法務委員会 第7号
- 発言数
- 140 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1975/02/26
会議録
○小宮山委員長 これより会議を開きます。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 先ほどの理事の協議に基づき、内閣提出、犯罪者予防更生法の一部を改正する法律案について、来る三月四日火曜日午前十時から参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
○小宮山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○小宮山委員長 法務行政及び検察行政に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山君。
○横山委員 最初、法務省にお伺いしますけれども、本委員会におきまして法案の審議はこれで二つ目ということになるわけでありますが、一体、今後法務省として法案は、いつ、どういう法律案が出てまいることになっておりますか。それをひとつ確かめておきたいと思うのであります。私ども野党としての審議の予定もございますので、ちょっとお伺いをいたしておきたいと思います。たとえば戸籍法はいつ出てくるか、たとえば出入国法案は出すのか出さないのか、そのほか予定法案はどうなっておるのか伺います。
○香川政府委員 今後提出を予定いたしております法案は、まず第一に刑事補償法の一部改正法律案でございます。これは御承知のとおり、現在、拘禁されて無罪の判決が確定した者につきまして、日額六百円から二千二百円までの範囲内で裁判所が定める額を支給する。この点を、八百円から三千二百円の範囲内で裁判所が定める額を支給するということに改める点が一つ。それから、死刑執行後に再審で無罪ということになりました場合の補償、現在五百万円が上限でございますが、これを一千万円に引き上げるという、この二つの内容を持った法案でございますが、近く提出することになっております。 その次は、一九五七年のブラッセルの船舶所有者の責任の制限に関する国際条約、これが今国会で批准を求めることになっておりますので、それに関連いたしまして国内法を整備するという意味での船舶所有者の責任の制限等に関する法律案、これを提出することを予定いたしております。 それからもう一つは、これはまだ確定いたしておりませんが、戸籍法の一部を改正する法律案でございますが、現在法務大臣の諮問機関でございます民事行政審議会におきまして、戸籍の公開制度の制限に関する点、死亡者の届け出義務者の範囲の問題等々につきまして現在諮問いたしておりまして、二月二十八日に総会が開かれまして答申を得る予定になっております。その答申を踏まえまして戸籍法の一部改正法律案を提出するかどうかを決めたい。 以上三本が今後予定されておるものでございます。
○横山委員 一、二はわかりましたが、戸籍法につきまして一言質問をしておきたいと思うのであります。 もうすでに戸籍法の改正につきまして問題点があちらこちらに浮かんでまいりまして、特に審議会で、他人の戸籍を見るには原則として「正当な事由」があることを要するものとするということに戸籍法を改正なさるそうでありまして、それについてかなり問題が出ているわけであります。伝机的には「公開の原則」が貫かれて、その上に現在の実体法や手続法が形成されていると言っても過言ではない。したがって、これが非公開とされ、または公開について重大な制限が加えられるならば、現行法の運用について大きな障害が発生する。戸籍の謄本、抄本等は、結婚、相続、取引などに当たって、相手方の年齢、既婚未婚の別、結婚の前歴、この有無、被相続人の範囲、行為能力などを知る上で欠くことのできないものですが、これらの確認に困難を生じ、かつ時間がかかる、こういう主張なんであります。これは確かに、日常私どもの市民生活の上で、他人の戸籍を見ることについて制限を加うるということはかなり支障があり、意見が生ずるところだと思うのですが、いまの審議の状況はそういう心配があり得る状況なのですか。
○香川政府委員 民事行政審議会でも、この戸籍の公開を部分的にしろ制限する点につきましていろいろ問題が提起され、議論されておるわけでございまして、ただいま仰せの「正当の事由」がある場合云々というのは、おおよその考え方としまして、要綱的と申しましょうか、そういうことで、公開の原則を一部制限するということでどうだろうかというふうな考え方でございます。ただ、仰せのとおり戸籍制度の機能から考えまして、また実際の謄抄本交付事務を取り扱う市町村の窓口の状況から考えまして、抽象的な「正当な事由」云々ということではなかなかうまくいかないという面も確かにあろうかと考えられるわけでありまして、考え方として要綱的にそういった文言が使われて、そういう案で検討されておるわけでございますが、これを立法化するといたしますれば、恐らくはその例示あるいは基準的なものをもう少し具体的に規定して立法化しなければならないというふうに考えられておるようでございます。仰せのとおりの問題があって、その点をめぐって公開の制限についていろいろ議論されておるという状況でございます。
○横山委員 本件につきましては、この国会に提案されるかどうかがまだ不明確なようでありますが、提案されました場合においては、この戸籍の公開制に関する重大な制限があり得るとするならば、きわめて私どもとしては関心ただならざる問題でございますから、答申があって政府で法案化される際に十分注意をしていただきたいと思います。 さて、本日は私、監獄法の問題につきまして質疑をいたしたいと思います。 ここに「代用監獄に関する監獄法改正意見書、東京三会合同代用監獄調査委員会」という資料がございます。ここに、代用監獄におきましてのいろいろな問題の事例というものが、判決例を含めてたくさん載っております。代用監獄の中で起こりました問題などにつきましては、全くびっくりするようなことがたくさんございまして、私としても代用監獄制度についてもう一度認識を新たにしたような次第でございます。 試みに、この議論の素材といたしまして一、二の代用監獄におきます問題を提起をしておきましょう。 最高裁、昭和二十八年十一月二十七日、判例時報一四号三ページ。 「本件は所謂二俣事件として新聞をにぎわした判決である。静岡県二俣町に発生した強盗殺人事件について、警察が道場としてつかっている土蔵の中で被告人に九種にわたる拷問を行ったとする上告趣意に対し、最高裁はその点にふれず、事実誤認の疑ありとして一・二審の死刑判決を破棄し、静岡地裁への差戻を命じたものである。 この事件は差戻後の一審判決及び後に判決のあった幸浦事件とをみれば拷問のあったことは、もはや否定しがたいところである。 尚差戻後の一審判決は「本件取調において、暴行、脅迫等の直接的強制事実が存したとの認定には到達しないけれども、しかしまた、右反証全体の証明力は、これを到底否定ないし軽視することもできないので、右の事実が存在しないとの確信にも達し得ないものである。すなわち本件取調には、右事実存在の疑が残る」となしている。 右一審判決で問題とされている暴行は、おおよそ次の様なものである。(1)取調が道場と称する土蔵の中で、朝食後から夜おそくまで数名の警察官が交替で取調をなし(2)その間「正坐している被告人の太股を踵でけったり、頭や顔を殴った」(3)髪の毛をもって激しく振り廻したり、被告人を俯伏せにして脇の下をくすぐったりして一時気を失わせてしまった。(4)「自白しないのは動物と一緒だ」といって鼻の穴に指を入れてひきずりまわした等である。 その次は、取り調べが昭和三十七年十月ごろから翌年にかけて行われたということで、「自由と正義」十八巻三号一ページに載っておる文章であります。 「本件は窃盗被告事件に関する取調において、「取調室での自由面接、酒、たばこ、マージャン、碁、将棋、花札、女、軽い刑期の予告といったモテナシ」をなした例である。 記事によると「マージャンのパイは、ボール紙を切ったものだった。鋏を隣室にいた婦人警官から借りて来て被告人らがパイを作ったが、刑事も手つだった。このようにして一部の被告人が(警察官の)取調べを受ける傍ら、他の被告人がその横でマージャンをしていた。ときには刑事も加わり面会人も加わった。」 「予告は取調室で紙に書かれた各自の刑期予告一覧表が回覧されてなされた。刑事たちは、すなおにいうことをきけば、わるいようにはしないと請け合った。被告人らはそれを信用して、この程度なら仕方がないと覚悟していた。公判廷で公訴事実はすべて認めたのも、自供調査を争わなかったのもそのためだった。検察官の論告求刑の直後、被告人らが立ち上って約束がちがうと叫んだのも以上のいきさつからだった」 「被告人の妻、内妻三名が面会を終えて帰りがけ、ある刑事から、『あしたは洋服はだめだ。着物を着てこい』といわれた。(中略)翌日の午後、女性三人はつれだって着物を着て出かけた。前日、刑事からいわれた謎も解けていた。(中略)室内の椅子一つをとり出し入口のドアーのくいになるようにしてそこに置いた。AとBの組は外で待機させられた。取調室で二人きりになった一組は、許されるまゝ男女の交りを結んだ。このような方法でA、Bの順番がまわってきた。Cは(中略)年が明けてから同じ恩恵にあずかった」 「取調室では碁、将棋をやった被告人もいた。(中略)取調中ウイスキーや鑵入ビールを飲まされたことも珍らしくなかった。たばこは自由だった。」 こういう例は、まことにびっくりするような例が枚挙にいとまがございませんが、しかしそれは時間の関係で、また引用することもございましょうが、こういうことが裁判の判決の中にもあちらこちら出てきておるということを前提にして質問をいたしたいと思います。 まず第一に、監獄法の第一条に代用監獄の規定がございます。この代用監獄の規定というものがある以上は、代用監獄の最終責任者は法務大臣であると理解してよろしゅうございましょうか。
○長島政府委員 お答え申し上げます。 先生御指摘のとおり、監獄法の一条三項に代用監獄の制度がございます。この制度は、警察の留置場と申しますか、警察が持っておりますそういった設備、それから留置場に勤務いたします職員、それを全部そのままで監獄に代用するということでございまして、その場合に、監獄法及び監獄法に基づきまして出ます命令と申しますか、それは適用があるわけでございますけれども、この管理運営そのものは本来警察の機構の中に属するものでございますので、ただいまの御質問の点は、警察の方の管理下にある、警察の方の責任であるというふうに従来解釈しておるわけでございます。
