農林水産委員会 第28号
- 発言数
- 143 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1975/06/18
会議録
○澁谷委員長 これより会議を開きます。 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。美濃政市君。
○美濃委員 若干の質問をいたしたいと思いますが、まず、最初にお尋ねしたいことは、この農林年金が厚生年金から分離して最初に発足したときは、年金設計としては千分の七十であったと私は記憶しておるのですが、どうだったでしょうか、お伺いしたいと思います。
○岡安政府委員 この農林年金は、御承知のとおり昭和三十四年一月に発足をいたしたわけでございますが、そのときの農林漁業団体職員共済組合法施行令によりまして、掛金率は千分の七十から千分の九十までの範囲内というふうに規定をされているわけでございます。ですから、七十として発足したというのはいささかあれですけれども、七十から九十の間で発足ということを予定しているというように考えております。
○美濃委員 今日その設計はどうですか。このようなインフレという経済変動がなくて、物価なり賃金なりがこれをつくったときのままで推移してきた場合には、最近言われておりますことで、四十九年度末で締めて財源の再計算をすると言っておりますが、こういうことをする必要があったのかどうなのか。これは当初計画の設計に誤りがあるのか、中途で発生した経済変動による原因なのか、これはどちらなんですか。
○岡安政府委員 この制度発足のときの掛金率の規定は、先ほど申し上げましたとおり、政令で千分の七十から千分の九十までの範囲内というふうに決められまして、発足のときには千分の七十八で発足をいたしましたわけでございます。 それで、その後の変化の方を先に申し上げますと、三十九年九月まではこの料率で参りまして、三十九年の十月以降は千分の九十六になっております。それで、その際政令が改正されまして、千分の七十から千分の百までの範囲内というふうに改正されて、千分の九十六というふうに改定されたわけでございます。この掛金率が現行まで引き続きあるというわけでございます。 先生の御質問は、こういうように掛金率が上がってきたのは設計の誤りでこうなったのか、それともインフレその他の要因によるのかという御質問でございますけれども、私どもが考えておりますのは、制度が発足いたしましてから数次にわたりまして制度改正がございましたが、制度改正がございますと、やはり、大体給付を充実するという方向の制度改正でございますので、財源率が上がります。その関係から掛金率の方にはね返ってきたということが一つでございます。それからもう一つは、インフレといいますか、物価が上がってまいります。それにつれて国家公務員の賃金も上がってまいります。それに沿う形でベースアップが行われる。そのベースアップを支給率に反映させるということから、これもやはり財源率にはね返ってくる。したがって、掛金率にはね返るということで、私どもは、そういうような理由で掛金率が上がってきたものというふうに考えているわけでございます。
○美濃委員 今回もいわゆる既裁定年金の標準給与表の下限及び上限を引き上げるわけですが、このことは給付の改善では、中身は、本人に対しては——これは組合員ですね。これは現在給付を受けておりますから、その者に対しては、こういう経済変動ですから、その経済変動によって修正するんであって、中身は何もよくなっていないと思うのです。たとえば参考資料にもありますように、三十四年、それから三十九年当時の上限、下限、それから四十九年の上限、下限はずいぶん変わってきております。変わってきておりますが、これはいわゆるインフレによって金の価値が減少して、生活費として給付金が多く使われるということではなくて、金のがさが多くなったんで、中身は同じだと思うわけなんですね。ですから、そこに問題があると思うわけです。 もう一つは、たとえばこれとは違いますけれども、任意加入の生命保険その他は、これはもう金の価値はどう変更しようと契約どおりで払われるわけです。ですから、年金はそうはいかないところに、財源率の再計算だとか、責任準備金の赤字という問題が今日発生してきておる。これは大変なことだと思うのです。 きょうは厚生省の年金課長さんに来ていただいておるわけですが、こういう問題に対しては厚生年金の方はどうなっておるのか。厚生省で計算されてこの年金を行うのに、いわゆる財源の再計算とかあるいは責任準備金の赤字とかいう問題、それから現在の掛金率という問題に対してどういうふうに厚生省としては運用されておるのか。これは厚生年金から分離しておる年金でありまして、法律根拠も厚生年金に準拠するという面がかなり多い内容のものでありますから、根っこの法律の内容をお聞きかせ願いたいと思います。
○坂本説明員 厚生年金の財源の関係についてお答えを申し上げます。 〔委員長退席、今井委員長代理着席〕 厚生年金の仕組みにつきましては、給付を行うに必要な財源といたしまして、保険料を事業主と被保険者から折半負担で徴収し、さらに給付に対して一定率の国庫負担を行い、さらに積立金の運用利子もその財源に充てるということになっておりますが、保険料につきましては、標準報酬に対して一定の料率を掛けて計算をいたします。 基本的にはこの保険料率をどう考えるかという問題でございますけれども、厚生年金保険法の規定によりますと、この「保険料率は、保険給付に要する費用の予想額並びに予定運用収入及び国庫負担の額に照らし、将来にわたって、財政の均衡を保つことができるものでなければならず、且つ、少くとも五年ごとに、この基準に従って再計算されるべきものとする。」と規定されてございますが、ただ、この財政方式といたしまして、完全積立方式というものではなくていわゆる修正積立方式という方式をとっておりまして、最初から数理上必要な保険料率を全部とるという方式ではなくて、保険料率は、いま申し上げましたような基準に対して将来にわたって段階的に引き上げていくというような仕組みをとっております。したがいまして、この保険料率は制度ができましてから今日まで少しずつ引き上げられてきておりますけれども、現在の段階でも、完全に数理上必要な保険料率をとるというたてまえにはまだなっておりません。 したがいまして、責任準備金という考え方も直接は出てまいらないわけでございまして、現在の給付とさらに将来ある程度予想される給付を一応勘案いたしまして現時点における具体的な料率を決めていく、こういう考え方に立って運営を行っておるわけでございます。
○美濃委員 ただいまのお話しを承っておりますと、生命保険とかそれらと違って——生命保険は責任準備金を厳格に積み立てなければならぬという強い大蔵省の監督下に置かれているわけですね。あれはそうでなければならぬと思うのですが、この制度は、責任準備金というような積立額が充足されているかいないかということは、厚生年金の方ではそういう計算は余りしていない。一応財源的な推移やその他を見て掛金率の調整や何かを五年ごとに検討をするのであって、責任準備金という考え方はないと解釈していいのですか。赤字という考え方、赤字という問題についてはどうなっておるのか、これをさらにお聞かせ願いたいと思います。
○坂本説明員 ただいま先生がおっしゃいましたように、厚生年金保険では、その時点その時点における責任準備金という考え方は持っておりません。したがいまして、いわゆる赤字という考え方も制度上は出てきておらないわけでございまして、現時点における給付の額と将来の額とを考えながら現時点における保険料率を政策的に決定していく、こういう形になっておるわけでございます。
○美濃委員 もう一回さらに参考のためにお聞かせ願いたいと思いますが、この厚生年金の現在の組合員数、加入数と、それから積立額の総額が何ぼになっておるかということと、掛金率と、それから国庫負担率ですね。大体は覚えておるのですけれども、せっかくおいでを願ったのですから正確にお聞きをしておきたいと思います。
○坂本説明員 最初に、厚生年金の加入者の数でございますが、これは昭和五十年度の予算において見込まれておる数字でございますけれども、二千五百五万人でございます。 それから年金の受給者数でございますけれども、これも五十年度の予算で計上しております数字は全体で二百二十一万七千人でございます。このうち老齢年金が大体九十五万人程度という見込みを立てております。 この財政の収支状況でございますけれども、五十年度の予算といたしましては、収入額が全体で三兆二千三百十億円、この内訳は、保険料が二兆三千二百六十億円、それから国庫負担が千五百九十億円、さらに積立金の運用利子が七千四百六十億円でございます。一方、支出額につきましては五十年度予算で一兆一千八百三十億円を見込んでおりまして、この収支の差し引き残が二兆四百八十億円という数字になっております。 なお、五十年度末における積立金の見込み額といたしましては、十一兆八千百七十億円となっております。 なお、現在の保険料率でございますが、厚生年金の場合には男子、女子、坑内夫によって保険料率が多少異なっておりまして、男子の場合には標準報酬の七・六%、女子の場合には五・八%、それから坑内夫の場合には八・八%という状況でございます。
○美濃委員 厚生省の方、どうもありがとうございました。忙しいそうでございますから、退席願ってよろしゅうございます。 それでは、質問を続けますが、いまお聞きのように、この根っこの厚生年金は生命保険じゃないんだから——生命保険は責任準備金計算というものは厳格にやかましいわけですね。先ほど申し上げたように、御存じのように物価変動係数というものは入ってきませんから、あくまで契約額ですから、通貨の価値がどう変動しようと満期で支払う額、死亡して支払う額は同じです。ですから、それに対する確定した責任準備金計算をして、貯蓄と生命の保険を兼ねたああいう長期の制度でありますから、その責任準備金が満度に確実に積み立てられていくということは大蔵省の監督はやかましいわけですね。ところが、いま厚生省の方に聞いてみると、厚生年金には責任準備金という考え方はありませんと言う。赤字という考え方はありませんと言うのですが、農林年金の方は分離した団体年金ですからやはり財源計算をして、掛金率もこれはものすごく違うわけですね。厚生年金はいま正式に聞きましたが、男子で千分の七十六で、女子は千分の五十八で、それから坑内夫で千分の八十八ですね。農林団体職員年金は千分の九十六というふうに掛金も違う。これは考えようによっては分離しないでおいた方がよかったのではないかという気さえするわけですね。何のためにこれは分離したのか。分離して掛金率は高い、そして五千億も赤字だ。実際に五千億赤字だと言う。きのうも局長はそう言ったわけですね。四十八年度四千八百億円の赤字ですと言った。すると、まだまだ掛金を上げるかとか、国庫負担を思い切った増額をするかしなければ将来給付責任が全うできないということが言えるわけですね。赤字だという表現を使う以上はそういうことになる。現在の積立額が二千億ちょっとでしょう。その表現を聞いていると膨大な赤字ということが言えるわけですね。 いま職員の構成を参考資料によって見ますと、昭和三十四年ですか、出発のときは二十九万五千八百五十七名ですね。それが現在では四十二万人です。私の想定では、農林漁業団体の組合員、これに加入する組合員、職員数もおおよそ横ばいになってきたといま思っておるわけです。多少の変化はあるだろうけれども、昭和三十四年から四十八年の間に伸びてきたようには、農業団体、漁業団体あるいは森林団体等がこれから職員を採用してふえていくという要素は基本的にはもうないと思います。多少のことはあろうかと思いますけれども、基本的には人員は充足されて横ばいに入った。いままでは高校を卒業した若い職員を主として採用した。採用するのは若い人が多いです。必ずしも若い人のみとは言えないけれども、総体的に言うと若い人が多いですから、現時点ではそれらの年齢層の退職者数がまだ少ないですから、財源の関係では掛金が支えておると思うのですね。支える力がある。そういう関係を見ると、財源の再計算ということはなかなかめんどうだと思うのです。 しかし、私がここで申し上げたいのは、他の要素も多少ありますが、しかし、主として財源の再計算をしなければならないが、再計算をするといわゆる給付に対する不足額が予想される。その主たる原因は、私どもはインフレという表現をしますが、通貨価値の変動によるものである。そうすると、それは継続しておりますから、過去の積み立て不足その他現時点の財源再計算をした結果、そういうことがなければ九十六もの掛金は要らぬと思います。厚生年金はいま言ったようなことでやっておるわけです。ですから、これは厚生年金並みに掛金を下げなきゃならぬわけですね。厚生年金から分離した年金ですからね。そういう関係をこれからどうお考えになるのか、方針としてどうこれを処理していくのか、これをお聞きかせ願いたいと思います。
○岡安政府委員 まず、冒頭に申し上げますと、厚生年金では責任準備金の考え方がないという御説明のようでございますが、農林年金では責任準備金という考え方がございます。したがって、現在どれくらい積み立てられているか、必要とする責任準備金に対していま不足の責任準備金がどれだけあるかというような計算をいたしまして、先生御指摘のとおり四十八年度末で約五千億円の不足責任準備金がある。四十九年度はこれも約七千五百億円というふうに私どもは考えております。これを赤字と言うのは多少語弊があると思うので、計算上の不足であるというふうに考えなきゃならない。しかし、農林年金におきましては大体完全積立制というような考え方で運用いたしておりますので、この不足分はいずれかの時点で何らかの形で帳じりが合うようにならなければならないという思想になっているわけでございます。 ただ、これも御指摘のとおり、まだ農林年金が未成熟な段階でございまするので受給者も少なく、したがって支給金額もまだ少ないわけですから、毎年の掛金収入で十分賄えるというかっこうでございますので、運営そのものについては何ら問題はないということも御指摘のとおりであります。 そこで、将来どうするのかということがございます。特に、四十九年度末、五十年三月末現在の時点を基礎としまして財源の再計算をいたしますが、そのときに不足責任準備金その他が出たらどう処理するのかということがございますけれども、やはり計算をしてみませんと結果がわかりませんから、私どもはその数字の結果に基づきまして対処したいということを現段階では申し上げるしかないわけでございます。 厚生年金から分離した農林年金がいま掛金が高いのはどうするのか、それは財源再計算と絡めてどう処置するのかという御質問でございますのでお答えしたいと思いますけれども、厚生年金から分離して農林年金が発足しましたのは、昨日もお答えしたと思いますけれども、厚生年金よりもより充実した給付内容が得られるようにというような考え方で分離、独立をいたしたわけでございまして、現状におきましては厚生年金と比べまして必ずしも劣っているというふうには言えない、むしろ内容は充実しているというふうに私どもは考えております。 ではなぜ掛金率が高いのか、これはおかしいではないかという御指摘でございますけれども、掛金率が高くなる理由は二、三ございます。その一つは、厚生年金から分離、独立いたしましたときに、過去において厚生年金に入っていた人は農林年金に引き継ぐわけです。その場合、農林年金に入りますと、簡単に言えば厚生年金当時支払っていた掛金はそのままで、今後農林年金ではより充実した内容の給付をするというようなことになりますので、その不足する部分も引き継いでいるわけで、整理資源率と言われておりますけれども、それを引き継いでいるわけでございます。 それから、その後やはり制度改善をいたしました。制度改善も、過去に掛金を払っていた人たちについては、掛金の割り増しというものは徴収いたしませんで、給付だけが改善をされるということで、当然そこで不足が出るわけで、そういうようなものが積み重なってきているわけであります。 それから、御指摘の物価の上昇等によりましてベースアップがございますが、そのベースアップによりまして平均標準給与というものも過去の掛金の支払いに関係なく毎年これを引き上げている。これもやはり責任準備金の不足の原因になるわけでございます。 いまの考え方はそういう不足、本来あるべき数理的保険料といいますか、そういうものとそれから不足金に相応する整理資源率、それを合計して財源率と言っておりますけれども、財源率を賄うようなものを掛金として徴収するというのが共済制度のたてまえでございます。ただ、そのまま徴収したのではなかなか組合員の掛金負担がふえるので、それに対して国庫補助その他の助成をいたしておるわけでございます。 ただ、先生がそういうふうにおっしゃったわけではございませんけれども、厚生年金と同じ掛金率にするために差額を全部国庫補助にするというような考え方は、これはいささか検討してみなければならないというふうに考えております。国庫補助につきましては、公平の原則といいますか、そういうものもございますので、他の共済制度に対します国庫助成の内容も十分に勘案いたしまして——もちろん、農林年金の加入者である組合員の掛金率が過重な負担にならないように十分配慮しなければならないと思っておりますけれども、それらも勘案いたしまして、今回の財源率の再計算に当たりましては、財政方式の検討と国庫補助の内容等も総合的に再検討をしてみたい、と、かように私どもは考えておる次第でございます。
