大蔵委員会 第11号
- 発言数
- 219 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1975/02/26
会議録
○上村委員長 これより会議を開きます。 入場税法の一部を改正する法律案及び相続税法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。武藤山治君。
○武藤(山)委員 きょうは相続税法の一部を改正する法律案について、なおそれに関連する諸問題について、行政当局の見解を承りたいと思います。 冒頭に、今回相続税法の改正を行うに至った積極的理由、提案理由の説明によりますと「負担の状況にかえりみ」これが一つ。もう一つは「配偶者を中心として負担の軽減を図る」、三番目が「整備合理化を図る」、こう書かれておりますが、「負担の状況にかえりみ」という内容であります。 これを何の指数を比較してどの程度までに改善しようとするのか、その根拠、それから今回の改正をしなければならぬ積極的な意図、これは政務次官ですか、それを明らかにしてください。
○森(美)政府委員 相続税につきましては、昭和四十一年以来一度も基本的な見直しが行われていなかった。その間に地価の暴騰とか一般的な物価水準の上昇とか、そういった問題がございましたので、今回課税最低限の引き上げを含めて改正に踏み切ったわけでございます。
○武藤(山)委員 主税局長、相続税額の推移を見ますと、ここ両三年の状況を見ましても、古い昭和四十一年と比較したら大変な違いでありますが、税額が四十九年から申しますと三千九百十億円、四十八年が三千九十九億円、四十七年が三千百八十六億円、こういう推移をいたしておりますが、この推移している状況を、もし改正なかりせば五十年度はどういう推移になるのか。
○中橋政府委員 仮に今回、相続税、贈与税につきまして改正なかりせば、五十年度におきましては五千七十億円の収入が見込まれます。
○武藤(山)委員 五千七十億の収入が見込まれるということは、四十九年見込みが三千九百十億でありますから、大変な、一千百億円の増収になる。それを今回の改正でどの程度に推移するようにしようという意図ですか。
○中橋政府委員 改正前の五千七十億円の収入見込みが、改正後によりますと四千四百五十億円になるという見込みでございます。したがいまして、減税は六百二十億円ということになります。
○武藤(山)委員 諸物価高騰、地価高騰等を勘案して、現状を十分認識した上で、増収が余り顕著でないという方向に改善をしようということのようであります。これらの問題については後刻内容に至って質問をいたしたいと思いますが、きょうは農林省、建設省、自治省のそれぞれ担当課長においでをいただいておりますから、余り長い時間お待たせをしても失礼でありますから、先にこれらに関連する問題点についてお伺いをいたしてみたいと思います。 今回の相続税法の改正に関連して、それぞれ建設省、農林省、自治省も御存じだと思いますが、農用地に対する相続税が、二十年間農用地として使用している限り二十年目で免税になる、実はこういう法案が今回提案をされているわけであります。 そこで、農用地として使用する期間が二十年という年数で区切られている問題について、農協中央会や農業団体は、これはどうも長過ぎる、何とかこれを十年くらいにできぬものだろうか。これが第一点。第二点は、地価の評価をめぐって、今度は投資価格という新しい価格制度を大蔵省は考えていく。この二つの点が、それぞれ農業団体や自治省の固定資産税評価や他の行政庁とのかかわり合いを持ってまいるわけであります。 それらをめぐって少し御質問をいたしたいのでありますが、まず最初に、市街化区域、調整区域という線引きをいたしておりますが、これのねらいは何ですか。これは建設省ですか。
○野呂田説明員 市街化区域及び市街化調整区域の主眼とするところは、無秩序な市街化を防止いたしまして、計画的な市街地を形成するということを目的にしております。
○武藤(山)委員 虫食い現象が起こらぬように、市街化区域という線引きをされたところはできるだけ人間が住めるような市街化を促進していく。そういう市街化の中にある農地、これについてはどういう指導方針で臨んでおられるのですか。
○野呂田説明員 市街化区域内の農地の取り扱いにつきましては、御案内のとおり、市街化区域はおおむね十年以内に計画的かつ優先的に市街化を図るべき区域でございますから、農地転用は届け出だけでよろしいというふうになっております。また、三大都市圏のA、B農地等につきましては宅地並み課税を実施いたしまして、市街化の促進を図っておるものであります。 したがいまして、都市計画の観点からすればやはり十年内に市街化をおおむね達成させるということが目的でございますけれども、ただ、この市街化区域内に農地が介在することを全く否定する制度じゃございません。したがいまして、市街化区域内の農地の有する環境機能というものに着目いたしまして、良好な生活環境を持った農地につきましては、第七十二国会で成立を見ました生産緑地法による生産緑地地区というものを指定いたしまして、これの活用によって農地の保全策を講じてまいりたいということが一つございます。 それから、同じ都市計画でも市街化調整区域につきましては、市街化を抑制する地域でございますから、ここではむしろ農地を計画的に保全する役割りを果たしているというふうに考えております。
○武藤(山)委員 そういたしますと、生産緑地法に基づく緑地地域というものは市街化区域内でも永久に緑地として残せという方針なのか、一定の期限を定めて、その期限までには市街化するんだという方針なのか、それはどういう方針になりますか。
○野呂田説明員 生産緑地の制度には第一種と第二種の制度がございまして、一種につきましては無期限でございます。それから二種につきましては十年でございますけれども、十年が到来した場合にはもう十年延ばせるという制度になっております。
○武藤(山)委員 その第一種というのは、一定の区域の面積、たとえば一定規模の市街化内における一定面積の農地、そういうやはり一つの区切りがあるんでしょうね。それは一集団農地がどのくらいになると一種、どのくらいになると二種ということになるのですか。
○野呂田説明員 第一種につきましてはおおむね一ヘクタールでございます。ただし、都市環境という面がございますから、森林とかあるいは果樹、茶畑のような永年作物があるとか、あるいは周りに都市公園あるいは緑地みたいなものがあるという場合につきましては、〇・二ヘクタール以上あればよろしい。それから二種につきましては、〇・二ヘクタール以上の規模があればよろしいということに相なっております。
○武藤(山)委員 建設省がこういう方針で農業というものに対して市街化とのかかわり合いを調整しようとしておるわけでありますが、農林省としては、この市街化区域内における農用地というものに対する指導方針というのは何かあるのですか。
○関谷説明員 市街化区域内農地につきましては、ただいま建設省の方からも御説明がございましたように、全体的にはおおむね十年以内に市街化を図る、こういうことで位置づけられておる、その中の農地でございます。個々に見ました場合には、その環境等あるいは持っている機能等からしまして、生産緑地法等に乗せまして保全を図るものもある、こういう考え方でございます。 農業政策上としましては、全体的にはやはり長期的に農業投資をやる、こういう性格ではございませんけれども、現状において農業経営が継続的に行われる、こういうことについてはその経営が継続可能なように、価格面、流通面あるいは技術面、こういう面の対策は続けてまいりたいという考え方でございます。
○武藤(山)委員 そういたしますと、たとえば永久的に農業が継続できるというのは、第一種で一ヘクタール以上の集団、茶畑とか桃とかそういう果樹類、永年作物の場合は二反歩。しかし農林省の方としては、市街化区域内の農業については積極的な援助、助成というようなものはやらない。できるだけ十年ぐらいを目途にして市街化が望ましいということで農林省の方は身を引いている。建設省の方へややお任せをする地域と理解してもいいわけですね。いまの説明を聞いて大体そんな理解をしてよろしいですね。
○野呂田説明員 ただ、一つ考えられますことは、都市計画では十年という単元で考えておりますけれども、人口とか産業の将来見通し、土地利用の現況等を見まして、十年以上にわたって市街化する見込みがないというものがありますれば、あるいはそれが一定規模以上でありますれば、これは市街化区域の指定を取りまして調整区域に編入し直していくということによって、さらに弾力的な運営ができるのではないかというふうに考えております。
○武藤(山)委員 市街化区域内を農耕地として使用している農家が、二十年間続けて農業をずっとやり得るという条件ですね、こういう条件はより濃厚だろうか、まあ二十年間はとても農業はやれないだろうという、これは勘でしょうね、何人も、神様でなければどうなるかわからぬ。 しかし、建設省なり農林省が、ずっといままで市街化が行われてきた状況などを勘案すると、二十年間果たして市街化区域内の農業というものは存続するだろうか、それとも、いやしない、かなりの部分はもうどんどん宅地化せざるを得ない、こういう方向に行くだろうか、その見通しはいかがでしょう。どちらが答えてもいいですよ。
○関谷説明員 生産緑地法に乗ります農地につきましては、その生産緑地法の定義等からしまして、農業の継続が可能なような条件を備えている、こういうことが法律の中にも規定してございますから、そういうことを確認の上で指定がなされる、こう考えております。 それから、一般的に農地ということになりますと、確かに周りが市街地的な環境も整備してまいりますし、農業とほかの住宅その他との調整、こういう問題も出てまいりまして、農業的な環境としては悪化をいたしますし、また、そこに農業を保全することのむずかしさが出てまいるわけでございます。 そういう意味で、先ほど申し上げましたように、現在の農業経営が継続されるということが可能なような、たとえば価格対策、流通対策、それから最近若干、金融面でも配慮する、こういうことを考えておりますけれども、では具体的に、その特定の農地がどうしても農地としてできない、こういうことになりました場合のことも考えまして、税制上も従来から、市街化区域内の農地を持っている農家が、どうしても農業を継続したいけれども市街化区域内の農業ができないというような場合もありますので、譲渡所得の方で特例を講じていただいておりまして、現状では買い替えの場合には十倍の面積まで譲渡所得の特例が認められております。 それから、今回の相続税の改正におきましても、この猶予の指定を受けました農家が、買い替えを一年以内にしまして、ほかのところに農地を買って継続する、こういう場合にはその対象にしよう、猶予を続けていく、こういうようなこともいたしておりまして、どうしても農業を続けたいという農家の場合には、そういうことで市街化区域外の方で農業を継続していただく、こんなことを考えております。
○武藤(山)委員 それはまことに言うはやすく行うはかたしだ。そんな簡単に、市街化区域の農地を売って調整区域のたんぽを買って農業経営をやりたいと言ったって、なかなか売る人はおらぬです。それはもう行うはかたしだ。それはあなたわかりますね。そんな簡単に農地はいま手に入らぬですよ。 農林省はそういうことで、いま大蔵省がやっている租税特別措置の制度があるから、他の土地を見出して農業をやればいいじゃないか——あなたの方は、農業を推進する役所だからそう言わざるを得ない。片方、建設省の方は、できる限り虫食い現象を起こさないようにして、市街化は一定の規模に、同じような普遍的な条件の市街化にしていこうという、これはまさに農林省とは矛盾する政策なんだね。農林省の方は、できるだけ農業を振興して定着をさせて、長期に農業をやらせよう、そして食糧確保をやる。建設省の方は、人間が快適に生活ができる環境を早くつくっていこう、こういうわけでありますから、市街化区域というのはどちらかと言えば、建設省の方針の方にウエートがかかって、農業をだんだん縮小していく。つぶすという言葉は語弊があるから縮小していくという方向でしょうね。そこで、宅地並み課税というようなものも三大都市圏のA、B農地にはすでに行われている。 そうすると、三大都市圏のA、B農地に宅地並み課税が行われているという場合、A農地についての税金はどのくらいになりますか、たとえば十アール当たり。これは自治省。
○川俣説明員 昭和五十年度の税額で申し上げますと、A農地につきましては一反歩当たり十万一千四百円、B農地につきましては三万一千八百円でございます。
○武藤(山)委員 主税局長、一反歩で固定資産税を十万一千四百円取られていったら、農業というものは長く続くと——あなたは農家じゃありませんから、これは常識的な判断で、一反歩十万一千四百円の固定資産税を納めるような土地が二十年間も農用地として持続できるだろうか、常識的にどうお考えになりますか。
○中橋政府委員 結論から申せば、高い固定資産税を払いながら農業を続けるということが困難なところがあると思います。それはむしろ固定資産税の方では、農地の宅地化を促進しておることから言いまして、そういう政策をとっておるんだろうと思います。 今回の措置につきましては、また御質問がございましたらそのときにお答えしたいと思います。
○武藤(山)委員 そこで、片方ではA、B農地には高い税金をぶっかけて、宅地化を促進していく。建設省は市街化区域を設定して、これまた住宅地をどんどん整備する。そういう中にある農業というものは、特殊な農業なんですね。だから、農業一般としてこれを律し、農業一般として相続税の取り扱いをするということには無理がある、私はそう思う。 したがって、この二十年均一免税ということは、やはりこの際、市街化区域内農地について別な角度から検討してしかるべきではないかという感じが私はしてならぬのであります。その際に、どういう改善をするのが最も摩擦が少なく説得性があるかという、政策の立て方が非常にむずかしい。むずかしいけれども、やはり何か探さなければならぬだろうという気がしてならぬのであります。 ですから、私の提言は、市街化農地の場合には、とにかく十年間農用地として使用してきた、それ以後、個人の売買はいけないが、市町村とかそういう公共団体にその土地を売った場合には、十年で相続税はひとつ免税にしてやろう、そのくらいなことは、市街化区域内における農地については、私はやはり特別な考え方を持ってやってもらいたい。純農村地帯の農業振興地域、調整区域は二十年、これはずっと農業を営めるわけですから、食糧を確保し、収益が少ないという立場から今回の免税という措置が出てきたんでありましょうから、それは二十年でよろしい。しかし、市街化区域内というのは、一方では国の方針として、農地をつぶしていこうという大方針があるわけですから、とても二十年間それは持ちこたえられない。環境にどんどん押されてくるわけですから、その場合十年で全部免税にしろ。 となると、恐らく主税局長は反論して、いやもともとこの免税制度は、長く農業を営んで食糧確保のために収益の少ない農業をやるから特典があるんです。つぶしちゃう者には特典を与えるということは、これはどうも筋が違うという反論が出てくるのはわかっております。 そこで私は、十年間農用地として使って公共団体に土地を提供した場合、この場合は、そこでもって相続税は一切免税にする。十年でもう免税にする。もちろん、そこで譲渡所得税はかかるのですから、金額が多ければ。免税措置二千万円あっても、それ以上のものについては公共団体に売った場合も譲渡所得税はかかるのでありますから、十年でやはり相続税をここで一回きれいに落としてやる、こういう制度を市街化区域内においては検討すべきではないか。これは大きな政策の問題でありますから、国の考え方だから、副大臣だね。
○森(美)政府委員 武藤委員から私どもの答える答えを先にやられましたので……。一般の農地というものは相なるべくは農業を続けてもらいたいという趣旨で改正したのは、先ほど武藤先生がおっしゃったとおりでございます。市街化区域につきましてのいまのお話でございますが、一応このことについては私なりにひとつ研究させていただきたいと思います。
○中橋政府委員 補足して御説明さしていただきますが、私が申し上げるまでもなく、今回の農地につきましての相続税の納税猶予の制度は、農業という点に着目をしておりますが、その場合に、ちょっと先ほど武藤委員がおっしゃいましたように、農業の収益ということから今回の相続税の納税猶予制度というのが設けられたわけではございません。そこがちょっと違うと思うのですけれども、今回設けましたのは、相続が起こりましたときに、その農地についての評価で、それが先ほど来建設省、農林省からいろいろお話もございましたけれども、本来農地だけとしての価格で評価されるべきものと、それからまた、宅地化が予想される場合に宅地として評価されるものとがあるわけでございます。 いま両省からお話がございましたけれども、残念ながら農地の売買の現状を見てみますと、いわゆる線引きでもって絶対この農地は宅地にならないというところが実はまだないようでございます。したがいまして、農地について相続が起こったときには、どうしても近くにありますところの農地が一体どういうふうに売られておるのかという売買実例を参酌しながら評価はいたすわけでございますけれども、その場合に、近傍類地の農地が宅地としての価格で相当売られておる。そこに問題があるわけでございます。おっしゃいますように、それでは、市街化区域内において今後ある一定の経過期間を過ぎればもう農地として存在することを国としてはあまり期待しないんだということになりますれば、相続の段階におきましても宅地含みの価格で評価をして相続税を課税してしかるべきものだと私は思います。 それをなぜ農業投資価格というようなものを見出しまして、その分だけのものは相続税をいま納めてもらって、将来農業を継続するならば、ある一定の年限を経過すればその上回ったところに当たる相続税というものはもう納めていただかなくてもいいということは、農業を継続するからこそ起こるわけでございまして、短期間の間に農地が宅地になるのでございますれば、これは相続の際の相続税をそのまま納めていただいてしかるべきものだと私は考えております。
○武藤(山)委員 あなたのちょっと取っ違えているのは、私がさっき言ったように、今回の措置は、長くずっと農用地として使っているということで二十年で免税にするんだ。ところが市街化区域内の農地は、本人が農業を続けようとしても続けられない条件が次から次へ——国の施策として市街化されていくわけですから、これは本人の意思じゃないのですよ。国の方針、政策なんですよ。それの犠牲を受けるわけですよ、その中におる農民というのは。だから、そういう特殊の市街化区域内についてだけは、やはり二十年というのは長過ぎるから十年ぐらいにしてやって、しかも公共団体にその農地を売った場合、そこで相続税を免税にする。公共団体に売らないで個人の利益を追求して個人的な相手に売買した場合には、もちろん適用しない。そういうきめ細かい、地方自治団体に売った場合にはそこで相続税の免税を働かせる、これは十年ぐらいの年限を切ってしかるべきでないか、こういう提案なんです。 だから、いま主税局長が言ったことは、私がさっきあなたのかわりに言ったことをまた答えているので、それは百もわかっているのですよ。そうではなくて、市街化区域内というのはもう農業はだんだんやれない環境にどんどん整備されていくわけですから、周りから押し詰められていっちゃうのですから、追い詰められたものを、それはもう地価が上がって宅地並みにどんどん売れるんだから、宅地並みに売って農業をやめたらいいじゃないかという議論ですね、あなたのいまの見解というのは。 そうじゃなくて、私は、農民自身がやりたくともやれない環境にだんだん追い詰められていっているわけですよ。とにかくA、B農地に三大都市圏はばちっと十万一千円も一反歩当たり固定資産税がかかる。一町持っていたら百万の固定資産税を取られる。とても農業はやれなくなってしまう。そういう状況ですから、そういうものに対してはやはり特例を設けてやって、公共団体へ土地を提供するような形にする。公有地を拡大していく。そういう方向に一つの政策的意図をも含めて相続税をこの際考えたらどうだ。だから、二十年一律じゃなくて、市街化区域内においては少々そこを勘案する必要があるんではないか、こういうことを提言しているわけです。
○森(美)政府委員 先ほど私がお話ししましたことにちょっとつけ加えさしていただきますと、武藤先生のお話に多少飛躍があるんじゃないか。と申しますのは、市街化区域を別途にものを考えたらいいじゃないかということは、私、わかります。ただそのことが、しからば十年で云々という期限の問題とはちょっと合致しないのじゃないか。一つの物の大きな筋としてのお話はわかりますが、その後段の先生の御結論の方は、私はおかしいのじゃないか、こう考えております。
○武藤(山)委員 なぜ私が十年と言うかというと、同じ政府のつくった法律の中で生産緑地法は十年となっているのだ。市街化区域内における農地の保全を、大体原則として十年としているわけですよ。その間に市街化をどんどん進めていこうということですね。だから同じ政府のつくった法律なら、生産緑地法と相続税の適用の法律は同じ年限にしていいじゃないか。生産緑地の方も二十年、相続税も二十年、そうなれば都市計画内の市街化区域内の農地も二十年間農地として十分耕作していける。片方生産緑地法の方は十年という原則を立てて、それにならってやはり十年にするのは当然じゃないですか。おかしいですか。
○森(美)政府委員 今回の二十年というのは、先ほど先生がおっしゃったように、でき得れば期限なしの永久にという思いを込めての二十年でございますので、その点、生産緑地法の十年とこの二十年とは別問題だと私は考えます。
○武藤(山)委員 どうも私は釈然としないのは、片方では農業をやめろという政策をやっているのです。税はそんな政策には関係ない。税はあくまで富の集中を排除し、富の再分配を行う機能が相続税なんだから、所得税の補完的な役割りを果たすのが相続税なんだから、市街化区域内でどんどんいい値段で売られるという土地ならば、それは当然相続税を賦課して税金を取るべきだ、これは税の理論としては私もわかります、税だけを考えた場合。 しかし、政治というものは税だけじゃなく国の方針、政策というものが片方にあって、その政策と余りにもちぐはぐだった場合には、納める農民の方は一人ですからね。片方は建設省があり農林省があり大蔵省があり、もう三つ四つの官庁から農民自身にいろいろな税金が課されたり、いろいろな制約を受けるわけですな。しかし、対象になる農民は一人なんですから、私は、やはりそういう政策の整合性というようなものを十分検討すべきじゃないか、こう思うんですね。市街化区域内における農地の取り扱いについては、いまの政務次官と主税局長の説明では、私はまだ納得いきませんね。
