内閣委員会 第20号
- 発言数
- 115 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1975/05/29
会議録
○藤尾委員長 これより会議を開きます。 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉永治市君。
○吉永委員 最初に申し上げたいことは、私の個人的な意見で委員長に一つの提言を申し上げたい、こういうことでございます。 従来、内閣委員会とかあるいは予算委員会等におきまして、国防、防衛の論議が重ねられましたことは御承知のとおりでございましたが、大体、論戦の中心が法律案を中心としたせいもございましょうが、防衛の本質あるいは核心、そういうものをそれた議論がかなり多かったように思うわけでございます。あるいは、ことさらに避けているんじゃないかというような節も見られないでもなかった。総合的な国防政策、建設的な防衛論議というものが比較的乏しかったように思う次第でございます。われわれは、日本の国防の基本方針が、一つは平和外交の推進、二つは国内諸政策の安定、三つは自衛力の漸進的必要限度の整備、四つは安保体制下を基調とするところの防衛、これが大体基本方針だと承知をしておりますが、これらを土台とした論理の展開が乏しかったように思うわけでございます。ある場合は枝葉の問題や傷をほじくるような誹謗的議論もないでもなかった、そのような記憶をいたしております。 ところが、昨今、防衛に関しまする世論の底流に、大きな変化が見られるようになってきたと思います。先般の本会議において、民社党の小沢貞孝議員が、会期延長の所論の中に、どうしても安全保障という問題をさらに煮詰めた議論がほしいということを提言をしておられました。また他の野党の中にも、個人的に、防衛はこの際真剣に考えなければいかぬなというようなことをおっしゃる方もあるやに聞いております。さらに、新聞や雑誌、テレビ等の論調にも、それが見えるようでございます。それは底流に何かを感じ取っている国民世論がある、このように考えるわけでございます。 御承知のように、アメリカは東南アジアから大幅に後退をしてしまった。東南アジアの側にアメリカを引きとめる何物もなくなってきたと言ってもいいかもわかりません。南ベトナム百五十万の正規軍もチュー政権も、ほとんど抵抗せずして崩壊し去っております。さらには、先般の西マレーシアのクアラルンプールにおきましてのASEAN諸国の会議も、聞くところによりますと、ばらばらの状態であった、ほとんど結論らしい結論を得ずに終わってしまったというように聞いております。結果的にはベトナムの革命政府に渡りをつけるという焦慮が非常に濃くにじみ出ておったというような報道も聞いております。あの地域では、そういう意味で大きな地殻変動に見舞われておると言っても、過言ではないと思っております。それで、ASEAN諸国の真意といたしましては、アメリカだけを頼りにしていては大変だ、このまま行ったら大変なことになるという一つの考え方。さらには、アメリカがそうであるように、まず自分の国の安全をどうして図るかということを深刻に考え詰めてきておる。さらには、自分の国で自分を守る力と気概を持たなかった、ぎりぎりの瀬戸際に追い込まれた、いやというほどの反省が強いられておる。そういったところに、私は、何とはなしに大きな底流の変化というものの原因、遠因が見えるんじゃなかろうかと考える次第でございます。 ここで私は提言を申し上げます。 その第一は、内閣委員会に安全保障問題の小委員会等を設けられてこれと取り組まれる御意図はないかどうか、そのような必要性はないかどうかということであります。第二は、あるいは別途に安全保障特別委員会的なものをつくる必要はないかどうかということでございます。 このことは、ことさらに、いま申し上げましたその危機感をあおってみたり、あるいは軍備の増強を意図してみたりする気持ちは毛頭ございません。いまこの時期、日本が日本なりの権威と力とを持ったこの国の防衛について、真剣に静かに考え、取り組まなければならないと考えておるからでございます。委員長の御判断をお聞きしたいと思います。
○藤尾委員長 お答えを申し上げますが、ただいま御指摘の二点につきましては、現在の安全保障、防衛に関する共通の危機感といいまするものが存在をいたしており、現実に私どもこの国会の中におきましても、その種の御意見がいま非常に広がりつつある、かように考えております。しかしながら、この内閣委員会が従来ともこの問題を担当いたしてまいったわけでございまするし、この委員会の運営の上で、現在の運営の中ではとうていこの要請に対処し切れない、こういう御判断が各党からお出しいただきますならば、これは理事会等々におきまして、各党の御意見を集めまして、それに対処するがよろしかろう、かように思います。第一の点に関しまする内閣委員長といたしましての方針は、そのような方針をひとつとりたい、かように思います。 第二の、この国会の中に安全保障と申しますか、あるいは防衛に関する常任委員会をつくれというお話も、これは従来ともにございました御議論でございますけれども、これまた、院の一切の構成をお考えになっておられます議長の手元でお決めにならるべき問題でございまして、これにつきましては、議院運営委員会等々を通じまして、各党の意見がどのようになるかということによって決まる問題でございまして、私は私個人としての見解はございますけれども、委員長といたしましては、以上のようなお答えをする以外にない、かように思いますので、それをもってお答えにかえさしていただきます。
○吉永委員 いろんな諸般の要請に対処し切れない状況下にあるというごもっともなお言葉でございます。そのこともわかっております。さらに各党間におきましても、いろいろ次元を異にする見解、議論等がありますことも、十分承知をしております。しかしながら、この国防、防衛ということは、やはり最大多数の要約された国民の総意に基づいていかなければ——国防、防衛だけは、何とかして一つの土俵に上がって、具体的に建設的な論議をどう展開するかということに、私はいまの日本の国会の一番大事な焦点があるんじゃなかろうか。その点が欠けておることが何としても残念で、不幸な至りでございまするが、その御尽力、その御努力を特にお願いを申し上げたいと存じます。
○藤尾委員長 これは私、常任委員長会議等々を通じまして、議長に反映するようにひとつ対処いたしたいと思います。
○吉永委員 ただいまのことに関しまして、防衛庁長官の御所見を承れたらと思っております。
○坂田国務大臣 私はいま、国会でどのようにしていただくかということは言う立場にございませんけれども、私の方の希望といたしましては、吉永先生おっしゃるとおりに考えておるわけでございまして、ひとつ、できますならば、防衛委員会、あるいは特別委員会、あるいは小委員会等におきまして、国の安全保障全般を見ながら国の防衛というものを考えるということが非常に大事だし、また同時に、そのことが国民のコンセンサスを得る上においても非常に必要なことじゃないだろうかと思います。また、もう一つは、シビリアンコントロールというものの本質から考えて、そうあるべきではなかろうかという考えを私は持っております。
○吉永委員 長官のただいまの御説明そのとおりだと存じます。 長官は、昨今、防衛を考える会というものをおつくりになっております。その意図されておる点はわれわれ十分理解をしておるつもりでございますが、ここでその本当の方針なり目的なりにつきまして伺い得たらと思います。
○坂田国務大臣 防衛を考える会を発足させておるわけでございますが、その目的とするところは、何と申しましても、日本の防衛というもの、あるいは防衛力を高めましても、国民の理解と支持と協力がなければ、その防衛の力というものは発揮できないのだという基本的な考えを私は持つ者でございます。その意味合いにおきまして、国民的視野から一遍防衛というものをどういうふうに考えておられるかということを知ることも、防衛の任に当たっておる私といたしまして、必要なことではなかろうかというふうに思いますし、なるたけ各界各層の御意見等も承って、そして日本の独立と安全保障というものを考えてまいりたい、こういうことで防衛を考える会を発足させたわけでございます。 特にポスト四次防の問題が目前にございます。ちょうど経済も高度経済成長から安定経済成長へ転換する時期でございますので、この辺で、いままでやってまいりました第一次、第二次、第三次、第四次防というものについてももう一遍反省をしてみる、あるいは分析、評価をしてみることが、やはりポスト四次防を考えていく上においても大事ではなかろうかというふうに考えておるわけでございますが、それも単に防衛庁自身が考えるだけではなくて、一般の国民の方々、あるいは各界各層においては、どういうお考えを持っておられるだろうかということを聞きながら、ポスト四次防の骨格あるいは防衛構想、理念、そういったものを固めていくということも、政策意思決定の新しい方法として大事な点ではないだろうか。防衛庁で決めましたものをすぐ閣議で決め、そして国会に提出して御審議をいただくというのも一つの方法かと思いますし、従来はそういうやり方をしておったと思います。またわれわれの方も、一応そういう手続を踏まなければいけませんけれども、国会に提出するに至るまでの過程においても、それぞれの段階において国民の方々から御意見をいただく、そしてそれをくみ取りながら修正を加えつつ原案を練っていくということが、この民主主義社会における一つの新しい政策意思の決定の方法ではなかろうかというふうに思いますし、その点から考えまして、たとえば国防会議等も設置をされておるわけでございますから、総理大臣のもと、大蔵大臣あるいは経済企画庁長官、それに外務大臣、防衛庁長官、その他の必要な閣僚も入りまして、大きい視野から、外交の面から、経済の面から、あるいはまた民生安定というような立場から、日本の防衛あるいはポスト四次防をどう考えていったらいいかというようなことも、基本的な問題について論議が闘わされた後において原案を固めていくという方法はどうだろうかということで、実は防衛を考える会をまず発足させまして、そしていろいろ御意見等も承っておるという次第でございます。
○吉永委員 ただいま長官のお答えの中で、各層、各分野の方々の意見をあまねく聞いて国民的視野に立って防衛政策を決定したい。これは、民主主義下の防衛の方針決定の大きな前提として、私たち心から歓迎をするものでございます。 そこで、考えられますことでございますが、従来、自衛隊は士気が低下しておった、あるいはいろいろな事故を起こした、そういうようなことがとかく論議されてきましたし、自衛隊がどちらかと言えば陰のすみに追いやられていくような印象すら、ときたまの議論として私たち見てとったような次第でございます。私たちがこれから一番注意していかなければならぬと思うことは、自衛隊はできるだけ国民に同化しよう、社会機構の中に、社会生活の中に同化した自衛、そういう行き方の道をとろう、そうしておる中に、やはりいつのときでもそれがございまするが、かつては軍民離間という言葉がございました。自衛隊が仕事がやりにくいように、あるいは自衛隊が問題を起こせばことさらにそれを大きくあげつらうような、そういうことで自衛隊自身の士気の低下、戦力の低下、戦えない軍隊への道、これはずっと以前のことでありますが、そういうこともわれわれは経験をしております。先ほどおっしゃいました、自衛隊が国民世論の中に密着した姿でその任務を達成していくという方向をおとりになっております坂田長官の御意図よくわかっておりますが、こうしたいろいろな離間策等に関すること、これはやはり防衛を考える会の中で十分考えて、その会議の議題にもしていただいて、そしてそういうことが国民世論の中にはっきり判断の資料として出ていくような一つの行き方をとっていただいたらと思っておりますが、いかがなものでございましょうか。
○坂田国務大臣 先ほど申し上げましたように、やはり国民とともに歩むと申しますか、国民の理解と協力と支持とによって自衛隊を運営いたしたいというのが私の気持ちでございます。したがいまして、まず私たちとしてなすべきことは、本当に自衛隊員がよき自衛官であると同時に、健全なる常識と、そしてまた広い知識を持った市民あるいは国民であるということが必要であろうかと思うのでございまして、二十五、六万の陸海空の隊員の中には、た玄に事故を起こすというような者もないわけではございません。しかし、近ごろ私どもの手によって調査をいたしました陸上自衛隊員の意識調査を見てみますると、全体といたしまして、非常に健全に育っておるんじゃないだろうかというのがうかがわれまして、私一安心をいたしておるわけでございまして、今後ともやはり国民の期待にこたえ得るようなりっぱな自衛隊に育てていかなければならないというふうに思います。 また世の中に、いろいろ自衛隊に対する批判、あるいは中には誤解に基づく批判等もないわけではございませんが、そういうようなこと等につきましても、どういうふうにこれを受け取ったらいいかということについては、やはり防衛を考える会等においても反映させてまいりたいというふうに考えております。
○吉永委員 やはりこの問題に関連してでございますが、先ごろ尊敬するある先輩が、私費を使いまして、靖国神社問題で国民各層のアンケートをとられたことがございます。しさいはここでは遠慮させていただきますが、その中の一点で驚いたことでございまするが、靖国神社を国家が護持しておる、護持していない、靖国神社自体として全然国家の保護を受けていないと思っておる、受けておると思っておる、その両者のアンケートをとられましたら、一万人中何と八二%の方々が、国家護持をしておられるものであると思っておった、そのような答えが返ってきております。これは驚くべき無関心と申してもよろしいかと思いまするが、大体そのような考え方、民心の次元がそこにあると思わなければならないと思うわけでございます。同様な意味で私は、自衛隊あるいは国防、防衛等の問題に関しましても、国民の無関心層と申しますか、そういう方々が相当程度おられるんだなということを、やはり考えずにはおられないわけでございます。 そういう意味で私は、これは防衛庁の広報関係になろうと思いまするが、自衛隊のいわゆる限界と申しますか、陸海空どれくらいのものを必要とするとか、自衛隊に本当に何を望むんだとか、あるいはもし日本が侵された場合にどういう立場をとるんだとか、あるいは災害救助、国土建設等の問題もいろいろございましょうが、そういう個々の事例について、これは国民の自衛隊に対する、特に国防、防衛に対する堅実な気持ちの定着を図るという意味におきましても、そういう処置をこの防衛を考える会でおとりいただけたらと考えておるわけでございますが、いかがなものでございましょう。
○坂田国務大臣 すでに、自衛隊をいろいろな意味において認めるべきであるというふうな調査結果が、実は七三%。かつて七五%あったこともございますが、とにかく七〇%を超えておるということは、やはり自衛隊に対する必要性というものをちゃんと国民の大多数の方はわかっておられるというふうに、私どもは理解をいたしておるわけでございまして、こういうような世論の動向については、いろいろの形において調査もやっておるということを御理解いただきたいと存じます。
○吉永委員 先般、私は日本倶楽部で関係の実業人や青年の諸君と懇談の機会を持ちましたが、その折に、日本の自衛隊の任務とか編成、装備の概要とか、あるいは安全保障について日本の自衛隊がどのような任務を背負っておるんだとか、特に日本の近隣諸国の軍備装備がどうあるんだとかということ、これは比較的上層の知識人の集団でございましたけれども、そういう質問を投げかけてみましたら、これは長官、ほとんど知りませんですね。無関心ではございませんけれども、やはりほとんど資料として見たことがない。それだけにはっきりとした認識をしていないということがかなりあるようでございます。そういうことに関しましても、たとえば日本が現在置かれておるはっきりした防衛の位置づけあたりのことだけは、そうした知識人が一応頭に持つということを何とか普遍化する処置はないものだろうかと考えておるわけでございますが、いかがなものでございましょうか。
