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75回国会衆議院1975/04/16

大蔵委員会 第25号

発言数
209
登壇者
17
会派数
4
開催日
1975/04/16

会議録

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 これより会議を開きます。  国の会計、税制及び金融に関する件について調査を進めます。  これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。佐藤観樹君。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 きょうから金融政策のシンボルとも言うべき公定歩合の引き下げが〇・五されるわけであります。そこで、非常にむずかしい経済情勢でございます、しかも片方では百八万人も失業者がいる、こういう情勢を考えてみて、今後の経済の見通しあるいは景気対策、このあたりについてまずお伺いをしたいと思うのであります。  それで、大蔵大臣として果たしてもう景気は底なのか、底だ底だ、底入れはなっているのだ、なっているのだという話がこの一月からされていて、これがどんどんどんどんずいぶんずれてきているわけであります。経済企画庁の調査といいますか経済見通しでは、底入れは七月−九月にずれ込むのではないかという景気見通しの修正がなされている。ところが、経済企画庁の長官である福田さんはきわめて楽観論なんですね。その辺と、景気は一体どのあたりにおると考えていらっしゃるのか。それから、在庫調整はもう済んでいるというふうに考えていられるのか。あるいは景気はこのあたりで——第二次の不況対策をやったわけでありますけれども、これについては後で詳しくお伺いしますが、今度の公定歩合引き下げによってある程度経済というものは自己の回復能力があるのかどうなのか。その辺、全般的な経済の見通し、状況というのはどういうふうに見ていらっしゃるのか、まずその前提からお伺いしたいと思うのです。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 今日の経済状況をどう判断するかという問題でございます。率直に申して非常にむずかしい課題でございます。  果たして景気の底入れがあったかどうかということでございますが、確かに在庫調整は春になりまして進んでおると聞いております。しかしながら、景気の大宗をなす個人消費は、依然として重い足取りで一向上向きの傾向を示しませんし、生産操業率も復元の方向に進まないというような状況でございますので、決定的にもはやこれからの底割れはないのである、もうこれから先、上向く一方であるというように楽観的に見ることはできないと思いますけれども、しかし、ともかく長い間続きました不況もようやくなべ底の低迷から脱却の気配を示しかけたのではないかというように考えられるわけでございます。  率直に申しまして大変むずかしい判断でございますが、決定的なことを申し上げるまでにはまいりませんけれども、一応不況からの脱却の徴候を認めるに至っておるのではないかと判断しておる、私としてはさようお聞き取り賜りたいと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 今度の不況の場合は、私は、これは政策的につくられた不況だ、根本的にはそう思っておるわけでありますが、特に特徴的なのは、個人消費がとにかくあれだけベースアップになっても貯金に回ってしまって消費に結びついてこない、これは過去の不況の中できわめて特徴的なことじゃないかと思うのですね。これはいろいろ政治的な問題で、日本の社会保障が非常におくれているという不安、それからまだまだ後からお伺いしますが、先行きの物価高という不安、こういったものが、GNPの中で五四、五%を占める個人消費というものが盛り上がってきて景気回復に結びつかない、設備投資意欲を起こさせない原因になっているのではないかと私は思うのです。  それから、春闘で一五%というガイドラインを政府が何らかの形でつくられた。これは後の税制の問題でもお伺いしますけれども、今度これを景気回復という面から見ますと、春闘がかなり抑えられたということで、結局はタコの足を食うようにまた不況からなかなか脱却できないということになっているのじゃないだろうか。  この個人消費の極度の冷え込みと申しますか、むしろ冷え込みというよりも貯金に回り過ぎる、これが今度は非常に顕著で、特に貯蓄過剰で、今後銀行が貸し出す先に困るのではないか、融資の競争が心配されるぐらいになっている。このあたりのことはどういうふうに見ていらっしゃいますか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 仰せのように、個人消費が一向に活発になってこないということでございます。これは一面、個人の消費態度がきわめて健全であるという証左であると思いますが、佐藤さんの御指摘のように、個人がいかにも用心深くなってきておる、健全さを越えた慎重さを示しておるのではないかとさえ思うものでございまして、経済というのは申すまでもなく将来の展望を頭に描いてきょうの決断をするものでございますから、今後の経済の展望というものが明るくなれば、今日の決断がしやすいわけでございますが、今日個人の消費活動が活発にならないというゆえんは、将来に対する展望において自信の持てないことであろうと思います。  そこで、私どもはやっぱりこれを将来明るい展望を持っていただいて、健全な消費が活発に行われて経済が活力を帯びてくるということを招来するためには、あくまでも物価がまず安定するということ、もう物価は大きな先高はないのであるという状態をつくり上げることが一番大事である。所見をあなたと異にするかもしれませんけれども、いまベアをやれば、それが購買力に向いて個人消費が活発になるというような文脈で考えるよりは、むしろ逆に物価が安定してくるということが消費活動を本格的に支えてくることになるのではないかと考えておるわけでございます。  さればこそ政府も、すべての政策の基調に物価の安定第一ということをかたくななまでに主張し続けておるゆえんもそこにあるわけでございまして、私どもはあくまでも健全な経済の回復ということを念願するゆえに、そういうことをかたくななまでにお願いいたしておりますことを御理解いただきたいと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 果たして今後物価が安定するかどうか、これはもう少し後でお伺いします。きのうの大蔵大臣の財政ピンチのお話の中にもちょろちょろと出ていることがありますので、本当に物価が安定するかどうかについては改めてお伺いしますが、いずれにしろ、こういった日本経済をつけものにたとえるならば、無理をしてつけもの石を大きくして水ぶくれの日本経済から水を抜いて、そしてかなり押しつけてきた経済、それによって片方で百八万人に上る失業者がおる、それによって物価をとにかく鎮静化させてきた、高位安定化させてきた。ところがいまだに、三月でも前年同月比消費者物価が一四%という高さにあることは、今後非常に問題だと思うわけであります。いずれにしろ、今後の経済的な運営が物価の安定も考えながら景気の回復も考えていかなければならぬということは異論がないと思うのです。  そういったことを考えたときに、いまのような状態で、おそらくなべの底の、なべが真っ平らななべなのか、それとも煮物をするフライパンのようななだらかな角度を持ったなべなのかよくわかりませんが、いずれにしろ何らか明るい日差しを求めて進んでいくその中にあって、果たして今度のこの〇・五%の公定歩合の引き下げというのがどういうような効果があると判断をして〇・五ということになさったのだろうか。  私が考えるのに、一つはこれは企業の金利負担の軽減にしかすぎないのではないだろうか。大臣自体も言われましたように、いまの物価高、後からお伺いしますが、さらに値段を上げたいという重圧の中には操業率が下がっているということがあるわけですね。こういったことを考えますと、なまじ中途半端な公定歩合の引き下げというのは、変にこういったものだけを刺激することになって、本当に操業率を上げて景気を回復の軌道に乗せていくということにならぬのじゃないかという気がするわけです。  その意味で、ある調べがあるのですが、東証一部の会社の金利負担が年間で約四兆円、今度は〇・五%が減るわけでありますから二千億円、一社平均五%の増益になるという数字が出ているわけであります。  いずれにしろ今度の〇・五%程度の公定歩合の引き下げというのは、どうも一つは金利負担の軽減という意味、もう一つはとにかく長い長い総需要の抑制、金融の引き締め、これをとにかく曲がりなりにも若干なりとも外したという、運動会で言えば用意どんのどんが鳴ったという役目、この二つしかないのじゃないか。  果たして財政当局として、いまのような経済情勢の中で公定歩合を〇・五%下げたというのがどれほど景気回復に刺激になるとお考えなのだろうか。後から第二次の不況対策についてもお伺いしますが、〇・五%という公定歩合の引き下げというのはいまの経済情勢の中で果たしてどれくらいの効果、どれくらいのことを考えられて決められたのか、これについてはいかがでございますか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 まず御理解いただきたい第一は、政府が考えておりますのは、まず何をおいても物価の安定を基本としなければならぬということを経済政策の根底に置いておるということでございます。そういう心配がなくて景気の回復をまず図るというようなことではないのでございまして、物価の安定ということが第一義的な政策の道標でございます。これがまだ達成できてない段階でございますので、今度の公定歩合の引き下げをどう評価するかという問題も、私自身はこれは政策の転換ではないと判断をいたしておりまして、抑制基調の経済政策の運営の中でとられた措置の一つにすぎない。抑制措置から今度は景気振興措置に政策を転換する用意どんが鳴ったというようには私は見ないのでございます。  第二に、しかしながら過去二年間引き締め政策をやってまいりまして、金利で申しましても公定歩合で申しましても二%上げたわけでございます。そういう異常な引き締め現象、引き締め政策をそのままの姿で続ける必要はもはやないのでないかということを、日銀政策当局としては判断されたものと思うのであります。したがって、そのことが仰せのように企業の金利負担に若干軽減になるといたしましても、それはすでにもう大変な金利負担の過重を来たしておったものの一部を緩和する、遠慮ぎみに緩和するというにすぎないものと私は評価いたしておるわけでございます。したがって、これが大きな景気の回復のてこになっていくというような効果を持つものというのは、ひとつ過当な評価じゃないかと考えておるわけでございます。  言いかえれば、異常な引き締め、強い引き締めをやってきた、ところが物価もどうやら安定の兆しが見えてきたし、経済の冷え込みもひどいし、雇用状況にも大きな変化が出てきておりますので、この程度の政策の部分的な修正を施してもまず差し支えなかろうということを考えて政策当局のとられた措置である、私はそう受けとめております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 ですから、これによってすぐ景気が回復するというふうに私も見ていない。むしろ問題なのは、大臣がたびたび言われますように物価の安定が一番大事であり、これは私も異存がないわけです。その物価の安定という場合に、一つは民間の商品の物価の安定、もう一つはいわゆる公共料金の安定、この二つに分けられると思うのです。その際に公定歩合に関係してくるのは民間の物価の安定、物価の上昇を食いとめるという問題との関連だと思うのですね。  その際に、では総需要の抑制で需給関係だけ逼迫をさせなければ、需給関係だけ緩和をしておけば物価が下がるかといいますと、余りにも需給関係がタイトになっておりますと、私が講義をするまでもなく、操業率が下がってくればコストプッシュが非常に強くなってくるわけですね。ですから、その意味で総需要の抑制策というのは需給関係だけでありますから、そのことを考えますと、このことを続けていても必ずしも物価安定ということにつながってこないのじゃないか。やはり適度の操業率、それと需給関係をある程度適当な状況に持ってこないとコストプッシュが非常に強くなってしまうのじゃないか。その辺のところを考えると、〇・五%という公定歩合の引き下げというのは果たしていかがなる、どういう目安でお考えになっているのだろうか。  もっとはっきり申し上げれば、これは経済企画庁が二月の二十四日に「転換期における企業行動」ということで調査をまとめたわけでありますが、これは東証一部、二部の上場千五百五十四社を調査した中で、需給は緩和しているがコスト圧力から値上げせざるを得ないという会社が五七・九%という数字が出ているわけですね。特に、石油、石炭、鉄鋼、建設業というような業種は、単なる需給関係の問題じゃなくてコストプッシュ、操業率が下がっていることによって今後値上げが予想される。こういうことが非常に多くあるわけです。  そのことについて、果たして〇・五という公定歩合の引き下げで——何かやっていることが中途半端ではないだろうか。どうもその辺の目安が、確かに口では物価の安定が第一でございますと言われますけれども、そのことは何も私も原則として反対しているわけではないけれども、どうも操業率との関連も考えないといかぬのじゃないだろうか。その辺のところはどういうふうに見ていらっしゃるかということをお伺いしたい。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 仰せのとおりでございまして、物価のことを考える場合にいまのように操業度が低いということは好ましくないことでございまして、適度の操業率を維持してまいることは絶対必要だと思います。  しかしながら、それはあくまでも経済を底において支えておるというところの国民の消費、個人消費が活発になってくること、輸出が伸びてくること、あるいは投資が活発になってくること、いろいろな要素が働いて操業度が上がってくるわけでございまして、ひとり公定歩合の部分的な修正でそういうことが期待できるわけではないと思うのでございます。  ただ、経済全体のそういった回復の過程を進めていく上におきまして、いまのように無理をした引き締めをずっと続けてやる必要は必ずしもなくなってきた。したがって、この程度の修正をこの際やることはタイムリーであろうという判断が今度の公定歩合引き下げであったと思うわけでございまして、佐藤さんのおっしゃるように、全体の経済を正常化してまいる上におきましていろいろなことが必要でございますけれども、そのうちの一つのこまを整えておるという程度の私は評価をするものでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 大体少しずつわかり始めてきたのですが、それと同時に、いま大臣自身も言われましたように、決して公定歩合だけで景気の回復ができるわけじゃない。  そこでお伺いをしたいのは、三月二十四日の第二次の不況対策なんですけれども、あれは中身としては実質何か効いてきそうに見えるのは、いわゆる公共事業の契約目標を六五、六%に置いたということが私は目玉だと思うのですね。大体これによって公共事業が五兆円というふうになるのじゃないか。もっと契約率を早く、六月までに達成させた方がいいのだという議論もあれば、いやそんなにやったら、余りにも額が多いとまた需給関係がアンバランスになって、やれセメントが足りないの、鉄鋼が足りないのという状況になるのだという話があって、その中間をとられて従来どおりの六五、六%という数字になったと聞いているわけであります。  ところが、問題はこの中身なんですけれども、契約目標が六五、六%になったというものの、国の事業は国費だけでやるものならいいけれども、大半が地方自治体に何割かの負担が来るということになりますと、大蔵大臣御存じのように、いま地方財政も非常に窮迫化している、こういう中で、国とのタイアップによってやるところの公共事業というのが果たして地方に財源があるだろうか。こう言うと恐らく大蔵大臣は、したがって地方債の枠をふやしましたと言われるかもしれませんが、私の知る限り、地方債もかなり、私のところの地方自治体なんかでもその金利負担その他消却を考えてみますと、おのずとずいぶん限度に来ちゃっているわけですね。したがって、そうそう地方債の枠をふやされてもそう飛びつくわけにいかない。  こういったような状況を考えてみますと、第二次の不況対策というものが果たして本当に不況対策になるだろうか、公共事業五兆円というかっこうは確かによく見えるけれども、果たしてこれが効果があるだろうか、不況対策になるだろうかということを考えますと、余り私は自信がないように思うのですが、その点についてはいかがでございますか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 先ほども公定歩合のときに申し上げたように、いま政策転換期ではない、引き締め基調の経済運営を転換する、そういうことは政府は考えていないということをお聞き取りいただいたと思いますが、いまお尋ねの昭和五十年度の上半期の公共事業の消化の仕方でございますが、これも本来景気政策として大胆に打ち出すのでございますならば、前年度からの繰り越しはもとよりでございますけれども、本年度の上半期分ばかりでなく、下半期の分までも繰り上げてこの際大胆に消化を図るということをやるべきなのかもしれません。しかし、そんなことはやらない態度でありますことは御指摘のとおりでございます。と言って、それじゃいままでのように四半期ごとに契約をしぼっていくというようなことをやるかというと、そういうことはやるまいと決意したわけでございます。  大ざっぱに申しまして、去年は第一・四半期、第二・四半期と四半期ごとに契約を規制いたしましたが、そうすると五四%ぐらいになったと思います。それから、大いに消化を促進した年は五四%というのが七四、五%ぐらいにいったと思います。だから、促進するのでもない、それから無理に規制するのでもない、ちょうど無理しないでいくという態度にことしは変えたわけです。したがって、六六%程度のところになるのじゃないかというあなたの御指摘でございますが、そのとおりでございまして、そういう程度がちょうど政府がいま志向しておる経済政策の呼吸に合うんじゃないかということでございます。  中途半端だと言えば中途半端でございますが、それを景気政策に転換できるというような自信がまだございませんので、と言うて、それじゃいままでのように四半期ごとに契約を規制するというようなことまでやる必要はなかろうということでそういう姿勢に変えさせていただいたわけでございまして、私どもこの政策で、この措置の効果というものをいま見守っておるところでございまして、この効果を一遍見定めた上で次のステップを考えてみたいというように思っております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 盛んに経済政策の転換ではないという言葉が使われるのですが、片方ではとにかくかつてない百八万人という完全失業者が存在をしているという日本経済、これもまた決して指をくわえて見ているわけにいかないと私は思うのですね。その意味で第二次の不況対策の効果は、いま言ったような地方自治体への負担ということを考えますと、内容的に余りないんじゃないか、いずれやはり第三次の不況対策というものを考えていかなきゃいかぬときが出てくるんじゃないか、それは一体どういう時点でどういう状況になったときに考えるのか、その点はいかがでございましょうか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 いまちょっと答弁漏れがございまして、地方団体の負担も伴うわけでございますので、地方財政がこのような状況で果たしてそれが円滑にいくかどうか、いまの政府の措置の是非はともかくとして、それはそれとしても、それに見合って地方の工事がそのとおり遂行できるかどうかというお尋ねでございましたが、五十年度の地方財政計画におきましては、すべての補助事業の地方負担について完全に措置するという考えのもとに、単独事業につきましても対前年度伸び率一四・五%、そのうち普通建設事業につきましては一九・五%を確保しております。これらの事業の消化を困難にするような財政問題は一応ないというのがたてまえになっております。  また、資金繰りの面につきましても、四月三日、地方交付税の概算交付を対前年同期比三二・八%増の一兆四百三十四億円を交付いたしたところでございまして、五十年度公共事業等関連地方債につきましても、その円滑な消化について配慮するつもりでございますので、一応計画といたしましては私は心配ないと思います。  それで、先ほど申しましたように、それには二つの問題があると思うのです。それは、計画としてそうなっておるが、それが果たして佐藤さんの御心配になるようにうまく消化できるか、そのとおり消化できるかどうかという問題。それは地方の財政運営が、私どもが期待するように正常に運営していただければやれるはずだと私は思っているのです。しかし、これを地方の都合によっていろいろ曲げられると、あるいは御心配のようなことが起こりはしないかということを心配いたしております。  第二に、これの効果がどうかということについての疑問がいま投げられたわけでございますが、これにつきましては、先ほど申しましたように、一応この措置の効果というものを見守らせていただきたい、それを見定めた上で次の措置をどうするかということを考えさせていただきたい、一応こういうことでやったんだからこれの行く末を見させていただきたいといま考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 それは見させていただきたいと言われるけれども、私は、地方の現在の財政事情から言って、これも計画倒れに終わってしまうのじゃないかという気がするわけです。そういうことを考えますと、一体では大臣は、効果がまあこれは幾らか効いてきたぞ、第二次の不況対策としてある程度のことがあらわれてきたぞというようなことはどういうことで判断をされるのか、これが非常にむずかしい点だと思うのですけれども、いや、これはまだ効いてないぞ、二カ月ぐらいたってもまだどうも効いてないぞということで第三次を考えられるのか、そのいわゆるメルクマールというのはどういうところに置いていらっしゃるのか、その辺はいかがですか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 いまの効果の判定でございますが、一応一・四半期、四、五、六月、だから六月ごろまでは何とも言えないと思いますので、そのぐらいのタイミングはかしていただきたいと考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 次に、今度の公定歩合の引き下げで八・五%になったわけでありますけれども、これはこれだけですべて終わって、日本経済が幾ら低速の経済と言っても、あるいは安定成長と言っても、八・五のままでいくとは私は思わないわけであります。  そこで、経済成長自体が、河本通産大臣は七%がいいと言う、あるいは通産省の小松事務次官は五%ですか、そういうふうなことを言う。まだその辺が、政府部内でも新しい経済情勢の中ではっきりしていないというのが現状だと私は思いますけれども、いずれにしろ、経済成長が三%、四%、五%、この辺のところでものを考えた場合、公定歩合を——これは金融政策の基本でありますから、安定成長というのは一体どのくらいのことを大蔵大臣として今後考えられ、その際に公定歩合という基本的な金利を、四十五年が六%ですか、その辺かあるいは七%ということもあるでしょうし、もちろん一時的な景気、不景気によって上げ下げはあるにしても、基本的には今後安定成長ということを考える場合に公定歩合というものはどの辺に考えているのか、非常にむずかしい質問かと思いますが、いかがでございますか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 私としては、物価の安定が第一だということを申し上げましたが、それは国内的にもそうでございますし国際的にもそうでございます。国際的には、国際収支の関係におきまして、為替相場を安定させていかなければ外から物価政策が壊れてしまう、安定成長も何もあったものじゃないので、そういうことが保障されるような対外経済的な足場というものを固めていくことがわれわれの任務であると思っておりまして、そのために懸命の努力をいたしておるわけでございます。  そういう状況を踏まえながら、大蔵省とか日銀はどういうペースで金利政策というようなものを考えていくかということでございますが、これは物価が安定し損ねることのないように、いま薄氷を踏む思いで、これだけやってもまあ大丈夫だろうという思いで今度の措置も日本銀行としてはとられたと思うのでございますけれども、今後におきましても、今度こういうことをやっても一応大丈夫じゃないかという確信が持てないと次のステップは私はとれないのじゃないかと思うのです。  すなわち、今度第一次の緩和をやって、第二次はいつごろこれを想定して、第三次はこうやるというような、そんなスケジュールは安易に立つような経済状況ではないと思うのです。いまともかくここまで一応やらしていただいた、これからまた足場を固めていって、内外の足場に狂いがないという判断ができたときにまた考えていくということが私どもが考えておることでございます。  したがって、それはいつごろそういう状態になるかということをいまから予想するほどの能力を私どもも持っていないわけでございます。また、その過程におきましてどのくらいの成長が可能であろうかというようなことを自信を持って提示するだけの能力がないわけでございますが、ただ成長率そのものは、御案内のように、政府はあらゆる機関を動員いたしまして、予算の編成前に一応の次の年度の展望を決めて内外にお知らせすることにいたしております。もっともこれが合ったためしはないわけでございますけれども、ことしも予算編成の前に一応四・三%という成長を考えておるということでございまして、これがいま政府として申し上げられ得る唯一の数字でございます。したがって、それ以上に個人的の趣味でいろいろ申し上げるというようなことは私は差し控えたいと思います

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 とにかく政府の言う四・三を達成するために、いずれにしろこれは常識として八・五%の公定歩合というのは高過ぎるに決まっているわけですね。その際に、私の言っているのは現状の不況、これだけの話じゃなくて、長期的に五十年度というものを考えたときに、いずれにしろ公定歩合は下げていかなければいかぬことになると思うのです。その際に、四・三%の経済成長を達成させるためには一体どのくらいまで公定歩合は下げる必要があるのか。その点については、もちろん若干の〇・五上下プラスマイナスぐらいは短期的な景気動向によっていろいろありますからそこまではあれしませんが、少なくも基本線、標準線はどのくらいを考えていらっしゃるのか、なかなかお答えしにくいことはわかりますが、いかがでございますか。

岩瀬義郎大蔵大臣官房審議官

○岩瀬政府委員 いまたとえば実質成長率四・三%を確保するために公定歩合が高過ぎるじゃないかというお話でございます。これは見方はいろいろあるかと思いますけれども、いま大臣から御発言がございましたように、やはり経済情勢に見合いながら、余り無理をして物価に影響を及ぼすような景気の急上昇もいけませんし、また締め過ぎてもいけないということでございますので、いつの時点にどうだというスケジュールはなかなか立てにくいと思います。  ただ、いま政策の一番の基本が物価でございますから、物価に影響を及ぼすことのないように、なおかつそれが、佐藤先生が先ほどからたびたび御指摘のように、経済界におけるいろいろな混乱を起こすということのないような配慮ということは、非常にきめ細かいいろいろな慎重な考慮が要るかと思いますが、これはやはりスケジュールでいけるものではなくて、いまからの経済情勢を見守っていくという以外にはないと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 抽象論だからこれはやめますが、私が聞いているのはスケジュールの話じゃなくて、少なくも成長率四・三%を達成したい、このためにはどう考えたって、過去の経験から言えば八・五%というのは高過ぎるに決まっているわけですね。それをいつ、どういうふうに下げるということじゃなくて、四・三%の成長率を達成させるためにはいまの日本経済の機構の中ではどのくらいの公定歩合というのが一応適当なんだろうか、こういうことをお伺いしたかったわけですが、かなり抽象論になりますから、これはいいです。  それで、もう一つお伺いをしていきたいことは、国民に非常に関係の深いことでありますが、もちろんいままでの話も国民に関係が深いのですが、今度の場合には預金金利は据え置かれているわけですね。これはもう常識的に言っても機構的に言っても、公定歩合が下がったら預金金利は下げられなければいかぬと思います。ところが、いまのような高値物価安定では、三月が前年同月比一四%を切った切ったと大喜びをしている状態で、一年定期の金利の約倍になっているわけでありますから、なかなか預金金利は下げられないのではないだろうか。また国民のことを考えると、下げてもらいたくないという気持ちがあるわけです。  ところが、いろいろ言葉の端々で森永総裁も、預金金利も聖域ではないというような発言もあるわけですが、この預金金利の引き下げというのは、どういう状況になったときやむなく引き下げざるを得ないのか、この点についてはどういうふうに考えていらっしゃるのですか。

