大蔵委員会 第12号
- 発言数
- 210 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1975/02/28
会議録
○上村委員長 これより会議を開きます。 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。 各案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしております。 これより質疑に入ります。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。佐藤観樹君。
○佐藤(観)委員 きょうから、当大蔵委員会にとって一番大事な所得税法、法人税法、租税特別措置法の審議に入るわけでございますけれども、私はきょうは所得税法についてお伺いをしたいと思うわけであります。 所得税法に入る前に、きのうの新聞によりますと、三木首相のところで高木次官、竹内主計局長、中橋主税局長が今後の税制について意見を交換したという報道がされているわけでありますけれども、まず中橋局長に、どういう報告だったのか、その概要についてお伺いをしたいと思います。
○中橋政府委員 昨日、高木事務次官にお供をしまして総理のところに参りましたのは、例年のことでございまするけれども、慣例によりますれば、税法の質疑を当委員会でお願いしておる間に総理に御出席を願わなければなりません。それで、総理が予算委員会の総括質問でいろいろ税法についての質疑を受けられました後、主としまして、当委員会においてどういう問題点の御論議があったか、また政府委員としましてどういうふうにそれに答えましたかということを御報告したものでございます。
○佐藤(観)委員 新聞の報じるところによりますと、今後直接税による徴収ということはおのずと限度があろう、福祉社会をつくるに当たって、新しい財源として間接税、とりわけ一般消費税、たとえば付加価値税、富裕税、こういったものの創設について大蔵省側から説明があったという報道になっているわけでありますけれども、その内容はどういうものだったのですか。
○中橋政府委員 先ほども御説明申し上げましたように、今後の税制改正について大蔵省の考えを申し述べたものではございません。すでにお聞き及びのとおり、当委員会におきましても、富裕税につきまして一体どういうふうな考えを持っておるのかというような御質問は再々ございましたし、また付加価値税につきましてどういうふうな考えを持っておるか、特に今回はまた入場税の改正に関連しまして、入場税については三十億という税収でございまするけれども、その税目を残したことは富裕税と連なるのではないかというような御質疑もございました。そういう経緯を説明申しまして、そのときにも私はこの席でお答えをしたはずでございまするけれども、付加価値税につきましてはこういう考えを持っておりますけれども、しかしそれは重要な研究課題と考えております。ただ今回の入場税の改正というのはそういう意図でもって残したものではございませんということは、この委員会で御説明したとおりでございます。 そういうことを御報告したまででございまして、今後におきまするところの税制というところまで、実は私どもいま総理に申し上げるほど余裕もございません。当委員会におきますところの御論議を御報告したまででございます。
○佐藤(観)委員 付加価値税の導入の問題、富裕税の創設の問題、この問題はいま局長からお話があったように、長いことこの大蔵委員会でも論議をしてきたわけでありますけれども、そうしますと、いまの局長のお話では、長期的に大蔵省が付加価値税の導入について考えている、あるいはこのインフレ下にあって富裕税の創設を考えている、こういったような内容はなかった、新聞が報じているところは誤解である、誤りである、こういうふうに理解すべきと考えてよろしいですか。
○中橋政府委員 いずれの税目につきましても、ここでお答えをしましたとおり、私どもとすれば非常に重要な研究課題と思っております。しかし、執行面の問題あるいは現在の経済情勢の問題からなかなかむずかしいということも、ここでお答えをしたとおりでございます。そういうことを総理にも御報告申し上げましたし、この委員会におきますところの討議の事情を、こういうふうに御説明しましたということを大蔵省詰めの記者諸氏にお話ししたまでございまして、それがあたかも今後におきます税制を私どもが申し上げたというふうにとられておりますれば、どうも私の言葉足らずということで、そういうふうにとられたことにつきましては非常に遺憾に存じております。
○佐藤(観)委員 そこで、長期的に今後の税制のあり方をどういうふうにしていくかということになりますと、これは大変に大きな問題になりますので多くは触れませんけれども、どうも大蔵省の全体的な、本年になってからの今日までの審議を通してみても、やはり間接税を今後強化せざるを得ないだろうというふうに、所得税法、入場税法その他の審議を通してみてもわれわれには受け取れるわけでありますけれども、間接税の強化ということは、ある意味では直接税がある程度リミットに来たのだ、もうおのずと限界なのだという立場に立たないと、この逆進性を持っている間接税強化ということになってこないだろうと私は思うわけですね。 その点で、もう大蔵省全体としては、直接税というのはおのずと限度なんだ。私たちに言わせれば、国際比較をしてみても、あるいは租税特別措置法がある限りにおいては、実際的な実効税率は、法人税については細かくはまた別個論じますけれども、国際比較から見るとまだ低い、あるいは受取配当の益金不算入、この問題についても長いこと長いこと論議をしているわけでありますが一向に進んでいない、あるいは交際費課税、ことしは一兆六千億という膨大な交際費が使われたと報じられておりますけれども、こういったものの強化あるいは特別措置の数々の整理といったことにまだまだ私たちの立場からいきますと手がつけられるではないか、間接税というまさに大衆的な課税をしなくても、まだ直接税というものは開拓の余地があるのではないかと私たちは思っているわけですね。 その辺で、間接税の強化ということが、どうももう直接税ではある程度限界なんだといううらはらのように私たちは思うわけでありますが、その点についてはいかがお考えですか。
○中橋政府委員 この点につきましても、昨年の秋でございましたか、当委員会で私はお答えをしたつもりでございますけれども、確かに現在ございます総合累進課税を原則といたしております所得税で、なお私どもが努力をしなければならない点は多々ございます。あるいは法人税につきまして、いまお示しのように特別措置の整理というようなこととか、法人の負担が一体国際的にどの程度であるのか、仰せのようにその基本的な仕組みは今後どういう方法にいくのかと問題もあわせて考えていかなければならないことはそのとおりだと思います。 ただ、そのときに、私も昨年以来申し上げておりますように、それによりましてもちろん財源というのもかなり入るはずでございまするが、これはまた税制調査会でもしばしば言っておりますように、今後のわが国の税制といいますものが、歳出の内容としまして相当程度負担を高くする必要があるということでございますれば、一体どういう税目を考えてしかるべきかという問題がございます。 わが国におきますところの租税負担率というのは、前々申し上げておりますように、欧米の国に比べればかなり低いわけでございます。それはそれなりの理由があります。端的には、一つは、わが国の防衛費も含めまして軍事費というものが非常に各国の負担と比して違ってきておる。それから大きくは、やはり社会保障に関しますところのいろいろな経費が相当違っておるということでございますから、仮に今後社会保障につきまして日本の国民がもっと進めるということになりますれば、どうしても租税負担率というのはかなり高からざるを得ないわけでございます。 それをどういうような税目で進めるかということを考えます場合には、まず、おっしゃいますように、今日におきますところの直接税のまだまだ足らない点を補う必要はございますけれども、そういうときに一体どの程度の財源が要るかということを考えてまいりますれば、直接税一本に依存するということもなかなか困離ではなかろうか、私はやはり外国のいろいろな税制を考えてみまして、そういう気がするわけでございます。したがって、そういう場合には、こういう税目というのも私どもとしては基本的に重要な研究課題でありますということは、終始私も思っておる次第でございます。
○佐藤(観)委員 せっかくきょうは大臣もお見えでございますので、細かに言っていたら切りがありませんので省きますけれども、私たちは将来的に直接税というものはまだ税目として取り得る財源というのはあるのではないか。法人税にしてもあるいは法人税の中の受取配当の益金不算入の問題にしても、交際費課税にしても、まだまだ洗うべきものは幾らでもあるのではないか。もちろん特別措置の整理ということがありますけれども、大臣の今後のお考えとして、いま中橋主税局長にもお伺いをしたわけでありますけれども、高度成長下において資本蓄積が進んだときの税制と、これからの安定成長に入ったときの税制というのは、私はおのずと変わってくるだろうと思うのですね。 その辺で、今日までの資本蓄積を主にした法人税のあり方あるいは直接税のあり方、これを考えてみますと、若干このあたりでそろそろ変わってこなければいかぬのじゃないだろうか。そういった意味で、直接税の中に占める法人税の役割りというのをもっと発揮をしてもらってもいいのではないだろうかと私は思うわけでありますけれども、この全体的な直接税、間接税の枠組みについてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○大平国務大臣 お答えを申し上げます前に、総理大臣と大蔵事務当局とのきのうの接触でございますが、これは主税局長から御報告申し上げましたように、当委員会を中心といたしまして論議されております税制上の諸問題のやりとりを、総理のお耳に入れたという以上のものではございません。何か、当委員会の論議の中でのほかに、政府が特別なことをいまひそかに考えているとかいうような、そういうものではないわけでございますので、その点は誤解のないように理解を得ておきたいと思います。 それから、いまの佐藤委員の御質問でございますが、それぞれの国にはそれぞれの国情がございまして、直間の割合というようなものが諸外国と比べて違っておってちっとも差し支えないと私は思います。思いますけれども、われわれが税制を考える場合も、またその他の立法、政策に当たりましても、いろいろ諸外国、とりわけ先進国との比較を参考までに見ることが多いわけでございまして、これも一つの参考資料にすぎないわけでございますけれども、欧米諸国に比べまして直接税の占める割合が非常に多いということは動かしがたい事実でございます。 それで、直接税と申しますと、申すまでもなく、これは間接税と違いましてそれだけの手間がかかるわけでございます。それだけの徴税費がかかるわけでございます。私、若いときに税務署長をやらせていただいておったのでございます。昭和十二年でございますが、昭和十二年の日本の税務官吏、国税に携わっておった役人は大体一万人でございます。いまは五万二千人おるわけでございます。私はこれは決して誇りにならぬと思うのです。このほかに、地方税で七万人も八万人もおるということでございます。で、この徴税費というのは決してばかにならぬわけでございまして、アダム・スミスの租税原則を待つまでもなく、なるべく少ない経費でもって税金を徴収していくというようにわれわれは心がけなければならぬと思うのでございます。 つまり、租税の公平は図らなければならぬけれども、徴税費をばかに使うというようなことも、やはりわれわれは遠慮しなければならぬわけでございまして、そこにおのずから越えてはならない限界を見ておかなければならないのじゃないかという感じが一ついたしておることは事実でございます。 それから、さらに直接税ということになりますと、市民社会といいますか国民と国家との間、徴税権者との間の、一つの非常に緊張した関係が生まれるわけでございます。これが税負担そのものがそんなに高くないときでございますならば大したこともございませんけれども、相当な負担になってまいりますと、この緊張は相当高まってくるわけでございます。社会的緊張が高まるということは、政治の場合十分用心してかからなければならぬことだと思うのであります。現実に、第一線に働いておる税務官吏諸君が、社会的な緊張の問題について数々の苦い経験をいたしておることも私は知っておるわけでございまして、それらの点もいろいろ考えておかなければならぬじゃないかと思うわけでございます。 それから、今度は間接税の方の側から見ますと、御案内のように、日本の間接税は従量税制をとっておる方が多いわけでございますので、これはこのような物価の異常な動揺期には適しない硬直性を持っておるわけでございまするし、税負担そのものもほかの税目との間の実質的な、バランスを崩しつつあるわけでございますので、これも何とか直さなければならないわけでございます。 さらにもっと大きく言えば、いま資源が非常に不足しておるというときでございまするし、資源の制約というものを十分考えなければならぬとすれば、われわれは物の消費というものを本源的に節約しなければならぬという立場におるわけでございますので、間接税を安くしてそして消費の利便を図るという時代は終わったので、むしろ税を増徴して消費の節約を求めるという、先進諸国においてもそういう政策の転換が大胆にいまとられておるような時代であることも考えておかなければいかぬと思うのでございます。そういうことを考えてみると、間接税へ漸次シフトしてまいるという考え方も、あながち無視していい考えであるとは私は思わないのであります。 したがって、佐藤さんのいまのお尋ねでございますが、いまのところ政府は決定的にこういうところまで間接税の税収を全体の税収の割合として持っていかなければならぬというような道標を持っておるわけじゃございません。持っておるわけじゃございませんけれども、税制を考える場合に、一ついま申しましたような事情は検討に値することではないかという問題意識を持っておるということでございまして、それは何も政府が包み隠す必要はない。当委員会にも御報告申し上げてともに御検討いただく、また御啓発をちょうだいするよすがにしたい、そう思っております。
○佐藤(観)委員 大体大臣のお考えはわかったのですが、直接税の問題に関して徴税費の問題を言われたわけでありますけれども、しかし、私は徴税費の問題は原則的には大臣の言われるとおりだと思うのですが、たとえば法人税率をまだ私たちは上げられると思っているわけですね。法人税率を上げても徴税費は変わりないわけですね。それから交際費課税の強化にしても、これも率を直すわけでありますから徴税費には関係ない。それから法人の受取配当の益金不算入の問題、これについてもある程度いま益金に算入されているものもあるわけでございますから、そういった意味で徴税費に関係ないだろうと私は思うわけです。 新たな税制を設定するということになりますと、それによるところの繁雑で人が要るようになる、このことはありましょうけれども、私たちの基本的なベースとしては、いま申しましたように、直接税を上げることによって、特に法人税と、あるいは租税特別措置法を撤廃をするというような形での直接税の強化という意味においては、私は直接徴税費というものは関係ないんじゃないだろうかと思うのです。 それから、私たちも何も高福祉高負担を否定をしておるわけじゃないわけです。ただ、今日まで高福祉高負担という言葉が使われてきましたけれども、税金の方ばかり多くなって、どうも福祉の方にうまく回ってこないではないか、低福祉高負担ではないか、産業基盤の方にだけどんどん税金が使われていってしまうんではないだろうか、この辺が問題なんであって、その意味では高福祉高負担、このことに原則的に反対をするべきものではないと思うのです。 ただ、いまの税制の段階で私がお伺いをしたいのは、まだ直接税もやるべきことは数々あるではないか、これは私が本会議のときに大臣にもお伺いをしたわけでありますけれども、それが私が言っている法人税率の引き上げと祖税特別措置法の必要ないものについての撤廃、整理、こういったものでまだまだできるではないか、そしてそれが限界に来て、なおかつ福祉をやらなければいかぬ場合には、国民の了解を得られる範囲内において直接税をさらに全体的に上げるということもありましょうし、あるいは間接税にもくるということも想定はできるわけです。まだどうも私はそこまでいっていないんじゃないかという気がするわけであります。 余り時間もありませんから次に進みますけれども、大蔵省が三木総理にどういう形で報告したかわかりませんが、付加価値税の問題がいま言われているわけですね。これは本格的に論議をしていたらまた大変時間がかかりますから論議をしませんが、一点、大臣にお伺いをしておきたいことは、付加価値税を導入すれば、それはやり方がいろいろございますけれども、原則的にはとにかく物価が上がっていく、特に日本のように流通過程が非常に複雑なものについては、ますます物価が最終消費者に大きな負担になってくる。これは間接税の逆進性のこともさることながら、直接的に物価の中に税というものの占める割合が非常に大きくなってくるだろうと思うわけであります。 そのことについて、私は、今後の石油問題の将来そのほかの問題を考えてみても、インフレというのはそう簡単に、いわゆる田中インフレ時代のようなインフレは総需要の抑制でとまるにしても、ある程度恒常的なインフレというのはなかなかぬぐい去れないだろうと思うわけです。その意味で公正取引委員会の強化なり独禁法の問題というのはうらはらになってくるわけでありますけれども、そういうことを考えますと、ますますインフレを進めるような付加価値税の導入というのは、これは私は決して好ましいことでないし、間接税の逆進性ということから考えてみて好ましいことではないと思うわけでありますけれども、その点についていかがでございますか、簡単で結構でございますが。
○中橋政府委員 確かに、仮に付加価値税という問題を考えます場合には、これも御指摘のとおり、物価との関連というのは重要視しなければならないと思っております。特にわが国におきましては、戦後のごくわずかな期間だけの、しかもむしろ忌まわしい思い出となっております取引高税の経験しかございません。諸外国におきましては、長い間の売上税というものを基盤にいたしまして、だんだんそれが精緻になってきたのが今日の付加価値税でございますから、むしろそういった問題は長い時を経ながら解決してきたことと考え合わせますと、わが国としては、その点についても非常に慎重にならざるを得ないことはもちろんでございます。特に、最近におきますような物価の事情でございますから、その点について一層配慮しなければならないことももちろんでございます。 ただ、その場合にも、仮にそういったことを考えます場合には、一体どういった環境がいいのか、あるいは一番最近導入をしました英国においては、そういう事情が一体どうだったのか、西ドイツにおいては売上税から付加価値税に変わりましたけれども、そういったものはどういうような効果を及ぼしたのかというのは、もちろんわれわれとしては責任でございますから勉強いたしておりますけれども、おっしゃるように、わが日本においてはそういう問題についてはより細心の注意が必要であるということは感じられますし、またそれだからこそわれわれも軽々にそれの実施になかなか踏み切れないという問題を抱えております。
○佐藤(観)委員 それから、これは大臣にお伺いしておきたいのでありますけれども、富裕税の問題であります。これは当委員会でも、インフレが高進すればするほどいろいろな形で富裕税の問題も討議をされてきましたし、あるいは土地の再評価税の問題もわれわれいろいろな角度で提起をしているわけでありますけれども、富裕税についても、やり方はいろいろあろうかと思いますが、愛知大蔵大臣のころにもかなり前向きな答弁があったわけであります。ところが、大平大蔵大臣になられてから、これはかなり後退をしたと思うのであります。その意味で、こういったインフレになればなるほど、資産を持っている人々についての課税は強化をしていく、そして所得の少ない人々については税としての富の再配分機能を生かしていく、その機能をますます高めていかなければならないと私は思うわけであります。 その意味で、資産課税としての富裕税、やり方はいろいろありますけれども、これは当然考えていかなければならぬ、むしろ私は遅きに失しているのではないかとすら思うわけでありますけれども、これについてはいかがお考えですか。
○大平国務大臣 富裕税というのは資産課税でございまして、所得課税ではないわけでございます。所得税の一つの補完税みたいなものだと思うのでございます。ところが、所得税というのはいま日本の税制の大宗をなしておる中核的な税目でございまして、これが所得の再配分の機能、それから歳入を徴収する大宗である機能を持っておるわけでございますので、富裕税の議論をする前に、いまの所得税というようなものが十分機能しておるかどうかということが問われなければならぬと思うのであります。それが半身不随というか、十分機能していないのであれば、それに対してどういう補完的措置を講ずるかという場合に、一つの手段として富裕税というものが浮かび上がってくるんじゃないかと私は考えます。 そこで、現在の日本の所得税というのはそんなお粗末な制度ではないのでありまして、世界の所得税制、先進国に比較いたしまして決してまさるとも劣らない骨組みを持っておると思うのでございまして、いわゆる高額所得者に対する課税も、ほかの国々に対しまして高目になっておると私は思っておるのでございます。そういうことが日本の所得税で十分捕捉できていないからということであれば、富裕税を積極的に考えてまいる根拠は一つできてくるわけでございますけれども、従来、課税最低限をできるだけ上げていく、それから少額所得者の所得税を軽減するというようなところに力点を置いて、数次にわたる減税をやってまいりましたために、相対的に高額所得者が置いてきぼりを食らったわけでございます。そうすると、結果として高額所得者はその他の国々に比べてむしろ高目になっておるということが——これは高額所得者をいたわるとかそれを弁護するとかいう意味ではなくて、冷厳な事実として私は申し上げておるわけなんです。そういうことなんだから、まず所得税を一遍吟味していただくということを佐藤さんにお願いしたいということが一つ。 それから、しかし仮に富裕税を取り上げるといたしましても、それにはそれだけの税源をちゃんと捕捉しなければならぬということで、中途半端な捕捉でやりますと、かえって世の中を騒がすことだけになるわけでございますので、それに対しましては、御案内のように、いろいろ抜け穴があるわけでございまして、そういうようなものを防いでいき、とめるだけの行政技術をちゃんと構えていかないといかぬわけでございますが、残念ながら日本の場合まだそこまで行っていないわけでございますので、まだこれを大胆に取り上げるというところまでは行けないということを申し上げたわけでございます。 愛知さんは富裕税に対して非常にポジティブな姿勢をとられて、大平というやつは高額所得者を擁護して非常に後ろ向きだなんということはつれない言い方でありまして、私そんなことを考えていないのです。物事を正直にありのまま見て、そして正すべきは正していけばいいと思うのでありますが、正し切れないところはもっと正していかないと、ほんとうの意味で税制の審議にならぬじゃないかという意味で御理解をいただきたい。先入観を持たぬようにひとつお願いをしたいと思います。
○佐藤(観)委員 そうしますと、いまの御答弁は、要するに所得税法自体は十分機能しておる、このインフレ下においても十分機能しておるから、それの補完的な意味での富裕税は当面必要ない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○大平国務大臣 当面特に必要でないじゃないかということと、それから先ほど佐藤さんの言われたことにちょっと関連するのですけれども、所得税にせよ法人税にせよ、細工の仕方をまだいろいろ工夫しなければならぬ。なお、緻密にやればまだ十分改善の余地があるではないかということでございますが、たとえば間接税で従量課税で長く放置してあったものを今度是正するということと、それから直接税であなたの言われるように課税の改善、徴税をもう少し改善することによって税収を確保する、このどちらを選択するかという場合に、どちらが望ましいかということになりますと、直接税をまずやるべきじゃないかという考え方もあり得ると思いますが、同時に、そういう場合、むしろ間接税の方の是正を先にやるべきじゃないかという考え方もまた成り立つと私は思うわけでございます。 したがって、税体系全体を見て、それから収入をどこまで確保しなければならぬかというような問題も見ながら税制というものは考えなければいかぬわけでございますので、富裕税だけをアイソレートして、これがいいの悪いのという問題ではなくして、全体として考えた場合に、いま富裕税をどうしても取り上げなければならぬというように私は評価していないということでございます。
