物価問題等に関する特別委員会 第19号
- 発言数
- 157 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1975/06/26
会議録
○横山委員長 これより会議を開きます。 物価問題等に関する件について調査を進めます。 特殊販売の適正化問題について、政府から発言を求められておりますので、この際これを許します。福田経済企画庁長官。
○福田(赳)国務大臣 いわゆるマルチ商法の取り締まり強化につきましては、先般委員長から要請もありましで、政府におきましても、関係各省と鋭意急速に検討いたしまして、十項目にわたる対策を決定いたしました。 この決定は、もちろん、マルチ商法が国民に大変不安を与えておる、憂慮すべき事態である、こういう基本的認識であります。そういう認識に立ちまして、取り急いで結論を出したわけでありますが、この結論を基盤といたしまして、さらに対策を進めてまいりたい、かように存ずる次第でございます。 詳細につきましては、政府委員から説明をいたさせます。
○岩田(幸)政府委員 お手元に「マルチレベル商法等に関する対策」という印刷物がございますが、これに基づきまして、簡単に御説明申し上げます。 この対策は、六月十七日に、そこにございます総理府以下十省庁の申し合わせという形でまとめたものでございます。この対策の中身は十項目ございます。読みながら簡単に御説明申し上げたいと思います。 まず第一は、特殊商法そのものの取り締まりでございますが、これにつきましては、過大な会員獲得料、傘下会員の売上高に応じて自動的に労せず受領する報酬、著しく差別的な対価、再販売価格の拘束などを伴う商法は、不公正な取引方法に該当するので、独禁法第十九条違反として取り締まりを強化するということです。この点は、従来、取り締まりが独禁法でできるかどうかという点について検討していたわけでございますが、一応現在の段階では、独禁法十九条違反として取り締まりを行うということを決めたわけでございます。 すでに御承知のように、ホリデイマジックについては六月五日にこの十九条違反という形で公取から勧告が出されまして、十二日にホリデイマジック社はこれを応諾いたしました。したがって、近く同文の審決が出されるというような形でございます。なお、今後、ホリデイマジック以外のものにつきましても、悪質なものにつきましては審査をするという予定をつくっているわけでございます。 第二は、ネズミ講でございますが、これにつきましては、出資法第二条によって、取り締まり、監視を強化していくということであります。 第三は、この独禁法あるいは出資法によります取り締まりでございますが、これも若干様子を見ないとわかりませんが、恐らくこれにもある程度の限界があるのではないかというような感じもいたしますので、そういう点を見ながら、さらに消費者保護のための新規立法を行う予定であるということでございます。 それから第四番目は、商品についての取り締まりでございますが、販売に許可等を要するものについては、主務省庁において法規違反の有無を十分に調査し、無許可、無届け等の違反については、直ちに断固たる措置をとるという点でございます。この点は、すでに当委員会でも御指摘になりましたように、販売されております商品につきまして、薬事法違反あるいは電気用品取締法違反ではないかと疑われるような商品がいろいろございます。こういうものにつきましては直ちに調査をいたしまして、必要があれば、販売停止命令、あるいは製造中止命令、あるいは告発というような断固たる措置をとっていきたいということでございます。 それから五番目は、表示の問題でございますが、ケースによりましては不当表示法違反ではないかというようなものもございます。したがいまして、そうしたものにつきまして、不当景品類及び不当表示防止法などによりまして、商法、商品に関する虚偽、誇大な不当表示の取り締まりを徹底するということでございます。 それから六番目は、商品の点検でございますが、販売商品について、安全性その他の社会的影響の度合い等を勘案して重点的に商品テストを実施し、結果の公表、効能、効果の乏しいものの販売停止の指導等を行うということでございます。一般的に、これらマルチ商法で売られております商品には、その効能、効果に疑問のある商品が多いようでございますが、これらを総点検するということが最も望ましいわけでございますけれども、テスト能力というものもございますので、重点的に、たとえば安全性というような点に重点を置いて商品テストを実施して、それの公表あるいは販売停止の指導等を行うということでございます。 七番目、八番目は消費者啓発でございますが、テレビ、ラジオ、新聞、パンフレット、展示等により、マルチレベル商法の危険性等を広く国民に周知させる。特に青少年が加入することのないよう、学校等の場でも必要な指導、助言を行うということで、すでにテレビ、ラジオ、週刊誌等につきましては、来週からこのPRをするということを予定しております。 最後に、苦情相談、救済でございますが、国民生活センター、地方消費生活センター等において苦情相談を行うとともに、寄せられた苦情等については、速やかに関係各省庁に通報するということで、これまで地方の消費生活センターに寄せられました相談あるいは苦情は二十七社、三百三十件ばかりございますが、こういうものについて関係各省庁に通報するとともに、苦情の処理を行うということでございます。 それからなお、被害者の救済につきましては、事業者が積極的に被害者、会員の救済に当たるよう、行政指導を行う。被害者の救済につきましては、御承知のように過去に生じました被害を救済するということは法的にはなかなか困難でございますので、行政指導という形で被害者救済に当たりたいということでございます。 なお、参考としてつけましたものは、いま申し上げました十項目を、それぞれ主としてどういう役所が担当しながら行っていくかということを、一覧表にしたものでございます。 以上が、六月十七日に十省庁申し合わせたという形でつくりましたマルチレベル商法の対策の概要でございます。
○横山委員長 ただいまの福田経済企画庁長官等からの報告に対して、委員長から若干の総括的な質疑を行いたいと存じます。 どういうわけか、きょうの御報告が一部漏れたと見えまして、一部の新聞に出ておりますが、立法化見送りと、たしかそういう表現が出ております。いま御報告の、非常に総合的な、意欲的な御報告にかかわりませず、そういう印象を国民に与えるとするならば、せっかくの努力も不十分だと思います。 しかも、そういう印象を与える一つの理由として、私がこの対策を拝見いたしますと、三項目に「独禁法、出資法等による上記1及び2の取締りの成果をみつつ、必要があれば、さらに消費者保護のための新規立法を行う。」とある、その「必要があれば」という前置きにも原因があるのではないかと考えられます。御説明のように、独禁法あるいは出資法の適用にはどうしても限界があると私は考えますが、この消費者保護のための新規立法を、「必要があれば」という冠詞をどうしてもつけなければならないのであるかどうか、その決意のほどをひとつ明白にしていただきたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 対策第三項にも示してありますように必要があれば新規立法を行う、こういうことにいたしてあるわけです。これは、委員長のお話を聞いていますと、逃げ言葉かと、こういうような御趣旨かとも思うですが、決して逃げ言葉じゃないのです。現行の法律下におきましても、これを本当に適実にやっていけば、かなりの対策になり得る、こういうふうに思いますが、この問題は、例のネズミ講以来、久しきにわたっている問題であります。政府部内でもずいぶん検討いたしましたが、立法の方もそう簡単じゃないようでございます。法制的に考えましてどういう立法をするのか、なかなか結論を得ないままに今日に至っておりますが、マルチ商法というような問題もさらに出てきた今日になりますると、これはもう政府関係各省庁総力を挙げて、この問題は国民に不安なからしめるということにいたさなければなりませんが、さしあたりとにかくやってみて、同時に並行いたしましてこの立法の問題も検討いたしまして、現行法でどうしても困難な点があるという際には、これは新立法をひとつ御審議をお願いしたい、こういうふうに考えております。
○横山委員長 もう一つは、事務当局でけっこうでございますが、十項目の被害者救済について御報告がございました。この被害者救済というのは、いま報告にもありましたように、法的に根拠がございませんし、過去にさかのぼっておりません。しかしながら、それでは実効があり得るだろうか、行政指導で実効があるだろうかという点について疑問があるわけですが、第十項をどういうふうに効果あらしめるように行われるのか、その考えを伺いたいと思います。
○岩田(幸)政府委員 御指摘の第十項目の被害者の救済の問題でございますが、この点は具体的に申しますと二つのやり方を考えております。 一つは、先ほども申しましたように、現在、地方の消費生活センター等に三百三十件に上る苦情ないし相談が行われておりますが、こういう相談につきましては、個別案件でございますけれども、それぞれ被害の救済というものを話し合いをいたしまして、救済をしているケースも幾つかございます。したがって、そうした個別的な問題につきましては、引き続いて消費生活センターなどに、そうした救済措置をとるよう、あるいは話し合いをするよう、指導してまいりたいという点でございます。 それから第二番目は、全国的なものに関する点でございますが、すでにホリデイマジックにつきましては、十二日に公取の勧告を応諾いたしまして、その後、苦情のあった人に対しましてはお金を返すというようなこともやっているかに聞いておりますが、そうした意味で、公取あるいは関係省庁にあらかじめ相談があるものもありますし、また、勧告その他を行った場合に、話し合いによってできるだけ被害者の救済に当たるよう指導するということもできるかと思います。もちろんこれは、これによって一〇〇%被害の救済が行われるかどうか、特に過去のものの救済については若干問題があることは事実でございますが、現行法規のもとでは、そうした指導による救済しかできない。どうしてもその点を考えるといたしますと、新規立法でそうした点に配慮をするかどうかということが、残された問題になるわけでございます。
○横山委員長 わかりました。 —————————————
○横山委員長 次に、物価問題等に関する件について、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山中吾郎君。
○山中(吾)委員 質問をする前に、これは副総理として、一言だけ御見解をお聞きしたいと思うのです。 「チッソへの開銀融資決定」という新聞の記事が大きく出ております。それで、チッソを倒産に追い込めば、水俣病の患者に迷惑をかけるという論理がここに出ておるわけであります。国家資金で企業を救済するということになるわけですが、数年前の山一證券の場合も、庶民の私有財産を保護するために、放漫政策で危機に達した山一證券を救済する。これはどうにもならない矛盾を私、感ずるわけです。 一定の市場を支配する大規模の産業とか、あるいは公害を発生する危険のある産業とか、あるいは一般国民の生活に非常に危険を与えるような産業については、おのずから、利潤を追求する自由と同時に、公共規制を受くべき企業として、自由経済の名において放任すべきだという論理でなくて、当然にそういう産業は公の管理に属すべきものだという思想に立って処理すべき性格のものではないか。 何か先に資本主義、自由経済、一方のイデオロギーで、それはわれわれの主義に反するとかいうふうな、私は偏見だと思うのでありますが、そういうことで、こういう企業がどんなことがあっても国家から保護されておる。そして、ぼろもうけの一方に自由がある。倒産を防ぐ、倒産をすることのない国の保護が一方にある。これは治外法権的な存在になっておると思うのです。 そこで、こういう問題について、ただ水俣病患者を保護するためにやむを得ないとかいうふうな論理で、こういう産業を国家資金あるいは国民の税金で倒産を防ぐという考え方は、私はどの政党であっても考え直すべきではないかというふうに思って、私自身が解決のない矛盾を感ずるので、これは副総理として、見解だけ一度、これからの政治思想の問題としてお聞きしておきたいと思う。
○福田(赳)国務大臣 けさでありましたか、チッソ融資についての新聞報道を見たわけでありますが、中身の方は詳細に読んでおりません、見出しだけであります。 この問題は、かねてチッソが、公害被害者に対する補償、その補償額が莫大に上る、そこで倒産になる可能性もある、そういう事態に対処してどうすべきか、そういう問題があったわけであります。もし倒産というような事態になると、あの膨大な補償金の支払い、これが非常にむずかしくなる、そういうようなことを考えますと、チッソが倒産をするということがあれば、これはひとりチッソだけの問題じゃない。それに対して補償を要求する多数の国民に関係のある問題である。そういう立場から、これは主として興業銀行が債権銀行で、興業銀行はもちろんでありますが、政府部内においても、何か妥当な対策はないものかということを検討しておったわけであります。 ところが、チッソがそういう状態にあるからといって、特例融資というか、日本銀行法を発動して特融をやるというようなことは、とても考えられる性質のものじゃない。これは、商業ベースといいますか、国家の金融ベースに乗るか乗らないか、乗るという上において初めて検討さるべき問題じゃないかというような空気が強かったわけであります。 たまたま、チッソの系統会社で、私、名前は忘れましたが、千葉県に工場をつくろうという会社がある。その会社は開発銀行融資につきまして適格であるというようなことで、その方式で間接的にチッソを援助する方法はどうかということが検討されておったことを記憶しておりますが、恐らくそのラインに乗ったものじゃないかと存じます。そうだとすれば、これは特例を発動したわけじゃない、通常の開発銀行融資のレールに乗っての融資である。しかも、その結果、間接的ではありますけれども、チッソに好影響がある、さらに補償権者に対しまして御安心願えるようなことにつながっていくということで、そのレールに乗ったそういう措置、けさの新聞に出ているものがさようなものであるとするならば、大変結構な措置であったのじゃないかと私は思います。 ただ、山中さんが御指摘になりますように、企業は、国民に迷惑を及ぼすような公害というものにつきましては、本当にえりを正して取り組まなければならぬということでありますので、その点につきましては、別途、公害行政の立場から十分会社の指導に当たるという考えでございます。
○山中(吾)委員 そういうことで結局企業を救うという論理になるわけですから、経済体制の中に政治が考え直さなければならぬ根本的な問題がどこかにあるのではないかということを私は申し上げたのです。個人の場合は、殺人その他を犯せば刑罰がある。企業に対しては、あれだけの殺人的行為を犯せば、廃止を命ずるというぐらいの論理が自然に出てくるはずなんだが、現在の経済の中にはそういう論理は生まれてこない。あるいは数十億の国家資金を投ずるなら、一度国家管理に付してどうするとか、何か別な論理が生まれてきそうなものではないかと思うのです。いずれにしても、解決のない矛盾を感ずるものですから、一応話題にしなければならぬと思ってお聞きしておいたのです。 後で私、灯油問題を聞きたいわけでありますが、その前に、この間、十七日でありましたか、福田長官、森永日銀総裁及び土光経団連会長、日本の経済界のナンバーワン三人が、ここで物価と不況対策についての見解を述べられて、それは聞きっ放し、言いっ放しで終わっておるわけで、非常にもったいないことである。長官も途中で退席をされた。しかし、これは一応整理をして、長官においても有効に活用すべきであると思いますので、そういう意味においてお聞きいたしたいと思うのです。 ニュアンスは違っておりましても、三者は共通点があると私は聞き取ったのでありますが、すなわち、節度のある安定成長政策を目標とする点においては、長官も、日銀総裁も、経済界の代表も一致しておる。第二に、物価安定を前提とする不況対策の推進、この点においても共通点を持っておる。第三に、昔のような成長はもうあり得ないという認識も皆お持ちになっている。 しかし、総論は一致しておるが、各論に至ってくると違った意見が出ておるわけなんです。私の聞くところによると、福田長官と日銀総裁は大体各論でも一致しているのですが、土光会長の方は大分違っておるわけです。その点について、結局企業の立場でありますから、それを福田長官はどういうふうに受け取って対処するかということを、この機会に集約すべき問題としてお聞きいたしたいと思うのであります。 一つは景気についてでありますが、現在、底をついておるということは、福田さんも日銀総裁も大体同じ認識を述べられた。ところが、土光会長の方は、七月か九月ごろに底をつくので、まだ底をついていないという認識を述べて、政府の不況対策はなまぬるい、もう少し積極的にやるべきだという意見を盛んに強調しておりました。福田副総理がいなくなってからですがね。これについて、長官としてはどういう見解をお持ちになりますか。
○福田(赳)国務大臣 私は、土光さんの話は、ここの話もありましたが、別の機会にも伺っておるわけであります。また、私の意見も申し上げ、種々の意見の交換をするという機会も持っておるわけですが、景気が底をついたという判断を強く否定しておるとは思わないのです。大体底には来た。来たが、浮揚力が非常に弱い。このままいったら、いつまで底の状態が続くかわからぬ、そういうことを強調しておるのではあるまいか。しかも今日、企業は赤字経理の状態だ。この状態が続くならば、そういうなべ底の状態のもとにおいていよいよ企業体質が悪化し、ついには立ち上がり得ざるような状態になるのではないかということを深く憂えておる。 そこから先は違うのです。私どもは、御承知のような内容の第三次不況対策を打ち出しておりますが、土光会長の方は、さらに積極的な不況対策を打ち出すべきである、と同時に、金利の問題を非常に強調されるのです。産業の負担を金利引き下げという手段によって軽減する、こういう考え方を強力に進められたい、こういうことを言っておるわけであります。ですから、方法論において、違いは多少立場に応じてあるのだというふうには思いますが、基本的な認識におきましては、まあ大体同じような考え方だ、こういうふうに受け取っております。 そこで、基本的なものはさておき、具体的対策のこの二つの問題です。第三次不況対策ではまだ不足であるというお話ですが、私どもは、これに対しましてはこれからの景気の成り行き等を注目してまいる。現時点では、まず夏ごろ、七—九月、第二・四半期、この段階から逐次景気は上昇過程に転ずるという展望を持っておるわけであります。しかし、経済は生き物でありますから、どういう変化を示すかわからぬ。それに対しましては、随時機動的な、弾力的な構えをもって対処をしていきたい、こういうことであります。 それから、金利の問題につきましては、土光さんのおっしゃること、非常によくわかるのです。わかりますが、これは日本銀行も、この問題については経済界の成り行きを十分注目していると思うのです。最終判断は日本銀行において行う、そういう性格のものでありますので、私がここで言及するということにつきましては、これを避けておきたい、かように存じます。
○山中(吾)委員 土光会長は、底は七月から九月であるというふうに言っているのですよ。「われわれが、一体底はいつだということを調べますと、大多数の企業は、やはり七−九月であるという回答が出てくるのであります。」と、はっきり言っていますね。福田長官と日銀総裁は、底をついて、後はしかし回復はごく緩慢に行くのだ。根本的な違いがそこにある。もし違いがあれば、それは大いに政府としては財界の考え方、その基礎はどこにあるかということを明確にして、その辺はやはり一致さすべき必要があるのではないか。 ちょうどきょうの新聞に「日銀券発行残高十年ぶりの低水準」というので、六月が一四%を割りそうだという大きい見出しが出ている。これで日銀総裁も少し困って、これは底割れでなくて、底広がりというような言葉を使っておるようでありますが、この辺については土光会長も、いつも政府はあらゆる政策が手おくれで効果のないことをしておるというようなことも言っておるものですから、後で政府がまた財界から軽視をされることのないような行き方をとるべきだと私は思うのです。 特にこういう食い違いがありますから、その点について、政府は明確にそうでないと言えますか。
○福田(赳)国務大臣 土光さんは、経団連会長として、各企業の状態を見ておるのだと思います。私どもは、各企業のことももちろん頭に置いておりますけれども、経済全体の流れ、そういうことを中心に日本経済の誘導ということを考えておるので、立場が多少違うのじゃないでしょうか。私どもはマクロの立場が主になる、土光さんの方はミクロの立場が主になりがちじゃないか、そんなような感じがします。 そこで、経済全体につきましては、山中さんも御承知のように、もう生産が三月から上昇カーブをずっと続けておるような状態であります。こういう状態を見まして、大体底固めのときに来た、そういうふうな観察をする、これは大方の人がそういう観察をしているのだろうと思います。 ただ、各企業から言うと時間的要素がありまして、昨年来、不況状態だ、赤字経営の企業が多い、その赤字の状態が、多少生産が上がるにしてもなかなか改善はされない、それで息が続かないという問題があるのじゃあるまいか、そういうふうに見るわけでありまして、基本的に、生産が上昇過程をずっととり続けておる、そういう認識につきましては、私は土光さんもそういうふうにお考えになっておられるのだろうと思います。 さて、生産の上昇がありましても、またそういう傾向が出てくるにいたしましても、この程度の生産上昇では、今日赤字で苦しんでおるその苦しみというものは、月がたつに従いまして加重されればとて軽減はされないという気持ち、これは確かにそういう気持ちが各企業の中にあると思いますが、そういう気持ちを代表されましてのただいまのように御発言だと思います。財界がこう言うからといってそのとおりにわれわれがしたら、また山中さんからも財界べったりじゃないかなんて言っておしかりを受けるかもしれませんけれども、財界の意見というものも日本経済運営の重要なる御意見でありますので、土光さんの言われる点、そういう問題につきましてもわれわれも篤とそしゃくいたしまして、そして全体の日本経済の運営に誤りなきを期していきたい、かように考えます。
○山中(吾)委員 政府も日銀総裁も、マクロ的に見て底に達しておる、これは正しいと思うのです、やはり土光会長のは、ミクロ的に個々の企業からきているものですから。私は何でこういう問題を長官にお聞きするかというと、政策はマクロ的に決定すべきである。しかし、個々の救済手段はまたミクロ的に手当てをしなきゃならぬが、ミクロ的に個々の企業ということになってくると、ほとんど政策の基本方針が立たないので、あくまでマクロ的に考えて、それを基調として政策を立てるべきだ、そうでないとまた間違いを起こすと思うので、申し上げたのです。 次に、五十年度の経済成長四%は不可能だ、これは土光会長が明確に言っているのですが、それはいかがですか。
