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75回国会衆議院1975/06/18

地方行政委員会 第26号

発言数
188
登壇者
14
会派数
5
開催日
1975/06/18

会議録

大西正男自由民主党

○大西委員長 これより会議を開きます。  内閣提出に係る石油コンビナート等災害防止法案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人から意見を聴取することにいたしておりますが、まず午前中は、横浜国立大学教授井上威恭君、千葉県副知事沼田武君、弁護士池田純一君、以上の方々に御出席を願っております。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中のところ、当委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。本案につきまして、それぞれのお立場から、忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます力  なお、議事の順序は、初めに参考人の方々から御意見を約二十分程度ずつお述べいただき、次に、委員諸君からの質疑に対し御答弁をお願いいたしたいと存じます。  それでは、まず井上参考人にお願いいたします。

井上威恭横浜国立大学教授

○井上(威)参考人 私は横浜国立大学の井上威恭でございます。  私は安全工学を専攻している者でございますから、安全工学の立場から、コンビナートの安全性と石油コンビナート等災害防止法案との関連について意見を述べさせていただきたいと存じます。  一般に工場の安全性を評価する方法を大きく分類してみますと、問題出発型と問題発見型の二つになるように思われます。  第一の問題出発型は、過去に発生した事故例、たとえば昭和四十八年に発生した石油化学工場の爆発火災事故や、今日問題となっております水島の油流出事故、四日市の大協石油のタンク火災事故などについて、原因を分析して二度と同種類の事故を起こさないように対策を立てていく、現実の問題点から出発していく方法でございます。  昭和四十八年に発生した事故については、ほとんどすべての原因が明確になって、それぞれに対して対策がとられております。その総合成果とも言うべきものは、今年四月二十五日官報に告示されましたコンビナート等保安規則でございまして、これにすべてが集約されているように見受けられます。このような反省があったためか、石油化学工場におきましては、昭和四十九年以降、いわゆる初歩的ミスと言われるような誤操作に基づく事故は非常に少なくなってまいりました。  しかしながら、昭和四十九年においては石油精製工場において、水島の油流出事故、四日市のタンク火災で代表されますような別の型の事故が発生してまいりました。これらの事故もやがて原因が明確になりつつありますので、近い将来に対策がとられ、恐らく昭和五十一年以降はこの種の事故も非常に少なくなるであろうと思われます。このような対策のとり方を、問題が発生してから出発するので、問題出発型による方法とわれわれは呼んでおります。  第二の方法は、将来発生するであろう災害を想定いたしまして、問題点を先取りしてこれに対する安全対策を樹立しておこうとする問題発見型の方法であります。一般に問題発見型の方が問題出発型より高度の技術が必要かと思われます。このたびの石油コンビナート等災害防止法案は、どちらかと言えば、将来発生するかもしれない災害を予測いたしまして設備を規制しようとするのでありますから、問題発見型の法案であると思われます。  そこで、将来発生するであろうと思われる災害予測の方法について若干説明をさせていただきたいと存じます。  現在原子力発電所などで採用されており、将来化学プラントでも採用すべきであるとされております設計方式は、たとえば圧力容器、貯槽、反応塔の潜在危険性を評価して重要度を定め、重要度の高いものほど厳しい条件で強度設計を行うことであります。潜在危険性を評価する目的で災害想定をする場合は、タンクや配管は壊れたと仮定し、可燃物が流出して爆発した場合の爆風圧力の危害半径、火災を起こした場合の輻射熱の危害半径、毒物が流出して拡散した場合の危害半径を計算して、危害半径の大きなものほど重要度を高く置くことにしております。高圧ガス保安協会におきましては、昭和四十七年以来、主として東京近辺におられる学識経験者五十四人から成るコンビナート保安防災システム開発委員会が組織され、昨年十月にコンビナート保安防災技術指針ができ上がりました。この指針におきましては、災害想定の計算方法を標準化して、内容物とその容量がわかるとその装置の潜在危険性が容易に推定できるようになっております。この場合の災害想定は設計の基準を定めるのが目的でございますから、実在する設備の危険性を評価したものではございません。何となれば、実在する設備は潜在危険性の大なるものほど厳しい条件で設計されているからであります。これに対しまして、災害が発生した場合の応急対策やコンビナートのウイークポイントを見つけるために現在の設備を対象にして災害想定を行う場合がございますが、この場合の災害想定と先ほどの重要度決定のための災害想定と誤解されやすいので、私どものグループでは、後者の場合を被害想定と仮に名づけて区別することがございます。このような意味の被害想定が石油コンビナート等災害防止法案を実行していく場合参考になろうかと思われますので、このような被害想定の考え方についてただいまいろいろ検討中でございます。たとえば関東大地震程度の破壊的地震にコンビナートが襲われたならばどの程度被害があるかについて推定する場合の一つの方法といたしまして、ロングビーチ地震におけるカリフォルニアにあった石油基地の被害状況、チリ地震によるコンコン製油所の被害状況、新潟地震における石油製油所の被害状況、アラスカ地震における油槽基地の被害状況がわかっておりますので、これらから統計的に大ざっぱに推測することがあります。また、事故や誤操作による局部的な災害から、対応する応急対策、緊急対策のあり方によってどのように被害が拡大していくかをダイナミックに机上演習で求めていくことも研究されております。また、水島における大量油流出事故のような災害はどのような確率で発生するかを推定しておきまして、その確率を納得いく数値にまで引き下げるにはどのようなのが一番効果的であるかを検討する場合もございます。このような場合には地盤、基礎、タンク構造物、防油堤、第二防油堤、防災設備、防災活動等を要因とするシステムとしてとらえまして、それぞれの要因の信頼性を推定して、トータルシステムの信頼性、すなわち裏を返せば、災害発生確率を求めて検討いたします。  さて、このたびの石油コンビナート等災害防止法案は、先ほど申し上げましたように、問題発見型の規制でありますから、これを上手に実行していくためにはそれ相応の技術が必要になってまいります。従来の法規の欠点は、取り締まるべき最低のポイントを指示しておりますから、法規があるがために、法の規制に従ってさえおれば安全であるとの錯覚を起こして事故になる傾向があったことでございます。このたびの災害防止法案は取り締まるべき方法を示しておるだけでございますから、従来の消極的な態度から積極的な方向に変わってくるだろうと思われます。しかしこの法案が有効かつ円滑に活用されるかどうかはこれを運用していく人の能力次第であると言えます。  この法案によって石油コンビナートの安全性が推進され国民から信頼されるようになることを願っている私といたしましては、この法案が通過した場合を予想して四つの提言をしておきたいと存じます。  第一は、この法案は防災行政の一元化がねらいであるが、現在ではこれが最善の策であると聞いておりますが、私は、この法案であっても、努力次第で防災行政の一元化と同等の効果を上げることができると思います。ただしそのためにはこの法案を機会に、消防法、高圧ガス取締法、労働安全衛生法を主管する消防庁、通産省、労働省はもとより毒物劇物を取り扱っている厚生省、運搬、輸送の安全を担当しておる運輸省のお役人が従来のなわ張り争いをやめて協調的にやっていただくことが何よりも重要であるかと考えております。このたびの法案は、消防法、高圧ガス取締法、労働安全衛生法の三法にかぶさる上乗せ法案であり、今後事務的作業がふえるのではないかと心配されておりますが、この法案によって安全性がアセスメントされたならば、重複している消防法、高圧ガス取締法の部分は実務に当たっては簡略する等の便宜を図ってやるべきだと存じます。  第二は、この法案を実際に実行する現地の担当官が施行できるようなテクノロジー・アセスメントの手法を確立しておくことだと思います。この法案によりますと、設備新設の届け出があった場合、三カ月以内にアセスメントをしなければならないことになっております。アセスメントの技術は一朝一夕で教育できるものではございません。テクノロジー・アセスメントとは、言うまでもなく、プラス効果とマイナス効果とを総合的に多角的に把握し、これにかわるべき代替手段との利害関係を評価し、意思決定ができるような包括的な資料を組織的につくることであります。一般に取締官になると、小さなマイナス面を過大評価して大きなプラス面を見落としがちになるものでございます。現地の取締官が総合判断ができるような、マイナス面のみならずプラス面のチェックポイントを研究しておき、容易に実務ができるような簡便な手法を研究しておくべきだと存じます。  第三は企業内アセスメントの提唱であります。テクノロジー・アセスメントは本来米国において国会の政策決定の判断資料を得るために開発された手法であると聞いております。しかし企業側においても設備新設の際はみずからアセスメントを行い、マイナス効果に対する予防対策を研究しておくべきだと思います。たとえばコンビナートが形成されたのは多くのプラス効果があったからだと思われますが、その反面、集積効果によって人体の健康と安全、自然破壊、社会機能に与えた障害等々のマイナス効果も否定できないと思います。とかく企業はプラス効果を過大評価してマイナス効果を軽視しがちでありました。マイナス効果を正しく評価していたならば、今日社会問題になる前にかなり予防できたはずでございます。このたびの法案によって共同防災組織が指示されておりますが、これは防災活動の面にコンビナートの特徴を発揮させようとするものであります。先般の四日市大協石油のタンク火災が隣のタンクに延焼することなく四時間半で消しとめられたのは、公設消防隊のみならずコンビナートの自衛消防隊が駆けつけて四十五台の消防車で共同して消火に当たったからであります。昭和二十九年にも同様なタンク火災が四日市の大協石油で発生しておりますが、当時はコンビナートが形成されていなかったので、総合的な消防力が貧弱であったがため隣接タンクに次々に延焼して、ついに住宅街に被害を及ぼす結果となったわけでございます。すなわち、コンビナートのマイナス効果に対してはコンビナートが共同してその利点を生かしていけば、マイナス効果を減殺していける点がたくさんあるのではないかと存じます。  第四は、この法案によりますと、市町村長に大幅の権限が与えられることになっておりますが、スタッフの多い東京都、川崎市、横浜市は別といたしまして、私の見たところではスタッフの乏しい市町村でコンビナートを抱えているところがたくさんございます。技術のなき者が権限を振り回すほど恐ろしいものはございません。この法律を実行する場合においては、県庁単位に県が強力に指導することが必要かと存じます。県庁には消防庁に対する防災課、通産省に対する保安課、厚生省に対する薬事課があります。これらの調整は県知事ならばできるはずでございます。ある程度の補充をすれば、県単位ならばかなりスタッフをそろえることが可能でございます。  したがって、この法案は県庁がやる気があるならば有効に運営していくことができると思われます。  以上を要するに、この法案は、安全工学から見ると技術水準の高いものであって、うまく活用できるかどうかは、かかって関係者の今後の努力次第であるというのが私の所見でございます。  私の所見を終わります。(拍手)

大西正男自由民主党

○大西委員長 次に沼田参考人にお願いいたします。

沼田武千葉県副知事

○沼田参考人 千葉県の副知事の沼田でございます。今回の法案に対し意見を申し上げさせていただきます。  千葉県の石油コンビナート地帯におきましても、御承知のように大量の危険物、高圧ガス等が貯蔵されておりまして、一たび災害が発生しますと、地域の住民に深刻な影響を与えることになり、かつ大きな被害を及ぼすおそれがあるわけでございます。  このような現状にかんがみまして、本県でも防災対策の推進に鋭意努めておりますが、石油コンビナート地帯の一体的な防災体制の整備を図るためには、何と申しましても実効のある特別法の施行が待たれております。このようなときに石油コンビナート等災害防止法案が提案されましたことはまことに時宜を得たものでございまして、この法律の施行に大きな期待を寄せているものでございます。  ちなみに本県の防災体制の現況について申し上げますと、災害対策基本法に基づきまして防災会議が設置されておるわけでございますが、この中に石油コンビナート地帯防災対策部会という特殊部会をさらに設けてございまして、対策の実施、推進を図っているわけでございます。一方、石油コンビナート地帯の防災計画は県地域防災計画の別冊といたしまして昭和四十三年に策定いたしましたが、それを毎年毎年修正しながら、現在このような石油コンビナート地帯産業災害対策計画というものを県独自で、県の地域防災計画の別冊というかっこうでもって、関係者でこれを基本にして推進をしておるということでございます。  京葉工業地帯のうち、東京内湾が京葉工業地帯でございますけれども、千葉市の南の市原市とか袖ケ浦町、こういうところに主として石油コンビナート群が集中しているわけでございますが、石油精製工場として、御存じのように出光興産、丸善石油、極東石油、富士石油という四社の精製工場がございますが、そのほかにこれに関連の石油化学工場等で約三十八工場が立地してございます。これらの事業場に一万キロリットル以上の油類の危険物貯蔵タンクが全部で三百五十六基ございます。特に十万キロリットル以上の大きなタンクになりますと、二十基設置されてございます。許可した総数量が千六百三十万キロリットルに達しております。また高圧ガスについてはエチレンだけでも三井石油化学、住友石油化学、丸善石油化学の三社がございまして、年間九十八万四千トンの生産能力を上げているわけでございます。  そういう現状でございますが、石油コンビナート地帯に係る過去の災害事例からいたしましても、人為的なミスに起因するものが少なくありませんし、改善を要する諸点もございます。これらの点からこの法案について意見を以下申し述べさせていただきたいと思います。  まず防災体制の一体化の問題でございますが、法案の基本的な考え方といたしましては、現在以上に国とか、県とか、市町村を通じた防災体制の一体化が図られまして、平素から各施設の新増設、変更等の事情が相互に把握できるように配慮されていることについては、対策の総合性、計画性を確保する上でまことに適切な措置であるというふうに考えております。具体的には政令委任に係る事項もあるようでございますが、この一体化を損なわないような、政令とか政令委任等を決める場合にもそういう配慮でひとつお願いしたいというふうに考えてございます。  ただ一、二御意見を申し上げますと、第一点としては、たとえばコンビナート防災計画の受理とか、第一種事業所の新増設の承認とか、いろいろございますが、そういったことがたとえば自治大臣なり、通産大臣等の共管事項でございます。そういった主務大臣相互間の連絡調整について規定を欠いてございますけれども、これは運用の面で、いまお話もございましたように、なわ張り争い的な、非常に実施官庁、県なり市町村が困らないようにひとつ連絡調整の方法についてうまくやっていただきたいというふうに考えております。  それからもう一つ第二点でございますが、事業所の防災管理者が行う異常現象の通報義務、異常現象が起こりましたとき防災管理者がいろいろな関係機関に通報しなくちゃならない義務が課せられているわけでございますが、この異常現象の判断については防災管理者の判断に任せられているような規定になっておりまして、明確な基準がいまのところ明示されておりませんけれども、これはひとつ明確な判断基準というものを何らかの形で示していただいて、そういうものに該当するものは全部通報するというかっこうにしていただきたいというふうに考えているわけでございます。  たとえて申しますと、千葉県の場合、三菱石油の水島製油所の屋外タンク貯蔵所からの重油の流出事故がございまして、そこで本県におきましても石油コンビナート地帯の一万キロリットル以上の屋外タンクについては総点検を実施したわけでございます。その結果、いわゆる不等沈下、タンクが傾いてしまっているというのが大部分の、若干は多かれ少なかれあるわけでございますが、特に消防庁が指示をした不等沈下率が〇・五%を超えるものもかなりあったわけでございます。そこで関係会社をちょっと集めまして、いろいろ意見を聞いてみたのですが、やはり消防庁の言っている〇・五%を忠実に危険であるというように判断するところと、〇・五%程度では危険ではないという判断を示すところがございまして、非常に指導に困ったことがございます。  そこでやはりそういったどの程度不等沈下した場合には異常な状態になっているのかというようなことについての判断の基準をはっきり示していただきませんと、やはり通報する防災管理者が、ある場合には通報し、ある場合には通報しないという事態になってしまいますので、ひとつこの判断の基準を出していただけないかということでございます。  それからもう一つでございますが、高圧ガス関係の施設の許認可なり、その保安指導については県が県の段階でやっているわけでございますが、この一体性を保つ意味でこれを市町村段階におろしたらどうかという意見もあるようでございますけれども、やはり市町村の常設消防の実態を見ますと、非常に充実されている市町村もありますけれども、必ずしも余り充実されていない市町村もあるのが実態でございますので、やはりそういう高度な技術を要する高圧ガスの許認可事務なり、取り締まりについては従来どおり県段階がやりまして、そのかわり通報事務はここに法律に規定されているように、相互通報の義務というものは履行するというかっこうにしていただいたらどうかというふうに考えておるわけでございます。  ただ、ガス事業法なり、電気事業法に基づきますいろいろな施設につきましては、この法律から大体除外されているようなかっこうになっております。そうしますと、最近は千葉県にもLNGのタンクがかなりつくられておりまして、いま計画中のものを含めますと約十基程度のタンクができるわけでございますが、その内容について一切県としては知らされていないというのが実態でございます。これはいろいろな石油コンビナートの中に混在しているわけでございますので、この許認可事務なり保安指導については通産省当局が、いろいろな高度の技術も要しますのでいろいろ必要性があるのかと思いますけれども、そういった相互通報、これについてもひとつできればやっていただいて、防災対策の中で一貫して仕事ができるように御配慮いただければと思うわけでございます。  次に、大きい第二点でございます石油コンビナートの防災本部の問題でございますが、これについて若干意見を申し上げたいと思います。  災害時に、各対策実施機関及び災害の発生事務所から防災本部に逐次報告がなされることは、対策の総合的推進上きわめて適切なことでございますけれども、さらに、現地防災本部の設置が決められているわけでございますが、その活動なり運用基準についてひとつはっきり明示していただきたい。たとえば消防本部の活動なんかとのいろいろな複合が出てきますといろいろ問題が起こりますので、現地防災本部のそういった設置なり活動の運用基準をひとつ示していただきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから第二点としましては、現行の県及び市町村の防災計画対象地域から、この法案によります特別防災地域を除外していることについてであります。この考え方は、特別防災地域の特殊性から理解できないことはございませんけれども、災害の態様というものは非常に多様化しておりますし、複合的に出てくるのが実態でございますので、そういった災害対策基本法を基本とする県地域防災計画との調整、運用基準についてやはり何か示していただきたい。そうしませんと、これだけを孤立化して特別防災区域というかっこうで処理することは非常にむずかしいのじゃないかという感じがいたします。  それから第三点でございますが、石油コンビナート等の防災計画についてでございます。現在の石油コンビナート地帯は臨海部に立地しておりまして、防災上、タンカー等船舶問題などと切り離して論ずることは妥当でないのでございまして、計画の中に海上災害対策計画というものとあわせて策定するように御検討いただければと思うわけでございます。コンビナート防災計画とそれから海上災害対策計画との関係、位置づけ等、運用基準を示されるようぜひお願い申し上げたいというふうに考えます。  第四点でございますが、地震災害に対する応急措置の実施に関連しまして、新設等の計画にかかわる主務大臣の指示の内容としまして、耐震性の配慮がなされるようにぜひお願い申し上げたい。特に、大地震が接近しているという、非常に住民も心配している面もございますので、そういった耐震性の配慮について特にお願いを申し上げたいというふうに考えております。  それから次に、特定事業者に対する災害予防及び応急措置の問題でございます。特定事業者にかかわります災害予防及び応急措置につきまして申し上げますと、ここでは政令とか省令が具体的に示されませんので、現状が実質的にどのような改正となるのかつまびらかではございませんけれども、消防法の一部改正を見る限り、規制の強化がうかがえるわけでございます。そこで特定事業所の防災管理者の資格要件を明確にしていただきたいというふうに考えるわけでございます。特にその防災管理者がこれだけのいろいろな防災の総合対策を進めていく上に、ただ形式的に、たとえば防火管理者ということでよく部屋なんかにただ名前だけを張りつけてあるというようなかっこうで、非常に形式的に防災管理者を決められるとしますと、その特定事業所の指導監督がその防災管理者によってできないというかっこうになってしまいますので、やはりある程度の権限を持った人を防災管理者にしてもらうというような基準を、ひとつ資格要件を出していただきたいというように考えるわけでございます。  それから特別防災区域の中の協議会でございますが、これは協議会を設置することができるというような規定のようでございますが、できれば義務設置にしていただけないだろうかという感じを持っておるわけでございます。  それから最後でございますが、この法案では、緑地等の設置にかかわる財政上の特別措置の問題とか地方交付税の措置とか消防施設強化促進法の一部改正による消防施設の助成の措置、いろいろ財政上の措置が書かれておりますが、われわれとしても非常にありがたい措置だというふうに考えておりました、ぜひこの原案が実現できますようにひとつお願い申し上げたいというふうに考えておるのでございます。  以上、何点か申し上げまして、私の意見にかえさしていただきます。

大西正男自由民主党

○大西委員長 次に池田参考人にお願いいたします。

池田純一弁護士

○池田参考人 弁護士の池田純一です。  私は、日本弁護士連合会の公害対策委員会の委員でございますが、今回起きました水島の三菱石油流出事故の実態調査に当たり、またその調査に基づいて日本弁護士連合会が三月に発表しました「工業基地防災に関する意見書」というものの作成に当たりました。ここでは、この実態調査と意見書に基づいて本法案について意見を述べさしていただきたいと思います。  まず、本法案の問題点を申し上げる前提として、三菱石油の事故の原因、それから法律上の問題点について若干申し上げます。  私どもが調査した限りで判明した法律上の問題点は七点ございました。  まず第一点は、工業基地における公・災害に対する一元的かつ総合的な規制法が存在していなかったということでございます。従来の規制法は施設単位でございますので、大規模な工業基地の災害に対しては、保全対策の基準とか実施の内容とか、それがもたらす莫大な被害に対する復旧対策、そういったものについての規制が、法律上の定めが何もなかったわけでございます。  第二点は、事故のあった貯蔵タンクは、昭和四十八年の十二月に消防完成検査を合格して、四十九年の三月に使用を開始された最新のタンクでございましたが、したがって基準にも合致しているわけですが、そのタンクの据えつけ地盤に関する、消防法に基づく危険物の規制に関する規則というのがございます。それには、単に堅固な地盤あるいは基礎の上に固定すると定めるのみでありまして、具体的な規制が何らなかったということでございます。  第三は、タンクの安全性についてでございますが、タンクの安全性を考える場合には、タンク自体だけではなくて階段等のような付属設備についても、階段の安全性それから階段がタンクに及ぼす安全性、そういったものを考えるべきでありますが、何ら規制はございませんでした。  第四点は、防油堤についてでございます。防油堤についても同じ危険物の規制に関する規則がございますが、タンクから油が防油堤を乗り越えて噴出したような場合については何ら規制がございませんでした。  第五点でございますが、タンクの保安管理については十分な法令上の規制がなくて、新設の際の設置許可、水張り検査及び溶接検査などの一連の検査、これに合格すれば、後は設置者の企業の自主管理に任されるということになっておりますために、三菱石油水島製油所の場合には、夜間に広い構内を二人の保守員が二時間置きに懐中電灯を片手に自転車で回っていたというのが現状でございました。  第六点は、油が構外に流出した場合の規制の不備でございます。今回の油は冷却水、プロセス排水、構内雨水、そういった排水を一括してガードベーシンというところで処理することになっておるのですが、このガードベーシンを通して処理するというシステムについては何ら法律上の規制がございませんでした。またその結果、陸上から生じた事故によって海洋が被害をこうむるということを予想した防止規定というものはございませんでした。  それから第七点、最後でございますが、仮に構内で処理ができなかった場合、そして海上に流出した場合には、オイルフェンスとか油処理剤、油吸着剤、こういった排出油の防止施設、これが必要でございます。しかし、それだけでは足りません。油回収船、それから回収した油を積む油送船、こういったものが必要なわけでございます。現行の海洋汚染防止法は若干の排出油防止資材の義務づけだけをなしているにすぎなかった。  要するに、まとめてみますと、問題なのは現行の法制が陸上と海上とを分断させて、管轄官庁なども分断させ、その間における適正な調整措置をとっていなかったということ、こういった問題が明らかになったわけでございます。このような法律上の問題を踏まえまして、先ほど申し上げた「工業基地防災に関する意見書」では一つの提言をいたしました。詳細はその意見書を読んでいただきたいと思いますので、ここでは早速本法案の問題点に移らせていただきます。  本法案は、このような三菱石油の流出油事故といったものを未然に防ぐものでなくてはならないと思います。また、瀬戸内海の東半分を汚して漁民に非常な被害を与え、瀬戸内海の環境を破壊した、こういった被害を二度と起こさないということも目的でなければならないわけでございます。この法案は、いま申し上げました個別的な規制に関しては消防法などに譲っている。そしてそれを前提として総合的な規制を加えるということを目的にしたものと思います。その大まかな仕組みについては、私がいま申し上げました現行法の一元的な、かつ総合的な規制が欠けているという点について答えておるのでございますが、非常に大切な点が抜けておるので、その点を申し上げます。  まず第一には、対象から海洋、港湾、これが除かれている点でございます。海洋とか港湾、特にコンビナート付近の海域はそれ自体をすでに危険の対象とすべきものであります。水島コンビナートの場合には二十万トン級のタンカーが多数出入りしております。衝突事故も全国で絶え間なく聞かされております。こういったコンビナート付近の海域、そして港湾は、いまではすでに危険物と考えなければならないと思うのであります。  それから海を対象から除外したことに対する批判のもう一つは、海こそ復旧の対象とすべきであるということであります。海ほど復旧の困難なところはございません。海ほど大きな被害を受けるところはございません。この海を対象にしなかったこと、これが本法の一番の欠点ではないかと思います。なるほど、たとえば十六条の六項とか二十三条といったところに、市町村長は、事業者が自衛防災組織をつくったような場合には、海上保安本部の事務所の長に通知をせよとか、異常現象が発生した場合も海上警備救難機関に通知せよという規定はありますが、海について責任を持つ官庁としてはすべて受け身でございます。自分からここはこうした方がいい、ああした方がいいという発言をする権限が与えられておらないのであります。この点はぜひ盛り込んでいただきたいというように考えております。  次に、規制の方法について問題点を申し上げます。  本法は、コンビナートの特別防災区域というところを指定して、事前に届け出をさせるなどし、そして事前規制をするということにたてまえはなっております。その規制の基準については政令で定めるということにされております。ここがまず問題なのであります。この規制の基準というのは、いままでの数々の立法から考えて、恐らく全国一律の抽象的な基準でありましょう。しかし、私たちがコンビナートの実態を見たとき、その地域地域に応じた具体的な基準があるはずであります。抽象的な政令で定めた基準では現実に対応し切れません。まして、この法案によると、その基準に基づいて主務大臣が特別防災区域を指定するのだということになっております。この指定主義というのは、かつて旧水質保全法、工場排水規制法の当時に非常に問題があった制度でございます。水質が汚濁して、現実化してから初めて指定されるという弊害を生んだ主義なのでございます。このようなことが二度と繰り返されないようにするには、政令で定める基準というものをもっときめ細かく、従来のような一律主義はやめて、しかもその基準を定めるに当たっては、漁民とか周りの住民の声を十分反映させてつくるべきである、こういうふうに考えます。  それから、この特別防災区域というものが指定されるとそのような規制を受けることになるわけですが、本法は既存の石油コンビナートについては届け出の義務を課しておりません。これも一つの大きな欠点ではないかと思います。したがって、届け出の際出された計画は、将来主務官庁が変更の指定をすることができないというたてまえにもなっております。このようなたてまえは、当初考えたことが後から変更しなければならなくなるというような事態に対応できないのではないかというふうに考えます。  次には、特定事業者の災害の予防に関する規定について、どうしてもこれだけは申し上げないと、と思っている点について申し上げますと、特定事業者は一定の基準に従って災害防止の施設、資材、組織、規程といったものを設けることになっております。この中で特に問題になるのは資材でございます。資材を備えつけ、維持しなければならないというふうに規定しておるのでありますが、水島製油所の事故の場合には、備えつけてあったオイルフェンスを持ち出して海に張るまでに、倉庫に取りに行き、トラックに積み込んで、何人がかりかで背負って、そして初めて現場に来る。非常に時間がかかったわけでございます。単に備えつけなければならない、維持しなければならないということでは実際に役立たないのでございます。いま言ったようなことがないように、すぐ使用できるように法案に盛り込むべきである。そういうふうに考えます。  次には点検についてですが、この法案は自主点検ということを規定しております。自主点検は、先ほども申し上げたように、企業の任意にゆだねられるわけでございますから、ともすれば安易な形で行われることになります。やはり自主的に行うということで事足れりとするわけにはいかない、そういうふうに考えます。  それから油回収船の備え付けというものを規定いたしましたが、油回収船だけでは実際には役に立ちません。回収した油を貯蔵するあるいは積みかえるための油送船、これも必要であると思います。  それから共同防災組織について、任意的に設置できるとしておりますが、これは必要的な設置を決めるべきであると思います。経過措置も一年置いてありますが、一年では、その間に何回事故が起きるか。一年では長過ぎるというふうに考えます。  本法は、いま言ったような事業者の自主的な防災組織、そういったものを統括し、かつ行政官庁の調整を図るために防災本部というものを設置いたしました。防災本部の最も大切な役割りは、石油コンビナートの防災計画を作成することにあります。三十一条に防災計画の大要が規定されておりますが、この法案を見る限りでは、きわめて抽象的な計画になるということが予想されます。防災計画は実際の災害が生じた場合にすぐ対応できるものでなければなりません。具体的にどこの会社のどこから油が出たならばどこの会社はどうするのか、そういう細かいことを規定するものでなければ、実際には役立ちません。この規定によると余りにも抽象的である、そういうふうに考えるのであります。  防災の仕組みについて幾つか述べましたけれども、要約いたしますと、この法律の防災の仕組みについては、環境に対する配慮が欠けているということ、住民参加について全く考慮が払われておらないということ、それからもう一つは、主務大臣に通産大臣を指定しているという点でございます。  最後の点はちょっとつけ加えさせていただきますが、通産大臣は石油精製業についての許可権限を持ち、生産設備等について設置あるいは増設についての許可権限を持っております。一方で許可する者がこういった公・災害の防止という点では規制をする、これは一人の人が二つの判断を強いられることになるわけでございます。通産相がこの主務大臣になることについては私は適当ではないというふうに考えます。  以上です。

