農林水産委員会 第7号
- 発言数
- 242 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1975/02/25
会議録
○澁谷委員長 これより会議を開きます。 第七十二回国会より継続審査となっております内閣提出、農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案につきましては、第七十二回国会におきましてすでに趣旨説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○澁谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案 ————————————— 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○澁谷委員長 本案について審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹内猛君。
○竹内(猛)委員 農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案に対して、質問をいたしたいと思います。 まず、大臣に伺いますが、農業振興地域の整備に関する法律の一部改正は、農業立法中の農地に関する基本的な問題に触れることでもあり、また、土地所有者にとっても、利用者にとっても、さらに農地を取り扱っているところの諸団体にとっても、きわめて重要な問題を含むものであります。したがって、これを軽々しく取り扱ってはならないということからいたしまして、本委員会においても非常に慎重な取り扱いをしてまいりました。 本法の取り扱いは農政上きわめて重要な位置にあると思いますが、大臣は、この法律が日本の農政にきわめて重い立場にあるということについて、この改正についてどのような基本的な考え方を持っておられるか、農地立法の改正というものについてどういうぐあいに考えておられるか、その点をまずお伺いいたします。
○安倍国務大臣 ただいま御指摘のように、本法の取り扱いは農政上から見ましてきわめて大事であると思うわけであります。私は、この本法の問題につきまして次のように考えております。 現在、御案内のように、国際的な食糧事情の変化に応じて、国民食糧の安定的な確保を図るために国内の生産体制を整備し、食糧の自給力の向上を図らなければならないということは言うをまたないところであります。そのためにも、土地の農業上の利用の確保と、その計画的、効率的な利用を促進していくとともに、農業経営の規模の拡大を図ることが非常に重要な課題となっておるわけでござまいす。 こうした観点に立ちまして、本改正案は、現在の農村における土地需要にかんがみまして、農用地区内において、利用権の設定によりまして、農用地の有効利用と経営規模の拡大を促進するための農用地利用増進事業制度を設ける等の改正を行おうとするものでございまして、そういう観点から見ましても非常に重要なる意義を持つものであると思っておるわけでございます。
○竹内(猛)委員 次いで、本法の改正の主要目的は、農用地を確保し、農業の経営規模を拡大し、国際的にも国内的にも危機に直面しておるところの日本の食糧自給度を高めていくという立場に立っておると思いますが、私は、その目的を達するためには、いま大臣がお答えになったことを達するためには、単に農振法の改正だけでは目的は達しないと思う。農業政策万般のものに十分な手当てをしない限り、それはできないと思う。したがって、農振法の改正というのはその最初の出発であるとこういうふうに考えておるわけでありますけれども、これについて、農政全般との関連においてなお考慮する余地はないか。この点についてお伺いします。
○安倍国務大臣 確かに、いまおっしゃいますように、この改正案はこれからの農政を進めていく上においてきわめて重要な意義を持つわけでございますが、これを行うにつきましても、やはり、全体的な総合的な政策を進めていかなければならないことは当然なことでございます。そういうことから、私たちは農政審議会にも今後の農政のあり方について諮問をいたしておりまして、この審議会の答申をまって総合的な食糧政策を打ち出していこうというふうに決意をいたしておるわけでございますが、そういうこれからの総合的な諸政策を推進する一環としての非常に重要な意味をこれは持つわけでございます。 私たちは、ただ単にこの農振法の改正のみをお願いするだけでなくて、総合的、全体的な立場に立って今日の農政の転換期に対処をしていきたい、こういうふうに考えております。
○竹内(猛)委員 そのような観点から、農林省では、先般、六十年の需要と生産の見通し案を発表されました。これが前の五十七年をきめたときにも関連をしておりますが、新全国社会経済発展計画、あるいはまた土地改良十カ年計画等々との関連はどうなるのかという問題が一つあります。それから、農業者が困難な諸条件にあるもとで、政府が、本当に確固とした長期見通しときわめてきめの細かい年次計画があって、そしてその長期見通しを狂わせないということが明らかでない限りにおいては、どれだけ農家が努力しようと思っても、そのときどきに狂ってしまったのではどうにもならない。米の生産調整をしてみたり、鶏卵の生産を調整をしてみたり、あるいはミカンについてもそういう形をとっている。そうして生産が多くなれば価格が下がって困るという、こういうようなことをやっている限りにおいて、農家は農政に対して大変疑問を持つわけです。そういう意味において、地域別、作物別の長期目標、そして価格については生産費所得補償によるところの農家の所得確保の方式、それから長期、低利の金融、公費負担を原則とするところの土地基盤の整備、あるいは農畜産物の輸入の問題、あるいは肥料及び飼料の安定的供給、そして農業経営者の社会保障、こういったような一連の農業に関係する基本的な問題が整理をされない限り、やはり、問題がまだまだ残っていくと私は思う。そういう意味において、五十年度の予算の問題とも関連をして、まだ努力をしなければならない問題が多々あると私は思うのですけれども、農林大臣はこの点についてどのように考えられるか。
○安倍国務大臣 確かに、いま御指摘のように、本法の改正だけではなくて、私たちといたしましては、農政審議会の答申を得て、その答申に基づいて長期的な観点に立った総合的な食糧政策を打ち出しまして、その中にあって、作目等の需要と生産につきましてははっきりした見通しをつけまして、そうした作目ごとの生産計画というものも立てていかなければなりませんし、先ほどお話しがございましたような、いわゆる長期的な土地利用の計画あるいは土地改良計画というものもそれに応じて推進をしていかなければならぬわけでございます。そういう点から見ますと、五十年度の予算につきましては十分とは言えないということがはっきり言えるわけでございまして、農振法を推進していく上におきましても、その背景となる土地の確保につきましては、その進度が大変遅れておるわけでございますから、やはり、これからの農政の基本方向としては、こうした長期計画につきましても最大の努力を払いまして、長期計画が達成ができるようにこれから努力をしていくことが当然なことがあろうと考えるわけでございます。 そういう点でいろいろの御指摘の問題があるわけでございますが、それらを総合いたしまして最大の努力を払っていきたいと考えておるわけでございます。
○竹内(猛)委員 そういうためにこそ、私は、十二日の大臣の所信の質問に際しても要求をいたしましたし、また、大臣も答えられたわけですが、日本の食糧を長期的に安定的に確保するということと、あるいは備蓄などということも含めた計画等々を国民的立場で検討していくという意味において、国民食糧会議あるいは、名称はいろいろあると思いますけれども、与野党を含めた、生産農民が参加し、学識経験者も入ったところの多くの人々の合意を得るためのそのような計画というものを提案をいたしました。これに対して、それは検討すると言われたが、さらにそれを明確にして、そういったような場所において十分に議論をしながら、同時にこれを実行するというようなことに対しては、なおその後どのように検討されたか、これの答えをいただきたい。
○安倍国務大臣 先回の御質問にもございまして、私もお答えをいたしましたが、農政審議会の御答申を得て、われわれが総合的な食糧政策を打ち出す段階におきまして、お話しがございましたように、国民各層の協力を求め、その協力と理解の上に立って総合政策を推進していく必要があると考えております。そういう意味におきまして、生産者の代表、農業団体、消費者、経済界、学識経験者などを含めた国民食糧会議といったようなものを開催をする必要があるのではないかと私は考えておるわけでありまして、これに対して積極的な考えで取り組んでいこうと、実は私はこういうふうに考えておるわけでございます。
○竹内(猛)委員 ぜひその問題については実現をしてもらいたいということを要望しながら問題に入っていきますが、私は、昨年の本委員会で倉石農林大臣に質問をしたときにわれわれの立場といたしましても、農地の現段階のような地価が非常に高い段階においては、土地の所有と利用というものを分離して、そうしてそれを食糧生産のために使っていくこと、あるいはまた、水源林であるとか保安林であるとか、多くの国土保全のためにこれを使っていくということは大事なことであるということを述べてまいりましたが、今度審議する法案は、必ずしも万全ではないけれども、そういう趣旨に沿って組まれておることは一つの前進の面だと思います。そういうような立場に立っていろいろ考えた場合に、この法案が提案されて、各団体なりあるいは識者なり、それぞれから今日まで意見が出ておると思いますが、こういう問題についてどのような意見が農林省当局に集約をされておるのか、それがあれば、その問題点について聞かせてもらいたい。
○大山政府委員 農振法の改正案につきまして農業団体方面からいろいろの御意見を承っております。基本的には賛成である、したがって早期の成立を期すべきである、と、こういうことでございますけれども、法案に対しまして出ております主な意見というものを集約いたしますと、一つは、農用地利用増進事業でございますけれども、要するに、これが実態的に継続して、使用権が経営規模の拡大をしようとする農家に集積するということをねらいにしておりますけれども、法形式論理としては短期の賃貸借であり、現下の土地事情のもとにおいては、こういう賃借権というものについて市町村というものが関与する中におきまして、農民の自主的な発意のもとに事実上継続してこういう利用権が設定されたというかっこうになるわけでございますが、この短期の賃貸借契約によりまして、いわば農地の利用度を高め、農業経営規模の拡大を図るということの必要性はわかるけれども、農地法の基本理念は堅持すべきである、と、こういう点が第一点でございまして、第二点は、改正農振法の内容というものが、農地行政の農地法との関係におきまして、いわば二元化をもたらすおそれがあるというようなことからして、都道府県農業会議なり農業委員会との意見調整を行うべきではないかということが第二点でございます。それから、第三点として、農用地利用増進事業でございますけれども、農業者によります自主的な運営ということが実質的に十分に図られるように配慮をすべきではないかというのが第三点でございます。それから、第四点といたしましては、農業振興地域内の農用地区域外のところにおいてもやはり開発規制を行うべきではないかということ。こういう四つの意見があったというふうに集約されると思っております。 そういう意見でございますけれども、農林省といたしましては、この四点について、まず第一点の問題、つまり、農地法の基本理念は堅持すべきであるという問題につきましては、「耕作者の地位の安定と農業生産力の増進」ということを目的としている農地法というものについては、これを堅持することはもとよりでございますけれども、最近におきます農村における土地事情というものから言いまして、農地を有効に利用し、そして経営規模の拡大を図るための措置としてこういう方法を考え出したわけであり、また、この方法は、いわば農地法の統制理念が許容する範囲のものであるということで、農地法の特例を設けたものであるということを説明しているような次第でございます。 それから、二番目の、農地行政の二元化をもたらすものではないかという点につきましては、今度の改正農振法の制度というものの内容からいたしまして、市町村を事業主体といたし、あるいは許可等の権限につきましては都道府県知事に付与するということにしたわけでございますが、農業会議なりあるいは農業委員会というものが農地行政上重要な役割りを果たしているというようなことにかんがみまして、農地行政に関係する事項につきましては、市町村なりあるいは都道府県知事が、これらの機関との間において、制度上あるいは運用上におきまして必要な調整を行うように措置を講じたい、つまり、省令等において必要なことは書き、あるいは運用等においてそういう指導をしてまいりたいというふうに説明し、御了解を願っているところでございます。 三番目の、農用地利用増進事業を真に自主的な運営が図られるようにすべきであるという点につきましては、全くそのとおりでございまして、農用地利用増進事業が、地域の農業者の意向に即しまして、関係機関の協力を得て自主的に運営されるように、運用上も十分配慮してまいりたいというふうに考えているわけでございます。 それから、四番目の、開発規制を農用地区域外にも広げるべきではないかという問題でございますが、御存じのように、農用地区域というものにつきましては、公告縦覧なり異議の申し出なりというような手続を経まして、今後長期にわたって農用地として活用すべき地域として固まったところであるがゆえに、そういう農業用の目的に使う以外の開発になっては困る、したがって開発規制をするということでございますが、農用地区域外の農振地域ということになりますといろいろのものがある、したがってそういうところも含めるということについての開発規制の基準を明らかにすることは非常にむずかしいという問題もありますので、むしろ開発規制は農用地区域にとどめ、そして必要あるところは農用地区域に極力編入してこの開発規制を適用する、それによって農業上の利用を確保するというのが本来とるべき姿ではないだろうか、と、こういうふうなことで御説明を申し上げ、御了解を得るように努めているような次第でございます。
○竹内(猛)委員 四点にわたって問題点が出たようでありますけれども、その第一点から私は問題を整理していきたいと思うのです。 まず、現行の農地法との関連に関してでありますが、過ぐる二月十二日の本委員会においても私は若干の質問をいたしましたが、農地法は耕作農民の農地に関する基本的な権利、すなわち所有あるいは耕作の権利を保障しておるものであります。これは市町村農業委員会、都道府県農業会議という系列をもって段階的に機能している。ところが、本案は、農用地利用増進事業については市町村が計画をし、都道府県知事がこれを認可するという形になって農用地の利用権が設定をされる。そういう形で設定をされる。これは十五条の三であります。したがって、現在の農地の権利の移動等々に関しては、農地法の第三条との関連がこれはあるわけでありまして、どうしてもこれは農地法との関連を抜きにしては考えられない。これを特例でやるとかということについては、これは許されないことであります。したがって、このように利用を動かす場合においては、これはやはり二元化のおそれが十分にあるわけでありますから、この際、この農地法との関連においてもっともっと明確にしていかなければならない点があると思う。こういう点については、いずれこの委員会で各委員からも問題が出されると思いますが、最終的にこの問題の取り扱いをどのようにされるのか。こういう点について明らかしてもらいたいと思う。
○大山政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、農地法と農振法の改正案との関係でございますが、農地法は御存じのように、農地に対します権利移動統制あるいは小作地の所有制限、あるいは賃貸借の解約の制限といったようなこととか、あるいは外部への転用の阻止といったことによりまして耕作者の地位の安定と農業生産力の増進を図るということを目的とし、いままでその意味において重要な役割りを果たしてきたと考えておるわけであり、また、この基本的な農地法の根幹は今後とも維持していかなければならぬというふうに考えるわけでございます。 ただ、最近の農村におきます土地事情ということを見てまいりますと、地価の高騰ということから、土地に対する資産的保有の傾向というものはきわめて高くなっておるわけでございます。また、耕作権につきましても、農地法の耕作権というものの強さからいたしまして、所有権の移転によって規模が拡大するとか、あるいは賃借権の設定によって規模が拡大するとか、そういうようなことがなかなか進まない事態、そして極端に言うならば、むしろほっておくというようなことさえ出てきており、農用地の有効利用の点からもきわめて憂慮すべき事態になっている。こういうような時点にかんがみまして、規模の拡大を図り、農用地の有効利用を図るためには、どうしても農用地利用増進事業あるいは特定利用権の制度というものを設け、開発規制の強化と相まちまして農振計画におきます本来の目的を達成しなければならない、こういうふうに考えるわけでございます。 ところで、いま申し上げましたような農用地利用増進事業なり、あるいは特定利用権、あるいは開発規制というような措置は、いわば農用地区域内に限って行うということであり、そして、その農用地区域内の土地の農業上の利用の促進を図るという見地から行うものであるということからいたしまして、農振法の中において規定すべき事業であろうというふうに考えたわけでございます。したがいまして、今回の農振法の改正というものは、農地法という基本法制は堅持しながら、いわば、農振地域、農振法によります農用地区域に限りまして、農振法の目的とします土地の農業上の有効利用の促進ということを図ろうとするものでございます。したがって、農地法の統制理念が許容する範囲において、これらの措置に必要な限度において農地法の特例を設けることとしたわけでございます。 そこで、もう一つ、先生が関連して言われたというふうに理解しているわけでございますけれども、農地行政との二元化という問題、いわば、農地法は農業委員会系列において、農振法は県、市町村というかっこうにおいて行われるという問題との関係につきましては、先ほども申し上げましたように、制度上あるいは運用上、農業会議あるいは農業委員会と必要な調整を行ってまいるというかっこうにおいて、その間において理念的なそごを生ずることのないようにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
○竹内(猛)委員 この法案によると、必要に応じて意見を聞く、というふうになっておる。市町村が農用地利用増進事業をする場合にも、あるいは知事が認定をする場合にもそうであります。ところが、実際、農用地の利用増進を決めるに当たっても、あるいは知事が認定するに当たっても、そういうことではなくて、これを義務づける。法案にきちんと義務づけて、そして両者の関係を一体化して、農地に関するそういうようなことに対してはきちんとしていくということについて私はこういうことを主張しておきますが、なお、われわれの委員からも声が出ると思いますけれども、これはきわめて重要な問題でありますから、この点については大臣から、この取り扱いについてお答えをいただいて前の方へ行きたいと思いますが、どうですか、これは。
○安倍国務大臣 先ほど、農地法と農振法との関係につきまして御質問がありまして、いわば二元的な行政になるのではないか、特例を設けるといったことについても、農地法の根幹にも関連も持つのではないかというふうなお話しでございますが、この農振法の改正というのは、農地法の根幹を堅持しながら、農振法によるところの農用地区域内に限って土地の農業上の有効利用の促進措置を実施するということでございまして、農地法に言うところの統制的な理念の許す範囲においてこれらの措置に必要な特例を設けるということでございますので、私は、農地法の根幹には触れるものじゃないというふうに思うわけでございます。 それから、いま御指摘がございました農地法と農業委員会との関係、それから今度は農振法と農業委員会との関係について、二元的な面もあり得るではないかというふうなことでございますが、今回の農振法につきましては、農業委員会の意見を聞くことができるということでございまして、意見を十分聞き、農業委員会との調整を図って農振法の適正な運用を図っていくということでございます。いま御指摘のございましたような、農業委員会の意見を聞くことについて義務づける必要があるということについては一つの御意見だろうやるということでございますから、これにつきましては、農林省の省令で、農業委員会の意見を聞かなければならないというふうに省令としては規定をする考えにいたしておりますので、法律の運用については、二元的な面は農業委員会との関連においては出てこない、こういうふうに考えておるわけでございます。
○竹内(猛)委員 意見を聞かなければならないということは、あるいは聞かなくてもいいということにも、裏返しを言えばなるわけで、やはり、聞くことを義務とするというふうにきちんとしなければいけないので、私はこれは意見とし、その点を保留しながら次に進みます。 それで、市町村長が農用地利用推進事業等を進める場合の、特に、都道府県知事が最終的に認可をする場合においては何をもって基準とするか、認可の基準はどういうものであるか、その点について伺いたい。
○大山政府委員 農用地利用増進事業というのは、先ほど来申し上げておりますように、農業者内部の、いわば市町村の調整機能の発揮という中において行われるということでございます。したがって、これらの事業を行いますところというのは、一方において規模拡大を志向する農家があり、また、一方においては労働力事情等から縮小したいという農家が存在するという、こういうようなところにおいて実施されるわけでございます。現に、都市周辺でありますとか、あるいは北陸等の中間地帯等におきまして、請負でありますとか、あるいは農作業の受委託あるいは生産組織というようなかっこうにおきまして、農地利用が実際上一部の農家に移っている、あるいは移りつつあるというような傾向のあるようなところにおきまして、市町村なり農協あるいは農業委員会というものが中に入って農用地利用増進事業を行う、こういうことでございます。何と申しましても、その地帯におきます農民の自発的な意思というものを市町村の調整機能の枠内にはめ込みまして実施しようということでございますので、地域地域によって事情が非常に異なってまいると思っております。 したがいまして、農用地の利用増進規程の認可という問題につきましても、法律上定められております要件というものは多少ありますけれども、それ以外の問題については地方の実情に応じていく。逆に言うならば、画一的なかっこうでこれを指導するということではなくて、そういう機の熟したところにおいて実施してもらう、こういうふうに考えているわけでございます。したがいまして、認可基準ということになりますと、法律上定められていることのほかといたしましては、強いて言いますならば、つまり、両当事者といいますか、所有者あるいは利用者の集団的な合意によりまして経営規模の拡大が図られるような相当面積の土地が行われる見込みが確実であるというようなこと、あるいは借賃でありますとか、あるいは存続期間とか、こういった利用権の内容に関しますことが、所有者あるいは利用権を設定される者との間の双方の立場から見て公正妥当であるということ、それから、これも先ほどちょっと申し上げましたけれども、この結果として、経営規模の拡大なり農用地の有効利用が図られる見込みが明らかであること、こういったようなことを認可基準といたしまして、極力、画一的な方向ではなくて、むしろ指導としては優良参考例を回付するようなかっこうで指導してまいる、こういうふうなことでございます。 認可基準といたしましては、農民の自主的な、地方の実情に応じた方向で進められるような、程度に応じて必要な範囲にとどめたいというふうに考えるわけでございます。
○竹内(猛)委員 農用地利用増進事業は、専業的な経営または集団的な生産組織、そしてまた農業の生産の中核的担い手を中心として、農用地の利用の集積と、その経営の安定のために進める、こういうことが不可欠な条件だと私は思う。したがって、その運用に当たってはいま話されたようなことが問題になるとは思いますが、これは規定によって決まるわけですが、そこで、現在労働力不足のために農地が休耕状態になっているようなものについて、いままでは、法律から言えば農協に委託をしてこういう事業が決められていたけれども、農協がこれを委託された場合に、所有権の登記というような問題があったり、ややっこしい問題もあるとはいえ、あまりこれが進んでおらない。そこで、この進んでおらないという理由はどういうことなのですか。
○大山政府委員 三十七年に農地信託制度ができまして以来、四十八年末までに農協が農地の信託を引き受けました面積というのは、貸付信託で約二百四十六ヘクタール、それから売り渡し信託が三千六百ヘクタール、それから売り渡し貸付運用信託が千三百五十五ヘクタール、こういうことになっております。 農地信託を引き受けました農協数は約三百二十というふうなことで、遺憾ながらあまり活用されていないわけでございます。何で活用されなかったのだろうということを反省してみますと、どの信託であっても所有権移転の形式をとるということから、農民が信託に出すことをちゅうちょしたということ、これがやはり一番大きい点であろうと思いますが、そのほかに、土地の信託という制度がわが国になじみが薄いということもその理由であったと思います。こういったような理由を受けて、逆に農民のそういった声もあってでしょうが、農協もあまり積極的な姿勢を示さなかったというようなことも原因であろうと思います。 いずれにいたしましても、基本的には所有権移転の形式をとるということが最大の原因であったろうというふうに考えるわけでございます。
○竹内(猛)委員 そこで、この農用地利用増進事業を定めるに当たっては、農地法第三条にあるところのすべての権利者、すなわち所有権、地上権、永小作権、質権、賃貸権、使用貸借権というもののすべての権利者の同意を得ることになっているということは、この法文上から言ってこれはきわめて民主的なものだと私は思いますが、もしも正当な理由なくして反対者が出た場合——たとえば一定の面積がなければこれはできないと思いますが、そのときに五人の者がいて、そこで一人が反対した場合はどうなりますか。また、三人が反対をした場合は二人が賛成ですね。こういうような場合においての取り扱いはどうされるか。
○大山政府委員 いま、五人なり三人というお話しがございましたけれども、実は、地方、地方によって事情は異なると思います。ただ、先ほども申し上げましたように、ある程度の経営規模の拡大ができるような、ある程度の広がりということは必要であろうというふうに考えているわけでございます。たとえば大字であるとか、こういったようなことも一つの参考になるのではないだろうかというふうに考えているわけでございます。 そこで、先生がいま申されましたように、全員の同意ということが必要になっておりますので、反対する者があればもちろん強制するわけにはまいりません。また、強制すべきでもないというふうに考えますので、反対者の農地は除外して増進計画を立てるということにならざるを得ないわけでございます。 しかしながら、この制度が、いわば一方では規模拡大志向型で、一方では規模縮小の志向型になるといいますか、そういうふうな分化をしているようなところにおいて、そしてまた先ほど言いましたような、事実上何らかの動きのあるようなところにおいて、いわば条件の成就したようなところにおいて初めて行うわけでございますので、やはり、地域農業者が自主的に話し合って、自分たちの農用地をどう有効に利用したらいいかという、事業の趣旨をまずよく普及させる中において皆さんの間で合意に達するようにできるだけしてまいりたい、そうしてできるだけ大きな広がりの面積にまとめてもらいたいというふうに考えるわけでございます。 くどいようでございますけれども、画一的に一定の基準というものをつくるわけではございませんので、反対者があれば、それは押しつけるというようなことはやるべきでないのだ、先ほど五人のうち三人というお話しがございましたが、そういうところにまで無理してやるべきことではないのだというふうに考えるわけでございます。規模拡大あるいは農地の有効利用ということができるだけできるような単位であることが望ましいし、それもできるだけ連檐したような地域であることを希望したいということでございます。
○竹内(猛)委員 それでは、次に、特定利用権の設定について、十五条の七に、市町村または農協は、農用地区域内における当該地区に特定利用権の設定をきめるとき、一定の手続で公告をし、なお、都道府県知事に一定の期間を経て裁定を申請をし、知事は二週間以内のうちに所有権者の意見を聞いた上で裁定をする、ということになっているが、この特別利用権の設定の場合においても、前と同じように、市町村農業委員会並びに都道府県知事の意見を聞くことを義務づけるべきだと私は思うのだけれども、これについても前と同じような答弁しかおそらくできないのだろうと思うが、変わった答弁ができるかどうか、それはどうですか。
○大山政府委員 特定利用権の設定に当たりまして、知事の特定利用権設定の協議のための承認をする場合におきましては、これは省令によって農業委員会の意見を聞くというふうにいたしたいというふうに考えているわけでございます。農業会議につきましては、これは意見を聞くように指導してまいりたいというふうに考えるわけでございます。
○竹内(猛)委員 意見を聞くのじゃなくて、意見を聞かなくてもいいということになるのだから——聞くこともあるけれども、聞かなくたっていいということだから、やはり、聞くことを義務とするというふうに明確にしなければいけないということを意見として残しながら、次に行きます。 続いて、特定利用権が解除される場合は、どういう場合に特定利用権は解除されるか。
○大山政府委員 特定利用権の解除でございますけれども、特定利用権というのは、御存じのように、耕作をしておらない、そうして今後も耕作する見込みがないというような場合において、そうした事態というものが周辺にも非常に迷惑を与えるし、あるいは病害虫の巣窟ともなるというような場合におきまして特定利用権というものの設定をさせよう、こういうことでございます。そして、それは、市町村なり農協が地域農業者の経営の安定のために必要な共同事業ということに限って認めようということでございます。 ところで、これは、そういう財産権に対する、いわば一つの侵害といいますか、財産権を制約するというための公共的な立場から、必要な限度において設けるということでございます。そこで、そういうことでかりに設けられました特定利用権というものが、その設定されました趣旨に反するような利用のされ方をするとか、あるいは何ら利用されないということになるならば、これは当然のこととして、特定利用権の設定をさせられた者に対しまして解除権を与えるべきものであろうというふうに考えてこの規定を入れたわけでございます。 正当な理由なくして一年以上その目的に供しないときというようなことでございますけれども、これは天災地変等の不可抗力によるものではなくて、何ら利用の目的に供していないというような場合あるいは先ほど言いましたように、設定の趣旨に従ったような利用のされ方をしていけないというような場合に、先ほど申しました財産権に対する制約というものとの関係において、相手方に解約の権利、解除権を与えたわけでございます。
○竹内(猛)委員 そこで、いま財産権の制約の問題が出ましたが、憲法第二十九条との関連についてお伺いをしますが、特定利用権の設定は、市町村または農協が申請をして、知事が公告をし、一定の手続を経て裁定をする。そして、それは、所有権者の意思に反する場合もあると思います。さらに、利用者の立場から他の土地をもってかえることが困難だと認められたとき、特定利用権が設定され、また、継続される。このことは所有権を規定した憲法第二十九条の規定に反しないといま言ったけれども、所有権を規定した憲法に反しないという理由をもう少し明確に述べてもらいたいし、この法案を提案するに至る間にこの問題については議論があったはずでありますが、その議論はどのように行われたのか。こういう点を明らかにしておかないと将来に幾つかの禍根を残すおそれがあるので、その点を明確に答弁してもらいたい。
○安倍国務大臣 憲法と特定利用権との関係、財産権の問題はきわめて重要でございますので、私たちとしても慎重にこの問題につきましては検討を加えまして、その結果、憲法上の規定に触れるものではないという確信のもとにこの法律を提案いたしたわけでございます。 すなわち、特定利用権の設定に関する制度につきまして、知事の裁定という行政処分によって、耕作放棄等が行われている農用地について強制的に賃借権を設定することとして、財産権に関する憲法の規定等に関連が出てくるのではないかということでございますが、憲法の保障する財産権は、これは絶対不可侵のものではなくて、公共の福祉によって制限をされるということは御承知のとおりでございます。 いま御指摘がございましたように、憲法第二十九条第三項は、公共のためになるならば、正当な補償のもとで特定の私有財産を用いることができるとされておるわけでございまして、この公共のためというのは、単なる個別的な利益を超えた社会公共の利益であり、私有財産を公共のために用いた結果特定人だけが受益者になるということがあっても——今回の場合はそういうことですが、全体の目的が公共のためであればよいというふうに解されておるわけでございます。 特定利用権の裁定は、市町村が法に定める公告、縦覧の手続を経て決められた農用地利用計画において、農用地等として利用すべきものとして決められた農用地区域内の土地であります。また、現況は農用地でありながら、現在も耕作の目的等に供されておらず、また、引き続いて耕作等がなされる見込みがなく、これによって農業上の利用が困難となると認められるものについて、市町村または農協という地域団体が、地域農家の経営改善のために共同利用に供するために賃借権を設定するもので、これはまさに公共のために用いる場合に該当をすると考えております。 また、正当な補償につきましては、その当時の経済状態において成立すると考えられる価格に基づき合理的に算出された相当な価格をいうというものが最高裁の判例でございます。 そういうことから見まして、特定利用権の裁定の際の使用価格としては、当該用地が相当長期にわたって農業上の利用を確保していくべき農用地区域内に含まれているから、この地域における農用地についての耕作等の目的の賃貸借関係において通常成立する借賃の額を基礎として算出される額を考えておるわけでございますが、これは前述の正当な補償というものに当たるというわけでございまして、そういう点から見まして、はっきりと憲法上については問題はない、こういうふうに理解をいたしておるわけであります。