○福田(赳)国務大臣 四・三%の実質成長ということを申し上げておるわけでありますが、これにつきましては二つの変化があるのです。 一つは、昭和四十九年度の速報ができ上がってきております。その速報が、四・三%という成長率を決めましたあの経済見通しですね、あの時点における四十九年度の見通しと多少の変化が出てきておる。その変化というのは、実質ではマイナス〇六%というので、経済見通しよりは速報の方が改善された結果になるわけです。それから、逆に物価の鎮静化があの当時の見通しよりは進みまして、その結果、名目成長率におきましては、これは軽微な額でございますが若干の減少を来しておる。こういう状態になるわけでありまして、軽微ではありまするけれども四十九年度の関係で多少の動きが見られる、こういうことでございます。 もう一つは、実体経済の動きであります。五十年度、実体経済は年度間としてどういうふうに動くかというと、年初ごろからなだらかな景気回復の過程に移るであろうというふうに見ておりましたものが、どうも一・四半期ぐらいのずれが見られるようであります。 そういうことが実質成長にどういう影響を及ぼしますか、そういう問題があるわけですが、これはまだ年度が始まったばかりでありまして、この先々がどういうふうな動きを示してくるか、経過を少し見ないと、四・三%がむずかしいかどうかというような判断は、ちょっと明確にはつきかねるわけでございますけれども、多少の景気回復のずれがありますので、まあ観測といたしましては、四・三%という数字にいくかどうか、これはちょっと疑問に思われる。しかし、大きな狂いというふうな考え方はいたしておりません。これからの推移を見てまいりたい、かように考えております。
○山中(吾)委員 このことを申し上げたのは、成長率というものを優先的に考えるか、長官の一けた物価抑制を重点に考えるかということで、明確にしておくべきだと思うので申し上げたわけであります。 財界の方からは、そんな成長率はない、政府は四・三%と言っているが、われわれは三・四%、皆逆になっているというようなことも言われておるのですが、さらにゼロ成長論もあるし、そうすると、不況対策をもっとやるべきだと言って、今度物価対策が後回しになる。そういう刺激の方が多くなる。 そこで、長官自身が、あくまでも政治的責任において一けた物価目標を堅持して、実現の可能性もあるし、あくまでも貫くということをおっしゃっておりますし、それを前提として不況対策を立てていくわけですから、その点を明確に、財界に対する指導性も持っていないと、これからいろいろと物価よりも不況対策という方向の声が多くなると思うので、お聞きしたわけなんです。その点、もう一度お聞きをして、次に移りたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 四・三%実質成長というところにいくかいかないか、これは、多少景気回復のずれがありますので、私もいま明確なお答えができないような状態ですが、四・三%というのは、その数字自体にそう意味を持たしておるのではないのです。景気がなだらかな回復をし、まあ大体四%がらみの成長の結果になるだろう。アクセントは、どこまでも景気のなだらかな回復というところにあるわけです。 そういう意味からいたしますと、私は、ことしは物価も、また景気も、いずれも妥当な結果になる、こういうことを目標として諸政策を進めたいし、同時に、これはそういう結果をもたらし得る、こういうふうな見通しを持っておるわけであります。 物価か景気かなんというような厳しい選択、そういうことに迫られるというようなことがあるということは、これは私は非常に歓迎せざる事態であり、そういう事態に追い込まれることをなるべく避けていきたい、こういうふうに思いますが、九・九消費者物価目標がある、四・三成長目標がある、そのいずれかと、こういうことになる。四・三というような数字、これは非常にきっちりそこへ持っていくということは、これだけ大きな経済ですから、そう簡単にいくものではございませんけれども、景気か物価かと言えば、これは両全させます。しかし、四・三か九・九かという選択だということになれば、四・三の方に若干の狂いが来ても、九・九の方を尊重していきたい、そういう気持ちでございます。
○山中(吾)委員 物価安定を前提として不況対策を立てるというお考えが、いまの言葉ではっきりしてきたので、私も、四・三というような数字にこだわるべきでなくて、むしろ物価を一けたに持っていくということは、これは少しこだわるべきであると思う。 先般、松浦委員からも、九・九%に持っていくのには、四月、五月の東京物価指数を見ると、これを残る十カ月で割ると、〇・六、七%しかあとは余裕がないではないか——生産者米価に関連した消費者米価も出るし、非常に困難な状況にあるので、この点はやはり大前提として不況対策を立てるということが、福田長官の責任でもあると思うのですが、だんだんと状況によって、この一カ月ぐらいの間に、少しずつ福田副総理の発言が、ニュアンスが変わりつつあるので、その基本的な考えだけは堅持してもらいたい、そういうふうに思うので、この間の参考人との話のずれを一応集約してみたわけであります。 そこで、中期社会経済計画というものを本年度じゅうに発表する。確かに国民にめどを示さなければ協力体制ができないので、これはぜひ公約どおりお出しになるべきだと思うのですが、戦後ちょっと見回してみますと、経済自立五カ年計画、新長期経済計画、所得倍増計画、中期経済計画、経済社会発展計画、新経済社会発展計画、経済社会基本計画、三十年から現在に至るまでに、大体三年ないし五年ぐらいの計画を後から後から出して、全部挫折をして作文に終わっておる。そうして、その中身は大体、成長率を何%にする、そして若干の経済の修正をするようなことを出しておるようでありますが、もし同じような計画をお出しになるのならば、また同じ運命になるのではないか。 今度こそ構造改革的な内容でなければ、私は同じように作文に終わると思う。やはり新しい価値観に支えられるような構造改革的な一つの計画が予定されていなければ、出さぬ方がいいのではないかとさえ思うので、この点についての長官の御意見を聞いておきたいと思いです。
○福田(赳)国務大臣 政府におきましては、本年中に中期計画の骨子をまとめたい、こういうふうに考えております。と申しますのは、五十一年度の予算の編成があるわけでありまして、それに間に合わせるという配意をしておるわけであります。 それに先立ち、来月中旬ごろ、経済審議会に対しまして、中期計画のあり方についての諮問をいたすという手続をとろうと思うのです。今月中というふうに皆さんにも申し上げたのですが、国会の議事の進行状態等を考えてみますと、そういう動かし得ない日程をつくることがなかなかむずかしいというので、国会終了後と、こういうふうにいたしたわけです。 御指摘のように、今度の計画というものは、在来の計画と非常に性格が違うのです。つまり、高度成長という思想で大体いままでの計画はできておる。これが一転いたしまして、安定成長基調ということになるわけでありまして、それを踏まえての中期計画ということになりますから、これは性格的に非常に大きな変化があるわけであります。 そういうことを考えますと、国の行政につきましてもしかり、また地方団体においてもしかり、また企業においてもしかり、また家庭もそうだろうと思うのですが、山中さんのおっしゃるような構造的な改革ということを背景としませんと、妥当な中期計画というものはできないのじゃないか、そういうふうに思いますので、その点は今度の計画をつくる際の一つの大きな柱として策定いたしたい、こういうふうに考えております。
○山中(吾)委員 期待をいたしております。 財界に対する指導性、それから国民の信頼を受けるような、安心をして協力できるような計画を出されないと、スタグフレーションからの克服というのは不可能だと思うので、先般の三者のおのおのの違った立場の意見を聞きながら、私なりに長官の今後の方針、考え方をお聞きしたわけであります。 そこで、時間がございませんので、灯油についてお聞きしたいと思います。 この間指導価格を廃止したのでありますが、その後の灯油価格の動きを、通産省、ちょっと説明してください。
○左近政府委員 御案内のとおり、六月一日に、来るべき冬の需要に適合するように、灯油の備蓄を推進する意味におきまして、いままでやってまいりました元売価格の指導を撤廃いたしました。 その後の状態でございますが、元売業者といたしましては、大体月半ばごろから上げ始めておるようでございまして、大体三千円前後のものが多いというふうに把握しております。 それから、末端の小売価格でございますが、これは私の方で、通産局を通じて調査を絶えずしておるわけでございますが、最近最も新しい調査結果は、六月十七日現在のものがわれわれのところに参っておりますが、これによりますと、全国的に見ますと、不需要期だというせいもありまして、地区によっては若干上がっておるところもございますが、そのままのものもございまして、まず上がっておるところで、大体十八リットルかん一かん当たりで三十円ないし五十円程度上がっておる、しかし、それも全体の中ではそれほど多くはない、こういうのが現状でございます。 われわれ六月一日の措置以降、この元売価格、それから小売価格の動向は十分監視してまいりたいというふうに考えておりますので、今後も十分それらについて、それぞれの機関を通じて実情を把握したいというように考えております。
○山中(吾)委員 これはうわさですから、私、疑うわけでもないのですが、通産省はメーカーに対して、六、七月の二カ月間に一キロリットル五千円を上げることを大体認めておるといううわさがあるのですが、その事実はあるのですか、ないのですか。
○左近政府委員 そういう事実はございません。ただ、六月一日に自由にいたしますときにわれわれ考えましたのは、ここで急激な値上がりが出てまいりますと、需要家の方にはもちろん大変な御迷惑でもございますし、また、流通段階で便乗的な値上げが起こる、急に上がりますとそういうおそれがあることを、過去の石油危機以来われわれの経験として知っております。したがいまして、不需要期でもございますので、なるべく値上げを先へ延ばす、もし値上げをするとしても、急激な値上げはやるべきではないということは、私たち指導をしておりますけれども、その値段の内容を幾らにするのが妥当であるかというようなことは、一切指導はいたしておりません。
○山中(吾)委員 これは岩手の例ですから、寒冷地帯の例と思います。恐らく北海道、東北あたりはこれにならってくると思いますが、末端価格について、大体五千円ということをめどとしてメーカーが値上げをするプランがある。一回では騒がれるので、二回ぐらいを前提としておるようでありまして、たとえば大協石油は六月十六日には三千円値上げをしておる、そして七月一日には二千円を値上げすることを小売りに通告をしておる。日石の場合については六月十六日に二千七百円引き上げておる、七月中旬には二千三百円引き上げるという通告をしておるようである。これは日時、それから引き上げの額は違うのでありますが、六月、七月の二回にわたる総額はどちらも五千円なんです。一方は最初に三千円上、げたものが二回目には二千円、一方のは一回目に二千七百円、後は二千三百円、結局五千円になるようにしておる。 これはどうも、メーカーの中で、引き上げる日時と引き上げる額は別にしても、この二ヵ月の間に五千円上げるというふうなことを話し合いをしておるのではないかという形勢が非常にある。ある意味において、脱法やみカルテルということになると思うのであります。これがもし事実とすれば、私はやはりやみカルテルとしてこれを考えなければならぬと思うのですが、公取委の事務局に、見解だけ聞いておきます。
○熊田政府委員 ただいまお話がございましたような、石油元売業者が六月、さらに七月というふうに、三千円前後、あるいは二千円前後、合わせて五千円前後というような値上げをするという、そういう動きがあることにつきましては、私どもも新聞等で承知をしておりますが、果たしてその間に事業者の共同行為が介在しておるのかどうかということにつきましては、私どももまだ実態を十分に把握しておりませんので、わからないのであります。 もしも事業者の共同行為が介在をしておる、それによって一斉にそういう五千円というような値上げが二カ月にわたりまして行われるということであれば、これは独禁法上問題になるというふうに私ども考えます。果たして共同行為があるのかないのか、また七月にさらにそういう値上げがあるのかどうかというようなことにつきまして、今後の業界の動きを十分に注意してまいりたいというふうに考えております。
○山中(吾)委員 見解をお聞きしておきます。 それから、通産省にもう一度聞きますが、指導価格を廃止するについて、便乗値上げその他をしないように指導されることは当然であり、されたと思いますが、そのときに六項目にわたる念書をメーカーから通産省がおとりになって指導されたのかどうか、その事実はどうですか。
○左近政府委員 先ほども申し上げましたとおり、今度の指導価格の撤廃は、この冬の灯油の供給を円滑にするというのが主な目的でございまして、その目的を果たしてもらわなければ、せっかく自由にした意味もございませんので、この六月一日に自由にするに当たりまして、各社の責任者を私の方に個別に呼びましてそれぞれ指導したわけでございます。その指導した点について、念書をとったことも事実でございます。 念書の内容は、先ほど申しましたような、つまり値段を急激に上げないというふうなこと、あるいは将来、値が急激に上がり、あるいは大変類似の油種との価格のバランスも壊すようなことがあれば、われわれとしてはまた指導するというようなこと。 それから、これが一番肝心なんですけれども、需要期に向かって十分な在庫積み増しをしてもらいたい。そして、流通段階へも要望があればどんどん出荷をしてもらいたい。実はこの五月ごろに、流通段階へ元売りが出荷することを渋るのではないかといううわさがございました。したがいまして、そういうことでございますと、流通段階での物が不足ということはまた値上がりに通じますので、この点を特に指導したわけでございます。 そのほか、寒冷地について、ことに北海道あたりは、かつては元売仕切り価格がほかの地区よりも輸送の面等々で割り高であった事実がございますが、昨年の十一月に、その事実を改善するように元売業者に対して指導いたしまして、いまは余り格差はなくなっております。ただ、自由になったからといって、私らがかつてやりましたそういう遠隔地への元売仕切り価格の高値というものを抑えるという指導まで自由になったと思われては困りますので、これを十分やってもらうということを念を押しました。 それから、生協その他一括販売というのがございますが、これについても、過去にやはり消費者側から一括販売の契約がスムーズにいかなかったというような苦情がございますが、これもひとつこの際、ちゃんとお互いによく話し合って、話を決めるようにということも言っております。 その他、現在不況でございまして、石油価格は、ほかの品種も非常に値が上がりませんで困ってはおるわけでございますが、いやしくも家庭用の商品でございます灯油の方に、ほかの物の値上がりができないというものを転嫁するということは、われわれとしては認めることはできませんので、そういうことは絶対避けていく。 以上のような点についての念書をとったわけでございます。
○山中(吾)委員 非常に適切な指導と思います。 そこで、仮に五千円を業者が上げた場合には、一キロリットル五千円ですから、一リットルが五円、一かん十八リットルが九十円になる。そして、流通機構は二次店、三次店、四次店と三段階で消費者に入っていくわけですが、手数料五円ぐらいが入って九十五円、配達が大体東北は九十円、現在の小売り五百九十円を基礎にしますと、それだけで七百七十五円になるわけです。岩手県だけ計算をすると、十五億円消費者が昨年よりは多く払うという計算になるわけでありますが、冬、ふろをたく、その他暖房などの関係から、これでは大体月二万円ぐらいになってしまうのじゃないか。これだけで大変な家計の圧迫になる。 しかも、小売業者はメーカーが上がった分を上げただけでこうなる。小売業者は何にもそこで恩恵を受けていない。したがって、消費者は小売業者に対してもっと安くしろという論理が生まれてこない。メーカーの方だけに終わるということに、私は非常に矛盾を感ずるわけであります。 そのメーカーに対して、通産省及び経済企画庁は指導をされる責任があるのです。これは生活関連物資であり、ことに北海道、東北のようなところは、冬、暖をとらなければ、もう子供の勉強その他までできなくなる状況でありますから、その辺は厳しく、皆さんは備蓄をさすために指導価格をはずしたというのでありますから、便乗値上げあるいはそういういまのようなやみカルテル的な行動に対して厳重に監視をされて、もしそういうことがあれば、再び指導価格を設定するという立場で向かってもらいたいと思うのです。この点については、福田長官からひとつ明確な御見解を聞いておきたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 今回の措置は、通産省が、需要期に対しまして備蓄がうまくいくようにと、こういう配慮からしたわけでありまするが、一番大事な問題は、何といっても末端価格がどういうことになるかということでございます。末端価格に需要期になって混乱が起きるという事態になりますれば、これはもう政府も黙っておるわけにはいかないですから、指導価格制の復活、こういうことも含めまして、適当な対処方策をとらなければならぬ、こういうふうに考えております。
○山中(吾)委員 そこで、具体的に通産省の方針を聞きたいと思うのですが、大体三千円上げておるわけですね。さらに七月にまた二千円ないし三千円上げようとしておるわけでありますが、三千円ならば一リットル三円であり、一かん五十四円の値上げ、小売価格は五百九十円に五十四円加えると六百四十四円になる。そこへ配達が入るわけですが、その辺で値上げをしない指導をされるべきではないか。現在の、一回の三千円ぐらいの値上げで、さらに七月を第二次として計画的に引き上げるということについては、極力それを抑えていく指導をされるべきではないかと思うが、いかがですか。
○左近政府委員 灯油の元売りの価格がいかようにあるべきかというふうな問題かと存じますが、この灯油価格というものが、やはり類似の油種、たとえば灯油も工業用の灯油がございますが、工業用の灯油とか、あるいは軽油、A重油というふうなものとの値のバランスがございまして、実は昨年の六月に元売仕切り価格の指導価格を決めましたときも、それらの油種の価格とバランスをとりまして、端的に申しますと、軽油とかA重油並みの値段にいたしたわけでございます。したがいまして、われわれとしては、今後の問題といたしまして、軽油とか工業用灯油の価格とのバランスが必要かというふうに考えておりまして、それがまた、先ほど申しましたような冬に向かっての在庫の積み増しを可能にする値段ともなろうかと思います。したがいまして、今後はこの値段の動き、ことにそれがまた末端にどういうふうに響くかには十分注目してまいりたいと思いますけれども、現在の段階では、幾らがいいということにいたしますと、それがまた一種の下支え効果も生じますので、この点は幾らというのを申し上げることは御勘弁願いたいと思いますが、末端価格が、いまおっしゃったように東北、北海道の方々に大変な大きな負担になるような値上がりをしないような努力は続けてまいりたいというふうには考えております。
○山中(吾)委員 私は余り無理を申し上げておるつもりではないので、民生灯油はメーカーの全生産のシェアから言うと全体の二%にしかなっていない。したがって、二%の生産シェアしか占めていない民生灯油を若干原価を割っても、メーカー全体として赤字にならない、あるいは工業関係に若干コストプッシュというものを認めても、民生灯油については値段を抑えていくということは、現代の政治思想としては常識であり、業界も協力するのではないか、また、させていいのではないかと思うので、申し上げているわけなんです。 どうも通産省の課長あたりと話をすると、やはり需要供給の関係から、自由価格という観念で突き通すという主張が非常に強いわけであります。企業全体の採算は皆さん考えるべきでありますが、その中のたった二%にしかならない民生灯油でありますから、例年、冬になると生活不安を引き起こして、どれだけ精神的に暗い影響を与えるかわからない、寒冷地に住む国民のことも考えて、私はできるだけの対処をされることを要望するわけなんです。 それから、時間がないので、結論の提案をして、御意見を聞いて終わりたいと思います。 そのため、一方に流通の合理化をあわせて進めるべきではないか。国の方が処理をしないものですから、北海道、東北各県においては、いろいろと県行政の中で苦心をしております。たとえば、配達費用を安くするために業者がタンクローリーを購入するについては、その二分の一、三分の一を融資し、利子補給をするとか、それから団地にホームタンクをつくるについては、それに対してまた利子補給をするとか、各県独自の姿で灯油を冬に向かって消費者の立場で備蓄をするというものについていろいろと苦心して補助をし、援助をしておるわけであります。 これは、一方にメーカーの原価計算からくる立場もあるのでありますから、少なくとも流通の合理化のために、各県のそういう貯蔵施設あるいは共同配給施設というふうなもののために、国が融資または補助の便宜を計らって、そして消費者価格を抑えていき、冬の生活不安をなくしていくということはやはりとるべきではないか。これは経済企画庁、それから通産省、両方にお聞きしておきたいと思います。
○左近政府委員 流通面の合理化につきましては、御指摘のとおり、やはり今後十分推進していかなければならないというふうに考えております。ことに灯油につきましての流通段階は非常に複雑でもございますし、数も、小売業者、卸業者含めますと、全部で十数万というふうな数にもわたっております。したがいまして、これを合理化することによりまして、末端消費者により安い灯油を供給できるというようにわれわれは考えております。 それで、私らの現在考えておりますことは、先生もおっしゃいましたように、やはり県ごとぐらいに共同の備蓄施設をつくってみたらどうか。そこで、単に冬の備蓄のみならず、最近では若干、緊急時の備蓄ということも言われておりますので、少しそういう、ある意味での長期的な備蓄も図る、そうしていざというときには県内の配給のもとにするというふうなことも考えてみたらどうかということで、検討をいたしております。今後また十分こういう点について、われわれも前向きに進めていきたいというように考えております。
○福田(赳)国務大臣 お話、ごもっともなことでございますので、通産省とも協議いたしまして、最善を尽くしてまいりたい、かように考えます。
○山中(吾)委員 これで終わりますが、なお私の方から切望いたしたいと思うのは、政府が考えておる備蓄七十万トンですか、これは原油ですからね。これはメーカーに対する備蓄政策で、末端の方から言えば、灯油そのものを備蓄するのでないと、何らの安定感が出ないわけです。だから、メーカーの方では、灯油をつくらないで、もっともうけになるものをつくる自由もあるわけです。 したがって、私の申し上げるのは、現在の政府の備蓄政策は原油に対するものであるから、メーカーに対するある意味においての指導行政であり、ある意味において間接に援助になる、便宜を計らうことになる。消費者の立場の民生灯油そのものについて不安を与えない、そうして備蓄が少なくなった場合に、また数年前のような暴騰を起こすようなことのないためには、灯油そのものの備蓄をしてやらなければいかぬ。そこで、政府もその点について十分配慮をされて、一つの政策を検討していただきたいと申し上げておる。 いま長官も、通産省とよく相談して、前向きで検討されるということでありますから、だんだん寒くなる前に、ひとつそういうことについて具体的な対策をお立て願うことを切望しまして、質問を終わります。
○横山委員長 加藤清政君。
