法務委員会 第8号
- 発言数
- 93 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1975/02/28
会議録
○小宮山委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山君。
○横山委員 この犯罪者予防更生法のほかに、この種の法律としては更生緊急保護法並びに執行猶予者保護観察法、この三法があります。私、改めてこれを見ているのですけれども、その三つの法律がそれぞれ独立した意義を持っておるということについて、どうも区別がはっきりしないのであります。どういう歴史的な経過をもってこの三つになったかわかりませんが、端的に言ってこの三つの法律の独特の意義は何でありましょうか。また、この三つの法律がどうしても三つなければならないという積極的な理由があるのでありましょうか。この三つの法律を統合して、わかりやすいこの種の基本的な法律をつくる必要があるのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
○古川政府委員 お答えいたします。 ただいま横山先生がおっしゃいましたように、更生保護関係法規には大きなものといたしまして、ただいま御指摘の犯罪者予防更生法、執行猶予者保護観察法並びに更生緊急保護法があるわけでございます。これは、犯罪者予防更生法は昭和二十四年、執行猶予者保護観察法は昭和二十九年、更生緊急保護法は昭和二十五年、結局、犯罪者予防更生法、更生緊急保護法、執行猶予者保護観察法、こういう順でできてまいったわけでございます。当時、戦後のこういう更生保護関係はいろいろ変遷を経まして、まず犯罪者予防更生法ができまして、さらに緊急に保護しなければならぬという意味の更生緊急保護法ができまして、さらにしばらくたちまして、成人に対する保護観察つき執行猶予の言い渡しができるようになりまして、執行猶予者保護観察法ができたわけでございます。 ただいまのように変遷があるわけでございまして、ただ御指摘のように、こういう基本法が更生保護関係で大きく言っても三つに分かれておるというのは、われわれの仕事の上にとりましても非常に不便でございますし、必ずしも好ましいことではございません。そこで従来から、これを一本化してはという動きが大分前からございまして、法務省におきましても昨年六月保護局内に更生保護基本法作成作業準備会というものをつくりまして、仮にわれわれは更生保護法というようなものにしたらどうかというようなことを考えておりますが、こういう更生保護基本法作成準備会というものをつくりまして、現在鋭意法案をつくるべく準備中でございます。まさに、御指摘のようにできるだけ早い機会にこれを一本化いたしまして、わかりやすいものにしたい、かように考えております。
○横山委員 同意見ならば強いてあえて言うことはございませんけれども、たとえばそれぞれの法の第一条を見ますと、執行猶予者保護観察法の第一条は、「刑法第二十五条ノ二第一項の規定により保護観察に付された者がその期間中遵守しなければならない事項を定めるとともに、保護観察の方法及びその運用の基準等を定めることによつて、保護観察の適正な実施を図り、」とある。犯罪者予防更生法の第一条は、「犯罪をした者の改善及び更生を助け、恩赦の適正な運用を図り、仮釈放その他の関係事項の管理について公正妥当な制度を定め、犯罪予防の活動を助長し、」とある。それから更生緊急保護法には、「刑事上の手続による身体の拘束を解かれた後、更に罪を犯す危険を防止するため、これに対する緊急適切な更生保護に遺漏なきを期し、」とある。恩赦のような問題が犯罪者予防更生法に出てはきますけれども、全般から言って、どうして一体こういうふうに三つに分けてあるのだろうか。私が調べてみまして、この法律とこの法律とどこが違うか、どこに問題があるか、自分の知りたいところを調べるにはどこを見たらいいのかという点で、三つの法律の違いが不明確なものですから大変苦労して勉強をせざるを得ないのであります。これからいろいろ質問をいたします問題を含めまして、速やかにこの種の法律の一元化と、それから新しい時代にふさわしい更生保護の基本的な、また新しい装いをこらした法律にしていただきたいと思うのでありますが、担当の局長としてはごもっともな御意見でございますが、法務大臣、ひとつあなたの御意見を伺っておきたいと思います。
○稻葉国務大臣 御指摘の三法の一本化、一元化、新時代にふさわしいりっぱな一元化の法律をつくることについては、ただいま作業を進めておるところでございます。
○横山委員 ここに、ついこの間毎日新聞に「職員の対立、施設つぶす」「「少年更生」そっちのけ」という見出しで八王子の八南会の記事が載っています。要するに、八南会は四十七年十二月、同会敷地内に住む補導員Aさんが解雇を突然されたので、それから争いが起こり、Aさんの主張は「解雇無効の決定で認められたが、理事者側はさらに本訴訟に持ち込んだため、施設は空家のまま放置され、内部は荒れるままになった。内輪もめは、昨年十二月の本訴で理事者側が敗訴しピリオドが打たれたが、肝心の施設再開については、先月二十一日の役員会でも「二年間のブランクで施設は荒れ再開には膨大な金がかかる」「職員を新たに集めるのはむずかしい」などを理由にお流れ。」そして「更生保護施設に入る青少年は、家庭裁判所で保護観察処分を受けたり、少年院を仮退院したもののうち、身寄りや職がない青少年で、全国には百五カ所の施設があるが多くの施設は貧弱で「八南会」のような立派な施設は珍しい。」そのりっぱな施設の八南会が全く少年更生そっちのけで、管理者と働いている人との争いでてんやわんやの大騒ぎということであります。この問題は、理由がそういう管理者と従業員の意見の対立、解雇問題でありますけれども、私の地元の中京苑もまたいま開店休業の状況にあります。直接のいまの理由は、賄いをやってくれる人がいないということに尽きるのでありますけれども、それに至りますまでの多くの問題があるわけであります。根本的には、更生保護会に入ってくる人が少なくなったということが重要な問題だと思うのでありますが、全国的に最近における更生保護会の現状を、ひとつ率直に局長から伺いたいと思います。
○古川政府委員 ただいま御指摘の八王子の八南会の問題私、非常に残念に存じております。ただいま御指摘の新聞記事の中でも、非常に残念だ、何とかこれを解決したいということで私申し上げているわけでございますが、確かにいま御指摘のように、全国の更生保護会、いろいろな問題に逢着いたしております。一つは経営の悪化であり、また、最近の非行少年、つまり中に入ってくる対象者の扱いの問題いろいろな問題を抱えております。 その中で大きな問題は、まず経営の困難化の問題でございます。最近、刑務所の収容人員も減ってまいりました。仮釈放の人員も減ってまいりました。さらに、釈放されて社会に出ましても結構一、二年前は職がありましたために、更生保護会を頼ってそこに住むという者が減ってくる。そういうようなことからだんだん収容実績が減ってまいりまして、現在収容率大体四十数%という状況になっております。特に都市部ではそういう状況がひどいわけでございます。 御承知のように、更生保護会は民間団体でありまして、その事業遂行のための資金は主としてその団体自身の努力によって確保するというたてまえになっております。もちろん国としてはそういう更生保護会に対しまして種々の援助をいたしておりまして、まず一つは委託費でございます。つまり、そこに収容者が何人入っておるか、一人一日幾らということで委託費を出しております。その中にはある程度のそこに従事する職員の費用、つまり補導費、そういうようなものも含まれております。これはしかし、全般的に見ますと七〇%前後の収容率がございますと大体やっていけるのが常識でございますが、それがいま申し上げたように四十数%という状況で、したがって委託費が少ない。それが更生保護会経営困難化の非常に大きな原因になっております。 さらにはまた、最近アル中とかその他処遇困難な者、つまり扱い困難な者が更生保護会に非常に入ってくるようになりました。そういうことで、ボランティア、善意のそういう施設で活躍されておる方々、主幹なり補導員なり、そういう人に非常に迷惑をかける、非常に扱いにくい。これは民間の方でございますから、非常な善意でやっておられるわけでございますが、非常な困難を感ずる、そういうようないろいろな問題が重なってまいりまして、全国の更生保護会が非常な窮屈な状況になっておるわけであります。 われわれといたしましては、できるだけこの委託費等を上げまして、国の援助をできるだけふやしていく。さらに更生保護会職員の方々に対する実力のレベルアップの研修を毎年行いまして、その対策を講じていくということをいたしております。 なお、これは昭和五十年度から実施する予定でございますが、われわれ最近の更生保護の現状にかんがみまして、更生保護の長期展望に立ったマスタープラン策定事業を四月一日から始めることにしております。これは三本の柱がありまして、一つは保護司制度であり、一つは保護観察官制度でありますが、残る一つが更生保護会の問題。この更生保護会の問題に、いまの経営、処遇その他すべて含みました更生保護会の将来はどうあるべきか、どうしていったらいいかということをこのマスタープラン策定作業の中で進めていく、これを四月から始めるわけであります。大いにまた御協力をお願いいたしたいと存ずるわけでございます。