○美濃委員 確認しでおきたいのですが、繰り返しますが、給付の改善をしたと言いますけれども、給付の中身を全部見ると、確かに全然改善されていないとは私は申し上げませんけれども、改善された部分というものはまことに少ないものである。今回の改正にしても、いずれもこれは物価の変動率よりも低い底上げです。既裁定年金者にしても改定が行われて、それが改善だと言うけれども、実際の生活の中身、年金によって生活をするその水準が向上されるようなものではないわけですね。これはいわゆるインフレ調整なんですよ。それをすることによって、先ほどから申し上げているように、また、局長からもお答えがあるように、いわゆる整理資源が不足してくる。ベースアップがやられれば上がった給料で掛金が増加しますから、それ以降の分はいいのだが、それ以前の積み立てば、ベースアップが行われると同時に退職時の給与の何%という率で給付が決められておりますから、ベースアップがあれば必ず過去の積み立て不足は自動的に発生することは当然だと思うのです。 だから、厚生年金は責任準備金という計算はしないが、こっちは民間団体の年金共済だから、生命保険の責任準備金とは質は変わるにしても、やはり責任準備金的な計算をして、そして財源というものを絶えず確保することに努力しておかぬと将来とんでもないことになる。それもそうだと思うのです。それは私は悪いとは申しません。厚生年金の方は責任準備金というこのような考え方は毛頭ない。こちらではそういう考え方をやはり財源の中には組み入れて検討していかなければならぬ。しかし、その発生原因というものが給付改善によるものではなくてインフレによるものである。それが増長すると、今回の改正を見ても、まず第一点として問題が出てくるのは、最低五万二千円に給付を引き上げることですね。そうすると、全国的には給料が安いですから、たとえば標準給与が三万五千円の給料の者があって、それでも下限の五万二千円で徴収される。あるいはこの前、一昨年ですか、整理資源が足りないから掛金率を千分の百三十を超える率に引き上げるというような話が出たわけですね。現実にはそうはならなかったけれども、これは財源計算をすることも結構だけれども、加入しておる組合員や本人の責任に起因することなく、全く経済事情の変化からこういう問題が起きてきている。そうしてその第一点としては、今回改正するのは五万二千円に最低基準を底上げするのだから、現実に三万五千円の標準給与の者にも五万二千円で掛金を掛けさすのですよ。 あるいはこれは実現されなくて、単にうわさのようなことだったのですけれども、一昨年ですか、掛金率を千分の百三十二とか五とかにするというようなうわさが出たのですね。まことにけしからぬ話だと思うのです。そうなってくると、将来の退職後の老後の生活の社会保障としての年金も大切だが、しかし、現実の生活費が大幅に——将来の積立金のために、標準給与が五万二千円に達していない者に、五万二千円に下限を引き上げたのだから五万二千円の掛金を徴収しますよということでは現実の栄養失調が起きるのではないですか。現実の生活が充足できなくて、二十年払った先に払われるという掛金によって今日の生活が全く脅かされてしまうというような条件が出てくると思うのです。 その第一点は、今回の改定で下限を五万二千円に引き上げたのだから、三万五千円の標準給与の者でも五万二千円相当額の掛金を徴収しますよということは私は了解できません。将来厚生年金がいま申し上げたような内容の負担率であり、この年金はもう千分の九十六までいっておるわけですが、今度また政令を変えて百三十までとか百五十までとかなるという政令をつくって、二十年先の定年後の問題よりも現在の生活が年金負担によって現実に破壊されるようなことを行うということは許すことができないと思うのです。その原因が何にあるのか。どうしてそうしなければならぬのか。その原因はインフレという原因にあるんだ。 たとえば一例を申し上げると、私自身のことを申し上げて失礼ですけれども、これは全部の人がそうですが、私どもは昭和十五、六年ころ物すごく簡易保険なんかを町村を通じて——あのときは町内会と言わぬで部落会と言いましたが、全国に各部落会というものをつくって、その部落会を通じて割り当てられた。町内は町内会と言ったのでしょうが、とにかく何万円を買えということだった。昭和十年当時ですと、契約の三千円、五千円という金は大金でありました。現実に私どもの生活から言うと、三千円で二十年の簡易生命保険に加入すると、一ヵ月に払う掛金は四円五十銭です。四円五十銭というのは当時の私どもの生活からいけば大豆一俵ですね。大豆六十キロですよ。いま大豆六十キロは、ことしの補助金を含めると一万円を超したわけです。昭和十年当時に四円五十銭を、あの当時は財政強化や戦争状態に入ったものですから、割りつけられて、それを消化しなければ非国民だと言われた。そういう話は別として、とにかく当時毎月大豆一俵の掛金を私どもは掛けた。二十年満期ですから、昭和三十年に満期で三千円郵便局から受け取った。昭和三十年に受け取った三千円はどうですか、これは子供の小遣いですよ。掛けた掛金は大豆一俵ずつ掛けておるのですよ。現在の経済ベースにすると一万円の掛金を掛けておるわけだ。四円五十銭という金で物を買えば、昭和十年当時だったら地下たび一足買って八十銭ですから、一円しなかったわけです。軍手一足買ったら七銭、八銭ですから、十銭という単位で軍手一足は買えた。いま、軍手一足は二百円もするわけです。そういう問題が出てくるわけです。 〔今井委員長代理退席、委員長着席〕 ですけれども、片や生命保険の方は契約ですからそれで済ませてしまうわけですが、年金はそうはいかぬところに問題があるわけですね。そのために整理資源が不足だ、過去の積立金が不足だといってこれ以上掛金を上げるとか、特にいま申し上げたように今回最低を五万二千円に上げることにした。全国のこの団体の加盟組合員の中に三万五千円という標準給与の人が、たくさんはいないけれども、少数いると思うのです。あるいは四万円という五万二千円を下回っている者に、五万二千円に下限を引き上げたんだから五万二千円相当額を負担しなさいということになれば、これはとんでもないことだと思うのですね。二十年先の年金給付のために、その負担のために、今日の生活が限度ですから、今日の生活で栄養を保持するだけのカロリーが取れないという問題が出てくるわけです。一体何のための年金かということになるのじゃないですか。年金の掛金を払うことによって寿命が縮まる。早死にする。早死にすれば死亡による解約一時金であって、年金にも到達しない。これは残酷な人殺しですよ。そういうことをしていくのは人殺し年金と言わざるを得ない。確かに、五万二千円以上の人は別です。 それから、もう一つは、財源調整を計算するということなんだが、するなとは私は言いません。財源の再計算をして——繰り返しますが、二年前に出たうわさのように、この年金の掛金が千分の百三十五だとか千分の百五十だとかというような掛金になってくると、現時点であれば、月額ずっと上がってきて七万何ぼが平均給与ですが、この七万円ちょっとの加入組合員の平均給与の者に千分の百五十だとかいう高額の負担をさせて、インフレによって給付額を引き上げる穴埋めを掛金でするという方式をとった場合、四十八年度の五万とか、現時点の七万円とか、標準給与以下の給与の生活をしている組合員は全部首つりが始まってくる。この負担は、義務加入ですから、負担することによって生活が破壊される。二十年後の将来のためにそのときの基準栄養をとることができないような、全く生活をすることができないような条件の掛金が発生してくることになるわけですね。 この点、そういうことはいたしませんという確約なり方針なりをいま明確にしておいてもらわなければならぬが、どうでしょうか。
○岡安政府委員 先生の論点の一つの最も重要な点は、この際下限を三万九千円から五万二千円に引き上げることは現在俸給を五万二千円もらっていない者にとっては非常に過酷な措置ではないか、これは現在あるインフレの穴埋めのために強制的に掛金を徴収されているのではないか、と、こういうような御趣旨だと思いますが、私どもも、その下限引き上げにつきましては、組合員の給与の実態というものに十分配慮しなければならないというふうに考えております。 まず、一つの考え方は、現在組合員が受けている給与をそのまま是認するといいますか、掛金の徴収の基準としてそのまま受け入れるという考え方もあろうかと思います。そうなければ、もちろん、いまの先生の御指摘のような背伸びをして掛金を支払わなければならないというような事態は少なくともなくなるわけでございますけれども、私ども、もう一つ、そういうような機能をこの農林年金に果たさせてしかるべきかどうかという疑問が多少ありますけれども、いままでの実績等から見ますと、下限の引き上げが相当な意味を持ちまして、各雇用主に対しての、この年金の組合員である被用者の給与の引き上げの促進に働いてきた、いわば、少なくとも農林年金の最下限の給与ぐらいは支払わなきゃならないというような意識を雇用者に与えたというような面を完全に否定するわけにはまいらないという気がいたします。 もちろんこれは経済の変動等によることかとも思いますけれども、毎年下限を引き上げておりまして、その際に、数%のそれに満たない人間がおりますけれども、翌年とか翌々年にはほとんどこれは解消されております。今回も五万二千円に引き上げますけれども、五万二千円に満たない給与をもらっている組合員のシェアは二%に満たない数字です。一%台でございます。その方々は、先生御指摘のとおり、組合員の個人負担としまして少なくとも二、三百円から五、六百円ぐらいのよけいな負担といいますか、を、毎月せざるを得ないということになりますが、ただ、それは全く組合員の負担であって全く利益がないということにはならないので、これは非常に理屈になりますけれども、たとえば二十年後にだけよけいに掛けたもののはね返りがあるということではございませんで、この制度にございます障害年金の制度とか、それから、余り引いては適当でないかもしれませんけれども、遺族年金の制度等を考えますと、ある程度高い掛金を払っておくということが支払った組合員のやはり利益にもなるというふうにも考えられますし、また、二十年に満たないで退職する場合には、本人の掛金分はもとより、それに相応する雇用主の掛金部分も——これは全額ではございませんけれども、それも合わせて一時金として元利合計で支払いがされるということを考えますと、きわめて短日月の間は給与に比較しまして多少よけいな掛金を支払うようなことになると思いますけれども、これは組合員の不利にはならない。一時期多少苦痛かもしれませんけれども、不利にはならないということも考えまして、私どもはむちゃくちゃな引き上げはいたしませんけれども、私学等にならいまして適当と思われるところで下限を定めているわけでございます。 もちろん、これが非常に苦痛であるかどうかという点につきましては、今後とも十分配慮しながら措置をいたすというつもりではございます。
○美濃委員 誤解せぬようにしてもらいたいのですが、五万二千円の最低引き上げが悪いとは言っていないわけですが、いまの経済事情から見て、給付基準の最低基準五万二千円は、考えようによってはもっと上げてもいいんではないか、低いんではないかとも言えるわけです。したがって、五万二千円が高いなどという意識はないわけです。ただ、局長も言われたように、二%でも標準給与の五万二千円に達していないものがあるのですよ。それはお話のように、解約返戻金にしても、あるいは障害給付にしても、そういう事故が起きたときには給付されるということは当然です。それは制度ですからね。そういうことがあるにしても、現実に収入の伴っていない者に高負担をさすということは——五万二千円を超えておる人に五万二千円の負担を求めることを私は言っておるわけじゃないわけです。それに達しない者から取るということはいけない。 これは恐らく、こういうふうにして仕組んで出してありますから、大臣なり局長なりが肯定すると再提出をしなければならぬから肯定できない条件にはあると思うけれども、これは今後の制度改正の中では十分考えてもらわなければならぬ。制度として、その現実の標準給与が五万二千円に満たない者から五万二千円相当の掛金を徴収するということはこういう制度の上から見ても絶対いけないことである。この主張は私はいつまでも続けます。しかし、これは平行線になるからいつでもくどくは言いませんけれども、これは困ったもので、いわゆる好ましくない制度を提案してごり押しをするものだと申し上げておきます。 大臣が見えましたから大臣に聞きますが、いまここでせっかく出してきたものをそれは同感ですという答弁をしたら、直ちにこれは原案を政府で修正せんければならぬ。だから、恐らく同感はできないだろうけれども、こういう制度上の問題はこのままで正しいんだという意識では相ならぬということです。将来基準収入に最低下限は引き上げて、基準収入の少ない者は、千分の九十六であれば九十六に対する折半負担ですから、同率の負担にして、その差額くらいは何とか制度の中で見ていくというのがやはり社会保障の制度であると思います。これが第一点。 それから、第二点は、これから財源の再計算に入るわけですが、その結果について、掛金率で充足するということは、先ほどから申し上げたように、そういうことが起きた原因というのは別にあるわけです。先ほどから申し上げました理由によって、将来は厚生年金並みの方へ掛金を下げななればならぬと思います。だけれども、給付の面も多少いい面もあるわけですから、下げるという問題はここで強く主張いたしませんけれども、しかし、財源再計算をしてみても、片や厚生省の方は責任準備金という考えはありませんと言うのですから、ここでは責任準備金という考え方が強くて財源が充足されていないから掛金率を引き上げるということだけは断じて行うことは許せない。先ほど申し上げましたように、そうするとこの年金掛金によって、先の問題よりも当面の生活が破壊されていきます。遺族給付だとか、障害給付だとか、養老給付だとか、そんなことに到達する前に現実の生活が掛金負担によって破壊されるようなものではだめだということ、これが第二点です。 これは大臣の御意見をきちっと承っておきたいと思います。
○岡安政府委員 先ほどの第一点の下限の点でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、多少問題があることはもちろん私どもも十分承知いたしておりますけれども、それと同様に利点といいますか、わりあい高い掛金を払うということによる障害年金、それから遺族年金、一時金その他に対する利点もあるし、また、さらには、団体の職員の給与を一般的に押し上げるというような意味合いもあるということから、従来下限を毎年引き上げてまいりました。しかし、先生の御指摘もございますし、今後の改正等に当たりましては、下限に満たない者に対する措置というものはよく検討をするつもりでございます。 それから、二番目の点につきましては、ことしの三月末の時期を基準としまして財源率の再計算をいたすわけでございます。御指摘のとおり、現在非常に多額の不足責任準備金を持っておりますので、そのまま従来どおりの計算で財源率をはじきますと相当高くなるし、したがって、国庫補助等も従来どおりであるならば掛金率の方も相当高くならざるを得ないということは推測ができます。 ただ、私どもとしましては、御指摘のとおり、現在農林年金の掛金率というものは国鉄共済に次ぐ高位にございますし、やはり、なるべく掛金率を高くしたくないという気持ちは私どもも持っております。そこで、再計算の数字を見まして、財政方式の再検討、国庫補助のあり方等も総合的に勘案をするつもりでございます。
○安倍国務大臣 いま経済局長から御答弁申し上げましたように、この制度の内容につきましてはいろいろと問題もあるわけでございますし、将来改正するというような時点におきましてはこういう点についても考えなければならない点もあると思いますし、再検討の時期においても余り無理がないような形で対処していきたい、こういうふうに考えております。
○美濃委員 終わります。
○澁谷委員長 諫山君。
○諫山委員 農林年金が他の年金制度に比べて劣悪だし、労働者に不利益だということを私たちはいろいろな角度から今日まで指摘してきました。そうなっている大きな原因の一つは、農林年金適用労働者の賃金が安いということと、同時に、この問題と関連して、労働者に当然保障されていなければならない労働者としての権利がじゅうりんされているという問題を私は過去何回か問題にしてきました。 私の手元に、昭和五十年二月二十日付の農林省農林経済局長の名前で出された「農協における職員の労務管理の適正化について」という文書がありますが、これは農協での労働基準法違反を調査し、その結果を集約して改善を指導した文書のようです。ただ、数字の集約が、監督する側の労働省を通じて集約したものではなくて、監督を受けた農協側から資料を集めたということになっているようで、どれだけ正確性が保証されるのか、幾らか私は疑問を感じますが、それにしましても、農協で労働基準監督署から指摘を受けた違反事項が多岐にわたっており、しかも、違反件数も多数に上っているということが指摘されています。 数字を見ますと、たとえば違反事項の指摘を受けた農協の数は、昭和四十八年で二百四十三で、この内容は、是正勧告書または使用停止等の命令書を受けた農協の数であるという注釈が出ています。これだけたくさんの農協が、労働基準法違反の指摘としては一番厳しいと思われる是正勧告書または使用停止等命令書を受けているということは、依然としてこの問題が好転の兆しを見ていないということを示しているように思います。 そこで、労働省に聞きますが、私は、農協における労働基準法違反がよその職場よりも多過ぎるではないか、よその職場でもこんなひどい労働基準法違反が放置されているのかということを質問してきたわけですが、現時点における農協の労働基準法違反というのは全体としてどういう状況になっているのか、労働省から説明してください。