○加藤(清政)委員 物価の問題と、特に異常なる値上がりを示しております豚肉の問題と、それから統計局に対しまして若干質問をしたいと思います。 特に、物価安定はみんなの願いということで、景気がよくなるよりも、むしろ物価が安定しておった方が心がなごみ、生活の設計が立つということで、最も重要な国民経済の課題としての物価対策であるわけでございます。 福田副総理は、胸を張ってこの物価対策に取り組んでおるわけでありまして、特に消費者物価を今年度一けたの九・九%以内におさめるという確信ある答弁をされておるわけでありますので、そのことにつきまして最初にお尋ねしたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 いま物価の情勢は着実に改善の方向に向かっておる、私はこういうふうに見ております。問題は、消費者物価一けた台の目標、こういうことになりますが、その消費者物価の先行指標とも見られる卸売物価、これはもう最近とみに落ちつきの傾向でございまして、実は五十年度の経済見通しにおきましては、消費者物価は九・九になっておりますが、卸の方は七・七になっております。それがすでに今日この瞬間におきましては二・一、こういうことになっておるわけです。 これは消費者物価の動向に対しまして非常にいい影響を持つであろう、こういうふうに思いますが、なおこれから先、その他の要因がどういうふうに動いていくか。まあ賃金がとにかく一三%内外のところに落ちつくということは、これは大変物価情勢には、特に消費者物価に対しましていい・影響を持つ。それから国際商品の価格がちょっと頭打ちの状態になってきておる、これも大変いいことになるだろう、こういうふうに思います。 あと、いま企業が非常に苦しい。先ほど山中さんからお話がありましたが、ミクロに見まするときに、企業の中には大変苦況に陥っておるものが多いわけです。その企業において、製品の値上げをしたい、こういうことを希望するのは当然だ、こういうふうに思いまするが、その辺が爆発的にいくということになりますると、これはまた非常にむずかしい事態になる。私は、この企業の値上げの動きに対しましてどういうふうに対応するかということが、非常に重要な課題であると思いますが、企業側に対しまして、企業の要望する景気政策をとる、このことは、製品の値上げに対しまして、その度合いを間違わなければいい結果を生ずるであろう、こういうふうに思いまして、そういう施策もまたとっておるわけであります。 大体の見通しといたしましては、物価は予想のような結果になるように、また、景気も、経済見通しで考えておるような年度間なだらかな上昇に立ち至るように、また、そういうことになるという見通しに立ちまして、諸施策を運営しておるというのが現況でございます。
○加藤(清政)委員 物価上昇が着実に鎮静度をいっておるというお話がいまありましたが、総理府の統計局の発表によりますると、東京都区部の消費者物価指数は、総合指数で五月に一七一・五でありまして、対前月比で一%増加と、かなりな上昇を示しておるわけであります。四十九年度の五月と比較してみましても一四・四%上昇でありまして、五月も一向に物価は鎮静していないという状態であります。 特に消費者物価指数は、昨年十一月から見ますると、本年二月までは対前月比では大体〇・六%以下の小幅な上昇にとどまって、大変鎮静度を見せたような状態でありましたが、今年三月には対前月比で一%、四月には二・五%、五月には一%と、じりじりと上昇を続けているわけであります。逆に上昇の度合いが加わっておるというのが、ここ三ヵ月の上昇率であるわけであります。 消費者物価指数の上昇を昭和五十一年の三月には一けたの九・九%以内におさめるという福田副総理の強い信念と確信のほどが聞かれておるわけでありますが、このままでまいりますると、来年の三月に対前年同月比を一けたにするためには、逆算をすると、消費者物価指数は一八二・二以下に抑えなければならないことになるわけであります。一八二・三以上では、一〇%以上の上昇になってしまうわけです。五月にはすでに一七一・五になっていますので、残されたのは一〇・七しかないわけであります。これでは、六月以降の毎月の上昇率を対前月比で〇・六以下におさめて、やっとぎりぎりで一けた以内におさまっていくという計算になるわけでありますので、福田副総理の万難を排しても実現する決意を披瀝されたわけでありますが、こういう上昇度を加えて、果たして来年に確信を持って一けた以内におさめられるかどうかという点について、副総理の御意見を承りたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 どうも卸売物価と言い、消費者物価と言い、これを押し上げる要素はそうないと私は思うのです。もう需給は非常に緩んでおる、こういう状態で、需給要因から物価が上がるという傾向はない。まあ賃金がなだらかな解決になったというので一安心はしておるものの、賃金が一三%程度の上昇だということは、それだけコストが上がるのですから、これは物価をそれだけ——それだけと言うか、それに相当するある程度の引き上げという結果になる、これはそのとおりだと思います。ほかに目ぼしい引き上げ要因というのはないのです。 消費者物価になりますと、天気、これが非常に大きな作用をなす。それから海外の動向、そういうものに重大な変化が出てくるということになれば、これもなかなか対処するのに困難な問題でございますが、そういう天候関係だとかへあるいは海外の事情の激変という以外にそう問題はないのです。 先ほども申し上げましたが、企業の中で経営が苦しい。その関係で値上げをしたいという空気がある。これが一つの大きな問題でございますが、これに対しましては、企業の方の自粛をいま要請しておる。かなり理解をしてくれておる、こういうふうに思いますが、そうなりますと、どこで心配があるかというと、そう心配するところはないのです。確信を持って、自信を持って消費者物価の目標の実現ということに努力してまいりたい、かように考えております。
○加藤(清政)委員 本年度に入ってから、消費者物価は、いま申し上げましたように、ここ三カ月ほど上昇しておるのですが、それに加えて、公共料金の値上げが予定されておるわけであります。たばこは平均四八%の値上げ、酒税の引き上げに伴う酒だとかビール、ウイスキー等の値上げ、郵便料金値上げなどがすでに上程されておりますし、また、昨日の発表によりますると、生産者麦価が発表されまして、値上げが決定いたしました。これからは、消費者米価と消費者麦価がどのようになるかということが注目されるわけであり。ますが、生産者麦価の値上げは決定いたしましたが、消費者麦価については値上げがされないで抑えられるであろうということが言われておりますけれども、消費者米価の値上げというものは大変なはね返りを来すであろうということが想定されるわけであります。 このほかにも、私鉄運賃が秋には値上げの申請をするであろうと言われておりますし、電報、電話料金、さらに国鉄運賃なども、過日は各新聞に、二億円以上かけて国鉄の経営の現状、運賃の実態というものをPRしておるわけでありまして、こういった値上げの問題がこれから出てくると思われるわけであります。 政府が公共料金の値上げを推進することは、物価安定に逆行する形になろうと思うわけでありまして、本当に政府が物価の抑制に取り組んでいくということであれば、何としても公共料金は物価が安定するまでは全面的に凍結すべきであろうと思いますが、物価安定には全力投球して取り組む副総理は、この公共料金の凍結についてどのように考えておられるのか、伺いたい。
○福田(赳)国務大臣 こういう物価情勢の際に、公共料金を凍結するということは非常に有効な働きをなすわけです。そこで、予算編成の際に、公共料金をどういうふうに扱うか、十分議論をし、検討したわけでありますが、一方、財政上の立場、それから企業運営上の立場、そういうことを考えますと、公共料金問題を凍結のまま長くほうっておくわけにはいかない、こういう事情もあるのです。そういうことを考えまして、公共料金問題は時間をかけて解決しよう、こういうことで、ことしは酒、たばこ、郵便料金というものの値上げをやる。それから米価、麦価につきましては、これをペンディングにしておくという方針で予算編成をやったわけです。 いま御指摘の国鉄だとか、電報料金でありますとか、あるいは電話料金、こういうものも改善しなければならない事情にはありますけれども、物価政策の見地から、これは五十年度におきましてはその引き上げはいたしませんという方針を決めておるわけであります。また、私鉄につきましてお話がありましたが、これもまだ具体的な私鉄側の動きは承知しておりませんけれども、これに対しまして、政府はこの引き上げを認可するという考え方——私鉄側から正式な動きもない今日でありまするから当然のことでありますけれども、これを軽々に認可するという考え方は持っておりません。 そういうようなことで、公共料金につきましてはかなり配意をしているのです。そして酒、たばこ、郵便料金、また若干の問題を抱えておる。そういうことを前提といたしまして、消費者物価は一けた台におさめるという方針、見通しを立てておるわけであります。公共料金問題は、予定した以外のものにつきましては、これは厳に抑制方針をとって物価政策を推進しなければならない、こういうふうに考えております。
○加藤(清政)委員 公共料金の引き上げは、それ自身が消費者物価に及ぼす影響よりも、物価安定に対するあきらめムードをつくったり、便乗値上げを誘発するという心理的な影響が大変大きいと思うわけであります。特に政府の今度の公共料金の引き上げによって、消費者物価に与える影響は、たばこが〇・六%、酒類が〇・一%、郵便料金は〇・二%と、きわめて微々たるものであるというお話でございますけれども、こういった便乗値上げだとかあきらめムードをつくるということは、非常に物価対策上重大な問題であろうと思うわけであります。こういう公共料金の値上げによって発生すると思われる便乗値上げなどについては、一体どのように対応していくのか、その点をお伺いしたい。 もう一つは、自治省なんかで公共料金の問題についてはこういう見解をとっているわけですね。企業内の努力をすると同時に、適正な値上げをして、そして公共料金体系というものを立てていかなければならない、こういう自治省の考え方でもありますし、それから、大蔵省では公共料金値上げに積極的に動いておって、財政危機の折から、財政負担の増加を避けたいというようなことで、公共料金に対する考え方は、大蔵省、自治省はきわめて積極的な態度をとっておるわけでありますけれども、福田副総理は公共料金値上げに対しては抑制の立場をとって、いま御答弁のありましたように、公共料金は全面的に凍結することが望ましいというお話があり、財政上の立場だとかあるいは企業経営上の立場というようなことがあるけれども、やはり公共料金はできるだけ抑えた方がよりベターなんだという御答弁がいまありましたが、このことについても重ねてひとつお伺いしたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 まず、公共料金値上げの波及の問題でありますが、これはうっかりしておりますと、そういう問題があり得るわけであります。お米だけだとしますと十円とかそこらの値上げだというのが、どんぶりの値段にすると五十円上がったとか、そういうような便乗的な値上げを誘発しやすいのです。そこで、もしこれをお米の値上げをするということになりますれば、便乗値上げが多発をするというようなことに対しましては、これは十分気をつけなければならぬ。全国に物価調査官が一万何千人とおるのです。そういう人も目を光らせていかなければならぬし、また、中央におきましては農林省も、食品行政という面から十分の警戒をしてもらわなければならぬし、便乗値上げの誘発、これが波及の最大の問題でありますが、これにつきましては最大の注意を払いまして、そういうことにならぬようにしなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。 そういうことも考えまして、とにかく麦の方は、売り渡し価格の引き上げは当面これを見送るというような方針でございますが、米につきまして、もし消費者米価の引き上げというようなことを行う場合におきましても、そういう注意を払いながらやっていきたい、かように考えております。 それから、地方公共料金の問題でございますが、これは実は自治省で、各都道府県に対しまして次官通達を出しております。これは新聞で見て、大変誤解を与えることになりはしないかと思いまして、さっそく自治省の真意を確かめましたところ、どうも誤解を与える文章にもなっておる。そこで、両省、企画庁と自治省が相談をいたしまして、その通牒の解釈、運用につきまして統一的な意見の調整をいたしたわけでございます。その結果、地方公共料金の引き上げを行うに当たりましては、その前提といたしまして、当該企業の合理化、これに最大の努力をした上のことである。そういう努力をした上、万やむを得ずして公共料金の引き上げを行うというに際しましても、国の物価政策と調整を十分とって最後の決断をする、こういうことにいたしたわけであります。 そういう線に従いまして、自治省では都道府県に対しまして指導に当たるということになっておりますので、大体結果におきましては国と同じような考え方で地方公共料金の問題は措置される、かように御理解を願いたいと思います。
○加藤(清政)委員 本年三月の経団連の調査によりますと、大企業の六四%は値上げを予定しているということが報ぜられました。その調査の結果を裏づけるように、五月に入ってからは、各大企業は続々と値上げを発表しております。 特に鉄鋼各社は、各産業界の製品価格引き上げ攻勢の先頭を切って、鋼材をトン当たり一万円から一万三千円の値上げをしようとしておるわけでありまして、鉄鋼業界は典型的な寡占業界であって、各社が一斉に値上げに踏み切れば、産業界に大きな影響を与えることになろうと思います。鉄鋼は産業の米と言われているように、全産業の基礎資材でありますので、産業界の素材として占める位置の重要性から見ましても、鉄鋼の値上げはほとんどの全工業製品の価格に波及してくることは必至であろうと思います。鋼材価格引き上げは物価に大きな影響を及ぼすということも、避けられない事実であろうと思います。また、鋼材の値上げによって、他の工業製品価格に便乗値上げを誘発する恐れが多分にあろうと思います。 さらに、先ほど山中委員の質問に対して、通産省は家庭用灯油の元売仕切り価格に対する行政指導を廃止したために、家庭用の灯油も十八リットルで三十円ないし五十円上がっておるという報告が六月十七日にあったという御答弁がありましたが、大体十八リットルで五十円ないし六十円程度の値上がりは必至であろうと言われておるわけなんです。現在は灯油は需要期ではないために、反響はないと思いますが、これが需要期に入ればまたあの暴騰を繰り返すことは必然的であろうと思うわけであります。 そのほかにも、砂糖業界では、家庭用の上白糖を現行の一キロ当たり二百八十七円から三百十五円と九・九%の値上げ、業務用のメーカー出し値は一六・六%の値上げがすでに実施されております。砂糖の消費量はその八割を業務用が占めております。この砂糖の値上げは、砂糖を原料に使用している菓子だとか、あるいは清涼飲料メーカーの連鎖的な値上げを誘発するものと思われます。 すでに洗剤についても、洗剤販売のプロクター・アンド・ギャンブル・サンホーム社に、二十四日、「全温度チアー」と「オール」の希望小売価格を、二十六日出荷分から二・六五キロ当たり百十円値上げすると問屋に通告したということを聞いております。 このように、値上げムードが産業界からまた非常に起こっておるわけでありますので、政府は、このような企業の値上げ攻勢に対して一体どのように対応するか。そして、先ほど副総理のおっしゃった今年度一けたにおさめるという物価に対してのはね返りというものは、こういうことがやはり相当はね返ってくるのではなかろうかと危惧するのですが、そういう点についてひとつお答えを願いたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 いま企業は非常に苦しい立場にあるわけであります。不況が長きにわたっておるということですが、その間、昨年の原油の輸入価格の四倍の引き上げがあった。それから春闘で三三%という大幅な賃上げがあった。それを受けての価格の改定、これが大体粗ごなしは昨年中行われたのです。そして新価格体系というところに移っておりますが、しかし、詰めがしていないというまま今日に残されておる。 そういうこともありまして、いよいよ企業におきましては製品の値上げをこの際いたしましてこれに対処したい、こういう動き、この動きは私はもっともな動きである、企業の立場というものはよくわかる。わかるが、一方、企業にとりましても、物価問題というものは非常に大事です。ですから、どういう業種におきましても全部凍結ということは、これは私は非常にむずかしいと思うのです。しかし、やむを得ざるものを除きまして、とにかく物価政策の大事なこの段階において、企業が値上げを行うということにつきましては自粛願いたいということで強くこれを要請しているわけですが、この要請は私はおおむね理解されている、こういうふうに思うわけです。 他方、企業側が値上げをいたしましたという際に、いま値上げをしてその価格で物が売れるような状態かというと、またそういう状態でもないのです。つまり、政府におきましては需要管理政策を堅持しておるわけであります。また、個別の商品につきましても、需要並びに価格につきまして厳重な注意を払っておる、こういう体制である。そういうさなかに値上げをいたしまして、果たして売れるか、こういうことになる。そういう政府の施策もまた、値上げの動きというものが一斉に起こるということをかなり強力に抑止している、こういうように考えます。 企業側は、大半のものが製品、商品の値上げをいたしたいという動きのあることは、これは率直にそういうふうに私どもも認めておりますけれども、これが顕在化するか、実現するかというと、そう簡単にはいかない。そういう状態になっておりますので、企業側が自粛という態勢をとってくれる限りにおきましては、この問題はそう大きな心配にはなるまい。しかし、物価政策全体として見るときに、これは関心を持たなければならない重大な問題であるということで、厳重な注意を払っておるというのが現況でございます。なお、自余の個別の商品の問題につきましては、所管官庁からお答え申し上げます。
○岡松説明員 ただいま先生の御質問の中にございました鉄鋼、灯油、合成洗剤についてお答え申し上げます。 鉄鋼価格につきましては、いまだ交渉が行われていない段階でございますので、この段階で具体的にコメントを通産省としていたすということは差し控えたいと存じております。しかしながら、鉄鋼が国民経済上非常に重要な物資であることは申すまでもないことでございまして、先生御指摘のように、直接あるいは間接に非常に大きな影響があるものであることは事実でございます。また、鉄鋼メーカーに対しましては、そのコストアップが非常に多いということから、それに対応せざるを得ないということもわかるわけでございますが、その国民経済的影響の大きさにかんがみまして、その点を十分に自覚し、できる限り慎重な行動をとるようにということを、再三にわたって求めておるところでございます。特にさきの経済対策閣僚会議、あるいは物価担当官会議の申し合わせ等におきまして、企業に対して自粛を求めていくということを申し合わせたわけでございますが、今後とも機会をとらえて自粛を呼びかけてまいりたいというふうに考えております。 また、灯油の問題につきましては、さきの山中先生の御質問に石油部長からお答えしたとおりでございますが、元売価格につきましては、次の需要期に備えて在庫の積み増しを行うというために撤廃をしたわけでありますが、今後、末端価格の動向につきましては十分注視をし、行き過ぎた場合があれば必要な指導をしていくというつもりでございます。 また、最後に御指摘のございました合成洗剤のプロクター・アンド・ギャンブル・サンホーム社の値上げの問題につきましては、先ほど申し上げました値上げ自粛の線に沿いまして、当該社に対し、事前に私どもから自粛の要請をしたわけでございますけれども、同社といたしましては、非常に大きな経営不振に陥っているということから、元売段階の価格で百円、末端希望小売価格について百十円の値上げをいたしたいということで発表いたしましたのは、先生御指摘のとおりでございます。しかしながら、当業界は非常に競争状態にございまして、特になかなかシェア争いが激しくなっておるような状況にもございますし、関係競争企業に対しまして自粛の要請をしたところ、当面値上げをするつもりはないという回答を得ておりますので、同社の値上げ希望にもかかわらず、末端ではその値上げは通るまいというふうに当方では判断いたしておる次第でございます。
○加藤(清政)委員 時間があと二十分しかございませんので、続けて御質問したいと思いますが、最後に一点、物価対策に責任と自覚を持って進まれておる福田副総理に、この景気の回復と物価の抑制という相反した二つの問題についてお聞きしたいと思うのです。 日本銀行は、四月十六日の公定歩合の第一次引き下げに続いて、六月七日には〇・五%の再引き下げを実施しました。これは、企業の金利負担を軽減させるということだろうと思うのです。また、一方で、政府は、六月十六日の経済対策閣僚会議で、二月、三月の不況対策に続いて、第三次不況対策の八項目を決定しておりますが、このような二重の景気刺激策による企業の操業度の上昇は、製品コストの低下よりも、需要の拡大による製品価格の値上げに通ずるおそれがあると思うのですが、このように公定歩合の引き下げ、不況対策の実施を進めることは、政府の方針が不況対策や財政収支対策だけを優先していて、物価対策が何か後に下がる、なおざりにされていくのではないかという点で心配されるわけであります。 特にインフレ要因をできるだけ抑制していかなければならない物価対策と、景気回復というこのジレンマを、どのようにしてこの問題に取り組んでいくか、福田副総理のひとつ確信ある御答弁をお願いしたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 まさに加藤さんのおっしゃる点が非常にむずかしい点であり、私どもも頭を悩ましておる、その中心的な問題です。物価対策だけを考えて、景気対策はどうでもいいのだ、あるいは財政の方はどうでもいいのだということになれば、何も九・九なんという二けた台ぎりぎりの目標、こういうような窮屈な考え方をする必要はないのです。しかし、景気が大変沈滞をするというようなことになりますると、これはまたそれなりに問題があります。また、財政の健全性、これも考えなければならぬ。こういうことを考えますと、物価政策にもまた限界がある。そこで、九・九というような目標を掲げざるを得ないということになってきておるわけです。 そういうことで、国政はみんな各部面がバランスがとれて動いていくということにならなければならぬわけですが、逆に今度は、景気政策、景気政策と、景気政策だけを重視していけば、景気をつけるなんということはそうむずかしいことじゃありません。しかし、物価のことも考えなければならぬ。また、財政のことだけ考えれば、財政の健全運営、これもいろいろ考え方があるのですが、そういうわけにもまいりません。みんな肩を並べて、そして円滑に動くように、そういうことで財政運営の方針、また景気の運営についての考え方、また物価の目標というものを立てておるわけであります。それらの相矛盾し合う諸要因が調和されながら、全体として安定へ向かっていくということを主軸として、経済運営を進めていくという考えであります。 したがって、物価という点につきましては一けた台という目標を設定しておるわけですから、その目標を損なわないという考え方のもとに景気対策はとっていく、そういうこと。それから財政につきましてもその立場を考え、公共料金の引き上げにつきましても、先ほど申し上げたとおり、ある程度のことは五十年度においてもこれを実行する。しかし、そのことを前提といたしまして、物価の方は一けた台だと、こういうふうに申し上げておるわけでありまして、どの問題を優先してというわけにはまいりませんけれども、とにかく一番基本になりますものは物価です。 物価を損なったならば、財政だってうまくいかぬし、企業だってまたうまくいかない。そういう物価目標と調整をとりながら、景気政策、財政政策、これらを進めていきたい、こういうふうに考え、この三者が大体うまくいく。こういう激動の世界情勢の中としてはうまくいくであろう、私はこういう確信を持って諸施策を進めておる、こういうふうに御理解を願います。
