物価問題等に関する特別委員会 第13号
- 発言数
- 105 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1975/05/29
会議録
○横山委員長 これより会議を開きます。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 物価問題等に関する件、特に入学金及び授業料等値上げ問題について、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○横山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお一参考人の人選、日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○横山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○横山委員長 物価問題等に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田貞夫君。
○和田(貞)委員 この間の五月二十二日の朝日新聞によりますと、借地人と地主の間に、契約更新料という法律的に認められておらないものを地主が請求しておるということで、問題になっておるわけです。これは慣習という形にはなっておりますが、法的な根拠というものがないわけでございますが、この種の問題について行政指導を何か考えられないものかどうか、この点まずお聞きしたい。
○川合説明員 お答えいたします。 更新料につきまして、どの程度の慣習あるいは判例があるのかにつきましては、私法上の問題でございますので、私ども十分につまびらかにいたしておりませんが、現在の行政法上では、宅地あるいは建物を人に貸すときには、何らの免許も必要といたしておりませんので、したがって、これにつきまして直ちに行政指導を行うことは、相当にむずかしい問題ではないかと存ずる次第でございます。
○和田(貞)委員 当事者である地主と借地人との間で同意されておるとか、あるいは同意しておらないとかいう問題であれば、いま言われたようなことはよく納得できるわけですが、その間に不動産業者が介入してこの種のことをやっておるということについては、不動産業者に対して行政指導というものは何らなされるという手はないのですか。
○川合説明員 私ども、民事上の事件につきまして行政介入をする例が全然ないわけではありません。都道府県におきましても、また建設省におきましても、宅地建物取引業者の紛争の処理をいたしておりまして、その段階におきまして、たとえば取った手付金を返せとか、あるいは損害賠償金を取るなとか、純然たる私法上の介入をする例が絶無ではありませんけれども、しかし、宅地建物取引業者が貸し主である場合におきましては、かような行政指導をいたしましても、俗に言う二の矢がききませんで、業者が行政指導に従わなくても何らの行政処分もできない実情にあります。したがって、権利金を取らないようにという行政指導は相当に困難であろうと存じます。
○和田(貞)委員 この借地の問題はさておきまして、借家人が、今日この住宅不足の中で、土地の契約更新料と同じような形で権利金——従来、この借家人と家主との間に敷金というのが慣例になっておりましたが、最近では敷金という姿が全くなくなりまして、権利金という姿で非常に迷惑をかけている例がたくさんあるわけですが、まず、この家賃というのは、国民生活の上から、大体収入の何%程度が妥当であると思っておられますか、お答え願いたい。
○救仁郷政府委員 これにつきましては、いろいろな学者の先生等が昔からいろいろな発表をしておられます。また、諸外国におきましても、いわゆる応能負担、家賃補助といったような関係をめぐりましていろいろ制度がございます。そういう中で私どもは、諸外国の例あるいは学者の先生方の御意見等を総合いたしますと、これはもちろん収入によりまして上限、下限相当な幅があるわけでありますが、平均的に考えますと、大体収入の六分の一程度、十数%といったところが妥当な線ではないかというように考えております。
○和田(貞)委員 福田大臣の方にひとつお聞きしたいのですが、われわれの国民生活の中で、いま建設省の方から六分の一というように言われたわけですが、その程度の家賃の比率というのが、生活費の中から割り出した率としては妥当だと思っておられますか。
○岩田(幸)政府委員 私どもも、外国の例あるいは学者の方々の意見、それからさらには現実の家計調査などを見ますと、やはり一五%以内ぐらいが理想的であるというようには思っております。
○和田(貞)委員 公営住宅の場合、公団住宅の場合、それではいま言われた収入の大体一五%以内ということで家賃の比率が確保されておりますか。
○救仁郷政府委員 公営住宅につきましては、御承知のように、第一種と第二種とございますが、第一種公営住宅の収入、これは年収でございますが、百六十五万五千円から二百十五万一千円までということになっております。それで、昭和五十年度の予算家賃の全国平均、第一種中耐でございますが、これが二万二千百七十五円ということに相なっております。これを第一種の下限でございます百六十五万ということから逆算いたしますと、一番第一種の収入の低い人、これでこれを割りますと、ちょうど一六%ということに相なっております。 ただ、これにつきましては、年間のボーナスも含めました粗収入でございますので、それに対して一六%になっておるということ、それから、これは全国平均でございますので、東京、大阪等の大都市では、やはりこの二万二千円より上回る家賃が計算上出てくるということはございます。これらにつきましては、地方公共団体にお願いいたしまして、できるだけ傾斜減額制をとって、この一五、六%という線におさまるように家賃をお決め願いたいというようなことでお願いしておる次第でございます。
○和田(貞)委員 公団の場合どうですか。
○救仁郷政府委員 住宅公団につきましては、五十年度の管理開始が平均で三万三千円ということになっております。これは公営住宅の第一種の上の階層をねらっておりますので、これもおおむね一六%ぐらいに相なっているというように考えております。
○和田(貞)委員 東京都で、老人を含めた家庭に対して、最近、若干老人向けの住宅が建てられたわけですが、その家賃が五万円台になっているわけですね。そうすると、いま言われた生活費に占める家賃のウエートというのは非常に高いというように思うのですが、その点はどうですか。
○救仁郷政府委員 先日新聞で発表いたしました老人向けの住宅、ペア住宅でございますが、これにつきましては、御指摘のとおり、五万円程度の家賃ということになります。これは当然普通の住宅と違いまして、一戸半分でございますか、そういった非常に広い住宅ということになりますので、これも相当な傾斜減額をかけているわけでございますが、それにいたしましても、計算上そういうような家賃にならざるを得ないというようなことでございます。 私どもは、これが決していい姿であるというようには考えておりません。そういった中で、今後、いろいろな傾斜をどうするか、応能負担というような家賃体系をどうするかというようなことを含めまして、将来にわたって適正な形になるように検討してまいりたいというように考えております。
○和田(貞)委員 住宅宅地審議会の中間報告が昨年されて、六月を目途に最終的な方向が出される予定ですが、その上に立って、現在、建設原価主義から家賃制度をとっておりますが、いま言われたように、一五%以内の家賃の比率に持っていくように、応能制度の家賃制度に切りかえていくという考え方に立っておられますか。
○救仁郷政府委員 中間報告にございますいわゆる応能家賃というものは、先生御指摘のように、所得に応じて、負担能力に応じた家賃を払っていただくということが基本でございます。したがいまして、まだ審議会で、今度は具体的な問題につきましていろいろ御審議願っております。 これは事務的には非常にいろいろな問題がございますが、先生御指摘のように、私どもは、一応平均的に一五、六%というような線でおさまるべくいろいろ検討しているところでございます。
○和田(貞)委員 民営の賃貸住宅に対する家賃の指導、それはどういうように考えておられますか。
○救仁郷政府委員 御承知のように、古い住宅につきましては地代家賃統制令がございます。しかしながら、新しい民間の住宅につきましては、地代家賃統制令の適用がございません。 ただ、私どもは、いろいろなそういったアパートの貸し主の組合、団体等を通じまして、先ほど先生の御指摘がございましたが、不当な権利金とかそういうものをできるだけ自粛するようにとか、そういった行政指導をしております。 この民間の家賃問題というものも、これから住宅政策の上で非常に大きな問題になってまいります。したがいまして、応能家賃というものは、もうヨーロッパ諸国で行われておりますように、将来にわたっては民間住宅も含めて考えるべきではないかというような考えを持っております。
○和田(貞)委員 いま大阪、東京あたりでは、大体骨一枚が三千円から高いところでは五千円。民営の場合、畳一枚の割りで大体家賃が算出されておるというのが慣習になっておるわけです。この付近で六本木あたりに行きますと、全く畳一枚が五千円ということで、六畳一間で台所つきの住宅で大体六万円から六万五千円ぐらい家賃が取られておるわけです。 それだけじゃなくて、最初に契約したときに、敷金という形で二カ月ないし三カ月分、あるいは礼金、家主に対してお礼するということで、最初の契約のときに敷金以外にこれまた二カ月ないし三カ月分取られておる。それから介入いたします不動産屋さん、そこにまた一カ月ないし一カ月半ぐらいの手数料というのが取られておる。 敷金というのはよくわかるわけですが、礼金であるとか、あるいは権利金であるとか、そういうようなものが、当事者間の契約の条項にうたわれておらないで、いわばやみで家主が収入を上げようとしておる、そういうようなことについてどう思っておられますか。
○救仁郷政府委員 敷金につきましては、これは戦前から当然社会的慣習としてあったわけでございますが、いわゆる権利金、礼金というようなものにつきましては、確かに御指摘のようにいろいろな問題がございます。しかしながら、学者の中には、いわゆる権利金なり礼金といったものは、家賃の一部先払いなんだというような説を唱える方もおられるようでございます。 しかしながら、私どもとしては、そういった礼金あるいは権利金というものは決して好ましいものではないというように考えておりますし、いろいろな、先ほど申し上げましたアパートの貸し主の組合等を通じまして、一ころに比べますとそういったものの比率というものはだんだん下がっていることは事実でございます。そういうふうにできるだけ自粛するようにというような行政指導はいたしてまいりたいと考えております。
○和田(貞)委員 ひどいのでは、権利金を百万円取られて、しかも契約が二カ年の期限つきの契約なんです。二カ年ごとに更新される。更新の都度、権利金の二割を取られていく。だから、いまあなたから御答弁ありましたように、敷金のような性格じゃ全くないのです。五回更新いたしますと、百万円の権利金がなくなってしまうのです。そういうような権利金の徴収の仕方というのは妥当なのかどうか、どうです。
○救仁郷政府委員 これにつきましては、先ほど私お答えいたしましたように、学者の中では、権利金というものが家賃の先払いという性格を持っているのだというようなことがございます。事実、東京と大阪では、この権利金の問題というのは非常に差がございます。東京では、先生御指摘になりましたように、権利金というのはせいぜい二、三ヵ月分というのが最高でございますが、大阪でございますと数十万というのが例であります。ところが、大阪の場合には、そのかわり東京に比べて家賃が非常に安いというような習慣になっているようでございます。 したがいまして、権利金そのものの性格等から、私ども決して好ましいとは思っておりませんが、直ちにそれが経済原則から見まして非常に不当だというような形にはなっていないのじゃないかというような感じを持っております。
