大蔵委員会 第19号
- 発言数
- 284 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1975/03/19
会議録
○上村委員長 これより会議を開きます。 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。村山喜一君。
○村山(喜)委員 まず、法人税法の改正案について一点だけお尋ねをしておきたいと思います。 同族会社の留保所得課税について、定額控除額を現行の一千万円から一千五百万円に引き上げるということでございますが、これは法律の六十七条の三項、この中で留保控除額、次のもののうち最も多い金額について控除ができるということになっております。その中で一号、二号、三号とございますが、この定額部門についてのウェートが過去のそういうような実績においてどういうような状態になっているのかということについて、まず御説明をいただきたいというのが第一点でございます。
○中橋政府委員 いわゆる定額控除の部分と定率控除の部分につきまして、現在定率控除の方は三五%になっておりますので、これはかなり大きなものについてもその適用があると思うわけでございますが、定額控除につきましては低い留保金の会社について効果があるわけでございます。 それで、いずれをとって留保金課税が行われていないかという数字は私ども持っていないわけでございますけれども、現行の一千万円で定額控除を行いました課税件数は約三万件というふうに推定いたしておりますけれども、それが今回の一千五百万円に引き上げるということによりましてほぼ維持せられるというふうに見ております。
○村山(喜)委員 この留保所得課税を受ける者は、大体私たちが聞いていると、いままで四万件だ。いまの主税局長の説明では三万件だという話でございますが、そっちの方が正しいのでしょうか。その改正前の問題です。それが改正になりましたら一万件ぐらい減るのじゃないだろうかというふうに言われておるようでございますが、その点について説明をいただきたいということと、いまの説明を聞いておりますと、定額部門のウェートというのはどれくらいのものだということについての実績は、調査した資料がないようでございますが、やはり法律を制定し、それによって適用を受ける以上、留保所得課税の場合には絶えず点検をする必要があるだろうと思うのです。 留保所得の低い人の場合が定額控除のそれを利用していることはよくわかります。だけれども、それが法人企業の中でどれくらいのウェートを占めているのか。それをたとえば一千万円から一千五百万円に引き上げた場合に、実際の控除額となるその所得の限度というものは一体どういうふうになっていくのか。そして四十五年に百五十万円から二百万円に引き上げた。そして四十七年に三百五十万になり、四十八年には五百万になり、四十九年が一千万で、今度は一千五百万にする、そのいわゆる科学的な根拠というのですか、そういうふうに引き上げていくことによりましてどういうようなつり合いがとれてくるのか。 それは、非同族会社の場合やあるいは個人企業とのバランスをどういうふうにしてとることがこれによってできてくるのか、そのバランスはどういうふうにしてとることを想定して五百万という金額を決めたのか、私はそこは腰だめ式ではないだろうと思うのですが、そういうふうな具体的な数字がなければ、あなた方の場合には腰だめで決めたと非難されても仕方がないのではないかと思いますので、その点について納得のいくように説明をしていただきたい。
○中橋政府委員 先ほどの御説明で、今回の定額控除の改正によりまして、改正前の三万件を維持すると申しましたのは、村山委員が御指摘のとおりのことを申し上げたのでございます。残念でございますけれども、実績としては定額控除後の留保金課税を受けております会社数というのはわかっておりませんけれども、一応推計をいたしますと、改正前の一千万円という控除後におきまして三万件四十九年度に課税を受けておるという推計をいたしておりますが、それが改正をしない場合におきましては四万件になるであろうという見通しをつけておるわけでございます。もちろんそれは所得の上昇を織り込んでそういうことになるだろうということでございます。それを今回千五百万円に引き上げることによりまして、改正前の千万円の昨年の三万件という線を維持するだろうというふうに御説明を申し上げたわけでございます。 それから、ちょっと古くて恐縮でございますけれども、四十八年度の実績で申しますと、留保金課税を受けました会社の数は約八万三千件でございます。その八万三千件のうちで、実績としまして定率控除と定額控除が一体どういうふうに影響しておるのかというのは、わかっていないわけでございますけれども、推計をいたしまして四十八年度におきます定額控除、これもやはり三百五十万円から五百万円に引き上げたわけでございますけれども、そのときには五百万円に引き上げました後で五万件課税を受けるであろうというふうに算定をいたしておりましたので、この八万三千件のうちの五万件が定額控除の関係で課税を受けるということに推計をいたしておるわけでございます。
○村山(喜)委員 いや、それはいいのですが、そうなりますと、このままで置いておけば四万件になるから、いまと同じように三万件程度にとどめて、課税対象の同族会社の数はふやしたくないという配慮から五百万円引き上げたのだという説明でございますが、その場合に、非同族会社や個人企業とのバランスはとれますか。
○中橋政府委員 同族会社の留保金課税制度といいますのは、そもそもは個人企業とのバランスを配慮したものでございます。これは昨日もお答えしましたように、それを徹底いたしますれば、留保金課税制度というのは、もっと今日の姿と違ったものもあり得るわけでございますけれども、今日のように定率、定額という控除制度を設けましたのは、そういうバランスをとりながらも、またその中でいわゆる中小の同族法人についての配慮を加えておるわけでございます。それは、一つには個人の所得税率との関係ということと、一つには中小の同族会社といいますのは、やはり自分がもうけましたその利得の中から、みずからが留保して拡張を図っていくということに頼らざるを得ませんので、そういう配慮でもって控除制度を設けておるわけでございます。 その控除制度を設けます場合に、先ほど申しましたように定率と定額というのをかみ合わせて、中小の同族会社にこの留保金課税ができるだけ酷にならないように、先ほど申しました二つの目的にも沿うようにということで配慮いたしておるわけでございます。
○村山(喜)委員 まだわからないのですが、この場合には所得金額のベースで課税にならない限度額は幾らになりますか。
○中橋政府委員 五十年度の改正案によりますところの留保金課税のいわゆる課税最低限というのは、二千七百万円程度でございます。
○村山(喜)委員 最低はそういうふうになりますね。そうすると、いわゆる実際の控除額となる場合の所得の限度はどれだけになりますか。
○中橋政府委員 定率控除と定額控除の分岐点ということでございますから、現行二千八百五十七万円というのが四千二百八十六万円になる計算になります。
○村山(喜)委員 そういたしますと、この今度の改正の効果というのは二千七百四万円から四千二百八十六万円の間に働くということになるわけですね。 そういたしますと、それとの関係において非同族会社や個人企業とのバランスがどういうふうにとれているかということについての資料が私たちの方にはないわけです。バランスがとれておりますとあなた方は言われるけれども、同じような形態の同族会社、しかもこちらは非同族会社、そしてこちらの方は青色の事業の個人企業者あるいはみなし法人、そういうのを比較したらこういうような状態になりますという比較表でも参考資料としてもらえれば、なるほどそうかというようなことでわかるわけですが、バランスがとれておりますとあなた方が言われても、私たちの方ではそれを実証する資料がない。だから、バランスがとれておるということを信ずる以外にない。こういうようなことでは十分な論議ができないと思いますが、その資料をお出しいただけますか。
○中橋政府委員 個人企業と同族会社の税負担を総合的に比較をするということは、かつていろいろやってみたことがございます。ただ、そのときには条件をいろいろ設定しなければなりません。利益の金額が幾らであるか、またその中で配当として幾ら株主に分配されるか、賞与として幾ら重役に分配されるかというようなこと等をいろいろ設定いたしまして、そうして同族法人企業と個人企業でそれぞれ行いました場合の総合的な税負担を比較するわけでございます。 それで見ますと、大体ある金額を起えますれば法人形態の方が有利であるという数字が長い間ずっと出ておったわけでございますけれども、その後におきましては、いわば個人の所得税課税の方でかなり法人形態に近い税制をとることにしてきております。たとえば青色におきましての専従者給与についての限度額を撤廃するとか、あるいは個人の青色事業者につきましてもみなし法人制度ということをとりまして、事業主報酬についていわば分別課税が行われるような制度の導入ということが行われております。 したがいまして、ほぼそういうように両方が歩み寄りましたからには、かなり従来の比較とは違った数字が出てくるわけでございます。その上でなお留保金課税が一体どういう効果を及ぼすかということでございますけれども、非常に条件が複雑になっておりますので、最近はそういう計算はやっていないわけでございますが、やはり大きな企業になりますれば、これは前の経験から言いましても、法人形態の方が有利であるという計算が出ますから、そこにおきましては何らかの留保金課税というのが法人形態について必要であるというふうに判断いたしておるわけでございます。
○村山(喜)委員 いろいろそういうようなめんどうなことがあるだろうと思いますが、私が質問をしているのは、低所得といいますか比較的低いところの層で一ぺん比較検討してみる必要があるのじゃないかと思うのですよ。そういう意味では前提条件によって相当違ってくることもわかりますが、一ぺんそういうような資料をこの大蔵委員会の方にお出しをいただいて見直しをするという点も必要ではなかろうかと思いますので、適当な機会にそういう資料をお出しいただくことを要請いたしたいと思いますが、いかがでございますか。
○中橋政府委員 かなりいろいろな設定条件というのがございますけれども、そういうようなものも含めながらそういう資料をつくってみたいと思います。
○村山(喜)委員 法人税法の改正についてはこの程度でおきまして、租税特別措置法の内容について、若干の問題について質問をいたしてまいりたいと思っております。 その第一は、現在の外債発行の状態の中で残高が一体幾らくらいあるのかということからお聞きをいたしたいのでございます。いままでいろいろ資料を調べてみますと、産業投資関係の外貨国債、それから政府保証外債あるいは政府保証外貨借款、あるいは普通言われるところの外債、この外貨建ての転換社債や外貨建ての普通社債等があるわけでございますが、今日における残高は総額で一体どのくらいになっているのか、この点をまず承りたいのでございます。 それというのは、今度の租税特別措置法の七条によりまして、民間の外貨債の利子の非課税措置が、従来は五年以上であったものを三年以上にしようというようなことで改正がなされようとしておりますし、七条の二によりまして特殊の外貨借入金の利子については非課税措置をとりましょう、四十一条の十三で利付外貨債の発行差金の非課税措置をとりましょう、こういうような措置が今度税法改正の中で出てきておるわけです。 一体、その必要性というものが那辺にあるのかということも問題にしなければなりませんし、また、そういうようなものをなぜ三年に引き下げなければならなかったのか。従来のものを見てみますと、外貨建ての普通社債は、これはもちろん税法との関係もありましょうが、五年、七年、九年、十二年、十五年、外貨建ての転換社債の場合には十年、十五年、二十年というような比較的長期のものが入ってきておりますし、いままでは日本の外貨準備高が高かったために、昭和四十三年十月のスイス市場における第二回の産投資金を得るための公債発行以来外貨国債の発行は行っていない、こういうような状況にございましたが、最近の日本の国際収支の状態から見まして、一時的にはずいぶん心配をされたわけでございますが、最近においてはまた事情が変わりまして、内外の金利差あるいは円の先高、そういうようなことから外資の流入が進んできて、経常収支も黒字になってきたというような問題が出ておるようでございまして、一連のそういうような緩和政策もきょうの新聞あたりを見るととられているようでございます。 そういうような点から見た場合に、国際収支の上においての懸念というものは、いまのところ余り感じられない。感じられないどころではなくて、かえって二億六千万ドルも黒字になってきているというようなことから、外人のいわゆる対日証券投資も二億六千万ドルぐらい二月には行われたのではなかろうかというふうに見られている状態の中で、なおこの税法によりましてそういうふうな優遇措置をとらなければならない必要性というものがどうもはっきりしないのでございまして、それについて、こういうような理由でやるんだという説明をまず願いたいのであります。
○大倉政府委員 非常に広範囲にわたる御質問でございましたので、どこから申し上げてよろしいかわからないのでございますが、まず国際収支の見通しでございますけれども、御承知のとおり、四十八年度は基礎収支で百三十億ドルの赤字でございました。四十九年度は五十五億ドルの基礎収支の赤字というのが十二月の政府見通しでございます。その後の状況を加味いたしますと、これより数億ドル赤字幅が縮まるであろうというふうには考えております。引き続き五十年度がどうなるかということにつきましては、同様昨年十二月に作成いたしました政府見通しでは、依然として三十九億ドルの基礎収支の赤字ということを予想いたしております。 その中で、長期資本収支は、いまお尋ねの外債発行に関連する項目でございますが、これが四十八年度は実に九十億ドルの赤字を記録いたしております。四十九年度は三十億ドル程度の赤字が見込まれておりましたが、最近の情勢から考えますと、これは数億ドル赤字幅が縮まるのではないかと思っております。五十年度は二十二億ドルの赤字を見込んでおりますが、これには相当の政策努力を加味してこのくらいに圧縮したいという意識で、政策を加味した目標値というような性質の見通しになっております。 したがいまして、長々と申し上げましたが、引き続きまして長期資本収支の項目におきまして、わが国からの資本輸出につきましては、資源の開発案件その他重要な海外投資案件が依然としてございますし、これは長い目で見て奨励いたしたいと思っておりますので、流入の面におきましては、安定的な中期、長期の外貨流入を引き続き促進してまいらざるを得ないというのが全体の姿であろうと思っております。 そこで、なぜ従来五年であった措置法の利子免税の期限を三年に縮めるのかというお尋ねがございましたが、実績で見ますと、御指摘のとおり、特に昨年の暮れにいわゆる外−内外債の発行を個別に認めるという方針をとりまして以来の実績では、五年ものというのが非常に多うございます。たまに七年ものというのがございますし、転換社債には十五年ものというのがございますが、圧倒的に五年ものであるという状況でございます。これを三年にお願いいたしております理由は、やはり先方のマーケットのいろいろな状況によりまして、たとえば御承知の世界銀行がニューヨークのマーケットで起債いたしましたが、これは非常に長いものと四年のものとを抱き合わせて発行いたしております。向こう側がそういうことを希望する場合もあるわけでございまして、ところが、片方は利子の税金を取られてしまうということになりますと、事実上そういう組み合わせ発行ができないということになります。それが一つの具体的なケースであろうかと思います。 それからなお、市場の状況は、現在ではおっしゃいますとおりかなり落ちついてきておりますけれども、やはり昨年の夏に非常に苦い経験をいたしておりまして、率直に申せば一寸先はやみだというような状態が少なくともここ二年、三年は続くのではなかろうか。万一何らかの事件が起こりますと、五年ものというような資金はとうていとれない、三年、四年なら何とかなるということがあり得るということは十分予想されますので、いまこの措置法をお願いいたしまして直ちに日本企業の起債をすべて三年ものに移していくということを考えているわけではございませんが、万一の場合に即応できるように、三年以上のものについて従来の五年以上のものと同様の免税の規定を設けておいていただきたい、緊急事態に備えてここまで手を打たしておいていただきたい。 その点は特殊借入金についても同様でございます。日銀がいま借り入れをすることを予定しておるわけではございません。しかし、万一の場合にそういうことがあり得る、その場合に、利子に税がかかるというのでは実現できない、いまの外側の事情では、そういうことで、いわば予防的な措置としてぜひこの機会にそこまでの余裕を私どもに与えておいていただきたいというのが、今回の改正をお願いしておる趣旨でございます。 なお、御質問の中に、二月には総合収支も黒字になり、いわゆる外人証券投資もかなり大きくなり、今後心配ないのではないかというお話もございましたけれども、全体の年度間を通じましての見通しは冒頭に私が申し上げたようなことでございまして、たとえば一月は十二億ドルの総合の赤であったわけでございますし、二月に流入いたしました外人証券投資が、これは何と申しましても性質的にはかなり短期資金の性質を持ち得る金でございますので、これがこのままの勢いで来月以降続いていく、あるいはふえていくというようにはなかなか見通しにくいという項目でございます。
○村山(喜)委員 いま説明いただきましたが、三月の五日ですか、西ドイツで電電公社の政府保証外債の発行が一億マルクですか、これは七年ものということで、十年ぶりに再開をされたということでした。西ドイツでの発行は三年ぶりだということに聞いておりますが、そういう外債の発行をめぐりまして、非常にきつい条件の中でそういうものを発行しなければならない状態にあるのかどうか、その点を一点尋ねたいのと、それから昭和四十九年度の予算の中で、政保債の授権枠として三百億円設定しておりましたが、これはどういうふうに消化されたのか、その二点についてお尋ねをしておきたいと思います。
○大倉政府委員 電電債は、御指摘のとおり、外では久しぶりの発行でございます。これは利率が八分七厘五毛でございまして、いまのマーケットの状況といたしましては非常にいい条件だというふうに私どもは考えております。ほとんど同じ時期にニューヨークで発行になりました開発銀行債、これは表面利率八分五厘でございまして、これもほぼ同時に発行されましたフランスの政府機関の債券に比べますと非常にいい条件で、私どものところに参っております外国の引受業者みんな、あれは非常に成功であった、よかったと言って、手前みそになりますけれどもほめてくれております。したがって、中期、長期の安定外資をなるべくいい条件で安定的に取り入れたいという、私が先ほど御説明しました考え方からしますと、この二本の発行はいずれも成功であったというように考えております。 なお、三百億円の政府保証の枠の消化につきましては、これは実は理財局が所管いたしておりますが、私から便宜お答えいたしますと、ただいま申し上げました二本でございます。開銀債が五千万ドルでございますので、これはすでに先物で手当てしておりますが、その相場で換算することになりますけれども、わかりやすく三百円で簡単に計算いたしますれば百五十億円、いま円が三百円よりも若干強うございますから、百五十億円弱、それから電電債は一億マルクでございますから、いまの相場で百二十億円強、合わせまして約二百七十億円。四十九年度内はこれで終了でございます。
○村山(喜)委員 次の問題に移りますが、租税特別措置法によります国税と地方税の減収額、資料をいただいておりますが、これは計算をいろいろして提出をいただいておるわけでございますが、過去において、こういうような見込みになりますというようなことでお出しをいただいたものを、実際に実証的に点検をしていくという作業はおやりになったことがあるのかどうか、お尋ねをいたしてみたいと思うのです。 たとえば、四十九年度の租税特別措置法による減収額試算の中で、「住宅対策のための課税の特例」これは一千六十億円の減収額になります、こういう資料を前年いただいておるわけですね。ところが、今度は八百四十億円になる見込みでございますということの資料をいただいたわけです。するならば、四十九年度は、諸資材の値上がり、人件費の値上がり等によりまして、とてもじゃありませんが一千六十億円も減収になるような家は建っていないのではないだろうか。 それから「課税特例の態様別分類」というのがございます。その資料の二枚目ですが、「準備金等によるもの」が今度は一千七十億円ということになっておりますが、四十九年の場合には七百九十億ということで説明をいただいたわけです。しかし、一体そういうようなふうに果たしてなったものであるのかどうか。これをそういうような予定で試算をいたしましたが、経済の実態活動の面からこれだけの減免になりましたというような資料をいままで出されたことがないと思うのですが、そういうような実証をやっていらっしゃるかどうか。実績は一体どうなっているんだ。 たとえば、これの同じ資料の四枚目に書いてございますが、「内部留保の充実、企業体質の強化」というのがございます。その中で四十八年は、価格変動準備金は二十二億というのがございますね。果たして実績としてはそういうようなものであったであろうかどうかということについて、私はほかの資料から推計をしてみると、どうもその二十二億というのは過小な見積もりであったのではないだろうかという気がしてなりません。そこら辺の関係でどのような状態になっているかを、まずお尋ねをしてみたいと思うのです。
○中橋政府委員 租税特別措置の減収額でございますが、毎年度御提出をいたしておりますのは、もちろん見込み額でございます。ただ、その見込み額を算出いたしますときには、得られますところの最近における実態の数字を基礎に、しかも五十年度なら五十年度におきますところのいろいろな見込みを勘案をいたしまして試算をいたしておるものでございます。 それは一体毎年度どういうふうな結果になっておるのかというのは、もちろん私どもは実態の資料が出ますれば、それと引き比べておるわけでございまするが、たとえば法人につきましては、四十八年度の「法人企業の実態」という国税庁で発行いたしておりますものにかなり詳細ないろいろなデータが出ております。そういうものでいろいろ四十八年度におきますところのわれわれの試算がどういうことになっておったのかというのと比較検討いたしまして、しかもそれをもとにいたしまして、それを四十九年、五十年と延長いたしましたもので試算をいたすわけでございます。 したがいまして、四十八年度としましては、あの当時に見込みましたものよりも、一般的な経済の状況からかなり伸びておるものがございます。その伸びを実績に反映をいたしまして五十年を算出いたしておりますので、四十八年、四十九年、五十年と横に見ていただきますと、そういうものが数字的に御看取いただけるものがございます。 それから、たとえばいま御指摘のように、住宅対策のための課税の特例としましていろいろ出しております。これは法人関係もございますけれども、個人の住宅貯蓄控除でございますとか住宅取得控除というのがございますが、これも実績が出てまいれば、それと比較勘案をし、反省をいたしているわけでございます。五十年度におきまして住宅対策のための課税の特例の減収見込み額がたとえば四十九年度と比べて減少いたしておりますのは、住宅取得控除の実績が、見込みましたものよりも減っておったというそれに準拠いたしまして新しく見積もりをし直したというものでございます。 それから、準備金等につきましても、もちろんさっき申しましたような実態と見込みの乖離がございます。ただ、たとえばいま御指摘のような価格変動準備金でございますと、四十八年度においては改正がございましたから、そういうものも見込みながら数字を試算いたしたものでございますし、その後におきますところの実態で五十年度を算出いたしております。価格変動準備金でございますと、やはり価格が伸びてまいります、あるいはたな卸し資産がふえてまいりますということになればふえざるを得ないわけでございますが、そういうものもできるだけ実態と、それからその後におきますところの一般的な指標からの伸びというものを織り込みながら試算いたしておるわけでございます。
○村山(喜)委員 三月五日の官報の資料版で「税務統計からみた 法人企業の実態 昭和四十八年分」というのを私も見たのですが、その中で価格変動準備金というものは期末残高が八千百六十億円で対前年比で一千七百三十一億円増になっておる、その比率は二六・九%の伸びでございますという形で出されているわけです。 税法の改正によりまして落ち込むであろうというふうに見ておりました二十二億というものは、したがって、こういうような引当金なりあるいは価格変動準備金の期末残高の上から見まして余りにも過小見込みであったのではないであろうか。しかもインフレ期を迎えておりますから、その会社の営業収入金も二四・九%もふえている。税金逃れのためにいかにして内部留保を高めようかということで四苦八苦した年を迎えてきているわけでございまして、法人税額も五一%伸びておりますが、益金処分の社内留保も四〇・七%もふえた年でございます。そういうようなものから見たら、二十二億という数字は過小見積もりで、それが実態としては幾らになったんだ、だから四十九年度はそれをもとにして試算をされたのでしょうが、それが五十年はなお百九十億もふえるんだという計算の基礎は、一体どういうようなふうにしてなされたものか、この際、説明を願っておきたいと思うのです。
○中橋政府委員 価格変動準備金につきましての四十八年度の見込みと実績がかなり乖離しているということは御指摘のとおりでございます。それで、今回の五十年度を積算いたします場合には、そういいました四十八年の実績と、それからまた、その後におきますところの経済見通しあるいは経済調査等の伸びを勘案いたしまして、さらにそれを伸ばして百九十億円という数字を出したわけでございます。
○村山(喜)委員 いや、それはあなたの言われるとおりだろうと思うのですが、その基礎的な数字をもっと説明願いたいと言っているのですよ。時間がありませんから、それは後で結構です。次の問題を質問します。 今度は原油備蓄施設の割り増し償却の問題でございますが、これは石油備蓄との関係がございまして、いままでいろいろ資料を調べてみますと、六十日分は確保ができた、今度九十日にするのだ、それ以上持つということは国家的な要請なんだ、こういうような考え方で出されておるようでございます。そうなってきますと、各国の石油の備蓄というのは原油だけではございませんで、半製品もあれば製品もあるということでございますし、また、その業態によりましては販売業者もあれば卸業者もあるし、あるいは輸入業者もある、あるいは精製メーカーもあるというような形で、いろいろ分類がされておるようでございます。そうなったときに、今度の税法の上では原油だけが対象になっているというふうに見るのですが、いまの資源エネルギー政策の上で、そういうような原油備蓄の施設の割り増し償却だけを取り上げた理由というのは一体何なのか、これについて説明をいただきたいのでございます。
○中橋政府委員 おっしゃるように、もちろん備蓄を進めてまいるというときには、原油段階のものもございますれば、半製品、製品段階のものもあるわけでございます。しかし、何と申しましても、やはりその基盤となりますのは原油でございまするから、しかもその貯油ということにつきましてはかなり厄介なしろものでもございますので、原油備蓄ということを一番優先的に考えなければならないというのが今日の事情でございます。したがいまして、そういう原油備蓄ということを考えます場合には、やはりタンクという問題についての特別償却ということを今回御提案をいたしておるわけでございます。
○村山(喜)委員 通産省に尋ねますが、世界のそういうようないわゆる石油の貯蔵計画、備蓄計画に比べて日本の場合はおくれている、九十日にしなければならない。この場合に、私が言いましたように、世界の国々の場合には、単なる原油だけではなくて、製品の数量までも含めたものを考えているようでございます。いま日本の産業活動が非常に沈滞をしている中で、石油の消費量が減ってきている、そして半製品等も入れて計算をするならば、もうすでに今日の状態においては八十日以上の石油貯蔵が現実になされている、こういうふうに報道をしている新聞等もあるようでありますが、実情は一体どうなっているのですか。
○山本説明員 現在の石油の在庫状況でございますけれども、最新の状況で、一月末で原油が二千七百四十万キロリッターでございます。それから製品が二千四百五十万キロリッターで、合わせまして五千二百万キロリッター弱でございます。それでこれは、いわゆる石油危機以来七十日とか、石油危機の直前に五十九日とか言っておりましたが、同じベースで、日本ベースで何日分に当たるかという計算をいたしますと、六十三・五日分ということでございます。先生御指摘の七十日とか八十日というのは、実は昨年の九月末とか十月末のときに七十日ぐらいになっていた事実がございます。 以上が実情でございます。
○村山(喜)委員 そこで、それを五カ年で九十日分にしようということですね。その中身はどうなりますか。いま原油と半製品の関係で説明をされましたが、原油だけで九十日分持とうということですか。
○山本説明員 五カ年で九十日分にいたします内容といたしましては、原油と半製品、製品全部合わせまして九十日にするということを考えております。 それで、その内訳でございますけれども、先ほどの御質問にもございましたように、日本の場合は半製品、製品というのは通常の在庫を基本的に考えておりまして、積み増し分につきましては主として原油に依存したいということに考えております。 なぜ原油でやるかと申しますと、やはり原油にした方が、それから精製していろいろの留分が出てまいります。製品でやると、一つ一つの製品をどれだけ積むかでいろいろめんどうな計算も必要になりますし、さらには現在、日本の場合は、原油を輸入して国内で精製して製品を供給するという、いわゆる消費地精製方式を主体としておる関係上、備蓄という観点からは、原油でやる方がいろいろの観点から望ましいということで、積み増し分は主として原油ということで考えております。
○村山(喜)委員 公害の発生やあるいは石油の災害の発生、いろいろ問題がありまして、その消費地精製主義という考え方は、産油国との提携の問題等から考えても、この際考え直すべき段階に来ているんじゃないかといういろいろな意見等も出ている昨今の状況です。 そこで、五カ年間でタンク等を設置していこうという考え方ですが、石油備蓄のために原油のタンク等の設置をするような場所について、日本の国内において土地等の手当てをいたします場合に、見込みを立てておいでになりますか、どうですか。
○山本説明員 タンクの立地問題につきましては、現在、安全対策、公害対策、いろいろ問題になっております。そして現在のところ、いままである会社の所有している土地というのが、隣接地その他についてまだ相当ございます。それで、現在調べたところによりますと、約百五十万坪から百七十万坪、平米に直しますと五百万平米から六百万平米かと思われますが、そういう土地につきましては、そこにタンクを建てていくということで大体可能ではないかというように試算しております。 ただ、九十日備蓄を進めます場合にはこれではどうしても足りません。そこで新規の立地をしなければならないということでございますが、この点につきましては、現在各石油企業が、立地問題でいろいろ地元との話し合いとか候補地探し等はやっているのは事実でございます。しかし、環境問題、安全問題ということにつきまして、地元の住民なり漁民なりあるいは地方公共団体なりといろいろ話を進めまして、その全面的な理解と協力を得た上でないと、現実にはなかなか進まないことになるかと思われます。したがいまして、今後の立地ができるかどうかというのは、そういうようなこれからの折衝にまつ点が多いのは事実でございます。
○村山(喜)委員 これは大蔵省にお尋ねいたしますが、この前私たちは実態調査をしてみたわけでございます。それは鹿児島にあります日本石油の基地でございまして、不等沈下問題が発生をしたということで実情調査に参ったわけでございますが、あの日本石油の喜入基地は、十万キロリットル入りのものが三十タンク、十五万キロリットル入りのものが二十四本、五万一千キロリットル入りのものが二つということで、全部で六百七十万キロリットルも備蓄をする計画が立てられまして、油の入っているものもありまするし、まだ未検査で未使用のものもありました。建設中のものもございました。 それは、ここに資料を持ってきておりますが、未検査のものあるいは未使用のものが四つございます。中には水張りをいたしましてその検査が終わったものや、あるいは内容としては塗装が残っているもの、あるいは未検査で使用停止のもの等があるわけですが、この場合、税法上のメリットを与える場合には、現実に検査に合格をして使用される段階になってからそれについては割り増し償却を認めるようにしてあるのか、あるいはもうタンクができ上がったら、それは一応本年度分にでき上がったものとして税法上のメリットを与えるようにするのか、その時期はどうなりますか。
○中橋政府委員 特別償却は、企業がその資産を取得をいたしまして事業の用に供した年度が特別償却をできる年度でございますから、おっしゃいましたように、まだ検査が終わっていない、したがって事業の用に供していないということでございますから、まだ特別償却をするには至っていないときでございます。
○村山(喜)委員 そういたしますと、いま一次計画が済み、二次計画が進行をして、その建設中のものも含めましてほとんどこの会計年度中において使用ができるようになるだろうという状態にあるときに、不等沈下の問題が発生をいたしました。そこで、これはもっと厳密に検査をやらなければならない。油を入れたときにはどういうふうになるのかというようなこと等もやり直しをしなくちゃならないということになったら、それは未使用ということになりますか。
○中橋政府委員 事業の用に供しておりませんから未使用でございます。
○村山(喜)委員 今後、新設のタンク等については、そういうような事前のチェック体制をより厳密にやらなければ保安上きわめて危険性があるというような問題がありますし、この前水島のタンク流出の事故等がありましたし、できたはできたけれども、実際に使用するのには相当長くかかるという、事前の点検が必要になってくるものだと思うわけでございますが、そうなりますと、タンクはできたけれども、それの税法上の処理は翌年度に回すというようなことも想定をしておく必要があるということを確認してよろしゅうございますね。
○中橋政府委員 先ほど御説明をいたしましたように、取得をしまして事業の用に供しましたその年度が特別償却のし得る年度でございますので、たとえ検査に日にちがかかりましても、その後で現実に油を入れまして事業の用に供したその年度が適用年度でございます。
○村山(喜)委員 今度の場合には、六十日分の原油の貯蔵計画は一応四十九年度で完了をしたという想定のもとに、あと二年ほど税法上のいわゆるこれからの原油備蓄施設についての割り増し償却を延長しようというのが税法の提出の理由でございますね。それは六十日分の方はもう済んだ、こういう想定で始められるわけですか。
○中橋政府委員 各企業でいろいろでこぼこはございましょうけれども、平均しまして、今度新しく六十日から九十日備蓄へと進めることにつきまして、今回の制度を御提案申し上げておるわけでございます。
○村山(喜)委員 そういたしますと、税では二年間の延長、計画は五年ですね。 それで、ちょっとエネルギー庁にお尋ねしますが、今度石油タンクのああいうような事故が発生をし、これからも可能性があるわけですから、今度は安全性等について十分点検をして、二度とああいうような事故を起こさないためには相当な準備態勢をとらせなければならない。単にタンクだけではなくて、タンクが漏れた場合のいわゆる障壁の措置等も十分なものをつくらせなければならないだろうと思うのですが、一体このタンク等の建設に着手をして、それが終わるのにこれからどれぐらいの時間的なベースを見込んでおけばいいというふうに考えていらっしゃるのですか。
○山本説明員 ただいま先生御指摘のように、これからタンクの建設というのは非常に安全対策あるいは環境対策をいろいろ強化してまいらなければならないと考えております。これの法規的な面は、消防法の問題とかいろいろ別途検討されているわけでございますが、具体的にタンクの建設に着手しましてから完成までにはどうしても十五カ月とか十八カ月とか、場所によりましてあるいはその周囲の状況によりまして違いますけれども、相当期間かかるわけでございます。その場合には、やはり土地については取得してある程度の整地ができているということが前提になるかと思われます。いずれにしましても、土地の取得からいきますと相当長年月がかかるというのは事実でございます。