○坂田国務大臣 ただいまの吉永先生の御意見は、もっともなことだと実は思っておるわけでございます。実は防衛を考える会を開きまして、最初に委員の方々から御質問がございましたのは、長官はこういう防衛を考える会をつくっていろいろ考えてほしいと言われたのだけれども、率直に言って防衛庁自身が、あるいは政府として、何ら防衛を考える材料を与えてくれないじゃないか、そういうようなこともやらないでおいて、そして一体防衛を考えろと言っても、それは普通の国民は無理でございますよということでございました。私が防衛を考える会を発足させました理由の一つも、実はそういうことも頭に考えておって発足させたわけでございまして、いま御指摘のように、単に一部の知識人のみならず、一般の国民にもある程度わかるような、そういう材料をわれわれ防衛庁が提供しなければならない。それでなければ、理解とコンセンサス、あるいは支持と協力というものは求め得られないのであるというふうに私は考えるのでございまして、先般も申し上げましたように、この秋ぐらいを大体のめどにいたしまして、国防白書というものをこしらえまして、そしてこれを一般に配布する、そして読んでいただくというふうにしたいと、その準備に実は取りかかったような次第でございます。実はかつて中曽根長官のときに国防白書が出たことがございますが、その後絶えて久しく国防白書が出ておらない。いろいろの事情があったようでございますけれども。しかし私は、いま御指摘のとおりに、国民のコンセンサスを得るためにも防衛白書を出したい、そしてまた、できますならば毎年これを出すべきではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
○吉永委員 このことは防衛局長にお尋ねしたい問題ですが、これもそのときの私が受けた印象ですが、御承知のように戦略核と称される中に、ICBM、LCBM、MIRV、それぞれ米ソ両大国は協定のもとに現在覇を競っておる、と言ってはあるいは言い過ぎかもわかりませんが、協定を実施しております。フォード大統領が日本に見えましたその足でウラジオストクへ行かれて、ウラジオストクで第二次の協定がなされたことも、御承知のとおりでございます。さらにソビエト、アメリカが、今日では、山の向こう斜面あるいは谷底でも自由に電波誘導で核兵器を撃てる、そういう設備までできたというようなことも言われております。 そうしたいわゆる核戦略の話が出ましたときに、これは驚いたことでございますが、今日識者の一部に、きわめて一部でございましょうが、降伏の論理というのがささやかれておるということを聞いたわけでございます。東京工大の永井博士とか東大の小林教授とかいう方々もそうだと聞いておりますが、これは非常に論理の飛躍と言えばそれまででございますけれども、そういう超強大な核戦力下においては、戦争の犠牲なんかということを考えてみたら、もう戦争なんかせずにいきなり降伏をする降伏戦略というものの方がいいのではないか、そういう話すら出ておるということを私はその場で聞いたわけでございます。これはまた大変なことだと思いますが、それと、日米安保条約、あるいは世界を現在覆っておる集団安保の機構、こういうこととの関連は何ら論議されておらない。そうした一つのことだけがことさらに論議されておる。ここにも防衛に関する一つの落ち込みと申しますか、あるいは余りにも飛躍し過ぎた考え方と申しますか、そういうものがあるように思います。 そうした考え方自体も、これはやはり防衛当局として一応意にとめていただいて、このことは一つの定見と申しますか、こうあるべきだということを十分敷衍をしていただきたい、このように思っております。いかがでございますか。
○丸山(昂)政府委員 防衛に関します問題は、いずれも民族の生存にかかわる基本的な問題でございます。御指摘のように、こういった問題に対しますそれぞれの世界観からまいります多様な考え方というものが現実にあるということ、そういう存在があるということにつきましては、私どもも納得がいくわけでございますけれども、現実の問題で、ただいま御引用がございました米ソの戦略核の整備状況、これは一応青天井という状態から脱しまして、ウラジオの会議におきましては、それぞれ上限を二千四百という数字が米ソの間で合意をされまして、これについても、米ソの核競争ではないか、軍拡競争ではないかという見解もございますが、一応シーリングを立てまして、その中でそれぞれ質的な変化ということはございます。いわゆるMIRV化とか、あるいは報復力を確保するために残存力を高めるとか、こういった努力はなされておりますけれども、いずれにしても、そういうことでお互いの中に話し合いの基盤ができて、その無制限な競争ということに一応ストップがかけられるというようなことになりましたことについては、大いに喜ぶべき現象ではないかと思うわけでございます。 ただ問題は、核につきましては米ソともに、使えない兵器である、一たび核兵器を使いました場合には、大変な回復すべからざる災害をこうむるのだ、相手に与えるのだ、こういう共通の認識のもとにそういうものが進んでおるわけでございまして、もちろん、その核の抑止力というものを維持するために、高度の技術の開発というものがなお並行して行われておりますが、それはよりよくその抑止力というものを確実にするという趣旨で行われておるものであるというふうに考えるわけでございます。 そこで、そういう戦略核の整備状況というようなものから、いきなり無力感に結論を導いてくるという考え方は、一つの思想の短絡。物事としては、そういう考え方もあるかと思いますが、現在の米ソを中心といたします核抑止力というものの実態は、まさに核兵器そのものの技術的な驚くべき発展ということが裏づけになっておるというふうに私ども判断しておるわけでございまして、そこから、ただいまお挙げになりました降伏の論理とか、あるいは無抵抗の論理というようなものに直接結びつけて考える考え方は、少なくとも現状から見ました場合に、実際的な考え方ではないというふうに考えておるわけでございます。
○吉永委員 防衛局長の考え方に同感です。ただいま二千四百基と言われたのはICBMとLCBMで、MIRV、多核誘導弾道弾は千二百基に決まっておるというふうに聞いておりますが、この超強力核の問題ですが、中華人民共和国その他フランス等のことは全然タッチしておりませんか。この協定には入っておらないということですが、生産、そういうことには全然タッチしていないのか、あるいはある程度できておるのか、その辺わかっておりましたらお答え願いたい。
○丸山(昂)政府委員 御案内のように、第一次SALT交渉、それから第二次のSALT交渉を通じまして、これは一に米ソ間の交渉でございまして、ただいま申されましたフランスあるいは中国につきましては、直接このSALT交渉には関係がないように私どもは了承いたしております。この点につきましては、行く行く現在の核防に関します国際会議等におきまして、これは外務省の方からお話があるべきだと思いますけれども、フランスあるいは中国といった現在の核防に関しますアウトサイダーについて、その中に入って、そして同一歩調をとるように、日本としても今回の会議で主張されておるようでございます。こういう形で核保有国の軍縮という成果が上がるように、世界のあらゆる国で努力をいたしていくべきことではないかというふうに存じておるわけでございます。
○吉永委員 SALT交渉、協約では、中華人民共和国あたりはらち外にあるということでございますね。そういたしますと、このことに関する製造過程、あるいはできておるとかということに関しましての情報は、これは外務省当局にお尋ねした方がいいかと思いますが、どのような現況にあるのかお答えを願いたい。
○中江政府委員 御質問のような軍事的な情報につきましては、外務省としては、中華人民共和国のああいう体制の国であることもございますし、十分な情報はつかんでおりません。
○吉永委員 防衛局長、いまの問題で……。
○丸山(昂)政府委員 私どもも詳細な情報というものを承知をいたしておりませんけれども、ことしのシュレジンジャー米国防長官の年次報告によりますと、中距離弾道弾、IRBM以下のものにつきましては、中国につきましては、すでに若干の配備を終わっておる。ICBMクラスのものについては、運搬手段の開発についていろいろ技術的な困難があるのかもしれない。したがって、ここ当分の間、アメリカにとって脅威となるようなICBMの開発は恐らくないだろう、こういう報告が出ております。 それからフランスにつきましては、御案内のように、中距離弾道弾、S2と言われるものでございますが、これを二個大隊。一つは九基ずつでございますが、二個大隊をフランスの中部高原に展開をいたしております。それからプルトンといいます戦術核でございますが、これは地対地誘導弾でございますが、これもすでに開発を終わりまして、西独の中に配置をするというふうに言われておりますが、それがまだ実現しておるかどうかについては、私ども詳細に知っておりません。 それから、もう一つはポラリス型の潜水艦でございますが、これは六隻建造するという計画を持っておりまして、現在、四隻目が最近就航したというような情報を承知しております。
○吉永委員 中距離弾道弾、それからICBM、これの製造に着手しておりますことは、これは中華人民共和国の現況として確認できると私は思っております。このことは、どうかひとつ細密に情報を御収集いただきまして、その結果がどうというわけでなくして、私たちはやはり、集団安全保障、日米安保条約というたてまえからこのことを考え、推移を見守っておらなければならぬという意味において、いま少し御調査のほどをお願いしたい、このように考えます。 さらに、これは防衛局長にお尋ねしますが、いまの戦闘方式と申しますか、様式に、通常戦力の戦争と、それから戦術核、戦略核、この三つの方式に大体分けられるというように見ておりますが、この間行われましたベトナムの戦闘は、これは全部通常戦力の戦闘方式であった、このように認めておられますかどうですか。
○丸山(昂)政府委員 第二次大戦後におきまして、いわゆる戦略核にいたしましても、戦術核にいたしましても、これを使用した戦争というのはいままでに起きておりません。したがいましてベトナム戦争は、いまの三つのカテゴリーに分けますならば、通常兵器を用いる戦争であるというふうに申してよろしいかと思います。
○吉永委員 戦術核の片りんも使用された形跡はないというわけですね。
○丸山(昂)政府委員 使用されたことはないというふうに私どもは承知をいたしております。
○吉永委員 外務省にお尋ねを申し上げます。 田中美知太郎教授が、ベトナム戦争は局地戦争だというような、そういう表現を使っておられます。これは文学者的な表現だろうと思いますが、これは、局地あるいは全面を問わず、東南アジアにとりましても、アメリカにとりましても、一応国運を賭した戦争であったと私たちは思うわけですが、ポストベトナムの状態、ベトナムの現況、それからカンボジアの現況、ラオスの現況、これは可能な範囲で結構でございますが、どういう動向にあるということ。一番知りたいのはタイとビルマの状況でございます。恐らく第二の発火が起こるとすれば、私はこの地域じゃなかろうかと前から考えておりますが、そのタイとビルマの戦争の危機の濃厚、希薄の問題、その点について簡単にお答えを願いたい。
○中江政府委員 インドシナ半島の現況を、まず簡単に私どもが考えておりますところを御説明いたしますと、まずベトナムでございますが、南ベトナムは、チュー大統領のもとにありました政権が崩壊いたしまして、その後に臨時革命政府が直ちに樹立されるものかというふうに予想されておりましたところ、そういう予想とは違いまして、いまだにサイゴン、ジアジン地区も軍事管理委員会という一種の軍政のもとにありまして、南ベトナム全域にわたる統一された行政組織、いわゆる民政としての全般的な組織というものは明らかにされない状況のままで続いております。これは、予想外に急転回した軍事情勢であったために、その後の始末をするのに手間取っていて、各地とも軍事管理委員会レベルの軍政が続いているものであるのか。それとも、全般的な民政組織を確立するに当たって、いろいろの内部事情があるのか。その辺は必ずしもつまびらかにしておらないわけでございますけれども、基本的には、今度の軍事攻勢の主力は北ベトナム正規軍だということはほぼ明らかになってきておるわけでございますので、この北ベトナムの力と本来の南ベトナムのナショナリズムとの関係というようなものは、論理的に考えましても問題たり得るのではないかというようなことも推測されております。 日本のサイゴンにあります大使及び大使館は、引き続き事実上ほとんど外交官扱いに近い扱いで、平穏無事に接触が保たれております。交通、運輸、通信手段は一時とだえておりましたが、徐徐に回復して、一部の報道関係者が帰ってきております。そういう報道関係者からの話もおいおい聞いておりますけれども、やはり南ベトナムが早急に一つの民政のもとでの行政組織を確立するまでにはまだ問題がありそうだ、こういう推測がございます。 ただ、解放戦線といいますか、臨時革命政府の外交政策としていままで明らかにされましたところでは、非同盟中立という政策を一度公にしたことがございます。この点は、北ベトナムの共産主義政権とは多少色合いの違うものがあるのかという感じもいたしますが、これも、目下のところ、全般的な国の政策というものが把握しにくい。しかし在留邦人その他は平穏に生活している。ただ日常生活は、これだけ長く銀行も閉まったままということでございますので、だんだん苦しくなってくる、こういうふうに把握しております。 カンボジアは、これは南ベトナムと違いまして、きわめてわからない。これはもう御承知のように、わりあいカンボジアの解放勢力には同情的と見られたフランスの大使館すら追い出される。ソ連圏の外交官も相当厳しく追放された。カンボジア市民も、プノンペンから田舎に行って農作に従事しろということで出される。そういうことでございますので、首府プノンペンの状況は全く暗やみで、私どもにはどうなっているのかわからない。他方シアヌーク殿下は、一応国家元首ということでございますけれども、いまだに現地には戻らずに、北京でいろいろ話はしておられますけれども、その実効支配力の点については疑問を差しはさむ向きが多い。それでは一体どういうものができているのかということについては、全くわからない。カンボジアがインドシナ四カ国のうちでは最もおくれているのではないかというふうに見ております。 ラオスは、かねて連合政権で一応まとまっていたはずでありましたけれども、カンボジア、ベトナムにおける軍事情勢のああいう動きが影響したものと思われますが、パテトラオ系の勢力が急速に強くなって、これは力によってというよりも、時の勢いに押されて右派勢力がだんだん弱くなって、非常にハノイの影響力の強い国になっていくんではないかというふうに一般的に見られております。 こういうインドシナ半島そのものの情勢がいまだにはっきりいたしませんものですから、その周辺諸国の脅威といいますか、反応といいますか、これも一時は心理的に非常に強い反応があったわけでございますけれども、よくよく考えてみると、一体インドシナ半島はどうなるかということについて、まだ定かに見きわめがつかないということで、一時多少驚きあわてているような印象が報道されましたけれども、最近の状況では、周辺諸国も、じっくりインドシナ半島の行方を見守っていこう。またそれだけの時間的余裕もありそうだ。仮にインドシナ半島で新しい政権ができましても、それはとりあえず戦災復興と経済振興、発展というところに集中せざるを得ない。三十年近い戦争の後でございますから、そういう政策で臨むのが自然であろうから、それについては周辺諸国も、大いに力になれるものなら力になっていこうというような政策すら見えているという現状でございます。 先生が特に御指摘になりましたタイとビルマの問題ですが、タイは、御承知のとおりこういう事態になります前から、東北タイには共産系ゲリラがずいぶんいたわけでございまして、これがカンボジア、ベトナムから流れ込んだ難民の中からそういう力が生まれた、あるいはそういうものを通しての支援があると言われておりましたが、それを裏づけるようにゲリラの活動が多少活発化したという事態がございましたけれども、これがすぐにタイの領域に向かって進攻してくるといいますか、あるいは軍事的に全面的な圧力をかけるというような見通しは、いまのところございません。タイ政府は、新聞でも報道されておりますように、これに対して対決するというよりは、むしろそういう国と国交を持っていこうということで、北ベトナムや臨時革命政府との間で話し合いを進めているというような現況でございます。 ビルマの方は、これはビルマの共産軍と中国の共産正規軍との関係というものが、昔から問題視されておったわけでございまして、その意味でビルマは、インドシナ半島がああいうふうに一方的に片づいた後は、やはり自国内の共産党に対する支援というものが強化されるのではないかという危惧を抱いております。 と同時に、その西の隣国はバングラデシュ、これはインドと非常に近い国でございます。これはソ印条約に基づいて、どちらかというとソ連の影響力の強い国でございますので、その間にあって、いままでのような、多少閉鎖的な中立非同盟主義というものから、どういうふうに自国を守っていくかという意味では非常に困難な路線を歩んでいくと思いますが、ここでも、インドシナ情勢の急転回があったからといって、何らかの内部の軍事的な衝突なり動乱がいますぐに起きるであろうかということについては、否定的に見る見方の方が強い。そういうふうに見ております。
