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75回国会衆議院1975/02/20

物価問題等に関する特別委員会 第3号

発言数
152
登壇者
17
会派数
5
開催日
1975/02/20

会議録

横山利秋日本社会党

○横山委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山崎拓君。

山崎拓自由民主党

○山崎(拓)委員 それでは質問をさせていただきます。  さしもの狂乱を続けました物価も、最近はとみに鎮静してまいりまして、日銀が十四日に発表いたしました卸売物価指数は、昨年の十二月に比べまして〇・四%下落した、また、前年同月に比べまして上昇率は一〇・四%であったということでございました。福田副総理がかねてから中心となって推進してこられました総需要抑制政策の効果が功を奏しつつありますことを、非常に喜んでいる次第であります。  そこで、物価もようやく安定をしてきたということでございます。今般のこの物価の狂乱といいますか、インフレの原因としていろいろなことが考えられておるわけでございますが、その中の一つであります調整インフレ、いわゆる過剰流動性の問題でございます。この過剰流動性は一応解消した、かように考えていいものかどうか。その点についてまずお伺いをしたいと考えておるわけでございます。  たとえば、この過剰流動性の動向をマネーサプライの面から見ますと、マネーサプライの対前年比の増加率は、ずっと統計を見ますと、昭和四十四年が一七・三、昭和四十五年が一七・七、昭和四十六年二一・一、昭和四十七年二三・一、昭和四十八年二三・〇というふうに推移をしてまいりました。昭和四十九年一−三月が一五・一、四−六で一三・三、七−九で一〇・九、十月が一〇・七、十一月が一一・二、十二月が一一・七というように推移してまいりまして、最近とみにこの増加率が低くなってまいっておるわけでございます。  先般の日銀総裁の景気の見通しの中で出てまいる見解でございますが、マネーサプライは一−三月は一一%前後の水準となると思うが、それは適正である、このような見解が示されておるわけでございます。このような現在の動向といいますか、金融引き締め政策を堅持し、いわゆる調整インフレの再発を防止していくという考え方につきまして、経済企画庁長官はいかなる御見解をお持ちでありますか、お聞きしたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 今日の経済の状態は、経済運営上非常に大事な物価の角度から見ますと、かなり好ましい状態に動いておるわけなんです。この状態以前の状態、つまり物価狂騰、狂乱というような状態、これはまさにおっしゃるとおり過剰流動性に対する対処の仕方等から醸し出された。いまその後を受けまして物価鎮圧作戦が進行しておりますが、この過程は、需給インフレという段階は完全に脱却いたしまして、いまはコストインフレの段階というふうに見ておるわけです。  需給インフレの段階を脱したということは、つまり、過剰流動性が大方解決された、こういうことにつながっていくわけでありますが、いま御質問の過剰流動性は一体どういうふうなことになっているかという見方につきましては、私は、今日この時点になると、まず大方これは解消した、こういうふうに見ておるわけなんです。いま御指摘のマネーサプライの状況を見ても、その傾向はわかるわけですが、ことに企業の手元流動性は、いまだかつてないくらい厳しい状態にあるわけでありまして、それなんかは、如実に過剰流動性がもう存在しないということを示しておる有力なる資料じゃないか、そういうふうに思うのです。  ただ、過剰流動性問題は解消した、それから、狂乱インフレ状態の要因となる需給関係は非常に緩和した、そういう状態でありますが、これから先を見て、さて、わが国の物価状態は安心できる状態であるかということを考えますと、幾多まだこの先々にむずかしい要因があるわけであります。それを乗り越えていかなければならぬ。そのためには、かたくなな考え方を私はもとよりとっておりません。  総需要抑制政策だと申しましても、その中身は固定したものじゃありません。その中身は、あるいは財政政策もあります。あるいは金融の量的調整の問題もある。あるいは金利政策の問題もある。その他いろんな問題があるわけでございますけれども、それらのいずれをどういうふうに進めていくかということについて固定した考え方は持っておりませんけれども、とにかく世界の情勢が変わってきた、それに応じてわが国の経済体制もいままでと一変させなければならぬという時期であります。そういう新しい事態に即応した軌道に日本経済を乗っける、そういう段階、私はこれは一年半ないし二年ぐらいかかると見ておるのですが、その間は、需要を管理する、総需要管理政策というか抑制政策というか、そういう考え方は堅持してまいらなければならぬだろう、こういうふうに思っておるわけであります。

山崎拓自由民主党

○山崎(拓)委員 ただいま企画庁長官から、一応過剰流動性の問題は当面解消した、総需要抑制政策は維持するというお話であったかと思うのでありますが、この点につきまして、先ほど申し上げました森永日銀総裁は、去る二十四日の金融団体協議会におきまして、「現状の物価の落ち着き傾向は、真に定着したものとはいえない」「物価安定のメドを十分得ぬままに、公定歩合や預金準備率の引き下げといった引き締めの旗印を降ろすような施策はとれない」という金融引き締め堅持の姿勢を強調された、こういう記事が出ているわけでございます。これについての御見解を承りたいわけでございますが、現在非常に不況が広がっており、かつ深刻化しつつあるわけでございますが、ただいまお話がございましたような、私も御質問申し上げましたような、いわゆるマネーサプライから見た過剰流動性の動向等もあり、金融を緩める政策を、現在もしくはどの時点でこれをおとりになるお考えがあるのか。産業界は、特に中小企業を中心といたしまして、金融引き締めが、ボクシングで言うといわゆるボデーブローのように効いて、非常にまいっておるという感じがいたすわけでございますが、その点についてお尋ねをいたします。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 これから先の物価問題、経済の問題を考えてみますと、いろいろ解決を要する問題があろうと思います。それができませんと、いまは物価が鎮静傾向にありますけれども、先々ともその傾向が定着したと言えない。その一番の問題は、国民全体の中にまだ根強い夢よもう一度という考え方がある、こういうふうに見ておるわけです。そういう状態の中で金融を緩めた、財政は積極的な方向へ転じたということになると、また日本経済が熱気を帯びて、好ましからざる方向へ動き出さぬという保証はないように思うのです。  ですから、一番大事な問題は、もう世の中は変わってきたのだから、日本の国もかじ取りを根本的に変えなければいけないのだ、高度経済成長という夢は再び見ることができないのだ、新しい企業のあり方、新しい家庭のあり方、そういう上に立ってわれわれは行動しなければならぬのだという新しい社会意識というものが強く出てくる、そこで初めて安心できるような状態になるわけなんですが、まだ私はそうは思っていないのです。  ですから、私は、日銀総裁がただいまお話しのような談話をされたということは妥当な見解である、こういうふうに思うのですが、それにしても、先ほど申し上げましたように、総需要抑制政策というものは固定した内容のものじゃございません。これはそのときどきの経済情勢に応じて、弾力的、機動的に運用しなければならぬというので、現にこの間、経済対策閣僚会議で、金融財政両面にわたりまして、今日の雇用情勢あるいは不況業種等に対しまするきめ細かな配慮をするという決定をいたしておるわけですが、あの決定の程度でしばらく経済界の様子を見たいと思うのです。そして、三月下旬ぐらいの時点で、なお追加して金融対策を進める必要があるか、財政上の措置が必要であるかというのを見きわめまして処置をとりたい、こういうふうに考えておるのであります。  いつの時点から色彩鮮やかな転換をする、そういうような考え方はしておらぬわけです。そういうことをすると、またいま私が申し上げましたように、根強いインフレ待望というか、夢よもう一度という考え方があるものですから、ちょっとしたことで株式の価格がばっと上がります、鉄鋼の価格が上がりますというようなことにもなりかねないのであります。そういうようなことを注意深く見守りながら、適時適切な対策をとってまいる考えであります。

山崎拓自由民主党

○山崎(拓)委員 同じく日銀総裁は、景気は現在の金融引き締め政策を堅持しても、財政支出の拡大や個人消費の回復などに支えられ、自律反転の形で緩やかな上昇に向かう、こういうことを言っておられるわけであります。  これに対しまして、非常に産業界の反発がございまして、適切な景気政策がないと、自律反転で景気が回復するようなことは考えられないという反対の見解を示しておるわけでございまして、時期に応じて、三月末というお話もございましたが、景気の動向をきめ細かく御観察をいただきまして、名医として名高い企画庁長官でございますから、適切な処方せんを、かつ治療を行っていただきますようにお願いを申し上げます。  次に、インフレのもう一つの原因であります資源インフレでございますが、需給インフレは解消したという御見解の開陳があったわけでございますが、来年の経済見通しの中で、卸売物価の年度中上昇率を七・七と推定をしておられるわけであります。従来、日本の経済の中で、卸売物価の安定が日本経済の健全性を示す一つの指標と考えられておったわけでございますが、この二、三年きわめて卸売物価が上がってきたということでございますけれども、七・七というのは、そういう従来の卸売物価の動向からいたしますと、これはきわめて高いものであります。これだけ上がるということになると、なお資源インフレは解消していないという疑問も出てくるわけでありますが、その点いかがでございますか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 今日の卸売物価はかなり落ちついてきました。この数カ月の間をとってみますと、横ばい状態であります。暮れの十二月は〇・二%上昇でしょう。それから一月はマイナス〇・四の上昇、こういうことで横ばいになってきたわけであります。  さて、これで先々はどうなるか、こういうことを考えてみまするときに、コストを増す要因、これはあるわけです。一番大きな要因は賃金コストですね。こういう問題に関連して、春闘が一体どういう決着になるか、これは非常に重要な要素になってくるわけでございます。それからもう一つの要素は、これは非常に軽微にしか響きませんけれども、公共料金の一部改定をする、これも響いてくる。  そういう幾つかの卸売物価を押し上げるコスト要因がありますが、マイナス要因もあるのです。それは金利コスト、これは今日の金利水準というのは高いですから、恐らく調整という時期がことしじゅうあたりには来るでしょう。そういうようなことでマイナスの要因もある。  それからもう一つ問題がありますのは、政府の方がいま目を光らせているものですから、なかなか産業界は製品の価格の改定、引き上げに慎重な構えをしていますが、何か機会があったらひとつ上げようかという空気があるのです。そういうことになると、その製品を使用してまたいろいろな製品ができる、その場合のコストとして積み重なる、プラス、マイナス両因があるわけであります。  そういうものを総合いたしまして、一年度間の上昇率は七・七というぐらいに見ておくことが妥当であろう、こういうふうに考えまして、一応七・七、こういう数字を出しておるわけですが、ひとつできる限り努力をいたしまして、それ以下になってもらいたいというのが念願でございます。

山崎拓自由民主党

○山崎(拓)委員 ただいま長官から、コストプッシュインフレの要因であります賃金の問題が出てまいったわけでございますが、けさの新聞を拝見をいたしまして、きょう長官にぜひお聞きしたいと思って切り抜いてまいったのでありますが、昨日の予算委員会において、民社党の和田耕作議員の御質問に答えられまして、「賃上げ率を物価上昇率とスライドさせようという考え方は独善的だ」と述べられたということが出てまいっておるわけでございますが、ちょっとこれは私は理解ができないのですが、副総理のお考えをお聞きしたいのです。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 きのう民社党の和田さんから、経済見通しの中に雇用者所得の伸びが一七・一と出ておる、これは政府の好ましい賃金水準を示すものか、つまり、春闘の賃金水準かくあることを期待する、こういう趣旨なのかという御質問がありまして、私は、そうじゃないのです、この雇用者所得というのは、これはいま当面問題になっておる春闘の賃金とは違うのです、春闘の賃金というのは裸の賃金です、つまり所定内の基本賃金。雇用者所得というのはそうじゃなくて、その所定内の賃金のほかに、所定外の賃金、つまり残業手当でありますとかそういうような種類のもの、あるいはボーナスでありますとか、あるいは各種の保険についての負担でありますとか、そういうものをひっくるめまして、春闘で問題になる裸のベース賃金、それの約倍ぐらいな幅のものです、それが一体どういうふうになるかということを計算したものです、これを計算しませんと、国民所得計算ができないのです、ですから、これは毎年毎年ずっとやっているので、これは何も春闘に対してPRをするのだとか、春闘で好ましい賃金水準を示すというものじゃなくて、毎年やっているものだ、そういうことを申し上げたわけなんです。  それから同時に、しかし賃金と物価というものは非常に相関関係があるということも、これは明らかにしておく必要があるというふうに考えまして、部内の参考資料として、一〇%賃上げの場合には物価はどうなるだろうか、賃上げというのは春闘の賃上げじゃないのです、雇用者所得として一〇%上がったらどうなるか。それから一五%上がったら物価はどうなる、それから二〇%上がったらどうなるというような勉強もしておったわけですが、それを資料として出せ、こういうお話で、けさ資料として提出した、こういうわけなんであります。

山崎拓自由民主党

○山崎(拓)委員 賃上げ率を物価上昇率とスライドさせようという考え方、これはこの春闘の相場に対します各方面の考え方の中に明確に出ておると思うのでありますが、春闘共闘委は三〇%、四万円以上を要求している。これに対して同盟は二七%、三万円というふうなことを言っております。春闘相場を先駆けでつくると言われる鉄鋼労連、これは二七%でありますが、その考え方は、三月の消費者物価指数プラス五十一年三月までの物価上昇を一〇%と見てその半分、それに実質生活向上分五%、定昇三%、合計二七%という要求を出しておるわけであります。  先般非常に話題をにぎわしました生産性本部の金子委員長の考え方は、五十年春までの年間消費者物価上昇率に、五十年度に予想される消費者物価上昇率の半分を加えたもの、こういう考え方が出ておるわけでございますが、消費者物価と賃金との関連づけにつきまして長官の御見解を承りたいわけなんです。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 私は、国会に対しましても、また世間に対しましても、賃金はかくきめるべきものであるということは申し上げたくないのです。つまり、いま春闘という、労使間で非常に機微な重大な問題が差し迫っているわけです。それに政府が介入をするという形になることは好ましくない、こういうふうに考えておるからなんです。  しかし、理論的に言いますと、いま金子委員長が、大体物価だけを見て賃金をきめるという、その考え方を出しておるわけです。つまり、現実の問題としては、四十九年度におきましては消費者物価は一五%アップだ、それをひとつ全部取り入れましょう、それから来年は政府の見通しによると九・九、約一〇%の消費者物価の上昇だ、それを半分先取りをしよう、そうすると、一五プラス五で二〇になるわけですね。それに定期昇給を二、三%加えた水準、これが適正賃金水準だ、こういうことのようですが、賃金は消費者物価だけできまるべきものじゃない、こういう見解です。  私は、一つ見ておかなければならぬのは、労働の需給の関係がどうなるか、これも賃金決定の大きな要素になるべきである、こういうふうに考えております。それからもう一つは、企業が一体そういう賃金体系でやっていけるのかいけないのかという企業運営、経理の立場、そういうものを総合して賃金水準というものは決められるべきものであって、消費者物価だけを賃金決定の基準にするというこの金子委員長の見解は妥当でない、こういうことをきのう申し上げておるわけでありまして、その考え方につきましてはきょうも変わるところはない、こういうふうに御理解願います。

山崎拓自由民主党

○山崎(拓)委員 そこで、民労協の考え方でありますが、「賃金上昇率はほぼ物価上昇率プラス実質成長率、或は名目生産性の向上率にほぼ見合って決定されている。」こういう考え方が示されておるわけであります。事実、これは正確な数字になるかどうかわからないのですが、さる資料によりますと、昭和四十七年の春闘相場は物価上昇率プラス一〇・三%であります。昭和四十八年、同じく物価上昇率プラス一一・七%、昭和四十九年、物価上昇率プラス八・九%。そこで、実質成長率を見ますと、昭和四十七年の場合、これは前年度をとるべきだと私は考えるわけでありますが、七・三%、昭和四十八年の場合は九・八%、昭和四十九年は六・一%でございますから、したがって、春闘相場は物価上昇率プラス実質成長率プラスほぼ二、三%のところで決まっておるという計算に、これは私の勝手な計算でございますが、なるわけであります。  そこで、この二、三%の問題でありますけれども、定昇が二%ということが考えられますし、また別な角度からいきますと、それぞれ昭和四十七年に該当する前年度の労働分配率の上昇率が二・九、四十八年度に該当するものが〇・八、四十九年度に該当するものが二・九という労働分配率の上昇がございます。したがって、物価上昇率プラス実質成長率プラスアルファ——アルファは定昇分でありますと同時に、労働分配率の年々の向上というような考え方ができないものだろうかということでございますが、いかがでしょうか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 妥当な賃金決定方式、これについて私が意見を申し述べますと、これは非常にデリケートな影響があるわけです。もう春闘問題というのは当面の非常に大きな問題になっておりますから、それについて政府が何か示唆するというような結果になりますので、その点はひとつ御理解願いたいと思うのです。  ただ、過去の経済を見てみますと、高度成長期だけをとりましても、生産性の向上と賃金の上昇、これは年によってでこぼこがありますが、ならしてみると、大体相並行してきているわけであります。その間において卸売物価はずっと安定しておる、消費者物価は五%ないし六%の上昇だ、こういうことですが、やはり大観しますと、卸売物価というのは大体大企業物価と言ってもいいかもしれません。それから消費者物価というのは、まあ中小企業物価と言ってもいいかもしれませんが、完全にそうとは言えませんけれども、傾向としてはそういう性格です。  大企業におきましては、賃金が上がりましても、高度成長ですから、したがって企業の規模も拡大するとか、売上量が増加するとか、そこで一人当たりの生産性が向上する。そこで、賃金が上がりましても生産性が向上するものですから、物の価格にしわ寄せをしないで済ませ得る、そこで卸売物価は大局的には安定する、こういう結果になったのだろうと思います。  しかし、同時に、消費者物価は一体どうかと言うと、中小企業という面におきましては、大企業のようにさあ高度成長だから規模を拡大するとか、あるいは合理化が進むだとか、そういう余地が非常に少ないのですね。そこで生産性の向上というものが大企業のごとくに見られない。そこで、中小企業の扱う物の価格、サービス料金、まあ床屋の料金なんというのはその端的な例だろうと思うのです。あれは人件費ばかりですからね。生産性の向上で賃金の上昇を吸収するというようなわけにはいかない。そこで消費者物価というものが、一方において卸売物価が安定しておるにかかわらず上がった、こういうふうに私は理解しておるわけなんですが、とにかく生産性の向上と賃金、物価、これには深い相関関係があるということは御指摘のとおりだろう、こういうふうに思います。