○村山(喜)委員 今度法律が出されるそうでございますが、五カ年間で九十日分を備蓄しよう、税法では二年だけとりあえず延ばしましょう、そうすると、この法案との関係はどうなっているのですか。そうして、いま話を聞いてみると、土地の取得、整地から始めて、そして今度は、それは除いて、タンクの建造に十五カ月から十八カ月もかかるという状態でありました場合には、これからの新設の分については、法律のねらうところのものと現実の建設の状態との間においては、二年間税法を延長しても、またその次は直すんですよという考え方がない限り、五年間の計画達成ということにならないわけですね。 では、なぜ二年間だけとりあえず延長をするということにされたのですか。その後は、そういうようなメリットを与えなくてもよろしいのだ、こういう考え方で二年間延長という線を出されたのですか、その点はどうですか。
○中橋政府委員 今回の備蓄増強計画につきましても、その要しますところの資金、土地、非常に膨大なものでございます。その計画が実施面におきまして逐次どのように実現されてくるかというのは、私どもも、税制上の特別措置を講ずるにつきましても非常に関心のあるところでございます。初めから非常に長期間これを設けるよりも、やはりある程度短期的に、その実績を見ながらできるだけその措置に沿って慢性化しないように、しかもその政策目的にも沿うようにということで、一応二年間にした次第でございます。
○村山(喜)委員 そうすると、二年後には見直しをされるわけですか。見直しをするということは、それをやめることもあり得るということになりますか、なりませんか。
○中橋政府委員 九十日備蓄の問題というのが必然的な命題でありとしますれば、それが二年後におきまして完成せられていないというようなときには、恐らくまた租税特別措置の延長ということをお願いするかもしれません。しかし、それは一にかかりまして、今後における計画と実行面の検討ということがまず前提でございます。
○村山(喜)委員 ずいぶん税法というのも便宜主義的なものだという感じになるんです。片一方においては、政府は二十五日に石油備蓄法案を提出する。五年間で九十日分を備蓄しようという意思でございます。それにはもう住民の、石油はもう来てもらわぬでよろしいという公害反対の空気は日増しに高まっている。いままでそういうようなコンビナート等の安全施設等についての法律体系も十分になされていない。原油の流出等によって大変海が荒らされた。 現に、私たちが調査に行きましたその時点の直前に、ここの場合にも、スラッジを運ぶ第五輝丸というのが、二百六十五トンもスラッジを船に積み込んだまま海底に沈没をしてしまった。そしてそのうちの半分しか回収ができないで、そのスラッジはまだ海底に眠っている。そのスラッジはビニール袋に入れておりましたので、それを捜すために漁船が総動員されて、そして一生懸命になって自分たちの漁場が荒らされないように涙ぐましいような努力をせざるを得ない。 こういうような中で、今度第三次の拡張計画というものを日本石油は持っている。いま六百七十万キロリットルという大変な備蓄を一カ所に集中しているわけですが、さらに第三次分をその延長線の上につくり上げようとしている。そういうようなものに対して、なぜ国の方は税法上のメリットを与えなければならないというふうに考えているのか。 その沿岸に住む人たちは、大変な事態だ、もうこれ以上石油の備蓄基地はふやしてもらいたくない。いまでも大型タンカーのそういうような廃油の処理等をめぐりまして、現実に目の前に事故によって油が漏れたりしているのを見て、中和剤をあわててまいて漏れた原油を海底に沈めている。そうしてそれを食べた魚は油臭くてもう食えません。 そういうようなことから、県の方では、海洋の環境調査というものをやって、その結論が出た上で第三次拡張計画については承認をするかどうかを決めるということになっておりますが、現実にそういうような事故が出、そうしてさらに大型化されていく、そしていつ桜島が大爆発をするかわからない、そういう状況に来ております。その場合に、日石の基地のタンクのところにその爆発の影響が出てきてなにした場合には、これはもう大変な大惨事を引き起こすというような状態の中で、一カ所にそういうふうに、いまでも備蓄量は東洋一です。 それを、そういうのはおれたちは知らぬことだ、九十日間の備蓄を必要とするということの政策に同意をして、そしてそれに対する税法上のメリットを与えるだけで、われわれは責任はないのだというふうには私はならないと思うのですが、そういうような一カ所に一千万キロリットルも、先ほど説明を聞きますと、日本にいま五千四百万キロリットルあるということですが、それの五分の一も一カ所に、しかも火山活動が非常に心配をされている状態の中で、しかもスラッジを運ぶ運搬船が沈没をして、まだ大部分は回収ができないような状態の中にあって、それでもやらなければならないというふうに大蔵省はお考えになっているのですか。 また、そういうところに第三次拡張計画によって備蓄をさせるという政策は、通産省のエネルギー庁としては正しいと思っているのかどうか、その点についてお伺いしたいのです。
○中橋政府委員 原油備蓄計画のもとにおきまして、その備蓄基地の選定あるいは実行に伴いますところの地域社会との円滑な実行ということについて万全の配慮をする、あるいは安全対策について周到な検討を行い、その措置を講ずるということは、当然必要なわけでございます。 それとはまた別にいたしまして、私どもといたしますれば、九十日備蓄ということで、それが国としてどうしても必要だという計画でございますれば、やはり企業がそれに応ずるということについてのインセンティブということを特別措置で考えても、これはまた適当な場合があるわけでございます。 個別の計画の具体化ということについては、それぞれの当局者が十分の配慮をされるということはもちろんわれわれも期待をいたしますし、それが前提でございますけれども、税制としますれば、九十日の備蓄ということが国として避けがたい命題であるということでございますから、そういうことについての税制上の配慮をするというのが今回の御提案でございます。
○山本説明員 ただいま御指摘の日石喜入基地の第三次計画でございますが、私どもの方といたしましては、これは石油企業が県の方にまず公有水面の埋め立ての許可の事前申請と申しますか、これをやったということを承知しております。現在あそこの錦江湾のところは確かに非常に美しい、きれいなところでございますし、そこにどのくらいの石油備蓄の基地をつくるのが適切かというのは、いわゆる環境容量とか、潮の流れとか風向きとか、いろいろ複雑な要素が絡むと思いますが、それを県の当局が慎重に事前に調査しているというのが現状だと承知しております。私どもといたしましては、そういう具体的な調査の進行を待ちながら、その結果によって、具体的に権限というのはございませんけれども、石油備蓄全体の観点からその問題の位置づけを考えていきたいというように思っております。
○村山(喜)委員 税務当局というのですか、行政ベースの考え方でいくならば、いま中橋主税局長が言ったように、いやそれは主務官庁の通産省が決めることであって、われわれとしては税法上のインセンティブを与えさえすればいいんだという割り切り方になるだろうと思います。 しかし、森政務次官、お聞きをいただいておるように、県はいま環境調査をやっていますよ。非常に慎重な態度で検討を続けていることも事実でございます。しかし、その環境調査というものは、それはどれだけの許容量があるのかというような調査をするのであって、桜島の大噴火というようなことまで調査するわけじゃありません。そういうような不測の事態が起こったときには、天然災害でございますからということで逃げられる。逃げられたって、一千万キロリットルの油が目の前に浮かんでいる前では、毎日のように桜島は鳴動している、そして物すごい噴火を上げているわけです。一年間に千回以上の小爆発を起こしているわけですね。そして京都大学の、向こうの火山観測所の所長あたりが言われるには、最近の隆起の状態から見て大爆発があることは間違いありませんということを、この前も国会に参考人として出てきて言われている。その目の前に大石油貯蔵基地がつくられようとしている。 先ほど、第五輝丸のスラッジ運搬船がひっくり返りまして、いまなお回収されないで残っている分等がありますということを言っておりますが、まだそれの事故処理も済んでいないわけです。そういうような状態の中に、これは税法上の恩恵を与えることだけで事足れりとする考え方というものは、行政当局はそうであっても、政務次官であるあなた、政治家であるあなたは、また大蔵大臣という政治家は、そういうようなものについては、判断を別の角度からされる必要があるのではないだろうか。一行政庁の中だけで問題を考えるのではなくて、通産行政の面にも目を通しながら、こういうような問題についてはこのような点でチェックしていくんだという考え方というものをお持ちになってしかるべきではなかろうかと思うのです。 ここに資料がございますが、現に三十番タンク、これは不等沈下八十八ミリです。五十ミリ以上は危ないということに基準が決められておりますから、現地を調査してみると、これについてはいま油を八万五千キロリットル抜いて、それで残っているのが、一万五千キロリットルしかこれには入れてありません。これはつくり直さないと危ないということになってきますから、つくり直さなければならないわけです。 そうなってきたときに、これについては税法上のインセンティブをもうすでに与えているわけですね。与えて、そうしてできた。それで割り増し償却でいま処置がされておる。しかし、そういうような危険なものが今日存在をしている。それは今度はつくり直さなければならない。つくり直した場合には、また税法上の恩恵を与えていくというのが今度の提案の内容でありましょう。だから、そういうようなものについては税法の適用はしないのかどうか。この点は中橋主税局長から私はお聞きをしたいのですが、そういうような不等沈下、危ない、基準を上回るというような状態になっているものについては、一体どういうような取り扱いをされるのか。 そしてまた、一カ所に一千万キロリットルもの大タンクを並べてやるというような政策というものは果たして妥当かどうかですね。幾らそばに工場街がなくても、余りにも営利主義的なそういう考え方が——それはもう隣接しているところをどんどん埋め立てていった方が安上がりで、日本石油としてはもうかるわけですよ。そういうのを許されて、万一の事故があった場合には、命は日本石油が保障してくれるわけではありません。やはり国が責任を持ってもらわなければならない。そこに今日の問題があるということを私は指摘をして、森政務次官の賢明なる答弁を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
○森(美)政府委員 村山委員の御指摘のとおりでございまして、石油備蓄促進法案がもし国会を通過しますと、財政上の問題もさることながら、いままでのこの公害その他の問題につきまして相当真剣な配慮をしなければ、重大なる問題が起こると私は思っております。それにつきまして、大蔵省のただ単なる税制の問題のほかに、大きな問題があるということを私ども十分考えておるわけでございます。村山委員の御指摘のとおりと思いますので、その点十分慎重にやっていかねばならない、こう考えております。
○中橋政府委員 今回御提案いたしております原油備蓄施設につきましては、現行法におきますところの、つくりましたときのその初年度の貯油日数というものだけによっておりました判定方式を、今回新たに御提案申し上げておりますのは、各年度判定方式に改めるわけでございます。したがいまして、平均貯油日数が前年の貯油日数を上回るということが一つの条件でございまするから、仮に一つのタンクに事故が生じましてその代替としてタンクを設けたという場合には、平均貯油日数が前年同期の貯油日数を下回るということになりましょうから、その期間につきましては、この特別償却の適用というのはないということになります。
○村山(喜)委員 終わります。
○上村委員長 増本一彦君。
○増本委員 まず、政務次官にお伺いしたいのですが、現在もそうですが、いままでのわが国の法人税法や租税特別措置法等のいわゆる企業税法は、何といっても資本蓄積と国際競争力を強化しようということを至上命令のようにして、非常に大幅な優遇税制をとってきていたという事実は否めないと思いますが、政務次官、その点についてどのようにお考えになっているか、はっきりさしていただきたい。
○森(美)政府委員 現在までは御指摘のとおりの点が多々あったと思いますが、最近それを相当な修正をしつつ今日に来ておると思います。
○増本委員 そこで、軌道修正を図りつつあるというお話ですが、やはり何と言っても法人企業の税法では、この際本法を基本的に見直していくということが必要だということは、先年来問題になってきているわけですね。昨年の税制調査会でも、法人の特別部会までできて、法人税法の基本的な見直しをやろうということになったわけですが、その意気壮とすべきかもしれませんけれども、実際には着手もできなかったという事実もあるようです。 そこで、いま軌道修正を図りつつあるという御答弁がありましたけれども、まずこの基本的な法人税法の何々を一体見直すのか、その項目とその見直し、検討の方向はどうなのかということを、これは税制調査会の事務局もやっていらっしゃる主税局の方からお答えいただきたい。
○中橋政府委員 確かに、税制の軌道修正をやるということにつきましては、ただいま政務次官からお答えがあったとおりでございますが、それが一番端的にあらわれておりますのは、いろいろ所得税とか租税特別措置につきまして漸次そういう方向を出してきているつもりでございます。 ただ、おっしゃいますようにそういう軌道修正ということで、いまの法人税制の仕組みを考え直す必要があるという前提そのものについて、まず今後御議論をいただかなければならないということを私どもは税制調査会にもお願いをしておるわけでございます。 たまたま、いわば税率面におきましては、欧米諸国にも比肩するようになりましたものですから、一つの問題といたしましては、これも先日お答え申し上げましたが、いわゆる税率がかかる課税所得というものにつきまして、一体わが国のそれと欧米諸国のそれとがどういうようなことになっておるのかということでございます。もちろん、その場合には、いわゆる租税特別措置の中にありますところの準備金の問題、償却の問題、それから、議論がございますけれども、私どもは特別措置とは考えておりませんが各種引当金の問題、交際費の問題というようなものがいろいろかみ合ってくるわけでございます。 それから、その次の問題といたしますと、今度は法人利得に対する課税と、その課税を受けました利得を分配せられました側におきましてその課税をどういうふうに考えるか、これを調整する必要があるのかないのかということでございます。これは、国際的にも非常に議論の分かれているところでもございますし、同じ国につきましても、短期間の間にまた揺れ動いているところもございます。わが国におきましても、この問題は昭和二十五年のシャウプ勧告あるいはその以前から少しくその萌芽がございましたけれども、大きくは昭和二十五年からかなり今日の基盤というものができてまいりました。 それから、昭和三十六年におきましての現在の配当軽課税率の問題というものがございます。 そういう法人課税とそれの調整という面、その中には、もちろん個人が受け取りました配当についての配当控除の問題、それから、法人が受け取りました配当の益金算入不算入の問題というものがございます。そういった問題について、今後いろいろ議論を詰めてまいろうということにいたしております。
○増本委員 何々が問題かというその項目だけのお話がありましたけれども、なお私は、そこでそれの検討の方向はどうなのかということもお尋ねしておるわけですよ。その点についての御答弁がないので、その点もひとつはっきりさせていただきたい。
○中橋政府委員 まず第一の課税所得につきましては、これは昨年アメリカ及びヨーロッパ諸国についての実情を調査いたしました。その結果によりまして、特別措置なり引当金というものについての各国の事例というものがわかりましたら、これを今後どういうふうに扱うかということでございますが、基本的には税制調査会の御議論といいますのは、一体どちらの方向に参るのか、実はこれは本国会が終わりました後ぐらいからいろいろこの問題については本格的に動きますので、私どもからとやかくいま申し上げる段階ではございません。 ただ、特別措置の中では、これは先ほど政務次官からお答えのございましたように、いままでといいますか、昭和三十年代におきますところの生産第一という点から、いわば福祉重点という方向にかなり動いてきつつありますから、恐らくこういった方向がとられるのだろうと思います。 それから、引当金問題につきましては、これもいろいろ当委員会においても御議論がございました。そういうものと会計理論というようなものを踏まえながら、一体、税制としてどういう方向に今後持っていったらいいのか、質的に量的にそういった問題を議論しなければならないと思っております。 最後の、法人税というものの基本的な性格あるいはこれの配当受け取り側におきますところの調整問題というのは、これは実はわが国におきましても、もう長年いろいろな理論が渦巻いておるわけでございまして、ましてや私どもが今日どういう方向に行くのかということは全然予想もつかないわけでございます。これは、各国の動き、それからまた、わが国におきますところのいわゆる配当所得に対する国民の考え方というものも基盤にしながら議論を展開していかなければならないと思っております。
○増本委員 一つは法人税の基本的な点での見直しの問題で、見直しの是非そのものの検討がまずある。しかし、その一方で、各論として課税所得を拡大していく問題だとか、あるいは法人税の課税との調整の問題等もあるというお話ですが、昨年、税調の特別部会はつくったけれども、結局その点については何もおやりにならなかった。事務所事業所税だけおやりになって、それでおしまいになっておるわけですね。五十年度の税制調査会では、この問題については本格的な取り組みを実際におやりになるのかどうか、その点を確認しておきたいと思います。
○中橋政府委員 政府の税制調査会は昨年秋に新しいメンバーで発足をしまして、時期が時期でございましたから、すぐさま五十年度の税制改正の喫緊問題に取り組んでいただいたわけでございます。したがいまして、今回御提案をいたしておりますようないろいろな問題についての議論が大部分でございまして、御指摘の法人税にまつわる基本的な問題というのは、今国会終了後、五十年度におきましてまず第一次的に非常に精力的にやっていただかなければならないと思っております。
○増本委員 そこで、去年の経過を見てみましても、その前からの国会の議論でも、大企業を中心に法人に対する課税は強化すべきだという議論がずっと一貫して行われて、そしてその結果、法人税率の引き上げやその他一定の調整があった。しかし、基本的な問題でのメスをさらに入れていくという課題がそのまま残っていた。これが税制調査会で昨年、本来取り組むべき問題であったというように思うわけです。 そのことを私たちも、実はどのように税調がおやりになるかということをそれなりに注目もしてまいりました。しかし、そのことはおやりにならずに、本来法人税の課税の強化、調整を図っていくということであれば、そこで税収の一定の確保が十分期待できるのに、そのことに手をつけなかったために、逆に他方の財源を確保するということで、酒税の引き上げとかあるいはたばこの値上げとかというようなところに行って、また国民に転嫁をされてくるという、結果としてもそういうぐあいになってきていると思うのですね。 だから、これから製造たばこや酒税についての審議はやるわけですけれども、もっとその面で法人に対する、大企業を中心にした課税の強化を図っていくということで、五十年の税制調査会はこのことを中心に取り組むべきであると私は思うのですが、その点について、これは総理大臣の諮問機関でありますけれども、事務局やその事務局を監督する立場にある政務次官でもありますから、そういう方向で積極的に税制調査会の方を督励していくお考えはあるのかどうか、この点を伺っておきましょう。
○森(美)政府委員 御承知のように、税制調査会の問題は、私どもがくちばしをはさんでいろいろ指令を出すという性質のものじゃないものでございますから、その点御了承いただきたいと思います。
○増本委員 税を所管する政務次官として、いま私が申し上げたようなそういう大企業法人に対しての課税の強化をさらに図っていくという方向での検討を、政務次官そのものはお考えになっていらっしゃるのかどうか、その点をお聞きしましょう。
○森(美)政府委員 法人税の問題は、四十九年に税率を上げておりますし、私どもといたしますと、むしろ税率というよりも仕組みの問題について検討しなければならないと考えております。
○増本委員 その仕組みの方向なんですよ。昨日配付していただいた「資本金階級別法人税負担割合(試算)」、これは昭和四十八年ですけれども、しかし準備金あるいは特別償却その他の租税特別措置の仕掛けの方がそれぞれ検討されて、皆さんの言う整理改廃あるいは合理化というものが若干ある。 〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕 しかし、四十九年で見れば、税率が四〇%になった、あるいは配当軽課の税率が若干上がったとかというようなことで、全体に均てんする割合の方が多いので、四十九年で見ても、実効税率ではやはり大きなところほど軽くなっているという事実、この傾向というものは否定できないというように思うのですね。 そうすると、やはりこの仕組みを検討していくという場合に、その検討していく方向は、やはりこういう大企業に対しては、担税力があるわけですからそこからさらに正当に税収を上げていく、そういう意味での課税の強化を図っていくという方向がとられなければならないというふうに思うのですが、いま政務次官のおっしゃったその仕組みの検討の方向はどういうことになるのですか。
○森(美)政府委員 本問題は多分に技術的な問題もございますので、局長から答えさせます。
○中橋政府委員 いま増本委員は、法人税の基本的な仕組みという問題としていろいろお取り上げになっておりますけれども、私どもは、先ほど申し上げましたように、課税所得の問題といわゆる法人税の基本的な仕組みの問題というのは分けて考えております。 いま御指摘のように、確かに昭和四十八年度におきましても、各種の特別措置によりまして企業の負担というものはいわば大法人の実際の負担率と、それからたとえば資本金一億円以下の法人の実際の負担率というものがむしろ下がっておるではないかというような傾向が見られます。これはもちろんそのときそのときの準備金、特に特別償却のやり方について非常に影響されるものでございますが、こういうものにつきましては、それはそれとして課税所得の問題の中の一問題としまして検討を今後やるわけでございます。 それから、もう一つ私どもが基本的な仕組みと申し上げておりますのは、むしろ先ほど来申し上げておりますような法人利得の課税と、それから払われる配当の課税の問題ということでございまして、もちろんそこには、私どもはそれを基本的な仕組みの中に入れておりますが、一部にはそれを特別措置として考えておられる法人の受取配当の益金不算入の問題、個人の配当控除の問題というのも相関連して入ってくるわけでございます。 ただ、その場合にも、私どもとしましては、いわゆる大企業の課税を強めるということの一つの方法としまして、この課税所得の問題なり基本的な仕組みの問題というのをあらかじめ決めた方向で検討を進めておるわけではございません。むしろ私どもとしますれば、法人税として持っております税率がいかなる構造をとるべきであるかということは、これは四十九年度の改正においてかなり御議論がございまして一応落ちついたものでございますから、その課税所得とそれから基本的な仕組みということで、今後むしろ大法人、中小法人ということでございませんで、そういう問題を検討すべく考えておるわけでございます。
○増本委員 それでは、この仕組みと関連して、従来から当委員会で議論になっているいまの法人税法は擬制説に立っておる、やはり特に大企業などというのはもはや実在説の立場で根本的に考えていかなくちゃならない、こういう議論もあるわけですね。中小企業、小法人の場合は、実態から言っても特にそういう面でいろいろ配慮しなくちゃならぬ、そのときの法人理論の本質論についてどういう立場に立てば原理的に中小法人にメリットを与えることができるかということも、これは政策論との関連で見れば非常に重要な問題です。 しかし他方、大企業が、実効税率そのもので見ると非常に低い、この事実を前提にして考えれば、やはり担税力のあるところに正当な課税をするということが、これはもう鉄則だと思いますから、その立場でやはり原理論的にも法人の本質論そのものからも詰めていくという、そういう意味での仕組みの検討ということもあってよいのではないかというように思いますけれども、そういうところまで含めた検討というのがなされるのかどうか、その点はどうでしょう。
○中橋政府委員 もちろんそういう基本的な仕組み、あるいはいま言われました法人擬制説ということから、いまの法人税率の構造そのものについて議論が展開していくことも私どもは別に拒否するつもりはございません。ただ、これは昭和四十九年度の法人税率改正の問題の際に、税制調査会においてもかなり御議論があったところでございます。私どもも、法人税という仕組みから言いまして、いろいろ御議論がございますいわゆる累進税率をとることは、なかなかむずかしいのではないか、せいぜい今日のような二段税率、いわば中小法人の個人所得税率を勘案しましたような軽減税率というのが、国際的に見ましてもそこまでが限度ではなかろうかという気持ちはございます。 もちろん、それについて、一方で法人においても累進税率をとるべきであるという御議論は、当委員会においても何回も御指摘がございましたから、それについても御議論をいただいて構わないというつもりでございます。
○増本委員 構う構わないじゃなくて、政府の方はどうなるのか。
○中橋政府委員 私どもとしますれば、これは毎々申し上げておりますように、法人税というものの基本的な性格から申しまして、フラットな税率というものが原則でございます。その際に、先ほど申し上げましたように、中小法人あるいはそれと比肩する個人企業の持っております所得税率との勘案からしましての軽減税率というものはとってよろしいけれども、それ以上の、いわゆる法人の経済的な実態ということにだけ着目をいたしました累進税率という構想はとるつもりはないわけでございます。
○増本委員 累進税率にするかどうかという問題は、もう前から議論していて、なかなか政府の方も納得をなさらないので、ここでまた、いたずらに議論を繰り返す時間的な余裕もありませんので、ともかく私どもは、では来年度の税制調査会でひとつ本格的な議論がやられるだろうという前提で、この点は十分注目をしていきたいというふうに思います。 それとの関連で次に移りますけれども、この租税特別措置法の今後のあり方、先ほどから準備金あるいは特別償却等々について、法人の課税所得をどうするかという問題で、今後も見直しをしていかなくてはならぬという御趣旨のお話がありましたけれども、ずっと歴史的な経過を見てみますと、先ほども若干議論がありましたように、従来の輸出第一主義がぽんと政策的に出てくると、それに誘導されて、やれ海外市場開拓準備金だ、やれ海外投資損失準備金だと、いろいろなものがどっと出てくる。さあ今度はそれが破綻して公害が深刻になると、やれ公害対策、そして今度は、石油危機を中心にして資源問題が深刻になった、さあ今度は資源対策だということで、たとえば備蓄施設の特別償却だとか、あるいは海外投資損失準備金の中に資源対策についてさらに改正案が出てくる、あるいは探鉱開発等々についても所得控除というような、租税特別措置にあまり例を見ないような制度の取り入れまで行われる。あとほかに住宅対策だ、あるいは福祉対策だ、中小企業対策等々、いろいろ国民に若干にしろメリットのあるものもありますけれども、そういう意味では玉石混淆のダムみたいなもので、いっぱいそういうものが詰まっている。 しかし、その主流というものは、これが税制によって政策誘導をしていこうというこの租税特別措置法そのものの持っている本質的な目的というものから見ると、そのときどきの政策によっても変転きわまりないというように見ざるを得ないと思うのですね。一体、いまの経済の実態を踏まえて考えると、これからの租税特別措置法のあり方というものは、本質的にどうなくちゃならないのかということを、やはり積極的にこれから詰めて議論をしていかなければならない問題だというふうに思うのです。 先ほど、いろいろ法人についての優遇措置がとられてきたけれども、軌道修正しつつあるということを政務次官はお話しになりましたけれども、まず政務次官は、今後この租税特別措置法がどうなくてはならないのかという点ではいかようにお考えになっていますか。
○森(美)政府委員 特別措置法というのは、やはり性質から言いまして、常に見直しをしながらやっていかなければならない性格のものと私は考えております。
○増本委員 見直しはいいのですけれども、ではその見直す視点ですが、政務次官はどういう立脚点に立ってこの租税特別措置を見直していくのですか。
○森(美)政府委員 やはり日本の置かれた立場というのは、この狭い国土に大変な国民が生活している。しかも戦後三十年高度経済成長で、ある意味で豊かな国民になってきている。これを後退さすわけにいかないという意味で、やはり輸出もそれなりにやっていかなければならない、こういう気持ちで私はおります。 しかしながら、いまの社会生活というのは、いろいろな面でひずみは出てくる。その問題を一々克明に、また慎重に、なおかつ大胆に、国民生活の向上を考えながら突き進んでいくという立場を当然とっていくものと考えております。
○増本委員 いままでの租税特別措置が、政務次官も最初に反省があったわけですが、国際競争力強化だとかあるいは資本蓄積を強めていく、こういう目的だけでいわば進んできたために、大企業を中心にした大幅な優遇税制になっている。それを軌道修正してきた。資源問題とか公害とか、日本はいわば加工貿易もやっていかなくてはならぬとか、いろいろそういう情勢がありますわね。 しかし、いままでどこにウエートが置かれていたかといいますと、たとえば輸出第一主義がとられて海外市場開拓準備金があった。あるいは海外投資損失準備金がつくられた。しかし、それが批判を受けて、その上に立って、たとえば海外市場開拓準備金の場合には、十億円超の企業にはもう適用しないというようなことで後退しているわけでしょう。それで、そういうものが若干後退すると、今度はそのひずみから出てくる公害対策で、それもう公害だということで、そこで公害施設について特別償却の制度をとるとか、いろいろなものがごちゃまぜにどっと出てくる。それで今度は資源対策だということで、今度の場合でも資源対策についての一定のものが改正案の中に盛り込まれてきているという状況ですね。 ところが、いまの中心的な政策命題は一体この三木内閣のもとでは何なのかと言ったら、これは三木総理自身が福祉優先ということを言うておるわけでしょう。しかし、政務次官のいまの言葉からは、一番の政策命題のそのことは何にも出てこないんだな。だからあなたは、いままでのような、そのときどきの政策目標が出てくると、それに応じてぱっぱと変転きわまりないようなやり方でやってくる、こういう租税特別措置のあり方がいいというようにお考えになっている。その前提でいま御答弁されているというふうにしか見れないのです。それだったら、優遇税制であったこの事実は認めた上で修正してきた、一番最初に基本的な政治姿勢のところで伺ったことと、いまこの租税特別措置をそれでは今後どうしていくのかというあり方の問題との間には、大きな答弁のずれがあるというふうに思うのですね。だからその点を……(「柔軟なんだよ」と呼ぶ者あり) 柔軟というよりも、コンニャクみたいなものでつかみどころがないですよ。ですから、イデオロギーとかなんとかの問題じゃないですね。あなたは一体どういう政治姿勢に立って今後のこの租税特別措置のあり方を見ていくのかという問題を伺っているのであります。その点はどうなんですか。ヒントを与えたのですからいい答弁をしてください。
○森(美)政府委員 当初に、法人税についてはある程度軌道修正をしているということを私はすでに発言しておりますので、もうその点は御承知おきのことと思いまして、次の問題に入ったわけでございますが、やはり特別措置の問題は漸次縮減してきていることは御承知のとおりでございます。 そこで、私は、高福祉になっていくための時代的な推移につきまして、税の問題がどうなっていくかということを一言つけ加えさせていただきたいと思うのです。やはり法人税の税率というものは、国際的な比較からいきましても、もう相当十分なところへ来ている。しかも中小に対しては相当軽減されてきているというようなことで、これから多様化する私どもの生活を展開していくためにはどういう税制をとったらいいかというのは、当初申しましたように、軌道修正の時代に入っているということは事実でございますので、その点で御了承いただきたいと思います。
○増本委員 ところが、いまここにまだある準備金とか特別償却等々の制度、それぞれのそのときどきの公害対策だとかあるいは輸出関係の優遇税制のもとで、先ほどお話ししましたような四十八年度の法人税の負担割合を見ても、実効税率そのものは資本金百億円以上の場合で三二・五%、資本金一億円以下が三三・四%で、資本金一億円超百億円未満が三五・四%だ、こういう事態でしょう。そこへもってきて今度また資源対策だということで、さらにそのための特別措置がとられる。そして、一方で福祉というようなことを言いながら、あるいは社会的にも多様化してきている、それを直視するということをおっしゃりながら、福祉対策という面での租税特別措置の取り上げ方というのは決して大胆なものになっていない。だから、そういう点では、四十九年、五十年、恐らくその結果を見ればはっきりすると思いますけれども、全体の傾向としては、依然として法人税の負担割合そのものは、基本的には大きなところほど有利だという事態は私は否めないというように思うのです。 衆議院の予算委員会の方に大蔵省が提出された租税特別措置関係の減収試算を見ても、五千六百億円も特別に税金の減免が行われているという事実もあるわけでしょう。福祉というのは、税制で優遇するという面と、それから直接国が支出をして福祉に振り向ける、そのための財源確保という二つの問題があると思うのです。だから両方を統一して進めていくということで考えれば、いまの租税特別措置の今後のあり方をにらんだその面での視点というのが、依然として不明確といいますか、福祉福祉と口では言いながら、実際には行動の面でその点は決して言うほどのものではないというように考えるのです。その点は政府の方はどのようにお考えなんでしょう。
