法務委員会 第2号
- 発言数
- 85 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1975/02/14
会議録
○小宮山委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。
○稲葉(誠)委員 今度の法案で、裁判官が一名、事務官が二十三名ですか、これは要求としてはどういうふうに要求したわけですか。
○田宮最高裁判所長官代理者 五十年度の当初の予算要求といたしましては、裁判官として、判事補十二名、簡易裁判所判事十四名、一般職につきましては三百五十九名、そのほか行(二)職員、それから医療職職員等、裁判官その他全部合わせまして四百四十六名の増員要求をいたしたのでございます。
○稲葉(誠)委員 去年の要求と実績ですね、これは、認められたものはどういうのですか。
○田宮最高裁判所長官代理者 去年は、裁判官と一般職を含めまして、当初要求が五百十四名でございます。それで、予算で認められました総人員は、全部で三十名でございます。
○稲葉(誠)委員 その内訳は、裁判官が五名、書記官が五名、調査官が六名、事務官が十四名、それで三十名ですね。そうすると、その前の年は、要求したのが全部で五百七十八名要求しているということになると思うのですが、一昨年より昨年、それからことしと人員要求が減っていっているんですね。これはどういうわけなんでしょうか。
○田宮最高裁判所長官代理者 増員の要求をいたします場合には、それぞれ事項を考えましてそれに必要な増員ということで、たとえばことしも、今回お認めいただきました調停の関係、それから特殊損害賠償事件の関係、そのほか執行官の事務処理の関係といったように、それぞれ項目別にそれに要する人員ということで、その必要人員を増員要求いたすものでございますから、その年々によりまして、そうした事項の立て方、私どもの方が必要とするそうした業務に必要な人員ということで要求いたすものでございますから、結果的に増員数が減るということは従来もあったところでございます。
○稲葉(誠)委員 裁判官を二十六人要求したわけでしょう。判事補十二、簡易裁判所判事十四、この要求をした根拠はどういうところから出てくるわけですか。
○田宮最高裁判所長官代理者 まず判事補の増員要求でございますが、これは特殊損害賠償事件等の処理ということでございまして、最近公害その他特殊損害賠償事件事件等がふえてまいりましたので、それに要求する人員として十二名の要求をいたしました。それからまた、簡易裁判所の判事につきましては、民事調停事件、これは主として、裁判官不在調停というふうなことも言われておりますので、そうした関係から、簡易裁判所におけるところの民事調停事件の処理ということで十名の要求をいたしました。それからまた、今回予算で計上されておりますが、簡易裁判所におけるところの道路交通法違反事件の処理ということで、それに要する人員、簡易裁判所判事四名の増員要求をいたしたのでございます。
○稲葉(誠)委員 ところが、それが簡易裁判所判事一名しか認められないわけでしょう。認められないというのはあなたの方で認めたわけではなくて、向こうで認めないのかもわかりませんが、そこで、いま言った公害とか特殊損害賠償の事件だとかあるいは道交法とか、いろんな問題があると思うのですが、そういうふうなことに支障はないのかな、そこはどうでしょうか。
○田宮最高裁判所長官代理者 今回予算で計上されております簡易裁判所判事は三名でございまして、これも事件の関係から申しまして、道路交通法違反事件の事務処理は一人の裁判官で相当の数がこなせますので、三名程度で十分であろうか、こういうふうに考えておるわけです。 それから、民事調停事件の処理のために簡易裁判所判事の要求をしたのでございますが、これも御承知のように、昨年の十月一日から、当委員会の御協力によりまして新しい制度が発足いたしましたので、制度発足後かなり事件もふえてくるのではないかという見込みのもとに、昨年の八月末現在の状況でそうした見通しを立てまして、簡易裁判所判事の増員要求をいたしたのでございますが、その後、新制度発足直後でございますので、そう民事調停事件もふえておりませんので、この点につきましては今後新制度の活用、運用実績等を勘案して、来年度において、もしその手当てをする必要があるということであるならば改めてまた簡易裁判所判事の増員をしたいというふうに考えております。 また、特殊損害賠償事件等の処理でございますが、これも昨年の八月現在におきますところの見通しとして、公害等訴訟事件が今後ふえるであろうというようなことで、それからまた、その程度の増員であるならば十分補充ができて、判事補の給源があるであろうという見込みのもとに予算要求をいたしましたが、十二月——十二月と申しますか、今回は一月でございますが、一月現在の状況におきましては、公害等訴訟事件もその後急激にふえておるということはございませんし、また給源等の関係から、判事補の増員はこの際しないということにいたしたのでございます。 以上のような状況でございますので、今回の簡易裁判所判事三名ということで、裁判所としては十分事件処理が可能であるというふうに考えております。
○稲葉(誠)委員 まあ、大蔵省を余り刺激しないようにというのでやっているのでしょうけれども、しゃべっていると思うのですけれども、そこで問題は、よく私どもが聞くのは裁判官がいないところというか、常時いないところの裁判所がどのくらいあるのですか。おそらく甲号支部、乙号支部、簡裁に分けて、いろいろ数字が出てくると思うのですが、一応の説明を願いたいと考えます。
○田宮最高裁判所長官代理者 裁判官が現在現実におらないという庁は、昨年の六月ごろの調べでございますが、甲号では一庁ございます。これは沖繩の石垣支部でございます。乙号支部は九十八庁ございます。それから簡易裁判所でございますが、百五十二庁ございます。そのほかに、簡易裁判所の場合には、御承知と思いますが、他の簡易裁判所に事務移転をしている庁がございますので、その庁、十六庁が百五十二庁のほかにある、こういうことでございます。
○稲葉(誠)委員 九月一日現在の資料だと、乙号支部で九十九という数字になっているのですが、これは石垣も入って九十九だから、それを除くと九十八ということになるわけですか。 それから、簡裁の数字がいろいろ出ていますが、たとえば乙号支部全体の中で裁判官のいない裁判所ですね。それから簡易裁判所の中で裁判官のいない裁判所は、それぞれ割合で言うとどの程度になるわけですか。
○田宮最高裁判所長官代理者 先生のおっしゃる、支部で九十九庁というのは、御指摘のように石垣が甲号支部でございますので、それを除きますと、乙号支部で裁判官が常駐していないという庁は九十八庁ということになって、これは、乙号支部全体が百五十七庁ございますので、それに対して百庁近くある、こういうことでございます。 簡裁は全部で五百七十五庁ございます。それで、現に裁判官が常駐していない庁が百五十二庁、そのほかに事務移転庁が十六庁、こういうふうなことに相なっております。
○稲葉(誠)委員 乙号支部が百五十七のうち約百、九十八、裁判官がいないということは、もう半分以上もいないのではありませんか。こういう事態は、いま私もこんなにいないとは思っていなかったのですが、半分を超えていますね。これは初めからそういう状態を予想していたのですか。 それが一つと、もう一つの質問は、裁判所には裁判官が常駐しなくともいいのだというのは、裁判所法のどこに書いてあるのですか。
○田宮最高裁判所長官代理者 これらの裁判官がいないところの庁でございますが、それぞれの簡裁につきましては、そこの事務量が、裁判官一人当たりの負担ということを考えますと、大体十分の一の庁が約半分あります。それから五分の一以下ということで計算いたしますと、この裁判官がおらないという簡裁はそのうちの八〇%がそういう庁でございます。乙号支部の場合でございますが、これも裁判官一人当たりの負担ということを考えますと、事務量として大体二分の一以下の庁がほとんどでございます。 こういった状況でございますが、私どもの考えでありますが、そこに裁判官が常駐していないというだけのことでございまして、私どもが裁判官のそれぞれの裁判所におけるところの所要人員というものを考えます場合には、その当該庁内全体として種々いろいろ検討いたしますので、こういう場合には、当該乙号支部と最寄りの乙号支部もしくは最寄りの甲号もしくは本庁の事務量と合わせて、そこで人員を配置するというふうにしておるのでございます。
○稲葉(誠)委員 これを見ると——大臣がいないのですが、それから大竹先生おられますが、新潟が一番多いですね。新潟は村上、柏崎、六日町、糸魚川と、乙号支部は裁判官がいないわけですね。それから簡裁も、巻、小千谷、六日町、糸魚川、これも判事がいないですね。そこで気がつくことは、たとえば六日町でも、糸魚川でもそうだと思うのですが、乙号支部に簡裁も付属してあるわけですね。一緒になっていると思うのですが、両方いないわけですね。そういうところはどのくらいあるのですか。乙号支部があって、簡裁があるでしょう。その場合、乙号支部には判事がいないけれども、簡裁の判事がいる場合が普通ですね。両方いないところが新潟でも二つあるようだけれども、それがどのくらいあるの。