○竹内(猛)委員 いま御説明をいただきましたが、なおこれについては検討の余地ありということで、時間の関係で私はこの議論には余り入りませんが、ついでに局長の答弁も聞いておいてから、なおわれわれの方で議論しますから、局長の答弁をひとつお願いしたい。
○大山政府委員 先ほど大臣が申し上げましたようなことで、二十九条との関係に結論を出したわけでございますが、先ほどの先生の御質問の中にございましたところの、どういうことが検討されたかという問題につきましてお答えいたしたいと思います。 要するに、私有財産権との関係ということでございますが、そこで、まず、特定利用権の取得主体というものは何らかの公的主体であることが必要であるということが第一点でございます。それから、第二点は、利用目的が公共性の強いものでなければならないということが第二点でございます。それから、第三点といたしましては、裁定によりまして特定利用権が設定されるに至るまでの手続なり要件というものが、所有者等の財産権保護という観点から見て適正なものでなければならぬということが第三点でございます。それから、第四点といたしましては、裁定によってできます特定利用権というものの存続期間なり、あるいは利用方法ということにつきましては、所有者等の有しております権利に対する制約というものを必要最小限度にとどめるようでなければならない。この四つの点でございます。 そこで、取得主体を、公的な主体ということで市町村または農協というふうに限定したわけでございます。それから、利用目的につきましては、地域農業者のための共同利用というふうにしたわけでございます。それから、手続要件ということにつきましては、財産保護との関係で、協議によって設定しようとする際に知事の承認が要る、また、その承認の要件を決める、あるいは裁定の申請をさせる、そして裁定の際の意見書を提出させる、そしてまた裁定の要件等を定める、というふうにいたしたわけでございます。それから、必要最小限度にとどめるという観点からいたしまして、存続期間は五年以内、そして利用の方法はその農用地の性格によって決まる用法で行うこと、と、こういうふうなことでこの規定を設けた次第でございます。
○竹内(猛)委員 いまの大臣と局長の答弁に基づいて、なおわれわれの委員の方では後日これは議論をしたいと思います。 そこで、五年の期間というのが最も長い利用期間になっております。五年たてばまた新しく申請をし、やり直しをしなければならぬ。したがって、作目、何をつくるかという問題におのずから制限があります。永年作物、これは特定利用権の場合には適当ではない。したがって単年でなければならないという形になるわけでありまして、そういう点においてさらに継続される場合があり得るかどうか。あるとしたら、先ほど言ったように、五年たってもなおその所有者がその土地を利用しないということが明らかになった場合だろうと思うのですね。そのときに、その所有者が複数であった場合に、前には全部協力したけれども、今度はそのうちのある者が自分で耕作したいと言い出したときには当然これは変わるわけですけれども、その辺のことですね。要するに、更新する場合の状況と、それから作目と、したがって単年的なものにしかならないじゃないかということで、これが利用者の側から言えば、農政上に情熱がなかなかわかないという形になるし、また、後の質問とも関連をして、この土地に対する投資とかあるいは地力の増強とかということに対してかなり影響をすると思うが、この点はどうだろうか。
○大山政府委員 特定利用権というものが、いわば一種の財産権に対する一つの制約をかけるわけでございます。そこで、どうしても耕さない、そして今後も引き続いて耕す見込みがないという場合に限ってこの利用権を設定するわけでございます。したがいまして、これはいわば伝家の宝刀ということになるわけで、こういうふうなことにまで至るんだぞという含みのもとで、耕していない人とこれを利用したい人という者の間で協議がまとまって利用されるという限りにおいては、これは民法の二十年以内であれば利用権の設定は十分できるわけでございます。ただ、相手は今後もどうしても耕す見込みはないけれども、入に貸すのはいやだという場合に、この特定利用権というものが、そのことによる弊害ということから、いわば公共的な、強制的なこういう権利を設定させようということであるわけでございます。したがいまして、この期間が満了するというときに、また所有者等との合意によりまして利用権を存続するということは可能でございます。 ただ、先生の御指摘のように、更新できないかというふうなお話しでございますならば、やはり、特定利用権というものが引き続いて耕作の見込みのない場合というふうに限ってなされるわけでございます。引き続いて耕作の見込みがないと認められるというのは、これは五年間というのが限界であろうということであり、先ほど申し上げましたような憲法二十九条との関係から可能な限りにおいて認めた制度でございますので、いわば、その耕作の見込みがないということについての将来にわたる可能性ということとの関係から、裁定という問題としては五年が限界であるというふうに考えているわけでございます。 もちろんこれは伝家の宝刀でございますので、これを背景として当事者間において協議がなされ、そして利用権が設定されるということについては、期間の制限というものは何らないわけでございます。
○竹内(猛)委員 この点についてもまた仲間の委員の方からさらに意見が出されると思います。 そこで、次には、有益費の問題についてお伺いしますけれども、利用増進事業にしても、あるいはまた特定利用権の問題にいたしましても、短くて一年または二、三年、長くても五年という賃貸借期間であります。その間に利用権が設定されるという形になる。そこで、農地でありますから当然土地改良もやりますし、あるいは堆肥も入れるし、いろいろな形の負担がかかってまいります。土地改良法の第三条の資格を持っている者がある。それで、しかし、利用する場合には必ずしもそれではない。そこで、この土地改良法の第三条あるいは五十九条の有益費の規定は、民法の第一九六条二項との関連で、増価額に対して、その負担というものは一体だれが持つのか。所有者が持つのか、あるいは利用者が、いわゆる利用者権が持つのか、それともそれはお互いに折半にするのか、こういう点についてどのように説明をされるか。土地改良の金の償還というのは大体十五年から十八年という形になりますから、その利用権の場合に、短い場合には一、二年、長くても五年ということになると、この間におけるところの負担というものをだれが持つかということを明らかにしない限り、これは議論のあるところでありますから、その点を明らかにしてもらいたい。
○大山政府委員 利用権の設定を受けた者が投下いたしました改良費といいますか、これは土地改良事業につきましては、先生御指摘のように増価額に限定されるわけでございます。しかし、また、堆肥等、こういうものの投資をした場合におきましては、これまた民法の規定によりまして、いわば所有者の選択によって、投下費用または増価額のいずれかということになっているわけでございます。 そこで、先生の御指摘は土地改良事業に関する問題として御指摘になりましたので、その限りで申し上げますならば、土地改良法の三条資格者という問題につきまして、小作地なり採草放牧地というものについては、原則的には使用収益権者というふうに土地改良法上の三条資格者はなっておるわけであります。農業委員会の承認を得た場合は土地所有者を三条資格者にできる、こういうことであるわけでございます。 ところで、今度やろうといたします農用地利用増進事業による利用権というものは、存続期間は法形式論理としてはきわめて短期であるということになるわけでございまして、そこで、その意味で、法形式論で言うならば、耕作権保護というようなこともあって、賃借権の規模拡大が進んでいないという現状に対するものとして考えられた利用増進事業の趣旨からいたしまして、また、参加者が往々にして交代するということも手続上きわめて煩瑣であるというようなことがあり得るわけでございます。ただ、土地改良事業の中身が維持管理的なものである場合もありますし、そして短期の利用権でございますけれども、継続して事実上長期にわたるというようなこともありますので、そういう場合においては三条資格者を利用者とした方がいい場合があるだろうというふうに考えるわけでございます。 したがって、この農用地利用増進事業は、これの進んでいく過程におきまして、また、地方の事情によりまして、所有者と利用者のいずれを参加者にすべきかという問題については、その地方地方によって決めればいいことではないだろうかというふうに考えているわけでございます。逆に言うならば、地域の実情によって、所有者である場合あるいは使用者であるというふうな両方の場合の調整を行い、そしてそれを利用増進規程なり利用増進計画にはっきりさせるというふうにいたさねばならぬだろうというふうに思います。ただ、一般論というものをいまの段階で申し上げますならば、土地所有者がその参加者になった方が実際的ではないだろうかというふうに考えるわけでございますが、その場合に、土地所有者が事業参加者として事業に参加したという経費は、これはいわば小作料の増額という問題となって返ってくるだろうと思います。 ところで、今度利用権者が三条資格者ということになりました場合には、先ほど先生御指摘物ように、土地改良法五十九条に基づきまして増加額という問題が出てまいるわけでございます。この増加額があるかどうか、あるいは評価をどうするかという問題がそこで出てまいるわけでございますが、その点につきましては、たとえば市町村であるとか農業委員会がこれを認知するといいますか、認定するというようなことについて、両当事者間の同意を得ておくというようなことを増進計画の中で定めるようなことによって適正な処理が進めるようにしたらどうであろうかというふうに考えているわけでございます。
○竹内(猛)委員 これは実際は大変むずかしい問題だと思うんですね。いまの説明はかなり便宜主義的な説明をされたわけだけれども、これは大変むずかしい話ですから、時間の関係からわれわれの同僚の委員の方にバトンを渡しますが、次の機会にはもうちょっとわかりやすい説明をしてほしいと思うんです。民法百九十六条の二項の問題もあり、同時に、土地改良法五十九条の関係といまの問題との関係は非常にややこしい問題ですから、次の段階にはもうちょっと整理をした御答弁をいただきたいということを要望して、次に進みます。 このときでも、いまの場合でも、やはり農業委員会が介入をしなければどうにもならないという点もあるわけですから、そのときになお農業委員会の位置づけというものをもうちょっと明確にしなければ、私が言ったようにこれを単に必要に応じて聞くのではなくて、意見を聞くように義務づけるというふうにしなければ、ここら辺の問題は解消しないんじゃないですか。 そこで、この賃貸料の問題に入りますけれども、いまの局長の答弁の中でも、その問題は賃貸料にも関係すると言うが、賃貸料は何を基準に決めるのか、法定小作料なのか、標準小作料なのか。また、別に今度農地相続税の場合には等価というものが問題になるようでありますけれども、一つの土地には幾つかの決め方があるようですが、一体何をもって賃貸料とされるのか。
○大山政府委員 農用地利用増進事業の実施に伴いまして設定される賃借権の賃料の問題でございますけれども、われわれといたしましては、これは標準小作料を基準として定めるのが最も適当であろうというふうに考えている次第でございます。ただ、標準小作料が著しく実態と異なっているような場合もあるわけでございますが、そういう地域におきまして利用増進事業を行うということになります場合は、これは標準小作料というものの趣旨に反しない程度において考慮しなければならぬ場合も出てまいろうと思うわけでございます。 それから、標準小作料というものが設定されている場合に、それが主だった作物を中心にして決めている。したがって、そうでない作物についてはその標準小作料によりがたいという場合もあろうと思いますが、その場合においては、標準小作料とともに、今後そういうものについて決めようとしております参考小作料というものを基準としたらいいのではないだろうかというふうに考えております。 なお、この農用地利用増進事業を行います土地が、この前の農地法改正によりまして、統制小作地である場合には統制小作地である小作人が利用権を設定する場合もこれは可能でありますが、その場合におきましては、その統制小作料をもらって、今度利用権を設定しようとする人が中間地主的なものになることは好ましくありませんので、その場合においては統制小作料によって行うということになろうと思います。 しかし、そういうかっこうの統制小作地のままで利用増進事業を行うよりは、やはり、統制小作契約を解約して、地主との間において利用増進事業を行う方が好ましいのではないかというふうに考えるわけでございます。
○竹内(猛)委員 次いで、集中的優遇措置をとる、という表現がございます。中核的または集団的農業経営に対して、国はかなり期待をしている。先ほど、どういう作物をつくるかということについては答弁がなかったけれども、この辺で、それらも含めて、集中的優遇措置とは一体何か、お答えいただきたい。
○大山政府委員 質問の御趣旨が、農振地域といいますか、農振地域のメリットという御質問であるといたしますと、昨年の九月でしたか、今後の基盤整備等の事業あるいは農業の近代化に関する事業、それから農地保有の合理化に関する事業は農用地区域に限って実施する、そして、流通に関することあるいは環境整備に関すること、こういうものについては農用地区域内において実施すること、こういうふうなことにいたしたわけでございます。 〔委員長退席、坂村委員長代理着席〕 それから、農用地開発事業等を行います場合には、事業計画決定までにその対象地が農用地に入っていなければならないということにいたしまして、そしてまた、それより前にすでに着工しておりますような事業におきましては、これが農用地区域に入っていない部分においては行わないというふうにいたしたような次第でございまして、農振計画に基づきまして計画的、集中的にその事業を実施する、こういうことにいたしたわけでございます。 なお、農用地区域内にある土地につきましては、税法上の優遇措置も講じているような次第でございます。
○竹内(猛)委員 こういう場合には一体どのような処置をとられるか。国は米の生産調整をやり、休耕地をたくさんつくりました。現在、二十七万ヘクタールのうち四分の一ぐらいは休耕して、草が生えている土地だということを言われております。農林省の統計でもそういうことが出ていると思いますが、この休耕奨励金をもらったのは地主です。土地を持っている者がもらった。しかし、これをいよいよ特定利用権を設定するなり利用増進事業でやるなりした場合には、その土地がまさに対象になる。そのときにこれを利用できるようにするためには相当な費用がかかります。これは集中的優遇措置として農林省は出すか出さないか、この点を明確にひとつ御答弁をいただきたい。
○松元政府委員 ただいまの御質問は、一般的問題と具体問題とあろうかと思いますが、まず、一般的に休耕田がその後不作付地で残っているというものに対する対策でございますが、これは御指摘のとおり、休耕田のうち過半は稲作あるいは転作に復帰いたしましたが、かなりの部分は残っております。したがいまして、これにつきましては、まず、どういう地域、どういう経営状態のところで不作付地として残っているかということ、これは一般的には谷地田だとか都市近郊の転用待ちが多いわけでございますが、そういう条件を実態的に調べる必要があるわけでございます。したがいまして、五十年におきましては、まずこういった不作付のままになっているところの実態を十分調査いたしまして、その調査結果に基づいて必要な対策を今後検討するという体制にいたしているわけでございます。
○竹内(猛)委員 調査して後がうやむやじゃぐあいが悪いじゃないですか。農振法の改正をして大いに自給に役立たせようというのに、後の方が悪い。その金をだれが持つのか。地主がもらったのですよ。耕作しない地主がもらった。そこで耕作の意思がない。そこのところが、今度はこめ法律の目的に沿って利用しようとするときに新たな事態が生じている。これは賃貸借になるのでしょう。そうすると、この費用は、三万円も五万円もかけて一反歩起こしておって、いまのような価格の決まらない農産物をつくっておったら、それはやる者はいないです。これは国の方針として生産調整を——休耕田をつくったのは国の方針じゃないかもしれないが、そういうこともさせたわけですからね。だから、この辺をどのようにされるかということが大事なところですね。その大事なところにしっかりした答弁をしてもらわないと、審議が前の方に進まないです。
○大山政府委員 休耕地を対象といたします農用地利用増進事業の場合に、休耕地の復元ということではございませんが、いわゆる農用地利用増進事業のモデルとなる地域に対しまして、農用地利用増進事業促進対策というものを実施することを予定して今年度の予算要求もいたしておるような次第でございます。その中の事業といたしまして、利用権を設定されました農用地を効率的に利用するための農用整備事業ということによりまして、結果的には復元に要する費用も助成の対象になり得るわけでございます。 ところで、一般論として、休耕されているところについて利用増進事業が行われる場合における、いわば利用増進事業を行う者のその種の復元に要する費用という問題はこういった事業の対象になるにいたしましても、それは借料において考慮される問題でなければならぬというふうに考えるわけでございます。
○竹内(猛)委員 この点は大変大事な問題だが、本年度の予算には恐らくそういう予算はないはずです。だから、これは恐らく来年度から実行するわけでしょう。そうすると、来年度の予算要求には、いま大山局長が言ったようなことも、それから松元局長からもお話しがあったようなことも調査をされて、いまのようにこれに対する優遇措置の重点として——前々に物をつくっていたところが休耕しているわけですから、これはりっぱな土地に違いない。そういうところを真っ先に利用するために、予算を要求するような努力をする意思を農林大臣は示してもらいたい。そうでなければこれはうまくないです。
○松元政府委員 私は先ほど、問題に従って、まず一般問題とお断りして答弁を申し上げたわけでございますが、そういった不作付地、荒地があるということは、食糧の自給度の向上という点から極力有効に活用すべきだと思っておるわけでございます。ただ、その場合に、特に休耕田の跡が不作付地になっているというところは実態がさまざまでございますし、特に、一般的には、谷地田でございますとか、都市近郊でございますとか、経営条件の悪いところが多い実態もございますから、まず十分に実態を把握するということを申し上げたわけでございます。 その実態把握の上に立ちまして、それを有効に活用するにはどういう対策をしたらいいか、復元につきましてどういう支障があるかということを十分とらえまして、五十一年度以降必要な措置は講じなければならぬというように考えておるわけでございます。
○安倍国務大臣 この休耕田の復元につきましては、先ほど局長がお答えをいたしましたように、相当の部分がすでに復元しておりますが、まだかなり残っておるということであります。これの復元につきましては、今後稲作転換事業等の対象にいたしまして、これが復元に努めることは当然でございますが、同時に、この農振法との関係におきましては、利用増進のモデル事業の対象としての復元に対する措置を行う、こういうことでございますが、この問題は、調査の結果を見まして、この休耕田が復元をされて有効に効率的に活用されるように、私たちとしても努力をしなければならぬ問題であると思います。
○竹内(猛)委員 その努力はぜひしてほしいということを要求して、次に移ります。 次は、交換分合と清算金の問題ですが、土地の農業上の利用と他の利用との調整のために行われる農業振興地域内の交換分合について、優良農地の確保保全に十分に留意し、農用地の縮小とならないようにすることは当然だが、その清算についても、地価をどう決めるか。その方法と内容について土地改良法の規定を準用するとは言っているが、その地価はどういうふうに決められるのか、その点を明らかにしてほしい。
○大山政府委員 土地改良法の交換分合の場合でございますと、原則として農地対農地というだけの交換分合であるわけでございますが、今回の交換分合の場合には、農地対非農地あるいは清算金のみというのもあるわけでございます。そこで、交換分合を行うに当たりましての対象地の評価という問題につきましは、地目ごとに標準的な土地の価格を基準といたしまして、その対象地の地積でありますとか、土性でありますとか、水利でありますとか傾斜とか、こういった自然的条件なり利用条件というものを総合的に勘案し、比較して、公正な評価を行うようにいたしたいというふうに考えるわけでございますが、宅地等を除きましては、標準的な価格というものは、基本的には近傍類似の農地の農地としての取引実例価格を基準にいたしたいというふうに考えるわけでございます。
○竹内(猛)委員 農用地域内の開発規制については、大山局長から、問題点の一つとしてそのお答えがあったわけですが、なおもう一度確認の意味でそれを質問します。 国土というのは限られたものであります。その限られた国土で、食糧の自給度を高め、一億一千万の国民に安定的な食糧の供給をすることは農業関係者の重大な任務であります。こういうことにかんがみて、重要な農用地を確保するということは、何と言っても最大の要件なんです。そこで、農用地区以外の農業振興地域においても、農用地開発に適するところあるいは水源、水系等、農業振興地域内の農業を守るために必要な土地について適切な開発の規制及び保全対策を要求したいわけですが、それに対してもう一度改めてお答えをいただきたいと思います。
○安倍国務大臣 今回の改正案におきましては、振興地域内の農用地区域以外の区域については開発規制の制度を設けてないことは御承知のとおりでございますが、これが農用地区域以外の農業振興地域全体となりますと、地域指定の趣旨が農業振興ということであるものの、実態は農村集落、各種の公共施設等が含まれており、もっぱら農業上の土地利用の確保を図るという考え方はなかなかとりにくく、しかも、農用地区域には含まれなかった地域であるので、何を目的として開発を規制するかという、規制の基準を明らかにし得ないというわけでございます。したがって、農業振興地域内の直接農業の用に供すべき土地は、極力これは農用地区域内に編入をする。きびしい農地転用の制限と改正案による開発規制等によりその保全を図ることとしなければならぬと思うわけでございます。したがって農業振興地域外の農地につきましては、農地転用制度の規制によりましてきびしく規制をしていく、農用地区域内におきましてはこの開発規制によって規制をきびしくしていく、こういう考え方でございます。
○竹内(猛)委員 この場合でも、優良な農地を確保するという場合の転用を許可するのは、いろいろなことをやるのは農業委員会であります。したがって、当初から申し上げているとおりに、二元性の問題と、それから農業委員会の位置づけということは大変大事なことになります。市町村というのは、県もそうですか、最近までは、日本列島改造の影響かどうかわかりませんが、開発というものがともかく地域の発展に役に立つんだということでやたらと開発をやってきた。そしていまあちらこちらが荒れに荒れております。そういうことを市町村なり県はやるわけです。ところが、農業を振興するという場合にはそれははなはだ困る。いい土地を確保し、水資源を確保し、そしてりっぱな労働力を確保しなければ農業は振興しない。これからはどう変わるかわかりませんが、市町村のいままでの考え方である限りにおいては、農業振興とかなり矛盾をする方向にあります。 だから、この際何としても農業委員会というものをしっかりした位置づけにしながら、同時にいま言ったことを進めてほしいということを要望するわけですが、この点についてもう一度お答えを願いたい。
○大山政府委員 乱開発という問題につきましては、われわれといたしましても、現に、農用地開発等の場合におきまして非常に重大な問題というふうに考えているわけでございます。そこで、市町村なりそういった関係団体のあっせんによりましてそういう土地をもとの所有者に返すというようなことをやりますとともに、必要によりましては農地保有合理化法人の買い入れ機能の活用ということも考えてまいって、そうした土地をまた農用地の中に編入するというようなことにいたしたいというふうに思っております。 なお、先ほど大臣も申し上げましたように、農地法の厳正な運用ということがやはりどうしても必要でございますので、その点については今後とも十分に尽くしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。 ところで、この開発行為につきましての農業委員会なり農業会議との関係でございますけれども、法律的には開発行為の許可の権限というものは知事に付与しておりますが、この農用地区域内の土地が長期にわたりまして主として農地等として利用されるところという意味におきまして、開発行為の許可制につきまして、農地行政の関係機関であります農業会議あるいは農業委員会との調整ということは大事であろうというふうに考えているわけでございます。 そこで、開発許可につきましては許可申請書を出してもらうわけでございますが、そのときには市町村長を経由して出せということを省令に定めたい、そうして市町村段階におきまして農業委員会の調整を行うように指導してまいりたいというふうに考えているわけでございます。 それから、都道府県知事が開発許可をする場合におきましては、会議の意見を聞くように指導してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○竹内(猛)委員 大山局長は、農業会議の場面になると声が一段落落ちる。一段落落ちてはやはりぐあいが悪い。そこではぐっと声を上げて、がっちり受け取めてもらわなければならない。そういう意味で、なおこれは後に問題提起を残しながら次に行きます。 大臣が言われたように、食糧を自給するということは、いい農地を確保し、それを保全するということだと思うが、日本の食糧の中で、現在外国から輸入している農畜産物を日本の国土でつくるとするならばどれくらいの農地が必要かということはすでに計算してあるはずですが、これはどれくらいの農地が必要ですか。
○大山政府委員 四十八年において輸入に依存しておりますトウモロコシ、コウリャン等の飼料穀物あるいは粗糖、麦、大豆、こういった基本食糧の輸入量は約二千四百万トンであるわけでございます。これを国内で生産しようとした場合にどれくらいの土地が要るかという問題につきましては、経営条件なり、あるいは気候風土というものが異なりますので非常に困難な問題でございますが、大胆に想定してみますと約八百万ヘクタールと推定されるわけでございます。
○竹内(猛)委員 八百万ヘクタールということになると大変な土地ですね。そこで、いま、案としての長期見通し六十年が出ておりますが、これは現在五百六十九万ヘクタールを、壊廃、造成を差し引いて、十六万ヘクタールをふやして、六十年で五百八十五万ヘクタールということなんですが、これでは農地はなまぬるいじゃないかと思う。せっかくこういうぐあいにやっていくとするならば、もっと積極的な答えが出てもいいはずだ。これはやはりこういうことしか考えられませんか。もうこれでどうにもならないと思われるわけですか。
○大山政府委員 六十年の生産目標に必要な面積という問題につきましては、国内で生産可能なものについては極力国内で生産する、しかしながら、立地条件あるいは経済条件等からして、国内においては生産し得ないというようなものについては海外に依存する、こういうふうな安定的なものにして、そうして輸入の確保を図るということで六十年の生産見通し案をつくっているわけでございます。 そこで、現況農地というものを対象といたしまして、その際に約八十六万ヘクタールの農用地の開発をいたしたいというふうに考えて、その結果といたしまして、六十年の必要面積といたしましては五百八十五万ヘクタールというものを考えているわけでございます。この前提には、やはり、わが国は狭い国土であるということがございまして、したがって、過去の農地の壊廃あるいは経済成長率というものの趨勢値を今後の経済成長率その他で推定しますと、当時の約七十万ヘクタールの農地の壊廃ということが見通されるという上におきまして、八十六万ヘクタールの農用地の確保といいますか、開発をいたしたいというふうに考えているわけでございます。もちろん、農地の壊廃七十万というものも先ほど申し上げましたような趨勢値で言うならば見通されるということでありまして、農地法の厳正な運用の中で、農地から脱落していくといいますか、農地でなくなる土地について、農地としての利用ということでの各般の施策と相まって、実質的に農地の減少というものは極力阻止するつもりでございますけれども、過去の傾向値等から見るならば、約七十万ヘクタールの趨勢値として見通されるということを踏まえまして、八十六万の農用地の開発と、そしてその結果として五百八十五万の農用地をもちまして、先般来申し上げました生産の見通しというものを達成しようというのが現在の考え方でございます。
○竹内(猛)委員 それは質的には多少変わった土地になるかもしれないが、これは大変消極的だから、なおもっとも一つとこれに努力をすることを強く要求をするし、なおこれは議論がありますから、先に移ります。 現在農地法によって転用は許可をされていないが、いろいろな形で土地屋が買い占めをしたり何かしたりして、仮登記をしている土地がある。これはかなりの面積があるということを私は承知しているが、その面積と、これは将来どうされるかということですね。許可をするのか、しないのか、これはどうですか。
○大山政府委員 農外者によります土地取得というものが相当進んでいるわけでございますが、達観いたしまして、その中で占めております農用地の割合というものは比較的少ないというふうに見ているわけでございますけれども、こういう農用地の投機的な、あるいは農外者による無秩序な取得ということが農業の振興の上におきましてきわめて悪い影響を及ぼすことは申すまでもないわけでございます。 そこで、御存じのように、四十八年以後、農林関係の各末端の御協力を得まして、農林地移動情報の収集ということを行っているわけでございますが、これはとにもかくにも農外者が、いわゆる農用地等について何かの動きがあれば、それを察知し次第、早期につかんで連絡してもらうということでございます。その中身は、こういうところに何か不動産屋がうろちょろしているというようなものもあれば、あるいは買い占めの交渉をしているというようなものもある、と、こういうような内容でございますので、それらの報告で買い占めの面積というものを把握するわけにはまいらないわけでございます。ただ、農業会議等におきまして、また、いろいろと農業と土地を守る運動の一環として、一部の県においてはそういうことについての調査をしておられるということも聞いているような次第でございます。相当の面積が買い占められておるという事実があり、そして、買い占められた土地は農地法との関係がありまして仮登記というかっこうになっているものが多いと思っております。 ただ、農地法との関係で申し上げますならば、そういう土地についての四条なり五条なりの申請が出てまいりました場合には、それが仮登記されているかどうかということに無関係に厳正な判断をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。 今後、仮登記されている土地が、仮登記というかっこうの、何というか、予約完結権譲渡というような形でそれが動くというようなことになりますと、国土利用計画法によりまして規制の対象あるいは届け出の対象になってくるということになってまいりましたので、今後は、われわれの方といたしましては、国土利用計画法を所管しております方面と十分連絡をとってそれのチェックもしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。 ただ、農地法のたてまえが、権利の設定、移転の段階でチェックするという基本的なたてまえをとっておりますので、農地法の中におきまして仮登記というような契約ベースのチェックということはいたしかねるわけでございます。 しかし、いずれにいたしましても、仮登記があるかどうかということに無関係に農地法は厳正な運用をしたいし、するつもりでございますし、今後は国土利用計画法によるチェックもまた可能になってきたというふうなことで、十分にこれらの問題に対処いたしまして、優良農用地の確保に努めてまいりたいと思っておるわけでございます。
○竹内(猛)委員 いま、面積を求めたけれども、情報はとっていると言うけれども、面積は出てこなかった。私たちはそういう対象になる土地炉大体四十万ヘクタールほどあると聞いているのです。それは農地だけじゃありません。そういう点についてはどうかということと、それからゴルフ場ですね。ゴルフ場は、一昨年、すでに開設をしているものと申請をしたもので二十九万ヘクタールほどある。こういうことを別な委員会でも議論をしておりますが、こういう問題についてさらに農林省から出した資料によれば、四十二年から四十七年までに約三十一万三千四百一ヘクタールぐらいのものが転用されている。こういうものは一体どういうところに転用されているのか。農地が大変むだな方向に動いているのではないかという感じがするのですが、この辺はどのようにお答えをいただけるか。