○中橋政府委員 租税特別措置の影響を受けまして、おっしゃいますように、たとえば四十八年度、この間お示ししましたように資本金百億円以上の会社の負担が一億円以下の会社の負担に比べて低くなっておるということは御指摘のとおりでございます。それは、先ほど申しましたように、かなり特別償却に対する企業の動きというものがこれを大きく左右しております。これは、私は毎々申し上げておりますように、特別償却でございまするから、いずれは取り返す筋のものでございますので、これによりましての毎年度におきます実際の税負担率の変動ということについては、長期的にごらんをいただかなければならないというふうに思っております。 基本的にそれでは特別措置について一体どういうような方向をわれわれとして考えているのかということでございますが、私どもは、確かにいま御指摘のように、いろいろその重点が変わってきておることもまた事実でございますが、これはそう早急に動いておるとも実は思っておりません。やはりその基本になりますものとしまして、ずっと長い間制度として存続をしてきたものがありますし、またそれは、たとえば少額貯蓄の利子の非課税制度でございますとか、生命保険料の所得税の控除でございますとか、そういったいわば個人所得者についてのいろいろな配慮というものは、基本的にずっと続いてきておるわけでございます。 それからもう一つ基本的にございますのは、中小企業につきましてのいろいろな体質強化の問題としてそれぞれございます。こういったものが根元にありながら、またおっしゃるように経済政策にいろいろ対応して、そのときそのときの問題として取り上げてきたものがございますし、またそれは、随時重点を移してこそ租税特別措置の真価を発揮するものでございます。 たとえば、輸出重点ということをかつてやってまいりました。その点についていろいろ先ほど御指摘のように、いまはその制度をかなり縮小して、いわば痕跡程度が残っております。それから企業の内部留保、戦後のわが国の企業の状況から言いまして、これを厚くしなければならぬということでいろいろな措置を講じてき、またこれは、御指摘のとおりなおかなり残っております。恐らくこれは、今後わが国の企業のそういった留保の厚さ、体質の強化というようなことと考え合わせながら、漸次縮小されるような方向にあるものと思っておりますし、また、われわれも逐次そういった措置を講じてきておるわけでございます。 それからもう一つ、設備の近代化ということでいろいろやってまいりました。これはかなり私は今日の日本経済に非常にいい影響を及ぼしたというふうに思っておりますし、また、その設備近代化のために使ってまいりました特別償却制度というのは、先ほど申し上げましたように、そんなに負担の公平を害するものでもないという長期的な観点に立ちますれば、しかるべき設備につきましては、今後もこういった方法を使っていくのはやはり有効ではないかという気持ちを持っております。 そのほか、いろいろ輸出重点から政策の重点が移ってまいりまして、今日、資源対策に非常に、われわれもそういったことで何らかの特別措置は講じられないかということをやっておるわけでございますが、これは今日の喫緊の課題として、むしろそこに重点を向けておるわけでございますから、これについてのめどがつけば、またそれは次のそういった命題に対応する措置というものを考えなければならないことも事実でございます。 あと、税制としまして、いろいろ環境整備とか公害対策ということをもちろんやるわけでございますけれども、むしろおっしゃいますように、私は、こういった特別措置といいまするのは、先ほどの零細なる人の預貯金対策とか生命保険料対策というものを除けば、大体は企業所得に関するものでございますから、そんなに、これでもっていわゆる福祉税制を実現するというものではございません。やはり歳出との関連あるいは所得税そのものの制度ということと相まって、そういう方向に進まなければならないということも御指摘のとおりと思います。
○増本委員 「資本金階級別法人税負担割合」、この表を見てみますと、やはり資本金百億円以上の企業の場合ですと、準備金、特別償却というこの二つが非常に大きいわけですね。課税所得の拡大ということを考えると、まだまだ準備金についての洗い直し、検討をやっていく余地があるのではないか。それから特別償却については、特別償却の制度は、これから経済、産業政策との関連で果てしなく続いていきますから、ここのところももう一つブレーキをかけるといいますかね、やはり整理改廃を積極的に検討していかないと、大企業の実効税率そのものを引き上げていくということはできないのじゃないか。 そこのところがこれまで効果があった、だから、これからもその点については、機械設備の特別償却等については維持していくかのようなお考えがありましたけれども、この準備金、特別償却というのは金額の上でも非常にのしている。資本金百億円以上の会社といったら、これは数字の上では資本金一億円以下の企業の数と比べたって非常に差がありますからね。だから、これはたくさんの中小零細企業が集まって百億円以上の企業とほぼ同じくらいの引き当てをしているとか、あるいは特別償却をとっているというだけで、この圧倒的な比重を考えると、やはり大企業に対するこの二つの洗い直しや検討というものの余地はまだまだ私はあるというように思うのですが、その点はどうでしょう。
○中橋政府委員 おっしゃいますように、準備金、特別償却が、資本金百億円以上の会社の実質的な税負担に非常に大きな影響を及ぼしていることはそのとおりだと思います。 ただ、その際に、私は、やはり特別償却といいますのは、もちろん新しい機械を選定してまいりますから、そういうことについてのメリットを仮に継続していけるという場合がございましても、個々の機械設備につきましての償却額というものは一定でございますから、仮に早い時期に特別償却という形で与えてみましても、後から自動的に取り返すというシステムがまた働くわけでございます。今回、四十八年度の試算におきましても、この特別償却を四十八年度には非常に大きくやったということでこのような結果が出たと思っておりますけれども、それはやはりひっきょう、今後におきますところのそれぞれの会社の償却額を圧縮するということになるわけでございまするから、私は、特別償却については、短期的に見ないで長期的に見るという観点から、そんなに租税特別措置としてもこれを気にする必要はないのではないか。各国におきましても、かなりこういった手法を用いているようでございます。 準備金につきましては、先ほど申しましたように、内部留保という観点から、確かにこれは今後のわれわれの検討課題であるというふうに痛感をいたしております。今回の改正におきましても、大したものではございませんが、やはりこういった面について一番力点を置いたつもりでございまして、価格変動準備金あるいは取引責任準備金等につきましての改正というのも、そういった気持ちで踏み出したわけでございます。今後はまたそういったものをいろいろ勉強してまいりたいと思っております。
○増本委員 この特別償却との関係で、機械設備の日本の企業の耐用年数ですね、これが実は償却との関係で言いますと、おととしの三菱銀行調査室の調査の結果によりますと、イギリス、西ドイツその他ヨーロッパの先進諸国と比べると、大体一〇%から三〇%ぐらい短くなっているという指摘があったはずなんですね。やはりこういうところの改善、それから定率法の大挙した採用といいますか、技術的な問題にわたりますけれども、その面はもっと洗ってみていくということが、私は少なくとも特別償却や償却との関係では大きな問題だというように思いますが、その点はどうでしょう。
○中橋政府委員 わが国におきましても機械設備の耐用年数といいますのは、昭和二十六年、三十六年、三十九年ぐらいでかなり短縮をしてまいりました。その当時と比べてみまして約半分の年数になってきました。それをいま税務上各国のものと比べてみますと、大体同じ程度になっておるというのが、実は昨年私どもの欧米における調査で得た数字でございます。 いまお示しの三菱総合研究所のものは、いわば税務上の耐用年数によります償却でございませんで、企業ベースとしての経理上のものでございますから、特に外国におきましては、税務上の償却と会社経理上の償却がかなり差を持っているところもあるようでございますので、わが国におきましては、企業がやりましたもの以上は税務で認めないというシステムをとっております国とはかなり違った事情にあるということをお含みおき願いたいのでございます。
○増本委員 それでは、いまの海外の実態調査の結果の資料をもしよろしかったらいただきたい。 それからもう一つ、資本金階級別の法人税負担割合は、資本金階級は三つしかないわけですね。これをもう少し刻みをつけた試算ができないのでしょうか。特に資本金一億円以下の企業の場合を、もうちょっと二つ、三つランクをつけて見ていく必要があると思うし、それから、この真ん中の一億円超百億円未満の場合も、十億円の場合はどうか、あるいは五十億との関係ではどうかとか、あるいはそれ以上との関係ではどうかというようなところが可能であれば、「法人企業の実態」のあれからとられると、あの分析だけの問題になりますけれども、そういう刻みをつけたもう少し精緻な資料が試算の上でお出しになれるのでしたら、ひとつその点もお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
○中橋政府委員 先ほどの外国におきますところの税務上の償却率といいますものを私どもで調べましたものは、後刻提出させていただきたいと思います。 それから、先ほどお示しの特別措置によりましての会社の実際の負担率の比較でございますけれども、実はあれをつくりますにつきましては、「法人企業の実態」という冊子で公刊をいたしておりますいろいろな資料、しかもそれを原表に一々当たりまして計算をしなければなりませんので、資本金の階級別をもっと精緻にいたせばいたすほど実は作業が大変になるのでございます。 それからもう一つは、まあそれは程度によりますけれども、時系列で比較をいたしますから、資本金の移動が余り影響をしないということでございますと、なるべくは大きな階層で分けた方がいいというようなこともございまして、三つでお許しを願っておるわけでございます。まあ細かくやってみましても、恐らくあの傾向というのは余り変わらないということを私は認めます。
○増本委員 それでは可能な範囲でひとつ御努力をお願いして、最後に二つだけ、農地相続の関係で検討していただきたい。 一つは、畜舎だとかあるいは農業用の施設を建てるわけですね。都市近効の場合ですと、その用地というのは、いまの建築基準法その他の関係で、全部農地から宅地に転用をして建てなくちゃならない。そうすると宅地になってしまうわけですね。しかし、そこで農業を継続していく、これが今度の場合には対象に入っていないわけですね、農地ということになっていますから。ここのところの救済を考えてあげないと、この相続税についての納税猶予の制度をとったそもそものいきさつが、一つは都市近郊を中心にして地価が上がってきた、相続税負担がきわめて過酷になってきているというところがやはり大きな要素になっているわけですから、そういう都市近郊農業を守っていくということで考えたら、この点についての検討の余地が十分あるのではないか。そして、やはり農業自給率を高め、さらに農業を守っていくという、そういう面でも配慮をすべきではないか。この点が一点。 もう一つは、農業生産法人をつくって、それで常時従事者が相続人の場合に、その農地に生産法人のために耕作権を設定したというものとか、あるいは現物出資をしてしまっているけれども、しかしそこでの法人のもとで常時継続して農業に従事していくというような場合に、現物出資については時価で評価するというのがいまの相続税法のたてまえですけれども、この点もこの農業投資価格との絡みで一定の積極的な緩和の措置というものを考えていくべきではないかと思うのです。 いまは都市近郊の農業はずうっと狭められてきていますから、省力化もし、そして協業化も図っていかなくてはならない。その点は農林省自身やあるいはそれぞれの都道府県等の農政当局が、協業化を指導して法人化を進めていっているという事実もあるわけですね。そして、県などで農業団地をつくりますと、神奈川県の場合ですと、農業法人をつくって農業団地に入って施設をつくる場合には五〇%の補助金を出す、基盤整備のためには六〇%の補助金が出る、しかも長期低利の融資もつくというようなことで積極的に促進をしている。それをやって、ともかく都市近郊で農業を継続していこうということで張り切っている農業後継者が、生産法人に加わったがために相続税との関係ではひずみが出てくるという、ここのところはやはりもう一つ政策的にも考慮をすべきではないか。当面のこの租税特別措置との問題はありますけれども、そういう面についてさらに検討をしていく余地があるのではないかというように考えるのですが、いかがでしょうか。
○中橋政府委員 今回御提案を申し上げております農地の相続税の納税猶予制度の問題は、農地が農業経営のために恒常的に使われますのに、今日の農地の転用ということについての画然たる利用制限というものが確立をいたしておりませんために、方々で農地の宅地化という事象が見られるわけでございます。したがいまして、その売買実例というのが、農地を持っておって相続という事態が生じましたときにも反映をせざるを得ないというのを今回配慮しようというものでございます。恒久的に農業を続けるという方には、そういう宅地含みの売買実例という評価の反映を排除しようというものでございます。 いまお尋ねの畜舎の敷地でございますが、それはいまお話しのとおり、宅地になっておるわけでございます。やはり宅地としての評価が相続の際には免れがたいものでございまして、いわば今回われわれが考えております農地が宅地含みの評価を受ける、それは農業を継続する人にとってはしんしゃくをすべきでないかということとはやや離れておりまして、すでにもう宅地になっておるのでございますから、宅地の売買実例としての評価を相続税についても受けてもらわなければならない、こういうふうに考えております。 それから、農業生産法人につきましては、先日も御質疑がございました。きのうも坂口委員からも御質問がございました。ただ、そのときにもそれぞれお答えをしましたが、農業生産法人といいますものの今日の形態は、実は所有と経営を分化するということになっておりまして、農家がその所有地を農業生産法人成りをしましたときには、やはりその農地といいますものは当然農業生産法人の所有になるわけでございますし、提供しました人はその持ち分を持っておるという地位になるにすぎないわけでございます。もちろん、持ち分を持ちながら常時農業に従事するという道も講じられておりますけれども、やはりその持ち分につきましては、譲渡をいつ何時でも行えるという体制にあるものでございますから——しかし、農業生産法人をつくってそこに農地を提供したということだけで今回の農地の相続税の納税猶予制度についての適用を全面的に排除をするというわけにはなかなかまいらないというのが基本的な考え方でございます。 そういう農業生産法人としまして個人経営の延長線上にあるような場合におきまして、その場合にもすべて全部直ちに猶予しておる相続税を徴収するということもいかがかということで、前にもお答えをしましたとおり、今日いろいろ検討をいたしておりまして、租税特別措置法の政令でもって何らかのしんしゃくを行いたいというふうに考えておる次第でございます。
○増本委員 農業生産法人についてはひとつ救済の道を広げていただきたい。 畜舎などの農業用施設の用地ですけれども、たとえば乳牛十二頭飼いますと大体三百坪の畜舎の敷地が必要なんです。一万羽の鶏ですと五百坪くらい鶏舎を建てるのに用地が必要だ。そこで実際に経営をやっているわけですね。都市近郊であればあるほど、広大な農地で作物をつくるということもなかなかむずかしい、そういう現状は御認識があると思います。だからこそ省力化、集約化して畜産だとかあるいは養鶏とかいうところでやっていこう、いま価格の問題あるいはえさの問題等でそれは経営の危機もありますけれども、しかし、そういう中で何とか耐えていこうということでがんばっておるわけですよ。しかも、ほかの建築関係の法律では、それは宅地にしなければ建物を建てることができないということになっておるわけですね。しかし、そこで建物を建てて、それを農業用施設として使ってやらざるを得ないわけですね。いまの土地の線引きになってそういうぐあいになっているのですね。それはもうすぐにでも処分できるというけれども、そこのところは別の手だてをとればいいわけでして、その実態をありのままの形で見ていくようなことで、現在の納税猶予制度等の積極面を拡大していくということは、将来十分に検討をしていただきたいというのが私の率直な考えなんですけれども、将来にわたっても検討していく余地すらないのですか。それでは農民は怒りますよ。
○中橋政府委員 その問題は、いわば中小企業の事業用地についても存在するものでございます。もう早くも、農業につきましてこういう農地の相続税の納税猶予制度を御提案申し上げましたならば、小規模の事業用資産についても同じようなことを講ずべきではないかという御意見がございます。 確かに、いまの畜産関係は農業の一つの範疇に入りますから、農地の新しい制度により近いということは言えましょうけれども、そういう問題といたしますれば、もうすでに都市にあります中小企業の事業用地あるいは私どもが住んでおります居住用地についても同じ問題があるわけでございまして、これは先ほど申しましたように、すべて宅地は宅地としての評価、もちろんそれについてはかなり売買実例についてしんしゃくをしましたもので評価をいたしますし、またそれについては、同じく今回御提案申しました相続税の課税最低限ということでもかなりカバーをされますので、そちらのほうで問題を処理していただかなければなりません。今回租税特別措置法で処理をいたそうというものは、すべて農地についてのいわゆる宅地含み評価というものをこういう形でしんしゃくをしようということでございまするので、今後におきます検討としましても、同じレベルではなかなか入りがたいと思っております。
○増本委員 私たちは、もちろん勤労者の居住用資産あるいは中小企業の営業用資産等々についても、もっと積極的な配慮をすべきだという考えを持っています。しかし、それと同時に、いまのこの施設農業については、同じ農業をやっている人たちの中で、結局畜産をやるあるいは養鶏をやるという人たちだけがその面では恩恵が得られないという面での、もうある意味では非常にコンクリートな面での不公正な取り扱いになるのではないかというところを危惧するからお尋ねしているわけです。 こういうように農業投資価格が収益還元価格に非常に近いものになってきたということになると、今度はいままでの固定資産税のいわゆる宅地並み課税の評価そのものも、基本的には再検討を逆の形で迫られてくるというような事態も私は十分考えられるというように思います。そういう全体の農政あるいは農業の面での税制のあり方というようなこととの関連で、今後ともいろいろお尋ねしていきたいと思います。 きょうはもう時間ですので、これで終わります。
○上村委員長 午後二時より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時五十四分休憩 ————◇————— 午後二時三分開議
○上村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。広沢直樹君。
○広沢委員 法人税並びに租税特別措置法につきまして若干の質問をいたしたいと思います。 まず最初に、先ほど質疑をやっておりました農地の相続税の問題につきまして、二、三点お伺いしておきたいと思います。 農地の相続税につきましては、わが党も一貫して、農地の評価はあくまで農業収益を基本とすべきであるということを主張しております。したがって、今回の政府案の中での農業投資価格の決定基準につきましては、当然農業収益を基本とすべきである、こういうふうに強調しておきたいわけであります。しかし、この問題につきましては本委員会において再三質問もなされておりますし、昨日はわが党の委員の方からもそういう主張をいたしておりますので、あとこれに関連しました二、三の問題について伺っておきたいと思います。 そこで、まず、農業生産法人の問題につきましては、先ほども御答弁がありましたように、この法人の育成につきましては農林省自身が進めてきた政策であります。したがって、当然、今回の特別措置の対象となっておりませんけれども、これは考えるべきではないか、こういうふうにこれも強く主張しておきたいと思うわけであります。 そこで、もう一つの問題は、先ほどのお話のように、畜舎だとかあるいは温室だとか、そういう農業生産施設に対する農地の評価はどのように考えているのかということでありますが、先ほどのお話では、これは農地転用されたものである、ですから農地ではない、したがって、それを含めて今回の特例の対象とすることはできない、こういうふうなお答えであったように聞いておるわけであります。 しかし、御存じのように、今回農業振興地域整備法の一部改正が行われまして、農用地の区域の指定が厳しくなっているわけでして、その中にいま申し上げましたような農業生産施設、畜舎だとかあるいは温室だとか、そういうものも一応含めてその地域の中で考えるということで、転用の規制というものはそこまで網がかぶさったというふうになってきているわけであります。したがって、そういうことになれば、先ほどのお答えのように、転用してあるものですから処分が自由にできる、こういうような見地でこれは前向きに考えられないというお答えのようであったのですが、その点をどういうふうにお考えになるか、ひとつお伺いしたいと思います。
○中橋政府委員 そもそも今回の農地に関する相続税の納税猶予制度でございますが、本来農地の転用ということが厳密に処理せられておりますれば、今日まで農地の相続税につきましていわゆる宅地含みの評価ということはそんなに行われなかったであろうというふうに思うわけでございます。いまおっしゃいますように、農地のものがたとえば農用地というような範囲内において一括他の地目のものと処理せられるということはございましても、農地そのものについても実は本来はそんなに簡単に転用が行われないはずのものでございました。 ところが、今日までの実情を見てみますと、かなりの農地が宅地化せられております。もちろんその中には、本来法制的には認められなくて事後的に追認せられるような形のものも多々あったわけでございますけれども、そういうものが各地にあるものでございますから、農地の評価に当たりましても、そういった実例を参酌しまして、農地についての評価には勢い宅地含みのものが反映せざるを得なかったのであります。 そこを、今回の制度におきましては、本来の農地の取り扱いに関しまして、いわば農業の法制上の措置として行われるような厳密な線引きというようなものを仮に後継者がみずから課するということによりまして、それはおよそ恒久的に農業を行いますから、純農地としての評価で一応この際の相続税は納めていただくというような制度の採用も可能になると思ったものでございます。したがいまして、一般的に農用地の中で取り扱われているからということでは、今回の制度を発足せざるを得なかった事情から考えてみまして、そういうふうな農地に準ずるものとしての取り扱いをこの際取り入れることはなかなかむずかしいのでございます。
○広沢委員 さらに、われわれの主張の中に、事業用資産についても必要最低限の面積につきましては運用面においてその地域の評価を参酌すべきである、この考え方の基本と、当局からいまも御説明がありましたように、今回の農地の特例をつくりました根拠とに、少し意見のずれがあるように思うのです。農業を後継していくに当たって、実際に農業生産に支障のない、そういった点を勘案すべきである。そういうことになってくると、事業用資産についても、中小企業だとかそういったことについても関連が来るわけですし、さらには前にいろいろ検討いたしました、いわゆる相続の妻の座優遇の問題にしましても、夫あるいは夫に限らず配偶者を亡くして、その平行的な相続の場合については勘案しようというようなことを考えたのも、その社会性といろいろな問題点を勘案してのことだったのですね。 ところが、今度の提案になっている特例の問題につきましては、いわゆる純然たる農地と都市周辺の農地の地価が違う。そういうことで、今度仮に相続になった場合においては相当高く評価されるから、その差額についてのみの考え方だ、基本的には農業生産云々というような問題についての配慮ということではない、こういうところに私は多少主張の違いがあるのじゃないかと思うのです。 そこで、今後の問題として、やはり農業に限らず、相続の問題ということに関して、その生産並びに事業なりがいろいろな問題で継続が不可能である、あるいはそういったことについて非常に問題が出てくるといったことについては、やはり将来の問題として考えていくべきではなかろうか、こう思うのです。これはずっと以前から妻に対する、あるいは配偶者に対する相続の問題につきましても、やはり配偶者を亡くしたことによって、いままでのような、居住用財産まで処分しなければならぬというような、そこにいろいろな矛盾があるので、夫婦間、いわゆる平行の配偶者間においてはこれは考慮しなければならぬという議論の末、一歩そういう前向きな処置というものが考えられてきたと思うのです。 ですから、そういう意味におきましては、今度は事業継続という意味で、そこに一つの矛盾が出てくる場合においてはやはりそれに対する処置も考えてしかるべきではないのか、こういうふうに思うのですが、その点はいかがでしょうか。
○中橋政府委員 今回の農地に関します相続税の特例制度は、先ほど御説明しましたように、いわば農地の転用制度に関します線引きが実行上必ずしも厳密でなかったということから生じました評価上の問題を、現実に後継者が農業経営ということで農地としてみずから線引きを厳密にしましょうという人につきましては、そういった評価で一応処理をしましょうという制度でございまして、農業が今日非常に重要な産業であるとか、あるいは相続の時点におきまして農地の細分化が起こることを阻止しようとかいうような配慮は、むしろさっき申しました理由に入っていないわけでございます。 もちろん、農業はいつの時代におきましても重要な産業でございますし、細分化しないことが望ましいわけですが、相続税ということのために、農地であれ事業用資産であれ居住用地であれ、場合によりますればそれが売られることもやむを得ない場合があるわけでございますから、それはいわば相続税の負担の問題として、課税最低限なり税率なりあるいは延納制度なりで処置をしなければならないことだと思っております。 そこで、農業につきまして、こういう制度をやりましたから、これは恐らくそういう産業に対するいろいろな配慮から出てきたのではないかということで、今回の特例措置と同じような制度を、たとえば中小企業の事業用地について設けてはどうか、あるいはさらには個人の居住用地についても類推適用すべきではないかという御意見もあるわけでございますが、私どもは、冒頭に申し上げましたような、農地利用制限ということの不分明から起こりました特有の問題の解決としてこの制度を考えたわけでございますから、単純にこれを他の財産に類推適用することはできませんというふうに考えておるわけでございます。 ただ、その際やはり一つの反省といたしまして、相続税の各種の財産に対する評価に際しまして、どうしても現実に売られました財産の売買実例を基準といたしまして、かなりのしんしゃくを加えながらも相続税評価をなさなければならないものでございまするから、相続財産としてまだ売られないものの評価としては、ときには重過ぎる場合が生じ得るわけでございます。それを一体どういうふうに考えていったらいいのか。今日行っております売買実例のとり方、あるいはその売買実例から現実の評価額に持ってまいります過程においての参酌率、こういうものについては、やはり今後かなり反省を加えなければならない。 そのためにも、一つの問題として、土地評価審議会においても議論をしていただこうかと思っておりますが、さしあたりまして、やはりいま広沢委員も御指摘になりましたような事業用地とか居住用地の中で、本来、幸いにしてそれを持っておる人たちが、最後の拠点として一番最後まで売らなくてがんばりたいと思っている程度の最小限のものは、やはりその売買実例から相続税の評価に持ってまいります過程において、もう少ししんしゃくをしてもいいのではないか。現実に売る可能性が非常に少ないというしんしゃく率をこの際適用してはどうかということで、今日国税庁の方におきましても、必要最小限、最後の拠点ということですから、そう広範囲なものではございませんけれども、そういった考え方を現在検討しております。
○広沢委員 次に、法人税の問題について若干承りたいと思います。 高度経済成長から福祉経済、安定経済、こういうふうなことで新しい段階に入ってきておりますが、こういった時期が企業に対する課税のあり方についても再検討する一番いい機会ではないかと思うわけです。 そこで、以前の新経済社会発展計画、それに四十八年に立てられました経済社会基本計画、そこでは法人税負担の適正化といいますか、これが必要であることが述べられているわけであります。その結果として政府は、昨年の税制改正で従来の法人税率を四〇%まで引き上げております。そこで、法人税のあり方について今後基本的にどのような方針を持っておられるのか。もう四〇%まで上げた、そして実効税率が諸外国並みの水準まで上がってきている、これでよしとしているのか。やはりもう一歩大きくそれを見直さなければならない段階に来ているのではないか。諸外国と単に税率だけを比べて云々ということだけでは、それは正しい評価はできないのであって、いろいろな面を当てはめて考えていかなければならないのですが、その点についてはどう考えておられるのか。 それからもう一つ、重ねてお伺いしておきたいのは、基本的に法人税のあり方を考え直すということになりますれば、御承知のように、今日まで当局がとってきた法人税に対する考え方というのは、いわゆる法人擬制説的な考え方をとってまいったわけであります。ところが最近、御承知のように、特に企業の社会的責任という問題が取り上げられましたし、法律的に見ましても、法人は個人と同じ一個の独立した人格を持つ、こういうふうにとらえられているわけであります。そういったことから考えてまいりますと、当然、諸外国でも行っておりますように、擬制的な考え方ではなくて、実在説的あるいは法人利潤説的、そういった考え方を基本にして考えていかなければならないのではないかと思うわけであります。 こういった基本的な考え方を変えませんと、それによって生じておりますあらゆる制度、その処置の改正にも手がつかないと言わなければなりません。そういった点をひとつ具体的にこの際、経済の転換、そしてその経済の実態に合ったいわゆる企業の体制、またそれに合った法人税のあり方を再検討するという段階におきましては、いま申し上げた基本的な考え方をもう一遍洗い直してみることが必要な段階に来ているのではないかと思うわけでありますが、基本的な問題でありますので、まず政務次官に所見をお伺いしたいと思います。
○森(美)政府委員 広沢委員の、法人税について根本的に見直してみたらどうかということでございますが、これにつきましては、特別部会ですでに取り上げて研究しております。しかし、ただいまの現況でまいりますと、四十九年の税制改正ですでに二段階方式というのですか、要するに中小法人にも軽減税率を設けておりますし、そういう意味におきまして、私どもといたしますと、根本的なものは特別部会が検討いたしておりますが、いまのところ、本問題についていろいろ論ずることは、諸外国におきましても相当論議されておるところでございますし、その点をあわせ考えまして、この検討の結果を待って私どもそれに対処していこう、こう考えておる次第でございます。
○広沢委員 いまの法人税の基本的なあり方につきましては、四十三年でしたか、税調の答申の中にも、こういったことについての検討をするべきであるという答申があったやに聞いているわけであります。それから約七年もたっているわけでありますが、その間における企業のあり方、そして先ほど申し上げましたように、社会的責任という問題についても問題になってまいりましたし、そういうようなことから考えていきますと、当然、基本的にこういう考え方をいま一遍考え直してみなければならない、こういうふうに私ども思っているわけでございます。 したがいまして、いま検討中であるということでありますが、どうかひとつ前向きにこういった問題を検討していただかなければならない。そうしないと、これからいろいろな面について私、具体的な指摘をしながら伺ってみたいと思いますが、やはりそういった面にも影響が出てくるわけであります。 そこで、具体的な問題として私は、法人税をめぐっての基本的な問題として、二つの大きな問題がいままで論議されながら放置されてきたように思うわけであります。むしろ放置されてきたと言うよりも、そういうことによって非常に矛盾が拡大されてきたように思うわけであります。その一つは配当優遇税制の問題であります。いま一つは引当金あるいは準備金制度の問題であります。 そこで、一つ一つについて今後の政府の考え方を伺いたいと思うわけでありますが、まず配当優遇の問題につきましては、これは企業の内部留保の充実だとかあるいは自己資本の比率を高めなければならない、わが国の企業の自己資金比率というのは非常に低い、こういうわけでそういった問題が取り上げられ、配当優遇の処置というものがとられてきたという経緯がありますし、政府においてもそういうことを述べております。 そこで、実際にそれではこういう処置をとるについては、当然その目的に沿って改善されたかどうかということをまず考えてみなければならない。こういうふうに税率は一本化すべきであるという税調の答申もありますし、いままで政府部内においてもそういう議論があったやに聞いております。しかしながら、あえてこういう優遇処置をとるということは、これはいま申し上げたような自己資本比率を高める、あるいは企業内部の留保の充実を期するんだ、こういう目的があったというふうに言われているわけでありますが、それでは実際に効果が上がったのかと言うと、自己資本比率というのは、先ほどいただいた資料によりましても、全体的に見まして年々相当低下をしてきております。全企業を対象に見た場合においては、四十八年までしかいま私の手元ではわかっておりませんが、これが一四・四%、十億円以上の企業で見た場合におきましても、年々低下しまして、四十八年で一五・五%。こういった実績が示すところを見ますと、やはりこの配当優遇の処置を講じたという目的はまず達成し得なかった。 これはいろいろな理屈があるかと思います。この程度でとまったのはこの制度があったからだという理屈もあるかもしれません。昨年も私、この問題を取り上げたときに、そういった答弁もございましたけれども、しかし相対的に考えてやはり物を判断しなければならないと思うのですね。現実の面ではこういうような状況になっているのですが、これについて当局はどういうふうなお考えを持っていらっしゃるのか。 今回、配当軽課の問題につきましては、基本税率が上がったのと同時に、四十九年度から二段階で、五十年度においては三〇%まで税率が上がっていますし、あるいは受取配当の益金不算入の問題につきましては、これはそれぞれの処置が講じられておりません。こういったことを考えてみますと、ここには一つ大きな疑問があるわけでありますが、まず当局がどういうふうにお考えになっているか、聞いておきたいと思います。
○中橋政府委員 わが国の法人税制の中に、いまお話しの配当軽課税率を導入いたしました。その目的としましては、確かに一つ、自己資本の充実ということを考えたわけでございます。しかも、その後におきます経過は、いまお示しのように、やはり依然としていわゆる自己資本比率というのは低下の傾向でございます。これはもちろんわが国におきます経済成長のスピードということ、あるいはわが国民の貯蓄に対する態度、特に企業が直接投資よりも間投金融に依存せざるを得ないという環境、そういったことがいろいろ交錯をいたしましてこの結果になってきたものと思っております。そういうことであれば、配当軽課税率の目的を達しなかったのであるから、これを再検討すべきでないかという御議論かと思いますが、もちろん、私どもも基本的な税制の仕組みとしてこれを再検討するにやぶさかではございません。ただ、あの当時いわゆる配当軽課税率を導入をいたしましたが、その際にいろいろ御議論のございました点として、いわば企業の経営者の考え方として、増資を行うべきか、借入金に頼るべきかというようなときの判断として、やはり配当軽課税率というのが非常に有効に働くであろうということも言われたわけでございまして、その点に関しましては、やはり依然としてそういう事態は残っておると思います。 それから、税制としましても、その際に、なるほど配当軽課税率を導入しましたけれども、同時に受け取り側におきまして、たとえば配当を受け取ります法人においてそれを留保しましたときの益金不算入の割合というものを、配当軽課税率を導入しましたときの税差の四分の一程度を圧縮するということにいたしましたし、個人株主がこれを受け取りましたときの配当控除率も同じように四分の一程度圧縮をしました。したがいまして、税制全体の仕組みから言いますれば、決して配当軽課税率を導入したことでそのままで終わっておるわけではございません。やはり受け取り側においてはそれ相応の措置をしておるわけでございます。 したがいまして、今後の配当軽課税率の問題を考えます場合には、やはり自己資本比率の問題も考えなければなりませんけれども、税制としますれば、その受け取り側におきますところの圧縮というのもあわせて考えなければならない、そういった問題がございます。
○広沢委員 さらに、配当性向と実効税率の関係でありますけれども、配当性向の高い企業と低い企業では実効税率に大きな開きがあると思うのです。この点はどういうふうになっているか、御説明いただけますか。
○中橋政府委員 おっしゃいますように、配当軽課税率は、法人の段階で上げました利益のうち、配当せられる部分がどの程度にあるかということで、自動的に総合的な負担は変化するわけでございます。いわゆる利益の中で配当に充てられました部分が少なければ少ないほど、総合的ないわゆる実効税率は高くなるわけでございます。仮に配当を全額留保しました場合には、法人税、法人住民税、法人事業税の総合的な実効税率は五二・六一%になるものでございますし、配当の割合が利益の中で一〇%であるという場合にはその率が五一・五五%、三割になりまして、いつもお示ししております四九・四七%ということになるわけでございます。もちろん、この配当の割合がふえますれば、これよりも総合的な実効税率は下がるわけであります。