○佐藤(観)委員 言葉じりをとらえるわけじゃないのですが、大臣の後半のお答えの中で、直接税をいじるやり方、それから間接税をいじるやり方ですね。これは確かに方法論としては二つあるわけですが、間接税というのは何と言っても、松下幸之助さんの所得でも私の所得でも全く同じ税金がかかるという不公平があるわけですから、その意味ではインフレになればなるほど間接税をいじるということは後回しになるべきだろうと思うわけですね。 私が何度もお伺いしているのは、取るべきところからまだ取っていなくて、なおかつ大衆課税になるような方法をやっているのではないか、私はそういう疑問を絶えず持っているわけであります。これも余り深追いしておれませんので、本体の、まさに大臣がお話になりましたように、所得税というものが十分機能しているかどうか吟味序してくれということでございますので、そちらの方に話を移したいと思うわけであります。 税の、特に所得税という一番基本的な税の役割りというものは、インフレになればなるほどいわゆる富の再配分機能で高額所得者から税をいただき、それをインフレの弱者というかインフレの被害を受けている勤労所得あるいは低所得の方に再配分をするというものではないだろうかと私は思うわけでありますけれども、恐らく大臣は、いやそれは十分やっています、今度の所得税法の改正でもそれは十分なされているのですという答弁になろうかと思いますが、どうもその辺が、税制によって社会的な不公平を幾らかでも是正するということがなされていないじゃないか。 それは、一つは低所得者に対する減税の問題を見てもそういうふうに思うわけでありますが、今度の税制改正に当たって、このインフレとの関連において大臣はどういうことを考えられてこの所得税法の改正に当たったのか。特にインフレということを頭に置かれて御答弁を願いたいと思います。
○中橋政府委員 技術的な観点を先にお答えさしていただきますが、いまおっしゃいましたように、物価の異常な上昇ということがあります今日におきまして、所得税の改正をどういうふうに考えたかということでございますが、まずは所得税につきましては、何といいましても名目的な所得にかかるものでございます。そこで、一つにはインフレを抑制するという意味におきましては、全体的にその累進構造を活用することによりまして、何と申しましても消費の抑制という効果を期待することによって、物価対策という面が期待されるわけでございます。ただ、インフレに対して向かっていく対策ということとあわせまして、これは相続税のときにも申しましたが、そういう物価の上昇、名目所得に対する累進構造の所得税という面から言いますと、同じようにまた物価調整ということもあわせて必要になるわけでございます。 そこで、今回の所得税の改正におきましては、むしろ物価調整という面を必要最小限度に行おうということにいたしたわけでございます。あわせまして、税率等につきまして改正をいたさないということは、物価に対する対策としての第一の目的を備えるものでございます。そこで、昨年の所得税の大幅な減税が本年におきましてもかなり平年度化として効果を及ぼしてくるわけでございますが、ことしの政府の経済見通しの物価が一体どのくらいになるのかというと一応一一・八%という数字が示されましたから、昨年度の所得税の改正の平年度化ということに加えまして、今回新たになお課税最低限を引き上げるということを考えたわけでございます。 先ほど申しましたように、物価という面から申せば、これも相続税で申しましたように、一番中立的な作用をいたすことになりますのは、インデクセーションという思想が学者からは唱えられるわけでございます。インデクセーションは課税最低限について言われるばかりでございませんで、同時に税率についても言われるわけでございます。累進度を実質的にもっと高くするという観点から御論議があればともかくでございますけれども、名目的な所得が単に伸びたということだけで累進度が実質的に考えておりましたよりも伸びるということは、物価という観点、名目的な所得に対する所得税という観点からは、理論的には再検討しなければならないものでございます。 しかし、今回は課税最低限を夫婦子供二人の給与所得者で百八十三万円に引き上げていただくということをやりましたけれども、税率はそのままでございます。ということは、逆に申せば、先ほど大臣からお話がございましたように、わが国におきましての高額所得者についての負担率といいますものは、外国に比べましてもかなり高い率を示しております。それは依然として働くわけでございます。やはりインフレの所得というものについては、累進構造が当初考えておりましたよりもよけいにかかるということになるわけでございますので、今回はそういう観点から、相続税とは違いまして課税最低限の引き上げだけにとどめたわけでございます。
○佐藤(観)委員 いまの答弁の中でいろいろと観点があるのでありますけれども、これだけのインフレになってきますと、確かに名目所得ということもあろうかと思いますが、累進税率を高めて富の再配分機能をますます強めなければいかぬという論は、私は正しいと思うのです。昨年のいわゆる給与所得の経費率を青天井にしたことで、私は累進率というものは上においてかなり落ちてきたのではないかと思うのです。 四十九年度の統計は出ていませんでしょうが、いわゆる所得階層別の課税負担率と申しますか、それは恐らく青天井にした際に何らかの形ではじいたものがあるのではないかと思うのですけれども、それをまずちょっと説明してください。
○中橋政府委員 夫婦子供二人の給与所得者について申し上げますと、所得税、住民税を含めましてこの五十年において見てみますと、たとえば一千万円の給与年額を持っている人につきましては、所得税、住民税を含めまして二二・二%の負担でございます。これが五千万円の給与年額の人につきましては五四・八%になるわけでございます。 同じような数字を外国にとってみますと、たとえば同じ家族構成で五千万の給与年額を持っておる人について見ますと、この五四・八%という負担率は、アメリカにおきましての五一・三%、西ドイツにおきますところの四八・三%、フランスにおきますところの三七・五%を上回っておるわけでございます。わが国の負担率を上回っておるのはひとりイギリスだけでございまして、イギリスは非常に高い七三・八%という率を持っております。
○佐藤(観)委員 いま言われた数字は、昨年の減税のときに給与所得の経費率を青天井にしたというのを含めてのパーセンテージですね。 それと、先ほどの答弁の中で、四十九年はかなり大型の減税をしたという話が出たわけでありますが、どうも庶民の感覚からいくと、確かに二兆円減税ということでその額自体は大変大きな額であったわけでありますけれども、しかし片方で、一つは異常な物価上昇があったわけで、これによって所得が事実上実質所得としては減っていった、減価してしまった。それからもう一つは、大型春闘で三〇%台の所得が伸びた、それによって累進税率が働いてかなり自然増収も、結局四十九年度、ことしの末を見ますれば多くなってくるんじゃないか。これは先ほど局長が言われたように、名目所得できますから多くなってくるんじゃないか。そのダブルパンチで、実際には減税というのはいわゆる本当の減税にはなっていなかったんじゃないか。 つまり、一つは物価上昇に食われ、片方は名目所得が上がったことによるところの課税率が高くなったということで、事実上減税というのはなされてこなかったんじゃないか。物価上昇で約五千億、自然増収で約一兆円、こうなってみますと、減税がされなかったらこれはますます大変でありますけれども、全部が全部ほとんどいま言った二点に食われてしまったのではないかと思うわけであります。それは昨年の年末調整を納めた人が非常に多いという観点から見ても言えるわけでありますが、この点についてはどういうふうに見てらっしゃるのですか。
○中橋政府委員 おっしゃいましたように、昨年の減税は非常に大幅でございましたし、物価の上昇も大幅でございました。また、それに加えまして給与の伸びもかなり伸びたわけでございます。そういう状況を全部総合しまして私どもは数字をはじいてみましたが、大体給与は三〇%四十八年と四十九年を比べて伸びております。給与が三〇%伸びまして、所得税引きのいわば手取りが幾らになっておるかということを四十八年分と四十九年分で比較いたしましたら、三〇%伸びておったわけでございます。昨年は非常に給与が伸びましたけれども、幸いにしまして大幅な所得税の減税も実現せられましたから、大体その給与の伸びというものについて所得税の累進構造は働いていないという結果が出たわけでございます。それから、物価は幸いにしまして二二%程度にとまったわけでございまするから、いわば所得税引きの手取りは三割伸びました、物価は二二%上昇ということでございますので、こういう観点からだけ申せば、実質的な所得の増というのも実現できたわけでございます。
○佐藤(観)委員 時間もそんなにありませんから少し具体的な問題に入りますが、深夜手当の非課税の問題なんですけれども、去年の大蔵委員会でもかなり長い間この問題が論議されたわけであります。 そこで、局長にお伺いしますが、私たちはこういった深夜手当という労働基準法で割り増し賃金を出しなさいといっているものについて、普通の状態でない働きをするわけでありますから、ひとつこれは非課税にしたらどうかということを再三お話をしてきたわけでありますけれども、もう一度改めてお伺いしますが、深夜手当についてどうしても非課税にできないという理由、これは他のものに波及するというお話もありましたけれども、その理由についてもう一度整理をして答弁を願いたいと思うのです。
○中橋政府委員 深夜手当と言われますものは、恐らく深夜に労働をすることによりましての一般給与についての割り増しの賃金を指しておられると思います。確かに深夜に勤務することによりまして、肉体の減耗その他いろいろな負担がかかりますことから、労働基準法におきましても割り増し賃金という制度を設けておるわけでございます。そういうことから言いまして、所得税上何らかの配慮をすべきでないかという御議論があったこともよく承知をいたしております。 ただ、いろいろそういった種類のものにつきまして、同じように割り増し的な賃金というのが出ておるわけでございます。深夜に至らない場合につきましても、やはり定率の増し賃金というのが付加されるのが例でございますし、またいろいろ仕事の性質によりまして、たとえば非常に高いところに上るという仕事につきましても、そういった危険度を勘案しましたところの割り増し賃金がございますれば、非常に深いところにもぐるということを余儀なくされる仕事につきましても、それ相応の割り増し的な賃金が加わるわけでございます。 一体、そういうものを所得税上分別してどういうふうに処理をしたらいいかという問題でございますが、やはり職種に応じまして、それぞれの職種に対する難易、技術の高低、そういったことを勘案して一般の賃金よりも高くせられておるということは、それ相応にまた配慮がなされておるわけでございますので、所得税につきましてはそういうものを別個に取り扱うということはなかなかむずかしい事情にあるわけでございます。
○佐藤(観)委員 いま局長からお話があったように、広げていったら確かに際限がないと思うのです。ただし、私たちが言っているのは、労働基準法に言うところの深夜の割り増し手当、これに限ってできないかどうかということなんです。昨年の三月二十日の当委員会で高木主税局長は、いま局長が言われたような、非常にむずかしいという状況を言われながら、しかしまあこれについてはその種の資料を収集するというあたりからまず検討してみたいという答弁が最後になっているわけでありますけれども、その辺の検討というのは、資料収集というのは、大蔵省でやられたのですか。
○中橋政府委員 おっしゃいますようなことは、実は西独ではございます。西独の制度ももちろん勉強いたしましたし、また先ほど申しましたように、いろいろ仕事の性質上割り増しの賃金がついているものについても私ども勉強いたしまして、やはり先ほど申しましたようなむずかしさというのを痛感した次第でございます。
○佐藤(観)委員 そうすると、そういった意味での勉強段階は終わっているというふうに理解してよろしいですね。 それで、今度、春闘がそろそろ中盤に向かっているわけでありますが、その中の要求に、割り増し賃金、特に深夜手当について非課税にしてもらいたい、これはある意味では長いこと私たちも言ってきたことでありますけれども、賃上げ抑制を願っている経営者側にもこの考えは非常に強いというふうに私たちは聞いているのでありますが、その点についてはどういうふうに了知をしているのですか。
○中橋政府委員 確かに経営者側もそういうことを要望しているということは聞いております。ただ、それでは、私どももちろん賃金問題についての権威でもございませんけれども、仮にそういうことが行われたとして、一体どの程度が給与そのものについて影響があるかということでございます。 大体三交代勤務者ということを考えて、三日に一回そういう深夜労働をするとしましたときに、割り増し賃金は二五%でございますから、大体月収の八%に当たるわけでございます。そうしますと、そこに適用される所得税の税率というのはまず一〇%とか二〇%とか上積みの税率として適用になりましょうから、割り増し賃金の所得税というのは月収の一%くらいになるわけでございます。仮におっしゃいますように、そういう深夜労働についての割り増し賃金について所得税をやめましたとしても一%のことでございます。それは一%というのも非常に給与水準として問題でございまするけれども、経営者がおっしゃるほどには、賃金水準を左右するほどこの所得税というのは多くは取っていないのでございます。
○佐藤(観)委員 その計算の仕方なんですけれども、全国において賃金総額で約五十兆円と言われるわけでありますけれども、その中で四%ぐらいになるのではないかという数字もあるわけであります。実態は仮定の計算をしてみないと、しかもその累積になりますから大変ややこしいかと思いますけれども、夜、一生懸命働いてそういった深夜に及ぶ、しかもそれは労働基準法上二五%の割り増し賃金を出しなさいとなっているものについて、働けば税金がかかるということになりますと、いわゆる炉を使ったりそういった深夜にならざるを得ないような業種については、その意味できわめていろいろな矛盾が起こってくるわけですね。 これはいつまで話をしていても、その意味では平行線になりますので、話を先に進めます。 それと医療費の控除でございますけれども、今回の改正は、昨年いろいろ論議をされたことを踏まえてある程度改正がなされているということについて私は多とするわけでありますけれども、昨年三月十九日のこの大蔵委員会で武藤委員は、足切り限度の話でありますが、実額で一万円あるいは所得の二%ぐらいまで引き下げたらどうか、こういう論議をされて、検討するということになっているわけであります。恐らくその後の物価の上昇その他ということを言われるのだと思うのでありますけれども、今度足切りの限度額が五万円に引き下げられた。その意味では十万円から五万円になったということで、それはそれなりに多としますが、どうも昨年の委員会での論議から見て、まだ少し足切り限度額が足りないのではないかと思うわけでありますが、この五万円というのはどういうところから出てきたのかお伺いしたいと思うのです。
○中橋政府委員 課税最低限がだんだん上がってまいりますと、一般的な医療費という程度のものはその中で吸収をしていただく、異常な医療費につきまして別途医療費控除を働かせるということを考えておるわけでございます。 それで、一般的に課税最低限の中に含まれる程度の医療費というのは一体どの程度であるのかというようなことでございまするが、まあ国民一人当たりの医療費といいますのが、社会保険負担を含めまして、四十六年の数字でございまするけれども、約三万円ぐらいになっております。そういうことから申しますと、四十六年の数字でございまするので、大体五万円という数字であれば、利が申しましたように通常負担するようなもの、しかもこれは社会保険負担を含めての話でございまするから、そのぐらいの数字で大体通常の医療費というものは考えられるのではないかということから、今回、最低五万円というのは通常の課税最低限の中で吸収をしていただくということにしたわけでございます。
○佐藤(観)委員 ぼくは、考え方が逆だと思うのですよね。要するに、医療費控除を働かせなければいかぬ人、またこれをうまく運用してもらいたい人というのは、むしろ所得が少なくて、そしていろいろな状況で医療費がかかってしまった、それをやはり税金の面で免除してもらいたいという考えだと思うのです。ですから、たとえば年間所得が五千万もあるというような人は、これはもう医療費が幾らかかってもというのはオーバーですが、ある程度かかっても、それほど生活その他の面では影響ない。むしろ課税最低限ぎりぎり、そして医療費がかかる人、これは突発的なことでありますから、こういう人に医療費を税金から免除しましょう、この発想が医療費の控除だと私は思うのです。 ですから、それは平均的な数字では四十六年の数字が三万円、いまは大体五万円ぐらいだろう、この辺がまあ平均的な数字だからそれぐらいは各国民に持ってもらおう、それ以上かかった方については税金から控除いたしましょうということでは、足切り限度というのはまだ少し高いのではないだろうか。それが、昨年の武藤委員の質問にありましたように、医療費控除の足切り限度一万円とか所得の二%とかいう数字が出ている発想だと思うのですね。ですから、なるべく所得が課税最低限ぎりぎりになっている人のことを考えて、むしろ国民一人当たりの平均よりも低い限度にしないと、この医療費控除の精神というのは生かされないんじゃないだろうか。 やはり医療費控除をしてもらいたいというのは、税金は納めているけれども所得が低くて、そして予想外の病気になった、こういう人にそれがうまく適用されるようにすべきであって、所得がたくさんある人は医療費を払っていただいてもそれほど生活の負担にならない。私はそれが医療費控除の役割りだと思うのです。その意味ではまだ昨年の討議というのは、確かに十万円から五万円に足切り限度が下げられたということで、冒頭に申し上げましたようにその改正は多とするわけでありますが、まだ少し足りないのではないだろうかというふうに考えるわけですけれども、いかがでございましょうか。
○中橋政府委員 確かに医療費控除につきまして、所得の高い人と低い人について考えざるを得ないのでございまするが、所得の五%のほかに五万円という数額を用いまして、いずれか低い金額を超えればいいということにしておるのでございます。したがって、そのいずれか低い方を超えれば一応医療費控除の対象になるわけでございまするから、両方はかりながら、所得の低い人について五%というのをまた働かし得る余地もあるわけでございます。 それで、もう一つの金額で足切りをするというのを一体幾らにしたらいいかということでございますが、確かに一万円というのは、現在所得税法の中の寄付金控除につきましての足切り限度にございます。これを一体どういうふうに考えたらいいのかということで検討いたしましたが、医療費というのは家計の中でも通常もあり得る状態でございまするので、先ほど申しましたように一応の水準を考えたわけでございますし、寄付金の方は、むしろそういったものよりも、通常の家計としては考えられないものでございまして、国とか地方公共団体とか公益事業に対します寄付というのは、所得税の控除をすることによりましてインセンティブをつけるという気持ちがより強いわけでございます。 そういうことから、やはり寄付金控除の方はより足切り限度の定額の部分を低くするということで考えたわけでございまするので、一万円と五万円という差が出ましたけれども、もちろんその五万円がそれでは絶対かということも言えないわけでございますが、従来の十万円と比べまして半額にしたということもございまするので、まあ課税最低限の相当の高さということとあわせてお考えを願いたいのでございます。
○佐藤(観)委員 私もきょう、最後に寄付金控除のことについてお伺いしたいのですが、寄付金控除の場合の一万円というのは、徴税上の繁多を避ける筋合いのものだと思うのですね。五千円寄付をしたからこれを税金から引いてくれということをやっていたら、先ほどの大平大蔵大臣のお言葉じゃありませんけれども、幾ら税務署員があっても足りないということになるでしょうから、そういった精神のものだと思うのです。 それで、医療費控除というのは税制の中でかなり考えられたよき控除だと思うわけでありますけれども、それを働かせるについては、やはり所得の低い人についても響かないようなそういった配慮というのが必要だと思うのであります。これはなお検討をしていただきたいと思うのです。 それと、今度は上限の話でありますけれども、これも医療費がどんどん上がっているということでそれなりに倍になった、倍にしたのにまだ文句を言いやがるというふうにとられるかと思うのでありますけれども、それはそれとして、私もこの引き上げについて昨年かなり論議したことの成果が出ていると思うのであります。それと同時に、わが党の松浦委員から、この上限について超えたものについては翌年の繰り越しができないだろうか、虫がいい話だと言われるかもしれませんが、何かのことで異常に医療費がかかってしまったということになりました場合、これもいろいろと問題があろうかと思いますが、この上限を超えたものについては翌年にも繰り越せる——余り無制限にやっていたらこれは限りがありませんから、たとえば一年間とかそういうようなことも昨年には審議されたのでありますが、その翌年繰り越しのことについては今回は何も出ていないわけであります。 昨年の高木局長の答弁でも、このことについても、この制度のあり方として考え得る基本的な問題であるので、先般指摘があった足切りの問題とあわせて検討することにしたいという答弁になっているわけでありますが、成果を見る限りは、この翌年繰り越しは成果となって出てきていないわけですが、これはどういうことで翌年繰り越しというのはちょっとむずかしいということになったのか。
○中橋政府委員 医療費控除あるいは雑損控除と言いますものは、すべて担税力の減殺要因を所得税で配慮をしようというものでございます。仮に雑損控除で、火災を受けましたりその他の災害を受けましたというときには非常に多額の災害が予想されるわけでございますので、担税力の減殺要因として考えます場合には一年でなかなかカバーし切れない場合があるということから雑損失の繰り越し控除ということも認めておるわけでございます。 今回医療費につきまして非常に大幅に引き上げていただこうということをお願いしておるわけでございまするが、医療費につきましては医療保険制度というのがかなり完備をしております。そこで、さらにその医療保険でカバーし切れない部分がこの医療費控除の対象として動くわけでございまするから、今日の医療制度を考えてみますと、予測せられますのは、たとえば入院費として差額ベッドというものが非常に重要な位置を占めておりますから、そういうものが今回の改正でかなり働いてくるのではないかというふうに思われます。 その他非常に高い医療費というものを考えてみますと、たとえば保険でカバーし切れないものとしますと、歯の治療とかいうことで、最近問題になっておりますけれども、非常に上等な入れ歯というようなものについて非常に高いという例を聞きます。そういうもの以外は大体この二百万円で、それからあわせまして社会保険たる医療保険でもってカバーされる部分がございまするので、今回の改正でほとんど単年度に吸収されるのじゃないかということで、あえてその繰り越しの制度というようなものを考えなかったわけでございます。 もちろんこれの基礎になりました数字が非常に誤っておるということで、たくさんの人がこの二百万円でカバーし切れないというようなことになりますれば、単年度のこの金額を上げますか、おっしゃいますように翌年への繰り越しというようなことも制度としては考えなければなりませんけれども、まず今回のような金額でございますれば、その必要性はほとんどないのではないかというふうに思っております。
