P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
75回国会衆議院1975/03/13

農林水産委員会 第13号

発言数
198
登壇者
15
会派数
3
開催日
1975/03/13

会議録

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 これより会議を開きます。  農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島田琢郎君。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 今回、七十二通常国会から引き継ぎになっております農振法の関係について若干の質問をいたしたいと思います。  大臣がお見えでないようでございますので、政務次官並びに局長にお答えをいただいて、あと大臣にどうしても質問しなくてはならぬ部分もございますので、その部分は残させていただきたいと思っています。  まず、政務次官、この法案の趣旨について私どもも承ったのでありますが、従来、この農業振興地域というものの取り上げ方については、末端にはかなり浸透はしてきておりますものの、農業振興地域というものは一体何なんだという点が必ずしも農家の個々によく理解されているとは言えない部分があるようであります。したがって、農用地あるいは農振地域以外の山林とかそのほかの原野とかというものの取り扱いについても、現地ではやや混乱しているような感がありまして、私どもも農振法なるものの説明をするときになかなか明確に説明し切れない部分も実はあります。  そういう点、政務次官からでなくても、担当の局長で結構ですが、局長、今回この法案を提案するに至るまでの間において、農業振興地域なるものは一体どういうふうな区分になっていて、現地ではどういう状態でこの振興地域の取り扱いがなされているのか。これは概念的で結構ですが、当初にその点を明確にしていただきたいと思います。

大山一生農林省構造改善局長

○大山政府委員 農振法が四十四年にできまして、自来農振法に基づきます農業振興計画を樹立してきたわけであります。それで、二月二十日現在で、三千八地区につきまして農振計画ができ上がっているわけでございます。  農振法の目的といたしますところは、農業振興というものを長期にわたって図るべき地域というものを明らかにいたしまして、その中の土地の農業上の計画的といいますか、効率的といいますか、利用を確保する、こういう目的でできているわけでございます。そういう計画でおおむね全国に網をかぶせましたので、昨年に、農振地域の今後のあり方といいますか、国の農業投資のあり方といいますか、それを明確にする意味におきまして、いわゆるメリット通達というものを出したわけでございます。土地改良でありますとか、そういう基盤整備事業あるいは農業の近代化に関する事業、あるいは農地保有の合理化に関する事業などは農振地域の中の農用地区域に原則として集中する、そして加工流通施設のようなものあるいは農村の環境整備といったようなものにつきましては農振地域に集中するということにいたしまして、自後、土地改良事業等につきましてはすべてこれを農用地区域内において実施する、土地改良事業として新規に採択する際に、もしこれが農編白地にある場合においては、これを農用地区域に入れてからでなければ施行しない、こういうふうなことで現在対処しているようなわけでございます。  農振法というものが、当初、領土宣言と申しますか、そういう趣旨で出てまいりまして、いま全国にその網をかぶせました。いま、そのかぶせたところの農用地を中心といたしまして、今後の施策の集中的な投資を……     〔発言する者多し〕

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 御静粛に願います。

大山一生農林省構造改善局長

○大山政府委員 そして、その中に農用地区域内におきます土地の計画的な高度利用というものを図ってまいり、また、担い手の育成を図ってまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 ところで、いま局長からお話しがありましたように、この農振法なるものは多分に領土宣言的な意味合いを強めて当初出発をしたというふうなお話しでございましたし、また、事実そういう考え方に立って現地の指定なども行われてきたようでありますが、日本の食糧状態を考えますときに、もはや、現在あります約五百八十万ヘクタールと言われております耕地ですね、農地、これだけで今日の国内の食糧の自給率を決定的に高めていくのにはきわめて問題があるという点が幾度も指摘をされているわけでありますが、今回出されました農振法は、この内部の整備をすることと、それから宣言法からもう一歩前進して、具体的な具体法としてこれを取り上げていこうという考え方がおありのようでありますが、そういう姿勢については私は非常に評価をしております。  ただし、前段に申し上げましたとおり、耕地面積が決定的に不足しているという実態を考えますときに、相当大幅な開発というものを新たに起こしていくという姿勢がないといけないのじゃないか。少なくとも六百五十万ヘクタールぐらいまで持ち上げていくぐらいの気構えがないといけないわけですが、そういう耕地の拡大、開発というような面については、この農振法の中で具体的に考えておる方針というようなものがおありでしょうか。あるとすれば、お示しをいただきたいと思うのです。

大山一生農林省構造改善局長

○大山政府委員 現在農用地区域に入っております農地面積といいますか、全国をおおむね網をかぶせました現段階におきまして、農用地区域内にある田畑、あるいは将来田畑、樹園地にすべく入っております山林原野、こういう面積、つまり用途区分別に見てまいりますと、四百六十七万ヘクタールが農地として入っているわけでございます。  ところで、現在、農政審議会におきまして、六十年におきます生産と需要の見通しというものを御審議いただいているわけでございますが、その案によりますと、今後の転用という問題について、経済成長率が五%程度——これは今後の決定を待つわけでございますけれども、相当大幅に下がってくるということを前提といたしまして、過去の実績等から仮に趨勢値を出してみますと、農地の転用面積というものも減ってまいる。そういうこともございますが、それを踏まえながらも、六十年の生産目標に必要な農地といたしましては五百八十五万ヘクタールを必要とする。こういうふうなことになるというふうに現在農政審議会で御審議いただいているわけでございますが、その試案ではそうなっておるわけでございます。  そこで、五百八十五万というものに対しまして、農用地区域内の、今後農用地として長期にわたって確保さるべき用途区分におきます農地面積というものが四百六十七万、大体の水準には達しているというふうに考えるわけでございまして、農用地区域を中心といたしまして、そして生産と需要の見通しに合うようにしてまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。  そういう五百八十五万というような生産目標を達成いたしますためには、先ほど申し上げましたような壊廃の趨勢というものを仮にはじくといたしましても、六十年までにはやはり八十六万ヘクタールの農用地の開発が必要であるというふうに考えているわけでございます。五十七年までの土地改良長期計画では七十万ヘクタールの農用地の造成ということを考えていたわけでございますが、そして、土地改良長期計画に基づく基盤整備事業をそういう角度で行っているわけでございますけれども、六十年におきましては、その延長線上にある八十六万ヘクタールの農用地の積極的な開発を行ってまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。  なお、それとあわせまして、現在一つの問題点になっております耕作放棄地の有効利用ということも当然あわせ考えなければ、六十年の必要目標といいますか、生産目標に必要な面積を有効に利用するということになりませんので、それらの耕作放棄地等を中心といたします農地の高度利用ということもあわせ図らねばならぬというふうに考えているわけでございます。  今後の農振法の改正におきまして、開発規制の規定を入れ、あるいは利用増進事業なり、あるいは特定利用権の設定ということをお願いしております趣旨もまたそういうところにあるわけでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 六十年目標で八十六万ヘクタールの開発計画をこれから進めていかなければならない、また、内部的には未利用地の有効利用というような方向で進めていかなければならないというお話しでありますが、さすれば、八十六万ヘクタールという新たな開発計画をどの地域で主としておやりになろうとしているのか。その点はいかがですか。

大山一生農林省構造改善局長

○大山政府委員 四十四年に土地改良の長期計画を立てますために調査をいたしたわけでございます。自然条件にさらに経済条件をあわせまして、今後開発をさるべき土地はどのくらいあるかという問題を詰めたわけでございますけれども、その結果といたしまして出てまいりましたのが百五十万ヘクタールでございます。その百五十万ヘクタールというものを今後どう開発していくかといいますか、今後の開発の方向として最も必要なものは草地であり、さらに畑であるというふうに考えているわけでございます。  そこで、昨年の国会で成立させていただきました農用地開発公団によります草地の造成という問題も含みまして、これらの開発をいたしてまいりたいというふうに考えるわけでございますが、開発適地ということになりますと、当然北海道であり、東北であり、九州である。こういうところが中心になってまいろうというふうに考えるわけでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 北海道、九州あたりが中心になって開発されていくという方針のようでありますが、過般、昭和五十年一月一日の元旦号の地元紙「道新」に、北海道農業会議が百万ヘクタールの開発可能ということを打ち出しました。私どもは北海道の第三期総合開発計画に対しても多少いちゃもんをつけてきた経過から言えば、まさに、北海道の農用地開発というものは日本の食糧政策の最も戦略的なものである。そういう観点に立てば、北海道農業会議が出した意見なるものは非常に貴重なものだと私は踏まえておるのです。ただし、北海道といえども、開発にはこれから非常に金がかかる。簡単に開発できるところはもうほとんど開発し尽されているというのが現況でありまして、これはなかなか金がかかるのであり、政府の相当の決意がありませんと八十六万ヘクタールというのは確保できないと思うのです。ですから、北海道農業会議が出しました百万ヘクタールの新たな北海道地域における開発というものが達成すれば、いま局長がおっしゃっているように、九州やそのほかのところを含めればもっと開発ができるということになるのですね。  ですから、八十六万ヘクタールが少な過ぎるとか多過ぎるとかという議論は別にしまして、姿勢として、やはり相当の気構えがないとこれは開発ができないという実態にいまあるのですが、それについては、政務次官の腹構えのほどをと言えば通り一遍のお話しになるんでしょうけれども、そうではなくて、北海道からこういう重要な提言が行われているんだが、この点は一体農林省としてはどういうふうに踏まえていらっしゃるか、そこをひとつお聞きしたいと思います。

江藤隆美自由民主党農林政務次官

○江藤政府委員 北海道の御提案は傾聴すべきものであろうと私は思います。ただ、先ほど局長が申し上げましたように、これから八十六万ヘクタールを開発していく、造成していくということは大変なことでありまして、それにはそれ相応の財源の確保ということが第一番になりますけれども、それには並行して綿密な計画が必要になってくるのはもちろん当然のことであります。  百万町歩がいいかどうかということについては、私どももこれは一つの提言として厳に検討する必要があると思います。ただ、先生も御存じのように、北海道は、たとえば牧草地にしますというと、せっかくつくりましても二、三年でその機能を全く半減するか、あるいはそれ以下にしてしまうような特殊地帯でもあります。それならば、開発可能地域がそのまま将来農耕に供せられ、収益を確保するに値するものであるかということになると、これは西南暖地と違いますから、農林省としてもいささか検討すべき余地があると思いますけれども、いずれにしましても将来の食糧政策を推進していく上には、多くの壊廃地が出ることを考えながらも、それ以上のものを確保していくということ、これが農林省としての大原則でなければなりませんし、全国的な調査をしながら、同時に計画を逐一立てて、そして財源を裏づけして事業の推進を図る、これには私どもは相当の決意を持っておりますし、これが果たせなかったならば日本の将来の農業というものは本当に伸ばしていくことはできない、それぐらいに実は考えておるわけであります。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 いまの政務次官のお話しで北海道の開発に対しての気構えのほどは私はわかったのでありますが、ただ、おっしゃるように、そして先ほど私が触れましたように、これからの開発地は確かに非常にお金がかかります。お金がかかると同時に、そこに入る農家の能力が問題である。能力と言いましても、仕事の上の能力ではなくて、余り大きな借金を背負って入るということになりますと、先行きが非常に心配なわけですね。それは現に、根釧原野のあの開発につきましても、二月当たりすでに相当のお金になっていますね。ですから、いまの計画に沿ってあそこに入植をしたとしても、二、三年たったらばててしまう。せっかく意気込んで入ったけれども、意気込むだけではやり切れなくなって、償還の計画もうまくいかないというようなことが出てまいりますと、これはまさに仏をつくって魂を入れないような結果になってしまうということを私は非常に憂えているんです。  ですから、根釧原野の計画についても、一面ではいろいろな意見があそこにもあります。たとえば、そこだけに大きなお金を突っ込んで一般農家に対する施策はどうしたんだというような意見も私どもは率直に承っているわけです。しかし、そうは言っても、これからの開発というものは、いま政務次官もおっしゃるようになかなかお金のかかることですし、また、そのことが経営者に対しても非常に大きな重荷になるということも覚悟しなければなりませんが、それは、全国的なことを言えば、何といっても大事な食糧の自給度を高めていくという大きな役割りを果たしていくことにもなるわけですから、そこを何とか政策上で、入る農家に余り大きな負担をかけないでいくような方向を一面はとってもらわなければならぬと思うのですす。  ですから、これからの開発に当たって、その点についてどこまで国の責任が示されるかということもこの事業推進の一つの大きなかぎになると私は思うのですが、そういう構想などについてはいかがですか。

大山一生農林省構造改善局長

○大山政府委員 根釧原野といいますか、農用地開発公団がしょっぱなの事業として本格的に取っ組んでおるのが根室でございます。そこで、本年度の予算におきましても、全体としては基盤整備一〇三・四の伸びの中におきまして、公団事業につきましては八十三億の事業費を予定いたしまして、そして、その中で、たしか根室は四十三億だったと思います。本年度中に一部入植者を入れ得るところまで持ってまいりたいというかっこうで現在進めているわけでございます。  農用地開発ということになりますと、確かに、先生御指摘のように事業費は逐次増高しているわけでございます。そういうこともございまして、補助率につきましては、これはほかにない補助率を使っているわけでございます。さらに、農用地開発公団の行います大規模開発におきましては、上物と申しますか、それまで一括して建てる。それの資金についても、ものにもよりますけれども、国費を投入いたしまして、そしてその資金源としての必要額は財投という比較的低利の金を借りるというようなかっこうで、そして、また、償還条件も財投金利ということをベースにする、こういうことで極力農民負担の軽減に努めているような次第でございます。  現在、われわれといたしましては、あそこでできます草地を前提といたしまして五十頭規模の経営を行うならば、あそこで増産されます経済効果というものと見合ってペイするであろう、こういうふうな予定を組んでいるわけでございます。しかし、その前提といたしましては、価格支持政策というような問題が当然前提になってくると思います。  価格政策につきましては、農林省といたしましても、他の農産物それぞれの事情によりまして算入の方式は異なるにいたしましても、とにもかくにも価格支持というかっこうにおいて、農産物が均衡ある価格支持のもとでそれぞれの経営が行われるようにしなければならぬということはもちろん前提でございます。  そういった価格支持政策と相まちまして、基盤なり上物を造成する立場から申しますならば、極力それが負担を減らすという中において、そしてなお五十頭規模の大規模経営を行う中において、あそこが根釧原野として発足いたしまして、現在すでに過密になっているという事態を——つまり、逆に言うならば、新たな大規模経営の芽がすでにあるわけでございますので、われわれはそれを育成して今後の生産見通しに対応するようにいたしたいというふうに考えるわけでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 根釧原野の計画については、昨年も私は大山局長といろいろな具体的な細かな問題まで触れて質疑をしたことがあるのですが、一つ、非常に私が心配をしておりますのは、昨年もそうでありましたが、ことしの予算の中でも見られますように、農林省の大変な意気込みはわかるのですけれども、いつも大蔵省に行って予算を削られちゃう。先ほど政務次官も大変悲壮な決意を持って臨まれるということをおっしゃっているので、私はその辺は十分理解はするのですけれども、予算の問題になってくるといつもはね返されてしまって、ことしも二十一戸の入植が危ぶまれているというようなことになりそうなのです。現地ではもう順番を決めて、そこへ向けて経営をやろうという意欲も持ってすべての準備を進めているやさきに予算を削られちゃって、何人かが落とされちゃう。こういうことになりますと、せっかく計画を持って進めていこうとしても現地が混乱してしまう。それは大蔵省の窓口がかたいことも私はよくわかっているのですけれども、これは事食糧政策にかかわる重大な問題ですから、何が何でもこれを優先させるという姿勢で日ごろ大蔵省の説得に当たられるべきだと私は思うのです。  その点について若干の不満をことしの予算の中で私は持っているのですけれども、この見通しは暗いのですか。

大山一生農林省構造改善局長

○大山政府委員 農用地開発公団事業をふやしますためには、何としても基盤整備全体の予算という問題との関連があるわけでございます。基盤整備の予算というものにつきましては、公共事業全体の中の総需要抑制という問題があるわけでございます。したがって、われわれといたしましては、本年度の前年対比一〇三・四の伸びというものには決して満足しているわけではございません。  ただ、一つ言わせていただきますならば、一般公共事業の中に占めます基盤整備のシェアと申しますか、これの過去からの傾向を見てまいりますと、かつて四十四年当時一四・三のシェアを占めておりました。その後逐年〇・一ポイントとか、〇・ニポイントとか、〇・三ポイントというようなかっこうで低落してまいりまして、四十九年には一三%まで落ち込んだわけでございます。それに対しまして五十年が一三・五%、つまり、過去の下げ基調というものを下げどまった、いわば逆にかま首を持ち上げ出したという点はひとつ御了解いただきたいと思うわけでございます。これは、基盤整備という問題、またその背景にございます食糧という問題に対します国民全体のコンセンサスが変わってきたということももちろんございますし、認識が変わってきたということもございますけれども、五十年代はそういう意味において一般公共の中でシェアが逆にまた上回るといいますか、歯どめをかけ得たという点は、今一後基盤整備というものにつきましてこれをふやし得る基礎ができたというふうに理解するわけでございます。われわれといたしましては、将来の見通しが暗いか明るいかということではなくて、これが下げどまって、むしろ逆勢に、何と申しますか、上向いてくるようになった五十年というものを契機といたしまして、何が何でもふやしてまいらねばならぬというふうに考えるわけでございます。  もちろん、ふやすに当たりましてはいろいろと手法も考えねばならぬと思います。単に国費だけでやっていくのがいいのか、あるいは他の方法も使いながらやっていった方がいいのか、こういつたような手法の問題があると思います。公団事業というのもそういう意味の一つの手法だと思いますけれども、いずれにいたしましても、一つ下げどまったということを御評価いただきたい、これを起点といたしまして反攻に転じたい、こういうふうに考え、また、将来の見通しについては、明るいとか暗いではなくて、何としてもふやす方向に努力したいと思っておるわけでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 その決意のほどはよくわかったわけですが、私がお尋ねしたのは、ことしの根室中部の計画で二十一戸の予定がいまあるのだけれども、それはその計画どおりに進んでいく見通しですかということをお尋ねしたのです。

大山一生農林省構造改善局長

○大山政府委員 先生の言われますのは、当初の農林省要求ベースの際の予定した戸数でございます。確かに、われわれが現在のところ決定いたしました予算におきましては、仮にこれが全部入植だけを相手といたすということになりますれば相当の戸数ということになりますけれども、やはり、あそこで増反する方のことも考えねばならないということで、入植につきましては、ことしの予算で、本年度中に八戸ないし十二戸は入植させ得るであろうというふうに考え、また、そういうふうにはぜひしたいというふうに考えるわけでございます。  なお、来年度以降につきましては、ひとつ計画的に戸数が確保できるように公団事業を進めてまいりたいと思うわけでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 農林省の当初計画案であるから必ずしもそのとおりいかない場合もあるという御説明ですけれども、しかし、現地は二十一戸入れると思い込んでいるのですね。農林省の姿勢を信頼しましてね。だから、二十二月入れるとばっかり思っていたら、いま言ったように八戸か十二戸になっちゃったというのでは、残された人たちは、何だ、農林省の計画はいつもこんなことなのかということで挫折してしまいますね。正直言うと、一年待てということは大変なんです。もう本当に前がきして張り切っている人たちが残されていくわけですからね。当初における計画の中で、農林省の計画としては二十二戸何とかがんばりたいが、その場合まさか八戸か十戸にしかならぬとも言えないんでしょうけれども、かなり確率の高い説明をしておきませんと現地の混乱が生じてしまうので、この辺はこれからの行政上の指導の問題として十分御配慮をいただかなければならぬと私は思うのです。私にも問い合わせがあって、二十一戸大丈夫なのかと言うから、いや、ことしの予算で見る限り、二十二戸全部はどうも入れぬぞということを言ったら、何だ、そんな話なら最初の約束と違うじゃないかということでずいぶんおしかりをいただいているわけですけれども、今後は見通しをはっきり立てられて、かなり正確な数字でその目標を現地に明らかにされることが必要だと私は思うのです。  ところで、委員長、私はどれくらいの時間が与えられるんでしょうか。それによって質問が変わりますので……。

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 まだ十分ございますから、大丈夫ですから、どうぞゆっくりやってください。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 それで、食糧問題をお聞きしょうと思ったのですが、政務次官のほかに政府側からはどなたがお見えでしょうか。——それでは、お見えになるまで別な話をしようということで、当初食糧政策を少しお尋ねしようと思っておりましたが、よろしいでしょうか。——わかりましたた。  これからの計画の中で、先ほどもちょっと局長のお話しの中にもあったんですが、北海道におきます北海道農業会議の提案であります新たな百万ヘクタールの開発が可能だという提言を一つの軸にして申し上げてまいりますと、その大宗をなすものは草地だと私は思うのですね。これからの開発可能地と言われるところは草地が主体になるだろうと思うのです。そこはまさか水田にもなりませんし、高度な特用作物をつくるというようなわけにもまいらぬでしょう。そういたしますと、その主たる目的はやはり草地だということになると思うのです。  ただ、先ほど政務次官から、開発された土地を有効利用ということになると、たとえば牧草を例にとってみても、二、三年すれば収量が何割か減っていってしまうというような地帯が多い、それだけに、そういう開発をした土地が長期的に有効に利用されるという方向を検討しなければならぬというお話しでしたが、これはごもっともな御意見であります。そういう点をきちっと踏まえておきませんと、北海道の開発もただ外延的に広げてだけいけばいいということにはならない。ここは非常にポイントになると私は思うのですが、ただ、草地開発を進めていく場合に、従来の開発方式の中でも私は指摘をしてまいったのでありますけれども、ブルドーザーでこういう傾斜地をどんどんどんどんむいていってしまうという開発の方式はいけないということで、これはいまさら私が申し上げるまでもなく、現地もそういう方式に変わってきているようでありますけれども、もう一つは、採草地というよりも放牧地として使う場合のある程度の傾斜度の問題なんかも頭に置いておかなければならぬ点があると思うのです。  そういう点を考えてまいりますと非常に限定されてしまうわけですけれども、ただ、いまあそこの百万へクタールが開発可能地だと言いましても、そのうち大半が湿地帯であるとか、あるいはまた傾斜度の強い清悪な地帯であるとかいうことになっていくだろうと私は思うのです。そうしますと、北海道の牧草地をふやしていくという立場に立って考えていくならば、開発の方式というものについても相当技術的に研究し直さなければならぬ部面があるように思うのです。そういう点は農地開発公団の実際の仕事の中で運用されているんでしょうけれども、せっかくつくった土地が二、三年もしたら——肥料の効いているうちは何とかここのところは牧草は伸びるけれども、後は、政務次官もおっしゃるように二、三年したら牧草の収量がうんと減ってしまうということは起こり得ると私は思うのです。ですから、その点を踏まえて、開発する場合に基盤整備の計画というものがもう一つ別に出てこなければならぬと思うのですね。たとえば傾斜地における心士をどういうふうに破砕していくのかとか、暗渠の入れ方にしましても、どういう暗渠の入れ方がいいのかとか、こういう点が技術的にも非常に必要になってくると思うのです。そういう研究がおろそかになっているということを私は申し上げているんではありませんけれども、そういう開発のやり方というものを現場で見ておりますと、ここで議論したり、政府側がいろいろ説明をされているおっしゃり方と非常に違ったやり方が現地でしばしば行われておりまして、私どもが現地へ入っていきますと、どうもああいう開墾のやり方じゃ困るとか、あるいはまた道路のつけ方にしても、おれはこういうふうに道路をつけてもらいたかったんだがなかなかその意見も入れられないとか、そういうような苦情がいっぱい出てくるんですね。  ですから、そういう点を考えますと、これからの開発は、現地の、特にその土地を利用していく農民の意思というもの、すなわち地元のコンセンサスを得るためには非常に技術の部分にまでわたってよくお話し合いをしなければいけないんじゃないかという感じが私は一つするんです。  これは先般のある地域の例でありますけれども——これは国の開発ではありませんで、道が道単でやっている事業なんですけれども、たとえば実働三時間ぐらいしかしていないのに大変な請求書が来てびっくりしちゃった、一反歩に割ったら大変な高いものだし、ましてや時間で割ると一時間当たり大変な金額になっちゃう、これは一体国の方針としてもそういうふうな積算根拠で進めているんでしょうかという端的な質問をされましたら、私もちょっと困っちゃったんですよ。それで現地を見ましたら、確かに、いま機械が高度化されておりますから必ずしも粗雑なやり方だとは私は思っていないんですけれども、ただ、現地の人たちは、えらい短時間で仕上げたが、仕上げてくれた単価を見ると物すごく高い、これじゃ何ぼ開発をして、うちの山の上に適地があるから開いてもらおうと思っても、結局最後は大変な負担を農家のわれわれがしょわんならぬということになるだろう、恐ろしくてここを開発してくれというような要求はとても出せない、と言っているんですね。  こういう点についてもう少し現地の細かい調査が要るんじゃないですか。地形的な問題等も含め、あるいは開発の技術上の問題も含め、あるいは道路一本つくる問題にしても、そういう点をよく現地で話し合いをして理解の上に立ってやらないと、つくってしまってからそんなはずじゃなかったということになっては、せっかく前向きに開発をやろうと思っても現地のそういう問題に突き当たって、これから八十六万ヘクタールの開発なんというものはなかなか進んでいかぬのではないかという気も私はするんですが、こういう点については、局長、いかがですか。