○中橋政府委員 市街化区域内におきます農地というのは、たとえば国の政策として、それではある一定期間たった後では、そこに農地の存在を許さないというような政策が強力にとられるならば、また今回の農地に関します相続税の納税猶予制度についても、恐らく別の考え方が導入されただろうと思います。それはもちろん方向としては、いま武藤委員がおっしゃいましたのと違った方向だろうと私は思いますけれども、それは別といたしまして、現在、国として、いまの市街化区域内に、ある一定期間たてば農地がなくなるであろうということを期待しておるという政策は、私はまだないと思います。私は、やはりそこにおきますところの農家、農家の個々の判断というものを尊重して、市街化区域内といえども農地の存続を許すというような政策であろうと思って、今回の制度をそのもとにおいて立てておる次第でございます。
○武藤(山)委員 そこが認識の違いなんだね。私は、いま中橋さんにそういう認識を変えてもらいたいと思ったものだから、建設省の見解をずうっと聞いたわけですね。しかし、建設省の方は、もう市街化区域というものはできるだけ市街化をどんどん進められる環境づくりをしていきたい、下水もつくる、水道も入れる、人間が住みやすいような方向に改善をしていくわけですからね。いまは資本主義、自由経済ですから、農民がやめると言わない限り、最後まで抵抗して、一人でたんぼをがんばったっていいですよ。しかし、そのことは公序良俗や社会の慣習や周りの生活条件から見たら、そいつはえこじな百姓だ、おまえだけ一人がんばっているという形で、これは周りから非難ごうごうになってきて、いたたまれなくなりますよ。 ですから、一方ではそういう市街化をどんどん進めるという建設省の方針があって、農業というものはいやおうなしやれなくなっちゃう条件がつくられているわけだ。これは国の政策でしょうが。あなたがいま強力にと言うのは、国が号令的にとかそういうことだろうが、そんなことはいまの自由経済ではできないですよ、強制的に百姓をやめろなんということは。しかし、じわりじわりと真綿で首をくくられるように、農業がやっていけない立地条件に周りがずっとされていくわけですから、そういう農地というものについてはやはり考える必要があるのじゃないか。別な扱いをすべきじゃないか。これは国の政策でしょう。市街化区域というのは、たんぼをつぶしていく方向に、いやおうなしに引き込まれていきますよ。政務次官、そうでしょう。A、B農地というのは、いま全国でもってもうすでに宅地並み課税をされている市町村は幾つありますか、政務次官。
○川俣説明員 三大都市圏内でA、B農地につきまして宅地に準じた課税をいたしております市は、百八十二市でございます。
○武藤(山)委員 政務次官、だからかなりの郊外、百八十二都市、これがもうすでにA、Bが宅地並み課税をされているわけですよ。だから東京近郊のかなりのところまで行っていますね。名古屋もかなりのところまで行っていますね、百八十二市町村ということは。ですから、そういうところにはまだかなり農地があるわけですよ、まだかなりある。そういう中におけるやはり特別な配慮というものを相続税はどうしてもできないんだ、する必要はないんだと、この議論がずっと突っ張れますか。
○中橋政府委員 そういう考えを推し進めますれば、もうわずかの期間に宅地化するということでございますれば、相続税の課税をいたします場合の評価は、宅地として評価せざるを得ないのでございます。それを、やがて宅地になるから、その農業を存続するという期間をもっと短くして、今回の新しい制度を適用をしろと言われることは、今回の新しい制度の趣旨と全く反することでございます。 したがいまして、いわば農業を半永久的に継続しますという最小限度の年限としていまございます二十年を、さらに市街化区域において短縮するというわけにはまいりません。
○武藤(山)委員 だから私が言っているのは、自動的にその農地を全部免税にしろと言っているんじゃないんですね、私のさっきの提言は。その市街化区域内の農地で、もう環境からとても農業はできない、市町村に買い取りしてもらう、地方自治団体に買ってもらう、そういう形の農家が私はかなり出てくると思うんですよ。また、そういう措置をとったものについては、その段階で相続税を免税にしてやる、二十年たたなくとも。仮に十二年で終わりになるか、とにかく十年以下はちょっとひどいと思うね、だから十年なら十年と切って、十年以上の場合には、公共団体にその農地を提供した場合には相続税はそこで免税にする、そのくらいな措置はとってやってしかるべきじゃないかと思うんですね。自分の意図でやめるんじゃないんですよ。政府の政策で農業ができなくなっちゃうんですよ。あくまで自分が、土地がいい値で売れるから売って百姓やめるんだという積極的な農業放棄じゃなくて、周りがだんだん市街化されていって農業としてやり得ないという環境にされちゃうわけだ、農民自身のせいじゃないんだよ、国の政策の結果そうなっちゃうんですね。そこらは少々何か配慮していいんじゃないですか。
○中橋政府委員 御提案の、たとえば地方公共団体にその農地が売られるという場合におきましても、そのときの価格といいますのは宅地として買い取られるわけでございます。それが相続のときよりかなり近い間にそういう事態が起こるということでございますれば、やはり相続税の課税というのは、そのときの近傍類地の宅地の価格、しかもそれをすぐさま持ってきておるのではございません。かなりしんしゃくして持ってきておりますけれども、やはり宅地並みの評価をいたしまして、それで相続税を納めていただくということにどうしてもせざるを得ないのでございます。
○武藤(山)委員 そうすると、主税局長、市街化区域内の農地というものは、今度の投資価格で算定しても宅地並みの価格にするのですか、市街化区域は。
○中橋政府委員 農地につきましては、いわゆる農業投資価格というのを見出しまして、そこまでの部分に当たる相続税を即納していただく、そのときに納めていただくという形になるわけでございます。 ただ問題は、おっしゃいましすように、もう近々宅地になる、しかもそれは地方公共団体に買い取られるといいましても、やはり宅地並みの高い価格で買い取られるわけでございます。それが予想されるわけでございまするから、そういう近い機会に宅地として買い取られるようなものを予想しましたときには、今回考えておりますような宅地含みを排除しました農業投資価格というようなもので課税をするというわけにはまいらないわけでございます。
○武藤(山)委員 相続税は、しかし宅地価格を全然含まない投資価格を算定するわけでしょう、市街化区域内でも農地である限り。あなたのいま言うのは、農地であっても、これは近々宅地になるだろうと思われる市街化区域内は、宅地含みの評価額になるのですか、投資価格は。
○中橋政府委員 農業投資価格といいますのは、いわゆる宅地含みというのを排除した価格でございます。ただ、近々宅地として売られるような農地ということでございますれば、そういう価格で一応その場合に相続税を課税いたしておりまして、それから、いわゆる宅地含みの評価でいたしましたその間の部分というものを、十年たったとか、近々のうちに農地が宅地になるということでそれを免税するわけにはまいらない。今回の制度の趣旨といいますのは、ずうっと農業をやりますということですから、いわゆる農業投資価格として宅地含みの価格を排除したものでやっていただこうというものでございます。
○武藤(山)委員 だから、私が聞いているのは、市街化区域内の農地にも、投資価格というのは完全に宅地含みの価格を排除した——収益還元に近いのか、固定資産税評価額に近いのか、これから質問しますが、とにかく宅地価格を全然含まない価格で、相続税の評価額は市街化区域といえども一応純農村地域と同じような算定の方式で出すんだ、こういうことですか。
○中橋政府委員 算定の方式はそのとおりでございます。
○武藤(山)委員 いまの十年、二十年の問題は、農業団体が要望しているということで一応代理をして質問したわけでありますが、なかなかガードがかたい。これはなかなか崩れない。わかりました。 次に投資価格なるものは一体どういう価格なのか。ごく最近、農家の相続税の課税件数というのは、全体の課税件数の中で一体どういうことになっているのか。
○中橋政府委員 毎年の課税実績としましては、そういう分類をいたしておりませんので恐縮ですが、ごく最近でございますと、四十六年分につきましてそういう方面から別に実態調査をした例がございます。 それによりますと、全国で相続税の課税を受けました者のうちで農家はその三割に当たっております。その農家のうちで、市街化区域内にありますものが四八%、市街化調整区域にございますものが三五・八%、こういうことになっております。 なお、つけ加えますと、持っております農地で市街地の周辺農地と言われますものが五二・三%ということになっております。
○武藤(山)委員 これは四十六年の数字ですから、三年経過した今日では、地価がべらぼうに上がっておりますので、農家の課税件数は恐らくもっとウエートが高くなっておるんじゃないか、そんな感じがいたすわけであります。いずれにしても、課税全体の中の三割は農家であります。農業者に対する相続税の課税もかなり多いんだという前提に立って、評価の問題がやはり大きな問題になるだろうと思います。 地価は一体どうして、だれが決めるのかという問題になると、いろいろな矛盾を私は感じるわけであります。同じ土地に価格が幾つもできるわけですね。同じ政府でやりながら、固定資産税の評価額、相続税の評価額、建設省の公示価格、この三本の価格があるわけであります。固定資産税評価額というのは、各市町村で、実態を知っている調査員がかなり詳しく、長年にわたって調査をして価格を算出している。にもかかわらず、大蔵省はそれを信用しないで、税務署は独自にまた投資価格をつくる。そういう屋上屋を地価について架する必要があるんだろうか。固定資産税評価額を基準にして相続税の評価をするのは不都合なのか。なぜそれができないのか、その点をまず最初に伺っておきたいと思います。
○中橋政府委員 確かに、一つの土地につきましての評価が区々に分かれておるということは、理解を得るのにいろいろむずかしい点があることは同感でございます。ただ、一つには、やはり土地の評価というのは非常にむずかしい問題でございまして、そういう評価の専門家の間においてすら具体的には数字はかなり分かれるものでございます。それからもう一つ、本来、評価の目的はいろいろ違っておりますから、なおさら私はこの数字に違いが出てくるのだろうと思います。 固定資産税は、申すまでもなく年々の課税が行われる、しかもその課税を受ける人も普遍的でございます。勢い、何としてもいろいろな配慮がそこに行われるのは避けがたいと思っておりますし、またそういうことが現実に行われておることは申すまでもないところでございます。相続税になりますとかなり高額の、ごく限られた人の納税という問題になりますし、また毎年ということでございませんで、世帯交代のときに行われるということがございます。 そういう税金の目的とそれに伴います価格とが相関連をして今日のような事態になってきたものだと私は思っておりますが、それでは非常にわかりにくいから一本にしてはどうかということが、これまでもずいぶん試みとしてなされてまいりましたし、その努力も行われておるわけでございます。おっしゃいますように、それでは固定資産税の評価が相続税の評価から見てよるべき非常に適正な水準を持っておるのかというと、私は、申しわけございませんけれども、今日の状況ではそういうことは断言できないのではないかと思います。 一つは、いまおっしゃいました公示価格というのがございます。これは現実の売買例等からポイントポイントについてとっておられますので、そのポイント数がふえてまいれば、あるいは二つの税金にとりましてもよりどころになり得るのではないかというふうに思っておりますけれども、何しろこれは全国的にまだポイントの数も非常に少のうございます。仮にそういうものと比べてみましても、実は相続税の評価額はそれよりも低くなっておりますし、固定資産税の評価額はなおさらそれよりも低くなっておりますから、どこかにまとめろということになりますと、やはりいまの負担水準の変動を招来するのではないかということがございます。 固定資産税と相続税の評価の間で、仮にそれでは相続税の評価額に固定資産税の評価額を合わせていいのではないかということになりますと、これは先ほど申しましたように、多くの人にとって負担の激変ということが生じてまいります。今日の評価においてすら固定資産税では、毎年毎年の納税額については、一・一倍であるとか一・二倍であるとか、漸増方式をとらざるを得ないような事情でございますから、仮に相続税の評価に合わせるとしますと、どうしても税率で調整せざるを得ないと私は思います。そういうときには、全国に散らばっております市町村それぞれの持っております土地のいろいろな用途から考えてみまして、固定資産税のいまの税率は全国で標準税率をとっておりますけれども、それを変動させるということは事情の違っておる各市町村、特に地方の町村に与える影響も非常に大きいのではないかと思います。 それでは固定資産税の評価に相続税の評価を原則として添わせるような方向はいかがかということを考えてみますと、やはり税率の問題はまた相続税で考えざるを得ないということになります。そうしますと、相続税は土地だけについて課税をいたしておりませんから、土地以外の財産についての負担がいまよりは上がらざるを得ないということになりますので、非常に理解がしがたいという難点がございまして、いまの二つの税目の評価の間だけでどっちかに寄るということは、私は非常にむずかしいのではないかと思います。適正な水準というのを何か一つよりどころとして認めて、そこにみんながそろえる、しかしその際には、負担の変動ということを避けながら税率の調整をやらなければならない。その調整がまた、国のみならず各市町村、特に地方の町村の財政に非常な影響を与えるのではないか、こういう心配がございますので、なかなか、理想と現実とは一致をしがたいのでございます。
○武藤(山)委員 いまの説明は全く納得いかぬし、まさにこねくり回して逃げようとする答弁ですね。中橋さんにしてはちょっとできが悪い。 いずれにしても、これは後でもうちょっと議論しますが、建設省もお帰りになるでしょうから、建設省、あなたの方は公示価格には関係ない課ですね。
○野呂田説明員 公示価格というのは国土庁の方でございます。もちろん私の課は、全く承知をしておりません。
○武藤(山)委員 それでは建設省、お帰りになって結構です。 それから、農林省の方は後で資料で、農地としての売買実例、これは宅地へ壊廃のじゃなくて、農地としての売買ですよ。その実例を資料にしてぼくの手元に届けていただきたいのですが、よろしゅうございますか。 自治省はもうちょっと待ってみてください。農林省、建設省は結構です。 固定資産税の評価と相続税の評価というのは、相続税評価額から比較すると固定資産税の方が約半分というところですね。そのくらいな価格ですね。その固定資産税の評価額を相続税評価額にするには、国税局の方はどういう不都合があるのですか。 実際に売買実例の近似をずっと比較をして考えた場合に、固定資産税では低過ぎる。しかし片方は、売買、売っちゃった場合だよ。相続財産は売れないんだよ。商品価値として直ちに売買ができるものはいいが、土地、家屋なんというのは、売らないで持っておるのですよ。特に居住用財産なんというのは、全く売れないものですね。だから商品としては、価値があってないものなんですよ。自由経済における価値というものは、交換が行われて初めて価値というものが表現できるのであって、これは経済学の原理、原則ですね。 ですから、売買実例というものを引き出してきて、この程度の価格は当然あるんじゃないかという見積りをするという税務当局の方の見積もりに無理があるのじゃないか。かえって、自治省の方の固定資産税の評価の方がより現実的であり、そういう実情というものを十分表現した価格ではないか、私はそう感じる。しかし、税金を一銭でもよけい取ろうという立場に立てば、大蔵省の言うような相続税評価額で、より高い評価をして税金を取ろうという思想になりますね。 私はこの際、そういう思想は転換した方がいいと思うのですよ。やはり固定資産税というものを、各市町村が苦労してきちっとつくっているんですから、しかも三年三年に見直しをして改善をしていくんですから、これはやはり固定資産税評価額というものを基準にすることが、納税者にとってはより親切であり、いままで来ていた納税令書に書いてあるものによって自分の財産というものがわかる。ところが、いよいよ死んでみたら、相続税はその倍だなんてばんとなると、同じ国のやる仕事で、何でこんなに違うんだという誤解を受けますね。信頼感を失いますね。なぜ固定資産税に合わせることができないのですか。
○横井政府委員 先ほど主税局長からも評価はたいへんむずかしいということを申し上げたわけでございます。 しかしながら、私どもといたしましては、法律の規定から「適正時価」、こういう表現がございますから、そういう適正時価が何であるか、これを苦労して発見をしておるということでございます。 その場合におきまして、土地につきましては、相続財産につきましては直ちに売買が行われるということではございませんので、私どもといたしましては、売買実例から相続税評価を算定いたします過程におきまして、異常な買い進み要素を排除いたしますとか、あるいは相続財産を売り急いだというような場合においては若干評価を下げる要素があるだろうということとか、あるいはまた、農地の場合におきましては、特に宅地への転用等が困難である、非常に制約があるというふうな事情を十分にしんしゃくはいたしてございます。しかしながら、これらはいずれも法律の適正時価という考え方から逸脱いたさない範囲でしんしゃくを行っておるわけでございます。 なお、御考慮いただきたいのは、土地、建物と現金、預金等とのバランスの問題でございます。土地、建物につきましては、いろいろいま申しましたようなしんしゃくをいたしておりますけれども、現金、預金についてはしんしゃくの余地がないわけでございます。したがいまして、この両者の課税のバランスということを考えますと、やはり土地、建物につきましても適正な時価で考えざるを得ないということになるわけでございます。この辺を御理解をお願い申し上げたいと思います。 なお、固定資産税の評価との関係でございますが、全く固定資産税評価を無視してやっているということではございませんで、私どもも固定資産税の評価の審議会等に参画をいたしますし、また国税庁で相続税評価額を算定いたします場合に、地方公共団体等から精通者としての御意見をちょうだいするというふうなことでやっているわけでございます。 ただ何と申しましても、主税局長から御答弁申し上げましたように、相続税は一生に一回の税金でございますし、固定資産税は毎年の年税として当然所得から払わなければいけない、こういう宿命がございますので、両者が相違しておる、こういう事情にございます。
○武藤(山)委員 適正価格とは何かということを聞いているわけですが、やはり適正価格という言葉であなたは表現しているのですが、私が言う適正価格とは、商品の価格というものは売買をして初めて商品の価値というものは出てくるのだ。ところが、実際に売買できない居住用財産、そういうようなものの価値というものは、商品の価値と比較したら半減するわけですよ。だから、固定資産税の方は比較的そういうことを加味した、やはり売買の対象にすぐならない、そういう財産の評価というものはどうあらねばならぬかということもかなり検討した上でやっているとぼくは思うんです。 ところが、相続税の方は、もしそれを売った場合にはという仮定ですね。売った場合はと言ったたって、居住用財産なんていうのは、住んでいるんだから売れないんだよ。そこらが価格の算定にかなり徴税上の恣意が含まれた価格なんじゃないか。相続税というようなものは、商品としての売買を入れない価格で計算をしなければいけないものではないか。何でも全部それが売れたものという仮定でまず売買価格の実例を出して、それからまあ三〇%も引いてやるか、これはまあ五〇%も引いてやるかという目の子勘定ですよ、いまの税務署の評価額は。 その証拠には、この国税庁からくれた資料を見たって、市町村によって大分違いますよ。たとえば上尾市は、固定資産税評価額が二万円のときに相続税評価額が二万六千円で、上尾市は比較的近い価格だ。ところがずっと見ると、たとえば入間市なんというのは、固定資産税の評価が一万四千円なのに、税務署は二万九千円、倍ですね。それから朝霞も一万八百九十円が二万七千円、これは倍以上ですね。船橋も。こういうふうにずっと見ると、佐倉市などというのは一万円対一万五千円ですから五割、これを見ると、ばらつきが非常に多い。私はどうもこの相続税課税評価額というやつはかなり国税当局の恣意的判断というものが含まれている。どうも納得いかぬですね。 適正時価という言葉を果たして相続税評価額の中に導入していいんだろうか。売れない、すぐ商品にならない土地、家屋の評価額というものはいかにあるべきか、そういう観点からやはり評価というものをなすべきではないのか、商品という前提を置かないで。これはおたくの方でくれたこの表とすっと比較してみてそういう矛盾を感ずるのは、感ずる方が間違いですか。
○横井政府委員 先ほど私が御答弁申しましたときに、売り急ぐ場合の価格の値下がりということも考慮してしんしゃくをいたしてございます、こう申し上げたのでございますが、実は、売る場合の客観的価格ということでございますと、かなり高い水準になるわけでございます。私どもは、取り主義と申しますか、税収が少しでも多いようにという観点から考えておるわけでもございませんので、そういう場合におきまして、適正な時価という考え方の中でしんしゃくできる場合はしんしゃくいたしたい、こういう観点から、売り急ぐような場合においては価格が下がる場合も考えられるということで、いわゆる仲値の三割引き、七〇%の評価をいたしておる、こういう事情でございまして、決して取り主義から高くしておるということではございませんことを御了解いただきたいと思います。 それから第二に、固定資産税とのばらつきでございますが、私どもは、先ほど来申し上げておりますように、売買実例等から一定の方式によりまして算定をいたしてまいっておりまして、私どもの評価の額が適正であろう、かように考えておるわけでございますが、なおお手元にございます評価額の点につきましては、それに加えまして、さらに固定資産税の場合は四十八年の評価額でございます。それから相続税の方は四十九年でございまして、その間、土地事情の変更等も加わっておるということを御了解いただきたいと思います。
○武藤(山)委員 いやいや、加わっていても、私が見ているのは、町によっては倍、それから町によっては五〇%増、固定資産税評価額よりもね。そういうばらつきが大変ある。だから、どうも相続税の方はなるべく高い評価をして税金を取ろうという意図的な価格が入っているんじゃないかということなんだ。 自治省はどうですか。固定資産税の評価額を算定する場合には、路線価方式あるいはその他の宅地評価法、農地の場合は限界収益率の補正、こういうような方法で実際の地価というものをずっと評価している。そうすると、自治省の評価している固定資産税評価額の算定というのは不合理なものであり、算定に直すべき点があると思うかどうか。自治省の方の見解はいかがですか。