○岸説明員 ただいまの御質問でございますけれども、御指摘のとおり、農協の現在の労働基準法の遵守状況というのは一般の産業に比べますと確かに問題が多い。しかしながら、これは先年先生からも御指摘がございまして、私どもの方も相当力を入れまして、農林省または中央会を通じましての農協の努力によりまして漸次改善を見てきておる、と、このように私は見ております。
○諫山委員 違反事項の指摘を受けた農協数が、昭和四十七年度で二百四十四、四十八年度で二百四十三、と、確かに一件だけ減少していますが、それにしても基本的には解決の方向に向いていないと思うのです。 そこで、よその職場ではとうの昔に解決しているような農協特有の労働基準法違反がいまなおたくさん放置されているように思いますが、そういう農協における労働基準法違反の特色なり傾向というものは労働省ではどう見ていますか。
○岸説明員 確かに、一般の産業では大体改善をされておるようなものが農協ではなお問題として残されている点がございます。たとえて申し上げますと、割り増し賃金の最も基礎的な問題、たとえば計算基礎について誤りがあるとか、あるいは労働時間、休日につきまして、通常なら協定をすればこれは残業ができるわけでありますけれども、協定届けがなく残業をさせておるとか、あるいは女子の労働時間につきまして、これは時間外労働は一定の制限があるわけでありますけれども、その制限を越えてやらせておるとか、それから就業規則等が、これは出してはおりますけれども、変更届がきちんと出ておらないとか、あるいはこれはわりあいに少ない例でありますけれども、女子の深夜業があるとか、こういったようなことがあるという点が特色でございます。
○諫山委員 よその職場では基本的に解決しているような問題で、農協ではまだ未解決のまま放置されてというようなのが幾つか指摘されたわけですが、その中で、たとえば農協における物品販売の推進活動とか預金の推進活動という仕事に従事する労働者の労働時間をどう見るのかという問題を私は昨年よりも指摘しました。そして、各地の労働基準監督署がこの問題でどういう見解をとっているのかということを調べてみたのですが、現実に行われている農協での推進活動というのは労働基準法で言う労働時間として取り扱うべきだ、したがって、労基法三十六条に基づく協定がなければその仕事はやらせてはいけないのだ、また、協定があってその仕事をさせる場合にも法律に従って時間外手当を支払うべきだ、と、こういうのが第一線の労働基準監督官の共通した認識になっているようですが、この点は労働省も同様だと理解していいのでしょうか。
○岸説明員 これはたしか昨年でございますか、先生からの御質問に対してお答えしたと思いますけれども、原則としてこれは時間外労働でございますので、当然、協定その他をもってきちんと管理をするのが筋でございます。
○諫山委員 そこで、農林省の農林経済局長に質問します。 私は一昨年もこの問題を議論したし、昨年も議論して、またこれを蒸し返さなければならないというのは残念に思います。それでも、基本的にまだ解決の道が切り開かれていないからです。 そこで、この問題を行政指導する直接の責任者は農林省だろうと私は思うのですが、労働省の指導責任と農林省の指導責任の関係はどうなっているんでしょうか。
○岡安政府委員 労働基準法の施行を確保するというのは、これは労働省の直接の所掌事務だと思っておりますが、農協その他の農林業団体が各種の諸法令を遵守して適正に事業の運営を行うということの、その監督責任は私どもにある。そういう意味におきまして、農協等が労働基準法を適正に遵守して適正な事業活動を行うように、私ども農林省としましては、従前もいたしましたけれども、今後もより一層その監督指導に努めたいと思っております。
○諫山委員 私は安倍農林大臣の前でこの議論をするのは初めてですから後で総合的に農林大臣の見解を聞きたいと思うのですが、私が指摘した通達の中では、「農協の事業推進に当たっては、職員の適正な労働条件の確保に十分留意して、」云々ということが書かれております。非常に抽象的です。労働基準法という観点でこの点に触れる限り、農協で日常行われている推進活動というのは労働基準法上の労働時間に当たる、勤務時間外であるとすれば、これは残業だ、だから、労働基準法三十六条に基づく協定が必要だ、協定なしにああいうことをやったら処罰されるんだ、さらに、時間外推進活動に参加した労働者に対しては、労働基準法に基づいて割り増し賃金も払わなければならいんだ、と、こういう指導をしなければ改善されないと思うのです。職員の適正な労働条件の確保に十分留意せよというのでは余りにも一般的で、何のことかわかりません。 私がいま指摘したような観点から是正を指導しているのかどうか、局長、お答えください。
○岡安政府委員 先生は十分御承知かと思いますけれども、農協は農業者を組合員としている団体でございますので、農業者の労働の実態は、たとえば昼間はほとんどだれも家にいないというようなことその他がございますので、農協が活動する場合には時間外等にいろいろ仕事をするという場合があり得るということは当然のことと思っております。ただ、そういう場合におきましても、先ほど労働省の方からお答えがありましたように、時間外勤務であるというような考え方も当然でございまして、そういうような事業をする場合には三六協定等を労働組合などと締結をしてからやりなさいとか、それから時間外手当は正規にちゃんと払いなさいというようなことは私どももその都度指摘し、また、農協の中央会や全国の共済連等もそういう趣旨の指導文書を出して指導しているわけでございます。 先生の御指摘で、私の名前の五十年二年二十日の通達が非常に抽象的であるというふうに言っておられますけれども、やはり、指摘事項が非常に多いということにかんがみまして、それぞれ指摘事項の多い項目につきまして、たとえば記の三に、「指摘事項中、労働時間、休日及び深夜業に関するもの」については「労働基準法第三十二条、第三十五条、第四十条」というふうに指摘してございますので、私どもはやはり労働基準法に定められた正規の手続をとり、正規の業務運営をするようにという趣旨で指導していることは先生御指摘のとおりでございます。
○諫山委員 勤務時間外に推進活動をする、そのことがいいことか悪いことかということを私はこの場で論じようとは思いません。これは、労働組合のあるところでは労働組合がいろいろ取り上げることです。ただ、時間外に推進活動をやらせる限り法律上の手続を踏まなければならないし、法律上の賃金を支払わなければならないということを言っているだけです。私がいろいろと労働組合の幹部の人の話を聞いたところでは、この点の徹底はまだきわめて不十分である。そして、この問題こそがよその職場では余り見られない農協特有の労働基準法違反だと私は思います。 ところが、そういう状態が是正されているのかどうか、これを見ただけではわからないわけですよ。労働基準法第何条違反がありますとは出ておりますが、推進活動に対してどういう改善がされたかということは出ておりません。私は、この問題についてぜひ実態調査をしていただいて、そしてその結果を私に何らかの形で知らせていただきたい。改善が進んでおれば私もそれで満足しますが、改善が進んでなければもっと具体的にこの問題を掘り下げなければならないと思うのです。 ところが、いろいろと農林省の人に聞いても、うまくいっているはずですがねえと言う程度であって、どのように改善されているのか、実態はほとんどつかんでいないように思うのですが、どうですか、実態を調査して知らせてくれませんか。
○岡安政府委員 先生も冒頭でお話しがありましたように、農協が時間外その他に推進活動するということの是非は論じないとおっしゃったと思いますけれども、私ども、農協が正常な活動をする場合には、通常の企業とは別に、時間外に、たまたま深夜に及ぶこともやはりあり得るというふうに思います。ただ、御指摘のとおり、そういう場合に時間外労働をするに当たっては、たとえば三六協定を労働組合等と結ぶとか、それから時間外勤務をした場合には正確に台帳にこれを記入して割り増し賃金を払うとか、そういうような手続が事前に行われなければならないというふうには考えております。 そこで、御指摘のそういう手続が十分にあらかじめ行われてそういう労働がなされているかどうか、従来の調査で不備な点があれば、さらに補足調査をして御報告をいたしたいというふうに思っております。
○諫山委員 私はなぜこの問題にこだわかるといいますと、最初に私がこの点を質問したときには、農林省は時間外に行われる推進活動が労働基準法上の労働時間だという認識がなかったと思います。いろいろと、あれは強制しているんじゃないからとか、労働者が自発的にやっているんだからとか弁解をしながら、三六協定を結ばなければならないんだということを農林省は認められなかった。いまではその点を認めておりますから、これは前進です。しかし、実際にそのとおりやられているかどうかという実態になるとどうも農林省はつかんでいないようですから、ぜひこの問題に限って実態を調査してお知らせ願いたいと思いますが、いいでしょうか。
○岡安政府委員 できるだけ早く調査したいと思っております。
○諫山委員 次に、この報告書で指摘されているもう一つの問題点は、時間外労働が非常に多いということです。ところが、時間外労働に対してはまともに法律どおりの賃金が払われていないことがたくさんあるように思います。特に、女子の場合には深夜労働というような別個の問題が出てくるのですが、そこで、この点を明らかにするためには、労働基準法に基づいて雇い主が賃金台帳を備えつけ、記入することが義務づけられておるのだが、しかし、私の調査によれば、賃金台帳がろくに書かれていない。だから、労働者が時間外労働をしているのに、何時間の時間外労働をしたのか計算もできない。そのために、たとえば裁判所で割り増し賃金の請求をしようにも証拠がないということで認められない仕組みになっているところが多い。これは労働基準法違反の中でも最も悪質な初歩的な違反である。少なくともこの点は直ちに改めらるべきではないかと私は問題を提起したつもりですが、依然として賃金台帳の調整とか記載にまだ問題があるような指摘がされているのですが、実情はどうなっておりましょうか。また、どのような指導がなされたのでしょうか。
○岡安政府委員 賃金台帳の不整備というのは、違反といいますか、指摘事項の中には多い方の部類に入っております。これは悪質というのはいかがかと思いますが、初歩的な問題であるには違いございませんし、管理者の方が労働基準法その他の労働関係法令の知識が未熟であるという点もあろうかと思います。それに加えまして、これは私名の通達にも書いてございますけれども、農協の労働時間につきましては管理体制が不備であることのほかに、農協の業務内容の特殊性から労働時間等の明確な把握が困難であるという面もあります。しかし、それは困難であるからといって放置されてはならないというふうに考えておりますので、それらはやはり業務の実態を十分把握し、実態に即した就業規則の整備と賃金台帳の記入を行うように工夫をこらせということを通達にも書いてあるわけでございます。 私どもは、これはなかなか困難な面があるとは思いますけれども、放置をするつもりはございません。
○諫山委員 農林大臣に質問します。 いまの説明の中でもあったように、農協というのはよその職場と違って労働時間の把握などがなかなか困難な事情もあると、農協の職場の特殊性ということを従来からいろいろと強調されるのですが、こういう特殊性、困難性があればあるほど法律どおり厳格にやることが必要になってくるわけです。従来からの論争で明からになっているのは、農協というのはたとえば運送会社とか病院などと同じように、日本の職場の中でも最も労働基準法が守られていない職場の一つだということが労働省から指摘されております。そして、私が指摘した通達を見ても、非常に初歩的な労働基準法違反というものがずっと続いている。これが労働者の賃金が非常に安いということと無関係ではないと私は思うのです。何回となくこの点の改善を歴代の農林大臣に要望してきたのですが、余り改まっていないように私は思うのですが、安倍農林大臣、いかがでしょうか。
○安倍国務大臣 農協の職員の活動、労働というのは、その相手が農業、農業者でございますから、農業の季節性あるいは農業の労働の実態等から見て普通の職場の活動とはおのずから違ったところがあるし、いま御指摘のように特殊な面があるというふうに思うわけでございますが、そういう中にあっても労働基準法等の法律はやはり厳格に守っていかなければならぬわけでありますし、局長の通達も、いろいろな困難性はあっても法律は守るべきであるという趣旨のものであろうと思っておるわけでございます。 われわれも農協を監督する行政官庁としての責任から、こういう法律については今後とも厳格にこれを遵守するように積極的に指導してまいりたいと思います。
○諫山委員 私は長い間労働者のための弁護士としてこういう問題に取り組んできた立場からも、いまなお農協で放置されているような状態を黙って見ておくわけにいかなかったのです。大臣も局長も改善に努力するというふうに言われておりますから、次の国会で私がこういう問題に触れなくて済むような改善をぜひ期待したいと思います。 ところで、社会保障制度審議会が本年二月七日付で答申を出しました。「昭和五十一年度には、わが国の年金制度の総合的な見直しが行われると伝えられているので、共済年金関係も当然それに応じた大幅な改正が行われなければならない」となっておるわけですし、そして、五十一年度までに農林年金も抜本的に見直しをするのだということが言われているし、これは期待されているわけですが、この見直しはどういう方向で行われているのか、どの程度進捗しているのか、局長の方から御説明ください。
○岡安政府委員 農林年金も各種共済制度の一つでございますので、ほかの共済制度の制度改善の検討の進捗状況等は私ども各省とも十分連絡をいたしまして把握をしておりますし、また、今後とも行方はよく見定めまして、農林年金がほかの共済制度からおくれをとることのないような、そういう方向で制度改善をしようというのがまず一点でございます。 それから、もう一つは、農林年金におきましては、毎度申し上げますようにことしの三月末時点で財源の再計算を行います。私どもはその数字を踏まえまして農林年金の今後の制度改正に取り組むというふうなつもりでございます。
○諫山委員 きわめて抽象的な具体性のない答弁で、どういうことが検討されているのか、これでは予測がつきません。私は、どういう方向で検討しなければならないのかということではすでに基準が示されていると思います。たとえば昨年の国会で五項目にわたる衆議院の附帯決議がなされておりますが、この中では、国庫負担率をふやせとか、組合員の掛金を減らせとか、そのほか自民党から共産党まで一致した附帯決議があるわけです。この附帯決議というのは、国権の最高機関が農林年金というのはかくあるべきものだということを示しているのですから、農林省の見直しの方向としては当然この立場で行われることが憲法のたてまえでもあるし、正しい議会と行政機関のあり方だと思うのですが、附帯決議で決められたような方向での見直しがどの程度進んでいるのか、御説明ください。
○岡安政府委員 附帯決議の内容を大ざっぱに分けますと、農林年金独自で検討が進められる事項と、それからほかの共済とも非常に関係がございますので、ほかの共済の検討とあわせて検討しなければならない面もございます。また、附帯決議の中には、国庫補助率の増額その他の助成の充実増額の問題もございますが、先ほど申し上げましたとおり、これらは財源率の再計算の結果を踏まえませんと、どの程度どうすべきであるかということも出てこないということにもなります。 そこで、私どもは、農林年金法の改正の際に衆参両院で決議をされました附帯決議の内容は十分踏まえまして、当然その上で制度改正に取り組むということは御指摘のとおりでございます。 〔委員長退席、今井委員長代理着席〕
○諫山委員 附帯決議は、年金に共通な問題よりか農林年金固有のものが大部分なんですね。そして、国の補助率を百分の二十以上に引き上げろということが明確に出ているのに、いままでの政府の答弁を見ると、このことは全く問題にもしていないように聞こえます。また、「掛金の負担割合について、組合員の負担軽減の方向で改善措置を検討すること。」ということを国権の最高機関である国会が決めているのに、行政の実務処理ではどうもこの方向が問題にもされていないように聞こえるのです。本当にこの立場で農林年金の見直しを進めているのでしょうか。だとすれば、どういう方向がすでに見出されているのか、御説明ください。
○岡安政府委員 先生のお言葉ではございますけれども、農林水産委員会の附帯決議を問題にしないというような態度ではございません。たとえば、結果的には今回の法律提案におきましても給付に要する国の定率補助の改善はできませんでしたけれども、毎年の予算要求等におきましては現在の一八%の補助率を上げるように、また、財源調整費の増枠等につきましては、予算要求をいたしまして大蔵当局と最後まで折衝はいたしました。ただ、諸般の情勢といいますか、結果的には見送るということになったわけでございますが、私どもは、この附帯決議の内容につきましては、この実現方に従来からも努力しておりますし、今回の根本的な制度の見直しに際しましては当然頭に入れまして、その実現方に努力をするというようなつもりでございます。
○諫山委員 財源の再計算ということから当然出てくるであろうと予想されるのは、組合員の掛金率をふやすか、あるいは国庫補助をふやすとか、こういう方向しか解決策はなかろうと思うのですが、私たちは年金の給付を引き上げることにはもちろん賛成、しかし、掛金をふやすということには絶対反対、とりわけ農林年金の場合には、現在でさえ他の年金に比べて非常に掛金が高いというような状態ですから、この矛盾を解決するためには、局長は首をかしげておられますが、国庫負担をふやすしがなかろうと私は思うのです。そういう点からいくと、農林省だけでは解決しない問題かもしれませんが、農林年金というのはいまなおこういう状態に置かれているんだ、これ以上掛金をふやすようなことになれば、ますますアンバランスが極端になってくるんだ、もっと国庫負担をふやすべきなんだということは大蔵省と強力に交渉しているのですか。
