文教委員会 第7号
- 発言数
- 95 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1975/04/16
会議録
○久保田委員長 これより会議を開きます。 文化功労者年金法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、これを許します。山原健二郎君。
○山原委員 最初に、文化功労者年金法につきまして、今度の法律改正がどういう意図で行われるのか、まだはっきりしないのです。というのは、この前の国会でも問題になりまして、この前のときには法案を改正をせずに金額を決定したわけですね。ところがまた今度出てきたわけです。余り目くじらを立てるほどの法律でもないという気持ちもありまして、そう大きな問題にはなっていないけれども、しかし、この金額も、これは単に生活資金でもありませんし、そういう意味ではこの金額の中に文化政策というものが含まれる可能性を持っているわけです。そうしますと、やはり法律として国会で審議をするというのがたてまえであって、政令で決めるということよりもむしろ国会の論議の場にこれが乗せられるということが本筋ではないのか、こういうふうに思うのですが、この意図について最初に伺っておきたいのです。
○清水政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、山原先生の御見解ももっともな点があろうかと存じます。しかし私どもといたしましては、御承知のとおり今日の社会、経済情勢の変化が著しい、こういう観点からいたしまして、毎回、この金額を改正する都度法律改正を要する現行法でございますが、ひとつこれを政令に譲らしていただきまして、こういう変動に速やかに対応をいたしますと同時に、一方、増額の場合におきましては、予算におきましてその説明等も加え、十分御審議をいただくわけでございますので、予算が成立いたしました上は政令で決めさしていただきまして、速やかにこの受給対象者に支給をさしていただきたい、こういう観点から再度政令にお譲りをお願いしたい、こういう提案をさしていただいた次第でございます。
○山原委員 法律となりますと、法案審議の国会の情勢によって、ときにはこの前のように不幸な目に遭うということもあるわけですね。だから、それを心配されておる向きもあるんじゃないか。あるいはいま言われた物価変動の時期だということも考えられますが、しかし同時に国会で本当にこの日本の文化問題について論議をされる機会というのはほとんどないわけですね。そういう点では、法律行為として存在することがむしろ、ときには遅延をしたりする場合もあるでしょうけれども、しかしそれなりの意義を持っているというふうに私は思うわけです。で、多くの問題を政令へゆだねていくという形態は、国会としては私は余りいい方向ではないと思いますね。今度は出ておりますから、その点では私どもかなり強い意見を持っておるわけでして、まあこれ以上ここで論議をすることもできぬと思いますが、そういうことを一つ指摘をしておきたいと思うのです。 それから次に、文化功労年金の対象人員が少ないとか助成金が少ないとかいうような点もよく言われているわけですが、これは現在文化功労年金を受けておる方、それは何名ですか。そしてその内容、分野、簡単に報告していただきたいのです。
○清水政府委員 昭和二十六年に文化功労者の制度が発足いたしましてから今日までに決定をされました者が二百六十八名でございまして、このうち現存者が百十九名となっております。 ただいま御指摘の分野別にということでございますが、仮にこれを自然科学、それから人文科学、文学、芸術その他、こういうふうな分類でいたしますと、自然科学の決定者が九十三名で現存者が四十六名、それから人文科学関係が四十九名で現存者が二十名、文学関係の決定者が三十五名で現存者が十五名、芸術その他が決定者九十一名に対しまして現存者三十八名、先ほど申しましたように総計決定者が二百六十八名、現存者が百十九名、かような次第でございます。
○山原委員 功成り名遂げるというような方がこうなっているように思うのですが、いま日本の文化の中でいろいろ細かい問題で大事な部分もあると思うのです。たとえば三味線の皮張りあるいは三味線のこまづくりですね。こういう仕事に携わっておる人の実態を聞きますと、ほとんど後継者もいなくなるような現状にあるのではないか、しかもそれは日本文化を支える非常に重要な部分であるわけですね。そういった調査というものは行われているのでしょうか。そういう人たちは対象になっているのでしょうか。たとえば人間国宝というようなものがありますけれども、それなんかにそういう細かいといいますか、そういう重要な部分、しかも後継者もいないというようなこと、そういう実態は把握されておるのでしょうか、あるいはそれは対象になっておるのでしょうか。
○内山政府委員 ただいまお話にございましたような、いわば無形文化財を支える楽器とかあるいは諸道具を製作する製作者が非常に数が少なくなって、後継者もいなくなっているという実態を考えまして、文化庁におきまして、まだ全部とは申せませんけれども、そういう楽器あるいは楽器の製作者等についての調査の実施を一部始めております。
○山原委員 こまづくり、三味線の皮張りなんかはどうですか。
○内山政府委員 三味線の皮張りについては、まだ実態を把握いたしておりません。
○山原委員 そういうことはどこがやるのでしょうかね。文化庁がやらずして一体どうなるのでしょうか。そういういわば大事な部門、後継者もいないなどということ、しかもこれは日本の文化にとって大事であるというような場合、そこらも野放し、ほったらかしということでしょうかね。
○内山政府委員 わが国の芸術、文化に関連する技術に関します実態把握という仕事はやはり文化庁で受け持ってやることになろうと思います。いずれも将来が非常に危ぶまれる技術分野であるという点で、いわば無形文化財に準ずるもの、あるいは文化財を支える保存技術に関するものであろうかと思います。そういう点で文化財保護法の改正の時点等においても、文化財を保存するための技術の保存というようなことについても検討していくべき問題だろうと思っております。
○山原委員 これはそうしますと、いま申しましたこまづくり、三味線の皮張りなどほんの一部分を挙げたわけですから、そのほかにもあるかもしれませんが、それは文化財保護法の対象になるわけですか。
○内山政府委員 文化財保護法の中で考えていく問題であろうと思います。いわゆる文化財保護法にいう文化財そのものではなくても、それを支える周辺の技術としてこれをとらえて、文化財保護法の中で規定していきたいものであると考えております。
○山原委員 現在の保護法は、それは対象になっていますか。
○内山政府委員 現在の保護法では、無形文化財の中で工芸技術という分野がございますが、これは歴史的あるいは芸術上非常に価値のある工芸技術の分野のわざということになっておりまして、それを支える技能の面までは対象といたしていないわけでございます。
○山原委員 そうしますと、そういう、場合によっては全く滅びてしまうかもしれないというようなものについて、いまのお話では、現在の文化財保護法では対象にならないということ、したがって調査もする必要もない、こうなりますか。
○内山政府委員 文化財保護法そのものの対象にはならなくても、やはり文化財を支える重要な分野である、技術であるという点から、その実態把握が必要であると考えて、数年前から部分的には調査をいたしておるということでございまして、今後この面については、さらに徹底した調査、実態把握、あるいはそれに対する対策等を考えていく必要があると考えております。
○山原委員 ぜひ調査をしていただいて——まあ数年前からやっておられるそうですが、しかし、その調査はでき上がるんですかね、どうでしょうか。その調査というのは、たとえばこの国会へ報告できるようなところまで来ているのでしょうか、そういう点はまだできていないというのでしょうか。
○内山政府委員 たとえば楽器やあるいは人形の頭あるいは能の小道具等の製作技術等についての調査をやっておりますが、まだ広範囲なデータを把握いたしておりませんので、ごく一部のことしか、仮に御報告を申し上げるとしてもできない段階でございます。
○山原委員 この文化功労年金の決定に当たって、たとえば審査会等でそういう話はまだ余り出ないんでしょうか。
○清水政府委員 文化功労者年金法におきます文化というものの範囲につきましては、御承知のとおり、単に文化庁所管の意味の文化というよりは広い意味に解釈をし、運営をされておるわけでございまして、仰せのようなことにつきましても入り得るわけでございますが、選考審査会等の段階におきましては、まだそういう問題が委員から出ておりません。そういう現状でございます。
○山原委員 もう一回お聞きしますが、いま私は一つの例だけ申し上げたわけですけれども、調査はされておる。しかし、これからどうするのか。みすみすそういうものが衰微していくということであれば、調査の結果、それに対する対応というものがあると思いますね。その辺はお考えになっていますか。いまの段階ではもう調査をする程度で——どうですかね、その辺何か方針があるでしょうか、こういうふうにしたいというお考えがありましたら、お聞かせいただきたいのです。
○安達政府委員 ただいま特に議題になっておりますのは、非常に古典的な無形文化財等の楽器の製作とかそういうような面でございますが、ピアノ等の調律とか、そういうようなものを支える技術というのは、無形文化財的なものもございますし、同時に、現代芸能的なものもあるわけでございます。 これは両方とも私どもとしては必要と考えておるわけでございまして、現在私どもが行っておりますことは、ただいま次長から申し上げましたような調査というようなこともございますが、同時に、褒章の制度あるいは一般叙勲の制度等におきまして、そういう方々をできるだけわれわれとしては表彰いたしまして、その労に報いるようにしたいというようにいたしておるわけでございます。 さらにまた、昨年でございましたけれども、そういういろいろな無形文化財を支えるような文化財技術者のような方々にお集まりいただきまして、いろいろな苦心談を伺い、また、それに対しまして文化庁等においてどういうことをしたらいいかということの御希望も聞きまして、不完全ではございますけれども、われわれといたしましては、できるだけそういう面におきましても配慮をいたしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