○吉永委員 非常に的確な御説明でよかったと思います。 それでは、端的に具体的にお伺いしますが、南ベトナムとソ連とのカムラン湾の泊地協定がある程度進んでいる、そういう情報が一部流れておりますが、その真偽のほど、あるいは事実進んでおるならば、その状況をある程度明かしていただきたい。 それからいま一つは、南ベトナムに北の正規軍が、これはベトコンともにでございますけれども、三十一軍団入った中で十四軍団が急遽北の方に反転をして、ビルマの中共との国境線上に全部配備を終わったということを確かな筋で聞いておるが、そういうことが事実あっておるかどうかということが一つ。 それから、先ほどラオスの問題で、ラオスというのは、御承知のように王侯貴族の連合政府で、その上にプーマ首相が乗っかっている。しかしプーマ首相が失脚をしてパテトラオの政権ができるとなると、また新たな波紋が当然できてきます。その辺の見通しをいま一度……。
○中江政府委員 最初のカムラン湾基地の問題でございますが、これは、第二次大戦後、ベトナム戦争中に構築された最大の難攻不落の基地だと言われた、大変な基地であったわけでございますが、それがソ連のもとに入るのかどうかという点は、これは今後の東南アジア情勢を見ます上でも、非常に重要な問題だという意識は私ども持っておりますが、ただ遺憾ながら、情報といたしましては、いま先生がおっしゃいました程度のこと以上には、正確な情報を私どもも持っておりません。したがって、単なる推測であるのか、つまりインドシナ半島における中国とソ連の勢力争いといいますか、そういったものの一環として一つの推測としてだれかが言い出したものであるのか、果たして具体的にアプローチがあったものであるのかについては、現在までのところ、的確な情報は残念ながら持っておらないわけでございます。 それから、北ベトナム正規軍がタイの国境の方に突如北上して、その方に移動したのではないかという点については、ちょっと私、個人的にもまだ存じない情報でございますので、調べてみたいと考えます。 ラオスにつきましては、これはパテトラオの支配のもとになればゆゆしいことだというお話でございますけれども、インドシナのいまの情勢を非常に冷やかに客観的に見ますと、これは趨勢としては、そういう方向に行く可能性はきわめて強い。したがって、インドシナ、南北ベトナム、ラオス、カンボジアと並べますと、ラオスが最も北ベトナムの息のかかった政権になっていく、そういう見通しのもとで種々の対策を考えるべきではないかと思っております。
○吉永委員 いまの仏印三国のほかに、これは私の私見ですが、争いが起きる発端の場所になっているのが、みんなデルタ地帯なんですよ。ハノイ周辺がそうであるし、南ベトナムのすぐ南端がそうなっておりますし、カンボジアがそうでございます。ビルマがそうである。あるいはあの大きな争いを起こしたバングラデシュでもそうで、あれは、デルタ地帯の洪水の後始末や、そういう供給策に基づいたのが発端になっていると私は見ております。そういうことで、日本の東南アジアへの対外援助と、東南アジアの五大デルタ地帯と申しておりますが、これに対してどのような見解、どのような着想を持っておられるか、その辺のことを担当の人にお伺いしたいと思います。
○中江政府委員 結局、デルタ地帯と申しますと食糧問題と密接に関係があるわけでございまして、これはベトナムでも、デルタを支配するかどうかということは、非常な問題であったわけでございます。 で、日本政府は、ベトナムのいわゆる動乱が続いておりました間でも、この食糧の問題というものは欠かせない問題であるという観点から、デルタにおける農業開発のための協力というものは、民生安定という観点から、非常に制約された条件下ではございましたが、やっておった実績もございます。 東南アジア全体で見ますと、先生おっしゃいますように、これは人口問題とともに食糧問題というものが非常に解決困難な問題になっております。そういう意味で、いままで毎年食糧援助を継続してきますごとに、私どもは、せっかくのデルタ地帯をもっと活用して、そして自給自足できるアジアにするべきではないか、こういう考えでおりました。今度は幸いにしてインドシナ半島において戦乱がなくなって落ちつくのであれば、そういう意味では、その国の政治、経済、社会体制を越えて、アジア全体のために、豊富なデルタ地帯というものを食糧問題と人口問題の解決のために利用できるように、日本としても、進んだ農業技術その他を技術輸出いたしまして協力していきたいというのが、とりあえず私どもの考えているところでございます。
○吉永委員 時間が超過いたしてしまいましたが、最後に委員長にお願いをいたしたいことは、先ほど申し上げました件でございますが、どうかこの際、この時期にじっくりと日本の国防、防衛を論じ、研究し、話し合うという土俵。次元の違いを越えて、ひとつ静かな気持ちで、反対は反対、大いに甲論乙駁結構でございますから、そういう土俵をつくっていただく。それがどんなに反対議論が多くて、どんなに議論百出しましても、その成果から何かが生まれてくる、また生まれてこなければならない、このように私は思うわけでございますが、そうした趣旨で、先ほど申し上げました小委員会あるいは特別委員会的なことを、特別に御配慮のほどをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
○藤尾委員長 竹中修一君。
○竹中委員 いま同僚の吉永議員からいろいろお話がございましたが、私もやはり、戦前の天皇の軍隊から国民の自衛隊というふうに変わった、この気持ちがまだ国民の間に定着していないのじゃないかというふうに思うわけです。 今国会の三木総理の施政方針演説の中に、特に自衛隊に関して所見を述べておられます。読みますけれども、「国防と治安の維持は、言うまでもなく政治の基本であると考えます。自衛隊については、自衛力の技術的な面もさることながら、自衛隊と国民との間に相互理解の和がなくては、真の自衛力とはなり得ません。」また、「私は、戦争抑止という観点から、日米間の安保協力と自衛隊の存在を評価するものでありますが、それを余りにも狭い純軍事的意義に局限しては、かえって真の効果が失われるおそれがあると考えます。自衛隊が国民から遊離、孤立した存在であっては、その真価を発揮することはできません。私は、国民の皆さんが自衛隊の役割りを正当に理解し、自衛隊が国民の皆さんから歓迎、祝福される存在になってもらうことを心から願っておるものであります。」というふうに所見を述べておられるわけです。私も全く同感だと思うのです。 こういうことで、いまの国際情勢からいって、国防というものはどうしても集団安全保障によらざるを得ない。そしてまた、必要最小限の自衛力を持たなければいけないと私は思っているわけです。 ところで、冒頭に申し上げましたように、国民の自衛隊、これがどうも国民の間に相互理解ができていないという現状から総理も特に付言されたものだと思うのですが、この国民の相互理解、自衛隊に対する理解、また自衛隊の国民に対する使命意識、こういうことについて長官はどういうふうにお考えか、また総理の発言に対してどういうふうな御所見を持っておられるか、お伺いしたいと思います。
○坂田国務大臣 私ども、国民の理解と支持と協力というものがなければ防衛の任務を全うし得ない、そういうふうに思いますし、天皇主権から国民主権に変わった現在の憲法のもとにおいて、やはり国民一人一人の生存、一人一人の自由、これを確保するのが国防である。言うならば、大きい意味における一つの国として国民の一人一人にサービスをする最も重大なもの、これが国防なんだ、私はこういう把握なんです。そして先生御指摘のように、それは単に軍事だけじゃないんだ。やはり外交あるいは経済、あるいは民生安定、あるいは福祉、そういうものも含めてよかろうと私は思うのですが、そういう形で防衛というものを見なければならない、かように思うわけで、特に私は、国民の協力というものを求めなくては、いかにりっぱな装備をいたしましても、それは国を守ることにつながっていかないのだという強い信念を持っておるわけでございます。
○竹中委員 長官からいま強い信念をお伺いしたわけで、頼もしいと思いますけれども、具体的にはどういうことをなさっていくかということを若干お尋ねしたいと思います。
○坂田国務大臣 私、防衛庁長官になりまして、まず、自衛隊の隊員が国民から信頼されるものでなきゃならないということでございます。また自衛隊に入る人は、本当にそういう国を守る、そしてそれは国民の支持と協力のもとにおいて国を守るのだという意識を持った隊員、そういう方に自衛隊に入ってもらわなきゃならない。ところが、同じ年齢層の人がいろいろ職業を選ぶわけでございますけれども、それ相応の待遇というものが自衛隊以外の社会においてあるわけです。そういたしますと、それと同等、否それ以上の質のいい隊員を選ぶといたしまするならば、やはりその自衛隊員に対する待遇というものは、均衡のとれたものでなければならないというふうに私は思います。 そこで、実は食糧費の問題でございますけれども、二十五、六万の陸海空のいわば一番下積みの自衛官、その人たちの中で、二十四時間法律によって拘束をされておる、そういういわゆる営内居住の、主といたしまして士でございますけれども、一部、あるいは半分ぐらいでございますか、曹にもございますが、そういう人たちに対して、食糧費はやはり国で見るというたてまえの方がベターであるというふうに考えまして、従来もそういう努力を重ねてまいったようでございますが、本年度の予算におきまして、これを大蔵大臣と折衝いたしまして合意を得ました。いずれこれまた国会の御審議を煩わさなければなりませんけれども、一応ことしの予算の中にも、その一部といたしまして三十億を計上さしていただいておるということでございます。 それからまた、最近、陸上自衛隊の意識調査をこの前発表いたしましたが、これを見ますると、私がしょっちゅう言っていますように、よき自衛官であると同時によき市民であってほしい、健全なる常識と同時に広い知識を持った自衛官であってほしいとかねがね申しておるわけでございますが、非常に一般国民と遊離した、自分だけが国を守っているんだというような、ともいたしますると思い上がりみたいなことにならない、平均的な常識を持った自衛官が育っておるように、実はあの意識調査を見て私は感じたわけで、将来に希望が持てる。しかし、考えてみれば、自衛官も毎日のようにいろいろ事故等も引き起こしているわけでございますが、一般社会においても、それぞれの企業や公務員であってもいろいろの事故を引き起こしているわけなんで、自衛官だけにそれが絶対にないように——絶対にないようにしたいのはやまやまでございますけれども、それも一面においては、そう極端な人たちだけが集まっているんじゃない。ここのところが、国民とともに歩む自衛官が育ちつつあるのだというように私は見たわけであります。あるいは昔の軍人の方であるとか、あるいは昔のいわば軍隊組織を最善なり最上なり、これ以外にはないんだというような考え方の方からするならば、少し物足りないとか、あるいはあれでいいのであろうか、あれで正常であるだろうかというような御心配もあるようでございますが、私は、こういうような自衛官こそ現在の憲法にふさわしい自衛官である、そして有事の際においては、こういう人たちが身を犠牲にしてでも、われわれの生存と、そしてわれわれの生命、財産、あるいはわれわれの享受しておる自由というものを守ってくれる、こうかたく信ずるようになってまいった次第でございます。いま一層この教育、訓練等について努力をいたしたいというふうに考えております。
○竹中委員 お話を伺いましたが、待遇改善の問題は、いま法案が出ておりませんので、これに触れませんけれども、私があちこちの部隊を視察さしていただきますと、地元の祭り、行事に進んで参加をするとかというようなことで、国民の自衛隊であるということに非常に現場の部隊は努力をしておられるというふうに痛切に感ずるわけでございます。ますますこの点を助長さしていただきたいと思うのです。 ところで、そういう国民の意識の中に、反面また、特に若い人ですけれども、自衛隊員は給料をたくさんもらっているのだ、また安保条約を堅持しなければいけないという国の考え方、こういう点から、逆に国防というものは安保に任せておけばいいのだ、あるいは自衛隊に任せておけばいいのだというような意識も出てきているわけです。この点について御所見を伺いたいと思います。
○坂田国務大臣 日本の国が経済発展をいたしまして、特に農業国から工業国に変わってきた、ことに高度工業社会を形成してきたへあるいは日本列島の中においても都市集中が行われてきた。こうなりますと、分業化、職業の専門化というものが非常に行われ、自衛隊という職業ということで、ともいたしますると国民と遊離をしていくという点があろうかと思います。これは単にわが国だけじゃなくて、自由社会における、しかも平時における一つの悩みであろうかと思います。その中において、そうじゃないのだ、国を守るということは自衛官だけに任せておけばいいのじゃないのだということを、どうやってお互いにわかるようにするか。そういうことが私の任務でもあるというふうに思っておるわけでございまして、その意味においていろいろ苦労をいたしておりますが、いまお話しのような、駐とん地における、あるいは基地周辺における、その地域社会の住民の方々と溶け合った姿、あるいはそういう機会を数多く持つということが必要なんだ。あるいは祭りも結構でございましょうし、あるいはまた営内を見ていただく、地域住民のために開放するということも必要でございましょうし、あるいはまた、場合によっては自衛艦にお乗せをするというようなことも必要でございましょうし、その他、運動会等いろいろな催しがございます。そういうときに進んで音楽隊等が行って、その地域住民の中の人たちとともに生活を楽しむということも、私は大事なことではなかろうかというふうに思います。 それからもう一つは、災害あるいは震災、地震、そういうようなときに喜んで自衛官が出動する。これは自分たちの主要なる任務じゃないのだ、われわれは侵略に対して、あるいは間接侵略に対しての任務を持ったあれなので、いたずらにそういうところには行かないのだ、こういう風潮がなきにしもあらずと思いますけれども、私はそうじゃない。平時においては、いかなる災害であろうと震災であろうと、国民一人一人の生活の基盤がやられたり、その人の財産がやられたり、あるいはその人の生命がやられたりする、そういう安全を守るのはやはりわれわれ自衛隊としての主要なる任務の一つであるというふうに位置づけをすることも、将来考えなければならないのじゃないか。 たとえばこの前の水島の油流出に対して、あの年末、人がみんなお正月気分のときに自衛隊が出動いたしました。あるいは正月のまだとそ気分の終わってないときに、一カ月間出動をいたしました。そして任務を遂行いたしました。そして地元住民からは非常に喜ばれておる。またそれに行った自衛官も喜んでいる。むしろ自分がやったことが住民に喜ばれた、そういう自覚を持って帰っております。そしてふだんの訓練よりも、場合によってはこういうことの方がいいのだということで、むしろ指揮官もそれを驚いておるというような事例を私は耳にいたすので、そうなんだろうというふうに私は思うのです。自分がやっておる任務が国民の皆さん方に喜んでもらえる、そういうことをはだ身で感じたときに、彼らとしては職務に精励する、生きがいを感ずるということにつながっていくというふうに私は思うのです。