○加藤(清政)委員 福田副総理に対しましての御質問は、以上の点で終わりたいと思います。 時間がございませんので、ひとつ一括して御質問いたしますから、簡単に御答弁をお願いしたいと思います。 最初に、統計局長さんにお伺いしたいのですが、現行の消費者物価指数は昭和四十五年を基準としていますが、基準時点は、昭和二十一年八月のこの指数の開始以来、二十三年、二十六年、三十年、三十五年、四十年、そして四十五年と、昭和三十年以降は五年ごとに変更されておって、次回の改正は本年度に予定されていると言われております。基準時点の変更は、単に基準年を一〇〇とするというだけではなくして、品目数やウエートを変更するために、毎回、変更によって指数が下落しているわけですね。 前回の昭和四十五年の改正では、四十六年九月分について新旧二つの指数が公表されていますが、旧指数では一一〇・四に対しまして新指数では一〇八・六となっておりまして、基準時点の変更によって、一・八%指数は下がっておるわけであります。 現代のような生活様式の変化だとか商品の流行の激しい時代に、いつまでも古い品目数やウエートを使用することは、実際の生活態様からかけ離れているのではなかろうかと考えられるわけでありまして、変更も当然やむを得ないことと思います。しかしながら、基準時点の変更にこのような指数の下落を伴うことは、大変問題であろうと思う。たとえば来年三月一けた台に物価を抑えるということについても、基準時点の改正によって下落するというようなことになると、その試算の根拠というものも狂ってくると思うわけであります。 昨年十月には、日本学術会議の方から、改定年次に当たって意見が出されております。すなわち、改定に当たっては十分検討をして、そして中立的な委員会をつくって慎重を期すべきであるという意見が出されておりますが、政府はこれらの意見をどのように取り入れ、また、どのようにしていくのか、その点を第一にお聞きしたいと思います。 次に、消費者物価指数の基準時点を変更するためには、統計審議会にかけてこれを決めるということになっております。恐らく答弁も、そういう中立的な委員会をつくって慎重にすべきであるということに対して、いまどのような委員会をつくったかということは出てこないと思いまして、挙げて審議会にかけてつくるのだという答弁が出ようと思いますが、その大事な統計審議会の構成メンバーは、学識経験者が七人で、各省担当者が七人、利用者代表が四人の合計十八人で、一番大事な消費者の代表が入ってない、労働者の代表が入っていないということであります。 現在のように消費者物価が非常に重要視されておるときにおいて、国民生活の実態を明らかにする消費者物価指数の基礎となる重要な内容を決める統計審議会のメンバーに、消費者代表や労働者の代表が入っていないということは、大変おかしいと思うわけでありまして、物価問題に真剣に取り組んでいる今日において、何といってもその基礎になる統計審議会に、消費者の代表、労働者の代表を入れて充実させる考えはないかという点についてお尋ねしたいと思います。 さらに、消費者物価指数の全資料は、統計法によって秘密保護という立場があるでしょうけれども、秘密にされておって、平均値以外は一切公表していないという現況であるわけでありますが、いまのように、消費者物価指数が重要な問題として、国民がその動向に注目をしているときに、その算出根拠を一切公表しないで、その計算結果だけを発表しているということであります。これでは消費者は、政府が算出した消費者物価指数が本当に正しいものであろうかどうか、そのことについて大変危惧の念を抱くわけであります。それでなくても、国民は、政府が発表している消費者物価の上昇以上に物価は上がっていると感じておるわけであります。 過日も参考人として呼ばれた方の御意見の中におきまして、総評が算出している消費者物価指数と、政府の消費者物価指数との間では、計算の基礎概念というものが違って、大きな隔たりを示したということが受け取られたわけでありまして、これでは国民は、政府の発表する消費者物価指数を本当に信頼することができるかどうかという点について、考えさせられるわけでありますが、この際、政府は、国民の疑念を晴らして、国民の納得を得るために、消費者物価に対する資料を公開すべきであると考えますが、このことについてお考えをお尋ねしたいと思います。いやしくも基礎資料ともいうべき消費者物価の資料について、国民に信頼され、協力されなければならないわけでありますので、この公開についての考え方、また公開しようというお考えはないかどうか、この点をあわせてお尋ねしたいと思います。
○川村政府委員 お答えをいたします。 加藤先生のいまの御質問は、整理いたしますと、たしか三つぐらいあろうと思いますので、そのおのおのについてお答え申し上げておきたいと思います。 最初は、物価指数の基準時改定の際に、過去の場合に改定した後で少し指数が下がる、これでいいのだろうかという問題と思います。 この基準時改定の問題につきましては、挙げてまず技術的な問題だというふうにお考えをいただきたいと思っております。すなわち、基準時を実は長く固定しておくと、古い生活の形がそのまま指数に影響するという形でありますから、できるだけある時期に生活内容の変化に伴った指数というかっこうにしておかなければならぬということは、先生も申されたとおりであります。 そこで、四十五年に実際に新旧の数値を出しまして、それでリンクをいたしました際に、たまたま旧指数の方が高かったという問題が事実ございますが、この問題はいわば技術的な問題でございますので、仮に今度の場合に、五十年基準として計算いたしますと、恐らく五十一年秋ごろにしか基準時改定の指数が——両方並ぶ時期はその時期だと思いますが、そのときの結果というのは私どもも実は予測ができませんで、そのときに高く出るか低く出るかというのは必ずしも一致しない問題であることは十分考えられますが、初めから低くなるとか、初めから高くなるというふうに決める問題ではございませんし、わからない問題でございます。 したがって、先ほどの九・九%というのは、これは政策目標というような意味の問題でございまして、その問題と基準時改定の問題は全く関係がないというふうにおとりいただいて結構かと存じます。 それから第二点の問題で、CPIの改正の検討が統計審議会で進められている、その場合に、消費者代表を入れるべきではないかという点でございます。 この点は、先生も先ほど十八名とおっしゃられましたように、専門家なり有識者から成る統計審議会は、現在、行政管理庁の所管でございます。従来から、この場でCPIの基準時改定作成方法等に関して十分議論を尽くした上で、五年ごとに改定をするという形で現在まで来ていることは、先生御存じであろうと思います。統計局といたしましては、他の経済指標との関連もございますので、この審議会の場で審議をしていただくのが一番適当であるというふうに現在考えておりますし、そのような考え方で現在作業中でございます。 なお、統計審議会に消費者代表を入れるかどうかという問題につきましては、私ども総理府といたしましては、実は行政管理庁の問題でございまして、この問題についてどうこうと言うことは差し控えたいと考えております。 それから第三番目は、消費者物価指数の資料をなるべく公表すべきではないかという点でございます この点につきましては、現在も、消費者物価指数の計算の基礎となっております各調査市町村の調査品目別の平均の小売価格、それから品目別のウエート、そういうものもすべて報告書で公表してございます。ただ、公表しておりませんのは、個々の店舗で幾らで売っているかというような問題につきましては、実は公開をいたしますと、その店舗に御迷惑をかけるという問題が実際にございます。さらに統計法で、先ほど先生も御指摘のように、個票の秘密はこれを守るという原則になっておりますので、この辺はやはり申告者の秘密保護の立場から、私どもは適当でなかろうというふうに考えております。 以上でございます。
○加藤(清政)委員 この統計審議会は行政管理庁の所管事項であるという御答弁がいまありましたが、統計局長がいらしておりますから、何といっても統計審議会の中に消費者代表が入らないというのは実際おかしい形でありますので、ひとつ何としても消費者代表を入れるように、それで初めて消費者物価指数の基準時点を変更するための審議会になると思うわけですから、その点は十分御相談していただいて、後刻行政管理庁の方にもお話ししていただいて、文書で結構ですから御答弁をお願いしたい、そのようにお願いします。 それからもう一つは、日本学術会議の方で改定年次に当たっての意見が出されておったわけでありますけれども、この意見を尊重したのかしないのかということで御質問いたしましたが、その御答弁がなかったので、答弁はなくても結構ですが、しかし、学術会議が改定年次に当たってのこういう貴重なる意見を出しておった場合には、当然その意見を十分尊重すべきであると考えられるわけでありますので、ひとつそのことについても、後で文書で御回答願いたいと思います。 それから、消費者物価指数の全資料が大体出ておるということでありますけれども、統計法による秘密の保護というたてまえもありましょうが、しかし、社会通念上から言って、このくらいのことは国民の納得と理解と協力を得るために出すべきである。こういうものはやはり進んで出すようにしていただきたい。そういう慣行を開いていくことによって、統計行政は国民から信頼されると思うわけでありますから、そういう点はひとつお考え願いたいと思います。 次に、異常に上がっております豚肉について御質問したいと思います。もう一時間ぐらい時間があればゆっくりできるのですが、もうすでにあと十分しかございませんので、一括してやります。 豚肉は、畜産物の価格安定等に関する法律によって指定食肉に指定されているわけですね。この法律は、豚肉については価格変動の幅をできるだけ縮小して、異常変動を防止することによって、養豚経営者や消費者に与える悪影響を緩和する方向に持っていくのが目的であると承知しております。そのために、畜産振興事業団の市場介入による豚肉供給量の調節という手段がとられております。その需給操作の目標として安定基準価格及び安定上位価格という安定価格帯を定めて、卸売価格がこの範囲内に落ちつくように、畜産振興事業団による買い入れ及び売り渡しが行われるようになっております。本年度は安定基準価格が五百五十六円、安定上位価格が六百八十円と決められております。 卸売価格が安定基準価格以下に下がった場合には、畜産振興事業団が無制限に買い入れをするために、卸売価格は安定基準価格以下になることはなく、養豚経営者は所得を保障されておるわけです。一方、卸売価格が安定上位価格を超えた場合には、たまたま畜産振興事業団が備蓄したものがあれば放出することになっておりまして、卸売相場を冷却するということになっておりますが、ここ数年のように備蓄されていなければ、卸売価格が安定上位価格を突破しても、畜産振興事業団は市場に介入することはできず、ただただ傍観しておるということになるわけであります。 このように、この法律自体は生産者保護のためにあるものであって、少しも消費者の保護を考えていないわけであります。卸売価格が安くなった場合には、事業団の買い上げによって安定基準価格以下には下がりませんが、その逆に高くなった場合には、どこまでも高くなり、どちらにしても消費者は常に被害を受けることになるわけでありますので、価格安定、消費者の保護という観点からどのように対応していくかということを、まず第一点にお尋ねしたいと思います。 続いて第二点として、現在も、豚肉の卸売価格は非常に高くなっております。本年四月一日に新しい安定価格帯が決まって、安定基準価格が五百五十六円、安定上位価格が六百八十円と告示されましたが、東京都の中央卸売市場の食肉市場の卸売価格は、四月一日が六百七十四円、四月二日が六百八十九円で、安定上位価格をすでに一日で上回っておるという現状であります。 農林省統計情報部が五月三十日に公表した食肉流通統計によりますと、四月の平均価格は六百七十七円でありまして、何とか安定価格帯内には入っておりましたが、安定上位価格との差はたった三円であります。昨年四月の平均は五百四十円ですから、対前年同月比では百三十七円も高くなっております。つまり、一年間で二五%もの値上がりをしておるわけであります。 東京市場での卸売価格は、五月には連日のように安定価格帯を上回っておりまして、特に五月二十四日以降は急騰して、七百円台の高水準で推移していました。六月に入ってからはいよいよ拍車がかかって、前半は七百五十円前後でありましたが、後半に入ってからはますます暴騰して、六月十六日には七百五十七円、十七日には七百九十九円、十八日には七百八十円、十九日には七百九十七円、二十日には七百九十二円、二十一日には七百九十八円と、連日のように高値を続けて、六月二十三日には八百十二円と、同市場でも例を見ない八百円台の高値になって、都民をあっと言わせたという状態であります。つまり、豚肉の卸売価格は安定価格帯の上限を百十九円も上回っているわけでありまして、この卸売価格の高騰は、東京だけでなく、大阪など各地の市場でも同様の傾向を示しております。 これだけ豚肉の卸売価格が安定上位価格を大幅に上回っているにもかかわらず、備蓄したものがないために畜産振興事業団からの放出もなく、卸売価格は天井知らずに高騰しております。この卸売価格の高騰は、当然小売価格にも影響が出てまいりました。つまり、消費者は非常に高い豚肉を毎日買わされているということであります。 現在のように物価が重要視されているときに、このような状態に対して、政府、農林省は、六月十九日の関税の減免措置の発令まで何ら手を打たなかったが、一体どういうことで手をこまねいておったのか、その理由と対応策についてお尋ねしたいと思います。 続いて、政府は六月十九日に、六月十九日から八月三十一日までの通関分の輸入豚肉については関税の減免措置を発令いたしましたが、現在は海外の相場が高く、輸出国であるカナダとかアメリカなどの輸出余力も乏しくて、輸入はほとんどされないということを聞いておりますが、農林省はこれによって豚肉はどのくらい輸入されると考えておりますか、第三点としてお伺いします。 また、本年の三月に実施した関税の減免措置では、卸売価格に何の影響もありませんが、今回の減免措置で卸売価格は下がると思っておりますか、その見通しについて、第四点としてお尋ねしたいと思います。 六月以降の全国の肉豚の出荷頭数も、農林省畜産局の五月三十一日の発表によりますと、前年に比較して減る見込みでありますが、豚はこれから需要期に入りますので、今後も卸売価格は高値で推移し、それに伴って小売価格も上昇することでありましょう。これは小売価格だけにとどまらず、豚肉を原料とするハム、ソーセージにまでその影響を及ぼすと思いますが、第五点としてその点をお尋ねしたいと思います。 最後に、いまの農林省の行政はすべて生産者優先で、消費者のことは考えていないように、いままでずっと質問したなかで思われるわけでありますが、豚肉にしても、また牛肉にしても、卸売価格が高騰すれば、それに伴って小売価格も上昇する。小売価格が高くなれば、消費者はそれを買わなくなる。消費者が敬遠すれば、需要は停滞して卸売価格は下がるというパターンの繰り返しが続いていますが、これでは常に消費者だけが被害をこうむり、消費者だけが不安を醸し出すということになるわけでありまして、農林省は消費者物価についてどのような対策を考えておられるか。特に本年四月の対前月比の物価上昇率が二・五という異常ぶりを示したわけですが、その主な原因は、季節的な野菜の問題、果物の問題、あるいは畜産の問題、これが物価を非常に押し上げておるという状況にかんがみて、これらに対しての対応策について、第六点としてお尋ねしたいと思います。
○高須政府委員 ただいま先生が御質問になりました点は、六点あると思います。まず、現在の畜産物について、農林省は消費者の保護を余り考えていないという点の御指摘でございます。 私ども、畜産物だけに限って申しますと、生産者のことはもちろんでございますが、消費者のためにも常に考えておりまして、先ほど先生がおっしゃいましたような畜安法の体系そのものも、上限価格、下限価格というような形の中に安定させるということでございます。しかし、豚肉の場合には下限価格は買い入れということがありますが、上限価格は、先ほど先生おっしゃいましたように関税減免という措置がございまして、関税減免をいたしまして、現在、国内価格は大体八百円程度でございますが、海外の市況が大体六百円見当でございますので、関税減免をいたしますれば十分輸入の期待があるということを考えておるわけでございます。 それから第二番目の点で、この関税減免が非常におくれましたことは確かにあるわけでございます。四月の市況も、初めは大体六百八十円を若干上回りましたが、中旬はずっと下がっておりまして、まだその必要性が出なかったわけでございます。五月に入りまして、やはり上旬が高く、また中旬は下回る、下旬になってまた上がる。下旬ごろになりますと、私どもこれはもうどうしても関税減免をやらなければならないということで、五月ごろから準備を進めまして、各省庁と御連絡申し上げまして、ようやく手続が完了いたしましたのが六月十七日の閣議決定ということで、若干その間の手続がおくれましたことはまことに申しわけないと思っておるわけでございますが、ともかく関税減免によって輸入の促進を図るということでこれに対応いたしてまいる予定でございます。 〔委員長退席、山中(吾)委員長代理着席〕 ところで、第三点でございますが、それならば、この六月十九日から八月三十一日までの輸入減免の期間に相当入る見通しがあるのか。確かに現在、世界的な異常事態が発生いたしておりまして、豚の場合には、大体十一カ月前の事情が今日に影響してまいっておるわけでございまして、昨年は御承知のとおりの石油ショック、それからえさ価格の高騰といったことで、全世界にわたってこの影響が発生いたしまして、今日、御指摘のようにアメリカも供給がなかなかない、カナダ等もなかなかむずかしいとは思いますけれども、しかしながら、国内価格が大体八百円見当、それからアメリカの市況が大体六百円見当でございますので、私どもこの関税減免期間にはかなりの量が入ってまいるということをも期待いたしておるわけでございます。 それから四点目は、今後の価格の見通しでございますが、私どもの生産の見通しからいたしますと、やはり昨年の異常な事態の影響から、少なくとも今年末までの豚の国内生産というものは前年を下回る見込みでございます。したがいまして、何としても輸入量の増加によって需給のアンバラを是正せざるを得ない。価格は、特に夏に向かいましてやや強含みになるのではなかろうかと思いますが、御承知のとおり、豚は秋から暮れにかけまして需要が減退いたすことが予想されております。したがいまして、ことしの夏は若干価格が上がるであろうと思いますが、秋口に入ればやや安定をもたらすのではなかろうか。現に供給も徐々に回復しつつある状況でございます。 それから第五番目の点でございますが、豚肉の卸売価格が上昇いたしますと、当然それがハム、ソーセージ等の加工品、あるいは小売価格に反映してまいるわけでございます。したがいまして、私ども現在、ハム、ソーセージメーカ一等の加工業者に対して、関税減免ということの関係で、ともかく末端価格が上昇しないように協力してほしい、また小売業者に対しましても、輸入品は明確に表示するようにといったような行政指導を強化することによりまして、末端消費者価格に大きな影響の出ないように努力いたしておるところでございます。現在、小売価格は比較的安定いたしておりまして、大体前年対比二七%で推移いたしております。卸売価格に比べまして、卸売価格は先ほど先生おっしゃいましたような一三三%でございますが、小売価格はやや安定いたしておると思います。 最後に、農林省全般の姿勢の問題でございますが、消費者のことは考えていないという御批判でございます。私どもといたしましては、最近は食糧供給という任務ということを痛感いたしておりまして、消費者価格の安定、これは究極にはやはり国内生産を確保してまいることでございますが、しかし、直接的には消費者価格の安定というような形で一層流通対策というものに力を入れてまいりたい。そうして消費者の需要を安定的に確保するということも、またこれ生産者のためでございますので、両々相まって種々の政策を展開してまいる、かように考えておる次第でございます。
○加藤(清政)委員 時間が超過いたしましたが、以上をもって質問を終わります。ありがとうございました。
○山中(吾)委員長代理 愛野興一郎君。
○愛野委員 時間がありませんので、御答弁の方をひとつ簡潔にお願いを申し上げたいと思います。 まず、私は公正取引委員会の事務局長さんに、いま、佐賀県のクリーニング組合の協定価格の問題について、強制立入調査を実施中であるかどうかの事実をお伺いしたいと思います。
○熊田政府委員 ただいまお尋ねのございました佐賀県のクリーニング環境衛生同業組合の独禁法違反の疑いでございますが、三月十二日に臨検検査をいたしました。 その被疑事実でございますが、これは佐賀県のクリーニング環境衛生同業組合の佐賀支部、これが支部員のクリーニング料金を決定して、支部員に実施をさせておるという疑いでございます。それからもう一つ、佐賀県のクリーニング環境衛生同業組合が、その佐賀支部の要請に基づきまして、先ほど申しました料金の決定に違反した者に対しまして、組合から脱退をするように強要をしている疑いがある。こういうことでございます。
○愛野委員 先般、民社党所属の県会議員さんの紹介で、佐賀県選出の与野党全部の国会議員に、クリーニング環境衛生組合から陳情がございました。その陳情は、公正取引委員会の強制調査そのものに対する反対陳情ではないのであって、言うなれば、全部の組合員を博多までわざわざ呼びつけて調査をしてもらわないようにという陳情であります。 今日、この消費者行政並びに消費者価格の問題が重要な問題であるということは、これはもう与野党を問わず一致しておる問題であります。ただ、消費者行政に対する通産御当局の姿勢並びに公正取引委員会が大企業や大商社に対して対処しておられる姿勢を見ますと、クリーニング組合とか豆腐屋組合というのは、言うなれば家内工業的な小規模事業でありますから、その熱意の度合いがどうも小規模事業の方にきわめて積極的であって、大企業、大商社に対しては余り積極的ではないというふうな県民感情が起きておるわけであります。そこで、私は、まずその端緒となったものを、環境衛生組合からお聞きした範囲から申し上げておきたいと思います。 佐賀消費者協会というものがありまして、これがクリーニング環境衛生同業組合に対して、個人当たり入会金三万円、それから運営資金を一店当たり毎月五千円、それから営業所一カ所ごとに毎月五千円の会費を払って、全店佐賀消費者協会に入会をするように申し入れ、それを断ったところにこの問題が発生をいたしておるわけであります。これを公正取引委員会に提訴したのはどういう方であるのか、お伺いをいたしたいと思います。
○熊田政府委員 この事件の端緒につきましては、審査の進行中でもございますし、支障があるといけませんので、この席ではひとつ控えさせていただきたいというふうに考えます。
○愛野委員 控えてよろしゅうございますが、しかし、私が調査をいたしました範囲では、このクリーニング同業組合に入会せよと申し込まれた佐賀消費者協会の事務局長の大塚一雄さんという方が、公正取引委員会の福岡地方事務所の審査課長牧口信義という方に提訴をいたしておるわけであります。 そういたしますと、県民のとりょうによっては、この大塚さんの会に加入を断ったから提訴をしたのではないか、こういうふうにとるわけでありまして、こういうやり方がいいのかどうか、経済企画庁の国民生活局長に見解を述べていただきたいと思います。
○岩田(幸)政府委員 現在、全国に二千以上の消費者団体がございます。消費者団体と申しますのは、言うまでもないことですが、消費者の利益あるいは権利を擁護するという目的で、自主的に組織された団体でございます。したがいまして、この消費者団体の活動は、本来は自主的な活動に任せてあるわけでございますが、御指摘の佐賀消費者協会のように、事業者であるとかあるいは事業者団体を会員にする、あるいはいまお話がございましたように会費とか入会金を徴収いたしまして推奨店をつくるというような活動は、私ども決して好ましい消費者活動とは思っておりません。 ただ、たくさんの消費者団体がいろいろな自主的活動をやっておりますので、私どもとして一つ一つについて直接指導をするとか監督するということはやっておりませんけれども、こういう好ましくない活動に対しましては、県当局も実情を調査した上で適切な指導をしたいということでございますので、そうした指導の行方を見守っていきたいというふうに考えているわけであります。