○川俣説明員 固定資産税におきますところの土地の評価につきましては、先日も御説明申し上げたわけでございますが、自治大臣が示しますところの固定資産評価基準に基づきまして、資産の種類ごとにそれぞれ評価法を定めて、各市町村はそれに基づいて評価をしておるということでございます。 したがいまして、各市町村におきましては、この評価基準によって適正な評価をしておるというふうに考えておるわけでございますけれども、何せここ十数年来非常に土地の価格が上がりまして、そういう意味から、先ほどから主税局長からもお話のございましたように、保有課税として年々納める税であるというところから、必ずしも地価の動向に完全にマッチをしていない部分があるということは申し上げざるを得ないのではなかろうかと思いますが、いずれにいたしましても、最近、地価の鎮静化傾向もございますので、私どもといたしましては、より適正な評価が市町村において行われますように、五十一年度の評価替えも間近に迫っておることでございますので、そういう指導をしていきたいというふうに考えております。
○武藤(山)委員 どうも固定資産税の評価も路線価方式をとりあるいは宅地評価法等をとって、方法は税務署も市町村も同じ方法でやっておるわけでしょうね。同じ方法でやっていて同じ答えが出ないというのは素人から見たらおかしい、算式が同じなら答えは同じになるのが数学の結論なんだから。方法が違うなら何をか言わんやですが、方法は同じでしょう。その評価額を算定する方式は同じなんでしょう、直税部長。
○横井政府委員 前回でございましたか、この委員会で自治省から御答弁がございました。私どもからも方式を申し上げたわけでございますが、方式自体は同じでございます。ただ、その間の算定の過程におきまするしんしゃくの度合い等が異なっておるということであろうかと思います。 なお、これは実ははなはだ申し上げにくいことでございますけれども、相続税の場合に、私ども全国を同じ目で見て評価をいたさなければいけないということに当然なっておるわけでございますけれども、固定資産税の評価につきましては、自治省からいろいろお話もございましたが、やはり地方自治というたてまえがございますので、たとえば大きな工場等がございまして、固定資産税の税収が十分あるというふうなところにおきましては評価が若干低いというふうなことも間々あるやに聞いておりまして、私どもといたしましては、今後とも評価の適正に努めるわけでございますが、全国を同じ目で見て公平に評価をいたしたい、かように考えております。
○武藤(山)委員 とてもこれは議論はまだ平行線でありますが、午前の部は一応これで、割り当ての時間が終わりますのでやめますが、午後にまた引き続いてやりたいと思います。納得いきません。
○上村委員長 広瀬秀吉君。
○広瀬(秀)委員 最初に主税局長に伺いたいのですが、相続税を課税するという課税理念は一体何であるか、まずここからお聞きしたいと思います。
○中橋政府委員 租税はやはり担税力に対しまして課税し、所要の財源を確保するということでございますが、担税力は何かということになりますと、税源でございます。税源は所得か財産でございまして、財産についてその担税力を指標として課税をいたしますものの一番大きなものは相続税でございます。 それで、ある程度の規模の財産になればそこに担税力を見出し、相続税をかけ、あわせまして財産の再配分ということも意図しておるというものでございます。
○広瀬(秀)委員 しかもこの相続税は、いまおっしゃったように資産課税である、財産課税である。世帯交代の際に被相続人が財産を持っておって、それが死亡した際にだけかけられる税金である。そこで再配分という問題が、これは前に細見局長時代にもずいぶんそういう点で論争したことがあるのですけれども、世帯が交代するときに、やはり資産なり富なりの再配分機能というもののウエートをかなり相続税は持っておるのだという議論を細見さんも当時なさったわけです。 そこで、今日、相続財産の中でも、これは後で数字をお聞きしますけれども、特に、土地が占める比重が非常に上がってきた。今度の改正もそういうところに一つ着目しておるということが提案理由でも言われているわけですが、いま経済はまさにインフレの世の中ですよね。そういう中で、そういう資産保有者、土地を持っている人たちの資産がどんどん増価をしている。そういうことで含み資産、インフレ利得を得ているということを政府が責任を持った国民生活白書でも明確にその点を指摘して、一つのインフレ経済時代における社会的不公正の標本みたいだというようなことを言っておられるわけですね。一方において、金融資産、預金というようなものを持っておる者は年々インフレによって減価をしておりますことを対照的に出して、問題点を指摘している時代ですよ。 そういう中で、ことしの税調の答申の中にも特記すべき問題点が指摘されている。それをひとつ読んでみますけれども、「税制面における社会的不公正の是正には特段の意を注がなければならない。」こういう表現があるわけですよね。それで、先ほどの国民生活白書ではそういう不合理、不公正というものが一方においては指摘されておって、ここではこういう抽象的な言い方でもって社会的不公正の是正ということが特段に強調されておる。 そして、その具体化として相続税の問題、これはもういまおっしゃったように財産に対する課税である。そこに担税力を見出して、しかも世帯交代のときにはせめてそこで適正な再配分機能を税制によって果たそうではないか、こういうところに問題があるとすれば、どうもあなた方が今度お出しになった案というものは——この点は税制調査会自身の矛盾であるとも言わなければならぬが、これはもう税制調査会が総論のところではそういうことを指摘しておきながら、各論のところで相続税の矛盾について改めろ、こういうことで答申をされている。その辺のところが、どうもわれわれとしては税制調査会自体の審議というのは一体何であったかということについて非常な疑問を抱かざるを得ないのだけれども、そういう問題について、今度の相続税は要するにあなた方としてはいわゆる課税最低限というか基礎控除というか、そういうものをぐんと上げられた。そしてまた、配偶者に対する特殊な優遇というものを非常に強く出された。こういうことですから、要するに資産優遇という形になっていませんか。その点についてのお考えはどうなんですか。
○中橋政府委員 今回の相続税の改正は、先ほどもお話がございましたように、一つはいわゆる物価調整の面がございます。一つはいまおっしゃいますように、優遇という実質的な問題とすれば、私は配偶者に対する配慮であろうと思っております。 それで、第一のいわゆる物価調整という意味で、ここ数年来の地価その他の上昇というものに対しまして、今回はむしろそれに調整するという観点で課税最低限の引き上げなり税率の緩和というのを御提案申し上げておるつもりでございます。いろいろお話がございましたように、いわば生活なり事業の最小の規模のものについては、そういう物価の上昇その他の影響を相続税の課税から排除する必要というのは、これはもう皆さんお認めいただいておりますから、課税最低限をいろいろな指数と合わせまして四倍にしていただくというのは、一番私が言っております物価調整として御理解をいただきやすいものではないかと思います。 それではその次に、特に土地の所有者につきましてインフレ利得が相対的にあるから、相続税というものについてもっとこれに対する負担を重からしめてよいのではないかという御意見がいまの広瀬委員の主たる御論拠だろうと思いますが、これに対しましては、むしろ本来でございますれば、課税最低限を四倍に引き上げていただいた、そういうことと同じように、物価調整というものは同じ程度に税率についても行わなければ、かつて、たとえば昭和四十一年度に相続税について期待をいたしました累進効果というものが変わるわけでございます。実質的にその累進効果を変えるという御議論はもちろんあることは承知をいたしておりますけれども、今回はむしろその累進効果というものを四十一年当時に調整をしていただこうというのがねらいでございます。 ただその際にも、やはりいまおっしゃったような観点も取り入れまして、税率の緩和のその幅を全部四倍に伸ばすというわけでございませんで、下の方は三・三倍から上の方は一・七倍というように漸次縮小しております。あるいはまた最高の税率を七五%というふうに設けておりますから、物価調整と言いつつ、しかもその観点の中には、おっしゃいましたような気持ちも入れながら御論議を願っておる次第でございます。
○広瀬(秀)委員 どうも私は、税制調査会の税制の面における社会的不公正の是正ということに特段の注意を払わなければいかぬのだという指摘が、具体化されたものを見ると、まさにあなた方の頭は社会的不公正というものをどういうようにとらえているのか、こう疑わざるを得ない。きわめて具体化された各論の段階では矛盾に満ちている、こういうように思わざるを得ないのですよ。 たとえば四十一年の所得税の課税最低限は、夫婦子供二人で当時五十三万七千円ですよ。この前の相続税が大幅に改正された時点が四十一年ですから、それから見て、今度昭和五十年で同じ夫妻子供二人ということで百八十三万円ですから、三・三倍にすぎないわけですね。ところが、相続税の場合に課税最低限は、相続税の基礎控除部分で配偶者控除は一応抜いて考えてみると、当時は定額控除が四百万円、それに法定相続人一人八十万掛ける人数、こういうことで計算しますとこれは八百万ですよ。そうすると五倍になっているわけでしょう。五十年では五倍になっている。なるほど四十九年では相続税の課税最低限は一・八倍にしかなっていない。しかし、五十年で五倍にする。この間における土地の価格上昇は、不動産研究所調査によると、四十一年を一〇〇として四十九年度には三倍ないし四倍の水準に達している。確かにそのくらいは上がっている。相続税の評価額も、路線価方式による最高価格地の平均で同期間に三・五倍に上がっておりますという数字。この数はよろしいですね。それをまず確かめておきます。
○中橋政府委員 いまお示しの数字はそのとおりでございます。 ただ、課税最低限を、配偶者控除に当たるものを除外されまして五倍というふうにおっしゃいましたけれども、一般的にはやはり配偶者というのは相続人の中に入っておるのが通例でございます。今回の改正で、確かにいわゆる課税最低限の中には配偶者控除というものの考え方は配慮することにお願いをしておりますけれども、基本的には通常の数の相続人がありました場合の課税最低限というのは、四十一年度には一千万円でございましたし、五十年分につきましては、今回の改正案によれば四千万円でございますので、やはり四倍とお考えいただいた方がよろしいんじゃないかと思っております。
○広瀬(秀)委員 そんなことになったらとんでもない、これは主税局長の言とも思えないのだけれども、当時二百万円というのは配偶者控除としてありましたよね。それを入れればまあ一千万だ。今度は基礎控除が四千万だから四倍ですよ。しかし、それ以外に今度は配偶者控除というようなものにかえて、配偶者優遇措置という抜き出した方向で無制限の青天井の三分の一、いわゆる法定相続分というものに対応する相続税は、これはもう全部免除します、これは青天井でしょう。そういう相続税に対する免税というものは、これはもう大変なものですよね。何十億の相続財産のある人にとっては、その三分の一ということになれば、十五億あったら五億だということになる。それに対応するものが少なくとも相続税は免税されるんだという。これはもう青天井ですから、数えようがないほど巨額にも上る場合だってあり得るんだ。そういうものですから、私は一応それを切り離して言ったわけだけれども、四倍ということではわれわれは納得できない。 われわれが言うのは、社会的不公正をやはり税制の中からも排除する。特に公平というものが一番租税原則としては大事なことじゃないかということ。この点を踏まえないものはもういかぬ。したがって、門地だとか性別だとか出生だとか身分だとか、そういうものによって一切の差別はないんだという日本国の憲法から言っても、出生のときからそういう親が財産を持っていてくれたというそのことで、それが世襲的にどこまでも変わらないで、相続税による、国家の力による再配分の機会をどんどん免れていくということには、われわれはどうしても抵抗を持つわけですよ。 いままでわれわれも、確かに同一世帯間の水平相続という妻への相続による移動というようなことについては、ある程度考えていかなければならぬということを主張もいたしておりました。しかし、それはやはり新憲法下において両性は全く平等である、そしてまた夫婦財産制というようなことも、自己の名において取得したものが妻の財産だというようなことになっているけれども、とにかく所得税等においても、諸外国でも二分二乗もやっているじゃないか、妻の資産獲得における貢献度というようなものもやはり半々ぐらいに見てもいいじゃないかという議論も出ている中で、ある程度そういう面を考えなければいかぬ。こういうようなことで、妻がやはり被相続人たる夫が資産を形成する過程における貢献度を正しく評価して、その分については適正な妻の座をしっかり認め、それに対する処遇というものは税制面でも見るのが公平の原則に合うじゃないかという議論なんであります。そういう立場で言ってきたはずです。 そういう形で、いままでのところはまあ三千万ということで限度が置かれておったから、その辺のところまではまさにそういうわれわれの主張を入れてだんだん改正してきたというように思っておったわけです。ところが、今度の場合には妻——配偶者と言ってもまあ妻だけに限定していま議論しておりますが、大体おやじさんが先に亡くなって妻が跡を相続するという事例が非常に多いものだからそういうように言っているけれども、したがって、いままでそういう貢献度ということであったから、婚姻期間が二十年であるとかあるいは十年であるとかいうような経過もたどってきているわけですよね。それはやはり夫婦の財産形成の中における妻の貢献度というものを正しく評価していこうということだったわけです。 ところが、今度はそれを、婚姻期間についての条件というものを一切なくしてしまいましたね。これは一年でも二年でも妻であればいいというわけですか。しかも青天井で、三分の一の法定相続分は非課税であるということになると、これはまさに資産優遇税制、財産優遇の税制ではないかということになって、まさに社会的不公正拡大の相続税法改正である、資産と財産に対する優遇ということがどうしても大蔵官僚の頭から抜けないのかなという気持ちにならざるを得ないのですけれども、その辺のところはどうですか。
○中橋政府委員 今回の相続税の中で、先ほど申しましたいわゆる物価調整でない部面と申しますのは、いま御批判をいただいております配偶者への配慮でございます。配偶者への配慮を相続税につきまして行いますというのは、いまおっしゃいましたように、一つは、同世帯間におきますところの財産移転というものについて配慮をするということでございますし、二つは、そういった財産への寄与というものをどういうふうに判断をするかという問題でございます。第三番目は、多くの場合配偶者と言われておりますいま御議論のとおりの妻の座というのを一体どの程度に評価するかという問題だと思います。 それで、第一の、同世帯間におきますところの財産移転ということに徹底いたします考え方というのは、結局は、相続税を課税いたしましても、その経路がAという人からBという人に財産が移転します場合に、いかに違っておりましても相続税負担は同じであっていいというのが基本的な原理だろうと思います。そういうことがあるからこそ、水平的な移動につきましては相続税を軽減すべきであるという御議論が出てくるものでございます。 そういたしますと、非常に水平的な移動について配慮をいたしました場合に、確かにそれは現行の体制と新しい案におきますところの負担というのをその時点だけに限ってごらんいただければ、改正なかりせばいまこれだけの税額を負担したのではないかということでございますけれども、その次の段階というのをあわせてごらんいただければ、そんなに負担というのは変わらないはずでございます。それあるがゆえに、同世帯間の財産移転については配慮していいんだということが相続税について皆さんから言われるゆえんだと思っております。 それから第二の、財産の形成なり維持について寄与をしたから大いに配偶者間の財産移転について配慮すべしという御議論でございましょうが、これにつきましても、確かにそういうところはございます。しかし、一たんそれを適正に見積もるということになりますと、実は非常にむずかしい問題がございます。現在の民法がそういうものをいわばある一つの立場から割り切っていてくれればまたそれに準拠しやすいのでございますけれども、財産への寄与度というものがなかなか判断しがたいということになりますれば、やはりそういうものもある程度の概括的な判断というのをそこに加えざるを得ないのだと思います。 それからまた、そういういまの二つの点を総合いたしまして、さらに妻の座というものを優遇してはどうかというような考え方、これも私どもはいろいろかねて御批判をいただいておったところでございますけれども、妻の座というようなことを考えますれば、先ほどの一の問題、二の問題、それを総合して三の問題になるということになりますと、いよいよ婚姻期間の制限といいますか、あるいはその金額の全体的な制限というものを入れるということと相矛盾するようなことになってくるわけでございます。 相続というのが配偶者間においての恣意的な行為で行われないということでございまするので、夫婦という共同生活が突然の一方の死によって中断をされるということでございまするから、一方の配偶者の地位を尊重するということになりますれば、そこでいわばその生活状態を凍結するというのが配偶者に対する配慮の最たるものだと思っております。 しかし、それは全部そこで凍結するのがよろしいのか、やはりある程度の相続税というものを負担してもらっていいのかという問題がございますから、そこで今回は、普通の家庭におきます家族構成であれば、配偶者というのは三分の一という問題でございまするので、三分の一というところで、そこまでは婚姻期間の制限あるいは総額の制限というものなしに妻の座というものを考えてみてもそんなに負担の不均衡をもたらすというものではないというふうに考えております。
○広瀬(秀)委員 いろいろ答弁されましたが、たとえば十億も資産を持った年とった人がいる、若い妻とあと余命幾らもないということを知りつつ結婚生活に入る。一年くらいで、あるいは一年たたないうちに死んだ。これは正式に戸籍上ちゃんと妻にしたという場合には、その三分の一というものは当然妻にいく。何らの貢献もほとんどない。老後の生活を幾らか見てやったということでは、それは死を前にした人に対する妻としての献身的な役目は果たしたかもしれぬけれども、財産形成というような問題については何もないはずですね、すでにもうある程度老境に達しているのですから。 そういう人が妻を迎える、そして亡くなる、相続開始ということになれば、三分の一は妻のところへいくんだからということで、相続財産全体に対する課税を資産の分割というような面からとらえてみると、当然これはまた分割して安い税率に全体的にもいくというようなことになる。そして、妻の場合にはその妻がなくなればまた垂直の相続が行われると言うけれども、そういように相続税課税財産のうち三分の一だけは妻にいってそれに対応する相続税はかからぬということで、少なくとも資産が分割されることを許すようなことに当然理論上なるわけですね。これはむしろそういうことを奨励するような形にこの税法がなるんじゃないか。全体的にやはり妻を迎えておった方が相続税を減らす点で有利だということで、高額相続財産を持った人たちが亡くなる直前に皆そういうことをやるというようなことになると、これはまた大変な、社会的不公正という面から見ておかしな現象になるんじゃないかと思うのですが、そういうことについてはどういう御所見ですか。
○中橋政府委員 申し忘れましたが、今回の改正におきましても、配偶者への三分の一の相続についてその際相続税がかからないという制度のもとにおきましても、それ以外のたとえば子が受け取ります相続財産に対する税額というのは、そのために、それなかりせばの場合と比べまして、たとえば適用税率が低くなるということのないように考えております。したがいまして、この問題は、配偶者が相続財産を受けるそのものだけの税額を軽減、免除するという制度でございます。 それで、おっしゃいますように、確かに婚姻期間が非常に短い配偶者が、そういった多額の財産を相続税を納めないで受けるということは起こり得ると思います。起こり得ると思いますが、それはいわば夫婦という共同生活を一体どういうふうに考えていったらいいのかという問題ではないかと思います。仮にその期間が非常に短いということでございましても、あるいはその意図が不幸にして純粋でないということになりましても、なかなか外からはそれを判断するすべもございませんし、やはりわれわれとしますれば、そこに営まれました夫婦の共同生活、それが死ということによって中断された、その生活をなるべくはその残った配偶者に続けてもらえるというようなことを少なくとも配慮するのが、やはりいわゆる妻の座に対する尊重ということも言われております基本理念ではないかということで、今回もそういうふうに割り切らせていただいたわけでございます。
○広瀬(秀)委員 非常に善意な解釈をされている。そういう善意の解釈も、これは何も悪いように悪いように解釈する必要もないからいいですけれども、たとえばその後、未亡人になったかつて妻であった者が一家の中心になってやっていくというなことばかりが想定される世の中ではないはずですね。それを今度は、相続財産を受け取った、そして本人の名義に土地も全部なった、そして相続税も全然払わなかった、一年か二年たっているうちに全部それを処分して放してしまうということに対してだって、相続税の面ではそういうことをやれないようにする何らの保証はないはずですよね。 そうすれば、相続財産を分割して妻の相続分については相続税を免れて、しかも、その妻が三分の一だけですから小さくなった、それを処分しても相続財産全体を処分したときよりも安い税金で土地を譲渡していくというようなことになったのでは、これはかえっておかしなことになるのではないか。これからの土地譲渡所得については五十一年以降は幾らかあれになるけれども、現にこれがことしから実施をされる。それで、夫婦としての期限がないのですから数カ月でもよろしい、二カ月でもよろしい、したがって結婚して後一カ月か二カ月でそういう事態になるというようなことになれば、これはまことにおかしな事態にもなる。まあそういうレアケースだけを想定して議論することはおかしいかもしれないけれども、そういう点でも非常に問題になるのではないかということです。 したがって、私どもは一定の歯どめというものを、そういう点では世間の常識、ナショナルコンセンサスというか、そういうものが得られる限界のところはやはりきちんとしておいてもらわなければ困るということなんですね。したがって、少なくとも夫婦というからには、たとえば二年か三年あるいは何カ月というようなことでは、これは妻を優遇する理由というものは私はないと思うのです。何年か、少なくとも十年くらい本当に夫婦で苦労をして一家を支えてくるというような、そういうものこそ——それ以上の何十年でも結構だけれども、そういう少なくとも十年くらいのところで線を引いて、何年以上の婚姻生活を送った配偶者というような限定を一つ設けたらどうか。これは当然いわゆる国民のコンセンサスを得られる常識的な線だと考える。これが一つ。 それから、相続財産に対して、これはやはり富の再配分というのを世帯が交代したときにせめてやるのが、国のよって立つ原理である正義を国が実現するんだというような立場から言っても、税における公平というような立場からも必要ではないか。私は何億というような高額な相続財産を持っている人たちにまでそういう面で優遇を及ぼしていく必要はないように思うのです。こういうことで、妻の場合等におきましても、これは一億なり二億なりという相続財産価額以上の場合には、一定の限界というものをやはりその辺のところで設けていく。こういうような金額の面における制限を付するということが、より公平の原則に合うし、いわゆる資産に対する国の施策は税制まで含めてすべて公平を最もたっとばなければならないのにその税制までが公平を乱して資産優遇ということに偏っているという国民の批判にこたえる道ではないのか、こういうことを考えるわけなんだけれども、いかがですか。