高橋英明大蔵省銀行局長

○高橋(英)政府委員 先生おっしゃるとおりのことなんでございますが、一般的に公定歩合が下がりまして民間の貸出金利が下がっていくという状態が続いていきますれば、極端に言えば、預金金利も下がっていきませんと、金融機関が逆ざやになるということにはこれは耐えられないわけでございます。現在一年定期が七・七五、二年定期が八・〇というかなり高水準の預金になっております。ただ一方では、おっしゃるとおりCPIが一〇%以上、一四%というようなことになっておりますので、この辺も感情的な問題もありますが、なかなかいじれないということがございます。  ただ、今回〇・五%下げました段階で、それに応じて民間の貸出金利水準が下がっていくということに対しましては、マクロで申しますればまだ金融機関は耐えられると私どもは判断いたしておりますので、今回の公定歩合の引き下げに応じて直ちに預金金利をどうするということは、いまのところ考えておりません。また今後経済情勢いかんによりまして公定歩合がさらに引き下げられていくというようなことがあり、民間の貸出水準が下がっていくということになれば、そのときは預金金利といえども手をつけないわけにはいかないだろうということを総裁はおっしゃったのだろう、私はそう思っております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 総裁はおっしゃったのだろうなんというところは非常に意味深で、何か腹話術を聞いているようですが、それでいまの銀行局長の話ですと、要するに民間の貸出金利が需給関係で非常にタイトになるかソフトになるか、この関係、ないしは銀行の経営状況、それを見合わせながら預金金利というものは改定をしていくのだ、CPIとは余り関係ないのだ、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。

高橋英明大蔵省銀行局長

○高橋(英)政府委員 CPIとは余り関係ないのだということを断言したわけじゃございませんで、そういうことも考慮に入れなければならないと思います。  それから一方では、従来インフレ的な基調がずっと続いておりましたので債務者利潤がある、あるいは債権者の損失が出るというような風潮が続いてきておった、これは高度成長時代にそういうのが極端に出ておった。今後安定成長時代になっていった場合に、やはり債権者の立場というのは従来よりは重視されなければならなくなると私は思います。したがって、金融機関の採算も大事でございますけれども、その辺はできるだけ金融機関の合理化、効率化といったようなことを図っていただきまして、預金水準というものは下げるのには憶病でやっていきたい、私はそういうふうに考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 その次、大臣にお伺いしたいのですが、福田副総理は来年の三月には物価上昇率は一けたにするのだ、またなるのだと、非常に自信を持っていらっしゃるのですが、私はそうは思っていないのですね。それは一つは、先ほどお話ししましたように、民間におけるコストプッシュが非常に高くてこれを何とかしたいという物価値上がりがある。それから、いま審議をしている酒、たばこあるいは郵便料金、米。来年も国鉄、私鉄、NHK、電電、こういった公共料金、こういったようなことを考えますと、いま政府の使っている数字自体も非常にいろいろ問題があるのですが、それは別の問題としても、果たして来年三月時点で一けたになるだろうかというふうに私は非常に疑問を持つのです。  大臣はこの点について、絶対に来年の三月時点では物価上昇率はことしに比べて一けたにしますという、もっとも閣外に去るという話しもあるから余り自信を持っておっしゃれないかもしれませんが、自信はおありですか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 私の承知している範囲では、福田さんも万難を排してそのように努力すると、きのうの経済閣僚懇談会で各閣僚の御協力を求められたわけでございまして、神様でない限り、この物価なんという内外のいろんな無限の力が働いておる経済現象を人間一人でこうするああするなんというオールマイティーな人はだれもいないんで、これができるのは神様だけなんですから、人間ではそんなことはできないと思います。でございますので、それを目標に努力するということ、それは福田さんばかりでなく、政府全体としてそういう道標を置いて努力しようということで一致いたしておりますことを御理解いただきたいと思います。  それから、それでは果たしてその努力目標というのは非常に荒唐無稽な無理なことかということでございますが、これはエコノミストの推算を土台にいたしますと、春闘でどういうところにしまいに落ちつくのか、これがまず一つの問題だろうと思いますが、幾らのベアに対して幾らのCPIの結果が出るかということは、一応経済計算で出てくる数字のようでございます。  それから、いまあなたが御指摘のように、すでに政府が決意しております公共料金の値上げがございます。いま御審議をいただいております酒とたばこの問題、これがCPIで〇・七%ぐらい、ことしの十月一日からお願いすべく御審議を願っておる郵便料金が〇・二%と承知いたしておりまして、これはすでにもう政府は決意いたしたことでございます。  それで、今後公共料金でどういう面が出てくるか出てこないか、これはまたこれから先のことでございますが、いずれにしても土俵は一けた台の狭い土俵の中でいろんな要素を処理しなければならぬわけでございます。狭き土俵であることはよく承知いたしておりますが、しかし、これは私ども達成できない無理な土俵であるというようにも思わないのでございまして、これは努力の仕方によりまして可能ではなかろうか、そのために全力投球しなければならぬのじゃないかというように存じておるわけでございまして、今後の努力次第と考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 まあその努力次第の問題は、後ほどきのう言われた「当面の財政事情についての大蔵大臣発言要旨」について若干お伺いするときにお伺いしたいと思うのですが、そこで、公定歩合の引き下げが行われて、政府は盛んにまだ総需要抑制策は続けているんだ続けているんだと口では言っていますけれども、若干抽象論にわたりますが、私はもう総需要の抑制策というのはかなり柱が一つ一つ崩れてきたと思っているんです。なぜならば、金融の面でも一つは公定歩合が引き下げられた、〇・五といえども引き下げられた。それから窓口規制も、昨年私もお話をお伺いしましたように、たとえば十大商社についての貸し出しの規制を撤廃したとか、あるいは銅の業界への融資とか、あるいは都銀の窓口規制の先食いを認めるとか、こういったようなことで窓口規制自体も外れてきている。それから、預金準備率だけは残っているわけですけれども、そういったようなことで、金利の面においても量の面においても、金融面では大きな柱がいま一本ずつ外されつつある。財政の面でも、先ほどお伺いしたように、公共事業の契約率を平年度並みに持ってくる。  こんなようなことを考えてみますと、これは抽象論になるから一言で結構でございますけれども、こういった総需要の抑制策の大きな柱は一本ずつ外されていって、いま残っているのは、いろんな意味で量の違いはありますけれども、預金準備率というものだけまだいじっていない。そういった意味で、なし崩し的に緩和されていて、表向きは総需要の抑制は続けているんだと言っているけれども、私は柱はかなり抜かれてきたんではないかというふうに理解をしているのですけれども、いかがでございますか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 総需要抑制策というのは、財政金融というマクロ的な政策ばかりでなく、個別物質に対する規制も含めまして、全体としての政策を呼称して抑制的な経済政策を言っておるものと思うのでございます。しかしながら、これは初めから、たとえば政府三機関はこれの枠外にあるわけでございまするし、それから日銀の窓口規制にいたしましても、日本銀行と各銀行との間で四半期ごとに一応の貸し出しの枠組みが相談されて決まるわけでございまして、その決め方も、人間がやることでございますから、弾力が全然ないというわけではないわけでございます。  したがって、いまの総需要抑制政策のフレームの中で、機動的、弾力的にわれわれはきめ細かい措置を講じますということをたびたび世間に対して申し上げてきて、事実そのとおりやってきたわけでございます。それだけの伸縮が中でやれるだけの余裕を持っておるわけでございます。したがって、初めから弾力性を持った経済政策であったわけでございまして、それがさらに弾力の度合いを高めていくということになっておると思うのでございますが、しかし先ほど冒頭にも、この政策を一遍脱ぎ捨てて裸になるというような勇気はないということは申し上げたわけでございまして、そういう政策転換は考えていない。まだそこまでの自信は持てないわけでございます。抑制ぎみの運営ということはあくまでも守っていきたいわけでございますが、若干緩和とか修正とかいう弾力的なことは進めてまいるという、今回の措置もその一環にすぎないというように御了承賜れば幸せと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 この論議をやると抽象論になってしまいますからやめにしますが、きのう発表になった「当面の財政事情についての大蔵大臣発言」でありますけれども、四十九年度のことは一応手当てがついたというふうに発表になっておりますからさておいて、五十年度の話でありますが、きょう十六日の段階で考えると、異例の発言だと私は思うのですね。これは裏を返せば、見通しが非常におかしかった。四月二日に通った予算が、基礎の数字について非常におかしかったんじゃないか。四月十六日から、もうはや財源不足です財源不足ですと言ってくること自体、非常に私はこっけいだと思うのです。  そこで、いろいろ見てみますと、五十年度が十七兆三千四百億円、前年度の当初比が二六%の伸びで組んであるわけでありますけれども、たとえば所得税をとった場合に、歳入の三分の一を占める所得税が、四十九年度の見込みに対して一七%増の見込みを出しておるわけですね。ところが政府としては、何とかしてこの春闘はベースアップは一五%以下に抑えたい、もう私が申すまでもなく、一五%以下に抑えれば、累進でありますから一七%の所得税の伸びなんというのは、これは無理だということは当然おわかりになるわけですね。  そういった意味で、今度の組み方自体が、私は、賃上げと税収というものの、たとえば所得税をとった場合に、相関関係を考えてみれば、片方では一七%の増収を見込みベースアップは一五%——所得というのは言うところの勤労所得だけじゃありませんからその誤差はもちろん出てきますが、片方では何とかベースアップは一五%以下に抑え、税収の方は一七%を得ようという、この計画自体が私はしょせん無理だったんじゃないかと思うのです。この点についてはいかがですか。

中橋敬次郎大蔵省主税局長

○中橋政府委員 ただいまの一七%のお話は、五十年度の源泉所得税の中で大宗を占めます給与所得の税収をはじきますときに、給与の伸びがどの程度になるかということを見込みましたその数値についてのお尋ねだと思います。  確かに私どもの給与所得に対します源泉所得税の計算におきまして、あの当時政府が経済見通しで立てました一人当たりの雇用者所得が、一七%程度伸びるということを基礎にいたしております。それが果たしてどの程度に動くかということは、実は、まず第一にはこの春闘の結果が大いに影響するわけでございます。そういう意味におきましては、一体一七%がどう動くかということの大きな要素であると思っております。  ただ、一七%と申しますのは、一人当たりの雇用所得でございますから、いわゆる基本給の伸び、それが端的にあらわれますのは春闘の結果でございますけれども、そのほかに、定期給与としましては、なお時間外給与の問題がございます。それから、なお大きな要素を占めますところの臨時給与の問題がございます。四十九年度におきまして私どもが源泉所得税で見積もりの誤りをおかしましたのも、実はこの臨時給与、ボーナスの点が非常に大きかったと思って反省をいたしておりますけれども、そういう臨時給与の動きというのも、実は五十年度におきますところの給与所得に対する源泉所得税がどうなるかという大きな影響を及ぼすものでございます。  したがいまして、私どもといたしますれば、春闘の結果も非常に重要な要素でございますが、その後におきますところの時間外給与の状況、それからボーナスにあらわれますところの臨時給与の状況その他を注目していかなければなりませんので、いまここで直ちにこの一七%というものが一体どの程度に落ちつくかということは申し上げられないわけでございますが、四十九年度におきますところの苦い経験も踏まえながら、なお慎重に見積もりたいと思っております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 いまの景気の状況では、臨時給与にしてもボーナスにしても、余り望むべくもないんじゃないですか。そういうことから考えますと、片方では春闘をガイドラインとして一五%に抑えて、それで給与所得税の伸びを一七%として税収もそうやって上がってくると言って、ここで歳入欠陥が出る歳入欠陥が出ると言って大騒ぎをするところが、どうも私は納得ができない。  本来ならもう少しお伺いをしたいところでありますが、時間がないので、もう二点だけお伺いしておきます。  大臣にお伺いしますが、きのう表明された五十年度の財政執行の中で「このような歳入面の制約に対しては、まず、行政経費の節約を初めとする既定経費の見直しにより、極力歳出の節減を図る必要があると考えます。さらに、公務員の給与改善問題、米価問題等年度途中に予想される追加財政需要につきましては、厳に慎重な態度で臨む所存であります。」ということが述べられているわけですね。  それでもう御存じのように、公務員の給与改善については五%が予算に組まれておるわけであります。しかし、とにかく政府の言っている春闘のガイドラインが一五%、人事院勧告がどうなるかわかりませんけれども、いずれにしろ一〇%近くの差額が出てくるわけですね。これは公務員の給与改善問題等追加財政需要につきましては、厳に慎重な態度で臨む所存でありますということは、たとえば公務員の給与の問題をとった場合に、人事院で一五%だ、一六%だという数字が出てきても、これはとても財政が許しませんから待ってもらうとか、何かそういうようなことを考えるという意味ですか。それともこれはほかに何か具体的なやり方があってのお考えでございますか。その点はいかがですか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 きのう私がそういうことを申し上げたのは、ことしの経済の運営がスムーズにまいりまして、経済に活力がついて歳入が予想どおり確保されればめでたいわけでございますが、その場合におきましても、従来のように自然増収を期待することはむずかしかろうというような判断が一つあるわけでございます。あなたもいまいみじくも御指摘になりましたように、自然減収になる公算がないとは言えない、そういう判断が頭にあるものでございますから……。  しかし、四月二日に成立さしていただきました予算で約束いたしました歳出につきましては、私ども万難を排して、各省庁で国民にお約束いたしました歳出でございますから、これは何としても確保してまいらなければならぬ、保証してまいらなければならぬと考えております。  だとすると、そこへ計上していない歳出、年度途中で出てくる歳出、いままでの慣行上、公務員の給与改善とかあるいは米価改定とかいうのは年度途中で出てくるわけでございますから、これに対しましては、大蔵省、財政当局といたしましては、だれがこの衝に立ちましても慎重にならざるを得ないです。それで、そういう問題が出てきた場合に、私ども財政当局としては、責任上、財政を預かる立場に立ちまして厳しい態度で対処せざるを得ないと考えております。  ただそれだけのことでございまして、具体的にどういうことが年度途中に出てくるか、こう出てきたらこうやるとか、そんななには全然ございません。まだ出てきてもいないのに、そんな知恵はないわけでございます。ただ、基本的な心構えといたしまして、そういう厳しい気持ちでやる、これが国民に奉仕する私どもの立場でないかと考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 何も厳しいのはことしだけに限ったことじゃないわけですね。しかも国民の税金でございますから、厳しく使うのは私は当然だと思うのです。ただ、公務員の給与の場合には、争議権もないわけですから、人事院勧告によっているわけです。そうなってきますと、当然考えられる一三%、一四%と、いま計上している五%の差額というのは当然出てくる。この額は恐らく四千億ぐらいになるのではないかと思うのです。これは厳しくします厳しくしますと言っても、人事院勧告というものに基づいてやるという制度になっている以上、これは執行せざるを得ないと思うのです。これも削るということになりますと、これは人事院勧告無視ということになるわけですから、少なくともここにわざわざさらに公務員の給与改善問題等厳に慎重な態度で臨む所存でありますと書いてあるのは、そこまで踏み込まなければ現実には執行できないと私は思うのです。だから厳しくやるというのは、何もことしに限ったことじゃないと私は思っているわけです。その点で、具体的にはこれは精神訓話であって、現実にはこの人事院勧告が出た場合にはせざるを得ない、こういうように理解してよろしゅうございますか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 憲法またそれに基づく法律、制度というようなものを尊重しなければいかぬと考えておりまして、財政の都合によりましてそれはけ飛ばすんだなんというようなふらちな考えは持っておりません。ただ、そういう制度、慣行の中で、こういう財政事情でございますので、極力細心の注意を払いまして対処していかなければならぬことは当然と考えておるわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 もう時間が来ましたから、最後にもう一点だけお伺いしておきたいのですが、それは福祉預金の話なんであります。これはわが党が去年、もうまるまる一年たつわけでありますから、わが党にも非常に責任があるわけでございますので、お伺いをしておきたいのであります。  もう注釈は途中は抜きにしますけれども、われわれが言ったのは、もう経済事情はかなり違うわけで、昨年の事情とことしの経済事情とはずいぶん違う。それから趣旨も、われわれの場合には国民全般にわたってという話でありますが、それは高橋銀行局長も具体的になるとなかなかできないということでございましたので、福祉預金ということである程度人数を限定しての話になったと思うのでありますが、いまのように事情が変わってきて、しかも福祉預金ということになりますと、果たしてこれは、特に個人預金の多い相互銀行、信用金庫、信用組合といったところのいまの状況を考えますと、こういった政府の経済政策の失敗によるところのしわ寄せというものを、また福祉という一つの政策課題のあるものを一つの金融機関、特に金融力の弱い相互銀行以下の金融機関に行政指導でやるということはいかがだろうか。  それと、具体的には小原全信協の会長から、もしやるんだったら政府は利子補給をしてくれ、二%の上乗せのうちの一・五%は利子補給をしてくれ、こういう申し入れかあるやに——申し入れというか記者会見があったように聞いているわけでありますが、この点についてはどういうふうに対処をされるつもりなのか、それだけ聞いて終わりにしたいと思います。

高橋英明大蔵省銀行局長

○高橋(英)政府委員 福祉預金にはいろいろ問題がありますこと、佐藤先生も十分御承知のことと思います。私ども技術的にもまた負担的にもかなり問題があるというので、いろいろ検討しておったわけでございます。しかし総理がこの委員会でも、必ずやらせますということをおっしゃっておられますので、私どももなるべく実施したいという方向で検討しておるわけでございます。現在、法律技術的に少しむずかしい問題がございまして、これは法制局と詰めております。この結論が出ませんので、まだ動けません。  それから、民間の方でやっていただきたいという考えを持っておるわけでございますが、その点も民間の方で必ずしも足並みがそろっておらない。ただ、対象をしぼり金額を限定して、社会性といいますか公共性の強い金融機関であるということから、何がしかのことができはしないかというような考えで、民間の各金融機関団体も現在検討しておるところでございます。私どもは民間からこういうような案があるというようなことが出てき、それに応じまして私の方で臨金法等の手当てをするということのめどがつきました場合には、実行をいたすつもりでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 利子補給はないわけですな。

高橋英明大蔵省銀行局長

○高橋(英)政府委員 利子補給は考えておりません。

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 松浦利尚君。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 いま佐藤委員が質問しましたから、それを補充する意味で、きょうから引き下げられました公定歩合の問題について若干お尋ねをしておきたいと思うのです。  実は日銀の総裁が、公定歩合の引き下げ問題が財界なりあらゆるエコノミストあたりで評判になりましたときに、これは日銀の聖域であるから、適切適正な時期に公定歩合の引き下げ等については考えるのだと、こういうふうに発言をしておられましたし、大蔵当局もそのことを支持してこられたはずなんです。ところが、きょう実は〇・五%の公定歩合を引き下げたんですが、引き下げたというこの時点は、日銀の総裁が言う適切適正な時期だったと判断をされるのか、その判断をした根拠は何なのか、その点をひとつまず冒頭にお知らせいただきたいと思います。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 先ほど佐藤委員の御質問にもお答え申し上げましたように、私は今度の措置は、いまは少なくとも政府として政策転換をすべき時期でない、していい時期であるとは考えていないわけでございます。ただ、二年前からとられました長く続いてまいりました厳しい引き締め政策は、そのままの姿で今後もなお依然として続けていく必要があるかということが問われる場合は、必ずしもそれはそういう必要はないのではなかろうかと思いまして、そういう判断は日銀の政策当局が適当と判断されて公定歩合政策をお考えになってしかるべきと考えておったわけでございますが、きのうああいう決定がなされたわけでございまして、時宜に適した措置であったと私は了解いたしております。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 きのう発表してきょうから引き下げたことが適正なあるいは的確な時期だったかどうかということについては、きょう朝刊などを見ましても、早過ぎる、遅過ぎるという議論があるわけです。非常にあるのです。  そこで、まずお尋ねをしておきたいのですが、御承知のように、ことしの二月あたり経済企画庁の調査によりましても、操業率が六〇%近く低下をしておる。繊維のごときは二〇%近く落ち込んできておるという状態だったのですね、一、二月にかけて。ということになると、そういう操業率が低下をしておる二月段階に公定歩合を引き下げたらどうかという意見があったことは事実です。そのときには適切適正な時期ではなかったという判断が成り立つわけです。そういう操業率が低下しておるにかかわらず適切な時期ではない。しかしいまは適切な時期だ。その根拠が非常にあいまいなんです。  極端な言い方をすると、いままではマル公をいじるということは、逆に言うと景気に非常に大きな影響を与えるものだったのですね。一つの指標だったのですね。シンボル的なものだった。ところが、実際には今度はこれが意識的に人為的に操作をされておるのじゃないか。もっと具体的に言うと、ある目的を持ってされておるのじゃないか。日銀も政府も一体となってある目標に向かって意識的に行われておるのではないかという気がしてならぬのです。  ですから、二月のそういうふうに操業率が低下しておる段階で公定歩合を引き下げるということは適切な時期ではないのだという根拠はそれじゃ何なのか、その点をひとつお聞かせいただきたいのです。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 松浦さんに御了解を得ておきたいのでございますけれども、公定歩合の上げ下げというのは日本銀行政策当局にゆだねられている権限でございますので、その判断は彼らによってなされるものでございます。私の判断によって彼らがやっておるわけじゃないわけでございます。私といたしましては、日本銀行がきのうとられた措置はタイムリーであったという評価をいたしておりますとお答えいたしたわけでございます。  なぜ二月の時期において決断がなされずにきのうなされたかということにつきましては、日本銀行政策当局からお聞き取りをいただきたいと思います。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 いま言ったのは非常に重要だと思うのです。いつやるかというのは日銀の聖域なんですよ。政府が関与すべきものじゃない。しかし、結果が出たわけでしょう。実際にきょうから引き下げた。だから、引き下げた時期について的確であったかどうかという判断は財政当局も明確にしておかないと、また誤りをおかすわけでしょう。だから、日銀がやったのだから日銀でございますよということでは、財政当局としての予算の執行その他についても影響を与えますね。  財政政策、金融政策、こういったものは一体のものなんですよ。これはあなたの方で、私の方はこうだという発想で、この重要な段階を経済運営なり財政運営というのはやれないと私は思う。だから、結果が起こったことについてどうだったかという大臣としての見解があってしかるべきだと私は思うのです。いま結果が起こった後の大臣としての見解はどうなのか。ただ日銀がやったことは適切でしたよと言うだけでは、問題は解決しないのじゃないですか。その点を一つ聞いておる。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 日本銀行のとられた措置を、私は時宜に適したものであったと考えております。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 それでは、日銀のとった態度が適切であったとするなら、いまの経済は一体どういう——いま現在が底だ、こう見ておられますか。経済は現在底で、底をはっておるのだという判断に立っておられますか、大臣は。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 景気の判断につきましても、今朝来佐藤さんとの間でやりとりがございましたように、この判断は非常にむずかしいと思うわけでございますが、在庫の状況、生産の状況、雇用の状況を見まして相当ひどい落ち込みの状況にありますことは申すまでもないことでございますが、在庫調整が幸いにして進んでまいったということでございまして、ようやく底をついたのではなかろうかという明るい観測が一部に出てまいりましたことは、歓迎すべきことと考えておるわけでございます。決定的にいまもう完全に底をついて上向きに転じたと断定、断案を下していいかどうかにつきましては、そこまでの自信は私まだ持てませんけれども、ようやく景気転換の兆しが出かけてまいったのではないかというように判断いたしておるわけでございます。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 確かに大手等を含めて一−三月が一つの底で、これから大体というそういう話は一理あると思うのですね。ただ問題は、いま企業倒産あるいは失業というのが依然として多発しておるわけですね。確かに一時のように急激な増加はありませんが、非常にふえてきておることは事実です。中小企業の底というのは大体四−六月ごろまでかかるのじゃないかというふうに私たちは見るのですが、大臣はそういう点についてはどういうふうに見られますか。