○佐藤(観)委員 ある程度医療費との関連で、どうしてもこれだけではうまく適用できなくなったというときにはまた考えていただくということにして、その次に白色の申告者の専従者控除の問題なんですけれども、これも去年ずいぶん論議をしたわけであります。今回の改正でも、御存じのように、三十万から四十万に引き上げられているわけでありますけれども、去年の論議でも、パートタイマーとのバランスは一体どうなのか、青色申告者の専従者控除、これとの関連はどうなのか、こういうことが、ややこしいというか、非常にむずかしい問題なのでありますけれども、今度は、基礎控除や配偶者控除の引き上げによって、青色申告者の専従者給与で配偶者控除を受けられる所得の限度額ですね、これらは幾らになるのですか。
○中橋政府委員 青色の専従者になりましていわゆる給与を受けますか、あるいは配偶者の所得について配偶者控除を受け得るかというような実は選択制度になっておりますので、そういう限度というのはございませんのですけれども、おっしゃいますように、専従者ということは別にしまして、配偶者として一体どれぐらいの別の収入を受け得るかということでございますと、現在は、勤労性の所得でございますれば二十万円が限度でございまするから、給与所得控除の最低限五十万円を加えまして、収入で申せば年額七十万円までの給与でございますれば配偶者控除の適用を受け得るわけでございます。
○武藤(山)委員 ちょっと関連で。主税局長、この委員会で、パートタイマーあるいは内職収入、こういうものには課税をするなという議論がずっと続いてきて、今度の改正案では、ようやくことしの一月からはパートタイマーは七十万円まで税金がかからなくなりますね。そういうことが出先の税務署へは、国税庁からはさっぱり通達も親切な指導方針も流れていないようですね。ここでこれだけパートタイマーの収入についての議論をしているのに、税務署では、七十万までは課税されませんよなんていうことを全然指導しておらぬと思う。これは国税庁はどんな通達か指導要綱を流しておるのですか。
○中橋政府委員 恐らく現在税務署でいろいろやっておりますのは四十九年分の所得でございまするから六十三万七千五百円という数字でございますけれども、いずれにしましても、そういったものは収入として仮にありましても配偶者控除を受け得るということにつきまして、よく納税者に徹底をいたしておりませんということでございますれば、今後十分そういった面についても理解を深めるように努力をいたしたいと思います。
○佐藤(観)委員 そうしますと、ことしの改正で、いわゆるパートタイムで働きに行く、パートタイマーと言えば大抵女性の場合でございますけれども、所得が七十万円以下ならば、なおかつ税法上御主人の配偶者控除も適用されるということになるわけですね。 それから青色の場合は、これはどうなりますか。青色をやっていて専従者給与を受けるけれども、なおかつ配偶者控除がきくという額があるわけでしょう。選択制になっているからありませんか。
○中橋政府委員 配偶者控除と青色の専従者給与とはいずれか選択をしていただくことになっておりまするので、その適用についての限度というのはございません。ただ、青色申告におきまして専従者の地位をとっていただきますれば、それ相応の給与ということでございますと、限度はなしに認められるわけでございます。それで、それを得ました方としましては、それぞれの、たとえば独自の所得者としての課税最低限を超えれば課税を受けるということになりますから、給与所得控除を働かせまして課税最低限以下であれば、青色専従者としての所得税の独自の課税は受けないわけでございます。
○佐藤(観)委員 そうしますと、整理しますと、白色の申告で専従者給与を受ける場合には、今回の改正で基礎控除の、これは御夫婦だったら一人しか引けませんが、基礎控除の二十六万と専従者控除の四十万、六十六万がきくということになりますか。それと青色の場合には選択制なので、たとえば給与を百万取ったというと、基礎控除二十六万が働くだけ。ちょっとその辺整理してみてくれませんか。 要するに、女性の場合に白色申告で専従者給与を受ける、そのときに配偶者控除が生かされる所得の限度額というのが当然出てくるわけですね。それと青色申告の場合とパートタイムの場合、ちょっとこれは額を出してみてくれませんか。
○中橋政府委員 いまおっしゃいましたのを、仮に夫と妻ということで説明しやすくさせていただきますが、青色専従控除とか白色専従控除と申しますのは、まず夫の所得につきましてどれだけ引けるかという問題でございます。配偶者控除についてもしかりでございます。したがいまして、夫が青色でございますと、妻に対しましてそれ相応の給与を払いますれば、夫の所得の計算上はそれは全部引けるわけでございます。 それから、白色専従者に妻がなりました場合には、今回の改正では夫の所得の計算上四十万円を引くわけでございます。夫の所得から引けますのは白色専従者控除としての四十万円でございます。 それから妻の方、青色専従者として給与を受けましたり白色専従者として給与を受けますという場合のこの課税の問題がまた別途あるわけでございます。それで、妻が青色専従者として受けます給与は、それ相応でございますれば限度は設けておりませんから、受けました金額から基礎控除の二十六万円と、それから給与所得控除の最低五十万円、あるいは金額によりまして四〇%から一〇%までの給与所得控除が働いて課税されるかされないかということが決まるわけでございます。 それから、妻たる白色専従者の課税につきましても、同じように、受けましたものは給与と見るわけでございますから、仮に四十万円が夫の所得の計算上白色専従者控除として引かれたそのままを受けるといたしますと、四十万円は受けます妻につきましては基礎控除の二十六万円と給与所得控除の最低五十万円が働きますから、またこれは課税をされないことになります。
○武藤(山)委員 関連して。そこでいろいろ佐藤議員が確認をしようとしているのは、いまの白色の場合、妻がもらった分が七十万円以下なら夫の方の申告の扶養控除に該当するかしないか、これを聞いているわけだ。いわゆる白色で四十万だから、これは当然夫の方の所得に配偶者控除を計上できると思うのですね、片方はパートタイマーが七十万まで無税だとなると。これが一点。彼がいま確認したいのは、配偶者控除として引けるかどうかということが一点。 もう一つの矛盾は、パートなら七十万円までかからないのに、夫の仕事を手伝っている白色専従は四十万という頭打ちがある。白色の場合そうでしょう。認めるのは四十万円でしょう。だから四十万で給与頭打ちがあるでしょう。そうだったら、手前の亭主の手伝いをするより、パートタイマーで隣の家に手伝いにいった方が税制上有利だという矛盾が出てくるではないか。だからこれは手直しする必要を痛感すると、こういうことを佐藤君はいま言いたいわけだ。それに答えてない。
○中橋政府委員 配偶者控除と申しますのは、いわば夫の所得に主たる生活を任せておる配偶者というものを配偶者控除の適用対象といたしておりますから、いわば共働きの地位に立つということになりますと、それは配偶者控除の対象にならないわけでございます。そういう原理原則は、同じ家の仕事ということについても適用することにいたしておりますので、配偶者控除を選んでいただくか、独立のいわば共かせぎをしておる妻というような地位を選んでいただくか、これはどちらかを選択してくださいということに現在の所得税法は構成をいたしております。 それから、第二点の御質問の四十万円しか引けないではないかということは、白色事業者でございます夫の所得の計算では四十万円しか引けないわけでございます。ですから、受け取ります方の妻が四十万円以上に何らかの給与みたいなものを受けておりますれば、四十万円を超えまして出しております場合に、給与として出しておりますれば、受け取る方におきましてはそれを給与と見まして——失礼いたしました。初めから申し上げます。 白色専従者として妻が働いております場合には、夫から出しますものは四十万円までを給与として考えますから、それ以上のものは、仮に出しておりましたとしても、給与としては認めないわけでございます。 それから、おっしゃいます設例として、たとえば両方で交換して別の隣の家に働きに行けばどうだということになりますが、そこはなぜ白色専従者について限度を設けておるかという根本問題に触れるわけでございます。白色と申しますのは、青色と違いまして、いわば企業の会計と家計とが経理上整然明瞭に分割されていないことから、出しましたもの全部についてそれを給与とは考えないというような立て方に立っておりますから、仮に隣の家に参りますということは、それは明らかに他人に対しまして給与を払いますから、白色の事業者につきましても、よその人を雇ってきましてその雇い人費を払いましたときに、それが給与であります限りにおいては、白色事業者の夫たる所得の計算におきまして必要経費として雇い人費を引くというのと同じように、たとえ隣の奥さんに対しまして給与を払いましても、それは全く家族としての所得の分与ということでございませんから、引くわけでございます。
○佐藤(観)委員 私が疑問に思うのは、これは去年もあれしたことでありますけれども、要するにいま問題なのは、御主人の給与だけではどうにもうまくいかぬ。うまくいかぬということは、収入が足りない。そういうことで勤めに行くのがパートの場合なわけです。その場合、確かに局長からお話があったように、それはパートでありますから、主たる収入というのは御主人にあるわけですね。それで奥さん方が一番心配をするのは、私が一生懸命働きに行った、家をあけて三時間四時間働きに行った。それで、働いたら余り収入が多くて、今度は御主人の給与から引ける配偶者控除の二十六万も引けなくなってしまうぐらい収入があったら困るということで、御主人の配偶者控除が生かされ、なおかつ自分がある程度働いても家計のプラスになる限度というのは、パートの場合は七十万になるわけでしょう。 ですから、パートの場合には、七十万円まで働いてもいまの税法上は奥さんを配偶者控除で認め、御主人の申告の場合には二十六万が生きてくるわけですね。そうしますと、奥さんの立場からいくと、七十万プラス二十六万というものが一応課税上守られている。二十六万引いてもいいですよ、七十万なら七十万でもいいですよ、話がややこしくなりますから。要するに、七十万までの所得ならパートタイムの場合は配偶者控除が生かされるということになるわけですね。 しかし、白色の場合は自分のうちで働いているわけですけれども、四十万までの給与ならば、これは配偶者控除が——引けないということならば、白色の場合には税法上守られているのは四十万だ、それ以上取ってしまうと今度は配偶者控除はもちろんきかないし、全く今度は独立のあれで納めなければいけないわけですかね。いずれにしろ白色で守られているのは四十万ということになるわけですね。 それから今度、青の場合で配偶者控除を生かそうと思うと、青色申告の場合には幾らまで給与を取れますか。
○中橋政府委員 主人が一つ事業をやっておりまして、その妻がパートタイマーとして所得を得るというときには、外から所得を得てくる場合でございます。その分はいわば主人の事業所得に付加される所得でございます。 青色専従の場合あるいは白色専従の場合には、主人が営んでいる事業から得られます所得を家族専従者にいわばどのように分与を認めるかという問題でございます。 その場合に、青色ということでございますと、事業と家計とが正確に分離しておりますから、給与という形を認めようということで、いわば主人の所得から家族専従者たる妻への給与の支払いということを認めますから、そこに通常の場合であれば、主人が得ます所得の妻への給与という形での分与を認めるわけでございます。ですから、そこの点におきましては確かに共働きと同じでございますけれども、いま佐藤委員がおっしゃいましたように、所得税から守られるという観点でございますと、パートタイマーとして外に出まして所得を得てきた部分について守られるという意味とまた違った意味で守られているということでございます。 それから、白色事業者の場合におきましては、先ほど来申し上げておりますように、そこは純然たる給与の形をとっておりませんから、ある程度の金額までということで給与としての専従者たる妻への分与を制限的に認めておる、こういう形になっておるわけでございます。 したがって、配偶者控除の対象になり得る人というのは、いわば主人の所得に家計を依存しておるという人で、その家計上担税力を考えまして配偶者控除というのを適用しますし、青色事業あるいは白色事業の専従者として働く妻につきましては、いわば共働き、独立の所得者という地位を認めるものでございまするから、主人の所得計算上配偶者控除というのを認めないのでございます。
○佐藤(観)委員 その性格づけはわかるのですよ。青色、白色それからパートタイムの場合の、所得を取る人の奥さんとしての性格づけはわかるのですよ、局長の言うことは。現実に問題なのは、先ほど武藤委員からも補足的に質問がありましたように、いまの白色の専従者控除四十万では、むしろ自分のうちで働くよりも外で働いた方が、少なくも七十万以下、六十五万なら六十五万の収入を取ってきた方が税法上は有利ではないかということが現実に起こるわけですね。昨年もそのことをずいぶん問題にしたわけです。 それで、確かにことしは白色の場合には三十万から四十万に専従者控除が認められるわけでありますけれども、局長の答弁というのは、一つの家計の問題、帳簿の問題で見ますからややこしくなっちゃうので、青色専従者になっている奥さん、白色の場合の奥さん、ハートに働く場合の奥さん、これが配偶者控除が生かされる限度額はどうかというふうに見てみますと矛盾が起こるので、パートに行った方が得ではないか。いまどこに主たる所得を得るかという性格上の問題はわかりますが、実態面としては、白色専従者控除を引いてもらう場合よりもパートに勤めに行った方が非常に有利ではないか。ということになると、ここはまた一つの矛盾ではないか。 昨年もそのことはずいぶん問題になって、高木主税局長も、確かにパートタイマーとのバランスも考えなければいかぬし、青と白とのバランスも問題でありますので、まだ十分検討ができていないところもあるのでよく勉強を重ねてまいりたいということになっているわけなんですね。 それで、確かに白色の場合には三十万が四十万になりましたけれども、パートタイムとの矛盾を解決しないと、どうも自分のお店で働いている人と外に働きに行った人、しかも外に働きに行ったといっても、配偶者控除を受けられる範囲内での所得を得ている奥さんとのこの矛盾というのは、税法上解決できないじゃないか。その辺はどういうふうになったのか。私自身も少し混乱があるかもしれませんので、時間もこんな時間になりましたから、これはまた別個に少し、私も整理をしますが、大蔵省の方も整理をしていただきたいと思うのです。昨年この問題についてはずいぶん検討したけれども、そういった意味でパートと白色申告の専従者控除の額の問題、白と青との額の問題、この辺がどうも理論上うまくなっていないんじゃないかという気がするわけです。 貴重な時間でありますから、最後の一点だけお伺いをしたいと思うのです。これはぜひ大臣にも聞いておいていただきたいのですが、大臣御存じのように、いま受験シーズンでありますが、私立の学校というのは大変お金がかかるわけですね。お金がかかるというのは、学校の経営上の問題、全体的な物価が上がっていったという問題、それから給与が上がっていくという問題があるわけですね。 私は早稲田でありますけれども、私も私学の方々といろいろ検討します。その中で、もちろん私学に対する助成、これを上げていくということは一つのやり方だと思うのですが、私が思うのは、私学でありますから、わが母校を思わない人はいないと思うので、寄付金において何かもう少し口が開けないだろうか。寄付金控除をもう少し簡便なやり方ですれば、では必らず私学に対して寄付金が集まるかということはまた別の観点でありますが、いまもう少しできる方法としたら、国の財政を使うことも一つでございますけれども、私学という一つの伝統を持ち、一つの教育方針を持っている学校でありますから、やはり独立して経営をしていくのが私は原則であろうと思うのですね。そういった意味でいきますと、いまの寄付金控除が受けられる範囲というのは、第三十七条にいろいろと要件が書いてあって、現実には大蔵大臣の認可がないと受けられないようになっていると思うのですが、ちょっとその辺のシステムを、大体私も読んできましたから、簡単でいいですから説明してください。
○中橋政府委員 おっしゃるように、確かに私学振興という趣旨から、寄付金控除を受けます場合の制度としていろいろ考えております。現在、基本的には私立学校の法人が具体的なプロジェクトをお持ちになりまして、たとえば校舎を建てる、校庭を買うという場合に個別に指定をいたしまして、それに対する寄付金は法人は全額損金算入でございますし、個人につきましては所得の二五%以内の範囲内において寄付金控除を認めております。 ただ、その個々のプロジェクトにつきまして一々指定を受けるということはまた繁雑であるという観点から、数年前からでございましたけれども、おっしゃいますような趣旨を込めまして、私学振興財団を通じてやります寄付については、個別のプロジェクトについて指定を要しないということにしたわけでございます。したがって、その場合には、大体、私学振興財団の方で寄付者の意思をそんたくいたしまして、自分はどこどこの学校に寄付をしたいということでございますと、現実にはその寄付者の御意思どおりにその学校に行くことにいたしておりますから、大体税金の方ではおっしゃるような趣旨の制度を設けているというふうに考えております。
○武藤(山)委員 それは学校が寄付募集行為をやった場合、校友会、学校の後援団体、それから小中学校などの場合はPTAが集めているわけですね。いまあなたが言うのは、あくまで学校が主体になって寄付を集めるという姿勢でなければだめなんですよ。それが非常に現実に合わないんだな。現実に学校が寄付を集める団体になって、学校の名前で集めるなんというのはまれなんですよ。大体校友会。 ぼくらのところで言うと、小中学校のPTA、これが百年記念というので、ぼくは今度小学校だけで三十万円取られるのですけれども、そういうのがいまの指定寄付の手続では余りにも繁繁でむずかしくてだめ。それは学校が主催するのでなければほとんどだめ。そこらをもうちょっと改善する必要が私はあると思うのですよ。それはどうですか。
○中橋政府委員 全額損金算入あるいは二五%以内の所得税の特定寄付金控除の制度は、かなり厳格な制度でございます。一つは、国とか地方公共団体に対するものとか、学校その他の公益事業をやっております現実の法人が集めるということで、寄付の趣旨が完全に生かされるということをねらっておるわけでございます。 おっしゃいますように、確かに校友会であるとか同窓会であるとかPTAであるとかいうことは、そこへ出ました金は趣旨のように使われるということはほぼ推定はつきますけれども、現在のところはやはり直接寄付を生かすという団体が寄付を集めるという制度になっておりますので、その点はなお検討させていただきたいと思います。
○武藤(山)委員 検討してください。
○佐藤(観)委員 いまの法律では、おそらく学校の場合には第三十七条の三項の口のところに該当するのじゃないかと私は思うのですが、「教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること。」という要件がついているわけですね。この「緊急を要するものに充てられることが確実である」ということが一つ非常にむずかしいのと、日本の風土は外国の風土と違いますけれども、もう少し恒常的な費用についてその卒業生が納める、納めるというか寄付をする、それがある程度税法上認められるという装置が何かできないだろうか。 それは余り学校も寄付を当てにしてはいけませんが、それはたとえば積み立てて校舎を建築するときに使うとか、何かの緊急のものに使うということもできようと思うのです。これをやりますと、恐らく大蔵省は、脱税の方法に使われるということだと思うのですね。 しかし、たとえば神社、仏閣が火事で燃えてあれするというときは、指定があればできますね。これは期限を限られて、たとえば三ヵ月なら三ヵ月とかいう期限がたしか限られていると思うのですが、もしいま言ったように私学に対する寄付金控除の具体的な枠を広げることが脱税に通ずるというのだったら、私は一年間のうちに学校の忙しくない、たとえば七月、八月、九月に期限を限ってやるとか、あるいは万が一それが脱税に使われたようなことが露見をした場合には、その学校に対しては一切寄付金控除の対象になるようなものを認めないとか、何か手段があるだろうし、これだけ私学というものが国の助成を仰がなければ現実にやっていかないという情勢の中へ落ちているときですから、卒業生の人にも意思さえあれば応分の負担をしてもらえる、しかも税法上は非課税にしてあげましょうということがあってもいいのではないか。その点について事務的なレベルの話をちょっとしてください。 脱税に使われるからだめなのか、あるいは期間を限ったらどうなのか、それからもしそういった脱税にそんなことが使われたという場合には、たとえばもう今後は一切やらせないとか、そういうようなことでチェックできないか。私は最後に大臣にこのことについて前向きな御答弁をいただきたいと思っているのですが、ちょっと事務的なレベルでの話をしてください。
○中橋政府委員 先ほど武藤委員から御質問のございましたように、学校法人でない団体への寄付金を認めるという制度は、これはちょっと今後検討しなければならない問題だと思いますが、いま佐藤委員のおっしゃいますように、仮に学校法人そのものへ寄付をするということでお考えでございますれば、私学振興財団にその旨を明らかにしていただいてお出しいただければ、大体その御趣旨の目的は達せられることになるということです。
○武藤(山)委員 実際には学校の名前で募金しないのですよ。大体校友会へ学校が頼んで、校友会は愛校精神に燃えて学校のようなつもりで金をみな集めるわけですよ。全部そうですよ。学校自伝が寄付を集めるというようなことはまれですよ。 たとえば公立の学校で、地方の宇都宮大学とか群大とか、去年群大はそれをやったのですが、私は校友会でも何とかなるだろうというので国税庁に出したら、使い道がこれこれこうだということで指定寄付の適用になったのですが、これがまたなかなかむずかしい。校友会でもなるほど全部学校に使うのです、校舎の建築費用とかあるいは備品とか。だから、ぼくは集める主体が必ず学校と銘を打たなくても、まさにこの金は学校へ使われるのだということが確実に予想されるなら、そういうものは認めていいのではないかと思うのです。 そこで、大臣に最後に、いまもう一回勉強する、検討するということを主税局長は答えましたが、いま寄付問題について検討するちょうどチャンスだと思うのです。三木さんは今度は、個人の政治献金についても五十万円なら五十万円の寄付限度を設けようかというようなことも新聞でちらほら出ている。だから、政治献金に対する所得非課税限度というものを設ける際に、そういう学術、教育、文化というものに対する寄付金のあり方もあわせて、ひとつこの際は寄付金問題全体について洗い直しをする、こういう姿勢でぼくは大蔵省は対処すべきではないかと思いますが、大臣の大きな政治的な姿勢の問題でありますが、いかがでありましょうか。
○大平国務大臣 私立学校の財政問題は近年大変深刻になってまいりまして、これに対してどのように取り組んでまいるか、大蔵省といたしましてもいま大変頭を痛めておるところでございます。それはひとり大学ばかりでなく、高等学校から幼稚園に至るまで、従来直接国がタッチしていなかった教育界に対しても、そのまま放置できないような状況になってまいりまして、ことしの予算からともかく新しい道を開いてみようという試みを開始したばかりでございます。したがって、この財政問題の処理につきまして、いま歳出面からどういう原則で財政制度の中で消化してまいるかということをまだ検討中なんでございますから、検討中であるということをまず御理解いただきたいと思います。 それから、しかしそれはともかくといたしまして、学校みずからなりあるいは学校にかかわる校友団体等が拠金を学校のためにするという場合の取り扱いをどうするかという問題でございますが、これはやりとりを伺っておりますと、いろいろ技術的な沿革的な問題があるようでざいます。したがって、一方は助成面と一方はそういう主税行政の認可行政の面と両面あわせて検討さしていただいて、何か可能な道を開いていかなければいかぬとは考えますけれども、ここで具体的にこうするということを私がお約束するわけにはまいらぬと思いますので、この上とも具体的な検討をさしていただきたいと思います。(武藤(山)委員「政治献金の検討は」と呼ぶ) これも現に検討をいたしておるところでございますが、これもまた、こういう方向でございますというようなことを言える段階ではまだございません。