山崎拓自由民主党

○山崎(拓)委員 昭和五十年の春闘相場を考える上において非常に参考になりますのは、民労協がこういっておる点なんです。「物価が三月時点で十五%以内におさまり、その後も十五%以下がつづく保障があれば、要求は三十%−二十七%と出しているが、組合はこれにこだわる必要はなくなる。」こう言っておるわけであります。  そこで考えられますことは、とにかく来年度は消費者物価の上昇率が九・九という目標でございますので、何としてもこの目標を達成するということが至上の課題であるということになろうかと思うのであります。先ほど長官からお話がありました、企画庁の昨日発表されました試算によりますと、賃上げ率が一五%なら、消費者物価の上昇率も、五十一年一−三月の前年同期に比べた上昇率も九%に高まるだろう、こういうことでございますから、ちょうどこの消費者物価と賃上げ率との関係は、ここに一つの基準が考えられるというふうに私は思うわけであります。  また、同時に、従来の物価上昇率プラス実質成長率という観点から見ますと、昨年はとにかく経済成長がマイナス成長でございますから、物価上昇率プラスじゃなくてこれはマイナスということになるわけでございまして、ただ、先ほどの定期昇給あるいは労働分配率の上昇というような点を加味いたしましても、私は春闘相場を物価上昇率程度に抑えるべきである、かような見解を個人的に持っておるわけでございまして、これは長官にお聞きいたしましてもお答えにならないということでございますから、これは私の個人的な考え方を申し上げるにとどめたいと思うわけであります。  そこで、景気の動向でございますが、その中で非常に憂慮される事態は失業者が非常にふえてまいった点でございます。労働省にお聞きしたいのでありますけれども、昨日の読売新聞に載った記事でございますが、総理府の失業者推計によると、「完全失業者は、一月に百六万人と百分の大台に乗せ、三月には百二十七万人、戦後三番目の高水準に達する見込み」かような推計が発表されておりますが、労働省の見解を伺います。

中山正暉自由民主党労働政務次官

○中山政府委員 お答えを申し上げます。  総理府が出しております百二十七万人という数字がどこから推計されたものか、われわれはよくわからないのでございますが、実は有効求人倍率が〇・七一と、大変失業者が増加していることは事実でございますが、おかげさまで昨年末雇用保険法を通していただきましたものでございますから、失業者が出るのを大変防いだ効果があると思いますが、しかし、この状態でいきますと、百万人に間もなく達するというようなことはわれわれも予測をいたしておりまして、これに対する対策をひとつ大いに検討しなければならないとみんな一生懸命に考えさせていただいております。

山崎拓自由民主党

○山崎(拓)委員 そこで、完全失業者が百万人に達する、有効求人倍率が〇・七一である、こういうことでございますが、そういたしますと、百万のうち七十万は就職が可能でありますが、あとの三十万について一体どういう手を打ったらいいかということでございます。  それに関連してお伺いをいたしたいわけでございますが、労働省が発表した数字であると言われておりますが、技能労働者の不足分、これが約百三十四万人である、かようなことでございますが、いかがでございますか。

中山正暉自由民主党労働政務次官

○中山政府委員 実は昨日の産労懇、総理も副総理もお出ましになりましたが、あらかじめ申し上げておきたいと思いますが、危険信号は二百万ということになるのではないかと考えておりますが、実はその技能労働者、四十八年よりは大分救われてまいっておりまして、雇用保険法の関係もありまして若年労働者の場合は再就職というのは容易なんでございますが、高齢者の場合は非常にむずかしゅうございますし、特に四百五十カ所全国にございます公共職業訓練機関、それから職業安定所などを通じまして情報を把握しながら、四百五十カ所でいま大体二十一万人ぐらいの技能労働者を育てております。私も実はこの間、婦人の職業訓練所を拝見をしてまいりましたが、まだ大分余裕もございますので、これから失業なさる方々に——失業なさる方々と言うと語弊がございますが、もし失業者が出た場合には、そういうものを技能労働者に転換していく方式を立てないといけない。  日本の教育問題にも私は関係があるのではないかと思いますが、非常に職業訓練校というのが少のうございます。文部省関係で職業訓練という教育を考えるのに、いままで方針が少し定着をしていなかったのではないかという考えがあります。ホワイトカラーがふえまして、いわゆるブルーカラーが減っていくような教育行政というものは、これから労働省が所管をいたしております職業訓練校を大いにフルに活用いたしまして、そういうものを技能者に転換していく、職業転換と申しますか、そういうものを充実させてまいりたいと考えております。

山崎拓自由民主党

○山崎(拓)委員 ただいま中山政務次官から、技能労働者の養成をやるんだというお話があったわけでございますが、現在の失業発生率の状況を考えまして、これは急務である。技能労働者が不足をいたしておりますから、失業対策といたしまして技能工の養成ということが急務でありますが、具体的にどういう対策を考えておられますか、労働省に御答弁いただきたいと思います。

望月三郎労働省職業訓練局訓練政策課長

○望月説明員 お答えいたします。  従来、失業者が発生いたしました場合には、それに対応いたしまして、全国約四百五十校における受け入れ体制につきまして、その地域のあるいは労働者を養成しております訓練科とつなぎ合わせまして、そして適切な措置をとりましてどんどん希望があれば入校させていく。それからさらに、施設に余裕がないような場合には、民間に対しまして委託するというような方法をとりまして、具体的にそういう人たちができるだけ短期間に再就職できるような形の訓練というのを実施してきたわけでございます。最近におきましても、そういう事例につきましては随時適切な措置をとっていくという方針でやっております。

山崎拓自由民主党

○山崎(拓)委員 この点は非常に大事な点だと思うのでありますから、労働省におきましてはひとつ前向きに、積極的に対策を講じていただきますようにお願い申し上げます。  ついでながらお伺いをしたいんですが、最近、新規採用の延期、特に取り消しの問題が発生をしておるわけでございまして、これは非常に深刻な社会問題であるというふうに考えるわけでございます。この辺の実情と、これに対する見解と対策、これについてお答えを願います。

中山正暉自由民主党労働政務次官

○中山政府委員 その問題についてお答えをいたします前に、先ほどの職業訓練の問題でございますが、先日も全国の職業訓練校での成果を示します大会、つくりましたものの展示会などをいたしまして、秩父宮妃殿下をお迎えいたしまして、東京、大阪で行われたわけでございます。短期間の間に大変充実した技能を身につけるということを、私も実態を見ております。  いまの新規学卒者の採用取り消しの状況でございますが、二月十日現在で採用取り消しが、中学校卒業者で四件、九名、高校卒業者で四十五件、二百四十四名、それから入職時期の繰り下げが、中学校卒業者で九件、百一名、高校卒業者で四十件、千四十五名となっております。  これは大学卒業者の場合は、職業安定機関を通じませんで、本人直接企業募集ということになっておりますので、採用取り消しの実態が非常に把握困難でございますが、実は労働省でも、労働省職業安定局長名をもちまして、五十年の一月二十三日に「大学卒業予定者の採用内定の取り消し等について」ということで、企業に大変厳しい通達を出しておりまして、そういうことができるだけ行われないように考えております。そしてまた、そういうことがありました場合には、労働基準法の第二十条の適用ということも考えております。労働契約が成立、発効したと認められる場合に、特に一カ月の予告手当などの問題もあわせまして、そういうものに対する歯どめをいかにかけるかということに懸命の努力をいたしておりますということをお答え申し上げておきます。

山崎拓自由民主党

○山崎(拓)委員 この問題は、非常に不況下で、企業側の事情もあろうかと思うのでありますが、企業の公共性の問題、公益性の問題も先般来の国会で云々されたことでございますから、企業側の自粛、自戒、努力をひとつ政府側からぜひ要請をしていただきますようにお願い申し上げます。  先ほどお話が出ました産労懇でございますが、昨日三木総理、福田副総理が出席をされまして、いろいろと労使双方の代表の方と懇談をされたそうであります。その中で労働側から、財界側も配当の最高限度を決めることなど、もっと自粛をすべきであるという意見が出されたということでございますし、かつまた、今回の春闘の賃上げがインフレ心理を巻き起こすことにならないように、節度ある態度で臨んでほしいということで、三木総理から労使双方に対して要請があったということでございまして、今回のこの不況の中にあって、あるいはこのインフレの中にあって、自重、自戒が求められておるわけでございますが、政府といたしましては経営者側に特にどういう点の要請をなさるか、承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 今回の春闘に当たりまして、政府の態度はどうだ、こう言いますと、政府はその賃金決定には介入しない、こういう方針をとっておるわけですが、しかし、この賃金決定に政府が無関心であるかというとそうじゃない、重大な関心を持っておる。そこで、この決定の当事者である労使双方に対して、節度のある決定をしてもらいたいという考えでございまして、そのことを総理から強く労使双方に申し上げたわけです。  しかし、同時に、特に経営者側に対しましては、賃金決定について節度ある態度をとるのみならず、物価政策に特に他の面においても協力せられたい。それは何か、こう言いますと、企業の経営です。これはいままでの考え方ではもうやっていけない。思いを新たにして合理化、生産性の向上に努力しなければならぬ。そこで、いままでの惰性で気楽な経営をしておって、そのしわ寄せを製品価格に持っていく、あるいは取り扱いの手数料に持っていく、こういう態度じゃ困ります。できる限り企業の経営を合理化する。切り詰めるべきところは切り詰める。そうして、なるべくしわ寄せを製品の価格やサービス料金に持っていかないような努力をしてもらいたい。結論的に言いますると、努力に努力をして、そうして努力をすれば利潤が多くなりますが、その利潤が出たら、これを価格の引き下げという方向に回してもらいたいということ、これが一つ。  それからもう一つは、いずれにしても利潤は出ます。赤字のところはあるかもしれませんが、赤字のところは別といたしまして、利潤が出る企業、これの配分にまた気をつけてもらいたい。つまり配当であります。配当について合理的、妥当なものにしてもらいたい、こういうことを要望したわけです。  賃金問題について政府は介入しない、これは何回も申し上げておるわけですが、介入しないというのは、賃金について法的な規制をするとか、あるいはそれに関連して、物価についてこれを法的措置をとらぬ、こういうことにもつながってくるわけですが、そういう態度をとるという以上、この利潤や配当という問題につきましても法的措置をとるということは妥当ではない、そういうふうな考え方でありまして、これは企業経営者当局の節度ある姿勢に待つ、こういうことで、その節度を強くきのうは要望した、こういう次第でございます。

山崎拓自由民主党

○山崎(拓)委員 福田長官は予算委員会に御出席の時間が来られたそうでございますから、御退席をいただくことにいたしまして、国民生活局長にお伺いをしたいのでありますが、こういう経済情勢でございますから、消費者保護の政策がきわめて重要でございます。来年度予算案で、企画庁の消費者行政関係予算は四四%増加ということでございまして、大変増加率は大きいので結構でありますが、この中で、苦情処理体制の整備というのがございます。政府側といたしましても、消費者の苦情処理体制を整えられるということは必要であります。しかしながら、企業が企業独自でそのような消費者の苦情処理をする努力をするべきであります。  国民生活センターの昭和四十八年十月の調査報告によりますと、東証上場の一部、二部の消費関連企業千二百九十社のうち、一〇%の百二十九社しか何らかの対消費者窓口というものを持たない、こういう数字が出ておるわけでございまして、この点について、企業側に対してしかるべき行政指導を行うべきではないか、かように考えるわけでございますが、御見解はいかがですか。

岩田幸基経済企画庁国民生活局長

○岩田政府委員 先生御指摘のように、最近は企業の社会的責任の一つといたしまして、消費者の苦情処理をやるとか、あるいは消費者の意見を反映するとかいったような、企業の行動が消費者指向型になっていくということが非常に大事だと思います。  御承知のように、消費者保護基本法でも、事業者の責任といたしまして苦情処理体制を整備することとか、あるいは苦情の処理を迅速かつ正確にやるこということを述べているわけでございます。ことにこれからの低成長を考えますと、そうした問題がやはり企業にとって非常に大きな社会的責任を果たす一翼になるのではないかと思っているわけでございます。  そうした意味で、私どもも実はかねがね企業に対してそういった体制を整備するようにお願いをしてまいりまして、昭和四十五年から六年にかけましては通産大臣その他から通達を出しまして、企業にそういう指導もしてまいったわけでございますが、御指摘のように現在のところではまだこういう体制を整備されました企業の数は少ないわけでございます。  いま先生御指摘になりました国民生活センターの調査でございますが、四十八年にはおっしゃるように対象会社の中で実際にそうした窓口を設置しておりますのは百二十九社、約一〇%でございますが、実は去年十一月に第三回目の調査をいたしました。ゆうべ緊急に集計をしていただいたわけですが、これによりますと二百六十四社、一六%というようにかなりふえてきております。これは恐らく去年からの狂乱物価その他の事情から急激にふえたことと思いますけれども、まだそれにいたしましても全体として非常に少ないわけでございまして、今後とも私どもも各事業官庁とも協力いたしまして、こういうような体制を各企業で整備していただくように指導してまいりたいと思っております。

山崎拓自由民主党

○山崎(拓)委員 時間が参りましたので、質問を終わります。

横山利秋日本社会党

○横山委員長 午後一時再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十一分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議

