牲を少なくしようという政府の態度が一致をしておることは明らかでございまして、通産大臣は違った考えを持っているというわけではないわけでございます。

江田三郎日本社会党

○江田委員 どうも経済の問題になると、途端にあなたは歯切れが悪くなってしまいまして、非常に残念に思うのですが、これこそがいまの最大の課題じゃないかということなんです。  そこで、考えてもらわなければならぬことは、たとえば円の切り上げの問題のときでも、切り上げは不況になるからといって、ちゅうちょ逡巡してタイミングを誤った。あるいはその後の景気政策についても、もう引き締めをしなければならぬときに、なお膨大な予算を組んで景気刺激をやって、政府の政策切りかえのタイミングを誤ったために、たいへんな傷を背負ったということなんですよ。だから今回の場合でも、私はただ勘だけで物を言われちゃ困ると思う。いましばらくしんぼうしろというのならば、どういう指標が出たならばそのときに景気転換をするのか、あるいはどういう措置をとったら、たとえば公共事業の繰り延べ分を解除したならば物価にどういう影響が出るのか、そういうことをやはり明確にしてもらわなければならぬと思うのです。それに基づいて、もっと経済政策に科学性がなければいけないのであって、どうもその点がばらばらで、勘だけに頼った政策展開になっていくのじゃないか。そうして、初期ならば軽い手当てで済むものが、後になってみれば、とんでもない取り返しのつかぬような状況を生むのじゃないかということを心配するわけであります。  はっきり聞きますけれども、それじゃどういう指標が出たならば景気転換をするのか、それまでは何もしないのか、百万人失業者が出てもほうっておくのか、ただ中小企業の融資だけやればそれで片づくと思っているのか、もう一遍改めてお尋ねいたします。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 江田さんのお話、私も御心配の点は同じ気持ちで心配しているのです。しかし私は、いま一番大事な問題は、何にしても物価を安定させることです。その物価安定というものがもう一息という段階に来ておりますので、この物価安定作戦、この軌道を乱してはならぬ、こういうふうに考えているのです。ただ、お話のような物価安定作戦の与える摩擦現象、こういうものはつぶさにいま検討しております。通産大臣なんかは非常に精力的に各業界、団体等とも話し合いをしておる。そういうことから、いろいろ財界の動き等も私どもはつかもうとしておるのです。それからまた、いろいろ指標が出てきます。いま一番大きな指標は、何といっても鉱工業生産率ですが、これは一年間でかなり落ちております。それから労働関係の諸指標、いろいろなものがあります。そういうものを総合いたしまして、これは、特殊の業界につきましてはどういう状態になっておるか、あるいは中小企業はどういう状態になっておるか、それらに応じまして、インフレ掃討作戦といいますか、その作戦の与える摩擦現象、これに対しましては機敏に対処していくという考えでありまして、これは目をさらのようにして、じっと経済の動きを見ておるわけでありまして、決して等閑視しておるわけではございませんです。

江田三郎日本社会党

○江田委員 目をさらのようにして見ているのは、あなたじゃないですよ。国民が見ているんですよ。国民が毎日毎日心配なんですよ。しかも通産大臣のごときは、公共事業の繰り延べ分を解除するかのごとき発言をされるが、片方で総理、あなたはそれを抑えるようなことを言われて、どっちが本当なのか国民が目をさらのようにして見ているんですよ。  そこで、私が先ほども言ったように、こういう問題は、ただ勘だけで処理されては困るのです。やはり科学性のある政策でなければならぬわけなんで、いまあなたもいろいろな指標を取り上げられましたが、それならば、いまのインフレ抑制一本で進んでいるこの三木さんの内閣の政策を変えるときがあるとすれば、どういう指標が出たら変えるのか、そのことをはっきりさしてもらわなければ、まあ任しておけ、こっちはじっと見ておるのだ、それほどこれまでの自民党の経済政策が国民に信用があるとは言えないのです。あなた方がやってこられた——もっとも三木内閣はわずかですけれども、田中内閣がやってきた経済政策に対して、国民は腹から不満を持っておるんですよ。それを、任しておけ、おれの方もじっと見ておるのだ、それでがまんができるわけはないのでありまして、そういう点について、これはいま直ちに答弁というわけにはまいらぬと思いますが、政府として、不統一な発言がないように、国民がどれを注目したらいいのかということをはっきり見解を統一して、後刻発表してもらいたい。しかも、それはタイミングを逸してはならぬのです。いまが一番大事なときなんだから。そのことを三木さん、要請しておきます。  それからもう一つは、どうも……(発言する者あり)そんな言うことじゃないって——あなた方も選挙区へ帰ってごらんなさい。いまの不況に対して……(発言する者あり)まあ不規則発言だから。  そこで、もう一つは、私が見ているというと、あなた方は春闘というものを余り考え過ぎているんじゃないか、春闘というもの、これをいかに乗り切るかということに焦点を置いた発言が多過ぎるんじゃないかという気がするわけなんです。あなたは、所得政策はとらぬ、こういうことを言っておられるわけですが、それはそうでしょう。だけれども、政府の経済見通しでは五十年度雇用者所得の伸びを一七・一ということを出しておられるわけで、やはりいろいろな角度から、所得政策じゃないけれども、それに近いものはやっておられるわけなんです。  そこで、賃金について考えてもらわなければならぬのは、これは少し長い目で賃金というものは見なければならぬということなんです。余り短期の見方だけすると、賃金対策を誤るのじゃないかということであって、もっと長い目で実質賃金がどういうことになるかということの見方が大事になってくるわけであります。  そこで、現在の日本の条件の中においては、たとえば社会保障、そういうものがヨーロッパに比べて非常に貧困だから、どうしても働く者は賃金だけを頼っていかなければならぬわけですよ。その賃金の内容がどうなっているのか。去年三二・九という史上最高のベースアップがありました。だけれども、それは九月までにはもうどこかへ消し飛んでしまったわけでしょう。物価に追い越されたわけです。それから後は赤字でしょう。しかもその赤字の内容というものは、ただ賃金のべースがどうということじゃないんですよ。時間外はどうなりました。ほとんど時間外はなくなってしまったわけですよ。家族がパートに出たり、あるいは内職しているのはどうなったのか。ほとんどこれもなくなってしまっているわけですよ。だから、実質賃金というのは非常に低いことになってきているわけなんであって、きょうも私は、新聞を見ると、デパートの売り場ががらがらだという写真が出ておりました。買うに買えないのじゃありませんか。需要が冷え込んでしまっているんじゃありませんか。その中で、さらに賃金を一方的に無理をして抑えるということをやって、勤労者の生活も立っていかぬというだけでなしに、日本経済全体をどこへ持っていくかという角度から見ても、これは一方的に一五%だ何だというようなことが押しつけられて解決つくものじゃないと思うのです。  私たちは、いまの経済の状況については、ただ賃金だけ一方的に抑えるということだけで解決づくものではなく、ただ一方的なインフレの抑制だけで解決づくものではなく、不況の問題もある、いろいろな問題がある。あるいは消費者の需要をどうやって伸ばしていくかという問題もあり、もっと総合的な角度で取り組まなかったならば、進路を誤ることになるんじゃないかと思います。そういうことについてお考えを聞きたい。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 いま江田さんのおっしゃられるように、幾ら名目賃金が上がっても、実質賃金というものが実際において上がらなければ、労働者の生活の安定にならぬわけでございます。実質賃金を上げるためには、インフレを抑制するということが労働者のためにも必要なことであります。そういう点でわれわれは、いわゆる生活安定の前提というものは、異常な物価騰貴にあらわれておるインフレを抑制するよりほかない。この政策をとることが労働者の利益にも合致するということであって、春闘のためにこれをやっておるわけではない。国民の一般が望んでおる、物価を鎮静さしてもらいたいという国民の願望にこたえて、政府は総需要抑制政策をとっておるわけでございます。  したがって、春闘の賃上げというものに対して、いかなる水準で妥結をするかということは、せっかく物価が鎮静の方向に向かっておるときに、これが経済に与える影響ということは軽視することはできないわけであります。そういうことで、政府は、賃金の決定というものは自主的にきめられるべきもので、何もこれに干渉する考えはないわけですが、願わくは、労使ともに節度のある賃金の妥結をしてもらいたいという希望を述べておるだけでありまして、春闘のために物価を抑えようという、そういうものではありません。国民全体の生活を安定さそうということが目的であるわけでございます。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 午後零時二十五分より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十七分休憩      ————◇—————     午後零時二十九分開議

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。江田三郎君。

江田三郎日本社会党

○江田委員 午前中、三木内閣の第三の柱、社会的公正という問題について、まずインフレと不況の問題をお尋ねしたわけです。  いずれにしたところで、弱い者が苦しむということは、まだまだ長く続いていく条件の中に置かれておるわけでありまして、その弱者対策として、あなたの方でも、いま社会保障の充実ということを大いにやったと言っておられるわけであります。なるほど、今回の予算を見ますと、社会保障費全体が公共事業費を上回っておる、あるいは総予算の中で占める比重も大きくなっておるわけであります。ただ私は、たとえば老齢福祉年金を一万二千円にする、あるいは重度身障者の介護手当を一万円にする、それはそれでけっこうなんでありますけれども、一体そのあとどうなるのかということを聞きたいわけなんです。国民の関心は、きょう現在があると同時に、来年、再来年はどうなるかということなんであって、この社会保障の将来はどういうような青写真が出てくるのか、その点をはっきりしてもらわなければならぬと思うのです。まずそこからお尋ねします。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 午前中の江田さんの質問、きわめて建設的な御質問だったと思います。したがって、まあ野党の諸君の言われることで、政府は、もうすべて政府がやることが正しいとは思ってないわけです。傾聴すべきものがあるならば、率直に耳を傾けて実行しなければならぬ。ことに縦割り行政の中で非常に弊害がある。そういう縦割り行政の弊害というものもわれわれは見逃すことはできない。そういう点で、水島のあの事故などを中心として、確かに御指摘のように、いろいろ縦割り行政の弊害はありますよ。だから私は、直ちに福田自治大臣に、福田自治大臣を中心として、現行法規の非常な不備、これを直ちに改正という方向で取り組むような指示をいたしました。今後も建設的な御質問は歓迎をするということを申し上げておく次第でございます。  それから、いま御指摘の社会保障制度でありますが、私もそう思うわけであります。したがって、社会保障制度には長期的な計画が要る、したがって来年度、五十一年度から社会保障制度の長期計画というものを策定するということで、また年金制度なども、厚生省の方で見直しをして、年金制度というものがいまのような形でありますと、江田さんから言えば、一万二千円というような福祉年金、けちくさいとおっしゃるけれども、財政的支出ですから、掛金がないのですから、いまのような仕組みとしては、いまはこれはやはり野党の諸君がお考えになっても、内心は、精いっぱいやったと評価されておるのに違いないと思うのです。やはりどうしても仕組みを変えないと、これは二万円、三万円と言われても、全部財政資金ということになれば、その財源というものは容易でないことはおわかりですから。まあいろいろな提案がございますから、年金制度というものも、来年度の予算に反映できるように見直しをする、社会保障制度も五十一年度から長期計画を立てる、こういうふうに考えておる次第でございます。

江田三郎日本社会党

○江田委員 総理が、午前中の私の質問に対して、直ちに自治大臣と相談をされて取り組まれたということは非常にありがたいことで、議会政治がそういうことになると、国民もまた大きな期待を持ってくるし、また、あなた方がそういう態度をとられれば、野党だってやはり実現可能なことと取り組むことになってくるわけなんであって、私は非常にいいことだと感謝しております。  そこで、この社会保障の問題について、特に年金の問題について、五十一年度からということなんでありますが、問題は、拠出のない年金のことは別にいたしまして、拠出年金にしたところで、たとえば五年積立が今度どうなるか。無拠出が一万二千円に対して、五年が一万三千円ですか、下手をすると無拠出がやがて追い越すようなことにもなってくるわけだし、それぞれの拠出年金が行き詰まってきていることも言うまでもないことである。問題は、拠出年金について賦課方式に変えるのかどうかということになってきていると思うのです。  申すまでもなく、年金はそれぞれの国の出発点も違います。最初は日本のように、戦時中の軍事費を捻出するために、年金という名で強制積立をやったという出発もあります。だけど、どの国も積立年金から出発をして、そうして賦課方式に転換をしたわけなんで、欧米諸国の中で一番転換の遅かった西独にしても、一九五七年に転換をしているわけなんです。そして御承知のように、六十五歳で定年になればそれまでの所得の七五%が保障されるというような、本当に豊かな老後が保障されておるわけなんです。いやしくもGNPが世界で三番目という日本で、それができないことはないと私は思うのです。世代間の不公平というようなことを言う人がありますけれども、私はこれは官僚的発想だと思います。現在の老人が戦争中どんなに苦労したか。戦後の物のない中で、子供を育てるためにどれだけ苦労したのか、子供を教育するためにどんな血の出る思いをしたのか。そうして子供は大きくなった、自分は年をとった、しかし核家族化になり、子供はめんどうを見てくれない。積立年金をしてみたところで、インフレの中で目減りがしてしまう。これを考えれば、賦課方式に移れば世代間の不公平が起こるのじゃなしに、いまのままほっておけば世代間の大変な不公平が続くということなんでありますから、これは総理、思い切って転換をしていただきたいと思うのです。  なお、その転換に当たって、負担が一遍に重くなる、掛金が重くなるという問題があります。だけど、そういうことも、現在の積立金が大体十一兆でしょう、これを計画的に取り崩していくんだということになれば、そんなにたえがたい負担じゃないわけなんで、しかも、西独にしてもイギリスにしても、人口の老齢化というものは、日本がいま老齢化が急に進むといいますけれども、いろいろ比較してみると、あまりかけ離れたことじゃないので、その中でやっているのですから、これは大英断でやるという方向で五十一年以降の案を確立していただくよう、その点どうでしょう。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 私は、人間の共通の不安の中で、老後をどうするかということは、もうこれ一番切実な不安だと思います。だから福祉年金も、江田さん、あれは私が政調会長のときに初めて創設したのです。私は関心を持っているわけです。したがって、いまのような方式では行き詰まりが来ますから、これはいまいろいろ御指摘になりました、いろいろ意見の分かれるところでございますから、そういう意見もいろいろと取り入れながら、もう少し根本的に年金制度という問題を解決する。いま賦課方式のお話もありました。積立金に対して、計画的におろせ、あるいは積立金の金利だけを使えとか、いろいろ意見もありますが、そういう意見もいろいろと踏まえ、学識経験者の意見も徴して、やはりもう少し根本的な検討を加えて、来年度の予算の編成には間に合わせたいと考えておるわけでございます。

江田三郎日本社会党

○江田委員 いずれこの年金の問題は、今回の予算委員会で、各党とも非常な関心を持っておられることでありますから、いろんな角度から議論が詰められると思うのです。そういう中で、いままでの厚生省の出した白書なんて官僚的発想にとらわれないで、思い切ったことをやってもらわなければ、年寄りはがまんができないわけですよ。そのことは、われわれはやはり賦課方式に転換して、そうして全体の制度の統合を図る以外にはない、八種類もあるような、こんなことではどうにもなるものじゃないと思います。  また、賦課方式に転換した後、無拠出のものをどうするか、これは比較をすれば、どの程度にしたらいいという答えがおのずから出るわけでありますから、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、同時に、整理統合しなければならぬというのは年金だけじゃないわけで、健康保険だってそうでしょう。いまのように、老人医療が全部国民健康保険に回ってくる。過疎地帯なんかは、老人医療だけでも手が回らない、動きがとれない、こういう状況についてどうするかという問題もあるわけでありまして、私は、こういう健康保険なんかの改正が問題になるたびに、いつも医師会とのトラブルが起きることを、ある意味では苦々しく思っておるわけであります。厚生大臣が武見会長の前に平身低頭する姿がテレビにあらわれる。国民はどういう気持ちであれを見るのか。もういいかげんで、ああいう姿勢はやめてもらわなければならぬと思うのです。  最近、新聞の報道を見ますと、政府の方は五十四年度までに医薬分業を五〇%に持っていくんだということが出ております。これはぜひ断行してもらいたいと思うのでありまして、いま日本の医療制度というものがいかに薬の乱費になっているかということは、もう周知の事実でありまして、去年の医薬の使用高が一兆七千億円、そのうち八割がお医者さんで使われておる、その中に効かぬものもあるということは、厚生省の再評価のあの報告でわかるわけで、ちょっとかぜを引いたら、赤いやつや黄色いやつをふろしきに包むほどくれる、これをどうするかということなんでありまして、われわれは、医師の技術というものは、社会的常識に照らして評価をきちんとすべきだと思います。しかし、薬の乱用によらなければならぬというような、こういう制度は速かに脱却しなければならぬわけでありまして、そこにこの医薬分業ということが大きな意味を持つと思います。  ただ、どうもあなた方は医師会に対して弱いんじゃないのか。医師の税制優遇の問題について、三木さん、五十一年度でということをあなた言われておったようでありますが、あれを言われた途端に、医師会はいろんな審議会から委員を引き揚げてしまったじゃありませんか。医薬の分業が問題なら、またそれをやるんでしょう。そういう中で、あなた方は、どこまで毅然として国民とともにこの医療制度の改革をやっていくのか。どうも従来の行き方を見ると、非常に情けない思いがするわけであって、今度もあの七二%というものに取り組めなかったというのに、三木さん、あなたも少し弱いんじゃないですか。その決意をはっきりさしてください。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 やはり江田さんの御指摘のように、諸外国に比べて倍ぐらい薬をよけい使っているわけですから、薬が乱費の状態にあるという批判は当然起こるべきだと思います。こういう点で医療制度というものは、健康保険の問題も触れましたが、そういうことを思うにつけて、社会保障というものに対して、皆が自分の利己的な立場では、健康保険だってこれはなかなか統一と言ったってできやしない。もう少し何か社会連帯という——いかにも江田さんから言えば抽象的なことだとおっしゃいますが、社会保障制度というものを整備するためには、やはり社会連帯の意識というものが社会の中に根底にないと、制度を少し変えようとしても、みんな自分の利益というものを守って、絶対反対ということになってくると、既得権益の上で皆が主張するわけですから、容易でない。そういうことで、私、施政方針演説のときにも特に取り上げたわけです。  医師の七二%の特別措置に対して、おまえもまた言っておるではないかというお話でございましたが、私は何も医師会に押されたというわけでないのですけれども、あの経過をよく調べてみますと、あれは昭和二十九年だったですか、江田さんも皆お加わりになって、そうして各派の共同提案で、適正な診療費の決定まで、この七二%の所得税控除の特別措置をするという決議をなされたわけで、どうも税制調査会の決定だけでそれを強行することに無理がある。やっぱり適正な診療費を決定するというのも一方についておって、それまでの特別措置で、医者に対する所得保障の意味もあの立法の中にはあるわけですからね。それをやらずにこちらだけということには無理があって、私も必要な場合は勇気をふるうことはいたしますけれども、やはりその勇気というものも、合理的なものでなければなりませんので、診療報酬という問題もこれを解決しないと、ただ所得税の特別控除というものに対して、それが起きたときの原因というものがそこに原因があるものですから、そういう点のいきさつにかんがみまして、これは診療報酬の問題もこの際に検討しよう、それとあわせて所得税の特別措置の問題も取り組もう、そのことが経過にかんがみて適当であるということで、医師会に押されたというものではないということは、どうぞ御理解を願いたいのでございます。

江田三郎日本社会党

○江田委員 とにかく、この問題が出てから、医師会はいろいろな審議会から、医師会が持っておる二十七のポストを全部辞退するというような態度をとっておるわけでありまして、あなたいろいろおっしゃいますけれども、国民から見ると、またしても始まったという印象を持っておるわけでありまして、特に社会的公正ということを高く掲げられた三木さんとして、これはひとつ勇気をふるってほしい。私は何も医師会を押さえちまえばいいと言うのじゃない。やはり医師の技術料というものは、社会的常識に照らしてきちんとした評価をすればいいけれども、何かあると、事ごとに総辞退だ何だということをやって、そうして厚生大臣が、今度の厚生大臣はどうか知らぬけれども、ぺこぺこ頭を下げるようなことはやめてもらわなければ、恥ずかしゅうてかなわぬということを言っておきます。  それから、やはりもう一つ問題になっているのは、貯金の目減りの問題ですね。これをどうするのか。ある意味では、日本の資本主義というのは、大衆の預貯金の目減りの上に成り立ったと言ってもいいわけであります。それが、昨年来の狂乱物価その他で事態が非常に深刻になって、二年たったら元本が半分に近くなるというような事態で、あの目減り問題が起きた。そしてゼンセン同盟が訴訟を起こしていることは、もう御承知のとおりであります。ゼンセン同盟の大阪の今度の裁判において、政府側の訴訟代理人が、一万円というものは一万円に違いないのだ、そういう意思表示をし、このゼンセン側の要求を入れる余地は全然ないというような発言をしたということが新聞に出ておりましたが、一万円は一万円だというそのことを、三木さん、あなた、この国会で、一万円は一万円に違いないんだ、政府が補償する必要はないんだ、かれこれする必要はないんだということを国民の前に言えますか。言えないとしたら、あの裁判で発言している政府側代表の発言というものを変えてもらわなければならぬと思うのでありますが、その点は一体どうでしょう。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 そのためにもインフレを抑えるということは大事でありますが、過去のインフレのもとに貨幣価値の変化が起こったことは事実でございますが、これを全部補償するということは、各国の例をとっても、政治の現実の課題として、それは不可能でございます。しかし、できる限り政府はそういうことにも目を向けて、何らかの目減り対策を、こうしたいと、まだ結論が出てはおりませんが、検討を加えておることは事実でございます。  また、社会保障制度などに対しても、今後、現に予算等においても力を入れておるわけでございまして、減ったことは事実だけれども、それを全部政府が補償せよということは、政治の場面としては無理がある。

