文教委員会 第12号
- 発言数
- 35 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1975/05/30
会議録
○久保田委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、これを許します。山原健二郎君。
○山原委員 学校教育法の改正案、いわゆる大学院大学の問題について幾つかの点を質問いたします。 最初に、この提案理由の説明が行われたわけですが、文部大臣はこの中で「科学技術の著しい発展と社会の複雑・高度化を背景として、近年高等教育の拡充、学術研究の高度化等の要請が高まっておりますが、このような状況のもとで、すぐれた教育・研究者の養成と高度の専門性を備えた職業人の養成とを図るため、大学院の整備充実が重要な課題となっているところであります。」こういうふうに述べております。いわゆる科学技術の著しい発展と、そしてこれにすぐれた教育研究者の養成、学術研究の高度化の要請、こういうものに対してこたえる立場からこの法制化がなされていると思うのですね。ところで、そういうことでこの法案が出されているわけですが、ではこの法案に基づいて具体的にどうなるのか。いわゆる法律で枠だけをつくるのであって、実質はどういうものができるのか、あるいはどういうふうな展望といいますかそういうものを持っておるのかということがちょっとわからないものですから、それを最初に伺っておきたいのです。
○井内政府委員 今回御提案申し上げております学校教育法の一部改正によりまして整備しようとします大学院の制度の問題は、昨年の三月三十日に、各方面の意見を踏まえながら大学設置審議会から大学院の整備の方向につきましての答申を受けまして、これを制度的にどう整備するかということで昨年六月に設置基準をつくり、引き続き法律によって措置すべき事柄を、今回の学校教育法一部改正ということで御提案申し上げた次第でございます。 ただいま、特定の具体的な今後の大学院の構想がどのようになっておるのかというお尋ねでございますが、現在各方面で課題とされておりますものを申し上げてみますと、一つは、従前個々の大学の学部が充実をいたしますと、その学部を基礎としてそれぞれ大学院を設置してまいるという形で参りましたが、今後大学院を設置しこれを充実整備してまいるに当たりまして、幾つかの大学が相互に連合して大学院をつくっていくという必要があるのではないか、いわゆる連合大学院構想といったものがいろいろなところで論議をされております。 それから第二の問題といたしまして、過般の国立学校設置法の一部改正の御審議の際にもいろいろ御意見を賜った点でございますが、特定の大学に付置されていない大学の共同利用の研究所等を実質的な母体として大学院を考えるということはできないであろうか。その際は、大学院は御案内のように修士課程と博士課程から成っておりますが、特に博士課程の後期三年の課程を置く大学院というものが構想できないか、こういった意見等がいろいろと出ております。 それからさらに、大学院の研究指導、大学院におきます教育を、できるだけいろいろな状況に応じて間口を開いていく必要があるのではないか、こういう観点から、高等専門学校の卒業者あるいは社会人を主たる対象とする大学院の構想というものも検討したらどうか、こういったことで過般来文部省の方でも調査研究をし、準備を進めております技術科学大学院等の構想もただいま論議をし、私どもも検討をしておるところでございます。 このようなただいま申しました連合大学院的構想あるいは共同利用の研究所等を実質的な母体とするような大学院の構想、それから技術科学大学院の構想、こういったものを実際に実現してまいりますためには、今回御提案申し上げております独立大学院のこと、あるいは後期三年の博士課程を設置し得るということ、こういった制度を準備することが、いろいろな各方面の御要請にこたえるゆえんである、こういう考え方で御提案を申し上げた次第でございます。 なお、こういった問題は制度だけが先行するということは好ましくございませんので、各方面における具体の論議をいろいろと承り、具体的な論議を集約しながら、制度の整備も並行してまいらなければならないであろう、かように考えておるところでございます。
○山原委員 連合大学院と共同利用研究所を中心とする大学院、それから高専、社会人を主とする技術科学大学院というのが、いま御説明では具体的に出てきたように思うのです。それで連合大学院それから共同利用研究所の大学院という問題については、これは後で少し具体的に質問をいたしたいと思うのです。 それで、いまそれらの問題が出されていますが、そういうことで果たして科学技術高等教育の拡充や学術研究の高度化に役立つのかという疑問を持っているわけですね。問題は一体、日本の科学技術あるいはこの高等教育の拡充というのはいま何が求められているかということが、相当論議される必要があると私は思います。たとえば四十八年の十月三十一日に学術審議会の「学術振興に関する当面の基本的な施策について」という答申が出ているわけですね。これは私ここへ持ってきているわけですが、私の方がいただいたこの答申ですけれども、これは第三次答申ですね。この中にはこういうふうに書いてあるわけです。四ページになっておりますが、「大学は学術の中心としての役割をもち、その特色は、人文・社会・自然の諸科学にわたる基礎研究を中心に、自由な発想により独創的な研究を展開するところにある。特定の企業や行政に直結しない大学以外の学術研究機関の特色もこれと同様である。学術の振興は、大学等学術研究機関がもつ上記のような特色を十分に発揮できるような研究体制・研究条件を整備確立することを目途として行われなければならない。」こういう答申になっているわけですね。私はこの問題、いわゆる大学の特色は、人文、社会、自然の諸科学にわたる基礎研究を中心に、自由な発想により独創的な研究を展開するところにある、この特色を十分発揮できるような研究体制、研究条件を確立することをめどとして学術の振興を図らなければならない、この確立が一番重要だというのがこの答申の主たる主軸だと私は思うのです。この点で、果たしてこの問題が現在の大学制度の中でやれないのかというと、何も制度というものを変えなくともその問題についてはできるのではないかということですね。もちろん財政の問題に関連してきますけれども、今日の高等教育を考える場合に、あるいは科学技術の拡充ということを考える場合に、ここに指摘されておることですね、研究体制、研究条件を確立するということに主眼を置いて、いま大学関係者を含めすべてのこれに携わる者が論議をしていくということが基礎ではなかろうか、こういうふうに思うのです。この点はどうでしょうか。