○岡安政府委員 国庫補助率の増枠につきましては、先ほど申し上げましたように定率の補助のほかに財源調整の補助につきまして、これは毎年大蔵省と交渉をいたしております。ただ、私が申し上げましたのは、組合員の掛金率は低ければ低いほどよろしい、給付は高ければ高いほどよろしいというようなぐあいには、共済制度の仕組みから言ってやはりなかなかむずかしい点がありますということで、そこで、必要な国庫助成を獲得するためには、財源率の再計算によりまして、年金の置かれている現状はどうであるかという基礎に立って、財政方式の再検討も含めて対処をしたいというふうに考えているわけであります。 給付は上げる、掛金は上げない、方式はそのままと言えば、先生のおっしゃるとおりあとは助成をふやすしかないというふうになりますけれども、それらいろいろと検討すべき点もまだ多々ございますので、総合的に検討するというのが農林省の現在の立場でございます。
○諫山委員 私たちは、わが国の年金制度そのものに根本的な欠陥があると思っております。しかし、その中でも農林年金というのは不十分という立場でいまの議論を展開しているわけですが、たとえば掛金が組合員にとって非常に重い、耐えられない状態だということから使用者側と組合側の交渉がいろいろと行われて、労働者に掛金の負担が余り大きくかぶさらないようにということでいろいろな打開措置が現実に講ぜられていることは御承知だと思います。 ただ、使用者によっては、何かそういうことをすることが法律に違反するかのような反論をして交渉がうまくいかないというような例があると聞いております。私は、現に行われているようなやり方というのは法律違反ではないし、農林省がそれに妨害的な指導をすべき性質のものではないと思っているのですが、どうですか。
○岡安政府委員 先生の御指摘は、組合員とその雇用者である農林漁業団体の負担割合、いわゆる折半負担の問題を御指摘でございましょうか。
○諫山委員 そうなんです。
○岡安政府委員 これは法律に、「折半して負担する。」と書いてございますので、法律はそうすることを期待しているわけでございます。 ただ、御指摘のとおり、若干の農林漁業団体におきましては五〇、五〇ではなくて、雇用主の方が組合員である被用者よりもよけい負担をしているという例はございます。私どもは、やはり、法律に「折半して負担する。」と書いてあるのが、いわば農林年金の掛金負担の場合の正常な状態であろうというふうに思います。これが折半ではなくていずれかによけいな負担があるということはこれはやはり農林年金が期待をしている負担の状態ではないというふうに思っております。 ただ、それを法律違反であるから是正しろというような指導をすべきであるかどうかという点につきましては、私ども、これは是正措置を講じる、法律違反であるかこれは直せというような指導をすることは必ずしも現在考えてはおりません。 ただ、折半負担でない場合には、たとえば雇用主が折半を超えて負担している部分は、いわば実質的には給付になるというふうに考えられますので、それぞれ給与の計算、掛金率の計算等に当たっては、正常な状態を前提とした計算その他が行われるべきであるというふうに考えてはおります。
○諫山委員 私は質問の中でわざと折半負担という表現を避けたのですが、あなたが折半負担と言われましたからそういう立場で議論しますが、私がいまここで問題にしたいのは、現在各地の農協で行われているようなことを、あれはいけないのだという指導はしないのかということです。これはするべきではないし、いわゆる折半負担の原則を逸脱しているかどうか、そのものに非常な問題があるわけで、いま行われているようなことに対して農林省はよけいな干渉はすべきではなかろうということを言ったのですが、いかがですか。
○岡安政府委員 よけいな干渉をするつもりはありませんけれども、やはり、折半負担が原則である以上は、それが原則であるという指導は今後ともするつもりでございます。 ただ、折半負担でないものにつきまして、それが法律違反であるということを理由として是正をしろという指導をするつもりはございませんということを申し上げたかったわけであります。
○諫山委員 問題は、いま行われていることが折半の原則に反するかどうかということなんですが、これは微妙な問題だし、私はこれ以上深入りしようとは思いません。しかし、とにかくこういうことが行われるようになっているというのは、掛金が高過ぎるという現実の反映だという点は農林省の方が十分認識しなければならないと思います。そして、こういう問題を抜本的に解決するためには、初めに言いましたように、掛金をもっと減らし、同時にまた国庫負担をふやすということこそが根本的な解決だという点を検討していただきたいと思います。 さらに、幾つかの農林年金の運用について質問します。 昨年の農林水産委員会で、「在職支給の制度を確立すること」ということが請願で採用されております。これは実態を調べてみますと、農協で働いて五十五歳の定年で退職する、ところが、またその人が同じ農協に再雇用されるという場合が多いわけです。これはよその職場に比べて異常なくらい多いわけです。国家公務員ですと、国家公務員を定年退職になってまた国家公務員になるというようなことはほとんどあり得ないわけですが、農林年金の場合には、定年退職後も同じ農協で働くということが多い。そうすると、賃金は平均して三割以上低くなっているのに年金がもらえない。この矛盾をどう解決するのかということが非常に切実な問題です。定年退職後それまでと同じような給与が保障されれば別ですが、平均給与は六八・五%にすぎなくなるという数字が出ております。私は、これは現在の年金制度の運用の中から生まれてきた切実な矛盾ではなかろうかと思うのです。そして、農林年金にこのケースが一番多いということもいろいろ調査の結果明らかになっております。これを改善してもらいたいというのが労働者の要求だし、農林水産委員会の請願の中にもこれが出てきて決議されたわけですが、これはどういう方向で改善策を講じておられましょうか。
○岡安政府委員 御指摘のとおり、農林年金は特定の職域を対象とする職域年金でございますので、ある特定の農協を退職した者が、たとえば農林年金の会員である他の林業団体、漁業団体、土地改良区等に就職をすれば、これはやはり同じ職域で仕事を継続しているということで年金の給付の対象にはならないわけでございます。現在の農山漁村の実態を考えますとそういうケースが相当あるし、今後もあり得るというふうに考えまして、私どももこれはひとつ検討しなければならない問題だというふうに思っております。 ただ、非常に検討いたしておりますので多少その問題点を申し上げたいと思いますけれども、農林年金の特定の職場で二十年以上勤めまして、それから他の同じ農林年金の職域の職場に勤めるということになりますと、当然のことながら年齢が高い状態で、要するに高年齢の状態でもって就職をするということになるわけです。厚生年金ではそういうことが認められますけれども、厚生年金の支給開始の時期は六十歳、農林年金は五十五歳、そうすると現在の支給開始はそのままでいいのかという問題が出てまいります。厚生年金の場合には、一般的な老齢年金の支給開始は六十歳ですけれども、在職支給開始は六十五歳になっているわけです。もちろん六十歳から六十四歳の間でも、給与が低額のような場合には割引をいたしまして給付をするという制度もありますが、こういう在職支給制度を認めるという場合には、本体の年金の給付開始の年齢を引き上げなくていいのかという問題も当然この際検討しなければならないわけです。 それから、こういう在職支給制度を仕組みますと、当然のことながらこれは財源率にはね返ります。やはり掛金負担がふえるというかっこうになるわけで、掛金負担がふえてもなおかつこういう制度を導入した方がいいのかどうかということも当然検討に値するし、それから、他の共済制度も在職支給制度は認めておりません。そこで、他の制度との関連をどうするかというようなことがございますので、私どもも問題の所在は十分認識しているつもりでございますが、そういうような問題点の解明をいたしまして、できるだけ早く結論を得たいというふうに考えておるわけでございます。
○諫山委員 これは制度に関係がありますから、簡単に解決できない問題であることはわかります。ただ、農林年金の場合にこの矛盾が一番激しくなっているということで、農林省に特別の使命感を持っていただきたいと思っております。 農協で長い間働いて、そして定年でやめた。よそで働けば年金がもらえる。農協なんかと全く関係のないところで働けばもらえる。しかし、農協で働いている人は、あなたがよく言われるように、そろばん勘定を抜きにして、使命感にとらわれて、日本の農業の発展のために、農民のためにといって働く人がたくさんおられるわけです。こういう人たちが年金をもらえないというのは何といっても一つの矛盾ですから、特に農林省関係でこの矛盾が激しくなっているということを認識していただいて、年金一般の問題としてじゃなくて、農林年金固有の難問題として、これは一日も早く解決するということを要望いたします。 次に、農林年金の資金の運用の問題です。農林年金中央共闘会議がつくった「農林年金改善のてびき」では、「資金運用はどうなっているか」という項を設け、われわれの資金が主として大企業優先に使われている、けしからぬことだということを口をきわめて非難しております。私はもっともなことだと思うのです。 そこで、現在の制度によっても資金の十分の二までは福祉事業などに回せるということになっているわけなんですが、実際は、たとえば他経理長期貸付金という項に回されている金額の比率は年々低下の傾向にあるということが統計的に明らかになっております。組合員が非常に苦しい生活の中から掛金を掛ける。ところが、その資金が自分たちのために余り運用されない、運用比率が年々低下してくるということが問題になるのは当然だと思います。なぜこの比率が年々低下してきたのか、ぜひ納得のいく説明を私は聞きたいと思います。 たとえば他経理貸付金をパーセントで調べてみますと、昭和四十二年度が七・一、四十三年が九・六、四十四年が一〇・九、四十五年が一一・三、ここまでは上昇してきております。ところが、四十六年が一一・一、四十七年が一〇.七、四十八年が一〇・二というふうに、四十五年をピークにして低下の傾向にあるわけです。どうしてこの割合を減らすのか、ぜひ御説明願いたいと思います。
○岡安政府委員 農林年金の余剰金の運用のうち、他経理への貸し付けのシェアは先生御指摘のとおりの経過をたどっているわけですが、先生が一番問題にしておられますのは福祉事業への運用の状況だと思います。 福祉事業への運用の状況は、運用資産全体のシェアから見まして、四十九年度で一三.九ということになって、これは額としまして三百四十九億三千九百万円というふうになっているわけです。このシェアも、四十五年度が一五・六、四十六は一六・一、四十七が一五・三、四十八が一四.三ですから、シェアとしては確かに落ちております。ただ、その内容を検討してみますと、減った主な理由は、団体貸し付け、いわば農林年金のメンバーである農協とか森林組合とか、そういうものに対します貸し付けが減っております。それから、宿泊施設に対する貸し付けがやはり減っております。ただ、組合員貸し付けが大宗をなすわけでございますが、組合員貸し付けはそんなに減っておりません。四十五年度の金額で言いますと百九億六千九百万円が、四十九年度は二百二十六億三千八百万円。もちろん運用資産がふえておりますから、四五年度のシェアが九・二に対して四十九年度は九・〇というふうに多少変動はありますが、組合員貸し付けにつきましては、これは額として四十五年度−四十九年度で二倍以上にふえているということでございます。 運用の方針としましても、私どもは福祉事業への運用については制限をいたすつもりはございませんので、要望があればその要望にこたえて充足をするというような態度で従来も対処してまいりましたし、今後もそういうつもりで対処してまいりたいというふうに思っております。
○諫山委員 現在は福祉、福祉と、何かと言えば福祉、福祉になっているわけです。そういう中で福祉に対する率が減ってくるということはとんでもないことで、こういうものは年々ふえていくということが常識だし、政府もそういうことを口では言っているはずなんです。たとえば宿泊施設への資金が減ったことは、このこと自体が問題ですが、だとすれば、当然その分は組合員個人の方にもっと融通できるようにするというふうな措置をとるのが当然だと思うのですが、この問題では組合員と年金当局といろいろ団体交渉が行なわれております。そして、昨年九月十三日に年金当局から、昭和五十年度実施を目途にこの点の検討を進めるという回答がなされているようですが、貸し付けについてどういう改善策が検討されているのか、あるいは決められているのか、御説明ください。
○岡安政府委員 いま農林年金当局で検討しておりますのは、福祉貸し付けの条件の変更でございます。それは一般、育英、住宅等につきまして貸し付け限度を上げるという方向で検討がなされているというふうに聞いております。
○諫山委員 貸し付け限度は幾らにする見通しでしょうか。 さらに、保証人とか償還方法についてももっと借りやすいようにしてくれということが組合員から提起されておりますが、いかがですか。
○岡安政府委員 これは私どもが決めるのではなくして、農林年金当局が決めるわけでございますが、私どもの聞いておりますのは、一般貸し付けにつきましては現在の最高限度三十万円を五十万円、それから育英につきましては一年につき八万円を一年につき十二万円、それから住宅につきましては最高三百万円を最高五百万円というような方向で検討がなされているというように聞いております。
○諫山委員 災害貸し付けについてはどうですか。
○岡安政府委員 災害貸し付けは、限度等の改定は検討されていないようでございます。
○諫山委員 福祉のためにはもっともっと資金を使っていいという法令の仕組みになっているわけですが、予算上の理由を持ち出して貸し付けに応じないというようなことはしないんでしょうか。言葉をかえれば、貸し付けを希望する、借り受けを希望する、そして借り受けに必要な資格を備えている、条件も整っているということになればみんな貸すというふうに運用していただけるんでしょうか。
○岡安政府委員 従来からそういう方針で運用しておりまして、当初の予定の枠が不足する場合には追加更正をいたしまして御要望にこたえるというような運用をしていると聞いております。
○諫山委員 そうすると、予算が足りないからということは貸し付けをしない理由としないということになるんでしょうね。
○岡安政府委員 従来そういう理由で貸し付けをお断わりした例はないというふうに聞いております。
○諫山委員 貸し付け限度額を引き上げる方向がいま説明されましたが、これはいつごろから実現する予定ですか。
○岡安政府委員 ことしの十月一日からと聞いております。
○諫山委員 もっと借りやすいようにしてもらいたい、保証人とか償還方法についても検討し直したいということが交渉の中で組合員から提起されておりますが、この点は検討いただいておりましょうか。
○岡安政府委員 これは安全、確実、有利に運用してもらわなければ困るという方針がございますので、当然保証ということも抜きでは貸し付けができないわけでございますが、手続その他を簡素化する意味におきまして、いわゆる貸し付けの保証制度を導入するということで、したがって若干貸し付け利率は上がりますが、借りやすいような方向でこれも検討しているというふうに、特に住宅資金についてそういう検討がなされているというふうに聞いております。
○諫山委員 資金運用でもっともっと組合員の福利の面に金を使っていただくということが時代の要請でもあるし、また、厳しい中で掛金を掛けている組合員の当然の要求になっているんですが、それにしても、この資金の大半が大企業優先に使われている。このことを労働者が問題にしているし、私もそういう問題提起が出るのは当然だと思います。もっとも、農林省に言わせれば決して大企業優先ではありませんというふうに事務レベルでは説明を受けているんですが、もっとこの比率を根本的に検討し直すということは考えていませんか。
○岡安政府委員 先生の御指摘は、運用資産のうち七割ぐらいが有価証券に回っているということを御指摘になっていると思うのでございますけれども、先ほど申し上げましたように、この運用資金というものは将来の支払いに備えた準備金であるわけでございまして、これは安全確実かつ有利に運用しなければ、やはり将来の掛金負担にも影響があるということでございます。そういう面で運用を行うように指導いたしておるわけでございますが、だからといって、福祉貸し付け等を圧迫するというような運営は許されるべきではない、と、私どもはそういうつもりでやっているわけでございます。したがって、現在の運用が非常におかしいというぐあいには私どもは考えておらないわけでございます。 〔今井委員長代理退席、委員長着席〕