○山原委員 文化庁以外に本当にこれを発展させ、時には救済をしていくというものは実際ないわけですね。だからその点では、調査もやはりしっかりやっていただいて、それに対する対応策は当然考えるべきだと思いますが、そういうふうに理解してよろしいですか、文化庁。
○安達政府委員 ただいま御指摘のとおり、われわれとして十分力を用いていくべき事柄であると心得ておるわけでございまして、その方向に従いまして努力をいたしたいと考える次第でございます。
○山原委員 これと関連しまして、現在芸能人と呼ばれる人々は東京周辺に約三万五千人おいでであるそうです。そうすると、全国的に見ますと相当の数に上るわけですが、お聞きしますと、この芸能人の生活というのは、大変華やかなように見えても、まさに華やかな虚像であるということが言われています。そして平均的な年収を見ましても、一般勤労者より少ないという資料が出ておるわけですね。ちょっと驚いたわけです。しかもその中で全く社会保障の対象になっていないということ、それから年金制度もないということですね。きょうは大蔵省と国税庁の方にもおいでいただいたのですが、そればかりでなくて、もちろん労災もないわけです。そしていわゆる活劇等の場合にずいぶんけが人も出るわけですが、それに対する規定もない。労災保険もない。それから失業保険もない。こういう全く無権利な状態に置かれているということですね。それで最近、四十八年に芸能人年金制度を自分たちでつくっている。これは私的年金ということで、現在約千五百名が加入しておるそうです。これは私的年金だから掛金をしても税法上の恩典がないということも言われております。またそれが返ってくる場合には、これが税法上の収入として適用される、こういうことですね。これは他の部門でもあると思いますが、これを経費として認めよという声もずいぶんあるそうです。これについてどういうお考えを持っておるか伺いたいのです。これは大蔵省ですか、どちらでしょうか。
○福田説明員 お答え申し上げます。 税の面で申しますと、掛金で払う段階で、いま御指摘のような経費ないし控除ができるかの問題及びそれを受け取る段階での問題というふうに分かれるかと思います。 厚生年金等の公的年金につきましては、これは一般的に強制力を持って賦課されるというようなことから、掛金の段階で社会保険料控除というのをやっております。受け取る段階に入りますと、これは掛金を引きませんで、給与所得として課税をいたしております。厚生年金等につきましては、給与の後払いというような沿革もあったかと思います。 一方、そういう公的年金は非常に一般化されてきておりますが、それで十分でないということで、御指摘のような芸能団体の方で私的年金をつくられる場合がございます。それは私的年金と申しましてもいろいろございまして、医師会とかそれから弁護士会の方もやっておられる。いろいろスタイルがございますが、いま御指摘の芸能、これは日本芸能実演家団体協議会、芸団協という団体だと思いますが、言われるように千五百人程度入っております。これは掛金を払われまして、これを安田信託で運用されておると思うのですが、これは私的年金でございまして、いまのような公的年金との性格の差がございますので、掛金段階ではこれは控除をいたしません。ただ、受け取る段階に入りますと、公的年金と違いまして、この掛金を差し引きまして、これを雑所得として課税するという仕組みをとっております。 ついでに申しますと、弁護士会等のやっておられるやり方、これは団体生命保険をお使いになっておるわけでございます。団体生命保険でございますので、生命保険料控除というのも使えるわけです。いろいろな私的な年金の仕組みというのは、いろいろな私的ベースで御利用になるわけでございますので、運用の利回りも違うというようなこともございまして選択されておられるわけですが、いずれにしましても、任意互助的なこのような私的の年金につきまして掛金を控除しますということは、考えますと、また、芸能人以外にもいろいろな自家営業等をやっておられる方とか、いろいろなグループの方がおられるわけでございます。そういう方のことも考えますと、公的年金以外で私的年金を任意につくられて、それについて公的年金と同じような掛金控除をやる、しかも、受け取り段階では掛金を現在でも引いておるわけでございますので、その辺、やはり税法としては、なかなか御要望には沿いがたいということでございます。 基本的には、公的年金と私的年金のあり方を全体的に今後どういうふうに見通していくかということで検討すべき問題かと存じております。
○山原委員 たとえば放送局でけがをした場合にも全く規定がないようですね。内規みたいなものがあって、有名な方にはそれぞれその都度の判断がなされるかもしれませんが、全体としては何もないわけですね。それから、けがをして休んでも失業の補償もないわけで、全くこれで日本の文化が本当に発展するとはちょっと思えないですね。最も低劣な状態に人権上も置かれているのじゃないかという感じもしますし、日本の文化行政の面から考えましても、他の国と違って非常に実演をする場所もないとかいうような問題があるわけですね。その点から考えますと、何かここで、これらの数万に達する人々に対する社会保障というものが必要ではないかと私は痛切に思うわけですが、芸能人というのは、職業上は規定としては一体何なのでしょうか。文化庁長官、これはどんなふうにお考えですか、芸能人というのは一体何なのか。
○安達政府委員 私も労働法上の関係等を十分承知いたしておりませんけれども、言えば、芸能人の中でも、芸能プロダクション等に属しまして一種の社員的な取り扱いを受け、そして、収入等はそのプロダクションからもらっておるというような一種の勤労者のような方もおられるでしょうし、あるいは全く独立独歩でやっておられるというような人はいわば自由業というようなとらえ方ではなかろうかと思うわけでございます。
○山原委員 民法の百七十四条によりますと、「労力者及ヒ芸人ノ賃金」、こういうふうになっているそうですね。それから、所得税法から見ますと、「サービス業その他」の部類へ入っておるそうです。それから、職業安定法から見ますと、「特別の技術を必要とする職業」、こういうふうになっていまして、時にはサービス業、あるいは技術を必要とする職業、あるいは労力者など芸人、こういうふうな見方ですね。これはほかの職種でも、こういう幾つかの法律によって見方が変わっているものですか。これは大蔵省に聞いた方がわかるかもしれません。労働省でしょうか、芸能人というものの職業上の性格というのはそれぞれの法律によって変わる解釈でしょうかね。ちょっと私もわからぬものですからお聞きしたいのですが、いかがでしょうか。
○岸説明員 労働基準法上の労働者という解釈でございますが、これはもう先生御承知のとおり、基準法の第九条で、適用事業場に使用されて賃金を受けている者が労働者である、こういうふうに言われておるわけでございます。そこで、先ほど御指摘のとおりに、労務を提供する契約形態は、民法上に請負でありますとか委任でございますとか、いろいろな形の契約があるわけでございますが、労働基準法なり労働法が適用されるためには、やはり労働契約に基づいて労務を提供するということが必要なわけでございます。この労働契約に基づいて労務を提供するということは、これはいわゆる使用従属関係下において労働を提供するということが基本でございまして、この判断というのは非常にむずかしいわけでございますが、私ども監督機関といたしましては、そういう契約の名称にかかわらず、実態として使用者の指揮命令下において拘束的に労働を提供する、こういう場合には労働者と見ざるを得ない、こういうふうに判断をしておるわけでございます。 お尋ねの芸能人でございますが、これには通常はプロダクションあるいは興行会社との間で出演契約という契約で出演をいたしておるわけでございますけれども、私どもは、そういう契約の形式にかかわらず、その実態から見て労働者たる実態があれば、これは労働者というふうに見て、労働基準法あるいは労働関係の諸法の適用をする、このようにいたしておるわけでございます。
○山原委員 この問題は、この職業的な見方の統一というものが、いま私がちょっと挙げましたような民法とか所得税法あるいは職業安定法によってそれぞれ違うというところからも何となく不安定な存在としてあるのじゃないかという意味でいま申し上げたわけです。これは今後検討する必要があると思うのです。 それから、芸能人の所得税の必要経費の認め方ですが、これについて最初にちょっと見解を伺っておきたいのです。どんなようになっているのでしょうか。