○中橋政府委員 婚姻期間を設けるということは、私は相続ということが配偶者間における自発的な行為によってはいかんともしがたいということで起こる死をめぐって生ずるということから考えまして、不幸、その期間が短かったとしましても、考える必要はないのではないかということが、先ほど来申しましたように、今回の改正が同世帯間における財産移転あるいは財産の形成、維持についての寄与とあわせまして妻の座優遇というようなことを考えたということからの帰結として、どうしてもそう出てこざるを得ないのではないかと思っております。 おっしゃいますように、二年、三年はひどいではないか、十年ではいいではないかとおっしゃいましても、それの線というのは、客観的になかなか見出しがたい……(広瀬(秀)委員「それでは、いままでなぜやっていたか」と呼ぶ) それは、いま申しました三つの点というものを考えまして、漸次今日に至りまして、今回、そういう三つの線を徹底をして考えさせていただいた。いろいろ御批判にこたえたつもりでございます。 おっしゃいますように期間を設けるということは、私は、配偶者間におきます財産移転がいずれかの自発的な意思によって行われるということであれば、それもまた必要であるという理屈をいまも持っておりますけれども、相続に関しましては、徹底をいたしますれば、やはり期間を設ける必要はないのではないかというふうに考えております。 それから、金額の限度でございます。金額の限度も、確かに過去におきます配偶者に対する配慮というものについて設けてまいりました。しかし、配偶者に対する配慮というものを徹底をいたしますれば、私はやはり金額についても、相続の際には設ける必要はないのではないかという考えを依然として持つわけでございます。 その理屈としましても、やはり先ほど言いましたような、同一世帯間における財産移転というものが相続を契機にして行われるということでございますれば、その一点におきますところの負担ということだけに着目をする必要もまたないのではないかということでございますので、両方につきまして、今回の改正は、これは三分の一という点は今後の夫婦財産制度の問題とは絡みますけれども、同一世帯間あるいは共同生活としての財産の形成、維持への寄与あるいは配偶者相互間における共同生活への配慮というようなことから申せば、一つの終着点に参ったのではないかというふうに考えております。
○広瀬(秀)委員 あなた方のおっしゃっておることは、私どもとはどうしても平行線になってくる。われわれが妻の座の優遇ということを唱えてきた、それを大蔵当局も受け入れて、婚姻期間二十年というところでまずできた。その次は、二十年と言わなくてもいいじゃないか、十年程度というところまで下げた、こういうような歴史的経過もあるわけです。そういう中では、われわれはそれを了としておったわけです。 それに対して、二年でいいか何年でいいかということは線が引きにくい、死亡ということによってのみいまの憲法では相続というものが出るわけだからということを言われるが、やはり私どもは、妻の座としての妻の婚姻生活、そして一つの生活単位というものの中で占める貢献の度合い、それから一家を盛り立てていく、そういう中での妻の座というものの役割りというものを正しく評価をして、それに報いることにしようというねらいをもって、そういう意図でやってきたわけです。もう妻という名がついたら、戸籍上そういうふうになったら、もう一カ月でも二カ月でも構わぬのだ、それは優遇されてしかるべきだということは、国民的な合意ではないと私は思うのです。むしろ十年というような線があることの方が国民としては納得するし、また、妻本人もそういうことで当然納得するだろうと思うのです。 したがって、いま主税局長がおっしゃられたような批判というのは、一体どういうところから出てきてそういう十年という線で引くのはおかしいというようなことを言っているのか、その辺をひとつ聞きたいと思う。 それと、あなた方は、いまわれわれが議論しているのは、四十年では相続事案の中で一・九%ぐらいしか相続税対象がなかった。これが逐次、相続財産の中で土地の値上がりというようなことを通じて、四十七年には四・四%とか、四十八年には四・二%とかなってきた。あるいは四十九年はこの四・二%がさらにふえておるかもしれませんけれども、こういうことに着目をして、大体何%——いずれにいたしましても、われわれがいま議論しているのは、百人のうち二人ないし四人のことで、そういう高額資産家に対する相続税という問題を議論しているわけですよ。百人のうち何人という、少なくとも五%に達しない、そういうことなんですよ。 それでいながら、一方においては、先ほどもちょっと言いましたけれども、勤労者の課税最低限は、四十一年当時から三・三倍にしかなっていないじゃないですか。それを今度相続税では四千万の課税最低限にします、それは四十一年当時の妻の控除まで入れても一千万円で、それを四倍にしますというそういう考え方、これが社会的公正を図るということがいま一番国全体の政策の基本目標として出されている段階において、一体そういうことでいいんですかということなんですよ。 したがって、そこにはおのずからこの際決着をつけたいのだ、相続税問題については、水平相続の妻の場合には青天井で、しかも婚姻期間なんということにもかかわりなく、三分の一の法定相続分については課税しないのだということだけで、すべて今日まで議論してきた、われわれが要求してきたことがカバーされるとはわれわれも全く見ないわけだけれども、そういう点、ひとつこの際、基本的な立場でどう考えられるのか、この点をやはりはっきりさせてもらわなければならない。 今後、それでは土地の評価が、いま総需要抑制の中で少しもう土地が下がってきているというようなことになったということで、また、これからも国土利用計画法や何かで規制なんかがどんどん強化されるというようなことで土地が下がっていく、相続財産の価額も下がっていくというような場合には、またそういう方向で修正をするのですか、もうこれは当分直さぬというような形でいくのですか、その辺も含めてお伺いしたいと思います。
○中橋政府委員 相続税につきまして、配偶者への配慮に婚姻期間を設けまして一体どういう難点がかつてあったかということでございますが、やはり人間でございますから、死ということはなかなか予測できないということは、私からわざわざ申し上げることもないわけでございますが、夫婦生活につきましても、日常われわれのことを考えてみましても、とかく永遠ということを頭に置きながら考えるわけでございます。死というのは突然やってまいりますから、何としても夫婦生活の終局というのはいつやってくるかわかりません。そのときに、永遠を願っておった夫婦というものが、たとえば一定の線を引きました十年なら十年に満たないときに、そういう相続税の配慮をしなくていいのかどうか。十年という線をたとえ切ったとしましても、特に相続の場合でございますから、いろいろな事情でやむを得ずそういう事態というのが起こることはよく例を聞くわけでございます。やはり配偶者に対する配慮をなぜやっておるのかという論拠を徹底しますれば、私はどうしても婚姻期間の条件というのはそこに一つの障害となってあらわれてくると考えざるを得ないのでございます。 それから、相続税の課税を受けますのは、おっしゃいますように毎年三万人ぐらいの人数でございます。一体どういう程度の数の人から資産の再配分を目指しておる相続税の課税を受けてもらったらいいのかということは、やはりそのときそのときの国民の所得、財産の状況から判断をいたさなければなりませんから、たとえば昭和四十一年に死んだ人の中で一・四%しか相続税の課税を受けていなかったという時点がございますが、その率は、やはり国民の富がだんだん上がってまいりますれば漸増してしかるべきものだと思っております。 現に、たとえばアメリカにおきましてはその数字は約一〇%ぐらいでございますし、イギリスにおきますと約八%程度だと聞いております。ドイツにおきましては大体これが三%をやや超えるぐらいの数字ではないか。少し古い数字でございますけれども、そういったものを持っております。こういうものを国際的にも比較をしながら、また今日のわが国の各個の持っておる財産状況というようなものを考えながら判断をいたさなければなりませんが、今回御提案申し上げておる課税最低限が実現をいたしますれば、大体その数字は二・八%ぐらいになるのではないかということでございますから、ここ十年ぐらいの数字の経過を見てみまして、大体妥当なところではないかなという気がいたすわけでございます。 もちろんそういうことも頭に置き、また先ほど申しましたように、土地の価格の上昇というものが約四倍でございますとか、その他のいろいろな数字がそれに近いものでございますので、課税最低限を四倍というめどをつけたわけでございますが、所得税のいわゆる課税最低限につきましては、おっしゃるような倍率だと思います。しかし、それはやはり所得税の課税最低限を考えます場合には、何といいましても、いわゆる消費者物価と申しますか、基準的な生計費というものを頭に置きながら考えてまいらなければなりません。 そういったときには、やはり何といいましても土地の価格の上昇というのがこの十年ぐらいの間に非常に高かった。確かに消費者物価というものの上昇は高うございますし、生計費の上がりも高うございましたけれども、両者を比べてみますれば、私はやはり地価の上昇というものが相当のものであったと認めざるを得ないと思います。所得税の課税最低限は三倍にしかならなかったとおっしゃいますけれども、私どもは、十年前の所得税の課税最低限というのは、いわゆるイカ刺し論争のあの基準的な生計費というものから比べますと、かなりゆとりのあるものになってきたというふうな考え方も持っておりますから、それが三倍になっておるのに相続税の課税最低限が四倍にななっておるのは伸ばし過ぎではないかというのは、やはりそれぞれの持っております課税最低限の意義ということから見ますと、それぞれ妥当性を持っておるのではないかというふうに感じます。
○広瀬(秀)委員 大蔵省は「改正案による相続税負担軽減調」というもので、「遺産額」を二千万から十億まで、二千万、三千万、四千万、五千万、七千万、一億、二億、三億、五億、十億というようにして、「左のうち子の取得分」ということでずっと出しておるわけですね。そして現行と改正案と差引軽減の額あるいは割合というようなことを出しておる。これを総体として妻に対する優遇措置ということを含めてどれだけ軽減されたか、遺産額に相応するものをなぜ出さぬのですか。 これは三分の一の法定相続分については青天井で税金がなくなるんだ、それは当然わかるだろうというようなことのようだけれども、先ほどの答弁の中で、子の取得分についてはそれほど配慮はしていませんと言うけれども、たとえば十億のところでは子の取得分が当然三分の二になるわけですから、六億六千六百六十六万七千円ということになっておるけれども、それに対して軽減額が六千五百九十一万五千円、一七・二%軽減している。そして現行でいけば五七・四%の負担割合であるけれども、改正案では四七・五%にしている。こういうことを出しているのだけれども、これを総体のものとしてなぜ出さなかったのですか。何か特別な意図があるのですか。
○中橋政府委員 特に配偶者と子の負担の合計変動がいかようであるかということについて出しておりませんので恐縮でありますが、両方総合いたしましての軽減割合を申しますと、たとえば一億円のところで申しますと五八・四%でございます。いまお示しの十億円のところで見てみますと四三・一%でございます。これでなぜ子の税額の変動だけを特に重要視しているのかというのは、配偶者につきましては、いろいろないま御批判がございましたように、確かに三分の一までの相続であればゼロになりますから、おのずと現行の負担率そのものが配偶者につきましてはゼロになります。それでこれは理解がしやすいわけでございまするが、一番問題は、その一つの改正は別にいたしまして、子供の負担が今回の課税最低限の引き上げと税率の緩和でどの程度になるのかという点をむしろ見ていただくつもりで、この配偶者を除きました場合の負担軽減割合を御参考までにお出ししたわけでございます。
○広瀬(秀)委員 その意図はわかりました。他意あってやったことではないとは思うけれども、こういう資料についても、総体の、妻があって、妻の今度の五十年度から行われるその優遇措置による軽減額というようなものもはっきり出てくるわけですから、そういうものも合わしたもの、そして軽減の額とそれから割合は、両者を合算したものをやっぱり資料として一遍出し直してください、それをひとつ要求しておきます。 それから、先ほど私どもは当然こうあるべきではないかということも提案しておるわけですけれども、こういう点についても——私どもは国民全体を代表しておるつもりであります。しかも、この相続財産をたくさん持っておる人たちでも、われわれの議論に対して、いやそうじゃないという立論は非常に薄弱だという考えで、われわれに賛成していただけるものだという気持ちで質問しているわけですけれども、そういう点で、やはり依然として、いろいろなその他の税法改正の面においても、どうもやはり資産優遇、財産優遇という立場を、妻の座の優遇ということを奇貨おくべしとして、まさにそこに焦点を合わしてやった、まさに不公平税制。そういう面では税制調査会の総論部分における指摘とかけ離れた方向に向かったと言わざるを得ない、そういう不満を表明して、あと農地相続の問題等については租税特別措置の際にやらしていただくことにして、きょうはこの辺で終わっておきたいと思います。 さっき言った資料は、ひとつ改めて出し直してください。
○中橋政府委員 お話しの資料はできるだけ早くお出しします。
○上村委員長 午後一時三十分より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時四十一分休憩 ————◇————— 午後一時三十五分開議
○上村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。武藤山治君。
○武藤(山)委員 午前中一時間ばかり相続税問題の質疑を行ったわけでありますが、各委員からそれぞれあらゆる角度から御質疑がありまして、もう詰める段階ぐらいの質問しかないと思うのでありますが、まず第一に、相続税の今回の改正はかなり大幅な、思い切った改正だと思うのであります。その中で相当減税になるのではないかと推察をしたのでありますが、先ほど主税局長の答弁では、前年度と比較して八百億の増収になる。四十九年が三千六百十億円ですね。今度は四千四百五十億ということですから、これだけの減税を行っても、税制を改正しても、なおかつ八百億税額で増収になる。その数字には間違いないですね、主税局長。
○中橋政府委員 四十九年度と五十年度のそれぞれ当初予算対比でございますと七百五十億円でございますから、おっしゃる数字に近いと思います。
○武藤(山)委員 ちょっと素人考えで、この今回の改正だけを見ると、かなり思い切った減収になるのではないかという感じがしたのでありますが、どうして七百五十億の増収になるのか、その要因を、積算の基礎をちょっと説明してみてください。
○中橋政府委員 相続税の収入を見積もるにつきまして、一つは財産価額がどの程度伸びるかということでございます。それから、納税者が幾らぐらいふえるかということでございまするが、財産価額で一〇%、納税者で五%伸びるということで計算をしてまいりますと、現行法のもとにおきまして七百五十億円ふえるわけでございます。
○武藤(山)委員 現行法ではなくて、いまの改正案でいって七百五十億ふえるんでしょう。現行でいくと、先ほどの主税局長の答えは五千何百億になるのですよ、税収が。
○中橋政府委員 私がちょっと間違っておりました。五十年の改正後におきます五十年度の相続税の収入は、四十九年度の当初に対しましては百三十億円の増収になります。改正前におきましては、先ほど申しました七百五十億円ふえるわけでございまするので、改正によりまして六百二十億円減少するということでございます。
○武藤(山)委員 ちょっとおかしいな。先ほどの主税局長の答弁では、改正なかりせば五千七十億になります。改正をしたので四千四百五十億円が見込めます、こういう答弁ですよ、午前中の答弁では。そうすると、四千四百五十億円ということは、皆さんの方の国税収入から見た相続税の地位、これは税制調査会に送った資料と調査室のつくった資料では、金額が違うのですよ。どっちが本当かよくわかりませんが、この税調に配った資料でいくと、四十九年度は三千六百十億になっている。調査室の資料では三千九百十億になっている。この間に三百億違うのですね。これはどっちが本当ですか。
○中橋政府委員 相続税という歳入の科目の中には、税目としましては贈与税も入っておりますので、純粋に相続税の収入で申しますと、三千九百十億円のうち三千二百七十四億円が相続税でございます。
○武藤(山)委員 三千二百七十億ですね。それで、五十年度税収は四千四百五十億と午前中答えたけれども、これは間違いないですか。
○中橋政府委員 四千四百五十億円と申しましたのは、贈与税も入っておりますので、相続税の税目だけで申しますと、三千七百七十五億円でございます。
○武藤(山)委員 そういたしますと、約五百億円の増ですね、四十九年度と五十年度を比較すると。
○中橋政府委員 そのとおりでございます。
○武藤(山)委員 これだけの税制改正を行うと、かなり減収になると実は思ったのでありますが、増収になるということがちょっと理解できなかったわけであります。 そうすると、その増収になる理由は、土地、家屋の価格が一〇%伸びるだろう、納税者も五%ふえるだろう、こういう見通しでいまのような数字になるんだ、こういうことですね。ということは、午前中議論をいたしました土地、家屋の評価の問題、評価額の問題、またことし評価を改めてかなり評価を増額する、こういうことが隠されておるわけですね。
○中橋政府委員 評価を増額するというのではございませんで、一般の売買実例によりますところの時価というものが上がってまいりますから、それを反射的に受けますところの相続税の評価額というのは上がらざるを得ないのでございます。
○武藤(山)委員 もうすでに、午前中論議した評価額よりも現在国税庁が手にしている評価額は上げてあるんですか、直税部長。
○横井政府委員 相続税の評価額の作成につきましては、けさほど申し上げたようなやり方でございますが、五十年分につきましては、現在売買実例資料等を収集いたしまして、基礎的な作業を進めておるという段階でございます。 なお、今回の改正法案を御承認いただきますと、土地評価審議会ができますので、土地評価につきまして審議会にお諮りいたして最終的に決めたい、かように考えております。
○武藤(山)委員 土地評価審議会というのは、農地の価格を審議する審議会ではなくて、それもやるが、同時に宅地も今度はその審議会にかけるんですか。
○横井政府委員 御指摘のとおりに考えております。 なお、土地の売買状況等を調査いたしておりますので、先ほど御指摘がございましたように、必ず相当程度上がるだろうということでもないのではないか、かように考えております。
○武藤(山)委員 しかし、建設省が発表している売買実例あるいは公示価格の傾向というのは、四十九年度は落ち込んだ、上昇幅がなくなって逆に地価はマイナスになった、建設省はこういう発表ですね。にもかかわらず、税務署の方は一〇%上がるというのはどういうわけですか。
○横井政府委員 一〇%については私よく存じないのでございますが、土地状況全体を申し上げますと、ただいま御指摘がございましたように、国土庁等でのいろいろな御調査も進んでおるようでございます。私どもはそういうものも参考にいたしながら資料を整理したい、かように考えておりますが、ただ全国的にながめますと、全部が一律に動くということでは必ずしもございませんので、地域地域によりまして若干の異なった事情も生ずるのではないかということも考えておるわけであります。
○武藤(山)委員 いや、横井さんね。先ほど主税局長が、これだけの大減税措置をやりながらなぜ税収が五百億伸びるか、こういう質問をしたら、その積算の基礎は価格が一〇%伸び、さらに納税人口が五%くらい伸びるだろう、こういう答弁をしたわけですね。 価格が一〇%伸びるということは、その大宗をなすのは私は土地だと思うのですよ。土地の売買実例は昨年はすでにもう逆に前年比で低下しておる。建設省は、土地についての価格はもう上昇率はストップして逆に低下しておるのだという発表までしておるわけですよ。公示価格というのは、四十九年一月一日の建設省のが出ておる。皆さんの相続税の評価額というのは去年の七月一日。だとすると、地価というのが下がっているにもかかわらず、国税庁は一〇%地価が伸びるという見方をするのはちぐはぐではないか。建設省の方の実際の売買実例と比較しておかしいではないか、こういうことなんです。
○横井政府委員 若干技術的なことにわたりますので恐縮でございますが、実は毎年の相続税評価の作業につきましては、前年の四月現在で売買実例等の収集を終えまして、それを基礎にしてスタートしておるわけでございます。そこで、四十九年分の評価額と申しますのは、四十八年の四月に収集しました資料が中心で進んでおります。五十年分につきましては、四十九年の四月現在から資料をとってスタートしておりますが、四十八年の四月と四十九年の四月では若干の上昇がございます。しかしながら、その後におきまして、土地価格の鎮静が武藤委員御指摘のようにございますので、私どもといたしましては、例年に加えましてきめ細かい配慮をいたしたいということで、七月以後十二月一ぱいまでの売買実例等をさらに収集いたしまして、土地の事情を十分に反映した評価をいたしたいということで作業をいたしておるわけでございます。