○横山委員 監獄法第一条の第三項は、「警察官署二附属スル留置場ハ之ヲ監獄二代用スルコトヲ得但懲役又ハ禁錮ニ処セラレタル者ヲ一月以上継続シテ拘禁スルコトヲ得ス」とあります。監獄法は所管は法務大臣でございますね。その監獄法にあります代用監獄の所管は法務大臣ではない、こういうことをいまおっしゃったような気がするわけでありますが、間違いありませんか。
○長島政府委員 行政組織上別個の組織を監獄に代用しておるわけでございまして、そういう意味で代用します限度におきましては、監獄法と、それから監獄法に基づきまして、監獄法で「命令ノ定ムル所二依リ」という規定がございますが、それによりまして施行規則が定められるということになりますと、その分はそこの中の処遇についても適用がございます。そういう意味でその法律の解釈等につきましては法務大臣の責任でございますが、運営そのものにつきましては、別個の行政組織でございます警察の方が運営の責任を負っておるという解釈で従来来ておるわけでございます。
○横山委員 従来の解釈なんてことを聞いているわけじゃありませんよ。法律論を正しくこの際明らかにしておきたいという意味から私は聞いておるのです。監獄法第一条の第三項におきまして監獄の代用と定める監獄はすべて法務大臣の所管である、そんなことはあたりまえのことじゃありませんか。監獄法について施行規則がある。その施行規則はもちろん代用監獄にも適用される、原則としてね。いま施行規則と、それからあとの条例その他警察庁の何か通達がある。警察庁留置場規則ですか、それがあることは承知しておるのですが、少なくとも監獄法があり監獄法の施行規則がある。それらは代用監獄に当然適用される。適用されるならば、その適用が適切に行われているかどうかについては、法務大臣が念査、監督、監視する責任がある。あたりまえのことじゃないですか。違いますか。
○長島政府委員 ただいまの点でございますけれども、そこの弁護士会で御検討になりました中の裁判例の中にもございますが、裁判の判決の中にも指摘してございますように、監獄法の施行規則の中に二色のものがあるという指摘がされております。監獄法自体の中に、「命令の定むるところによる」というふうに書かれておる条文がございますが、その「命令の定むるところによる」ということで特に施行規則の中に規定しました分は、いわゆる委任命令でございまして、監獄法と同一の効果がございますので、これは当然に代用監獄にも適用がある。ところが監獄法施行規則の中には、法務大臣の直接の管理下に入ります拘置所とか刑務所とか、それについての、それを運用する上で法務大臣が出しておる独自のと申しますか、命令がございます。法務省令として監獄法施行規則に書かれておるものがございます。これは、直接には監獄法の明文の委任によるのではございませんけれども、監獄法の規定を実施するためにいわゆる執行命令として出ておる性格のものでございます。したがいまして、監獄法施行規則の中に二色のものがありまして、一つは法律と同等の効力を有するいわゆる委任命令でございます。もう一つは法律を執行するための執行命令でございます。現実に申しますと、その施行規則の中で、たとえば給養に関する問題で食事をどうするとか、たばこを禁ずるとかどうとかという問題は、法律の直接の委任には基づいておりませんので、法務大臣が管轄する刑務所、拘置所等についてはたばこを禁ずるという施行規則が出ておるわけでございます。こういう分は、別途の行政組織でございます警察の方の留置場には当然には適用にならない。警察の留置場は別途独立の行政組織に属しておりますので、その管理運営の責任を持っております警察関係の方で留置場規則等を定める、それを準用するという形でやってきておるわけでございます。
○横山委員 あなたは、現状を法律的に言いあらわすと、ないしは法律を、ないしは通達を現状に適合させるとこういうことになるという説明の仕方なんです。本質的に代用監獄について法務省はどういう責任があるか。あなたは、もう所管が違う、そして施行規則は一部適用がございますけれども適用のないところもあります、ということだと、最終責任は法務省としては代用監獄については負わない。そこで何が起ころうと、どういう問題が生じようと、法務省としてそこで起こったことについては責任が持てないというならはっきりおっしゃいよ、そこで。
○長島政府委員 先ほどから申し上げましたように、法律の解釈と申しますか、監獄法の解釈、それから監獄法に定める「命令の定むるところによる」ということで具体的な委任に基づきました施行規則の解釈、こういう問題については法務大臣が責任を負っておるわけでございまして、そういう解釈を誤って運用しているというようなことがあります場合には、これは法務大臣の方としても、その解釈が違うじゃないかというようなことは問題になるというふうに考えておりますが、それ以外の、監獄法の委任に基づかない分野におきまして警察が独自にいろいろな規則をお定めになる、それについての責任は法務省にはございません。
○横山委員 ございませんというその御説明は、基本的にいまの代用監獄をもう一遍見直そうという立場において、現状がいいのか悪いのかという判断も少ししてもらいたいと私は思うのです。いまの現状についてそういう判断なくして、ただ、いまの実情を法律的に説明するとこういうことでありますでは私は納得できないのですから、初めから言っているように。 それならば、代用監獄になった場合、その代用監獄として指定するのは個別指定ですか、それとも自動的に指定されるのですか。一人の被疑者が代用監獄へ入れられた、その費用その他については、指定はどういうふうに行われ、その費用は、どういうふうに国費は支弁をするようになっていますか。
○長島政府委員 警察の留置場はすべて代用監獄に指定されておりまして、そこで要しました費用は全部国費から償還をしております。要するに費用は国費から、監獄費から償還をする……
○横山委員 どういう手続か、その手続をちょっと言ってください。
○長島政府委員 これは予算的には法務省の方で要求をいたしまして、留置場の費用の償還費というのが法務省の予算の中に計上されておりまして、そこから償還してまいるということでございます。
○横山委員 請求は、たとえば一つの警察署からどういうふうに請求されて支弁されるわけですか。
○長島政府委員 一般のやり方は、ただいまは府県警察でございますので、府県の警察本部で管内の警察署で要しました費用を全部集計いたしまして、それを取りまとめて府県警察ごとに法務省の会計の方へ証拠書類と一緒に出してくる。そこで法務省の会計で支払うということでございます。
○横山委員 この資料で見ますと、東京都の例は、「逮捕後四八時間以内は都の予算、その後は国家予算でまかなわれる。代用監獄の建築は検察庁留置場建築基準による。留置場の予算は一日一人一一四円、その他水道料、電気料五円、計一一九円で賄うことになっている。右一一九円の根拠は公安委員会の調査により、作業しない者に給与する最近必要カロリー計算があり、それによると一七〇〇〜一九〇〇カロリーで大体十分と答申されている」これは昭和三十九年の記録らしいのですが、いま一人一日幾らですか。
○長島政府委員 お答え申し上げます。 現在償還されております費額は一日につき一人二百八十二円でございます。
○横山委員 まず私と局長との間にずいぶん物の考え方の相違がありますけれども、ここでひとつ観点を変えて伺いたいと思うわけでありますが、捜査官たる警察官が同時に被疑者の身柄を二十四時間自分の支配下に置いておる、こういうことは当事者主義の訴訟構造に反するのではないか、こういう点がもう長い間言われておることなんであります。いま、普通の監獄における被疑者の立場と、代用監獄の中における被疑者の立場とは、当然おわかりのように違うのであります。それから、監獄における人権侵害の問題と代用監獄における人権侵害の問題と、これまた非常に違う。監獄法なり監獄を、いろいろ私も諸外国の監獄を見てまいりましたけれども、監獄、一般における刑務所その他につきましては、なるほど人権侵害の点もなしとはしないけれども、しかしきわめて細目にわたっていろいろな諸般の規則なり何なりがある。しかし、代用監獄においてはそういうものはないのでありますから、便宜、代用監獄に指定されておるにすぎないのでありますから、先ほど話が出たような、監獄法施行規則というものは、適用されるものもあるけれども、適用されないというふうに考えるのが普通なんであります。 そう考えますと、この代用監獄が本来あるのが普通であるのか、いたし方がないからしばらく警察の留置場を監獄とみなすという立場でできておるのか。それは当然のことでありますけれども、まずまず、監獄が満員だから、普通の一般の刑務所が満員だから、拘置所が満員だから、警察の留置場にちょっと置いてくれ。法務大臣が置いてくれと頼んだから置いてもらう。置いてもらった費用は私の方で払いますからしばらく置いておってちょうだいということなんでありますから、その被疑者を預かってくれと言った人間は、預かってもらった被疑者がどうなっているのか、あるいはまたその預かってもらっているときの身辺に起こった問題がどうなっているのか、一刻も早く私の方へもらわなければいかぬという立場、そういう立場が基本的な法務大臣の立場ではないのかというのが、私のきょうの言いたいことなんであります。 これにすべて私賛成しているわけではないのだけれども、東京三会が合同で代用監獄についての調査を綿密にしております。判例その他も引用いたしまして、さまざまな角度から実に綿密にしております。そして、代用監獄において起こったさまざまの事態をとらえて、これをまた法律的に整理もしております。その言わんとするところ、すなわち、法務大臣が、本来おれのところの監獄に入れるのが本当だけれども、ちょっと満員だから、しばらく済まぬけれども留置場に置いておいてくれと言うた立場を忘れてはいかぬぞということであって、私はそれはもっともだと思うのですね。そちらへ渡しておくということは、その渡した家主、警察官はそれを犯人、被疑者と見て一生懸命取り調べておる最中なんであります。その人間に渡して、二十四時間その拘束下に置いて、そうして、たばこを吸っちゃいかぬ、何やっちゃいかぬ、あれやっちゃいかぬ、監獄法の施行規則が全面的に適用できない条件下に置いて、そしてマージャンや、あるいはさっきの話のような驚くような女の話や、利益誘導や何かの条件下に置かしておいて、それで自白した自白というのは本当に信憑性があるのかということにも論理の発展があるわけであります。 私は、いま一足飛びに、それじゃ現状がいかぬからすぐにああする、こうするということ、これから先の前向きの解決の話は一応後にします。後にしますが、現在の代用監獄制度について考え直さなければいかぬ。あなた方法務省は、大臣以下、代用監獄のことはおれは知らない、何が起ころうと知っちゃいない、そんなものおれの方の所管じゃない。おれの方の所管じゃないなら何で金を払っておるのか、代用監獄の費用を。何で毎月毎月代用監獄に銭を払うのか。払わなければまだ話はわかると思う。ちゃんと預かり賃を払っておいて、そうしてその起こった問題について一切責任を負わないといういまの法の仕組みなり考え方なり何なりはおかしい、私はそういう結論に到達をしたわけであります。これをどう改善するかについては後にしますけれども、いまの代用監獄の法律的な立場、法務省としてのあるべき姿——いまの局長の話だと、施行規則は一部適用がございます、けれども、それがどうなっておるやらこうなっておるやら、恐らく何にも知らない。代用監獄に行ったこともないんじゃないかと思うんです。銭だけはちゃんと毎月毎月払っておるのですね、預かり賃を。そういう点について稻葉さん、法務大臣の御意見をひとつ伺いたいと思います。