○永井国務大臣 先生がおっしゃいますことは、これからの学術教育をどうしていくかという非常に基本的な問題であるかと思います。私も私の理解している限りで申し上げますが、それは同時に学界においてもなお一層御検討願うべき事柄であるという前提においてお話し申し上げるわけであります。 従来の大学で人文、社会、自然、そういう科学の基礎的なものを研究していく、そしてそれは大学の独自の方法に基づいていくというのがあって、それでいいのではないかということでありますが、私は、すでに実は大学の方からこの問題についていろいろな疑問が出ていると思っております。といいますのは、従来の基礎的な研究というのは学科別に非常に専門化されて限定されてきたという事情があります。例を理学部と工学部にとりますと、たとえば理学部で化学をやってきたわけでありますが、しかし次第に工学部の方の化学工学というものとの接合関係が非常に必要になってくる。そうすると、工学、理学というものをそれほど分けないでやっていった方がいいのではないかというようなことから、理工学的研究方法というようなものも開発しようとしてきたわけでありますが、しかし古くからの慣行がありまして、なかなか理工的な総合的な研究教育ができにくかったというような事情があります。そうしますと、大学院というレベルでもって学部の専攻というものに限定されませんで、もう少し隣接科学が共同して研究をしていく、あるいは教育をしていくという方向が必要になってきていると思います。これが理工だけではなくて、たとえばテクノロジーアセスメントあるいは都市の再開発というような問題になってまいりますと、これは工学の人、理学の人も必要でありますが、社会科学の人の共同がありませんと、技術の将来予測を行って、いま公害が問題になっておりますが、公害にとどまらない環境の破壊というふうなものを結果の方から逆に測定をいたしまして技術開発をやっていくというような問題が、従来の大学の学科別ではできにくいという事情があります。都市開発などについても同様であります。 以上、一、二の例を申し上げたわけでありますが、そういうわけで、私はこれはイデオロギーの別と関係なく、アメリカ合衆国とかあるいはソ連邦などでもそういう隣接科学の総合的な研究をどうするかということが、わが国よりも早く動いてきたというふうに理解いたしておりますが、そういう中で、やはりわが国の場合にも教育と研究、これを大学が独自の立場でやっていくということの重要性は従来と変わらないと思いますけれども、しかしながら、学問の専攻の限定というものを従来の形にとらわれませんで大学院のレベルで総合化していくということがどうしても必要になってくる。それがまた後に学部にはね返ってくるということがあると思います。 そこで独立大学院という場合には、これは法案の中に示してございますように、従来の学部別の専攻の上に大学院を構成してきたという方法をとりませんで、いわば独立に、つまり学部から独立に新しい学問の方向というものを基礎的な基盤からもう一度総合的に組み直してみるという考え方でありますから、これは先生のお言葉の中に、学術審議会の答申だったと思いますが、社会、つまり企業とかその他の力によって大学の方向を変えてはいけない、それはそのとおりでありますが、実は学問の方の内的な要求から申しましても、私は独立大学院で新しい方法を開発していくことが非常に必要な段階に来ている、それに基づいてこういうものが考えられているというふうに理解いたしております。
○山原委員 いま大臣がおっしゃられたことは現在の大学制度の中で不可能なのかということですね。そういう問題もあると思いますし、それから、ではこの法律をつくってそれがすべて解消できるのか。私の方は、独立大学院とか連合大学院の構想についてのイメージがまだはっきりしてないものですからそういう質問になるわけですけれども、現在の大学制度の中でいまおっしゃられたような領域の問題などは解決できる面もあるのではなかろうかという気もするわけです。そういうことはできないわけですか。この法律ができなければそういうこともまず不可能だというお考えでしょうか。
○井内政府委員 先ほどお答え申しましたように、昨年の三月に大学設置審議会から、今後の大学院の制度を整備していく方向につきましての意見をいただいたわけであります。 この御意見の主たる要点は、大学院の整備充実を今後図ってまいるに当たりましては、従前の大学院制度の画一的な運用というものをどうしても改めてこなければならないであろうということが第一点。そしてただいま大臣からお答えございましたように、学術研究の進歩に応じましてそのそれぞれの分野での学問研究を向上させること、より総合的な分野も発展させるといたしますためには、その組織の仕方等につきまして従前以上に柔軟に対応し得るような制度を確立してまいる必要がある、これが基本的な考え方でございます。 このような基本的な考え方に立ちまして、昨年の六月に大学院設置基準を制定いたしたわけでございますが、その特色としますところも、ただいま申し上げました基本的観点に立ちまして、学部、学科との対応にとらわれない大学院の目的に即応した弾力的な編成が行えるようにしようということが主たるねらいでございました。省令段階における大学院設置基準の制定によりまして、昭和五十年度から発足をさせていただきました東京工業大学の総合理工学研究科といった対応する学部のない独立研究科が現在の省令の設置基準でも設置が可能に相なったわけでございます。 ただいま先生からも御指摘がございましたように大学院の整備充実は、既存の大学院をどのように整備充実していくかということがやはり基本だと思います。その方向といたしまして、省令の制定によって学部に対応しない総合理工学研究科も設置し得るところまでまいった。今回の法改正により、独立大学院後期三年の博士課程のみの設置等につきましての制度を創設しようということで御審議をいただいておるわけでございますが、これはただいま申しました大学院の組織編成の弾力化をさらに進めたい、そして学部を置くことなく大学院を置くいわゆる独立大学院の設置も制度としてぜひ可能にしたい。そして今後における教育研究上の多様な要請にこたえることができるような制度の整備を図ってまいりたい、こういう趣旨でございます。 既存の大学院の整備充実と省令を根拠とします弾力化、方向といたしましては大学設置審議会の答申を踏まえまして、その方向をより進めてまいりますために今回の制度改正をお願いいたしたい、かように私ども考えておる次第でございます。 なお大学院の、ただいま申し上げましたような昨年三月の答申を受けまして以降の省令の制定なり今回の学校教育法の改正なりは、問題点をまとめてみますと、大学院の修士課程なり博士課程なりが掲げます研究者の養成、専門家の養成等の目的、性格というものを制度的にもぜひ明らかにする必要がある、入学資格等にもいろいろ検討すべき問題がある、そういった観点。第二点は、学問の向上性と総合性というものを踏まえて、学部に完全に寄りかかった組織としてでなくて、より独立した組織、より弾力的な組織としての大学院も一つ考える必要があるということ。第三に、研究者の協力の場としての大学院という面もどうしても考える必要があるであろう。先ほど申しました連合大学院的な構想と申しますものも、個々の大学がそれぞれに大学院を持っていくという従前のあり方よりも、幾つかの大学が連合して何か高度の大学院博士課程がつくれないか、こういった学界等における御要請がいま具体の問題として論議をされておるわけでございまして、こういった動向等に対応いたしますためにも、今回御提案申し上げておりますような、大学院制度をより弾力化し、より柔軟にしていくという方向を私どもぜひお願いをいたしたい、こういう考え方でございます。