○諫山委員 これはわが国のすべての年金に共通して言える問題ですが、安全という点から見れば、もっともっと組合員の役に立ちながら、しかも安全性が保障されるということは幾らでも可能なわけで、やはり、いまの制度を不動のものと考えずに、福利充実というような観点からもっと抜本的な検討をすることが必要な問題だということだけを指摘しておきます。 いずれにしましても、年金制度を改善しようというのは選挙のときの自民党の公約でもあるし、政府も口ではこのことをいつも言っているわけですから、本当に農林年金という具体的な場でそのことを生かしていくということが大事だと思います。 とりわけ、私は、このたびの質問に当っていろいろ調査しながら一番痛感したのは、国会での附帯決議が果たして行政当局に尊重されているだろうかということです。まあ、これは形としては議会の議決ですから一番効力は強いはずですが、しかし、実際の行政ということになると、そういう高次元の議論じゃなくて、予算がどうかとかこうかとか、何か、そういう附帯決議と全く別なところで作業が進んでおるような感じがしてしようがないのです。しかし、政治のあり方から見れば、国権の最高機関というのは憲法の規定ですから、立法機関がこういうことをきめる。そうすると、それをどのように忠実に行政面で生かしていくのかということがあなたたちの仕事だ。これが原則であるわけですが、どうもそうなっていないということに私は非常に根本的な疑問を感じたのです。 そういう点で、何十年間とつくり上げられた行政の枠の中だけで物事を考えるのじゃなくて、本当に憲法のたてまえから国会と行政機関のあり方という観点にさかのぼりながら年金制度の抜本的な改善を検討するときに来ておると私は思いますが、当面の責任者である局長はいかがでしょう。
○岡安政府委員 確かに、農林年金は数次の改正を経まして内容は充実し、整理されてきておると思いますけれども、一面、制度そのものにもなお改善の余地があり、特に、財政問題につきましては根本的に見直さなければならない時期に来ておるというふうに考えらます。 そこで、私どもは、毎年のごとく農林年金関係法律の改正に際しまして国会で御審議をいただき、その都度御意見も承り、また、附帯決議もいただいておるわけでございますので、それらを十分踏まえまして根本的な改正に取り組んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○諫山委員 終わります。
○澁谷委員長 この際、午後一時二十分再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時三十四分休憩 ————◇————— 午後一時二十三分開議
○澁谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。瀬野栄次郎君。
○瀬野委員 農林年金の一部を改正する法律案について、農林大臣に質問いたします。 本法については、昨六月十七日に当委員会で農林省並びに厚生省に全般にわたって政府の見解をただしてまいったところでございますけれども、特に重要な点をはしょって農林大臣にお伺いいたしたいと思います。 局長から一応の答弁はいただいた点もございますが、大臣が本日出席されましたので、特に重要な部分について質問するわけでありますが、まず、最初に、わが国の年金制度は経済情勢の変動の激化で長期的な社会変動に対応できる制度の設計が要求されておるわけでございますが、このときに当たりまして、一年早めて昭和五十一年度には総合的な見直しが行われることになっておりますが、農林大臣は農林年金について長期的展望に立ってどう対処される方針で検討をされておられるか、この点最初にお伺いをいたしたい、かように思います。
○安倍国務大臣 農林年金制度につきましては、これまでも他の共済制度におくれをとることなく所期の目的を達成するよう、その内容の改善、充実に努めてきたことは御存じのとおりでございます。厚生年金、国家公務員共済について、最近それぞれ制度改正の検討が進められておるということを聞いておりますが、農林省としてもこの検討状況を踏まえ、関係各省とも十分協議し、農林年金がその本来の目的であるところの農林漁業団体の職員の福利厚生を図り、これら団体の事業の円滑な運営に資するよう制度改正問題に取り組んでまいりたいと考えておるわけでございます。
○瀬野委員 次に、昨日も岡安農林経済局長にもいろいろお尋ねをしたわけですが、農林年金法の年金額の改定のところで、第一条の二に、「この法律による年金たる給付の額は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、すみやかに改定の措置が講ぜられなければならない。」とあるわけですけれども、これについては局長からもいろいろ見解が述べられました。「国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、」云々とありますけれども、こういった場合はどういうことを考えておるか。 同時に、この第一条の二に続いて第三を新しく設けて発動基準を法に明確化するとともに、自動改定のいわゆるスライドの措置が行えるようにすべきじゃないかということを、来年度、すなわち五十一年度の総合的な見直しを前にぜひ検討して、大臣もこれに力を尽くしていただきたいということできのうから農林省に質問申し上げておるわけですが、これに対して局長からは、今後検討をしていきたい、なるべく早い機会に検討を進めるというような意味の答弁があり、これについては物価または賃金とするか、何がベターであるかというようなことが問題になる、財源の問題等もこれありということでいろいろお話しがあったのですけれども、これについては例年問題になる重要な点でもございますし、来年度は特に総合的な見直しが言われているときでもございますので、大臣としても確たる決意でこの際前向きにぜひ検討をしていただきたいと思うがゆえに再度質問をするわけでございますけれども、それについて大臣のお考えを承りたい。
○安倍国務大臣 年金改定の発動基準を明確にせよという御趣旨であろうと思いますし、また、その中には自動スライド制等もはっきりしたらどうかという御意見でもあろうかと思うわけでございますが、厚生年金におきましては、四十八年度の制度改正によりまして、前年度の消費者物価指数が五%を超えて変動した場合にはその率を基準として年金額の改定を行う、いわめる自動スライド制が導入されておることは御存じのとおりであります。農林年金を含む共済制度においては、前年度の国家公務員の平均給与改定率を用いて年金額の改定を実施しておることも御存じのとおりでありますが、この農林年金についての改定の方式というものは大体定着をしておるのではないかというふうに考えております。 さらに、改定時期につきましても、四十九年度は九月、五十年度には八月というように繰り上げ改定をしてきておるということでもあるわけでございまして、厚生年金に準ずるところの自動スライド制の導入につきましては、指標あるいは財源等の問題につきまして慎重な検討も必要であると思いますので、この辺は共済制度共通の問題として、関係各省との間の調整も行いながら検討をしてまいりたいというのが基本的な考え方でございます。
○瀬野委員 さらに、この新法と旧法との格差是正の制度改善の問題があるわけですが、これも例年当委員会で問題にしてきておりますけれども、これに対しては前進の跡がなかなか見られません。 農林年金には御存じのように三つございまして、まず一つには新法、一つには旧法、もう一つには昭和四十四年に旧法、新法の格差是正のための年金改定法の設置がなされたわけでございます。この三法があるわけですが、同じ法律で同じ適用を受ける条件でありながら格差があるということは私は黙認できない、と、かように言っているわけであります。これは各委員も先日からの質問でそういったことを言われておりますが、これまた来年度大幅な総合的な見直しがされるときに当たりまして、農林大臣としても年金の総合的な見直しという点から十分に検討していただきたい。この機会を逸しては、またずるずるになっていくのではないかと思うし、この辺についてはいずれ解決しなければならない問題であるので、この際思い切った検討をしていただくように提案申し上げるわけです。 他の年金との関係とかいろいろあることも十分承知しておりますけれども、事実、農林年金については、救われないかわいそうな人がまだたくさんおるわけでございますし、農業の基本的なもの、いわゆる国民の食糧の基本的なものをつくっている重要な立場であるので、将来にわたっての人材育成、確保の意味からもぜひこういったことをなくして、喜んでいそしめるようにやってもらいたいと思うわけですが、これに対する大臣のお考えをお聞かせいただきたい、と、かように思うわけです。
○安倍国務大臣 御承知のとおり、農林年金制度は法の制定時の国家公務員共済組合制度に準ずる給付内容でもって発足したわけでありますが、その後の国家公務員共済組合制度の改正に準じまして、昭和三十九年度に制度改正が行われて、改正前と改正後とでは新法と旧法とに区別されまして、給付内容にも差が生じておりますし、また、御指摘のように、遺族年金についても旧法年金は遺憾ながら不利となっておることは否めないわけであります。 その間、政府としても、わずかではありますが、新法、旧法の格差是正には努力もしてまいったわけでございます。しかし、まだ依然としてその間に不利な情勢にあることはそのとおりであろうと思うわけでございます。 この取り扱いにつきましては、これは各共済制度とも共通をしておるわけでございますから、農林年金だけで新法、旧法の差別をなくするということはなかなかむずかしい問題もあるのではないかと思っております。したがって、今後これは共済制度全般の共通の課題でございますから、共通の課題として格差是正のためにはわれわれも努力をしなければならないし、努力をしたいと考えておるわけでございます。
○瀬野委員 この問題は他の共済との関係もあるし、共通の課題であるから今後努力したいということでありますけれども、いままでの経緯を見てみますと農林省が努力したこともわかるのですけれども、なかなか見通しが立たぬような状況で、その努力の跡が結果として出ないということを私たちは残念に思うわけです。毎年問題になることでありますが、特に来年度五十一年度は総合的な見直しという大きな節にも当たっておるわけでありますし、予算時期に入ってくるわけだから、ただいまから早速に検討をされて、ひとつぜひとも御検討いただきたいということをさらに強くお願いをしておくわけであります。 さらに、通年方式について大臣にお伺いしておきますけれども、給付が厚生年金以下となる者を救う措置として昨年から通年方式が導入されたことはまことに結構なことでありますし、われわれもこれについては昨年の委員会でもこういった問題の適用を迫ってきたわけでありますが、そこで、この制度も新法のみの適用で旧法にはないわけでございますので、ぜひ旧法適用者にも通年方式を適用するように検討を願いたい、とこのように大臣にお願いするわけですが、農林大臣はどのように考えておられるか、御見解を承っておきたいのであります。
○安倍国務大臣 この問題も、新法、旧法の格差是正の問題と同じことであろうと思うわけであります。昨年から新たな算定方式が導入をされておるわけでございますが、新法の年金者だけに適用されておる、したがって旧法の年金者にも適用されるべきであるということ、これもやはりその他の共済制度とも共通な問題でございますから、共通の問題点として、努力目標としてわれわれはこれを取り上げていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○瀬野委員 ただいまの通年方式で、さらに大臣にぜひとも御検討いただきたいことがあります。御承知だと思いますが、農林年金受給者の特に関心の深い問題で、昨日も局長にもいろいろ見解を承ったのですけれども、さらに大臣にお伺いして御検討いただきたいと思うのですが、それは、五十年三月末現在で農林年金の新法総年金者数が四万一千七百三十七人おるわけです。その中で、共済方式の該当者が三千二百四十五人です。ところが、ただいま申し上げました通年方式の該当者が三万八千四百九十二人で、全体の九二・二%もおる。この中で百分の七十の頭打ち該当者が一七・五%もおられる。さらには、最低保障額の該当者が四千六百八十五人ということになっております。そのほか旧法の総年金者数が千九百四十八人というふうになっておりますけれども、その中で特に気の毒なのは百分の七十頭打ち該当者が一七・五%もおられることです。これをぜひとも救ってもらいたいということと、最低保障額の該当者が四千六百八十五人もおるわけですけれども、こういった低額年金受給者の救済、改善のために、何らかの措置を考えていただきたい。これも来年では遅いので、いまから、予算編成時期に入ってまいりますから、できれば十分当局を督励指導していただいて、五十年度の財源見直しの際に、来年の五十一年度の大幅改正のときには何とかこういったことが救われるようにぜひとも救済法を検討していただきたい。このことを強くお願いしているわけです。 これまた他の年金とのつり合いというようなこともあるのですが、そんなことばかり言っておってもいつまでも改善できません。農林年金の置かれている意義を十分踏まえて、大臣の格段の努力をお願いしたい、と、かように私は思っているわけですが、この点について大臣の見解を改めてお伺いしておきたい。
○安倍国務大臣 退職年金額の算定に当たりましては、組合員期間二十年で平均標準給与額の百分の四十とされ、二十年を超える場合には、超える一年につきまして百分の一・五の率が加算されるわけでありまして、支給率百分の七十で頭打ちされておることはいまの御指摘のとおりでございます。百分の七十で頭打ちということは組合員期間四十年で頭打ちということでございますので、これは四十年以上勤務しても年金額は増額をされないということになるのではないかと思うわけであります。 この四十年の頭打ちの措置は、恩給にならって各共済制度において共通にとられておる措置でもございまして、この措置につきましては、各共済制度共通の問題であるとともに、年金の支給開始年齢、定年問題ともかかわり合いがある問題でございますので、これは今後の検討課題でございますし、改正を行うときにあわせて考えなければならない問題ではないか、と、こういうふうに思っております。
○瀬野委員 ぜひとも十分今後検討を進めていただいて、実現に向かって努力をしていただきたい。このことを強く申し上げておきます。 次に、農林年金法の中に都道村県補助条項をぜひとも新設するように、法律改正について努力していただきたいということを私は申し上げたいわけです。御承知のように、私学共済法には、都道府県は予算の範囲内で私学共済組合掛金の一部補助ができるものとするということがうたわれておりますし、また、私学振興財団からも補助を受けておりますが、この私学振興はもちろん非常に重要な施策で、本来ならば当然国がやるべきところをかわってやっているという意味からも助成されるのがあたりまえであると私は考えておるわけですが、農林年金についても、食糧危機、食糧自給の向上という国民の食生活を支えておるところの基幹産業であるという意味からも私学振興に準じて重要な部門であるということで、農林年金の中に都道府県の補助条項をぜひとも入れて実施するように、農林大臣はその実施を大蔵省または関係省庁とも努力をしてもらいたいと私は思うわけです。 現に、農村地帯の少ない東京などでも補助を出すというふうにも言っておりますし、長野県だとか鳥取県だとかいうようなところも二、三試算をされておるように聞いておりますし、また、都道府県でも補助について自主的に折衝をしているわけでございまして、補助条項がないがためになかなか出せないということで難航しているということを各地でお聞きするわけです。こういったことを踏まえて、来年の見直しに当たり、これらの実現にぜひとも努力をしていただきたいと思って私は提案をしているわけですが、大臣の御見解を承りたい。
○安倍国務大臣 農林年金につきましては、掛金の負担の軽減を図るために私学共済と同じように都道府県の補助を導入せよ、そういう措置をとるべきであるという御指摘であろうと思いますが、農林省としてもどの法案の国会提出に当たりましては関係各省ともいろいろと協議をいたしてまいった経緯もあるわけでございますが、私学共済につきましては、都道府県補助が行われている理由といたしましては、公共団体が行う教育を私学が肩がわりしておるということに着目をして施設費、人件費の補助が行われておるとされておるわけでございまして、地方公共団体と関係の深い地方団体関係団体職員共済組合制度を含めて、私学共済以外の共済制度に対しては都道府県の補助は行われておらないという現状であるわけでございます。 また、今日は地方財政が非常に逼迫をしておるわけでありまして、そういう面で財源の確保をどうしたらいいかということも今日の問題としては大きな問題ではないかと思うわけでございます。いま各地でそういう動きがあるという御指摘もございましたが、実際に行われておるところはないのではないかというふうに思っておりますし、また、この補助をしてはいけないという禁止規定はないわけでございますので、これは先ほどから申し上げましたようにいろいろと問題があるわけでございますから、これは関係各省とも今後十分協議をしてまいりたい、と、そういうふうに思っておるわけでございます。
○瀬野委員 農林大臣に対する質問の時間があとわずかになりましたので、最後に二問簡潔に申し上げて、お答えをいただきたいと思います。 一つは農林年金の財政問題でありますけれども、これまた避けて通れない重要な問題であります。そこで、農林年金は昭和四十八年度までに不足責任準備金が約五千億に達しておりますが、昨日岡安農林経済局長にいろいろと質問をし、ただしましたところ、四十九年度推定で七千五百億円にもなるというように言われております。このように不足財源はますます多くなる一方であることは推察できますが、昨年度社会保障制度審議会の答申でもこれらの問題が指摘されておりまして、将来に対して計画を策定することが必要不可欠であるということが言われておりますが、いずれにしろ、財政問題は避けて通れない重大な問題である。われわれも将来の年金の福祉論という面から考えてもいろいろ心配をいたしているところでありますが、これに対して財政問題をどういうふうに考えておられるか、大臣の将来にわたってのお考えをお聞きしたいということが一つであります。 もう一つ最後にお尋ねしたいことは、財政方式の中で、ことし七、八月に再計算結果が出た上で政府は再計算の結果を見て五十一年度予算編成時期に財政方式を含め総合的に検討が加えられるというふうになると思うのでありますが、この際現在の積立方式を改めて賦課方式等を採用するなど、多年いろいろ当委員会でも論議している問題でありますけれども、見直しに当たって考えていくべきときが来ていると思うのですが、この辺のお考えもあわせて大臣から御答弁をいただきたい。
