地方行政委員会 第12号
- 発言数
- 174 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1975/03/26
会議録
○大西委員長 これより会議を開きます。 警察に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。和田貞夫君。
○和田(貞)委員 時間の関係もありますので簡単に質問しますから、答弁の方もひとつ要領よく答弁願いたいと思います。 昭和四十八年の十一月に神戸に本社がある株式会社上組、ここに全港湾の下部組織としての労働組合ができまして、組合が結成されて以来今日まで、かなりの不当労働行為あるいは暴力行為も伴って組合をつぶしにがかろう、こういう会社側の動きが顕著に見られるわけなんです。これにつきまして、警察関係を中心に質問したいと思うわけですが、政府委員の方の都合もございますので、二、三の点について、まず労働省の方に先に質問しておきたいと思うわけです。 この株式会社上組の労務管理の政策が、全港湾の組合結成以前の非常に前近代的な、まことに封建的な身分制度がいまだにあるということ、そういう中から必然的に、全港湾の上組支部、上組分会、各三つの分会があるわけですが、そういう組織が出てきたというように、私たちは当然ながら考えるところであります。 そこで、いろんな現象をとらえますと数限りないわけでございますが、いままで地労委に提訴をした事件なり、あるいは不当労働行為に対する仮処分申請をやって、すでに仮処分決定がされておるようなものもあるわけですが、少なくとも裁判所に対しまして仮処分申請を十件行いまして、そのうち七件までが決定されておる。そういう事態であるにもかかわらず、仮処分決定を受けたものに対してもいまだに会社側がそれを守らないで無視しておる、そうしてさらになお今日まで不当労働行為が続けられたり、あるいは現場におきまして暴力行為を含めて不当ないやがらせ、あるいは不当な干渉を強要しているというような事態が続けられておるわけであります。それが原因のために、長期にわたるこの上組争議につきましていまだに解決されておらない、こういうことでございますが、これらを踏まえて、労働省としてどういうように考えられ、会社の方にいままで行政指導をやってこられたか、このことについてお尋ねしたいと思います。
○松井説明員 お答えいたします。 先生御指摘のとおり、この上組におきまして全港湾の支部が結成されましたのは昨年からでございますが、秋ごろになりまして争議が大分激しくなる様相を帯びてまいりまして、ことにことしに入りましてからさらに労使の対立は厳しくなってきております。御指摘のように、仮処分事件となりましたものが十件前後に達しておると思いますし、また不当労働行為事件として出てまいっておりますのも、大阪地労委に四件、兵庫地労委に一件、それも申し立てられた後にさらに追加申し立てが出てくるというようなことで、不当労働行為事件も内容的にはかなり多岐にわたっており、また複雑なものを持っております。また暴力事件として警察の手にありますものも、相当の数に達しておるのではないかというふうに私どもとしては聞いております。 それでこの事件は、普通の賃金交渉とかあるいは年末手当とか、そういう経済的な問題で労使が交渉するという、通常の、あるいは典型的な労使の争議というよりは、こういう不当労働行為事件とか暴力事件が出てくるという面でかなり違った性格を持っており、それだけにまた迅速あるいは円満な解決を見るというのは非常にむずかしい面を持っておるのではなかろうかと思います。 それで私どもとしましては、昨年秋ごろから、この事件が対立の様相が険しくなってきましたころから、大阪府、さらに兵庫県の労働部の方では熱心に争議の状況をフォローいたしまして情勢の把握に努め、必要に応じて指導をしてまいっておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、現在裁判なりあるいは不当労働行為事件として地労委に提訴されるということで、労使の対立が非常に厳しいものがございます。またそのほかにも、上組労連と言われております会社の企業内組合もございまして、組合間の対立という様相も帯びてきておりますので、なかなか一気に解決を見るということは困難ではございますが、私どもといたしましても、この情勢をよくフォローしながら、争議のできるだけ早い解決に努めたいと思っております。なお、この間に関係官庁とも緊密な連絡を保っていきたい、こういうふうに思っております。
○和田(貞)委員 多くを言いませんが、たとえば全港湾の阪神支部に所属する上組分会の例をとってみますと、作業が始まるまで喫茶店で休む、それが慣例になっておるわけです。それをとらまえて、就業規則違反であるとかという難くせをつけて九名の組合員を首切っておる。これに対して裁判所の方が、その処分は不当であるということで、処分の取り消しを決定しておる。ところが、その決定を見ておるにもかかわらず、賃金は払っておる、賃金は払っておるにもかかわらず、その不当労働行為を会社の方が合法化するために、解雇は取り消したけれども五日間の出勤停止の処分をやった。いまだに賃金は支払われておるけれども、この処分が不当であるということにもかかわらず、これを取り消しておらない。そういうような行為に対して、労働省がいま言われたようななまっちょろいことじゃなくて、会社の方に当然指摘してけしからぬじゃないかということで言えないのですか。
○松井説明員 私自身もこの仮処分の性格ということにつきましては、非常にむずかしい面があると思いますが、いわゆる性格としては任意の履行に期待する仮処分であろうかと思っております。それで仮処分に基づきまして、賃金は支払われているというふうに実情を把握しております。就労の面につきましては、これはいろいろと問題はあるでありましょうが、賃金支払いについては仮処分が出ておるということで、その点については仮処分は守られているのではないか、こういうふうに思っております。
○和田(貞)委員 処分取り消しの仮処分ですから、賃金を支払ったらそれでいいということじゃないわけです。処分の取り消しをやはりなさらなければいかぬのじゃないですか。
○松井説明員 これは私の方が情報で知っております限りでは、この仮処分につきましては異議申し立てが出ておりますと同時に、本訴につきましても本訴の提起がなされておりますので、最終的には本訴の確定を待たなければ、この法律問題というものについては決着がつかないのではなかろうか、こういうふうに思います。
○和田(貞)委員 さらに、全港湾のもう一つの分会の三井東圧の作業に入っておる作業現場がありますが、ここに対しましても不当に就労妨害しておる。ちまたで出てくるのは、会社もろともにということで会社を閉鎖して首を切る、こういうやり方もあるけれども、ここの場合は別の下請会社をつくらして、その下請会社にさらに下請さす。そして上組の組合員に全港湾の組合員は一切仕事に従事させない、そういうようなことを行っておるのですが、解雇の通告を受けた前々日に登記手続をやって秀和商事という下請会社をつくって、そしていまだになお、おまえらがやめて秀和商事に来てくれるのであれば上組から五十万円取ってやるということを、きのうまでまだやっておるのですよ。就労妨害の禁止の仮処分決定がなされておるにもかかわらず、全く無視しておるじゃないですか。きのうまでやられておる。そういうことに対して、労働省は何をしておるのですか。
○松井説明員 この三井東圧で起こりました争議につきましては、経緯を述べますと非常に時間もかかりますのでかいつまんで申し上げますと、先生おっしゃいましたとおり、仮処分云々については出てきまして、それでこれに伴いまして就労の問題が起こりました。それで会社の方で就労をということで通告しましたところが、また就労の条件をめぐって紛争が起こりました。それに伴ってさらに異議申し立てが行われて、それで会社に一部執行停止が認められております。それで事件については非常に複雑な経緯をたどっておるわけでございます。 いま先生のおっしゃいました、きのうまでいかなることが行われているかということにつきましては、私どもとしてはきのう現在の状況は把握しておりませんが、この三井東圧の事件につきましては、法律手続としましても非常に複雑な経緯をたどっておるものでございます。
○和田(貞)委員 複雑な経緯をたどっておるということでは事は済まされない。これは明らかに、いま申し上げたように解雇の通告があった二日前につくった下請会社に仕事を請け負わして、そして組合員に仕事をさせない。複雑な複雑なと言うけれども、この秀和商事株式会社というのは、そういう不当労働行為で五十万円やるからやめてこっちに来いというように言ってなびかされた元の組合員がそこの従業員になっておるという形態は御存じでしょう。あるいはこの秀和商事自身、その会社の事業計画を見てみますと、手押しの運搬車であるとかあるいは板コンベヤーであるとか、そういう機具類はすべて上組の貸与を受けてやっておるというようなこと、あるいはストライキに際してのスキャッブとして就労させたというようなこと、こういうような事実を挙げてみれば、明らかに組合つぶしであるということは立証できるじゃないですか。あなたはそういうように複雑複雑と言われておるけれども、大阪地労委の公益委員をやっておる橘さんが、こういう仮処分決定が出ておるにもかかわらずなお会社が切り崩しをやっておるじゃないか、そういうことをやめなさいということを口頭で言っておるのです。でも聞かない。近く文書をもって会社に対して勧告まで出すというところまで、この公益委員の人たちも事実を見きわめているわけですよ。だから、地労委の決定がどうだとかこうだとか、あるいは本訴の結果がどうだとかということでなくて、こういう事実をとらまえて会社に対する行政指導というものを怠ってはいけないのです。さらに、この秀和商事というのは労働者の供給事業を行う会社です。職安法の違反行為もやっている会社じゃないですか。そういうようなことをあなた方は十分把握しておきながら、いまだに放置しておるということは大体けしからぬ。 時間がありませんので、あなたの方もよそに行かなければいかぬらしいですから、後警察の方に言わなければいかぬからなんですが、この機会に、二つの事例を挙げたわけですから、本訴の結論を待つとか地労委の結論を待つとかというのじゃなくて、この事例によって不当労働行為だということは事実なんです。そういう不当労働行為というものをいま直ちにやめろ——これはきのうまで続けられておる。きょうはこっちに来ているからわからぬけれども、きのう私は大阪におってきのうまで続けられておる。直ちにそういう行政指導をするかどうかということだけひとつお答えいただきたい。
○松井説明員 お答えいたします。 実は時間の点もありまして、簡単にはしょって申し上げて申しわけございませんでした。 この処分と申しますか、法律問題の結末につきましては、私省略いたしましたが、会社が解雇撤回の意向を示しまして交渉がありまして、それで三、四十名就労させるというような話もありましたが、話し合いがつきませんで団交は物別れになってしまったわけでございます。その後、会社が仮処分決定につきまして執行停止の申し立てを行いまして、それで執行停止につきましては一部執行停止の決定をいたしまして、その結果、二月七日に至り労使間で再度交渉が持たれまして翌八日から組合員の一部が就労しておる、こういうような状況でございます。 なお、昨年の十二月には大阪の地労委にこの問題について不当労働行為の申し立てがなされておりまして、現在、地方労働委員会で審査されておるということでございます。私どもといたしましては、やはり事件が労働委員会にかかっておりますときには、これは労働委員会の手によって解決されるというのがたてまえであり、原則であろうかと思っております。行政機関としては、常々不当労働行為が起こらないように指導する、あるいは側面的な援助をするというのが私どもの仕事でございまして、事件が労働委員会にかかっております際には、まず労働委員会による事案の解明を待つというのが筋であろうかと思っております。しかしながら、何分にもこれは根本に労使の対立というものがあるわけでございますから、私どもとしてもできる限りのことはやりたいということでもって熱心にこの争議の情勢を把握し、できることは指導するようにということでもって常々大阪府、兵庫県を指導しておるところでございます。
○和田(貞)委員 時間がありませんから、長いこと言ってもらったら困るのです。 あなたも先ほど認めたように、普通の労働争議じゃないわけです。これは賃金を上げろ、上げないということでやっておるのじゃないのですよ。組合つぶしのためにやっておるのですよ。組合つぶしのための不当労働行為です。そこらはやはりはっきり見きわめて、けしからぬじゃないかという行政指導をやらないといけない。地労委の結論を待ってとか、あるいは本訴の結論を待ってとかいうことでは遅過ぎるじゃないですか。やりなさい、直ちにやりなさい、いいですか。それだけ言えばいい。
○松井説明員 先ほどからお答えしておりますように、事件が労働委員会の手に渡っておりますときには、根本解決はやはり労働委員会の手によって処理するというのが原則でございまして、私どもとしましてはこれを側面的に援助するというようなことでございます。それで、先ほどから申し上げましたように事件の特異な性格もありますし、こういうものは現地におります大阪府、兵庫県の労働部といたしましては十分に念頭に置いておるところだ、こういうふうに思います。
○和田(貞)委員 いいです。もう言うてもしようがない。そういうようなことではなくて、これはいま直ちにやりなさい。解決しないですよ。長引かすのですか。できるだけ早いこと解決させなければいかぬのでしょう。だから、どうこう言っているのじゃなくて、もっと強力に、組合に対してどうこう言うことはないでしょう。これは会社が一方的にやっていることだから、会社に対して行政指導をやりなさい。 ついでに大蔵省、あなたの方からひとつ簡単にお答え願いたいと思いますが、これはいま申し上げましたような事例だけじゃないのです。会社の場合には定款というのがあるわけですが、その定款に反するような金の支出がなされておる。たとえば暴力団と思わしい者に対して金が流れておるというような点、あるいはこの争議に不当介入をやったり、あるいは組合を切り崩すために下請会社のヘッドを使用しておる。このヘッドを使用しておるのには一台当たり四万円出しておる。いままで延べ二百台を使っておる。これがもう会社の経費で落ちておるのです。ヘッドが作業用に使われないで、組合の争議の妨害のために、その下請会社のヘッドを作業に使ったという形式をとって会社の経費で落としておる。そういうようなことは不当な支出じゃないですか。あるいは争議の妨害のために下請のマイクロバスを使わしておる。あるいはそれぞれの下請会社から、これは運輸省の方も把握しておるはずでありますが、かなりの動員者に対して日当を払っておる。作業をやっておらない、組合つぶしのために動員をかけた他の会社の者にまで、それを正常な仕事をしているというように見せかけて日当を払っておる。この日当の費用というのは一日大体一万円ぐらい払っておるというのです。あるいは下請のバスにつきましても、作業のために作業員を送迎するという目的のためのバスを組合の争議に介入するために使っておる。これもガソリン代から車の維持費から皆正当な経費として落とされておる。そういうようなことは定款以外の経費の支出じゃないですか。これはひいては税金のことにも関係してきますよ。そういうようなことについて大蔵省はどう思っていますか。
○小幡説明員 私ども証券局の企業財務課の立場でお答え申し上げますが、上組の労働組合の関係の方から私どもの方に、証券取引法二十六条に基づきます検査をやってほしいという要請書が出されておるわけであります。そこで、私どもこれについて検討さしていただいたわけでございますが、証券取引法といいますのはどういう法律であるかといいますと、これは上場会社等につきまして、毎期の決算が終わりましてから三カ月後に、その業務経営成績というものを報告書という形で出していただくことになっておるわけでございますけれども、私どもの証券取引法の立場は、その会社の経営成績というものが一般の大衆投資家にそのとおりに情報として提供される、そういうことを確保するために証券取引法二十六条というのがあるわけでございます。したがいまして証券取引法二十六条と申しますのは、一般的に、日本じゅうにある会社の業務運営なり業務内容なり、そういうものを指導するとかなんとかということは全く関係しておらないわけでございまして、いわゆる粉飾決算、最近の例で申し上げますと日本熱学事件というのがあったわけでございますが、そういうふうな粉飾決算ということがありますと、その報告書というものが投資判断資料としての価値を疑わしめるわけでございますので、そういうふうな投資判断資料として出されておりまする各社の報告書というものは真実の姿を出してもらわなければいかぬ。いい会社であればその経営成績がいいように、経営の内容が悪い会社であればその内容が悪いようにその会社の情報というものを出してたいだきまして、そして投資者がその会社の株式を買うか買わないかの判断をする、そういう観点の法律でございますので、ただいま先生から御指摘いただきましたような内容、また検査要請書に書いてございますような、いまお話が進んでおりますような労使間のいろいろの問題、そういうことについて私どもが行政指導をするとかあるいは経営内容の指導をするとか、そういうふうな法律ではそもそもないわけでございますので、私どもの企業財務課の方といたしましてそういうふうなことをする権限もございませんし、また、そういうふうなことをする立場でもないということでございますので、御了承いただきたいと思います。
○和田(貞)委員 そういう答弁が出るということは予期しておりましたですが、先ほど申し上げましたように、なるほど証券取引法の方ではいま言われたようなことかもわからない。しかし、先ほども述べましたことにさらにつけ加えて言うならば、就労をしておらない組合員にも賃金を払っておる。争議を妨害しに来る動員者にも賃金を払っておる。賃金の二重払いまでしておるのです。そういうような経費を会社が正当な経費として落とせるかどうかという点が問題です。その点はやはりあなたの方で国税庁あたりとも横の連携をとって─—いわば、そういうことをして脱税行為をやっておるということにもなるわけです。時間がありませんから何ですが、ひとつあなたの方で横の連絡をとってもらって、この点については改めて税の関係で私は一回質問してみたい。 そこで、私は警察の方に一つお尋ねしますが、いま申し上げましたようになっておらないのですね。普通の組合争議というのは、労使が賃金の問題、あるいは労働協約の問題、その他労働条件の問題で対立して争いがあるということですが、一方的に組合をつぶそうという、こういう意図のもとに行われておるわけです。まず警察の方にお尋ねしたいのですが、この港湾関係には、暴力団あるいは暴力団と思わしきそういう事業主というのは全然皆無だというふうに思っておられますか。