○田宮最高裁判所長官代理者 全体として十一庁ございます。
○稲葉(誠)委員 そこで、乙号支部に裁判官がいないことによって、まず国民にとってどういうふうな不便が考えられるわけですか。ちょっと意地の悪い質問だけれども、両方いないところはなおさら不便が大きくなるでしょう。 こういうふうに言いましょうか、一番困るのは仮処分でしょう。ほとんどの場合一番困るでしょうが、あなた。簡裁がいれば、逮捕状の場合はそれは簡裁の方で逮捕状出せるけれども。もう一つは、刑事事件やったときに、釈放の請求でしょう。保釈の請求が、判事が来ないからさっぱり決定できないわけでしょうが。うんとおくれるのじゃないですか。そういうところで検事もいないところがあるのかな。簡裁では検事もいないところもありますからね。今度は求意見はなかなかもらえない、保釈はさっぱり峰らないということになってきて、国民から怒られる。怒られるのは弁護士が怒られるのだけれども、かなわないということになってくるのじゃないですか。仮処分のとき一番困るでしょうが、急ぐのに。これをどういうふうにやるのですか。
○田宮最高裁判所長官代理者 先ほど申し上げましたように、当該庁の事務量、非常に少ないということで、最寄りの庁の事務量と合わせて人員を配置しているという関係になりますので、通常の業務でございますと平均して週に一回から三回程度、まあ非常に事務量の少ないところですと月二回程度填補するということで十分賄えておるのでございます。先生御指摘のように、国民の利便というものを第一に考えなければならないわけでございますので、そういう点については十分配慮いたしておるつもりでございます。 通常の業務でございますとそういうふうな填補で賄えるのでございますが、御指摘のように令状とか、保全、執行停止といったような緊急を要するような事務になりますと、こういう点の措置を十分あらかじめしておかなければならないわけでございまして、こういう点につきましては日ごろ書記官等に十分指示しておりますし、また関係機関、たとえば警察とか検察庁といったようなところとも十分連絡をとるようにいたしておりましてそういうふうな事務が生じたような場合には、裁判官がおるところに書記官の方がすぐ参って、その日のうちに即日処理するというふうな方策をとり、もしくは裁判官が若干日にちの余裕があるというような場合には、裁判官が見えたときに処理していただく、そういうふうなことをやっておりまして、できるだけ当該住民の権利の擁護に遺憾のないように十分いたしておる、そのつもりであります。
○稲葉(誠)委員 埼玉県、これは浦和地裁ですね、秩父が乙号で裁判官が常駐していないわけですね。それでは、せっかく政務次官がおられるからお聞きするわけですが、そういうようなことで、秩父だけの問題じゃないけれども、ほかのところもそうですか、裁判官がいないために国民が、ほとんど仮処分の場合と保釈の場合が一番多いのじゃないかと思いますが、そういう場合に不便をこうむり、権利の救済というか、いろいろなことで大きな支障を来しているのじゃないでしょうかね。これはどうでしょうかね。大臣がきょういないから、政務次官どうでしょうか。
○松永(光)政府委員 先生御指摘のように、保釈あるいは仮処分、仮差し押さえ等、緊急を要することについて事実上不便があるだろうということは私もわかります。そこで、先ほど裁判所側から御答弁がありましたように、できるだけそのような不便を解消する努力をしてもらいたいというふうに私は希望するものでございます。
○稲葉(誠)委員 そのとおりなんですが、そこで、たとえば保釈の場合でも、逮捕状だけは簡易裁判所の判事が出せるのでしょう。それで保釈の決定になってくるとどうなんですか。裁判前、第一回公判前ですよ、保釈決定は簡裁の判事で地裁事件でもできるの。
○田宮最高裁判所長官代理者 どうも刑事を長くやっておりませんので、ちょっとおくれまして申しわけございません。 起訴になりますと、地裁の事件であれば地裁の方に行きますし、簡裁の事件であれば簡裁の事件になります。事件によって、簡裁の事件であれば簡裁判事がもちろんやりますが、地裁の事件でございますと地裁の方でやるということで、簡裁判事はできない、こういうことになろうかと思います。
○稲葉(誠)委員 ところが、逮捕状だけは、あなた、出せるのでしょう。殺人でも放火でも強盗事件でも、何でも簡裁判事が逮捕状を出せるのでしょう。地裁と簡裁と両方あると、警察じゃ、きょうの逮捕状どっちかということで、逮捕状の当番があるでしょう。簡裁の判事だと言うと、簡裁の判事の方が出しいいからというので、簡裁の判事にでも頼もうというので、順番を待ってて警察はそっちへ回すのでしょう。検事もそうだ。検事はいまちょっと関係ないから、逮捕状は……。いずれにしても余り立ち入った話をしちゃ悪いからしませんけれども……。 だから、逮捕状だけは、地裁の事件でも、あなた、簡裁の判事が出せて、今度は保釈になると出せないというわけなんだよ。これはどういうわけなんだろう。答えは簡単よね、勾留の方は裁判だから、そうでしょう。逮捕状を出すのは裁判じゃないからなんだろう。これはどういうことなんだろう。
○田宮最高裁判所長官代理者 事件が起訴になりますと、それぞれの裁判所に係属するわけでございまして、そういうふうな関係で、地裁の事件であれば地裁の裁判官、簡裁の事件であれば簡裁の裁判官ということになるわけだと思います。
○稲葉(誠)委員 わかるのですがね。だから、逮捕状だけは簡裁の判事で全部出せるのですよ。みんな何でも出せるわけよ。それで乙号支部だから、殺人、放火、ないにしても、詐欺でも、ほかのものありますわね。強盗でも単独でしょう、いま普通の場合は。そういうようなときには逮捕状だけは出せるのだけれども、保釈のときにはできないということで、保釈がどんどんおくれるのじゃないですかね、これは現実に。だから、これは非常におかしいのです。法律的にはわかるのですけれどもね。 そこで、乙号支部というものは、これだけ裁判官がいない裁判所があるならば、どうして裁判官をふやして埋めようというふうにしないわけでしょうか。私も実は乙号支部にこんなに裁判官の不在庁があると思わなかったのですよ。ぼくはあっても一割か二割くらいだろうと思っておったものですから、余りあるので驚いたのです。半分以上だものね。これを埋めようとしないの。ずっとこういう方針で行くのですか。どうなのかな、そこら辺のところは。それでいいのでしょうかね。
○田宮最高裁判所長官代理者 先ほど御説明いたしましたように、これらの裁判官が常駐していない裁判所は、裁判官一人当たりの負担量と申しますか、そういうふうなところから見ますと、大体二分の一以下ということになります関係で、最寄りの庁の事務量と合わせて裁判官を配置するということでございます。そのようなことでございますので、実は当該裁判官を当該支部に常駐さして、むしろ支部の方から最寄りの庁、たとえば本庁とか甲号支部に填補させるということも可能なわけでございます。こういう点はそれぞれの裁判所の裁判官会議におきまして、事務分配その他で決め得ることでございます。しかしながら、実情を申しますと、当該乙号支部に裁判官が一人で常駐するということに相なりましても、たとえば子弟の教育といったような関係でやはり大都市、都会地に住みたいというような希望もございますし、また同僚裁判官と常に接触することによって研さんに励むということもできますし、また図書、資料の整備といったような関係でも、むしろ甲号とか本庁の方が充実しておりますので、そうした裁判官の生活、それから裁判官の研究調査の便宜といったような点から、現実におきましてはそういう場合でも最寄りの甲号、それから本庁等に裁判官が常駐して、乙号支部の方には填補に行く、こういうふうな関係になっておるのでございます。
○稲葉(誠)委員 普通、甲号支部というのが乙号支部と違うゆえんのものは、合議体を構成するということでしょうね。だから刑事事件で言えば、殺人だとか放火だとか強盗傷人とか強盗殺人とか。民事の場合は簡裁の控訴は全部本庁でやることに決まっているのでしょうか、そこはどうかと思いますが。そうすると、原則として甲号支部というのは三人いなくちゃいけないわけですよ、本来は。甲号支部で三人いるところと三人いないところとはどの程度の割合になっているのですか。