○愛野委員 消費者団体が本当に低廉にして良質なる品物を買えるように運動するのは、まことに結構なことでございます。ところが、この佐賀消費者協会は、会長もおらなければ職員もおらない、まさに大塚事務局長さん一人で新聞も出せば何も出す、こういうのは、どう考えても俗に言う消費者団体とは考えられないわけでありまして、先般、委員会で参考人として招致をいたしました、例のネズミ講式の仕事をやっていることに対する消費者協会のようなものとは、まるっきり違うと思うのであります。 しかも、この大塚さん一人でやっておって、会長も職員もいない、また会則もないし、総会もないというわけでありますから、どう考えても、これはいまの非常に困難な時世を利用した一つの脅迫的なものではないかという疑惑を県民が持つのは、当然のことであると思うわけであります。こういった消費者団体の中にも、弱者救済に名をかりて、クリーニング屋さんというと夫婦二人でやっておるところもあるわけでありますから、実に零細な業者をいじめておる団体もあるということを、私どもは非常に心配をいたすわけであります。 こういったことに対する指導を全然やらないということであれば、これは総会屋と同じであって、続々とこういった団体が出てくる危険性もあるわけでありますから、こういったものに対して将来ともに全然何らの対処もしないということであるのか、今後のこういったものについての経企庁自体の姿勢というものをどう考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。
○岩田(幸)政府委員 先ほども申しましたように、消費者団体というのはいろいろな団体がございます。私どもも毎年、消費者団体の実態調査をやっておりますけれども、その調査の中でも、最近のいわゆる草の根運動的な消費者団体と申しますのは、まさに会則もなければ総会もやらない、専任の事務局員もいないというような団体が大部分でございますので、会則がないとか、あるいは事務局がないとか、総会をやっていないとかいうだけでは、別にそれが消費者団体として好ましくないというようにも私どもは考えておりません。 ただ、御指摘のように、活動の内容が、業界から会費を取るとか、入会金を取って推奨店にするとかいうことは、先ほども申し上げたように好ましくないことは事実でございますので、私どもが一つ一つの団体に直接指導をするというわけにもまいりませんけれども、県、市その他を通しまして、適切な指導を今後もやっていきたいと考えております。
○愛野委員 そこで、佐賀県あるいは佐賀市には、県と消費者団体、あるいは佐賀市と消費者団体との間に連絡協議会というものを組織して、一般消費者の消費者教育、あるいは情報交換等々をやっておるわけでありますが、この大塚さんの協会が本当に県民並びに消費者のためになっておるというならば、この佐賀県、佐賀市がやっておる消費者連絡協議会にも当然入っておらなければならぬわけでありますけれども、全然それには入っておらぬ、こういったところを経企庁はどういうふうに思っておられるのか、お伺いをしておきたいと思います。
○岩田(幸)政府委員 御指摘のように、現在、各県とか市は、行政と消費者団体との意思疎通を図るという意味で、消費者団体連絡協議会的なものをほとんどがつくっているわけでございます。しかし、全国の消費者団体というのは非常に数が多うございますので、その連絡協議会にすべての団体を網羅しているというわけではございませんで、その中の有力な団体にメンバーになっていただいているというのが、各県の実情でございます。したがいまして、この団体のメンバーになっていないから、いわゆる消費者団体としてりっぱではないというわけにはまいらないかと思います。 やはり小さい大きいということよりも、実際にやっております活動が好ましいか好ましくないかということで考える以外にはないわけでございますので、その点だけから、県や市も消費者団体として認めていないというようには一概には言えないのではないかと思っております。
○愛野委員 いまの御答弁は、お立場上やむを得ないと思いますが、佐賀県の中小企業あるいは商工会、商店は、大塚さんが出しておる新聞に広告、寄付をさせられたり、いろいろやっておるわけであります。したがって、そういう消費者団体のあり方というものはどうしてもやはり県民が信用しないわけでありまして、信用しないからこそ堂々と、公然と佐賀県クリーニング環境衛生同業組合が党派を超越して陳情をせられるわけであり、ます。 もう時間がございませんから、この問題は質問をやめるといたしまして、とにかく弱者救済に名をかりて、大企業、大商社の物価を上げるという根本的な問題にメスを入れるならともかく、家内工業的なクリーニング組合とか、あるいは豆腐屋組合とか、数的には多いわけでありますから、そういったものに対して圧力をかけて、何らかの利益を得ようとするようなことがあるような問題については、この際、一億国民総いらいらの時代でありますから、その対処方をやはり考えていただくべき時期に来ておる、こういうふうに思うわけです。 それからもう一つは、公正取引委員会が現在審理中でありますから、私はいろいろとその問題について申し上げる意思は毛頭ありません。しかし、現実的には佐賀県の——私自体がこういうものは佐賀県でやっておるわけでありますから、クリーニング価格というものはまさにばらばらであって、決して協定価格のような事実はないわけであります。しかも、言うなれば過当競争になるのを恐れて、そうして余り高く取らないようにというようなことを、佐賀市の支部だけの単位で話し合いをされているのか、あるいはまた手紙を出されたのか知りませんが、県民は、あの店は高い、あの店は安いということになると、やはりどこでも同じような価格にしていただきたいということをクリーニング組合に突き上げるのはあたりまえの話であります。でありますから、もちろん違反であるならば徹底的に調査をしていただいて結構でありますが、やはり小規模事業としての取り扱いだけはやっていただくべきである、私はこう思うわけであります。 しかも、クリーニング組合の役員の中には、老人もいれば、また、副理事長は身体障害者であります。そういった方々をわざわざ四回も五回も、佐賀県から福岡市まで出頭をしろ、そうして毎日十時から午後五時まで調べる、こういうようなことは、強制調査の事実違反があるにしても、その姿勢としては、何か一生懸命国会で公正取引委員会の委員長さんが毅然とした態度をとられても、現実の公正取引委員会というものは、大企業や大商社よりも、むしろそういった同業組合的な小規模事業の方に熱意を持っておるのではなかろうか、こういうふうに思うのは、佐賀県のような大企業がないところはあたりまえの話であるわけであります。 そういうわけでありますから、少なくともこういった小規模の同業組合を調査される場合は、公正取引委員会の方が佐賀に出張していただいて、そうして調べていただく、こういうふうな態度、姿勢を示していただきたいと私は思うわけでありますが、その辺の御見解をお伺い申し上げたいと思います。
○熊田政府委員 このクリーニング環境衛生同業組合でございますが、これは御承知のように環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律という法律がございまして、それによりまして適正化規程というものを設けまして、厚生大臣の認可を得れば、その範囲内におきましては独禁法の適用が除外をされる、こういうたてまえになっております。ところが、この佐賀県のクリーニング環境衛生同業組合には、この適正化規程が設けられておらないのでございます。そういう点から申しまして、料金の決定を組合として行うというようなことになりますれば、これはやはり独禁法に違反するということになるわけでございます。 今回調べております事件が、果たして独禁法に違反しておるかどうかという点は、まだ審査中でございますので、結論的なことはまだ申し上げられないわけでございますが、私どもは、果たして独禁法に触れておるかどうかという観点から、現在調査をいたしておるわけでございます。 それで、ただいま先生おっしゃいました、お年寄りとか、あるいは身体障害者というような方々まで福岡の事務所に呼び出して調べるというようなことは、適当でないのではないかということでございますが、私どもも、調査に当たりましては、できるだけそういうような点は留意をするようにいたしておりまして、今回の事件でも、お年寄りとか、あるいは身体障害者をいままで呼び出したことはないというふうに私は考えております。
○愛野委員 実はこの環境衛生同業組合の会長、専務理事、それから行けと言われた佐賀県議会議員の民社党の西岡助広さんのお話によりますと、一般組合員まで全部呼ぶ予定であるということ、それは遠慮していただいておるということであります。したがって、一般組合の老人とか身体障害者はそうでありましょうけれども、副会長の中には身体障害者がおるわけでありますし、また、役員の中には老人がおるわけであります。したがって、一般会員にはそういう寛大な処置をとっていただいたということについては了といたします。しかし、役員についてはそういう事実があるということを申し上げておきます。 同時に、いまの違反の問題は、四十九年五月に九州ブロック全体に強制調査を受けておるわけでありまして、四十九年五月というと、つい最近であります。したがって、それ以来佐賀県は全然話し合いをしておらぬというのが事実であるわけでありまして、もしこの四十九年の時点を御調査になれば、四十九年五月に九州ブロックを調査していただいておるわけでありますから、佐賀県も違反になるということはあたりまえの話であるわけであります。 そこで、この公正取引委員会の事実違反について、クリーニング組合が、ここに持ってきておりますが、陳情をいたしておられるわけではないのであって、一般会員まで福岡まで毎日呼び出されれば、やはり一般県民は、どんなにやわらかい態度で当たられようと、お役人さんというとこれはもう本当にこわいわけでありますから、一般会員までも呼び出していただかぬように、寛大な措置をお願いいたしたいというのが、実は陳情の趣旨であるわけであります。 しかし、私は、消費者団体のあり方、公取の姿勢等について疑問を感じたから、質問をいたしておるわけでありまして、そういう弱者救済が、逆に小規模事業についてはむしろいじめられるというようなことがなければ非常に幸いであります。どうかその点を御留意の上、ひとつ中小企業、小規模事業に対しても、公取の方も経企庁も御愛情をいただきますようお願いを申し上げまして、本会議でありますから、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○山中(吾)委員長代理 この際、午後三時に委員会を再開することとし、暫時休憩いたします。 午後一時二十一分休憩 ————◇————— 午後三時二十三分開議
○松浦(利)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。小林政子君。
○小林(政)委員 経企庁長官にお伺いをいたします。 インフレと不況の同時進行という、かってない深刻な危機に経済が直面している。こういう中で、いま物価の問題は、依然として各企業が値上げ期待というものをますます強め、値上げの時期をねらっているといいますか、そういう動きも顕著にずっと出てきております。一つには、景気浮揚策等の効果がある程度出てきた時期、この時期を目指してというようなことも言われておりますし、あるいはまた、国会が終了した時期あたりから一斉に値上げを行うというようなことも、いろいろと報道もされておりますし、依然として物価問題は、値上げムードというものが今後秋に向かって非常に強まっていくというようなことが予想されるわけです。 これに対しては、やはりきっかりとした歯どめをかけていかなければならないというふうに私どもも考えますが、こういう情勢の中で、今回、第三次不況対策、景気対策というものを実施いたしたわけでございますが、この内容につきましては、去る十七日に具体的な御報告を委員会として受けたわけでございます。 〔松浦(利)委員長代理退席、委員長着席〕 一つは、公共事業の促進。五十年度公共事業七兆七千億円の上期契約率を、七〇%程度に繰り上げを実施していく、これによって景気の刺激を図っていく。あるいは住宅融資の拡大。住宅金融公庫の五十年度個人住宅の貸付契約枠を、下期から上期に五万戸繰り上げを行う、このような財政措置を中心として財政需要を喚起していく。そのほか、まだ金融面その他ございますが、中心はやはり財政面から景気の浮揚を図っていくという中身になっているわけです。 先ほど申し上げたような情勢の中で、七兆七千億の約七〇%といいますと、ここで五兆六千億からの公共事業の繰り上げ契約というものが行われるわけです。これは物価への影響という点でいろいろな影響が出てくると私は思いますけれども、この問題についてはどのようにごらんになっているのか、また、これと物価との関係でどのような対策をおとりになろうとしているのか、お伺いをいたしたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 景気対策を進めるに当たりまして、物価の動きに注意しなければならないことはもちろんでございまして、そのとおりにいたしておるわけでございますが、いま企業の方では稼働率が非常に低うございますものですから、景気対策をとりまして生産が上がりましても、これはいい効果が非常にあるわけであります。つまり、いま稼働率が低い結果、固定費の負担というものが非常に重い。それらのことから、単位当たりの製品がコスト高になっておる。もし稼働率が上昇いたしますれば、それがはね返りまして、固定費負担の軽減というものを通じまして単位当たりの製品単価を安くすることになりますので、そういういい面があるのです。ただ、それが調子が行き過ぎますと、ムードとなって製品の値上げムードを刺激することになりますので、需要を拡大するという財政中心の施策をとるに当たりましても、これが行き過ぎになっては困る、その辺はよほど注意をいたしておるのです。 公共事業費にいたしましても、上半期の契約率は、普通の年でありますと大体六五%ぐらいなんです。昨年、一昨年は、総需要抑制というのでずっとそれを低くしたわけでありますが、ことしは第二次不況対策におきまして、それを昨年や一昨年のような低い率でなく、平常時まで戻そうというので六五%ということにいたしたわけです。逆に、不況時において景気刺激対策という際には、七五%ぐらいまでいったことがしばしばあるわけであります。それを今度は七五%までいかない、七〇%にとどめるということにしたことは、ただいま小林さんの御指摘のように、物価政策にも非常に細心の配慮をしているということと御理解願いたいのであります。
○小林(政)委員 この中で、一つ重点を置いて景気対策として取り上げております住宅問題、この住宅問題について、特に民間住宅の投資につきましては、住宅金融公庫から五十年度第一回融資の受け付け開始後、短期間で枠をはるかに突破して、これの需要が非常に強かったと言われておりますが、これに対して、民間住宅に対する潜在需要は相当大きいのだと私は思います。今回、五万戸繰り上げ実施ということですけれども、上期に五万戸繰り上げたということで、あと残っているのは四万戸でしょう。それで今後の問題についてはどうされようとしているのかということを、建設省からもお見えだと思いますから、建設省からも大臣からもお伺いいたしたいと思います。 特に金利問題ですが、これにつきましては、一般の民間金融機関の住宅ローンについて、公定歩合も四月と六月の二回にわたって、〇・五%ずつ合計一%下がっているわけですし、特に住宅問題については国民の一つの切実な要求でもありますし、それが景気刺激にもつながっていくという両面を考えましても、民間金融機関の住宅ローンの金利を下げていく必要があるのではないかと思いますけれども、実情も踏まえて建設省と、それから引き下げについて大臣にお伺いいたしたいと思います。
○京須説明員 住宅金融公庫の一般個人貸し付けでございますが、先生御承知のように、本年度は第一期に七万六千戸、下期に七万戸予定して、四月二十八日に受け付けを開始しました。たまたま第一日目に申し込みが非常に殺到して、予定を上回りまして、御指摘のように十三万戸ばかり受け付けました。それにつきましては、お話のように第三次の不況対策の際に処理されました。その結果は、たまたま下期のものを約五万戸程度繰り上げるという話でございますが、一方下期につきましては、下期また七万戸を受け付けることを事前に発表いたしておりますので、それを予定してお待ちの国民もあろうかと思います。したがいまして、われわれは、下期におきましても少なくとも当初予定しました戸数は確保したいと考えております。
○清水説明員 民間の住宅ローンの金利でございますが、これは、御案内のとおり、たとえば五年程度のものでございますと、現在、年八・八八%、一番長い方で、期間が十五年あるいは二十年程度のものになりますと、金利は年九・八四%ということで、その間に段階的に推移しております。一般の企業に対します一年超の長期貸し出しの。プライムレートと言われておりますものが、現在九・九%でございます。したがいまして、この比較から申しましても、住宅ローンの金利につきましては、民間金融機関としてはそれ相当に努力している姿であるということは言えるかと思います。 もちろん、この住宅金融は国民の立場から見まして大変重要な問題でございますので、従来からも量の確保等につきましても努力するように指導しているわけでございますが、ただいまお話のありました短期の公定歩合が現に下がりましたけれども、これとすぐにというのは、実際問題としてなかなか無理があろうかと思います。全体の長期金利の中での問題でございますし、現実にいま申し上げましたような水準にあるということで、量と金利ということもあわせて考えていかなければならない問題だろうと考えております。
○福田(赳)国務大臣 ただいま大蔵省の方からお答え申し上げましたように、これは長期金利でございます。したがって、公定歩合との直接的、短期的な連動というのはなかなかむずかしい問題でございますが、公定歩合の引き下げで金利水準が全体として下がるということになりますので、それになるべく順応させるように政策誘導をするという考えでございます。
○小林(政)委員 いまおっしゃったのは、住宅金融公庫の金利ですね。住宅ローンと住宅金融公庫と二つございますね。一般の民間金融機関の住宅ローンと、金融公庫から直接住宅資金として割り当てで貸し出しを行っているもの、この利子は当然開きがあるわけですね。いまの住宅金融公庫の融資の場合には、これはたしか五・五%ではないかと思います。先ほど銀行局からお話があったのは、民間の銀行ロ−ンの貸し付けの利子ですね。これは九・一八%、片一方は五・五%、そこに四%からの開きがあるわけです。住宅金融公庫の融資枠に希望者があふれるほど申し込をしたのは、一つには金利が大変安い。民間の銀行ローンから借りるよりも、住宅金融公庫から融資を受ける方が金利の点で非常に魅力がある。また貸付枠も、一般の銀行よりも、むしろ住宅金融公庫の方が最近は非常に上がってきているわけです。このように違いがはっきりしておりますので、今回、金融公庫に申し込みが殺到したのではないかと私は考えますけれども、ある地方自治体などでは、この金利差を埋めるための補助をやったりいろいろやりながら、できるだけ住宅金融についての金利は下げてほしい——これはもちろん、住宅を建設する国民もそう思っておりますし、また、公共事業の中で住宅をふやしていくということを不況対策として取り上げた点からも、むしろこの際、公定歩合も二度にわたって下がってきているという情勢のもとで、一般の民間銀行の金利の引き下げ、特に住宅ローンについては、政策目的をはっきりとさせた上で金利の引き下げを行うべきではないか、このように私は思っておりますけれども、大臣、その点についてもう一回お答えいただきたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 住宅を建てようという人は、住宅金融公庫だけの金を使う人、あるいはローンだけを使う人というふうに分かれておるわけじゃないので、大方は、住宅金融公庫から借りる、手元の金を使う、それで足りないところを住宅ローンでというような人が多いのじゃないかと思うわけであります。ですから、住宅金融公庫の金利が非常に低いからと言っても、住宅公庫で全部を賄うというわけにはいかないわけなんであります。一方、この住宅ローンにつきましては、これは長期金利でございます。十何年償還とか、そういうような長期金利でございますので、これはそう簡単に動かすわけにもいかないのです。しかし、公定歩合も下がってきた、それから、これからも下がるというような見通しでも定着いたしますれば、そこで初めて長期金利の改定問題というものが出てくるわけでありますが、そういう基調が固まってきますれば、住宅ローン、長期貸し出しの金利であるとはいえ、これを改定することが妥当であろう、こういうふうにも思われますので、そういう方向で指導いたしたい、かように考えます。
○小林(政)委員 いまの金利の問題につきましては、政策目的を明確にして、政府が住宅建設を国民の生活と結びついた形での景気浮揚策として取り上げているというその意義をもっとクローズアップし、そして金融機関等についても、そういう点での金利の引き下げの問題についても特段とひとつこれを受け入れて実施してほしいという旨を、重ねて強く要望いたしておきたいと思います。 それから、今回の景気浮揚策の中でのもう一つの主要な柱は、先ほども冒頭に申し上げましたけれども、公共事業の事業量を上期に七〇%程度までということでございますけれども、不況対策として公共事業の繰り上げを行うということについては、とかくおくれがちでもありました生活関連の環境整備その他も含めて、これを早期に達成するということと、それが財政の上での需要を喚起していくということの結びつきを考えますと、特別どうということはありませんけれども、しかし内容について立ち入って見ますと、いろいろ問題があるのではないか。 たとえば、一律七〇%という機械的なことではないようでございますけれども、しかし公共事業の執行率、契約率をできるだけ上げていくという点で、一律七〇%というように受けとめられます。そうしますと、やりやすいところは契約率がぐっと上がっていく。非常にいろいろと問題を抱えていて、困難なものは、なかなか契約率がそこまで到達しない。 一例を挙げれば、道路の問題一つを取り上げましても、ほとんど公共事業の場合は地方自治体を通じて具体的に執行されるわけですから、したがって、一般会計あるいは特別会計の中での地方道とか一般国道、この場合には当然補助裏が必要だ、あるいは直轄事業であっても、これは負担金は地方自治体が出さなければならない、あるいは補助裏が必要だ。ところが、地方財政は御承知のとおり大変いま火の車というような中で、この執行を一挙に七〇%といっても、契約の問題、あるいはまたいろいろ土地の確保の問題、その他の問題もあり、なかなか契約も進まない。しかし、一方、幹線道路と言われております首都高速道路だとか、あるいは阪神高速とか、その他の公団がつくっております道路とか、こういうものは、やりやすいということで契約の率も非常に高いわけです。 たとえば建設省からの道路の問題一つを調べてみましても、特別会計の中でのいわゆる地方道、一般国道というものは、五十年度の四月の契約率というのは一四%です。ことしの四月です。昨年の場合は八・六%ですから、昨年よりは上がってはいますけれども、しかしこれに比べて、公団の道路の契約率は、同じ四月で五九・二%、それから首都高速道路は四四・九%、阪神道路は三〇・二%という形で、四月の時点でも非常に契約率が高いわけです。 ところが、補助裏だとか地方財政が伴います道路の建設ということになりますと、お金もないし、そのほかいろいろと条件が伴いませんので、これの執行率、契約率というのがいま非常に下がっているわけですね。私はこういう事態というのがいまの状況だと思うのです。いままでもそうだったと思うのです。 だとすれば、一律七〇%ということではなくして、私は国民生活と最も密接している道路の問題で申し上げましたけれども、一般国道とか、あるいは社会福祉施設だとか、あるいは公営の住宅だとか、あるいは公園だとか、このように生活と密着をしている地域の環境整備、これらの問題にむしろ重点を置いて七〇%を達成していく、契約率を高めていく、こういう点についてはお考えになっていられるのかどうなのか。もしいられるとするならば、いまのような困難な条件が伴いますので、それを解決していくための具体的な措置などを検討されたことがあるのかどうなのか、この二点、お伺いをいたしたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 小林さんのおっしゃる意味はよくわかりますが、そもそも五十年度の予算を編成する際に、お話の筋は全部織り込んであるのです。つまり、公共事業は四十九年度と大体同額にする、ということは、物価が上がっておるから、実質的に抑えるわけなんです。抑える中でも、いまお話しのような生活関連、これは優先する、そういう構えでやっておる五十年度の予算、それをいま実施する、こういう段階に来たわけであります。 それでありますので、一律に繰り上げるということをいたしますれば、大体もとがそうなっているのですから、小林さんの御趣旨のようなことになるわけなんです。しかし、特に著しい問題、たとえば大型のプロジェクトというような問題につきましては、いろいろと特別の配慮をしなければならぬ、こういうふうに思います。大体一律主義だという中におきましても、生活関連の諸施設につきましては、五十年度予算が編成された趣旨はそこにあるわけですから、その趣旨に沿って繰り上げの実行をするということが筋であろう、また、建設省その他の公共事業執行当局もそうしておる、そういうふうに考えます。
