法務委員会 第23号
- 発言数
- 217 件
- 登壇者
- 28 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1975/06/04
会議録
○小宮山委員長 これより会議を開きます。 法務行政及び検察行政に関する件並びに裁判所の司法行政に関する件について調査を進めます。 お諮りいたします。 本日、最高裁判所田宮総務局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
○小宮山委員長 御異議なしと認めます。て、さよう決しました。 —————————————
○小宮山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。
○稲葉(誠)委員 時間の関係で、大臣に要点だけお尋ねをしていきたいと思います。 一つは、四十八年四月に最高裁で、例の尊属殺ですね、刑法二百条、この関係で違憲の判決が出たわけですが、これが刑法の一部改正という形で政府側から本当は早急に出さなければならないのだと思うのですが、出てこないわけですね。これはどういうわけなんでしょうか。その後の経過をひとつ御説明願いたいと思うわけです。
○稻葉国務大臣 経過の御質問でございますから、経過を申し上げます。 これは四十八年四月の判決でありますから私の就任以前ではありますけれども、法務省としては、尊属殺人事件の実態などを総合的に検討した結果、同条の規定を削除し、あわせて尊属傷害致死、尊属遺棄及び尊属逮捕監禁に関する諸規定をも削除することが適当であると考え、刑法の一部を改正する法律案を準備したのでありますが、この問題につきましては親子関係をめぐる道徳観が背景にあり、これらの規定を削除することによって、親に対する尊重、報恩の倫理を低下させるおそれが生ずるという意見があり、かつ判決の中でも、親に対する尊重報恩の倫理は法上の保護に値するものと言っておりますので、この判決の趣旨を生かすにはどうしたらよいか、なお検討の必要があるということで今日まで至っております。 〔委員長退席、田中(覚)委員長代理着席〕 しかし、刑法二百条が違憲、無効であるという最高裁の判決をいつまでも放置するわけにはまいりませんので、できるだけ速やかに適正な措置を図りたいと、早急に目下検討中であります。 以上が経過でございます。
○稲葉(誠)委員 そこで、判決の趣旨を生かすというのは、削除するというのが判決の趣旨を生かすという意味なんですか、別のことをまた考えておられるということなんですか。ちょっといまお聞きをしておってわからなかったのですが……。
○稻葉国務大臣 判決の読み方に関連しまして、親子の間の倫理、道徳観は法上の保護にも値するということを二カ所ばかり述べておられるものですから、しかし死刑、無期と、この重い刑二つだけで、有期懲役のことが下限にないものですからね。それでまあ執行猶予をつけられる程度のことに下げた、しかし一般殺よりは上げた、そういう下限を設けることが判決の趣旨に合うのか合わないのかという点についての議論が相当分かれるところでございますので、今日までその調整に時間をとりましたというのが経過のように私は思っております。
○稲葉(誠)委員 そこで、下限を五年にするとか何年にするとか、そういう考え方はあなたとしてはとるのですか。とらないからこそ全面削除のあれに賛成されたわけでしょう。そういうわけでしょう。
○稻葉国務大臣 立法政策といたしまして、最高裁の四十八年の判決を、たとえば下限五年ということを加えて、死刑、無期または五年以上の懲役に処す、尊属殺の場合は、そういうようなことをやった場合に、それが、親子の倫理観念は法上の保護に値すると二カ所も述べている判決の趣旨にその方が適合するのか、それとも二百条を単純に削除するというのが一番適合するのかという点について、法務省としては二百条を削除して、そんな下限を五年以上にするということはやらない。ところがそうでないあれもありますものですから、それの調整に苦慮して今日まで延引したことは私としては遺憾だとは思っているのです。
○稲葉(誠)委員 五年以上の刑にするというような形にした場合、そうするとやはりあれでしょう、普通の人の場合と取り扱いが変わってきているわけですね。だからそこで憲法十四条との関係で、法の前の平等から見てやはり憲法違反だという考え方が出てくるんじゃないか、こう思うわけですね。そういう考え方を法務省としてはとったからこそ、二百条全面削除の考え方になったのではないのですか。これが一つ。 それから、法務省、法務省と言うけれども、あなた自身はどういうふうに考えておられるのか。法務省の考えに全面的に賛成なんだ、こういうわけなんでしょうか。
○稻葉国務大臣 私自身は、全面削除というのはどういう意味か知りませんけれども、二百条は削除した方がいい、下限を五年以上なんてすることにしない方がいい、こういう考えです。それは理由がほかにもありますけれども、その理由を述べません。
○稲葉(誠)委員 そこで、あした何か重要な会議がある前にあんまり聞いちゃ悪いからぼくもあれしていますが、下限を五年以上にするというのかな、それに賛成しない理由、法務省としてそれがどこにあるかということです。法務大臣としてちょっとお答えにくい立場なら政府側でもいいですよ。
○鈴木説明員 ただいま御指摘の点につきましては、最高裁判所の判決による限りは、五年以上にしても、死刑、無期または五年以上の懲役というように刑を変えて尊属殺の規定を存置しても憲法には違反しない。しかしながら、現在の尊属殺の実情とか、これに対する裁判所の量刑の実際等から見ますと、尊属殺について立法政策的に見ますと特別の規定を残しておく必要はない、むしろ残さない方が適当である、こういう考え方であったわけでございます。
○稲葉(誠)委員 そうすると大臣、尊属殺の規定がなくなると、日本の純風美俗に背くとか、親殺しという観念がなくなるとか、ちょっとはっきりしませんけれども、そういうふうないろいろ考え方があるわけですよね。あなたとしては、二百条、尊属殺を削除しても、日本の古来の純風美俗だとかあるいは倫理観念ということには反しない、こういうふうにお考えなんでしょうか。
○稻葉国務大臣 いずれ最近、そういう点についての私の倫理観や刑法観、法律観を申し上げたいと思うのですけれども、本日のところはひとついかがでしょうか、そういうふうに……。 私は、いまの鈴木審議官が言いましたような大体の気持ちでおります。一つだけ言えば、昔といまの社会倫理観では、昔は親の方に非常に重点を置かれておった。現在の社会ではやはり子供も同じパッケージで、親を敬い子を慈しむ、これがワンパッケージでいくべきもので、そっちの片っ方だけをパッケージから取り出して重刑というのが私の倫理観を満足させない、そういう点があるわけです。それだけをちょっと申し上げておきます。
○稲葉(誠)委員 あなたのお書きになった憲法改正大綱草案というのがありますが、この中に「家庭は祖先から受けて子孫に伝承すべき人間の生命を育てる礎石であり、また社会の基底であることにかんがみ、国は家庭を保護することを規定する。」こういうふうにあるわけですね。そうすると、「国は家庭を保護することを規定する。」ということの内容はよくわからないのですが、そういう意味から言うと、家庭の中心は親だということなんだから、親殺しというものも重く処罰するのはあたりまえ——いやいや、よく聞いてくださいよ。あたりまえなんだというのがどうもあなたのお考えのように、素直に考えると聞けるわけなんですよ。文部大臣のときはそういうお考えだったというようなことが何かどこかに出ていましたけれども、文部大臣のときには何か、日本の純風美俗からいって親殺しというものを重く処罰するのはあたりまえなんだ、そうでなければ、何というのかな、示しがつかないと言うと言葉は悪いけれども、そういうような意味に言われたということがちょっと出ておったのですがね。この「国は家庭を保護することを規定する。」ということはどういう意味なのかということと、それからいま言ったように、その中心としての親を殺傷したり何かしたときに重く、処罰するのは当然なんだというところに結びつくのですか。そこがよくわからないものですから。
○稻葉国務大臣 その自由民主党憲法調査会の憲法改正大綱草案のその部分は、決して旧家族制度の復活、つまり戸主権中心のそういうことを意図しているものではなくて、人権宣言のような、家庭は社会構成の基本単位であるから、国はそのファミリーの——単に親というだけでなく、子供を虐待したりすることも家庭の破壊になりますから、そういう意味に理解していただきたいのであります。 それから、私どもは古いかもしれませんけれども、親子は一世、夫婦は二世、主従三世、こういうようなことになりますから、親殺しと同時に子殺しもいけない、一般殺よりは。それから夫婦間の殺し合いというものも話にならない。それから師匠殺し、まな弟子殺しなんかも、よく大学なんかで近ごろ見えますけれども、まな弟子殺し、こういうふうなものも非常に社会的な倫理的な批判を受くべきものではないか、こんなふうに考えるわけです。したがって、親殺しだけを特に抜き出すという行き方は私の倫理感には満足を与えるものではない、こういう意味です。
○稲葉(誠)委員 結論的にお聞きしますと、そうするといまの刑法の一部改正——実はこの前の国会に私どもの方でもいまの法務省の案と全く同じ案を提出したわけなんですがね。むしろ質問をしないでも採決をしてもらいたかったのですが、採決を待ってくれ、待ってくれと言われるものだから——これはちょっと珍しいのですよ、逆な立場みたいなんですが、採決を待ってくれ、待ってくれと言われるから、まあこちらもいろいろ考えて採決まであれしなかったのですが。そうするといまの関係の刑法の一部改正はいつごろ目安が大体つくのでしょうか。早急につけなければいけないわけですね、最高裁の判決からいっても。いつごろ目安がつくのでしょうか。
○稻葉国務大臣 これはなかなかむずかしい質問でございまして、それらの合意を早く得たい、早急に得たいというのであります。私は、最高裁の判決にも従わないような状態が二年も続くということはそれこそ最高裁判所に与えられた憲法上の権限を軽視するということで、ただでさえもおまえは憲法軽視じゃないかなんて言われていることでありますから、そういう点で放置されておることが非常に不満なんですから、早急にひとつ御審議を願うような法案を提出したいと思っておりますから、そういう点でひとつ。……一月先かというような御返事はいましかねます。
○稲葉(誠)委員 そこで締めくくりの質問になるわけですが、早急にということで、それは一月とか二月とか、そんなあれするわけじゃないのですが、そこで早急にそれがあなたの力でまとめられなかったら、そのときにはあなたとしてはどういうふうな責任をおとりになるわけでございましょうか。締めくくりとしてはちょっとあれですけれども。
○稻葉国務大臣 私の力でと先生おっしゃいますけれども、私は余り力ありませんから、どの程度に早くまとめていけるか、いまここでお約束申し上げるわけにはまいりませんが、責任は重大だと思っております。就任のときからこれが一番の気にかかっておった問題なんです。———————こっちの方が気にかかっておった問題なんです。それですから、今日までなかなかそこのところがいろいろな事件があって、こういうことにもう少し対話ができなかったことを残念に思っているくらいですから、いい御質問をいただきまして、一生懸命に御意向に沿うよう努力する、これでひとつ御了察願いたいと思います。
○稲葉(誠)委員 いまの言葉の中に——————という言葉があるけれども、これもちょっと余り感心した言葉じゃないですね。いかにも——を軽視したのが出てきたような言葉で、これは後の答弁のときに取り消した方がいいんじゃないでしょうか。 そこで、問題はもう一つ、憲法の二十五条なりあるいは十三条あたりから出てくるのですけれども、たとえば千葉の公害防止の仮処分申請ですか、あるいはその他のところで環境権という言葉が出てくるわけでしょう。これに対して、これは率直に言うとなかなかむずかしい言葉ですね、新しい考え方だが、法務省当局としては実定法上の権利として考えておるのか、あるいは実定法上の権利に近づく一つの萌芽というかそういう意味でとらえておるのか、あるいは全然これは法律上の権利としては問題にならないというふうに考えておられるのか。たとえば広島高裁の屎尿処理のやつ、ありますね。あれなんかを見ると、あれもはっきりしていませんけれども、全体としての環境権というものを認めたようにもとれる。認めたと言うとちょっとあれかもわかりませんがね。それから大阪空港のあれを見ると人格権というもの、これは当事者の主張をそのままとった形で出てきているのかもわかりませんが、人格権という言葉を裏づけたようなところも出てまいるということですね。それで環境権に限って先にお尋ねをしたいのですが、それは法務省としてはどういうふうにお考えなんでしょうか。
○稻葉国務大臣 先ほどの———————という点をひとつ取り消させていただきます。 ただいまの環境権のことにつきましてのお尋ねに対し、私まだ明確に、環境権とはこういう権利であるなどということを、研究不十分で、ずばりお答えできませんが、日照権なども一つの環境権で、これはやや裁判上も定着しつつあるように思いますが、そうでなくて、一般の風致地区に住んでいる人が、風致区域をその担当地方公共団体で解除するとかいう場合に、これは一つの環境権だ、風致地区を解除してはいかぬ、こういう権利としての保護が与えられておれば、やはりそういうのも環境権の主張になってくるように思いますが、専門の担当官からお答えさせていただきます。
○貞家政府委員 環境権、人格権という問題は非常にむずかしい問題でございまして、まだ論者によっていろいろ説くところがさまざまでございまして、法律上確定した観念であるというふうにはまだ至ってないのではないかと考えるわけでございます。ただ、一般に人格権といわれておりますのは、生活上の諸利益というようなものを言いかえた表現として用いられているようにも考えるわけでございまして、こうした生活上の利益が被侵害利益として法的保護を受けるということは、これは確かにあり得ると思います。また環境権というものがこれらの人格権以上に範囲が漠としておりまして、いろいろ訴訟等におきましては当事者からそういう名前で主張されることがございますけれども、私の知る限りにおきまして、まだ裁判例ではっきりこれは環境権の侵害であるから不法行為責任が発生するとかあるいは差しとめを認めるというような例は出てないように私は考えるのでございまして、これはいわば言葉の問題でございまして、人格権といい、環境権といい、それぞれの背後に被侵害利益というものを持っているわけでございますから、私は必ずしもこういった言葉によりませんでも、保護されるべきものは保護されており、その範囲を逸脱しているものはやはり現行実定法秩序のもとにおきましては保護を受けることができないということでございまして、個々のケースに応じまして果たしていかなる利益が侵害されているかということをきめ細かに検討する以外に道はないのではないか。うまり、環境権あるいは人格権という言葉を先行させまして、アプリオリと申しますか、演繹的にその効果を導き出すという方法ではありませんで、個々のケースに応じまして、たとえば受忍限度がどうであるとか利益の考量をしていくとか、そういったことによって権利の救済が図られるべきではないか、かように考えているわけでございます。
○稲葉(誠)委員 そこで、憲法二十九条で財産権の尊重がうたわれているわけですね。それと二十五条との関係で、一体どちらが原理的に優越するのかということですね。もちろん資本主義社会を規定するのは二十九条かもわかりませんけれども、それ以上にわれわれの生活というか、文化的生活環境、そういうふうなものを規定してある二十五条の方が優先するんだという考え方を近ごろの学者はとっている人が多いように思うのですが、この点については法務省としてはどういうふうな考え方をとっておるわけですか。
○貞家政府委員 憲法二十五条と二十九条の比較、これまた非常にむずかしい問題だと思います。ただ、二十五条、あるいは憲法十三条も同じでございますけれども、こういった規定は国家の国民一般に対する責務を定めた規定でありまして、その趣旨は、国の施策といたしまして立法、行政の上で忠実に反映されなければならないということを言っておるのでございます。したがいまして、それだけから、この規定自体から直接に個々の国民について何らかの具体的な請求権を認めているものではない、こういう結論は判例、通説が述べているところでございます。 ところで、それに対立いたしますところの人格権あるいは環境権と言われるところのもの、これも考えようによりましては、従来の民法理論から申しますといわば物権的請求権そのものないしは類推というようにも考えられるわけでございます。また、そういった限度のものが主張される場合が往々にしてあるわけでございまして、そういったものについて考えますと、環境権と財産権の対立というふうにとらえるべきかどうか。あるいは見方によりましては財産権同士の対立というふうに考えることも可能でございますし、これは環境権が常に憲法二十五条の趣旨から憲法二十九条の財産権に優先するとか、あるいはその逆であるというような単純な論法ではやはりまいらないのではないか。それぞれ個々のケースに応じまして考えていくよりほかに仕方がないのではないかというのが私どもの結論でございます。
○稲葉(誠)委員 いま日照権という言葉が出て、日照権自身も権利としてだんだん確定してきていますね。これは、日照権というものを規定した条文はどこかにあるのですか。どこから日照権というのは出てくるのですか。
○貞家政府委員 日照権につきまして、はっきり私法上の権利として規定しておるものはございません。建築基準法その他におきまして、行政法規におきまして一定の規制を加えるという例はございますけれども、これが即日照権を認めた規定であるというふうには考えられないわけでございまして、これもやはり最高裁の判例が言っておりますように、日照、通風というふうなことは快適で健康な生活に必要な生活利益であるから法的な保護の対象になり得る、こういう表現で最高裁は判示をしているわけでございまして、昭和四十七年六月二十七日の裁判例でございますけれども、これは加害者が自己の所有権を乱用した、つまり社会観念上妥当な権利行使の範囲を逸脱して不法行為の責任を生ぜしめた一種の権利の乱用だというふうに言っておりまして、これはきわめて注意深く表現をしているわけでございますが、生活利益を侵害された場合には法的な保護の対象にならないわけではない、場合によっては保護の対象になって、加害者は不法行為の責任を負わなければならないというような言い方をしておりまして、これがいかなる権利の侵害であり、あるいはさらに進んで妨害排除の請求が許されるかどうかという点については注意深く、沈黙していると申しますか、いろいろ学者の論評はございますけれども、最高裁は以上申しましたような限度でこれを認めているというふうに了解しているわけでございます。
○稲葉(誠)委員 そこで、日照権の場合はいま大臣が言われたように非常に固定的にだんだん固まってきているのですね。そうすると、環境権というのはそこまで行っていないということも言えるかとも思うのです。だから私が言うのは、法務省としては、環境権という言葉というか、その内容というか、そういうふうなものをいまの実定法上のそのものとしては認められないとしても、全体として日照権がある程度固定して認められるような状況になってきているというふうに、準ずるというか、そういう方向で環境権というものを認め、あるいは尊重する方向に行きたいというふうに考えておるのか、あるいは、環境権なんてそんなものは実定法上の権利じゃないからだめなんだ、そんなことを言うのはおかしいんだ、そういうふうに考えておるのか、どちらなんでしょうかということです。これは大臣の方がいいですよ。
○稻葉国務大臣 稲葉さんも挙げられました憲法十三条などに生命、自由、幸福追求の権利、こうある。幸福とは何ぞやということになるといろいろむずかしいでしょうけれども、結局健康ということが一番人間としては幸福なんじゃないか。健康のもとはいい水、いい空気、さんざんだる太陽、こういうふうなことになりますので、そういう意味でいまの日照権の問題が出てきたり、それから河川法で、川へごみを捨てたのは処罰する、これは裏から、いい水を保存するという環境権をあれしていると思うのですね。それから水質汚濁防止法とか大気汚染防止法とか、こういう法律はやはりこの十三条に関係をしているのだ、そういう学説がありますが、私はそういう説に非常に傾聴します。そういう意味で、やはり環境権というものは、その一部の日照権と同じように進めて、なるべく社会に定着するようにしていく方向をとるべきものだ。法秩序の維持、人権の擁護ということを職務とする法務省はそういう方向をとるべきものだと考えております。
○稲葉(誠)委員 別のことですけれども、この前の閣議の中で、南ベトナムから来ている大使館員の人あるいは留学生の人たちについて、ああいう状態に変わりまして、それについての保護というか、何かそういうことについてのお話があったときに、法務大臣としてもその席でいろいろあなたのお考えを述べられたということがちょっと出ておったのですが、そこら辺のところは具体的にどういうことなのか、ちょっとお尋ねをしたいと思うわけであります。