○横山委員 私はこのたび、質問をいたします前に、財団法人愛知自啓会という更生保護施設をずっと見て、話も聞いて、そして経営に当たっていらっしゃる方の御意見も伺ってきました。そしていま八南会や中京苑の状況も伺ってみたのですけれども、いまの状態で推移いたしますならば、確かに局長のおっしゃるように、これからどうもいまの法律なりいまのシステムではどこの更生保護会もやっていけないのではないか。人が少なくなるわ、一人当たりの国費の補助も大変少ないわ、それで物件費は上がり、人件費も上がるのですから、保護会に働いておる職員がもう逃げ出したくなる、ないしは新規に採用することは困難である。全面的に更生保護会の運営は暗たんたる状況にあると私も痛感をいたしました。これはいまのお話のように、犯罪白書、四十九年版でございますが、これを見ますと、「被保護者総数が収容定員総数に占める比率(収容率)は約四二%であった。」収容能力の四割しか稼動してないところで、単価が安いところで、物価が上がるところで、どこの更生保護会だってやっていけるはずがないのであります。したがって、国費の補助もふやさなければならぬにしても、このままでは更生保護会の事業というものは麻痺状況になるおそれがある。投げ出したくなる人がやはり出てくると私は思います。いかにこの種の仕事が寄付に依存する比率が多いといっても、なかなかそうはうまくいかないと思います。 そういう曲がり角に来ておるときに、いま局長のおっしゃるように、どういう新しい発想で今後の更生保護事業を進めるか。何もこれは更生保護会だけではございませんけれども、犯罪者の更生保護なりあるいは出所者のアフターケアなり、そういうものについて全般的に見直す段階だと思うのであります。いままでは人が多いから、該当者が多いから、薄く広くという感覚があったと思います。これからは、人が少ないということも手伝っていますけれども、いままで手の届いていない部面に、狭く厚くといいますか、そういう構想で、百尺竿頭一歩を進めた更生保護の問題提起なり、検討なり、実践ということが必要な状況ではないかと思うのであります。 大臣、あなたはこの種の更生保護事業に何か御経験がございますか。
○稻葉国務大臣 経験はございませんです。
○横山委員 私どももそんなに深い経験があるわけではございませんけれども、これは間々、弊害がある部面がございます。それは私も大分前に体験したのでございますが、二つばかり体験しました。一つは、犯罪者を自分の方で使ってやるという感じなんであります。使ってやるんだから少しぐらい給料が安くたってがまんしろとか、おまえは世間のどこに行ったって八分にされるのを、おれのところだからやってやるんだと言って、役所には非常にいい顔をして、そこへ行っておる該当者に対しては大変職場内の厚生施設その他からいっても適切ではない、安い給料で長時間働かせる、そういうものが弊害の一つであります。それからもう一つは、更生保護会におきましていろいろな寄付金を集めながらピンはねをしておる、えせ社会福祉事業をやっておる人たちであります。それはもちろん一部でございますけれども、放置をいたしておきますとそういうことが起こりやすい条件下にあるということを、常に私どもは考えなければならぬのであります。 そしてまた、率直にお役所に申し上げますけれども、この種の更生保護事業にしても何にしても、ある意味では経営でございますから、経営指導能力が一体お役所に本当におありになるのだろうか。これは寄付も集めなければならぬけれども、いろいろやらなければならぬけれども、やはりある程度経営能力、働いている人に生きがいも与えてやる経営能力というものがなくてはなりません。 私はいま法務省傘下唯一の日本精神医療センターの理事をいたしております。これも更生保護会の一つでありますけれども、私がそれの理事になりましたゆえんは、保護局の方は御存じでございますけれども、刑余者の精神病院でありましたが、少し経営がよくなりましたら、精神病者をそっちのけにして、それこそ経営者が気違いみたいになってお家騒動を起こした事案であります。そこで法務委員会で取り上げまして、時の法務大臣は病院長を首切ってしまいました。そんなわけで依頼をされまして、私も自民党の人と一緒にその問題の処理に当たりまして、いまはまずまず、昔日に比べるならば大変な違いの経営改善が行われておるわけでありますが、それにしても、やはりその体験から言いますと、お役所の指導あるいは援助につきましてももう一つ、百尺竿頭一歩が欲しいところであります。言うほどにお役所がこの種の問題について手当てがない。それから言うほどに指導能力がない。この更生保護会をよくいたしますためには、まずお役所がこの種の問題について指導能力なり、物が言えるような材料といいますか、予算といいますか、それがなければならぬ。そういうものがなくて文句ばかり言っているとは言いませんけれども、私がこの前、どうぞやってください、私もここまで来たのですから手を引きますからどうぞ役所がやってくださいと言ったことがある。別にしかられたから言ったわけじゃありませんよ。もう私も役割りが終わったから、お役所の方が直営でもいいからおやりくださいと言ったことがあるのですけれども、まあそう言いなさんなということになってしまいました。 この更生保護事業につきまして、社会の大きな部面を担当いたしておりますこの種の問題について、少し法務省として力の入れぐあいが足りないのじゃないかということをつくづく痛感をいたしておりますが、そんなことを保護局長に言ったってしようがないから、大臣、御経験がなければひとつ十分この際勉強をしていただきたいと思いますが、どうですか。
○稻葉国務大臣 就任しまして間もなく、法務省内の各局長の所管事項の説明を聴取して勉強してきたつもりでございますが、恐らく局長からはそういうことについての説明があったのだろうと思いますが、それをいま覚えておりませんところを見ますと、私の関心が薄かったことを痛感いたしますね、いまお話を承りまして。ですから、帰りましてもう一度局長からいろいろ事情を聞き、私として、それはこうしたらいい、もう少しやったらいいじゃないかというふうな勉強をしたい、こう思います。
○横山委員 たとえば、二、三お伺いしますが、更生緊急保護法によりますと、第一条の中に「懲役、禁こ又は拘留につき刑の執行を終つた者」「懲役、禁こ又は拘留につき刑の執行の免除を得た者」等、もう刑が終わった者に対して更生保護が行なわれておるわけであります。そこで伺いますが、少年院を出た者について、更生保護はどこでやるようになっていますか。
○古川政府委員 ただいま御指摘のように、更生緊急保護法の第一条がこの緊急保護の対象を掲げておるわけでございますが、その中に少年院の退院者が入っておりません。これはまことに残念でございまして、現在われわれがつくっております法案でもそれを考えておりますし、われわれの方で、法務大臣の諮問機関でございますが、矯正保護審議会というものがございまして、ここでも先般、この対象者を拡大しろ、その拡大の中にただいま御指摘の少年院の退院者の問題が入っております。できるだけ早急にそういう方向に向かいまして実現を図りたい、かように考えております。
○横山委員 刑務所を出た人については更生保護法が適用される。何も私は少年院を出た少年をどうしてもやってやれという意味で必ずしも言っているわけではありませんが、それにしても、なぜ少年院を出た者だけ更生保護法の適用をしないことになったのか、その理由は何でありましょうか。
○古川政府委員 恐らく、この更生緊急保護法は、ここに並べておりますように懲役とか禁錮とか、そういう刑事処分の対象者を保護する、これが再犯を犯さないように保護する、これが住所とかそういうものに困ればやるから、こういうたてまえでできたもののようでございまして、少年関係のものはこれは保護処分でございますので、そういう関係でこれから省かれておったもの、かように考えます。
○横山委員 やはりあなたも説明しながら苦しそうな説明なんですけれども、ちょっと説得力がありませんね。これは、成年の者は刑務所を出たときには保護観察なりいろいろなことをする、少年院を出た少年にはそういうことはしないということは、本当は逆じゃないかと思われる。保護観察に付されるということは本人にとりまして、成年にしても少年にしてもいろいろな言い分はありますが、成年は保護観察に付し、少年は保護観察に付さないという論理はおかしいのではないか。どうしてもその区別をしなければならぬとすればむしろ逆ではなかろうかという感じが私はいたします。いま御検討中であれば幸いでございますが、これは当然是正されなければならぬ現状ではないかと思います。 それから、順序不同でございますが、保護司の問題です。いまたくさんの保護司の皆さんが全国的に着実にじみちな活動をしておるわけでありますが、妙なことを聞きますけれども、保護司の責任、保護司の権限というものは一体どういうことなんでありましょうか。たとえば保護司が保護観察をしておる最中に起こった問題、つまり、もう少し保護観察が適切であればかかることはあるまいにということがあり得ると思うのですね。その場合に保護司は一体責任があるのか。 それから第二番目に、保護司が一生懸命にやっておる間に保護司自身が事故に遭った。たとえば被保護観察者に暴力をふるわれた、あるいは行く途中で交通事故に遭ったというような、保護司自身が業務執行中に事故に遭った場合には一体どうなるのか。 それから、少年なり青年を一生懸命に指導をしようとしておる保護司に対して与えられている権限というものはどういうことがあるか、その点をまず伺います。