○佐藤(観)委員 終わります。
○上村委員長 午後一時三十分より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時三十三分休憩 ————◇————— 午後一時四十四分開議
○上村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。山中吾郎君。
○山中(吾)委員 私、所得控除制度についてまずお聞きしたいと思うのですが、一応頭の中で整理をしてきたつもりだったのですけれども、午前中の控除の話を聞いておるうちにだんだん混乱をして、一番わからなくなったときに質問に立つようなかっこうですが、もう一度整理し直してお聞きいたしたいと思うのであります。 今度の改正の人的控除の引き上げを、基礎控除、配偶者控除、扶養控除、そろえて二十六万にした。昨年は二十四万円。その前には差があって、これらの表現が身分的差別の名称であったけれども、だんだんと控除の思想が変化したと私は見ておるのですが、差額なしに二十四万にし、二十六万にしてきた。したがって、意識する、しないにかかわらず、人的控除については、身分に関係なく同額一律に控除をするという思想に変わってきたのではないか。そうしますと、所得をみずから勤労によって得た者、得ない配偶者、あるいは未成年の子供、そういうことに関係なく、人頭割り控除思想というのか、一つの存在しておる人格一人一人に一定の率の控除をするという思想に変わってきたのではないかと思いながら整理をしてみたのです。 そこで、現在の大蔵省の思想は、基礎控除、配偶者控除、扶養控除に差額の控除をしてきた思想から、同額に持ってきた思想に何か変化がなければならない。そういうものを整理していかないと、けさほどの質疑者と応答者の間では非常に論理的なんだが、しかも混乱するのは、制度そのものの中に何か混乱があるような感じもしてくるし、その辺がまず整理をされないと、どうも税制度としてもアンバランスなままに、改革すればするほど混乱をしてくるような感じがいたしております。午前中聞きながらそういう感想なんです。そこで現在の人的控除の思想、それをお聞きしたいと思うのです。
○中橋政府委員 現在の所得税は、基本的には、所得者、所得の稼得者単位でまず課税の単位を考えております。これに対しましては、もちろん世帯単位で所得税を課税する単位を考える思想もあるわけでございますが、わが国は一時そういう時代もございましたけれども、今日は、所得を稼得する者ごとに一応所得税を課税する。したがいまして、その稼得者の所得によって生計が営まれておる、そこにいる人の問題は控除ということで考えるわけでございます。 したがいまして、午前中に大変混乱をして申しわけございませんでしたけれども、その所得があるなしにかかわらず、いまおっしゃいましたように、控除というものを統一するというところまではなかなか踏み切れませんけれども、稼得者単位にまず考えました場合、そのときにその所得を得てきました人の所得で生計が維持されておる、そこで生活をしておる人たちについては控除を行うことにいたしております。 もちろん、その場合に、午前中のお話で混乱が生じましたのは、その生計の中で生活をしておる人は他に所得が全然ないということを条件にいたしておりません。むしろ少額の所得があってもそれはその場合には不問にするというのが第二の原則でございます。それが午前中にも御質疑がございました問題とも相関連しますが、それは後刻に譲らしていただきまして、第三の、しからばそういう所得を稼得してくる人の生計ということを課税単位に考えてまいりまして、その場合に控除をいたすにつきましては、まずその所得を得てくる人につきまして一つの控除を行います。これが基礎控除と称してきたものでございます。それから、その所得を得てくる人の配偶者であるという地位につきまして控除を考えてまいっておりまするのが配偶者控除でございます。それから、配偶者以外でその生計に連なっておる人につきましては扶養控除、こういう三本立てでまいったわけでございます。 ところが、昨年から三種の控除の金額が一致いたしました。この点につきましては、やはり私は、おっしゃいますとおり、昨年ことしとこの控除について従来の考え方が確かに曲がり角にきておるということは認めざるを得ないと思います。 この三つの控除につきまして、実はもう一回承る種の思想の変化があったときがございます。それは、現在配偶者控除と称するものを設けました昭和三十六年でございます。それまでは先ほど申しましたように、所得稼得者の生計の中で控除をいたします場合には、その世帯におきますところの基準的な生計費がどれくらいかかるかということからいわゆる課税最低限を仕組みます。つまり、一人の世帯ではそれが一体幾らであるか、二人の世帯は幾らであるか、三人は幾らかということで考えてきたわけでございます。そうすると独身の世帯におきましては、これくらいの生計費というものがかかるから、課税最低限をそこに置かなければならないということで考えてまいりましたのが基礎控除というものの金額でございます。 それから二人世帯、三人世帯になるにつきまして、逐次一人ごとに要します生計費は逓減いたします。そういうことを勘案しながら、扶養控除ということでその金額を考えておったわけでございます。したがって、かつての時代におきましては、扶養控除においては一人目の控除額と二人目の控除額あるいはそれ以下の控除額というのは違っておったわけでございます。そこの時代におきましては、私が言いますその所得を得てきた人の生計についての生活費というものが、人数がふえるにつれまして漸次下がってくるということを前提としながら基礎控除と扶養控除というもので組み立てておったわけでございます。 ところが、昭和三十六年に配偶者控除を設けました。そのときには、いままで独身世帯と二人世帯とにおきます家計の所要金額というものよりは少しく、いわゆるその当時から言われております妻の座と申しますか、配偶者の地位と申しますか、そういうものにつきましても配慮をいたしました結果、家計で申せば逓減すべかりし第二人目の金額、この場合は配偶者控除という形でございまするが、その金額を基礎控除と同額にいたしました。ここで私はかなり生計費一本やりの控除の思想というのが配偶者につきまして変わったと思っております。その後この配偶者控除の金額というのは、ごく一時点を除きましては基礎控除と同額にするということでございまするから、この点に関します限りは、配偶者控除を設けました昭和三十六年以降、同じような思想で貫いてきたと思います。 扶養控除につきましては、そのとき以後におきましても同じように第三人目、第四人目にかかります生計費の増加額というような思想を頭に置きながらやってまいりましたから、かなり金額に差異を設けながらやってきたわけでございます。またその後におきまして、第三人目、第四人目に要します家計の増加というものもだんだん簡素化して考えるようになりましたから、扶養控除の金額というのも一本化してまいりました。それで、昭和四十九年に至りまして、御指摘のように金額を一致さしたということは、それまで扶養控除について考えておりました、少なくとも人数がふえれば所要家計の増加額がこれくらいふえるであろうということを基礎に考えておりましたものを、やはり相当程度思想的には変えたと言わざるを得ないと思います。 それで、今回もそういう思想に基づきまして、基礎控除、配偶者控除、扶養控除を同額に二万円ずつ上げていただくということを考えておりますから、昨年来の思想が今日の三つの控除について当てはまると思っております。 そこに考えられております思想は、先ほど申しましたように、純粋に家計の増加金額というものをかなり離れまして、むしろそこには納税者の理解もしやすくなる、計算の簡便も含めるというような趣旨を非常に高く入れました。そういうことで今日の控除額が出ておると思います。
○山中(吾)委員 まだ一〇〇%局長の説明では頭に入らないんですが、控除額を身分にかかわらず、いわゆる所得の主体である世帯主、配偶者、未成年の扶養家族を同額にした時点における思想というものは、一人一人の身分にかかわらず、一人の人間に対する基礎控除に全部なってしまう。そういう思想に切りかえてきたんではないかと私は思って、そういう論理でないと、ずっと後の特別の控除その他の考え方が貫徹しないので、もう一度お聞きしますが、税法の文章には世帯主を「居住者」という言葉を使っているんですね。条文を見ると、所得の主体である御主人のことを居住者という言葉を使っている。この居住者家計の中のだれだれ、だれだれと書いておるのですが、そうしたらほかの人間は全部居住のない人間のようになって、この法文もずいぶん古い。ぼくは読んでも頭にぴったりこない表現ですが、条文をちょっと見てください。 だから、何回読んでも頭にぴったりこないんですが、たとえば八十三条あたりも、「居住者が配偶者を有する場合」とか、居住者居住者と書いてある。何だろうと思う、だれだって居住のない人間はいないんだから。なぜ特定の人間が居住者かというと、いわゆる所得の主体だという感じのことだろうと思ったんです。 いま局長は稼得者と言ったんですか、これもぼくの余り耳に親しまない言葉なんだが、かせいで所得を得る者というあの稼得者ですか。現代の一つの世帯は所得共同体、だれがもうけても、奥さんがもうけようが夫がもうけようが、その所得というものが外から入ってきて、その所得で共同で生活する所得共同体というふうにぼくは見ていきたい。所得共同体なんだ。ある人間がもうけたから他の人間が隷属をするとかいうふうな家族制度の身分の差別をなくした現在は、われわれの一つの家庭というものは所得共同体なんだ。そして、だれがもうけても同じように所得の中で生活をしていく。所得税の問題をいま論議しているのですから、課税をする対象に対しては、私は一つの家庭は所得共同体と見るべきではないかと思う。 したがって、その所得共同体を構成しておる者は夫であろうが、妻であろうが、子供であろうが、三人の場合、四人の場合、二人の場合、所得共同体として皆さんが課税対象に税の原則に従って考えていく。そのときに、構成する人は所得を得る夫であろうが、所得を得ない妻であろうが、未成年の子供であろうが、その人格に対して二十六万円の基礎的控除をするようになったのだ。同額にしてきた思想ですよ。ずっと前については、一生懸命に働いて所得を得た御主人には控除を大きくして、そしてその御主人が四人の所得共同体を構成している妻を養うにはまたお金がかかるから何ぼか控除するとか、そういう思想で差額を控除してきたのだが、その思想がなくなったのだ。所得共同体として構成する一人一人に同じ控除をするという思想に変わったからこそこういうことができるのではないか。そうでないと論理的でない。私はゆうべ整理をしてきたのだ。 そこで、一人の場合でも二十六万円控除、二人の場合は生活費は節約できるからその二倍の五十二万円控除をするのはおかしいけれども、一人一人の人間に対する人頭割り控除の思想になったから、二人の場合の控除は二倍にしているでしょう、五十二万円ですね。三人の場合三倍にしているのでしょう。標準世帯の四人の場合は四倍にしているのでしょう。皆さんがそういう税控除の構造を持っておるならば、すでに人的控除の思想は生活が二人より三人の方が節約になるから二十六万円をへずるという思想でなくて、独立の人格掛けるで来ておるとすれば、そういう思想に皆さん自身が統一しないと、皆さんが改正された——国会が改正したのですが、改正した所得控除を論理的に説明する思想にはならないのじゃないか。 私はそういうふうに一応の整理をしたために、一人一人の人格に同額の人的控除をした、したがって、二人世帯、三人世帯、四人世帯、ぼくから言えば所得共同体の構成人数がふえれば生活費が少なくなっても、それによってへずっていないで、一人当たりの控除をプラスして、所得共同体に対する控除をしているというふうに解釈して初めて自分で安堵したわけだ。局長がいま私に説明したのとはちょっと違うように思うのですね。そうしないと解決はないのじゃないですか。
○中橋政府委員 ちょっと本題から外れますけれども、先ほどお尋ねの居住者と申します、非常に税法特有の言葉でございまするけれども、これはむしろ全面的にその所得についてわが所得税法がかかる人を税法上居住者と呼んでおりますし、わが国における所得部分についてだけわが国の所得税法が適用される者を非居住者と呼んでおります。常識的に申し上げれば、日本人であれば原則的には全部の所得について日本国の所得税法は適用になりますから、これを居住者と呼び、外国人が一時的に日本に参っておるというときには、日本国において発生します所得についてだけわが国の所得税法は適用になるという意味で非居住者ということで分別をいたしておりますから、ちょっといま山中委員のおっしゃいましたいろいろなことについて、余り居住という意味についてお考えいただかなくてもよろしいのではないかというふうに考えます。 それは別にいたしまして、基礎、配偶者、扶養控除が同額になったことについて、それまでの一人世帯、二人世帯、三人世帯というふうに世帯人数に応じてその所要家計というものについて所得税の課税を行わないようにするというような考え方が四十九年以来変わりまして、そこまで厳密に考えないで、一人一人について同額の控除を当てることによって課税最低限をより高い水準に置こうということに変えたことは、おっしゃるとおりだと思います。 ただ、その際に、特に山中委員のおっしゃいます人格と申しますか、そういうことをむしろ考えたのではございませんで、私の申します所得の稼得者、いわゆるかせいでくる人、その家計の中に入っておる人、この人の数で考えておるわけでございます。そこで、私の申し上げる所得稼得者単位ごとにわが所得税法が課税を考えておるということに対しまして、いま所得共同体というふうに言われました。もちろんその思想は、私は所得税において可能であると思っております。それは、私が冒頭に申し上げましたように、いわゆる世帯単位で所得税を考えるか、私の申し上げる所得稼得者単位、かせいでくる人ごとに所得税を考えるかという違いがそこで出てまいるわけでございます。 おっしゃいます所得共同体で所得税を考えるということになりますれば、一つの生計の中に入っておる所得者全部の所得を総合してみまして、仮に夫と妻が共かせぎをしておる、あるいはその息子がかせいでおるというときには、その全部の所得を総合いたしましてそこにいろいろな所得税制を適用するという制度でございます。これは確かに夫婦がそれぞれ得てきておる所得、息子が得てきておる所得を一つの袋に入れまして生活をするという意味での所得共同体でございますから、たとえば累進税率もその合計に対して適用するのは、私は確かに一つの所得税の行き方だと思っております。わが国も現に同一世帯に属する者についてそういうことをやった例がございます。あるいは世界の中には、なお今日におきましてもいわゆる所得合算、世帯単位の所得税を取っておる国がたくさんございます。私はこれは一つの考え方だと思っております。 ただ、そのときには、同一の家計に入っておるかどうかという問題は、わが国の経験によりましても非常にむずかしいのでございます。おやじがかせいできておる、息子もどこかに勤めておる、確かに食事は一緒にしておるのですが、息子の感じにしますれば、ほとんど別世帯であるというふうに考えておるのが例でございます。おやじの所得から食事を食べさせてもらっておるのは、これは前のとおりでありますから、自分の所得をなぜおやじの所得に合算をして高い累進税率を適用されるのかわからないということがしばしばあったわけでございます。 同じように、夫婦の共かせぎにおきましても、夫も妻も外に出てかせいでまいりましたものが、確かに世帯とすれば両方の所得が合算されて使っておるはずでございますから、そこに累進税率を適用してしかるべきものだと思っております。しかし、そこはなかなかむずかしい。しかも、従来からわが国がとっておりましたかせいでくる人ごとに判断をするのと、合算をして累進税率を適用するということとを比べてみますと、確かに後者の方が上積み税率は高うございますから、またよけいにいろいろな配慮が要るわけでございます。 そこで、わが国の所得税と申しますのは、所得稼得者単位でやっておるということでございますので、所得共同体という思想とはやや違った、私が申します、所得を得てきておる人の家計に連なっておる人、その人ごとに所得税を判断する、それについて控除を適用する、それからまた、累進税率を適用する、こういう考え方がやはり今日のわが所得税の考え方だと思います。
○山中(吾)委員 後で速記録をよく読まないと御説明が頭に入らないのだが、午前中の話の中に一奥さんが外でアルバイトしたときと所得共同体の中で共同で仕事をしたときに、四十万と七十万の非課税のなにが違うとか、ああいう矛盾した問題をなくするというのには、一体この控除制度を支える思想をどうしたらいいかということを実は考えて、やはり新しい一つの角度から整理をし直さないと解決にならないのじゃないかと思って、いま論議をしているのです。ぜひひとつそれも論議されたいと思うのです。 もう一度整理しますと、現在、個人として尊重しなければならぬという一つの人格主義の憲法があり、ここで所得の多い者も少ない者も、私の言う一つの所得共同体、家庭の中にあってもそれによって身分的隷属を考えない。だから、いままでは所得控除の場合についても御主人と妻と差額を置いていたという思想をなくしていくんだ、なくして現実にまた同額にしてきておる、税制も改革されてきておるということは、一定の収入の中で生きておる数人の人間は、多く所得を持ってきた人も、持ってこない人も、養われておる子供も、同額で控除するという思想は、私から言えば一種の人頭割り控除制度になっているのじゃないか。そう論理的に言わないと違ってきているんだ。 したがって、これは人事院からの標準生計費の内容ですが、これによると、二人より三人の方が生計が安いんだ。安いんだが、この控除制度は三人の場合でも四人の場合でも掛ける二、掛ける三なんですから、その生計費の思想と違っている。だから私は、独立した個人に対して、存在するということに対して控除制度を考えてという思想に移りつつある。また、そう解釈していかないとなかなか論理的にいかないんじゃないかというふうに考え出したのです。また、ここまで所得税制を積み重ねて改革をしてくれば、それに応じた価値観をつくらなければならないのではないか、こういうふうに思っておるのですが、どうですか、大臣。
○中橋政府委員 その点に関しましては、四十九年からおっしゃるとおりに変わったと思っております。
○山中(吾)委員 そこで私は、次の、今度の改正の特別な人的控除、今度の改正は、障害者控除、老年者控除、寡婦控除及び勤労学生控除を、それぞれ現行の十六万から二十万にした、それから特別障害者控除を二十四万から二十八万に、老人扶養控除を二十八万から三十二万に引き上げたという改正の内容ですね。いま私が論議した、いわゆる最も基本的な人的控除を二十四万から二十六万にした、これに対して、特定の条件を備えた人々に対して、二十六万プラス特別人的控除をこれまた改正を出されてきておるわけですね、そうでしょう。 そこで、第一次のいま論議をした二十六万にしたのを、法律の表現では基礎控除と配偶者控除と扶養控除にしているが、これはいわゆる要件にかかわらず人間として人頭割り控除だという思想があって、その次に特別の事情になっている者はそこへプラス特別控除をここに持ってきている、そういう論理構成にしないと、読む方がわからない、私の方が。そうして、障害者控除というのは、心身に障害がある者に対する特別の事情を加味して、基本的な、人間として控除した二十六万に対してプラス二十万でしょう、そうじゃないのですか。それから老年者控除も、もう人間として二十六万控除しておるが、六十五歳以上の体の弱った者に対してプラス二十万でしょう。それから寡婦は、社会的に有力なる夫がなくて、一人で女の細腕でやっていかなければならぬという悪い条件が社会生活に加わったから二十六万プラス二十万、勤労学生も、働きながら学んでおるという加重された社会条件であるから二十六万プラス二十万でしょう。 そうすると、最初の二十六万というのは、私の言うように所得が多い少ないにかかわらずその人に与える二十六万という思想になっているのだから、午前中の、外でアルバイトしてくるとか、うちでどうとかいうことによって差別するようなものは変えるべきだという論理にぼくはなるんだ。局長はすぐ横に首を振るんだが、そうならないですか。そういうふうに整理をしなければならぬのじゃないですか、どうです。
○中橋政府委員 確かに、おっしゃいますいろいろな特別控除は、今日の基礎、配偶者、扶養控除が一律になりました以上は、特別の、またそのほかにいまおっしゃったようないろいろな事情がある人についてさらに上積みの金額があるということになります。一つだけ違いますのは老人扶養控除でございまして、老人扶養控除だけは、そのでき上がりました制度から言いまして上積みの金額を示しておりませんけれども、これはおっしゃいますように上積みの金額で示すような制度も、容易に改変することは可能であると思っております。 ただ、私が山中委員と意見の違っておりますのは、先ほど来申し上げておりますように所得稼得者単位ということにしまして、その家計の中で控除を与えられ得る人はだれでも控除を与え得るという制度にはなっていないということでございます。所得税の対象となるかせぎをしてくる人以外に、ある程度金額が多くなれば、その人はその家計においての控除対象者から除外されるということがあり得るわけでございます。それを徹底いたしますれば、先ほど申しましたように、世帯単位の課税をやりまして、どんなに高い所得を持っている人も一つの生計の中に住んでおれば全部そこに一たん合算するということになりますれば、そこで生活しておる人の数に応じて控除をやってよろしいのですけれども、わが国の体制はそうでございません。先ほど言いましたように、もうけをかせいでくる人、それとその生計に住んでおる人でございまするから、余りたくさんのもうけがある人に、それを所得として賦課しないで控除だけを与えるというわけにまいらない。そこに一つの山中委員のお考えと違う点があるわけでございます。
○山中(吾)委員 私から言えば、その考えはもう矛盾であるから変えるべきじゃないかという論理なんです。最初の人的控除の基礎控除というのは、一番収入の多い人なんですね、御主人ですから。御主人が月十万、二十万もうける世帯主なんだ。それが控除が二十六万なんですよ。そして一方に、その同じ世帯の中におる収入のない奥さんも人的控除が二十六万なんだ。そうでしょう。理屈じゃなしに税そのものの話をしているのですよ。そういう思想ですから、最初の人的控除に、多く入る者から控除をなくしていって、ない者は控除をするんだという思想もなくなっているじゃないかとぼくは言うのです。 だから、一つの消費生活の中において、一つの所得の中で共同生活をしておる者は、多く収益のある者、収益のない者にかかわらず人的控除として同額二十六万という思想に持ってきた現段階においては、収入の多い少ないでなく、勤労所得でなくても、資産所得、配当所得でおる者も二十六万控除なんでしょう、ぼくはよく勉強してないですが。基礎控除という場合にその御主人は二十六万控除されるのでしょう。百万の収入があっても二十六万控除されるのでしょう。そうじゃないのですか。——それなら、ちょっと説明してください。
○中橋政府委員 控除を与えられる人は、基礎控除を与えられる御本人以外につきましては、いわば少額の不追求程度の所得がある人しか見ないのでございまして、たくさん所得のある人については控除は見られないシステムでございます。