大西正男自由民主党

○大西委員長 以上で参考人からの御意見の聴取は終わりました。     —————————————

大西正男自由民主党

○大西委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。中山利生君。

中山利生自由民主党

○中山(利)委員 三人の参考人の先生方には、お忙しいところを貴重な御意見を開陳していただきまして、まことにありがとうございました。  三先生に、二、三点御質問を申し上げたいと思います。  まず井上先生でございますが、先ほどのお話の中に被害想定ということがございました。私どももいろいろ石油コンビナート、特に直下型の地震があると言われた川崎地帯などを拝見してまいりましたが、あの狭いところに石油の備蓄施設、精製施設あるいは高圧ガス、また有毒ガスなど、大変な量の備蓄が行われているわけでございまして、その中でいまマスコミを騒がしておりますような大きな地震その他の災害が起きたときに一体どんなことになるのだろうかというのがわれわれの一番心配をするところでございますし、一般の住民もその点が最も関心を持っている事項ではなかろうかと思います。このコンビナート防災法はいろいろ問題はあるといたしましても、予防の面ではある程度の効果を発揮できるのではないかと思うのですが、一たん大きな災害が起きた場合の対策というような面で、どの程度の効果が期待できるのか。それから先生の方の技術的な面で、被害想定というものはどの程度の確度をもって現在のところ予想ができ得るのかというような点、お話をいただきたいと思います。  それから三先生とも御指摘をいただきましたが、この法に期待され、また期待ほど実現ができなかった。また井上先生は、この法の運用をする人の能力によって法の目的が達成されるのではないかというようなお話がございましたが、法というたてまえからいきますと、どうも人の能力にばかり期待をするのでは不満足な点があるのではないかというふうに思うわけですけれども、この法案は、通産省、労働者、運輸省その他にまたがった、いろいろな関連した単独法の中で、先ほど海のお話がございましたが、海は海でまた独自の法律があるというようなことで、その間の連絡、協調という趣旨が非常に強いと思うのですけれども、単独法は単独法での一つの成果があると思いますし、その中で、このコンビナート防災法が一元化をより進めていくためにはどういう規定を入れていったらいいのだろうかという点で御意見がございましたら、ひとつ三先生にお願いしたいと思います。  それから、いろいろな法規の中で防災体制の一元化、これは今度のこの新法によって十分期待できるのか、また、いまのとダブるわけですけれども、期待できないとすればどういう期待をしたらいいのか、それをひとつお願いしたい。  それから、池田先生の海の汚染、これは復旧の最も困難なものだというお話、まことにごもっともだと思いますけれども、今度の防災法にこれの復旧の問題を取り入れるとしたらどんなふうな形の規定を入れたらいいのかということをお伺いしたいと思います。  以上でございます。

井上威恭横浜国立大学教授

○井上(威)参考人 ただいまの点に御回答申し上げます。  まず第一点ですが、破壊的地震を受けた場合どのような被害を想定されておるか、現在、被害想定の研究はどういうところにいっているかというふうに理解したわけでございますが、先ほど御説明いたしましたように、われわれの方は、コンビナートにおけるウイークポイントを大体調べ上げております。いろいろな地震における状況から、統計的にこの程度の被害は起きるだろうということも推定しております。ところが、もう一つ重要なことは、これに対する防災活動、防災設備はどのようになっておるかということを組み合わせなければいけないということです。たとえば道路が破壊して消火活動が全くできないというような場合も想定して、その場合はどうなるか、もしも地域コンビナートのいろいろの防災活動が期待できたらどうなるかということを組み合わせて、ダイナミックな机上演習的なものを二、三われわれは研究しておる最中でございます。統計的にいけば、いままでのカリフォルニア地震では、満タンクのものは四十一基中三十八基の屋根が破損したとか、半分以上満たしているものはリベットから漏れたとか、いろいろな統計はございますから、この程度の被害はあるであろうということを推定しております。あとのもう一つの大きな問題は、防災活動がどうなったらどうなるかというような机上演習で、ケース・バイ・ケースでいろいろの場合を想定して、いまこういう作業に入りつつあります。これに対してウイークポイントをどうすればよろしいかということをいま検討しております。  第二点は、一元化に対してどうやるか、人の能力ばかりではいかぬではないかというお話でございましたが、先ほど池田参考人がずいぶん細かい規制をやれと言ったけれども、法律でどんなに細かくやっても全部書き尽くすことは不可能なことで、これはもうアメリカの規則でもみんな言っているわけで、あとは運用である。ところが、余り運用を大ざっぱにすると問題である。だからほどほどにしなければいかぬ。もう一つ、ほどほどにして、一元化に最もいいのは、通産だろうが消防だろうが、テクノロジー・アセスメントの手法が同じになればいい。その手法を持っていかしたい。どこでも使えるような手法を開発すべきではないかということをいま研究中でございます。  以上です。

沼田武千葉県副知事

○沼田参考人 海についてどのような規定を入れたらよいかという御質問かと思いますが、立法技術的なことは余りよくわかりませんけれども、コンビナート地域の防災計画の中に海の災害に関連した計画を入れるような規定が入ってないわけですが、その防災計画の中に海上災害対策も一緒に含めるような規定の仕方をしていただけばというふうに考えておるわけでございます。

池田純一弁護士

○池田参考人 私もこの法案が成立することを希望いたします。ただ、その場合に心しなければならないことは、いま言ったこの法案の限界でございます。その限界を乗り越えるためには、この法案の手直しでは足りないと考えます。  ただ、これだけはぜひ入れていただいたらいいのじゃないかと思うのです。それは、第五章の二十七条の三項に「特別防災区域に係る防災」と書いてあって、その中に「災害の発生及び拡大を防止し、並びに災害の復旧を図ること」として、初めてこの法案の中に「災害の復旧を図ること」ということが出てくるわけです。この「災害の復旧を図ること」をひとつ「目的」の中にも入れていただきたい。第一条の「目的」には「災害の発生及び拡大の防止等」となっておりますが、「災害の復旧」と、はっきりここに入れていただいたらいかがかと思うです。  さらに、それに関連して、第三条の「特定事業者の責務」というところにも、「災害の発生及び拡大の防止」とだけありますが、当然いま言った「災害の復旧」という言葉をはっきり入れることが望ましいと考えます。

中山利生自由民主党

○中山(利)委員 井上参考人にちょっとお伺いいたします。  先ほどの池田先生のお話では、いろいろと細かい規制を、また沼田参考人の方も、現場の立場としていろいろな基準とか規制とかいうものをもう少しはっきり示してもらいたいということでございました。この法案は政令で規定する事項が非常に多いわけでございます。ただいまのテクノロジー・アセスメントの場合は非常に高度の技術、知識を必要とするわけでございますが、市町村段階あるいは県段階においてもこれを十分に満足させるということはなかなか困難ではないかと思うのです。これに対しましては、何か国で一元化した機関を設けるとか、規定を設けていくとか、そういうことは必要であるというお考えでございましょうか。

井上威恭横浜国立大学教授

○井上(威)参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。  テクノロジー・アセスメントというのは、ケース・バイ・ケースによっていろいろな手法がいま開発されております。現に、たとえば科学技術庁が示しているテクノロジー・アセスメントは、マイナス面、プラス面のいわゆるチェック・ポイント・システムというのをやっております。高度な技術があればいろいろな方法に進んでいくわけでございますけれども、とりあえずいま、通産、自治省の現地の人がやれる程度のものは、懇切丁寧なチェックリスト的なテクノロジー・アセスメントを示してやればよろしいと思うわけです。  先ほど池田参考人は、海のことがないと言われましたけれども、窓口は通産、自治省で、海のことも、テクノロジー・アセスメントをちゃんと指示しておけば、そこの官庁でプラス面とマイナス面の判断ができるかと思います。  実を言いますと、コンビナートは地域によって非常な違いがございます。一元化すると非常な問題が起きます。したがって、そこの応用するということに対しましては、懇切丁寧な手法を示して、それで良識ある判断をすべきである。そうするためには、かなり現地の係官の教育もせにゃいかぬと考えておりますが、これは努力すればできると私は考えております。  以上でございます。

中山利生自由民主党

○中山(利)委員 ありがとうございました。

大西正男自由民主党

○大西委員長 岩垂寿喜男君。

岩垂寿喜男日本社会党

○岩垂委員 参考人の先生方には、お忙しいところ、本委員会に御参加をいただきまして、この審議の中で貴重な御意見をいただくことに、最初に感謝申し上げておきたいと思います。  時間が短くて、いろいろなことを伺うわけにはいかないのですが、一番先に井上先生と池田先生に伺いたいと思います。  私たち、この委員会での議論の中で、陸上のコンビナートの防災法だけでは不十分だ、そしていわゆる港湾防災法とでも言いましょうか、そういうものが同時並行的に制定されなければいかぬということを指摘をいたしまして、運輸省や自治大臣もその方向を明らかにされております。それで、できれば次の国会にということを言っておりますが、考えてみると、そういう別々の法律体系ではなくて、さらにそれを総合的なものにしていく、たとえば工業基地であるとか臨海港湾地域の全体的な保全法みたいな形にしていく必要があるのではないだろうかと思うのですけれども、その点についてどんなお考えを持っていらっしゃるかが一点です。  それから、これも委員会の質疑の中で明らかにされたことなんですが、本法案が公害とか環境破壊について実は規定がないわけです。その意味では、特別法を用意する必要があるだろう、そしてそのことについて環境庁などと相談をしていくということも政府側の答弁として正確に回答を得ていますので、そういうばらばらな法体系ということに結局ならざるを得ないのかなと思いながらも、なおかつ、やはり幾つか法律をつくらなければいけない、手続も煩瑣になる、それから、住民にしてもあるいは事業者にしても、いろいろな行政的な網がダブるところと重ならないところと、いろいろな問題が出ると思うのですけれども、それらについて、立法技術の問題も多分にありますが、先生方の御見解を聞かせていただきたいと思います。

井上威恭横浜国立大学教授

○井上(威)参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。  まず海上の方はどうなるか。私らがいま試案に盛っているテクノロジー・アセスメントのチェックポイントで、まずタンクが増設されたらどうなるか。タンクができればタンカーが当然出入港する、そういうところのチェックポイントもちゃんとマイナス面に書いておる。そしてその場合に、窓口が自治省ならば、運輸省に行って交通整理をしてもらう、そういうことまで懇切丁寧に書いておけば——いわゆる場所場所によって違うと思う。こういう場合に、瀬戸内海とたとえば鹿島とか志布志とか、ああいうところと大分違うと思うわけでございますから、そういう規制ではなくて、どういう点をチェックしなさい。そしてその場合にはどこのところで交渉しておきなさい。タンカーがふえるならば、そこで交通規制をやるとかあるいは交通整理をやるとか、そういうことを運輸省に頼んでいくのは窓口がそれをやればよろしい、そういうふうに考えております。  それから、先ほどの公害その他も、たとえば瀬戸内海と鹿島では大分違う。それを一律に緑地帯の規制というわけにもいかない。ですから、そういうところには、どうあるべきかという思想だと思うわけでございます。その思想ということをよく教育しておけばできる。それが県知事単位でやれば、いまの県知事単位でできないはずはない。そういう点に対するいわゆるテクノロジー・アセスメント手法を教えておくということが私の理想でございます。

池田純一弁護士

○池田参考人 いま御質問にありましたことは、私は全く同感でございます。海も含めた全体的な立法が考えられてしかるべきでありますし、こういった突発事故だけでなくて、いわゆる公害といったものを含む総合的な立法というものが必要であると思います。  それができない理由はなぜかと申し上げますと、それは簡単なことです。環境というものについての統一的な認識ができていないからでございます。今度の法案でも、さっきちょっと申し落としましたが、結局は環境を破壊しないようにしようという法案ではないでしょうか。公害においてしかりでございます。その環境ということを目標にすれば総合的な立法というのは可能であると私は考えております。

岩垂寿喜男日本社会党

○岩垂委員 これは井上先生と沼田先生にお伺いしましょうか。  本法案が、いわゆる行政の一元化ということを目指して努力を重ねられてきたわけです。特に消防庁を中心にして大変な御努力をいただいた経過を私どもも承知しております。にもかかわらず、率直に言えば、これは大臣も言われていたんですけれども、通産省の抵抗があって、高圧ガスなどの問題を含めたこのエネルギー行政の一元化というものが不徹底に終わったというふうに言われているわけであります。私は、この委員会でも何回か実はその議論をしてきたわけでございますが、行政の一元化ということを目指して努力をしていくべきだろう、そのことが一番望ましい形だし、それを急がなければいけない、こんなふうに思いますけれども、本法案の一つの問題点でもございますので、率直な御見解を承っておきたいと思います。

井上威恭横浜国立大学教授

○井上(威)参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。  私らは、そういうことは、たとえば通産省と自治省だけではだめで、労働安全衛生の労働省も入る、運輸省も入る、厚生省も入る、そうして、できれば安全庁をつくりたい。しかしながら、いま早急につくっては環境庁の二の舞になるので、しばらくこういうことは検討すべきであって、とりあえずならば、さしあたらいこういうところが手ごろではなかろうかと考えている次第でございます。

沼田武千葉県副知事

○沼田参考人 先ほども申し上げたわけでございますけれども、委員会でもそういう御審議がされたというふうに伺ったわけでございますけれども、現実には電気事業法なりガス「事業法に基づくいろいろな施設につきまして、県の段階ではその施設についてほとんど知らされてないという実態でございます。したがって、たとえば」NGのタンクについても、将来何基できるのかということもまだはっきりわからない。想定で大体十基ぐらいできるだろうというようなことを言われているわけでございますが、実際にはやはりそのコンビナートの中にそういうタンクが混在するわけでございますので、そういう実情について知らせていただいて、許認可とか保安指導は別といたしましても、実情について知らしていただいて、そういう一貫した防災計画の中でそういうものも処理できるというかっこうにぜひさしていただきたいというふうに考えておるわけでございます。

岩垂寿喜男日本社会党

○岩垂委員 池田参考人に伺いたいのですが、この法律の問題点というのは、やはり既存の施設に対する規制措置というところがかなり委員会でも議論になっていまして、消防庁としても、たとえば防油堤の容量基準であるとか、タンクの高さの制限とか容量の制限とかあるいは保安距離や保有空地の強化などについての見直しを、タンクの構造や地盤の問題を含めてやるということをこの委員会でも答弁をいただいているわけでございますが、この辺がやはり一番問題点だと私は思うのです。つまり新設と変更ということだけでなくて、危険はいまある施設の中に潜在をして——顕在化していると言ってもいいくらいなんですから、これらの問題について、消防法なり何なりで見直しをしていくということなんでありますけれども、そのことについての御見解をまず承った上で、それと関連して、やはり既設、新設を含めた定期的な点検とでもいいましょうか、定期的な立ち入りをきちんとしていくことを義務づけていかないと、一遍パスポートをもらったから、後はどうでもいいということになってしまっているのではないだろうかと思いますので、その定期的な診断制度といいましょうか、許可制度とでもいいましょうか、何という言葉を使ったらいいか、私も正確な言葉遣いがわかりませんが、それらについて承っておきたいと思うのです。これは、もし井上先生お願いができたら、先生にも承っておきたいと思います。

池田純一弁護士

○池田参考人 お答えいたします。  つまり、既存のコンビナートに対する規制の点でございますが、私もこれは非常に大きな問題であると思います。極端に申し上げれば、現在ある施設に見合うだけの石油の量に減らすというほかないのではないか、そういうことになると思うのであります。これは私どもも十分な調査検討をしたわけでございませんから、一方にある考えだけを申し上げさせていただくことにいたしますが、さしずめそれができないとすれば、定期点検を充実させるということが実効的であると思うのであります。  定期点検をさせるときに最も障害になるのは、関係市町村あるいは消防署ということになりますか、企業に対して人的にも質的にも非常に劣勢な立場にあるということであります。企業はどうしても痛いところはつかれないように、それは最新の知識や十分な資材を持っておりますから、それに十分太刀打ちできるだけの監督をしなければならない。そういう面について十分配慮する必要があるのではないか、こういうふうに考えます。

井上威恭横浜国立大学教授

○井上(威)参考人 既存の設備に対しまして、私は参議院におきましても合同防災診断をやるべきである。通産省だけではなしに、厚生省も入ってすべてをやる。そうしないと、ある点を見ても見逃しが必ず起きる。そこで合同防災診断をやれば、いろいろな気がつかなかったところがわかるだろう、そういうことでこういうもののネックというものを探し出さなければいかぬというふうに考えております。

岩垂寿喜男日本社会党

○岩垂委員 いまのような、点検をするにしても立入り検査をするにしても、私は実は川崎なんでありますけれども、先生御指摘いただいたように技術者などの面でも東京、川崎、横浜を除けばかなり深刻な状況だと思うのです。仏つくって魂入れずという言葉に当たるかどうかは別として、そういう意味では技術者の養成というような問題とかそういう技術者をどういう形で、市町村段階にあるコンビナートまで含めてなんですから、それぞれの市町村が全部技術者を独自に抱えるということは不可能なんですが、そういう場合にどういうことを考えればいいのか、どういう形で技術者の養成を考えていけばいいのかということについてお知恵がございましたら井上先生から承っておきたいと思います。

井上威恭横浜国立大学教授

○井上(威)参考人 非常にむずかしい問題を仰せつかったわけでございますけれども、これは教育ということが何事も大切であるということに思っております。  もう御承知のとおり川崎とか横浜の方は非常に詳しい方がそろっております。しかしそればかりではない。地方のコンビナートはかなり貧弱なところもあるので、その程度にとにかくレベルアップをしていかなければいかぬ。それは一番御承知なのは消防庁だろうと思うのです。消防庁の中で川崎とか横浜のレベルと末端のレベルを非常に御存じだろうと思いますから、それは消防庁内でやっていただければよろしい、全体のレベルアップは、また考えは別にわれわれは持っております。

岩垂寿喜男日本社会党

○岩垂委員 さっき池田参考人から主務官庁から通産省を抜くべきだという意見は、実は私も同感なんです。と申しますのは、いま科学技術庁設置法の一部を改正する法律案の中で、原子力行政についていわゆる安全とか規制とかという局を別個にしていこうという議論があるわけであります。これはまだ委員会で議論がされておりません。私はたとえば、言葉が悪いものですから悪いのですけれども、どろぼうとつかまえる者と一緒に成立するわけはないわけなんで、そういう点では何としてもそれは別々にしなければいかぬのではないだろうか、こういうふうに思いますので、これはもう一遍井上先生なりあるいは池田先生お二人から御意見を承っておきたいと思います。

井上威恭横浜国立大学教授

○井上(威)参考人 ただいまそういうお話が出ましたけれども、実は取り締まるということになるととかくマイナス面が非常に過大評価される、そういうことでは産業もいかない。プラス面ということを見なければいかぬ。したがいまして両方相まってやっていくというより仕方がない。こういう取り締まるという立場から見れば、重箱のすみをつつくように、非常にマイナス面がたくさんあるわけです。しかし、小さなことで大きなプラス面を見逃すのじゃなかろうか。そういう点では鋭意テクノロジー・アセスメントの技術を培養していくしかないんじゃないのかというふうに考えております。

池田純一弁護士

○池田参考人 私が先ほど申し上げた意見は一つの結果に基づいておるわけで、その例は鹿島の臨海工業地帯の実態でございます。当時の県知事さん、私もお会いしましたけれども、非常にすぐれた方でございます。ところが理想としたところの農工両全、無公害開発というのは失敗したわけであります。  そこで考えてみたのですが、法律には昔からこういうことわざがあるのです。何人も自己の事件については裁判官になることはできないという規定があるのです。私はそれを考えて、やはり許可をする通産と取り締まる通産という立場は矛盾するのではないか、こういうふうに考えたわけでございます。

岩垂寿喜男日本社会党

○岩垂委員 時間が来てしまいましたから、最後に一つだけ、原因者負担の原則、これはもうあらゆる部面で当然のこととして受けとめられつつありますけれども、本法案のたとえば緑地帯などの負担関係、三分の一、三分の一、三分の一、こうなるわけですが、特に地方自治体などの財政の状況というふうなことを考慮に入れる以前に、やはり原因者がそういう災害に対する未然の防止策を含めた手だてといわれるものを措置することはある意味で義務だろうと思うので、そういう点では、私たちは企業負担というものをもっとふやさなければいけない、もっと企業が責任を持つべきである、こういう見解に立つわけですが、これについて三参考人からぜひ御意見を承っておきたいと思うのです。その場合に、これはなじむのかなじまないのか、私も税金の問題などで余り意見があるわけじゃございませんが、公害や災害の防止税みたいなもの、そして施設をつくっていくというようなこと、そういうようなことが当然考慮されていいんじゃないかというふうに思いますが、これらの問題についての御見解を承っておきたいと思います。

井上威恭横浜国立大学教授

○井上(威)参考人 実は災害発生確率というものを企業がやれば、緑地帯があればいかに災害発生が少なくなるかということはわかるわけでございます。もしも災害が発生したらどのくらい損害額が出るかということもわかるわけであります。それならば損害額を出すよりもやはり緑地帯をつくろうという、自主的にやるべきであって、コンビナート自身がこういう緑地帯があればどの程度被害が出ないかということをやるのがテクノロジー・アセスメント、これが私は企業内のアセスメントである。そしてそれからみずからその中で緑地帯をつくるとか何かが出てくるということだと思います。行政の方は行政でまたそれをおやりになればよろしいというふうに考えます。