○田宮最高裁判所長官代理者 甲号支部は全部で八十五庁ございますが、そのうち二人しかいないという甲号支部が二十三庁ございます。それから一人しかおらないという庁が十二庁ございます。この点もただいま先生御指摘のとおりでございまして、甲号支部の場合ですと簡裁の控訴事件は本庁の方でやることになっておりますし、また行政事件といったようなものについても本庁の方でやるということになっておりますので、民事の合議事件というのはかなり少のうございまして、本庁ですと、大体民事の合議率と申しますか、全体の事件の一〇%くらいまであるのでございますが、甲号支部を平均いたしますと大体三%くらいということでございます。で、問題は、結局合議の場合には刑事事件、これは法定合議事件がございますので、本庁、支部とも変わりませんで、大体一四%程度ございます。そのような関係で、民事の合議事件がきわめて少ないといったような関係もございまして、特に三人まで置く必要はない、事務量の点から考えてそういうような庁もございますので、現在そのようなことで、甲号で二人の庁が二十三庁、一人の庁が十二庁、こういうことに相なっております。
○稲葉(誠)委員 そうすると、民事の方は甲号の場合はわかりますが、甲号の場合は問題になるのは刑事事件ですよ。ほとんど身柄の入っている事件ですから、これは出しませんね、事件によるけれども、法定合議でね。そうすると、一人のところは二人填補しなければならないわけでしょう。それから二人のところは一人填補するわけですけれども、填補はあなた、本庁からほとんど行くのでしょう。まあ支部から行くこともなきにしもあらずで、ほとんどないでしょうが。ほとんど本庁から行くわけでしょう。本庁は全部ぴったり裁判の日にちが入っているわけですから、なかなか填補に行けないわけですよ。そのために、もう刑事事件というものは非常におくれてきているのじゃないですか、現実問題として。日が入らないんですよ。それは弁護士の方が日が入らないこともあるので裁判所だけ言うのはおかしい。ぼくなんか延ばす方が多いから余り大きなことを言えないのですが、それは事実ですけれども、それはそれとして、だから非常にその点で期日が入らなくておくれるのじゃないですか。しかも身柄は入りっ放し、出さないですね。填補はどうやってやっているのですか。それが所長の腕前になるのかな。だれを填補にやらすとかなんとかということが、円満にやらせるということが、それが司法行政の一番大きな眼目みたいになっちゃっているのじゃないですか、ポイントみたいに。どうやって填補はやっているのです。
○田宮最高裁判所長官代理者 甲号支部につきましても、先ほど乙号支部で御説明いたしましたように、そういうふうな庁では事務量としては三人を要しない、二人で足りる、まあ一人で足りるというふうなことでございますので、そうした合議事件等の事務量は最寄りの庁と全部合わせまして考えておりますので、たとえば一人庁の甲号支部につきまして本庁の方から填補で行くということになりますと、その填補というものは十分事務量として考えた上で本庁の方に配置しておりますので、その填補のために本庁の事務が支障を来すということは現実問題としてはないというふうに考えております。それで、大体そのような庁でございますと事務量が少ない、ということは、また一面から言いますと弁護士さんがそこにおらないという庁も多うございまして、実際先生もおわかりと思いますが、本庁の方から裁判官二人とそれから弁護士さんが、両方から一緒に行くというふうな現状はしばしば見受けられるところでございます。 期日の関係でございますが、いつ填補をするかということは、これは当該庁におきますところの事務分配の問題でございますので、これは裁判官会議におきましてそうした事務量等十分勘案した上で、裁判官会議で事務量を決めておりまして、大体行く週のうちいつ行くかということは、事務分配ということではっきり決まっております。なぜ刑事事件等が廷びるのかという点につきましては、いろいろ理由はあろうと思いますけれども、やはり当該裁判官の負担というよりは、非常に失礼ではございますが、当該期日がなかなか思うように弁護士さんの関係で入らないという場合もかなりあるのではないか、こういうふうに想像しておりますけれども、その辺の実態につきましては今後ともよく検討いたしたいというふうに考えております。
○稲葉(誠)委員 弁護士の方の関係で期日が入らない場合も多いですよ。それは多いと言うか、ありますから、一概には言えませんけれども、私の言うのは、たとえば甲号支部で合議で刑事事件やるでしょう。そうすると、填補に行くのは本庁から行く。ほとんど民事の裁判官が行くんじゃないですか、刑事の裁判官は行かないで、普通の場合は。そうすると民事の裁判官は、それは法廷はありますよ、法廷以外の日はほとんど和解とか検証に当ててやっているわけですよ。だからほとんどほかの庁へ填補で行くという日にちがとれないのですよ。そのために非常におくれているのが多いのですよね。これは実態をよく調べていただきたい、こう思うのです。それは本庁で民事やっていて非常に忙しい。それで支部の合議のところで右陪席で行く。それでまあ、余り関係ないと言うとおかしいけれども、審理に余りタッチしないから休養に行くんだという人もあるかもわかりませんけれども、これはそういうわけでないんで、実態をよく調べてごらんなさい。とても困っていますよ。 たとえば栃木県に、日光の手前に今市という簡易裁判所があるでしょう。ここは判事がいないんですよ。検察庁は廃止しちゃったわけだ。ところがそこで窃盗だとか何だとか、今市の裁判所の管内で起きた事件だというと、身柄は宇都宮にいるんですよ、起訴は今市の裁判所でしなければならぬというわけで、今市の裁判所でするわけですよ。そうすると、裁判官がいないでしょう、検事もいないでしょう、弁護士も全部宇都宮から行くんですよ。被告人も宇都宮の拘置所から行くんですよ。そういうふうなことをやっているんですよ。それで終わると帰ってくるんですから、みんな。実に意味がないというか、そういうことをやっているわけですね。そこら辺のところは、それならば刑事事件をそういう場合には、検察庁のあれでしょうけれども、宇都宮の簡易裁判所に起訴するとかなんとかということをやったらいいんじゃないか、こう思うんですけれども、それは認めない、こういうんですよ。そういうところがだからあるんじゃないですか。その簡裁に起訴されたために全部の人がほかのところから行く。そういう実態はどういうふうになっているんですかね、これは。
○田宮最高裁判所長官代理者 詳細は存じませんが、検察庁が地元にないと言いますか、ありますけれども検察官がいないというようなところにつきましては、検察庁の方ともよく相談をいたしまして、できるだけ本庁の方に起訴するという取り扱いをやっている庁がかなりあるというふうに考えておりますが、その詳細につきましてはよく検討いたしたいと思います。
○稲葉(誠)委員 それは、きょう法務省の関係を呼んでいませんからあれなんですが、むだなんですね。 それから、いろんな問題の中で問題点として、今度はちょっと角度を変えるわけですが、これまたよくわからないのは、裁判をやらない裁判官というのはたくさんいらっしゃるわけ、だ。ここにも並んでいらっしゃるけれども、皆さん方そうだけれども、それはどの程度いらっしゃるのかな、それは。
○田宮最高裁判所長官代理者 私どもここに並んでおります事務総局の裁判官でございますが、これは四十九年の十二月一日現在で、判事、判事補合わせまして四十三名ということになっております。
○稲葉(誠)委員 それは最高裁の中にいる人だけですか。あるいは、たとえば所長——所長はときどきやるから違うかもわかりませんが、高裁の事務局長なども裁判官でしょう。それから、裁判官の資格を持っていて、一時的に検事の資格になって法務省に行っているけれども本来は裁判官だ、こういう人もたくさんいるわけですよ。そういう人をまぜると百人以上いるんじゃないですか。ちょっとよくわからないんですがね。計算の仕方がいろいろむずかしいですからよくわからないですけれども、もっと多いんじゃないでしょうか。
○田宮最高裁判所長官代理者 裁判所におりますところの裁判官でそうした事務関係をしておると申しますのは、最高裁の事務総局で四十三名、そのほか、ただいま御指摘ありましたように高等裁判所の事務局長が八人ございますので、それを合わせますと、純然たる司法行政事務のみに関与しているという裁判官は五十一名ということでございます。
○稲葉(誠)委員 最高裁におられる人は、これは私の聞いた範囲では、みんな高等試験をほとんど一番で通った人たちばかりでしょう。一番で通らないと最高裁に入れないという話を聞くわけですよね。これは公知の事実なんだな。証明を要しないと言うんだから公知の事実なんでしょうけれども、あるいは顕著な事実かもわからぬけれども、いずれにしてもよくわからないのは、たとえば、それは民事局長や刑事局長は裁判官でなければならぬということは私はわかりますよ。だけれどもたとえば人事局長、おられるけれども、人事局長とか、それから経理局長まで裁判官でなければならぬというのはどうもよくわからないですね。経理局長は公認会計士の勉強でもしておられるのかわからぬけれども、どうもちょっとわかりませんね。主計課長というのか、それからそこに給与課長も任用課長もおられるけれども——任用課長はちょっと裁判官でなければ困ると思うけれども、どうしてそういう人が裁判官でなければならぬのか。本当に現場に帰れば第一線で実力もあるし力もある人ばかりなんですがね。どうして裁判官でなければならないのですか、そういう仕事が。そこがまたよくわからないのですよね。