○和田(貞)委員 必ずしも家賃の先払いという形にはなっておらないわけです。 国税庁の方にお尋ねしますが、家賃の先払いだということであれば、権利金もおのずから家主の収入、所得になっておらなければいけない。ところが、現実の姿としては、契約面ではうたわれておらないわけです。そして、いま申し上げましたように、二カ年更新ごとに権利金の二割を家主が取っていく。しかもそれは、正式な家賃収入、あるいはいま答弁ありましたような家賃の先払いということであれば、当然領収書を出して、家主の収入になっていく、それは当然所得として課税していかなきゃいかぬ。ところが、この領収書は出しておらない。全くやみなんです。やみからやみに葬り去られておる。しかし、たな子にしてみたら、住宅難でありますから、そういうような過酷な契約であっても、やむなく支払っておる、これがこの実情であるわけですが、税制面からいって、やみからやみに葬り去られていくいわば家主のやみ収入、課税されておらない、そういうような姿は好ましいと思っておりますか。どういうように対処しようと思っておりますか。
○田口説明員 御説明申し上げます。 先生御指摘のように、家主がたな子から家賃以外にいろいろな形で収入しているということは、私どもも承知しております。ただ、第一線の税務署では、それではどういう対処の仕方をしておるかという点について御説明申し上げますと、私どももいろいろな形の収入がありそうだということを念頭に置きまして、ある程度以上の不動産所得のある方々には、確定申告の際にかなり詳細な収支明細書を出していただくようにいたしておりまして、これらの資料で、たとえば契約の更新時に来ている家屋である場合とか、あるいは家賃なり権利金なりの、その収支明細書に出ておる数字がどうも低いなというような場合などには、ほかの形でこっそりと収入を得ておられるというようなことがあり得るということで、必要なチェックをいたすように努めております。 ただ、先生御指摘のように、契約書にも書かない、あるいは領収書も出さないというような場合に、私ども努力はいたしておりますけれども、その十分な把握がなかなか困難だということも事実でございます。 それから、御承知のところかと思いますが、不動産所得者の数というのは非常に多うございます。一年ほど前の数字でございますが、不動産所得を主な所得として申告している者だけで約四十万人、それから、そのほかにもいろいろな所得があって、従たる所得として不動産所得を申告していらっしゃる方、これが百万を越え、百九万ほどでございます。合わせて百五十万人、こういうふうに多い数字でございます。 私どもといたしましては、比較的大口の不動産所得者に重点を置いて調査をいたすとか、あるいはアパートの現地確認調査というようなことを集中的にやりますとか、いろいろ工夫しておりますけれども、正直なところ、必ずしも税務署の調査が十分に行き届いていないという面も否めないところでございます。 ただ、私ども、いずれにいたしましても、所得があります場合には、それに対して適正な課税をいたすのが私どもに課せられた大事な責務であるということは申すまでもなく、納税者が自分で進んで正しい申告をしていただくような気風を醸成していくということも大事ではございますが、一方、申告漏れの所得に対しましては、先生御指摘の点を十分踏まえて、適切、厳正な調査によって課税の適正化に今後とも十分努力してまいりたい、かように考えております。
○和田(貞)委員 住宅が十分であれば、そういう不当な権利金の要求がされても、これはけしからぬ話だということで税務署の方に口コミをしたり、あるいは契約を拒否したりすることが可能なんですが、住宅に困っておるために、そういう過酷な要求をされても泣き寝入りをしているというのがこの実態で、それが表面にあらわれてこないわけなんです。 しかも、不動産の所有者が直接やっているのじゃなくて、介在をしておる不動産業者が巧みに、自分の収入を上げるということを含めて、借家人に対してそういうことを押しつけておるというような例が、関東の場合はわかりませんが、関西の場合は非常にひどいわけなんです。そういう不動産業者を通じて、もう少し、いま申し上げましたような借家人が非常に困っておる、非常に過酷な権利金を強要されておるというような点について洗い直していくというようなお考えはないですか。
○田口説明員 先生御指摘の点、重々私どもも同感でございまして、御参考に申し上げますと、不動産業者、先ほど先生のお話の中にございました、間に入っていろいろやっていると考えられます不動産業者については、特に私ども全国的にも重点的に調査をする対象にいたしております。その点でも、私どもとしては可能な限り努力をいたしてきたつもりでございますが、今後とも十分に努力してまいりたいと存じます。
○和田(貞)委員 二カ年更新だとか、あるいは二カ年の期限づきの契約というようなものは妥当であるかどうか、どういうように考えておられますか。
○救仁郷政府委員 借家法の基本でございますいわゆる住生活というものは国民の非常に重要なあれでございまして、その安定ということは非常に重要なことでございます。したがいまして、私ども、二年間というような短い契約そのものは決して好ましいものではないというように考えております。ただ、戦後こういうような習慣が出てまいりましたのは、やはり厳しいインフレと申しますか、そのインフレに対応していくために短い期間の契約をせざるを得なかった、家主側の立場に立ちますと、そういった事情もあるのではないかというように考えております。これから経済が安定してまいりますと、そういった面からも、この二年間の契約というものはできるだけ長い方が好ましいだろうというように私どもも考えておる次第でございます。
○和田(貞)委員 これも現実の姿としては、契約書というのはどこでどう印刷するのかわかりませんが、どの契約書を見ても同一の契約書、多量に印刷されておるわけです。そこには契約期間が二カ年ということを含めて印刷しておるわけです。もう画一的なんです。そういう姿で、当事者間の納得ずくの期限つきの契約じゃなくて、初めから押しつけられておるわけです。更新についても同じことです。当事者間の合意でさらに二カ年という更新じゃなくて、業者が中に入りまして、そうして郵便で押しつけてくる。そこに判こを押さなくちゃしようがないというような姿で、現実の問題としては、契約の更新についても処理されておる。そういうような姿が現存しておるわけですが、これらについて今後行政指導をどういうように考えられておりますか、お答え願いたい。
○救仁郷政府委員 いわゆる契約書そのものが印刷されている実態、これは私、直接担当でもございませんが、それは事実のようでございます。これは恐らくそういった仲介業者の団体、あるいはアパートの貸し主の団体というようなところで印刷したものではないかというように考えております。 先ほど申し上げましたように、違法ではございませんが、私ども、住生活の安定といった面から見まして、いまの契約期限の問題、あるいは権利金の問題等、決して好ましいものではないというように考えております。 なお、先ほども申し上げましたが、権利金につきましては、だんだん業界自身が自粛するような方向に最近なってきております。したがいまして、今後ともそういったことに関しまして、できる限り行政指導をやってまいりたいというように考えております。
○和田(貞)委員 二カ年更新、二カ年契約ということになると、次の更新までには二カ年しかないわけですから、借家法によって、六カ月ないし一年以内に次の契約の更新に当たっては変更を通告しなければいかぬわけですね。借家人が何の音さたもなく安心して生活できるのは、一カ年しかないのです。後の一ヵ年は、当事者間で話し合いをするとしても、その一カ年はいろいろと利害関係が相反するわけですから、その交渉をやらなければいかぬ。こういう姿でありますから、いま言われたように二カ年の期限つきの契約というのは好ましくないということはそのとおりでありますが、そういう好ましくない契約が依然として——最近直しつつあるということを言われましたけれども、いま申し上げましたように、あなたも認めておられたように印刷しているのですから、これは直すというような姿はないですよ。依然としてこの二カ年契約、二カ年更新というのは私は続いていくと思いますし、また、その二カ年更新ごとに、先ほども申し上げましたように、関西の例ですが、慣習として権利金の二割を没収していく、こういう姿が慣行化されているわけなんですが、これは強い行政指導というものがなければ借家人はたまったものじゃない。ただのんべんだらりと行政指導をやっていくのだということでなくて、これは強力な行政指導がなされないとこの問題の解決にはならない、こういうように思うのですが、何ら打つ手というのは考えておらないのですか。
○救仁郷政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、そういった権利金、あるいは更新といったような問題は、これは家賃との相関の関係でございまして、かりにそういうものがなくなったとしますと、関西の家賃というものは東京並みに非常に上がってくるのではないかというように考えております。したがいまして、単にそこを自粛するということだけでは私は問題は解決しないのじゃないかというような感じがいたしております。 したがいまして、そういった民間の住宅の家賃問題というものは、先ほど申し上げましたが、いわゆる応能家賃といったような問題も含めまして総合的に対策を講じないと、かりに一方で礼金を規制するというようなことになりますと、今度はそれに応じて反対給付として家賃を上げざるを得ないというような問題も出てくるのじゃないかというように考えますので、決して私ども消極的であるわけではございませんが、慎重にその辺を考えてまいりたいというように考えております。
○和田(貞)委員 契約で、子供ができたら退去する義務を負わされる、そういうような契約の仕方というものは妥当であるかどうか、お答え願いたい。
○救仁郷政府委員 御指摘のように、子供ができたら出ていくというような契約が結ばれている例が非常に多いというように私ども承知しております。これは、先ほどから申し上げております住生活の安定といった面から見まして、決して好ましいものではないというように考えております。しかし、実態を聞いてみますと、むしろ家主よりも近所の人たちが、隣の人たちがうるさいからそういうことになっているのだというような、それは言いわけかもしれませんが、そういった実態もあるようでございます。これは、どちらかといいますと、やはり住生活の貧困さということから起因する問題じゃないかというように考えております。したがいまして、私ども、やはり子供ができても安心して生活が続けられるような住宅の質の向上と申しますか、そういったことを通じて基本的には問題を解決していかなければならないのじゃなかろうかというように考えております。
○和田(貞)委員 増築をする、改築をする、あるいは借りた家を模様がえする、その際に費用弁償以外に、増築する、改築する、模様がえをするということについての家主の承諾料あるいは同意料——先ほど申し上げました権利金などとか家賃だとかという以外に、そういう姿で承諾料、同意料というものが取られている例があるわけですが、そういうようなことは妥当だとお思いですか。
○救仁郷政府委員 程度問題によると思います。ただ、いわゆる借家の場合、増築等をいたします、あるいは造作を付加いたしますと、将来、家主に対して買い取り請求とかいろいろな法律問題が派生してくるのではないかというように考えております。したがいまして、ある程度のそういった承諾料というものはやむを得ないのではないかというように考えます。ただ、これが度が過ぎますと、生活安定という面からやはり対策を講じなければならないのではないかというような考えでおります。