○古川政府委員 ただいま御指摘の第一番目の点は、保護司がいろいろ保護観察をやっておる、その際にうまくないことと言いますか、ミスがある、あるいは指導を誤る、そういうようなことがあった場合にどうなるか、その責任という御質問かと思うのでございますが、その点につきましては、われわれの方は保護観察官と保護司が共同体制で臨んでいるわけでございまして、ある程度の指導方針、処遇方針に従って処遇していく。その間に、その保護司さんの処遇がその少年に対して必ずしも適切でない場合も、それはあり得るかと思うわけでございます。しかし、そのために少年が完全に更生しないということはまことに遺憾でございますので、それに対してわれわれの方としましてはできるだけそういうことのないように、保護司さんには従来から研修会を実施いたしておりますし、また、保護司各位同士が御自分たちでそういうケースをいろいろ持ち寄って御研究になっておられます。そういうことでできるだけそういうことがないように、少年に対する適切な処遇が行われるように努力を重ねているわけでございます。 それから第二番目の事故の問題でございます。今度は保護司さんの方が被害を受けた場合のことでございますが、保護司さんは非常勤の国家公務員でございまして、ただいま御指摘のような事例は当然公務災害として処理されております。 それから第三番目の権限の問題でございますが、これは先ほど申し上げましたように、保護観察官との共同体制——保護観察所から事件を割り当てられまして、保護観察官と共同して保護観察を行うわけでございますけれども、その方法は犯罪者予防更生法の三十五条と三十六条に書いてございまして、三十五条は「指導監督の方法」ということで、「保護観察に付されている者と適当に接触を保ち、つねにその行状を見守る」次に、その者に対して、遵守事項を守るために「必要且つ適切と認められる指示を与える」「その他本人が社会の順良な一員となるように必要な措置を採る」これが指導監督でございますが、さらに三十六条に掲げております「補導援護の方法」といたしまして、「教養訓練の手段を助ける」「医療及び保養を得ることを助ける」「宿所を得ることを助ける」「職業を補導し、就職を助ける」「環境を改善し、調整する」「更生を遂げるため適切と思われる所への帰住を助ける」「その他本人の更生を完成させるために必要な措置を採る」こういうようなことを保護観察官と一緒にやっておる、こういうことでございます。
○横山委員 最初の大事な点をあいまいにされたような気がしますが、何かのときに保護司に一体責任があるかという問題について不明確であります。私はいま保護司法を見ておるわけでありますが、保護司は十二条によって解嘱される場合はありますけれども、処分規定はないのであります。少なくとも保護司というものは本来一体どういうものなのか。「社会奉仕の精神をもつて、犯罪をした者の改善及び更生を助けるとともに、犯罪の予防のため世論の啓発に努め、もつて地域社会の浄化をはかり、」という、言うならば社会奉仕の精神が基軸を貫いておる。おまえがもう少し働いたらよかったにということは、これは相対的な問題である。働くか働かないかの違いというものが保護司の何かの責任に帰する問題ではないと、はっきりしなければならぬ。もし、あえて言うならば、それはすべて保護観察所長なり観察官の責任に帰する問題ではないか。この点は明確にしていただかなければならぬと思うのです。
○古川政府委員 いま横山先生御指摘のように、保護司さんは、保護司さんにふさわしくない非行があったときには、そういう場合には保護司法の十二条によりまして解嘱されるわけでございますが、それに至らないような、先ほど御指摘のありましたような、職務執行中にちょっとこうすればよかったという程度の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、いろいろな機会を通じて今後の注意を促すということに努めておるわけでございまして、もちろん、そういう方を保護司に依頼し、しかもそういう事件を保護司さんにお願いしておるわけでございますので、その保護司さんがその方針に基づいておやりになっても、それが不十分な場合には、当然、それを指導する保護観察所長、あるいはこれと共同体制をとる保護観察官も十分責任を感じなければならぬ、かように考えます。
○横山委員 十分責任を感じなければならぬのではなくて、職務命令系統としては、保護観察所長があり、その部下に保護観察官があり、そして被観察者がある。保護司はその潤滑油であって、保護司がその問題についてすべての責任、最終責任を負っているものではないということを私ははっきりさせたいという意味なんですよ。観察官と保護司とは一体どういう関係なのか、これもはっきりしてもらいたいと思います。観察官が保護司と共同でやる場合、あるいは観察官は何もせずに、ウ匠がウのように保護司を動かす場合、あるいは観察官が直接やる場合、そのいずれをとっても、保護観察官、その上にあります保護観察所長の責任というものは、常に最終責任がそこにある。私は別に具体的な事例をもって言っているわけではありません。けれども、保護司のあるべき姿、保護観察所長及び職員のあるべき姿として、保護司の皆さんに依存して仕事をあいまいにしてはならぬ、最終責任はあくまでそこにあるんだということを私ははっきりさせておきたいと思うのです。この点はどうです。
○古川政府委員 基本的には、犯罪者予防更生法の二十条で、「保護司は、保護観察官で充分でないところを補い、地方委員会又は保護観察所の長の指揮監督を受けて、それぞれ地方委員会又は保護観察所の所掌に属する事務に従事するものとする。」とありますので、保護司さん自身も先ほど申し上げましたような非常勤の国家公務員ということで、形式的には保護観察所長の指揮監督を受けるということになると思うのでございますが、ただ、わが国の更生保護司制度は御承知のように官と民との協力体制で、これは世界無比の制度と言われているわけでございまして、保護観察官と保護司が共同で、まさに、保護観察官の持つ専門性、科学性と、保護司さんのお持ちになる地域性、民主性とをマッチさせまして現在の更生保護を行っているわけでございまして、当然、先ほど御指摘のような、保護司さんの方がもうちょっとこうやればよかったというような点は、十分その指揮監督に当たる保護観察所長が感じなければならぬ、かように思います。
○横山委員 大臣、私の言いたいことがまだすべて言い尽くされていないような気がするのだけれども、たとえば、この間ある保護司に会いました。そうしたらその保護司が言いますのには、「少年がうちへやってくる、私よりも家内や家族の者と大変親しくなった」こういうわけなんです。「家内の言っていることの方をよく聞いているようですな」こう言うのです。つまり、その保護司さんは自分ひとりの保護司ではなくて、家族ぐるみの保護司家庭になっておるということなんです。もう少しやりようがあったという意味は、それを逆に私がいま言っていることなんですから。保護司が、自分だけできちんとやっておる、家族、おまえは手を出すな、あれは犯罪者だからどうなるかわからないから手を出すでないというようなことも一つの方法、そうなりがちなものを、その家庭は本当に奥さんからみんなが温かく迎えて、保護司の御主人が言うことよりも奥さんやおばあちゃんが言うことの方が説得力がある、保護司がおらなくても来て、そして遊んで帰っていく、ということは、保護司の仕事というものはどれだけやっても切りがないということなんです。それは物質面もさることながら、精神面においてさらにさらにどれだけやっても切りがない。もちろんそれはうまくいく場合とうまくいかない場合とがありまして、寄りつかない、そして所在不明、逃亡。仮釈放の者が逃亡というのもかなりの数字に達していますから、いろんなケースがあると思うのですが、そういう中で働いておる保護司が人選よろしきを得る、あるいは活動のバックグラウンドが適切につくられておるかどうかは大変なことでございます。 大臣も御存じだと思いますが、あえて言いますと、その手当は、Aクラスが千九百円が二千六百円に、Bクラスのケースが九百三十円が千三百円に、Cクラスが八百三十円が千百円に今度の予算でなった。大臣、私最初これを聞いて、「ああ一日か」と言ったんですよ。「いやいやそうじゃないのです、一月なんですよ、一件一月ですよ。」Bクラスが一番多いとして、一人の被保護観察者に対して、私が言うように保護司のみならず奥さんからおばあちゃんから子供まで、みんなが温かく迎えて、うちでみんな協力してやって、一月に役所から千三百円くれるというのです。「正直のところくれぬ方がいい、いかにもやったという顔をされてもおもしろくない」こう言うのです。 その議論から思い出されるのは、去年の当委員会において調停委員の問題で、あれは一日七千円くらいでしたか、そうでしたな。大臣、調停委員は一日七千円、これは一月千三百円。それで私がそのときに保護局長に、「あなたはそれでいいのか」と言うたら、保護局長はそんなこといかぬとは言えぬもんだから、「まあまあなんとかやっております」とか、「まあ上げていただきました」と言うておったのですが、一体全国の保護司の人たちは何と考えておるか。それは調停委員の皆さんも、私ども銭金でやっておるわけじゃありません、保護司とは違います、こう言う。しかし、調停委員の皆さんと保護司の皆さんと比べてみますと、それぞれ独立した一つの重要な仕事をしておられる。なるほど調停委員は家庭裁判所へ行きまして、日がな一日いろいろと世話したり、何回もやっておられる。それもまた一つの仕事でございますけれども、全人格的に被保護観察者と一緒になって家族ぐるみにやっておる人たちが一月千三百円で、それでいいとはどうしても思われぬのです。まあ、九百三十円が千三百円になった、八百三十円が千百円になった、千九百円が二千六百円になった、上がる率はいいとおっしやるかもしれませんけれども、本当にお粗末もはなはだしい。 この種の問題は、先ほど話が出ました更生保護会に対する国の補助も同じようなことでございまして、私がくどく言います社会的不公正というものについていま国会が議論をしておりますけれども、日の当たるところにおける社会的不公正は議論されるけれども、日の当たらないところにおける社会的不公正というものが大変なおざりになっておる。大臣は御就任早々で、保護司の問題については率直にまだ十分検討してなかったとおっしゃるわけでありますから、ひとつ白紙に地図を描くような気持ちになって、そんなばかな予算の状況について根本的に考え直してやってもらいたい。九百三十円が千三百円、一日じゃないですよ、一月ですよ。家族のところへやってきて、「おお、よう来たよう来た、きょうは何だ」「きょうはその辺まで来ましたで、ちょっと寄らしてもらいました」「まあまあ上がって飯でも食ってけ」と、こういうわけですよ。それで奥さんがちゃんと御飯出して、まあ、ばか話をいろいろするというようなことをして喜んでおる家庭へ一月千三百円、お恥ずかしくて話にならぬと思いますが、どうですか。