○田宮最高裁判所長官代理者 戦後、裁判所が司法省から独立いたしまして、裁判所みずから司法行政を行うということになりました。規則制定権といったような立法関係等もございますが、そのほか司法行政関係につきまして企画立案をするといったような面、もしくは、そういうふうなことで対外的にも立法府、行政府等とも折衝するといったようないろいろな仕事もございます。そのような仕事をするのにつきまして、何も裁判官である必要はないではないかという御疑念は十分あろうかと思いますが、やはり司法行政の根本は、裁判が適切迅速かつ円滑に行われるということにつきまして、それをサポートするというのが本来の目的でございますので、こうした司法行政を行うにつきましては、裁判に通じ、または裁判官というものに通じている者がこれに当たることによって適切な司法行政がなされるというふうに考えておるものでございます。 たとえば人事、経理といったような問題につきましても、人事の中心は裁判官でございますので、裁判官の人事をするということになりますと、終局的には裁判官会議でお決めいただくということにはなりますが、裁判官会議を補佐するものとして、やはり有資格である裁判官が裁判官としての経験を生かし、もしくは裁判官の仕事にいろいろ通じているといったような観点から人事を行うということが根本でございますので、そういった観点からやはり裁判官をもって充てるということが必要であろうというふうに考えております。 また、経理関係でございますが、裁判官のために執務環境を整備する、裁判官のために図書、資料を整備するということになりますと、これもあくまで裁判を中心に考えました場合には、裁判事務に通じ、裁判経験があるということでありませんと、そうした適正な予算等を組むことができないということになりますし、また対外的にも、予算等の場合に対内閣、大蔵等と折衝する際にも、裁判官としての経験、知識を十分生かして折衝するということが、真に経理としてその内容を充実させる道であろうというふうに考えますので、私ども従来から、そうした司法行政に携わる裁判官をできるだけ少なくして、そして、私ども裁判官でございますので、もともと一線に出て裁判をするということで裁判所に入ってきておる者でございますので、そういう点では裁判官として裁判をやることが本来であるということは常に忘れているものではございませんが、現状におきましては少なくともそうしたポスト、現在のポストに関する限りはやはり裁判官をもって充てることは真にやむを得ないというふうに考えておるものでございます。
○稲葉(誠)委員 どうも私はよくわからないのですがね。いま言ったように、民事局長とか刑事局長とか家庭局長とか、こういうのはわかりますけれども、経理局長とかが裁判官でなければならぬというのはどうもよくわかりませんがね。もったいないと思うのですよね。率直な話、最高裁の経理局長といったって、どれだけの仕事があるのかぼくはよくわかりませんがね。そんなに仕事がないんじゃないか、こう思うのですがね。そんなことを言っちゃ悪いけれども、二重予算を行使するなら別ですよ。そうじやないのですからね。もったいないような気がするのですがね。 そこで、できるだけそれを少なくするという方向へ行くと言うのですから、まあそういう方向で行ってもらいたいと思うのですが、徐々に少なくはしているのですね。たとえば厚生管理官ですか、ああいうのは判事であったものを判事でなくしたわけでしょう。そのほかにも何かありますか。
○田宮最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘のありました厚生管理官といったような職は、当初は裁判官をもって充てておりましたが、現在では事務官でございます。そのほか、人事の関係でございますが、たとえば能率課長、調査課長、公平課長、それから人事に職員管理官というのがございまして、こうした職種、一般職をもって十分なし得るというふうなポストにつきましては、このように順次一般職をもって充てるというふうな方向に向かっているのでございます。
○稲葉(誠)委員 今度簡易裁判所の判事の人をふやす、これは結構なわけですが、簡易裁判所の中に二つのあれがありますわね。特任という方ですか、あるいは六十五になって定年でやめて簡裁の判事になられる方、こういう方がいらっしゃるわけですが、現実にはその割合なんかはどういうふうになっているわけですか。そして将来どういう方向にこれを持っていきたいというふうにお考えになっていらっしゃるわけですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 現在、大体半々ぐらいの割合でございます。将来、当然それは有資格の方をできるだけふやしていきたいとは考えておりますが、一方、先ほど来、簡裁判事の配置もないというようなところもございます。それから、稲葉委員つとに御承知のように、書記官等できわめて優秀な職員も多数ございますので、適切に人を得られれば、特任の簡易判事もまた充実いたしていきたいというふうに考えております。
○稲葉(誠)委員 そこで、特任の判事さんの方は年が若いでしょう、四十代、五十代の人が多いわけですね。それで有資格の人は六十五歳以上ですね。これはなかなかうまくいかないのですね、率直な話。六十五歳だから、最初来た一年間はいろいろな準備だ、最後の一年間は退職するための準備だ。まあ準備でもないのでしょうけれども、結局ちゃんと仕事をするのは中三年だ、そんなことを言う人もいるわけですね。ぼくが言うのじゃないですよ。そう言う人もいるわけだ。なかなかうまくいかないわけです。 そこで、簡裁で一番困るのは、これは私もわからないで非常に困っておるのですが、民事事件——刑事事件は非常に少ないですからね。窃盗とか賭博開張、臓物故買、横領もありますが、ほとんど大したことはない、少ないのですが、一番困っているのは境界確定ですね。境界確定の訴えが出てくると、それと所有権確認の訴えとの間がよくわからないというか、それでごたごたしてくる。証拠もはっきりしないというのが多いわけです。それで、一審でも大体十年くらいかかるのが多いのですね。そして必ずこれは控訴ですね。そうすると、境界確定の訴えあるいはその他の不動産訴訟、これは訴訟額が評価証明でいくから非常に少ないわけですから、簡裁へ行っちゃうということになるわけですが、境界確定の訴えの場合に、裁判所によってはよくこういうふうに言うのですね。たとえば境界がわからない場合にこれをやるんだ、境界がわかってここだというふうに主張する場合には所有権確認でいくんだということを言うわけでしょう。ところがそれがよくわからなくて何かはっきりしないというふうになっているのですが、そういう点については最高裁として、これは司法権の独立に関係するから指導するわけにもいかないのですけれども、どういうふうに考えて——よく集まるのがありますね、民事裁判官の会同ですか、ああいうふうなときには話をされているわけですか。
○井口最高裁判所長官代理者 法律の明文はございませんけれども、旧裁判所構成法時代からいわゆる境界確定の訴えがございます。おっしゃいますように、その事件の性質と所有権確認の訴訟の性質とには学説上争いがあることは稲葉委員も御承知のとおりでございます。ただ、すでに大審院の連合部の判決以来、最高裁の判例もございまして、この両方の事件はこういうふうに違うんだということがある程度はっきりしております。最高裁がどうするという問題ではございませんけれども、われわれの実務経験から申しますと、普通、境界確定の訴訟が起こりますと、果たしてそれが先生の御指摘の真の意味の境界確定の訴訟であるか、所有権確認の訴訟であるか、まず一応疑いの目をもって見まして、普通われわれとしては最初にそれを原告代理人にただすということで、かなりの部分が実は所有権確認の訴訟であるということで処理されるのが通常であろうと思います。特段、最高裁判所がどうであるかということを御指摘になりますと、簡易裁判所判事の会同も毎年やっておりますので、そういう協議問題が出てきました場合には、一応判例でほぼ定まっておるところを御説明申し上げるということはいたしておるつもりでございます。