○和田(貞)委員 それだけではなくて、それを通じて借家人が負担しているわけですね。借家人が増築、改築、模様がえを負担しておって、もちろん実費弁償というものは家主の方に払っておる。その上に同意料とか承諾料というものが取られて、しかもそれに追いかぶせて、それを理由に家賃の増額というような姿もあるわけです。そういうような姿についてはどうですか。
○救仁郷政府委員 そこまでの具体的な問題につきましては、私どもも承知しておりませんが、先ほどから申し上げておりますように、やはり度を過ぎたそういった行為があるとしますと、これは当然好ましくない現象だというように考えております。
○和田(貞)委員 いずれにいたしましても、度が過ぎておるかおらないかということは、それぞれの主観によるわけですが、たな子というもの、借家人というものは弱い者であって、やはり現実の姿として家が不足しておる、その中で強いられて、やむを得なくて支払っておる。これが実情であるわけですが、その原因というものは、一つには住宅難であるということ、それから生活費に占める家賃の比率というものが、公営住宅や公団住宅に ついては行政面を通じて政策家賃を設定していくということは可能であっても、民営の住宅としてはそこまでできないというところに起因するものだと思うのです。 私は、やはり家賃の生活費に占めるウェートというものはそう高い率になりますと生活が脅かされるということになるわけですが、これらの点を含めて、やはり民営の住宅についても家賃を応能制度に持っていくという強力な行政指導というものがなされないと、公団住宅や公営住宅の恩恵をこうむっておる者よりも、やはり民営に依存しておる借家人の方が多いわけですから、そこらをひとつかみしめて、十分な措置をとってもらわなければならぬ、このように思うのですが、もう一度、民営住宅に対する家賃を応能制に持っていく行政指導のやり方、方針、これをひとつお聞かせ願いたい。
○救仁郷政府委員 昨年の暮れいただきました住宅宅地審議会の中間報告の応能家賃制度といったようなものは、必ずしも公営、公団といったような公的な住宅だけでなくて、これはヨーロッパ諸国に見られますように、民間まで含めて当然考えていくべきだろうというふうに考えております。したがいまして、私どもも、現実にどうやっていくかというような問題につきましては、民間も含めて現在検討を進めているという状況でございます。
○和田(貞)委員 時間も参りましたので、最後に、福田長官、いまお聞き願ったようなことでございまして、生活に占める家賃のウェートというのは現実の姿としては非常に高いわけなんです。しかも、家賃以外に、私たちは不当だというように思っております権利金であるとか承諾費であるとか、あるいは何とかかんとかと言って家賃以外に負担を強いられておる、そういうような姿をひとつ知っていただいて、単に建設省だけに任せておくのではなく、国税の方も国税の立場から協力してもらいたいと思いますし、経済担当大臣としてしかと受けとめていただいて、国民の生活費に占める家賃のウエートが高くならないように十分な措置を講じてもらいたい、こういうように思いますが、決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 和田さんの御指摘の地代、家賃をめぐる諸問題は、結局、土地やあるいは住宅の需給の問題から起きてきておる、こういうふうに思います。どうしても根本的には、もっと住宅を建てる、こういうことが必要だと思いますので、その根本的な問題に鋭意取り組みたいと思います。 しかし、それとても時間のかかる問題でありますので、その間、いろいろ御指摘のような諸問題が起こるだろう、こういうふうに思いますが、そういうことにつきましては、とにかく行き過ぎの事例、こういうことが頻発するようなことは好ましくございませんから、関係各省と協力しまして、できるだけそういうことのないような方策はないかということにつきまして鋭意検討してみる、かようにいたします。
○和田(貞)委員 終わります。
○横山委員長 小林政子君。
○小林(政)委員 まず、長官にお伺いをいたしたいと思いますけれども、去る五月二十二日に、中曽根幹事長あるいは自民党の三役、そして財界の首脳との懇談会が行われたという報道を私も読んだわけでございますが、この懇談会の中で、一けた台にことしの物価は抑えていきたい、こういうことを共通の目標として実現を目指すということと同時に、経済界としてもいろいろな要望がそこでも出されたというふうに報道されております。 この中で、コスト割れのため今後ある程度の値上げはやむを得ないけれども、その場合であっても、消費者物価等には影響がはね返らないようにしたい、あるいは政府側としても公共料金の値上げはある程度はもうやむを得ないものがある、しかし、これも極力抑制を図っていきたい、こういうことが、懇談の中で話されたと言われておりますけれども、政府も財界も、製品の価格あるいは公共料金のいずれも、こういう事態の中で引き上げはやむを得ないのだということを合意したことになるのではないか、そして、このことは結局、企業が製品を値上げしていくということが不況打開の道ということにその対策としてつながっていくものだ、こういうふうにも受け取れるわけですけれども、この問題について長官の見解をお伺いいたしたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 小林さんのお話のような諸点は、過日、自民党の首脳と財界との間で話し合われた由は聞いておりますが、書いたものはありませんから、私も正確には承知していないのです。 そこで、春闘後の最近の経済情勢を踏まえまして、財界にどういうことを要望するか、また、財界としてもいろいろ政府に言いたいことがあるだろうということを考えまして、近く経団連と私自身が会ってみるつもりなんです。恐らく経済団体の方では、賃金問題がとにかくなだらかに決まった、こういう際に、これからの経済運営としては、物価について政府も努力してもらいたいということを主張し、かつみずからもできるだけの協力、努力をしましょうと言うだろう、こういうふうに思います。私はそういうことを期待しております。 それからもう一つは、景気の冷え込みについて苦情というか、何らかの対策をとられたい、こういうことが経済団体側から言われるのではあるまいか、そういうふうに思います。それに対しましては、最近の景気情勢についての私の見解を述べ、また、今後その見解に基づいてどういうような考え方で対処するかという大筋は述べてみるつもりでございますが、とにかくいま、正式な筋じゃございませんけれども、非公式にいろいろ話をしておるところでは、財界もこれからとにかく景気の冷え込みを直さなければならぬというふうに考えると同時に、物価問題、まあ四月春闘は終わったものの、来年の物価、賃金という問題が非常に重大な問題である、こういう認識は非常に深まっておる、こういうふうに見ております。
○小林(政)委員 この懇談会が行われたということは、私は、やはり景気浮揚という対策、それと物価とのかかわり合い、この問題が非常にかかわり合いを持つ問題としてここで重視をされていかなければならないというふうに思いますけれども、この懇談会が持たれたたまたまその当日に、これは新聞でも報道されておりますように、鉄鋼大手メーカーのトップを切って神戸製鋼が、棒鋼だとかあるいは線材など、これをトン当たり平均一万二千円というふうに新聞では報道されておりますけれども、一七%の値上げをすることを自動車メーカーなどに通告している。調べてみると、ある程度これは事実でありますね。 あるいはまた、日本板硝子が、建築用の板ガラスを、六月二十一日の出荷分から製品価格の引き上げを行うということを通知したと発表しておりますし、このように、企業側の、採算割れを製品価格の引き上げによって解決したい、こういう意向が強まっている中で、今後相次いで製品価格の引き上げという動きが私は当然出てくるのではないかというふうに思います。 特に、産業のお米とも言われるような、基礎資材でもある鋼材がこのような形で今後値上げされるということになりますと、これはやはり相当波及効果が、第一次製品あるいは最終製品に至るまで、きわめて大きく広がるものだというふうに思われますけれども、これらの動きが今後の物価に及ぼす影響という問題を長官は具体的にどのように見ていらっしゃるのか、お伺いをいたしたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 五十年度は一けた台の消費者物価水準を実現したい、これは自信を持ってそれを推進していくつもりです。環境はさほど悪くない環境だ、こういうふうに思っておりますが、その途上において、ただ一つ私が心配しておりますのは、いま小林さんが御指摘の、企業における、あるいは政府の方でも、政府企業体でも同様の問題があるのですが、値上げの動きがある、こういうことなんです。 そこで、政府につきましては、いわゆる公共料金抑制政策、これを堅持してまいっておるわけでありまして、電信の問題、電話料の問題、あるいは国鉄の料金の問題だとか、塩の問題とか、いろいろありますが、それらは本年度内は値上げを凍結する。ただ、たばこですね、それから酒が間接的にそういうことになりますが、それから郵便料金、これにつきましては、ひとつこの際赤字にある程度の改善を加えたい。また、たばこにつきましては、税というか、納付金の見地から改善をいたしたいということで、いま御審議を願っておりますが、その他、米と麦をどういうふうにするかという問題もあります。ありますが、昨年は大変なことだったのです。 昨年は、米の値段をとにかく三二%引き上げだ、国鉄料金の大幅な引き上げだというような問題があり、その他、公共料金につきましては数え切れないくらい、六月でしたかの電気料金の引き上げから始まりまして、ガス料金の引き上げだ、それからバスの全国にわたっての引き上げだとか、交通体系ほとんど全国にわたりましての引き上げ、いわゆる公共料金というものの政府以外のものにつきましてはほとんどの分野で引き上げが行われるというような状態だったが、ことしは、ただいま申しあげましたように、とにかく酒、たばこ、それから郵便料金、米麦、これをどうするか、これから慎重に検討しなければなりませんけれども、そのぐらいのものしか残っていない、こういう状態であります。 一方、民間の企業につきましての動き、これは昨年来非常な収益悪化の傾向がありますので、心の底では、大方の企業で、この辺で値上げをしたい、こういうふうに思っておる。そういう企業側の期待がありますので、ここで需給が今日のような緩和状態から一転して引き締まるというような状態になれば、恐らく値上げ現象というのがずっと起こってくるだろう、こういうふうに思うのです。しかし、そうなっては一けた台の物価水準なんというのはとうてい実現できませんから、したがって、基本的には需給管理政策を堅持してまいる、こういう考えでございます。需給をそう緊迫させる状態にはしない。 ですから、いま御設例の神戸製鋼の値上げの動きというようなことがありましたが、二万二千円の値上げという新聞報道を見て、すぐこれを役所の方へ確かめてみましたが、そういう希望を持っているそうです。しかし、現実的にはまだ正式の動きはいたしておらぬ、こういう段階だという話ですが、仮に、いまの市況の中で一万二千円鋼材の値段を上げますなんと言ったって、これはとうてい実現をする可能性はない、こういうふうに私は見ておりますが、この鋼材の問題はお話のように非常に重要な問題でありますので、なお企業当局とも十分に連絡をとっていただきまして、これは誤りなきを期していかなければならぬだろう、かように考えておる次第でございます。