横山利秋日本社会党

○横山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松浦利尚君。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 大臣のお時間がございませんから、委員の数が少なくても、始めさせていただきます。  まず一番最初に、福田副総理にお尋ねをしておきたいのでありますが、先般の予算委員会で、約一時間近く総需要抑制の中身について議論をいたしました。実はそのときに時間がなくてお聞きできなかったのですが、アヒルの水かきではありませんが、要するに、表面的には総需要抑制政策という言葉を使われるのですが、水面の下の方では相当激しい動きがあることは事実だと思うのです。かつて、副総理は新聞記者会見で、総需要抑制の枠内には公定歩合の引き下げも入るんだということを言われたことがあると私は記憶をしておるのでありますが、この総需要抑制という枠の中に大きな意味で公定歩合の引き下げも入っておるんだ、将来、総需要抑制を堅持しながら公定歩合の引き下げということはあり得るんだということについて、副総理の御見解を承っておきたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 総需要抑制政策を進める手段といたしましては、財政政策があります。また、金融政策があります。金融政策におきましては、その量的な側面もあれば、あるいは金利という側面もある。その他いろいろな手法があるわけでございますが、それらを適宜組み合わせまして総需要の抑制をする、こういうことになるわけであります。  いつだったか、記者団から質問がありまして、それではその手段のうちの一つ、たとえば公定歩合の引き下げをするということになった場合に、それは総需要抑制政策の転換と見ていいのかということでございましたが、それはそうではない。総需要抑制政策の手段は多様である。その多様な手段を随時、その時点の内外の情勢を見て全力を挙げるという場合もあるし、あるいはその一部を使うという場合もあるが、要するに、日本の経済を自由にあるがままに野放しにはしない。手綱を引き締めておく。こういう状態に置くということが考え方の基本であって、その手段の一つが金融だ、財政だ。金融の中においては、金利をどうするとか、通貨の供給量をどうするとか、そういう一つ一つの手段について変更がありましても、それは総需要抑制という基本姿勢を崩すことにはつながらない、こういうことを申し上げたわけでございます。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 いま副総理の言われたことを前提として考えますと、三月末の状況を見て第二の不況対策をするということが、すでに経済対策閣僚会議等で方向づけられておるようでありますが、総需要抑制を堅持しながら多様な対策を立てるということでありますから、そういう第二次の不況対策の中に、いま明示されておらない公定歩合の引き下げあるいは預金準備率の引き下げ、こういったものも当然検討する素材にはあるんだ、総需要抑制という枠の中でそういう素材もあるんだというふうに理解してもよろしいですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 総需要抑制政策は、財政政策が非常に大きな柱でございます。金融政策もまた大きな柱でございます。金融政策の中には、通貨の供給量をどうするとか、日銀の窓口規制をどうするとか、いろいろあるわけでございますが、その他にまた、金利調整機能を働かせるとか、これがいま松浦さん御指摘の、公定歩合をどうするとか、あるいは預金準備率をどうするとかいう問題になってくるわけでありますが、そのときそのときの情勢に応じて、一つ一つの対策のどれを取り進めていくか、あるいは取り除いていくかということを考えるわけであります。  総需要抑制政策にはそういう多様な、これを進めるための手段が入っておるわけですから、観念的にこれを見るときには、その手段をなすところのいろいろな方法が常に考慮の対象にはなるのですが、量的な問題につきましては、この間の経済対策閣僚会議でも若干の緩和を打ち出しておりますが、金利につきましてはまだ打ち出しておりません。いま内外の情勢を見まして、金利水準を動かすということにつきましては、まだその時期には至っておらぬ、こういう判断でございます。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 一応副総理の言われることで了解をいたしましたが、いずれにいたしましても、いま考えておかなければならないのは、先ほど山崎委員からも指摘がありましたが、非常に締め過ぎではないか、極端な言い方をするとオーバーキルではないかというような意見がいろいろと産業界に出てきておるわけです。それで、余り締め過ぎると、これはもう副総理も御承知だと思うのでありますが、これ以上厳しくなればそれぞれの企業でさらに減産体制に入らなければならない。さらに減産体制に入っていくということになりますと、当然、そういう背景から製品価格へ上乗せする、締め過ぎたために逆に物価が上がるという体質が出てくるのではないかと私は思います。  現に公正取引委員会が、昨年十月、板ガラスに対して立入調査をやったようでありますが、この寡占による価格協調的な体質が、冷やし過ぎれば冷やし過ぎるほど表面化してくるのじゃないかという気がしてならぬのです。だから、そういう問題をからめてのタイミングですね。さらに締めても、そういった製品コストに上乗せをするような状態にはまだなっておらぬのだ、まだ大丈夫だというふうに今日のこの状況を判断しておられるのか、それとも、もうそろそろ限界に来たというふうに判断をしておられるのか。価格という問題に焦点をしぼって、その価格というものから見て一体どうなのか、まだ余裕があるのかどうか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 理論的に言いますと、減産体制に入ったということになると、一企業の一つ一つの商品につきましてはこれが割り高につく、こういうことになりますから、コスト要因において減産体制は問題がある、これはもう御指摘のとおりであります。  しかし、同時に、反面、今度需給の問題からいったらどうだ、こういうことになりますと、減産下におきましては需要の方をまあ管理するというか、これは少ない。それに対して生産の方もまた管理されている、こういうような事実上の結果になりますので、需要要因から見ると、私は、この物価情勢にはこれはいい傾向というか、まあ妥当な傾向、こういうことになってくるだろう、こういうふうに思うわけであります。  そういうことはなぜ起きるかというと、この減産はなぜ起こるのだということなんです。つまり、需要を管理し、需要を抑制しているという結果、そういう減産現象というものが起きてくる。そこでさかのぼって根本的に考えますと、この総需要抑制政策という需要管理体制をとっておること、これは需給面におきましては好ましい結果になる、こういう結論になる。それは理屈の話ですね。  現実の問題としてはどうだ、こういうことになりますが、まだ私は、減産の一つの側面、つまり減産すればコストが高くなるという現象ですね、これが強く出されておる、こういうふうには見ておりません。むしろ、減産の根源である総需要抑制政策がとられる、したがって需給が均衡しておるという状態で、物価を動かすもう一つの側面である需給ですね、この面からの働きというものが強く響いておる、こういうふうに見ておるのであります。  そういう状態でございますが、しかし物資、物資によりましては、そういう原則論に対しまして例外がある。まあ物によりましては、いま設備投資を抑えておるということになると、いまはいいが二、三年後になったら一体需給はどうなるのだろう、その二、三年後のことをいまスタートしておかぬと、二、三年後になって初めて物不足だというのであわてても間に合わぬじゃないかというものもあるわけです。そういうものにつきましては、今日この時点においても設備投資をしておかなければならぬ、こういうことに相なるわけであります。その辺は弾力的、機動的にやりますが、総体として言いまして、いま、減産体制は価格に悪い影響があるという総合的な判断はしておりませんです。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 さらにほかの角度からお尋ねをしますが、これは山崎委員からも指摘がありました。昨日、産労懇で、失業者が二百万人以上になった場合は政策転換をせざるを得ない、十二月現在で九十五万人、大体三月末で百二十五万から二百万になるだろうということを推定しておるようであります。こういった失業率から見て、二百万人を超えた場合は政策転換をする一つの接点として見ることがあり得るのかどうか、経済政策上そういうものを政策転換の一つの接点として認められるかどうか、その点をひとつ明確にお聞かせいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 完全失業者が二百万人というと、これはかなり深刻な事態だ、こういうふうに思いますが、だからといって、基本的な需要管理の体制、総需要抑制体制、これを変えるということは考えておりません。これは、その管理体制の中で打つ手は非常に変わってくる。変わってくるが、とにかく世界情勢が非常に変わったという中で、わが国の高度成長路線というものを適正な安定成長路線に乗りかえなければならぬ、その問題があるのです。ですから、就業状態が悪くなったからといって、将来安定成長路線に乗っける、そのための努力を放棄するというわけにはいかない。  しかしながら、二百万人の完全失業者だなんというようなこと、これは非常な事態でございますので、そのときには、そういう姿勢は変えないけれども、そういう社会現象、経済現象に対する対処の仕方、これはかなり変わってくるであろう、こういうふうに思います。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 私は、いま副総理の言われたことは、一つの大きな問題点を含んでおると思うのです。要するに、高度経済成長から緩やかに軟着陸をして安定成長に入る。五十年、五十一年を経過期間として、五十二年からは安定成長で進むのだというその転換期にいまあると思うのです。そのことは経済企画庁のそれぞれの資料で私たちも知ることができるのですが、ただ問題は、いままでの日本の産業構造そのものが、高度経済成長下の産業構造というものがつくられてきておると思うのです。  いま家電業界等でレイオフその他が行われておりますが、これは今日の不況に伴うものというよりも、やはり将来高度経済成長から安定成長に移行する過度期の構造的なものが、家電業界等のレイオフという形で出てきておると私は思うのです。ですから、いま出てきておるものが果たして不況かどうかということは、私は若干疑問があると思うのです。特に中小企業に相当なしわ寄せがあるのですが、中小企業というのは、高度経済成長下の産業からやむを得ずして生まれてきたものだと思うのです。ですから、逆に言うと、これが安定成長になっていったら、中小零細企業の存在というものは切り捨てられていくのではないか、その弱い部分がいま露骨に表面化してきておるのではないかという気がしてならないのです。  ですから、山崎委員も先ほどちょっと触れられたようでありますが、問題は、不況対策だとかなんとかということもさることながら、現実にあらわれてきておる現象がそういう経過措置の中の摩擦、問題点として出てきておるとするならば、やはり経済政策というものは、産業構造そのものの転換という対応策が国民の前に示せないと、結果的に、不況だ不況だということで先ほど言ったように安定成長下で吸収できない部分が相当ある、どうするんだという問題がまた出てくると思うのです。  ですから、そういう産業構造の変革というものを一体具体的に考えておられるのか。ゴー・アンド・ストップ政策とよく言うのですが、余りにも物価が上がり過ぎたからここで引き締めるのだという、ただ単に現象だけで今日の対策がされておるとすれば、私は大変なことだと思うのですが、その点について、副総理の方から明確に政府の方針をお聞かせいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 大体において松浦さんのおっしゃるとおりの問題だと思います。いま経済政策として政府が当面しておる問題は二つあるのです。一つは、先ほど申し上げましたように、この二年ばかりの間に、日本の経済の路線を安定成長路線に切りかえ、乗っける、そういう問題が一つあるわけです。同時に、もう一つある。それは、当面のインフレと不況の問題をどういうふうに解決していくかという問題です。ですから、われわれのとる施策というのは、その両方をにらんでやっていかなければならぬ、こういうことであります。  物価を安定させなければならぬ、反面、物価政策のゆえに不況状態が出る、それに対しての手当てをしなければなりませんけれども、そういう当面の経済のかじ取り、これに万全を尽くすという問題、もとよりでございますけれども、同時に、この当面の対策の過程においても、その対処の仕方、これは将来をにらまなければならぬ、そして、この二年ぐらいの間にはわが日本の経済は方向転換をするという新しい方向へこれを乗せていかなければならぬ、こういう問題がありまして、御指摘の産業構造の転換の問題は、そういう意味において私どもはこれも十分配慮してまいりたい。  そういうことにつきましては、産業界、広くは国民全体ですね、さあ世界経済が変わってきた、それに対処して日本のこれからの経済の姿はどういうふうになっていくんだろう、こういうものについて、まあ抽象的にはおわかりになると思いまするけれども、具体的になってくるとなかなか理解しがたいところが多々あるだろうと思うのです。そういうことを配慮しながら、政府の方では、いままでの高度成長を背景とした長期計画、こういうものをここで一新いたしまして、安定成長下の新長期計画を策定する。そういうものをごらんになっていただくと、ああ世の中はこうなっていくのか、あるいは政府はこう長期的に考えているのかということについての御理解も得られるだろう、こういうふうに思いまして、むずかしい問題ですが、何とかことしじゅうには新長期計画を策定いたしたい、こういうふうに考えております。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 長期計画の見直しということは前から政府も言っておられますから、ことしじゅうにそれを出していただけるということですから、これ以上申し上げませんが、ただ、副総理もおそらく中小企業の人たちからいろいろ質問されておると思うのです。政府に陳情が出ていると思うのですが、一体中小企業が生き残ることができるのかどうかということがやっぱりあるのですよ。  たとえば、家電なら家電業界がありますね。家電業界が下請を使っておるのです。その下請というのは、部品メーカーからいろんなたくさんの下請がある。ところが、実際に縮小されていきますから、そうなってきたときに自分たちは果たして生き残ることができるのだろうかどうかという、そういう不安感が漂っていると思うのです。ですから、金よりも仕事、こういう言い方が出てくるんだと思うのですよ。金はもういい、仕事をくれ、そういう変わった形が出てくると思うのです。私は、いまそういう不安に答えておらぬと思うのですよ。いや大丈夫だ、いまはひとつしんぼうしなさい、しんぼうしても必ず君たちは生き残る道があるんだよ、こういう具体的なものがないから、国民は非常に不安だと思うのです。  ですから、この末にそういう長期計画が出されると思うのですけれども、ここで副総理に明確に答えていただきたいのは、要するに、大丈夫なんだ、あなた方も生き残れるんだ——逆に言うと、二重構造というのがありますね、産業の二重構造というのを恐らくこれからの中で整理されていくと思うのですが、しかし、大丈夫生き残れるのか、あるいはどこかに吸収されていくのか、そういう点はもう心配する必要はないんだ、そういう方向で長期計画の見直しをやるんだ、だからひとつ安心してくれということを政府が言えば、いまの予算はどうだ、冷やし過ぎたから困るじゃないかという景気浮揚策の焦点に世論というものが向いてこないと思うのです。やっぱり副総理を支持する方向に動くと思うのですよ。そういう明確な方針が示されないまま今日の結果が起こっているところに、国民の最大の不安があると思うのです。上手に答えられる副総理ですから、きょうのこの委員会を通じて、国民に納得させるようにひとつ答弁していただきたいと思うのです。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 いま国民は、国民の中でも産業に携わっておられる皆さんは、大変異常な立場にあると思うのです。つまり、戦後いままでマイナス成長というものに当面したことがない。それが四十九年度におきましてはマイナス一・七%成長だ、あるいはひょっとするとそれよりもマイナスの度合いが高くなるかもしらぬということも想像されるような今日でございます。ですから、その事態だけから判断いたしますと、さあ仕事がだんだんなくなってきた、こういう実感、これはもうごもっともな実感だろう、こういうふうに思うのです。  しかし、私どもは、いまこの時点というものは、それは非常に異常異例な事態である、これをいま乗り越えて、物価は一方において安定させる、同時に、景気は平常の状態に戻す、こういうことを目指して諸施策を進めておるわけでございますが、私どもの施策の成果というもの、これはだんだんと効果をあらわしてくる。現に物価の方は着実に鎮静化の方向をたどってきております。また、景気の方はどうだというと、いまこの時点では非常に沈滞しておりまするけれども、いろんな対策を講じておる、それから他方において在庫調整も進みつつある、そういうようなことを考えると、経済の自律反転の作用、これもまた期待できる。  そこで、私どもは責任を持って国会にも申し上げておるわけですが、来るべき五十年度におきましては四・三%成長である、こういうことであります。つまり、われわれは現時点で縮小経済ということを考えているわけじゃないのです。安定軌道ではあるけれども成長経済を考えておる。世界情勢が非常に混乱している中で四・三%成長といえば、これはかなり高目の成長を日本は考えておる、こういうふうに受け取られてもしようがないようなそういう高さでございますが、とにかくそれを目指して経済を誘導しよう、こういうふうに考えておるのでございます。  いまは苦しい、しかし、数カ月後の時点におきましては、経済を何とかしてつま先上がりといいますか、そういう状態に持ってきたい、また、異常な事態が起こらなければそういうふうに持っていける、こういうふうに考えておりますので、いまは苦しいけれども御協力願いたい、そう時を移さず皆さんに御安心を願えるような事態にいたしますということを申し上げているわけです。ですから、現状だけをとらえて余り悲観をするというようなことにつきましては、私はそういう必要はなかろう、こういうふうに考えております。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 どうも安心したかどうかわからぬのですが、具体的なものが明確に答えられないという点はあると思うのです。ただ、問題は、産業構造審議会、産構審ですね、そういったところは、これは経済企画庁の所管じゃないのですけれども、具体的にこういう問題をとらえて議論をしておるのでしょうかね。他の省のことでありますけれども、副総理の立場で、大体動いておるというふうに見えておられますか。産構審そのものがもうどうしていいかわからぬような状態に追い込まれているのじゃないですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 いまは非常な転換の真っただ中であります。そこで、私は、国民全体が先々がどういうふうになるかということについて非常に混迷をいたしておる、こういうふうに思うのです。そこで、早くこれから先の日本経済を長期にわたってどういうふうに運営していくかという基本的な考え方を打ち出さなければならぬ、そこで日夜努力をしておるわけでありますが、年内にはそれを打ち出すようにいたしたい、そういうふうに考えております。  それと並行いたしまして、産業構造、この問題も当然大きな課題として討議されなければならぬ問題である。抽象的にどういうふうになるだろうというようなことにつきましては、私どもの経済社会基本計画の新しいものの策定を待たずして、大体考え方はまとめ得るわけでございますから、これはそういう抽象的漠然とした方向に沿って産業構造審議会が活動してくれる、これはもとより急がなければならぬわけでございますけれども、私どもといたしましては、なおそういう他の審議会等の、あるいは他の各省における具体的施策の推進を容易ならしめるために、なるべく長期計画の策定を取り急ぎたい、こういうふうに考えております。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 こればかり議論していると時間がありませんから、先に進みますが、実は山崎委員からも指摘があったのですが、経済企画庁の部内参考資料であります。  これは、調査局長さんも指摘しておられるように、当初は部内の資料であったものが、たまたまだれか有能な記者がおられてすっぱ抜いてしまって、意に反してこう部外に出たということらしいのです。その限りにおいては、私は経済企画庁をどうだこうだと言うつもりはありません。ところが、これを発表されますと若干問題点が残るのです。  その一つは何かといいますと、実はこれは賃金の異動だけを明示してあるのですね。あとの数字は全部据え置きなんですよ。賃金だけは異動したところがこう書いてある。ところが、私は物価というのは、先ほど金子委員長の問題に触れて、物価上昇率だけで賃金というものを想定するのはおかしい、それは経済成長を足してやるような賃金のあり方はおかしいんだということを言われた。私はそれはそれでいいと思う。  ただ、問題は、これも同じだと私は思うのですよ。物価を押し上げる条件としては賃金はこうです。それじゃ外的な要件として、現に石油の最低価格保証、これが、大体キッシンジャー構想が世界の趨勢になろうとしてきている。日本はもちろん反対しているのですけれども、それであれば石油価格というのがさらに上がるだろうということが考えられる。安定はするが高値安定。あるいはそれにひっくるめて、今度は銅ですね、産銅国がそれぞれ話し合いをして、OAPECと同じような組織をつくって、価格上昇をわが国とそれぞれの消費国あるいは先進国に要求をしようという動きがあるということになりますと、そういった原料の安定輸入ということも若干問題があると私は思うのです。そういうことをもうすべてパーにしてしまって、ただ賃金と物価の関係だけでこういう計数をはじき出すというのは、まさしくこれは金子委員長と同じ内容のものだ。ただ自分の都合のいい部分だけを取り上げてやっておるんだということになると思うのです。  私は、こういう議論があっていいと思うのです。しかし、少なくとも外に出るからには、やはりもっと正確なものでなければならぬ、ほかにも要素があるわけですから、そういう点について、大臣、どのようにお考えになりますか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 大変疑いを持たれてのお尋ねでございますが、これは松浦さん、「昭和五十年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」これは国会にも提出いたしておるわけです。それに、国民所得、その中で雇用者所得、これは非常に基本的な材料でございますが、雇用者所得をどう見るか、こういうことが載っておるわけです。これは最後のページ、十ページになりますが、その一番上に、五十年度におきましては四十九年度に比べまして一一八・四、こういうふうになっております。ところが、その前のページをごらん願いますと、雇用者総数は一体どうなるか、これが五十年度は四十九年度に比べまして一〇一・一%になるわけです。ですから、一人当たりにいたしますと雇用者所得の伸びは一一七・一になるわけです。一七・一%のアップになる。ですから、これはどういう数字なのかというお尋ねがあれば、当然精細に説明しなければならぬわけです。  そこで、お尋ねがあったわけです。お尋ねの要旨は、この一一八・四%というものは、問題となろうとしておるところの春闘、その賃金ベースについて、政府があり得べき適正な数値であるというふうに考えての一一八・四%であるか、あるいは一一七・一%という数値であるか、こう言うから、それはそうじゃありません、私どもは労使の間で決められるところの賃金決定には介入する考え方は持っておりません。問題になる春闘の賃金というのは、これはもっとずっと幅の狭い角度の問題、裸の所定内賃金ということであります。その裸の所定内賃金に、あるいは超過勤務手当でありますとか、あるいはボーナスでありますとか、あるいは保険負担でありますとか、そういうものを一切ひっくるめまして、雇用者の賃金はどうなるかということを検討いたしたものがこれであって、したがって、この一一八・四%あるいは一一七・一%、これは問題となろうとしておる春闘の賃金と直接の関係はありません。過去においても、この数値が決められた賃金と一致していることもあるし、上下することもあったわけです。性格上同じものでもありませんし、また、過去の実績においても同じものではない、こういうことを強調しておいたわけでございます。  そういう次第でございまして、ただ、私ども企画庁といたしますと、さて賃金がどういう状態に決められたら、日本の経済は一体どういうふうになっていくだろうか、また、そういう変化があった場合に、政府としてはどういうふうに対処しなければならぬかということを考えることは当然であります。したがって、問題となる春闘の賃金ではございませんけれども、雇用者所得、これがいまここでは一一七・一%になっておりますが、これが一五%になったら、あるいは一〇%になったら、二〇%になったら、一体日本の経済はどういうふうになっていくのだということを調べておくのは当然なんです。  ただ、いま松浦さんのような見方をする人もございますので、注意深く私どもは部内用だ、こういうふうにしておったところ、たまたま部内用の検討資料がその検討の過程において新聞に掲載されるということになり、それをきっかけといたしまして、昨日予算委員会におきまして、その資料を国会に提出せよ、こういうような要請があり、その要請に基づきまして予算委員会に配付する、こういうことになりましたわけでありまして、全く他意はない。われわれのお預かりしておる経済運営を適正妥当にやっていきたいという一念からのものであります。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 それはそれで何も悪意があってやられたというふうには見ておらぬし、偶然出たということも私は了解をしておるつもりなんですが、ただ、これはきょう各社の新聞論調を見てもおわかりのように、相当心理的な効果があったことだけは事実なんですよ。心理的な効果があったとすれば、意に反して漏れたことは計画的な知能犯であったかもしれぬというふうにとるのですけれども、しかし、いずれにしても、政府が来年度の五十一年三月、対前年度比一けたにするということも発表なさいましたね。政策目標として、五十一年の三月、五十年度末対前年同月比一けた台にする。九・九ですね。これは年上昇率は七・七ですかにするということは、もう所信表明その他で、一月十四日の経済指標を決めたときにも発表になったとおりでありますから。  ただ、問題は、その決定ができなかった場合、仮にその約束事が食い違った場合、もっと平たく言えば物価が上がった場合、それは労働者の責任だ、それは労働者の賃上げが余り激しかったから上がったのだという逃げ場をこれでつくったのではないかという気もしてならぬのですよ。そういう逃げ場でなければ幸いですが、私はどうもそういう気がしてならないのです。これを見ますと、一人当たりの雇用者所得増加率と消費者物価との関連を見てまいりますと、二〇%上がると物価はこれだけ上がりますよ、一五%はこうですよ、こういうふうなことを言っておられて、結果的に、きょういただいた資料の裏の方に出ておるのですが、関連指標の数字で春季賃上げ率と一人当たりの雇用者所得の見合いを調べますと、大体一%から三%の相違が出ておるわけです。春闘の賃上げ率が高いんです。わずかの差のところもありますが、大体一%から三%の幅になっておる。ということになりますと、逆に言うと、物価が上がった、しかしそれは春闘で上げ過ぎたんだよということだけに終わるのではないかという気がしてなりません。恐らくそういうことは考えられておらないと思うのですけれども、やはり心理的に効果を上げておるわけでありますから、そういうことがあるのかないのか、否定をされると思うのですが、副総理の口から明確にひとつお答えいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 この資料は企画庁で試算したものでありますが、この企画庁の試算の限りにおきましては、賃金が上がるということになると消費者物価は上がる、また賃金が低目に決められるということになれば消費者物価も上昇が低目になっていく、また同時に、賃金が高目に決まるということになれば経済成長は鈍化する、また、賃金が低目に決められるということになると経済成長はより順調に動いていく、こういうことが非常に明確になるわけでございます。  これは企画庁の試算ですから、こういうことに果たしてなるかどうか、そういうことにつきましては予断はできませんけれども、松浦さんは、こういう資料が出たことは、何か私どもが掲げておる五十年度九・九%の物価上昇、こういうことが実現され得なかった場合の逃げ口上としてこういうものを世に流したんじゃないかというような感じのお話ですが、そういう考えは持っておりません。  私どもは、本当に物価が安定し、同時に景気が常道に戻るということを心から念願しておるのみでありまして、私どものプログラムが実現できなかった、そういうようなことなどを考えているいとまがないというくらい、実は真剣に経済政策の運営に取り組んでおる。経済政策の運営がどうもうまくいかなかったという場合、これはもうだれの責任だ、かれの責任だ、自分には責任はないんだという、そういう逃げ口上を言うような甘い事態じゃないと思うのです。これはみんなが一緒に乗っておる日本丸という船なんです。もう運命共同体ですよ。そういう際に、さあ船が沈みかかった、あれはだれの責任だと言っておるいとまはありません。そんなことは、後になって、そういう事態になれば、そんな責任のなすり合いなんかしないで、みんなが手を携えてさらに次の道を求めるということにすべきだ、こういうふうに思います。いささかも責任回避論的な考えは持っておりません。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 このことは、午前中の山崎委員の質問を通じても副総理は言っておられるのです。賃金というのは当然労使自主的に決定をされるべきものだ、それに対して政府の方から良識的云々ということは、これは私はあってしかるべきだと思いますが、ただ、問題は、こういったものがガイドライン的なものとして、労働者の方は逆に言うとけしからぬということになるが、企業側、経営者の側は逆に言うと百万の力を得たようになるんです、その数字というものは。交渉の場でこれが具体的に使われるわけですね。ということになれば、政府の意に反して、そのことが逆に、結果的に政府が介入をした形というものが自主交渉という場にあらわれてくる。  それは勝手にその経営者がやったんだから政府は関知しませんよと言ってみても、日本版のガイドライン的な、もっと具体的に言うならば、賃金だけを見通した日本版所得政策というものが何か定着をするというおそれもあるわけですよね。だから、そういう点については、やはり企業側、経営者側にこれが逆に悪用されないように、介入しないんだという政府の意図と反して、逆に結果的にこれが利用され、介入したと同じ効果を生むというようなことに対しての、やはり政府の責任というものは私はあると思うのです。出てくると思うのですよ。  こういったことは、これから開かれる産労懇でまた議論をされることだとは思うのですけれども、そういう意味では、私は、過ってこれが発表されたことに対して、企業側に対するある程度の指導があってしかるべきだというふうに思うのです。これは一つの部内的な資料だからというようなことについて、経営者側に対して、悪用——悪用と言うと言葉が悪いですが、ある意味での政府からの指導なり指示というものが必要だ。そうしなければ、かえって労使の紛争の種になるということを私は指摘したいと思うのです。ですから、副総理の方からひとつこれの経営者側に対する指導についてお答えいただきたい。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 政府は、労使双方で決める賃金問題については介入しない。しかし、賃金と物価については関係が非常に深いものがある。どんなふうに深い関係があるのかと、企画庁の見解を労使双方にわかってもらう。これは私は、ひとり経営者ばかりじゃない、労使双方に対して大事なことじゃないか、そういうふうに思うのです。抽象的に、賃金と物価は関係がある、こういうふうに思っておる人が多いわけです。その中で、企画庁で計量モデルを使って、そして、他の条件は変わらない場合に賃金だけが動いたという際にはどういう変化が物価に来るかという道筋を示す、こういうことは政府として当然なさなければならぬ責任だろう、こういうふうにも私は思うのです。  ただ、いま松浦さんのおっしゃるように、これは労働者には不利だけれども経営者には有利な材料を提供しているのだという見方があれば、その見方は私は誤っておるということを、その誤解を解くための努力はいたします。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 私は、この春闘の結果を見てからまたこの問題について質問をいたしますが、これが意図するとしないとにかかわらず、今後の日本版所得政策の足がかりになるような気がしてならぬのですね。もちろんそれは労使の問題ですから、労使で判断をし、労使自身で決めていく賃金の結果がどう出るかによってまた変わるのですけれども。  だから、そういう点では、私は、こういう扱いについて、少なくとも賃金決定に影響を与えるようなものについて、今後対外的に表面化しないように、もう少し内部的な運営を明確にしてもらいたい、出たことはこれは幾ら言ってみてもしようがないのですから。部内資料が外に飛び出したことについては、非常に問題があったんではないかということだけ最後に申し上げておきまして、後は春闘の結果が出た後、さらにこの問題についての質問を続けさしていただきたいと思います。  それで、もう時間がわずかになりましたから、あと公取の事務局長に御質問をいたします。また、あわせて経済対策閣僚会議の中心であります副総理の方からも、公取との質疑を通じてお尋ねをする場合がありますから、お答えをいただきたいと思うのです。  そこで、公取の事務局長に簡単にお尋ねをいたしますが、その一つは、板ガラスについて、先ほども若干質問をいたしたのですが、立入調査をされた。この板ガラスについては、旭硝子が五〇%のシェアを持ち、日本板硝子が三〇%、セントラル硝子が二〇%、こういうふうに典型的な寡占企業なんですね。それで、昨年十月、どうも共同行為的な動きがあったのではないか、類推される行為があったのではないかということで調査されたのですけれども、きょうの新聞の発表を見ますと、この業界の代表が何と言っておるかというと、同じ材料を使って同じ工程でつくる製品なんだから、価格が単一であるのはあたりまえだということを新聞談話として出しておられるのですね。私は、これは明らかにおかしいと思うのですよ。少なくとも企業ですから、企業コストが全く一緒というようなことは、競争条件下にある企業としてはあり得ないことだと思うのですね。その点、公取の事務局長、私の言っていることについての御見解を承りたいのです。