○山中(吾)委員 だから世帯主は、たとえば大平大蔵大臣は基礎控除があるんでしょう。それを言っているんだ。幾ら多くても世帯主は基礎控除二十六万あって、それで数年前までは配偶者その他の控除というものは少なかった。いまは皆同じくしてしまった。同じくした時点において、税制そのものを支える思想は変わったんではないか。所得があるないにかかわらず、人格に対する人頭割り控除に変わってきたんじゃないか。また、そう解釈すべきだ。そうじゃないと論理的にならないじゃないかということをぼくは言っているんだ。 そこで、そういうことだから、今度の改正の中に特殊な人的控除、その上に心身障害その他の条件ある者には二十万その他をプラスしてきておる。そこで、現在の税法の中にも所得によって控除するとかしないとかいうふうな思想は古い残滓なので取ってしまったらどうだ、そういう立法論が入ってきたんだよ。取ってしまったらどうだ、取ってしまうべきではないか、そういう思想になっておるじゃないかと言うのです。それをやらぬものですから、外から得たアルバイトの場合には七十万まで、もっと働いて内容的にはもっと多くの力を発揮しておる場合でも四十万にというふうな問題が出て、不公平ではないかという論理が出るんじゃないか。 二十六万にした場合については同じくそこにそろえて、そして第二次的な特別人的控除の中で現実の条件に応じて配慮をしていくという行き方の大体の税コードができておるのじゃないか、そういうふうに考え方を持っていって整理をすべきでないかと私は思うのです。そこで、局長が先ほど来老年者控除だけは違うというので、また混乱してきたんです。
○中橋政府委員 老人扶養控除です。
○山中(吾)委員 それはまだ例を出していなかった。そのあとに特別障害者控除、これは七十歳以上ですか、七十五歳、そうではないのですか。
○中橋政府委員 全然関係ございません。
○山中(吾)委員 もっと心身障害の重い人ですか。特別障害者控除は二十四万から二十八万、これは二十六万は関係ないのか。やっぱり二十六万プラスでしょう。それから老人扶養控除というのは、二十六万プラス三十二万じゃないのですか。ますます混乱をして、また混乱をしてきたが、二十六万というものが基礎にあってその上にプラスという、これは特別人的控除じゃないのか。これはいろいろなものが入っているのですか。その辺はもうちょっと整理してください。
○中橋政府委員 老人扶養控除以外の特別の控除は、先ほど来おっしゃるとおり、基礎控除、配偶者控除、扶養控除のほかに上積みとしてある控除でございます。老人扶養控除だけはいわゆる扶養控除にかえまして、七十歳以上の老人を扶養しておる人につきまして、二十六万円にかえて三十二万円ということでございます。これはおっしゃる思想をそのまま入れれば、ここは六万円とお考えいただければ他の障害者控除、寡婦控除、勤労学生控除の金額と合うわけでございます。追加して扶養控除に認めるのは六万円でございます。(「六万円と書き直したらいいじゃないか」と呼ぶ者あり)そうです。そういう構成も容易でございます。
○山中(吾)委員 それならなぜこういう書き方をするのです。
○中橋政府委員 障害者控除以下の控除はやや特殊な控除でございますが、老人扶養控除というのは多くの家庭において存在する控除だと思っております。したがいまして、おっしゃいますようにことしの例で申せば二十六万円のほかに、老人を扶養しておる場合にはプラス六万円という構成も可能でございますけれども、そこは理解をより容易にしますために、七十歳以上の老人を扶養親族としておれば三十二万円ということで、足し算をしないですぐ端的にわかるように設けたわけでご、ざいます。
○山中(吾)委員 ぼくから言えば端的に間違うようにできておると思うので、老年者控除は二十六万プラス二十万ですね。そうすると合計で四十六万ですね。老人扶養控除は二十六万はないから、二十六万プラス六万になって三十二万、これはどうなのか説明してください。
○中橋政府委員 老年者控除を設けましたのは、所得を稼得してきます人が六十五歳というようないわば当時のかなりの老齢ということで、なお所得を得ておるという人についてはいろいろな経費がより多くかかるであろう、担税力も弱いであろうということから、普通の基礎控除に加えまして、現在の金で申せば二十万円プラスするということでございます。 それから老人扶養控除の方は、扶養親族として所得者が扶養しておる場合には、老人としての余分の経費がかかるであろうということでやりましたものですから、老人の身でもって外に出て所得を得るというための追加的な費用というものと、それから所得のある人に養われておるということによるその老人にかかるより多くの経費というものとは、考え方を違えておるわけでございます。
○山中(吾)委員 そうしますと、第一の人的控除の引き上げのところに基礎控除二十六万、配偶者控除二十六万、扶養控除二十六万、老人扶養控除三十二万、こうすればいいんだな。そうすると、人的控除というものは同額にしたという思想をまたここで破ってしまうのですね。破ることになるんでしょう。そうなると、またぼくも混乱をしてくるのですが、どうも税制というものを部分的公平の要求からだんだんちぐはぐ的に加えていくものですから、その税制そのものもアンバランスで、それを支える思想もなかなか統一がとれないというのが現状じゃないですか、どうですか。
○中橋政府委員 一般の扶養控除につきましては二十六万円でございまするから、その扶養控除の中で、たとえば障害者がいるということになりますれば、その二十六万円プラス二十万円、その扶養親族の中で老人がおりますれば、二十六万円プラス六万円ということでございまするので、特殊の事情がある人につきましては、普通の基礎、配偶、扶養控除の同額としました金額のほかに、追加的に認めるという考え方でございます。
○山中(吾)委員 いやそうでないと思うので、こういう論議はやはりせねばいかぬのだと思うのですね。だからやりますが、特別な人的控除の中で、老年者控除とか寡婦控除というのはぴったり私わかるのです。御主人を亡くして寡婦が働き手なんだ、居住者だ。居住者で、養われておる奥さんでなくして、夫をなくして独立して、自分があなたの言った稼得者、したがって、その人の基礎控除二十六万にプラス二十万、細腕でやっておるから二十万加えている。勤労学生の場合も、これは恐らく独立ということを前提としているんでしょう。 それから障害者控除、ここがまたちょっとわからないところなんですね。これは家族の中の扶養されておる障害者も含んでいるんでしょう。これは第一のところに持っていかなければいかぬのじゃないですか、こっちの人的控除の方へ。それから老人扶養控除もこっちに持っていかなければいかぬのじゃないか。ここが非常に混乱をして、われわれ審議をする者をして迷わしめると思うのだが、これは思想をもう少し統一をしようじゃないですか。要するに、これはまた次のことにして、大臣の感想を聞いて次に移りましょう。
○大平国務大臣 まだ純粋に思想が統一、純化されて税制に化体されていないというように思うわけでございまして、依然としてまだ問題は残っておるように思います。
○山中(吾)委員 残っておると私も思います。 そこで、この審議をする場合に、質問する方も答える方も混乱をしながらおると思うので、どういうふうに整理するか。いままで積み重ねてきたこの所得税制の控除、それから必要経費と給与所得控除、いろいろ問題があるのですから、新しく角度を変えてこの制度を支える思想というものを検討するということがないと、私は少しも進歩がないと思うのです。どうですか。
○大平国務大臣 控除制度、伺っていると、表示方法の問題なのか実態に触れる問題なのか、そのあたり私も判然としないわけでありますけれども、表示方法の巧拙、適否というふうな問題につきましては、これは十分に検討してみたいと思います。
○山中(吾)委員 それじゃ次の宿題に残して、私も勉強さしていただきます。 次の退職所得の特別控除額ですが、これも退職所得というものをどう見るのかによって非常に違ってくるので、退職所得の性格を主税局ではどうお考えになっているか。
○中橋政府委員 退職所得は、いわば退職後の生活の安定を図るという意味におきまして、給与の後払い的な性格を持っておるものであると思っております。
○山中(吾)委員 賃金、給与の後払いとしますと、いわゆる勤労所得として課税対象に当然に考えなければならない。それから、老後の生活の準備とかいうならば非課税にすべきだ。いままで在職中に払うべき賃金を節約して、そして退職金で渡すというなら、これはいわゆる賃金ですから、いわゆる一般の所得をずっとかためて渡すのですから、これは普通の勤労所得のように課税するという思想で、ある程度配慮をしていくという見方をすべきだと思いますし、長い間働いて後、家を建てなければならないというので次の第二の人生の生活の根拠をつくるとか準備ならば、思い切って無税にすべきだ。 大体、住宅なんというのは人間の巣、生物の巣であるのに、巣を与えないで働けと言って、三十年も働かして退職金で家を建てて、最初にあるべき巣を人生の終わりに建てて、私の人生はこれで完成いたしましたと言って死なしていくくらい冷酷な政治はないと私は思っておるのだが、退職金で家を建てなければならぬというなら思い切って無税にすべきである。また賃金の後払いと言うなら、これは違ってくる。どっちかにこれも整理したらどうですかね。
○中橋政府委員 いま山中委員の御指摘になりました二つの点を両方満たすべく、いまの退職金の課税は行われていると思います。 一つは、賃金の後払いでございますから、課税をしなければなりません。したがって、全面的に非課税にするというわけにはまいらぬわけでございます。 それから、退職後の生活の資にされるということでございますので、ある程度の金額はやはり非課税にしなければならないということから、今日のような特別の控除額を設けまして、その分は非課税にします、それを超えます分については課税をしますという構成でございますので、両方のお考えをここで満たしておると思います。
○山中(吾)委員 賃金の後払いというのは、だれがそんなこと決めたのですか。あなたが決めたのですか。退職金を賃金の後払いなんという定義を学者が下すのは、僭越至極だ。国民自身にそういう心理もないし、評価もないし、それから退職金を出すその会社が給与が低いかというと、逆に給与が高いですね、大企業の手厚いところから言えば。私は独断だと思う。これも整理をしてもらわなければいかぬですね。これも私の疑問なんです。こればかりやっているとまた時間がかかりますが、もう少し整理したらどうでしょう。 その次に医療費控除。これが出ると教育控除をまたやらなければならぬが、三時間もかかりますから、黙っておれない問題があるのですが、これは残しておきます。 もう少し聞きたいのですが、給与所得控除ですね、いわゆる必要費という性格を持っているということについてだけはしっかりと確かめておきたいと思うのです。一般の事業所得の場合には、総収入引く必要経費、そして引く人的控除ですね。そして給与所得者の場合は、総収入引く給与所得控除、そして引く人的控除、こういう方程式でしょう。 そこで、ついでに申し上げますが、先ほど言ったいわゆる人的控除というのは、事業所得であろうが給与所得であろうが、人間があるところに基礎的な人というものを頭に置いて控除した思想というのがあるから、所得の種類が何であろうが、必要経費を実費で申告していける者も、源泉徴収をやられるものも同じように引かれているから、ここの思想ははっきりとしてもらわなければ困るということを、先ほどの論議の中でも私は申し上げた。これはこれとして、そういう方程式を前提とすれば、給与所得控除が事業所得の場合の必要経費に相当するものだ。間違いないですか。
○中橋政府委員 給与所得控除の性格を考えてみますと、その主たる要素の一つは、いわば事業所得者にかかりますところの必要経費でございます。と申しますことは、私どもがうちを出まして、勤務地に出勤をいたしまして、そして月給をもらうということのために要する経費を概括的に引いておるというものだと考えます。
○山中(吾)委員 いわゆる事業所得の場合の必要経費に相当するものかどうか。給与所得者の給与所得控除は、事業所得者の必要経費に相当するのかどうかと聞いておるのです。
○中橋政府委員 まず一つ違いますのは、概括的に、概算的に引いておるということはありますが、事業所得者にかかりますところの必要経費というのが給与所得控除の大きな要素の一つでございます。
○山中(吾)委員 給与所得者の場合に、事業所得者のように実費を基準とした必要経費とせずに、給与所得控除として一律的に定額で決めた制度の長所と短所を言ってみてください。
○中橋政府委員 長所は、多くの人にとりまして非常に簡便な方法でございます。しかも実費を、これが必要経費に当たるか当たらないかということの物の考え方につきましての煩わしさを納税者と税務当局の間で避け得る、非常に便利な方法だと思っております。それから第二の長所は、かなり多目に控除できるのではないかということでございます。 短所の一つは、給与所得控除の金額に比べて、真に必要経費と言われるものを非常に多くかけておる人がありとすれば、その部分は引かれませんから、それが短所になると思っております。
○山中(吾)委員 長所の中の一つ、納税者の方に便利だと解釈されておるのは独断ではないか。だから一方で、減税闘争で、われわれに必要経費を申告する権利を奪っているから、源泉徴収でなくて必要経費の申告制を認めろ、認めないのは憲法十四条の法の平等に反すると盛んにやっているでしょう。あなたの独断だと思うんだ。この論議もまた二、三時間かけなければならぬ。私は非常な独断だと思うのです。納税者に聞いてみなければいかぬですよ、アンケートをとらなければ。 ところが、学者だとかあるいは教師だとか、月に五万も六万も書物を買わなければ成り立たない人々については短所だ、不便だといまおっしゃいましたね。この必要経費を給与所得控除によって定額で断定的におきめになる制度は、長所は納税者が喜ぶからだと、これは独断を言われた。短所の方は、特定の専門的な職業を持っておる人について不利だ、それより多くても必要経費と認めない、こう言われたんでしょう。私はそのとおりだと思うのです。この長所と短所を認識すれば、それに応じて税担当者は改革を検討すべきではないか。 たとえば、給与所得者の便宜を考えるならば、推定をした最低の給与所得控除というものは一応認めても、それ以上に要る特殊の専門家的職業を有する者については、プラス必要経費の申請を認める制度とか、そういうものをしなければ、長所を生かしながら短所をなくしていくことはできない。いま現実に民衆は、税の不公正に対する政治不信も加え、あるいはお医者さんの必要経費との比較からくる心理もあるでしょう、あるいは徴税行政の不親切その他も含んでおるかもしれませんけれども、一般の働いておる者が必要経費を具体的に要求する権利が奪われておるという立場において、これを問題として運動しておるこの現実の中で、まじめにこの給与所得控除というものを必要経費として考えてこの制度を採用しておるならば、最低の給与所得控除というものを考えれば、実際に必要経費の要らない一般の人にはある意味では便利だと思う。しかし、大島教授が訴訟を起こしたように、学者としていろいろの研究費が必要な者にとっては確かに足らない。そういう人にはまた必要経費の申請を認める二本立ての制度も考えなければならぬのじゃないか。それが税担当者の現実に対するまじめな態度だと私は思うのですが、いかがですか。
○中橋政府委員 給与所得につきましての必要経費の論争というのには、私はかなりの誤解があると思っております。給与所得控除が四〇%、三〇%ありますのに、必要経費を全然引いてもらっていないという人がかなり多いのでございまするけれども、なるほど形式的には必要経費という名では引いておりませんが、私が申しましたように、給与所得控除の大きな要素は、給与を得るために必要な経費というのはそこで見ておることになっております。したがって、それで見ていないということについては、私はかなりの誤解があると思います。仮に、給与を得るために必要な経費というのをいろいろ計算してみましても、今日の給与所得控除の率のところまではなかなか達しないのが通例でございます。 そこで、私は、先ほどメリットの第二として申しましたのは、簡便ということのほかに、かなり一般の人には給与所得控除の他の要素を加味しまして高目に決められておるということを申したわけでございます。それで、それではその非常に低いところで給与所得控除は一般の人にはもう与えなくてもよろしいんだということであれば、また一つの論かと思いますけれども、私はそれはまたいろいろな要素を考えれば適当ではないと考えております。 それから、もう一つの誤解は、いまおっしゃいましたように、ある種の職業の人について非常にたくさんの必要経費がかかるということでございますけれども、これにもよく分別してみなければならない点が多々あると思っております。消費生活において出しました費用、それが全部必要経費になるというものではございません。あの大島裁判におきましても、いろいろな経費というものが列挙せられましたけれども、私どもから考えてみれば、仮に実額経費控除になりましたときにおきましても、それを必要経費として認められないものが非常にたくさんあるというふうに思います。 そういうことで、特殊の人がもっとたくさんの必要経費がかかるということにつきましても、非常に希有な例ではないかと思います。しかもそれにつきまして税務当局との間で、一々それが本当の必要経費になるのか、それは消費生活における所得処分の一つであるのかということにつきまして非常な紛議を巻き起こすよりは、私は今日のような概括的な控除をある程度高目につくっておけば、その方が制度としては円滑に動くのではないかというふうに考えております。
○山中(吾)委員 基本的にこれだけは確認しておきたいと思うのであります。 法のもとに平等という憲法十四条の思想から言って、給与所得者に対しては申告制を認めない、源泉徴収だ。有利、不利は別ですよ。一方、事業所得者については申告制を認める。これは思想としては明らかに憲法十四条から言ったらまことに不適当、違法である、違憲である。ただし、徴税費その他の立法技術上、方法論としてこれの方がいいという論なら別ですが、その根本の問題についてそうではないと言うのなら、これは私は認めるわけにいかぬ。それの区別をして、立法技術上あなたがそうおっしゃっておるのかどうか、これだけ明確にしておきたい。
○中橋政府委員 その点に関しましては、私どもも従来そういうふうに思っておりましたけれども、最高裁におきましても、その制度は合憲であるというふうに是認をされておることはつとに御承知のとおりでございます。「給与所得者に対する所得税源泉徴収の制度は、徴収方法として能率的、かつ、合理的であって、この徴収義務者の徴収義務は憲法の条項に由来し、公共の福祉によって要請されるものであるから、この制度は憲法二十九条一項に違反しない。」云々というものがございます。
○山中(吾)委員 公共の福祉ということ、これはぼくはその裁判官とは反対なんです。その裁判は否定はしませんが、恐らくその憲法解釈はまた違った学者によってつぶされるときが必ずあると思うのです。いま判例を言われたから、その判例自身を否定する治外法権的存在ではないけれども、それはやはり人間の判決ですから、必ず覆されるときがあると思うのです。そこへ公共の福祉などを持ってくるのはおかしい。 ただ、私は、その次の立法技術上、給与所得控除というものの決め方について、非常に必要経費の少ない単純労働の人は有利だと思うのです。それはわかるのです。しかし高次の、いわゆるいろいろの研究をしたりといういわゆる学者とかそういう者については不利だというふうに見るのが正しいと思うのです、いまの現実の給与所得控除の中身を見ても。 だから、そういういろいろな論議は別にして、もし給与所得に対して定額のそういう制度をとるならば、最低の控除制度をとって、特別いろいろ必要なものについては追加必要経費の申請を認めるというふうな研究をしなければ、永久にこの問題は出てくる。必ずそこに税制に対する不信感も出れば、論争というものは絶えないと思うのです。これは断定的に定額の控除制度がいいのだという考え方は独断専行に過ぎるので、一番最初お聞きしたように、長所と短所がどれぐらいあるのだ、長所ばかりでなくて、あなたがおっしゃったように、特定の職業の者については必要経費全体を見ることができないというところに短所があると最初にお認めになっている。それを制度的にどうするかということを検討されるのが大蔵当局の任務であろうと私は思う。 それについてのあなたの答弁と、それから私はきょう申し上げた一、二の点であと二、三あるのでありますが、きょうはこのくらいにしておきたいと思うので、大蔵大臣の所見を聞いて、終わりにいたしたいと思います。
○中橋政府委員 概括的な給与所得控除が、必要経費という観点からデメリットを持っておるということは私が先ほど申したとおりでございます。しかし、そのデメリットは、一般の人があるいはその職業を持っておる人が考えておられるほど大きくはないと思っております。と申しますのは、先ほども申しましたように、いろいろ見方が違っておりまして、消費生活における所得処分というものに該当するものまで考えておられますから、かなり突き出るというふうに思っておられましても、実際に給与を得るために必要な経費という観点から申し上げれば、突き出ることというのは、今日、三〇%、四〇%、最高制限なしで一〇%という給与所得控除のもとにおきましては、希有の例だと思っております。その希有の例のために実額計算を導入するというよりは、高目の給与所得控除で簡便に一律にやるのがよいではないかということは、先ほどお答えしたとおりでございます。
○山中(吾)委員 いま一度。この必要控除を累進課税にして、一昨年までは天井が七十六万でしたからそれを取り、何億のものでも一〇%というふうな改悪をして、それを前提として、これはこれでいいのだというような思想を強弁されることはまことに遺憾だと思うのですよ、人間としての必要経費なんだから。松下幸之助さんの必要経費といえどもこれは必要経費の累進控除制ですかな、そういう改悪もされておって、これを前提として、現実にやはりこれが最高であって検討する余地がないと言うようなことは、私は強弁だと思うのです。もっと真剣に研究すべき問題であると思うのです。 私の前に申し上げた一、二の疑点といまの問題を含んで、最後に大蔵大臣の御答弁をいただいて終わります。
○大平国務大臣 制度を編み出す場合、行政上の便利、都合に偏って判断してはいけない、受ける者の立場、事情というものに対してもっときめ細かい配慮がなければならない、お話を伺いながらそういう趣旨のように拝聴したのであります。もとより九十九匹の羊をほっておいても、迷える一匹の小羊を捜し求めなければならぬ、これは聖書の精神だろうと思いますが、行政上の都合、便利を考えてそれに走る、それに偏るというようなことは戒めなければいけないと思うのでございます。往々にして行政府としてはそういう誘惑に駆られがちでございまして、したがって、きょう御論議をいただきましたいろいろな点、きわめて示唆的であると私は思います。 こちらの言い分といたしましては、しかしながら、そういう場合も配慮して、ほとんどそれに該当するようなケースのないように大きくカバーしておくのであるから差し支えがないではないですかというような応酬でございますが、それで済むかどうか、単なる程度の問題というよりは、やはり精神の問題であるように思う面があるわけでございます。 したがって、きょう御指摘をいただきました点は一遍整理をいたしまして、行政府としてなお検討を要するものがございますならば真剣に検討を進めてまいるということでございますので、もう一度私自身検討さしていただきたいと思います。
○上村委員長 小林政子君。
○小林(政)委員 私は所得税法の法案審査に入る前に、いまちょうど三月十五日の確定申告の期日も目前に迫っておりますし、きょうは国税庁の方にもおいでいただいておりますので、その点で一つお伺いをいたしたいと思います。 御承知のとおり、最近の深刻な不況の波をもろにかぶっております中小零細の業者の場合ですけれども、政府の方から出しておりますいろいろな資料を見てみましても、不渡り手形の内容を見てみましても、その不渡りの発行枚数あるいはまた金額、この数字も、私ども調べたのでも四十七年に比して三千九十九億増という、やはり非常に不渡りの金額がふえているわけですし、それからまた滞納の状況を見てみましても、所得税の申告で昨年の九月末で八百九十七億三千七百万円、法人の場合には一千三百三億四千五百万と、滞納もずっと非常にふえているわけです。これは四十八年の十二月末を調べてみますと、所得税の申告分で六百三十五億、法人の場合には六百九十八億だったわけですけれども、今年度の十二月末で滞納額というのは大体どのくらいになっておりますか。
○熊谷(文)政府委員 御質問は四十九年十二月末におきます滞納残高であると思いますが、全税目におきまして約二千八百億ということになっております。
○小林(政)委員 これは法人も含めてですね。
○熊谷(文)政府委員 全税目です。
○小林(政)委員 所得税の申告分と法人とを分けますと、数字はわかりますか。