○稻葉国務大臣 ベトナムの場合、ああいう急激なる変化に基づきまして、大使館の人もさることながら、主としては留学生、その留学生が、政変前の政府からの国費留学生、それから政変はあったけれどもすでに昨年契約をしてことし来ることを契約してしまっている者もあるのですね。政府がかわったからといって、その政府との契約と同時に日本としては来ようとする学生に対しても契約しているんじゃなかろうか。したがってこれは受け入れるべきであろうというような気持ちで、文部大臣もそういう気持ちでおるし、それはいいんじゃないか。一般的に言って留学生の人道上の権利が損われるようなことにはしたくない。その点について新政府とこれから交渉をするのは外務省ですから、外務省、文部省、法務省、それからそれらの保護について、仕送りがなくなってしまった私費留学生などにつきましてはどういうことをして勉学を続けさせる方法をとるのかについては金が要りますから大蔵省、こういうところで、相当高い事務レベルの段階で対処していこうということにいたしておる次第であります。
○稲葉(誠)委員 その際、一部伝えられたところでは、亡命の問題とか帰化の問題についても何かあなたが発言をされたように一部出ておったのですが、そこら辺のところはどういうことなんでしょうか。
○稻葉国務大臣 私のところに届いている帰化の件がたった一件あるのです。それは旧政府の外交官でございまして、その人は日本人を細君にしておる。正式な申請は出ておりませんけれども、陳情がありました。それは日本人の奥さんですが、いまは日本の国籍はないんですよ、向こうの国籍になっている。その人から夫婦で帰化したいという陳情があったんですよ。その帰化の条件には法律上の要件がありますから、遺憾ながらそれには該当しない。どうしたらいいか苦慮しているわけですけれども、これらの問題もやはり人道上の問題として、滞在権については弾力的な考えで臨まなければいかぬじゃないかというふうに、事務当局によく調べておいてくれ、こう言っております。
○稲葉(誠)委員 いろいろ微妙な情勢下の事件ですから、それは余りお聞きをいたしません。 最後の問題は、いわゆるサラリーマン金融といいますか、そうした問題の法律的な構成あるいは今後の対策等についてお聞きをしたい、こう思うのです。 第一の質問は、利息制限法、これに関連して最高裁で二つの判例が出たわけですね。これは内容はわかっていますけれども、それと、何か出資等の法律がありますね、あの五条で最高額は決まっているわけですね。きょうの新聞なんかを見てみましても、法定利子が日歩三十銭と書いてあるんですね。しかしそれは、法定利子は日歩三十銭じゃないんで、それ以上取ると処罰されるというだけの話だと思うのですが、そこら辺がみんなごたごたになって、三十銭までは当然法律的に取れるのだというふうにみんな考えておるのじゃないかと思うので、そこでまず利息制限法の二つの判例と、それから出資等の法律の五条との関係ですね。これは法務省がいいのかな、法務省から説明していただいた方がいいのだと思うのですが……。
○根岸説明員 お答え申し上げます。 私、利息制限法の方は余り専門ではございませんけれども、いま御指摘のように最高裁判所の判例が三十九年と四十三年に出ておりまして、要するに、その判例によりますと、債務者が利息制限法所定の利息を超える利息等を任意に払った場合には、その制限を超える部分は民法四百九十一条によって残存元本に充当されるものと解すべきであるというのが三十九年の判例でございまして、四十三年の判例は、さらに、法定の制限を超えて任意に利息等の支払いを継続した場合に、その超えた部分は元本に充当するというふうに計算した上、完済になって後にさらに払い続けたような場合には、結局債務がないのに払ったことになるから、それは利息制限法の法条の適用はなくて、むしろもう不当利得の返還請求ができるのだというふうにしまして、従来の任意に払った分はもう取り返せないというような判例といいますか、法律の解釈をさらに広めて、債務者保護に徹したわけでございます。 ところで、出資法の五条の規定は、後でお尋ねになればどういう経緯でこれが制定されたかということは申し上げるつもりでおりますけれども、いわば日歩三十銭を超えたものについては懲役あるいは罰金の刑罰で臨むということになっておりまして、利息制限法の定める制限額と、罰則をかける出資法五条の利息の額とにはギャップがあるわけです。つまり、利息制限法違反の利息を取ったからといって直ちに刑罰になるわけではない、こういうふうにギャップがあるわけでございまして、このギャップはそれでいいのかという問題が次に生じてくるわけでありまして、恐らく先生はそこをお聞きになられると思うのでございますが、このギャップがあるのはそれなりの経緯はあるようでございますので、さらに経緯についてお尋ねがあればそれを次に申し上げたいと思っております。
○稲葉(誠)委員 そこで、いま届け出制になっているわけでしょう。これはどこに聞いたらいいのか、大蔵省に聞いたらいいのか警察に聞いたらいいのか、大蔵省と警察とでどっちが主管なのかよくわからないのですが、届け出制になっておる理由、これがまず一つです。ところが、新聞あるいは看板を見ると、何とか公認だとか認可とかというふうに書いてあるのが多いのじゃないか、こう思うのですが、届け出制になっている理由ですね。そのことのために非常に弊害が大きいわけですね。届け出だけだから保証金も何もないし、ただ届け出ればいいわけでしょう。事件を起こした人でもやれるし、それから暴力団でも何でもみんなやれるというわけですね。そこら辺のところを今後どういうふうにするのか。届け出制は非常に弊害があるということから、許可あるいは免許というのか、そういう形に改めるべきだという声が相当あちこちに起きておるわけですね。ここら辺に対して、これは大蔵省の管轄なのか公安委員会の管轄なのかよくわからない。臨時行政調査会かなんかでは、これは公安委員会が扱うのが筋だというようなことを言っているようですね。警察はそれでは困るとかなんとか言っているらしいのですが、いれにいたしましても届け出制を許可あるいは免許という形に改めるという考え方があるのかないのか、どういう理由からそういうふうな議論が出てくるのか、こういう点についてお尋ねしたい、こう思うのです。
○吉野説明員 ま、現在届け出制になっております理由でございますが、御承知のように、現在の届け出制を定めましたいわゆる出資法でございますが、出資法は二十九年にたしか制定されたものでございます。経緯を申し上げますとおわかりいただけるかと思いますので申し上げますが、それ以前は実は貸金業等の取締に関する法律というのがございました。この法律におきましても届け出制がとられておったわけでございます。ただ、同じ届け出制でございましても、その貸金業法時代の届け出制と申しますのは、たとえば、届け出がございましてもそれに対して受理書を交付する、あるいはまたその受理書の交付がなければ開業ができないといったような届け出でございますし、それからまた、届け出制と同時にいわゆるいろいろな監督規定がございました。たとえば各貸金業者から業務のやり方、方法書を御提出いただいてチェックをするとか、あるいはまた金融機関とほぼ同じような検査規定もございまして、必要があれば強制的な権限をもちまして検査が可能であるというような規定になっておったわけでございます。ところが当時、そういういわばかなり監督権能を背後にいたしました届け出制がむしろ弊害が多いのではないかというような実態があったようでございます。と申しますのは、先生ただいま御指摘になりましたように、監督を一応法律上するたてまえになっていたわけでございますが、実際問題といたしまして、いろいろ行政能力に制約があるというようなこともございまして、その監督規定が実際問題としまして実効を上げていなかった。そして、たてまえ上監督下にあるということで、大蔵省公認の業者であるというような宣伝のされ方といいますか、社会的な通用の仕方が行われるようになりまして、かえって弊害が非常に多くなってきたということで、この出資法を制定いたしまして、監督規定は一切廃止をして、むしろきわめて簡易な届け出で足りるというふうに直ったと私ども承知をいたしております。そういう経緯でございますので、確かに、先生おっしゃいますように、現在の届け出制が決して一〇〇%理想的な法律上の仕組みとは私ども思っておりませんけれども、貸金業者が十万人を超えるというような現状と、大蔵省——現在は政令で都道府県知事に委任しているわけでございますが、地方公共団体の行政実務の能力の限界といったものを考えますと、やはり現在のところは簡易な届け出制によって行政運営に当たっていかざるを得ないと考えておる次第でございます。
○稲葉(誠)委員 現在の段階では届け出制だということだから、それに対して、高金利やなんかで刑罰に触れて処罰されたりする場合がありますね、あっても、刑罰は別ですが、制裁規定、営業の取り消しも何もできないわけですか。それはあたりまえかもわからぬけれども、それから暴力団でも何でもみんなできるわけですか。
○吉野説明員 先生御指摘のように、現在の法律のもとにおきましては免許制ではございませんので、たとえば免許を取り消すといったような規定ももちろんないわけでございます。ですから、高金利、第五条違反ということがございますれば、それはあくまで刑事上の問題として処理されるということでございまして、そのことで直ちに届け出を取り消すというようなこともございませんので、届け出を受理されたままの状態が続くということになろうかと思います。
○稲葉(誠)委員 これは、臨時行政調査会か何かでこの事務の所管を公安委員会に移せという話があったのですか。それに対して警察の方では、自分の方じゃない、大蔵省だと言ってやっているのですが、その間の経過はどういうことなんですか。
○吉野説明員 先生ただいま御指摘になりましたとおり、三十九年九月でございますが、臨時行政調査会が貸金業の届け出制の問題につきまして意見をお出しになっておられます。結論的に申しますと、現在の届け出制の運営の実態からいって、取り締まりの便宜というような観点から、大蔵省が所管するよりもむしろ国家公安委員会が所管した方がベターではないかというような意見が出されておることは事実でございます。
○稲葉(誠)委員 警察の方はどういう考え方を持っておるのですか。そういう意見が出されているけれども、陣容からいってもとてもやれないことだからそれは勘弁してくれ、やはり大蔵省でやってくれというようなことを言っているらしいですね。その点について警察の方はどういう考えなんですか。 それから、貸金業関係の実態といいますか、犯罪関係はどういうふうになっているのか。簡単でいいから説明していただきたいと思うのです。
○荒木政府委員 第一の、臨時行政調査会の答申についての警察の態度でございますが、貸金業者に対する対策といたしましては、その行為が不法に行われ、堂々と高金利が行われるような事態を未然に防いでいくということで、行政能力と実態を把握しての許可という問題になってくるわけでございますけれども、先生御指摘のとおり、第一の行政能力の問題もございます。もう一つは、この問題は金融全体の問題として根本的に考えていただくことが必要だという一つの面もあろうかと思うのです。ただ公安委員会に従来のままで届け出制にすればいいのだというような、非常に安易な気持ちでこれを行うべきではないということも一つあろうかと思うのです。ですから、現在届け出でやっております都道府県知事管下における仕事をもっと充実させて、警察に連絡をして、警察が積極的にこれに対して取り締まりをしていくことが順序ではないかというふうに私どもの方としては行政管理庁に意見を申し述べておるところでございます。これは単なる届け出を公安委員会にしただけでいいという問題ではないというのが私どもの主張でございます。 取り締まりの関係でございますが、私ども、庶民の生活を侵害する重大な犯罪として、不動産の問題なりこういう金融事犯については重点的に取り締まりを行っておるわけでございまして、きのう全国の本部長会議がございましたときにも、私からこの面の十分な取り締まりをするように指示をいたしております。昭和四十九年中の取り締まり件数は、貸金関係、出資法関係で六百五十八件、五百八十四名の検挙をいたしておりまして、そのうち高金利に当たるものは七〇%近くでございまして四百九十三件、四百七十名でございます。さらに暴力団のお話が出ましたけれども、暴力団関係につきましては四十九年中に約七十件近く取り締まりをいたしております。取り締まりの方法といたしましては、特に常習者関係に対するリストアップを約二百名近くいたしまして、その中で暴力団関係につきましても九十数名の者をリストアップして、被害がそういう者によって敢行されないように重点的な取り締まりを実施しておるところでございます。 以上でございます。
○稲葉(誠)委員 これは大蔵省の人に聞いたらいいかと思うのですが、日歩三十銭だと年十割を超えるわけでしょう。非常に高いと私どもは思うのですがね。それについては、利息制限法でいくと、普通百万円までだと、損害賠償額の予定でいって倍になって、日歩十銭かそこら辺ですね。非常に差があるわけですが、この日歩三十銭というのはどういうふうに考えているのですか。これは高いと考えているのか、高くないと考えているのか、しょうがないと考えているのか。これは借りる方の人も簡単に借りるのでいろいろあるかもわからぬけれども、どういうふうに考えているのですか。これを直すという気持ちはないのですか。
○吉野説明員 本件は法務省の方から御答弁いただいた方が適当かとも思いますけれども、私どもの考え方は、現在の日歩三十銭という金利の水準は、繰り返しになりまして恐縮ですが、立法当時に、前の貸金業等の取締に関する法律時代はどうであったかと申しますと、実は日歩五十銭という金利で行政的な指導をしておったわけでございます。この法律をつくりますときに、この水準をどこに決めるべきかということで議論があったようでございまして、当時までの日歩五十銭という水準は余りにも高過ぎる。しかも当時の実態から申しますと、貸金業者の金利水準も以前に比べればやや低下の傾向にあるということを踏まえ、かつ当時の実情といたしまして大体日歩三十銭あるいは月一割という水準が大勢を占めていた、そういう実態も踏まえましていまの日歩三十銭という水準が定められたというふうに承知しております。 それでは現在の時点におきましてこれが高過ぎるか安過ぎるか。まあ安過ぎるということはないと思いますが、高過ぎるのではないかという御質問でございますが、確かに私ども、一庶民という立場から考えますと、年二倍というのはかなり高い金利だと率直に感じます。しかし、問題のポイントは、やはりこれがこの一線を超えた場合には犯罪として刑罰を科する、そういう意味を持った水準でございますので、むしろ私どもは、一般の金利水準ということももちろん考え合わせなければなりませんけれども、そこは刑事罰の水準の問題として考えていかなければならない問題ではないだろうか、かように考えております。
○稲葉(誠)委員 時間の関係で、これは別の機会に大蔵委員会か何かでやるのが筋だ、こう思うのですが、ほかのたとえば信用金庫とか信用組合がありますね。それから政府機関もありますけれども、そこら辺では一体日歩幾らぐらいで貸しているのですか。それは調べればわかるのですが……。そういうのが不備であるからこそこういうところにしわ寄せが来るのですが、これは後でまとめてお答え願いたいと思うのです。 それから、いま言った日歩三十銭というのが標準だというのですが、それはそれ以上取ったら刑罰になるというだけの話で、そこまで取っていいということではないはずなんですよ。ところがそういうふうにみんな理解しているわけですよ、法定利子が日歩三十銭だと書いてあるんだもの、あれ見ますと。そこら辺が違うのじゃないかと思うのです。 そこでもう一つの問題になってまいりまするのは、最高裁の大法廷で二つの判決が出ましたね。これは法務省の民事局に聞くのが筋だ、こう思うのですが、最高裁の大法廷で二つの利息制限法の判決が出たわけでしょう。それから出資の方では日歩三十銭ですね、これは刑事罰の限界として。その間がうんとあるわけでしょう。その間があるときに、出資の方からの金で日歩三十銭で借りていて、そして利息制限法を超えるところの金利については、どうなんですか、払わなくてもいいわけですか。払わなくてもいいと言うと言葉が悪いかもわからぬけれども、仮に払ったとしても法律的には返還請求できるわけでしょう。そこら辺のところはどうなんですか。裁判所へ債務額確定か何かの調停でもどんどん出してやれば、借りるときには日歩三十銭で借りていたところで、実際に払うときには日歩十銭の金額で払えばいいということになるんじゃないですか。そういうところは、最高裁の二つの判決と、それからこの出資の五条との関係はどういうふうになるわけですか。
○川島(一)政府委員 三十九年、それから四十三年でございますか、その後にも出ておると思いますが、最高裁判決の趣旨に従いますと、おっしゃったように、利息制限法超過部分、これが利息として支払われた場合には元本に充当されるし、元本がなくなった後の支払い分については不当利得の返還請求ができる、こういうことになるわけです。そうなると、民事的にはそういうことになるわけで、一条のたとえば二項、その辺の規定がどうなるかという問題がございますけれども、その辺、最高裁の判例の射程距離といいますか、それをどの程度に見るかというのはまだ若干問題はあろうかと思いますけれども、原則としては先生のおっしゃったようなことになるだろう、ならざるを得ないというふうに思うわけでございます。
○稲葉(誠)委員 いまの最高裁の四十三年の方の判決を読んでみますと、ちょっとひっかかるところは確かに私もあると思うんですよ。それはそれなんですが、結局片一方の方は刑事罰の限界だし、片一方は民事的な問題だから全然ジャンルが違う。それを両方ひっくるめた形で議論すること自身がおかしいのだという考え方は確かに私もあると思うのです、法律家から見れば。法律家から見れば違うのだけれども、一般の人はそう見ませんからね。利息制限法で日歩十銭までだ、賠償額の予定で倍になる、そう言っていて、片一方の方では三十銭まで取れるというのは同じ法律の中で変じゃないか。これはだれでも見ているわけです。そこでいま私が言ったように、利息制限法超過の部分についは元本充当だ、充当し過ぎちゃったら不当利得の返還請求権だということで、どんどん簡易裁判所が調停を出せば出資の五条というものはもう死んじゃうんじゃないですか。貸金業はみんなつぶれちゃうんじゃないですか。そう思わないですか。みんなつぶれると言ったら語弊があるけれども、ぼくはそう思いますよ。だから、どんどんみんな金を借りるんだよ、どんどん借りてみんな調停に出すんだよ、そうしたらこの貸金業というのはほとんどみんなつぶれますよ。そういうふうにならざるを得ないじゃないですか、理屈から言うと。それをやれと言っているわけじゃないですけれども、そういうことになるじゃないですか。
○川島(一)政府委員 最高裁の判例に従う限り、そういうことになろうかと思います。
○稲葉(誠)委員 そういうふうになるんですよ。なるんだから、この出資の法律の五条というのは結局おかしいということになってくるんですよ。いま言ったような刑事罰を決めたのだから、理屈から言えば全然別だという理解はできますよ。ぼくはそういう理解できますけれども、一般の人はそう理解しないですよ。日歩三十銭と書いてある。法定利子日歩三十銭ときょうの新聞にも書いてあるのだから、この二つの法律の関係はおかしいですよ。何とか変えなくちゃぼくは変だと思いますよ。アメリカに小口金融法という法律がありますね。ぼくもよく知りませんけれども、これは金利がもっとずっと安いですよ。だから、この出資の法律の五条というのは変えないと変なものになってくる。ぼくがそういうふうに宣伝して国民運動を起こしたら貸金業はみんなつぶれちゃう。そういうふうになっちゃう。おかしいと思わないですか。私はおかしいと思うんですがね。 きょうは一応これで終わります。
○田中(覚)委員長代理 青柳盛雄君。