○稻葉国務大臣 横山さんのこの点だけは、私も予算でやりましたからちっと知っているんですが、まことにひどいものだという意味でちっと知っているんです。日本の保護司制度というものは、世界にそういう制度はないので、外国人が、そんな社会奉仕みたいにただみたいなことでよくやるものだとたまげているそうでありますが、私もびっくりいたしておる。事情を聞きますと、保護司の会長なんか、「名望家が多くて、社会奉仕的にやっている制度だからね」と言うておられますが、だからこれはただよりましなのか、余りばかにしている、むしろただの方がいいのかという反問を私自身もするほどの状態だと思っているんです。そして、千九百円が二千六百円になったときに、予算がそういうことになったら礼などに見えられましたが、「お恥ずかしい次第であります」という御返答を申し上げたような次第で、改善していかなければならぬことは当然でございます。
○横山委員 犯罪者の更生保護ということは、本来、国の仕事ではあります。けれども、この種の仕事と地方自治体とはどういう関係があるか。関係が本当にないので、地方自治体は、それは国の仕事ですからどうぞおやりくださいということなのかどうか。試みに、各地方自治体がこの種の仕事にどのくらいの協力をしておるかということは、法律的には保護司の人選につきまして地方自治体が協力していますね。これは一般的だ。その次に、地方自治体からこの更生保護会なり保護司に対すする援助があります。ところが大臣、それはもう全く所によって違うのであります。横浜市なんか百七、八十万出しているんじゃないですか。ある大都市は二十万しか出していませんね。そういうことだから、どれだけ出してもらおうと頼んだ頼み方の問題だとか、あるいはその市長さんの心構えの問題というふうなことでなくして、この種の仕事が単に国ばかりでなくて、地方自治体におきましても社会を明るくする上において非常に重要な仕事なんだから、今度三つの法律を統合する際に、この種の事業に対する国と地方自治体との協力関係というものについて、共同歩調というものについて、もう少し法律的にも予算的にも体系的にもひとつ考え直したらどうか。現に地方自治体は大なり小なり何かの援助はしておるのですから。それが余りにも違い過ぎる、協力の度合いが。だから、やることの必要性は地方自治体も認めておるのですから、法律的に予算的に、公正かっ正式な協力関係を地方自治体と結ぶということが考えられないか。その点はひとつ局長の御意見を伺っておきましょうか。
○古川政府委員 ただいま御指摘の問題も、法務省におきましては従来から問題となっているところでございます。先ほど御指摘の三法でもいろいろばらばらになっておりまして、犯罪者予防更生法の第一条の第二項では「すべて国民は、前項の目的」すなわちこういう更生保護、「前項の目的を達成するために、その地位と能力に応じ、それぞれ応分の寄与をするように努めなければならない。」非常にばく然たる「すべて国民は」ということで、それから更生緊急保護法は第三条におきまして「更生保護は、第一条各号に掲げる者に対し、その更生に必要な限度で、国の責任において、行うものとする。」ところが地方自治体の点は余り明確に書いてないわけでございます。ところが実際には、先ほど横山先生御指摘のように、非常に多額の寄付を地方自治体からいただいております。それがそれぞれの個々の地方自治体で違うことはまさに御指摘のとおりでございます。そこで、現在われわれの方で作業を進めております更生保護基本法策定作業の中で、これを、どういうふうに地方自治体の協力を求めたらいいか、できるだけそういう協力の条文をここに盛れないかということで前向きに検討をいたしております。
○横山委員 先ほど言及いたしましたが、保護司選任の第一発議というものはだれがするわけですか。保護司を選ぶ、最初にこの人がいいと推薦をする組織はだれでありますか。
○古川政府委員 保護司は法務大臣の委嘱でございまして、各都道府県に保護司選考委員会がございまして、そこで選考されるわけでございます。そのリストは保護観察所が準備いたすことになっております。したがいまして、結局保護観察所で新しく保護司さんを探すといいますか、候補者を選ぶ。その際に、各方面の有識者からすることもございましょうし、さらに各地区の保護司会あるいはその保護司会のしかるべき方から、いろいろ各方面から御意見を伺って保護観察所がリストアップする、こういうことでございます。
○横山委員 私の質問にまだ率直にお答えにならぬのですけれども、要するに保護観察所で最初リストアップするのですけれども、その保護観察所長が、大都市のすべて、野にどういう人がおるかわかるはずがないではないか、だからこれにふさわしい人を推薦してくれと言うでしょう。それを保護観察所はどこへ出すのですか、そういう意味です。
○古川政府委員 これは必ずしもこうする、ああするということは一定いたしてはおりませんが、御承知のように全国に五万人の保護司さんがおいでになります。保護司さんは、保護司というものはどうものかということを十分御承知なわけでございますから、そういうことで保護司組織の力を利用する場合もございますし、また、聞くところによりますと、新聞で保護司とはこういう仕事であるというようなことを大いにPRしたことによって、御自分の方から観察所に対して、保護司になったみたい、なれるかというようなことで自己推薦があったということも聞いております。
○横山委員 私が言いたい真のことは、いま世の中が非常に変わりつつあり、価値観の変化も非常に進んでおるときに、保護司の人選の基準なり、あるいは保護司としてもこの人はもうお年寄りだからひとつ御退職願うと言う勇気とか、そういうものがうまくいっているだろうかという気がするわけであります。この時代というものはいろいろな要素があります。それは、最近は少しは減りましたけれども、青少年犯罪が非常に激増したときがある。その青少年犯罪に対応する保護司というのが、古くからその御町内におられるお年寄りで仮に人格円満にしたところで、青少年の心理に本当に合っているかどうかということがまず第一義的に言われると思うのであります。それから、いろいろな家庭内の紛争なり何なりに対して保護司が直面する場合がありますが、そういう家庭内の雰囲気も昔と違うのですから、まあ、忠君愛国的思想とは言いませんにしても、家庭における親と子、兄弟、そういう問題というのは昔と違うのですから、そういう新しい発想というもの、動きというもの、一体そういうものに理解を持っている人たちが新たに選ばれてきているであろうかどうか。保護司の選考委員会なり何なりというメンバーはまたそれらをよくながめておる人だろうかということを考えてみますと、先年、私この問題を一回取り上げたことがあるわけでありますが、去年調停委員の制度が法律改正をされました際に、勇敢に、かつ慎重に、かつ人権を重んじてという、いろいろな注文が同僚各委員からもつきましたけれども、保護司の人選について少し考え直すべきではないか。 ここにある法務鑑四十八年を見ますと、こんなことを書かぬでもいいと思うのですけれども、「保護司、更生保護会役職員等の表彰」として、叙勲それから藍綬褒章、法務大臣表彰等々が全国にわたって全部名前が出ておるわけであります。こういうことは法務年鑑に必要なのかと思う。こういうことが書かれることは一体どういう意味なのか。保護司に長年就任をしておることによって表彰されることがいかに大きなウエートを占めておるかということを如実に物語っておる。逆説的に言えば、保護司になっておれば表彰してもらえるという感覚が働いておることを見逃すわけにいきません。だから、そういう感覚を私は否定しはしないけれども、それなるがゆえに、活力を失った保護司さん、実際稼働しない保護司さんでも、長年やっているから、あの人やめてもらいたいけれどもじきに表彰になる人なのでという感覚、そういうものが保護司選任の中で一つ見逃すことのできない要素を占めておることを、私は大変残念に思います。その点について御意見を伺いたい。