○中橋政府委員 それから、一つ申し忘れましたが、相続税の改正をこれだけ大幅にして、なお改正後におきますところの五十年の収入が四十九年度に比べて相当なものであるということにつきましては、相続税は改正を相当行っていただきまして、平年度におきましては二千七百七十億円の減収になるわけでございますけれども、御案内のように、相続税につきましてはかなり延納が行われますので、初年度へのインパクトといたしましては五百億円ということになりますから、この程度の相続税の改正でということをおっしゃいますときには、初年度の減収はそういうことで平年度のものに比べればかなり低いということもあわせてお考え置き願いたいのでございます。
○武藤(山)委員 そうすると、実際に五十年度に課税される件数、金額と四十九年度に課税される件数、金額との差はどうなんですか。延納分の税額として入ったところで比較しないで、課税の比較でいったらどういうことになりますか、四十九年度と五十年度と。
○中橋政府委員 相続税について申しますと、四十九年度の当初予算に課税する件数というのは三万二千人程度というふうに見込んでおりました。それが五十年度の見込みにおきましては三万四千人程度と見込んでおります。 課税財産価額で申しますと、四十九年度の当初は一兆七千四百七十億円を見込んでおりましたが、五十年度におきましては二兆一千四百二十億円というふうに現行法で見積もっております。
○武藤(山)委員 そうしますと、かなり評価額が引き上げになるということを意味しますね、差は四千億ですか。そうするとかなりまた土地なり家屋の評価というものを意図的に引き上げるということがある感じですね。どうですか。
○中橋政府委員 意図的に引き上げるというふうにおっしゃいますけれども、一般的な土地価格が上がってまいりますれば、相続税の評価におきましてはおのずと反映せざるを得ないわけでございます。時価というのはそういうものでございまして、一般の売買実例が高くなってまいりますれば、それを反映いたしまして時価も上がってまいるということでございます。
○武藤(山)委員 建設省の公示価格は四十九年は上がらない。地価は大体上げどまり、もうすでにそういう発表をしているわけですよ、片方では。だから、五十年度もいまの政府の施策よろしきを得れば、地価が暴騰するなんという要因はないのですよ。それを一〇%上がるという見方をするのは一体どういうわけなんだ、こういうことなんです。
○中橋政府委員 暴騰するというふうにはもちろん見ておりませんけれども、一般的な地価の今日までの傾向を見てみまして、評価としましては五%上がりましょう、それから納税人員と申しますか課税件数としては五%ふえましょうということで、課税財産価額は一割伸びるでしょうということで、先ほど申しましたように、二兆一千億円余りとしたわけでございます。
○横井政府委員 国土庁の公示価格との関係でございますが、いま手元に資料がございませんけれども、私の記憶によりますと、四十九年におきましても一月から七月まではたしか上昇の数字が出ております。それから後がダウン傾向になっています。そこで、上昇と下降、これがどのように影響しておるかということを今後詳細に見きわめたい、かように考えております。
○武藤(山)委員 大平さん、大蔵大臣にちょっとお尋ねしますが、午前中主税局と大変長い間相続税の土地、家屋の評価をめぐって議論をしたのですが、いま日本では同じ土地に三つ価格があるのですよ。一つは建設省の公示価格、一つは税務署の相続税評価額、もう一つは自治省の指導する固定資産税評価額と三本あるわけです。税務署の決定する相続税の課税価格というのは大体両方の真ん中あたりを歩いているんですね、公示価格の五〇%程度のところ、固定資産税と比較するとやはり半分くらいなところと。この決定の仕方がどうも——相続財産だってすぐ売買できる空閑地や財産もあるけれども、居住用の住宅、さらに家屋、こういうものは交換価値がないんですね。売らなければ価格は出てこないんですよ。それを付近が売ったからということで、その売った価格を参酌して、その価格が算出されてくる。ここには大変な無理があるのではないか。従来はそうやっていたと言うのです。 主税局はそのガードがかたいわけでありますが、そういう点、相続財産というのは商品価値として売買の対象にならぬのだから、やはり評価額というものをできる限り固定資産税評価額の方へだんだん近づけてやる、そういう配慮をこの辺でやはり国税当局というのは再検討する時期じゃなかろうか、私はこんな感じがしてならぬのでありますけれども、大蔵大臣の大臣としての所感はいかがでしょうか。
○中橋政府委員 ちょっとその前に、固定資産税の評価と相続税の評価につきまして、おっしゃいますように、相続税の評価は売買実例をそのまま持ってきておるというわけでもございませんし、固定資産税の評価も売買実例をそのまま持ってきておるわけでもございません。いずれの税の評価におきましても、いわば基本価格を見出すために売買実例を基準とはいたします。その場合に、いま武藤委員が御指摘のように現実に売らないものでございますから、現に持っておるものの評価といたしましてしんしゃくを加えておることはいずれの税においても同じでございます。そのしんしゃく率が違うということは確かにございます。それは午前中にも申し上げましたように、それぞれの税として毎年取る税でありますとか、たくさんの人にかかる税でありますとかいうときにはおのずとしんしゃくが相当程度やられるというようなことがあると思われます。 それから先ほど、一般的に地価は横ばいないしは下がっておるではないかという御質問でございましたけれども、たとえば全国市街地価格指数で見てみまして、昨年の九月を前年に比べてみますと、八・七%やはり伸びておるというような事情を示しております。
○武藤(山)委員 私が言っているのは、そのしんしゃくの度合いをもう少々しんしゃくしていいんではないか、現在のこの計算の基礎をもうちょっとしんしゃくをして売買実例より距離を離す、こういう配慮が相続税財産にあっていいんではないか、そういうことをいま言っているわけですね。だから、従来のしんしゃくの度合いよりももうちょっと度合いを見てやったらどうだ、こういう提言なんです。それを大臣に承ったのです。
○横井政府委員 けさほども申し上げましたように、正常でない実例等を除きまして仲値を出しまして、これに七割を掛けておるというのが一般的なやり方でございます。農地につきましては、さらに農地としての制約ということでしんしゃくをいたしてございます。 そこで、現在の評価の水準でございますが、武藤委員御承知のように、国土庁の公示価格に対しまして大体五〇%というのが相続税評価の平均的水準になっておることが第一点でございます。 それからもう一つは、けさほど申し上げたのでございますが、他の財産、特に現金、預金等とのバランスもございまして、土地の評価につきまして低ければ低いほどよいということではないと考えるわけでございます。その辺のことから考えまして、しんしゃくにもおのずから限度がございまして、やはり適正な時価という範囲内のものでなければならないのではないか、かように考えるわけでございます。
○武藤(山)委員 そうすると、おたくの方で出したこの資料によると、農地の場合、たとえば中間農地、純農地ということで固定資産税評価額倍率方式。そして評価水準は、市街地周辺農地が仲値の五六%(七〇%掛ける八〇%)という算出ですね。中間農地が仲値の五六から三八・五、純農地が仲値の三八・五、こういう評価水準というのはどんな基準で、この五六あるいは三八・五というのは何を参酌して出しているのですか。
○横井政府委員 まず最初の七〇%でございますが、これは仲値、まあ正常価格と申しますか、これに対しまして売り急いだ場合の値下がりの度合い、これを考えまして七〇といたしてございます。 次に八〇でございますが、農地ということで、宅地になるための転用のむずかしさ等がございますので、これを二割しんしゃくいたしまして八〇といたしました。 それから五五でございますが、これは農家の農地の限界補正率、固定資産税でお使いになっておるものと同じでございますが、限界補正率ということで五五を使っておるわけでございます。したがいまして、通常の農地でございますと、いわゆる仲値の五六%、純農用地でございますと、七〇%に掛ける五五%で三八・五でございます。中間農地はその中間ということになるわけでございます。
○武藤(山)委員 こういうややこしい数字を国税当局で編み出して地価を評価しているわけでありますが、今度の投資価格になった場合には、いまの算式でいくと、純農地というのはどういう計算になりますか。
○横井政府委員 先ほど申しました計算は、いずれも売買実例をもとにして考えてまいっておるわけでございます。純農地という土地の売買につきましても、最近の実情を見ますと、多くの場合と申しますか、ほとんどの場合におきまして宅地化の要素というのが入っておるのが通例でございます。したがいまして、けさほど主税局長から御答弁申し上げましたように、農業投資価格は、恒久的に農業に使うんだという場合に形成されるべき価格、逆に申しますと、都市化の要素を全く抜いた価格でございますから、したがいまして、現在の私どもの収集する売買実例が農家間の農地売買につきましても、若干の宅地化要素が入っておるといたしますれば、そのような要素を抜いて計算をいたすということを考えておるわけでございます。
○武藤(山)委員 だから、その計算をすると、たとえばいまの仲値の三八・五というものよりもはるかに低くなる。その低くなる数字というのは、大体どの辺になりそうなのか。固定資産税評価額よりは高くなるか、固定資産税評価額と、してんごてんになるか、どういう程度を一応想定できますか。
○横井政府委員 地域ごとにかなり違った要素になろうかと思うのでございますが、現在でも一反歩当たり、北海道、東北等の純農村という地域につきましては、二十万から三十万ぐらいの評価になっております。それから都会地周辺になりますと、かなり評価が上がってきております。それから市街地になりますと、これは宅地並みの評価をいたしておりますので、非常に高く評価が出ております。 そこで、宅地化の要素を抜いた場合どの程度になるかということでございますが、宅地化が進んでおりますところにおきましては、現在の相続税評価を相当程度下回るようになろうかと思います。 それから固定資産税との関係でございますが、市街地におきまして固定資産税を宅地並み課税しておるというA、B、Cの地域でございますが、これにつきましては、固定資産税評価額よりも農業投資価格が下回るということが起こるのではないかというふうに考えております。
○武藤(山)委員 いま横井さんがおっしゃるとおりになれば、不安は解消されます。ところが、先ほど午前中からの議論でいろいろ感じましたことは、どうも税務当局というのは、大変評価額というものが恣意的に行われているという感じがしてならぬものですから、信用ができない。いまあなたが答弁したようなことで、今後は投資価格が相当程度下がる、いわゆる公示価格より相当程度下がる、これが一つ。相当程度とは半分くらいなのか、どの程度を大体予想されるのか。 それから第二は、三大都市圏の百八十二都市のA、B農地については固定資産税よりも落ち込むだろう、こういう答弁がありました。その後段の固定資産税より落ち込むだろうということについては、やや納得いたします。 それで、公示価格より相当というその相当というのは大変抽象的ですから、どの程度になりそうですかね。
○横井政府委員 先ほど申し上げましたのは、現行相続税評価額よりも大幅に下回るであろう。したがいまして、当然公示価格を大幅に下回ると思います。 それから、周辺のいわゆる市街化調整区域内の固定資産税評価額とのバランスで考えますと、固定資産税評価額よりは農業投資価格の方が高いであろうというふうに考えるわけでございます。
○武藤(山)委員 次に、土地の価格がかなり短期間に上昇している。皆さんの方の出した数字では、土地の価格の推移を指数でちょっと見ますと、日本不動産研究所調査の市街地価格の指数は昭和四十一年と四十九年を比較すると三三八、三・三八倍ですね。それから住宅地価格、これが三九六・二、約四倍ですね。このように地価が高騰している。また最高価格地の路線価対前年比というもの、これを見ても三四九・五と三倍半ですね。四十一年と比較して大体三倍半から四倍、地価というものが高くなっているわけであります。 そういう観点から、今回の相続税の定額控除というものを六百万から二千万円に改定する。ちょうどこれは三・五倍の定額控除の引き上げですね。定額控除は六百万が二千万になるわけでありますから、三・五倍引き上げるわけであります。相続税の方の定額控除を三・五倍引き上げる措置をとって、贈与税の方は、基礎控除は現行四十万を六十万にする。これも三・五倍にすれば、仮に三倍にしても百二十万程度にすべきだという議論が出てくると思うのですが、相続税の方は三・五倍引き上げて、贈与税の方は四十万をわずか六十万にしか上げないというのはどういうわけですか。
○中橋政府委員 私どもは、贈与税は相続税の補完税であるというふうに考えておりますし、毎々申しますように、相続というモメントとそれから贈与というモメントとは、かなり質的に変わっておるというふうに考えております。したがいまして、一般的に申せば、相続税よりは贈与税についてより強くこのことを考えるという方向でございます。 したがいまして、四十一年であれ五十年分であれ、課税最低限につきましても相続税についてはかなり大幅に上げていただくように御提案を申し上げておりますが、贈与税につきましては、むしろそこにおきますところの基礎控除額と申しますのは、少額のものはあえて追求しないというかなり行政上の配慮というものが加わっております。したがいまして、同じ倍率でもって伸ばす必要もないと思いますし、特に相続税につきましては、ごらんのごとく相続財産の中に占めます土地のウエートというものは非常に高うございますけれども、贈与税におきましては、もちろん土地の贈与ということも行われますし、資金の贈与ということも行われるわけでございますから、必ずしもこの地価の上昇というものに非常に多くのウエートをかけました相続税の課税最低限ほど上げる必要もないということで、基礎控除四十万円というのを六十万円程度に上げていただくということで御検討願っておるわけでございます。
○武藤(山)委員 四十万を六十万、これで何をねらったのかわかりませんが、現実に一年間六十万の贈与という場合にどんなものが贈与できるかとなると、六十万ぐらいじゃ本当に微々たるものですね。それは確かに贈与税というのはそうみだりに課税最低限を引き上げたり、あるいは基礎控除を認めるべきではないことはよくわかりますが、六十万円という金額が現在のこういう時代に何を意味するか、私は大変疑問に思うのですよ。 したがって、やはりこういう制度をもし認めるとするならば、百万から百二十万ぐらいは認めていいのではないだろうか。それを認めるとみんな財産をどんどん分与してしまって、生前に相続税を逃れるために分けるだろうと言うけれども、いまの百万円程度だったら、そう大したものを贈与できませんよね。土地について百万の贈与をするなんといったって、それは本当に微々たる面積ですよね。だから、これはもうちょっと検討してしかるべきじゃないですか。六十万というのにそう固執する必要があるんでしょうか。
○中橋政府委員 もうすでに武藤委員がいまおっしゃったとおりでございまして、贈与税というのは随時行えるものでございますから、基礎控除が仮に六十万円と申しましても、毎年毎年これを使えば、累積的に六十万円の二十倍、三十倍というのが子供の一人についてでも可能なのでございます。そうしますと、相続税の補完税たる贈与税の意味がなくなってしまいます。 やはり贈与税につきましては、そういう観点から、行政上の配慮での少額不追求という意味を超えてこれを引き上げる必要というのは余りないのではないかと思っております。
○武藤(山)委員 あなたが税制を改正する最高責任者ですが、六十万を引き上げる必要はないとおっしゃいますが、いまの地価の高騰やすべての財産の評価が上がっている今日では、六十万というのは低きに失する、私はそういう強い見解です。しかし、あなたの方は六十万でいいんだ、こうがんばっておるわけでありますからこの議論は平行線で、これ以上やっても仕方がないと思います。 それから、大平大蔵大臣にお尋ねいたしますが、愛知さんが大蔵大臣のときに相続税の問題について私も質疑をいたしたわけであります。そのときに大蔵大臣は、都内のポイントとして考えておりますところで、敷地が五十坪で建物が二十坪の住宅の評価額を頭に置いて、その程度までは相続税がかからぬようにする——こういう考え方で居住用財産に税金をかけるなという主張を実はずっと野党の諸君が続けてきたわけであります。生活用の本当に最小限の居住用財産に相続税はかからないようにすべきである。その点について大蔵大臣はどのような御見解を持ちますか。
○大平国務大臣 故愛知大蔵大臣がいま御指摘のような御答弁をされたということを私も漏れ聞いております。居住用の最小限度の必要な財産にまで相続税をかけなくてもいいじゃないかという考え方は、理解に苦しゅうないところでございます。したがって、現行法でも課税最低限という制度で、今回は四千万円を御提案申し上げておりますけれども、最低限の居住用財産には課税が及ばないということを生かそうとしておる立法趣旨をおくみ取りいただきたいものと思うのであります。愛知大臣の考え方の根本にも、そういう共通の願いがあったのではないかと私も思います。
○武藤(山)委員 われわれは都会地でも最低土地七十坪、建物三十坪、その範囲内までぐらいは相続税がかからぬようにしろということをずっと要求してきたわけでありますが、今回の改正で、東京、大阪、名古屋のような大都市圏で居住用財産に相続税がかからないという限度まで到達したかどうか、私は到達しないんじゃないかと思う。特に大蔵省の方のあらゆる資料が子供四人ですね。子供四人というのはもうこれからはかなり少なくなってくる。もう子供二人ぐらいの家庭というのがかなり圧倒的に多くなってきている。子供一人しかつくらぬという家庭もいまはかなり多いですよ。ですから、四千万四千万と言われるけれども、四千万というのは子供が四人いるときの話なんであって、一人だった場合は二千四百万でしょう。定額控除の二千万に四百万。だから、子供が四人という計算で大体標準だ標準だ、こうおっしゃっているから金額四千万、なるほどでかいな、こういう感じだけれども、子供の少ない人は今回の改正でもそれはもうかなりはみ出てしまう。 それから、妻が相続をすればということで、しないのをしたという計算をして税金がかからぬようになると言うけれども、妻が相続するというような家は全体の中からいったら半分ないのじゃないですか。配偶者が相続するというのはどのくらいありますか。
○中橋政府委員 配偶者が遺産の相続をなさるという例は、相続税の課税から見てみまして約六割でございます。
○武藤(山)委員 そうすると、あとの四割は配偶者が相続をしない。そうなると四千万というやつが働かぬわけですからね。だから実際にはかなり課税最低限が——たとえば女房と子供一人、それで女房が相続をしない、子供一人で相続した、その場合の最低限は幾らですか。
○中橋政府委員 女房もなし、子供一人が相続をいたしますとしますと、その課税最低限は二千四百万円でございます。
○武藤(山)委員 そうすると、女房が相続をするのが六割あるというお話でありますが、女房にしないでほとんど長男に相続を一本にまとめていく、そういう日本の伝統的なものはまだかなりあるわけですね、もう半分近く、四割はとにかく女房が相続を受けていないということは。女房が相続を受けているのは六割だったでしょう。さっき、あなたはそう言ったじゃないですか。だから四割の配偶者は相続をしていないわけでしょう。何ですか、いま一生懸命手を挙げようとしているのは。
○中橋政府委員 課税件数のうちで配偶者が相続をしました例は約六割と申しましたのですけれども、その課税を受けました場合は、もうすでに先に配偶者が亡くなっておりまして、たとえば未亡人であったといって相続税を課税された者も、またその次の段階では課税件数の中に入りますものですから六割というような数字を示すのでありまして、配偶者が現に残っておる場合に相続人とならないというようなことはちょっと考えられません。
○武藤(山)委員 子供が成年に達していたら、その妻が相続を受けるなんというのは田舎ではまれです。それは大概せがれが相続をいたしますよ。ですから、妻の計算を入れて、三分の一まではこうで何千万だ、そうして四千万まではかからないんだ、かからないんだと言うけれども、実際には直税部長、現場で取り扱う者から見たら、子供一人で配偶者は相続を受けない、そういう場合というのはかなり多いと思うのですよ。ちょっとそういう数字を出してみてくださいよ。
○横井政府委員 相続税法の制度でございますけれども、たとえば三分の一というのは、配偶者が相続をしなければ適用がないというふうなことがございますけれども、一般的には法定相続分で課税するというふうにしておりますから、したがいまして相続税の申告上は、配偶者がございましたら必ず四千万、一人でも優遇制度を使っておるということでございます。 ただ、実例から見ますと、たとえば農家でございますと、成人をされておる長男の方等が農地を全部相続をされます。したがいまして、配偶者が相続されるのはそれ以外のたとえば預金、現金であるとかあるいは動産であるとかいうふうなところで相続される場合が多いということで、必ずしも限度いっぱいにならない場合がございますけれども、私、実例を扱っておる面から申しますと、配偶者がございまして、申告上全く相続を受けていないというふうなことは、実は聞いたことがございません。
○武藤(山)委員 子供が四人いた場合の例で、全部資料ができているわけですね。これでいくと、国税庁の方ではなかなかうまい数字を出してきて、東京の住宅では二百三十平方メートル、七十坪の土地と百平方メートル、三十坪の家屋で税金がかからなくなるから、大体居住用財産には税金がかからないんだ、標準的な住宅地においては税金はかからないんだ、実はこういう資料をわれわれの前に出しているわけであります。 その例は、板橋区の常盤台一丁目の場所が一番高いということで出しているわけですね。ところが、実際には小さな本屋さんだの小さな商店、それこそ三、四十坪しかない、それが神田だとか品川だとか新宿だとか、そういうところにかなりまだ住んでいるんですね。そういう小さい土地しかないけれども地価がべらぼうに上がってしまっている、そういうところはどうですか、これは課税されないようになりますか。皆さんの方の出したこの板橋区じゃなくて、千代田区とか新宿区とか中央区とか、こういうところはどうですか。