○稻葉国務大臣 横山さんのお尋ねになる、何をどう考えるかということはよくわかりませんけれども、一応お答えして、間違っておりましたら、おれはそんなこと聞いているんじゃないということでしたらまた聞いてください。 代用監獄の適正な運用、運営は、後のいろいろな訴追だとかの適正にも非常に響くわけでありますから、代用監獄のりっぱな運営をしてもらわぬと、それを信じて検察官が不適正な、間違った訴追をしたり、弊害が非常に多いことですから、私は、先ほど御指摘になったような事実は、法務大臣としても責任を持って直していかにゃいかぬな、監督をしていかにゃいかぬな、法務省としても警察とよく緊密に連絡して、おかしな取り調べ方をしたり、人権じゅうりんみたいなことがないようにしていかにゃいかぬなという感じを持ちます。
○横山委員 どうも見当違いですな。まあ三遍くらい話をしなければならぬが、もう一遍それじゃ事実認識という意味において、少し時間をとらせていただきますが、たとえば大阪地裁、昭和四十四年。 「「勾留はもっぱら被疑者の罪証隠滅、逃走防止のためのものであることはいうまでもなく、検察官のいうように勾留場所が右のように決められたことにより、実際上はある程度の支障があるかもしれないが、それによって捜査が不可能ないしは著しく、困難になるものと認められず、検察官主張のその余の点を考慮にいれても、勾留の目的に照らすと、原裁判の勾留場所を変更すべきものとはいえない」として検察官の準抗告を棄却している。」 それからその次が、警察署長のした接見時刻の指定が準抗告により取り消された事例、神戸地裁、昭和四十二年。 「憲法第三四条によって、逮捕された被疑者は、逮捕後直ちに弁護人に依頼する権利を与えられている。本件は弁護人になろうとする者が「被疑者との接見を求めたのに対し、その接見時間を申立時から一八時間後の翌日に指定するが如きことは憲法上保障された被疑者の弁護人選任権を否定するに等しい処分であって相当ではない」とし警察署長のした指定処分をとりけし、「直ちに接見を許さなければならない」としたものである。」 次、名古屋高裁、昭和二十六年、警察官による利益供与。 「「原判決認定によれば被告人は右期間に二百六十回余に亘り窃盗等本件犯罪を働いて居たことになるが此点につき被告人の、かゝる多数回に亘り窃盗をしたことはない中村警察署でヒロポン注射をして貰う交換条件に他人の犯罪を被告人の所為のように自白し其旨の供述調書が作成されたものであるとの弁解は無下に排斥し去れない理由があると思料される。」として原判決を破棄している。」 東京高裁、昭和三十四年、病人に対する警察の長期拘留取調。これは、ちょっと長文であるもんですから省略をいたしますが、 「「前記の如く贈賄の事実の存しないことを弁護人に訴えていたこととを対比して考察すると、同人の前記自白は少くとも不当に長い勾留によるものか否かが明かでない場合に該当するものと認めざるを得ないのである。(中略)ところで憲法第三八条第二項、刑事訴訟法第三一九条第一項にいわゆる不当に長い抑留又は拘禁後の自白とは、(中略)自白の原因が不当に長い抑留又は拘禁であるか否かが不明である場合をも包含するものと解するのが相当である。」とし右甲の自白調書の証拠能力を否定した。そしてこの調書を唯一の証拠として有罪となした原判決を破棄し、被告人を無罪としたのである。」 大臣。私がこうくどくど言うておりますのは、こういうことが悪いことはあたりまえです、判決にあるんですから。じゃ、こういうことは悪いけれども、こういうことがなぜ起こるかと言うと、代用監獄だから起こると言っているんですよ。被疑者を、訴訟の当事者主義に反して、あなたの所管で別室に置いておかなきゃならぬ人間を、あなたは、おれのところの部屋は狭いから、済まぬけれども預かってくれ。預かった所が何と、その人間は犯罪をしたんだという立場で自白を迫っておる所、そこへ二十四時間預かつておくという代用監獄制度が悪いと私は言っているんですよ。それはわかっているでしょうな。 だから、こういうことが悪いことはあたりまえで、もう判決が出ているけれども、こういう代用監獄の制度をなくさなければいかぬ。しかも法律は、代用監獄といえどもあなたの所管ではないか、あなたの責任ではないか。代用監獄についてどういう運用がなされており、警察官の二十四時間拘束制のもとの代用監獄はいかぬということが、弁護士としても大臣としてもおわかりだったら、現在の代用監獄制度はいけないという立場にまずなり切ってもらわなければいかぬ。なり切ったけれども、さしあたり何ぞいい知恵がないか、代用監獄の欠陥を是正するためにどうしたらいいかということを、横山君ひとつお前の意見も聞かせてくれというならこれから言うと言っているんです。
○稻葉国務大臣 代用監獄が悪いとおっしゃいますけれども、それは代用監獄が悪いんじゃなくて、警察官の教養が足りないんですね。取り調べる警察官の教養がきちっとしていれば、現にそういう例はありますけれども、きちっとしたやり方でやっている例もあるわけです。だから、代用監獄全部やめてしまえというような極端な短絡した御意見には賛成できませんな。それはそれとして、警察官の教養を高めて、そんな間違った、拷問したり利益誘導をやったり、そういう卑劣な調べ方をしちゃいかぬぞということにはなるかもしれませんけれども、代用監獄を全部悪いものと決めて、それを解決する方法を教えてやるからそう言えと言ったって、私は言えないね。
○横山委員 大臣、これは警察官の素質がいいか悪いかの問題以前の問題ですよ。警察官の素質がいいか悪いかの問題じゃない。それもないではないけれども、警察官がそういうことをしやすいような条件下にあることに、代用監獄というのは問題があるのです。あなたが被告人を預かっているのが本当なんですよ。あなたの方の刑務所なり拘置所へ置いておくべき人間を、警察官の二十四時間の支配下に置くことに問題があるのですよ。その警察官はあなたから預かった人間を何とかして自白をさせたい。二十四時間自分の指揮下におれば、おい、たばこどうだと言ってみたり、おい、マージャン——まさかそんなことがそうあるとは思わぬけれども、そういう条件下に置いておくことに問題があるんですよ。私の言うことがわからないですかね。警察官の教養の問題ではないと言うんです。警察官の教養の問題以前に、そういう悪い警察官が何か悪いことをしようとし得る条件下に置くこと。これは刑務所や拘置所に置いておいたらそんなことはあり得ないんじゃないか。刑務所の職員がこんなことを、自白の誘導なんかやる必要はないんですからね。警察官は自白をさせたいのですから、そこのところに根本的な違いがあるんですよ。 しかも、代用監獄というのは本来あるべきのが普通ではないんですよ。監獄法の第一条は、やむを得ないときに代用監獄が置かれるんですよ。いまはやむを得ないという立場ではないじゃありませんか。のんべんだらりと、あなた方が何にもしないんだから。歴代の法務大臣や矯正局長が代用監獄については何の発言もしていないんだから。法律はあなたの所管ですよ。あなたの所管のくせにあなたは何もしていないじゃないですか。代用監獄について何かやったことがあるんですか、矯正局長は。何か、代用監獄の施設が悪いから直せとか、代用監獄で起こったこの種の判例について、警察庁長官にけしからぬではないかと一札出したことがあるんですか。何にもやっておらぬでしょうが。
○稻葉国務大臣 警察の留置場が悪いからで、人の問題でないと言いますけれども、警察の留置場は相当りっぱですよ。そんなに豚小屋みたいなものではないですよ。ただ、警察官が自白をさせているのはあたりまえじゃないですか。取り調べる者は検事でも警察官でも自白をさせている。そのさせ方がいいか悪いかの問題であって、それは事実を調べて事実を明らかにしたいんですから、自白もその事実を明らかにする一つの方法ですから、自白させたいのは捜査官としては当然です。そのやり方が、あなたが御指摘になったようなやり方をやるから間違った起訴をし、間違った裁判になり、その上の裁判になると破棄される、こういう結果になるのでございまして、あの代用監獄は設備がなっていないからこういう弊害が起こるんだというふうに全部を決めつけることは無理だと思いますな。
○横山委員 だれが設備が悪いからこういうことが起こったと言いました。私がくどく言ってるのは、訴訟の構造がいまは当事者主義で、その被疑者を本来刑務所なり拘置所へ連れていっておいて、そして中正客観的な立場に置いておかなければならぬものを、取り調べるときだけはやってもいいけれども、私生活まで相手に預けるということは当事者主義には合わぬと言っているのです。そこがあなたに、何遍言ってもわかっていないじゃないですか。監獄へ入れておかなければいかぬ、拘置所へ入れておかなきゃいかぬ人間を、うちが狭いからひとつ預かってくれと言う。預かる人間が二十四時間全部被疑者の体を拘束しておいて、利益誘導や、どんぶり飯食わせるからとか、いろんなことが行われる。そういうような客観的条件をすべて相手に任せておくことはいかぬではないか。 しかも、根本的にあなたはわかっていないのだけれども、代用監獄というのは、代用ですよ。あるべきではないですよ。拘置所があれば拘置所へ入れておくべきなんですよ。警察の代用監獄へ入れておくというのは、本来、監獄法の趣旨から言うならば間違っている。便宜的な問題だ。その便宜的な問題がいつの間にやら恒常的になって、しかもあなたは、預り賃は払っておるけれども、それがどういうふうに行われているかについて何らの監督も監視も注意も法務大臣はしていないではないか。もしもすべてを向こうの指導下、指揮下に置くのなら、何で預かり賃を法務大臣は警察に払うんです。