○山原委員 皆さんのおっしゃっておられる連合大学院とかいうものに対して頭から反対をするというような立場で質問をしているわけじゃないのですが、考えてみますと、昨年特に奥野文相当時、大学に対する不信あるいは私どもは敵視という言葉で指摘したりしてきたわけですけれども、そういう中でできたこの大学設置審議会の答申というもの、それからまた一面私がいま出しております学術審議会の問題これはもちろん相対立するものではないと思います。けれども、いまいろいろおっしゃられておるもう一つその基礎に、やはり日本の学術研究体制の充実拡充の全体的構想というものが明確にされることが必要なのではないかということを私は申し上げているわけです。 で、もう少しこの学術審議会の報告の内容を見てみますと、たとえばこれは四十八年七月二十五日の学術審議会学術研究条件特別委員会の「大学等における学術研究条件の整備について」という報告でございますが、これによりますと、「研究条件整備の緊要性」について「学術研究に対し、優先的に資源と人力の投入を図る必要がある。」こういうふうに述べております。資源と人力を優先的に投入するということですね。 そこで、たとえば、これも報告の中には具体的に数字を挙げておりますが、講座制等の実験を例にとってみますと、教官当積算校費の単価につきまして、これが昭和十年から二十年までの平均ですね、これは戦前の平均になると思います。これが当時八千六百五十二円という数字が出ているわけですね。そして四十八年では五百十三万円になっている。この比較をしてみますと、四十八年が戦前に比べまして五百九十三倍という数字が出ているわけです。しかし消費者物価指数から見ますと、昭和九年から十一年の間を一としますと、四十八年度は六百四十四倍となっている、こういう数字が出ているわけです。もちろん、消費者物価指数だけで問題を割り切るわけにはいかぬと思いますが、そういう数字から、戦前よりも大学における教育研究の条件というのはむしろ低下しているという、こういう数字が出されているわけですね。結局、その上にこう書いてあります。「研究の手法等が著しく進歩し諸種の経費がかさむ現状において教官研究費は戦前に比べて少ないと言わざるを得ないのが実感であり、また、大型研究設備、電子計算機などが導入され、その維持運転費の別途計上は必ずしもじゅうぶんではなく、教官当積算校費から一部充当されているが、それには限度がある。」こういう指摘をしているわけですね。こう見てみますと、日本の科学技術あるいはそういうものが高揚する状態にあるのかというと、むしろこの学術審議会の報告によれば戦前よりも低下している、これが指摘されているわけですね。ここの問題がどう解決されるのかということが相当綿密に論議をされませんと、ただ構想だけ出て、ああこういうものをつくるんだとか、あるいはこうすればもっと弾力性のある大学院ができるのだと言っても、ここの基礎部分が非常に脆弱であるという日本の今日の科学の体制ですね、これをもっとわれわれは論議をする必要があるんじゃないか、こういうふうに思うのです。この点ではどうでしょうか。この学術審議会の指摘が、文部省としてはこれは余りにも短絡的な指摘だというふうにお考えなのか、やはり戦前に比べても日本のこの科学技術というもの、こういう基礎研究というものが低下しておるというふうに考えておるのかどうか、これを伺っておきたいのです。
○笠木説明員 ただいま先生御指摘がございました、一昨年の学術審議会の学術研究条件に関しましての特別委員会の報告の中にはそのような点が言及されているわけでございます。ただ、この場合の指摘はいわゆる経常的な研究費と目されております教官当積算校費についての言及でございまして、その限りにおきましては、確かに戦前との消費者物価指数を指標といたしました対比では必ずしも戦前の水準に及んでいないという実態があることは、この時点においてはさようであったと思うわけでございます。ただ戦後の現在の段階におきましての、たとえば国立大学におきましての研究関係の諸経費につきましては、いま先生から御指摘がございました大型研究設備、電子計算機などのいわゆる維持運転経費につきましても、その後できるだけの努力を払って充実を考えているわけでございますし、それから、たとえば研究プロジェクトに関しましての助成費でございます科学研究費補助金につきましては、たとえば四十三年当時に大体四十億程度の経費でございましたものが、昭和五十年度の予算におきましては約四倍に当たります約百七十億程度の計上が行われているというふうな状況がございまして、その他戦前にはございませんような各種の経費も合わせて計上されているということでございますので、全体を総括して見た場合には、まだ決して十分とはもちろん申せませんけれども、相当の段階までの充実が図られているというふうに判断をしているわけでございます。 また、これはいわゆる研究費との関係が直接はございませんけれども、それとの関連のある問題といたしまして、たとえば研究所の創設というふうな問題がございますが、戦後におきましても現在に至るまで、特に最近設置を見ておりますいわゆる大学の共同利用研究所等の姿におきまして、研究所の必要な部面における創設も逐年整備を図っているという状況があるわけでございます。全体を細かな計数的に当たるということまでいま申し上げるわけにまいりませんけれども、総括しての判断といたしましては、まだまだ決して十分ではございませんけれども、かなりの程度の改善が図られていると言ってよろしいのではなかろうかというふうに考えております。
○山原委員 いま科学技術と言いましたけれども、学術研究と言った方が適当だと思います。いま御説明がありましたから、単純にはもちろん言えないと思いますけれども、だからいま言いましたのは、教官当積算校費の単価だけで申し上げたわけです。 それからもう一つ、この例が出ています。これはいま言いました資源と人力の人力の面ですね。これを見ますとどういうふうに表現されておるかというと、これは学術審議会の研究体制特別委員会の「大学における学術研究体制の整備について」の報告で、同じく四十八年七月二十五日に出されていますが、それに「研究支援の組織」の項がございます。研究支援というのは、もちろん説明する必要はないと思いますけれども、非常に重要な役割りを占めているわけですね。これは不可欠なものだ。今後ますます増大することは確実であると指摘をしております。ところが実際には、総定員法のもとで研究支援職員の数の比率は近年減少の傾向にある、こういうふうに述べているわけです。これはまさに学術の振興と逆行する現象だと私は思うのです。この指摘はどういうふうに受けとめておりますか。