○青柳委員 私は、もう明けましたから先々月、四月の三十日から五月の一日にかけて、渋谷区の元代々木というところにありますベトナム大使館、ここで起こりました人権じゅうりん事件についてお尋ねをしたいと思います。本来、五月の上旬にこの質問は行う予定でおりましたが、例の稻葉問題などが起こりまして、その方に審議が集中いたしましたので大変におくれてしまいましたが、決して時がたったから問題はもう解決したというような単純なものではないと考えますので、改めてお尋ねをしたいと思います。もっとも、この件につきましては五月の七日の衆議院の外務委員会で社会党の河上委員が一応の質問を外務当局並びに警察庁当局に対して行い、答弁も得ていることが会議録によって知ることができます。ですから重複は避けたいと思います。 この問題が起こった原因は何かということにつきまして、一応、本日も見えております警察庁の警備局の大高外事課長の報告的答弁もありますけれど、その前に、在日ベトナム留学生数十人の者が何ゆえにベトナム大使館に赴いたかという、そのことについては余り直接的に触れておりません。大高説明員の説明によりますと、この集まった人たちが「正門の前で、サイゴン政府はすでに解放された、駐日大使館も解放せよ、あるいはまた南ベトナム政府は崩壊した、大使館はベトナム人民の財産である、こういうようなことを叫んで大使館の中になだれ込もう」としたのが事件の発端であるという説明でございます。したがって、そういう叫び声があったのかなかったのかは私どもはよくわかりませんが、そういうのが目的なんだろうというふうに理解をされる面がないとは限りません。 そこで私どもの調査によりますと、そういうような動機と目的でこの学生諸君が大使館に赴いたというのではなくて、正確に言いますと、この四月三十日の、日本時間では午前十時、現地時間では午前十一時に、ミンというかいらい政権が無条件降伏をしたことによって南ベトナムは解放された。そういう状況のもとで、その瞬間まではそういうグエン・バン・チューあるいはミン政権の一出先機関であった駐日ベトナム大使館が、権限がないのに、在日ベトナム留学生に対して、四月三十日の午前九時から五月一日の正午まで、社会主義国以外のいかなる国へも逃亡できるパスポートを発行するというふうに連絡をし、急いで手続をとるように伝えたというのですね。これで在日ベトナム留学生の間に大変な不安が起こり、そしてこれは偽造文書になるのではなかろうかということで、それを食いとめなければいかぬという気持ちがこの出かけていった学生の間にあったということ。それから、いままで大使館員であった者が全員日本国外に逃亡することを企て、その際に大使館の動産とかその他を売却して私腹を肥やしながら横領していくというやり方がある。従来の彼らの腐敗行為から見れば当然予想されることであったから、在日留学生たちはこれに対しても阻止しなければならぬという気持ちがあった。大体その二つのことと、それから、在日ベトナム大使館はいわば日本の中におけるベトナムの領土というか、要するに治外法権を認められている地域でもあるので、そこで自由な気分で同邦が相集い、平和と主権の回復を祝いたいという気持ちもあったというのですね。 ですから別に、先ほどの暴力的に襲撃をするといったようなものではなかった。現実にも、大使館に残っているかつての大使館員などに対して折衝するために出かけていったわけでありますから、招じ入れて、そういう心配はないということであれば問題は一つも起こらないのにもかかわらず、すでに、この学生諸君が到着をした時分には代々木警察その他から日本の警察官がこの大使館を警備しておって、門を閉ざして中に入れないというような状況があったというわけであります。だから、なぜ警察官がそこで警備をしでおってこの学生たちを入れないようにしたのか、その理由を明らかにしていただきたいと思うのです。
○大高説明員 ただいま先生お尋ねの点でございますけれども、実はベトナムの情勢がああいう形になりまして以降、大使館の方から、不穏なことがあった場合においてはしかるべく措置をしてもらいたい、またいかなる事態が発生するかわからないので警戒をひとつお願いしたいという旨の一般的な要請は以前にあったわけでございます。私どもの方としては、客観情勢の動きからあるいは不測の事態があるかもしれないということで、あそこに機動隊並びに代々木署の署員を含めまして十二名が配置についておった。ただし、これは別段、当日午後に起こりましたような事案が起こるということを想定したわけではございませんで、一般的な警戒を行っておったということでございます。 それから第二の点といたしまして、この留学生約五十名くらいが午後十時ごろに集まってまいったわけでございますけれども、別に問答も何もなく、急に大使館の中に、警察官の制止も聞かずに、約十名くらいが門を越えあるいは土手を越えるという形で入ったものでございまして、決して平和的な形ということではなかったということでございます。
○青柳委員 他人の建物、敷地内に他人の承諾なしに門を乗り越えて押し入るというような、一般民間人同士の話であるならばもうそれだけで暴力的である、違法的なものであるということは認定できると思うのでありますけれども、夜分であろうと、大体大使館というのは官公庁のようなものでありますから、在日ベトナム人その他関係のある人たちがここを訪問するということには全く開放的でなければならないわけであって、もちろん門を常に開放しておかなければならぬというものではありませんけれども、閉めて一人の人間も入れないような状況をつくり出すということ自体に問題があるわけでありますから、門を乗り越えた、さあこれは犯罪行為であるというふうに簡単に見ることはどうか。こういう場合は、むしろこの人たちがどういう目的でその中に入ろうとしておるのか、確認をした上で行動に出るということが正しいと思うのでありますが、その点は、現場にいた責任ある警察官はどういう措置をとったわけですか。
○大高説明員 先ほど申し上げましたように、集まってまいりました留学生が、先生先ほどお話しのようないろいいなことを口々に叫びまして、格段、警察の責任者に対して、大使館側と交渉したりあるいはまた大使館の中に入ってどうこうしたいというような申し入れその他は一切ございません。また、大使館につきましては、一夜間原則として閉鎖をいたしております。これは大使館側でやっております。
○青柳委員 ところで、この中へ入った人たちが内側から門を開いて、そして外にいた数十名の学生、結局は合計すると二十九人か三十人くらいらしいのでありますが、中に入った。中というのは、建物のある敷地内に入ったということであります。そこで大使館の中にいる責任者といいますか、そういう者に対して応対を求めたのですが、これになかなか応じようとしなかった。ところが、外にいた学生と一緒に警察官も中に入って、そして後の門を閉めてしまったというのですね。だから、もちろん出ることもできないし、残った人たちがさらに入ることもできない、こういう状態、要するに袋のネズミのようにしておいて、それから逮捕に着手した、そういう経過のようでありますが、この点はどうですか。
○大高説明員 侵入の状況につきましては、いま先生がおっしゃいましたように、最初に十名くらいが門あるいは土手を乗り越えて入りまして、うち一名が大使館の職員が持っておりましたかぎを取り上げて正門の扉をあける。これで約三十人ぐらい、最初の分と合わせまして全部で三十名であります。したがって、後で二十名くらいでございますけれども中に入った。後、大使館の書記官が退去を要請し、これは署長にも話しておるわけでございますけれども、一向立ち退く気配がない。それでわが方としては十時二十分ぐらいに検挙活動に入ったわけでございますけれども、検挙活動に入るまで門はあいておりますし、また、検挙活動に入る際に正門は閉めましたが、通用門は終始一貫あいておったという状況でございまして、退去の要請に応じて出られる状態はございました。
○青柳委員 外国の例などは何もここで引き合いに出す必要はありませんけれども、西ドイツでも同様の、在独ベトナム人留学生などが在独の大使館へ出かけていって折衝をしようとしたときには、西ドイツの警察当局などはむしろ間に入って適当な処置をとったというふうに伝えられているわけでありますが、日本の警察の場合、そういう高度の政治的な配慮というようなものは全然行わずに、もう中にいる、元のベトナム大使館員と言われるものからの要請があったということを一つの口実といいますか、根拠にして、住居侵入罪ということで逮捕に着手した、こういうところに非常に警察国家らしい姿があらわれているわけであります。私どもは、東京都庁だとかあるいは関西の方の地方自治体の建物の中に、敷地内はもちろん建物の中に徹夜で入り込んで、交渉しようとして座り込んでいるというような人たちがあることを知っておるわけです。そういうのに対して警察はほとんど手をつけない。もちろんこれは当局側から排除要請がなかったというような場合もありましょう。しかしあっても、公共の建物で、そして主権者である国民がそこで国家公務員あるいは地方公務員に対していろいろな要請をする、その実現のために交渉をするというような形態である限りにおいては、これはもうあえて介入すべきでない。警察官が入って逮捕するなどとはとんでもないことであるし、また警察権の発動によって実力排除をするということも考えない。これはある意味においては民主的だと私は思うのです。にもかかわらず、この大使館の場合についてはそういう措置がとられたのかどうか。そういう配慮もあったのか、ないのか。その点はいかがですか。
○大高説明員 旧の南ベトナム大使館でございますけれども、これの四月三十日以降の地位については、私どもは外務省の方から、いわゆる警察の取り扱い上と申しますか、公館として当面変化はないという話を受けておりますし、御承知のように、公館につきましては、それなりに相当の保護が加えられるべきものであるというのが従来の考え方でございます。それで公館の保護に当たっていたわけでございますけれども、当時の状況を見まするに、先ほど御説明いたしましたように、入り方がきわめて強引と申しますか、警察官が一生懸命制止するにかかわらず、これを排除して門扉を乗り越える、あるいは土手を越えるというのが一つございましたし、また後でかぎを奪って門扉をあける、さらに退去の要請にも応じないという状況で、きわめて悪質であるという判断のもとに検挙をいたしたわけでございます。
○青柳委員 人間の自由に対して一定の制約を加えるということは、これは憲法で保障された人身の自由というものに対する制限でありますから、現行犯逮捕とかあるいは逮捕状による逮捕以外にはそういう実力行使はできないのが原則であります。しかしながら、警察官職務執行法などによりまして、混乱している場所に出入りしようとする一般の国民を制止するというようなこともあるわけで、俗に言うゴボウ抜きといいますか、逮捕というのではなくて自由を制限することは事実でありますけれども、抑留をするというような形でなしに適切な措置をとるということが行われているわけであります。一々犯罪事犯というふうにして扱わない。あえて扱おうとすればできないことはない場合も相当あると思うんですね、あると思うんだけれども、そういう何か犯罪条項に当てはめてそして逮捕にまで踏み切っていくというようなことは必ずしもしていないというのが現状。それが適切な行政処分であるか、警察処分であるかどうかということはもちろん状況によって判断しなければならぬことであって、むやみにそれをやられていいということを私は言っているわけではなくて、これも警察官職務執行の行為として適法性を持つものでなければならぬことは当然でありますけれども、本件の場合はもう最初からそういうような措置をとるということを考えないで、犯罪であるということの方に頭を向けて逮捕ということに踏み切った理由は、重ねてお尋ねしますけれども、どういうわけか。そういう余地がなかったのかどうかということですね。
○大高説明員 先ほど御説明いたしましたように、当時南ベトナム大使館の警備に当たっておりました警察官は十二名でございます。これに対しまして、集まってまいりました学生が五十数名、学生以外にもあったと思いますけれども、相当の数にのぼり、しかも警察官が必死になって制止するにかかわらず、その制止を排除して門扉を乗り越える、あるいはまた土手を越えて入るというような状況であったわけでございまして、現場の判断として、行為悪質と見て検挙したのは妥当な措置であったというふうに考えております。
○青柳委員 この現行犯逮捕が果たして正当な逮捕であるかどうかということについては、事案としてこれが公判に回されたときに証拠に基づいて裁判所が最終的には公正に判断し決着がつく事項だと思いますから、ここでいまわれわれが、どちらが正しいのか、私の言うことが正しいのか、いまの説明の方が正しいのかというようなことはあえて論争いたしませんけれども、いずれにしてもそれが逮捕としたからには当然検察官の処分というものは必要になるし、それから裁判所に起訴されれば裁判によって決着がつくということになるわけでありますが、五月七日の答弁によりますと、「身柄を拘束しました二十九人につきましては、所要の取り調べを行いまして、五月二日の午後四時三十分までには全員を釈放したということでございまして、事件につきましては近く検察庁の方に送致する考えでおります。」こういうふうに答弁しておられます。もうそのときからちょうど一月たちましたが、一月まるまるではありませんけれども、たっておりますが、どうなっておりますか。
○大高説明員 近く送致する予定でおります。
○青柳委員 なぜ現在まで——身柄が釈放されたからゆっくりでもいいということなのかもしれませんけれども、どうしておくれたわけですか。
○大高説明員 特におくれたというふうには考えておりませんけれども、関係者多数であり、しかも元の南ベトナム大使館員につきましてもあちらこちらばらばらになっておりますので、若干事案の真相を解明するのに時間をとっておるということでございまして、大体終了しておりますので近く送致するということでございます。
○青柳委員 詳しいことは時間の関係もありますから御答弁いただかなくてもよろしいのですが、この逮捕されたすべての人たちについての逮捕手続書、それからもし供述をしているならば供述書というようなものは全部整備されて送検されるわけですか。
○大高説明員 必要な資料につきましては取りまとめて送致の予定でございます。
○青柳委員 常識的に、必要な書類と言えば、だれが逮捕したかというようなことは当然明らかになると思いますから、いずれまたその資料を見る機会があればそれについてお尋ねもしたいと思いますけれども。その逮捕の際に非常な暴行傷害が起こっているわけであります。これは混乱をしておったとかあるいは被逮捕者の方で抵抗したとかいうような抗弁があるいは成り立つかもしれませんけれども、私どもが被害者について調べたところによりますと、全く一方的に警棒でなぐられるとかあるいは引き倒されるとかあるいはこづかれるとかいうような、全く乱暴きわまる実力行使といいますか、逮捕手続がとられたようであります。その結果、五月二日に私の手元にある十九通の医師の診断書によりますと、病名はいろいろありますけれども、要するに胸とか腰とか臀部とか足とかに対する打撲、挫傷ですね、それからのどを締められて咽喉カタルを起こすとか、あるいは切り傷のようなものを受けるとかいうようなことで、これは診断書のある人たちについてだけ見ましても、全治三週間——これは全治とは書いてありませんで、療養期間という表現になっておりますが、療養期間が三週間という人が二人、それから二週間という人が五人、十日間という人が十人、一週間という人が二人、こういうふうにいずれも相当の負傷を受けているわけであります。これは、逮捕手続書を書いた人間が真実だとするならば、その人たちによって加えられたであろうということは証拠上明らかになってくると思います。それ以外けがの理由がないわけでありますから。だから、これは厳重な捜査をしなければならないと思いますが、この点について当局側の方では何らかの調べをしておりますか。
○大高説明員 ただいま先生の方から逮捕に際して暴行があったというふうに言われておりますけれども、当日の逮捕行為につきまして、警察の方でそういうような暴行を行った事実はございません。ただ、警察としても、学生の方が抵抗しますれば、逮捕する場合において必要な実力を行使することは当然でございます。
○青柳委員 ベトナム人にしてみると、日本に留学して何ら非難をされるような行動をいままでとったことがないし、今度の場合だって非難されなければならぬようなものとは考えていなかったにもかかわらず、恐らく初めてでしょう、官憲からこのような暴虐な措置を受けたということは。ですから非常にショックを受けているわけであります。戦前から日本におられた在日朝鮮人あるいは在日中国人の人たちなどは、事ごとにいろんな人権じゅうりんを警察当局から受けておりますから別に非常なショックを受けるというほどのこともなかったかもしれませんが、少なくとも南ベトナム人の人たちが日本に住んでおって、逮捕される、または逮捕の際にこのような暴虐な措置を受けるというようなことについては非常な衝撃であろうと思います。しかもその際に、彼らが持っていたベトナムの国旗が奪い取られたり破かれたりしたということ、また中にはホー・チ・ミン大統領の写真を持っていたけれどもこれも奪い取られたというようなこと、これも主権を侵されたという点で義憤を感じているようであります。当然のことであります。これは逮捕の際のことであります。 それから今度は護送される際の暴行、さらに取り調べ、留置された状況の中での暴行があります。これはあえて拷問というふうに位置づけることができるかどうかはわかりませんけれども、取り調べに応じないというか、黙秘をする者に対して、しゃべらせるためにいろいろの物理的な打撃を加えるというようなこともあり、それから脅迫が加えられた。これは明らかに刑事訴訟手続からいっても憲法からいっても許されないことだと思うのであります。たとえば練馬署の取り調べ官、これは課長だという話でありますけれども、黙秘をしている被疑者に対して畜生呼ばわりとかばかやろう呼ばわりをするだけでなしに、「豚やろう」とまで言った。それから外の方で別の人間が、「殺してやる」というようなことを言っておどしたというのです。こうなると、幾ら被疑者であるからといってもその侮辱、脅迫を甘受するわけにはいかないわけです。そのほか反共的な議論が挑発的に出てくる。共産主義者がベトナムを解放したというので、「おまえら、それを支持するならば北ベトナムにでも行ったらいいだろう、あるいは中国へでも行け」と言ってみたり、それから、「おまえのような人間は日本にいてもらわなくてもいい、要らないから出ていけ」また、「いま南ベトナムでは共産主義者に国民が銃殺されておる、おまえの家族や両親も殺されておるかもしれない」というような挑発的なことを言う。 〔田中(覚)委員長代理退席、保岡委員長代理着席〕 余りにもばかばかしい話なので笑顔をしたら、「ばかやろう、ここをどこだと思っておるのだ」そしてその際に「豚やろう、畜生」というような形で罵倒する。また、たばこを吸って、まさにその火をこっちの顔につけるようなおどかしまでやる。 こういうのは一つの例でございまして、これは池袋署においてもやられ、駒込署では「いつまでもしゃべらないでおると二十年くらいこのまま置いておいてやる」また、「強制送還だってできるんだぞ」というようなことを言っておどかした。牛込署でも野方署でも同じような例があるわけです。碑文谷署では、指紋をとるために何か特別のインクを使うらしいのでありますが、それが普通の石けんでは落ちない。何とか落とそうと思って手を洗っていると、「おまえたちベトナム人はそんなにきれいになる必要はない」と侮辱するようなことを言ったというのです。幾つも幾つもこういう例が挙げられるわけでありますけれども、こういう侮辱と、しかも暴行、特に暴行のひどかったのは、指紋をとり写真を撮るときに押さえつけてとるというようなこと、これはよくある例のようでありますけれども、いずれにしても強制的に指紋をとる権利があるというので、ややこれに柔順でない者に対しては相当の痛い目に遭わせる。それを現にやっておる。 こういうことについて警察当局は下部の警官に対して、日本人なら構わないという意味ではありませんけれども、外国人は風俗習慣も違うし、また日本語も十分に理解できない場合もあるんだから、親切丁寧にやれというようなことを指導していないのかどうか。しかも、ベトナム人というのをべっ視する態度をとっても構わないというような教育方法をしているのかどうか。この点はいかがですか。
○大高説明員 先生ただいま御指摘の点でございますけれども、私の方も分散留置しました各署についていろいろ調べおりますが、そういうような屈辱的な言動あるいは暴行というものはございません。ただ、諮問を取る際に起きまして、暴れてどうしても指紋がとれないという者については実力によってとることは刑訴法上あり得るということでございます。 なお、外国人一般に対する取り扱いでございますけれども、私どもとしては外国人あるいは日本人、いずれを問わず、国内法に違反しない限りにおいて何ら差別すべきものではございませんし、またベトナム人と他の外国人を区別して考えるということはございません。すべて一視同仁に考えるように、また御指摘もございましたように、やはり日本に参りまして事情等もよくわからないという者もあるようでございますので、親切丁寧を旨とするという形で教育はいたしております。