江田三郎日本社会党

○江田委員 そういう処理の仕方がむずかしいということは、もう言うまでもない。だれでもわかっている。しかし、いやしくも裁判の段階で、一万円は一万円じゃないかというような発言が許されていいのか。政府側の訴訟代理人という立場の人がそういうことを言うのなら、三木さんもこの場所で、国民の見ておる前で、一万円は一万円だと言い切りなさいと言うんです。それが言えないのなら、あれを訂正させなさい。そのことを言っているんです。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 政治家として、貨幣価値に変動があるということは常識ですから、法律論ということではなくして、だれが考えても、昔の一万円といまの一万円では貨幣価値の変化があることは、だれの目にも明らかでございます。購買力に対して変化がある。購買力でですよ。

江田三郎日本社会党

○江田委員 そこで、貨幣価値の変化があるということは、あなたの答弁もそうだし、だれが考えたってそうなのであって、一万円は一万円だなどとばかなことを言う官僚根性がいかぬということを言っているんですよ。  そこで、あの訴訟の中において原告側が、「“貯金目減り”を招いた失政」、国の政治の間違いを「一覧」として出しておるのであります。簡単に言えば、一つは、為替政策が「円切り上げのタイミングを逸し逆に景気刺激策をとった(四十六年八月以降の一連の金融政策)」。二が「列島改造政策の誤り 円切り不況を過大視して超高度成長型予算を編成「過剰流動性」を手にした大企業を土地投機に走らせた」四十七年、四十八年度の予算の問題。第三は石油危機への対応の立ちおくれ、「石油消費抑制措置や総需要抑制策の発動がおくれた(四十八年十月以降)」、さらに「消費者に正確な情報を流さなかったためパニックが起こった(四十八年末以降)」。四番目が「政府の日銀に対する過度な介入  特に大蔵省が日銀に干渉し過ぎたため、通貨価値を守る日銀の本来の機能が混乱した(四十六年一月以来、六度にわたる公定歩合引き下げ)」というのが鑑定書として出ておるわけでありますが、いま私が申しました要旨に対して、三木さん何か反論がありますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 いろいろな経済政策、その当時としては衆知を集めて適当だと思う経済政策をとったことは事実ですが、振り返ってみると、その経済政策が内外の情勢に照らして適当であったかどうかという評価は別だと思います。そういうところに、政治の反省も私は要ると思いますが、そのことに対して政府が全部補償するという例は、世界各国にもございませんし、政治道義の問題であって、それが財産補償の一つの課題として取り上げることには無理がある。しかし、政治的な道義的な責任というものは、政治家として当然に反省はしなければならぬが、それを損害賠償の対象にすることには無理がある。

江田三郎日本社会党

○江田委員 あなたは政府に道義的な責任があると言う。道義的というのが、解釈のしようでどうにもなるわけでありますが、しかし、あなたが最近、名古屋の記者会見において、やはり目減り対策は前向きに取り組むということを言っておられたようでありまして、これはそうですね。だが、私はここで細かい具体策を聞こうとは思いません。これは私の持ち時間の制約もありますし、また、わが党の同僚から詳しい質問がありますから、あまり細かなことには入りませんが、ただ、この目減り問題は、過去の目減りをどう補償するかという問題と、将来そういうことの起きないような事態をどうするかということと二つあると思うのです。  そこで、インデクセーションのついた公債なり、あるいは特殊な貯金というような提唱もありますが、そういうことは、もう答えは聞かないで、前向きにやるということだけで、同僚の方に私は問題を譲りますが、ただ問題は、一方においてそういうひどい目に遭った者がある。片っ方においてインフレで大変な得をした者がある。その一番最大のものは土地でしょう。和光証券調査部の調べの東証全上場の千三百七十五社の昭和四十年度現在における資産は、償却資産と土地と株式で、帳簿価格に比べて九十兆円の値上がり。おおよそそうですね。あるわけでありますが、その中で一番大きいのは土地の六十八兆円。これは東証の上場会社だけの話なんでありまして、ほかにも同じようなものはあるわけでありますが、とにかく土地がわずかな間にこんなに上げ上げしている。このキャピタルゲインの中で一番の不当利得、これを許しておいて、社会的公正ということになるのかどうか。預貯金の目減りの問題はどう補償するか、非常に技術的に困難な問題もあります。しかし、何か積極的にやってもらわなければならぬが、同時に、片っ方のこちらを逃しておいていいのかということなんであります。  大蔵大臣、こっちの方を見ておられるけれども、あなたは、この前聞いていると、まだこれは利益が現実化していないのだから課税するのはおかしいんだというようなことをおっしゃいましたね。だけれども、シャウプ勧告のときはどうです。あのときに資産再評価をしてちゃんと取ったじゃありませんか。われわれはそういう前例を持っているのであります。今日のようなこの土地の不当利得、だれが考えてもがまんがならぬ。これをほっておいていいのかどうか。社会的公正ということを尊重される三木さん、これはどうです。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 土地の再評価益の問題、とりわけ法人所有の土地再評価益をどうするかという問題につきましては、江田さんも御案内のように、本院におきましても、たびたび議論になっておるところでございます。先般も本院の本会議におきまして答えましたゆえんのものは、この益金は、この値上がりはまだ実現していないという意味をもちまして、徴税に取りかかるのは若干無理があるのではないかということを一点、私、申しましたほか、もし仮にこれに課税をするということになりますと、実現していない利益に対しての課税でございますので、自然低率にならざるを得ない。以前、戦後やりましたことは、いま御指摘のような実績もあるわけでありまして、その場合はたしか六%であったと思うのでございます。六%ということになりますと、法人税率よりずっと低いわけでございまして、そこで、再評価をいたしまして六%の再評価税を徴収しておきますと、今度仮にその土地を売却した場合におきましては、かえってその者は得をするわけでございますので、そういうことも考えまして、必ずしも得策ではないのではないかという趣旨の御答弁を申し上げたわけでございます。  しかし、国民感情といたしましても、あるいは社会的公正感から申しましても、御指摘の点は、私はまことに問題なんでございますが、これをどのようにして税制の網の中で合理的にすくい上げて問題を解決してまいるかということは、これまた非常に技術的に困難な問題があるということでございまして、まだ手がついていないわけでございます。検討はいたしますけれども、私は、非常に困難であるということだけは、御理解をいただいておきたいと思います。

江田三郎日本社会党

○江田委員 とにかくシャウプ勧告のときにやった前例もあるわけなんです。そうしていま、片一方でこういう目減りがあるのに、片一方でこんな不当利得ということは、何としてもそれは国民ががまんできませんよ。これについては、余りにも技術的なことにとらわれないで取っ組んでもらわなければならぬということであります。  そこで、時間がありませんから、そういう問題の細かな点は、私は同僚議員に譲りまして、先へ進みたいと思うのでありますが、一体、社会的公正というのはどういうことをしたらいいのか、そこに一つの基準がなければなりません。その基準というのは何かと言えば、やはり憲法だと思います。憲法二十五条の「健康で文化的な最低限度の生活」の保障、それをそのときの時代でどう数字化していくかということになってくるわけなんであって、大きく言えば、所得は国の社会保障で保障されていく、そうして社会福祉なりあるいはサービスなりというものは、自治体が中核になって、いろいろな組み合わせで保障されるということになっていくのが、これが社会的公正だと思います。われわれがシビルミニマムなりナショナルミニマムと言っているのも、そういうことを、憲法の二十五条のあの条文だけを口にするのでなしに、ひとつ現実化しようじゃないかということを言っておるのでありまして、その点、恐らく三木さんも反対はなかろうと思います。  そこで、ただその場合に、いまの段階になると、ただ所得という面の保障だけでなしに、それが物の面の保障ということに移らざるを得ないのじゃないのか。資源が限られておる、人口と食糧とのバランスもなかなかむずかしくなったということを考えますならば、社会的公正の実現のために、所得だけでなしに、国民が本当に必要とするものをどう保障していくかということが制度として確立されることが必要になってきているのじゃないのか。それによって初めて、あなたの言われる、物質的には簡素に、しかし精神的には豊かな連帯というものが生まれるのだと思うのであります。  そこで、そういう国民の必需物資あるいはサービスにつきましては、公共料金なりその他の制度があるわけでありますが、私はただ、公共料金やあるいは公定価格というような問題だけでは足りないんじゃないのか。いまのものでは足りないんじゃないのか。  そこで参考になるのは、去年八月、前の総理府総務長官の小坂さんのところで物価問題調査会がありまして、あの調査会で、生活関連物資、何がウエートが高いのかということで、百七品目が挙げられております。その中には、現在、公共料金として取り上げられているものもあるし、そうでないものもあって、むしろ、身近な食料品であるとか、衣料品であるとか、あるいは環境衛生関係の料金などがたくさん出ておるわけなんでありまして、こういうもので本当にウエートの高いものについては、たとえば、財政投資も必要でありましょうし、あるいは金融も必要でありましょうが、国のバックアップによって、安定した供給が保障されるということを考えていかなければならぬのじゃないのか。それはもう去年のあの狂乱物価の中でわれわれ非常に痛感したわけなんであります。  そういうことをわれわれはシビルミニマムとして言っておるわけなんでありますが、ただ個々の問題は、そのときの経済情勢によって違います。何と何とを保障するかは、そのときの経済情勢によって違い、これは官僚的に指定するものではなくて、やはり国民参加の中でこれが民主的に決定されるということなんでありますが、とにかく言わんとするところは、大枠において、国の社会保障、そうして自治体を中心とする社会福祉、そうして国民の生活必需物資については、国あるいは自治体が安定供給をする、そういう一つのシビルミニマム、ナショナルミニマムという体制をこれからつくっていくのが、今後のわれわれの行き方であり、人類の行き方ではないかと思うのでありまして、そういう大筋の議論としては、あなたも賛成でしょう。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 われわれの目指しておる政策も、それがナショナルミニマムでございます。これがシビルミニマムでございますとは申しませんが、そういうものを目指して政策を立案しておることは、これはやはり言うまでもないわけですが、しかし江田さんは、広範な生活のいろいろな広い部門にわたって、そういうものをつくれというお話なのか、まあ少なくともこれだけのことはナショナルミニマム、シビルミニマムというものをつくれということなのか、そういうどの範囲のことだけはつくれというようなお話であるのかもしれませんが、これはいつか社会党の方でも御研究を願って、いろいろ御提案を願えれば結構だと思うのですが、われわれの目指すものも、言ってはいないけれども、結局はそういうものを目指して、国民生活の安定をはかりたいと考えておることは、それは事実でございます。

江田三郎日本社会党

○江田委員 大筋において、そういう考え方が今後の政治なり経済の理念になっていかなければならぬということであります。  そこで、ミニマムは保障される、人間が人間として生きていく最低限度のことはきちんと保障される、ぜいたくをしてもよろしいよ、しかし高くつきますよ、そういうことに持っていかなければ、これから人類の生きていくことは不可能になってくるんじゃないのか。だから、たとえばこの不況をどうやって切り抜けるかという問題についても、私は、従来の路線上でただ救済するということでは、余り意味がないんじゃないかと思います。  この間、私が非常に印象に残ったのは、ある電気製品メーカーが、自分のところの製品を実用品としからざる物に分ける、実用品については一割値段を下げる、そういうことをやる。なかなかおもしろい行き方だと思います。われわれは大企業の膨大な広告費によって、必要でもない欲求をつくり出されているんじゃないのか、それに追い回されているんじゃないのか。そこから脱却しなかったら、いつまでたったって窮乏感はなくなりません。  そこで、本当に実用に適する物、ただしそれについては、同時にその部品についても、二十年なら二十年はがっちり保証させる、そのかわり、それについては物品税も安くする、そういう国の誘導政策がなければならぬのじゃないのか。そこにやはり、何が国のために必要なのか、何がそうでないのかということについて、一つのシビルミニマム、ナショナルミニマムという——あなたはあの言葉を余りお好きにならぬようですけれども、言葉はどうでもいいですよ、そういう一つのコンセンサスが生まれなければ、将来日本というものはあり得ないんじゃないか、人類もあり得ないんじゃないかということを考えるわけです。それは賛成でしょう。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 これだけのものは少なくともナショナルミニマムというような一つのものがあっていいということに対して、私ども賛成です。それがやはり政策の目標になる。また物の点に対して、やはりいい物を長く使うようにしないと、使い捨てというような、次々に目新しい物を追っていくというような生活態度では、これからはやっていけないという江田さんのお説にも賛成です。それに対して、物品税などに対して考えたらどうかということも、一つの見識であるとして承っておきます。

江田三郎日本社会党

○江田委員 私が言うのは、一つの個々の小さな例をとったんですけれども、そこに、従来のこの高度成長の中の税制なり、あるいは財政なり産業政策なりの大きな転換が、いま求められておるのではないかということなんであって、いまそういうような転換をするために——転換をしたくても、財政硬直でできないんだということを三木さんも悩んでおられるわけでありますが、財政硬直というのは、私は問題を矮小化していると思うのです。財政硬直じゃないのです。制度の全面的な改革が必要になってきておるのであって、ただ従来のように、財政制度審議会をつくって、そこで、ああでもないこうでもないという意見を聞いてみたところで、そんなものはほとんど実を結ばぬということは、もう過去において、池田内閣以来何回かやって、経験をしていることなんです。  問題は、もっと大きな変革の時代に入ったんだ。ただ、私たちがそう言うと、あなたはこの間の早とちりのように、すぐ革命かというようなことを言い出すのですが、そんなことを言っているんじゃない。ただ私たちは、一体民間は何をしたらいいのか、国は何をしたらいいのか、あるいは自治体は何をしたらいいのか、もっとそこに整理が必要になってきているんじゃないかと思うのです。  私は何といっても民間を大事にしなければならぬと思います。この前の臨時国会で、わが党の田邊君の質問に対して、経済の計画化ということを言ったら、あなたはすぐにそれを国有のようにとって、反対しておられましたが、われわれは国有なんてそう簡単に考えている問題じゃないのです。われわれは社会主義ということを言う。しかし社会主義は国有でなければならぬとは思っていない。国有は目的じゃない、手段なんだ。高い効率と市民的自由、そういうものの保障された世の中をつくっていくかということなんであって、私はやはり、現代においてマーケットメカニズムというものは尊重さるべきものだと思います。だけれども、無制限なマーケットメカニズムが許されぬことは、これも言うまでもないわけであって、そこに、あなたがよく言われるルール、独禁法なり、あるいは環境保全なり、あるいは労働者の基本的権利、消費者主権、そういうものがどう生かされるかというルールは厳しくして、そのルールの中で自由な競争ということは、これは当面われわれがとるべき道だと思います。そこに何としても独禁法というものがきちんとしなければならぬということなんであります。  あなたは独禁法について、公取の案というのは必ずしも理想的じゃない、こう言っておられますが、公取の案のどこが間違っているのです。どこがいけないと言うのです。その点をまず聞かしてください。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 私は理想的という言葉——私の言ったことは、正確に言えば、最善、絶対のものではない、これはそう言ったわけで、公取の案は参考にすべきものだと思いますが、公取の案でなければ、自民党にしても、あるいは社会党その他野党の諸君でも、もうこれが絶対のもので、これに対して改正をする——この公取の案と違った方法で独禁法を改正することが後退であるという説には納得できません。これはやはり、公取がつくったものが絶対のもので、これをいささかでも改めたならば、それは後退であるという説には、私は納得しない。  それはやはり自民党の内閣においても、各方面の意見——御承知のように、学界からも労働界からも入って、衆知を集めて、日本の実情に即した、自由経済の中において厳しいルールをつくろうと思って、いま懇談を重ねておるわけでございますから、そういう各方面の意見を徴して、そうしてできるだけ理想的な独禁法をつくろうとしておるのであって、公取が絶対のものだというなら、公取主権のようなものである。そうは思わない。それはしかし、私が言っておることは、自由経済体制が日本の実情に沿うから、これを守っていきたい、そのためには厳しいルールというものを持たなければ、自由経済体制は維持できるものではない。そういうことで骨抜きにせない、こう言っておるので、いまここで、まだ各政党においても検討を加えておるし、懇談会が開かれておる最中に、私が個々の案について申し上げることは適当でないということは、物わかりのいい江田さん、おわかりくださると思うのでございます。

江田三郎日本社会党

○江田委員 言葉数が多かったということだけはよくわかりました。必ずしもわかりはしない。それなら、あれが理想的でないんだというようなことを言わぬでもいいじゃないですか。理想的でないと言うたら、どこが悪いのかということを聞かざるを得ないじゃありませんか。  あなたが……(三木内閣総理大臣「最善、絶対……」と呼ぶ)まあ、それはいいが、もっとこの独禁法の問題については、巷間いろいろ説が飛んでおるわけなんで、あなたもひとつ、かっちり筋を通してやっていただきたいと思います。  そこで、時間もありませんから、いろいろ申し上げたいことを飛ばして言うのでありますが、私はさっき言ったように、民間と国と自治体とがどういうような仕事の分担をしたらいいのか、そこを根本的に検討をしなければならぬのだ。ただ単に財政硬直でどうとかこうとかということじゃない。  そこで私は、施政方針の中であなたの言われていることで非常に感銘を受けておる言葉があるのです。それは何かというと、「いまや価値観も変わり、国民は華やかな消費生活よりも、美しい自然環境の保全、文化の発展、快適な生活環境、医療と教育の充実、公共施設の増強を求めています。そうした住民の要求に直接こたえなければならぬのが地方行政であります。」このことは、地方行政というものをあなたは非常に重く見られた、これは大した見識です。われわれは新しい憲法によって地方自治というものが確立された。だけれども、長い中央集権の惰性の中で、たとえば、現在でも地方選挙があれば、閣僚の中には出向いて、中央直結でなければならぬというようなばかげたことを言う人があるわけです。そういう中で、あなたがこの地方制度に重点を置いた考え方を述べられたことは、一つの敬服すべき見識であって、本来、民主政治というものは、私は地方自治の中から生まれてくるのだと思います。コンセンサスといったところで、地方でコンセンサスが生まれ、地方で連帯が生まれてこなかったならば、国全体としての連帯もくそもあったものではないわけです。  それがいま、地方自治体というものは、連帯もなくなる、砂漠のようになりつつあるということなんであって、これをどうするかということ、そこに地方財政の行き詰まりということが言われ、それは人件費の使い過ぎだということを国の方は言われ、地方側は、そうじゃない、超過負担だと言うし、いろいろな問題がありますが、私はこの際、もうつまらぬ補助金はおやめになったらどうかと思うのです。地方の自主性に任したらどうか。補助金なんか削って、思い切って交付税をふやしてしまう。あるいはもっと地方にいい財源を与えていく。中央が先か地方が先かと言ったら、地方を先に考えていかなければならないのであります。そうして地方が何に金を使うかと言えば、地方住民のコンセンサスの中で答えは出てくるわけで、大体国がつまらぬことまで補助金を出して、そうして一律の指導をするというのは間違っておるじゃありませんか。北海道と東京と鹿児島の住民の欲求は一つ事じゃないですよ。みんな違うのです。そこに、思い切ってつまらぬ補助金なんか整理して、地方の自主性というものを尊重するということに切りかえていかなかったら、いま私が深い感銘を受けた三木さんの言葉も死んでしまうのじゃないかと思うのであります。その点についてのお考えはどうでしょう。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 私は、こういう大きな変化の時代に、中央、地方を通じて行財政の根本的改革を必要とする、こういうことを申したので、それを革命だということですが、そういう改革をするのは革命ということではございませんで、あなたが御発言になりましたから、私がさような政治観を持っておるというふうにお考えになったら、これは誤りでございますから申し上げておきます。  私は、いま江田さんの言われたように、環境庁長官もやってみて、環境基準は中央でつくっても、環境行政というのは地方自治体が本当にやらなければならぬ行政であるし、福祉にしても、地域住民と一番密着しておるのは地方自治体ですからね。もっとやはり地方自治体というものを大切にせなければならぬというので、まあ施政方針演説にも、余り地方自治体のことを入れた施政方針演説はなかったのですが、特に私は入れたわけでございます。今後、補助金の問題等も、細かい補助金をみな中央が持って、そのために陳情に来る姿はいい姿とは思わない。これはやはりできる限り地方の自主性に任せながら、しかし責任は持ってもらわなければ困りますよ。自主性を持ちながら責任を持ったような地方自治体を育てていくということは、日本の大きな政治の課題である。この点については、江田さん、いろいろやっておると意見の違う点もあるが、全体の方向としては全く同感でございます。