○笠木説明員 この報告にございまして、いま先生御指摘のように、研究支援の仕事、その機能というものが将来にわたって大変重要な役割りを果たすであろうという判断につきましては、私どもも全くさように考えておるわけでございます。それで、定員削減等によりましていわゆる技官系列の定員などにつきましての減が確かに一面ではあるわけでございますけれども、反面では、毎年の予算の計上の段階におきまして、できるだけ増の方の部面につきましても努力をいたしているわけでございまして、現在の段階がこれまた研究費と同様決して十分とは考えておりませんけれども、必要な部面について必要な研究支援職員の配置を考えるという点につきましては、従来以上に今後とも努力をしてまいりたいと考えておるわけでございます。 なお、優秀な人材を研究支援の業務にいわば誘致するための施策といたしましては、こういういわゆる技官系列などの研究支援の業務に携わっております者の処遇の改善、具体的には給与の向上というふうな問題につきましても考慮をしておりますし、また研究支援の組織をもう少しシステム的に組織するというための工夫も、たとえば技術に関する一つの独立した部課というものを考えるというふうな点で対応を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。この点につきましては、今後も十分な認識をもちまして整備について取り計らってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○山原委員 研究支援の組織ですね、これは電子計算機などの操作、維持、調整、あるいは実験用の動植物の飼育、栽培その他データの集計、分析など、もう大変大事な仕事であるわけですね。学術研究の振興に当たっては非常に重要な要素なんですが、しかもこれが、いま私が言いましたように総定員法などの――総定員法のことについては後で質問いたしますが、そういう枠の中で近年減少する傾向にあるという状態ですね。この指摘の中には、これは不可欠なものだ、今後ますます増大することは確実だと指摘をしておるわけですね。ところが、その研究支援職員の数の比率は近年減少の傾向にある。そして、各大学では学術研究の水準を維持するためにいわゆる定員外職員を、戦前に比しても少ない研究費の中から捻出をしているというのが現実なわけですね。こんなことを解決するのが先決ではないのかという意味で私は申し上げておるわけです。まだまだこの学術審議会の報告の中には指摘をしておるものがあるわけですが、こういう指摘をどういうふうに考えていくか。本当に学術振興という、文部大臣がこの法案提案に当たって申されておりますところの目的を達成するためには、制度上の問題もあるでしょうけれども、これらの問題の解決と並行して制度上の問題が考えられないと、これは非常にかたわなものになってしまって、現実にこれを大学の人たちから聞く声というのも年々深刻になっている状態、そういう状態の中でこの充実がなくて、そして制度上の研究がなされるということになりますと、本当に幅のある自由な立場での論議によって大学院の構想を考えるというよりも、この定められた枠の中で、むしろ戦前よりも悪いとは私は断定はいたしませんけれども、学術審議会も指摘している、戦前よりもより悪くなっている部面を持つこの研究体制の中で制度上のことだけ考えますと、その考えられる制度というのは、結局この狭い枠内で場合によっては新構想を、かつて中教審なんかが言っておるようなあれに合致するようなものを出せば予算が出てくるのだから、だからこれに飛びついていくというような、そういう学術研究にふさわしくない頭脳、構想のもとで制度が考えられている。だから、私が言うのは、制度上のことも考えるのももちろん結構だけれども、いま基本的に指摘されている日本の学術研究の基礎部門を一体どうするのかということがなければ、考えられる構想というのは非常に狭いものになっていくのじゃないか、そういう点を心配してこういうことを言っているわけです。おわかりになりますでしょうか。大臣、いかがでしょうか。その点ちょっと伺っておきたいのです。
○永井国務大臣 先生が御指摘の問題は非常に重要なポイントが多いので、これは、私たちはもちろんでございますが、大学院の問題に関して申し上げますと、この四月から大学院問題懇談会が正田先生を中心にできましたので、いろいろ御検討願うべきことであると思います。先生のお話を承っておりまして、非常に重要であると思われることの幾つかを私ここで先生の御質問との関連で申し上げたいと思います。 まず第一は研究の大型化という問題がありまして、大型コンピューターなどがその一例でありますけれども、これは戦前の研究などにはなかった。そういうことになってきますと、戦前の姿の講座別の構成での研究ということだけではなかなか問題の解決に進みにくいという面があります。これは大型コンピューターを一例として挙げたわけでございますが、ほかにもそういうことを生じてきます。そうしますと、講座別の積算単価で研究費を考えていくというだけではなく、むしろ講座とか学科を越えての共同研究をどうやっていくかというこの問題、これは世界的にそうだと思いますが、わが国の場合にこの点がまだ十分に検討されておりませんから考えなければいけないと思います。 次に第二点は、わが国に比較的固有な問題でございますが、先ほどからずっと国立の問題を議論していますけれども、わが国の大学の場合に八割、学生数で申しますと、八割が私学でございますから、実はそういうところの先生方にも非常に有能な研究者がいらっしゃるわけです。そうすると、国立大学の充実ということあるいはそこの大学院の充実ということだけを考えますと、その相当部分の方が生かされないという恐れが出てくるわけです。そこで、それをどういうふうにしていくか。これも懇談会ですでに御検討を願い始めておりますが、これを考えていかなければならないということがあると思います。 それから、さらに、非常に重要なのは、定員法の関係でどうなってくるかというお言葉がございましたが、これについては審議官がすでに御答弁申し上げたとおりでありますが、やはり私たちとしましては、大学の規模というのが学部、大学院を通してこれまた世界的に非常に大きくなってきておりますから、どうしても従来のような形の大学、人員というのでは考えにくい時代になっておる。そういう点についてやはり関係各省と十分に話し合う。そしてまた、懇談会でも御意見を出していただいて、必要最低限の人材というものを確保していくというその基本的な問題が非常に大事だと思います。 第四点といたしましては、わが国は戦後非常に経済復興というものを急ぎまして、それから経済成長というのに展開していった過程におきまして、やはり企業の発展あるいは企業内の研究所というものの成長は目覚ましいものがありましたが、大学の方がおくれをとった。そういうことで大学の先生方も研究上いろいろ不備な点が多かった。また御不満もたくさん出たということは否定できない事実でありますから、そういう意味合いにおいてこれからもっとバランスのとれた社会をつくっていかなければならない。 これは一日にできるわけではございませんでしょうけれども、そういうことも勘案して、すそ野の部分を固めていくということが大事だというのが先生の御指摘と思いますが、これは非常に重要な御指摘でございますから、いま私は四点に要約申し上げましたが、こういうことを私たちも十分考えますし、そしてまた、それぞれ必要な会その他でお考えいただくようにしたいと思います。 で、独立大学院とか連合大学院の構想というのが単に制度いじりになってはいけないということが先生の言われた御趣旨のポイントであろうかと思いますが、私も全くそう思います。ただ提案の趣旨は、制度いじりによって変わっていくというような考えではございませんので、いまのようなすそ野の方から固めていくということも非常に重要なこととして考慮をしながら、そういうものとの関連において、にもかかわらず従来の日本の大学の制度ではカバーし切れなかった、それは主として専門的であったりあるいは研究の大型化というものと比較的違う時代にでき上がった制度でございますから、そういうものとは違う姿で独立大学院をつくり上げていく、また大学局長が申し上げましたように現行大学院というものもでき得る限りそういう形で改善していくということをやっていきたいというのが私たちの考えの基本でございます。