○小林(政)委員 いろいろといまの物価の値上げ問題、あるいはまた景気対策、こういうものを本当に調整しながらやっていかなければならないという複雑な状況のもとで、特に物価ということにしぼるならば、いまのようなむずかしい時期に本当に物価の抑制を図っていくというのであるならば、一つは、やはり重要な問題は、公共料金の問題を政府が本当に抑えていく、こういう姿勢をこれから年末にかけて一層強めていくこと。物価問題の中では公共料金問題というのがきわめて重要になってきているということが言えると思いますし、また、民間の場合にもいろいろと理由はそれぞれあると思います。 しかし、本当に物価を来年の三月に対前年比一けた台で抑えるということになりますと、何と言っても基礎物資を、これが上がればやはりすべてに波及効果が大きい、こういう点を考えますと、私は、基礎物資といいますか、基礎資材といいますか、これに対して適正な歯どめ政策なり措置なり、政府が政策的にも具体的にやはり行政指導を行っていくことが必要ではないかというふうに考えておりますけれども、これらについて、一体いまどのような対策が、あるいは指導が行われているのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 しばしば申し上げておりますが、この物価対策の要諦は、総需要の管理政策、これを堅持していくことが一つ。それからもう一つは、いま御指摘のように、個別の重要な物資につきまして、その需給並びに価格に細心の配意を加えるという二点にある、こういうふうに思います。これは基本的な問題だと思います。 そこで、政府一体となりまして総需要管理政策を推進してまいっておるわけでございますが、同時に、個別の重要物資につきましては、それぞれの所管官庁が十分にその需給の動き、それから価格の動向、そういうものを注視しておりまして、異常な事態が起こるということになりますれば、それぞれその物資ごとに妥当な指導を行うということにいたしておりますので、その体制は万全の構えをとっておる、こういうふうにお考えくださって結構だと思います。
○小林(政)委員 それぞれの行政官庁が万全の措置をとっているということでございますけれども、私は、基礎資材等の問題についても、単なる財界あるいは政府がこれに対する態度として自粛の申し合わせをやるとかというようなことで、物価が再びここでもって卸売物価を初めとして急騰の傾向を見せようとしている、こういう動きを本当にとめていくというようなことができるのだろうか。自粛をしてほしいということについて申し入れをするということだけでは、本当に抑えていくための歯どめにはならないのではないだろうか。むしろ行政指導の面でいろいろときめ細かな対策をとるということはもちろんでございますけれども、しかしどうしても行政指導に対してそのとおりに協力をしないという企業に対しては、何らかの形で政府が厳しい態度で臨んでいく。たとえば銀行の融資についても、かつてやったような規制をやはりきちっと大企業に対してはやっていく、あるいはまた、政府関係による大口の受注、仕事の発注なども、やはりそれに従わないという態度を示す大きな企業に対しては、受注に対してもその発注を行わないとか、あるいはいろいろな形での金利だとか補助金だとか、そういったようなものなどについてもその適用を一時停止する、こういったような措置を含めても——ここでもって民間の大企業の基礎資材が上がったら相当大きな波及効果を及ぼすという点から考えても、政府が政策的に単なる口約束や自粛を要請するだけではなくして、このような措置をも含む対策をとっていくべきではないだろうか、このように私は考えますけれども、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 経済団体といろいろ話し合いがありますが、経済団体は次回会う際にも、恐らく物価は非常に大事だから協力しますということを言うと思いますが、それだけで私ども物価対策は十分だというふうに考えておらないのです。先ほど申し上げましたとおり、総需要管理政策、これは堅持してまいる。値を上げても売れませんというような状態はつくっておかなければならない。しかし同時に、個別の重要物資につきましても、その需給と価格について、行政指導というか、そういう面を綿密にやっていくわけであります。いまいろいろ、融資をどうだとか、また発注をどうするとか、そういうような話がありましたが、そこまでいかぬで私は大体円滑に推移し得る、こういうふうに思っております。
○小林(政)委員 しかし、現在すでに、大企業の場合だけではなく、中堅の企業の中でも、コストアップで製品の価格を引き上げたいということを期待している企業の数は、経済企画庁の調査によっても、あるいはまた経済団体の調査によっても、六〇何%、七〇%を超すと言われるほど、このような値上げ期待の動きが強まっていることも、長官御承知のとおり事実だと思います。このような中で、特にその中でも鋼材その他の産業の中での基礎資材というものが上がれば、それらの企業は、本当にもうこれ以上どうにもならないということで、一斉に製品価格の値上げに踏み切らざるを得ない、こういうことが起きることを長官は一体どのように見ていらっしゃるのか。 私は、そういう点からも、全部の企業に何か禁止規定を設けて、融資についても規制をすべきだとか、あるいは仕事の面の受注関係の発注などについても規制をすべきだということを言っているわけではございませんけれども、特に大きな影響力を特つ基礎資材を扱っているこれらのところに対しては、やはり政府が相当強い姿勢をもって臨まなければ、おそらくこの秋に向かって物価は、長官は一けた台とおっしゃっていますけれども、異常な急高騰を来していくのではないか。このことは、国民自身も最近の動きを見て非常に不安を感じているわけです。 これに対して、総需要抑制管理政策というものでこれを抑えているということをいろいろと言われておりますけれども、このような中で、いまもう抜ける道のないトンネルに入ったとすら言われている中小の零細業者の立場から、この総需要抑制策、そしてまたこれに対する不況をある程度緩和し、打開していくという政策が、一体どのように具体的に効果をあらわしているのか。 いままで二回にわたって景気不況対策というものをとられてきました。しかし、いま抜け道のないトンネルに入っているとすら言われている中小企業の問題解決に、二回にわたるこの対策が一体具体的にどのような効果をあらわしてきたのかという点についても、この際はっきりお伺いをしておきたいと思いますし、第三回の不況対策も六月の中旬を目指してというようなことが言われておりますけれども、このような中でも、本当にいま深刻な事態に立っている中小零細業者対策というものについても、これをどのように今後対策の中で生かしていかれようとしているのか、この点も含めてお答えをいただきたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 景気の現段階は、大体底入れと見ております。在庫も一月、二月、三月、四月とずっと減ってきております。それから、三月、四月と続けて生産は拡大されております。それから出荷の方も、したがって顕著に三月、四月増加の動きを示しております。そういう一般経済の状態の改善、これは中小企業のことを考えましてもそれがまず第一なんです。 同時に、個別中小企業対策ということもあるわけでありまして、第一次、第二次の個別景気対策におきましては、特に第一次におきましては中小企業に重点を置いたわけでありますが、その金融、それから発注の機会の増大、そういうことを特に配意いたしましたが、最近は日本経済が非常に沈滞しております。これは日本経済だけではなくて、世界経済がみんな沈滞しているのです。そういう中ではありますが、中小企業の特に金融問題なんというものはかなり緊張緩和という状態になっておる、こういうふうに私は見ておりますが、ともかく先ほど申し上げましたように、中小企業という問題に限りましても、総体の景気対策という問題が一つある。それから同時に中小企業は、特に処置をしなければならぬという問題を一々片づけていく、こういう二つの面があるわけですが、その二つの面とも順調に動いておる、私はこういうふうに見ております。 それで、いま底に来た景気状態ではありますが、さあ先々どうなるかというと、浮揚の力というのは非常に微弱だ、こう見ております。ですから、底に来たなべ底の状態がかなり続く可能性がある。それに対処して何らかの景気浮揚の政策が必要じゃないかという一面もあるわけでありますので、その浮揚の施策をとる必要があるかどうか、また、とるならばどういう施策がいいだろうかというようなことにつきまして、六月の中旬ごろをめどにしておりますが、その時点で決定をいたしたい、こういう考えであります。 いま、日本の経済は、一方においては景気を冷え切らしちゃならぬ、こういう問題もあります。と同時に、物価、これはとにかく五十年度中には一けた台を実現しなければならぬ、こういう二律背反のような二つの問題を抱えておりますが、その間よく調和を図りまして、その両者が実現するように細心、最大の努力をしてみたい、さように考えております。
○小林(政)委員 時間がなくなってまいりましたので、簡潔に一、二点、小麦の問題についてお伺いをいたしたいと思います。 先ほども長官から、公共料金問題ということの中で、米、小麦の話も出たわけでございますけれども、農産物の国際商品相場は四十七年に上昇し始め、四十八年、四十九年とずっと上がってまいりましたけれども、四十九年からは急落というような傾向をずっと一貫してたどってまいっております。その中でも、小麦はシカゴ相場でいま値段がずっと下がってきておりますけれども、この状況をまずお伺いいたしたいと思います。
○杉山説明員 ただいま御指摘ございましたように、四十七年のころまでは麦価は国際的にきわめて安定した低位にございました。ブッシェル当たりのシカゴ殻物取引所の相場で申し上げますと、大体一ドル五十から一ドル七十の水準にありましたものが、四十七年の八月以降二ドル、さらに翌年、四十八年になりましては、同じく八月に約五ドル、この程度になりまして、昨年、四十九年の二月に史上最高の六ドル九十二、こういうような異常な水準に到達したのでございます。その後、昨年の五、六月ごろ三ドル台に低落いたしましたが、さらにその後の作況等を反映いたしまして上がってまいりまして、それがことしの一月以降は四ドル台から三ドル台に下がってまいっております。 五月の最近の数字で申し上げますと、これは月央の数字でございますが、三ドル二十八というようなことになっております。ただ、これは現在時点ではそうでございますが、昨年も六月までは、年度の前半においては下がりましたものの、七月以降かなり上がっております。そのようなことを考えますと、それから世界的に穀物の在庫が、かつて豊富にあったころに比べますとかなり低くなっておりますので、今後どのように推移するかはなお予断を許さない、いろいろ慎重に警戒しなければならない要素があると思います。
○小林(政)委員 いま数字をずっと挙げて、下がってきているということでございますけれども、今後も価格は国際相場そのものが下がっていく傾向をたどっていくという見通しを持っていらっしゃいますか。
○杉山説明員 ことしの世界的な作況に関する限り、いままでのところ、特にぐあいが悪い、不作だというような話は聞いておりません。したがって、その点ではやや楽観できるといいますか、今後とも大きく下がるということはないにしても、大体この程度で推移するというような要素はあろうかと思います。 ただ、先ほども申し上げましたとおり、世界的に余裕を持っている在庫の分が、かつての時期に比べますと非常に薄くなっております。数量で申し上げますと、一番多いときは一億トン以上ございました。平均して大体七千万トン程度主要輸出国においてあったわけでございますが、今日では五千万トンを切るような状況でございます。 そういうふうに手持ちが薄いということと、それから、実際に収穫の時期、七月以降、小麦がいまの予想ではかなり順調であるとは言っても、どの程度とれるかということは、その時点になってみないとわからない要素もございます。昨年がまさにそうでございました。三、四、五月、六月のころまでは、アメリカの豊作が予想されて相場がかなり下がったのでございますが、七月以降、アメリカが、実際にはこれらの小麦に限らず大豆等においてもそうでございましたが、不作であった。天候が悪かったというようなことから、相場は反騰したという経緯がございます。したがいまして、そういった両面の要素を考えていかなければならないと思っております。 それからなお、下がったとは言いましても、四十七年までの安定しておった水準、一ドル五十から一ドル七十というような相場に比べますれば、今日の一番低いような時点の価格でも大体倍というような非常に高い水準にあることは、これは否めない事実だと思います。