江田三郎日本社会党

○江田委員 いま公害の問題をやってみてということをおっしゃいましたが、全くそのとおりなんでありまして、たとえば水島にコンビナートができる、そこから上がる税金はどこへいっちまうのかということなんです。地方に何が残るかということなんです。たとえば今度三菱がああいう事故を起こせば、あそこからの法人事業税はどうなるのか。しかし、あの大きな工場施設はあるわけであって、自治体はそれに対する水の供給から何から一切サービスをしていかなければならぬ。あそこから莫大な税金は上がるけれども、それは国に集まっちまうのでしょう。だから自治体は油回収船一つ持つことができないということが出てくるわけなんです。そういうところに、あなたの好きな言葉で言えば、見直しをしていかなければどうにもならぬところへ来ておるのであって、その基本的な方向というものは、やはり地方自治をどうやって生かすかということでなければならぬと思うのです。中には無責任な人もあります。だけれども、それはおのずから、無責任なことをしたらそのときの住民が損するのですから、住民の中から批判は起きるわけなんであります。  そこで、時間もありませんから、私は言いたいことをはしょって言うのでありますが、あなたがこの中央公論の中でもう一つ述べておられることは何かと言うと、政治の方向は政治家が決めるんだ、官僚は国会で決めた方向に従って仕事をするんだ、歴史の大きな転換期に当たっては政治家が必要なんだということを述べておられるわけであります。官僚では大きな歴史の転換期に思い切ったかじがとれない、そのことで、われわれは過去において多くの悲劇を経験したじゃないかということを言っておられるのであって、まさに議会の子としてなかなかりっぱな発言をなさっておるのでありますが、私はそういうことについては全く賛成です。そのことに賛成なんだが、三木さん、実態はどうでしょう。予算編成に当たって五百億円しか調整費はないんだということが表へ出された。やってみたら、二千億円、官房調整費というものが出てきた。一体、政治家というものは何であったのか。政治家というものは、官僚の手のひらの上で、孫悟空のように舞を舞ってみただけじゃないのかということなんであって、こういうことについてあなたはどういう感じを持たれますか。  さらに私は、きのうも新聞を見て偶然といたしました。三木さんも福田さんも大平さんも、施政方針その他において福祉ということを非常に重視しておられる。ところが大蔵省の次官は、財政硬直化は福祉の行き過ぎだと言う。いま福祉を重視しなければならぬ。田中さんのごときは、経済の成果を次の成長にばかり持っていったことが間違いであって、もっと福祉へ持っていかなければならぬのだということを言っておられる。そういう中で、福祉の行き過ぎが財政硬直の原因だというようなことを官僚が言う。調整財源で政治家を手玉にとったという調子に乗って言っておるのかどうか、こういうことを許していいのかどうかということなんです。一体どうします、これは。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 まだ政治の流れは、私の言うようにはなっていないことは率直に認めますが、私は、自分に責任を持たされておる三木内閣の間に、政治がやはり方向を決めて、官僚はそれに対して、その方向に従って仕事をしていくような政治の流れに変えたいと願っておるものでございます。

江田三郎日本社会党

○江田委員 あなたは、自分の任期の間に政治の流れを変える、こう言われますが、官僚が、予算編成でも政治家を振り回す、大臣もわからなかったというのは、一体どこに問題があるのか。いままで、大臣というものを軽んずるような、そういう慣行を持ってきたのじゃないかということです。大臣が任命を受けて、一年もたったら大体かわる。わかるはずはないじゃありませんか。そういうことをやっているから、新しく就任すれば、就任した当日から、官僚の作文をテレビの前で読まなければならないような、こんなことで政治優先の政治が生まれるはずはないのであります。あなたが政治の流れを変えると言うなら、少なくともあなたのこの三木内閣において、特別な事情や失政のない限りは、大臣はみんな任期をともにするという決意があるのかどうか。少なくともそのぐらいのことでなかったら、大臣の権威も何もないじゃありませんか。みずから大臣の権威を弱めるようなことばかりやっておいて、政治が優先するのだ、方向は政治が決めるのだと言ったって、だれも本気になれませんよ。そういうことについてはどうお考えになりますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 これは、政党内閣でございますから、三木内閣を支える自民党という大きな政党があって、そこにはやはり政務調査会もあり、ただ内閣だけがというのじゃなくして、政党内閣として方向を決めていくということでございます。そして、日本の官僚諸君は、世界でも優秀な官僚でありますから、方向を決めさえするならば、その方向に従って優秀な行政の事務を担当していけると思いますから、流れは変える。いますぐ変わっていないのですよ。いろいろ江田さんの言うことに対して、耳の痛いことがたくさんある。しかし、これから私は流れを変えようとしておるということだけは、ひとつ御了承を願っておきたい。

江田三郎日本社会党

○江田委員 私に許された時間がなくなりましたが、私はまだいろいろお聞きしたいことがある。あるいは日本の農業をどうするのか。二百海里経済水域ということが通る中で、水産業をどうしていくのかということも聞きたい。あるいは日本の外交についても聞きたい。宮澤ニューライト大臣ができて、かえって後ずさりするような外交というものは危なくて見ておられない。そういうこともあるが、時間がないからやめますが、ただ最後に一つだけ聞きます。  それは、三木さんがこの施政方針の中で、国連の国際婦人年ということを取り上げておられる。婦人の地位向上のために努める。あなたらしい、フェミニストらしい、いい提言。  そこで三木さん、一つ具体的に聞きますが、ことしはILOの百二号の批准をするわけでしょう。大体、いまごろ百二号の批准なんておかしいんですよ。もう百三十まで進んでいるのですから、百二号という昔のものをいまごろ批准するのはおかしいが、それにしても、あの百二号の全部を満たしているわけじゃないのですよ。だから、婦人の地位向上ということを言われるあなたは、その中で特に婦人の出産費だけは無料にするということぐらいはやったらどうですか。(拍手)

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 これは私自身の独断というわけにもいきませんが、よく相談をいたします。私は、あの演説をした後に閣議でも申したのですが、いわゆる事務官などに対してどうも婦人の門が狭いようだが、できるだけ婦人の採用を各省においてひとつ相当積極的に考えてもらいたいということを言って、まあそういうことで、婦人の地位を、憲法で保障するようにできるだけ高めていきたいという趣旨でございまして、具体的な問題については検討を加えます。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 これにて江田君の質疑は終了いたしました。  次に、大野市郎君。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 自由民主党を代表いたしまして発言の機会をいただきまして、大変幸せだと存じます。  なお、わが党は、御承知のとおり国民の大多数の支持を得て出ておりますが、わが党の直接の支持者であるとないにかかわらず、日本国民が当委員会の動向に非常に関心の深いことはお互いに承知いたしております。特にその意味合いにおきまして、これからいろいろ御質疑申し上げます内容は、総理初め閣僚の方々と私との、あるいは自民党の代表との限られた会話ではない、そういうような意味で御理解をいただきたいと思います。したがいまして、予算の委員会でありますから、本来は予算関係の問題をさまざまに論議するのが姿かとも思いますけれども、こういうことだけはどうなっているんだろうということで、家庭でいろいろ当委員会の動向を興味深く見守っていらっしゃる御家庭の方々に納得していただけるような、そういう内容でありたいものだと実は思いますので、果たしてそのようになりますかどうかは別といたしまして、そういう気持ちで、これからの質疑を続けたいと思います。したがって、与党でございまするから、時間もいろいろの関係で非常に短いのでありますから、できるだけ単純にひとつ御答弁をお願い申し上げたいと思います。  そこで第一は、やはり政治の姿勢がもののもとでございます。あの田中内閣のもとで、三木総理が、さらに福田副総理が、相次いで、御意見が異なられて、改革のために保守党を再建するという御決意で、いろいろの変遷はありましたが、今日に至ったことは周知の事実でございます。しかも、私は施政方針演説を詳細に、耳で聞くよりも目で判断した方がよろしいと思って、昨夜も読み直してみましたが、三木総理の、とにかく三十八年間にわたって、民主政治と国際平和を念願として一生懸命にやってきたんだというあのお立場を、私どもはまず素直に受け入れておりますので、願わくば、標語のごとき形で、わが政治姿勢はこれである、このような短い表現で国民に御確認をいただきたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 私の政治姿勢を短い言葉で言えということですが、まあ一口で言えば、社会的な公正を目指して国民とともに歩くということが一つ、しかも、謙虚に国民の声を聞いて、その声の実現のために努力するということがもう一つの柱でございます。もう一つは、ただしその中に、余りにも一部の利益に偏したようなことに対しては、ときには国民に対していやなことも言い、また説得もする場合もある。そういうことによってリーダーシップを発揮しながら、政治の誤りを来さないようにしたいというのが、私の政治姿勢の基本でございます。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 福田さんはただいま副総理として御入閣でございます。したがいまして、この意味合いにおいての三木総理との関係においては、十二分に御提言をなさって、万過ちのなきを期していらっしゃると思いますが、あなたの国会に御報告をなさいました——経企長官としてでもございましたでしょうが、あの中で「インフレのない社会、家庭でも企業でも落ちつきと希望を持って営みのできる安定した社会」が自分の描いておるものである、このようなお言葉がございましたので、わが意を得たと実は感じた次第でありますが、これまた、ひとつ短い言葉で、政治姿勢を国民に再確認をしていただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 政治というものは、国の運命を、また国民の運命を動かす、また運命をお預かりしておるという立場であるわけでありまして、私は、その政治を動かす政治家の姿勢というものは非常に厳粛でなければならぬと思うのです。中国の言葉に「天下公のために」という言葉があります。私は、まさに政治のあるべき姿というものを言い得て十分であるというふうに思うのでありますが、その政治が逆に私のためであったら、これはどういうことになるか、私はそれを非常に恐れるものであります。私は、政治家としては、国民の運命を、また国の運命を担っておる、非常に厳粛な責任を負わされておる、そういう立場を踏まえて、あしたに夕べにみずからを反省し、国家、国民のために精進をする、これが政治家の姿勢である、かように考えます。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 これは出発点でございます。私は、「その言やよし」とよく言葉にありますが、実はお互いによかれかしと思って志すのでありますが、なかなか人間の弱点で、むずかしい点が間々ございます。  私は、ちょうどこの間の水曜日にNHKの放送を聞いておりました。そしたら、いわゆる全国の青年の弁論大会でございまして、この中で感銘いたしたものがございます。優勝はいたしません方でありましたけれども、十八歳の九州の方なんです。その方が、「ねむの木の詩」という映画会があって、そこへ出かけて、身体障害者の隣へちょうど座った。そして、生まれて初めて感動するような映画の状況でありまして、もうすすり泣きの声、ハンカチのふき取る音などが静かな中に響き渡った。そして生まれて初めての感動に、その十八歳の男の子も感激しておったところが、やがて映画が終わって、興奮から覚めて、電気がついた途端に、目を真っ赤にした母親までが、もう先ほどの姿はどこに行ったかのように出口に向かって走り出して、松葉づえをついた隣の青年は突き倒されそうになった。こういうようなことがありまして、本当に煩悶をいたします。そして学校の先生に相談をしたときの学校の先生の言葉、実はその学校の先生の言葉を私自身冷や汗が出るような気持ちで聞いたわけであります。つまり、「今日的な人間像だね、何もかにもくずれて来たね。真の意味でこの不幸を心で受け止めることができなくなったんだね。涙を流す行為と、押しのけ急ぐ行為の間に、底の知れない深いクレバスが口を開いているのを、ほとんどの人が気づいていないんだよ。皆不幸なんだね……」とその先生が述べられた。このところで私は冷や汗が出ました。  この意味合いにおきまして、政治姿勢を国民に御公約をいただいたからには、ぜひともこの精神を続けていただきたい、かように私は願望いたします。  それから、そういう弱々しい立場での、若い青年の励む心をしぼませるような悲しい話題だけでなくて、なおありますが、これはわが国の例でなくて残念でありますけれども、たとえばルーズベルト大統領の就任の言葉、その決心とか、あるいはケネディ大統領の就任のとき、「アメリカの諸君よ。祖国が諸君に何をしてくれたかと言ふな。諸君が祖国に何をなし得るかを問題とし給へ」と、これだけの確信を持って国政に当たられたというのは、国が違っても、私はこれはもうりっぱなことであると信じております。  理想と熱情のない世の中であっては発展があり得ませんので、この点、いろいろな問題をお聞きするよりも、根本的な問題であると思って、あえて申し上げた次第であります。どうぞひとつ、三木内閣を支えて、御両所はお手をお組みになったからには、りっぱな日本の国を築いていただきたい。これはお願いを申し上げておきます。     〔委員長退席、小山(長)委員長代理着席〕  そこで、次は外交の問題についてお聞きいたしたいのでありますが、私は、日本の国の資源小国の姿がますます国民の間に明らかになりましたので、資源が少ない国であるという前提を知っております。そして、いわゆる加工貿易によって、国が、国民が栄え、豊かになり、暮らしていけるんであるということも知っております。したがって、平和外交でなければ品物の売り買いができないという原理も、これは自明の理でございます。このようなことで平和外交の基本理念を理解いたしておるのでございますが、この点に対して、さらにそのほかに、わが国の外交の基本の理念で、われわれに、あるいは国民に申し述べていただくことがございましたならば、ぜひとも総理からこの点、まず承りたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 わが国は平和外交の道を選ぶよりほかに道はない。海外にこれだけ依存しておる日本というものが、戦争を予定した場合に、日本自身がこれはやっていけないことは明らかであります。  そこで、平和外交でございますが、平和を支えるものは一体何か。結局は、世界が連帯の精神を持つということ、同じボートに世界の人類は乗っておるんだということで、連帯の意識を持つことが一番大事である。そして相互の理解を深め、相互の協力を深めていくという、これが平和の基本だと思うのですが、もう一つ大事なことは、平和を阻害する要因をなくする努力というものも平和外交の努力であります。それは、世界が軍縮などを行って、なるべく、軍事的対決から、いろいろなイデオロギーの違いがあり国情の違いはあっても、それを超えて、平和共存への方向に、各国がそういう方向に向かって進むこと。  もう一つ気にかかる問題は、南北問題と言われておる先進国と開発途上国との関係でございます。これは、開発途上国と言われるのは、大ざっぱに言って人類の三分の二を占めている。この先進国と発展途上国との格差というものが次第に拡大していっている。こういう不公正な状態のもとに世界の平和というものが維持できるであろうかどうかということには、多少の危惧の念を持たざるを得ない。したがって、この先進国と発展途上国の差をできるだけ縮めていくという努力というものは、これは平和を阻害する要因を除去する努力の大きな一つである。  そのためには幾つかの問題があります。たとえば発展途上国における経済的貧困、社会的開発の立ちおくれ、こういうものに対して、日本は、日本としてもやらなければならぬことが国内にはたくさんあるけれども、その一部を割いてでも、そういう発展途上国の経済、社会的な安定を図るために日本が貢献するということも、大きな平和の努力の一つである。こういうものをひっくるめて、日本の平和外交というものの基礎はこういうところにある、それを推進していくことが平和外交の一つの基本である、かように私は考えて、平和外交をこういう見地から推進していきたいと思うのでございます。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 短くと申し上げたので御遠慮なされたと思いますが、先般の施政方針演説の中で、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」というのが本当の正確な名前であって、「安全保障条約」という形だけでよく国民各層の耳に入れてしまったために、昭和三十五年六月にできましたこの条約のタイトルに「相互協力及び安全保障条約」となっておりますこと、これを述べられたということは、平和外交を推進する意味合いにおいて、やはり基本的な問題であったと、私は実は非常に感銘をいたしたわけであります。それで、後はそれに対する実行でございますが、これはなかなか総理お一人ですべてができるものでないこともよく知っております。  外務大臣、同じく外務大臣は、その意味合いにおいても、すでに施政方針演説でやはり大変よく御自分のお考えを述べていらっしゃいますので、いまさら、さらにつけ加えることもお持ちではないかとも思いますが、ダブると悪いので、私が、おや、これはと思っていたことが、大変失礼でありますけれども、一言ございますが、「世界の平和と安定の中で初めてみずからの生存を確保」できるんだ、この信念で新しい秩序を世界が求めていて、いま変動しているんだ、こういうお見出しがございましたので、外務大臣といたしまして御活躍くださるのに、その信念が出発点であるならば、これは私どもとして、非常に信頼してひとつ御活躍がいただけるものと喜んだものでありますが、これまた、もしさらに短い標語のようなものでお考えがいただけるならば、この際でありますので、承りたいと思います。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 外交の目的として一般に考えられますことは、自分の国の国益を守るということと、次に、世界のできるだけ多くの国と友好関係を保っていく、平和関係を保ってくという、二つであろうかと思いますが、たまたまわが国の場合には、わが国にとって最大の国益は世界が平和であるということである。戦争になりますと、先般の例にもございますように、わが国としては全くなすすべを知らない。自分が攻撃を加えられました場合はもちろん、よそに戦争がありましても、一昨年来のようなことになります。したがいまして、国益を守るということと世界の平和を維持する、発展するということは、わが国の場合全く一致しているということが平和憲法の精神ではないかというふうに考えておるわけでございます。そういう趣旨から、先般あのようなことを申し上げました。  それで、「新しい秩序」云々というふうに申しましたのは、世界全体に緊張緩和が進んでおることはきわめて望ましい、幸せなことでありますが、しかし、いわゆる核兵器のようなものはすべて実験を中止し、そして破棄するというようなところは、まだまだ望むべくもない現状であることも事実である。他方で、第二次大戦後つくられました国際通貨あるいは国際通商の秩序、ルールというようなものが、すでにその役割りを果たさなくなっておりながら、いかにすべきかと模索しておりますときに、中東の戦争による油の問題が起こって、いよいよ過去の第二次大戦後の秩序にかわるべきものを探さなければならないにもかかわらず、的確にそれがどのようなものであるかについてなおわれわれは模索をしている、そのような意味合いで申したことでございます。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 たまたま緊張緩和に対する御意見がありまして、これまた私どもは、緊張緩和、言葉はそれが大変耳ざわりもいいし、また事実、結構なことでございます。ただその問題に対しまして、何かえらいはやりまして、フランス語でデタントとかいうのだそうでありますが、そんなような言葉が広がったために、これは日本人の江戸っ子風な早のみ込みでございましょうか、緊張緩和が進んでおるというと、もう何も身の回りは防衛しなくたって安心なんだというような極端な、冬に裸でもかぜは引かぬぞと聞いたからやったんだというふうな問題が諸所に出まして——これは詰めようと思いません、これはそれぞれの見方でございますから。しかしながら、この問題に対しまして、たとえばアメリカがソ連とあのとおり、キッシンジャーが参加をいたしまする前後——キッシンジャーは、登用せられる直前の論文が有名でありまして、その論文の中身ですっかりニクソンのお気に入りになったと伝記にも載せられております。私もその論文は読みましたが、これらを見ましても、ソ連は信用のならない形であるんだ。そういうふうにして、今日に至るまで、たとえば、昨今は日本文に訳したものをわれわれは配布を受けませんが、一九七二年の「七〇年代の平和外交」などというあの翻訳文を私ども手に入れて読んだのでありますが、これらにおいても、堂堂と敵性国家という言葉を使うのですね。ですから、わが国では、自衛隊がだれを相手に勉強しているんだというような質問が出ましても、担当の方ははなはだお困りのようなことを、よくこの席上でも見たことがありますけれども、すでに御承知のソ連との友好条約は十八年前に済んでおるのですね。そういう国に対しましても、昨今に至るまで、同盟国と敵性国という二つの、まあ日本語では別な形でカムフラージュして訳しておるか知りませんが、原文に書いてある言葉を字引で引きますと、そうなるのです。そういうのを私ども見ておりまして、外国人というのはずいぶんはっきりしているものだな、このように思います。そして、世間に伝えられるものは、いまや米ソ間においては緊張緩和が非常に進んでおる。つい先日は通商条約の破棄の申し出があったので、これは大変なことになったぞという論調も伝わったりいたします。というぐあいで、緊張緩和が続くか続かないかということの模索で、世界じゅうでひっくり返るような騒ぎになるわけであります。  私は要するに、先ほども申し上げましたように、緊張緩和論に対する評価の心構えの問題だろうと思うのです。したがって、わが国が、その意味合いにおいて、思想を異にする、いままでおつき合いがなかったというようなお国でありましても、先ほどお述べになり、私も同感を申し上げました平和外交の基本理念から考えますならば、物の考え方が違おうと、社会体制が異なろうとも、私は世界じゅうの国々と仲よくせにゃならぬという事柄をお互いに是認し共感をいたしております。誤解のないようにお願いしたいのであります。だから、真冬でも裸でいいという極端な議論と、そうなんだ、仲よくするんだが、冬はやはり外へ出るときは外套も着ねばならぬ、このような価値判断というものは、国益に照らしてするはずであります。その国益を右であろうか左であろうかと判断するのは人間そのものでありますから、下世話な言葉でありますけれども、へそが真ん中についているか、へそが背中についているかによって、御承知のように、もう大変な角度で評価が異なると思います。  こういう意味で、これは一月の二十四日、キッシンジャーとモイヤーズ教授がNHKで対談をされました。これあたりを見ましても、それこそほやほやのアメリカの国務長官が、公開の録画において明らかにしておる思想を考えましても、明らかに緊張緩和論に対するへそは真ん中についておると見たのです。御議論があるかもしれませんが、これはきょうは議論のためには立っておりませんので……。そのように見ましたので、日本の国の外務大臣、また総理、副総理、皆さんのそれぞれの御関係で御折衝のときに、ひとつその意味合いにおいての、へそはいずこにありやというような意味での、おこがましい提案でありますけれども、われわれ保守党の一人といたしまして、ひとつ御提案を申し上げて、これは特別の御答弁は、もし議論にでもなりますと、時間だけとりまして議論が片づくものでございませんので、遠慮いたしますが、御提案だけ申し上げておきたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 このことは世界情勢の判断で重要なことで、私の考え方を申し述べておきたいと思います。  大野さんの御発言は、個々の問題についてはいろいろ御指摘のようなことはあると思いますが、全体の世界情勢の把握というものは、国民が誤りなく把握することが必要である。今日の世界情勢は、軍事的な解決というものは、これは次第に緩和されてくるというか、対決は非常に少なくなってきつつある。イデオロギーの問題は、これは解決しておりませんよ。しかしそれを凍結して、平和共存という方向に世界は大きく動いておる。これを見間違って、世界が再び緊張の方向に動いておると見ることは間違いである。私どもは、世界は大きく変わりつつある、緊張緩和はにせものだとは思わない。世界がみな緊張緩和していこうということで努力をしておるので、日本もまたそういう方向において大きく、イデオロギーの違いは違いとして、それは凍結しながら、しかもイデオロギーを超えて共存の道を求めて世界は動いている、緊張緩和はにせものだとは言えない、緊張緩和の方向に世界情勢はある、こう判断をすることが適当だ、こういうふうに私は考えております。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 中身は総理のおっしゃるとおり、私もそれを疑うものではないのです。ただ、私が申し上げたのが言葉が少し足らなかったが、非常に重要な問題でありますので、一言つけ加えておきますと、いわゆる冷戦の時代はすでになくなって緊張緩和という世界が別に来たような印象に、つい極端に、別の世界へ飛び込んだような印象で、言葉の魔術にかかりますけれども、これは実はいろいろの学者の議論がありますので議論になりますが、その問題の当否はまた国民の判断にお任せをせねばならぬかと思いますが、こういう説があるのですね。私はそれを信じておるのです。それは、冷戦のプロセスとして緊張緩和が動いておるのだという説を立てる学者がおるのです。そして、その意味は、冷戦の当時はお互いに対決を考えたのだ、ところが、冷戦の変化するプロセスとして、全然相対立するものではなくて、その延長線にあるけれども、対決を避けるために緊張緩和に向かっておるのだ。対決を前提として冷戦があったのは事実である、この冷戦の世界戦略の上において、対決を避けるために緊張緩和という方法がとられる。こういうような国益同士の変化の動き方でとらえまして、私は申しておるのでありますから、総理の後段の、私の申し上げたことを御理解いただけば——私は乱暴なことを申し上げておるわけではございません。それは同感でございます。このことは大事なことでありますから。  ただし、だからといって、裸で冬は越せないので、中立国スイス、スウェーデン——スウェーデンなどの地下ごうの完備したものはなかなか大変なもので、私も拝見したことがあります。このような問題がありますので、日本人の早のみ込みで、一方的にがくっといってしまうと、われわれの時代にはないことを祈るが、われわれの子供、孫もおるわけでありますので、そういう問題での御配慮を、こういう機会に、やはり論争があったとしても述べたいという趣旨でございますから、御理解をいただきたいと思います。  それから次に、やはり宮澤外相の施政方針演説の中にも、日中共同声明を基礎として善隣友好関係をより一層強くして、平和友好条約の締結と積極的に取り組みたい、こういうような施政方針演説も承っておりますので、私も誤解があると大変でありますから、もう一遍繰り返しになりますけれども、イデオロギーが異なり、社会体制が異なろうとも、わが国が生きていくためには、世界じゅうの国々と仲よく手を結ばなければ生きていけないのだということを前提にしておりますので、その意味合いにおいての友好関係が深くなるということは、もちろんわが国の国是として前内閣がおきめになり、すでに国是になっておりますので、この点を私が云々をしようといましておるのではございません。ただ、日本の国民の皆様に、国際条約論としての問題としまして、平和条約と、ただ友好条約と言うときに、いささか国際条約のいわゆる通説の学説として重要な区別があるようであります。  私が承知いたしておりまするのは、平和条約というのは、領土の問題などを解決する必要のあるときに結ばれておるのが通例でございまして、現にある機会で権威ある識者から承ったのでありますが、これは平和友好条約という名前の前例が世界じゅうにあるかないかということを聞いたのでありますが、その権威ある有識者は、その例は一九六七年とかそこらにネパールと中国の間に一つあるそうです。それ以外はございませんということでありました。この年代は私の聞き間違いであったかもしれませんけれども、たしか六〇年代だったと記憶しておるのでありますが、そのような状況に、常識論的に平和条約と友好条約というものの国際法的な解釈がもしあるものでございましたならば、これは重要な問題でありますから、ここで、そうなんだと言って断言するだけ私は学者でもありませんから、これは謙虚に、ただ私の知り得た知識を受け売りしておるだけでございますから、間違っておるならば御検討、御訂正もいただかねばならぬが、そういう考え方に立って、実はこのもとでありますところの共同声明、田中総理と現在の大平大蔵大臣が外務大臣として、二階堂当時の内閣官房長官御列席でおきめになっておいでになった、中華人民共和国政府と日本国政府との共同声明の中身を念のために取り寄せて拝見もいたしたのでありますが、この中にも平和友好関係を樹立すべきだとかいうような意味のこともございますのですよ。けれども、それは識者の証言によりますと、平和的、友好的というような意味合いであって、この二つのいわゆるタイトルとして平和友好条約とつけること自身に対しての問題は、やはり議論の余地のあるような含みのあるいろいろな御意見の開陳も私は承知しておるのです。  ですから、これもまた限られた時間に、もし誤った、偏った、しかもどの国とも仲よくせなければならないという平和外交の基本理念に立つわが日本国といたしまして、いたずらに理屈倒れがして、そして国益を失するというような事柄は、われわれとしてもこれは十二分に配慮をせなければならぬのでございます。ただ、問題は、実はこの交渉が共同声明を基礎にして、いわゆる平和友好条約を日中間に近く結ぶのだという情報で、御承知のように、今日国交は不幸にして断絶いたしておりますが、今日においては、日本として国ということを公式の場所で申すことは、これはいろいろの制肘がございますので、台湾に政府のある国と申さしておいていただきますけれども、そちらの方の有力な新聞の論説などでも、けさほど送ってまいりました物などでは、やはり非常な疑問を投げかけて、日台航空協定の破棄の問題もあったし、国交断絶もあったし、さらに追いかけてそういうような形でやられるならば、日華平和条約というもの、すでにすべてがその平和条約で一応片づいたという解釈でおったのであるから、そういう意味合いから言っても、とうてい日本の国自身のお取り扱いに対してがまんがならぬというような論説が大きな記事で載りまして、そして翻訳文をつけて届けられてきたのです。  そんなようなことで、どの国とでも、わが自由民主党は、党議といたしまして、実務関係は国交断絶といえども、ますます親密にしていこうというので、現実にそれが進んでおるわけであります。そういうような意味合いで、無理やりこのタイトルを平和友好条約とせねばならぬものか。十八年かかっても友好条約から平和条約に進むことができない。領土問題がありますために、ソ連とはあのとおり平和条約が結べない姿でありますから、こういうような意味合いでいきましても、外交権は政府にございますから、御意見がいろいろおありだろうと思いますけれども、それこそ新しき秩序を求めて世界が動いておるという御認識をお持ちの外務大臣でおられますから、共同声明を結ばれた当時の状況、その後の状況、そういうような世界情勢の中の一つとして、やはりどの方ともみんな仲よくできるような方法がないものかどうか、こういう点に対しまして、片や十八年もかかってその平和条約もできないお国があるかと思えば、片や早々と両方ともやってしまえというようなことも急ぎ過ぎるような気がいたしますので、これはぜひ、どの国もやはり納得していただけるよう、お時間をかけて御検討になって、特に政党内閣でありますから、与党の中の雰囲気、意見なども御聴取をくださって、間違いのないように、この問題は対処していただきたい。  これは私の見解でございますが、なべて問題になりますのは、御承知のように、朝鮮事変の勃発の一九五〇年の二月。六月に朝鮮事変が起きておりますが、その二月にできた中ソ友好相互援助条約、軍事同盟風な性格を持つとわれわれ知らされておるところの条約が現存いたしておる今日でございます。そういうようなことも御勘案をいただいて、ただ、いたずらに急ぐということだけでなくて、十二分に御検討をいただくように私は要請いたしますが、これに対してどういう御見解をお持ちでありましょうか、この席上でお答えのできるような状況でありますか。それとも、さらに何か御勘案が、先に延ばしたほうがよろしいというのであれば、質問者といたしましては、国益に照らして、あなたの御判断に、御答弁が必要であるか必要でないかは、まずお任せをいたしたい。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 かなり重要な問題でございますので、私がお答えいたします。  日中の一昨々年の共同声明によって、日中の平和友好条約を結ぶことになっておりますが、日中の場合は長い間戦争という影があるわけですね。戦争という影があって、日中間の条約に言う平和友好のその平和は、戦争の後始末は終わっておるわけです。したがって、日中間で子々孫々にわたるまで戦わない、不戦という大きな意義をその平和は持っている。また、友好は両国の永続的な親善関係というものを築く。それで、戦わないで親善関係を将来にわたって永続していくという日中間の大義というものを、ここでその条約によって宣明しようというので、その平和友好という意味は、日中間においては一つの意義を持っておる。戦争の後始末ではない。将来に向かって前向きに、もう戦争をすることなくして友好関係を維持していこうという大きな意味を持っておるので、それをどちらか一つを外すことはよくない、平和友好条約であることが好ましいと考えておる次第でございます。