○田口説明員 御説明申し上げます。 所得税の面で課税の基準となりますのは、御承知のとおり、基本的には納税者の方々の正確な記帳をもとにした収入なり、あるいは必要経費なりによって計算するというのがたてまえでございます。ただ、芸能人は、一般的に申しまして記帳慣行になじまない方が多いようでございますので、税務当局といたしましては、もちろん基本的には正確な記帳をしていただくということの方が、御本人の仕事の指針にもなりましょうし、また、正当な必要経費がそのまま当然に認められるということにもなりますので、申告納税制度の本旨からいって、可能な限り青色申告をお勧めしたい、正確な記帳をしていただいて申告していただきたいとは考えておりますが、一般的に記帳になじまない、帳面をつけにくいという方も多いと思いますので、先生のお言葉にございましたような必要経費率、これはいわば所得計算のために国税当局で目安として、内部資料として作成しているものでございますが、この必要経費率というものをつくって、たとえば芸能人の方が御相談に見えた場合に、一般的にはこんなふうになっているようですよ、という形で使っているものでございます。この必要経費率につきましては、数多くのサンプルで実態調査をいたしまして、その結果で、おかかりになっておる経費の実態を正確に把握するよう努めておりまして、この場合に芸能人、いろいろな業種がございますが、たとえば楽器であるとかあるいは衣装などの購入状況、それから使っている状況などを十分調べまして、実情に合った経費が一般的にわれわれの目安としております必要経費率というものに織り込まれるように十分配慮してきております。 つけ加えて御説明いたしますと、ある時期にそういう調査をいたしまして決めましても、年月の経過によっては実情に合わなくなるということもありましょうから、随時必要に応じて見直し改定を行っておるところでございます。 たとえば俳優、歌手等の芸能人関係の経費率はかなり以前に、十年以前につくって、その後見直しをしておりませんでしたが、ここ一、二年順次見直し改定を行っているところでございます。具体的には、この一、二年のところで俳優関係あるいは歌手関係、歌手の方々の必要経費率などの見直しをいたしまして今日に至っている状況でございます。
○山原委員 いまお話があったわけですが、一匹オオカミみたいなところも芸能人にはあるというふうに伺っておりますが、それでも、これはごらんになったと思いますけれども、芸団協の出しております「芸能人の生活と意識」という調査、初めてなされたと聞いておりますけれども、これによりますと約二〇%が青色申告をしておる。この文書の中では、こういう性格の職業としては、これほど、二〇%にも達する青色申告がなされておるということはむしろ意外だ、こう書いてありますが、そういう性格の職業ですね。その中でこれだけの申告がなされているわけです。 そこで、いままでの必要経費の率にしましても、俳優が大体四〇%から三〇%という数字が出ておるわけですが、これをいまお話があったように、芸団協の人たちもしばしば国税庁の方へ話をしておると思うのですが、国税庁長官としても、いまお話があったように、現在の基準はむしろ古いデータである、したがって、データさえあればこの率の改善をしてもいいというお話があったそうですが、それはそういうふうに理解してよろしいでしょうか。いまのお話と大体符節が合うように思いますが、そういう理解でよろしいですか。
○田口説明員 先ほど私御説明申し上げたつもりでございましたが、ちょっと言葉が不十分でございましたので、若干繰り返しになりますが、先生御指摘のように、芸能人関係の必要経費率、これを定めたものの中心が十年以上前で、かなり長い期間見直しをしておらなかったということで、この一、二年順次見直しを始めておるわけでございます。 具体的に申しますと、一昨年、これは四十九年の申告分から適用になるものでございますが、その年分から歌舞伎俳優、舞台俳優、映画俳優などにつきまして改定を行いました。また昨年、したがって、具体的にはこの三月に御申告いただく分から適用になるものでございますが、歌手につきまして見直し改定を行いました。これ以外にもいろいろと芸能関係者、数多くございますので、最近時点で見直しを行っていないものにつきましては必要に応じ順次検討をしてまいりたいということでございまして、その点については先生の御指摘のとおりかと存じます。
○山原委員 この見直しというのは、一昨年以来見直しをされているということでよくわかりましたが、これは大蔵省、その見直しというものをする場合に、青色申告から逆算していく場合も出てくると思いますし、また場合によっては調査をする、これは日本で一番大きな、三万五千人が入っておる芸団協ですね。世界でもこういうのはないそうですが、それがどういう活動をしておるか、私にも十分わかりませんが、この芸団協資料ナンバー一というものを見せていただきまして、こういう努力をされておるわけですけれども、こういう芸団協などとも話し合いをして、そして青色申告から逆算もして、そして必要経費というものを大蔵省の方でただ見直しをするということだけでなくて、それがもっと実情に即したものになっていくという努力、たとえば芸団協などの実態、あるいは各ジャンルの代表に来てもらうとか、そういうことでその意見も聴取していくというようなお考えはありませんか。
○田口説明員 先生御指摘のとおり、私どもといたしましても、必要経費率に当たりましては、芸能人一般というわけにいきませんので、それぞれの種類によって実態に合った経費率をつくらなければなりませんので、実態調査を行いますとともに、また業種団体あるいは精通者の方々の御意見も十分参考として、実情に合った経費が十分織り込まれるようこれまでも努力してきたつもりでございますが、本当にかかるべきあるいはかかった費用というものが必要経費率に織り込まれないというようなことでは困りますので、今後ともなお一層その点きめ細かく配意してまいりたいと考えております。
○山原委員 次に、物品税といいますか、私は税法のことはよくわかりませんが、たとえばピアノ、あるいは辻久子さんのバイオリンというようなもの、ずいぶん高価なものもあるわけですね。しかも、それは演ずる人にとってはまさに生命であると思います。学校の場合は、ピアノなど税の控除が行われるという状態ですが、芸能人にとって一番大切な楽器類、そういうものに対する税はどうなっているのでしょうか。
○島崎説明員 音楽家が使います楽器類につきましても物品税の課税対象になる場合がございます。その場合には蔵出し価格の一五%という税率で物品税が課税されております。 御案内のとおり、物品税は奢侈品、それから便益品、それから趣味娯楽品、そういったものを対象にして課税しておるわけでございまして、その場合問題になりますのが職業用物品をどう扱うか、それから業務用物品をどう扱うかということでございます。職業あるいは業務に使う方にとってみれば、そういったものは奢侈品でもなく、業務用の必需品ではないか、こういう御指摘だろうと思います。その点につきましては、物品税の考え方では、業務用物品あるいは職業用物品にいたしましても、それを用いる結果、個人の趣味なりあるいは便益というものを満たすことになるものについては課税をするというたてまえをとっております。 たとえば、タクシーの例のように、タクシーというのは使う方、個人タクシーの業務主にとってみれば職業用物品でございますけれども、それに乗る方が自動車を使う場合と同様の便益を受けるという観点に立ちまして課税をしておるわけでございます。楽器の場合を考えますと、音楽家がそれを使いまして、その結果としまして聴衆がその趣味あるいは娯楽というものをエンジョイするわけでございますので、そういう観点から見ますと、職業用だからということで物品税を軽減するあるいは免除するということは困難でございます。 また、もう一つ考慮しなければいけないことは、業務用物品あるいは職業用物品につきまして軽減なり免税の対象にするということになりますと、単に楽器だけではなくて、たとえばプロゴルファーが使っておりますところのゴルフの道具をどうするかというような問題がすぐに起きてまいります。そういった他の物品との権衡ということも考えなければいけませんので、先生御指摘の点については、物品税法上、これを免税にするということは困難と考えております。 なお、学生が使いますピアノにつきましては、これは確かに特殊用途免税ということで免税にいたしておりますけれども、これはあくまでもそれが学校教育の延長であるという観点から行われているものでございまして、職業音楽家の使う楽器と同じく考えることは適当ではないと思います。
○山原委員 そうすると、物品税では考慮の余地はないと。ただ、税法上の必要経費の率の場合は、楽器はどうでしょうか。それは考慮されているのですか。
○田口説明員 お答え申し上げます。 当然のことでございますが、必要経費の中に入っております。一般的な必要経費率の算定をいたす場合にもそういうものを織り込んでおる次第でございます。
○山原委員 労働省、大蔵省はどうもありがとうございました。国税庁の方も……。 文化庁の方へお聞きしますが、オーケストラの補助金ですね、現在どういう団体に渡されているのでしょうか。大体金額はどれくらいでしょうか。
○内山政府委員 交響楽団に対する助成でございますが、地方にございます交響楽団に対する助成、これが七団体に対しまして一億一千三百八十万円ですか、それから在京の交響楽団三団体に対しまして三千九百万円を助成をいたしております。四十九年度でございます。
○山原委員 在京の交響楽団、読売日本交響楽団、東京交響楽団、東京フィルハーモニー、この三つですね、いまおっしゃったのは。
○内山政府委員 在京交響楽団につきましては、ただいま御指摘のとおり読売と東京フィルハーモニー、東京交響楽団の三つでございます。
○山原委員 実は前に日本フィルハーモニー、これが文部大臣の承認事項になっておりますので、ちょうど高見文部大臣のときに、解散承認をする際に、私は高見文部大臣に対して、この解散承認は慎重に検討してもらいたいという要請をしたことがあるわけです。この日本フィルハーモニーは御承知のような経過をたどっておりまして、フジ、文化との関係で事態が解散というかっこうになってきているわけですね。そしてこの日本フィルハーモニー、日フィルですが、これが補助金の要請をしてきているわけです。その経過は文化庁としては十分御承知と思います。現在、日本フィルハーモニーというのはNHK交響楽団を除きまして、相当活動もしておりますし、全体の文化向上の点で貢献もしているわけです。しかし、これに対しては補助金はいまだに出ていないということですね。現在隘路となっている点はどこなんでしょうか。