○山原委員 もう少しいまの人的、「資源と人力」というこの指摘をこだわって質問しておきたいと思います。 それはちょっと主題から外れますけれども、現在の大学における定員外職員の問題ですね。これはしばしばこの委員会でも取り上げられてまいりましたが、ちょっと具体的に申し上げてみたいと思うのです。 これは私がいただいた四十九年の六月二十五日の京都大学における「定員外職員の在職状況について」という資料を見ているわけですが、京都大学の場合定員外職員がどれだけいるかと言いますと、「昭和四十四年に九百四十二名に達して以来、わずかに減少しながらもほぼその前後の数を維持している。」というふうに書いてあります。それから四十八年の七月の調査では京都大学の場合は定員内職員、これは教官を除きますが三千三百九十一名のうち九百五名の定員外職員がおると報告しております、これは定員内職員三千三百九十一名の二六・七%に達しているわけですね。 それから問題はさらにこの人件費です。これはもう御承知だと思いますけれどもちょっと申し上げておきたいと思うのですが、「定員外職員の「人件費」」これでこういうふうに報告しております。「定員外職員の給与は、大学に配当される諸経費でまかなわれているが、その主要なものは教官当積算校費である。この「人件費」が経常経費に占める比率は、各部局によって異なるが、一〇%以下は稀で、多くの部局では一〇ないし三〇%で四八%に及ぶ部局もある。仮りに現状の定員外職員数のままで推移しても、教官当積算校費等の相当大幅な増額がないかぎり、予算面から、大学本来の機能の維持にさえ支障をきたすおそれもある部局の生ずることが懸念される。」こういうふうに述べているわけですね。これはもうほとんど全部の国立大学の要請でもあるわけです。その定員外職員の増加の原因についてはもはや申し上げる必要はないと思います。定員削減の問題あるいは学生数はふえましても職員がふえない、その比率もずっと出されているわけですがこれは申し上げる必要ないと思います。 そこでこういう状態ですね、これは京都大学の例をいま挙げましたけれども、私はここへ、これは一九七三年ですから東北大学の調査の結果も出していただいております。それを見ますと、これは文部省にお伺いしたいのですが、これは七二年の文部省の調べで現在七十六の国立大学で約三十二万人の学生がいるわけですが、そして二万三千名の大学院生が在学しております。そして四万九千五百人の教員と五万九千七百人の職員が働いている。そしてそのほかに一万七百二十六人の定員外職員がおるというふうに報告しているようですが、これは一番新しい数字はおわかりになるでしょうか。大体定員外職員というのはいま大体どれくらいいるのでしょうか。
○清水政府委員 四十九年の七月一日現在で一万四十九人でございます。
○山原委員 この定員外職員の問題は大変長年にわたって定員内職員と同じ事務内容を持って勤務しながら、いわば大変無権利な状態に置かれているわけですね。その実態はもう申し上げる必要はないと思いますけれども、これをどうするのかということですね。先ほど言いました人的、人力の投入ということも学術研究にとって必要だ、それが近年次第に減少する傾向にある、こういう学術審議会の報告から見ましても、これも重大な問題ですが、しかもそれをいわゆる教官研究費で人件費を出している、少ない研究費の中からまたこういう定員外職員を雇わざるを得ない状態の中で、そこからまた人件費が出ていくという、ますます日本の学術研究というものがそういう面からも非常な圧迫を受けているという状態ですね。そして定員外職員の方たちにとっては人権上の問題が存在している。これなども本当に解決しなければならぬ問題じゃないでしょうか。 だから私は、一つは定員外職員の実態を本当につかんでいただいて、この定員化に向かって努力をしていくということですね。それから五年以上の定員外職員の方たち、これは当然定員化していくということも必要だと思います。 それから処遇の面での改善ですね。給与、手当、休暇その他の問題、それから常勤的な定員外職員の共済制度の問題などがまだたくさん要求としてはありますけれども、私の聞いたところで簡単にまとめてみると、ほぼそんなことが出てきておるように思うのですね。これもほうっておける問題では私はないと思うのです。これは本当に御本人たちの人権の問題としてもそうだし、それから学術研究の立場から見ても、繰り返しますけれども先ほどの人力の問題から見ましても、本当にゆるがせにできない問題になっておるのではないかというふうに思うのです。この前も一度この問題を取り上げましたけれども、これについて本当に調査をし、これの改善のためにどういう努力がされるのか、もうお手上げなのか、その辺はどういうふうに文部省としてはお考えになっておりますか。
○清水政府委員 ただいまの点でございますが、御指摘の点につきましては、私どもも重要な課題と心得ております。 そこで、毎年非常勤職員が各大学でどの程度おるか、こういうようなことにつきましては把握をしておりますが、いま御指摘のとおり、長期にわたる者がおりますことも事実でございます。御承知のとおり、制度面から見ますと、非常勤職員につきましては季節的とかあるいはまた大きなプロジェクト研究、こういうようなことで、ある期間を限って雇用されるのが本来でございますが、実態から見まして、必ずしもそういうふうになってない。そこで私どもといたしまして、非常勤職員を全部定員化するということは、これは制度のたてまえから見ましてとうていできないことだと存じております。しかし一面、先ほど来御質問もございますように、研究の進展等に応じまして増員の必要な分野もあることも確かでございますので、関係当局とも相談をしながら定員増について御協力をいただいておりますと同時に、一面その非常勤職員の中から希望者あるいはまた適格者につきまして定員内繰り入れに例年努めておる、こういう状況でございます。
○山原委員 時間の関係もありますので、この定員外の問題はまた別途改めて、この問題の解決についての努力をお互いにしなければならぬと思うものですから、十分この実態を把握をしていただきたいというふうに思います。 それと、もうちょっと主題からへれますけれども、大学院のオーバードクターの問題についてこの際伺っておきたいと思うのです。 学術審議会あるいは大学設置審議会等においても博士課程の研究者に対する給付の問題が指摘をされているわけでございますが、実態を聞きますと、いまオーバードクターと呼ばれる人たちがどれだけおるのか、七三年度の京都大学の調査によりますと、国公立大学院のみで千三百五十九名。これは医学系を除いているわけですが、それが六七年-七二年の五年間に毎年二〇%ずつ増加している。この傾向はこれからも加速度的に強化していくのではないだろうかというふうに言われておりますが、文部省はどういう調査をされておるでしょうか。