宮澤喜一自由民主党外務大臣

○宮澤国務大臣 ただいま総理が御答弁をなさったとおりでございますが、それを補足させていただきます。  常識的に申しまして、平和条約、平和条約と単純に申しましたときには、やはりそれ以前の戦争状態を収束して平和という状態を創設する条約を意味すると思います。したがって、その場合には、しばしば領土の得喪などの規定が織り込まれるわけでございまして、サンフランシスコ平和条約などがその一番いい例かと存じます。したがいまして、私は先般ソ連に参りましたときに、グロムイコ外相から、わが国とソ連との間に友好親善条約なるものをつくってはどうかという提案がございました。それに対して私は、ソ連との間にはまだ法律的に、つまり条約上平和という状態がつくられていない、現実に領土問題が残っておるわけでございます。したがって、そういう平和という状態が創設されないのに、それに先んじて友好親善条約をつくるというようなわけにはまいらない、まず平和条約をつくりましょうということを申したわけでございます。  ところで、ただいま御指摘の日中平和友好条約の問題でございますけれども、先ほど御指摘のありましたように、一九七二年の九月二十九日の両国間の共同声明の八項で「平和友好条約の締結を目的として」と書いてございますが、このことの意味は、先ほど総理が言われたとおりでありまして、と申しますのは、この八項には、その前に修飾語が、説明語がついておりまして、「両国間の平和友好関係を強固にし、発展させるため、平和友好条約の締結を」する云々と書いてございます。したがって、当然に両国間の平和というものはあって、さらにそれを将来に向かって「強固にし、発展させるため」ということでございますから、ここで「平和友好条約」云々と言っておりますのは、これによって新しく平和を創設するのではない、将来に向かって友好親善関係を続けようではないかという趣旨と解せられます。で、私ども、したがってこの条約に、いわゆる領土問題というようなものが取り入れられることは、この条約の本来の趣旨ではないと考えるわけでございます。むしろ、これからの友好関係を将来に向かっていかにして築くかという諸原則を盛り込むべきものであろうと考えまして、両国間の話し合いを始めたわけでございます。この点は、条約ができ上がってまいりますに従いまして、当然自民党にも御説明を申し上げ、また国会にもその後に御説明を申し上げ、御承認を得たいと考えておるわけでございますが、そのような条約の中身をごらんいただきますと、これが初めて平和を創設するものであるのか、あるいはそうではなくて、今後の友好関係の指針となるべき諸原則を主としているものであるか、内容をごらんいただければはっきりいたしますように、この交渉をやって条約案をつくり上げてまいりたい、かように考えております。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 非常に重要な内容でありますので、ネパールと中国の間にたった一つ、しかも一九六七年にできて、世界にほかにないという珍しいタイトルでありますので、その珍しいタイトルを相手の国が望むからといって、わが国が対等であるならば、国際法論の常識に従って、それはその意味で大いに仲よくするんだから、ひとつ友好条約でよいではないかという主張を、わが国が対等であるならばあるほど、述べるべきものではないか、このような意見を私は持っておりますが、きょうは質疑でございまして、討論でございません。ですから、その意味において、党内の世論を何とぞひとつ、政党内閣でありますから、しっかりと把握をなさらないと、これは重要な問題でありますので、この点に対しまして、対等であり国益を考える意味合いにおいて、コンセンサスをとられるのを急がないで、十二分にひとつ御相談をお願い申し上げて、次の問題に移ります。  次に、内政の問題でありますが、御承知のように、耳をそばだて、テレビの前で眼を輝かして、何かよい情報がとれないかと待っておられるのは、インフレの克服と不況対策の問題でございます。この問題に対しまして、御承知のように、マスコミの伝えるところによりますと、先ほど社会党の代表からもお話がありましたので、重複する点もありますけれども、総理も副総理も、大蔵大臣も通産大臣も、日銀総裁も、ちょうど三対二あるいは四対一のような割合で意見が分かれておる。つまり、どんなに苦しくてもこの時期をがまんしてもらわなければよくならないという総需要抑制論、この議論に対して、早く金融その他財政を緩和しないと大変なことになるというような記事が、現実にマスコミを通じて載っておるのであります。こういう問題に対して、総理、副総理、大蔵大臣も、たしかこの点に対しては、非常に明確に総需要抑制を、本当に気の毒だけれども、細かい配慮はするからしのいでくれ、もう一息だ、こういうことで、しかも企画庁長官の資格で述べられたのでございましょうが、非常に詳細に五十年の経済の行方、さらに最近の物価の動向と物価安定のプログラムまで御発表なさっておられます。こういう点に対して、総理は全面的に同様な趣旨で、また大蔵大臣も全面的に、いまはそうだろうということをお述べになっておられますが、通産大臣はこの点非常に積極的に、もう手入れをせぬと問に合わぬというふうな印象の記事が載ったりしますので、どっちに落ちつくのであろうかということで、国民が心配しておるのであります。それから日銀の総裁もまた、五、六月ごろになればどうだろうと思うというふうに、いろいろ色とりどりの夢を描いてくださいますが、それは夢は夢でけっこうかもしれませんけれども、国民は、この点に対しての閣内の一致、それを実行する機関の一致した御見解というものによって、それならがまんしようとか、それじゃじきに楽になるぞとか、いろいろな心配をしておりますので、この際、総理から、まずこの点に対しての、簡単なことでございますから、もう方向は間違いありませんが、国民に対して短くひとつ御決心をお示しいただきたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 大野さんもおわかりのとおり、国民は物価の安定というものを求めておるわけでございますから、どうしても物価を安定させなければならぬ。そのためには、総需要抑制という政策、財政金融にわたって引き締めをやっておるわけでございます。それが功を奏しまして、大体政府が国民に向かって申し上げておる、三月末には消費者物価を前年同月比一五%程度に抑えるということが実現の可能性を持ってきておるわけでございます。私どもは、いつまでも総需要抑制政策というものをとるという考えではないわけですが、物価がこれで大丈夫だ、もう物価の鎮静というものが定着したということになれば、それは経済の動向というものに対しては、これはわれわれとして適切な処置をとっていかなければならぬわけでありますが、いまちょうど大事な瀬戸際にあるわけですから、ごしんぼうを願っておるわけであります。しかし、その間に中小企業などに対してしわ寄せのいかないようには、これはそういう枠内において、もうできるだけのことをしよう。あるいは金融面はもちろんのこと、仕事なども、官公需を初め、あるいはその他の下請などに対しても仕事をふやし、また親会社からこの下請に対して不当な圧迫をするようなことのないように、一々申し上げるわけにもいきませんが、きめ細かい対策を講じて、一番苦しい国民にごしんぼう願っておることの犠牲を最小限度に食いとめたいと努力をしておる次第でございます。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 続いて、経済閣僚対談会というのでございますか、名前は正確には忘れましたが、その座長をしていらっしゃいます副総理に、ひとつ御答弁を願います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 経済を運営するに当たりまして非常に大事な要素は、物価と国際収支なんです。御承知のように、この物価と国際収支に一昨年異常な状態が出てきましたので、そこで総需要抑制政策をもってこの二つの問題に対処する、こういうことになったわけでありまして、この二つの問題が大体支障なかろうという段階になれば、総需要抑制政策、これは転換するということになってきますが、何せあれだけの大混乱からの脱出でございますので、時間もかなりかかる。しかし、国際収支も、また物価の状態も、とみに改善されてまいりまして、ただいま総理からの話もありましたが、消費者物価も、三月末、前年同月比一五%、これもどうやら達成されそうだ。卸売物価のごときは、これはもう横ばい状態にまでなってきておる状態でございます。国際収支の方も、これは九月以降黒字基調に転じておるという状態でありまして、まあ、どうやらことし経済見通しで五十億ドル前後の赤字にとどめたいな、こういうふうに思っておったのが、まあ大体その線、あるいはその線以上のいい結果になりそうだ、こういうことになってきておるわけでありまして、非常に大きな立場から言うと、一刻も早く国際収支を常道に乗せ、そして物価を国民の御安心願えるような状態に戻して、そして経済を正常運転に戻す、こういうことだろうと思います。思いますが、しかし、それまでの過程に時間がかかります。その間に、いま御指摘のいろいろな摩擦現象が出てきておるわけであります。  これにつきましては、その摩擦がどういう状態であるかというようなこと、これは精査しております。その精査した結果、これに対する適宜の対策をとる、こういうふうにいたしておるわけでございまして、これらの点につきまして、政府部内で意見が食い違うということは一切ありませんから、これは御安心願いたいのです。何か通産大臣と他の閣僚間で意見の違いがあるかのごときお話でございましたが、そういうことはありません。閣内は全部統一した見解で動いておる。御安心願いたいと思います。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 大蔵大臣に一言お願いいたします。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 総理大臣からも副総理からもお話がありましたので、私から蛇足を加える必要はないと思いますが、お求めでございますので一言申し上げますと、いま大野さんも御案内のように、わが国は、インフレ対策と不況対策のいわば二正面作戦に苦心をいたしておりますことは、御案内のとおりでございます。ただいままでは、どちらかというと、インフレ対策に傾斜した厳しいものでございましたわけでございますが、最近の様相を見てみますと、雇用に大きな変化が出てきて、微妙な変化が出てきておるようでございますし、生産の減退、出荷の減退等、不況の様相は相当深刻なものになりつつあるように思うわけでございます。したがって、政府といたしましては、河本通産大臣ばかりでなく全閣僚、今日の事態の推移に絶えず注視を怠っていないつもりでございます。  大蔵省といたしましても、御案内のように、この間、昭和五十年度の予算を組みましたけれども、四十九年度の第四・四半期に第二次の住宅公庫の貸し付けの受け付けを再開いたしましたし、あるいは公害対策につきまして、新たな財投の枠を追加する等の措置もいたしておるわけでございまして、総需要抑制の枠組みの中でも、適時施策を講じておるわけでございまして、今後もこういう周到な対策に怠るところがないようにいたしたいと思うのであります。しかし、不況がいよいよ深刻になってまいると、社会不安を招来しかねないというような事態になってまいりますと、申すまでもなく、閣内におきましてお互いに十分協議いたしまして、機を逸せず対策を講じてまいりますことは、これまた政府の当然の任務であると考えております。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 次に、通産大臣に一言お願いいたしたいのでありますが、その前に、私どもは総需要抑制が現下の状況で好ましいだけのものとは決して考えてないので、すでに副総理の、インフレーションに対しては警戒的運営を、不況の深刻化に対しては機動的運営でという施政演説を耳にしておりますので、その考え方のもとにおいての現況をお聞きしただけでございまして、一日も早くこういう状況から脱却したいことに変わりはありません。したがって、通産大臣におかれましても、総理がああいうふうにおっしゃったから右へならえだというだけでは、実は大変心配でございます。どうか、実情はいろいろ深刻な問題があろうと思いますので、その辺の関係について、これは一番大事な問題でございますので、ひとつ歯に衣を着せない御判断をお示しいただきたいと思います。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 基本的な考え方は、先ほど総理、副総理、大蔵大臣がおっしゃったとおりでございます。ただ、昨年の年末からこの一月にかけまして、非常に景気の落ち込みが激しゅうございまして、各業界ごとにその実情を調査いたしましたが、主要な企業では大体二割から七割ぐらいな減産をしておる、しかし在庫はたまる一方である、中小企業に至っては、資金よりも仕事が欲しい、仕事がなくて困っておる、こういう実情になっておりますので、総需要の抑制という枠は崩さないで、あくまで物価優先というその基本線は守らなければならぬと思いますが、先ほど三人から御発言がございましたように、ひずみ現象、摩擦現象というものが非常にひどい状態になっておると思うのでございます。そこで、このひずみ現象、摩擦現象に対して、遅滞なく適切な手を打っていくということが必要である、こういう趣旨のことを私は申し上げておるわけでございまして、基本的な考え方は変わっておりません。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 次に、日銀総裁にお願いいたしますが、日銀総裁は、もちろん通貨のみならず、あらゆる経済現象にお目を配られて、やはり大切な知恵袋であられることは間違いないと思います。しかし、広範にわたってのお話でなくて、特に通貨の発行高が——貨幣数量説をうのみにしておるわけじゃございませんよ。しかしながら、一番早い指標の一つだろうと思いますので、その辺から見た物価の動き、これをひとつお述べ願いたいと思います。