○小林(政)委員 いずれにしろ、ピーク時代から見ればずっと下がってきている。しかも見通しとしても、これは天候その他もあるでしょうけれども、今年度の見通しとしては、作付面積その他の客観的な条件からも大きな変化は出ないし、むしろどちらかと言えば年内いっぱいはこういう傾向が続くであろう、こういうような見通しがいま述べられたわけですけれども、こういうように国際価格がいま下がっているときに——実際に小麦はほとんど、九十数%は輸入でございますね。この小麦の政府売り渡し価格をどうするかということがいま論議をされているということでございますけれども、国際価格そのものが下がってきているときに値上げをするということは、筋が通らないのじゃないか。 そしてまた、買い付け予定価格というのが、五十年度の予算では当初見込みがトン当たりFOB価格で七万二千円を予定していたところが、実際には六万五千円ですね。ですから、予算価格から見ても七千円も下回った価格になっているわけです。 こういう点から考えましても、こういう時期に小麦の政府売り渡し価格を引き上げるということは、これはもうどなたが見ても筋が通らないと思います。まして、物価がいま公共料金を中心として大きな問題になっているときに、このような状態の小麦価格を引き上げるということは、筋が通らないだけじゃなくて、物価の安定のためにもここで抑えていくべきが当然ではないだろうか、私はこのように思いますけれども、長官の見解をお伺いいたしたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 外麦の値段が下がってきた、そこで輸入価格も下がる、したがって安く国民に提供すべきじゃないか、こういうお話は一つの議論だと思うのです。 しかし、この麦の価格が自由価格でありますれば、まさにそのとおりなんです。ところが、これは政府が管理しておる価格。そこで、先ほど政府委員から申し上げましたが、この二、三年来、麦の値段が暴騰したわけなんです。その暴騰にもかかわらず、わが国の麦の政府売り渡し価格はそれに順応して上げないできたわけです。つまり、自由価格でありますればこれはもうかなり上げなければならぬが、政府管理でございますので、この小麦の価格はそう上がらないできた。 そこで、いま非常に大きな問題が起きてきておりますのは、いま大変な小麦につきましてのいわゆる逆ざや現象というものです。米にもその問題があるのですが、米に比べますと比較にならないくらい大きな逆ざやを生んでおる。そこでこれが財政に大きな圧力となっておる、そういう問題があるわけでありまして、そういう問題との兼ね合いでどういうふうにするかという問題であります。その際には、いまお話しのように、物価政策全体のことも考えなければならぬ。 物価政策の立場から言うと、多少小麦の売り渡し価格を上げましても、これはそれの理論上与える影響というのは大したことはないのです。ないのですけれども、便乗というような現象がどういうふうな状態になるか、そういうことを慎重に見ていかなければならぬだろう、こういうふうに思いますが、いずれにしても、この六月中には麦の生産者価格を決めなければならぬ。その際に、麦の消費者価格、つまり政府売り渡し価格をにらんでおかなければならぬ、こういうことになりますので、その時点の物価の動き、それから財政の状態、あらゆる問題をつぶさに検討いたしまして、慎重の上にも慎重を期してこれが決定に当たりたい、こういうふうに考えております。
○小林(政)委員 もう一点だけ長官に見解を伺いたいと思いますが、農林省は今回の審議会に対して、麦の生産者価格と消費者価格を同時諮問といいますか、こういう形で行いたいという胃を農林大臣が発表したというふうに、昨日でしたか新聞で報道されておりますけれども、食管法のたてまえから言っても、生産者の立場は生産者の立場でいろいろございましょう。また、消費君といいますか、政府売り渡し価格についてはやはりそれなりの、食管法の中で消費者の家計の安定をせしむることを旨としてという規定もあり、財政欠陥の中でこの食管の逆ざやを埋めたいというのが大蔵省の考え方だというふうにも言われておりますけれども、私は本当に物価を安定せしめていくという立場でこの問題を取り扱っていくべきだというふうに考えますし、同時諮問の問題について長官の見解をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 生産者米価、消費者米価、これを同時に同一の諮問において行うかどうか、これはまだ政府部内において意見の統一をしていないのです。しておりませんけれども、いずれにせよ手続は、生産者米価を決定する場合に、消費者米価をどうするかということについて何らの配慮なしに、生産者米価先行というか、独走、こういうことは私は妥当でないと思うのです。手続いかんにせよ、実質的な考え方といたしますると、生産者米価あるいは生産者麦価を決める場合におきましては、消費者米価また消費者麦価、これを同時にどうするかということをやはり論議すべきである、こういうふうに考えております。
○横山委員長 石田幸四郎君。
○石田(幸)委員 私は、まず最初にビールの値上げの問題について伺いたいのであります。 五月二十七日の新聞の報道記事によりますれば、キリン、サントリーのビール価格が流通段階で自主的に値上げされることになった、こういうことが報道されているわけであります。大手酒類問屋の国分、または日本酒類販売株式会社、その両社がそれぞれの所管の税務署にそういう届けを出したそうであります。 長官にお伺いをしたいのでありますけれども、経企庁としては、十月ごろまでにいわゆる消費者物価上昇率を対前年の同期比一けた台におさめる方針を固めた、それを実現するために、総需要抑制策を続ける中で麦価、米価等の一連の認可料金の引き上げを極力抑制する、鉄鋼などの製品価格の抑え込みと延期及び個別対策を弧化する、いわゆる行政指導の徹底を行っていく、こういうことが実は新聞紙上に経企庁の方針として発表になっておるわけですが、こういう中におきまして、長官も御存じのとおり、ビールの値上げについては、いままで、アサヒ、サッポロのビール価格が値上がりになっておったわけですね。一本百八十円ということでありますが、しかしながら、キリンやその他が低かったから実質的にはなかなかそこまでいけない、そういうような様相があったわけですね。 ところが、こういうような流通段階におきましての値上げをするということになりますと、恐らくアサヒ、サッポロのビールの価格もいまの実勢価格よりも発表した百八十円に近づくのじゃないか、こういうことが言われておるわけです。それだけでなくて、実際にキリンあるいはサントリービールというものの大手の流通業者の卸売価格の値上げによって、四つのビール会社が一斉に値上げをしたような形になってくるわけですけれども、流通段階で今後もこういう形で値上げが行われるということであれば、価格体系というのは非常に混乱をするのじゃないかと私は思うのです。 経企庁が発表していらっしゃるそういった行政指導という立場から考えてみましても、そういう形で流通段階におきましてどんどん値上げを行うというようなことになりますれば、物価対策というのもこれまた非常に問題が出てきはしないか、特にまた、いま独禁法の改正の審議がこれから行われようとしておるわけでございますけれども、その改正についても新たな見面しをしなければならない問題も出てくるのじゃないか、こういうふうに思うのです。 そういうようなわけで、この流通段階におけるビール価格の引き上げという問題について、経企庁におきましては一体どのような受けとめ方をされておるのか、あるいはまた、今後どういうような指導をする考えがあるのか、ここら辺についてまずお伺いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○福田(赳)国務大臣 ビールの価格は、これは自由価格であります。ただ、税と非常に特別な関係がありますので、ビール業界は国税庁と密接な関係があるわけでありまして、国税庁の方では、自由価格であるビール価格の決定に介入するという立場はとりませんけれども、随時業界の動き等も、接触をとりまして、妥当なビール価格が形成されるようにという配意をいたしておるわけでありまして、大体過去のビールの価格は、企業の状態だとか、あるいはそれを取り巻く物価、経済の状態でありますとか、そういうことから見まして妥当な推移をしておる、こういうふうに見ておるのでありまして、今後とも国税庁当局が、行き過ぎにならないように妥当な行政指導をしてもらいたい、かように期待いたしております。
○石田(幸)委員 長官、そういうふうにおっしゃいますが、じゃ物価局長にお伺いしますけれども、たとえばいま経企庁では、ユニットプライシングの問題等、啓蒙運動を進めておるようでございますが、そういう問題から考えましても、製品に対しての価格というものは、いわゆるメーカーの段階においてそういう製品価格を設定すべきであると私は基本的に考えておるわけです、特にこういった大幅に一般大衆が消費するような品物については。それを、メーカーがそういうような値段を決めるのじゃなくて。流通段階においてそういうような値上げをどんどん決めていくということについては、私は、将来そういった価格表示をするという立場から考えても非常にぐあいが悪いのじゃないかと思うのですがね。物価局長、どうお考えになりますか。
○喜多村政府委員 自由価格であります場合には、もちろんそれがどの段階で価格形成が行われるかということについては自由かと思います。しかし、物価政策を担当しておりますわれわれの場合におきまして、いま御指摘ございましたビールのような非常に画一的な製品で、しかもその影響が非常に広範囲にわたるものにつきまして、流通段階での値上げということがありましてもその影響するところが大きいということになりますれば、安いものがあるにもかかわらず高いものに追随していくという一つの風潮がありますれば、それは物価政策上問題があろうかと思います。したがいまして、先ほどのビールの例でございますけれども、そういう場合にも、自由価格であって値を上げたものがありましても、それに追随していくということにつきましては自粛してほしいということについて、私どもの方からも、国税庁の方からもお願いしておるというようなことでございます。
○石田(幸)委員 それでは、公取にお伺いをいたしますが、いま麒麟麦酒は、独禁法の改正問題が審議されておるなかにおきまして、そのシェアが六〇%を超すから企業分割の対象になるのではないかというようなうわさがあって、なかなか自主的に値上げに踏み切れないというふうに言われてきたわけでございます。そこで、そういうような状況があるわけでありますから、この大手問屋がそういったメーカーの意向を受けて、そうしてメーカー値上げの露払い的役割りを果たしているような感じがしないでもないわけですね。特に大手の二つの問屋が六月以降同時に値上げをするというようなことを表明されているようなんでございますけれども、そういう問題については、やはり値上げ協定の疑いがあるのではないかというような感じがいたします。 それからもう一点は、やはりそういうようなメーカー並びに流通業者というものが談合して、そしてビールの値段を高いところに持っていこうというような、まあこれは完全な状況判断だけでございますけれども、どうもそういうような感じがしてならぬわけでございますが、これについては一体公取はどういうような意見を持っているのか。あるいはまた、大手二つの問屋が与える影響というのが、他の小さな問屋にもきわめて強く出てくると私は思うのですね。あるいは小売業者も一斉に値上げというような方向に結果的になってくるのじゃないかというふうなことを考えますと、これは大変にゆゆしき問題ではないかと思うのですが、公取の方の意見はどうですか。