熊田淳一郎公正取引委員会事務局長

○熊田政府委員 板ガラス業界の問題でございますが、コストは各社によりまして差があるということは事実でございます。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 それで、公取の事務局長、そういうことになりますと、私は、競争条件が整備されておらないのだから、逆に言うと、こうしたものについてはどこの企業の原価がどれくらいだというようなことをやはり明らかにすることが、独占禁止というたてまえ上正しいんじゃないかという気がするのですがね。あなたも事務局長として仕事をしておられて、私は、原価の公表ということはこういう企業に関してはやはりやるべきだ、全然わからないわけですからね、そういう誤解を国民に与えるんだから。ということになれば、こういう企業にこそ原価の公表というものはやはりなければならぬことだというふうに思うのですが、どうですか。

熊田淳一郎公正取引委員会事務局長

○熊田政府委員 今度の公取の独禁法改正試案の骨子の中にも、高度寡占企業が協調的な値上げをやったという場合に、その値上げの理由を明らかにしてもらうという趣旨におきまして、原価の公表を命ずることができるようにするという構想があるわけでございます。これは、明らかにカルテルということになれば、現在でも独禁法で排除措置を講ずることができるわけでございますけれども、見えざるカルテルと申しますか、そういうような高度寡占企業におきます協調的な値上げ行為というものは、カルテルとしての立証がどうしてもつかみにくいわけでございまして、この場合には、やはり一般消費者なり国民の立場から申しましても、なぜそういう値上げをしなければならなかったかということを明らかにしてほしいという気持ちは当然起こるわけでございまして、その意味におきまして、その値上げの理由を端的にあらわすものといたしましては原価というものであろうというところから、公取試案におきましては、原価の公表を命ずるのが適当であろう、こういうふうに考えておるわけでございます。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 そこで、副総理にお尋ねをしたいのですが、いよいよ植木総務長官の手元で政府試案ができつつあるのでありますが、いま公取の事務局長も説明されましたように、しかもきょうの新聞でガラス業界の代表が発表しておるように、公取が協調的な行為があったとして調査に入った、調査に入った途端にその代表が何と言うかといえば、いや、同じものを使って同じ製品をつくるのだから、価格が単一であるのは当然だというようなことを言うわけですね。こういう状態が起こるのは、実はこの物特の委員会でも再三指摘をしておる、高度な寡占企業ということになるのですね。これは公正取引委員会から言わせれば、当面、板ガラス、ビール、あるいはピアノ、こういうふうになっておるのですね。こういうものについてはやはり原価の公表をしないと国民の利益というものは守られないわけですね。なぜ値段が一緒なのかわからない。ということになれば、当然政府の試案の中で、何か原価の公表というものについては今日の状態では問題があるから、これは通産省当局等を通じても反対の意見も強い、どうも骨抜きになるのではないかというようなうわさがあるのですが、そういうことがないように、現にもうこのガラスの業界一つとってみてもそういう状況ですから、やはり原価の公表は必要だというふうに思われますでしょう。副総理、どうでしょうか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 原価公表というのは、これは理論的には考えられますが、もう実際、何が原価なりや、こういうことになりますと、非常にむずかしい問題でありまして、これを法的問題として取り上げるということにつきましては、これはいろいろよく検討してみなければならぬ問題だろうと私は思うのです。いませっかく公取から独禁法改正試案というものが出ており、その中に原価公表問題も一つとして取り上げられておる、こういうわけで、まあ議論に議論を尽くした上、妥当な結論を得るということにいたしたい、こういうふうに思うのです。  いずれにいたしましても、今月中に大綱をつくり上げ、来月は国会に提案いたして御審議を願うという段階になろうか、こういうふうに思いますが、最後の詰めの段階でありまして、慎重審議いたします。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 なかなか答えにくいと思うのですが、この板ガラスの結果を見てみても、原価の公表というものがいまやはり消費者の国民の側の声だということは、副総理、わかっていただきたいと思うのですよ。ところが、何か逆に、企業サイドからは、原価の公表というものについては困る、ですから通産省あたりは盛んに反対するのですね。高度な寡占企業に対しての管理価格あるいは寡占価格というものが市場を支配し出したら、競争条件というものはなくなるわけですから、そういうものに対してはやはり原価の公表をさせるということが、私はこれは当然の要求だと思うのですね。だから、そういう意味で、もうこれ以上副総理にお尋ねしても、慎重審議、結果を待ってくれということで終わるような気がするのですが、ぜひひとつその点は副総理に考えていただきたい。  と同時に、こうした高度な寡占企業に対しては、企業分割ということが私は当然あってしかるべきだ、競争が働かぬのですから、競争条件をつくり出すための企業分割というものがあってしかるべきだと思うのですね。  ところが、これを法務大臣が盛んにいろいろ言うのですが、ここで公取の事務局長にお尋ねしておきますが、現在でも、営業権の一部譲渡、独禁法第七条による命令、それはできるようになっているわけでしょう。そうすると、その独禁法第七条を発動したことはまだ一遍もないのですけれども、いま仮にこれが違法行為があったということを前提にして独禁法第七条を発動した、ところが、それはたまたま株主総会の意思と反した営業権の一部譲渡ということの命令だった、株主総会では、いや、そういう第七条の営業権の一部譲渡については反対であるという株主総会の決議があったという場合には、公取の命令というのは担保されるわけですか。どちらが優先するわけですか。

熊田淳一郎公正取引委員会事務局長

○熊田政府委員 これは通説でございますけれども、そういう場合には、これは違法行為を排除するための措置でございますので、当然に排除命令が優先をするという解釈でございます。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 ですから、株主総会の総意が第七条の命令に反対だという総会決議があったとしても、公取の排除命令が優先をするという解釈ですね。  だとすると、今度大変問題になっておる企業分割に戻るのですが、これはそういう行為はまだ起こっておらないですね。しかし、高度な寡占企業において協調的な行為があり得る、常時行われる可能性がある、そういうものについては、競争条件を整備する意味で独禁法の中に企業分割を入れる。そうすると、いま自民党の独禁懇なりあるいは通産省あたりが反対をしているように、それを独禁法の中に入れたとすれば商法上の関係があるじゃないか、株主の意思が担保されない、私権に対する制限になるじゃないかというようないろいろな言い方があるけれども、少なくとも独禁法上に規定をしても、現在の第七条と関連をして見れば、そう私は法的疑義はないのじゃないか。少なくとも株主総会と公取の命令とが食い違った場合でも、公取の命令というものが当然担保される。  七条というものを類推して、七条というのは、行為があったからこうだけれども、いま企業分割を入れようとする規定は、行為があったかなかったかということは別にして、好ましくないという条件だから企業分割命令をするということですから、ということになれば、いま商法というものをことさらに取り出してがたがた騒ぐこと自体、私は理解ができないのですよ。公取の事務局としてはそう思われるでしょう。いまでもそう思っておられますか。

熊田淳一郎公正取引委員会事務局長

○熊田政府委員 企業分割というのは、独占的な状態がありまして、しかもその弊害があらわれておるという場合、他の方法ではどうしても競争を回復することはできないというような場合に、その独占的な状態を排除するための措置として行うという考え方でございます。  一方、現行七条の私的独占の場合の営業の一部譲渡という場合は、先ほども申しましたように、あくまでも違反行為があった場合にその違反行為を排除するための措置である、こういうことでございまして、いずれも、商法との関係から申しますと、公共の利益という観点から申しますれば同じでございますが、ただ、ただいまも申しましたように、片方は独占的な状態を排除する、片方は違反行為を排除する、こういう差異がございます。  七条の方では、先ほども申しましたように、解釈として、一般的には当然に公正取引委員会の命令が株主総会の特別決議に優先をするという通説でございますが、独占的な状態の排除につきましては、当然にそれが優先するという解釈もございますし、また、それはやはり商法との調整を図る、つまり株主の権利との調和を図るという点におきまして——しかしながらあくまで公共の利益が優先するという立場から、優先するということをはっきり独禁法に明記すべきである、こういう説もあるわけでございます。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 それで、いまその妥協点として、営業権の一部譲渡等については主管官庁の承認を必要とするというような条件に変えようとしておるわけですね。ということになりますと、二十八条で行政から独立して行うというその条文から見て、公取としては受け入れられるかどうか。  公取が分割命令をかけようとするときに、主管官庁の大臣の承認をもらって、あるいは合議をしてやるということは、全く公取の権限を放棄するということに等しいと私は思うのです。しかし、現にそういうことが、いま言ったような妥協として総理府総務長官の手元で作業されつつある。結果は出てみなければわかりませんけれども、かりにそういった場合には、公取としてはどういうふうに判断されますか。

熊田淳一郎公正取引委員会事務局長

○熊田政府委員 ただいま総理府において取りまとめられております案が、どういうふうになってくるかということがわかりませんので、直接お答えするわけにはまいりませんけれども、しかしながら、独禁法二十八条に「職権行使の独立性」の規定がございます。その趣旨から申しましても、ただいま先生がおっしゃいましたような条件がかりに入るということになりますと、その趣旨からも逸脱してくるということになりまして、公正取引委員会といたしましては好ましくない、私どもはそういうような条項が入らないことを希望をしたい、こういうふうに考えます。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 副総理、いま事務局長からも答弁がありましたが、この企業分割の問題をめぐって、いま新聞等で報道されておるような、あるいは通産が要求しておるような、主管官庁の承認を得なければならぬというような形に持っていくことは、これは逆に言うと、公取の権限というものを放棄したということに通ずる非常に重要な内容なんです。これは試案が出てこなければわからぬということですけれども、しかし、試案が出てしまったのではもう遅いわけですから、そういう企業分割をするというときにはいろいろ商法がどうだこうだと言って問題になりますが、公取の権限を薄めるようなものについてはきわめてスムーズにいくという経験が歴代内閣にあるわけですから、三木新内閣になってからは、少なくともそういう公取の権限、機能を薄めるようなことだけは絶対にない、そういう試案というものをつくってもらわなければいかぬのですよ。初めから何かその試案が、あいまいもことしたどろ沼に入るような試案であってはならない。逆に言うと、そういうものは本委員会で再三独禁法の改正が議論された内容とは無縁のものになってくるのだということを、副総理ぜひ御理解いただいて、試案をつくる中に、われわれが主張するような方向で、公取の権限、機能を薄めるような条項が入らないように御協力いただけますか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 いま、御承知のとおり企業分割、これにつきましていろいろ論議がありまして、その論議の中に、営業譲渡というような形にして、そしてその命令を出す場合において通産省に協議をするというような形はいかがであろうかというような、いまお話しの一案もあるようでございます。しかし、松浦さんがおっしゃるように、この考え方も別に公取の機能を阻害するというわけじゃないのです。これは通産省に協議はするけれども、しかし、譲渡命令を出すのは公取だ。その公取はいままでできなかった権限を取得するわけでありまして、制限つきの権限を取得する。でありますので、これは公取とすれば権限の拡大にもなるわけなんです。ですから、別に公取のいま持っておる権限を縮小するという考え方じゃございませんけれども、そのような構想が一部に論ぜられておるということでございます。  いま最終の段階でありまして、一つ一つの問題点につきまして慎重審議を重ねておる、こういうことでございますから、とにかく非常に大事な法改正でございますので、誤りなきを期してまいりたい、かように存じます。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 漏れ承るところでは、総理が非常に執念を燃やしておられる。自民党の側で一部非常に強硬な反対意見がある。ですから、結果的に薄めて、総理の意見も入れ、反対の意見もつぶすという意味でぬるま湯につかったような試案が出てきたのでは、これは何の試案かということで意味のないものになります。従来から、この問題は本当に本委員会でも真剣に議論されましたし、商工委員会でも再三にわたって議論された問題でありますから、結果が出る前に、公取試案というものが国民の意思として政府閣法の中にぜひ入るように、副総理の指導、副総理の御協力をいただきたいということを、最後に申し上げておきたいと思います。  そこで、もう時間がありません。前もって質問の通告はしておらなかったのですが、先般の予算委員会で、ただ一つ副総理の御答弁をいただかなかった部分があるのです。それは、五月一日からたばこが平均四八%上がりますね。それから郵便が十月一日から大幅に上がる。あるいは酒税が二二%近く上がる。これが消費者物価指数にどれくらいはね返るかというのは、大変に小さくて、たばこは〇・六、郵便は〇・二押し上げる程度だという話ですけれども、率直に言って、公共料金の値上げというのは、上げることによって直接押し上げる物価に対する幅は小さいが、心理的な効果というものは相当大きな影響を与えるのですね。  これに右へならえして、おそらくこれからガス料金、電気料金あるいは私鉄運賃等々、数限りない公共料金の引き上げというものがあると思うのですよ。抽象的な答弁じゃなくて、そういったものに対して一体どうするのか。政府が上げたのだからおれの方も上げろという意味の公共料金の値上げラッシュというのが再来すると私は思うのでありますが、そういうものについての副総理の御見解を承って、私の質問を終わります。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 公共料金値上げ、値上げと、こういうふうにおっしゃいますが、これは五十年度におきましてはかなり抑制方針を出しているのです。電信にいたしましてもしかり、電話にいたしましてもしかり、塩またしかり、かなり重要な公共料金を抑え込んでおるわけでありまして、値上げムードをあおる、決してそういう程度の規模の公共料金改定はいたさない。  御指摘のとおり、郵便につきましては十月から、たばこにつきましては五月から、こういう予定で法律案の御審議をお願いするということになっておりますが、これは必要最小限、いろいろの角度で検討はしてみましたがやらざるを得ない、そういう結論でそうしたのですが、それが公共料金値上げラッシュを誘発するというようなことになるとは私どもは考えておりませんし、また、そういうことにならないようにという配意もありまして、総需要抑制体制というものは堅持する、こういうことにいたしておるわけであります。  その他の民間企業の扱う公共料金につきましては、重要公共料金につきましては特別の状態、事情がない限り極力抑制ぎみに対処してまいりたい、こういうふうに考えております。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 終わります。