沼田武千葉県副知事

○沼田参考人 基本的には私も賛成でございまして、こういう公害防止の関係のいろいろな施設について企業も当然応分の負担をしてやっていただくということについては、私もそう考えます。果たしてそういうたとえば緑地帯なんかによって災害が防止できるのかどうか、そういうことについてはいろいろ議論はありますけれども、しかし少なくともそういった災害を減少する一つの要因にはなり得るだろうというふうに考えているわけでございまして、千葉県の場合もすでに遮断緑地なんというものをつくりまして、これをやはり三分の一程度は企業に負担していただきまして市原の工業地帯の間につくっておりますけれども、今後もそういう企業負担という原則は貫くべきだというふうに考えております。特に工場内の緑地化の問題についても、これは公害防止協定とかそういう中で企業に義務づけをして緑化をしてもらうというようなことも、やはり企業負担の原則からいって貫いていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから公害防止税のお話がございましたが、気持としてはそういう点もあるのですが、いろいろ税全体の体系の中でその公害防止税というのがいいのかどうか、ちょっと私もよくわかりませんので、ひとつ御了承いただきたいと思います。

池田純一弁護士

○池田参考人 本法によると、三分の一は事業者に負担させる、残りの三分の二は地方自治体だ。ただ、そのうちの半分、二分の一を超えない限りで国の補助だということですから、結局三等分して、事業者、自治体、国というような割り振りを考えているのではないかと思います。発生者負担という原則をたてまえとすれば、同率で三者が負担するということは、この原則と相入れないというふうに考えます。少なくとも半分は負担すべきではないでしょうか。それが私の意見です。

岩垂寿喜男日本社会党

○岩垂委員 ありがとうございました。

大西正男自由民主党

○大西委員長 林百郎君。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 最初に井上先生にお尋ねしたいと思うのですが、本法によりますと、これは御意見の中でもお聞きできたと思いますが、現在あるコンビナートについての防災対策等については変更の指示権も与えられておりませんし、国民がいま心配しているのは、既存のコンビナート施設についての防災がどのようにされるかということが一番大きな関心事だと思います。既存のコンビナート防災について本法はどのような関係にあるのか、またどのような点を特に留意すべきかというようなことで、御意見がありましたら、聞かしていただきたいと思います。

井上威恭横浜国立大学教授

○井上(威)参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。  本法で、いわゆる新設する場合はどうなるかという問題発見型の技量ができましたならば、その段階におきまして、恐らくそういうことでまた見直してくれるのじゃなかろうかというのが一つございます。  それから先ほど申しましたように、現施設はどうあるかというのは、もう一回別の立場で合同防災診断というようなことでやっていけば、いろいろな点が見つかっていくと思います。それに対する対策もおのずから出てくるというふうに考えております。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 先生の先ほどの御意見の中で、本法が効果的に運用されるかどうかは、法律自体も次元の高い問題を取り扱っておるし、今後の研究いかんによる点があるという御意見があったと思いますが、今後の研究いかんによる点というのは、限られた時間でございますが、大体どういうことを先生はお考えになっておるのでしょうか。

井上威恭横浜国立大学教授

○井上(威)参考人 一番早いのは、いわゆるテクノロジー・アセスメントで、現場の担当官が使えるようなアセスメントの手法を開発する、これは研究すればできると私は考えております。これは私自身じゃわかりませんけれども、いろいろな学識経験者に集まっていただいて、そういうチェックリスト的なものを開発していけばあるいはいいのじゃなかろうか。それもできれば通産も消防も同じような方法でやっていただきたいというふうに考えております。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 私もコンビナートのあの巨大な諸関係については十分のみ込むことができないような状態なんですけれども、川崎などに行ってみますと、それぞれの企業がそれぞれの関連を持ちながら一つのコンビナートをつくっているわけなんですが、自主防衛組織にしても共同防衛組織にしても、企業の防衛組織ということになると、その企業の施設の防衛が重点に置かれて、コンビナート全体の防災、そういう次元までそれぞれの企業の防衛組織は考えが及び、そのために検診するというのですか、そういうことができるかどうか。また一つの企業に災害が起きるとすれば、隣の企業に行くパイプはとめなければならない。ところが、それをとめられると、隣の企業としては非常に困るというような問題、あるいはそのパイプをとめてしまえば、災害の発生している企業自体が回復することのできない損失をこうむるというような場合、それぞれの企業が自主性を持ちながらコンビナートをつくっているものですから、その全体の防災ということについては技術的にどういうような点を考慮する必要があるのでしょうか。専門的な立場からひとつ御意見を述べていただきたいと思います。

井上威恭横浜国立大学教授

○井上(威)参考人 共同にどういうふうにしたらいいかというのが先ほどの共同防災の組織であります。これをいまの企業がやらないとおっしゃれば、これを指導していくのが行政じゃないか。いわゆる共同防災システムを誘導していくというふうにお考えになればよろしいと思います。企業も最近はやはり共同防災組織でやろうという機運が出ております。そのあらわれが四日市の大協石油でああいう事故があったときに、周辺の会社から皆駆けつけて、それで消したわけでございます。あれが来なければ、あるいは燃え移ったかもわからないわけです。こういう意識が出てきておりますから、こういう意識を育てていくのも政治じゃないかというふうに考えております。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 次に、千葉の副知事沼田さんにお尋ねしたいのですが、自治体、当該市町村の持っている現状の消防施設が消防庁で示しておる基準に達しているのかいないのか。川崎などへ行くと、いないように見られておりますが、その原因は何かと言うと、非常に超過負担が生じてしまっている。消防庁が示してくる基準というのは、実際かかる費用の三分の一か何かしか基準を示してこない。その二分の一、三分の一というと自治体の支出が非常に多い。消防庁が一定の基準を示してきても、それを満たすためには膨大な超過負担を自治体がしょわなければならない。こういう問題が現場の市町村から出ているわけですね、県自身にもおありかと思いますが。こういう点についてはどういうふうにお考えでしょうか。

沼田武千葉県副知事

○沼田参考人 確かに御指摘の点が市町村についてはあると思います。基準に達しているものと達していないものがあるわけですが、特に近代的なかなりの金がかかる施設については達していないというのが多いわけでございます。たとえばはしご車とか化学消防車とか、それから消防艇とか、そういうものについてはかなりの金がかかるわけでございますけれども、そういうものについては、たとえば三分の一補助という場合でも、一つの枠を決めてその中で三分の一ということになりますからかなりの超過負担になってしまうというのが実態でございます。  千葉県の場合が、消防庁は一つの補助基準をつくりまして、その三分の一なら三分の一補助ということをしておりますけれども、私どもはそういうふうに超過負担が非常に大きいものですから、市町村に対しては実額を基礎にして、そのうちたとえば三分の一なり六分の一それに上乗せしてやるというような措置もしておりますけれども、弱い町村ではそれをやっても買い切れないというような実態がございます。  私どもとしては、特にお願いしたいのは、補助基準額の三分の一なら三分の一はやむを得ないとしても、その基礎になる額を実態に合うように直していただきたい。それの三分の一というかっこうにすれば、さらに県でいろいろ応援をしてやれば市町村側も受け入れやすくなるのじゃないかと考えております。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 御承知のとおり、現行の消防法によっても防災会議が県単位、市町村単位で持たれているわけです。今度はまた防災の組織が一つ持たれるわけですね。これと既存のものとがダブる関係にならないでしょうか。その辺の調整については、県の方では何かお考えでしょうか。

沼田武千葉県副知事

○沼田参考人 私もそれをちょっと心配して先ほども申し上げたのですけれども、ここで石油コンビナートだけの防災対策本部みたいなものができるわけですけれども、必ずしも既存の災害対策基本法、計画との調整が法律上はっきりしていないわけです。そこで何らかの、そういった既存の計画と今度の計画との調整措置というものをこの規定の中で少し明確にしていただけないだろうかということを心配しているわけでございます。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 この法案を国会で審議している中で問題になっていますのは、先ほど同僚議員からも質問がありましたし、それから池田先生からも御意見がありましたが、所管が消防庁になったり、通産省になったり、厚生省になったり、あるいは運輸省になったり、いろいろ所管がありまして、緊急の場合に機動的に対策が一本化して機能できるかどうかということが審議の過程では非常に問題になっておりますが、県で新しい防災会議をつくり、あるいは権限が今度はいろいろ与えられたわけですけれども、県段階では、そういう各省庁の権限が委任された形になっていて別に御苦労はないのでしょうか。やはり県段階に来ても、この問題はこの省に相談しなければならない、この問題はこの省に相談しなければならないというような、そういう何かいろいろお困りの点がおありでしょうか、どうでしょうか。あるいはもう少し県に総合的に権限を一本化して与えてもらいたいというような御希望でもおありになるのか、それもあわせて聞かせていただきたいと思います。

沼田武千葉県副知事

○沼田参考人 やはり中央段階がうまくまとまっておりませんと、たとえば私の方は、通産関係だと商工労働部に工業課というのが窓口になって通産と連絡しながらやっていく、消防庁とは総務部の消防防災課という課が連絡をとりながらやるというかっこうになる、それぞれそういうルートで本省の指示を受けながらやりますので、県の中でいろいろ協議しましても、やはり食い違いが出てしまうということがございますから、やはり中央段階で何とかそういったそごを来さないような調整措置をぜひしてもらいたいと思います。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 池田先生にお尋ねしたいと思いますが、この法体系自体ですが、これを私たち審議していまして、政令の委任事項、省令の委任事項が非常に多いわけなんですね。第一、新設の届け出自体から主務省令で定める基準によって何々の届け出をするとか、それから自衛防災組織から共同防災組織から主務省令が至るところに出てきているわけですね。こういう非常に白紙委任的な政令または省令、こういう法体系を国会で審議しろと言っても、これ消防庁に聞いてみますと、非常に複雑であるし、それからまた、ここで特定することがかえって弾力性を失う場合もあるからという消防庁としては消防庁、政府としては政府の提案理由があると思いますが、これは法体系として余りにも多過ぎるのじゃないかと思います。同僚議員から言うと三十幾つ、私もいま数えているところですが、四十条ぐらいの規定の中に三十幾つも政令や省令が出てきたのでは、これは審議のしようがないわけなんですね、具体的なものがちっともわかってこないわけなんですから。そういう点、先生は弁護士さんで法律に親しまれているのですが、こういう法体系について何か御意見おありでしょうか。

池田純一弁護士

○池田参考人 お答えいたします。  いま言ったような趣旨でつくられる法律、それに基づく命令を白紙委任命令というふうに呼んでおります。現在の憲法では、独立命令といいますか、法律に根拠を置かない命令というものをつくることを禁じておりますので、度を過ぎればその憲法の規定に抵触することになります。具体的に本法案が憲法に違反するかと言われると、私はそこまではいかないであろうというふうに考えますが、ここで御審議していただきたいのは、そういうぎりぎりの限界ではなくて、政令に非常に大きくゆだねられているというまさにその点を御審議していただきたいのです。  それは、コンビナートを個別の特性で見る、基準がいろいろ違うはずです。それから、そこに住んでいる住民の方たちもいろいろな形で住んでいるわけです。外洋に面しているところもあれば、内海にあるところもあるわけです。そういうことを政令といっていままでのように一律にゆだねてしまうのではなくて、そういった特殊事情をしんしゃくして決めろとか、そういう形で国会でチェックしていただきたい。そうすれば、危険というか、実効性を失う点はかなり償えるのではないか、そういうふうに考えるのです。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 もう一問で終わります。  水島の事故を御調査なさったそうですが、現行の消防法でも立入調査権があるわけなんですが、消防法に基づく立入調査権が行使されていたのかどうか、あの事故を防止するに足るような立入調査がされていたのかどうか、されていなかったとすれば、どこに原因があったとお考えになるのでしょうか。また、いま審議しております本法案によりましても、報告の聴取だとか立入検査がありますが、この運用が、井上先生もおっしゃるように、相当高度の技術を持った専門的なもので、そして事故を見抜くような、あるいはそういう企業の持っておる将来の危険の発生の可能性を指摘できるようなもの、これが十分行使されないと、せっかくの立入検査の権限も効力を発しないようになると思いますが、水島の事故を御調査なさった経験から言ってこれはどのように運用されたらいいだろうか、それからどういう点を改善していかなければならないとお考えになるのでしょうか、その点をお聞かせ願いたいと思います。

池田純一弁護士

○池田参考人 一番最初に、水島で事故の前に立入検査があったか否かという点ですが、私、その点は聞き漏らしました。ただ、できたばかりのタンクであって、完成検査を終えたばかりのタンクであるというふうに聞いております。  それから立入検査をもう少し実効あらしめるためにはどのような方策を考えたらいいかという御質問でございますけれども、私も細かいことはわかりませんが、日弁連の公害対策委員会で考えている案は、住民に規制措置請求権を認めろということを一つ考えております。つまりそれを一番身近に感じるとすれば、住民とか漁民とかそういう人たちであるから、そういうところから、ひとつ立入検査や何かやってくれ、それからこういう点を規制してくれと言われたらば、それに応ずるような制度をつくったらどうかというふうに考えております。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 終わります。

大西正男自由民主党

○大西委員長 小川新一郎君。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 最初に、各先生方には大変御苦労さまでございます。公明党の小川でございます。  まず、井上先生にお尋ねいたしますが、こういった公害問題の研究に際しては、問題が発生してからその事後処理的ないろいろな体験等について検討していく——私もいま勉強させていただきましたが、問題を発見する、発見型、この発見型がより大切であるという考えの中で、先生方のような学者諸先生方の御意見、発見型の研究をされているその研究の成果、また今後のあり方ということについて、こういった法案をつくるときに政府から諮問を受けられたか、まずこういった問題をひとつお尋ねしておきます。  それから問題発生型を解決するためには高度な技術が必要である、そしてそれは事前チェック、事前機能の点検、そういった問題が先生の御意見の中にアセスメントとして出されたわけでございますけれども、こういった問題が県段階や市町村段階では当然できないということは先ほどの御意見でよくわかりましたが、ここに国が介入することは、中央集権型の、機能の分断を図る、憲法で言う地方自治の本旨というような問題に抵触してくるのではないか。しかし、日本は高度経済成長政策型から経済の安定成長政策型に変わってきたが、石油消費量、エネルギー、その関連製品というものが五〇%増ということが五十二年度の経済指数の中に目標とされておりますね。そういう中において、今後関係市町村、公共団体の貧弱な機能または財政問題とかスタッフとかいった問題を国がある程度てこ入れをせずしては、こういった大きな消費にたえ得るようなコンビナートをつくることはできないのではないかということを考えて、日本列島においてあと幾つぐらいこのコンビナートができると予想を先生方は立てられた上で発見型の研究をなされておられるのか、こういう問題について国の諮問があったのかどうか、またそういった問題について先生方の御意見がこの法案に反映されていくのか、この点をまずお尋ねしておきたいと思います。

井上威恭横浜国立大学教授

○井上(威)参考人 私の方は、公害関係でこういうコンビナートは日本に幾つが妥当であるかという諮問は政府から全く受けておりません。われわれが受けたのは、私が関係しているのは、消防庁でコンビナート防災診断の要領をどういうふうにするかという委員会がありまして、その委員を一つ引き受けまして、コンビナートを診断するのにはどういうチェックポイントがあるか、そして今後どういうふうなところを見て回るかという作業をただいま進めております。ことしの夏各地を見て、その診断の要領でいいかどうかということを検討していきたいというふうな段階でございます。  それからもう一つ通産省からは、昔、高圧ガス保安協会を通じまして、コンビナート保安防災技術指針をつくるようにということで、先ほど申しましたように、学識経験者五十何名ですか集まりまして、相当大きな指針をつくりました。この指針は自主基準であって、企業がそれを見れば、どの程度に診断するかということがわかるようになっております。それは企業の姿勢次第でどうにでも、この程度に保安防災をやっていこうかということが可能であります。そういう手法が皆できておるわけです。それを活用していただければいいのじゃないかと思っております。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 反論するわけじゃございませんけれども、そういった問題が解決できないところに、先ほど池田先生が御指摘になったように、住民サイドの声というものが防災行政とか公害行政に反映していかない。先ほどから効果の面とマイナスの面ということで、経済の効果の面は必ずしもそれに比例して災害や公害の面にプラスになるということじゃないということは、先生御指摘になったような企業の倫理やモラルの中で自主的に任せるということだけではできないというところにわれわれとしては危惧を持ち、この法律というものができたゆえんがあると思う。しかしそれが省令や政令で定める、また先ほど御指摘があったように通産大臣が主務大臣となっていくようないまの機構、体制の中で、罰則の条項を見ても、余り厳重な罰則は定められておりません。そうなってまいりますと、果たしてこれが所期の目的を達し得るかどうかということが非常に危惧されるので、先生の、企業の自主的判断に任せるというお考えについて、私は甘いんじゃないかという考えを持っておりますが、これに対して先生の御意見を重ねて承っておきたいと思います。

井上威恭横浜国立大学教授

○井上(威)参考人 先ほど申し忘れましたけれども、コンビナート保安防災技術指針を出しまして自主基準をつくったわけですが、その後通産省に、その中で地震対策委員会というのができて、その趣旨をとりまして、それを規則にしようという作業が最近始まったところで、これからはやはり自主と規制をやらなければいかぬ。私は、本来は自主だけでいくのが理想だと思っているのですが、なかなか自主だけではいかないから規制もある程度必要だというふうに考えております。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 最後に先生に一言お尋ねしたいのは、コンビナート防災行政について十三省庁にまたがるばらばら行政、これは各先生方御指摘のとおりですが、われわれ政治の立場からいろいろアイデアもありますし考えもございます。委員会等で提言もしておりますが、先生の一元化に対する率直な御意見、こうすべきであるという御意見があれば承りたいと思います。

井上威恭横浜国立大学教授

○井上(威)参考人 これは夢のような非常に大きな問題をいま描いておるわけでございますが、実は私らは、安全庁とかそういうもので全部統括すべきだ、統括すると大変な幅の広い問題になる、それをやるためには数年検討していかなければいかぬ、そのためにはいまここで一歩前進のこの法案で成果を見てから、安全庁というものはどうあるべきかということを検討していきたいというふうに考えております。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 ありがとうございました。  では次に沼田先生にお尋ねしますが、千葉県においては、先ほどお尋ねしましたところ、市原等のコンビナートの許容限度、一千六百三十万キロリットルに及ぶところの高圧ガス、またはこういった石油製品の一地域における許容限度ですね、このような防災行政に関する厳重なチェックをする法律ができない以前に、この程度の大きな基準というものを一地域に設定するということに対して、県は危惧感とか、またはそういった問題について住民本位、またはその地域の安全、防災、そういった面の対策を考慮するなら、大型コンビナートという問題が当然議題になってくると私は思いますが、今回出される法律案が完璧でないにしても、このようなものができた時点とできていない時点ですね、その以前において一千六百三十万キロリットルの許可をするというその県の考え方、基準というものは、私はちょっと理解に苦しんだのでございますが、その辺の御見解はいかがでございますか。それが一点。  二点目は、地方財政の問題でございますが、六十一カ所に及ぶところのこういったコンビナートの問題では、先ほども池田先生が指摘なさったように、それぞれ特異な地形、対象があると同時に、地方財政の面においてもばらばらでございます。不交付団体もあれば交付団体もあれば、赤字で悩んでいるところもあれば、人口急増もある、過疎もある、いろいろな問題を抱えている県の中で処理していくのでありますが、千葉県の場合は京葉工業地帯の東京湾埋め立てをいまおやりになっておられますけれども、景気が低下した今日、この埋め立て工業地帯にさらにコンビナートをつくるような御計画があるかどうか。そうしてそれは財政的には企業にどのように負担をかげながらやっていくのか。またこれに対して国に、コンビナート計画や東京湾の埋め立ての新しい計画の中でどのように対処なされんとするか、これが第二点でございます。  第三点目は賠償制度の問題で、これは御三方にお願いしたいのですが、いま損害保険を掛けていますね。この限度は先生方はどのくらいか御存じだと思いますが、この損保会社の一企業単位におけるところの賠償限度額というものは、民間企業の間の取り決めとしてはどの程度までが妥当なのか。こういう点は民間企業が損害保険の料率が高過ぎて、たとえば五十億なら五十億、百億なら百億の損害賠償の額を掛けるにしても、財政的な問題、また製品にはね返ってくるという問題を考えたときには、ある程度国または公共団体が肩がわり、というのはおかしいのでございますが、国や公共団体の財源もここに投入されております、そういうシステムの、そういうものに対する保障なり、また損害に対する補償の限度額について、ある程度国や公共団体も損害保険会社と契約を結ぶのがいいのではないかと私は考えておりますが、いかがでございましょうか。

沼田武千葉県副知事

○沼田参考人 確かに千葉県はかなり新しい工業地帯の関係がありまして、石油化学工業地帯が中心になっているわけでございます。ただ先ほども申されました千六百三十万キロリットルというのは石油タンクの総体でございまして、高圧ガスとは関係ないわけでございますけれども、国の経済政策の中で結局どの程度の石油精製を認めるかということは通産省がやっておられるわけでございまして、そういう中でたとえばタンクをつくることについては、消防法に基づいて常設消防が許可をしていくというかっこうになっておるわけでございます。政策としてあれだけの石油コンビナート地帯を千葉県につくったのがいいのかどうかということについてはいろいろございますけれども、一応われわれはそういった一つの経済政策で決まった中で、消防法によってタンクの許可をしたのがこの程度あるということを申し上げておるわけでございます。  それから石油コンビナート地帯なり、千葉県にはまた製鉄工場等もございますので、そういったことで公害問題がかなり大きな問題になっておりますので、県の埋め立てにつきましても、もう埋め立て計画に入っているもの以外の新規埋め立てはしない、さらには埋め立て計画に入っておりまして今後埋め立てするものについても、なるべくそういった生産的な、公害に関連したり、またいろんな災害に関係するような工場は立地をしないということでやっておりますので、今後はさらにそういった石油コンビナート的なものをつくる計画はございません。  それから賠償制度の問題、私も不勉強で余りよくわからないのですが、私どもは基本的にはそれは県なり何かで応援する部面はあるかもしれませんけれども、やはり賠償責任は基本的には全部企業に持ってもらうという考え方で進んでいるわけでございます。

井上威恭横浜国立大学教授

○井上(威)参考人 賠償問題は余り私詳しくないのですけれども、原則として私は損害保険を掛けておくことは不賛成なんです。ということは、責任がなくなるわけです。損害しても保険会社が払ってくれる、それほどこたえないわけで、やはり事故を起こせば会社が非常に損になるようにしておかなければ、案外この損害保険が行き渡っていたために、事故を起こしても損害保険でみんな取れるという、あることでは安全が度外視される場合もあるものですから、損害保険はほどほどに掛けておく、事故を起こしたら会社が損するんだという方が、かえっていいんじゃないかと私は考えております。

池田純一弁護士

○池田参考人 損害賠償契約の保険料の負担の点が御質問にあったと思います。  損害保険契約を締結するのは全く私人間の自由な意思で決まることでございますから、それが幾らになるかということは、私第三者の立場で申し上げられません。ただ申し上げたいのは、こういった公・災害で生ずる損害というのは金銭で償われない損害が非常に大きいのであります。ですから損害保険を掛けてもそれだけで金銭を払って免責されるということは企業としては考えていただきたくない、そのことだけひとつつけ加えさせていただきます。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 池田先生にお尋ねいたしますが、企業秘密という問題が非常に壁になったと思うのでございます。たとえば立入点検の場合も、また立入検査の要因の場合も、そこには巨大な資本が利潤の追求という、また競争、自由経済の中で企業秘密ということが非常な問題になってまいっております。そういう問題が今回の水島の問題等では問題にならなかったのかどうか、またそういう問題が今後のコンビナートのこの特別防災区域に指定された特定事業者の、そういった責任と義務を果たすためのチェックにどういうように影響が出るかということをお尋ねしたいと思います。  その次に、いまの検査は、法規に合っているかどうかという点しか見ないわけでございますけれども、その法規に合うか合わないかということは、企業間においてはコンピューターシステムによってやっておるわけでございます。コンピューターシステムということは、コンピューターに入れる材料があるわけですが、このコンピューターに入れる計算をする前の中身を査察する、どういう温度で、どういうもので、どうなっていくというような、そのコンピューターにはかる計数、指数の内容の問題についての点検までしなければ、本当に安全度というものが確保できないんじゃないか。こういう問題は法律専門家の弁護士さんの立場、またそういった立場からいまの企業秘密というような問題、そして安全、公害、多くの国民の生命、財産を守る立場の兼ね合いから言って、われわれとしてはこれからどういうふうにこの法案を修正したり点検する場合の参考にしたらよろしいのか、この辺のところをお尋ねしておきたいと思います。  最後に、これは私たちがいつも考えていることを一言申し述べておきたいのでございますが、高度経済成長政策から低経済成長政策へと移行してまいりました。そうして、コンビナートもこれから千葉県においてはもうつくる必要はないという条件下において、これからつくる問題についていかにわあわあ締めておっても、既存のものについてのチェックやまた罰則や、またいまあるこの巨大なコンビナートの問題点ということこそ大事なんではないかと思います。この狭い三十七万平方キロの中にこういった石油関連巨大産業基地というものをもう国民が許容するかしないかという段階が、経済の、また資源の世界的な関連の中からきて、日本の大きな国是として、国策として進路が変わっていくのだと私は考えておりますが、この法案が出たのが遅きに過ぎるほどと思っておりますが、いずれにいたしましても、そういう中で生命の尊厳ということを考えたときに、私どもとしてはこの法案については、不満足ではあるけれども賛成しなければならぬではないかという考えを持っております。  そういった国の見通し等について三人の先生の御意見を最後に集約的に承って、私の質問を終わらしていただきます。

池田純一弁護士

○池田参考人 私、初めに申し上げます。  一番最初の御質問は企業秘密に関することでございました。水島製油所でも、事実企業秘密が一因であろうと考えられるのですが、非常にその後の復旧面で支障を来しております。たとえば通報がおくれたという点でございますし、一時、企業によりますと流出した重油の量は二百リッター以上であるという発表がなされたというようなこともございます。周囲の人は、一体どこから、どんな油が、どの程度流出したのかわかりませんので、対策が非常に手おくれとなったということ、それはまさに企業秘密が一因であったためであろうと考えます。  私は企業秘密といいましても、それは本法で目的とするような公・災害の防止という目的によっては当然制約されてしかるべきものであるというふうに考えます。立入検査もこういった人災、公・災害を防止するためでございますれば、当然企業秘密を盾に拒むことはできない、これはあたりまえのことではないかというふうに思うわけであります。  いま小川議員が言われましたこれから先の国の見通しでございますが、私はその点全く同感です。日本は日本の限られた環境を、諸外国からもらうことができない私たちだけの国土をもっと大事にしなければいけないのじゃないか。欠陥はあるけれども、この法案はそういう意味でこの際通していただきたい、こういうふうに考えたわけです。