○安倍国務大臣 農林年金の財政問題は御存じのとおり避けて通れないわけでございます。現在積立方式を行っておるわけでございますが、これは将来の給付に必要な財源を事前に積み立てるということでございまして、物価上昇等によりまして積立金が次第に減価するという問題点がある半面、後代への負担が平準化される等の利点も一方においてはあるわけでございます。また、賦課方式につきましても、これは年金制度が未成熟な状況にある現在におきましては当面掛金の軽減は図り得るが、組合員総数の伸びの鈍化等を考慮すれば将来の組合員の掛金率負担は過重なものになるというふうにも考えられるわけでありまして、世代によって著しく負担の均衡を欠くという問題も賦課方式にはあるわけであります。この両方式いずれもそれぞれ問題があるわけでございますが、農林年金としても将来にわたりいかなる財政方式をとることが適当であるかにつきましては、これは今後とも各方面の意見も聞きながら慎重に検討してまいらなければならぬと思うわけでございます。 なお、国庫補助率及び財源調整費補助の引き上げにつきましては、五十年度の予算編成の際には次期財源率再計算の機会に農林年金財政を見直すこととしておるわけでございまして、その際に他の年金財政の諸問題とあわせて総合的に検討することとして五十年度は見合わせたわけでありますが、この点につきましても、これは掛金率、財政方式、年金財政上の他の問題ともども慎重に検討してまいらなければならないものでありまして、御趣旨の点についてはわれわれとしても十分検討したいと、こういうふうに考えているわけでございます。
○瀬野委員 どうもありがとうございました。 以上で農林大臣に対する質問を終わります。
○澁谷委員長 芳賀貢君。
○芳賀委員 農林大臣にお尋ねいたします。 まず、第一に、農林年金の財政の現況がどうなっているかですね。従来でありますと年金法改正の審議等については政府側からこれに関する資料等が提出されるわけでありますが、今回の場合は、この年金財政に関するところの内容的なものが、故意に出されないのか、気がつかなかったのか、資料にも全然出ていないのです。したがってこれは質問を通じて明らかにしなければならぬということになるわけですよ。 財政の現状がどうなっておるかという点が一つと、もう一つは、財源の再計算作業をいま進めておるわけですから、結論が出ないとしても、再計算の作業の経過並びに現時点における把握の状態が一体どうなっておるかということがおおよそのところでも判明しないと五十一年度を目途にした年金法の根本的な改正のめどもつかぬということになるわけでありますから、この点をまず明らかにしてもらいたいと思います。
○安倍国務大臣 農林年金の財政の現況はどうか、四十九年度末の数値で再計算をやるということであるが、結果は待たなくても中間的な数字はあると思うというふうな御質問でございますが、具体的な問題でございまして、数字につきましてはまず局長から答弁をさせます。
○岡安政府委員 数値を申し上げます。 四十九年度末におきまして、まず、掛金収入でございますが、これは四百六億四千五百万円でございます。それから、国庫補助の収入は三十七億百万円ということになっております。それに対しまして給付金の支出でございますが、これは四十九年度末で百八十八億四千八百万円でございます。それに対応する積立金の額は二千五百十一億一千百万円ということになっております。一方、責任準備金は、これは計算上でございますけれども、一兆五十四億五千三百万円となっておりまして、したがって、不足責任準備金は、四十九年度末で約七千五百億円ということでございます。一方、運用収益でございますが、これは四十九年度末で百七十三億六千万円ということでございます。 それから、四十九年度末の時点で財源再計算をやっているはずだけれども中間的な数字はどうかという御指摘でございますが、まだ中間的にも申し上げる数字はない。と申しますのは、いろいろ計算の方式等も研究をいたしておりますので、数字を御報告するようなものはまだないということで御了解をいただくようにお願いしたいと思います。
○芳賀委員 局長から説明がありましたが、先ほど指摘したとおり、農林省事務当局として、いま局長の述べたような資料を審議に先立って提出して、進んで説明しなければならない事項というものが当然あるはずだが、どうしてそれをやらないのか。きょうはこれでもう締めくくりになるんですよ。何か理由があるのか、その点はどうなんですか。 そういうことをやっているから、昨日、本日の質疑を通じても同僚委員の皆さんもこの核心に触れることが非常に困難なわけですね。そしてそこまで行くのに非常に時間がかかるというようなことにもなるわけなんですよ。特別の意図があれば、この際明確にしてもらいたい。
○岡安政府委員 数字の提出につきましては意を尽くしませんで申しわけなかったわけでございますけれども、実は、あの提出資料は昨年と同様な項目について出したわけでございまして、今年度は昨年より以上にさらにもっと充実した内容にすべきであったかと思います。それははなはだ失礼をいたしました。
○芳賀委員 横とじの資料は出ているけれども、ページ数は相当あるが、中身を見ると何も必要のないものばかりでしょう。たとえば折半負担の内容がどうなっておるかとか、掛金率が千分の九十六になっておるとか、そんなことに一ページも使っておるでしょう。そういうものは何も資料で出さぬでも、農林水産委員会で審議する場合にはみんな頭に入っておる点です。そして、資料の半ば以上を三十四年からの法のそのたびの改正の経過などに使っているが、これも参考にはなるが、改正は立法府であるわれわれがやっているわけでしょう。だから、本当の中身というものはことしは出ていないわけですね。特に、岡安さんは去年も局長をやっていたでしょう。その練達の士がこういう不備な資料を用意するというのは、いかに熱意が欠如しているかということを証明するようなことになりますよ。 そこで、お尋ねしますが、ただいま数理的保険料とか、整理資源率とか、それから財源率とか、掛金の納入実績とか、年金の給付実績、積立金あるいは積立金の運用、利差益の問題とか、責任準備金とか、不足責任準備金とか、こういうものについて一応触れましたが、ことしの財源率の内容は一体どうなっておりますか。
○岡安政府委員 まず、現行から申し上げたいと思いますけれども、現在採用しております掛金率の基礎となります財源率は千分の百二十四・六八ということになっておりまして、それに国の補助金、定額の補助率並びに財源調整費補助等を引きまして、さらに利差益等を引いて、これは千分の九十五・九七で、九十六ということでやっておるわけでございます。それ以後四十五年から四十八年の改正並びに四十九年の改正が加わりましたので、財源率といたしましては——これは大体従来のもあといいますか、前回財源率の再計算をいたしましたところの、そういう計算基礎で仮にやった場合ということでございますけれども、そういたしますと、財源率は約千分の百五十ということになります。 さらに、現行の定率補助と、それから現行の率を用いました財源調整費補助等を差し引き、それから利差益等を差し引きますと、おおむね千分の百十六程度になろうかというふうに考えております。
○芳賀委員 財源率ですからね。この中身については、数理的保険料とか国庫補助の、これは給付に要する費用の一八%分、これを引くと純数理的保険料が出てくるわけですね。それから整理資源率、それから法の六十二条第二項の財源調整費の補てん分、それから利差益による補てん分、こういうものを調整して掛金率も出てくるわけですが、これはそれぞれ千分比にしてどういうふうなことになるか。
○岡安政府委員 先ほど申し上げましたとおり、一応前回の再計算をやりましたものと同じような方式を踏襲するという前提でございますけれども、数理的保険料は、四十九年度改正まで含めまして約千分の九十七でございます。それから整理資源率は千分の五十三ということになります。したがって、総財源率は千分の百五十ということになります。それから、いわゆる一八%の定率国庫補助の額は、これは千分比に直しますと千分の二十七になります。それから一・七七のいわゆる財源調整費補助、これは千分の三でございます。それから利差益が約千分の四ということになりまして、差し引きいたしますと端数はございますけれども、掛金率はおおむね千分の百十六になるというふうに概算をいたしております。
○芳賀委員 その次にお尋ねしたいのは、こういうような財源率を持っておるわけですから、今回の法の内容改正等も当然将来この財源率に直接反映することになるわけですから、従来の経緯から見ると、政府の改正案においての不備な点については委員会においてさらに修正等を通じて強化するということを毎年やってきておるわけでありますが、特に、大臣からも言われたとおり、来年に各公的年金の全面的な改正機運というものが高まっておるわけでありますから、それに対応する農林省の取り組みというのは非常に大事だと思うのですね。 そういう対応に対しての農林大臣としての基本的な方針について明確にしておいてもらいたいと思います。
○安倍国務大臣 いま御指摘のように、年金制度全体につきまして抜本的な改正をすべきであるという機運が盛り上がっておるわけでございますし、その一環として、この農林年金につきましてもそういうことを考えながら取り組んでいかなければならぬと思うわけでございます。したがって、来年度の予算措置等におきましても、制度改正の実施に必要な経費を織り込むことはもとよりであると思うわけでございます。 また、国庫補助率につきましては、制度の円滑な実施を図るため、所要の引き上げを要求するという方向で現在検討をいたしておるわけであります。 なお、財源調整費補助を法律上定率にすることにつきましては、四十七年度以降給付差の一・七七%相当額が計上されておるわけでございますが、率を明文化することにつきましても今後検討をしてまいりたいというふうな基本的な考え方を持っておるわけであります。
○芳賀委員 次に、昨年の法改正の場合も農林水産委員会として五項目にわたっての附帯決議を付したわけでございますが、この附帯決議の実行がどの程度行われておるかということも非常に大事な点でありますし、また、今回の改正点を検討しても、昨年の委員会において附帯決議等を通じて指摘した事項というものはやはりそのまま見送るというようなことにおおむねなっておるわけでありますからして、まずこの点についていささか内容をただしておきたいと思うわけでございます。 まず、この年金財政の健全化のために国の補助率を百分の二十以上に引き上げる、あわせて六十二条第二項の財源調整費の増額を実現すべきであるという点については、ことしの政府予算編成の場合においても農林省としては概算要求は出しておけるわですが、結果的にはこの点は実現に至っていないわけであります。安倍農林大臣としてもかつて政務次官をやっておられた時代から年金に対しては非常に熱意を持っておられたわけでありますから、ことしの予算編成の際にもこれらの問題は大臣折衝の事項として最終まで恐らく努力したと思うわけでありますが、一向に実現を見ていないわけですね。どういうわけでこの程度のことが実行できないのか、この際大臣から経緯について明らかにしていただきたいと思うわけであります。
○安倍国務大臣 農林年金につきましては、これを改善するということに対しては私もかねがね情熱も持ってまいりましたし、当委員の在任中も努力をいたしてまいりました。芳賀先生も農林年金についでは最も権威があるわけでございまして、著書等もあらわしておられますし、私も読ましていただいておるわけでございますが、今後とも農林年金制度全体について積極的に取り組んでいくという姿勢は農林省としても持っていかなければならない、と、こういうふうに考えておるわけでございます。 附帯決議につきましては一部実施されたところもありますが、いま御指摘のように未解決の点も残っておるわけでございます。特に、国庫補助率、財源調整補助の引き上げにつきましては五十年度予算編成に際して検討を行ったわけでありますが、次期の財源率再計算の機会に農林年金財政を見直すということにいたしましたので、この際、他の年金財政の諸問題ともあわせて総合的に検討するということで見送ってまいったわけでございます。 国庫補助につきましては、今後、掛金率、財政方式等、年金財政上の他の問題とともに検討してまいるという考え方でございますが、現在全体的な再計算の時期にあり、そして、また、全体的に抜本的な改正が他の年金制度とともに行われようという機運でございますから、こういう時期においていままで取り残されている問題に積極的に取り組んでいかなければならないというふうに考えております。
○芳賀委員 そこで、この問題で実は気になる点が一点あるわけであります。それは、昨日の当委員会の質疑を通じまして岡安経済局長から答弁されたことですが、この法律の第六十二条の一項、二項に国の補助に関する規定が載っておるわけですが、第一項の場合は、この年金の給付に要する費用に対して一八%の国庫補助を行うということに明確になっておるわけです。ところが、第二項がありますが、この第二項というのは、昭和四十一年の年金法改正のときに、政府案としては国の補助率を百分の十五から十六に改正するということで、その機会に委員会修正という形で六十二条第二項を追加改正して、財源調整の費用に充てるために国が予算の範囲内で助成することができるという規定を設けてあるわけです。きのうの局長の説明を聞いておると、この一八%というのはだれでもわかっておるが、第二項の財源調整の、金額にすると四億九千八百万でありますが、これが第一項の給付費に対する一・七七%というものが国から出されておるので、この二つを足すと一九・七七になるので、大体二〇%程度の給付に対する補助が出ておるという点をうちの同僚の野坂委員の質問に対して繰り返して岡安君が強調しているのですよ。これは間違いなわけですね。こういう認識で概算要求をやったり予算確保するということになれば、二つ合わせると大体二〇%そこそこになっているのでこれはもういいわというような安易な考えで、当然要求確保すべきものを最後まで詰めていないのじゃないかということになるわけですね。 大臣の方がよく御承知かと思いますが、第二項の規定は決して給付に対する補助というわけではないわけですね。弾力性を持った財源調整に対する費用の一部の国の補助ということになっておるわけであって、これの指数を出すために第二項の財源調整の四億九千八百万というものを当年度の給付総額で除すると、それは答えとしては一・七七ということになるかもしれぬが、給付総額に対して財源調整費の指数を決めて算出をした額を給付のために充てるためということにはなっていないと思うのですね。こういう点は厳粛に理解してやってもらわないと、その場限りでわれわれの同僚委員を瞞着するような応待というものは認めるわけにはいかぬですよ。たとえば江藤政務次官がそういうような未熟な答弁をする場合においては許してもいいわけですが、専門の担当経済局長がその種の答弁をやるということはけしからぬと思うのですよ。 大臣は昨日はおられなかったが、こういう間違った解釈に対してはどう考えていますか。
○岡安政府委員 私の言葉が足りませんで失礼をした点があると思いますけれども、おっしゃるとおり、財源調整費の補助は、定率補助、いわゆる一八%のものとはそもそも経緯も違うわけでございますし、したがって名前等も違えて助成があることは事実でございます。これは先生は十分御承知と思いますけれども、当初、財源調整費補助は、毎年予算折衝いたしまして、結果的に積算の根拠は必ずしもないままに何億何千万円という形でもって予算が認められているという経緯がございまして、これについてはやはり指数化すべきであるというような御意見がございまして、私どももこれをたとえば給付費に対して何%というように計算をして出た金を補助金としてもらいたいという要求をかねてやっておりまして、おかげさまでこれも数年前から、定率といいますか、予算の額を決めるに当たりましては一応当該年度の給付費総額に対して一・七七というような数字でもって計算をして、その額が五十年度は四億数千万円ということでもって査定が来るようになったわけでございます。これについては、私ども、さらに一八%を二〇%にするというような要求のほかに、おっしゃるとおり経緯その他が違うものですから、一・七七につきましてもこれを三%にしてもらいたいというような要求を別個いたしまして毎年予算要求しておることは御案内のとおりでございます。 昨日私がちょっと言葉足らずに申し上げましたのは、この金は年金財政においては同じく国からの助成でございますし、両方とも給付総額に対して一八%または一・七七という計算で積算をされて出てくる数字でございますので、結果的には国の助成が合計すると一九・七七というような助成になるということを多少強く申し上げたかと思いますが、おっしゃるとおりこれらは経緯が別でございますし、今後とも財源率に対する助成としては別個の観点から洗い直しいたしまして予算要求をしなければならないというふうに考えております。