○大山政府委員 四十三年以降四十八年までの農地法に基づきます転用の許可あるいは届け出を受理いたしましたのは二十七万ヘクタールでございます。 用途別に見ますと、住宅敷地が約十一万ヘクタール、工業用地が約四万ヘクタール、学校敷地が三千ヘクタール、公園、運動場用地が二千ヘクタール、導水路、鉄道敷地が三千ヘクタール、その他のレジャー施設等の建物施設用地が五万四千ヘクタール、それから植林その他に六万ヘクタール、こういうことになっている次第でございます。 ゴルフ場の問題が出てまいりましたけれども、御存じのように、農林省といたしましては、ゴルフ場のための転用に農地がからんでおります場合においては、その農地の転用という関係においてゴルフ場のチェックなりができるわけでございますが、農地等のからまぬゴルフ場というものもございますので、ゴルフ場の関係は全体的には把握し得ないわけでございます。 ただ、ゴルフ場というものを目的といたしました転用申請のあった件数ということになりますと、それの関係面積としては、四十六、七、八と三年間で約二万八千ヘクタールということでございますが、その中の農地、採草地は二千五百ヘクタールということで、大体八%程度ということに相なっているわけでございます。 いずれにいたしましても、ゴルフ場の建設に伴います農地転用というものに対しましては、地元におきまして完全に調整されていることはもとよりでございますけれども、できるだけ農用地を避ける、あるいは周辺に対します悪影響の防止には十分注意をする、こういったようなかっこうで対処しているような次第でございます。 農林地移動情勢報告の数字でございますけれども、これは先ほど申し上げましたようなことで、不動産屋がうろちょろしていた面積、あるいは何となく町に入ってきたというようなものも入っておりますので、それを足してみても、これが買い占めに関連ある面積と必ずしも言えないということでございます。したがいまして、それらを足した数字をこういう公式の席で申し上げても余り確実な数字とも患えませんので、その点は御勘弁願いたいと思うわけでございます。
○竹内(猛)委員 農林大臣に私は一つお願いをしますが、ゴルフ場をつくることに対して、私は何も基本的に反対をしているわけじゃない。これはわれわれの仲間もやっていますし、一定のものはあってもいいのじゃないかと思います。だが、余りにも日本ではゴルフ場ができ過ぎていやしないか。しかも、そのゴルフ場には忌まわしい話がつきまとっておりますね。休暇をとったような形でゴルフ場へ行っている高級役人がおりますし、あるいはまた、ゴルフ場の許可のために村長が汚職をしてやめなければならなかったような事例もある。数えればもう切りがないほどだ。ゴルフ場は一面においては確かに健康のためにいいとはいいながら、精神状態ははなはだどうも悪いものがある。そこで、前々からこの委員会でゴルフ場の面積がどうなっているのかということをいつも私は尋ねたのだが、だれもわからない。日本の国土が重要な食糧をつくらなければならないというときにりっぱな土地がこれほどどんどん壊されていくということについて、責任を持ってこれを調査し、それをまとめて報告ができる役所がない。許可をするのは、農地の場合には農林省であるとか、山の場合には今度は環境庁であるとか、あるいは、できたものの入場料は通産省であるとか、そういうことでは何ともやりきれないですね。だから、この際閣議で発言をしてもらって、どこかでゴルフに対する統一的な調査をして、報告ぐらいしてもらわないとわれわれは困るんだな。そういう点についてはどうですか。ひとつ何とか取り扱いをしてもらえませんか。
○安倍国務大臣 ゴルフ場につきましては、高度経済成長時代におきまして大変にゴルフ場の増設が行われまして、現在オープンしているゴルフ場が七百十八あるというふうに聞いておりますが、しかし、準備をしておるゴルフ場はまだ他にたくさんあるんじゃないかと思うわけであります。しかし、経済が高度成長から安定成長に移ったということで、ゴルフ場の増設等につきましても困難が出てまいりまして、いろいろと問題が起こっておることも事実でございます。そういうゴルフ場のあり方につきましては、農地等がゴルフ場建設の中において占めておる面というものについては、農林省としても、農地の確保という立場に立って、農地法の適正な運用を行って、規制すべきところは規制をしてきておるわけでございます。しかし、今後ともゴルフ場等がどんどん乱開発をされまして、わが国の優良な農地等が壊廃をされるということにつきましては、農林省としても、農地法の厳しい適用によりまして、こういうことの起こらないように措置していかなければならぬわけであります。 ゴルフ場をどこが所管をするかといった問題につきましては、いまお話しのように、はっきりした主管庁というものがないと言えばないということになってきておるんじゃないかと思いますが、しかし、これだけ大きな国民的な分野を占めておるわけでございますから、その管轄、規制等につきましては統一した行政も必要であろうかとも思うわけでございまして、こういう点につきましては慎重に研究をいたしまして、農地もからんでおるわけでございますから、私としても、各省庁ともよく連絡もとってみたいと思うわけであります。
○竹内(猛)委員 ぜひそのことをお願いして、だんだん時間が来ましたから、最後に税制の問題に移ります。 せっかく農振法を改正していよいよ農業を一生懸命やろうと思っても、現在の農地相続税はそれを許さないような方向に今日までありました。私たちは、これは主として大蔵委員会を通じ、現在の農地相続税については収益還元方式でいくようにということを要求してきた。時価評価というものをやめて収益の還元でいってほしいということを要求してきた。その結果、新しく法案が出されるようでありますけれども、この農地相続に対してどのように評価をし、どう取り扱われるかということについて、関係者から答えをいただきたい。
○西野説明員 土地の評価方法につきましては、御指摘のございましたように、収益還元価格方式を採用すべきではないかという考え方もございます。そこで、相続税では一体どういうような評価方法をとったらよいのかという問題でございますが、相続税を課税いたします相続財産と申しますと、多種多様でございます。その財産の総体の価格が課税対象でございます。そこで、すべての財産につきまして客観的で一般的な評価をするということになりますと、やはり、それを売った場合の価格ということにならざるを得ないのでございまして、相続税につきましては、創設以来処分価格を相続財産の評価の基本としてやってまいったところでございます。 ただ農地につきましては、評価のベースとなります近傍農地の売買価格が、将来宅地として売却すれば非常に高く売れるのだという期待益を反映いたしまして、本来農業の継続を前提といたしますと成立しないような高い水準になっておりますところでございますので、今回の税制改正案におきましては、農業を恒久的に継続することを条件にいたしまして、いわゆる農業投資価格で評価いたしまして、これを超える部分につきまして納税猶予制度を設けるということにいたしておるところでございます。
○竹内(猛)委員 この投資価格という新しい農地に対する価格がまた生まれるわけですが、私たちは、あくまでも収益還元というものが相続税の基準でなければならないということを主張してまいりました。それでも大蔵省のいまの答えは前よりは一歩、二歩前進をしておると思いますが、私は、十分ではないということを申し上げておきます。 そこで、一つ例を挙げますが、今日の農地相続税によって農業が著しく破壊をされようとしているきわめて具体的な例があるから、この評価の問題について、これは国税庁の方から答弁をいただきたいと思うが、これは、埼玉県大宮市の高木というところの専業農家、福田泰明という四十二歳の人の例であります。これは過般の日本農業新聞でも報道されておりましたが、福田さんの父親は昨年の二月六日に亡くなられました。そして相続したのは水田が八十九アール、畑が百六十一アール、山林が百二十五アール、宅地が十八アールであります。そして、この評価は、固定資産税の田の場合には、八十五倍の七掛けの二千五百四万円、畑が百三十五倍の七掛けで五千二百八十三万円、山林が百五十倍の七掛けで五千七百五十四万円、宅地が一千百九十五万円、合計一億四千七百四十万円であります。その他、家屋、貯金を合わせて相続税の対象の総評価額は一億五千百二十万円となった。それで、この評価額をもとにした相続税の納税予定額は三千八百五十八万四百円となりました。申告は八月四日に大宮税務署で行ったが、福田さんは、その際十年延納の手続をとりました。 この福田さんは、専業農家であること、農振法の農用地指定を受け、農地法の四条、五条の規制によって農地は売買できないこと、農地として必ずしもよい条件にはないんだということ、というような理由で更正決定の場合に三〇%まけてもらいたいという要求をしたけれども、大宮の税務署は、近傍類地の売買実例から見てこれは不当な評価ではないということで、十一月三十日にこの申請を却下いたしました。これに対して福田さんは、このまま税額が決まれば、十年延納にしても、十年間毎年五百万円以上もの相続税を払わなければならないことになり、これではもう農業の継続ができません、税金を払うために農地も売れないという形になる、一体これはどうしたらいいのかと言っています。こういう問題が起きております。 私は土浦に住んでおりますけれども、土浦においても同じような例があります。これはある農協の組合長ですけれども、この人もやはり宅地、畑、山林を所有していて、これが大変な査定を受けました。一億五百九十万三千五百四十九円という形で、この相続税が三千三百五十万円という税金をかけられた。そこで、この人もやはり十年の延納を要求し、認められたが、そうしますと、この土浦の農協の組合長さんは、十年の間毎日毎日一万円の相続税を払わなければならない。雨が降っても風が吹いても、毎日毎日一万円の相続税を十年間払わなければならない。そういうことはできないでしょう。 こういうような相続税の厳しい査定というものについて、国税庁はどうされるか。この点についてのお答えをいただきたい。
○伊勢田説明員 お答えいたします。 まず、農地の評価の問題でございますが、農地には御承知のように農地法の制約がございますので、純農地でございますと三八・五%という評価水準で評価をしておるわけでございます。いま先生からお話しがございました件につきましては、一平米当たり約二千七百円程度で評価しておるようでございます。 相続税の評価の問題につきましては、先ほど第三課長の方から話をいたしましたように、処分価格ということでずっと通しておりますので、近傍の売買実例から仲値というものを出しまして、農地でございますとそれの三八・五%という水準で評価しておる次第でございます。
○竹内(猛)委員 この税金は一体どうして払いますか。農林大臣、この税金を払うのをどうしますか。せっかく法を改正してみても、毎日毎日一万円ずつ相続税を払うのですよ。その他にもまだいろいろな税金がありますよ。これはどうしたらいいのですか。
○安倍国務大臣 いま竹内さんが御指摘になったような相続税については、問題が今日までたくさん起こってきておる。そこで、相続税を払うためには農地を一部売却をしなければならぬというふうなことになってしまいまして、農家の経営が成り立たない、規模拡大どころではなくて、ますます農家が零細化していく。こういうふうなことにかんがみまして、今回、農家についての相続税の改正を行うこととして、納税猶予制度ということについて軽減を図ったわけでございます。今後につきましては、この相続税の改正が今国会を成立すれば、いま御指摘にあるような問題につきましては、相続税についての大幅な軽減が行われて、一括して農家は農地を相続しつつ農業の経営ができるということになるわけでありまして、そういう意味におきまして、農家についての今回の相続税制度の改正というものにつきましては、非常に大きく今後の農家経営の安定に資するものと私たちは期待をしておるわけでございます。
○竹内(猛)委員 もう時間が来たのでこれ以上この議論はできないし、これは引き続いて次の機会に譲っていきたいと思うのですが、仮に今度の税制が改正をされても、いまの福田さんの問題はそれでは解決できないでしょう。あるいは土浦の農協の組合長の例は解決しないでしょう。やはり、この税金はそのまま払わなくちゃならないということになるわけですから、この現在の物価高の中で、農畜産物の価格がまだ安定をしない状態の中で、毎日毎日払うものだけは決まる。税金は何も相続税だけじゃない。その他のいろいろな税金があるわけですから、これで農家に一生懸命やれと言ったって無理な話だ。こういうことについて、もうこれ以上答弁を求めないわけですが……(「答弁を求めなさいよ」と呼ぶ者あり)国税庁の方、これについて答弁しますか。
○伊勢田説明員 相続税の基本の問題もございますが、農地だけではございませんので、同じような立場から時価をはじき出して相続税の課税関係を起こしておるわけでございまして、相続税というものは一生一代、一回起きるもので、固定資産税と違いまして、富の再配分といったような機能もあることは御承知のとおりでございます。したがいまして、相続した財産の中に、流動資産的な、いわゆる現預金だとかいうものがございますと、それから税金を払うということもできますが、そういったものがない、不動産だけだというような場合には、何がしかの部分を処分しなければ相続税が納まらないという仕組みになっておるわけでございます。 それと、先生方がおっしゃっておられる農業政策との兼ね合いの問題ということであろうと思いますが、そういったことで、今回の相続税法の改正につきましては、農地の相続について特別な方法をとるということになったわけでございます。
○竹内(猛)委員 これはまた大変な答弁だな。これは農業を一方で振興しろと言って、相続税をかければ何がしかの財産を処分しなければだめだなんて、こういうことになるとひどいな。この議論は大事な議論ですね。これは容易じゃないことになりますよ。この点についてはっきりした答弁をもらわないと、ちょっとやめられないですね。
○西野説明員 相続税法の改正の御提案の中に、延納につきまして、土地等の割合が五割以上を占めるような場合につきましては、改正の前におきましては延納期間が十年、利率が六%ということになっておったわけでございますが、今度、その土地等の部分につきましては、その期間を十五年に延ばす、それから利率を五・四%に軽減するという改正案を出してございます。 それで、ただいま先生のおっしゃいましたような、現在延納を申請されている方につきましても五割の期間の延長、それから、利率の軽減といったふうな点につきまして、一月一日以降亡くなられた方ばかりではなくて、現在そういうふうな延納の申請をされている方にも適用される、適用するというような措置を講じております。
○竹内(猛)委員 この問題は大変大事な問題だし、やはり、この問題だけで相当な時間をかけて議論しなければならない問題であります。ですから、いずれ同僚の委員がこの問題についてなお続けて質問していかなければこれはなかなか了解ができないし、農業をよくやっていけない。 そこで、私はこれで終わりますが、最後に、本法案に関して申しますならば、食糧自給を向上させ、優良な農地を確保する目的で、所有権と利用権を分離しながら総合的な利用に向かって前進するという方向については、やはり前向きな点があると思います。それにもかかわらず、農地法との関係あるいは農業委員会との関係や土地改良法、さらに開発規制等については、いまの法案ではまだ不十分だと思う。そういう意味において、今後本委員会を通じてなお審議をしながら、これをよりいいものにしていかなければいけないと思います。 そういう意味で、一層しっかりした答弁を委員会でやってもらって、この法案をよりいいものにしていくように要求しながら、終わります。
○坂村委員長代理 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時四十四分休憩 ————◇————— 午後三時二十一分開議
○澁谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。中川利三郎君。
○中川(利)委員 「農振法改正法案について」という昭和五十年一月の農林省発行の資料を見ますと、そこの二十四ページ、二十五ページに農振地域整備計画策定の結果どのように農用地の面積が変わってきたかということが資料統計で出されているわけでありますが、昭和四十九年十一月三十日現在で全国の関係市町村の農用地面積として出されているものが五百八十二万四千ヘクタールあるわけですね。それが線引きをされまして農業振興地域という中での農用地になりますと、五百三十七万九千ヘクタールになっておるのですね。さらにそれが農用地区域ということになりますと、四百四十一万六千ヘクタールになっているのですね。つまり、関係市町村の農用地面積総体から見ると、総体が五百八十二万ヘクタールですから、だんだん線引きされる過程の中で、最後は四百四十一万六千ヘクタールに削られてしまっているのです。それを数字で言いますと、百四十万ヘクタール線引きの過程で削られてしまった、と、こういう状況が数字であらわれているわけであります。 そこでお聞きしたいわけでありますが、あれこれ削られまして、残った農用地区域は、これはもう最後の最後のぎりぎりのところ、これ以上へずるわけにはいかない、本当にここが農業を守る最後の第一線だという、そういう農地として理解していいかどうかということですね。この四百四十 一万ヘクタールというやつが、ですね。その辺の農林省の御見解を承りたいと思います。
○大山政府委員 農振法に基づきまして農振の地域を指定したわけでございますが、それが三千二十四ということで、四十九年十一月三十日現在で、その約九八%に当たります二千九百七十二が農業振興地域整備計画をつくっているわけであります。農業振興地域整備計画をつくります市町村の中におきましては非常に小団地の農地もございます。それから飛び地もございます。 そこで、そういうようなところにおきまして、原則的に言いますならば二十ヘクタール以上の優良集団農地等を含む、いわば将来とも農用地として確保すべきところということを農振法に基づきます農用地区域というかっこうで区域を決め、そして、その地区についての用途区分をするというのが農振整備計画の中身でございます。したがって、いま先生が言われましたように、関係市町村の農用地が五百八十万で、農振が五百四十万で、農用地が四百四十万とだんだん減ってきたということではなくて、市町村段階におきまして優良農地を守るということにおきまして、集団的優良農地というところを農用地区域に指定するということで出された農用地が四百四十万、こういうことでございます。農用地区域外にも農地があることは当然でございます。
○中川(利)委員 いずれにしても、線引きの過程でこういうふうなものができ上がったことは事実だと思うのですね。そこで、私がお聞きしたのは、最後に残された農用地区域、これはやはり聖域だ、つまり、今後どこまでもこの四百四十一万 ヘクタールは国としても守っていく本当のぎりぎりの農地だという理解でよろしいかどうかということを聞いたわけでありますから、それにお答えいただきたいと思うのです。
○大山政府委員 農用地区域としてここに出てまいりました四百四十万ヘクタール、これはさらに全市町村の指定が終わりますと面積がふえてまいりまして、これより数万ふえるわけでございますが、そういったところが農用地区域の中に入って いる優良農地ということでございます。
○中川(利)委員 そうすると、それ以外の農地に対する国の理解の仕方ですね。農用地区域は大事だからこれは優良農地としてどこまでも守っていく、それ以外の農地に対しては、壊廃はいまずっとやられておるわけでありますが、こういうものがぶん投げられていくという方向、そういう状況でいいのかどうかということ、これに対してもちょっと御意見を伺いたいと思います。
○大山政府委員 農振法の十六条によりまして、国なり地方公共団体というものは、「農用地利用計画を尊重して、農用地区域内にある土地の農業上の利用が確保されるように努めなければならない。」という規定がございます。農地の転用につきましては、御存じのように、一般基準と市街化調整区域の転用基準等があるわけでございまして、農用地区域におきましては、農振法のこの規定に基づきまして転用はできないことになっておるわけでございます。しかし、農振地域の、いわば農用地区域外でございましても、これは農地法の適用を受けまして、いたずらにどれでも壊廃していい、転用していいということではなくて、それにつきましては農地法の厳正な運用をしてまいるということでございます。
○中川(利)委員 農用地区域以外のものでもいろいろな法律の厳正な網があって、なかなかそういうことは勝手にできないんだ、と、こういうことだと承りました。 では、お伺いするわけでありますが、昭和四十四年十月一日の農林事務次官通達というものがあるわけでありますね。この中で、第三というところに、「農業振興地域の指定」ということが書いてありますが、そこの中の「ア」という項目に、「次に掲げる土地は、通常、「農用地等として利用すべき土地」とすること。」という前書きがついて、実際は「集団的農用地」、つまり、「団地規模がおおむね二十ヘクタール以上で、かつ、高性能な機械による営農が可能な土地条件を備えているもの、」これは農用地にしなければならないと書いてあるわけですね。そのほかに、「土地基盤整備事業の対象地」、つまり、「国または地方公共団体の直轄または補助による土地改良事業、開拓事業、草地改良事業、農業構造改善事業等による面的な土地基盤整備事業を完了した地区内の土地」、これも農用区域にしなければならないと書いてある。こういうことがずっと書かれているわけでありますね。 そこで、お聞きしたいのは、この通達の趣旨によりましても、いままでの農用地その他の区域設定がいろいろやられたわけですが、この趣旨に従って、二十ヘクタール以上のまとまりがあるとか、土地基盤整備事業が行われたところだとか、そういうものはほとんどこの農用区域に取り組まれたものだというふうに理解していいかどうかお聞きしたいと思うのです。
○大山政府委員 農振法のたてまえが、市町村が農振計画を立てまして農用地区域を決める。そして、それにつきましては、異議の申し立て、縦覧その他の手続を経た後で知事の認可によって決まるということになっております。市町村なり知事というものの立場は、農振法の趣旨に基づいてこれらの行為をやっているわけでございますので、個々の地区についての問題につきましては、われわれとしては、いま言いました次官通達なりの趣旨は十分に生かされてるものというふうに考えてるわけでございます。
○中川(利)委員 そういう趣旨が十分に生かされているものと考えるということでありますが、同じこの次官通達の中には、農用地として認められない地域を事細かに同じ文面の中に書いてあるわけですね。おもしろいですね。たとえばこの二十二ページの「法第六条第二項第三号について」という中で、「都市計画法第二十三条第一項の規定により農林大臣との協議がととのって定められた市街化区域については農業振興地域の指定をしてはならないが、」となっておる。そこまではいいわけですが、「このほか、次に掲げる区域内の土地は、その農業上の利用の高度化を図ることが相当であるとは認められないこと。」と言っておりまして、その中にあれこれ細々と書いてあるのですね。たとえば都市計画法の用地はだめだとか、あるいは臨港地区はだめだとか、首都圏整備法の首都圏の既成市街地はだめだとか、もうこれ以上細かくできないくらいに、そこを農地にしてはならないということをいろいろと書いていますね。あるいは都市的な既成の市街地はだめだとか、そういうことを言えば数限りがなくここに書いてあるわけでありますね。 そこで、農用地を守る、こういうものをあくまでも育てていかなければならないという趣旨の通達の中に、農用地にしてはいけないんだというものが事細かに記載されてるということは、それ自体が私はよくわからないわけであります。そして、集団的農用地だとか、土地基盤整備の対象地だとか、そういうものは農用地にしなければならないと言いながら、そっちの方は非常に抽象的にしか書いてないが、こうなりますと、一体これはどっちが本音なのか。私が聞きたいのは、どっちが優先するものであろうかということですね。こういうふうな書き方をされますと、かつて田中さんが総理時代に残地農業論というものを言うたわけでありますが、依然として残地農業論の立場に立っているんではなかろうかという疑問も持たざるを得ないわけでありますので、この点をひとつお聞きしたいと思うわけであります。
○大山政府委員 農振法の規定でまいりますと、農振基本方針を定める場合には各種の開発計画との調和を図らねばならぬというふうに義務づけられているわけでございます。 御存じのように、農振制度というものは、農業の振興を図るべき土地、地域というものを明確にいたしまして、計画的に整備振興に関しますいろいろの施策を集中する措置を講じて、そして農業の健全な発達あるいは国土資源の合理的な利用に寄与することを目的としているわけでございます。 ところで、首都圏整備法でありますとか、そういった地域開発計画もあります。あるいは山村振興計画といったような地域計画もあります。あるいは道路、河川といったような施設に関します国の計画もあります。また、都市計画もある。それぞれいろいろの計画があるわけでございますが、それはそれなりに、それ自体国土全体の総合的な利用を図るために決められているわけでございます。したがって、国土の合理的な利用という観点からいたしまして、農業の振興に関します施策を総合的、計画的に推進するに当たりましては、他のそういったいろいろな計画というものと十分にマッチした、そごを来さないようなものでなければならない。こういうことでございますが、もちろんそれはそういう計画がまず優先されてあって、それに従属するかっこうで農振があるということではございません。これらはすべて平等の立場において、それぞれの主張というものを高度に全国的なベースにおいて調整をしなければならぬ問題であり、また、それをすること自身は、農振が他の計画に従ずるということでは決してないわけでございます。 先ほど具体的なことを言われましたけれども、要するに、排除すべきものについて明確にするということは、逆に言えば、排除しないものについては当然のことである、こういうことでございます。
○中川(利)委員 あなたは、いま、農業振興を図るべき土地を明確にする、農用地区域にすべきところを明確にするということをおっしゃいましたが、農用地とすべき範囲の問題については、非常に抽象的にしか次官通達には書いてないんですよ。集団的農用地と土地基盤整備事業の対象地ぐらいのことしか書いてない。ところが、一方、先ほども言いましたように、そうしてはならない土地については事細かに書いてある。もちろん、農業以外のものとの土地の調整、調和をとらなければいけないということはわかっておりますけれども、こうなってみますと、従属しない、並立したものだとおっしゃいますけれども、実際は工業優先だといいますか、農業以外のものの利用が優先される計画だということにならざるを得ないような感じがするわけであります。ですから、同じ通達の中に、一方では抽象的にしか書かない、片方には事細かに書いてあるとなれば、あなたがおっしゃるようにどっちも並行するものだなんということではなくて、こうなりますといずれ従属するような関係にならざるを得ない。つまり、残地農業論の立場じゃないかということを私は非常に心配するわけでありますので、いま一度わかるような御答弁をいただきたいと思うのです。
○大山政府委員 これを逆に言いまして、たとえば都市計画なんかの場合におきましても、農業との調和を十分に図らねばならぬというようなかっこうでできているはずでございます。国土利用計画法ができました現段階におきましては、それが農林地の保全であるとかいうようなことを十分考慮して利用されなければならない、また、利用区分が決められねばならぬ、と、こういうふうになされているわけでございます。 抗弁するようでありますけれども、すべての総合的な利用調整の中において、農業の振興すべきところは他に従属することなく確保してまいり、また、振興してまいりたいという趣旨でございます。
○中川(利)委員 ほかに従属しないでやっていくということはよくわかりましたけれども、後でこれは事実についていろいろお聞きいたしたいと思います。 ところで、農用地区域と農用地区域以外の農地、これは農地法上の取り扱いに区分けがあるのかどうかですね。わかりますね。これはどうでしょうか。
○大山政府委員 さっきこのことにも多少触れましたけれども、農用地区域内の土地、これは今後相当長期にわたりまして農業の利用のために確保すべき土地でございます。そこで、農振法の規定によりましても、農林大臣なり知事は、その区域内の農地について転用処分をするに当たっては、これらの土地が農用地利用計画において決められている用途以外の用途に供されないようにしなければならないと、これは先ほど申し上げましたけれども、規定されているわけでございます。したがって、農用地区域内の農地につきましては、本来的に利用計画で決められている用途以外に転用するということはできないことになっておるわけでございます。 農用地区域外の農地につきましては、農地転用基準というものがございますので、その転用基準に基づいて厳正に審査、処理をしてまいるというたてまえになっておるわけでございます。
○中川(利)委員 どっちの農地もいろいろと大事だということでありますが、昭和四十八年七月三十日の次官通達を見ますと、国の直轄または補助による事業の実施について、国が税金で補助をしてやるとか、あるいは直轄でいろいろとやるとか、こういうものは農用地区域だけに限るといえば言い過ぎかもわかりませんが、農用地区域に限るといってもいいくらいの言い方というか、そういう方針を出しています。しかし、全体として、たとえば農振地域として見るならば、それ自体農業にとっては大変な役割りを果たしているわけでありますが、国の経費、補助その他のものが農用地区域しか出ないということになりますと、これは、あとはどうなろうと勝手だということになるように私は思うわけでありますが、この点はどうなんでしょうかね。
○大山政府委員 農振のメリット通達と言われている通達でございますが、土地基盤整備に関するような事業あるいは農業の近代化に関する施設、あるいは農地の保有合理化といったようなものは、農用地区域に限定し、そして、そこに集中して行う。それから、たとえば環境整備というようなものは農振地域に集中する。それから、加工、流通というような施策は、これも農振地域に集中する。こういうことでいわば農振地域、なかんずく農用地をまず優先的に、集中的に施策を投じて、そしてそれによって農振地域を核として、そこにおける農業生産の拡大、そして担い手の育成ということをやってまいろうという趣旨でございます。
○中川(利)委員 いまのメリット通達につきましては、衆議院農林水産委員会の調査室から解説が出ているわけですね。ちょっと読みますと、「農林省は、四十八年七月「農業振興地域整備の推進について」との次官通達を発し、国の補助融資等の事業の計画的実施等につき、原則として農振地域又は農用地区域以外は行わないことを趣旨とするいわゆるメリット通達と称されるものを通達したが、事業の実施手続、補助率等は依然として従来通りのものとなっており、関係者の不満は解消されていない。」と書いてあるわけですね。つまり、事業の実施手続、補助率等は依然として従来どおりのものにしかすぎないものでありますけれども、それを農用地のその区域だけにしぼって、あとは大したことがないということでありますと、やはりここでも残地農業論みたいな、つまり、四百四十何万ヘクタール以外はもうどうなってもいいというような手抜きが国の基本的な考え方の基礎にあるような感じがするわけでありますけれども、それで果たして本当に日本の農地が守っていけるのかどうか。とりわけ、いま自給率の問題が叫ばれているわけでありますけれども、おたくの基本そのものが、こういうようにそこ以外には補助対象にしないのだということになりますと、それの中身も問題があるにいたしましても、どうしてもそういう疑いは消えないわけでありますので、この点についてお答えいただきたいと思うのです。
○大山政府委員 農振地域、そして農用地区域というものに、全国に網をかぶせたのはごく最近でございます。そこで、全国にわたってそういう網がかぶせられたということを踏まえまして、先ほど申し上げましたメリット通達を出したわけでございます。したがいまして、土地改良事業というような事業は農用地区域についてだけ行うということになるわけでございまして、農用地区域外においてそういう固定的な施設というものは原則的には行わないということになるわけでございます。 そこにおきます農民負担という問題につきましては、あるいは採択基準を緩和するとか、あるいは補助残融資につきましても、全額融資できる限度というものを今度もまた引き上げるとか、あるいは時に応じては補助率の改定をするとかこういうような各種の方法をもちまして農民の負担等の軽減には努めているわけでございます。 農用地区域あるいは農振地域以外にも農業が営まれていることは確かでございますので、たとえば普及事業でございますとか、融資事業とか、こういうものについては、当然それらに対しても十分な施策を講じていかなければならぬし、また、講じているわけでございますが、何と申しましても、限られた予算の中においては、まず農用地区域内の農用地の整備と、そして計画的なそれの推進ということに重点を志向しなければならぬということであると思っております。