井上威恭横浜国立大学教授

○井上(威)参考人 最後の項を私への御質問だと受け取りますが、実は人間というものは事故とともに賢くなっていく、事故が起きるとその都度われわれは反省しているわけでございます。それから世界の事故を見ましても、ほとんど後の知恵になることが多いわけです。初めて気がつく、それがいわゆる問題出発型であった。今度の法案はそれじゃいけない、絶えずわれわれは反省しているのは、事故が起きるとそれに対する対策はできた、そうすると別の事故が起きる、そのたびに利口になっていく、それじゃ手おくれだ。そこにできたのは今度の問題発見型である。そこにわれわれは、遅きに失したかもしれませんが、これはやはり大きな税金を払って、今度の事故でも税金を払って初めて知った人間の知恵じゃなかろうかと思います。初めてこの法案によって、今後はコンビナートが国民の信頼を得るようになりたいと私は考えております。

沼田武千葉県副知事

○沼田参考人 最後の問題でございますが、そういった既存の施設に対する規制措置というものが、新設とか増設を中心に今度の法案は書かれておりますので、そういう点が非常に不備だということについては私も同感でございます。特に、たとえばタンクの不等沈下とか、いろいろな問題がありまして、いろいろ再検討してみますと、消防法なんかにおきましては、基礎工事については全く規定がないわけですね。各社が独自のいろいろな工法で、それぞれ自分の工夫で基礎工事をやっているということで、それに対して一般的に基準がございませんので、この工法の場合に不等沈下になるかならないかというようなことについても技術的に解明されないというのが実態でございますので、もう一回、すでにたくさんあるタンクの既存施設についての洗い直しなり再検討というものをぜひやっていただきたい、こう考えておるわけでございます。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 ありがとうございました。

大西正男自由民主党

○大西委員長 折小野良一君。

折小野良一民社党

○折小野委員 最初に井上参考人にお伺いをいたします。  石油コンビナートの災害対策というのは、各方面から非常に大きな関心が持たれておるわけでございます。したがいまして、これに対する対策の万全を期したい、これはいまに始まったことではございませんし、すでに消防庁におきましても石油コンビナートの防災対策についての要綱を決めて、それによって対策を進めてまいっております。それから先ほど先生の御意見にありましたように、保安基準あるいは保安のための指針の策定、こういう面でいろいろと対策が進んできておる、こういうふうに承知をいたしております。しかし、今日なおコンビナートを中心にいたしました悲惨な災害と申しますか、大きな事故、これが後を絶たない。そしてまた、今後に対する不安も残っておる。こういう実情の中におきまして、今回この法案が提案をされておるわけでございます。  先生の御意見によりまして、この法案を評価しておいででございますが、そういう情勢の中において、この法案が成立をするということでプラスになる具体的な面あるいはその程度、これはどういう点であるというふうに先生はお考えになっておりますか、お聞かせをいただきたいと思います。

井上威恭横浜国立大学教授

○井上(威)参考人 事故が起きてから対策をとるということはいつもやっておるわけでございますけれども、事故はたえず対策をとらない盲点をついてやってくるわけであります。その盲点を見つけようというのが今度の法案であろう。それは問題発見をしなければならない。問題発見というのは、やはり過去の事故例の経験からさらに問題を発見していかなければならない。それでいろいろの災害情報を集めなければいかぬ。ただいま災害情報センターをつくれということでやりつつあるわけでございますけれども、そういうことの知識を重ねてこういう問題発見をやっていく。こういうことの法案ができますと、各省庁ともがそういう点に歩調を合わせて進んでいくのではなかろうか。これが非常な刺激になっていく。われわれも多少なりともそれにお手伝いをして、その前進を図っていきたいというふうに考えております。

折小野良一民社党

○折小野委員 ところで、この法案の内容を見てみました場合に、先ほど来の委員の質問の中にもございましたが、新規あるいは計画の変更、こういう場合には一定の規制を受けるが、既設のものについて規制を受けない、こういう点が不満な点と申しますか、こういう点で指摘をされておるわけであります。そういう既設のものに対する安全対策、これももちろん進めなければなりませんし、そういう面からのいろいろなチェックというものも現実にはなされていかなければならない。  ただ、そういう中で、私、素人といいますか、そういう立場で一つ考えられますことは、既設の施設の老朽化と申しますか、これをやはりチェックするということは特に大切なことじゃなかろうかというふうに考えます。もちろん、税法上いろいろな施設につきましては耐用年数というものがございますが、しかし、そういうもので安全度をはかるということはなかなかできない。やはり保安上の厳密な技術のもとでこの老朽度の判定をする、こういうことが特に必要なことになっていくんじゃないか。そういうところから、既設のものについても今後の対策が進められていく一つの道があるんじゃないか、こういうふうに考えるのですが、こういう点についての先生の御見解をひとつお聞かせをいただきたいと思います。

井上威恭横浜国立大学教授

○井上(威)参考人 老朽化の問題は非常にむずかしい問題でございます。というのは、御承知かもしれませんが、かって塩酸タンク車で事故を起こして、問題を起こした。それで、国鉄が日本全国のものを調べまして、そして古さと悪さとを調べたところが、古いもの必ずしも悪くない。非常に手入れのいい会社と手入れの悪い会社で格段の差がある。そのいい会社のものですと、かなりいい。したがいまして、古いタンクを二十年なら二十年でだめだというわけにいかないわけです。いわゆるそこの場所とメンテナンスの状況、そういうことを勘案して決めなければいけない。したがって、そういうものを検査する検査能力を持たなければいかぬ。そういうふうに考えて、やはりそういうようなきめ細かい規定が必要じゃないかというふうに考えております。したがって、法律で二十年でだめだというようなことをやると非常に失敗をするということで、われわれは、ある程度は先ほどのような現地のアセスメントが必要であるというふうに考えております。

折小野良一民社党

○折小野委員 次に沼田参考人にお伺いをいたします。  申し上げるまでもなく、千葉県は工業化が最近特に進んでおるわけでございますし、また、いわゆる石油コンビナートもたくさんあるわけでございます。それに関連いたしまして、それぞれのコンビナートにおきましては、もちろん災害を防ぐためのいろいろな対策が進められておるわけでございますし、消防資機材というようなものも逐次整備されておるというふうに考えますが、関係市町村の消防の整備の状況ですね。それと、それぞれのコンビナートにおける自衛消防の実態、こういう面から、おわかりの点がございましたら御説明を願いたいのと、その両方でどちらの方が今後より整備させていく必要があるのか、そういう点についての御意見ございましたら、お聞かせをいただきたいと思います。

沼田武千葉県副知事

○沼田参考人 関係市町村の消防施設の整備状況でございますけれども、たとえば具体的に言いますと、千葉市とか市原市とかそれから袖ヶ浦町等がコンビナート地帯に関係する市町村でありますけれども、いずれもかなり財政力のある市町村でございますので、県下の水準から言うとかなり高水準で整備されているということが言えると思います。ただ、先ほどちょっとお話ししましたように、そういった海上災害の関係のものについては非常に手薄な状態になっているということでございます。  それから自衛消防隊でございますけれども、これはやはり各企業ともかなり高度な自衛消防隊、常設消防を設置しておりまして、これは恐らく国の基準以上の自衛消防力を持っていると思います。問題は、やはりこれからとしましては、むしろ市町村の消防力の強化、これを中心にやっていかざるを得ないんではないかと考えております。

折小野良一民社党

○折小野委員 それからその次には、この法案におきましては防災対策としての緩衝緑地あるいは遮断緑地、こういうものを設置することができるというふうになっておるわけでございます。すでに千葉県におきましては、いわゆる公害防止の立場からの遮断緑地、こういうものは逐次整備されてきておるというふうに承知をいたしております。そういう中におきまして、公害防止という立場からの遮断緑地のほかに、新たにコンビナート防災という立場からの遮断緑地というものをここにつけ加える必要があるのかどうか。それからまた、現実に公害防止のための緑地のほかに、災害防止ということで別の緑地というものを考えるメリットというのが果たして現実にあるのかどうか、こういう点を現地に即してひとつお伺いをいたしたいと思います。

沼田武千葉県副知事

○沼田参考人 御存じのように千葉県の場合には工業地帯の間に遮断緑地をつくってあるわけですが、これはその地区を都市計画法上の特別工業地域に指定しまして、たとえば住居の増築は認めないとか、いろいろなかっこうの規制措置をしてそこに緑地帯をつくったわけでございます。  そこで、目的は公害防止の緑地でございますけれども、今回できます法案による防災緑地とはやはりかなり重複するんじゃないかというふうに考えているわけです。ですから、そういうかっこうで公害防止でできた緑地の上にさらにそういうものをプラスするということじゃなくて、まあそういうかっこうで公害防止の緑地帯というのは一部の地区に限定されていますから、それ以外の地区にこういった防災のための緑地を別につくっていくというかっこうで考えていった方がいいんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。

折小野良一民社党

○折小野委員 いまの緑地なんですが、ここは公害防止のための遮断緑地である、ここは災害対策のための防災緑地である、こうはっきり現地においては区別して、特定して事業をやっていくということができる状態でしょうか、どうでしょうか。

沼田武千葉県副知事

○沼田参考人 現実にはそういうかっこうで明確に区分してはできないんじゃないかと思うのですけれども、現実に公害防止の緑地帯であっても、これは防災的見地から考えてみてもかなり効果的な緑地帯だというふうに私たち考えていますので、どういうかっこうで導入するかは別として、やはりその両方の機能を兼ね備えた緑地帯として考えていくというごとのほかないんじゃないかと考えております。

折小野良一民社党

○折小野委員 先ほど沼田参考人の御意見の中に災害対策の一元化、それに関連をいたしましていわゆる国の方の縦割り行政、これが何とかもっとうまく総合的に調整をされないのかという御意見ございましたが、地方団体とすればもっともなことだというふうに考えます。しかし地方団体はむしろ総合的な施策を講ずるというところに地方団体の行政の一つのメリットというものがあるんじゃなかろうかというふうにも考えます。もちろん国の方までその辺の調整がうまくできればそれにこしたことございませんが、現実にはなかなかそれができない。そういう中において、やはり防災対策といたしましては総合的ないろいろな施策を講じ、総合的な効果を上げていかなければならない。その点についてひとつ参考人の自信のほどと申しますか、行政担当者として、あるいは行政責任者としての自信のほど、そういう面ございましたらひとつお聞かせいただきたいと思います。

沼田武千葉県副知事

○沼田参考人 御指摘のとおりだと思います。県の段階でその総合的な施策を県の責任でやっていくというのがやはり県の使命だと思いますので、それはもう全力を挙げてそうしてまいりたいと思います。  ただ、そういう中でいろいろブレーキになるのが、若干国のいろいろな縦割り行政の問題がブレーキになる面がございますので、できればそういった点を是正していただきたい。しかし、そういうことと関係なしに、県自体はやはり総合的な施策ができるように努力していきたいと思います。

折小野良一民社党

○折小野委員 次に、池田参考人にお伺いをいたします。  先生のお話の中に、この法案に住民参加についての考慮が払われていない、こういう御指摘がございました。確かに表面見るところ、住民参加についての考慮というのは法文上は全く出ていないというふうに考えます。先生はその住民参加というものをどういう部分、どういうような方法で考慮したらいいというふうにお考えになっておりますか、御意見をお伺いいたしたいと思います。

池田純一弁護士

○池田参考人 お答えします。  住民参加を認めるべきだという問題としては、まず一番最初に、この法案で問題になるような特別区域の指定の段階から住民参加を認めてしかるべきだと思います。それから防災計画を立てるときももちろんそれを認めてしかるべきでありますし、どのような緊急時にはどのような体制をとるかとか、そういう面についてもおよそ計画あるいはその前提となる規則、そういうことを決める段階すべてについて住民参加を認めたらよかろうというふうに考えるわけです。

折小野良一民社党

○折小野委員 住民参加の方法とかやり方、考え方いろいろあろうと思っております。それを制度的に認めることがいいのか、あるいはたとえば従来あります方法では、公聴会というような形において制度的に義務づける、そういうことがいいのか、あるいは運用上住民参加を必要に応じて考慮していく、そしてその意見を十分施策の上に反映していく、その方がいいのか、その点についての先生の御意見をお聞かせいただきたいと思います。

池田純一弁護士

○池田参考人 ごく大まかなお答えしかできないかもしれませんけれども、住民参加というのは、こういうことを考えております。  たとえば環境アセスメントのようなことをやって、一応行政庁でこういう規制をつくりたいと思うがどうかということを住民に公開するわけです。また資料もそのとき公開する。住民にそれを縦覧させて、そして異議があったならば申し出なさいというような制度をつくり、不服申し立て権のようなものを認める。それから行政庁は、ただ聞いただけでなくて、住民からこういう案が出たけれどもこの点はどうだろうかともう一度フィードバックさせて専門家のようなところへ検討させるとか、案を提示する場合にも、住民は専門家ではありませんから、こういう案もあるけれども、こういう案もある、どっちがいいだろうかと、そういう方向で適宜具体的な問題についてその都度いろいろな方策を考えたらいいんじゃないか、こういうふうに考えるのです。

折小野良一民社党

○折小野委員 終わります。ありがとうございました。

大西正男自由民主党

○大西委員長 参考人の方々には、長時間にわたり貴重な御意見をいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十九分休憩      ————◇—————     午後一時四十二分開議

大西正男自由民主党

○大西委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出に係る石油コンビナート等災害防止法案を議題とし、午前に引き続き参考人から意見を聴取いたします。  ただいま御出席の参考人は、京都大学教授堀内三郎君、堺市長我堂武夫君、川崎市消防局長井上文男君、以上の方々でございます。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  参考人の皆様には、御多用中のところ、当委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。本案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。  なお、議事の順序は、初めに参考人の方々から御意見を約二十分程度ずつお述べいただき、次に、委員諸君からの質疑に対し御答弁をお願いいたしたいと存じます。  それでは、まず堀内参考人にお願いいたします。

堀内三郎京都大学教授

○堀内参考人 ただいま御指名の堀内でございます。  私は、ただいま京都大学で、建築物とその集まりでできております都市に関しまして、防災問題特に火災の予防、防火、避難といったことを専攻いたしておる者でございます。  本日は、当委員会で石油コンビナート等災害防止法案というのが御審議になることになりまして、参考人として意見を述べるようにということでございますので、時間を二十分ぐらい拝借いたしまして私の意見を申し述べさしていただきます。  順序といたしましては、最初に、日ごろ防災問題全般に対して考えております基本的な私の考え方というのを第一に申し上げたいと思います。第二に、それに基づきまして石油コンビナート関係の防災問題についての意見を申し上げ、第三に、今回御審議中の法案に対する二、三の意見も申し上げたいと思います。第四に、最後として、二、三の私の提案めいたことを申し上げる、そういうような順序でお話を進めたいと考えております。  まず最初の、第一の防災対策全般に対する基本的な考え方でございますが、一般に防災問題とか安全問題と申しますものは、理論的に考えましても、絶対にと申しますか、一〇〇%安全あるいは逆に一〇〇%危険といったことはあり得ないわけでございます。このことは、たとえば私どもが日常住んでおります住宅のお隣との関係を考えてみても容易にわかることでございまして、私どもは、自分の家からは絶対に火災を起こさない——絶対にといま申しましたが、起こさないつもりで努力いたしておりますし、お隣からも類焼を受けないだろうという認識で平和に暮らしておるわけでございます。しかし、それが絶対にという保障は実際はあり得ないわけでございます。また、人間はもともと神様じゃございませんので、非常にミスをする動物だと言われておりますように、幾ら注意をしておっても過ちを犯すことがございますので、一〇〇%の安全ということはあり得ないわけでございます。したがいまして、安全問題を考えますときには、どの程度の安全性を確保するかというその程度が問題になろうかと思います。  たとえて申しますと、地震に対する建築物の安全性を考えますときには、いま建築基準法その他の法規で一定の安全度が確保されておるわけでございますが、最終的に考えましたならば、ガラスが割れるとか壁に亀裂がいくといった程度の被害は出ても、人命やその他の貴重品に大きな損害がなければまず許容されるというような程度の安全性は許されるかと思うのでございますが、中に高圧ガスとか危険物とかを収容しておりますようなタンクであるとかパイプであるとか、そういったもの、あるいはもっと極端には原子炉であるとか宇宙船であるとかいったようなものには、たとえわずかな傷でも亀裂でも許さないといった程度の安全性が要求されるのは当然でございます。  また、危険には量と質の二つの面があろうかと思うのでありますが、特に危険物関係と言われております危険な物品を大量に集めたり取り扱っておりますような場合には、それが一たん災害を起こしましたときの被害は、その範囲や程度が非常に大きくなるものでございます。  また、安全の目標として何を守るかという問題につきましても、もちろん人命を守ることが第一でございまして、物質、財貨といったものはその次になることも明白でございますから、防災対策といたしましては、第一に未然防止対策、災害を起こさないと申しますか、発生源対策とも言われておりますが、そういう未然防止対策が重要なことは申すまでもありません。しかし、いま申しましたように、絶対にということはあり得ないわけでございますので、万一発災いたしましたときには、それを局限する対策、あるいは拡大防止対策とでも申せましょうか、これは火事の場合には消火とか鎮圧とかいうものも含むわけでございますが、そういう対策が必要になってまいります。  また人間の生命を守るという意味から申しますと、第三に人間の避難対策ということも重要になってまいります。  いま申しました未然防止対策、局限対策、人間の避難対策といったことは、論理的に考えますと、どれか一つが完全に達成されましたならば安全は確保される理屈なのでありますが、実際問題としてはそういうことはあり得ませんで、この三つがうまく作用し合いまして安全を確保しておるというのが現状でございます。したがいまして、どれか一つだけですべて終わりというわけにはまいらないのでございます。  以上のような私の基本的な考え方をもとにいたしまして、第二に石油コンビナート地帯の防災について考えてみたいと思います。  石油コンビナート地帯の防災問題で、順序として第一に考えるべきことは、石油コンビナート地帯ができるより前からあるその周辺の環境条件、特に住民の健康とか人命に対しては安全性をできる限り大きくするように、立地の段階で考慮するということが一番最初に大切なのではないかと思いますその場合に判断の基準になるのは、このごろテクニカル・アセスメントと呼ばれておりますような技術的、科学的根拠に基づいたいろいろな災害予測あるいは評価と言われるような技術でございます。先般の水島地区の災害あるいは昭和四十年、四十七年の二年度にわたりまして私が大阪の堺、泉北臨海工業地帯に関しまして、堺の場合には大阪府からでございますが、委託研究を受けまして、何がしかの報告書を出しておりますが、こういうのもいまの被害予測の一つの方法であろうかと存じます。もちろん私のやったやり方が万全であるとか一番いいとかということは決して申し上げるつもりはございません。その他にもりっぱな報告書が出ております。たとえば昭和四十八年と四十九年の二度にわたりまして建設省の都市局から日本都市センターに委託された研究かと思いますが、京浜地区の臨海工業地帯に対する防災遮断帯の有効性などに関する報告書が出ております。  一番外側での、全体としての周辺の環境条件で安全を考えるということが、いま申しました第一の段階でございますが、その次にはコンビナート地区内でのレイアウトと申しますか、いろいろな施設の配置をより安全にするようにその中で考えるという段階に入ろうかと思います。そしてその次に、個々の施設の安全性を考える。いろいろな安全装置をつけたり、消火装置をつけたりするというようなことが考えられるのではないかと思います。ところが、実際はこういうやり方ではなくて、逆に、ある生産目標を持った工場なりコンビナートを建設したいというもくろみが先に決まりまして、それをどこに立地するかという段になりますと、——いままでの法律体系では個々の施設の安全に対する規制はございました。コンビナート全体に対する規制、コントロールというのは今回の法案でかけられるようになっているのではないかと思うのでございますが、コンビナート全体の周辺に対する被害予測というものは、いつも最終段階、最後に回されるというようなきらいがあったのではないかという気いたします。  しかし一方、わが国の置かれております自然条件は非常に過酷でございます。と申しますのは、非常に人口過密な国土でございますので、わが国の海岸線で人家まれなところを探そうと思いましても、非常にむずかしいというのが実情でございますので、外国のように非常に安全にゆとりのある立地に適したところを探すのが非常に困難なのが実情ではございます。  そこで、私の考えでは、こういう石油コンビナート地帯の防災問題に関しましては、公正な立場の機関、たとえばそれは国とか地方公共団体とか学会とかといったものであってもよかろうと思いますが、公正な立場の機関が立地を含めたコンビナートの計画について幾つかの案を検討する。幾つかの案と申しますのは、A案、B案、C案というような意味でございますが、それぞれの案につきまして、A案ではこの程度の安全性が確保されておるが、そのためには投資額がこれくらい要って、生産コストがこれくらいにつくというような予想でございますね、評価、それから、B案ならば、また同じようにB案についての安全性の予測とそのコスト関係が明らかにされるというふうに、複数の案を検討いたしまして、そしてそれらの案について十分説明をし、たとえば市議会とか県議会というようなところでもいいわけでございますが、住民代表も含めた機関でこの複数の案について納得のいくまで審議をしてもらうという手続が必要ではないかと思うわけでございます。その皆さんの納得のいった案で実施に移されるという手順になるのがよいと思うわけでございます。  従来はこのようなプロセスが非常にあいまいで、はっきりとられないままに国全体の高度経済成長政策でございますか、そういうものに沿って、たとえばここ十数年の間にほとんど日本に皆無であったものが六十一カ所もコンビナートが出現したと言われております。その発達も非常に急激であったわけでございます。こういうものができたためにどれだけの安全性が確保されて、どれだけの安い製品ができておるのかということの比較判断が一般の人にはもちろん、なかなかわかりにくいような状態にあるのではないかと思います。そのために結局先ほど申しました安全評価と申しますか、危険性の評価が甘くなってしまいまして、現在そのことによる欠陥が露呈して方々で災害が発生しておるというのが現状ではないかと思うわけでございます。  以上のような手続をとって計画をやればいいということを申し上げましたが、それでも人間の知恵には限りがございますので、予期しない災害が起こる可能性は残されておるわけでございます。その場合には、私の考えでは、いままでの誤りを率直に認めて軌道修正と申しますか、より安全な方に修正するということに努力をするという態度が必要ではないかと思います。もしそういうことがなければ人類の進歩は図られないということになるのではないかと思うわけでございます。  第三に、この法案自身についての意見を少し申し上げたいと思います。  法案の中で、第一種事業所というような一番大きなコンビナート地区においては、その新設、変更するときに各施設の面積及び配置を検討して、その拡大防止に支障があれば変更を命ずることができるという意味の記述がございますが、この支障があればという意味の中に当然周辺住民への危険の波及という問題も含められておるのだと私は理解いたしております。文章だけ読みますと、何か施設内の配置と面積というようにも受け取れるかもしれませんが、そうではなくて、その拡大防止上の支障というのは当然周辺、コンビナート外の一般の住宅に対する、市街地に対する危険波及も支障の中に入るのだというふうに理解しておりますので、そのように法が運用されることを希望するわけでございます。  第二点といたしましては、緩衝地帯として緑地等を設置することが奨励されると申しますか、緑地等の設置を援助するような道が講ぜられておりますが、その緑地の実施の場合に都市公園事業ということで主に公園をお考えになっておられるようにお見受けするわけでございますが、これが厳密な意味での都市公園とかいうことに限定されますと少し実情に合わないような点が出てくるのではないかと思いますので、もっと広い意味に解釈して運用していただきたい。「緑地等」となっておりますのでそういう気がいたします。このことは後で提案のときにももう一度触れるようにしたいと思います。  そのほかの点といたしましては、既存施設に対する遡及適用の問題であるとか、あるいは総合化が図られておりますけれどもやはり通産省と消防庁というお役所の二元化がまだ残っておるというような問題もあるわけでございますが、これらの点につきましては当然運用の面で十分御留意されまして、全てが安全化の方へ向かうように運用されることを希望するわけでございます。  最後になりましたが、今後の防災対策としての提案めいたことを少し意見として申し上げたいと思います。  その一は、とりあえず全国のコンビナートについての防災診断を計画的に行っていただいてはどうかということでございます。その結果に基づきまして、危険な個所がわかりましたならば危険性の高いところからだけでも重点的に逐次安全化の方へ軌道修正と申しますか、かじをとり直していただきたいというふうに考えるわけでございます。この場合に、先ほどちょっと触れました緑地等のいわゆる緩衝地帯の問題がございますが、防災の技術的な問題から申しますと、何も草木が生えておらなければ安全でないというわけではございません。もちろん緑の木があることの方がほかの意味では快適でよろしいのでございますが、たとえば不燃性のセメントとか鉄鋼材料が野積みにされているような置き場があったり、あるいは不燃性の材料を入れた鉄筋コンクリートの倉庫が建っていたりするような地帯があっても、そういうものが安全地帯、緩衝地帯の中にありましても、当然危険物と一般住民との間の距離、空間というものは確保されるわけでございますので、技術的にはある程度の安全が確保されることになるわけでございます。その場合にはその土地の所有が別に公共のものにならなくても、たとえば企業側のままであっても、そこに建てる物あるいは置く物といったような物をある程度規制するというような方法がとられれば、いま申しましたような安全が図られるわけでございます。ですからたとえて申しますと、危険な原油とかガソリンとかが入っておるタンクが一般市街地、人家のそばにあったといたしますと、まず最初にその中身をもう少し燃えにくい重油の方にかえていただくとか、あるいは満タンにせずに半分くらいに減らすとか、あるいはたくさんあるタンクのうちの一番近づいておるものだけでも他に移しかえるとか、そういうような漸進的な方法ででも少しずつ安全化の方へかじをとり直していただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。  それから第二点は、コンビナートの防災問題を技術的に考えます場合の技術的な専門家というのは現在全国的に見て非常に少ないのではないかと思います。各コンビナートのある府県や地方ごとに、あるいはその地を管轄しております消防機関ごとに、こういう巨大な産業施設を十分に監督できるほどの高度な技術を備えた人材を集めるということは、現状では非常に困難だと思いますので、中央にりっぱな能力を持ったチェック機関と申しますか、名前は何でも結構でございますが、そういう検討ができる委員会のようなものを設けていただくのがいいのではないかと思います。それとともに、そういうのは別に望ましい状態ではなく、本当は各地にある方がいいわけでございますから、現状ではそういうものを構成するメンバーの技術者なり研究者なりが非常に不足いたしております。ですからそういう防災問題に十分能力を発揮できる研究者、技術者などの養成にも力を入れていただきたいというふうに考えるわけでございます。たとえば国では消防庁の付属の消防研究所というのがございますが、公務員の定員削除でほとんど増員は認められていないのではないかと思います。また私の所属しております京都大学にも防災研究所というのがございまして、私実は九年前に京都大学へ参ったのでございますが、大変驚きましたことには、その防災研究所の中には火災問題は入っておらないのでございます。風水害とか地震とか地盤災害とか天然自然災害だけを取り扱うということになっているそうでございます。こういうのもいろいろ予算とか制度の問題もあろうかと思いますが、できるだけそういう人為的な枠組みやセクショナリズムは取り払っていただきまして、こういう研究者、技術者の養成にも力を入れていただきたいと思うわけでございます。  第三に、各企業とか事業所ごとに、外国ではセーフティエンジニアという名前で呼ばれております安全技師という制度がございまして、この人たちは十分な学問的、技術的な教養を身につけて、経験も積んだという人でございますが、そういう人を専任に置きまして、十分な権限を与えておるというように聞いております。たとえば毎日現場を見回りまして、もしおかしいところがあれば、ある範囲内では作業をストップしてでも安全点検ができるような権限が与えられているというふうにも聞いております。こういう安全に対する非常に専門的知識を持った技術者を重要視する制度につきましては、横浜国立大学のさきの教授であられた北川徹三先生が非常に熱心に推進しておられまして、その御努力などもありまして、安全工学科という学科が、横浜国立大学には何年か前からできておりますが、そういう名前を冠した学科ができておるのは日本ではただ一つではないかと承知いたしております。こういうようなことも含めまして、ぜひ研究者、技術者の養成にも力を入れていただきたいと思うわけでございます。もちろんこういう人たちが幾ら雇用されましても、その人に十分な権限を与えるという経営者の態度がないと、これは絵にかいたもちになるわけでございますが、そういう点もあわせてお願いしたいと思うわけでございます。  以上、少し時間が長くなりまして申しわけございませんが、私の意見を終わらせていただきます。(拍手)