大山一生農林省構造改善局長

○大山政府委員 農用地開発の手法の問題につきまして、われわれといたしましても十分反省すべき点があるというふうに実は考えているわけでございます。  農用地開発公団の行います事業地域、これの現地を見てまいりまして、いままでの農用地開発公団が受託事業として行っていたような、いわば表土を全部はぎ取っちゃって、とにかくフラットにすればいいんだということではかえってまずいのではないか、むしろ修正山なり的な方向というものも十分取り入れて、また表土はこれを極力温存するということがどうしても必要ではないか、そのためには、従前のようなブルでひっかき回すという方法だけではまずいのではないだろうか、と、こういうような反省に立ちまして、公団におきましても、修正山なりの仕方、そしてなるべく表土を温存する方法、これを現在現地に入っていろいろと検討しているわけでございます。  それと、根室の方になりますと、湿地帯といいますか、そういう問題がございますので、どうしても暗渠の問題が出てくると思います。暗渠の問題につきましても、従前のように何条かに、ただ横ばいにはわせるだけでいいのかという問題もありますし、あるいはむしろ、何といいますか、テクニカルタームがちょっとよく思い出しませんが、交差させるというようなかっこうにしますと非常に排水もよくなるというような実例もあるようでございまして、地方、地方によってなかなか一律にはいかぬと思いますけれども、排水等についても、従前のような単なる弾丸暗渠を入れるだけでなくて、何か別の手法も考えねばいかぬだろうと、こういうふうに思っております。とともに、いわば、暗渠よりはむしろ明渠でいった方が安い場合もあると思います。そして、結果としてはかえってプラスになる場合もあると思いますので、単にどこもかしこも暗渠ということではなくて、明渠で済むものは明渠で済ませるというようなかっこうでコストも安くしなければならぬだろうというふうに思っております。  それから、道路のお話しが出ましたけれども、確かに、積雪の激しい北海道等におきましてはその点も考慮した道路が必要だろう、そして、牛乳の集荷というのは毎日行われる問題でもございますので、常に利用できるような、しかもそのために非常に多くの費用を要しないで済むような方法というものも工夫しなければならぬだろう、こういうふうに考えるわけでございます。いずれにいたしましても、画一的なやり方ではなくて、現地の事情に合わせ、なおかつ、先ほど申しましたようななるべくフラットにすればいいというようなことでなくて、現地の地形をそのまま生かしたかっこうで進めてまいりたいというふうに考えるわけでございます。  なお、百五十万ヘクタールという開発適地がある。こういうことの際の自然的条件といたしましては、一般の開拓地は傾斜三十度ということでございますけれども、草地にする場合においては二十五度以内ということで調査いたしました結果がトータルにおいて百五十万ヘクタールということでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 そこで、食糧政策の問題に触れていきたいと思うのですが、すでに幾人かの委員から、先般出されました「農産物の需要と生産の長期見通し」の政府原案に対しましての質疑がなされているようでありますが、この計画によりますと、六十年度には、先ほども局長がお話しをされておりましたが、これは二毛作が入るわけですが、六百六十八万四千ヘクタールの延べ面積の耕作地を確保したいということで、そういう中で作目別に見てまいりますと、現在おとりになっている政策等を考えてまいりますと、ちょっと首をかしげるようなところもあるのです。たとえば大豆ですけれども、現在八万九千ヘクタールあるわけですが、六十年には二十万二千ヘクタールに伸ばしていきたいという計画であります。さらに、また、北海道のてん菜、これを七万七千ヘクタールに伸ばしたい。現在は御承知のとおり四万七千ヘクタールまで落ち込んでおります。それから野菜ですけれども、野菜につきましては、面積的には大したことはないようでありますが、これも従来の六十三万ヘクタールから六十六万六千ヘクタールに伸ばしていきたいという計画であります。それから、飼料作物に至っては、約七十万ヘクタールをふやしていきたいという計画をこの中で示しているわけであります。計画ですから、私は気構えのほどをここで云々するわけではございません。ただ、実質的にこれをこのように伸ばしていくという手だてが実は必要だと思うのです。大豆の問題に触れますと、だからことしはまた大豆の増産対策をやったんだということにおそらくなると思うのですが、現実にはなかなか言うべくしてむずかしい。  北海道で私は自分自身で農業経営をやっておりまして、従来から主張しているといいますか、考えておりますのは、幾ら北海道といえども、単に選択的拡大という題目の中だけでは処理できない。何となれば、農業経営者にとって一番大事なローテーションという問題をなおざりにしてこの経営を考えるわけにはまいらない。これは先般も土地の不健康状態という問題を指摘されて、井上泉委員が端的に、堆肥の問題あるいはそれに伴う炭酸カルシウムの補給の問題などについてお触れになりました。そういう点もあります。しかし、現実には、今日の農業に対する現地の取り組みというものはなかなかそう簡単にまいらない事情が実はいっぱい生じているわけです。  それで、いま申し上げましたローテーションを大きく崩すような経営では長期的に見た場合に長続きしない。二年や三年は確かにやれるんですけれども、土地の地力の維持というものを忘れた農業経営というものは邪道でありますし、私は絶対いかぬと思っている一人であります。  したがって、そういう組み合わせを考えてまいりますと、現在北海道で起こっております問題は、小麦の増産対策、大豆の増産対策、そして牧草も含めた生産増強対策を進めていこうとするとどこかにしわ寄せがいく。たとえば端的にあらわれましたのは、ビートの価格の問題等の端的な問題から発生した点もありますけれども、北海道でせっかく六万二千ヘクタールまで伸びたビートが四万七千ヘクタールに一年間で大きく落ち込んでしまった。これは一側面から言えば、そういうローテーションの問題も非常に大きな要素として中身にあると思うのです。そういたしますと、単に北海道のビートを七万七千ヘクタールにするんだと言ったって、その辺を忘れていきますとその実現が不可能になるということになりますね。その壁にぶち当たります。ですから、北海道は全体的に見てどういうローテーション、いわゆる輪作体系が必要かという点がきちっと踏まえられていないといかぬわけですね。そこを十分踏まえた上でこういう計画をお立てになったのか。最低でも五百八十五万ヘクタールというものはぜひ確保したいどころじゃない。私がさっき申し上げたように、六百万ヘクタールくらいにしなければ日本の食糧政策は確立したとは言えないのではないでしょうか。それでも足りないくらいでしょう。私はそういうことを申し上げました。六百万ヘクタール確保されれば、延べ面積において約七百万ヘクタールくらいに作付できる面積というのは伸びるでしょう。しかし、いま申し上げましたような点がきちっと整理されないで、単なる計画だけが先行されていったのでは、現地はいつかはついていけないという事態に追い込まれますね。そういう点はいかがでしょうか。この計画をおつくりになったのは大河原官房長の手元でしょうか。その考え方をひとつお聞かせ願いたいと思うのです。

大河原太一郎農林大臣官房長

○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま、長期見通しに関連いたしまして、大豆、てん菜等につきましての作付の見込みについての、これを実現するための諸条件について、現実的な検討をした上で計画を作成したかどうかという御指摘があったわけでございますが、お話しのとおり、特に北海道の例を挙げていろいろ御指摘がございましたけれども、まず、作目別には、それぞれの省力化技術の導入とかあるいは価格政策の配慮とかというものを通じまして、その期待する生産目標を達成したいということでございますが、特に具体的な御指摘がございまして、事実、現に、バレイショにおける各種の病害虫の発生とか、あるいはお話しがございましたてん菜の作付面積の頭打ちとかいうような関連から、北海道におきましては、牧草地、てん菜、バレイショ、麦を含めました五年三作とか、四年三作とか二作とか、それぞれの合理的な輪作体系を想定いたしまして、この計画を実現しなければならないというふうに考えておりまして、これについてはまさに個々の農家の営農にもかかわることでございますので、この計画の実施につきましては道庁とも十分打ち合わせまして、具体的な輪作のモデルを早急に作成してこの実現を図りたいということでございまして、先生のお話しの地力の問題というような問題も当然配慮しなければならないというふうに考えております。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 いまの日本の食糧状態というものは、いまさら申し上げるまでもないわけでありますが、実は主要な農産品の需要の展望というものがこの中に示されておりますね。それによりますと、今後の人口の伸び状態、いわゆる人口動態を踏まえて、一人当たりの消費量というものについてもここに示れているわけであります。  そこで、国際的な食糧需給の動態から見て、日本の食糧の需要量についてはこれからも問題点が幾つか出てくると私は思うのです。その一つは、このままたん白質食糧の増加を望むことができるかどうかという点について私は非常に多くの疑念を持っています。それは、御承知のように、七十万ヘクタールの牧草地をふやすということは計画としてあったとしても、その大宗は鶏まで含めて、濃厚飼料依存型の畜産経営が多いわけですね。その濃厚飼料の原料なるものは、大宗はほとんど外国に依存せざるを得ないという状態がいまあるわけです。そうしますと、たん白質食糧の生産というものについては、いまの世界的な傾向からいきますとかなり暗いという見方を私自身はしておるのです。むずかしい。そうしますと、勢い端的に摂取していくことのできる穀物にかなり移り変わっていくというふうに見ておかなければならない。その場合、この計画の中では、現在九十二キログラムがいわゆる一人当たりの消費量であるというふうに規定しておりますけれども、その中から将来は十キロくらい減っていくと言っているのですね。こういうふうに見えておるようでありますがそういう点では、逆に穀物の摂取量の方がふえるのではないかという見通しといいますか、感じを私は持っているのです。     〔委員長退席、坂村委員長代理退席〕  いま申し上げましたように、非常にむずかしいたん白摂取という壁にいまぶち当たっております。ですから、こういう計画でおやりになりますと、当初の計画に非常に大きなそごを来すのではないかという感じがするのです。こういう見方について、大河原さんと私の見方は大分違っているのですが、これはいかがですか。

大河原太一郎農林大臣官房長

○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  今後のたん白の供給問題との関連からいろいろ御質疑があったようでございますが、今後の日本人の食生活におけるたん白摂取の問題につきましては、過去十年、十五年のような、何と申しますか、胃袋革命と言われるような、西欧型のたん白の摂取の急激な伸びというものはないだろう、最近の傾向なり、あるいは今後安定成長に入る場合の消費支出の伸びの鈍化というような点から見ましても、また、日本人の体位、体格等から見ましても、過去十年なり十五年のような急激な伸びはないというふうにわれわれも判断して、むしろ食生活自体が、米と野菜と果物と魚介類と畜産物というものを複合した独自の食生活に落ちついてくるというふうに考えるわけでございまして、また、そういう基本的な背景で今度の長期見通しを見たわけでございますが、なお、いかに消費支出の伸びが鈍化し、日本的な食生活のあり方、独自の食生活が形成されましても、やはり、畜産物の消費量というものは、過去ほど大きくはないにしても安定的に伸びていく、したがって、それに伴いまして、穀物の消費量というものは米を中心として若干減るであろうというふうなことが現実的ではないかというように考えておるわけでございます。  いろいろ御批判がございました五十七年度の生産見通し、試案でございますが、あの場合における急激な穀物消費の減少というようなものは、今度はお話しのような視点を考えまして、相当現実的な検討を加えたつもりでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 確かに、いま官房長がおっしゃるように、たん白摂取量がいまより大きく減るなんということは私も考えていないのです。また、減っては困るのです。私どもは畜産経営をやっているから減らされては困るのですが、世界的な傾向は、一番端的なのは、濃厚飼料を外国に依存しておるというタイプ、これがやはり一番大きく問題になるだろう。現に、昨年のローマ会議で、表には出ておりませんけれども、開発途上国、特に食糧の恒常的に不足している国の人たちの御意見は、口にこそ言わなかったけれども、日本人は、人間が腹いっぱい食うものを輸入しているのはまだ許せるとしても、家畜にまで腹いっぱい食わせるというようなことを考えて外国へ行ってばんばん原料買いあさりをやるのはけしからぬと言われているような気が私はしたのですが、だんだん人口が伸びてきます。大体約一億ずつ一年間に地球の上で人口が伸びているそうですね。単純計算をすれば、今世紀末には六十五億を超えるということになってしまうのですね。そうしますと、食糧に対する国際世論は、ぜいたくだと言われる部分の食糧に対しては厳しい意見がこれから出てくるのではないかと私は思うのです。ですから、これは、国内で畜産がやり得るだけの飼料基盤なり濃厚飼料の原料の自給を持っておればよいのですけれども、ますます外国依存を強めていくというようなことになってきたら、国際世論でばっちりたたかれるときが来るのじゃないか。それがあるものですから、残念ながら、畜産に対しては、そういう諸外国からの食糧政策に対する国際的な世論の中で日本はかなり厳しい制約を受けざるを得ない時期が来るのではないか。ここを十分考えておかないと大変なことになると思うのですね。  ところが、国内におけるそういう飼料穀物の自給という問題については、あまり積極的な施策をこの中にお持ちになっていないと私は感じているのです。これは大変なことになってしまうぞと思うので、これから必要な海の資源については何としても——十七日からですから、もう間もなく国連海洋法会議が再開されますが、海のたん白源だっていま大変危険な状態に日本はさらされているということを考えますと、私はどうもそういう見通しをいまは持たざるを得ないような気がするのですね。そうすると、穀物に対する端的な摂取のできる要求度というものは高まってくるのじゃないかと思う。だから、いまの人口の伸び率と食糧の要求の方向というものをきちっと見きわめておきませんとえらい大きなそごを来すのではないでしょうか。こういうことを考えているのです。

大河原太一郎農林大臣官房長

○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先生がただいま御指摘の点は、われわれ作業をいたしまして、ただいま農政審議会で御審議願っております際の一つの大きな問題でございました。あの作業によりますと、現在の飼料穀物一千万トンが一これは実量トンですが、それが千六百万トン程度になるというようにまだ大幅な増加を見込んでおる。これは中小家畜である。トウモロコシやコウリャン等は、残念ながら国内生産によって達成する現実的可能性を持たないということからでございますが、そこで、先生から、国際的な需要の増加なり国際世論の問題というような多方面からの御批判がしばしばございました輸入の問題につきましては、今後、FAOにいたしましても、アメリカ農務省にいたしましても、穀物の国際的貿易量はなお増加する見通しである。増加する場合に、現在日本の飼料穀物の輸入量のシェアは二〇%弱でございますが、そのシェアは上げない。そのシェアは増加する中でも、ただいま申し上げました千六百万トンの六十年における国際的な穀物需給における貿易量のシェアは二割弱でございます。そのように配慮をいたしまして、肉資源その他については資源的な保全にとっても大事でございますけれども、たん白供給としてもむしろ大家畜にある程度依存しなくちゃいかぬということで、飼料作物の増産の規模なりその他についてはいろいろ御批判がございますけれども、飼料作物の増産ということを重点にして計画には取り入れたつもりでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 そこで、いまの飼料作物の増産という問題に関して、計画の中では約七十万ヘクタールをふやしていこうという計画が持ち出されております。したがって、これはぜひ達成しなければならぬと私は思っております。同時に、また、穀物依存型畜産から大家畜——鶏や豚まではなかなかむずかしいでしょうけれども、少なくとも牛や馬というものはできるだけ粗飼料主導型の畜産に切りかえていかなければならぬだろう。そういたしますと、将来の頭数の伸び率等から割り返してみますと、とても百五十万ヘクタールくらいの牧草地では賄い切れないという感じがします。  同時に、先ほど政務次官もおっしゃったように、北海道の開発というものは、相当生産量の大きく望めるような地域は少なくて、かなり清悪な地帯も含めて開発していかなければならぬということになるだろう。そうしますと、単位当たりの収量というものについてはますます問題が出てくるわけですね。ですから、この辺はどういう程度の反当の収量といいますか、ヘクタール当たりでも結構ですが、収量を見込んでいこうとされているのか。六十年までの目標だけではなくて、少なくとも長期的に日本の畜産を伸ばしていくといういまの御計画でありますから、伸ばしていっていただかなければなりませんし、特に、北海道においては、穀物型酪農の畜産ではなくて、いわゆる牧草型酪農なり畜産に主力を置いた経営をやっていくとすれば、飼料基盤の確立というものは非常に急がれるわけであります。  先ほど申し上げた国際的な見通しとしては、官房長は、決して心配はない、その辺を踏まえてかなり長期の見通しを立てたとおっしゃるけれども、しかし、今日の国際的な動きの目まぐるしいときには、長期の六十年までの展望を持ったとしても実現できないような問題が突発的に幾つも起こってきますね。その突発的に起こってくることも十分踏まえた上で計画をお立てになりませんと大変ですね。ですから、何といっても国内の自給体制をまず確立していくということに目を向けていかなければならぬわけですが、その場合に畜産が一番大きく外国の影響を直撃して受ける立場にいるわけですから、その意味では、草資源の開発と確保という問題は非常に緊急を要する課題だと私は思っておるわけです。その点はそういう考え方に立ってこの計画を進めるべきだと私は考えていたんですが、これはいかがですか。

大河原太一郎農林大臣官房長

○大河原(太)政府委員 濃厚飼料の国際的な視点から見ても自給が不安定で、したがって、国内の資源の活用としての飼料作物の増産等による畜産の推進という視点について、具体的な検討についてのいろいろなお尋ねでございますが、詳しい資料の必要がございますれば整理して御説明をしても構いませんが、乳牛一つ見ましても、われわれの計画といたしましては、良質粗飼料の供給量を現在のナショナルベースで六三%を七五%に高めたいというふうに考えております。  この供給を確保するためにはもちろん面積と反収でございますが、面積は、先ほど先生の御質問にございましたように、現在の七十六万八千ヘクタールの飼料作物の面積を百四十六万九千ヘクタールというようにいたす。先生は七十万ヘクタールの増ということを申されましたが、まさにそのとおりでございます。  なお、反収につきましては、現在のヘクタール当たり三十八トンを、技術的にその可能性を種々検証いたしまして五十二・三トンというような反収を見込みまして、総合的な粗飼料の——良質粗飼料でございますが、その給与率を七五%にまで高めたいというふうな計画としておるわけでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 ヘクタール当たり三十八トンの牧草を五十二トンまで引き上げるという御計画のようでありますが、従来の禾本科牧草と一部の豆科牧草を入れてこの反収の増加を図っていくということは、従来のパテントではなかなかむずかしいんじゃないかと私は思うんです。  それで、これは一つの提言ですけれども、前にもちょっとこの農水で取り上げたことがございますが、アルファルファですね。アメリカ流に言えばルーサンと言うんですが、このアルファルファというのは非常に高たん白で、しかも単位当たり収量が非常に高い。ただし、非常に条件がありまして、あまりPHが高いと、酸性土壌だとこれはいけません。かなりアルカリ性が要求されます。私は北海道におって、このアルファルファが栽倍の上でのそういう問題点を克服して普遍的につくられるように何とかしてならぬだろうかと思って、私自身もずいぶん長い研究をやってみたんですが、なかなかアメリカでつくるようなわけにはいかないんですね。しかし、これは一つは土壌の問題があるということと、かなり地下水の水位が高くないとだめだ。それから、積算温度もかなり高いものが要求される。二十年ぐらい昔の話になりますけれども、私はアメリカ西部で一年八カ月ほど勉強しておりましたが、その中で感じたのですが、このアルファルファというものがアメリカでは非常に重要な牧草としてすでに定着をしている。歴史的にも相当長い経過を経ている。まあ、アメリカ流のやり方まですることはどうかと思うんですが、たとえばアメリカでは、アルファルファが、つまりルーサンがいいからといって山のてんこつまでルーサンをつくりまして、そしてそれを刈り取るんじゃなくて、牛をぶつ放しているのです。あれはかたいものですから、牛は頭だけつまんであとは踏みつけちゃっている。私はあれはもつたいないと思いましたが、あんなところまではできないでしょうけれども、少なくともかなりの地域にかなりの面積でアルファルファをつくる条件が日本にはあると思うんですよ。先般沖縄に参りましたら、沖縄でもアルファルファが非常によくできる。これもサトウキビやパインと同じような一つの位置づけで、牧草の主産地帯として将来構想しているんだけれどもどうだろうという質問もございました。私はあまり認識がなくて行ったものですから、そういう御意見が出されて、私はアルファルファについてはぜひ何とかしたいと思っていた一人だったものですから、沖縄からそういう提案があったことを大変うれしく思ったんです。ですから、私は、これはやはりみんなそういう方向に目を向けつつあるなと思ったわけです。  これは非常にたん白の高いものですね。これは次官も御承知のとおりです。私から申し上げる必要はない。釈迦に説法の話です。ですから、そういう草性改良という面にうんと力を入れていく必要があるように思うんです。先般御質問いたしましたら、いま全国で三万ヘクタールと言われたような気がするんです。そんな程度しかいまアルファルファはないというお話しだったと思うんですが、アルファルファについては、一番問題になるのは、非常に湿度の高い時期に刈り取りをしてきますから、乾燥調製に非常に問題が出るんですね。  ところが、幸いなことに、その問題を研究されている人がいるんですよ。たとえば北海道で言えば、北大の広瀬教授なんかは真剣にこの問題を研究しているんですね。これはどういうやり方をするかというと、雨が降っていたって何だってかまわないのです。刈り取ったらそれをいきなり持つてきて瞬間で乾燥して、最後はアルファルファのペレットにしてしまうのですね。こういう工程を研究されて、技術的にはそれが可能だとしているのですね。ただ、それが実際には実用化されないという。これは作業工程が非常にありまして、そこにかなりのお金がかかるものですから単独ではなかなかやり切れないという問題があるのですね。ですから、その問題に対しての政府としてのお考えがきちっと出てくればこれは可能じゃないかと私は思っているのです。  いま官房長がおっしゃったように、これは相当の反収を上げるというお考えのようですけれども、確かに、従来のいままである禾本科牧草あるいは赤クローバー等を入れた豆科牧草でこの程度の反収が上がらないのはおかしいと思うのですけれども、現実にはなかなかそう上がらない。ですから、そういう点については、草の品種という問題も含めて、北海道あるいは沖縄でつくり得るアルファルファを相当部分を草生で——アルファルファというのは、次官も御承知のように大変たくさん種類がありまして、北海道から沖縄までいろいろな種類があります。世界的にはもう大変な種類があるそうでありますが、その地域に合ったアルファルファの栽培は十分可能だと私は考えるのです。  こういう点について積極的に手をつけていただきたいと思うのですが、政務次官、いかがですか。