○中川(利)委員 いまも申し上げましたとおり、自給率の問題なんかが改めて問い直されているときに、線引きするたびにだんだん小さくなっていって、まだ農地そのものがあるのにそういうかっこうにしてしまうわけですね。全体として農業が大事であるならば、農用地区域だけが重点だということもさることながら、それ以外の農地に対しても十分なてだてを尽くすべきだと私は思う。なぜ差別をするのか。こういうことも一つの問題として提起しなければならないと思うのですね。そうでないと、たとえばそういう国の見通しそのものにいたしましても達成できないだろう。しかし、達成と言っても、どうせ達成するつもりもないし、自給率を減らすのが——穀物自給率なんかそうなっているわけでありますから何をか言わんやでありますけれども、それにしても、こういう区分けの仕方が大きい問題じゃないだろうか。そういう国の長期施策の観点から言いましても、この点についてなぜそういう差別をするのかということは農民にとっては大変重大な問題だと思いますので、改めて農林大臣からお聞きしたいと思うのです。
○大山政府委員 農振計画で、いわゆる優良農用地等が二百ヘクタール以上あるようなところを原則として農用地区域に指定するということになっております。したがいまして、たとえば、これは農用地区域になり得ない場合があるわけでございます。離島につきましては、農業が最も中心の産業であるということから、たとえば採択基準を引き下げるなり、補助率を他に比べて上げるなりといったような施策も十分に講じているわけでございます。 ところで、市街化区域内の農地ということになってまいりますと、これは市街化区域というものの性格から言って、やはり、近い将来農地でなくなるところということでございます。したがって、そういうところに対しましては営農が行われ、そしてまたそれが都市におきます野菜の供給源になっているというような事態のもとで、たとえば生産緑地の指定を受けたようなところについては、営農指導でありますとか、種苗の問題でありますとか、普及であるとか、こういったことのほかに融資等の措置も講じて、そして農業振興に努めているわけでございます。
○安倍国務大臣 農用地以外の農地につきましても、もちろん農業施策の対象になるわけでございますが、その中において、特に農用地におきましては、先ほどから局長が答弁をいたしましたように、長期的な土地改良計画といったような生産基盤を充実していく場合におきまする計画を集中的に農用地域内において行うということが、わが国の農業の生産力をより高め、自給力を高めていくことにつながっておる、と、われわれはそういうふうに考えておるわけでございます。
○中川(利)委員 いままでは、いろいろとこれから質問する前段としてお聞きしたわけでありますが、ひとつ具体的な事例で私はこれを詰めてまいりたいと思うわけであります。 実は、私の手元に、埼玉県北葛飾郡吉川町という町の「吉川農業振興地域整備計画書」というものがございます。これは、地域指定年度、整備計画指定年度が昭和四十七年でございますけれども、これが決定したのは四十九年三月三十日でございます。つまり、去年の三月三十日ですね。この町の内容に入る前に一通り申し上げますと、「本地域は埼玉県の東南部に位置し、吉川町のうち市街化区域を除く区域で、おおむね二千二百七十三ヘクタールを範囲とする。」「地域の総面積二千二百七十三ヘクタールのうち約七〇%は農地として利用されており、大部分の耕地が沖積層で一部を除きほ場整備は完了している。」という、こういう地域であります。そして、「本地域において、農用地区域に設定しようとする面積は、田約千八十ヘクタール、畑約百四十八ヘクタールであり、」云々、と書いてあるわけですね。つまり、ここの地域は広大な農用地に該当する地域でありますが、日本の代表的な不動産屋である三菱地所がここに仮登記をいたしまして、そして四十四ヘクタールを——これは町の計画の中でも農振法に基づく農用地区域としてはっきりと予定され、しかもそのようにちゃんと決定しておったものを強引に除外させているのですね。そして一般的に都市計画法の市街化調整区域にはめ込んでしまったわけです。こういうことは明らかに農地法違反だといいますか、農地法の趣旨から見ても、また、先ほどの通達の趣旨から見ましても大変なことではなかろうかと思うのでありますけれども、勝手にこういうものを除外してしまうなんということが許されるものかどうか、ここら辺について御答弁をいただきたいと思います。
○大山政府委員 先生が御指摘になりましたように、吉川町は四十七年の十二月に農振の指定を受けているわけでございます。この場所は、江戸川を隔てて隣は千葉県というような場所にあるわけでございまして、面積その他は先生の御指摘のとおりでございますが、私たちが調査したところでは、農振地域整備計画として町がつくりました中におきましては、四十八年の十二月に町の議会の議決を経ております町の開発整備基本構想、住宅団地建設予定地というものを外しまして、残りのところを農振とし、そして農用地区域にするというかっこうで町の縦覧公告の原案ができたというふうに聞いているわけでございます。
○中川(利)委員 つまり、ここに地図もありますけれども、そうではなくて、一たん縦覧して、それに異議を申し立てて、仮登記者である三菱地所が、何の権限があるか知りませんけれども、強引に外させたというところに問題があるわけですね。その経過については後ほど申し上げますけれども、そういう中で四十ヘクタールの農用地を除外していったということ、これが正しいのですが、この点についてはどうなんですか。
○大山政府委員 農振法十条二項によりまして、市町村が農振の地域整備計画をつくる場合に、「議会の議決を経て定められた当該市町村の建設に関する基本構想に即するものでなければならない。」という規定があるわけでございます。そして、町の議会におきまして、先ほど申し上げましたように、将来住宅団地とすべきところというところで外しているわけでございます。 そこで、先生のお話しは企業がそれを外させたというお話しでございますが、これは農振計画が縦覧されたときに確かに三菱地所からも異議の申し立てがなされておりますが、その異議の申し立てに係る面積は約五ヘクタールで、そして、別途その地区の関係農民三十二人からもそれを農用地区域から外してもらいたいという異議の申し立てが出ているわけでございます。
○中川(利)委員 ここのところは非常に大事なところで、分かれ道になるわけでありますが、ここは三菱地所が仮登記をしているが、吉川町農業振興促進協議会、これは町の権威ある機関でありますが、そこでも農用地域にするということをちゃんと決定して、すでに予定しておったところですね。しかも、縦覧になった際に異議申し立てをしたわけで、結局三菱地所がいろいろな手段を使って強引にこれを農用地区域から除外したということが問題の本質なんですよ。そういうことが果たしていいことなのか、悪いことなのか。勝手に一企業が町にいろいろな圧力をかけて、もしそういうことが許されるならば、これは大変なことになるんじゃないかと私どもは思いますが、この点について聞いているわけです。
○大山政府委員 先生は、縦覧のときにおいて異議の申し立てを三菱がしたというお話しでございますが、まさにされております。それは、面積といたしまして約五ヘクタールでございます。農民三十二人からも同じように異議の申し立てがなされているわけでございます。私たちの調査したところでは、町の農振計画、そしてその中にあります農用地計画というものは、先ほど来申し上げました議会の議決を経た部分を除いて原案がつくられておった。そのつくられた原案に対して、五ヘクタール分について農民からも異議の申し立てがあり、また、その仮登記権を持っている三菱地所からも異議の申し立てがあったというふうに理解しております。
○中川(利)委員 たとえば、この五ヘクタールが事実だったと仮定いたしましても、そういう異議の申し立てによって勝手にそれを除外していくということ、そのこと自体が大きい問題だということも、後でいろいろお話しする予定でありますが、それも一つだったわけであります。 同時に、あなたは五ヘクタールにしかすぎないじゃないかというお話しをされていますが、五ヘクタールにしかすぎないなんということは、私はここに異議申し立て書を持っていますけれども、そういうことは何も書いていませんよ。
○大山政府委員 五ヘクタールにすぎないではないかと私は申し上げたつもりはないわけでございまして、先ほど来の先生のお話しで、四十五ヘクタール分がどうこうというお話しがございましたが、要するに、三菱地所に係る異議の申し立ての出た面積は五ヘクタールでございますということを申し上げただけでございます。
○中川(利)委員 だから、五ヘクタールだということは書いておらない。何を書いてあるかといいますと、この吉川町長あてに四十九年二月一日に異議申し立て書が出ていますね。これは、「異議の申出に係る処分および処分に係る土地」ということになっておって、「別紙のとおり」となっているので、その別紙を見ましてもそういう記載はないわけであります。 それはともかくとして、「異議申出の理由」というところを見ますと、町のそういう計画に対して三菱がいろいろな文句と注文をつけておるんですね。たとえば、「吉川町の市街地像は凹凸が激しく、極めて不整形であり、都市計画事業の拡大実施の面から不都合が生じ易く好ましくないものと考える。」と言っている。これは異議申し立てをするのでありますから文句をつけなければならないわけでありますが、そういう町の衆知を集めてやった計画それ自体に対して、大企業の横暴というか、そういうものをむき出しにして文句をつけておるというのが実態なわけですね。 そこで、これはすれ違いになってもしようがないのでありますけれども、大体おたくはいままでどういうふうに指導してきたかと言いますと、昭和四十八年の四月二十日に農林事務次官の通達が出ているわけですね。「農林地の確保のための措置について」ということで、どういうことを言っているかというと、「農地法の励行」ということを言っておる。それを見ますと、「農地法の違反またはそのおそれがある場合は、農地法第八十三条の二の規定による違反是正のための措置命令または同命令もしくは同法第九十二条の規定による罰則の発動を前提とした勧告その他の措置を講ずること。」と書いてありますね。「農地法の違反またはそのおそれがある場合」なんですよ。四十八年段階、つまり、この問題がそれほど進行しておる段階で皆さん方でそういう通達まで出していながら、農用地そのものが全く行政の指導の範囲内に入らない、勝手に除外していくなんということが許されていいかということですね。このことを、通達の趣旨とも関連してもう一度お聞きしたいと思うのです。
○大山政府委員 先生の御質問を分析いたしますと、農地法のたてまえにおける仮登記の問題と、もう一つは農振法の異議申し立ての中に仮登記権者が入り得るかどうかという問題、この二つの問題があるように思うわけでございます。 そこで、仮登記そのものが農地法上どういう位置づけになるかという問題につきましては、仮登記というものは、農地法の許可があった場合における取引といいますか、契約の優先権を登記簿上主張するということが仮登記の性格でございます。そこで、農地法では、権利の設定または移転の時期においてチェックするというたてまえをとっております。したがって、契約そのものは農地法で違反とするところではないわけでございます。ただ、契約を結び、さらに相手方に支配権を移すというような、いわば事実上許可を受けないで完全にその支配権が移ってしまったと同じような事態が発生したときに、農地法違反、罰則という問題が発生するわけでございます。したがって、仮登記という問題があったということだけでは農地法違反ということにはならぬわけでございます。 ところで、今度は農振法上の異議申し立てができる者という問題でございますが、これは農振法に、農用地利用計画に係ります農用地区域内の土地に関する権利を有する者、ということになっているわけでございまして、仮登記権者といえども土地に関する権利を有する者であるわけでございますので、それらの者が異議申し立てをする機会を否定するわけにはまいらぬわけでございます。何となれば、農用地区域になりますと、先ほど来申し上げておりますように農地の転用ができなくなる、あるいは農用地の利用計画どおり使われていない場合においては市町村長から勧告がある、あるいは知事の調停がある、こういったような義務が発生するわけでございますので、土地に関する権利を有する者からの異議申し立ては、これは認めざるを得ないというふうに思っているわけでございます。 そこで、そういうことで三菱地所が仮登記権者として異議の申し立てをするということが法律上できないことであるかということについては、先ほど来申し上げたとおりでございます。ただ、われわれの知っております範囲内におきましては、こういう仮登記権者が異議の申し立てをしたということに基づいて農用地区域の変更を認めた例というものはきわめてまれなケースであるというふうに理解しているわけでございます。
○中川(利)委員 したがって、お聞きしたいことは、まれなケースであるということでそのまま放置していいのかどうかということです。そういうことで除外すること自体問題じゃないかということが一つですね。しかも、農用地に含める区域というものは、国がそれぞれ通達で出しておるわけで、その範囲内に入っておるものだけですね。しかも含めてはならないという区域があるわけですね。こういうものは、先ほども私はくどく言ったが、事細かに規定した、その含めないという地域にも該当しておらない。だから、ここは徹底して農地以外に使ってはいけない土地なんだ。そういうことから見ましても、私は、それ自体が問題だとしてここへ提起しておるわけであって、ただまれだからそれでよろしいのだということで済まされるかどうかということを聞いているわけです。
○大山政府委員 農振法のたてまえというのは、下から盛り上がるといいますか、市町村が計画をつくり、そして、縦覧、公告等を経た後に知事の認可によって確定する、こういうふうなことになっております。先ほど来申し上げておりますように、農振計画の作成に当たって、優良農用地は極力これに編入するようにするということを指導しているわけでございます。 そこで、この件につきましても、県においても、吉川町においても、こういう観点から慎重な検討がなされたものと考えるわけでございます。ただ、農振計画の作成というものは、市町村という地方公共団体固有の事務であるわけでございます。先ほど来申し上げましたように、農振法にも、十条二項の規定で、「議会の議決を経て定められた当該市町村の建設に関する基本構想に即するものでなければならない。」という規定もある。こういうことで、地域の土地利用につきまして直接責任を持っております市町村の判断としてこの地域を除外するに至ったものというふうに判断せざるを得ない。また、判断するわけでございます。
○中川(利)委員 除外せざるを得ないように判断したと言うけれども、町そのものは、これを今後ほかの用途に使用するという計画は何らないのですよ。県の開発計画を見ましても、私の手元に県の「市街化調整区域における大規模開発の取扱い方針」というものを持っていますけれども、四十六年十二月段階で出したものですが、この中の十何項目の、こういう場合はだめだぞというやつ、これに全部該当しているのですね。つまり、これはやっちゃいけないというところなんですね。県の方針、町の計画の中でも、これは農用地以外にないのだということでやっておったものなんですよ。しかも、先ほど言いましたように、皆さん方は、この経過の中で、農地法の励行という通達までわざわざ出している。そのおそれがある場合にこの場所は該当するのですよ。 しかも、さらに私が申し上げたいのは、四十八年十二月十八日の農林水産委員会で、この吉川町の事例を私は問題にして、これをどうしてくれるのだということを聞いているのですよね。にもかかわらず、あなた方は、この期間に一方的に町がそうしたんだろうというようなことで済まされると思うのかということが私が結論的にお聞きしたいことなんですよ。
○大山政府委員 四十八年の十二月に、確かに先生から御指摘を受けたというふうに私も記憶しております。農地の転用問題に関連いたしまして、三菱地所ですか、具体的に名前をお出しになったかどうか忘れましたけれども、要するに、企業が買い占めている土地に対してどういうふうに処置するのだという御質問があったわけでございますが、当時、いまもそうでございますけれども、農地転用の申請は県にも農政局にも出ていないということを申し上げたわけでございます。ただ、市町村の段階においてはいま農振計画という問題があるということを申し上げたように思っております。いずれにいたしましても、あのときに、農地転用の申請が出てきたときには厳正な態度でこれに対処いたしますということを申し上げたとおりでございます。 現在、いま買い占めに遭っているといいますか、仮登記されておるところは農振の農用地区域外になっております。逆に言うと市街化調整区域になっておるわけでございますが、市街化調整区域内のこの種の農地につきましては、農地法の厳正な運用をしてまいるということに今後ともしてまいるつもりでおりますし、なお、県が市街化調整区域内の農地の転用を凍結しているという事態もありますが、今後転用申請というものが出てきた場合には、それに対して、先ほど来申し上げましたように、農地転用一般基準というものに基づきましてこれに対処してまいりたいというふうに考えるわけでございます。
○中川(利)委員 そうすると、おたくの農林次官通達、農地法の違反またはそのおそれがある場合にも、全部異議申し立てで町が自発的にやったからそれで構わないのだということになるだろうと思うのですね。何のために通達を出したのですか。そこら辺について私は非常に不満だということを申し上げておきたいと思いますが、それにつきまして、あなたの言うことは、三菱地所という会社が合法的にいろいろな手続をとったのだからだれも文句を言う筋合いのものではないというふうに全般の筋として私には聞こえたわけであります。しかし、そのやり口というか、手口というものが一体どんなものであったかということを具体的に手紙、陳情その他によって私は見てみたいと思うわけでありますが、手元にあるのは、昭和四十八年八月八日付で三菱地所のダミーの博栄商事というものが吉川町農業振興促進協議会にあてた手紙です。「農用地区域設定に関し三菱地所(株)計画地及び之と市街化区域に接する区域を除外頂き度件御願」という件です。ちょっとその中を見ますと、「今回聞き及びます処昭和四十八年七月二十四日貴会議に於いて三菱地所株式会社買収地域を含め附近一帯を農用地区域と指定せられる旨議決せられた由聞き及び大変驚喜全年八年六日吉川町に出願し、」云々と書いてあるわけですね。そして、何を言っているかというと、そこでいろいろとおどかしと言うと悪いけれども、文句をつけたら、町がもう一回再審議しようじゃないかということになったというのですね。ここにその経過が書いてありますが、その再審議をする場合には、「当該計画地と市街化区域に接する地域一帯も併せ農用地区域より除外して頂きませんと町の綜合計画も又三菱地所株式会社の計画も実行不可能と相成ります」と言うのです。こういう会社というのは大変なもので、三菱地所ともなれば、おれの計画もおまえの計画もだめになるんだぞということを言っているわけですね。そこで、「是非共貴会の御会議には町の都市計画課、企画課の参加を御要請頂き御審議賜り度存じ上げます。」と言っている。こういう手紙を出しているのですね。だから、今度やるときはあらかじめ町の企画課も都市計画課も全部参加させろ、そうするとおれの思うとおりになるんだぞ、と、中身はこういう手紙なんですよ。これが果たして適法にやったものだなんということなのか。これは陳情というか、お願いの件なんですが、それがそうなんですね。 そうかと思えば、またものすごいことを書いてある手紙があるわけであります。これもおどかしでしょうな。「農用地として御町に於いて御指定になられても具体的に整備計画を実行することは実質上本地域は三菱地所株式会社のものでありますので出来ない事は誰が考へられても明白な事であります」ということを言っています。おれが仮登記をとっくに済ませているのだということで、所有権も移転していないのに、それをかさに着て、おまえの方ではどういうことをやったって実質上やれないんだ、何となればおれのものだということを町当局に突きつけているのですね。これはどうでしょうか。 〔委員長退席、藤本委員長代理着席〕 それから、まだひどいというか、おもしろいものがあるわけですね。こういうことも書いてあるのです。契約した当時の地主さんが三菱に一杯食わされたといろいろ残念がっているわけですが、これに対して、「契約当時の地主の方々が現在如何様に申され様と弊社、三菱地所株式会社宛に本地域の宅地造成事業の認可については全面的に協力するという念書並びに確約書も捺印しておられます。」と言っている。つまり、何ぼ文句を言ったっておれの方には確約書、念書を取っているんだということですね。あなたは先ほど異議申し立てば農民も一緒にやったと言うけれども、やらなければならないような念書も確約書も取っていたというところにこの問題の本質があるということですね。 そこで、こういうことで農地を農地以外のものに転用させていくという、その手口が大体正常だとあなたは思いますか。
○大山政府委員 先ほど来申し上げておりますのは、農振に対する態度を申し上げていたわけでございます。 そこで、農地転用との関連につきましては、農地転用あるいはそれに対する農地法違反の疑いの有無ということが別の問題としてあるわけでございます。農地につきましては、農地法の許可がなければ所有権が移転しないということであることは御存じのとおりでございまして、許可を受けないでした所有権の移転は無効であるということになっております。 そこで、仮契約と称せられる将来許可があった場合の契約の優先権を主張するという登記簿上のたてまえの仮契約という問題につきまして、これが農地法違反であるかどうかという問題につきましては、許可を受けないで農地等につきまして売買契約を締結した上に、その農地等を買い主等に引き渡すという、いわば所有権移転の効力が生じないまま事実上その効力を生じた場合に行われると等しい行為が行われた場合には違反行為になります。これは先般来申し上げている次第でございます。 そこで、この吉川町の現状でございますが、一部耕作放棄をされて荒れているところもあるようでございますけれども、農政局で現地調査をいたしましたところでは、四十九年産につきまして、米でございますが、九割以上は作付がなされている、引き渡しの事実というものが完了しているとは認められない、というふうに承知しているわけでございます。したがって、引き渡しの事実がない以上、仮契約を結んだということで農地法違反であるとか、また、その疑いありということにはまいらない。いずれにいたしましても、そういうことでありますならばいずれ転用の申請が出てまいるでございましょうが、転用の申請が出てまいりましたときには、仮登記がなされていたかどうかということにかかわりなく、農地法の転用基準に基づいて対処をしてまいりたいと思います。ただ、仮登記されていたという事実のあるところについては、その仮登記に基づく諸般の事情というものもあわせその際調査しなければならぬだろうというふうに思っておりますが、いま、吉川町における事実だけをもって農地法違反だと言うわけにはいかないというふうに考えている次第でございます。
○中川(利)委員 これはそこでいま何割だか耕作されてるんだ。いま完全に三菱のものになっておらない。私は写真を持っています。大山さん、こっちをごらんなさい、私は写真を持っているんだ。一面のぶん投げられたたんぼの荒れた姿がここに見えるでしょう。これは耕作をどこにしていますか。たしか、四十何ヘクタールの中には三菱に売らない農家が十六人いるのですよ。それがこういうふうに一面に荒らされるものだから、この人たちがどれだけ難儀しているかということですね。そういう意味では耕作している人が十六人おります。とにかく、これはだれが見ても優良農地だ。これは一面の農地ですよ。この写真をごらんになればわかるとおりですね。これがいま全然耕作されないで、こうして、もうほとんど何が何だかわけがわからないような状態に置かれてる。しかも、ここの写真があるが、四十何ヘクタールの外枠は全部金網で鉄線が張られているのですよ。鉄線が張られて、しかも、これは小さくて見えないかもわかりませんけれども、もう沼になったり、ごみ捨て場になったりしているのですよ。ここに写真あります。いま届けさせます。そうかと思うと、これは排水も何も全然不完全で、そこに残っているほかの農民の方々がどれだけ迷惑しているかわからないのですよ。こういう状態に置かれれば、やがて耕作を放棄せざるを得なくなるでしょう。そうしてこの写真は、これが排水で、私たちがこれはけしからぬと思って目をつけたら、ちょっと前からこの排水路を少し直したあたりの写真です。こういう状況が実態なんですよ。委員部、これは後から持って行って見せてやってください。 そこで、しかもこれをどうして取得したかというと、この手紙にもはっきり書いてありますけれども、「契約済の土地については全額支払が完了しております。」と言うのです。全額支払いが完了していると言うのですよ。いいですか、手付金を五〇%やって、後は本登記のときにどうするというのじゃないのですよ。われわれはもう農地に対して全額支払いが完了しているんだ、と、こういうこともこの手紙の中に書いてあるわけですね。これは一体どういうことなのかということですね。 そうかと思えば、さらにけしからぬことには「猶ほ本地域の大部は離作しております。」とちゃんと言っているのです。あなたの言うのと違うじゃないですか。「猶ほ本地域の大部は離作しております。之は農業振興地域指定の要件にそなはっておりません。」と書いてある。あなたの発言と全く違うでしょう。農政局が何を調べたかわかりませんけれども、ここにその文書がある。しかも、自分で勝手に全部金を払って、これはおれのものだというようなことを言って、本来の資格も疑わしいのに全部離作せざるを得ないような状態にして、だから農業振興地域の指定の要件には該当しないのだと言う。こういう論法をあなたは許しておくと言うのですか。
○大山政府委員 私たちが申し上げておりますのも、関東農政局におきまして最近調査した結果に基づいて申し上げてるわけでございます。四十八年までは休耕奨励金がございましたので、休耕奨励金をもらって休耕していた事実はあるようでございますけれども、私の先ほどの九割以上が耕作されているという報告は、四十九年における関東農政局の現地調査によるものでございます。
○中川(利)委員 私が写してきた写真はきのうの写真です。いま大臣が見ている写真はきのうの写真です。間違いなくきのうの写真です。それはあまりひどいじゃないですか。 だから、おたくの農政局がどこでどう調べたかは、これは私は質問を留保しますが、これは大変なでたらめな報告をあなた方はお聞きになっているということです。 なぜこんな不当なことができたかということについてお聞きをするわけでありますが、一つは、先ほどあなたが言った仮登記の問題ですね。仮登記を悪用するというか、しかも、全額を払っているというようなことだ。そうしてこの三菱の例だけでなく、全国的にこういう例がありますけれども、全部仮登記の方式で優良農地をどんどんどんどんつぶしていっている。この事実は、いままでのような皆さんのお答えの中では決してチェックすることができない。これからもどんどんやられていく可能性があるんじゃないですか。あなたは仮登記者も権利があるんだとおっしゃいますけれども、そういうことの中に今日の農業の、農地の荒廃が生み出されているということも事実だと思うのですね。 そういう点について、たとえば全額支払っているなんということは農地法から見て正当なものかどうか、この点を含めてお答えいただきたいと思います。
○大山政府委員 先ほど来何度も申し上げておりますけれども、農地法との関係は、許可を受けないで農地等に対します売買契約等を締結し、かつ、その農地等を買い主等に引き渡すなど、権利の設定または移転の効力が生じないまま事実上その効力を生じた場合に行われたと等しい行為が行われた場合に違反行為になる、こういうことでございます。したがって、許可を条件とする売買契約の締結自体は違反とはならないわけであります。引き渡しがあったかどうかということが、終局的にいわば農地法違反であるということになるかどうかの分かれ目になるわけでございまして、農地等の売買契約を締結し、代金の全額が支払われているというお話しでございますが、これだけで農地法違反とは言えないわけですが、これに伴って農地の引き渡しが行われるということになりますれば、これは調査を要すると考えているわけでございます。 この点につきましても、現地調査の際にはそういうふうな引き渡しの事実は行われてないというふうに聞いているわけでございます。
○中川(利)委員 引き渡しの事実があったかどうかということを見るためには、現地の実態を見なければなりませんね。ただ、手続上から言いますと、この三菱地所と該当農民との契約では、たとえば手付金も五〇%しか払っていないということになっているんです。しかし、実際はそうではないということを先ほどの手紙でぼくは明らかにいたしましたけれども、現実にほとんど離作しておりますということもぼくが読んだ手紙でも言っているでしょう。だからこそ農業の振興上のいろいろな施策には該当しない土地になってしまっているんだ。何だかんだ言っても、もうこれをはずす以外にないのだと、ここまで彼らはいたけだかに言っているんですね。だから、そういうことを許しておいて、まだ実態は引き渡しが——これは手続上は当然引き渡しになっていないでしょう。だから、あなたの方では目をつぶっているというようなこと自体が、日本のいまの農地が大変な状態になってきているということではありませんか。 また、埼玉県の農業会議で調べた調査結果がここにありますけれども、これは一九七四年の三月に全国農業会議所がまとめた「大規模土地取得と地価形成のメカニズムに関する調査結果」という四十八年度のものです。ちょっとここだけ読んでも、「埼玉県農業会議の調査によれば、同県下で昭和四十六年七月——四十七年十月までの十六カ月間に、」と言うから、これは大分古いんですが、それにもかかわらず、「民間資本の土地取得で一件五ヘクタール以上のものが七千九十三ヘクタールにおよんでいるのであるが、その七七・三%が市街化調整区域に集中しているのであり、また買占め土地のうち四千三百七ヘクタールに達する農地の実に七八・六%もが農地転用の許可されないはずの第一種農地あるいは甲種農地等である。」とはっきり言っているんですね。これは大変だと思います。「ここでも農地買占めの手段として仮登記が使われている。」云々ということは言っていますが、岩手県の北部その他でもずっとこういうことがあるわけです。どこでも仮登記方式によっている。こういうふうなかっこうになりますと、先ほどのあなたの御発言にありましたように、引き渡しの事実がどうだと言ったって帳簿上は出てこないわけですから、そこに問題があるなどというふうにお考えになりませんか。
○大山政府委員 農地法のたてまえというものが、権利の設定、移転という段階においてチェックするというたてまえになっております。したがって、契約ベースにおきますチェックは、これはたてまえとしてなっていないわけでございます。登記簿上の、いわば売買の優先権の主張という仮登記それ自身を農地法の上においてチェックするということは非常にむずかしいというふうに考えるわけでございます。また、現に、仮登記の有無ということになりますと、これは膨大な量に相なるわけで、なかなかこれに耐えられることではないというふうに思うわけでございます。 ところで、今度国土利用計画法が施行されたわけでございまして、今後、国土利用計画法の施行に伴いまして、農地転用を目的とする取引というものについて、予約を含めて、規制区域においては許可その他については届け出を要することに相なるわけでございますので、今後におきましては、仮登記による実質的な土地の買い占めというものは、これが規制ができることに相なるわけでございます。そして、農用地区域内の非農地の開発規制という今度の法律の規定と相まちまして、仮登記というかっこうによって他用途のための権利取得というものは抑制されることになるだろうというふうに今後の問題としては考えているわけでございます。
○中川(利)委員 今後の問題としては、抑制されるだろう。しかし、いままでのおたくのやったところを見ますと、そういうかっこうで不動産会社やその他の大会社、農業以外の資本に日本の農地を食い荒らさせてきたと言っても言い過ぎじゃないと思うのですね。それに対してまだそれをチェックできないということでありましたならば、農業を守ると言いながら、実質上残地農業論にいかざるを得ないということをいまいろいろと証明できたと思うのです。 そこで、仮登記の段階で最低農業委員会ぐらいに報告を義務づけるというか、おたくでは大体こういうことの実態をつかんでいないでしょう。そこら辺はどうなんですか。
○大山政府委員 農外者によります土地の買い占めという問題がかなり出てまいりましたので、四十八年以後情報の収集というものは行っているわけでございます。その情報の収集の中におきまして、不動産屋が暗躍しているとか、あるいは契約を結ぼうとしているとか、あるいは仮登記をしたとか、いろいろな段階における動きがあるわけでございますが、そういう動きにつきましては、われわれの組織に関係のある末端のあらゆる機関を動員いたしまして早期に情勢を把握するということで対処し、そしてその結果に基づいてわれわれとしての指導を行う、こういうふうな体制で現在進めているわけでございます。 ただ、仮登記という問題を全部チェックするということは、先ほど来申し上げましたように登記簿を全部繰ってみなければならぬということでもございまして、これはなかなか容易なことではございませんけれども、農外者による暗躍というようなことについての動きにつきましては、その情報の収集という中において、いままでもろかめるものはつかみ、そしてつかんだものについてはそれぞれ対策を講じてきたというわけでございます。