○稲葉(誠)委員 ただ、境界確定の場合は形成の訴えだということで、それじゃ請求の趣旨を、甲の土地は自分のものだ、乙の土地は被告だ、境界がわからないから決めてくれ、こういうふうな請求趣旨——請求原因もそれだけですわね。あとは裁判所がやってくれ、こういうのでいいのですか。あまり専門的でよけいなことになるかもわかりませんけれども、そういうことでたくさん出されたら収拾つかなくなってくるんじゃないですかね。本来訴訟でやるのがおかしいんじゃないかという気もするのですが、いいですよ、ここで聞くのもおかしなことだから。いずれにしても境界の確定の訴えが非常に多いのですよ。これがまたほとんど控訴でしょう。このことのために簡裁がエネルギーをとられちゃっているというのが非常に多いのですね。それをどういうふうに指導するかというと、指導するわけにいかないというのは別として、そこら辺の点についても、これはここで論議するべき筋合いのものじゃありませんからやめますけれども、どうも簡裁の裁判官も非常に困っておられるのではないかということだけを申し上げておきたい、こういうふうに思うのです。 そこで、裁判官の問題でまだあるのは、こういうことです。近ごろ東京と大阪との人事の交流が非常に多くなった、と言うより、むしろ東京から大阪に行くのが非常に多くなったということが言われているのですね。その理由として、一つは、大阪の場合は裁判官会議をちゃんとやっている。全国で大阪だけかな、裁判官会議をきちんとやっているのは。そこで、裁判官会議を形骸化させるというか、そういうことのために東京、ことに最高裁におられた人を大阪へやるんだというふうなことを言う人もあるのです。東京から大分このごろ大阪へ行っていますか。しかも最高裁におられた方が相当行っていますか、あるいはそういう系統の人と言うかな。 〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕
○矢口最高裁判所長官代理者 東京と大阪の交流でございますが、一時、考え方として、何らかの関係で東京に関係のある方は常に東京を中心にして動く、それから大阪に関係のある方は常に大阪を中心にして動くというような傾向がややあったんじゃなかろうかと思われる時期もございました。しかし、一般的に申しますと、やはり全国に一律にしかるべく裁判官が異動していただくということが最も好ましいわけでございまして、現在そういうことで東京から大阪に行く方もございますし、また同じくらいの数の方が大阪から東京においでになるというような、できるだけ均分的な動きというように心がけておることは事実でございます。東京から大阪へ行かれた方の中で、事務総局等に勤務しておられる方ももちろんございますし、それからそうでない方もございます。特にその間、意識しておることはございません。正確な数字はいまちょっと記憶いたしておりませんが、毎年数名くらいは東京下大阪間のそういう意味の結果的な交流と申しますか、相互に異動するというようなことはあろうかと思います。
○稲葉(誠)委員 裁判官会議というもののあり方常置委員会もあるのですが、常置委員会と裁判官会議との権限の関係、それと、大阪の場合の裁判官会議はほかの庁の裁判官会議とは、内容というか権限について違いがあるのですか。
○田宮最高裁判所長官代理者 裁判官会議と常置委員との関係でございますが、常置委員を置くかどうかというのは、当該裁判所におけるところの裁判官会議でそれぞれ決めておるので、したがいまして、常置委員が単なる諮問機関であるか、議決機関であるかというのは、それぞれの裁判所によって違っております。 なお、大阪でございますが、多くの裁判所におきましては、一般職の人事等日常多数行われるような業務につきましては、所長に裁判官会議の方でこれを委任しているという庁が多うございます。 〔大竹委員長代理退席、委員長着席〕 そういうふうに委任をしている場合でありましても、一番肝心な裁判官の配置の問題だとか裁判官の事務分配というような、裁判に直接結びつくような重要な事項は裁判官会議の権限として持っておりますので、一部に言われておりますような、裁判官会議の形骸化というものはないというふうに思っておりますが、それはさておきまして、大阪の場合でございますが、所長に委任をしないで、一般職員の人事等につきましてもすべて裁判官会議がやっておる。大阪におきましても常置委員というのがあるようでございますが、これは決議機関ではございませんで、記憶では、多分諮問機関であろうというふうに考えております。
○稲葉(誠)委員 いま全国で、所長にそういう般職の人事権その他の権限を移譲していないところは大阪だけですか。ほかは全部移譲してしまったのですか。
○田宮最高裁判所長官代理者 御指摘のとおり、大阪だけでございます。
○稲葉(誠)委員 そうすると、最高裁としては所長にそういうふうな権限を移譲するということを指導奨励というか、何と言うのですかね、それをしているわけですか。なぜ大阪だけがその権限を移譲しないのですか、所長に。私は、裁判所に所長があるということ自身に疑問を持っているのです。と言うよりも、必要ないのじゃないかという考え方なのです。理由はと言われれば後で説明しますけれども。そう思ってはいるのですが、なぜ大阪だけがそういうふうに裁判官会議のあれを守っているのか。最高裁としては大阪のやり方はいいと考えているのか、あるいは余りよくないと考えているのか。よくないと考えているとも言えないからそれはちょっとまずいけれども、どうなのですか。どっちの方を進めたいと考えているのですか。なぜ所長に権限を移譲をする方向に現在の裁判所は進みつつあるのですか。
○田宮最高裁判所長官代理者 所長にどの程度の権限を移譲するかというのは、もっぱら当該裁判所におけるところの裁判官会議で決めることでございまして、決して最高裁の方からそういう指導をしたということはございません。最近まで広島も大阪と同じようでございましたが、広島におきましても所長に一部権限を委任したということもございますし、これはお調べいただいてもおわかりと思いますが、これは絶対に私どもの方から指導したものではございません。
○稲葉(誠)委員 だからどっちの方がいいと考えておるの。それを聞いただけなんです。ちょっと答えにくければいいが、これはノーコメントならノーコメントということでもいいですけれども、本来の筋は、裁判官会議というものにもっと実質的な権限を持たせるということではなかったんですか。だんだんそれが所長に権限移譲ということで変化してきておるのじゃないですか。それが一つ。 それから広島の場合、いまお話が出ましたが、これは権限を移譲しましたね。権限を移譲する前に非常に広島へ人事異動が行われて、権限移譲が終わったら大量にまた人事の異動が行われた。ということは、変な考え方をすれば、権限の移譲のために人事異動をやって、またそれが済んでしまったらほかへ戻した。これもちょっと行き過ぎだと思うけれども、そういうふうに言う人がいる。ぼくは言わないですよ。それはぼくもちょっと偏っておると思う。ひが目だと思いますけれども、そういうことを言う人もいるから聞くのですよ。広島の場合も、その前には大分あちこちから、ことに最高裁、東京地裁、札幌からもよく行くというんですね。それが終わったらまた散らばったというのだけれども、そんな事実があるのですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 あの当時の所長は大阪からおいでになった方だと思っております。 それからいま御指摘の点は、具体的にどこから動いたかということをよくお調べいただければおわかりいただけるように、そういうことはございません。
○稲葉(誠)委員 それはわかります。だからぼくの言うのは、裁判官会議の権限というものが本来あったんでしょう。それがなぜだんだん所長に移るようになってきたのかということですよ。どういう理由なのか、どういう根拠づけなのかということを聞きたいわけですよ。そこに疑いを持つ人が多いから聞くわけなんです。
○田宮最高裁判所長官代理者 所長に対する一部権限の、移譲でございますが、これも全国の裁判所で一時に行ったということではございませんので昭和三十年ごろからぼちぼち始まっておったのでございます。なぜそういうふうに権限を移譲したのかということは、先ほども申しましたように、それぞれの裁判官会議におきまして十分検討の上そうされたと思いますが、その事情といたしましては、裁判官としては裁判官にもっぱら専念するということで、一般職の人事その他、日ごろの雑事的なものにつきましてはこれを所長に任せて、最も裁判に密接に関係あるところの裁判官の配置、事務分配等につきましては裁判官会議の権限としてこれを残しているというのが実情ではなかろうかというふうに推測しておりますが、それぞれの裁判所におきまして、どのような事情、どのようなデータに基づいてそのように権限を移譲したかということの詳細については、私どもはわかってないのでございます。