○竹中委員 国民のために生きがいを感ずる自衛官、自衛隊というものについて御努力いただいて大変ありがたいと思いますが、やはり根本的には、残念ながらわが国論の中に自衛隊は違憲であるという考え方があるわけです。このことが非常に問題になると思うのです。私は、必要最小限の自衛力、すなわち力というものはもう自衛隊にあるというふうに考えているわけです。 去る二十一日のいわゆる防衛二法案の提案理由の説明の後に、大変恐縮ですが、先輩の上原議員が質問に立たれてこのことをただされたわけですが、判決について十分御理解がないんじゃないかと思うのです。私はあの判決について非常に否定的な考え方を持っているわけです。判決の中に、要するに自衛権は国の固有の権利としてあるんだということが明確に書かれてあるわけです。「わが国が、独立の主権国として、その固有の自衛権自体までも放棄したものと解すべきでないことは当然である。」固有の権利として自衛権を認めているわけです。その自衛権の発動をどういうふうにするかという判決の内容について、私は非常に否定的な考え方を持っているわけです。それは、「自衛権の行使は、たんに平和時における外交交渉によって外国からの侵害を未然に回避する方法のほか」、いわゆる外交交渉によって回避する方法、そのほかに、「危急の侵害に対し、本来国内の治安維持を目的とする警察をもつてこれを排除する方法」、警察が排除しろということです。さらに「民衆が武器をもつて抵抗する群民蜂起の方法もあり」、国民が全部ゲリラになれ、こういうことです。「さらに、侵略国国民の財産没収とか、侵略国国民の国外追放といった例もそれにあたると認められ」、またさらに、「非軍事的な自衛抵抗には数多くの方法があることも認めることができ、また人類の歴史にはかかる侵略者に対してその国民が、またその民族が、英知をしぼってこれに抵抗をしてきた数多くの事実を知ることができ、そして、それは、さらに将来ともその時代、その情況に応じて国民の英知と努力によってよりいっそう数多くの種類と方法が見出されていくべきものである。」という、私は非常にこの判決の理論について空疎なものを感ずるのです。侵略を受けたら警察がまず一番先に行け、あるいは群民蜂起をしろということで、国の、国民の安全というものはとうてい守れるものではないというふうに思います。そういうことで、どうしても必要最小限度の軍事力というものは必要だと私は思う。軍事力というといま非常に抵抗がありますので、自衛力と申し上げますけれども、そういう中で判決後相当な時日を経過しておりますが、隊員はこの判決についてどのように受けとめておるか、現在はどういうふうな考え方を持っているかをお示しいただきたいと思います。
○斎藤(一)政府委員 ただいまお尋ねのいわゆる長沼判決でございますが、これは第一審の判決でございまして、自衛隊の憲法との関係においては、憲法第九条の解釈として、従前政府としては、自衛隊が九条の認める自衛権の範囲内の存在であるという解釈をずっと維持しております。現在もそういう考え方でおります。したがって、長沼判決の第一審に対しては、国はさらにこれを控訴しておりまして、これからの審理を待っておる段階でございます。 そういった現状におきまして、当時判決が出たときも、防衛庁としては、隊員にただいま申し上げたような趣旨を説明して、そして自衛隊はあくまで憲法九条の範囲内に必要な国の機関として存在するものであるということを十分説明しております。自衛隊員のそれぞれはそのことを理解し、先ほど来防衛庁長官がおっしゃったように、それぞれが生きがいを感じて大いに努めておるというふうに私どもは承知しています。
○竹中委員 官房長からお答えがございましたが、私も同感だと思うのです。これによっていささかでも自衛隊員の士気が阻喪しないように、さらに御努力をいただきたいと思います。 そこで、必要最小限の自衛力、すなわち自衛隊は必要だということは、先ほども長官が吉永委員へのお答えの中で、国民の七三%は自衛隊の存在を認めているというお話がございました。全くそのとおりだと思うのです。そしてまた、国民は精鋭である自衛隊を望んでいると思うのです。そうすると、結局どういうことが精鋭なんだ、兵力の数が多ければいいのか、装備が十分であればいいのか、いろいろ問題が出てくると思うのです。そこで、漠然と自衛隊は必要なんです、自衛隊は精鋭で欲しいのですと言っても、一体どこが限度かということが一番国民的な心配になってくると思うのです。 そういうことで、増原長官のときにこの問題が起こって、いろいろ論議を呼んだわけですが、それを蒸し返しませんけれども、一応制度上は、国防会議あるいは政府の決定、国会の議論、こういうものがあるわけですけれども、いままで数年前までは、GNPの一%以内なんだ、だから過大でないというような説明がずっと使われておったわけです。そういうことで、制度上の問題いろいろありますけれども、いわゆる自衛隊が無制限に膨張していく、そして何かかつての軍国主義みたいな、ああいうふうになりはしないかという漠然とした心配があると思うのです。それの歯どめを一体どういうふうにお考えになっているか、御見解を承りたいと思います。
○坂田国務大臣 防衛力の限界と申しますか、あるいは自衛権の限界と申しますか、これはいろいろ相手のあることでございまして、一概に数量でもっては申し上げにくいとは思いますけれども、しかし、私はこう思うのでございまして、やはり他国に脅威を与えるような自衛力は持つべきではないのじゃないか。あるいはまた、国内的に申しましても、非常に民生を圧迫するような防衛力の漸増というものは好ましくないのではないだろうかというふうに思います。そういたしますと、やはりGNPの一%というものは有力な数的な根拠になるように思うわけでございます。 この点については、非常に高度工業成長の時代におけるGNPの一%と、それからいわゆる経済成長が非常になだらかになり、あるいは四%とか五%とか、あるいは場合によっては〇%なんというようなときにおいて、一体GNPの一%がどうなるかというのは、ちょっとその辺を数量を見てみないと、実は何とも申し上げようがないわけでございますけれども、やはり一応GNPの一%というのが一つの国民のコンセンサスを得られる考えではなかろうか。 実は今度の防衛を考える会を開きまして、もうこれで四回やりました。その二回くらいはこの問題をいろんな形で議論をされまして、大体皆さんの御意見も、ほぼGNP一%、これを超えるとやはりというような御意見の方が強いようでございます。そういうような気持ちでおります。
○竹中委員 従来GNPの一%以内というのを使っておられるわけですが、それに対する国民の理解というものを十分お示しいただきたいと思うのです。ということは、やはりかつての軍国主義みたいになってはいけないという素朴な気持ちが国民の間に残っているからでございます。 それでは、今回提出された法案について御質問を二、三してみたいと思いますが、このたびの自衛隊法の改正によって、第三航空団を小牧から三沢に移駐させるということが提出されているわけでありますけれども、なぜ小牧から三沢へ移駐させるわけでありますか。
○丸山(昂)政府委員 御案内のように、ただいま第三航空団が所在しております小牧のいわゆる名古屋空港でございますが、都市化が進みまして、そのために、騒音の関係、あるいは訓練をやっておりますときに、故障が起きまして退避をする場合、非常に困難を感じておるという状況でございまして、隊員の疲労、航空士の疲労その他を勘案いたしまして、できるだけやはり訓練環境のよろしいところに移すべきではないかという考えがございましたし、また地元からも、いろいろそういう趣旨に沿った御意向が御提案がありまして、長い間の懸案になっておったわけでございます。 それから、先ほど申し上げましたほかに、訓練環境で問題になりますのは、全日空の事故が起きましてから、訓練空域がそれぞれ洋上に設定をされておりまして、現在小牧の戦闘団の使用しております空域は、主として日本海の北陸の先の空域でございます。ここへ参りますために、御案内の回廊を通っていくわけでございますが、所要時間が二十六、七分、往復で約一時間に近い時間を空費をせざるを得ない、こういう状況もあわせてあるわけでございます。
○竹中委員 小牧をいままでどおり使えないという理由の中に、いわゆる訓練上の問題がある、また、非常に過密化してきたあの地方の問題から地元の意向もある、こういうようなお話でありますけれども、そうしますと、第三航空団のいまの任務、それが三沢へ行ってから変わらないわけでありますか。
○丸山(昂)政府委員 第三航空団は現在86Fをもって構成されておりまして、これは他の要撃部隊と基本的に同じ任務を持っておりますけれども、それとあわせまして、地上の部隊に対する対地支援、地上攻撃機としての特性を持っておりますので、それをあわせて持っているというのが任務でございまして、これが三沢に参りました場合には、三沢にすでに八一空というのがございますが、これとあわせまして第三航空団を改編をするということを考えております。任務といたしましては、現在小牧におります場合と基本的には変わっておらないということでございます。
○竹中委員 航空団自体の任務は変わらなくても、正面作戦の上で変更がないわけですか。
○丸山(昂)政府委員 ただいままでは、この小牧におりました地理的な関係から、主として中部地方、北陸の関係、あるいは太平洋、遠州灘の方向からの領空侵犯に対処するということをやっておりましたので、今度北部に移りまして、三沢に移駐いたしました後におきましては、千歳の第二航空団と相連携をいたしまして、主として北部の地域におきます領空侵犯に対処する、こういうことに変わってくるかと思います。
○竹中委員 それはわかるのですが、いわゆる中部地帯が手薄にならないかということなんです。
○丸山(昂)政府委員 一応、三沢に移りました後の形を見ますと、北部に第二航空団と、それから今度新たに編成されます三沢の第三航空団、それから中部は小松にございます要撃部隊、それから百里にあります部隊、これは六、七でございますが、この航空団、それから西部は築城と新田原にございます第五航空団ということで、各方面航空隊にそれぞれ二個の要撃戦闘航空団を持つということになりますので、一応バランスがとれるかっこうになるのではないかというふうに考えております。
○竹中委員 御承知のとおり、三沢にはすでに米軍がおる。また航空自衛隊もおる。さらに先般、米海軍のP3Bの移駐も決定をされている。それから今月の十日からは民間航空も入ってきているということで、三沢の都市自体は過密でないかもしれないけれども、基地というものは、いわゆる航空機の使用、これによって相当過密になってくるのじゃないかと思いますが、その点の御認識はいかがなのですか。
○丸山(昂)政府委員 確かに御指摘のように、三沢にすでに米軍がございますし、それからただいまお話しのように、八一空があるということでございまして、そういう意味におきましては、確かに三沢が過密になるということは否めないことだと思います。 どのくらいふえるのかと申しますと、現在、北部警戒管制団、それから八一空等を主体にいたしまして約千八百名おるわけでございますが、これにただいまの第三航空団の中心部隊が移るということになりまして、そのほか省力化、合理化その他を図りまして、差し引きをいたしますと約四百名の増でございまして、ただいまの千八百名から二千二百名ぐらいに人数的にはなるわけでございます。航空機は86Fが二十五機、それからT33が若干でございますが、これがふえるということになるわけでございまして、そういう意味では、三沢に集中するという御指摘どおりではないかというふうに考えておりますが、先ほど申し上げましたように、小牧の事情、それから移りました後の訓練環境の問題、あるいは侵略に対します対応体制、こういったことを考えました場合に、やはり三沢に移るということをあえてお願い申し上げざるを得ないのじゃないかというふうに考えるわけでございます。
○竹中委員 これはいま、人数とかあるいは機数その他の御説明があったわけですが、もちろんこの自衛隊法の改正が議決されなければ移れないわけでありますが、今国会でこれが議決されたものとして、移駐計画はどういうことになっておりますか。
○丸山(昂)政府委員 この五十年の会計年度の最後の四・四半期の時期に移駐を実現をいたしたいというふうに考えております。
○竹中委員 それは航空団の移駐ということですけれども、たとえば隊員とか、全部地上部隊も移駐する。そうすると五十年度に移駐完了ということでございますか。
○丸山(昂)政府委員 一応形式的には五十年度に移駐を完了いたしたいと思います。施設その他の関係がございますので、全部を移せるかどうかという問題は、これはいろいろあるかと思いますが、形式的には移りまして、看板は掲げさしていただきたいというふうに考えております。
○竹中委員 先ほど隊員が四百名ふえるというお話でございましたけれども、家族も相当いると思うのです。そういうようなことで、家族はどれくらいいるものでございますか。
○丸山(昂)政府委員 まだ具体的にどのくらいの人数になるかということははっきりわかっておりませんが、現在三沢におります千八百名の家族が約二千四百名でございます。四百人増というところでございます。そこで、この比率で考えますと、四百名に対しまして約五百近くということになるのではないかと思いますが、これは全くの腰だめでございますので、現在のところではその程度しか申し上げられない次第でございます。
○竹中委員 家族がふえるということになると、移駐による隊舎あるいは宿舎、学校、すべて民生に非常に密接な影響があると思うのです。そういうことについての心づもり、心支度というものはできておるわけですか。
○平井政府委員 先ほど来御指摘の点で、第三航空団が移動いたしまして、ことしの第四・四半期ぐらいまでに部隊編成をするに伴っては、当然隊舎の整備、あるいはいわゆる家族持ちと申しますか、先ほど防衛局長からも御答弁申し上げましたが、現在よりも二百人余りの営外居住者がふえることになろうと思います。現在におきましても、第八十一飛行隊ないしは北部方面航空隊の営外居住者の必要戸数に満たないような国設宿舎等の状況でございます。今回の第三航空団の移駐に伴いまして、施設の中における隊舎の整備ないしは飛行場の外における宿舎の整備等につきまして、五十年度におきましても、予算に計上していただきまして整備を図る計画でございます。 たとえば隊舎の整備につきましては、約四億六千万の予算を計上していただいております。宿舎につきましては、約七十戸の整備を今年度計上さしていただいております。五十一年度におきましても、同様な形で整備を続けさしていただいて、隊員の生活環境等の整備等に努力していきたい、そういうふうに考えております。
○竹中委員 第三航空団が三沢へ移駐するということは、一月八日か九日、とにかく政府予算が決定する前に国防会議で決定をしたわけでありますけれども、早速あのニュースが現地の方に行っているわけです。自来、受け入れるべきであるという意見の方々、あるいは反対であるという意見の方々、賛否両論があるわけです。これは十分御承知だと思いますけれども、それに対する御所見を承りたいと思います。
○久保政府委員 現地の情勢をいろいろ私どもも聞かされておりますが、結局、三空団、及び特に米空母、ミッドウェーの艦載機の飛来によって、地元の方々がいろいろな被害をお受けになることが予想されるわけであります。私どもとしては、三つの分野でそれを考えてまいる。 一つは、やはり訓練方法その他を考慮しまして、できるだけ航空障害といったものが減少されることを配慮すべきであろうということであります。 それから二つ目には、最近までの米軍の部隊あるいは自衛隊の部隊などの運用を見ておりますと、必要物資、特に食料品を中心にするわけでありますが、そういったものをなるべく安く上げたいということで、必ずしも地元調達になっておらぬ面が相当あるんじゃないか。これはやはり地元民と共存していくということがたてまえでありますから、自衛隊はもちろんのこととして、米軍にもそう言っておりますが、なるべく地元からも相当量を購入してもらう、そういう方向に進めて地元民にも利益が及んでいくということを配慮すべきではないか。 第三には、特に三沢からは相当膨大な周辺対策事業の要望が出ております。こういったものについて、もちろん一年、二年ででき上がるものではありませんが、私どもとしましても、若干長期にわたるかもしれませんけれども、総合的な対策を私どもでつくって、市の方あるいは漁業組合の方とも御相談をして、何とか円滑、平穏な共存を目指してまいりたい、かように考えております。