○中川(利)委員 だから私は言っているんだが、仮登記するときにせめて農業委員会に報告するというふうに制度的にやられないものか。でなければ何にも歯どめがないわけですね。この点が一つ。 それから、今度の農振法の改正に関係するわけでありますが、農業以外の資本が仮登記というかっこうで農地を取得しているが、これは何万ヘクタールあるか、事実皆さんの方も正確にはつかんでいないわけでありますから、これが大変なものだろうと思うのですね。ところで、農振法の今度の改正案を見ますと、交換分合ということが出ているわけですね。そうすると、私はこれはそんたくするわけでありますが、邪推するということにもなるかもわかりませんが、あなたの方で交換分合の問題を持ち出したというのは、多分、こういう農地に対してこれを交換分合でまとめて転用させるということを考えついたんじゃないかと思うのですね。こうなりますと、いまでさえも四百四十一万ヘクタールが農用地区域だが、これがさらに減らされていくということになる可能性というか、そういうものに道を開くということになりかねないと思うのです。農用地区域の中で交換分合を行うということは、そういうことになる以外に方法はないというふうに考えておりますが、いまのような農地を含めて一方でみんな救済してやる、そういうことになるんじゃありませんか。
○大山政府委員 交換分合というのを今度の改正法案の中で織り込んでいるわけでございますけれども、これは農用地地区内の土地の一部が農用外の用途に供されることが見通される場合、これは客観的に見通される場合、こういうことでございます。たとえば次三男坊の家を建てようとしても、周りが全部農用地区域である場合には建てようがないという点について、各方面から非常なクレームが出ております。現に農用地計画の変更の六割程度がそういう農家の住宅をつくるということから出ているというような報告もあるわけでございますが、この交換分合のねらいといたしますところは、農業と農業外との土地利用の調整ということに留意することはもちろんでございますけれども、農用地として利用すべき土地の農業上の利用を確保するということでございまして、転用を促進するとか、あるいは買い占められた土地を放棄するとか、こういうことを目的とするわけでは絶対ないわけでございます。むしろ、いわば農用地として利用すべき土地の確保、純化ということでございます。もちろん、こういうことを行います以上は、他用途に供される見通しということにつきましては客観的な判断ということが当然必要になりますし、また、除外する面積ということにつきましても、たとえば創設換地等の場合において、三割というものを最大限度の要件に土地改良法上しておりますと同じように、一定の割合の以内にとどめるように運用してまいる、また、優良農用地は極力確保しなければならぬわけでございますので、したがって、また、除外する面積も最小限度にする、こういうことを考えるともに、農用地に新たに入れるべき土地があれば、それもその中に入れる中において、農地・農地だけではなくて、農地・非農地、さらには金銭換算清算だけというようなかっこうの、いわば一方においてふやすことに努める中で、これらも並行いたしまして全体としての交換分合を行う、こういうことにいたしているわけでございます。いわば農用地というものを純化したいということに尽きるわけでございます。 なお、先ほど来農地法の運用の問題についていろいろ御指摘がございましたけれども、一つの問題として、農地というものが現況主義をとっているというようなこととの関連におきまして、登記簿上の地目が農地以外である場合もあるわけでございます。そこで、こういうことからいろいろと問題も出てまいるということで、法務省との間におきまして、三十八年からは、登記官が地目の認定をする場合に、農地等の認定にむずかしさを感ずるというような場合には農業委員会の意見を聞く、あるいは農業委員会は、現況が農地だけれども登記簿上の地目が農地以外になっているということを発見した場合には、登記官吏にその旨を通知して地目の変換を促進すると、こういうふうな措置を講じましたし、さらに四十八年には、現況が農地であります土地の登記簿上の地目が農地以外の地目になっている場合、農業委員会からの地目一覧表等の送付によって登記官吏が地目変換をするようにさせるというようなことと、それの励行というようなこともさらに四十九年には通達するというようなことで、地目を現況に合わせる中でこの種の問題も極力防いでまいるという措置もあわせて講じている次第でございます。
○中川(利)委員 交換分合について、あくまでもそういう農民の中でのいろいろな問題に対応するのだというような言い方でありますが、だからといって、こういう大企業が農地を買ったものを防ぐことができるという保証は一つもないのです。同時に、そういうことで一番潤うのは、実際は大規模な農地の所有者であるそういう資本の連中だということもはっきり言えると思うのですね。そういう点で、この交換分合はそういうことじゃないんだというための歯どめが必要だと思うのですね。ところが、この農振法の改正案を見ましても、実際は歯どめは何も一ないのだ。あなたはさっき三割程度しか減らさないのだということを言いますけれども、農振地域が約五百四十万ヘクタールありますが、もしも三割減ると、それだけでも百六十二万ヘクタール減るわけであります。こういうことになると大変だと思うのですね。しかも、おまけに、肝心の農用地区域から大資本の買い占め農地を除外してやることに、ふたというか、歯どめが何もかかっていないというのも現実でありましょうから、この点をどうするのかということをお考えになっていらっしゃるのかどうかお聞きしたいと思うのです。
○大山政府委員 いずれにいたしましても、問題は、仮に仮登記してみても許可を受けなければ転用できないわけでございますので、終局的には農地法の励行ということになるというふうに考えております。さらに、農用地区域内において買い占めというような事態があった場合に、その土地が農地以外である場合には今度の改正によって開発規制がかけられる、また、特定利用権の設定というようなかっこうで耕作放棄されている土地については共同利用権を設定する、こういうような各般の措置を講ずることになるわけでございまして、農地法の励行ということの中で、農用地区域あるいは農振地域というものへの農外者からの不当な侵入を防がなければならぬし、また、防げるというような方向で今後対処してまいりたいというふうに思うわけでございます。
○中川(利)委員 そういうことでは歯どめがかからないということを逆の意味で言っていることだと私は理解せざるを得ないわけでありますが、時間の関係もありますから次に進みます。 先ほど異議申し立ての話もありましたが、この三菱、つまり農外の者が仮登記の権者だということで異議申し立ての権利があるんだということで、いろいろ町に圧力をかけながら除外させたわけでありますね。つまり、合法的に農用地区域から除外させたことになるわけですね。合法の中身がいろいろと先ほど指摘したように問題があるところでありますけれども、私は考えてみまするに、整備計画というものは、農民はもとより地域住民にとっても重要な、地域全体の発展にとって大変関係が深いものだと思うのですね。こういう問題について地域住民は何ら異議申し立てすることができない、その権限がないということですね。これははなはだ法の盲点をついたものだというか、法の盲点を逆用したものだというか、法の不備そのものをあらわしているものじゃないかと私は思うのです。同時に、農地保全というか、計画的な振興を図ると言っても、そのポイントは農用地区域の線引きであるわけですね。法律の体系もそういうかっこうにできておりますから、この一番大事なところに、地域住民の意向よりも全く部外者の発言権を認めてやるというかっこうになっている。これが農振法の中での最大の欠陥だと思うのですよ。 その点についてどういう御見解を持っているか、私はお聞きしたいと思うのですが、これは大臣、どうですか。
○大山政府委員 農振法に基づきまして農振計画をつくり、そして農用地区域内に編入すると、その農用地区域に編入された土地につきましては、その土地が農用地利用計画によって定められた用途以外の用途に使われているという場合には市町村長からの勧告と、そして協議がある、さらに協議が調わない場合は知事の調停がある、あるいは農地法上の転用が厳しく制限される、こういうふうな法的な効果を伴うわけでございます。そこで、そういう法的効果を伴う利用計画でありますから関係者の意向を十分反映させる必要があるということで縦覧公告をし、異議申し立て、審査申し立てをする機会を法律的に与えているわけでございます。こういうふうな利害関係を生じますのは土地に関することでございます。そこで、農用地区域内の土地に関する権利を有する者というふうに規定されているわけでございます。それで、土地に関する権利の中には、これは仮登記といえども土地に関する権利には違いないわけでございますので異議の申し立てをする機会を否定するわけにはいかないわけでございます。 ところで、先生が言われました地域住民ということで、土地に関係ない人の問題でございますけれども、この法的効果に関係ないという者につきましては、異議申し立てを法律的に認める根拠がないというふうに理解しているわけでございます。そういうことからいたしまして、仮登記している人間が個人であろうと法人であろうと制度上排除する理由はないということにならざるを得ないわけでございます。
○中川(利)委員 だから、制度上排除することができない。したがって、農振法の十一条二項はやはり一定の手を加えるべきだというふうに考えるわけです。ましてや、仮登記者がそういう異議申し立ての権限者であるということは法律の中にも明記されておらないわけです。それはあなた方の一つの解釈なんです。そうなんでしょう。そういうとんでもない連中が、農外の者がどんどん来て仮登記して、これは権限がある者だ、そして一番大事な住民の皆さん方、今後そのことによって影響を受ける人々が何ら関係ないんだということでは、これは今日の時点には全く合わないものじゃないか。この点強く私は言いたいわけでありますが、これについてお答えをいただきたい。 それと、時間の関係上もう一つだけ言うておきますが、吉川町の事例で申しますと、買い占め地の中に、農地を売らないで、会社に対して抵抗して農業をやろうとしている農民が十何戸もあるわけでありますが、ところが、ほかの方が四年間も耕作されないままで放置されているわけですね。町の当局も今後十年間は市街化区域に入れないと言っているし、県も開発を認めないという方針なんですね。このまま十年間も耕作が放棄されていれば、この残っている農民の人たちもやっていけなくなるわけですね。こういう事態を一体放置しておくのかどうかということですね。たとえば今度の農振法改正につきましても、特定利用権の設定ということを言うておるわけでありますけれども、対象は農用地区域に限定されるわけですね。そうすると、こういう大変広大な農地が農地である現状のままで荒廃していくのを黙って見ておくということ、しかも、中に入って耕作しておる人々がやはりその道連れになってやめていかざるを得ない状況に追い込まれているということこういうところこそ特定利用権が設定されるべきではないか、農民に戻すべきだ、こういうふうに私は考えているわけでありますし、全国農業会議所のこの調査報告を見ましても、「仮登記状態の膨大な土地の結着をつけざるをえなくなる日が迫ってくるが、このように農家が受領し、消費してしまった土地代金について、それの返済のための金融措置を緊急に講ずることが、農家に土地をまもらせ、また、法を厳正に執行する空気を生み出すためにも、早急にとられなければならないと思われるのである。」というのが最後の結びになっているわけですね。こういうことをあわせて考えた場合に、いまのような問題についてぶつ飛ばしておくことがいいのか。いまの特定利用権に関連しても、ここをどうするのかということが新たな問題としてここに出されてきていると思いますけれども、それについての政府の御所見をひとつ承りたいと思います。
○大山政府委員 先ほど来申し上げておりますように、農用地区域に編入されるということになりますと、土地に関するいろいろな制約が出てまいる、そこで土地に関係ある者の異議申し立てのチャンスを与える、こういうふうなことになるわけでございまして、その土地に関する権利の中に、仮登記権者といえどもこれを否定するわけにまいらぬということになるわけでございます。ただ、実際問題といたしましては、先生も御存じのとおりでございますけれども、農振計画をつくります場合には部落座談会等を開きまして、部落の皆さんの意向に基づいて農用地計画がなされるという実態にあるわけでございます。 それから、二番目に、特定利用権との関連における耕作放棄地の問題が出てまいりましたけれども、これは確かに農用地区域内の農用地に限っておるわけでございます。と申しますのは、農用地区域内の農用地は農業用の目的に使うべきところというかっこうで農振計画に定められたわけでございますので、当然農用地として利用されるべきであり、そのためにたまたまそこを持つ人が、耕すべき立場にある人が耕していない、そして将来とも耕す見通しがないという場合に、そのままに放棄するということが好ましくないという見地から、公共的な立場で、憲法二十九条三項との調整を図りながら特定利用権の裁定をするということにいたしておるわけでございます。 そこで、土地改良事業の対象という問題につきまして、今後土地改良事業を行います場合においては、これは農用地区域に編入されていなければならないということにしております。過去において土地改良事業を始めているところにつきましては、今後は農用地区域に入らないところは事業をやらぬというふうにいたしているわけでございます。したがって、一般論として申し上げますならば、こういうこととの関連において、真にこれが農用地として利用さるべきところであるということであるならば、それは農用地区域に編入させるような努力をして、農用地区域内に入れた上において、たとえば利用増進事業でございますとか、あるいは特定利用権の設定といったようなこととか、あるいは開発規制、農地法の励行とかいう措置が可能になり、また、その措置を講ずるということに相なろうかと思います。 三番目に、各地で起こっております仮登記という事態に対処する問題といたしましては、これは市町村その他によってこれらの土地が農地転用に値しないものであるという場合にはもとの状態に復させるように努めるわけでございます。それで、どうしてもそれができぬような場合においては合理化法人によってこれに対処させるというような方法も考えている次第でございます。場所によっては、そういうふうな、いわば農民が使ってしまった金というものについての利子補給を考えている県もあるやに聞いておりますが、農地転用の可能性のないところにおいて農民が売った代金といいますか、売買契約を結んだ金というものが自動車だとか建物とかいうようなものに変わっているということだけですぐに援助というわけにはまいらぬと思いますけれども、一部の県においてはそういう措置も考慮しているというふうな情勢でございます。いずれにいたしましても、市町村等の関係者によりまして、また、場合によっては合理化法人等を活用する中でこれらの問題に対処してまいりたいというふうに考えるわけでございます。
○中川(利)委員 私は具体的な地域と場所を指定していろいろお聞きしたのでありますが、いまのお答えは非常に抽象的な一般論としてのお答えであるわけです。したがって、ここをどうするかということその他については、時間がない関係上これ以上詰めることはできませんけれども、そういう点で具体的な展望も措置も出てこないことは非常に残念であります。 いずれにいたしましても、こういう問題を一日も放置すべきではありませんし、こういうところにこそ特定利用権を設定しなければならぬし、また、農民自体はそういう意欲を持っているわけでありますから、それを買い戻させるような特別の手だてを尽くすように強く希望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○藤本委員長代理 瀬野栄次郎君。
○瀬野委員 農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案について、農林大臣並びに関係当局に質問をいたします。 農林大臣に冒頭お伺いしたいのでありますが、農業振興地域整備法は、地域農業に対する基礎条件の整備のための優良農用地の確保と総合的施策の計画化、未利用地の農業上の利用の積極化という、わが国農政推進の上に画期的な措置として昭和四十四年に制定されまして、例年農業振興地域の指定及び同整備計画の作成が進められてきたことは御承知のとおりであります。 昭和四十九年度をもって、当局が説明をされておられますようにおおむね所期の目的を完了するという段階に来ておるわけでありますが、しかしながら、その間において、農業の環境というものは著しい変化を遂げてまいったのであります。御承知のごとく、ますます厳しい農政の曲がり角に参っておりますし、さらには、金融緩和によるところの企業の土地の買い占めが激化し、土地利用の困難、地価の高騰、農用地確保の困難性等が増大してまいっておりまして、さらには、その間に米の生産調整による水田の休耕等が起きてまいりましたし、農業は内外両面からはさみ打ちに遭いまして、本法所期の農産物の安定的供給と生産性の高い農業経営の育成という基本目標の実現に困難を招来いたしておることは事実であります。このことは昨年の農業白書にも明確に示されておるのを見ても、大臣はよく御承知だと思います。こういった事態に加えまして、昨年来世界的規模で食糧需給の逼迫に直面してまいりましたし、わが国国民の食糧の今後の安定確保のために総合的供給体制の確立が緊急課題となっていることも事実でございます。 そういった基本となる国内生産による自給度の向上が強調されるときに至りまして本法が提案されたわけでございますが、この本案の提案理由というものが先日大臣から述べられたわけでありますけれども、私もそのような背景というものを承知した上で以下質問してまいりますが、まず、最初に、そういった背景を踏まえまして農林大臣に伺いますが、本法改正案を含めて、農振制度というものが今後の農政推進の上に果たすべき位置づけ、役割りというものについてどう考えておられるか、冒頭に大臣からお答えをいただきたい、かように思います。
○安倍国務大臣 今日の農政の転換期におきまして、農振制度が農政推進の上におきましてどのように位置づけられ、どういう役割りを持つかというような御質問でございますが、申すまでもなく、農政の基本目標は、国民食糧の安定的な供給と生産性の高い農業経営の育成にあるわけでございますが、この農政の基本目標を達成していくためには、農政転換の場としての農業地域の保全と整備を図り、その農業地域について公共投資その他の農業施策を計画的、集中的に実施する必要があるわけでございます。 農振制度は、国土資源の合理的利用の観点から、今後とも長期にわたって農業の振興を図るべき地域を明らかにいたしまして、この地域内における土地の農業上の計画的、効率的利用を確保するとともに、農業振興に関する整備計画に従いまして、公共投資その他国の補助、融資等の事業の計画的な実施を図るものとして、農政の基本目標を達成するための基本的制度として位置づけられるわけでございます。したがって、農振制度につきましては、農業生産の基盤となる優良農用地を確保し、その計画的な整備と有効利用を推進いたしますとともに、農業の近代化のための施策を集中的に実施することによって、地域農業の計画的振興と農業経営規模の拡大による農業の中核的担い手の育成を図る役割りを果たすことを期待をいたしておるわけであります。
○瀬野委員 農林大臣は、一口にして言えば、本法は農政の基本目標達成のための基本的な方針を示したものであるという内容のことをおっしゃいましたが、冒頭に大臣にさらにお尋ねしておきますが、本法の改正程度では農業の危機的様相というものは打開できぬのではないかというふうに巷間の識者は言っているわけですし、また、われわれもそういうふうに思うわけです。 そこで、本法が誘導政策としての提案であることも私はよく知っておりますが、すでに行われている現在の請負耕作というものも進んでおり、またはやみ耕作とも言われるものも進んでおりますし、さらには現在いろいろと農地の流動化を進めようとされております。こういったものを踏まえて、これら実際の農政の動きに対して農林省があわててその姿勢を何とか示さねばならぬからこういうように農振法をさらに一部改正して出すのだという厳しい批判もされておりますし、さらには、これは誘導政策的なものが十分にありますので、これは時限立法的な法案でもあるとか、また、これは農地法のバイパスであるとか、こういったことがいろいろ言われておるわけです。そう言われればわれわれはよく意味はわかるわけですが、いずれにしても、これからあといろいろと政府の見解をただしてまいりますが、そういう厳しい批判があることは事実でありますし、実際にこの法案の内容をよく見てみますと、農林省が現在農家に行っていることに対してのこれは追認というか、後追いの法案だということが明らかであります。 〔藤本委員長代理退席、委員長着席〕 そういうことに対してメリット通達その他もあるとは言いながらも、実際にこれはメリットがないということでいろいろ論議されておりますが、本法をお出しになりまして、今後農家の優遇措置その他を相当考えていかなければならぬと思うのですけれども、そういう総論的な世の中の批判と、いわば農林省の追認的な法案である、後追いの法案であるということに対して強い姿勢で農林大臣は臨んでもらわなければ、農業団体がこれをやっても、実際はもうすでにやっているようなことであって、これは形の上だけだ、やってもやらぬでも、この法案ができてもできぬでも同じではないかというようなことを現に陰では言っておりますし、そういったことを聞くにつけても、われわれがこれを審議するにしても、審議にも力が入らぬような気もするのです。しかし、提案された以上、四十四年度からこのような農地法が莫大な整備計画をもって進めてこられたいきさつもあるわけですから、何とかこれは国民のために実を結ぶようにしていかなければならぬということから、われわれも真剣にこれに取り組み、何とか農民の皆さんにこたえていきたい、と、かように思うのでございますが、その点について、農林大臣から、そういったことを含めましてどういう決意で今後これを進めていかれるのか、総論的に大臣の御見解をさらに承っておきたい。そうしないとわれわれも後々質問するのに気合いもかかりませんから、決意のほどを十分にお示しいただきたいと思います。
○安倍国務大臣 ただいま、農振制度の役割りと、その位置づけにつきましては、私の基本的な考え方を申し上げたわけでございますが、今日のわが国の農業の直面しておる非常に厳しい状況の中にあってわが国の農政を推進をしていくためには、この農振法の改正こそまさに欠くことのできない改正であると私は確信をいたしておるわけでございます。 現在の世界的な食糧事情の中にあって、わが国は自給力を高めていかなければならぬという基本的な立場に立ちまして、土地の確保、さらにこの効率的な利用、中核的な担い手の育成といった面を考えますにつけても、この制度は農政の推進にとりましては非常に大きな前進になるものだと私は確信をいたしておるわけでありまして、そういう意味から見ましても、熱心な御審議を賜わりまして、この改正案が国会において成立をいたすように何とぞ御協力のほどを心からお願い申し上げる次第であります。
○瀬野委員 農地法と農振法の関係で見解を承っておきますが、農地法では、一口にして申し上げますと、耕作者の地位の安定と農業生産力の維持、増進を図るという目的から、個別の農地について権利権なり転用を規制するということを基調としているというのが農地法である、かようにわれわれは理解しておりますし、また農振法は、いま大臣からもいろいろ説明がございましたが、一口にして言いますと、土地の農業上の利用というものを、他の利用と調整を図りながら土地利用区分を行い、そして利用区分に即した有効利用を図るということを目的としているというふうに端的に私はこれを理解しているわけでございますが、さて、借地農業の導入ということで、直接農地法の改正ということではなくて、農振制度の枠内に組み入れて、その一定区域内の農用地の流動化のために市町村が介入して、農用地を農業に意欲を有する農家に利用させる、その場合に農地法の規制から除外するという方式を採用して本法が提案されておるわけでございます。 このような農地制度に重要な改変を行うということになっておるのでございまして、それにもかかわらず直接農地法の改正によらないで、農振法において、農業の基本法制ともされるところの農地制度に穴をあけようとするというふうにしておるわけでございますが、政府においてもこれに対する趣旨説明をいろいろとなさっておられますけれども、これについては、その妥当性が実際にどうであるかということに、いろいろと巷間で問題を持ちかけておるわけであります。私もまた、本法審議に当たっては、こういうことについて政府の見解を明らかにしておく必要があると実は思っております。本来ならばこれは農地法で堂々とやるべき問題ではないかということが言えるわけですが、この点については、本法提案に当たって、政府はどのように検討して国民に理解を求めようとされるのか、明らかにしていただきたいと思います。
○大山政府委員 先生の言われますのは農用地利用増進事業についてのことと理解するわけでございます。開発規制でありますとか、こういったようなものは農地法で規定をすることは不可能なものであろうというふうに考えているわけでございますが、農用地利用増進事業の中身そのものにつきましては、先生が言われましたように、市町村という一つの調整機能、つまり、安定的な安定性の確保という意味から、市町村というものの関与する中におきまして、一定地域内の農民の総意によって、そこに貸したい者は貸す、そして規模拡大を図りたい者はその利用権の集積の中に規模拡大を図ってまいる、こういうことが増進事業であるわけでございます。そういうことになってまいります農用地増進事業でございますので、これはむしろ農用地区域に限って行うのにふさわしい事業であるということが第一点でございまして、第二点といたしましては、農振計画を策定いたします主体は市町村であるわけでございますが、その市町村が行います地域単位の事業というものがこの利用増進事業であるわけでございまして、そういう地域単位の事業ということはむしろ農地法にはなじみがたいということが第二点でございます。さらに、第三点といたしましては、農振法の理念でございます土地の農業上の有効利用を確保するということが第三点としてあるわけでございますし、さらに、第四点といたしましては、農振計画には農地保有の合理化促進に関する事項が含まれている。こういう四点からいたしまして、農地法ではなくて農振法によって利用増進事業を規定したわけでございますが、これは農地法に入れることではなくて、むしろ農振法に入れるにふさわしい事業というふうに考えているわけでございます。 ただ、こういう事業の性格といたしまして、現在農地の流動化が進まないゆえんのものの一つに、耕作権の法定更新というような問題が賃貸借による流動化を阻害しているということにかんがみまして、法定更新はさせない、ただ事実上継続して、先ほど言ったような仕組の中でこういう事業が続けられるという中において利用権の集積を図ろう、こういうことでございますので、その限りにおいて、例外を附則に置いて農地法の改正としていたしているわけでございます。
○瀬野委員 農林大臣、局長からいま答弁がありましたが、大臣にお伺いいたしたいわけです。 いま、農地法と農振法の関係で申し上げたわけですが、私が言わんとするところは、いわゆる農地法の本体があるにもかかわらず、この農振法で本法改正を今回やっている、こういったことは農地法で堂々とやるべきじゃないかという声があると言うのです。私はある程度この意味はわかるのですが、後で議事録を見る人のためにも大臣の見解を聞いておきたいということで冒頭にこういつたことをはしょって聞いておるのですが、御存じのように、従来から農地法の擁護論もあれば、農地法を廃止してくれという意見もあったわけですね。両論があるわけです。 今回の本法改正案が出てまいりまして、農振地域の中のまた農用地といえば限られた土地になってまいりますけれども、今年度はおおむね百地区を指定し、来年は二百地区というふうにだんだんふやす予定のようでありますが、いずれにしても、将来本法によって相当拡大していくということになるとなれば、農地法そのものが影が薄くなっていくのじゃないかというような見方もしている方もあるわけでございます。そういった意味で、農地法の廃止論と存続論との間をうまく縫ったような法案という形で提案されているが、そうではなくて、この改正案というものは堂々と農地法の改正で出すべきじゃなかったかという声がある。こういう世間の批判に対して、いまにわかにすぐに皆様方が変えるということは——提案者だから変えるわけがないのでありますけれども、そういう批判に対して農林大臣はどういう見解を述べられるのか、国民にどういうふうに説明されるのか、その点を私はお伺いしているわけです。
○安倍国務大臣 農地法と農振法との関連でございますが、農地法の特例を農振法で設けることになっておるのではないか、そういうことに対して国民の前に農地法と農振法との位置づけを明らかにしろということであろうと思うわけでありますが、御存じのように、農地法が、農地についての権利移動統制や小作所有制限、賃貸借解約制限等によって耕作者の地位の安定と農業生産力の増進を図る上で果たしている役割りはきわめて重要であり、今後ともこれを維持していくという考えはもちろん変わりはないわけでございます。しかし、最近におきまする農村の土地事情から見ますと、わが国農業の自給力の向上を図るために農業経営規模の拡大と農用地の有効利用を一層推進するための措置として、農用地利用増進事業と特定利用権の制度を設けるとともに、農業用の土地に係わる開発規制を強化することが必要であると考えたのでありますが、これらの措置は農振整備計画を達成するために、農用地区域内に限定して、土地の農業上の利用を促進するための措置として農振法の中に規定することが適当であると考えたわけであります。したがって、今回の農振法改正は、農地法という基本法制は堅持しながら、農振法による農用地区域内に限って農振法の目的とする土地の農業上の有効利用の促進措置を実施することといたしたわけでありまして、これは農地法の統制理念が許容する範囲において、これらの措置に必要な限度において農地法の特例を設けることとしたわけでございますので、農地法の根幹に触れるわけではございませんし、農地法の許容する範囲内において今日の農業振興の上の特例というものが設けられたものであるから、これはこれからの農政を進める上におきまして、農業法制上の根幹としてともに役割りを果たしていくものである、そういうふうに思っております。
○瀬野委員 それでは、整備計画の問題に入る前に、若干関連がございますのでお尋ねしておきたいと思いますが、御承知のように、現在は地価も高いし、また農家も財産として農地を保有するという傾向がかなりあるわけでございます。そういった中で、今回の本法提案によって、農地法の耕作権に触れずに流動化しようとするものでありますが、本法の中身を見ましたときに、私は、利用権というものが実際にどういうふうな形態でいくであろうかということを考える。また、その利用権のダイヤ編成といいますか、扱う役は、これは大変な仕事になると思います。おそらく、一年、一年でやる場合もあるでしょうが、少なくとも三年ぐらいを平均にやることになるだろう。四年、五年というのもありましょうし、いろいろあると思いますけれども、相当な手数になるんじゃないか。しかも、その作付の時期によって、米なんかは御承知のように五、六月に苗をつくって田植えをして、そしてまた秋に刈る。一年のうちにこれが植えつけから収納までできますけれども、実際に、イグサだとか季節園芸のスイカなども二年越しになる場合もありますし、果樹の場合は相当年数がかかるし、いろいろなことがあると思う。そういったことで大変な作業量になっていくんじゃないかというように思っております。 そういったことで、借りる方も、実際に経営の安定という面からいくと、一年やそこらではどうしようもないという問題も起きてきますし、そういったことを思いましたときに、この資本投下というものも思い切ってなかなかできない。休耕田のあいたところなんかをもとのりっぱな水田にしたり、あるいはまた畑にするためには、場合によってはかなり時間もかかるし、年数もかかるし、ようやくりっぱになったら、また今度は期限が来たということになっても思い切った資本投下もできない。こういうようなことがいろいろ起きてくると私は思うのですけれども、そういう点についての、作付のダイヤ編成といいますか、それから作目によっては収穫時期が違うわけですね。そういったことはどういうふうに指導していかれるつもりなのか、その辺もひとつ明らかにしていただきたいと思う。