○稲葉(誠)委員 それが最高裁の正式な指導かどうかは別として、サゼスチョンかもわかりませんが、そういう形で行われたというふうに見る人もおるわけですよ。だからぼくは聞いておるわけなんです。いずれにしても、その問題は司法の一つの流れとして大きな問題だ、こう思うのです。 もう一つ言われますことは、法務省の訟務部がありますね。これは局に昇格させようと思ってできなかったということですが、訟務部にいる人は、いままで第一線で裁判官だった人が今度検事になってきて訟務部に入るわけでしょう。そうすると、裁判官というのは公平中立というか、レフェリーというか、アンパイアというか、そういうものだと思っていたのが、今度訟務部に来て国側の代理人になって出てくるわけですね。だから一般の人に、何だというふうな印象を与えるのですが、これは法曹一元化と言えば一元化で、検事が弁護士になったり、弁護士が検事になったり、判事が検事になったりするのだから、これは大したことはないと言えばないかもしれませんけれども、裁判官をやっていて、中立という立場にあった者が、一転して今度は国側の代理人になって出てくる。これは原告もあるけれども、訟務部関係はほとんど被告の代理人になってきて、国側のあれをやる。しかもそれが国の非常に重要な施策に関連することで、裁判官が一転して今度は国の利益を守る方向に行くということは、どうも一般国民としては割り切れないではないかという考え方を持つ人もいる。どこかの新聞に出たというのですが、ぼくはその新聞を見ていないですから別ですけれども、そういうふうに考えられるのです。 近来、裁判所から法務省へ入るのが多くなっているのですか。それが一つですね。それから、どういう理由でそういうふうになるのですか。国民は一体それに対してどういうふうに受け取るだろうか。いや、そんなのは憶測だというふうにお考えなんでしょうか。
○矢口最高裁判所長官代理者 法務省とのいわゆる交流の問題は、別に近来多くなったという問題ではございませんで、過去から相当数について行われてきた問題でございます。訟務のお話が出ましたけれども、確かに訟務のいわゆる訴訟の担当のために裁判所の判事、判事補が出向くという例が相当数ございますが、これは稲葉委員もただいま正当に御指摘になりましたように、法曹一元的な考え方からいたしますと、法曹の中においてはもうこれはおよそ有資格者である限り当然のことでございますし、裁判官の場合も、いろいろな経験をしてくるということはそれ自体非常に結構なことであるというふうに考えております。確かに、国民の方々がごらんになってどうかとお思いになるという向きもわからないではございませんけれども、これは法曹である限りは、それぞれの立場でそれぞれの分を守っていくということについては、十分の訓練ができておるわけでございます。むしろ、りっぱな裁判官として成長していくという過程では好ましいことであるというふうに考えております。
○稲葉(誠)委員 いままでたとえば憲法違反のときに、憲法違反か憲法違反でないか裁判した人が、今度は一転して国の代理人になって憲法違反じゃないと言ってやってくるというのでは、国民の方は何だろうというふうに思うのじゃないですか。裁判所と法務省——法務省というより国というか、そういうところが、一体でもないだろうけれども、一体ではないかというような素朴な疑問を持つという危険性がありますので、これは考えなければいけないのではないかと私は思うのです。 裁判官関係、まだほかにもありますが、一応終わります。 今度は、わからないのは、事務官がふえるわけでしょう。書記官、事務官、調査官あるいは速記官、行(二)、いろいろありますが、現在の欠員の状況というのはどういうふうになっているのですか。事務官の方は非常な過員になっているわけでしょう。現在の状況と、それを将来どういうふうにしていきたいのかということをお聞かせ願いたいと思うのです。
○矢口最高裁判所長官代理者 裁判所の裁判官以外の一般の職員といたしまして、大きく分けますと、裁判所書記官、それから家庭裁判所調査官、それから裁判所事務官というふうに分けられるかと思うのです。稲葉委員御指摘のように、裁判所書記官についてはある程度の欠員がございます。また家庭裁判所調査官につきましても同様でございます。一方、事務官の方が少し過員になっておるというのは事実でございます。 大体その三者について申し上げますと、書記官の場合、二百数十名の欠員がことしの四月までに出てくるというふうに考えておりますが、幸い書記官研修所を修了いたします者が本年度は百八十名ございます。これは例年よりずっと多い数字でございまして、できるだけ多くの書記官を養成したいという希望によるものでございます。そのほかに、いわゆる書記官昇任試験というのがございまして、これも相当数の書記官を昇任試験によって合格させておる。約百人に近い合格者が見込まれております。そういうことで、四月に一挙にというふうにはまいりませんけれども、書記官の充員をはかっていきたいというふうに考えております。実は、書記官研修所に入っております方でことしの春に卒業するような方、これは現在は事務官資格で入っております。そういう方は当然書記官の方に抜けてまいりますので、その分、事務官の過員というものは解消の方向に向かっていくということでございます。 また、家庭裁判所調査官、これは数十名の欠員がございますが、春の採用が見込まれておりますので、すでに名簿も確定の段階に至っておりますので、それによって充員できるのではなかろうかというふうに考えております。 それから、ついででございますが、速記官がございます。速記官にも相当数の欠員がございますが、できるだけ多数の速記官を養成していくということに本年度から一大転換をいたしておりますので、これも順次充員できるのではなかろうかというふうに考えております。
○稲葉(誠)委員 その事務官の過員というのはどの程度あるのですか。そして、事務官の場合は具体的にどういうふうな仕事をするのでしょうか。 それと、四等級ですか、それになるのが非常に少ないのですね。これはどういうふうなわけなんですか。その辺のところは、事務官なら事務官としてある程度上へ行ける、そういうふうな目安というものは考えないで、事務官の場合は書記官になるのが一つのルートなんだというふうな理解の仕方なんですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 事務官の場合に、事務官が書記官になられることによって待遇をよくしていくというふうな点もないわけではございませんが、やはり事務官は事務官として上に昇進していくということを考えなければいけない、またそのように努力をいたしております。 現在 一般の事務官の方が一般のままでおりますと六等級までしか行かない。それから上は、係長でございますとか主任ということになりませんと五等級には昇格できない、こういう状況でございます。
○稲葉(誠)委員 事務官がどの程度過員になっておるのですか。 それと、事務官がいま言ったように六等級どまりというか、五等級、四等級になるにはどういうふうな年限とか条件があればなれるということになるのですか。私どもが見ると、書記官と事務官とのいろいろな差が余りにも裁判所ではあり過ぎるのではないかというふうに考えるわけなんです。それは誤解されるといけないのですが、だから書記官の待遇を事務官に近づけろというのではなくて、事務官の待遇を書記官の方に近づけろという意味ですからね。
○矢口最高裁判所長官代理者 現在の事務官の過員は二百数十名でございます。これは先ほど来申し上げましたように、定員関係においては書記官になるとかいろいろな形で解消できるわけでございますが、元来の事務官としてずっと進んでいく方、そういう方が八等級で採用されまして、七等級になり六等級になり、そこまでは一応ある程度の年限で行けるわけでございますが、それから上の五等級、四等級というふうになっていくということになりますと、五等級になりますのに十数年はかかるというわけでございます。実態的に見ましても、裁判所は戦後に非常に人数等が多くなりまして、一時的に多数の方を採用したという時期がございます。そういう方が一斉にある程度の経験年数を経てこられまして、そのような方の処遇、具体的に別の言葉で申しますと、事務官の五等級昇格問題、これが事務官問題といたしましては一つの大きな問題になっておることは御指摘のとおりでございます。私どももその点について、他の省庁におくれをとらないようにということで、予算折衝等の場合にも最大限の努力をいたしておる。現在、書記官の四等級問題というのが同様にございますが、書記官の四等級問題、事務官の五等級問題、これについては、定数関係の問題としましては全力のうちの九九%をこれに充てておると言っても過言ではないほどの努力をしておるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 時間が来ましたのでこの程度にしますが、いまの事務官の五等級の問題、書記官の四等級の問題、それからいろいろな事情があると思うのですが、裁判所の中に一般職で管理職が非常に多いのですね。これはいろいろな事情があるのでここではなかなか言いづらいことがあると思うのです。それは私もわかっていますので聞きませんけれども、そういうふうな問題その他を含めて、もう一回、法務大臣の来られたときに質問をさせていただきたい、こういうふうに思って、きょうは一応終わります。
○小宮山委員長 大竹太郎君。