○稻葉国務大臣 人にものを預からせておいて何にも世話していないではないかとおっしゃいますけれども、何にも世話していないことはないです。地方検察庁の検事正でも検事でも、よく監督不行き届きでそういう問題が起きる場合もあるけれども、大ぜいの被疑者の取り調べが全部、あなたがおっしゃったようなひどいことをやっているわけではない。それは検察庁として警察の指導もよろしきを得ているのでございまして、法務省は何にもしていないようなことをおっしゃるけれども、そんなことはありません。やっているのです。
○横山委員 代用監獄について、法務大臣、法務省が具体的に、設置基準なり起こったことについて注意を促したり、警察庁に対してこうしてくれと言ったり、そういうことがあったら言ってくださいよ。具体的に言ってくださいよ。何ですか。
○稻葉国務大臣 私がやったということを言っているんじゃないですよ。法務省管轄の検察庁は地方検察庁があるし、そういうあれがみんなあるから、指導よろしきを得ているものと、こういうふうに思うんです。
○横山委員 思っているだけでしょう。具体的に言ってください。代用監獄について具体的に指導しておる、このときこういう通達を出した、この事件が起こったのでこういうふうに注意を発したということがあったら具体的に言ってごらんと言うんだ。何にもやっていないじゃないの。感覚が違うんですからね。何にもやっていないというのは、先ほどの局長の話のように、代用監獄については自治体の責任であり、それにお任せしてあると、局長はそう言っているんですよ、結局は。それを、私が声が大きいかしらぬけれども、大臣も大きな声をして、やっとる、やっとると言うけれども、やってないんですよ。やってないことについて、それはいけないからこの際姿勢を正して、代用監獄はやはり法務大臣の所管下にあるということを明白にしなければだめだ、こう私は言っているんですよ。
○長島政府委員 お答え申し上げます。 法務大臣のお立場ですと、矯正だけでなくて、検察庁等もあるいは人権擁護局等も所管しておられます。そういう関係で、捜査の過程で不当があったというような場合にはもちろん検事正その他からおしかりと申しますか、御指導があると思いますし、人権問題になれば人権擁護局でまた取り上げるということでございます。私の承知しているところでは、各地でやはり検事正が警察巡回というのをやっておられまして、そういう際には留置場もずっと見ておられるということをやっておるわけです。 ただ、矯正としましては、先ほどから繰り返して申し上げましたように、法務大臣が別の組織に属しますものについて監督をするとかあるいは指揮をするとかいう場合には、やはり組織法上そういう権限が与えられておりませんとできませんので、法務大臣から警察に対してこうしろああしろということを言われた例は、そういう意味ではございません。しかし、実際問題としては、いろいろ事務的な連絡と申しますか、そういうような形のことはあるわけであります。
○横山委員 先ほどからお聞きをされておる警察庁、何ぞ言い分があると思いますから一遍ちょっと聞きますけれども、先ほど大臣は警察官の素質の問題だとおっしゃった。私は、素質の問題もなしとはしないけれども、私の提起しているものはそうではない。代用監獄制度そのものにある。本来、それは法務省が預かっておるべき人間を警察が仮に預かっているにすぎない。だから警察は、家賃をよこせ、飯代をよこせと言って法務省から銭をもらっておる。そういう仮に預かっている人間の問題、仮に預かる、その仮が警察官、自白を、ないしは犯罪事実を鋭く追及する立場にある警察官が預かるところに問題があるということを私は提起しておるのですが、警察庁、この辺でもう何か言いたいでしょうから、ひとつ言ってください。
○田村政府委員 取り調べる立場にある者が取り調べられる立場にある者を預かるということは矛盾ではないかということかと思いますけれども、これはたとえば警察の留置場の場合に、逮捕した被疑者を留置場に留置するということは、これは刑事訴訟法の当然予定をし、また認めておるところでございます。その場合も、この留置場を監獄に代用するという場合も、実質的には違いはないわけでございます。それからまた、国と被疑者の関係といいますか、そういうものは、と言いますよりも、刑事手続というものは、やはり突き詰めていけば国と被疑者の関係ということに行き着くものだというふうに考えられるわけでございますが、そういうことで、取り調べる捜査官、警察が警察の施設に留置をするということが、利益の誘導なり自白の強制というようなことに直ちに結びつくというふうには私どもは考えないのでございまして、いろいろ先ほどから例を引かれましたけれども、これは非常にたくさんあるうちのいわば例外的な問題であろうというふうに考えるのでございまして、やはり私どもとしては、そういうふうな問題は警察官の指導なり教養なりが不十分であり、あるいはまた心得違いの者がおるというようなことでそういうものが発生をしてくるということではないか、そういうふうに考えております。
○横山委員 警察側の御答弁としては予想をしておったような御答弁でありますけれども、これは警察側から、代用監獄をおれはやめたいから、ひとつ法務大臣受け取ってくれということをおっしゃるはずはない。 〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕 私が指摘しておりますのも、警察側にとっては代用監獄、留置場で取り調べするのは大変便利ですわ。便利ということは、二十四時間被疑者を自分の指揮下に掌握してやっておれば何かと便利ですからね。そういう便利ということは、警察側に便利であって被疑者にとって不便利である。あらぬ疑いをかけられた無実の者にとってはまことに残念至極のようなことになるわけですからね。私がかねてから言っておりますように、裁判で無実になった者については、国家の補償があるけれども、検察段階や警察段階で無実になった、あるいは不起訴処分になった、あるいはおまえ人違いだったから帰ってくれと言われた人間にとっては、全くやる方ない無念で、どこもそれを晴らすべき場所はないんですからね。そういうことがあるということは、二十四時間被疑者を取り調べ官の前にさらしておくということに問題がある。 そういうことを監獄法は想定していないのであって、監獄法は、法務大臣によって監獄が設定されており、そして代用監獄というのは本当に一時の代用的なものである。しかも、法務大臣の責任において預かってくれと言っているんだから、預かった先で、留置場で何か事が起こったら、最終的には法務大臣の責任だとなぜそれを言い切らぬかということなんです、私は。だれもそれを言い切ろうとしていないんだから。留置場で起こった問題の責任は最終的に、監獄法の示すところによって代用監獄といえども法務大臣の責任であります、そうよう言わぬのですからね、あなた方は。言うのですか。
○稻葉国務大臣 それは責任なしとはいたしません。そういうような事件が起きるということは、警察に対する検察の監督、指導、そういうことがよろしくない結果も非常にあるわけですから、これは法務大臣の責任を非常に感ずべき点だと私は思いますよ。
○横山委員 私の言っているのはそういう間接責任の問題じゃないのです。監獄法によればあなたの直接責任です。あなた及び矯正局長、それから代用監獄の最終責任者の直接責任だと言っているんですよ、私は。それはあまりここのところで議論をしたって仕方ないですけれども、ある程度あなたは私も責任があるというふうにおっしゃったのだけれども、ついさっきまでは、留置場に起こった問題は警察庁長官の責任でありまして、私どもの責任じゃありませんと言わんばかりの話でしたよ。
○稻葉国務大臣 私はその点については初めていま答弁したんですよ。前には答弁してないんですよ。
○横山委員 あなたは言っておらぬけれども、局長の雰囲気はそういう雰囲気だと言うんだよ。 それじゃ局長、もう一遍聞いてみましょう。法律的な責任ですよ、道義的じゃありませんよ、法律的な監獄法に基づく責任。
○長島政府委員 繰り返し申し上げたのでありますけれども、法律的な責任というふうに限定して申しますと、監獄法の解釈、それから監獄法の具体的な委任に基づく監獄法施行規則の解釈、それにつきましては法務省、私の方の責任があると思います。それ以外の具体的な運用につきましての責任は、公的に申します限り、ないというふうに考えております。
○横山委員 それでは、監獄法施行規則と、国家公安委員会が決めた被疑者留置規則、それから警察庁の留置場規則というようなものがあるようですね。 〔大竹委員長代理退席、委員長着席〕 この国家公安委員会が決めた規則や警察庁の決めた規則は法務省に御相談があるのですか。監獄法施行規則と違っているところがずいぶんありますわね。それでそういうときに、国家公安委員会、警察庁は法務大臣に対して、おれの方はおまえさんの方から預かった人間についてはこういう規則で留置をするけれども了解してくれという相談があるのですか、ないのですか。——いまごろそんなところで相談しておっては困るじゃないか。
○長島政府委員 その規則ができましたときがかなり昔のことでございまして、記憶がございません。私、存じませんが、事柄の性質上、当然に相談があるものというふうに私は理解しております。
○横山委員 明らかに監獄法施行規則と被疑者留置規則なり警察庁留置場規則とは違う点があるんですね。違う点について、裁判の判決におきましても、この監獄法施行規則が適用をされるところと適用され得ないところ——得ないと言った方が適当だと思うのですが、得ないところとがあるということを認めています。認めているということは、認めた方がいいとか悪いとかということじゃなくして、やむを得ないというふうに私は判決しておると思うのです。だけれども、本来監獄法が存在し、監獄法施行規則が存在するならば、代用監獄についても適用が全面的にあるのが普通であって、もし適用ができないとするならば、監獄法施行規則の中に代用監獄についてはこれこれといって明記、別記されるのが適当である、私はそう信ずるのでありますが、どうですか局長、わかりますか、私の言うことが。代用監獄といえども法務大臣の所管であるならば、代用監獄に対する取り決め、規則がなければならぬと言うんですよ。監獄法施行規則について代用監獄だけは適用しないとどこにも書いてない。ところが判決を見ると、適用するところと、適用されなくてもいたし方がないという書き方がしてある。そういうことは施行規則としてはきわめて遺憾です。法務省、何をしておるか。だから、私に言わしてみれば、この監獄法施行規則の中に代用監獄についても触れて、代用監獄については次の特例によるとかなんとかあって、代用監獄もあくまで法務大臣の指揮下にある監獄の中の一つであるという点を明記し、はっきりさせるのが普通ではないか、あたりまえのことではないかというのが私の所論です。