○熊田政府委員 ただいまのビール業界、特に問屋の段階で値上げについての話し合いというものがあるのじゃないか、あるいはまた、メーカーと問屋との間で話し合いがあるのじゃないかというようなお話でございますが、私どもはまだ新聞で知っておる情報の段階でございまして、あの新聞に報道されておりますような情報だけからでは、そういう独禁法上問題があるのかないのか、つまり、カルテルというような行為が介在するのかしないのかというようなことはまだちょっと判断しかねる、こういう段階でございまして、私どもはもう少し様子を見てまいりたいというふうに考えております。
○石田(幸)委員 もう少し様子を見たいということでございますけれども、いまの新聞報道では、二つの大手の問屋は六月二日以降というふうに明確に報道記事が出ているわけでございます。これについては確認を要するし、そういった非常に影響力の強い二つの卸売業者が一斉に六月二日ということになりますれば、これは私はやはり状況判断から言ってもそういう協定の疑いがあるのじゃないかと思われますけれども、調査する意思はありませんか。
○熊田政府委員 御指摘になりました二つの問屋でございますが、これが扱っておりますたとえばキリンビールのシェアというようなものを見てみましても、それほど大きなシェアではございません。そういうような点もございまして、この二つの問屋が値上げをするということだけをもちまして、すぐ独禁法に抵触する疑いがあるかどうかということは、まだ判断するのがちょっとむずかしいということなのでございます。したがいまして、もう少し今後の値上げ状況の推移というようなものを厳重に見守ってまいりたい、こういうふうに考えております。
○石田(幸)委員 公取が現状をもう少し見守るというようなことであれば、私もそれ以上は申し上げかねますが、いずれにしても、その影響力については公取は少し過小評価をしていらっしゃるのじゃないかと思うのですね。この二つの卸売業者というのは、非常に有名な業者でしょう。そうして、そういうものが新聞発表になったとすれば、また現に流通段階において二つの卸売業者がそういう形で値上げをするということが発表になれば、これは当然他の卸売問屋においても追随しやすい状況というものが生まれてくると思うのですね。恐らくこの二つの卸売業者から製品をとっている小売屋さんにおいては、やはり一斉に値上げというような方向になってくると私は思うのですね。この点についてはもう少し私の方でも調査をしますけれども、公取では前向きでひとつ御検討いただきたいということを御要望申し上げます。 それから、これは同じく公取の問題でございますけれども、公正競争規約制度の問題についてお伺いをしたいわけでございます。 これは不当表示防止法の十条をずっと検討してみますと、特に表示については不当に差別をしてはならないというようなことが言われておるのでございますけれども、最近、自動車等のいろいろな宣伝を雑誌等で見ますと、いわゆる新しい低公害車であるというような表示がかなり行われておるわけなんです。テレビにおいても一部そういうようなことがあるようでございますけれども、この問題については、私は、本質的に五十年度規制に対してはそれを達成すべきが当然の義務なんであって、それをあえて低公害車と言うことができるのかどうか、あるいは他との不当な差別ということになりはせぬかというような気がするのでございますけれども、これについての意見をまず承りたいと思います。
○熊田政府委員 自動車の低公害等の表示の問題でございますが、これは業界におきましてもっとに問題があるというところから、これらの表示につきまして適正な指導をするようにということでやっております。公正取引委員会といたしましても、この低公害等を強調するという余りに、それが事実に反するとか、あるいは行き過ぎであるとか、こういうようなことになりますと、景品表示法上も問題が出てくるということでございますので、自動車の公正競争規約の実施に当たっております協議会がございますが、この協議会とも連絡をとりまして、これらの低公害車等についての表示につきまして、その適正を期するように指導をいたしております。 この自動車業におきます表示に関する公正競争規約の中に、安全、公害対策についての部分がございまして、そこでは「新車の安全・公害対策に関する表示をする場合は、所管官庁で定められた基準に従い、その内容が容易に判断できるよう付記して表示すること。」こういうふうに規定がされております。ところが、この付記の仕方が適当でない場合があるわけでございまして、その点につきまして、自動車公正取引協議会から、去る五月十九日に傘下の会員に対しまして、特に日本自動車工業会に対しまして、低公害車の表示につきまして適正にするようにという指導方の通達を発しておるという状況でございます。
○石田(幸)委員 それでは、現在、この公正競争規約の制度がしかれているわけでございますけれども、本年度の方針といいますか、あるいは本年度特に取り上げている問題は何なのか。公正取引委員会としては、非常に多種多様な仕事をしていらっしゃるようでございますので、係官等も非常に少ないのではないか、こういうふうに私は思うのですが、そういった点はいかがでございますか。
○熊田政府委員 この公正競争規約の認定の問題でございますが、私どもはできるだけ多くの業界に、この業界の表示あるいは景品についての自主規制措置でありますところの公正競争規約というものを作成してもらいまして、それによりまして表示あるいは景品提供の適正化を期していきたいというふうに考えておるわけでございます。 それで、現在までにこの規約は四十九認定されておりまして、その中で景品関係が十八、表示関係が三十一というふうになっておりますが、先般、五月二十一日でございますが、歯みがきにつきまして表示と景品についてそれぞれ、それからチューインガムとアイスクリーム類、それらにつきましてはそれぞれ表示でございますが、こういう公正取引規約の案につきまして公聴会を催しまして、各界あるいは学識経験者の御意見を聞いたのでございます。こういうような規約につきましては、できるだけ速やかにこれを認定に持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。 これはさしあたって急いで認定をしようとしておるものでございますが、このほかにまだいろいろな業界の規約につきまして、特に表示の規約につきまして指導をいたしております。たとえば家電業界とか、あるいは百貨店業界とか、大きいもので言いますとそういうようなものがございますが、そういうような業界に対しまして、表示の適正化を期するための公正競争規約の設定ということを強力に現在指導しておる最中でございます。
○石田(幸)委員 いま申された家電製品、あるいは百貨店に対しても、これはテレビ等を見ますと、家庭電化製品に対するいろいろな広告というのは、私たちが、これは素人が考えてということなのかもしれませんけれども、そう大きな改善ではないというふうに思うものも、誇大に広告しているのじゃないかなという疑問があるわけですね。特にまた百貨店等においても、半額市だとか、非常に安く見せるような広告がなされておる。そのことによって、かえって普通の一般小売業がそちらに客をとられてしまって、比べてみたらそう違いもないのだけれども、そういうような広告につられてそちらの方に客を吸収されてしまうというような問題が、私は多分にあるのじゃないかと思うのですね。 そういった問題についても、いまそういう内規を決めるように指導しておるというのでございますけれども、これは今年度中に結論が出ますか。
○熊田政府委員 ただいま申し上げました家電業界、あるいは百貨店業界につきましては、もうここのところ一年以上かかりまして折衝を続けておりまして、そうこれから長い期間かかるとは私どもは思っておりません。できるだけ早い機会に認定にこぎつけたいというふうに考えております。 ただ、それではもうこれから短時日の間に認定ができるかと申しますと、たとえて申しますと家電業界等につきましても、現在やっとその業界の素案が出てきたというような段階でございまして、これから消費者あるいは学識経験者の御意見も十分に聞く機会を持たなければなりませんし、私どもはできるだけ早く設定をしたい、そういう方向に指導したいと思っておりますが、もうしばらく時間がかかると思います。
○石田(幸)委員 それでは、その問題についてはぜひひとつ、こういうようなことは、消費者にとっても、あるいは一般の小売業にとっても非常に大事な問題でございますので、来年の予算等におきましても十分要求をなされて、きちっとこういつた認定ができるように、これが時間がかかっておっては何にも意味がないわけでありますので、そういった意味のきちっとした方針を立てられてやっていただきたいということを要望しておきます。 それから、国民生活局長に最後に伺っておきたいのですが、経企庁においては単位価格表示推進対策委員会ですか、こういうものがありますが、まず、私が非常に気になりますのは、たとえば一部最近のレコード等においては、全く価格が製品に表示されていない。書籍なんかは、その本の中に価格を入れるということになりますと、こういう物価がいろいろ推移をしていく時代でございますので、最近は書籍の帯に価格を表示しているようでございますけれども、レコード等はそういうものもないというような場合もあるのでございますが、やはり価格を表示するということを義務づける方向へ基本的には行かなくちゃいけないのじゃないか、こういうふうに思うのですね。この点が一点。 それから、単位価格の表示の問題につきましても、消費者保護の立場からいけば非常に大きなメリットがあるのですけれども、なかなか現実は早急にいかないようでございます。一体それはどういうことがネックになっているのか、ここら辺のことについてもあわせてお伺いをしてまいりたいと思うわけです。 それで、いろいろなデータを見ておりますと、インスタントコーヒー、あるいは紅茶、エバミルク、コンデンスミルク、ココア、あるいは炭酸飲料、果汁飲料、こういうものなんかを見ましても、非常にその内容がまちまちなんですね。極端に言いますと、一つの容器に入るのが四百十一グラムというような半端な数字、あるいはミリリットルでやっているところもあれば、ccでやっているところもある、グラムでやっているところもあるというようなことで、業者のテクニックによって何となく消費者が損害を受けているような感じがしてならないわけでございますけれども、こういう問題についてもひとつ積極的に進めていく方向であるべきだと私は思うのですが、この二つの問題を含めて答弁をお願いします。