○大山政府委員 利用増進事業というもののよってきたるゆえんのものといたしましての農用地の流動化、これは資産的保有意識でありますとかあるいは耕作権が強くて自由な処分権が留保しがたい、こういうようなことが原因になりまして流動化が一般的に非常に進まないというふうな事態がある。ところが、また、一方では、経営規模を労働事情等から縮小したいという者がある反面、経営の規模を拡大したいという者もある。そこで、貸し手、借り手の間を結ぶ方法ということが第二の問題。そして第三番目には、現実に請負等によって実質的に規模を拡大しようとする動きがある。こういうようなことから、土地利用型の農業におきまして、市町村の関与と、それから所有者あるいは利用者等の集団的合意という、その枠組みの中におきまして一定地域内の利用権を計画的に組織的につくっていく。そして実地的に継続、安定させようというのがこの利用増進事業の趣旨であるわけでございます。 そこで、存続期間という問題が非常に大きな問題になってまいりますけれども、そういったような地方の実情に応じてつくられる利用権であるということでありますので、やはり参加者の多くが希望する期間ということ、むしろ安心して貸せること、貸すことについて不安をなくし、その結果として、一定期間ごとに繰り返しこういうことが続けられるという中において借り手が安心して投下できるような利用権の集積ということにしたいというのがこのねらいになるわけでございます。そこで、参加者の多くが希望する期間ということは、これはむしろわれわれは当初においてはそう長期であることは必要でないというふうに考えたわけでございますけれども、やはり、一年なり、あるいはその整数倍ということに相なろうかと思っております。 ただ、実際問題といたしまして数種目の作目が混在しているという場合があるわけでございます。そういう場合におきましては、短い期間の存続期間と、それから長い期間の存続期間を有するという幾つかの種類が出てくるわけでございますけれども、最後の最も長いものの存続期間が終わる時点には、その短い期間のものもすべて経過する、何回か繰り返す中で経過する、こういうかっこうで長いものの存続期間が終わったときにまた計画を繰り返しっくれるというようなことにいたしたいというふうに考えているわけでございます。 そういう中におきまして、継続して実体的に、賃借権といいますか、利用権が安定するということを期待し、そしてそこに利用権を設定する者が安定的に投下できるというふうにすることが必要であろうというふうに考えているわけでございます。これは地方の実情によって異なります。したがって、いわば統一にどうせいというようなことよりは、むしろ、指導といたしましては、優良事例を配付するという中において、地方地方の自発的な総意というものの中でこういうかっこうのものが生まれ、繰り返され、そしてその中に利用権の集積が図られていくというふうにいたさねばならぬというふうに考えるわけでございます。 そこで、そういうことを経る中におきまして利用権の設定を受けた者は、安定的に資本投下ができるわけでございます。それで、投下いたしました資本というものの回収ということにつきましては、たとえばそれが土地改良事業でございますならば増価額ということになりますし、一般の土壌改良的なものでありますならば、これは民法の有益費の償還の規定ということになるわけでございます。そこで、そういう有益費の償還の取り扱いにつきましては、これもまた利用増進規程なり計画の中に入れまして、両当事者間の合意を得ていく、そして、第三者である市町村なり農業委員会がそれらの有無あるいは額の決定をするということでトラブルをなくし、貸す方も安心して貸し、借りる方も安んじて長期に投資ができるようにしたい、こういうふうに考えているような次第でございます。
○瀬野委員 それで、局長からそこまで答弁がございましたので、結局、この離作料という問題は本法では考えていない、と、こういうふうになっているようですが、確認のためにその点もお答えをいただきたい。
○大山政府委員 いま、流動化が進まない中の、賃貸借による流動化も進まないゆえんのものに、いわば法定更新という問題がある。それは逆に言うと離作料の発生ということでございます。また、逆に貸し主から言うならば、上土権分だけ価値が下がるということが貸したがらない原因にもなる。こういうことでございますので、この利用権につきましては、これが有益費の償還という問題は別といたしまして、離作料の発生しないということがやはり、貸し方の安心して貸せる最大のポイントの一つだというふうに考えている次第でございます。
○瀬野委員 そうすると、ついでにお伺いしておきますけれども、賃貸料というのはどういうふうなお考えでお決めになる方針であるか、これも明らかにしてもらいたいと思います。標準小作料というものが、農林省の調査で、三年置きでしたが、決まるわけですけれども、そういったものを基準にされるのか、その点御答弁をいただきたいと思います。
○大山政府委員 借賃につきましては、標準小作料というものが現在決められております。そして、大体三年に一遍ずつ経済事情の変化に応じて改定するということにいたしておりますので、原則的には標準小作料を基準にするのが一番好ましいというふうに考えているわけでございます。 ただ、地域によりましては、標準小作料と実勢小作料と大きく差のあるようなところもあるわけでございまして、つまり、実勢小作料が非常に高いというところもあるわけでございますが、そういうところで標準小作料というものに余りこだわりますとまたまずいということもございます。したがって、そういうところにおいては、標準小作料の趣旨に反しない限りにおいては、実勢小作料というものも考慮する必要があるであろうというふうに考えているような次第でございます。 それから、統制小作地が利用増進事業の対象になる場合があると思いますが、その小作人がいわば中間地主的なものとして——あれはたしか四十六年から五十五年までだったと思いますけれども、統制小作料がある。これは平均して四千七百円くらいでございますが、一般の標準小作料が一万二千円程度のシグマ四千円くらいということに相なっている現段階におきまして、小作人が中間地主的なかっこうで中間利潤を得るというのも好ましくございませんので、そういうところについては小作料によって賃料を決めるか、あるいは統制小作地というものを解約してもとの地主と利用権者との間において利用権を設定する、その場合の小作料は標準小作料を基準にさせる、このどちらかの方法をとるように指導していきたいというふうに考えるわけでございます。
○瀬野委員 そこで、今回本法を提案されまして、いま概略の説明を伺いましたが、こういったことで農地の流動化が期待する方向に事実果たして進んでいくかどうか、どのような期待が持てるか、いろいろとこれは疑問があると思うのです。御承知のように、地価も相当上がってまいっておりますし、現にやみ耕作、請負耕作等が相当進んでおりまして、先ほど申しましたように後追いみたいになっておりますから、その点の見通しといいますか、どういうふうにこれに将来期待をかけておられるか、その点の展望についてこの際答弁をいただきたいと思うのです。
○大山政府委員 御指摘のように、最近におきます地価の上昇ということから、農家の資産的保有傾向というものが非常に強まっているわけでございます。そこで、農地の売買あるいは賃貸借による農業経営規模の拡大というものは進んでいないというのが現状でございます。所有権の有償移転というのも、毎年大体六万ヘクタール程度で頭打ちになっております。その内容を見ますと、いわゆる出す方と受ける方というもののバランスが受ける方に多くなっておりますのは、内地においては五反歩というようなところからでございます。北海道におきましても、いままでは七町五反から十町層にあったわけでございますが、四十八年にはむしろ十ヘクタールから十五ヘクタール層まで、一階層が上がってしまっている。逆に言うと、これだけでは必ずしも断定的には言えませんけれども、北海道においても農地の売買による規模拡大というものがむしろ頭打ち、後退しているというような事態にあるわけでございます。賃借権の方につきましても、農地行政上の統計資料で見る限りにはむしろ零細化の傾向をたどっているというような事態があるわけでございます。ただ、農業調査等で見ますと、規模の拡大は、微々たるものでありますが進んでいる。こういうふうな中において、いわば請負耕作でありますとか、委託耕作というようなものが相当の程度において行われている。それがいわば規模拡大の方向になってきているというふうに農業調査上は出てくるのであろうというふうに思うわけでございます。 こういうふうな請負耕作なり委託耕作というものが相当の範囲において行われているということは、逆に言いますと、所有権は保留しながらも規模を縮小したいという人と、やはり規模を拡大したいという人と、両方に分化しつつあるということのあらわれであろうというふうに考えるわけで、こういうふうな動きということをとらえますならば、農用地利用増進事業というものが相当の機能を発揮する可能性を持っているのではないか、発揮することが期待できるのではないだろうかというふうに考える次第でございます。この請負耕作あるいはやみ小作というようなものは、これは個々のそれぞれの事情によって行われていることでございますけれども、これは農地法上から見た場合には決して好ましいことではございません。これを放置するということは逆に農地法を後退させるということにもなるわけでございまして、この際、こういうふうな傾向の中で、いわば利用権による集積という中で規模拡大を図ることが逆に農地法の精神を強化するということにもなるものであろう、こういうことによって農用地利用増進事業というかっこうの新たな規模拡大への道というものの将来性というものはかなりの程度にはあるだろう、と、こういうようにわれわれとしては思うわけでございます。 ただ、先ほど来申し上げましたように、これは地方、地方によって非常に事情が違います。したがって、どこでもかしこでも画一的に奨励するということよりは、むしろ、そういうふうな条件が整備され、市町村なり農協なりがそういうことに対し非常な熱意を持っているというようなところから進めてまいるというような方向で進めてまいりたいというふうに考えるわけでございます。
○瀬野委員 次に、本法審議に当たって特に詳しく当局の見解をお聞きしなければならぬ問題がございます。それは、市町村の作成する整備計画の問題でございます。冒頭に農林大臣にお伺いしますので、そのつもりで注意をして聞いておっていただきたいと思います。 本法が昭和四十四年に発足しましてから、御承知のように、農振地域の指定とか整備計画の作成というものが毎年進めてこられたのでございますが、政府の資料によりますと、昭和四十九年十一月三十日現在で三千二十四の地域指定が行われ、二千九百七十二の整備計画が作成されておるわけでございます。この市町村の作成する整備計画というものは、その内容を見ましたときに、膨大な予算をかけまして数年にわたって調査をいたしたわけで、農用地利用計画では末端の地番に至るまで明示されて、その他基盤整備、開発計画、農地移動の円滑化計画、農業近代化施設整備計画等、きわめて具体的なものが、分厚い数冊の冊子になって出されております。 そこで、この市町村の整備計画の作成は農家に対する規制を伴うものであるから、農民の合意を得るために、慎重に、しかも長日時をかけて行われてきたのでございまして、一般的な手順として、市町村に事務局または協議会を設置し、基礎調査、構想の作成、協議会での原案決定、部落座談会の開催等を経て計画案を作成し、農用地利用計画の案については特に公告、縦覧に供した後に認可申請を行うというようにしてこの整備計画というものが出されたわけで、短いものでも約二百数十日、また、長いものでは二年も三年もかかって出されたというふうになっておるわけでございます。 この整備計画は、農民合意によるところの市町村の各機関が協議した結果のものでございまして、まさに下から積み上げられた現実的な計画であります。今回の提案の農振法と違いまして、上からではなくて下から上がった計画であります。農林省の諸計画で、農民参加による下から積み上げられた計画は、いままでにこういったことはなかったと言われるだけに、貴重な、しかも血と汗の計画である、と、かように私は認識をいたしておるところでございます。将来農政推進の基礎的データを盛り込む計画であるとの高い評価もされておりますし、これを単なる市町村のマスタープランとして埋もらせるということは相ならぬというふうに指摘したいのであります。絶対にこれを生かさねばならぬと思います。この計画を全部集計して積み上げれば、今後の農業のガイドポストにしても、指標にしても、本当に地域の実情に即した計画が立つし、この積み上げによって今後の農政推進の貴重な基礎が確立される、と、かように私は理解をいたしております。 そこで、この市町村が立てます整備計画というものは、現下の危機的な農業の時期に当たりまして、農政上に重大な役割りを果たさねばならぬ。そのためにこのような膨大な経費と時日をかけてつくってきたわけです。これが単に農林省のポーズだけに終わって、そしてこれを死蔵させるということがあっては相ならぬということをしみじみと私は感じております。 これが本法提案に当たって十分に生かされるかどうか、私は大変疑問を持つのでありますが、市町村が作成するこの整備計画について、今後これをどう使っていかれるのか、その点について農林大臣から明確にお示しをいただきたい。
○安倍国務大臣 ただいま御指摘がございましたように、農振地域整備計画につきましては、市町村当局、さらに当該住民の皆様方の意見を十分にくみ上げて、そのもとにおいて、いまお話しのように熱心な討議の結果作成をされました貴重な計画でございまして、これからの農政を推進する上におきましては、われわれとしては最もこれを重視していかなければならぬと考えるわけでございますので、この計画は尊重し、この計画に基づいた農政上の配慮を加えつつ進めていきたい、こういうふうに思っております。
○瀬野委員 農林大臣は当然のことを決意を持って述べられましたが、局長、あなたは具体的にはこれをどう生かしていくつもりであるか、また、この計画を貴重なものとして考えておられるのか、その点、局長の立場からも答弁をいただきたい。
○大山政府委員 御指摘のように、農振計画は大変なエネルギーと英知を集め、下から盛り上がるかっこうにおきまして、農用地利用計画、あるいは生産基盤、農地移動の円滑化、近代化施設の整備に関する事項というものを定めているわけでございます。簡単に申し上げますならば一つの受けざらでございます。しかしながら、この整備計画の策定というものは、食糧の安定的供給という基本目標を達成するために、今後農業振興を図るべき土地につきまして、農地の有効利用あるいは農業近代化のための措置を計画的に推進するということでありますので、長期的観点からいたしますならば、各地域の農業生産に必要な土地利用あるいは施設整備の枠組みを定めるという機能を持っているわけでございます。したがいまして、今後、生産目標というようなものにつきましての六十年見通しというようなものが確定してまいります。そうすると、それに基づいて地域分担というような問題も出てまいりましょう。そういう際には、それと生産の誘導方法との調和を図るということが必要になってくると思っております。 さらに、土地改良長期計画といいますか、基盤整備等につきましては、この農振計画の農用地というものに対しまして、それで定められている中身というものを十分に尊重する中で、計画的に、そして土地改良長期計画に基づく基盤整備等を推進してまいるというふうにしなければならぬ、また、そうする覚悟で今後に対処してまいりたいというふうに考えるわけでございます。
○瀬野委員 私も過去に十数年役人をした経験があるけれども、えてしてこういうものは、国会やら、地方で言えば県会等で追及されたり、また世間のいろいろな批判がありますと、何か農林省はやらなければならぬということで、かつて私がいろいろ追及しましたカントリーエレベーターみたいなかっこうのいいものを農村につくってみたり、基盤整備をかっこうよくやったり、草地改良をやったり、あるいはこういう計画案もりっぱなものを出させる。ところが、後始末がなかなかうまくいかない。結局相当な時日と金を使ってやったけれども、それを生かそうとするところに力が入らないで、結局死蔵してしまうということが往々にしてある。今回のこれも相当貴重なものである。これを本当にやっていけば、今後農業の基本の方針というものがいろいろと立っていくわけだし、これを生かしていかなければならぬ、と、こういうように思うわけです。 そういった意味で、過去にそういった例があったからといって、現在の大山局長や農林省当局がそうであるとは私は申しませんけれども、えてしてそういうことがよくありがちでありますので、これは相当な金と時間をかけてやった計画でありますので、どうかひとっこれを生かしていただきたい。また、われわれも機会あるごとにこれの進捗、利用については指摘していきたいと思っております。それだけ申し上げておきます。 そこで、市町村が作成しました整備計画は、御承知のように四十九年十一年三十日現在で、先ほど数字を申し上げましたが、現在五十二地域がまだ残っているということになる計算になります。どうしてこの未策定地域の計画策定がおくれておるのか、その理由はどういうところにあるのか。この理由がまた問題でありますので、その理由についていろいろ政府の見解を聞きたいので、明確にお答えをいただきたい。
○大山政府委員 先ほどの二千九百七十、これは昨年の十一月現在でございます。二月二十日現在、三千二十四の中で計画の完了いたしましたのが三千八ということで、残は十六地区ということに相なっておるわけでございます。九九%以上ということでございます。 現在策定のいまだ確定しておりませんのは、たとえば空港との関連における問題でありますとか、あるいは都市計画的な問題との関連における地元の調整でありますとか、こういったようなことが主たる原因で、あと十六地区が残っている、こういうふうな事態でございます。
○瀬野委員 局長、その十六にしても、つい先日までは五十二地域がおくれていたわけですね。またずいぶんおくれてきたところもあったんだけれども、皆さん方がメリット通達を出したり何かして、少しえさみたいなものを与えたものだからあわててやったというようなことも言われているわけですけれども、いずれにしても、かなりおくれて作成したところもあるし、現にまだ十六残っているということですが、その残っているのは、いま一、二申されたけれども、まだほかに理由があるでしょう。えらい遠慮して理由を言われたけれども、五つ、六つある理由を全部述べてもらいたいわけです。
○大山政府委員 おくれております理由は、先ほど申し上げましたように、都市計画とか、こういった他の法律制度との調整がうまくいっていないようなところ、あるいは都市化の進展等に伴いまして、農業用の利用と都市的な利用というものが競合いたしまして、地元農業者の意向の調整がおくれているというようなことによるわけでございます。われわれといたしましては、これらの地区につきましても速やかな策定ということを期待しておりまして、現在のところ指定の解除というようなことに立ち至るところはないというふうに理解しているわけでございます。この策定がいまだ終わっておりませんところというのは、愛知県でありますとか、奈良県、福岡県といったようなところに散在しているという現状でございます。
○瀬野委員 このおくれた理由はいろいろあるわけですけれども、特に、乱開発あるいは買い占め等が予想外に進んでどうしようもないというところがあるわけですが、それはどこどこでございますか、お答えください。
○大山政府委員 現在未策定の地区は、青森県の六ケ所村、山梨県の河口湖、愛知県の小牧、京都の精華と木津、兵庫県の明石、三田、奈良県の大和高田、橿原、御所、明日香、鳥取県の境港、香川の宇多津、福岡の小竹、それから鹿児島の喜入、こういったようなところでございます。
○瀬野委員 一応伺いましたが、これらのところは乱開発、買い占め等の問題で予想外に問題がいろいろと深刻で、進んでいないところであります。個々についてもいろいろ問題があるわけですけれども、これはまた次の機会に、時間が一時間余りありますからいろいろ詳しくお尋ねすることにして、きょうは全般についていろいろお尋ねしたいと思いますので、次に進みます。 整備計画がおくれている理由の中に、もう一つは、農林省が今回本法を提案するに当たっては、結局地元で請負耕作その他が進みまして、後追い的な法案だというようなことで、本法に対する期待が持てずに、メリットが余りないということから、怠慢によってこの作成をおくらせているという声をあちこちで私も聞いております。この声はかなりあったわけです。そこで、現在は十六カ所になったと言うのですけれども、そういう点を見ましても、今回の本法の提案というものがいろいろと批判が厳しいということを十分知ってもらわなければならぬし、十分御承知だと思いますけれども、いわゆるメリットが余りないというようなことからそういうふうに作成がおくれてきた、こういうことを指摘せざるを得ません。そのことも大臣も十分認識をして、残った十六地区に対しての対処を今後やっていただくと同時に、せっかく出た計画については、先ほどの決意で述べられたように十分生かしていただきたい。このことを申し上げるわけでございます。 そこで、全国の市町村でつくられました整備計画が、あと十六を残して、ほぼ九九%以上でいよいよ完了が近くなったわけでございますが、この計画と、農振制度創設後公表されました農業生産地域指標の試案というものがありますし、さらには農産物需給の展望と生産目標の試案と、もう一つは新土地改良長期計画等、こういったものがあるわけですが、この整備計画は、これらとの調整を考慮しながらの再検討が当然必要であるというふうに私は思うわけです。また、当然そうせねばならぬと思うわけですが、いま申し上げた三つの試案並びに計画等に対して、計画変更をするというような考えで農林省は決意をし、検討されておるのか、その点を明らかにしていただきたい。
○大山政府委員 先ほど来申し上げておりますように、農振計画というのは、農用地の利用計画あるいは生産基盤整備、開発、それから農地の移動の円滑化、そして近代化施設の整備、この四つの事項を定めるものでございまして、先生御存じのように、生産の内容でありますとか生産規模そのものを定めるわけではないわけでございます。 そこで、先生が御指摘になりましたように、農産物の需要と生産の長期見通しというものについて現在農政審議会において御審議をいただいているわけでございますが、地域分担その他の試案というようなものもいろいろと出されたわけでございます。しかし、そういったものができましても、先ほど申し上げましたように受けざら的な色彩が非常に強いわけでございますので、こういうことによって直ちに農振計画の全面的な再検討ということが必要になるというふうには考えていないわけでございます。 ただ、農振整備計画の目的というのが食糧の安定的な供給ということであり、そして、そのために、今後農業振興を図るべき地域について、土地の有効利用なりあるいは近代化の措置を計画的に進めるということでございます。そして、長期的な観点から見ますならば、この農振計画というものは、各地域の農業生産に必要な土地利用あるいは施設整備という枠組みを定めるという機能を持っているわけでございますので、こういった各種の生産誘導方向というものとの調和は常々図りながら進めてまいるということにいたさねばならぬだろうというふうに考えるわけでございます。
○瀬野委員 局長、いまの答弁を聞いていて、途中でちょっと私はほかのことを考えていたものだから聞き漏らしたところがあるけれども、局長の答弁によると、一口にして言えば、この整備計画というのは土地利用区分の農業地図だというふうな意味合いで受けとめておられるというふうな印象を受けたのですが、そんなふうに理解していいですか。
○大山政府委員 マスタープランでございますし、それから、もう一つは、いろいろの施策を引き受けるいわば受けざらということでございます。それで、受けざらであるがゆえに、長期的な視野に立っての各種の生産誘導措置というものとの調和は常々とるような方向で、必要に応じてその中身を検討していかねばならぬ問題である、こういうことを申し上げたわけでございます。
○瀬野委員 それで、関係市町村は幾つで、整備計画を出していない市町村はあと幾つあるか、ちょっとそれだけ数字をおっしゃってください。
○大山政府委員 先ほど申し上げましたように、二月二十日現在で、十六地区、十六市町村というものが本土においてまだ出ておりません。それから、沖縄におきましては、これがスタートがおくれておりますので、四十九地区の中で七つが策定を完了したという段階でございます。あと四十二地区がある。こういうことでございます。
○瀬野委員 それでは、この整備計画についてさらにお尋ねしてまいりますが、各県はこの整備計画に対して大変な期待をかけております。いよいよ十六地区でこの作成が終わるということでございますが、作成がほとんど九〇%以上完了する段階において、各種事業の実施方式というものを改めていただきたいというのが各県の要望でございまして、整備計画を基礎としたところの総合的、一体的な事業実施計画を立てていただけないものだろうか。たとえて言いますと、農振地域総合整備事業としての農業の基盤から施設に至るまでの整備事業、さらには、環境整備に至るまでの総合的な一体的な事業としての実施計画を立てていただきたいとか、そういったものが早くできて、区域内の事業というものに国や県でもって十分助成をしていただいて推進を図っていただきたいとか、基盤整備の事業についても高額の国庫負担をやってもらいたいとか、また、融資の金利の引き下げあるいは各種税制の一層の優遇措置も講じてくれとか、こういうことで各県の要望が強いわけでございますけれども、いまも局長からいろいろと答弁がございましたように、そういったこともあわせて十分御検討いただいて、今後十分これが生かされていくようにさらに検討を進めていただきたい、かようにお願いをしたいわけであります。 そこで、次に質問をしてまいりますが、昭和四十四年の農振法の審議の際に、単なる計画に終わらせずに、農振地域に対しては施策の計画的、優先的な実施をする必要性があるということがかなり論議された経緯があるわけでございますが、この計画の推進に当たりまして、農林省においても、昭和四十八年の七月に「農業振興地域整備の推進について」というメリット通達——普通そう言われておりますけれども、そういう次官通達を出されております。この通達の内容を見ますと、事業の実施手続だとか補助率等、依然として従来どおりのような内容となっておりまして、さっぱり前進が見られず、関係者という関係者は不満の意を漏らしております。こういったことが、先ほどから言いましたように、計画を提出するのがおくれてみたり、いろいろな点に支障が来ておる因にもなっているわけですけれども、実際に今回この農振法改正案を提案されるに当たって、農家に対する税制上の優遇措置またはその他の優遇措置にしても、従来から見てメリット通達というように言われているのだから、従来からの事業実施手続とか補助率の問題についてもどのように今回変えるのか。その辺についても農家の皆さんが納得するような方向で進めてもらいたいわけですが、その辺の検討をどうされたか、明らかにしていただきたいと思います。
○大山政府委員 農振のメリット通達というものを出しまして、ある程度農振が全国に網をかぶせ終わった現在でございますので、今後の国の補助なり融資というものにつきましては、生産の基盤整備あるいは生産の近代化、あるいは農地保有の合理化という事業は原則として農用地区域だけを対象とする、それから、生活環境だとか広域的な流通、加工といった事業についての近代化については原則として農振地域を対象として実施する、こういうことにいたしたわけでございます。現に、その後も、土地改良事業につきましては、その対象地が農用地区域にあることを確認した場合に着工するということにいたしておりますし、過去においてすでに着工済みの地区につきましても、農用地区域に入っていないところは事業をやらないというふうに決めて、現在そのとおり実行しているような次第でございます。 〔委員長退席、中川(一)委員長代理着席〕 そこで、重立った事業というものは農用地区域あるいは農振地域以外では行われないということに相なるわけでございまして、その意味におきまして、それらの事業に伴います地元負担の軽減という問題につきましては、農家の経済事情等を考慮しながら、採択基準を緩和するというようなことあるいは補助残融資につきまして、これも五十年度にさらに改めましたけれども、全額融資という枠を広げるというような措置を講じておりますし、ときにはまた補助率の改定というようなことも行っているような次第でございます。 〔中川(一)委員長代理退席、藤本委員長代理着席〕 また、税法上の優遇措置といたしまして、土地の譲渡取得等につきまして、譲渡所得税でありますとか、登録免許税あるいは不動産取得税というようなものの軽減措置を講じているような次第でございます。
○瀬野委員 次に、それでは本法第十五条の二でありますが、農林省が目玉と言われる農用地利用増進事業について若干の質問をしてまいりたいと思います。 御承知のように、農地法三条、六条、九条の適用除外ということになるわけでありますが、まず、農用地利用増進事業を市町村の責任において行うというふうにされたわけですが、それはどういうことでそういうふうになさったのか、その点をまずお答えいただきたい。
○大山政府委員 本来的に利用増進事業というものにつきましては、地域農業者が一定の地域内におきまして、集団的な合意を自発的な合意のもとで利用権を設定してまいるということがねらいであるわけでございます。ただ、問題といたしまして、それが安定、継続的に実施されなければならぬわけでございますので、そういう意味において、最も安定的、継続的にこれを進める主体という意味におきまして市町村の関与をお願いしたような次第でございます。
○瀬野委員 これまた本法の大きな問題点になるわけでございますのであえてお尋ねするわけですが、この農地法の運営、管理というものは、農地改革以来、現在の農業委員会法第六条によりまして同委員会が所掌するところになっているわけでございます。にもかかわらず、市町村をその管理主体とすることは農地管理の二元化を招くということで、これまた全国農業会議所からも、政府に対しても、また農林省に対しても要請があったと思うし、われわれの方にもこれに対しては強い要請が参ったのでございます。そこで、去る五十年二月十七日付で、都道府県農業会議会長会議並びに全国農業会議所の連名で、「農業振興地域整備法の改正案に関する要望」というものが農林省にも出されていると思います。四項目にわたって出されておりますが、これに対しては、いろいろと大きく修正をするなり、また、本法審議の最後においてはいろいろと検討しなければならぬ問題がたくさんありますが、この四項目の要請に対して当局がどのように検討されたのか、その内容をひとつ説明をいただきたいと思う。
○大山政府委員 五十年二月十七日に、農振法の改正に対する要望が都道府県の農業会議会長会議と全国農業会議所から出されているわけでございますが、その点の問題点として出されております第一点は「開発規制について」でございます。 開発規制という問題を農用地区域に限るべきではないということであるわけでございますけれども、農用地区域というものは、市町村が縦覧、公告等の手続を経まして、慎重に、今後相当長期にわたって農用地として利用すべき土地というふうに決めたところでございます。そこで、そういうところにおきましては、農業用の目的に使うということがすべての者に納得されているわけでございますので、したがって、そこに対して開発規制を加えるということは許されることであるというふうに考えるわけでございます。 ただ、農用地区域外の農振地域ということに相なりますと、そこ集落もあれば、川もあり、道路もあり、いろいろのものがあるわけでございます。それは全体としては一体として農業の振興を図るということではございますが、個々のものから言うならば、それがそれぞれの目的を持って存在しており、こういうところについて開発規制を加える基準というものはつくり得ないということに相なろうかと思います。 そういうことから、開発規制は農用地として位置づけられたところに限って、その目的のために規制するということが許される農用地区域に限るべきであるということで、農用地区域に限っているような次第でございます。 それから、そのときに都道府県知事は農業会議の意見を聞くことを義務づけるようにしろということがその開発規制に関連して出ておりますが、この点につきましては、まず開発許可の申請書を出しますときに市町村を経由することを省令で定めまして、その際に農業委員会の意見を付するようにしてまいりたいというふうに考えます。また、都道府県知事が開発許可をしようとする場合の農業会議の意見を聞くことにつきましては、これは農業会議というものが農振の振興協議会の有力なメンバーでもあるということから、当然に意見を聞くようにいたしたいというふうに考えているような次第でございます。 それから、「農用地利用増進事業について」でございますけれども、耕作権擁護の基本理念のなし崩しとならないように両者の関係を明確にしろという問題でございます。農地法というのは、個々の耕作権に関する限りは、耕作者の地位の安定と生産力の増進ということを根本としているわけでございまして、具体的には個々の地片についての統制をいたしているわけでございます。農用地利用増進は、農業者内部におきまして、一定の地域内において、市町村の関与のもとに、農業者の全体的な合意のもとで、継続的に安定的に利用権を設定してまいろうというものでございますので、いわば農業者内部の問題である。それならば、農地法の耕作権の——しかもそれをやる場合には、いわば、その法定更新ということが流動化を阻害する大きな要因であるので、農民同士の合意の中で決められる利用権というものについては法定更新という農地法の例外をつくるにいたしましても、これは農地法の言う耕作権擁護というものの一般的な後退になるわけではないというふうに理解しているわけでございます。 とともに、農地行政の二元化による混乱を防止しろという問題でございますけれども、市町村が利用増進規程を定める場合には、これは省令をもちまして農業委員会の意見を聞くことにいたしております。それから、都道府県知事が認可する場合におきましても、やはり省令で農業会議の意見を聞くことを義務づけてはどうだろう、と、こういうふうに思っております。 それから、利用増進事業の第二の問題といたしまして、運用に当たっての配慮事項が出ておりますが、「対象地域については条件の熟した地域に限定すること。」というのは、これは当然のこととして、われわれも画一的な指導はするつもりはございません。 それから、二番目として、「耕作権の安定した権利移動に誘導するよう指導すること。」というのは、現在のところ、「安定した」ということが何を意味するか非常にむずかしい問題があると思いますけれども、実体的に利用権というものが安定、継続的に続けられるということが本来のねらいであるというふうに考え、また、それが可能になるように進めてまいらねばならぬ、こういうふうに思うわけでございます。 それから、推進に当たって、あらゆる「関係機関、団体による指導・推進体制を整備すること。」というのは、これは当然のことだと思っております。 それから、大きな三番目の問題として、「特定利用権の設定について」ですが、これについて農業委員会あるいは農業会議等の意見を聞く問題につきましては、これは農地行政と重要な関係を持つものでございますので、前二者と同じように、制度上あるいは運用上これらの措置を講じてまいりたいというふうに思っております。 それから、交換分合につきまして、「優良農用地の確保・保全に十分留意し、とくに農用地区域の縮小とならないよう配慮すること。」というのも、これも当然のことだと思っております。何と申しましても、他の用途に供せられることが見通される場合に行う交換分合でございますが、この見通されるということは、これは主観的な問題としてではなくて、客観的に見通される場合に当然限るわけでございます。また、それも極力少ない規模にしたいというふうに思っております。たとえば土地改良法によります創設換地の場合に、三割というのを最大限にいたしております。それと同じように、これにつきましても一定の限度内というふうにいたすとともに、個々の問題についても最小限度にいたしたいというふうに考えるような次第でございます。 以上、大きな項目としての四点についての意見につきまして、現在考えていることを申し上げた次第でございます。