○長島政府委員 たびたび繰り返して恐縮でございますけれども、監獄法の中に具体的に「命令の定めるところによる」というふうに書かれております場合には、この命令は当然に法務大臣が出せる命令でございます。そういう意味で、その場合は法務省令である施行規則で当然に書けると思います。しかし、そういう具体的な委任がございませんで、監獄法の精神に沿いましてそれを具体化していこうという場面になりますと、現実に組織法的にそれを管理運営しますところで本来それはつくるべきものでございますので、もし御指摘のような点を解決いたしますとすれば、代用監獄についての規則について、法務省も関係がございますし警察庁も関係がございますから、両者の連名と申しますか、協議の上で、警察庁から出していただくとかなんとかいう方法は考え得るというふうに思います。
○横山委員 私がこれほど言うものだから、今後は連名でという話もあろうと思いますし、先ほどおっしゃったように、多分、前任者か前々任者か前々々任者か知らぬけれども、国家公安委員会や警察庁で出された留置場規則あるいは留置規則は法務省が相談にあずかっておると思うと——思うでは本当は遺憾なんでありますが、そのときに、本当にこの監獄法の趣旨から出ておる規則であるならば、これは当然協議があってしかるべきなんです。そして、協議の中で、少なくとも監獄法の精神なり人権の問題についてやはり整備をされなければならぬ。そういうときには、こればかりじゃないんですけれども、代用監獄、留置場の中で起こった諸般の問題を是正し得る条件というものについて双方の協議が行われなければならぬ、そう思います。
○稻葉国務大臣 いまの横山さんの所論はきわめてごもっともだと私感じまして、もしそういう協議がいままで全然行われなかったというなら、今後は協議が行われていくように善処したい、こう思います。
○横山委員 そこで私は、今後いかにあるべきかということなんであります。法務大臣のおっしゃるように、留置場を代用監獄といったところで、そんなにどえらい悪いものばかりではありません。まあ割合に設備の整ったものもあるんですね。そういう設備の整ったものを暫定的に拘置支所にする。明白に法務大臣の所管下に移す。そして身柄をそこへ収容し、次第に別に建物をつくっていく。順次そうして代用監獄をなくしていく。代用監獄がいつまでもあるのが不思議なんで、拘置支所をつくっていってそこに収容して、新しい時代における被疑者の人権問題について適正な措置をとるということが私は適当だと思うのです。 きょういきなりこの代用監獄の問題について、基本的に私は法務省の姿勢を正したいと思っているんですが、ああそうですかと一言でおっしゃるような立場でもないでしょうから、また改めて機会を別にいたしますけれども、基本的には、今日の代用監獄のあり方について、いままであなた方が、おれらの知ったことじゃない、あれは警察の問題だというようなことであると、そういうことがいけないと私は言っているのです。いけなければいけないで、どうするべきであるかということを法制的、法律的に考えるべきであって、警察官の中にいいやつと悪いやつがおるという問題ではないということが私の意見であります。 そこで今度は監獄法ですが、監獄法の改正が叫ばれてから幾久しいものがあります。まことに、私ももう長年法務委員をやっておるわけでありますけれども、監獄法についてはずいぶん論議が行われてまいりました。 昭和二十四年、殖田国務大臣「お話の通りでありまして、監獄法が旧態依然として残っておりますことは遺憾でありまして、これを改正する考えは以前からあったのでありますが、なかなかむずかしいとみえまして、一向成案が得られないで今日に至っておりますので、急速に改正をいたしたいと考えて、研究中であります。改正をいたします際に、この名前も改めるようになるであろうと思っております。」 昭和四十五年五月六日、内閣委員会、小林国務大臣「私は、実はうかつにして、就任後しばらくたってから監獄法というものがあることを知って、まことに驚嘆をいたしました。」驚くやつがどうかと思いますけれどもね。「いま監獄というものはありません。全部刑務所になっておる。組織規程なり設置法ではみんなそうなっておるのに、まだ監獄法が直らない。これは、法務省の非常な醜態、怠慢だと思うのです。」就任早々だといろいろなことが言えるんですね。「したがって、かようなものが、憲法制定後、明治四十一年のものがいまだにそのままあって、そうして、刑務行政というものが、めちゃくちゃとは申しませんが、みんな矯正局長の通牒などでもってこう薬ばりをしてどうやら過ごしておる。したがって、今回のような事件が起きるのも、やはりこういうところにも遠因がある、私はこういうふうに思っておる。まことにこれは心外なことでありますから、とにかく監獄法というとんでもない法律があるということで私は直ちに事務当局に命令をいたしまして、次の国会には必ず提出をいたすように、こういうことで、いま準備を進めております。」 これは昭和四十五年、ことしは昭和五十年ですね。大臣もいまこれからごあいさつをされると思うんですが、まさかこんなごあいさつはなさるまいと思うんです。「監獄法というものがあることを知ってまことに驚嘆をいたした」こんなことを言うのは長年国会議員をやっておってどうかと思うんですが、小林国務大臣が「直ちに事務当局に命令をいたしまして、次の国会には必ず提出をいたすように」という約束をされたのでありますが、監獄法の改正についていまどういう作業が行なわれておるか、ひとつまず事務当局から御説明をお願いします。
○長島政府委員 お答え申し上げます。 ただいま先生の仰せられましたように、当時の小林大臣から事務当局に厳命と申しますか、ございまして、そのころから矯正局で、従来のいろんな経過がございましたけれども、それを踏んまえて案をつくってまいりまして、私が矯正局長を引き継ぎましたときには矯正局の第三次案というものができておりました。私、矯正局長になりましてから、この第三次案を一つの参考にしながら、省内の関係部局の意見を聞きながらこれをさらに調整を進めておる段階でございまして、現在の進捗状況からいたしまして、おおむねこの秋には作業を完了するというつもりで極力努力をいたしておるわけでございます。
○横山委員 秋には作業が庁内で行われる。それから法制審議会ですか。国会には大体いつごろ提起がされるのですか。また、いま討議をされております監獄法改正の骨子、お差し支えない限り詳しく話してください。
○長島政府委員 仰せのとおりでございまして、一応省内で改正の要綱と申しますか、基本的な要綱、考え方というのが決まりますと、法制審議会にお願いするということになろうかと思います。法制審議会の見通しでございますが、これはなかなか重要な法案でございますので、見通しについてどのくらいかかるかということは簡単に私は予測がつかないのでございますけれども、基本的な問題について意見が一致してまいりますれば比較的順調に進むと思いますし、そういう点について意見が対立いたしますとかなり時間がかかるということで、ちょっと予測は困難でございますが、事務当局としてはできるだけ早く意見が一致するように努力してまいりたいというふうに考えております。 改正の方向と申しますか、主要な考え方でございますが、一つは、御承知の国際連合の被拘禁者処遇裁定基準規則というのがございます。この国際連合で決めております規則の中には、収容者の人道的な処遇と申しますか、そういうことに関連いたしましたいろいろな規定がございますし、あるいは人権保護に関する規定、あるいは新しく矯正処遇を進めてまいります上で解放的な処遇でありますとか、あるいは社会復帰いたします後の保護関係との連携の強化とかいうようないろいろな原則、すぐれた原則が含まれております。こういうような原則に照らしまして、いまの監獄法について全面的に検討を加えるという方向で作業を進めておるわけでございます。
○横山委員 ここに四十八年の法務年鑑がございますが、法制審議会の作業の状況を見てみますと、いま七号から十一案件ぐらいかかっておるようであります。その中の七号が諮問された日は昭和二十六年一月二十日でございますから、二十三年にわたって法制審議会は慎重審議をなさっていらっしゃるわけであります。また八号につきましても二十三年間、九号におきましても二十二年間、まことに御熱心な審議で敬意を表するにやぶさかではないのであります。しかし、余りにもどうかと思うんですね。小林国務大臣は、「私は直ちに事務当局に命令をいたしまして、次の国会には必ず提出をいたすように」ということを議事録に残しております。こういうことをおっしゃることもまことに、法務省の内部組織がわかっておるのかおらないのか、わかっておってなおかつ大臣の指示権を発動して本当におやりになるつもりであったかどうか。一体、そのとき矯正局長がそばにおられて、大臣に、そう簡単に言ってはなりません、事実はこうですとなぜ言わなかったかと思うんですが、こういうことを内閣委員会で大臣がおっしゃって、そして委員諸公が、ああそうですか、それは結構だ、次の国会に監獄法が出てくるというふうに思って審議が終わっておるとするならば、まことに、国会というものを法務大臣がどう考えて勝手なことをしゃべられるのか、寒心にたえないのであります。 まあ最後に大臣に御判断を願うわけですが、こういうように法制審議会が二十三、四年にわたって延々として御審議をなさっておる。法務省も法務省だけれども、次の国会に必ず監獄法の改正を提出いたしますということを言う法務大臣もまことに法務大臣である。どうなっておるのかと言いたいのであります。稻葉法務大臣は監獄法を一体いつごろ国会に提出ができるのですか。
○稻葉国務大臣 矯正局長が言いましたように、矯正局の案のまとまるのが秋ごろということでありますが、それから、重要な法律の改正ですから法制審議会にこれはかけざるを得ぬでしょうね。法制審議会は、刑法の全面改正の審議みたいな、そういう時間は監獄法につきましてはかからないと思います。ですが、法制審議会の審議は幾ら早くても、それは一年以内なんということはないと思います。ですから、それを答申を得て、それから政府案をつくって出すのですから、さあ……。まあこれは後で責任を問われると小林さんみたいになって困るけれども、小林さんもそう思って一生懸命やったんでしょう。けれども、事柄はなかなか、被疑者の処遇という問題、人権の問題というのは、世界的な水準だとか、いろいろそういうものを考えて、よくしなければいかぬですからね。ですから、法制審議会の答申を得るのが早くて再来年、それから法案を、政府案をまとめるのに、対話と協調と言うているんだから、あなた方の御意見も承ったり、まあそんなめどでございますから、大体二、三年はかかる。二年は少なくともかかるというふうに思います。