○岩田(幸)政府委員 まず最初の価格の表示義務の問題でございますが、これは消費者団体とか一般消費者の意見を聞いてみましても、二通り要望がございまして、片方では、やはり定価というものが表示されておりませんとなかなか選択しにくいという意見もありますし、また一方では、特にメーカー段階で定価をつけてしまいますと、一種の再販価格のような形で値切ることができないということで、むしろない方がいいのじゃないかというような御意見もあるわけでございます。しかし、後の単位価格表示の問題ともからみますけれども、ドイツあたりでは、御承知のように価格の表示の義務づけというものを法律でやっております。そういうことから考えまして、やはり将来そういう方向へ、すぐに法律へいくかどうかは別といたしまして、指導していくのが妥当ではない一だろうかというように考えております。 それから、単位価格表示の問題でございますが、これは御案内のように、ここ二年間ばかり私どもの中で、各省あるいは関係業界、消費者の間で研究会をやってまいりました。ようやくことしの十月ごろから、全国のデパート、スーパー、生協といった大型量販店では、全面的に単位価格表示の制度を実施していただくというようになったわけでございます。 ただ、これを全面的に拡充いたしますときの難点といたしましては、一つは、零細小売店の場合は、こういう単位価格表示をやりますのにいろんなコストがかかるということで、場合によってはそのために商品が値上げされるおそれもあるというようなこと。それから、一般消費者の間にまだまだ認識が一般的でない。それからもう一つは、やはり先生御指摘のように、ジュース一つとりましても、びん詰めはccで表示をし、かん詰めばグラムで表示をするというように、生産段階での設備改善というようなものまで行われませんと、本格的な普及ができないということでございますが、しかし、量販店を中心にいたしまして、徐々にPRもし、指導もいたしまして、単位価格表示の制度を拡大していきたい、こういうように思っております。
○石田(幸)委員 終わります。
○横山委員長 和田耕作君。
○和田(耕)委員 きのう中堅の経営者の社長さんと話をしておりましたところが、いまの日本の経営者は非常に苦しい状態にあるということを綿々と話しておりました。特にその人が強調しているのは、消費者の落ち込みという問題が予想以上に長く続いていくのじゃないかということを主張しておりましたけれども、福田さん、今後の消費の見通しを政府はどのようにお立てになっておられるのか。
○福田(赳)国務大臣 消費がどういうふうに動くかということにつきましては、いま消費が非常に静かである。その原因は一体どこなんだということを探らなければならぬわけなんですが、それはいろいろ私も注意深く調べておるわけですが、まず第一に、高値に対する拒絶反応ということが非常に大きく響いておる、こういうふうに見ておるのです。なるほど消費者物価は鎖静の傾向にあるものの、さて、あの商品を買いたい、あるいはああいうサービスを求めたいという際に、価格、料金がとにかく思ったより大変高い状態だ、差し控えておこう、こういう気持ちがあると思うのです。 それからもう一つは、世の中が大変変わってきた。それに対して国民が、いままでの使い捨ての経済、これを反省しなければならぬな、こういう機運がある。これは私が前に述べた要因とは比較にならぬウエートかと思いますけれども、そういうこともある。また、中小企業等におきまして、交際費でありますとか、営業費でありますとか、そういうものに対しまして節約をするという動きも始まっておる。そういうようなこと全体とからまり合いまして、今日のような消費の停滞ということになっていると思うのです。 さて、今後一体どうなるかということにつきましては、私は、一般の景気のムードの高まりと、かなり連動して消費というものも動くと思いますが、そういう面も無視はできませんけれども、高値に対する拒絶反応というような部面は、急には回復しないと思うのです。 しかし、時間がたちますると、この高値が普通なんだ、やむを得ない価格なんだ、そういうような高値に対する順応の空気というものも出てくるだろう。そういう際には、そういう部面で差し控えられておった消費というものが高じてきよう、そういうふうに思うのです。時間がたつにつれまして、とにかくそう顕著じゃありませんけれども、消費意欲というものも出てこようか、かように考えております。
○和田(耕)委員 それと関連しまして、今度の春闘で、まだまだはっきりはしておりませんけれども、大体一三%前後の平均になりそうだという見方があるのです。この二二%前後の賃上げという問題は、これは率直に言って日本の非常に危機的な経済状態の中での非常に控え目な賃上げということであって、これは全体の経済から見れば非常にいいことであるという判断もできると思うのですけれども、さて、いまの消費の問題を考えますと、この一三%の賃上げというものが非常にマイナスの方向に働いていくような感じをたくさんの人が持っているのですね。これは大臣どのように——つまり、プラスマイナスの問題ですね、一三%という賃上げの持っておる意味、これはどういうようにお考えになっておられるか。
○福田(赳)国務大臣 私どもは、本年の物価上界率九・九、こういうことなんです。それに対して賃金が一三、四%の水準で決まるということになると、実質収入というものは多くなるわけでありまして、どうも賃金が低いからこれは景気が停滞するのだというような見方を言う人がありますけれども、私はそうは思わないのです。やはり賃金が物価上昇率よりは高く決まるわけでございまするから、それだけ景気に対しましてはこれを押し上げる要素を持っておる、こういうふうに思うわけです。 その議論と別に、賃金がノーマルな水準を超えて決まりますれば、これはどうしたって企業の採算に影響するわけです。企業の経営意欲というものにも非常に大きな影響がありまするし、それから、それにも増して問題なのは、これはやはり物価に非常に影響するわけです。賃金、物価の悪循環という問題が出てくるわけでございまして、これを考えますと、これは大変容易ならざることなんです。賃金の上がりはそう高くなくとも、物価が安定し実質の賃金収入が確保されるということを十分国民全体が重視し、見詰めなければならぬことであろう、かように考えます。
○和田(耕)委員 この前、副総理は、九・九%を維持するためには、一七・二%ぐらいのところでなってくれれば、というお話がありました。これはそういう政府の決定とかいうのじゃなくて、大体の見通しとしてそういうことがあったのですけれども、ここで一三%ということになりますと、つまり、九・九%という一けたの消費者物価の上昇をつくり上げるためには非常にいい条件が出てきたというふうにお思いになって、もっと下まで行けそうだという考えを持っておられるのか、余り下まで行ったのじゃまた困る面があるから、ここらで景気を少し回復するような、刺激するような政策をもっと大胆にとれるような条件になったとお思いになっておるのか、そこらあたりをちょっとお伺いしたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 一七・三%というのは、この前も申し上げたのですが、あれは雇用者所得でありまして、いま論ぜられておる賃金ベースとは違うのです。それにいたしましても、経済見通しで見ておった賃金ベース、それよりは若干低目にいま決まりつつあるのじゃないか、そういうふうに思います。したがって、いま決まろうとする賃金水準より若干高い水準を前提として九・九%の消費者物価の上昇だ、こういうことでございまするから、九・九%につきましては、賃金だけの要素からいたしますれば私は若干のゆとりが出てきた、こういうふうに思います。 九・九%の消費者物価の目標、これはそうむずかしいことでもない、こういうふうに私は思っておるのですが、これは一つは、いま御指摘の賃金問題がなだらかな解決になったという点があるのです。それからもう一つは、いままでとにかく昨年度を通じまして上昇過程にありました海外の商品価格が頭打ち、それから農作物なんかになると暴落、そういう傾向にいまなってきておるわけなんです。これも非常に幸いをする。それからもう一つ、物価の大きな要素である金利負担ですね。これは一昨年の暮れ二%の公定歩合の引き上げをやり、その影響というものは昨年ずっと響いたわけでございますが、今度はそれを引き下げる。すでに〇・五%の引き下げを行い、なお国際水準に比べればかなりの引き下げ余力を持っておる、こういうような状態下におきまして、これも幸せだ、こういうふうに思うのであります。 ただ、マイナス要因といいますか、不況が続きましたので、企業の経営がかなり悪化してきた。そういうようなことで、料金、価格のつけかえを期待する、そういう企業側の動きがあるのです。これは本当に真剣に企業側として考えてもらいたい、こういうふうに思うのですが、その辺、企業側が本当に真剣に取り組むという姿勢を打ち出しますれば、私は、景気面につきましては、いま景気が一体どういう状態にあるか、これはつぶさに見ておりますが、必要とあれば景気浮揚のきっかけをつくる施策をとる、そういう環境といたしましては熟しておる、整備されつつある、こういうふうに見ております。
○和田(耕)委員 それと関連した、また別の質問でございますけれども、いま経営者は、経団連の土光会長さんなんかも主張されておるようですけれども、いまは非常に景気が悪くて、生産は停滞あるいは縮小している、この縮小ぎみの生産というものがコスト高に直接影響し始めておるのだ、という主張をされておるようですが、この問題について大臣はどのように評価されておられるか。
○福田(赳)国務大臣 私は、その主張はある程度理屈があると思うのです。いま、とにかく操業率が七六、七%、こういう状態でありまして、単位当たりの製品のコスト、これは割り高になっている。そこで需要が喚起され、生産活動が起こるということになった場合に、新たなる設備投資、つまり固定費負担の増加なしに、製品のより大量の製造を行い得るわけですから、物価自体から言えばいい面があるわけです。ただ、それがいわゆる景気ムードとなって、総体の需給が緊張するということになりますると、これはまた需給の関係から——コストの要因じゃない、需給の関係から値上げを誘致する、いま企業側の値段をつけかえたいという動きに対して非常に強力な刺激を与える、こういうことになりますので、その辺はよほど注意しながら景気浮揚策というものも考えていかなければならぬだろう、こういうふうに見ております。
○和田(耕)委員 健全な企業を経営しておる経営者の大部分は、いま大変苦しい、しかし、やがて景気もよくなってくるだろうという期待から、いまの苦しさをじっとがまんしておるというようにも判断されるのですけれども、やがてよくなるだろうというこの期待が、果たして、やがてが何カ月になるかわからないけれども、期待が達成されるような状態がこの数カ月のうちに来るのかどうか、つまり景気見通しですね。政府の見通しもいろいろ変わるようで、新聞もいろいろ批判しているようですけれども、現段階での副総理の見通し、健全な経営者諸君の、しんぼうしている諸君の、やがてよくなるだろうという期待が大体いつごろになったら実現するのか、いままでの質疑の上に立って率直にひとつお考えをお聞かせいただきたい。
○福田(赳)国務大臣 企業家側の期待が、フル生産状態にしたい、つまり、夢よもう一度という状態に持っていきたいという期待であれば、これはそう簡単にはまいりません。そうじゃなくて、いま稼働率が非常に低い。これをだんだん埋めていくという状態になっていく時期いかんということになりますれば、私は、この第二・四半期ぐらいを境にいたしまして、そういう状態が感得できるような状態にいたしたいし、またそうすることが可能である、こういうふうに見ておるのです。 自然の流れからいたしましても、とにかく一、二、三、四と在庫は減ってきておる。また、三、四と出荷も相当ふえておる。それからまた、生産も上向きに転じてきておる、こういう状態でありますので、ちょっと何かきっかけがあるかどうか、こういう段階かと思うのです。そういう段階に来ておりますので、とにかく第二四半期中ぐらいから上昇カーブに経済全体の動きが転ずるということを目標といたしまして、金融、財政その他の諸施策を進めていく、こういう構えでございます。
○和田(耕)委員 しかし、その場合に一番大事なことは、先ほど一等初めにお聞きしましたように、つまり消費の落ち込みがかなり深刻だ。戻りそうで、なかなか戻らないという実情がいまあるわけですけれども、その場合には公共事業とかあるいは住宅ローン等の政策を予定している以上に出していくということが必要になるわけですが、そういうことを含めてのお考えでしょうか、どうでしょうか。