岩瀬義郎大蔵大臣官房審議官

○岩瀬政府委員 各業界の景気の底というのをどの辺で見るかというのはなかなか判断のむずかしいところでございますけれども、私どもといたしましては、全体を通じましておおむね底にもう達しているのではないかというふうに考えております。  それから、中小企業につきましては、特に個別にいろいろ問題があるように承知いたしておりますが、これはかねて御案内のように、総需要抑制下におきましても、かなり中小企業対策に重点を置いてまいったわけでございますし、これは今後もまた続けていくつもりでございます。したがって、そういう深い落ち込みは特別の個別企業の中では個々の現象としてあるかもしれませんけれども、総体としては、これから政策的にも防いでまいりたいと思っております。  私どもの判断では、大体緩やかな経済成長という形が物価の面においてもいい結果をもたらすということでございますので、ただいまの公定歩合にいたしましても、やはり景気に対して余り強く急反転をするというようなことのないような配慮も一方にいたしておりますので、景気感が若干の不況感を残しながらじわじわと上がっていくというような状況を考えておるわけでございます。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 いま審議官の方からお話がありましたが、現実に公定歩合の〇・五%引き下げについて、きょうの新聞等でも御承知のように、経済界ではもっとやれという要望が出ていますね。経済担当大臣である福田副総理は先般外人特派員の記者クラブで、公定歩合をさらに段階的に引き下げていきたいという発言を現実にしておられるわけですよ。これは日銀の聖域だから日銀が判断をすることですけれども、少なくとも経済担当大臣である福田副総理はそういうことを言っておられるわけですね。大平蔵相は、この福田さんの発言についてどう思われますか。  公定歩合の引き下げについて、さらに引き下げる必要がある、福田副総理が言うような方向でさらに引き下げを検討すべきだという判断に立っておられるのか。それともいま審議官が説明したように、このままで自力反転といいますか、〇・五%引き下げることによって一応景気は上向いてきたのだからこれは自力反転をしていくのだ、だから推移を見た方がいいという解釈なんですか、その点どうですか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 先ほど申し上げましたように、政策の基調を物価の安定に置くということは堅持してまいらなければいかぬわけでございますので、こういう措置を講じても物価に狂いはない、経済を安定軌道に乗せるという目的から背馳しないという状況が保証されるということでございますならば、そういう条件が保証されておりますならば、私は日本銀行政策当局におきましてさらに進んだ措置が将来とられることを期待いたしますけれども、すべてどういう政策がいつどういう時点においてとられるかという問題は、そういう全体への感度との関係におきまして判断すべきものでございまして、公定歩合政策自体を独立して上げ下げを云々という性質のものでないことは、松浦さん御指摘のとおりだと思います。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 それならば、大蔵大臣は景気が回復する時点は大体いつだ、現状のままいって自力で反転できる、景気が回復する時期はいつだというふうに想定しておられますか。現状のままでいっていつだというふうに判断されますか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 現状のままいってということでなくて、政府も民間もそれぞれ努力をしなければなりませんし、それから内外の経済がどのように動いてくるかということにも関連があるわけでございまして、いつ回復するであろうかなという予言はなかなかむずかしいと思いますが、最近、私はヨーロッパへ参って各国の財政担当者との間でいろいろ懇談をしてきましたが、総じて各国とも不景気、不況が底をついたのではないかという見方がやや多数になってきておるという気配でございます。  それから、国内におきましてももうそういう認識が広まりつつあるようでございまするので、現状のまま抑制ぎみの政策を手がたく進めてまいりますならば、下半期において上向いた状況を期待することはそう無理でないのではないかという感じは持っております。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 後半に景気が上向く、薄日が差す、こういう御答弁ですが、これは審議官でも結構ですが、だとすると、この一−三月の経済成長は、まだ出ておりませんが、担当官として大体何%ぐらいだと見ておられますか。  御承知のように、昨年の暮れはマイナス〇・四%でしたね。これが一−三月期は大体何%ぐらいか、マイナス成長だったかどうか、どれぐらいであろうか、そういう点をちょっと明確にしてくれませんか。

岩瀬義郎大蔵大臣官房審議官

○岩瀬政府委員 御承知のように、成長率は四半期別にとっておりませんので、実績はQEという形におきまして十二月まで出ておりますけれども、一−三月がどれぐらいかと予測するのはなかなかむずかしいかと思います。ただ、前期に対して横ばいないし若干のプラスかというふうな感じでおります。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 そうすると、大蔵大臣、いまお話がありましたように、現実がまだ底だ。底だということは、逆に言うと、いま言われたように一−三月期が横ばいだということは、さらにこれも横ばいだということですね。そして下期に薄日が差して上向きになる、こういうことですね。  そうすると、今度は経済成長見通しで、五十年度予算をつくるときに実質成長率四・三%と見込みましたが、現実問題として平均四・三%の五十年度成長率を確保するためには、後半二けた台ぐらいの成長を見込まないと年平均四・三に落ちつかないのじゃないですか。そうでしょう。急激に成長させないと四・三%にならないわけですよ。そういう点についてはどういうふうにいま判断しているか。予算は通りましたけれども、大体前期が幾らで後期がどれぐらいか、いま言ったことをトータルしてどのように判断されますか。

岩瀬義郎大蔵大臣官房審議官

○岩瀬政府委員 実質四・三%というのは、四半期別に分けた計算はございませんけれども、それほど、二けた台になるような対前期比の上昇にはならないと思います。したがいまして、先ほど大臣からも御答弁がございましたように、上半期はどうしてもいまの景気の状況から見ますと上昇が下半期に移るという形でございますから、当然に下半期の上昇率が高くなるということはもう御指摘のとおりだと思います。  ただ、いま一−三月の実績も出ておりませんので、その実績をもとにした見通しは立てにくい段階にございますので、いまのところは四・三%の経済成長率に対して——これは見込みを立てましたときの基本的な考え方が、物価に対して一番中立的な、いわば物価を下げるのに効果のあるような経済成長率ということでいろいろな諸般の情勢を考えて判断されたものでございますから、したがいまして、今後の推移を見ながら、経済政策を縦横に慎重に駆使しながら運営していくという以外にないのではないかと思います。  いまから予定のものを何とか確保するということでやっていくことが果たしていいかどうかという点は、実質の成長率というのは一つの目標のようなものでございます。何としてもそれを確保するということで仮に先生の御指摘のように下半期二けたになるような成長率になるようでございましたら、これはやはり軌道修正せざるを得ないと思いますので、この辺はもう少し推移を見た上で取り組んでまいりたいと思います。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 岩瀬さんは正直なことを言われたのですが、私はまさしくそのとおりだと思うのですね。  そこで、先ほど佐藤委員の質問に大平大臣は、いや経済成長率を幾らにするというようなことは、五十年度予算を決めたときに四・三という経済見通しがあるからこれが政府の見解です、こう言い張られた。そして、そんなことをいろいろ言うのは個人的な趣味だというようなことで茶化されたのですが、まさしく審議官が言われたように、場合によっては四・三%にこだわらないような状態だって生まれてくるのですよ、率直に言ったら。四・三%にこだわったら、後半は一〇%近くいかなければ平均にならぬわけでしょう。  そうすると、福田副総理がこの前外人の記者クラブですか、そこで五十年度は大体四%ぐらいの経済見通しが妥当ではないだろうかということを言われた。大平さんも個人的な趣味で、あの統一地方選挙のさなかに、どこだったか知りませんが、昭和五十年度の経済見通しは大体三%ではないだろうかという発言を個人的な趣味として出しておられるのですよね。あなた自身がそう言っておられる。いや、本当ですよ。こういう点についてあちらこちらでアドバルーンが上がるのは、まさしくいま審議官が言われたような理由からなんです。  そこで大平大臣に、あなたは先ほど佐藤委員の質問に対して、私は四・三だというふうに言われましたけれども、現実を踏まえてみると、四・三というのは経済運営の上で実質的に非常に無理がある。この際、もう予算が通ったからということじゃなくて、せっかく大臣がここに来ておられるのだから、選挙期間中じゃなくて、ここの場で、一体四・三%についてどうだったかということをひとつお答えいただきたいというように思いますね。

岩瀬義郎大蔵大臣官房審議官

○岩瀬政府委員 ちょっと私の答弁に関係がございますので、先に前座を務めさせていただきます。  四・三%という成長率を何かどこまでも確保しなければならないということを大臣が言っておられるわけではございませんで、四・三%というのは政府が五十年度の経済実質成長率を計算したときに出した数字でございます。ただ、これは決して不可能なことではない。先ほど申し上げましたように、なだらかな回復を遂げる場合に、四半期別の対前期比を見ましても、それは一%少々ぐらいの上昇率で可能なものでございます。  したがって、いまの段階でもうすでに四・三%は確保できないんだというふうに決めてしまう必要はないんだ。やはり政府の見通しは、あくまでも物価を大事にするということで立てられた実質成長率でございますから、その辺の成長率はやはり日本の経済にとって現在必要であるというふうに判断してとったもの、これは決してまだいま私どもは捨てておるわけではございません。  ただ、もし上期と下期に分けるならば下期の方が上昇カーブが高くなるであろうということは、これは御指摘のとおりでございます。その辺は、これからの経済運営を見て判断する以外にないのでございまして、いま四・三%、もうこれはとてもだめだというふうに私どもは考えておりません。ちょっと前座で恐縮でございますが……。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 そうすると、大臣が三%と言ったのは、それは何ですか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 国会におきまして政府がものを申す場合には、やはり政府として統一した見解を、大事なことにつきまして申し上げなければならぬことは当然でございます。成長率というような問題につきましては、政府として一応決めた数字がございますので、国会でお答えを申し上げる場合には、一応それによらざるを得ない制約を私ども持っておるわけでございます。  ただ、先ほど申しましたように、大体それが合ったためしはかつてないわけなんです。したがって、これはいま松浦さんもおっしゃるように、今後の経済の推移を見なければなりませんし、四・三%というのも相当下半期無理な成長で支えないと実現できないという御心配もあるようでございまして、それは私も理解できないわけじゃございません。したがって、これをどのように政府が取り扱っていくかは、またこれは政府全体として考えさせていただきたいと思いまして、あなたからそういう問題の御提起を大蔵委員会を通じてちょうだいしたということにしておいていただきまして、私からまた、政府の方でいろいろ相談もしないのに、ここで勝手にべらべらしゃべるというわけになかなかいかぬということだけは御了承いただきたいと思います。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 経済担当大臣である福田副総理があちらへ行ってこう言う、そうすると財政担当である大蔵大臣があっちへ行ってこう言うということは、遊説先だからそれは自由でしょうと言われればそれまでですけれどもね。(大平国務大臣「公のところで言ったことはないですよ」と呼ぶ)まあそれはいいですが、現実にそういう報道がなされておったことは事実です。  そこで、私はなぜそれを言うかというと、少なくとも経済成長を幾らにするかということは、やはり昭和五十年度の税収に関係があると思うのです。だから、いま仮に現在の状態で大蔵大臣が三%だということを——これは仮に対外的に遊説先で言ったとしても、そのことは即五十年度の、すでに四月二日に通過した国の予算に影響を与える問題なのです。  四十九年度ですら、きのうも発言がありましたが、八千億近くの歳入欠陥が出てくるということになると、四・三%の実質成長を見込んでおる五十年度の予算というものが、仮にいま言ったよう形で推移するとするならば、またぞろ歳入欠陥というものが出てくるじゃないか。その危険性があるからきのう危機宣言をされたわけでしょう、これは大変だと。その背景には、現実には五十年度の予算をつくるときのバックグラウンドである主要経済指標というものは、これはどうもむずかしい、確保できぬというものが背景にあるからこそそういう発言になってくるわけでしょう。そうですね。その点についてはどう思われますか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 仰せのとおりです。とおりですが、年度が始まったばかりでございますし、またこれからの五十年度の経済というものは、政府の経済政策を初めといたしまして内外の経済がどのように動きますか、これからのわれわれの努力、施策によりましてどのように展開してまいりますか、まだ未知数でございます。  しかしながら、私どもいまの段階で考えられることは、すべてのことがうまくいきまして歳入が予想どおりうまく入ってくるといたしましても、いままでのように自然増収は期待することは無理じゃないかという判断が一つございますが、まかり間違えば、いま御指摘のように自然減収になりかねないので、というのがきのうの発言の契機になったわけでございます。  したがって、今後の経済政策の運営ということについて私ども真剣に対処してまいりまして、この五十年度の予算の執行ということについてはきわめて真剣にかつ忠実に当たりまして、冷え込んだ経済の支えをやらなければなりませんし、また、国民に予算を通じて公約をいたしましたことの実現を図ってまいらなければいけませんし、しかも物価を上げないようにしなければならないし、いろいろな要請をここで果たしていかなければいかぬわけでございますので、大変むずかしい課題でございますけれども、真剣に対処していきたいと念願いたしておるところでございます。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 それで、佐藤委員もちょっと触れられたのですが、結局、いまやっておることは物価が至上命題になっておるわけですね。十五日の経済関係閣僚協議会における福田副総理の物価対策に対する発言をいただいたわけですが、これにも五十年度末に九・九%、一けた台にするのだ、五十一年度の早い機会に預金金利並みに物価は引き下げるのだ。いまはまさしく物価問題だけを焦点に置いて対策をとっておられますね。そうすると、実質的にはいま言ったように、景気転換政策をとらずに需要管理政策というのが続いていくわけですから、需要管理政策というのは人為的に需要を管理していくわけですからね。ということになりますと、結局、先ほど言ったように、五十年度の歳入欠陥を生ずるかもしれないくらいにやはり締めておる。  そこで、先ほど佐藤委員に答弁されたように、これから出てくるであろう公務員の賃金問題、お米の問題あるいは国鉄の問題等々、予想をされておらない財政支出というのが当然秋になったら出てきますね。そういうふうになってくると、それは政府の施策として厳しく律しますよと、こういうことになってくれば、結果的に生産者米価が上がった分だけは消費者米価に——五十年度の新米価年度前に米価審議会を開いて当然諮問をする。生産者米価が上がれば消費者米価を上げて消費者にその分をかぶせる、国鉄運賃についてもそうだという形になってきますと、結果的には、物価を命題にして物価のためにすべてを集中して総需要管理政策をとってきておるが、公共料金を国民の側に負担をさせて、当初の目的である物価安定政策というのは、逆に言うと公共料金主導型の物価狂乱。お米とか運賃とかそういったこれから当然出てこなければならない問題を国民側に負担をしてもらうということになれば、公共料金主導型の物価上昇というのが後半出てくるんじゃないか。  現に酒、たばこ、郵便料金というものを控えておりますね。寄与率は小さいが、公共料金に与える心理効果というのは非常に大きいわけですから、そういう点を考えてくると、どうも政府の言っておることは、物価を命題にしてずうっと財政金融政策を集中しておるが、結果的にそのはね返りを財政が受けて、逆に言うと国民側に負担をさせる、そのことによって物価が上がる、そういう大変まずい結果を生むような財政金融政策、総需要管理政策というのがいま行われておるのではないかという気がしてなりませんね。そういうことは絶対ない、大丈夫ですということがここで断言できますか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 いま公共料金にしわ寄せして公共料金主導型の物価高時代を招来しておるのじゃないかという御指摘でございますが、もしそうだとするならば、では公共料金を上げないでそれを財政で負担いたしまして公債で賄う、そういう体制をとった場合は物価に好影響があるかと問われた場合に、私は逆であろうと思うのでございます。それは判断の問題だろうと思うのであります。経済にはそんなに無理はきかないわけでございますので、私どもといたしましては、公共料金であろうとどういう料金であろうと、政府が干渉しようとしまいと、物価であり料金であることに間違いはないわけでございますので、これはコストを見合いながら適正に決めていくということでいくのが経済政策としては王道であろうと思うのであります。  しかし、政府が関与しておるという以上は、物価政策上公共料金、そういうものはひとつがまんをしたらどうだという声がございまして、自由民主党とその政府は過去におきましてずいぶんそのお声に聴従をいたしまして、いろいろな運賃にせよ米価にいたしましても、何にいたしましても、ずっとその世論にこたえてきたわけでございます。したがって、その公共料金というのは普通の物価体系から申しますと非常に割り安に抑えられてきたと思うのであります。  いま私どものやっておりますことは、その中で部分的にこれだけはせめて是正さしてくれぬか、余りひどいじゃありませんかということをお願いしておるわけでございまして、これは一つの値上げというよりは、若干是正さしていただこうということをやっておるわけでございますが、それは松浦さんからおっしゃると、公共料金主導型の物価高を呼ぶじゃないかというようにおしかりを受けるわけでございますが、それでは立つ瀬がないわけでございまして、私どもはそういうつもりはないので、それでも一般の物価水準よりずっと低いところに抑えておるわけでございます。財政の都合も御勘案ちょうだいして、ここまでの是正はひとつ認めていただきたいという意味の、ごくごく謙虚な要請をお願いしてきておるわけでございます。  したがって、これまでの経過をずっとごらんいただければ、その辺のことは御理解いただけると思うのでございますが、今年度五十年度におきましてもそういうつもりでやっておるわけでございまして、公共料金主導型にしてやろうなんというような野心は、毛頭持っておりません。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 野心を持っておるということを言っておるのではなくて、結果的にそうなるじゃないか。たとえばいま行政指導で畜産物価格を低く抑えていますね。あるいは砂糖その他でも行政指導で抑えている分というのがあるんですね。あるいは通産省側がある意味で行政指導で抑えている部分があるのですね。そうすると、政府の方がいま言った発想でいくと、そういった部分についても全部、極端に抑えていたんだからこれを緩めていきますよという発想に結びつくでしょう。それを私は言っているわけです。結果的に、必要最小限度のものでございますよというのがたくさん出てくるわけでしょう。  ということになると、いま、これは日銀の調査ですけれども、日銀の調査で四−六月にかけてすでに予定されておる品目がずらっと出ていますね。そして卸売物価を大体二%引き上げるだろうということを日銀は一応現実に予測しているわけです。その中には鉄鋼関係が一五%近くの値上げを見込んでおる。鉄鋼関係は一五%この秋に値上げをするという希望があるという調査がすでに日銀でなされているんです。  そうすると、そういうものもまた上がってくる。しかも先ほど佐藤委員が指摘したように、不景気だから現実にコストを割ってでもずっときておるのですね。ある程度景気が上向いてくると、そのコスト割れ部分だけは回復したいという気持ちで、やはり値を押し上げてくるのですね。そうすると、生産が上がればコストが下がるのだから、製品価格が下がるのが本当なんです。だから、さっきも言ったように、秋から薄日が差してくるから、鉄鋼関係も生産が伸びてくる。生産が上がればコストが下がらなければならぬにかかわらず、日銀の調査では一五%すでに値上げが予定されておるのですね。  ということになると、実際に、くどいようですが、物価物価とこう言っておられるが、何かこの物価が、一番焦点である春闘、この春闘の賃金をどうするかというところだけにその物価の焦点があって、要するに短期的に、三月、対前年同月比で一四%に押さえ込んだ、後はもういい。しかし九・九%はこれは努力目標だ。いま言ったように、財政主導型ではありませんが公共料金も上げていかざるを得ないというようなことになれば、結果的に春闘対策の物価対策であって、ある一定の期間を過ぎると、薄日の差してくるこの後半になると、物価というのは一斉にこう押し上がってくる空気があるのではないかという危険があるのですよ。そういうものに対して大蔵大臣はどういうふうに対処しようとされておるのかが一つです。  もう一つは、御承知のように鉄鋼が春闘で一四・八%の回答をいたしましたね。これは絶対に価格はいじらない、据え置きだという前提の回答だったというふうに私は理解をしておるのですが、現実には、先ほど言ったように、日銀の調査ですら一五%の値上げの予定がされておるという事実を見て、大蔵大臣としてはこういう状況に対してどういうふうに対処するのか、せっかく財政金融のすべてを物価に集中しておるのだから、それに見合ってどういうふうにこれからの後半の物価対策を具体的にしようとするのか、その点をひとつお聞かせください。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 春闘中心の御質問のようでございますが、基本的には、春闘問題、これは労使の問題でございまして、政府、とりわけ私なんかの立場でこれを論評すべき性質のものでないと思います。ただ、政府の立場で申し上げられますことは、春闘に焦点を合わせてすべてのことをやって、あとは云々というお話がございましたけれども、政府は何も春闘が済んだ後店をしまうわけではないのです。ですから、いつでも野党の批判にこたえなければならぬわけでございますので、春闘が済んだ翌日からまたちゃんとその次の月もその次の月もやっていかなければいかぬわけでございますので、私ども、春闘目当てにこうやっておいて、あとは野となれ山となれだなんという考えは全然ございません、ということは御理解いただきたいと思います。  それから、鉄鋼の相場につきましての論評は、先ほど申しましたように避けさせていただきたいと思いますし、とりわけ、それに付随いたしまして価格の値上げの付帯の条件があったのかないのかというようなことは、全然私は関知いたしておりません。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 岩瀬さん、実際にそういう動きがあることは把握しておられるでしょう。日銀が現実に有力企業についての四−六月から秋にかけての調査はもう終わっていますね。日銀自体がもう調べ上げておるでしょう。その中に鉄鋼の値上げが入っておるでしょう。一五%の値上げがあると予定しておるでしょう。現実にそれをどうしますか。認めますか。これは当然全体の経済関係閣僚会議等のいろいろな議論もあるでしょうけれども、現実に大蔵当局としてはこういうものについてはどういうふうに対処しますか。

岩瀬義郎大蔵大臣官房審議官

○岩瀬政府委員 大蔵省は個々の物価の価格について一々チェックいたしておるわけではございません。かつて五十一品目という品目規制がございました当時には関係各省として相当意見も言っておったわけでございますが、いま御指摘の点は、確かに調査の上においてはそういう値上げの要求というか希望があるように聞いております。これは私どもの調査ではございません。  ただ、先ほど大臣に公定歩合を二月になぜやらなかったかというような御質問がございましたときに、大臣がお答えになりましたように、やはり石油の値上げ以後まだ価格転嫁ができていない業界、あるいはまた、いろいろな物価の高騰についての結果を何とか価格に転嫁したいという動きは、相当数多くの業界において存在いたしておりました。したがいまして、そういう中で景気を急速に戻していくというようなかっこうをいたしますれば、それが価格転嫁を容易に行わしてしまうというおそれがございますので、公定歩合の〇・五%につきましても、その時期を日本銀行としては非常に配慮しておったのだろうと思います。  したがいまして、そういった動きも十分把握しての上でございますが、私どもの希望といたしましては、そういう物価上昇が、本来ならば生産性を向上して、そこで吸収されるべきものでございますが、現状ではそれが無理とすれば、できるだけ価格に転嫁しないように政府の方でもそのような、まあ直接の措置ができなくても、何とかそれを抑えられるような環境はやはりつくっていかなければならない、これが先ほど大臣が御指摘の総需要抑制を続けていくということにつながるわけでございます。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 最後に一つだけお尋ねをしておきます。  先ほど佐藤委員の質問で、四・三%の実質経済成長を見込んだ五十年度の予算の中で雇用者所得の伸びを一七%と、こう見てありますね。仮に今度の春闘なら春闘で一五%以下、政府の目標どおりあるいは財界の目標どおり仮に一五%としまして、イコールマイナス二%ということにすぐには結びつきませんけれども、その他いろいろありますからね。しかし実質的に雇用者所得が仮に二%ダウンした場合には、税収見込みで所得税はどれくらいダウンしますか。

中橋敬次郎大蔵省主税局長

○中橋政府委員 先ほどもお答えしましたように、給与所得に対する源泉所得税でございますから、春闘だけが基本ではございません。しかし、仮に年間を通じまして一七%伸びると言っておりました給与が一%その予定よりも落ちるということになりますれば、税収としましては約五、六百億円減るという計算になります。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 まだまだ質問したかったのですが、いまお話がありましたように、余り春闘春闘ということで春闘対策で賃金を抑えることばかり考えていますと、結果的には税収そのものにはね返ってきて歳入欠陥を生ずる。しかもいまの冷え込みの最大のものは、六割を占めておる個人消費が停滞をしておるということでしょう。その個人消費を春闘によってさらに抑え込むということは、逆に財政主導型で幾ら景気を浮揚しようと公定歩合を下げていっても、六割を占める個人消費が停滞をすれば景気回復というのはなかなかむずかしいわけだから、だから私は最後に大蔵大臣に注文をしておきたいのは、春闘だ春闘だということで余り頭にきてやりよると、ほどほどにしておかないと、結果的に、先ほど佐藤さんが皮肉を言いましたが、どうぞお引き取りくださいということにもなりかねないわけですから、その点はひとつ十分配慮していただくように最後に申し上げて終わります。

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 午後一時四十五分より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十五分休憩      ————◇—————     午後二時三分開議