○青柳委員 いずれこれは検察庁に書類が送られてきた段階でまた機会を得て事実調査をしたいと思っておりますが、決して、この留学生の諸君がうそを申し立てている、われわれに対して針小棒大なことを言っているというふうには考えません。非常に良識のある人たちで、私が話し合ってみても決して、粗暴であるとか、あるいは主観的で自分たちだけが偉いと思っているとかというようなことはない、非常に紳士的な人たちであります。その中に三人も婦人がいたわけでありますし、決して、警察官に抵抗して暴力学生などがよくやるようなやり方ではなかったとわれわれは推察をいたしております。今後この問題はもっともっと追及をしなければならぬと思います。 そこで法務省にもお尋ねをしたいのですが、まだ書類が来てないというような状況でありますので、具体的にこれをどう処分するかということはまだ決められない状況でありましょうが、警察が二十九人の人たちを逮捕するに当たって、東京地検なり何なりの指示というか、法的には特別な指示は必要としませんけれども、しかしきわめてデリケートな法律問題があるわけでありまして、住居侵入罪が成立するかどうかというような点で相談を受けたことがあるのかないのか。それから、ないとすれば、現在、事案は正確に、書類が来ていなければわからないと言えばそれまででありますけれども、ああいう状況のもとでいわゆる住居侵入罪というようなものが成立するというふうな考え方があるのかどうか、この点お尋ねしたいと思います。
○安原政府委員 いまお尋ねの本件の現行犯検挙に当たりまして、警察から検察庁に連絡があったかという点については、そういう事実はなかったようでございます。 それから、いま御指摘の案件、いまだ警察から検察庁に送致のない状況でございますので、具体的な事案についての意見を申し述べる段階ではございませんけれども、お聞きしておりますと、政府の交代による異常な政治的な情勢を背景とした事案のようでございますが、一般論といたしまして住居侵入罪が成立するかどうかということにつきましては、住居侵入罪における保護法益は住居の平穏でございまして、居住する者に当該住居に居住することの権利があるかどうかということは一応論外にいたしまして、現にそこに居住しておるということの平穏を保護するのが住居侵入罪における保護法益の限界であるというふうに聞いておりますので、恐らくは、その管理権の有無ということにかかわらず、その意思に反して入ったとすれば住居侵入罪を構成するのではないかと思われますけれども、微妙な問題でもございますので、検察庁におきましてはその点を含めまして十分検討の上慎重な処理を行うものと考えております。
○青柳委員 これはこれから後の推移を見た上でさらにこの問題を質問していく予定でありますが、いろいろの事案の処理ということについてはその事案事案によって特殊性があるわけでありますから、決して単純に処理されるとは思いませんけれども、国際問題も絡んでいる状況でありまして、どうも会議録を見ますと、というのは、先ほど言いました宮沢外務大臣の答弁などを見ますと、何か警察は非常に公正に事を処理しているんだ、外交関係などということに余り左右されない、これが警察の公正ないいところだというような開き直り的な議論もありまして、こういう議論で押していきますと、検察庁が起訴しようとしまいと、国際問題だからどうだこうだなんということは考慮の外でいいんだというような挑発的な議論にもなるわけです。 私は、この事件が成立した場合に、起訴便宜主義で不起訴にすべきである、あるいは起訴猶予にすべきである、そんなことをいまから予断を持って言うわけではもちろんありませんが、本来、こういうことを逮捕にまで持っていったということに私は非常な疑問を感ずる。このことは、エピソード的なことになるかもしれませんけれども、五月一日の午前十一時半に東京地検を訪問いたしまして次席検事にお会いしたときの話でも、まあ正確なことはわからないけれどもという前提づきで、あの事態をおさめる措置として実力排除といいますか、よくあるゴボウ抜き程度でその場からそういう人たちを立ち去らせれば大体問題は片づくんだ、後いつまでもそこに残っていたら、警察官の力はあるわけでありますからこれを排除することもできるし、再び侵入することを阻止することもできるわけです。だから、そういうような意味での発言と私は思うのでありますけれども、いわゆる行政的な措置、法的な手続までにいかない事実行為で処理できたのではないかというふうにもとれるような見解を表明しておられました。したがって、書類送検になるか身柄送検になるか知らないけれども、身柄送検になった場合には、自分たちの方ではまだ正確なことはわからないが、黙秘しておるのと、それから、黙秘しておっても外人登録を持っておる人はもう住所、氏名は明白であるが、外人登録を持ってない人が何名かいるようだから、その人の分は弁護人その他の方で何とか住所、氏名を明らかにしてもらうようにすることが望ましい。そうすればもう釈放ということが一番適切な処置ではないかと思うという趣旨のお話があったのですよ。だから私はこれは良識のある話ではないか。やはり警察に対して不思議だということを私どもは考えておったが、まさにその裏づけになるんじゃないかと思ったくらいでありまして、何も援用して私は自分の見解を合理化しようというわけではありませんけれども、これが常識的な考えではないかと思っております。したがって、書類を受け取った上は十分に状況を審査して、適切な措置をとられることが望ましいと私は考えます。 それから、きょう入管関係の方にもわざわざお越し願ったので一言だけお尋ねしておきますが、先ほど冒頭に、学生諸君が押しかけた中の一つに、パスポートを特別に発行するのか、あるいは書きかえるのか、何か五年期間を延長するというような情報もあったというのでありますが、在日の期間ですね、在留期間というものは日本政府が決めるわけでありますから、パスポートを延ばしたからといってそれで自動的に延びるわけではないと思いますけれども、そういう空白期間中に出されたパスポートあるいは書きかえられたパスポートというようなものを、空白期間中であるかないかということを判定するのかどうか、この点は念のためお尋ねしたいと思います。
○影井政府委員 私ども、旅券はいわゆる有効な旅券という観点から見ているわけでございますけれども、有効な旅券と申しますのは、その国の政府、日本が承認しておりますその政府の発行しておる旅券という観点でございますので、ちょうどいまベトナムにおきましてこのような激変の状態がございますので、基本的にはいま申し上げましたような観点でこれを判断しなければならぬと考えておりますけれども、他方現実の問題といたしまして、こういう問題が片づくまでには相当時間もかかろう、あるいは何らかの形でこれが片づいたといたしましても、新しい政府の旅券というものの発給を受けない、あるいはそういう発給がありましてもそれを受け取ることを拒否する者も出るであろうということも予想されますので、現在の段階におきましては、ここしばらくこの状況を見守っていくということで処理してまいりたいと考えております。
○青柳委員 私が特にこの点は厳重に究明していただきたいと思うのは、在日ベトナム大使館の大使を初め館員であった人たち、それがそのまま新しい政府によって館員として任命されて引き続き在駐するというなら別ですが、そういう人はほとんどいないんじゃないかと思われる節は、大使館などは五月の二日にパリに逃亡したという話ですし、その他の人たちも、どうも日本にいても安全ではないということで任務を放棄したというか、もうすでに任務を解かれたというふうに理解してどこかに行ってしまっている。しかし、行ってしまったこと自体はどうということありませんけれども、行く前に新しい政府に快く思ってないような在日ベトナム人と連絡をとって、通謀してと言ってもいいかもしれませんが、旅券をまだ旧政権が存続していた時代に発行したかのごとくに偽造をしているようなものがあった場合には、これはよほど日本政府としては今後のことを考えて慎重に扱う必要がある。この辺の処理は厳重にやってもらわなければいかぬのじゃないかということだけを申し述べまして、私の質問を終わります。
○保岡委員長代理 横山利秋君。
○横山委員 先般来、法務大臣の問題でずいぶん議論になりましたが、きょうは遺憾なことに松永政務次官の個人的な問題を話題にせざるを得ないのであります。 ここに「控訴状」がございます。四十九年十月二十九日、東京高等裁判所民事部に出されました控訴状でございますが、埼玉県浦和市の倉林トミ子の「代理人弁護士」として松永光君が記載されております。四十九年十二月二十一日、「控訴状補正書」控訴人倉林トミ子、被控訴人国立市。これにも「東京高等裁判所第一六民事部御中」として、「控訴人代理人 弁護士 松永光」「同 井上勝義」。それからさらに本年五月六日付の「準備書面」同じく倉林トミ子の代理人として「弁護士 松永光」以下三名。 これは一体どういうことなのでありましょうか。申すまでもなく、弁護士が国会議員になることは、同僚諸君、ともに自由であります。また、弁護士たる国会議員が法廷に出ることも制限されておりません。しかしながら、弁護士法第三十条によって「弁護士は、前項但書の規定により常時勤務を要する公職を兼ねるときは、その職に在る間弁護士の職務を行ってはならない。」と明白にされているわけであります。本項の規定に該当する弁護士の業務禁止は全面的なものでありまして、弁護士としての法律事務の一切を行うことから排除されるのでありまして、単に裁判所その他の官公署において職務を行うことができないという程度のものではなく、これに違反すれば当然懲戒処分の問題であります。事はきわめて明白な事実、明白な弁護士法違反、こういうことがあり得ることだろうかと、最初私はこの控訴状並びに準備書面をもらったときに自分を疑ったのでありますが、遺憾ながら事実でございました。松永政務次官の判断なり経過をまず伺いたい。
○松永(光)政府委員 お答えいたします。 私の一身上の行動について先生にお手数を煩わしたことについて、まず深く反省しておるということを申し上げたいのでございます。 私は政務次官に就任してから、実際には弁護士の職務は行なっていないのでございます。裁判所やあるいは検察庁等に出頭したり法廷に出たりなど、そういうことはいたしておりません。以前に受任した事件につきましても、私が直接関係しておった事件については関係者に迷惑をかけないように速やかに辞任の手続をいたしました。ただ、国会開会中は土曜日と月曜しか実際上法廷に出れないということもあるものですから、以前から相談を受けた事件については、協力してくれる他の弁護士に、依頼者の同意を受けて回しておった事件がある程度あったのでございますが、その場合に、その弁護士さんが責任をもってその事務は処理してくれるのですけれども、形式的に私の名前も共同弁護人あるいは共同代理人という形で載っておるケースも間々ございました。そこで、そのような事件につきましても、協力してくれておる弁護士に、政務次官就任直後に、弁護士の職務は行ってならぬのだから、速やかに辞任の手続をとってくれるよう依頼し、かつ私の事務所の職員にもそのように強く指示しておいたのでありますが、たまたま先生の御指摘のようにその手続が済んでないのがあったわけでございまして、その点はまことに申しわけない、こう思っております。 ただ、先生に御理解願いたいのは、私の名前の載っておる準備書面が一、二出ておるようでございますが、実際私はその準備書面の作成には関与しておりませんし、私が回したその相手一の人が軽率に私の名前をそのまま、私の注意があったのでありますけれども、載せてしまってそのまま出してしまった、こういう間違いだと思います。そういう間違いができたことも私の不徳のいたすところでありますから反省いたしておりますが、実際上はいま申したようなわけで、政務次官就任後は弁護士の職務は行っていない、こういうふうに御理解を願いたいと思うのです。 いずれにいたしましても私の不徳のいたすところでございますから反省いたしておりますが、これからは一層厳正に身を持しまして、いま先生の御指摘のような間違いを含めて、遺憾の点がないようにやっていきたい、このように考えておるものでございます。
○横山委員 ここに先月、五月二十三日付で、弁護士松永光から「東京高等裁判所第一六民事部御中」として「辞任届」が出ています。「右当事者間の御庁昭和四九年(ネ)二五五〇号土地明渡請求事件について、当職は昭和四九年十一月一四日に辞任致しておりますので、右お届け致します。」話題になったから措置をされたと思うのです。 いまのお話は、自分が政務次官になったときにもうよく言うておいたにかかわらず措置がされてなかったというお話でございますが、それならば、準備書面や控訴状補正書にございます、松永光の下に押しておる判こというものは一体どうして、だれが押したことになるのでありましょうか。 それから、私は裁判所のことはよくわからないのでありますが、五月二十三日付で去年の十一月十四日にさかのぼって辞任をいたしておりますということになると、それ以降出しております松永光名義の控訴状補正書や準備書面というものは無効になるわけでございましょうか。
○松永(光)政府委員 いま申し上げましたように、私自身が直接関与し、私の手元に記録があり、私の法廷日誌等に書いてある事件につきましてはすぐ手続ができたわけなんでございますが、いま御指摘のその事件は、数年前に浦和の未亡人の人から相談を受けて、そして事件が東京地裁八王子支部であったと思いますが、そういう遠いところでもありましたので、その依頼者の同意を得てその井上弁護士らにやってもらうことにして、以来その弁護士たちで処理しておったわけでございます。で、政務次官になってから、先ほど申したとおり、辞任の手続を早く処置するよう、その弁護士及び私の事務員にも指示したのでございますが、いま申したようなわけでその手続がおくれておった、こういうことなんでございます。 なお、その書類の判このことでございますが、私の事務所に置いてある判だと思うのでございますが、まあ、いままでの経過からいって押してもいいのだろうと思ってその弁護士が押してしまったと思うのでございますが、その点は、私が頼んだ弁護士のしたことでありますので私にも責任なしとしませんけれども、先ほど申したとおり、私自身はその準備書面あるいは補正書は見ておりませんし、判を押すことを同意したことはないのでございます。ただ、いままでのいきさつがあるので許されると思ってその弁護士が押したのだというふうに、私は前後の調査からわかりました。 なお、その辞任の手続は、先ほど申したとおり、全部済んでおると思っておったのが済んでおりませんでしたので、関係者を呼びまして厳しく注意をし、その手続を速やかにやらせた、こういうことなんでございます。
○勝見政府委員 ただいまの具体的なケースは共同訴訟代理人の名義で出された書面のようでございます。松永名義の——もちろん入っておるわけでございますけれども、松永名義の代理人が一応裁判所に届けましたら、やはりその部分、松永名義の書面については効力はないというふうに考えてよろしいのではないかと思います。ただ、共同訴訟人代理人名義の書面でございますので、訴訟行為としてはそのまま維持されるというふうに思います。
○横山委員 松永さんの答弁はどうしても、だれが聞いておってもあいまいなところが残りますね。遺憾ながらそれは認めざるを得ない。なぜかと言えば、そんな、だれが、自分の判こを友だちの弁護士が勝手に使ったということを信用するものですか。それから、その判こがどういう判こだか知りませんけれども、あなたの事務員が管理しておるとすれば、一体あなたが事務員に対してどのくらいの大きな声でおれが政務次官になった以上はと言ったのやら、これも疑わしい、そういうことになってくるわけであります。 この点は、失礼な話だが稻葉さんと共通点があるわけですね。法務大臣になった以上、政務次官になった以上、ともあれ身辺を一遍見直してみる、心構えを一遍改めて再確認をしてみる。そして、いままでと違った行動、言動をどうしてもとらねばいかぬのであるから、この際ひとつ自分ばかりでなくて、自分の側近を含めて、家族を含めて、ありようについて十分再検討して心構えを改めるという点が足らなかったという点について、共通点があると思うのです。まさか、私は松永さんが、黙ってやっておればいい、報酬ももらえることだ、ひとつ知らぬ顔しておれというようなことをなさるとは思いません。まあ大した金でもありませんし、そんなけちなことでおやりになったとは思いません。軽率ということですか、細心の注意が足らなかったということであろうと思います。 けれども、こう言っては悪いのですが、起こった事実は三十条違反であることは私は明白だと思うのです。これをどういうふうに取り扱うかは別にいたしまして、私もきょうどうしても松永さんをやり玉に上げて、けしからぬ、処分しろと言うつもりは毛頭ありません。ありませんが、法務大臣の後でまた同じような、身辺について慎重を欠くような言動、そういう慎重を欠くような行為が続いて発生をいたしましたことについて、本委員会をかりて厳重にあなた方に警告を発しなければいかぬ、そういうつもりで申し上げたわけであります。松永政務次官からもう一回、ひとつ誠意のある御答弁をいただきたいと思います。
○松永(光)政府委員 先生の御指摘のように、身辺をしっかりやって、政務次官の職務を誠実に遂行しなければならぬ立場であるのに、やや注意不十分であったという先生の御指摘、まことにごもっともでございます。いままでより以上に厳しく身辺を整理して、政務次官としての職務を厳正に行うように一層努めてまいる所存でございます。深く反省し、今後の行動を厳しくやっていくということを重ねて申し上げたいと存じます。
○横山委員 次に、民法十一条について伺います 民法十一条は御存じのように、「心神耗弱者、聾者、唖者、盲者及ヒ浪費者ハ準禁治産者トシテ之二保佐人ヲ附スルコトヲ得」と規定をしております。第十二条では、準禁治産者の能力として、「借財又ハ保証ヲ為スコト」「不動産又ハ重要ナル動産二関スル権利ノ得喪ヲ目的トスル行為ヲ為スコト」「訴訟行為ヲ為スコト」「相続ヲ承認シ又ハ之ヲ拠棄スルコト」等々の「行為ヲ為スニハ保佐人ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス」と規定をいたしております。 この項目につきまして、実はこの間、与野党で全国の聾唖者の大会へ出ました際に、大会決議と、して、民法十一条を改正をしてもらいたいという決議がなされたわけであります。一言で言いますと、特に聾唖者なんでありますが、お盲さん及び聾唖者、この人たちは本質的に社会人として、この民法の規定は最初は保護であったとは思いますけれども、本旨としては、お盲さん、聾唖者に対しては、あなたは準禁治産者候補者でございますと言うて、まず先入主を民法が与えておるということについて、基本的人権を侵しておるという意見なのであります。本人以外の者でも、その配偶者、四親等内の親族、後見人、保佐人または検察官ならば、本人を準禁治産者として宣告、申請をし得るのでありますから、この点について盲者、聾唖者の中から、近代社会において自分たちはもう一人前の仕事をしておる、だから民法それ自身が自分たちを準禁治産者の候補者として確定をしているというがごときことについてはいかがなものかという運動が始まっておるわけあります。この点について政府側の見解を伺いたいと思います。
○稻葉国務大臣 横山さん御指摘のとおり、初めはむしろ人権を擁護するという立法趣旨でできておるものと思います。したがって、心身障害者の人権を侵害するなどという、少なくともそういうつもりはなかった。また、いまこれがあるから侵害するものと即断できるかどうかは問題ですけれども、それが身体に障害を持つ人の心を傷つけるという意見もありますから、人権尊重の立場から十分検討します。