○芳賀委員 財源調整費の補助額の四十二年度以降の経緯については私もよく知っているわけです。特に、いま言った一・七七というのは四十七年以降一つの補助額計算の手法として使っておるけれども、目的がそうだというわけじゃないですから、とにかく来年は大臣を先頭にして財政健全化のために相当がんばってもらわなければならぬわけですから、担当局長が弱腰で自己弁護のようなことでやられては大した成果を上げることができないわけですから、この点は十分慎重に説明とか宣伝というものは行うべきであるというように考えるわけであります。 それから、これにあわせて附帯決議の、都道府県の公共団体からこの農林年金に対する公的な援助措置の道を開くべきでないかというのも、これも委員会を通じて数年間検討し、論議したところであります。実例を挙げれば、私学年金が年金法の中に根拠規定を設けて、現在においては全国の都道府県が普遍的に公的援助をやっておるということがすでに定着をしておるわけです。この点についても昨日の委員会を通じまして、農林省としてはこのための実現に政府部内において最大の努力を続けてきたし、現在も努力をしておるが、なかなか見通しがまだ確保できないというような説明があったわけですが、この点は大臣は御存じですか。特に、政府部内といえば自治省大臣等とも政治的な協議等もやはり事前に行う必要があると思いますが、経過的にはどの辺までこれの実現のために取り組んでおるわけですか。
○安倍国務大臣 この問題につきましては、私学共済につきましては、御承知のとおり都道府県が補助をしておるわけでございますが、それはそれなりに理論的根拠もあるわけでありまして、農林年金につきましても私が知る限りでは、法律の提出の際に当たってはやはり都道府県の補助の道を開くべきであるということについて農林省としても積極的に動いたけれども、結論を得なかったということで今日に至っておるというように承っておるわけでございます。 これはなかなか困難な問題もあると思うわけでありますが、しかし、附帯決議にも出されておるわけでございますし、もちろん農林省だけで決定できる問題でもございませんし、本法案が成立をするに至る経過等もありますので、国会の審議、附帯決議等も踏まえて関係各省庁ともこの点については相談をしなければならなぬ問題であると思っております。都道府県の最近の財政の実情等から見まして、その辺のところも考えなければならぬわけでございましょうが、しかし、法律の今日に至るまでの審議の状況、附帯決議等は踏まえながら農林省としては積極的な立場で協議をしたい、こういうふうに思っておるわけであります。
○芳賀委員 自治省からこの問題についての出席を求めておりますので、この際自治省にお尋ねしますが、いま問題を提起したわけでありますが、まず、実例として、私学年金の制度に対して全国の都道府県が公的な援助を与えており、それが交付税交付金の形で定着しておるということは言うまでもないわけでありますが、これには十数年の長い歴史的な経過というものが背景にあるわけですが、こういう実態というものが農林当局においても明確でないと、農林年金制度の中に都道府県の公的な援助を導入しようとしても、どういうような道程でこれを実現すべきであるかわからないわけです。たとえば農林年金法の中へ根拠規定を明確にすることがいいのか、あるいは国の行政努力の中においてそれと同じような趣旨が実行できるというやり方がいいのか、これは方法論としてはいろいろあると思うのですよ。そこで、実際に手がけておる自治省として、これらの問題についてはどういう経過であり、現在どういう運用をしておるのかという点について説明をしてもらいたいと思います。
○山下(稔)政府委員 私立学校職員共済組合に対しまして、その費用に充てますために現在都道府県から補助金が支出されていることは御指摘のとおりでございます。その率は給与費の千分の八でございまして、その財源措置といたしましては、地方交付税の基準財政需要額の中に算入をいたしております。これは私立学校教育が公立学校教育の肩がわり的な役目をしているという点から、私立学校職員共済組合法の規定に基づいて都道府県が補助をいたしておるわけでございます。
○芳賀委員 そういう木でくくったような説明ではなくて、私学年金に対して全国都道府県が実際に公的援助を行っているでしょう。それが地方交付税の付与の状態で定着しておるわけですからね。そうなれば、たとえば全国の都道府県においてどういうような実施をやっているかとか、それに対して自治省として地方交付税をどのように付与しておるかとか、あるいはまた都道府県の標準的な援助額はどうなっておるかとか、それからまた、公的な援助として私学年金を認めておるという法的根拠はどういうものであるかとか——いま問題になっておる農林年金は、教育に関する団体が会員になっておるわけじゃないのですよ。農林年金の第一条の目的で加入している団体が現在十八団体ある。これは全部非営利の公法人ですから、それぞれ社会公共的な目的を持っておる。日本の食糧増産のために全国の農民がこれに参加をして、日本の産業経済発展に営々として努力をしておる。公共性とか日本の国家的発展に寄与している度合いというものは、私学は教育関係に目的を持っておるが、農林漁業団体というものはさらに広範な社会目的を持っておるわけですからして、その優劣を論ずるわけにはいかぬと思うのですね。しかし、私学の場合は先進的にもう十八年もの歴史を持って定着しておるわけです。だから、現在農林年金が財政的な非常な悪条件とか高額な負担のもとに年金制度を維持しておるというような実情にかんがみた場合、私学は主として都道府県地域の都市に非常に多いと思うのですよ。農林年金の場合は都市中心ではなくて、むしろ外延的な農業県というか、農林漁業を主体とした地方の道府県に対象を求めることができると思うわけですね。そういう現実があるわけですから、農林年金の方でもいまそれと同じような公的援助の導入をどのような方式で実現すべきかということをわれわれの委員会においても論議をしておる。あるいは農林当局においても、農林大臣が中心になっていろいろ苦慮しておるということになるわけですから、もう少し中身を述べてもらわぬと、あなたの言うぐらいのことは何もここへわざわざきてもらわぬでもわれわれはちゃんとわかっておるわけですよ。 だから、実態は一体どうなっておるのか、これは現実に照らした場合に農林年金法の一部改正等を通じて根拠を明らかにしてやる方がいいのか、そうではなくて私学年金の取り扱いを通じて国が行政的にそれ以上の強力な援助とか助成を行うべきであるということであるのか、あなたはまだ大臣でもないし、局長までいっておらぬと思うわけですが、実際に専門的な仕事をしておられるわけですから、その点を率直に述べてもらいたい。
○山下(稔)政府委員 現在の地方交付税の基準財政需要額に算入いたしております額についてまず最初に申し上げたいと思いますが、地方交付税の基準財政需要額の中の県分のその他の教育費の中で、給与費の千分の八ということで計算をいたしました結果、単位費用の基礎にります標準団体の経費といたしましては一千四百十六万円算入されていることになります。これを全国の基準財政需要額全体で申し上げますと約十六億円算入されていることになっております。これを財源に、現実に各都道府県は私立学校職員共済組合に対する補助を出しているものと見ております。 農林漁業団体職員共済に対しても私学と同様の補助の道を開くべきではないかということにつきましてはかねがね承っておるところでございますが、私立学校につきましては公立教育の肩がわり的な役目を果たしているということに着目いたしましてこのような措置を講じているわけでございます。農林漁業団体職員共済組合につきましては事情が異なる点もございますし、現実に、私学を除きまして、その他の公的年金に対しまして都道府県が公的負担をしている例はないわけでございます。地方団体自身に直接関係のございます知事会や市長会等の地方団体関係団体職員共済組合に対しましても都道府県の補助制度は現在ないわけでございます。 先生御指摘のように、農林漁業団体の公的な面というもの、公に寄与しているという点については私どもも十分承知をいたしておるつもりでございますが、ただ、共済組合に対する補助という観点から考えますと、各公的年金制度とのバランスということも十分考えなければならない点でございますので、私どもといたしましては、現在の段階での農林漁業団体職員共済に対する補助制度ということについては困難ではないかというふうに考えているわけでございます。 なお、申し落としましたが、私立学校共済組合に対する補助金の根拠は、私立学校教職員共済組合法の第三十五条の第三項に、「都道府県は、当該都道府県の予算の範囲内において」「補助することができる。」という規定がございますので、この規定に基づいて補助をしているわけでございます。
○芳賀委員 きょうここで審議官と議論をする必要もないわけですが、農林大臣、いま聞かれたとおりです。同じ三木内閣の中の自治省の農林年金に対する都道府県の公的援助導入の問題にしても、これはなかなか簡単にいかぬと思うのですよね。ですから、こういう実態を十分大臣としても考慮に入れて、それではどうやれば道が開かれるか——年金法の改正等を通じて規定を明らかにして、そうして強制的に都道府県から援助しておるというわけじゃないのですからね。することができるという道を法律の方で受け入れ体制としてつくる必要があれば、これは立法府においてやれることだが、そこまでやらぬでも、いまの日本の農林漁業の大切なこととか、あるいはまた農林年金の財政的な状態というものを考慮して、地域の都道府県が積極的に援助するということも決してこれは阻害すべきものではないわけですから、そういう点についてもできるだけ方針を固めて、次の五十一年の本法改正の機会までにできるだけ見通しを明らかにしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
○安倍国務大臣 この都道府県の補助の問題につきましては、農林省としては、いままでの法律の審議の過程もありますし、附帯決議等もありますし、また、法案提出の際の経過等もあるわけでございますから、補助ができるという道を開くという必要はあるという考え方のもとに自治省等とも折衝をいたしておるわけでございますが、いまの自治省当局のお話しのように、他の公的年金とのバランスとか、あるいはまた私学年金の特殊性といったようなものからなかなか困難であるということであるわけでございます。 私どもは今後とも努力はしてまいりたいと思うわけでございますが、しかし、農林省だけで決定することは非常に困難であるという事情もあるわけでございますので、その辺も御理解を賜りながら、国会の中において、今後の審議の上において、いろいろの面でそういう補助等についても道が開けるという方向で御審議も賜りたい、こういうふうに考えるわけでございます。
○芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、去年の附帯決議にも指摘してありますが、旧法年金と新法年金との差異というものがいまだに不均衡が是正されておりませんし、今回の法改正を通じても依然として新法、旧法間の不均衡というものはそのまま残されておるわけであります。大臣におかれても新法、旧法を比較していただけばわかるわけでありますが、たとえば平均標準給与にいたしましても、年金額の算定方法にしても、低額年金の改善の点についても、あるいはまた最低保障額の設定の点についても、大事な点が依然として新法、旧法間の不均衡ということでそのまま残されたわけです。これは農林大臣においても早い機会に新旧の不均衡を全面的に是正したいということを言っておられるわけでありますが、これは毎年毎年の改正のときに不均衡是正をしないということになればいつまでもこのままでいくということになるわけでありますし、一番の問題は、他の公的年金との均衡論の上に立って、他の年金においても、ある年金の場合には新法、旧法を抱えておる年金もあるし、ある年金においてはそういう新旧の差はないというものもあるが、とにかく農林年金の場合は昭和三十九年の十月以前を旧法期間と称するわけでしょう。 三十九年の十月以降が新法期間ということになっておるわけですから、他の年金に比較して、よその年金にも旧法期間がある、新法期間があるといっても、昭和三十九年の時点から新法、旧法の区分ができたというような年金はないのですよ。だから、他の年金と比較する場合においては、それは他の年金においては新旧の区分が発生した時点はいつかということになれば、この農林年金制度ができたころが他の年金においては新旧区分が生じたという場合もあるわけですね。そうなれば、比較論から言えば、農林年金の新旧合わせた期間というものは新法期間と称しても差しつかえないわけですね。 こういう点を明確にして新旧の不均衡というものを是正するということでなければ、いまのように年金の均衡論というものが基礎をなす時代においてはこの壁というものはなかなか突破できないのではないかと思うわけです。内容の比較論は省きますが、この点については、ことしは間に合わないとしても、来年の抜本改正の場合においてはこの問題はぜひ全面的に改善をして、新旧期間完全一元化というようなことにしていくべきと思いますが、この点については大臣として相当重大な決意で臨んでもらわなければならぬと思いますが、いかがですか。
○安倍国務大臣 新旧の格差につきましては、他の公的年金との均衡論というのもあるわけでございますが、確かに、いま御指摘のように、農林年金につきましては切りかえの時期がおくれたという、農林年金そのものの特殊な事情もあるわけでございますので、これはそういう点を十分考慮に置きながら、関係各省との調整も図りながら格差是正の方向へ努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○芳賀委員 内容については大臣も十分認識されておるので省略いたしまして、次は既裁定年金の改定について、いわゆる自動スライド制の導入の問題です。これは昨年の法改正の場合においても、改正法の附則第八条においてややこれと認められるような改正が行われておるわけでありますが、これは農林年金法本来の自動スライド制の導入ということとは非常に性質が違うわけです。だから、この際、厚生年金法の附則第二十二条に準拠するというようなそういう迂遠なやり方でなくて、たとえば年金の改定に対する自動スライドというものは、われわれとしては物価、賃金を基礎にしてということで方針が固まっておるが、政府としては、現在においては物価変動係数を自動スライドに導入するということで昨年も一六・一%の改定をしておるわけですからして、ことしも当然少なくとも一七%以上ぐらいのスライドをしなければならないと思いますが、去年はこの点について倉石農林大臣と議論をした点でありますし、附帯決議もこの点を指摘しておるわけでありますからして、これをやはり本則の改正という形で速やかに明定すべきであると思うのですよ。これについては大臣としてどうお考えですか。
○安倍国務大臣 昨年度の制度改正によりまして、いま御指摘のように一部についてのスライド制は導入されたわけでございますけれども、本体につきましてはスライド制は行われていない。そこで、本体についてもスライドに持っていくべきじゃないかという御意見でございますが、これも共済制度全体、共通の問題として考えなければならぬことじゃないかと思うわけでございまして、法改正の段階におきましてこういう問題等も慎重に検討をしなければならないと考えております。
○芳賀委員 もうちょっと明快にしておいてもらいたいと思うのです。
○安倍国務大臣 厚生年金に準ずる自動スライド制の導入につきましては、指標、財源等の問題についての慎重な検討が必要でございますので、今後とも共済制度全体共通の問題として関係各省とも協議しつつ検討してまいりたいと考えておるわけであります。
○芳賀委員 大臣、これは実行に入っているわけですからね。だから、農林年金法の中にこの規定を本則としてやはり明定すべきではないかということを私は言っているのですよね。これから研究してやるかやらぬかという問題じゃないのですからね。どうですか。
○岡安政府委員 いま大臣がお答えをしたと思いますけれども、その御指摘の昨年附則で入りました改正は厚生年金に準ずる自動スライド制ということでございますけれども、これは新法の最低保障額と、それから通年方式に準ずる方式によって低額給付者に対する優遇措置、このうちの定額部分についてスライドするという規定が入ったわけでございます。 これは先生御承知のとおり、附則に入っておりますけれどもこれは本則と法律的には全く同じ効果があると思っております。大臣がお答えしましたとおり、それはやはり一部のスライドでございまして、本体のスライドにつきましてはこういう形じゃなくて、当然御指摘のとおり本則の中で自動スライド措置を講じなければならないと思っておりますけれども、指標とか財源問題等がございましてなお検討中でございます。鋭意結論を得て実現方に努力をいたしたいと思っております。
○芳賀委員 次に、掛金の負担割合の改善の点ですが、現行は言うまでもなく組合員と使用者団体が折半方式でやっておりますが、実態論から言うと、昨日岡安局長も述べたわけですが、連合会あるいは経営の安定した単協等においては折半負担からできるだけ組合員の負担割合を低減して、その分は使用者である団体が負担するという形にかなり移行しておるということは事実なわけです。そこまで来ておれば、これは法律で定めてある点ですから、適当な時期に負担区分というものを法律の中で改正をして明らかにすべきではないか。そうでないと、実態主義、黙認主義でこれがだんだん進行するということになるわけでしょう。そうすると能力のある連合会や組合は実行ができるが、能力のない単協等においてはやりたいと思ってもなかなか実行できないという能力関係の問題も出てくるわけですから、この点はそう軽々に放置しておくわけにいかぬと思うのですよね。 もう一つは、負担区分というのは法律事項ですから、たとえば連合会とか単協が折半を超えて組合員の負担軽減のために経済的に超過した負担をするという場合に、これは税法に照らした場合、できるだけそうやってくれ、やった分は全部損金に算入しますということで手軽にいくものであるか、こういう点が明確になった場合には税務当局等が一体どういうような取り扱いをするのかという問題も出てくると思うのですね。これはそう内容の複雑な点ではないわけですから、これらの点についても農林省として方針を明らかにして、改正すべきものは改正するとか、行政的に実態的に進めるというのであれば、そういう指導をすべきではないかと思うのですが、いかがですか。