○横山委員 大臣、ひとつ冗談もほどほどにしてもらわなければいかぬな。普通の人ならちょっと、かっとなるところだけれども、まあしかし対話をやっておるつもりでありますから、あなたを何とかして説得しようとするつもりですから、こちらもときには冗談も言うておるのでありますけれども、大臣としては冗談もほどほどにしてもらわなければいかぬ。—————————————————————なんということは、ちょっと、どういうつもりでおっしゃるのかわかりませんけれども、適当な言葉ではありません。監獄法の問題とこの問題とは違うのですから。
○稻葉国務大臣 その点は、もしいけなければ速記録から除いてください、不謹慎でございましたから。
○横山委員 私はかねがね思っておるのですが、いま社会的不公正ということが言われて予算委員会の集中審議が行われております。しかし、そういう見方をするのは適当でないかもしれませんが、往々にして日の当たるところにおける社会的不公正が議論の焦点になりやすいのであります。本来的に言いますと、一番底の方といいますか、社会の本当の日の当たらないところにおける人たちの不公正というものが、もっともっと議論にならなければいかぬということをかねがね私は考えておるわけであります。そういう点では、被疑者であれあるいは刑に服しておる人であれ、これはもう全く日の当たらないところにおる人たちであります。そういう意味合いにおきまして、大臣を初め法務省の皆さん、あるいは法務委員を承ってわれわれが担当いたしております仕事、偶然にもすべてこれと言っていいほど日の当たらないところにおる人たちなんであります。場合によっては不幸にして罪を犯し、あるいは無実の罪の疑いを受けて取り調べを受けておる、そういう日の当たらないところにおる人たちの社会的不公正というものが、いまの政治の焦点であります社会的不公正の中にもう少し地位を占めなければいかぬ。私は何も法務委員であるから言っているわけではありませんが、体験上そう思われてなりません。 しかも、真に社会的不公正がこの社会から是正される道というものは、私は二つあると思うのです。一つは、現世世界、この世の中で、資本主義の社会で本当に社会的公正が担保されるというのは、正義の判決のあるところに社会的公正が常に担保される、私はそう思っております。もう一つは、一体、資本主義の社会で社会的公正が本当に担保されるかどうかという疑問を私は持っております。しかし後者の方はいまここで問題にしてもいたし方がございませんから、せめて正義の判決が常に行われておる、国民の権利を守って、不公正を憎んで、正義の判決が常に迅速に行われておるということが、どのくらい国民の信頼感を得るかはかり知れないものがあると思います。 きょうはその中の一環として、監獄並びに代用監獄の問題を提起いたしました。提起いたしました趣旨は、当面いたしますところは代用監獄の法律的な根拠について、政府側の運用は間違っておるという立場でありますけれども、同時に、監獄法全体を貫いてわれわれが十分努力をいたしまして、いつまでたっても、世の中が近代的になっておるにかかわらず、この監獄法というまことに古めかしい名前のもとにいまなお近代的装いも扱いも受けていない人たちのために、この人権を一刻も早く法律的見地から是正をさるべきであると考えておるわけでありますが、それにつきまして最後に法務大臣の御意見を承って、私の質問を終わることといたします。
○稻葉国務大臣 ただいま最後に横山さんの御意見の御開陳がありまして、私も全く同感でございます。こういう御議論が積み重なることが監獄法の早期改正、近代化に非常に役立つものと思いまして拝聴いたしました。ありがとうございました。
○小宮山委員長 諫山君。
○諫山委員 昨年の三月十三日告示、四月七日投票で京都府知事選挙が行われました。これはいままでの知事選挙の中でも世紀の大決戦と言われる大変な選挙だったわけです。この選挙で、蜷川革新知事に対抗しまして、社会党京都府本部委員長をしており、参議院議員をしていた大橋和孝さんが、自民党、民社党、さらに社会党の一部の人に推されて立候補いたしました。どうしてこういう経過になったのか、当時からいろいろ不思議に思われ、いろいろなささやきも広がっておりました。 ところが、昨年の暮れごろでありますが、滋賀県の上田茂男氏が大橋氏に大金を渡していた、その金の一部が公明党の竹入委員長に渡された、こういうことが大きく報道されました。これは社会党滋賀県本部問題などとともに、新聞、テレビ、週刊誌などでも大々的に取り上げられた問題ですが、その後の報道では、竹入委員長は大橋氏からもらった金を返したとされております。そしてその経過を書いた大橋氏のてんまつ書も公表されています。 この問題について、地元京都の京都府職労そのほか三つの団体が、大橋和孝氏を公職選挙法違反として京都地方検察庁に告発しているはずです。検察庁はいつこの告発を受理されたのか、御説明ください。
○根岸説明員 お答え申し上げます。 自治労京都府本部外二団体から大橋和孝に対します告発事件が出ましたのが四十九年十二月二十四日でございます。 ちなみに、告発事実を申し上げますと、その要旨は、被告発人は昭和四十九年四月七日施行の京都府知事選挙に立候補した者であるが、立候補届け出前の四十九年三月九日、公明党の竹入委員長方で、同人に対して投票の取りまとめの報酬などとして二千万円の供与の申し込みをして事前運動をした、つまり買収と事前運動ということで告発がなされております。
○諫山委員 この告発は京都地方検察庁あてになっているはずですが、警察もこの事件を捜査していますか、警察側から御説明ください。
○田村政府委員 本件につきましては、そのような記事等が公にされまして、そのとき以来京都府警におきましては関係の情報資料を収集いたしまして、その分析、検討をいたしておるところでございますが、先ほどのお答えにもありましたように、京都地方検察庁に本件が告発をされておりますので、現在のところ、警察といたしましてはその成り行きを見ながらなお情報等の収集に当たっておる、こういう状況でございます。
○諫山委員 警察はいつごろから調べを始めたのか、そして情報の収集に当たっているというのは捜査をしているという意味なのか、御説明ください。
○田村政府委員 具体的に被疑者を取り調べるとか、そういうような段階には至っておりません。それから情報の収集という点でございますが、これを捜査というふうに考えるかどうかという点でございますけれども、広い意味の捜査というふうにお考えいただいてもいいんじゃないかと思います。
○諫山委員 警察は情報の収集、あるいは広い意味の捜査をしているそうですが、参考人に対する聞き取りも行っていますか。
○田村政府委員 参考人というのはどういう者を指すかわかりませんけれども、やはり情報を得るために話を聞くというようなことはやっております。
○諫山委員 検察庁としては告訴を受理した官庁になりますが、検察庁独自で捜査を進めているのか、警察の協力を得ながら捜査を進めているのか、どちらでしょう。
○根岸説明員 私、その点つまびらかにしておりません。
○諫山委員 この事件で、昨年十二月十九日、公明党の竹入委員長が記者会見をいたしました。これが新聞で大きく報道される一つのきっかけになったわけですが、その日から大橋和孝氏は所在不明だと言われております。地元で聞くとさまざまなうわさが流れて、果たして日本にいるのかというようなことさえ言われているくらいです。一月十九日の毎日新聞では「大橋氏、一部に軟禁説も」と報道されていますし、週刊誌でも監禁説というのが流れています。大橋和孝氏は、週刊誌や新聞で言われるように所在不明という状態がずっと続いているのか、それともそれは単なる憶測にすぎないのか、警察から御説明ください。
○田村政府委員 ただいま御質問にありましたように、大橋氏あるいは上田氏についてそういうふうなうわさが一部あるということは承知をいたしております。それで、警察自体がその所在を確認するということはできておりません。しかし、家族、関係者等から事情を聞きまして、総合的に推測、判断をいたします範囲では、特に不法監禁というような状態にあるというようには考えられないというふうに判断いたしております。
○諫山委員 何回も聞きますから近くに座って……。 警察は情報収集あるいは広い意味の捜査をしているそうですが、警察としては現在大橋氏がどこにいるかわからないんですか。
○田村政府委員 警察自体でその所在を確認はいたしておりません。
○諫山委員 大橋和孝氏は一般に所在不明と信ぜられている事実はそのとおりなんですか。一般にというのは、京都府を中心にして、大橋さんがどこに行っているかわからないというふうに一般に信じられているようですが、それはそのとおりですか。
○田村政府委員 警察といたしましては、そういうふうなうわさがあることは承知をいたしております。
○諫山委員 新聞や週刊誌では、大橋氏軟禁説というのが報道されているわけですが、広い意味の捜査をし、情報収集している警察は、大橋氏がどこにいるのか積極的に確かめようとしましたか。それともそういうことはしてないのか。
○田村政府委員 そういううわさがございますので、所在を確認する必要があるというふうに考えましたので、家族、関係者について事情をお聞きをしたということでございます。
○諫山委員 聞いた結果、どういう回答が得られましたか。
○田村政府委員 その回答の詳細といいますか、具体的内容については私も詳細には聞いておりませんが、家族、関係者から事情を聞きまして判断をいたしましたところ、格別変わったことが起こっておるというような印象は、警察としては受けなかったという報告を得ております。
○諫山委員 この事件で重要な役割りを果たした上田茂男氏、中川文彦秘書、この人たちも一般に所在不明と信ぜられているようですが、そういう状況にあることは警察、御承知ですか。
○田村政府委員 上田氏については、そういううわさがあるということは聞いております。
○諫山委員 中川秘書については。
○田村政府委員 中川氏につきましては確認いたしておりません。