○横山委員 そういうことはないと思うがという疑念があるようでございますから、ここで一、二の例を御紹介いたします。 これは東京都心身障害者福祉センターの野沢君が引用した実例なんでありますが、三十七歳、聴力障害二級、妻がやはり聴障二級、子供と三人暮らし。御商売をやっておられるのですけれども、銀行から百万円借りて店を広げたいということであったようであります。詳細は省略いたしますが、それに対しまして銀行は、本人が耳が聞こえないから保佐人を付さなければ融資しない。そのために準禁治産の認定を家裁に申請するので、耳が聞こえないことを証明する診断をしてほしいと言うたというのであります。そこですったもんだやりまして、野沢さんも介入して、結果としては、その銀行の支店長とセンターの見解に基づいて話し合った結果、一般と同条件で融資可能になったというのでありますが、その間の経過は、まことに金融機関という近代的な仕事をしておるところをもってして、やはり耳が聞こえないのだから保佐人にやってもらわなければだめだ、準禁治産の申請をしてもらわなければだめだということをかなりがんばっておる。 第二の実例は、二十七歳で聴力障害二級の人なんでありますが、この人がある女性と結婚することになった。ところがその母が、相手及びその家族全員がある宗教の信者のために結婚に強硬に反対をした。そしてお母さんが先方に、息子は準禁治産宣告をしてあって勝手な行動はさせない、法律的手続は勝手にできないと書き送った。準禁治産者は自分の意思で結婚できないか、宣告取り消しの方法はどうかということでその二十七歳の青年がずいぶん思い悩み、そこでまたいろいろな経過があったわけでありますが、結果として、戸籍謄本を調べた結果、本人は準禁治産者の宣告を受けていなかったということなのであります。お母さんの言うのが間違っておったというか、インチキを言っておったということなんでありましょう。しかし、聴力障害二級の人であるために、お母さんが言うたことをだれしも疑わなかったということなんであります。だから、ああそうか、それなら当然そうなっておるのだろうというふうに思っておったということなんであります。こういうふうに周囲の人たちが、そうか、準禁治産者かというふうに見るには見るだけのいまの民法の根拠というもの、先入主というものがあるわけであります。したがって、この種の例というものはかなり各方面にあると私は思うのであります。 また、いま刑法改正の準備が進められていますが、現在の刑法四十条、「聾唖者ノ行為ハ之ヲ罰セス又ハ其刑ヲ減軽ス」の条項が今度の準備草案では削除されていますね。この準備草案は私いま手元にないのですが、そうでありますか。どなたか御存じでございいますか。——削除されていますか。わかりました。これは一体どういうことでしょうか。聾唖者とは、これによりますと、「聴覚機能と言語機能の両者を欠く者である。または先天性幼年時聾唖者のみを意味し、常人として成長後に失聴し、言語障害を併発した者は含まない」とされておる。いずれにしても、現在の刑法の「聾唖者ノ行為ハ之ヲ罰セス又ハ其刑ヲ減軽ス」というものを準備草案で削除するという意味は、聾唖者といえどもそれだけではその罪を軽減したり罰したりしないということは、いまの世の中、つまり目が見えなくても、耳が聞こえなくても、口がきけなくても、その人の人権をやはり通常人と一緒に考えるという思想。また、目が見えなくても——きょうはここに私のお知り合いの目の見えない方が一人来ていらっしゃるのですが、さっき稲葉さんが質問をいたしました庶民金融業協会連合会の会長さんで、目が見えなくてもいっぱしの仕事をきちんと社会的にしていらっしゃるわけであります。 この準備草案では、刑法ではそういう思想がもうすでに歩き出しておるのにかかわらず、民法では^最初は確かに保護的な十一条であったことを認めるにやぶさかではありませんが、しかしいまの世の中は、目が見えないから、耳が聞こえないから、口が言えないから、おまえは通常人ではない、おまえは準禁治産者の候補者だというふうにきめつけておるというところに、根本的な私は時代の変革というものが織り込まれていないと思うのであります。もちろん私は、何かの関係で保佐人をつける必要性があることを認めないわけではありません。十一条の心神耗弱者あるいは聾唖者ですか、そういう人たちについては保佐人を付することを認められる。また場合によっては、この盲者、唖者、聾者といえども保佐人が要るようなことを認めないわけではありません。けれども、私の言いたいことは、民法十一条で、おまえとおまえとおまえはこの候補者だときめつけるやり方、このことに私は反対をしたい。このことを改正すべきではないか。だから十一条を、こういう制限列挙方式といいますか、そういう具体的な指摘の仕方じゃなくして、もう少し書きようがあるではないか。そうしてこの人たちの人権というものを近代社会において守る。目が見えなくても堂々と仕事をなさっていらっしゃる、耳が聞こえなくても堂々と仕事をなさっていらっしゃる人の立場というものを考えながら改正案を考えるべきではないかというのが私の十一条に関する意見でありますが、大臣の原則的な御意見は伺いましたから、具体的にそれぞれ民事局長なり人権局長の御意見を伺いたいと思います。
○川島(一)政府委員 お話を伺いまして、私も生生の言われることがよく理解できたように思います。確かに、先ほど大臣が申されましたように、現在の規定はむしろ保護を主眼とした趣旨で置かれておる。しかしながら、現在の情勢あるいは感覚から考えまして問題がないとは言えない。その中には法律の制度に対する理解が十分でないという面もまざっているように思いますけれども、しかし規定自体にも問題がないとは言えないのではないかという御指摘も十分理解できますし、私、外国の制度を詳しく存じませんが、ドイツあたりはやはり日本と同じような規定の仕方をしておるようでございます。しかし、御質問のございました点、よく考えるべき問題だと思いますので、十分に研究をさせていただきたい、このように思います。
○萩原政府委員 ただいま先生御指摘の問題は、われわれ人権の面からも十分検討してまいりたいと思います。ただいま民事局長から答弁がございましたように、われわれも人権の面からこの問題を今後も十分検討してまいりたい、かように存じております。
○横山委員 これは大臣が最初にもう原則的にお答えを願いましたから了承いたしますが、ぜひひとつまじめに誠実に取り組んでいただきたい。要望しておきます。 その次に、ここに新聞の広告がございます。五月二十六日の中部日本新聞でありますが、このくらいの広告でありますからかなりの金額になると思います。これを読みますと、「本会認定 経営経理士 特別資格認定養成講座」であります。岡崎と名古屋と岐阜と三カ所でいたしております。名古屋におきましては、政治・経済評論家藤原弘達先生が御講演になります。「本会講師陣」として斎藤栄三郎先生と藤原弘達先生があるだけで、あとは会長と顧問、元国務大臣西田信一の名前が出ておりますが、経営経理士に関係する人たちの名前が一つもないのはまことに奇怪なものであります。 私が問題にいたしたいのは、これを読みますと、受講料が一万五千円。五月三十一日、土曜日の十三時から十八時まで名古屋の愛知食糧会館で行われたようでありますが、一万五千円出しますと、「この講座は今回に限り特別に無試験で認定します。受講者には終了証書授与、資格取得希望者には所定の手続終了後「経営経理士」認定証(掲額用)・身分証書・バッチ・報酬規定表を授与し以後の研修会出席可、実力次第で独立開業が出来ます。(くわしくは会場にて説明します)」こう書いてあります。 〔保岡委員長代理退席、大竹委員長代理着席〕 ひょいと見ると、経営経理士という制度、何か国家試験の資格のあるもののように見えます。それからよく見ると、一万五千円出せば、土曜日に一時から六時までそこに座っておれば、藤原弘達先生のお話さえ聞けば終了証書がもらえて、バッジがもらえて、身分証書ももらえて、掲額用の認定証ももらえてというふうに見られるわけであります。 そこで、私よくじっとこれを見ますと、何だ、これは詐欺じゃないかという感じがするわけであります。少なくとも、藤原弘達先生御講演という名前で注意を引きながら、一万五千円で経営経理士になれますよという印象なんであります。素人が、この経営経理士というものが国家試験であるかないか、試験制度であるかないかは、私はそんなにぱっと注意を払わないと思うのであります。最近、士職というものがずいぶんふえてまいりまして、この機会に私もずいぶん調べてもらったわけでありますが、弁護士から不動産鑑定士に至りますまで、この士職というものが雨後のタケノコのように、ずいぶん国家試験制度がございます。ですから珍しくなくなりました。珍しくないものだから、結局一万五千円で何やら士職がやれるというふうに錯覚を与えて、そうして一もうけをする。一もうけをするのに藤原弘達先生をまんまと御利用なさっていらっしゃる。斎藤栄三郎先生というのは参議院議員の自民党の人であります。こういう人たちが、私はやや詐欺的な要素があると思うわけでありますが、そういうものに麗々しく名前を連ねて御講演をなさっておられるかと思うと、まことに涙がこぼれるような気がいたします。 参考のためにお伺いをいたしますが、通産省で経営経理士ということについてお考えになったことがございますか。またそういう相談を受けたことがございますか。
○末木説明員 通産省でございますが、お尋ねの経営経理士という名前が私どもの所管の事務に関するものかどうかは、正確にはその経営経理士の中身を調べてみなければわかりませんけれども、名前から想定されますところは大体経営コンサルタントの養成というようなことだろうと思いますので、そういう意味からお答えさしていただきますと、経営経理士という公的な制度は私の方に関する限り全くございませんし、それから行政指導等でそういったものについて承認とか認定とか、そういうような指導なりあるいは規制なりでタッチしている事実も全くございません。
○横山委員 大蔵省にも同様の質問をいたしますが、いかがですか。
○小幡説明員 お答え申し上げます。 先生御承知のように、公認会計士法によりますと、他人の求めに応じまして報酬を得て財務書類の監査または証明を業務として行うというふうな場合には、これは公認会計士または監査法人に限られるという規定があるわけでございますが、それ以外の財務書類の調製でございますとか、財務に関する調査、立案あるいは財務に関する相談、そういうような業務を営むということにつきましては、公認会計士なり監査法人なりに限定されていないということになっておるわけでございます。そういう意味で、何人もこういう業務を営むことは公認会計士法上は禁止されておらないわけでございますが、一方公認会計士法におきましては、公認会計士の名称の使用制限という条項がございます。また計理士の名称の使用に関する法律という法律もございまして、ここでも計理士の名称の使用制限の規定があるわけでございます。いま先生から御指摘いただきました経営経理士という名称が公認会計士法なりあるいは計理士の名称使用法による制限に該当するのであるのかないのかというようなことにつきましては、私ども実態をもう少し見きわめた上で、関係の方面とも協議をいたしまして結論を出してみたいというふうに思います。
○横山委員 あなたの言う公認会計士法及び計理士の名称の使用に関する法律の名称使用制限は、会計士、計理士。計理士は計算の「計」ですね。そうですね。これは経理の「経」です。経済の「経」です。ですから名称使用の制限の法律にひっかかりません。 私があなたに聞いたのは、通産省も同様でありますが、こういう経営経理士についてその相談を受けたか、あるいはまた将来検討に値するかという意味において聞いておるのです。藤原弘達先生や斎藤栄三郎先生がおやりになっておるのだから、通産省や大蔵省は御相談にあずかっているのだろう、あなた方が知恵をかしたからやっておるのじゃないか、こういう意味で聞いておるのです。そういう御相談にあずかった覚えはない、あるいはまた将来もこういう経営経理士をつくる意思はないということなら、そのようにはっきり答えてください。
○小幡説明員 お答え申し上げます。 ただいまの件について私ども一切相談にあずかったことはございません。また、公認会計士法以外のそういう特別な法律をつくるというふうなことも考えておりませんし、またそういうふうな経営経理士というような特別の職業というものにつきまして、われわれの方が行政指導するとかいうふうなこともいまの段階で全く考えておりません。
○横山委員 そこで法務省に尋ねたいのですが、私はこの経営経理士を題材にとっていますが、こればかりではありません。国家試験でない「士」のこの種のことはまだほかにもございます。私がきょうこれを取り出しましたのは、こういうことをやってはいかぬ、何が何でも悪いと言っておるわけではありません。しかし少なくとも、一万五千円を出せば半日でこういう経営経理士の資格、免状を差し上げますということが、庶民の気持ちを利用した詐欺的行為ではないか。何かこれによって国家試験の代行ができるような、あるいはこれによって資格が取得できるような、そういう印象を与えてもうけるという詐欺的行為ではないかということが一つであります。それから二つ目は、藤原弘達先生や斎藤栄三郎先生がそのことを、十分御了知の上でやっておられるかどうかわかりませんが、少なくとも社会的信用が高いお二人なんでありますから、この斎藤栄三郎、藤原弘達両先生がどういうつもりか知らぬけれども、こういうことについて責任をお感じになっているだろうと私は思うのでありますけれども、社会的信用のある人の名前を利用してこれまた詐欺的行為をしておるのではないかという私の心配なんであります。この点について法務省の見解を伺いたい。
○安原政府委員 法務省の見解と申しますと、結局いま御指摘の詐欺的行為というものが詐欺的行為にとどまって、詐欺罪になるかどうかというようなことについての一応の見解を申し述べるべきかと思うのでございますが、事案の内容をもう少し具体的に承知いたしませんと必ずしも詐欺罪になるということは言いがたいかと思います。仮に一般の国民の中に、「士」という字を使った名称が与えられるならばそれは国家の試験、国家がオーソライズする、認証する試験による資格と同じものであるという、一般国民の間にそういう誤解をするような事情があって、そしてそういう事情を利用して、そういう国家試験として、あるいは国家がオーソライズする資格として与えられるものであるからこそこれに応募するんだという関係があったといたしますならば、それは詐欺罪が成立するということも考えられるかと思うのでありますが、一般に広告する者の側において、さような国民の誤解を利用する主観的な意図があったかどうかというような主観的な故意、過失の問題もございますので、具体的な事案、それに応じた人がどういう考えでそれに応募したかということを聞きませんと一概には詐欺罪が成立するとは申しませんが、詐欺罪が成立する場合もあり得るんではないかというふうに思います。
○横山委員 どっちともとれる、事情を調べなけばいかぬと言う。法律的な立場から言えばそうかもしれません。 そこで法務大臣に伺いたいのであります。あなたに意見を聞きたいのは、閣僚としてまず第一に、こういう「士」が次から次へと、国家資格というものを法的にやっていくのを利用して国家試験でないものが、適当に民間で何々士、何々士がずっと出ていくというようなこと、そしてそれがいま詐欺の疑いすらあるということについて政治的にどうお考えなのか。 それから第二番目に、あなたの自民党の党員でございますが、斎藤栄三郎さんがそういうことをなさっておられるということ、とにかく一万五千円持ってこい、藤原弘達先生の話を聞け、そしたら経営経理士の資格認定証をあげる。どう考えてもこれは適当なことじゃないと私は思うのです。あなたの自民党の同じ党員でございますが、この斎藤栄三郎さんのやっていらっしゃること、藤原弘達先生のやっていらっしゃること——日曜日にテレビで聞けば縦横無尽に政治を切りまくっていらっしゃるけれども、御自身がこういう誤解をされるようなことは私は適当でないと思いますが、政治的にどうお考えでございますか。
○稻葉国務大臣 端的に申し上げまして、あんまりほめたことではないと存じます。
○横山委員 ほめたことではないと言って知らぬ顔しているわけにはいくまいと私は言っているのですよ。 第一には、庶民の問題でございますから一遍事情も調査をしてもらいたい。第二番目には政治的に、同じ政治家の仲間でございますから、これは、この新聞で見た限りにおいて私は言っておるわけでありますが、見た限りにおいては適当なことではないので、あなたから斎藤さんに御注意を喚起なさったらどうであろうか。こういうふうにお勧めしておるのです。
○稻葉国務大臣 そういたしましょう。私も、あんまりみっともないことをしちゃいかぬというふうに感じますからね。
○横山委員 それでは善処を望みます。 次の問題は、この間私が読売の社説を引用いたしまして政府側に善処を望んでおきました滝淳之助事件であります。先般も申しましたように、商業紙とは言え一流紙が社説の中で一つの事件をかくも具体的に取り上げて、そうして「驚くことに」というような言葉をもって検察のあり方について非難をいたしたことは私は初めてだと思うのであります。そこで御調査をお願いをしておきました。 時間の関係で簡潔にお答え願いたいと思うのでありますが、要するに、滝淳之助事件の第八の事実、「通称棟方次郎外一名と共謀の上、金品を窃取しようと企て、昭和二十五年三月十一日午前零時三十分頃千葉市要町六十五番地喫茶店栗山義方で棒ようの木刀を携え、同人所有の現金三千二百円位を探し出して同家を立ち去ろうとした際、同人妻栗山たけ、女店員宮内かね等に騒がれたので、その逮捕を免れるため、同女等に対し「なに、こら」と凄んで脅迫」した第八の事実。 第九の事実、「通稱小林某外一名と共謀の上、金品を強取しようと企て、同年五月二十日午前二時頃横浜市鶴見区下野谷町三丁目九十六番地雑貨商滝金作方で被告人が右金作の妻あみに対し所携のヒ首を示し、「動くな、金を出せ」等と脅迫して、その反抗を抑圧した上、右金作所有の現金三千円位を強取」した事実。 この第八、第九の事実に対しまして、読売の社説は、アリバイがある。そしてそのアリバイを弁護士が出したところ、驚くことにはそのアリバイを否定したという言い方なんであります。いま裁判中のことでございますから、普通だったら私も突き詰めた質問をしようとは思いませんが、あの社説にあれだけ明白に書いておることについて、国民が一体これはどういうことだというふうなあれもあります。まずそのアリバイ関係について政府側の言い分を一遍聞きたいと思います。
○稻葉国務大臣 いまの具体的なことよりも、一般的に、この前の法務委員会で御指摘を受けまして、早速二十二日付読売新聞のこの記事を詳細に読みました。御指摘のとおりでありますので、関係部局に調査を厳重にするよう命じてありますから、ただいまの問題も関係部局の当局者をして答弁させることにいたしますからよろしく。
○安原政府委員 すでに公にされておりますように、滝淳之助につきまして、いま横山委員御指摘のような二点につきまして、いわゆるアリバイを主張した再審の請求が出ておることはそのとおりでございますが、それに対しまして、再審決定請求手続におきまして裁判所が検察官に意見の提出を求められましたので、去る四月十八日に検察官はその二点につきましての意見書を提出しておるわけでございます。 ただ、いま御指摘のように、すでに裁判所がこの再審を開始するかどうかを決定する手続の段階にあるわけでございますので、遺憾ながら、この段階で検察官の意見書についてその内容を明らかにいたしますことは、この決定手続きがいわゆる非公開の手続きになっておりますので、その証拠内容を明らかにすることは避けるべきではないかという意味におきまして差し控えさせていただきたいと思いまするが、ただ一点、抽象的で申しわけございませんが、検察官がかような意見を述べるに当たりましては、約一年にわたりまして事実の取り調べを行った上、慎重にその意見を述べたものでございまして、読売新聞の社説が指摘されるように荒唐無稽にとれるような主張をしたものではなくて、十分に根拠を考えた、良心に従った意見を述べておることだけは間違いないことを申し上げさせていただきたいと思います。
○横山委員 それだけでは——私も裁判中であるからという留意をしながら質問をしておるのですけれども、それだけでは説明にもならぬし、何か政府側も、ああは言うけれども弱いところがあるのだから言えないのだろうというような印象を与えることを私は大変残念に思います。 何か聞くところによりますと、私が問題を取り上げた直後に弁護士が行ったところ、検察庁が書類を全部持っていっちゃった。見るものはなくなっちゃって、弁護士も改めて確認しようと思ったところそれができなかったという連絡を受けたわけであります。片一方ではアリバイがある。あなたの方ではアリバイがない。その接点は何かというと、私の伝え聞くところによりますと、こういうふうに何か書類が折ってあって、この真ん中か何かにしみがついた。そのしみが、二という棒の間に一つしみがついて三に見える。これは一体しみであるか、三であるか。本来、二であるということのようだというふうに聞きましたが、そうですが。
○安原政府委員 その点につきましても先ほど申し上げました原則に基づきまして、答えたいのはやまやまでございますが、答えるわけにはいかない点を御理解いただきたいと存じます。
○横山委員 私のひとりしゃべりでもいいです、あなたが答えなければ。 大体そんなことがあり得るか。三である、三月であるというふうに主張した。三月ならば被告はきちんと某所におった。それは警察までが証明する。そうしたら、そうでなくて、三でなくて、三の真ん中にある横一はあれはしみである。あれはしみであって、二である。二であれば本人のアリバイは成立しない。そんなばかな問題が私はあり得るだろうかと思うのでございますがね。それで、そのしみであるか棒であるかで、あなたのお話によれば一年も争って、それは鑑定までつける。そういうことは、私はまことに検察あるいは法廷の問題も含めて重大なことで、一体そんなことが世の中にあり得るかという疑問まで生ずるわけなんでありますが、お答えが願えませんか。
○安原政府委員 一般論で恐縮でございますが、検察官は事実を歪曲して自己の立場を強弁しようというようなことであってはならないわけでありますし、そのはずでございますので、横山委員御指摘のように荒唐無稽なことを主張しているのではないということを信頼していただきたいと思います。
○横山委員 委員長、これは押し問答ですな。これは私は何も検察陣が悪いと言っているのじゃありません。読売があれだけのことで、ある意味では挑戦をしているのですから、挑戦を受けて、ある意味では信用を失墜しておる検察陣あるいは法曹界のために弁解の場所を与えようという立場で言っているのですけれども、お答え願えないとすれば、これは聞いておる人、見ておる人は、やはり弱いしりが政府側にあるのじゃないか、そういうふうに思いかねないですよ。 それと、これは抽象的ですからお答えは願えると思うのですが、読売の社説で指摘しております点は、滝淳之助本人が再審申請をあきらめたのは、まあそんなことはするなと刑務所で勧めたというような書き方でございましたね。それからもう一つ、仮釈放の問題があります。いつまでも冤罪だと主張をしていると、それは改悛の情がないということになる、だから仮釈放がなかなか困難になるから、まあそんな主張はやめよというふうに勧めたというふうに指摘をしておる節があるわけです。この点について御意見を伺いたい。