大西正男自由民主党

○大西委員長 次に、我堂参考人にお願いいたします。

我堂武夫堺市長

○我堂参考人 私は、堺市長の我堂でございます。本日は巨大コンビナートを抱える都市を代表いたしまして、コンビナート防災に対する意見を述べる機会をいただきましたことを厚く御礼を申し上げますとともに、当地方行政委員会の先生方には、地方行政全般にわたりまして平素より格別の御配慮、御尽力を賜っておりますことを深く感謝申し上げます。  全国で六十カ所を超す石油コンビナートの防災対策につきましては、政府各省庁におかれまして、かねてより積極的な防災対策の推進に御尽力いただいているにもかかわらず、依然として多種多様な事故が後を絶たず、まことに遺憾に存じておる次第でございます。  本日は、コンビナート防災に対する意見を述べるようにとのことでございますので、大規模な堺、泉北臨海工業地帯を抱える堺市の実情や対策、さらには防災上の問題点等について若干の意見を申し述べたく存じます。  すでに先生方には御承知のこととは存じますが、本市より高石、泉大津両市にかけて広がっております堺、泉北臨海工業地帯は、昭和三十二年の埋め立て造成以来、府下最大の重化学コンビナートとして経済的発展を見てまいりました。しかし、その反面、当コンビナートで貯蔵される石油類等の危険物やLPG等の高圧ガスは年々増加の一途をたどり、現在では、危険物の貯蔵量は五百八十三万キロリットル、高圧ガスの貯蔵量は四十四万トンにも達しております。この間、小規模とは申しながら、火災や爆発あるいは石油類の漏洩等の事故も幾たびか発生し、コンビナート地帯に隣接しております地域住民の不安感は日ごとに高まってきております。  こうした情勢から、当堺市といたしましても、早くよりコンビナート防災を本市防災行政の中心課題としてとらえ、大阪府の援助もありまして、昭和四十六年度を初年度とする五カ年計画で消防力の画期的な強化を図り、現在では消防職員七百十一名、重化学消防自動車十六台を擁するほどになりました。さらに、堺市防災会議におきましても、昭和四十五年にコンビナート災害の調査研究を目的とした臨海災害対策専門委員会を設置し、災害事例研究のための調査団の派遣等を初め、事故発生企業に対する行政指導や立入調査の実施など積極的な施策の推進に努めてまいったわけでございます。  しかし、こうした行政施策には常に幾つかの問題点が残されており、一昨年七月の出光石油化学徳山工場でのエチレンプラント火災以来連続して各地のコンビナートで発生いたしました火災、爆発事故、さらには昨年末の三菱石油水島製油所での重油流出事故等を見ましても、これらの問題解決こそが石油コンビナートの防災対策確立に不可欠であるとの感を一層強く感じている次第でございます。  以下これらの問題点を数点拾ってみますと、まず第一に、コンビナート災害そのものの発生原因や拡大要因に対する調査研究がまだまだ不十分であるという問題がございます。石油関連企業では取り扱う品目も多く、温度、圧力、容量等の条件やプラント構造等により、災害現象も広範多岐にわたることが予想され、水島での重油流出事故は、種々の悪条件が重なったとはいいながら、われわれの予想の域をはるかに超える災害となってしまったわけであります。それゆえ、こうしたコンビナート災害特有の、被害予測調査や効果的な防災設備の開発等、各般にわたる調査研究の推進を強くお願いする次第でございます。  第二に、コンビナートを規制する個々の法の規制力が災害発生の抑止力として必ずしもその効果を発揮し得ないという問題がございます。石油関連企業のプラトンやタンク類、防災施設等については、細部にわたる技術上の基準が定められ、年々その強化を図られているところではありますが、今後は保安距離や施設の設置基準、保安基準等を中心に、画期的な法令の強化措置をお願いいたします。  第三に、コンビナート全体を総合的に指導監督する体制が確立されていなかったことが挙げられます。これは危険物には消防法、高圧ガスには高圧ガス取締法といったように、関係法令や監督官庁が細分されているがために、災害予防行政や事故後の指導に総合性を欠く傾向があったこと、さらには、これの連絡調整を目的とした地方防災会議等にも何ら有効な指導権限の裏づけがなかったことにも問題があると思われます。このため、こうした連絡調整組織の一本化による権限の強化と、その活動の連続化によるコンビナート全体をとらえた総合的指導監督体制の確立が最も強く望まれているところであり、これに対する将来の法的措置を含め十二分の御配慮をお願いいたします。  続いて、第四に防災緑地の問題がございます。本市の場合、各企業の自主的努力や造成時の防災への配慮もありまして、かなりの緑地面積を有しておるわけでありますが、これとても住民の心理不安を解消できるほどのものではなく、住宅地域と近接する地域については、防災効果の高い遮断緑地の造成が急務とされているところでございます。むろんこれに要します莫大な財源や年月等から考えますと大変至難な施策ではございますが、最悪の場合においても地域住民への被害波及を抑止し得るよう、たとえ住宅地域に近接する事業所の規模を縮小させてでも実施しなければならないと考えますので、遮断効果の調査研究と大幅な財源確保に格別の御配慮を賜りますよう強くお願い申し上げます。  最後に、こうした問題に若干関連するわけでございますが、公設消防と企業側の自衛消防、さらには各企業間の消防力の不均衡の是正といった問題や、最近とみに悪化しております企業と住民の間の融和関係の確保といった問題がございます。  特に後者につきましては、当初公害反対のみを目標としておりました住民運動は、運動主体にも運動目標にも拡大の傾向を見せ、企業に対する著しい不信感をもたらす結果となっております。このため、企業側の自主的かつ積極的な防災活動の強化につきまして、格別の措置を講じられますよう強く要望する次第でございます。  今回の石油コンビナート等災害防止法案には、平素われわれがいろいろな形で要望いたしておりましたこれらの問題点に対し、相当の御配慮をいただいております点深く敬意を表しまするとともに、本法施行を契機に、石油コンビナートの防災対策は制度的にも飛躍的に前進することになると思われ、まことに喜ばしい限りでございます。  しかしながら、本市のように巨大な石油コンビナートを有する市におきましては、石油コンビナートを抱えるがゆえに新しい災害危険を背負うことになったばかりでなく、消防力増強や地域環境保全等に係る種々の施策におきまして、事務的にも財政的にも相当な負担を強いられているのが実情でございます。こうした実情を御推察の上、この機会に、先ほど申し述べました種々の問題解決とあわせて、本法施行により増大が予想されます消防等の事務負担の軽減と、とりわけ大幅な財源の補助には特段の御配慮をお願いいたしまして、簡単ではございますが、私の意見にかえさせていただきます。  どうもありがとうございました。

大西正男自由民主党

○大西委員長 次に、井上参考人にお願いいたします。

井上文男川崎市消防局長

○井上(文)参考人 御指名をいただきました川崎市消防局長の井上でございます。  本日は、石油コンビナート関係都市防災上における一大懸案でありますきわめて重要な法案の御審議に当たりまして、陳述の機会をいただきましたことを衷心光栄に存ずる次第でございます。  さて、本日は石油コンビナート等災害防止法案に対するいろいろと率直な意見を御聴取いただけるとのことでございますが、昨年来直下型地震をめぐるあわただしい動向の中で、去る三月には川崎市の現況を御視察を賜りその後また私どもの市長から、地震防災対策との関係におきまして、余りにも大きな石油コンビナートの防災問題に関し、本委員会におきまして種々陳述申し上げましたとおり、この新法に期待するところまことに大きく、待つこと久しいものがございました。  申し上げるまでもなく、今日の都市問題の最たる課題は、集団、集積への対応施策にあると言われておりますけれども、石油コンビナート地帯のように、大規模かつ特殊な災害危険を包蔵する企業の集団立地につきまして防災上の基本的な法規制を行うことは、関係都市住民の生活安全に係る喫緊の問題であろうかと存じます。  そうした意味におきまして、この法案の制定は重大な意義を持つものであり、今日までの間賜りました数々の御尽力に対しまして深く敬意を表する次第でございますが、実は、私どもなりに法案の内容を拝見いたしますところ、これをもって完璧な保安行政が遂行できるか、十二分に安全が確保され得るかと申しますと、なお種々の問題を残しているように存ずるのでございます。  以下、その具体的な問題といたしまして六点ほど取り上げまして御説明を申し上げたいと存じますが、その前に、川崎コンビナート地区だけでも、法案で考えられております第一種事業所に該当するであろうと予想される事業所が、少なくとも四十一カ所以上に上ることを御理解いただきたいと存じます。  それでは、まず第一点でございますが、第一条関係になろうかと存じます。石油コンビナートの災害を市街地区に及ぼさないためには、将来の地震災害等を考慮いたしまして、貯蔵し、取り扱われる石油類及び高圧ガス類の巨大集積を避けるためにこれらの総量規制を行い、所要の措置を講ずる必要があると考えるのでありますけれども、これについては全く触れられていないということは、せっかく面的規制を行おうとする意図の中心があいまいに終わってしまうのではないかと懸念されるものでございます。  第二点といたしましては、第三十三条関係におきまして、「地方公共団体の長は、緑地等を設置しようとするときは」云々という表現になっておりまして、防災遮断的効果を期待する緑地等の設置を義務づけていないという点でございまして、これでは関係地域の実態に照らしまして、最も大きな問題の解決にならないと考える次第でございます。  次に第三点でございますが、第四十六条に関連いたします。石油コンビナート規制におきます行政の一元化につきまして、非常な御努力の過程のありましたことを伺ってはおりますが、全く一体的な装置、施設において絶えず相関的に取り扱われます高圧ガスと石油類について一元的な行政対応ができませんことは、従来の個々単体的法規制をさらに複雑化することとなり、本法案の趣旨に沿わないものであると存じますと同時に、現実の災害に対処する消防機関といたしましては、その活動性に影響するところを危惧する次第でございます。  また、保安三法のうち労働安全衛生法関係について全く触れておりませんこと、さらには毒物及び劇物並びに放射性同位元素につきましても同様な配慮が望まれるところでございます。  第四点といたしまして、政令指定都市につきましてはその行政能力を参酌されまして、本法の運用上「都道府県知事」とありますのを、政令指定都市にあっては当該市長が行えるよう、読みかえ規定を設けていただきたいと思うのでございます。  第五点でございますが、第三十四条ないし第三十六条に関係いたしますが、緑地等の設置に関する費用の負担は、第一種事業者三分の一、国、地方公共団体、それぞれ三分の一となっておりますが、要求される安全投資については、これまで関係企業責任の不明確さに加え、国策的にその発展が促進されて今日の企業集団を形成するに至った経緯等を踏まえまして、原因者負担の徹底、さらには揮発油税等について、当該関係地域の安全対策強化のために優先配分する等、財政上のさらに根本的な御検討により、第一種事業者二分の一、国三分の一、地方公共団体六分の一とされ、十分な財政裏づけにより緑地等の早急な整備促進を図っていただきたいと思うのでございます。  最後に、第六点でございますが、第二十二条関係でございます。特別防災区域協議会について、当該区域における特定事業者が共同してこの協議会を置くように努めなければならない、と規定しておりますが、特殊災害に対処する体制といたしまして防災上不可欠のものと考えますと同時に、現にこの協議会を設けております関係地域もございますので、このことにつきましては努力規定ではなく、義務設置規定としていただきたいと思うのでございます。  以上、いろいろ行政実務上の見地から疑問点、要望等を申し上げましたが、今国会におきましてこの法律が成立する運びとなり得ますならば、新法に基づく命令制定に際しましてさらに御検討、御配慮がなされ、さらには、将来具体的運用面に不十分な点が指摘された場合の改正の含みもあろうかと存じますので、現段階ではコンビナート防災の理念が具現化したものとして評価いたしている次第でございます。  私、たまたま昭和四十五年以来、全国消防長会石油コンビナート特別委員会の委員長を仰せつかっておりまして、石油コンビナートをかかえております都市消防長間におきますまさに切実な議論、関係要望等を重ねてまいっておりますが、そうした共通の悩みを背景にいたしまして、本法案に期待する真意をあるいは十分に代弁し切れない面もあったかと存じますが、どうぞ私どもの命をかけた行政が、真に都市住民の安全に密着し、コンビナート防災の実効が期されますように、御高配を切望いたしまして、私の説明を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)

大西正男自由民主党

○大西委員長 以上で、参考人からの御意見の聴取は終りました。     —————————————

大西正男自由民主党

○大西委員長 これより、参考人に対する質疑を行うのでありますが、堀内参考人は午後三時三十、分に退席されますので、まず堀内参考人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中山利生君。

中山利生自由民主党

○中山(利)委員 お三方の参考人におかれましては、大変お忙しいところにもかかわらず、当委員会に御出席をいただきまして大変示唆に富んだ御意見を発表していただきまして、まことにありがとうございました。  堀内先生、お忙しいようでございますので、一点だけ御質問申し上げたいと思います。  先生を初め、各参考人の皆さんが御指摘になりましたように、本法案の最も眼目といたします防災行政あるいは防災体制の一元化、これにつきましては消防庁でも大変な苦労をされたようでございますが、各省庁にわたるいろいろな権限の問題あるいは非常に数え切れないほどの関連法規、それは、関連法規はそれぞれの目的もあるわけでございますが、それを何とか一元化して、本当に効果的に地域住民の安全を図っていくということが目標でございますが、今度の法案、それなりの評価はあるわけでございますが、先ほどからいろいろお話がございますように、これで当面満足できるものかどうか。もし満足できないとすれば、これがどのような形の修正なり改革なりをしていったらいいかというようなことにつきまして御意見を承りたい。

堀内三郎京都大学教授

○堀内参考人 お答えいたします。  一元化がよいかどうかという御質問でございましたならば、やはり防災行政を一元的に運用されるのが制度として望ましいことは申すまでもないとお答えしたいと思います。私、法律や制度のことは暗うございますが、もともと通産行政と申しますのは、明治以来わが国が富国強兵と申しますか、そういう目標を掲げて、近代国家の列に加わるべく、大急ぎで産業立国を目指したときには、産業育成の使命がございまして、それなりの役割りを果たしたと思うのでございますが、いまや近代的な産業が世界列強に伍してわが国は有数の工業国になっておると思います。いま補助とか援助とかを切実に必要としておるのは、零細企業とか農林水産といったような第一次産業などではないかと思うわけでございまして、そういう意味から申しますと、通商産業省の伝統的な方針、役割りといったものは、この際産業の助長育成ではなくて、むしろ安全対策、安全規制の方に切りかわるべきではないかというぐあいに考えるものでございます。一元化と別に、いまのこととは関係がないようでございますが、制度として一元化される方が望ましいのでございますけれども、たとえ制度が二元になっておりましても、運用がうまくいけばそれは目的が達せられるということも理屈上はそういうことでございますので、先ほど私は、運用の面でいまのような欠陥があればできるだけ直していただきたいというぐあいに希望意見を申し述べた次第でございます。

中山利生自由民主党

○中山(利)委員 午前中にも横浜国立大学の井上参考人からお話がございました。総合的なしかもいろいろな制度を一本にまとめたような防災対策あるいはいろいろな行政を含めたそういう仕事の中でのいまの運用の重大さ、それから、先生のお話のありましたテクニカル・アセスメント、これは午前中にもお話を承ったのですが、このテクニカル・アセスメントの問題、いろいろな安全工学とか何とかいろいろあるようですけれども、そういうもののレベルが相当信頼すべきレベルまでいっておるかどうかというようなことについてお伺いいたします。

堀内三郎京都大学教授

○堀内参考人 テクニカル・アセスメントのレベルが信頼すべき水準までいっておるかどうかという御質問でございますが、これは世界の他の分野に比べてということかと思うのでございますが、率直に申しまして、たとえばほかの生産部門での総合的なテクニカル・アセスメントに比べるとやはり立ちおくれておると申し上げなければならないと思います。個々の技術、たとえばあるタンクならタンクの建設技術であるとか、ある化学反応を制御する技術であるとかいったものは世界的レベルに決して劣ってないと思うのでございますが、それがコンビナートのような形で一体化しまして、さらにそれが周辺の住民や市街地に与える問題というような問題に目を向けてアセスメントをするという、そういう考え方が非常に立ちおくれておったように思うわけでございます。

中山利生自由民主党

○中山(利)委員 ありがとうございました。

大西正男自由民主党

○大西委員長 和田貞夫君。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 一つは、先生先ほどの御説明の中で、立地条件の中で、周辺の環境条件等を考慮に入れてできるだけ未然に防止するような計画を立てていかなければならぬ。それには第三者的な公正な立場の者が立案をして、そして用途地域の住民やあるいは議会の意見というものを聞いてやっていかなければならぬ。確かにそのとおりで、私は住民参加という原則を貫いていかなくてはならぬと思うのですが、この法案ではそういうような保障というのはないわけなんです。ただ一つ、論議の中で政府側が答弁しておりましたのは、知事が必要なものを、今後の防災計画を立てるについて防災本部員に地方の自主性でやったらいいではないか、こういうことで、政府側のそういう指導面というのは全然考えておらないわけですね。法案の中で原則的にそういうものを取り入れるような法案にしておいた方がいいのか、あるいはそれぞれ地域地域の自主性に任すようにしていった方がいいのか、その点のお考えをひとつお聞きしたい。

堀内三郎京都大学教授

○堀内参考人 そういう判断は大変技術的ではございませんで、社会的な問題かと思うのでございますが、制度的にはいわゆる市議会とかいうようなところで住民の意見が反映されるようになっているのだろうと思いますけれども、実際問題としてはなかなかうまくそうぴったりと反映していないというようなこともあろうかと思うのでございます。おっしゃるように、できれば、たとえば企業の代表が本部要員でございましたか、あるいは何かほかの審議会委員の方に入るのでございましたら、やはり関係住民代表といいますか、そういうような立場の人も加えた方がより公正ではないかと思います。ただその場合にも、住民側も事態を非常に科学的にと申しますか、客観的に評価して、先ほど私が申しましたように、絶対安全ということはちょっとあり得ないのでございますが、どこかで納得するわけでございますから、その辺を、この辺まで安全が確保されたならばまずよいというような判断を公平にしていただくというような態度がやはり必要ではないかと思うわけでございます。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 事故を未然に防止する、それから拡大防止を図っていく、こういうことでありますが、いわゆる軌道修正に持っていくような態度というものは行政に必要である。私はそのとおりだと思うのですが、この法案を見てみますと、確かに不十分とはいいながら、新しくつくられるコンビナートについてはそれぞれの規制措置があるわけですね。これといえども法案全体を貫かれている面ではいろいろな基準というのは全部政令にゆだねられているために、審議するわれわれは全然わからぬわけですよ。本来なら、そういうような基準ですね、政令にゆだねられたものを一緒に出してもらって判断しなければいかぬのですが、判断をできない状況でいま審議しているというのが実態です。それはそれとして、そういうような基準というものをある程度本法の中に取り入れるという方が将来にわたっていいように考えられるかどうかということですね。それが一つ。  それからもう一つは、既存の事業所あるいはコンビナート地域、それに対しては全くもぬけのからなんですね。あるいは新設の場合にも、計画が出されれば計画の変更とかいろいろありますし、また事業所に対するところの立入検査であるとかあるいは報告義務だとか、いろいろあるわけなんですが、これらに対しての罰則規定というのが設けられておる。罰則規定というのは大方十万円、大体八つ、九つの条項に違反した者については罰金十万円、いわば逆に十万円出せばそれを犯してもいいんだというような印象を事業所に与える、こういうようなことになりはしないか。それからさらに消防法の三十九条の二、三十九条の三でせっかく罰則規定を強化されておるにもかかわらず、逃げ道といいますか、ただし書きが入れられておる。こうこうの場合は罰しないということですね。そういうような罰則規定を入れることによって、これが社会的な責任を負わない、事業所がかえって責任を持たないということになりはしないか。そのためにも、むしろ軌道修正をさしていくという態度が行政に必要であれば、既設の事業所に対しても一部の施設を使用させない、全部を使用させない、あるいは違反した場合には施設を使用させない、こういう行政罰的な罰則規定、そういうようにした方が私は効果が上がるのではないか、こういうように思うのですが、この法案を読まれてどういうようにお感じになっておられるか、ひとつお聞かせ願いたい。

堀内三郎京都大学教授

○堀内参考人 第一点でございますが、政令、省令事項を本法の方に規定する方がよいのではないかという御質問かと思いますが、はっきりするという点ではもちろんはっきりいたしますけれども、現在政令基準にあります内容、私ももちろん存じません。この法案自体もほんの二、三日前に実は事務局からいただいたようなわけで、大変勉強不足なので申しわけないのでありますが、それを政令、省令にゆだねられておるということはそういう意味では次善の策かもしれませんが、問題はやはり内容でございますので、この法案の趣旨に沿って政令に技術的にもいいものが盛り込まれるならばやむを得ないんではないかというぐあいに考えておるわけでございます。それじゃ現在本法律の方に何か具体的に例示でもする案はないかともし御質問がありましても、私はいますぐにはちょっと思い浮かばないような実情でございます。  第二点の御質問の遡及適用の点につきましては、私もさっきの発言で少し触れさせていただいたのでございますが、実は大変心配いたしております。ただ、法案の二十条には、既存のものに対して一定の期間内に特別な防災施設をするように、特定防災施設と申しますか、そういうものをするようにというような規定もございますので、それ以外のものは遡及適用しないのかなというふうに判断しているのでございますが、個々の、この特定防災施設以外のものまで遡及適用になればそれはもっと強力なものになるかとも思いますが、それに対するいろいろ困難な事情もあることを十分考えますと、先ほども申しましたように、あとは行政指導と財政的な援助とで誘導していくということも現実的にはやむを得ないのではないかというぐあいに考えております。  一番大事なことは方向のかじを向け直すということでございまして、従来のように、ただ企業優先ばかりではないかもしれませんが、依然としてそういうような考え方であればなかなか進展しない。態度と申しますか、方針と申しますか、そういうものが企業優先ではなくて地域住民の安全確保という方へかじを向け直すのであれば、できる限りの方策で、徐々にではあっても堅実にその方策を進めていくというのもやむを得ないのではないかというふうに思っております。  その面で、先ほど罰則の強化というお話がございましたが、もちろん強制力を付与するためには法律上の罰則も非常に有効な手段かと思いますけれども、実際上は、先ほど私がちょっと触れましたような安全確保のための空間というものを確保するやり方は、単に緑地だけをつくるやり方以外にもいろいろ工夫としては考えられるわけでございますから、そういうものも含めて総合的に強力に行政指導されるように希望したわけでございます。