○古川政府委員 最初に横山先生から御指摘いただきました保護司の年齢の問題、これは確かに徐々に平均年齢は上がってきております。いまのところ六十をちょっと超えております。この点につきましては、先ほど申し上げました矯正保護審議会でも、保護司の老齢化について対策を講ずべきであるという御意見をちょうだいいたしました。そこで、われわれの方としては、できるだけ若い活力のある保護司各位の発掘と申しますか、なっていただくのに努力しているわけでございます。現在、約一割の欠員がございます。五万人の保護司各位の中で約一割の欠員がございますが、こういう方につきましては、できるだけ若い方を獲得したいということで努力しているわけでございます。その一つといたしまして、たとえばBBS、御承知のビッグ・ブラザーズ・アンド・シスターズという、非行少年と友達活動を行っている若いBBSの団体、そういう経験をされた方をピックアップいたしましたり、あるいは、やはり外部の協力団体であります更生保護婦人会、これは比較的若い家庭の主婦などが大いに参加していただいておりますが、こういう方の中からやはり若くて活力のある方を推薦する、そういう方向で大いに努力いたしております。そういたしますれば、先ほど御指摘のありましたような、最近、年取った人とは非常に感覚のずれのある非行少年を扱っていくのに、現在のような年齢の保護司が適当かどうかという問題にも直ちに対応できるのではないか、かように考えております。 なお、さらに申し加えますならば、先ほどのBBSのOBの方といいますか、そういう方に大いに保護司になっていただくと同時に、また、BBSそのものの育成にも大いに意を配っているわけでございます。先週でしたか、読売新聞の社説にも「BBSの育成を大いに」ということで大いに御激励をいただきましたが、法務省は昭和五十年度ではBBSの育成予算といたしまして従来より十二倍という画期的な予算を獲得したわけでありまして、これで、そういうBBSが現在約一万でございますが、これをできるだけふやしていく。理想としては保護司さんと同じ五万人ぐらいにふやして、保護司さんとBBS諸君との共同体制によりましてさらに保護観察、そういう非行少年対策に効果を上げたい、かように考えておるわけでございます。 また、先ほど御指摘をいただきました表彰の問題でございますが、これは確かにわれわれとしましては大いに努力しているわけでございます。これは保護司法の十三条に表彰規定がございまして、「法務大臣は、職務上特に功労がある保護司を表彰し、その業績を一般に周知させることに意を用いなければならない。」法律そのものにそういう表彰をしなければならないという条文がございますし、また、当然無給で御活躍いただいております保護司の各位には、せめてこういうことででもその御労苦に報いなければならぬということで、毎年できるだけその範囲を拡大していくということで努めておるわけでございます。また、そういうことでそれじゃ表彰を受けるまではがんばるというようなことになりますと、これまた問題でございますので、できるだけそういうことのないようにはもちろん努めております。先ほど申し上げたように、できるだけ保護司各位の老齢化対策には十分配意いたしますとともに、保護司各位の御労苦に対する報い方については今後とも十分努力してまいりたい、かように考えております。
○横山委員 時間が少しなくなりました。実はまだまだ具体的な問題を挙げて御質問をいたしたいと思いますけれども、時間がございませんので、少し総括的な質問をいたしたいと思います。 先ほど局長から、三法の整理、法律的な体系の整理、それから私から申し上げたような、このままでは更生保護会が財政的にも行き詰まってしまうということに関連をして、ひとつ新しい発想でこの種の更生保護のあるべきビジョンをつくりたいというお話がございました。そのあるべきビジョンについて少し伺いたいと思います。 かつて、ここにもおられる同僚諸君と海外の刑務所並びに更生保護の視察をいたしたことがございます。ヨーロッパのある国で刑務所から出てきた青少年が泊まっておって、そこから働きに行っておる、全く自由な開放された条件下でありまして——それはまだ刑余者であったかあるいは刑余者でなかったかは知りません、忘れましたけれども、青少年会館というようなものでしょうか、非常に快適な明るい感じのアパートであります。もちろん国営のような感じがいたしました。これからのビジョンの中で、いままで広く浅くやっておったことをもう少し深みをつけるということが一つありましょう。そしてさらに、更生保護を社会全体を包んで行うという部面があるでありましょう。それから、先ほど御指摘をしましたように、対象者をふやす、少年院を出た少年も含めて対象者をふやすという問題や、そのほかの方法をもって更生保護の行き届くような、新しい対象を拡大するという問題がありましょう。更生保護会がうまくいかないなら、ひとつ国がやる。国でモデルでやってみるというのも一つの方法でありましょう。昔は、そういう更生保護会が来るようなら付近の住民が反対した事例がありますけれども、昔と違って、いまは明るい感じの更生保護会で、できてしまえば、なんだ、なかなかいいじゃないかというようなことがありますが、古いところは思い切ってこれはもうやめてもらって国がやるというようなことをも含めて、新しい更生保護のビジョンをつくり上げて推進する必要があると思いますが、これらを含めまして、今後の更生保護のあり方についてひとつ御意見を伺いたいと思います。
○稻葉国務大臣 横山さんの御指摘の、将来の更生保護会ないし保護司のあるべきビジョンについての御意見につきましては大変傾聴いたしました。広く浅くから深く厚く、社会全体を包んでの保護、対象者の拡大、人選基準、表彰基準等の新設及び改定、国営化というような御指摘につきましては、帰りまして保護局長とよく検討に入りたい、こういうふうに思います。
○横山委員 事務的にひとつ局長からも……。
○古川政府委員 いま大臣から御答弁いただきましたように、法務省といたしまして、保護局といたしまして、更生保護のさらに拡充に鋭意努力しているわけでございます。先ほど、ビジョンの具体的なことをという横山先生の御指摘でございますので、一、二御紹介申し上げたいと思います。 元来、最近施設内処遇よりは社会内処遇の方がだんだんウエートが増してまいりまして、現在では施設内、つまり少年院、刑務所等の対象者よりは社会内の保護観察の対象の方がはるかにふえてきてきておるわけでございます。恐らくこの傾向はどんどんふえてまいるであろう、かように考えるわけでございまして、ますます責任の重大さを痛感するわけでございます。 そこでわれわれ考えておりますのは、さらに対象者の拡大、たとえば、先ほどもちょっと御指摘ございました少年院の退院者、これももちろんそうでございますが、さらにわれわれ考えておりますのは、まあ非常にむずかしい問題ではございますが、刑務所を満期で出た者、これは更生緊急保護でとりあえずの保護はいたしますけれども、これに対する保護観察的と言いますか、元来、満期で出たのですからこれを監督することはけしからぬということになるかと思いますが、このアフターケア——現在刑務所の中に非常に累犯者が多い、再入者が多い。一番最初の犯罪を犯した場合に、そのアフターケアを完全にやればとにかく再犯は減ると思われますのに、これはいろいろな問題がございましょう。刑務所の処遇あるいは社会の受け入れ方、いろいろ問題があると思うのでございますが、こういう満期釈放者、少年院の満期退院者、こういう者に対するアフターケア、これを一体どう考えていったらいいか、これなどもいま考えておる次第でございます。 それからもう一つは、先ほども御指摘のございました国立の更生保護会。まあ、更生保護会の問題はいろいろございます。先ほどのように一般の民間の更生保護会が非常に困っている、それに対してできるだけの援助をしてまいる、これが一つの方向だと思います。また統合の問題にいたしましても、少なくとも各県に一つの更生保護会は必ず必要である。そこで地方では、県に二つもあるようなところは大体だんだん一カ所になってまいっております。そこで更生保護会の予算も充実いたしますし、いたしてまいっております。東京とか大阪とか京都あるいは福岡とか、そういうところでは、少年向きの更生保護会あるいは成人向きの保護会、さらには少女向き、幾つかの更生保護会がやはり必要だと思うわけでございます。 さらに考えられますのは、先ほど横山先生御指摘の、諸外国に見られますような半開放施設と申しますか、ハーフウエーハウスあるいは中間処遇施設、こう呼んでおりますが、こういうものもぜひひとつつくりたい。これをつくれば、これは当然更生保護会という形になるわけでございます。刑務所の中に監獄法でいろいろ考えられておりますが、監獄法には恐らく厳しい監獄と、緩やかな、つまりそろそろ釈放される段階になってくるとそれを開放的な処遇で社会になれさしていく。そうすると、今度はこれを受ける社会内処遇の場としては、そういう者が出てきた場合にすぐ生で社会にほうり出されるよりは、幾らか厳しい社会内処遇、こういうもので受け取る。それである程度期間を過してから今度は普通の社会内処遇に移す。こういう、施設内処遇の厳しいの、緩いの、社会内処遇の厳しい、緩い、こういう四段階を経ていく、この辺が理想的じゃないかというふうに考えるわけでございます。そういう場合に、やはり厳しいといいますか、社会内処遇の幾らか厳しい、つまり、一般の社会内にぱっと流すよりは、刑務所から社会内に移る場合の移行に必要な施設、これはやはりできるだけ国家が力を入れなければいかぬじゃないか。そこに国立更生保護会も考えられますし、また現在の段階でも、先ほどちょっと触れましたアル中とか、最近非常に処遇困難者がふえております。こういう処遇困難な者で民間の更生保護会で手に負えない者、こういう者を扱う国立更生保護会、こういうものを考えてしかるべきじゃないか。そのいう点で、いろいろなビジョンを考えまして前向きにいま検討しているところでございます。今後ともよろしく御協力をお願い申し上げます。
○横山委員 いろいろと事例を挙げて申し上げました。このたくさんの中ですから、中にはまずいことがあるということも指摘をして御意見を承ったわけでありますが、総体的に申しまして、この更生保護に従事する保護観察所における職員あるいは保護司等の皆さん、まことに報われざる仕事ですが、奉仕の精神あるいは生きがいをそこに見つけて、なかなか芽の吹かない仕事に全力を挙げておる人たちであります。したがいまして、先ほど大臣からもお話がございましたが、このままでは更生保護事業はもうやっていけなくなる段階に差しかかっておるということを私はもう一度強く指摘しておきたいし、またそうでなくても、この際更生保護のあり方については新しい時代にふさわしい方向にひとつ推進をすべき時期でもありますので、大臣以下関係者の皆さんは格段の検討と努力をしていただくよう希望いたしまして、私の質問を終わります。