○井内政府委員 いわゆるオーバードクターの定義と申しますか、オーバードクターはどういう性格のものをオーバードクターとするかという点もいろいろな考え方があろうと存じますが、私ども博士課程を修了した後または所定の修業年限以上在学して必要な単位を修得して退学した後、大学院の研究室等において研究を継続しておる者を一応オーバードクターとして計数等を把握いたしておるわけでございますが、昭和四十九年十二月現在で千六百六人という数値を持っております。このうち博士課程修了者が七百三十六人、単位修得後退学者が八百七十人、このような計数と相なっております。これに医歯系等も含めました全部の数値でございます。 わが国におきまする研究者に対する需要等も配慮してその養成を図る必要があるわけでございますが、博士課程が大学等における研究者の養成ばかりでなくて、広く社会の各方面における指導的な人材を養成するという必要もございまするし、大学院のあり方、また大学の学生に対する進路指導の問題こういう大学院学生の定員の問題でありますとかあるいは進路指導の問題でございますとか、こういった問題とも関連いたしまする問題かと存じます。 今後、私どもといたしましては、各分野によりましても状況がいろいろと異なっていようかと存じますが、各専攻分野ごとにこういった問題につきましては各大学の方の状況もより一層把握し、各大学の方とも御相談をしながら、大学院の学生の人たちの数の問題であるとかあるいは進路の問題であるとか、こういった問題につきましての検討を進めてまいりたい、かように考えております。 なお、文部省といたしまして、いわゆるポストドクトラル・フェローシップと言われる日本学術振興会におきます奨励研究員制度というものがございまして、大学院の博士課程修了者または同程度の有為な研究者に対しまして研究奨励金を支給するという措置もただいま取り進めておるところでございます。
○山原委員 この問題、もうちょっと申し上げてみたいと思うのです。 このオーバードクターの問題は、これは社会的な問題だとも思います。まず第一番に、大学院で身につけた科学技術を社会に還元できないという問題ですね。これは社会的な損失をもたらしていると言っても間違いではないと思います。それから二番目は、院生が研究を継続していくことに不安を持って、研究を放棄したりしなければならぬという問題も出てくるわけですね。これは日本の研究者の層を厚くするという意味でも問題があろうと思います。それから、たとえば就職のよい研究分野の方に院生が在籍して研究するけれども、そうでないところでは院生は研究を避ける傾向も出てきておるということも報告されています。たとえば理科系の場合、基礎理論を専攻する部門で大量に継続的にオーバードクターが発生しており、院生としては研究を基礎理論ではなく、応用部門にしようとする状態も出てきているというようなゆがんだ姿も見られるとも報告されているわけです。それから、オーバードクターの場合は生活上の問題が、奨学金が打ち切られる、生活を維持するためにアルバイトに追われている、こういう状態も出てくるわけですね。 これらの問題を考えてみますと、一方では総定員法の問題があるわけですから、結局教官のスタッフの数が減少している、あるいはあきポストに合ったところに教官を採用するのでなく、事務職員を採用しなければならぬというような状態、こういうような問題が絡みまして、この問題も日本の学術研究にとって一つの大きな問題になってきたのではないかというふうに思うわけです。 そこで、これ以上くどくど申し上げませんが、まず第一番に私は文部省に要請をしたいわけですが、オーバードクターの実態の調査、これを早急にやってもらいたい、こう思います。この点について、現実にはできておるのかどうか、お答えをいただきたいのです。 それから二番目は、大学院修了と同時に奨学金を返還することになっておりますが、育英会の返還規程第三章十七条を緩和する方向で検討する必要はないのかというのが第二点です。 そして第三番目には、オーバードクターにも奨学金を貸与することは検討できないのか。 四番目は、いま言われました学術振興会の研究員を大幅にふやすとともに、給付額を増額する、こういうことが当面できないのかどうか、こういうことについて御研究になっておりますか。
○井内政府委員 いわゆるオーバードクターの実態把握の問題につきましては、私どももその数でありますとか、そういったものは専攻分野別に一応把握はいたしておるわけですが、なお今後の大学院の整備を進めてまいるに当たりまして、大学院学生並びにオーバードクターと言われておる人たちの処遇の問題というのはやはりきわめて重要な問題かと存じております。そのような意味におきましては、実情の把握を各専攻分野別になお一層努力をしてまいりたいと思います。 なお、御参考までに申しますと、先ほど申しました二つの分類でとった場合の数が千六百六人と申し上げましたが、医歯系が最も多く、それから理科系、人文系というような順序に実数は相なっております。 第二の点でございますが、大学院学生に対しまする日本育英会の奨学金につきましては、四十九年、五十年とその採用数あるいは単価等の改善等もやらしていただいたわけでございますが、いわゆる返還免除制度につきましては、大学院で奨学金の貸与を受けた者が、修了または退学した後一年以内、真にやむを得ない事由のある場合は二年以内に免除職につき、二年以上在職した場合には、貸与を受けた奨学金の全部または一部の返還を免除するという制度がございます。そして、年年免除職の範囲を拡大してほしいという要請が出てまいります。免除職と申しますのは、中、高、高等専門学校、大学の教育の職、文部大臣の指定する試験場、研究所、文教施設の教育または研究の職でございますが、やはりいろいろな研究分野が進展をしてまいりますので、従前この対象となっていなかった機関、施設等におきましても、一定の研究者がそこに集まるようになり、研究職としまして大学院を修了した人たちが重要な機能を果たすようになってまいりますそういう機関につきましては、年々免除職の範囲も拡大するという努力も一方でやっておる次第でございまして、返還免除制度の問題につきましては、ただいま申しました免除職につきましての範囲を拡大するという方向でいろいろな検討をし、なお引き続きの努力をしてまいりたい、かように存じます。 第三並びに第四のお尋ねの点でございますが、ただいまのところ、先ほどお答え申しましたように、日本学術振興会の奨励研究員制度というものが、大学院修了者につきましては、本年度で申しますと二百五十人という採用の予定のようでございますが、そういった大学院学生に対する育英奨学の問題と日本学術振興会でやっておりまする奨励研究員の問題、この二つの制度をどううまく考えていくか、この点につきましては、私どもも今後わが国の大学院の充実を考えてまいります際に積極的に検討していかなければならない課題と心得ておる次第でございます。
○山原委員 この問題なおいろいろ申し上げたいことがございますが、一応おきまして、次に主題の方に入っていきたいと思います。 独立大学院の管理、運営、予算についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
○井内政府委員 今回御提案申し上げております学部を置かない、大学院のみをもって大学とすることができるという制度の独立大学院の問題につきましては、今回御提案いたしております法律改正案の内容にございますように、そういう学部を置かないで大学院のみを置くものも大学とすることができるという規定にいたしております。その意味で、独立大学院の大学に置かれます学長以下の職にいたしましても、また運営の問題等にいたしましても、原則的には大学の原則でやってまいるようになろうかと存じますが、独立大学院の組織の仕方というものをどのようにしてまいるかということにつきまして、先ほども申しましたように、現時点いろいろな方面からいろいろな構想が出ておるわけでございまして、これは今後の私どもの検討課題と存じております。