○熊谷(文)政府委員 ただいまの数字は主体が所得税と法人税でございまして、この二つで約八割を占めております。大体いつもそういう傾向でございますが、そのうち申告所得税は九百五十億、それから法人税が千三百五十億、概数でございますが、そういう数字でございます。
○小林(政)委員 いま数字をお伺いして、四十八年十二月末と比べましても、これは先ほども申し上げましたけれども、四十八年の十二月の場合には申告所得税の滞納残高は六百三十五億ですから、やはり相当ふえております。それから法人税につきましても、いまの数字が千三百五十億、そうしますと、四十八年十二月末の残高が六百九十八億ということですから、やはり滞納額というものがここで相当ふえてきているということが言えると思います。 これはやはりいまの経済の実態というものをいろいろと反映しているのだと思いますけれども、ひとつその前に、これを資本金別に、たとえば資本金一千万未満幾らということで、いま数字が出なければ後ほどひとつ、資本金別に見た滞納状況というものをちょうだいいたしたいというふうに思いますけれども、いかがですか。
○熊谷(文)政府委員 ただいまの御質問は法人の滞納だと思いますけれども、細かく資本金を百万あるいは三百万、五百万というふうに分けた統計は現在持っておりません。ただ、いま私手元に持っておりませんが、調査課所管といいますか、資本金五千万以上と未満というふうに分けますと、これは悉皆調査ではございませんが、全国の傾向を見るためにサンプルをとっておりますので、これにつきましては後ほど提出できると思います。
○小林(政)委員 こういう状況の中で、私は、特に中小企業の中でも不況業種の指定を受けているとか、あるいはまた倒産関連企業としての指定を受けているとか、実際には仕事そのものがいまなくなってしまっている、こういうところの滞納の件数が相当ふえていると思いますけれども、これに対しての滞納猶予を具体的にどのように認めて行政指導をされているのか、あるいはまた売上金額が著しく減少しているとか、あるいはまた、売掛金だとか貸付金だとか貸し倒れその他で仕事もなくなってきているし、いろいろな点で非常に深刻な状態をいま迎えていると言われる業種あるいは企業に対して、具体的な滞納問題についてのどのような措置がとられているのか、お伺いをいたしたいと思います。
○熊谷(文)政府委員 ただいま四十九年の十二月末の滞納の数字を申し上げたわけでございますが、実は、私どもが滞納の面から見ました経済の状況は、四十八年の十−十二月期ごろから急速に法人税を中心にして滞納がふえております。そのころから私どもとしましては、現場の局あるいは税務署に対して詳しく細かく指示をしてまいったわけでございますが、それを集大成する意味におきまして、昨年の十月に実は「最近の経済情勢の下における徴収事務の適切な運営について」という題の長官通達を出しまして、これは申し上げますと、「納税者個々の実情に十分配意して対処するとともに納税緩和措置の適切な運用を図るよう指示してきた」ということでございますが、その後も、たとえば局長会議でございますとか徴収部長会議でございますとか、実は今月の二十六日、おとといのことでございますが、総務部長会議がございまして、ちょうど確定申告期を前にしておりますので非常にいいタイミングではないかということで、そういった従来から措置をしておりますことをさらに強く指示をいたしまして、確定申告期にはやはり納税者の個々の方と直接接触するのは税務署の職員でございますので、その末端に至りますまで私どもの指示が行き届くように、さらに強く指示をいたしております。 それから、いま御質問がございました具体的な納税の猶予等のことでございますけれども、これは実は私どもは五百余の署から全部の統計をすべてとってみるということはなかなか不可能でございまして、そういう全体の数字はわかりませんけれども、サンプルのことでございますので傾向として申し上げますと、納税の猶予あるいは換価の猶予の状況では、前年に対しまして、暦年でございますが、四十九年の約倍の換価の猶予あるいは納税の猶予、つまり徴収の猶予制度の活用を図っていただいておるということでございます。 それから、特に法人税の延納制度等につきましても、私どもの方から積極的にこの活用を周知するようにいたしまして、結果としましては約三割の延納の利用が行われている、これは中小企業、大企業おしなべてでございます。
○小林(政)委員 私は、特に中小企業信用保険法の第二条第四項に該当すると言われている企業などについては、やはり一段と猶予をしていくべきではないか、また、このような実態の中で中小企業の延納あるいは分割などの条件というものをずっと緩和するということと同時に、このような指定を受けている業種等に対しては猶予期間中の延滞金と申しますかは当然付すべきではないというふうに考えております。いかがでしょう。
○熊谷(文)政府委員 猶予期間中につきましては、ただいまの税法上のたてまえといたしまして、延滞税は普通一四・六でございますが、この期間につきましては、原則として一年でございますが、七・三%ということで、半額軽減されております。
○小林(政)委員 特に金融措置などにつきましては、いろいろとこういう事態に対処する措置がとられておりますけれども、私は税制の上においても、実際に仕事そのものがいまなくなってしまっている。しかも税金を払わなければという場合に相当滞納もしている。しかし、何とか中小の企業が活動を始めるといういま四苦八苦の努力をしておるというときに、当然猶予を認めると同時に、それに対しては一定期間、猶予期間中については延滞金を付さないということは当然のことではないだろうか。実際には、猶予してもらったけれども、期間が少しでも延びればその期間中よけいに延滞金が加算されてしまうというようなことであっては、せっかくのこのような措置が仏作って魂入れずというようなことにもなりますし、猶予期間中は延滞金というものに対しても当然の配慮が行われてしかるべきだろうというふうに考えますけれども、大蔵大臣、この点についていかがでしょうか。
○熊谷(文)政府委員 ただいまも申し上げましたように、納税の猶予制度の活用につきましては納税者個々の実情に沿いましてできるだけ手厚くといいますか、十分納税者のお話を伺った上で活用を図っておるところでございますが、現在の税法上、たてまえとしまして、ただいまの延滞税一四・六の分につきましては、利子分に相当するというふうな意味も含めまして七・二%ということになっておりますので、私どもの執行のたてまえとしましては、それで処理をさせていただいておるということでございます。
○大平国務大臣 小林先生の御主張わからぬわけではございませんけれども、ただいまの立法は、いま政府委員から御答弁申し上げましたような仕組みになっておりますし、それはそれなりの理由があってのことでございます。しかし、これの運用に当たりましては、十分事態の実態をよく精査いたしまして、できるだけ親切に配慮をしてまいりたいと考えております。
○小林(政)委員 国税庁に次の問題についてお伺いしたいと思いますけれども、これは法人税の申告についてでございますけれども、納税申告がすでに提出済みのある工務店の中で具体的にいま起きている問題であります。 それは、決算に誤りがないかどうか、再検討して修正申告を提出してもらいたい、こういう通知が税務署から参りまして、そしてその中には修正申告書の用紙、納付書、源泉税納付書というものが同封をされて送られてきています。しかもその再検討の方法については、建設業関係の法人についてはいままでいろいろと調査をしてきた結果、非常に誤りの多い項目については別紙列挙しましたので参考にしてください、こういうことが書かれ、源泉所得税のチェック表というものも一緒に送られてきているわけであります。しかもその修正申告の提出については、五十年の二月三日までに提出をするように、こういうことがここに書かれているわけですけれども、この人はいろいろ仕事の関係等もあって、二月三日には提出をしていなかったわけです。 ところが、二月四日になりますと、あなたのところは提出をしていないから調査に行きたい、しかしいろいろと電話でそういうことを言ってまいりましても困ると言ったら、二月の六日にまた電話で、修正申告を提出していないから再度調査に行きたい、こういうことが言われてきているわけです。 私は、やはり何か明らかに修正申告をしなければならないような事態がその申告の中にあったのだということであるならば、これはまたいろいろとあれでしょうけれども、実際には自主申告制に基づいてきちんと申告もしている、それにもかかわらず、ともかく二月三日までに修正申告を提出してほしい、そしてそれが提出されなければ電話で、調査に行きたい、こう言うようなことが行われているということは、しかもそれはたまたまその家一軒ではないようであります。私の調べたところによりますと、その業界というものに対してある程度広くこのようなことが行われているということも出てきております。 私はこういう点から考えると、自主申告制度というものに対して実際国税庁はどういう態度をもって臨んでいるのか、あるいは自主申告制度というものに対して納税者との行政上の問題を具体的にどう考えているのか、この点についてまずお伺いいたしたいと思います。
○横井政府委員 お尋ねの件はいわゆる行政指導というものに当てはまるかと思うのでございますが、そのような場合におきましてそれが強制的であるようなことにわたらないようにということは、私どもかねてから強く一線に指導してまいっておるところでございます。 したがいまして、通常の場合でございますと調査がございまして、その結果に基づいて修正申告慫慂なり更正なりという手続に入るわけでございますが、ある程度多数の調査をいたしましてその業種に共通なミステークが認められたというふうな場合におきまして、その他の企業につきましても見直していただいて、もし誤りがあれば修正を願いたいということでお願いをしているわけでございまして、決して強制を申し上げておるわけではないわけであります。 なお、修正申告慫慂を自主申告制度のもとでどう考えるかということでございますが、現行の所得税、法人税制度は自主申告制度でございまして、私ども調査をいたしましたような際におきましても、できれば修正申告にとどめまして御本人の自発的な意思で申告が直される、かつ、その後も引き続いて二度と過ちがないような申告が出されるということが望ましいことだと存じておるわけでございます。 過去のことを申し上げますと、所得税につきましては、申告所得税制度が導入されましてしばらくたちまして、三十年ごろからは修正申告というのが通常の調査後の処理の形態になっておりまして、四十二年ごろ以来調査を受けて非違がございました方の中で八〇%は修正申告で終わっておりまして、残りの二〇%の方が更正を受けておるという状況でございます。 それから、法人税につきましては修正申告という慣行があまりなかったのでございますが、たとえば不服申し立て制度を四十三年でございますか改正いたしました際などにおきまして、法人についても更正でなくて自主申告で修正申告を出さしてもらいたい、こういうふうな御要望等がございまして、現場に指導いたしまして、修正申告も認めるような方向を打ち出しております。現在のところ法人につきましては、非違のございました中で四〇%ぐらいが修正申告、六〇%が更正という現状でございます。 いずれの場合におきましても、修正申告慫慂が強制にわたらないということを強く一線に指導しておるところでございます。
○小林(政)委員 印刷までして、そして先ほど申し上げたとおり修正申告用紙から納付書から、一通りの書類を全部入れて、修正申告の期限は何月何日ですよ、二月の三日までに提出をしてほしい、しかもそれを提出しなかったら、あなたのところは提出していないから調査に行く、こういうことが強制じゃないというふうに言えるのですか。税務署は自主是正をお願いしているのだと言っているそうですけれども、こういう形では実際、自主是正をお願いしているなんというものじゃないでしょう。 すでに申告をしてあって、明らかに間違いがあったとかその他ということであるならばこれは当然だと思いますけれども、実際この工務店の人は個人で何人かの人を使ってやっているという、そう大きな業者ではありません。しかも町場の仕事というのはほとんどとらないで、一本の下請関係の仕事をやっている人なんです。しかも年間六百万から七百万ぐらいの所得で、これはもう複雑な要素も何もありませんし、きちっと申告がされているにもかかわらず、しかもこの人は出張が大変多くて、出かけた場合には一週間ぐらいなかなか家に帰ってくることができない、うちへ帰ってきて、またその下請の仕事で地方へ行って仕事をする、こういうような業者に対して、三日で期限が切れたのにあなたはこれを出してないから調査に行くと言うようなこと、これを強制じゃないというふうに言えるのですか。大体、業種によってこういうことがずっとやられているということは、これは納税の自主申告制というものに対して明らかに否定じゃありませんか。どうなんですか。
○横井政府委員 先ほど申しましたように、強制にわたらないということにつきまして、一線を強く指導しておるわけでございます。今回の御指摘の件につきましては十分事情を承知してないのでございますが、私どもの過去の経験では、その場合におきまして、たとえば業種団体にお話をするとか業者の方々にお集まり願うとかいうことで事情をお話し申し上げ、強制ではございませんというふうなことを申し上げた上でやる場合が多いのでございますが、御指摘もございましたので、なおよく事情を調べまして、強制にわたっておるようでございましたならばその辺を十分反省いたしたい、かように考える次第でございます。
○小林(政)委員 あなたはこの事実を強制だと思うのですが、強制でないと思うのですか。私がただいま申し上げた事実に対して、強制であると思うのですが、ないと思うのですか。
○横井政府委員 小林委員のお話を伺ったわけでございますけれども、具体的な事情を私十分把握いたしておりませんので結論は出しにくいのですが、なおよく検討いたしたいと考えるわけでございます。
○小林(政)委員 それじゃお伺いしますけれども、二月の三日までに提出をしてほしいということに対して提出しなかったら、二月の四日に、あなたのところは提出をしていないから調査に行きたい、そしてまた引き続いて二月の六日にさらに、調査に行きたい、こういうことを言っている。このこと自体、私は何のために二月の三日までに修正申告を出さなければならないのか、全く何の理由もなく申告書を出しなさい、そしてそれを出さなければ調査に行きます。こういうことが強制じゃないと言うのだったら、これがまかり通るのだったら、私は大変な問題だと思いますが、いかがですか。
○横井政府委員 いつも申し上げておるのでございますが、申告書が提出されましてから、私どもは申告審理をいたしまして調査に参るわけでございます。このお話しの件につきましての事情は十分存じませんけれども、恐らく署といたしましては、その業種なり個別の企業の状況につきましていろいろ検討いたしました結果、調査の必要があるというふうな判断をいたしておるのではないかと考えるわけでございます。 その場合におきまして、できれば修正申告ということで穏便に処理をいたしたいという希望でございますし、また調査をいたします場合には、何日から調査いたすということを事前通知いたしましてから調査をいたすということでございまして、違法なことであるというふうには考えないわけでございますが、なおよく事情を調べたいと考えます。
○小林(政)委員 そうすると、あなたのところではそういう行政指導を具体的に認め、そして実際にはやらしているということですか。はっきりさせてください、この問題は私は重要な問題だと思いますので。この事実が強制ではない、何かその問題についてはひっかかっているところがあるというふうに判断をしているからやっているのであろう、こういうことですけれども、しかし、本人には何も言わず、早く修正申告を二月三日までに出してください、しかも出さなければ、何か電話でもって調査に行調査に行きますということがかかってくる。どういうことなんですかと言っても、中身については別に何か特別の事情があるということでもなく、ともかく修正申告を出してもらいたい、そんなあなたばかなことがありますか。これが強制じゃないというふうに言えるのですか。 いま私はここでは名前は出しませんけれども、後であなたのところにこれがどなたであるかということをお知らせもしますし、具体的に調査もしてもらいたいと思いますが、調査してくれますか。
○横井政府委員 いま直ちに結論をということを申し上げるわけにはまいりませんけれども、私は当該の企業につきまして、申告審理等の結果、何か問題があると認められたということでそういうお願いをしておるということではないかと思うわけでございます。小林委員から御提示いただければ、この当該案件について調査をいたしてみたい、かように考えます。
○小林(政)委員 そうすると、修正申告を出してほしいというところは、ほとんど何かそこに問題があるということでこれが出されているというふうに思ってよろしいのですか。
○横井政府委員 おおむねそういうことではないかと思います。
○小林(政)委員 ちょっとこの部分を読んでみますからね。これは非常に一般論で書いてあるのですね。 「申告納税制度が採用されてから、すでに二十数年になります。この間税務署においては各法人の申告が適正に行なわれるよう調査等および指導を通じて努力してまいりましたが、税務署の調査等によりますと法令取扱い通達の適用誤り、および帳簿上の会計処理の誤り、または故意に基づくもの(不正計算)等の非違事項があり、そのため重加算税や過少申告加算税等の余分な税金を納めている方々が数多く見受けられます。 そこで税務署といたしましては少しでも余分な税金を納めていただかないためにもう一度自社の決算に誤りはないかを再検討していただき、誤りがあった場合には自主的に修正申告を提出していただくよう後記の方法等によりこれを業種別に随時ご指導申し上げ」ているんだということが書いてあるのです。一般論ですよ。 しかも、ずっと読んでいきますと、「修正申告の事業年度について、進行事業年度前過去三年間について再検討し、誤りのあった事業年度について、その内容がたとえ不正行為に基づくものであっても、自主的に修正申告をされた場合には重加算税及び過少申告加算税は徴収しない」ことになっております。たとえ不正行為に基づいたものであっても、自主的に修正申告された場合には加算はしないのだ、こういうこともちゃんと書いてあるのです。何か修正申告を相当広い範囲にわたって業界にやられておるということを言われておるのですけれども、こういうことを今後あなたの方は行政指導としておやりになっていくのですか。
○横井政府委員 強制的なことはいたさないように今後とも努力をいたしたいと考えます。 御指摘の点につきましては、よく調査をいたしまして検討いたします。
○小林(政)委員 こういう方向で行政指導されているのかどうか、ちょっとお伺いをしておきたいと思います。
○横井政府委員 業種によりまして、必要な場合におきまして業種指導ということがある場合があると思うのでございますが、絶対に強制にわたらないということで今後とも配意してまいりたいと思います。
○小林(政)委員 本人が自分の申告は正しいと確信を持っておりますし、それを二月三日までに修正申告を出せと言われても、何のことかわからない、仕事も忙しいし、自分の申告に対しては確信も持っていて、そして出席をしないという場合に、何度も何度も電話がかかってくる、こういうようなことが行われるということは今後の行政指導の中であなたはどう思いますか。
○横井政府委員 具体的に事情をよく調べますが、そういうやり方に問題があれば検討して、反省をいたします。
○小林(政)委員 そうすると、納税の自主申告制度との関係はどうなるのです。それがたてまえでしょう。納税はあくまで納税者の申告制をとっている。しかもその場合には、きちっとした責任の持てるそういうものに基づいて申告をする、こういう制度をとられておるんでしょう。それを業界に対して相当広くこういうものが一律に送られてくる。しかもその期限に提出しない者に対しては、いかにもこれが提出されないからあなたのところに翌日にでも調査に行きますよ、こういうことは一体本来の納税制度のたてまえからどういうことなんです。それを否定することなんでしょうか。どういうことになるんでしょうか、教えていただきたいと思います。
○横井政府委員 申告に誤りがございました場合において、更正をいたすということよりは、自発的な修正で片づけるということが納税者との関係を円満にいたすゆえんでございまして、先ほど申し上げましたように、個人につきましては大部分の方、法人につきましても半数近くの方がこういう修正申告で処理されておるわけでございまして、修正申告慫慂が自主申告制度の関係において問題があるというようには私ども考えておらないわけでございます。
○小林(政)委員 明らかに誤りがあるということがはっきりしておるなら、いやあなたのところの申告はどうもここのところに誤りがあるのではないかという点で、そこに関するいろいろな資料も提出してほしい、こういうことがあり得るでしょう。しかし、実際先ほど読み上げたような一般論ですべてに修正申告をやることがたてまえだみたいなこういうことがまかり通ったら、実際いまの自主申告制というたてまえは一体どうなるのですか。
○横井政府委員 強制にわたっておるのではないかという点がひっかかりますので、この点は調査いたしますが、私は強制をしておるということではないと存じておるのでございます。 なお、申告に誤りがありましたならば調査をいたして、修正あるいは更正をいただくということが当然であろうかと思います。
○小林(政)委員 事実関係に対しては、私が言っている事実も、あるいは若干誤りがあるかもしれませんよ。しかし、私は誤りないつもりで具体的に本人のあれに基づいて調査もし、いまここで発言もしているわけですけれども、こういう事実関係について、あなたはこれが強制であると思っているのか、強制でないと思っているのか、そこのところをまずはっきりさせてくださいよ。強制にわたらないようにしていますと言うけれども、これが事実であったとすれば、強制なのか、強制でないのかはっきりしてください。
○横井政府委員 具体的事情をよく調べてみたいと存じます。
○小林(政)委員 このような自主的な納税制度のもとにおいて無差別にこういうものを送って——問題点があるというところに対してのみいろいろと連絡をしたりするということは、これはあり得ることです。しかし、一つの業界に対して無差別にこういうものを送って、そしてともかく問題があってもなくてももう一回決算を見直して、そして修正申告を何月何日までに出しなさいというようなことをやることは、今後、自主的な納税制度というたてまえから言っても問題だと思います。この点につきましては、この事例はひとつ調査をしてもらいたいと思います。そしてその問題を委員会に報告していただきたいと思います。いかがでしょうか。
○横井政府委員 承知いたしました。
○小林(政)委員 大蔵大臣、ただいまお聞きだと思いますけれども、これはたまたま一軒の家だけに来たということではなくて、これは建設関係の業者の人でありますが、その業界の人たちほとんどにこういうものが最近送り込まれてきている。しかも、問題が別にあって調査をということではなくて、この文を読んでみても非常に一般論で、そして決算をもう一度見直して修正申告をしてほしいと、こういうことが何かいかにも税法のたてまえであるかのような、自主申告制度というものがありながら、修正申告を新たに出すことがいかにも何か税法のたてまえであるかのようなことがまかり通ることになれば、私は、いまとられている税法そのもののあり方から言って大変な問題だと思うのですが、大臣はどのようにお考えになるか、御意見をお伺いいたしておきたいと思います。
○大平国務大臣 いまの所得税は、御案内のように、納税者の申告を前提にいたしましてでき上がっておるわけでございまして、現実に八百万もの方の御申告をわずかの徴税官吏が整理いたしまして徴税に当たっているわけでございますので、根本はやはり納税者の申告に頼んでいるわけでございます。ですから、誠実な御申告をちょうだいするということで、それをできるだけ広く徹底してまいるように努力して普及していき、理解を求めていくということは当然のことだと思うのでございます。 いまあなたが言われておるケースがやみくもに強制的に修正申告を強要しておるものであるかどうかという点は、事実関係でございますから関係者が調べることでございましょうが、制度の根本は申告納税制度ということでございますので、納税者側におかれましても御協力をいただいてまいらなければ、この制度はうまくいかないわけでございまして、そのあたり税務署側にいろろ御注文をいただくことも結構でございますけれども、同時に、納税者側にもお勧めいただきまして、御申告を誠実にしていただくように御慫慂いただければ幸せと思います。