森永貞一郎日本銀行総裁

○森永参考人 基本的な情勢の判断につきましては、政府からお述べになったのと変わりません。物価も大分落ちついてまいりましたが、ただ私どもとしては、まだこれで鎮静化が定着したと言うのには少し早いのではないか、コストプッシュの圧力が大きくございますので、一たび需給が緩和すれば、また再び急騰を見かねないような情勢ではないかと考えておるわけでございまして、金融引き締めの基調を崩さないで維持しておるという現状でございます。  もちろん、個々の摩擦現象に対しましては、業種なりあるいは影響力の大きい企業なり等に問題が起こるような心配がございますときには、きめ細かく弾力的に対処いたしますことはもちろんでございます。  ただいま通貨発行量の観点からのお尋ねでございましたが、昨年の暮れは珍しく通貨発行量が前年よりも下がりまして、一五、六%ぐらいの増率にとどまっておったのでございましたが、ことしに入りましてやや増勢が強まりまして、一月の通貨発行量といたしましては、一八%台の数字にまた戻ってくるのではないか。その裏には、財政支出の伸びその他いろいろな事情があろうかと存じますが、通貨発行量の現象面にあらわれた数字としては、さようなことになっております。なお今後、財政支出の伸びが年度末にかけて期待されますので、私どもといたしましては、通貨発行量の推移に終始慎重なウォッチを怠らないでおるというのが現状でございます。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 国民が一番期待して、自分ではどうしようもない、もう助けてくれと、政府しか頼るところがないという状況でございますので、ぜひこれはひとつ、もちろん御真剣におやりであることは承知しておりますけれども、その上にもさらに御注意、御配慮をいただきたいとお願い申し上げておきます。  それから時間が大分過ぎてしまいましたので、実は用意した順序もございますけれども、きょう公取の委員長に来ていただいておりますので、江田さんの御質問でも、独禁法の問題で総理からのお気持ちも承ってはおりますけれども、それがどのようなものであるか、ごく簡単に……。私どもだけでなくて、日本国民はみんな、何の話をしているんだろうかというので、わからないんですよ。ですから、何かえらくひっちばってしまう法であろうかとか、あるいは今度はいよいよあれをやれば物価はがたっと下がるんだとか、物価万能薬のような見方で見ておる人たちもいますし、両極端あるのです。ですからお答えは、まだ別に法律がどこへ出ているわけじゃありませんから、ございませんけれども、この改正をせねばならぬとお考えになった発端、それからお考えになっていることの、あるいは理解がむずかしいかしれませんが、個条書き的な意味での問題点、こういうものを、もしできるだけ簡単にお知らせいただけたら知らせていただきたい。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 独禁法の改正の問題は、現在御承知のとおり、総理府の方に主管が移っているという段階でありますので、いまさら私が、ここでまた私どもの方の考えを述べることにどれだけ意義があるかというような——いまの時期として適当であるかどうかは別といたしまして、せっかくのお尋ねでございますから、私どもの方で考えたきっかけといいますか、そういうものを幾らかわかりやすく簡潔に申し上げたい。  それは、独禁法というものがどういうものであるか、いまさら説明を要しませんが、昭和二十八年に改正されまして、その前にもありますけれども、内容が弱められたわけでございます。その弱められた状態で二十年以上経過しておりますが、その間に、昭和二十八年の当時と現在では、日本の経済の構造はまるで変わっております。この点は、大変ややこしい表現をいたしますと、構造的にも変化しておりますが、またその間にいろいろ、企業の独禁法に対する考え方が変化したとは申しません、むしろ従来から、その弱められた独禁法に対して、これを安易に考える風潮が出てきた。それで、そういうことに対しまして、私ども決して、これは物価対策だけだとか、物価対策に大いに役立つというふうには申しません。ただし長期的に見た場合に、もしも景気変動が最近のように非常に激しいということでなければ、これは物価の対策ともなり得るものである、そういうふうに考えます。  そこで、案といいますか、考え方の一つはカルテルの問題で、カルテルの問題が相当多いのでございますが、これに対する破棄を命じましても、その協定の破棄は名目上の破棄でありまして、実質は伴ってないというような実態でございますので、これに対する規制を強化しなければならぬであろうということであります。  それから、これはもう、一つのたてまえ論かもしれませんが、自由競争をどんどん推し進めていった場合に、実は皮肉なことに、その結果、強者が残って独占的状態が生まれる。これは、完全独占とはいかなくても、実質的には独占と変わりない、そういう状態が生まれた場合について対処する規定がない。法律上の整備がされてない。それから、そこの独占までいかない高度の寡占で、その一部の業種でなれ合い的な同調的値上げといいますか、そういうことが行われ、しかもこれは、カルテルの証拠を残さない、こういうものに対して手の打ちようがないという問題があります。これは結局は、構造的な問題と、それから意識的な行動とが絡み合っておる問題でございます。  次にもう一つは、独占とまた違った意味で、経済力が過度に集中するというふうな傾向が認められます。こういうものに対して、それが経済支配力となって非常に経済的な不均衡をもたらす、そしてその結果公正な取引が乱されるという懸念もございますので、こういうものに対する対策が必要ではないか。  まあ主要な点を申し上げますと、いま申した四点にしぼられると思いますが、方法論については、あまり長くなりますので省略させていただきます。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 この独占禁止法の問題に対しましては、総理の御任命で総務長官がお仕事をお引き受けになって、すでに諮問委員会もお開きになっておられるそうでございますので、これも結論がお出になったものであれば御相談があるのでしょうが、まだそれも知りません。わが自民党におきましても、昨日ようやく第一回の独占禁止法に関する特別委員会ができたような状況でございますので、御審議の途中の問題でありましたら、時間が実はございませんので、もう少し先にまた承るチャンスもあろうと思いますので、もし御報告できるようなところまでいっておりましたら、総務長官の御答弁をいただきたいと思いますが、その点、お諮りを願います。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 お答えいたします。  ただいまのお話のように、懇談会をつくりまして、各界から十八名の方々にお集まりをいただき、昨年の暮れには総論について御意見を伺いました。ことしに入りまして、二十四日までに四回行いまして、ここにおきましては、各論として、カルテル対策、寡占企業集中対策、さらに不公正取引の規制問題、あるいは消費者保護問題、中小企業保護問題、公正取引委員会の権限及び機能の問題、これらについて御意見を承ったところでございます。  大体の御意見が出たわけでございますが、この御意見及び問題点を整理いたしまして、二月の十日にさらに懇談会の方々にお集まりをいただいて御意見を伺う、その後法案作成に入る、こういうような段取りでございます。御了承をお願いいたします。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 この問題は、わが党におきましても特別委員会ができて、まだ二月十日にようやく政府部内においても御意見の御報告なさるもとができるような状況と承りましたので、この問題はその時点で、また機会をいただいたらお願いしたいと思いまして、打ち切ります。  それから次に、時間がなくなりそうでございますので、食糧の自給対策を先にひとつお願いいたしたいのであります。  ちょうどけさの新聞に食糧の自給の問題が載りました。自給率の問題で、私どもは昭和四十年代までは納得ができたのであります。三十六年でしょうか、いわゆる所得倍増計画が出始めて以来、農村の人口が移動し始めまして、大変食糧生産の内容が変わってきた分岐点でございますが、それでも昭和四十年ではまだ八〇%ぐらいの自給率までいっていたはずなんです。それが先般は四三%の自給率だというので、農林当局を担当された方々は何をされたのかということで、ごぶさたをいたしておりました私などは、びっくり仰天をした一人なのでありまするが、この点に対しまして、けさ載りましたのを見ましたら、大変驚くような事情でございますが、けさほど新聞に御発表になった数字は、農林大臣きょうお持ちでございますか。お持ちでありましたら、新聞よりも、答申として出ましたものを、やはりわれわれとしては一応正確にまず知りたいと思いますから、答申案に盛られた自給率を承りたいと思います。     〔小山(長)委員長代理退席、委員長着席〕

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 現在の食糧農産物の自給率でございますが、昭和四十七年が七三%、四十八年は少し落ちまして七一%でございますが、これは長期見通しを立てますると、昭和六十年には七五%という見通しになるわけでございますが、これは今後農政の基本方針として、国内において自給できる農産物は自給力を高めていくわけでございますが、しかし、自給できない農産物、たとえば畜産物の原料であるところの飼料穀物は、やはりどうしても外国に依存せざるを得ない。  ところが、これから十年間、畜産物はどうしても安定的成長といいますか、二%ぐらいの成長を遂げていくわけでございますから、そうなりますと、畜産物の原料であるところの飼料穀物の輸入はやはり増加する。ですから、国内におきましては、その他の飼料作物とか、あるいは麦とか大豆とかいうものについては、極力自給体制をとるために全力を尽くすわけですが、全体的には、総合自給率を八〇%程度に持っていくということは非常にむずかしいわけでありまして、これはやはり、畜産物の伸び、あるいはまた消費水準の伸びということによりまして、飼料穀物は国内で自給できない、外国から入れなければならぬというところに根本的な原因があるわけでございます。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 食糧の自給対策に非常に関心を深く持ちますゆえんは、実は昭和三十四年でありますから、もう十五年もたちますが、現在の副総理が農林大臣、私が政務次官を仰せつかりまして、そのときに今日の農業基本法をつくることになりまして、長年米価審議会の会長をいたしておりました小倉武一君が事務局長になってくれまして、それで私も責任者の任命を受けまして、農業基本法の骨子をつくる作業をいたした経験がございます。しかしながら、この問題に対しては、社会党さんが別案をお出しになって、なかなかこの問題の困難さがあって、約二、三年たって、坂田英一委員長のあの巨体がいすごとひっくり返されるような騒ぎの中で、実はこの農業基本法は野党の方々の当時の動静によってようやく通過したという姿があるのであります。  そのときに起案をした者としては、要するに、都市に働く人たちとの所得の均衡を図れが第一でございまして、つくれと言ったって、収入にならないものをつくれないじゃないかというので、価格政策が入ったのです。そして、さて値段も何とかなったが、じゃあだれがつくるのかということで、中堅農家を育成せねばならぬというので、中堅農家を二町歩単位のいわゆる自立農家という形でやったのでございます。そのときにつけ加えられたものが適地適産であります。適地適産でなければこれはやり抜けないというのが、農業基本法をひもといていただけば必ず出てまいるはずであります。  これが高度経済成長の波に、たまたま三十六年、法律が通過したそのころから変わりましたために、日本の農村はペンペン草が生えるような状況になり、一方的なマイナス面を背負ったという歴史的事実を私は承知いたしておるわけなんです。それですから、そうなれば、失敗した原因は、自立農家は何であるかということの問題、実際やはり実情に合わなかったというような反省もございますが、そのような問題を含んで、耕地面積の大小だけでなくて、必要なる食糧をせめて昭和四十年の時代までに取り返すことができないか、これがいわゆる食糧自給対策の最小限度の出発点だというふうに私は考えておったのであります。  たとえば、実例を申し上げますと、昭和四十年には日本産大豆は四十万トンとれたのであります。その四十万トンとれた当時は、政府は一銭の援助も大豆生産農家にしておらなかったのであります。けれども四十万トンとれておる。その四十万トンが、私どもも食べたわけでありますが、みそ、しょうゆ、納豆、豆腐、こういうふうな日本固有の食物になっておったわけで、陸の肉と言われたたん白質源として、実は自然にいただけたのです。ですから、四十万トンまではとれたはずだから、方法によってとれないかというのが一つの着想でございますが、いまは情けないことに五万トンもとれてないというような状況でございまして、それが四十万トンになるのはいつかといったら、とてもそこまでは及ばない数字が載っておるので、私は跳び上がって驚いたわけでございます。その関係でやはり適地適作を怠った点もあったと思います。  われわれの同僚にも、北海道選出の議員もたくさんおられるわけでございますが、あえて事実でございますから申し上げますが、米の極限地帯が植物学上あるわけなんでありますが、とにかくそこら辺が水田として広がっていって、一時は百万トンを超えた収穫のあった時代もございます。このような問題から、実は間違っておったら訂正をいたしたいと思いますが、北海道民は生産額百万トンのうち二十万トンしかいまも食べておらないので、道民の必要とする残りの二十万トンが足らぬので、その分は内地からわざわざ取り寄せておるように聞いております。したがって、差し引き今日はその差額が内地に移入をされてばらまかれて食べられておる、このように実は聞いております。  これが事実であるといたしますと、ほかの作物で食べていけない農家の人たちに、国が、食べにくい米だからといって、ほかの作物で農家が食べていけるようにめんどうを見てくださらなければ、それはつくれといっても無理な話であります。そういう意味合いで、そういうまずい米、消費者が食べないということが実証されております地帯のお米は、何か別なもので食べていけるように、国家が一部お金を出すならば、そのお金を回してあげたらどうかという着想を持っておる一人でございます。  そういう意味でいきますと、御承知のように四十万トンとれたのだから、それなら豆、牧草、濃厚飼料、しかも御承知のように大豆類はネマトーダが発生いたしますために、輪作をしないと大豆の作付は不可能になります。ですから、いやでもおうでも、まず、大豆を入れようとすれば、輪作でなければ経営は成り立たないというのが植物学上のイロハのイなんです。ですから、そういうような意味合いの輪作体系を国家が用意をして、それで食べていけないとするならば、お米をつくっていただかない農家にそれらのものをつくっていただくなら、極端な場合は、お米と同じようなお金が渡っても、国としてはわざわざ外国からドルを使って物を持ってくるよりも、食べない米が余るような姿というものは避けられるのじゃなかろうか、このような着想を私は持っておる一人であります。  こんなことで、私はこのたびの自給率の答申に対しましては、非常に専門家がおそろいでございまして、私ども素人が言うたことは間違っておるところがどこかにあるのかもしれませんが、こういう点も、農林大臣とされましては、ひとつ御検討いただいて、同じ国民の納めた国費を使用する方法のバラエティーとしてお考えが願えないものかどうか。並びに、その他いろいろ御勘案もあろうと思われますので、この率ではどうしてもわれわれ納得ができませんが、何かもう少し見込みのあるような御案、お考えがございませんでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 御意見につきましては、われわれとしてももちろん十分研究するにやぶさかでございませんが、御存じのように、現在の国際的な情勢は、二、三年前と違いまして、食糧が不足である、こういうふうな基調になっておりまして、農産物が非常に豊富な時代とは変わってきたわけでございますから、そういう国際的な情勢を踏まえて、やはり農政も新しい角度に立ってこれを進めていかなければならぬと思うわけですが、それについても、やはり基本は、いまおっしゃいますように、国内において自給できる農作物は積極的に自給していく、こういうことでございます。  したがって、自給力を高められる農産物といえば、いま御指摘のございました大豆、麦、飼料作物といったものでございますが、大豆につきましては、今度の中間報告におきましても、大体食用大豆七十万トンのうちの四十三万トンぐらいまでは自給を高めることができる、こういうふうに長期見通しは立てておるわけでありますし、その他、麦につきましても、裏作を奨励をするということで、現在裏作をやっておる面積は大体二十五万ヘクタールぐらいでございますが、裏作可能な面積は大体百万ヘクタールぐらいあると見ておるわけでございますから、極力この裏作を奨励して、麦につきましても、あるいは飼料作物につきましても、できるだけの自給力を高めていきたい、こういうふうに考えておりまして、麦につきましても奨励金、大豆につきましても奨励金、あるいはまた集団的な生産組織等をつくって、これを積極的に推進するというふうな予算措置等もいたしておるわけであります。  ただ問題は、トウモロコシとかコウリャンといった、豚とかあるいは鶏のえさになる飼料穀物、これは一千万トンばかり外国から入っておるわけでありますが、これはどうしても国内においては生産の条件が合わない、これはやはり外国に依存せざるを得ないというのが今日の情勢でございますので、やはりこれからも畜産を発展させなければならぬ、そういう見地に立ちますと、飼料穀物のほうはどうしてもふえてくる。そこで、潜在的な自給力はふえていくわけですが、しかし、自給率としてはそう御期待のようなふえ方ができない、こういうことになるわけでございます。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 きょうは、数字の点についてはできるだけ触れないでおこうと思いまして、いままでも数字の点は一切タブーにしてまいりました。私はそれはアバウトで結構だろうと思います。ですから御答弁は要りませんが、いただいた資料で、食用大豆は十年たってもわずかに六〇%の自給率。ですから、四十万トン要れば二十四万トンしかできない、そういう数字になっておりますので、これは御答弁は要りませんが、ここに出ておるので、これは基本が四十万トンあればいいのですから、まず大体食べられます。ですからその辺、これは再答弁は要りません。  そこで総理、お聞きのようなぐあいで、私、総理が非常に食糧を心配していただいて、あらゆる機会に、環境の整備と、それから生きる道は食べ物だということで、食糧にも予算をたくさんつけていただいて非常に喜んでおる一人でありますが、しかし、この点に対して、そのような意味の作付の選び方の問題がある。実は大豆には大豆の国立の研究所が十数年前にはあったのです。その後に視察に参りましたら、それが一農事試験場に変えられてしまっているような状況で、もう捨て子にされた実態が北海道にあるのです。そこへ行ったときの大豆の所長の話では、肥料をまき、また手入れをするならば三倍の収穫は可能だということを何遍も述べてくれたような経験を持っていますので、そういうような意味合いで、いまこうだからあきらめてしまうということでなくて、ひとつ御指導、御相談をいただきたいと思いますが、食糧問題は非常に重要でございますので、時間もございませんで大変恐縮でございますが、総理の食糧問題についての御決意を承りたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 私、一昨年、大野さん御承知のように、石油危機で中東へ参りまして、石油でも大騒ぎですが、あれが食糧であったらどんなことになるかということで、はだ寒い思いがしたわけでございます。どうしても国民生活安定というものは、やはり食糧の供給に不安がないということが大事ですから、そういう意味で、日本の農業の重要性というものは、やはりここでわれわれとしても十分に認識を新たにする必要がある。世界的に見ても食糧不足ですから、そういう点で、いま御指摘の大豆なども、われわれの子供のときはあぜ道でもどこでも大豆を植えていたので、ああいうことをしますれば、これはやはりある程度の大豆、まあ豆腐やみそ、しょうゆをつくるくらいの大豆は自給もできる道はあるわけですから、そういう点で自給率を高める。しかし、どうしても国内で自給できない食糧もあるわけですから、一〇〇%自給自足ということになれば、耕地の三倍くらい新しいのがなければそれはできませんから、できるだけ自給率を高めて、その足らないところは輸入に仰ぐ。  しかし、自給率を高めたり、あるいはまた、いざというときに食糧増産の潜在的な能力を持たなければなりませんから、土地整備事業というものは非常に大事だと思います。土地整備事業というものは、予算も今度は抑制予算の中でやはりふやしたわけでございまして、そういう点で、日本の農業というものは、これはいま工業面に重点を置かれて、ややもすると農業というのは押しやられたような形になっておることはよろしくない。農業というものは重視せなければならぬ。そういう点で、農家の若い人たちが希望を持って農業をやっていけるように、いまのいろいろな点で、耕作反別もふやさなければならぬでしょうし、後継者の養成ということも政府はもっと力を入れる必要があるでしょうし、いろいろな点で農業というものは重視をしていくつもりでございます。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 ちょっと補足して説明しておきますが、先ほどの四十万トンというのは、現在の需要量でして、いま長期見通しを立てておる場合は、大体生活水準が八%上がる、そういうことを水準にして立てております。そうなりますと、六十年には大豆が七十万トンくらい要る。そうすると、食用大豆ですが、四十三万トンくらいは自給できる。ですから、六割程度は自給できるということですから、現在の消費水準をそのままに置いて六十年ということになりますと、食用農産物の総合自給率も、七五%ではなくて八三%あるいはそれ以上になるわけであります。ですから、消費水準が八%上がるということを基準にいたしまして推測をいたしたわけであります。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 私のほうの間違いであることを望みます。それなら大変結構なことでありますから、その方が正しいことを信じたいと思います。  もうちょっと時間がいただけるそうですか、もう一点は……

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 あと十一分です。元気を出してやってください。(笑声)

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 不況下の中小企業対策について、これはやはり通産大臣に承りたいのでありますが、わが国の企業体のうち、中小企業の全体の企業体に占めるパーセンテージ、それから生産量としてのパーセンテージ、つまり数で言えば九十何%とか何かあるのでしょうが、生産量としてのパーセンテージ。商売はいろいろありますからあれでしょうけれども、何かそういう数字をお持ちでございましたら、それをまずお聞かせ願って、そして、それだけのものに対してどういう対策をお立ていただいておるか、この点を御披露いただきたい。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 わが国の産業の一つの特色は、御指摘のように中小企業が非常に多いということでございますが、その数は企業数にいたしましておよそ五百万ございます。それから、従業員は約三千万でございます。ただ、中小企業と申しましても、いわゆる中小企業と小規模企業あるいは小企業、こういうふうにいろいろ分かれておりまして、いま統計がございますから、中小企業庁の長官からその数字は申し上げます。

齋藤太一中小企業庁長官

○齋藤(太)政府委員 中小企業の事業所数は、ただいま大臣が申し上げましたように五百万でございまして、総事業所数の九九・四%を占めております。その中の製造業の事業所数は約八〇万でございます。そのうち中小企業は同じく九九・四%を占めております。  なお、先ほど御質問のございました生産額での中小企業の割合でございますが、大体、製造業の出荷額におきまして、中小企業の出荷額はほぼ半分、四九%でございます。なお小売業におきましては中小企業の扱い額が全体の約八〇%でございます。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 委員長に鼓舞激励されましたので、この不況下の中小企業対策に対して、通産大臣から簡単に御説明をいただきたい。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 中小企業は、過去およそ二年間に及ぶ総需要抑制の影響を受けまして、現在非常に深刻な不況の状態になっております。先ほど一般論として不況が深刻であるということを申し上げましたが、特に中小企業の不況は深刻なものがございまして、仕事がなくて困っておる、こういう事態が各地に発生しております。仕事の方が金よりも大切である、こういう悲痛な叫びが各地で起こっておるわけでございますが、それに対しまして、一つはやはり金融面での措置を考えなければなりませんので、金融面で考えられる措置をすべて考えております。  それから第二に、仕事の量を確保するという意味におきましては、私は、金融措置だけでは不十分である、やはり何かここで新しい対策というものを考える必要があろうかと考えます。いずれこの対策等につきましては、経済閣僚会議を開いていただきまして、そこで対策を具体的に相談をしていきたいと思いますが、何らかの形で新しい需要を喚起する、そういうことが現在必要になっておろうかと思います。でありますから、現在の経済の摩察現象に対する対策というのは、中小企業の分野では、資金面もさることながら、新しい仕事を喚起していくということ、それが非常に大事である、それが焦点ではなかろうかと考えております。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 やはり教育の問題が一番根本であろうと思います。異色の文部大臣を御任命になりましたので、幾ら鼓舞激励されても、物理的には時間がどんどんたちますので、ひとつごく簡単に、むずかしいと思いますが、一番大切なあなたの教育上の御信念をこの際一言承りたいと思います。