山下元利自由民主党

○山下(元)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。荒木宏君。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 歳入欠陥が大変問題になってまいりました。きのうも大臣の委員会での説明をいろいろお伺いしたわけでありますが、その中で財源の確保については若干お話も伺ったわけであります。私は、諸般の情勢もにらみながら、いまのこの時期に財源確保の一つとして、かねて問題になってまいりました租税の特別措置、これを改めていま一歩検討し直す必要があるのではないか、こういうふうに考えているのでありますが、初めに大臣のきのうのお話に関連をしまして、特別措置の見直しをいまの時期に歳入欠陥の問題とあわせて大臣として検討なさるおつもりがあるかどうか。     〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕 審議会の方にもいろいろと御相談もされるようでありますけれども、大臣としてこの点についてどういうふうにお考えになっているか、これをひとつお伺いしたいと思います。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 租税特別措置の問題につきましては、歳入が窮屈になろうとなるまいと、この制度自体の性質から申しまして、この制度がマンネリ化してしまうとか、あるいは漫然と既得権化してしまうというようなことにならないようにしなければならぬことは当然でございますので、御案内のように毎年毎年見直しをいたしてきておるわけでございますし、本年度もそういう意味で若干の見直しをいたしまして御審議をいただくことにしておるわけでございます。今後も、そういう文脈からいって見直しを行うべきことは当然と思っております。  しかし、いま御指摘のように、財源難という状態が考えられる今日でございますので、なお一層の緊張を持ちましてこの見直し作業は進めてまいらなければならぬと私自身考えております。仰せのように審議会等と御相談もしなければならぬと思いますが、政府として、より一段と積極性を持ってこの問題に取り組んでまいりたいと思っております。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 その場合に、全体を見渡してどこに重点を入れるか、どこに焦点を当てていくべきかということも作業を進める上で大事な着眼点の一つであろうかと思うのですが、資本金階級別の法人税の負担割合、これは資料として提出されましたので拝見をしたわけですけれども、本年の三月に大蔵省の方から報告されておりますところでは、資本金一億円以下の企業の負担割合が三三・四%、資本金百億円以上の企業が三二・五%、つまり、資本金一億円以下の企業の負担割合よりも資本金百億円以上の企業の負担割合の方が低い、こういう結果の報告が本年三月付で出ておるわけであります。  そこで、いま大臣も、特別措置の見直しについては従来からマンネリ化しないように続けてきたが、しかしこの時期にここへきてなお一息この点について進めていく、こう言われたのでありますが、こうしたいわば規模の大きいところが逆に負担率が低いというふうな点にさらにメスを入れて、不公正の是正も兼ね合わせて、財源確保ということもこの時期にさらに検討されるべきことじゃないか。これらの点は従来からも論議があったところでありますが、ひとつ実務当局のこれについての御意見を局長から伺いたいと思うのです。

中橋敬次郎大蔵省主税局長

○中橋政府委員 先ほど大臣からお話のございましたように、従来からの私どもの特別措置に対する考え方を、今後もさらに一層徹底しなければならないと思っております。そういう際に一体どういうものが問題になるかということでございますが、いま御指摘のように、資本金階層別に言いまして、いわゆる特別措置を適用しました後で資本金百億円以上の会社の租税負担率が、たとえば資本金一億円以下の法人税の負担率よりも低くなっておるという点も、確かに今後の私どもの検討課題であると思っております。  前々から申し上げておりますように、こういう結果になりましたのは、一つには特別償却を企業がどういうふうに利用するかということが大きな問題でございます。ちょうどこの四十八年度の数字と昨年度の数字を御比較いただきますれば、いまの資本金階層によっての法人税の負担率というものの関係が、四十八年度の方が資本金百億円以上の法人についていま御指摘のような点が強くあらわれておりまするのは、四十八年度が御承知のように非常に景気がよいときでございましたので、企業としても特別償却を非常に多くやったというときでございまするから、そういう結果になったと思っております。  それで、今後特別措置について、あるいは荒木委員はさらに広い意味での特別措置というふうにおっしゃっておりますが、私どもは狭義の特別措置と、そのほかにいろいろ引当金の問題も含めまして検討しなければならないと思っておりますが、引当金の問題につきましては、これはかねてからお話を申し上げておりますように、制度自体としては私どもとすれば引き当てを認めざるを得ないと思いますが、その程度の問題としましては実績との乖離というものについて十分検討をし、それを実績に合わせるべくなお今後努力をしなければならないというのが一つの課題であろうと思っております。  それから、狭義の租税特別措置の中におきましては、たとえば昭和三十年代におきますところの特別措置がもっぱら生産に重点を置きましてやってまいりました。あるいは企業の内部留保をいろいろな形で厚くするという方向でやってまいりました。昭和四十年代になりましてからかなりその方向は是正せられたと思っておりますけれども、おかげでわが国の企業もかなり内部留保が厚くなってきたこともございますし、かたがた環境の整備、公害の除去というような点に租税特別措置を向けるということも志してまいったことでございまするから、いわゆる準備金の中で特に企業の留保を厚くすることによりまして租税特別措置の政策目的を果たそうとしましたものにつきましても、なお今後かなり検討する余地があるのではないかと思っておりましたけれども、なおこの際、そういった面についても一層努力をしてみたいというふうに思っております。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 そこで、一例として申し上げるのですが、たとえば環境整備というふうな名目で公害防止準備金という制度が設けられておりますが、これはいまお話しの実績との対比からしてどういうふうなことになっておりますか。いまの時期に見直しをする場合に、その見直しをする目安として実績対比というお話が局長からもあったわけですが、これは公害対策施設の特別償却とも部分的にはダブっておるようなことも考えられるわけですね。ですから、そういうような点でこれの実績対比も兼ねて見直しをする。これはたとえばの話で申し上げておるのです。そういうふうな点で作業を進めることが必要である、こう思いますが、いかがでしょうか。

中橋敬次郎大蔵省主税局長

○中橋政府委員 たとえばのお話で公害防止準備金を御指摘になりましたけれども、あの公害防止準備金制度を設けましたときには、公害問題が非常に喫緊の検討課題として出てまいりました事情に対応して設けた制度でございますし、いま御指摘のような難点もございます。それから、防止準備金を一体果たして公害の防止のために十分ひもがつけてあるかというふうなことになりますと、なお検討の余地がございます。確かにあの制度は公害問題が非常に急に出てきたことに対応いたしまして、企業がそれに即応する体制をつくるために設けた制度でございまするから、十分その点もしんしゃくしながら検討しなければならないというふうに思います。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 そういうふうなことで検討を進められるということですが、今度は大臣にお伺いしたいのですが、先ほどのように負担割合が規模の大小によって逆の結果になる。もちろん、これはその景気動向によって使い方が違うことによる面もありますけれども、しかし四十七年度も、資本金一億円以下と資本金百億円以上を比べますと、ずうたいが大きいからと言って負担率が高いということは言えない、そういう結果が出ておりますし、そういうような点から、少なくとも一種の逆累進といいますか、結果として実際の負担割合がこういう状態になっておるのを是正するという方向をひとつ打ち出すべきではないか、こう思うのですが、大臣の御意見を伺いたいと思います。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 租税特別措置はいつも申し上げますとおり、ある特定の政策目的を達成する手段として税の持つ機能を利用しているわけでございまして、政策目的が主なんでございます。でございますので、結果として、いま荒木さんが御指摘のように逆累進になるという結果が間々出てきておるということでございますが、それを意図してやったわけでは決してございません。けれども、結果としてそういうことが出てくるということが単年度で歴然とした理由があってみんなによく理解されるというようなことであればともかく、これが累年出てくるというようなことで、規模との関連において、規模の大きいものが相対的に多く受益するというようなことになりますと、それは決して公平でもないし、本来意図するところではないと私は思うわけでございまするので、その点は、見直しに当たりまして十分気をつけていきたいと思います。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 特別措置がそれぞれ制度目的があって提案されたことは十分承知しておるわけでありますけれども、しかし個々の見直し、つまり部分的に、ミクロ的にそれぞれの制度趣旨を達成したかどうか、あるいは実際の使用額との対比でありますとか、こういう検討はもとより必要だと思うのですかね。  同時に私が申し上げたのは、いま大臣も方向としてお認めになりましたように、この時期に来て、結果としてそういうふうなことになっている、その是正の必要性。つまりマクロとして、全体の税制運営のあり方として、その点は特に必要ではないか、こういうことで申し上げたわけでありまして、いままでいただいておる資料からしますと、これは歴年の傾向としてかなりはっきりと出てきている。大蔵省資料によって申し上げておるんですがね。ですから、いま御答弁いただいた方向をさらに確認をしでいただいて、実務的にもその作業を強めていただきたい、早めていただきたい、こう思いますので、局長からその点の作業の方向も含めてひとつ御答弁をいただきたいと思います。

中橋敬次郎大蔵省主税局長

○中橋政府委員 そういう意味におきましての狭義の租税特別措置あるいはその他の課税所得を形成いたしておりますいろいろな要素につきましては、国会事情が一段落いたしますれば、もちろんわれわれとしましても新しい作業に入るわけでございます。そのときには税制調査会にもいろいろお諮りもしなければなりませんけれども、そういった方向で個別にいろいろ当たってみたいというふうに思っております。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 今度は歳出でございます。  大臣も昨日のお話の中で、補助金の見直し、こういうことをおっしゃっておりましたが、従来から私どもはいわゆる大企業に対する補助金、これの見直しということを提起してきたわけでございます。ここへ来まして、そういった既定経費の見直し、削減、節減、そういう中で、特に全体との兼ね合いを考慮しながら大企業に対する予算措置補助金を見直しの対象として特に留意さるべし、こう思うのでありますけれども、ひとつ大臣のその点の御意見を伺いたいと思います。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 私の考え方としては、大企業なるがゆえに悪である、大企業であるがゆえに逆に差別待遇せにゃならぬものであるというようには考えないのです。そういうものではないと思います。企業は、それは規模に関連いたしましていろいろな問題があることは承知いたしておりますけれども、規模の大小、零細にかかわりませず、皆それぞれ国民経済を形成する貴重な構成要素でございますので、いずれも健全に育って任務を果たしていただかなければならぬわけでございますので、政府といたしまして、どうしてもこれだけは企業側にお願いしなければならない、そして企業側の私的な責任においてやっていただけない場合に、政府がどうしてもこれだけ財政的にてこ入れをしなければならないというようなものは今後ないようにいたしますという約束は、なかなか私はいたしかねます。  けれども、総体として補助金というようなものが乱に流れてはなりませんし、また、補助金というのは一たん受けますと、どうしてもこれになれて、これから離れるというようなことに対して消極的になりがちな性格を持っておりますので、補助金の整理自体が非常にむずかしいわけでございますが、新たな補助金を設定するというようなことは、これは非常に用心していかなければならぬことだと思うのであります。  とりわけ財政がこのようなむずかしい局面に際会いたしておりますので、いままでの在来の補助金の見直しということを十分しなければなりませんし、新たな補助金の創設というようなことに対して、われわれは厳に慎重でなければならぬと考えております。ただ、荒木さんがおっしゃるように、大企業だからという理由をもちまして見直し作業をやって、それで特定の戦果を上げていくという戦略目標を打ち立てるべきであるとは政府としては考えません。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 大企業なるがゆえに悪であるというふうなことでいまお話しをしたわけじゃないのでありまして、きのうの大臣のお話を伺いますと、財政欠陥だ、補助金も見直ししなければならぬ。そういたしますと、私は普通に考えますと、見直しをするときに、補助金がいろいろ出ておりますが、それはそれなりの、そのときそのときの理由があるのですけれども、大きいところ、強いところといいますか、ずうたいの大きいところへ出ておる補助金と、それから非常に弱いところといいますか、小さいところといいますか、そういうところの補助金というものはやはり同列に扱うということはいかがなものであろうか。もちろん、規模の大小だけで事の判断はこれはできません。できませんけれども、そのこともまた見直しの作業の際に一つの物差しになるのではなかろうか、こういうことで申し上げておるのであります。  たとえば、電算機産業の振興補助金というのがあります。これは提案されましたときにいきさつもあり、外国との絡みもありしておるのですが、いまの時期に政府として補助金を見直しされる、こういうときにいま重点を入れるべきところはどこか、そして比較的削っていきやすいところはどこかということを考えた場合に、電算機産業六社、これは規模の点は申し上げるまでもないと思いますし、系列化もそれなりに進んで自己努力もなされておるようでありますが、これを一つまないたに上げるということはいかがでありましょうか。  大企業一般というような話になりますと、またいまの一般論に戻りますからあれですが、たとえばこういうものはいかがでありますかと、そういう意味合いを含めていまお聞きしたわけでありますから、再度その点を含まれてひとつ御答弁いただきたいと思うのです。これは民間航空機のYXの開発の補助金も同じでありますけれども、そういう点大臣いかがでしょうか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 電算機という産業部門におきましては、御案内のようにアメリカが非常に強うございまして、IBMが世界市場のシェアの六〇%を一社で占めておるというようなことでございまして、いまあなたが御指摘の日本の六社を皆合わして世界のシェアの三%くらいでございますので、蟷螂のおのと申しますか、勝負にならないのです。  そこで、政府として手をこまねいてアメリカ資本に屈するか、それともある程度技術開発に対して政府がてこ入れをいたしまして生存を確保してまいるかということで考えました結果、助成政策をとることにいたしたわけでございます。したがって、この補助金の改廃ということになりますと、政府のいままでの電算機政策というものを根本的に再検討することになるという非常にゆゆしい問題になると思いますので、この席で私がいま軽々に約束することはできないと思います。  ただ、財政当局の立場といたしまして、あらゆる補助金の見直しにつきましては財政的見地からできるだけ厳しく当たるつもりでございますけれども、いま挙げられました特定の問題につきましては、そういういろいろな経緯、これは電算機の補助金ばかりでなく、いろいろな補助金も同じようにこういういろいろな沿革があり理由があるわけでございますので、それぞれの補助金の整理というのは非常に難事業であるということは御理解いただけると思います。いずれにいたしましても容易ならぬ大事業でございますけれども、いろいろ再検討には十分真剣に当たっておりますが、いま挙げられました問題につきましては、直ちにいま前向きに肯定的なお答えを申し上げるということは、この段階では差し控えさせていただきたいと思います。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 私が懸念しておりますのは、いままでの制度目的があり、それから大臣も蟷螂のおのと言われたのですけれども、そういった外国対比との問題もありしておるのですが、これをあげつらっていきますと、いわゆるずうたいの大きいところへはなかなか手がつきにくい。しかし、補助金行政の見直しということはやらなければならぬ、行管もそういう方向が出ておる、何らかのメリットを上げざるを得ないとすると、勢い小さいところ、弱いところへ向けての補助金の整理が進む結果になりはしないか、このことを一つ懸念しておるわけです。  ですから、先ほどのちょうど税制上の逆累進の結果と同じようなことが、意図するしないという言葉の末のことは別としまして、結果の是正の方向というふうに言われておる、そのことから考えますと、歳入面でずうたいの大きいところの負担割合が低くなるというようなことを見直してきくということになりますと、歳出面、こういった補助、助成の面でもずうたいの大きいところへの助成に傾かないか。また、今回の整理と言われておりますのがそこには手をつけないで、小さいところ、弱いところへの整理に流れないように、この点はひとつ十分腹に据えて事にかかっていただきたいということで申しておるわけです。ここのところはひとつはっきり方向を聞かしていただきたいと思うのです。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 これはごもっともでございまして、補助金整理に当たりまして、弱いところへしわ寄せして、強いところを避けて弱いところに傾斜して整理をやるなんというようなことは、大体慎まなければいかぬことと思います。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 そこで、先ほども論議がありましたが、地方財政の問題ですね。これは補助金もありますし、交付金もありますし、いろいろな流れがあるわけですけれども、一つは四十九年度の交付税交付金、これは八千億の歳入欠陥ということに相なりますと、金の方はすでに出ておるわけでありまして、それの帳じりをどう合わすか、こういう問題が一つ出てくると思います。  それから五十年度の方も、これは歳入見積もりの狂いが出てまいりまして、これも予算計上とは違った姿が出てくる。  そうした場合に、御案内の地方財政の問題は、それはそれとしていま地方選挙の中でいろいろな論議があるところですけれども、国家財政として、地方財政のいまの時期での四十九年度のこの処理をどうするか。  それから、五十年度の足らずをどういうふうに処理していくか。技術的にはいろいろありましょうけれども、いまの時点において大臣の、それはもう全体の流れ、水の水量が減るのだからやむを得ないというふうなことなのか。あるいはそういう中でも地方財政を重視をして、何らかの手当てを図っていくというふうなお考えなのか。これはずいぶんと地方自治体に与える影響も違った結果になろうと思うのです。地方財政が窮迫しておることは、原因についてはいろいろな論議がありますが、その現状と対策の必要なことは、これはもう異論のないところでありますが、こういったいまの事態を前にしての地方財政に対する対策、これについてひとつ大臣のお考えを伺いたいと思うのです。

辻敬一大蔵省主計局次長

○辻政府委員 ただいま交付税についての御質疑があったわけでございますが、四十九年度の交付税についてまず申し上げますと、予算で見込まれました三税収入が決算の結果不足することが明らかになりましたときには、御承知のように、地方交付税法第六条の規定によりまして、翌年度以降におきましてその超過交付分だけ減額をいたしておるわけでございます。  それでは、今度超過交付分が生じた場合に、それをどういうふうに措置するかということにつきましては、まだ現段階においてお答えできないわけでございますけれども、いずれにしても、過去の例を見ましても、翌年度以降におきまして減額をする例になっておるわけでございます。  それから、五十年度の交付税の問題でございますが、交付税は三税の三二%と定められておるわけでございますので、三税に減収が生じます場合には、これに伴いまして地方交付税にも当然影響が及ぶことになるわけでございます。  四十九年度の税収につきましては、御報告申し上げましたように収入不足となることが明らかになったわけでございますが、その結果、直ちに五十年度の税収が予算に対して不足することとなるかどうか、これは現在確たることを申し上げ得る段階でないのでございます。したがいまして、当初予算に計上いたしております交付税額が減額されることになるかどうかも、今後の推移を見なければならない問題であると考えております。  しかし、いずれにいたしましても、情勢は決して楽観的でないと考えられますので、地方公共団体においても経費の節減などに努めて、今後の経済の推移のいかんにかかわらず、適切な財政運営が行われる体制を固めていくように要請いたしたいと考えておるところでございます。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 実務の処理はそういうことになると思うのです。  そこで、大臣、先般の過年度の予算の論議のときにも、この借金を返させるというふうな手だてをとられたことについて論議があったことは御承知のとおりですけれども、いまの取り扱いを政治的にどういうふうになさるのか。つまり、三木内閣として地方財政に対してこういう事態が出たときに、それはもういま実務当局から処理の話があったように、そういうままで地方財政見殺しと言うとちょっと言葉が過ぎるかもしれませんが、特段の配慮はしない、こういう御方針なのか、あるいは住民サービス向上のためにその点は何らかの対策を考えたいと思っておられるのか。  もちろん、自治体のむだを省いて行政のサービスを進める上の努力は、これは必要だと思うのです。これは保守といわず革新といわず、自治体の側での浪費を省くような努力は、これは大いにそれなりに努力をせなければならぬと思います。内閣としてこの事態にどうされるか、これをひとつお伺いしているわけです。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 四十九年度の歳入は五月三十一日までできちんと整理がつくわけでございます。いま八千億くらい税収の減収があるのではないかという大体の見当をつけまして、早く対策を立てておかなければならぬと急いでおるわけでございます。が、まだ確定数字をつかんでおるわけではないわけでございます。私は各都道府県、市町村におかれても、四十九年度のそれぞれの決算にいろいろの工夫を国同様やられておることと思うのであります。まずその状況を把握しなければならぬのが、一つの私の任務ではないかと考えております。  それから、第二番目といたしまして、五十年度を迎えてこれから予算の執行に当たるわけでございますが、私どもといたしましてはせっかく成立をさしていただいた予算でございますので、歳入も歳出もともに国会で御承認をいただきましたラインにできるだけ忠実に実行いたしたいと考えておりまして、これを軸にいたしまして、地方公共団体におかれてもそれぞれ工夫をしていただいて、五十年度の中央地方を通ずる財政の運営が円滑にまいることを期待いたしておるわけでございます。  しかし、五十年度というのはいま始めたばかりでございまして、これからいろいろな問題が年度途中で出てまいると思いますし、それに対して政府がどのように対応するか、地方がどのように対応するかの問題があると思うのでございまして、いま荒木先生の言われる地方に対する中央政府の対処の仕方いかんという問題、いまの段階で私はこうするのだということを申し上げるのはまだ時期尚早であろうと思うのでございまして、そういったあらかた問題が出そろい、それぞれの地方公共団体にそれぞれ工夫をこらしていただいて、自治省といたしましてもいろいろ工夫をされることと思うのでございまして、中央地方一体となりまして、こういう苦しい局面に対しまして最善を尽くしていくということでいきたいと思うわけでございます。  いま特段の考えを別に持っておるわけではございませんで、ただ正確に事態を掌握して、そうして中央地方がそれぞれの立場においてりっぱに成り立っていくような工夫を何とかしなければならぬのじゃないかということが、いま精いっぱいの私の考えでございまして、具体的な手段、方法、時期というようなことにつきましては、もう少し時間の経過を見させていただかないとお答えするまでには至らないことを御理解いただきたいと思います。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 通産省、まだおられるようでしたらもう結構ですから。  いまの大臣の答弁は、様子を見る、それから自治体の方もひとつ努力をしてほしい。これは手順としてはそうだと思うのですけれども、ただ、自治体に財政的な力がある時期でありますとそうでしょうけれども、御案内のように、この大変窮乏しておるときに、現実にこういう結果が出ておる、もういよいよ大体削られる、それから五十年度は場合によっては自然減収という言葉も大蔵大臣の口から聞かれるその時期に、さてそれはそのときになった上のことというのではちょっと消極的なのではないか。  しかし、いま軽々に言えないというふうにおっしゃるなれば、これはそういうふうな段階だということでお伺いしなければ仕方がないのですけれども、一番最後に、それぞれ力を合わせて最善の努力をしたい、こういうお話がありましたが、それを実りのあるような形で御努力いただくことをひとつ大いに期待をしておきたいと思います。  この財政支出の面にあわせて、今度は福祉の問題でありますが、いま公園、下水道、住宅、あるいはその他振替所得比が本年度でもまだ七%にいかない、諸外国、先進資本主義国に比べてはるかに低い、これはもう国際的な常識になっておりますけれども、この財政支出を厳しく見直していくというときに、一方、その振替所得比を引き上げていく。これは前の中期計画でも打ち出されておりましたし、このことについては、福祉重点ということで再々おっしゃっているところであります。  ですから、私が伺いたいのは、こういう時期に、振替所得比を引き上げていくという政策方向は依然として堅持をしておられるのかどうか、これは政策当局として大臣の御意見を伺いたいと思うのです。