○諫山委員 この事件は直接には検察庁あてに告訴されていますから、捜査の責任は検察庁がとっているのだと思います。しかし、警察も情報収集あるいは広い意味の捜査をしているそうですが、肝心の告発をされた相手方がどこにいるのかわからない、そして調べては見たけれどもどこにいるかということを最終的に追及しようとはしなかった、こういうことのように聞こえますが、警察はそれでいいですか。
○田村政府委員 所在確認につきまして、家族、関係者に事情を聞きまして、特異な問題は起きてないというふうに判断をされたということを申し上げたわけでございますが、そういうことは所在確認をする必要があるという判断でやったものでございまして、決して所在確認をすることがどうでもいいというようなことではないわけでございます。
○諫山委員 金を渡した、いわば最大の責任者だと言われる上田茂男氏、さらにこの事件で重要な役割りを果たした大橋氏の中川秘書、この二人の所在は警察でわかっていますか。
○田村政府委員 確認できておりません。
○諫山委員 そうすると、広い意味の捜査をしていると言われているけれども、肝心のことは何も調べていないというふうに理解せざるを得ないわけですが、次に検察庁に聞きます。 検察庁は、大橋和孝氏、上田茂男氏、中川文彦秘書が一般に所在不明と信ぜられていることは御承知ですか。
○根岸説明員 私の方は特にその点について報告を受けてございません。
○諫山委員 私はこの問題を質問するからこの問題を調べていただきたいと事前に通告したわけですが、調べたけれどもわからなかったのか、調べもしなかったのか、どちらですか。
○根岸説明員 私の方では、検察庁がいま申された者たちの所在を知っておるかどうかについては確認しております。ただ、一般に所在不明と言われておるかどうかについて特に念を入れて私が調査しておらない、こういう趣旨でございます。
○諫山委員 私はこの問題で京都地方検察庁の検事正に会って、検察庁の立場は一応説明を受けました。しかし、私が申し上げた三名の人の所在について検察庁はどう掌握しているのか、改めて御説明ください。
○根岸説明員 検察庁におきまして、ただいま御指摘の三名についての所在を検察庁がつかんでおるかどうかにつきましては、答弁することを御勘弁いただきたいと思います。ただ、検察庁における捜査はほぼ終局段階にございまして、遠からず最終処分がされるであろうという段階であることを申し上げます。
○諫山委員 捜査の進展については後で聞きます。 そうすると、被告発人であり被疑者である大橋和孝さんがどこにいるのか、検察庁は知っているのですか知らないのですか。それとも、知っているけれども言えないのですか。
○根岸説明員 検察庁がたとえば大橋被告発人の所在を知っているか知っていないかということについて、私が答弁申し上げることを御勘弁いただきたい、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○諫山委員 法務大臣にちょっと質問します。 大臣の本国会における最初の所信表明の中で、検察行政の「厳正公平を旨として、適正かつ迅速な刑罰法令の適用に努めまして、」という言葉があります。法務大臣は、検察行政が適正公平、しかも迅速に行われることに責任を持っていますね。そういう立場から言って、世間で非常に騒がれている問題、週刊誌では監禁説まで出ている人、この人がどこにいるかということを検察庁が知っているのか知らないのか、そういうことまで秘密にしなければならないでしょうか。こういうことは積極的にここで明らかにすべきではないでしょうか。もし、報道されているように監禁されているというようなことになれば人権問題でもあるわけです。こういう重要な疑問が提起されているのに、検察庁としては説明したくない、勘弁してくれというのでは委員会の責めは果たされないと思いますが、ぜひこの点、説明させてください。
○稻葉国務大臣 刑事課長も、そんなに時間がかからないでやがて最終的な結論を出す段階になっていると言っているのですから、もうちょっとのところですから、そのもうちょっとのところで捜査の内容をここで話したのでは、やはり確実な正しい処置をとることに差し支えがあるという意味で御勘弁願いたいと言うているのですから、勘弁してやっていただきたいと思います。
○諫山委員 検察庁は大橋和孝さんを被疑者として調べましたか。調べたとすれば何回調べたか。
○根岸説明員 ただいまの御質問に対しましても、お答えすることは御勘弁いただきたいと思います。
○諫山委員 それを説明すればどういう支障があるのですか。委員会で委員から質問を受けて、御勘弁願いたいという答弁をするのはよほどの場合でないといけないと思います。それを言えばどういう支障があるのですか。
○根岸説明員 たとえば所在をつかんでいるかという点について申し上げますと、本件がそうだと言うわけではありませんが、仮に逃亡している人間があった場合に、その所在を検察庁がつかんでいるということになりますとその逃亡場所を変えるかもしれません。また、捜査で、いつ、どういう段階でどういう被疑者を調べた、あるいはどういう参考人を調べたということが将来の捜査に重要な支障を来す場合があるのでございまして、そういう意味から、決して質問にお答えすることがいやだというわけではないのでございますけれども、一般的に、捜査中の事件につきましてはそういうようなことから、できる限り御勘弁いただきたいということで従来もお願いしてまいったわけでございまして、特にこの事件についてだけそういうことを申し上げているわけではないのでございます。
○諫山委員 本件について、検察庁が大橋氏の所在を知っていると言えば大橋氏が逃亡するかもわからない、そういう具体的な危険性があるのですか。
○根岸説明員 私はこの事件がそうだと言うわけではなく、一般論としてということを申し上げまして、一般的に申しまして、捜査中の事件につきまして、いつ、どういうような参考人なり被疑者なりを調べたかということを申し上げることは、捜査の支障になる場合が多いものでございますから御勘弁いただきたい、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○諫山委員 私は一般論を聞いているのじゃなくて、本件のことを具体的に聞きます。大橋さんの所在を検察庁が知っているかいないかということさえここで説明できない具体的理由というのは何ですか。
○根岸説明員 捜査に支障があることから、そういうことをお答えすることは御勘弁いただきたい。
○諫山委員 具体的にどういう捜査に対する支障が予想されますか。
○根岸説明員 それを述べること自身やはり適当でないと思いますので、御勘弁いただきたい。
○諫山委員 それは検察実務を秘密のベールで覆い隠そうとするものではないですか。たとえば大橋さんがいまどこにいるのか言ったらあなたの言うような問題点が出てくるかもしれません。しかし私はまだそこまでは聞いていないのです。そして告発した側から言えば、検察庁が被疑者の所在を知っているか知ってないかさえ明らかにしない、これで公正な捜査が行われると信ずることができましょうか。これは余りにも極端な秘密主義ではないですか。大橋さんの所在を知っていることを言うことさえはばかられるような、何か具体的な事情があったら御説明していただきたいし、そうでなければその程度のことはここで説明しなさしよ。
○根岸説明員 別に私は被告発人をかばっておるわけではございません。先ほど申し上げましたように、捜査はほぼ終局段階にあるということを申し上げたわけでございますが、それをもって御推察願いたいというわけでございます。
○諫山委員 いつごろ捜査を終了する見通しですか。
○根岸説明員 遠からず終局処分が行われる予定であるということを先ほど申し上げたとおりでございます。
○諫山委員 それは人をばかにした答弁です。遠からずというのは、ことし中ですか、あるいは五年以内くらいですか、それとも今月中ですか。その程度のことが言えないはずはないでしょう。遠からずと言ったじゃないかというのは人をばかにした答弁じゃないですか。答えてください。
○根岸説明員 私は別に諫山委員をばかにしたようなことはございませんで、捜査というのはもちろん流動的でございますので、あした処分しますとかいうことは申し上げられないわけでございまして、そんなに三年も五年もということを申し上げているのではありませんで、通常言葉で意味しますそう遠くないうちにという、たとえば来月なら来月というようなことにおとりいただいても結構でございますが、捜査というのは流動的なものでございますから、そういう趣旨で申し上げているわけでございまして、決して本件に限って秘密のベールに隠そうとか、あるいは質問者をばかにするというようなことを私は毛頭考えておるわけではございません。
○諫山委員 上田茂男氏、中川秘書については、所在を検察庁は知っていますか。
○根岸説明員 これにつきましても前に申し上げたと同様、私の口から申し上げることは御勘弁いただきたい。
○諫山委員 私はきょうのこの委員会に法務省の刑事局長が出席することを強く要求しました。恐らく事務的な答弁が行われる危険性があるから、やはり責任を持った人に出席してもらいたいという要求をしたわけですが、いまの答弁は恐らく、これから先のことは言うなというふうに刑事局長から言われたんじゃないかと思います。どうですか。
○根岸説明員 私の判断と責任において申し上げたわけでございます。
○諫山委員 上田茂男氏にしましても大橋和孝氏にしましても、それなりの著名な人なんですね。この人たちがどこでどうしているのかということに非常に関心を持つのは当然です。しかもこれは刑事告発事件に発展しているというような事件で、一部では監禁説まで流される。こういう問題について検察庁が、所在を知っているか知らないかさえ口にしないというのでは余りにも秘密主義に過ぎる。しかも捜査の秘密ということを盾にとって、検察行政の厳正公平あるいは民主性というような点を妨げようとしているというふうにしか私には思えません。 そこでさらに、被疑者に対する取り調べはまだ済みませんか、もう終わっているのですか。
○根岸説明員 それにつきましても答弁を差し控えさしていただきたいと思います。何遍も繰り返すようでございますが、ほぼ捜査は終局段階にあるわけでございます。
○諫山委員 法務大臣に質問します。 この委員会は検察行政が正しく行われるかどうかを監視する責任があるんでしょう。それはどうですか。法務大臣、いかがですか。
○稻葉国務大臣 国会は立法権と行政の監督権がございますから、当然でございます。