○小宮山委員長 諫山博君。
○諫山委員 中央更生保護審査会の重要な仕事の一つに恩赦があります。従来の法務委員会の議事録を読んでみますと、恩赦論議の中心になっているのは、恩赦が党利党略的に利用されているのではないか、こういう点だったと思います。特に選挙違反事件のために恩赦が乱用されている。たとえば、恩赦がうわさに上るたびに世間では選挙違反事件がふえている、事前運動が露骨になっている、これは恩赦制度が党利党略的に利用されているからではないかということが、従来の法務委員会の議事録の中に記録として残っております。このことは法務委員会で大問題になっただけではなくて、マスコミでも恩赦が起こるたびに論議を呼んでいるわけです。そして恩赦法の改正が必要だ、こういう議論も新聞の論説などで展開されております。そこで私は、犯罪者予防更生法の一部改正が提起されたこの機会に、もう少しこの問題を実証的に掘り下げてみたいと思います。 まず、戦後、いわゆる政令恩赦が八回行われた。終戦恩赦を加えれば九回だと聞いております。そしてその都度、基準恩赦といいますか、特別恩赦といいますか、そういう措置がとられてきたと聞いているのですが、そのとおり間違いないかどうか、いかがでしょう。
○古川政府委員 御指摘のような回数でございまして、政令恩赦は戦後八回、正式に行われております。その都度特別恩赦が行われておりますが、それ以外に特別恩赦だけのものが一回ございます。それを合わせますと九回ということになるわけでございます。
○諫山委員 私は法務省に調査をお願いしていたのですが、戦後九回行われた特別恩赦の中で、何名の人が恩赦の適用を受けたのか、その中で選挙違反事件の人が何名いたのか、恩赦の年度あるいは種類ごとに説明できましょうか。
○古川政府委員 ただいま御質問の点につきましてお答え申し上げます。全部を合計いたしますとこれは莫大な数でございまして、何千万、こういうことになるわけでございますが……。
○諫山委員 政令恩赦は除いて結構です。政令恩赦の機会に行われた特別恩赦だけで結構です。
○古川政府委員 御承知のように、政令恩赦が行われますと、その政令恩赦の基準といささか離れているということでも、それに近いものをできるだけ救うのが恩赦の趣旨にも合致するということから、その政令恩赦の要件に漏れた者を個別的に救済いたしまして公平を期するという配慮から、内閣において一定の基準を設けて、一定の期間を限って特別恩赦が行われております。その戦後行われました回数は八回でございます。 その数を一回から五回までまず申し上げますと、一回から五回までは、実は必ずしも統計が内容別にはっきりいたしておりません。と申しますのは、たとえば第二次大戦終局、つまり昭和二十年十月十七日に行われました恩赦は、恩赦相当として処理されたものだけの数字が載っています。これが六百二十九。次に昭和二十一年十一月三日、日本国憲法公布、これの相当数が千六百二十というふうに出ております。次の昭和二十七年の、いわゆる講和恩赦からは処理の内容の相当、不相当が出てまいりますが、講和恩赦は受理総数が二千四百二十二、そのうち、処理されました中で相当が二千百三十六、不相当が二百八十六。次の昭和二十七年十一月十日の皇太子立太子の恩赦、これは相当だけの数字が出ておりまして二千四百七十八であります。恩赦相当として認められましたのが二千四百七十八……。
○諫山委員 ちょっと途中ですが、その中で選挙違反事件がどうかというのがわかりましたら……。
○古川政府委員 五番目までは、実は先ほどちょっと触れましたように罪名の振り分けができていないわけでございますが、六回目から公職選挙との区別を申し上げてまいります。
○諫山委員 六回目からで結構です。
○古川政府委員 それでは昭和三十四年四月十日の皇太子殿下御成婚の恩赦の際の数字を申し上げます。この際は、まず受理総数からまいりますと、公職選挙法違反が千四百五十五件受理されました。そのうちで処理相当が千四十八。次に、……
○諫山委員 私は選挙違反事件が全体の恩赦の件数の中でどのくらいの割合を占めているかを知りたいのです。
○古川政府委員 それでは恩赦相当になりましたものの比率だけを申し上げてまいります。いまの皇太子恩赦のときには、選挙違反で恩赦相当になりましたのが千四十八件でございます。これに対しまして一般犯罪と申しましょうか、公職選挙法違反以外で恩赦相当になりましたのが千八百九十三件でございます。したがいまして、公職選挙法違反は三六%、その他が六四%、こういう比率になります。次に明治百年恩赦、この際には、公職選挙法違反で恩赦相当のものが三千百五十四件、一般のものが九百三十二件。したがいまして、この明治百年恩赦のときは、公職選挙法違反のものが相当数の中の七七%、その他のものが二三%。次に昭和四十七年五月十五日の沖繩復帰恩赦、この公職選挙法違反の恩赦相当が千九百八件でございます。これに対しまして公職選挙法以外の恩赦相当のものが二百六十六件。したがいまして、その比率は公職選挙法が八八%、その他が一二%、こういう比率に相なります。
○諫山委員 この場合に、恩赦になる手続は、簡単に言うとどういうことで決まっていきますか。
○古川政府委員 これは個別恩赦でございまして、それぞれ恩赦上申権者から中央審査会に対しまして恩赦の上申がございまして、中央審査会におきまして五人の委員の合議でこれを決定してまいるということになるわけでございます。
○諫山委員 実質的に恩赦にするかどうかを決めるのは審査会になりますか。
○古川政府委員 お尋ねのとおりでございます。 ちょっと補足してまいります。中央更生保護審査会は審査をいたしまして、そこで個別恩赦になりますと、それを法務大臣に進達いたしまして、内閣で決めまして、天皇の認証を得まして恩赦になる、こういうわけでございます。
○諫山委員 私が実質的に決めるのは審査会かと言ったのはその点であって、天皇の認証とかえらい大げさなことがやられるようですが、それでも審査会が決めたのは大体フリーパスで通っているんですか。
○古川政府委員 審査会で恩赦しかるべしという上申のございましたものはすべて通っております。
○諫山委員 その場合に一定の基準に従って恩赦が行われると思いますが、たとえば沖繩恩赦あるいは明治百年の恩赦の場合はどういう基準が設けられ、恩赦にするかしないかが決められていますか。
○古川政府委員 沖繩恩赦の場合には復権令が出まして、この際に、この政令恩赦から漏れた者の均衡と衡平を考慮して、沖繩の復帰に当たり行う特別恩赦基準というものが閣議決定ありまして、これは官報にも全部出ております。それは相当長いものでございますが、その四項に「特赦の基準」といたしまして、たとえば、七十歳以上の人の場合にはこのくらい、少年のときに犯した場合にはこのくらい、それから基準日の前日、つまり五月十五日までに執行猶予期間の二分の一を経過して、その刑に処せられたことが公共的社会的生活の障害になっている、いろいろなそういうような基準がございます。
○諫山委員 選挙違反の事件の場合には、どういう基準に該当するものとして恩赦されていますか。
○古川政府委員 別に公職選挙法違反が特別恩赦の基準の罪名として掲げられているわけではございませんで、先ほどちょっと触れました基準日、すなわち昭和四十七年五月十五日の前の日までに「刑の執行猶予の期間の二分の一以上を経過し、その刑に処せられたことが現に公共的社会生活の障害となつている者で、特赦の出願をしたもの」こういう、公職選挙法でたとえば体刑になりまして、執行猶予になりました者についてはこれがございます。それから「罰金以上の刑に処せられた者」で、中間を省略しまして、「のうち、社会のために貢献するところがあり、かつ、その刑に処せられたことが現に公共的社会生活の障害となつている者で、特赦の出願をしたもの」したがいまして、公職選挙法違反で罰金になった人もこの中に含まれるというわけでございます。
○諫山委員 公職選挙法違反の犯人の中には公民権停止になっている人がたくさんいると思います。むしろほとんど大部分がそうではないかと思います。その人たちは「現に公共的社会生活の障害になっている者」という条項で恩赦になっているんですか。
○古川政府委員 これは、御指摘の趣旨は、公民権停止になっているから公共的社会生活の障害になっているということよりは、むしろ今後何かやりたい、それには、現在、そういう罰金に処せられている、その結果公民権停止になっている、あるいは公職選挙法で体刑を受け、執行猶予になっている、その執行猶予期間中公民権停止になっているのが障害になるということがいまの基準に当たる一つ原因になると思いますが、さらにそれでは具体的にそれがどういうようなその公共的社会生活の障害になっているか、実際に上申のありましたものなどを見てみますと、たとえば公務員試験を受験する上でもそれが障害になるとか、あるいは医者として業務をやっていくに障害になるとか、あるいはPTAとかの役員をやるのにやはりそういうのではぐあいが悪い、こういうような、まあこれは公職選挙法だけに限りませんが、そういうような、つまりそういう選挙活動をしたいからということには必ずしも限っておりません。