○竹中委員 すでに御承知のとおり、三沢市というところは戦後いわゆる基地の町として、主として基地経済に依存して発展してきた町であることは事実なわけです。その後、米軍の縮小あるいはドル防衛によって基地がだんだん縮小されてきたということで、基地依存の経済から普通の地域経済の発展をこいねがうというようなことで着々計画をしているわけです。ところがまた、P3Bに続いて第三航空団の移駐があるということで、現地の方々は非常に複雑な気持ちでいることは御承知だろうと思うのです。しかも先ほどお伺いしますと、国防上の緊急の必要で小牧から三沢に移るというよりも、むしろ訓練の効率を上げるために、あるいは小牧は非常に過密であって地元の意向もあるということになってくると、先ほど来申し上げておりますように、何かしわが全部三沢に寄るような気がするというような気持ちを三沢の人が持つのは当然のことだと思うのです。 三沢の人たちは、大部分の方々は、やはり安保も必要であるし自衛隊が必要であるということを自覚しております。そして自分たちも、基地を提供すること、基地に協力することによって国防の一端を担っているのだという誇りは持っているのです。 昨年の秋に当委員会が三沢を視察させていただきました。そのときに市役所で現地の各層の方々から御意見を伺ったわけです。労働組合の地域の代表の方々からお話がありましたが、その方も、理念としては自衛隊の存在には反対であるけれども、現実に三沢には基地がある、基地に依存しているという点からいけば、基地があることによる民生の不便、不快、そういうものは何とかして国でめんどうを見てもらわなければいけないのだという心情が吐露されたわけです。そのとおりだと思うのですよ。そういうことで小牧からこっちへ押しつけられたという気持ちを持っている人は相当あると思うのです。 こういうことについて、いままで、たとえば体育館の補助とか、あるいは北浜の簡易水道の援助とか、あるいは民間航空の乗り入れとか、いろいろ施策は講じていただいておりますけれども、やはりこの問題についても、内々現地の方から要望事項があると思うのですが、御承知でございましょうか。
○久保政府委員 昨年でありましたか、市の方からは七百億に及ぶ総合的な対策事業の要望が出ておりまするし、漁業組合の方からは、漁業に対する航空騒音による障害についてそれの補償、もしくはそれの前提としての具体的な調査を要望されており、また現実に私どもやっておるわけであります。 そこで私どもは、予算の中で、非常に短い期間にこれらが実現するわけではございませんが、その中で実現可能なものを特に早く選んで実施に移してまいりたい。たとえば一番手近な問題としましては、飛行場の北部の方にありまする県民の森の利用の問題、あるいは飛行場の外にありますいわゆる遊休地の活用の問題、そういった問題もございます。ただ、これらは、施設庁だけではなくて、大蔵省がかんでまいったり、それから市の方での財政的な裏打ち問題もあったりしますので、十分地元と協議をしながら進めてまいらなければならないし、それから特に漁業関係で不満が若干あるようでありますのは、陸地の手当てに対して海の方の手当てが薄いんじゃないかということも言われております。こういった点についても、私どもは十分に反省をしてまいらねばならないというふうに考えております。
○竹中委員 いま久保さんのお話しになったこと、それが実現されると、第三航空団をオーケーするということではないと思うのですよ。いままで基地があることによって非常に苦しんでいた、そのことに対する対応策だと私は思うのです。その点を御認識いただきたいと思うのです。 そこで、昨年新法ができて、いわゆる特定防衛施設の指定が行われるということが決定をして、非常に基地関係の方々からは喜ばれた施策であります。また、第九条のいわゆる調整交付金、これが非常に期待をされておったのですけれども、年度末ぎりぎりに特定防衛施設の指定が行われ、交付金が交付されたというふうに聞いておりますけれども、何カ所指定になったわけですか。
○久保政府委員 特定防衛施設及び関連市町村の指定を、実は私どもは昨年の秋にやりたいということでまいったわけでありますが、特定の場所で区切る関係もありまして、なかなか関係の省庁ともその調整がつかないというふうなことで、大変遺憾なことでありましたが、三月に至ったわけであります。御質問の個所数は、特定防衛施設で五十三施設、それから市町村で九十四ということであります。
○竹中委員 それは三月に指定したわけでありますけれども、その三月の時点で指定すべき条件がそろったところは、全部指定したわけですか。これから新たに指定するわけですか。
○久保政府委員 特定防衛施設につきましては、一定の基準を設けまして五十三ということにしましたわけでありますが、特定防衛施設の方は大体これでカバーできているんではないかというふうに思います。しかしながら、たとえば新たに射撃を始めまする演習場なんかが出てまいりますとつけ加えるということになろうと思います。 それから、関連市町村の九十四というものについても、初め少数にしぼるか大幅にするかという問題がございました。しかし、少数ということでは——これは予算が少なかった面もあり、初年度ということもございまして、そういう意見が大分あったわけでありますが、それではやはり関係市町村の御満足を得られないのではないかということで、私どもとしては、関係省庁の御要求にもかかわらず、相当幅を広げたつもりであります。ただ、やってみますると、若干まだバランスの面で考慮しなければならない点があるかもしれません。したがいまして、新たに防衛施設がつけ加えられるものに関連をしてふえるもの以外に、バランスを考慮して若干今年度また検討する必要があるかもしれませんが、大枠としましては、大体いいところにいっているというふうに考えております。
○竹中委員 その調整交付金の算定の基準というものは、お答えできるわけですか。
○久保政府委員 これは法律に基づきます政令の十五条で大変詳しく出ておりまして、簡単に申し上げますれば、特定防衛施設の面積とか、それからその面積の市に占める割合でありますとか、人口でありますとか、人口と面積の割合でありますとか、それから飛行機の運航の態様、それから砲撃の態様、港湾の使用度、そういったものをそれぞれ割合を出しまして数字を出しまして、その数字にそれぞれ点数を与えて、その点数を総合計をして割り振るということでございます。きわめて科学的といいますか、数学的に厳密に出すわけでありますが、そうすると、かえって常識的な数字と必ずしもマッチしない面も案外出てまいるところも結果的にはありまして、そういう点について一部御不満のあった市町村もあったようでありますが、そういう点も、この次にはもう少し手直しをしてまいりたい、かように考えております。
○竹中委員 交付金の算定基準をいまお答えいただいたわけでありますけれども、これを関係市町村が使用する場合の基準、使途の基準というものはあるわけですか。
○久保政府委員 使途の基準にしましては、大体、公共用施設の大部分が中に入るわけでありますが、これも政令の十四条に書いてありまして、たとえば交通施設、通信施設、あるいはスポーツ、レクリエーションに関する施設、環境衛生施設、教育文化施設、医療施設、社会福祉施設、消防関係の施設、産業の振興に寄与する施設というふうになっております。
○竹中委員 四十九年度は、三月、年度末ぎりぎりに指定になって、年度末ぎりぎりに交付になったということで、どういうふうに使われておるわけですか。それからもう一つ、ことしはいつごろ交付になるものか。
○銅崎政府委員 四十九年度五億円でございましたが、そのうち執行いたしましたのは四千八百万円、残り四億五千二百万円は本年度に繰り越しております。それで、執行しました中で使われました事案は、排水路あるいは道路整備、可搬式の消防ポンプ、それからごみ収集車、そういったものに使われております。 それから本年度の配付につきましては、ただいま施設庁長官から話がありましたように、基準につきましてもう一度見直してみたい、いろいろな市町村の意見も聞いてみたいということで、一応いまのところ九月を目標に作業を進めております。
○竹中委員 わかりました。できるだけ早く、また関係市町村の意見を聞いて、有効適切にやっていただきたいと思うのです。 それからもう一つ、この法律の中で、特定の飛行場周辺については、第一種、第二種、第三種の地域を指定することになっているわけですが、まだ指定が行われてないというふうに聞いておりますけれども、いかがでございますか。
○銅崎政府委員 この一種、二種、三種の区域の指定については騒音コンターをつくると言っておりますけれども、各種の調査機関にお願いしておるわけですが、向こう側の都合その他がございまして、なかなか希望どおりできないということでございます。 三沢飛行場につきましては、引き続きずっとその調査機関といろいろな話し合いをいたしまして、この五月三十一日から三日間、事前調査をやることにいたしております。本調査は八月の上旬に実施するということで、いま話し合いを進めております。
○竹中委員 現地の関係者は非常に困っておるわけです。たとえば家を改築したい、だけれどもどの地域に指定されるんだろうということで、個人の場合でも、公共施設の場合でも、非常に戸惑っておるわけです。このことをひとつ早く調査して、実施をしていただきたいというふうに思います。 時間がなくなりましたので、これで終わりますけれども、先ほど来申し上げておりますように、せっかくいままで基地に協力をしてきた三沢の現地の方々が、何でもかんでも三沢に押しつけられるんじゃないかという気持ちを持つのは当然だと思うのです。また、その心情も理解してやらなければいけないと思うのです。ただ現地のいろいろな補助をしてやればいいとか、金の問題でもないと思うのです。そういうことで、私はいまここに、軽々に三沢としては第三航空団の受け入れをいまでもオーケーだということは言えないと思うのです。そういうことで、これから十分政府の方が現地と話し合いをし、現地の意向を聞き、せっかく国防の一端を担っているというプライド、誇りを傷つけないような折衝を続けて、これが円滑にいくように私はお願いをして、質問を終わります。どうもありがとうございました。
○藤尾委員長 近藤鉄雄君。
○近藤委員 坂田防衛庁長官が誕生されまして半年でございますけれども、就任以来、日本の最も大事な国防について誠意をもって努力をされている姿を、私たちは非常に共鳴をもって見守っているわけであります。本委員会におきましても、朝から同僚委員の質問がございましたけれども、まさに、日本の安全保障、国防という問題を国民的基盤でみんなで守るんだ、こういう考え方で事を処していらっしゃるそのお考え方、御信念の披瀝を承りまして、私たちはさらに共鳴をするものであります。 余談でございますが、私は、歴代防衛庁長官という方々は、皆さん、政治家としても、人間としても、りっぱな方々ばかりであったわけでありますが、大変頼もしい、力の強そうな方が防衛庁長官になられまして、私ども長官を見ていると、これでもう日本の国防は安心じゃないか、そういう錯覚に似たような思いもして、国防というのは、ああいう力強い、頼もしい防衛庁長官がいらっしゃるのだからお任せしておいて、われわれ国民は適当に日常の生活を楽しめばいいんだ、ややもすればそういう気持ちになったんじゃないかという感じがいたしますけれども、決して坂田長官頼もしくないとは申しませんが、私、個人的に存じ上げているわけでありますが、まさに外柔内剛といいますか、内に秘めた決意を持ちながら外は大変やさしくいらっしゃいますし、長官を見ておりますと、やはりあの長官を守り立てて、みんなで本当に大事な国防というものを考え、また努力し励まなければならないのではないか、こういう気持ちに私たちなってしまうわけであります。ですから、決してこれまでの長官が悪いとは申しませんが、やはりそういう強そうな人よりも、余り強くないような方が防衛庁長官をおやりになることが、むしろみんなで防衛を考える、こういう意味で、私はあえて申し上げますが、坂田防衛庁長官は三木内閣のヒットの人事である、最高の閣僚である、かように考えているわけであります。 こういう意味で、さらに日本の国防というのはみんなで考えなければならないことでございますが、同時に、戦争だとか戦闘だとか、また、そういうことは大変忌まわしいことでありますし、いやらしいことでもございます。特に現在の戦争というものは、もし起これば、同僚議員の質問の中にもあったわけでありますけれども、いわゆる核戦争、核の脅威、こういうような、まさにこれによって人類が破滅するのじゃないかというふうな状況にまで追い込まれかねない危険を持っている深刻な問題であります。したがって私たちは、この非常に深刻な現実の問題を避けて通るわけにはいかない。私はあえて、日本の国防の問題においても、この核問題というものを、ややもすれば、私たちが世界で最初、唯一の原爆の被爆国である、こういう考え方から、必ずしもこの問題について具体的に突っ込んだ議論をしてこなかったというきらいがあるわけであります。私も実は当時広島湾の中の江田島におりまして、核爆風も受けましたし、またいわゆる原子雲を見てまいった一人でございますし、そういうことは議論したくないのだという気持ちもわかります。しかし、やはり同時に、私はこの大事な国防を考えている日本の防衛庁でこの問題を避けて通るわけにはいかないのじゃないか、私ども関係する政治家がこの問題を避けて通らないで、具体的、現実的な議論をしておかなければならないのではないか、かように考えるわけであります。 本国会におきましても、核拡散防止条約の批准が議論されるわけでございますし、この核拡散防止条約の批准の是非をめぐって、自由民主党内部でもいろいろな議論がございます。また国会内部でもいろいろな議論がありますし、また国会の外部でもいろいろな議論が行われておるわけでございますが、こういう状況の中で、私は特に本日は時間をいただきまして、いわゆる核拡散防止条約の批准の是非をめぐって議論されている中で、有事の場合の日本のような非核保有国、これがどういうふうに安全の保障が担保されるのか、確保されるのか、この問題について、ひとつ具体的に、現実的に御質問をしていきたい、考えさせていただきたい、かように思うわけであります。 そこで、ほかの国はともかくといたしまして、単刀直入に防衛庁当局に承りますけれども、いわゆる日本及びその周辺の地域において核兵器の使用が行われるとしたら、それはどのような状態において、またどのような目的をもって行われると考えられるか、防衛局長に承りたいと思います。
○丸山(昂)政府委員 核の使用につきましては、御案内のように、たびたび申し上げておりますように、核兵器はほとんど使えない兵器になりつつある。核の抑止力というのは、相互に核兵器を使えないということが一つの基本になっておるわけでございまして、それが日本の場合には、アメリカの戦略核による担保ということで、日本がいわゆるアメリカの核抑止力の中に入っておるということを言われるゆえんでございますが、いまの先生の御質問は、そういう前提の上に、なおかつ日本周辺で核兵器が使用されるという場合を想定して、どういう態様で、どういう方法で使われるかという御質問でございます。大変にレアケースであり、非常にむずかしい御質問でございます。私どもは、できるだけこういう核が使われないための処置、これはもう外交手段その他あらゆるものを使ってやるべきであるというふうに考えて、実はそういうところに力を注いでおるわけでございます。 日本の場合に、その核使用を非常に想定しにくいのでございますが、核を使用することによる直接の効果と言いますか、こういったことを考慮に入れて日本に使う。まあこれは、広島の原爆の使用ということが、まさに戦略的な意味をもって、あれが直接の契機になって終戦になったと言われてもよいのではないかと思うのでありますが、そういう形の使用があるのかどうかという点については、なかなか私どもとしてははっきり申し上げることはむずかしいのじゃないかと思っております。 御案内のように、戦略核、戦術核と言われるものがございますが、日本のように狭い土地に多数の人間が居住しておるというようなところにおきましては、直接それを目的とする戦略核は別でございますけれども、戦術核としては、まず使用する場所がないのではないかというふうに考えております。周辺でということになりますと、非常に局限された、潜水艦を対象といたしますサブロックであるとか、あるいは核爆雷であるとか、こういうものが、他に波及しないというはっきりした見通しがあれば、あるいは洋上において使用されるということもあり得ると思いますけれども、これは大変レアケースではないかというふうに考えられるわけでございます。 いずれにいたしましても、具体的にどういう形で核が使われるかということは、ただいまの状態においてはきわめて想定が困難であるということで、この程度の御答弁でまことに恐縮でございますが、それ以上のところは、いまの段階では私どもとしては申し上げられるような材料がございませんので、御容赦願いたいと思います。