○田村政府委員 港湾関係に組織暴力の介入があるかどうかということでございますが、現在までの捜査によりますと、神戸におきまして暴力団の関係をした犯罪というようなものが港湾関係の企業等において発生しておるという事実は、把握いたしておりません。
○和田(貞)委員 そうすると、皆無であるということですね。
○田村政府委員 これは、警察は全知全能というわけでございませんので、一〇〇%あるかないかということになりますと、なかなか一〇〇%の断定ということは何事につきましてもきわめてむずかしいところだと思いますが、現在まで私どもが捜査をし、また日ごろいろいろな視察等をやっております結果によりますれば、暴力団が介入しておるというような事実は把握をいたしておらない、こういうことでございます。
○和田(貞)委員 この紛争の中に暴力行為が介在しておるということ、このことは把握しておられるでしょう。
○三井政府委員 この問題をめぐりまして十数件に及ぶいろいろな違法行為、事件が発生しておるということは把握しております。
○和田(貞)委員 その暴力行為に対して、適正な措置をいままで講じられてきましたか。
○三井政府委員 それぞれ捜査をしておりますし、一件につきましては、現場において現行犯で逮捕し、その他の事件のうち三件は、すでに捜査を終わって、それぞれ検察庁に送致をするということでございますが、その他の事件につきまして、なお目下鋭意捜査中というものもございます。
○和田(貞)委員 会社が全面的に立てておるというように思われる企業内組合の上組労連ですね、これらの暴力についてはどうですか。
○三井政府委員 ただいままで四件、十二名を検挙して処理済みでございますが、そのうち上組関係が被疑者になりましたものは三件、十一名でございます。全港湾関係の労組が一件、一名ということになっております。
○和田(貞)委員 この紛争に警察の方が、ややもすると全港湾の組合をカバーするというよりも上組労連の方をカバーしておる、こういう現象面が見られるように思うのですが、そうじゃないのですか。
○三井政府委員 警察のこの種事案に対する態度といたしましては、この事件そのものがいわば企業の場において行われる、ある意味では労使関係であり、またある意味で企業内にある複数の組合間の問題でもあるという形で事件が発生いたしておりますが、私たちは労働関係、企業関係の内部の問題について立ち入る立場にはもとよりないわけでございますけれども、ただそれが違法行為にわたるという場合には、いずれに偏ることなく、公平、厳正中立といいますか、そういう立場において処理しておりますし、また、そのつもりでやっておるつもりでございます。
○和田(貞)委員 一つの事例を挙げますと、この一月二十日から五日間行われた第三突堤に対するストライキ、このストライキに非組合員の皆さんが参加するよう説得活動に全港湾の組織がバスで現場にはせ参じた。そのことについて全港湾の組合員の諸君が現場へ参加すると警察が歩道と車道の間を機動隊を積んできたバスで遮断してしまって、当然労働運動として認められておるスト参加への呼びかけ行為というものを警察の力によって阻止する、こういう姿が一月二十日に出ておるじゃないですか。これは一日だけじゃなくて、翌二十一日もそうであるし、二十二日もそうである。それに対して上組労連の方は、全港湾の側が到着するやそれを待ち構えて、約二百人くらいの組合員が出てきて、そうして前に立ちふさがる、あるいはリフトに荷を積んで二十台程度のリフトがバスの前に立ちふさがるというようなことを片方ではやらしておいて、片方では歩道と車道の間に警察の方が割って入って、割って入ってというよりも、正当な組合運動をやれないようなことをしておる。そういうようなことは、いま御答弁があったように警察が中立の立場に立ってやっておるということは言えないじゃないですか。あるいは、これも二十日のことでありますが、全港湾の組織と現場の連絡のために公衆電話に一人の組合員を待機さしておった。そうすると、上組労連の組合員がその全港湾の組合員をおびき出して、どつき回す、ける、殴るというようなことをやっておって、そして、その現場に居合わせた警察官に現行犯逮捕をしなければいかぬじゃないかということを言いますと、むしろあなたの方がかくまって、どこかへ連れ去っていってしまっておるというような姿が、この二十日からの五日間の争議の中に出ておるわけです。そういうようなことで、かえって殴られておる、暴行を受けておる全港湾の組合員の助けにも応じないで、どづいた方の、暴力を加えた方の上組労連の組合員をかばってどこかへ連れ去ってしまうというようなことで、警察が公正な処理をやったというように思いますか。
○三井政府委員 二十日からの連続したいろいろな事態がございましたが、この場合に連続して、全港湾側また上組労連側、いずれもこの突堤において大ぜい集まりまして、ここで暴力事件に発展するような不穏な状況にあったということでありますので、大阪府警におきまして警察官多数を現場に配置いたしまして、そういう事態の未然防止に当たったわけでございまして、ただいま言われましたのは、全港湾側に対して警察官が措置をした場合のことでございますが、同時にまた、われわれは上組労連側に対しましても、これが不穏な動きを見せるたびに、その都度これを部隊によって規制する、こういうことをやっておったわけでございまして、現場の事態に応じて、双方に対し問題を防止するという観点から警察措置ををとったわけでございます。 また後者の、電話をかけておったときに襲われたという事案でございますが、これも、当時現場から約数十メートル離れた地点で警察官一個小隊が警備に当たっておりましたが、この事態を認知いたしましたのは、突然駆け出していく全港湾側の組合員約三十人を目撃をいたしましたので、部隊が直ちに現場に急行したところ、上組労連の約三十人と全港湾側の約三十人が対峙しておりまして、このときに全港湾の一人が上組労連の組合員から暴行を受けた、こういう申告が現場においてありました。 そこで、現場において被害者の話を聞きますと、後から暴行を受けたので相手の顔をよく見ておらないということなので、さらにこの被害者に、現場の上組労連の組合員やすでにマイクロバスに乗っておりました上組労連の組合員約五十人をおろして、この中に暴行を加えた人はいないかということを、いわば面通しと申しますか、尋ねたわけでありますけれども、どれがその殴った被疑者であるか被害者側がはっきりいたさないということで、現場検挙に至らなかったわけでありますけれども、現場においては警察としてなし得る限りの措置をしたということでありまして、目下この事件は継続して捜査をしておる、こういう状況でございます。
○和田(貞)委員 時間が来ましたのでこれ以上言えませんが、やはりわれわれの方の見る限りにおいては、どうも片手落ちの感がするわけです。やはり警察の立場で公正な判断でひとつ取り扱ってもらいたいと思いますし、それから、運輸省に質問ができなかったのですが、いままで話しましたように、あるいは労働省の方からも答えられておったように、これは全く組合の要求に対しての紛争をしているのではなくて、組合をつぶすために会社側がやっている行為にすぎないわけでありまして、そこにこの不当労働行為なりあるいは暴力行為が伴ってきているわけですから、運輸省としても株式会社上組に対してもっと厳重な行政指導をやって、この問題の早期解決のためにひとつ努力してほしいということだけを運輸省の方に強く要望して、時間が来ましたのでやむを得ないと思いますので、終わりたいと思います。
○大西委員長 林百郎君。
○林(百)委員 警察行政の実態については、その正確な人員とかあるいは予算関係等については、国会でもまた地方議会でもなかなか踏み入ることのできない領域とされてきておりまして、その声をわれわれは耳にしておるのであります。 また、最近ではマスコミも、資料を公開して率直な審議をすべきである、警察官の連続増員の意味はどういうことなのかということ、具体的に言いますと、朝日新聞の一月二十七日の「月曜時評」にも出ている。マスコミでもそういうところへ目をつけてきておるということであります。 そこで私は、本日限られた時間でありますが、警察の全貌を明らかにするように、ひとつ許された時間の範囲内で質問をしてみたいと思います。 初めに、マスコミにも載っておりますように「資料を公開し率直な審議を」、要するにガラス張りの警察になれ、何か警察は事態を秘匿し、国民の前にその実態を明らかにすることを避けてもよろしい、そういうような特権意識を警察自体も持っているのではないか、こういうように考えるわけなんですけれども、こういうマスコミの声に対して警察当局自体としてはどういうように考えますか。まずその点を長官にお聞きしておきたいと思います。
○下稲葉政府委員 ただいまの御指摘の点でございますが、私どもも、警察活動を推進いたします上で国民の理解と協力を得なければならぬわけでございます。そういうふうなことから、従来もいま御指摘の点につきましては十分気を配ってきたつもりでいるのでございますが、なお今後とも十分配慮してまいりたい、このように思います。
○林(百)委員 警察の職員は、警察官、技官、職員、皇宮警察等、総員は現在中央、地方を通じて全部で一体何人になるのですか。
○下稲葉政府委員 ちょっと数字をいま持っておりませんけれども、全国の地方警察官の数は十九万三百五十名でございます。
○林(百)委員 それと中央にあるわけでしょう。中央の陣容も入れればどうなるのですか。国家警察というのですか。
○下稲葉政府委員 皇宮警察が約八百ございます。それから一般職員が約二万七千名ということになります。そういうことでございます。
○林(百)委員 ちょっと食い違っているのですがね。この新聞で見ますと、これは五十年度予算も入れていると思いますが、警察官の定員が十九万四千八百五十人になる。このほか上級警察官、いわゆる国家公務員が四百八十人、皇宮警察官が約八百九十人、事務職員が約三万人など計約二十三万五千七百人、こういう数字が出ておりますが、五十年度予算分も含めてどうなりますか。
○下稲葉政府委員 五十年度の予算がお認めいただけますれば、先生がいま挙げられましたような数字に相なります。
○林(百)委員 そうすると一九六〇年、いまから約十五年前ですか、安保闘争のあったころですが、このころは警察が一番増員されたころと思いますけれども、これと比較して警察官、技官、職員、皇宮警察等も入れてどの程度ふえているわけですか。それから、できたら車両台数がどうなっておるのか。
○下稲葉政府委員 警察官の計画的な増員が始まりましたのは、昭和三十四年からでございます。昭和三十四年から五十年度までの増員が七万九百人でございます。 これは年度別に申し上げますか。
○林(百)委員 ええ、ちょっと言ってみてください。毎年どのくらいずつふえたか。年度別のは最近の五年ぐらいでいいです。
○下稲葉政府委員 最近の増員状況を申し上げますと、昭和四十六年がございませんで、四十七年が四千名、四十八年から五十年、これは予定でございますけれども、各四千五百名ということに相なっております。 それから一般職員でございますが、現在おおむね約二万六千名でございます。昭和三十三年がおおむね一万五千名でございますので、一万一千名の増員ということに相なっております。これは事務官、技官を一緒にした数字でございます。 次に、お尋ねの車両の点でございますが、本年の三月末におきます警察車両の総台数が約一万八千台ということに相なります。十年前の昭和四十年の三月末でございますが、一万五百二十五という数字になっておりますが、約一万台……。
○林(百)委員 一万台が百万台になったということですか。
○下稲葉政府委員 十年前が一万で、今日は一万八千台です。
○林(百)委員 八千台ふえたということですか。
○下稲葉政府委員 そういうことでございます。
○林(百)委員 長官にお尋ねしますが、一体どのくらい人数がふえればいいのですか。最近十六年間、三十七年と四十六年の両年度、二回を除いただけで、毎年毎年増員しているわけですね。予算要求六千人、実現四千五百人、これは幾らになったらおたくの方は、おたくの方というのは変な話ですけれども、御満足なさるのですか。
○浅沼政府委員 御承知のように最近の社会情勢は非常に激しく動いておりますし、また変化をいたしております。それに伴いまして、治安状態あるいは犯罪情勢あるいは交通問題等も非常にむずかしい問題を多く抱えておるのでございまして、これに対応して、警察といたしましていかにして国民の生命、財産を守り、公共の秩序を保つか、そういう職責を果たしていくかということは私どもとして非常にむずかしい課題として取り組んでおるわけでございますが、ただいま申し上げたように現在十九万人の警察官でございますが、この数は欧米等の諸国の警察官の数、一つの目安としまして一人当たりの警察官がどのくらい人口負担を持っているかというような問題と比較検討いたしましても、わが国は欧米等と比較して一人当たりの警察官の負担が非常に大きいというのが現状でございます。私どもとしては当然能率を高めまして、限られた人員で大きな問題を処理していかなければならないと思っておりますけれども、現在の情勢が続きます限りなお若干の増員は必要である、このように考えております。
○林(百)委員 長官に続いてお聞きしますが、情勢が険悪化してきたと言いますが、じゃ刑法犯罪数が昭和三十八年と四十九年と比べて多くなっているのですか、減っているのですか。
○田村政府委員 三十八年と四十九年でございますが、刑法犯の認知件数は、三十八年が百三十七万七千件、百以下は切り捨てますが、四十九年が百二十一万一千件、こういうことになっております。
○林(百)委員 はっきり言えば減っているということですね。
○田村政府委員 そのとおりでございます。
○林(百)委員 そうすると、長官、違うじゃないですか。長官は最近犯罪が険悪になって、ふえてきているというような意味のことをおっしゃっているが、どういうことですか。——いや、長官に聞いている。長官はめったに国会に来ないから。
○浅沼政府委員 いわゆる刑法犯の点に関しましての御質問でございますが、確かに現在百二十万件ぐらい、十年前から見ると十万件ぐらい減っておりますが、犯罪の質といいますか、あるいは犯罪の悪性といいますか、そういう点を考えますと、最近のモータリゼーションの進展、あるいは非常な経済社会構造の変化でありますとか、あるいは国民のいろいろな物の考え方が変わってきているというような影響を受けまして、犯罪捜査が非常にむずかしくなっているということが言えるのでありまして、たとえば捜査本部を置いて事件の捜査に当たりますいわゆる本部事件というのを見ますと、年々解決の日時が延びてきておるというようなことも一つの例でございますが、捜査活動自身が非常にむずかしくなってきておるというようなこともありまして、大局的には犯罪そのものは横ばいでありますが、犯罪捜査が非常にむずかしくなっているということは指摘されるのであります。
○林(百)委員 犯罪件数は横ばいじゃなくて十万も十年間に減っているのですがね。検挙率はどうなっていますか。
○田村政府委員 検挙率は三十八年からですと、三十八年が六三%、五年置きに申しますと、四十二年が五六・八、四十七年が五七・二、四十九年が五七・五%で、三十八年からで一番検挙率が高かったのが三十八年の六三%、それから一番低かったのが四十四年の五三・八%、四十九年は五七・五%ということになっております。 それで一言だけつけ加えますと、四十年代に入りましてから六〇%を切っておりますが、これは四十年ごろから既届け盗犯、侵入盗犯に最重点を置いて捜査を推進いたしまして、大体刑法犯の八割近くが窃盗犯でございまして、しかも窃盗犯のうちの大部分が屋外盗、非侵入盗でございまして、また未届け事件が多い。侵入盗は三割ぐらいでございますが、これに非常に力を入れまして、非侵入盗につきましてはその力を侵入盗の方に回すということで、そういうことから四十一年から検挙率は減っておりますけれども、侵入盗の検挙率は以来ずっと増加しておる、こういうような状況で、全般としては四十九年は五七・五%、こういうことでございます。
○林(百)委員 いろいろ御説明はありますが、検挙率は三十九年が六三・九%、四十八年は五七・八%になっているわけですね。これは警察白書にもあります。それで被害の回復率はどうですか。
○田村政府委員 財産犯罪の被害の回復率でございますが、財産犯で三十七年が二三・九、四十二年が、五年置きで見ますと二一・九、それから四十七年が二一・七、四十九年が一九・〇、こういう状況でございます。
○林(百)委員 それでは回復率はだんだん減少してきている、こういうことですね。
○田村政府委員 減ってきております。この原因としては現金盗がふえたということが最大の原因だというふうに考えております。
○林(百)委員 何かまるで犯人の方に責任があるような答弁の仕方ですが、犯罪数は十年間に十万くらい減っておる、検挙率も減ってきている、回復率も減ってきているのに警察官は毎年毎年ふやしていく、これは長官、どういうことなんですか。そして警察官がふえるということは要するに国民の負担がそれだけふえることなんですから、何かお考えがあるのですか、その間の事情について。——長官に聞いているのです。
○田村政府委員 一例を申しますと、たとえば遺留品の捜査でございますが、これが近代産業の発展というようなことから大量生産方式によりまして、物量が非常に増大をしておる。遺留品捜査の場合でも、遺留品一つをとってみましても何万、何十万という大量の製品をたぐって捜査をしなければならない。これは一例でございますけれども、そういうふうな捜査をめぐるいろいろな条件、環境というものが非常に厳しく、むずかしくなっておりまして、従来の一つの事件あるいは一つの物の捜査に比べまして、時間的にもまた人員的にも非常に長時間、また多くの人数の捜査員をかけなければならない。そういうふうな状況になってきておりますので、人口もふえておりますけれども、警察官の増員をいたしましても、それがそういうふうな犯罪の状況、捜査をめぐる環境条件というようなものになかなか間に合わないというような状況でございます。しかし、諸外国に比べて御承知のようにわが国は捜査の成果という点では非常に高い水準を保っておるわけでございまして、決して私どもそういうことでいいということではございませんが、なお努力しなければならないというふうに考えておりますけれども、警察官をふやしましても、そういうような状況の変化に捜査の成果がなかなか追いついていけないというようなのが実情かと思います。