横山利秋日本社会党

○横山委員長 石田幸四郎君。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 私は、本日は物価対策予算の問題について、副総理にいろいろお伺いしたいわけですが、その前に個別問題がございますので、それを最初にやらしていただきたいと思っております。  一つは、家庭電化製品の価格問題でございますけれども、この問題については通産省と公取にお伺いをしたいと思っております。  これは前回、予算の一般質問におきまして、社会党の松浦委員が同じく取り上げられた問題でございますけれども、私どもにも同じような苦情が来ているわけでございます。それは、いわゆる小売価格の改定が行われて、かなり広範囲に販売会社からパンフレットが出回っておるわけでございますけれども、しかしながら、実際は仕入れ価格、いわゆる小売店に来る仕入れ価格というものは全然変わっておらない、こういう問題を松浦委員が取り上げたわけでございますが、松浦委員にいろいろ伺ってみますと、これは東京方面だそうでございます。私の方は、関西方面からやはり同じような問題でいろいろ訴えが出ております。たとえばクリーナーの問題にいたしましても、一万七千三百円のものが二万八百円という値段の改定が行われておるわけであります。しかしながら、仕入れ伝票等を見ますと、四十八年九月の仕入れ伝票と四十九年六月の仕入れ伝票を見ましても、仕入れ価格というのは全然変わっておらぬ。こういう状態がテレビあるいはいま申し上げた電気掃除機など各般にわたってあるわけであります。  一つ一つ個別にやる時間もありませんので詳しくは申し上げませんけれども、公取に伺いますが、東京地域においてもそういうようなことが広範囲に行われておるし、関西方面においてもこういうようなことが行われておるということになりますと、これは全国的な傾向であろうというふうに思われるわけでございますが、これに対して一体どんな見解を持っていらっしゃるのか、もう一度改めて表明をしていただきたいと思います。  同時にまた、そういうような状態から、前回公取委員長はそういった調査をやるというようなお約束はなかったのでございますけれども、これは全国調査をすべき問題ではないかというふうに思いますが、これに対する意見。  それから、各社ごとにそういったことがかなり広範囲に行われているということになりますと、一体どんな制裁措置を講ずることができるのか、その点もあわせてお答えをいただきたいと思います。

熊田淳一郎公正取引委員会事務局長

○熊田政府委員 私どもは、最近におきます家電製品の二重価格表示の実態というものをまだ十分に把握をしておりませんけれども、しかしながら、その表示価格と実売価格との間に、四十六年の一月に出しました通達に違反するような事態がもしもあるといたしますと、これは私どもも実態を十分に調査しなければならないというふうに考えます。実態を調べました上で、本当にこの通達に違反するような事例が出てまいりますれば、それはこの景品表示法によりまして適切な措置をとらなければならないというふうに考えるわけでございます。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 私の持っておるのは、小売店の仕入れ価格表でございます。この商店の名前を申し上げるわけにはいきませんけれども、たとえばかつて十万九千八百円であったのが十二万五千円になっております。しかし仕入れ価格は、六万九千二百二十九円が六万九千二百五十八円と、わずかの差なんですね。ほとんど変わっていないが、このことによって消費者の利益は著しく侵されておるわけでございますので、正確な調査をしてもらいたいというふうに思うのでございますけれども、こういうような問題の調査は大体どのくらい期間がかかるのですか。

熊田淳一郎公正取引委員会事務局長

○熊田政府委員 従来、この家電製品の二重価格表示につきましては二回調査をした経験があるわけでございますが、相当広範囲にこれは調べなければなりませんので、やはり二、三カ月はかかるかと思います。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 これは確実に調査をやりますね。

熊田淳一郎公正取引委員会事務局長

○熊田政府委員 ただいま先生がおっしゃっておりますようないろいろな事例もお教えをいただきまして、まず実態調査をする必要があるかないかということを考えてみたいと思います。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 それでは、調査することを要望をいたしておきましょう。  それから、次に個別問題といたしましてたばこの問題でございますけれども、これは副総理にも聞いていただきたいと思うのですが、いまたばこの値上げの問題が国会で審議されようといたしておるわけでございます。しかし、すでに新聞発表等を通して、一般にはたばこの値上げが行われるということが広く知られておるわけでございます。そういうようなことでございますので、最近、巷間にはいろいろなうわさが出ているわけでございます。そのうわさというのは、当然何カ月か後には値上げが行われるんだから、いまのうちに買いだめをしておけというような状況にあろうかと思うのです。また、かなり大量に販売をいたしておる小売店もあるわけでございます。そういうような状況から、だんだんうわさが広がりつつありますので、これに対する強力な対策を打っておかないと、結局庶民は大変な——庶民が損失をこうむるというよりは、そういった値上げ案というものを利用して不当な利益をまた上げていく、そういう者が出てくるというふうに考えられるわけでございます。  私がすでに幾つか個別に当たって調べたところを見ますと、そういった大口の販売に対しては、いわゆる出荷量の割当規制等も行っているようでございますけれども、一体、現在のこの状況というのはどういうふうになっているのか、ここら辺の問題から、まず専売公社の方からお伺いをいたしたいと思います。

佐藤健司日本専売公社営業本部長

○佐藤説明員 いま仰せの買い進みと申しますか、買いだめと申しますか、私ども仮需要と申しているわけでございますが、実は四十三年に定価改定をいたしましたときにも、やはり改定が五月一日でございましたが、その直前におきまして相当そういう動きがあったことは事実でございます。私どもといたしましては、最近のこの動き、まだそれほどの動きはないように思っておるわけでありますが、四十三年度の経験に照らしますと、やはり定価改定をもしするといたしますと、その直前にそういうような動きが出てくるということを考えておりまして、実は現在、工場におきましてはできるだけの増産に努めております。また、ある程度の手持ちというものが、公社にも在庫がございますし、それから販売店におきましても、そういう場合に在庫があるわけでございますので、それをやはり一般の消費者の方にできるだけ御迷惑のかからないように、できるだけそれを市場に供給をするという対策を現在練っておりまして、その点につきましては、ひとつ万全の努力をいたしてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。  また、こういう定価改定がありますると、やはり小売店が古いたばこといいますか、改定前のたばこを後でまた消費者の方に高く売るという場合が起こるわけでございますが、そういう場合におきましては、そのいわば差益と申しますか、そういうものが出てまいるわけでございますので、やはり差益につきましてはこれは徴収をするということにいたしまして、そのためにはシールを張ることにいたしまして、古いものにはシールを張りましてその区分をする、あるいはその間に、五月一日以降に——これは定価改定がそういうふうになればの話でございますが、一日以降に売られると想定されるものにつきましては、公社の製造のときから、やはり識別をするような何かの工夫をいたしまして、そういうものがはっきりわかるようにしてまいりたい。そういうことで不当な差益というものが小売店その他に残らないように、そういう点の配慮をしていきたいというふうに思っておる次第でございます。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 多少仮需要が起こっている程度ということでございますけれども、なかなかそういう状態ではないんですね。すでに出荷量の規制を行っているぐらいでございますから、これは相当の量がもう仮需要として出ているわけでしょう。あなた方が言えば仮需要であるけれども、これはわれわれから言えば完全な買いだめなわけですね。一体、最近の状況は前年度と比べてどうなっておりますか。

佐藤健司日本専売公社営業本部長

○佐藤説明員 実は最近の状況でございますけれども、十二月までのところでございますと、十二月の二十六日に政府の最終値上げ案というのが一応新聞に出ましたわけでございますが、このときまでの状況でございますと、対前年の各回月比でございますが、まだ大体七%から八%ぐらいのところというところで推移してまいったわけでございますが、ただ、一月になりましてこれが一八・七%増、対前年同月比でございますが、そういう動きがございましたことは事実でございます。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 そうしますと、前年度と比べると大体七、八%から一八%ぐらいでございますから、毎月、一月に入ってから一、二、三、四と一〇%以上の出荷量の拡大ということになろうかと思うんですね。一カ月の販売量が約二百億本ですか、というふうに言われておりますので、こういうものをいろいろ計算をしてみますと、大体一カ月に九十六億円ぐらい、金額に直してそのくらいの買いだめが行われているというふうに見ざるを得ないと思うんですね。それを一、二、三、四と四カ月でトータルしてみますと、実に三百八十四億円、こういうことになるわけです。それが四八%の大幅改正ということになりますから、これがもしそのまま五月以降に持ち越されたということになりますと、実に百八十三億円の不当利益がここに生まれてくる、こういうようなことになろうかと思うのでございます。  そういうことで、先ほどもおっしゃっておりましたけれども、そういうような行為が無効になるといいますか、買いだめしてもむだだというような対策を強力に打ち込んでいかなければならないと思うのでございますけれども、これはやはり四月三十日に売られているたばこと五月一日から売られているたばことは、そこに明確な違いがなければならないし、また、古いたばこが横流しにあってはならぬわけでございますけれども、それを明確に防ぐ手というものはあるのでございますか、いかがですか。

佐藤健司日本専売公社営業本部長

○佐藤説明員 これは先ほど申し上げましたとおり、やはりそこに、古いものにつきましてはシールを張るとか、これは四十三年度のときも同じような対策を講じておるわけでございますが、そういうことをいたします。また、製造のときから、五月一日以降に売られると予想されるものにつきましては、包装の中に特殊な印をつけるということで対処してまいりたいと存じておるわけでございます。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 それでは、証紙を張る程度のことで防げますか。これは全国に大変な数の小売店があるわけでしょう。全県下をどうやってチェックするのですか。

佐藤健司日本専売公社営業本部長

○佐藤説明員 これは何と申しましても二十四万店の小売店の御協力がございませんとなかなかできないわけでございますが、先般の四十三年度のときの例に徴しますと、やはり相当これは厳格にやられております。もう一つは、やはり先般の四月の例でございますが、四月の末日におきまして小売店の現品調査を厳格にやる、そういうことをやっておりますので、今回につきましても、もし定価改定が行われるということになりますれば、何かそういう方法をとってまいりたいというふうに思っておる次第でございます。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 それでは、いま大量にたばこを扱っているのは、遊技場であるとか、いろいろな形で大量にたばこを扱っておるわけでございますけれども、現在買いだめが行われているというのは、主として大量販売といいますか、そういうところの人たちが投機的にこれをねらってやっていると思うのでございますけれども、小売店のいわゆる在庫を調べることはできるとしましても、すでにそういうところで前年度比八%が一八%になっておるわけでございますから、一月だけでも九十六億円のそういうたばこがもうすでに出ているわけですからね。そういうふうなところまではチェックできますか。

佐藤健司日本専売公社営業本部長

○佐藤説明員 それは、たとえばパチンコ店でございますが、こういうところに売り渡されておりますものにつきましてはできないわけでございます。そういう区分ということはできませんし、これはやはり販売が済んだものということになるわけでございます。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 すでに販売が経過してしまったということでございますけれども、一人一人の消費者に渡るときには、証紙のつかないたばこが、かなり料理店とかそういう遊技場を通して五月一日以降にも出回ってくるということは免れない事実で、専売公社としては手がない、こういうことでございますか。

佐藤健司日本専売公社営業本部長

○佐藤説明員 これは販売が済んでおりますものについてはどうにもならないわけでございますが、そういう大口のものに売られます前の段階、やはり小売店から売ります段階におきまして、私どもとしては一般の消費者に御迷惑がかかるということは非常にぐあいが悪いわけでございますので、そういうところをどういうふうに持ってまいりますか、やはり一般の消費者に御迷惑のかからないような何かそういうことができないかということで、いろいろ計画その他をしておるわけでございますが、これはなかなかむずかしい問題でございます。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 いまもちょっとお話がございましたけれども、しかし、そういう大量販売のところに流れてくる総量というのは大変なものでしょう。われわれが聞くところによりますと、まず一〇%近いのではないか、こう言われておるわけでしょう。そうすると、十分の一もそういう形で市場に流れる、一般消費者のところへ流れていくということになりますと、かなり社会的にこれは問題になりますね。したがって、ぼくらの目から見れば、単にシールを張るとかいうようなことではこの問題は解決できないですよ。  たとえば、たまたま悪意を持った小売店の業者がおるとしまして、自分のところの在庫の何分の一かを隠しておいて、今度百五十円になりましたけれども、これを百三十円でお分けしようと言って、古いたばこも新しいたばこも中身は変わらぬわけですから、そういうようなことが横行したときに、国民一般に与える心理的な影響は非常に大きいのではないか、こういうふうに思うのです。  だから、この解決策というのは、これは大蔵政務次官に私はお伺いしたいのでございますけれども、やはり旧包装のものは旧包装の値段で売る、古い値段で売る。新規のものは新規の値段で売るというふうにすれば、いわゆる買いだめを完全に防止することができる。いわゆる物価対策として、これ以上効き目のある方法はちょっとなかろうと私は思うのですけれども、いかがでございましょう。

森美秀自由民主党大蔵政務次官

○森(美)政府委員 先ほどから御指摘になっている問題は、まことにそのとおりでございまして、私どもが仮需要と言っております実際の買いだめ行為というものは、何としても私どもは防がなければならないということで、シールなどを考えておるわけでございます。いまのお話も検討をさせていただきたいと思います。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 これは検討だけで過ぎ去っていい問題ではちょっとないと思うのです、もちろん検討しなければならぬわけでございますけれども。  副総理にお伺いをいたしますが、いま私が指摘申し上げましたように、大変な量が一月から四月にかけて、あるいは値上げが一カ月延びるといたしますれば五カ月分でございますから、約四百億から五百億近いたばこというものが巷間に流れていくわけですね。先ほど来申し上げておりますように、いまのたばこの販売の実態というのは、専売公社さんが考えておるように、小売店だけがそれを扱っているという状態ではないのでございます。飲食店関係はほとんどといっていいくらい、小売店から、出張販売という形になっておりますけれども、中身は出張販売じゃありません。手数料を取って販売をしているわけです。そういうような形で行われていくわけでございますから、私は非常な混乱が起こるのではないかと思うのです。では一体、シールを張ったから解決ができるか、デザインを変えたから解決ができるかという問題とは本質的に違うわけです。  それは全部が全部悪意の人ではないと思いますけれども、しかし、金もうけということになりますと、これだけの不景気の時代でございますので、目の色変えてやるに違いない。少なくとも四八%の値上げでございますから、この数カ月間で四割八分ももうかる商売などというものは、いま、ざらにございませんよ。そういうことで、これは非常に社会問題になるのだと私は思うのです。  そういった意味で、いま私が御提案したように、旧包装のものは旧価格で売るということにするか、あるいは値上げしないというふうにきめるか、二つの方法しかこの混乱を解決する方法はないのじゃないかと思いますけれども、物価担当大臣としての御意見を伺いたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 実はたばこ価格の改定、その際には、また非常な投機というか、そういう状態が起こるであろうということは、かねて議論されておったのです。今度たばこの価格改定をするというに際しましても、その辺よほど大蔵当局の方が詰めてもらわぬと、いろいろ弊害を伴うことになるだろう、万全を期してもらいたいということで法案を御審議願う、こういうことにまでなってきておるわけですが、お話のとおり、これはいろいろ不測の事態が起こるかもしれませんから、それに対する備えがなければならぬ、こういうふうに思います。いま具体案の御提示でございまするが、それに限らぬと思いますが、あらゆる手段を尽くしまして、この改定時の混乱を最小限に防ぐというための努力をいたしたいと思います。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 それでは、値上げ案申請の前提としてこの問題は考えていただきたいという要望を申し上げまして、本論に移りたいと思います。  昭和五十年度の予算がいま審議されておるわけでございますけれども、この五十年度の予算の中で、物価対策予算というのを大蔵省と経企庁話し合いの中でまとめたわけでございます。これが新聞等に発表になっておりますいわゆる物価対策予算一兆六千億、こういうような形で発表されているのでございますけれども、これは私は多分に誇大広告の感じを受けてならないわけでございます。そこで、こういうような形で一般国民が納得するかというと、決して納得しないわけでございますので、それぞれ各省におきまして組まれた予算の中から、物価対策関係予算というふうに吸い上げられておるわけですから、それぞれの省においてこういうものはいかに物価対策と関係があるのか、こういう定義を明確にひとつ実は承りたいわけでございます。私はどうも頭が悪いせいか、この辺の様子がよくわかりません。  そこで、まず通産省にお伺いをいたすわけでございますが、中小企業対策費というのが一千二百四十七億一千五百万組まれておるわけでございます。その中には、小企業経営改善資金、小規模事業対策の推進経費、あるいは中小企業近代化促進経費というのがその中に大きな項目として入っているわけでございますけれども、これがなぜ物価対策予算なのか、明快な御定義をお願いをしたい。  なぜ私がそういうふうに申し上げるかといいますと、いわゆる下請企業の製品価格というものは、これはメーカーとの力関係で決まっていくわけです。あるいは原材料との問題で決まっていくわけです。いろいろな要素はあろうかと思いますけれども、そういうようないわゆる下請企業の製品価格というものは、完全に需要と供給と申しますか、そういう力関係で決まっていくのである。政府がそれにいろいろな対策予算を出したといっても、それはいわゆる製品価格に直接はね返ることは何にもないのですね。  あるいは小売業であったとしてもそうでしょう。たとえば、小売業の協業化をやった、こういう問題は、価格にはね返ってくる場合に、小売価格に高くはね返ってくることはあり得ても、それによって安くなるなんということはありませんね。それから、生鮮食料品であれば、完全な市場価格で支配されておるわけでありますから、そういった意味で、私は、この中小企業対策費がなぜ物価対策経費なのか、どんな定義をしていらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。

渡部恒三自由民主党通商産業政務次官

○渡部政府委員 物価対策ということになりますと、非常に幅広い施策を必要としますから、これとこれとこれと言うのはなかなか困難だと思うのですが、大きく申し上げると、低生産性部門の生産性の向上、流通機構の改善、必要物資の安定的供給、この三つが眼目になると思います。いま先生御指摘のわが省の予算は、特に中小企業あるいは零細企業、製造部門で五名、販売部門で二名以下の従業員の零細企業を強化していくというようなことに主に使われる予算でありますから、いわば末端流通部門を強化するという意味で、当然物価の安定に役立つ予算であるというふうに解釈をいたします。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 しかし、これは、通産省としてはいわゆる中小企業対策としてやっていらっしゃるのであって、物価対策予算としての考え方をもって、基本的にそういう考えでもってやっていらっしゃるわけじゃないでしょう。いかがですか。

渡部恒三自由民主党通商産業政務次官

○渡部政府委員 私、申し上げましたように、物価対策というのは非常に幅広い施策を広範にわたって必要とするもので、ダイレクトに物価対策に役に立つというものと、それから間接的に物価対策に、しかし非常に重要な役割りを果たすというものがありますから、厳密な区分けというものは困難であろうと思いますが、少なくとも中小企業の対策、これは製造部門においても流通部門においてもこれを充実していくことが、やはり物価対策上非常に重要な意味を持つものであるというふうに考えております。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 まあよろしいでしょう。これは議論してもしようがないかもしれませんけれども、大蔵政務次官、お急ぎになっていらっしゃるようでございますのでお伺いするのでございますけれども、物価対策予算というのは一応一兆六千億というふうに拾い上げたのは、大蔵省と経企庁とのいろいろな話し合いによってそういうピックアップをしているんだという話を聞きますが、その立場でちょっとお伺いしますが、たとえばこの予算の中には、労働力の流動化促進のために一千三百十四億組まれているわけですね。これは私たちが考えるには、いわゆる人間の生活権といいますか、憲法に保障されましたそういう生活権の問題であって、物価の問題とはどうしても結びつかぬのじゃないかと私は思っているのでございますけれども、ここら辺の解釈はどういう解釈で物価対策予算の中に入れられたのか、大蔵省の見解を伺いたいのでございます。

森美秀自由民主党大蔵政務次官

○森(美)政府委員 広義の意味で当然これは物価対策に入る、こう私は解釈しているわけでございます。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 それはそうでしょう。広義の解釈をしたから入れたのでしょうけれども、だからどういうふうに定義づけられたかということを聞いている。広義の解釈、それは結構でございます。しかしながら、ただ広義の解釈だと言われたって、国民は納得できぬわけで、私もわからぬ。そういう意味で、一体どういう定義づけをしていらっしゃるのか、それが問題だと私は思うのですよ。そこから物事というのはだんだん整理をされていくわけですから、そこで伺っているわけです。いかがですか。