辻敬一大蔵省主計局次長

○辻政府委員 わが国の振替所得の国民所得に対します比率が諸外国に比べて低いことは、御指摘のとおりでございます。これはいろいろな理由はあるわけでございますけれども、一つには、わが国の社会保障の主たる対象になります老人人口の比率が非常に低いということ、それから年金制度の歴史が浅くて、いわば制度が未成熟であるということが大きな原因になっているところであろうかと思うのでございます。  しかし、最近わが国の振替所得の比率の増加をとってみますと、諸外国のうちで最高でございまして、ただいま御指摘になりました経済社会基本計画におきましては、振替所得の国民所得に対する比率を五十二年度で八・八%に想定をいたしておりますが、その目的はおおむね達成できるのではないかというふうに考えておるところでございます。  なお、もう一つそれに関連して申し上げますならば、御承知のように、租税負担と社会保険料の負担の対国民所得比もわが国は諸外国に比べて低いわけでございまして、四十六年で申しますと、わが国は合わせて二四%でございますが、イギリス四六%、西独四五%、フランス四七%というように、先進諸国においてはかなりこの負担が高くなっております。その辺もあわせて検討さるべき問題ではないか、かように考えております。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 つまり、大臣、これは先進資本主義国並みに引き上げていく、財政支出削減にかかわらず引き上げていくということははっきりしているんですね。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 その方向で財政の許す限り努力しなければならぬものと考えておりますが、いま事務当局からも話がありましたように、大変なスピードでいま振替所得が伸びておるわけでございまして、この先どうなるのかと思って、あれよあれよといま見ておるところでございます。  しかし、伸びれば伸びるほどいいとは思っていない、それだけが芸ではないと思うのでございまして、私どもといたしましては、福祉行政にふさわしい、やはり充実したものにしてほしいと思うわけでございますので、財政も十分力になりますから、福祉担当行政庁の方におかれても真摯な御検討を遂げられて、実のある充実を図ってもらいたいものと期待をいたしております。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 これらの点は負担の問題との絡みがありますけれども、時間の点がありますからそれは省略して、財政支出全体として最初に大企業向けの補助金だとかあるいはそれとの対比で地方財政、福祉を伺ったわけですけれども、公共投資、大型プロジェクト、たとえば本州−四国の橋だとかいうのがありますが、いまこの財政支出の全体を厳しく見直していくというときに、この執行面で、たとえば所管庁では橋は一本早期建設という話も出ておるようですが、これは財政当局の方から見て、産業基盤向けのこういう大型プロジェクトについてはいまの時点ではどういうふうな考え方でしょうか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 公共事業全体は、荒木委員も御承知のとおり、五十年度予算は前年度とノミナルな金額で同程度に抑えておるわけでございます。したがって、実質的には相当縮減をいたしておるわけでございまして、この五十年度に計上いたしました予算は忠実に実行してまいらなければならぬものと私は思っております。  それからその中で、それでは本四架橋等の大型プロジェクトをどうするかという問題でございますが、これは予算編成の段階におきまして、一応の必要最小限度の経費は盛り込んであるわけでございますが、本格的な着工は留保いたしておるわけでございます。  それは単に予算的な見地から留保いたしておるわけではございませんで、景気の状況全体を見まして、物価の状況全体を見まして、本格的着工に青信号を出してよろしいという判断が持てる段階での話でございますので、まだとてもそういう段階ではございませんので、留保いたしておるままにいたしておりまして、まだいまいつごろ本格的着工ということに踏み切るかということについてお答えをする立場にありません。予算編成当時の状況で最小限度の補償の仕事でございますとか、試験工事であるとか、そういったものを進めておるということでございまして、本格的着工は改めて全体の経済判断をしなければならぬものと思っております。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 橋をつくるに当たっての手順がまだ十分できていない。これはできぬ道理なんですけれどもね。私の言っておりますのは、全体の枠がずいぶん窮屈になった、そのときに公共投資の重点をどこへ持っていくか。一方では公園であり、下水道であり、住宅であり、これは五十二年を目標にした中期計画の達成率が低い。住宅なんかもとても一〇〇%いかない。公園のごときは五割をちょっと超えたくらい。しかも国際的に見てその比率がはるかに低い。二分の一から三分の一。  そういう中で、公共投資の重点を生活基盤の方に置く。この方向は前の予算論議のときにも福田副総理などは認められたのですけれども、数字的に言えば、かねてから言っていますように、産業基盤が大体二に対して生活基盤が一になっておる。ですから、橋はまだ準備ができていない、手順ができていないからどうこうというのではなくて、公共投資の中身を生活基盤重点、つまり比率でたとえて言いますと、それを二に対して、産業基盤の方をぐっと抑えて一くらいの割合に、逆の比率の方向へ持っていくように、いまの時期にひとつ公共投資の重点の見直しということをされるべきではないか、こういうふうに申し上げておるわけです。これは大臣いかがでしょう。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 それは仰せのとおりでございまして、公共投資ばかりでなく、予算、財投、全体を通じましてもそういうように重点を漸次生活関連、福祉重視の方向に移しつつあるわけでございます。いま私はその比率、数字を一々持っておりませんけれども、御点検いただければ歴然とそういう傾向は御理解いただけると私は確信しております。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 このプロジェクトの問題に関連しまして、信号はまだ青信号になっていないけれども、しかし、たとえば橋の問題にしても、予算だけは一応いつでも発車オーライになるようにつけてある、ことし百六十億ですか、去年のが二百何がしありますから、橋はいつでもつける用意ができている、そういう体制になっておる。  ところが、大事なのは中身の比率を変えることだということを申し上げているのですけれども、数字の点のお返事がありませんからともかくですが、そこへもってきて民間の方の設備投資が、いまたとえば鉄鋼は大手五社で一兆円少し超えるぐらい、電力の方は一兆六千億、こういう大きな計画が同時に次々と出されてきておる。すぐに全部ができ上がるわけじゃありませんから若干の期間はありましょうけれども、こういう財政による産業基盤の方での大型のプロジェクト、それから民間の大型の設備投資、こういうようなのが行きますと、それの受益の点での福祉の問題、あるいは生活水準の向上の問題、これがあると同時に、それを賄う資金の問題がやはり出てこようかと思うのですね。  いま事業債の枠をどんどん広めつつある。インパクトローンの方も取り入れが拡大されつつある。そこへもってきて、国債は二兆円ということになりましたけれども、本年じゅう国債はこれ以上出さないという保証は全くない、むしろ国債をいじらなければならぬような情勢が来ている。そういたしますと、この点での設備投資、それから大型プロジェクト、それに必要な資金調達、こういう面でのインフレ懸念というものは当然強かろうと思うのです。大臣の政策運営としてのこの点についての手綱さばき、これをひとつお伺いしておきたい。

岩瀬義郎大蔵大臣官房審議官

○岩瀬政府委員 経済の成長、景気の回復を緩やかな仕方で持っていきたいということは午前中の審議にも申し上げたところでございますが、そういう景気の緩やかな基調のもとでいろいろな、たとえば資金の需要につきましてもそれが行き過ぎがないように調整していくというのが政府の基盤であろうと思います。その基本は、やはり何と申しましても急速な盛り上がり等がございますと物価への影響等が懸念されますので、その点は動向を慎重に見守りながらやっていくということになるかと思います。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 大臣の方はいかがですか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 いまのお尋ねの意味をちょっと私、理解しかねて即答いたしかねておったのですが、荒木さんのおっしゃる意味は、いろいろな大型プロジェクトだとか大型投資等で起債が行われる、あるいはインパクトローンの取り入れが行われるというようなことになるとインフレを触発するようになるのじゃないかという御懸念を表明されたと思うので、それに対する対策はどうか、御質問はそういうことですか。(荒木委員「前半はね」と呼ぶ)  それに対しましては、それは仰せのとおりわれわれも懸念するところでございますので、起債市場で社債をどういうように月々出してまいるかというようなこと、インパクトローンの取り入れをどのようにやってまいるかということ、それから各市中銀行に対してどれだけの融資の枠を供与していくかというようなことは全体として見ていっているわけでございまして、それぞれが独走しておるわけじゃ決してないわけでございまして、通貨当局といたしましては、その辺のところは大蔵、日銀よく相談しながら検討を加えてやっておるつもりでございますので、御懸念のようなことは万々ないものと私は心得ておりますが、なお十分今後もそういった点につきましては心していきたいと思っております。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 興銀の調査によりますと、五十年度、事業債は約二兆円、それからインパクトローンは、新聞の報道によれば三月分で約五百億円弱ですか、年間にしますと五、六千億円。これが、たとえば鉄鋼にしても電力にしてもこれは産業基盤の拡充ということになりますから、その意味では消費財部門のすぐの増加にはつながらない。一方、賃金の方はぎゅうと抑えているわけですから、消費力、購買力は起こりようがない。これはその点からも、今回の不況が消費財部門から始まったという点から見ますと、結局は景気対策という面から産業基盤の方向への金の流れがうんと太くなって、それが消費財物資の提供に即結びつかず、そしてまた一方、消費を喚起していく購買力はいまの賃金に節度をというところから起こらなくて、結局そういう意味では資金が偏って、逆にそういう意味合いでのインフレ懸念というものが出てくる。  ですから、一つは、いまの出ておるこういう事業債の計画、それからインパクトローンの取り入れの規制を、いまの程度に認めるかどうか。それから公共投資の内容ですね、産業基盤から生活基盤へそういう意味から比率を一対二に変えていくべきではないか。不況を克服していく中身の問題として、インフレ懸念との関係でお伺いしておるわけです。  いま理事さんからお話がありますから、質問はちょっとここでおかしていただいて……。

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 速記をとめてください。

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 速記を始めてください。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 先ほど荒木委員から、興銀調べの起債額が二兆円というお話がございました。それは仰せのように、五十年度の起債の希望額は興銀調べで二兆六百二十一億円という数字がございます。しかし、これは希望額でございます。  それで、最近の起債の実績を見てみますと、これは事業債ですが一月が七百九十二億、二月が八百八十五億、三月が千十億というオーダーでございまして、一兆円をちょっとこえる程度の数字になっております。この程度の数字はいかに不況下でございましても過去の実績においてあるわけでございます。しかし、最近伺いますと、四月が千二百億を超しておるということでございますので、あなたがおっしゃるように、やや起債の要求は強くなってきておるということでございますので、これは抑えぎみにやらなければいかぬのではないかと私どもも注意しておるところでございます。  したがって、この起債の方もそれからインパクトローンの取り入れの方も合わせて、先ほどお答え申し上げましたように、全体として抑制的な呼吸で運営いたしておりますので、万々インフレ再燃の懸念がないように配慮してまいっておりまするし、今後も気をつけてまいるつもりであります。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 物価対策の点ではこういった点は非常に重要な政策問題に絡むわけでありますし、そういう点では時間の関係でなかなか突っ込んだ質疑が十分できなくて私も残念ですけれども、それとの絡みもあって、やはり依然として政府発表の物価の値上げの率にかかわらず、いまの物価高での生活の苦しさということは、ますます低所得階層には激しくなっている。  物価が最重点だというふうに言っておられるのですけれども、先ほども論議がありましたが、春闘対策との絡みで今後の物価問題ということについてひとつ大臣からはっきりお伺いをしたいと思うのですが、いままでに値上げになった品目が幾つかすでにあります、昨今でも自動車とかあるいはカメラとかフィルムとか。それからまた値上げ含みの業種も一再ならずあるわけです。そういった民間の大企業の値上げに対しては、従来、狂乱物価と言われた時期に個別対策として物価対策がとられた。しかし、これが本来の経済の筋道には沿わないからということで次々に解除された。そしていまの時期に個々の業種別に値上げの足並みがずっと出そろってきつつある。現に値上げをやっているところもある。これに対して、通産省サイドの個別的な物価対策はこれは当該の所管庁に伺うとして、経済対策閣僚会議の主要なメンバーである大蔵大臣としてどういう対策をとられるか。  公共料金も極力抑制と言いながら、現にこの委員会に値上げ法案もかかっている。他の委員会にも公共料金の値上げ法案がかかっている。民間の企業では値上げをすでにやり、これからも鉄鋼を初めとして公然と値上げをやると言っているところがある。これに対して一対どういうふうな対策をとられるか、この点はいかがでしょう。いま値上げの予定である企業、業種がどの程度あり、それに対してどういうふうな対策をとられるか、これは大臣いかがですか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 これは私の答弁する筋合いのものかどうかわかりませんけれども、せっかくのお尋ねでございますので私の考えをお答えいたしますと、一昨年の暮れの石油危機のいわば洗礼を受けてしまったもの、あるいは大部分受けたけれどもまだ一部残っておるもの、それから大部分受けていなくてまだ残っておるもの、最近問題になっておりますたとえば私の所管でビールがございます。ビールなんというのは石油危機以前の値段のまま置いてあるわけでありまして、あれを上げてはいかぬと言ったら、私は一つの暴力だと思うのです。あれは上げなければやっていけるはずはないわけです。  したがって、経済は無理がきかぬわけでございますので、そういうことで是正すべきものは是正するのが私は当然のことと考えておりまして、全体として財政政策、金融政策に誤りのないようにやる、為替政策に誤りのないようにやりまして、外からのインフレ、輸入インフレを防ぎながら、国内でのインフレ対策を構じながら、国内でそんなに無理した物価形成政策をとったのでは私は長続きしないと思うのでありまして、個別物資について最小限度の、是正すべきものは是正する方が素直でしかも健全な物価の形成でなかろうかと考えております。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 時間の点がありますから、もうあと一、二問で終わりますけれども、公定歩合の引き下げの問題についてさっきも論議がありましたが、公定歩合の引き下げで、あとそれを受けて民間の金融機関がどういうふうに貸出政策を行っていくか、この問題が一つあろうかと思うのです。  私が特にいまお尋ねしたいのは、住宅ローンの金利が前の引き上げのときに引き上げられましたが、これについて、公定歩合の下げの時期に引き下げるように大蔵省として指導されるかどうか。特に、たとえば富士銀行の例を見てみますと、A格といいますかAA格といいますか、つまり最も優遇しておる貸出先に対しては九・二五でしたが、今度は〇・五引き下げられるから八・七五になる。そうすると、住宅ローンよりも低くなるわけですね。そういうふうな点も含めて、住宅ローンへの金利の引き下げを大蔵省として指導するべきではないか。  昨日NHKのテレビで「福祉時代の銀行」という番組がありまして、大臣ごらんになったかどうか、ごらんになっていないかもわかりませんが、銀行のあり方についての世論、それから関心、批判というものが非常に高まっておるときであります。住宅ローンについては従来からいろいろ論議もあったところでありますが、この問題をひとつどういうふうに扱うかということをお伺いしたい。  それから、時間でありますから合わせてもう一問だけ申し上げておいて、まとめて答弁をいただきたいのです。  これは銀行局長にお伺いしますけれども、前に予算委員会でありましたか、都銀から自由民主党への貸し金の問題を質問をしましたときに、円滑に返済されることを期待しておるという趣旨の答弁がありました。ところが、これも新聞報道でありますけれども、元金はなかなか返さない、元金を返さないどころか一月から利息すら入っておらぬ、こういうふうな状態であります。企業における政治献金が大変問題になっており、しかも法案も出され、行儀を正すべきときである。献金と金融とは必ずしも同じじゃありませんけれども、前の局長の期待から見ますと逆の方向での結果が出ているということでありますから、これをひとつ銀行局としてしかるべき処置をされるべきではないか。  それからもう一つは、ちょっと話があちこちしますけれども、いま外務省に見えていただいておりますので、借款の問題、海外経済協力の問題、これは財源の問題にもからんでいまの時期に見直しをするべきではないか、時期の点も含めて。ことにインドシナの方では政情が御承知のとおりであります。カンボジアに対して為替安定基金を出して、これでひとつてこ入れといった相手が国内におれなくなって外国に脱出せざるを得ない。南ベトナムもいま情勢は御承知のとおりであります。また韓国の方も、いま実務者会談で金を出す話が進められておりますけれども、しかし国内では学生のデモが起こり、それから新聞記者の皆さんの追放があり、反民主的なやり方が非常に強まってきている。閣僚の定期会談すら開かれていないという時期に、こういったものを出していくということはいかがなものであろうか。これはやはり一遍打ち切って、中止をして、やめる方向で考え直すべきではないか。相手との関係、それから国内のいまの情勢、世界的な趨勢からして、そういう方向でいまやるべきだということを指摘されておるわけであります。  以上の三点、住宅ローンとそれから自民党の貸し金返済の問題とそれから海外協力、借款の問題、それの答弁を伺って、質問を終わります。

高橋英明大蔵省銀行局長

○高橋(英)政府委員 住宅ローンの金利でございますけれども、住宅ローンの現在都市銀行で行っております金利は、五年以下というのが八・八、五年から十年というのが大体九・一八、十年以上二十年というのが九・四八でございます。先ほど先生がおっしゃいましたプライムレート九・二五、これは今度下がるであろう、恐らく下がると思いますが、これは短期の貸出金利でございます。住宅ローンは当然長期の貸出金利でございますが、現在長期の貸出金利は、プライムレートが九・九でございます。したがって、住宅ローンの金利と対比されるべき一般金利というのはその九・九の方になるわけでございまして、住宅ローンの金利そのものとしては、市中銀行としては非常にサービスし、優遇している金利であると思います。  絶対的に九・四八というのが低いか高いかという問題は、債務者の立場からすれば非常に高い金利でございますので、債務者というのは大体個人であって、所得から返済されるということでございますから、これは低ければ低いほどありがたいということは言えると思います。したがって、私どもは銀行に対して、公定歩合の変更というふうなことと関連なしに、できるだけ下げられるだけ下げなさいという指導は常時やっておるところでございます。したがいまして、今度公定歩合が下がったから直ちに何かまたアクションを起こすというようなことは考えておりませんが、債務者のために銀行もできるだけ安い金利に努力しなさいという指導は常時やっていくつもりでございます。  それから自民党に対する貸し付け、先般この席で御質問がありましたとき、聞くところによればきちんと返っておるようだ、利息は払われておるようだということを申し上げたのですが、その後新聞にどうも延滞しておるようであるというような記事が出ました。まあ個々の貸し金のことでございますので、私の方がその中に立ち入るということはいたしかねるのでございますが、一般的に申して金利が延滞しているというのは、どちらかと言えば好ましくない債権でございます。これは当事者の間で話し合われ、きちんとされることを望むということしか現在のところ申し上げられない次第でございます。

菊地清明外務省経済協力局外務参事官

○菊地説明員 お答え申し上げます。  国際情勢、国内の情勢、日本が援助をしておる相手国の情勢、そういうものを勘案いたしまして、現在の援助を見直すべきじゃないかという御質問と了解いたしますけれども、私たち援助をやります場合には、発展途上国の経済及び社会開発に役立ち、かつその国の民生の向上に貢献するというようなプロジェクトその他がございます場合には、これを選んで援助をしていくという基本方針でございまして、そのときどきの政権とかそういうことには、もちろん全然関係ないことはございませんけれども、基本的にはその国の民生の安定、経済の開発ということを目途にしてやっておる次第でございます。この点においては今後とも変更はないと思います。  御指摘のインドネシア、インドシナ、カンボジア、韓国の場合でございますけれども、たとえばインドシナをとりましても、現在御承知のような状況でございますけれども、今後はまた難民救済といったような新たなる援助の必要も出てくるのではないか。それから韓国の場合でも、前回二百三十四億円の約束をいたしましたけれども、これもかっこうのプロジェクトがあり、その国の経済開発、民生に役に立つという認識の上に立って合意に達した次第でございます。

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 坂口力君。

坂口力公明党

○坂口委員 昨日、大臣から当面の財政事情についての御発言がございまして、その内容につきまして今朝来いろいろの議論があったわけでありますが、私もこの中の幾つかの点でひとつ質問をさせていただきたいと思います。  この中で大臣は、「財源面におきましては、新たな税収確保の方策について検討するほか、社会保険についても費用負担のあり方を見直す必要があります。」こう言っておみえになるわけであります。この新たな税収確保の問題についてもお聞きをしたいわけでありますけれども、厚生省からお越しをいただいておりますので、社会保険の問題を先に片づけさせていただきたいと思います。  社会保険についても費用負担のあり方を見直す必要があるということになっているわけでありますが、これはとり方によってはいろいろに解釈できると思うのです。これは保険の制度全体を含めた検討を意味するのか、それとも、ただ保険料だけをアップする、あるいは保険料だけについて考え直すということなのか、あるいはまた国保等の国庫負担の問題、このあり方について検討を加えるという意味なのか、それともまた、もう少し深い段階で医療制度全体についての見直しを含めて行うという意味にもとれないことばないわけであります。その辺のところ、少し抽象的でわかりにくいわけでありますが、これは大蔵大臣の管轄外のことも含まれると思いますけれども、まず大蔵大臣のお立場から、この「社会保険についても費用負担のあり方を見直す必要があります。」という御発言について、もし具体的につけ加えていただくことがございましたらつけ加えていただきたいと思います。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 いまわが国の財政にとりまして社会保障財政というものが非常なウエートを持ってまいりましたこと、御案内のとおりでございます。とりわけ福祉が重要視されるに至りましてから、ますますその重要性が高まっておりますこと、御指摘のとおりでございます。  そこで、財政の問題を扱う場合に、福祉財政と仮に言うことができますならば、そのあり方が問われなければならぬことになると思うのであります。そういう問題意識が私の発言の背景には一つあるわけでございます。しかし、申すまでもなく、大蔵省というのは一つの政府みたいなものでございまして、社会保障行政をやられておるのは厚生省を中心にいたしまして、そこで責任を持ってやっていただいておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしまして何をどうする、かにをどうするというようなわけで一々具体的なことを申し上げるのは僣越なんでございまして、まず直接責任を持たれておる第一線の所管各省において御検討いただいて、ベストの答案を出していただかなければならぬと考えております。したがって、費用の負担のあり方というようなことについて厚生省を中心にいたしまして御検討を賜りたいということでございます。  しかし、いずれにいたしましても、その検討をお願いするにいたしましても、結局のところ結論は数字に帰一してまいりますし、財政に投影してまいるわけでございますので、大蔵省といたしましても関心を持つし、御相談にも乗らなければならぬ責任があるわけでございます。そういうことを頭に置いてそういう発言をきのうさせていただいたというまでのものでございます。

坂口力公明党

○坂口委員 いまおっしゃった福祉財政のあり方というものが基本にあって、その上に厚生省ならば厚生省の管轄のいろいろの問題があるだろうと思うわけであります。この基本的な福祉財政のあり方について、特にこの場合には社会保険という具体的な問題がございますけれども、こういう具体的な問題の基本になる福祉財政のあり方というものについて、何か構想があれば聞かせていただきたいということであったわけであります。もしもございましたら、後でおつけ加えをいただきたいと思います。  それでは、厚生省の方でこの問題につきまして現在具体的にお考えになっておりますならば、この場でひとつ説明をしていただきたいと思います。

中野徹雄厚生大臣官房審議官

○中野政府委員 お答え申し上げます。  大蔵大臣の御発言のポイントになっております事実の認識は、恐らく厚生省も共通であろうかと思います。ただ、厚生省の場合といたしましては、制度の財政運営の健全性の確保ということも不可欠な制度運営の一つの眼目ではございますが、より広く制度のあり方、いわば給付とか負担のより適切かつ合理的なあり方としてどう考えるかというやや広い立場から、もちろんわれわれの立場としては取り組むわけでございます。  したがいまして、そういうような観点から、もちろん既存の制度のたてまえの枠の中におきますところの保険料をどう変えていくかとか、あるいは国庫負担をどのように扱っていくかという問題もございますが、それをも含めながら、なお制度の立て方、たとえば現在は国民健康保険とかあるいは国民年金の部門におきまして、先生御承知のとおりに、やや構造的な財政危機が拡大しつつあるということでございますので、制度のあり方そのものにつきましても、より合理的な立て方ということも含めまして検討せざるを得ないという感じを持っているわけでございます。もちろん基本的な制度の立て方自身を一挙に変えるというふうなことも実際問題としてはなかなか困難な面もございますが、できる範囲で制度の立て方の合理化、改善、適切な立て方ということにポイントを置きながら検討を進めていくということが、現在の厚生省の考え方というふうに申し上げてよかろうかと思います。

坂口力公明党

○坂口委員 制度のあり方も含めて検討するという御答弁でございますが、本年の予算を見ましても、四兆円を超えます厚生省の予算の中で、国保に対する国庫負担が一兆円強という数字も出ておりますし、いま御指摘のように、国保の問題も非常に大きな問題であると思うわけであります。  この制度の問題についてでありますが、予算委員会のときにも大蔵大臣の御発言と厚生大臣の御発言と若干食い違った一つの事例がございました。これは例の健康保険の加入者の定年退職後の保険の問題でございまして、これは食い違ったと申しますよりも、若干ニュアンスが違ったと言った方がいいかもしれませんけれども、こういった問題も含めてというふうにこれは理解してよろしいのかどうか。  大臣には、いま申しましたいわゆる健康保険加入者の退職後の問題、この問題について予算委員会当時からさらに何か進んだ問題がございまして、もしも厚生省等とお話し合いになって、こうなったんだというようなことがありましたら、加えて御答弁をいただきたいと思うわけであります。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 別段まだその後ございません。

中野徹雄厚生大臣官房審議官

○中野政府委員 お答え申し上げます。  御質問のとおり、そういう問題も含めてということでございまして、なお若干補足させていただきますと、御質問の中の退職者の医療給付をいかがするかという問題につきましては、その後関係審議会における検討が徐々に軌道に乗りまして、さらにこれを具体的に煮詰めまして、どのように政府として形のある案にしていくか、現在そういう段階でございます。したがいまして、先生の御指摘の問題も当然一つの眼目としながら、広く制度のあり方をも考えていくということでございます。

坂口力公明党

○坂口委員 ちょっと抽象的過ぎて話がわかりにくいのでありますが、もう少しでき得ればお話を伺いたいのですが、国保等の国庫負担の問題、これはおっしゃるとおり、現在の制度そのものに対してかなり抜本的な改革を加えていかないことにはいかんともしがたい問題だと思うわけであります。たとえば、現在九種類なら九種類に分かれております保険というものの一本化ということはなかなかこれはいきにくいことでありますけれども、一部統合とかあるいはまたそれに見合うべきものを導入するとか、あるいはまた厚生大臣が今年になりましてから主張されておりますように、いわゆる老人保険の問題でありますとか、そういったことを絡めて考えていくという意味ではないかと私思うのでありますが、その点でもう少し具体的なことがわかっておりましたら、ひとつつけ加えていただきたいと思うわけです。