○中橋政府委員 いろいろなポイント、ポイントでございます。それで仮に、いま御議論がございましたけれども、過去の課税実績から申しまして相続人は四・何人というのがずっと例でございます。おっしゃいますように、最近の核家族化の現象によりますれば、若い家庭におきましては子供が非常に少ないのでございますけれども、いま相続税を課税されておる家庭、それもかなり財産の多い家庭でございますので、実績といたしますと、四・何人という数字を示しております。 したがいまして、私どももそういう実績から、一応今日の相続税の課税最低限を考えます場合には五人という数字をとっておりますし、大体通常の場合には、配偶者もその中に入るからと一応考えたわけでございます。もっとも今回の改正によりますれば、課税最低限を考えるにつきましては、配偶者であろうとその他の相続人であろうと金高は違いません。 しかも、もう一つ御配慮いただきたいのは、いわゆる定額控除の金額のウエートというのを今回非常に上げております。四千万円のうちで二千万円という半分にしておりますから、だんだんおっしゃるような線に近づきつつあるというふうにも御理解を願いたいのでございます。 ところで、具体的なポイントでございますが、いろいろそういった配慮を常々私どももやりながら相続税の改正をお願いするわけでございます。ところで、その改正をかなり大幅に行いますのはここ十年ぶりということでございますけれども、その間におきまして、たとえば私どものの評価でございますからちょっと実感に遠いのでございますが、建物を三十坪くらい持っておりまして、それからその他の、建物と土地以外の財産を、そのときの統計から申しまして大体この程度ぐらいあるものであるという想定を置きまして、それでは残った課税最低限の余裕額として宅地がどのくらい持てるかという計算をやってみました。 たとえば、下高井戸のある地点におきますと、昭和四十一年では約九十坪くらい、そういう余裕の宅地があったわけでございますが、これがだんだん宅地の価格の上昇によりまして、こういう計算で申しますと、その坪数は減ってまいるわけでございます。今回改正する前、四十九年におきましてはこれが約四十坪くらいになっておるという計算になりますが、今回のような改正をやっていただきますれば、同じ地点でその坪数は約百五十三坪くらいになるだろう、こういうような計算をいたしております。同じような計算を、たとえば上石神井についてやりますと、昭和四十一年におきましては百二十五坪くらいが宅地として課税最低限の中に入るであろうというような計算をいたしておりましたが、これが今回の改正でやっていただきますと、約百三十坪くらいになるだろう、こういうような計算があります。それぞれの地点でいろいろやってみまして、大体昭和四十年代にだんだんその坪数が落ちてまいりましたものが、今回の改正の暁には、五十年に入りまして大体四十年代の初めの水準を少し上回ったところになるだろうという見通しでございます。
○武藤(山)委員 それはいまの下高井戸などは坪当たり二十万の相場の計算ですね。ところが、千代田区富士見町あたりでは坪六十万、税務署の評価ですよ。それから千代田区六番町六十三万円、こういうようなところはたとえば駅付近とか繁華街に近いところの住宅などは坪七十万、そういう評価を税務署の相続税評価としても出しているわけですね。そうすると、大臣、地価がどんどんどんどん上がってしまうことによって、自分の生活用の財産の評価がどんどん高くなるために、子供の少ない人あるいは子供一人くらいの場合、結局切り坪しなければ相続税が納まらぬ、こういう問題が出てくるわけですね。 そこで、金額からだけ相続税を減税していかないで、一定の土地と一定の家屋の面積の居住用最低限の財産、生活上の最低限の不動産については相続税がかからぬ、そういう制度を相続税法の中に導入すべきじゃないかこういう方向をこの辺でとにかく再検討すべきではないか。 いま大蔵省の言わんとしていることは、そういう一定の土地の面積と建坪について免税になるようなことを、物的な基礎控除というものをやるよりも金額でときどき洗い直して、金額の課税最低限を上げていけばひっかからなくなるんだというのが主税局の言の分なんです。それはあくまで四人家族の場合なんです。しかし、子供が一人しかいなくて、女房はいたけれども女房は相続を受けずに子供に相続させた、宅地を切り坪でもしなければサラリーマンの場合だったら十年間延納したところで納められない。結局住んでおるところを売り飛ばして税金を払うというケースが出てくるわけですよ。 だから相続税も、そういう家族の少ない場合なども考慮すると、やはり物的課税最低限が必要じゃなかろうか、そういう方向を今後、今国会でやれなんてそんな無理を言っているんじゃなくて、今後私は主税局としてじっくり前向きでそういう検討をしてしかるべきではないか、こういう提言なのでありますが、大臣の御所見はいかがでありますか。
○大平国務大臣 御主張される趣旨はよく理解できるわけでございます。それというのも貨幣価値が不安定で、貨幣計算による税制で長く安定的に出てきていることと思うのであります。したがって、一番いい答えは、きのうも高沢先生とのやりとりにもございましたように、貨幣価値を確立していく、安定させていくということが根本でございます。したがって、われわれは勇気を持ってインフレ対策をやって、貨幣計算でもってすべてが支障なくやっていけるような経済政策、財政政策をやってまいることが第一だと思うのでございます。 武藤先生の言われること、よく理解できますけれども、それは十分できないだろうから物的な、客観的な指標というものを導入しておかぬと危ないというのは、ある意味において最初から敗北主義に一部妥協しておる御思想でないかと思うのであります。したがって、こいねがわくは大蔵省を鞭撻いただきまして、貨幣価値の確立に努めて、物的な基準によらなくても貨幣計算でちゃんとやれるようにおまえらしろという御鞭撻がまず望ましゅうございます。 しかし、それはそれといたしまして、われわれ至らない人間のやっていることでございますから、なかなか思うようにまいらないということで危惧の念を持たれていることも無理ないと思うのでございます。したがって、そういうことに対して税制上あるいは執行上いろいろ工夫する努力は同時にやっておくべきじゃないかということだろうと思うのでございまして、そういうことに対しましての検討は絶えず怠ってはならないことだろうと思いますし、本日御提言がございましたことに対しましても、真剣に検討すべきものと私は思っております。
○武藤(山)委員 割り当て時間がどんどん参りますので、いまの居住用財産に相続税をかけるなという問題については、今後十分主税局もひとつ検討していただきたい。大臣から前向きに常にそういう問題については検討しなければという御発言があったわけでございますから、主税局当局も十分ひとつその物的基礎控除というものについての考え方について検討していただきたい。強く要望いたしておきます。 次の問題は、個人立幼稚園の事業用財産に対する相続税の免税問題ですが、日本私立幼稚園連合会、ここから国税庁にいろいろ質問をされているようであります。その質問の趣旨は、私立の幼稚園の事業用財産については相続税法第十二条に言う「学術その他公益を目的とする事業を行う者で政令で定めるものが相続又は遺贈に因り取得した財産で当該公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの」この場合には相続税を非課税とするという規定、この「学術その他公益を目的とする事業」ということで、私立幼稚園それから宗教、寺や神社がやっている幼稚園というものに対する相続税の課税を非課税にしてほしい。それに対して国税庁直税部の名前で、財産が個人に帰属する場合はどうしてもだめだ、実はこういう回答が連合会の方に寄せられているわけであります。 私も幼稚園の主張というものも、今日の日本の実態からいくと、これに相続税をばたばたかけたのではまことにこれは幼稚園の存立にかかわる問題である、こういう感じがしてなりません。過般、東京の幼稚園が相続税が納まらぬために幼稚園を閉鎖した、こういう新聞報道もございました。国税庁の方は、いやそういうのは早く学校法人にすればいいじゃないか、管轄が違うから文部省の方だということで、まさに木で鼻をくくったような回答が寄せられている、血も涙もない回答であります。 そこで、いま幼稚園を学校法人にするのに大変むずかしいということを、一体、国税庁当局は知っているのか。学校法人にする場合のいろいろな基準があって、東京都みたいな土地の狭いところでこの基準どおりの幼稚園にするなどということはもう不可能ですね。周りの土地の買収もできない。結局、幼稚園を閉鎖する以外ないのですよ。そういう実態というのを一体、国税庁はもうちょっと情のある理解をしてやれないものなのか。 まず文部省に伺いますが、いまの私立幼稚園、それからお寺や神社がやっている、宗教関係がやっている幼稚園、これが全国の幼稚園のうち何%ぐらい占めていますか。
○和説明員 申し上げます。 幼稚園の総数は国公私を通じて一万二千六百何がしございまして、そのうちの六割が私立の幼稚園、七千六百十四ございます。その私立幼稚園の中で、個人立幼稚園が三六%余りを占めておりまして、二千七百七十七ございます。それから、宗教法人立幼稚園が私立幼稚園の中の二五%近くを占めておりまして、千八百七十一ございます。 以上でございます。
○武藤(山)委員 本来なら幼稚園というのは、政府が小学校と同じように積極的に助成をし、援助し、あるいは政府が直轄で設立をして教育をすべき、教育という重大な仕事なわけであります。それを国がやらないから、結局民間で個人がやる、お寺がやる、こういうことで現在ただいま発表になりましたような六〇%が私立である。こういう状態を早く改善しろと言われても、現状というのはそう簡単に学校法人に全部切りかえがつかない。学校法人にする場合の基準の最も重要なところはどういうところですか、ちょっと言ってみてください。
○和説明員 一つには幼稚園の設備基準がございます。それは現在の幼稚園設置基準、昭和三十二年の文部省令でございますが、それ以前に設置された幼稚園につきましても、設置者変更等の監督庁の認可を受けます際には、現行の設置基準に適合する程度の施設設備を持っていただきたいということを都道府県監督庁が申しておりまして、その現行の設置基準でもう一回洗い直すということを、いまのところいたしております。 それからいま一つは、学校法人の認可基準、法人の財産としてどの程度のものを要求するかという二つの問題があるわけでございます。
○武藤(山)委員 その二つの基準、中身をちょっと……。
○和説明員 申し上げます。 設置基準につきまして重要なところだけ申し上げますと、たとえば二学級の幼稚園の場合に、現行の設置基準では、園舎が三百二十平方米以上でなければならない、あるいは運動場が三百六十平方米以上でなければならないというような学級数に応じますいろいろな基準がございます。 それから、先ほど申し上げました学校法人の財産としてどの程度のものを要求するかということにつきましては、これは特段文部省で基準をつくってはおらないわけでございますけれども、従来の姿勢は、園地、園舎が原則としては学校法人のものでなければならないという程度の姿勢で来ておるわけでございます。
○武藤(山)委員 大臣、いまおっしゃいましたように、二学級というと八十名ですね。一学級が四十名というように設置基準で決まっていますから、八十名の生徒を収容する幼稚園では、運動場だけでも三百六十平方米なければいかぬ。それに教室が生徒一名について何平方米、全部基準が決まっている。おまけに借金があっては学校法人は認めない。債務があってはいけない。そうすると、国税庁が言ったように、全部学校法人にしたらよかろう、税金の問題ではないとはねつけて、学校法人にどんどんしなさいと言っても、現実にできない。特に東京のような密集しているところでは、この基準に適合するような用地を取得し、拡大をし、文部省で許可を受けられるという条件にないのですよ。 だから、これは国税庁の方にお願いをし、特別に何か特例を考えて、相続税がかからないようにするか、大臣が閣議で発言をして、幼稚園の問題は特別の問題だから現実に幼稚園として稼働しているところについては一定の年数を切って、その基準以下のものであっても幼稚園としての学校法人を認可するように文部大臣、総理大臣が決断をするか、このいずれしか私はないと思うのであります。それでないと、あの子供たちをあんなに大事にして養成し教育して、未来の日本を背負って立つ子供たちのために献身的に働いている幼稚園の先生方や保母さんのことを考えたときには、そう簡単に相続税が納まらぬために閉鎖するというようなことが起こり得ないようにする必要があるであろう、こう考えるのでありますが、大蔵大臣の御所見はいかがでございますか。(中橋政府委員「委員長」と呼ぶ) これはあなたは関係ないじゃないか。閣議でそういう方向でやるか、国税庁がこうするかどっちかだ。これは大蔵大臣じゃないですか。あなたが答えたって、木で鼻をくくったような答えしか出ないのじゃないですか。
○中橋政府委員 いまの幼稚園の問題も、確かにおっしゃるように相続を契機にして問題が起こっておることはよく承知をいたしております。ただそこで、幼稚園の経営というものが非常に重要であることもわかりますが、幼稚園を経営しておられる個人の方のジレンマというようなものも、私は何とかならないかという気がいたします。 と申しますのは、幼稚園の経営をやるという理想に燃えていただいておることは非常にありがたいのでございますけれども、そこに提供されておる財産はあくまでも個人のものとして運用さしていただきたい、そうして相続税はその使用目的でしんしゃくをしてもらいたいと言われるところに実は問題があるわけでございまして、それを解決いたしますためには、やはり将来に向かいまして、一人一人の経営者の意思にかかわらずその財産を幼稚園経営という目的にささげるというようなお気持ちを持っていただければ、何らかの打開的な道が講ぜられるのじゃないかと思います。 ということは、やはりそういう存立の目的のために学校法人にしていただくのが一番いいわけでございます。おっしゃるように、確かに学校法人としての基準が厳しいということはございましょうけれども、そこは私ども税金の面で考えるとともに、今日まで長い間幼稚園経営をやってきたわけでございますから、一定の基準に合わないということで法人化の道が閉ざされるというのも実はいかがかという気がいたすわけでございます。やはりそういうところは、幼稚園経営の実績というものを御勘案の上で何らかのそういう道を開いていただければ、私どもの方でもそれに沿ったような配慮がなし得るのじゃないかと思っておる次第でございます。
○武藤(山)委員 文部省はいかがですか。ただいま中橋主税局長のお話で、現実にある幼稚園というものをまだ存続させなければならない日本の実情にある。しかも、幼稚園の存在は大変重要な意義がある。廃止させたくない。父兄の願いは特に強い。しかし、学校法人にするにはこれこれのこういう規則があってなかなかなれない。となると、現実に幼稚園をやっているところだけ特例的な規則をつくって学校法人が容易に設置される、そういう基準に——現実にあるものだけていいですよ。未来永劫今度新しくつくった制度で緩めっ放しでさっといったというのでも行政上まずかろうと思いますから、何かそういう特例的な措置で、現在ある個人幼稚園が速やかに法人化できるという手だてを文部省はそろそろ検討していいのではないかと思いますが、あなたの職務権限内でお答えできる問題かどうかよくわかりませんが、あなたで答えられない場合には、文部大臣と十分協議し結論を出す、こういう答えがしていただけますか。
○和説明員 申し上げます。 学校法人以外の私立の幼稚園の学校法人化の問題につきまして、実は先ほど申し上げました現在の設置基準に適合するかどうかの審査を、おっしゃるような一定の期間やめるという方向で考えてみたいという姿勢があるわけでございますが、実は学法化の問題はこの問題だけではございませんで、先ほども申し上げました法人の財産としてどの程度のものを考えるかという学校法人認可基準の問題と、それからいま一つ、公費助成をふやしていく方向ではありますけれども、公立幼稚園と比較しますと、やはり父母の納付金が非常に高い問題がございます。また、公私の適正配置もあわせて考えませんと、公益法人として私財を提供したものの後が成り立っていかないという問題があり得るわけでございますので、この三つの問題をある基準にある時点を考えて取り組んでみたい。実はこれは初中局だけではございませんで管理局とも関係がありますので、現在相談しているところでございます。
○武藤(山)委員 それはせっかくひとつ最善の努力を傾けていただきたいし、できるだけ急いで結論を出すような御努力を文部省に強くお願いをいたしたいと思います。 割り当て時間が終わりましたのでやめざるを得ないのでありますが、大臣、きょうは主税局長にみんな答えさせちゃって大臣はここで休業というようなことで——最後に大臣、今度の改正の大問題は、何十億財産があろうが何百億財産があろうが、配偶者が相続をする場合三分の一までは免税、百億あった場合の三分の一は三十三億ですか、これには税金がかからない。妻が相続をし、あるいは妻が亡くなって夫が遺産を相続したという場合にも天井なしに三分の一の範囲内を免税にするということは、国民感情から見て、公平な相続税の改正と言えるだろうか。これはまさに資産家優遇、財産家天国という批判を受けると思うのでありますが、大臣はどのような御見解を披瀝されますか。われわれは限度を設けるべきだ、少なくとも一億か二億が限度、そして国民の公平、公正という期待にこたえるべきではなかろうか、こういう感じがするのでありますが、大臣の見解はいかがですか。
○大平国務大臣 夫と妻の夫婦間の水平相続を相続税法上相続と認めるかどうかということ、それは相続として認めないということでございますならば、これは金額がいかに多くてもそれをとらえて課税という事態が起こらないわけでございますから、非常に割り切った考え方をいたしますならば、三分の一に限ったというようなことも、ある意味において同時代人の間の水平相続の場合に対して非常に不徹底だという見方も私は成り立つのじゃないかと思うのです。 しかし、同時に、あなたが言われるように、これは天井がないじゃないか、資産家優遇じゃないかという御批判はあるだろうと私は思うのであります。したがって、立法政策上の視点をどこに置くかということでこれは決めていかなければならぬと思うのでありまして、武藤さんが言われるような考え方もあるだろうと思うのです。それは現行法により近い立場であろうと思いますし、このかたくなな主税局が今度は妻の座を優遇するということで相当飛躍的な考え方を持ったということは、私はある意味で一つの立法政策上の進歩であったと思うのでありまして、どちらに軍配を上げるかということは国会で決めていただかなければいかぬわけでございますけれども、あながち今度のわれわれの御提案はそんなに無謀なものではないのではないか、相当くみ取っていただいていい決断じゃないかと私は考えております。
○武藤(山)委員 今度の改正でどうしても賛成しかねるのは、私はその一点なんであります。前は婚姻期間十年、そして三千万、そういう一つの妻の座というものを評価してやろうという考え方から、今度は完全に年数も要らない、しかも三分の一の範囲内の遺産相続は一切妻は免税というのでは、これは資産のたくさんある者はますます有利で、たとえば再婚をした、おやじがぽっくり死んでしまった、女房が百億の財産をもらった、その財産にたとえば株だとか骨とう品とかいろいろなものがあったとする、それをどんどん高く売ってぜいたく三昧をしようが、全くこれは自由だ。主税局は、なに妻はやがて年寄りで間もなく死ぬだろうから、またそこで相続税は取れるのだ、取れるのだからいいじゃないかと言うけれども、必ずしも年寄りの女房が来るかわからない。後妻の場合には若い、四十も年の違うピカソみたいのだっておるのですから、若い奥さんが結婚をして、三日目に亡くなった、そうしたら一日に二十億も財産がつくなんというのは、これはどう考えたっておかしい話ですよ。だからやはりこの青天井にしたということについては、私はどうしても賛意を表するわけにまいりません。しかし、時間でありますからやめます。
○上村委員長 小林政子君。
○小林(政)委員 私は前回も問題にしてまいりましたけれども、いわゆる夫婦間における贈与税の問題についてお伺いをいたしたいと思います。 最近、夫婦がそれぞれ職業も持ち、そして社会的にもいろいろな役割りを果たしているという家庭が大変ふえてきております。私は本来、このような夫婦共かせぎあるいはまた婚姻中に形成をされた財産については、これは全く夫婦がお互いに協力をしてそして得られた財産でありますので、この夫婦間における財産の贈与という問題については、私は課税をすべきではないというふうに考えております。 共かせぎ夫婦の場合、土地を購入しようあるいはマイホームをつくろうというような場合に、夫婦共同名義にすればよいではないか、この前そういうお話でしたけれども、実際には夫婦が協力をしてマイホームをつくろうとする場合には、夫の収入だけではとても手に入らない。したがって、どうしても共同で妻も一緒になってマイホームをつくろう、こういうことがずっと行われているわけですけれども、その場合にどちらかの名義にすると、夫の名義にすれば妻からの贈与があったんじゃないか、妻の名義にすれば夫から贈与があったんじゃないか、こういうことで、二人が協力をしてつくった財産についても贈与税がかかるということは、共同名義にすればこれはかからないと言いますけれども、現実の問題として、夫婦間で協力をしてつくった財産に、制度上その名義いかんによっては贈与税がかかるということは、どうしてもこれは納得がいかないわけです。 この前も何回かここで論議もいたしましたし、これは主税局などでは、いまの夫婦財産制度が別産制をとっているというところから出てくる問題だというふうに言われましたけれども、私は、別産制をとっているという民法のたてまえがあっても、当然これは夫婦間の協力をして得た自分たちのマイホームというものについて、どちらかの名義にしたらそれが贈与税の対象になるということは、これは不合理だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○中橋政府委員 この前にも申し上げましたが、いまおっしゃいました例につきましては、二通りのことが考えられます。 いま小林委員がおっしゃいましたのは、夫婦がそれぞれ所得の源を持っておって、かせいで得ましたそれぞれの財源をもとに、二人でマイホームをつくった場合に一方の名義にする、そういった場合にも贈与税の問題が起こるのはおかしいではないかというのが設例のようでございますけれども、そういう場合に、私はむしろ、前にもお答えいたしましたように、せっかく共かせぎの御夫婦がそれぞれの財源を得られてつくられた財産でございますから、仮に登記をいたします場合にもそのままの形をあらわしていただければ、贈与税の問題は全然起こらないで済むんじゃないかと思いますが、そのときに、せっかく二人で築き上げられた家をどっちか一方の財産として表示しようとするところに、実は実態と離れた点がございますから、どうしてもまた贈与じゃないか、贈与税が起こるということがあるのではないかと思います。 それから、もう一つの例としまして、どちらかが働いておって財源を得てきますけれども、小林委員のおっしゃいますように、片一方が働いて得てきた所得であっても、内助の功というのがあるんだから、それは二人でかせいだものと考えるべきではないか。したがいまして、仮に夫がかせいでまいりました財源の中から妻の財産をつくったというときにも、贈与の問題が起こってくるのはおかしいではないかという部面もあるかと思います。その場合に、私はこれもまた前に申し上げましたように、いまの民法の夫婦財産制度というのはおっしゃいますようなことになっておりません。私は、確かに夫婦の財産として一つの有力なる物の見方とは思っておりますけれども、まだまだわが民法においてはそこまで発展をいたしていないといいますか、そういう制度をとっておりません。したがいまして、残念でございますけれども、夫がかせいできました所得は夫の財産でございますから、それから妻の財産をつくりましたら、どうしてもそこでは法律的には贈与ありとせざるを得ないわけでございまして、その場合にはまた贈与税の問題が生じてこざるを得ない、こういうことに相なるものと思っております。