○林(百)委員 長官にお尋ねしたいのですが、私がここで聞こうとするのは、一体何人ふやしていくのか。長官は、これは新聞ですけれども、ことしは二十万人くらいにはしたい。これはさっき言った十九万人は二十万人ぐらいだと思いますが、福田国家公安委員長は記者会見で最低二十三万人は必要だと言っている。それから警察庁の「七〇年代の警察」によると二十八万人だ。それぞれみんな勝手な数字を出して、こうやっている。予算獲得になりますと、いろいろそれぞれのコネをつけて予算獲得運動を警察でやっているということも天下の公然たる風評になっているわけですね。そこに何らかの合理的な限度がなければ、幾らふやしていってもこれはいいということにならぬでしょう。その点についてこれは長官、責任を持って答弁してください。 それからもしわかったら局長でいいですが、犯罪件数と警察官の数とはどうなんですか。さっき長官は警察官一人当たりと国民の数との比例を出しましたけれども、犯罪件数一件について警察官は何人になっているんですか。よその国との比較はどうなんです。長官にまず、どうしてみんなが数字を——これは新聞ですから、実際こう言ったかどうか、あなた自身の口から聞きたいのですが、あなたは二十万人くらいは欲しい、福田国家公安委員長は二十三万人くらいは欲しい、警察庁の「七〇年代の警察」には二十八万欲しい。毎年毎年予算要求が六千人、実現四千五百人、こういう数字が毎年毎年ふえていくわけですね。これはとどまるところを知らないわけですね。どういうことをお考えになっているんですか。
○浅沼政府委員 いまお話のありましたように「七〇年代の警察」という、われわれの方で七〇年代に対する警察の基本的な問題を分析いたしまして、それに対しての提言をいたしております。その中で御承知のように一つの提言としての増員の目安というものを書いてありますが、先ほども申しましたように、最近の治安情勢というものを判断いたしますると、またいまお話しのように、犯罪、交通その他いろいろな問題の非常に複雑化していく実情を考えまするとなかなかそれに対応できないというような点もありまするし、また先ほど申し上げたように国際的な比較の問題もありまするし、それらを勘案いたしまして、私どもとしては当面外勤、交通、刑事という警察官を中心に昨年三年計画で増員の計画を持って要求をしておるわけでありますが、情勢は非常に流動しておりまするし、最終的に幾らでいいかというような点は、ちょっと私はここの席で申し上げるだけの材料がありませんけども、いま申し上げたような諸般の警察をめぐる情勢を勘案いたした上で、かつ警察の中の合理化といいますか、能率化というものを十分に考えながら最小限度の増員をお願いしたい、このように考えております。
○田村政府委員 いま詳細な数字を手元に持っておりませんが、大体交通関係の事件を除きまして、年間の刑法犯の認知件数が約百二十万件、警察官の数が二十万といたしますと大体一人六件、これは大まかな数字でございます。
○林(百)委員 国際的にはどうですか。
○田村政府委員 ちょっといま手元に持っておりません……。
○林(百)委員 長官、私も何も機械的に警察官の増員に反対だと言っているわけでありません。それは国民の自由財産、民主的な権利を守るために、どうしても必要なものについて機械的に反対するわけではありませんけれども、しかし何か限度がなくて、皆で勝手な数字を言い合っているということになりますと、一体どういうことを警察は考えているのか。多ければ多いほどいい。大きければ大きほどいい。しかし犯罪件数は減っている、検挙率は下降状態になっている、回復率は減っているということでは、やはり国民の方が一定の疑惑を持つわけなんで、そこでいま私は質問しているわけですから、そこのところをよく理解してもらって、私の方は国民の身体、財産、自由がどうなってもいいなどということは考えておりません。しかし一定の節度を持つ必要があるんじゃないかというように思うわけです。 たとえば機動隊のことを見ましても、これは毎年予算要求六千人で、実増員四千五百人になっているわけですけれども、これはどういう方へ回されるのでしょうか。十年間で機動隊は幾らふえたのでしょうか。こういう名目で要請しておきながら実際は機動隊の方に回っている。こういう名目というのは、機動捜査だとか、交通警察官だとか、公害犯罪に対する監視と摘発だとか、あるいは公安捜査の警察だとかそういうことで要求して、実際は機動隊の方へこれが繰り込まれている。警察の方の公の文書を見ますと、この十年間で機動隊は四千人ふえているだけという数字が出ているわけです。十年間に機動隊の人員は幾らふえているのですか。
○下稲葉政府委員 先ほど御質問がございまして、昭和三十四年から七万九百名の警察官を増員したということを申し上げたわけですが、その内訳を申し上げますと、外勤警察官の三交代制への切りかえでございますとか、あるいは団地対策の要員でございますとか、あるいは駐在所を複数駐在所にするための要員でございますとか、そういうふうなことで約二万三千六百名ほどでございます。それから交通事故の防止でございますとか交通渋滞の解消を図るというようなことのために、指導、取り締まりの要員あるいは機動、警ら要員あるいはバスレーンの要員、そういうことのための交通警察官が二万三千八百名ぐらいでございます。それから刑事警察の体制の強化、あるいは暴力団の取り締まりの要員、あるいは機動捜査隊の要員というようなことで八千八百名ほどでございます。それから密出入国関係でございますとか、あるいは極左の暴力集団の対策の要員、あるいは右翼の取り締まりの要員というふうなことで、警備警察官が三千四百名でございます。それからいま御指摘ございましたような公害関係でございますとか、あるいは少年、風俗犯関係のいわゆる防犯警察官が三千名、機動隊が四千名、それから管区機動隊が四千二百名ということになっておるわけでございます。大ざっぱに申し上げまして、七万名のうち三分の一が外勤警察官、さらにもう一つの三分の一が交通警察官、残りの三分の一がいま申し上げましたように刑事警察官、警備警察官、防犯警察官、機動隊というようなことに相なっております。
○林(百)委員 ところが実際は、そういう名目で増員をしているけれども、それが機動隊の方の増員に回されているのじゃないか。これは新聞でもそういうように書いてあるわけなんですが、この十年間で機動隊はどのくらいふえたのですか。十年間で結構です。
○下稲葉政府委員 昭和四十年度が五千七百名でございまして、それに先ほど申し上げました四千名がふえまして、沖繩復帰の際に沖繩の警察官をそのまま引き継いだものですから、沖繩に機動隊が三百三十名おります。それで現在一万三十名、約一万名というのが機動隊でございます。それから管区機動隊は四千二百名、これは最初からそういうような形に相なっております。
○林(百)委員 そういう細かい機構のことについては私どもも正確な知識は持っているわけじゃありませんが、要するにこの新聞で書いてあるところを見ますと、いま官房長の言われたように、増員するときにはそういういろいろな名目で増員しているけれども、実際は機動隊の方へ回されている。それで機動隊の増員が十年間に四千人だけだ。こういうことはないので、ふやすときには機動隊という名目ではふやさないでおいて、犯罪だとか交通だとかあるいは公害だとか、そして実際はそれが機動隊の方に回っている、こういう疑惑が非常に持たれておるので、そこを私は聞いているわけなんです。ここだけ聞いていると時間がたってしまいますので、その疑惑に答えるためには、実際機動隊が要るなら要るで正々堂々と機動隊として要求する、違う名目で要求しておきながら実は機動隊の方へ回す、そういうことはやるべきでないというふうに私は考えるわけです。 それからもう一つ警察関係でわからないのは、この予算関係ですね。これは地方議会でも警察の予算ということになると、質問しても全然答えが厚い壁に当たっちゃって戻ってこないというわけですね。この予算関係で、一体ことし五十年度の警察の国の予算は幾らで、それから都道府県の警察関係の予算の総計は幾らになっているわけですか。
○下稲葉政府委員 五十年度はまだ都道府県で予算編成をやっておりますし、集計ができておりませんので、四十九年度で説明させていただきたいと思いますが、御承知のとおりに、警察予算につきましては国費と府県警察の費用があるわけでございまして、四十九年度のいわゆる国会で審議をお願いいたしております国費につきましては、七百四十八億でございます。各府県の警察費を実績に基づきまして私ども集計いたしてみますと、七千二百六十六億ということに相なっております。
○林(百)委員 五十年度の国の方の警察庁の予算は幾らですか。これはおたくの方で組んでいるからおわかりでしょう。
○下稲葉政府委員 九百四億でございます。
○林(百)委員 その内訳はどういう内訳になるのですか。
○下稲葉政府委員 内訳につきましては、警察庁の一般行政に必要な経費、これは人件費等でございますが、三百四十八億でございます。 それから警察機動力の整備に必要な経費、これはヘリコプターでございますとかあるいは車両でございますとか舟艇、あるいは警察通信施設の整備あるいは維持管理に要する経費、これが八十八億四千万ということに相なっております。 それから警察教養に必要な経費といたしまして、各種の警察学校に入校する学生の旅費でございますとかあるいは警察学校におきます教養のための講師謝金、教材の整備等が十五億四千万でございます。 それから刑事警察に必要な経費というふうなことでございますが、その経費は暴力団犯罪及び一般の刑法犯の捜査、取り締まり、それから犯罪鑑識に必要な法医理化学資器材の整備費あるいは消耗品費、それから死体の検案解剖の経費、あるいは犯罪統計の事務費等に必要な経費でございまして五億五千二百万。 それから保安警察に必要な経費でございますが、これは青少年の非行化防止、風俗取り締まり、麻薬、密貿易あるいは拳銃に関する犯罪の捜査、取り締まり、あるいは公害事犯の取り締まり等に必要な資料の印刷費あるいは鑑定謝金等でございまして二千四百万。 それから交通警察に必要な経費といたしまして、交通安全に関する広報、執務資料等の印刷費、それから交通取り締まりの……
○林(百)委員 委員長、途中ですが、時間がありませんから、それを資料として私の方へくれませんか。
○下稲葉政府委員 結構です。
○林(百)委員 ただ、その中で私が聞きたいのは、補助金というのがあるでしょう。その補助金が幾らか。ということは、警察関係の超過負担というのが相当あるんですよ。いま地方自治体の財政の危機の中で、超過負担は非常に重要な問題になっておりますので、補助金制度と、地方自治体で超過負担が出るとすればどういうところに出ていると警察庁では考えられているのか、その辺を説明してもらいたいのです。
○下稲葉政府委員 都道府県の警察費の補助に必要な経費でございますが、これが二百五十九億二千二百万円でございます。この経費の中には一般の犯罪捜査あるいは交通指導取り締まり、外勤警察活動、防犯活動等の一般行政費の補助金が百二十二億二千六百万円ございます。 それから警察署でございますとか、派出、駐在所あるいは警察官の待機宿舎、さらにはまた交通安全施設等の整備に必要な施設整備費補助金、これが百三十六億九千六百万ということに相なっておるわけでございます。その合計が、ただいま申し上げました二百五十九億二千二百万円でございます。 超過負担のお話でございまするが、これは私どもも超過負担の解消にはその都度関係省庁にお願いいたしまして努力いたしておるわけでございまするが、一つにはそれぞれの都道府県におきまして、国の基準以上に施設をつくっておられるというのがございます。私どもは逆に言いますと、基準面積をふやしてもらうように、いろいろ努力するわけでございますけれども、やはり現下の情勢からなかなかむずかしい面もあるわけでございます。 それからもう一つは、施設費等でなかなか予算単価と実行単価というものの間に格差があるというようなことも現実の問題としては起きているわけでございまして、そういうふうな点についても今後とも努力いたすつもりでございまするが、超過負担の大きな問題はいま申し上げましたようなところにあろうかと思うのでございます。
○林(百)委員 基準面積以上のものというのは、何が対象になるのですか。警察の建物ですか。あるいは警察官の職員宿舎ですか、何ですか。
○下稲葉政府委員 一番大きな問題になっておりますのは警察署でございます。
○林(百)委員 それは警察ばかりでなくて、学校、保育所、住宅、いずれも補助単価自体が問題で、実勢と合わないような補助単価のために超過負担が生じているところに、今日の地方自治体の財政の危機の大きな要因としての超過負担の問題があるわけですから、私は警察の方は一平米幾らで、実際それでできるかどうかというようなことまでは詳しくはわかりませんが、他の事例と比べてみて、警察庁の方も補助金のことになると、よその省と同じようなことを言われますけれども、その補助単価が実勢に合うものかどうかということを十分検討されて、少なくとも警察関係で超過負担が出る、あるいは実際国が補助しなければならないものを寄付採納というような形で地方自治体が受けて、そして警察にそれを提供するというような事例もありますので、そういう予算関係の点ではやはり十分地方自治体に負担をかけないような配慮を今後していくべきだと思いますが、これは長官どうですか。しばしばこのことは私は耳にしますので、長官から聞きたいのです。
○浅沼政府委員 都道府県における超過負担の問題が大きな財政上の問題であることは御指摘のとおりでありまするし、また警察におきましても、ただいま御説明ありましたように単価の問題とか、広さの問題とか、そういう基準と実際が違うとか、あるいは交通安全施設等におきましてもそういう問題がございます。あるいはそういう単価の是正でありまするとか、あるいは基準面積を広げるとか、そういう努力は年々しておりますけれども、なおこの超過負担の解消ということにつきまして、警察サイドでもできます限り努力をいたしたい、いままでも努力いたしておりますけれども、今後も努力をいたしたい、このように思っております。
○林(百)委員 正規の警察官、いわゆる警察官といわれる人たちの数は、上級警察官や事務職員等も入れて約二十三万五千という数字がわかりましたが、警察権を持っておるいろいろの機構がありますので、それを念のために、どういう機構で警察権が行使されているか、その人数がわかりましたら、これは法務省の土肥刑事局参事官ですか、わかりましたら、ひとつそれを、全貌をここではっきりさしてもらいたい。
○土肥説明員 お答え申し上げます。 警察庁及び都道府県警察の警察以外のもので、森林、鉄道その他特別の事項について司法警察職員として刑事訴訟法に定める捜査に関する職務を行う特定の行政庁の職員などを総称しまして特別司法警察職員と申しております。その内訳並びに現在手元にあります資料によりますと、四十八年十二月末現在の現人員がわかっておりますので、それをお答え申し上げます。 まず監獄または分監の長その他の監獄職員、これは司法警察職員等指定応急措置法に根拠を持ちますもので、監獄または分監における犯罪を職務の範囲としております。人員は千二百七十五名でございます。 その次は営林局署の職員、根拠法規はさきに申し上げたと同じでございます。これは国有林野等の産物またはその林野もしくは国営猟区における狩猟に関する罪を職務の範囲としております。人員は三千七百十名でございます。 次に、公有林野の事務を担当する北海道吏員、これも根拠法規は同じでございます。これは北海道における公有林野、その林野の産物またはその林野における狩猟に関する罪を扱っておりますが、人員は百五十五名でございます。 次に皇宮護衛官、これも同じ根拠法規でございます。これは皇居、御所、離宮等における犯罪などを扱っておりますが、人員は八百八十名でございます。 次に日本国有鉄道の役員または職員、これも同じ根拠法規でございます。日本国有鉄道の列車または停車場における現行犯の犯罪を扱っております。人員は一万六十名であります。 次に狩猟取り締まりの事務を担当する都道府県吏員、これは鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律に基づくものでございまして、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律または同法に基づいて発する省令もしくは都道府県規則に違反する罪でございます。人員は千二百名でございます。 次に労働基準監督官、これは労働基準法に基づくものでございまして、労働基準法違反の罪を扱っております。人員は二千八百四十三名でございます。 次に船員労務官、これは船員法に根拠を持ちまして、船員法、労働基準法及び船員法に基づいて発する命令違反の罪を扱っております。百二名でございます。 次に海上保安官及び海上保安官補、これは海上保安庁法に基づくものでございまして、海上における犯罪を扱っておりますが、人員は一万四百九十三名でございます。 次に麻薬取締官及び麻薬取締員、これは麻薬取締法に基づくものでございます。麻薬取締法、大麻取締法もしくはあへん法に違反する罪、そのほか刑法ニ編十四章に定める罪または麻薬もしくはアヘンの中毒により犯された罪を扱っておりますが、人員は二百九十六名でございます。 次に郵政監察官、これは郵政省設置法に基づくものでございまして、郵政業務に対する犯罪を扱っております。人員は六百三十四名でございます。 次に鉱務監督官、これは鉱山保安法に基づくものでございまして、鉱山保安法違反の罪を扱っております。人員は二百三十三名でございます。 次に漁業監督官及び漁業監督吏員、これは漁業法に基づくもので漁業に関する罪を扱っておりますが、人員は五百四十名です。 次に自衛隊の警務官及び警務官補、これは自衛隊法及び同法施行令に基づくものでございます。隊員の犯した犯罪または職務に従事中の隊員に対する犯罪等を扱っておりますが、人員は千四十七名であります。 そのほか、最初に申し上げました司法警察職員等指定応急措置法に基づくものとして、船長その他の船員で船舶内における犯罪を扱っている者があるわけですが、これについては現人員はちょっと不詳でわかりません。 以上でございます。
○林(百)委員 いまのを総計しますと人員でどのくらいになりますか。
○土肥説明員 人員は約三万名です。