○福田(赳)国務大臣 国民需要の大きな部分を占める消費、これはいま御指摘のように私は多くを期待することはできない、こういうふうに思います。また、消費を余り刺激するというのも妥当でないと思うのです。そこで、あと残る消費要因といえば設備投資、これは公害対策でありますとか、あるいはボトルネック産業に対する設備投資、そういうものは私は金融をつけますれば行われるというふうに思いますが、企業全体としては遊休、不稼働の設備をたくさん抱えておる、こういう状態のもとにおきましては、金融政策を仮に緩和いたしましても、そういう動きはそうは出てこない。 そうしますと、これから景気浮揚政策をとるというと、もう問題は限られてきてしまうのですね。輸出がどうなるかという問題がありますが、これにもそう多くを期待できないとなれば、財政ということになる。その際に、金融が全然働かないというわけじゃございません。先ほど申し上げたような要素もあるし、また、その他若干の金融の影響力というものもありましょうが、主としてこれは財政ですね。 ところが、財政と言っても、一般の財政の方は非常にいま財政自体が歳入欠陥を生ずるかどうかという関頭にある、そういう状態でありますので、結局、財政投融資、これをどういうふうに活用するか。幸いに郵便貯金の伸びは非常に活発でございます。こういう資金を活用いたしまして、住宅だとかその他の施策をどういうふうにやるかということを考えることになると思いますが、そういう景気浮揚の施策をとる必要があるかどうか、とるならばいずれそういうことを中心にしての施策になると思いますが、どの幅のことをやるか、そういうようなことは、今月中の動きをよく見定めまして、総合的に、六月の中旬ごろ経済対策閣僚会議を開きまして結論を出したい、そういうところへ来ております。
○和田(耕)委員 そういう問題、それから最初に質問しました、一三%でがまんをした日本の労働者諸君は、やむを得ずここのあたり——それは非常に苦しいがまんだと思うのです。政府の見通しでいっても一四%物価が上がったということに対して、それよりも下目のところでがまんしたわけですから、このようにがまんした労働者諸君は、もしこれを政府が安易な態度で受け取って、これで景気の刺激策はやりやすい、あるいは経営者もそういうふうな気持ちでやるとすれば、また、物価がそれに応じて上がっていくとすれば、来年あたりから相当強い抵抗が出てくる。まあこの暮れあたりからも出てくるというふうにも思うのですけれども、といって景気を適当に合理的に刺激しないと、いまの日本の経済がいよいよ冷え切ってしまって何ともならなくなる、これを復活するためにはまた大変なお金がかかるという段階のようですから、景気の刺激をしないわけにはいかない。 スタグフレーションの本格的なむずかしい段階に直面をしておると思うのですけれども、世界各地の先進国でこういう場合に成功した例が非常に少ないわけですが、福田副総理の名前を歴史に残すためにも、ぜひともこれは成功していただきたいと思うのです。 それで、こういう時期に、いろいろな先進国の重要な歴史段階で出てきた考え方として、土光さんの言うような考え方——あるいはこれは労働組合としても景気の刺激に対しては相当やはり関心を持っていると思うのですけれども、しかしその刺激で物価が上がったのでは大変だという感じを持っている。一般の人たちは、とにかく景気よりも何よりも物価を何とか安定してもらいたいという感じを持っているというわけですから、ここらあたりでひとつ時期を見て、そのような日本の経済、転換期の経済に主に関係を持っている代表者の集まりのようなものが自然にできるような経済指導をしていかれる御意思があるかどうか。 たとえば全国経済会議とか、名前は何でもいいのですが、そういう主な関係者の代表的な意見を吸い上げていく機関をつくっていくことができれば、私はどこの国も成功しない問題に成功できる可能性があると思うのですけれども、そういう問題について副総理のお気持ちをお伺いしたい。
○福田(赳)国務大臣 私は、かねがね五十年度、五十一年度は経済の混乱から安定への調整期だ、こういうふうに申し上げているのですが、四十九年、五十年、また五十一年、この三カ年度とすると、私は、混乱収拾の第一年度は非常に順調にいった、こういうふうに考えておるのです。しかし、三カ年の問題でありまして、まだ五十年度の問題がある、五十一年度の問題がある。特に私は五十年度というこの年が非常に大事だと思うのです。この五十年度の困難を乗り切るというためには、私は、本当に国民全体がその気になるという必要があると思うのです。 せっかく成功への第一歩を乗り出した、非常に困難なスタグフレーションの解決、これがとにかく軌道に乗りつつある、これを乗らせなきやならぬ、これは私はこの五十年度にあり、こういうふうに考えておりますので、そのためには国民世論を結集しなければならぬ、そういうために広く各界の協力を求めなければならぬ、もとより私はそう考えておりますが、その仕組みをどういうふうにするか、新たなる仕組みを必要とするかどうかということにつきましては、またよく考えまして、しかし目的といたしましては、国民世論を結集する、これはもうぜひやってみたい、かように考えております。
○和田(耕)委員 これは単に国民の総力を挙げてなんという陳腐な言葉でなくて、やはり各利害の異なった団体の意見が自然にずっと近寄ってきているということが春闘にも出ておるし、あるいはいろいろなことでも出ておるわけですね。そういう問題も、ひとつ政府が誠意を持ってやるべきことはちゃんとやってということになれば、できぬことはないと思うのですけれども、政府として積極的にやるべきことは、この状態で一番苦しんでいる、いわゆる弱者と言われておった人を、やはりこれはほかのものはできないのですから、政府だけしかできないことですから、この救済について本格的に乗り出していくと同時に、いま言った国民経済会議のような形のもので成功さしていくというように要望しておきたいと思います。 それから、これで質問を終わりますけれども、これは個別的な問題ですが、先ほど石田委員が質問なさったビールの問題なんです。これは、独禁法の改正の問題と絡んで非常に重要な要素を持っておるのは、麒麟麦酒という約六〇%のシェアを持っているビール会社があるわけですね。そして、そのほかのもっと弱い大きな企業のビール会社がある。朝日が三月に値上げをして、四月にはサッポロが値上げをした。それから約三ヵ月近くなるわけです。その間に、私いろいろな会合に出て、ビールを飲む会議にも出るのですが、その会合は一〇〇%キリンばかりですね。ほかのビールをいろんな会合で使っている例をほとんど見ない。つまり、私は、六〇%のシェアはこの状態で七〇%近くまでいっているのじゃないかという感じがするのです。そういうふうなお調べを、政府として、経済企画庁として、あるいは公取として、なさったことはございますか。全国的な調査でなくて、状況を知るような調査をなさったことがあるか。 時間がありませんから、そのお答えの前に、キリンのシェアはこの数ヵ月の状態のもとでずっと進行しているのじゃないか、もしそれが本当だとすると、つまり正しいかどうかは別として、国民の強い関心にこたえてビールを値上げしないという理由によって、キリンのシェアが六〇%から七〇%に伸びたとする。つまり、独占的なこの状態が進行したということになる。これがもっと進んでいくと、他の朝日、サッポロ等は倒産にまで追いやられるという可能性だってあり得る。こういう事態をいまの独占禁止法の状態から見てどのように判断したらいいのかということですね、こういう問題はいかがですか。
○熊田政府委員 まず、最近のキリンのシェアがどういうふうに伸びておるか調べたことがあるかというお尋ねでございますが、これは現在のところ、私ども実態の把握をいたしておりません。 このビール業界におきます寡占化の傾向、特にキリンがぬきんでておる、こういうような状況が独禁法上問題がありはしないかという問題意識、これは私どもも従来から持っておるところでございます。しかしながら、現行法で果たしてどういうふうな点に触れるかということになりますと、これはなかなか現行法上問題にするということがむずかしい、こういう状況でございます。 そこで、今度の法律改正の中にも、独占的な状態についての規制措置というようなものが提案をされておるわけでございますが、これは今後の推移を見てみませんと、いまの段階ですぐどうこうということは言えないというふうに考えます。
○和田(耕)委員 これは私、非常に重要な問題だと思うのは、企業が大きくなってきて独占度が高くなってくると、それで悪いことをしなければそのままでしょうけれども、悪いことをする可能性、つまり価格をひとり決めにする可能性が出てくれば企業の分割もあり得るという考え方が、いまの独禁法の改正にあるわけですね。こういう問題と、こういうふうな形で進行していく独占体の形成というものとどういうふうなかかわり合いになってくるのか。 つまり、正しいかどうかは別として、安いものを出しておるということによって独占体が強化されてくる。商いもので売るものは落ちていく。したがって、ほとんど日本の企業は麒麟の独占のような形になってくる可能性がある。事実、ビール業界では、いまの状態からいけばそういう可能性なしとしないと思うのですね。それでもって、流通段階であろうが何であろうが、暗黙のうちにキリンも上げるというようなことになるかもわからない。独禁法違反の形でなくても、上げるということになるかもわからない。上げる必要がないのに上げるということになるかもわからない。こういうような問題を含んでおって、やはりいまの状態では、単なる自由競争を回復するということだけでは役に立たないのじゃないかという感じが私するのです。 そういう限界を置いて考えていかないと、大きくなる独占体に対しては独禁法を強化して解体するという考えではなくて、やはりこれは、たとえば電気事業に対する電気事業法とか、ビール事業法とか、いろんな単独立法でやるか、何らかの形の国家的なコントロールの方法を考えていかないと、こういう事態は解決できない。また、正しい行政指導という考え方を導入してこないと、こういう事態は解決できない。自由経済、自由競争万能の考え方は、だめだとは言いませんよ、しかしもう非常に限界がある、そういうように思うのですけれども、全般的な感じで結構ですが、副総理の考え方をお聞きしたい。
○福田(赳)国務大臣 企業は大きいからそれが悪だというような考え方が一部にありますが、私は、いま御指摘のビール業界のあり方なんかを見てみますと、必ずしもそういう議論に賛同できない立場でございます。大きいから、そこでひとつ分割したらどうだという単純な議論にはどうもなり得ないのではないかと思うのです。いまビール業界を見ますれば、やはりキリンがとにかく一本百六十円で売っていこうとしておる。それに対して、他の二社は百八十円だという。そうするとキリンのシェアはだんだんと大きくなる、こういうわけですが、なぜキリンが百六十円で売れていくのか、こういうことを考えますと、いまキリンのシェアが六〇%という御指摘でございますが、そのとおりだと思います。その規模の利益というものがキリンビールの製造原価に強く響いておるのだ、こういうふうに思うわけでございます。しかし、それならこのキリンのシェアはだんだん拡大する、そういう際の麒麟麦酒の企業家としてのマナー、これが一歩間違いますと害をなす、しかも大きな害をなす、こういうことになる。しかし、マナーが正しい、こういうことになれば、大いに安いビールを国民に提供し得る、こういうことになるので、その辺なかなかむずかしい措置になると思うのでありますが、いまいろいろその措置の仕方につきまして御構想を承りましたが、とにかく状況の推移を見ていろいろ考えなければならぬだろう、かように考えております。
○和田(耕)委員 質問を終わります。
○横山委員長 次回は、来る六月三日火曜日、午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時五十八分散会