中野徹雄厚生大臣官房審議官

○中野政府委員 お答え申し上げます。  先生の御指摘の問題につきまして、現在どのように役所の検討が進行中であるかということを申し上げますと、問題といたしまして二つ、基本的には先生の御指摘のように各種多数の制度が分立をいたしておりまして、それぞれの財政基盤が非常に格差がございます。このような基本的な問題が一つ背景にあるわけでございますけれども、これらの制度の立て方を一挙に完全な形で合理化をするというようなことも、実際問題といたしましてはなかなかむずかしい面もございます。  そこで、いわばステップ・バイ・ステップでどのような手を打っていくかということになるかと思うのでございますが、当面の問題として浮かび上がっておりますのは、主として老人人口が国保の適用対象に多く集中しておるということから来ますところの国保の財政危機にどのように対処していくかという問題、これが厚生大臣が国会等で言及されましたいわば老人医療のあり方をめぐる制度の合理化の問題でございます。  第二の問題は、年齢的にはややそれと違う、より下のいわば定年退職後の勤労者の方々の医療費をその定年退職前の保険グループで抱えることができないかという、いわゆる退職者医療の問題でございます。  前者につきましては、これは事務当局としての検討を現在進めておる段階でございまして、なお現在ではその具体的な構想を申し上げる段階には至っておりませんが、後者につきましては、具体的なたとえば労働者側の提案というふうなものも一、二すでに出ておりまして、それはいわば定年退職後何年か従前の保険のグループでその医療費のめんどうを見てもらうということでございます。結果論といたしましては、その分いわば国保の方から被用者保険のグループの方に適用関係が移行するという現象が起こるわけでございまして、その結果として国民健康保険に対するいわば高齢者層の集中による財政圧迫をそれだけ軽減できる効果が副次的に生まれてくるということでございます。  これらにつきましては、関係方面のいろいろな御要望も強いこともございまして、できるだけその案を煮詰めまして具体的なものにしていきたい、かように考えている次第でございます。

坂口力公明党

○坂口委員 大臣、国庫負担、特に国保等の国庫負担は、先ほども申しましたとおり、本年度の予算におきましては一兆円を上回っている。ところが、各市町村におきましては、なおかつこれがやっていけないというので、各市町村ともに四割、ところによりますと五割も保険料をアップしなければならないところもあるわけであります。中には非常に財政上いいところもありますし、市町村におきます差もかなり大きいと思うわけでありますが、この社会保険についての費用負担のあり方を見直していこうと思いますと、その辺のところを整理していかなければ解決のつかない問題がここにひそんでいるというふうに思うわけです。  いま厚生省の方から粗々のお話がございましたが、この厚生省のお話等も踏まえて最後にもう一言、大臣のこれに対するお考え方、基本的なお考え方で結構でございます、お伺いして次の問題に進みたいと思います。

辻敬一大蔵省主計局次長

○辻政府委員 先ほど大臣からお答えになりましたように、昨日の大臣発言で費用負担のあり方を見直す必要があると申しますのは、若干補足して説明させていただきますと、今後とも社会保障の充実、国民福祉の向上に一層努力しなければならないわけでございますが、いずれにいたしましても、これは財源を要する問題でございます。租税負担にせよ保険料負担にせよ、財源が必要なわけでございますので、その意味から今後国民の適正な費用負担の増大は避けられないのではないかと考えるわけでございます。  そこで、その次に社会保険料負担でございますが、先ほども一部お答えしたところでございますけれども、わが国の租税及び社会保険料の負担は、西欧諸国に比べて非常に低いわけでございまして、経済社会発展計画におきましても、振替所得の増加に伴いまして、社会保険料の負担も四十七年度の五・一%から二・二ポイント上がりまして、五十二年度に七・三%になるというように想定をしているわけでございます。したがって、今後、社会保障、社会保険の充実に従いまして、社会保険料の負担も高めていかざるを得ないではないかというのが第一点でございます。  それからなお、費用負担のあり方といたしまして、社会保険におきますいわば受益者負担というものの適正化、たとえて申しますと、医療保険におきます患者負担という問題もあろうかと思うのでございます。現在、患者本人の負担は、御承知のように初診の際に二百円ということになっておりますが、これは四十二年以来据え置きでございますので、そういう問題とかあるいは高額療養費の問題であるとか、そういう患者負担の問題もあるわけでございます。     〔委員長退席、山本(幸雄)委員長代理着席〕  なお、若干観点は違うわけでございますけれども、福祉年金の財源問題これは当委員会におきましても、あるいはまた予算委員会におきましてもいろいろ御議論がございまして、御意見も伺ったわけでございますが、その財源問題をどうするかということもあるわけでございます。そういう問題を含めまして、費用負担のあり方をこの際検討いたしたいという考え方でございます。  なお、先ほど御指摘のございました国民健康保険でございますが、おっしゃいますように、五十年度の国庫負担で一兆を超える膨大なものになっているわけでございます。先ほど厚生省からも御説明したところでございますが、現在、国民健康保険の体質がいわば弱い形になっているわけでございまして、端的に申し上げますならば、健康なうちはそれぞれの被用者保険の本人として取り扱われているわけでございます。これが定年その他で退職をいたしますと、国民健康保険に入ってくるのが多い。したがって、国民健康保険の被保険者には老人が多いというような事情もございます。したがって、また国庫負担といたしましても四五%というような負担をしているわけでございますが、確かに御指摘のように、市町村によりまして財政力も違うわけでございますので、四五%のうちの五%は財政調整交付金という形で、財政力その他に応じまして交付をしているわけでございます。  厚生省からも申し上げましたように、退職者医療について検討いたしておりますのも、直接の発想は、本人が被用者保険にいる間は十割給付であって、やめて国保にいくと七割と急に給付率が落ちるのは問題ではないかということなんでございますが、間接的には、そういうことによりまして国民健康保険の財政を助ける、あるいは先ほど坂口委員の御指摘になりました、現在いろいろ分立しております各種社会保険制度の中の財政調整の一助にできるのじゃないか、そういう考え方で目下検討しているわけでございます。

坂口力公明党

○坂口委員 これでおこうと思ったのですが、いまお話を聞いて、もう一つだけ念を押させていただきたいと思うわけであります。  それは、いまお聞きをいたしておりますと、この費用負担のあり方を見直すというのは、国民の負担を増加さすという方向であり方を見直すというふうに聞えるわけでありますけれども、ただ単にそういうふうな形でのみその決着をつけるのではなしに、もしもやらなければならないとしても、その前に制度上の問題で非常にでこぼこがある。それを是正することによって、その制度上の問題を解決することによって、国民の一部のところに負担を押しつけなくてもいい、そういうことがあるということを申したいわけであります。そういう意味で、この一行の文字の中に、制度上の改革ということが前提にして言われているのかどうかということを私は知りたかったわけでありますので、いまお聞きをしたわけであります。その点はもう一度確認をしておきたいと思いますが、それを含めてこれはおやりになるわけですね。厚生省の方は結構です、さっきお聞きしましたから。

辻敬一大蔵省主計局次長

○辻政府委員 そういう制度の問題も当然関係いたしてまいりますので、そういう制度の問題も含めまして検討するということでございます。

坂口力公明党

○坂口委員 一番最初申しました財源面のもう一つの側面、いわゆる新たな税収確保の方策について検討するという方の問題でございますが、これはけさからの御議論にも若干出ていたと思うわけであります。  改めてお聞きをするわけでありますけれども、大臣のお考えの中に、このことについてもう少し具体性を帯びたものがございましたならば、ひとつお教えをいただきたいと思うわけです。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 きのう本委員会におきましてお答えいたしたわけでございますが、税制の改正という大事業はなかなか容易なわざでないと思います。そしてこれは政府全体として、また党全体として取り組まなければならぬ、また国会全体を煩わさなければならぬ大問題でございます。一つの新たな税目を創設することを考えることはやさしいけれども、実行することはなかなか容易じゃないと私は考えるわけでございます。  したがって、そこに書きました趣旨は、むしろじみちに現行制度の中で何か工夫をこらすことによって、財源を確保する道をじみちにもう少し当たってみる必要があるのじゃないかという考え方が強いわけでございまして、野心的な税制改正なんというようなことよりは、むしろ細かく現行の歳入体系の中で工夫の余地はないものかという点をもう少し勉強させていただきたい。もちろんその中には、政府の手でやれることはないわけではないと思います。しかし歳入の問題でございますから、国民の権利義務に関係いたしますので、最終的にはどうしても国会のお手を煩わさなければいかぬような問題になることもあろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、野心的な大がかりな税制改正というようなことではなくて、もっとじみちに収入を確保する道はないものかという点を模索してみたいという気持ちでございます。

坂口力公明党

○坂口委員 いま大臣の御説明を聞きますと、現行制度の中で模索をしていきたい、野心的な大がかりな新しいものを求めるというよりも現行制度の中でというお言葉でありますが、ここに書かれております「新たな税収確保の方策」という中には、野心的な方法への挑戦が秘められておるように感じられるわけであります。恐らく大臣のいまの御答弁の背後には、付加価値税その他に対する配慮も含めて答弁をしていただいているのであろうと思いますし、こちらもまたその辺のところを念頭に置きながら質問をしているわけでありますが、そういたしますと、少なくとも五十年度の、この発表になりました発言の要旨の中におきます「新たな税収確保の方策について検討する」という言葉の中には、いわゆる付加価値税等についての検討ということは含まれていない、こう理解させていただいてよろしゅうございますか。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 税制調査会等でいろいろ御検討を、これは毎年いただくわけでございますが、とりわけことしのように歳入、収入難のときにおきましては熱心にお願いしなければならぬことになると思います。そういう場合に、調査会の方々の御意向としていろいろな御意向があろうかと思いますが、それを封ずるつもりなんかもちろんありません。ありませんけれども、私の方からこれは御審議いただいてどうしても物にいたしたいと思いますということで、付加価値税を持ち出そうというようなつもりは私は持っておりません。

坂口力公明党

○坂口委員 そうしますと、税制調査会等で審議をされてそうして出てくればあえて反対はしない、こういう御意見だというふうに解釈をさせていただきますが、そういたしますと、結果的には付加価値税も含めて検討することもあり得る、こういうことになりますね。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 検討することはあり得ようと思いますが、私はこういう大問題は今日のような政治状況のもとでは実現はなかなか至難なことと考えておりますので、現実の政治日程の問題として付加価値税をいま念頭に置いておりません。

坂口力公明党

○坂口委員 それからもう一つお尋ねしたいのは、大臣も現行制度の中でいろいろの問題を模索していきたいということを言っておみえになるわけでありますが、租税特別措置の問題等いろいろの問題もその中にはあろうかと思います。そのほかに、諸外国等でも多くとられておりますものに富裕税がございます。これは国によりましても若干意味合いが違っておりますし、一律ではございません。その国その国の特徴もございます。しかし、北欧四カ国のほか西ドイツあるいはオランダ、ルクセンブルグ、あるいはまた低開発国でもインドやスリランカ等もこういう問題に着手をいたしておりますが、この富裕税についてどのようにお考えになるか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。

中橋敬次郎大蔵省主税局長

○中橋政府委員 昨日の大臣の御発言は、むしろ今日の状態から、あるいは最近の事態におきましての財源の不足という問題について、いろいろ歳出面あるいは歳入面についての今後の留意すべき点をお述べになったものでございます。そういう財源面という観点から申しますと、いま御指摘の富裕税あるいは財産税といいますのは、実はそんなに大きなウェートを占めていないのでございますし、わが国におきましてもかつて富裕税をやりましたけれども、その税収は実はそんなに大きなものでございませんでした。と言いますことは、富裕税といいますのは、むしろ高額所得者の所得税を把握するにつきまして、財産という面から所得税の補完税としてやるというものでございまするから、それから生じますところの財源というのは、実はそんなに大きなものを期待できないわけでございます。  したがって、きのうの大臣の御発言の中での新しい税収確保の方策という中にも、実は第一義的にはそういうものは入れて御発言になっていなかったのではないかというように私は推察いたします。

坂口力公明党

○坂口委員 そういたしますと、財源としては、おっしゃるように、もしもそれが現在の段階で行われたとしたらどれぐらいの額になるのかということは私もつまびらかでございませんが、額がどうであれ、昨日のこの談話の中にはそういうものは含まれていないという御答弁でありますけれども、しかし税制というものを見直していきます場合に、特に税制の公平ということを見直していきます場合に、それによって集められます額が多い少ないは別にいたしまして、やらねばならない問題は多々あるだろうと思うのです。     〔山本(幸雄)委員長代理退席、委員長着席〕その中でやはり取り上げなければならない問題の一つではないかと思うわけでありますが、きのうの段階のこの中にあるいは含まれていなかったといたしましても、これこそ今後の検討の中に含まれていかなければならない問題ではないかと思いますが、今後のプログラム等の中に含めていかがお考えになりますか。

中橋敬次郎大蔵省主税局長

○中橋政府委員 先ほど申しましたような財源面という点では重要なものではないのでございますけれども、税制の体系といたしまして、財産税あるいは富裕税というのは一つの研究課題であることは、これはもう当委員会におきましても前の所得税法その他の御審議のときにいろいろ御質疑がございましたし、またそういうことでお答えをした次第でございます。むしろ私どもは所得税の累進度、それからそれを補完いたしますについて、そういった財産という形からアプローチする方がなおいいのかどうかという面も含めまして、今後広い意味での税制の体系としては研究しなければならないと思っております。

坂口力公明党

○坂口委員 もう時間がございませんので、次の問題に移らしていただきますが、財政支出の面におきまして、「財政の負担によって実施すべき施策を厳しく選択し」こう述べられているわけでありますが、この施策の選択をされる場合に、この選択の基準というものが非常に重要になるわけであります。時によりますと、その選択の基準が誤っていますために非常な大きな混乱が起きたりもするわけでありますので、昨日述べられましたこの中の「施策を厳しく選択し」という、この選択の基準というものは一体どの辺に置いておみえになるのか。これも大変抽象的な問い方になりますけれども、粗々の考え方で結構でございますが、お答えいただきたいと思います。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 もともと国の財政というのは小さい方がいい、安い政府がいいという考え方、これはアダム・スミス以来あったわけでございます。けれども、最近のように福祉国家の主張が普遍化してまいりますと、国の役割りあるいは地方公共団体の役割りというのが非常に大きくなってまいりまして、財政がだんだんと膨張し、政府が高くつくことになってきたと思うのであります。  したがって、根本的に一遍チープガバメントに返りたいというような願望をそこに述べたわけでは決してございません。その言う意味は、現在私ども、よかれあしかれ、一つの選択をいたしまして歳出を計上いたしてございます。それをこういう歳入の制約下にありまして見直すわけでございますので、いままでわれわれがとっておりました物差しが、度盛りが少し粗過ぎたのではないか、もう少し緻密に見直すべきじゃないかということで、各省庁にそういった点をもう一度お願いしてみたいという考え方でございまして、長い成長財政になれまして、やや目盛りが大きくなっておったきらいがなしとしないと、私はそのように判断いたしておりますので、こういう機会にもう一度見直さしていただきたいと思っております。

坂口力公明党

○坂口委員 目盛りの粗さと申しますか、物差しを何を基本にしてはかるかという、それによって違うと思うのです。この物差しの粗さもさることながら、そのはかる基本というものが何かということによってこの選択というものはずいぶん変わってくるのではないかと思うのです。  この議論、長くするわけにはまいりませんが、実際問題といたしまして、現在中小企業、とりわけ小、零細企業は、一昨年からのインフレ、それに続きます総需要抑制、金融の引き締め等の中で非常に苦しい現状を迎えていることはいまさら申し上げるまでもないわけであります。実際問題といたしまして、小、零細企業は、現在のところは金よりも仕事だということが言われておるわけであります。この現状を打開することが現在の政治の一つの大きな目標ではないかと思うわけでありますが、この施策を厳しく選択する中で、選択の方法はいろいろございますけれども、一つの側面としては、この小、零細企業に対する救済ということがやはりその中に織り込まれていなければならないと思うわけであります。  そういう意味から、実は私、その選択の問題をお聞きをしたわけでありますが、三月の二十四日でございましたか、第二次不況対策というものが、十二項目でございましたか打ち出されまして、一応一次、二次と出たわけでありますけれども、しかしなおかつ、現在非常に苦しい状態が続いております。その不況対策の効果というものを評価するには、まだ余りにも日が短過ぎるとは思いますけれども、現在の段階でどの程度この対策に対してその効果が起こるであろうというふうにお考えになっているのか、そしてさらに、現状を打破するためにどういう手を打たれようとしているのかということをお聞きをしたいわけであります。  特にその中で、不況の中でも構造的な不況と申しますか、繊維関係のように、先日打ち出されました不況対策では手の届かないような不況の中身も含まれていると思うわけであります。その辺もあわせてひとつお答えをいただきたいと思います。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 これも財政当局がお答えするにおのずから限界がございまして、通産省あるいは中小企業庁等からお答えすべき性質のものだと思いますけれども、せっかくの御質問でございますので、私が承知している限りにおきまして、不十分ながらお答えさせていただきたいと思います。  中小企業、零細企業対策でございますが、これは歴代の政府がとりわけ重点を置いて気をつけてまいったところでございますし、石油ショック以来の不況対策にいたしましても、総需要抑制策のらち外に置きまして、らち外に置いたばかりでなく、むしろ追加的に金融措置を講じて危機に対応する用意をいたしたわけでございますので、その点につきましては相当行き届いた世話ができたのではないかと思っております。したがって、この不況の深刻さにかかわらず、もちろん倒産もございますし、いろいろな不況現象が出てまいりましたけれども、予想以上に深刻な場面が現出しなかったのは、政府の施策があずかって力があったのではないかと私は考えております。  しかし一面、長い間、中小企業、零細企業が営々として蓄えましたみずからの体質の強化によりまして、みずから耐える力を持たれておったと思うわけでございまして、両々相まちまして、今日までともかくも大きな破綻を来たすことなく、長い深刻な不況に耐えていただいておるわけでございます。しかし、これはいつまでもこういう状態に置くわけにもいきません。とりわけいまお話がございました繊維産業のように、構造的にこのままの姿で明日を迎えるわけにはまいらないという企業が出ておりますことも御案内のとおりでございます。  それで、一部には輸入の規制をやるべきじゃないかというような議論さえ出ておるわけでございます。しかし、日本といたしましては、ガット体制の中での有力な指導国家でございますし、わが国の国策の基本から申しまして、そういうふらちなことはできないわけでございますので、非常に内外厳しい状況のもとで、どのようなところでわが国の繊維産業が生きる場を確保するかということは、通産行政にとりまして非常に深刻な、しかも非常に重要な課題になってきていると思うのであります。いままでのままの体制でこの不況を乗り切って、目が覚めてみたらもとのままであったというような姿にならぬだろうと私は思います。やはりそれなりの変わった体制づくりを遂げて不況をくぐった後、次の時代に生き延びるだけの体質的な改善を図っていただかなければならぬことになるんじゃないかと思いますが、そういう場合、財政的にもあるいは金融的にも、及ぶ限りの御協力を申し上げていかなければならぬことは当然のことと考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、全企業の九九%以上を占めております、生産力におきましても輸出力におきましても約半分を占めておる、日本の産業というのは中小零細企業だと申し上げてもいいし、そして、全体として下請の関係で大企業との間に密接な関係を持っておりますわけでございますから、中小企業の荒廃というのは、全産業の荒廃に及ぶわけでございますので、日本の産業政策全体から申しまして、いま仰せになりましたことは、産業政策の一番根幹の問題だと思います。  したがって、財政当局といたしましても、これはおろそかにしてならない課題と心得ておるわけでございまして、いままでも十分気をつけてまいりましたが、こういう時期になりましたけれども、仰せの点につきましては今後一層気をつけてまいるつもりであります。

坂口力公明党

○坂口委員 時間が参りましたので、もう一問だけお聞かせいただいて終わりにしたいと思いますが、いま大臣のおっしゃいましたように、現在の不況を必死になってこらえ抜いている企業も多いわけでありますけれども、ついに倒産の憂き目を見るというものも中にはかなりたくさん含まれているわけであります。大臣もいつもおっしゃいますように、物価抑制ということが一番根幹でなければならないことはわれわれも意見を同じくするわけでありますが、その中にあって、選択的に救うべきものは救わなければならないわけでありますから、その意味で、たとえば西ドイツなんかも選択的に必要な企業に対して新しく投資をするような場合に七・五%の補助金を出す、そしてまた翌年度にそれを返すというような方針を実は採用したりしているわけであります。  何かそういうふうな、業種によって特に手を差し伸べなければならないようなもの、そういったものに対して何らかの新しい財政上の、あるいは金融面における施策というものを講じられるおつもりがあるかどうかということをもう一つだけお聞きして、終わりにしたいと思います。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 坂口さんから、事業を始める場合、政府が企業を限って助成して始めさせて、後から返させてもいいから、そういうような考えはないかということの御質問でございます。ドイツにもそういう例があるじゃないかという話でございますが、私は日本人というのは非常に活力のある、ダイナミックな、そうして非常に工夫に富んだ国民だと思うのです。政府がそんなことをせぬでももういろいろな仕事を発掘してこられて、雨後のタケノコのようにどんどん仕事を始めるだけの活力を持った民族だと私は思うのです。ただしかし、お金は十分でないかもしれません。したがって、これに対しまして金融の手当てをできるだけ考えて差し上げるとか、いろいろな間接的な助成は必要かもしれませんけれども、直接財政で創業に当たって助成をしなければならない民族とは私は考えませんが、しかし、もしそういう特定の業種が、これはしかしそんなのんきなことではいけない、もっともっとそういう助成をしないと興らないぞ、しかし非常に国家的に必要な事業で、しかもだれも手を染めようとしないが、そういう政策的誘導がないとそれはやらないぞというような具体的な問題、テーマがございましたらば、それは伺いたいと思いますけれども、一般的に申しまして、私は日本人というのはそういう必要のない、活力に富んだ民族じゃないかと考えます。

坂口力公明党

○坂口委員 時間が参りましたので、きょうは具体的な問題に入らせていただくことはできませんでしたが、ちょっと私の言い方に不足があったようでございますが、新しく始める企業という意味ではなしに、いままでから続いておりました企業の中で、この経済情勢下において非常に危機に瀕しているという企業に対しててこ入れをする、あるいは景気を促進させるという一面もあって、そういうふうな方針をとられることがあるかどうかということをお聞きをしたわけであります。若干私の言い方に誤りがあったようでありますが、そういうふうな意味でございますので、別途に何かお考えがございましたらお答え願いたい。なければそれで結構でございます。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 特にいまそういう問題は考えておりませんが、具体的ケースとして出てまいりましたならば検討いたしてみます。

坂口力公明党

○坂口委員 終わります。

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後四時十六分休憩      ————◇—————     午後四時二十八分開議

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  次に、酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。増本一彦君。

増本一彦日本共産党・革新共同

○増本委員 今回のたばことそれから酒の税金の値上げの問題ですが、いま国民は、なぜこの時期にたばこの値上げをするのか、その根拠は全くないと言わなくてはならないのじゃないかというのが、広範な国民の世論であるというように私は思うのです。なぜなら、一つにはこのたばこの純益は、四十六年が三千四百四十五億円、四十七年三千六百九十四億円、四十八年が三千七百六十六億円、四十九年三千三百三十一億円、どの年度を通してもずっと大幅な黒字を続けているわけです。いま物価安定を第一義的な政策課題として政府が取り組んでおられるということをしばしば強調されておられるときに、このような値上げをこそ自粛をすべきではないか。この点について、まず政府はどのように考えておられるか、御答弁いただきたいと思います。

西沢公慶大蔵大臣官房日本専売公社監理官

○西沢政府委員 先生すでに御案内のとおり、たばこの定価改定は七年前に行われたままになっております。その間におきまする原価の上昇の結果、たばこ消費に対する税負担が逐次減少してまいりましたわけでございます。したがいまして、このたばこ消費に対する税負担を調整するということが、値上げの一つの理由でございます。  それから、いま一つの理由としましては、五十年度の予算編成に絡みまして、二千五百億円の歳入がぜひ必要であるという財政面からの要請に基づくものでございます。