○林(百)委員 はい、わかりました。 警察庁の方、国の行政のそれぞれの分野でそれぞれ警察権を持っているのもこれだけあった上に警察官を毎年毎年増員していくということ、それでいまや二十三万という数字になっているということですので、その点を十分留意する必要があるのではないか。こういうような警察権あるいは捜査権を持っている者にも十分な効率的な機能を発揮するようなことをすれば、警察官の人員についてもある程度の規制をしてもよろしいのではないかというように私考えて、いま参考までに聞いたわけです。 その次にお聞きしたいのは、警察が、どういう理念に基づいて警察行政が行われなければならないかということは、これは警察法が明らかに示しているところでありますから、日本国憲法で保障する個人の権利、自由の干渉にわたる等、また権利を乱用することがあってはならないということは、これは警察の理念としても明示されているところです。 そこで、警察の教育のことについてお聞きしたいのですが、大体警察の教育について、これは警察の教育といっても警察学校もあればいろいろな分野がありますから、典型的なものを一つとってお聞きしたいと思いますが、警察大学ではどういうような教育をしているのですか。カリキュラムだとか、あるいはどんな講師がいるとか、どんなテキストを使っているかとか、概略を説明して、なお詳しいのは、委員長、これ私資料要求したいと思うのですが、警察大学の教育の内容、講師、テキストですね、それを委員会に提出してもらいたいと思いますが、ここで答弁を聞いて答弁で満足すればいいのですが、満足しない場合は出してもらいたいと思います。
○下稲葉政府委員 警察官の教育訓練の問題でございますが、警察官が民主警察の本質と警察の責務を自覚いたしまして、民主的で公正、明朗かつ能率的に職務を遂行できるよう教育することを基本としているわけでございまして、そのため、警察に関する学術及び実務に習熟し、厳正な規律、旺盛な体力を……(林(百)委員「その精神はもうわかっていますから、具体的に」と呼ぶ)良識と実力ある警察官を養成することを目的といたしておるわけでございます。 警察大学校の教養の内容でございますが、一般教養科目といたしましては三百五十四時間、それから法学関係といたしまして二百六十時間、それからいわゆる刑事でございますとか、防犯でございますとか、警備でございますとかあるいは交通でございますとか、そういうふうな警察実務といたしまして六百九十時間、それから術科関係でございますが、武道でございますとか、これが二百二時間、その他いろいろな諸行事、これが三百四十二時間、合計千八百時間余に相なっておるわけでございます。 それから、テキストの問題につきましては、警察大学校においてはテキストというのは採用いたしておりません。
○林(百)委員 ちょっとわかりませんので、それじゃどんな教育科目をやっているか。それから講師ですね、どんな講師か。教科書というものはないのですか、大学に。教科書のない大学というのも珍しい大学だと思うのですが。
○下稲葉政府委員 警察大学校におきましては特に教科書というのは制定いたしておりません。
○林(百)委員 非常に不思議な大学なんで、それなら委員長、ひとつ講師ですね、どんな講師が大学で教育をしているか、それでどんなカリキュラムをしているか、それを後で資料として委員会へ提出していただくようにお取り計らい願いたいと思います。
○大西委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○大西委員長 速記を始めて。 それでは後で理事会で相談します。
○林(百)委員 もう小濱さんが見えましたので私の質問を終わりたいと思いますが、あと二間ぐらい。 それじゃ警察庁長官に最後にお尋ねしますが、あなた、警察行政の最高責任者でおられる、国家公安委員長もいますけれども、直接の警察行政の最高責任者はあなたですから、また国会へもときどき出てきてください。体のぐあいが何か悪いというので要求をされても出ないときもあります。なるべく国会へ出てきて、ひとつ警察の実情をわれわれに知らせるようにあなたも努力してもらいたい。警察行政の基本的な精神については先ほど下稲葉官房長からも話がありましたが、警察法に基づいて、いやしくも不偏不党、公正に憲法で保障する個人の権利及び自由の干渉にわたるような権利の乱用をしてはならない。要するに不偏不党かつ公正中立、中正、憲法で保障されている権限を十分に守り、それに干渉するような権利の乱用をしてはならないということが書いてありますが、こういう立場で警察行政を運営していくように強く要求いたしたいと思いますが、それについて答弁を願って、何か御都合があるそうですから、御都合があるならば、私は、長官結構です。 警察行政の最高責任者としての警察法で示している精神ですね、これを厳格に守って警察行政の責務を果していくというお考えをここでひとつ聞かしてもらいたいと思います。
○浅沼政府委員 警察は警察法の二条にただいま御指摘のように、国民の生命、財産の保護及び公共の安全と秩序を維持するという職責を課せられまして、その職責の遂行に当たっては厳正公平、不偏不党の立場で処理をする、こういうことは、私どもそのとおりの考えで従来も職務の執行に当たってまいりましたが、今後もその立場で厳正な職責の遂行をいたしまして、国民の期待にこたえたい、このように考えております。
○林(百)委員 実はトロツキストの内ゲバ問題、革マル派と中核派のまるで殺し合いの堂々めぐりが公然と行われ、そしてしかも犯人は一人も検挙もされないような状態、それから各大学がトロツキストのために非常に荒廃して、寮がトロツキストに占拠されているとか、いろいろの問題がありますので、これについての警察のいろいろの具体的な処置も聞いたり、そしてこれに対する厳正な警察行政の行使を要求する質問をしたいと思いましたが、時間が参りましたのでこれでやめたいと思いますが、なお共産党として長官に一言申し上げておきます。 実際一線で働いている刑事関係の警察官あるいは交通関係の警察官、そういう警察官が本当に危険な、いつ命を損なうかわからないような危険な仕事をしている。しかも、労働条件は決して恵まれた労働条件でない、そういうものに対してわれわれは待遇を改善していく、場合によっては組合もつくらして、民主的に要求を幹部の皆さんの方に通ずるような、そういう組織的なことも考えていいではないかというような政策もわれわれ持っております。これはいずれまた適当な機会に、われわれの考えも述べてみたいと思いますが、そういう立場にわれわれもおりますから、警察だから何でもかんでも共産党はアレルギー症を呈するというわけじゃありません。しかし、国民の疑惑は疑惑としてやはりただしておくことが国会の権威を保つことにもなるし、また一方では、警察が国民の信頼をかち得ることにもなるということで、私はきょう質問したわけでありますので、なお今後ともいろいろの点で警察に質問も行いたいと思いますが、ひとつ誠意をもって答弁をしていただきたいと思います。 これでもって私の質問を終わります。
○大西委員長 小濱新次君。
○小濱委員 委員会の関係で警察庁長官が欠席でございますので、荒木保安部長と、それから下稲葉官房長、お二人に主として御質問をしていきたい、こう思っております。 まず、荒木部長にお尋ねをしていきたいことは、最近少年非行が著しく増加をしている、いろいろなデータからもわれわれは拝見をいたしておりますし、また総理府の発行された犯罪白書、あるいは警察庁の方から出たもの等を拝見いたしまして、非常に遺憾に思っておるわけですが、四十八年に続いて四十九年も増加をしている、こういう傾向になっているようです。どちらにしても国家的問題でございますし、将来を担う青少年の育成という立場から、これはやはり国としても大きな痛手にもなるわけですから、この対策を講じていかなければなりませんが、まずその実態はどうなのかということからお答えをいただきたいと思います。
○荒木政府委員 小濱先生御指摘のとおり、近年おおむね減少傾向にあったわけでございますが、四十八年から増加してまいりまして、四十九年は少年の犯罪が十一万五千四百五十三人でございまして、前年に比べますと約七千二百五十人ばかり、パーセンテージで六・七%の増加をしておるわけでございます。こういうふうな量的な増加ばかりでなく、質的にも相当心配すべき傾向にあるわけでございます。 その二、三を御説明申し上げますと、第一に、学童、生徒の非行が著しく増加をしておる。触法少年を入れますと、全体の七四・四%が学校で教育を受けておる学童、生徒によって行われておるということが第一の問題でございます。 第二は、女子非行が著しく増加をしておる。戦後最高を記録されておるということで、人数にいたしますと一万七千二百八十六人が警察で補導その他されておるわけでございます。四十九年の数字でございますが、前年に比較しますと二五四%も増加しておりまして、内容的に粗暴化あるいは性の乱れという心配の傾向がうかがわれるわけでございます。 第三は、特に万引きが非常に増加をしておる。遊び方の一過性のものであるとはいいながら、相当増加をしておるというところに問題があるわけでございますので、私どももこれに十分対処していきたいというふうに考えておるわけでございます。
○小濱委員 昨年の九月でしたか、教師恐怖時代、そういう新聞を拝見したことがございます。いまお答えをいただきましたように、学童、生徒による非行が増加の一途をたどっておるわけでございますが、その中で中高校生の教師暴力事件などの事犯の多発傾向にあるというその実態、これもひとつお示しをいただきたいと思います。
○荒木政府委員 具体的な事例を二、三申し上げますと、ただいま第一に学校教師に対する暴行事件をお話しになりましたけれども、四十九年の中学生、高校生による教師に対する暴行事件で警察が補導いたしました件数は百十九件、二百二十二人でございまして、前年に比較いたしますと四十八件、四十二人の増加になっておるわけでございます。 もちろんこれも含めまして、高校生の凶悪粗暴化の傾向がうかがわれます事例といたしましては、高校二年生の少年が、比較的学校の成績もいいわけでございますが、全日空機のハイジャックの未遂事件を行ったとか、あるいは中学二年生の少年による百貨店に対する日曜ごとの爆破事件が大阪で行われておる、あるいは埼玉で中学三年生の少年が幼女を殺害して、箱詰めにして死体を遺棄しておったというような凶悪事犯も見られますので、私ども非常に心配いたしておるわけでございます。
○小濱委員 もう一点御報告をいただきたいことがございます。 シンナーなどの乱用少年が再び増加しておる。四十七年八月に法律で規制されましてから一時減少したと私ども感じておったわけですが、シンナー乱用少年による悪質な非行が目立っているという非常に悲しい状況をわれわれは聞いておるわけでございますが、その乱用の実態についてもひとつお答えをいただきたいと思います。
○荒木政府委員 先生お話しのとおり四十七年の八月に毒物及び劇物取締法が改正されまして、シンナーの乱用行為、販売行為が法規制されまして、取り締まりも十分行いました結果、相当減少しておったわけでございますけれども、最近再び増加の傾向がございまして、昭和四十九年中にシンナー関係で補導した少年の数は二万一千百三十七人でございまして、これも前年に比べますと三〇・三%の大幅な増加になっておるわけでございます。しかも、シンナーを乱用したために死んだ数も、昭和四十九年では四十九人、こういうふうになっておるわけでございます。軽い気持ちでシンナーを乱用しておった者が無免許で車を運転し、自己も生命を失うと同時に他へも危害を与えるという悲しむべき結果も出ておるわけでございまして、今後このような実態に対応した措置を十分考慮しなければならぬと考えております。
○小濱委員 以上三点についてその実態をお伺いしたわけであります。これについては文部省、厚生省あるいはまた総理府にも関係がございますが、きょうは警察庁の見解をお尋ねするわけでございますが、事件の内容等をいろいろと探ってみますと、ことしに入ってなお上げ潮ムードとなっておるようですね。こういう点で、警察から増加の原因なり背景について調査の結果を御報告いただきたいと思います。
○荒木政府委員 非行の原因につきましては、いろいろな原因が競合いたしまして事件が起きておるわけでございますが、警察が起きた事件について補導した結果の感想を申し述べますと、非行の原因として考えられますものは、第一に家庭におけるしつけ教育の不足が挙げられるのではないか。規範意識が非常に薄いし、欲望に対する姿勢、いわゆるがまん、そういうふうな心情が弱い。こういうふうなことになっておる上に、最近における商業主義の影響などもございまして、先ほども申し上げましたとおり、少年の間に万引きだの非行が増大し、それがグループ的にその成果を競い合うということにも相なっておるわけで、親を呼び出してみても、うちの子がそういうことをやるはずがない、あるいは悪い友達に誘われたという程度の感想を述べるのみ、こういうふうな状況でございます。学校関係につきましても、進学率が相当高まりまして、授業についていけない少年少女がドロップアウトいたしまして、それが非行グループをつくり、軟派、硬派、いろいろな形における非行事犯を多発させておる、こういうふうなことにも相なるわけでございます。さらに低俗な週刊誌や映画、そこには暴力を礼賛するような風潮もあるし、あるいは性に関する情報が刺激的にはんらんしておる状況にございますので、その結果、粗暴非行あるいは性非行が助長されておるというふうに感じておるわけでございます。
○小濱委員 昔は貧しい家庭の子供がいろいろと悪さをいたしたということですが、最近は悪い行為が遊び的に行われている、こういうふうになっておるわけでして、それがだんだんと蔓延するような傾向にありますので、これは重大な関心を持って注意をするときを迎えていると思うわけであります。 そこで、原因と背景については伺いましたが、警察庁としてはどのような対策を講じていこうとされるのか、その対策の内容を具体的にお聞かせいただきたいと思います。
○荒木政府委員 このような青少年の非行に対しては、警察としては適当な時期をとらえ、春、夏その他の休みに、犯罪が多発するような時期をとらえて行う、盛り場等犯罪が多発するような地域に対しても集中的に行う、あるいは万引きとか暴走事件とか少年による爆破事件が起こった場合においては、そういう罪種別に対して行うような努力をいたしておるわけでございまして、青少年の非行の実態を国民の皆さんに訴え、学校その他関係機関に対しても、いろいろな実態に伴う御協力の具体的な内容をお願いいたすと同時に、地域ごとのボランティアである少年補導員の皆さんの御協力も得て、地域ぐるみの非行対策を行っていきつつあるのが現状でございます。 具体的に申し上げますと、特に万引き事犯について、夏休みを前に多発する傾向にもございましたので、デパート、スーパー、商店等の関係者をお呼びし、学校との連絡会議あるいは職場関係者との連絡会議等も開きまして、それらに対する未然防止の努力をいたしたということでございます。さらに、先ほど来申し上げておりますとおり、学校内の番長グループなどの粗暴グループについて文部省にいろいろと御協力をお願いすると同時に、各県におきましても、学校等と緊密な連絡をとりましてそのグループの実態を明らかにすると同時に、皆様の御協力を得ながらグループの解体をしていく、こういうことでございます。その他、少年の粗暴非行や性非行を助長しております低俗な週刊誌、広告物、看板、そういうものをなくすために刑法百七十五条のわいせつ罪として厳正な取り締まりを行いますと同時に、各県で制定しております青少年保護育成条例等を活用して、警察の取り締まりだけでなく、より広範囲における協力体制の確立について努力をいたしておるところでございます。さらにシンナー等の乱用の増加傾向に対しましては、その乱用少年の補導を行いますと同時に、乱用行為を助長するような販売業者の取り締まりを積極的にいたしまして、乱用の実態、その恐ろしさを国民の皆さんに訴えながら、そのような事態の未然防止について努力しておるのが実情でございます。
○小濱委員 学童の非行化を防ぐ指導力の強化という問題、先ほどお話ありましたように家庭内でのしつけの問題、それから厚生省と警察は一緒に努力をしていかなくちゃならないようなそういう内面がございます。高校全入制が論議されている今日の段階であります。御存じのように、高校進学率も四十九年度で九〇・八%になっている、こういう状態ですし、他の生徒への影響もございますので、この問題についてのこれからの警察の対策というものは非常に期待されるわけですから、ぜひひとつ一層御努力をお願いしたいと思います。 最後に、もう一点ございます。 婦人補導員が少年の補導に当たっておりまして、相当の効果といいますか、成果を上げている、こう聞いております。その効果はどのような点にあるのか、また将来全国でどのくらい婦人補導員を増加していく、そういうお考えがあるのか、この婦人補導員の問題について御説明をお願いしたいと思います。
○荒木政府委員 私ども警察で少年問題を取り扱う場合において一番大切なことは、少年の心情を十分理解して行うことであるし、それを取り巻く家族、関係者の皆さんのお気持ちも十分そんたくしながら行っていくということが第一の条件であろうと思うのでございます。その場合に、何といいましても、母親的な立場あるいはやさしい立場において少年の心情を傷つけないようなやり方が大切でございます。その場合に、いまお話しの婦人補導員の方々が、そういうふうな立場の仕事の重要性を認識しながら、その特性を生かして相当な成果を上げておるというのが実情でございます。 現在、全国で約六百人ぐらいの婦人補導員の方が、婦人警官と相協力をいたしまして、少年の補導、街頭補導、警視庁等で行って相当な成果を上げておりますヤングテレホンコーナーの少年相談、そういうふうなものを個々具体的に適切な処置をいたしておるわけでございます。私どもは、そういうふうな立場にあり、相当な成果を上げておる婦人補導員の方々の増強について、予算の許す限り増員なり教養の充実、そういうものに努力をしてまいりたいと存じておるわけでございす。
○小濱委員 ある知事も申しておりました。どうしてもふやしてもらいたいという強い要望があったこともございます。それから、家庭的なそういう雰囲気での指導、やはり制服を着て指導に参りますと、素直にその指導を受け入れることもなかなかむずかしかろうと思いますが、そういう点ではこの婦人補導員の使命というものは非常に大きいとわれわれも考えております。今後も質と数をふやす、これは予算というものが当然問題になってくるわけでございまして、また、荒木部長からただいま予算という話も出ましたけれども、予算としては、この婦人補導員に対する予算というものは計上されてないわけでしょう。これはどういう方面でこの予算をつくり、これから質と数をふやしていこうとされるのか。いろいろと地方財政計画等々ありますが、そういう点で、これからの方向づけというものを、これは荒木部長でも官房長でも結構でありますから、ひとつお答えいただきたいと思います。