○大竹委員 御承知のように、裁判所定員法は毎年通常国会ごとにこれは冒頭にかかる法案でございまして、またこの法案の性質上、毎年同じようなことをお聞きするということになって非常に恐縮でございますが、一応御答弁をいただきたい、こう思うわけであります。 そこで、いまほど稲葉委員からも冒頭に、ことしの増員に関して、大蔵省に対しての予算要求においては一体どうなっていたのかという御質問があって、御答弁があったわけであります。ただ、ずっと例年拝見をいたしておりますと、たとえば四十七年から五十年までの裁判官だけについて申し上げますと、四十七年には六十六名を要求されて判事補が九名、四十八年は六十一名要求されて判事補が三名、簡裁判事が四名、計七名、それから四十九年、昨年でありますが、三十六名要求されて判事補二名、簡裁判事三名、計五名、ことしは二十六名要求されて簡裁判事が三名ということになっておるわけでありますが、いずれの年を見ましても、要求から見ますと、認められたのは一口で言えば非常に少ないということになっているわけであります。結論としてお聞きしますと、これだけ認めていただけばまあ何とかやっていけますというお答えをこれも例年いただいていることになるのであります。そういたしますと、一口に言うと、要求する方は非常に吹っかけて要求してあるのだということにならざるを得ないのでありますが、一体その点はどうなっているのか。 それからいま一つお聞きしたいのでありますが、もちろんこれは予算の関係がありますから一時に実現できない。したがって、これを年々増加していっていいところへいくんだ、そういうように考えるといたしますと、たとえば四十七年におきまして六十六名要求をされておる。そういたしますと、先ほども申し上げましたように五十年まで九人、七人、五人、三人、こうなっていまして二十四人ということは、たとえば判事、判事補、簡裁判事、いろいろ種類はあるにいたしましても、ここで二十四人充足しているわけでありますから、四十七年に六十六人を要求してそのうちから二十四人を採ったといたしますと、まだ四十二人足らないというようなことを考えるのであります。そういたしますと、ことしの要求の二十六人というのは裁判所としては非常に不合理な要求じゃないかというふうなことも考えられるのでありますが、その点について御説明をいただきたいと思います。
○田宮最高裁判所長官代理者 裁判官の増員要求でございますが、先生御指摘のように、ことしは二十六名の要求をして、結果的には簡易裁判所判事三名ということ、過去においてもかなりの数の増員要求をしながら、その都度、人員は四十七年は九人、四十八年は七人、四十九年が五人といったように少ないというのは、要求との関係がおかしいという点でございますが、これも、概算要求書を出しますのが前年度の八月現在の見込みでございますが、そこでいろいろと検討して必要人員というものを考えるわけでございます。要求の場合も、先ほどもちょっと触れましたけれども、今回も、たとえば民事調停事件の処理のためということ、それから特殊損害賠償事件の処理、それから道路交通法違反事件の処理というようなことで、それぞれ、その年々、そうした具体的な事件の処理に必要な人員ということで予算要求をいたすということでございますので、その年々、要求の人員というものも変わってくるのでございます。たとえば四十九年度、前年度でございますが、これも、高等裁判所において学生事件等、刑事長期未済事件があるのでそれに必要な人員といったような要求項目もございます。その前年度の四十八年度でございますと、たとえば簡易裁判所の民事事件につきまして特則を活用するという前提のもとに、簡易裁判所の判事を要求いたすというようなこと、そういうようなことでございますので、要求自身は、その年々におきまして緊急を要する事件処理ということで、それぞれの事件処理に要する人員ということで算定いたしますので、それぞれの年によって要求人員が違ってまいる、こういうことになるわけでございます。 結果的に、本年度も二十六人要求いたしながら三人ということになったわけでございますが、これも、たとえば民事調停事件の処理ということで、新制度発足ということで調停事件もかなりふえるのではないかという見込みであったのでございますが、制度発足後まだ実績等ございませんので、そうそう事件もふえてまいりませんので、これは今後の運用、活用といったような実績を見た上で、来年度改めてどの程度の裁判官を必要とするかということを検討いたしたい、こういうことでございます。また、特殊損害賠償事件等につきましても、これもその後のいろいろな事件の趨勢等から見まして、特に公害等の事件が事件数として非常にふえているということもございませんので、今回は最も緊急を要するところの道路交通法違反事件の処理ということで、簡易裁判所判事三名という増員を目下お願いしておるわけでございます。そのような関係でございますので、今回予算要求をいたしました民事調停事件の処理関係、それから特殊損害賠償事件等の処理関係におきましては、現在の裁判官の陣容で十分やっていけるということでございます。
○大竹委員 いまの御説明だと、その年の裁判所の事件その他の事務的なものを予想して、前回の国会で調停法の改正ができたから調停法の判事さんがたくさん要るだろうというようなこと、そういうような趣旨で、続いていままで例年増員要求がなされてきたというようなお答えでありますが、しかし第一、裁判官の補給源の面から考えてみましても、そう目先の、こうだからことしはたくさん要るんだ、例年は要らぬのだというようなものではやはりないと私は思うのでありまして、少なくても三年や五年の見通しのもとに、なかなか国家財政が許しませんから、やはり相当長い目で見て、逐次充実をしていくという方向でやっていかれるべきじゃないかと私は思うのでありまして、これに対して意見として申し上げておきますので、お答えがあればお答えをしていただきたいと思います。 それで、ことしはわずか三人でありまして、過去十年間の増員の状況を見ましても、ことしは一番最低だということになっているわけでありますが、いまほど、これだけ増員してもらえばやっていけるんだという御説明で安心しているわけでありますが、改めて、この三人程度でやれるのかどうか。 それから、過去十年を見ますと、四十四年まではずっと判事さんを相当数増員をしてきているんですが、昭和四十五年以来判事さんの増員というものはないわけであります。しかし、御承知のように、最近のような特殊賠償事件、公害の問題、その他等考えました場合に、もちろんこれは判事補の方から十年たてば回られるわけでありますからあれでありますけれども、私、数字的にはわからないのでありますけれども、公害その他特殊賠償事件等の急激な増加というようなことを考えました場合に、やはり判事さんの増員というものも考えていかなければならぬのじゃないかというようなことも考えるのでありますが、これらについて御答弁をいただきたいと思います。
○田宮最高裁判所長官代理者 先生御指摘のように、確かに十年以上判事補を経験いたしました判事がまさに法律の予想しているりっぱな一人前の裁判官でございますので、判事を増員するということが、そうした特殊損害賠償事件等の処理に十分役立つということになるわけでございます。そのようなことで、先生御指摘のように、逐次判事の定員を増加してまいったのでございますが、御承知のように、現在の状況でございますと、判事になります者はどうしても判事補十年経験した者の中から判事になっていくといったような関係で、おのずからそこには補充する給源の問題等もございます。もちろん毎年、若干ずつでも弁護士さんから判事になる方もございますが、そういう点、数も少のうございますので、勢い判事補からがほとんど唯一の給源ということでございますので、判事の定員といたしましてはいま程度で——十分かどうかは別といたしまして、いま程度にいたしまして、その充員のために今後とも努力してまいる。毎年判事補の採用を順次ふやしていきたい、こういうふうに考えておるのでございます。
○大竹委員 それで、ことしは結論として簡易裁判所の判事さん三名の増加、そうしてその三名は交通事件の方に回すということでありますが、きょうはちょっと数字を持ってこなかったからあれでありますけれども、御承知のようにここ数年は交通事犯は非常に減ってきている。たしか二二%ですか、死者についてはまだ一万人をちょっと超しているようでありますけれども、数字的に見ればたしか二〇%以上減ってきている。もちろん傷害事件その他も全体としては減ってきているわけでありまして、そういう面からいたしますと、交通事件を取り扱う判事さんはそう増加する必要はないのじゃないか。いま申し上げましたように、最近問題になっている公害関係の判事さんなんかはむしろふやすべきじゃないかというようなことも改めて考えられるわけでありますが、この交通事件を、簡単でよろしゅうございますから数字で説明をしていただきたい、こう思います。