○山原委員 そうしますと、組織についてはまだ検討中ということですね。組織というのは検討しなければならぬ問題だということですね。
○井内政府委員 先ほどお答えいたしましたように、昨年の六月につくりました大学院設置基準ということで、大学院の基本的な修士課程、博士課程の立て方が一応明確になったわけでございます。それで、大学院を構成する構成の仕方が、研究科というものが基本の単位として構成される、こういった点は今回の法改正によっても何ら変化を見ないわけでございまして、研究科の立て方におきまして、学部との相関において独立性が非常に強くなっていくということでございます。研究科に置かれる教授会の問題でありますとかこういった問題等は、私どもの理解といたしましては、従前学部があり、学部を基礎として研究科が置かれておる。したがって、学部の教授会が大学院の関係につきましても実質いろいろな機能をしておって、大学院につきましては、研究科委員会というふうなことで、学部教授会の方から教務関係のこと等をそちらで処理しておる、現在こういう運用になっておるわけですが、今後学部のない大学院の研究科ということに相なりますので、研究科の教授会が教授会としての機能を全部果たしていくようになるだろう。そういう点は、現行制度を基礎としながら展開をされていくものと私ども考えておるわけでございます。 ただいまお答えいたしました点は、独立大学院の制度を考えてまいります場合に、ただいまいろいろな方面で検討をし、いろいろな意見が出ておりますものの一つといたしまして、連合大学院的な構想が幾つか出ておるわけですが、その際に専任でなくて兼任の教官で、連合して大学院がつくれないかという御提案等もあるわけでございまして、その辺等、やはり今後の大学院のつくり方を具体の問題として、今回の法改正を受けながら、なお基準の問題として私どもも引き続き大学設置審議会に諮問をしなければならない事項と考えております。
○山原委員 教官の身分、これは教特法との関係はどういうふうにお考えになりますか。
○井内政府委員 国立等につきましては、教育公務員特例法は、現在の大学院担当あるいは学部の教官と同様の扱いに相なります。
○山原委員 いまおっしゃった連合大学院の構想、これはとにかくいろいろなことが考えられるわけです。たとえば、関東一円の農業系の連合大学院がつくられると仮定しますと、教授会などは一体どういうふうになるのでしょうか。そんなことが果たして可能なのか、予算はどうなるのか、あるいは人事委員会のようなものを置くのか、そういったことについてはまだ検討はされていないのでしょうか。現実に教授会を開くといっても大変な問題になりますね、旅費の問題を含めて。旅費だけならまだしも、現実に各大学で講義をし教育をしている先生方が集まるということになるのですが、その辺の構想などかいもく私どもわかりませんので、その辺現在お考えになっていることはどういうことなのか、ちょっと伺いたいのです。
○井内政府委員 独立大学院の問題といたしましては、先ほど申しましたように、基本組織として研究科という組織でやってまいる、これが基本でございます。そして、その研究科には、教授による教授会が置かれ、これがいろいろな問題についての管理運営の責任の衝に当たってまいる、これが基本原則と私どもただいま考えております。 なお、先ほど申しましたのは、併任の教官あるいは登録教官という言葉も用いておられる向きもございますけれども、各大学が連合して大学院を設置できないかという検討があり、御提案がございます。その際の管理運営の仕方を一体どうするかということにつきましても、ただいま検討しておられる向きでも幾つかの御提案はあるようでございますが、私どもはこの点につきましては、そういった連合大学院の問題を今後どう検討してまいるかという過程において検討してまいろうと存じておりまして、まだ私ども連合大学院の問題につきまして、その点につきましては具体的な結論をもってどうこうという段階ではございませんので、御了承いただきます。
○山原委員 先ほど最初に質問をいたしましたときに、局長の御答弁では連合大学院それから共同利用研究所の大学院の問題それからいわゆる技術科学の大学院、こう三つが出てきたわけですね。その中でいま私は連合大学院の問題をお聞きしているわけですが、お聞きしますと、連合大学院についてはまだそのイメージがわかないですね。たとえば教授が各大学から十名ないし二十名出てきて教授会を開くのか、学生の入退学はどうするのかとか、予算の配分あるいは研究テーマの設定等の問題もございましょう。それからさらに兼任とか併任とかいうお言葉もあったわけですが、たとえば宇都宮大学と大学院大学、その教官の本籍はどっちになるのかとか、あるいは研究費はその教官に対してどちらへつくのか、この総定員法の枠の中で教官一人だって大変な状態に置かれておる中で、この籍の問題だって一体どうなるのかというようなことを考えてみますと、何となく制度としては連合大学院ができるような制度を法律としては出すのだけれども、現実の問題としてはどうも予想がつかないという事態、当面こんなものできる可能性があるのかというようなことも考えられるわけですが、連合大学院をつくれという要請もあることはもちろん知っていますけれども、しかしそれにしても余りにも漠然たる状態なんですね。そういう点については、もう一回伺うのですけれども、どういうふうに研究されていくわけですか、どうなっておるのですか。
○井内政府委員 先ほど大臣からもお答えいたしましたが、大学院のこれからの、ただいま出ておりますいろんな構想等をどういうふうに一体こなしてまいるかといった問題につきまして、大学院に関します懇談会を文部省の中に設けまして、ただいまいろいろな御論議もいただいておるわけですが、そういった問題も受けながら、およそ独立大学院をつくってまいります場合の基準として踏まえるべき点はどういう点とどういう点にしなければならないかとか、こういった問題につきまして大学設置審議会にこの法改正を受けて改めて諮問をするということに相なります。 なお、御参考までに申し上げますと、独立大学院制度等の問題について、ただいま大学基準分科会の方でこの問題を今後検討してまいるに当たりまして、次のような点はやはり重要な点として踏まえておかなければならないということで御指摘をいただいておりますのは、一つは独立大学院が大学の一つの形態として取り扱うことが適当であるという点が第一点。 第二点は、独立大学院についての再任教員の数、校地、校舎の面積等について必要な基準を検討することが必要であろうという点が第二点。 第三点は、独立大学院等の設置につきましては、教官なり学生なりの交流に寄与する等、独立大学院とする教育研究上の意義が明らかなものに限っておくという必要があるであろう、乱設はやはりよろしくない、需給の見通し等も十分考慮しながらやり、大学院としての教育研究の水準確保という問題を第三点として留意すべきであろう。 