○下稲葉政府委員 ただいま先生御指摘になりましたように、現在全国で約六百人の婦人補導員が配置されておりますけれども、最近におきます学童生徒の非行の増加状況から見まして、婦人補導員による補導活動をさらに充実することが望ましいというふうに考えているわけでございます。 そこで増員の問題でございますが、これは地方財政計画に載るわけでございます。私ども、地方財政計画の策定を自治省がなさいますので、その際にも婦人補導員の増員につきまして、現在もいろいろ努力いたしておるわけでございますけれども、今後もさらに一段の努力をいたしたい、関係機関と緊密な連絡をとってまいりたい、このように考えております。
○小濱委員 ただいま婦人補導員が全国では六百人という話で、まことに少ない感じを受けるわけです。それでは東京都だとか指定都市、こういう大都市の状況はどうなっているのか。これは部長の方からお願いします。
○荒木政府委員 警視庁みたいなところになりますと、人事管理上、婦人補導員よりも婦人警察官にして活用した方がいいというような状況もございまして、特に警視庁のようなところに多いというわけではございません。特に多いところを言いますと、北海道が二十三とか岩手が三十九、長野が三十一、愛媛が二十二というような状態になっておるわけでございます。 このほか、先ほども申し上げましたとおり、ボランティア的なお気持ちで、少年補導員というような立場で補っていただいておるような状況もございますけれども、制服を着ない、法律的権限を持たない、本当に気持ち一筋で少年の立場になってやっていただく婦人補導員の強化というものは、その地域ごとに適任者を選ぶという必要がございますので、そういうふうなことも考えながら今後強化をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○小濱委員 その人選も非常にむずかしかろうと思いますし、また仕事自体がじみなんですね。しかしこうした人たちのこの仕事に対する励ましというものも大事になりますし、またこうした人の専門的な力を蓄えるような努力も払っていかなくちゃなりませんし、これから一層努力をしてもらいたいと思います。私どもは警察の中にこうした人の必要性が生じてきたということは、これは福祉時代を意味するものと考えて、心から喜んでいるわけですが、いま御説明のあったような、まだ県にわずかな人の配属しかできないという幼稚な内容ではなくて、ぜひともこれからもっともっとふやして効果を上げていかなくちゃならない、こういうふうに考えるわけでございます。 そこで、きょうは長官に最終的にこの問題の結論をお伺いしよう、こう思っておったわけですが、これは下稲葉官房長からお答えいただき、またお伝え願いたいと思います。 お聞きのとおり、国家的なきわめて重要な段階をわれわれは感ぜざるを得ないわけです。そういう点で今後のこの問題に対する長官の決意といいますかそういう方向づけというものを示していただこうと思っておったわけでございますが、御方針を、できればひとつ官房長かわってお答えをいただきたいと思います。
○下稲葉政府委員 婦人補導員の問題を含めまして、少年非行の現状は、ただいま明らかになりましたようにきわめて重大な状況にあると考えます。こうした少年非行の背景には、激しく変化する現在の社会が持つ複雑な問題が数多く存在し、その原因を見ましても、家庭、学校、社会にわたって根深い問題があるように思うのでございます。次代を担う青少年を健全に育成することは大きな国家的な課題でございまして、それゆえに総合的な対策が必要であると考えます。したがいまして、私どもといたしましては、非行防止に関する体制の整備充実を図りまして、教育を初め関係機関、団体との連携を深めまして、非行少年の補導及び保護に関する積極的な対策を強力に推進してまいりたい、このように存じます。
○小濱委員 以上で終わります。
○大西委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際休憩いたします。 午後零時四十二分休憩 ————————————— 午後一時三十二分開議
○大西委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 本日、本付託となりました内閣提出に係る市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、これを許します。佐藤敬治君。
○佐藤(敬)委員 今度の合併特例法の改正に当たって、いままでも合併の問題でいろいろ問題がありまして、特に参議院から広域市町村の問題について附帯決議がわざわざつけられた、こういうような問題が出ておりますので、私はこの広域市町村の問題について二、三御質問したいと思います。 昨年の九月三日から地方行政委員会で、長野県の佐久市の広域市町村圏を視察いたしました。あのとき、広域行政の問題についていろいろ話し合いをいたしまして、委員の方々からいろいろと質問も出されてきましたのですが、その一つに、広域市町村圏が非常に大きくなってきますと、どうも小さい町村のあれが発言できないで、大きい組合員だけが発言をして権力化してくるのじゃないか、あるいはまた、これを中心にして合併の前提にするあれはないか、それから、県が当然やるべきものを県がやらないで広域市町村圏に押しつける、あるいは広域市町村圏が何か県のまねをして仕事をする、こういうようなことがないかということをいろいろと質問したりしてきました。 あのときちょうど、佐久の御代田町から分町した西屋敷という地区に広域市町村圏でもって清掃工場を建てる、この問題で御代田町が非常に反対をして、あの中がもめておって、私どもが御代田町の住民から陳情を受けたりなどいたしました。あの問題の中に、広域市町村圏の持っている欠陥といいますか、こういうようなものを非常にたくさん含んでいると私は見たのです。たとえば御代田町という町は非常に小さい。ほかの小諸なりあるいは組合長が出ている佐久市、こういうところは非常に大きい。したがって発言力もあり、いろいろな行動力もあるので、小さい町が抑えつけられてしまって、住民の意思が届かないのではないか、こういうような危惧があって、その質問をしましたが、ごみの問題につきましてはまさしくそういう問題がそのまま出てきている、こういうふうに考えてきたのです。たまたまこういうものを質問する機会などなくていままで来たのですが、また新たなる段階がこの中に発生しておる、こういうことです。自治省は一体これをどういうふうにとらえて、内情を知っておられるか、ちょっとその内容をお聞きしたいのです。
○林政府委員 佐久市、小諸市を中心とするあそこの広域市町村圏、実は私も昨年の夏自分自身で行って、いろいろな問題を伺ってまいりました。いま先生の御指摘になりました清掃工場の問題、確かにその当時もこれは大変問題だといって、その場所まで見せていただいたわけでございます。しかし清掃工場というのは、これは東京の杉並区でも問題になっておりますように、自治体としてはどうしてもやらなければならない仕事、どこかにはつくらなければ、その自治体の住民全体が困るという事柄でございますが、同時にそのつくられるところにとっては、まず歓迎されることのない事柄でございまして、清掃工場を設置する、しない、設置反対、そういった問題についてもめるというのは、これはあそこの広域市町村圏だけではなくて、あらゆる自治体で常によく起こっている問題でございます。 ただ、その問題でいま先生の御指摘になりました意味は、たまたま広い区域で大きいところが強い発言力を持つので、その反対というのは、個々の町村が独立しておれば何でもないのだが、広域で一緒に仕事をするがために非常に小さいところの発言力が弱いのじゃないか、そういう広域市町村圏として仕事を進める場合の本質的な欠陥じゃないかという御指摘だと思います。 私は、そういう性格を持っていることは確かに持っているだろう、大ぜいが一緒になって仕事をしようとすれば、全体にとっては必要だというものが、つくられるところが、自分のところは反対だと言うと、地域エゴについとられやすい。まあ地域エゴの分もあるいはあるのかもしれませんが、とられやすいということで、そういう問題は必然的に起こってまいる事柄だと思います。まさにそれは運用をよくするか悪くするかによって、デメリットがデメリットとしてその一部の地域の住民の不幸を無視してもということに作用するか、あるいはそのデメリットにかわるこれこれのメリットということで話がついて、みんな円満に必要なものをつくることができるかという、まさに運用の問題だと存じます。 御代田地区の場合もそういった住民の反対運動がありまして、土地はすでに入手しておりますが、現在なお工事に着手しておらない状況でございます。着手しておらないというのは、ある意味では御代田地区の住民の言い分がそこで通っておるとも言えますし、逆に言えば、早くつくらなければいけないごみ処理工場がまだ設置のめどが立っていないという全体としての問題だと思います。あそこのあれ自体の運営がいいかどうかということは別問題でございますけれども、こちらから見れば、できるだけ早くその地区に建てるなら建てるでその地区の住民の納得を得る。納得を得るがためには、あるいはある程度の条件といいますか、反対地区といっては直蔵過ぎますけれども、その地区の住民の福祉を考えるということもあわせ実施するという方向で納得を得てやってもらうことが必要であると思いますので、それ自体が持っておる広域市町村圏の欠陥とまでは言い切れないのじゃなかろうか。ごみの清掃工場あたりではどこでも必ず起こる問題であり、いかに全体の納得を早く得てつくるかどうかという運用の妙をそこで発揮していただきたい、こういうふうに考える次第でございます。
○佐藤(敬)委員 私もそう思うのです。汚いものを自分のそばに持ってこられるのは反対で、総論賛成、各論反対、これは当然そうだと思います。その点は私もよくわかるのですよ。ところが決してそうではない。そういう単なる小さな、地域エゴというのは持ってこられるところだけにあるのじゃないんですよ。持っていく方にもあるのです。おれのところに持ってこないから賛成だと言う。これはもうそのとおりでしょう。持ってこられるのは反対だ。持っていく方は、よその市に持っていくんだから、おれのところは何も臭くないから賛成だと言う。これは持ってこられる方だけのエゴじゃないのです。これは持っていく方にもエゴがあるんですよ。ここのところをよく考えませんと、いまあなたの答弁みたいに、持ってこられる方だけがエゴで、そしてけしからぬという結論が出てくるのです。そこのところに持っていく方のエゴ、そのエゴのためにこの広域市町村圏というのが利用されているということを私は言いたいのです。まさしくそうなんです。 これはいま読んで聞かせますけれども、信濃毎日に出ている。われわれへの陳情書にもたくさん出ていますが、これは新聞が要領よく書いてあるので、これをいまちょっと読んでみせますが、これは昨年われわれが視察に行ったすぐ後の騒動です。こういうふうに出ているのです。「十日の理事者会(加入十六市町村長で構成)」というこの佐久広域行政ですね。「には清掃工場建設特別委員会委員も出席して佐久市岩村田の同組合事務所で開いた。席上、理事者側から」この次が問題ですよ、聞いておいてください。「反対住民が佐久市西屋敷の敷地変更を求める限り話し合いの余地はない。」これが一つですね。その次は、「一部の反対で広域全体の仕事ができないのは問題だ。」その次は、「四十九年度の第一次補助金申請期日が迫っている。今回認められないと広域行政そのものにひびが入る。」こういうような意見が出て、「この結果、特別委員会の答申を入れ、反対住民との話し合いを打ち切って着工すべきだという結論を出した。」こういうような記事が出ている。私はこれを見て、いま話したようなことを強く感じるのです。反対住民が、ここじゃだめだからよそへやってくれ、こういうようなことをやっている限りは話し合いの余地はない。ところが、これを見ますと、当時私どもは陳情を受けましたけれども、ここの土地じゃなくて、どこかもっと別の土地を選定してやっているのです。そこにも同じような問題が発生するかもしれませんよ。しかし別の土地も出してやっているのです。ところが、それが全然検討された議会の記録もなければ何もないんですね。ただそこは適地でないというだけで全然検討されておらない。なぜ適地でないという結論を出したか、この問題ですけれども、ただこういう二つの問題しか出ていない。一つは、人口の密集しているところから遠過ぎる。それから道路が狭い。たったこの二つの問題だけで、頭から検討する意思を全然持っていない。これを見ますと、単に経済性、これだけを追求している。人間を公害から守る、そんな考え方は何もないんです。これはまさしく持っていく方のエゴなんです。持ってこられる方のエゴを全然考えないで、ただ道路が狭いとか人口の集中地域でないからこれは全然検討する価値がない、こういうことだけを言っている。これは調べてみたけれども、全然検討していないんですね。こういうようなことを考えますと、どうもこの広域市町村圏というのは全く持っていく方のエゴに利用されている、私はそういうふうに思うのです。「一部の反対で広域全体の仕事ができないのは問題だ。」これはまさしくそのとおりでしょう。しかし、それだからといって持っていかれる方の迷惑を全然無視していいということはないのです。ここのところは、私は広域市町村圏というものの非常に大きな欠陥だと思いますよ。これをどう補っていくかということを考えなければならぬ。たとえばこの前の討論でもずいぶんやりましたね。このときも、野党が少ししかいない。与党が全部だとすると、与党の人だけ出ていって野党の委員が全然そこに入っていかなければ、野党の意見が全然通っていかないのですよ、この中で。人口構成でもっていろいろやっていれば、全体で採決とれば小さいところの町が負けるに決まっているんです。そこのところに一番大きな問題がある。あなたは欠陥じゃないと言うけれども、私はやはりこれの持つ性格の欠陥だと思いますよ。これをどういうふうにして補っていくかということは、あなたの言うとおり、運用の問題だと私は思う。法的にこれを補っていければうんといいけれども、やはり法を運用する者は人間ですから、それをやっていくところの人間、これが問題だと思う。この問題を解決するためには、やはり一つは、こういう住民の意思が届くように、小さいところの町の意思が圧殺されないように、何かそういう議員構成なりいろいろな、拒否権を与えるとか何か、そういうふうな法的なあれをやることが必要だと思いますよ。そう思いませんか。
○林政府委員 まさに清掃工場建設としいう問題は、たまたまこれは広域行政圏の仕事としていま進められておるわけでございますけれども、どこにでも、恐らくいま先生の御指摘になったような問題が起こってくると思います。早い話、東京の杉並のごみ工場でも話がつくまでにずいぶん時間がかかっておりますが、しかし今度は反面、広域行政が必要だ。いまここで問題になっております清掃工場、これはやはりどうしてもその地区としては建てなければならぬことでございましょう。そこで、この清掃工場を広域的なものを単位として建てるという場合に、そういう広域行政を進める方法としていまは広域市町村圏というところで共同処理を進めることをやっておりますけれども、あるいはその全地域が合併して一つの市町村となるということも、広域行政をやる一つの手段かもしれない。しかし、それはまだ時期が早い。第一次の町村合併後さして時間もたっていない。さらにここでもう一遍合併を推奨するということは、いま時期も早いしといいますか、適当でないとすれば、結局共同処理の方法しかない。そこで、いまの共同処理の広域市町村圏という形で一部事務組合をつくってやる場合には、おっしゃるとおり、代表の出し方その他について、先生のおっしゃるようなことは理論上当然あります。結局運用で補うしかないということはまさに御指摘のとおりでございますが、それ自体が広域市町村圏の行政の進め方の決定的な欠陥であるとは実は私思いませんので、共同処理をするということはあくまでもみんなの共同行為でありますから、それぞれ小さいところ、大きいところの差がいろいろあり、あるいはごみ処理工場を持ってこられるところと、自分のところには持ってこないでその恩恵だけ受けるところの差があるわけでございますが、それを話し合いをつけないで強行してやろうとしても、これはまたできるものではない。極端な場合はその一つの町村だけがその組合から脱退する、あるいは負担金を納めないというような形で事業が実施できないという形にもなりましょうけれども、まさにそういう機構の持っている必然的な——先生、欠陥とおっしゃいましたけれども、広域行政を進めて、しかも合併によらない場合はこれしかないわけでございますから、その辺を全部運用でカバーしていただく。また、現実に運用でカバーして全体の納得の上に共同処理を進めているケースが実はたくさんあるわけでございまして、清掃工場の設置というのは実は紛争を非常に起こしやすい問題でございます。この一事をもって広域市町村圏という共同処理の進め方が欠陥があるとは私は思わないのですが、運営上非常に問題が多いものについては上手に話し合いをしていただきたい、こういうことでございます。
○佐藤(敬)委員 時間が非常にないので議論している暇がないので、まことに残念ですが、ところが、この答申を受けて依田組合長がこういうことを言っています。「もし反対住民が実力行使に出た場合には法的な手段に訴える。」こういうようなことを言明したりしているんですね。だから、ますますこれはエキサイトして、おかしな方向にいっているんです。それで私は非常にあそこで、これは個人攻撃して問題があるのですが、依田組合長という人に会っていろいろ話を聞いてみたんだけれども、ほとんど反対の人の、こんなのは問題になりません、ほんの一握りの、一部の人のあれです、そうして全部が賛成している。ここに依田組合長の話がありますが「御代田町を含むほとんどの市町村が建設に賛成しており、逆に執行しない私が突き上げられる。予算措置のめどもついておるので着工に踏み切る。」と言って、二回目の強行測量を始めた。ところがやはり大問題になりまして、いろいろな問題があって、これをとうとうできなかったわけですけれども、小諸の市長なんかもはっきりそういうことを反対と話しているのですね。どうも広域市町村圏になって、自治省に頭を抑えられ、県に抑えられ、また広域市町村圏に抑えられて、厄介なものがもう一つできたと、はっきりそう言っているのです。こういうような圧力を感じていることは確かなんです。ところが、最近また別の問題が起きてきた。この間広域市町村圏を複合一部事務組合というのに変えました。あの問題に絡んで、もう一つこれは新しい展開があるのです。そのことは知っていますか。これは振興課長でもいいです。
○竹村説明員 その点、私存じておりません。