○内山政府委員 日本フィルハーモニー交響楽団は、現在、その所属いたしておりました財団法人が解散になりました以降、その財団法人並びにフジ、文化テレビとの間の雇用関係が現在も存続しているということを確認を申請する裁判をいたしております。そこで、補助をいたします団体として、その性格等にかかわる係争が行われておりますので、その辺のところが明確になることが必要であろうというようなことで、現在慎重に検討をいたしているところでございます。
○山原委員 細々したことを申し上げるわけにはいかぬと思いますけれども、係争中といっても、この場合は日フィルを構成している、たとえば労働組合が起こしておる裁判でもないようです。これはそれぞれ個人の人たちが、四十七名おいでになるそうですが、個々が起こした裁判、それをまとめて原告団というかっこうになっているそうですがね。そうしますと、これは国民の裁判権の問題にも関係してまいりますし、また、この交響楽団の中には、もちろん裁判を起こしていない新しい人たちもおるわけですね、現在五十二名と聞いておりますが。そうしますと、裁判を起しておるから、たとえばどこかの交響楽団に不当労働行為とかいろいろな問題が起こって裁判を何名か起こしている、そういう裁判を起こしている者がいるから国の対象にはならぬのだということも、私はちょっと理解しかねるわけです。 これはいま検討されていると言われましたが、やはり問題は、文部大臣の承認事項となるほど、日本の交響楽団に対しては重要なものとして位置づけをしているわけですからね。その楽団が日本の文化の向上に貢献をしているという実績があれば、これに対して平等に取り扱っていくということが私は必要ではないかと思うのです。だから、いろいろな複雑な問題がありますけれども、やはり交響楽団といえば、これは本当に重要なものですし、しかも国民はそういうものをいま非常に多く渇望しておる状態もあるわけですね。そういう点から考えまして、この点は裁判上の問題だなどということだけでなくて、やはり十分話し合いをして、こういう交響楽団の発展のために国が公正な立場をとっていくということを要求したいのですが、いかがですか。
○内山政府委員 日フィルの問題につきましては非常に複雑ないろいろの状況があるようでございまして、私ども毎週のように話し合いを向こうの当事者といたしておるところでございますが、なお十分に、慎重に検討をいたしてまいりたいと思います。
○山原委員 やはりフジテレビとの関係がありますので、フジテレビに余り文化庁が気がねをしたり、またその意見に拘束されたりすることよりも、私がいま言いましたように、交響楽団の持っておる性格、文部大臣の承認事項とまで位置づけておるこの重要性、こういうもの、しかもそれが日本の文化の発展あるいは国民大衆の要望にこたえていくという活動がなされている。実際に演奏がなされ、成功しておる。そういうことであれば、それなりの雑物を整理した形でこれに対しての補助をしていく。ほかにこういう在京の交響楽団があるのでしょうか。いま三つ出されましたね、補助の対象にしておる。そのほかにこういう日フィルのような補助の対象になってない交響楽団というのはたくさんあるのでしょうか。
○内山政府委員 在京の交響楽団といたしましては、ただいま三つのほかに新日フィルと東京都交響楽団とNHK交響楽団がございます。
○山原委員 この日フィルの場合は最も国の補助に対して強く要求してきた団体、そして文化庁としても補助金を出すということになると、肝心の運動をしてきた日フィルというものがいまだに何らの対象にならぬという経過もあるわけですね。これは文化庁長官に伺いますが、これはぜひ問題を整理をして解決していく、問題は日本の文化にどう貢献していくか、大衆の要望にどうこたえていくかということが交響楽団の一番の生命でございますし、いろいろの関係はありましてもそれは整理して、それに対して貢献をしておればこれに対してちゃんと国も他の交響楽団と同じように助成をしていくということが必要だと私は思っているのです。いかがでしょうか。
○安達政府委員 交響楽団に対する助成につきましては、地方の交響楽団につきましてはすでに十年以上前から行っておるわけでございますが、在京のものにつきましてはここ二、三年でございます。 私どもといたしましては、交響楽団が自前ではなかなかやっていけないという事情もございまして、できるだけその活動ができるようにしよう、こういうことで始めたわけでございまして、そういう御活動を十分やっておられるところにそういうように報いるべきであると基本的には考えるわけでございますが、ただ補助ということになりますと、補助を受けるに足るところの資格、あるいはその補助を受ける管理能力と申しますか、そういうようなことを当然問題として検討しなければいけませんので、そういう面につきましてただいま次長から申し上げましたようないろんな事情等もございますので、これにつきましては十分話し合いの中で解決できれば解決をしていきたいということで、補助金を出す以上はそれが適確に、しかもその効果を上げるような形で使い得るような状況になるようなところの見通しを得た上でというように考えておるところでございます。
○山原委員 とにかく私の言う趣旨はおわかりになったと思いますので、これはそういう活動、演奏、芸術活動というものが行われておる限りは、これに対して文化庁の姿勢としてはやはり整理すべきものは整理しなければならぬと思うのです、問題点の複雑な問題があれば。しかし基本としてはやはりそういう交響楽団をますます発展をさせていくという、こういう姿勢をとるべきだと思いますので、この点は私の主張として要請をしておきたいと思うのです。 それから演芸資料館の調査費が出ているわけですが、これは今後の見通しをちょっとお聞かせいただきたいのです。簡単で結構ですから。
○内山政府委員 五十年度予算で演芸資料センターの調査費が計上されておりますが、このうちで資料の収集というような経費が四百万余りございますが、その全体の経費の大部分は基本設計準備という経費でございます。これにつきましては、その場所の決定を急ぎまして、基本設計の前の段階の計画を進める予定でございます。
○山原委員 これはせっかくできるものですから、この運営については演芸人自身が自主的に運営できるといいますか、そういう立場をおとりになるお考えですか、これはできました場合の運営ですね。
○安達政府委員 演芸資料館の任務といたしましては、大衆演芸と申しますか、そういうものに関する資料を収集してその研究のために提供するということが一つございますし、また後継者を養成するような仕事、あるいはさらに後継者養成等をもかねまして公演をする、パーフォーマンスをするというような場所にもなる、こういうようなことになるわけでございまして、そういうものといたしまして今後どういう形態でやっていくのがいいかということは今後の検討課題でございますけれども、ただこれは考え方としては、たとえば財団法人にして助成をするということも考えられますけれども、ただいま申し上げましたような仕事をするということになりますと、民間だけの力ではなかなかできにくいというようなことも考えられまして、一つの考え方といたしましては、たとえば現在特殊法人国立劇場がやっておりますところの、国立劇場に付設をするというような形が実際的ではなかろうか。ただし、もちろん運営等につきましては、その実演家等関係者の意見を十分入れ得るような形でありながら、しかしながら経営の基本としてはやはり特殊法人等が責任を持つという体制の方がよいのではないかという意見が再三の調査会等でも出てまいっておるところでございますが、この点につきましては、なお今後の検討課題として慎重に検討を続けてまいりたい、かように考えているところでございます。
○山原委員 演劇、芸能、実演というものは一番国家統制、官僚統制になじまないものですから、やはりそういう点では演劇人自身が運営に多くの部分タッチできるということが、これは私は非常に必要だと思うのですね。その点で、運営についてはこれから先の問題ですけれども、考えていただきたい。 いま国立劇場の問題が出ましたのでもう一つ伺っておきたいのですが、移動芸術祭あるいは青少年芸術祭に芸能人が行く場合、これはほとんど下請の機関としてゼネラルアーツが取り切っているというふうに聞いているわけですが、しかもそれが第二国立劇場の布石じゃないかといううわさもあるわけです。そういうことはないのでしょうか。この状態ですね、どういうふうになっておるか伺っておきたいのです。
○安達政府委員 現在移動芸術祭等を行う場合におきまして、国の補助金等が実は精算払いでございますので、なかなか後でしか出ないというようなこともございますし、その他いろいろな世話をするということが、役所がこれをするにはちょっと困難であり適当ではないというようなこともございますので、その請負と申しますか、そういうことを実質的にやってもらうところの機関としてゼネラルアーツにお願いをしてやっておるというのが現在でございまして、私どもといたしましてこれが将来永久にこういう姿でいいとは思っておりませんので、何かもう少し合理的な恒久的な制度を考えるべきだと思っておるわけでございます。 ただ、いまお話ございました第二国立劇場云々との関係は全くございません。それだけお断りと申しますか、説明申し上げておきたいと思う次第でございます。
○山原委員 終わります。
○久保田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 ————◇—————
○久保田委員長 次に、内閣提出、学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、これを許します。山崎拓君。
○山崎(拓)委員 学校教育法の一部を改正する法律案につきまして御質問を申し上げます。 本法案は、大学院制度の改善を目的とするものでございますが、この法案の中身に入ります前に、高等教育のあり方全般につきましてまず文部大臣にお伺いをしてみたいと思います。 今日の大きな社会の通弊といたしまして、学歴偏重の問題がございます。この学歴偏重の問題を解消することなくして、今日の教育問題の中で最大の問題でございます受験地獄の解消は不可能なのであります。先般、永井文部大臣にお伺いをいたしました際に、永井文部大臣は、自分の在任中の最も大きな課題としてこの受験地獄の解消に取り組みたい、かようなお気持ちを披瀝されたのを記憶いたしておるわけでございますが、そういうお考えを今日もお持ちでございますかどうか、また、この受験地獄の解消のためにいかなる手だてを当面あるいは将来にわたってお考えであるか、まずお伺いしたいと思います。