○広沢委員 いま御説明があったとおり、わが国の現行税制は、配当優遇税制のためにいわゆる配当性向の高い企業ほど実効税率が低くなる、こういう逆累進になっているわけであります。 そこで、「法人企業の実態」によっていろいろ調べてみました。それによりますと、大企業ほど支払い配当が多く、さらに受取配当の益金不算入割合が高いという結果があります。というのは、これは四十七年分で調べてみたわけでありますけれども、資本金階級別受取配当の益金算入割合を調べますと、資本金が百万円未満、これは四十七年分であります。受取配当の計が十六億三千九百万で、益金算入割合が一一・七%、こうなっております。ところが、これが五百万、一千万となりますと、この益金算入割合が九%、それからだんだんずっと下がってまいりまして、十億円以上になると三・五%、百億円以上になると一・八%ですか、私の計算が間違っていなければ。これは「法人企業の実態」、四十七年分しかありませんので、それから割り出してまいりますとそういうことになるわけであります。 それからもう一つ、資本金階級別支払い配当の割合を見ますと、これも同じく百万円未満は支払い配当率が九・四%であります。それから五百万円以上になりますと一四・一%、それから先ほどの十億円以上になると一七・一、それから百億円以上になると二一・六、こういうふうに大きな企業ほど支払い配当率が多く、それだけ配当優遇税制の恩恵を受けているという結果になろうかと思うわけです。こういったように非常に不公平な税制の形を残しているという結果になるのではないか。 そこで、不公平税制の是正ということが今日的問題になっている事情につきましては、先ほど申し上げました、効果が上がっている上がっていないという問題もありますけれども、さらに大きな企業にのみ優遇になっているという、こういった傾向を是正するためにも、もう一遍、先ほどのお答えでは非常に不満足で、やはり洗い直してみる必要があるのじゃなかろうか、こう思うのでありますが、いかがでしょうか。
○中橋政府委員 ただいまお示しの、いわば資本金の階層別に受け取りました配当の益金算入率が、資本金階層が大きくなればなるほど少なくなっておるということは、先ほど私が御説明しましたように、配当軽課税率を導入しました際に、配当を受け取る側におきましての従来の益金不算入割合とか個人の配当控除割合をそれだけ圧縮をしたわけでございます。それで調整をとったわけですから、恐らく資本階層の低い企業におきましては、受け取りました配当をそのまま自己の留保に充てる部分が多いわけでございますので、益金算入率が高くて、大企業になればなるほどそれをまた次の配当に回すという部分が大きいわけでございますから、益金算入割合が小さくなるということになると思います。 そこで、いわばそういう他の会社から受けました配当も含めて、自己の新たにもうけました利益も総合しまして、そこから払います配当率は、おっしゃいますように資本階層が高くなればなるほど大きくなるというのも、一つの現状を示しておるのかと思います。それは確かに、大規模な法人になればなるほど、いわゆる配当を支払い金利と同じように経済的に見る傾向がございますから、景況のいかんにかかわらず、配当として株主に分配しなければならない部分がかなりあるわけでございます。したがって、支払い配当の率というのは、恐らくお示しのように、資本階層が上に行けば行くほど高くなっていくのだろうと思います。それはおっしゃいますように、支払う法人のところだけをごらんになりますれば、配当軽課税率の適用が大きいわけですから、先ほどお話し申し上げましたように、総合した実効税負担率というのは軽くなるわけでございますけれども、今度はその配当を受け取りました個人を考えていただきますれば、そこで配当控除の割合というのを、配当軽課税率導入とともに削減をしましたその効果が働いてくるわけでございますので、通算してごらんいただければ、そこにはおのずと改正前後におきましてそうバランスを失しておるということはないわけでございます。 そういう基本的な仕組みが一体いいのか悪いのか。それは確かに一つの基本問題でございますけれども、今日のような法人と配当受け取り者において税の調整を要するという立場に立ちますれば、このような税制度もやむを得ないというふうに考えます。
○広沢委員 いずれにしましても、いまいろいろ御指摘申し上げましたように、大きな企業ほどこういうふうな、結果的には実効税率の低くなる、優遇されたという結果が出てくるわけであります。ですから、企業間格差を是正していかなければならないとか、あるいはこういう不公平と言われる格差が出てくるようなやり方というものは、やはりいま洗い直して検討してみる必要がある、こういうふうに申し上げておきたいわけであります。 次に、あと時間がありませんので簡単に申し上げますけれども、いわゆる引当金と準備金の問題でありますが、これもやはり一遍総体的に見直してみなければいけないじゃないか。特に実態に合致したあり方を一応見直してもらう必要があるのではないか、こう思うわけでありますが、この点についてどういうふうにお考えでありましょうか、お伺いいたします。
○中橋政府委員 租税特別措置につきましては、たとえば預貯金についての優遇措置というもののようにかなり長い間継続するような措置もございますれば、また、そのときそのときの経済政策に対応して導入をせられました特別措置もございます。それで、その中におきまして、特にわが国の企業が、戦後の乏しい内部留保というようなものから今日に至ります過程におきまして、これを充実します意味においていろいろな特別措置をとってまいりました。そういう観点から、今日ございます準備金制度については、やはり相当今後の検討にまたなければならないものがあると思っております。 そういったものの一つとしましては、輸出に非常に重点を置きました時代の産物としての海外市場開拓準備金というようなものがございますが、これはすでに形骸をとどめるだけにだんだんなってまいりましたし、今回の改正におきましても、価格変動準備金その他についての若干の手直しをお願いいたしておりますが、今後ともそういった観点から、わが国の企業の内部留保の厚さが強まれば強まるほど、こういった面についての再検計を加えてまいりたいと思っております。 引当金につきましては、これも毎々申し上げておりますように、質的にはやはりこういったものを認めるということも必要な部面があるかと思いますが、量的には常に適正な率というものを見出しながら、それに近づけるように今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
○広沢委員 時間の関係で、貸倒引当金制度と、それから異常危険準備金制度、この二つについてお伺いしておきたいと思うのです。 まず、貸倒引当金制度の問題については、シャウプ税制以来の非常に長い歴史を持っているわけでありますけれども、この制度が、利潤の費用化という形で大企業の利益を隠している、こういう面に利用されたのではないかということが今日非常に問題になっております。 そこで、まずお伺いしておきたいのは、三十五年の税調答申の説明では、税法上の引当金、準備金を三つの種類に区分しております。一つは負債性の引当金、もう一つは評価性の引当金、それから偶発損失準備金。貸倒引当金は評価性引当金に属している、こういうことになっておりますが、その後昭和三十九年の改正で貸倒引当金と名前を変えているわけです。その性格は現在も評価性引当金と見るべきかどうか、この点についてはいかがでしょうか。
○中橋政府委員 税法におきまして、今日貸倒引当金の設定を認めておりまするのは、やはり評価性の引当金という観点から認めておるわけでございます。
○広沢委員 貸倒引当金は、多分に将来の貸し倒れの危険に備える準備金的性格、こういうものを持っているわけで、評価性引当金という性格と大分違っているのではないかと考えるわけです。というのは、これは現実にあったものではなくて、将来のことですからわからないわけですね。ですから、現在他の評価性引当金もございますが、そういうものに対しての実態に合ったやり方をとっていないわけですね。ですから、いま評価性引当金だとおっしゃるけれども、現実は違うのじゃないか、こういうように思うわけですが、いかがでしょう。
○中橋政府委員 企業が持っております債権をいかに評価して課税を行うべきであるかという際に、この貸倒引当金でもってしんしゃくをするわけでございます。一体、将来においての滞り償却がどの程度になるかということは、おっしゃいますように、将来への予測でございますから、なかなか的確な率というのは見出しがたいわけでございますけれども、やはり過去におきますそういったものを基礎に置きながら見出す以外には方法はないわけでございます。 一体、そういうものをどういうような広さで、あるいはどういうような期間においてこれをとったらいいのかというので、今日までいろいろ模索をしておるわけでございますが、たとえば、金融機関について見ましても、各種の金融機関がございますし、期間的に見ましても、非常にそういった事態が大きく生じたときもありました。その程度が一体それでは——ないに越したことはございませんが、仮に起こったときには、どの程度の予測を行わなければならないのかというようなことで、ある程度公共的な金融機関でございますから、内部留保を厚くしてそれに備えるという必要もございますので、今日まで一%というような線でやってきたわけでございます。外国の例もいろいろ参酌しながらこれからも検討してまいらなければなりませんし、個別の企業におきまして、たとえば大きな貸し倒れがあったときにも、どの程度のものであったかというようなこともこれから参酌しながら、実態に近いような、しかも将来において不都合の生じないような率を見出したいと思っております。
○広沢委員 実態に近いような形で見たいとおっしゃるのですが、昨年あるいは一昨年問題になりましたいわゆる金融機関の貸倒引当金ですね、これについても、実態に近いどころか大分実態から離れておるわけですね。確かに取り上げられ、改正はされましたけれども、わずか〇・二%ですかの改正だけであった。それで、実態とは千倍くらいの違い。それは貸し倒れがないということであって、金融機関ですから特にそういう危険がないということは好ましいことには違いありません。けれども、余りにも実態と違い過ぎているというところに今日問題があるわけですからね。ですから、実態に近づけて考えるというのであれば、もう少しそういう部分的なちょっとした手直し、小手先の手直しではなくて、これは本当に実態に即した改正をやっていかなければならぬと思うんです。 それで、金融機関は確かにそういうことで改正が行われたわけですが、では一体、ほかの企業はどうなっているか。これは答申を見ましても、長期答申なんかをいろいろ私見ていましたら、企業の実態というのはなかなかわからない、わからないから、それについてはやはり一つの基準を設けて、そういうことでやる以外にはないんだというような議論もなされているようでありますけれども、それでは先ほど冒頭に申し上げましたように、利益隠しだ、現実に合っていないではないか、こう指摘されてもどうもしようがないんじゃないかと思うんですね。そういう面ではやはり企業の方においても、この制度というものがどういうものになっているのか、企業の実態に合わせて見直して見るべき必要があるのではないかと思うのですが、重ねてその点についての答弁を願いたいと思います。
○中橋政府委員 先ほど例を挙げましたのは金融機関でございますけれども、あらゆる業種についてそういった問題を考えなければなりませんことはおっしゃるとおりだと思います。ただ、そういう率を、過去におきます実態、それに将来への予測を加えまして適正な率を見出さなければなりませんが、いまおっしゃいましたように、金融機関につきましても、わずか〇・二%であったではないかというふうにおっしゃられますが、実はこの三年間の間に一・五%から一・〇%に下がったわけでございまするから、三分の一急激に下げたという評価は認めていただきたいのでございます。 それからもう一つ、確かにこの貸倒引当金というのは評価性の引当金でございますけれども、まだわれわれの中にもそれに徹し切れない部分がございます。と申しますのは、中小企業については、租税特別措置で一般に決めておる率の二割増しというふうに定めておりますが、これはまさに過去の実態というようなことよりは、中小企業についての内部留保を厚からしめる方法としてこういうものを使っておるわけでございますので、貸倒引当金を今後実態の線にできるだけ合わせますということを考えましても、やはり過去における率と、それから実績と、それから将来への適正な予測というものを勘案しながら見出していかなければならないと思っておる次第でございます。
○広沢委員 そこで、この貸倒引当金につきましては、残高を見ますとやはり一億円以上の企業、一億円と言えばほとんど大企業ですね。それ以下の中小法人についてはこれはごく一部ですよ。そういうふうにやはり一億円以上の大企業がほとんどこの制度を活用しているということになりますれば、それは会計的にも、会社も相当大企業ですから整備をされておりますし、その点から考えていくと、やはり実態に基づいてこういうことも考えていくべきではないだろかと思います。 これは諸外国の例を引くまでもありません。アメリカについても、西ドイツにつきましても、やはり実態に基づいて考えるという行き方をとっているんですね。実績値に基づいています。それは確かに中小法人などは非常に繁雑でわからない、かえって怪しくなるということもありますから、それは分けて、中小法人については概算でやる。ただし、そのほとんどの、活用している一億円以上の企業、約四分の三は一億円以上の企業だと思いますけれども、それはいま申し上げるように、制度的にも十分実績値に基づいて行ったって、そこにややこしい手続上の問題だとかいろいろな問題は生ずるわけはないのですね。 そういうふうにいろいろな諸制度を——いま一、二の点しか挙げる時間がございませんでしたけれども、考えてみますと、法人税あるいは租税特別措置法といったものをまだまだ洗い直してみなければいけない。ですから、冒頭に申し上げたように、いま経済を転換しなければならぬ、あるいは法人税のあり方も、諸制度もここで大きく洗い直してみなければならぬ、こういうことになりましたならば、いままでのような部分的な手直しあるいは一部ちょっとそこをいじったからこれで姿勢がうかがわれるのではなかろうかというような考え方ではならぬと思うんですね。ですから、そういう面では、いま一、二の点しか指摘申し上げられませんでしたけれども、今後十分に見直しをして、現在の経済の実態に即した税制に変えていかなければならぬ。なかんずく、不公正の問題が取り上げられているわけでありますから、法人税あるいは租税特別措置法におきましても、そういう観点から基本的な見直しを行うということが重要じゃないかと思います。 この点は強く意見、要望として申し上げまして、あとの異常危険準備金の問題については時間がなくなりましたので、別の機会にまた申し上げたいと思います。
○山下(元)委員長代理 佐藤観樹君。
○佐藤(観)委員 時間があと一時間しかございませんので、三点にわたってきょうはお伺いをしたいと思います。大体バックグラウンドについては私もわかっているつもりでございますので、答弁の方も端的に簡単にお願いをしたいと思うのです。 一つは、いま広沢委員もいろいろな角度から現在の租税特別措置法あるいは法人税法のあり方について御質問がありましたけれども、退職給与引当金を一つとっても、もう少し改善の仕方が実態に即してあるんじゃないだろうか。肝心なところではどうも役に立たなくて、ちょうどふろのふたみたいなもので、必要な中小企業は積んでなくて、余り必要でない大企業には非常に積まれているという実態があるのではないだろうかという気がするわけであります。 そこで、簡単で結構でございますので、後に関係をしてきますのでお伺いしますが、この退職給与引当金の対象になる法人、それと累積の限度額、簡単で結構でございますからちょっと述べてください。
○中橋政府委員 退職給与引当金は、労働協約なり就業規則において退職給与規程を設けておりますれば、いかなる法人であれ設定できるわけでございます。累積限度は、期末におきます支給必要額の二分の一でございます。
○佐藤(観)委員 そこで、確認をしておきたいことは、働協約なりあるいは就業規則で退職給与規程というものをつくるということ、あるいは税務署に届けるということが一点と、それから、いわゆる期末の退職金の要支給額の五〇%という制限がついているということだと思うのです。 それで、現在まで、たとえば昭和四十二年から今日まで、全体的な利用の会社の状況ですね、果たしてこれは退職給与引当金というものがどのくらい実態的に企業で使われているのか、それについてはどうですか。
○中橋政府委員 昭和四十年、四十一年当時は、約四万会社ぐらいが利用いたしておりましたから、利用割合としては約五・五%から五・八%でございます。昭和四十八年度についてこれを見ますれば、約八万件の会社がこれを利用いたしておりまして、その割合は七・四%でございます。
○佐藤(観)委員 これを貸倒引当金なんかの利用度、四十七年度の数字で貸倒引当金が四二・六%、こういう数字と考え合わせてみますと、退職給与引当金というきわめて重要な引当金が、非常に低い割合しか平均してみますと事実上使われてないということになると思うわけであります。 それで、資本金階級別の退職給与引当金の利用度合いというものはどうなっていますでしょうか。
○中橋政府委員 昭和四十七年度の数字でございますけれども、たとえば資本金階級が百万円未満の会社におきまして退職給与引当金を利用いたしております会社は約三千四百社でございまして、その割合は一・二%でございます。資本金一千万円超五千万円未満で申し上げますれば、利用しておる会社は約二万六千社でございまして、利用割合は二八・四%でございます。資本金が十億円以上五十億円未満の会社で申し上げますると、利用しておる会社は千二十五社でございまして、その割合は八七・三%ということになっております。
○佐藤(観)委員 いまの答弁にもございましたように、小さい資本になればなるほど利用の割合は非常に小さくて、そして資本金が大きくなればなるほど、五十億円超百億円までの会社ですと九五・一%という大変高い度合いで利用されていることがわかると思うのです。 改めてお伺いをしますけれども、この退職給与引当金の制度というものは一体どういう目的でつくられているのか。この制度の目的というのはどういうものですか。
○中橋政府委員 退職給与引当金はいわば債務性の引当金でございます。退職給与規程が決まっておりますれば、一年間なら一年間従業員が勤務をしますれば、その人がやめましたときに支払われる退職金というのはそれだけふえるわけでございます。そのふえる分はその人が働いたその事業年度の経費としてそのときの収益にチャージをさせるというのが、収益と費用の対応から言いまして適当であろうということで、その分の引き当てを損金として認めるものでございます。
○佐藤(観)委員 その場合、負債性の強いあるいは債務性の強い引当金である、それはまさにそのとおりなんでありますが、それに対するいわゆる債務というのはだれに対する債務かと言うならば、これはそこで働いている人、労働者に対する債務なわけですね。その意味では、この引当金というものがそこに働いている労働者の退職金を確保していく。もちろんこれは一挙に多額のものを企業が出せるわけでありませんから、当然企業会計上積み立てておくという性格のものでありますから、そういった意味での企業会計上の処置であるということと同時に、その企業会計上の処置というのは、労働者に対する債務であり、そしてそれは雇用の安定とかあるいは退職金の確保という意味、目的が含まれているということは御了解いただけますでしょうか。
○中橋政府委員 退職給与規程でそういう支払いを約束いたすわけでございまするから、個々の支給を受ける人は別といたしまして、やはり全体としての従業員に対する約束としての債務というふうに観念されるものでございます。
○佐藤(観)委員 そこで、いまの中橋局長のその目的に対する御説明の中で、私、若干ひっかかったのは、労働者保護という観点というのがどうもいまの場合に説明が足りないのじゃないだろうか。この退職給与引当金の現状についても、どうも企業会計上の考えからのみこれが現実に使われているような気がするわけです。 そこで、先ほどお伺いをしましたように、資本階級別に見てみますと、百万円未満の会社は利用割合が一・二%、中間の一千万から五千万の会社で二八・四、それから五十億円超が九五・一と、資本階級が大きくなればなるほど非常に利用されている。実態はこういうふうになっているわけでありますけれども、労働者保護という立場から考えるならば、本来はむしろこの資本階級の規模と逆転の現象が起こっていなければいかぬ。つまり資本金が百万円未満の会社ほど、つまり小さい会社ほど本来はこの利用割合というものは高くなければ労働者の保護ということもできないし、逆に言えば、資本金が大きい会社でありますから一挙につぶれるということはほとんど考えられない。あるいは一挙に五〇%やめるということも考えられない。こういうことから考えますと、いまの利用割合の実態上は、どうもそういった労働者保護の観点というのは余り十分うまく機能していない。 これは何も中橋局長の責任だと言っているのではないのですよ。責任だと言っているのではなくて、実態は債務性の強い引当金である限りは、債務というのは労働者に対する債務ですから、その意味で私は先ほどふろのふただと言ったのですけれども、どうもそういう感じが、感じというか、実態を見ますとそういう分析がされるのでありますが、そのことについては局長はどういうふうにお考えになりますか。局長が悪いと言っているのではないのですよ。税法上悪いと言っているのではないが、実態についてはそういうふうに読まざるを得ない。私は後で具体的な御提案を申し上げますけれども、実態はそういうふうになっているということについてお認めになるかどうかということです。
○中橋政府委員 退職給与引当金を損金として認めますということは、間接にはそれを受け取るべき労働者について非常にいい効果を及ぼすということは確かだと思いますけれども、税金の面でこの設定を認めましたのは、むしろそういった観点よりは、課税所得としましていわば給与の後払いと観念せられるような退職給与引当金を、それぞれ勤務しました事業年度にチャージをさせるのがよろしいから、そういうものは引いたところで課税をしましょうというのが趣旨でございます。 それで、そういう退職給与引当金を利用していることが、先ほどおっしゃいましたように、大法人に多くて中小法人に少ないというのは、一にかかりまして中小法人におきまして、特に小さい法人におきまして、退職給与規程というものができていない、いわば労働者に対しましてそういう約束がなされていないものが非常に多いということにほかならないのでございます。
○佐藤(観)委員 いま一番最後に述べられた点については、私も後でもう少し御質問します。 そこで、いま現実に問題なのは、確かに企業の会計上あるいは税の考え方としてはそういうことかもしれませんが、しかし債務というのはあくまで労働者に負うべき債務でありますから、労働者が保護されるような実態にならなければいかぬと思うわけですね。その意味において、具体的な提案をしたいと思うわけであります。 どうも今日までの主税局の考え方は、この退職給与引当金について、純税法的と申しますか、あるいは企業会計上の考え方の方が優先をして、実態の面において若干かけ離れているところがあるのではないか。そこで、日本の給与体系というものは、終身雇用制が大きな実態と申しますか、前提になっておりますし、あるいは賃金体系上も退職金というのは非常に普遍的に使われている。この点は、退職金というものについて余り重きを置かないアメリカの会社とは違うわけでありますが、この終身雇用制の前提、あるいは退職金というものは普遍的である、こういうことを考えた場合に、私は、この退職給与引当金というものを税法だけでやるのがいいかどうかは別として、これはたとえば社外に出した場合には税法で損金と認めましょう、やり方はいろいろあると思いますが、いわゆる強制的な何らかの積立金に変える方が労働者に対する保護としてはいいのではないか。そして、それを補助する形では、税法上、外部に出した場合にはこれを損金として認める、こういう制度に変えていくべきではないだろうか。 と申しますのは、たとえば貸倒引当金といったものに比べてみますと、非常に普遍的であり、しかも債務性が一番強い引当金ということを考えますと、これは強制的に外部の積み立てというようなことを税法で誘導した方が現実に合ってくるのではないだろうか、私はこういう提案をしたいわけでありますが、この点についてはいかがでしょうか。
○中橋政府委員 外部に拠出しまして退職給与に当たるものを確保するという道は確かにあります。ただ、そのときには、外部に拠出をしますから、税金の面から申しますれば、いわば会社の手を離れるということが確実でございますと、これは当然損金になるわけでございます。 いま議論になっておる退職給与引当金はそういうことではございませんで、内部の資金として留保せられますけれども、いわば債務性が非常に強いということで、その債務をその期に生じたものと同じように税金の方では見ましょうということで、いわば課税を遠慮するわけでございますから、それを外部に拠出することで確保して、労働者に確実に支給せられることを実現しようと言われるお気持ちはよくわかりますけれども、税金の面から申しますと、外部拠出の場合はすでにもう十分損金に成り立ち得る問題でございますし、内部に留保しておきます場合に、それを損金とするかどうかということで引当金の問題が出てまいるわけでございます。
○佐藤(観)委員 私はいま必ずしも外部に出すというやり方について論議をしているのじゃなくて、一つは外部に出すというやり方もあるだろうし、要するに、これはある程度の強制的な積み立てにする、この率がいまのように一律五〇%でいいかどうかは次の問題として、やはりこれだけ負債性の強い引当金でありますから、ある程度の一定額を強制的に積み立てるというシステム、ですからこれは果たして税法だけでいいのかどうかは別として、それならば内部でそういった強制的なことができるかと言いますと、私は、恐らくいまの税法のたてまえからいきますと、内部に置いておいて、いま言ったような引当金的な状態にしておいて、債務性の強いこの退職給与引当金というものを維持するということはなかなかできにくいのではないか、税法の考え方からいくとやりにくいのじゃないか。 もし外部に出さないで内部でこれをそういった意味での強制的な一定額の積み立てということを考えた場合には、これは税法上どういう扱いになりますか。
○中橋政府委員 退職給与引当金が負債面に計上せられますと、その見返りの資産としましてはいろいろな形のものが考えられるわけでございます。おっしゃいますように、たとえば流動性を確保するという意味におきましてかつてそういうことをやった例もございますが、ある種の非常に流動性の高い預金として資金運用をしておくということも一つの手段かと思いますけれども、それも実はいま佐藤委員のおっしゃいます、御期待になっておる線とややかけ離れた点があるのではないかということで、引当金としまして、しかもおっしゃるように積立制度というのはなかなか結びつかない問題だと思います。
○佐藤(観)委員 内部に置きますとこれがまた流用されたり、なかなか問題があるものですから、私は具体的には外部の強制積み立ての方が、そういった意味でははっきりするのじゃないだろうかと思います。 こういう観点から、これは果たして税法だけ、主税局長にだけお伺いすることがいいかどうかについては、若干私も範囲が広過ぎるような気がするものですから、これ以上はこの点については追及をいたしませんが、やはりこの点について考える必要があるのじゃないかと思うのです。あくまでこれは給与の後払いという性格を持っている以上、非常に債務性の強いお金でありますから、これは確保する。それが私は、いわゆる引当金としての、しかも普遍的にして非常に負債性の強い引当金のあり方だろうと思うわけであります。 それともう一つ、率の問題なんでありますけれども、冒頭にお伺いしましたように、これは必要な支給額の五〇%までしか積み立てられないようになっているわけですね。これはそれなりの理由があるわけでありますが、先ほど御報告をいただきましたように、実態は、小さい企業の方は一・二%ほどしか利用されていない。大企業になると九五・一%利用されている。しかし実態を考えてみますれば、本当に退職給与引当金が必要なのは資本規模の小さい方の会社であり、大企業の方は、これは一挙に五〇%もやめることも現実には考えられませんし、それから規模の大きなものはたとえば電力とかガスとか銀行とかいった非常に公共性の強いものでありますから、国においてもこれをつぶすということは考えられないわけですね。こういった意味で、果たして五〇%という累積限度額を、小も中も大も一律に認める必要があるのだろうか。 たとえば、資本金別によって上位のクラスは二〇%まで、下位はいろいろ理由がありますから五〇%、このくらいの差を設けた方が現実に合った引当金のあり方じゃないか。それをやらないと、先ほど広沢委員からもいろいろ言われましたように、やはり非常に過剰な大企業に対する優先政策だと言われてもいたし方ないのじゃないかと私は思うのですが、この点についてはいかがでございますか。
○中橋政府委員 退職給与引当金を認めておりますのは、たとえば会社がつぶれるから、つぶれないからということで認めていないことは、先ほどから御説明いたしておりますところで御理解いただけておると思います。 それで、二分の一を累積限度といたしておりますことにつきましては、一方からは、債務性ということを非常に強調しますれば、むしろ一〇〇%積むべきであるというような理論もございますけれども、私どもの立場は、従業員がある一定の年限を経過してやめる、その際の退職金を当期において費用として見るわけでございますから、それだけと経過期間を置いて考えることができますので、そういうものをしんしゃくいたしまして二分の一という数字を出しておるわけでございます。ですから、これをさらに、大法人でありますからとか、企業として存続する可能性というのが一〇〇%あるから、むしろそんなものをそうたくさん積まなくてもいいではないかということからこれを削減するということは、引当金の性格上なかなかむずかしいのではないかというふうに思うわけでございます。 中小企業がこの制度を利用するためには、先ほど申し上げましたように、一にかかりまして企業主の方で、退職給与金をこういう規程で払うという決心をしていただければ容易に利用できるわけのものでございます。 ただ一方、このごろ非常に外部拠出の年金制度等につきまして、これを中小企業の方で利用しておる面もございますから、あるいはその面の利用が退職給与引当金としての利用割合を低めておる要素もあるかと思いますけれども、わざわざ外部拠出をしないで、内部留保としての引当金制度を利用するということでございますれば、退職給与規程というものをつくっていただければ利用できるわけでございますので、十分その要請は満たし得るものと思っております。
○佐藤(観)委員 この問題は、やろうと思えばまだ一時間ぐらいかかると思うのです。これは要するに、企業会計上の観点からいくか、現実の退職給与引当金の現状から労働者保護ということを考えるかという問題では、恐らく非常に平行線になると思うので、きょうは時間がありませんから、この程度にします。 次に、現状の税の執行上の問題なんでありますが、もう前段は略します。 いつも国税庁が発表します、たとえば昭和四十八年度における法人税及び源泉所得税の課税実績というのがありますね。これの四十八年度分について、実地調査の件数、更正と決定のぐあい、あるいはそのうちに不正分が一体幾らぐらいあったのか、それについて若干説明してください。
○安川政府委員 お答えいたします。 昭和四十八年の法人の事務年度につきまして、全体といたしまして実地調査をいたしました件数は十一万八千百八十六件でございます。そのうちに更正等いたしました件数が八万九千七百九十二件、そのうちにさらに仮装等の計算がございました不正件数が二万四千三百八十四件、以上のような状態になっております。
○佐藤(観)委員 それと、資本金五千万以上の調査課の所管分の法人がありますね。これについてはどうですか。
○安川政府委員 ただいま申し上げました計数は、税務署所管と調査課所管の合計でございまして、資本金五千万以上の法人につきましては、調査課で調査いたしておるわけでございます。したがいまして、ただいま申し上げました数字のうちの調査課分を申し上げます。 実地調査をいたしました件数が五千六百八十件、更正をいたしました件数が五千百十六件、そのうち不正を発見いたしました件数が千三百五十三件でございます。 ちなみに、税務署の所管分を対応して申し上げますと、実地調査件数十一万二千五百六件、更正の件数が八万四千六百七十六件、不正件数が二万三千三十一件、かように相なっております。
○佐藤(観)委員 そこで、おたくからいただいた資料にはパーセンテージが書いてあるわけですが、全体の話で四十八年に限って話をしますと、要するに、調べた件数のうち更正あるいは決定をした割合というのは七六%、つまり四件調べれば三件は更正なり決定をしなければいけないということですね。不正が発覚をした割合というのはそのうちの二一%、これは表にはございません。計算してみますと二一%。これは実地調査に対する割合、五件に一件は不正をしていたということになるわけですね。 それから、調査課の所管分を見てみますと、それよりさらに数字は大きくて、実地調査をした件数のうちの九〇%が更正ないしは決定をする。つまり、十件調べたら九件までは何らかの増差を出さなければいけないということになっている。しかも、実地調査に対する割合からいきますと、五千万以上の規模の会社というのは二四%の不正が発見されている。二四%というのは税務署所管全部の平均の二一%よりも高いわけですね。要するに、不正が発見される率というのは、五千万以上の資本金の会社の方が多いというふうに読めると思うのでありますけれども、その点についてはよろしゅうございますね。
○安川政府委員 まず、表の読み方でございますけれども、私ども、税務署所管分あるいは調査課所管分両方通じまして、どういうものを実地調査の対象に選ぶかという選択をいたす段階がございます。したがいまして、資料あるいは財務諸表等の分析によりまして、計算上いろいろ疑うに足る理由のあるものをピックアップいたすわけでございます。ただいま先生が御指摘になりました全体の実地調査いたしたものの中で更正等の件数が非常に多い、合計七六%という数字がございますが、これはそういったようにある程度調査対象を選定する段階でセレクトいたしたことでございますから、一般の法人はこういう状況ではないというように考えられます。 それからまた、税務署所管分と調査課所管分と分けまして、特に調査課の方はただいま申し上げましたような対象の選定を綿密にやりますし、さらには職員が非常なベテランでございます。さらには一件当たりの調査日数をかなり投入いたしますので、さような行政能力の差というものが、また若干反映されているかと思います。 したがいまして、先ほど申し上げました数字のパーセンテージそのものが、大法人と中法人のそのまま端的な、俗な言葉で申し上げますれば悪さの度合いとはならないと私は思うのでございますが、確かに先生の御指摘のように、こういう調査結果を見ますと、調査課所管分の方にいろいろ更正を受けるものが相対的に多いという結果になっておることは事実でございます。
○佐藤(観)委員 長官の言われることはわからぬわけではないのですが、しかし、いまの人員の中で大体調査に入れる件数というのはおのずと限度が出てくるわけですね。ざっと平均で結構ですが、これを余り細かく言うと、もううちは調査が来たから十年先にしか来ないだろうとか、五年先にしか来ないだろうとか、いろいろ弊害がありましょうから、細かい数字は要りませんが、ざっと平均でどのくらいに一遍ずついまの行政能力で回っているのですか。
○安川政府委員 全体を通じて言いますと、三年ないし五年に一回程度ということを目標にいたしております。ただ最近、法人によりまして過去の経理の実績を数段階に区分いたしまして、問題のない法人にはその調査の間隔をうんと広くする、そういうふうに質的な区分をいたしましてやっておりますので、全体ひっくるめてみますとただいま申し上げた数字でございますけれども、その度合いによりまして平均の中での濃淡がある、こういうことに相なります。