○佐藤(敬)委員 それはちょっとうかつですな。こういう問題が起きているのです。このところで、御代田町が全町民の、投票じゃないけれどもパーセンテージを調べるやつ、それをやった。七八%が建設反対というのが出てきた。それでいま御代田町の議会が割れて、そして大問題になって騒いでいるのです。まあ反対の人は余りいないようですが、条件つき賛成ということは言っているけれども、実際にやったら賛成しなかったりなんかして、非常に賛成者が少ない、とにかく割れている。どうも議会の方の態度が強硬なものだから、御代田町の町長が今度ははっきりと反対の態度を表明した。そうしましたらこういう問題が出てきた。今度は、広域行政で一本だとなかなか外されない、ところが清掃のあれでもって一本で一部事務組合をつくるでしょう、そうなると、あなたのところはつくりたくなかったら勝手に自分でつくりなさい、あとの人たちだけでつくりますと、これは当然かもしれません。しかし、つくる場所が同じ場所につくるというのです。あそこはどうしてああいうふうになったか知りませんが、町村合併であそこだけ分離して佐久市に編入されているのですよ。御代田町のど真ん中のへそみたいなところに入ってきて、そこは単に、行政区域が違うから、おまえのところを外してしまえばここは佐久市だから、後は勝手にやるぞという、これが出てきているのですね。こんなばかなことが許されるのはおかしい。中で小諸市も反対しているのでなかなかできないと私は思うけれども、とにかく何でもかんでも強引に、いかにその周辺に人があっても、今度は新しいそういう広域行政のあれが改正されると、おまえのところをよければ後はおれたちの勝手だというかっこうで、また進めようとする。これは佐久市だと言って、どこまでも勝手だ勝手だと言って進めていく。ここのところにあなたの言われるまさに運営の欠陥があると私は思うのですよね。そこのところを何とか救う方法がないか。勝手だ勝手だと言うけれども、本当に体の真ん中にぴょこんと盲腸みたいに入っている。そうしてそこにつくるというものだから大騒ぎになっている。おまえのところを外せば、へその真ん中であろうがどこであろうが、つくるのは勝手じゃないかと、そういう勝手なんですね。だから、ここが一緒にいても強引につくる。じゃ、つくれなければ、おまえら抜ければ、おれもおまえの体におきゅうを据えるぞという形でやろうとしている、こういう運営の仕方があるとすれば、許されるとすれば、ぼくはやはり広域市町村圏の大きな欠陥だと思いますよ。これを、広域行政も割らないでもう少し話し合いをし、そして少しよその土地でももっと真剣になってみんなで検討する。あるいはまた、そうなったならば、ただ公害が出ないりっぱな清掃工場だから大丈夫だと言っているけれども、どこも公害を出しますよという清掃工場はないのですよ。まああちこち例がたくさんありますけれども、必ずりっぱですよと言って後から公害が出てくる、そういう例がたくさんあるものだから、心配するに決まっているのですよ。もっと具体的に話し合いをしていかなければ、合法的な広域行政のあれだから決めればいいぞという、そういう態度を持っている。しかもこれをバックにして持っているから、私は欠陥と言うけれども、あなたの言うようにこれはまさしく運用の欠陥でもありますよ。ここのところを何とかあなたがたから指導して、こんな強引に広域行政を割ったり、強行採決して建てたり、こういうようなことのないように、これは厚生省ともうんとあれがありますけれども、指導する意思はございませんか。
○林政府委員 清掃工場というのはその佐久だけでなくて、全国的にほとんど似たような姿で問題になっている。つまり運用をうまくやって、うまく話し合いをつけてくれといっても、最もむずかしい案件の一つだろうとは思います。しかしそういうものでも、これはつくらないで済むものではない、地区全体としてはどうしてもどこかになければ困る問題でありますから、何とか解決をしていかなければいけない。そこで、佐久の件の問題につきましては市町村の問題でございますので、特に私の方も長野県とよく連絡をとって、長野県からも妥当な指導をやってもらうように進めてまいりたいと考えております。
○佐藤(敬)委員 大臣にちょっとお願いしますが、この広域市町村圏の問題は、地方のあれにとっては非常に大きな問題なんですよ。というのは、一番先に自治省がこの広域市町村圏というものをつくって、これを合併に持ち込んでいこう、こういうような意図があったことは明らかなんです。ところがこれをやりますと、やはり明治五年以来公布された現在の市町村制、それがこの間の二十何年だか三十年だかの大合併でもって一つの新しい編成ができた、その編成で足りないので今度は広域市町村圏というように、いま局長も、合併ができなければこれをやるしか手がないと、こういうようなことを言って、まさしく私が言おうとしていることを話しているのですけれども、これを合併させて新しいあれに持っていこうということは、いまの自治体にとっては大変な革命的な大きな問題だと私は思うのですよ。 それで、この前の議会で私ども話をしまして、そういう全部事務組合ではなくしましたけれども、やはりこういう問題というのは次から次へと起きてくる。この点を、こういう強行をして住民に新しいトラブルができないようなあれを自治省から通達か何かで出して指導すべきだと思いますけれども、大臣、そういう意思はございませんか。これはいま局長が、どこにもある問題だ、だからいたし方がないというようなことを言っていますけれども、そうじゃないのですよ。むずかしい問題だったら時間をかけるなり何かをしてやればいいので、次から次へと強行をしてやるということは私はうまくないと思いますよ。だから、できるだけトラブルを起こさないようにやれと、こういうような通達を、大臣でもいいし、次官でもいいし、局長でもいいし、何か出して、やはり円満解決を図るような方法をやっていただきたいと思いますけれども、大臣のお考えをお聞きしたいのです。
○福田(一)国務大臣 御質問の趣旨はよくわかります。よくわかりますので、まあ、われわれとしてはそういう公式なあれというよりは、つくる場合も無理がないように、ひとつ個々の問題について具体的なあれがある場合に考えていくようにしたいと思っております。
○佐藤(敬)委員 時間がないのでこれで終わりますけれども、確かに、清掃の問題だとか屎尿処理の問題だとか、ああいう問題はむずかしい問題ではあります。そしてまた、局長の言われるようにどこかにつくらなければいけない問題でもあるけれども、それだからといって、数を頼んで強引に押し切るというようなことは私はやるべきでないと思います。ああいう広いところなので、もう少し道路をつくるとかそういうような金をかければ、もっといいところがあると思いますよ。あんな山の中ですからね、もっといいところがあると思いますよ。それをただ人家に近いところ、いま新たに道路をつくらなくてもよろしいところ、そういう経済性だけを追求していくというのは、いまの田中さんから三木さんに転換した趣旨にも私は沿わないと思う。そのところをよくお考えになって、できるだけ強く、ひとつ円満にいくように指導をしていただきたいと思うのです。 これで終わります。
○大西委員長 三谷秀治君。
○三谷委員 町村合併について関係町村の住民が、その必要性、利害得失、合併計画、その手続等について十分に納得しないままで、また関係者が、それらについて周知徹底させる努力をしないままで合併を進める事例が少なくないのです。 たとえば、昨日指摘されました広島県の船越町の場合、有権者の六割が署名した請願書を出している。その請願というものは合併反対という請願じゃない。この請願の内容というのは、合併の長所短所をわかりやすく、よくわかる資料を町の広報に載してほしい。それから、説明会、公開討論会などを何回も開いて、住民参加で十分論議できるようにしてほしい。合併するかどうかの最終判断は住民投票で決定してほしい、こういう内容になっているわけです。合併反対だという内容じゃないのです。内容をよく知らしてもらいたい、これが請願の内容になっている。 この請願を議会は受理しましたが、これを不採択にしてしまった。しかし、それにかわるものとして、全有権者の過半数または全戸を対象に合併の可否を求めるアンケートを実施することが望ましい、こういう決定をした。そこで、請願者側は希望条件をつけてこれを認めた。希望といいますのは、アンケートの結果を必ず尊重してもらいたい。アンケートの方法、内容の検討、集計には、請願者側も参加さしてもらいたい。アンケートの実施は、町が住民に対する説明会を終わった後にやってもらいたい。これは当然のことであります。 ところが町長は、調査結果を尊重すれば住民投票と同じことになると称して、これを了承しない。そこで請願者が、地方自治法第七十六条、直接請求のリコール運動に入った。有権者の三分の一をはるかに上回る三千九百八十三名の議会解散署名が集まって、町の選管にこれを提出した。これはもう法規にかなったものであります。そこで、町議会の特別委員会は、住民の要望にこたえてアンケートを実施することを七対六で決めた。ところが町長は、合併の対象である広島市と連絡した上で、アンケートをしたら合併をしないと広島市に言われたと称して、アンケートを認めない。そして、出席していなかった二人の議員を呼び出しまして、八対七で、アンケートはやるけれども合併決議した後にやると決定した、こういう経過があるのです。 一方におきましては、議会解散の署名を審査するはずの選管が総辞職をしてしまった。これは、総辞職しましたのは、町長が選管事務局を指揮して、署名した町民、特に婦人や老人を脅迫するような呼び出し状を出したことに対して反発したものであります。 いずれにしましても、選管が総辞職をする。そこで審査ができない。この間一カ月審査がストップしてしまった。そのために、請求要旨の告示後六十日以内に議会解散の是非を決める住民投票を行うことになっておりますけれども、これが三月二十日の合併期日前に行えないと称して、住民投票はしないということを決定している。内部的に決めました合併期日が、住民の基本的な権利侵害の根拠になるのかどうか、これをひとつ私はお尋ねしたいと思うのです。 それから、こうして合法的に成立しました議会解散の住民請求を無視して、いま言いましたような時間的な経過を経て、議会で合併決議を行っておる。この事態に対して、自治省はどういう見解をお持ちでしょうか。 それから、これについては行政監察局が、これは住民の権利侵害として重要であって、法改正が必要かどうかという立場に立って調査をするという活動が行われたという報道がなされておりますが、これについて、行政管理庁の調査の結果についてお尋ねしたいと思います。
○林政府委員 広島市と船越町の合併については、いま先生がるるお述べになりましたような経過、そのとおりの経過があったことを聞いております。 それで、このこと自体を取り上げますと、それは客観的に見まして合併の必要性というのはあるいはどれだけあったかということは別としまして、手続はやや早急に過ぎたというか、住民に対する説得工作について不十分の面があったということは、認めざるを得ないのではないかと思っております。 この辺の事情が那辺にあったかはよく存じませんが、一つには広島市が、これは広島県、広島市、あるいはともどもかと思いますが、規模の適正化を行った上で政令指定都市になるという一つの目標も定めておるようでございますので、そちらの方からの要請が、あるいは少し手続を進める上に慎重を欠くという結果までに至ったのかとも推察できるわけでございますが、いずれにせよ、この船越町の合併については、やや性急に過ぎた面があるのじゃないかということを言わざるを得ないと思います。全国的に合併が進められておりました昭和二十八年から三十六年の段階では、こういうようなケースも間々見られたわけでございますけれども、その後の、現在の自然に任している姿では、実はこういうケースは非常に珍しいのでございまして、いまの法律の十年間に百二十二件の合併が行われておりますが、そのほとんどは、町村住民へのPR、それから意思を聞く手続その他慎重にやりまして、円満に、もちろん反対があるところがありましても、円満に合併しておるところでございます。 そこでこのケースは、一つは、特殊ではあろうと思いますが、善意に考えればいろいろな、これは合併というのは、確かにメリット、デメリットいろいろございまして、これが合併することが究極的に町民の福祉の増進になるかマイナスになるかというのが、意見が分かれるところでもございましょうし、いろいろな運動があることは当然予想できますが、そういうものを踏まえた上で、住民の代表たる議会で、それの利害得失をあらゆる角度から検討して、結局は、最終的に住民の福祉の増進に資すると認めたからこそ、それだけの住民運動の中で議会の議決状況がたしか、伺うところによりますと十三対二であって、十五人のうち十三人の議員は、一部の反対はあっても、合併した方が結局は住民の福祉であると判断したんだということも推定できますし、またそれを受けまして広島県議会も、この合併を是とした議決をしておりますので、そういうところでは、手続上性急な点はあったけれども、まあやむを得なかったと理解せざるを得ないのかと存じます。そこで、御質問のこういうリコールですか、住民の直接請求の権利を事実上不可能にしたことが権利侵害になるのではないかという御質問がございました。確かにリコールの手続と合併の手続、これは別個に進められておりまして、結果的に時間的にリコールの手続が間に合わなかった。しかし、間に合わなかった点はまたリコールをした住民側の責任ではなくて、いまの選管が辞職したというような別の方の事由がそこに加わって、さらにその間に合わない度合いをはなはだしくしたということでございましょうか、そこで結果的には、リコールの権利を行使する以前に合併の効果が出てしまったわけでございますけれども、このこと自体も手続は別個でございますので、法的には権利侵害になるとは言えない。しかし事実上権利の行使が不可能になる結果を招来したことは間違いないことではないかと存じます。
○林説明員 本件は、現地の行政監察局が行政相談として受け付けた問題でございます。 行政相談事案につきましては、原則として現地局が処理するということにしておりますので、事実関係を詳細存じておりませんが、とりあえず現地に照会して聞いたところを申し上げますと、本件につきましては、申し出の要点が、町議会の弁明書提出を急がせてもらいたい、そういう行政指導をしてもらいたいということと、もう一つは、住民の直接請求の権利が守られるような方策を考えてもらいたい、そのため、法律改正が必要なら検討してもらいたいということであったようでございますが、現地の監察局の行政相談の担当官としましては、一つに、町議会の弁明書提出というのは、地方自治体の固有の事務であるので、行政管理庁があっせん等を行うことはできません。それからなお、法律改正の問題でございますけれども、これについては、御要望ということで本庁に進達はしましょう。ついては、事実関係について申し出人の方にひとつ改めて資料を下さい、そうすれば本庁には取り次ぎましょうというふうに話したようでございます。したがって現地の局といたしましては、関係者から参考となるような資料が出てくれば、それについて検討もし、本庁にも進達してくる。もし本庁に進達してまいりますれば、それが何か自治省の業務の参考にでもなることになれば参考にお取り次ぎはするということになるわけでございますが、実は現在のところ、その後申し出人の方からは別に資料の提出等は行われていないようでございます。いずれにしましても、本件は地方自治体の固有の事務でございますので、行政管理庁が独自に調査をするというような権限はもちろんございませんし、調査することも考えてもおりませんということでございます。
○三谷委員 いまの点のお答えについてさらにお尋ねしますけれども、御承知のように、この間接民主制のもとにおける行政というものが必ずしも完全ではない、選出した住民の意思に反して独断に陥る場合があり得るというところで、それを是正するために直接請求という手段が残されておる。でありますから、住民主権という観点からいきますと、この点は非常に重大な権利でありますし、一番基本的に保障されるべきものでありますけれども、これが合併期日というふうなもの、合併期日というのは三月二十日と言っておりますけれども、そういうふうなものによって事務的な一定の設定に基づいてそういう基本的な権利というのが無視されるということが許されるものかどうか、この点の見解をお尋ねしたい。
○林政府委員 間接民主制を現在自治法がとっておりますたてまえ、そのたてまえを自治省がとっております。それに対しておっしゃるようなチェックの機能としての直接請求、リコールとかその他の制度がございます。それなりの存在理由もあると思いますが、たまたま御指摘のように合併という重大な問題について、その期日の面でこのリコールが間に合わない、こういうことが許されるかどうかということでございましょう。ただ、その合併を決めるのを、この間接民主制である議会の議決にかけている現在の制度の意味は、先ほど私御説明いたしましたように、合併するかどうかという地方自治体の最も基本的な問題ではあるけれども、これを直接の住民の意思、つまり直接民主制的な住民投票にかけていないということは、合併という問題がそのときのいろいろな感情とか運動とかに左右されずに、住民の代表者をもって冷静に利害得失を判断して決めるという事柄からこれを住民投票に直接かけていない、議会の議決にかけている。このこと自体が、これは肯定されるべきだと私は思っておりますので、これを肯定する以上、現在のリコールの制度との関係で、この合併の議決に際しては、たとえば、先生おっしゃりたいのは、もしリコールという手続が出たらそれで合併の議決ができないようにする、あるいはそれを延ばすという、最終的には立法的な解決策が考えられないかという御趣旨であろうと思いますけれども、そのことは、この合併という問題を議決にかけております現在のたてまえからすれば必ずしも適当ではないだろう。結果において時間的にそういうふうに間に合わなくなるということ、この船越町の場合はそういう問題が出たわけでございますけれども、それは今度は、リコールの請求権を運用される方でも、十分リコールというものに時間がかかるということも心得た前提の上でそれを適切に行使していただければ、場合によればと申しますか、十分間に合うというか、そのリコールの発動そのものがまた合併を阻止する唯一の手段でもないと思います、そういう住民の意向を考えて議会の方の議決も左右される、そういうような効果をあわせ考えて、すべての運営の面で解決すべきものではないか、いまのような立法的解決ということは、立法政策として考えられないことではございませんが、なお検討を要する面が非常に多いのではないか、私はそういうふうに考える次第でございます。