○永井国務大臣 受験地獄の解消というふうに、全部がなくなるということはなかなかむずかしいと思いますが、受験体制の過熱化を緩和するということが非常に大事であるというふうに私はかねがね考えておりましたし、またそう申してまいりました。今日もその考えは変わりはございませんし、また私がこの職にあります間、でき得る限りそのことにお役に立ちたいと考えております。ただ、よって来るところがきわめて複雑なものでありますから、この対策というものも多元的でなければならないと考えております。でありますから、まず年の若い方から申しますと、教育課程審議会で現在の小中高の教育課程の見直しをいたしておりますが、こういうふうなものの審議というものを進めて、教育課程の内容を一貫精選した方向にしていくということが一つであります。 さらに、大学入試制度の改革というものを行うことが大事でありますので、これは大学入試改善会議並びに国立大学協会などでも御検討を願いまして、昭和五十三年度に向けての入試制度の改善というものがようやく動き出している、そういう状況であります。 具体的に申し上げますと、共通学力テストと、それから国立一、二期校というものを従来の分化した形から統合の方向に向けていくということであります。さらに大学の間に格差がございますから、そういう格差を少しでもなくしていく。でありますから、私学助成というものにも力を入れてまいりましたけれども、今後一層この私学の助成振興というものを考えていく。さらに国立の大学の中におきましても、地方の大学というものを強化していくことが非常に重要であると考えておりますし、またこれから御審議を願います大学院というものの設計に当たりましても、一方に偏ることがない、つまり従来のような配置に偏るようなことがない考え方もまた必要であろうかと思います。さらに共同利用研究所の場合に、国公私にでき得る限りまたがるような形で利用していく。 いま申し上げましたことは学校教育制度内におけるいろいろな角度でありますが、こういうものをでき得る限り並行いたしまして相互に連動するような形で受験体制の過熱化の緩和に役立ちたいというふうに考えております。 また、直接文部省の所管ではありませんが、社会においても学歴を偏重するような形で雇用の形態が今後も続かないでいきますように私たちとしても要望をいたしていきたい、こう考えております。
○山崎(拓)委員 文部大臣に受験地獄という状態そのものについてどういう御認識をお持ちであるのかお伺いしたいのでありますが、ある方々に言わせますと、受験地獄そのものがこの競争社会の中で真に優れたエリートを生み出す一つの手だてになっておるという評価をなす方もおるわけでございまして、このこと自体は決して悪いことではないという考え方もあるわけであります。私は全く逆の考え方を持っておるものでありまして、心身ともにきわめて柔軟な、これからうんと鍛えていかなければならない時代に、非常に干からびた詰め込み主義教育をやらされるという弊害ですね、知力、気力、体力、総合的な開発をやらなければならないそういう時期に、こういう受験競争を専一にやらせるということの、その一人一人の将来に及ぼす影響というのは、私はきわめて重大なものであるというふうに考えるわけでございますが、文部大臣は基本的にこの受験競争ということについてどういう御認識をお持ちなのか、お伺いをしたいと思います。
○永井国務大臣 いろいろな方が言われますように、私は、教育の世界の中にも競争というものは避けられませんし、またある種の競争というものは望ましいこともあるのだと思います。わが国の受験体制が過熱化していると私が申しますのは、以下のような意味合いであります。 つまり、大学間に相当格差がございます。格差というのは社会的活動をいたしていく上で有利な学歴とみなされるような学校というものが一部に偏っているということでありますが、そのことから高等学校、中等学校あるいは小学校の教育というものが非常に影響を受けて、日夜競争に追われるというようなことになってくる。まあ人間の生活に競争はありますけれども、他方、連帯というものが非常に大事であると考えます。そういう連帯と調和を持ったような形で学校の競争というものが現在ないということは、これはいろいろな事実で証明できることではないかと思います。 第二番目に、学校教育の内容でありますけれども、そういう形で非常な激しい競争が起こりまして、しかもまた大量の人のテストをそれぞれの学校がやっていかなければならないということになりますと、暗記を中心にした客観テストが盛んになりますから、事実上の問題といたしまして、小中高の教育が相当暗記に傾斜した客観テストのための準備教育になっているということは、これまた否定できないと思います。 そうしますと、それも一つの学習でありますけれども、たとえば構想力、想像力、いろいろあると思います、読書をする、スポーツをする、あるいは芸術活動を行う、こういうふうなことがなかなかむずかしくなってきているし、学校教育の場面で活用されていない。 また第三番目に、子供の生活時間の研究というふうなものが最近ございますけれども、これは現在も小学校の段階におきましても進学塾などが非常に盛んでございますから、なかなか自分自身が余裕を持って生活をしていくということができない状況になっている。 以上のようなことについて、国際比較的な立場から、たとえばOECDの日本の教育を調査した上での勧告書がございますが、これは一九七〇年に調査されて、その翻訳も出ておりますが、やはり日本では学校教育における人間の選別というものに重点を置いて、そして人間形成という意味においての教育というものは軽視されているのではないかということが言われています。これは比較の立場から書いたものであって、わが国の中に、日本はこれでいいんではないかという御意見の方もありますけれども、いま申し上げました調査に基づく勧告書というようなものは、相当世界の歴史の上でも教育を発展させてきました国々との比較の上で、わが国について学校が主として選別機関という性格を帯びているということを言っているのでありますから、これは謙虚に聞きまして、先ほどから申し上げたように、やはりわが国の教育というものは受験体制で過熱化しているというふうに認識すべきであると私は考えているわけであります。
○山崎(拓)委員 私も、一人一人の人間の評価、あるいは運命というものが十八歳の時点で決まっていくということに非常な疑問と抵抗を感ずるわけでございます。 そこで、現在大学進学率は約三分の一程度でございますけれども、この大学進学率三割ということですね、その量の面、また大学教育を受けておるその内容、質の面、この両面にわたって、文部大臣はこれを非常に適正であるというふうに——非常にこれは抽象的なことでございますが、現時点のこの大学進学率、そして大学へ行っていらっしゃる方のあり方をいろいろ考えてみますときに、現状でいいのかという、高等教育ということを考えた場合、これをどういうふうに評価なさっておられるか。
○永井国務大臣 現在の進学率が非常に高くなってまいりましたことについて、よい悪いということは簡単に言えないと思います。むしろ、それが何を意味するかというふうに考えるべきであるかと思います。従来、高等教育というのは学問の研究というふうなものを主にいたしてまいりましたけれども、学校教育の大衆化という現象が産業構造の変化に伴って起こったということは私たちすべて認識しておくべきことであると思います。 そこで、一九六〇年代にわが国に高度経済成長が起こりましたが、それは言葉をかえて申しますならば、ホワイトカラーのマーケットが拡大したということでありましょうし、そういたしますと、ホワイトカラーの養成機関という姿で大学というものが拡張いたしますし、またその大学を経て、要するに拡大した産業構造の中で就職しようという人がふえてきた。非常に単純化して申しますと、そういう事柄であったというふうに考えます。 そこで、問題は質でありまして、むしろこの方をどう考えていくかということ、つまり量と質との関係において考えるべきことは、高等教育計画の眼目であるかと考えております。わが国の場合、諸外国と比較いたしまして非常に特色がありますのは、八〇%の人たちが私立大学に在籍しているということであり、さらにまた、私立大学に対する公共的な補助というものがきわめて弱体であったということも関連いたしまして、私立大学の経営内容がよくないということがあります。そこで、そういたしますと、私立大学で、たとえばいわゆるマス授業、大量の人たちによる授業も行われますし、あるいは実人員と定員が違うというふうな問題も起こってまいります。また、非常勤講師の数も非常にふえるということが起こってまいりますから、そういう意味合いにおいては、私は、大学の拡張に伴うその質の充実の長期計画というものが十分にあったとは考えにくい問題が今日われわれの眼前にあるように考えております。さらにまた、それだけ高等教育が拡大いたしました段階においては、やはり一つの大学というものだけが中心になるんではなくて、いろいろ社会に多様化も起こってまいりますから、いろいろな種類の社会への出口というものができてきているのも、これまた諸外国の一般的情勢であると考えますが、わが国の国立大学の中での大学の設計の仕方というものにもかなりの問題があったというふうに見なければならない。 その他の事柄もございます。たとえばいま問題になろうとしている大学院というものがどの程度充実しているかということは、研究の角度から言っても大事でありますが、実は高等教育の拡大に伴って必然的に必要になります大学の教員の確保というものは、大学院の強化なくしてはなし得ないはずの事柄でありましたにもかかわらず、大学院の強化拡充というものがおくれていたというような問題もあろうかと考えております。でありますから、私が申し上げたいのは、量的拡大は産業構造の変化に伴う大学の大衆化現象であって、これはよしあしということを申しますよりも、むしろ歴史が動いていく中で大学の変貌としてとらえるべきことであると思います。 それと、質との関連で考えますと、必ずしもそうした変貌に即した形で高等教育計画が十分に行われてこなかったという点におきまして、われわれは質と量との関連においていろいろいま問題を解決していかなければならないこと、きわめて数多くのそうした事柄に直面しているというふうに認識いたしております。