増本一彦日本共産党・革新共同

○増本委員 物価安定を第一義的な政策課題にしていると言っているときに、たばこの値段が上がるわけですよ。CPIで〇・七%だというように言われているわけですね、先ほどの大臣の答弁だと。〇・六ですか。いまのあなたの説明は、片側の説明ですよ。物価安定が政策の第一の課題になっているこのときに、〇・六にしろ、そういう影響を与えるような値上げの政策の選択をなぜしなくちゃならないのかということです。これは事務当局じゃなくて、やはり大蔵大臣からまず先に御答弁いただいておいた方がいいと思います。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 まず御理解いただきたいのは、いま監理官が御報告申し上げましたように、七年間たばこは値段が据え置かれておったということでございます。原価が上がりましたし、原材料が上がり人件費が上がりましたけれども、年々歳々これを値上げをお願いしないで、七年間がまんしてまいったということでございます。  私どもも好きこのんでこれを上げるわけじゃございませんで、七年間たってまいりますと、国民の生計費の中でたばこ消費の占める割合から申しましても、ずっと低目になっておりまするし、諸外国のたばこの値段に比較いたしましても、日本のたばこは相対的に低目になってきておるわけでございます。したがって、今日、財政需要が必要なときに、公債の増発等を通じてこれを調達するよりは、愛煙家に負担をしていただくということをお願いいたしましても決して無理はなかろう、御理解をいただけるのじゃないかという判断をいたしまして、お願いをいたしておるところでございまして、もしこれによって調達される財源を、これによって調達しないで、ほかの方法によるとすれば、これは、それによってまた新たな物価騰貴の要因をつくるわけでございますので、むしろ手がたく財政の健全化のために、まげてこの値上げを御承認賜りたいと私は存じます。

増本一彦日本共産党・革新共同

○増本委員 今年度の消費者物価の上昇率の努力目標は、先ほどの午前中から午後にかけての一般質問の中でも、政府としても全体として何とか一割以内に押えるという努力目標でやっていく、こうおっしゃっているわけですね。その中で、この〇・六%のたばこの値上げの影響がある。それから酒が〇・二ですか〇・一ですか、値上げの影響がある。どう見てもその二つのものだけで十分の一からのプッシュ要因になっているということになるわけですね。だから、物価安定を第一義的な政策課題だということを政府の方でおっしゃっていながら、いまここでこの時期に値上げをしなくちゃならないというそこのところが、これは国民として果たして納得できるものなんだろうか。いまの大臣の御説明でも、本当に納得できるものかどうかということですよ。  大臣は、この七年間たばこは値上げをしなかったと言われた。それは事実七年間たばこを値上げしなかったけれども、この七年間に、特に最近になって急激な物価の上昇があるわけでしょう。国民生活が圧迫を受けている。だからこのときに、なぜそれにもかかわらず、これだけの負担を国民に及ぼさなければならないのか。ここのところはまだ私は、大臣の御答弁では、明確に国民が納得できるような形での答弁になっておらないと思うのです。その点をもう一度はっきりさしていただきたい。  それからもう一つは、ほかから財源を得るとかえって物価上昇の要因になるという趣旨のことをおっしゃった。もともとこのたばこにしましても酒にしましても、このほぼ一年ぐらいの間の経過を見ましても、最初はもっと法人税の課税の強化を図ろうというようなことを含めて、法人税についての基本的な見直しをやっていこうというんで税制調査会で特別部会までつくって法人税についての問題に着手しようとしたら、酒、たばこの問題が出てきて、先にそちらをやって、特別部会の方は開店休業になったといういきさつもあるわけですね。  本来のもう数年前から課題になっている法人税などの、あるいは租税特別措置の整理改廃というような面での課税の強化の課題はなおざりにしておいて、安易なたばことか酒の値上げによって財源を確保する。このことの方が逆に全体として見れば、法人税の課税の方はそのままになっているわけですから、これからの一定の中期的な経済の見通しで見ても、これ自身がインフレ要因として企業の内部でいろいろな形で動きかねない面がある。これはそれを国庫に吸収していくということをやらないからですよね。そうして逆に、消費者物価をつり上げる要因だけをつくる酒、たばこの値上げという形で問題を解決しようとする。そこのところの大臣の御答弁は私はいただけないというように思うのですが、いかがでしょう。

大平正芳自由民主党大蔵大臣

○大平国務大臣 まず第一の御質問でございますが、昭和四十三年から四十九年までに個人の消費支出は約二・六倍になっております。これに対しまして、たばこの売り上げ代金は一・七倍になっております。このため、個人の消費支出に占めるたばこ消費の割合は、二・六%から一・七%に低下しております。増本さんがおっしゃるように、収入が同じでございましてたばこの値上げだけやるというんでございましたらおとがめを受けるかもしれませんけれども、収入がふえて、消費全体の中でたばこが占める割合が相対的に低くなってきております。御承知のように、たばこは従量税でございます。私が申し上げるまでもございませんことでございますけれども、そういう仕組みになっておりまするので、この際若干の是正をさしていただいても差し支えなかろうと判断いたしたわけでございます。  それから、他の法人税その他の税目でございますが、法人税にしても個人所得税にいたしましても、これはそれなりの体系をもちまして税法が組み立てられておりまして、諸外国と比較いたしまして決して遜色のない仕組みに相なっておりまして、個人の所得の不公正をこの税金を通じて再配分してまいることに寄与いたしておるわけでございます。これはこれとして十分機能いたしておるわけでございます。  私が申し上げておるのは、個人の消費におきまして、たばこに消費しておるものがセーブされてほかの物資に消費が向かうということになるわけでございますが、それが若干の是正を講じたがためにたばこに費消するお金が若干多くなるということになりましても、その割合は四十三年当時から比べてなお低いんだということで御理解いただけますまいかというのが私どもの主張なんでございます。決して好きこのんでやるわけじゃございませんけれども、よその国々に比べまして不当に高いことをやっているわけではございませんで、むしろよそ様よりは遠慮ぎみにお願いいたしておるつもりなんでございます。

増本一彦日本共産党・革新共同

○増本委員 いま大臣がおっしゃった、国民消費支出が二・六倍になっているのにたばこの方は同じようなぐあいには売り上げが伸びていない、これはあたりまえなんですよ。つまりそのことは、金持ちであっても、それから所得の低い人たちであっても、こういう大衆的なといいますか、そういう嗜好品の消費というものはそう変わらない。あるいは所得がふえれば、いままでの下級のものから多少値段の高いものに移っていくという意味で消費が上位にシフトしていくというようなことはあるかもしれないけれども、それが相関関係にないというのは、そういう性質のものだからですよ。  だから、そういうように低所得者も含めて大衆的な嗜好品であるたばことか酒の価格を引き上げたりあるいは税金を高くするというようなことになったら、いまの物価安定で国民生活を守っていこうというその第一義的な政策課題そのものが、むしろこの面では大幅に後退をしているということにならざるを得ないんじゃないか。ですから、大臣のいまおっしゃった説明では、何にも事態を納得いくように説明していることにならないと私は思うのですけれども、いかがですか。

西沢公慶大蔵大臣官房日本専売公社監理官

○西沢政府委員 総理府統計局で発表いたしております「家計調査年報」によりますと、昭和四十三年から四十八年までの数字しかございませんけれども、これは先生御承知のとおり五分位別になっておりますが、その第一分位の階層の方たちのその間におきます年間収入の伸びを見ますと、四十三年を一〇〇といたしますと四十八年は二 ○五になっております。それから、一カ月の消費支出は、同様に四十三年を一〇〇といたしますと四十八年は一八九になっております。そのうちたばこの消費は、同様にしまして、四十八年には一・三四になっております。  それで、構成比で見ますと、四十三年の一カ月の消費支出の中に占めますたばこの構成比は一・六であったわけでございますけれども、四十八年はこれが一・一というふうに低下をいたしておるわけでございます。  なお、数字が四十八年度までしかございませんけれども、五十年度の政府の個人消費支出の見通しによりますと、全体としまして四十八年度に対しまして四五%の伸びになっておりますので、恐らく本年度におきましても、さらに伸びた姿で同様な傾向が見られるのではないかというふうに考えております。

増本一彦日本共産党・革新共同

○増本委員 これは大衆的な嗜好品ですよ。ですから、こういうものは値上げをしたからと言って、国民大衆の方は、やめるか節煙するということはあるでしょうけれども、ほかの嗜好品で代替するというようなことは事実上できない性質のものですよ、愛煙家はあくまで愛煙家だ。  だから、これだけ物価の問題が国政の第一義的な課題だなんというようになっているこの時期に、そのことで国民の方に大衆的な負担をかけていく、言ってみれば、大衆課税を進めるということ自身が間違いではないかということで私は申し上げているわけです。  そこで、さっき法人税や租税特別措置の問題にちょっと触れましたけれども、主税局長、この租税特別措置による大蔵省の減免額、これは昭和五十年度でどれくらいですか。五千億くらいありましたね、いかがですか。

中橋敬次郎大蔵省主税局長

○中橋政府委員 昭和五十年度につきまして、いまのお話の租税特別措置による減収額を試算しまして、五千六百十億円と計算をいたしております。

増本一彦日本共産党・革新共同

○増本委員 資本金百億円以上の法人について一%法人税率を上げると、どのぐらいの税収になりますか。

中橋敬次郎大蔵省主税局長

○中橋政府委員 ちょっと手元にございませんので、後ほどお答えさせていただきたいと思います。

増本一彦日本共産党・革新共同

○増本委員 この租税特別措置を改廃、合理化、たとえば半分合理化しただけだって、いま所要の二千五百億というのはすぐ出てくる性質のものですよ。あるいはそれをオーバーしますよ。  もともと税制調査会の手順では、去年の当初の段階から法人税の見直しをやるんだということで、特別部会までつくって着手をしようとしたら、たばこと酒の問題が出てきて、そっちの答申を先にやって、結局特別部会での問題は何もなかった。これは税調の友末さんでしたか、会長代理が当委員会にお見えになったときに、すでにそのことをちゃんと告白までなすっておられるんですね。やる手順をそのとおりに進めないで、いきなり横合いから入り込んで、割り込みをやって、そうしてこういうように国民に大衆的な課税をやる。ここのところが、私は政策的な態度、政治的な姿勢としても問題があるというように思うのです。  関連しますけれども、こういうような大衆的な負担を極力抑えて、そしてこれまで、新たに特別にこれから問題にしろと言うわけではなくて、現実に問題にしますということで再三国会でも答弁をされ約束もされてきた、こういう特に大企業法人を中心にした租税負担をさらに一層強化していくというようなことによってこの国民の負担を軽減していくという手だては、一体これから真剣に具体的におとりになるおつもりがあるのかどうか、そのことだけきちんと伺っておきましょう。

中橋敬次郎大蔵省主税局長

○中橋政府委員 まず最初に、先ほどお尋ねの資本金百億円以上の法人につきまして、法人税率を一%引き上げることによります増収見込みは、概算でございますけれども、三百億円でございます。  それから、第二の御指摘の点でございますけれども、昨年におきますところの税制調査会の経過で、友末会長代理はどう言われたか私はつまびらかにいたしておりませんけれども、そういうことをおっしゃったとすればやや経過とは違っております。  と申しますのは、特別部会をつくりまして法人税の基本的仕組みを議論し始めたことは事実でございますし、その一つといたしまして法人の課税所得というものにつきまして、わが国においてのその課税所得の構成が諸外国のそれとどういうふうな関係にあるかということについて欧米で調査をいたした、あるいはそれについての御報告を当委員会においても私は概略お話を申したということはすでに御案内のとおりでございますけれども、むしろそういうことの経過のときに、突然、酒、たばこが出てまいりまして、その方の問題を横に置いたということではございませんで、昨年の秋は例年のことでございまするけれども、翌年度、すなわち昭和五十年度におきますところの税制改正の問題を税制調査会としても喫緊にお取り上げになったということでございまして、もちろんその中には所得税の問題もございますれば、相続税の問題もございます。租税特別措置の御議論もございましたし、酒、たばこもございましたということでございますので、酒、たばこのお話が出ましたから、やろうと思っておった法人税の関係のものを後回しにしたということではないことは、御了承を得たいのでございます。

増本一彦日本共産党・革新共同

○増本委員 局長は参考人でお見えになった友末参考人の国会答弁の会議録をお読みになるといいと思うんですね。そこで、このたばこの値上げの理由は、原価が上昇した、それが理由ですね。そのために益金率が下がった。この益金率が上がった下がったというこの線の引き方なんですが、これは逐年確かに六二・五が六一・五になり、五九・三になり、五四・三になるというようなぐあいに、数は逓減していますよ。だけれども、これも国民の負担との関連でそれぞれの経済情勢に見合って、そのときに応じて具体的な線が引かれてそれでいいんじゃないですか。それを前と同じ、あるいは多少ちょっと下がったから少し上げて、そうしてその分は国民の方にツケを回すというようなぐあいにこの益金率の問題を考えることも、いまのような流動的な厳しい経済情勢のもとでは画一的に過ぎるというように思いますけれども、その点はいかがですか。

西沢公慶大蔵大臣官房日本専売公社監理官

○西沢政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、四十三年以来数字は毎年異なっておるわけでございます。たとえて申し上げますと、四十七年は六一・五でやったわけでございますけれども、それが四十八年に五九・三になったわけでございます。かつて四十三年に定価改定をいたしましたときには、五九・八という益金率に四十二年度がなったためにこれが大きな原因となりまして定価改定をお願いしたわけでございますけれども、その同じでんでまいりますと、四十八年度に六〇%を割っておりまするので定価改定をお願いするということもあり得たかと思いますけれども、そうは直ちにはお願いをいたしておらないわけでございます。  それで、それが本年度の見通しとしまして、先生すでに御案内のとおり、四六・五%にまで落ち込んでくるという事態になりまして、これは実質的な消費税でございまするので、それの税負担として余りにも極端な落ち込みであるということで定価改定を今回お願いすることに相なったわけでございます。  なおその際も、われわれとしましては、毎度お話申し上げておりますように、六〇%というのをめどといたしておるわけでございますけれども、それも今度の定価改定をした後におきましても、五六・九というようなところにとどめておるわけでございます。したがいまして、そこには物価政策、経済政策等々いろいろな観点が総合的に含まれた結果そういうような姿になっておるというふうに御理解いただきたいと思います。

増本一彦日本共産党・革新共同

○増本委員 しかし、いまの国民生活の深刻さということ、ここを正しく見て初めて国民の政治というものが成り立つんだとしたら、この益金率が下がったから国庫収入を確保するためにただ安直に上げるというんじゃなくて、国民の立場に立って、もっとここのところで国民の経済回復あるいは物価の安定ができた時点の上で、しかもそれぞれの税収が確保されて、なおかつもうこれ以外にないというところまでぎりぎり詰められた段階での話だったらまた話は別だと私は思うのですがね。  そういう意味で、この益金率をこのようにただそれだけプロパーで見て、下がったから上げなくちゃならないというだけで操作をしていいものかどうか、この基本的な問題についてはいかがなんですか。

西沢公慶大蔵大臣官房日本専売公社監理官

○西沢政府委員 ただいまも申し上げましたとおり、単に益金率が下がったというだけの理由で定価改定をお願いいたしているわけではございません。単に益金率が下がっておるというだけで定価改定をもしお願いするようなルールがありといたしまするならば、それは四十三年から四十四年にかけても下がっておるわけでございますし、四十五年にも六二・九から六二というふうに下がっておるわけでございます。  しかしながら、本年度の見通しで、定価改定をいたしませんとこの益金率が四六・五になる。そしてもしこれをさらにほうっておくならば、国の専売納付金が恐らくはゼロになってしまうのではないかというふうなところになりまして、しかも経済全般の模様もながめつつ、六〇%をめどとしながらも、それをそこまでは達しませんで、五六・九というところでとどめておりますし、また各価格群別の値上げの仕方におきましても、それ相応の工夫をいたしておるつもりでございます。

増本一彦日本共産党・革新共同

○増本委員 そこで、原価が上昇した。それでどういうぐあいにそれぞれの各品目別の総原価の構成要素が変わっているのか。それを四十八年、四十九年、五十年のたとえばハイライト、セブンスター、チェリー、これはトップ銘柄ですから、しかも消費が非常に高くなっておるから、これの原材料費あるいは人件費、設備償却費、一般管理費とか販売費などのそれぞれの構成要素が、実額でどういうぐあいに変わってきているのかということをちょっと明らかにしてください。

泉美之松日本専売公社副総裁

○泉説明員 お尋ねの点は、ハイライトとかセブンスターといった銘柄別にはなかなか出しにくいわけでございますが、まずたばこの十本当たりの原価で申し上げますと、売り上げ原価が昭和四十三年に十本当たり九円三銭でありましたものが四十七年に十円四十六銭、四十八年には十一円四十一銭というふうにふえてまいっております。  その売り上げ原価のほかに販売費及び一般管理費がありまして、これは昭和四十三年にやはり十本当たりで一円六十二銭でありましたものが、四十七年に一円八十五銭、四十八年に二円二十二銭、こういうふうに増加いたしてまいっております。  その結果、総原価が四十三年当時十円六十五銭でありましたものが、四十七年には十二円三十一銭、それから四十八年には十三円六十三銭、こういうふうに、昭和四十三年を一〇〇といたしますと、総原価は四十七年に一一六、四十八年に一二八というふうにふえてまいったのであります。  この売り上げ原価のうちで一番大きなウエートを占めますのは、製造費の約六割を占めます原材料費でありまして、これは葉たばこの葉っぱでございまして、これが約六割を占めております。それが非常に値上がりをし、それから特に石油ショック以後、紙とか段ボール箱であるとか、あるいはフィルターであるとか、そういった資材の値上がりがやはり大きい、こういうことが売り上げ原価の高騰に響いておるのでございます。

増本一彦日本共産党・革新共同

○増本委員 なぜこの原価の構成要素が各銘柄別に出しにくいのですか。あなたがそういうようになっているとおっしゃっても、まずその原価の構成要素そのものがはっきり出てこなければ、私たちは点検のしようがないじゃないですか。なぜ出しにくいのか、その点をまずはっきりさせてください。

泉美之松日本専売公社副総裁

○泉説明員 製造たばこにつきましては、世界のうちで専売国といわず非専売国といわず、どこのメーカーにおきましても、その原価は最高の機密になっておりまして、公表されておりません。もし公社だけがそういった原価を公表した場合におきましては、公社製品を外国で販売する場合、その国の製品よりもコストの割りに公社製品の価格が高いということになりますと、粗悪品であるといったような悪宣伝をされますし、また、コストの割りに価格が安いということでありますと、ダンピングと言われるおそれがありまして、販売政策上適当でないわけであります。  また、外国メーカーがわが国のマーケットに地歩を確立するためにダンピングしたオファー価格を公社に提示するおそれが大きいわけでありますが、その場合、公社製品の原価が明らかになっておりますと、外国メーカーのそういった販売政策が有利な条件で展開し得ることになるわけであります。こういったことで国内マーケットが侵食されるということが恐れられるわけでありまして、そういったことは結局国内の葉たばこ生産者に大きな影響を与えるといったようなことでございますので、世界の各国のメーカーはいずれも製品別の原価の公表はいたしておらないわけでございます。

増本一彦日本共産党・革新共同

○増本委員 私は何の理由もなく出せと言っているのじゃないのですよ。原価が上昇したので、そこで益金率が低くなり、だから負担をしてくれ、こういうことで来ているわけでしょう。だから、原価のそれぞれの構成要素がどういうぐあいに変わってきているのか、何もそのブレンドをしていくための技術、ノーハウを明らかにしろとか言っているんじゃないですよ。それは価格に直接関係しませんからね。総原価の中の構成要素がどうなっているのかということ、これを見ないでは、価格が適当なのか値上げ率が適当なのかどうか、あるいは専売公社のこの制度を今後どういうように持っていったらいいのかという、このこと自身がこの審議の中で明らかにならないから言っているわけですよ。  あなたの言うのは、国際市場の点で、原価がはっきりするといろいろ問題が起きる、原価の割に高ければ粗悪品だということになるし、安いということになればダンピングと言って非難を受ける。いま日本のたばこが海外で売られる場合には、適正原価、適正利潤で価格を決めて売っているという状態じゃないのですか。どういうことになっているのですか。そういうようにとらざるを得ないじゃないですか。

泉美之松日本専売公社副総裁

○泉説明員 たばこにつきまして外国で販売する場合におきましては、御存じのように関税障壁がありますので、それを乗り越えていくということがまず一つ問題がございます。  仮に関税障壁のないたとえば香港へたばこを販売するといたしましても、やはりそこにおきましては非常な自由競争が行われておるわけでございます。したがいまして、日本のたばこを香港へ売ろうとしましても、やはり日本のたばこはなじみがない。外国の銘柄ですでに国際的に名前の通っているたばこが売れておりますので、やはりその値段とのバランスを考えながらたばこを売っていく、その値段を決めざるを得ない、こういうことでございますので、香港へ売る場合に、国内で売る場合と同様の利益を得るというわけにはなかなかまいりかねるのが実情でございます。

増本一彦日本共産党・革新共同

○増本委員 このたばこの定価が適当なのかどうかということを、この法案を審議している中で原価が明らかにならないで、それについて納得のいく説明がなされないで、どうして私たちはこの政府案が正しいとか正しくないとかという判断ができますか。

泉美之松日本専売公社副総裁

○泉説明員 たばこの原価に関連する資料としましては、すでにお手元に差し上げてあると思いますが、「価格群別原価等推移」それから「たばこ販売総原価の推移」あるいは「原料葉たばこ使用数量の推移」「十本当原価の推移」これは先ほど私が申し上げたものでございます。それから「葉たばこ収納価格等の推移」「たばこ製造原価及び流通経費の推移」といったようなものを差し上げておると存じます。  それを検証する手段がないではないかというようなお話でございますが、それらにつきましては、銘柄別には出ておりませんけれども、決算の数字も公表されておるわけでございまして、それらを見ていただきますれば、たばこの製造原価が逐年上昇してきている。ことに製造原価のうちの最も大きなウエートを占めますのは葉たばこの値段でございますが、その葉たばこの値段が四十七年、四十八年、四十九年と非常に大幅に増加いたしておりまして、ことに四十九年は、御存じのとおり四四・三三%といったふうな値上がりが国内産葉たばこで行われました。  また、外国におきましても、御存じのように外国のインフレが進行いたしておりまして、外国から買ってまいります葉たばこにつきましても、ものによって二〇%あるいは三〇%を超えるような値上がりを来しております。  それから、先ほど申し上げましたその次に大きなウエートを占めます材料費、これも石油ショック前から紙など値上がりいたしたことは御存じのとおりでありまして、石油ショック以後そういった資材の値上がりが非常に大きい。その上に昨年の春闘で賃金のベースアップが相当大きく行われた。こういったことが原価の高騰につながっておるわけでございます。

増本一彦日本共産党・革新共同

○増本委員 いま国民が一番消費しているハイライトとか、あるいは非常に需要が伸びてきているセブンスターとかチェリー、こういうものがみんな五〇%でしょう、今度の値上げは。だから、それは込みで幾らと言われても、ではハイライトが百二十円になるということが適正なのかどうか、セブンスターが百五十円になるのが適当なのか、チェリーの百五十円は適当なのか、皆さんの出された資料でどうやって、あなたがいまいみじくも言ったように検証できるのですか。

斎藤欣一日本専売公社総務理事

○斎藤説明員 公社のたばこをつくります場合の原価はどうなっておるかということにつきましては、当然政府機関でございますので、毎年度予算なり決算なりを通じて国会の御審議をいただいておるわけでございます。その中で、一体これだけのたばこをつくる、そのために人件費が幾らかかる、あるいは葉たばこに幾らのお金を払う、あるいはマージンに幾ら払う、そういったことはかなり詳しく予算総則に記載されております。普通はそういうことで、大体大まかな数字はおわかりいただけるわけですが、個々の銘柄につきましては、さっき副総裁から申し上げましたようなことで、どこにも公表はいたしておりません。  いま副総裁から申し上げまして、すでにお手元に届いております資料の中で、たとえば「価格群別原価等推移」というのがありますけれども、この中では価格群でもって四十三年度と、五十年度の見込みの原価というものをお示ししております。この価格群別は、確かに個別銘柄ではございませんが、極端なことを申し上げますと、「刻」と書いてありますのは、銘柄が一つしかございませんからその銘柄ずばりでございます。それから仮に八十円銘柄というのは、いま先生が申されました、これはもうほとんどがハイライトでございます。また、たとえば五十円という銘柄、これは十本当たりでございますけれども、ホープの短いレギュラーホープというもの、それとピースでございますけれども、これもウエートは九割近くはホープでございます。そういったようなことから御推察いただきますと、確かに銘柄別そのものずばりの細かい数字まではもちろん御承知願えないわけでございますけれども、大体のことはそれらでもって御理解いただけるのではないかというふうに思っております。