江藤隆美自由民主党農林政務次官

○江藤政府委員 御存じのように、日本は肉資源というものを考えてきた期間が実は非常に短いわけであります。いままでは仮に一頭飼い、二頭飼いをやって、そして、北海道は別としましても、野草、あぜ草を刈ってやっておった。そういう中ですから、日本における畜産の一番の問題点は肉資源としての家畜の改良がおくれているということが一つと、それから、同時に、その裏づけになる日本の気候、風土、土質に適した牧草がまだ完全に開発されていないというところに非常な問題点があると私は思っております。  たとえばいまアルファルファのお話しがございましたが、これは種類もたくさんあるわけで、その中で北海道に向くものが沖縄に向くかというと、そういうふうにもまいらない。高温多湿のところとああいう寒冷地とは全く性格を異にする。そういうような微に入り細をうがっての検討がおくれておる。たとえば西南暖地ですと、特にレンゲというものがありますが、こういうものは反収も多いし、非常にいいけれども、これが刈り取り、乾燥の関係でどうしても手がつかない。下手につくりますと、今度は田植え時期が早くなって、そして小さい田植え機でやるものですから、今度は異常発酵して稲作に影響するという問題が出てきます。そこで、おっしゃるように、各地に適当とする牧草というものを早く改良開発していくということがどうしても大きな課題になってくるし、日本のような高温多湿のところ、雨の多いところでは、この刈り取り、乾燥に手をかけないということと、それから適時適切に乾燥していくための機械の開発というものが必要になってくることは当然であります。  そこで、私どもも、実は、ことしの飼料の緊急対策費を三十二億、安倍農林大臣になりまして追加を出すことにいたしましたときに、せっかくっくったものでも刈り取り、乾燥を一体どうするか、そういう機械の開発を進んでやって、国も大いにそういうことに役割りを果たすべきじゃないかということを当時ずいぶん議論したものであります。  農事試験場もございますし、あるいは畜産試験場も全国にあります。同時に、また、いまの御意見のように、こういう問題について隠れたところで非常に勉強しておるところが実はあるわけでありますが、大学でも、御存じのように、牧草というものについては余りやっておりませんで、全国の国立大学の中で牧草学を正式に学科としてやっておるところは恐らく二、三校ぐらいじゃないかと私は思うのです。非常に必要だと思われておるけれども、じみな授業でありますために大学自体も余り手をかけていなかった。試験場もそういう面では本当に完全にそういうものの開発に取っ組んでおったかと言うと、これは問題があろうと思っております。ですから、日本に向くそういう品種の開発を早くしていくということ、もう一つは、しばらくはいいのですけれども、何年かたちますとどうも反収が思わしくなくなってきて、どうしても本当にそこに定着しないということがやはり各方面に見られますから、そして、同時に、先ほど申し上げましたように人手の足りないときですから、刈り取り、乾燥あるいはペレットにすること、あるいはまた乾草にして余ったものはほかの必要な地帯に乾草として送り出せるようなこと、そういうところまで農林省が進んで役割りを果たす時期にもうなってきたんじゃないか、こういうふうに私どもは考えておるところであります。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 そこで、いま、北大の広瀬先生が研究されたというお話しをしたのですが、実際には現地でもこういう実用化の面について積極的に取り組んでいるところがあります。たとえば私のところの美幌町でありますけれども、美幌町なんかでもこういう計画を持っているのですね。この発想は、実は、でん粉工場で昔はでん粉の廃液とでん粉かすをそのまま豚に食わせたのですけれども、いまはなかなかそうはまいりませんで、あれが公害の発生源になるなんて言って現地ではえらく困っているわけですが、ここに目をつけまして、このでん粉かすの中のたん白質の非常に高い部分を抽出し、それからまた低たん白の部分も抽出するという工程が技術的に大体見通しが立ってきているのです。     〔坂村委員長代理退席、藤本委員長代理着席〕  それで、大山局長のところにも、美幌から、ぜひことしはこの計画実現のために予算をつけてくれという要求があうたと思うのですが、私はこの発想なり取り組みについて非常に高く評価をしておりまして、ぜひそれは実現したいものだなと思っているのです。だから、私はきょうは委員会の席で陳情に及ぶのですが、ぜひそういう芽は摘まないようにしてやってもらいたいと思うのです。これは十億もかかるので、とてつもない予算が要るものですから、なかなか現地では対応し切れない。いろいろな点で構造改善局なりあるいは畜産局なりでこの問題についても取り組んでくれているようですけれども、いま一歩の前進がどうもはかばかしくいかぬので、私もそういう点はぜひやっていただきたいと思う。  いまでん粉かすのお話しをしましたが、これは同じ工程でいまのアルファルファもやれるのですね。そうすると、政務次官も御承知のように、でん粉の製造というのはある一定の期間で区切られてしまいますから、あと一年間のうちの大半は工場を休むわけですね。ところがそれを組み合わせていきますと、まずでん粉かすのたん白化をやりながら、それが終わったら今度はアルファルファの刈り取り時期に向けてアルファルファの乾燥調製、ペレット化を図っていくというふうに、一連のでん粉工場の機能を充実することによって年間通してその工場が機能していくわけですね。これは非常にいいことだ、一石二鳥も三鳥ものものだと私は思うのですよ。ただ、問題は、銭こが大変なんですが、余りこの点は惜しまないで、せっかく現地のそういう考えがあるのですから、これはひとつ積極的に進めていただきたいと思うのです。原局の皆さんとは技術的にもいろいろなことをもう長いこと時間をかけてお話し合いをしてきました。問題は銭こにあるのです。これが解決すれば、北海道におけるでん粉かすの飼料化という問題を考えただけでも、濃厚飼料に代替できる部分が出てきて大変有効だと私は思うのです。  政務次官、初めてお聞きになったかもしれませんけれども、これはいかがですか。私は、きょうは、ぜひこれは積極的に伸ばしていただくように施策の上でお考えを願いたいと思ってお話しをするのです。

江藤隆美自由民主党農林政務次官

○江藤政府委員 初めて承りますので、ちょうど局長も来ておりませんからここで手放しでどの程度お答えできるかわかりませんが、私どもも、先ほど申し上げましたように、乾燥調製の機械の開発ということに実は非常に苦慮しておるわけであります。大型のものはもちろん、あるいは大型が入れられないところもありますが、ややともすると農機具というのは大型、大型と言いますが、そうじゃない適切な小型のものの開発ができないかということが一つの課題でありまして、いま八方手を尽くして、そういうものができないだろうかということで、実は情報も集めておるわけであります。  それから、いまのでん粉かすの利用については、これはもう同じように北海道と南九州で公害の問題が出てくるわけでありまして、特殊なにおいもいたしますものですから非常にいやがられるということと、おっしゃるように豚の飼料として近ごろ余り使わなくなってきました。そういうものが非常に効率高く利用できるということでありますならば、私どもも積極的に取り組んでみたいと思っております。  きょう初めて承りましたから、機会がありましたらその詳しいことを一度お聞かせいただくと大変ありがたいと思いますから、ぜひ時間をつくってそうした具体的なお話しを先生から拝聴したいと思います。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 私も、少し時間をかけて、この問題についてぜひ政務次官に御理解を深めていただきたいと思います。一つ言えば政務次官にもおわかりいただけますし、非常に簡単なものなんですね。やり方としては決してむずかしいものではないのです。ただ、機械が非常に高いものですから、お金がかかっちゃうという点がネックになっておりますから、その点はぜひ実現の方向に向けて御検討のほどをお願いしたいと思います。  さて、委員長から何時間でもいいと言われましたけれども、食糧政策ばかりやっておるわけにもいかぬと思いますので、この法案に入ってまいりたいと思います。  今回出されました農振法の問題につきましては、私どもも党内で十分論議をいたしてまいりました。せっかくの改正でありますから、この際、将来問題を残さないようにすべきだということと、もう一つの側面としては、政府が考えておりますことが着実に生きていくような施策にならなければいけない。そのための法律でなければならないのは申すまでもないわけであります。ただ、私はこの法案を通じて非常に心配しておりますのは、従来あります法律との関係、とりわけ農地法との関係の中で、総体的な印象としては、次第に農地法を骨抜きにしてしまうという意図があるんではないかと勘ぐらざるを得ないわけです。そんなことはないとおっしゃるでしょうけれども、せっかくある農地法が十分生かし切れない面も前回の農地法の改正に伴って出てきております。たとえば農協の委託事業の問題にしても、あるいは農地保有合理化法人の機能化の問題にしても、現地は一生懸命やるという気構えが幾らあっても、法律上農地法がだんだん骨抜きになってやりにくくなってきているという面もあると私は思うのです。時代がこういうふうに動いていく中でありますから、昔つくった法律を金科玉条とするなんて、そんなことにはならないことはよくわかります。現状に即して改めなければならぬことは改めていかなくてはならぬのですけれども、この農地法を守っているのは、御承知のとおり、市町村農業委員会です。そして、上部では各県の農業会議であり、全国では農業会議所があるわけですね。いわゆる農業委員会の仕事なんというのは、いまさら私が申し上げるまでもありませんで、もう幾度かそういうことを申し上げたのでありますが、私も実は長いこと農業委員をやってまいりました。寝食を忘れてこの農業の行政に取り組んできたつもりであります。また、現在おやりになっている農業委員さんは、それこそ本当に大変な仕事を抱え込みながら苦労して農地行政あるいは農業諸般にわたる行政を進めてきている責任者ばかりなんであります。そういう点を考えますと、農振法が改正されるに及んで、農業委員会のこういう点についてもきちっと位置づけしてもらわなければ将来非常に困るのではないか、せっかく努力をしてきた農業委員の努力に対して水をかけるような結果になったのではいかぬではないか、このように私は思うのです。  そこで、いままでの質疑の中でも承っておりますけれども、農業委員会の問題に対しては、あるいは都道府県農業会議の関係については、かなり連絡を密にしてやるというようなお話しが出されておりますけれども、それはそれとして、これは気持ちばかりじゃいかぬわけですから、法律上の立場というものを明記しなくてはならないと私は思うのです。そうしませんと、農業委員会の意見を聞かなければならないと言ったって、逆に言えば聞かなくてもいいなんということに解釈してしまわれると大変なんであります。それは最後までりっぱに行政指導が行われればいいと思いますけれども、その目はなかなか全国に行き届きません。そうすると、その町村長の考え方によって、農業委員会に意見を聞く場合もあれば聞かない場合もあるということでは困ってしまうのですね。町村長は行政全般にわたっての仕事を手がけているわけですし、何といっても全国市町村の状態は農業を基盤にしている町村が多いわけです。そして、地場産業の位置としてもきわめて重要な位置を依然として占め続けているわけですね。あるいは食糧政策全般を考えますときに、地域において農業の果たさなければならない役割りは非常に大きいわけですね。そういう点を考えますと、農業委員会の組織に対して十分の考え方をそこに持っておきませんといけないのじゃないかと思うのです。ところが、今回出されております法律ではその点が非常に不明確であります。  まず、農業委員会に対して一体どのようにお考えになっているのか、政府側を代表して政務次官の考え方をお聞かせいただきたいと思います。

江藤隆美自由民主党農林政務次官

○江藤政府委員 全国の農業会議所あるいは都道府県の農業会議、市町村における農業委員会、これが日本の農地行政を進めていく上に大きな役割りを果たし、また、今後も果たしていくであろうということは私どもは高く評価し、その機能は今後ともに損なわれることのないように十分生かしてまいりたい、このように考えております。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 それならば、たとえば今度出されました法律の十五条の五の第四項について、「農業委員会の意見を聞かなければならない」ではなくて「農業委員会の決定を経なければならない」と明確にしていただきたいと私は思うのですが、いかがですか。     〔藤本委員長代理退席、委員長着席〕

大山一生農林省構造改善局長

○大山政府委員 いま政務次官がお答えになりましたように、農業委員会というのは市町村の機関でございます。それで、この法律のたてまえといたしましては、「省令の定めるところによって」というのがございまして、省令で、この利用増進計画をつくる場合、これにつきましては農業委員会の意見を聞くわけでございます。いまの先生の御指摘の、もう少しといいますか、農業委員会の決定を経て、というふうなことに直せないかというお話しでございますが、利用増進計画なるものは、個々の市町村の関与のもとに、地域の利用者、所有者の集団的合意という枠組みの中で設定される利用計画ということに相なるわけでございます。ですが、そういうことを今度は増進計画というものの中身としてまいりますと、ある地番の土地についてはAという人がいま持っておる、それをBという人に存続期間何年かの利用権を設定する、隣の土地についてはCという人がDという人に、と、こういうふうなかっこうに相なるわけでございまして、利用増進計画なるものは、それらの個々の賃借権の設定行為の包括的なかっこうということに相なるかと思います。  いま先生が御指摘になりましたように、農地法のたてまえで所有権の設定なり賃借権の設定ということを自分の村内で行う場合には農業委員会の許可ということに相なっているということとの関連で、利用増進計画も単に意見を聞いてということ以上にすべきではないかという御指摘につきましては、先般大臣からも貴重な御意見として承っておきたいというお話しがあったわけでございますが、確かにそういう考え方もあろうかというふうに考えるわけでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 明確に法律上位置づけするということはなかなかおっしゃらぬのですけれども、たとえばいまの利用増進事業を進めていく場合における利用規定なんかも設けてやろうと言っているわけですね。ところが、いままで農地法を守って市町村の農業行政を進めてきた大事な農業委員会の意見というものがやはり中心にならなければいけないと思うのです。それは、町村長はわかっていないというのではありません。わかっておりますけれども、しかし、町村長が考えて議会にかけますと、いろいろな農業者以外の人の意見なんかももちろん入ってきますし、それは大事な点ではあるのですけれども、本当に農業を理解して経営をする立場から農用地をどういうふうにしていかなければならぬかという点の細かな話になってきますと、やはり専門家でないとわからないところがあるのですね。また、現地においては、日常農民との接触を農業委員はしておるわけです。いろいろな意見がそこから吸い上げられ、また交換されているわけですね。ですから、そういう意味で、市町村長の行政を通す部分よりも、農業委員との接触の中で出されてくる農家の直接の意見というのは非常に貴重だと私は思うのです。日常畑でもいろいろと会話がされます。農業委員というのはみんな農業をやっているわけですから、畑で隣近所の人たちといろいろな意見や考え方も本当に隔意なく話されるわけですね。そういう点を積み上げながら、農業委員は現地で非常に苦労してがんばっているわけでありますから、この大事な直接の担当者を通さないで判断するなんていうことが起こったら困るわけです。そんなことはない、町村長は農業委員会の意見を求めるんだと言っていますけれども、農業委員会の意見を聞かなければだめなんだというふうに法律的にきちっと位置づけすることは何もおかしくないと私は思うのですが、やはりそういうふうな考え方でお通しになろうということなんですか。それだと私は農地法の問題でもう少し言わなければならなくなるのですが、これはいかがですか。

大山一生農林省構造改善局長

○大山政府委員 利用増進事業は、先生御存じのように、一定の区域内におきます利用者と所有者との集団的合意というかっこうで、そこでできました利用計画ということでございまして、利用増進事業の性格からいたしまして、これは市町村の事業に最もふさわしい事業ではないであろうかというふうに考えるわけでございます。と申しますのは、利用増進事業は農振という計画の作成主体である市町村において行われるのが最も好ましいであろうということと、この事業が継続、安定的に行われる主体としてはやはり市町村というものを考えるべきであるということから、市町村をいわば事業主体ということにいたしたわけでございます。  ただ、先生御指摘の農業委員会との関係という乙とでございますけれども、本事業を行いますためには、何と申しましても市町村だけでできる問題ではございません。むしろ全員の同意ということの裏の問題といたしまして、利用者、所有者で利用増進組合あるいは協議会というようなものを事実上つくって、そこで相互の間において十分な調整がなされて、そこに利用増進事業が生まれてまいるということがございます。したがって、そういうことの関係を、いわば増進規程というものをまずつくって、その増進規程に従ったものとして増進計画をつくるわけでございますので、その主体としては先ほど申しました農振計画というものの作成主体である市町村、これが中心になりまして農業委員会と十分な協議をしなければならぬ、と、こういうことでございます。  しからば、農地法では賃借権の設定というようなことになれば農業委員会ではないか、と、こういうお話しでございますが、利用増進事業ということを先ほど申し上げましたようなことで考えるならば、やはり、主体としては市町村ということが最も好ましいと思っておるわけでございます。ただ、たとえば農地法で言いますところの三条許可権者である農業委員会との間にそごのないようにしなければならぬことは当然であり、また、農業委員会なり農協というものが積極的にこういうことに対応するという姿勢がなくては利用増進事業はできるわけではございません。したがって、その間においては密接な関係を持たすべきであるという御指摘は先生のおっしゃるとおりだと思うわけでございます。  われわれが法律を提出いたしました考え方といたしましては、先ほど言ったような農地法との関係も考慮して、委員会の意見を聞いてこの利用増進計画を作成する、そして農業委員会との関係は省令の定めるところということで規定したいと考えているわけでございます。  意見を聞くだけではなくて、もう少し積極的な姿勢を示すべきであるという御指摘でございますが、これは確かに一つの考えであろうというふうに考えるわけでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 局長からかなりの考え方が示されたから深追いをすることはしませんけれども、計画を立てるときには端的に市町村が立てるというのがたてまえだということですが、しかし、この計画を立てようとしたときには、農業委員会が少なくとも総員の決定ということをやらなければいかぬのじゃないですか。だから、余り回りくどくしないで、注文にきちっと農業委員会の決定を経なければだめだと書いた方が、政令で云々なんというよりはすっきりしていてわかりやすいのじゃありませんか。こういう考え方ですので、これは意見として申し上げておきます。  それから、今度は、この計画を進めていくに当たっての、いわゆる都道府県知事が持っております権限の規程をつくるといいますか、規程を認可する場合、これまた知事が単独で決めちゃっていいというようなことにはならない。都道府県農業会議というものがあります。従来も知事認可にかかわる部分については都道府県農業会議の意見を聞いてやってまいりました。少なくとも、こういう重要な今日の農業情勢を踏まえて考えますときに、都道府県農業会議の果たす役割りというものはますます重要になると私は思うのです。この段階で都道府県農業会議の意見も聞かないということではいかぬと私は思います。これもきちっと意見を聞かなければならないと——決定権はここにはありませんから、意見を聞く、こういうことについてやはり何らかの措置をとるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

大山一生農林省構造改善局長

○大山政府委員 県の農業会議と利用増進規程の知事認可との関係の問題でございますが、御存じのように、利用増進規程も、利用増進事業を行う基準になること、準則といいますか、そういうことを決めるわけで、きわめて大事なものだというふうに考えております。  ところで、利用増進規程というものもやはり農振計画達成の手段でございます。それで、県におきましては、農振計画達成のために県に農業振興地域整備促進協議会というものができているわけでございまして、この有力なメンバーとして県の農業会議も入っているわけでございます。県知事がこういうことを認定する場合におきましても、当然そういう促進協議会にはかけるわけでございまして、その場合の最も有力なメンバーである県の農業会議というものには、そういう意味におきましても当然意見をまず聞いておかなければ、そういう協議会においてもすっきりした結論は出せないことは当然であろうと思っております。そういうことから、この法律をつくります際におきましては、県農業会議が農振促進協議会の有力メンバーであるという意味におきまして、運用上当然の措置として県農業会議の意見を聞くということをぜひやりたいというふうに考えて立法化した次第でございます。

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 速記を始めて。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 農振地域整備促進協議会の主要メンバーに入れているから、当然県の農業会議は部会で十分議論をした上で代表者が出てくるのだから、と、こういう趣旨の説明でありますけれども、そうじゃなくて、やはりれっきとした機構があるわけですね。農地部会あり、農政部会あり、部会をきちっと持って、しかも総会を持って県の農業会議は運営されているのです。ですから、この機関というものは非常に権威のある機関ですね。知事に対してのいわゆる建議をすることができる。そして、また、農林大臣から全国農業会議所を通じて各都道府県農業会議の意見を聞かなければならないような今日の状態があるわけです。いわゆる諮問をすることができるわけですね。そういう権能のある機関が、単なる代表者が出てきて——代表者が出てくる限りは、部会といいますか、県農業会議の考え方をまとめた上で出てくる。それは理屈の上では当然であります。しかし、直接もっと細かに分析をしながら検討するということは必要だと私は思うのです。そういう場合にはストレートに県の農業会議に意見を求めるというふうにしておきませんと、必ずしも局長がおっしゃっているような運営にはならないと私は思う。確かに、理屈の上では局長のおっしゃるとおりなのです。そうでなければおかしいのです。しかし、直接農用地の利用増進にかかわる事項なのですから、それは県の農業会議にストレートにかけていくというふうに規定をしておくべきではないか。これは、次に申し上げようと思っております特定利用権の問題についても、開発行為の規制の問題についても同じことが言えると思います。少なくとも農用地にかかわる問題なのですから、都道府県農業会議の意見を十分聞くということが農振法改正に当たって明確に義務づけられなければいけないと私は思うのです。いまの御説明ではどうも私は納得ができないのですが、そういう考え方は全くないということですか。

大山一生農林省構造改善局長

○大山政府委員 先ほど申し上げましたように、立法の過程におきましては県の農振整備促進協議会のメンバーである、したがって、そこで意見を聞く中で農業会議の意見を聞けばいいということではなくて、促進協議会には当然かけざるを得ない、その場合に、それの有力メンバーである農業会議の意見をあらかじめ聞くということは運営上当然出てくるであろう、また、事実問題として聞かなければならぬことは確かだ、と、そういうふうに思うわけであります。そういうことで、われわれといたしましては、運用の中で意見を聞くということにいたしてはいかがであろうか、と、こういうふうに考えた次第でございます。  ところで、先生御指摘の他の問題、特定利用権の裁定の際の農業会議の意見を聞くこととか、あるいは開発許可についての意見を聞くこととか、これも運営上の問題としてわれわれはぜひ聞きたい、こういうふうに思っておるわけでございます。特定利用権の問題につきましては、農地法の草地利用権の場合においては、県の開拓審議会の意見を聞く、という規定もございます。また、そういうこととの関係もございまして、運用でやってまいりたいというふうに実は考えたわけでございます。  しかし、この点につきましては、先生が言われますことも確かに否定すべからざるお考えであるというふうにも考えるわけでございまして、これらの点につきましては、われわれといたしましても、先般大臣が御答弁いたしましたように、貴重な御意見というふうに聞かせておいていただきたいと思うわけでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 大変回りくどい答弁ですね。奥歯にもののはさまったような言い方だが、何とか考えようということだろうと私は善意に理解しまして、余りこれも深追いはいたしません。しかし、十分考えてください。これは私は本当に心配しているのです。  ところで、この際、委員長にお願いをいたしますが、全国の都道府県農業会議に設置されております農振地域整備促進協議会のメンバー構成について、全国全部というわけにはまいらないと思いますが、大体一つのタイプがあると思いますので、どういう代表が入っておるかということがわかるような資料が欲しいと思います。  それから、いまの特定利用権の設定に直接絡まった問題ではないと思いますが、それらを審議しようとしておる開拓審議会というものがあるというお話しでしたが、これはどういうメンバーで、タイプとしてはどうなっておるのか、この資料の提出をお願いしたいと思います。

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 承知いたしました。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 それでは、大臣がお見えになるまで一時質問を中断いたします。残りの部分につきましては、大臣がお見えになってから再度お尋ねをしてまいりたいと思います。  以上で、一応終わります。

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 この際、暫次休憩いたします。     午後零時二十八分休憩      ————◇—————     午後二時三十七分開議

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。島田琢郎君。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 時間が細切れになっているものですから、いろいろとあっちこっち行ったりして質問が一貫していないので、受け取る政府側としても大変答弁しづらい点があると思うのですけれども、まあ続けさせてもらいます。  ところで、私は、先ほど面積の問題についてもいろいろ議論いたしましたが、非常に心配をしておりますのは、今度の農振法の改正で、次に申し上げる点が果たして改善されるかどうかということなんです。  その一つは、農基法農政というものが展開されて以来、この統計数字にも出ておりますように、非常に農地の移動や流動化が進まなくて、むしろ財産的保有という傾向が強まって、一種兼あるいは二種兼含めて兼業農家が非常に増大した。これは依然としてその傾向は改まっておらぬのですが、この点が果たして今度の農振法の改正でできるのかどうかというのが一つ疑問でございます。  そういう点では、三十七年と四十五年の二回にわたって農地法の改正が実は行われているわけですね。ところが、実は、一向に効果を上げていない。この点の原因となるものは一体何と何なのか、その辺、政府側としては分析されておられますか。