○佐藤(観)委員 ですから、三年に一遍ないしは五年に一遍ぐらいということになりますと、長官ももうあらかじめ予防措置的な御答弁をされておりましたけれども、私は、たとえば三年に一回ならば、ここに出た数字を約三倍の数字にしてみないと額なり何なりというのが実態に合ってこなくなるのじゃないか。いまの人員の限られた中で調べることですから、全部が全部調べられるわけでございませんから、そういった意味では差というのはもっと大きくなってくるのではないだろうか。また、そう考えなければいかぬのじゃないかと思うのです。 そこで、国税庁としては、こういったいわゆる更正決定、あるいはその中にも二割五分近い不正があるわけでありますけれども、これはいまの税法というものが非常に複雑だからこういった結果になるのか、それとも納税者の側にやはりモラルが欠如していると申しますか、そういった問題があるのか、あるいは国税庁が納税者に対して普及徹底と申しますか、納税者に対する教育が足りないのか、こういった更正決定をされる率が非常に多いというのは一体どういうところに原因があって、これは今後どういうふうに解消していこうと考えていらっしゃるのか、その点についてはいかがでございますか。
○安川政府委員 ただいまのような現状につきましては、年々法人の方の正確な申告をいたします度合いが、ごくわずかではありますが、少しずつよくなっているという傾向を示しているわけでございます。 いろいろ不正計算が行われる原因につきましては、税の問題は法人ごとの個別性が非常に強いものでございますから、概括的には申し上げられませんけれども、各種のケースがございます。やはり一部には、当初から税負担が少ない方がいいということで意図的に脱税するものもまだ相当数あるようでございます。それからまた、相当規模の大きい法人におきまして、事業部門が非常に多岐に分かれているものは、経理的には本来は本店の経理部で完全に統一的に掌握して、経理の漏れがないようにすべきだと思います。つまり、経理上の中央把握が完全にできるべきでありますけれども、やはりそれぞれの課あるいは事業部において個別的な経理が行われることによりまして、部分的にいろいろ脱漏が発生するというケースもあるわけでございます。 そこで、各種のケースがございますけれども、これを現象的に理屈づけて考えてみますと、経理記帳が非常に正確に——内部の記帳組織が完全に組織化されていない。言いかえれば、経理上の内部牽制組織が、どうも日本の法人につきましてはまだまだ十分発達していない。たとえば公認会計士等によります十分な外部監査がかなりよく行われてまいりましたけれども、まだまだ若干の余地がある。中小法人等につきましてはまだ記帳の習慣が十分徹底していない。このように、問題は税の問題の前に、法人としての大中小それぞれ態様の別はございますが、経理がまだ十分しっかりしていない、こういうふうに見受けられるわけでございます。 そこで、国税庁の方針は、もちろん税務職員を鍛練いたしまして、あるいは能率を上げて十分な調査をいたしていく、脱税等をすれば必ず発見されるということを、納税者の方に十分知っていただくことも必要でございますが、同時に、税の問題以前に、経理記帳をますます慣習的にも高める、組織をしっかりする必要があろうかと思いますので、その面で十分PRなり多数の法人の指導をしている、こういう現状でございます。
○佐藤(観)委員 先ほど確認をしましたように、資本金五千万以上の対象になります調査課の所管法人ですね、この場合には更正などの割合が何と九〇%。これは、先ほど長官が言われましたように、非常にベテランが当たっているから、摘発と申しますかの度合いも強いんだというお話もありましたけれども、その中での不正割合が二四%という数字が出てきているわけであります。 いま長官もいろいろ言われましたけれども、逆に言えば、資本金の大きな会社になればなるほど企業内のチェックというのは、たとえば公認会計士あるいは税理士がついているわけですね。資本金が小さければ自分のところでやるわけです。そういったチェック機能を、逆に資本金が大きければ大きいほど私は多くを入れていると思うのですね。しかもなおかつ調査課所管法人の方が更正等の割合が高いというのは、非常に考えなければならぬことじゃないかと思うのです。 調査課の所管法人といっても、五千万から百億以上の会社まであるわけです。私は、おたくの「法人企業の実態」の総括表から申告所得金額を調査所得金額から引いて脱漏所得を資本金の階級別に出してみたわけです。そうしますと、資本金の規模が大きくなればなるほど大変な額になっていくわけですね。 もう時間がありませんから、私からお話ししますけれども、百万円未満の資本金の場合には、脱漏所得が平均してみて一社当たり四万円なんですね。これは資本金が小さいから、ある程度小さくなることはあたりまえでありますが、たとえば五千万円から一億円の間の会社ですと、一社当たりの脱漏所得が百五十万円。ところが、十億円から五十億円までの会社は一社当たり三千六百五十九万円という数字になるわけですね。それから、五十億円から百億円の間の会社は一社当たり五千四百一万円。百億円以上になりますと、一社当たりの脱漏所得は八千九十九万円という大変大きな額になるわけです。 それは、いま申しましたように、おたくの方から出していただいた法人税の課税実績で、申告所得金額を調査所得金額から引いて出たわけでありますが、これに対して更正あるいは決定というものは一体どのくらいなされていて、その中で不正の件数がどのくらいあるのか、皆さん方が出してくる資本金階級別の、百万、五百万、一千万、五千万、一億、十億、五十億、百億という単位で一体どういう状況になっているのか。私は資料があると思うのですが、これは出せませんか。時間がありませんからきょうじゃなくてもいいわけですが、おたくの方で、特に調査課所管法人について、さらに細かい資本金別の更正決定をした件数、その額、あるいは不正の件数、その額、それは資料ができると思うのですが、その点についてはいかがですか。
○安川政府委員 調査課所管分と法人につきまして、更正あるいはその脱漏所得、不正件数、これを資本の階級別に区分いたしました統計は、実は現在のところつくっていないわけでございます。もちろん原資料はあるわけでございますから、一件一件の決議書を分類いたしますとできるわけですが、これは相当な日数がかかるかと存じます。
○佐藤(観)委員 それはただでさえ大資本ほどいろいろな意味で——中橋局長に言わせるとそうじゃないと言うわけですけれども、引当金、準備金で税制上も優遇されていると、私たちは声をからすほどずっと言ってきたわけです。いま申しましたように、資本金階級別に脱漏所得だけ見てみましても、それは資本金が大きいから脱漏所得も大きいんだと言えばもう何をか言わんやでありますけれども、税制上優遇されていながら、なおかつ実施の面においても私たちは非常に疑惑があるわけです。 そういった意味で、これは次の機会でも結構でございますし、国会が終わって、ある程度確定申告の整理がついてからでも結構でございますが、四十八年度について、いま申しましたような資本金階級別に細かに、一体どのくらい調査が入って、更正あるいは決定をどのくらいやって、その中で不正件数がどのくらいあったか、これを出してみますと、私は大きな企業ほどいかに脱漏の件数も大きくなっているかということが一目瞭然としてわかると思うのであります。そういった意味で、別にきょうの質問に間に合わなくても結構でございますので、今後の機会にぜひこれを時間をかけてつくっていただきたいと思うのであります。 それで、私がなぜこういうことを質問するかといいますと、いま申しましたように、税制面でも大企業は優遇されておりながら、税の執行の面でも、いろいろな障害があって、非常に有利な立場に置かれてはいないだろうか。それは皆さん方につくっていただいた——調査に入る、あるいはどうも調査だけでは済まぬので査察になるという場合が当然出てくるわけでありますけれども、その査察の状態というのは、たとえば四十八年度でどういう状況でございますか。
○安川政府委員 査察についての御質問ございましたが、その前にちょっと先ほどの件で御説明をつけ加えさしていただきたいと思います。 調査課の方の計数につきまして更正等が非常に多いということでございます。全法人を平均いたしますと、三年あるいは五年ということでございますが、調査課の方の方針は、できるだけ大きいところにつきましてうんと濃密な調査をするということをいたしております。たとえば資本金百億円以上の法人等につきましては、三年ということではございませんで、連年実調もやる、毎年毎年必ずやるというようなこともやっておりまして、階級別にいきますと、非常に上の方に濃密な調査をやっております。また、非常に人員等も投入いたしまして、階級別に考えまして相当多くの脱漏が発見されているというのは、むしろ私どもとしては、いわゆる高額重点の調査方式をとっておる、それからまた、ある意味におきまして現在の調査課の職員の能力をかなりよく反映している、こういうことが言えるわけでございます。 以上、つけ加えさしていただきたいと思います。 それから、査察案件につきましては、現在、大体平均的に申し上げますと、年間約二百件くらいをずっと調査をしておりまして、四十八年につきましては、立件件数といたしまして百四十一件、こういうような事績になっております。 なお、資本階級別に考えてみますと、四十八年分につきましては、五千万円未満の法人が百三十六件、五千万から一億未満は件数はございませんで、一億円以上が五件、法人につきまして合計百四十一件の立件ができている、こういうことでございます。
○佐藤(観)委員 いま長官が言えば言うほど私はおかしいと思うのは、毎年毎年入っていながら、一社当たり八千万近い脱漏所得が百億円以上のものに出てくる。毎年毎年税務署が入っていながら、こういう高額の脱漏所得が出てくるということですね。この辺は、私は、長官が言えば言うほど逆に、いまの税の執行のあり方について基本的に考え直さなければいかぬ点があるのじゃないかという気がするわけです。 それと、査察が入った件数でありますけれども、いまお話がございましたように、五千万未満のものは百三十六件、一億円以上の場合には五件という実績が四十八年度に出ているわけであります。これを見ましても、ではどういうわけで、でかい、たとえば一億円以上の会社については告発件数が少ないのだろうか。どうもやはり五千万以下の方の小さいものにだけつらく当たっているのではないだろうか。これは恐らく、会社の規模が大きくなればなるほど、非常に複雑な経理がされていて、実際に裁判になったときに立証がむずかしいというようなことがありましょうし、あるいはその前の段階で、査察に入る段階でも予備の調査がなかなかしにくいという状況もあろうかと思いますが、どうも余りにも小さいものが査察を受けて、大きなものは余り査察までいかぬ。われわれも大きな資本金のものが査察を受けたという話を余り聞かないわけですね。その辺から言っても、税の執行上どうもえこひいきがあるのではないだろうかと疑いたくなるのでありますが、その点についてはいかがでございますか。
○安川政府委員 佐藤先生、非常によく税務行政の現状を御理解でございますので、あえて私からちょうちょうと申し上げることもないかと思うのでございますが、査察案件の法人として掲示いたしますとこういう姿でございますが、実はその法人の実体が、やはり同族会社が相当多い。つまり個人に準ずるようなものが大変多いということでございまして、これがもし正確な意味で本当の法人の体をなしていると申しますか、そういう法人ばかりが相当件数ありまして、これを階級別に区分するということだと、御指摘のような傾向が出てまいるかと思うのですが、その点は、この百三十六件の実態というのは、かなり個人商店のような企業が多いということを申し上げたいと思います。 なお、脱税案件あるいは査察案件につきましては、これは私ども長年いろいろやってまいりましたところの感触で申し上げますと、資本金と脱税の金額とは、どうも統計的に相関関係があるといいますか、そういうような傾向は持っていないのでございます。先ほどの数字にございますように、商売の規模とはある程度脱税規模が並行いたしますが、資本金の非常に小さい法人で意外に大きな不正所得をやっているというものがございます。したがいまして、法人の性格もございますし、また法人の資本金と脱税額というものはどうも並行的になっていない。したがいまして、査察案件等のような場合、特に資本金階級別にやるということは、どうも正確な実態が出てこない、こういうような感じでございます。
○佐藤(観)委員 それと、告発の問題でありますけれども、いまちょっとお話ししましたように、いろいろとどうも小さいものは同族会社が多くてという話もございましたけれども、大きなものがいろいろ脱税額がありながらどうも告発という例を聞いたことがない。 そこで、告発をするしないの何らかの基準というのは国税庁の中にあるのですか。それとも、やはり裁判を維持できるかどうか、この点が一応中心になっているのですか。
○安川政府委員 結論から申し上げますと、いま御指摘のございました、これは刑事事件として法廷に出るわけでございますので、やはり訴訟維持と申しますか証拠固め、これが一番大きなウエートを占めるわけでございます。 概括して申し上げることは、査察案件は事件の個々の非常に個別性が強うございまして、脱税の態様が異なりますので、告発に当たりましては、脱税手段の悪質の程度、それから刑事立証のための証拠の収集の度合い、それから脱税の規模、余り小さいものは落とします、そういうようなことを総合勘案いたしまして、そして結果的には個々の事案ごとに検察庁と一件一件あらゆる角度からこれを十分調べて要否を決定している、これが実情でございまして、ある一種の方程式によって選別するということはやっておらないわけでございます。
○佐藤(観)委員 いま質問した点に全体的には関連をしてくるのでありますが、最後に税務職員の処遇の問題についてお伺いをしたいわけなんです。 もう時間がありませんが、今日までほとんど五万人から六万人、多いときは六万人でございますけれども、この職員で、申告の所得者数にしてもあるいは法人数にしても、ざっと言えば約倍になってきているわけですね、経済も複雑になってきた、こういった状況の中で、よく同じ人数でできたと思うわけで、その辺のところが、大法人に対するいろいろ調査の回る回数その他についても、おのずと制限が出てくると思うのです。その実態については、調査困難事案が非常に多くなっていることとか、あるいは一人当たりの処理の件数が非常に多くなっていることとか、あるいは労働条件でも持ち帰りの仕事の状況が非常に多くなっている、あるいは年次休暇がとれない、こういったようなことについては長官もほぼ御存じだと思うので、それを前提にして、大きく言って二点お伺いをしたいわけであります。 一つは、これは人事院にお伺いをしたいわけでありますが、税務職員俸給表については、いろいろな理由があって、四十九年度は一〇・二%一般職よりも高くなっているわけですね。これに対して、過去、二十三年のときには平均して大体一七%、三十二年から一三・三%、それがだんだん下がって、いま、四十九年が一〇・二%という状況になっているわけです。これは一〇%がいいか、一五%がいいか、二〇%がいいか、科学的な根拠は私はないと思います。ないと思いますが、それはそれなりの事情があって一般職よりも高くなっているわけですね。片やいわゆる人材確保法で、教員の方々については最終的には二五%、あるいは看護婦さん等についてもそのくらい認めようじゃないかということになっているわけです。その辺から考えますと、いま税務職員給与表の優位性を認めているけれども、いわゆる人材確保法と比べてみて、どういう目安で一体考えるべきなのか。どういうふうに考えていらっしゃいますか。
○角野説明員 お答え申し上げます。 税務職員の職務の重要性といいますか、困難性については、私ども人事院といたしましてもよく認識いたしておりまして、現に一般の行政職の俸給表に比べまして、相当の水準差を持った特段の税務俸給表を用いております。 いま先生お話しのとおり、今回教員に特段の勧告を数日前にいたしましたが、それとの関係においてということでございます。私どもは、本来一般の行政職に比べての水準差をどういうふうに持っていくかということで、ここ逐年、毎年夏に勧告いたしますごとにそういう点に注意を払いながら水準差を維持しておりますが、大体一般の事務屋さんに比べまして二、三年先を歩くという感覚でずっと維持しております。それが結果的には一〇%になりましたり、一一%になりましたり、計算上はそういうことになっておりますが、そういう考え方で二、三年先を歩いておるというような相対関係で、指数の関係は結果でございます。 そこで、税務職員の特殊性といたしまして、特に年輩の方がたくさんおられて、職務に比べておくれているではないかというような意識が大分ございまして、私どもよく存じております。それで毎年、税務の特別俸給表を改善いたしますについても、そういう方々がたくさんおられるあたりの俸給表上の改善には特に留意をいたしておりまして、たとえば税務の三等級の中ごろ、四等級の中ごろ過ぎあたりは、一般の行政に比べて一万数千円から二万円ぐらい水準差がついた俸給表にいたしてございます。 なお、そのほかに運用上にも手を加えております。特に先生お話しのそういう問題、職務の困難であり、かつ経験豊かな職員がおられるところの等級が昇格問題としておくれておれば困るという問題もございますので、そこは特段に、調査官といいますか、専門職制度を大いに取り入れまして、格づけについても大変有利といいますか、ちょっと言葉が行き届きませんが、行政職に比べて昇進の程度も十分維持しているつもりでございます。 ただ、先生いまお話しのように、教員の関係においてどうだという御質問でございますが、実はこのたびの勧告の義務教育の教諭は、大体行政職で言いますと、生涯カーブとして行(一)の三等級のカーブに義務教育手当を入れて乗っけたというのが一昨日の勧告の中身でございます。そういう点で申しますと、国税の税務の俸給表は、調査官制度もあり、税務の三等級には半数近くの方々が行っておられます。税務の三等級といいますと行政では四等級に当たりますが、税務の三等級と、いま教員の関係が行政と持っております三等級ラインに乗せたという関係から申しましても、三等級に比べてまだ相当上を走っておる、そういう関係になりますので、なおまだ研究課題ではございますけれども、私どもはまだ十分関係は維持しておる、そういうふうに考えております。
○佐藤(観)委員 私と大分認識がかけ離れているのですが、時間がありませんので、長官にもう一つお伺いをしておきたいのでありますけれども、長官御存じのように、大体いま国税庁の職員の方の約半分が四十歳以上。これは御存じのように歴史的な経過がございまして、終戦直後三年間に約四万二千人という職員の方を採用せざるを得ないような状況があったわけですね。したがって、いま人事院からお話がございましたように、昇任昇格というのは、ことしも予算の中である程度配慮をしてもらったわけでありますけれども、しかし、なおかつ五万人の中の二万人が昇任昇格がおくれている。 とにかく三十七年、定年まで勤めても課長待遇になれないということ、これはどう常識で考えてみても——全体的に各省もそういった傾向はありますけれども、とにかく万単位で昇任昇格がおくれている。しかもそれは、その人に能力がないというなら話は別でありますけれども、国家の要請でこういうことになったわけです。そういった意味で、この昇任昇格の問題について、いま人事院の方はかなり考えていると言われたけれども、いまのペースでは五十三年になりますとピークが来る。そうなってきますと、この二、三年の間にある程度目安をつけぬと、本当に夢も希望もなくなって、今度は若い職員の方も、上がつかえているということによって働く意欲というものを失ってしまうわけですね。 そういった意味で、冒頭申し上げましたように、仕事の質はきつくなる、量もきつくなる、職場の雰囲気においてもなかなか昇任昇格もどうも認められそうにない、こういうことになってきますと、税務の執行上、せっかく一生懸命やってもという気持ちが残ると思うのです。その点について長官としてはどういうふうにお考えでございますか。
○安川政府委員 まことに御指摘の点、今日の税務行政の非常に重要な点でございます。したがいまして、私どもといたしましては、ただいま御審議を願っております五十年度の予算におきまして、税務署の特別国税調査官あるいは税務相談官といったような特別の専門職が大幅に増設されるように各方面に働きかけてまいりまして、ある程度の見当がついてまいったわけであります。 しかしながら、ちょうど戦後の一番税務行政の困難なときに鋭意全力を挙げました職員がいまや相当ふえてまいってきておるわけです。これらの方々については、本当に処遇してあげる、またそれが今後の若い税務職員の意気につながる、こういうことでございますから、今後ともこれに計画的に重点を置いてまいりたいと思っております。これは当年度から向こう約五ないし六年間、特に重点を置かなければならないところでございます。 しかしながら、この山が過ぎますと、やがて非常に軽くなります。いわば大きな意味で、このところを大幅に政策的に考えていただいて、その山が過ぎればまたお返しするということもできるわけでございます。そういう意味で、人事院当局初め各方面に非常に強力に働きかけております。私ども本当に重点を置いているところでございます。 先ほど先生御指摘になりましたように、税務職員というのは非常に仕事がむずかしい。それから、個人的にもあらゆる面で清潔に身を持さなければいけないという、一般の行政職に比べまして特にむずかしい点があるわけでございます。そういう意味におきまして、ただいま出ました中高年齢層職員の問題ではなくて、それ以外にも税務俸給表の水準差の問題というのは、やはり理屈を言うとなかなか問題だと思いますが、いわば税務職員が十分働ける環境を与えるという一種の生活の知恵であろうかと思うわけでございます。こういう点につきましても、四十八年度は人事院の勧告で、従来低下してまいりました水準差というものがアップカーブになりました。しかし、四十九年度はそれが横ばいに入っております。今後とも水準差ということについて各方面に十分御理解を賜りまして、努力してまいりたいと思っております。
○佐藤(観)委員 長官がこの問題について大変配慮なさっていらっしゃいますので、もうこれ以上お伺いしませんが、人事院にもこの点についてもう少しお伺いしたかったのですが、時間もありませんので、最後に主計局にお伺いをしたいわけであります。 いま大分はしょりましたけれども、同じ大蔵省の中でありますから、状態は大体おわかりになると思うのですが、昇任昇格のおくれている職員の方が五万人の税務職員の中で二万人もいるということになりますと、いま申しましたように、大変な問題だと思うのです。そこで、昇任昇格をしても財源的にそんなに大きな影響はないと思うのです。恐らく他の省のこともありますから、いろいろ問題が出てくると思いますけれども、十分配慮していただくという答弁をいただいて終わりにしたいと思いますが、いかがでありますか。
○高橋(元)政府委員 お答え申し上げます。 国税庁の職員構成が非常に特殊なものである、それから解決すべき問題が非常にふえておるということは、先ほど長官からもお答え申し上げたところでございますが、国税の仕事が本来非常に複雑困難で、高度の専門的知識を要するという仕事であります上に、最近非常に業務量がふえてまいりまして、それに対処して担当職員の責任が相当重くなってきている。この重くなってまいりました責任の度合いに応じまして役職をつくっていくということが必要になってまいると思います。幸いに国税庁には老巧で円熟した能力の方々もあるわけでございます。そういう点を考えまして、今後とも国税の仕事のやりがいがあるように努力をしてまいりたいというふうに考えます。
○佐藤(観)委員 終わります。
○上村委員長 山田耻目君。
○山田(耻)委員 きょうは総理、大変お忙しいところを御苦労さまでございました。 こうしてきょうは、租税三法の審議も大体終局に近づきつつありますので総理をお呼びいたしましていろいろお尋ねいたすわけでございますが、今日の社会情勢、経済情勢はきわめて不安定な状態にございまして、そういう中でいろいろとインフレによる国民の被害、そうして総需要抑制策によって起こった不況の被害、まさにスタグフレーションの被害をもろに弱者層は受けておりまして、いろいろとこうした一連の情勢の中で、社会的不安というものも衝撃的な方向に走りかねないという一つの事態も危惧されるわけであります。しかし片一方では、御存じのように、預金の目減り問題については大阪地方裁判所で目減り補償の裁判が行われておりますし、膨大な資料が出されて、財政政策、経済政策の失敗の責任を問うという資料提起までなされております。国民の関心はその部分にかなり強く深まっております。また片一方では、減税の裁判も進められております。確定申告をわれわれに当然の権利として与えろ、こういう一つの裁判も行われております。こうした人たちは理性的な人ですけれども、総体的に見て社会的な不安の情勢というのは強まっていることは間違いございません。 こういう情勢の中で、田中内閣総理大臣は金脈事件で失政の責めを負われて退陣をなさいました。その後にあなたが内閣総理大臣として登場なさってくるわけです。そのあなたが、こうした一連の国や社会の情勢を踏まえて、インフレで水ぶくれをした人たちに対する片側の事実と、その影響を受けて非常に苦しんでおって、最近都市部では、おふろに入る回数まで減らさなければ生活できない、もちろん一日の食生活にもかなりのしわが寄っているでしょう、こういう現実をあなたは御承知なさっておるからこそ、不公正を是正したい、これが政治の基本である、こういう立場を強い決意でお述べになりまして、今日まで四カ月間、総理のお仕事をなさってこられたと思うのです。 この不公正是正の決意というのは、国民の中に、ある意味では大変な歓迎をされたわけです。私たち野党でございますけれども、あなたのその政治姿勢に対して心から期待をしていたんです。しかし、どうも私たちが議会の中で見ておりましても、あるいは国民の声を聞きましても、三木総理は口だけじゃないだろうか、こういううわさが最近かなり強まり始めてきております。しかしそれは、なかなかこの種の問題は就任早々すぐ手を染め実効をあらわすということは短兵急にはいかない、そういう気持ちをあなたはお持ちだと私は思いますけれども、あなたが内閣総理大臣になられて述べられましたこの所信は、今日いささかも狂いがないのか、あるのか、それをひとつまず決意として伺いたい。国民にそれを聞いていただきたいと思いますので、その点をひとつまず冒頭に明らかにしていただきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 山田さんいろいろお述べになりました。国民の期待が大きいこともよく承知をしております。ただしかし、これは世界的に見ましても、どの国もインフレと不況に悩んでいない国はない。どこもです。私が就任以来、海外からたくさんの国の賓客が来たけれども、彼らは、まだ日本というものはなかなかよくやっている方だと言うんです。卸売物価がたった五%前後というのは、先進国はどこの国もないですからね。ただ、われわれの悩みは消費者物価である。これがやはり政府の公約よりも少し下回るでしょうね、三月末には。一四%前後になるかもしれない。しかし、これとてもやはり安定した西独なんかに比べると、西独は六・一%ですからね。しかし、ほかの国に比べると、ほかの国は二けた台のところが多いんです。 世界的にやはりインフレと不況が同居しておる。この解決法というのは、経済の理論の中にもないんですね。初めての経験でしょう。私は何もこれは弁解するわけじゃないですよ。この処方せんに対してどの国の指導者も、これはもういままでにない怪物ですから、これをどうして解決するかということに各国の指導者が頭を悩ましておるわけですね。そういう点で、これは非常にむずかしい問題を国際的にお互いに、やはり資源、石油にしたって、まあ一時に比べたら四倍にもなったのですから、これは適応力を持たないですよ。しかも日本のようにエネルギーの七五%を石油に依存しておる国では、山田さん、そういうむずかしさが背景にあるのだということは——四カ月たったじゃないか、何もやらないじゃないかと言われる気持ち、わかりますよ。しかし、これだけ各国ともがその答案というものに対してやはり皆悩んでおるのですから、これだけのむずかしい問題だ。 それは何かと言えば、やはり大きな転換期を迎えた。だから、われわれの頭の中に高度経済成長の残滓がまだ残っておる。これは非常に大きな切りかえをしなければならぬですからね。ここで非常な大きな意識の転換が必要で、労使関係だってそうでしょう。いままでのような高度成長期のような労使関係でいけるわけがない。国民生活の一つのパターンにしても変えなければならぬ。日本人は世界に比べたら気が早い方ですから、だからわかりますけれども、もう少しやはり時間をかけて、三木内閣の施政というものに評価を与えてもらいたい。これからは政治というものは社会正義という眼をかけて、そういうことで常に見直していかないと、民主政治は安定しないと私は思いますね。 それだから、不公正是正というものは、民主政治が続く限り、やはり常に一つの大きな政治の態度だと思いますね。これは後退したならば、もう私は内閣を、この席にはとどまらない。この私の所信を曲げることがあったら、私は内閣をやるということはいたしません。これは三木内閣が続く限り社会の公正を確保する、不公正を是正するということで私の内閣は終始する決心であります。ただ……(「各論がなければ、総論だけじゃ……」と呼ぶ者あり) いや、総論が大事ですよ。総論がないと各論はないですからね。(山田(耻)委員「あなた、私の質問に答えてください」と呼ぶ) あなたの質問は、不公正是正ということは変わらないのか——これは変わらない、もうこれを変えるときは私が内閣の地位から去るときである、こういうことを申し上げておきます。
○山田(耻)委員 あなたのおっしゃっている不公正是正、もちろん私の聞き方が具体的でないからそういう御答弁にもなったのかと思いますけれども、今日のインフレを是正する有効な決め手があるのか、あるいは総需要抑制策、金融引き締めをずっと二年数カ月にわたっておやりになった結果、一番弱い層にその被害が出て、不況倒産が起こっておる、こういうものをどうなさるのかということを直接に聞いておるのじゃないのです。こうしたインフレなり不況というものによって、国民全体が大変な苦しみを受けている層とインフレ利得をため込んでおる層とに分かれておる、こうした人たちの中に不公平感が非常に強まっておる、これを改めていくのが政治である、これが内閣総理大臣の不公正是正の中心であろう、このように私は思っているのです。 だから、今日のスタグフレーションというものがどう改められていくのか、国際経済の上から見ても有効な決め手はないとおっしゃることについて、私はそれなりに議論は持っておりますが、きょうはそういうことを議論しておる時間がないですから、だから私が申し上げでおりますのは、そういう不公正是正についてあなたの所信に変わりはないのかということを申し上げたので、それに対してあなたは、そうだ、変わりはないということを申されたわけでございますので、その立場を受けて、それならばこれはどうなんだろうかという具体的なものに入っていきたいと思います。 あなたが就任なさる直前に、これも閣僚として御存じであったでしょうけれども、私たちのこの大蔵委員会が所管をしております大蔵大臣に対して、あるいは内閣総理大臣に対してもそうでございましょうが——この委員会は歳入委員会としての性格から、当然税というものと無関係で成り立ちません。その税というものは税制調査会によって一つの方向が示される、国民とのコンセンサスをそこで求めながら答申が出てまいります。この答申に基づいて所管省は作業を進めていくわけでございますが、この税調の答申が昨年の十月に出ました。これはあなたの就任後ではございません。しかし、それは御存じのことだと思う。そしてあなたの就任後、十二月に、もっと具体的な答申が出ておりますけれども、これをごらんになりましたか。
○三木内閣総理大臣 見ました。
○山田(耻)委員 どういう内容でございますか。お感じになった点をひとつ説明をいただきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 恐らく山田さんは医師の所得控除についての税制についておっしゃっていられると思いますが、これは十月の税調の答申の中に出ております。そういうことでございますか。それはよく承知しております。
○山田(耻)委員 総理は私が聞かぬことを答えてもらってはいけませんし、後ろから要らぬことを入れ知恵するからそういうことになるのです。 総理大臣は不公正是正という言葉を変わらない政治の所信として述べておられるし、その不公正是正ということになりますと、やはり所得、富の再配分、それは税金なんですね、税制。この税制というのが不公正是正のきわめて有効な決め手と申しますか、根幹をなしているものです。その税制について、あなたが不公正是正をおっしゃるのなら、税制調査会が答申をした十二月の答申には、不公正是正というあなたの言葉を受けて、不公正是正をしていくためにはこうした問題を積極的に解決しなさいということが述べられておるのをお読みになりましたかと聞いているわけです。
○三木内閣総理大臣 十月と十二月の調査会の答申は、一通り私も承知しております。
○山田(耻)委員 どういうふうに承知なさっているわけですか。不公正是正のところについてひとつお述べをいただきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 まあ細々したことはともかく、利子配当の分離課税、土地譲渡所得に対しての課税の強化ということが一番大きな問題であると承知しております。無論、一方においては、社会保険診療報酬課税の特例の是正ということも入っております。
○山田(耻)委員 私たちがこの大蔵委員会でいろいろ法案の審議をいたしておりますとよく感ずるわけですけれども、税制調査会の答申を読みまして、あなたもお読みになったように、ここの第一ページにございますね、税制面における社会的不公正の是正には特段の注意を政府は払わなければならない、その特段の注意を払うべきものに社会保険診療報酬に対する課税の特例、それにあなたがおっしゃいました利子配当分離課税の特例あるいは土地譲渡に対する特例、こうしたものは長い間税制調査会の答申の中には答申し続けられてきたのです。それが一向に是正されなかったところに、本委員会における審議も幾度かこの問題について論戦を交わしたところなんです。 それをあなたが、社会的不公正を是正をすると強い姿勢を示されて総理に就任なさった。当然、この問題について何らかの措置がいただけるものと国民全体が理解していたわけですよ。特に社会保険診療報酬の特例に関しては、あなたもかなり積極的な姿勢をお示しになっていたとわれわれは判断しました。しかし、総理、これが今日どのようになっておるのでございましょうか。その点についてひとつあなたの考え方、それを中心に話していただきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 私も、これは是正しなければならぬ税制の一つである——しかし、経緯等もよく調べてみました。山田さんも御承知のように、昭和二十九年ですか、超党派の決議をもって、医師の所得税に対する特別措置というものが適正診療報酬と結びついた決定をされておる。ある意味において、適正診療報酬が決定できないから、一種の医者に対する所得補償のような意味すらもあの決議は持っておる。だから七二%の所得税の特別措置を行うのである。そこで、適正な診療報酬と切り離して、医者に対する所得税の特別措置の是正をやることに、あの経緯から見てこれは無理がある。これは山田さんも事情はよく御承知だと思う。 そこで、私は何とかしてこれはできないかと考えたけれども、これができたいきさつから考えて、診療報酬と切り離して特別措置を改正しますことに非常な無理がある。そこでいま私の考えておることは、やはり次の診療報酬の改正とにらみ合わせて、この問題はぜひ私は税調の答申にもあるような一つの是正をしたいのですよ。しかし、そういういきさつというものを考えたときに、やはり国会における決議でもありますし、そういうことの無理なことを政治がするということはいかない。やはり理屈にかなったことをしなければならぬので、それで診療報酬の一つの改正とにらみ合わせて特別措置に対する改正を行いたい、こういうのが私の現在の心境でございます。
○山田(耻)委員 内閣総理大臣としては、私は少し聞き捨てならぬと思うのですけれども、去年二度にわたって診療報酬の内容は改定をいたしましたね、まだあれでは改正し足りぬと言うわけですね、あなたは。何ぼにしたらよかったのですか。