増本一彦日本共産党・革新共同

○増本委員 あなたは、私に推量をしろ、こうおっしゃるわけですね。だけれども、推量をする材料がないから私は言っているわけですよ。では、たとえばこのクロスライセンスの場合はどうなんですか。お互いに原価そのものははっきりしちゃっているのじゃないですか。

泉美之松日本専売公社副総裁

○泉説明員 クロスライセンスの場合、まあ日本でつくる場合は、たとえばマールボロを日本で専売公社でつくっておりますが、その原価は専売公社にはわかっておりますが、相手方が「都」にかけておる原価は当方にはわからない、こういう仕組みになっておりまして、製造しておるものだけがわかっておるわけでございます。もっとも、マールボロの原価がわかっているというのは、日本でつくるマールボロの原価がわかっておるので、アメリカでつくっておるマールボロの原価はわかっておりません。

増本一彦日本共産党・革新共同

○増本委員 しかしそれは、大体原料が同じでやればおおよそのところはお互いにわかるわけですよ。  それで、いまお話があったPMIと専売公社とが共同開発したという「都」、これについては五十年一月二十日付の専売新聞を見ますと、ここにブランドマネジャーのレビン氏からのメッセージというのが出ていますね。「我々はあらゆる点で秀れており、かつ、アメリカの喫煙者が期待している「彼らが日ごろ喫っているものとはどこか違う日本的な雰囲気をもったシガレット」をつくり出そうと努めました」というふうなことを言って、サイズだけじゃなくて、「しかも適度なニコチン・タールレベルのシガレットをつくり出しました」ということで書いておるところを見ますと、この「都」についてはPMIの方では全部わかっておるわけですね。  葉っぱやその他の材料は日本からも出しておるわけでしょう。だから取引をやっている双方ではわかっているけれども、肝心かなめの今度は国会の場になると、皆さんの方は国会議員にすら審議の材料としてそういうものを出そうとしない。これはもう国会軽視もはなはだしいんじゃないですか。それでたばこの定価が適正だ、それを判断しろ、こういうことで審議が進められますかね。皆さんの態度はきわめて遺憾だと私は思うのですがね。

泉美之松日本専売公社副総裁

○泉説明員 「都」の場合を申し上げますと、日本からアメリカのフィリップモリスには、原料のうち葉っぱの五%を日本の葉っぱを使用するように義務づけておりまして、それは日本から売りますので、そのコストは日本ではわかっております。しかしほかの九五%は、これはおそらくアメリカの葉っぱ、あるいはオリエントの葉っぱが少し入っておるかもしれませんが、大部分はアメリカの葉っぱと思われまして、そのどういう葉っぱをどういうふうに入れているかということはわれわれの方にはわかっておりません。それはつくっておりますからフィリップモリス社は知っておると思いますが、それをわれわれに明らかにはしてくれない。これが世界におけるたばこの原価についての実情でございます。  そういうことで、まことに恐縮でございますが、お手元に差し上げました資料で原価がどのように上がってきておるかということは、価格群別に見ていただけるとおわかりでございましょうし、その価格群別にごらんになっても、高級品とそれから低級品との間で原価の上がり方は余り変わりはないということはおわかりいただけると思います。

増本一彦日本共産党・革新共同

○増本委員 先ほど、日本のたばこを海外のマーケットで売る場合には関税障壁もある、そのほかいろいろな障壁もある、それを乗り越えて売っていく、逆に、日本の原価というものがわかってくると今度国内のマーケットに海外のたばこが入ってくる、これとの競争の関係もあるというお話をされましたね。  そこで、外国製たばこが日本で原価をはっきりさせたら幅をきかして困る、こう言うのだったら、輸入規制とか価格の規制というものをお互いにもっと厳しくやったらどうなんですか。

泉美之松日本専売公社副総裁

○泉説明員 外国たばこの輸入につきましては、昨日も当委員会でお答えをいたしましたが、各国に関税障壁があるわけでありますから、その関税障壁を越えてたばこが入ってくるのはかなり自由に認めているのが実情でございますが、日本の場合には関税率が、公社が輸入する場合は関税がかかりませんけれども、公社以外の者が輸入する場合は、携帯輸入するときは二百本までは免税でございますが、二百本を超えますと簡易税率で課税され、そのほかの数量でございますと、携帯輸入でない限りは三五〇%といった関税になって、いわば禁止関税率になっております。したがって、公社以外の者が輸入することは事実上できない形になっておるわけでございます。  そういうふうなことで、公社が輸入するにつきましては、諸外国の状況からいたしましてもっと外国たばこを輸入すべきである、そういうことをしないのはいわゆる非関税障壁である、こういった非難が強いのでございまして、そういった点からいたしますと、外国からの輸入を規制するという方向にはございませんで、むしろ国内の消費者の需要に応じてできるだけ外国たばこを輸入していくということの方が国民の消費の多様化に応ずるゆえんだと思われるわけでありまして、規制を強化するという方向ではございません。  それから、外国たばこの国内におきまする定価は、これは大蔵省、企画庁に御相談申し上げて専売公社が決定いたしておりますけれども、この場合におきましては、やはり国内の製造たばことのバランスからいたしまして、輸入たばこにつきましては関税相当分がよけいに入る勘定をいたしまして、国内製造たばこより少し高目に決めておるのが実情でございます。

増本一彦日本共産党・革新共同

○増本委員 いま外国製のたばこというのは、日本でのシェアというのはどのくらいなんですか。わずかなものでしょう。

泉美之松日本専売公社副総裁

○泉説明員 輸入たばこは四十九年度で約三十億本でございまして、シェアとしては一・〇四でございます。

増本一彦日本共産党・革新共同

○増本委員 このたばこの値段というのは、法律で決めた独占価格ですよ。だから、法律で決めた独占価格が妥当なのかどうかということを判断するために、一方ではわずか一・〇四%のシェアの問題で、この原価も出さない。また、たとえばクロスライセンスでこっちで製造しているものだって、そのシェアはきわめて低い。外国で売る方のたばこは、たった一つの銘柄の「都」だけ。これだって、スリムサイズでようやく売り出そうというので、いま広告を出したりしていろいろ宣伝をしているようですけれども、これからの話でしょう。  わずかなことだけを口実にして、肝心かなめのたくさんの消費をしているたばこのそれぞれの価格が、しかも独占価格が、妥当なのかどうかということをただ一つ審議する場であるこの国会に、この当委員会に、この判断の材料を具体的にさっと出さない。この理由が私はわからないんだな。いろいろ国際競争力だとか、やれ国際市場だ、国内市場だというと話は大きく聞こえるけれども、何のことはない、実態はわずか一・〇四%じゃないですか。国政調査権と一・〇四%とどっちが大事だと考えているのです。

泉美之松日本専売公社副総裁

○泉説明員 日本が外国へ売っておるたばこは、クロスライセンスのもので先ほどお話しの「都」のほか、オーストリア、西ドイツ及びベネルックス三国で、ハイライトエクスポートをやはりクロスライセンスで発売いたしております。そのほか世界の二十数カ国に向けまして日本の銘柄のものを販売いたしております。もちろんその数量は、輸入の三十億本に比べますと約三分の一の十億本でございます。そのウエートは確かに低うございますけれども、しかし、世界のどのメーカーもやっていないことを専売公社がやることが果たして適当かということになりますと、問題でございます。そういう点を何とぞ御理解いただきたいと思うのでございます。

増本一彦日本共産党・革新共同

○増本委員 私は納得できないのですよ。それで、そういう態度だから、私は四十八年度の監査報告書をいただいたのですが、ずっと読んでいきましたら、五十三ページ、五十四ページがないのですよ。破いて持ってきたんだね。これは私に出した資料を改ざんしていることになるのだ。これで十分に審議をしてくれなんて、どうして言えるのですか。それで理由は言わないのですよ。そっと持ってきたわけだ。だから私の方でそちらの方の職員に聞いたら、ここに原価の問題が書いてあるんだと、こういうことですよ。資料を受け取る者に対して説明もしないで、あらかじめ破いて、それをそっと持ってきて理由も何も言わない。気がついた方から尋ねなければ、その理由は何も言わないでほおかむりだ。これは資料の改ざんですよ。こんなことでどうして審議ができるのですか。

斎藤欣一日本専売公社総務理事

○斎藤説明員 ただいま御指摘のございました監査報告書でございますが、先生から監査報告書を欲しいというお話がございまして、その中で確かに原価のございます一ページだけカットしてございます。その事情は、いま問題になっております原料費の推移が書いてあるページでございますけれども、いままで申し上げておりますような理由で、これが公になるということは大変ぐあいが悪い。原料費というのはやはりたばこにとって最も生命の問題でございまして、それが幾ら銘柄別にかかっておるかということは公にすべきものではないということで、これは私は先生の御了解を得たかどうかは存じませんけれども、こうこうこういう理由でこのページはカットさしていただきたいということを持っていった者が申し上げていると思っておりましたが、もしそういうことが不十分でございましたとしたら、おわび申し上げたいと思います。

増本一彦日本共産党・革新共同

○増本委員 一枚でも文書を破ったら、改ざんでしょう。完全な資料をよこしたということにならぬじゃないですか。資料の使い方で、私たちだって、それは皆さんの方の意見も聞き納得がいくような問題であれば、あるいは非常にデリケートで微妙な問題であるということであれば、そのところは別の手だてで聞くということだってあり得るわけですよ。てんから原価の問題については受け付けないという態度で、これで原価の構成から、純益が出て、そして価格が決まっていくというような性質の問題についての議論がどうしてできるのですか。破いたという態度自体がまずいけないと思うのです。これはもう許せないですよ。  それから、いまあなたが言われたけれども、そこに原価が書いてあると言うけれども、見てないものは確認できないですよ、私の方は。これは委員会をないがしろにしているのですよね。どうしますかな。

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 ちょっと速記をとめて。

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 速記を始めて。

増本一彦日本共産党・革新共同

○増本委員 完全な監査報告書を当委員会に提出するように、委員長、きちんと取り計らっていただきたい。強く申し上げます。

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 この件につきましては、理事会に諮って善処をいたします。

泉美之松日本専売公社副総裁

○泉説明員 先ほどの御質問の中で、監査報告書を持参いたした者がその点についてお断りを申し上げなかったということははなはだ手落ちでございまして、おわび申し上げます。  なお、御存じのとおり、この監査報告書は専売公社の監事が公社の事業を監査いたしまして大蔵大臣に報告する書類になっておりまして、外部には一切出さない、大蔵大臣だけに提出する書類になっておりますことを御理解いただきたいと存じます。

増本一彦日本共産党・革新共同

○増本委員 持ってこられた職員の方を私は責めているのじゃないですよ。そういうことで、先ほどからの副総裁の答弁を聞いたって、全部原価の問題には触れずという、全部外部に出してはいかぬ、国会議員であろうと国会の審議の場であろうとだめだということで、切るような手だてをとって、それで切って持ってきて、切ってありますからという断りを受けたって、それを受け取る方は承知できませんよ。こういう趣旨のことが書いてあるけれども、これについては外部にどうしても出せないしろものだから了解してもらいたいという断りがなければ、切ったものを持ってきて、それだけ一方通告で渡せばいいという性質のものではないと私は思うのです。恐らくそういう指示を職員の方はされている、されたとしたってこういう事態ですよ。そうじゃないのだな。中身にこういう記載があるからこれはまずいとかまずくないとかいう判断があって、そうしたら委員会でだって問題にできるわけだから、委員会の方からしかるべく資料の提出の要求だってできるわけでしょう。そういう手だてが足りないということを言っているのですよ。  委員長、私の質問はブロック式なんで、これが出てこないと後の質問はちょっとむずかしいですな。

泉美之松日本専売公社副総裁

○泉説明員 その点はまことに申しわけなく存じます。  ただ、たばこの定価の中で原価の占めるウエートは、御存じのように約六〇%近くのものが地方消費税と専売納付金とそれから公社の内部留保でございまして、約一〇%が小売人の手数料でございまして、その残りが製造原価と販売及び一般管理費になるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、十本当たりにいたしまして約十三円、二十本当たりにいたしますと約二十六円がそれでありまして、そのうち原料費、材料費という点につきましては、お手元に資料を差し上げておるわけでございますので、それがどの表に上がっているかということをごらんいただきますと、どういうふうな構成でたばこの定価というものができ上がっておるかということはおわかりいただけると思うのであります。何十何銭までは出ておらないかもしれませんけれども、円単位ではいまのようなことが明らかにされておりますので、明敏な増本先生にはよくおわかりいただけるもの、このように思うわけでございます。

増本一彦日本共産党・革新共同

○増本委員 では、その資料の提出された後で原価の問題については質問さしていただきます。それまで留保します。  あと、この監査報告書を見せていただいたら、百四十四ページの「たばこ販売総原価の推移」という中で、売り上げ原価の中の減価償却費が、三十九年を一〇〇とじた場合に四十八年で四三三、減価償却の取り込み分が非常にふえている。ほかと比べたって著しいわけですね。単純に公社の利益積立金だけでなくて、こういう意味での内部留保の積み増し分というものがここにもはっきり出ていて、これが原価計算の中で一定のウエートを占めてきているというところに一つの問題があるんじゃないか。  中でも一つは、四十三年から一部の機械について定率法を採用するようになったと言われていますけれども、その実績がいまどうなっているのか、おわかりだったらまずこれを明らかにしていただきたい。償却期間が一体何年というようにしているのか、各機械別に、固定資本別に明らかになるのだったらそれを明らかにしてもらいたい、この点をまずお尋ねしておきます。

斎藤欣一日本専売公社総務理事

○斎藤説明員 手元に詳しい数字がございませんが、耐用年数の方から申し上げます。  いろいろな機械があるわけでございますけれども、主な機械は耐用年数十年、あと特殊な機械で十五年のものもあれば十三年のものもございます。建物の方は、これも事務棟なり工場棟、それもつくりによりましてある程度違いますが、鉄筋の事務棟でございますと六十年、工場棟では五十五年というようなことで、平均いたしまして建物の方は四十年ぐらいの耐用年数になろうかと思います。  それから、減価償却の実績でございますけれども、これは確かに三十九年が三十三億円でございましたのが、四十八年には百五十六億ということで四・六倍程度になっております。  それから、確かに四十三年度から償却方法を変えまして、機械装置につきましては定額法から定率法に移っております。おっしゃるとおりでございます。

泉美之松日本専売公社副総裁

○泉説明員 ちょっと補足して御説明申し上げます。  お手元に参っておりまする「十本当原価の推移」という表をごらんいただきますと、そのうち四十三年におきまして、原料費、材料費、人件費、その他というのがございます。その他九十一銭の中で減価償却費は四十五銭でございます。それから四十八年の同じくその他の欄が一円三銭になっておりますが、そのうち減価償却費は四十九銭でございます。  なお、五十年におきましては、これはまだ見込みの数字でございますけれども、その他の費用が十本当たり一円三十六銭でございまして、そのうち減価償却費は五十六銭、こういったものでございます。

増本一彦日本共産党・革新共同

○増本委員 いまの数字ですけれども、後でそれぞれ一表にしていただけますか。  そこで、この公社への取り込み分が百五十六億と非常に多くなってきている。全体の比重から見ますとこれはまだ小さいものだけれども、たとえば私たちは去年電力料金の値上げの審議をしたときに、いままでの定率法を定額法に変えさせて、できるだけ料金の負担を安くしていくという手だてもとるように主張し、通産省でもそのような手だてをとってきたわけですね。  たばこの問題だって、設備投資とそれから設備の更新というものが非常に回転度が早まってきている、だからここで定率法をとるということが必要なのだというのが本会議での大臣の答弁でしたけれども、やはり国民負担をできるだけ軽減していくという姿勢が貫かれるのだとしたら、同じようにこのような償却の方法についても、定額法にもう一度戻すとか一定の手だてをとっていく必要があるのじゃないか。それからさらに、償却期間についてももっと延長できるものは延長していく。これが国際比較でどうなっているのかということも私は知りたいのですが、そういうことを含めて会計処理についても厳格な、厳密な態度というものが必要なのではないかというように思いますが、その点いかがですか。

泉美之松日本専売公社副総裁

○泉説明員 お話のように、会計処理につきまして厳密にやっていくことは当然必要だと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、減価償却費が製造原価の中に占めるウエートがきわめて小さい点からいたしますと、お話のように仮に定率法を定額法に直しましても、それによって原価の安くなる程度というのは何銭になるかならぬかという程度でございまして、それによってたばこの定価改定を云々するほどのウエートは持たないと思います。  ただ、先ほどから申し上げておりますように、四十三年から定率法に改正いたしましたのは、新しい機械を入れまして、従来は千二百回転でありましたものを二千五百回転で回すことにいたしました。そういたしますと、どうしても摩滅が早うございますので、そこで減価償却に当たりまして定率法でやらざるを得ないということになっておるのでありまして、それから今後製造いたします機械は一分間四千回転の機械になりますので、二千五百回転の場合よりもさらに摩滅が早くなるという傾向にありますので、会計処理は厳密にやるべきだという先生のお言葉はよくわかりますので、ぜひそういうふうにやっていきたいと思いますけれども、しかし、機械の摩滅という点からいたしますと、いまの定率法を定額法に直すことについてはよほど慎重に考えなければならないことかと存じております。

増本一彦日本共産党・革新共同

○増本委員 それから、価格が上がるということになると、自動販売機を取りかえなければならないものが出てくる。この点については二月二十四日の予算委員会の分科会で、わが党の瀬崎議員がメーカー側のカルテルの疑いありということで問題提起をし、追及がありましたけれども、私はきょうは小売店のサイドからちょっとお伺いしておきたいのですが、自動販売機には三種類ありますね。つまり値上げになってもそのまま使えるものと、修理をすれば使えるものと、完全に取りかえなければならないものとある。修理をするものは一台について大体六万円から八万円くらいかかる。完全に取りかえるということになると一台二十万円から二十五万円になる。小売店の人たちの現在のマージンの実態あるいは機能等を考えますと、多くの人たちが酒屋さんやそのほかのものと兼業しているとか、あるいはほんの小さな店が町角にたくさんある。これが国民にとってのサービスのよりどころになっているわけですね。  こういう小さな零細小売業者のことを考えると、ここで国家の歳入増のために価格を上げようというのだったら、国が負担するのは当然ではないかということで、実は専売公社と業者の組合の皆さんとが交渉をしているという話を聞きました。専売公社はそれはできないということでつれない返事をしている。だけれども、この業者の人たちの要求というものは当然だと思うのです。  皆さんの方は、自動販売機で国民がいつでもそこへ行けば買えるようなそういうサービスの充実というものを図ろうということも、監査報告書の中にも書いてある。自動販売機の台数も非常にふえてきているということも言って、前向きに評価している。いま兼業しなければ——あるいは一人前の働き手がたばこの販売だけに専従できるかと言ったら、いまのマージンでは絶対に専従できませんね。そういう人たちに自動販売機の修理代や設備の販売機の更新のための金額を負担させて、それで済ますというような手だてが妥当なのかどうかと言ったら、これはやはり業者の方に軍配を上げざるを得ないですね。この点については補助をするとか、あるいは低利の融資の手だてをとるとか、そのほかいろいろな応用問題があろうと思いますが、そういう点については皆さんはどういうふうにお考えなんですか。

泉美之松日本専売公社副総裁

○泉説明員 まず最初に、自動販売機につきまして数量的なことを申し上げておきたいと思います。  昨年私どもが九月三十日現在で調査いたしましたところでは、自動販売機の設置台数は十六万四千台でございます。そのうち改作を必要としないものが三万六千台、改作を要しまするものが十二万八千台でありますが、そのうち改作の可能なものが九万八千台でありまして、あとの三万台は古過ぎてとかいろいろな事情で改作不能というものでございます。  その改作によりましてどれくらい金がかかるかというと、先ほど先生のおっしゃいましたのと多少数字は違いますが、大体は同じでございまして、自動販売機のメーカーあるいは機種あるいは何カラムの自動販売機であるかによって違いますけれども、改作いたしますと五万円ないし七万二千円程度、それから新規購入をいたしますと、五カラムで十八万円、八カラムになりますと先生のおっしゃったように三十万から三十五万円程度のものまであるようでございます。  この自動販売機につきましては、私どもといたしましては、定価改定の問題が起こりまして補助金を出すために、大蔵省に約二十二億円の予算要求をいたしたのであります。ところが、予算折衝の段階におきまして、全国のたばこ小売人で組合をつくっておりますが、そこにおきまして、自動販売機を持っておるのは全国二十四万の小売人のうちの約半数にしかすぎない、したがって公社からそういう補助金をもらうよりも、むしろマージンを上げてもらう方がいい、マージンを上げてさえもらえばそのマージンの中で自動販売機の改作を行うし、それからまた、従来もたばこ小売店の経費で自動販売機を設置してきたのだから今後もそうしていく、こういうお話がありまして、御案内のとおりマージンを引き上げる、そのかわり自動販売機の改作補助金は支出しないということになったのでございます。  しかし、公社といたしましては、自動販売機の改作ということはなかなか容易でございません。ことに消費者の便利を考えますと、定価改定後できるだけ早い機会にその改作が行われる必要がありますので、自動販売機メーカーとその小売販売店のつくっております組合との間でいろんな折衝を行いますときに側面から援助いたしますとともに、いまお話がありましたような金融措置についてできるだけお世話をするというようなことを通じまして、自動販売機の改作が円滑に進むよう側面的に協力申し上げている状況でございます。

増本一彦日本共産党・革新共同

○増本委員 ところが、マージンのアップの点で見ましても、皆さんの計画でいきますと、ことしの一月から全銘柄一〇%になったが、値上げを予定して、その実施のときから、ことしの五月一日から十二月三十一日までは、今度は十本当たりで七十五円を超えるものについては一〇%だけれども、七十五円のやつは八・八%だ、七十五円以下になると八%だ、そうして五十一年の一月になってまた全銘柄について一〇%ということに戻す、こういうやり方でしょう。それじゃ業者の要求にもこたえていないじゃないですか。マージンをアップするというようなものになっていない。それでいて、一方ではシールを張るとか手間暇かけなければならない。販売機だって変えなければいけない。その修理代金は負担しなければいけない。おっしゃるようなきれいな答弁とは実際には全く違うような状態になっているんじゃないですか。それをおやりになろうとしているんじゃないですか。

泉美之松日本専売公社副総裁

○泉説明員 たばこ小売人の手数料につきましては、お話のように本年一月一日から全銘柄一〇%になっておりますが、定価を改定いたしますと相当大幅な値上がりになりますので、率をそのまま据え置いておきますと、小売人の手元に非常に多額な金がいくことになるわけであります。四十三年の定価改定の経験からいたしましても、率をそのまま据え置くことはマージンが大幅に上がり過ぎるからというので、四十三年のときも率を引き下げたことがあるわけであります。  そこで、今回におきましても、一たん一〇%になりましたものを、いまお話しのように、金額、単価別に率を若干落とすものをつくっておるわけでございますが、それを来年一月一日から一〇%に戻すことによって、小売人は五十年度中に相当多額のマージンを得ることになりますので、それで自動販売機の補助金は要らなくて、マージンさえ来年の一月一日から一〇%に改定してくれるなら、それで結構だということで話がついておるわけでございます。

増本一彦日本共産党・革新共同

○増本委員 日本の経済全部見回して、こういうように所得政策をとっておるのはあなたのところだけですよ。結局枠を抑えてかせぎ過ぎてはいかぬ。ところが、われわれは反対だけれども、値上げになれば運転資金がすぐ要るわけでしょう。その運転資金については制度的な保証というものが何もない。国民にもツケを回し、そして国民との媒介機関であるたばこの小売店の人たちにも同じように厳しい負担を押しつけるというような状態はこれだけではないですか。ここのところにも、今回の値上げというものが国民の立場から見たらきわめて背いておる不当なものだというように言わざるを得ないのです。  ちょうど区切りがいいので、先ほどの原価の問題についてはちょっと留保させていただいて、この程度で一応保留させていただきます。

泉美之松日本専売公社副総裁

○泉説明員 先ほど申し上げましたような小売人手数料を改定することによりまして、五十年度中に小売人全体として約百六十億円の手数料が増加するのであります。自動販売機の改作費用は七十億程度と思われますので、そういった点からいたしまして、百六十億円増してもらえるならそれで結構だということで話がついておるものでございます。

上村千一郎自由民主党

○上村委員長 次回は、来る十八日金曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十七分散会

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