○小林(政)委員 具体的にその内容等については、建設省なんかでは、官公需の発注の問題にしても、公共事業等の契約率を高めていく問題にしても、ただ景気刺激としてこれを行えばいいということのみではなくして、この内容というのは、いままでどちらかと言えばいろいろとおくれていた生活関連でもございますので、この際、財政からの需要を喚起していくという上で、もっと政策的にも具体的な配慮があってしかるべきではないだろうか、そういうことを質問しているわけですけれども、そういう立場に立って、何か特別な対策をお立てになっているというようなことは建設省ではとられているのかどうなのか、こういう点、何もされてはいないのかどうなのか、はっきりさせていただきたいと思います。
○宮繁説明員 お答え申し上げます。 ただいま長官からもお話がございましたように、建設省所管の予算につきましても、たとえば道路事業の中では生活に関係いたします市町村道に重点を置くとか、あるいは公園、下水道にかなり重点を置きまして、五十年度の予算伸び率で見ますと、たとえば道路の事業費では前年度よりも五%減っておる、あるいは治水は約四%程度の伸びでございますけれども、公園とか下水道、住宅等につきましては二〇%以上の伸び率ということで、重点的な予算編成をいたしております。 ただ、この執行につきましては、それぞれ各県で、用地の話がついたところから進めますとか、諸般の準備もございますので、必ずしも一律に契約率が達成されるということにはならないと思いますけれども、予算の方向そのものがすでにもうそういうふうに重点指向いたしておりますので、五十年度の公共事業について見ましても、生活関連がかなり重点的に整備されるだろうとわれわれは考えております。
○小林(政)委員 そういう点をぜひ私は、政策的に一律七〇%ということでなくして、実際に生活関連という問題を重視して、とかくいろいろと資金面その他の困難が取りついている問題ではありますけれども、それを排除して、やはり早期執行をしていくというような対策を意識的にとっていくことが、いま非常に必要なのではないかというふうに思います。 その場合に、私は、中小企業者の官公需受注の問題ともこれは直接結びつく問題だと思うのです。たとえば都営住宅あるいは公営の住宅といったようなものなどは、地元の建設業者が地方自治体から仕事を受けてやっているというのが非常に多いケースです。それぞれ地域の中での地元の業者といいますと、建設関係にしても、大きい規模を持っている業者もありますけれども、ほとんどが中小建設業者、こういう人たちが請負をいたしまして、仕事を実際に行っているわけで、きのうも財政小委員会でも問題が出ましたけれども、資金をなかなか思うように動かすことができない、こういったような問題等についても何らかの対策が必要なんじゃないだろうか。 地方自治体にも金がない、前受金を払おうとしてもなかなか金がない、あるいはまた、受けた業者もそれほど大きな建設業者でもない、中小企業に属する、こういう業者の場合には、入札して契約を結んで設計を行っても、資金繰りで追われていく、こういったような問題がやはり自治体側にも業者側にも出ているわけです。これらの問題については、私は何か特段の配慮が必要ではないだろうかというふうに思いますけれども、この執行の問題について具体的な検討を何かされているのかどうか、この点もお伺いをいたしたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 政府の発注するもろもろの契約、これにつきましては、中小企業者にこの受注の機会を拡大するという大方針でありまして、一応三〇%という目標を持っておるわけですが、さらにそれを努力をしたい、こういうことで、相当そのためには無理しているのです。たとえば一つの機会が中心の工事なんかにいたしましても、それを細かく分割して、わざわざ中小企業者に機会を与えるとか、道なんかも、能率から言えばいかがかとも思われるくらい細かく割りまして、そして中小企業者の機会を増大するとか、いろいろやっている。 それから、地方団体側の問題としては、これは地方の単独事業ということになりますと、いま地方財政はそう楽じゃございませんものですから、そうはかばかといかない。小林さんの目につかれるのは、その単独事業のことじゃないかと思うのです。これはそう簡単にまいりませんところが出てきておると思いますが、しかし補助事業につきましては、その補助事業が執行できるような裏負担、これはちゃんと整備してやっておるわけですから、それにつきましてそう問題があろうとは思われない。もし問題がありますれば、これはひとつ具体的に御指摘くだされば、何かその対策のとりょうもあろうと思いますけれども、そういうケースは私はないのだ、こういうふうに一応思っておるわけであります。 中小企業者の金融問題というのは、これは第一次対策で手厚い対策をとった。第二次対策でもそれを補完するということをやりましたので、今日では、中小企業者が金融問題でその深刻な苦情があるという状態ではないように思っております。何かちゃんとした業者であって、ちゃんとした工事の請負をする、その金が停滞をするというようなことは、ちょっと私も考えられませんけれども、なお十分注意してまいりたいと思います。
○小林(政)委員 地方公共団体の場合は単独事業を指しているのではないかというお話でございますけれども、これは単独事業じゃなくて、いわゆる補助事業あるいは直轄事業も含めてですけれども、地方財政において自主財源が相当縮小してきているという中で、実際には、公共事業が出ますと、それに対して直轄の場合には二分の一、補助裏の場合には三分の一とかという形で負担金がつくわけですね。 ですから、なけなしの自主財源が、ほとんどそういう公共事業のために、これはもう優先的につけますので、単独事業を逆にやろうとしてもなかなかそちらにまでは手が回らない。結局公共事業に最優先でもって補助裏なりをつけていかなければならない。したがって、できれば単独の事業として何かやりたいという計画があっても、もう公共事業の裏をつけるだけで非常に地方財政が追われていって、実際には地方財政ではもう単独事業を何か一つでも行おうとしてもきわめて困難だ、こういうような事態がいまの状態だと思うのです。ですから七〇%からが上半期に集中をするというような状況の中で、実際には資金繰りに相当追われている、こういうのが現状だと思うのです。 この点については、私、具体的な例も挙げて明らかにしていきたいというふうに思いますけれども、きょうは時間も短いので、いまこういう事態の中で、資金繰りの点についても、やはり何らかの問題を解決していく対策をぜひとってもらいたいということを強く要望いたしたいと思います。 次にお伺いをいたしたいのは、先般も私、この委員会で鉄鋼の問題を取り上げましたときに、経済企画庁長官は、そういう基礎物資等については、個別に、値上げの動きがあれば行政指導などの対策をとっていく旨の御答弁がありましたけれども、最近、第三次不況対策が発表されましてからも、新日鉄の稲山会長などは、このような対策では実際問題として効果が期待できない、景気の刺激効果にはならない、したがって、鋼材価格の値上げ幅を圧縮する余地というようなものは、このような状態の中ではほとんどないという意味の発言をされております。こういった状況、この事態を一体経企庁長官としてどのようにごらんになっていくのか。 あるいはまた、その後、不況気対策の後でも物価担当官会議も開かれたというふうに聞いております。そこでも、主要な物資の値上げについては、自粛を求めることはもちろんですけれども、具体的に行政指導も行っていく旨の新聞報道がございましたが、鉄鋼の場合などについて、いまのような稲山会長の発言その他の動きを、具体的にどうごらんになっているのか、また、具体的にはどう対策を立てているのか、これは通産省からもお伺いをいたしたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 何万とある物資のことでございまするから、その中には上がる物もあるわけですし、下がる物もあります。そして、その総平均が卸売物価では七・七、消費者物価では九・九、こういうことを申し上げておるわけでございます。 ですから、私どもは財界に協力を要請しておりますけれども、これを全部凍結することを要請しているわけじゃないのです。その中には、そういうことをすることが非常に無理な物もありましょう。その無理な物、赤字で将来の企業の基盤まで揺るがすような物、それまでもこの際凍結だ、こんなことを言っているのじゃありません。しかし、多少の無理はしてもらいたい、で、大方値上げをしないように協力願いたい、こういうことを言っているのですが、何万とある商品の中には、値上げをいたしませんと経営基盤を揺るがす、こういうような物もあるようでございます。そういうような物までも抑え込もう、こういうことをお願いしておるわけじゃないことを、まず理解願いたいのです。 それにいたしましても、それじゃ財界の方で、私のところも苦しいのです、私のところも苦しいのですと言って、さほど苦しくもないものにつきましてまで値上げということになってはまた困る。つまり、値上げムードというものが出てきては困る。そこで、値上げを企図いたしましても、それが現実化しないという歯どめをしておかなければならぬ。それが総需要管理政策です。ですから、仮に鉄の方で、一万二千円とか一万六千円とかいろいろ新聞で報道されておりますけれども、それが現実の問題として、とてもそのまま実現するというような需給の状態じゃないわけでございます。業者の方でも、値上げの必要があるというようなことを考える向きにおきましても、この際、物価政策もまた大事だ、そういうようなことで、値上げ幅を抑制するというものも出てくるかもしらぬ、あるいはこの際、全然値上げをしないで協力しようというものも出てくるかもしらぬ、こういうふうに存じますが、とにかく自粛態勢を強く要請いたしまして、また、これに対しましては財界においても応ずる構えである、私はそう見ております。
○神谷説明員 鋼材の価格引き上げにつきましては、御承知のように、本年初頭から高炉メーカーの各社首脳がその必要性等につきまして訴え続けてき、あるいは希望しておりますが、当省といたしましては、物価政策上の観点、鋼材の国民経済に与える影響等にかんがみまして、今日まですでに数度にわたって慎重な行動を要請してまいり、今日に至っておるわけでございます。先ほど御指摘の物価担当官会議の申し合わせもございますので、今後とも、当省といたしましては、その申し合わせの趣旨を体しまして、機会あるごとに、当省幹部から鉄鋼メーカー首脳に対し、値上げについて慎重に行動し、対処するよう要請していくという方針でございます。
○小林(政)委員 最後に一点だけお伺いいたしたいと思いますけれども、いまの鉄鋼の場合についても極力自粛を要請していくということでございますし、また長官からも、総需要抑制策の中で物価全体の引き上げというような動きを歯どめとしていま抑えている、こういうことも言われたわけですが、まあ財界あたりでは、今回の第三次不況対策は大したことはない、景気浮揚には問題にならないという意味のことを言っておりますけれども、しかし私は、景気対策としての財政面からの効果というものが出てくる時期に、すべての物が相当値上げを行っていくという動きが一層強まっていくのではないか、このようなことを懸念いたしております。私は、それこそいまのような、単なる自粛要請というようなことに重点を置いているということだけであれば、恐らく秋に向かって、物価値上げという相当深刻な状態に立ち至るのではないだろうか、このような見通しを持ちますけれども、大臣、このような心配は一切ないとお考えでしょうか。また、それを来さないためにはどうされようとしているのか、この点も含めてお答えをいただきたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 これからの物価の推移につきましては、ただいま御指摘の業界の価格引き上げの動き、これだけが私は心配なんです。ほかに心配はないのです。ほかの環境というのはすべてよろしいです。でありますので、財界に対して要請もしておる、また財界も、これにこたえようと、こう言っておる。まあ多少の値上げ品目というものは出てくると思うのです。しかし、値の下がってくる物も出てくるのですね。現に今日はどうですか。もう毎月毎月卸売物価が下がる、こういう傾向であり、それから昨年あたり上がった物を考慮に入れましてこの一年をとりましても、卸売物価が六月の時点で年間二二%の上昇だ、そういう情勢です。でありますので、業界の動き、これは私は非常に関心を持っておるわけですが、手放しでおるわけじゃないです。最大の努力をしておる、かように御了知願います。
○小林(政)委員 終わります。
○横山委員長 有島重武君。
○有島委員 けさほど本物特委員会におきまして、政府が「マルチレベル商法等に関する対策」というものを御発表になりました。これは、マルチ商法が商売に関する知識経験の乏しい一般個人を対象としているとか、それから欺瞞的な勧誘とか、不当な表示等が発生しやすいとか、こういったことでもって国民、消費者に与える影響は憂慮すべきであるというようなことがあって、政府としては、関係各省庁が連絡をとり合いながら、法の運用は厳格にしていく、それから必要があれば新規の法律をつくるとか、それから広報活動を消費者に対してやっていくとか、あるいは指導をやっていく、あるいは苦情相談をもっと親切にするとか、被害者の救済とか、そういった内容であったようでございまして、これは大変評価すべきことであろうと存ずるわけでございますが、私は、きょうはいわゆるサラリーマン金融というものを取り上げさせていただきたいと思います。 ちょうどこのサラリーマン金融も、金融に関する知識経験の乏しい一般の方々がこれを借りるわけですね。そして、欺瞞的とまで言えるかどうかわかりませんけれども、結果的には、金を借りた側が、まさかこんなことになるとは思っておらなかったという結果になる。それからもう一つ、これは明らかに不当な表示ではないかと思われることが発生しやすい、こういうことがあるわけでございまして、これは大分騒がれておることでございますから、これもマルチ商法に関する対策をお出しになったことと相対応して、ひとつサラリーマン金融に対しての総合対策とか、そういうものを速急にまたお出しになるお考えはないだろうか、御用意がないだろうかということを最初に承っておきます。
○福田(赳)国務大臣 サラリーマン金融は銀行その他の金融機関が主になって行っておるわけでありまして、これはかなり金融機関においては勉強をしておる、こういうふうに思うのです。余り不祥事件だとかそういうものは聞いておりません。 それからもう一つ、金融業者の行うサラリーマン金融、そういう種類のものがあります。この金融業者の行うサラリーマンに対する金融につきましては、かつていろいろ問題も起こしたことがあります。その後大変改善されまして、時たまずいぶん悪質な事件なんかが新聞に報道されるというようなことがありますけれども、これは異例なケースでありまして、最近はこの貸金業者の方もかなり体制が改善されておる、こういうふうに見ておるのであります。 さしあたって、私どもは、既存の法律を適正に運用していくということ、これは当然のことでありますが、新しい立法措置でありますとか、新しいその他の行政措置でありますとか、ただいまのところは別に検討しておるというようなことは所管官庁から聞いておりませんです。
○有島委員 副総理の御認識がやや甘いのではないかと私は心配をいたすわけでございます。 それで、大蔵省の方にちょっと伺いますけれども、いわゆるサラ金についての基本的な認識でございますが、いま副総理が言われましたのは、普通のレギュラーな金融機関からなされるサラリーマン金融、小口金融、それと、いわゆる町の業者がやっているサラリーマン金融、こういうような分け方をなさった。 ところで、この第二番目の方の一般の金融業者といいますか、こういう業者のやっている金融の中で、サラ金というものはどういうふうに区別されるといいますか、定義されておるか、そういうようなことが一つ。 それからもう一つ、いわゆるサラ金というものは一件当たり大体幾らぐらいのものが平均であるというふうに御認識なさっていらっしゃるかどうか。これの利用者は大体どのくらいいるのだろうか。 それからもう一つは、最近のいわゆるサラ金の利用者の借り受ける目的はどんなものが多いのか。 まず、そういうことの大蔵省の御認識、それから警察庁の方の御認識、両方から伺っておきたいと思います。
○吉野説明員 お答え申し上げます。 サラリーマン金融というものの定義と申しますか、どういうふうな類型のものとしてとらえておるかというのが第一点かと思います。大蔵省は、先生御承知のように、いわゆる出資法によりまして、法律上実態調査の権限を与えられているわけでございますが、これまた御承知のように、都道府県知事に委任をいたしております。そういう関係もございまして、まことに恐縮でございますが、必ずしも私ども、いわゆる貸金業者が行っておりますサラリーマン金融というものの実態を的確に承知をしているとは申せない現状でございます。かといいまして、一般にサラリーマン金融と言われますのは、言葉からも類推されますように、いわゆる事業者ではない、たとえば給与所得者、あるいは自由業者、そういう者を相手にするものが典型的なものであろう。 もう一点は、貸し出しの条件でございますが、これも必ずしも明瞭に、この点がサラリーマン金融の特色というふうに一義的につかまえることはなかなかむずかしゅうございますが、私ども承知いたしております限りでは、たとえば担保がないとか、あるいは保証人もとらないというようなケースが多いように承知いたしております。 それからまた、ただいまのは担保の点でございますけれども、貸し付けの期間でございますが、これもその金融の性格から申しまして、貸し付けの期間は事業金融と違って比較的短期、たとえば短いものでは三カ月とか半年とか、そういった点が一つの特色ではなかろうか。 それからもう一つ、これも当然付随してくる特色かと思いますけれども、貸し付けの金額が比較的零細といいますか、小口であるというようなことが特色ではなかろうか。この辺が大ざっぱなイメージと申しますか、そういった感じのものというふうに思います。ただ、業界なりあるいは大蔵省として、こういうものがサラリーマン金融だというふうに明確に定義づけるような状況なり判断を持ち合わすような段階にはまだなっておりません。 それから第二点の、一件当たりどのくらいの金額なのかという点でございますけれども、これも的確には申し上げかねますけれども、いわゆる貸金業者全体について申しますと、大体一件当たりの平均が三十万円弱というふうに承知しております。その中で、いわゆるサラリーマン金融という場合はどうかということになるわけでございますが、これも業界方面から聞いておりますところでは、大体五万円から十万円というのが通常のケースだというふうに聞いております。 それから、いわゆる利用者の数がどのくらいかというお尋ねでございますが、私どもその辺は的確に実は承知をいたしておりません。 それから、どういう目的でいわゆるサラリーマン金融というものの借り入れが行われるのかという点でございますが、これもたとえば冠婚葬祭といったような一時の出費、それからまた生活費とか、あるいは交際費の一時の補てんとかいうようなケース、あるいは場合によりましてはマージャンとか競馬とかいう一種の賭博的な資金の用立てにも利用がされておるというふうなぐあいに承知をいたしております。
○四方説明員 警察の方でつかんでおります事柄について簡単に御説明申し上げたいと思いますが、われわれの方では、悪質な金融事犯に対する取り締まりにかなり努力いたしております。毎年大体六百人余りの悪質事犯の検挙をいたしておりまして、昨年も六百三十四人を検挙いたしております。そのうち四百七十人が高金利事犯ということになっております。 これらの事犯の中で、いわゆるサラ金というものがどの程度かというのは、統計上とっていないわけでございますが、参考までに、愛知県警の方で昨年じゅうに、高金利事犯の参考人、つまり被害者でございますが、それについて取り調べをやりました。その六百十八人について分析をした結果が、警察庁の方に報告が来ております。これによりますと、高金利事犯の被害者六百十八人、年齢別では三十歳代が圧倒的に多くて、全体の約五〇%を占めております。 この六百十八人を、個人で金を借りた人と中小企業とに分けて見てみますと、大体七〇%が個人で金を借りておる、残る三〇%が中小企業の人たちである、こういうことになっておりまして、この七〇%のいわゆる個人で金を借り受けた人たちの中で、一番多いのが主婦になっております。家庭の主婦であります。これが三七%強。その次がいわゆるサラリーマンでございます。会社員が約三四%ということになっております。 参考までに、これらの人たちがいかなる目的で借り受けておるかということになりますと、中小企業は、当然のことでございますけれども営業資金でございますが、個人で借り受けておる場合に一番多いのは生活費でございまして、その次がレジャーというような形で続いております。ギャンブルなんというのもございますけれども、いずれにしましても、生活費あるいはレジャーというものが非常に高率を占めておるということが言えようかと思います。 この借り受けの際に、いわゆる出資等取締法で罰則の対象となっております。一日〇・三%を超えておるわけでございますけれども、どの程度に超えておるかと見てみますと、やはり〇・三%から〇・五%ぐらい、法律で刑罰の対象とされておるぎりぎりをやや超えておる程度が一番多いのですが、それからいわゆるツキイチあるいはトイチと言われる程度のもの、この辺の利率の高金利事犯が圧倒的に多いということが言えようかと思います。 一応われわれの方で把握しております数字は、以上でございます。
○有島委員 お聞きのとおりでございますけれども、いかがでございましょうね。昔はいろいろ問題があったけれども、最近は少なくなっているようだと副総理おっしゃったけれども、必ずしもそうではないということをひとつ御認識いただきたいのでございますが、いまの報告を聞いて、いかがでございますか。