○三谷委員 少し話が先の方へ行っておるんだ。私はいま住民投票の問題を言っているわけじゃないのです。ここにおいて行われました直接請求に基づく権利というものが、事実上いろいろな手段によって圧殺されてしまっておる、そして三月二十日という期日、これは行政的な手続の問題ですけれども、それによりまして住民の基本権というものが侵害されるというような状態が正しいのかということをお尋ねしたのです。答えは簡単に言ってください、時間が半分たってしまいました。 それで、もう一つ尋ねますけれども——それは後で一緒に答えてもらう。千葉県の総務部長をしておりました山野幸吉氏という人が「町村合併に伴う紛争問題」という論説を公にしております。これによりますと、町村合併に伴う紛争の事例を見ると、必ずと言ってよいほど関係町村の議会の議決に無理がある。したがって、議会の議決に対して住民が強く反対するといった事例が多いということを、総務部長の職責にあって経験した事項としてまとめている。 ですから、こういう船越町の場合は極端でありますけれども、そういう事例は少なくないということです。そこで、町村は種々複雑な事情から合併の議決を強行して問題を県に持ち込んでくる場合も多いということも言っておる。そこで町村合併の場合のような重要な議決は、従来の普通の場合の二分の一議決でなしに、三分の二程度の特別議決にすべきであるということを述べております。また、当該合併計画の全体について公聴会または部落会等を通じて関係住民に周知させ、その意見を聞くことを法的にも義務づけるべきだということを、彼はみずからやってきた町村合併の紛争の経験から結論として意見をまとめております。これは実際に町村合併をめぐる紛争を数多く取り扱ってきた人の意見として、きわめて貴重なものだと私は思っております。この見解は至極妥当な見解ではないかと私は思います。 関係法令に対して若干の修正を加えますならばこういう紛争というものを未然に防止する措置がとれるわけでありますから、容易に実現をする可能性を持っております。なぜこの改正に当たりましてそういう考慮がなされていないのか、これをお尋ねしたいと思います。
○林政府委員 今回の改正は合併に関する手続その他における地方自治法上の改正ではございませんで、自主的な判断に基づいて合併をします場合にその障害を除こうという特例法を延長しようとするだけでございますので、今回の改正については、特にそれは考えなかったわけでございます。ただ、いま御指摘になりました山野幸吉氏の意見、合併というものは非常に重要な問題であるから少なくとも特別議決にすべきである、あるいは公聴会、部落会等による説明を法的に義務づける、これは立法論として傾聴すべき意見である、十分検討を進めてまいる価値のあることではあろうと考えております。
○三谷委員 要は、住民自身の意思に基づく自主的で民主的な合併をいかに保障するかという問題です。行政局長は、きのうあたりの答弁を聞いておりますと、わあっという声で合併を決めるのではなしに、議会が冷静に公正に判断して決めるなんということを繰り返していらっしゃる。つまり、あなたは住民運動というものをわあっという声だ、こういう住民運動軽視の発言をきのうは一貫してやられておった。これは大変な考え違いだと私は思います。 実際においては逆の場合が多いのです。市町村当局が合併によるメリット、デメリットを明白にしないで、財政が豊かになる、これが大体一枚看板になっている。そういう無責任な宣伝をして合併を強行しますから、住民が冷静にその強行的な処置に対処するという場合が多いわけであります。ですから、住民多数の意思と議会の意思が遊離した場合、住民主権をどう保障するのかという問題ですね。この教訓をこの改正に当たりまして一つもこの条文やあるいは自治法の中に織り込まれようとしていないということなんだ。 この十数年間にわたります町村合併というもので、ずいぶんこれは紛争が起きているのです。大阪府下でも起きている。私ども府議会におりましたから、下から上がってきたものは、決議を尊重する意味におきまして認めてきましたけれども、内部的にはずいぶん問題があった。ですから、あなたがおっしゃいますように、形式的に県議会がこれを認めるとか、あるいは市町村議会が多数で決めたものだから正当なものだと必ずしも言えない場合があるわけなんです。そこで住民の意思との矛盾の問題が出てくる。それに対する対応策というものが全然考えられていない。この十数年間の町村合併を通じまして一番の大事な点はここだ、そこのところが一番教訓として私たちが学ぶべき点であって、改正をしますときには当然この問題に手を触れずにはだめなんだという考え方を私は持っておりますけれども、一つもお触れになっていない。これは一体どういうことなのか。
○林政府委員 私は住民運動を軽視しているつもりはございません。しかし、住民運動が絶対に正しいものであり、常にこれが間違っていないと住民運動を絶対視する考え方にも必ずしもくみするものではございません。住民運動というのがいろいろな姿で起きますけれども、正しいものを正しい手段で追求している場合もございますし、あるいは一つの地域エゴの形をオブラートで包みながら押し出しているという関係もございます。現在議会で代議制をとっておりますのは、議会というところで住民の投票によって選ばれた住民の代表によって、それらの声を上げる人の声も十分聞くと同時に声を上げない人の立場も十分考えて、冷静に判断をして物を決めていく、これが代議制というものでございます。おっしゃるように、代議制で、議会で決めたことが常に絶対正しいとは限りません。人間のやることですから間違いはございますけれども、町村の意思を決定する手段として相対的にこれが現在のわが国の実情に最も合うんだという考え方で代議制というものを支持しているわけでございます。住民運動そのものを頭から軽視しているわけではございませんけれども絶対視もしておらないということでございます。 それから合併の手続に関しましては、立法論として先ほどの山野幸吉氏の提案もございますし、常にあるわけでございます。それから、町村合併が全国的に推進されました時代には数々の紛争も確かに御指摘のように起きてまいりました。しかし現在の段階では町村合併というのは、昨日からくどくど申し上げましたように、国も大いに合併を奨励して、合併せい合併せいという対策には立っておりませんで、町村の自主的な判断によって皆が納得して合併するものは、それは結構だから障害を取り除こうと言っておるだけでございます。紛争もこの船越町のように起こるケースもございますけれども、この十年間の経緯を見ますれば、全体的にはほとんどその九割以上が円満な話し合いがついた上で合併しております。いま直ちに議会の議決を特別議決に変える、あるいは公聴会、部落会というものを義務づけるということをしなくても、現実にはこれはまずほとんど行われているのが普通でございますし、その教訓は教訓としてとりながら、現在直ちにこの合併の地方自治法上の手続をいじるべきであるかということについては、まだそこまで踏み切っておりません。しかし、この問題は大事な問題でもございますので、今後地方制度の改正をするに当たっては、常にこれに対して十分配慮し、検討は加えてまいりたいと存じております。
○三谷委員 あなたは住民運動は決して軽視するものじゃないとおっしゃっておりますけれども、とにかく住民運動というものをどのように理解するか、どのような定義をつけるか別としまして、その市町村の有権者の半数以上というものが一定の意思を表示しましたときには、住民主権の立場に立ちますならば、これが誤っておるとかいないとかいうようなことを官僚がとやかく言うべきものでもないし、第三者がとやかく言うべきものでもない。それは住民主権に基づくべきものであるという見地に立つべきものであって、あなたのおっしゃることにつきましては、いろいろ取り消しなさっていますが本質的には住民軽視が内容になっております。 今日までの町村合併をめぐります紛争というものは、直接請求だとか分離請求だとか、あるいは取り消し訴訟だとかいろいろ起きております。きのうも出ましたが、群馬県の城南村ですか、上越市においても起きておりますし、亀岡市においても起きております。数えれば切りがありません。いまの山野幸吉氏が挙げております千葉県下の実例だけでもかなり多くの数に上っておるわけであります。ですから、いま現在の段階では国が奨励的に町村合併を進めるという意思はないとおっしゃいますが、国の意思いかんにかかわらず、たとえばさっきの広島市のように巨大市が周辺の町村を合併する、そのためにさまざまな手口を使ってやってくるという例もあるわけでございますから、国がそれを奨励するしないにかかわらず、いつの場合でも住民が納得をする、住民が了解をする、その保証が必要である。そのことは決して町村合併の円満な進行を妨げるものではない。それこそが住民主権の立場に立つ考え方であって、そのための処置を、いま検討すべき課題だとおっしゃいましたけれども、当然今回の改正の中に入れるべきだ、それが今日までの町村合併における教訓を生かす道なんだということを私は言っているわけなんです。大臣がわざわざ出席していただいておりますのに、黙して語らずということでは出席してもらっている意味がありません。大臣も少し見解を述べてください。
○福田(一)国務大臣 見解を述べないつもりで出席しておるわけではございません。局長がお答えをいたしておりますので問答を聞いておったわけでございます。今度の合併のこの法案の十年間延ばすというのは、この段階において今後もまだ合併をしたいという場合にはそれができるような道を開いておこうということでありまして、その合併自体についてのいろいろな問題があるということであれば、今後検討をいたしまして法案をまた修正するということも私はやぶさかではないと思いますが、ただいまのところでは私たちは延ばしておいていただくということでひとつ御了承を得たい、こういうことをお願いしており、御理解を賜りたいと思います。
○三谷委員 それはえらい理解のできる論理的なお答えじゃありませんな。つまり論理抜きでおっしゃっておりますけれども、そうでなしに、この町村合併という問題は、今後におきましていまの船越町のような事例が起きないか、上越市のような事例が起きないかといいますと、それは起きる可能性が十分にある内容になっている。せっかくお延ばしになるわけだから、その機会にそういう弱点を補強するという処置をとる必要がありはしないか、あるはずだというのが私どものお尋ねしている主たる意図てありまして、それ以外の何でもありゃしません。 それで先ほどの船越町の問題ですけれども、このようにして住民の多数が合併につきまして、よくわからない、もっと事情を知らしてほしいということを要求しておりますのに、それを認めない。それでアンケートを出すと結局住民投票と同じ結果になってしまう、そのことはもう非常に住民の意思を頭から無視した考え方なんだ。住民にアンケートで聞けば結局住民は反対し、急いでやるなということになりそうだから、だからそれはもうできないんだという態度になってきているのですね。こういうことがたとえ一件でも生じてきますならばこれを防ぐための手段を考えなくちゃいかぬ。きのう質問を聞いておりますと、行政局長はきのうの段階ではまだ船越町の問題を御承知になっていなかったようですけれども、局長自体も各地域に起きております実際の紛争については余りよく御承知がない。大阪府下においても起きておりますけれども、御承知がない。いわば自治省の雲の上の方で実態を余り知らずにごらんになっている。そういう感じを私はきのうも受けましたけれども、しかし実際の状況というものはこういう危険性をはらんでおりますし、実際にこういう問題が起きておるわけですから、もう少し何らかの住民の意思が反映する処置を考えてもらう必要がある。これは、いまの話で、特別決議の問題もありましょうし、住民の意見を聞くことを義務づけるという問題もあるでしょうし——それがあればこれはできませんよ。船越町のようなことはできません。そういうことがなぜできませんのか。それをすれば何か重大な障害が起きるのか。起きないものであるならとうにやるべきだというのが私の考え方なんです。
○林政府委員 現在自治省におりまして、全国で起こっておるいろいろな問題について、つまびらかに知識を持っているわけでございませんことは御指摘のとおりでございますけれども、私自身も県で地方課長、総務部長というのをやってまいりまして、合併が大変推進華やかなるころの合併の促進もやった覚えもございます。現実に合併についてどういう問題が起きてくるかということに関する知識といいますか、ある程度のものは持ち合わせているつもりでございます。 そこで、先生の御提案、こういう合併の手続そのものについて検討すべきだということは、一つの立法論としては十分に傾聴に値する意見でございますし、今後検討するということは先ほどからお約束しているところでございますが、しかし、いま直ちにそれに踏み切ることについてはなお検討を要すると申しましたのは、町村合併というのは、確かに一つの町村の根本的な存在自体を変える問題でございますから、大変重要であることは間違いない。同時に、これはいろいろメリット、デメリットがありまして、これらについての冷静な判断をするというような形であることは当然でございますが、必ず町村合併が起こる場合にはいろいろ賛成、反対の声が渦巻くというのは確かに現状だろうと思います。そこで、現在の制度はそれらの賛成、反対の渦巻いた声を議会というもので冷静に判断してというたてまえになっている。そこの持っている長所というのも私はやはりあることはあるだろうと思うわけでございますので、これを直ちに制度を改正するについての利害得失というのに、さらにもう少し検討の時間が必要であろうかと考えておる次第でございまして、決してその方向を否定するものではございませんが、いま直ちにそこへ行くことについては、なおちゅうちょを感じるというのが現在の考え方でございます。
○三谷委員 もう一つだけ申し上げておきますけれども、いまの特別決議の問題だとかあるいは住民に計画だとか利害得失を周知させるということは、これは現行法のもとでできる問題なんですよ。現行法というとおかしいけれども、いまの間接制民主主義、議会制民主主義のもとにおいてやれる問題なんですね。住民投票の問題というのも、これは御承知のように直接請求とかなんとかいう問題があって、住民の意思と議会の意思が違う場合にはそういう住民権が認められておるということであって、これもいまの間接民主主義制度の弱点を補強するものとして認められている問題なんですから、革命的な手段や手法をここに持ち込んでどうこうするという性質のものじゃないわけなんですよ。その点からしますと、いま軽微にやり得る問題がある。それから住民投票などにつきましては、いまおっしゃるように、あなた方はもう少しこれを慎重にやっていこうというお考えのようですけれども、いずれにしろ何らかの一層の住民の意思の反映を保障する措置をこの際はとる必要がありはしないかということを申し上げたわけでございます。 それで、時間が来ておりますからくどくは申しませんが、それについては検討して時期を見て改善をするというお考えかどうか、これを聞いておきたい。
○林政府委員 地方制度の問題については、現在地方制度調査会、もっとも地方制度調査会は現在地方財政硬直化の問題に特に取り組んでおりますが、これらを離れて、地方制度全般の問題としてずっと検討を続けております。そういう場でも検討をお願いしまして、こういう問題についてはさらに引き続いての検討をしてまいりたいと存じております。ただ、その方向として、合併に対する住民の意向の反映をできるだけ保障するという方向は当然考えるべきでございましょうけれども、その方向の反映の仕方についての利害得失という点について、さらにもう少し検討の時間をいただきたい。というのは、根本的には町村合併というものは大変冷静な角度での判断を要することであるからという意味でございます。
○三谷委員 いまの答えはわけがわからぬ答えだけれども、時間がないのだからいまのところはこれで終わっておきますけれども、そんなごまかしでいつまでも通用しませんぞ。
○大西委員長 小川新一郎君。
○小川(新)委員 私は昨日も質問をさせていただきましたが、きょうは大臣がお見えなので、二、三点、大臣にだけしぼってお尋ねということで時間をいただきましたので、よろしくお願いいたします。 昨日もお伺いしたのですけれども、十年前適用期間十年ということで成立したこの合併特例法を、今回さらに十年延長することについて、やはりそれなりの理由、つまり自治省としての市町村の将来像またビジョンが当然なければならぬということで昨日はお尋ねいたしました。残念ではございますが、これは非常に大きな問題でございますので、大臣としての御所見をまずお尋ねしなければ、こういう特例措置の延長を十年間するということは、ただ十年延長すればいいんだ、五年とか十年とかいう期限だけ延ばせばいいという安易な物の考え方ではいけないということをきのう指摘しておきました。これは最高責任者として、地方自治というもの、十年後、昭和五十年代、一九七〇年代後半の地方行政というものはかくあるべきだという一つの見識というものが自治省になければ、こういった特例法という問題を、ただ地方の自主的な問題だけに任せた、そしてそこから生じてきた姿にのみ対処していくという姿ではなく、何らかの指導的役割りを果たす自治省としてあるべきだと思うのです。それはなぜかと申しますと、地方財政が今日こう緊迫し、赤字の原因がいま統一選挙の争点になっている。これなども、やはり一つのビジョンというか、地方政治のあり方というか、そういう行財政の根本的な問題がいま議論されて、その一角として人件費の問題だとかまたは超過負担の問題だとかいういろいろな問題が出てくるのでございまして、この合併の問題も、市町村のあるべき姿のビジョンというもの、また将来像というもの、これはやはり大臣のお口からそれなりの所見というものを承っておきたい、これが私の基本的考えでございます。