○山崎(拓)委員 高等教育懇談会の高等教育の拡充整備計画によると、目標年度昭和六十一年度ということでございますが、大学の進学率を四〇%に見ておるわけです。そこまで、これから十年間でありますが、いわゆる量的拡大をやっていくという見通しはどういうふうにお考えですか。
○永井国務大臣 高等教育懇談会の昭和六十一年度までの予測につきましては、これまでも検討は続いてまいりましたが、わが国の社会経済上の変化に伴って、従来と同じような形で将来予測を行うことができるかどうかということについて、最近高等教育懇談会においてもいろいろ検討してこられております。したがいまして、その詳細な内容についてもし必要でございますならば、大学局長から最近の高等教育懇談会の考え方のまとめについて御答弁申し上げるようにいたします。
○井内政府委員 ただいま大臣からお答えございましたように、高等教育懇談会で四十七年、八年、九年と検討を続けてまいりました。四十八年の高等教育懇談会の検討の取りまとめにおきましては、おおむね昭和六十一年までを計画期間として、進学率につきましてはただいまお話しございましたように、少なくとも四割はめどとして確保する必要があるのではないかという報告が四十八年の懇談会の検討の結果として出てまいっておりました。これに対しまして、四十九会計年度の検討におきましては、一応四割を目途としたという基本的な考え方は踏まえるけれども、しかし従前の形のままの大学、短大、高専がそのまま数がふえればいいというわけにはいかないのではないか。高等教育としてとらまえます場合に、一体、高等学校の進学率が九割になってきた時点におきまして、高卒から入ってまいります各種学校の中で、相当系統的な長期間にわたる教育を行っておる教育機関の果たしておる役割りも十分考える必要はないか。さらに、放送大学あるいは夜間の大学、通信教育、こういった、働きながら学ぶという形における高等教育の展開というものも十分にカウントすべきではないかという問題の指摘が行われまして、四割という点につきましては、少し柔軟に考えたらどうかという御意見が最近まとまったところでございます。この辺のところにつきましては、今後六十一年までの間に、昭和五十年、五十一年と十八歳人口が少しダウンいたしまして、そして六十一年におおむね昭和四十六年前後の十八歳人口にまで到達をいたします。したがいまして、今後約十年の計画を考えるにあたりましては、前期、後期と一応考え方を整理して、前期におきましては主として制度の問題あるいは質の問題に力点をひとつ置いたらどうか。その際には、大学院の制度充実というものも考える必要があるのではないか。四十九年の検討の結果は、大体ただいま申し上げましたようなことでございます。 ただ、ここで一つ問題がございますのは、大学、短大を含めまして進学率が三四%でございますけれども、都道府県別に高等学校卒の進学率を見てまいりますと、五割を超えております県が二県、それから四割、三割、二割台と各府県別の高等教育への進学率に非常に差があるという点が一つの大きな問題かと思います。高等学校への進学率はおおむね九割線に各都道府県近づいてきておりますので、府県別に見ましたときの高等教育への進学率のいわば低い地域あるいは低い県、この辺における進学率の高まりというものは、やはり相当カウントしておかなければいけないのではないか。この点を念頭に置きながら高等教育懇談会の審議も五十年、引き続きお願いをいたすことにしておるところでございます。
○山崎(拓)委員 いま、質の問題が出たわけでありますが、果たしてこの四割の進学率を見た場合に、これから十年間に高等教育の質の改善ですね。今日の状態と比較して質の面の改善というのは実際上、可能とお考えでしょうか。どちらでも結構です。
○永井国務大臣 可能と考えるかどうかということでありますが、私は、わが国の文化あるいは国家の発展を考えますと、可能かどうかということ以上にぜがひとも実現しなければならないというふうに考えております。事実上、そういう問題が起こってくるのではないか、そして、その方向に動いていくのではないかということの一例を申し上げます。 わが国の高等教育の中で、質的低下が起こったということを申し上げましたが、その質的低下というのは、もちろん一般教育というものもありましょうが、職業教育の面においてもあったと思います。それでは、一体どういう形でわが国の職業教育というものはカバーされていたかといいますと、わが国は非常に企業内教育というものが盛んであって、企業が企業内教育に相当莫大な投資をいたしております。 なぜそうした莫大な投資ができ得たかといいますと、わが国の雇用の形態が終身雇用でありますから、そこで自分の企業に入りました人に対しまして相当の企業内教育を行いましても定年まで会社にいるという、そうした計算に基づいて企業内教育を行われたと考えております。そういたしますと、これからわが国の経済の発展の姿がこれまでと相当違う形を呈してくるということが予想されます場合に、従来のように莫大な投資というものを各企業が企業内教育に対して果たして行い得るかどうかという問題も生ずることが予測されるわけであります。そういたしますと、高等教育の中において、一般教育はもとよりのことでありますが、各種の専門的な教育、そうした職業的準備というものも従来以上によほど充実したものになりませんと、企業はもとよりのこと、各種の専門的活動というものもきわめてむずかしくなってくるということが予測される問題としてあります。こうした事態を考えますと、私は、わが国の高等教育を今後十年間に充実することが可能かどうかということは一つの設問であります。そして、それには財政的な裏づけとかあるいは高等教育計画の充実とか、それに対する大学側の対応の仕方など多様な問題がございますが、これらの問題とそれぞれ真剣に取り組みまして、何とかして、可能かどうかというよりも質的充実というものを現在見られるものよりはるかによいところを目指して進んでいかなければならないものと考えております。
○山崎(拓)委員 高等教育懇談会の計画は、これからの十年間の経済成長率を名目ですが、一八・六%に見ておるわけですね。今日の経済情勢というのはすっかり変わってしまったわけですね。こういう高度経済成長はいまのところ想定できないわけですね。またそのことによる、ただいまお話がありましたような企業内教育の問題等も影響が出てまいりましょうし、あるいは産業構造の変化に伴う量的拡大の問題にもこれはもちろん影響が出てくることでございますが、とにかく国民総生産、GNPの一%を高等教育にいま総投資されておるということは、十年後は大体そのくらいの数字だろうということが前提になっておるわけでありますが、高等教育に対する投資の総体量を変えない限りとても質的な改善というのは望むべくもないと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
○永井国務大臣 御指摘のとおりだと思います。一九六〇年代のわが国の高等教育への投資を、国民一人当たりの所得との関連でとらえてみますと、六〇年代それほど伸びておりません。七〇年代に入ってから高等教育に対する投資に変化が見られますが、たとえば本年度の予算につきまして申しますと、私立大学にも、相当の伸びがあり、そして国立大学についても同様でありますが、やはりこうした方向というものが今後強化されていくということは改革のきわめて重要な前提であると私は考えております。
○山崎(拓)委員 先ほどの話にちょっと戻るのでありますが、今度大学院の制度を変えられるわけでございますが、その中で独立大学院という新しい考え方が出てまいっております。 そこで、これに関連してお伺いをいたしますが、これはよくいままで議論されてきておったところでございますけれども、いわゆる旧帝大ですね。この持つ権威というものが学歴偏重の一つの大きな原因をなしておるわけでございますが、そういった意味で、ひとつ旧帝大を大学院大学にしたらどうかということが前からよく議論されておったところであります。そういう考え方も独立大学院の考え方の中に含まれておるのかどうかお伺いしたいと思います。大学局長でもいいです。どちらでもいいです。
○井内政府委員 独立大学院と言われておりますものにつきましては、今回の学校教育法の改正で御提案申し上げ、御審議をいただいておりまする学部を有しない大学院のみの大学を創設することができるという制度につきまして御審議をいただいておるわけですが、学部のない独立大学院というものを従前の大学院の整備の線上におきましてぜひお願いをいたしたいということで御審議をいただいておるわけですけれども、既設の大学院の整備充実と独立大学院との相関をどうするかといった問題も非常に大きな問題でございます。ただいまお尋ねのございました国立大学の旧帝国大学等につきまして、学部段階をなくして大学院だけにしたらどうかという御意見、御提案等もございますが、独立大学院をどのような形で今後具体につくってまいるかということにつきましては、ただいま大学関係者の間等におきましてもいろいろな議論が行われておるところでございまして、文部省としましてはあらかじめ具体の問題につきましての想定をしながら独立大学院という問題に取り組んでまいるという態度でなくて、現在それぞれの大学関係者の間において行われておる議論の推移も見きわめ、かつ独立大学院を考えてまいります際に、日本の大学院制度としてどういう条件を整備することが必要であるかとか、そういった具体の議論とそれから基準のような観点からの議論とを総合しながら今後取り組んでまいりたい。したがいまして、旧帝国大学につきまして学部を廃止して、これを直ちに独立大学院にするという想定を持っておるわけでは今日ございません。議論の過程におきましていろいろな議論が展開されてくるであろうと思いますけれども、旧帝大につきましてはあらかじめ今回の御審議に当たりまして方向を持って臨んでおるのではないという点はひとつ御理解をいただきたいと思います。