大山一生農林省構造改善局長

○大山政府委員 先般の農地法の改正におきましても、農地の流動化ということによる規模拡大ということを志向いたしましてあの手この手と打ったわけでございます。しかし、基本的に申しまして、農地所有者の土地の資産的保有傾向というものが非常に強いということが一つの問題であるわけでございます。  また、一方、耕作権も強いということから、他人に貸すと、それが法定更新するというようなことともからんで農地の価値が低落するということから貸したがらない、こういう問題があるわけでございます。そして、また、資産的保有傾向ということから、さらに、値上がりというのですか、まあそういうこともあるんでしょうが、売りたがりもせぬというふうなことがあったわけでございます。そして、また、それの反映として、ところによっては耕作放棄というような事態も出てまいったわけでございます。  農地の信託という制度につきましては、所有権の移転を、農協との間にしろ、せざるを得ない。これが貸付信託であろうと、売り渡し信託であろうと、売り渡し貸付信託であろうと、いずれにしても、所有権の移転を形式的に伴うということがやはりこの制度をうまく進めなかったゆえんであろうというふうに考えるわけでございます。それから、農協の農業経営委託の問題にいたしましても、実績から見て大体毎年百ヘクタールぐらいというふうな事態でございまして、基本的な問題といたしまして、やはり資産保有的な傾向という問題があり、しかも、貸すことに対して農民が非常に不安を持つという問題が、せっかく先般の農地法の改正で耕作権による農地の流動化という問題も意識したわけでございますが、それもうまくいかなかったゆえんであろうというふうに考えておるわけでございます。  そこで、今度の農用地利用増進事業というのも、農地所有者が安心して貸せるということを一つの眼目とし、そして、また、借りる方の人から言えば、そういう計画的な地域の貸し手、借り手といいますか、所有者、耕作者、利用者一体となった集団的合意のもとで計画が継続していって、そういう継続の過程の中に実態的に安定するということによって、いわば貸し方の不安をなくし、借り方といいますか、利用者側も安心して投資できるような方法というものを利用増進事業として考えた次第でございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 局長、いまおっしゃっていることは確かにそのとおりだと私も思うのですね。いままでもそれじゃそういう考え方でやってこなかったのかと言えば、やはりやってきたのですね。特に、現地においてはそれぞれ市町村、農協も入ってもらって、農業委員会は大変苦労をしながら農地の適正な移動を図ってきたんですね。ところが、全体としては一向にそれが改まらないのですね。ですから、貸し方も安心して貸せるし、借りる者も長期的な計画に立って計画にそごを来さないような条件をそろえてもらうということは、これはもう全くおっしゃるとおりで、私もその点は一つも反論しないのですけれども、しかし、そういうお題目だけでは全然これは進まないと思うのですね。  ですから、今度の農振法なら農振法の中で、たとえば具体的に言いますと土地を仮に一反歩借りるとしますと、その小作料について、貸す方はなるべく高く貸したいわけですけれども、借りる側にしてみますとそろばんをはじきますわな。何万も何十万も出してはとても借りられない。もっとも、小作料に何万も何十万もはありませんけれども……。そうすると、貸す方としても、現行の小作料ではとても貸し切れない。借りる方にしてみればなるべく安く借りなければ、いまの農産物の価格から逆算して土地の利用計画が成り立たない。こういう点を具体的に何かの手を打たないと農地の移動というものはしないのじゃないかと私は思うのですよ。  それは売る、買うという場合はもちろんありますけれども、いま兼業農家がどんどんふえていって、専業農家が減っていくというこの状態というものは、先ほども局長のお話しの中にもあったし、私も申し上げましたとおり、これはまさしく財産的保有ということの方がむしろ有利だという考え方が先行しているからなんですね。ですから、自分の土地を荒らしていたって貸さないという極端な話は別としましても、もう少し何か有利な条件をお互いに与えてやることに法律上の手だてをしなければ農地の適正な流動化は図れないのではないか。もっと具体的に言えば、小作料に対する何らかの資金投入でも図って、一時的にでも流動させていくような糸口をつくってやらないと、いまのままでは幾ら法律をつくってお題目を並べて行政指導を強めてやったって、やはり個人的な財産権というものがありますから、この点は解決しないような気が私はするのですがね。そういう点でも、現場で直接、同じ農民仲間で江藤政務次官はお気づきなんでしょうが、次官、この点はどうですかね。何かうまい名案をお持ちではありませんか。

江藤隆美自由民主党農林政務次官

○江藤政府委員 御意見のような点がございますので、当初、この法案が通りまして実施するモデル事業につきましては、たとえば小作料の三年の前払いをやる、それに対して国も助成をして、この制度が軌道に乗るようにということで実は予算上の措置もいたしておるわけであります。  そういうことで、一つの取っかかりを進めて、まずモデル事業からずっと広めていきたいという考え方を持っております。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 そこで、特定利用権の問題ですけれども、特定利用権を設定しようというふうな地域というものは何らかの理由によって放置されているところが多いだろうと私は思うのですね。そういう場合開発をしていかなければなりません。荒れた土地なんかもあるでしょう。あるいは、山林原野で網をかけた部分を開発しようとすれば、そこに金がかかりますわな。そういう点、農用地域に入れて対象にしていけば、まあ補助金なんかも入るという道は開かれるでしょうけれども、それだけじゃ利用したいという者がちょっと利用し切れないんじゃないかという気が私はするのですよ。たとえば、一たん一年でも耕作しないで放棄したとしますわね。そうすると、それはもう雑草がいっぱい生えます。これをもとに戻すということは容易ならない作業が要りますし、金もかかるのですね。こういう点について、単にいまの補助政策の中での一定の率に応じためんどうの見方だけではとても借り切れないのではないか。こういう場合には、その行為に対する負担は経済的にどこが負担する考えなんですか。

大山一生農林省構造改善局長

○大山政府委員 先生の言われました特定利用権を設定しなければならぬようなところはわれわれの考えといたしましては、いわば草地利用権のように、未墾地で買収すべき土地について草地的な利用をさせるという、形質の変更を当然の前提とするような利用権の設定ということではございません。特定利用権というのは、耕作者が耕作していないで、それの経営状況なり労力事情なり、そういったいろいろな事情から見まして引き続いて耕作する見込みがない場合に、耕作されないままに放置しておくのは好ましくない、そこで、いわば伝家の宝刀として共同利用の目的に供しようという趣旨でございます。  そこで、先生が言われましたような、単に耕作放棄されているようなところについて、特定利用権というかっこうでなくて、それを開発して、いわばそういう地縁が転在しているような場合に、それも開発して利用するということでございますと、私たちとしては、これはむしろ利用増進事業の中に入れるべきものであろうというふうに考えておるわけでございます。  利用増進事業ということになりますと、先ほど政務次官が御答弁いたしましたように、モデル事業というかっこうで何でも使えるというかっこうの予算を実は計上しているわけでございますが、その中において復元費も考慮してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 それにしてもかなり金がかかると思うのですよ。政府が一応の算定基準を決めてやるのでしょう。かかった分全部をすくい上げるわけにはまいらぬと思うのですね。ところが、一たん荒廃した土地をもとに戻していくということはなかなか容易ならぬ金がかかりますからね。ですから、いまのモデル事業のようなことで行ったとしても、それじゃ開発にかかった費用は全部持つんだということにはならぬでしょう。そういう場合はかかった分は全部持つという考え方に立っていいわけですか。

大山一生農林省構造改善局長

○大山政府委員 利用増進特別対策事業として五十年度予算で国会にお願いしております内容といたしましては、いま申し上げましたようなところに対します復元も含めましたものを増進事業の中身として実施する場合に、いわば二分の一補助ということを考えているわけでございます。  それから、もう少し広い範囲で、たとえば圃場整備事業をやるという場合に、その中にそういう耕作放棄されたままになっている土地が点在している場合、これも含めて圃場整備事業にすることは可能でございます。その場合においては当然の補助率が適用される、こういうことになろうかと思います。  なお、補助残につきましては公庫融資ということに相なると思っております。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 つまり、補助残の融資部分なんですが、これがやはりなかなか安く上がらない、相当金がかかっちゃった、こういった場合に、その半分は補助ですけれども、残り半分もしょい切れないぐらいかかるというようなことが仮に起こった場合に、融資ではなかなかそれはしょい切れないんじゃないですか。現に、そういう土地に対する十アール当たりの経費がどれくらいかかるというふうに踏んでおられますか。

大山一生農林省構造改善局長

○大山政府委員 農地であったものが、一、二年といいますか、二、三年放置されている場合の耕地に戻すことにつきまして、われわれの調査したところでは、二、三万でできるというふうな数字を持っているわけでございます。  なお、融資率といいますか、三分五厘資金等の融資率につきましては、ことしの予算に関連いたしました貸付条件の改定の中におきまして、戸当り三百万までは全額融資——昨年まではたしか二百万だったと思いますが、三百万まで引き上げまして、われわれの計算ではほとんどの者が全額融資を受けられるようになったと理解しているわけでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 私は、融資部分について、お金の限度のことで申し上げているのではないのですが、結局は残りの部分は融資である。融資ということは、耕作した農家が負担しなければならぬのですね。ですから、その負担部分がかなり大きくなるんじゃないですか。つまり、小作料だって、普通のいまの農作物の価格、たとえばビートを引き合いにしてみましょうか。ビートのいまの単価で土地を借りた場合に、いま二万円かかるということを平均的な数字としておっしゃいましたけれども、そうすると残り一万円だ、だから、あと一万円はそのビートをつくったら払えるだけの余力があるんではないかという単純な計算には現地はなかなかなり切れないのですよ。ですから、それならそんなところの土地を借りるよりはつくらぬ方がいい、もしくは、直ちにビートの生産が上がるような土地がほかにあればそれを借りた方がいいということで、安易に流れてしまいがちなんですね。だから、その辺をかなり重厚に進めてまいりませんと、そういう地帯の有効利用ということは言うべくしてなかなか促進されないのじゃないかと思うのです。現地で幾つもそういう問題に私はぶつかっているのです。  私どものヨモギなんというのは一年たちますとこんなに太くなりまして、そして、一年つくらぬでおくとこんなになっちゃうんですよ。それをひっくり返すのだから、それは開墾まではいかないでも、かなり金がかかるのですね。ですから、どこの平均値で大体二万円ぐらいで利用できるような状態になるかということは私はわかりませんけれども、それは平均的に二万とおっしゃっても、中には三万も四万もかかるところがあるだろうと思うのです。そうなってくると、たとえば三万円で半分ということにはならないのでしょう。大体平均値二万円ぐらいで押さえた上の五割補助というような考え方がやはり強くあるのでしょうからね。そうすると、書類に上がってこない部分で大変かかった部分は全部その農家の負担ということになってきたら、せっかく利用しなさいと言って道を開いたとしても、なかなかその土地を利用しようとしないというようなことになりはしないか、その点がちょっと心配だということを言っているわけであります。

大山一生農林省構造改善局長

○大山政府委員 利用増進モデル事業といいますか、あの事業では、三カ年で標準事業費として一応五千万という金額を考えているわけでございます。それに対して二分の一補助ということでございまして、それはメニュー方式でやるわけでございますので、その中のいまのような耕作されていない土地を増進事業の対象にすることに要する経費を二万円なら二万円で押さえ切るというつもりはございません。地方によって非常に事情が違っておると思いますので、五万かかるところは五万、一万で済むところは一万ということで、メニューでございますので、その単価については、標準単価というのも一つ事実上はあると思いますけれども、それに拘束されるという考え方は持っておりません。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 それはわかりました。  ところで、利用増進規程を設けられるようでありますけれども、小作契約といいますか、耕作契約、これは一応三年というようなことをお考えのようですけれども、そうですか。

大山一生農林省構造改善局長

○大山政府委員 利用増進事業を考えます際に、貸し手、借り手の全員の同意というようなことが前提になるわけでございます。そこで、存続期間の問題につきましても、作目でありますとか、あるいは土地の利用状況、あるいは所有者、利用者の動向、意向、こういうことによって実情に応じて決められるわけでございますけれども、少なくとも三年ぐらいを当面の目標といたしまして漸次定着化するとともに、そういうような方法に指導してまいりたいと考えておるわけでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 委員長、大臣がお見えのようで、畜安法の方に移るそうですから、一時中断いたします。

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 どうもありがとうございます。      ————◇—————

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。芳賀貢君。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 この際、畜産物価格安定法の改正案に対して、安倍農林大臣に質問をいたします。  第一に、畜安法の中に、国内生産の牛肉を対象にして、さらに農林省令で定める規格に適合する牛肉については事業団の買い入れ対象にするということが政府の今回の改正案の内容でございますが、この指定食肉の中の、いわゆる農林省令で指定する牛肉というものの範囲並びにその規格について、この際明快にしてもらいたいと思います。

澤邊守農林省畜産局長

○澤邊政府委員 事業団の買い入れの対象とします牛肉の種類、規格等につきましてはなお検討中でございますけれども、考え方といたしましては、市場におきます流通の中で相当なシェアを占めるものとか、それから、その種類、規格の牛肉が全体の牛肉の価格形成の指標となるようなものであるとか、あるいは特殊な最高級の牛肉であるとか、あるいは逆に非常にすそもののような牛肉であるとか、そういったものは除外して考えていいのではないかというような三点を考慮しながら決めていくべきではないかというふうに考えておるわけでございます。現在なお検討中でございますけれども、事務的な検討の段階といたしましては、いま言いましたような点を考慮いたしまして、和牛の「去勢の中」、それから乳牛の雄、去勢でございますが、これの「中」をとりあえず対象にしていってはどうかというように考えております。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 まだ検討の余地はあると思いますが、いま畜産局長が言いました内容を大体具体的に考えておるわけでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 先日の当委員会の質疑の中においても、いま言われた和牛並びに肉用去勢牛の中肉を規格対象にするという点は委員会においても述べられたわけでありますが、国内産の牛肉の中で、市場における占有率から言うと、俗に乳廃牛と言われる乳用雌が搾乳牛としての使命をおおよそ果して、貴重な肉資源としてこれを肉用に向けるというような場合もあるわけでして、これがここ三年間の実績を見ても、国内で生産された牛肉の市場出回りの約三分の一を占めておるわけですから、こういう貴重な肉資源を、今回国産牛肉を法律の対象にする場合にことさら除外するということになれば、影響するところが甚大になるわけです。  ですから、この点について、この法律が成立すれば当然農林省令をもって規格を設定することになるわけでありますからして、その際、いま大臣の述べられた和牛の去勢牛と乳雄の去勢牛の中肉を対象にするとしても、それにさらに乳廃というのは——これは表現がまことに悪いわけですけれども、通称そう呼んでいるわけですが、これを必要と認めた場合においては、当然それを省令の定める買い入れ対象にするかしないか、この点を明確にしてもらいたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 乳廃牛肉、この言葉には、いま御指摘がございましたようにいろいろと問題があると思いますが、通常言っております乳廃牛肉について、これを指定食肉の対象にすべきではないかという御意見でございますけれども、これにつきましてはかねがね当委員会においても御要請がございましたし、御質問もあったわけでございますので、これに対して農林省として、また、農林大臣としてどういうふうに考えているかということにつきましてお答えを申し上げたいと思います。  乳廃牛肉を指定食肉の対象とすることは、本制度の仕組みあるいは酪農関係施策との関連性から、現状においては必要ではないものとも考えておるわけでございますが、牛肉資源としての重要性あるいは酪農経営との関連性等にかんがみ、今後畜産振興審議会や学識経験者の意見等を求めてさらに検討するとともに、今後本制度の運用を通じて乳廃牛肉の価格安定が図れないと判断される事態が生じたときには、乳廃牛肉を指定食肉の対象とすることを前向きに検討をし、実施を図る考えでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 もう少し明確にできないですか。現在の畜安法においても、農林省令で定めるということになれば、当然農林大臣を中心として省議で決めるわけですから、農林大臣の権限で決める事項をわざわざ畜産振興審議会や何かへ持ち出してお伺いを立てる必要はないと思うのですよ。そうなると、あらゆる法律に基づいた省令というものは独自判断ができない、どこかへ持っていって意見を聞かなければ決められないというようなことになると、これは大変な問題ですよ。元来、法律に付随する政令、省令というものは、法案審議の場合においては全部整備して、それを委員会に提示して慎重な審議を求めるというのが当然じゃないですか。最近のように、黙っていれば全く政令案も出さない、省令案については、いま大臣の言われるようにどこかの審議会に聞いてみなければわからぬじゃ、全くこれは心細いと思うんですよ。だから、省令で決める場合、その対象にする時期の問題については、法律が参議院においても今月中に成立するということになれば、三月下旬の豚肉と合わせて牛肉についても安定価格を決めるということになるわけですが、即刻できないとしても、国内の牛肉を畜産物価格安定法の対象にするということになれば、とにかく出回りの三分の一以上を占めているわけですから、これを無視し、あるいは排除するような形で省令を決めるというようなことになれば、当然、この三分の一の乳廃の市場における価格というものは、従来形成された価格よりも非常に不利益な状態になるということは専門家の畜産局長においても念頭にあると思うんですよ。だから、この点について、農林省として、大臣のもとにおいて必要ありと認めた場合においては速やかに省令の対象に加えて、そして遺憾のない運営をするということであれば話はわかるが、よそへ行って聞いてこなければわからぬなんということでは、これは全く無責任じゃないですか。この点がわれわれは不安ですから、政府が明確にしない場合においては別に好んで法律の中に乳廃牛を加えろなんということを持ち出す必要はないが、政府を信用しない場合は、対抗手段として法律事項によって立法府が決めれば、絶対だめだと思ってもどうしてもやらなければならぬわけですからね。  きょうは詰めの段階ですから、そういう点は率直に述べてもらいたいと思うのですよ。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 これは、いまお話しがございましたように、もちろん最終的には農林大臣の判断と責任において決めるべき問題であると思います。ただ、初めての制度をこれからつくっていただくわけでございますし、そういう中にあって重要な問題でもございますので、やはり、畜産振興審議会等の審議等は一応徴するという手続をとることも必要でもあろうと思いますが、これはもちろん最終的には私の判断と責任において決めるわけでございますし、先ほどから私が申し上げましたように、この問題につきましては当委員会においても熱心な御議論が出ましたし、御要請が出ておることも十分承知もいたしておるわけでございます。  また、乳廃牛の占めるウェートが非常に大きいことも私も十分承知いたしておるわけでございますから、先ほど申し上げましたように、この乳廃牛肉の価格安定が図れないと判断される事態が生じたときは、乳廃牛を指定食肉の対象とすることを前向きに検討し、実施を図る考えであると申し上げたとおり、私の判断で前向きに検討して実施を図る考えでありますので、この点は十分御理解をいただきたいと思うわけでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 いまの大臣の発言から言うと、畜産振興審議会等の意見を聞いてということは一言多過ぎたということになるのじゃないですか。いままでは、国産の牛肉については制度の対象にしていなかったわけでしょう。今度は、国内の肉資源を牛肉の分野まで確保するという目的に立って、畜産物価格安定法の中に、法律で言うところの食肉の中へ牛肉を入れたわけですから、牛肉ということになれば、これはいわゆる和牛であろうと乳用の牛であろうと、その個体から生じる肉というものは全部牛肉です。元来乳廃牛なんという種類はないですよ。世界のどこの文献を探しても乳廃牛という種類の牛はいないですよ。国内の食肉である牛肉を、今度は価格の安定と需給の安定の目的にするわけでしょう。そのかわり一定の規格を農林省令で定めて、それを指定食肉として、その指定した分だけを買い上げの対象にするということになるわけですから、その場合、最初から乳廃牛を排除しますというような考え方というものは間違いだと思うのですよ。だから、法律の目的に沿って、国産牛肉の価格安定と需給安定上、乳廃牛についても農林省令の規格の対象にするべきであるという判断は当然生じてくるわけですから、その場合に、農林大臣としては一体省令の対象にするしかしないかということをこの際明確にすべきではないかということを私は言っておるのですよ。

澤邊守農林省畜産局長

○澤邊政府委員 今回改正をお願いしております牛肉の価格安定制度の目的は、牛肉全体の価格を安定するのが目的でございます。それを具体的に買い入れする場合は、先ほどお答えいたしましたような趣旨で、特定の種類、特定の規格のものを買い入れの対象にいたしますけれども、目的は全体の牛肉の価格安定でございます。したがいまして、法律の文言からいたしましても、いわゆる乳廃牛は法律上当然牛肉の中に入るわけでございます。われわれといたしましては、先ほどお答えしましたように、和牛の「去勢の中」と乳牛の「去勢の中」を買い入れ対象にしていけば、それが代表的なものであり、価格の指標的な機能を持っておりますので、間接的な効果として全体の牛肉の価格の安定が図れるであろう、こういうふうに考えてあのようなお答えをしておるわけでございますが、実際に実行いたしまして、他の牛肉、乳廃牛を含めまして、これが価格安定が行われなくて、対象としたものだけが価格安定がされて、その他のものはたたかれるとかあるいは価格が下がるというようなことでは法律の目的を達しませんので、そういうことの事態が明らかになりますれば、言葉をかえて言いますると、われわれが予想しているのと違った事態が出てまいりますれば、その段階で乳廃牛の牛肉を省令で追加していく。法律上当然追加できるわけでございますから、そのようなことで対処してまいりたい、こういう趣旨で大臣からお答えをしておるわけでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 いまの澤邊局長の答弁でありますと大体わかるのですよ。これは大事な点ですから、さらに農林大臣からこの点を明快にしてもらいたいのです。  それは、法律を国会で審議して決める場合、その条文の中へ、政令にゆだねるとか、農林省令で定めるとか、そういうことをうたっておるが、これはあなたの方で決めるのじゃないですよ。われわれ立法府において、実施上この事項については閣議決定をもって、法律の精神に基づいて、実施に遺憾のないように政令で決めなさいとか、この事項については、農林大臣のもとにおいて具体的に省令事項として実施を明確にして実行しなさいとか——だから、法律が命じているわけですからね。われわれ立法府において畜産振興審議会とか農林省のOBに聞きなさいなんということは、政府提案の法律であってもそういうことはうたってないわけですからね。そこを履き違えないようにしないと、安倍さんのいわゆる攻めの農政はできないと思うのですよ。  いまの局長の答弁は久しぶりで明快ですけれども、これは大事な点ですから、後やるかやらぬかは農林省令に任せておくわけだから、この点はぜひ大臣から明らかにしておいてもらいたい。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 いま畜産局長が申し上げましたように、私も申し上げたことと変わらないわけでございますが、乳廃牛は、この法律における牛肉では法律の対象になるということははっきり読めるわけでございますし、そういう中にあって牛肉の価格の安定ということが目標でございますから、先ほど畜産局長が申し上げましたような具体的な措置を講ずるわけでございますが、乳廃牛肉につきましても、この価格安定がその中において図れないというふうに判断したときには、これは指定食肉の対象として加えることは当然のことでございますし、私もこれに対しては前向きに考えていきたい、こういうふうに考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 その点は了解しました。  次にお尋ねしたい点は、今度は法律の制定によって国産牛肉が畜産事業団の業務の対象ということになるわけですが、そうなると、いままでは事業団の業務の中で輸入に係る牛肉を事業団が買入れすることができるということになっておるわけでありまして、これは昭和四十一年の畜安法の改正で、以降そうなっているわけです。ですから、いままで国産牛肉を事業団の業務の対象にしておらない場合の輸入牛肉の取り扱いと、今度は国内牛肉の価格安定と需給の安定を図るということになれば、この事業団の行う輸入牛肉の取り扱いについても、目的と運営の方法というものがおのずから変わってくると思うのです。変わらないということであれば、これは変なことになるわけですからね。その角度から見た場合においては、当然のことでありますが、この機会に畜産事業団の行う牛肉の輸入についても、少なくとも加工原料乳補給金法に基づく指定乳製品については畜産事業団が農林大臣の承認を得て輸入することができると——いわゆる指定乳製品については事業団が一元輸入を現在行っておるわけですよね。その事業団が今度は国内の牛肉を扱う。いままでも業者が輸入した牛肉を事業団が買い入れしてきておるわけでありますからして、この点を整理して、事業団の一元輸入が行われるように法律を整備する必要があるのではないかというふうに考えられるわけであります。  この点について農林大臣のお考えを聞かせてもらいたいと思います。