森美秀自由民主党大蔵政務次官

○森(美)政府委員 労働力を流動化させましてコストを下げよう、こういう見地からでございます。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 余りよくわからないで、大変困っていらっしゃるだろうと思うんですがね。  それから、農林省にお伺いをしたいわけでございますけれども、農林省の場合はかなり直接生活物資に影響のある品目を扱っていらっしゃるわけでございますから、その中に、野菜振興費とか、あるいは畜産振興費、いろいろなものがあります。そういう中身を検討してみているのでございますけれども、一体生産者対策に力点が置かれている品目なのか、あるいは消費者対策に力点が置かれているのか、どういうお考えでやっていらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。  まず、野菜の振興費が三十九億ですか、組まれておりますけれども、その中には野菜の指定産地生産出荷近代化事業、そういうようなものもございます。それから畜産振興費五百四十二億ですか、これについては肉用牛の生産団地の育成事業、こういうものが組まれておるわけでございますけれども、こういう問題。それから漁業振興費の中には海洋の新漁場の開発費というようなものが入っております。間接的な意味からいけば全部それは入るでありましょうけれども、しかし、それぞれの内容を見ると、私はどうしても生産者対策の方に力点が置かれているように感じてならないわけでございます。ここら辺の考え方はどういうふうにお考えになっておるのでございましょうか。

森整治農林省食品流通局長

○森(整)政府委員 農林関係予算の中では、生産から価格、流通、消費という非常に幅広い予算がございまして、確かに先生御指摘のように、生産者対策と考えてしかるべきものもこの中には含まれておるわけでございます。ただ、私ども一応この整理の中で考えております考え方といたしまして、ここに挙げられております食料品なり水産物……

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 時間がありませんから、簡単にお願いします。

森整治農林省食品流通局長

○森(整)政府委員 はい。水産物なり、要するに国民生活に関係のある重要な物資の生産性の向上ないし供給を安定して確保していくということ、そういうこともやはり広義の物価対策ではなかろうか。それは短期の問題もございましょうし、長期にわたる問題もございます。漁場開発のごときは確かに長期的な視点から見ますとそういう観点で概当するのではなかろうか、こういう考え方でございます。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 運輸省にお伺いしますが、日本国有鉄道の助成費、それから地下鉄、地方鉄道等の助成費というものがこの物価対策予算の中では相当大きなウエートを占めているわけですね。建設省予算とからめて見ますと、一兆六千億の約四分の一、こういうふうになっておるのでございますけれども、これなんかはいわゆる新規開発が主力になっているように私は思うのです。そういうものはいわゆる国民の文化的な生活を営むために交通の利便性を高めていくことに目的があるのであって、これも物価対策予算というふうにはなかなか一般的に受け取りがたいのではないかと思いますが、どのような定義でやっていらっしゃるのでございましょうか。

中村四郎運輸大臣官房審議官

○中村(四)政府委員 運輸省の物価関係予算としましては、流通対策関係としてトラックターミナル等の物流拠点施設整備のための助成、それから、ただいま先生が申されました大都市あるいは地方交通、特に過疎地域等におきます公共交通機関、国鉄、地下鉄、過疎バス、離島航路、こういったものに対します経営の維持なり、あるいは施設整備のための助成というものを計上いたしております。これは、そのことによりまして、経営内容の改善あるいは経営の維持ということによりまして、運賃改定というものを必要最小限度のものとするという意味合いにおきまして、これに寄与していると考えておる次第でございます。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 建設省にお伺いをいたしますが、建設省予算の中には土地区画整理組合貸付金というのが約二十一億組まれておるわけですが、こういうものは、地価安定に寄与すると言いますけれども実態を見てみますと、土地の区画整理をして、そして地価が暴騰する、高騰する、そういう、物価抑制じゃなくて物価高騰の方に寄与していると思うのでございますけれども、これがなぜ物価対策予算に入ってくるのでしょうか。

中村弘海自由民主党建設政務次官

○中村(弘)政府委員 お答えいたします。  ただいま先生の御質問の土地区画整理事業の補助でございますが、街路等の整備された良好な宅地を供給するということで、宅地の需給緩和に寄与しておるものと考えておる次第でございます。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 副総理、各省からおいでをいただきまして一通りお伺いをしたわけでございますが、確かに広義の解釈ということもあり得ると思います。しかし、行政を行うに際して一番大事なことは、やはり国民の中にどれだけ実感として物価対策というものが打ち込まれていくかですね。実感を持って受け入れられていかなければ、国民の心理的な問題を考えますと逆作用、行政に対する不信という形になってはね返ってくる、それがとりもなおさず政治不信という問題につながってくるわけでございまして、いま申し上げましたように、土地の区画整理組合の貸付金なんというものは、土地の高騰には役立っても地価の安定にはならぬのであります。そういう意味からいきまして、私はこの物価対策予算というのは大幅に見直さなければならない、こういうふうに思うわけであります。  しかしながら、現実問題として確かに短期、長期、あるいは狭義の解釈、広義の解釈、いろいろありましょうから、実際の行政としてこれを識別することはかなりむずかしいということは私もわかります。たとえば、経企庁長官が冒頭に所信表明を述べられた中にも、生活安定のために社会保障の充実等も当然考えていかなければならぬ、こういう問題もおっしゃっておるわけでございます。広義の解釈をすれば、この社会保障予算というものも、あるいは防衛予算だって、政府の立場から言えば、防衛力があるから生活の安定があるんだというふうにお考えになるかもしれません。そうしますと、予算編成そのものが物価対策予算だということになるわけでございます。これはそう言えないことはないと思いますよ。しかし、国民が期待しておるのは、毎日のその生活の中で確かに物価というものが一つ、二つと安定してきているこの実感を求めているのでありまして、机上プランを何ぼ並べられてもだれも納得せぬわけでございます。  そこで、私が御意見を伺いたいのは、こういった広義の物価対策予算というものを拾い上げて発表されるのは結構でございますけれども、たとえば、その一兆六千億の枠の中ではこれだけが消費者サイドに立った物価対策予算というふうに考える、あるいは生産者側の問題も含めて考えればこういうふうになるとか、あるいは狭義の立場から見ればこうなるとか、そういう分析をしたものをやはり幾つか列記していただかないと、物価対策予算というのは全く架空の論理であって、弊害こそあれ一つの利益も国民に与えない、こういうふうに思うのでございますけれども、そこら辺のお考えについていかがでございましょう。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 国民が期待しておりますのは、物価が現実に安定してくるかこないか、こういうことにあると思うのです。そういう見地から言いますと、昭和四十九年度、本年度の予算は、編成の趣旨として申し上げましたとおり、これは物価対策に最大の眼点を置いている。五十年度の予算もまたしかり。そこで、その影響が出てこないかと言うと、もう着実に、国民のはだに感ずるような影響が出てきておるわけでありまして、昨今、この数カ月の間をとってみれば、もう卸売物価は横ばいになる、消費者物価も混乱以前のどの時期に比べてもひけをとらない、こういうような状態になっておるので、私は、予算の性格、それにつきましては国民はかなり評価している、こういうふうに思うわけです。  ただ、石田さんの問題にしておりますのは、国会に配付いたしますいわゆる物価対策関係経費一覧表、これについての御論議でございますが、これはもともとそういう基本的な問題には触れてないのです。ただ、国会の方で物価に関係をしておる経費あるいは物価対策と目されるような経費はどんなものがあるか、これを一覧表にして出せ、こういう要請がありましたものですから、特にいろいろ工夫をして出しておる、そういう資料でございまして、四十九年度の予算が、五十年度の予算が本当に物価とどういう関係にあるかという点になりますれば、こういうことは実は枝葉末節の方なんです。予算全体の仕組みが物価に対してどういう取り組み方をしているかということに本質があるので、その辺は御理解も願いたいし、その辺については国民もこれを私は評価している、こういうふうに見ておりますが、この配付資料につきましては、つくり方が非常にむずかしいものですから、説明の方もなかなか的確にぴしゃりというふうにはいきませんけれども、そういう大きな物価対策に最優先目標として取り組んだその予算の中において、個々の事例を挙げますとこういうものもありますというのがこの一覧表であるというふうに御理解を願いたいと思います。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 ですから、副総理の言われることを私は別に反発をしているわけではないのでございまして、五十年度予算編成に当たって柱は何であるかということは、再々御説明もいただいておるわけでございますし、それは委員会等の審議を通しても、また、政府の関係閣僚の演説の中からも私は浸透していると思います。だけれども現実にこうやって新聞に出てみますと、これは逆作用になっておるわけですね。副総理がおっしゃったように枝葉末節の問題ではないか、枝葉末節の問題ならおやめになったらいかがでしょうか。こういうものが発表になるから、かえって政治不信の一端を掘り起こしているようなものでございまして、そういった意味において、もう少し生活に関連する物価対策予算とかいうような形にしていけば、これはやはり的確に国民も理解できるし、それなりの評価を与えるであろうと私は思いますね。  だから、私が先ほど申し上げたように、資料要求として出てくるから出すんだということでございますけれども、それだけではいかぬと思うのですね。そこら辺の配慮をすべきではないか。これは毎年実は問題になっているわけでしょう。ですから、そこら辺もそろそろおやめになって、もっともっと自主的な、国民が実感として受けとめられるような問題を取り上げて、そして発表をし、アピールをして訴えていくというような方法をとらなければいかぬのではないか、こういうように申し上げておりますけれども、いかがでしょうか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 先ほど申し上げましたような趣旨でこの表はできておるわけでありますが、この中に国民に理解してもらいたい幾多の問題があるのです。  たとえば、今度は牛肉を指定物資にいたしましたというような問題もありますし、あるいは卸売市場の強化、こういうようなことについてこういうことを考えておりますとか、そういう予算のPRというか解説というか、これを密にしなければならぬ、こういう問題もありますから、その辺は関係各省において、ことしの予算ではこういうことが各省として考えられておりますという解説、これにつきましてはもっともっとPR努力をしていただきたい、こういうふうに考え、また、そうさしていただきます。いただきますが、これだけを取り上げて御論議願いますと、予算は、物価対策関係経費は一兆七千二百六十七億だ、こういうことにこの表ではなっておりますが、予算全体の仕組みとして、物価に対して真っ正面から最優先課題として取り組んでおるという点も、私どもといたしますると国民によく理解してもらいたい点であるということを申し上げておきます。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 じゃ、時間がありませんからこれで終わりますが、私の質問を申し上げた趣旨も一遍御理解いただいて、ひとつ経企庁内部でも御検討いただきたい、これだけ要望申し上げておきます。

横山利秋日本社会党

○横山委員長 野間友一君。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 長官の所信表明に関連して、若干の御質問を申し上げたいと思うのです。  最近の物価の動向でございますが、消費者物価あるいは卸売物価ともに、対前月比で見る限り、確かに上昇率は一時期に比べて低下しておるということについては、私も否定はしないわけですけれども、対前年同月比ですね、これを見ますと、たとえば卸売物価で見ますと、去年の十二月が一七%、ことしの一月が一〇・四%、消費者物価で見ますと、去年の十二月が二一・九%、一月が一七%、こうなっておるわけですね。特に対前年同月ごろ、つまり、四十八年から四十九年の一月にかけてと比較してみますと、そのころは例の石油危機あるいは買い占め、売り惜しみ、とにかくもうひどい状態でありました。こういう状態に比べて考えてみましても、やはり卸売あるいは消費者物価とも非常に大きな問題を投げかけておると言わざるを得ないと思うのです。この三月の物価の上昇率、消費者物価については一五%に抑えたい、こういうことを長官は言われておるわけでありますけれども、たとえ一五%に抑えたとしてもやはり物価問題これが非常に大きな問題になることについては、もう当然のことだと思うのですね。  そういう意味におきましてお伺いしたいのは、依然としてこのような国民の生活を圧迫する物価の上昇、こういうことを考えてみますと、過去の、特に石油危機前後から今日までのものについての正確な認識、これがなければ適切なる物価政策、物価対策がとれない、こういうふうに私は考えるわけですけれども、まずその点についての所信をひとつお述べいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 私は、今日の物価問題は、石油ショックの影響、これもあると思います。しかしながら、あの石油ショックがこれだけ大きな混乱をわが日本経済に巻き起こしたという素地が、すでに私は日本経済の中にあったと思うのです。つまり、四十七年ですか、あれを頂点といたしまして、日本の経済力が非常に活発に世界規模で活動する。そして外貨がたまる。西ドイツとわが国におきましては、非常にウナギ登りに外貨保有高が増進をする。そうしますと、国内においては過剰流動性を生ずる。国外におきましては外貨の偏在という問題が起こって、ドイツ、日本が国際的に批判をされる、こういう状態がある。  そういう批判に対しまして、西ドイツとわが国は行き方が違ったんです。西ドイツは、国内政策を重視するというので、過剰流動性を抑える、つまり、総需要抑制政策を当時すでにとったわけです。わが国は、外貨減らし、その手段といたしまして、俗に調整インフレと言われますが、そういう方向の国内経済拡大政策、これをとった。でありまするから、もうすでに、四十八年十一月に石油ショックが起こっておりますが、その前月である十月の時点におきまして、卸売物価について言いますと、もう前年度比二〇%騰貴をいたしておるわけなんです。  それが石油ショックでまた追い打ちをかけられる。そこで三七%一年間で上昇というような異常な状態を醸し出したわけですが、そういう国内経済対策のかじのとり方、そのもとにおいて石油ショックというような新たなる事態が起こった場合に非常に脆弱な体質であった。そこへ石油ショックがやってきた。そこで壊滅的な狂乱というような状態に追い込まれた、こういうふうな理解をいたしております。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 そのこと自体は、私は別に否定はしないわけですけれども、それに便乗して、いろいろな買い占め、売り惜しみとか、あるいは先取りあるいは便乗値上げ、こういうものがあったこと自体は、否定できない事実であるわけです。  それは後で触れるとしても、そこで次にお伺いしたいのは、三月の一五%の問題ですけれども、これでおさまるかどうかということです。実はある新聞に出ておりますけれども、いわゆるフードウイークですね。これを三月にやる。これはある新聞の記事ですが、これを見ますと、ちょうどこの実施日のうち、総理府の消費者物価指数算定のための小売物価の店頭調査日、これが二週間の中に六日間も入っておる。特にいま総理府が翌月に発表する消費者物価指数の速報ですね、これは三月の十二日から十四日の三日間の調査を資料に使うことになっておる。これはそうだと思うのですけれども、しかもこのフードウイークという中で、これは生鮮食料品あるいは加工品等々が主ですけれども、こういうものの消費者物価の中に占める割合が非常に高い。しかもこのフードウイークの中では、私の聞いたところによりますと、五%以上の割引、こういうことになっておるようです。  そうしますと、ちょうどそのころに調査される、それがやはり指数に直接あらわれてくるというのは当然だと思うのですけれども、こういうことを考えますと、一五%ということに固執する余り、ちょうどそういう時期に設定するということは、何か私は不可解な感じがするわけですけれども、こういう点についてはどうお考えでしょうか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 私どもは、何も三月時点の物価ということをにらんでいるんじゃないのです。これは長きにわたって物価を安定させたいというので、むしろ、細工をして三月の物価は低目におさまりましたなんというと、四月はその反動で調整が行われるというようなことにもなりかねません。私どもは四月以降もずうっとにらんで五十年度中には一けた台の物価上昇にとどめたいという大目標を持っておるのですから、途中で細工をいたします、そんなようなことはいたしません。  ただ、フードウイークというのはときどきやっているんですから、たまたまそれが三月中旬に来たというだけの話でありまして、これはそう疑いを持たないようにお願いをしておきますが、今月の状態もずうっと見ておるのです。各物資ごとに、価格、需給をよくにらんでおりますが、フードウイーク、三月を待たずして、この二月もかなり平静な動きを示しておるようであります。  ですから、そんな何も細工をせぬでも、大体異常な事態がなければ、一五%以内ということはかなりゆとりを持って言えるんじゃないか、そういうふうに考えております。そういう一時的な、一時しのぎなことをやりましても、全く無意味でありますから、そういうことはいたしません。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 ただ、やはり非常にアンフェアな感じを持つのは当然だと思うのです。やられること自体、結構なことと思いますけれども、ちょうどその時期であれば、やはり仕入れ値のままのそういうものをとるというのが普通でありまして、もしそれがダブるような場合は避けるということが、物価指数に自然に正確に事実を反映させるという点からすれば私は真っ当じゃないか、こう言わざるを得ないと思うわけです。この点についていかがでしょう。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 フードウイークのようなものは消費者物価の調査の対象にはしないと、いま物価局長も言っておりますから、その辺は誤解のないようにひとつお願い申し上げます。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 それでは、次にお聞きするわけですが、長官の経済演説あるいは所信表明、これを見てみますと、物価上昇は従来の需給要因からコスト要因に重点が移った、したがって、近い将来の問題は賃金だというようなことが私は言われておると思う。先ほど申し上げましたように、高度経済成長、この推進のインフレ政策、あるいは大企業の投機、便乗、先取り等々考えた場合、やはりこのようなことを私たちは単に過去のことということで軽視されることはできないと思うわけですね、現にあったわけですから。ですから、今後の物価政策を進めていく上においては、そういうものも十分配慮しながら政策を立てていかなければならない。  ところが、所信表明等々長官の演説の中には、そういう点についてはお触れになっていない、こういうふうに私は思うのですけれども、ぜひこういうものを、本当に単なる過去のものとして捨て去るのではなくて、今後にそれを生かしていくという上におきましては、これはやはり正確に位置づけるということが必要ではないかというふうに私は思うわけですけれども、いかがですか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 昨年のいまごろの狂乱状態、これは需給のアンバランスが異常な状態になったということだと思います。つまり、先は物価高だ、インフレだ、土地でも商品でもいまのうちに買っておけという投機傾向というものが、ああいう状態を醸し出したわけです。それはいまはもうなくなって、いまの物価の動きというのはコストが要因になっておる、こういうふうな見方をしておるわけですが、もうああいう需給の関係が破裂するというようなことを再び起こしちゃいかぬです。さればこそ、総需要抑制、つまり、総需要を管理いたしまして、需給のバランスをとっておく。また、そういう状態下におきましては、仮需要というようなものが起きない、そういう状態をしばらく続けていかなければならぬ、こういうふうに考えております。ああいう混乱を起こしたことは、これは非常に貴重な経験だと思いますので、これはぜひ忘れてはならないことだ、かように考えております。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 まあ忘れてはならないことだという御答弁がありましたけれども、その点を、私はやはり所信表明とかあるいは経済演説の中に正確に位置づけられるということがあってしかるべきではなかったかという点からお尋ねしておるわけですけれども、それがないので、どういうわけでお入れになっていないのかということをお尋ねしておるわけです。  そこで、いまは一つの教訓として、そういうものを今後ないようにしなければならぬというような趣旨の御発言であったと思いますけれども、この中でいま総需要抑制等々で不況のあらしが吹きまくって、中小企業等は大体一千百件前後そういう状態がずっと進んでおる。これから二月あるいは三月になりますと、一層そういうのが進行するとか、あるいは横ばいが続くとか、いろいろ言われておりますけれども、いずれにしても、不況の状態そのものがもろに中小企業にかぶさっておるということについては、私は否めない事実だと思うわけです。  ところが、一方、大企業と申しますか巨大企業等になりますと、和光証券の例の九月期の決算のあれを見ますと、引当金等が非常にふえている、こういう数字が出ておるわけですね。これは、やはり中小企業等はわが国の不況の中で大変苦しんでおる。ところが、いま申し上げたような和光証券の調査等によりますと、引当金等をかなり大幅に積み増ししておる。これは三月期の決算に比べて一・五八倍ですか、こういう数字が現に出ております。ですから、こういう点から考えますと、例の臨時会社利得税でしたか、ああいうものの若干の吸い上げはあったとしても、やはりこのような、要するに狂乱物価のころからずっと今日までの推移の中で、中小企業の不況を横目にして片方だけはこのような積み増しを十分できる、そういう体質にあるということを私は非常に問題にしたいわけですけれども、そういう点について長官はどのようにお考えになっておられますか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 いま、とにかく操業短縮というような状態に日本経済全体がなっておりますので、その受ける影響というものは、これはもう大企業であろうと中小企業であろうと一緒だと思うのです。ただ、違う点は、大企業の方は規模が大きいものですから、その受ける影響に対しまして抵抗力がある、これに反して、中小企業の方は抵抗力が少ない、こういう関係があると思うのです。でありますから、その弱い立場にある中小企業に対しましては、政府は格別の配意をしなければならぬ、こういう立場にある。そういう認識で景気対策問題には取り組んでいこう、こういうわけです。もう苦しいのは大企業も中小企業も等しく苦しいのだろう、こういうふうに思いますが、問題は、それに耐え得るか耐え得ないかという力の強弱の問題がある、こういうとらえ方でございます。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 いまおっしゃることと関連すると思いますけれども、何と言いましても中小企業はわりあい零細ですね、底が浅い、もろに影響がかぶさってくる。ところが、大きなところになりますと、ふところが深いもので、外からそれを正確につかむことができないといういまの仕組みの中で、こういう操作が可能になるというふうに私は考えるわけです。  しかも、最近の特徴は、中小企業製製品に比べて、いわゆる大企業製製品、これの値上がりが顕著である。これは特殊分類表ですか、その指数の中でも出ておりますけれども、これも最近の一つの大きな特徴ではなかろうかというふうに私は考えるわけです。  たとえば、少し数字を調べてみますと、昨年十二月の卸売物価が対前年同月比で一七%、いま申し上げたとおりでありますけれども、これを品目別に少し洗ってみますと、大企業製製品が一五・七%のアップ、これに比べて中小企業製製品が三%、こういう数字が出ております。これはたしか一月日銀の発表の中で上昇の寄与率が出ておったと思いますけれども、これを考えてみますと、これは新聞発表で私、知ったわけですけれども、大企業製製品の場合には五五・一%、中小企業製製品の場合には四・一%、こういうことになっておるわけであります。  何度も言いますけれども、去年の国民生活白書の中でも、七三年の十一月から七四年の三月ごろ、いわゆる便乗値上げないしは先取り値上げ、これがこの時期に集中したという指摘もこの白書の中でもやられておるわけです。また、このことは、先ほどから申し上げておりますような具体的な事実はもう否定はできませんし、予算委員会の中でも大変問題になったわけでありますけれども、こういう点から考えまして、大企業製製品が非常に上昇率が高いのと、しかも寄与率が高い。これはやはりいまの時期に不況だなんて言いましても、彼らは値上げをできる、そういう体質にあるわけです。また、利益を積み増したり、引き当てを積み増したりする、こういう体質にあるところが出てくる。とりわけ、いま申し上げたように、こういう大企業製製品の価格のアップあるいは寄与率から考えまして、これはやはり大問題ではなかろうか、こういうふうに考えるわけですけれども、このあたりについてどういう御所見をお持ちなのか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 インフレの高進する時期におきましては、概して言うと大企業製品の価格が安定をしておるが、あるいは上がりが少ないが、中小企業製品の方は価格の上昇が多い、理屈の上から言いましても、また実際から言っても、そういうのが通例です。ところが、昨年の動きを見ておりますと、まさに野間さんの御指摘のような数字が出てくるのです。これはどういうことか、ちょっと私ども理解に苦しむような状態でありましたが、しかし、やはり最近になりますとその傾向が変わってまいりまして、やはり中小企業製品の方が価格がより上がる、こういうような傾向が出てきておるわけであります。     〔委員長退席、松浦(利)委員長代理着席〕