○諫山委員 いま御説明の数字で、恩赦が選挙違反事件に極端に広く適用されているということが事実をもって示されました。たとえば明治百年恩赦では七七%、これは特別恩赦の場合ですが、七七%が選挙違反事件に適用されている。沖繩恩赦の場合には八八%が選挙違反事件に適用されている、こういう御説明です。しかし、わが国の刑事犯罪の中で公職選挙法違反事件がどのくらいの割合を占めているかというと、まさにこれは九牛の一毛です。刑事事件の中ではきわめてわずかな割合しか占めない公職選挙法違反事件が、特別恩赦では七七%あるいは八八%を占めるというのは、やはり党利党略というような非難が出てくる当然の背景をなしていると思うわけです。そこで、どうしてこういう結果が生まれてくるのか、もう少し私は質問します。 選挙違反事件の人たちに対して、「刑に処せられたことが現に公共的社会生活の障害となつている者」これに当てはめられているようですが、こういう基準というのはいつの場合にも設けられている基準でしょうか、それとも沖繩恩赦のときだけの基準ですか。
○古川政府委員 別に沖繩恩赦のときに限りませんで、その前の明治百年にも同じようなことが言われているようでございます。
○諫山委員 いつごろからこういう条項が特別恩赦基準の中に入ってきているのですか。
○古川政府委員 いま詳しくは当たってみたいと思いますが、大体皇太子御成婚恩赦からではないか。ただ、先ほど申し上げましたように、公共的社会生活上の障害になっているというのは、何も選挙だけに限りませんで、先ほど申し上げましたいろいろな社会的な仕事をやっていく上で差しさわりがあるというふうに解釈されておりまして、非常にいろいろなバラエティーがあるわけでございます。
○諫山委員 法務大臣にお聞きします。 この基準というのは閣議で決まるのでしょうか。そしてその中で法務大臣はどういう役割りを果たしているのでしょうか。
○稻葉国務大臣 閣議で決まるのであります。そうして、閣議の席上、意見を求められれば、法務大臣は所管ですから、意見を申し上げる、質問に答える、また進んで意見を述べる場合もございます。
○諫山委員 これから私は特別恩赦の問題に限って質問します。 特別恩赦の大部分を占めている公職選挙法違反で「現に公共的社会生活の障害」というのが適用されているようですが、そのほかにどういう条項が適用されて一般の刑事事件の犯人は恩赦になっていますか。多い順から二、三挙げてください。
○古川政府委員 ただいま御指摘のどういう基準からと言われると、そういう基準につきましては統計をとっておりませんのでいますぐお答えしかねますが、ただ、先ほど申し上げましたように「七十歳以上の者で有期刑に処せられて」この五月十五日「基準日の前日までに刑期の三分の一以上その執行を受けた者」、さらには、同じく「七十歳以上の者で無期刑に処せられて基準日の前日までに十年以上その執行を受けた者」、こういう人もありますし、それから先ほどちょっと触れましたように、少年の問題で、「少年のとき犯した罪により刑に処せられてその執行を終わり又は執行の免除を得た者」、それから先ほど触れました「基準日の前日までに刑の執行猶予の期間の二分の一以上を経過」したというのは、公職選挙法以外のものにも当然、業務上過失なども結構あるようです。それから「禁錮以上の刑に処せられてその執行を終わってから、又は仮釈放を許されてから五年以上を経過し」しかも「その刑に処せられたことが現に公共的社会生活の障害になっている者」、それから「罰金以上の刑に処せられた者」、その中に公職選挙法違反もあるということは先ほど触れたとおりでございます。
○諫山委員 さっきの説明の中で、上申権者が上申して、審査会がそれを審査する、こういう手続を説明されましたが、選挙違反関係で上申して、認められた人と認められなかった人の数はわかりますか。これは七回目と八回目で結構です。
○古川政府委員 七回目が明治百年恩赦でございますが、この際に公職選挙法違反で不相当となりましたのが百九十六でございます。それから一般で不相当となりましたのが百十七でございます。次に沖繩復帰恩赦の際の公職選挙法違反の不相当とされましたものは三百二十五件でございます。それに比しまして一般の犯罪で、公職選挙法以外の犯罪で不相当とされたものは百九十六件でございます。
○諫山委員 そうすると、不相当とされた事件の比率は、公職選挙法よりか一般刑事事件の場合の方がはるかに多いように聞えますが、そうですが。逆に言いますと、公職選挙違反事件の方がはるかに簡単に認められているという結果が出ているようですが、そのとおりですか。
○古川政府委員 これは、ただいま諫山先生のおっしゃるようなことには必ずしも一概には言えないと思うのでございます。と申しますのは、特別恩赦とは申しましてもやはり個別恩赦でございまして、一律にどうこうというわけではございません。やはり個々のケースに従ってやっているわけでございます。そういうわけで、先般の沖繩恩赦の際には、中央更生保護審査会の各委員は、非常勤であるにもかかわらず日曜日まで御出勤になって処理されたというふうに伺っておりますが、選挙法違反だから簡単にとか、一般だからどうというようなことはない、かように考えております。
○諫山委員 私は主観的にどうこうと言っているのではないのです。結果として数字にあらわれたところを見れば、選挙法違反事件の方が認容された割合ははるかに高いということを指摘しているだけです。 そこで、公民権停止になっている刑事事件で恩赦になるというのは、公職選挙法以外に何かあるのですか。
○古川政府委員 公民権停止は公職選挙法だけでございまして、それ以外にということはちょっと考えられません。
○諫山委員 法務大臣に質問します。 いま御指摘のように、公職選挙法違反というのはあらゆる刑事事件の中で特別な事件です。原則として違反者は公職から排除しなければならない、そういう性質の事件です。そして実際には恩赦制度によって、公職選挙法の違反者が大量に公職活動に参加できる条件がつくられている。そうすると、せっかく立法機関が公職選挙法という特別な法律をつくって、これは普通の財産犯とかあるいは普通の暴力事件と違って、一定期間政治活動、公職活動から排除すべきだとしているのに、これを行政面で突き崩していくという結論が生じているような気がします。これは、恩赦が問題になるたびに党利党略という批判を受ける一番中心的な原因になっているわけです。私は、たくさんの恩赦の事例の中で公職選挙法違反事件が特別大きな比重を占めているというのは、やはり非常に問題だと思います。主観的にそういう取り扱いをしたつもりでないと恐らく言われるでしょう。しかし客観的にそうなってないことは事実です。そして世間が非常にこのことを疑惑を持って見ていることも事実です。私は、恩赦のあり方をやはりこういう観点で根本的に検討しなくていいのだろうかと思うのですが、いかがでしょう。法務大臣から結論を聞きます。主観的にそういうつもりではありませんでしたという答えはもう結構です。それはもうわかっていますから。
○古川政府委員 御指摘ですが、ちょっと先ほどの客観的には選挙違反の恩赦が多いじゃないか、こういう御指摘でございますが、特別恩赦の際に、特に沖繩の恩赦の際、選挙事件の上申が多かった理由、これは基準に、特別の出願にかからせているわけでございまして、特別恩赦は出願、上申と申しますか、これを原則としております。先ほど申し上げましたように、罰金に処せられた者で、社会的公共的生活に支障があって本人から出願したものということで、本人の出願権にかからしているわけでございます。ところが選挙違反者の恩赦に対する関心が強くて出願に及んだ者が多いということは言えると思います。それは、たとえば執行猶予者、先ほど触れました執行猶予中すでに期間が二分の一経過している者、そういうようなものは、毎年執行猶予者は三万なり何なり現在出ているわけでありまして、その中で公職選挙法で執行猶予になるのは千人ぐらいでございますから、そういう公職選挙法以外の約三万、特別法でもさらに五千人くらいの執行猶予者が出ておりますが、そういう三万なり五千なりの執行猶予者も潜在的には恩赦の出願ができるわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、そういう選挙違反者の恩赦に対する関心が深いと申しますか、やはり公民権に対する関心が深いと言いますか、そういうことから、やはり新聞などにも出ますし、そこで恩赦の出願をしようということで、それがまず選挙違反者の上申が多い一つの理由だと思います。それから、やはり選挙違反関係者は公共的社会的生活の障害になっている人が多い、こういうことが言えるかと思います。 さらに、先ほどちょっと御指摘のありました却下率の点ですが、選挙の方は比較的認められていて一般の方が認められていないじゃないか、こういう点につきまして、実は沖繩恩赦の際には受刑者から比較的出願が多かったわけでございます。しかし、現在執行を受けております受刑者につきましては、なかなかやはり相当罪名の厳しい者もございまして、犯罪の情状が必ずしもよくないのが多かったというようなことから却下率が多かったのじゃないか、これが却下率の高い一つの原因じゃなかろうか、かように考えております。