○福田(赳)国務大臣 私が政界に入る当時は、金利オーバーというのが、非常な高額なオーバーがずいぶんあったのです。それをどういうふうに是正するかというようなことがしばしば問題になった。そういう時期もあったのですが、ただいまお聞き取りのように金利オーバーの事犯、これは今日なおあるようでございますが、多少超えるとか、そういうことが多いというような報告です。それとても法に触れるのですから、法によって処断をする、これは当然のことであります。それ以上に何か対策をとる必要があるか、こういうようなお話でありますので、その必要があるというほどの憂うべき状態であるという報告には接しておらぬ、こういうことを申し上げたわけでございます。
○有島委員 ますます私は心配なわけだ。いまのは高金利事犯の参考人というお話でございましたですね。そこまで至っていないもの。ですから、いまの〇・三%、いわゆる日歩三十銭ということでございますが、それ以下でございますね。〇・三%という高利には至っていないけれども、苦しんでいるといった場合は、たくさんいまでも起こっておるわけでありまして、いまの金利オーバーでもってこうした事犯としてすくい上げられた、これは本当に氷山の一点である。 もう一つ注目しなければいけないことは、企業ではなしに、個人的に小口でもって借りている方々が全体の七〇%であって、そのうちの三分の一以上は主婦である。これは生活に何か差し迫ったことでもって借りている、こういったことが起こっているということですね。副総理の御認識だと、物価はいまや安定に向かっておる。そうして、あとはもう不況対策をじわじわやればというようなことかもしれないけれども、主婦の実感からすれば、非常に高い値段でもっていま安定していると言えば安定しているかもしれないけれども、非常に苦しい中にいるということがここにあらわれていると思うのですね。 それで、その上、今度は被害の取り締まりなんですけれども、この取り締まりについては、大蔵省の方の取り締まりの仕方、それから警察庁の取り締まりの仕方というのがおありだろうと思うのですが、この取り締まりの仕方について、大蔵省と警察庁と両方から承っておきたい。
○吉野説明員 御説明申し上げます。 大蔵省といたしましては、いわゆる出資法上の権限といたしまして、実態調査及び報告を受け取ります権限と、それから事業の開始あるいは休廃業の場合に届け出を受理いたします権限を持っているわけでございますけれども、この権限はいずれも実は都道府県知事に委任をして、都道府県知事の適切な判断でその実態の調査をし、それから報告も受け取るというふうな仕組みでいたしております。ただ、それとは別に、これは昭和四十七年であったと思いますけれども、国会の各方面で一与野党の先生通じまして非常に御努力をなされまして、いわゆる庶民金融業の自主規制の助長に関する法律というものが制定をされまして、その法律に基づきまして大体各県に一つずつ協会もでき、そうして全国単位ではその連合会がつくられておるわけであります。この連合会なり協会は、貸金業者、いわゆる庶民金融業者が行います貸し付けの契約の内容の適正化でございますとか、ともかく不当に社会的な非難を受けることのないように業界自身として自主的に指導、調整をしていこうという趣旨で、まだ設立後そう日もたっていないこともありまして必ずしも十分ではございませんけれども、全国の連合会を中心にいたしまして、かなり熱心に、精力的にその事業の推進に努めておられます。私どもは、そういう自主的な活動を側面的にバックアップしながら、自主的な規制の実が上がるようにというふうに期待をいたしておるわけでございます。
○四方説明員 取り締まりの方法についてお尋ねでございますが、われわれの方は、新聞広告あるいはチラシによる広告等、金融業者の広告を見て、非常に問題がありそうなものについて積極的に内偵をいたしまして取り締まりをやるというのを原則的な方法にいたしておりまして、二割方被害者の申告が端緒になっている例もございますけれども、大部分は警察側の積極的な内偵活動によって犯罪の端緒をつかんでおるわけでございますが、今後とも従来以上に前向きに取り組んでいくつもりでおります。 来月早々には、全国の警察に、悪質金融の前歴を持つ人たちのリストをつくりまして、その者たちによる犯罪が二度と繰り返されないよう、十分な監視体制もつくる予定でおりまして、強力に取り締まっていきたい、このように思っております。
○有島委員 警察庁の方でも大変がんばってくださっているようである。その結果ということもあるでしょうけれども、副総理も知っておいていただきたいのは、さっき、昔よりかだんだんよくなっているのじゃないかという御認識、それは、まあ取り締まりなんかは一生懸命やっていらっしゃるということがある。それから、それと比例していくというふうにも読めますけれども、検挙の総数は年々ふえているのですね。これを警察のお働きとして評価することもできます。しかし、そうしたことは、いまの世相の中でもって、いわゆるサラ金というものが非常に多くなっているということも考えていかなければならないのじゃないか。 さっきの検挙総数ですが、こちらにいただいた数字では、四十九年が六百五十八になっています。四十六年ごろは四百台であったわけですね。いまふえているわけです。それから四十九年の一月から四月の間というのは、百件ぐらいになっている。それがことしの場合には二百五十九件と、二倍半ぐらいにふえているという数字がございます。これも二通りの読み方があると思いますけれども……。ですから、これはそうのんきに、だんだんよくなっているのだろうというふうな考え方だけではまずいのじゃないかということを私は申し上げたいわけであります。 それから警察庁に伺いますけれども、高金利違反の場合、三年以下の懲役または三十万円以下の罰金ということになっているようですけれども、この罰金額がどのくらいになっていますか。最近のこの違反で、罰則が適用になったものでもってこれがどのくらいになっておりますか。
○四方説明員 科刑実績につきましては、正確な数字を持ち合わせておりませんけれども、われわれが日常の仕事を通じて第一線からの報告で受けておる印象では、実刑を受けておる者も一部ございますが、罰金の場合には大体十万から二十万円ぐらいの罰金が科せられておるというのが通常である、このように考えております。
○有島委員 もう一遍伺いますけれども、懲役というのはどのくらいになっておりますか。
○四方説明員 実刑の科せられておる割合を、正確にはここに数字を持っておりませんけれども、一部実刑を科せられておる者があるということで、恐らくその数は一割に満たないのではなかろうか。この席上では、正確な数字をちょっと持ち合わせておりませんので、御了承いただきたいと思います。
○有島委員 いわばこれはなめられているといいますか、罰金ならば、罰金を払えばいいわと、そういう状態になっているという実態があるようであります。 それから、この許可について非常に問題があるわけでございますけれども、このことにつきましては、六月四日の法務委員会でこのサラ金の問題が大分取り上げられたようでございます。私も記録でだけこれを拝見しているわけでございますが、時間があればもう一遍ここに戻りますけれども、この許可について、結論だけ申しますと、届け出だけすればよろしいという現行制度になっておるのですけれども、副総理、この問題を余り簡便に、だれでもやっていくのだという、このまま野方図に許していていいものだろうか、あるいはこの許可制についてもう一検討してみる必要があるのじゃないかというふうにわれわれも思いますし、それから法務委員会なんかでもそういった御主張があったようでございますけれども、貸し金業者の許可あるいは認可の問題、いまは届け出だけでもってやっている、これをもう少し強化すべきではないか、これについて副総理の御見解を承っておきたい。
○福田(赳)国務大臣 いわゆる町の金融業、これは、庶民生活というか大衆の日々の生活の必要から自然発生的に生まれてきたもの、そういう意味において、かなりこの業界というものが世の中の制度や組織で救われない世界で世のニーズにこたえておる、私はこういうふうに思うのです。そういうような自然発生的に生まれた手軽な金融というものを、格式張った制度にするがいいか、この辺は相当問題があるのじゃないか、こういうふうに思いますが、まあひとつ金融当局なんかの御意見も聞いていただきたいのですが、私は、どうも余り格式張ったものにしない、こういう方が実際的じゃないかというような感じがいたします。
○有島委員 善意に行われる場合には、それでよろしいわけです。ところが、いろいろな事件が起こったときに、大蔵省がどうすることもできないでいる。警察としても非常にやりにくい。それから、一遍ずいぶんひどいことがあった、にもかかわらず罰金でおしまい。またやっておる。それに対して、重犯のことはリストする、これから始めるのだなんということを言っておるようですけれども、そうした取り締まりの、届け出だけやっておけばいいのだというその簡便さが、いまや裏目に出ておるということがたくさんあるわけだ。そのことは本当に考えなければいけないことじゃないか、そういうことを申し上げたいわけです。 とにかくお考えいただくということにして、さっき副総理は、大体余りひどいのはないはずだということをおっしゃったけれども、暴利という点ですね、この暴利が、大体いま、さっきの〇三というのが最高額ということになっているけれども、これは年間でいきますと、大体十万借りれば二十万以上ということになるわけですね。倍になっていくということです。これは初めは〇・三%なんて言いますと、素人の方というか、主婦の方は、これは大したことないのだという印象をまず受けますよね。それが結果として、一年たってみたらば二倍になっておった。こういうことは、これは暴利だ、いやそうじゃない、法定どおりなんだ、こうなるわけだ。こうした問題について、副総理、これからどうするか。 これは、どうしても消費者サイドも教育していかなければならないという面が多く出てくるでしょう。それからまた、そういった余り知らないのにつけ込んでもうけている方々、そういったことに対しても何らかの手を打っていかなければいけないのじゃないか。ここは物価特別委員会であり、消費者保護という立場でもってのお話し合いになりますから、これについて副総理はどういうようにお考えになるか。
○福田(赳)国務大臣 町の金融業というのは、先ほど申し上げましたように、これは国家の統一的な機関だとか組織だとか、そういうもので救い切れない社会のニ−ド、それにこたえるために自然発生的に出てきておるわけなんです。それで、私は金を金融業者から借りたことはございませんけれども、借りた人からはずいぶん話も聞いておる。ことにわれわれの大先輩である益谷秀次さんなんというのは、ずいぶん御厄介になったようで、その人なんかの話を聞きますと、一年たってみるとずいぶん高い金利になるのだ、しかし、あのとき、あした一日が問題だ、一週間が問題だ、一月が問題だというときに、〇・三%が高いか、こう言うと、決して高いとは感じない、大変ありがたいことだった、こういうようなことを力説しておりましたが、そういう面が確かにこの金融業というものにあるのじゃないか、そういうふうに私は思うのです。 ですから、余りこれを窮屈なことにしておくこと自体がどうかというふうに思います。思いますが、しかし、さればと言ってこれは野方図にするわけにいかぬ。そこで、いわゆる出資取締法というものがあるわけなんです。そういう面の取り締まり、これは厳重にやらなければならぬ。また、誇大宣伝して紛らわす、あの宣伝のとおり金を借りたところが後でこういう目に遭った、こういうようなことになっても困るわけで、これは不当表示防止法というのがあるのですから、それによって取り締まるとか、現行の法律を適正、厳重に執行していきますれば、大体この問題というものは解決し得るのではあるまいか、そういうふうに考えておるわけでありまして、その法の執行につきましては、関係各省なお適正を期せられたい、かように私は考えております。
○有島委員 私、直接聞いた話を余り挙げると、差しさわりがあるようなことがあるから、これは副総理も恐らく知っていらっしゃることであろうと思うから言いますけれども、五月二十三日の毎日新聞に社説として出ている話でございます。 京都のある課長夫人が、サラリーマン金融から借金をしたわけですね。この人の保証人に立ったA子さんという方がいらっしゃって、業者から矢の催促を受けて、その保証人に立ったことについて、A子さんという方は夫に相談もできないまま、ネコいらずを飲んで自殺した、こういうのが出ておりますね。それから、岐阜のある主婦が、夫にないしょでサラ金を借りた。それで、返済に追い詰められて入院した。子供四人を抱えた夫は一家心中した、こういうのがあります。 いま、大変昔の大時代のお話があったけれども、そのような御認識でいらっしゃると、とてもとてもとんでもないことである。ひとつ認識を是非とも改めていただかなければならないと私は思います。 それで、利息のことで大蔵省に聞きますけれども、大体利息がどのくらいにつくのかということ、たとえばテレビ購入の場合のローンの場合と、自動車の購入の場合、それからサラ金の場合、比較してみて、大体どのくらいになりますか。
○吉野説明員 いわゆる貸金業者が金融をいたしております場合の金利でございますが、これもきわめてまちまちでございます。手形貸し付けの方法によります場合、あるいは証書貸し付けの方法によります場合と、貸し付けの形式もさまざまでございますし、金利も実にさまざまのように承知しております。ただ、そのモードといいますか、中心的な金利の水準は、日歩で申しますと、日歩二十五銭あるいは日歩二十八銭というようなところが、大体一般的な姿のように存じております。 一方、あるいは的外れなお答えなのかとも思いますけれども、テレビでございますとか、それから自動車でございますとか、いろいろ金融機関も、最近はそういった物品の購入資金につきまして、いわゆる消費者ローンという形で金融をかなり熱心にやっておりますけれども、そういう場合の金利は、これも各銀行によりましてまちまちでございますけれども、これは年利でございますが、年利一〇%から一二%ぐらいというようなことが大体中心的に読み取れるように理解をいたしております。
○有島委員 大ざっぱに言って、七倍から十倍ぐらいになるのじゃないですか、普通の銀行とサラ金と。そのくらいの見当になるようであります。 それから、そのことも詳しくやっていきたいのだが、時間が迫ってきてしまったからはしょりますけれども、先ほど、庶民金融業協会というお話が出た。これは副総理御存じですね。お聞きになったことがおありになるかどうか。
○福田(赳)国務大臣 できたことは承知しております。
○有島委員 これは、こうした野方図なことでは困る。だから、模範的な小口金融をやっていきましょう、そういう趣旨から、在団法人として出発なさったのだろうと思うわけであります。 ところが、ここにございます広告が、「社団法人東京都庶民金融業協会会員」、それで地図が出ております。「OL・主婦歓迎」「保証人不要」、その次に星がついておりまして「低利」と、こう書いてある。これは電話番号が出ておりますので、私も実際聞いてみました。日歩二十八銭であります。これは低利であろうか。どうお考えになりますか。これが不当表示ということにならないであろうか。これは副総理どうお思いになりますか。ごらんになっても結構でございます。
○吉野説明員 確かに先生おっしゃるように、日歩二十八銭というのは、一般的な常識からいたしますと、「低利」という言葉になじむものとは私は率直に思いません。ただ、これは想像でございますが、そういうチラシがあるとすれば、恐らく日歩二十八銭という少なくとも出資法上の制限の中で決められた金利であって、たとえばほかの、悪質と言いますと語弊があるかもしれませんが、もっと高い、場合によっては出資法の法律に反するような金利で貸し付けを行っている業者がありとしました場合に、恐らくそれとの比較において、私どものところは出資法に従った範囲内の金利でやっているというような意味を込めて「低利」というような表現をしたのではないだろうか、かように存じます。
○有島委員 副総理、ちょっとこの広告を見てください。 いま大蔵省の方のせっかくの答弁でございますけれども、公正取引委員会の方、これはやはり不当表示の疑いがあると言われてもしようがないのではないかと思うのですけれども、公取としてはどう判断なさいますか。
○熊田政府委員 ただいまのような例の場合に、これが景品表示法に触れるかどうかということでございますが、ただ「低利」と書いてあるだけだという場合に、果たしてこれはどういう意味であるのか、そこのところが一番問題になると思います。景品表示法では、「実際のもの又は当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良である」と誤認される表示、こういう場合には不当表示の要件に当たってくるわけでございまして、その点、果たしてどういうふうに解せられるかどうか、これは具体的な表示の仕方、内容によって判断をしなければならないと思います。 一般的に「低利」と書いてあれば、それでもうすぐ景品表示法に触れるということを申し上げるのはどうかと思いますけれども、しかし、そういう景品表示法に触れる場合もあると思います。これはその具体的な事例の内容をさらに検討させていただきませんと、その点ははっきり申し上げるわけにはいかないと思います。
○有島委員 副総理、そういうわけでございまして、いまのお答えにしても、さっきの答えにしても、三十銭よりも二十八銭の方が安いからこれは低利だということでありますが、三十銭というのは大変なことであって、年利一〇・九五%、これは日歩三銭ですよ、そういうことになるわけですね。ですから、もしいま大蔵省が言われ、公正取引委員会が言われたごとくであるならば、こういうものですよ、ここに「低利」と書いてあれば、これのごとき内容であるということを常識化するように、少なくとも消費者には、テレビでもって大々的に報道しなければいけない、小学校でも教えなければいけないということになるのじゃないでしょうかね。ただ「低利」と書いてある。「保証人不要」とある。「OL・主婦歓迎」とありますから、低利と言えば本当に低利なのではないかと思ってしまう。これはどうにも注意しなければいけないことではないかと私は思います。 それからもう一つ。これもお目にかけておこう。この広告には「都公認」、こう書いてございましょう。そういう都公認というサラ金があるのですか。これはどこに聞いたらいいのですか。警察の方ですか。それとも大蔵省でよろしいのですか。
○吉野説明員 先ほども申し上げましたように、現在の貸金業者は届け出をもって足りるという制度になっておりますから、東京都が公認をする、「公認」という表現で連想させるような、たとえば設立なり業務の内容について東京都が監督をしているというような連想を与えるおそれが「公認」という言葉にあると思いますので、そういう趣旨の貸金業者は、現在の制度のもとにおきましてはないというふうに言っていいと思います。
○有島委員 時間でございますから、詰めてどうのこうのということよりも、私は問題提起をしておきたいというわけです。ですから、副総理のその認識をぜひとも改めていただいて、きょうは、冒頭に申しましたように、せっかくマルチレベルの商法に関しては非常に総合的な対策に踏み切られたのですから、これと軌を一にして、サラリーマン金融ということについても、これは消費者を守っていくといった立場を十分に加味した一つの対策をとっていただかなければならないのじゃないか。 お役所の返事をいま聞いておりましても、同業者から見てこれは何とかであるとか、法律的なハイエストのレベルから見てこうであるとか、そういうようなことは消費者には全然通用しないことですよ。消費者サイドから聞いていれば、もうそんなのはまるで論弁を弄しているのだとしか聞こえない。消費者の立場に立ったお答えではないわけですよ。大蔵省は別に消費者保護の官庁ではございませんから、そういったお答えが出てくるのは、これはしようがないと思いますね。だけれども、副総理のお立場はそうではない。ですから、その消費者保護という立場にしっかりお立ちになった上でもって、一つの対策をぜひとも検討を始めていただきたい、そう申し上げたいわけであります。御返事をひとついただきたい。
○福田(赳)国務大臣 町の貸金業の問題につきまして、いろいろお話を承りましたが、とにかくこの町の貸金業は、自然発生的にできてきた、そういうことがありますので、これを他の金融機関のようなセンスで扱うということになると非常にまた窮屈なことになり、町のニーズがそれだけ充足されないことになるおそれがある、こういうふうに思います。 しかしながら、町のニーズから生まれたこういう業界といえども、これは国民といいますか、消費者に不当の災いをかけるということになっては困りますから、これは不当表示防止法でありますとか、あるいは出資取締法でありますとか、ちゃんとそういう取り締まり法があるので、それを厳正に適用いたしまして、そして誤りなきようにいたしたい、こういうふうに思うと同時に、これは先ほど吉野課長からも申し上げましたが、業界がこういう問題につきましては自粛をしなければならない。そのための協会もできた、こういうことでございまするから、その業界等において自粛の実が上がるように、自主的に過ちなきを期すということにつきましても、改めて要請をする、こういうふうにいたしたいと思います。
○有島委員 終わります。
○横山委員長 和田耕作君。
○和田(耕)委員 福田副総理、この六月十六日に、第三次の不況対策を発表されておるわけですが、これは後からもまた御質問しますけれども、物価の問題は、一応、福田副総理が公約したような線で一四%の消費者物価、それで春闘も一三、四%のアップということで推移をしてきていると思うのですけれども、しかし、経済の問題から見れば、必ずしも福田副総理が期待しているような状態にならないのではないか、もっと深刻な心配があるのじゃないかというふうな感じがするのです。 各業界が、この間も土光さんもいろいろ強い御要望をなさっておったのですけれども、いまのこの不況の中で、設備が過剰になる、これが次第にコストに影響してくる等のことの御心配もあったのですが、そういう問題も非常に深刻な状態になっていくのではないか。やがて八月、九月になってくれば、物価の問題よりは、もっとこの不況対策、つまり景気刺激を重視しなければいけないというふうに、政策の転換をしなければならないような状況に追い込まれるのじゃないかという心配すらするのです。 そのことは後で御質問しますけれども、そういうやさきに、私、非常に驚いておるのですが、六月十六日、十七日、十八日の三日間にわたって、国鉄が、「わたくしは話したい」、それから「あなたの負託に応えるために」、そして「健全な国鉄をめざして」という一ページの意見広告を、全部の大新聞、合わせて九大新聞に広告したということですけれども、このことについて、無論副総理もごらんになっておると思いますが、まず、ごらんになっておりますか。
○福田(赳)国務大臣 国鉄がそういう広告を出しておるという話は聞いたのですが、その広告自体は、あなたから質問があるというので、ただいま政府委員の方からいただいた、そういうことでございます。
○和田(耕)委員 これは朝日、読売、毎日、日経、こういう広告で、これを三日間続けておりますから、これは当然副総理も読んでおられると——読んでおりませんか。
○福田(赳)国務大臣 読んでおりません。そういう広告を出すというようなことは考えておりませんでした。
○和田(耕)委員 それでは、私が不審に思う問題の個所を読んでいきますから、即座にひとつ御答弁をいただきたいと思います。 一番のこの書き出しに、これは六月十六日ですけれども、 「国鉄運賃を二倍に」という話を、あなたはお聞きになったことがあると思います。 もしあなたが初めて聞かれたのなら、さぞかしびっくりされたことでしょう。 しかし、わたくし(国鉄)が、将来とも国民の国鉄であり続けるためには、どうしても、そういわなければならないのです。 こういうのであります。これをどういうようにお考えになりますか。