永井道雄文部大臣

○永井国務大臣 私の考えを申し上げますが、わが国の教育は、憲法、教育基本法に原則が示されておりまして、この原則というものに基づきまして、平和というものに貢献していく、そしてまた民主社会をつくる人間というものを育成することにあると考えております。しかしながら、過去の歴史、戦後の歴史を見ますと、必ずしもこの目的を達成する上に望ましい状況が続いたというふうに考えることはできないのでございます。とりわけ、それは政争というものと教育というものが関連を持ったという事実があり、また他方において、教育条件あるいは先生方の待遇というふうなものも、決して満足すべきものであったと考えません。  そこで、私がこの場におきまして、信じているところを申し上げるといたしますならば、そうしたいわばもつれた糸とも申しますようなものを一つ一つ解きほぐしまして、そして根気よく着実に、具体的に教育というものを、憲法、そして教育基本法に基づいた静かな教育、そしてその中で、中身の充実した教育にいたしますように役立ちたい、かように考えている次第でございます。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 集団生活をお互いに送りますには、やはりルールが必要でございます。その意味で、先般は御承知のように最高裁において違法ストの判決が出ましたので、この点に対しては非常に厳格な一つのルールがしかれたはずであります。いわゆる官公労を初めたびたび違法ストが行われましても、これに対する法と秩序の維持という問題で、国民は非常に困惑をいたしておるのであります。その方たちはその方たちの言い分があっておやりになることに違いありません。しかしながら、そのために被害を受けるのは一般国民でありますから、その意味合いにおいて、この法と秩序のルールはあくまでも守っていただかなければなりません。この関係においては、総理を初め、それぞれの団体を御監督なさる方々が閣僚においででございますが、時間の都合がございますので、国家公安委員長に、事故発生、違法スト発生、そのときに、国民の迷惑を最小限度に食いとめる方法がございますかどうか、お答えをいただきたい。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○福田(一)国務大臣 お答えをいたします。  昨年、最高裁の判決が出まして、その後警察庁といたしましては、四・一二ストについても、われわれとして法の適用をやったわけでありまして、これはもう御承知のとおりであります。今後もその方針に基づいて処置をいたしてまいりたい、かように考えております。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 御承知のように、社会的公正を総理は大きく叫んでくださいまして、この点に対しまして、預貯金の目減りの問題とか、あるいは住宅に力を入れろ、下水に力を入れろ。住宅はいままでもありましたが、下水は初めて大きく出していただいたわけであります。特に住宅の対策に対しましては、総理のそのお気持ちも、建設大臣には十二分に伝わっていると拝見いたします。建設大臣に、この住宅対策に対して御報告をいただくことがございましたら、簡単でよろしゅうございますが、一点御報告をいただきたい。

仮谷忠男自由民主党建設大臣

○仮谷国務大臣 住宅対策が三木内閣の最重要政策であることは、御承知のとおりであります。四十八年度の住宅統計調査によりますと、全国都道府県における住宅戸数は世帯数をかなり上回っておりまして、この数字で見る限りにおいては、量的には一応成果があったと思っております。ただ、質的な面において、特に大都市を中心にして非常に厳しいものがあることは、先生も御承知のとおりであります。したがいまして、五十年度においては、住宅の質の改善、それから環境整備対策の拡充、大都市地域における住宅建設の隘路を打開する、こういう面に最重点を置いて進めていきたいと思います。基本的な住宅対策としては、すべての国民が能力に応じて適正な負担をすることによって、良好な住宅が確保できるように、住宅対策を今後進めていきたい、かように存じております。

大野市郎自由民主党

○大野(市)委員 ありがとうございました。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 これにて大野君の質疑は終了いたしました。  次に、田中武夫君。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 先ほどの江田質問に続いて、社会党を代表いたしまして、総括質問を行います。  三木内閣の公約の大きな柱の一つとして、社会的不公正の是正ということを言っておられる。そのことは、現に社会的に不公正が存在することを認められておるからであろうと思うのです。今日一番大きな問題となっておるものの一つに、企業、特に大企業の横暴、言いかえるならば、企業が社会的責任を果たしておるのかどうか、こういう問題につながると思います。そこで、まず総理は、この企業責任ということについて、どのように理解し、どのように把握しておられるのか、承りたいと思います。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 今日の近代社会で、企業の果たしておる役割りというものは非常に大きいものがある。企業もまた社会的な存在でありますから、社会的制約のもとに生きなければならぬことは当然でございます。  そこで、一つには消極面と申しますか、企業は利潤を目的とするわけでありますが、その利潤を得るにしても節度がある、このことが、一般の国民に対して、あるいは労働者、消費者、地域社会あるいは国民経済全体に対して、反社会的と言われるような方法によって利潤を獲得することはいけない。これはやはり企業の持っておる社会的責任であります。  積極的な面には、企業が積極的に社会的に貢献する、こういう面が必要でありまして、社会のいろいろな方面に、社会事業などに対しても寄付したり、あるいはまた、それ以外にもいろいろ社会的に貢献をするようなことによって、自分の消極面だけでなしに、積極的にも社会に貢献する、こういうことが今日の企業のモラルであるというふうに考えておるわけでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 私も、企業は事業主体として、個人よりもより強大な法主体性を持っておると思う。したがって、社会に及ぼす影響もこれまた大きいのであります。いまや企業は、利潤追求を優先する時期ではなく、といって、私は全く利潤という観念を否定するものではございませんが、社会全体の利益を優先的に考えて行動すべきであると思います。  そこで、新しく発足したいわゆるクリーン三木内閣、三木さんに、国民はこの点に対して、企業の姿勢をどのように正していくのか、あるいは企業の利益の社会的還元をどのようにして実行するのか、これは税とかいろいろな問題につながりますが、そういうことを期待しておるし、同時に、この横暴な、たとえば公害のたれ流し、なりふり構わぬ利潤追求の姿勢、これをどこまで是正し、企業の社会的責任をどのようにチェックしていくか、これは三木さんに対する一つの試金石であろうと思うわけです。この点について、さらに総理の決意とその実行の具体性についてお伺いいたします。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 確かに企業には、御指摘のような、自分の利潤追求のために反社会的と言われるような行為をとったり、あるいはまた、自分の生産の効率といいますか、そういうものばかり考えて、公害のたれ流しをするような一部の企業もありますけれども、しかしまじめに企業をやっておる多数の企業がある。一部のために、全体の日本の企業が悪であるという観念を国民が持つことはよろしくない。一部のそういうふうな社会的なルールに反するようなことをしておる企業に対しては、徹底的にいろいろな法律的な責任も追及されなければなりませんし、また世論の指弾も受けるでありましょう。しかし、全体の企業が悪だという国民的な考え方だけはなくさなければ、近代の社会は成り立たない。  そこで、それなら、それに対して関連をする問題というものは、独禁法の問題があります。これは、企業の公正な自由な競争というもののメカニズムを害するような、そういう大企業の横暴というものは許されない。また環境政策というものもあります。これは、国民の生命、健康を守るために、企業は厳重な環境的基準の規制のもとに経営していかなければならぬ。環境を破壊しなければやっていけないような企業は、今日の社会では存立の一つの合理性はないんだというくらい厳しく考えなければなりませんし、また税制上においても、企業だからといって、公平な処遇を受けることは当然でございます。  企業の持っておるそういう社会的責任というものについて、いろんな法律、あるいは国の基準、こういうものを設定して、その中において企業が生きていかれるようにするべきだと思っております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 私は、通告をいたしておりますように、まず次に、企業に対する法律あるいは政治、行政面からの特別な保護、これをついていき、そこからいわゆる行政あるいは政治との癒着の問題を明らかにしていきたい、このように一応は順序を立てて考えておりましたが、それよりかむしろ、端的にそのような事実を示すような問題が最近出てきました。したがって、その面を取り上げ、これに対して政府がどのような態度をとられるのか、これが三木内閣に対する一つの踏み絵になる、このように考えておりますので、そういう問題をまず取り上げてみたいと存じます。  それは、もう御承知のように、あの水俣病で有名になったチッソの問題でございます。チッソとその主な取引銀行である日本興業銀行から、政府に対して三十九億円でしたかの融資を申し入れてきております。これに対して政府部内にもいろいろ賛否の意見があるようです。その理由は、千葉のほうで起こしたチッソ石油化学の事故のための設備をやりかえるというか、そういう投資であるからというような理由を挙げております。しかし、金に区別はないわけでございまして、それがいわゆる公害救済の金につながるとするならば、将来大きな問題になるわけでございます。  御承知のように、チッソは当初、水俣病患者というか、公害被害者に対してきわめて高姿勢であった。だが、世論や裁判における敗訴から、姿勢が変わってきたようでございますが、果たしてそれが本音であるかどうか疑問であります。さらに、その融資した金が公害の救済資金の方へ回されるとするならば、いわゆる原因者負担の原則、PPPの原則との関係においてどうなるのか。しかもまた、最近大きな問題を起こしておる三菱石油水島事件、これも大きな金がかかります。そういうことで、次々とこういう公害企業が融資を申し入れてきた場合にどうするのかという問題につながります。  そこでまず、後へ続きますが、この辺でひとつ総理、この融資問題についてどのように考えておられるか、お伺いいたします。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 チッソと申しますが、チッソ石油化学という会社が、去年の秋十一月ごろ、いまあなたが御指摘の五井の工場の建設資金の一部に充てるために、三十九億円の開銀融資のあっせんを通産省に依頼してきた、通産省にあっせんを求めてきたということは承りました。その後、政府部内におきまして、この問題を検討いたしておるわけでございまして、田中さんの御指摘をまつまでもなく、日本開発銀行は政府機関でございまして、開発銀行法の示すところによって業務を運営いたしておるわけでございまして、救済資金を融資するというようなことは、開発銀行にできる相談ではないわけでございます。したがって、このお申し出がございました資金の性質等につきまして、目下政府部内で鋭意検討をいたしておるわけでございまして、まだ、政府がいずれにするか決定をいたしたわけではございません。各省間の検討をまちまして、私どもは判断してみたいと思っております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 大蔵大臣、そういうことで、設備投資だ、こういう理由をつけておっても、先ほど言ったように、金に色はないわけで、しかもいま水俣病患者は、認定を受けた者だけで七百九十三名、まだ未審査の患者が約二千七百名おるようでございます。そうして熊本県では、来年度にも水俣湾の水銀ヘドロの除去作業をやる方針を立てておる。このように大きな社会的被害を与えた企業であります。しかも、私がこれを見て感じることは、公害被害者をどうするのか、こういう問題です。  だがしかし、例が果たして適切かどうかわからぬが、犯罪の中でも、関係のない第三者を人質にして、自分の利益あるいは自分の要求を通そうとする、人質をとってやるところの犯罪、これに一番私は、悪質であり怒りを感じるわけなんです。この裏には、私はやはり、公害被害者という人質を持ちながら要求をしてくるという感じが強くあるわけなんです。その点をひとつ十分考えてもらいたいことが一点。  さらに、そういうことがもし許されるならば、次々と、先ほども言ったように、公害被害者救助のための融資というのを何らかの名目で申し出てくる、そうした結果、擬装倒産を考えるような者も出てくるのではなかろうか、そういう道を開くことにもなる。その前に私は、チッソ自体がまず、売るべき物は売った、こう言っておるが、本当にチッソの内容、資産その他を公表する、社会的に発表して、このとおりでございますという行動をとるべきである。さらにまた、一緒に申し込んでおる日本興業銀行も、これまた同じように社会的責任があるのではなかろうか。興業銀行自体がなぜそれではもっとめんどうを見ないのか。いいときには貸したが、そうでなかったらすぐに政府に頼るという銀行もそうですか、企業の政府依存、これの典型的な一つの例であろうと私は思う。果たしてそれをどのように裁くか、どのように処理するか、先ほど言ったように、三木内閣の踏み絵である。そういうことを考えていただいて、ひとつ総理から、どうするのか。通産省はこう言っておる、環境庁はこう言っておる、いや官房長官は否定したとか、いろいろ新聞等で伺っております。だが、総理自体がどのように裁決をするのか、采配を振るのか、果たしてそれが社会的正義につながるのかどうか。これは本当に三木さん、三木内閣の性格を問われる大きな実例であろうと思います。心して御答弁をお願いいたします。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 非常にこれはむずかしい問題であることは、田中さん御承知のとおり。これはつぶしていいということなら簡単なことでございます。しかし、いろいろと補償の問題等も考えたならば、これはそう簡単に割り切れない問題がございます。また銀行も、無制限に会社を救済するということが、やはり銀行のたてまえとして困難なことも明らかでございます。そこで政府は、いま大蔵大臣が申し上げましたごとく、慎重な検討を加えておる。  その前提は、田中さんの御指摘のように、自分で処分できる物は処分する、そして次には、その一つの政府の開銀の融資にしても、厳格な意味における検討の対象になるものは設備投資に限る。その金に糸目はついてないということは、銀行は厳重な監査を行わなければならぬ。その金が患者の救済に回るという資金であるとするならば、これは原因者負担の原則に反して許されることではない。いまのような枠内において政府の方で検討をすることが、私は検討に値する問題であると考えておりますので、これはいろいろ踏み絵であるというお話でございましたけれども、そういう厳格な条件を付して検討をするということは、政府として検討すべき課題である、かように考えております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 何回も申しますが、ここに企業の、ことに日本株式会社と言われるような状態の中における企業の正体を見たり、こういう感じがします。したがって、まず社会的責任をどのように果たしたのか、本当に真っ裸になるまで企業がやったのかどうか、また、これを助けてきた銀行、興業銀行がどこまで真剣に考えたのか。ともかく後は政府へ持ち込めば何とかなるだろう、こういう甘えが出ておる、こういう甘えが今日までの政治のあり方、行政のあり方であったと思います。重ねてこの点を強調いたします。  そこで、まず、企業に対してどのような保護を政府あるいは行政面でとってきたか。ひとつ税制面からいきたいと思うのですが、不公正の是正の一つは、法人と個人、ことに大衆課税との関係。詳細な点は、時間があればあとでやるつもりでございますが、酒、たばこの問題等々もあとでいたします。  大蔵大臣、私の調べでは、企業に対する税制面における保護はこれだけあるのです。大企業を中心とする税金の減免措置に関する法令の規定及び通達等の一覧表というのを私はつくっております。どこをあけても、そういうところばかりなんです。これを一々やっておると大変なことになります。項目だけを挙げてみますと、資源開発等の促進という名目、技術の振興、設備の近代化という名目、内部留保の充実、企業体質の強化という、これは国際競争力等々の問題もあるでしょう。貯蓄の奨励、環境改善、地域開発等の促進といったような、項目別に私は調べております。さらに地方税関係にもありますが、これはしばらくおくとして、これだけあります。これは法律関係です。そのほかに今度は通達があります。租税特別措置法中、法人に関するものの取り扱い通達なるものがこれだけございます。それから租税特別措置法の規定以外のいわゆる特別な措置、法律の名前だけでもこれだけあるのです。大蔵大臣、御承知でしょうか。おそらく大蔵省の諸君だって、これを一々知っておるかどうか。さらにまた、法人税関係の新法令通達というものが出ております。それがこれだけございます。  それから、これは四十九年度の租税特別措置による減収額の試算というのをやってみました。去年福田さんが大蔵大臣のときに、私はこれを出せと言ったが、明確な答弁はなかった。あとからちょこっと何か出たようですが。租税白書をつくれと言っても、これは否定的な答弁が返ってきた。これだけ不公正な税が取られておる。しかも、インフレによって弱っておるというか、困り切っておる大衆に対して、酒、たばこの値上げ等を含めて大衆課税の幅が多い。勤労所得に対しては、ミニ減税と言われるように、実質は増税であります。こういう際には、国民に知らしめるために租税白書をつくったらどうです。これこそ本当の国民との対話を言う三木内閣にして初めてできるのではなかろうかと思うのですが、租税白書を出しなさい。いかがでしょうか。これだけあるのです。何なら貸してあげますよ。それで調べなさい。そのうちどのページでもよろしい、挙げて言われるなら、そのページについて、私は詳細にお伺いをいたす用意がございます。租税白書の問題は、役人ではありません。役人の答弁は断ります。むしろ総理の姿勢です。いかがですか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 田中先生のおっしゃる租税白書というものが、どういう内容のものを構想されておりますか、いまの御質疑の中で定かに読み取ることができないわけでございますが、複雑な租税制度、租税徴収の実務を、できるだけ民主的に国民に十分熟知していただくということは、私も賛成でございます。したがいまして、大蔵省におきましても、いろんなパンフレット、リーフレット等を通じまして、周知には努めておるつもりでございますが、もっと大きな構想をもちまして、あなたの言われる租税白書というようなタイトルで世に問うべきではないかという御提議でございます。せっかくの御提議でございますから、ひとつ十分検討をさせていただきたいと思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 簡単に申しますと、まず、法人と個人との課税の関係、あるいは配当・利子等々の分離課税の関係、各種の租税特別措置法による関係、もしこの特別措置なかりせばこれだけの税金が入るべきところを、こういう特別措置によってこれだけ税金を取らなかったということが国民にわかるように、等々あります。  そこで委員長、どうでしょうか、こういうのを相当苦労して集めておるのですが、これを全部議事録に載せてもらえますか。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 理事会でよく検討いたしましょう。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 では、そういうことにしましよう、私も議員の一人ですから。しかし、次々にこういうのを出しますよ。これをひとつ見たらどうです、大蔵大臣。苦労したんだから、それくらい認めてもらわぬと……。まあ時間の関係があるから、よろしいですが……。  次に、金融面からの問題、これもいろんな法律等で保護をしております。さらに一般銀行からも大企業中心に貸し出しが行われておる。そのような問題については後ほど触れますが、これにも若干の数字を挙げておりますが、もう余り細かい数字を読み上げることはやめますけれども、一例を挙げてみますと、全国銀行貸し出しの企業向け、特に大企業向けのその偏重性を示すものとして、昨年九月末で全国銀行貸出残高が八十六兆七千五百二十億円です。そのうち企業向けが七十九兆八千九百五十八億円、うち資本金十億以上の企業向けが三十六兆四千五百二十八億円、一件当たり八億二千九百九十八万円。それから一億以下のものが二十八兆二千七百二十九億円になっておるわけです。一件当たりが七百六十四万円。個人向けは六兆二千三百九億円、一件当たり百三十九万円というような数字があります。  また、ここに政府機関、日本開発銀行等の大企業向けの融資の実態を調べたものを持っております。これも同じように議事録へ載せてもらえるなら載せてもらいたいと思います。いかがでしょうか。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 理事会で検討いたします。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 時間がございませんから、もう一々挙げません。どうですか、いまの数字を読んだだけでも、感じはどうです。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 租税特別措置法と、それからいまの金融機関の融資状況を通じまして、田中先生、これが何か先入観的に、悪いことである、ではないかというようなお考えのもとでいろいろな資料を集められ、それの解明を通じて、是正すべきものは是正しようというお考え方、私は、その是正すべきものを是正しようというお考え方には賛成でございますけれども、根底において、こういう政策をとっておることが頭から悪いということにつきましては、必ずしも賛成できないのでございます。  われわれの先輩が、本院を通じまして営々としてやってまいりました租税特別措置は、確かに、法律にいたしまして九十何条あります浩瀚な法律でございます。九十条というと、必ずしも大きな法律とは言えませんけれども、一条が幾つもに分かれておりまして、年々歳々精緻になってまいりました法律でございまして、いろいろな政策を行う場合に、税の持っておる抑制機能、誘導機能というものを活用しようという意図は、必ずしも悪くないと思うのであります。しかもこれは、企業の大、中、小、零細と、企業の規模の大小によって区別いたしておるわけでは決してないわけでございまして、私は、この措置を通じまして、廃墟になりました日本の経済が今日復興するに至りました大きな役割りを果たしたメリットの面もまた、田中先生は確かに御評価いただけるのではないかと思うのであります。  しかし、確かに、先生御指摘のように、これはフェーバーに違いないわけでございまして、不公正であるに違いないわけでございます。不公正であるから初めて誘導的な機能が発揮でき、あるいはこれで抑制的な機能が発揮できるわけでございまして、その機能が退化した場合、依然としてぬくぬくと残っておるということはいけないことだと思うのでございます。夏になって、いつまでも布子を着ておるなんというようなことはよくないことでございますから、脱ぐべきときは脱がなければならない。したがって、五十年度の税制改正におきましても、直すべきものは漸次直しつつありますことも、御理解をいただきたいと思うのでございます。  それから、金融の問題でございますが、これにつきましても、金融機関が、預金者から大事なお金をお預かりいたしまして、これを有利かつ確実に運用しなければならぬ責任を持っておるわけでございまするので、金融機関が確かなところに融資をしてまいるということは、十分理解できるところであると思います。その結果といたしまして、法人に集中しておる、あるいは大企業に多いという御指摘でございます。しかし、御案内のように、日本は企業国家でございまして、大、中、小、零細、ほとんどもうどこへ行っても企業にぶつかるわけでございまして、金融が企業に行われるということはきわめてあたりまえだと思うのでございます。それの中で、不当に大口融資に偏るというようなことにつきましては、本院を通じましてもいろんな御批判がございましたので、去年の暮れには、これの是正措置を講じさせていただいたわけでございまして、今後も、いろいろ御指摘がございました点については、政府としても十分検討を加えるつもりでございますけれども、政府も鋭意、民主的な、かつ手がたい金融行政ということにつきましては、十分周到な配慮を加えてまいるつもりでございますので、御理解をいただきたいものと思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 大平さん、私の全体の質問の流れというか、最初申し上げたのは企業の社会的責任であります。したがって、企業に対して融資すること自体が悪いと言っていないのです。それを利用して経済的弱者をいじめておるということ、さらに、企業が社会的責任を果たしておるのかどうかという観点に立っておることを申し上げておきます。質問の順序を頭に置いて、長答弁は御遠慮を願いたい。  次に、今度は産業政策の面もあります。だが、これももう項目だけを挙げてみることにします。たとえば、何々事業法、何々振興法等々の名目で、輸入の規制、外資の規制による国内産業保護及び自由化対策の実施、補助金、交付金、利子補給。先ほど言ったように、事業法による保護、それにはどういう種目があるかも調べております。それから官庁主導型のカルテル、特別法によるカルテルの容認、競輪等の益金による補助、企業立地条件の整備、公団・事業団による間接援助、公害規制に関する企業側の意見の尊重等々、産業政策の面からも企業に対する大きな保護を加えておる。  河本通産大臣、いま私が挙げました中の一つでよろしい。あなたの自信のあることがあったら答弁してください。何でもよろしい、これを見ながら。どうですか、自信があるならやってください。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 お話のような形で、企業に対するいろいろな援助が行われておることは事実であります。そのとおりでありますけれども、これは、国民経済全体の発展のための企業であるとか、あるいは公共の関係の企業であるとか、あるいはまた、新しい技術の開発であるとか産業の整備、いわゆる広い意味での国全体の経済の運営を円滑に図っていく、こういう意味での補助金であろう、援助であろう、かように理解をいたします。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 言葉ではそう言っておりますが、私は、先ほども言ったように、それらが果たして社会的にどう貢献したかということが問題ですが、もう次へ参らないと、いろいろと聞きたいことがありますから……。  商社につきましては、昨年以来大きな問題になっております。ことに最近公取委員会が調査せられた、もう新聞に出たような点につきましては省略をいたしますが、たとえば商社が中心でいろいろなことをやっておる。その問題を一つ取り上げてみたいと思うのですが、商社を中心にして一つの企業グループをつくる。そしてその商社は、いわゆる不公正な取引というか、地位を利用して不公正な取引をする、あるいは企業群を商社を中心にしてやっていくところに寡占状態をつくっていく。いろいろな問題が生じております。そういうようなことについて、ひとつ公取委員長から、先日発表になりました、たとえば八年間で持ち株が七倍になったとか、あるいはどうだとかいうことは、もう新聞にも出ておりますからやめますが、そういうことによって、独禁法を通して見た場合に、寡占状態をつくっていく、不公正取引を強いておるといったような問題がある。ひとつその点についてお答えを願いたい。  したがって、そこに独禁法の改正、そして銀行だけでなくて商社に対しても、いわゆる持ち株の制限を行うとか、あるいは社会党は総合商社の活動規制に関する法律案をすでに昨年提出しておる。そういう既定の事実は抜きますが、いま申し上げましたような点についてはいかがですか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 新聞にすでに出ておる点については承知しておるということでございますから、私はその考え方を述べたいと思います。  それは、つまり総合商社、その問題にも問題があるし、それから総合商社を中核と申されましたが、総合商社と都市銀行です。その主力銀行と言った方がいいでしょう。それを中核とした、初めは旧財閥系のグループから始まっておるのです。それが次第に他にも伝染したといいますか、これと拮抗するために、大きく分ければ六つの企業集団が形成されつつある。こういったことは、独占禁止法から言いますと、全体として見た場合に、経済力の過度集中——経済支配力と申し上げた方がいいでしょう。そういうことにつながるおそれがある。と言うよりは、現状でもある程度そういう傾向があるのではないかというふうに判断されますので。  そうしてしかも、その中でただ独禁法上問題にし得るのは、金を調達する面については、銀行方面の融資の規制がすでに行われましたから、どのような効果を持つか、これは見守らなければなりませんが、株式が四十年代に入ってから急速に伸びまして、八年間に七・三倍。これはもちろん実は国内、国外を通じてでございますが、そのふえ方が余りにも著しいのじゃないか。なぜそういう株をたくさん持たなければならないか。資本金の何倍にもなっております。こういうふうな株式保有は、やはり系列支配ということにつながっているのではないか。あるいは先ほど申しました企業集団でお互いにその株を持ち合う。これはまあ防衛ということを言っておられますけれども、しかしいずれにしても問題である。  そういう観点から、独禁法の立場から言いますと、やり得る法律的な問題としては、株式保有の制限であり、運用の問題としては、不公正取引をいかにして規制するか。大変むずかしい問題です。なぜかならば、被害者が一向に名前を語ろうとしないというところに、不公正取引の確認行為はむずかしいという実情はありますが、それを乗り越えて解決していかなければならないというふうに思っております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 商社の問題につきましてはいろいろ調べております。しかし、もう皆さんもおわかりと思います。そこに独禁法を改正して、企業分割等、あるいは商社にも金融機関と同じような株式保有の制限、いろいろある。商社は、俗に言われているように、即席ラーメンからミサイルまで幅広い市場支配をしておる、その地位を利用しておる等々、あります。そういう点について逐次申し上げておると、これだけでも大変な時間がかかります。  次に、銀行も、これまた大変です。先ほどもちょっとおっしゃいましたが、金融引き締めの結果というか、ますます系列融資が強められておる。したがって、メーンバンクというか、そういった銀行を持たない企業は倒れていく、ここに社会的不公正が存在するといったような点が、たくさん事例があります。  また、最近私が直接に体験したことですが、一時、拘束預金がいろいろな面から問題になりました。このごろ余りそういうことが国会等でも問題に出てくる機会が少ない。少し改まったようなことも言われておるが、一つの例として申し上げます。いまのところは、本店を兵庫県に持つ相互銀行ということだけ申し上げておきます。知人からというか、私の身近な者から、店舗を改造するために二百五十万円その相互銀行から金を借りたいから保証してくれぬかということで、よろしいということにしたのです。持ってきたところの契約書というか、借用証書を見ると、金額が三百五十万円になっておる。これはどういうことだと言うと、御承知のように、二百五十万円借りるのに三百五十万円にして、百万円は拘束なんです。しかも、その条項を一々読んでおるうちに、だんだんと腹が立ってきました。だから、そんなことやめておけ、私がほかで積もりしてやる、そう言って、その銀行から融資を受けることを断らせた。そういう事例がありますし、その契約書も持っております。  しかもこの銀行は、いま言ったように、系列的に融資をしておる。そこへまた、銀行を中心としての産業グループが一つできるむこれは商社と同じことなんです。同じような弊害をもたらしておる。さらに、商社もそうならば、銀行もそのよう兵まあ預金者保護とかなんとかという名目で重役を派遣する。そうして、中小企業あるいは中堅企業の倒産問題は後で触れる予定になっておりますが、いずれの場合も商社、銀行は損をしないようになっておるわけなんです。そして一番気の毒なのは無担保の下請企業なんです。またそこに働く労働者なんです。  そこで、中小企業庁長官、河本通産大臣に、中小企業基本法二十三条だったかな、見せてやってください。もう条文はそらで申し上げます。それには、いわゆる「小規模企業者」となっておりますが、そこの労働者等々に対して、他に比べて悪くないように措置をせなければならぬというような条文があるはずです。何か特別にそのような措置をとった例がありますか。中小企業基本法二十三条、まあそらで言っておるから間違っておるかしらぬが、どうですか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 先ほどお話しの中小企業基本法の第二十三条に、確かにそういう規定がございます。「その従事者が他の企業の従事者と均衡する生活を営むことを期することができるように金融、税制その他の事項につき必要な考慮を払うものとする。」この規定に基づきまして、いろんな金融、税制上の措置をいろいろやっております。たとえば、この金融面では、小企業に対しましては、五十年度は二千四百億円の無担保無保証の金融をするとか、あるいはまた経営指導のための経営指導員ですね、これを大量にふやすとか、そのほかいろんなことをやっておるわけでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 河本さん、中小企業政策については、私の方が玄人です。そこに福田さんがおられるが、あなたのときにいろいろ議論いたしました。経営指導者のことも、あるいは商工会法ができたときに制度をつくった、そんなことはわかっているのです。だのになぜ、後で触れますけれども、史上最高と言われるような倒産になるのですか。しかもそれが下請企業労働者にしわ寄せが来ておる。もうあなたと具体的な議論をしても、とてもあなた、私に勝てるはずがありません。それはもうはっきり言いますよ。だからまあ反省してください。二百万円まで無担保無保証と言ったって、こんなものは何年前から私言っておるか、ようやく昨年にしてでき上がった。まあ今度三百万円にするとかせぬとか言っておるようだが、そんなことはわかっているのです。  次に、どうも系統立ってやろうとしても無理なようでございますので、企業活動と消費者の関係、ことに公共料金の問題について。  ここで私は、公共料金とは何ぞやという定義を決めたいというようなことで実は書いておるのですが、それよりか、ひとつ総理に直接お伺いしますが、きのうの参議院の本会議において公明党の二宮議員の質問に対して、これは議事録を写してきたのですが、「公共料金は当分の間凍結すべきであるかどうか」という質問に対する答弁です。「公共料金凍結についていろいろお話しがあったが、財政的な面から言えば困難がある。その凍結したものをもとに戻すときには大変無理がある。だから、公共料金はやはり利益を受ける方々に負担を願うことが、原則だが、」——いわゆる利用者負担の原則には、私はちょっと疑問がある。まあそれはそれとして、ここです。「今日は異常事態であることにかんがみて、たばこと酒と郵便料金も六カ月間延ばして、しかも原案よりも相当圧縮した。しかし電信電話、麦、塩などが凍結することは明らかである。春闘が済んだら、次々に公共料金を上げていくというような考え方はございません」と、こう答弁しておられます。これはそのまま議事録を見てきた。これを聞いて国民大衆は、さすが三木さんだ、いままでよりか少しではあるが前進した答弁である、このようにして歓迎をしております。     〔委員長退席、谷川委員長代理着席〕 そこで、だめを押しておきたいのですが、私も、インフレが続く限り公共料金はすべて凍結をすべきである、こう思っております。総理は、この国民の期待を裏切るようなことはまさかしないと思いますが、いかがでしょうか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 これは、永久に凍結するということではありませんよ。物価の鎮静の動向を見て……(田中(武)委員「六カ月間ということを明確に言っておられますね」と呼ぶ)そのなには、たばこは、今度むろん五月から上げるわけです。郵便……(田中(武)委員「いえいえ違いますよ、あなたの答弁は」と呼ぶ)そうですか。たばこは、たばこを——やっぱりいまのは郵便の問題、郵便は六カ月、まあ六カ月凍結をしたということで、たばこ、酒はやっぱり今回上げるわけです。もし誤っておったら訂正いたします、それは。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 ここで訂正してもらっては困るのですよ。参議院本会議の答弁なんですよ。「たばこと酒と郵便料金も六カ月延ばして」云々となっておるわけなんです。これは間違いなしに議事録を調べてきたのです。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 もしそれが、私は自分としてはそういうことは、こういうたばこや酒というものは、予算案の中にもそういうことで計上しておるのですから、もしそれを言ったとすれば、私は訂正をいたします。酒とたばこは、これは私の——そういうことを言うはずはないと思うのですが、(笑声)それは言ったとすれば訂正をいたします。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 実は、夕べの朝日の夕刊にそういう意味のことが出ておったわけです。そこで、念のために参議院の方へ連絡をとって議事録をもらってきたんです、写しを。同じことです。だから、参議院で言われたことをここで訂正せられては困る。それなら食言なんです、これは。そういうことでは納得できませんよ。(「理事会、理事会」と呼ぶ者あり)いや、理事会だけではない。明確な答弁が出るまで、ここでストップウォッチで正確に……。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 正確な答弁をいたします。  酒とたばこではありません。酒とたばこはその中から除いて、郵便だけを六ヵ月凍結をするわけでございまして、参議院には、もしそういう速記録であるとするならば私の真意でないので、これは訂正の手続を参議院においてとります。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 それはまあ参議院のことですから、ここではあれですがね。はっきりと参議院で答弁をしておりながら、そのことを確かめたら、そんなことは言うた覚えがないと言った。それじゃ議事録が誤っておるのですか。     〔谷川委員長代理退席、委員長着席〕 それではどうですかな。ここで幾らやってみても、やはり誤りでしたから訂正します、こういうことであったら、審議のなにがなりませんよ。どうです。だから、これはもう、ひとつはっきりするまで、ちょっと一服させてもらいますわ。(笑声)