○小林(政)委員 いや大臣、この問題は事申告制度の根本にかかわる問題だと私は思うのです。大臣おっしゃったとおり、確かに申告納税制度がいまとられています。それで、数もたくさん多いし、いろいろな点で納税者にも協力してほしいということは私はわかりますけれども、しかし、本人が申告したものを、特別何かあれば、それに対して納税者の理解と協力を得ようとして、その問題について資料の提出をしてくださいとか、この点についてひとつ意見を聞かしてほしいとか、これは私、当然のことだろうと思います。 しかし、自主申告でもってちゃんと申告をしている者に対して、不特定多数に修正申告を出してくれ、こういうようなことをやって、それを出さなければ、電話で再三督促を受けるというようなことは、この日本の自主制度、申告制度というものをこういうことによって崩していってしまうんじゃないか。協力ということは、これはわかりますけれども、しかし、問題もないのに修正申告を出しなさいというようなことを不特定多数に出すというようなことについては、これは問題だと思うんですよ。
○横井政府委員 同業種に共通の問題がございまして、当該企業にも問題があるであろうというふうなことから修正申告を慫慂いたしたのだろうと思いますけれども、よく事情を調べて御報告申し上げたいと思います。
○小林(政)委員 それでは、所得税法の問題について、きょうは時間も大分あれですから、短く一、二点についてお伺いをいたしたいと思います。 まず、ことしの所得税、これは減税規模においてもまさにミニミニ減税というふうに言われておりますけれども、なぜ減税しなかったかというようなことについては、大臣もいろいろと本会議でも述べられているわけでございますけれども、いまの物価との関係でそれを刺激しないために、需要関係等を刺激しないためにというようなことで、減税も小幅にといいますか、小幅どころかミニミニですけれども、こういうことも言われているわけです。 実際に減税の規模を見てみますと、自然増収が所得税の場合は二兆八百五十億あるにもかかわらず、わずか二千四百八十億円、これは減税額ですね。自然増収に対する減税割合というのは一一・九%というきわめて低いものなんです。しかも、いままでもどのような減税がされてきたかということを、過去五年間ずっと自然増収と減税という問題を見てまいりますと、四十六年のときにも自然増収に対する減税額の割合というものは二三・九%です。そして四十八年のときの減税も自然増収に対して二七・一%です。四十九年の場合には七二・五%です。そして五十年のことしはわずかに一一・八%。それこそ所得税の中で二兆円を超えるというような自然増収がありながら全くミニミニの減税しかやられていない。 私は、この問題について、いまの国民の生活実態というようなものについて、課税最低限も含めてですけれども、大臣は一体どのようにお考えになってこのような減税などと言えないようなものをお出しになったのか、これではむしろ大増税ですよ、こう考えますけれども、基本的なお考えをお伺いいたしたいと思います。
○大平国務大臣 こういうインフレーションのときはインフレーションを克服することが政治の第一の任務でございまして、できることならば減税も差し控えさしていただきまして、インフレの克服に邁進さしていただくというのが本来の行き方でありたいと私は念願しておったのです。 御案内のように、昭和二十四年にドッジ・ラインがしかれて、悪性インフレとの戦いが始まったわけでございますが、あのときの手法は、小林先生も御記憶かと思いますけれども、一つには重税であったわけでございまして、一つには各機関の徹底した独立採算制の堅持であったわけです。二つともお気に召さぬようでございますけれども、私といたしましては、いま日本の財政を預かる身といたしましては、本来は国民の理解を得てそういうことをやりたいと念願しておったわけでございますけれども、しかし、政府の税調におきましても、また与党の税調におきましても、また野党の御主張を聞いておりましても、そういうラジカルな財政政策でなくて、ともかく物価調整減税というようなことはどういう状態の中でも考えるべきじゃないかという御主張が一般に強くあったわけでございますので、私といたしましてはそういう一般の御主張を尊重すべきであると考えて、物価調整減税に賛同いたしたわけでございます。 それから第二は、いまあなたがいみじくも言われたように、去年大幅な減税をやらしていただいたわけでございます。去年もやったんだからことしもやれ、去年もあんなに大幅にやったんだからことしも大幅にやらなければならぬなんという論理は成り立たぬと思うのです。去年はあれだけやったんだからことしは休ませていただくという論理もまた成り立つわけなんでございまして、私は去年あれだけの大幅な減税をやらしていただき、それがしかも本年度で平年度化が完成する一つの減税のプロセスにあるわけなんでございますから、ことし物価調整減税ということをやらしていただくことでもってまずまず御満足いただけるのではないかと思ったわけでございます。 その他いろいろ申し上げたいことがございますけれども、大きな理由といたしましてはいま申し上げたようなことでございまして、まげて御理解をいただきたいと思います。
○小林(政)委員 大臣、いま、それこそいみじくも、去年大幅な減税をやったのだ、だから少し休ましてもらってもいいのじゃないかと言われましたけれども、実際、去年大幅減税をやったということで、物すごい税の不公正が出てきているのですね。私はここが問題だと思うのですよ。実際に去年の場合には給与所得控除の天井を外して、そうして給与所得控除は高額所得者にすごく有利になったわけです。こういう中で、ことしは税の不公正是正というようなことがいま非常に言われている。 減税一つ見たってそうでしょう。実際に二百万円の収入金額の人の場合には減税額はわずか二万三千五百円、三百万円の人は減税額が三万六千五百七十五円、しかし実際に一千万円の収入の人はここでもって二十九万円、あるいは三千万円の収入の人は百四万、こういう形で——いま私が申し上げているのは減税額ですよ。高額所得者になればなるほど、これは一億円を超えるなんというようなことになれば二百八十九万ですね。高額所得になればなるほど減税額というのは物すごく大きくなるわけでしょう。やはり税制というものは、もっと力の弱い人たちのところに十分配慮をしていく、そうして実際に税制の果たしていく役割りの中で所得の再配分ということも強く機能しているわけですし、こういう点を考えても、このような金持ち優遇の減税というような不公正をこのまま残しておくということは私は問題だと思うのです。実際にこの問題について、現在納税者の状態というのを、それじゃ一体どのぐらいの所得の人たちが一番多いのだろうかということで調べてみますと、これは大蔵省から出してもらった四十八年の数字ですけれども、収入三百万円以下の人は納税者の中で三千八十九万人で、全体の納税者の中での九〇・九%を占めているのですよ。三百万以上がわずかな数であって、納税者の圧倒的な、九〇%という多数は三百万円以下なんです。本当に納税者の幅広い三百万以下のところにこそもっと重点を置くべきであって、もう去年大幅に減税をやったのだからいいのだとおっしゃいますけれども、去年の減税が本当に金持ち優遇の減税であったということは、もうはっきりしているのです。 私はこういう立場に立って、ことしはひとつ、それこそ三百万以下の、納税者の中の九〇・九%を占めているこの層の人たちに対して、やはり何らかの形で当然の配慮があってしかるべきではなかったか。しかも自然増収は決して少ない額でありません。こういうことを考えれば、財政の膨張を押さえるということも一面では言われているわけですし、ここにこそ課税最低限を踏まえて減税を行っていくというお考えをお持ちであるかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
○中橋政府委員 ただいまお示しのように、高額の所得者で減税額が大きいというふうにおっしゃいましたけれども、実はそれより前に高額の所得者は非常に累進効果の高い税額を納めているわけでございます。仮に二百万円のところで申し上げますと、夫婦子供二人の給与所得者で三万四千五百円の税額でございましたものが、今回の改正で五十年分は一万一千円になるわけでございます。したがって、おっしゃるように軽減額は二万三千五百円、軽減割合で申しますと六八・一%、三分の二は今回の改正で軽減されるということになるわけでございます。一億円をおとりになりましたけれども、一億円では、現行の負担といたしまして五千四百四十七万七千七百五十円という税金を負担するわけでございます。その負担率は五四・四七%でございまするから、おっしゃいますように、軽減額はなるほど二百八十九万七千七百五十円でございますが、軽減率で申せば五・三%ということでございます。 それから、一般的に所得の低い人の数が多いということはそのとおりでございます。四十八年の給与所得者で申せば、三百万円以下の年収の人は納税者の中で九四・二%を占めているわけですから、大体の方はそこに入っておることはおっしゃるとおりでございます。この人たちが納めておる所得税の税額は、それでは給与分についてどれくらいの金額を納めておるかと言いますと、六六・五%でございますから、人員ではほとんど全体の人たちが三分の二の税額を負担しておる。逆に申せば五%の人たちが三分の一の所得税を負担しておる、こういうことでございますので、大体所得税の累進効果というものはやはりそこで働いておるというふうに見ざるを得ないのでございます。
○小林(政)委員 やはりそれだけの税金を払えるということは、そこにやはり担税力がある。そして、担税力のあるところから税の負担を求めるということが税制のたてまえです。こういう点から考えれば、所得税の累進制というものがそういう方向に行くことは当然のことだと私は思うのです。何かいかにも高額所得者が莫大な税金を払っていて、そして一般の所得の低い人たちが払う税金というのは少ないんだというようなことが比較対照されること自体、私はおかしいと思うのです。それだけの担税力があるところ、一億からの収入を得ている、あるいは八百万とか一千万とか、こういう収入のあるところから、やはり累進的に税率の刻みが上がっていくわけですから、そこから税金を徴収するということは当然のことであって、むしろそれこそ納税者の中での圧倒的な多数の部分にもっと配慮をすべきではないか。減税額一つ見ても、これじゃ金持ち減税と言われても仕方がないんじゃないかということで、昨年も問題にしたわけです。 課税最低限の問題等についてもこの問題とは関連があるわけですけれども、きょうは時間の関係で、少し長くなりますので課税最低限問題についての質問は保留をいたしたいというふうに思いますけれども、それについてもいつも政府が言うことは、日本の課税最低限は外国に比べてもう決してひけをとらないんだ、第一位に立っているんだ、こういうことを言うわけです。しかし、そこの国民の一人当たりの国民所得その他を比べてみたら、実際にただ機械的に課税最低限が標準的な世帯、四人家族でもって百八十三万になったのだからもうこれでいいんだ、こういう比較は機械的にはできないんじゃないかと思います。 たとえば国民所得を調べてみますと、日本の場合には九十八万九千円、アメリカの場合には百三十五万三千円、西ドイツの場合には百十一万六千円というふうにもう一人当たりの国民所得そのものも違いますし、あるいはまたいろいろな資産の関係だとか、ほとんどが自分の家を持っているとか、いろいろな形で蓄積が違うんですね。ただ課税最低限を数字の上だけで比較をされて諸外国に比べて高いんだ、もう十分なんだということで機械的に数字を並べていくというのは、一人当たり国民所得などを比べたときには比較にならないのではないかと思いますけれども、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
○中橋政府委員 一人当たりの国民所得と課税最低限を比べてみましても、わが国の所得税で申しますと、一人当たりの国民所得は昭和五十年度分で百二十万三千円でございまするから、夫婦子供二人の課税最低限百八十三万円は約二分の三倍ということになりますが、アメリカについて見てみますと、四十八年分の数字でございますけれども、円貨に換算をいたしました一人当たりの国民所得は、百五十二万五千円に対しまして百二十九万四千円でございます。西ドイツは百四十六万一千円に対しまして百十二万四千円、それからイギリスは七十一万二千円に対しまして九十五万二千円、こういう状況でございまするから、国民所得との対比におきましても、わが国の所得税の課税最低限というのは相当の程度であるというふうに思っております。
○小林(政)委員 課税最低限について少し入りたいわけですけれども——それでは続けますが、この問題は、いまの物価の急上昇が続いているというこういう事態の中で、わが国の課税最低限というものはもうこれで十分なんだということを一体言えるのかどうか。課税最低限の問題については、どの所得の層から課税をするかという取り決めですね。実際に生活費には課税をすべきではない、こういうたてまえをとっているわけです。その点についていかがですか。
○中橋政府委員 そういうような配慮から課税最低限というのは考えております。それで、そういうものをベースにいたしまして、年々の消費者物価の上昇率を勘案しながら、またこの課税最低限を伸ばしてきたわけでございます。五十年分につきましても、政府の経済見通しで物価が一一・八%伸びるということでございますが、夫婦子供二人の給与所得者の課税最低限で見ますと、二一・四%伸びるわけでございます。家族構成が少ない場合にもおよそこの物価上昇率は上回っておるから、おっしゃいました線は十分満たし得るものと考えております。
○小林(政)委員 いま標準生計費あるいはその他の問題が大きな問題になってきておりますけれども、具体的に衣食住と言われるものについて、ともかく食べること、あるいはまた生活の最低限攻守っていくこと、こういうことだけを、何かいかにも課税最低限という問題を考える際の生活費というものの見方として見ているというのは、私は問題だと思うのですね。 それじゃお伺いしますけれども、いま日本の場合に、自分の家を持っていらっしゃる世帯は大体どのぐらいになりますか。
○中橋政府委員 世帯のうちで自分の家に住んでおる人は約六割程度と思っております。
○小林(政)委員 実際にはまだ大部分の人たちが非常に狭い、また条件も悪い密集したアパートなどにも、あるいは高い家賃のもとでがまんをして生活をしているというのがいまの状態だと思うのですね。 私は、この住宅問題一つを取り上げても、今後この問題の評価を具体的に生活の中でどう位置づけていくのか、あるいはまた標準生計費等についても、実際にいまの栄養価あるいはカロリーというような問題についても具体的にどう評価していくのか、これらの問題について一つ一つお伺いをいたしたいというふうに実は思っておりましたけれども、きょうは採決があるということも言われておりますので、この課税最低限問題については、引き続きまして後日質問をいたしたいというふうに考えます。
○上村委員長 坂口力君。
○坂口委員 限られた時間でありますので、法人税その他の問題は後日に回させていただきまして、所得税の中で、特に人的控除の問題その他についてきょうはしぼってお聞きをしたいと思います。 具体的な問題に入らせてもらいます前に、先日来いろいろ大蔵大臣のお話をお聞きをしておりまして、大蔵大臣のお気持ちの中にこういう考え方がありはしないかということを一つ考えておりますので、それだけ一つ確認をさせていただきたいと思うわけです。 と申しますのは、累進課税ということに対して、先日大臣は、努力をする者が損をしない体制というような意味のことをちょっと言われたように思うわけであります。努力をする者にはやはりそれだけに報いなければならない。したがって、累進課税というものを余り厳しくすると、努力をする者が損をして、その人たちに報いることにならないというようなお考えが大臣の中にありはしないか。私の受け取り方が間違っておりましたらお許しをいただきたいと思うわけでありますが、そういうお気持ちがないかどうかということ、まず一つそれだけ確認をさしておいていただきたいと思います。
○大平国務大臣 いま御指摘になりましたようなことを、私は、申し上げた覚えはございません。私の累進課税に対して申し上げておりますことは、所得税自身の累進制というものがよく働く体制、よく機能する体制であってほしいということと、そしてわが国の所得税の累進制というものは、先進諸国に比べまして決して軽いものではないというように考えておるということでございまして、今日のわが国の累進度が甘いのか辛いのかということは、その人の考え方によるわけでございますけれども、一応の目安として、先進諸国と比べまして決して甘い制度にはなっていないんだというような理解を私は本会議でも委員会でも表明いたしたことはございますけれども、いま坂口委員がおっしゃるような主観的な見解を述べたことはございませんし、またそのつもりもありません。
○坂口委員 いま大臣がおっしゃいましたように、諸外国と比べまして累進課税というものが日本において決してそう甘いものではなしに、諸外国と比べてむしろ厳しい形になっているという。こういう御意見でございます。この累進課税の数字だけを諸外国と比較して見せていただきますと、確かに累進性というものが厳しくなっていることは私も認めるわけでありますけれども、これは税金の累進性だけで比較はできない。 と申しますのは、これはもう私がそんなことを申し上げるまでもないわけでありますけれども、他の社会保障の面でありますとか、その他等をあわせて考える中において、この税の累進性というものはやはり考えなければならないのであって、この税の面だけで累進性を云々するということはちょっと乱暴な議論ではないかと思うわけであります。 その問題は、いままた言っておりますと時間が長くなりますからさておきまして、大臣もはっきりと言っておみえになりますように、社会的公正というのがこれからの政治の一番基本である、これはもうはっきりおっしゃっておりますし、また間違いない事実だろうと思うわけです。特に、いままでのインフレと、そしてその中における税制というものがどうあるべきかというのが本年の、あるいはまた、これからの大きな課題ではないかと思うわけでありますけれども、先ほど小林委員の質問、それに対する大臣の御答弁等にもその辺のところが出ておりましたが、インフレというのは、貧しき者はさらに貧しくなり富める者はさらに富めるようになりという、言葉をかえればそういうことになると思うわけです。 したがいまして、今年の減税がミニ減税をしたのは——これは本来ならばことしは一遍休んでもいいんだというような御議論がありましたけれども、しかし全体に減税をしようということは、これはまあ無理といたしましても、そういうインフレ下で迎えた本年でありますので、低い層についてはさらに大きな減税をして、そしてお金のたまったところには強くとかあるいはまた累進性を増すとかというような、その差をやはりうんとつけてこそ現在の時代にふさわしい体制ではないか、こう思うわけでございますが、いかがでございますか。
○大平国務大臣 私が先ほど小林先生にお答えした考え方は、インフレ対策という観点から税制を考える場合に、インフレで影響を受けておるからひとつ減税を考えようかというのは一つの敗北主義であって、インフレとの闘いを進めていく上においては、増税もまた辞せないぐらいの決意で当たらなければならぬのがいまの時代じゃないか、現にそういう国がもう出てきたじゃないか。それらは、国民の本当の福祉を願う政治のあり方として、減税なんかよりいままず増税を考えなければいかぬ時期じゃないかという意味が一つあったわけでございます。 しかし、与野党とも、物価減税は少なくとも考えなければならぬじゃないかというのが支配的な御意見でございましたので、私は自分の説を曲げて、一半の疑いを存しつつ通説に従ったわけですが、それが一つでございます。 しかし、第二の点は、ぼくは坂口先生が言われたとおりになっていると思うのです。基礎控除、各種の人的控除、特殊控除を上げていったわけでございますから、そういう形で減税をやったわけでございますから、低所得者をねらって減税を実行いたしたわけでございますから、あなたの言われる趣旨のラインで減税は行われておると私は確信いたしております。
○坂口委員 大臣のお言葉は、かわいい子には旅をさせろということなんだろうと思いますが、どうも旅をするにも歩けないのが実情でありまして、大臣はこれ以上それをむちうってまだ歩けという御意見じゃないかと思うのですが、その問題はいつまでやっておりましても、これは大臣とは平行線をたどるようでございますので、きょうはやめます。 それでは、具体的な問題でお聞きをしていきたいと思いますが、先日、障害者の控除の問題について聞きましたけれども、今回の所得税の問題につきましては、これは普通の障害者と特別障害者というふうに二つに分かれておりますし、これはその点では合格だと思うわけですが、その次に寡婦控除がございます。この寡婦控除は、いただいたプリントから察するところからしますと、いわゆる母子福祉法あたりに掲げられております寡婦というのとは若干内容が違うように思います。寡婦もいろいろでございますが、たとえば非常に小さなお子さん、少なくとも小中学校、義務教育の子供さんをお持ちになっている寡婦もありますし、それでなしにおひとり、あるいはまた、子供さんもあるけれどもずいぶん大きくなったお子さんをお持ちの、特にもう勤めておみえになるようなお子さんをお持ちの寡婦もあるわけであります。それをこの寡婦控除一本でしぼるということにはやはり若干無理がありはしないかというふうに思いますが、いかがですか。
○中橋政府委員 現在の寡婦控除は、実はいま坂口委員が御指摘のとおりの思想で貫いております。と申しますのは、寡婦控除を戦後創設いたしましたときには、当時の戦後の事情を反映いたしまして、いわゆる未亡人でございましてしかも扶養親族がある、戦争でたくさん夫を亡くされた方もおりましたから、そういうような思想で寡婦控除を始めたわけでございますが、昭和四十七年からは、そういう扶養親族がいなくても、夫と死別をしました寡婦について寡婦控除を適用するということにした次第でございます。 ただ、そのときに、いま御指摘のように、それについて余りにも全般的に適用するのは甘いのではないかということから、所得が百五十万円以下の方に限ってだけその控除を適用するということに制限をいたしました。昭和四十九年に至りまして、その百五十万円という限度は三百万円に上げましたけれども、いわばおっしゃいますように扶養親族のいない寡婦につきましては、死別しました寡婦につきましては、そういう金額限度のことにおきまして認めておりますし、扶養親族を持っておる人につきましては、そういう金額限度の制限を設けないで全般的に寡婦控除を適用しておるということになっております。
○坂口委員 先日労働省の方とお話をしましたときに、ことしのこの中高年雇用の表の中に寡婦に対する指標が含まれているということを聞いたわけでありますが、寡婦の雇用に対するものが含まれている、そのときに寡婦という定義の中に、いわゆる結婚をしてなくて子供を持っていると申しますか、ちょっと言葉は変ですけれども、子供のある寡婦じゃなしに、未婚の人でも養子をもらっているような寡婦、そういったものも含まれるようになっているのだということを先日聞いたわけですが、この寡婦の範囲というのも境界線は非常にむずかしいものがございますけれども、この寡婦の中にはそういう人も含まれるのですか。
○中橋政府委員 所得税法上の寡婦と申しますのは、婚姻をしまして寡婦になったという人だけでございます。
○坂口委員 わかりました。 先ほどそういう差がついているというお話でございますけれども、しかし実情は、より小さな子供を持っている人は非常に厳しいわけです。特に最近、低年齢層の二十歳後半から三十歳代ぐらいの寡婦というのが非常にふえてきております。一つは交通事故等のこともあるのだろうと思いますが、そういうふうな人は小学校に行く前の、あるいは小中学校の子供さんというのを持つ、しかも一年間の所得というのは、平均いたしますと六十万以下という厳しい状態の人たちが非常に多いわけであります。 したがいまして、先ほど差はつけてあるというふうにおっしゃいますけれども、しかし、現在あります程度ではなかなかやっていけないというのが実情ではないかというので、この辺の差というものはもう少しつけてしかるべきではないかということを申し上げたわけでございます。