澤邊守農林省畜産局長

○澤邊政府委員 事業団が直接輸入をやれという御趣旨の御意見かと思いますが、これは御指摘がございましたように、乳製品の場合には不足払い制度の一環といたしまして事業団が直接輸入をすることができるようになっておるわけでございますが、他の農林物資につきましても、たとえば食管物資、米のような場合、これは民間が輸入した物を政府が全量買い上げる、ほかの者は輸入した物を買ってはいけない、こういう趣旨の規定になっておるわけでございます。その点、牛肉につきましては、従来もあるいは今度の改正によっても変わらないわけでございますけれども、事業団は直接に輸入業務を行うということではなくして、「輸入に係る牛肉を買い入れることができる。」という規定そのままになっておるわけでございます。牛肉を直接輸入するということは、みずから輸入許可を受け、これに基づいて輸入することでございますし、輸入に係る牛肉の買い入れというのは、輸入許可を受けて輸入した者からこれを事業団が買い入れるということになるわけでございます。輸入に係る牛肉の買い入れの場合、具体的には、事業団が発行いたしました発注書を有する者に対して、その発注書に記載されている数量を国が割り当てをし、これによって輸入された牛肉を買い入れるものでありまして、現行の輸入割り当て制度を前提として運営されます限り、事業団が直接輸入業務までやるという場合と輸入した物を買い入れるという場合には実際上大きな差はないというふうに見ておるわけでございます。  事業団が直接輸入業務をやるということになりますと、現在の組織なり機構、陣容をもっていたしましては、輸入関係の特殊な業務でございますので、全部事業団がやるということは非常に困難でございますし、専門的知識も乏しいということでございますので、結局また民間に委託せざるを得ないということになると思います。そういうことになりますれば、いよいよ輸入した物を買い入れるということと差がなくなるわけでございますので、実質的には輸入した物を買い入れる。しかも、先般来お答えしておりますように、事業団が一元的に輸入した大半の物の取り扱いをするということをこれまでもやっておりますし、今後もやる予定にしておりますので、その点は直接事業団が輸入業務をやる場合とほとんど差がないというように考えております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 いま畜産局長から説明のあった中に、まず、食糧管理法においても、業者が輸入した米麦について、それを政府が買い入れすることになっておると言いましたが、これは間違いじゃないですか。きょうはそういう変な答弁があるということを予測していないから食糧庁長官の出席は求めていませんが、これはだれか食管法の規定を知っている政府委員はいまいないですか。

澤邊守農林省畜産局長

○澤邊政府委員 私がいまお答えをいたしましたのは、食糧管理法の十一条でございますが、「米穀又ハ麦ノ輸出若ハ移出又ハ輸入若ハ移入ハ政令二別段ノ定アル場合ヲ除クノ外政府ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ之ヲ為スコトヲ得ズ」とありまして、許互を受けなければできない。それから二項の、「前項ノ規定二依リ政府ノ許可ヲ受ケ米穀又ハ麦ヲ輸入又ハ移入シタル者ハ命令ノ定ムル所二依リ其ノ輸入又ハ移入シタル米穀又ハ麦ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノヲ政府二売渡スベシ」という規定で、現在輸入した物を買い入れしておるというように聞いております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 いまあなたは食管法を読んだからそうなっておるわけでしょう。先ほどの答弁はそうじゃないですよ。あなたの答弁は、食管法に規定されておる米麦においても、業者の輸入した米寿を政府が買い入れをしておる、それを、現在の事業団の輸入牛肉については、業者の輸入した物を買い入れるのとあたかも同じであるようなことをあなたは言っておったわけだ。そうでしょう。米麦の輸入あるいは国内の移入にしても、これは厳重な統制をしているのですからね。業者の輸入した米麦は命令の定めるところに従って政府に売り渡しすべしという命令がここに規定されておるわけですからね。それを、業者が輸入した牛肉を現在の事業団が買い入れることができるというような、そういう規定と混同するようなことでは問題ですよ。ただ、食管法においては、この十一条の条文に基づいて、食管法施行令の第十四条の二で、政府の委託によって米麦の輸入、輸出ができるということも政令事項でこれはうたってあるわけです。だから、勝手に業者が通産省から輸入の発券を受けて米麦を買ってくるなんというわけにはいかぬですよ。だから、食管法を援用するなれば、当然事業団の一元輸入というものはやるべきなわけですね。そのほか畜産事業団がやっておる指定乳製品は、これは一元輸入をやっておる。あるいは繭糸価格安定法によっても、これは国会の委員会修正で、必要な事態の場合には事業団が一元輸入できることになっておるわけですから、だから、この機会にやるべきでないかということを私は指摘しておるわけです。これは大事な点ですから、大臣から御説明願います。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 御存じのように、牛肉の輸入につきましては、従来から輸入割り当て制度のもとにおきまして、牛肉の価格及び需給動向に即応して輸入量を調整するために、輸入牛肉の大部分は畜産振興事業団に取り扱わせておるわけでございます。今回牛肉を指定食肉に追加することに伴いまして、従来以上にこれはきめの細かい輸入調整が必要となってくるわけでございます。このために事業団の輸入牛肉の取り扱いを通ずる価格安定機能を最大限に発揮させることはもちろん大切なことでございますが、このために平常時におきましては輸入牛肉の大部分を事業団に取り扱わせることとするとともに、特に必要がある場合には事業団に一元的に輸入を取り扱わせる措置を講じたいというふうに考えておるわけでございまして、これによりまして、今回の国産牛肉の買い入れ措置と相まって牛肉の価格安定が十分図り得るものと考えておるわけでございます。したがって、特に必要がある場合には事業団に一元的に輸入牛肉を取り扱わせるということを考えておるわけでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 いま大臣の答弁された点について、二月二十六日の当委員会において畜安法の審議をした際、稲富委員の質問に答えて、現行制度によっても事業団の一元輸入と全く同様の行政によるところの取り扱いができるということを農林大臣は繰り返して言われたんですよ。私も聞いておりましたが、その点はどういうやり方をもって現行制度でやれるかということが理解できないわけですけれども、大臣の言われたところの、現行制度のもとにおいて事業団が一元的な取り扱いができるというのは、たとえば具体的な方法としてはどういうふうにやるわけですか。これは局長からでもいいですよ。

澤邊守農林省畜産局長

○澤邊政府委員 先ほどお答えいたしましたように、現在事業団が直接輸入はいたしておりませんけれども、輸入した牛肉を買い入れることができるということになっております。これは具体的には、事業団が発行いたします発注書を有する者に対して、その発注書に記載されておる数量を輸入割り当てするということでございますので、大臣がお答えいたしましたのは、特に必要があるような場合には——これは常時というわけではございませんけれども、特に必要がある場合には、事業団の発注書を持たない者には一切輸入割り当てをしない。そういうことによりまして、実際上輸入してから事業団に売る者でなければ輸入もできないというような運用を農林省としてはしていきたいというふうに考えるわけであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 どうもよくわからぬのですが、それでは通産省の貿易局長が来ているはずですが、その輸入割り当ての発券は行政上通産省がやるわけですから、いまの点、現行制度のもとにおいて畜産事業団は牛肉の輸入業務を一元的にやることができる、法律を改正しなくてもできるという点について、所管の通産省としてはどういうふうにやるのですか。

岸田文武通商産業省貿易局長

○岸田政府委員 牛肉の輸入制度の運用に当たりまして、国内の需給安定に意を用いるべきことは私どもとしても十分心得ておるつもりでございます。このような見地で従来から農林省とはよくお打ち合わせをしながら運営を進めてまいったところでございます。  いま農林大臣のお答えにもございましたように、現在でも、輸入割り当ての方式といたしまして、その大部分は事業団の発注書を前提として、それに応じて割り当てるという方式をとっておるところでございます。  さらに加えまして、今後の運営として、価格が極端に低迷する等々、特に必要のある場合には全量この事業団の発注書方式にするということは現在の法律の運用においても可能でございます。いま農林大臣からお答えいただいたとおりかと思っております。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 われわれの承知している範囲では、とにかく二元的な輸入になっておると言うのです。これは事業団も直接輸入するわけではないですからね。通産省から輸入業者が割り当てを受けて、輸入した牛肉を一定量事業団に売り渡しをする。後は全体から言うと一〇%程度としても、これはいわゆる民間貿易と称して、つまり事業団によらない、民間の業者が直接通産省から割り当てを受けて牛肉の輸入を行う、そういうことになっているでしょう。それなら割り当ての事前措置として、とにかく一〇〇%の上期下期の輸入計画の中で九〇%は事業団扱いにさせる。あとの一〇%は民間貿易。恐らく農林省、通産省が相談して、上期下期の輸入計画に基づいた数量の配分をすると思うのですよ。だから、大臣の言われたように、現行制度においても、法律の改正をしなくても事業団が一元的に輸入された牛肉の買い入れができるということになれば、二本立てにした通産省の割り当てというものを全部、つまり一〇〇%畜産事業団に割り当てをするということにしなければ、この一元的な輸入牛肉の買い入れはできないということになるわけです。それは、形式は農林省、通産省の合議によることになるでしょうけれども、しかし、農林省としてこういう輸入計画で輸入が必要であるということになれば、協議事項であっても農林省の方針というものは通産省においても同意すると思うのですね。具体的な実施ということになれば、そういうことですか。

澤邊守農林省畜産局長

○澤邊政府委員 これまでも、輸入割り当ての枠の設定と、その中で事業団が輸入された牛肉の取り扱いをどの程度にするかということについて、具体的に言えば、先ほど来お答えしておりますように、事業団の発注書がない者には輸入割り当てをしないという部分をどの程度の割合にするかというようなことにつきましては、農林省から通産省に要請し、あるいは通産省の方からも御相談があって、十分話し合いをした上で、一致したところで実行をしておるわけでございます。  そういう意味におきましては、今後も密接な連絡をとりまして、従来と同じように大半は事業団の発注書に基づいて輸入をする。一部につきましては、俗に民間輸入と言っておりますが、言葉は必ずしも正確でないと思いますけれども、その部分については、事業団の発注書がなくて、商社割り当てなりあるいは他の実需者の発注書に基づいて割り当てをするというようなことを通常の場合にはやる。ただ、特に必要がある場合におきましては、全量事業団の発注書に基づかない者には割り当てをしないということにいたしますれば、その場合には、輸入した物は全部事業団に売り渡さなければならないということに事実上なるわけでございますので、一元的な取り扱いが特に必要な場合にはできるということになるわけでございまして、国内の価格安定制度との斉合性、調和がよりとりやすくなるということでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 私の聞いておるのはこういうことなんです。二月二十六日の当委員会の審議の中において、同僚稲富委員の質問に答えて、農林大臣は、法律を改正しなくても現行法の規定において事業団の一元的な買い入れはできるということを繰り返して言われておるのですが、それが現実にできるということになれば、いまの日本とオーストラリアの輸入牛肉の四十八年度下期の割り当てを、事業団分の四万トンをまず凍結して、四十九年については輸入割り当てをしていないわけですから、これが日本と豪州間の輸入牛肉問題について、輸入割り当てをした分までも日本政府は凍結しておるのじゃないかというようなある種の不信感がまだ払拭されておらぬわけですからね。だから、今後当然これは法律を改正すべきである、すっきりした形で、輸入牛肉についても管理貿易の形で、国産牛肉と輸入牛肉を畜産事業団が業務として扱うべきである、と、そういうことをわれわれは一貫して主張しておるわけです。  それを大臣は、現行制度のもとにおいて政府が行政運用によって一元的な扱いができるということを言われておるわけです。しかし、いま局長の言われておるのは、畜産事業団の発注分だけについては、ということでしょう。全部とはあなたは言っていないでしょう。畜産事業団の発注分を業者は事業団に売り渡すのはあたりまえのことですから、それじゃ一元的でないでしょう。割合はたとえば一〇%であっても、民間貿易に、通産省が直接業者に割り当てしておるわけですからね。それも含めないと、これは一元的な扱いということにならぬわけですからね。行政的にやるということになれば、その輸入計画の全量をまず畜産事業団に割り当てをするということから行わなければ、現行制度のままであっては、これは一元的な取り扱いは絶対にできないでしょう。それを、この法律が通れば行政運用でやると言うのか、やれるというのか、その点がわからないんですよ。

澤邊守農林省畜産局長

○澤邊政府委員 先ほどからお答えしておりますところが意を尽くさないところがあるかと思いますけれども、事業団の発注書に基づいて割り当てをするものと、事業団以外の発注書に基づいて商社に直接割り当てるというものとが通常の場合あるわけでございますが、事業団の発注書に基づかなければ割り当てないという部分が大半であるというふうに、通常の場合はこれまで運用してきているわけでございますが、一部は事業団の発注書がなくても輸入割り当てが行われているわけです。その部分をいわゆる民貿と言っているわけですが、それが、特に必要な場合には、全部事業団の発注書がない者については割り当てをしないというような運用が現行法のもとにおいてできるわけでございます。そうなれば、輸入したものは事実上全部事業団に売らなければならない。発注しているのは事業団だけでほかの人はいないわけですから、一般の商割り的なものがなくなるということになりますれば、輸入したものは全部事業団にいく。こういうことが特に必要な場合にはそういう割り当てをすればできるわけでございます。これは現行法上もできるわけでございますので、特に必要がある場合にはそのような運用をしたい、こういう考えでおるわけでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 そうなれば、通産省としてまず事業団に輸入目標の全量を割り当てしなければならぬということになるでしょう。そうなれば、今度は事業団がその指定業者に発注するわけですからね。局長の言うのはそれとちょっとニュアンスが違うのじゃないですか。

澤邊守農林省畜産局長

○澤邊政府委員 特に必要な場合には事業団の発注書のない者には一切輸入割り当てをしないということになりますと、輸入割り当てを受けて輸入できるものは、輸入した牛肉は全部事業団に売り渡すということになりますので、輸入して事業団以外に流れるというものは一切なくなるわけでございます。そういう運用は現行法のもとにおいてもできますので、そのような運用を特に必要がある場合にはしていきたい。しかし、常時そのようにするというところまでは考えておりませんけれども、ただ、平常時の場合には大半、先生は九割とおっしゃいましたけれども、大半は事業団の発注書がある者だけに割り当てる。ただ、一部については事業団の発注書がなくても割り当てをする。こういうことで、一部いわゆる民間貿易というものは残っておりますけれども、必要が生じた場合にはそのような民間輸入の道も一時的に閉ざしていくという運用を考えておるわけであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 局長、答弁をなるたけ詰めてくださいね。あなたのいま答えたのは、現在のやり方がこうだということを述べておるにすぎない。大半を事業団が扱っておる、一部を民貿でやっておると言うのなら、いまやっておる形でしょう。そうじやないですよ。農林大臣が稲富委員に強調されたのは、法律を改正しなくても現行制度のもとにおいて事業団が——これは現行制度ではどうしても直接輸入できないですからね。とにかく、輸入牛肉については一元的に事業団の買い入れがやれる。本当にやれるんならそれも一つの処方であるというふうにわれわれも考えておるんですがね。そうなれば、繰り返して言うようだが、通産省がまず——上期、下期の輸入目標というのは、これは農林省が策定するわけでしょう。その必要と認めた全量を、まず手続上の順序として畜産事業団にその全量を割り当てしなければならぬでしょう。それを基礎にして、事業団がいわゆる指名業者というのを持っておるでしょう。これは食糧庁でも何でも、管理貿易をやる場合にはほとんど業務委託のような形ですね。これは、食糧庁にしても、畜産事業団にしても、指名業者というのを選定して抱えておるわけですからね。だから、その指名業者を集めて、まず農林省がその期間に輸入する牛肉の最低価格というのを決めるわけでしょう。いわゆる敷札というものを事業団が農林省と相談して決める。それに対して指名業者に入札をさせるということになるわけでしょう。入札の結果、事業団の敷札に最も近いものを数社選定して、その業者に牛肉の輸入をやらせる。その行わせることに決まった業者に対して初めて通産省が正規の輸入割り当てをする。発券をするわけです。そういう順序でやっておるわけでしょう。  ところが、民間貿易についてはそういう順序を経る必要はないのですよ。直接輸入業者に対して、一部であっても、一定数量というものを割り当てする。それが輸入割り当て制ですからね。だから、一元的にやるということになれば、あらかじめ畜産事業団に与える枠というものの全量を畜産事業団に与えるということにしなければ、それを基礎にして業者に入札をさせて、選定した業者に対して、その割り当て数量の全体に充当できるだけの輸入割り当てを通産省がやるわけですからね。そうできるということは、やればできることはわかりますけれども、今後国産牛肉の管理をするためには、畜産事業団の場合には、今度は輸入牛肉の放出については、国産牛肉が豚肉と同じように上位安定価格を超えて高騰するおそれがある。すでに高騰したという場合には、手持ちを放出して、国内の買い取った牛肉があればそれも放出することになるわけですが、そうして上位安定価格を超えないように、消費者保護のために安定を図る。事業団はその目的に従って業務をやるわけですが、いわゆる民間貿易ということになれば、そういう規制というものは何もないでしょう。だから、国産と輸入の統一的な管理を法律の目的に合致したようにやるということになれば、従来よりも整然とした牛肉の輸入というものをやる必要があるのではないか。だから、いまの現行制度のもとにおいて一〇〇%畜産事業団にやらせるということになれば、それも一つの方法だと思うのですよ。直接輸入するよりは劣っていますけれどもね。  その場合には、全量事業団に通産省が輸入目標の枠の割り当てをする。それに基づいて畜産事業団が指定業者に対して入札に付すわけですからね。先に入札をして、それから通産省が割り当ての発券をするわけです。これを直接輸入にした場合は、これもやはり事業団が直接現地へ行って買い付けるなんということはできないですからね。結局、輸入の委託業務という形で指名業者の中から数社を選定して輸入をするということになるわけです。その場合には通産省が、直接輸入ですからして、畜産事業団に輸入割り当てをし、発券をするということになりますから、この点が違うわけです。その場合には、結局、事業団がその割り当てを受けてから、正規な手続で、目標価格に近い買い付けをしてきますという業者というものを入札によって決めるということになるわけですからね。だから、その入札をする場合の予定価格というものは、現行制度のもとにおいても、直接輸入になった場合においても、良心的に事業団が行うということになれば、輸入された牛肉の価格というものは変わりはないということにはなるのですよ。  そういう業務を農林省、通産省が指導してやっておるわけですから、少なくともわれわれ国会議員よりはわかっておるでしょう。毎日その仕事だけやっておるわけだからね。われわれは国政全般にわたって責任を持ってやっておるわけですからね。限定された仕事だけ任務にして毎日毎日やっておる人と、国政全般のわれわれと、その問題に限っては、それは専門の度合いとか具体的な実行の方法等については懸隔があるのは当然ですよね。われわれよりも明確にできない態度というのはおかしいじゃないですか。これは貿易局長からでも、私の言った手続上の順序というのが間違っておれば、この点が間違っておるということをはっきり示してもらいたいと思います。

澤邊守農林省畜産局長

○澤邊政府委員 いままでやっていることと同じじゃないかという一番最初のお尋ねですけれども、先ほど来御説明しております事業団が輸入肉の大半を扱う、その点は従来と大体同じようにやっていきたいというふうに農林省としては考えているわけですけれども、特に必要がある場合、一元的に輸入肉を取り扱うということは従来はやっておりません。今後それをやりたい、ただ、その場合も、先生が御指摘になっておりますように、事業団が直接輸入するということではなしに、事業団が発注をして、その発注書のない者には割り当てをしない、こういう割り当て制度の運用をやることによりまして、事実上輸入肉を、特に必要がある場合は一元的に取り扱わせる、こういうようにしたいということでございます。  事業団が発注する場合は、原則としては入札をして、品質なり価格も一番有利だという商社に発注書を出すわけでございますので、その点は、事業団が直接輸入業務を行う場合も発注をするという立場で一元的に取り扱います場合も大差はないわけでございまして、予定価格というものを定めまして、大体一番有利な価格を提示し、最も適当な品質に合うもの、そういうものの輸入できる商社に発注書を出すわけでございますので、そこは競争関係を前提として相手を選定するというやり方は、事業団みずからが輸入する場合とそうでない場合も同じような形態になるものというふうに考えておりますし、従来もそのようにやっておるわけであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 その点は私が言ったでしょう。事業団の発注を受けたことが証明されなければ、事業団の枠内に対しての割り当てというものは通産省はやらないわけですからね。そうでしょう。だから、私がさきに具体的に述べた方法というものは、現行制度におけるいわゆる輸入割り当て制によって牛肉の輸入を行う。その輸入された牛肉を畜産事業団が買い入れることができるというのは、これは現行制度ですからね。だから、むしろ、農林大臣や畜産局長に私の説明した点に間違いがあるかどうか、担当の貿易局長から明らかにしてもらいたいということを言っているのですよ。

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 質問している点に端的に答えてください。

岸田文武通商産業省貿易局長

○岸田政府委員 牛肉に関する輸入制度の運用におきまして、国内需給との調整を図るという際には、まず第一に今後の全体の輸入計画を立てるということと、その計画に基づいて外貨割り当てをする。この外貨割り当てによって、全体の輸入数量とそれから主要なる配分方法というものが決定されるかと思っておるわけでございます。それに加えてさらに細かい調節を図るという配慮を実現するために、先ほどお話しいたしましたように、現在は大部分が畜産事業団の発注書を裏づけとして割り当てをするという方式をとっております。  なお、外貨資金割り当てに際しましては、農林省に協議をして発注するという制度も現在とられておるところでございます。  お話しの中で、一部そういう制度によっていない部分があるのはどういう理由かという点でございますが、これは、商社その他の人たちがそれぞれの創意工夫なりあるいは情報網を活用して機動的に買い付けをするという余地を残しておくことが全体の運営をスムーズにするという観点からとられておる制度でございますが、しかし、お話しにもございましたように、特に緊急の事態ということになりますとそのような配慮もしておられないという事態が起こり得るかと思います。こういった場合には、今後の運用として、新しく全量事業団の発注書を裏づけとするという方式をとることにつきましては、先ほど来お答えいたしておりますように、私どもも今後の方策として考えてみたいと思っておるところでございます。もしそのような制度ができるならば、実質的には事業団の発注というものがすべて外割りの前提になってくるということになりますし、また、それによりまして当初ねらっておりました需給に関する細かい調整ということが可能になる、こう考えておるところでございます。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 私がお答えをいたしたのは、現在の制度におきまして今日までは一元的な輸入の取り扱いはやっていないわけでございますが、しかし、今後特に必要と思われる事態が生じたときには、その制度の運用によりまして、先ほどから畜産局長が言いましたように、事業団の発注がなければ輸入割り当てはできない。こういうふうな運用によって一元的な輸入の取り扱いはできる。ですから、現在の制度の運用によって、特に必要な場合においては一元的な輸入の取り扱いができるのだということを言っておるわけでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 ただいまの岸田貿易局長の説明はわれわれも理解できるのですよ。いままでは事業団に対して一元的な割り当てはしてこなかったのですね。制度改正というのは国産牛肉を対象にするわけだから、これは輸入牛肉をその枠内に入れないということになれば、今後本当に価格、需給の安定を図ることはできないわけですね。新たな目的が生じてきたわけだから、それに対応するためには、現行制度のもとにおいても、通産省においても、今度の改正された法律の目的に合致されるように牛肉の輸入割り当て業務を行うということになれば一いままでは恐らく農林省がやりたいと言わなかったわけでしょう。しかし、法律は農林省所管ですからね。今度は、現行制度のもとにおいても、畜産事業団に一元的な買い入れをやらしたいという場合には、それはできるし、そうした方が整然としていいと思うということをいま貿易局長が言っておるわけですよ。畜産局長はそこまでいかないわけだからね。大部分とか、非常の場合は、というようなことで逃げておるわけでしょう。むしろ、農林省が前向きになって、攻めの農政の安倍農政のもとにおいて、法律改正をしなくても事業団に一元的な扱いをさせますぐらいのことは言うべきじゃないですか。われわれは、通産省というのは業者擁護じゃないかということを常に概念的に考えておるわけだけれども、いまの貿易局長の答弁というのはなかなか明確に理解できるのです。大臣、そう思わぬですか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 私がお答えしたのも貿易局長が答えたのも変わらないと思うわけですが、いま芳賀さんのおっしゃいましたように、新しい制度ができるわけでございますから、そういう中にあって輸入の秩序というものはつくっていかなければならぬわけであります。ですから、これまでは一元的な輸入の取り扱いということはしておらなかったわけでございますが、今後において、新しい制度に基づく運用として、特に必要な場合においては一元的な輸入の取り扱いができるような運用を図っていかなければならないし、また、これは今日の制度においても十分やり得る。こういうことですから、そう変わってはいないと思うわけです。     〔委員長退席、笠岡委員長代理着席〕