○安倍国務大臣 御存じのように、農林年金の対象団体では折半を超えて負担している団体もお話しのように若干認められるわけでございますが、一方では赤字決算を行っている団体も少なくないわけでありまして、団体負担を増加させることの団体経営に及ぼす影響も無視できないと考えております。そういう状況がございますので、この問題につきまして早急に結論を出すことは困難ではないかと考えるわけで、年金制度全体の問題として引き続き検討を行うこととしたいと思っております。 なお、いまお話しの事業主が折半を超えて掛金を負担した場合、一般の管理費として損金の額に算入をすべきではないか、そういう点についてはっきりしろということでございますが、この点につきましては税務当局とも相談をいたしまして、これは実現をするために私としても努力し、何としても実現をしたい、こういうふうに思っておるわけであります。
○芳賀委員 次に進みますが、農林漁業団体の職員の給与改善ですが、これは法律上どうするというわけにもいかぬし、また、農林省として財政援助をするということもできないわけですが、とにかく農林漁業団体の職員の給与水準がまだ低位であるということは否定できないと思うのですよ。 そこで、今度の法律改正との関連で具体的に申し上げたいと思いますが、今回の第二十条の標準給与の改正に当たりましても、昨年は、四十九年の改定の場合には第一級二万六千円を五割アップの三万九千円に改定をして、今回は第一級は五万二千円というふうに改定されておるのが政府の案であります。そうなると、昨年に比べて約三三・三%、下限である標準給与が上昇した。これはやはり職員の最低給与との水準上の関係というものはあると思うのです。しかし、この標準給与というのは、五万二千円以下の給与の者についても五万二千円として扱うということになるわけですから、全部五万二千円の給与を実現するということとは違うわけですね。だから、こういうような年金制度の中において、組合員である職員の最低の給与水準というものが標準給与の下限の形で毎年のように改定し、上昇されていくわけですから、これとの関連で、公務員のような明確な給与体系というものが確立できないとしても、少なくとも農林漁業団体職員の最低給与水準というものを統一的に設定する必要があるのではないかと思うのです。 これは昨年の改正の際にも倉石農林大臣にも私から指摘して、十分検討するということだったのですが、必要な場合には標準的な給与規程等を関係の全中とか団体と相談して作成することもいいでしょう。あるいはまたこれに伴う団体職員である組合員の、たとえば定年とか退職の場合の退職給与規程等についても現在は非常に複雑多岐にわたっておるわけですから、これは中心がないわけですね。こういう点についても標準的な退給規程等についても農林省としても検討を進める必要があるのではないかと思います。私の判断では、やりますと言っても一年間何にもやっていないじゃないかというふうに考えておるわけですが、これは非常に大事な点だと思うのですよ。この点については農林大臣としてはどのように考えておられますか。
○安倍国務大臣 農林年金の組合員の給与水準は他の共済年金の組合員の水準に比較して一般的には低いわけでございますが、最近の状況を見ますとだんだんと改善をされてきておるというふうに判断をいたしておるわけでございます。 また、給与等の改善につきましては、これは労使間の自主的な交渉によって決められるべきものであろうと思うわけでございますし、いまお話しのように、農林省として一つの水準を決めるということは現実問題として非常にむずかしいのじゃないかと思うわけでございますが、ただ、たとえば農協の中央会におきましても、労務問題基本調査会を設けて賃金体系のあり方につきまして研究、検討を行っておるわけでございますので、その調査会の検討結果等も踏まえて、農林省としても、中央会等を通じて給与の適正化といった問題については指導をしてまいりたい、こういうふうに思うわけでございます。
○芳賀委員 連合会にしても、単協にしても、個々の団体が職員のつくった労働組合と団体交渉等をやることは当然なことですが、しかし、農林漁業団体全体として見た場合に、職員の給与水準が非常に低い。また、根拠をなす給与表とか給与体系というものが非常に不安定な状態におかれておるのではないかと思う。そうすると、まず全国的に低い水準に置かれておる職員の最低給与水準というものをできるだけ安定の方向へ高める必要があるわけでしょう。それには何か一定の根拠とか基準というものがなければそれを整備することはできないですからね。 局長、あなたは首を振っているが、何もしておらぬで首を振ったってしょうがないじゃないか。一年間何もやっていないでしょう。議事録には、当時の倉石農林大臣も岡安経済局長も、これは大事な点だから農林当局としても十分検討する、農協団体とも相談して、必要であればこの給与規程とか退職給与規程等についても十分な検討作業を進めますということを言っておるんだよ。しかし、口では言うが何もやっておらぬでしょう。自信がないから聞かれれば首をひねるしかしようがないということになるのですよ。 いいですか、大臣、ことしの七五春闘の場合も、あなたは経済閣僚の一人ですが、総評を中心とした代表と、たとえばわが国における民間の労働者の全国一律の統一的な最低賃金制度の制度化の問題等についても、本年末までに政府としては十分検討を進めて一定の方向を打ち出しますよと明確にしたでしょう。国会の中でもそういうことは労働大臣が言っておるわけですからね。それから考えても、あなた方が知らぬうちに日本の賃金政策というものはだんだん進んでいっているわけですからね。だから、農林漁業団体職員の最低給与ということになれば、これは法律上給与ということになっておるのですからね。本俸ではないわけだから、いわゆる最低水準の安定的な向上ということは、年金制度との関係においても、農林省としても農林大臣としてもどうしてもこれは真剣に取り組む必要があると思うのですよ。こういう問題をだんだん具体的に解明していかなければ、団体職員の給与水準が低い、生活が不安定である、したがって優秀な人材確保が困難であるというようなことを毎年毎年繰り返すにすぎぬじゃないですか。もう少し前向きにこれはやる必要があると思うのですよ。指導性を発揮したらどうですか。
○安倍国務大臣 わが国の国民食糧を確保するという大事な農林年金の組合員でございますので、この給与の改善というものは図っていかなければならぬ。現在低いことは事実でございます。しかし、だんだん改善はされてはおりますけれども、相対的にはやはり低いということは言えるのじゃないかと思うわけでございますから、そういう点につきまして、農林省としても、基準といった問題についてはこれをはっきりいたしておりませんけれども、規約等につきましては行政指導等もいたしまして、給与の改善等に対していろいろと指導をいたしておるわけでございます。 給与の最低の基準をつくれということは、最低賃金の国会における御審議も行われておるわけでございますし、政府もそういう方向で検討もいたしておるということも聞いておるわけでございますが、そういう問題ともあわせて考えながらこの問題には取り組んでいきたいと思うわけであります。
○芳賀委員 時間が参りましたので、最後に一点だけ、これは検討課題として提示しておきたいと思います。 農林漁業団体の年金を扱う組合がいわゆる農林漁業団体職員共済組合というわけでありますが、これは団体であるけれども、法律の第一条の目的の中の団体にはなってないわけですね。法律の第十四条で初めて農林漁業団体職員共済組合なるものがここであらわれてくるわけでありますが、この組合の行う事業として、法律の第五十三条では、「福祉事業」として、組合員の福祉を増進するために一号から四号まで福祉事業の区分をして、その目的を達成するために福祉事業を行うということになっておるわけです。そして五十三条の二では「事業の委託」ということで、一項では、「組合は、前条に規定する事業の一部を農業協同組合連合会その他の農林大臣の指定する者に委託することができる。」となっており、二項で、「前項の農林大臣の指定する者は、他の法律の規定にかかわらず、同項の規定による委託を受けて、当該事業を行なうことができる。」ということになっているが、この規定に基づいて、農林省から農林省指令四十九農経A第四百九十号で、昭和四十九年三月二十九日に当時の倉石農林大臣名で年金組合の理事長土岐定一君に指令が出ておるわけです。「法第五十三条の二第一項の規定に基づき、昭和四十九年度において、農林漁業団体職員共済組合が福利及び厚生に関する事業を委託することができる者を下記のとおり指定する。」として、ここで1と2に分けて、2の「組合員の利用に供する財産の管理に関する事業」として、社団法人あるいは財団法人をアイウエオの順で五団体指名をしておるわけですね。その中の一つに、この共済組合の事業の委託を受けて事業をするための目的を持った財団法人の農林年金福祉団というものがあるわけですね。 これは現行法の運用等を弾力的に検討した場合においては、この財団法人農林年金福祉団というのは現行法の解釈規定から言っても組合員資格を付与することができるのではないかと私は結論として判断しておるわけですが、これは即座にどうだということを大臣に答弁を求めるわけではありませんが、この点は法律の解釈とか実態というものを十分研究して、これは適合するかどうかということについて速やかに前向きの結論を出すようにしてもらいたいと思うのですが、いかがですか。 現在、福祉事業団の理事長は、年金組合発足から先般まで組合の常務理事をやっておった河野恒雄君ですね。この人は昔農林省の農協部長をやっておられたわけです。今度はこの委託を受けて事業を行う福祉団の理事長になっておるわけだが、この年金制度発足からの権威者だからということで彼の意見も聞いているわけじゃないが、私が判断したのでは、これは可能じゃないかというふうに考えられるので、きょう即答は必要ないが、大臣においても念頭に置いてこの点を十分研究してもらいたいと思いますが、いかがですか。
○安倍国務大臣 この第十四条を読む前に、素直に読めば、この農林年金福祉団は組合員にするということについてはなかなか問題もあるのではないかと思うわけでございますが、福祉団は農林年金に一番近いといいますか、密接な関係があるわけでございますし、農協の中央会においても検討が行われておるということでありますし、団体の内部の意見調整も図りながらひとつ検討してみたいと考えております。
○澁谷委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○澁谷委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もございませんので、直ちに採決いたします。 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○澁谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 —————————————
○澁谷委員長 この際、本案に対し、芳賀貢君外四名から、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の五党共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。芳賀貢君。
○芳賀委員 私は、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の五党を代表して、ただいま議決されました昭和四十四年度以後における農林漁業団体共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。 まず、案文を朗読いたします。 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、農林年金制度の一層の発展充実を期するため、制度の見直しを行うとともに、財政基盤の弱い本制度の特殊性を考慮し、制度の健全な運営が図られるよう、左記事項の実現に努めるべきである。 記 一、制度改善については、国家公務員共済組合等他制度との均衡ならびに低額年金受給者の多い本制度の特殊性を考慮しつつ、適切な措置を講ずること。 二、旧法年金については、新法年金との均衡に配慮し、その格差是正のための制度の改善に一層努力すること。 三、既裁定年金の改定については、これまでの公務員給与の引上げによる年金改定の実績にもかんがみ、自動スライド制の導入を図ること。 四、年金財制の健全化を図るため、給付に要する費用に対する国の補助率の百分の二十以上への引上げ、財源調整費補助及び事務費の増額に努めること。 五、現行掛金率が他制度に比して高い実態にあり、組合員の掛金負担の軽減を図るため、私学共済と同様に、都道府県補助その他の公的な財政援助措置の導入の実現に努めること。 六、賦課方式の採用を含め農林年金の財政方式のあり方について検討を加えること。 七、掛金の負担割合については、組合員の負担軽減の方向で改善措置を検討すること。 八、農林漁業団体職員の給与等その待遇改善について一層適切な指導を行うこと。 九、農業者年金制度についても早急に抜本的な検討を加え、その改善充実を図ること。 右決議する。 以上が附帯決議案の内容でありますが、この際、重要な事項について、その趣旨を御説明申し上げます。 御承知のとおり本制度は昭和三十四年一月に発足を見、今日まですでに十六年余の年月を経過し、制度も、昭和三十九年の旧法の新法への切りかえを初め、数次にわたる制度改善の結果、制度的には他の公的年金と肩を並べるまでに成長しております。 しかしながら、年金給付の実態を見ますと、そこには最低保障額適用者等低額年金者が多く、他の年金制度に見られない特殊事情があり、いまだ十分とは言えない現状にあるのであります。 昭和五十一年度には厚生年金、国民年金を中心にわが国公的年金制度について総合的な見直しを行う機運が高まっており、本法案に対する社会保障制度審議会の答申においても、その場合共済年金関係も当然それに応じた大幅な改正が行われなければならないと指摘をしているところであります。 したがって、本制度においても、制度改善を行う場合、国家公務員共済組合等他共済の動向に十分注意を払うとともに、いささかもその水準を下回らないよう措置することがまずもって大切なことだと思うのであります。 また、その際には、委員会審議を通じてしばしば指摘されております旧法年金の新法年金水準の適用を初め、低額年金の多い本制度の特殊性を十分に考慮し、適切な改善措置を講ずることが必要不可決だと考えているところであります。 次は農林年金の財政についてであります。 農林年金の財政は、相次ぐ制度改善や社会経済の著しい変動により、その不足財源は今日では相当なものにふくらんでいる実情にあります。このたびの財政再計算による不足財源につきましては、現状の国庫補助、掛金率ではとうてい健全な姿とすることは不可能と思えるのであります。 しかしながら、現行の掛金率は他制度のそれよりもきわめて高い状態にあり、組合員の負担軽減をどう図っていくかが焦眉の問題でもあります。 国は、財政基盤の弱い本制度の特殊性を考慮し、国庫補助についても引き上げを行い都道府県補助を導入する等制度の健全な運営が図られるようにすべきだと思うのであります。 このことはひとり農林漁業団体のみならず、政府の責任でもあると思うのであります。 最後に、財政方式についてであります。 農林年金の財政方式は現在完全積立方式によっておりますが、農林年金の給付水準、財政事情を考えますと、財政方式については、賦課方式の採用を含め、そのあり方について検討を加えていく必要があると思うのであります。 その他の事項については案文で御承知を賜りたいと思います。 本附帯決議案は以上のような見地から提出したものであり、政府に対しなお一層の改善努力を求めようとするものであります。 何とぞ全員の御賛同をいただきたく、お願い申し上げます。(拍手)
○澁谷委員長 以上で趣旨説明は終りました。 本動議に対して別に発言もありませんので、直ちに採決いたします。 芳賀貢君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○澁谷委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。 この際、ただいまの附帯決議について政府の所信を求めます。安倍農林大臣。
○安倍国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして十分検討の上善処するよう努めてまいりたいと存じます。 —————————————
○澁谷委員長 なお、ただいま議決されました本案の委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○澁谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
○澁谷委員長 次回は、明十九日木曜日、午前十時三十分理事会、午前十時五十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時十四分散会