○長島政府委員 本人につきましては昨年の八月十四日に仮釈放の申請を刑務所長からいたしておりまして、現在仮釈放の審査中でございます。申請いたしまして後、委員会の方から観察官が事前調査に参っておりますが、今年の一月二十二日に観察官が滝に事前調査の面接をいたしまして、終わりましてから、千葉の刑務所の係官に対しまして、滝はいままで裁判を受けてきた事実のうちでその多くを否認するという態度を示しているが、現在再審を申し立てている事案、先ほどおっしゃいました八と九でございますか、それを除くほかの事案については認めるような態度をとって、現在の心境を書面にまとめて提出したいというような意向を持っているようにうかがえるので、同人がその書面を書いて出してきたら委員会の方へ送付してほしいということを言い置いて帰られた。それで、ことしの二月十四日、同じ観察官が刑務所にまたほかの調査に来たのでございますけれども、そのときに刑務所に対して、滝が先ほど申したような心境を書いた書面を書いたかどうかという照会がありました。そこで二月十七日に刑務所の係官が滝に会いまして面接をしております。その際に滝にそういったような心境を書いた書面を書いたかどうかということを聞いておるようでありますが、滝の方は、実はそれを書くつもりでいた、すぐ心境を書いた書面を出す、こういうふうに申しました。そこで担当者の方が、いやしかしその問題は従来非常に弁護士さんが尽力してこられているので、弁護士さんに十分相談してから書いたらどうかというふうに助言をしております。その翌日、滝から特別発信の願い出がありまして、十九日に弁護士あてに手紙が出ております。手紙の内容によりますと、何か同房者から勧められたというようなことが一部入っているようでございますけれども、その手紙を受けて三月十八日に弁護士さんが面会に来ておられます。 以上が事実関係でございまして、私どもの調べました関係では、担当職員が同人と接触した経緯はいま申し上げたようなことでございまして、担当職員から再審の申し立てをなす意思を翻すように働きかけたという事実はなくて、むしろ弁護士さんとよく相談をしたらいいじゃないかというふうに指導したのが事実だというふうに認められます。
○横山委員 冤罪の主張が改悛の情がないとして仮釈放を妨げているのではないかという疑いが生じますのは、私もずっとこの判決文を見たわけで、要するにこの滝淳之助は八と九は否認しておりますけれども、あとずいぶんだくさんの犯罪事実があるわけですね。ずいぶんだくさんの犯罪事実をずっと見てみますと、決定的な犯罪事実といいますか、重要な悪いことといいますか、それは一つありますが、あとはチンピラみたいなことが非常に多い人間のようであります。その人間が八、九だけを否認したところでどう変わりがあるかということを考えますと、そんなに全体については変わりはない。八、九というのは大したことではない。そう言ってはなんですけれども、重大犯罪、重要犯罪ではないということなんです。しかも、彼は今日までずいぶん長く服役をしておって、普通だったらもうとっくに仮釈放になっておってもいい人間ではないか。そこにこういうふうに政治的になりあるいは読売が取り上げる基礎的な要因がある。仮釈放を妨げておるものは一体何かというところに問題の発端があるような気がするわけです。普通だったらもう仮釈放になっているのじゃありますまいか。その点について、仮釈放の見通しを一遍聞きたい。
○長島政府委員 仮釈放の問題は保護局長の所管でございますけれども、その前に一百申し上げさせていただきたいと思います。 先ほど申し上げましたように、仮釈放になりますには刑務所長の申請が必要でございます。先ほど申し上げましたように、昨年の九月でございましたか八月でございましたかに申請がなされております。一般に比べまして申請がややおくれているのじゃないかという点がございますが、先生御承知のように、判決の事実のほかにまだ三つ刑がございまして、懲役五年の刑が二つと六月の刑が一つでございますか、ということで刑がたくさん実はあるわけでございます。無期刑につきましては十二年ちょっと執行しましてから、ほかの刑の方の執行に入っておるわけでございまして、そういう意味で申請がおくれたということでございます。 一般的に仮釈放の状況を見ますと、無期刑につきましては十三年から十七年というあたりが一般的には一番多い仮釈放の期間になっておる、統計的にはそうなっておるわけでございます。
○古川政府委員 それでは仮釈放の関係についてお答え申し上げます。 先ほど矯正局長からも申し上げましたように、本人滝淳之助につきまして、千葉の刑務所長から昨年八月に仮釈放の申請が出ております。現在関東地方更生保護委員会において審理中でございまして、近く委員の面接も行われる予定になっております。 申請がありますと、まず委員会の保護観察官がいろいろ調査をいたします。その調査の対象といいますか、調査事象はいろいろございまして、まず、犯罪者予防更生法では、本人の人格とか、在監中の行状とか、職業の知識とか、入監前の生活方法、家族関係その他、こうなっておりますが、さらに法務省令におきまして犯罪の動機あるいは原因であるとか、あるいは被害状況、つまり被害弁償がなされているかどうか、被害者感情はどうなっておるか、治癒されているかどうか。さらには、一番大事なのは帰住予定地の環境、つまり本人が仮釈放になりました場合にその受け入れ態勢はどうか、引受人はどうか、それから釈放後の生活計画、こういうものを保護観察官が調べることになっております。 そういうことで、昨年以来保護観察官が数回千葉刑務所へ赴きまして本人に面接いたしておりますし、さらに帰住後の受け入れ先等につきましても鋭意調査をしている段階でございます。それがある程度熟しまして、近く主査委員が本人に面接して仮釈放の許否について聞くということになっておるわけでございます。 現在そういう状況でございますが、そこで仮釈放の審査について、本人が再審申し立てをしていることが何か不利益なことになるのじゃないか、こういう問題でございますが、御承知のように、刑法の二十八条は、改悛の情のあるときは仮釈放をすることができる、こうなっておるわけであります。改悛の情の解釈、まあいろいろございますが、否認している場合、あるいは再審を申し立てる場合に、それがずばり改悛の情がないということになるのかというと、これは必ずしもそうでございません。一般的に言えば、やはり仮釈放は有罪判決の執行を一時停止して本人を出すのでありまして、有罪判決の前提になっておりますその事実を否認する、再審請求をするということが、じゃ否認していてそれで改悛の情があると言えるのかという問題がございます。しかしながら必ずしも、再審を請求しているから、否認をしているから、絶対にそれでは仮釈放にならぬかというと、それはそうではございませんで、現に否認している者につきましても仮釈放を認めた例がございます。白鳥事件ももちろんそうでございます。 そこで本件につきましては、先ほど申し上げましたようにいろいろな状況を聞いておりまして、先ほど矯正局長からも、保護観察官が現場へ行っていろいろ事実関係について聞いていると言っておりますが、ただ、これでは再審を請求している事件についてはほとんど触れておりません。これはやはり再審請求中であるということで触れておりません。まさに先ほど横山先生御指摘のように、その他の方が重要でございまして、強盗殺人事件を含め十幾つ、相当数の犯罪があるわけでございます。こういう点につきましては一応本人に観察官が聞いております。それで聞いております段階で、ある程度認める、現在の心境はこうだということを言いましたので、それについて何らかの書面を出すならば書いて出すようにということで、先ほどいろいろ矯正局長の方から話のあったような状況になったわけです。まだこれは現実には出ておりませんが、しかしそういうことで、いろいろ犯罪事実についてはある程度観察官は聞いております。その犯罪事実について、つまり再審請求している以外の事件について現在どう考えているかというその心境、これはやはり仮釈放の審査の一つの要素にはなると思います。しかし、先ほど冒頭に申し上げましたように、再審を請求しているから仮釈放は絶対に認められないという解釈はわれわれとっておりません。
○横山委員 本件は結論として、私が取り上げた効果、つまり読売の記事に対して政府側に答弁の場を与えよう、そしてその読者に判断を少なくとも与えようと思ったことが十分効果を示しません。それは、いまの仮釈放の問題やいろんなことは別として、要するにアリバイ問題なんであります。罪を着て無事の者が罰せられておるかどうかという重大な問題につきまして、十分な答弁がなかったことは大変残念でございます。しかし、私が取り上げたその気持ちを十分関係者おくみ取り願って、善処を願いたいと存じます。 最後に、先ほど稲葉委員が取り上げました金融の問題について、これは一切抜きにして法務大臣の御意見を伺いたいと思うのです。 先ほど私も少し聞いておりましたが、要するに稲葉委員と政府側委員とのやり合いは、いまの最高裁判決等をもってそのまま行えば貸金業者はみんなつぶれてしまうとか、実行不可能だとかいうような、ちょっと感覚が違うかもしれませんが、そんなような話であったように思います。私は確かにそうだと思う。しかし、いまここに全国で十二万三千七百くらいですか、業者がおるわけですね。十二万という貸金業者がおるということは、国民金融公庫でも信用組合でも相互銀行でも片づかない、いいとか悪いとかいうことを別にして、そういう庶民金融というものが経済社会にある一定の役割りをしておる。それはいい場合と悪い場合と両方あるのですよ。そしていまわれわれが目について仕方がないのはその悪い部面ですね。そのいいとか悪いとかを抜きにして、現在の経済社会に一定の役割りを果たしておるそういう庶民金融なり手形割引業者なり貸金業者がおって、特に最近その悪い面が目についておるわけですね。警察が一生懸命に悪質暴力金融を追い回す。新聞がこの間うちも、毎日が「サラ金をつく」という、サラリーマン金融ですね、特集をやっておる。そういうような今日の経済社会の中で、目について非常に社会悪を造成しておるこの問題について政府は一体何をしておるのか。警察は、表へ出た、訴えが出た、それで初めて取り締まる。けれども、高利を借りて、暴力金融やあるいは手形割引の悪質業者につかまったが最後、警察に持っていくことができないのですよ。おわかりだと思うのですが、警察に持っていくまでにもう勝負はついてしまうのですから。しかしながら警察は自分の部面を持って、表へ、氷山の一角で飛び出たものをやるということなんです。大蔵省どうかというと、大蔵省はいやがっている。こんなものは私のところのベースじゃない。地方自治体はどうか。地方自治体もそんなもの、ほとんど担当者がおりやしません。十二万数千の貸金業者がおって、そして一定の経済社会で役割りをしておって、そのごく一部が大変悪いことをする。最近毎日毎日、新聞に出てくるようですね。そういうものについて、警察はそれだけの部面でやって、いま行政指導が皆無であるということなんです。 だから、私の言わんとするところは、いま法律があって、この庶民金融業協会を組織する貸金業の自主規制助長法というものが現にあるわけです。私もその法律を立案をして、超党派でつくった一人なんですが、ただ名称使用だけであって、この貸金業という名称を使用しなさい、庶民金融業協会の看板だけは許す、ほかの人は使っていかぬぞということだけなんです。それでもやはり、悪いやつはその中に入れぬのですから、その看板のあるところならまだいいということなんですね。看板のないところへは行くなよという指導を、まあほんの一足だけ前へ進んでおるわけです。これは全般的な行政指導として、一体大蔵省の所管なりや、法務省の所管なりや、自治省の所管なりや、警察の所管なりや。いまどこも本気になってめんどうを見ておらぬのです。十二万数千ある貸金業者、それによって起こっておる一部の悪質な状況、それが表へ出たら警察が引っ張るけれども、いい方に持っていく行政指導はみんないやがって何にもやらぬのですよ。不景気になれば中小企業は倒産します。倒産のときには、不渡りあるいは高利金融、暴力金融、何かで必ず一つ二つ関連をしておるのがわれわれの市井で知っておる状況なんです。ですから私の言いたいことは、少なくとも法務省、大蔵省あるいは警察庁、そういうところで、一体この行政指導はいかにあるべきかということを相談しなければいかぬのじゃないか。さっき稲葉委員とあなた方との質疑応答を聞いておって、ちっとも答えが出なかったという私は感じなんです。政治として一体これをどうするかということについて答えが出なかった。その答えを政治的に行政の面で出してもらわなければいかぬのじゃないかというのが私の意見なんであります。 ある人にそう言ったら、そんなものはなくなればいい、国民金融公庫と信用組合と相互銀行を育成指導して、そういうものは自然になくなっていけばいい、こういう意見を言う人がありました。私は、経済の実態を知らざるもはなはだしい、いまのこの状況で何で十二万五千もそういう業者があるかということを、その経済の実態というものを知らずしてそんな議論は全く非現実的な政治論だ、経済論だと思うのです。そのいまあるもの、そしてそれをうまく行政的に指導するということと全く違うんだと思うのです。これはちょっと抽象的ですけれども、私の言わんとすることは大臣おわかりでございましょう。これは、法務大臣にこの行政指導をしてくれと言ったってそれは無理なんで、法務大臣の方は、悪い業者は徹底的に処分するという面を担当してもらいます。もらいますけれども、それだけでは済まぬということなんですね。それが表に出てくるなんということはそんなにありはしませんよ。裏にある問題、そういう十二万五千の中で悪いやつは徹底的に処分をして、いいやつとは言いませんが、少なくとも、国民金融公庫よりは金利が高いかもしれぬ、信用組合よりは金利が高いかもしれぬ、それはコストが高ければある程度やむを得ぬですよ、けれども、少しは高いけれどもそれが経済社会の中で一つの実際の動きをしておる、そういう層と、悪い、暴力金融や悪質金融とを区分をする、いまのこの貸金業の自主規制助長の法律の運用をもっと強めてやっていく必要があるのではないか。それを閣僚として、あなたは自分のところは刑事局や警察を督励するばかりが能じゃない、それは自分は担当するけれども、それだけではこれは解決しませんよということを——この「サラ金をつく」これを読むと、ほんとにサラリーマンの中でどのくらいサラ金が浸透しておるか知れませんよ、あるいは中小企業の不渡り倒産の中でどのくらいこの金が動いているか知れませんよ。そういう面を閣僚として骨を折ってもらいたいと思うのですが、どうですか。
○稻葉国務大臣 横山さんの御指摘は、現在の社会悪の非常に著しい一面に関することであり、それにつきましては御指摘のとおり法務省も関係があるわけです。したがいまして、なるべく早い機会に他の関係閣僚にも意見を聞き——こういう社会悪を放置しておったのでは政治の不存在という、不信にもつながることだし、非常に傾聴いたします。真剣な態度で、横山さんの憂いにおこたえするような何らかの行動に出たい、こういうことをお答え申し上げる次第であまりす。
○大竹委員長代理 諫山君。
○諫山委員 私たちは一切の暴力に反対です。最近の爆弾事件の横行というのはもってのほかです。私たちはこういう凶悪犯罪の真犯人が迅速に厳正に処罰さるべきは当然だと思っております。しかし、捜査の必要という点から基本的な人権が侵されてならないことも言うまでもありません。 そういう観点から、例の爆弾事件の捜査に私は関心を示し、警察、検察庁に捜査上の問題点をいろいろ聞こうとしたのですが、なかなか説明してもらえません。捜査中の事件だということでほとんど説明が得られないのです。しかし一方では新聞、テレビで捜査内容が詳細にわたって報道されております。私はこういう状況というのは余り正しくはないと思うのです。マスコミが大いに報道すること、これは結構です。しかし、それ以上のことを法務委員会で論議できる、法務委員である私がそういう状況を知り得る、そして正しくないと思われる捜査があれば、それに対して是正の措置を講ずるというようなことが行われなければならないと思うのです。しかし、どうも法務委員である私が今日までそういう状況を把握できなかった。そこで私はきょう正式に委員会で答弁を得たいという気持ちで質問をいたします。 第一、検察庁がどういう体制でこの爆弾事件に臨んでいるのかということです。これはすでに新聞でいろいろ報道されています。たとえば五月十九日の新聞では、東京地方検察庁が企業爆破事件捜査本部を設置した。本部長は伊藤次席検事だ。公安部の検事を中心に十名の検事と三名の副検事で爆弾事件の捜査に当たっている、こういう記事が報道されております。五月二十六日には、東京高検管内から東京地検の特捜本部に応援の検事を出してくれるように要請した。これは昨年の日教組の四・一一ストライキ弾圧のとき以来だということが報道されております。現在検察庁としては爆弾事件をどういう体制で捜査しているのか、まずこの点を説明してください。
○安原政府委員 お尋ねの点につきましては、東京地検の企業爆破事件捜査本部といたしまして、現在検察官十五名、検察事務官三十名がこの捜査に従事いたしております。
○諫山委員 その検察官は東京地検の検察官だけではなくて、新聞で報道されているように、東京高検管内の検事も応援に参加しているということになりますか。
○安原政府委員 長野地検から一名、応援の検事を招いておりますが、それ以外は全部東京地方検察庁所属の検事でございます。
○諫山委員 先日、私は北辰電機の労働組合からの告訴事件で東京地検の公安部長にお会いしました。これは犯人が逮捕された直後のことです。北辰電機の労働組合事件というのは、弁護士や労働組合員が暴行を受けて告訴している事件です。そして検察庁の話では五月中に結論を出すということを弁護士に約束していたそうです。そこで約束どおり捜査が進むだろうかということで私も話し合いに参加したのです。ところが、爆弾事件が出てきましたからとてもそれどころではありません、爆弾事件が一段落しないとこの捜査も手がつけられないという趣旨の話が公安部長からありました。これは重要な問題だと思って私も意見を述べたのですが、三十名の検事がこれに取り組んでいるとすれば、公安部は機能喪失の状態になっているのでしょうか。
○安原政府委員 実は、公安部に何名の所属検事がおるか、ちょっと担当の者が同席しておりませんのでわかりませんが、私が報告を受けておるところによりますと、すべてが公安部所属検事ではなくて、三名か四名か——間違っておれば後ほど訂正いたしますが、四名はいわゆる特別捜査部の検事を公安部に派遣して、公安部と申しますか、この特別捜査本部に派遣してやっておりますので、御指摘のように公安部の事務が、爆破事件捜査のためにその他の事件については事務停止の状態であるということはないものと考えおります。
○諫山委員 私は、検察庁ができる限りのスタッフを動員して爆弾事件に取り組むことは大切だと思います。しかし、何日ごろまでには事件処理を済ますという約束までできているのがこの事件の捜査のために延び延びになるというのは、やはりこれもいけないことだと思うのです。この点はぜひ検討していただきたいと思います。 さらに、この爆弾事件について、警察庁からは正式に最初に衆議院の地方行政委員会、きのう参議院の地方行政委員会に捜査の経過と問題点を文書で報告しております。私はきのう、検察庁としても、マスコミでいろいろ報道されているわけですが、捜査の現状と問題点を公式にまとめていただきたいということを要望していたんですが、その点、どうなっていましょうか。
○安原政府委員 警察庁の担当政府委員から参議院の地方行政委員会に説明があったことはよく承知いたしておりまするが、いま諫山委員御指摘の、同じようなことを当委員会でやるようにということにつきましては私直接は聞いておりませんが、いまの担当の者に聞きますと、捜査の状況をそれに準じて当委員会で話をしろという御要望であったということで、本日このような文書にはしておりませんが、答えられます限りにおきましてお答えをしたいつもりで参っております。
○諫山委員 そうしたら、捜査の経過と現状をなるべく詳細に、ゆっくり説明してください。