大西正男自由民主党

○大西委員長 関連質疑の申し出があります。これを許します。佐藤敬治君。

佐藤敬治日本社会党

○佐藤(敬)委員 ちょっと先生にお伺いいたします。  先ほど緑地の問題についてちょっと御発言がありまして、先生が専門の都市防災という側からこういう発言が出たのだろうと思いまして、非常に興味を持って、関連してちょっと質問させていただきたいのですが、いま、たとえば川崎なんかで遮断緑地ですか、いろいろなものをつくろうと言っていろいろ苦労している。この間、視察に行って聞いてまいりましたけれども、九千億も一兆円もかかるというような大変な金がかかるんですね。いまの低成長下で、企業も金がないし、国も市町村もみんな貧乏であるとき、果たして一兆円近い金を出してあれが実現できるものかどうか、私どもは非常に疑問に思っているわけですよ。先生が先ほど言われました、ああいうものを別に公共のものとして買収しなくてもいいじゃないか、会社のものでもいいじゃないか、こういうふうなあれを聞いて、なるほどなあと考えましたが、これをもう一つ推し進めまして、たとえば先生専門の都市防災という関係から、都市計画の土地利用の規制と、こういう形で、たとえばコンビナートがあったならば、危険でない企業、こういうものをコンビナートを包むような方法でそういう地帯をつくって、都市計画の地域利用というような形、土地利用というような形でもって規制していく、こういう方法はどうかなとちょっと考えたのですが、これはほんの思いつきなので、先生、もしそれに対する御意見があればちょっとお伺いしたいなあと思います。

堀内三郎京都大学教授

○堀内参考人 私の先ほど申しましたのも少し説明不足でございましたが、いま御提案、御質問のあった趣旨と全く同じでございまして、都市計画法に言う用途規制あるいは建築基準法に言う用途規制のようなものをああいう周辺地域にしてはどうかという意味でございます。やはり買収はしませんでも、企業の所有しております土地にそういう規制措置をかけますことは、やはり損害を与えることには違いないとは思いますけれども、莫大な経費を払って所有権ごと買収してしまうことに比べれば、ほかの用途にならば転用できる、余り危険でない、先ほど例に挙げました材料置き場であるとか事務所といったような用途に、同じ企業の中で一応変えて使うこともできますし、あるいは他の安全な企業に売却することもできるというふうになれば、より安全確保の全体としての防災遮断帯の役目が容易に実現できるのではないかというふうに考えるわけでございます。

佐藤敬治日本社会党

○佐藤(敬)委員 終わります。

大西正男自由民主党

○大西委員長 林百郎君。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 堀内先生にお伺いしたいのですが、テクニカル・アセスメントの問題が出ておるわけなんですが、巨大なコンビナートが出現したというのは戦後特に著しいと思うのですけれども、外国の発達した資本主義国のこういうコンビナート防災のいろいろのテクニカルの問題あるいは法制上の問題と、日本の国のそれとは何かに比較して、どちらがこうというような問題があるのですか。もちろん社会主義国になりますと、企業と企業との間のコンビということは考えられないわけですけれども、同じ発達した資本主義国の中でのコンビナートの防災について、日本と先進的な資本主義国とのテクニカル・アセスメントの何か特徴点というものはあるのでしょうか。

堀内三郎京都大学教授

○堀内参考人 私も大変不勉強でございまして、外国の例とか特に法制面の研究など非常に不十分でございまして、十分なお答えができかねるのでございますが、たとえば私、もう十数年も前になりますが、欧米をほんのわずか見てまいりましたときに聞きました実情から推察いたしますと、外国と日本で一番違う点は、何と申しましても人口密度が圧倒的に日本の方が高いということでございますね。それで、外国でございますと、大都市あるいは市街地といった近くに産業政策上立地した方がコストも安くなって有利なわけでございますから、企業側としてはできるだけ接近したところに立地したいわけでございますが、それでも少し離れた位置に、たとえばみさきであるとか小山であるとかいうのを一つ越して向こう側のところに立地するというぐらいなゆとりと申しますか、空間的な余地が十分あるようでございます。ですから、たとえ事故を起こしましても、大災害が直接市街地の方にすぐに及んでくるということではないようにかなり考慮されているようでございます。実際上そうなっておるようでございます。全部が全部だとはとても申せないのでございまして、事実、災害事例などを見ておりますと、いろいろ爆発災害もございますし、火災もございますし、あるいは塩素のようなガスが漏れて、住民が大ぜい避難したというふうな事例もたびたび報告されておりますので、全然ないわけではございませんけれども、概して言えばそういうような傾向がある。それはやはり何と申しましても、土地の人口密度が圧倒的に日本が高密度で、至るところに人家があるということと関連があるのではないかと思います。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 先ほど先生からセーフティーエンジニアという構想が提案されたのですが、本法の十七条にも防災管理者というのがありますが、この防災管理者は、法文を読んでみますと、これは経営の方の相当の権限を持った者が同時に防災の方の管理者にもなっておる。こういう二つの権限がダブっているような立場にあるし、それからそれが自衛防災組織の統括者にもなっているようですが、先生のおっしゃるセーフティーエンジニアというのは、この防災管理者と比較してはどういう性格を持ったもので、どういう権限を持たせるものなんでしょうか。

堀内三郎京都大学教授

○堀内参考人 私も直接その問題で詳しく調べたわけじゃございませんのですが、先ほど申し上げました横浜国立大学の北川先生などよりお教えいただいた範囲内で申し上げますと、大学で防災関係、特にケミカルであるとかいろいろなそういうことの高度な教養を身につけた上で企業に入りましても、直接現場をよく調べまして一定の経験を積んだ人というような資格要件があるようでございます。私もいろいろな機会に、日本のコンビナートや化学工場を幾つか見せていただく機会もございましたが、大学の教師とかあるいはお役所におられる方も含めまして、部外者が、事故が起こったからとかあるいは査察とかいうような意味でほんの一日とかあるいは半年に一回ぐらい、そういう企業内へ入りましても、今日の膨大なあの複雑した機能を持っておりますコンビナートの中の本当の欠陥とか弱点というのはなかなかわからないものだと思います。これはちょうどわれわれの健康にたとえますと、自分の健康状態は本人か、もしくは主治医のホームドクターと言われるような人が一番よく知っておるというようなこととやや似ておる点があるのではないかと思います。ですから、わが社のこの装置の欠点はどこにあって、いまどのバルブが、たとえば多少パッキングが傷みかけて、漏れ始めているのを発見したけれども、いまこれの取りかえを申し出ると生産能率が落ちるのでちょっと言えないというようなことになってしまっておるのが、事故を起こす遠因になっておるのではないかというふうにも思うわけでございますが、そういう意味で、その企業の現場に詳しい方が、一番よくその装置や企業の安全性について、あるいは危険性について知っておられるのではないかと思います。そういう方に、もちろん技術的な、そういう学問的なレベルも高くなければいけませんが、ある権限を与えまして、仮にさっき申しましたその部分での部分的な停止も含めて、危なければ早速、即座にでも停止命令を出せるような、そういう権限を付与するぐらいな重要視と申しますか、重要な地位を与えるというように運用しているように聞いておるわけでございます。  今回の法案の防災管理者でございますか、そういう方が権限面ではかなり経営陣のチーフと申しますか、そういう位置におられるので、十分な権能を持っておられるかと思うのでございますが、いますぐそういう現場に通暁した、あるいは安全技術なりそういうものに高度の知識を持っておられる方であるかどうかという点ではつまびらかでございません。それで、そういう技術者がなっておられればダブっておっても心配ないのでございますけれども、一々工場長さんとか、あるいはもっと偉い地位の方が毎日毎日現場を見て歩くというようなことは、実際上かなりむずかしいのではないかと思いますので、やはり責任はそういう方がおとりになっても、その方の手足と申しますか、腹心的というような形で現場を毎日見て回って、安全状態をよく調べて回るというようなセーフティーエンジニアというものの意義があるのではないかと思うわけでございます。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 非常に結構な構想だと思うのですが、日本の国の行政の組織体系から申しますと、身分関係が、その企業に従属している者がある強制的な権限を持っていて、その権限に基づいて自分の身分が所属している企業の一定の工程を停止する強制的な権限を持たせるというのはなかなかむずかしいので、それはたとえば消防署なら消防署にそういう先生のおっしゃるようなエンジニアを配置さして、それが定期的に点検をして、そしてそういう権限を持たせるということの方が、いまの日本の国の行政体系からいうと親しまれるように思うのですが、やはり身分は企業に置くというお考えなのでしょうか。

堀内三郎京都大学教授

○堀内参考人 いいえ、外国の例を申し上げたまででございまして、いまもお話しのように、直接そのまま日本へ持ってきてなじむかと申しますと、御指摘のように多分うまくいかないだろうと思いますので、そこから先のことは外国のようなしきたりと申しますか、習慣になりますまでは、いま御提案のような方法その他、いろんなことが考えられるかと思いますが、私まだはっきりそういう具体案は持っておりませんのですけれども、何も企業に属しておらなければいけないという意味では固執はいたしておるわけではございません。そういう現場に通暁した技術者がどうも欲しい、そういうようなのが不足しておるのだということを申し上げたかったわけでございます。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 それから時間の関係で、もう一問だけお聞きしておきたいと思うのです。  コンビナート安全委員会という構想も提案されたわけですが、これはやはり国の中央に設けて——この法案も所管が通産大臣であったり、あるい消防庁を所管する自治大臣であったり、あるいはパイプライン等については運輸大臣だ。いろいろ権限が錯綜しているわけなんですが、そういう行政から独立したコンビナート安全委員会というようなものを国に設けて、各自治体の諮問あるいは政府へのアドバイス、そういうようなものを持つような、そういう権限を与えられた委員会という意味なんでしょうか。

堀内三郎京都大学教授

○堀内参考人 権限の問題になりますとどうも私弱いのでございますが、機能はそういう意味でございます。例を申し上げますと、私の知っております範囲内では、地下街の防災問題に関しまして、これもいろいろ各省庁にまたがっておる問題でございますので、先年中央には中央地下街問題の何とか委員会という名前の委員会ができました。各府県か市町村かにも同じようなのがございまして、一定規模の地下街まではその地方の方でチェックしていいけれども、一定規模以上になると中央へ上げてくるようにというような仕組みになっているようでございます。  全くそれと同じでなくてもいいのでございますが、たとえばそういうようなやり方で各省庁にまたがっておる今度のような問題につきましても、主として技術的な問題に関しましては、一元化した委員会なり審査機関なりで審査いたしまして、それの結果を権限のあるところへ勧告するなり答申するなりしてその実現を図っていただくというようなものが必要ではないかというふうに考えたわけでございます。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 いろいろまだ先生にお聞きしたい点を準備しておいたのですが、時間がございませんのでこれで失礼させていただきます。  どうもありがとうございました。

大西正男自由民主党

○大西委員長 小川新一郎君。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 私はまず第一点は、この法案が新設、変更というところに重点が置かれておりまして、先ほど午前中の質問にもお尋ねしたのでございますけれども、高度経済成長政策から政策変更ということを余儀なくされている日本で、コンビナート問題という問題はこれから三十年代のように多発するということは考えられない中でこういった問題を取り上げていく中では、やはり既存の問題というものを非常に考えなければならない。そういう中では法案の内容がどうしても新設、変更というこれからの問題に集約されているように思われますが、まずその点についての御見解をひとつお尋ねいたしますと同時に、もう一つは一元化の問題でございますが、われわれ政治という場に、非常にどろ臭いところにおりますけれども、学者の先生の立場からのお考えとわれわれの考えでは多少のいろいろな問題がありますが、たとえば高圧ガスを扱う第一種事業所の新設及び変更する場合は主務大臣に届けなければならない。これは消防法及び高圧ガス取締法では、製造所等の設置または変更する場合は、石油関係は市町村長、高圧ガス関係は都道府県知事というように許可権者が変わるので、相互の変更を図るわけです。そして関係都道府県知事、市町村長に送るときに、主務大臣は「都道府県知事の意見を聴かなければならない。」としております。知事がその意見を述べるときは「関係市町村の意見を聴かなければならない。」とあります。こういう場合もイデオロギーが違い、政党が違い、保守系の知事さんと革新系の市長さんとの場合においてはその根本的な政策理念というものが違ってくる場合、そういった意見の衝突もしくは調整が図れない場合、そういう場合も想定して私はお尋ねするのですけれども、これは先生のように学者さんの立場と私たち政治家の立場ではちょっと物のニュアンスのとらまえ方が違うのですけれども、こういった、意見を聞かなければならない、また聞くべきである、述べるときは云々とあるようなときの一元化の問題、こういう問題はやはり調整を図らなければならない。先ほど運用の妙ということを申し上げましたが、これはあくまで人間的な問題でございまして、これは一つのそういった問題がトラブルが起きるときには運用の妙を発揮できない場合があり得るのですね。こういう場合はやはりもっと一元化を図るような機構というもの、防災庁とか、そういうような御意見がございますけれども、つくって、そういった問題の心配がないようにすべきであるというお考えがおありかどうか、まずお尋ねしておきたいと思います。

堀内三郎京都大学教授

○堀内参考人 第一点の遡及適用の問題は、私も大変重要だと思います。今後新しいコンビナートが続々と建設されるというような情勢ではございませんから、やはり災害を減少させますには、既存のものを安全なように手直ししていくということが大きなウエートを占めるということは御指摘のとおりだと思いますが、そのことに関しましては、先ほどのどなたかの議員先生の御質問にお答えしましたように、私なりにこの法案を読みますと、第二十条にその既存適用のところが少し書いてございまして、いわゆる特定防災施設、これも内容がはっきりはわからないのでございますが、工場の一番外側に、海に流さないような大きな防油堤をつくるといったようなことも含められておるのかと思うのでございますが、そういうようなものは遡及適用するということになっておるようでございますので、それを御指摘の趣旨はもっと広範囲に遡及適用できるようにしたらどうかという御趣旨かと思いますが、防災に携わっております私の立場から言えば、もちろんそれはそういうふうになる方が望ましいことは重々御指摘のとおりでございます。  ただ、実現だとか、いろいろな補償問題だとかいうようなことを考えましてこういう法案ができているのではないかと思うのでございますので、先ほど来申しましたような、後は運用で頭の切りかえと申しますか、方針は安全化の方へ切りかえていただきたいということだけを特にお願いしたようなわけでございます。  それから第二点の方も、いろいろ利害が相衝突した場合には一元化でないとまずいのではないかという御質問でございますが、確かに私も、防災庁のような一元化された役所、機構、制度ができることの方が望ましいと考えております。ちょっと例は違いますけれども、たとえば公害訴訟などの例を見ましても、いろいろな立場で最後まで意見が合わないというような場合もありまして、その場合には、行政の場から最終的には裁判所の場まで持ち出されまして決着がつくというようなことも公害の場面では起こっておる例もあるわけでございますから、現在のわが国の制度では、もし意見が対立したままどうしても最後まで折り合わないならば、行政の場面でできるだけ話し合いで納得のいく線を見つけるという努力をして、それでもだめな場合には、結局は裁判所で決着がつくというような場面にならざるを得ないのではないかというふうに、とことん考えればそういうぐあいに思っております。しかし、そんな形はやはり望ましくないので、できればそれまでによく話し合ってそのコンセンサスを得るということが必要である。そのためには、いままでのようにただ余り知らさないのではなくて、先ほど私が申しましたようないろいろな複数の案などについて、この案ではこういうメリットがあるがこの案ではこういうデメリットがある、しかしこういうメリットがあるというようなことを比較検討できるような材料をできるだけ豊富に提供して、判断していただくというような仕組みを考えなければいけないのではないかと思っておるわけでございます。この点は、私ども研究者、技術者というような立場の者もいままでそういう材料を提供するという意味での努力が非常に不足しておったという点はみずから反省しておるわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、全般的なそういう方面の技術者、研究者が不足しておりますので、できましたら、そういう者を養成することにも御配慮いただきたいという希望を申し上げたわけでございます。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 先生は都市専門の立場からいろいろと御研究なされておることでございますので、コンビナート外の危険波及ということで、これは建設省所管の事項になりますけれども、新都市開発法とか防災街区造成法とか、または市街地再開発法とか都市計画法とか、こういった関係法案というものをまず洗い直す必要があるのかないかということをちょっとお尋ねしておきたいと思います。  それともう一点は、災害対策基本法に盛られた中央防災会議というものが閣僚レベルであるわけであります。でありますけれども、今回の場合は都道府県に防災会議を設置することができますけれども、この防災会議の段階よりもさらに中央に都道府県単位の防災会議を越えた段階の中央防災会議のようなものを設置した方がいいんではないかというような考えもするのですけれども、しかしそれは地方自治の問題として国がそこまで地方に対していろいろな問題でくちばしを入れること、また、そういう問題にすることが配慮された上で都道府県単位の防災会議ということなのか、また、それ以上は中央防災会議の災害対策基本法に盛られた全国的な災害レベルの中に含まれる問題なのか、そういう問題が私にはまだよく理解できないのでございますが、この二点だけお尋ねをして、終わらせていただきます。

堀内三郎京都大学教授

○堀内参考人 第一点の都市計画関係でございますが、私も専門の立場上、いまお話のありましたようないろいろな都市計画関係の法規の方、直接関係はいたしておりませんけれども、関心は非常に持っております。従来の都市計画関係法も、防災のことを考えないで、ただ市民の利便とか交通とかいうことだけでつくられておるかというと、決してそうじゃございませんで、防災こそは都市計画の骨であるというようなことを言う人もあるくらいでございまして、確かにたてまえ上は防災を考慮した法体系あるいは規制になっている、あるいは計画になっているはずなんでございますが、どちらかというと、弱かったという面も確かにあろうかと思います。全部見直した方がいいかどうかということでございますが、どんどん防災の方のアセスメント技術も発達してまいりましたならば、それに応じて取り入れていただくということは必要で、適切な方法じゃないかと考えております。  それから第二点の防災会議に関しましては、現在私も京都や大阪の府や市の防災会議などの専門委員などに呼ばれまして、いろいろ応分の御協力を申し上げておるわけでございますけれども、スタッフといいますか、市長さんなり知事さんなりが議長で、関係の機関の長がきら星のごとく集まっておられる非常に重要な会議なんでございますが、その運用に当たっております部局はたいてい総務局とか総務課というところでございまして、俗に申しますと、文科系の出身の方が主にやっておられまして、技術系の専門家が内容まで吟味して、よく計画の取りまとめをやるというようなスタッフと申しますか、そういう陣容は整っておりません。端的に申して整っておらないと思います。そういうこともああいう計画をおざなりのものにしてしまっておる一つの原因ではないかと私かねがね思っておりますので、どちらかといいますと、ああいうものをもし強化していただくのでしたら、そういう技術的にも相当なレベルの職員を充てるというような方策をとっていただきたいと申し上げるのが一つでございます。  それから、中央と府県との関係をおっしゃいましたですが、防災会議はいまはもう災害基本法で決まっておる制度でございますので、それはいろいろ計画審議機関と申しますか、計画の決定機関ではないかと思いますが、私が先ほど、中央にも設けて、だんだん陣容が整えば地方にも設けたらどうかと提案いたしました技術的なチェック機関というのは、そういう防災会議の下部組織になっても、それはちっとも構わないんだと思います。そういう制度上のことは、私は余りどちらがいいか悪いかよく判断いたしかねますのですが、何かしかし、そういう専門家の集まったチェック機関がないと、市長さんや知事さんに判断しろというようなことを申し上げても、これは無理ではないかと思いますので、そういう点を申し上げたわけでございます。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 どうもありがとうございました。

大西正男自由民主党

○大西委員長 折小野良一君。

折小野良一民社党

○折小野委員 一、二お伺いをいたします。  先生のお話の中で、防災緑地等の設置、今度の法案の中に書かれておるわけですが、これにつきまして、都市公園に限るとぐあいが悪いというふうに先生はおっしゃったのですが、そこのところをもう少し御説明をいただけませんでしょうか。

堀内三郎京都大学教授

○堀内参考人 ぐあいが悪いという意味ではなかったかとも思うのでございますが、私の読みました範囲では、何か都市公園として事業を行うのが、緩衝地帯としての緑地を造成するというか、設置していく主な事業のように拝見いたしたのでございますけれども、それが一番望ましい形かもしれませんが、必ずしも緑地、木の生えたこういう公園、あるいは都市公園法とかいう法律がもしあれば、そういうものにがんじがらめに縛られたものでないと、補助金も出さないとか事業も行わないとかいうことであっては困るのではないかという意味でございます。防災的な効果から申しますと、危険なものと住民との間に一定の距離があれば、まず一応安全が確保されるわけでございますから、そういう間にあるものは、不燃性の、危険でないものであれば、緑の木でなくてもいい場合もあるわけでございますから、できればそういうときの総合的な計画で安全を確保していただいて、その中で、この法案で言っておりますような緑地の助成策が最大限に効果を発揮できるように運用していただければ一番いいのではないか、こういう意味でございます。

折小野良一民社党

○折小野委員 災害に対しまして、強いか弱いかという問題なんですが、これは一般的な問題でして、たとえば建築物でしたら、風速六十メートルに対して耐えるか耐えないか、そういうような意味の一般的な意味なんですが、現在わが国には、六十何カ所というようなコンビナートがすでにあるわけでございます。いろいろと意見が出ておりますように、今後できるであろうコンビナート、こういうようなものにつきましては、最初から防災上の十分な対策を講じて計画をされる、これは一応考えられておるわけでございますが、現在六十何カ所もあるコンビナートの現況におきまして、果たしてこれが災害に強いか弱いか、これはなかなか一概に言うことはできないと思います。いわば常識的にどういうふうに判断したらいいか。それでその際の災害を、たとえば関東大震災程度の地震に対して、現在の状況のコンビナートであるならば壊滅的な打撃を受けるであろうとか、あるいは五〇%程度はそれによってつぶれるんじゃなかろうかとか、あるいは多少の被害はあってもそう大きな影響はないんじゃなかろうかとか、その程度のことでよろしいのですが、先生のお考えをひとつお聞かせいただきたいと思います。

堀内三郎京都大学教授

○堀内参考人 大変むずかしい御質問でございますが、現在六十カ所以上もありますコンビナート地帯が災害に強いか弱いかという御質問なんでございますけれども、そういうことを科学的にある客観性をもって判断いたしますためにも、先ほど私少し提案さしていただきましたような防災診断というものを一定の基準で早急に実施していただきまして、比較してA地区よりB地区の方が安全だとか、あるいはC地区の方が危険だというようなことを、まずランキングと申しますか、順位づけでもしていただいて、何しろ膨大な事業になろうと思いますから、改善事業はその一番危険なものから着手していただくというのがよくはないかという意味を申し上げたのでございますが、いま御質問の関東大震災程度の地震に対してということでございますと、私、全部調べたわけではございませんが、大抵のわが国のコンビナートは大体海岸地帯に位置しておりまして、それも人工造成地盤でございます。これは何と申しましても、天然の地盤に比べれば弱い、やわらかい地盤であることに間違いございません。ですから、端的な例で申しますと、新潟の地震がございまして、あすこに巨大な昭和石油のタンクがございました。地震によって倒れたり壊滅的な破壊をしたのはむしろ小型のタンクの方であったのでございますが、たまたま昭和石油の方からも火を発しまして、御存じのとおりの大災害になったわけでございます。  ああいうことを考えますと、日本のその六十カ所ほどの石油コンビナート地帯は、関東大震災クラスの地震動を受けますと、かなりと申しますか、先ほどおっしゃった三色の中では中くらいとしか申し上げようがないのじゃないかと思うのでございますが、少なくともその程度の被害は当然起こるだろう、あるいは場合によってはもっと壊滅的な打撃を受ける、全滅に近い状態になるところもあるのではないかというぐらいに考えております。

折小野良一民社党

○折小野委員 どうもありがとうございました。

大西正男自由民主党

○大西委員長 堀内参考人には、貴重なる御意見をお述べいただきまして、ありがとうございました。どうぞ御退席願います。  それでは引き続き、我堂参考人、井上参考人に対する質疑を行います。中山利生君。

中山利生自由民主党

○中山(利)委員 我堂参考人、井上参考人におかれては、石油コンビナートという非常に困難な事情の中で防災体制の実務に当たっておられるわけでございまして、その御苦労はもう察するに余りあるわけでございます。  私は残念ながら、堺市の方は外から二、三回拝見しただけでよく存じ上げないのですが、川崎市の方は、この前の委員会の視察で拝見をいたしまして、外から見ております以上に非常に複雑、また困難な事情がたくさんありまして、私も実はびっくりしたわけでございますが、その中で井上消防局長が非常に自信を持ってこの任に当たっておられる姿を拝見しまして、本当に感激をしたわけでございます。  コンビナート防災と申しましても、一つは大きな比重は予防、災害を未然に防ぐ方にかかっているように感じられるわけでございまして、この方はまあどうやら、いろいろな複雑多岐な制度や法律の中でも、時間をかげながらある程度やっていけると思うのですけれども、一たん災害が起きまして、たとえば川崎市で直下型の地震が起きるとか、かなり急激な地震が起きるといったようなときに、一体今度の法律、消防法その他ありますけれども、今度の法律で、先ほどから問題になっております一元化の問題——きょうの参考人の皆さんにお聞きしましたので、一体制度上の一元化あるいは実際に防災に、災害が起きたときの対策としての、たとえば井上局長さんが実際の指揮に当たると思うのですが、こういうふうに指揮に当たる場合での今度の防災法の効果といいますか、そういうものの評価というものを聞かせていただきたいと同時に、また欠点があって、この辺まではいっているんだけれども、もう一歩このような手直しをしていただければ実際に現場の人間として働きやすいんだというような点がありましたら、お聞かせいただきたいと思います。