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 この原因について、いま多少お触れになったわけですけれども、私、先ほどから申し上げておりますようなことからして、要するにふところの深いところについてはなかなか実際介入するような体制にありません。しかも、彼らは巨大な力を持っておる関係で、値上げできる。  たとえば、中小企業は、この不況の中で、実際需要が停滞しておる中で値段を上げることができるかといいますと、これはできない。ところが、大企業の場合には、いろいろな要因があろうかと思いますけれども、どんなに消費が停滞しても上げることができるというところにやはり問題があるんじゃないか。中小企業は実際上げたくても上げることができませからね。上げたら売れなくなるというようなことですね。そういうものがこのインフレ、不況の中で、利益を上げる一つの大きな理由であって、やはりこういうところの中に本当に物価政策、先ほどから申し上げておりますように、あの狂乱物価のころの大企業の手口とかやり方、そういうものを十分教訓として踏まえるということを、私はそういう意味で申し上げたので、勝手気ままにそういうことを許さないというような体制と申しますか、そういうものを単なる過去の出来事として私たち忘れてしまうのではなくて、今後の物価政策を考える上においてもやはり依然として重要な問題ではなかろうか、こういうふうに私は考えるわけです。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 御指摘の点は大事なことだと思います。私ども去年の物価の動きの中で、どうも私どもの常識と違って、一時御指摘のような動きがあったわけです。それは一体どういう原因から来ておるのか、その辺をよく解明いたしまして、今後は誤りなきを期してまいりたい、こういうふうに思います。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 次に、日銀が二月に発表した「金融経済概観」、これを見ますと、全体として需給緩和傾向にあるという指摘があり、そのために物価は安定してきているという記載がございます。     〔松浦(利)委員長代理退席、委員長着席〕 ところが、他方、一部でコスト上昇による採算悪化を背景にして、鋼板とか、あるいは合繊、石油、それから合成樹脂、こういうものの製品価格の引き上げの動意が見られるという指摘があります。いまのところ需給の環境から値上げが抑えられておる状況にあるということも指摘がしてありますけれども、このことも、いま申し上げておりますように、やはりこれから値上げが出てくるんじゃないかと思いますけれども、いずれにしても大企業だけはこういう不況の中でも値上げをすることができる。これは、しても売れるということだと思いますけれども、中小企業はそういうことはできない。先ほどから申し上げておりますように、こういうような日銀の指摘を待つまでもなく、私たちは今後のこのような製品の価格を十分監視して、それに対応する手だてを立てていかなければならない。  行政指導の問題がありますけれども、いままでずっと行政指導というようなことをいろいろあれこれ手当てをしてきたということも私は聞いておりますし、また、フードウイークではありませんが生鮮食品等々について、あるいは学用品の問題についてあれこれの方針が出ておるようですけれども、しかし、いままでなかなか実効が上がっていない。いま申し上げたような大企業製製品についても、これを単なる行政指導と申しますかお願いというような形で放置しておくと、これはまたたちまち上がってくる、こういうことは必至ではなかろうか。いま長官も言われましたけれども、たとえ三月の消費者物価指数が一五%ということになりましても、こういう一連の動きからいたしましたら、これはやはり大変な事態に発展するということも十分予測してかからなければならないというふうにも思うわけですけれども、いかがでしょう。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 私どもは、今後の物価問題、決して楽観してないのです。つまり、国民全体の中にインフレでもうけた人も相当おるわけですね。そこで、夢よもう一度というような考え方があります。本当に骨身に徹して、インフレというもの、あの害悪というものをかみしめておる人がどのくらいおるか。むしろ、もうのど元過ぎてというような感じの人が多いのじゃないか。その気分というものがこれからの経済運営の上で非常に大事な要素になってくる、こういうふうに私は思いまして、世の中がもう変わってきたんだ、夢は再び戻ってこないのだということを国民のすみずみまでにわかってもらいたい。家庭でもそうです、企業でもそうです、みんな、あらゆるすみずみまでが、世の中の変わったことの意識に立ってもらいたい、こういうふうに思うわけです。  そういう社会意識を背景といたしまして、またさらに物価を安定させるという具体的な施策、総需要抑制政策を堅持する、あるいは個別物資の需給、価格、こういうものにも目をみはっていく、その他あらゆる努力をいたしまして、一刻も早く国民に御安心願いたい、こういうふうに考えておりまして、とにかく最善を尽くしたいと思います。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 一例を少し調べてみたいのですけれども、食品関係ですね、これについては銀行に次ぐ増益率だ。九月期の決算を見ますと、経常増益率が一三・五%、こういうふうになっておりますが、この中で砂糖などを見ますと、これは去年の七月にキログラム当たり四十五円の値上げがありまして、二百三十一円だと思うのですね。それから十月にもさらに値上げして、いま二百八十七円、さらに上がろうとしておりますけれども、こういう中で、たとえば三井製糖という会社、これは一年決算ですけれども、七四年の分を見てみますと販売量が九・四%の増加、ところが売上高は五四・八%、こう伸びておるわけですね。そして、その中ではすでに従来の赤字を解消して、二十三億円の黒字を計上しておる、こういう決算もあるわけですね。こういう点も時期が時期だけにやはり問題ではなかろうかと思う。  また、これは砂糖ではありませんけれども、バターの例。これは物特で前に私、一遍取り上げたことがありましたけれども、例の物価の凍結の品目になっておったわけです。従来は業務用のバターと家庭用のバターの価格を比較してみますと、家庭用のバターが安かった。いまでは業務用に比べてはるかに上がっておるわけですね。そういう状態がずっと続いておる。業務用のバターの場合には、ずっと据え置きと申しますか、変わらぬ状態で、直接もろに消費者にかぶさってくるのはまさに家庭用でありまして、毎日消費をしなければならぬ。業務用になりますと、企業努力とかいろいろ合理化の中でこれが吸収できる側面もありますから、むしろ家庭用のバターを上げて業務用を据え置くというのはどうも納得できないし、原材料の値上げが原因としても、家庭用と業務用それぞれの価格をこんなにアンバランスな形でとるということも、一つの大きな問題になると思う。ちょっと洗って見ますと、こういうのが幾つかあるわけですね。  だから、先ほど申し上げたように、お願いとか単なる行政指導というようなことだけでは、なかなか事が済まないのじゃないかということを指摘したいわけです。特に、例の価格調査官などの問題もありますし、また、通産省は全般の実態については把握しておると言われるかもわからぬけれども、しかしこれを見たって、通産省にも聞いたわけですけれども、市況の動向、これで判断されておるというふうにも聞いておるわけです。実際ふところの深い中身について、実態を正確に知るという仕組みになっていない。  こういう点から考えまして、物価の値上げ、しかも大企業製製品についていろいろ申し上げましたけれども、長官は賃金の問題がこれから最重点の課題だというような話がございますが、それはそれとして、長官の立場に立って見た場合でも、片方では賃金の問題を重視し、賃金の問題に対して指摘される、仮にそうであったとしても、一方ではこういうものについてもるる申し上げておりますような観点から取り上げなければやはりこれは片手落ちということになりかねない、私はこういうふうにも思うわけです。この点はいかがでしょう。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 全く同じ理解でやっております。つまり、賃金問題、これは大変な問題ですが、この賃金問題が妥当に解決される、こういうためには、政府としてその環境づくりに責任を持たなければいかぬ。その環境の中で最大の問題は物価問題である、そういうとらえ方をいたしまして、物価問題には、フードウイークばかりじゃないのです、事細かにやっておるわけでありまして、また、いまお話しの価格調査官、これも目を光らしていただいておる、また、それらの統轄官会議、こういうものには、いままでめったになかったことですけれども、私みずからが出席いたしまして督励をいたす、そういうことをいたしまして、とにかく政府はなすべきことに全力を尽くしてやっておる。かたがた、賃金、物価の問題につきましては、労使の間において本当にここで良識を発揮してもらいたい、こういうふうに念願しておるわけであります。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 調査官の問題について一言敷衍いたしますと、いま調査官の調査の対象品目はたしか十四品目、これにプラス若干の生活物資ということで、基礎物資は入っていないわけですね。これからさらに基礎物資等の、先ほどちょっと例を挙げましたけれども、日銀の例の中でも、値上げの動意がある。しかし、そういう需給の環境の中でいま値上げはなされていないわけですけれども、そういう点から考えても、生活物資だけではなしに、これらに対する手当てですね、こういうものを早急にやらなければならない。こういうようなことについて、何か企画庁としてはお考えになっておるのかどうか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 価格調査官の法的な立場は、確かに御指摘のように、買いだめ防止法に基づく二品目、それから緊急措置法に基づく十四品目、こういうことになっておりますが、価格調査官に行政上期待しておりますのはそればかりじゃないのです。あらゆる重要な物資につきまして、価格上の異変がある、こういう敵に目を光らせてもらいたい、異常な事態があれば即時通報してもらいたい、こういうふうに指導しておりますので、法的に言いますと限られた任務でございますけれども、行政上の実際としては、あらゆる商品につきまして配意しておる、こういうふうに御理解願います。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 最近の値上げを見ておりますと、すでに値上げが決定されたものは、カメラ、キャノンの交換レンズ、自転車、自動車、電算機、石綿、スレート、塗料、石油化学、石油製品等々であります。また、今後見込まれるものとしては、タイヤ、パン、さらに砂糖、それから例のビール、大体一本二百円、こういうようなことも予想されておりますし、それからガス、私鉄、バス、カメラ、自動車、合板、アルミサッシ、ガラス、セメント、鉄鋼ですね。文字どおり鉄からパンまで、一斉に値上げが決定されたり、あるいはされようとしているということなんです。  こういう点から考えますと、いま申し上げたように、長官もこれはお認めになりましたけれども、こういうものの物価の値上がりをどう抑制していくか、効果的な手だての問題について本当にあるのかないのかということを私は非常に危惧するわけです。つまり、先ほど通産省の例を挙げましたけれども、市況の動向だけ見てあれこれでなくて、本当に値上げが相当であるかどうかということについて一歩踏み込んでやらなければならない。単なる企業に対するお願いでは、これは下げることができない。  去年、例の五十九品目を凍結したときがございましたけれども、この中でも、値上げしたければ申請する、それは必ず値上げされる、こういうようなことで、しかもその場合に、私当時値上げの理由についても聞いたことがありますけれども、大体企業の実態そのものをつかんでいない。いまあるものを前提にして、そしてその上に、それじゃどういう原因で値上げをしようとするのか、そこだけを少し調査するという程度で、実際本当にいままでの価格が果たして相当かどうかという点についてまでメスを入れることができない、こういう状態でありまして、ここにもやはり一つの問題があるのじゃないか。  私たちはよく原価の公表ということを申し上げておりますし、例の狂乱物価の前後のときでも、国民は一体本当にこれが正当な値上げであろうかどうかということで、かなり大きな運動になりました。その中で便乗、先取りの問題も明らかになったわけですけれども、そういう点から考えますと、私たちは、原価等々、企業経営の実態についてこれを正確に把握し、またこれを公表するというふうにするべきであるという提起をしておりますけれども、公表の点についてはいましばらくおくとしても、どうしてもやはり実態を正確に把握するという点からすれば、これは公取にしても、あるいは物資の所管庁にしても、常に系統的に実態を正確に把握するということでなければ、単なる現象面、それだけの調査に終わってしまう、こういう結果になるのじゃないかと思うのですね。  ですから、少なくとも長官の立場に立って仮に考えた場合にも、賃金の問題についてあれこれ言われるなら、そういう意味でのもう少し効果的な規制の手だてをして、そして、賃金に対しても論及されるというようなことが必要ではないか、こういうふうに私は思うのです。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 私は、賃金の決定には政府は介入しない、まして、いわゆる所得政策というか、賃金決定を法的に規制するというようなことは毛頭考えておりません。と同時に、商品の価格につきましても、それとのバランスということから言えば、これは法的規制を全面的にやっていくというわけにはまいらぬと思うのです。逆に今度は、賃金に対して法的規制に乗り出す、こういうことになれば、これは賃金だけを法的にというわけにはまいらない。これは商品の価格につきましても、あるいは利子、配当、そういう類につきましても法的に介入しなければならぬ。そんなことはとてもできるものじゃありませんものですから、私は、賃金の決定に法的に介入するといういわゆる所得政策、こういうものをとる意思はない、こういうふうに申し上げておるわけなんです。  ですから、価格の問題につきましては、賃金に対しましてそういう法的介入はしません、と同様に、価格もまた、これをメーカーや、あるいは商社や、あるいは末端業者、そういう方々の本当に良識ある行動にまつ、これが基本だ、こういうふうに考えておるわけです。ただ、そうは申しましても、これは法律もありますし、現にある法律はもちろん発動させる。法律にないものにつきましても、これは行政指導というか、そういうような形で、今後物価がまた変調を来さないようにという配意はいたしたい、こういうふうに考えておるのです。  ただ、いま値上げの動きがある、こういう御指摘でございますが、私も現にそういう動きがあると思っております。ですから、これから先油断はならぬ、こういうふうに申し上げておるわけなんですが、同時にまた、その反面、値下げもあるのです。いまいろいろの値上げの動きの品目を指摘されましたが、逆に今度は値下げの動きもある。ですから、一月の卸売物価はマイナス〇・四だ、こういうふうに出てくるわけなんです。  しかしこれから先を考えてみますと、値上げの動き、これが今日この時点よりもあるいは強く出てくる可能性もなしとしませんので、この値上げの動きに対しましては、できる限りひとつ目を光らせまして、再び混乱を生じさせないというために最善を尽くす、こういう方針でございます。

野間友一日本共産党・革新共同

○野間委員 賃金の問題については、これは実質賃金が昨年春闘で若干プラスになりましたけれども、それからずっと下がり、たしか十一月はさらに低下しておる。暮れのボーナスで若干また持ち直しをしたようですけれども、しかし、ずっといままでの経過からしても、また実質賃金が低下するという実態だし、いまの需給動向を見ましても、なかなかそう消費が伸びない。これもやはり物価高の中でのいろいろな問題がそういうことになっておると思うのです。  それはそれとして、賃金について政府が干渉すること、これはできないのは当然のことで、これは労使が自主的に決定するものだ、そういうたてまえから当然だと思いますけれども、ところが、それとパラレルに考えて、それじゃ物価についても干渉することができない、で、行政指導程度だというのは、いまの依然として物価が重要な段階では私はいただけない。これを、たとえば生活二法のような標準価格というようなことでなくても、少なくとも実態をもっと正確に知る手だて、そういう企業経営実態、その中で本当にいまの価格が適正かどうか、さらに、値上げの必要性があるのかないのか、こういうものを正確に知る、こういう手だてをしなければ、単なる行政指導、これは主としてお願いというようなことになろうかと思いますし、また、そのことがいままで実効をを上げてこなかった、だからこそあの石油二法、標準価格等を決めざるを得ないということでもあったわけですね。  そういう意味で、単なる行政指導でなく、やはりもっと効果的な措置を経企庁としては積極的に考えなければ、さらにまた諸物価の騰勢、上昇、これに対して効果的に食いとめることができない、私はこう思っておるわけですね。さらにこの点については詰めていろいろと議論をしたい、こういうふうに考えております。  最後に一言ですけれども、そういうことで、依然としてやはり物価問題が大変大きな問題。いま引用しましたけれども、これからもさらにあらゆる物資の値上げが予測される。しかも公共料金、これからまた審議の対象になろうと思いますけれども、酒とか、たばことか、あるいは郵便料金ですね、こういうのが軒並み待っているという状態の中では、やはり法的な措置を含めて強力な歯どめをしなければ、本当に国民の暮らしをこの危機の中から守ることはできない、こういうふうに考えております。それについてはまた続けていろいろただしたいとは思っておりますが、これで終わります。