第四点としましては、大学院の水準の低下を来すことなく、有効適切なものとして、連合大学院の問題なり、あるいは特定の大学に付置されない大学の共同利用研究所等を実質的な母体とする大学院の設置構想を、あくまでも大学院の水準を低下せずこれを前進せしめるという観点に限って十分に検討しなければならない。特に大学院は学位の審査を行うだけの機能を持たなければなりませんので、研究所等を実質母体とするときには、この点は十分に配慮しなければならない。こういった点につきまして大学設置審議会の方におきましても、引き続きいろいろな方面の意見を設置審議会としても検討の要ありという御指摘を私どもいただいております。今回の法改正を実現をしてまいるに当たりましては、ただいま申し上げましたような点を留意点としながら、なお具体の問題を基準の問題として考えてまいらなければならぬ、かように考えております。 なお、連合大学院等の構想につきましていま幾つかの案が検討されておるようでございますが、たとえばその中の幾つかの共通いたします大体の考え方を申しますと、これは九州地区の国立大学の農水産学部に属する教官で、博士課程を連合してつくることができないかということで御検討が進んでおるものでございますが、その御検討では、教官は従来の大学に属して兼任ということでどうであろうか、この連合大学院に大学院の長を置き、教授会も置くべきである、事務局を置かなければなるまい、学位審査を行う、学生は教官の所属する大学に配属されるというのが、いま九州地区の農水産関係で検討しておられるものの骨子のようでございます。その場合で申しますと、教官を全部専任でなくて、それぞれ連合して大学院をつくろうとされる大学に所属して兼任ということで考えたらどうかという考え方のようでございまして、そういう方方でこの連合大学院の教授会を構成する、こういう一つの検討のようであります。この辺は先ほど申しましたように、連合大学院的なものをどういった中身で今後考えるかということの大学設置審議会の審議とも並行しながら私どもは検討してまいりたい、かように考えております。
○山原委員 いろいろ例を出されておっしゃいましたが、かなり問題があるように思いますね。管理運営の面、予算の面を含めて問題もあると思いますし、果たしてそれが大学という範疇との関係もよくわかりませんが、もうちょっといまの御答弁を私どもも後で検討させていただいて、再び質問させていただきたいと思うのです。 もう一つ、共同利用研を大学院にするという問題も先ほど井内局長から出されたわけですが、これはそういう構想なんですか。木田局長おいでになっておりますが、どういうふうにお考えでしょうか。
○木田政府委員 いま御指摘がございましたように、研究所に大学院を置くというような言葉が使われておるわけでございますが、実態的には大学院がそれ自体としてつくられるわけでございます。それ自体として大学院が一つつくられるときに、従来の形での学部なり研究所がどういうふうにそれに協力し、関与するかという形で共同利用研と大学院との関係を考えるということになるわけでございます。現在でも筑波にございます高エネルギー研究所あるいは東大の宇宙航空研究所等共同利用の研究所と言われておりますものに、いろいろな大学からの学生を受けるということはあるわけでございます。これは共同利用研が大学院であるわけではないのでございまして、その学生を預けてくる親元の大学院が共同利用研という場でその大学院の教育活動、研究指導をやっておるという姿でございます。 今回独立大学院ということを法律上も御提案申し上げておるわけでございますが、従来の大学院が、学部を主体にして、実体的には大学院としての構成が余りとられていない、学生の指導のコースというふうな考え方が強かった大学院を、実体的にそういうふうな色彩の強かったものを、むしろ大学院というものを主体にして、教官の構成、それから施設設備のあり方、それに学生という問題を大学院それ自体として考えていくようにしたい。最も典型的なものは、大学院自体が全部フルタイムの職員を持ち、フルタイムの人が集まれる施設があるということでございましょう。しかし、それが大学院に合うかどうかということは議論があるわけでございますから、別の大学に奉職をしておる方々による協力の体制を、連合大学院という形も含めて検討してみようという、いろいろな御検討があるわけでございます。しかし考え方は、大学院という新しいものを中心にして、そこで考える。 その際に、研究所のスタッフあるいは研究所の機能、場というものがどのようにその大学院に協力できるか、これが今後の課題になるわけでございます。私どもは、研究所というものが実体的にいま大学院の学生の指導に当たっておるという実体を持っておりますから、その実体から着目をいたしまして、研究所を場とした大学院を構成することができるのではないか、それを大学院として位置づけて考えていくということも、大学院としてのある大きさ、まとまりがそこにできますならば十分可能なことである、このように考えておる次第でございます。
○山原委員 これは大変問題があると思います。実際に、たとえば高エネルギー物理学研究所にしても、共同研究所が本来の目的なんですね。そして数名の人たちがいまおるという状態、それに恒常的に大学院生を置いて研究科でやるとすると、一研究科で二十人、三十人の学生を、今度は本来持っていない教育指導という面が出てくる、本来持っていない任務がここにふやされてきて、いままで扱わなかったことを責任を持ってやるということになってくると、これも大変な問題だと思いますし、同時に、入学、選考、卒業あるいは学位論文の審査、認定あるいは事故の問題、教員、学生の身分、カリキュラムの作成とかいうような問題になってくると、どうもいまの御説明ではわかりかねるわけです。 だから、そういうふうなことで、きょう理事会のお約束で十二時までで終わるということでお話ししておりますので私はこれで終わりますけれども、こういうことからずっと見てみますと、きょう行管の方からもおいでてくださっているわけですけれども、総定員法の枠というものがやはりあるわけで、これもどこかで突破するかあるいはこの枠を外させるかなどということもなければ、こんなものは全く砂上の楼閣みたいなものなんですね。それで、私もここでこの法律の論議というのは非常に困難になってまいりますし、それから同時に、一番明確なのは、目の前に迫っておるのは、技術科学大学院というやつがずうっとイメージが出てくるわけですね。それではその技術科学大学院というのは果たして正当なものかどうか、現在の高専の体制についての反省あるいは高専の今日の教育の現状、それがどうなっているか、なぜ大学の三年へ高専卒業者が編入できないのかというような問題を含めまして、何となくこの法律の枠はできるのですが、現実にこの法律の枠を基礎にしてできるのは技術科学大学院、ここへ問題が志向されているような、あとのものは連合大学院、共同利用研と言っても、それは何か漠然とした状態ですね。 こういうことがきょうの質問の中でだんだんわかってまいりましたが、なおその点につきましては、委員長、総定員法の問題あるいは技術科学大学院の問題等につきましては質問をいたしたいので、その点は保留させていただいて、きょうの私の質問は終わらせていただきます。
○久保田委員長 次回は、来る六月四日開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時五分散会