○福田(赳)国務大臣 それを伺いますと、国鉄が運賃引き上げのPRを始めたな、こういうふうな感じでございます。
○和田(耕)委員 そのPRはいいのですけれども、先ほど申し上げたとおり、日本の各企業はほとんど軒並みに、コスト高騰を原因にして製品の値上げを求める機会をねらっている、そういうようにお思いになりませんか。
○福田(赳)国務大臣 そのとおり思います。
○和田(耕)委員 であるとすれば、天下の国鉄が、二倍の値上げをしたいのだという、しかも大新聞を動員してのこの意見広告は、副総理はいいことだとお思いになりますか、あるいは問題だと思いになりますか、いかがですか。
○福田(赳)国務大臣 さっき広告を見たのです。それから、はでなえらい広告をしているという話は、もう何日前ですか、十数日前から聞いております。話を聞いたところにより、いまこの広告を見たところにより、これは時節柄、私どもとしては歓迎できない、こういうふうに思います。
○和田(耕)委員 副総理としては、大変遺憾であるというようにお思いになりますか。
○福田(赳)国務大臣 国鉄として国鉄の企業内容をPRする。こういうことですから、国鉄自体の立場もありましょうが、いま私どもは、大変な物価値上がりのムードを抑えつけるということで努力しております。そういう際に、国鉄の当局がこういう広告を出すということは、私はどうも心なき行為である、こういうふうに思いました。
○和田(耕)委員 私も、国鉄が非常に困っている、三兆何千億という赤字を抱え、六兆に達する借入金を抱えた大変な苦しいう状態にあることはよくわかるし、そしてまた、この資料によりますと、高度経済成長になりました昭和四十一年から五十年までの、経済成長がぐんと上がったときに、その赤字の幅もぐんと上がってきているということから見て、国鉄の経営、つまり運賃あるいは国の国鉄に対する援助等が足らないなあということはよくわかるのです。 また、書いてある財政状態というのもよくわかるのですけれども、その説明の内容を、国民の大部分が一あちこちでこの意見を聞くのです。ゆうべからちょっと旅行しておりまして、きょう朝帰る汽車の中で、ある有力な週刊誌を読んでおりましたところ、国鉄が話したいならわれわれは物を申したいという大きな見出しで、この問題を問題にしているのですけれども、大変大きな関心を持っているのですね。 それで読んでみますと、赤字だから、しかも大事な仕事をしているから、これがなくなるような状態になればいいけれども、できないのだ、というようなことばかりを主張して、国民が負担するのはあたりまえだという趣旨のものなんですね。ちょうど第一日目の記事には、国鉄の公共的な仕事と義務教育の問題とを並べて、義務教育の問題を詳しく出しまして、年間に何ぼの予算がかかる、つまり、国が金を負担するのはあたりまえじゃないかという趣旨の暗示すらここにあるわけです。 ちょっと国鉄の当局にも私はお聞きしたいのですが、第一日目の広告の中に、 昨日も今日も、私は働いています。 日本中二万キロに列車を日夜動かしていますし、四十三万人の仲間が、駅の窓口やホームで働いているのをあなたは今日も見たでしょう。 私は働いているのです。少々無愛想なところがあるかもしれませんが、ともかく一所けんめいに働いているのです。 こういう働きぶりについてのことが各所に出てくるのです。二日目の冒頭に、 あなたが何気なくふだん手にされる時刻表。あの一冊の中に国鉄の全ての仕事が、一本の線、一本の列車も漏らすことなく収められている。正確にいえば、そのほかにまだ、貨物列車もあります。だからそれを含めた一冊分が、国鉄の全ての仕事の、しかも一日分です。 これだけのボリュームの列車が、一分の狂いもなく毎日毎日正確に運行されなければ、私は私の使命を全うしたとはいえないのです。 こう書いてある。なるほどこのとおりです。しかし、国民がこの広告を見て非常に疑問に思うのは、何言ってんだというように思うのはまさにこの点だと思うのです。国鉄の赤字が非常にあるにもかかわらず、国民の関心がわりあいに薄いのも、国鉄の労使はやることをやってないじゃないかということに対する疑問が非常に多いからだと思うのです。 その問題について、国鉄の経営者は、この苦しい状態を一言もこれに書いてないのです。ただ一カ所あります。この二日目の真ん中ごろに、 「まだまだ合理化の余地はあるだろう」とあなたはおっしゃるかもしれない。 何をするにも経費は安い方がいいに決まっていますから、「余地」について研究し、努力しなければならないことを私も認めます。 この行、これしかないのです。つまり、こういうような広告を出すことは、私は、何としても役人の独善的な感じがしてならないのですよ。 国民が国鉄に対して感じておることに、これはオーバーなところもあるでしょうけれども、それに一つも答えないで、国鉄の赤字はこのような状態であります、私ども四十三万人は一生懸命に働いております。したがって、国民は倍の運賃を払ってください、利用者が負担してください——さすがに国に対して援助を強く求めることは言ってないけれども、義務教育と並べて公共性を強調しておる。国がこの赤字その他のものを負担するのはあたりまえだと主張しておる。これは恐らくそのとおりでしょう。 つまり、この広告では、自分たちは一生懸命働いておる、しかし、公共的な大きな任務を持っておる国鉄は、義務教育にも比肩すべきものなんだ、したがって、国がこの赤字その他について責任を負うのはあたりまえのことなんだ、国民も利用者も、われわれ一生懸命に働いておる国鉄に対して、二倍の運賃値上げを負担するのはあたりまえじゃないか、これが三日間にわたる意見広告の全部の内容なんですね。あとは赤字の状態をずっと書いているだけです。 このことについて、国鉄の当局お見えになっていると思いますが、つまり、国民がいまの国鉄に対していろいろな不満を持っている。また、最近の例のストの問題でも、このごろのマスコミの論調を見たらよくわかるでしょう。いままでは非常に同情的なところがありました。しかし、このごろでは、ほとんど同情的なところはどの新聞を見てもないでしょう。そういうところは、国鉄の経営努力の足らなさと、労使関係がなかなか正常なものにならない、それに対する国民の最近の気持ちをあらわしておるというふうに私は考えるのだけれども、それに対してこのような意見広告を出したということの国鉄の経営者のお考えをお聞きしたいのです。
○小林説明員 最初に、この広告を出しました趣旨と申しますか、私どもが基本的に考えておりますのは、国鉄の財政問題、これはもう先般来非常な赤字で、業務遂行にも種々支障を来しているという状況になっておりまして、先生すでに御承知のとおり、国会におきましても衆参両院の運輸委員会の中に小委員会が設けられまして、この問題がいろいろ議論をされ始めておるわけでございます。 しかしながら、この非常に大事な大きな国鉄の問題を、国民の国鉄であるという立場から、国鉄みずからが率直に広く実態を国民の皆様方にお示しいたしまして、そうしてこれからいろいろな問題があるわけでございますけれども、ただ単に運賃を値上げすればすべてが事足りるという意味では決してございませんが、財政問題について国鉄の現状を率直にまず申し上げて、国民の皆様方の御理解をいただきたいということでございまして、三日目の最後のところにもうたってございますが、先生初め国民各位各層からのいろいろな御意見、御批判というようなものにつきましても、今後率直に耳を傾けていきたい、こういう趣旨でこの新聞広告を出したわけでございます。
○和田(耕)委員 私は、国鉄の赤字が非常に深刻だということは、十分わかっております。わかっておりますけれども、国民に対するアピールであれば、もっと国民がどうかなと思っている点がたくさんあるわけですよね。その点について一行の解明もない、私がいま取り上げた問題だけを考えても。ただあるのは国鉄経営の合理的な運営の問題についてはわずか四行あるだけです。「何をするにも経費は安い方がいいに決まっていますから、「余地」について研究し、努力しなければならないことを私も認めます。」この四行だけで、国民が持っている不満に対して、国鉄の経営状態の苦しい点、国民に協力を求めて改革しなければならぬ点について、これには一言もないじゃないですか。これはどういう意味ですか、お書きにならないのは。十分だと考えておりますか。
○小林説明員 もちろん、国鉄の問題について、この新聞の広告だけですべてのことを言い尽せるというものではございませんでして、先般も、たしか意見広告を出す前に、国鉄の実情を訴える。パンフレットをつくりまして、関係各方面に五、六万部配ったわけでございますが、やはりそういった中では、ごく限られた人だけに国鉄の問題というようなものがわかるだけでございますので、この新聞広告というものによって、広く一人でも多くの方々にまずやはり国鉄の現状というものをそのまま知っていただきたいということで、私ども、先生初め御批判がいろいろあることについては、当然のこととして十分わかっておるわけでございます。 国鉄が抱えているいろいろな具体的な、先生のいま御指摘の労使問題、あるいはサービスの問題、安全の問題、そのほかいろいろあると思いますが、そういった問題についての総合的な白書と申しますか、こういうようなものにつきましては、別途パンフレットでPRをいたしておるわけでございますが、この新聞だけで、そういう国鉄のPRをすべてお考えになられましても、私どもとしましては言い足りない点はもちろんあるわけでございまして、いろいろなそういうPRの媒体と申しますか、こういうようなものにつきましてやっておるわけでございます。
○和田(耕)委員 国鉄の問題については、この十年間、少なくとも二回にわたって、国会でかなり大変な論議になった問題です。そのときに、一番焦点になったのは三つあるのです。 一つは、国鉄の、最近少なくとも十年間、あるいはそれ以上の年月にわたっての経営の仕方が、貨物の輸送にしても、旅客の輸送にしても、適正であったかどうかという問題が一つです。つまり、他の競争的な企業に対して十分競争できるような経営努力があったかどうかというのが一つ。もう一つは、国が当然負担すべきものを負担しない。これは赤字線の問題もそうですし、あるいは割引運賃の問題もそうです。こういう問題。もう一つは、国鉄の中におけるかなりルーズな労使関係の問題。この三つが、いままでの議論で一番焦点になったことは御記憶があるでしょう。 この一番大事な問題には一つも触れないで、しかも物価問題の大切なときに、国鉄の運賃を二倍にするのはあたりまえのことだというようなPRだけをするというのは、どういうことです。その点についてお答えいただきたい。
○小林説明員 先ほど申し上げましたように、新聞で国鉄の財政の現状というものを率直にPRしたわけでございまして、ただいま先生の御指摘の国鉄の財政再建をするということで、過去何回かの国会で、現在の財政再建策というものが一応できたわけでございますが、それには、ただいま先生御指摘のとおり運賃値上げの問題もありますし、財政援助という問題もございますし、国鉄の企業努力もございまして、いわゆる三本の柱で国鉄の財政再建をやっていこうということになっておりまして、そういった精神、こういうものは今後国鉄の財政を再建するという場合には当然生きておるわけでございます。これからそういった再建をする場合の具体策として、ただいま御指摘の赤字線の問題、労使の問題、あらゆる問題が十分検討されて、適切な再建策が今後考えられなければならぬ問題だと思っております。
○和田(耕)委員 いまの御答弁によりますと、財政の赤字の状態だけを国民にアピールしたがった、あとの問題はまたしかるべき方法でということですか、そうですね。とすれば、またこの意見広告的なものの形で、国鉄の経営の問題のむずかしい問題点とか、あるいは労使関係の問題とかいうことについて言及される準備がありますか。
○小林説明員 ちょっと舌足らずでございましたが、PRとしてどういうPRをするかということにつきまして、先ほど申し上げましたように、このPRは国鉄の財政の現状、国鉄の経営の現状を新聞で広告いたしたわけでございまして、国鉄に関するもろもろの重要な問題というようなものにつきましては、先ほども御説明いたしましたようないろいろのパンフレット、あるいは冊子その他を使いましてPRをいたしていくわけでございます。 ただ、先ほど申し上げました今後の問題だと申しましたのは、こういった財政の現状を直視して、その上に立ってどういう再建策がいいかということにつきましては、先生御指摘のとおりいろんな問題があるわけでございますから、運賃だけという問題じゃございませんでして、そういった問題については、PRということでなく、これから真剣に検討をしていくということでございます。
○和田(耕)委員 PRという面から見ましても、このような内容の広告をでかでかとやることは逆効果だというふうなお気持ちなり、御意見はなかったのですか。
○小林説明員 このような広告は、たしか国鉄でも従来余り例がなかったと思いますので、これをいたします場合にはいろいろ検討いたしましたが、やはり率直に国鉄の現状を申し述べ、さらに先生のような御意見、そのほかいろいろな御意見というものにつきまして、この広告をきっかけに私どももまた率直にそれを受けとめて、そうして今後の再建の施策にやはり反映させていかなければならぬわけでございますので、こういったことをPRすることがまずいというか、そういうような考え方は全然ございません。
○和田(耕)委員 つまり、そういうお考えが非常に官僚的な、一方的な判断だと私は申し上げておるわけですよ。先ほど申し上げたとおり、国鉄の問題に対して、国民も、多かれ少なかれ、かなりよく知っていますよ、赤字もたくさんあるということは。しかし、一方で、国鉄の経営がいかにも民間の企業に比べてルーズである。やるべきことがやられていない。単に長距離トラックの競争にしても、この競争に打ちかついろいろな手だてを考えれば、いろいろ方法があるはずだ、そういうこともやられていない。それから労使の問題にしても、民間の企業に比べて、もっともっと大きな問題があると国民は思っている。つまり、その問題に対して、国鉄の経営者の、あるいは政府の強い決意なりそういうものなしにこれだけを出すというのは逆効果であるということは、恐らくだれでも思うと思うのですよ。現にそういう反応がマスコミその他でも出ているのじゃないですか。 したがってまた、副総理も先ほど言うように、まあ物価問題だけに限っての御意見でしたけれども、こういうことに対して遺憾の意を表しているでしょう。決していいことをやったと、国鉄のことをこういうふうによく知ってもらいたいためにこれをやったのだと、副総理自身もお考えになっていないのでしょう。 私は本当に驚いたのです。国鉄はとにかく赤字がある、国鉄四十三万の従業員は一生懸命、夜も昼も働いていると、夜勤の数までずっと挙げてある。一分一秒も狂わずに車を動かすのが国鉄の使命である、この使命を達成しなければ国鉄の使命を果たしたとは言われない、こうまでぬけぬけと、いまの国鉄に国民が感じている感情を逆なでするような、こういうことが言えたものだという感じがばくはするのです。 私がこの問題を特にやかしく言いますのは、私どもの春日委員長でしたか、前々の国会から、公共料金については、公共企業体の経営の問題について特別の検討委員会をつくって、りっぱに経営されておるかどうかをひとつ検討した上で公共料金のアップを考えなさい、こう言っている。これが本当じゃないですか。国民の感じているのはそういうことでしょう。そういうことは全然書いてなく、無視して、こういう意見広告を出すということに対して、私は、国鉄の経営者としてはこれは非常に国民の感情を逆なでするような意見広告だというふうに感ずるのです。 ある人が私にこう言っている。これは国鉄労使のアベックの宣伝じゃないかとさえ言っているのです。私はそういうふうにまで思いません。思いませんけれども、いま最初に私が副総理にお聞きしたように、物価問題として一番重要な点は、いろんなコストが上がっている、各企業も、製品の値上げを何とかしたいと、その機会をねらっている、またぼつぼつそういうのも表面に出てきている、そういう時期でしょう。そういう時期に、第一の書き出しが、国鉄の運賃二倍論をお願いしたいという趣旨、これを書き出しにして、国鉄の財政がこう苦しいのですということだけ、あとは政府がやるべき国鉄の補助が不十分だということを暗にずっとほのめかしながら、国民に対する受益者負担のお願いをしているということですね。これはひとつ、副総理もよくこれを読んでいただきたいと思うのです。 こういうふうなことは、全く私は逆効果だと思う。私は理解のある方だと思っているのですよ、公共料金、特に国鉄等の問題については。私までこういう憤慨をするぐらい、この方向が逆効果だ、私はそう思うのです。この際、副総理の口からそういうことについての言明を求めることは、私は酷だと思う、副総理ですから。国鉄は天下の国鉄ですから、求めませんけれども、こういう問題については、もっと国民の感情を見ながら、何が一番大事な点かということをよくお考えになって、こういうことを出すべきだと私は思うのです。 詳しく一々取り上げれば本当に問題が多いのですけれども、「一分の狂いもなく毎日毎日正確に運行されなければ、私は私の使命を全うしたとはいえないのです」。これは何たる言い方です。これは、年がら年じゅう順法闘争があるという状態を無視した言い方でしょう。こういうことは言わぬ方がいいんですよ。組合の方は、組合の必要があってそういうことをやっているのでしょう。私どもはそれは反対だが、組合は組合の理由があってやっているのでしょう。それにもかかわらず、どうしてこういうことを逆に書くのです。一分の狂いもなしにやるのが使命だ、この使命は完全に果たされていないじゃないですか。その使命が果たされないで、このような運賃アップだけ国民に求めるなんて、これは何たることです。 いかがでしょう、副総理。その、いい、悪いのあれはしませんけれども、こういう問題についての御感想を……。
○福田(赳)国務大臣 まだ広告の内容を私、見ておりませんから、内容についてとやかくは申し上げませんが、この間、実は総裁が、三、四日前ですか、私のところにやってきたのです。それは、まあ運賃値上げの必要のあることを力説する、こういう御用向きのようだったですが、そのとき私は、あなたのところじゃえらいはでな広告をしたそうだなという話をしたのです。私、見ておりませんけれども、話に聞いておった、非常にはでな広告だと。余りはでにやられるのはいまの時点では非常に困るのだ、こういう話を申し上げたのですが、国鉄総裁もよくその点は心得られたようだ、こういうふうに私は理解いたしました。
○和田(耕)委員 この問題は、これで私、終わりたいと思っております。実はこの問題、私、この前に本会議で質問しようと思ったのです。思ったけれども、こんなことをというふうに考えてやめたのですけれども、この問題はぜひとも国鉄の当局者は——私のような同情を持っている者でも逆効果だから、私はこういうことを言うのですよ。こういう広告を出すことが逆効果だと思わない経営者は、能力がないと私は思う。その点、ひとつよく御検討いただきたいと思います。 それから、もう時間もありませんけれども、きょう私、特に御質問したいと思ったことは、先ほどちょっと触れましたけれども、副総理、いまの景気の状態はなかなか副総理が期待するような状態に立ち直ってきていないと私は思うのですが、まあ秋ごろになれば少しはよくなるだろうという見通し、これはやはりいまでも持っておられますか、あるいは時期がもっとずれるとお思いになりますか。
○福田(赳)国務大臣 大体、景気の見通しにつきまして、いままでと変わった観察はしておらないのです。つまり、三月ごろから生産もずっと毎月毎月伸びてきておるのです。そういう状態でありますが、そういう状態から見まして、まあ景気は底に来た。ただ問題は、その底からはい上がる力が非常に微弱である。そこで何とかしなければならぬということで、この間も、約二兆円の需要を喚起する、そういうための施策を決定したわけなんですが、これでまあ様子を見よう、こういうふうに思っております。 大体私は、いままで考えたような方向で動いていくのじゃあるまいか、そういうふうには思いますが、経済は生き物ですから、これは情勢の推移によりましては機動的、弾力的に対策をとるということはもちろんでございますが、今日この時点の私の見通しは、いままでと大体狂いなくいくであろう、こういうことでございます。
○和田(耕)委員 日本も本格的に、スタグフレーションのむずかしさという問題を、行政の責任者としての副総理も感じ始めてくる、私はこういう感じがしてならないのですけれども、また日本のいろいろな、産業界のみならず労働界にしても、物価が少々上がっても、景気が多少、雇用とかそういうものを含めて、収入がふえないと何ともならないというムードが非常に強いですね。この判断は、副総理、どういうふうになさっておられるのでしょう。
○福田(赳)国務大臣 国民の、大衆というか最大多数は、私は、一番物価の安定というところに関心を持っておる、また、その関心に立って物価の情勢を見るときにかなり落ちついた調子になってきておるという認識を持っておるという判断です。一方、事業を経営している人、そういうような人におきましては、不景気だ、物価はよくなったが、次の問題、こういうので、次の景気の問題に移ろうとしておる、そういうのが大勢じゃないか、そういうふうに思いますが、お話のように物価も景気もというと、これはなかなかむずかしい問題であります。諸外国ともみんないま非常に苦しんでおりますが、その中では比較的いい方に推移していくであろう。 物価だけを考えておりますれば、物価政策なんというのはもう完璧なものができます。それじゃ景気の方がまいってしまう。また、財政も非常に窮屈な状態になる。景気、景気と言って景気のことを考えれば、これは景気なんか直すのはわけないです。しかし、物価はどうなるのだ、これも考えなければならぬ。しかし、そういういろいろな要素を総合いたしまして、まずまず日本の経済は順調にいっておる、私はこういうふうに判断しております。
○和田(耕)委員 私もこのままで景気の刺激策をとれというふうには考えておりません。おりませんけれどもこのままの状態で進行して、予想以上に不況の状態が続いていく、しかも景気を刺激するような政策はなかなかとりにくい、また、とるべきでもないという判断が出る。そうなると公共事業等をいままで三次不況対策でおやりになったような範囲ででもこれをかなり思い切ってやるためには、国債問題が当然出てくると思うのですけれども、やはりそういう時期もあり得るかもわからぬというふうなお考えがありますか。
○福田(赳)国務大臣 いまはとにかく膨大な予算があるのです。公共事業費だけにつきましても七兆七千億だ、こういう予算がありますから、それを繰り上げ執行する。しかも、繰り上げ執行とは申しますが、例年、普通の年で六五%やっております。それを七〇%にいたしましたという程度でございまするから、いま直ちにそれが公債論に結びつくということはありませんが、財源欠陥がどうなるかという問題が、四十九年度の税収実績の問題から尾を引いて出てくる可能性があるわけですが、そういうようなことがどうなるか、また、景気の情勢によって税収自体がどういうふうになるか、こういうような問題とか、いろいろあります。ありますが、そういうものを総合いたしまして、もう少し先へ行った時点で論ずべき問題、これが公債論だ、公債論はそういう時点において論ずべき問題である、こういうふうに思います。
○和田(耕)委員 非常にむずかしいときですけれども、いままでずっと成功されてきた福田副総理の顔も余りさえていないような感じを私は持つのです。−成功したわりに余りさえていない顔をしていると私は思うのですけれども、ごもっともだと思うのですが、いまおっしゃったように、やはり物価をある区切りがつくまではとにかく安定さすという政策が中心にならなければならぬと私も思います。むずかしいところですけれども、この判断をお間違いにならないようにひとつがんばっていただきたいと思います。 終わります。
○横山委員長 次回は、来る七月一日火曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時四十四分散会