○田宮最高裁判所長官代理者 今回増員をお願いしておる簡易裁判所判事は、交通事件のうち道路交通法違反事件の処理に要する人員ということでございます。道路交通法違反事件と申しますのは、たとえば信号無視とかスピード違反、酔っぱらい運転、一時停止違反といったような、もっぱらそうした交通法規を守らないという面の事件でございます。この点の事件は最近急激にふえておりまして、お手元に配付資料がございますが、それの二十二ページのところにございますように、昭和四十六年度におきましては事件が百二十三万九千百十九件、それが昭和四十八年にまいりますと百五十八万三千九百四十五件というふうに、略式事件でございますが、非常にふえております。この違反事件は昭和四十五年度に比べますと、比率から申しまして約六〇%ふえておるということでございます。 先生のただいまお話しのありました、交通事故によるところの事件というのは減っているではないかという点でございますが、これは御指摘のとおりでございまして、この資料の中には特にその区別をしておりませんが、この略式命令の「一般」というところでございますが、このうち業務上過失致死傷事件——交通事故によるものは業務上過失致死傷事件でございますが、これは昭和四十六年におきましては四十万八千九十三件でありましたものが、四十八年度におきましては三十五万一千六百八件というふうに減っております。したがいまして、確かに交通事故によるところの事件、交通事故によるところのけが、死亡というものは減っておるのでございますが、ただいま御説明いたしましたように、交通法規違反の事件が大幅にふえておりますので、これに要する人員として簡易裁判所判事三名の増員をお願いしている、こういう次第でございます。
○大竹委員 次に、欠員との関係、これもいつも問題になるわけでありますがこれは去年の十二月一日、まだそうだっておりませんから現在においても大して変わりないと思うのでありますが、百七人の欠員ということになっておるようであります。この欠員は昭和四十一年からずっと、恐らくこれはいずれもその前の年の十二月一日にお調べになった表だと思いますが、いままで百人を突破したことはないのでありますが、例年になくことしは百人を突破しているということで、何といいますか、いままでから見ますと非常にふえているように思うのでありますが、何かこれは特別な理由があってこういうふうにふえたものかどうか。また、ふえただけこれを補充することも大変だと思うのでありますが、研修生のうちで裁判官志望者その他、この補充の見通しについてひとつ御説明をいただきたいと思います。
○矢口最高裁判所長官代理者 四十一年と比べてのお尋ねでございますが、ことしの欠員が昨年よりやや多くなっておりますのは御指摘のとおりでございます。これはそのときの事情によりいろいろございまして、大ざっぱに申し上げますと、定年で退官される方、それからその他公証人等におなりになる方が例年よりやや多かった。そのほかに、不幸なことでございますが、現職で亡くなる方が数年にないほど多かったというようなことが一方でございました。他方、一昨年でございますが、判事補から判事になる方が八十人ほどございました。ところが昨年は五十人余りでございまして、これは現在としてはどうしようもない数字でございまして、十年たって判事補から判事になられる、そのときの状況によるわけでございまして、たまたまそういうことがあったということでございます。四十一年と比べてみますと定員増が相当数ございますので、四十一年よりも約百名余り、現在、四十九年ということになりますが、定員増がございますので、裁判官の実人員ということから申しますと、一般的にはやはり充実してきておるというふうに考えておるわけでございます。
○大竹委員 いまのお話だと、充実してきているとおっしゃいますけれども、たとえば判事だけを見ましても、四十一年における判事さんの欠員は三十三名なのに、四十九年の十二月、五十年度としますと、七十五人ということになっていまして倍以上になっている。判事補の方は、四十一年は二十九名だったのが今度は三名になっておりますからあれでありますけれども、そういうようなことから言いますと、決して充実しているというお話は当たらぬのじゃないかと思いますが、その点はどうですか。
○矢口最高裁判所長官代理者 判事という観点からまいりますと確かに御指摘のとおりでございます。判事補以外の給源が相当数ございますと何とかいけるわけでございますが、現実には、先ほど総務局、長もお答えしましたように、ほとんど判事補以外には給源を求め得ないという関係でございまして、十年前に採用いたしました判事補の数というものが影響してきておるというのは事実でございます。ただ、四月になりますと新たに判事資格を取得する者が六十人ほどございます。そのほかに弁護士、検事の方から十名前後来ていただくことが予定されますので、この欠員はほぼ充足できるのではなかろうか。ただ、完全に充足できるかどうか、この点はちょっと問題でございますが、判事の数としてはほぼ四月時点で充足できるのではなかろうかというふうに考えております。
○大竹委員 いまお答えがなかったのでありますが、研修生の方からの裁判官志望者のぐあいはことしはどうなっていますか。
○矢口最高裁判所長官代理者 その点につきましては、実は現時点で九十一名の判事補希望者がございます。昨年は八十五名の方を終局的に判事補に採用いたしました。私ども非常にありがたいことであるというふうに考えておったのでございますが、本年度も引き続き八十名を大幅に超す裁判官の希望者がございます。その点におきましても、優秀な方に多数来ていただけるのではなかろうかというふうに期待をいたしておるわけでございます。
○大竹委員 書記官そのほかの職員については稲葉さんの方から御質問がありましたから省略させていただきますが、最後に、きょうは大臣、それから事務総長、見えておりませんから、次官あるいは局長からお答えをいただきたいと思いますが、たしかこの前の、裁判官、検察官のベースアップの法案のときに横山委員の方から御質問があったと思うのでありますが、たしかあれは四国の裁判所の所長さんが官舎で、家族がおられないために、亡くなったけれども翌日までわからなかったという問題、また、たしかあれは福島県ですかの裁判官が、非常に忙しいためにノイローゼになって、デパートですかどこかで万引きをした、これはいずれも新聞で非常に大きく取り上げられた問題であります。こういうような問題は、これは裁判官であるから特に大きく取り上げられたというふうにも考えられます。一般のサラリーマンにはそういうようなことは始終あるのかもしれません。一般のサラリーマンでも、いつでしたか、ノイローゼになってバットで課長を殴り殺したというような極端な例は新聞でも取り上げますけれども、ひとりで死んでいて見つからなかったとか、あるいはノイローゼになって万引きしたとか、そういうような、一般のサラリーマンならその程度のことはそう新聞には出ないのかもしれません。それにしても、裁判官という役柄からしますと、そういうようなことがあってはならない問題だと私は思いますし、また最近になって非常に考えさせられたのは、たしかつい最近、北海道の炭鉱のレッドページの裁判が昭和三十一年に始まってこの間解決した。十九年、いろいろの理由も出ておりましたけれども、どうも一番大きな理由は、裁判官が始終かわったので十九年もかかってしまったのだというようなことが出ておりました。 こういうようなことを考えてみますと、この裁判所というもの、これは特別の世界であるかもしれませんけれども、やはり人事管理とか、あるいは一般の会社で言えば労務管理とかいうものをもっと考えなければならぬ面が相当あるんじゃないかというようなことも、この間北海道の事件があったときに前の二つの事件も思い出し、また新たにこういう法律を審議するに当たってやはり相当考えていただかなければならない問題であるということも思うわけでございます。これはなかなか的確な御答弁を求めるということは至難な問題でありますけれども、大いにこれからもいろいろの面で考えていきたいというような御答弁をひとつお願いいたしたいと思います。
○矢口最高裁判所長官代理者 裁判官の仕事の重要性ということと関連いたしまして適切な御指摘をいただいて、恐縮でございます。私ども、やはり裁判官の必要数の確保ということにつきましては、あらゆる観点から検討いたしまして最大限の努力を今後も続けていくつもりでございます。そのことの中には当然、十分に余裕を持って仕事をしていただけるというような観点かちの裁判官の数というものを考えておるのは当然でございます。そういうことの中にやはり健康管理の問題等も当然含まれてくるわけでございまして、御指摘のような不幸な事態が二度と起こらないように最大限の努力をその観点からも払っていきたい。そして、裁判官の質及び数の充足ということにつきましては、今後も十分に努力をいたしていきたいと考えております。
○大竹委員 終わります。
○小宮山委員長 次回は、来る十八日火曜日、午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時四分散会