○福田(一)国務大臣 私は、この市町村合併法を十年前につくったときの考え方について、実は提案したわけでもなければ何でもないのですが、大体今後の問題として考えておかなければならないと思うことは、やはり交通関係が非常に昔とは変わってまいりまして、実は私、自分のくにのことを申し上げて恐縮ですけれども、昔は役場へ行くのは、わらじ履きで一日かかったなどということもあったのですが、その後自転車ができてきた、自動車ができてきた、あるいはバスができてきたというので、そういう意味で住民と役場等との関係が非常に密接になってきた、時間的なあれができてきたというようなことが、ひとつ合併をしてもいいじゃないか、むしろその方が便利だということがあったと思うのであります。今日でも私はその考え方は一応尊重されていいと思う。それはどうしてかというと、いままで隧道がないと、山のずっと尾根を伝わって向こうまで行かなければ役場へ行かれなかったというところが、今度は隧道ができて、一遍に二十分も三十分も時間が短縮になるというような場合もあり得ると思うので、そういうような意味で一つのメリットが、そういうもので一緒にやっていった方がいいじゃないか、それからまたあんまりその地域の村会議員とか町会議員とかというのでは何かあれであるけれども、だんだん大きくなってきて、そしてみんなでもう少し大きく物を見て、いろいろな施設をした方がいいじゃないかというような考え方もあったり、私は合併には、いろいろの希望が、そこに何かのメリットがなければ、合併をやろうじゃないかという機運は出てこないと思うのです。それと同時に、その合併をやろうとすれば、また必ずそれには反対があるのです。物事には、全部が全部百点満点のような結果というのはなかなか出てきませんから、合併して得するところと損するところと出るものですから、常にそういうことが出ると思います。 しかし、それは合併についての意見を申し述べたのであって、将来のビジョンを考えろということになれば、だんだんにそういうような交通関係とか通信関係とかあるいは道路の関係とか、そういう意味で交流がたやすくなってくればくるほど住民の要望が出てくるものである、こういう感じを私は持っておるのでありまして、その見地で、今後も合併をしたいというところがあれば合併を認めてやる方がいいのではないか。便利になったけれども、合併は絶対認めないというよりは、認めるようなことにしておいた方がいいのではないか、こういう考え方でございまして、将来の市町村のビジョンということになれば、これはもうすでに皆さんもお考えのように、地方自治をどう伸ばしていくかという考え方に立っていかなければならないと私は思っておるわけです。
○小川(新)委員 町村合併も一つの将来性のビジョンですね。もちろん、その前提となるものは住民の意思が反映してくることです。これは、国際的にも国内的にも、住民のビジョンを動かし得るような客観的要素が加わってきて、住民の意思が反映されるわけですね。そうすると、六十年代から七十年代において地方住民の一番大きな願い、また地方自治体としての大きな問題は、やはり合併の前の一つの政策ですね。なぜかと申しますと、地方公共団体に対していま言われております国の行財政の再配分、つまり大幅な事務、事業の移譲を行い、それに伴う税財源の再配分、または地方出先機関の抜本的な統廃合、地方事務官制度の廃止などが当然決められなければ、そういった大きなビジョンという問題は論ぜられないわけであります。とするならば、内政面での国の役割りは、制度の企画立案、地方行政に関するコンサルタント的な助言などが主な任務となるのかどうか、こういうような国の考え方が一つ。 また将来の方向として、特に市町村が地方行政の主役となり、都道府県の役割りは主として市町村間の調整機能が中心となる。その主体がだんだん市町村の末梢のところへいくんだ。国はコンサルタント的な役割りを果たし、それを受けた府県は調整機能を中心とする働きになっていくんだ。だから、あなたがおっしゃるように広域的な機能が必要になってくるんだ。ところが、市町村の持つ力は、国から大幅に機能を移譲しなければ、現在のような弱小な行財政、人材の組織機構であったのでは国は全面的に組織、機能の大幅な移譲は行えないのだということが国のビジョンとして論ぜられてこないところに、この法案の、ただ十年間延長するというような安易な物の考え方——いま一番言われている行財政の再配分、出先機関の統廃合、地方事務官制度の廃止、また税、お金の再配分という問題を論じてこそ、その統廃合の問題、国の役割りと府県の役割りと弱小である市町村の力が当然、いまの国の流れ、七十年代後半の政治の流れの中からそうなっていくんだ、そうあるべきであるということをあなた方が洞察するならば、いま私が言ったような改革という問題をここで明確にしていただかなければならないんじゃないか、こういうのが私の考え方です。
○福田(一)国務大臣 地方自治を促進するために地方行財政を考えるということは、何も市町村の合併の問題だけではございません。あらゆる市町村問題に通じて、それに乗って考えなければならない問題であろうと私は思います。その意味ではもちろんわれわれとしてもそれは賛成でございます。ただ、その内容をどういうふうにするかということについては、これは調査もしなければならないし、いろいろな問題で、行財政はそういうふうに改革するんだというだけでは問題は解決しないと思うのですね。たとえば税の配分はどういうふうにするのか、交付税はどういうふうにしたらいいか、これはもう具体的な問題になってきて、そこでまたいろいろ研究しなければならない問題だと思うのです。私はあなたの御意見には全く賛成です。ただ、その御意見のうちで一つだけ、私はごもっともだと思っておりますけれども、それに追加さしていただければ、国が政治をする場合にはやはり公平でなければいけないと思うのです。そうすると、鹿児島県の場合も、北海道の場合もあるいは東京の場合も、できるだけ公平にすべてが行われるようにするのが究極の目的だと思う。しかし、なかなかそう簡単にはいきません。そんなことはなかなかできないけれども、究極の目的はそこにある。これを頭の中へ入れつつ地方自治の問題を考えていくということもまた大事な一面であるとわれわれは考えておるわけでございまして、いまあなたが仰せになった、行財政の問題を考えて自治を大いに伸ばしていくということについては、われわれは全面的に賛成をいたしておるところでございます。具体的な問題としてこれを提議することが必要であるということと、もう一方においては、国全般を通じて公平な行政が行われることもまた一つの目的でなければならない、こう考えておるわけであります。
○小川(新)委員 大臣、端的にお尋ねしますが、いまの行財政の仕組みや財源、税源の配分という問題は、必ずしもあなたの御意思に沿ったような機構のままで十年間進むとは思ってないということだと思うのですね。そうなると、いまの交付税率の問題だとか、たとえばいま私がもろもろ述べてきたような問題については、十年間、いまこの法案で出された問題の期間中に早急に、何らかの改正というものは個々の問題であり得るのですか。
○福田(一)国務大臣 私は十年を待たずしてやらなければならないんじゃないかと思っております。それはもちろんなるべく早い方がいいわけです。 ただ、ここで誤解を解かしていただきたいのですがね。われわれが何か物を言いますとすぐに、権力的に抑えていくとか、あるいは革新をどうするとか言われる。私はそういう考えで物を言ったことは一度もございませんから、その点だけはひとつ考えておいていただきたい。私は、人件費の問題を言っても、何も革新だけが悪いんだなんて言ったことは一言もありません。いままでのを調べてもらえばわかります。これは地方自治体が考えなければいけない問題だ、保守、革新を問わずやらなければだめだ、そういう意味のことは——この機会でありますから誤解を解かしていただきたい。超過負担の問題だって、これはもう解消しなければいかぬということは、当初からずっと私の頭の中にあった問題でございますから、その点はひとつ御理解を賜りたい。
○小川(新)委員 私は何も大臣のしっぽをつかまえて議論をしているわけじゃないのです。いま私は、大臣だけに特に大きな問題としてお話をしておるのでございまして、福田大臣はそんなこそくな大臣だなんて思っておりません。 そこで、現在の国と地方との関係は、国は国の立場、地方は地方の立場しか主張できない制度となっておるため、インフレ、不況下にあって、やれ人件費こそ財政硬直化の原因であるとか、いや、地方超過負担や三割自治を強要している行財政の仕組みこそ財政硬直化の原因であるとか、いろいろと意見が対立していることは私もよく認めております。その考え方が対立しております。しかし、本来、国、地方ともに民主的な行政、福祉政策の推進を行うならば、両者は相対立することのない考えでなければならぬ。国と地方の相互間の施策の調整を図るためにも、権威ある実務機関としての民主的な協議機関を制度化する必要があるのではないか。その制度ができれば、いま申し上げた行財政の対立論争の争点というものが明確になってまいります。それはただイデオロギーのための激突でなくして、地方公共団体や地方住民の福祉につながっていくための必要な大きな施策であると思いますが、国と地方の相互間の施策の調整を図るための権威ある実務機関としての民主的な協議機関を制度化する考えはございませんか。
○福田(一)国務大臣 私はその考え方に、原則としては反対しません。しかし、私の見ておるところでは、制度制度って、制度ができたから実質が変わるかというと、その制度ができてむしろ繁雑になったり、実際問題が進まない場合もあります。民主的にやるといっても、本当にどういうものをつくってやればすぐそれらの解決がいくのか。もしその制度の中に対決の組織が入れば、かえってその制度が問題を混乱させる場合もあります。たとえば米価の問題なんか決める場合でも、生産者と消費者という対立したものを入れた米価審議会というものをつくったけれども、それはいつでも二つの答申案が出るような形になったりしまして、私は制度というものをつくることには何も反対はしませんけれども、実際に効果があることを考えなければいけないのだ。その効果があるのにどういうものが必要であろうか。これも一歩一歩前進するような考え方も場合によっては必要である、あるいはドラスチックな物の考え方を導入することも必要であると思いますから、あなたの御意見に何も反対して申し上げておるのじゃありませんけれども、やはりそこいらの問題は十分考えませんと問題を複雑化するだけであって、かえってそれが行われない場合もあり得ると思うのです。特に、いまあなたは対立するような立場であってはいけないとおっしゃいますが、私もそのとおりで、問題を対立さして解決するなんということをしたら、いつまでたっても解決しないと思うのです。片一方が超過負担だとかなんとかこう言って、片一方は人件費だけだというようなことを言っていたら問題にならない。私は最初から、人件費も超過負担も考えなければいかぬということを言っているのですから、野党の人も当然そういう考え方に立って、どちらも直すという気持ちになってもらわなくては問題の解決にはならない。そこまで踏み切って、それはそうだ、ひとつお互いに考えようじゃないかということになれば、話し合いが進む可能性があると私は思っております。
○小川(新)委員 それは福田大臣が非常に見識が高くて、やはりそれだけ大臣の立場に立ってきょうは物事を論じておられますから、私も御理解いただけますけれども、自民党の今回の統一選挙に対する、地方政治に対する争点の問題点のパンフレット等を見ると、やはり対立点というものを浮き彫りにさせて党勢の拡大を図る、これは政党であれば当然だと思うのです。私はその政策が間違っているとは言いませんけれども、それが行政面に反映してきて不毛の対立になってはならないということをきょうは、私は私どもの政党の考え方がある、大臣は所属する自民党の党員としての立場に立って今度物を論ずれば、それは地方へお帰りになったときの演説等にはそういうことをお話しにならなければならぬでしょう。いま、大臣としてのお立場に立って、公平無私な立場の論を展開なさっております。だから私は、そういう政党政治下における、今日のような多党化時代におけるそういう問題が地方行政に及ぼす影響、そのことによっておくれるならば、一番デメリットをこうむるのはその地域の住民であり、地方公共団体である、こういう立場に立って調整機関の制度化を図ってもらいたいという議論を展開したわけなんです。それはひとつお含みおきをいただきたい。これが一点。 二点目は、これで終わりますが、今後の福祉政策の推進というものは、国が主体になるのか、地方自治体が主体となるべきなのか、これは非常に大きな問題なんです。この財政の問題について、必ず国が、自治省あたりの批判の中にも、地方行財政の福祉の先取り先行、人気取り政策などということが出てきますが、こういった問題は、ただ単なる言葉のやりとりだけでなくて、その自治体には自治体の、その仕事に対して厚みがあるわけです。その厚みに対して、政府のイデオロギーというものが先行していくのか、それが実際に先行すべき問題であるのか、自治体が先行しなければならないのか、その辺のところを明確に大臣に二点お尋ねして私の質問を終わります。
○福田(一)国務大臣 私は、ここで申し上げておることと選挙区へ行ってしゃべることと違えようとは思っておりません。私はどこへ行っても、人件費の問題は地方行政の非常に重大な問題である、超過負担も解消しなければなりませんということを言うておるので、何もここだけで申し上げておるのじゃないのです。私の気持ちはそういう気持ちであるということなんです。 そこで次の問題で、あなたがおっしゃった福祉行政の問題ということになりますと、これは私は、国会に出ておられる議員の先生というものはそれぞれの地域を代表して出ておいでになるのであって、それぞれの地域において福祉問題がいかに論じられておるかということを大体おわかり願っておる方だと思っておる。その人たちが集まって、まず一応福祉行政はかくあるべきであるということを論議すべき筋合いのものであると私は思います。というのは、全体の問題と個々の問題とがありますから、みんな公平にやらにゃいかぬという立場から見ると、私は福井県ですが、福井県でこういうことを要求しているから全国的にこれをやらせようなんて、そんなこと考えておりません。そんなことなら政治家はやめた方がいいのです。もっとやはり全国的な問題も考える、そしてまた自分の個の問題も考える。福井県ではこうですが、あるいは大阪ではこうですが、それはしかし全体として福祉をやる場合にはこう考えるべきではないだろうか、これが衆議院議員とか参議院議員になった見識というものだろうと私は思うのです。そういうことに徹して政治をやっていくということでなければ、ますます衆参両院議員なんというものは無視されてしまって、何のために出てきているのか意味がなくなってしまう、私はそういうふうに、これはあなたではありませんよ、私はそういうふうに考えておるということを申し上げる。 そこで、福祉について、地方で先にするか、こっちを先にするかという問題は、お互いに勉強してそしていいところへ持っていく、そこに委員会制度のよさもあるし、また本会議における論議もそういうふうにあってしかるべきではないか、こう考えますので、ひとつあなたのような見識のある方は大いにその見識を発揮せられることを心からこいねがって御答弁にいたしたいと思います。
○小川(新)委員 私もほめられっぱなしで引き下がるわけにいきませんので、一言申し上げたいのは、事福祉に関して、その財政の問題について、地方が先行したとか先走っているとかということが、その地方公共団体の財政の赤字になっている一つの要素であるということが議論になること自体が、福祉国家として恥ずかしいと言っている。こういう問題は、地方公共団体が先行しようが国が先行しようが、いずれにしてもシビルミニマムとナショナルミニマムの問題ですけれども、そういった基準というものが一体どこでラインが引かれるかということが明確にビジョンになってないところから、いまのように財政論にひっかけられて福祉問題が低次元で議論されるようになったのでは、私は情けないと思う。そのことでいま申し上げているわけです。それは確かにいま大臣がおっしゃったように、国会議員の見識論として、ただ人気取りのために地方から国会へ来て自分の地域のことだけを議論するような、そんなばかげた考えの人は一人もおらないと思います。そうじゃなくて、私の言っていることは、地方行財政の、財政の赤字の原因の一つを問題にされている、論争されているというところにこういうテーマを出したのであって、もっとひとつ私の言っているところをお含みおきいただきたいと思います。
○福田(一)国務大臣 御趣旨はよくわかりました。わかりましたが、この際において、これからの問題で注意をしなければならないのは、非常に財政が苦しいということです。これは国の財政も苦しくなりますよ。同時に地方の財政も非常に苦しくなる。これをお互いに理解しつつ、しかし最善の道を選んでいく、こういうことで協力をしていくことがわれわれの任務ではないか、こう考えておりますから、ひとつよろしくお願いします。
○大西委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○大西委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○大西委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○大西委員長 ただいま議決いたしました法律案に対して、片岡清一君、佐藤敬治君、三谷秀治君、小川新一郎君及び折小野良一君から、五党共同をもって附帯決議を付するべしとの動議が提出されております。 この際、本動議の提出者から趣旨の説明を求めます。片岡清一君。
○片岡委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の五党を代表いたしまして、市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付したいと思います。 案文の朗読により、趣旨説明にかえさせていただきます。 市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行に伴い、特に次の点について善処すべきである。 一、市町村の合併にあたっては、基礎的地方公共団体としての市町村の自主性を十分に尊重すること。 二、市町村の合併にあたっては、住民投票その他の方法により、関係住民の意向を十分に尊重すること。 右決議する。 以上であります。 何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。
○大西委員長 以上で、趣旨の説明は終わりました。 これより採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○大西委員長 起立総員。よって、片岡清一君外四名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。 この際、自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。福田自治大臣。
○福田(一)国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。 —————————————
○大西委員長 この際、お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大西委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○大西委員長 次回は、明二十七日木曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時七分散会