○安原政府委員 御案内のとおり、警視庁が本年の五月十九日に、昨年八月三十日に発生いたしました三菱重工本社爆破事件を初め一連の爆破事件のうちで、韓国産業経済研究所、東京都中央区銀座のトキワビル五階にあるわけでありますが、この研究所の爆破容疑で被疑者八名を逮捕いたしました。そしてさらに逃走中の二名について同じ容疑で逮捕状の発付を受けて、五月二十三日に全国に指名手配をしていることは御案内のとおりでありますが、東京地方検察庁といたしましては、本年の五月二十一日にいま申し上げました被疑者七名、一名は遺憾ながら死亡いたしましたが、七名につきまして送致を受け、東京地方裁判所の裁判官に勾留請求を行いまして、二十二日全員につきまして勾留が認められ、現在同地検では先ほど申しました検察官十五名を本件の捜査に従事させて、鋭意事件の真相究明に努めておるわけであります。 その捜査の概況、さしあたりの捜索状況等につきましては、昨日警察当局から参議院地方行政委員会に説明したとおりでございますが、なお検察官において勾留の延長を求めましてまだ捜査中でございまして、したがいまして、被疑者の犯行の供述の模様等につきましてはこの機会に申し上げるわけにはまいりませんけれども、報告によりますと、勾留の理由になっております韓国産業経済研究所の事件につきましては相当の証拠を得て、これを公判請求できるという可能性が強いというふうに聞いております。 なお詳細につきましては、勝手ではございますが、諫山委員からお尋ねを受けましてお答えを申し上げたい、かように思いますので、概況としてはさようなことでございます。
○諫山委員 では一つ一つ質問します。 さっき、「一連の爆破事件」という表現が使われましたが、これは新聞で報道されておるように、三菱重工ビル爆破から始まった十一の爆破事件の件ですか。
○安原政府委員 東京地方検察庁捜査当局におきましては、ただいま御指摘の一連の爆破事件について、今回検挙いたしました被疑者らが関係があるという容疑を持っておることは事実でございます。
○諫山委員 そうすると、七名の被疑者を勾留しているこの勾留罪名は韓国経済研の事件で、実際調べているのは問題になっている一連の十一の爆破事件ということになりましょうか。
○安原政府委員 いわゆる別件逮捕という意味ではございませんで、まさに文字どおり、先ほど申しました韓国産業経済研究所の事件の捜査を中心といたしまして、これに関連する事件といたしましてこのすべてにわたって一応の捜査はいたしておりますが、あくまでも中心は、勾留の理由となっております韓国産業経済研究所の事件を勾留期間中にどう処理するかに重点を置いております。
○諫山委員 私はいわゆる別件逮捕として非難する意味で質問したのではなかったのですが、次に警察に質問します。 この事件で土田警視総監がしばしば発言しておられます。たとえば五月二十八日の談話として各新聞社が一斉に土田談話を公表しております。 〔大竹委員長代理退席、保岡委員長代理 着席〕それを見ると、「犯人のグループは逮捕された八人を含む十四名だ」となっているようですが、これは現在もそのとおりですか。
○柴田説明員 現在までに八人の者を逮捕いたしまして、二人を指名手配いたしております。いまの十四名から引きますとあと四人おらなければいかぬことになるわけでございますが、私どもは、他にも共犯者があってもおかしくない状況じゃないかということで目下鋭意捜査いたしておりますが、犯人は十四人であるというふうに断定的には考えておらない状況でございます。
○諫山委員 そうすると、氏名が明らかになっている犯人は十名で、そのほかに何名かおるらしいけれども、何名かはまだ特定できる段階ではないという趣旨ですか。
○柴田説明員 氏名が明らかになっております者が十名で、そのほかにもいてもおかしくない、いるかもしれないという現在の捜査状況でございます。
○諫山委員 土田警視総監ははっきり、「犯人のグループは十四名だ」と言っているし、これが一斉に報道されたものですから私も知りたかったのですが、今度は法務省に聞きます。 法務省が被疑者として調べているのは現在七名ということになりますか。
○安原政府委員 御指摘のとおり、逮捕、勾留した七名でございます。
○諫山委員 警察にもう一遍聞きます。 土田警視総監は八名を逮捕した最初の時期に、「これで「狼」のしっぽをつかんだ、あとまだ胴体や頭が残っているんだ」というような談話を発表しております。ところがだんだんしっぽとか頭の評価が変わってきて、現在では、「しっぽだと思ったのは胴体だった、あるいは頭だった、大体主なところは逮捕したんだ」という発言に変わっているようです。これは警視総監の新聞談話ですが、警察としてはそういう認識を現在も持っておるのかどうか、御説明ください。
○柴田説明員 五月十九日に一味を逮捕いたしました時点では、これはグループのほんの取っかかりの部分ではないんだろうかという感じであったことは事実でございます。しかしその後大量の押収捜索品あるいは被疑者らの供述によりまして、今日では、逮捕いたしました八人並びに指名手配中の二人、この十名の者がいわゆる「東アジア反日武装戦線」の主要な構成部分であったろうというふうに見ております。
○諫山委員 「東アジア反日武装戦線」という言葉が五月二十二日付の警察庁の発表の文書にも出てくるのですが、このたびの事件は「東アジア反日武装戦線」の構成員のみによって企画され、行われたという認識なのか、それとも他の共犯者や別のグループが存在するのか、現在わかっておりましょうか。五月二十二日付の文書では、そういう共犯者とか他のグループの存在も予想されるから引き続き捜査を続けたいとなっておりますが、現在どうなっておるのか、御説明ください。
○柴田説明員 一連の企業爆破事件の被疑者ということで逮捕いたしております八名はいずれも「東アジア反日武装戦線」の構成員であったというふうに見ております。また、共犯者がいた——いないかもしれませんが、もしいたということになってまいりますと、この共犯者も「東アジア反日武装戦線」の構成員であるということになるであろうというふうに見ております。
○諫山委員 五月二十二日付の衆議院地方行政委員会に対する警察庁の発表では、「別のグループが存在することも考えられる」と書いてあるけれども、その後の捜査の進展によって、別のグループというのは存在しないという結論に到達しているという意味ですか。
○柴田説明員 二十二日は十九日に逮捕いたしました直後でございまして、今日のようにグループの全貌がだんだん明らかになってきている時点と違いまして、いろんなことが想像されたわけでございます。しかし、現在の時点で見てみますと、大体別のグループというものはなかったと言ってよろしいんではないだろうかという現状でございます。
○諫山委員 五月二十二日付の文書では、「新しい爆弾グループの登場も予想されます」と書いてあるが、現在までそういう動きがありますか。
○柴田説明員 現在までに具体的に爆弾事件を犯そうとしておるというグループは把握いたしておりません。ただ、多くの極左暴力集団が爆弾並びに事件敢行に深い関心を持っておるというふうに承知をいたしております。
○諫山委員 「東アジア反日武装戦線」というのが大変問題になるわけです。これはいつごろつくられたのか。そして新聞で報道されているように、現在把握できている構成メンバーは三つのグループに属する十名だったのか。その点御説明ぐださい。
○柴田説明員 「東アジア反日武装戦線」がどのように、いつごろ、あるいはだれの組織下にできていったのかということは、現在の捜査、取り調べの大きな関心事の一つであることは御指摘のとおりでございますけれども、現在のところまだそこの詳細はわかっておりません。また、三つのグループ、「狼」「牙」「さそり」のグループがそれぞれ犯行を犯したというような点もだんだん出てきてはおりますが、そこらも現在は詳細にわかっておる状態ではございません。
○諫山委員 この点は新聞が盛んに報道していることなんですね。そしていろんなグループの系統図まで各新聞に書かれております。私は、この種事件の根絶を期するためにはこの点にメスを入れないとだめだと思うのです。 そこでマスコミの報道を整理したのですが、一九六五年に太田竜らが「東京行動戦線」をつくった。これは間もなく消滅した。このグループから「背叛社」グループが分かれてきた。「背叛社」グループも爆弾製造などをして問題を起こした。「東アジア反日武装戦線」なるものはこういう団体の流れをくんでいる人が多いというふうにほとんどすべての新聞で報道されておりますが、そのとおりですか。
○柴田説明員 「東京行動戦線」は、昭和三十九年当時できましたいわゆる無政府共産党というアナキスト組織があったわけでございますが、この実動部隊の一つということで昭和四十年ころ組織されまして、過激な行動を行ったグループでございます。なお、「背叛社」との関係でございますが、「背叛社」もアナキスト組織でございますがへ 「東京行動戦線」との間には直接組織的な関係はございません。
○諫山委員 「東京行動戦線」が雲散霧消して、それに参加していた連中が別組織として「背叛社」をつくったという関係はありませんか。
○柴田説明員 「東京行動戦線」が雲散霧消いたしまして「背叛社」ができましたその間の人脈的な流れはつまびらかにいたしておりません。
○諫山委員 「東アジア反日武装戦線」を構成しているメンバー、つまり、いま爆弾事件の犯人として逮捕されている連中は「東京行動戦線」とか「背叛社」の流れをくむアナキストグループが多いということも各紙で指摘されているわけですが、これはそのとおりですか。、
○柴田説明員 今回逮捕されました八人のうちで、かつてアナキスト組織に属したことがございますのは斎藤和だけでございます。なお、佐々木規夫の近親者にかつて「東京行動戦線」に関係した者がおったということは承知いたしております。
○諫山委員 この犯人グループについて土田善警視総監がいろいろ発言しているわけですが、その中に、「つかまっているのは実行部隊だ。その裏に理論的な指導者とか財政的な応援者というのももちろんあるだろうけれども、私が言っている胴体とか頭という言葉にはそれは含んでいないのだ。」つまり、実行部隊はつかんだけれども、理論的という言葉を言っていいかどうか知りませんが、背後で操っているグループ、あるいは資金援助のグループがあり得るという談話が毎日新聞などに出ておりますが、その関係はどうなっておりますか。
○柴田説明員 現在までの捜査の状況で、このグループの理論的指導者あるいは資金的背景というものは出てきておりません。
○諫山委員 出てきていないというのは、いま言った面に捜査を向けていないという趣旨ですか、いろいろ調べているけれどもわからないという趣旨ですか。毎日新聞の社会部長と土田警視総監が対談して、それが毎日新聞に大きく報道されている。その中には土田警視総監の談話として、「資金面での援助というのはもちろん考えられる」というようなことが出てくるのですが、いま言った問題についてまだ捜査が及んでいないのか、鋭意捜査に努力しているけれどもそういう事実は出てこないという趣旨なのか、どちらでしょうか。
○柴田説明員 背後で操っている者がいるかどうか、あるいはこれに資金を提供している者はいないかどうか、鋭意捜査をいたしております。しかし現在までそういう者は出てきておらないわけででございます。
○諫山委員 この種の事件を根絶するためには、背後関係あるいは資金的な援助のルートをつかむことがきわめて重要だということはもちろんです。この点についてもいろいろと報道機関が疑問を投げかけています。たとえば、「実家から送金のとだえた桐島がことし二月、中野に転居したとき、家賃、敷金など五万二千円をぽんと払った。黒川、佐々木も次々と転居し、これはことしの三月、黒川が四万八千円、佐々木が六万八千円支出している。それでも一味の手元に七十万円近い金が残っていた」というようなことが書かれていますが、いまの事実は間違いないですか。
○柴田説明員 ただいまの数字、私正確に承知いたしておりません。ただ、全体的に申し上げて、彼らはそれぞれ働いておったわけでございます。それで生活は非常に切り詰めておったような感じがいたします。したがって、夫婦でございますと大体月収合わせて二十万円くらいにはなっておったようでございますので、大変切り詰めた生活をしていけばあの程度の資金は捻出できるのではないかという現在の感じでございます。
○諫山委員 生活する資金じゃなくて、たとえば爆弾をつくる費用とか、この犯行に要した費用というようなのは見通しがつきますか。
○柴田説明員 生活資金のみならず、爆弾製造に要した資金あるいは爆弾を仕掛けるのに要するお金等を含めて、何とかやれるのではないかという感じでございます。
○諫山委員 資金面で非常に疑問が出てくる根拠の一つとして、「腹腹時計」に「強制収奪を否定しない」ということが書いてある。いわゆるM作戦、資金調達を「腹腹時計」の中でにおわしているということが報道されておりますが、そのとおりでしょうか。
○柴田説明員 「腹腹時計」の中に御指摘のような一句があるのは事実でございます。しかし、これまでの捜査の中で、彼らが現実にM作戦をやっておったという感じは出てきておりません。
○諫山委員 この事件では、逮捕された犯人を相当以前からマークして尾行したり内偵したりということをしていたと報道されております。大体ことしの一月ごろから個別の二十四時間尾行というのがやられているのじゃないかと報道されていますが、いかがですか。
○柴田説明員 尾行の問題につきましては、彼らに絶対に察知されてはいけないという前提でございますので、また彼ら自身が大変警戒的な行動をとりますので、二十四時間の尾行は不可能であったわけでございます。
○諫山委員 尾行というのはいつごろから始まったのか、また、何名を対象にしていたのか、御説明ください。
○柴田説明員 このグループが次第に浮かび上がってまいりましたのはことしに入ってからでございますが、そのうちの最初はごく一、二名の者から、だんだん全体がわかってくる、韓国産業経済研究所の事件である程度のことは大体つかめたという状況でございます。
○諫山委員 そうすると、個別に尾行を始めたのはいつごろからですか、あるいは何名に対してですか。
○柴田説明員 個別に尾行が始まりましたのはことしに入ってからでございます。またそれも現存のように全部がわかっておったわけではございませんので、一人、また一人ということで、次第にこのグループが浮かんできたという状況でございます。
○諫山委員 そうすると、ことしの一月ごろから何名特定できたかは別として、「狼」とか「大地の牙」とか「さそり」というグループが真犯人らしいということで個別に追跡を始めたということになりましょうか。
○柴田説明員 「狼」とか「さそり」とか「大地の牙」とかというのは、検挙後に取り調べをしまして、また押収捜索品によりましてだんだんわかってきたわけでございまして、内偵捜査の段階ではそういう状況はわかっておらなかったわけでございます。
○諫山委員 新聞では捜査の内容が微に入り細にわたって報道されていますから、少し突っ込んで聞きます。 最初に犯人らしいと目星をつけられたのはだれで、それからだれが浮かび上がってきたのか、その順序を説明してくれませんか。
○柴田説明員 当初に一、二名の者が浮かんで、次第に一味が浮かび上がってきたわけでございますけれども、だれが最初に浮かんで、どういう形で一、二名浮かび上がってきたかということは、いま捜査、取り調べ中でございますし、差し控えさしていただけたらありがたいと思います。
○諫山委員 警察が斎藤を尾行した、新幹線の座席までわかっていた、ところが大阪で見失った、こういう記事が報道されていますが、これは間違いないですか。
○柴田説明員 斎藤も尾行の対象であったことは事実でございます。ただし、本人の犯行前後の状況は実はつかめておりません。四月十九日の韓産研事件の話として報道されておりますが、犯行前後の行動はつかめておらない。これからの捜査、取り調べに待つところでございます。
○諫山委員 斎藤を追跡して、新幹線の座席まで調べていたけれども、大阪で見失ったという点はどうですか。
○柴田説明員 斎藤のいまの件は、犯行前後の動きとして報じられたことじゃなかったかと思いますが、斎藤の犯行前後の動きは具体的にはまだつかめておらない状況でございます。
○諫山委員 斎藤についてもう少し聞きます。 警察が逮捕するために斎藤の自宅を急襲したのが五月十九日午前八時三十分。ところがその直前ですか、青酸化合物入りのカプセルを飲み下した。だから斎藤に対してはほとんど取り調べが行われていない。ところがそれから二日たった五月二十一日に、斎藤の行動にも関係して非常に詳細なことが発表されている。これは正式な発表なのか、新聞記者がキャッチしている材料か知りませんが、たとえば、「三菱重工爆破の際、斎藤は黒川とともに爆弾二個を御茶ノ水駅近くから運び、タクシーの中で黒川に、だれそれに渡せと指令をしていた。」「韓国産業経済研究所の爆破直前、現場の下見」をしたのも斎藤だ。尼崎の「オリエンタルメタルの爆破現場となったところに東京から新幹線に乗っていった、その日のうちにトンボ返りしてきた」これも斎藤だというようなことが、斎藤が逮捕された二日後に一斉に報道されておるわけです。恐らく斎藤の口から出たのではないと思うのですが、警察が逮捕に踏み切るまでには、いまの斎藤の行動でもあらわれておるように大体事件の主な部分はすでに掌握していた、こう思われるのですが、そうですが。
○柴田説明員 ただいまの斎藤の行動につきましての逮捕直後の報道につきましては、これはマスコミが取材をなさったものであろうと思いますが、現在その点は一生懸命捜査、取り調べ中ということでございます。また、この一味の行動につきましては、絶対にわが方の視察、内偵の状況を察知されてはいけないということで、また相手方が非常に警戒的でございましたので、終始行動をつかんで爆破の前に押さえるとかいうごとは残念ながら不可能であった状況でございます。
○諫山委員 大体ことしの一月ごろから真犯人の目星はついた、特にことしの四月十九日の韓国産業経済研究所事件以後大体犯人の全容はつかんだ、そして逮捕の時期をねらっていた、こういう経過になりますか。
○柴田説明員 一月以降に犯人の目星がついたということではなかったわけでございます。この連中が爆破事件の犯人であるかもしれないという観点で捜査を始めたわけでございます。四月十九日の韓国産業経済研究所の爆破事件の後で、この連中が犯行を犯したのではないかという疑いがますます濃くなりまして、その後一カ月間慎重に積み上げの捜査をいたしまして、五月十九日に一斉逮捕に踏み切った、こういうことでございます。
○諫山委員 マスコミの共通の疑問として、いま私が斎藤の行動について指摘しましたように、警察は相当前から犯人の目星をつけていた。そして大体二十四時間尾行と言っていいような追跡を続けている。それにもかかわらず、次々に爆破事件が起こったというのは不可解だ。警察が泳がせていたのではないか、もっと適切な措置をとれば少なくとも後の事件というのは防止できたのではないか。こういう報道がされていることは警察も御承知だと思いますが、いかがですか。
○柴田説明員 このグループが犯人であるという確証はつかめなかったわけでございます。韓国産業経済研究所の爆破事件後にこの連中が犯人ではないかという点の疑いが大変濃くなりまして、それでその後さらに慎重に捜査をして逮捕にこぎつけたということでございます。また、二十四時間、終始これを尾行する、あるいは視察するということは、彼らの警戒がきわめて厳重でございました関係で不可能であった。したがって残念ながらその後の、彼らが怪しいのじゃないか、しかし確証はつかみ得ないという段階での起こっております爆破事件、これを未然に抑えることはできなかった、こういう状況でございます。
○諫山委員 四月十九日の毎日新聞に「土田警視総監に聞く」という記事が載っています。表題は「絶対追いつめる 犯人グループ外人関係の可能性」となっております。そして談話の中で、「第一に解明しなければならないのは、国際組織との関係だが、そういう組織があるとすれば、背後にあるのは一国か数カ国にまたがるものかということがポイントだ。なんらかの形で外国人が関係している可能性は強い。」こうなっております。第一のポイントが国際組織との関係だとなっておるのです。そして五月二十二日の衆議院地方行政委員会に対する報告の資料の中でも、犯人を割り出すための手がかりとして、第一に「アナーキーな傾向を持つ一匹狼的な存在」、第二に「アイヌ問題に関心が深い」、第三に「韓国事情に通じている者」というのが出てきます。第四が「行動力、調査力ともに優れている」ということですね。つまり国際的な組織、韓国問題というのが警察側の発表の中でずっと出てくるわけです。警察はいつごろから国際組織あるいは韓国問題に通じている者を容疑の一つの根拠に置き始めたのですか。
○柴田説明員 「腹腹時計」の執筆者、発行者が一連の企業爆破事件の犯人である疑いが——その発行名義が「東アジア反日武装戦線」であり、三菱の爆破事件後の犯行の敢行声明も「東アジア反日武装戦線」でありました関係で、「腹腹時計」の関係者が犯人グループでないかということがまず捜査に上がりました。この「腹腹時計」の中にいまの韓国問題に対する関心を表明しておりますとともに、その裏表紙には韓国で発行されました「創造」という雑誌の写真が刷り込んでありました。したがってそういう観点からも韓国に関、心を持っておる者ではないかというふうに思って捜査をしておったわけでございます。その後爆弾事件が次々に起こりまして、それぞれ爆破の敢行声明が出てまいりました。その敢行声明の中にそれぞれやはり韓国問題に対する関心を示しておりますので、これは韓国問題に関心を持っておるグループではないだろうかという観点は、終始捜査の一つのポイントということで進めてまいったわけでございます。韓国問題に関心を持っておるグループではないだろうかというのが一つのポイントでございました。