○近藤委員 防衛局長の御答弁、わかるわけでございますが、ただ現実に、いわゆるアメリカの第七艦隊が戦術なり戦略核を持っているかもしれないというような話もありますし、またポラリスだとかポセイドンだとかという原子力潜水艦、これが核装備だということも言われているわけであります。片っ方でソ連の極東艦隊、これも核武装をしている。 〔委員長退席、木野委員長代理着席〕 これは戦術核か戦略核か、その点は私もよくわかりませんが、ともかく装備をしておる。そういうことだといたしますと、やはり現実に、端的に言って米ソの戦略家が、そういう核装備をした艦隊を日本及びその周辺に——周辺というのは、これは範囲の問題でありますけれども、存在させている。こういう言い方をすると、われわれはともかくとして、アメリカの戦略家なりソ連の戦略家の頭の中に当然あるのですからね。これは、どういう想定で、どういう目的で使えということが一応整理されていることだと私は思うわけであります。 そこで、大変恐縮ですが、そういう現実にいま日本というか、周辺に存在すると考えられる核兵器から考えて、一体それが使われるとしたら、どういう状況で何を目的とするものだろうかということを、これは米ソの両国はなかなか話せないと思いますし、逆に日本で考えて、そういう技術体系から考えて考えられるとするとどんなものだろうか、こういうことでございますが、ひとつ局長、どうでしょうか。
○丸山(昂)政府委員 大変にむずかしい御質問で、朝鮮半島に例をとってみますと、これは確実に核があるという証拠は何らないわけでございますけれども、非核両用の兵器が配備されている。これは間違いない事実でございます。たとえば北朝鮮の場合には、フロッグ7という地対地誘導弾、これはソ連がつくっておる兵器でございますが、これは非核両用でございます。私は、恐らく通常弾頭だと思います。もし核弾頭であれば、そのコントロールをソ連が北朝鮮にゆだねるということはまずないのじゃないかというふうに考えております。それから片や韓国側の方でございますが、在韓米軍が持っておりますパーシングあるいはサージャントという地対地誘導弾がございますが、オネストジョンもそうでございますが、これはいずれも核、非核両用でございます。 これがどういう場合に使われるかという問題でございますが、一般論として、こういう戦術核が使われるときは、通常兵力によって破局状態が来た、他に戦略核に一挙に飛躍するという以外に方法がない、降伏か全面核戦争かという選択しか残らない場合に、次善の策として戦術核を使う、こういうふうに言われておるわけでございます。そういう点を考えてみますと、通常戦でどちらかが非常に追い込められたとき、最終段階でこういうものが使われるという可能性は、全然否定するわけにはまいらぬかと思います。 そういう意味で非核両用あるいは核専用、こういったものの装備が極東周辺でどうあるかということになりますと、たとえばソ連の極東艦隊の潜水艦、原子力潜水艦、あるいは水上艦艇でございますが、これには、核、非核両用の艦対艦誘導弾といったもの、あるいは対空誘導弾といったものを装備しておる船は現にございます。 それから中国でございますが、これもいまのところ、中距離弾道弾以下のものについては中ソ国境に配備をされているというふうに言われております。特にMRBMにつきましては、約百基以上のものがあるというふうに言われておりますが、これはむしろ日本に対するというよりは、ソ連に対応するものと考えた方がよろしいんじゃないかというふうに考えるわけでございます。 それからソ連の地上にも若干の配備があるという公刊資料がございますが、私どもとしては、はっきりそれを確認するすべがございませんので、真偽のほどはわかりませんが、ソ連の場合には、一応米ソがそれぞれ相手を意識して配備をしておるというふうに考えるのが至当ではないかというふうに考えるわけでございます。 以上申し上げましたように、朝鮮半島において戦術核兵器がどういう場合に具体的に使われることになるのか、それは核兵器が配備されているという前提においてそういう態様が考え得るわけでございますが、これも最初に申し上げましたように、私ども、いまの段階で具体的に明確にお答えをするという能力がございませんので、その程度で御容赦を願いたいと思います。
○近藤委員 いま御説明を承ったのでありますが、米ソともに、端的に言って米ソ中としかないわけでありますから、核を日本及びその周辺に使わないとしたら、それは二つの理由があると思うのです。 一つは、核兵器を使ってもそんなに効果がない。たとえばよく言われますけれども、NATOの場合には、ソ連のワルシャワ軍が出てきたときには、NATOの通常兵器の戦力ではとうてい防御し得ないから、その場合には戦術核を使ってソ連のワルシャワ軍の侵攻を抑える、こういうことがよく言われるわけであります。日本のような場合に、そういうふうに大陸をだあっと一挙に大軍が押し寄せてくるというようなことじゃないわけでありますから、ちょうどNATOで使うと同じ形で日本防衛をするための核の使用も余り考えられなければ、同時に、先ほども局長がお話しになったわけでありますけれども、日本のような島に核攻撃をかけてきてもそんなに得るところがないじゃないか、こういうことが一つだと思うんですね。それから第二に、仮にそれが有効であっても、しかし、そうすることによってまさに報復攻撃を受ける。すなわち、端的に言って仮にソ連がそうやった場合に、ウラジオストクなり沿海州のソ連の基地もしくは都市に対して、核による報復攻撃を受けるおそれがある、それは採算が合わない大変なことだし、しかもそのことによっていわゆる核戦争の引き金を引いてしまうことになるから、これは自重しようではないか。こういう二つの理由がいわゆる日本及びその周辺において核を使わない理由じゃないか、かようにも私は考えるわけであります。 第一の点はさておきまして、第二の点、すなわちソ連が核によって日本を攻撃した場合に、日本は非核三原則を保持しておるわけでありますから、核を持たないわけでありますけれども、日米安保条約に基づいて日本を防衛する義務を持っておりますアメリカが、核を使って報復するということになるわけであります。 そこで、これも技術的な関係として、この際、局長に承りたいわけでありますけれども、核の抑止力になり得る報復攻撃をする場合に、端的に言って、核保有国であるアメリカは、一体、日本の国土及び周辺海域内に、そういう核攻撃の能力のある艦艇なり航空機を配置する必要があるかどうか。この点についてはどうでしょうか。
○丸山(昂)政府委員 日本に対する核攻撃を抑止するためのアメリカの戦略核の抑止力といいますか、こういうことで考えてみました場合には、結局、日本にある国が核攻撃をいたしました場合には、確実にアメリカがそれに対して報復核攻撃をするという日米安保条約の保障によりまして、日本への核攻撃を差し控える、そういう仕組みになっておるわけでございます。その場合のアメリカの核報復力というのは、どれを使うかはアメリカの選択の自由でございますけれども、一応、戦略核として持っております大陸間弾道弾、これはアメリカ本土に配備をしております。それからポラリスあるいはポセイドンという潜水艦に載っけました弾道弾、これは世界のあらゆる海で動いておるわけでございます。それとB52による核攻撃という三本立てになっておるわけでございます。そこで、核報復が一体どこからなされるのか、これは全くアメリカの選択によるものでございまして、日本に対する核攻撃があった場合に、報復措置として、日本に対して核攻撃をいたしました国のどこを目標にして撃つのかということも、やはりアメリカの選択だと思うわけでございます。そういたしますと、日本の周辺にポラリス潜水艦なりポセイドン潜水艦が近接していなければならないという必然性はないわけでございます。その国の目標の位置その他によって、場合によってはインド洋あるいは大西洋から撃つこともあるかと思います。つまり、核抑止力のために必然的に日本の周辺にそういうようなものの配備がなければならないということには、少なくともつながらないと考えておるわけでございます。
○近藤委員 最初に申しましたように、核拡散防止条約の批准に当たって、日本は非核三原則を持っておる。非核三原則があって片っ方でNPTを批准してしまうと、日本の核に対する防御力といいますか、抑止力が薄くなってしまう。したがって、NPTを批准するに当たって、非核三原則の中で、少なくとも「つくらず、持たず」はいい、しかし「持ち込ませず」はもう若干修正したらどうだ、こういうような議論があります。いま局長のお話を承りましても、攻撃国のしかるべき拠点をたたくためには、必ずしも日本の国内また周辺海域内にアメリカの核戦力がなくてもいいのだ、こういうことだといたしますと、純粋技術的な意味から言っても、非核三原則はこの際修正をしなくてもいいと言えるわけでありますが、その点については局長どうですか。
○丸山(昂)政府委員 先ほど私からお答え申し上げましたように、戦略核の抑止力ということに限定して申し上げました場合には、日本の周辺にそういう兵器の配備は必ずしも必要でないという見地から申し上げますれば、非核三原則とは違った次元の問題であると考えておりますが、非核三原則の場合に、言われます戦術核の持ち込みについてはどうか、こういうことになると思います。戦術核、戦略核、通常そういう区別をしておりますが、用途的に見た場合に、必ずしもそういう区別が成り立つかどうかという疑問もございます。戦術核であっても戦略的な使用もできますし、それから抑止力は通常兵器でもあるわけでございますけれども、抑止力としての機能もあるわけでございます。 御案内のように、先ほど先生からもお話がありましたように、NATOの場合には、地上軍においてNATO軍は、ワルシャワ条約機構諸国の総合した軍備より、通常兵力においては劣勢でございます。その劣勢をカバーするために、アメリカが配備しております約七千個の戦術核というものがバランスをとっておるのだ、こういう説明がございます。そういう場合には、戦術核といえどもやはりバランスを保っており、抑止力としての効果をそこで発揮しておるという意味において、戦略的な主力ということが言えるのではないかと思うわけでございます。 日本の場合に、それではそういう意味で戦術核を持ち込む必要があるのかどうかということでございますが、これは先ほど申し上げましたように、日本において直接使用することはきわめて想定しにくいということになりますと、戦術核をあえて持ち込む必要はないのではないか。ただ問題は、戦術核それ自体の持つ抑止的な機能という点になりますと、日本に戦術核がないということは、明らかに抑止の機能をそれだけ制約するということは言えると思うのです。しかしながら、これはわが国の国策として非核三原則を採用しておる。つまり政治的なリスクにおいてそれをカバーするという方針を政府がとっておるわけでございまして、そういった意味では、技術的に見まして決定的な欠陥であるというふうには申し上げられないと考えるわけでございます。
○近藤委員 戦争というものはいろいろな状態が考えられるわけでありますから、したがって、いろいろな局面に対して、こちらもいろいろな対応の仕方があるのだ、これが担保されることが大事なことだと私は思うのであります。しかし、局長のお話もあったわけでありますけれども、先ほど言いました、技術的にいわゆる抑止力として報復力というものが効果的に有効に働くために、日本の国土もしくはその周辺海域にアメリカの核の戦力がなくてもいいんだ、こういうことだとすると、先ほど申しましたように、非核三原則というものは、いわゆるアメリカの核のかさと言われますけれども、アメリカの核のかさによって、日本の安全保障が特に核に対して保たれるんだという考え方と、片方では非核三原則があるんだということは、どうも相矛盾するじゃないかという議論があるわけでありますが、技術的には矛盾しない。ただ、先ほど申しましたように、いろいろなことをやれる方が便利だから、いろいろなことができた方がいいということはあるわけです。しかし、それから得る具体的なプラスの面と、それから世界で唯一の被爆国として日本が核攻撃を受けたんだ、どうしても再びあんなことは繰り返したくないという国民の気持ちとのバランスを考えた場合に、それはまさに非核三原則を守ることの方が正しいし、また、技術的に可能である、こういうふうに私は考えるわけでありますけれども、その点、長官、どうでしょうか。
○坂田国務大臣 この問題は、恐らく非常に高度の技術の問題にもなるかと思いますが、同時に、やはりおっしゃるように、わが国は被爆国である、むしろそれであるがゆえに、被爆国で非核三原則をとっておる、そういう国民を核攻撃をするということはけしからぬじゃないかということ。それを一つのやはり抑止力にするというのが、わが日本としての立場としてはいいんではないかというふうに私は考えております。
○近藤委員 まさに、長官が先におっしゃったわけでございますが、いま私が議論しておりましたのは、守る立場において非核三原則を持つことが、防衛力、抑止力というものを妨げないかどうかということで、まさに長官がおっしゃったことに関連するわけでありますけれども、今度は攻められる立場から考えた場合に、日本が核武装する、もしくは核の持ち込みを認める、こういう状況と、それからいまの日本のような、非核三原則をもって、「つくらず、持たず、持ち込ませず」ということを言って、それを厳格に守っている状態。攻められる立場からの理屈と攻める側の理屈から考えて一体どうなのかという議論がやはりあると私は思うのであります。すでに長官からお話があったわけでありますが、やはり攻める側の立場から考えても、核を持っている国に核で攻撃をしてくるということから受ける国際的ないろいろな非難、また不信というものを考えてみると、やはり核を持たない方が、攻められる立場にとってもいいのではないかというふうに私は考えるわけであります。 その前に、技術的に質問しますが、仮に日本が核武装したとした場合に、ソ連なり中共が日本を有効に攻め得るだろうかどうか。言いかえると、日本が核武装をしたからといって、それはソ連、中共にとって決定的な対抗力じゃない、こういうふうに考えるかどうか。その点について局長、どうでしょうか。
○丸山(昂)政府委員 御案内のように、憲法上の制約によりまして、いわゆる攻撃的な武器は持たないという基本原則があるわけでございます。それで、いままでの国会の論議で出ておりますように、核兵器を持つか持たないかということについては、攻撃的兵器でない——日本の場合に、大陸にもし撃ち込むということを考えますならばMRBMでも十分だと思いますが、その場合は、そういう機能を持つことによってやはり攻撃的兵器と解釈すべきではないかと思います。そうでない戦術的な、局地的なところで防御をいたします小型の核兵器というものがもしありとすれば、そういうものは憲法上は持てるんだということが、いままで国会の論議を通じて明らかにされておりますが、それでもなおかつ、政府の方針として非核三原則という道を選んでおるわけでございますし、また核防条約を批准することによって、日本がみずから開発をしたそういうものを持つということは、道をみずから選んで、あえて持たないという方向に行くわけでございます。したがいまして、こういう核兵器を持たないためのいろいろなコミットメントができておる、対外的にもできておるということでございまして、核兵器を持った場合にどうなるかということについては、私どもとしては、一応制約外の問題として、私どもの日常では全然そういう想定をしておりませんし、また現実には、そういう想定をいたしましても全く無意味でございますので、やっておらないわけでございます。
○近藤委員 私は憲法もよく知っておりますし、繰り返し申しましたように、非核三原則は日本として守らなきゃならない、こう思っているわけでありますが、しかし、それはさておいて、技術的にどうなんだという議論。最初に申しましたように、日本の国防を考えておるのは防衛庁なんですから、防衛庁の皆さんは、いろいろなことを想定しながら、技術的な関係として全部議論を尽くしていただきたい、検討していただきたい、かように思うわけであります。 そこで、ちょっと議論を進めますが、今度は守る側といいますか、端的に言って直接にはアメリカですから、アメリカの立場から考えて、日本が単独に核を持っている——もちろん当然安保の前提でですが、いわゆる核のかさを持ちながら、なおかつ単独で核を持っておりますよという日本と、片方で完全非核三原則を守って全然核は持ってないという日本とでは、そしていわゆる核のかさの中で抑止力としてのアメリカの核が発動する場合に、同じ安保体制でどっちの方がより確実にアメリカの核の抑止力が働くだろうか。一つには、アメリカの核の抑止力というのは余り信用できないんじゃないか、こういうような議論もやはりあるわけでありますし、そういう議論を受けまして先日、宮澤外務大臣が渡米されて、キッシンジャーに会って日本の安全保障について改めて話をつけてこられた、こういうことであります。アメリカ局長いらっしゃいますが、その宮澤・キッシンジャー会談でいわゆる日本の安全保障というものを再確認してこられた、こういうことでありますけれども、改めて正確に、どういう言葉でその確保が日米両国間でなされたのか、承りたいと思います。