○三木内閣総理大臣 これは改正は何回もしましたけれども、なかなかその間医師会との間に話もついてなかったこともあるのでしょうね。したがって、これは何回やらなければならぬということではなくして、今日では、そのときの世論とは全然変わって、優遇し過ぎるという声ですね。当時は、特別措置ができたときは、診療報酬は適正化されていないからもう少し優遇してあげなければということだったが、いまはあべこべの世論になってきているわけですからね。そういうことで、これは何回までというのでなくして、次回の診療報酬の改正、これを機会にこの問題を解決をしたい。いままでも、山田さんの御指摘のように何回かありましたけれども、それが特別措置と結びつけた形において話が煮詰まらなかったところにこれがおくれた原因があった。今度の場合は、次の改正の機会にこの問題はひとつ解決をしたいということでございます。
○山田(耻)委員 去年の二月に一七・五%、十月に一六%と値上げをいたしておりますね。こうした去年の十月の一六%の値上げを受けて、社会保険診療報酬課税の特例の改善に関する答申が出ているのです。その答申は現実を無視していない答申というふうになるわけですね。そうして、この具体的な中身を持ったものが十二月に出てきたのですが、こうした税調の答申というのはまだまだ医師の診療報酬の値上げがし足らなかった段階で出されておるので、この次の改定の時期にこの中身について具体的な措置をしよう、こういうおっしゃり方に私は聞こえてなりません。そのあなたの主張からいきましたら、昭和四十九年十月四日に出された答申並びに昭和四十九年十二月に出された答申は一顧だにも値しない、こういう答申であるというふうに内閣総理大臣はお考えになっているわけですか。
○三木内閣総理大臣 一顧だに値しないというようなそういう考え方はありません。尊重しなければならぬけれども、いままでのいきさつもあり、国民医療という見地からもやはり混乱に陥れることもいけませんから、そういう点で筋道の立った解決をしていきたい。だから、尊重はするけれども時期的にずれがある。これは税調の答申を尊重する立場にある政府として相済まぬことだと思いますけれども、そうは言っても、やはり政治が筋道を立てて、これに対していろいろな反論があったりしても説明のつく態度をとりたいと思いましたので、尊重はしますけれども、時期的にずれたということに対してはお許しを得たいと思うのでございます。
○山田(耻)委員 私は、どうも総理、そこはそうですかと言ってなかなか承知できないのですよ。去年二回にわたって引き上げしました三十数%の単価の値上げは、今日地方財政その他にも大変な影響を与えているのですね。いまの地方財政で、地方の住民税と健康保険税と比較いたしますと、健康保険税の方が圧倒的に高いのですよ。しかもことしは、自治省の方の試算でも三〇%を超えて健康保険税は上げなければどうしようもない、それは去年二月、十月に引き上げたあの値上げのはね返りでそうなっているんだ、こうなっているのですよ。 あなたは、医師の税優遇の措置についていまのような立場をおっしゃっていますけれども、医師はそれほど今日国民と同じ立場の苦しみを片側で持ちながら医療行為をやっているのでしょうか。不公正是正という論理から見たら、私はあなたのおっしゃる言葉をそのまま受け取ることには無理があるような気がするのです。それではあなたは、内閣総理大臣だが、日本の国民の内閣総理大臣じゃなくて、医師会武見太郎の顧問の方がいいですよ。私は、不公正是正を一枚看板になさっておるあなたの口から、そういう言葉を聞こうとは思いたくないですよ。 確かにそれはこの答申を受けられて今日まで四カ月、まだ具体的な措置がなされていない、今回の税改正の中にもそれは見つけることができなかった。私は、その事実はいま別の一つの行為によってという気持ちじゃないですよ、ないですけれども、日本の内閣の最高の地位にあるあなたの口からそれを聞きますと、冒頭に国民に向けてお約束なさった不公正是正の所信は貫くぞ、この気持ちにかげりがあるような気がしてならないのですよ。国民というのは、やはりあなたの具体的な日常の政策実行の活動、効果、こういうものを見ながら、言葉とともに受けとめてくれるのですよ。 私は、いまの答弁はちょっとさびしい気がしますから、もう一度訂正なさる気持ちがあれば訂正していただくし、あるいは継ぎ足していただくところがあったら継ぎ足していただいて、もっと国民が納得できるような、そうして私自身もまあまあ三木さんは尊敬しておる人だから、三木さんのお言葉としてやはりこの程度で受けとめておきたいという気持ちを私にも与えてもらわぬと困りますから、もう一度ひとつこれについて答弁してください。
○三木内閣総理大臣 まあ山田さん御指摘のように、何回か診療報酬の是正の時期があったわけですから、こういう問題はそういう時期に解決をするべき問題であっただろうと私は思います。しかし、それができずに今日に来た。そういうことで、これはいま言ったような国民医療の見地から、やはり診療報酬というもののあり方について見直してみる必要はある。そういう点で、これは早急にそういう見直しをいたしまして、そしてできるだけ早い機会にこの税調の答申のようなことを実行しなければならぬ。御指摘のように、世間が見ても不公正だというのが世論でありますから、やはりこれにこたえてこの措置は是正をしなければならぬとは思っていますけれども、いま言ったような国民医療の見地から、適正な診療報酬のあり方というものを見直して、その上に立って私はこれを実行したい。むろんこれは来年度の予算編成に間に合わすことは明らかでございます。
○山田(耻)委員 あなたは来年度の予算編成に間に合うようにこの社会保険診療課税の特例については手直しをする、こういういまの確たる御答弁で、あなたの任期中にもう一度この医療単価についての値上げが当然行われるということとうらはらに考えなければならぬ気持ちが私はするのですが、いずれにいたしましても、こうした単価の値上げにつきましては公正、妥当なものということがこれから一つの大きな声となってあらわれてくるでしょうし、地方自治体財政との絡みもあることですから、あなたは十分配慮なさっておると思うが、私は、やはりここにも医師という特別な人という見方から、国民全体の中の医療行為を担当なさる人であるという見方を強めていただくことの方が大事だと思うし、そこに初めて不公正が是正されていくことになるのですから、きょうあなたのお言葉としては、次の予算編成までには必ず是正を実行する、こういうふうにひとつ受けとめておきます。 大変いろいろ国民の中には、日本医師会と政府自民党、こういう関係の向きに手を染めて物を言う人たちもおりますけれども、そういうもので事態の解決はできないと私は思いますから、そこらあたりひとつ十分考えていただいて、国民が納得できる措置をしていただくことを重ねて要望いたしておきます。 それからもう一つ不公正是正の問題につきまして、これも時間がありませんから深く議論できませんけれども、あの答申の中にございますね、利子配当の分離課税の措置なんです。 これは総理も御存じと思いますけれども、大体朝早くから夜遅くまでいまは四直三交代という、日本の経済を支えるために、勤務編成替えを受けて夜も寝ずに働いておる勤労者というのが日本は多いのですよ。まさに基準法で深夜業については制限があるほど健康を壊すということなどもあって、割り増しのわずかな金を出しておるわけですが、そういう人たちは夫婦子供二人、いわゆる標準世帯で百八十三万までが課税最低限なんです。申し上げたように、本当に朝星夜星、全く夜も寝ずに働く人たちの勤労の所得に対しては、夫婦子供二人で百八十三万が課税最低限です。 ところが、膨大な金を預金して利子を受けて利子で生活なさる人、これは不労所得ですね、あるいは株を買い集めておって、その株の配当で生活をなさる人たち、この人たちはいまの百八十三万円の課税最低限に合わせてみるならば、四百五万まで無税なんです。働く人たちの方が重たい税金を納めて、遊んで暮らせる人たちの方が低い税金を納めておる、それで全く公正であると、あなたの不公正是正の論理からいって、これはどういうふうになるのでございましょうか、教えていただきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 税調にもその利子配当源泉分離課税制度に対しての答申があるわけです。いろいろ税というものに対してできるだけ公正な税制をとるべきだということは申すまでもないわけですが、この利子配当の源泉分離課税というものについては、山田さん御承知のように、利子などについても、まだ無記名預金とか架空預金などもあって、なかなか把握しにくい一面があって、これでいきなり総合課税ということにすれば、何か不公正な面も起こってくる。本来は、これは総合課税に持っていくことはもう当然のことであって、それはできるだけ把握できるような方法を考えて総合課税にやはり持っていくべきだ、筋道としてはそのとおりです。そういう点も、いま申したような点もあって、御承知のように、源泉分離選択税率を二五%を三〇%に引き上げる、この制度を五年間延長するということでございます。 しかし、何とか早くこの点は、いわゆる不公正是正という点から見て総合課税が望ましいわけですが、われわれとしてもこれを利子配当の一つの完全な把握というものに対してはさらに検討を進めてできるだけ早く総合課税に持っていきたい、いまはそういうふうなことで、この点はいま申したような分離選択税率を引き上げるだけにとどめたけども、これは不満足なものである、やむを得ない処置であると御承知を願いたいのでございます。
○山田(耻)委員 できるだけ早く検討して税本来の体制である総合課税に持っていきたい、こうおっしゃっておるわけです。私は歴代の大蔵大臣なり歴代の総理の御努力がなかったとは思いませんけれども、私が本院に席を持ったのは昭和三十八年です。あれから十二年たちましたが、昭和三十八年のときの本会議で私はこれをやっているのです。あなた方からは、早く検討してやりたいやりたいという答弁がそのときも出てきていたのです。 それから十二年。私は日本の政治というものがこれほど無能力であるとは思いませんよ。もっとやる気を持ってやっていただかないと、不公正是正というこの言葉は私は価値ある言葉だと思いますけれども、国民の不満に包まれて消えていくことを危険視しているのですよ。私は、いまの総理のお言葉を額面どおり受けとめまして、この税調では五年を限度に限っておりますけれども、五年を限度の中でなお早急に捕捉ができたら実行に移せと書いておることを銘記いただきまして、いまあなたの早急に検討してという言葉は、この答申のそこに結びつけて承知をしますので、本当に速やかに御検討いただいて解決を願いたいと思うのです。 最後に、時間もございませんのでお伺いしますが、総理も御存じと思いますが、きのうきょう、かなり新聞をにぎわしておるのは日本歯科医師会の問題です。いまの社会保険診療報酬の特例の税制に関することと無関係ではないわけですね。一体、政府は何と思われているのでしょうかね。おととし、昭和四十八年の八月二十七日にこういう通達を流しておいて、この中で明らかになっているでしょうが。民法の違反、刑法の違反、そういう事実があったとしても実力行使をやれ、こういう一つの通達が出るようになりましたら、私は日本の医療行政のあり方をもっと抜本的に考える時期に来ているのじゃないだろうか。一体、この出した通達に対して総理はどのように取り扱いをお考えでございますか。
○三木内閣総理大臣 私も、厚生大臣からまだ報告は受けておりませんが、新聞の記事を見て唖然としたわけです。やはり医師というものは社会的な尊敬も受け、税法上のいろいろな特典も受けておるわけでありますから、やはり社会的責任というものを他の業種に比べて持っておるものですから、新聞記事にあるようなそういう意識でこういう非常に公共性を帯びた仕事をしておるのかということで、非常に何か情けない思いがしたわけです。 これはやはりいま御指摘のように、日本の医療制度というものに対しては今後いろいろの角度から検討をしなければならぬ問題を含んでおると思います。この差額の徴収ということが導火線になって問題が起こったわけです。これは去年の十月ですか、審議会にもやはり諮問をしたわけですが、その後いろいろないきさつがあって、先般会長の任期が来て、私は円城寺さんに私自身からも依頼をしまして留任してもらって、医師会もいろいろ役員もかわったようでございますから、一日も早くこれで結論を出してもらって当面の問題については解決を図りたいが、やはり山田さんの御指摘のようなこういう根本的なあり方というものに対して再検討を必要とするという感じを深くいたした次第でございます。
○山田(耻)委員 時間がないのであれにいたしますけれども、人間というのは、憲法の中でも、現行の実定法の中でも、完全に平等な扱いを受けているわけです。しかし昨今の医師会、この日本歯科医師会も含めてそうですけれども、この通達が出ました昭和四十八年八月二十七日直後の九月の第六十一回代議員総会でこの通達に対してずいぶん質疑が出ていますよ、この議事録を見ますと。その質疑の中で、もしもこういう違法行為をやったら、官庁、これは厚生省を指しているのでしょう、健康保険組合、警察、こういうところからいろいろと問題の指摘がなされて、不法行為として問題が提起されたときにはどうするのか、こういう質問に対して中原会長なり担当者が答えておるのを見ますと、それは一人、二人がやるとそういうことになる。三万五千人歯医者がこの違法を全部やったらいい。われわれは特殊な人間である、特別な地位にある人間である、このわれわれに対して、かけがえのない国民の一人としてだれもよう手を出さない、こういう答弁がずっと続けられていっておるわけです。そうして民法七百三条、これは不当利得の項、そうして刑法二百四十六条、詐欺及び恐喝、この罰則適用を受けても大したことはない、こういう理解で統一をしてこの通達の実施をやろうじゃないか、こういう議論がなされておるわけです。 私は、厚生省自体も監督不行き届きだと思う、通達が出たことも知らなかったのですから。私は今日のこの行為というものと、必要経費七二%、国民が本当に苦難の中で納税をしていくことをしり目にしながら今日のこの実態が直されないこととは決して無関係でないと思う。あなたに申し上げましたら、抜本的な改正もやらなくちゃならぬ気持ちが出てきたとおっしゃっていましたけれども、本当の国民医療という立場に立たなければ、これからの医療行政に対して国民に安心をしてもらえるという医療供給はできなくなっていきますよ。 私は、不公平是正ということを最初は税制でお話しいたしました。二番目には税の差別の比較を述べてまいりました。いま、三番目には倫理上の差別、不公正是正ということをなし遂げていくのは、私は国政の立場だとも思うのですよ。どうかひとつ、この件について重ねてあなたの所信を伺って、時間でございますので、私の質問を終わります。
○三木内閣総理大臣 実際問題として、差額徴収というものは起こるわけですね。患者としてプラスチックなんかを使って、金を使うような人もあるでしょう。それはやむを得ない。こんなものだから、この差額徴収という問題が得てして不適当に行われる場合がありますから、中医協なんかの諮問にもこの問題が諮問されているわけですが、そういう問題で今回こういう問題が起こった時期でもありますので、この問題を中医協で解決することと、もう一つは、やはりモラルの問題というものが要求をされるですね。 何もかも皆、今後いろいろなそういう点で、取り締まり、規制ということばかりで人間の行動というのを全部規制するわけにはいかぬですからね。どうしてもこういう非常に社会的責任を感じなければならぬ職業の人たちがそれぞれの高いモラルというものを持ってやらなければ、それは実際健全な社会ということにはならないですからね。こういう点も一面から言っても、私は恐らく歯科医の中から今度はいままでのようなあり方に対して改革の運動が起こってくると思いますね。やはり社会的に自分たち自身が皆疑問を持つようなことでは、これは医師会自身としても社会的な尊敬も受けて、そして自分の職責を果たしたいと皆願っておるでしょうから、こういうことが一つの転機になって、医師会内部においていままでの惰性を断ち切って、そして歯科医は歯科医としてのモラルを確立するということが大前提である。必ず、私はその運動が起こらなければならぬ、そんなモラルの低いものだとは思わない。 こういうふうな問題に対して監督の立場にある厚生省などとしてこれからどう対処していくかということに対しては、十分検討しなければならぬが、根本は医者のモラルというものを確立することであるという感じがいたします。
○山田(耻)委員 まだ不十分なようですが、これで終わります。
○上村委員長 武藤山治君。
○武藤(山)委員 私はまず総理大臣にお尋ねいたしたいのは、総理は施政方針演説の中で「社会的公正を期することに特に配慮いたしました。」こう述べて、「私の目指す新しい政治のあり方について申し述べたいと存じます。」その中で三木さんはこう言っております。「高度成長から安定成長へ、量から質へと経済体質を変革するためには、高度成長時代の制度、慣行の見直しが必要であります。制度、慣行は、一たん打ち立てられますと、なかなかそれを変革することは困難ではありますが、困難だといってほうっておくわけにはいきません。」 なかなかいいことを言っています。制度、慣行というのは一たびできてしまうと、なかなか変革がむずかしい。しかし、どんなにむずかしくてもおれはやるぞ、こういう意思を表示されました。あなたが、この施政方針演説で述べられたいまの決意は、現在の慣行、制度の中で、おれが総理大臣になったらこれをまず真先に直してやろう、そうお思いになって恐らく表明されたと思うのですが、どんなことですか。
○三木内閣総理大臣 武藤さんの言われますように、私はいまの時代というものは、古い一つの秩序から新しい秩序に変わっていく大きな転換期だと思います。だから、全般のものが従来の惰性でいいのだというものはほとんどないと私は思いますね。全部ひとつ見直して、この大きな変化に対応しただけの体制をとっていかなければ息が詰まってきますね。 だから、その前提になるものは、これだけ時代が変わってきたのだという——それがもう一遍昔に返るという意識がまだ相当にあるわけですね。だから、もし時代がほんとうに変わってきたのだという意識が万人のものならば、いろいろ制度、慣行を改革しようとする私の一つのチャレンジももっと楽なんですよ。まだそこまで行っていないわけですからなかなか容易でないので、やはり多少の時間がかかるということですね。私の志は、これは、そういうことをやって一つの大きな転換期の方向に対応するような改革をやらなければ私が出てきた意味はないのですよ、異例の形で政権を交代したわけですから。 だから、非常に意欲は持っておるわけですが、それを何カ月ぐらいにやれということにはまことに容易ならぬ壁があるということですね。ただ、多少の時間を——多少と言ってもそんなに五年も六年も私は内閣をやっておるわけでもないわけですから、やはり自分の任期の間にはこのことはやはりやらなければならぬ。だから少し時間はかしてもらいたい。 武藤さんの、おまえの志は変らぬのかということに対しては、これは変わらない、変わったら私の内閣は生まれる意義がない、私は退陣すべきである、こういう考えで今後取り組んでいきたいという決意でございます。
○武藤(山)委員 先ほど各論がない、こうやじったら、総論のないところに各論はないのだと言われた。そのとおりだ。しかし問題は、総論は施政方針演説の中でだあっと出たわけですから、具体的に私たちは各論を聞きたいわけですよ。特にその中で、不公正を是正するということになりますと、やはり何といっても富の再配分あるいはインフレ利得者をいかに税で徴収をして、そのインフレ利得を国民の方へ還元するか、低所得者に還元するか、そういうような具体的な手だてがあって初めて総理の発言が生きたものになると私は思うのですよ。 ところが、どうもまだ総理になり立てで、予算編成は前内閣のときに土台がずっとできてしまったのだ。だから、急に十二月早々に総理になったばかりで、今国会にそんなに洗い直しができるはずはない、そういう気持ちはよくわかります。しかし、やはりいま山田委員も質問したように、医師の不公正是正の問題一つができないようなことでは、この言葉は全部死んでしまう。九仭の功を一簣に欠くという言葉があるけれども、まさに三木さんに信頼を寄せた国民の期待は、やはり三木さんうそをついたじゃないかという感じをいま受け取りましたよ。これから独禁法の改正、政治資金規正法の改正、いろいろこう出てきて、これが小骨を抜かないで本物が出てくればまた別でありましょうね。挽回するかもしれませんね。しかし、この医師の特例をこのまま残したということは大変三木内閣に対する評価を落としたと思うのです。 それから、その続きにまたこうしゃべっていますね。「既成の考え方を変え、既存の権利を手放すことには大きな抵抗が伴います。」医師会の抵抗なども相当あったようですね。「しかし、これを打破して、日本の政治を新しい時代にふさわしいものにしなければなりません。それが時代の要求であり、これにこたえることがわれわれ政治家に課された責務であると考えております。」 非常にいい政治家としての哲学を、ばちっと示しているのです。このとおりやったらりっぱです。これができなかったですね、とうとう医師会の抵抗に負けちゃったですね。これが残念なんです。 そこで、私は、いま大企業が特に恩恵を受けるような租税特別措置法というものがたくさんある。時間がとにかく五十分ですから、全部挙げるわけにまいりませんが、そういう特別措置や、あるいは法人税法の本則の中にも、これは直さねばならぬなという不公正なもの、不公平と思われるもの、こういうものがたくさんあるのです。そういうものをやはり三木内閣としては、もっと厳命を主税局長に下して、きちっととにかく総理大臣の姿勢にマッチする税制改正をやってくれよ——中橋局長も、なかなかの切れ者ですから、総理がそういう号令をかければ、税制調査会にぴちっとした答申が出るようなものをどんどん材料も出せるわけなんです。総理自身がそういう税に対する感覚が少々希薄であったような気がいたします。三木内閣の存命中に思い切った、そういう国民的な指弾を受けてきた、あるいは多くの政党が指摘をしたもろもろのそういう不合理なもの、不公正なもの、これは三木さんが任期中に思い切って徹底的に洗い直ししてみる、そういう約束ができますか。
○三木内閣総理大臣 まあいろいろ武藤さんから三木内閣の不公正是正に対して熱意が足らぬという御批判でありますが、あれは十二月の九日でしたか、政権担当をしまして予算編成したとしては、武藤さん、ことしの予算は相当なやはり予算を組んでいますよ。十二月の九日ごろに政権が交代して、今年度の予算は、私の不公正是正というものの一つの角度から見ても、そんなに大きくその方向から違った予算ではない、これはやはり相当な評価を受けてしかるべしだと私は思っておるわけでございます。 どういう点でやったかというような点は、たとえばインフレ利得の吸収という点で武藤さんは飽き足らないとおっしゃるわけですが、土地の譲渡所得に対しても、二千万円以上ですが、四分の三の総合課税で課税強化したわけですね。それから、法人税率を四〇%に強化した。これは地方税も入れると、世界並みの約五〇%になるでしょう。それから、これは昨年度ですか、臨時利得税の新設もあった。こういうことで……(「それは三木内閣じゃない」と呼ぶ者あり)これは三木内閣ではありませんけれども、こういう一連の、自民党内閣がインフレ利得吸収ということに対してやはり非常に気を配っておることは事実であります。 それから、インフレ被害というインフレのしわ寄せを一番受ける弱い立場にある人に対しては、四十九年度の予算では、公共事業費と社会保障の費用というのは大体一応同水準のものであったわけですが、今年度は一兆円ふえましたね、公共事業より一兆円ふえて、そして生活保護も引き上げるし、年金も物価スライドをやった。福祉年金なども、武藤さんから言えば少ないと言いますが、やはりいまのような方式のもとにおいては、全部国庫で賄うような点では、この一万二千円というのは、今年度の予算の枠内では相当思い切った処置ですよね。これが多いというわけじゃないですよ。 そういうふうなことで、また公共事業の中でも、住宅とかあるいは下水とか公園とか、生活環境整備というものは、一般の人たち、インフレというものの被害を受ける人たちにも均てんするわけですから、こういうことで、それなりに今年度の予算については、できるだけインフレの利得者から吸収したい、そしてまた、社会的な弱い人たちの生活というものにできるだけ資したいということをやったわけです。 私は、しかし、不公正というものの一番根本はインフレだと思いますね。だから、インフレというものは収束させなければ、不公正の是正と言っても、これを税でいろいろ是正しろという行き方では、やはり追っつかないものがありますね。資産——土地とか住宅を持っている人と持っていない人との一つの不公平というものは、もう拡大をするばかりですから、幾らそんな生活保護費を上げるとか物価にスライドするとかあるいは賃上げをやっても、インフレが来ればそれはもう意味がないのですから、どうしても不公正是正というものに対する根本は、やはりインフレを抑制することであるということだと思いますね。 その抑制するまでの間の時間というものに対して、いろいろな処置はしなければならぬでしょう。そういうことで、インフレを抑制するということに全力を挙げて、公約した一つの政府の物価安定ということに対して、公約をやや下回るぐらいのことが実現されそうですからこれに全力を尽くしておって、全体から言えば、不公正是正というものに対して熱意を持って施策を進めているということは申し上げても少しも言い過ぎではないという感じがするわけでございます。
○武藤(山)委員 わかりました。 あなたの考えておる不公正是正というのは、結局、もっと国全体をながめてインフレ問題を処理することが不公正是正の根本だ——それも一つありますよ、インフレによってどんどんもうかる者ともうからぬ者があるわけですから。 同時に、すでにもう二年間の超物価騰貴によってかなりのひずみが出ちゃっているわけですから、これを是正しなければいかぬのですよ。たとえば上場会社の千七百数社の四年前に持っておった土地の帳簿価額と、わずか四年後め現在の公示価格の差が四十一兆円になると発表されている。そういう含み資産というものが担保になって、大事業家はまた銀行からどんどん融資がついて、これはかなりの一種のインフレによる利得ですよ。そういうものについては全然目をつけない、手をつけない、改善しようともしない。 予算は確かに前年度比二四・五%大きくなりましたよ。しかし、その予算を埋めるための金は未成年者にまで税金をぶっかけて、三千万人もの多くの大衆から所得税を取り上げて予算規模を大きくしているのですよ。もっと別な方法が、不公正是正を本気でやるというならあるわけなんです。 そういう点のやり方の中には、高度経済成長をもたらすために企業にいろいろ与えた特典がある。一種の隠れた補助金だと言われるような租税特別措置法や法人税法の中にも、洗い直さなければならぬ問題点がたくさんある。そういう具体的なことをやってこそ初めて三木内閣は本気で具体的にやっているなということになるんで、予算規模が二四・五にふくれて一生懸命努力したとか、あるいは福祉年金を一万二千円にしたじゃないか、こんなことでは不公正是正したなんて国民は感じませんよ。 しかし、時間が限られていますから、そういう——ちょっと話を聞いてからひとつ相談してくださいよ、持ち時間が決まっておるので。では、もう次に行きます。 昨年七月の参議院議員選挙で企業ぐるみ選挙とか金権腐敗選挙、こういうことで、三木総理も当時閣内におって大変不満を持って批判をいたしました。その結果、選挙後閣外に去ったわけでありますが、そこで、政治資金規正法が諸悪の根源の一つにある、いまの政治資金規正法を大改革する、こういうことも主張された。 そこで、政治資金規正法案はいつごろ閣議で了承して国会に提出をいたしますか。
○三木内閣総理大臣 政治資金規正法の改正ということは私の重大な公約の一つで、いま自治省の手でやはり法案の作成にかかっておるわけでございます。これはまあできるだけ早くということ、国会にも限られた会期があるわけですから、できるだけ早くということで、三月中に終えたいという目標のもとにいま作業をいたしておるわけでございます。
○武藤(山)委員 そうすると、四月中には必ず国会に提案いたしますね。
○三木内閣総理大臣 むろん四月中には出さなければならぬことは当然でございます。
○武藤(山)委員 総理は前々から、献金は法人から受け取らずに個人献金に限るようにした方がいい、こういうようなことも新聞に出ましたね。今度の改正で個人からの政治献金が受けられるように改正するのですか。
○三木内閣総理大臣 私は、政党の政治資金というものは、企業とか団体とかいうものでなくして、党員と個人の寄付によって賄うということが理想だと思うのですよ。それはなぜかと言えば……(武藤(山)委員「いまやるのかやらぬのか」と呼ぶ)この問題が法律に違反するというわけではありませんよ。やはり団体とか企業が政治資金を寄付したからといって、何も法に抵触するわけじゃない。最高裁の判決もそれは認めておる。(武藤(山)委員「そんなこと聞いているのじゃない。個人のをやるのかやらぬのか」と呼ぶ) だから、個人については——もうちょっと説明が、前置きが要るんですよ。そのためにはどうしてもやはり政党のモラルとしてこの問題を解決することが適当である。法律の中で禁止するよりもモラル。自民党は、武藤さん御承知のように、先般、総務会の決定をもって、五年以内に自民党の経常費については党費と個人の寄付によって賄って、企業献金を辞退するという決定を行ったわけであります。これはもう政党の決定でございますから、三木内閣がどうなろうともこの決定に自民党は従うわけであります。政党のモラルとしてこの処理をした、法律の中では処理をしなかったということでございます。
○武藤(山)委員 そこで、今度提案される改正案では、法人からはもちろんいただける、同時に個人からも政治献金が受け取れるようにして、税制上何らかのメリットを与える、そういう制度にするのかしないのか、個人のものも含むのか含まないのか、今度の改正案で。
○三木内閣総理大臣 むろん今度は個人のものも含むわけですよ。個人の寄付というものは、日本では余り社会慣習の中に成熟していないですから、できるだけそういう傾向を助長するために、一定額を押さえまして個人の寄付に対しては税政上の処置をとりたいと思っております。
○武藤(山)委員 この改正案は、大体いつから実施をしようというもくろみですか。
○三木内閣総理大臣 これはむろんこの法案が通過いたしますれば、できるだけ早く——いろいろ選挙法に関連するものもありますから、できるだけ早く改正をしておいた方がいいと思いますが、いまはまだ実施時期については結論は出ていないわけで、そんなに長く延ばすわけではございません。実施時期をそんなにずっとおくらすわけはない。
○武藤(山)委員 そんなにずっとはおくらせないが、二年なのか一年なのか三年なのか、ずっととはいつですか、実施時期は。
○三木内閣総理大臣 実施時期は、自治省も来年ぐらいから、明年度からを予定しておるようです。
○武藤(山)委員 わかりました。明年度から実施する、個人の政治献金も税制上メリットがあるようにしたい、これが総理の答弁ですね。そうすると、個人の政党への献金あるいは政治家への寄付というものが税制上控除される、そういうことを考えているのですか、総理。
○三木内閣総理大臣 いまの会社などについての政治献金は現行法どおりです。個人については何らか一つの税制上の処理をとろうということを検討中でございます。まだ結論は出ておりません。
○武藤(山)委員 政治資金規正法の提案をする際には、当然、そういう個人からの献金が受けられるという場合には、同時にその改正案も国会に出すべきですよ。それが親切ですね。所得税法の改正案を今国会中に出しますか。
○三木内閣総理大臣 もちろん、それは同時に出す予定でございます。
○武藤(山)委員 主税局長、それではすでに税調にそういう改正案のある程度の骨子というようなものを諮問しておるのですか。
○中橋政府委員 先ごろ、与党でございます自民党の中で政治資金規正法の大綱というのを決定して、私どもはごく最近それを勉強し始めたところでございまして、いま総理からお話がございましたように、個人献金を奨励するという意味において、所得税についてどのような配慮をしますかということを私どもでいま検討している最中でございますので、まだどことも相談をいたしておりません。
○武藤(山)委員 総理、いま法人が寄付をする場合、寄付金に税金がかからないように損金になるのです。そういう法律になっているのです。その限度はどういうことになっているかと申しますと、その事業年度の所得の百分の二・五プラス資本金の千分の二・五、その合計額の二分の一と、こういうことになっているわけです。四十八年度一年間の寄付金の合計は、国税庁の調査によると千二百六十六億円、これだけの寄付が行われている。その千二百六十六億の寄付金を各資本金別にちょっと計算をしてみると、資本金十億円以上の法人で一社当たり八千五百万円、資本金百億円以上の法人で三億一千五百万円、これだけの寄付が行われている。 そうして、この寄付は法律の規定では大体三つに分かれておる。学術とか社会福祉とか文化、芸術とか、そういう法人に献金をした場合にはこの枠とは別ですよ。それから国や地方自治団体に寄付したそういう寄付もこの枠とは別ですよ。だから、この枠はあくまで一般寄付なんです。 そうすると、この規定というのは、大資本というのには非常に有利、多額に献金ができる仕組みになっている。新日鉄とか、東京電力とか、資本金が何千億となりますと、資本金の計算でも何億の献金ができるわけです。中小零細企業になると、この規定でいったら、資本金が小さいですから年間二十万かそこらでもう寄付が限度になってしまう。政治資金規正法の改正が行われる際に、こういう大法人が非常に有利なこういう寄付の限度額をそのまま残すか、これも洗い直すか、その点の方針はいかがですか。これは総理大臣。
○三木内閣総理大臣 いま武藤さんがお挙げになったのは、政治資金一般の寄付ですからね。これがいろいろ学術研究などの方面に、やはり企業の献金というものが学術の振興に役立っておる面は非常にあるわけですね。このごろはそういう点の寄付というものが非常に多くなってきたですからね。そういう点で、これは政党などに対する寄付ということばかりでなく、やはり社会的に非常な貢献をしておるという面もありますから、これを全部政治献金というような角度から議論をすることは適当でないという感じであります。
○武藤(山)委員 いま主税局長は総理大臣にうそを教えたよ。ちょっと説明しなさい。法人税法三十七条では、あなたがいま言ったのは、その三項の「公共法人、公益法人等その他特別の法律により設立された法人」こういうものにも行っている。しかし、これはいまの限度いっぱい、これで出せるんですよ、寄付金は。同時に、三十七条二項でも出せるんですよ。これは両方ダブって出せるんですよ。だから、いま私が言った所得の百分の二・五プラス資本金の千分の二・五掛ける二分の一は両方使える、倍になるんですよ、この三十七条の規定でいくと。 それは、いいですか、こう書いてありますよ。私がいま言った学術とか教育とかという寄付は「(当該合計額が当該事業年度に係る損金算入限度額をこえる場合には、当該損金算入限度額に相当する金額)」を三項は三項として引けるとなっているんだから、目いっぱい寄付すれば、限度両方へ働くから倍の限度になっているわけですよ、この法律は。
○中橋政府委員 先ほど武藤委員がおっしゃいました千二百六十六億円というのは四十八年度に法人が出しましたあらゆる寄付金でございます。その中に確かに三つ種類がございまして、一つはいわゆる指定寄付金かあるいは国とか地方公共団体に対します寄付金で、これは全額損金に算入されるわけです。 もう一つは、試験研究法人に対する寄付金でございまして、それがいまお読み上げになりました、さっき資本金と所得金額の率で申されたそれの倍まで出せるのはそのものでございます。 それで、一番最後に残りましたのが、先ほどお挙げになりました資本金と所得金額の平均額、そこまでは出せるわけでございまして、総理のお話は、その中には政治献金もございましょうけれども、また試験研究法人に出すものもございますし、あるいは事業関係者に対して寄付をするものもございます。いろいろな種類のものがそこに入っておるということを申し上げたものでございまして、決してそれは誤りではございません。