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それならわかるのですよ。そういう趣旨でこの間稲富委員に答弁したのでしょう。だから、問題は、先ほどから澤邊局長が繰り返しているとおり、畜産事業団の発注書を持った者でなければ牛肉の輸入割り当てをしないということを盛んに言っておるが、その前に畜産事業団は入札をやるわけですからね。通産省にしたって、畜産事業団に九割なら九割の——総体十万トンであるば、九万トンは畜産事業団の分、あと一万トンは民貿という場合、発注書を出す場合には、畜産事事業団はまず業者を集めて入札をして、そして数社を選定して、それに対して、この会社は一万トンとかこの会社は二万トンとか言って、合計すれば九万トンになるようにして発注書を与えるわけですから、通産省だって、その発注書を持っていかない者に対して割り当てするということはないでしょう。だから、大臣が言っておるのは全額ですから、十万トンを事業団の配分にして、その中で発注書を区分すれば、それは当然一元的な取り扱いということになるのですよ。私はそれを言っているのですよ。大臣もそれが念頭にあって言われておるというふうに思うわけですからして、当然これは法律改正をして、畜産事業団の一元的な直接輸入ということにするべきでありますが、政府案にはそういうものが出ていないですから、法律改正をしないでやれるということであれば、いま議論したような方法を農林省と通産省が十分に協議をして、そして畜産事業団が輸入された牛肉を行政的に一元的に取り扱いをするというようにぜひ進めてもらいたいと思うのですよ。  それでいいですか。これは農林大臣からはっきりしてください。あなたがこの間から一元的にやれる、やれると言っておるから、ではどうするかということを聞いておるわけです。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 私の考えもいまの芳賀先生の考えもそう変わっていないと思いますが、私がいつも言っておるのは、特に必要な場合においては一元的な輸入の取り扱いができるような運用が現在の制度においてもできるんだということを言っているわけでございますから、その辺は変わっていないと思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 だから、できるということはわかったんでしょう。やればできるということはわかったわけだから、あとは、この法律が成立した後にやるかやらぬかということの問題だけが残るわけですから、できることであれば、農林大臣が政府を代表しているのだから——私は本当はきょうは通産大臣の出席を要求しているのですよ。しかし農林大臣一人でも現政府を代表できるわけですから、やれるということはわかったわけだから、やれるのであれば、あとは実行だけが残されておるわけですので、大臣の明確にされた事業団の一元的な取り扱いということで今後ぜひ努力してもらいたいと思います。  その次に申し上げたいのは、ことしからいやでもおうでも国産牛肉、いわゆる指定牛肉の安定価格というものを畜産審議会の意見を聞いて農林大臣が定めて告示をされるということになるわけですが、これは初めて行なうわけですから、物事は始まりが大事ですから、ことし最初に指定牛肉の安定価格を決める場合の算定方式あるいは算定の方針というものについて、骨子になる点を明確にしておいてもらいたいと思うのです。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 牛肉の安定価格につきましては、現在、学識経験者等の意見を聞きまして、その算定方式について検討を進めておるところでございますが、いずれにいたしましても、よく御承知のように、一度生産が縮小すればその回復がきわめて困難であるという大動物としての特性、あるいは現在の生産状況や価格等の需給事情その他の経済事情を十分考慮して、再生産の確保が十分に図れるよう、畜産審議会の意見も聞いて決定をしてまいりたいというのが基本的な考えでございます。  しかしながら、現時点においては、生産費等安定価格を算定するに当たり使用すべき資料もまだ未整備でございます。今後長期にわたりまして肉用牛経営の動向を大きく左右する安定価格の算定方式を現在の時点において固定的に決めるということにつきましては問題が多いために、今後の資料の整備等を待って順次検討を加えて、より適正な算定方式に改めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それをどういうような骨子でやるか、その行う方針をここで示してもらいたいということを質問しておるのです。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 この制度は、本来、市場における自由な流通及び価格形成を前提として、市場における異常な価格変動を防止することを目的としておることが第一点であります。第二点としては、肉用牛の肥育経営が合理化、規模拡大等改善の余地がまだ大きく、今後合理化、規模拡大を図る必要があること。さらに、第三点としては、本制度を、牛肉の再生産の確保を図ることのみならず、牛肉の消費者価格の安定にも十分役立たせる必要があると考えられること。そういう事情を十分に考慮して決めたいというふうに考えておるわけでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 そこで、具体的にお尋ねしますが、今回の政府の改正は価格条項に触れていないですね。触れていなければ、現行法の指定食肉ということになれば、今度は牛肉と豚肉まで入って指定食肉ということになるわけですからね。現行制度においても、安定価格を決める場合は、生産事情並びに物価その他の経済事情を参酌して、再生産確保を旨として決めなさいということになっておって、これによって、食肉の関係では豚肉の安定価格、いわゆる安定下限価格と上限価格というのが毎年決められるわけだし、同じ法律の条文によって、加工原料乳補給金法というのは畜安法から分かれた関係もあって、加工原料乳補給金法における保証乳価の決め方は、法律の条文から言うと、畜安法の指定食肉の安定価格を決める場合と全く同じ条文になっておるのですね。同じ条文のもとにおいて同じ事業団が扱う食肉と加工原料乳とがある。ところが、保証乳価と安定価格の決め方が違うのです。法律の条文は全く同じだが、算定方式が違っておるのです。ただ、再生産を旨として畜肉の生産者の立場を攻めの農政で重視するということになれば、一体、保証乳価を決める場合の算定方式によるのか、あるいはこの豚肉の安定価格を決める場合の算定方式によるのか、これは大まかに言って二つの方式が現存しておるわけですからね。だから、基本的な方針としてはどちらの方式に基づいた算定を行おうとしておるのか、そのくらいのことはわかるでしょう。もう急いで上げてくれ、上げてくれと言いながら、算定方式はまだ考えていませんなんというのはいかぬと思うのですよ。その点率直に答弁してもらいたい。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 確かに、加工原料乳の場合と豚の場合の価格につきましての算定方式が違っておるわけでございますが、法律の条文は同じでも算定方式が違っておるということは御指摘のとおりでございますが、今回の牛肉の安定価格帯の算定方式につきましては、まだはっきり固定をしているわけではございませんが、私といたしましては、実勢方式といいますか、そういう方式で決めたい、こういうふうな考えを持っておるわけでございます。固定しておるわけではございませんが、現在のところはそういう考えを持っておるわけでございます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それでは、豚肉の安定価格を決めろ方式でいきたいというのですか。

澤邊守農林省畜産局長

○澤邊政府委員 豚肉の安定価格を決めますのは、俗に需給実勢方式と言っておりますけれども、正確には過去の基準期間五カ年をとりまして、その平均価格を、最近の生産費基準年次に対します最近の生産費と、基準年次の生産費を最近の生産費で物価修正したもの、その指数を掛けまして出すというのが基礎になっております。  したがいまして、先ほど大臣がお答えしましたのは、それを需給実勢方式と俗に言っておりますので、それに買い入れ、売り渡しという同じような制度でございますので、それを基礎にして検討したらどうかというように考えておるわけでございます。もちろん、豚肉の場合におきましても、単なる需給実勢だけではなくして、生産費の最近の動向というものは十分織り込まれるというようなことになっておりますので、牛肉の場合も、同じように生産費というものは算定の一つの要素になるということについては変わりはございません。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 豚肉の安定価格の決め方については、これは三十六年に畜安法ができてから毎年議論しているところですが、この一番の欠点は、豚肉あるいは牛肉を生産する場合の実際投下された生産の経費というものが的確に計上されておらないでしょう。あるいは豚、あるいは肉牛の飼育管理等に投下された自家労働というものが的確にこれは加算されていないわけですからね。そうなると、結局、食管法で決める米価等については、これは生産費所得補償方式で計算してやっておるわけですから、少なくとも、今後国内において肉資源を確保するということになれば、生産者の投下した労働力あるいは実際に投入された経費等というものは、価格決定の一番基礎的な要素にするというのは当然なわけですよ。それを市場価格の五カ年間の実績を基礎にするわけですからね。生産費と言っても、自家労働については他産業労賃の大体半額ぐらいの農業日雇い労賃で生産費というものは出ておるわけですからね。それに生産と需要との間において、国内で増産する必要があるとか、過剰傾向になったから抑える必要があるというような場合に、需給促進とか需給抑圧の係数というのを最後に方程式の中で使うことになっておるのですね。  これを欠点の多い需給均衡方式で最初に牛肉の価格を決めるということになれば、これが基礎になるから、その翌年にまた決定する場合においても根本的な改善はなかなかできないと思うのですよ。だから、私は、いまの自民党政府のもとでは、少なくともわれわれの注文どおりなことはできないと思うのですよ。それはわかっていますが、すでに実績のある加工原料乳の保証価格の算定方式くらいはこの際最初から取り入れて牛肉の安定価格を決めるべきでないかというふうに考えておるのですが、その点は大臣としてはどうですか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 現在のところは、先ほど申し上げましたように実勢均衡方式で決めたいというふうな考えを持っておるわけでございますが、しかし、牛肉につきましては、御存じのように、これが生産が縮小すればなかなか回復が困難であるという特性があるわけでございますから、こういう点は価格を決める場合におきましても十分配慮をして決めていくことが必要である。これも算定において十分配慮を加えるべきことだというふうに思っているわけでございます。  したがって、現在では、加工原料乳保証価格の方式をとっていくという考えよりは実勢方式でやるということでありますが、しかし、繰り返すようでございますが、牛肉の生産が縮小したら拡大は困難であるという特性だけは十分配慮していきたい、こういうふうに思うわけであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 安倍大臣も、あなたは三木クリーン内閣のもとにおける閣僚としての責任を持っているわけですからね。三木総理にしても、言うことはなかなか国民の期待を集めるようなことを言っておるが、全然実行できないでしょう。あなたがそのとおりだとは私は言いませんけれども、とにかく、攻めの農政をやるということをちゃんと旗を立てて言っておりながら、この畜安制度の運用にしても、大事な価格決定の方式にしても、従来同様の豚肉と同じような需給均衡方式でやりたいということになれば、これは何も攻めにならぬじゃないですか。退却じゃないですか。  いま、豚肉にしても、政府の価格政策が貧困な関係で生産減退しておるでしょう。牛についても、乳牛にしても、肉牛子牛にしても、子牛が非常に不足しておるでしょう。結局、これは生産者が意欲を失ったという証左ですからね。それじゃ、豚肉について、弾力関税を適用して、無税で外国から豚肉を輸入するということを先日決めたでしょう。「ところが、そんな安い豚肉が入ってこないでしょう。いま、豚肉の市場価格は、安定上位価格をはるかに超えて、枝肉一キロで大体九百円くらいでしょう。ところが、アメリカにおいても豚肉というのは全く不足して、むしろ市場においては牛肉より豚肉の方が高いような状態ですからね。国内の肉資源を政策の貧困によって枯渇させるような状態で、不足分は関税を無税にして輸入すればいいと言っても、安い畜肉なんというのは入ってこないわけですからね。そうなれば、国内において資源の確保をしなければならぬ。生産者の生産意欲をかき立てるためには、一番有効な施策としては、いま放任された価格政策というものを相当積極的に進めなければならぬということになるわけですからね。     〔笠岡委員長代理退席、委員長着席〕  だから、国内の牛肉をわざわざ畜安法の対象にする以上、値段の決め方についても、当然豚肉もあわせて、ことしは思い切った積極的な算定によって生産者が安心できる価格を決める必要があるのじゃないかというふうに思うわけですよ。この  一点ぐらいは、攻めの農政でこうやるぐらいのことはぜひ言ってもらいたいですね。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 私も、今日の農政の中におきまして、価格制度を充実していくというか、改善していくということは大事なことである、これからわれわれが積極的に取り組んでいくことであるという基本的な考え方を持っておるわけでございまして、そういう観点に立って今回の場合も決めていきたいというふうに思っておるわけでございますし、審議会においても、いま芳賀先生の御指摘の問題が一番大きな議論になると思うわけです。十分配慮して決めていきたいと思うわけでございますが、全体的には、牛肉を指定食肉としてお願いして、畜安法の中の指定食肉にしていただき、同時に、また、国会の中の御意見も十分考慮しながら、先ほどの乳廃牛の問題にしても前向きに取り組んでまいりたいと私は思っております。  それから、輸入の問題につきましても、先ほど申し上げましたような運用によって一元的な取り扱いもしていけるということにいたしておるわけでございますが、全体的には前進をしていきつつあると思うわけでございます。  もちろん、まだまだこれから十分努力しなければならぬことがあるということは自覚をしておりますし、何としても畜産につきましては、畜産農家が生産意欲を持って今後の畜産経営に取り組んでいけるという、これは価格政策ではなくてそれぞれの生産対策を含めて今後ともわれわれに課せられた大きな課題であるということを痛感いたしておるわけであります。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 もう一点。これは最後になりますが、この畜安法の中においても、豚肉もそうであるし、今後、牛肉も、政府が決定した安定下限価格を下回り、あるいは下回る恐れがあるという場合に初めて事業団の買い入れ発動ということになるわけですが、そこに至る段階において、指定生産者団体は、これは牛肉の場合においても、農協組織の全農が畜安法の指定生産者団体ということに省令で決められると思うのですよ。その指定生産者団体が国産牛肉の調整保管計画を策定して、そして、まず農林大臣の承認を受ける。承認された計画に基づいて、指定生産者団体である全農が牛肉あるいは豚肉の調整保管行為を行うわけですからね。ですから、買い入れ発動ということになれば、指定生産者団体の調整保管行為の中における牛肉あるいは豚肉を優先的に買い入れるということになるわけですね。  ところが、牛肉にしても、主要生産地というのは、東京、大阪等の大消費地、いわゆる法律にあるところの二つの中央卸売市場から見ると、九州あるいは北海道というふうに相当遠隔な地が牛肉等の主要な生産地域ということになるわけですね。従来の問題は、買い入れ発動をやる場合においては、東京と大阪の中央卸売市場における安定下限価格のいわゆる買い入れ価格を基準にして、その指定買い入れ場所が、産地買い入れの場合においては、主要生産地域の中において買い入れすることができるということになるわけです。これは当然なことでありますが、その場合の買い入れ価格は、中央卸売市場の基準価格から運賃とかそれに付随する経費を控除した安い値段で買い入れるということに従来の運営はなっておるのですね。そうなると、国内の地域によって生産者に与える手取り価格というものは不同になるわけですね。こういうことは畜肉以外にはないわけですよ。米麦にしても、あるいはイモでん粉にしても、あるいは砂糖原料のてん菜、サトウキビにしても、政府が告示した価格はいずれも生産地における、あるいはその圃場における生産者に対する保証価格ということになっておるわけでありますからして、今後買い入れる場合の運用としては、産地の買い入れ場所において、全国どの場所であっても生産者の手取り価格というものは均一になるように実行すべきだと思うのですよ。これはできないということはないと思うのですね。  それは、先ほど言いました指定生産者団体が豚肉あるいは牛肉の調整保管行為をやっておるわけですから、その指定生産者団体は、農業協同組合の組織の中において、米は政府の直接買い入れでありますが、農産物、牛乳等についても目的として取り扱いをしておる。特に、畑作農産物等については、共同計算方式によって運賃、経費等はプール計算にして計算をするわけでありますからして、全国どこの生産者も手取り価格は統一され、均一になっておるわけですね。このことが畜肉だけについてできないということはないと思うのですよ。だから、買い入れの場合においては、たとえば指定生産者団体が一万トンとか五万トンというような数量を一括買い入れをするという、そういう買い入れ契約を行えば、生産者手取り価格の均一化ということは当然できると思うのですね。  ですから、この点について、牛肉を対象とするという機会に従来のやり方を根本的に改善する必要があるんじゃないか。検討を加えて改善すべきだと思いますが、この点はどうですか。

澤邊守農林省畜産局長

○澤邊政府委員 現行規定によりますと、指定食肉の買い入れ価格は、特定市場におきまして安定基準価格というものを決めます。特定市場は東京、大阪と全国の代表的な市場でございます。それから、他の地方市場におきましては、特定市場について決めました安定基準価格から、通常の場合に見られます市場間の格差を——平均的に見まして、過去の実績から見まして、たとえば東京と宇都宮の市場は幾らかの格差が平均的にあるというようなところを見まして、各市場ごとに格差を引いた額で買い入れをする。それから、産地買い入れの場合には、市場の区域内、中央市場なら中央市場の区域内の場合には、その市場の買い入れ価格から手数料を引いた額、それから市場の区域外の場合には、最寄りの市場の買い入れ価格から市場手数料と運賃諸掛りを引いた価格で決めておるわけでございますが、これは先生は食肉だけそうだというふうにおっしゃいましたけれども、通常の場合は、食肉に限らず野菜等もそういうような価格形成が行われておるのではないかというふうに私どもは考えております。  ただ、私どもが考えておりますのは、同一の生産者が出荷する場合、産地へ出しても、近所の地方市場に出しても、東京の中央市場に出しましても手取りは同じであるというようなことをやるのが通常の市場の集散機能で、流通形態の妨げにならずにやるためにはそういうことが必要ではないかと思います。発地が非常に有利になりますと全部産地へ出しちゃって市場へ出なくなるというようなおそれがあって、市場の流通が混乱するというようなこともありますので、同一の生産者はどこへ出しても手取りは同じであるというふうに考えておりますけれども、ただ、地域の違う生産者について全部手取りが同じということは、通常の市場価格形成の場合もおのずから運賃格差というものは発生しておるわけでございますので、生鮮食料品等についてはそういうことになっていると思いますので、それを前提にして考えておるわけでございます。  ただ、先生が最後のくだりでおっしゃったのは、農業団体が自主的に委託販売をやっておるわけでございますが、価格が極端に下がったような場合、手取りを同じようにする一種のプール計算といったようなものを考えるべきではないかというような御趣旨ではなかったかと思いますが、そういう点につきましては、出荷者が納得が得られればそういうのも一つの考え方ではないかというように思いますので、私どもといたしましては、今後生産者団体ともその辺は研究はしてみたいというふうに考えます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 そういうことを言っておるのじゃないのですよ。いいですか。この買い入れ発動という事態はなるたけ生じない方がいいのですよ。だから、たとえば安定下限価格を決める場合においても、生産者が納得して再生産が維持できる価格というものをまず決めれば、それが一番大事でしょう。だから、後は運用の中において、その下限価格より暴落するなどの不安が生じないようにするということが一番望ましいわけでしょう。だから、運営がよろしければ、一年も二年も買い入れ発動しなくても済むわけですから、それが一番望ましいと思うのですよ。  ですから、通常の場合は、卸売市場において市場価格というものは形成されて、その上限と下限の幅の中で、この形成された価格で取引が行われておるわけですから、それをとやかく言っておるわけじゃないですよ。どうしても買い入れ発動をしなければならぬという場合には、農林大臣が決めて告示したた下限価格というものに基づいて買い入れをするわけですから、その場合には、その時点の市場の価格とは一応関係がなくなるわけですよ。買い入れする場合には、先ほど言ったとおり、法律の中に指定生産者団体の規定というものが定められておる。しかも、その団体の行う調整保管計画というものは農林大臣の承認を得て行うということになっておるし、買い入れ発動の場合においては、指定生産者団体が調整保管した肉を優先的に買うということになっておるわけですから、事業団と調整保管団体との間において必要量の買い入れとか取引の契約というものは成立するわけですよね。そうなれば、結局、全農が指定生産者団体であるからして、農協が扱っておる畑作農産物一切と同じように、これは共同計算方式によって、関東であっても、北海道であっても、九州であっても、その生産者に与える手取り価格というものは均一になるのですよ。そのようにこの際改善すべきでないかということを私は大臣に尋ねておるわけです。  改善といったって、その実行をどうするかという検討を進めなければ改善の実を上げることはできないのですから、事を分けて言っておるでしょう。これは大臣として明快に答弁してもらいたいと思うのですよ。事前に質問事項を通告してあるわけですからね。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 この問題につきましては、生産者団体とも協議して、十分研究してみたいと思います。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それでは、予定の時間になりましたから、これで終わります。

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 津川武一君。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 端的に二、三の点を農林大臣に質問してみます。  今度価格の保証の対象になる、政令で決める牛肉の種類ですが、先ほど、局長は、今度の法律は牛肉全体を対象にする、全体の価格安定を期してやる、したがって、農林省が当初考えたよりも著しく変わってくる、乳廃牛その他のものを全体として政令に入れることを考えると、と、こう言っておりますが、この場合、外国種の牛肉も対象になりますか。

澤邊守農林省畜産局長

○澤邊政府委員 外国種のものを入れるべきかどうかということはいま慎重に検討いたしておりますが、結論はもちろん出ておるわけではございませんけれども、現在、外国種のわが国におきます生産の増加ということにつきましては農林省としてもいろいろ指導しておりますので、いずれかの機会には必ず入れるべきだと思います。  ただ、現段階で、いま直ちに入れるべきかどうかということについては、現在、市場におきまして評価がまだ決まっておらないし、外国種の牛肉の価格が幾らかということについてデータが必ずしも正確に整備されておらないという点もございますので、当初からやるかどうかということについてはなお慎重に検討したいと思いますが、いずれかの機会には当然入れていくべきものであるというふうに考えております。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 その次に、農林大臣、私はきょう、日本農業新聞の論説を見てびっくりしたのですが、政府は業者の圧力と自動車産業などの外国の圧力によって牛肉輸入の再開をするんじゃないかという心配を書いているのです。私はそういうことはあるまいと思っていたが、これを見てびっくりしたのですが、きのう豪州のサリバン第一次産業大臣が農林省を訪ねて、牛肉輸入の再開を要求したようでございます。これに対して、政府は、いまこのときでありますので、先ほどの一元化輸入の問題とも関連するが、牛肉の日本の内地の生産と消費を拡大するのが第一の条件でありますので、やるべきではないと私は思いますが、農林大臣、いかがでございますか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 牛肉につきましては、現在、御存じのように、輸入につきましてはこれをストップいたしておるわけでございまして、これは、ああした畜産農家の危機的な症状の中にあって、経営の安定を図るという意味からストップして今日に至っておるわけでございます。  外国からは確かに非常な圧力が加わっておるわけでございます。ガットの会議におきましても非常に強い抗議等も受けておるわけでございますが、しかし、私は、畜産農家の経営の安定が第一義であるというふうに考えておりますし、確かに、牛肉につきましては、多少最近は価格も安定ぎみになりつつあるわけでございますが、たとえ外国の圧力があっても、あるいは国内におけるいろいろの御要請があったとしても、まだまだ現在のところ、一般枠につきましては、これの輸入を解除するという考えは私は毛頭ないわけでございまして、これはひとつ御安心をいただきたいと思います。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 その次に、肉牛生産が国民の需要にこたえていけるかどうかということは価格の安定にかかわってくるわけですが、このたび農協の全国中央会が、牛肉の平均安定基準価格として算定した要求牛肉価格を出しております。乳用雄牛について言うならば千八十三円出しております。政府はもちろん御存じだと思いますが、これをどう考えておりますか。