○山崎(敏)政府委員 宮澤外務大臣がワシントンを訪問されましたときに、四月十一日にキッシンジャー国務長官と会談をされ、その際に、わが国の安全保障問題についてもお話し合いが行われました。そのときのことは、国会において大臣がたびたび御説明になっておりますが、そのことをここで改めてお話し申し上げますと、最初に宮澤大臣とキッシンジャー国務長官との間で、この日米安保条約というものを引き続き維持することは日米両国の長期的な利益に資するものである。また米国の核の能力は日本への攻撃に対する重要な抑止力であるということが認識されたわけであります。これはいわば、日米両国の共通の認識として認識されたわけであります。 この関連で、キッシンジャー国務長官は宮澤外務大臣に対して、核兵力であれ通常兵力であれ日本への武力攻撃があった場合には、アメリカは日本を防衛するという安保条約上の誓約を引き続き守るということを確言、コンファームした次第でございます。それからその関連で、宮澤大臣はキッシンジャー長官に対して、日本は安保条約に基づく義務は引き続き履行していく考えであるということを言われたわけであります。これはいわば当然のことであります。 ただ、それに引き続きまして、その翌日に宮澤大臣はフォード大統領に会見されましたが、その際フォード大統領は、いま申し述べましたような、宮澤大臣とキッシンジャー国務長官との話し合いの内容を自分としても再確認したいということを言われたわけでございまして、大臣はこれを多とされて、三木総理大臣に自分はこのとおり報告したいということを言われた次第でございます。
○近藤委員 山崎アメリカ局長の発言があったわけですが、核兵器であれそれ以外であれ、アメリカは日本に対する攻撃に対して日本を守る、こういうことでありますけれども、その場合に核を使って守るということなのか。その点はどうでしょうか。
○山崎(敏)政府委員 いま申し上げましたように、あらゆる攻撃に対して、それは核攻撃であれ通常兵力による攻撃であれ、アメリカは日本への武力攻撃があった場合にこれを守るということでございますから、向こうの核攻撃に対して通常兵力で守ってくれるだけでは、本当に日本を守ってくれることにならないと思います。したがいまして、このキッシンジャー長官の言っておりますことの意味は、もちろん核攻撃があればアメリカも核能力も使って守るということを意味しているものとわれわれは解しております。
○近藤委員 そこで、最初にちょっと返りますけれども、日本が単独で核を持っておった場合と、持ってない場合と、アメリカが核を使ってソ連に対して報復攻撃をするその信頼性というものがいろいろ議論されているわけでありますけれども、私も、仮にアメリカの大統領となったといたしますと、日本も非常に大事な国だと思いますが、しかし、日本を守るためにアメリカが核をぶっ放して、そしてその報復でアメリカもまた核攻撃を受ける、こういうことだとすると、やはり普通の政治家なら二の足、三の足を踏むと思うのです。これはあたりまえのことだと思うわけでありますが、フォードが核の引き金を引くか引かないかという、非常に決定的に重大な決定をしなければいかぬ段階に至ったときに、日本は核兵器を持っている、持っていない、この二つの場合を想定した場合に、どっちの方により引き金を引くと考えますか。これはどなたでもいいですが、防衛局長どうですか。
○丸山(昂)政府委員 これも大変むずかしい御質問でございます。一つ御参考になると思われますのは、フランスが御案内のように独自の核開発をいたしまして、核兵器を持っておるわけでございます。フランスが独自の核を持つということのねらいは、政治的な目的はいろいろあったかと思いますが、一つは、アメリカのNATOに対する核抑止力を確実にするために、要するに、本当にアメリカから戦略核を撃ってもらいたいときに、アメリカがちゅうちょするということがあってはならない、そのためにフランスの核を使うのだ、それによってアメリカはいやおうなく核攻撃、報復力を使わざるを得ないのだという一つの解釈が一方にございます。それがすべてではないと思いますが……。で、この場合に、アメリカとフランスとの関係ということを一つお考えをいただければ、フランスがそういう独自の考え方を打ち出しているということもうなずけないことはないと思うわけでございます。 逆に今度はアメリカの立場に立って考えてみた場合に、自分がコントロールしていない核を独自に持っておるという、こういう点についての不信感といいますか、不安感といいますか、これは十分察せられるわけでございます。日本のようにまるっきり持っていないところについては、コミットメントをそのとおり約束をするということの選択の道が一つしかないと思うわけでございます。 それから今度は、日本を攻める国の立場に立って考えました場合に、日本の防衛がアメリカにとってバイタルでない、だから日本を攻めてもアメリカは撃ってこないという、仮にそういう判断をいたしまして日本に核攻撃をするということがもしあるといたしますと、その場合にその国は、アメリカにとってはバイタルでないかもしれないが、それを攻めることによって、万が一アメリカからの核報復というリスクをあえて冒してやるということになるわけでございまして、はっきりアメリカが日本に核の抑止力、核報復を約束をしておる現状において、あえてそういったリスクを冒して攻めてくる、核攻撃をしかけるということは、大体、常識的に考えれば手控えるのが本当ではないかというふうに考えるわけでございます。
○近藤委員 いまフランスの例が防衛局長から出ましたけれども、まさにその巻き込み論で、なかなかアメリカも自分のことを考えて核の引き金を引かぬだろうから、まずこっちが一発ぶち込んでおくと、それでもう核戦争が始まってしまって、それからだあっとエスカレートしていく、だからフランスを攻めません、こういうことも一つの議論だと思うのです。 しかし私が、いま局長もお話があったように、日本の場合に、なまじっか中途半端な核を持って、単独である程度核報復ができるという状況だと、フォード大統領がその引き金を引くにしても、おまえちょっと待て、日本は単独で持っているのだから、ひとつ単独で日本に少しやらしてみようじゃないか、様子を見てまた考えよう、こういうことになる可能性もあると私は思うのです。ですから、先ほどもちょっと申したのですが、日本がソ連なり将来の中共に対抗し得るような、まさに独立的な非常に強力な核戦力といいますか、抑止力を持つなら話は別ですが、なまじっか中途半端な核を持っていて、ぽんとやって、まあやらしてみろということでは、これはかえってアメリカの抑止力が働かない可能性がありますから、これはもう完全に非核三原則を守ります、そして核についてはアメリカの抑止力に一〇〇%依存するのだ。この一〇〇%依存するという考え方は、どうも私も血の気の多い政治家でございますので、日本のバイタルな核に対する抑止力をアメリカなんかに任せておくのはどうも、というような気持ちもありますけれども、これはやはり信ずる以外にないのであって、ともかくお任せいたしますということの方がアメリカの抑止力が有効に働く一つの条件じゃないか、かように私はこの段階で考えるわけであります。 しかし、そこで実はもう一歩進んで、もう一回議論はもとに戻りますが、非核三原則の「つくらず、持たず」はいい。しかし日本が、アメリカの核抑止力が働こうとするときに、「持ち込ませず」だから困る。基地をつくることはさほどでもないですが、通過もだめです、寄港もだめですということになると、一生懸命に日本を守ろうと思っているのだけれども、どうも日本という国はつまらないことでけちをつけてかわいげがない。先ほど言ったように、アメリカ国民を核戦争に巻き込むか巻き込まないかという非常に重大な決意をアメリカの政治家であるフォードがするときに、何かいちゃもんをつけられたということになると、この際やはりああいうことがあるから引き金を引くのはやめようじゃないか、こういうふうに考えるのじゃないか。そういう非常に重大な時期に、フォードだってだれだって一人の人間ですから、非常に複雑な意思決定をするには、そう単純じゃない、いろんなことを考えながら決められるわけです。まさに自分の決断に国の運命がかかるときに、いろんなことが頭に去来すると思うのですね。それだけに、非核三原則の最後の「持ち込ませず」が入っていることが、アメリカが核の引き金を引いて日本に抑止力を働かせない言いわけにならないだろうかという感じがするのですが、その点はひとつ局長どうでしょうか。
○丸山(昂)政府委員 いまのお話の問題は、純軍事的な問題と言いますよりは、むしろ感情の問題その他を考慮した政治的な判断ということになると思います。 まあ純軍事的な問題につきましては、先ほど私、御答弁申し上げましたように、非核三原則の特に「持ち込ませず」ということについては、戦術核の抑止力という意味についてはある程度制約を加える。つまり、日本にあるかないかわからないというのが、本来のアメリカの、たとえば核ポリシーなどと同じだと思うのでありますが、ところが、いま明らかに日本にないということによって、それだけ一つの抑止力に欠陥を生ずるということはあり得ると思います。しかしながら、それが決定的な欠陥かといいますと、必ずしもそうではない。戦略核は有事即応で、相手の攻撃があったらいつでも必ず寸時を置かず報復するというのが戦略核でございますが、戦術核は、通常戦争のある段階に達した段階で初めて決断をする、核戦争に踏み切るかどうかということで、いわゆる即応にあるものではない。そういう意味では、日本に配備しておく、あるいは置かないということについては、それほどの違いはないというふうに考えておるわけでございます。いま先生の御質問の点につきましては、ちょっと私どもらち外でございますので……。
○近藤委員 日米関係を所管しておられますアメリカ局長、どうですか。いま防衛局長からお答えがあったのですが、私はやはり、日米関係の信頼というものがよほどしっかりしなければならないし、しかもそういう非常に大事な時期にいわゆる瑕瑾があってはいけないと思うのです。何かちょっといやがらせをしようとか、そういうようなことだとすると、それならということで、これはわれわれ日常生活でたびたびあるわけでありますが、だからそういう重大なコミットメントは、本当にアメリカが持ち込んでくるためには、その辺についてとかくいろいろなことを言わない方がいいのじゃないかという、これも一つの考え方だと思うのですが、現実に日米関係をずっと見ておられて、アメリカ局長どうですか。
○山崎(敏)政府委員 私がそういう大きな問題をお答え申し上げる資格があるのかどうかわかりませんけれども、日本が核に対する特殊な感情を持っており、それに基づいた非核三原則を堅持しておるということは、アメリカも十分承知しておるわけでございます。それに基づいて、それを踏まえて日米安保条約というものができておる。そしてしかも、それに基づくアメリカの日本防衛の誓約というものは、先日のいわば外務大臣とキッシンジャー国務長官との間においても、かなり確認されておる次第でございまして、アメリカ側としては、日本がそういう原則の上に立って日米安保条約関係を結び、そして核の抑止力についてはアメリカに全面的に依存するという立場をとっておることは、重々承知しておるわけでございます。結局、そういうことでございますと、非常にむずかしい政治的決断をアメリカの大統領がしなければならないときに、考えられるであろうことは、やはり日本が守るに値する国であるということ。また同時に日本も、自国を守るために、核の能力は持たないにしても、それ以外の能力についてはベストを尽くしてやっておるということを十分知っておれば、その上に立ってならば、アメリカ側としては、当然日本を守るために必要とあらば核を使うであろうと思います。また、そういうアメリカの決意というものが大きな抑止力であるわけでございます。私はそういうふうに考えますので、結局はこれは日米の相互信頼の問題であるというふうに考える次第でございます。
○近藤委員 防衛局長から先ほどもちょっと答弁されたのでありますけれども、私もコンファームしたのですが、技術的に、アメリカの持つ核抑止力を発動する場合に、日本の国土の中を抜ければ近くでなくてもいいとおっしゃいましたね。また逆に、日本が核攻撃を受けてしまった後であわてて、アメリカにひとつ来てくれ、そして核を持ち込んでくれなんて言うことは、すなわち日本の国土にソ連の核の攻撃がじゃんじゃんと来る状況の中で、わざわざアメリカから核を持ち込んできて、さあそこで設置してポンとやるなんていうこと、これはもう遅過ぎると思うのですね。ですから、どうせやるなら、何も日本の近くでなくてもいいということなら、私は実は、防衛庁長官はシュレジンジャー長官とお会いになるという話でありますけれども、一見常識的に考えれば、日本が非核三原則なんていうものを持っていてわがままを言っておると、ある意味では、何だ、核の力によって世界のバランスができておる中で、日本だけひとりいい子になって、非核三原則をもって、近づいてはいかぬ、何してもいかぬと言うことはけしからぬ、そんな日本ならだめだと、こういうふうに言うじゃないか。これはまあ常識的に考えられることですね。しかし、いまは必ずしも議論が十分尽くされておりませんが、純粋技術論的に考えてみても、そんな必要はないと言われるようなら、私はまさに、防衛庁長官なり外務大臣、総理大臣が、その点はあなた方としても核抑止力を発動するについて何ら邪魔にならぬじゃないですかということで、はっきりした了解といいますか、理解と相互信頼をやはり持っていただく必要があると思うのですが、それは一体どういう状況で——いま私も素人論議をいたしましたが、どんなときにということは、私もそんな専門家でないのでわかりませんが、あらゆる核戦争のいろいろな局面を想定して議論をして、そしてこの場合に、アメリカの抑止力が働くときはどうだこうだという議論を、私は防衛庁なり外務省がアメリカのしかるべき人たちと尽くしてみる必要があると思うのであります。 〔木野委員長代理退席、委員長着席〕 これはある本で読んだのですが、最近、翻訳になった「キッシンジャーの道」という本がございますが、あの本に書いてあったのでありますけれども、キッシンジャーという男は、中東とかどこかへいろいろ飛んでいきますね。行くときに、坂田長官も持っていらっしゃいますが、そういうケースに、もっと大きいかもしれませんが、あらゆることを全部想定して、そして彼のプレーンを使って、何百、何千といういろいろなケースがあるが、この場合こうだああだと全部徹底的に議論して、そして行く。それにしては中東は余りうまく解決しなかったというような感じがしますけれども、それはともかくとして、相手がそういうあらゆることを想定して考えているわけです。それに対して、率直に言ってどうも、最初に申しました、日本は何か核の議論はしたくないんだということが、タブーにしても全然入っていないんです。どうなんだということを徹底的に詰めて、それを具体的に日本の立場とアメリカの技術的な抑止力の発効の可能性とを詰めてみる必要があると思うのですけれども、まず最初に防衛局長、そしてアメリカ局長、最後に長官の御意見を承りたい。
○丸山(昂)政府委員 御指摘のとおりでございまして、私ども実務家としては、あらゆる場合を想定して当然考えるべき立場にあるというふうに考えております。しかしながら、この核の問題につきましては、わが国の基本方針というものが定められておりますので、当然私どもとしては、まずそれを大前提に置きまして、その先の各論につきましては、いろいろ細かい場合を想定をして、いろいろの対処の仕方というものを研究をしなければならないというふうに考えておるわけでございまして、ただいま先生御指摘のように、われわれとして平生から、そういう点で、単純に問題を片づけるということなしに、十分慎重に取り扱いたいというふうに考えております。