○武藤(山)委員 いや、総理の答弁は、その限度一本だと思っているわけですよ。だって学術研究やいろんなそういう教育や文化の寄付があるから、いまの所得の百分の二・五プラス資本金の千分の二・五で、これを一つの基準で両方へ、科学、文化、教育にも寄付し政党にも寄付するという、同じ土台だと総理は認識しているようですから、私はそうではない、同じ基準で両方へ出せるのですよ。教育、文化そういうものと、一般の政治献金というものが同じ基準で両方へ使えるのだ。だから極限は、この規定でいくと、いまの基準の倍まで使えるのだ。だから私は、そういうものはこの際もっと公平ということを考えたら、中小企業のことも考え、個人のことも考えて、もし政治資金規正法を改革するときに、税金で損金に認めてやろうという制度に持っていくならば、この際洗い直しする必要があるのではないかということを聞いているわけなんです。 千二百六十六億のうち、政治献金があることや教育機関や地方自治体の寄付やいろいろあるかもしらぬということは私はわかりますよ。そうでなくて、私はそのことを言っているわけじゃないんだから、数字の中身をいま言っているわけじゃないんだから、制度としてそういう制度になっている。これをこの際、政治資金規正法の改正案を提案するに際して、同時に一回洗い直しする必要があるのではないか、こう言っているわけですよ。 というのは、大企業との癒着が、こういう規定があれば、大企業はごっそり政治献金ができるわけですから、どうしても零細なものの、頭数の多いところから集めるよりは、この方が政治に対する発言権を強く持ってしまうんですよ。そういう観点から、こういうものについてある程度洗い直しをして制限的なものにすべきではないか、政治献金の部分については。それを総理の方針としてちょっと伺いたい。
○三木内閣総理大臣 今度の改正は最高限度を設けますから、企業は青天井に出せるわけではない。最高限度がたしか自民党のあれでは、資本金によって三千万から最高は一億になるようですが、そういうふうに資本金でしておるけれども、限度を抑えておる、青天井ではないということでございます。 いま寄付金全体を政治資金規正法の場合に見直すかということですが、これは税制全般のときに見直すべきで、今度の場合は、政治資金規正法のことに関してだけの一つの改正をやろうと考えております。
○武藤(山)委員 新聞によると、自民党案は資本金五十億以上ぐらいの企業からは一億までもらえるようにしたいと、こう言うんですね。だとすると、税金がかからないからみんな出すんですよ。国に税金で取られるよりは、三木さんのところの派閥へ出す方が、あるいは政党に出す方が、何か物を言うときに言いやすい、物を頼むときに頼みやすい。国に取られる分をそういうほかの団体に、どうせ税金で取られるならという気持ちが働くわけですよ。それが工場の製品にも経費にも全部はね返っていっているわけですからね。 したがって、クリーン内閣だったら、そういうものについても、この際は過去の古い慣習や制度を徹底的に洗い直す。抵抗もある、困難もある、それを乗り切るんだと言うんだから、乗り切るからには従来と同じ惰性でこういうものを残して置いちゃいかぬですよ。やはり直さなければいかぬですね、どうですか。
○三木内閣総理大臣 政治にはやはり相当な資金を要するわけですから、ある一つの今度の改正というものは、限度額を設けるということと経理を明朗にする、全部公開主義ですから。これは相当なやはり前進になるわけですよ、公開主義ですから。 そういうことで、やはりたとえば企業ばかりでなしに、団体の寄付もありましょう。そういうことを全部いまここで廃止してしまうということは、単に自民党ばかりではないと私は思う、各政党、縮めるということはそれは絶えず検討しなければならぬけれども、そういうものはいかぬのだ、癒着があるのだというふうになってくると、企業ばかりでなしに団体の癒着ということも起こってくるでしょうから、どうしてもやはり国民の前にガラス張りで金の出し入れというものをやって、国民の監視を受け、いやしくもその寄付によって政治の方向を曲げることのないように——ちゃんと明らかになるわけですから、収支が国民の前に。国民は監視しておるわけですから。そういう中において、絶えずそういうことによって左右されないという国民の監視を受けるような状態に持っていこうということは、これは相当な前進になると私は思いますよ。 これはまあ武藤さんの理想から言ったらまだお気に召さぬでしょうが、日本の政治風土としては、相当な改革であるということになることは間違いないと私は思う。
○武藤(山)委員 国民の監視を受けるから一億もらってもいい、資本主義を守るために資本主義のチャンピオンである財界から金をもらうことが何が悪いか、こういうことですね、いまの総理の答弁の中身は。わかりました。 そこで、国民の監視が受けられるように制度を改善するというからには、これからの政治寄付というものは、あるいは会費も届け出をちゃんとしなければならぬ義務をつけますか。いままでは寄付だけが住所氏名、寄付者の名前を出した。会費はどうしますか。一定額以上の会費は、今度の改正案では全部自治省に報告する義務を負わせますか。それなら国民の監視はつくけれども、会費は依然として雲に隠れておると言ったら、これは全然国民の監視は目が届きませんよ。自治省、どうですか。
○土屋政府委員 まだ改正案が固まっておるわけではございませんが、立案の過程におきましては、そういうことも検討されて、企業からの会費というものは寄付とみなすということで、すべて公開の方向へ持っていくということにいたしたいという気持ちでおるわけでございます。
○武藤(山)委員 まだいたしたいで、途中でだんだん骨を抜かれて、いたしたいが、まただめでした、抵抗を押し切れなかった、こういうことになる心配がある。そういう心配は毛頭ない、こう理解してよろしいですか、総理。
○三木内閣総理大臣 後退後退と皆さんおっしゃるのですが、私は、政治資金規正法では、できるだけ早くそういう個人の寄付とか党費に移行した方がいい、それが理想的であると思うが、それは法律に抵触をしない、それだから政治献金が法律に違反するとか、そういう問題ではない、政党のモラルの問題だから。 そこで、今度の場合は限度を設ける。限度を設けるというのも、資本金というものになりますから、ちょっと多い感じもいたしますけれども、従来から言えば、自民党の政治資金というものはいままでよりも相当少なくなることは明らかですね。 その上へ持ってきて、これは限度を設けることと公開主義を貫く。それだから、会費というものに対しても、零細なものは別でありますが、ことにやはり租税上の特典を受けるというようなことになればやはり公開を考えなければならぬでしょうし、そういうことですから、これはもう公開主義になる。これはやはり大変な改革ですよね。 そういうことで、そういう点の考え方は貫きたい、これは私の原則である。限度を設ける、この限度がまだ甘過ぎるという御批判はあるけれども、限度を設け、これを公開主義による、このことはやはり私が貫きたいと思う原則でございます。
○武藤(山)委員 その原則はぜひ貫いてほしいと思います。 最高一億で、五十億以上の資本金の会社から集めた場合、五十億以上の資本金の企業は、主税局長、現在日本じゅうに幾つありますか。
○中橋政府委員 ちょっと手元に五十億円以上の資本金階層を持っておりませんが、十億円以上の会社で千三百五十二社でございます。
○武藤(山)委員 その会社の数を見ただけでも、自民党が従来集めていた資金は、大体これから一億ずつ集めれば悠々、これはもう改正しても以前と同じような効果はちゃんとある。そのことはこれ以上議論していると、もう持ち時間があと十分しかありませんから次に進みます。 総理も知っているように、もう先進工業国家、先進資本主義国家では、金融機関で土曜日に営業をやっているところはほとんどありません。世界の大部分の国の金融機関が、もうすでに十年前、ほとんど七、八年前までには土曜は閉店、こういうことがもう世界じゅうに普及をされているわけであります。 日本では、全銀協の会長の佐々木さんが、銀行の職員組合との間で土曜日は休みにしたい、来年の六月からをめどにしてそれを実行したいものだ、こういうことで、職員組合との間に覚書を交わしたりいたしました。過般、国会に参考人としておいでいただいていろいろ御意見をいただきました際にも、来年六月ごろをめどに実施できるように努力したい、こういう御答弁がありました。 そのときに、大蔵省として一体どうだ、副大臣の見解はどうかということで森政務次官の見解をただしたわけであります。そのときに政務次官は、「銀行法の十八条を改正しまして、早急にこの社会的要請にはこたえるべきだと考えております。」こう答えた。大変前進をした政務次官の答弁であります。 その翌日、二月五日、今度は大平大蔵大臣が、同じ大蔵委員会におきましてやはり答弁をいたしております。その中で、「私ども大蔵省の方でよく問題点の整理をさせまして、時期を見まして内閣に持ち出して検討を仰ぐという筋道をとらしていただきたいと思います。」こう答えたわけです。 世界の大勢でもありますから、この際、全銀協が労使間の話し合いで土曜日は閉店にしたいという希望を——法律がちょっと邪魔になっているわけです、銀行法十八条が邪魔になっているわけです。労使間で話を決めても、この銀行法十八条は土曜日もかせがなければならぬようになっているものですから、これがどうしても邪魔になるわけですね。この際、金融機関のそういう世界的状況から見て、同時に、全銀協の会長の考え方を追認するという意味からも、また、森政務次官は義弟でございますが、森政務次官の答弁をも、政治家の発言としてこれを実現させる、追認をしてやる、そういう答弁を総理大臣からいただきたいのでありますが、御心境いかがでございますか。
○三木内閣総理大臣 私は、武藤さん、週休二日論者です。ただ、そこへ持っていくまでには順序がありますね。たとえば銀行というものは公共的な性格を持っていますから、銀行だけで済むんだろうかという疑問が起こってくるのですね、一体郵便局はどうなるのかということで。手形法とか、小切手法にも関連するでしょう、銀行法にも関連する。これは法律の改正をすればいいので、それが理由だということにはならぬのですが、むしろ問題は、銀行だけで済むのだろうか、そのほかの体制がいまできておるかという問題が一つの問題点だと思う。 金融制度調査会に銀行法の改正というものを検討してもらいたいと、これはずいぶん古いものですから、昭和二年ですか、そういうことで、そういうときにはそういう問題とあわせて検討してもらえれるが、むしろそういう法改正というよりも、銀行はほかのものでないんですから公共的性格のものだけに、銀行だけぽつっと二日制をやって、そのことが国民生活にどういう影響を与えるだろうかというだけなんです。 しかし、私は週休二日論者ですから、なるべくやはり日本も世界並みになった方がいいですよ。皆休んでおるときに日本だけがこつこつ働いていくということも、それは勤勉な国民としてそれが長所かもしれぬが、これからは何もかも世界並みがいいと私は思うのです。高度経済成長もそうでしょう、世界並みの成長が。そういう意味で実行したいと思うのです。 いま言ったように、ひっかかるのは、銀行というものの公共的生格で、ぽつっとこれだけやるということには何かひっかかるものがあるのですね。そういう点で、しかしほかの関連をするようなところもそこへいくべきでしょうから、これはまあいつもの答弁になって相済まぬが、前向きに検討をいたすことにいたします。
○武藤(山)委員 最後でありますが、それは総理、森さんもなるほどこれは早急に進めなきゃならぬと答え、大平さんも閣議に諮るという前向きの答えを出した。いま総理も前向きの答えを出した。そこで一番聞きたいのは時期なんですよ。全銀協は来年六月ごろから実施したい、そういう準備として、いま土曜日はもう集金をやらない、土曜日はできるだけ仕事量を減らして、来年六月から転換できるように準備をしているわけですね。これを追認してやればいいということを私は言っている。 その際ぼくは、金融機関だけ先に、総理大臣が、よし、じゃあ郵便局と農協と金融機関は同時に出発できるようにしてやろう、あとは金融機関がそうなれば個々のものは、大勢になってくれば今度はどこをやろうということで、両三年ぐらいの間にはかなり日本も先進ヨーロッパ国並みになる、世界的水準になる。どこかをまずトップバッターに決めなきゃ、総理なかなか始まらぬのですよ。 たとえば、国家公務員からやれということになると、おそらく総理の頭の中には、国民の税金で給料をもらっている役人から先に土曜日休みだなんて総理大臣として言えるか、勤倹貯蓄の日本の国民性から見て、そんなことはおれには幾ら公正内閣でも言えぬ、こう言って、国家公務員からは始まらない。地方公務員からやろうとしても、それも同じようなことで、やはり政治の場からそれはできない。民間からやらなければだめだ。 その場合に、一番経営内容も心配ない、そして金曜日までに作業をきちっとやっておけば土曜日がなくともそう被害が起こらないという、そういうところをまず最初に決めていく、それによって、だんだん可能なところから順次二日制になっていく。いま民間の大企業は、すでにもう十人中八人は週休二日の恩恵を受けるような形になっているわけですよ。ですから、そういうものをやはり、銀行法十八条だけががんになっていて労使間の話がまとまっても先に進まない、これを総理大臣が、もし森政務次官の答弁どおり早急にひとつ閣議で相談しよう、ここまで踏み切ってくれれば、銀行局長が何度かごてごて小切手法がどうです、手形法がどうですなんて言わなくても、総理大臣がばちっと決断すれば、これはもう案外早く実行段階に入るのです。問題は私は、総理の、最高首脳の決断だと思うのです。もちろん大平さんは、閣議で議論をしたい、こう言っておりますから、閣議の中でぜひ早急に相談をしていただきたい、検討をしていただきたいと思いますが、総理、いかがですか。それが最後の私の要望を含めた質問です。
○三木内閣総理大臣 これは武藤さんの言われるように、用意どんといって一遍にはいかぬですよ。だから、ある部門ということもありますが、いま郵便局と農協と、こう簡単に言われましたけれども、これもまた、郵便局、農協というものはやはり週休二日ということによる影響というものが銀行よりまだ多いでしょうからね、いろいろな点で。そういうことで、武藤さん、これは私は週休二日論者ですから、やりたいんですよ。しかし、やはりそれは銀行だけではいかぬですね。あなた自身でもいま言った、幾つかの道連れが要るわけですから。 そういうことで、きょうのところはいきなり閣議に諮ってというところまでの私は踏み切り方でないんですよ、正直に言ったら。しかし週休二日論者ですから、これを何か推進する方向で検討をいたすことはお約束をいたします。
○武藤(山)委員 割り当ての時間ですから終わります。
○上村委員長 小林政子君。
○小林(政)委員 三木総理にお伺いをいたします。 今回、農地に対する相続税については納税猶予制度を創設いたしまして、そして相続人が農業を続ける場合には、その農地については農業投資価格というものを決定する、そしてそれを超える農地価格に対応する相続税についてはその納税を猶予する、こういう制度をいま審議しているところでございます。 この制度にも私どもいろいろ問題点があると存じますけれども、しかし、農地を農地として見るということ、あるいはまた宅地期待価格、開発期待価格というものを含まないものとされていますし、今回のこの措置は——高度経済成長のもとでインフレーションの異常な進行が地価の暴騰を呼び起こして、大部分の農家にとってはいままで大きな影響というものがなかった相続税が、今日では唯一の生産手段である農地を手放さなければならないというようなかつてない状況にまで追い込んでいる、こういう状況のときに、この制度は継続して営農を図っていく措置だということが言えると思います。 ところが、同じ農地で営農を続けている市街化区域ですね、これはAB農地というふうに言われておりますけれども、ここには固定資産税が宅地並み課税という形で重課されておりまして、これは農民に土地を放出させよう、こういう目的からのものであって、相続税の、つまり農業の継続を図っていくということから見て、私はこれは非常に矛盾をするものではないか、このように考えます。また、食糧自給率の向上を図っていくという点から見ましても、宅地並み課税は大きな矛盾があるのではないか。農地の宅地並み課税そのものをむしろやめて、農業を継続する限り、AB農地についても農地としての課税に戻すべきではないだろうか、私はこのように考えますけれども、この点についてどのようにお考えでございましょうか。
○三木内閣総理大臣 いま固定資産税に対する宅地並み課税を廃止したらどうか、これは土地政策とも関連しておりますから、将来土地政策全般と関連をして検討いたしますが、いまこれを廃止する考えはないわけでございます。 市街化区域の農地の固定資産税は、やはり周辺の宅地との負担の均衡ということも図るもので、すぐ隣で地価が上がっていることは事実ですから、その均衡というものもあるわけですから、宅地並みの課税というものに対して、いまこれを課税から外すという考え方は持っていないわけでございます。しかし、将来土地政策全般としては検討いたします。
○小林(政)委員 今回のいわゆる相続税の納税猶予制度、この制度の中では、現在農業として使用している農地は、都市近郊であろうがあるいはそうでなかろうが、農地として評価をする、いわゆる農業投資価格という形でこれを決定していくんだ、こういうことがいま論議されているわけですね。 なぜこのようなことがやられたかと言えば、これは相続をする場合に、農地を売らなければ相続税を払えないというようないまのこの現状を、何とか農業政策の上からも、また食糧自給政策という立場からも、やはり押さえなければならない、こういうところから考えられて現在この問題が審議をされているわけですけれども、そうしますと、都市近郊の市街化区域であろうがあるいはまた一般の純農村であろうが、そういう区別なく、これはやはり農業を継続している以上は猶予制度をとっていこう、こういうことでしょう。ですから、端的に言えば、農業を継続発展させていく、そうして今後の日本の農業を食糧自給政策等も含めて重視していく、こういう立場に立ってこの制度がとられているのだと思います。 そうしますと、都市近郊であるということで現在の宅地並み課税、これは実際には高い宅地と同じような固定資産税を課して、そうして農地を吐き出させていくという、こういう相矛盾する内容を持つわけです。したがって、私は、この宅地並み課税についてはやはりもとに戻すべきではないか、農地としての課税に戻すべきではないか、これは当然のことだと思いますけれども、総理、いかがでしょうか。
○三木内閣総理大臣 やはり小林さんの言われることも一理あると思いますよ。ただ、しかし、実際の土地政策として、それ以上の均衡という問題もあるのでしょうが、技術的なそれ以上の問題について主税局長がもう少し詳しく説明する必要があると言うので、これを補足して申し上げることといたします、なるべく簡単に答えますから。
○中橋政府委員 今回提案申し上げております農地に関します相続税の納税猶予の制度は、毎々申し上げておりますように、農業経営というものをどうしようというようなことで御提案いたしておるわけではございません。むしろ農地につきまして線引きというものが非常に不確定でございますから、そういう事例が所々方々に農地について起こっておりますために、農地の評価がいわゆる宅地含みで評価されるということに対しまして、恒久的に農業をやろうという人にはそういう宅地含みの評価はやめまして、本来の農地だけの評価でこの際の相続税を納めていただこうという趣旨でございます。 固定資産税をおっしゃいますように市街化区域内におきますところのAB農地につきまして宅地並みの課税でやっておりますということは、近隣の同じような宅地につきましての管理費用と同等にしようという配慮でございまして、むしろそこには市街化区域というもとにおきます土地の利用というものを考えておりますし、今回の相続税の問題は、農業を続けてやろうという方についてはその評価に徹しようということでございます。
○小林(政)委員 農業をやろうという点では、現在農業を続けている人にとって、農地というものは私は全く同一の立場だと思うのです。これは相続税であろうが固定資産税であろうが、ともかく農業を自分はこれからも続けていくし現在も続けているという場合に、片や相続税の場合は、ともかく農地を切り離さなければ相続税が払えないというようなことになれば、やはりこれは重大な問題だということで猶予制度がとられているわけでしょう。ですから、宅地並み課税ということも、これは農業を続けているという点では同じ農地を耕しているわけですから、私は同じ性格のものだと思うのですね。むしろ私は宅地並み課税そのものが予盾していると思うのです。 自治省お見えでしょうか。自治省にお伺いいたしますけれども、最近生産緑地制度とか、あるいはまた地方自治体が都市近郊の緑地の保全ということで、一たん徴収をいたしました宅地並み課税を六〇%から八〇%農民に返しているというような事例が出てきておりますけれども、具体的にそれは幾つぐらいの地方自治体がそのような措置をとられているのか、またその内容についてちょっと報告をしてもらいたいと思います。
○石見政府委員 お答え申し上げます。 ただいま御指摘のございました補助金でございますが、一部の市におきまして、緑地の保全等を目的といたしまして、一定規模以上の市街化区域の農地に限りまして一定期間農業を継続することなどを条件といたしまして、補助金を交付しております実態はございます。これらは、関係市が緑地の保全確保というような観点から当該市の独自の判断で実施しておりますものでございますが、その数は、昨年十二月現在で私どもの方へ報告が参っておりますのは、該当団体百八十二団体のうち百十五団体が実施いたしておるという状況でございます。 その内容でございますが、それぞれ市によっていろいろやり方があるわけでございますが、たとえばある市につきましては、要綱を設けまして、いま申しましたような趣旨に従いまして固定資産税の二分の一に相当する額を補助金として交付するというような措置をとっておるのが実態でございます。
○小林(政)委員 いまの報告によりますと、百八十二団体のうち百十五団体が何らかの形で宅地並み課税については農民に、その分の中からあるところは半分、あるところは八〇%から六〇%近く返還をしている、そして農業を継続してもらう、こういうことがいまの報告の中でも数の上でも圧倒的に多いということが明らかですけれども、私はやはり宅地並み課税は今後廃止をしていくべきではないか、このように考えております。 特に、五十一年からはC農地にも宅地並み課税を適用する、こういうことになっていますけれども、C農地の宅地並み課税について、具体的にどのようにお考えになっていらっしゃるのか。現在の宅地並み課税についても廃止の方向で検討される意思がおありかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
○三木内閣総理大臣 小林さんの言われること、一つのそういう立場はあり得ると思うのですが、御承知のように市街化区域であれば、政府の土地政策全体から言えば、そこは農業よりもやはり宅地として利用してもらいたいと願う気持ちがあるわけですね。そういうところで農業をやられるということになれば、相続税の点においては優遇措置があるわけですが、実際から言えば皆宅地に困っておるのだから、そういうところは農業というよりも宅地というような土地政策の意図もあったわけです。だから、いまこれを廃止するという考え方は持っていないのですが、C農地は五十一年度から評価替えをいたしますから、これは十分に検討をいたします。C農地については、評価替えの場合にこれは十分に検討をいたします。
○小林(政)委員 C農地については検討ということでございますので、時間もありませんから次の問題に入りたいと思います。 総理は福祉優先の政治ということと、また社会的な公正ということを主張されておりますけれども、税制における福祉の増進ということについて、まず基本的にどのようなことをお考えになっているのか、そのお考えをお伺いいたしたいと思います。
○三木内閣総理大臣 小林さん、私は福祉というものを、社会保障というよりも総福祉的な考え方があるのですよ、私自身の考え方には。単に社会保障というものに限らずにいろいろな、人間が生まれて死ぬまでの間、教育ということも福祉に関係しますし、いろいろな点で、社会保障ということだけに限らぬのですけれども、狭い意味では福祉ということは身体障害者であるとか母子家庭であるとか、生活保護世帯もそうですが、社会的に非常に弱い立場にあるそういう人たちのいろいろな福祉政策、一方においては社会保障制度というようなことが狭い意味における福祉政策だと思う。福祉をもう少し広い意味でとることが必要だという感じがいたします。
○小林(政)委員 私は福祉は何も税制の上だけで実施すべきだとは思っておりませんけれども、税制の中で福祉対策ということになれば、これはやはり勤労者やあるいはまた中小業者、農民など、こういう働く人たちにその税制の中での福祉という問題が全般に行き渡る、こういうことが必要だろうというふうに私は考えております。 その点で、今回の税制改正を見てみますと、所得税の自然増収は二兆八百五十億円、しかし実際の減税規模は二千四百八十億円で、これは一一・九%、全く少ない減税にすぎませんし、また人的控除の引き上げ分なんかも本当にわずかであって、具体的には物価上昇の中で標準生計費もまかなうことができない、実際には今回の減税は減税などと言えないほど低いものだ、私はこのように言えると思います。 しかも医療費控除の足切り限度、あるいはまた、ことしは総理御承知のとおり、国際婦人年に当たりますけれども、婦人のいわゆる配偶者控除一つを取り上げてみましても、二十六万円という、これもまた非常に低いものでございますし、白色専従者控除も四十万円ということで、いわゆる妻の座を正しく保障するということが税制の中で本当にされているだろうか、このことに対して、多くの婦人の中からもいろいろな意見が出てきております。 私はこういう立場に立って、特に医療費控除についてまず一つお伺いをいたしたいと思います。 三木総理は弱者救済ということも非常におっしゃっていらっしゃいますけれども、医療費というのは衣食住とともに人間生活の最低の維持をはかっていくものであって、貧しい人たちの低額の医療費といえども五万円だとかあるいは五%で足切りとするというのは、これはちょっと理屈に合わないんじゃないだろうか。今回の改正で最高限度額を百万から二百万に引き上げ、足切り限度を十万から五万に引き下げたわけですけれども、実際には所得百万の三人ないし二人の世帯の場合には、今回の改正は何のメリットもないのですね。納税人口が約三千万人と言われております中で、百万円という所得の人たちは約一千万人近くになるわけです。この問題については私は当然定額定率、これを実際にはもうやめて、社会保障として、こういう問題については限度額という問題を、足切りを設けることなく、全額やはり控除の対象にすべきではないか、こう考えますけれども、総理いかがですか。
○三木内閣総理大臣 いま定額基準を五万円に引き下げた、この引き下げに対してまだ限度が非常に高過ぎる、不公正是正の一環としてもっと引き下げる考えはないかというお考えのようであります。 これは昭和四十八年でしたか、家計調査で、保険医療費というものの全国的な調査を行って、それが三万五千円でした。その後二年たっておるわけでありまして、十万円を五万円に引き下げた今回のこれで、一応適正だと考えておるわけでございます。もう少し引き下げるべきでないかという御意見もありますが、昨年度の当委員会の附帯決議もあって、これが適正でないかということで五万円に引き下げたわけでございます。
○小林(政)委員 今回こういう改正が行われたわけですけれども、実際に所得百万以下の三人世帯あるいは二人世帯の人たちには、具体的にこれは何らメリットがないのですね。ですから、確かに五万円ということで相当低くまで下げたのだからと総理は言われますけれども、百万円の世帯の人たちにとって五万円はいわゆる所得に対する負担は五%なんです。ところが、五百万円の人にしてみれば、これはわずか一%なんです。 本当に弱者救済と総理が言われるのならば、実際に所得が百万あるいはそれを下回るというような場合の家計にとっては、たとえこれが三万でも二万でも非常に大きい負担になっているということが言えると私は思いますし、ぜひともこの問題については——しかも、これは四十八年の統計の数字ですけれども、納税人口の中で百万以下の納税者は九百九十二万人、全納税人口の三千三百七十二万人に対して約三〇%を占めているのですね。こういう層に対してこそ温かい、そしてこれはまた当然の医療に対する基本的な問題として何らかの措置をとっていくべきが妥当ではないか。この点について検討される用意がおありかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
○三木内閣総理大臣 小林さんも御承知のように、課税最低限もございまして、その中でいろいろな基礎控除というものが行われるわけですから、そういう中で見て、そしてその上にということでありますから、これが現在のところは適正だと考えますが、将来の推移を見てまいりたいと思うので、現在はこれで適正ではないか。 こればかりでないですからね。いま申したようないろいろな課税最低限の一つの基礎控除というようなもの、あるいはその他の控除がありますから、そういうものでカバーできるのではないか。それに対してさらにという考え方で五万円に引き下げたわけでございますから、現在のところはこれが適正ではないかという考えでございます。
○小林(政)委員 私はこの問題について、総理からもう少し前向きで積極的な御答弁がいただけるというふうに思っておりました。事実ある程度の所得の水準までいっている世帯にとっては、確かにこの課税最低限の中に五万円が含まれている、ある程度含まれるということもわかりますけれども、しかし、所得百万という、しかもこの物価高の非常に苦しい中で生活を余儀なくされている人たちにとっては、医療費という問題は本当に——人間にとって病気ということは何も好き好んでなるわけじゃないのです。こういう問題については、私は負担の点から考えても、これはもっと検討をこれからしていくという前向きの御答弁を当然いただけるものだというふうに思っておりましたけれども、この問題について再度検討される余地が全くないのかどうか、御答弁をお願いいたしたいと思います。
○三木内閣総理大臣 何事によらず全く余地のないというものはないわけでございますから、今後の推移等もにらみ合わせて、検討の必要が起こればむろん検討いたします。
○小林(政)委員 その点はぜひひとつ御検討をいただきたいというふうに思います。 それでは、時間が大変迫ってきておりますので少しはしょりたいと思いますけれども、次に税制の中での婦人の地位の問題について、いままでも私は大蔵委員会の中で何回か論議を続けてまいりましたけれども、時間の関係で特に一点にしぼって質問をいたしたいと思います。 実は内職の問題でございますけれども、この問題については、新潟の六日町、十日町というところは御承知のとおり地場産業として織物の非常に盛んなところなんです。ここは御承知のとおり豪雪地帯でもございまして、冬になると農家の主婦は近くに工場もないし働きにも行けない。雪の中に埋もれている。こういう中で、いわゆる地場産業としての内職を、機織りというのをやっているわけです。一反の工賃が二千五百円から二千九百円ぐらいで、一反織るのに大体二日ぐらいかかるわけです。 ところが総理、内職の場合は年収にして二十万円を超えますと、配偶者控除も受けられないのです。そしてまた、所得二十万円といいますと、月一万六千六百六十六円なんです。これは内職としてそこまでは配偶者控除が受けられますけれども、それを超えると、配偶者控除も受けられない。いわゆる二十万を超えると、もうこれは一つの事業所得として独立をして、二十六万の基礎控除を引いただけであとは全部課税される、いまの税制はこういう仕組みになっているわけです。 私は、これは、農家の主婦の人たちが冬の間機織りをして、そして大体三十万あるいは多くて五十万の年収を得ておりますけれども、この人たちに対して、主婦の内職のいわゆる配偶者控除適用限度をいまの二十万からもっと引き上げていくことが必要ではないだろうかと思いますけれども、総理、いかがでしょうか。
○三木内閣総理大臣 現行税制のいろいろな技術的なほかの税とのバランスの問題もありますから、主税局長がお答えいたします。
○中橋政府委員 おっしゃいますように、配偶者控除の適用要件としての所得の二十万円というのに、さらに雇用形態によりましては給与所得控除というのも使えるものでございますから、そういうもので内職を行えれば、年間七十万円という数字があるわけでございます。
○小林(政)委員 ともかく一つ一つの問題で私は税制の中で今後やはり検討していかなければならない、大幅に改善をしていかなければならない問題だと思いますし、この問題についても再検討をぜひしていただきたいというふうに思います。 最後に、もう時間がなくなりましたので、総理に一点お聞きいたしたいと思いますけれども、総理は福祉財源の確保のため、あるいはまた直接税、間接税の比率の是正ということを理由に、一般消費税の導入を五十一年度に実施に踏み切るというふうに思われるような答弁を、参議院の予算委員会ではされているわけですけれども、一般消費税と言えばこれは付加価値税でありますし、すでにこれまで何回かいろいろな団体の人たちが国会にも多数見えて、この問題については反対であるという請願も相当集まっておりますし、地方議会でも決議がされている。こういう付加価値税問題について、本当に来年度からこれをそのような理由で実施に踏み切るというようなお考えをお持ちなんでしょうか。もしそうだとすれば、私はこれは重大な問題だと思いますけれども、はっきりとひとつ御答弁をお願いいたしたいと思います。
○三木内閣総理大臣 どうしてもこれからは福祉ということが非常に大きな国民的な要望にもなってくるわけですし、また政府としても力を入れていかなければならぬわけです。そうなってくると、財源問題というものが伴うわけですから、どうしてもやはり高福祉には高負担ということは避けられないと思います。 しかし、そのためには、福祉というものに対しての政府の施策というものについても十分な検討がなされて、国民からしても納得のいくようなことでなければ、ただ抽象的に高福祉高負担ということでは国民の納得は得られない。なるほどこれだけのことをするならば負担をしてもやむを得ないというものでなければ、ただ単純な形ではできない。 そういう場合に、新しい税金というものは、一体どういうものが考えられるかということは、絶えず研究していかなければならぬ。付加価値税を来年からということは、小林さん、とてもできるようなことではありませんよ、こんなものは。しかし、研究をすべき一つの課題ではあると思いますよ。日本の場合は、いまでも直接税に対する重税感というものがあるわけですから、間接税というものにも弊害は伴うけれども、ヨーロッパ諸国は大体半々ですから、いま日本の場合は直接税が七三%くらいで、アメリカを除いたら間接税というものの比率が非常に少ないわけですね。 そういうことですから、間接税、直接税というものが大体において同じようなパーセンテージがいいとは私は思わぬですよ。しかし、間接税というものが国民に不公平なことにもなるわけですから、そういうことも考えながら、今後は間接税というものにも、研究するときにもう少し目を向けざるを得ないわけです。 そういう点で、今後研究をいたしますが、御質問の付加価値税を来年度から実施するというようなことは、とてもできることではございません。
○上村委員長 広沢直樹君。
○広沢委員 総理大臣に若干の質問をいたしたいと思います。三税の具体的な問題につきましては当局にお伺いしておりますので、大きな問題について総理の基本的な考え方をまず伺っておきたい。 ただいまも間接税の問題が出ておりましたが、これまでの高度経済成長政策は、御存じのように、所得税、法人税におきましても非常に大きな自然増収というものを生み出してきました。ですから、財政の中で財政硬直が叫ばれておりましたけれども、それを凌駕すると言ったら語弊があるかもしれませんが、非常に大きな自然増収があったために、何だかんだと言っても、ある程度の財政需要にこたえられてきた。ところが、これからは御存じのように、四十九年度においてはマイナス実質成長ですし、それから安定成長に変えていかなければならぬということは当然の話であります。そうなりますと、いままでのような税収というものを見込むことができません。それに加えて、いまもお話がありましたように、福祉に対する財源の需要が非常に大きくなっている、あるいは地方財政の危機が叫ばれている。そしてこういうような状況の中で、再び古くて新しい問題、いわゆる財政の硬直という問題が取り上げられてきているわけですね。 そこで、間接税の問題についてはいま検討している、こういうことなんですけれども、いままで付加価値税等の問題につきましては、各担当の大臣におきましても、自分の在任中は、こういった問題にはいろいろな問題があるので、研究はするけれども恐らく実施はできないと、明確な答弁をされておったわけでありますが、いま申しましたように、税制の方式を変えるということになりますと、非常に大きな問題があります。その点について、総理は研究はなさっておるのでしょうが、在任中にこういった大きく税制を変えるということをお考えになっていらっしゃるのかどうか、確かめておきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 これはいま広沢さんの言われるように、安定成長になってくると、自然増収というのは大きなものは期待できないし、しかも福祉というものへのこれからの国民の要望というものは強くなる一方でしょう。また、政府はそれにこたえなければならぬ。どうしても財源問題が起こってくるわけです。 これは新税をつくるか、社会保険の負担を増額するかというような問題というものは起こらざるを得ないと思います。しかし、新税と言っても、付加価値税に対してもいろいろ反対という意見もあることは十分承知しておりますし、間接税にもう少しウェートをかけたらどうだという国民の声は非常に強いと思いますが、間接税にも間接税としての弊害の面もある。 しかし、どうしたって、私の在任中に税制の改革をやらぬという約束はできませんね。これはやはりやらざるを得ない。どうしたって、いろいろ福祉というものを急速に進めていく上においては財源問題にぶつからざるを得ない。今後いろいろな福祉政策をやる場合に、まんべんなくということにはいかないで、重点的なものに対してできるだけ予算の配分を行うということは必要でしょうが、それにしてもやはり財源問題というものにはぶつかってまいりますから、これはいまここでどういう方向で考えておるかということを申し上げることにはまだなっておりませんが、この問題に対しては現在もうすでに取りかかって、私自身も検討いたしておるわけでございます。そして税には国民の合意を得るということは必要ですから、そういう点で国民の合意を得られるということを一つの前提にして、財源問題というものと税の問題というものは真剣に検討してみたいと思っております。