澤邊守農林省畜産局長

○澤邊政府委員 牛肉の安定基準価格につきましては、現在資料の整備もまだ最終的に終わっておりません。生産費調査が現状で非常に不備だと申しましたけれども、近く非常に不備なものながら出ますので、それを基礎にして——基礎といいますか、それも考慮して算定の一つの要素に入れて検討したいと思っておりますが、まだそれが出ておりませんので具体的な数字で申し上げられる段階ではございません。ただいま御指摘のございました農協中央会が要請しております数字につきましても、現在とかく申し上げられる段階ではございません。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 政府はこの間からの答弁で繰り返し言っていますけれども、需給の実勢方式をとる考えだ、そして生産費所得補償方式ではやらない、その理由として、去勢和牛の生産費の調査がまだできていない、と、こう言っておるわけですが、乳用雄牛では生産費ができておるんでしょう。

澤邊守農林省畜産局長

○澤邊政府委員 乳牛の雄の肥育牛の生産費につきましては、近く実験的なものが出る予定になっております。ただ、これは全部で百戸くらいしかやっておりませんので、それがどの程度代表性があるか、特に、地域別、階層別にしてどの程度代表性があるかということにつきましてはいろいろ問題があろうかと思いますが、一応百戸を調査対象としておりますので、その結果何戸が利用できるかということは、最終の数字がまとまってみないと何とも申し上げられませんが、それのいわば実験的なものが近く出る見込みになっております。五十年度からはかなり戸数をふやして生産費調査をやってみたい。これは統計情報部の方でそのような予定をいたしております。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 大臣、いま生産費の調査ができていない、これからできるということですが、できた場合には生産費を償うという方式に変えるつもりでございますか。やはり、そこが一番大事なところです。生産費が償えないと生産ができていかない。いわゆる生産費所得補償方式でやってもいいけれども、とにかく再生産を可能とせしめなければ伸びていかない。生産費の調査が終わったときにはそうなさる必要があると思いますが、いかがでございますか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 今回の牛肉の価格の算定方式につきましては、先ほども答弁をいたしましたが、実勢均衡方式ということでやりたいというふうに現在のところは考えておるわけでございます。もちろん、再生産が確保される価格でなければなりませんし、特に、牛肉の場合は、生産が縮小すればなかなかこれは回復が困難であるというふうな背景、事情等も十分踏まえて、その上に立った適正な価格を決定したいというふうに考えておるわけでございますが、これは今後畜産審議会等におきまして十分論議を尽くしていただいて、その上で最終的に決めたい、こういうふうに考えております。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 そこで、政府がいまやろうとしておる中物の安定基準価格だと農家の生産を奨励することもできないし、かなり困難だと私は思うのであります。というのは、たとえば乳用雄牛で言うならば、「並」が五二%、「中」が四一%で、この中肉で安定基準価格をつくるとどうなるか。そこで、生産費をまず出し、それから平均安定価格を出していくということになってくると、豚肉で言うと、上下一〇%、一番下から安定基準まで一〇%安定基準価格から上物まで一〇%、そこに二〇%のあれがあって真ん中を通っている。牛肉の場合もこういう形をとることになりますか。

澤邊守農林省畜産局長

○澤邊政府委員 お尋ねの件は変動係数のことかと思いますけれども、私ども、豚肉の場合と牛肉の場合も恐らく同じようなやり方になるかと思いますが、まず、あるべき水準というものを決めまして、それは生産費に基づく場合もありましょうし、あるいは需給実勢を中心として算定する場合もありましょうが、そういう本来あるべき平均的な水準というものを決めます。それを俗に中心価格と言っておりますが、それを理想的に言えば、年間平均でそれが実現されるのが一番望ましいという水準を決めまして、それから日々の価格は御承知のように市場において毎日動いているわけでございますので、その中心価格に常時張りつくということは不可能でございますので、ある程度の幅で変動するのはやむを得ない。まあ、安定という面から言ってもやむを得ない許容範囲というものがある。しかし、それ以上価格が上に振れたりあるいは下に振れるということになれば、下に振れれば生産者の経営に非常な悪影響を来す。それから、上の方に一定の幅以上に振れれば、消費者の消費生活の安定という面で耐えられない、限界を越えるということになるというような考え方から、その中心価格から上下に一定の幅で開きまして、下の価格を基準価格、上の価格を上位価格ということにしておるわけでございます。  その幅をどの程度にするかということは、豚肉につきましては、これまでのやり方で言いますと、変動係数というものを求めまして——変動係数というのは、常識的に言いますと、過去の変動のうちの三分の二は大体この中に入るだろうというめどになる係数でございますが、それをありのままにとりますと、年によって違いますけれども、過去何カ年という基準年次をとりますと毎年ずれますから変わりますけれども、一四、五%とかあるいは一二、三%とか変わってくるわけでございますが、なるべくならば変動を抑えていくという趣旨から、基準年次の生の変動係数をやや縮めまして、最近では一〇%上下に開くというようなやり方をしているわけであります。  牛肉の場合は、過去の変動係数が豚肉の場合よりも大きい傾向が見られますので、豚と同様よりはもう少し開くべきではないかというような感じを持っておりますが、この点もなお慎重に検討して結論を出したいというふうに考えております。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 大臣、そこなんです。一〇%の変動があったが、豚はあれほどえさが上がって苦しくなっても下の方は買い入れを発動できなかった。それで実際上役に立たなかった。最近数年使わなかった。今度の場合、牛肉は豚よりももっと幅があるという。全中ではこれを一三%で勘定している。そこで、もう一回繰り返すけれども、乳用雄牛でいくと「並」が五二%、今度は価格の対象になる「中」が四一%、この中間、そうすると「並」の五二%ははずれる。四一%の中間がはずれる。これで二〇%はずれる。七〇%はだめなんだよ。対象にならないわけだ。ここのところが乳用雄牛の実態なんです。それを皆さんは上からの三〇%のところに置く。だから、私たちは修正案のところで「並」の一番最抵のところを価格保証の対象にせい、そこで決めて、そこで自動的に発動せい、皆さんみたいに一〇%、牛肉はもっと伸びる、全中は一三%、これだと幾ら法律があってもまた適用されない、こういうことなんです。したがって、もう一つ、少なくとも乳用雄牛については「並」に落とさなければならない。「並」に落とした上で一番最低の価格、生産費をそこでずばりと補償する、こういう体制でなければ、平均で揺れでやるとまた発動できない。現在豚肉が発動できなかったのはそのためなんです。ここのところは非常に大事になってまいります。農林大臣、いかがでございますか。

澤邊守農林省畜産局長

○澤邊政府委員 変動係数の下に開く幅の問題と、それから「中」をとるのか「並」をとるのかという問題は必ずしも同じ話ではないのではないかと思います。そこで、私ども、去勢の和牛の「中」と乳雄の「中」を対象に現在のところは考えておると申しましたが、確かに、乳雄の「中」につきましては、四十九年の実績で見る限り、乳雄全体の中で約三九%ちょっとですが、四〇%ちょっと切ったところです。「並」の方が五〇%ちょっと上回ったところですが、「並」の方が多いじゃないかという御指摘は、四十九年度に関する限りそのとおりでございますけれども、前年四十八年をとりますと、「中」が五四%、「並」が四一%ということで、年によって若干振れがあるわけでございます。  そこで、傾向といたしまして、やはり「中」がだんだんふえてくるということでございますが、四十九年だけ異常な形になって「並」の方がシェアが大きいということになっておりますが、これはいろいろ原因が推定されますけれども、私どもといたしましては、えさが高くなった、牛肉の価格が下がった、そしてえさは反面高くなったということもございまして、普通の場合ならば「中」までに合格するような飼養管理をしたもの、えさを食べさせたりその他によってそういう良質なものをつくっておったのが、えさが高くなったから少し減らしたとかということで品質が低下をしたということでございまして、これは四十九年の異常なコスト値上がりから、異常な価格の低下ということに伴います特異な現象ではないかと思います。  したがいまして、この価格安定制度ができますれば、えさの方も、御承知のような特別基金ということで、従来よりは安定化に国も乗り出すということにしておりますし、牛肉の価格安定制度ができますれば、そこまでそんなに下がることはない。余り極端に下がりますと、やはりえさのやり方が減る。したがって、「中」になるべきものが「並」になるということになるわけでございますが、その辺が、安定制度ができて極端に下がることがなくなり、いま言ったような農家の傾向もなくなるということになりますれば、やはり、傾向としては「中」が中心になっていくのではないかというふうにわれわれは考えておりますし、さらに、牛肉の品質改良という点も考えなければいけないということだと、同じような素牛から生産する場合、なるべくなら「中」とかあるいは「上」をできるだけつくってもらいたいということが消費者としても当然要求するところでございますし、生産者としてもその方が有利に売れるわけですから、そのような品質の改良、飼養管理の改良というようなことも考えますと、総合判断いたしまして「中」を対象にしていいのではないかというふうに考えておるわけであります。

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 津川君、あと二分しかありませんから。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 今回、牛肉を指定食肉にしていただきたいということで畜安法の改正をお願いしておることも、何といってもやはり畜産農家の経営の安定ということが主眼でございます。この制度が確立することによって畜産農家の経営の安定にも大きく資することができるのではないかというふうに私は考えておりますし、現在指定食肉にどういうものを入れるかということについては、いま畜産局長も答弁したとおりでございますが、私も、各方面の意見を聞きながら、畜産局長が答えた具体的な方向で今後とも十分やっていけるんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 大臣、くどいようだけれども、乳用牛でいくと「中」が四〇%、「並」が五〇%で、「中」のところで十三%の振れが全中の資料でいってあるわけだ。そうすると、「並」の方の下の方にいくと、このとおりでいくとさらに二六%、三九%、四〇%ぐらい差が出てくる。ここの最抵を支えられなければ——あなたたちはここを支える。そうすると、実際に価格補償ができないということなんですよ。本当に考えてもらわなければならないのです。ここのところは何よりも大事になってきた。それで、しかも枝肉を小売りに卸すと今度は部分肉になっていく。これにまた二十二の等級があるんだよ。そうすると、ここの下のところなんて、これはもう全然1こういうことが実態なので、くどいようだけれども、もう一度、並肉を中心に考えてみるということを考えないか。  もう一つは、振れでなく、最低、中間でなく、「中」を考えたら「中」の最低、並肉を考えたら並肉の最低を価格補償の対象にすべきだという考え方が私たちの修正の一つの重要な要旨でもあるわけなんですが、いかがでございますか。これで終わります。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 去勢和牛の「中」、乳雄の「中」を具体的に指定をすることによって、いまお話しのありましたような「並」につきましても——これは直接的ではないとしても、「中」が支えられれば間接的にその価格についても支えられるというふうに判断をいたしておりますので、私どもは現在のこの方向で安定をする可能性は十分ある、こういうふうに判断をいたしておるわけでございます。

津川武一日本共産党・革新共同

○津川委員 そこで、大臣、いままで対象からはずされたものは値が下がってきている。したがって、下がってきたときに対象からはずされたものをどう支えるかということ、これ一問で終わります。

澤邊守農林省畜産局長

○澤邊政府委員 お説のような見解もございますけれども、豚肉の場合も、「上」を直接には買い入れ対象としておりますけれども、間接的には「中」が一〇〇%というわけにはまいりませんけれども、間接的な支持効果がかなり出ておりますので、牛肉においてもそのような効果は十分期待できるのではないかというふうに考えておりますが、実行しながら、なおよく慎重に研究はしなければいけないと思います。      ————◇—————

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案について質疑の申し出がありますので、これを許します。島田琢郎君。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 大臣、お見えになるまで大体事務当局のお考えを聞いていたのでありますが、肝心な点について一つ大臣から改めてお考えをお聞かせいただいて、この農業振興地域開発法が実際に一部改正という目的を果たしてりっぱに機能するようにぜひしたいという願いを込めているわけであります。  前段で事務当局の考え方をいろいろお聞きした中のことでもう一度大臣の所信のほどを伺っておきたいのでありますが、農業団体、つまり、農業委員会系統あるいは全国農業協同組合中央会、あるいは町村会。こういう方々から今回の法案の一部改正に当たってかなりたくさんの要求が出ております。私はこの一つ一つを細かく実は点検をいたしましたが、いずれもおっしゃっていることは今日大変重要な事柄ばかりであります。したがって、こういう各団体の意見を法改正に当たって十分盛り込むという考え方が出てまいりませんと、わが党としても、これはこのまま通すわけにまいらぬということに相なるわけであります。したがって、先ほど政務次官並びに局長の御見解は承りましたが、改めて大臣から、大変だめ押しをするようでありますけれども、次に申し上げる点について明快なる御答弁をいただきたいと思いますす。  その第一点は、農地の利用増進事業にいたしましても、あるいは特定利用権の設定にしても、あるいはまたそれらを裁定する場合の都道府県の立場の問題にしても、あるいはまた開発行為の許可をしていく場合における問題にしても、農業委員会系統の意思がそれぞれ明確にこの中に盛り込まれるということでないと、戦後農業委員会が組織されて以来今日まで、現地で非常に努力をしてまいりました農地行政の直接の担当者である農業委員会あるいは農業会議、あるいは全国農業会議所の立場から言えば、当然、今回、農地法の骨抜きあるいはまた二元化というふうなことになるのではないかという心配が出てくるのは当然だと思うのでありますが、こういう関係についてて、この法案の整備に当たって、今回十分その意思をそんたくして進めるというお考えに立たれているかどうか、その点をまずお聞かせいただきたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 私たちは、この農振法の改正によりまして今後の経営規模の拡大を図り、農業の積極的な振興に結びつけたいということでお願いをいたしておるわけでございまして、農振法の改正によりましてそういう農業振興を効果的にあらしめるためには、先ほどからお話しがございましたように、農業団体等の意見も十分聞き、さらにこれが反映するような形でなければ効果的な法律の施行というものはできない、こういうふうに私も考えておるわけでございます。  そういうことで、農振法につきましても、農業委員会については省令で意見を聞くことになっておるわけでございますが、農業会議所あるいは農業会議等につきましてもこれまでいろいろと御意見も聞かせていただきましたし、この委員会においても御論議があったわけでございますから、そういう点も十分配慮をしなければならぬ問題ではなかろうかというふうに率直に思っておるわけでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 御承知のように、農地法の改正が過去二回にわたって行われておりまして、これは農地法の改正が持ち出された時点では非常に大きな議論を呼んだわけですけれども、その大きな議論の焦点になっていたのは何かというと、現行農地法に対するいわゆる骨抜きではないかということでずいぶん話題を呼んだのであります。私どもは、時代がこういうふうに動いておりますから、何十年前につくった法律がそのまま今日金科玉条のものだという考え方にはもちろん立っておらぬのでありますが、その根幹の部分については、やはりこれは法の精神としてこれから先も長く堅持されなければならない問題でありますから、そういう根幹の部分で骨抜きになるような事態が起こるとしたら、私どもはやはり徹底的に阻止せんければならぬという立場に立つわけであります。  今回のこの問題につきましても、最も大事な現地における農地行政の推進者である農業委員会がこの各種の事業や仕事を進めていく上において、全くらち外に置かれるような印象で地元の農業委員の皆さんに迎えられるような結果に終わったとしたら、農業委員会の運営そのものにも非常に大きな支障が出ると私は思っておるのです。ですから、いま、省令で農業委員会については意見を聞くという方向をとりたいというお話しでありますけれども、私の主張は本法に明確に位置づけすべきではないか。たとえば第十五条の五の第四項につきましては、農業委員会の決定を経なければならないというふうに位置づけしていくべきではないか。これが私の主張の第一点であります。  それから、都道府県農業委員会の関係につきましては、農用地利用増進事業とか、あるいは特定利用権あるいは開発行為の規制等、それぞれこれらを行っていく場合における都道府県農業会議の意見については当然ストレートに聞く方式をこの際確立すべきではないか。この点については、私は局長と先ほどだいぶやりとりをしたのでありますが、現在設置されている既設の機関の中で足りるではないかという局長の意見でありますけれども、そうではなくて、もっと率直に意見を聞く場をつくるべきではないかと私は思う。  というのは、私も実は北海道農業会議の部会員を長くやってまいりました。たとえば第三期総合開発計画の設定に当たりましても、現実には部会内で、あるいは道の農業会議内で議論をいたしましたけれども、代表者が出ていって実際の諮問に応ずるというふうなやり方では、正直言って、一番大事な北海道の農業行政をどう進めるかという点についての意見というものはやはり何十分の一に薄められてしまうわけですね。代表でしかありませんからね。だから、代表は、その意見をひっ提げて出ていくときには、もちろん、道の農業会議なり県の農業会議の中で十分意見を出し合って、それを集約して持っていっているのではありますけれども、しかし、現実には、そこに出て会議に参加をするのは農業者ばかりでなくして、ほかの人も一ぱいおるわけですね。そうすると多勢に無勢で、農業関係の問題につきましても、農業会議の意見というものがなかなか正しく反映するとは限らないという経験を幾つも私は経ているのであります。ですから、そういう点を今回はぜひ前向きにやって、特に農業の振興にかかわる重大な問題ですから、この権威ある機関、しかも専門的な機関の意見を十分聞くということにすべきではないかと私は思うのです。  そもそも道の農業会議の構成というのは、いわゆる農業にかかわる人たちの権威ある人たちが集まっております。大学教授もおります。それから県あるいは道の中央会の代表も入っております。あるいは各連の代表も入っております。そういう形で都道府県農業会議というものは構成されておりますから、そこで意見を出し合うということは、すべて農業団体の意見がそこで網羅されるということに実はなるのです。これぐらい権威ある機関をやはり率直にお使いになることが——お使いになると言ったらおかしいですけれども、そこに諮問をするという形をとるのが知事としては一番適切なやり方ではないかという主張を私は長い間持ってまいりました。ですから、少しくどいですけれども、これはさっきやり合った後ですから、局長にしてみればまた同じ問題かというような顔をされておりますけれども、せっかく大臣がおいでですから、大臣から、この考え方について、私の提案をどういうふうに受けとめられるか、御答弁をいただきたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 都道府県の農業会議及び農業委員会と市町村または都道府県知事との調整の問題でございますが、今回の農振法の改正におきましても、具体的には農用地利用増進計画については、市町村は農業委員会の意見を聞いて定めるべき旨を農林省令できめることにいたしております。また、都道府県知事が農用地利用増進規程の認可、特定利用権の裁定または開発許可をするときは農業会議の意見を聞くように指導するというふうにいたしておるわけでございますが、しかし、いまの島田さんの御意見を聞いておりますれば、これらの措置では不十分である。もっと法律上農業委員会やあるいは農業会議の位置づけをはっきりすべきであるという御意見でございます。この点につきましては、これからの農振法の改正によりまして農業の経営規模拡大を図り、農業の振興を図っていかなければなりませんので、確かに貴重な御意見といたしまして、私はここに承っておきたいと思うわけでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 そこで、特定利用権の設定にかかわる問題でありますが、先ほど政務次官から、実は、特定利用権が設定された場合における、いわゆる耕作権の問題についてお話しがありました。その場合の取り組みについては私もわかりましたし、一応一つの方向をもって進めていきたいというお考えでありますから、そのことについては私は反対ではございません。そういうことも一つの方法だろうと思っております。  ただ、その場合における市町村といいますか、特に、農業協同組合の役割りというものが非常に大事になってくると私は思うのですが、この場合、農業協同組合が具体的に果たしていく役割りというものをどのように規定づけようとお考えになっているのか。これはさっき質問しなかった事項ですが、局長で結構でありますから、その点をひとつお聞かせください。  なお、「特定利用権の設定に関する協議」ということでございますね。実は、所有者に対してこの協議を求めることができることとされておりますが、その協議をする形というのは、具体的にはどういうふうにしておやりになるの、でしょうか。  その二点をお聞かせください。

大山一生農林省構造改善局長

○大山政府委員 第一点は、特定利用権は、憲法二十九条に定めます財産権の保護との関係におきまして、市町村または農協が共同利用に供するということが前提になっているわけでございます。そこで、その「共同利用に供する」という問題の性格でございますけれども、使用収益の主体としては市町村または農協でなければならぬということでございます。したがって、経営なり管理は市町村なり農協がやるわけでございまして、個人に委託することは許されません。つまり、財産権との関連におきまして、公共の福祉によって制約されるという意味における中身といたしましては、一つは、それによって利用権を取得する主体の問題がございます。この点については、公的なものでなければならぬということで、市町村または農協を取り上げたわけでございます。     〔委員長退席、藤本委員長代理着席〕  また、利用目的については、公共的色彩が強いものでなければならぬということでございまして、そういう意味から地域農業者のための共同利用ということにいたしたわけでございます。その他、手続要件でございますとか、存続期間でありますとか、利用方法につきましても、それぞれ必要最少限度ないしは財産保護の面から適正でなければならぬ、と、こういう制約の中でつくられざるを得ないわけでございます。  そこで、先ほどもちょっと申し上げましたように、市町村なり農協が地域農業者の経営のためにやる共同利用ということになりました、その共同利用の中身といたしましては、これは農地法で言いますならば草地利用権がございます。あの草地利用権の際のいわば共同利用という概念と全く同じでございまして、みずから経営し、ないしはみずから管理する、こういうことにならざるを得ない、こういうわけでございます。  それから、第二点の協議の問題を御指摘になりましたけれども、つまり、現在農地が耕作されていなくて、そして所有者の経営状態なり労働事情あるいは資本装備の状況ということからいたしまして、引き続いて耕作される見込みがないところに対しまして、このままにしておくならば、たとえば雑草が生え茂る、木が生え茂る、あるいは病害虫が定着するというようなことから、農用地としての利用が困難になるということが認められた場合に初めてこういう問題が出てくるわけでございますが、協議といたしましては、市町村なり農協がまずそういう土地の所有者、耕作者といいますか、耕作されないままになっている土地の所有者に対して協議を申し込む、こういうかっこうでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 そういたしますと、共同利用の場合の共同体は何か制約がありますか。具体的に言いますと、極端な話ですが、二戸以上複数であれば共同利用体として認める。その場合法人格を持たなければならないのか、申し合わせでいいのか、この点はいかがですか。

大山一生農林省構造改善局長

○大山政府委員 共同利用といいますのは、市町村または農協がみずからやるということでございます。例を引きますと、具体的なかっこうで申し上げますならば、市町村なり農協が——先生が農協と言っておられますから農協で申し上げますと、農協がみずから経営し、管理をする。そして住民なり——これは組合員ですが、その組合員から見ますと、組合員が共同で利用するにとどまる。ですから、具体的な利用の形態といたしましては、たとえば家畜の預託を受けて育成するとか、あるいは生育された牧草を供給するとか、あるいは共同して放牧するとか、こういうかっこうでございまして、現実に農協がみずから経営するということでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 私の聞き方がまずかったのでちょっとわからなかったかもしれませんが、それは私もわかっているのです。しかし、農協が共同体として経営までやるといっても、実際に利用するのは農家でしょう。その場合にどういう手だてが必要ですか。それも共同でなければだめなのか。     〔藤本委員長代理退席、委員長着席〕  たとえば共同体である農協に申し込みをしますね。そうするとその判断は農協が全部やって、そして、ちょっと言い方が悪いけれども、勝手に使わしていいということになるわけですか。そこの部分を聞いたので、共同体ということを聞いたのじゃないんですよ。

大山一生農林省構造改善局長

○大山政府委員 農協が共同利用に供するという場合には、その事業の実施のための規約を制定せざるを得ないわけでございます。その規約に基づいて利用させるわけでございますが、実際に利用する人は、個人でも生産法人でも、それはあくまでも人夫のようなかっこうに、おいて利用する限りにおいては、それが法人格を持つとか持たぬとかいうことには関係ございません。あくまでも経営管理の主体が農協になければならぬというだけの問題でございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 そうすると、それは草地の利用制度と全く同じという理解でいいわけですね。