○山崎(敏)政府委員 防衛庁のお立場として、あらゆる場合を想定してやっていただくということは、われわれ外務省としても、当然それを期待しておるわけでございます。ただ、われわれ日米関係を担当いたします者としては、結局、日米関係を強固なものにする、安定したものにする、ことに最近のようにアジア情勢もいろいろと動いておるという情勢にあって、日米関係が揺るがない、そして信頼関係がいよいよ強固なものになるということが最大のわれわれの任務ではないかと思います。そしてそれは結局日米関係に、これだけ大きな大国同士のつき合いでございますから、いろいろな小さな問題は起こりますけれども、それは事前に芽を摘み取って大きな問題に発展させないようにやっていくということ、そしてお互いに信頼し得る友邦であるということでやっていきますれば、このわれわれが全面的に依存しておりますアメリカの核抑止力というものも、いざという場合には、たとえ非核三原則のもとにある日本に対しても、十分に働くものとわれわれは考えておる次第でございます。
○坂田国務大臣 われわれといたしましては、どうやってわが国の安全を確保していくかということにつきまして、起こり得るあらゆる場合を想定して考えなければならぬ。あるいは核の問題についてもそうだというふうに思うのです。でございますが、先ほど近藤先生がおっしゃったのを聞いておりまして、今度近藤先生にもひとつあらゆる場合を考えていただきたいというふうに思うので、核というものが、あれだけの殺傷力を持つ、しかもそれを持ったが最後ひとり歩きをする性質のものである。それであるがゆえに、このコントロールというものをしっかりしなくちゃいかぬという考え方が出てきておるわけでございます。 そういう場合に、私は、もうあくまでも日米安保条約を守っていかなければならぬし、日本の独立の上からいって不可欠なものだと考えておるのですが、アメリカ側の立場、アメリカのインタレストということに立ってながめた場合に、日本が独自に核を持つということが、私たちや近藤先生が考えられておるように、単純に考えられるだろうかということです。かつて第二次大戦を引き起こしたのは日本だったわけでございます。そのことを、パールハーバーをアメリカというものは忘れておらない。アメリカ国民が忘れておらない。忘れておらないということも、日米関係をうまくやっていかなければならぬということを考えると同時に、そういうことも私たちは承知をしておらなければならない課題ではなかろうかというふうに思っております。 たとえば、ヨーロッパにおきまして同じような敗戦の憂き目を持ったドイツ、このドイツに対してもやはり軍備の制限を厳しくやっておる。そしてまた同時に核につきましても、NATOの一員としてこれを保有させる。しかし発射権はあくまでもアメリカが握っておるというこの冷厳な事実というものは、やはり私どもが心得ておかなければならない問題ではないかというふうに思うのです。 これから先のことは、ひとつその程度で賢明なる近藤先生の御了承を賜りたいというふうに思うわけでございます。
○近藤委員 まさに長官からもNATOのお話が出たわけでありますけれども、私も伝え聞くところによりますと、NATOの場合には、いろいろな段階において核の対応の仕方をNATOの司令部が考えている。しかし最後の引き金を引くのはアメリカしかない。米欧関係と日米関係、前からちょっと議論が出ております、いろいろ違うと思いますが、しかし私は、本日一貫してずっとお話ししておるわけでございますけれども、これはもうアメリカのことであって、そしてもうそれは任す以外にないのだ。私は先ほど申しましたように、なまじっか中途半端なことをするよりは、核についてはアメリカの抑止力に一〇〇%頼る必要がある。しかし同時に、頼りながら片方では、非核三原則というものは虫がいいじゃないかという議論もあるわけです。ですから、そこでいろいろ議論しましたように、頼りながら非核三原則を持つということは、一見虫がいいように見えるけれども、しかし、技術的にいまもいろいろお話を承って詰めてまいりますと、必ずしもそれはそうおかしなことではないのだということですから、それが日米間で、そしてまた政府と日本の国民の間で、どうも十分な理解と了解に達してない。だからこそ、NPTを批准する場合には非核三原則はちょっとあれしようじゃないかとか、また、安保条約の核のかさにありながら非核三原則というものはおかしいじゃないかという議論が出てくるわけであります。ですから、その辺の議論についていろいろな詰め切ってない問題がある。 したがって、私が申しましたように、技術的に日米間でまずこの問題を詰める。そして基本的なことについて、日米安保と非核三原則、NPTというものの整合性、矛盾しないんだという併存性というものを国民が理解しておく必要があるし、また、そういう理解を国民がし、日米間にしておくことが、第三国が日本の非核三原則の核政策に対して信頼を持つことだと私は思うのですね。日本は非核三原則を持っているけれども、いよいよになったら全部あれしてしまうのだということでは、やはり日本の非核三原則に対する不信の芽がそこから出てくるのじゃないかと私は思うわけであります。その点は詰めないで、漠然として、もう始まったときにはそんなものは全部終わりだ、新たにまた何でもやるんだということではいけないのであって、どんな極限状態においてもちゃんと日本としての立場ははっきりしているんだということが私は大事じゃないか、かように考えるわけであります。 そこで、ちょっと核の問題で時間をとり過ぎたので、あと若干、核以外の問題について私は御意見を承りたいのでありますが、いまはいわゆる核の議論だったのですが、核以外の通常兵器による戦闘においても、私たちは安保条約がある。そしてその安保条約のもとで、アメリカの第七艦隊が日本が侵略を受けた場合に有効に日本を防御をしてくれるだろう、こういうような考え方がある。率直に言って、海上自衛隊の方々と話をいたしますと、すぐその第七艦隊が機動してきて日米共同で日本を防衛するんだ、こういうような考え方があるわけでありますけれども、防衛局長に承りたいのでありますけれども、一体、その第七艦隊がどのような役割りを日本の防衛について果たすというふうに考えていらっしゃるか承りたい。
○丸山(昂)政府委員 第七艦隊の存在は、最近のアメリカその他大きな海軍力を持っておりますところでは、その海軍力の果たす役割りということについていろいろ検討されておりますし、そういった論文もたくさん出されておりますが、最近言われておりますのは、プレゼンスという言葉で表現されておりますが、陸上部隊というのは、あるところに駐とんいたしますと、そこに長期におるということになりまして、これが機動的にあちこち移って歩くということは、平時においては普通はないわけでございますが、艦隊につきましては、絶えず広い行動半径で動き得るという、そういう利点があるわけでございまして、御案内のように、インド洋の真ん中の東経六十二度から、西太平洋の方になりますが、太平洋のちょうど東経百六十二度までの間の海洋が第七艦隊のいわば管轄区域のようになっているわけで、その間を必要に応じて移動して歩いているということになるわけでございます。御案内のように、横須賀に、そのうちの一つの空母と、それから司令官の乗ります巡洋艦オクラホマシティーが時折入る、こういう状況でございまして、これが平時においてはやはりそのプレゼンスとしての役割りを果たしておると思います。 それで、有事の場合に一体どうであるかと申しますと、この第七艦隊の存在によりまして、ある区域についての全般的な制海権の確保ということが、まず大前提になると思います。そういう全般的制海権の確保の上に、われわれの方としては、必要に応じて日本周辺で海上自衛隊が活動をするということになるというふうに考えるわけでございます。 それから、御案内のように、航空機を載せております。全部の空母をあわせますと約五百五十機あるわけでございます。これがやはり防空戦力としての機能を果たすということになるわけでございまして、一朝有事の場合にアメリカの空軍が日本に来援をするということとあわせまして、この艦載機の応援ということは、日本の防空ということに大きな役割りを演ずるというふうに考えております。
○近藤委員 私は、素人で余りよくわかりませんが、その日本上空に対してソ連ならソ連の爆撃が行われるときに、第七艦隊がその防御に出動してくれる、こういうことも考えられるわけですか。
○丸山(昂)政府委員 日本の防空でございますね。はい、考え得ると思います。
○近藤委員 私は、これは第七艦隊というものに対して一つ偏見かもしれませんが、そのプレゼンスとしてあれがいることは非常に大きな力だと思います。しかし、たとえば米ソ戦争が起こって、そしてソ連の極東艦隊の潜水艦が太平洋にずっと出てきていろいろ攻撃をしかけてくるというような状況の中で、たとえば第七艦隊が日本の近くに来て、そうして日本の防空作戦に加担するというようなことは、なかなかむずかしいんじゃないかと思うわけであります。 よく言われますように、第七艦隊というのは、盾とやりでやりの方だ、攻撃力だ、防御力じゃないんだという議論も一部にあるわけでありますし、そういう形で日本の上空で侵略機と戦争している間に、だんだん第七艦隊の自前の空軍力が消耗してくるわけですね。そうすると今度は、有効に戦略爆撃をする場合に、一緒に行って援護態勢をとるようなことはできなくなってくる。だから、そういう攻撃力としての機能を果たしていくんだとすれば、それはできるだけ自分のそういう防御力を温存しておくべきであって、日本の防衛支援なんかに使っていったのでは、だんだん消耗してくるんじゃないかという感じもするわけですね。 それから、さっきもちょっとお話があったのですが、太平洋からインド洋まで大変守備範囲が広いわけでありますし、当然、ソ連の極東艦隊の潜水艦も相当な数に上るわけでありますから、それが跳梁までいかなくてもやっているとしますと、第七艦隊というのはまさに第七艦隊を守ることに精いっぱいになってしまう。たとえば日本の船団の防衛はともかくとして、広く手を広げて海上の安全を確保するなんということはなかなかできなくなってしまう。ソ連の極東艦隊も、伝え聞きますと第七艦隊目当てにいろいろなことを考えておるようでありますから、したがって、そっちの方の自分を守ることに精いっぱいになってしまう。ですから私は、おとり作戦みたいなもので、ソ連ならソ連の攻撃力を吸収してしまう、吸いつかしてしまう、そういう効果はあると思いますが、しかし、お互い同士そこでやっているわけでありますから、したがって、それ以外の能力というのは極度に限定されてくるんじゃないか、かように私は思うわけであります。 そこで実は、たまたま私はこの第七艦隊をいま一つの例で申し上げているわけでございますけれども、先日、防衛庁長官が社会党の上田委員の質問に答えまして、海域分担とかいう形で新聞に出ておりますけれども、そういう御発言があった。日米で海域分担をして、ここからここまではアメリカが守って、ここからこっちは日本が守るのだ、そういうふうに新聞なんかから伝え聞くわけでありますけれども、ちょっとその点について長官の真意を承りたいと思います。
○坂田国務大臣 この点は上田議員からの御質問もございましたが、私としましては、日米安保条約が存在をする、それに対して日米両方、わが方は陸海空の自衛隊、向こうは陸海空軍ということでありますが、この間、相互に制服の間ではかなり研究等は行われておる。あるいは非常に小さいものではございますが、演習等も共同でやっておるわけでございますけれども、やはり日米安保条約がある以上は、もう少し緊密な連絡あるいは話し合いというものが常時なければならないのじゃないだろうか。先ほどの先生の御指摘も、まさに有事の際において、片方は核で攻撃があったり通常兵器で攻撃があった場合はあらゆる手段で守ってくれると言っておる。こういう条約があるのに、向こうの国防省とわれわれの防衛庁という、いわゆる実務者同士に余り緊密な調整あるいは連絡、協力というものがないのでは、これは日本の安全につながらないのだ。それからまた同時にわれわれ自身が、わが国はわが国の力で守るのだ、そして精いっぱいの努力はするのだ、そういうみずからの努力を積み上げていって、なおかつどうしてもこの点だけはという、たとえば核の攻撃に対しては、非核政策もとっておることだし、そういう反撃力も実はないわけであります、その点はひとつ安保条約によってアメリカ軍によってやってもらいたい、こう言うからにはもう少しわれわれも防衛努力を積み重ねなければいけない。あるいは、ここまではわれわれはできるけれども、もうとうていそこまでは及ばないのです、ということをはっきり認識した上で向こう側に日本の防衛に当たってもらわなければ、いざ有事の際にちぐはぐになったのでは、日本の防衛は全うできないのじゃないかというのが私の考えなのです。したがいまして、そういう意味において、まずもって実務者同士の話をしましょう、こういうことが真意です。 そして、日米安保条約の詰めと申しますけれども、一体それはどういうものなのかということについては、いま具体的にこちら側としてどういうことがあるだろうかということを、政府も含めまして検討さしておるという段階でございます。そしてその中において、もし詰められるものがあり、あるいは協定等に持っていけるようなものがあるならば、それもまた考えようということで、まあいきなりシュレジンジャーさんとお会いしたから、その場で何かが決まったというようなものではなくて、これから常時彼我の実務者同士において話し合いをし、あるいは軍事情勢についても向こう側の御意見も聞きます、こちらの情報も申し上げる、そういう情報の意見交換から始めまして、いま御指摘に及びました海域分担についてまでの取り決めということは、ただいまは考えていないということでございます。
○近藤委員 ただいまの長官の御説明、私も一々納得をいたしますし、ぜひそうしていただきたいと思うのであります。日米当事者間でこの話をすると、ややもすれば、当委員会なんかでも野党の委員の方々から質問があり、また非難があって、いかにも日米共同作戦けしからぬじゃないか、こういうような発言があったけれども、私はそれは全くナンセンスな議論だと思います。やはり大変大事な問題でありますから、したがって、日米間ではいろいろな問題についても十分技術的に詰めておく。戦争状態というのは一種の異常事態でありますから、全然詰めなくて初めて会って——初めて会ってというのはオーバーですけれども、会ってできるものじゃないと思うのですね。やはりあらゆる状況を想定して日米間で話し合いをしておいて、初めてそういう場合に有効な手が打てるわけでございます。従来ややもすれば、こういうことについて防衛庁の方で遠慮をしておったようなきらいがありますので、ひとつ新長官のもとで、積極的に、具体的に日米間で専門家同士の話をぜひ進めていただきたいと思うわけであります。 私は、最初に申し上げたわけでありますけれども、国を守るということは、決して一握りの専門家がやるべきことじゃない。日本の国であります。しかも日本は、いろいろな制約のもとで有効に日本を守っていくためには、まさに国民あらゆる層の総合的な協力、努力なしにはできないと思うわけであります。そういう意味で防衛庁の仕事を、単に防衛庁の専門家だけじゃなしに、できるだけ広く国民に理解と協力を求めるという体制をぜひなにしていただきたい。 具体的な問題については、時間がなくて後に譲りますけれども、一方、広げると同時に、プロはプロとして、核の問題についても、また他の問題についても、あらゆる場合を想定して議論をし、徹底的に詰めておく必要があるのじゃないか。防衛庁の幹部の皆さんの前でありますけれども、そういう意味で、従来の防衛庁のやり方というのは、必ずしも本当の意味のプロになり切っていない。遠慮している。そうかと言って、国を守るためにまさにノンプロに働きかけるかというと、それもしていない。何かノンプロでもなければ、プロにも徹し切っていない、こういうきらいがあるように私には思えるわけであります。そういう意味で、ぜひひとつ日米間においても、いろいろな問題について話し合いをし、相互理解を得ていただきたいと思うわけであります。 こういう問題を、同時に国民全体が自分の問題として議論するために、先ほども吉永委員からも発言がございましたけれども、私は委員長にもお願いしておきますし、また各委員にお諮りしたいわけでありますけれども、ぜひひとつ安全保障に関する特別委員会をつくっていただきたい。たまたま先日も、会期延長に関して民社党の小沢委員からもそういう発言があったわけでございますので、ぜひ安全保障特別委員会をつくって、この問題について与野党が国民の声を代表して堂々と発言し、お互いに理解を得ることができるような措置を講じていただきたいと思います。これを強く要望いたしまして、私の質問を終えたいと思います。ありがとうございました。
○藤尾委員長 次回は、来たる六月三日火曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時五十九分散会