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 参議院でのそれは、そういうふうなのは、私の言い誤りです。公明党二宮君の御了承を得て、参議院において速記録訂正の手続を現在とっております。さように御了承を願います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 それは、公明党さん、山田君いらっしゃらないが、公明党の二宮議員に対する答弁で言っておられる。しかし、言われたことは国民に対しての公約なんですよ。そう簡単に手続〃とっておりますだけでは済まされません。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 私がここで訂正をしておるのですから、国会で訂正をしておるのですから、それがときには言い間違うという——それはあってはならぬですけれども、そういうこともあるわけでございますから、それはここで訂正をしておるのですから、参議院は参議院として訂正の手続をとりますから、まあその程度で御了承を願いたいと思うのでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 委員長が指名せられると、座ってたばこを吸っているわけにもいきませんので立ちますがね。これはただ単に訂正ですだけでは済まされぬと思うのですよ。委員長、どうですか。もしそういうことで、訂正ということでやるんだったら、質問してみても、いやあれは間違っていましたから訂正します、取り消します、何にもならぬですよ。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 わかりました。  そこで、では、あなたの持ち時間が終わったあとで、ひとつ理事会で御協議願い、政府の責任ある回答を求めることにいたしたいと思いますが、いかがでしょう。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 御異議がなければ、そういうことにお願いしたいと思います。  議事進行。小林君。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 大体、総理の真意は、私ども理解するにやぶさかではございません。しかし、この一国の総理が、参議院という公の場において、公式に、酒、たばこはその値上げを六カ月延ばすと言われたということは、これはそう簡単に修正に応ぜられる問題ではないと私は思うのであります。やはりもしその言葉なら、私どもがここに配付されている一切の予算書類というものは、これは根底から崩れるわけであります。これは五月から値上げをすることにできて、一切の書類ができ上がっているのであります。でありまするから、これはどうもちょっと普通の言い過ぎで、これを是正をするというような安直な問題ではいけないというふうに私は解釈するのですがね。しかし私は、いたずらにその問題で総理を追い込んだり——総理の真意はわかるのでございますから。ですけれども、いかに真意はわかろうとも、民主政治それ自体は形式なんであります。形が整っていくというのが民主政治の原則です。そういう意味において、真意がわかったから形がどうでもいいと言われたら、これは民主主義の根底が崩れる。その意味において、この問題の取り扱いはやはり慎重に考えなくちゃならぬと思います。  しかし、そのために時間を経過することも若干お気の毒でございますから、しばらくの間、委員長、このままの状態でちょっと休憩にして、この場でひとつ緊急の理事会を開いて、そこで仕上げをするようにしていただきたいと思います。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 小林君にお尋ねしますが、何分ぐらいで大体目鼻がつきますか。

小林進日本社会党

○小林(進)委員 それは委員長の真意と、政府のこれに対する具体的なお話が承れれば、三分か五分で、私は問題は解決すると思います。しかし、それによってはまた長引くこともありましょうけれども、そういうふうにひとつ御厄介を願いたいと思います。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 ちょっとお待ちください。ちょっとそのままで。  そこで、政府に承りますが、ここで理事会を開いて、その結果を出しましたら、責任ある御答弁がいただけますか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 答えます。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 では、小林君が二分、三分と言うたが、切り上げまして、五分間休憩をいたしまして、理事会を開きます。     午後四時四十八分休憩      ————◇—————     午後四時五十三分開議

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 それでは、休憩前に引き続きまして開会いたします。  総理より発言を求められておりますので、これを許します。三木内閣総理大臣。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 参議院においてただいま訂正の手続をとっております。重大な誤りでございますが、今後再びこのようなことのないように注意いたします。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 理事間での合意でもあるし、いま総理があのようにおっしゃったから、一応この場はおさめます。だが、これは保留いたします。  そこで、ついでにですが、政府は物価を三月には一五%に抑える、こう言っておられるが、これはもう、一つのごまかしだと思うのです。私は、ここに四十七年十一月からずっと今日までの卸売物価と全国消費者物価指数を調べたものを持っております。  そこで、まず、福田さんみずからが、当時の大蔵大臣が狂乱物価と言ったあの一昨年の十一月、十二月の例をとってみますと、十一月が前月比で一、十二月が前月比で三・六上がっておるわけです。そして去年の三月を見ました場合に、この指数では一四六、前月比で〇・七%、前年度同月で二五・八%という数字が出ております。そういたしますと、この三月の指数を前年すなわち去年と比べた場合に、一五%に抑えることは、その指数、すなわち去年の一四六・八という指数掛ける一・一五、そうしますと、この消費者指数の予定は一六八・八になるわけです。そうしますと、十一月は一六四だ。だから四・八の値上がりになっておる。こうして見た場合に、三月には、いま言ったように一四六・八掛ける一・一五で一六八・八になる。何もしなくても一五%になるわけなんです。それを、いかにも政府が努力しておさめる、こういうように言っておられるが、何もしなくてもその数字は出るわけですね、その指数から計算して。その点について、私は政府の誇大表示というか、宣伝が少し誇大だと思うのですが、その点どうですかね。これは何もしなくてもなるのですよ。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 三月の時点で、年間の上昇率一五%、こう言っておりますのは、これは決して誇大宣伝でも偽りでもないのです。大体その程度にはさせたいし、またなる見通しであるということをはっきり申し上げて差し支えないと思います。  そこで、誇大と言われますが、消費者物価は、昨年の十一月の時点で、十一月の前月比でいって〇・七です。それから十二月が〇・四でしょう。それからことしの一月になればどうなるか。私は、豪雪があった、あるいは瀬戸内海の油の問題があった、ああいうことで大変心配いたしましたが、そう大した影響もなく推移しているのです。ですから、最近の瞬間をとってみますれば、これはもう一昨々年以前のような状態にまで来ておるわけなんです。これはもう政府が大変な努力をした結果なんでありまして、決して黙っていてそういう数字になるわけじゃないわけです。あるいは公共事業を三月までは全部停止するとか、あるいは総需要抑制政策、いろいろな犠牲がありますけれども、それもやってのけるとか、あるいは個別の物資につきまして、きめの細かい需給価格の監視、誘導等をやってみますとか、いろいろやっているのです。その成果がそういうふうになってきておるので、これは大変なことなんです。高く評価のほどを切にお願い申し上げます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 いや、大変だと言うけれども、それは計算上そうなるのですよ。だから、別に私は、うそを言っていると言うわけではないが、いかにも努力をしておると言うが、そうしなくたって、そういうように必然になるようにちゃんと計算で出てきておるということだけ申し上げておく。それでよろしい。  そこで、ちょっとがたがたしたために、委員長に提案することを落としておったのですが、商社、銀行、それにもう一つ、私は生命保険会社あたりの社会的責任ということについて、まだまだたくさんの資料がありますが、そういうところを、私はどうせこれは理事会で相談になると思うのですが、やはりそういうようなことで——それぞれの企業も言い分があるだろうと思うのです。そういう意味でひとつ参考人として呼ぶ。証人とか参考人とか言ってけんかしません。参考人として呼ぶということを提案しておきますが、いかがでしょうか。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 理事会でよく相談いたします。私も個人的に言えば全く同感ですから、そういうような方向で、理事会で決定したいと思っております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 相当カットして次へ参りますが、公害の問題を少しやって、その結果を申し上げたい、こう思っておったのですが、公害の問題についてはもう皆さん十分御承知ですから、その結果についての私の考え方をひとつ申し上げてみたいと思います。  先ほど江田さんも若干触れておられたが、公害の問題に関連して、過失に対する刑事責任の追及というか、こういう問題で先ほど江田さんも言っておった。しかし私は、一歩進めて、御承知のように、次から次と各地において、タンクが沈下しておるとか、いろいろな事故を起こすであろう状態が報告せられておる。  そこで一つは、通産省に対して、コンビナートを初めそういったタンクの総点検を行う。と同時に、江田さんが言っておったように、これの窓口がどこかわからぬということですから、それをはっきりしてもらう。さらにタンクの不等沈下がすでにわかっておる。だのに、やったということ、報告しなかったということ、そこの認識の問題になりますが、事故が起こるということに対しての認識の上に立って、いや、起こればやむを得ぬ、起こるかもわからぬが、というような考え方であったとするならば、過失でなくて未必の故意だ、こういうような考え方も私は持っております。いま先輩の法務大臣と、四十年、五十年にわたる、いわゆる未必の故意についての論争をやろうとは思いませんが、どうですか、その不等沈下があるということで、これはまあ常識的にこんなものだ、こういうようなことを言っておるが、あるいは事故が起こるかもわからぬ、しかし起こってもやむを得ぬ、あるいは起こったら起こったときのことだ、こういうことであったとするならば、未必の故意ということも考えられるんじゃないですか。途中を飛ばしたから突然の言い方になったと思うのですが、あなたと、刑法の一番の論点である、いわゆる故意とは何ぞやということを論争しようとは思いません。だが、そういう考え方はどうでしょうかね。とっぴもない考え方だと思われますか、いかがですか。

稻葉修自由民主党法務大臣

○稻葉国務大臣 いままでは過失責任を追及してまいりましたが、タンク等の不等沈下の事実も非常に広範にわたり明確になってまいりました。今日の社会常識としては、企業者として十分にその対策を講じなければならない段階に来ていると思うのです。それにもかかわらず、その防止を放置しておった場合に、被害が起これば、未必の故意になり得る可能性も、今日の段階では十分あり得ると私は思うのでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 さすがは先輩、未必の故意についてあなたとあるいは論争になるのではないかと思っておったのですが、そういうようなお考えならば、もう次に参ります。  次に、私も瀬戸内の者として、瀬戸内海の問題について若干やはり触れておきたいと思います。  先ほど江田さんも大分触れられましたが、もうこれ以上汚染をすれば、ことに油を流せば、もう瀬戸内海は取り返しがつかぬことになります。水島のいわゆる三菱石油事件だけでもあれだ。それから後に二つタンカー事故があった。で、何も私は、船が大きいからということではないが、瀬戸内海には何らかのタンカーの運航についての規制が必要ではないか。たとえば一万トン以上はもう通さないとか、そうなるとむしろ小さいのがよけい往復するからというような意見もあるけれども、どうでしょう。これは運輸大臣になるのですかな、ひとつ検討をしてもらいたい。  もう一つは、赤潮の問題があります。これはいま訴訟になっております。したがって、これについてもいろいろと私、検討をいたしておりますが、省きますが、赤潮が訴訟になっておるということ等々も考え合わせて、なお、最近発足した公害補償法の関係等々と関連をして、これは環境庁になるのか、前の環境庁長官、副総理の現三木総理にひとつお伺いした方がいいんじゃないかと思うのですが、いかがですか、三木さん。