井上文男川崎市消防局長

○井上(文)参考人 大変僭越ではございますけれども、川崎市の実情でお答えをいたしたいと思います。  今日いろいろと法制の中で都道府県にコンビナートの防災本部が置かれまして、一朝有事の際には現地防災本部が防災計画に基づきまして置かれるというようなシステムになっているようでございますけれども、御案内のように、都道府県当局なり、あるいは恐らく知事さんは出てこれまいでしょうから、その補佐機関になるであろうと思いますけれども、そういう都道府県の部長さん方は恐らくコンビナートの実態というのは全く御存じないのではないだろうか。そういうことで、たとえば現地防災本部を設けましても、現実具体にだれが一体どういう指揮をとれるのだろうかという危惧は持っておるわけであります。私どもにおきましては、こういうトラブルが発生しましたときには、即座に現地に消防警備本部というものを設けまして一これは固定無線も全部持ってまいりまして、全市内の消防隊の運用、あるいはたまたま川崎でございますから横浜、東京とも相互応援協定もございます。大災害になりますときには、二十台、三十台という大量な部隊の増強を求めることもできるというようなことにしておりますので、今日まで私どもが実はそういう実際の指揮をとりながら、あるいはそういう状況を刻々、川崎市の災害対策本部というのがございますが、これは市長が本部長になりますが、そこへも情報を入れながら、対処してまいったというのが実情でございます。  したがって、新法におきましてそういう制度がどのように運用されていくのかということにつきましては、ちょっと私詳しくは存じませんけれども、余り効果はないのじゃないだろうか、むしろ屋上屋を重ねるようなことになりはしないだろうかという気がするわけであります。これは率直な意見でございます。

中山利生自由民主党

○中山(利)委員 いろいろな責任者が知事なり市長なりということになろうかと思いますが、実際の指揮は恐らく現場の事情に精通をしておられる局長さんなり消防局の幹部の方々が指揮をとられる。そうなってまいりますと、どうもいまお話があったような、今度の新法によっていろいろな制度ができたために屋上屋といいますか、指揮系統というものがますます複雑になってくるというような感じがするわけでありますが、何かそれについて、こうしたらいいんじゃないか、実際に災害が起きたときには指揮系統を一元化するためにこうしてほしいというようなお考えがありましたらお聞かせください。

井上文男川崎市消防局長

○井上(文)参考人 これは私、実は川崎市の実情を申し上げたわけでございまして、やはり視野を少しく広げて考えてみますと、今日六十数カ所にわたりますコンビナートを担当しております中には、非常に微弱な消防力しかないというようなところもございます。あるいは極端な例で申しますと、鹿児島県の喜入のようにいわゆる常設消防機関すらないというようなところもございますので、そういう意味でのアフターケアとして、やはり知事さんなりそういう機関が動き出さなければいけないというような実情も、実は何かわかるような気がするわけでございます。  たまたま私、川崎市でございますために川崎市だけの例を申し上げたわけでございますけれども、あるいはまた山口県と広島にわたりますような、大竹、岩国のように両県にまたがるようなコンビナートもございますし、この辺の関係につきましては、やはり一都市だけでは十分なことができないかと思います。  さらには、この中でいろいろ災害という定義から拝見いたしますと、水島事故というようなものが多分に考えの中に含まれているやに推察するわけでございますけれども、あのときには、先ほども中央防災会議の問題も出ましたが、中央防災会議すら動いていないという現況でございまして、そういう意味であのときには適用する法令がないと言われておりました。それを何らか網をかぶしてこの辺でやっていこうではないかというふうに立案をされました政府御当局のお気持ちもわかるような気がするわけでございます。ただ私、冒頭に川崎市の実情を申し上げましたがために、あるいは多少誤解された向きもあったかと思いますけれども、そういう広い視野で考えますならば、この程度でもやむを得ないんじゃないかと思われる点もございますので、補足して御説明をさしていただきました。

中山利生自由民主党

○中山(利)委員 もう少し現場の立場としていろいろお伺いしたいのですが、時間もございませんので、我堂参考人にちょっと二点ばかりお伺いいたします。  先ほど企業間の消防力の均一化というお話がありましたが、この格差というのは相当ひどいものなんですか。その実情と、そのためにいろいろな弊害が出ていればそのことをお話しいただきたい。  それからもう一つは、今度の新法ができたことによって事務的また財政的に負担が増高しているというお話でございましたが、その実情についてお話しいただきたい。

我堂武夫堺市長

○我堂参考人 第一点の企業間の格差、これは確かにございます。恐らくこれは各企業のそれぞれの熱意、また防災に対する感覚の問題から発生してきているんではないかと理解いたします。非常に熱心なところは相当充実をされておりまするし、まあまあというようなところは比較的薄い、これはまあ事実でございます。したがいまして、今回の法案にございますように、共同的なものができることになりましたら、これは私は一つの前進ではなかろうか、かように理解いたしております。  なお、事務量がふえるという問題でございますが、常日ごろ相当臨海工業地帯に出向きまして消防なりに指導に努めておるわけでございます。そういう指導面については相当陣容も整えてまいらなければならぬ。元来消防というものは昔は火消しでよかった。だんだん世の中の進展とともに、先ほどの堀内先生のお言葉をかりて申しましても、相当高度の技術者をこれから養成ないしは招聘してまいらなければならぬ。防災あるいは公害、いずれも同じような形状でございますけれども、市のスタッフが数だけではなしにその質を改めていかなければならぬ、こういう意味でございます。  また相当資金的にということでございますが、これは私は主として防災緑地、遮断緑地について申し上げたいと思いますが、堺の場合は相当控え目にいたしまして、要所要所に緑地をとっていこう。大きなことを言っても始まらぬのでございますので、相当控え目に積算いたしましても六十六ヘクタール、これに対しまして約一千億円の資金が要る。しかもこの法律によりまして、国と企業側がそれぞれ三分の一を持ってあとは地元ということになりますと、残存三分の一を仮に府との間に折半いたしましても堺市だけで六分の一、一千億というところからいきましても百三十三億ぐらいのものが要る。先般赤字財政の問題でこちらへ参って申し上げたような市の実情でございますので、これは計画ができても全く及びもつかない段階でございます。また、地元の市民から見ますと、堺の地先を貸してやっているじゃないか、それに対してはなるほど固定資産税はいただいておるけれども、それとても臨海で特に大きな負担をしておられるわけでもないし、いわゆる税法の命ずる程度でいただいているのだから、金顔の多寡は別といたしましても、内陸地帯も臨海工業地帯もこれは同じじゃないか。しかもその後に残るのは公害なり防災の不安ということになるので、経済のあり方、国策に沿うてできた臨海とするならば、やはり国と企業の間で片づけてもらうのがあたりまえじゃないか、こういうような意見が出て、これは露骨な話でいけませんけれども、市中にはこの法律案をなにいたしましてそういう意見も相当強く出ておるというような状況でございます。

中山利生自由民主党

○中山(利)委員 どうもありがとうございました。

大西正男自由民主党

○大西委員長 和田貞夫君。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 お二方とも既存のコンビナートを持っておられるわけですが、先ほども言われておりましたように、既存のコンビナート事業所は本当に厄介者でありまして、この法律でこれという手当てができない、こういう事情にあるわけなんです。若干の意見はございましたけれども、ここでひとつ率直にこの法律を見て、既存のコンビナート地帯の事業所についてはかく規制すべきである、法の運用はかく運用するべきであるということを、ひとつ簡単にお二方から御意見を承りたい。

我堂武夫堺市長

○我堂参考人 規制の問題でありますが、規制の点につきましては相当考慮していただいておりますので喜んでおりますが、和田先生御承知のように、堺はもうこれ以上ふやさない、災害に通ずる企業あるいは公害に通ずる企業はもうこれ以上はふやさない。現にこちらの関係では、もうわれわれの方はタンクの容量だけでかれこれ六百万キロリットルに相当するだけのものを貯蔵いたしております。全域につきましては坪で申しまして約六百万坪ということになりますので、これを割り算いたしましたら一坪に一キロリットル、一キロリットルと申しますとドラムかん五本であります。一坪にドラムかん五本並べてちょうど臨界、これで大体いっぱいになっております。そういう面から見ましても、これ以上の増設ということについてはもう考える余地がない。この点市会も決議いたしておりますし、御承知のとおりであります。しかし規制につきましても、いろいろと国策の面から見て備蓄量云々というような措置もございますし、また企業側から見ましてうちだけは増設というような考え方もございますので、この法案における規制につきましては、いま少し強力なものにしていただいていいのじゃないか、私かように考えております。

井上文男川崎市消防局長

○井上(文)参考人 既存コンビナートに対します規制の遡及の問題でございますが、これは当時適法な形ででき上がったものでございますし、御案内のようにコンビナートそのもののメカニズムが非常に複雑かつ多様でございます。したがいまして今日、心情といたしましては大変大きなものを抱えて苦労しているわけでございますけれども、ああいうふうに一つのプラントとプラントがいわば数千本にわたるようなパイプで連結をされているというような実態からいたしまして、容易に移設はできないのではないだろうかというふうな気がいたします。まあ強いて申しますならば、せめて石油タンク等の間隔だけでももっと広げられないものだろうか。従前、保有空地という形でタンクとタンクの間につきましては、高さかあるいは直径の大きい方で計りましてそれをもたすのが原則でございますけれども、例外規定がございまして、その三分の一まで短縮することができるというような在来の規定であったわけでございますので、今日のように土地が非常に入手難になってまいりますと、どうしてももっぱらその特例適用が多いといいますよりも、大部分がそうなっているという実情でございます。そんな関係で、川崎市といたしましては現在さらに東京湾の方に埋め立て事業をやっておりますけれども、そういうタンクの間引きを前提にいたしまして新しい埋立地の土地の分譲をしようという計画がなされております。これを行政指導という形で果たしてどの程度押しつけていけるかという気がするわけでございますけれども、分譲契約の中でそういうことをうたい込んでおりますので、その点はある程度改善が可能だと思っております。そのほか既存のものにつきましては、いわゆる変更のときにはやはり網がかぶってまいりますし、さらには法案の第二十条におきましていろいろ特定防災設備それから防災資機材の整備等々が含まれておりますので、そんな関係から私どもといたしましては、在来よりも数歩前進したものだというふうに受け取っている次第でございます。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 既設の場合も、いま言われたように増設あるいは計画の変更がなされれば、事業所が主務大臣に届け出て、レイアウトするのは主務大臣がやるわけですね。それは何を基準にするかというと、それぞれの政令あるいは省令によってチェックしていく。地元の市や県は関係ないわけですね。しかし省令、政令とい、うのは全然出してこないのだから、省令、政令なしで審議やっておるわけですから、私たちもわからぬわけです。そこで、この省令、政令というものはむしろこの法案よりも大事な部分があるわけですね。その省令、政令はこの法の施行までにつくると言っておるのですから、法律ができて、今後特定地域の指定については市町村長の意見を聞く、こういうことを言うておるのだけれども、省令、政令をつくる過程については、市町村長の意見を聞くあるいは関係知事の意見を聞くということはうたわれていない。すでにできてしまうのですね。そこらが、川崎なら川崎としての歴史の中でつくられたコンビナート、堺は堺でそうである。各地皆それぞれさまざまなんですね。だから、この省令をつくるについて、特に基準面をうたう省令なり政令をつくるについては非常に関心を持たなくてはならないのですが、特にきょうは川崎の消防局長さんでございますので、その過程で消防庁なりあるいは主務官庁にぜひともという意見があったらひとつこの機会に聞かしておいていただきたいと思います。

井上文男川崎市消防局長

○井上(文)参考人 実は政府と申しますより直接的には消防庁と申し上げた方がいいかもしれませんが、在来、消防法の改正やらあるいは昭和三十四年にできました危険物の規制に関する政令等の制定に当たりましても、全国消防長会の中にそれぞれの担当部門がございまして、その辺の意見を大部分参酌をしてきていただいている経緯がございます。そんなことで、この機会でもございますが、あえて長官にお願い申し上げておきたいのは、やはり政省令をおつくりになる段階で、ぜひひとつ第一線で苦労しているあるいは担当している私どもの意見を聴取していただきたい、できるだけ尊重していただきたいということを実はお願いを申し上げたいと存じます。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 権限を地方に移譲されるわけですからね。非常にかっこうのいい話で、届け出だけは主務大臣が受けて、仕事はおまえらやれ、こういうことですからね。そこで、先ほどから両者の方が言われておりましたように、かなりの財源を負担せなければいかぬ。消防力の増強のためにも人、機材、あるいはたとえば緩衝地帯をつくるといっても自治体が負担せなければいかぬ。こんなものは、言われておったように大体原因者に負担さすべきであって、市町村は何も関係がない。ところがこれはやはり三分の一の負担というものが出てきておるわけですね。そういうことでかなりの財源——私は単に陸の面での消防機関充実だけじゃなくて、やっぱりコンビナートというのは、この間もこの委員会で論議したわけなんですが、海からの消火能力を持つ消防艇というのを配属されておらないコンビナートの方が多いわけなんです。国の方はこの間お聞きしたらわずか十一隻しかない。あとは全部港湾管理者なりあるいは消防機関が持っているわけです。そういうものさえも持てないような消防圏が非常に多いわけです。そういうことを計算していったら、この法の施行についてはかなり財源の負担になっていく。したがいまして、今日の自治体の財政の窮状の中で、この法の施行に当たってはやはりかなりの窮屈な思いの中でこの法令に従った消防施設の充実なんかやっていかなければいかぬ、財政力の乏しい中で財源をその方に市が支出しなければいかぬ、こういうことになってくるわけなんですから、この点についてひとつ両者の方から、財源難の中でこの法案の施行についてはこうやってほしい、かくあるべきである、こういうような御意見がございましたら、この機会にひとつ意見を聞かせてもらいたい、こういうふうに思います。

我堂武夫堺市長

○我堂参考人 財源問題でございますが、これにつきましては先ほど緑地に関連して御説明いたしました。これからこの法案がなくても、われわれの方は消防力の増強、先ほど申しましたように七百十一名の職員を抱えて、職員の専門化とやはり同じように、それ以上の能力を持った技術者を教育してまいらなければならぬ。今日でさえも消防の予算は大体三十億年間かけております。したがいまして、これにつきましてはおっしゃること、われわれの申し上げたいところでございますが、具体的にいまのところどういう面でどうこうせいということを、ふだん消防には苦労をかけますので私はお話をする点は持っておりませんけれども、要は、とにかくこれがなくてもあっても消防につきましては相当の出費がかさんでまいる。昭和四十六年から五カ年計画で防災関係の消防施設を強化いたしましたけれども、これも金額的には四億足らずのあれで、しかも臨海の造成者である大阪府から約半分をちょうだいいたしてやったということでございますので、消防機材、機器、消防車という点につきましても従来以上の御配意をいただきたい、かようにいま考えております。

井上文男川崎市消防局長

○井上(文)参考人 今日もう先生方が十二分に御承知のように、まことに地方財政が逼迫している段階でございまして、特に、この危険物行政と申しますのは元来が国家事務でございまして、いわゆる市町村への機関委任であるというふうにされております。その中で私どもはできるだけ保安面に力を注ごうということで、現在五十一人の理工系の技術職員を抱えております。これはほとんどコンビナート向け対策でございます。さらには本年さらに三十人ほどやはり理工系の者を増員いたしました。その中には先ほど堀内先生からお話ございましたように、横浜国大の安全工学を専攻した者も含まれておりますが、そういうふうに精いっぱい現地におきましては努力しておりますが、一面、これも川崎市の場合でございますが、いわゆる消防許可手数料というのは年間一千五百万しか入ってこないわけであります。これをもってこういうような人員あるいはその他、先ほど消防艇の問題もお話ございましたが、川崎市では五十トン級のものを三艇持っております。そういうものの維持管理等々から申しますと、ざっと私の方で試算をいたしましたところが、少なく見積もっても十二億ほどの投資をしてまいってきているわけであります。  そういう意味で、特にいままではよかったのでございますけれども、まことに今日のような地方財政の状況になってまいりますと、ぜひひとつできますならば特別交付税等で何とかその辺の実態に見合うような考慮をお願いいたしたい、こういうふうに考えております。

和田貞夫日本社会党

○和田(貞)委員 ありがとうございました。  ひとつ両者の皆さん、法の施行までに関係消防機関の長の会議を開いたり、あるいは市長会議を開いてもらって、政令なりあるいは財源なり遠慮なさらないでひとつ自治省の方に言うてもらって、また私たちの方にもそういう意見を聞かしていただきたい、このことをつけ加えて質問を終わります。

大西正男自由民主党

○大西委員長 林百郎君。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 我堂市長さん、それから井上さんとも現場でそれぞれ直接コンビナート災害に取り組んでおられるわけですが、我堂市長さんが切々として訴えられたのは、財政的な援助をぜひしてもらいたい、それが裏づけられなくては市長としての良心的なコンビナート災害の防止あるいはその原因の規制もできないのでというお話がございまして、まことにごもっともだと思うのですが、財政的な援助を強化してもらいたいという主な要因はどんなものであるかをお聞かせ願いたいと思います。  それから、井上消防局長には、私もお伺いしてお聞きしたこともあるのですが、たとえばいま川崎市の消防署員が千二百五十六人ですか、これは消防庁で示しておる基準に比べて何%になるのか。それから、防災に備えるための、たとえば近代的な化学車、あるいは装甲化学車、あるいは工作車というのがあるのですが、いま国の補助が約二分の一から三分の一になっているわけですが、この国で決めてくる補助の基準になる単価が実情に合わないという声をお聞きしておるわけなんですが、その辺も、ちょうどきょう消防庁もおいでになるからよく聞かせておく必要があると思いますので、実情をひとつ知らせていただきたいと思うのです。そういうものがなくて、ただ法律をつくったって、それは絵にかいたもちになってしまう危険がありますから、ひとつ聞かせていただきたいと思います。

我堂武夫堺市長

○我堂参考人 財政上の問題をありのままに申し上げましたが、冒頭述べましたように、堺は五署から成り立っておりまして、それに出張所が十カ所、職員七百十一名、ポンプ車四十台、重化学車十六台、化学車二台、はしご車六台、救急車十一台、消防艇一隻、先ほどの川崎市のお話よりも非常に劣っております。精いっぱい努力して、しかも大阪府から臨海の関係もあるのでということで援助も受けて、ようやくこれだけの車両、機材の整備をやったのでございますが、これで管下八十万の人口を守ってまいらなければならぬ。それに臨海という大きなものがプラスされておりますので、まず何よりも消防力の強化ということについては、先ほど川崎市さんも申しましたように、何らかの考慮を払っていただきたい。  もう一点は、との法律に防災緑地と申しますか緩衝緑地のなにがございますので、これは私、選挙のときに公約はいたしておりませんけれども、最大限、できたならば、国道二十六号線以西というものを緑化すべきであるというふうな考えも持っております。いまでもその考えは捨てておりません。これを全部それで実現していくとなれば、これは先ほど川崎一兆円というようなお話もございましたし、恐らくそれに匹敵するぐらいのことになろうかと思いますけれども、ただ、この法律案が成立してそういう事業を進めるのに非常に可能性を見出せるようになりましたので、たとえいささかながらでも、要所要所にはやはりそういう緩衝的なものをつくってみたい。その結果、これは先ほど堀内先生から、公園ばかりでもいけないのではないかということがございましたけれども、都市公園といたしまして約六十六ヘクタールというものが最小限要るのではないか。経費はというと、先ほど申しましたように、約一千億ということです。それにしても、いまの堺の財政力から見ましてかけがえもない数字になりますので、私はぜひひとつこの緩衝緑地というものをたとえ一部分なりとも漸を追ってやってまいりたいと思いますけれども、ちょっといまの堺から見たら高ねの花というような感がしてならぬ。  それで、先ほど露骨な話でございましたけれども、経済というものは大体国策に沿うてなされておるんやから、国と、それと実際それによって利潤を上げて生活しておられる企業側からひとつそういうものをでかすようにしていただければこれは一番幸せやし、堺市の市民感情にも合うものであろうということで、先ほど私は非常に露骨な話を申し上げた次第でございます。

井上文男川崎市消防局長

○井上(文)参考人 最初に新しい消防力の基準と川崎市の現在の消防力の比較を申し上げたいと思いますけれども、人員におきましては五三・四%の充足率でございます。それから、機械、主としまして消防車、これは化学車、はしご車、工作車、消防艇等々を含みましてのトータルでございますけれども、七六・四%の充足率でございます。  それから第二点目は、国の補助単価が非常に少ないのではないかという御質問でございますけれども、昨年の比較におきましては実勢単価よりも一〇%ほど基準額が下回っているという実情でございまして、いろいろいままでもそういう点で国の方にもお願いを申し上げ、実情を申し述べてまいった関係で、五十年度におきましては実勢単価にするというお約束をちょうだいしております。そんな意味で、ことしは非常に期待をいたしているわけでございます。そんな実情でございます。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 消防庁や大蔵省にはまた改めて御期待に沿うかどうか確かめてみたいと思います。  この基準の人員の五十何%、千二百五十六人なんですが、それはどうしてそういうことになるわけなんでしょうか。基準だけの消防人員を確保することができないというのは、財政的な理由からなんですか、それとも何か他の理由があるわけなんでしょうか。

井上文男川崎市消防局長

○井上(文)参考人 これは一つの消防力の基準ということで、その都市の形態なり、いろいろそういうファクターをもとにいたしましてそこの都市の所要基準人員というものは出てまいるわけでございますけれども、これを充足できない大きなネックと申しますのは、御指摘のとおり、一に財政問題でございます。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 堺の市長さん、先ほどコンビナート災害発生の原因を究明して、それに正しい規制を加える必要があるのじゃないかというようなことが御意見の中にあったと思うのですが、御記憶でしょうか。それはどういうことなんでしょうか。コンビナート災害発生の原因あるいは原因たり得るものがまだ究明されておらない、だからそういうものを十分明らかにして適切な対処をする必要があるんだ、これは既設のコンビナートでございますけれども、そういう意味でしょうか。ちょっとそこのところがわからなかったのですけれども。

我堂武夫堺市長

○我堂参考人 いまの災害の事故ですが、過去に私どもの方は幸いに大きなものはございませんけれども、その原因をいろいろと報告を聞きました場合に、工場側の問題もさることながら、個人個人のミスといいますか、そういうものも相当あるのですね。だから冒頭陳述の最後にもちょっと申し上げましたが、どうしてそういうことになるかというとやはり企業側で総合性に欠けておるということですね。現にこの間も、ある石油精製会社におきまして事故が頻発いたしますので、私は、ただ出先の工場だけじゃいかぬじゃないかと厳しく会社等に警告を加えました。工場自体はやはりノルマといいますか、あるいは利潤が第一義となって、真に広い目でもって見ることのできない人たちが多いから、私は、いろいろなそういう人の問題も含めてよく検討せいということで、本社直轄の機構を一つつくらしたのでございますが、たまたまそれをやり出しておる過程におきまして、定期点検と申しますか、一年間に一カ月操業を停止して全面点検を行うことになっております。その時期に入りまして、いよいよその作業が終わって、これから約一週間の間は油を通しながら試運転と申しますか、総点検の結果を見てみる非常にデリケートな段階であります。航空機で申しますと離陸の状態でございます。最も事故の生じやすい時期でございますので、私もその期間中にはみずから現場へ出向いてという用意をいたしておりましたところが、ちょうどその期間に入って二、三日いたしまして事故だというのです。ところが、その原因を伺いましたときに、溶接の作業中の火花がガスに引火したということです。会社自体がそれほどデリケートな時期に、職員一同が緊張をしてもらっておらなければならない時期に、火花が散ってガスに引火するということは何事だと私も頭にきました。溶接に火花が散らぬということはございませんので、それならガスをしさいに点検をして、そのおそれがないと確認してから溶接作業に入るべきじゃないかと強く私は警告をしたのでございます。さようなことで、その原因たるや実に多種多様でございますので、その会社自体には職員の教育に専念しろ、それ一本やりでもいいからというぐらいの強い姿勢でもって申し渡しいたしておりますけれども、事故は、どういう小さいものでも大きいものにつながるのでございますので、そういうものも含んでよく考慮していかなければならないのじゃないかというような考え方をしょっちゅう持っております。原因についてはやはり多種多様なものがある。住民にむだな不安感を与えぬように、企業側と職員側との間のそういう意見の——意見といいますか、いわゆる指示が徹底しないということはすべてに悪い影響を及ぼしてくる。これは常々私は企業に対してやかましく言っておりますので、そういうことも含めましてそういう表現をいたしました。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 わかりました。それに関連して川崎の消防局長の井上さんにお尋ねしたいのです。  先ほどお話がございました、そういういま我堂さんのおっしゃるような非常にささいな化学的、物理的原因が大きな災害の原因になるということで、高度の技術性を身につけた者を職員としても雇わなければならない。先ほどのお話ですと、何か大学出の者をことし三十名だか採用されたという話です。横浜大学には特にそういう防災関係の科目があって、そこで特殊な教育をしているらしいのですけれども、そういう高級な技術者を市自体が、いかに政令都市とはいえ、雇っていくということになりますと、しかもそれが国の機関事務だということになりますと、そういうものの人件費が当然増高していくということにならざるを得ないわけなんでしょうね。その点はどうでしょうか。

井上文男川崎市消防局長

○井上(文)参考人 これは、人件費の増高は定期昇給もございますし、毎年毎年増高することにはなります。そういう意味で私どもは、非常に逼迫した財政の中ですけれども、比較的市長の方で御理解を賜わりまして、本年度は市庁部におきましては欠員補充すらしないという段階で七十五名ほどのそういう増員を大卒を含めましていたしてございます。そういうように年々努力はしておりますけれども、なかなかそれに伴う財政的な裏づけがない。これは一種の固定財源もないというような非常につらい消防財政の関係でございますが、もっぱら市長の理解に頼ってそういう努力を続けておるというのが私のいまの立場でございます。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 あと二点ほど聞きたいのです。  一線の防災の行政事務を直接担当しておるあなたとしては、対象物による管轄が自治省の消防の範囲になったりあるいはそれが通産省になったりあるいは運輸省になったりするというようなことから、一貫した防災の規制を行うことに困難を覚えるというような、そういう側面はないのでしょうか。何か消防なら消防と、防災に関する権限は対象物のいかんにかかわらず一元して、そこで対象が何であろうと消防がとにかく第一線の責任者になるということで権限をそこへ集中するなら集中すると、それは市や県の行政的ないろいろの協議はすることにしても、そういう形の防災行政の一本化というのですか、そういうことを必要とお感じになりませんか、どうですか。一線のあなたとしての苦衷のほどを知らせていただきたい。