○諫山委員 その意味では、当委員会と裁判所の関係と、当委員会と検察庁との関係というのは根本的に違うはずです。その点はそのとおりに聞いていいですか。——そうすると、検察行政が厳正公平に行われているか、正しく処理されているかどうかというのは、事件処理が済んでからでないとわれわれは議論できないのか。検察庁の一番大きな仕事というのは公訴提起だと思います。もちろんそれから先の訴訟遂行という段階もありますが、やはり一番大きな仕事は、捜査をして公訴を提起するという問題です。この公訴提起に至る段階が正しく行われているかどうかについてわれわれは発言権がないんですか。法務委員会でわれわれが発言権がないんだというたてまえなら、これは別個の問題です。しかし、少なくとも、公訴提起が正しく行われているかどうか、われわれは審議する責任と権限があるはずです。いかがでしょう、法務大臣。
○稻葉国務大臣 責任と権限がおありになるからいろいろなことをお尋ねになっているのじゃないですか。だから聞いているのじゃないですか。そうして答えられることは答える、答えられないことは——正しい捜査、迅速な捜査、適正な捜査、裁判に行っても負けないだけの証拠固め、それに妨げあるようなことをお尋ねになればお答えできないと言い、お答えできる範囲では、近く捜査の終局の段階にあるというようなことはお答えしている。これが適正な捜査を一般的に監督する法務大臣の立場でございます。
○諫山委員 これは法務委員会と検察行政の根本的なあり方に関する問題だと思いますから、私はこの機会にこの問題だけを議論しようとは思いません。しかし、検察庁がいまのような態度をとるなら、捜査の秘密ということを盾にとって、公訴提起に至るまでの検察行政にわれわれの批判を許さないというような態度だと言わざるを得ません。 そこで、私は少し誘導尋問します。検察庁は大橋さんを被疑者として呼び出そうとすれば呼び出せる態勢にあるんじゃないですか。
○根岸説明員 お答えから多少ずれるかもしれませんけれども、告発を受けました場合に、通常でありますと被告発人は被疑者として取り調べることに相なります。それから、先ほど来御発言のありました参考人は、きわめて重要な参考人であるとしますれば検察庁としては調べるのは当然でございます。したがいまして、私が、いつどういう人間を調べたかということは御勘弁願いたいということは申しておるわけでございますけれども、万感の思いを込めて、と言うとおかしいですが、捜査はほとんど終了段階で、近く処分がされますということを申し上げておりますことから、当然、通常は検察庁がされることはされておるというふうにおとりいただくことは結構であろうし、またそういうことを個々のことについて申し上げずにお答えしているわけでございます。
○諫山委員 上田茂男さんは大橋さんに、知事選挙に関して幾ら金を渡したことになっていますか。
○根岸説明員 お答えすることを差し控えさせていただきたい。
○諫山委員 大橋さんが竹入さんに渡した金は一般的な政治献金であるという立場を検察庁がとっているのではないかと思いますが、そういう報告が来ましたか。
○根岸説明員 そういう報告は受けておりません。
○諫山委員 京都地検の検事正は、重要な事件であるから、重要な問題については最高検察庁、高等検察庁に報告していると言っていますが、幾つかの報告が来ているのじゃないでしょうか。
○根岸説明員 報告は参っております。
○諫山委員 その報告の中で、告発事実を法律的にどう評価するのかというような報告が当然あっているはずですが、ないですか。ないとすれば、私は調査を求めたわけですが、調査をしていただけませんでしたか。
○根岸説明員 こういう告発を受けたという報告は来ております。その後どういうような報告がなされ、その内容がどういうものであったかということにつきましては、お答えすることを差し控えさせていただきたいと思います。 なお、検察庁としましては、先ほど申しましたようにまだ捜査中ということでございますので、まだ最終的な報告が私の方に必ずしも全部届いているわけではございません。
○諫山委員 私は、検察行政がほんとうに正しく行われることに対して責任を負っていると思っております。そうしてこの点は法務大臣も同感のようです。私はもっと、いま京都地方検察庁が中心に行っている捜査が正しく行われるために、検察庁の具体的な立場の説明も受けたかったし、それに対する私の意見も述べたかったのです。そうして私は検察庁に対して、この事件を法律的にどう評価しているのか調べていただきたいということを要求したのですが、これは調べなかったのですか。それとも、調べたけれどもこの席では言えないということなんですか。
○根岸説明員 私といたしましては、きょう御質問になります事項につきまして一応調査はしております。ただ、その内容についてお答えすることは私の判断で差し控えさしていただきたいというふうに申し上げておるわけでございます。
○諫山委員 私はもっと率直に、間違った起訴、不起訴がなされないように、そのためには厳正公正な検察行政が必要だという立場から突っ込んだ議論がしたかったのです。しかし、この議論がなかなか困難な議論であるということを私自身予想しないわけではありませんでした。というのは、大橋さんを選挙で支援したのは、まず自民党です。そして民社党です。そして社会党の一部です。公明党の一部の人も心情的に支持したとも報道されております。そういう大橋さんに対する告発事件だから、本当にこの告発事件が厳正公平に取り扱われるかどうかということに、私は長年の経験を通じて疑問を持ったわけです。そして、京都地方検察庁がいままでやってきた捜査というのは、私が心配したようにどうも正しくない、出発点において誤っておる、こういうことを感じたから、あえてここで質問をしてその誤りを是正したかったのです。私は、たとえばある刑事事件で、事実関係がどうだこうだとか、証拠がどうだこうだというようなことについてはここで発言しようとは思いません。そういうことは検察庁に任していいと思います。よほどのことがない限り検察庁に任せます。しかし、大橋さんという政治的な立場、また昨年の京都府知事選挙のあの複雑な政治情勢、それが背景にあって、権力に庇護されながら当然処罰さるべき人が処罰を免れるというようなことがあっては絶対にならない、こういう立場から、あえて、公訴提起前ではありますがこの問題を取り上げたのです。 そこで、私が予定したように一問一答の形でこの議論を進めていくことは、どうもいまの検察庁の立場から見て困難のようですから、どの点に私が一番深刻な誤りを感じたかということを指摘しておきます。 京都地方検察庁の検事正は、大橋さんが竹入さんに金を渡した当時は大橋さんはまだ立候補の決意をしてなかった。他の候補の担ぎ出し運動をしていた時期だ。したがって、大橋さん自身の選挙のためにあの金を持っていったとは考えられない。むしろこれは一般的な政治献金と見るべきであろうという説明をしておられました。私は法律家として、これが単なる善意に基づく誤りではなくて、根本的な捜査上の許しがたいごまかしではないかということを感じました。 第一は、大橋さんが金を持っていった三月九日というのは、すでに大橋さんは立候補の決意表明をして選挙運動に突入していた時期です。当時の新聞を調べてみますと、三月五日の夕方、大橋さんはホテルで立候補の表明をいたしました。そして三月六日の朝刊に一斉に大橋さんが立候補を表明したということが報道されているわけです。そうすると、金のやりとりが行われた時期にはまだ立候補の決意も表明もされていなかったというのは、これは明らかに間違いです。さらに、検察庁は一般的な政治献金ではなかろうかと言っているようですが、府知事選挙の告示直前のあの時期に、府知事選挙と関係なく政党の委員長に二千万円もの金を持っていくだろうか。府知事選挙と関係なく二千万円もの金が動くということが常識的に考えられるのか。第三番目に、金を持っていったのは政治家の大橋和孝さんです。参議院議員でもあった大橋和孝さんが、他の政党の委員長に二千万円もの金を一般的な政治献金として渡すということがあり得るだろうか。さらに、一般的な政治献金であるなら、二千万円の金を、新聞で報道されているように菓子箱の中にこっそり隠して、目立たないように相手に渡すということがあり得るのか。 どの点から考えても、京都地方検察庁の現時点における事実認識と法律解釈というのは間違っている。これは単なる過失による誤りというのじゃなくて、大橋さんを助けるためにわざと事実をねじ曲げ、法律を歪曲しようとしているのではなかろうか。これでは厳正公正な検察行政が保たれないではないか。このことに私は深い憂慮を持ったからあえてこの問題を質問したわけです。この点について、何か事実として違う点があったら法務省から説明してください。
○根岸説明員 ただいま委員が述べられましたようなことが事実であるかどうかについて、私は何も申し上げることはございません。 ただ、検察庁の検事正がそういうことを申したということでございますが、そのことがいいか悪いかにつきましては、事実をどういうふうに確定的に認識するかというもっぱら捜査の最終的な判断にかかわることでございますので、ここでまた私がそれについて意見を述べるという立場にはないものと思います。 ただ、一言付言しておきますと、私の立場からは、検察庁はやはり公正に捜査を進めて、事案に適した処置をするものだというふうに私は信じております。
○諫山委員 私が、捜査が最終段階になったという現時点で、京都地方検察庁の事実認識と法律解釈は間違っているということを指摘したのは、繰り返すようですが、余りにも明白な事実誤認であり、余りにも極端な事実歪曲だ。こういうことを法律専門家が行うというのは、やはり背後に政治的な圧力を感ぜざるを得ないということを危惧するからです。たとえば、お金を持っていったときにまだ大橋さんが立候補の決意を決めてなかった、こんなことでないことは明白です。あるいは、菓子箱の中に入れて金を持っていったのが、知事選挙と関係がある金ではなくて一般的な政治献金だろう、こんなことはまともな常識を持っている人では出てこない結論です。ところが、京都地方検察庁があえてこういうことを言っているということの背後に、私は検察行政と権力との結びつきというものを感ぜざるを得ないわけです。 この事件はまだ捜査が最終段階に達していないようです。私からきょうこの席で、こういう問題の提起があった、そして検察行政が、一般に心配されているように国家権力の圧力に負けるようなことが絶対にあってはならないという警告を受けた、こういう立場から、この事件の厳正迅速な捜査を要求して私の質問を終わります。
○小宮山委員長 次回は、来る二十八日金曜日、午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時二十九分散会