○中橋政府委員 確かにそういう寡婦につきましては寡婦控除のほかに基礎控除がございますし、そういう方が外に出て給与所得を得るということになれば、五十万円という最低額の給与所得控除もございますから、いまお示しのような非常に低所得の寡婦につきましては、もはや恐らく所得税の問題はないのだろうというふうに考えます。なおまた、所得税だけでそういう方々のことを考えますよりは、むしろ所得税に余り縁のない方が多うございましょうから、やはり別途のことも配慮しなければならないということもあろうかと思います。
○坂口委員 私がいま六十万円と申しましたのは、これは全体を平均しての話でございまして、その辺のところの人が非常に多いという話を申し上げたのでありまして、まあ特別の例としていま六十万円を取っている人云々の話ではないわけです。事ほどさように、低所得層の人たちが多いということを申し上げたわけであります。 次に、医療費控除の問題がございますが、きょう昼までにこの問題も出まして、足切りの方が今度五万円になり、上限が百万から二百万になったという一この改善された点は私も多とするわけでありますけれども、この医療費控除でなしに、医療費の範囲と申しますか、これもなかなか決めがたいところもあると思うのですが、一応ここに言われている医療費というのはどの範囲を言うのか。 たとえば、病院にかかっての自己負担分の問題でございますとか、あるいはまた、歯医者さんにかかっての自己負担分の問題でございますとか、あるいはまた、医療関係でもたとえばはりだとかきゅうだとかあんまだとかいうような形のものもこれに入ってくるのかどうか、あるいはまた、もし使用があればその交通費というものもその中に含まれてくるのかどうか、ちょっと交通費までは入らないかと思いますが、その辺はいかがでございましょうか。
○中橋政府委員 いまのお尋ねの医療費の範囲でございますけれども、たとえば病院に通います交通費を除けば、大体常識的にいわゆる医療費として考えられるものはほとんど網羅しているとお考えいただいて結構でございます。たとえば入院費あるいは薬代、それからいまお話しのようなあんま、マッサージ、指圧師等、それから保健婦、助産婦、そういったものの費用まで全部カバーすることになっております。
○坂口委員 そういたしますと、薬代というのは病院でもらう薬ではなしに、薬局で買う薬という意味でございます。
○中橋政府委員 それは全部両方とも入るわけでございますが、ただ、いわばその中で薬局で買う薬についてなかなか細かい金額まで出るものでございますので、けさお話がございましたような足切り金額というものを設けさせていただいております。
○坂口委員 上限が今度は二百万ということになったわけですが、これは何か二百万にされる根拠と申しますか、数字というのはあるわけでございますか。
○中橋政府委員 現行の百万円という限度額は四十五年に設けたものでございますけれども、医療費の支出の状況をその後見てまいりますと、大体倍になっておりますので、二倍の二百万円にしていただこうかということで御提案を申し上げた次第でございます。
○坂口委員 医療費を非常にたくさん必要とするような家庭というのは特に、それは非常に所得の多い人ももちろんございますけれども、どちらかと言えば、低所得層の方に傾向としては多いきらいがございます。そういうことを考えますと、この上限が百万から二百万に引き上げられたことはいいわけでございますけれども、上限をつけるということはちょっといかがかという気がするわけです。特にこれを超えるような人こそ、実は困るわけでありまして、こういうところに、青天井にせずに上限をつけるということが、ちょっとこういう人たちには酷ではないかという気がいたしますが、いかがですか。
○中橋政府委員 確かに医療費の限度を撤廃するということも考えられるわけでございますけれども、やはり現在の医療費を特に社会保険でカバーしない部分として支出をしておる状況を勘案いたしますと、かなり入院費でいわばデラックス版としての入院があるわけでございます。あるいは歯科の治療におきまして、これも必要なのでございますけれども、かなり高額の治療をしておるところもございますので、大体二百万円と申しますと、中等以上の医療をほとんどカバーするのではないかというふうに考えております。
○坂口委員 中等以上のほとんどをカバーするのであればなおさらのこと、別に切る必要がないという気がするわけです。特に、現在の医療の中で、治療法が確立していないような病気ですね、こういう病気の人たちは、病院に行きましても一向によくならないというようなことで、はりだとかマッサージだとか、あるいはまた薬局で薬を自分で買って飲まれるとか、そういう人が実際は非常に多くの費用を要しているという気がするわけです。もちろん、病院に行って、そこにおいてもそれは当然かかりますけれども、それ以外のものをかなりたくさん必要とするということがあると思うのですね。そういうふうな治療方法が確立されていないような難病のたぐいですね、そういう人たちにとっては、これはかなりな年間の費用になるのであろうと思うわけです。 それで、二百万という数字、私、ここのところの明確な数字を持っておりませんが、これで局長がおっしゃるように、かなりな部分がこの中に入るのかもしれません。しかし、ここからこぼれるような人こそ、大変困る人だというふうに思うわけでありますが、この辺のところをひとつお考えいただくことはできませんか。
○中橋政府委員 確かに、難病につきまして相当の医療費を余儀なくされるという例はあると思います。ただ、この医療費は社会保険でカバーされない部分を医療費控除で見るわけでございますから、今日の実情から見ますと、一番大きいのはやはり私は入院費ではないかというふうな気がいたします。それから、はり、きゅう、その他あんま等につきまして、保険でカバーされない部分があるというふうなこともあると思いますけれども、二百万円ということを考えますと、大体一日当たり保険以外で六千円ぐらいなものでございますから、大体カバーされる。もしか仮にそれをオーバーするものが予想されるとすれば、先ほど来申しましたように非常にデラックスな病院への入院費ぐらいに当たるのではないかというような気がいたしますので、なおそういった今後の推移を見てみたいと思っております。
○坂口委員 デラックスな病院ということでなしに、普通の病院に入院しておりましても、いわゆる付き添いが必要な人ですね。自分では付き添いがないような人、こういう人は付き添いを雇わなければならない。国立病院等でも本当は完全看護という形にはなっておりますけれども、実際問題としてはおうちの方だということで、付き添いの人を本当は雇って自分で出すわけですね、あれはちょっと形はおかしいわけでありますけれども。そういうふうな人は、いま実際問題としまして大体一日五、六千円なんですね。そうしますと、いまおっしゃる額に大体匹敵してくる。そのほかのものを加えますと、長く続くような人、これは一年ずっと続きっ放しの病気がどれだけあるか私も存じませんけれども、そうするとデラックスな病院に入っていなくとも、重病の人はここからこぼれる人もかなりあるという気が実はするわけです。その辺のところから見まして、上限というものについては一考を要するという気がしてくる。ひとつ今後御検討いただけるかどうか。
○中橋政府委員 確かに、現在完全看護と言っておる病院についても、そういうことがあるのもよく承知をいたしております。そのほか入院費としてはいわゆる差額ベッド代として請求されるものでございますので、大体私が考えておりますような数字の中に入るのだろうというふうに思いますけれども、今後なお、何しろ初めての二百万円でございますから、適用状況等は十分注意をしてまいりたいと思います。
○坂口委員 もう一言だけつけ加えておきますが、差額ベッドということではなしに、国立の病院なんかの場合には患者さん個人が払うことになるわけなんですから、差額ベッドというのとはちょっと付き添いさんの問題は違うと思います。 それから、老人扶養控除と老年者控除の問題がございますが、これもきょう御議論がございました。老人扶養控除の方は一応七十歳以上ということになっておりますし、それから老年者控除の方は一応これは六十五歳ということになるわけです。どちらがいいとか悪いとかいう問題は抜きにして、一方は七十歳になり、一方は六十五歳になる、こういう差があるのはどこからきていますか。
○中橋政府委員 老年者控除あるいは措置法にございます老年者年金特別控除というのは、おっしゃいますように六十五歳をとっておりますが、これはみずからが所得を得る人の最低年齢でございます。 それで、今日言われておりますように、五十五歳からいわゆる年金が始まる。その所得者を考えるのはやや早過ぎるではないかということになりますと、その次の段階としての公的な年金の所得者等については、まず六十五歳から始まるわけでございまするから、所得をかせぐ人として老年という配慮をするにつきましては、この六十五歳というのをとったわけでございます。 それから、老人扶養控除の方は、扶養をされる老人、老人たる扶養親族、それの年齢の最低限でございますので、特にそういう老人として費用がかかる、あるいは最近の核家族化でなかなか老人の扶養というのは子供といえどもそう喜ばしい現象と考えていないというようなことから、四十七年にこの制度を採用したことでございまするので、所得を得る人は六十五歳、扶養を受ける人は七十歳というので、おおむね権衡をとっておるつもりでございます。
○坂口委員 全体のライフサイクルから考えまして、どこかでこれは線を引かなければならないことはよくわかるわけでありますけれども、何か谷間をつくるということが——年金の場合にも谷間の老人ということでいろいろ問題になりましたけれども、この一方は七十歳で一方は六十五歳という谷間をつくることが、やはりまたこの中間に入る人たちの問題として新たな問題を提起することが多いと思うわけです。そういう意味では、一方が六十五歳であるならば、老人扶養控除の方も六十五歳からということで連続することの方が妥当なような気がするのですが、いかがですか。
○中橋政府委員 実は先ほど申しましたように、そういう控除を受けます資格というのが違うものでございますので、必ずしもいまおっしゃったような谷間とは私ども考えないのでございます。まあ老齢福祉年金等を受けるような年齢というのは七十歳でございまするから、扶養控除を特別の配慮のもとに受ける人を七十歳というふうにいたしました。これは必ずしもみずから所得を受けておる老年者が六十五歳で受けまして、それが七十歳以上になったときにまた扶養控除を受けるというようなことでの連続性を考えたわけではございませんけれども、やはり所得者として、老齢にもかかわらずそういう苦労をするという人は少しく早く六十五歳、扶養親族として所得者の世話を受ける人は、それよりも少し高い老齢福祉年金等の年齢の七十歳ということで大体いいのではないかというふうに思われます。
○坂口委員 一人前の働く人としても十分に認められないし、さりとて今度は、皆から十分な保護を受ける年齢でもなしという、言うてみれば中途半端な形に六十五歳から七十歳というのは置かれるわけなんです。これはこの税制の問題だけではなしに、いろいろほかの福祉面のことを考えましても、とにかくこの年齢のところがいつも間に置かれまして、一方では六十五歳で切られ、一方では七十歳で切られということで、常にここが空白になりがちな年齢になっているわけです。 そういう意味からいたしますと、これはやはり年金と定年制の問題等でもそうでありますけれども、やはり連続していくという形でないと、医療費にいたしましても、年金の問題にいたしましても、すべてこの中間のところで非常に苦労なさる方が出てくるということがありますので、これは局長の御意見だとこれでいいのだというお話でございますけれども、どうもよろしくないようにこちらは思うわけです。これもひとつ十分な検討をお願いしたいと思います。 それから、時間がありませんので、勤労学生控除のことだけ、もう一つだけお聞きをしておきたいと思いますが、これも四十万円から四十六万円になったわけでありますので、若干これは改善されたことにはなりますけれども、これは月にいたしますと四万円弱ということになりますかね。最近、特にたとえば東京あたりに出てきて大学に行くというようなことになりますと、生活をしてしかも大学に行ってということになりますと、その辺の額ではなかなかやっていけないのが実情であろうと思うわけです。 これも改善はされましたけれども、しかし、この改善の幅が勤労学生に温かい手を差し押べたということではないと思います。初めの大臣のお言葉のように、みずから厳しくという方向に向けるという方向ならば、これは話は別でございますけれども、しかし、これも再考を要する問題ではないかと思いますが、一応四十万円であったので、機械的に、ほかも大体六万円ぐらい変わっているからここも六万円にしておこうということなのか、特にこの六万円ということに意味があるのか、その辺をひとつお聞きしたい。
○中橋政府委員 勤労学生控除につきましての引き上げも、他と権衡をとりながら考えたわけでございまするが、その結果、五十年の改正後は、おっしゃいますように所得では四十六万円になりますけれども、大抵勤労学生でございまするから給与の形が多うございますので、給与の収入にいたせば九十六万円までは課税にならないということになりますから、月額で申せば大体八万円でございまするので、学生としてはかなりの給与水準ではないかというようなことでこの金額にした次第でございます。
○坂口委員 ちょっと最後のところを聞き漏らしたのですが、そうしますと、これは機械的に六万円上げられたのではなしに、大体この辺でやっていける一つの額だという意味でございますか。
○中橋政府委員 もちろん横並びも考えましたけれども、もう一つは、昨年の給与所得控除の改正で給与所得控除の最低限が五十万円になりましたものですから、そういう観点から申しますと、給与の収入では九十六万円まで勤労学生であれば課税にならないわけですので、大体この程度でいいのではないかというふうに考えております。
○坂口委員 これの細かいことにつきましても、入りますとちょっと時間がなくなりますので、実はお伺いしたい点、もう少し細かな問題もあるのですが、ひとつ次回に回させていただきます。 それじゃきょうはこれだけにさせていただきまして、法人税の問題その他、それから農地課税等の問題につきましてもございますが、次の機会に回させていただきます。 ————◇—————
○上村委員長 次に、入場税法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案は、去る二十六日質疑を終了いたしております。 本案に対し、日本社会党、公明党及び民社党を代表して佐藤観樹君外三名より修正案が、また、日本共産党・革新共同を代表して小林政子君より修正案がそれぞれ提出されております。 この際、提出者より順次両修正案の趣旨の説明を求めます。佐藤観樹君。
○佐藤(観)委員 ただいま議題となりました日本社会党、公明党及び民社党の三党共同提案にかかる修正案につきまして、提出者を代表して、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。 修正案の案文はお手元にお配りしておりますので、朗読は省略させていただきます。 映画、演劇、音楽、スポーツなどの分野は、人間性の回復という重要な使命を持つものであり、これらの催し物について、文化国家、福祉国家を自負するわが国で入場税という大衆負担をもたらすような税を課することは、われわれの全く理解しがたいところであります。 このような観点から、われわれは入場税の撤廃を強く主張してまいりましたが、この根本的な考え方に変化はありません。これに対して政府は、今回入場税の大幅な減税案を提出しております。すなわち、映画について千五百円、演劇などについて三千円まで免税点の引き上げを行うことによって非課税範囲を大幅に拡大することとしており、これはそれなりに評価できるものでありますが、われわれから見ればなお不徹底と言えるのであります。 このような考えから、修正案は、映画、演劇等の免税点を一万円に引き上げることといたしております。 一方、昨今の入場料金は、五万円、十万円など、異常とも言える高額なもの、及び特殊な催し物、または、明らかに奢侈的と見られるものについては、特殊な階層のみが利用するもので、その担税力をも考慮し、現行税率を課すべきと考えます。 本修正案による減収額は、昭和五十年度において約百二十億円と見込まれます。 以上が修正案の概要であります。 何とぞ御審議の上、満場一致の御賛成をいただきますようお願い申し上げます。(拍手)
○上村委員長 小林政子君。
○小林(政)委員 ただいま議題となりました入場税法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、日本共産党・革新共同を代表しまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。 もともと入場税は、昭和十三年四月に支那事変特別立法として、中国侵略のための戦費調達のために設けられたものであり、この経緯から見ても戦後直ちに廃止されるべきものだったのでありまして、私たちは従来から廃止するよう主張してまいりました。 しかるに政府は、間接税体系を維持するため、あるいは同種のサービス課税である通行税や娯楽施設利用税等の均衡を保つためとか、対直接税比率を低下させるべきではないなどという理由で、入場税法の廃止に反対してきました。その結果、日本国民の芸術、文化、スポーツの自主的多面的な発展に強い抑制的役割りを果たしてきたことは明らかであります。 すべての国民に、日本国憲法第二十五条にうたわれた「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を真に保障し、国民の社会教育を充実し、芸術、文化、スポーツの豊かな発展を願うならば、すべての国民に芸術、文化、スポーツに接する機会を十分に保障する立場にたって関係諸団体の強い廃止要求に従い入場税を廃止すべきは当然であり、むしろ政府は、その自主的な発展のために助成措置をも講じなければならないと思うのであります。また、五十年度歳入予算額から見ましても、入場税収入は税収中〇・一%にもはるかに及ばないものでありますし、さらに、欧米諸国におきましても、入場税は西ドイツ、イタリアなどごく一部の国を除いてほとんど課税されていない現状から見ましても、今日入場税存続の特別な理由はないと思うのであります。 ただ、競馬場、競輪場等への入場料金に対する課税につきましては、芸術、文化、スポーツとは異質のギャンブルとしての性質にかんがみ、当今の間存続させることとしています。 今回政府から入場税法の一部を改正する法律案が提出されていますが、高価な催し物への入場料金に対する課税の存続は、担税力に着目をするというよりも、むしろ将来の付加価値税導入対策であり、先に述べましたように、今日の日本国民の芸術、文化、スポーツの要求等から見て、この際廃止するのが適切であります。 以上が、日本共産党・革新共同の本案提出理由の説明であります。本修正案は、前回野党が一致して提出いたしましたものと同じ内容のものであります。 何とぞ速やかに御審議の上、満場一致の御賛成を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
○上村委員長 これにて両修正案の趣旨説明は終わりました。 本案に対する両修正案は、いずれも歳入減少を伴うこととなります。 つきましては、国会法第五十七条の三の規定により、内閣において意見があれば、この際、発言を許します。大平大蔵大臣。
○大平国務大臣 ただいまの両修正案につきましては、修正案どおりの改正を行いますと、他のサービスに対する課税との均衡を著しく失することになるのみでなく、昭和五十年度予算にも影響を及ぼすことになりますので、政府としては反対であります。 —————————————
○上村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 これより入場税法の一部を改正する法律案について採決いたします。 まず、小林政子君提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○上村委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。 次に、佐藤観樹君外三名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○上村委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。 次に、原案について採決いたします。 原案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○上村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 —————————————
○上村委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表して山田耻目君外三名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。山田耻目君。
○山田(耻)委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党、公明党、民社党の四党共同提案に係る附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨と内容を簡単に御説明申し上げます。 案文はお手元に配付いたしてありますので、朗読は省略させていただきます。 すでに御承知のとおり、このたび政府から提出された改正案では、映画の免税点を千五百円に、演劇等の免税点を三千円にそれぞれ引き上げることとしております。 政府の説明によれば、これによって大部分の催し物が事実上非課税となり、相当の減税効果が見込まれるということでありますが、最近における物価水準等の推移から見て、今回の減税効果がどの程度持続できるか、その見通しははなはだ困難なところであります。したがって、今後の入場料金の動向については常に適時適切な見直しを行い、国民に負担を強いる結果を生じないよう十分に配慮すべきであると考えるものであります。 また、競馬、競輪等の免税点は、現行の三十円のまま据え置くこととしておりますが、これにつきましては、もともとその入場料金がきわめて低額であるところにも問題があるのでありまして、いわゆるギャンブルに対する社会的批判にこたえるという政策的配慮も十分な効果を持たず、税収の面でもほとんど見るべきものはありません。その入場料金のあり方を含めて根本的に再検討すべきであります。 本附帯決議案は、このような観点から、映画、演劇等の免税点については、物価及び貨幣価値の動向を考慮し、適時その額の引き上げを図るとともに、ギャンブルの入場料金については、適切な料金に引き上げる等税収の確保を図るべく、政府に対し十分な配慮を求めるものであります。 以上が、この附帯決議案の趣旨と内容であります。何とぞ御賛成下さいますようお願い申し上げます。 ————————————— 入場税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 一、免税点、映画一五〇〇円、演劇等三〇〇〇円については、物価及び貨幣価値の動向を考慮し、適時、額の引上げを配慮すべきである。 二、ギャンブル性の行為にかかる低廉な入場料金については、適切な料金の引上げ等税収の確保に配慮すべきである。 —————————————
○上村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 お諮りいたします。本動議のごとく附帯決議を付するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。大平大蔵大臣。
○大平国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って十分配慮いたしたいと存じます。 —————————————
○上村委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○上村委員長 次回は、来る三月四日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時五十八分散会