○諫山委員 新聞の報道によれば、斎藤が昭和四十七年四月から五月にかけて韓国に行っている。四十八年七月から八月にかけて行っている。四十九年一月から二月にかけて行っている。この二年間に三回、六十五日、韓国に行った。佐々木が四十七年三月から四月にかけて二十一日間韓国にいたということが報道されておりますが、これはそのとおりですか。
○柴田説明員 これまでわかっておりますとこるでは、佐々木が一回、斎藤が二回韓国へ行って去ります。この佐々木、斎藤がどういう目的で韓国へ行ったのか等は現在捜査中でございます。
○諫山委員 これは斎藤、佐々木として、いろいろ積極的な行動をしていた時期でしょう。だから、事件に関係のない韓国行きだったのか、あるいは事件と関係があって韓国に行ったのか。さらに、韓国でだれに会い、何をしていたのかというようなことにマスコミが関心を持つのは当然だと思うのですが、警察の方として、事件に関係のない韓国行きだという見方ですか、何か事件に関係があると見てますか。
○柴田説明員 佐々木が韓国へ行きましたのは四十七年三月であります。また斎藤が行きましたのは四十八年七月と四十九年一月でございます。彼らが韓国へどういう目的で行ったのか、あるいはだれに会ったのか等につきましてはまだ判明いたしておりませんが、関心を持って捜査をしておるところでございます。
○諫山委員 この事件の逮捕というのが国民に非常に衝撃を与えたわけです。各新聞が一斉に書きました。ところがサンケイ新聞だけがよそよりか早く報道したということを警察も御承知だと思います。ほかの新聞は全部十九日の夕刊に発表したのに、サンケイだけはまだ逮捕が行われてないときに新聞に書かれてますね。そういうことを承知かどうか知っているとすれば、どういう経過でそうなったのか、御説明ください。
○柴田説明員 サンケイ新聞が五月十九日の関刊で本件の逮捕のことを報じたことは承知いたしております。いかなる経過でサンケイ新聞が十九日の朝刊に報道したのか、その経過は承知いたしておりません。
○諫山委員 そろそろ時間が迫りましたから結論を急ぎます。 この事件の思想的な背景あるいは組織的なつながりにアナキストグループがいるということは報道されているとおりだと思います。そしてさっき私が名前を挙げた「背叛社」とのつながりというようなことも報道されているとおりです。「背叛社」というのはかつて、一九六八年六月二十九日ですが、共産党本部の玄関に火災びんを投げ込んだグループです。共産党はこの「背叛社」の暴力分子を厳しく糾弾するために告訴しております。ところが警察はなかなか動かないのです。ところがその年の十月六日に「背叛社」グループのアジトで爆弾製造中に事故が起こった。そこでようやく警察も取り締まった、こういう経過があります。その当時私たちは、「背叛社」グループを警察が泳がしているのじゃないかということを糾弾いたしました。そしてこの「背叛社」の裁判の中で、たとえば警察から「背叛社」が資金的な援助を受けているというようなことが裁判所の証言の中で述べられるということがあるし、またどこそこを襲撃しろというような襲撃の場所についても警察からいろいろ指示があったというようなことが、裁判所で「背叛社」の幹部自身の口で述べられております。当時私たちが厳しくこのことを問題にしましたから警察は御存じだと思いますが、そういう経過を覚えておりますか。
○柴田説明員 昭和四十三年、背叛社事件というものが起こり、当時御指摘のようなことがあったことは承知をいたしております。ただ、警察は、アナキストを初め極左暴力集団に対しまして不断に視察、取り締まりを行っておるわけでございまして、治安維持の責任を果たそうということで、今後ともアナキストを含めて極左暴力集団の不法事案に対して未然防止に全力を尽くしてまいりたいと考えております。 なお、御指摘の日共本部襲撃事件に関しましては、昭和四十三年の十一月二十日に原宿署から脅迫罪で事件は東京地検に送致をされております。
○諫山委員 この背叛社事件というのはこの問題を考える場合にきわめて教訓的だと思うのです。この「背叛社」の裁判の中で、警視庁公安一課の間々田警部補が上司の承認を得た上で和田俊一という男に五回にわたり十一万円もの金を渡した。これが和田自身の口から証言されているのです。私たちはこういう問題が起こるたびに、厳しく取り締まるべきだ、反共という点でいろいろいまの自民党政府と共通する面があるグループであるということがあったにしても、厳しく取り締まれということを要求してきたわけですが、そういう問題がずっと発展して今度の事件になってきたのだということを私たちは政治的な観点から重視しております。この事件に対する迅速厳正な処断というのが非常に求められておりますから、今度こそ世間の非難を受けないような厳しい処理を求めたいと思います。 同時に、捜査が非常に大事だということで、国民の権利を無視してはいけないというのは当然のことです。この点で、朝日新聞に大学院の学生の投書が出て、それに対する警察庁爆破事件捜査総合連合室長の回答が出る。さらにそれに対して、やはり自分は人権を侵害されたと、二十五歳の大学院の学生が二度目の投書をするということがありました。これは御承知だと思います。私たちは、捜査が大事だからといって国民の人権が侵されるようなことは絶対にあってはならないと思います。たとえばアパートのローラー作戦というようなこともやられております。そういう点で、基本的人権を十分尊重しながらこの事件の厳正迅速な処理を要求したいと思いますが、法務大臣いかがでしょうか。
○稻葉国務大臣 おっしゃるとおりにやっております。
○諫山委員 そんな、もう少しまともに、まじめに答えてくださいよ。
○稻葉国務大臣 おっしゃることはそのとおりでございますから、おっしゃるとおりにまじめに厳正にやっております、こういうことでございます。
○諫山委員 まじめに厳正にやるそうですが、もう一つの総指揮者の一人である刑事局長は私が指摘をした幾つかの問題についてどうですか。
○安原政府委員 総指揮者というお言葉は私に過分なお言葉でございまして御返上申し上げますが、検察運営につきまして大臣を補佐する者といたしまして、まさに御指摘のとおり、刑事訴訟法の目的は実体的真実を基本的人権を尊重しつつ追及することが使命でございますので、捜査、真実の追及もその手段を誤ってはならないということは御指摘のとおりでございまして、検察庁も十分に心得てやるものと考えております。
○諫山委員 終わります。
○保岡委員長代理 柴田健治君。
○柴田(健)委員 最高裁の田宮総務局長にお尋ねを申し上げたいと思います。 私は、広島高等裁判所の岡山支部の建物の改築に関連してお尋ね申し上げたいと思うのですが、それぞれ高裁の支部が全国に幾つかあるわけですが、これらの建物で改築を順次やっていくという計画があるのかどうか、まずお尋ねしたいと思います。
○田宮最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 岡山支部を含めまして全国で六つ高等裁判所の支部がございます。そのうちの大部分はもうすでに改築されておりまして、岡山を除きますと一番古いので宮崎支部というのがございますが、これが昭和二十九年の建物でございます。そのほかはいずれもその後、三十年代、四十年代にそれぞれ改築されております。
○柴田(健)委員 御承知のように、岡山の支部はもう三十年近くたっておるわけで、建物が非常に古いし、悪くなっておるし、狭隘であるしといろことで、能率的な面から見て非常に悪い条件にいまなってきている。この点についてはお認めになると思うのですが、どうですか。
○田宮最高裁判所長官代理者 岡山支部の建築年次は二十五年と二十七年、二十七年に増築しておりますので二十七年でございます。年次から申しますと終戦直後でございますから、資材等相当悪いものを使っておりますので、確かに粗末な面もございますが、御承知のように全国にはたくさんの裁判所の建物がございまして、岡山支部と同じころに建った建物ないしは戦前の建物等を含めますと、現在でも全国で百八十ばかりの庁がございますので、ほかの庁に比べまして特にひどいということも言えないのではないか。さらに古い明治ごろの建物もまだまだございますので、そういうような点、相対的に考えますとまだまだ現状でも使えるというふうに一応は考えております。
○柴田(健)委員 局長は地裁を含めて言われてくると思うのですが、高裁の支部を対象にして考えた場合ですね。岡山の支部の所在地は、御承知のように岡山市の中では古い歴史的な土地でありまして、もと池田侯の城壁の中にある、天神町という名前がついておりますが、実際は天神山。この天神山は、岡山市民の市民感情からいうとりっぱな風致地帯であるということで、都市の美観論の立場に立ってできるだけ美しく残してもらいたいという意見が強いわけですね。そういう市民感情を踏まえて、建物も悪いし、何とかして改築してもらいたい。同時に、改築するならもっといい場所——御承知のように家裁なり地裁がある岡山市の南方というところは、岡山市の都市計画なり岡山県政の県都として、司法権の一つの官庁街という考え方で、あそこへ司法権の中核基地として土地を確保している。いま検察庁もあるし家庭裁判所もあるし地方裁判所もあるということで、相当広大な土地を一画確保してやっておる。高裁の方の岡山支部だけがいま離れていますがね。そういうことで、でき得れば一ところに持ってきたらどうかという考え方で、都市計画の中で、また新しい都市の再開発という立場からそういう構想を練ってきておるわけですね。建物も悪いし、改築してもらう際にはそういうこともあわせて考えてもらったらどうかという意見がある。そういうことで改築運動をして、ひとつお願いしたいという要請をしておると思うのです。 ところが、聞くところによると、どういう考え方か知りませんが、いまは交通もよくなったし、いろいろなことで、最高裁の方は、支部を統廃合する、広島高裁にひっつけてしまうんだという。それで、改築要請をするとなくしてしまうぞという、これは中傷かデマか何かわかりませんが、そういう意見がちまたに流れている。それこそさあ大変だということになって存置運動をやる。存置運動をすれば改築の方はそれなら当分お預けだ、こうなってしまう。どちらかしんぼうせい、存置してほしいのなら改築の方をしんぼうしなさい、こういうことでてんびんにかけられて、どうも割り切れないという県民感情、市民感情がいま起きておるわけです。改築運動を起こして要請をすればもう改築はしない、広島高裁なら広島高裁の方へ引き揚げてしまうというような考え方は恐らく持たれぬと思うのですよ。持たれぬと思うけれども、最高裁の方で、これは岡山支部ばかりでなしに、全国的な立場で整理統合というか、統合拡充というか、そういう考え方があるのかないのか、その点を聞かせてもらいたいと思う。
○田宮最高裁判所長官代理者 裁判所の整理の問題でございますが、御承知と思いますが、昭和三十九年に、臨時司法制度調査会というものがございまして、それの意見書が出ております。その中では、高裁支部は廃止をする、地方裁判所の支部も合理的に整理統合する、簡易裁判所も合理的な配置を考え直すというようなことをうたっておりますが、もちろん、裁判所の整理という問題は直接国民の利便に密着するものであるから、それのやり方等については十分慎重にやるべきであるということも意見の中に述べられております。私どもといたしましては、確かに、交通事情とか事件数というものから考えますとある程度整理すべき個所もあるというふうには思っておりますが、現実問題といたしましては、これはあくまで国民の権利、利便と関連いたしますので、地元の方々、関係機関等と十分話し合いの上でなければ容易には実現するものではないと考えております。したがいまして、過去において整理のできたところというのは函館の高裁支部のみでございまして、あとは地方裁判所で二つばかり小さな支部を整理いたしましたが、そのような状況でございますので、抽象的には整理すべきであるというふうに一応考えてはおりますが、具体的な問題となりますと、地元との十分な話い合いということを前提としておりますので、現在のところ、どこそこの個所について必ずこれをやるというようなことは一切考えておりません。 以上でございます。
○柴田(健)委員 そういう答申があることは知っておるのですが、いまそれを直ちになくすとかなんとか言われると県民感情が非常に悪くなる。その理由は何かと言うと、岡山支部を設置してもらうときに、地元負担というか、資金的に莫大な拠出をしているわけですね。いまではそういうことはなくなったのですけれども、歴史的経過から言うと、何か国の出先を設置してもらうときには土地を提供したり、いろいろなことで金を出している。日本の場合は、長い歴史の中で、おまえたちのためにしてやるんだというような形で地元負担をたくさん取って、地元負担である程度設置をして、それで寄付採納をして今度は国有財産になった。国有財産になったら国はなくそうとどこへ持っていこうと自由だ。理屈はそうかもしれないけれども、やはり感情としてはそういうことをしてはならない、こういう気持ちと、もう一つは、いまあなたが言われるように、国民の権利を十分尊重していかなければならぬ。 それから、昭和三十九年に答申を出した時分と十年後と、今後また十年の日本の人口増をどう判断していくのかということも十分考えないといかぬ。終戦当時の日本の人口と戦後三十年たった今日の人口の増加率——日本の場合増加率は一・一%を割っているのですが、そういう人口増からくるこれからの民事、刑事両事件の件数というものはふえても減らないというふうに判断をしなければならぬ。ふえていく過程の中で、国民の権利を十分尊重するという立場から言うと、ただ使用の交通の便であるとか能率的とか、司法権の中だけで判断すべきではない、こういう気持ちがするわけですよ。そういうもろもろを十分考えて総合的に判断してもらわないと、市民感情、県民感情という面から言うと、どうも国が一方的に考えているのではないか、こういう不安、不信感を持つことになりますので、その点は十分配慮してもらいたいと思うのですが、その点、局長のお考えをお聞きしておきます。
○田宮最高裁判所長官代理者 まさに先生の御指摘のとおりでございまして、終戦直後、高裁支部とか簡易裁判所という新しい制度もできまして、裁判所が一挙に方々に建物を建てなければならないといったような情勢もございましてその当時いろいろと地元の方々の御協力を仰いだという点もございます。そのような点も十分考慮いたしておりますし、それからまた、御指摘のように、単に現在事件がどうであるからということだけではなく、将来に向かって事件がどういうふうになっていくかということまで当然考えなければいけないというふうに思っております。したがいまして、整理の問題と申しますのは、抽象的には非常に簡単に言い切れるわけございますが、実際問題となりますとそうした点をいろいろ十分検討しなければならない問題が多数ございますので、私どもといたしましてもこれに対しては非常に慎重に対処している、こういうことでございます。
○柴田(健)委員 たとえば法務省の管轄で、昔は登記所といわれたのですが、いま登記事務ですね、そこでも社会経済の発展段階というか、高度経済政策の中でいろいろな件数がふえているのですが、一方では、答申によって五カ年計画で、一名おる登記所は減してしまうとか二名のところは減してしまうとか、一年間に取り扱う件数によって全部で千五百の登記所を半分に減しちゃう、こういう考え方で強引にやっておりますね。いまは交通が非常によくなったのだから構わぬのだ、こういうことを平気でやっておられるから、たとえば地裁であろうと家裁であろうと高裁の支部であろうと、法務省というところは答申が出たら勝手気ままなことをやるのだな、こういう印象を持っておりますから、その点非常に不安を持っているのではなかろうか、こう思うのです。 そういうことで、今日の各支部の取扱件数を見ても、岡山支部が昭和四十五年には民事、刑事で千六十二件、四十六年千百七十三件、四十七年千百二十三件、四十八年はまだ民事だけで、刑事事件は出ておりませんけれども、五百四十二件というように取り扱っている。松江支部が四十五年八百二十四件、四十六年七百五十件、四十七年六百九件、四十八年が民事だけで三百二十九件。宮崎支部が四十五年が九百二十八件、四十六年千百二十五件、四十七年千四十七件、四十八年が民事だけで五百二十件。秋田支部、四十五年が七百七十六件、四十六年七百十件、四十七年七百四十二件、四十八年が民事だけで五百五十六件。金沢支部、四十五年が千七十五件、四十六年千五十六件、四十七年千百二十件、四十八年が民事だけで四百六十六件というように、各支部の各年次別の民事、刑事の取扱件数を見ても岡山支部は負けないように多いわけですね。 こういう件数の多い中でこれがなくなるということになると大変なことになるので、そういうことは御心配ないのだ、存置運動を起こさなくても残しますよ、こういう意思表示をまずお願いしたいのです。まあ、局長一人の考えでいけるかどうかそれはわかりませんが、ひとつ改築の問題と存置の問題については、いままでの歴史的経過からいって何としても地元の意向というものを十分くんでもらわなければならぬ。それについてどういう方法で住民に理解と納得をさしていく、そういう努力をされるお気持ちというかお考えがあるかどうか、まず聞かしてもらいたいと思います。
○田宮最高裁判所長官代理者 岡山の問題につきましては、まだほかのいろいろ裁判所がございますので、現段階におきましては改築するという方針を立てておりませんし、また岡山支部について、これを整理するとかどうするというようなことは別に決めておるわけでございません。ただしかしながら、先ほど来先生から御指摘のありましたように、地元のいろいろな御事情もあるようでございますので、関係のところから十分そうした事情等をお伺いした上でこれに対処してまいりたいというふうに考えております。
○柴田(健)委員 いま天神山に支部、その隣に東警察署があるのですが、その東警察署を移転をしたいという。ところが、警察署は移転したが高裁の支部が改築できないということになれば——岡山市の再開発という立場で、そしてまた天神山に歴史的な遺跡があるということを考えた場合には、そこに二度と建物を建てないでひとつ小公園というか、市民の心のよりどころのささやかな公園でもつくって保存をしていったら、こういう考えも一方ではあるが、ところが高裁の改築運動を起こすと広島へ持っていなれる、痛しかゆしだ、こうなるし、東署だけ移転してみたところで、それが市民の広場として、保存地区として小公園にするということもできないし、両方が同時改築しなければどうもうまくいかないという悩みがあるわけです。そういうもろもろの悩みを持っておるところだけに、うっかり改築をお願いすると持って帰られるという心配があるものだから、どうしたらいいかというのが市と県の悩みです。 それから、東署は警察庁と相談をしてこういうところへ移しますよ、資金については起債なり何なりでやる、そういうことで、警察署の建物については財政的なその他のものもある程度のルールに従って、早く移転ができる可能性がある。ところが高裁の方は、裁判所の予算の関係もあるだろうし、地元の財政負担が要るのか要らないのか、いろいろいままでの歴史から言うと、できる時分にあれだけ膨大な地元拠出金を出したのだからまた出せというのかなという——まあ、金の問題よりか残してもらいたいということと、まず思い切ってあの地方裁判所なり家庭裁判所のある司法権の官庁街、あそこへ一ところへ集めてもらうなら、特に県民の権利は十分守られるし、連携もうまくとれるし、むだな面が省けるのではなかろうか、こういうことで司法権の中心街というものを考えたらどうかという気持ちを地元は持っておる。そういう点が考えられるのかどうかという点が第一点。 それから、先ほど申し上げたように、地元の関係者というか、市長なり県知事と最高裁の方で十分話し合いをしてもらう、そういう機会をつくってもらえるのかどうか、その点、お考えをひとつ聞かしていただきたいと思います。
○田宮最高裁判所長官代理者 裁判所だけの立場から申しますと、現在高裁支部があります場所は非常にいいところでございますので、現在は改築するという計画は特に立てておりませんけれども、将来改築するとすれば、裁判所だけの立場から申しますと現在のところが最も適当であるというふうにも考えておりますけれども、先生の御指摘のような、地元としてもいろいろな御事情もあるようでございますので、そうした御事情については十分お話を聞く機会を得たいというふうに考えております。
○柴田(健)委員 もう一言。それで局長さん、そのものずばりお尋ねするのですが、先ほど申し上げたように、知事なり市長なり、その他大きないろいろな司法権の恩恵を受けておる団体がたくさんあるわけですが、そういう団体でなしに、まず県知事と局長と一遍早く会って話し合いをするというような機会はつくれませんか。それだけ聞いて私の質問を終わります。
○田宮最高裁判所長官代理者 形式論的に申しますと、まず地元で話した上ということになると思いますが、私の方といたしましてもそういう機会をつくるということは十分考えたいと思います。
○柴田(健)委員 わかりました。
○保岡委員長代理 次回は、来る六日金曜日、午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時十二分散会