○小林(政)委員 そこまではこの前の論議としてずっと出てきていた問題だと思うのです。 夫婦別財産制の問題については、民法にこういう規定があるからそれはむずかしいんだということですけれども、私は、やはり男女同権の思想といいますか、収入を得てきた者がその自分の収入によって財産を購入するという場合には、それは当然所得を得てきた者の名義にするということは、いわゆる別産制の考え方ですけれども、こういうことはこれは当然だと思います。 だが、しかし、夫婦間で婚姻をしてから協力をして自分たちのせめてマイホームというようなことを何とか実現しようとする場合に、いわゆる税制の面でそういう問題の配慮というものがあっていいのではないか。ましてそれが居住用資産というような場合に、これが当然贈与の対象として見られるということはおかしいのではないか。これは妻の場合に、収入があるないにかかわらず、夫婦間で協力をしてつくった自分たちの家なり土地なり、こういうものが贈与の対象として課税対象になるということは、いまの社会の実情その他を踏まえても、これは税制の面で配慮すべき性格を持っているものではないだろうか、こういう点についてはいかがでしょうか。
○中橋政府委員 ただいまお話しのような点を実はわが相続税法でも配慮いたしまして、いまおっしゃいましたように、長年の寄与にこたえまして配偶者が他の配偶者に居住用財産を贈与しました場合には、ある一定限度に応じまして贈与税を課税しないという制度を設けておるわけでございます。その気持ちは、全くいまおっしゃいましたようなことを反映して設けております。
○小林(政)委員 もちろん贈与税の場合は相続税の前払い的な性格も持つという点もあるのかもしれませんけれども、やはり贈与税の中でこういう具体的な事例もたくさん出てきております。したがって、夫婦間で婚姻中に形成した財産というものについては、当然これは贈与税の中で配慮をしていくべき問題ではないか、こういうふうに思っております。 それで、夫婦別産制と言いましても、実際にはいろんな事例がございます。たとえば個人経営の商工業者といいますか自営業者、この場合に、青色申告の場合には、家族が協力をして一緒に働いている場合には給与制度をとっておりますけれども、白色申告の場合、実際に小さな店を一つ持っているという中では、本当にもう一家の家族労働の依存というようなことでそれが切り回されている。しかも、そこで働いている妻は、現実には家のこと一切をやりながら、しかもそれだけではなくして、帳簿の記帳から、仕入れから、資金繰りから、店番から全部その責任も負い、一緒になって仕事をしているわけです。 ところが、実際に専従者控除というのは、今度は四十万ということですけれども、いままでは三十万で、四十九年度は二十七万五千円ですね。それで配偶者控除も受けられない。夫婦別産制と言うけれども、妻の働いているこの問題について、労務費という対価は、具体的には今度の税制だって年間四十万円にしかならない、こういうことになるわけでしょう。夫婦別産制というのをとっているならば、当然——妻が一緒になって一つの店の経営に携わっているという場合に、その労働に対して妻の所得というものは全く無視された形で、専従者控除が今度は十万ふやして四十万ですよ。あなたの給与は一年間四十万というような形にしかならないわけです。 私は、夫婦別産制と言うけれども、こういう問題が課税の実態の中にこのまま残されていて、そして所得を得た者がそれによって得た財産がその人に所属をするというような考え方だけでは、これは納得がいかないのです。たとえば、このような店を経営していた人が、たまたまそれじゃ何とか土地を少し買おうというようなことで土地を買えば、これはあなたには現実に所得がないんだからということで、妻の名義になった場合には当然贈与税がかかってくる、こういうことが起きるわけでしょう。いかがですか。
○中橋政府委員 通常所得のない方が財産を取得せられたという場合には、その財源の説明を求めざるを得ないのでございます。しかるべき財源の御説明がないときには、やはり贈与が行われたということで判断をすることになると思います。
○小林(政)委員 所得がないと言うけれども、実際にはその店を経営している場合に、もう妻がほとんど半分は、あるいは半分以上事によっては協力をしている。そしてその店全体の所得が得られているということは、これはもう否めない事実だと思うのです。しかるに実際には、これは商店の方々、自営業者みんなに聞いてみれば、そこでの妻の座というものがいまどんなに低いところに置かれているか。税制の上でも専従者控除というようなものしか認めていない。自家労賃を認めてくれと言っても認めない。そしてあなたの所得は今度でいけば年間四十万だということで、あなたにはいわゆる所得の裏づけがないから、したがって買ったこの土地についても、これは夫から贈与されたものだという形で贈与税がかかるということは大変不合理ではないでしょうか。
○中橋政府委員 いま、夫婦共同ということで所得は分けられるべきである、それを反映していない税制は非常に不合理である、否めない事実を曲げているというふうにおっしゃいましたけれども、実は私はその前にやはり民法の問題があると思います。わが国民の感触というのが確かにそういうことであるというならば、恐らくは民法の夫婦財産制度というものもそういう方向に改正されてしかるべきものだと思います。 ただ、残念ながら、実はそこまで行っておりません。むしろ私は、税法の方がその点では一般の財産制度よりも進んでおるのではないかというくらいに思っております。ただ、そのときに、おっしゃいますように、白色申告と青色申告との間については差がございますけれども、それはそんなにお店のことをおやりになるのであれば、やはり家計と企業というものの経理を分離していただければ、もう十分その労働の対価に対する給与というものは今日の所得税法上は控除するようになっておりますから、ただもうその企業と家計の経理の分別ということさえやっていただければ十分その実態に合うことになりますので、ぜひそういう道をおとり願いたいのでございます。
○小林(政)委員 これは当然勤労に従事しているのであるから、税制上自家労賃を認めるべきだという強い要求は、もういまここで論議しようとは思いません。この次の租税三法のときに譲りたいと思いますけれども、こういう形で要求が出ても、税制上の立場では、あなたのところは専従者控除だけですよ、それを認めれば配偶者控除も認めないのだという形で、別産制ということを言いながらも、実際にはその妻の所得というものを、いわゆる労働の対価としても正当に見ていない。こういうことを一方でやりながら、まあ夫婦の間で話し合ってよく協力もしてくれているし一緒にやっている、せめて少し土地を何とかしようということで妻の名義にすれば、それが直ちに贈与の対象になる。 私は、当然、この夫婦間の贈与という問題についてはこれは課税すべきではない、特にささやかな自分たちの住居だとかあるいは本当にそういうものについて、それを夫婦間の贈与とみなして課税をするというようなあり方は税制の上でこれを改正していくのは当然のことじゃないかと思うのですが、この問題についての大臣の基本的なお考えをお伺いいたしたいと思います。
○大平国務大臣 いまの御提起になっておる問題は、民法で割り切られて、税法でも実態に即して処理ができるという体制になっておればよろしいわけでございましょうけれども、民法がまだそういう姿勢はとっていないようでございます。税法は、しかしながら、やりようによりましては合理的な処理ができる仕組みはとり得ると思いますが、ただ小林先生のおっしゃる問題は、現実にそういう処理を、毎日忙しい中で記帳その他ができない立場におられる方にそれを強いるというようなことは、なかなか現実にむずかしいのではないかというようなところを御指摘になられておるんじゃないかと思うのであります。 したがって、税法の執行面でそういった点について工夫をこらす余地があるのかどうか、そのあたりはなお私も検討してみなければならぬと思いますが、制度全体の問題といたしましては、ひとり税法だけの問題ではなく、日本の法律制度全体の問題としておっしゃるような仕組みにはまだなっていないということでございますことは、いまるる政府委員から申し上げたとおりでございます。税法の領域におきまして執行の面において工夫すべきものもしありとすれば、なお検討してみたいと思います。
○小林(政)委員 私は、民法が別産制をとっているということが税法上の改正を行う障害になるならないという問題じゃなくて、この夫婦間の贈与という問題については課税をすべきでない、こういう立場でぜひ今後一層検討をしてもらいたいというふうに思います。 それから、配偶者に対する贈与税の中では、結婚後二十年たてば一千万円までいわゆる免税にするということがございますけれども、この二十年という根拠が何によってつくられたのかということが、前回も何遍か意見をここでも述べ、また聞きましたけれども、根拠というものが大変はっきりしない。私は、むしろ配偶者に対する贈与の問題については、二十年というこの期限をさらにもっとこれについて緩和措置をとるということがきわめていま必要ではないかというふうに思いますけれども、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
○中橋政府委員 贈与税におきまして、居住用の財産を配偶者に贈与しました場合に特例があります。そのときにおっしゃいますように婚姻期間の制限がございますが、これが二十年でなければ絶対にならぬのかということは、もちろんそういう基準として設定できるものではございません。しかし、それではもう少し緩和していいのではないかというふうにおっしゃいますけれども、それじゃ一体何年がそれよりすぐれていいのかということになりますと、必ずしも短ければ短いほどいいというものでもないと思います。やはりおっしゃいますように、この制度が配偶者のそういった寄与ということで考えられるといたしますならば、ある程度の長さというのが必要になると思います。 その長さを一体どこにとるかということになりますれば、前々から申し上げておりますように、まずまずは俗に申しますような銀婚というようなことが一つの峠でございまするから、それよりも少し短いところの二十年というのがやはりまずまずの基準期間ではないかというふうに考えております。
○小林(政)委員 考え方として、私は、やはり二十年という根拠というのは依然としてわからないわけです。夫婦間のそういう贈与について、まして居住用の資産について、これは贈与税の対象とすべきでないということがまず前提ですね。そして大臣が、この問題についてはいろいろ何か配慮ができればという意味でさっき御答弁もいただきましたけれども、そうであるならば、せめて二十年たった場合に居住用の資産については一千万円免税にするというこの妻に対する措置は、これはやはり寄与率云々ということもありますけれども、夫婦間での財産を築いてきた寄与率その他を考えれば、私はもっとこれは引き下げてしかるべきではないかというふうにお聞きしたわけですけれども、この問題について今後具体的にこれを引き下げていくという意思があるのかどうか、これは私は大臣にお伺いしたいと思います。
○大平国務大臣 二十年がいいのか何年がいいのかということは、先ほども御答弁がありましたように、絶対的な基準というようなものはないわけでございますが、検討すべしという御提言でもございますので検討いたします。
○小林(政)委員 もう時間もなくなってまいりましたが、私は先ほど来妻の座ということについて——大蔵大臣も、大変かたくなな税務当局が今度はえらい配慮をしてということをおっしゃいましたけれども、実際には妻の座という問題について、いままで言われてきていたような庶民の本当に生活をしている妻、中小零細業者の妻を見ても、あるいはまた、勤労世帯の中におけるつつましくささやかにいろいろやり繰りして苦労している妻を見ましても、本当にまだまだ妻の問題については今後とももっと重視をしていかなければならない、こういうことを痛切に感じていますけれども、片や相続税に至っては、先ほど来からいろいろと論議されておりますとおり、妻の座を優遇するのだということで、いままで免税の限度額というものを設けていたのをその限度額も取り払い、そして実際には何十億の財産があっても、それに対しては妻の法定相続分については一切課税しないのだ、こういう措置をとられているわけです。 私どもが妻の座をもっと重視をする必要がある、税制の上においてもあるいはその他の法の上においても妻の座をもっと重視する必要があると言うことは、こういう特定の一部の資産家といいますか、それこそ何十億財産があっても三分の一は全部青天井で課税しないというようなことではなくして、一般の庶民の妻というもの、ここにこそもっと優遇の措置をとるべきではないかというように考えて言っておるわけであります。 いただいた資料を見ましても、課税価格階級区分表というこれを見てみましても、三千万円から五千万円のところを見てみますと大体これは四〇%、そしてそれ以上一億を上回るものについてはわずか一%、実際にこの数字で見てもほんの一%にすぎないというような層に、どれだけ財産があっても三分の一までは課税しないのだ、こういう措置が実際にとられているわけですね。私はこれこそ不公平だと思うのです。むしろ妻の座という名でこういう優遇措置をとるのなら、これは本当に金持ちの優遇措置であって、私どもがいま言っているのは、本当に中小零細の業者で、夫とともに真っ黒になって働いている妻に対してもっと優遇措置をとってもらいたいということであります。このような特権的なごく一部の妻を優遇するという名のもとで、今回相続税でこのような措置がとられたということは、私はきわめて遺憾だと思います。 この問題については、いままで私が述べてまいりました同じ妻の座であっても、本当に庶民の妻の座という点と、今回の措置との関連において、大蔵大臣の所見を私はひとつお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○中橋政府委員 相続の場合と贈与の場合につきまして、配偶者間における財産移転について分別して考えているのはおかしいじゃないかという御趣旨だと思いますが、それは私がるる申し上げておりますように、相続と申しますのは、人間では何ともできない死ということを契機として起こるものである。贈与につきましては、それは当事者の意思によって起こるものであるということで、差をつけてしかるべきものをと私は思っております。 また、贈与についてもっと配偶者間の財産移転について配慮を加えるべきではないかというお話でございます。それは確かに一つの有力なる御意見だと思っております。 ただその際にも、相続につきまして、私はそういう全く偶発的なできごとによって起こる相続について限度を設けないということは、一つの配偶者に対する評価というものを徹底したと思っておりますけれども、それについてなお徹底し過ぎておる、これについてはある種の条件が必要であるというふうな御意見が非常に強いわけでございますが、やはりそういうことは配偶者間における財産というものについても、特別に考えるというのは、なおむしろ今日のわが国の時勢としては少し早いというような御意見があるという証左ではないかと思っております。 私はそういう点から言いまして、本人の意思によって行われる贈与につきましては、やはりある程度の条件がつく。しかもそれを打開するためには、いろいろそういった配偶者間の財産移転というものについての国民の考え方がだんだん変わってくることによりまして、民法のそういった制度も変わってくるというのが基本的には必要でないかというふうに考えております。
○上村委員長 広沢直樹君。
○広沢委員 きょうは、いま審議中の入場税法あるいは相続税法について最終的な審議をし、大蔵大臣の意見を聞こうということで大蔵大臣の出席をいただいておるわけでありますので、私もいままでずっと論議を重ねてまいっておりますから、あと要約いたしまして大蔵大臣に若干伺いますので、ひとつ大臣の答弁をよろしくお願いしたいと思うわけであります。 そこで、今回の税制の改正に当たりまして大きな目玉と言えば、いま審議中の入場税法であり、そして相続税法の一部改正であります。まず私は、その入場税法の一部改正について先般来、事務当局の皆さんにそれぞれ質疑を申し上げてまいいっておりますので、二、三大臣の所見を伺っておきたいと思うわけでありますが、先般の質疑の中で、今回大幅に入場税の免税点が引き上げられておるわけでございますが、これはいままでにない大きな前進だと私も評価をいたしております。今回の改正で今後大衆料金には課税しないという、結果的にはそうなっているわけでありますが、そういう意味にとってよいのかということを当局にお伺いした折に、隣におられる中橋局長は、そういう意味になるという答弁をなさっておられたわけであります。大臣はこの点についていかがなものでございましょうか。簡単にお答えいただきたいと思います。
○大平国務大臣 この入場税の発生の歴史から申しますと、御指摘のように、これはある意味で大衆課税であったと思うのでございますけれども、今回のような大胆な改正の洗礼を受けますと、これは大衆課税ではないのではないかということになると思うのでありまして、言いかえれば、もう入場税の性格が変わったと観念すべきじゃないか。したがって、税本来の面目に返りまして、入場者の消費支出に端的に示される担税力に応じて課税するということで割り切って考えてもいいものじゃないかという感じを持っております。
○広沢委員 ただいま大臣から、考え方は変わってきたという御答弁ありました。確かにこの入場税は、再三説明もありましたけれども、創設当時は戦費の調達とかあるいはその当時の時代背景から考えていわゆる娯楽的なものを抑制していく、こういう意味合いがあったと思うのですが、戦後はまたこれが、そういう意味合いから社会背景が変わりましたからサービス課税、こういうことになってまいりました。サービス課税ということでありますので、入場税については免税点が百円と、改正になっても免税点が非常に低く押さえられておったわけですね。ところが、いま大臣のお答えのように、今回の改正によりまして一挙に映画については十五倍、あるいは演芸とかスポーツ、見せ物等については三十倍ということでありますから、実態に即して考えてみましても特別料金だけにしかかからない、こういう実態であります。 こういう一つの大きな変化があったということは、いま私も申し上げましたとおり。そしてまた、税率も五%と一〇%と二段階になっておったものが一〇%ということになっておりますから、そういうことを考えてみますと、サービス課税の中でも大衆と言いますか、そういう一般的なものについては入場税としての課税は今後は廃止する、そして特別的なものだけに限って担税力ということにウエートを置いて課税する、こういうふうにこれは姿勢を明確にしておく必要があるのではないか、こう思ってお伺いしたわけでありますが、そのことをはっきり肯定されましたので、次の問題についてお伺いしたいと思います。 そこで、今度はもう一つ、入場税の性格の中で営利を目的にしない、こういったものについてはやはり非課税にすべきだという持論は、私は先般も申し上げたわけであります。それについてはいろいろな議論もありましょうけれども、人間性を高める意味において、社会的あるいは文化的、教育的な催し物についてはやはり非課税にすべきではないか。時代の背景はだんだん変わってきまして、今日のように社会教育面から考えても多様化した社会でありますから、入場税法の中では学校あるいは社会教育関係の団体が主催する催し物が一定の要件に該当する場合は非課税並びに免税、こういう措置を事実とられることになっております。ですから、そういう意味において、いま言う社会の多様化に即応していわゆる社会的あるいは文化的、教育的なものについては、単なる営利を目的としないというものについては非課税にしていく。事実今回の免税点が大幅に引き上がりますと、現在のそういった催し物についてはほとんど非課税になってしまうわけでありますから、実態的にはそうなるということになるのです。しかし、これは法律がある以上は、その根拠としてはそういう考え方で運用すべきじゃないかと私は思うわけでありまして、その点について大臣の所見を承っておきたいと思います。
○大平国務大臣 それは先日山中先生との間でもそういうやりとりがありました問題でございます。そういう催し物の文化的なあるいは教養的な性格によりまして課税、非課税を決めるべきではないかというお説と、そういうことは税務署の判断からは勘弁していただいて、税務署としては一般的に入場料の多寡ということで割り切らさしていただきたい、そういう文化的な評価という問題には深く立ち入らないようにさせてもらいたい、この二つの考え方があるわけでございますけれども、沿革的に言うと、山中先生もきのう御指摘になったとおり、すでにそういう考え方で免税措置がとられておるケースがあるわけでございます。 したがって、われわれはそれを尊重して執行に当たらなければいかぬわけでございますので、いまそういう考え方を全部整理しまして、ドライに割り切ってやることにいたしますというわけにもまいりません。従来の政府のとってまいりました方針というものは尊重してまいらなければならぬわけでございます。ただしかし、いま御指摘のように、大部分が今度の改正で課税から外れてしまうことになるわけで、実際問題としてひっかかるケースは少ないと思いますが、そういうことから完全に脱却することは私はできないと思うのでございまして、そういう立法政策は依然としてまだわれわれの課題として残っておると思うのでありまして、いずれの時期かにどちらかにちゃんと割り切って直すべきものは直すのが正しいのではないかと思いますけれども、今度の改正ではまだそこまで全部の思想的整理ができていないということは御理解いただきたいと思います。
○広沢委員 それからもう一点、入場税について今回の改正の問題についてお伺いしておきたいのですが、今回の改正で据え置きになったいわゆる競輪あるいは競馬等のギャンブルの問題なんですが、これは先般、私、議論の中で政務次官からも一応お答えはいただいておりますけれども、これに対してこうするという明確なお答えがありませんので、きょうは大臣御出席でありますので伺っておきたいと思います。 これは四十六年の改正以来、四十八年にも改正がありましたが、四十六年の改正以来低く据え置かれているわけです。ということは、いまこういうギャンブルについては、免税点が三十円ということになっております。その意味は何なのかと言いますと、これはやはり整理料金的な性格が強いということもありますし、それだから低額である、特にギャンブルに対する社会的批判にこたえる政策的な配慮だ、こういったことが一つの据え置いておくという主な点であるようであります。 それならば、比較的低額であることから免税点を設けてわざわざ非課税にする必要はないのではないか。現実にいま百円ぐらいの入場料を取っているところもありますし、あるいは免税点以下の二十円あるいは三十円というのも先般の局長の答弁の中に具体的にありました。いろいろとございますけれども、やはりこういう社会的批判にこたえるという意味から考えていくならば、こういったものについてわざわざ免税点を設けるというのはいかがなものだろうか。この際、そういう面からもう一遍見直してみる必要があるのではなかろうか、私はこう思うわけでありますが、この点についてはいかがなものでしょうか。