○瀬野委員 これは重要な問題でありますのでもう少しお尋ねしますが、局長、あなたはいまの説明の中で農業委員会の問題に触れられて、意見を聞くというようなことをいろいろ申されましたが、本論に入る前に、法律用語の解釈の順序といいますか、私が知っているところでは、まず一番は許可、二番は議決またはその議を経て、ということが二番になるんじゃないかと思いますし、三番目が同意、四番目に意見を聞く、と、こういうふうな順序であろうと思うのですが、局長もそのように理解しておられますか。どうですか、間違いありませんか。
○大山政府委員 いま先生の言われたような順序に、いわば強さがあるというふうに私も法律用語として理解するわけでございます。
○瀬野委員 そこで、大臣、この問題はぜひひとつ大臣にお尋ねをし、ここでにわかに答えが出ないとなれば、本法の審議の最後に、各党いろいろ検討いただいた上で、ぜひこれは修正をやっていただきたいという一つの論点でございますので、大臣にお答えをいただきたいと思うのです。 農林省の今回の本法提案に当たっての目玉と言う農用地利用増進計画でございますが、まず、方針とか地域をどう決めるとか、地代、期間等、こういったいろいろなものを規定の中にうたう、それを市町村がつくる、すなわち大綱的なものを市町村がつくるということになる、こういうふうにわれわれは理解しております。それを市町村が知事に出すわけです。出す際に、市町村は農業委員会の意見を聞く。この際は意見を聞くということで、これはおそらく省令で済む問題じゃないかと私は思います。そういうふうにこれはぜひしてもらいたいわけです。と言いますのは、御存じのように、農業委員会というものは長年実際に現地にあってそういったことをやってきておりますから、一番現地の事情に詳しいわけでございますので、ぜひそういうふうにしていただきたい。 それから、市町村はその上で今度は知事に認可申請を出す。知事に認可申請を出しましたならば、知事は市町村に対して今度は許可をするわけです。その許可をする前に、今度は県段階で農業会議の意見を聞く。これは農業会議になりますので、法律の上からこれは当然修正ということにならざるを得ない。修正をしてもらわなければならない。そして農業会議の意見を聞く、こういうふうにして市町村に許可をおろしていただく。そこで、市町村は今度はどうするかというと、規程の認可を得るために市町村で今度はいろいろと細々したことを計画で策定いたします。すなわち、知事の認可に基づいて、市町村が細々とした規程を策定して、そしてそれを今度は告示をするということになります。すなわち、告示即事業の実施ということになるわけでありますが、その告示をする前に農業委員会のいわゆる許可を得る、というふうにしてもらいたい。または、先ほど言いましたように、許可が無理ならば、少なくともその議を経て、と、こういうふうにしていただきたい。かようにわれわれは意見を持っておるわけでございます。 そういうふうなことで、ぜひこれは修正をお願いしたいと思うのですが、それに対する大臣のお考えをさらにお聞きをしておきたいと思います。
○安倍国務大臣 改正農振法と農業委員会との関連でございますが、改正農振法における内容につきましては、いま御指摘がございましたように農地行政にもかかわりがあるわけでありますし、農地の利用権の設定等につきましても農業委員会との関係も出てくるわけでございますから、この法律案におきましては、農業委員会との調整を図るということで、省令におきまして、農業委員会の意見を聞くというふうに規定をいたす考えでございます。 いま御指摘がございましたように、これを法律内にはっきり明文化するといった点につきましては、一つの御意見であろうと思います。これについては、十分承っておく次第でございます。
○瀬野委員 農林大臣は提案者でありますので、この問題についてにわかに結論が出るとは考えられませんけれども、そういったことについては十分検討するということでございますし、また、本法審議の最後までの間にいろいろとわれわれも検討してまいりたいと思いますから、当局においても十分な御検討をさらにお願いしたいと思います。 次に、農業用施設用地の問題でお尋ねをしたいと思いますが、農業用施設用地として、養鶏、養豚等の畜産団地または施設型農業の施設用地その他共同利用施設、集出荷施設、流通施設等の広範にわたる用地を対象とするようになっておるのでありますが、その取得というものはどういうふうにするのであろうか。その点について、本法の提案に当たって、この農業用施設というのは一つの大きな問題になっておりますが、具体的にお答えをいただきたいと思います。
○大山政府委員 農業用の施設用地の中身につきましては、先生がいま御指摘になりましたような生産施設あるいは集出荷施設、あるいは生産資材の貯蔵保管施設、こういうような問題があるわけでございます。 こういうような施設の用地として利用すべき土地を取得するといいますか、農用地区域に編入するという場合には、その土地の所有者等の意向を十分尊重しなければならぬわけでございますけれども、必要によりましては、今度同じく改正をお願いしております交換分合の制度を活用する等のことによりまして、計画変更が円満に行われるように進めてまいりたいというふうに考えるわけでございます。
○瀬野委員 それで、この農業用施設用地で、農林省がいろいろ計画されておる地域で、もうすでに土地が買い占められておるというふうなところが必ずあると思うわけです。そういう場合はどういうふうな対処をされるのか、その点も明らかにしておいてください。
○大山政府委員 もうすでに買い占められているような土地があって、その土地の現状なり将来の見通しからいたしまして、地域農業者のこういう利用に供すべき土地であるという場合におきましては、計画変更の際に交換分合の制度を活用いたしまして、その所有権を地域農業者なりあるいは農協というものに移転させる等の指導をいたして、その中で農用地区域に編入して利用してまいりたいというふうに考えるわけでございます。
○瀬野委員 次に、交換分合の問題でございますけれども、これは本法十三条の二になっておると思いますが、交換分合というものは土地の区画とか形質というものを変更せずに権利の移転を行うということになるわけですが、その手続というものがきわめて繁雑であり、しかも、農用地以外の土地や仮登記による権利者等までもすべてが含まれておる。最近仮登記が相当あっちこっちにあるわけですが、こういうふうな事態を踏まえて考えた場合に、交換分合を行う際にかなりの市町村が大変困難な場面におそらく遭遇するのではないか、なかなかスムーズにいかぬではないか、こういうふうなことが懸念されますけれども、そういうところは本法提案に当たって当局はどういうふうに検討して提案なさったのか、これまた明らかにしておいていただきたいと思う。
○大山政府委員 交換分合の趣旨というのは、先ほど来申し上げておりますように、農用地区域内の土地の一部がほかの用途に供されることが客観的に見通される場合行うことになっているわけでございます。そのねらいとするところは、農業と農業外との土地利用の調整というものは留意いたしますけれども、むしろ農用地として利用すべき土地の農業上の利用を確保するということをねらいとしているわけでございます。 そこで、いま先生の言われましたように、この交換分合、農地に関する限りは、いわば地権者会議の三分の二の同意をもちまして交換分合できるわけでございますけれども、それ以外の土地ということになりますと、やはり、利害関係者といいますか、その土地についての権利を持っている者全員の同意が必要である、こういう意味におきまして非常にむずかしい問題があろうかと思います。 ただ、実際問題といたしましては、単に吐き出すということがねらいではなくて、あわせてほかに入れるべきところがあればそれも入れる、そうしてそういう土地も入れて広く交換分合を行う、こういう中におきまして、それらの先生の言われましたようなむずかしい問題の解決にも寄与するのであろうというふうに考えるわけでございます。
○瀬野委員 この交換分合で優良の地が交換されて、ますます優良の地が減っていくというようなことになってはならぬと思いますが、その辺のチェックといいますか、指導はどういうふうに対処されますか。
○大山政府委員 この交換分合というのは、優良農地を確保し、農用地を純化しようというねらいでございますので、何としても優良農用地は確保しなければならぬわけでございます。したがって、農用地区域から除外する土地の選定に当たりましても、その点についての十分な配慮をしなければならぬというふうに考えるわけでございます。 なお、先生御心配のように、これが無差別に行うということになるといろいろと問題も出てまいります。そこで、たとえば土地改良法でやります創設換地の場合に一定の限度というものがございまして、これが三割ということになっておりますが、そういうふうな一定の限度以内に限らせる、あるいは除籍する面積も最小限度にするというような措置を講じたいというふうに考えるわけでございます。 なお、先ほどもちょっと申し上げましたように、との交換分合の際には、現にある農用地区域内の土地についてだけの交換ではなくて、そばに新たに編入すべき山林原野等があればそれも入れまして、それらの土地も含めてあわせて交換分合を進めるという措置を講ずることにいたしているわけでございます。
○瀬野委員 ただいまの交換分合もさることながら、先ほどお尋ねしましたところの農用地利用増進事業を推進するに当たって、農業委員会と、それから片や農業協同組合の方も積極的にいろいろとこれらの事業推進については考えておられますし、また、農業協同組合も相当事情もわかっておられるわけです。そういったことで、今後こういうものを含めて推進していく上に、農業委員会と農業協同組合等が、主導権争いといいますか、いわゆる競合をしてここにトラブルがあるということがあってはならぬわけですけれども、その辺はどういうふうに調整していかれるお考えであるのか。私はいろいろと考えを持っておるわけですけれども、公開の席で当局の見解を明らかにしておいていただきたいと思います。
○大山政府委員 交換分合におきましては、十三条の二の第四項におきまして土地改良法の九十九条第二項を準用しているわけでございます。いずれにいたしましても、土地改良法の準用という中におきまして、交換分合につきまして知事に認可申請をする場合には、農業委員会の同意書を添付するということに相なっております。それから、異議の申し立てにつきまして、知事が決定をするという場合におきましては、農業会議の意見を聞くということに相なっておるわけでございまして、こういう制度上のたてまえからいたしまして、この交換分合を行うに当たりまして、農業委員会、農業会議との関係においてはそごを来たすことはないようになっているというふうに考えるわけでございます。
○瀬野委員 時間が追ってまいりましたので多少はしょってお尋ねします。 次に、本法提案の中で特定利用権、強権発動の問題があるわけです。このことについて若干お尋ねをしておきますけれども、特定利用権の設定については、米の生産調整によりまして、水田の耕作放棄等農用地の荒廃が顕在化しておりますし、その農用地の活用を市町村または農協が共同利用の形で行う、というふうにお考えのようでありますが、都道府県知事の裁定というものが公告という一方的な行為で行使されるということになりますと、いろいろ問題があろうかと思います。しかし、いままで農地法によってもそういった例は余りないというふうに言われておりまして、今後そういう心配は余りないであろうというようなことが言われておりますが、もちろん話し合いによってスムーズに進めていただくようにわれわれも期待をしているわけですけれども、実際問題として、農協が休耕地を共同利用に活用するための措置としておることに対して、共同利用の対象というものはどういうものを考えておられるか、また、どういうものが一番多いというふうに考えておられるか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
○大山政府委員 特定利用権、これは農用地区域内におきまして耕作等がなされていない、そして、また、労働事情とかその他の事情から見ても将来も耕作する見込みがないというような農用地があって、そのままでは農用地としての利用が困難となると認められる場合に限りまして、これが設定を強制的にする道を開く、こういうことでございます。何と申しましても財産権の侵害になることは確かでございまして、その意味において、憲法二十九条三項というものとの関係からいたしまして、公共的な理由づけという問題が公共の福祉ということに見合うような利用のされ方でなければならない、その方法として、主体としては公的主体でなければならぬし、その使い方についても共同利用的なものでなければならぬ、こういうことになるわけでございます。 そこで、そういう共同的な利用のされ方としてどんなものがあるかということになるわけでございますけれども、たとえば種苗でありますとか、飼料でありますとか、場合によっては桑の葉といったようなものを生産し、供給するとか、またはたとえば共同利用草地として草地の栽培をするということも考えられるわけでございますし、また、技術研修の場として活用する、こういうこともあろうかというふうに考えております。
○瀬野委員 この強権発動については、これがあるからといって、これを行使するのではなくて、十分指導していただいて、制度的にあっても使わないようにやっていただくというふうに私は望むわけでありますが、実は、この共同利用の問題で、当局では、期限が大体五年ぐらいが憲法二十九条三項の関係でぎりぎり一ぱいの線だというお考えだということを仄聞しておりますけれども、実際に休耕地の状況を見ても、これをもとの良田に返すためには相当時間もかかるし、また、共同利用という目的からいきますと、五年では短い、草地利用権の設定では十年になっておるわけでございますので、少なくとも十年ぐらいにすべきじゃないか、と、こういう見解をわれわれは持っておるわけです。その辺について農林省当局もずいぶんいろいろと苦労なさったように聞いておりますけれども、この法案作成の過程で、他の省庁との関係において、農林省当局が法制局ともいろいろ審議をなさってこられた段階でいろいろと問題になった点をこの機会に明らかにしていただきたい、かように思います。
○大山政府委員 この特定利用権というものの趣旨が、本人が耕作していない、そして将来も耕作する見込みがないという場合に限定されて、それだけを理由にしてそこに利用権を強制しようということが憲法二十九条三項の関係で非常にむずかしい問題ということに相なったわけでございます。何と申しましても、この法体系の出し方の前提が将来も利用する見込みがないと認められるということであるならば認められる、そういうふうなことを見通せる限界というものは五年がせいぜいである、こういうことから五年という線を出したわけでございます。 そこで、裁定によります権利の設定というのが公的使用であるというようなことから、どういうことであるならば公的使用と言えるかということに相なるわけでございます。 その第一点は、特定利用権を取得いたします主体というものが何らかの公的なものでなければならないということが第一点でございます。そういうことから、市町村または農協が主体になる。これが第一点。 それから、第二点といたしましては、その利用目的は公共性の強いものでなければならないということから、地域農業者の経営のための共同利用に限ったわけでございます。 それから、第三点といたしまして、そういう強制をされるまでの手続なり要件というものが、財産保護の観点から言って適正なものでなければならないということが第三点でございます。したがいまして、非常にめんどうくさい、協議に際します知事の承認の要件でありますとか、それから裁定申請でありますとか、あるいは裁定の際に、さらに意見書を提出させるとか、また、裁定の要件でありますとか、るるそういうことで書いておるわけでございます。 それから、四点といたしましては、何と申しましても存続期間なり利用方法というようなことについて、財産権に対する制約は必要最小限度でなければならないということでございます。 この四点の関係で、先ほど言いました組込みがないということを認め得る限界ということから、存続期間は五年がぎりぎりである、それから、利用というものにつきましては、その農地の性格によって決まった用法によらなければならない、こういうことを規定することによりまして、憲法二十九条との調整を行ったというのが経緯でございます。
○瀬野委員 その点は、また議事録を見ていろいろ検討させていただくこととして、次に、開発行為の制限、すなわち本法第十五条の十五にありますけれども、これについてもいろいろ問題があるわけです。時間が迫ってまいりましたので詳しくは内容を申されませんが、ただ、問題は国土利用計画法です。これは御存じのように土地取引が内容でございますけれども、これとの関係で、結局本法が改正になっても抜け道があるじゃないかということで、この点との関係はどうかということがいろいろ問題になっているわけですけれども、その辺はどういうふうに当局は検討してこられたんですか。
○大山政府委員 済みません。もう一遍お願いいたします。
○瀬野委員 本法提案に当たって、開発行為の制限ということが十五条の十五に出ていますね。これによりますと、特に民間企業等による土地収得と乱開発が全国的に拡大してきておりまして、土地利用の秩序に混乱があるとか、あるいは農業に悪影響を及ぼしているとか、農用地の確保を困難にしているとかいう問題がいろいろあるわけですけれども、この農振法が出たあとで、たしか国土利用計画法というものが出たはずですが、この国土利用計画法というものは要するに土地取引が内容になっておりますので、それとの関係で開発行為制限をしても、結局抜け道があるのじゃないかというような気がするのだが、その点はどういうように検討しておられるか、そんな関係は心配ないということなのか、ちょっとお尋ねしてみたわけです。
○大山政府委員 今度国土利用計画法が施行されたわけでございます。そして、その中の要点の一つといたしまして土地取引の規制というものが行われることになったわけでございます。そこで、地価等が非常に値上がりしているというような場所を規制区域というかっこうで指定することができるわけでございますが、その指定区域内の土地につきましては、土地取引につきまして知事の許可が必要になっているわけでございます。 それから、規制区域外の土地につきましては、これは一定規模以上のものに限られるわけでございます。たとえば市街化区域では二千平米、それからそれ以外の都市計画区域では五千平米、その他は一万平米、こういう以上の土地取引につきましては知事へ届け出なければならない、こういうふうなことに相なっておるわけでございます。 そこで、農地として移動する場合は農地法というものがございますので適用いたしませんけれども、農地といえども、転用を目的とするような場合におきましてはこの国土利用計画法によって規制される、農地法とともども一規制される、こういうことに相なるわけでございます。それとともに、この土地取引におきましては、いわば仮登記というようなものに類似する取引行為というものを規制するといいますか、そういうふうなことになっておりますので、今後の問題としては、いわば仮登記による混乱は、国土利用計画部局と農地法担当部局との密接な連絡の中で今後は非常に阻止し得るようになるのであるというふうに期待しておるわけでございます。
○瀬野委員 ちょっとわかったようなわからないようなことになりましたが、また私の方も検討をしてみることにいたします。 そこで、白地地区の問題ですね。これがまた問題なんですけれども、山林原野等の土地について、将来農業上に利用する適地を確保するためにこれは団体からも強い要請が出ておるし、われわれも当然、農用地区外の白地地域に対しては確保しなければ片手落ちになると思っておるわけです。立法の段階ではこれを規制するための許可性の導入ということを考慮して立案してあったということで、われわれも相当期待をしておったわけですけれども、いつの間にかこれが脱落した。ついに関係省庁にやられてしまって、農林省は随分後退したというので、腰が弱かったなということで残念でしょうがないわけですけれども、ぜひこれは復活してもらいたいと思うのですが、局長、どうですか、この点は少しだらしがなかったんじゃないですか。どうしてこういうふうに後退したのですか。
○大山政府委員 前々国会ですか、この農振法の第一回の審議のときに、湊委員からの御質問で、農林省の最終決定の間で議論された事項は何であるかというお話しがございまして、そのときにお答えして、特定利用権の、いわば憲法との関係の問題のほかに、開発規制につきまして、農用地区域に限らぬような方向で検討したわけでございますけれども、非常に困難でありました、と、こういうことを申し上げたわけでございます。 開発規制という問題につきましては、何と申しましても立法ということについての筋が通らねばならぬわけでございます。他人の行為を規制するわけでございますから、それはそれなりの理由のある事態でなければならないということに相なろうかと思います。農用地区域内の土地というものは、単なる行政機関が一方的に決められるということではなくて、縦覧、公告等の慎重な手続を経、そしてその土地に関しまして権利を有する者からの異議の申し立て等の手続を経て知事の認可で決まるわけでございます。したがって、そういうふうな手続を経て決まりました農用地区域内の農用地というものは、本来的に当分の間は農用地として活用さるべき義務をといいますか、活用さるべき土地というふうに位置づけられたということでございますので、その地区内におきまして、そういう土地において、それを農業用以外の目的に開発するということであれば、これは当然のこととして規制できるはずであるということで、開発規制の規定を入れたわけでございます。 ところが、農用地区域外の農振地域ということに相なりますと、これはたとえば部落もございますし、山林原野もあるし、あるいは川もある、道路もあるということで、これらはそれぞれの一つ一つの目的を持っているわけでございます。一体としては農業振興を図るべき土地ということではございますけれども、個々がそれぞれの使命といいますか、位置づけがなされているわけでございますので、これらを規制する基準というものもつくることは非常にむずかしいということに相なるわけでございます。 そういうことから、開発規制というものは農用地区域内にしぼって今度の提案に至ったわけでございますけれども、農用地区域外に現在あるようなところでも、農用地のためにのみ開発さるべきところであるならば、むしろそれは開発規制というかっこうではなくて農用地に編入するというかっこうでこれに対処すべき筋のものであろうというふうに考えているわけでございます。したがって、そういうところがございましたら、これは農用地区域内に編入いたしまして、なお、それが外部から他に開発されるということであれば、それは開発規制をかけるというかっこうで対処したいというふうに考えるわけでございます。
○瀬野委員 大山局長もずいぶんいろいろ考えて答弁されたようだが、編入すべきものであれば農用地区域に入れるというようなことですけれども、それならば最初からやればいいじゃないかということになるわけですけれども、何としてもこの法案を通したいという一念か何かわからぬけれども、とにかく苦しい答弁をしておられるようです。 農林大臣、いまお聞きになったようなことですが、当時大臣はまだ農林大臣になっておられなかったわけですけれども、提案されたときに本法は一回だけ審議があったわけですけれども、本法が提案になって、いろいろこれは問題になっている一つの焦点でございます。それで、農業団体からも、われわれもまたこれはぜひ入れるべきだと思う、こうしないといかぬということなんです。局長はいまいろいろ言っておられまして、農林大臣は所信表明でもたびたび攻めの農政ということを言われておりますけれども、こういったところが実に農林省は弱いです。漁業にしてもつい通産ペースに押されて、漁民は本当に瀬戸内海においてもあっちこっちの海においても苦しむ、最後のつけが全部農漁民に回ってくるというようなことでございますが、これが復活して規制をするというようなことにならぬにしても、こういった問題があるわけでございます。大臣は攻めの農政ということで相当張り切っておられるわけですから、こういったことを前向きに今後検討して、一億の国民の食糧、大事な生命をつなぐための農業また食糧増産に対して、その基盤の農振対策に対して強力な施策を進めてもらいたいと思うわけですが、そういう意味で大臣の決意をお伺いしたい。 〔藤本委員長代理退席、委員長着席〕
○安倍国務大臣 いま局長が申し上げましたように、農用地区域外についてまで開発の規制をかけるということは、農振法の改正におきまして農用地区域内において計画的、集中的に農業生産を行っていくという農業における農用地区域の位置づけからいたしましてなじまないということで局長が申したわけであるわけでございまして、農用地域外におきましては農村の集落もございますし、公共用地等もございますし、その他農業の施設でない施設等もあるし、農業振興地域ではあっても農用地区域とは違うわけでございますから、そこまで開発規制をかけるということは確かに問題があると私は思うわけでございます。 しかし、振興地域に対しましては、改正森林法によるところの規制であるとか、あるいはまた保安林の制度とか、あるいはさらにまた国土計画法によるところの規制といったような面もあるわけでございますから、そういういろいろの制度を総合的に活用、運用してまいることによって農業振興地域を農業の地域として守ることができる、私はそういうふうに考えておるわけであります。
○瀬野委員 二時間の時間があと一分になりましたので、あとは割愛しまして、農林大臣に最後に一問質問いたしたいと思います。 以上、本法の審議をいろいろしてまいりましたが、きょうはしょった点または保留した分については次の機会にもう一時間時間がございますので、その節お尋ねすることにしまして、農振法の中で最後にお尋ねしたいのは、将来のためにぜひお伺いしておきたいのですが、第六章の雑則に「生活環境施設の整備」というのがございまして、第二十一条に次のようになっております。「国及び地方公共団体は、農業振興地域整備計画の達成に資するため、当該農業振興地域における良好な生活環境を確保するための施設の整備を促進するように努めるものとする。」こういう法律でありますが、実は、この農振法を推進するに当たって将来いろいろと問題が起きてくると思います。また、この二十一条の「生活環境施設」ということが現にいろいろ取りざたされておりますし、今後農振法によって進めていく上において必ずこれらが問題になってくるわけでございますが、この農業振興整備計画の中に生活環境施設というものを入れていくべきじゃないかというふうな要請がありますし、私もまたそういうふうに考えておるわけです。いまにわかには参らぬにしても、二十一条にちゃんとこうして書いてあるわけでございますので、今後これに対してはどういうふうに農林省当局は検討を進めていかれるか、また、農林大臣は、農振法の推進とともに農村の環境施設の整備ということに対しては重大な関心があるわけですが、これについてのお考えはどうであるか、そういうことをお伺いしたいのでございます。
○安倍国務大臣 農業を振興し、魅力ある農村をつくっていくという意味におきましても、また、さらに、農家の生産意欲を向上させるという意味におきましても、農村における環境整備ということは非常に大切であろうと思うわけでございます。そういう意味におきまして、農林省といたしましても農村の環境整備事業を推進いたしておるわけでございまして、五十年度予算にもこれの予算を計上しており、これはさらにひとつ積極的に推進をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○瀬野委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。
○澁谷委員長 稲富稜人君。
○稲富委員 大臣に質問いたします。 御承知のとおり、国際的な食糧事情の変化に対しまして、わが国が国民の生活を保障し得るよう食糧の長期安定対策をとることが必要であるということは、先日私はこの委員会で特に申し述べたのでございます。それがためには、私たちは、食糧基本法をこの際制定して、将来遺憾なきを期し、全国民に対し、食糧に対しては不安を与えないようにすることが今日の急務であります。そのためには、何といっても、農民が常に国民に対して食糧の安定的供給をなし得る万全の備えをするということが今日の政治の最大の任務であり、また、責任でもあると思うのであります。これがためには国内の農業生産力を増強することであり、そのためには、第一に生産体制を整備することが最も急務であるということは申すまでもございません。そうしてその最も重要な課題は、農業の生産の場である農用地をいかに確保するかということであり、その農地をいかに保全し、開発するかということでありますと同時に、また、一方には、その農用地がいかにすれば効率的に利用されるようになるかということであると思います。 よって、このような観点に立ちまして、今回の農振法の改正案の審議に当たって農林大臣に数点お伺いいたしたいと思いますが、時間もあまりありませんので、はしょって簡略に私はお尋ねをしたいと思いますので、失礼でございますけれども、他の政府委員の方は大臣の答弁に対して補足すべき点があった場合に限って御答弁をお願い申し上げたい、かように思うのでございます。 まず、第一にお尋ねいたしたいと思いますことは、今回の改正案の冒頭に、「需要の動向に応じた農産物の安定的な供給と生産性の高い農業経営の育成を図るため、」云々という文句がありますが、この「農産物」というのは農業関係の何を指すのでしょうか。広範に言うのであるか、この点に対する定義をまず承りたいと思うのでございます。
○安倍国務大臣 これは、飼料を含めた広範な農産物というふうに私は考えております。
○稲富委員 広範なる農産物というと非常に幅広いものでございますが、それは広範な農産物でございましょうけれども、特に今日主体を置くものは、主要農産物に限るべきでないけれども、そういう点に集中してやるべきじゃないかということも一応考えられなければいけないじゃないかと思うのでございますが、その点はいかがでございますか。
○安倍国務大臣 これはいまの食生活が非常に多種多様でありますし、また、農民のこれに対応するところの生産の態様等も非常に多様であるわけでありますから、そういう意味におきまして、わが国の今後におきまして非常に需要の高い農産物、需要のある農産物と言った方がいいのじゃないかとも思うのであります。
○稲富委員 その点は、主要食糧農産物だという意味でございますか。
○安倍国務大臣 米、麦、大豆、飼料と、畜産物については牛肉、豚肉、鶏肉、鶏卵、そして果樹、野菜あるいはサトウキビ、てん菜というものがこれから生産の対象にならなければならない農産物である、こういうふうなことでございます。
○稲富委員 そうしますと、要約いたしますと、まとめて話せば主要食糧農産物と申すことができると思うのでございますが、今度は、その主要農産物の需給の将来の動向というものをどういうように現在の時点において練られておるのか、政府の意向を承りたいと思うのでございます。
○安倍国務大臣 農林省の試算では、これからの消費水準の向上、人口の増加に伴いまして、需要は四十七年に比べまして大体二三%程度伸びるというふうに判断をいたしておるわけであります。それに対して、生産としては二七%の生産増を考えておるわけであります。
○稲富委員 今日の食糧の国際的なこういう状態の中に、政府として、この主要食糧農産物の国内の生産の長期見通しというものを四十数%ということでやっていけるという考えでありますか、この点を承りたいと思うのでございます。余りにもこれは過小じゃないかと思うのでございますが、いかがですか。
○安倍国務大臣 いまの御指摘は穀物の自給率だと思いますが、穀物自給率につきましては、現在の四三%が三八%程度にどうしても減少をせざるを得ない。今後の畜産の伸びあるいはわが国における生産の情勢というものから考えますと、穀物自給率についてはやはり低下せざるを得ない。主要食用農産物についての自給率は、四十七年の七三%から七五%に増加をする、穀物については低下せざるを得ない、そういうふうに判断しております。
○稲富委員 わかりました。それならば、そのような生産を行うとする場合、必要な農用地の面積はどれだけであるか、また、それを確保するためにはどういう方策を講じようと考えておられるか、承りたいと思うのでございます。
○安倍国務大臣 いま農林省で試算をいたしましたところによると、五百八十五万ヘクタールがこれらの自給を達成するために必要な農地である、こういうふうに試算をいたしておるわけでございます。
○稲富委員 そこで、大臣に特に私は申し上げたいと思いますが、農用地の開発整備がどのように行われるか、これは実にきわめて重大な問題であります。このことについては、先日大臣の所信表明に対する質問の折にも私は申し上げたつもりでございますが、農業生産基盤の整備開発に関する長期計画と、これに対する予算の飛躍的な拡大ということが当然必要になってくると思うのでございますが、これに対して一体大臣は確固たる所信を持っておられるか、この際明らかにしていただきたい、かように考えます。