○広沢委員 この問題につきましては、かつて二十三年に取引高税、こういった制度もあったわけですが、結局これは定着しないで今日の形になっておるわけです。いま申されたように、こういう負担が低所得層に非常にかかるような間接税の問題につきましては、十分なコンセンサスが得られなければ軽々に実施すべきではない。これは強く意見として申し上げておきます。 次に、前総理の田中さんは税制の改革に当たって、いまだかつてない所得税の大幅な二兆円減税ということをおやりになりました。そしてそれを公約されてまた実行されたわけでありますが、今回三木総理は、不公正の是正、こういったことを一つの大きな表題に挙げられております。当然のことだと思うのですが、先ほどの答弁の中でも、そのために私はやっておるのだと強い決意で再度述べられておりました。 そのとおりやっていただければそれにこしたことはございませんが、そこで、この不公正の是正に当たって、税制面で特に総理がこの面は早急にやらなければならぬというふうにお考えになっていらっしゃる面はどの面であろうか。いろいろたくさんあります。細かい面はきょうは時間がありませんから言いません。特に総理が、こことこことここだけは断固これは不公正の最たるものであるから改めるんだ、こういったところの決意のほどをひとつ聞かしていただきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 私は、いま不公正の最たるものはインフレだと思っております。これでインフレというものを収束させなければ、不公正は拡大するばかりである。これに内閣の施策というものを集中することが適当だと思うのです。 今度の税制改革の中でわれわれの考えておる方向をお出ししておるわけですが、とにかくインフレ下において、インフレ利得というものに対してはできるだけ吸収をして、そして将来に向かって税の負担というものを、やはり所得の低い者に対しては基礎控除などもだんだんと水準を高めていって、そして利得をする者からそれを吸収して、そして一般の税負担というものは軽減をしていく。そして今後は間接税というものにも、どういうものにするかということには問題はありますが、多少のウエートを置いていかざるを得ない、こういうふうに考えておる次第でございます。
○広沢委員 次に、所得税の問題について一、二点伺っておきたいのですが、所得税は課税最低限といわれる超過累進税率構造をとっております。ですから、名目所得が上昇しても税負担が非常に大きくなる。こういうような見地から、負担累増の緩和あるいは物価の調整、こういったことで毎年所得減税が行われてきたわけですし、税調もそういうことを指摘しているわけであります。税調の答申の中にもございますけれども、そうでなければ、自然増収の約三分の一ぐらいを減税に充てていっても、今日の累進構造から考えると、相当なだらかではあるけれども所得税の負担がふえていく、こういうことなんです。 そこで、今後においても、確かに先ほども申し上げましたような経済の実態からいって所得税の自然増収というものは大きくは期待できないかもわかりませんが、やはり税の仕組みそのものがそういう形になっている以上は所得減税を行うべきであると私は思うわけでありますが、その点についてはいかがお考えになっておられるのか、お伺いしたいと思います。
○三木内閣総理大臣 これは所得減税というものに対しても、物価というものとのにらみ合わせがございますから、やはり物価の動向によっては所得減税を引き続いてやらなければならぬような場合が起こってくる、そういうことはあり得ると思います。
○広沢委員 それから次に、所得税と住民税の課税最低限の問題ですが、これは非常に格差が大きいわけであります。その点についてどういうふうに是正していかれるのか、その点をお伺いしておきたいと思うわけです。 課税最低限は、所得税におきましてはいろいろ当局とも論議がありました。過去においては、最低生活費には課税しないという議論もありました。しかし、今日においては、標準生計費には課税しないという原則に一応立って、課税最低限も考えられております、それだけじゃありませんけれども。そういう面から考えると、ここに住民税との乖離があるということは一見矛盾してくるわけであります。 これはそれぞれの国あるいは地方税という関係でありますから、そういう違いもあるかもわかりませんけれども、それだからと言っても、住民にとってみれば、そういう乖離があるということは、論理的にちょっとうなづけない。この点どうお考えになるか、お伺いしておきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 私は、やはり地域社会の一員であるということの意識というものは、これから次第に大切になってくると思いますね。いろいろな福祉とか環境とかいうようなことを考える場合に、その人間が地域社会の一員である、そういう点で、これに対して、やはりできるだけその能力に応じて負担を分担するという意識がないと、なかなか地域社会というものは成り立たない。そういう意味において、住民税という一つの地域社会の費用についても、やはり応分の負担を分担するということは必要だと私は思う。そういう点で、必ずしも所得税と一致しなければならぬものでもないと思います。 五十年度では、住民の負担軽減を配慮して、夫婦と子供二人の課税最低限を百一万円から百二十一万八千円に引き上げたわけです。こういうことは、やはり地域社会の人たちにある程度広く分担してもらうということは必要だと思いますから、この最低限が所得税との間に必ずしも一致していないということも、やむを得ないという考えでございます。
○広沢委員 次に、法人税の問題についてまた若干伺っておきたいと思うのです。 従来わが国の経済の実績から見ますと、法人所得の伸び方というのは、いわゆる民間設備投資の伸び方ときわめて強い相関を示しておるわけですが、いろいろな要因を除けば、安定成長に転換しつつある現在において、また将来においても、法人税の税体系に占める地位というものが低下をしていく可能性が考えられるわけです。こうした経済の転換期に、企業に対するこれまでの課税のあり方を再検討することが必要であろうと思うのですが、その法人税のあり方について、今後基本的にどのような方針を持っておられるのか、その点をお伺いしておきたい。 それと加えて、法人税は現行法では、企業の実態に着目して、中小法人の軽減税率という制度を導入しております。したがって、きめ細かく大法人あるいは中小法人の企業の実態に対応した格差の是正を求めるためにも、私は累進税率を採用することを目途として、まずいまの均一課税方式ではなくて多段階税率にしていくべきではなかろうか、こういうふうに考えるわけです。 この点については、いままでも当局との論議は詰めてまいりましたけれども、なかなか一挙にそこまで持っていけないようでありますが、すでに現実に中小法人と大法人というものを分けて、その実態に即応して二段の税率、あるいは公益法人にはもっと税率を低くするというように、実態に合わせているのですから、もう少し企業の実態に合わせた多段階税率を用いる、こういうふうにしていくべきではなかろうかと思うのです。 これは先ほど私、総理に質問する前に、当局との質問の中でも、法人の擬制説的な考え方と実在説、また諸外国でとっておられる利潤説といいますか、そういったことも今日の経済の見直し、あるいはそういうことにおいての税制の見直しの上ではもう考えていくべきではないかという議論をしておったわけでありますが、そういった背景も含めまして、いま言った考え方については、総理としてはどういうふうにお考えになっておられるか、お伺いいたします。
○三木内閣総理大臣 低成長下における法人税のあり方、長期的な見通しというものに対しては、税制調査会にも諮ってこれを検討いたします。特別措置のようなことは、これはもう十分見直していきたい。法人税そのものについては、四十九年度に引き上げて、四十九年度で四〇%になったわけですから、これは地方税なども含めますと五〇%ぐらいのものになるでしょう。これは大体世界の水準並みであります。しかし、今後この長期的なあり方については十分検討をいたします。 しかし、法人税のいまの累進課税というものは、これは所得や財産というものが最終的に帰属するものの場合は累進税率の適用もできるわけでありますが、法人のようなのにはちょっとなじまない点がある。いろいろ法人によって規模も違いますしね。新日鉄のようなものもあるし、小さな法人もありますし、生産規模もまちまちであって、どうもなじまないので、政府として法人の累進課税をいま適用するという考え方は持っていない、どうも法人にはなじまない制度であるという感じでございます。
○広沢委員 いま私が申し上げましたように、一挙に累進にしろということではなくて、現実的に段階的に考えておりますので、少なくとももう少し企業の実態をにらんで段階をふやすべきではないか、多段階にすべきではないか、こういう考え方なんですが、いかがですか。
○三木内閣総理大臣 どうも法人税というものはいろいろ問題にされがちでありますが、国際的に見ても、日本のやっておるような二段構えぐらいになっておるようで、広沢さんの言うように、余り小さい段階を設けた法人税というものは世界においてもやっていないようでしてね。税の技術的な面からいっても、そういう徴税の方法というものは、なかなか実際になじまない面があると思います。そういうことで、いますぐあなたの言われるように、幾つも幾つも段階を設けた法人税というものは、政府の方としては考えていないということでございます。
○広沢委員 具体的な論議はまた当局とも詰めてまいりたいと思います。 時間がもういっぱいになってまいりましたので、あと二点ほどお伺いしておきたいと思うわけであります。 と申しますのは、長期にわたる総需要抑制政策によって、現在不況が非常に深刻化しております。景気が一段と冷え込む、実体経済の動きに合った政策の転換を図らなければならない、こういったことが盛んに言われているわけです。まあ法人税の税収状況を見ましても、確かに高度成長をとっているときには、先ほども申し上げましたとおり、相当な伸びを示しております。特に物価が狂乱的になった四十八年というのは五一%も対前年比で伸びておるわけでありますが、四十九年度の補正ではそれが二七・四になり、五十年度の予測では六・七と対前年でこうなるわけであります。 こういうふうに考えてまいりますと、景気対策というものがいわゆるこういう税収に相当大きな影響を与えるわけなんですね。そこで、企業の実態を調べてみますと、一−三月期の生産は昨年の十−十二月期よりも非常に落ち込んでいる。また、このままでいけば、四−六月期も生産は全般的に、よくて横ばいじゃないか。それから在庫は大分積み増しになってきているし、ある程度調整が始まっているようでありますが、こういうような実態ですね。 それで、業界の要望としては、要するに仕事をふやしてほしい、こういうことを言われているわけです。また、そのための公共事業の拡大、そしてまた、コストが実質的に高くなってきますので金利も下げてほしい、こういうのが今日の強い要望なんですね。 ところで、昨年の末に底じゃなかろうかと言ったのが一月になり、またその次が今度は、いまここに申し上げたように四−六になるだろう、こういうふうにだんだん少しずつずれていって、このままでいけば相当税収に影響が出てくるんじゃなかろうかと思うので、いわゆる政府の景気対策を今後どういうふうにおとりになっていこうとしているのか。なかんずく、最近においては、金融面では公定歩合の引き下げ、これは新聞によりますと、自民党の政調会長は、来月中旬ごろに引き下げるんじゃないかというようなことを講演されたそうです。それから財政面においても、来年度上半期の公共事業を相当ふやしていこうと大蔵省当局も考えているようでありますし、あるいは長期的ないわゆる公共事業も今回一部認めていく方針になっている。こういうふうに財政金融面から、そろそろ景気の転換ということも言われているようでありますが、こういう面からどういうふうにお考えになるのか、ひとつ伺っておきたい。 それから次に、これは最後の質問になりますけれども、インフレによる債務者の利潤の受益というのは、ほとんど銀行に依存している企業というものは非常に大きく受けているわけです。ですから、理論的にはこういったインフレによって銀行に預金をしたり貯金をしたりしてある人たちの預金が目減りしている金融資産が減ってしまう。そして逆に、今度は借りている方は相当利得を受ける。ですから、こういったのを税制である程度それを取って、また預金者に還元せよというような理論を言っている人もあります。これにはいろいろ議論があると思いますが、私は何もこの議論をそのとおりにしろと言っているわけじゃないのです。 要するに、そういったことにつきましては、総理も、またいまいらっしゃった大蔵大臣も、あるいはまた当大蔵委員会に出席された金融機関の参考人の皆さんも、預金の目減り問題については、これはもう三月中旬までには何らかその方針を生み出したいというふうなことを申しております。 それで、やはり目減り問題については、物価の安定というのが第一であることは、これは言うまでもありません。いま物価は、先ほどもお話のありましたように、大体卸売物価も落ちついてきておりますね。今後まだいろいろな要因がございますでしょうけれども、ともかくもこういうふうに総理自身からこれは考える、そしてその検討を命じたことができなくて、そのままで行って、景気のパターンが変わったから、まあ聞き伝えられるところによりますと、公定歩合を引き下げる、実質金利が下がってくる、預金金利だけはしばらくの間は置いておくから、それで是正できるだろうというような、そういうやり方をやりますと、これはやはり国民のあれだけの期待を担い、あれだけの公約をなさった上においてであるだけに問題があろうと思うのです。この点についてどう考えるか、お伺いいたしたいと思います。
○三木内閣総理大臣 いま広沢さんも御承知のように、インフレと不況とが同居しておるような初めての経験であります。こういうときの処方せんは単純なものではない、二者択一みたいな考え方はとれません。やはり物価も安定させ、不況の打撃も少なくしていくという両面の作戦をとらざるを得ないわけです。しかし、両面といっても両方というわけになれば、一つの目的も達成できませんから、重点は置かなければいかぬ。 政府はいまインフレの抑制、物価の安定ということに政策の重点を置いていく。これはいつまでもそういう政策をやるというわけではないけれども、当面、物価鎮静になったと言っても、政府の目標が達成されたと言っても、一四%前後という水準は消費者物価水準としては非常に高い水準ですからね。少なくとも定期預金の金利並みぐらいのところまでは物価が下がってこなければ、ノーマルな姿ではないわけでございますから、そういうことで引き続いて政府は物価を安定さすということに重点を置いていく。 しかし、その間不況という問題、倒産がふえ、失業がふえるということは重大な問題でありますから、政府がとっておる政策は、いま広沢さんのお話の中にもありましたように、第四・四半期の公共事業費、一兆四千六百億円ぐらいのものもありましたが、これをできるだけ消化を促進する。また、来年度の予算についても、これは今後検討してまいりたい。まあ予算を通じて財政面から需要を喚起する。住宅金融公庫などに対しても、住宅建設に対する枠を緊急に拡大したりしますし、また金融的な面においても、昨年度の七千億円に引き続いて、三月には五百億円三政府金融機関の融資の枠を拡大したりして、金融面、財政面からの需要喚起ということで、やはり景気停滞下における中小企業が非常に苦しんでおる状態というものを破綻のないような状態に持っていきたいということで努力をしておるわけです。 したがって、こういう効果が、多少のタイムラグはありますけれども、しかしやはりあらわれてくるに違いないわけですから、そんなにこれ以上どんどんと景気の停滞というものが深刻化していくとは思っていないわけです。 そういうようなことで、われわれは今後物価安定というものを最優先しながらも、不況が深刻化して、いろいろな中小企業の経営者にも、あるいはまた勤労者にも、非常な打撃を与えることをできるだけ少なくしていきたいという政策をとっておるわけでございます。 いま、預金の目減り対策、こういう物価の動向から見まして、政府は捨ておけないという感じですが、対象をしぼりまして、一定の限度を設けて預金者の優遇措置は講じたい。いま方法論といういろいろなむずかしさもありますが、それを講ずるという方向で検討を加えて、目減り対策というものに対する政府の案をできるだけ早く打ち出したいということでございます。
○広沢委員 必ずやるわけですか。
○三木内閣総理大臣 必ずやりたいということでございます。
○広沢委員 終わります。
○上村委員長 竹本孫一君。
○竹本委員 私は、三、四点御質問をいたしますが、結論だけきわめて簡単にお答えをいただければありがたいと思います。 第一点は、中央、地方の徴税を一本化したらどうかという問題であります。 三木内閣でいろいろ政界の浄化に御努力をいただいていることもよくわかっておりますが、そういうクリーンの問題にしても、あるいは経済の合理化や再編成の問題にしても、中央だけがやっても何にもなりませんし、地方だけがやってもどうにもならぬ。中央、地方がそれぞれともにやらなければならぬし、また中央、地方を通じてやらなければならぬ問題もあろうと思うのですね。 税の場合には、徴税のコストなんかを考えてみましても、地方の徴税コストは場合によっては中央の三倍ぐらいになるでしょう。そういうコストの問題もある。それから、納税者の、必要以上に二度も三度も同じような書類を届けなければならぬといったような不便な問題もある。あるいは、両方の間における矛盾やむだがある。こういうことを考えますと、大体一本化を簡素化してやることの方がベターではないかと思うのですが、特に国税の課税標準を基本とするものにつきましては、もう一括して申告をさせる、一括して納付をさせるというようなことにすれば、非常に簡便にいくではないか。 御承知のように、現在は、国税の方で調べたものを地方の職員がコピーをとったり写したりしているような場合もずいぶんあるらしい。そういうことを考えますと、こういうものは一本化して、一括申告、一括納税でいくべきだ。さらに、事業税や料飲税といったようなものについては、国税と地方税が同時調査をやれば、これまた適正化もできるし、むだも省ける。さらにもう一つ言うならば、相続税と固定資産税との評価の問題において大きな食い違いがある。これらも本来ならば統一して考えるべきものではないか。 こういう点をいろいろ考えますと、国税、地方税の一本化というものはやはりこの際本格的に取り組んでいくべき問題であると思うのであります。ただ、難点を言えば、今日課税最低限が国の場合と住民税の場合とでは余りにも開き過ぎておるといったような問題もあります。政治的に言えば、地方自治体の自主的な自治権を損なうようなことがありはしないかという心配もある。そういう意味でいろいろ困難な条件もありますけれども、しかしプラスマイナス考えて総合的に判断してみれば、この際は一本化に真剣に取り組むべきであると思いますが、総理はいかがお考えであるかお伺いしたい。結論だけで結構です。
○三木内閣総理大臣 所得税の確定申告期には中央と地方の税務署協力してやっておるようですが、私は協力の範囲を拡大してやったらいいと思う。ただしかし、地方自治体の課税権を奪うことには私は賛成できない。これはやはり地方自治の根幹に触れる問題を含んでおりますから、課税権をもう全部奪って中央一本にという、そういう税制の変更には私は賛成できませんが、いろいろ徴税などについて協力する分野を拡大せよということに対しては賛成でございます。そういうことに今後努力していくことは能率化のために役立つと思います。
○竹本委員 大蔵大臣がいらっしゃるから、ついでに大蔵大臣、いまの問題ですが、総理の答弁はちょっとまだ抽象的だから、中央、地方の徴税事務を一本化するということについて、私は、三歩前へ行くことができるか、一歩前であるかは別として、現状のままよりも何歩か前へ出るという努力をすべきだと思いますが、いかがですか。
○大平国務大臣 検討してみます。
○竹本委員 次に、高福祉高負担という問題でございます。 福祉福祉とよく言われるし、三木内閣においても特に力を入れておられるわけで、予算もふえたということでいろいろ言われておるわけでございますが、福祉とは何ぞやということについて今日余り明確でないという点が一つ。 それから、予算が三五%ふえたということも結構でございますが、どういう方向に向かって、何年計画でどういうふうに組織的に問題が展開されておるかということについて、もう少し総合的な検討がなければうそだと思うのですね。各省ばらばらに思いつきで、これも福祉、これも福祉というので福祉のレッテルを張って、次々に予算の獲得に努力する、いいことでもあるが、悪いことでもある。 そういう意味で、この際本当にわが国が福祉国家の建設に取り組もうというならば、福祉とは何ぞやの定義も明確にしなければならぬし、まあこれは学者に任せるとしても、政治の面においては、五カ年計画を立てて五カ年でこの辺まで持っていくんだという一つのビジョンを描き、そして総合的な判断のもとにおける具体的なプログラムを立てなければ、いまのように何でも福祉というレッテルを張れば結構だというような積み重ねでは雑然、混然としておりますので、交通整理をする意味においても、われわれの努力を計画的、組織的、能率的なものにするためにも、まず三木内閣では、ひとつこの辺で福祉社会のビジョンを描いて、それを達成するための福祉五カ年計画というものを立てて、そのために必要な高負担はこういうことである、われわれに言わせれば適正負担と言っておりますが、この程度の負担をしてもらわなければ困るのだ、こういう総論がなくて、それこそ各論の高負担の方が先へ出てくることははなはだおかしい。福祉建設五カ年計画といったようなビジョンを三木内閣において策定する意思ありや否や、この点だけ聞きたい。
○三木内閣総理大臣 竹本さんの説に私も全く賛成であります。そうでなければ、福祉というものは、いろいろつまみ食いみたいなことをしてくると体系づけられない。国民に高福祉のために高負担をお願いするにしても、一つの体系的な社会保障制度というものを推進していくから国民も負担を覚悟してほしいと言うのでなければ、それはなかなか合意は得られないと思いますね。 そういう点で、来年度、五十一年度を起点とした社会保障の長期計画を立てる作業をいま厚生省にしてもらっているわけです。経済企画庁にも五十一年度を起点として、名前は何といいますか、社会経済発展計画といいますか、そういうものをつくっておる。これとにらみ合わして長期計画を立てる。こういうことで、国民に対しても、社会福祉と言われておる、その中でも社会保障制度というものが中心になるわけですが、この長期的なビジョンをやはり示して、そうして負担に対しても国民の合意を求めるということが必要であって、全く私は同感でございます。そういう方向でもっていきたいと考えております。
○竹本委員 念を押して伺いますが、そうしますと、厚生省あるいは経済企画庁等の作業の結果、三木内閣の長期的といいますか、中期的と申しますか、福祉建設のビジョン、計画というものが近く出てくるのだと期待してよろしいわけですね。
○三木内閣総理大臣 そうでなければ、福祉政策と言っても国民の合意のもとに進めていけません。そういう考えでございます。
○竹本委員 その内容になるかもしれないんですけれども、税の問題に入る前に一口だけ伺いたいのですけれども、たとえばいま年金にしましてもあるいは保険にいたしましてもいろいろばらばらですね。アンバランスが非常に多い。そういうものを調整するとか、あるいは一本化するとかいうことも、当然その中に入らなければうそだと思うのですね。一方は非常に恵まれた条件で年金あるいは恩給でももらっている、一方ではそうでもない。要するにいまのアンバランスが非常に激しいものですから、それらを総合調整し、目標としては一本化するということで、年金は年金、保険は保険で追い込んでいく一つの努力目標を決めなければいかぬ。それは将来は一つにしていくのだというようなお考えが根底にあるかどうか、そこだけ伺っておきたい。
○三木内閣総理大臣 竹本さんの言われることは理想だとは思いますが、年金とか掛金を一本にするということは容易ならぬことで、ここでやるというお約束はいたしかねるわけであります。 それは、現状は給付の額も違いますし事業者の負担の額も違いますし、これを一本にするというのは、全く一本にできたらと私も思うのですが、これはやはり検討はいたしますけれども、約束はいたしかねるわけでございます。理想としてはそれが理想だとは思いますが、約束はできないということでございます。
○竹本委員 これは総理の言われるように非常に困難を伴うし、それから団体あるいは個人のエゴと直接結びついた問題ですから、乗り切るには非常な決断が要るけれども、どの内閣か、いつの段階かはこれを乗り越えなければならぬ問題だと思うのです。そういう点でひとつ前向きに取り組んでもらいたいということを希望し、要望申し上げておきます。 次に、いわゆる福祉社会をつくっていくということで、適正な負担をする、あるいは政府の言われる言葉で言えば高負担をするという問題でございますけれども、その場合に、将来はやはり社会保障税、というと言葉がまだ十分熟しておりませんけれども、やはり社会保障のための社会保障税といったようなものを構想されるかどうかということであります。 これはより具体的に申しますと、いまの国民健康保険税みたいなものをさらに発展させていって、何らか税という形で国民にもはっきりした目的と効果のバランスシートを見せるような形にしていった方がいい。 と申しますのは、一つはいま何だかわからないような形で取られておる、もう一つは比例税的な方式で取られておる分野が多いのですけれども、そういうものについては適正な負担能力に応じた負担になっておりませんから、やはり税としてのいろいろの特殊事情は考慮しながら、また一方では累進的な要素も入れながら公正な取り方をする方がよろしい。いまいろいろの掛金とかいったようなものがばらばらに取られておるわけですけれども、将来はこれも整理統合して、やはり応能負担で適正な負担を願うようなはっきりした形をとる方がいい、そういう意味で社会保障税的なものを考えるべきであると思いますが、そういう構想がありますかということであります。
○三木内閣総理大臣 自然増収というものが余り期待できないし、福祉政策を推進していこうと思えば財源問題にぶつかることは明らかです。 そこで、社会保障税ということをお考えのようでありますが、政府は社会保障税というものに対しての徴収方法のむずかしさというものも考えまして、いまは何の税ということなく財源というものはどうしても必要である。長期的な計画を立てて国民の合意を得るならば、やはり案によっては増税に対しても国民の納得は得られる、そういう点で何らかの財源を考えなければならぬので、いまそれをどういう税にするかということについて、そこまで検討は進んでおるわけでございませんが、あらゆる角度から、どういうふうな財源、新税にしてもどういう税を徴収するか、既成の税の税率を上げていくというようなこともあるでしょうが、それを含めて検討したい。 ただ、社会保障税というものはなかなか徴収方法のむずかしさがあって、いま社会保障税ということを頭に置いて検討の中に入れていくということではないのですけれども、これもやはり十分考えてみる問題の一つでございましょうが、いまは頭の中に社会保障税を考えて財源というものを考えていこうという考え方ではないわけでございます。
○竹本委員 最後はまとめてひとつ質問申し上げますが、先ほども議論になりまして、総理は、付加価値税については、いまやろうと思っても来年やれるはずはないというお考えを御答弁いただきました。 それに関連してでございますけれども、減速経済、低成長というようなことになりますと、財源はいよいよなくなる。一方で福祉国家建設ということになれば財源がたくさん要る上に、財政が硬直化する。こういうことで、財源対策が非常にむずかしくなる。そういう意味で付加価値税というものが、来年か再来年かは別としても日程に上ってくるという可能性というか、それが大いにあるというふうに思うのです。また政府がそれを考えようとされているようにも思うのですけれども、その場合に前提条件として二、三の点を私から申し上げておきたいと思うのです。 まず第一は、一般的な消費税という形で付加価値税が出てまいりますから、消費税といったようなものはそれ自身いわゆる大衆課税になります。そうしますと、政府はいま直接税、間接税の比率のことを大変やかましく言っておられるようでございますけれども、一番大事なことは、大衆の負担になるかならぬか、もちろん大衆が全然負担しないでいいと私は思いません。やはりある程度のものを負担するのが当然だと思っておりますが、それは割合の問題、程度の問題がむずかしくなるわけですけれども、そうした意味において、一般消費税というものは、それ自身がいわゆる大衆課税になるんだ。 それから、きょうもずいぶん委員会において御議論が出ましたけれども、いまの税制の中には、弱い庶民の立場に立って考えると、アンバランスあるいは不公正というものが相当多い。したがって、いまはアンバランスがないというようなときに付加価値税が出てきて、むしろそれを是正するという形になってくるならば、これはまた一つの意味があると思うのですけれども、事実は恐らく逆で、いまがすでに不公正が大きい。その上にまた今度は付加価値税が出るということになると、不公正が二倍にも三倍にもなってくる。そういう意味で、付加価値税を導入するということをもし政府で決断されるならば、そして社会的公正ということに三木内閣としては大変な決意を持っておられるとするならば、私は付加価値税導入の前提条件として、いまの税制の不公正を大きく是正しておかなければならぬと思うが、その点はどうか。これが第一点であります。 それから第二点は、そごの不公正を是正する一つの有力な方法として、富裕税というものを政府で考えられる意思があるかないか。私は考えるべきだと思うのですけれども、政府に御意思があるかどうかというのが第二点であります。 それから第三番目は、中小企業に対する付加価値税の影響というものは非常に大きい。ある意味から申しますと、税務署に攻め立てられて大変うるさくなるという問題もあるでしょう。ある意味から言えば、中小企業は付加価値税が出てくれば、系列化され、整理をされ、合併されて、系統の中に織り込まれてしまうというような危険もありますが、そういう点、中小企業対策について慎重な配慮が要ると思うけれども、それはどうか。 最後に、もう一つの問題点は、税務職員の問題であります。これも先ほど来御議論がありましたけれども、大体五万人あるいは五万二千人いるところの国税の職員というものは、最近職員の数はほとんどふえていない、あるいは二十年間ふえていないというような状況であるにもかかわらず、事務は十年間に二倍にもなっておる。そこにまた付加価値税が入ってくる。こういうことになる場合に、一つの心配は、付加価値税というのは大体二万人ぐらいの人が要るということを言う人もおります。私もまだ正確な数字はわかりませんが、大変な職員が専門的に要るということになっているが、いまの五万人をさらに二万人ふやすということは、いまの現実の姿ではほとんど不可能に近い。 そうすると、これは労働強化ということになるのであろうか。あるいはそうではなくて、その労働力なり力を、付加価値税の二万人の者をいまの職員でカバーするということになれば、労働強化の問題は別にしても、たとえばいま法人を何年に一回調べておるか、個人について所得税その他何年に一回調べておるかということの問題になりまして、いまでも持ち帰りだとか休暇が十分とれないとかいったように労働が強化されておるのに、この上の労働強化はできないので、結局は十年に一遍会社に行ってみる、あるいは二十年に一遍行ってみるといったような非常なお粗末な調査体制にならざるを得ない。 結局、税金というものは、税を高くしたり新税を設けることが税収になるのか、あるいはいまある税制を正直に完全に実行して、取るべきものはちゃんと取るということがいいのかという問題がまず一つあると思うのですけれども、そういう意味から、一つは国税職員のむちゃくちゃな労働強化になるのではないか。一つは税の調査が散漫になってしまう心配はないのか。 あわせて、これも先ほども議論が出ましたけれども、いまの国税の職員の例の水準差の問題がありますが、これは一時二五%といったものがだんだん減って一〇%を割りまして、最近また御努力の結果一〇%に回復したのですけれども、その税務職員の水準差の問題は一体どういうふうに考えられるのであるか。 というのは——総理私がわかるように言いますから大丈夫です。教職の方は今度二五%、いままでなかったものが改めて二五%ということで、去年は一〇%か九%、ことし七%、来年また何とかということで、これこそいままでなかったものには二五%の特別なプラスアルファをくっつけるという御努力をなさっておる。 ところが、税務職員の方は、仕事はいま言ったようにだんだん忙しくなる。付加価値税でも出ればなおさら忙しくなる。しかるに、実際は二五%あったようなものが、だんだん減って一〇%以下になって、やっと回復していま一〇%だということですけれども、付加価値税を導入するかしないかにかかわらず、この問題は一遍に二五%へ、もとへ返せというようなことは言いませんけれども、やはりもう少し上げるような努力をいまの段階でやるべきではないかと思いますが、その点についてどうか。 以上であります。
○三木内閣総理大臣 付加価値税についていろいろ竹本さんの御質問がありました。これは国民負担の全般から考えなければならぬ。中小企業に対しての配慮もそういう場合には要る。中小企業への配慮というものは、私はできると思います。しかし一般国民の、税の一つの基礎になる国民負担という全般的な点からは、これは十分慎重な検討をしなければならぬわけでございます。 いま付加価値税を政府が採用しようということで検討しておるわけではないので、福祉国家建設ということが大きな国民の一つの願っておる方向であるとするならば、財源をどうするかという問題にぶつかるわけでありますから、そういう場合に付加価値税というものが研究の一つの課題であることは事実であっても、いま言ったいろんな問題があるわけでございますから、これは今後の検討にいたしたい。いま竹本さんの御指摘のようなことは当然に十分な検討をされて、そして中小企業などに対する配慮というものは十分なされなければならぬことは当然でございます。 税務職員については、いまやっておる仕事に対する反省も必要でしょうが、やはりこれは、そういうふうな新しい税をやる場合においては育成する必要がある。 水準差の問題は、私が聞いてここで答えるよりも、やはり主税局長自身からお答えをした方が適当で、その問題については主税局長がお答えをいたします。
○中橋政府委員 むしろ国税庁からお答えをすべき問題でございますが、かねてございました水準差が縮まっておることは御指摘のとおりでございます。毎年国税庁の方でも努力をいたしておりまして、人事院、大蔵省にもかなり配慮をしていただいておりまして、昨年あたりは相当回復をしたそうでございますが、御指摘のように教員の問題もございますから、そういうものとの兼ね合いもつけまして、なお一層そういう方向に国税庁として努力をするつもりでございます。
○上村委員長 次回は、明二十日木曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後七時十九分散会