○諫山委員 法務大臣から後で意見をお伺いするとして、主観的にあなたがどう考えておろうとも、世間はあなたが言うような説明をまともに受け取っていないということなんです。世間がまともに受け取らないのも当然ではないかということを、私は数字の中から明らかにしたわけです。いろいろ説明はされます。しかし、明治百年恩赦のときには特別恩赦の中の七七%が選挙違反事件、沖繩恩赦の場合には八八%が選挙違反事件。そうすると、どんなに主観的には公平でありましたと言ってみたところで、選挙違反事件のための恩赦だと言われても仕方がないじゃないですか。出願者が少なかったからだと言うなら、それは手続に問題があるはずです。だれだって恩赦になりたいに決まっております。それでも選挙違反事件だけが特別に出願するとすれば、その制度に問題があるわけです。 だから、その問題も含めて、恩赦制度のあり方を根本的に検討しなくていいのだろうかということです。たとえば皇太子恩赦のときに、朝日新聞は恩赦法の改正を促進せよという論陣を張りました。沖繩恩赦のときには毎日新聞もやはり恩赦法の改正の論陣を張っております。その背景は、法務省がどのように口で弁解しょうとも、与党がどのように説明しょうとも、世間では恩赦が党利党略のために乱用されているというふうにしか理解していないからです。さらに、公職選挙法ではこれはもう原則として公民権停止というたてまえをとっているわけですが、実際は、公民権停止の判決を受けながら、その期間まるまる公民権停止がされていた人はかえって少ないぐらいだ。大体、公民権停止の人でもいつかの時点でそれが復活しているというような批判もあるわけです。そうすると、公職選挙法で公民権停止という制度をつくっている、裁判官がそういう判決をしている、しかしそれが党利党略的な立場で崩されていっているんじゃないかという批判が出てくるのは当然だと思うのですが、大臣、いかがでしょう。
○稻葉国務大臣 党利党略などということがあろうはずがないと思っております。
○諫山委員 それは、法務大臣が党利党略でやりましたと言えばこれは大変なことですから、そういう答弁が出るのもしようがないと思うのですが、私、お考えいただきたいのは、大臣がどのように言おうとも、世間はそうは理解していないということを反省する必要がある。そして、これは党利党略というような問題があるのかないのか、なかなか政府としては言いにくいでしょうが、しかしそういうことが言われないような制度的な改善も必要ではないかとマスコミは指摘しているのですよ。たとえば、行政機関だけに一任するのじゃなくて、何とか審議会というようなものも必要ではないかというようなことがいろいろ新聞で論ぜられております。そういう点をもっと謙虚に検討すべきだと私は提案しているのです。 さらに、政令恩赦の機会に行われる特別恩赦について質問しましたが、それ以外のたとえば個別恩赦といいますか情状恩赦といいますか、これについて資料をいただきましたが、この中では、恩赦になった人の数の中で選挙違反事件がどのくらいを占めているか、わかりますか。
○古川政府委員 先般お手元に差し上げました、法案の資料にあります四十八年度のをまず申し上げますと、昭和四十八年度中に公職選挙法違反事件で審査会の審査にかかりましたものが百九件、そのうち恩赦相当になりましたのが九十四件。それからその他、つまり公職選挙法以外で審査会の審査にかかりましたものが五百八十三件でございます。そのうち相当となりましたのが三百二十件でございます。したがいまして、相当となりましたものの比率から見ますと、公職選挙法が二二・七%、その他が七七・三%という状況でございます。
○諫山委員 これは政令恩赦と関係なく、ごく普通に行われておる恩赦なんですね。それも全体の中の二二・七%が選挙違反事件で占められているというのは全くこれは異常だと思うのです。全体の刑事事件の中で選挙違反なんというのは物の数でもないくらい少ないでしょう。本当は、すべての刑事事件の数の中で選挙違反事件が占める比率程度の数字がここにあらわれてくるのが正しいと思うのです。この点を見ても、選挙違反事件というのはやはり根本的に洗い直す必要があるということを私考えます。 もう一つ、審査会の委員ですね。これは任命手続が法律で決まってます。しかし実際にはどういうところからどういう方法で推薦され、任命になっておるのか、その内幕をちょっと説明してくれませんか。
○古川政府委員 私が局長になりましてからは、委員の交代されましたのはお二人でございまして、お一人はかつて矯正関係に御勤務になっておりました。後はやはり矯正畑からということでお一人推薦。それから先般、一般からお見えになっておられます、上野動物園長であった古賀先生が昨年任期満了で御退任になりました。そこで後に、青少年問題審議会の委員などもおやりになっておられます女性の武田喜代子先生、これは国会方面でも女性をぜひというような御希望があったように伺っておりますが、そういうことで適格者だということで御推薦申し上げて、国会の御承認を得たという状況でございます。
○諫山委員 法律では「両議院の同意を得て、法務大臣が任命する。」となっておるわけですが、それにしても、どういう経過でああいう人たちの名前が浮かんでくるのですか。これはあの人たちが適当か適当でないかという問題じゃなくて、どういう手続で浮かんでくるのか。たとえばどこかの団体が推薦してくるのか、それとも何か特別な人たちに諮問でもするのか、どうなっておるのでしょうか。
○古川政府委員 御承知のように、中央更生保護審査会は委員長と委員四人で構成されておるわけでございますが、審査の対象者がすべて、有罪の確定判決を受けた、その中には矯正施設の収容者でありますとか、あるいは保護観察中の者も相当含まれている、そんないろいろなことを考えまして、現在の段階では、裁判の経験者あるいは検察官の経験者あるいは矯正や保護の経験者、こういう実務の経験者も必要でございます。またさらには、やはりそういう民意も反映しなければいかぬでございましょう。そういう意味でやはり民間からもお入りになっておる。そうすると、前に矯正御出身の方が亡くなるとやはり矯正からというようなことも一つの選考材料にはなる。そういう点の配慮は働くと思いますが、しかし原則的には、やはりふさわしい方をできるだけ広く求めるということではないかと思います。
○諫山委員 たとえば最高裁判所の裁判官の場合には、弁護士とか検収管とか学識経験者とか、比率がよく問題になりますね。何かそういうのがあるのですか。
○古川政府委員 別にございませんで、ただ、先ほど申し上げたような御経験者の方がおられる、民間の方もおられる。特に比率は決まっておらないと思います。
○諫山委員 今度は別のことを質問します。けさ、福岡法務局の田川支局の局長さんが刑事事件で逮捕されたというので、非常に大きく報道されております。東京の新聞には出ていないようですが、九州の新聞では各紙が非常に大きく取り上げているんだそうです。私も二、三、電話で事実を調査してみたのですが、どういうことが行われたのか、御説明下さい。
○川島(一)政府委員 お尋ねの事件でございますが、実は私もけさ八時半のNHKのテレビで初めてそのことを知りました。そうして早速福岡の法務局に電話で照会をいたしたわけでございます。福岡法務局におきましても事実を確認いたしておるわけではございませんけれども、福岡地方に発行されております朝日、毎日、読売、西日本などの新聞の本日の朝刊に報道されておるところによりますと、福岡法務局の田川支局長の中西新一郎という者が、土地に関して詐欺を行った、その詐欺事件の共謀の嫌疑で昨日逮捕されたということのようでございます。それ以上詳しい点はまだ承知いたしておりませんが、昨日大分県の中津の警察署に出頭を命ぜられて、そのまま留置されておるということは事実のようでございます。
○諫山委員 これは農地の所有権移転登記に絡んで起こった文書偽造とか詐欺事件のようですが、法務局の支局長という地位と今度の犯罪はどういう関係があったんでしょうか。
○川島(一)政府委員 今度の事件は、一応その新聞記事などで福岡法務局が知ったところを、さらに報告を電話で聞いたというものでございまして、それによりますと、大分県の下毛郡三光村にある山林原野二百二十ヘクタールの土地について、何かこの土地は農業振興地の指定がされておりまして、転用ができないことになっておる、それを転用できるもののように見せかけて、岡山の大門土地株式会社にゴルフ場用地として売ることをあっせんしたという事案のようでございます。その事実だけから判断いたしますと、福岡の法務局の田川支局長の職務とは直接の関連はないように思われますけれども、しかしながら事実の関係がまだ詳細に判明しておりませんので、しかとしたことはお答えできない状況でございます。もう少し事実が判明いたしましたら正確にお答えできることと思います。
○諫山委員 これは大分県で起こった事件ですから、確かに福岡法務局田川支局長の職務とは関係ないと思います。しかし、この人の前任地は大分法務局の中津支局長だったはずです。これは中津支局の管内で起こった事件でしょう。そうすると、田川支局長としては関係ないかもしれませんが、中津支局長時代に中津支局の管内で起こった不動産登記に絡む事件ですから、当然その人の職務とつながりのある事件のはずなんです。法務局の支局長さんが職務と関係なく犯罪を起こすというのも大変なことですが、しかし職務に関して事件を起こして逮捕されるというのはもっと重大なことだと思います。 私は先日予算委員会の分科会で、法務局、とりわけ登記所の職員の数が非常に少ない、そしてそれと関連して法務局が犯罪の舞台に利用されているじゃないかということをいろいろ指摘いたしました。それからまだ一週間もたたないうちにこういう問題が起こっていますから、これはぜひ綿密に調査して、やはりこういう問題が起こるのはそれなりの背景があるんじゃないか、ただその人だけの資質の問題に還元できるのかということを、法務行政のあり方の問題として検討する必要があると思います。とかく支局長さんが悪かったんだということで片づけられがちですが、法務局を舞台にした犯罪というのは最近激増しておりますから、そういう背景と関係があるのではないかという観点から、この問題を一つの教訓として取り扱うことを強く要望しまして、質問を終わります。
○小宮山委員長 次回は、来る三月四日火曜日、午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会し、本案について参考人から意見を聴取することといたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後零時十七分散会