○安倍国務大臣 農地の造成につきましては、六十年までに大体八十六万ヘクタールを少なくとも造成をしなければならない。造成可能の農地としては百五十万ヘクタールくらい調査の結果ある。八十六万ヘクタールは計画として造成しなければならぬ。ただ、その中にあって、これまでの農地が壊廃をされた、その趨勢値から見まして——経済高度成長から安定成長に移っていきますが、その趨勢値から見まして、七十万ヘクタールくらいは壊廃をされるであろう。ですから、差し引き十六万ヘクタールが農地としては伸びるということになるわけでございますが、私たちは、その七十万ヘクタールも、今後の農地法の厳正な適用その他の措置によってこれを規制していかなければならぬというふうに思ってはおりますけれども、いまの見通しとしては十六万ヘクタールの伸びになるわけでございますが、少なくとも八十六万ヘクタールはひとつ造成をしたい。そのためには、現在新土地改良長期計画が進捗中でございまして、これを間違いなしに完成をしていくということが最も大事でございますが、現在までのところは、進捗率は御案内のように非常に低い、一五・三%というふうな状況でございます。しかし、今後これを一八・六%程度に進捗力を伸ばしていけば八十六万ヘクタールの農地を造成するということは必ずしも不可能ではない。そこで、われわれとしては、総合的な食糧政策を打ち出す際に当たって、こうした長期計画に対する政府としての一つの基本方針を打ち出すことによって政府全体として取り組んでいけば、これは必ず達成できるものである。また、私自身もそれに対しては全力を尽くしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○稲富委員 ただいま、農用地の確保に対する大臣の所信のある点は承ったのでございますが、ここで申し上げたいと思いますことは、農業生産を安定生産するためには、単に農用地を広げたばかりではこれは不可能であって、さらにその農用地を効率的に利用を図るための基本的な考え方というものが必要であると思うのでございますが、この農用地の効率的利用を図るためにはどういうような基本的な考えを持っておられるか、この点もあわせて承っておきたいと思うのでございます。
○安倍国務大臣 いま御指摘のように、農地の確保とともに、農地の効率的な利用と高度な利用ということが今後の農地対策としてわれわれが取り組んでいかなければならない大きい問題であろうと思うわけでありますが、その際にやらなければならないことは、あるいは生産的集団体制を確立していくとか、あるいはまた圃場整備を推進していくとか、そういうふうなことを推進することによって裏作の利用あるいは土地の利用の高度化というものを積極的に図っていくべきである、こういうふうに考えておるわけでございます。
○稲富委員 私はここではなはだお気に召さぬことを申すことになるかと思うのでございますが、どうもお役人の考え方というものは、法律さえつくれば何でもいいのだというような考え方があるようだが、そういうものではなくして、効率的な利用を図るというものに対しては、ただ法律をつくるだけではなくして、もっと地力の増大を図るとか、あるいはこれに対する肥料対策をどうするとか、こういうような問題までやはりほり下げて考えなければいけないと私は思うのでございます。この点に対して今日非常に欠けている点があるのじゃないか。この問題に対してはこの間も井上委員からも質問しておったのでございますが、今日のわが国の地力というものは年々歳々減退してまいっておりますが、これに対して政府はいかなる指導をしておるか。ただ化学肥料にのみ依存しているというような状態で果たして地力の増進がいけるかどうかという点に対して私たちは非常な疑いを持つのでございます。 農用地を効率的に利用するためには、地力の増大を図り、あるいは肥料対策をやらなければならぬ。あるいは御承知のとおり、今日各地方で一番困っているのは屎尿処理の問題である。これをどう捨てるかということで困っておりますが、これを化学的な力によっていかにして肥料化するかという問題がある。昔から、地力を増大するためには、ため池の土を上げて、これに対する堆肥をつくるとか、いろいろな方法をやっておったが、今日聞きますと、ため池なんかの土というものはほとんどさらえてありません。私は数年前、水害があったときに全国を回ったのでございますが、ため池の底というものはもう一メートル以上上がってしまっております。わずかの雨が降ればすぐはんらんするという状態なんです。昔はため池の土を全部くみ上げて、堆肥の原料にして、これを耕地に還元して地力の増進を図ったものなんです。こういうようなことをほとんどなおざりにされているということなんです。こういうことに対して一体農林省はどういう指導をしておるか。 こういうように肥料化するとか、あるいは耕地に還元されるようなものに対しては、国がもっと率先して、国が費用を出してでもこれを耕地に還元して地力の増大を図るという手も、打つ手はあると私は思うのだけれども、こういうことに対しては積極的な指導があったということをほとんど承っていない。そのまま放任されている。ただ土地さえ広げればいいのだということで、口には効率的利用と言いながら、こういうものは放任している。こういうようなことでは、今日、本当に日本の農業というものの原点に返って生産に挺身するような状態になれないと私は思うが、こういうことに対して政府はどういうような考え方を持っていらっしゃるのか。ただ法律さえつくればいいのだ、農用地さえ広げればいいのだというものではないと私は思うのでございますが、これに対して大臣はどうお考えになっているか、承りたいと思います。
○安倍国務大臣 いま稲富さんから御指摘がございましたように、これからの農政を推進していく場合におきましては、ただ基盤整備事業を推進していくというだけでは国民の期待にこたえた食糧の確保というものはできないと私も思います。したがって、第一には、生産体制を充実していくという意味において、基盤整備を推進し、土地の確保と高度の利用を図っていくということがもちろん必要であると思うし、第二番目には、価格政策を充実して、再生産が確保される農業というものを確立していくということであろうと思いますし、第三番目には、農業を担う、いわゆる中核的な担い手に生産意欲を持っていただいて農業生産に従事していただくということがやはり大事なことであろうと思います。 また、同時に、いま御指摘がありましたように、これからの農業の生産性を高めていく上において、農業技術といいますか、技術面を特に強化していくということであろうと思います。栽培技術であるとか、あるいは育種の問題であるとか、さらにいま御指摘がありましたような土地づくりといいますか、土壌についての画期的な政策を注入していくということも必要なことであろうと思うわけでありまして、現在、農林省としても、土壌の改良であるとか、あるいは土壌に対する研究であるとかいうことにつきましてはある程度の予算も組んでおりまして、いわば土づくり運動などということもやっております。 化学肥料万能の時代から、有機物を利用した堆肥づくりといいますか、そういうことに対しても予算措置等も講じておりますが、この土づくりの土壌改良につきましては、私も今後とも大いに力を入れていきたい、いままでの予算では決して十分ではない、今後のことを思うにつけても、やはり思い切った予算措置というものを講じていく必要がある、こういうことを痛感いたしております。
○稲富委員 ただいまも大臣の御答弁もあったのでございますが、将来中核農家を育成するという上からも、これは農林省全体の皆さんたちが考えて立ち向かってもらわなければいけないと私は思うのでございます。たとえば農学校を卒業すると、農学校に行っているときは農家の子弟になろうと思っていた者が、卒業するとほとんどこれは月給取りになるのですよ。学校も月給取りになることを勧める。やはり、農業学校というものは、うちで農業経営をするということを主体にした学校教育が必要ではないか。月給取りになすための農業高等学校なんというのは大して必要ないと私は思う。こういう点に対しても農林省の指導というものが非常に欠けておるのじゃないかと思う。 こういうことを農林省の皆さん方に言うのは申しわけないと思いますけれども、大臣、ここで私はあなたに農林省の全部の職員諸君に特に注文をしていただきたいのですけれども、従来、わが国の農業というものは、農業の国際分業論から世界に農業を依存するというような考えがあったがために、日本の農業をどうなし遂げるか、どうして日本の農業を確立するかという情熱がないのです。農林省の役人そのものが日本の農業をどうするかという情熱を持たなくして、どうして日本の若い青年が農業経営に対する情熱を持ちますか。この情熱を持たなかったということは、すべての農林省の役人が悪いと言うのではございませんで、農業というものは海外に依存するんだというような考え方を国がとった結果が、日本の農業を守るという情熱に欠けるという状態を生んでおるのだと私は思う。この点は、大臣みずからが心を新たにして、農林省の職員を大いに指導監督して、日本の農業にどのようにして挺身するか、日本の農業をどうするかという真剣な取り組み方をもっとやるような指導をやらなければいけないじゃないか。こういう結果が、いまも言ったように、農業高等学校に入学するときにはうちで農業経営をやろうと思ってせっかく入学したのが、卒業するときには競って月給取りになっていくということになってくる。学校もまた卒業生に対して、どこそこに勤めないかという勧誘をやっている。こういうことでどうして中核の農家を育成することができるか。 こういう点もあわせて、この際心を新たにして、大臣も決意をしていただきたいというように私は考えるわけでございますが、これに対する大臣のお考えはどうか。私の言うことが間違っておるならば間違っているとして諭していただきたい。十分農林大臣の考え方を承りたい。
○安倍国務大臣 私も、いまのお話しはもっともであると思います。現在までの高度成長という圧力の中におきまして、ともすれば農業に対する意欲が減退をしておったという客観的な事実はあったと思うわけでございますが、しかし、今日におきましては、経済の情勢も高度成長から安定成長へと移っていくという大きな経済路線の転換がなし遂げられておる時期でございますし、同時に、また、国際的に見ましても、食糧が不足をしていくという基調が続くという事態に参っておるわけでございます。そういう中にこそ、いまこそまさに農政が大きな転換をしていくという客観的な情勢が成立しつつあるというふうに私は思うわけでありまして、そういう中にあって農業あるいは農業の行政に従事する者としては、決意を新たにして、こういう転換期にある日本の農政を間違いのない方向に推進していくためにがんばっていかなければならぬ、意欲を燃やしていかなければならぬ、現在はそういうふうな情勢の中において意欲が徐々に高まってきつつあるというふうに私は判断をいたしておりまして、私自身も大いに決意を新たにしてがんばりたいと思います。
○稲富委員 大臣の決意のほどはわかりましたので、さらに次に進みたいと思いますが、そういう意味から、今回の農振法の改正案は、いま申し上げましたように、国内の農業生産力を増強するために農用地の保全、開発とその効率的な利用を図るために提案されたものだ、かように私は承知しております。そこで、現下の諸情勢のもとではこの立法措置というものは時宜に適したもので、当然だと思います。そういう意味から重要な内容を持つものでありますので、その内容について以下数点また大臣にお尋ねをしておきたいと思うのでございます。 今回の改正案は、今後の農政の展開の上においてどのように位置づけようと思われておるのか。いま大臣から決意のほどを承ったのでございますが、その基本的な考え方をまず承っておきたいと思うのであります。
○安倍国務大臣 今回の改正案がこれからの農政にどういうふうな位置づけになっているのかという御質問でございますが、今後食糧の自給力を向上していくことが農政の眼目であることはもちろんでございます。このために優良農地の確保と農用地の有効利用、麦、大豆、飼料作物等の生産振興、農業の担い手の育成の諸点を農政の重要課題として取り組むことが必要でありまして、そういう立場に立って、この農振法の改正案におきましては、市町村が地域農業者の意向に基づき計画的に利用権を設定する農用地利用増進事業、さらに耕作放棄地についての特定利用権の設定、三番目に、農用地区域内の土地の開発規制の創設を予定していることは御存じのとおりでございまして、各般の施策と相まってこれらの制度を活用いたしまして、農政の転換期に当たりまして期待にこたえた農政を推進してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○稲富委員 さような意味から、この改正案は早急に成立させる必要があるというように考えていらっしゃるのだろうと思うのでございます。 そういう点で、次にお尋ねしたいと思いますことは、この法案は農地法に一部穴をあけ、農地法を骨技きにするのではないかというような批判もあることはすでに御承知であると思うのでございますが、これに対して大臣の明らかなる御意見をこの際承りたいと思うのでございます。 すなわち、それは、内容を見ますと、都道府県知事、市町村長の権限というものが非常に増大しております。しかし、従来農地の問題に取り組んできました農業委員会等はほとんど影をひそめているというような状態であるのでございます。そういう点からそういう批判も起こると思うのでございますが、これに対する大臣の考え方をこの際明らかにしていただきたい、かように考えます。
○安倍国務大臣 今回の農振法の改正につきまして、農地法との関連において二元的な行政になるのではないか、あるいはまた農地法に穴があくのではないか、農地法の穴あけになってくるのではないかというふうな御指摘があるわけでございますが、しかし、今回の農振法の改正につきましては、農地法の基本的な理念といいますか、根幹というものについてはこれにもとるものではない。そういう中におきまして、いわば特例という形ではございますが、農地の利用増進を図っていく、そして農家の経営規模の拡大を図り、農地の高度利用を図っていくという意味におきまして、農地法の精神にもとるものではないと私は思います。ただ、もう一つ御指摘のございました農業委員会との関連につきましても、農振法の内容につきましては、確かに農地制度に触れる内容があるわけでございますから関連はあるわけでございまして、そういう中にあっては農業委員会との間に調整を図っていくという形になっておるわけでありますし、また、省令におきましても農業委員会の意見を聞かなければならないということを規定をいたす考えでございますから、御指摘のございましたような、いわゆる二元化行政といいますか、あるいは農地法に穴をあけるというふうなことにはならない。私は、両法案が両々相まってこれからの農政の推進に大きな役割りをなしていくというふうに考えておるわけでございます。
○稲富委員 私が非常に心配いたすのもその点でございます。それで、御承知のとおり、農振制度、では農地のあっせんなど農地を担当する行政機関であります農業委員会の機能については触れておりません。その基本は、都道府県と市町村という行政系列のもとで運用されているように仕組まれております。特に、今回の改正案には、農用地利用増進事業と農地の権利関係にかかわる重要な事項が含まれておりますが、そこで、いま大臣からも御答弁のありましたように、このようなことは農地行政の二元化をもたらすのではないかという、こういう心配をいま大臣も私も持っております。さらに、このような二元化にならないためには、現在農地行政に携わっておる農業委員会及び農業会議を今回の改正案の中で明確に位置づける必要がある。そういう点を大臣も心配されるならば、この点を特に明確に位置づける必要があると思いますが、この点に対してはどうお考えになっているか。大臣も御心配なされるところで、そうではないとおっしゃるけれども、私は心配がありますので、この点を念を押してまたお尋ねしておきたいと思うのでございます。
○安倍国務大臣 今度の農振法の改正におきまして農業委員会との調整を図ることになっておりますし、また、省令におきまして農業委員会の意見を聞くということを予定しておりますので、この改正案が成立をいたしましてこれが適正に運営されるならばそういう二元化のおそれはない、こういうふうに私は考えておりますが、いまの稲富さんの御指摘につきましては、非常に貴重な御意見であると思いまして、これについてはひとつ検討してみたいと思います。
○稲富委員 さらに、農用地利用の増進事業は、現在の農地利用の状況からすれば確かに必要なことであるとは思いますが、今度はこれを借りる側の耕作の安定についてはどういうようにお考えになっているか、この点の所信を承りたい。
○大山政府委員 農用地利用増進事業で流動化を図りたいということを考えますと、何としても、現在の地価の高騰というものを前提といたしましては流動化がなかなか進まない、しからばどういう方法があるか、こういうことが今度の農用地利用増進事業の実施に踏み切ろうとしているゆえんのものでございます。 今度利用増進事業の実施によってできます利用権、これにつきまして法定更新の規定をしないということによりまして、いわば貸し方から言いまして安心して貸せるようにしたいということが最大のねらいであるわけでございます。ただ、その結果といたしまして、借りる側は不安ではないかという問題になると思いますけれども、兼業農家等の実情から見ますならば、一定の期間ごとに農地の貸借をきめるという保証さえあるならば、かえって実体的に安心して貸借を継続することが期待できるということになると思っております。そのためにも、市町村が事業主体として調整機能を発揮することと、地域農業者の自発的合意、この二つの枠組みの中において、いわば自主的な利用の調整を行って、そこに利用権をお互いの間に決めてまいる、こういうことが今度のねらいでございます。 したがって、この利用増進事業というのは、すべてのところに一斉にできることだとは思いませんけれども、そういうふうなことが可能になっているような地帯におきましては、実体的には耕作者の地位は安定するということになろうかというふうに考えている次第でございます。
○稲富委員 次に、農用地の保全を図るためには、これを取り巻く農用地外の山林原野の開発をどうするかという問題でございます。一部にはこれに対しては開発規制を行えという問題も起こってくるし、あるいはこれを開発すべきではないかという問題も生じてくると思うのでございますが、これに対しては政府はどういうような考え方を持っていらしゃるか。
○大山政府委員 農用地区域外におきます開発規制といいますか、いわば農用地区域外の農振地域においていろいろな角度での開発が行われるということは、農業の一体的な振興を図るという農振地域の趣旨かち言って決して好ましいことだとは思っておりません。 ただ、それを法律的に規制するということになりますと、農用地区域内では、これは諸般の手続を経まして、農用地として、当分の間というか、相当長期にわたって利用さるべき地域である、土地であるということが手続の上において確定し、またそういうふうに位置づけられるわけでございますので、そういう地域においては開発規制ということは可能であろうということで今回の法律に踏み切った次第でございます。 ただ、農用地区域以外の農振地域ということになってまいりますと、そこには農家の集落もございますし、それからその他のいろいろな施設を含んだ農村の生活中心地もございます。あるいは道路、河川といったような公共用地もありますし、また、場合によっては用途の明確でない雑種地もある。こういうことでいろいろな土地が含まれているわけでございますので、何を目的として開発を規制するかという規制の基準というものが非常につくりにくい、つくれない、こういうふうなことがあるわけでございます。 そこで、法律といたしましては、農用地として利用さるべきところとして位置づけられた農用地に限って開発規制を行う、こういうことにいたしたわけでございますけれども、この農用地との関連において、たとえば河川というような問題になりますと、水源をどうする、水源林の維持をどうするというような問題も出てくると思いますけれども、その点につきましては、森林法の先般の改正もございますし、あるいは保安林制度の活用ということもございますので、これらで対処してまいりますとともに、農用地区域に編入すべき土地があるならば、これを努めて農用地区域の中に入れるということによりまして開発規制もそういう場合に規制していく、こういうことでいたしたいというふうに考えているわけでございます。 農業用の利用のために開発規制すべきところが農用地区域外にあるならば、それはむしろ農用地区域内に入れるようにして対処すべきものであろうというふうに考えるわけでございます。
○稲富委員 この機会に大臣に承りたいと思うのでございますが、国有林野の活用に関する法律というものがあります。この第三条に、「農林大臣は、国有林野の所在する地域における農林業の構造改善その他産業の振興又は住民の福祉の向上に資するため、」云々とありまして、「農業構造の改善の計画的推進又は農業生産の選択的拡大の促進のための農用地の造成の事業で農林省令で定めるものの用に供することを目的とする国有林野の活用」という問題があります。これは、この国有林野の活用に関する法律案が出ましたときに、私は意見を言って修正をしてこういう法律ができたのでありますが、これの活用がどのくらい今日実施されておるのか。聞くところによると、非常に値段が高いからなかなか実際上の活用は困難であるような状態にも置かれているということを聞くのでございますが、この実情がおわかりになっておるなら、この際承りたいと思うのでございます。
○安倍国務大臣 実は、国有林野の活用化法が本委員会に提案をされまして以来、私も農林水産委員の一人といたしましてこれが推進に努力をいたしまして、やっとこの活用化法が成立をいたしました。この法律が非常に活用されるということを心から期待をし、喜んでおったわけであります。 農林大臣になりまして、この活用化法がどの程度実施されておるかということを実は事務当局にも聞いたわけでございますが、残念ながら、いま現在の段階では私が期待をしていたほど活用をされていないというふうなことを報告を受けまして、私は非常にさびしく思っておるわけでございまして、この活用ができないということにつきましてはいろいろの事情も一あると思うわけでございますが、せっかくできた法律でございますので、これは今後できるだけ活用をいたして、そして今後の農業の振興に大きな役割りを果たさせたい、こういうふうに考えております。 現在どの程度活用されているかという具体的な数字につきましては、ちょっと私持ち合わせておりませんので、いずれまた事務当局から説明をいたさせます。
○稲富委員 これは私も大臣と同じように非常に期待をしておったのです。けれども、実際上余り活用されていない。聞くところによると、どうも価格が高過ぎるんだとかいろいろ聞くのでございますが、これはせっかくずいぶん長年かかって、ごとに東北地方の国有林の里山等に対する希望があって成立した法律でございますし、大臣はその当時委員としてこれに携わっていらっしゃるし、十分関心があると思いますので、今後これが活用に対しては、この農振法の改正を機会にこういう問題に対しても十分取り組んでいただきたい、こういうことを特に私はあなたに申し上げたいと思うのでございます。 さらに今回の改正案は、農用地域内の開発については処置をされるということになっておりますが、こういうことでは不十分ではないか。これはさっき局長も言われたのでございますが、私は実に不十分だと思うのでございますが、これに対しては、恐らくこれで満足されているわけはないだろうと思うので、もっとこれはやっていただきたいと思うわけでございますが、大臣、いかがでございますか。
○安倍国務大臣 この法律を全面的に活用して、そうして農地の確保、高度利用を図っていかなければならないわけでございまして、現在の段階におきましては、この法律の改正案が成立した暁におきましてはこれを全面的に活用していくという以外にないわけでございますが、しかし、さらに、いま御指摘のございましたように、国有林の活用を初めとして、あるいは森林資源等の開発等も含めてこれからの農業の振興を図っていかなければならない、こういうふうに考えるわけであります。
○稲富委員 それで、農用地外の利用対策あるいは開発可能な土地に対する対策という問題につきまして、政府が積極的な誘い水をしてこれに対する助成処置をとるとか、そういうような方法をとって開発に当たるということが最も妥当ではないかと思うのでございます。ただ活用しろ、農用地にこれをやれ、しかし費用は自分たちで持ってやれということでは、なかなか費用が要ってそういうことに取りかかれないということになってくると思いますので、これに対しては政府も特段の財政処置あるいは財政投資等をやるべきであると思いますが、いかがでございますか。
○安倍国務大臣 これは全体的に財政の問題にもつながってくるわけでございますが、私どもとしては、可能な限りの農地を開発していくということにつきましては全力を注いでいきますし、今後ともこれが調査を積極的に進めていきたいと思うわけでございます。しかし、先ほど申し上げましたような思い切った措置をとっていくためには、農林関係予算というものに今後のわが国の政治の上においての大きなウエートを持たせて、これが画期的に獲得ができるような形に持っていかなければならぬわけで、これは私ももちろん努力をいたすわけでございますが、私だけでできる問題ではなくて、わが国の政府部内における一つの認識、さらにまた国民の農業に対する理解、協力というものがあって初めてこういう農業上の思い切った施策というものが確立されるといいますか、打ち出されていけるのではないか、そういうふうに考えておるわけでございます。
○稲富委員 最後になりますが、いま一つ承りたいと思うことは、農協の農用地の共同利用地でございますね。これに対しまして、地方の中核農村青年といいますか、将来農業経営をしようという青年の中にはこういう希望があるのですよ。今日兼業農家がふえてきた。その兼業農家は、いまではおやじは工場で働いている。ところが、年とった老人がおるからいま農業経営をやっているが、年寄りがいないようになったならばこういう人たちは恐らく農業をやめるだろう。それで、将来農業に取り組もうという中核農村青年の人たちは、兼業農家が農業をやめるこういう機会に農地を取得することによって経営規模を拡大していきたいという意欲を非常に持っている。ところが、その農用地というものが共同利用地として農協がやる。われわれは買おう、自分たちのものにしようと思う希望というものがなくなってくるんだということで、こういう非常に不安な、希望をなくしたというような声を農村の青年の中でよく聞くのです。こういう問題に対しては、単に共同利用だけの問題ではなくして、そういうような農用地でありながら農業経営をやらないというような土地に対しては、この経営規模を拡大するために取得したいという青年があるとするならば、そういう青年に対してあっせんして土地の所有をさせるというような方法も考えなければいかぬじゃないかと思うのでありますが、これに対して政府としてはどういうような考えを持っていらっしゃるか、承りたい。
○大山政府委員 不耕作地に対します特定利用権、これはまさに憲法との関係がございますので、公的な主体が公的な目的で使うということでないと強制的な利用権の設定はできぬわけでございます。したがって、その意味におきまして、これは農協等における共同利用の目的に供せざるを得ないわけでございますが、これはあくまでも耕作していない場合におきます伝家の宝刀でございます。したがいまして、それまでの間における伝家の宝刀をふところに入れて、狭義において耕していないところがあって、それを耕すことに話がつくならば、それはそれなりに結構なことであるわけでございます。 また、農地法に基づきます所有権の移転というような問題につきましても、たとえば合理化法人の買い入れ、売り渡し事業というものも従前どおりありますし、さらにそれは拡充していかなければならぬと思いますし、あるいは農業者年金基金によります離農一括買い付けといいますか、それに対します資金あっせん等の道もあるわけでございまして、若い青年が農業を行うというために土地を取得するというための施策というものは従前からもございますし、今後拡充していかなければならぬだろうというふうに思っております。 ただ、特定利用権の設定というのは、むしろ耕作されないままになっている土地があり、今後も耕作される見込みがない土地につきましてどうにもならぬという場合に、これを公共的な共同利用の目的に供して、そして土地の有効利用を図ろうということでございますので、これだけにすべての施策がなってしまうということではないわけでございます。所有権の移転によりまして若い青年が今後経営規模を拡大していきたいということがあるならば、そしてそれに応ずる人があるならば、それに対する資金的なあっせんなりあるいは一括離農の際における融資という問題は、いろいろのかっこうにおきまして、公庫資金におきましても、あるいは農業者年金の融資金におきましても可能でございますし、また、それらの問題もそういうところにおいてはそれなりに活用していくべきであろうというふうに考えるわけでございます。
○稲富委員 私が言っておりますのは、逆にこういうことなんですよ。農村の青年が、いずれ農業をやめるだろう、だから自分が経営拡大のために取得したい、買いたいというような希望を非常に持っておっても、農協の共同利用というものがだんだん広まってくるとやはり売らないでそちらの方に持っていかれる、それで農業経営に対する個人としての希望を非常になくしてくるんだということを言っている。こういうような不満を農村青年から聞くのですよ。これは別の言葉で言うならば、農協が共同利用さえやらなかったら、それを買い込むことによってもっとわれわれは規模拡大ができるんだ、ところが、農協が共同利用をするようになるから自分の経営規模拡大ができないようになるんだ、と、結論を言うとこういうことなんですよ。こういうようなものに対してはどうするかということなんですよ。それをやめるなと言うんじゃなくして、そういうような悩みを農村の青年がよく訴えるので、これに対してはどういうような処置をとればいいかということなんです。
○大山政府委員 若い青年が農地を買って経営規模を拡大したいという、こういう農家のあることは確かだと思っております。ただ、それにこたえるべき農家がいわゆる資産保有的な傾向から言ってなかなか応じないというのが全般的に見た流動化阻害の要因であるという立場から見た場合におきまして、いわば利用権の集積による規模拡大ということを考えているわけでございます。したがって、先生の御指摘のような場合につきましては、むしろ利用増進事業の中におきましてそういう意欲ある青年が活躍する道が出てくるのではないかというふうに思うわけでございます。あそこに耕作されていない土地があるとねらっていて、それが特定利用権というかっこうで利用されてしまうから青年が非常に困るということよりは、むしろ、そういう青年は利用増進事業の中に飛び込んでいただいて、そしてそこで規模拡大をやってもらう。あるいは農林漁業金融公庫の未懇地取得資金を借りて、開拓地を獲得して規模を拡大する。いまのような地価高騰と、そして農家が売らず、耕さず、貸さずというふうな傾向がある中においては、むしろ利用権の集積によって規模拡大を図るという方向でわれわれは対処したいというふうに考えているわけでございます。
○稲富委員 私の質問の仕方が悪いのかもわからないが、そういう不満を農村の青年からよく聞きますのでその点を申し上げたんで、この問題をここで議論しておると長くなりますので、いずれいつかの機会にこの問題はさらにお尋ねすることにいたしまして、時間がありませんから結論づけます。 今回の改正案の内容について最後に一つ大臣に伺いたいと思いますことは、農振制度はその中心が農振整備計画にあることは当然であります。それで、農振整備計画を真に効果あらしめるためには、この計画が各地域で農民の意向に即し、関係農業団体の意見も十分反映してつくられた計画であるということは御承知のとおりでありますがゆえに、これに対しては十分メリットを与えることが何より必要であると思われます。よって、政府としては、このためには先刻申し上げたような十分なる国の予算措置が必要であり、その裏づけが十分に行われる必要があると思います。特に、農地を開発し整備するための基盤整備予算の飛躍的拡大が必要であると考えます。この点は私は大臣の所信表明のときにも申し上げたのでございますが、これに対して、大臣は、これは政治的にいろいろな関係があるから自分だけではできないということをおっしゃいますけれども、この点はよほどの計画とあなたの決意がなければ、せっかく農振法の政正をやりましても、その目的に沿うことはできないと私は思います。 これはよほどの決意を持って当たっていただきたいと思いますので、大臣のこれに対する決意のほどを重ねてお伺いすると同時に、申し上げたいことは、これは自分だけではやることができないというようなことじゃなくして、あなたは日本の農政の行政を預かっている主務大臣でございますから、あなたはその問題に対してよほどの決意を持って政府としてやっていただきたい。自分だけではできないんだではなくして、あなたがその気にならなければできないのですから、この点の決意のほどを特に私は承ると同時に、それを実行に移していただきたいということを最後に私はあなたに申し上げまして私の質問を終わるつもりでございますが、その所信のほどを承りたいと思います。
○安倍国務大臣 農振計画につきましては、いまお話しがございましたように、長い間かかりまして地元の関係者の皆様方が練りに練って積み上げてきた計画でございまして、これらに対しましては、私といたしましてもこの計画を尊重して、わが国の農業が振興発展をするように、この計画の中における農用地域等につきましては、基盤整備等についても一計画的に集中的に施策を行っていくということが必要であろうと思います。そのためには、予算措置等を含むいろいろの措置を強化していかなければならぬことは当然でございますので、私としてもそういう立場に立ちまして今後対処していきたい、こういうふうに考えております。
○稲富委員 では、その決意に期待をいたしまして、私の質問を終わることにいたします。
○澁谷委員長 次回は、明二十六日水曜日、午前十時理事会、十時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後八時二分散会 ————◇—————