○山崎(拓)委員 文部省としては具体的な方向を持って臨んでおるのではないということでございます。それではいまの問題につきまして、文部大臣永井個人としてはいかがお考えでありますか。
○永井国務大臣 私は、個人であって文部大臣でございますけれども、この種の問題について意見を申し上げるときはやはり文部大臣という立場で申し上げるのがよろしいし、またそれがいま個人で考えていることとさほど違いません。私は九つの旧帝大の問題、これを学部という姿でなくそのまま大学院にというお考えもあるということを承知しております。このお考えもなかなか興味深い一つの考えでありますけれども、やはりこれからの大学院の姿を考えていきますときに、九つの旧帝大におられる先生方の人材ということも生かしていくべきだと思いますが、同時に他の大学に、これは国公私いろいろあると思いますが、いろんな方がおいでになりますから、そういう方々の人材・才能・能力・適性・それを生かして学界、教育界に貢献していくように柔軟にしていくことがどうも必要であるというふうに考えるわけです。つまりいままでの九つのセンターがそのまま九つのセンターになるという形が望ましいかどうか、これはよく考える必要があると思います。 それからもう一つは、学部を果たして九つの大学でなくしてしまうことがいいかどうかということも非常に重要な問題でありまして、といいますのは、国立大学の学部での学生収容人口というものは小さいわけです。そういたしますと、大学院の充実というのも大事なんですけれども、国立大学の学部段階での学生収容人口というのは、むしろいま相当ふやしたい段階でございますので、すぐにそういうものを廃止をして、大学院の方だけに力を注いでいいかという疑問も生じます。 以上、二つの疑問だけ申し上げましたが、こうした事柄について私が申し上げていることは決定的なことではもちろんございませんから、こうしたことも問題として大学関係の方々などに十分御検討願いたいというふうに考えております。そうした意味において、大学の設計そして建設というのは、大学関係の方々の自主性において行われなければ絶対にいいものはできないという私は考えでございますが、他方、いま考えていることを述べよというお言葉でございましたので、私はそうした点についてやはり留意してお考え願いたいという希望を持っているという意味合いにおいて述べたわけでございます。
○山崎(拓)委員 私は非常に乱暴な議論でございますけれども、大学院の持つ使命というものは研究者の養成等もあるわけでございますが、これは国費で現実に国立の占める割合というものは非常に高い。大学そのものよりも非常に高いわけですが、国費でカバーするということは当然であるという考え方を持つわけでありますが、今日の国公立と私立の大学における非常に大きな格差、これで私学振興の問題が起こっておるわけでございますが、これはなかなか簡単に解消できそうにない。前向きでいろんなことを検討されておるけれども、簡単にこれを解消できそうにない。しかも大学進学率だけは上がっていくというジレンマがありますので、非常に乱暴な考え方でありますが、大学は全部私立にしてしまう、そして大学院は全部国立にしてしまうという考え方ですね。もちろん所得の階層がございますから、低い所得階層の方でも大学に行けないといけませんから、その辺の手だては当然講ずべきでありますが、いずれにいたしましてもその辺のところを割り切って大学は私立、大学院は国立という考え方はどう評価されますか。
○永井国務大臣 ただいまの先生のお考えも非常に示唆に富んだものであると私考えます。ただしかし、先生のお言葉の中にもございましたように、私立にしましてもやはり所得階層がありますからというふうに申されましたが、私はそういう傾向を考えますと、私立という意味合いですね、つまりそれぞれの学校は相当特色を持つとかあるいはある程度自分の大学で経費を賄っていくということは必要と思いますけれども、やはり現在の社会、経済の変化の情勢で見ますと、仮に学部段階を全部私立にいたしましても、相当な公共的投資というものを行わなければ、その段階における教育の機会均等というものを確保できないのではないかというふうに考えるわけです。でありますから、学部段階を私学、それから大学院段階を国立といいましても、恐らく私の考えでは教育の機会均等という角度から申しますと、その二段階を通じて、いずれにせよ設置形態は別としても、公共的な資金による補助というものをやらなければならないことになるのではないか。いまの御示唆については、そういう角度からの検討が必要であると考えております。
○山崎(拓)委員 大学院の規模でありますが、学部学生との対比において、アメリカでは一九七一年一三・二%、フランスでは一九六八年で一二・四%、わが国は昭和四十八年度で三・〇%であるという数字がございますが、現在のわが国の大学院の規模で果たして大学の教育者の養成あるいは研究者の養成がカバーできているのかどうか、いかがでございますか。
○井内政府委員 現在のわが国の大学院の規模でございますが、国公私立大学を通じまして大学院の学生の入学定員の面で見てみますと、修士課程が約二万一千人、博士課程が八千五百人というのがただいまのわが国の修士課程、博士課程の国公私立を通じまする入学定員でございます。 これに対しまして現状がどうなっておるかという点を見ますと、修士課程におきまして国公私立大学を通じて見ますと、入学定員に対しまして現に修士課程の学生として入学しておる者が大体六六%、博士課程が四九%、約五割でございます。 新しい大学制度になりまして、学部に対しまして修士課程、博士課程の設置をし今日までやってまいったわけでございますが、学部と大学院との相関等にやはりいろいろと工夫改善を加えなければならない問題が現に相当あるのではないか。教官にしましても、施設設備等にいたしましても、どちらかと申しますと学部に余りにも寄りかかり、あるいは学部に余りにも付設し過ぎた形でしか大学院がいままで取り上げられていなかったのではないかという一つ反省点がございます。 それで、諸外国と比べまして、学部学生に対しまする大学院学生の比率が非常に少のうございますが、現在の入学定員に対しまする入学実員の状況等を見ますと、やはり大学院に対しまする諸条件の整備等から、これは一遍努力し直すといいますか、やはり検討し直す必要があるのではないか、かように思います。 それから、現在の大学院に学び、大学院を卒業しておる者の大学院を修了した後における状況がどうなっておるかという点を見ますと、逐次大学教官等に占めまする大学院卒業生の比率は高まっておりまして、ただいま三割強、三割から四割の間くらいかと思いますけれども、よく言われまする、特に博士課程を修了し、博士の学位をすでに取得した者で、なお研究室で研究に従事しておる者あるいは博士課程のスクーリングの単位は修得した後において、まだ学位が取得できないで研究室で勉強しておる者、こういった数が相当数現にございます。この辺がいわゆるオーバードクターの問題というようなことで言われておる点でございますけれども、諸外国との比率から申しますと、将来の研究者あるいは大学教官等の確保の面から、わが国の大学院の規模、入学定員のところにつきまして早急に拡充する必要があるのではないかという観点と、それから現にわが国の大学院の入学定員に対する入学実員の状況、それから大学院の課程を一応修了し、あるいは学位取得後における状況等を勘案いたしますと、大学院の質的な整備と、それから量的な拡充といいましょうか、ここのところも十二分に慎重に今後対処しなければぐあいが悪いのではないか、かように私どもとしては考えておる次第であります。
○山崎(拓)委員 いまのお話によりますと、定員を大きく大学院学生数が割り込んでおるということなんでありますが、一つには、いま大学院卒業者に対する社会的な評価といいますか、特に社会科学系統、人文科学系統の大学院卒業生に対する社会的な要請というものがきわめて低いというところにもあるのではないかということが考えられるわけなんですが、その点いかがですか、大学局長。
○井内政府委員 私ども大学院の状況あるいは大学院修了者のその後の進路状況等を見てまいりますと、学問の専攻分野によりまして修士課程なり博士課程なりの状況がやはり相当異なっておるのではないかと思います。 修士課程で申しますと、工学関係の修士というのは、わが国の修士課程で学んでおる大学院学生のうちで占める比率が非常に多うございまして、そして修士課程卒が修士課程を出た後におきまして、実社会あるいは研究者としてさらに進学する者もおりますが、ただいま先生御指摘のように、一般の社会における受け入れというものが非常に前進をしておる分野じゃないだろうか、かように思います。 それからまた、たとえば医、歯の面で申しますと、博士の学位を取得した後におきましても、当該大学病院でなお研究を継続するという風潮が非常に強うございまして、そういった点も先ほど申し上げましたことにつながるのではないかと思います。 なお、大学院に対する一般社会の評価、大学院修了者に対する一般社会の評価という点におきましても、これは大学院の充実との相関も非常にあろうかと思いますが、そこのところは、先ほど申しましたように、大学院の規模を考えてまいります際に、それぞれの専攻分野に内在する要因からどの程度どうするかという観点と、大学院卒に対します社会的需要、それは研究者、教官の確保という観点も含めましての需要の観点から見てまいります場合と、その二点を、最初に先生からお尋ねがございました、高等教育懇談会におきます少なくとも今後約十年間のわが国の高等教育の規模を、これは主として学部あるいは短期大学レベルで検討いたすわけですけれども、その際の教官供給の可能数をどう把握するかとか、そういった問題もございますので、それぞれの専攻分野に内在する観点からの検討と、外在する大学院に対します要請の観点と、両方からわが国の大学院のこれからの専攻分野ごとの量の問題を今後検討してまいらなければならぬ課題と私ども存じております。