木村睦男自由民主党運輸大臣

○木村国務大臣 御質問の前段が私の所管になりますので、お答えいたします。  御承知のように、瀬戸内海沿岸には石油のコンビナートが相当あるわけでございまして、いま大型のタンカーが盛んに出入りしておるのが一つの大きな問題であることには間違いございませんが、ただ、お話のように、一万トン以下のタンカーといいますと、現状は、石油類を輸送しておる輸送力の中で、たかだか五%ないし六%の輸送力しかないわけでございます。したがって、いますぐそれをやるといいましても、コンビナートの方を移さぬ限りには、コンビナートの糧道を断つと同じようなことになりますので、現状は非常にむずかしいということでございます。  なお、お話にもございましたが、小さいタンカーに分けますと、今度は隻数が非常にふえまして、そこにまた問題もあろうかと思います。いま、将来の問題でございますが、たとえば瀬戸内海に入らないでパイプ輸送ができる方法があるかないか、あるいはシーバースを港とは別のところにつくって、極力そういう事故防止になるようにやるかとか、そういう問題をいま抱えて研究はいたしておりますけれども、現状はそういうことでございますことを御承知おき願いたいと思います。

小沢辰男自由民主党環境庁長官

○小沢国務大臣 瀬戸内海における赤潮の訴訟問題について若干お答えいたします。  私どもも訴訟が起こったことは承知いたしております。特に赤潮については、瀬戸内海等に非常に多発、長期化の傾向が見られますので、心配をいたしておるわけでございます。ただ、その赤潮の発生機構につきましては、海域の富栄養化が要因の一つとされておりますけれども、まだ、その原因の究明等につきまして非常に不明な点が多いわけでございます。特に燐と窒素の関係が問題だとされておるわけでございますので、これについてはいま必要な調査を鋭意実施いたしております。したがって問題は、この発生原因をよくつかみまして、それに対する適切な対策をとっていかなければいかぬ、こういうことで環境庁は真剣に取り組んでおる次第でございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 通産大臣、もういまさら確認しなくても、コンビナート等のタンクの総点検はやりますね。

福田一自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○福田(一)国務大臣 自治大臣としてちょっとお答えいたしますが、私の方は消防庁を担当しておりますので、消防がそういうようなことをすることになっておりまして、ことしの初めから、大体二月の半ばごろまでには全部総点検をやります。そうしてやって、非常に沈下のひどいものはちゃんと通牒を出しまして、直ちに油を抜いて、そして事故になるかならないかということをすぐ調べるようにという措置をとっております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 じゃ通産大臣、一言だけ。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 実は、いま重油タンクは消防庁が保安管理をすることになっておりまして、ガスタンクは通産省がやっておることになっております。そこで、ガスタンクにつきましては、全部これを改めて再点検するように指示をいたしました。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 これも提案ですが、この問題、ずっと積み上げていって、あなたにお願いしたいと思っておったのですが、もういまさら言わなくても十分おわかりですが、この関係も、ひとつ参考人を呼ぶとか、何か別に検討の必要があるんじゃないかと思いますので、提案しておきます。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 承知いたしました。理事会で前向きの検討をいたします。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 そこで総理、第一段の結論に入りたいと思うのですが、まだ各論が残っておるのです。もう時間もないのであれですが、この企業の社会的責任の結論として、私はこれからの近代的企業のあり方はどのようにすべきかということを総理から伺い、商法改正についての提案をしたかったのです。しかしそれは、一般質問なり、あるいは法務大臣との間にゆっくりと討論する機会を持ちたいと思いますので、商法改正に対する提案はもう省きます。これからの企業のあり方、社会的責任等を踏まえて、どのように総理として考え、どのように指導していこうと考えておられますか、お伺いいたします。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 先般もお答え申したように、企業は利潤追求というものに対する節度が要る。そしてできる限り低廉にして良質な物資を消費者に提供をする。これは第一番の原則であります。  一方において、いま公害問題をいろいろとお話しになったわけですが、環境の保全というものに対して企業の持っておる社会的責任はますます重くなってくる。したがって、これからは、いままでのような公害をたれ流すというようなことは絶対に許されるものではないわけですから、企業自身も、公害防止の技術というものに対して、設備投資に力を入れるぐらい公害防止の技術の開発ということに力を入れて、公害をなくして、そしてその企業がいろいろな他の方面で能率を上げて競争をするという、この競争力を持つかどうかということが企業の盛衰にこれからかかってくる。だから、公害防止の技術の開発を怠った企業であっては、今後は企業というものはなかなか発展をしていかないであろう。どういうふうにして公害をなくして企業活動ができるようにするかということに、企業は相当な力を入れなければ、今後の企業というものは、もう立地条件からしてむずかしくなるし、またその後の経営においても地域住民の協力は得られるわけではないし、また被害が起これば、チッソの例に見るがごとく、やはり長期にわたって経営というものが非常に不振になることはもう明らかでございますから、そういう点に対して——いままでない点です。いままで余りそういう問題に対する配慮が少なかったわけですが、これからは、企業として、その問題については非常に重要視せなければならぬ、こういうことだと思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 もっと議論がしたいのですが、公害だけおっしゃったけれども、私は最初言ったように、近代的企業の経営者のモラルは、まず社会に対してどう奉仕するか、あるいは利益を社会へどう還元するか、それが社会的不公正の是正の第一歩である、このように考えます。  これから各論に入りたいのですが、もう時間の関係で、まず社会的不公正の是正にはどのようなことがあるか、どうすべきかということを議論したかったのですが、時間も各論の方へ急ぎますので申し上げますが、私は、社会的不公正ということは、社会正義、これを担保するものはやはり結局は裁判である。だが、現代の裁判、これを批判することは、三権分立から言ってどうかと思いますが、下級審ではいい判決が出ても、上級審では変わるというようなことは、これはやはり古い頭の人が多いからということも言えるのですが、ともかくそういうように考えております。  そのことを前提として、次に税金と社会福祉ということが不公正是正の一つだと思うのですが、これも細かくは申しません。一口で言うならば、いわゆる持てるところから税ということで徴収し、これを社会的、経済的弱者救済のための福祉に使う、これが一つの柱であろうと考えております。そういうような点についてはいかがでしょう。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 社会的公正というものを維持するためには、強い者に対すると弱い者に対すると両面があることは明らかでございます。強い者に対しては、いま言ったような租税とか独禁法とかいうようなものが対策としてある、あるいは弱い者に対しては、いま言った社会保障などがあるわけですが、それは税は、一方において、まあ強い立場の人の方が租税の負担というものは多いわけでありますが、それを政府がその資源を弱い人のために配分をして、社会保障などを整備していくということは、国として、近代の政府として重要な任務である、それはそのように考えるものでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 まあ議論はありますが、総理、このごろ「ばば転がし」という言葉がはやっているのですが、御承知でしょうか。——だれか閣僚の中で承知しておられる方はおられますか。(「ばば抜き」と呼ぶ者あり)いや、ばば抜きは数年前の話。  じゃ申し上げましょう。それは結局は、いまこちらでも話があったが、数年前まではばば抜きと言われた。ところが、このごろ「ばば転がし」。ということは、ともかく子供が——おやじもそうだが、ばばと言うんだからお母さん。「じじ・ばば転がし」、これを一カ月なら一カ月、一週間なら一週間、子供が次々に回していこう、こういうことでやっておる言葉なんです。中には、若干調べたところがあるのですが、老人ホームへ預けてそのままほっておく、いわゆる現代のおば捨て山。そして面会にも来てやらなければ何もしない。死んだって遺骨も取りに来ない。そのくせ、若干の遺産があると、それは取り合いをする、こういう世相なんですね。ここに老人対策が必要である。具体的には一万二千円にしたとかどうとかいう問題ではない。真剣に考えるべき問題があると思うのですが、いかがでしょうか。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 「ばば転がし」という言葉をお教えいただきましたが、そういう例もあると思いますが、しかし、それが一般の風潮だとは私は思わない。やはり日本には、親を大切にしようという気持ちは、国民の常識の中に、今日においても生きていると考えますが、中にはそういう人もあるのでしょう。しかし一般は私はそうだとは思わない。いまでもやはり日本は、世界の中でも一番親を大事にする国の一つですよ。そういう点で、そういう例が多いとは思いませんが、しかし、一生懸命に若いときに働いて、老後の生活が不安であるということは、これは社会としては捨ておけないことである。社会全体という上から言ったら、老後の対策について、国民が全体として考えるということは非常に大事なことでございますから、今後とも、老後の不安なからしめるような対策は、政府の方としても強化をしていかなければならぬ、こう考えております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 預金の目減りの問題ですが、これはもう議論の段階は済んだと思うのです。そして政府においても、また銀行筋においてもいろいろ考えておられるようです。  そこで、私は提案したいのですが、一定の枠を定めて、特別預金制度というか、それを物価スライドにするとか、便宜一〇%にするとか、その限度はいろいろ党においても議論もございますが、党というのは各党間ですが、私は、現在のマル優程度はそういう特別な扱いをして目減りを補償する。これは実はインフレ政策をとった政府の政治的責任もあると思うのです。そのインフレ政策でもうけたのはだれかと言えば、八〇%まで借入金に頼っておる、しかもその中には、国民の金である財投等を原資とする各政府機関から借りておる企業もある。そういうのはどんどんインフレでもうかっておる。これも企業、ことに大企業優先の高度成長の結果であったと言えるのです。そういう議論はやめますが、ともかく目減りの問題についてどのように政府は考えておるのか。議論の段階ではない。と同時に、せっかく日銀総裁に来ていただいた、大体銀行筋においても何らか検討せられておるようですが、それをちょっとお伺いいたしておきます。  なおこれは、そうではないとおっしゃることはわかっておるのですが、どうも春闘ということを頭に置いて考えておられるような向きもあるのじゃなかろうかという感じもいたしますが、それはそれとして、いま考えておられる点、実行しようとしておられる点を、政府、それから日銀、これは銀行側の代表として、ひとつお伺いいたします。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 いわゆる預金目減り対策につきましては、政府・与党内におきましてもいろいろ論議がございますし、各党におかれましても、いろいろ御検討いただいておるところでございます。政府といたしましては、本来この種の問題に対する対処の仕方といたしましては、新たな目減りを起こすことのないように、インフレ対策を力強く推進してまいることが本筋でなければならぬと心得ておるわけでございまして、今後もその基本の姿勢を堅持してまいるつもりでございます。しかし、田中さんも御指摘のように、今日のような状況のもとにおきましての預金者の立場に対する配慮も、十分周到でなければならぬことは申すまでもないわけでございます。したがいまして、政府も、四十八年度から四十九年にかけまして、五回にわたりまして預金金利の引き上げということを、金融機関の配慮を得て実行いたしましたことは、御案内のとおりでございます。これによりまして、二分五厘程度の金利の引き上げになっておると思っておるわけでございます。しかし、これをもって足れりとしないわけでございまして、なお進める余地がないかという方途につきまして、いま政府部内でせっかく検討をいたしておるわけでございます。しかし、あなたがいま言われるように、一般的なマル優預金全体につきましてこの特別の金利を設けるというような大きな野心的な政策を行うだけの金融機関の力は、私はなかなか見込めないのではないかと思うのでございますが、限られた力の中で、どこまで、どういう方法で、どういう範囲においてこれが実行できるかということにつきまして、鋭意検討を進めておるわけでございまして、遠からず実行に移すべく努力をいたしておるところでございます。

森永貞一郎日本銀行総裁

○森永参考人 消費者物価の続騰によりまして、預金者の方々が大変不利な立場におられることはよくわかります。したがいまして、ただいま大蔵大臣の御答弁にもありましたように、数回にわたりまして金利を上げるというようなことも行われたわけでございますが、本来この目減り問題を金利だけで片づけることには、おのずから限界があると存じます。預金者、金利生活者、恩給生活者等々被害者がある反面、借り入れておる者には利得が生じておる。それらの問題を根本的にどう調整するかといったような問題、これは当面の金利だけの問題ではなかなか解決のつかない問題ではないかと存ずる次第でございます。  ただ、ただいま大蔵大臣のお話にもございましたが、限られた範囲の対象についてどうするがという問題がいま起こっておるわけでございます。問題は、社会保障と金融機関の負担、そういったような問題のボーダーラインみたいなところを縫って走っておるような問題になるわけでございますが、この問題につきましては、まだ具体的な大蔵省における検討の結果をわれわれ存じません。しかし、そういう方向で何か案がもしできるのでございますれば、金融機関といたしましても、負担し得る限度において協力することにはやぶさかではないのではないか。これは具体案ができておりませんので、まだ具体的に意見を聞いたわけではございませんが、各協会の責任者等の言明等によりましても、その辺は想像できるところでございます。私どもといたしましても、今後、具体案の検討と並行いたしまして、十分関係当局とも御相談をいたしてまいりたいと存じております。  なお、ただいまお示しのございました小口預金の問題でございますが、この問題につきましては、技術的にも名寄せ等いろいろむずかしい問題がございまするようでございますし、また、小口預金が主として中小金融機関あるいは農協等、大変大口に集中しておるというようなことを考えますと、果たしてその負担関係がどうなるかといったような問題もございまして、なかなか困難な問題をはらんでおるのではないかと存じます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 具体的な答弁をぼくはもらいたいと思っておったのですが、この問題は、後で専門家の政審会長の堀君がやりますので、そちらの方へ譲ります。  そこで、もう一つ取り上げたいのは、採用の内定者の取り消し、ここにも大企業というか、その横暴の姿がある。労働省は、労働基準法の立場から、その採用内定が雇用契約の成立とみなされるかどうか、こういうことを調べておられるようですが、そうなった場合は解雇権の乱用等々であります。いま、こういう点についてではなくて、これも議論がしたいんですが、私は、これは法制局長官の方がいいんじゃないかと思うんだが、提案をしたいのは、期待権についてです。  期待権とは、もう言うまでもなく、御承知のように、法律で決められた権利ではないとしても、一定の事実が発生すれば、たとえば卒業とか四月とかという、その意味では条件つきということになるのかもわかりませんが、した場合に法律的利益を受けることができる権利であるということは、すでに定着した概念だと思うのです。したがって、この行為は不法行為であり損害賠償の対象になる。と同時に、通告ということ自体は、この期待権から言って無効ではないか、こういうように考えておるのですが、期待権についてどうでしょうか。一般論としてひとつ。

吉國一郎内閣法制局長官

○吉國政府委員 一般的な概念といたしまして、採用の内定があったということによって、内定を受けた人が将来その企業に採用されるであろうという期待権を持つであろうということは、社会通念としては言えると思います。そのような期待権の侵害を生じたという場合に、それが不法行為になるかどうか。それは、その会社の通常の採用の形態がどういうふうに行われているか、内定の通知がどういう文言によって行われておるか、内定された者が正式な採用期日においてどういう形態において採用されているか、というような具体的な事案によって違ってくると思いますが、一般的に申せば、期待権の侵害というものが不法行為になり得る場合も十分にあり得るということだろうと思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 もう議論の時間がございませんから、次にいきます。  経済的な弱者救済の一つに、犯罪被害者及びその遺族に対する救済があります。このごろ、凶悪な犯罪というか、反社会的テロとか内ゲバ等々で、思いもよらぬ無関係の人が死に、あるいは大きなけがをし、あるいはそれで一生不具になる、こういうような事態が多い。その人が一家の主柱である場合は、遺族はもうほとんど生活権を失う。ある大学の先生の調査では、四分の三までが生活困窮者だというのです。それについて、いや、それは生活保護があるではないかとかなんとか言っておってはあれだと思うのです。この辺でひとつ被害者の救済を考えてはどうか。  実は、ここに私、そのことについて若干調べたものがあります。これは英米法系と大陸法系と二つのあれがあります。これについても聞きたいのですが、これは法務大臣がいいですかな、言うておきますから読んでおいてください。改めてやりますから。「ジュリスト」の一九七四年十一月十五日号の五十ページ、これが大陸法糸の諸国の先例です。それから同じ号の四十二ページ、その方が先ですが、これは英米法系の先例です。これを読んでいただいた後で、スウェーデンではどうだ、あるいはアメリカではどうだというように、ひとつ議論をいたしたい。これは一般質問か何かに残します。  しかし、ここで、これは法務大臣か総理、日本も何らかの救済的な法制度を考える時期ではないかということについて、一言だけ御答弁をお願いします。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 検討いたします。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 会社更生法というか、企業倒産の問題についてなお伺いたかったのですが、これは先ほどちょっと触れましたが、中小企業あるいは中堅企業、言うならばメーンバンクを持たない企業は、相当な規模のところまでが倒産しておる。その倒産の状況等について調べたのがあるのですが、ともかく史上最高です。東京リサーチですか、前の商工興信所。そのことは先ほど触れましたが、ともかく無担保の下請企業、そこに働く労働者、さらに金融引き締めのために社内預金がふえておる。ところが、これは労働省でお調べになった結果が新聞に出ておりましたが、労働基準法十八条にその関係があるわけですが、いわゆる強制貯金の禁止の条項から言って、労働者の委託がなければいけないということに違反したものが二九・一%ですか、あるいは基準というか管理がお粗末であった、預金の安全措置の点で十分でたかったのが五四・六%あります。これはもう伺いませんが、そういう問題とあわせて一番問題は、やはりそこに働いておる中高年齢層の労働者及び下請企業、これの救済が必要である。同時に、会社更生法百十九条に規定はございますが、社内預金の保護等について、もう簡単でよろしい、ひとつ労働、通産両相から、これは下請代金の問題とかいろんな問題が出てきますが、しかしもう時間もございませんので、その点について簡単にひとつ決意だけを伺います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 お答えします。  昨年の十二月の二十五日に御通過いただいた雇用保険法で、中小企業、そういう方々が休業された場合の三分の二の補償をしているということによって、一応の手当てもしております。  それから社内預金の方は、これは労使で協約して大変入っておりますが、こういう不況のときに、もし社内預金が不正なことに使われてはかないませんから、労働基準局を通じて再三検討しておりますが、いまのところ、社内預金を払えないというふうな情勢であるところは一つもありません。仮に会社更生法の場合には、これが最優先する債権である、こういうふうな解釈をとっておりますから、御理解をいただきます。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 先ほどお話しのように、ここ二、三カ月の倒産は毎月千二百件ばかりに達しておりまして、これは史上最高の水準でございます。そこで、通産省の立場から申しますと、とにかく中小企業に金融面、それから仕事の面でできるだけあっせんをいたしまして、倒産を防いでいくということに全力を尽くしたい、かように考えております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 もう最後に、これは提案というか問題の提起だけをいたしておきます。  もうすでに議運等でも問題になっており、予算の理事会でも検討することになっておりますが、国会法第二条には、「常会は、毎年十二月中に召集するのを常例とする。」財政法二十七条には、「内閣は、毎会計年度の予算を、前年度の十二月中に、国会に提出するのを常例とする。」まあ、常例という言葉は例外もあるということですが、近年では、これがもう常例ではなしに、一月に出すということが常になっておる。国会の方の召集は十二月にしておるが、そのことは、実は予算のことについて質問したくても時間がないということもあるし、第一、いわゆる再開と言われておる日の前日なりその辺で出してくるとか、資料がその日に来るとかいったようなことでは、これはどうにもならぬですよ。これは私は、やはり国会、立法府と行政府との関係であり、言いかえるならば、国会軽視ということがありますが、まさにそのとおりであります。それは事務の都合とかなんとかということであるならば、できなければできるように財政法を変えるべきです。初めから守ることができないような条文を置いておくことがおかしいんです。  このことについては、いずれ本格的な論争をいたしたいと思っております。したがって、総理、できないことなら、法を改正したり、国会軽視という問題、立法府と行政府との関係等々について、私はあなたと、いわゆる対話の三木さんと、ひとつやってみたいという気持ちをいま十分持っておりますが、きょうは時間の関係等もありますので、問題の提起だけに終わりますが、研究してください。いかがです。

三木武夫自由民主党内閣総理大臣

○三木内閣総理大臣 決して国会を軽視しておるものではないので、政府はできるだけ予算案を早く国会に提出したいと思っておるんですが、十二月中の提出ができないことは残念でございますが、今後できる限り早く国会に提出するようにいたします。  財政法二十七条の改正については、国会法二条との関連もございまして、これは十分に検討をさせていただきたいと思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 じゃ、これでおきます。しかし、これだけ用意しておっても、あっという間に二時間過ぎました。これは、もっとこれから審議の時間を十分に与えていただくような方法を考えてもらいたいことを提案しておいて終わります。ありがとうございます。

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 ちょうど時間となりました。  これにて田中君の質疑は終了いたしました。      ————◇—————

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。  明三十一日、日本銀行総裁及び副総裁、並びに、二月一日、日本銀行総裁、全国銀行協会会長、全国相互銀行協会会長、全国信用金庫協会会長及び全国信用組合中央協会会長の出頭を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒舩清十郎自由民主党

○荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次回は、明三十一日午前十時より開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十八分散会

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