井上文男川崎市消防局長

○井上(文)参考人 これは先ほど冒頭で陳述申し上げましたように、いわゆる防災の一元化ということは、もう私ども長い間の願望でございました。それで、今度の新しい法律におきましても、そういうことがどの程度取り入れられているかということで、やや残念な気がしないでもなかったわけでございますけれども、いわゆる装置産業におきましては、危険物、それから高圧ガス、さらには労働安全衛生に基づくところの内圧容器というのがございまして、これらが非常に渾然一体となって装置ができ上がっておるわけでございまして、元来どこからどこまでが高圧ガスの部門で、どこからどこまでが危険物で、あるいはどこからどこまでが労働省所管の内圧容器かというような区分けは実は非常にしにくいのがプラントの実態でございます。  その中で、法体系が、その三法がばらばらで規制を行う。これは企業自体でも、いわゆる許認可の問題では、三つの官庁にいろいろと出さなければいけないわけですから、大変苦労もいたしておりますし、私どもにとりましては、先ほど申し上げましたように、いわゆる立入検査あるいは査察と申しておりますけれども、これのために現在、日本で初めてでございますけれども、特別査察車というものをつくってございまして、あらゆる測定器具を積載しております。またその人員も確保しているわけでございますが、ある例で申しますと、高圧ガス関係の部門につきましては、そういうような測定器具をもっていたしましても、当初の設計図等がございません。そういう意味で、個々の肉厚がどのくらい摩耗したならばこれはだめなんだという判定が非常に困難になってきております。ただし、危険物関係につきましては、これはもう当初から、そういう設計図から持っております関係で、どのくらいの肉厚があればいいか、あるいは損耗の度合いはどこまで許容できるかということがはっきり判定ができるわけでございますけれども、そういう意味で、他の官庁に属することにつきましては、やや概観的な検査に終わらざるを得ない。  そういうようなことから、あるいは万一トラブルが起きますと、当初から終末処理まで全部消防が担当をしなければいけないわけでございます。そういう意味で、われわれが苦労してやるならば、ぜひ消防に全部任せてほしいというのが、私どもの長い間の念願であったわけでございます。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 実はおたくの案内で浮島町を見せていただいたんですが、ここはこの図面で見ただけでも、何十という企業がそれぞれプラントを持って、それがまた何百かしらないパイプでつなが  っていて、それで一方では石油があり、さらに一方では石油の製品があり、一方では高圧ガスがありというような形で、それがパイプで相互につながっているわけですね。こういうものを、あなたのおっしゃるように、初めから終わりまで消防に責任を負えと言うならば、これらの企業のあらゆる部門に消防の行政が権限を持つようにしなければ、あんなパイプが複雑に入りまじったものの中で、しかもこの会社のこの製品のこの部分は通産省で、この部分は厚生省で、この部分は労働省でというようなことになりますと、とても防災なんということはできないと私は思うのですが、私は浮島で、ことに東亜燃料工業を中心として見せていただいたんですけれども、その辺のことはどういうようにお考えでしょうか。これは既存のコンビナートについて申し上げるわけです。新しいものについては今度の法律である程度の規制はするでしょうけれども、しかしいま国民が重大な関心を持っているのは、既存のコンビナートから事故を起こさないようにするというのが、国民の第一の念願ですから、その辺の御苦心のほどを聞いておきたいと思います。

井上文男川崎市消防局長

○井上(文)参考人 たまたま私が申し上げたいことを御質問者から御指摘いただきましたが、全くそのとおりでございます。  特に今日石油精製というのはもはや定型化したものでございまして、そのトラブルの原因につきましても非常に単純なものに限られておりますけれども、川崎の場合にはいわゆる本当のコンビナートでございまして、石油化学産業というものが大部分を占めております。これは御承知のとおりに粗製ガソリンでございますナフサというものを原料にいたしまして、そして高圧をかけましてガスに分解をしていく。そしてエチレンを初めプロピレン、ブタジエン、プロパン、いろいろなものが出てくるわけでございますけれども、そういうプロセスが非常に複雑になっておりまして、御指摘がございましたように、どこからどこまでがどの法だというようなことの判別がなかなかできないというむずかしさがございます。  そういう意味で、先ほど繰り返して恐縮でございますけれども、いっそのこと全部消防にゆだねていただきたい、こういうふうに申し上げた次第でございます。

林百郎日本共産党・革新共同

○林(百)委員 終わります。

大西正男自由民主党

○大西委員長 小川新一郎君。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 参考人におかれては、大変長い時間御苦労さまでございます。簡単でございますので、二、三問お願いします。  我堂市長さんには大変御苦労さまでございますが、市長の責任において、本法案に対しては通した方がよろしいのか、それとも不満足だからこれはやめてくれというお考えを持っていらっしゃるのか、まずその点、根本的な問題をお聞きして、次に、ぎりぎり最低必要限度こういうものを入れてくれということは、先ほどからお話がありましたので、私もよく存じておりますが、この際ございましたら二点でも三点でも御発言いただきたいと思います。  また、健康など住民福祉の面や財政面における、主として巨大コンビナートのメリット、デメリットをどのように考えていらっしゃるのか、市としては市民相談室などというものがあって、市長との対話の場が必ずどこの市にも設けられておりますが、コンビナートに対する苦情はどのくらいおありになるのか、しかし一面また、その当該市町村の住民の方々の職場、そのコンビナートに職を得ている立場にあって、そういう面で住民としては余り市には苦情が言えないんだというような市民感情という問題については、私は埼玉県でそういうコンビナートを持っておりませんところでよくわかりませんが、非常に切実なる問題、生活権また保安に対する不満、こういった相矛盾した問題等をお抱えになって、これは大変だと思いますので、その辺の御苦労等ございましたら、お聞かせいただきたいと思うのでございます。  人員や機構、先ほどからいろいろと学者の先生方からもお話がありましたように、こうあらねばならないというお話でございますけれども、川崎の消防責任者の方、井上さんもおっしゃっているとおり、現場というものは、机上のいろいろな空理空論や私たちがこの場で議論している問題にはない、人間と人間の対話の中でこういった問題を処理しなければならぬ、その御苦衷というものを感じております。  そういう中から、私たちも参考人の御意見を消化していきたいと思っております。堺市では緑地を整備するのに、先ほどお話がありましたように、相当多額な金が要る、川崎では約九千億、土地の問題、交換や土地の再整備、都市計画の問題等々ありますので、この一千五百万円の手数料に対して十二億の投資をしているという川崎の例をいま聞きましたけれども、その市に対するメリットが、そういった財政だけで判断するような簡単なことで基準を設けるということはいけないと思いますけれども、そういった国の大きな産業という犠牲の上に立った公共団体や現場の方々の苦労がこの法案の中に盛り込まれてこそ初めて、政治は生きていくものであると自覚しておりますので、どうぞまずその点、堺市長さんからお願いしたいと思います。

我堂武夫堺市長

○我堂参考人 まず第一に、この法案を成立させるのがいいのか、そうでないのかという御質問でございますが、実は市長会に港湾都市協議会というものがございます。その協議会におきましてこの問題を討議をいたしております。私、たまたま最終は時間の都合上出ていないのでございますが、その結論は、とにかくこの法案は一歩前進をしたものと思うという評価の上に立って、早く成立をするようにお願いをする、第二点は、先ほど来るる申しておりますように、財政的な援助を強化していただきたい、この二点が結論になっています。また、私個人といたしましても堺市といたしましても、これは冒頭陳述いたしましたようにぜひ通していただきたい。それは財政的に見て不可能なようなことでございますけれども、私のかねての念願であります緩衝緑地帯の設定という可能性もこれによって出てこようと思いますので、一日も早く成立をさせていただきたい、かように私は考えております。  それから第二点は、コンビナートのあることによって堺市としてメリット、デメリットということをどう考えているか。私はこれは功罪相半ばしておるのではないか、こう考えます。また、住民の市民感情から見ますると、おっしゃるように国家的な産業の余波を食って迷惑至極である、これは確かにございます。ございまするけれども、端的にその苦情ということになりますと、これは勢い公害の問題ないしは災害発生時に対する不安感、こういうものがほとんどでありまして、企業の存立についてどうこうという、そういう掘り下げた意見というものはございません。だから、私は公害をできるだけ抑えてまいり、災害に対する不安感というものを除くことが市長としての第一義であろうと考えております。特に災害の関係につきましては、私は緑地の設定によりまして相当市民的な感情というものは緩和されてまいるのではなかろうか、またこれこそ一番よい方法ではなかろうか、かように理解いたしておりますので、よろしくお願いいたします。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 先ほどの指定地域に対するいろいろな立入検査またはそういった権限の強化をするところの人員、機構という問題が、堺市だけの単位ではなかなか財政的、人材の面いろいろな面で御苦労のお話を聞いておりますが、こういう問題はやはり市町村単位から県の段階に押し上げて、その県の段階で当該公共団体の抱えておる問題の対処にすべきであるという御意見もございますが、堺市といたしましては、政令指定の都市としてもそういうことは自分のところで賄えるというだけのお力が、私たちはあると思っておりますが、その辺は、率直な御意見、いかがでございましょう。

我堂武夫堺市長

○我堂参考人 その力は完全にただいまの状態ではございません。特に申し上げたいのは、堺の場合は御承知のように大阪府が埋め立てをやり、そしてその上にレイアウトをされた、いわば府営の臨海工業地帯でございます。それだけに大阪府の関心というものは公害問題ないしは防災問題については私は相当強いものがあると期待いたしておりまするし、またさようにあるようでございます。したがいまして、防災に関する先ほど来から一元化のお話が出ておりまするけれども、私は府単位でやっていただきまして、そして地元の特性と申しますか、特殊事情はそれに対して強力に反映をしてまいるというふうに考えまするし、またこの法案の起草に当たられた消防庁もさようなお考えではなかろうかと考えております。一元化できればそれにこしたことはないのでございまするけれども、こういういろいろと沿革的に、歴史に基づいて今日の状態になっておりますので、いささかでも簡素化できるという点で、私はそれでよいのではないか、かようにも考えております。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 これは川崎市消防局長にお尋ねしますが、堺市長さんもおっしゃっておりますように、公設消防と自衛消防との不均衡の是正ということを先ほど市長さん申されておりました。その点はどのようにお考えになっていらっしゃるか、まず第一点。  次に、本法の第五条の第一種事業所は石油タンクと高圧ガスが併存した場合のみに限定されております。石油タンクのみの基地や高圧ガスのみの基地は、従来どおりそれぞれ石油は消防庁、これは市町村、県、高圧ガスは通産省、都道府県知事でございますが、せっかく今回前向きのコンビナート防災法を作成するのであれば、第五条の第一種事業所の括弧書きを削除して、石油タンクのみのものへも、高圧ガスのみのものへも本法案を適用すべきであると思っておりますが、現場を担当していらっしゃる局長さんのお考えはいかがでございましょう。それが一つでございます。  その際、本法案の第一種事業所、高圧ガスのみの基地にも適用する場合、現在の消防担当者にも相当高度な科学的知識や技術が要求されると思いますが、高圧ガスの防災行政を引き受けるだけの受け入れ体制が先ほどかちのお話では危ぶまれておりますが、現在できていらっしゃるのかどうか。  この二点についてお尋ねして終わらしていただきます。

井上文男川崎市消防局長

○井上(文)参考人 第一点は公設消防と自衛消防隊との格差ということでございますが、公設消防の力につきましては先ほど申し上げましたような人員、機材の関係でございまして、自衛消防につきましては、私どもがかねてから、もうすでにこういう法律が、あるいは危険物関係の政令が整備されます以前から強く企業に対しまして自衛消防組織というものの強化を行政指導をしてまいりました関係で、今日では消防法十四条の三によりますところのいわゆる義務設置自衛消防組織の約一八〇%ぐらい、いわゆる任意に設置された企業があるわけであります。したがいまして、八割増しぐらいの強化ぶりであるということが申し上げられると思います。  それから、新しい法案によりますと石油と高圧ガスが単体の場合にはこの法律が適用できないのではないかという御指摘のようでございますけれども、これはこの地域指定によりますと、「石油コンビナート等特別防災区域」という区域の中に入りますれば、石油だけでも、高圧ガスのみの事業所でも、この法律は適用されるものと私は解釈いたします。  それから第三点目は、仮に高圧ガス行政が市の方に移ってきた場合に、それをこなし得る行政能力は持っているのかどうかという御質問でございますけれども、私は、少なくとも政令指定都市におきましては、そのぐらいの能力は十二分にあるというふうに考えております。具体的に申しますと、神奈川県におきましては、現在高圧ガス関係の技術者が十人程度でございますけれども、これらに相当する陣容は、川崎市の消防局におきましてももう十二分に対応できるような中身になっておりますので、そういう意味で先ほど陳述申し上げましたとおりに、せめて政令指定市だけにつきましては、ぜひひとつ「都道府県知事」とありますのを政令指定市の当該市長というふうに読みかえをさせていただけないだろうか、こういう御要望を申し上げた次第でございます。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 最後に、この前川崎市に参りましたときに、御市においての不等沈下の問題等がございましたが、その後の状況で一点だけお尋ねしたいのでございますが、企業が消防局及び市の勧告に従って、不等沈下の問題であるとか、現行法の中でいろいろと改善すべき問題の指摘があった点を大分お聞かせいただきましたが、その改善状況や企業の態度、またそれに対してまだまだ所期の目的がこの程度では達せられないという御不満等ございますかどうか、その点をお聞かせいただきたいと思います。

井上文男川崎市消防局長

○井上(文)参考人 三月にお見えになりましたときには、いわゆる一万キロ以上のタンクにつきましての不等沈下状況等御説明を申し上げ、なお行政としての措置等も申し上げてまいったわけでございますけれども、さらに、その後私どもにおきましては五千キロリットルまでずっとランクを下げてまいりまして、先月末に全部検査を終わりました。不等沈下タンクがさらに五十四基ほど発見されております。いわゆる〇・五%以上のタンクということでございますが、これにつきましてはすべて修正の命令等を下してございますし、逐次進んでおります。ただし、問題はこれは企業といいますよりも、そういうものの修正をする業者そのものが非常に今日少ないということでございます。たとえば、タンクのクリーニングをする業者が少ない。それからそれを測定する業者が全国的に少ない。そういうことで一つの工程表をつくらせて、計画書を出させておりますけれども、何分にもこうして全国的にこういうような仕事が一挙にふえるとは予想もしなかった関係もございましょうし、そういう意味で、改修なりいわゆる底板のいろいろな測定をする業者というものが非常に限られている。これは全国的にそういう作業を進めているわけでございますので、したがいまして現在そういう業者が引っ張りだこである。そんな関係で、ちょっと工程的にはおくれざるを得ないというのが現況でございますが、少なくとも当夜の目的どおりには進ませているつもりでございます。

小川新一郎公明党

○小川(新)委員 どうもありがとうございました。

大西正男自由民主党

○大西委員長 折小野良一君。

折小野良一民社党

○折小野委員 最初に我堂参考人にお伺いいたします。  先ほどの御説明の中で、堺市におきましてはいろいろとコンビナートの防災関係について調査研究を進めておる、こういうようなお話がございました。大変結構なことだと思うのでございますが、こういうような調査研究が具体的にどういう成果を上げておるのかということについてお伺いをしたいわけであります。たとえば、その研究調査の結果一つの方策でまとまった、それに対して企業が積極的にそれを取り入れて、やってくれた、そういう面の具体的な成果が上がっておりますかどうか。それからまた、研究調査の組織と申しますか、その中に企業関係の人が入っておるのかどうか、そういう点をお伺いいたしたいと思います。

我堂武夫堺市長

○我堂参考人 その点は、これができましてからまだ日は浅いのでございまするけれども、まず構成員から申しますが、大体企業のその方面の関係者、これは技術屋でございます。その技術屋さんを集めまして、それと他に学識経験者、これは臨海外からでございますが、そういうことで構成をいたしております。  ただいまのところ、具体的な成果ということはまだ申し上げる材料は持ちませんけれども、寄り寄り、他に災害が起こるとか、あるいは重油の流出事故が起こるとかいうことを中心にいたしまして、それぞれ自分の企業の場合はということでお互いに研修をしております。そして、そこで決まったことは自社に持ち帰ってそれを守っていこう、こういう仕組みでやっております。御質問のように、まだ日も浅うございまするし、実際かくかくこうだったというところまではいっておりませんので、御了承いただきたいと思います。

折小野良一民社党

○折小野委員 それからさらに、御意見の中で、自衛消防について不均衡是正に努めておる、こういうお話がございました。自衛消防の充実を図っていくことも非常に大切なことでございますし、またそれぞれの企業が均衡のとれた体制を保持していくということも非常に大切なことだと思いますが、堺市の場合に、コンビナート全体としての防災体制というのができておりますかどうか、あるいは市の消防と自衛消防との間の連携協調と申しますか、そういう面が十分にできておりますかどうか、市長さんとしての御所見をちょっとお伺いをいたしたいと思います。

我堂武夫堺市長

○我堂参考人 企業は企業として自衛消防隊を持っております。これにつきましては、先ほど御質問ございましたように、必ずしも同じ程度のものを持っておるというわけにもまいりません。この問題に対する熱意のいかんによって、ずいぶんと強化しておるところもあるし、比較的さようでないというところもございます。それは常に一番いいところになびくように指導はいたしておりますけれども、それぞれ各社の事情によりまして、そうも一遍には成りがたいというところでございます。  それから、公設消防との間の関係でございますが、いわば臨海防災に関する限り、私の方は高石市との組合消防でございますが、この組合消防の傘下にあって、その指揮を仰ぐというような体制になっております。現に演習になりましても、新年の場合におきましても、組合の消防とそれから各社の自衛消防と渾然一体となってこれに当たっておる、こういうようなところから考えて、御質問のその連携は私は順調に保たれておるというふうに見ております。

折小野良一民社党

○折小野委員 それでは次に井上参考人にお伺いをいたします。  先ほど来、防災体制の一元化という問題が盛んに出てまいっております。そしてその御答弁の中で、少なくも政令指定都市あるいは川崎市ということでございましょうが、行政能力の面においても十分その責めにたえ得る、こういう御見解の表明がございました。そしてまた私どもも一元化というのはその行政効果を上げる上からも必要なことだというふうに考えております。しかし現在の体制からいたしますと、なかなかそれがいま直ちに実現するとは言えない、こういう面も考えられるわけでございますが、現在予想される体制の中において、現在のような一元化されないこういう状態というのが防災活動において、特に現場の活動の責任を持っておられる立場として非常に大きな支障になっておるのかどうか、その辺をちょっとお聞かせいただきたいと思うのです。

井上文男川崎市消防局長

○井上(文)参考人 実は神奈川県におきましてはコンビナート連絡協議会というものをつくってございまして、県が音頭をとりまして消防機関と県におきます、県の工業保安課でございますけれども、高圧ガス事務との間でできるだけ意思の疎通を図って今日まで参ってきております。そういう意味で極端なあれというような例はいままでございませんでしたが、中には一緒に立入検査をするというようなことまでやってまいっております関係で、極端な例はございませんけれども、先ほど申し上げましたように、何分にも神奈川県一円の高圧ガス取り締まり行政をやりますのに、職員がたかだか十人しかいないというようなこと、そういうようなことから十分な立入検査というものが実はできないというのが実情でございます。そういう意味で比較的そういう人間を確保しております消防機関にこれをゆだねていただきますと、少なくとも川崎市におきましては一事業所当たり年三回以上の立入検査は必ず実施しておるはずでございますし、かつまた、その機会に高圧ガス関係でのいろいろな不適当な個所の指摘も可能になるであろう、こういうことを申し上げまして、できるだけ一元化をしたいというのが実情でございますし、かつまた、いままでのコンビナート事故におきましても、その大部分が実は高圧ガス関係から発生しているのが川崎の実態でございます。そういうことからいたしましても、やはり高圧ガス関係については消防を当然関与させてしかるべきではないだろうか、こういうことで一元化ということを申し上げている次第でございます。

折小野良一民社党

○折小野委員 いま具体的におっしゃったような問題につきまして、県は県だ、市は市だというようなことになってまいりますと、実際問題として対策ができないあるいはそれが事故の原因にもつながるというようなことになっております。実態は、お互いに県とその中における市との関係ということでもございますので、もちろんその面の改善を強く要求することはするといたしまして、現実の問題としてはそこを何とか協力をしてあるいは力の不足の面はカバーし合って効果を上げていく、こういうことはできるのでございますか。

井上文男川崎市消防局長

○井上(文)参考人 ちょっといま条文は忘れましたけれども、新しいこの法案によりますと、いわゆる高圧ガスで許可したものについては市町村長にそれを通報する、危険物関係についての許可の内容については都道府県知事に通報するという一つのはっきりした法的なパイプがそこでつくられたということで、まずその辺での前進が期待できるのじゃないかというふうに考えております。  一面、先ほど堺の市長さんから申し上げられましたが、これらに伴う実は事務量が結構なものになるような気がいたしまして、私どもでちょっとそういう件数等を当たりまして試算いたしましたところが、そのための事務の何と申しますか、許可関係書類の送付なりあるいは受理なりというものについては、川崎の場合には五人ほどどうしても必要になるのじゃないか、実はかように考えております。

折小野良一民社党

○折小野委員 最後にちょっとお伺いをいたします。  川崎市におきましてはいわゆる地盤の隆起現象、これをもとにいたしまして直下型地震が来るとか来ないとか、こういうような問題があったわけでございます。そのことは一応別といたしまして、いずれにいたしましても、あるいは来るかもしれない地震に対する対策、特にコンビナート地域における防災対策、こういうものは基本的にやっていかなければならないということだと思っております。特に昨年の水島の事故以来、石油タンクの地盤の問題、そういうようなものからいろいろと問題になってきておりますし、地盤沈下対策といいますか、そういう面につきましてはいろいろな配慮がなされておるというふうに考えておりますが、いわゆる地震対策全般について大分対策は進んでおるというふうに聞いておりますが、しかしこれにつきましてはこれでいいということはなかなかなかろうと思っております。しかし最近のいろいろな情勢から、特に精力的にそういう面につきましては努力しておいでになるというふうに承知をいたしておりますが、それの進捗状況と申しますか、そういう面について大体のお話をいただければありがたいと思っております。

井上文男川崎市消防局長

○井上(文)参考人 実は昨年暮れにああして地震予知連絡会からいろいろ地震の可能性と申しますか、そういうものの指摘がされました。ただ、いろいろと巷間、マスコミ等で報道されましたのとはいささか実は内容が異質のものではないかということで、七月号の文芸春秋あたりでもその真相なるものが出ておりますけれども、十二月に地震予知連絡会が正式発表をやっておりますのは、いわゆる地盤隆起の異常現象が認められたので観測を強化しようということであったのでございます。それがいろいろと、御案内のように地震予知連絡会は各層あるいは各官庁の寄り合い世帯的な関係で二十九人の委員さんから成っているわけでございますけれども、その中でも非常にそれを積極的に支持される方と、それだけではまだ地震が来るか来ないかわからないという消極的な先生がいらっしゃいました。ただ非常に積極的な方々の談話等が出ましたためにああいうふうな記事になったのではないかという気がするわけでございますが、その後科学技術庁におきましても昨日九百メートルの井戸の掘削の起工式をやりました。これには微小地震計をその九百メートルの地下に置きまして、大体十万倍程度の増幅ができるようになっているそうでございますが、そういうことで川崎市のいわゆる地震の前駆症状とも言うべき微動をキャッチしようという事業が着々と進んでおります。そのほかにも定点的な地震観測網につきましては五、六点ございますし、あるいはレーザー光線によるところの三角測量等もあわせてやっておりまして、現在のところ地下水の上昇に伴う隆起ではないかというふうに実は考えられているようでございますが、これとても先般萩原地震予知連絡会の会長が申しましたように、まだ何とも結論がつきかねるというのが現実でございまして、ことしの秋ごろにはある程度の確定的な答えが出るのではなかろうかということでございます。しかし、私どもはそれはそれといたしましても、すでにもう亡くなりましたが、河角先生あたりがいわゆる地震の六十九年周期説というものを提唱されまして、五十三年あたりからいわゆる関東地震級の危険期に入るということでございますので、必ずしも今度の直下型地震のみではなくして、そういう地震対策を恒久的に考えていくべきではないかということで、実は本年の一月三十日に百三の事業所長を集めまして非常にシビアな指示をいたしたわけでございます。一つの例でございますけれども、装置タンク等につきましては設計水平震度を〇・三以上に見直しを行いなさい、これについて不足なものについては補強をしなさいというようなこと。それから、流出油防油堤なるものをすでにこの時期で各企業に実施をさせております。そのほかいろいろございますが、漏洩、流出事故が発生しても被害を最小限にとどめるための対策だとか、それから流出した場合でもその事業所の外にそういうものが流れ出さないような措置だとか、それから出火させないための対策だとか、消防用設備の整備というような問題、あるいは海上流出油対策の強化ということで、オイルフェンスなり油回収船なりを整備しなさいというようなこと。それから、どこでも同じでございますけれども、今日、人件費を抑制するためにできるだけこの保安要因なるものを削減する傾向が企業の中にあるわけでございまして、一定の保安要員については必ず確保しておくようにというような、非常にもっと細かいようなことをたくさん申し上げまして、これを全部行政指導という形で企業に流してございますけれども、幸い川崎市のいずれの企業におきましてもこれを素直に受け取っていただきまして、着々こういうようなものが改善計画という形で上がってきておりますし、かつまたもうすでにそういう実施をしているというような事業所がたくさんございます。実はそんな実情でございます。

折小野良一民社党

○折小野委員 どうもありがとうございました。

大西正男自由民主党

○大西委員長 参考人の方々には、長時間にわたり貴重な御意見をいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  次回は、来たる二十日金曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会いたします。  なお、明十九日、午前十時から、本委員会において審査中の石油コンビナート等災害防止法案について、商工委員会、災害対策特別委員会及び公害対策並びに環境保全特別委員会との連合審査会を開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時五分散会

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