横山利秋日本社会党

○横山委員長 和田耕作君。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 副総理に御質問いたしたいのですけれども、きのうちょっと質問する時間がなくなった問題につきまして、二月十八日に総理府から、日本の当面している失業の問題について、十二月末には八十三万人、それから一月には百六万人、二月には百十六万人、三月には百二十七万人、つまり百三十万近い完全失業者が出るだろうという推計を発表しておるわけでございます。これは長年の経験に基づいた科学的な推計だと思うのですけれども、その次の日に、労働省は、この数字を批判するようないろいろな言葉も出ているようですけれど七、つまり、一月の失業保険をもらっておる人は九十万五千人、これは三月には百万人に達するだろうという報道があり、あの長谷川労働大臣の諮問機関である産業労働懇話会で説明をしておるようでございます。  これは総理府の完全失業者という概念と、労働省の失業保険の受給という概念との違いがあると思いますけれども、何かこう食い違うような報告があるわけでございますが、とにかく一月の有効求人倍率は〇・七一というふうなことで、昨年の十月以来悪化の一途をたどってきているということから見て、非常にむずかしい局面になりつつあることは事実だと思うわけです。  そこで、副総理の物価問題に対する方針の中で、総需要の抑制という基本的な姿勢は続けていくけれども、摩擦的な現象についてはきめ細かい対処をしていくのだという御方針があるわけですが、つまり、この失業問題について、どの程度になれば何か特別の対策を必要とする、その限度みたいなものをお気持ちの中に持っておられるのであるかどうか、これをひとつお伺いしたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 よく言われるのですが、完全失業者が幾らになったら政策転換をするか、こういう御議論ですが、いま和田さんのおっしゃることもそういう意味かと思うのです。そういう意味だといたしますれば、私はこうお答えいたしたいのです。  とにかく、いまわが国は二つの問題に当面しておる。一つは、いままでの高度成長路線を新しい安定路線に乗っける、こういう仕事、それからもう一つは、当面問題になっておるインフレ、景気の問題をどういうふうに調整するか、こういう問題であります。この二つをどうしても妥当に解決しなければならない。そういう立場から言いますと、安定路線に日本経済を乗っけ、そして正常運転をできるようにするためには、ここ一年半、二年の日子を必要とするであろう、その間にまた当面のインフレ問題ももちろん解決し、また当面の不況問題も解決するというのですが、この二つの問題が解決されて初めて日本の経済は正常な状態に戻る、それまでの間は総需要抑制という政策姿勢は崩さない、ずっと持ち続けていく、こういうことであります。  その間、雇用の関係がどうなるか、そういうようなお話がありますが、雇用の状態なんかはじっとよく見詰めております。見詰めておりますが、それでこの総需要抑制政策を主軸とする政策姿勢を転換するかというと、これは転換いたしません。一年半ないし二年間はとっていきます。しかし、その間におきまして、見詰めた雇用情勢、これが非常に悪化してきた、そういう状態に対しましては、適時適切なる対策を打ちながら臨んでいく、こういう考え方でやりたいと思います。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 そのお考えは理解できるわけでございますけれども、失業問題という問題は、たとえば年末に七千億のお金を出した中小企業等の問題と若干性質が異なる問題だと思うのです。これは困難の程度も異なりますけれども、仕事を与えなければならないという要素があるわけであって、摩擦的な状態を緩和するために臨時の仕事を与えるというお考えなのかどうなのか、そういう問題をひとつお聞きしたいわけなんです。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 摩擦現象というのは、中小企業にも起こっております。また、雇用問題にも起こっております。いま、その雇用問題の方が和田さんから問題になっておるわけでございますが、この雇用問題が非常に悪化するということになると、これは授職ということを考えなければならぬ。これはやはり景気政策にもつながっていく問題でありますが、雇用の動きなんかも十分よく見まして、その手段としては、これは恒久的な手段もありましょう、あるいは臨時的な手段もありましょう。そういうものを取りまぜまして、雇用情勢が悪化しないように、こういう努力をしていく、こういう考えでございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 その時期あるいは限度についての明確な御言明は、非常に時節柄むずかしい問題だと思うのですけれども、しかし、百三十万人ということになりますと、日本の特殊的な状態企業で失業すべき者を抱え込むというような状態等から見て、国際的な基準から見ればこの失業状態というのは相当のものだという感じがするのですね。  やはりこれについては何らかの対策が必要だという、これは副総理も考えておられると思うのですが、それをやれば片一方の総需要の抑制、物価の安定という目標がゆがめられてくるおそれがあるということで御苦心をなさっておると思うのですけれども、しかし、完全失業百三十万人という、日本で戦後かつてなかったような状態になってくると、これは政策転換という大げさなものでなくても、やはり何らか効果的な手を打つ時期が近づいてきている。これは政策転換を申し上げておるわけではないのです。この問題に対して、少なくともこれを百万程度に抑えられるような手が必要だと思うのですね。そういう手は否定なさらないわけでしょうね。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 そういう手を打つということは、これは否定いたしません。そういう手をまさに打つべきである、こういうふうに考えておるので、この間も経済対策閣僚会議が十項目ばかりの対策を決めました。これが着実に進むということになれば、雇用情勢にも非常に大きな影響がある、こういうふうに考えておりますが、あの十項目につきましては、その実施の効果がどういうふうに動いておるかというようなことをここしばらく見詰めたいと思うのです。それで雇用情勢も悪化してきた、企業の経理も悪くなってきたというようなことが非常に強く出てくるということであれば、第二の対策も講じなければならぬ、こういうふうに考えております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 それと関連しまして、年末年始に、いまの中小企業向けの七千億というようなものを中心にして、一連の対策をお打ちになった。これは今後も続けていかれるわけでしょうね。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 これはただいま申し上げましたように、これからの推移を見て、そして中小企業の方で金が足りないというようなことになれば、当然そういう問題を検討しなければならぬ、こういうふうに思います。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 そして、次の問題は、独禁法の問題と関連をしておる問題、その基本の考え方の問題なんですけれども、この際副総理の率直な御見解を承りたいと思うのです。  私どもも、自由社会を守らなければならないという点では、これは自民党さんに負けない、強い一つの信念を持っているわけですが、自由競争、自由経済というものは、つまり弱肉強食という面が石油ショックのあの状態のもとでもろに出てきたということを契機にして、これは何とか解決していかなければならない、これを非常に強く考えておるわけであって、混合経済ということを私ども主張しておるのは、そこにあるわけなんですね。つまり、そういう考え方であるわけですけれども、副総理は、いま私が申し上げた、これは意を尽くさない点があると思いますが、大体感じはわかっていただけると思うのですが、こういう感じに対してどのような御見解をお持ちになっておられるのか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 まあ和田さんが、自由社会だ、こういうことをおっしゃいますが、この自由社会では、これはやはり力の強い人あるいは知恵のある人、そういう人がどうしても先へ出ます。知恵の乏しい人あるいは力の弱い人、こういう人がおくれます。どうしても社会の中にでこぼこが出てくるわけであります。そういう社会というものは私は安定しないと思うのです。やっぱりそういう社会であってはならない。政府、政治というものがそこへ割って入りまして、そのでこぼこを調整するというか、弱きを助け強きを抑えるという任務を担当する、これは政治の非常に貴重な目標でなければならぬ、こういうふうに思いますが、いわゆる社会的公正です。  いままでの高度成長という考え方から言いますと、これはそれを目的としておるわけではないけれども、どうしても自由という点が大きく出過ぎる。端的に言うと、優勝劣敗というか、弱肉強食というか、そういう傾向が余りにも強く出過ぎるのです。そういう点は是正しなければならぬだろう、私どもが社会的公正ということを言っておりますのはそういう趣旨なんですが、自由経済のメカニズム、これはもとより非常に貴重な経済の作用をなすわけでございますが、しかしそれが勢い余って弱肉強食、優勝劣敗、そういうような状態になることはよくない、そういうことを踏まえて政治をやっていかなければならぬだろうと思うのです。  それには幾つかの手段がある。一つは、これは国を運営するための資金、つまり国の財源というものを調達する過程において、そういう機能というものが発揮できる、こういうふうに思います。また、集まった金を配分する、そういう面においてもそういう機能が発揮できる、こういうふうに思います。また、財政ほどの力はないけれども、金融政策の運営、そういう上におきましてもまた同様の役割りを尽くし得る。また、金には関係はないけれども、国家権力自体、これが直接にそういう機能を尽くし得る、これは独占禁止法というようなことがその非常に顕著な例でございますが、そういうこともできる、こういうふうに考えております。あらゆる場において社会的公正ということには配意しなければならぬ、こういうふうに考えております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 私どもは、自由社会を守るために、自由競争、経済競争、弱肉強食の競争というものを制限していかなければならない、これはその都度起こった現象に対してでは非常に不十分な段階に来ているんだ、もっと組織的なといいますか、社会の自由競争体制のシステムを少しずつ変えていかなければならないという段階に来ていると思うのですね。先ほどの失業問題のように摩擦的な現象としてとらえるのではなくて、もっと構造的な問題としてとらえていかなければならない、こういうふうに考えているわけで、副総理はそこまでは考えておりませんか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 そこまで考えているのです。  先ほど申し上げましたように、私どもは当面する二つの問題がある。一つは、長期的に、わが国の経済の運営の基本的な考え方をいわゆる高度成長から安定成長路線へ乗りかえをする、そういうこと。それから、当面の物価問題をどうするか、あるいは不況問題をどうするか、こういう局所的な問題があるわけです。それを同時に解決していかなければならぬ。  第二の問題として挙げました物価、また景気、それに伴うところの失業、就業問題ですね、そういう問題、これを手を打つ、こう申し上げましたが、それはただ単に手を打つということではないのです。やはり経済の先々のあり方、これを静かな成長路線へ乗っけていくということもまた心してやってまいらなければならぬ、こういうとらえ方をしております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 そこで、議論を進めまして、こういう考え方は、程度の差はあっても先進諸国はほとんど同じような方向をとっておるわけだと思うのですけれども、西ヨーロッパの国々、イギリス、ドイツ、フランスあるいはスウェーデン等の国の仕方とアメリカの仕方とは苦干違う性格を持っているわけですね。  一番大きな相違というのは、アメリカは必要な資源、物資のほとんど九〇%は自分の国で持っている。持っていないものも少しあるでしょうけれども、持っているということの違いから、アメリカは自由経済競争というものをあくまでも基盤にするという一つの性格が出てくると私は思うのですね。ところが、西ヨーロッパの場合はそうはいかない。西ヨーロッパの場合は、アメリカとはもっと違った形で、いまお述べになられましたような自由競争を制限する方向を考えていかなければならないと思うし、現に考えているということですね。日本はどっちかと言えば、どうも政府のやり方を見ておりますと、アメリカ的な方法を、しかもかなり何とか政府の政策に都合のいいようなところだけちょっととってというような感じを私、受けるのですね。  そういうふうな問題を考えながら、いまの独禁法の問題の企業分割の問題を私は重視しておるわけなんです。企業分割という形は、日本では独禁法の対象としては、正直言えば私は余り適当でないと思っておるのです。むしろそういうものが必要な段階になれば、たとえば電気とかガスのように、ある単独の事業法をつくって、その公正な社会的要求に応ずべきものであって、大きくなったからといってこれを割るのは、割るという困難さを考えても、そのメリットを考えても、いわゆるさいの河原に石を積むような結果にもなるし、全体としての経済的な意欲もなくするし、第一、目的自身を達成することができないという感じを持つわけなんです。  いま政府がお考えになっているのは、一つの象徴的な、実際やらないけれども余り世論がやかましいからこのことも中に入れておけというような感じが見えるのですけれども、そこのあたりの感じはどのようにお考えになっておられるか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 私は、いま問題になっておる独占禁止法の改正問題、これについて所見を申し上げるということは、いろいろ支障がありますから、申し上げませんが、私はそういうものとは離れまして、企業のあり方、そういうものから言いますと、どうもいま国の中には、でっかいものは悪である、こういうような強い感じがあると思うのです。私は、それは非常に危険な考え方だろう、こういうふうな考え方をしておるのですよ。  つまり、わが日本というものは、とにかく資源小国であり、国際社会の中においてそう基本的に強い体質を持っておるというわけではない。その日本が国際社会の中で地歩を固め、そしてGNPにおいてはとにかく自由世界の中で第二位というところまで来ており、また、これからもそれを踏まえて国民生活をさらに向上しなければならぬということを考えますと、やはり国際競争力、このことを非常に重視しないと、これは間違うだろう。大きい、小さいという感情論、それだけで事は判断できない、そういうふうに思うのです。  独占禁止法の改正問題についてどうこう、こういうわけじゃありませんけれども、経済の仕組み、国の運営、そういう上からいきまして、ただ単にでっかいものは悪である、大企業、大企業と言ってこれを目のかたきにする、そういう風潮というものは、これが高じてくると国を誤るようなことになりはしないかということを心配しております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 いまの問題で、アメリカと西ヨーロッパの区別と日本の立場というものを話題にのせておるわけですけれども、西ヨーロッパの場合は、たとえばいま独占禁止法の改正の問題で問題になっているとてつもない大きな独占企業体ができる、あるいは寡占の企業体ができると、アメリカはこれを割っていこうとする。日本のエコノミストのかなりの人たちもそういう考えを持っているようですけれども、西ヨーロッパでもそういう考え方はないとは言いませんけれども、その場合には、国営化という問題が、何回も何回も失敗しても、次から次へとそういう考えが出てきているということが一つありますね。あるいはガス、電気のように、国が直接法律でもって枠を決めて、社会的に公正な運営ができるような方向に導いていくということもできる。そのことと、いま副総理がおっしゃった競争力が低下してはいけないという問題は、本当に気を使って考えておるのが西ヨーロッパの状態じゃないかと思うのですね。  西ヨーロッパの場合も、たとえばドイツの場合は少し形が違ってくるのです。ドイツの場合は、国有化的な方向はできるだけ抑えて、労働者の経営参加、共同決定という形で企業の社会的な責任というもの、労働者の社会的な責任というものを達成しようとしている。これはまるっきりたちの違うことですけれども、同じように非常に強力になった企業が、国民、社会の要求に対して沿えない場合に、この構造を変えていこうとするいろいろな形があるわけだと思うのですね。  そういうふうなことを考えてまいりますと、いま独禁法で議論しておる問題というのは、いまの問題の間違っている点を全部独禁法の改正でカバーできるかのように議論を進めておる点がなきにしもあらずだという感じがするのです。私はむしろ、手のつけられないようになってきた寡占体、独占体というものは、分割なんてことではなくて、原価公表と二つ並べてみると、ある特殊な限定された状態で原価を公表する、あるいはそれに準じたような方法をとるのがはるかに正しいと思っておるのですよ。  原価の公表というのはむずかしいかもわからないけれども、それにかわるような方法は何ぼでもあるのです。ただ会社が大きくなったからこれを割るなんということは、全く形式的な、おざなりな、世論に対してただこれをやるのだといったような、構えだけを示すような結果になって、余りメリットはないだけでなくて、害がある。私はむしろ、原価公表が目標にしているような政策を達成するようなことを、限定した条件でやらした方が、はるかに効果があるし、進歩した制度だと考えておるのです。  そういうことを思っておるわけですけれども、この問題は、物価を下げるとかいろいろな当面の問題じゃないのです。そういうことだけでなくて、また、世論とかいうようなものが起こってきている、これに対して、とにかくやかましく言うからかっこうをとらなくてはいかぬということではなくて、政策転換というものの本質的な内容はそういう問題と関係しているわけですから、ひとつ、ぜひともそういう問題については真剣な考慮を政府部内でやっていただきたいと私は思うわけでございます。  同時に、きのうはちょっと時間がなくて問題にできなかったのですけれども、労働者の経営参加の問題、これはいろいろな形がありますけれども、私、昨年の暮れ、十月前後にヨーロッパに行って、イタリー、ドイツ、フランス、イギリスの状態を、日本の外務公館を中心として聞いたのですけれども、とにかく労働者が経営参加制度を持っている国はドイツが一番典型的な例です。この狂乱時代に七%以下に物価を抑えておるという一番大きな——これはいろいろなことがあります。国民の関心の問題もあるし、経営者、政府の態度もありますけれども、労働者が経営に参加する、あるいは共同決定の立場で企業というものに対する責任を持っているということですね。このことがドイツの消費者物価を七%以下に抑えているということと一番大きな関係があるんじゃないか。  副総理もよく主張されるように、このインフレの問題は国民の協力なしには解決は得られない、特に労働者諸君の協力なしには達成できないということをおっしゃっておられる。そのとおりだと思うのですけれども、そういうふうな問題を考えても、いまここですぐ間に合う問題じゃありません、ありませんけれども、今後の、非常に限られた、非常に複雑な条件下の安定成長への移行ということを考える場合には、この問題はぜひとも考えていかなければならない。私、日本でもそういうことが日程に上っておるという感じがするわけです。  したがって、きのうも労働大臣に、これをすぐやれという意味じゃありません、経営参加というものの法制化の可否を検討する公式な機関を設けたらどうですかということを申し上げておるわけですけれども、これはまあ副総理の立場で——労働大臣は渋っているわけですから、また、日本の労働組合の中でも、半分ぐらいはそれを承認するところもあれば、半分ぐらいはまだそれはいけないという主張もありますから、なかなかむずかしいわけですけれども、やれというわけではなくて、可否を検討しろというわけですから、私はそれは政府としていま取り上げておかしくない問題であると思う。特に今後の経済、安定成長というのは非常にむずかしいですね。ちょっとかじを誤ればこっちへ行く、誤ればこっちへ行くというこの状態の中ですから、その一つの柱としてこの問題を考える必要があるんだというように私は考えるわけです。  それで、昨日、国際物資に対する価格の情報と、それに対する対処の機動的な組織というものも申し上げたのですけれども、まあこの問題は後にしまして、いまの経営参加の問題を、いまの日本の労働諸情勢を考えてみて、私がいま申し上げているようなことがまだ時期尚早とお考えになるか、副総理のお考えを承りたいのです、きのう聞くあれがなかったものですから。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 わが国は、西ドイツほどじゃありませんけれども、諸外国の中ではかなり労使の経営についての協議体制というものは進んでおるというふうに見ておるわけであります。これはまあ、どうしても経営者ばかりで企業をやっていくわけにはいきませんし、社会もまた、したがってしかりだろう、こういうふうに思いますが、労使の協調体制というか、労働者に企業の経営について責任を持っていただくということは非常に大事なことだろう、こういうふうに思うのです。その仕組みをどうするか、これを検討する仕組みをどうするかというようなことにつきましては、労働大臣ともよく相談をいたします。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 どうもありがとうございました。

横山利秋日本社会党

○横山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十五分散会

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