○山崎(拓)委員 ただいまのような観点から、この法律案の趣旨の一つであります大学院の研究科の設置、廃止を認可事項とするということになっておるのかどうか。つまり、人文、社会科学系統の大学院卒業生に対する社会的な需要というものはきわめて低い——きわめてかとうかわかりませんが低い。しかし、いわゆる工学系統の修士課程卒業者に対する需要というのはきわめて強いというような現状に適切に対処するために認可事項とするというお考え方があるのか。それと同時に、今後大学の量的質的拡大に対処するために研究者、教官の養成をこの際図っていこうというお考え方がこの中にあるのかどうか、その点お伺いしたいと思います。
○井内政府委員 このたびの一部改正法案で、公立及び私立の大学の大学院の研究科の設置、廃止を認可事項というふうに改正したいということで御提案申し上げておりますが、この点は専攻分野別の事情によるというよりも、次のような事情でございます。それはどういうことかと申しますと、新しい大学院の制度が戦後発足いたしまして今日まで、学部の充実したところに大学院を認可していくという方式でいままでやってまいりました。これに対しまして、それが大学院をつくってまいります場合の現実のやはり基盤である、学部の充実の上に大学院をつくっていくというのが現実の基盤ではございますが、しかしそれでカバーできない領域等がそれぞれの分野の状況によって出てまいりまして、学科に対応しない独立の専攻を幾つかつくってまいるということに相なりました。さらに学部に対応しない独立の研究科をつくる必要があるということで、これは大学設置審議会の答申に基づきまして大学院の設置基準をそのように定めさせていただきまして、五十年度、具体に申しますと東京工業大学に総合理工学研究科という対応する学部のない独立の研究科をつくっていただくというところまでまいりました。従前は必ずその基盤に学部がございました。学部は認可事項でございました。したがいまして、認可された学部の充実度合いを見ながら大学院の研究科の設置を、従前は認可でなくて、協議ということで処理をしてまいっておったのでございますが、今日独立研究科というものの設置もできるように相なった。対応する学部のない独立研究科というものもできるようになった。さらに今回御提案申し上げております、学部が全く存在しない大学院のみの大学も創設するという制度をお願いいたしておるわけですが、さようにいたしますと、大学の場合に、学部を認可事項にしておったことによって実質カバーされておりました研究科の設置というものが、学部との相関がなくなってまいりますので、大学院を構成する基本単位でございます研究科を従前協議にかかわらしめておりましたものを、この際明確に認可事項とするということが制度的にもバランスがとれるであろう、こういうことで関係者の意向も聞き、大学側におきましてもその点は結構だということで、今回研究科の設置、廃止も認可事項とする。従前から大学院そのものの設置、廃止は認可事項、大学院の構成単位である研究科については協議事項でございましたが、今回大学院の制度が整備、充実されていくに伴いまして、その基本単位である研究科を学部との相関が切り離される場合も想定し、認可事項とする、こういうことで御提案を申し上げておる次第でございます。専攻分野ごとの事情により云々ということではなくて、ただいま申し上げたようなことでございますので、この点はひとつさよう御理解賜りたいと思います。
○山崎(拓)委員 もう一点お伺いしておきたいのですが、技術科学大学院と今回の制度改正との関連についてひとつ御説明をお願いします。
○井内政府委員 仮称技術科学大学院ということで、四十九年度、五十年度創設準備の予算をいただき、ただいま創設準備で検討を続けております。技術科学大学院は、主として工業高専の卒業者等を対象とし、大学院修士レベルの研究教育を行わしめる学校を創設する必要があるのではないか、実践的な技術開発を尊重しながらやってまいる大学院レベルの技術科学大学院というものを必要とするということで、ただいまいろいろな検討を続けておるところでございますが、いわゆる学部のない独立した大学院を今回御提案申し上げておりまして、その独立大学院の具体の問題として幾つかの問題が今後浮かび上がってまいろうと思います。いろいろな議論がいろいろなところで行われておりますが、私どもといたしましては、独立大学院の具体の問題の一つといたしまして技術科学大学院というものを位置づけるということが、やはり一つの具体の問題と相なるのではないか、そのような検討をただいま技術科学大学院につきましては進めておるということでございます。
○山崎(拓)委員 文部大臣、最後に一点だけお伺いしておきたいのですが、わが国におきましては生涯教育の考え方が必ずしも普及していないわけでありますが、この点は私はきわめて重要な問題だと思うのでありまして、やはり一たん社会へ出た後再び教育を受けるというあり方をこれから助成していかなければいけないと思うのであります。そういった意味で、大学院のあり方も検討しなければならないし、大学もそうでありますけれども、その点、文部大臣として今後生涯教育の振興をどういうふうにお進めになるお考えなのかお伺いしたいと思います。
○永井国務大臣 生涯教育というのはいろいろな分野で行われますが、ただいま先生の提起された問題を大学との関連で考えて、お答え申し上げたいと思います。 やはりいろいろな職業におきまして、学部で社会に出る、社会に出て相当年数体験を積む、その方が修士課程に戻ってまいりまして学習を続けていく、さらに社会に出ていく、サンドイッチ的な方式という言い方をしておりますが、そういうふうなことが、たとえば教員の場合にもいままで諸外国で行われております。あるいはエンジニアなどについてもそういう例があります。私は、こうしたことは今後十分に検討していくべきことだと思います。さらに、大学で学習をした時期と人間が四十歳ぐらいになりましたときに、学問、科学技術などが非常に変わっておりますために、もう一度学習をいたしませんと職業的な活動のために支障を来すということが起こっている、そうした領域があります。そうした領域というふうなものについても、私は今後の一つの課題として大学院というものをどう生かしていくべきか、これを考えていかなければならないと考えております。
○山崎(拓)委員 本法案に関する質問は終わりますが、この機会に大学局長にお伺いしておきたいのですけれども、海上自衛隊員の琉球大学短期大学部、夜間でございますが、入学問題をめぐるトラブルが発生しているということであります。 これは、海上自衛隊沖繩航空隊所属大旗清なる人が、五十年三月琉球大学短期大学部、夜間の電気工学科を受験し、合格した。受験日は三月三日及び四日であり、合格発表は三月二十日であった。この大旗さんは、三月三十一日に入学金三万円を納入したほか、四月二日までに入学手続を完了し、四月二日から四日までの新入生オリエンテーションにも参加をした。ところが、四月六日、大学から大旗さんに対し、自衛官が入学した場合、学生自治会の阻止行動が予想され、身体に危害が振りかかるおそれがあるので、七日の入学式参加を辞退するよう要請があり、また、これを懸念して入学許可を留保している旨の連絡がなされたが、大旗さんは入学希望の意志が堅固である旨を表明した。大旗さんは、入学式に参加をしなかった。 その後ずっとこの経過があるわけでございますが、とにかく現時点におきましては登校が不可能であるので、昨日の時点で、学生証の郵送及び受講登録に対する特別の配慮について大学当局に申し入れる予定であるということでありますが、申し出たかどうかわかりませんけれども、もうすでに講義は四月十日から始まっておって、受講カードの登録期限は四月二十三日である、こういう事態だそうでございますが、こういう事実について十分掌握されておるのかどうか。並びに、もしそうであれば、どういう対策を講ぜられるつもりであるのか。また、こういう事態に対してどういうお考えをお持ちなのか。大学局長、いかがですか。答弁いただきたいと思います。
○井内政府委員 ただいまお尋ねの件につきましては、大学当局の方におきまして、教授会等におきましても十分に議を尽くしまして、正式に入学を許可し、入学に必要な手続も早急に進めるということで、過般学長が上京して参りまして、私どもにもそういう報告をいたしております。恐らく実際に入学し、それから受講をしていく間におきまして若干トラブルが起こっておるのかと思いますが、およそこの件は夜間の短期大学における入学の問題でありまして、その者が受験をし、合格をし、合格を決めた段階で職業のところを見ましたら海上自衛隊の隊員であったということのようでございますけれども、職業のいかんによって高等教育への進学の機会が基本的には左右されるべきものではないと私ども存じておりますし、大学当局におきましてもそのような見解で対処するものと私ども心得ております。 なお、具体の状況の推移につきましては、さらに私どもも状況の把握に努めてまいりたい、かように考えます。
○山崎(拓)委員 学生自治会がそういう阻止行動をやること自体もきわめて遺憾なことでありますが、大学当局が毅然たる態度でこういう入学問題に対しては対処すべきことでありまして、その点について、まことにゆゆしきことでございますから、文部省の強力な御指導をぜひおやりいただきますように強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○久保田委員長 次回は、来る十八日開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時四十五分散会