大山一生農林省構造改善局長

○大山政府委員 そのとおりでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 そこで、大臣にお尋ねいたしますが、農地法は、私が申し上げるまでもなく耕作権の擁護といいますか、そういう立場を実は貫いているわけですね。今回のこの農振法によりますと、そういう部分というのは農地法のサイドから見ればかなり後退した印象になるわけですが、その場合、たとえば特定利用権にしましても、農用地の利用増進事業にいたしましても、一つの年限がありますね。さっきも三年という話でちょっと議論をしたのでありますが、特に、この特定利用権が設定されていくような地域というものはわりあいに荒れておるというか、遊んでおる土地というのが非常に多いわけですね。そういう場合における三年間というのはいろいろな点で非常に短過ぎるという感じが私はするんですよ。これを更新していく場合の手続上の問題なんというのは、今度の規定の中でどういう位置づけにしようとお考えになっているのですか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 いまの御質問は、今回の農振法の改正によって農地法の根幹が崩れるおそれはないかという御質問であろうと思うわけでございますが、最近における農地の資産的な保有傾向や農地法の耕作権保護の影響もありまして、農地の売買や賃貸借による経営規模の拡大は進まないで、むしろ耕作意欲の低下にようて農地の利用度が非常に低下しておる傾向にあることは御案内のとおりであります。このような情勢に対処いたしまして、食糧自給力の増強あるいは中核農家の担い手育成、これのために努力をする必要がございます。  そこで、個別農家間の賃貸借を自由に認めるというのでは、まさに農地法の骨抜きとなるわけでございますので、農振法の改正で農用地利用増進事業の制度を設けることによってこれを補っていくということにいたしておるわけでございます。この制度は、市町村の関与のもとに地域農業者の合意によりまして一定期間ごとに利用権を設定するという事業でありまして、農地所有者の不安をなくするとともに実質的に耕作の安定継続を図ろうということでございますので、これによって農地法が弱体化する、あるいは農地法が骨抜きになるというふうなことはない、こういうふうに私は判断をいたしておるわけでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 畜安法の方の関係でもう大分ざわついておりますけれども、まだ約七、八分ありますから、もう少し質問させてもらいます。  実は、今回のこの制度の改正に伴って私どもがしばしば議論をしてまいりました白地地域という問題が一つあるのですが、今回の農振地域内の農用地区域以外の土地、いわゆる白地地域と言われる山林や原野の土地については、将来の農業上の利用から考えて非常に大事な問題として、非常に多くの意見があるところですが、今回、この白地地域の規制について、たとえば開発規制の問題でありますけれども、開発規制について大後退をした。当初から考えていなかったのかどうか知りませんが、当初はこの問題は十分考えていたのだと私は思うのです。ところが、今回の法改正ではこの点がなくなっちゃったが、これはいかなる理由によるものですか。

大山一生農林省構造改善局長

○大山政府委員 農用地区域内の農地、これは農振法によりまして縦覧、公告等の手続をいたしまして、この区域内にある農用地というものは長期にわたって農用地として確保し、振興を図るべきものと位置づけられたところであるわけでございます。したがって、そういうところが他の目的に開発されるということになってまいりますと、これは農用地区域を守るということが不可能になるわけでございます。  現在、農地につきましては、農地法によって転用を制限する。しかも、農振法によって農用地区域内における転用は認めないということに相なっているわけでございますけれども、農用地以外の部分についての規制のしようがない。こういう事態の中におきましては、たとえば農用地開発事業を行うといたしまして、農用地区域内に入れましても、それが計画の段階から始まりまして農地になるまでには相当の長期間を要する。その間に開発される恐れがある。こういうことから、それを多目的に開発されることを防ごうというのがこの開発規制の趣旨であるわけでございます。  先生の御指摘は、いわば農振白地も同じように開発規制を加えるべきではないかという御指摘であるわけでございますが、御存じのように、農振白地ということに相なりますと、これはいわば一体的に農業の振興を図るべきところであるという位置づけがなされていることは確かでございますけれども、中には農村の集落もある、あるいは道路なり河川といったような公共用地もある、あるいは林地もある、雑種地もある、こういうようなことで、これらの土地については農業上に限られない活動が営まれているわけでございます。そこで、こういった利用の性格も非常に多種多様になっている場合に、規制するといたしましても規制の基準というものを明確にし得ないという問題があるわけでございます。  農振法は農業振興ということを目的としておりまして、したがってそういう意味から、そういう農業振興を目的とする農振法によりまして、こういう多目的な、それぞれ別々の活動の行われているような白地において開発を規制するということはできない、むしろ、そういうところであって農業目的に使うべきならば、それは積極的に農用地区域に編入すべきものであるということでございまして、極力農用地区域内に入れて開発規制をしてまいりたいと考えるわけでございますが、いわば、農振白地についてはそういう意味から開発規制はいたしかねる、こういうことになったわけでございます。  なお、財産税といいますか、相続税の特例の改正を今度の国会にお願いしておりますが、この中におきましても、準農地につきましても相続税の猶予措置が講ぜられておりますので、いわば開発さるべき準農地というものも、そういう相続税法の特例と相まちまして、いままで以上に農用地区域に入れることを容易にしているという問題も背景としてあるわけでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 しかし、こういう山林、原野というのは農地法の手の及ばない部分が多いでしょう。だから、農振法でむしろ積極的におやりになることがいいのじゃないかと私は言ったのですが、いまの局長の答弁では、そういうところは農用地区域に積極的に入れてやればそれで事足りる。なるほどそうです。それはおっしゃるとおりなんですが、しかし、町村においては市町村の整備計画というものがすでにでき上がっておりまして、そういうところへ網をかけるということにはなかなかならないんじゃありませんか。そういう点はどういうふうに今後進めていかれようとしますか。

大山一生農林省構造改善局長

○大山政府委員 農用地区域を拡大するという場合には、農振計画の変更ということに相なるわけでございます。現に、国営開拓パイロット事業等を着工する場合におきまして、その対象地がたまたま農用地区外であるという場合におきましては、農用地区内に編入し、農振変更の手続をとった後でなければ現実には着工しておりませんで、そういうふうなかっこうでの農用地区域の拡大という例は非常にたくさんあるわけでございます。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 それじゃ、たとえばこういう土地の場合はどうするのですか。農業上本当にこの土地は必要だ、しかし、これはすでに人の手に渡っている、農業者以外の手に渡っているという場合ですね。山林でも原野でも、農業者の所有地であればいいですよ。しかし、先般も問題になったが、これが他の目的のために仮登記されるという問題がありますね。そういう仮登記されちゃっている土地についてはどういうふうにするのですか。こういう趣旨で私はお尋ねしたつもりなんですがね。

大山一生農林省構造改善局長

○大山政府委員 農振白地にあります土地といいますか、仮登記の対象になっているような土地がその中の農地でございますと、これは農地法によって規制されるということに相なるわけでございます。それで、農用地区外にある、その種の買い占められた土地の問題でございますが、その問題につきましては、もしそれが草地として利用すべきところであり、しかも、それ以外に場所がないということになっております場合においては、現在、農地法によりまして草地利用権の制度があるわけでございます。草地利用権という問題につきましては、これはある意味においては強制権を持った制度でございますので、そういう制度によって対応するということが可能であり、それを背景といたしますならば、農用地の中に入れればそういうところは相続税の猶予というような問題もございますし、そういう措置によって対応してまいるということに相なろうかと思います。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 それは確かに相続税との絡みなんかもありますわな。  しかし、大臣、いかがですか。たとえばゴルフ場がありますね。そのゴルフ場は将来農用地として牧草をまいて使えるところだということになっときに、これはどうチェックしていきますか。さつき局長がおっしゃるように、農用地区域に取り入れると言ったってこれはなかなかむずかしいでしょう。そういうところだって内地府県にはずいぶんあると思うのですよ。午前中にもやりとりいたしましたが、さっきおっしゃっているように、五十万ヘクタールの将来の農用地の拡大という中では非常にたくさんの農用地を確保していかなけければならないのですね。そうすれば、見渡したところそんなに目の先にいっぱいあるわけじゃありませんから、こういう計画が進められていく段階では、せっかくゴルフ場になっているけれども、これも農用地として使わなければならぬというような意見が地元から自然に出てきますね。そういう場合は、これはどういうふうにいたしますか。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 これは、やはり、現在の法律制度の中では非常に困難だと私は思うわけでございますが、いま構造改善局長が申し上げたように、農振白地等につきましても、今後積極的に農地として取り入れなければならぬ面については農用地区内に編入していくという努力は私たちとしては積極的に今後やっていかなければならぬというふうにも考えておりますし、また、先ほどのお話しのような草地利用権の問題もあるわけでございますが、いまのゴルフ場を直ちに切りかえていくということにつきましては、現在の状況の中では、また、法律制度の中では大変困難な問題であろう、そういうふうに思っております。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 もう時間が来たようですが、どうも言い尽せない点がありましたし、また、時間が細切れになったために重複したりして、答弁する皆さんの方でも少し困難があったかもしれません。言い尽くせない点やもっと明確にしなければならぬ点はまだこれから同僚議員が質問いたしますので、私はこれでやめますが、農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正するということで、従来のいわゆる領土宣言法からせっかく前向きに実施法に移していこうという意欲をこの法案に示されたというふうに御説明になっているのでありますから、きょう私が長い時間いろいろとお話し申し上げました点を十分踏まえていただいて、せっかくの法律が日本の農業の進展と国内の食糧の自給度の向上のために本当に役立っていくということでなければならぬと私は思うのです。  そういう点で、私どもはそれなりに党内でいろいろな議論をしてまいりました。この農振法の議論ぐらいたくさん時間をかけたことはないというぐらい大変な議論をしたわけであります。そういう中から二、三点私は問題の提起をしたわけですが、幸い大臣からかなり前向きな姿勢が示されましたので、願わくはそれが全部法案の中に取り込まれて、りっぱな改正案としてこれが再度すべり出していくように私は期待をしているわけであります。  最後に、何回も決意を聞いて悪いのですけれども、日本の農業の振興を図り、国民食糧を確保していくという立場から攻めの農政に転じられた安倍農林大臣から、今後この法律を基礎にしてお進めになる決意のほどを承っておきたいと思うのです。これが、まさに、いま全国の農民が自信を持って農業に取り組んでいくために必要な発言につながると私は思うからです。お願いいたします。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 私は、農振法の改正に大きな期待をかけておるわけでございます。この改正によりまして自給力を高めていくと同時に、中核的な農家が増強されていく、さらに経営規模が拡大をされていく、こういうことで農業が振興されることにもつながっていく改正だと私は思うわけでございますが、今日お聞きした議論の中にも、この改正案の中において十分配慮していかなければならぬ傾聴すべき御意見がございましたので、これらについては十分承って、これが配慮されるような方向でまたひとつ御検討もいただきたい、こういうふうに考えておるわけであります。

島田琢郎日本社会党

○島田(琢)委員 以上で終わります。      ————◇—————

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案について議事を進めます。  この際、本案に対し、津川武一君外二名から修正案が提出されております。  提出者から修正案について趣旨の説明を求めます。諫山博君。     ————————————— 畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正  する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————

諫山博日本共産党・革新共同

○諫山委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨説明を行います。  修正案の朗読は省略させていただきます。  一昨年来の飼料価格など関係諸資材の高騰と肉牛の生産者価格の下落によって、肉牛生産農家は深刻な経営危機に直面し、昨年秋以降生産者価格が幾分持ち直したとはいえ、事態は依然として解決しておりません。  また、肉牛の生産者価格が子牛代、飼料代にも満たないという状況のもとで、子牛の屠殺が異常に増加し、乳用種の雄子牛の肥育仕向け率が、四十八年の九〇%台から昨四十九年秋には三〇%台に下落しており、このままでは今後牛肉生産が一層ひどい縮小の道をたどることは必至であります。  このような事態を招いた原因は、政府が大企業優先、農業軽視の経済政策をとって、国内における牛肉生産に有効な手を打たず、飼料原料を含めてもっぱら輸入拡大政策をとってきたところにあります。すなわち、政府はこれまで牛肉を本法の指定食肉にもしないまま放置しておき、しかも、価格上昇時にだけは需給調整を盾に牛肉の輸入を増大させてきたのであります。  肉牛危機が叫ばれ、肉牛生産農家の経営安定と国内生産の拡大による牛肉の安定供給が強く求められているいま、わが党は、遅きに失するうらみがあるとはいえ、政府が本改正案を提出したことを評価するにやぶさかではありません。しかしながら、本改正案について次のような問題点を指摘せざるを得ません。  その第一は、安定価格の決定について何ら変更が加えられず、昭和四十四年以降畜産振興事業団の売買操作が行われていない豚肉の例に明白なように、実効ある価格対策にはなり得ないこと。第二は、一昨年秋以来の肉牛価格の暴落の発端となった牛肉輸入について何ら規制措置を取ろうとしていないこと。第三は、牛肉の消費者価格が市場価格と著しく乖離して高騰し、消費者物価全般の上昇と相まって、一般家庭の牛肉の消費が減退を続けている事態を解決するための措置を講じようとしていないこと。そして、第四には、これは省令事項とされておりますが、指定食肉の規格が和牛去勢、乳用雄牛の中規格に限られており、牛肉価格全体の安定につながらないことなどであります。したがって、せっかくの本改正案もこのままでは画竜点睛を欠くことになると言わざるを得ません。  日本共産党・革新共同は、以上の弊をなくし、本改正案による牛肉価格安定対策が真に肉牛生産農家の経営を安定させ、わが国の肉牛生産の発展に寄与するものとするため、要旨次のような修正案を提案します。  その第一は、安定価格のうちの安定基準価格を生産費を償う水準に定めることとし、また、飼料価格の高騰等によって生産費が一定の割合を超えて変動した場合には、農林大臣に対し安定基準価格の年度途中改定を義務づけることといたしました。  第二に、食肉の輸入を事業団の一元管理とし、食肉輸入の無制限な増大を抑えるために定められる輸入計画に基づいて行われることとしました。  第三に、食肉の売り渡しについて、食肉需要を喚起し、消費者の家計の安定に資するため、事業団が食肉小売業者等に特別売り渡しを行うことができるようにしたほか、輸入食肉の売り渡しについては、指定食肉の価格が安定基準価格を下回りまたは下回る恐れがある場合には、してはならないことといたしました。   なお、これらの修正は、牛肉のみならず豚肉にもかかわるものであります。さらに、指定食肉たる牛肉の規格として、肉用種、乳用種を問わず、中規格及び並規格を考えていることを付言してきます。  また、本案施行に要する経費は、平年度約三十一億円の見込みであります。  委員各位の御賛同をお願いして、提案の趣旨説明を終わります。

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 これにて修正案の趣旨説明は終わりました。  この際、本修正案について、国会法第五十七条の三により、内閣の意見があればお述べいただきたいと存じます。安倍農林大臣。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 ただいまの修正案につきましては、政府としては賛成しがたいものであります。

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 これより、本案並びに本案に対する修正案の討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  初めに、津川武一君外二名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 この際、本案に対し、先刻の理事会の協議のとおり附帯決議を付したいと存じます。  案文を朗読し、その趣旨の説明にかえたいと存じます。    畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行にあたつては、左記事項について万全の措置を講ずべきである。       記  一、指定食肉たる牛肉の規格に乳廃牛等の肉を含めるよう努めること。  二、牛肉の安定価格については、生産費と所得に十分配慮し、肉用牛の再生産の確保が十分に図られるように決定すること。    なお、価格算定に必要な統計資料を早急に整備すること。  三、畜産振興事業団の指定食肉の買入れにあたつては、生産者団体の調整販売等を前提とする産地買入れを優先させるとともに生産者の手取価格が同一水準になるよう努力すること。    さらに、事業団の売買を適正に実施するため、産地における牛肉処理保管施設の整備並びに牛肉規格の格付体制の強化に努めること。  四、牛肉の輸入については、的確な需給見通しに基づき必要最少限度にとどめるとともに、本法施行後事業団が一元的に取り扱うよう努めること。    また、輸入牛肉等の放出にあたつては、国内市況に悪影響を及ぼすことのないようその数量及び価格について慎重な配慮のもとに行うこと。  五、事業団による国内産牛肉の売買操作が円滑に実施されるよう事業団に対し、国の出資を計画的に増加するとともに、事業団の繰越損が累積した場合には、政府の増資又は一般会計よりの補てんにより処理すること。  六、牛肉の供給の長期的安定を図るため、いたずらに輸入に依存することなく飼料基盤の整備、肉用牛の改良増殖その他肉用牛の振興対策を積極的に講じ、自給率の向上を図ること。  七、牛肉の流通機構の合理化を図るため、食肉処理保管施設及び輸送施設の整備拡充並びに卸小売業の近代化等の諸施策を強力に実施すること。    特に、本制度による牛肉の卸売価格の安定の効果が、消費者価格の安定にもつながるよう小売業の経営の合理化、適正な表示の促進等について必要な措置を講ずること。  八、本法の施行に関連し現行の肉用牛価格安定事業及び乳用雄肥育素牛価格安定事業等の整備拡充を図ること。  九、本法の運用にあたつては、牛肉の消費の安定にも十分配慮すること。   右決議する。 以上でありますが、本附帯決議案を本案に付するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について、政府の所信を求めます。安倍農林大臣。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 ただいまの御決議に基づき、その御趣旨を尊重いたしまして善処いたしたいと思います。     —————————————

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 なお、ただいま議決されました本案の委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 先刻本委員会に付託されました坂村吉正君外十二名提出、山村振興法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。坂村吉正君。     —————————————

坂村吉正自由民主党

○坂村議員 ただいま議題となりました私外十二名の提出にかかる山村振興法の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  昭和四十年に、農林水産委員長の提案により山村振興法が制定されて以来、四十七年度までに国土のおよそ二分の一に相当する地域が山村振興地域に指定され、山村振興計画の策定を初め、これに基づく各種の山村振興事業が推進されてまいったのでありますが、山村住民の所得水準、生活環境施設整備の水準などの地域格差は必ずしも解消されず、山村の現状はなお厳しいものがあるのであります。  山村地域は、これまで、農林産物の供給、国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全などの諸機能に関して大きな役割を果たしてきましたが、近年これらの役割り等を維持する必要性が高まるなど、山村地域の振興の重要性は一段と高まっているのであります。  このような実情にかんがみまして、本年三月三十一日をもって期限切れとなる本法の有効期限をさらに十カ年間延長いたしますとともに、山村の当面する新たなる情勢に対処して、その内容及び関連諸施策等の整備充実を図ることとして、ここにこの法律案を提出いたした次第であります。  以下、改正の主要な内容について御説明申し上げます。  第一に、山村地域が国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全等に重要な役割りを担っていることを法律の上で明らかにするため、目的についての規定を改正することといたしました。  第二に、山村地域の振興の根幹的施設であり、また、地域住民の要望のきわめて強い道路交通網の整備について、振興山村関係市町村の財政負担の軽減等を図って、その整備を促進するため、基幹的な市町村道、農道、林道等の新設及び改築は一都道府県も行うことができることとし、この場合には、その経費について後進地域の国の負担割合の特例の適用を受けることといたしました。  第三に、振興山村における集落の整備のための住宅の建設等及び農林漁業経営の改善のための資金の融通の円滑化を図るため、住宅金融公庫資金融通の特例及び農林漁業金融公庫資金の融資の特例を認めることといたしました。  また、国及び地方公共団体は、振興山村における住民の基本的問題である医療の確保を図るため、診療所の設置等の事業が実施されるよう努めなければならないこととするとともに、山村において伝承されてきた地域文化を保存するため適切な措置が講ぜられるよう努めるべきことを明らかにしました。  以上のほか、所要の規定の整備を行うことといたしました。  以上が山村振興法の一部を改正する法律案の提案理由及びその主要な内容であります。  何とぞ御審議の上、速やかに御可決下さいますようお願い申し上げます。

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 この際、私から委員会を代表して、次の諸点について政府当局の見解をただしておきたいと思います。  まず、第一は、振興山村の指定市町村から強く要望されておりました、いわゆる山村債についてであります。  山村振興の指定を受けております千百九十六市町村のうちで、現在過疎債も辺地債も対象とならない市町村が相当数あるわけでありますが、山村振興の重要性にかんがみまして、他の指定山村との均衡のとれた措置を講ずる必要性があるかと思うのであります。今後辺地債の起債ができる条件を緩和すること等により、これらの市町村が起債できるよう措置する考えはないかどうか、明らかにされたいと思うのであります。  次に、本法第四条についての解釈でありますが、「国の負担又は補助に係る事業に対する負担又は補助についての条件の改善」とは、当該事業に係る採択基準の緩和、国の負担の割合または補助率の引き上げ等を含むものと解せますが、政府の御見解を明らかにされたいと思います。

左藤恵自由民主党自治政務次官

○左藤政府委員 振興山村市町村のうちで、財政力指数が〇・四未満で、過疎債、辺地債の対象とならないものは現在五十六市町村ございますが、このうち三分の二程度の市町村につきましては、辺地の指定基準を緩和いたしますことによりまして辺地債を起こすことができるように措置いたしたい、このように考えております。そして、さらに、また、適債事業の範囲につきましてもその範囲を拡大してまいりたい、このように考えております。

森美秀自由民主党大蔵政務次官

○森(美)政府委員 政府といたしましては、委員長御発言のとおり、本法第四条の「国の負担又は補助に係る事業に対する負担又は補助についての条件の改善」には、採択基準の緩和、国の負担の割合または補助率の引き上げ等を含むものと解釈しております。

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 この際、本案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣において御意見があればお述べ願いたいと存じます。金丸国土庁長官。

金丸信自由民主党国土庁長官

○金丸国務大臣 本法律案の提出に当たり、議員各位の御努力に深く敬意を表するものであります。  政府といたしましては、山村の状況にかんがみ、本法律案についてはやむを得ないものと考えております。御可決されました暁には、その御趣旨を体して適正な運用に努め、山村振興に一層の充実を期してまいる所存であります。

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 これにて、本案に対する質疑は終了いたしました。

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  坂村吉正君外十二名提出の山村振興法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 この際、農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先日来理事会におきまして御協議を願っていたのでありますが、先刻の理事会におきまして協議が調い、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を作成した次第であります。

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 その内容につきまして、便宜委員長から御説明申し上げます。  農業協同組合合併助成法は昭和三十六年に制定され、その後昭和四十一年、昭和四十五年及び昭和四十七年の三回にわたる法改正が行われ、同法に基づく合併経営計画の提出期限についての延長措置が講じられてまいりました。  その間、農業協同組合の合併は、関係者の努力により一応の成果をおさめてまいったのでありますが、いまだに五百戸未満という零細規模の組合が相当数存在しており、これら組合の中には、今後合併を行い、その組織、事業並びに経営体制の強化を図ろうと志向しているものが相当数あると見られるのであります。  このような実情にかんがみ、本年三月三十一日をもって期限切れとなる同法に基づく都道府県知事による合併に関する計画の認定制度の適用期間をさらに三年間延長し、合併計画の認定を受けて合併した農業協同組合に対しては、従前どおり、法人税、登緑免許税等の減免措置の特例を与え、合併促進の一助にしようとするものであります。  以上でありますが、なお、詳細な内容につきましてはお手元の案文により御承知願いたいと存じます。  本起草案について別に御発言もないようでありますので、この際、本案について、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣において御意見があればお述べ願いたいと存じます。安倍農林大臣。

安倍晋太郎自由民主党農林大臣

○安倍国務大臣 農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案につきましては、政府としてはやむを得ないものと考えます。     —————————————

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 お諮りいたします。  お手元に配付いたしております農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案を本委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案といたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とすることに決定いたしました。  なお、ただいま決定いたしました本案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、明十四日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十九分散会      ————◇—————

国会会議録検索システムで原文を見る ↗