○大平国務大臣 ギャンブル税制ばかりでなく、ギャンブルをどう取り扱うかという問題、これは相当緊張を呼んでおる政治的な問題だと思うのであります。したがって、これの税制をどう考えるかということも、その一環として私は手軽に考えてしかるべき問題とは考えないわけでございまして、本来これは相当念を入れて、政府の問題としても国会の問題としても取り上げて、深く論究していかなければならぬ問題ではないかと思っております。 したがって、政府委員は、今日まで御提案のように、少額不追求というようなことでもう深追いはいたしませんというような答え方もしていないで、従来の経緯は一応尊重いたしておくことにいたしますというようなお答えをしたと思うのでございますが、これは入場税とは別個のもっと広い視野において、いろんな視点から検討すべき課題を持っておると思いますので、引き続きギャンブルに対する課税をどうするかということについては検討さしていただきたい。いま明確な御答弁ができないのは非常に残念でございますけれども、ひとつ預からしていただきたいと思います。
○広沢委員 それでは、相続税のことについて二、三お伺いいたします。 今回、いまの人場税の問題については当局は相当思い切って免税点を引き上げた、これは評価に値するのですが、確かに相続税についても非課税措置はいままでにない大幅なものになっております。先ほどからも論議が出ておりますように、私もこの相続税の非課税のあり方が少し行き過ぎたんではないか、こういうふうに考えております。もちろん私どもは、いままでこの夫婦間の相続につきましては、やはりこれを配慮すべきである、非課税にすべきである、ただし青天井でいいということを申し上げたことはないのでありまして、やはり一定限度に基準を設けてやっていかなければならないということを申し上げてまいりました。 そこで私は、議論は前々から皆さんがおっしゃっていることと私も同じなんですけれども、ただ、今日の情勢から考えてみまして、この相続税の改正に当たってやはりもう少し配慮しなければいけないんじゃないだろうか、こう思うわけです。というのは、高度経済成長のもたらしたひずみの是正、なかんずく社会的不公正を是正する、これは急務だということは大蔵大臣も財政演説あるいは所信表明で盛んに申されておるわけですね。その是正のためには、税制の機能もこの際また十分に活用していかなければならぬ。そうなれば、言うまでもなく税制の持つ機能というのは所得配分、富の再配分、こういうことであります。また、特に高度経済成長の荒れ方によってもたらされたインフレが高進すればするほど、こういったものの不公正というものは拡大しているわけでありますから、この際十分にそれを頭に置いて改正しなければならぬはずなんですね。 その意味においては、その相続税の非課税の措置というものが大幅に上がってきたということは評価できるわけなんですが、その中にいま申し上げているような問題を含んでいるということは、これはやはりこの社会的不公正の是正という一つの前提に立っての相続税の改正の中においては、どうもこれは解せないんじゃないですか。この点との関係をどういうふうに大臣はお考えになっておられるのか、この際明確にしていただきたいと思うのです。よろしいでしょうか。 社会的不公正を是正しなければならぬということは、これはもういまの時代の最大の課題であり要請であると説かれる大臣が、今度は相続税の改正においては、相対的には前進したといえども、中にはいま言うようにまさしく社会的不公正を拡大する結果を招くというような改正のやり方をやるというのは、これはどうも解せないじゃないかということなんですが、いかがですか。
○大平国務大臣 社会的不公正を是正するということ、これはことしの財政で考えなければいかぬことであるばかりでなく、いつでも考えておかなければいかぬことなんでございまして、過去においてもこれが最大の問題でございましたし、また将来においても私はこれが最大の道標であることは変わりないと思うのでございます。 しからば、税制というのは社会的不公正の是正という観点だけで立案していくかというと、いまいみじくも広沢先生も言われたように、税の持つ役割り、機能というものを生かしていかなければならぬわけでございまするし、また時代が変わるに従いまして、税制のあり方というようなものもいろいろ考え直していかなければならぬことは当然でございまして、今度の相続税の問題として一番大きな問題は課税最低限を大幅に引き上げたということ、これは昭和四十一年以来三倍ないし四倍物価が上がったというような点も考えまして、税制をそれに合わしていかなければならぬ現実の必要があったわけでございますので、これは当然税制当局といたしましては考えなければならぬことであったと思うのでありますが、ことし妻の座に特に光を当てて、しかも際限なく青天井に資産を持つ妻を優遇するようなことをやることは社会的公正に逆行するじゃないかという御批判を、ずっときのうからも伺っておるわけでございます。 私はそれは大きな誤解が一つ前提にあるんじゃないかと思うのでございます。つまり、私もたびたび申し上げておりますように、夫と妻というのは同時代人だということでございます。同時代人で、しかも協力してつくった財産というものの水平移動ということを、相続税法上相続としてとらえるかどうかということ、いままではとらえてきたわけだけれども、それはとらえないという考え方もあり得るわけなのでございまして、今度は、中途半端だけれども、それはもうとらえない方向に割り切ったわけでございます。それは一つの社会的不公正の拡大だなどという思想と全然縁もゆかりもない措置だと思うのだけれども、何でそれと結びつけて御批判をいただかなければならぬのか、私にはちょっと了解がつかないわけなんでございます。 それならもうそんなことやめたらいいんで、妻の同時代の水平的な相続は、相続税法上従来どおりの考え方でいくべきであって、やはり多少の修正でやっていく。ぼくは皆さんの方が非常にコンサーバティブだと思います。主税局の方が物の考え方がうんと進歩的だと思うのですよ。ですから、それは社会的不公正と違った観点から、本来、相続税法というのはそうあってしかるべきじゃないかという原点に返っての改革だと評価していただけないものか、いかがでしょうか、広沢先生。
○広沢委員 確かに、いままでの相続税法のあり方というのは、いま大臣がおっしゃったように、夫婦間は同世代人として一つという見方を、いままでの相続税のあり方としてはしてきていないんです。しかし、確かに妻の貢献度というものはある程度認めてきたから、限度を設けてきたわけです。それで、今度はまた、婚姻期間をとにかく十年だったものをそれも外してしまっていますね。ということは、結局いままでの考え方を大臣がおっしゃるようにがらっと変えてしまって、いわゆる一つという見方にしてきた、こういうわけですね。それは理論的にはその意味はそれで通ずるんです。それはわからぬでもないのですよ。 だけれども、そういうふうにしたからそれじゃ結果的にはどうなるかというと、これは理屈ではそれで合うんですが、現実の問題としては、多く財産を持っておる者とそうじゃない者との差というものは、大きく開きが出てまいります。相続税の目的そのものは何なのかといえば、先ほども局長が答弁なさっておりましたけれども、資産への課税である、いわゆる財産の再分配、こういうふうに先ほど局長は答弁されておられるわけですよ。そうでしょう。そこで最終的に所得を是正していくんだ、こういう意味が相続税にはあるわけですよ。 それならば、いま言うように限度を設けてやってきた中で、いま理屈がそうだからということにしてしまいますと、何億円、何十億円持っておろうとそれは非課税になってしまうというような結果が出てくるわけですから、仮に理屈はそうあるとしても、そこに、今度は逆に、理論を変えたとしても、限度を設けていくことがやはり政策的に必要ではないか、こういう意味なんです。それをマクロ的に見ますと、やはり社会的な公正、分配というものが問題になっているときに、一挙に、理屈が変わったから、理論を変えたからこれを青天井にしてしまうということは行き過ぎではありませんか、こういうわけなんですが、その点おわかりになりませんか。
○大平国務大臣 よくわかります。先生のおっしゃることよくわかるのですが、本来、いままでの税法で、配偶者が死んだことをとらえてそのときに相続税を働かしておったということが間違いだ。間違いだということに気がつけば、もう過ちを改めるときにははばかってはいかぬのです。早いところ改めた方がいいわけなんでございまして、だから、それを今度はわが税務当局はそういう正しい方向に一遍相続税を編み直そうとしておるわけでございますから、けなげにもよく考えたということで鞭撻をしていただきたいと思うのです。 あなたの言われることはわかります。それは大きな改革なんですから、従来の考え方からいくとそういう立論も十分成り立つと思いますけれども、広沢先生の考え方は非常に保守的な手がたい考え方だと思います。主税局の方が非常に革新的だということには、だれが聞いておってもそう思うと思うのです。 しかし、それじゃどちらがいいかということでございますが、幸いにもうこの程度の改革ができるようになった、かたくなな主税局もそこまで踏み切れるようになったのだから、ひとつそれでは一遍やらしてみようというくらいの寛容を私はお願いしたいと思います。
○広沢委員 大臣はこちらの方が保守的で主税局の方が革新的だ、こういうふうにおっしゃいましたけれども、私は何も理屈がおかしいと言っているのじゃないのです。そういう一つの理論を変えるなら変えても結構だけれども、その変えたことによって生まれるそういうふうなアンバランスはやはり是正すべきではないか。それが是正される措置が何らととられずにそのまま出してきているから、ここは直すべきではないかと申し上げているのであって、別に旧来の形に戻ってしまえと私は一言も申し上げているわけじゃありませんのです。 そこで、それならばこれからの課税の原則は、これを提案申し上げます。 生きていくために必要な一定の限度、こういったものについてはいわゆるシビルミニマムを決めて、他の資産については税制機能の原則を生かして課税していくという考えに将来は立ってしかるべきじゃないか。 あるいはもう一つ、もう時間がありませんので申し上げておきたいのは、これはここだけで考えるのではなくて、やはり富裕税とか財産税とかそういった面の税制を考える上において、これと整合的に考えていかなければならない問題も出てこようかと思うのですよ。そういうこともあるので、ただここだけでそれがどうだと言うと反論もあろうかと思いますので、その点の整合性を考えて、将来そういった富裕税的なものも考える、あるいは財産税的なものも考えるということなのか、いま申し上げたように、やはり一定の限度を設けて、そのほかについては課税していくという方向で将来は考えるのか、その点だけをお答えいただいて、時間ですから質問を終わりたいと思います。
○大平国務大臣 第一点の方はシビルミニマムといいますか、そういうものは課税しない、というより課税の圏外に置くように努力すべきでないか、これは先ほどからも各先生方の議論の中にございました思想でございます。私といたしましては、課税最低限というものが適実に設定されて、貨幣経済が安定していくということでございますならば、それが一番望ましい姿だと思いますが、皆様の頭の中には、そういうことが将来危ぶまれるので、何か物的な、何か客観的な保証がないと不安だというお気持ちがどこかにおありになるようでございます。 だとすれば、これは税制をどう編むかという問題も、あるいは執行に当たってどう考えるかという問題も、いろいろめんどうな問題でございますけれども、そういう不安が現実におありとすれば、これはまた税務当局としてはいろいろ考えておかなければならぬ問題であろうと思うので、そういう点について、インデクセーションの問題とかなんとかいろいろめんどうな問題もあるようでございますが、これは引き続き検討さしていただきたいと思います。 第二の富裕税、財産税との関連でございますが、私は、まだ不敏にいたしまして、そこまでの関連を持っていま相続税を考えていないわけでございますが、しかし、富裕税は先進諸国でもすでに取り入れて現実に実行に移しておる国もあるようでございますし、日本でも論議があるようでございまするし、したがって、これは財産税には間違いないことだし、そういう関連においても、もっとそういう財産税という立場から、共通の性格を持っておるわけでございますから、これはひとり相続税だけの問題でなくて、財産税全体の問題としての問題点をみな含んでおる税制だという問題意識を常に持ってしかるべきじゃないかという御指摘と思うのでございます。そういう点につきましては、十分配慮していかなければいかぬと思います。
○上村委員長 荒木宏君。
○荒木委員 保留分について時間をいただきましたので、お約束の範囲内で進めさしていただきたいと思いますが、実は、お尋ねする点は、先ほど来の同僚委員の御質疑にも関連するわけですけれども、大臣がお出にならない委員会で私がお尋ねしましたのは、今度の相続税法あるいは贈与税の法案、これの現行法、改正案を含めて、不公正を維持する面あるいは拡大する面があるのではないかと、まさに先ほどの質疑に関連をしてお尋ねしてまいりまして、まあ妻の座と一口に言っても、勤労者の妻と資産家の妻、これは受けるメリットが随分と違う、これは事実として、主税局長はそういった点はお認めになったと思います。それから、同じ資産家の中でも、少額資産家と高額資産家、これが今度の改正法に伴って受けるメリットもまた違う、こういう点もお認めになったわけです。 そこで問題点は、先ほども質疑がありました三分の一で青天井になっている。これははからずも大臣のお考えをいま伺いまして、実は同世代間の承継については、本来、相続と見るべきかどうか、こういう括孤つきの進んだ考えから、今度のような措置がなされたというふうに伺ったわけです。 そこで私は、私の前回の質疑あるいは先ほど来の同僚委員の質疑を伺っておりまして、この三分の一青天井を設けるという問題、これについては、現行の民法よりもいわゆる進んだ考えを取り入れる、それをもとにしている、こういう御答弁があった。ところが、この夫婦間の居住用資産の贈与については、これは現行民法がまだ別産制をとっておるからということで、二十年という点はなかなか話が進まない。私がお尋ねしたいのは実はこの点であります。 そこで、三分の一青天井ということについて、民法は明らかに同世代間相続も同じ相続としてとらえている、これはいま申し上げるまでもなく、大蔵省の皆さんも肯定なさると思うのですが、念のために法務省に伺っておきますが、いまの現行民法で、同世代間相続を法律的に異なった世代間相続と別個の性質のものと見ているかどうか、実定法上の解釈として一言初めに伺っておきたいと思います。
○井関説明員 その相続の根拠につきましては、いろいろな学説がございます。中には、血族、血のつながりを重視する考え方もございます。かつての旧民法がそうでございましたが……。 しかし、新憲法下において配偶者に相続権を認めるということになりますと、実定法上はそれは異別に扱っていると思われません。
○荒木委員 そこで、対比する意味で、この贈与の夫婦間の二十年という制限ですね、これは主税局長は、現行民法が別産制だとおっしゃっている。しかし私は、この二十年の根拠の当否について、果たしていまの法律のたてまえなりあるいは現状なりをその後御検討になっているかどうか。これは昭和四十一年であります、二十年といういまの制度が決められたのは。そう伺っておりますが、違いますか。四十六年ですか。その後、そういったことの適否について御検討になったかどうか、これをひとつ対比の意味でお尋ねしたいと思うのです。 そこで、夫婦の財産制については、申すまでもなく、別産制と法定財産制がありますが、この法定財産制で共有ということになっておりますけれども、これには所有権の共有という規定が性質に反しない限りは準用されるのではないか、こう思うのですが、法務省の方、いかがですか。
○井関説明員 ちょっと御質問の御趣旨がよくわかりませんでしたが、現行の七百六十二条はいわゆる別産制をとっておると言われております。しかし、それも中身によりまして、実質的にその共有関係にある夫婦財産というものもあるわけでございまして、そういう特殊なものに関しましては、共有の規定が当然に適用があるわけでございます。 ただ、一般的に問題になります内助の功と申しますか、家事労働だけに従事している夫婦の財産につきましては、これは離婚あるいは相続で婚姻の解消時にその権利が顕在化いたしまして、それまでは少なくとも対外的には、その名で得た人の財産ということになりますので、当然にその段階では、共有のことは問題になっていないのが現状であろうかと思います。
○荒木委員 いま言われたその名でというのは、これは形式的に考えているのですか、あるいは実質的ですか。
○井関説明員 先ほども申しましたように、共かせぎの夫婦であるとかあるいは生産活動に従事している配偶者であるとかいうふうな、実質的にその財産の形成に寄与した者については実質的に判断すべきであろうと思います。いま一般的に申し上げましたのは、いわゆるそうでない普通の家事労働に従事している奥さんについてでございます。
○荒木委員 そうしますと、主税局長、実質的に夫婦の財産の所有関係を見る、これはいま法務省の方からお話があったとおりですね。名義のいかんにかかわらず実質的に見る。実質的に見て特有財産でない限りは、これはいまの法定財産制によれば共有になります。共有になった場合に、身分法上矛盾しない法理である限りは民法の共有規定が適用される。正確に言えば準用されるということになります。ここまでいま法務省の御意見を伺ったのです。 そこで、局長はいま二十年というのがいいかどうかをほかに判断する物差しがないとおっしゃる。民法の共有規定で、そういった共有関係がいつ定着をするか、その点についての規定は全くありませんか。どうごらんになっていますか。
○中橋政府委員 ちょうどこの場合の問題としまして、いま共有の規定が適用になるとおっしゃいましたけれども、一般的に想定されますのは、たとえば夫が所得を稼得してまいる場合、妻が家にあって実際実質的にもその所得にあずかっていないのですけれども、その生活の本拠においての内助の功についてかなりメリットを見るということから、夫の名でもってしかも実質的に得てきました所得についても、その半分なら半分が妻の共有であるとするような法理は、まだ実はわが民法にはないのでございます。 したがいまして、私はそういう意味で、わが民法におきましてこういうような場合には別産制でございまするから、夫婦間においての贈与財産については、そういった法理のもとに考えなければならないということを申し上げたわけでございます。そうしてその場合に、それでは全然配慮しなくてもいいかということの場合に、現在の相続税法におきましては、ある程度夫婦の共同生活でもって、いわゆる実質的な内助の功というようなものについてもある程度の配慮をしましょうということからございますのが、現在の居住用財産についての配偶者への贈与についての配慮でございます。 そうすると、ある程度の貢献、寄与ということを一体どういうふうに判断するかというのは、これは全く税法からの観点でございます。もちろんそれは現実に二十五年でありますとか二十年でありますとかということをこれまでとってまいりましたけれども、客観的、絶対的に最低の期間というのはございません。しかし、およそそのときには、税法の観点から申しまして、相当程度そういう夫婦生活における共同体の継続、しかもそこにおける寄与ということの推定というものがあります以上は、ある程度長くないといかぬということは言えると私は思います。
○荒木委員 局長、法律的な解釈の筋道をゆがめては困りますよ。いま局長が言われたのは七百六十一条の日常家事に伴う連帯責任あるいは権利の問題で、私が言っておりますのは内助の功だとかそういうふうな問題ではなくて、民法七百六十二条で、実質的に特有財産でない限りは表見的な関係のいかんを問わず共有関係になる、法律でそう決まっているのですよ。ですから、局長が民法の原則を重視される限りは、いま私が言いますように実質特有財産でない限りは共有関係になるのですから、それは所有権法の共有規定が準用される。これはもう学説の上でも裁判例の上でも争う余地のない事柄です。 ですから、いま相続税法、贈与税法の上で二十年ということを決めていらっしゃる。それがいいかどうかの物差しがないとおっしゃるけれども、しかしまさに夫婦間の財産関係について適用されるべき、準用されるべき共有関係で、どの程度たてばその共有関係が確定するかという年限規定は全くないか、こう聞いているのです。問題をそらさないで、私が聞いておりますところを言っていただきたい。いろいろ二十年の当否の材料を探していらっしゃると思うのですね。まさにこういう場合に、一定の場合には適用すべしと法律が言っておる、その法領域でいかなる年限がたてば共有関係が確定するかということの規定があるかないかということを伺っている。
○中橋政府委員 夫が外に出まして所得を得てまいりました、それは民法七百六十二条の特有財産となるのでございまして、ある程度の年限がたてば共有になるということで相続税の二十年というのを決めたのではございません。
○荒木委員 どうも論議を整理するのに暇がかかってかなわぬのですがね。実質的に共有関係にある、これを前提にしておるのです。いま局長が言われたのは内助の功ということで、実質的にも夫の特有財産である場合を前提にしておっしゃっておるのですが、私が言っているのはそうじゃないのです。たとえば共働きで実質的にも名義のいかんを問わず共有関係にある場合に、それでは何年たてば共有関係に質的な変化が起こるか、そういう意味の規定は全くないか、こう聞いているのです。
○中橋政府委員 共働きでそれぞれが所得を得てまいります場合には、それぞれの所得でございまするから、それは年の経過とともに共有になるからということで相続税法は考えておりません。
○荒木委員 贈与の場合に、夫婦間の財産関係の場合に、たとえば共有関係であれば五年間は不分割契約は許される。しかし、五年たてばいかに当事者間で不分割契約を結ぼうとも共有関係という事態が一歩進んで階段を上がるからそれは効力を持たない、こういう規定がありますね。さらに、それは五年間延長を許されるけれども、更新は一回限りで十年以上はだめだ。つまり民法で言う共有の財産関係というのは五年刻みで階段をつくっておって、五年間は当事者間の契約でいろいろいくけれども、それを過ぎれば共有関係が一応定着をする、こう見ているわけですよ。 ですから、夫婦間の財産の共有関係についても、実質的にそういうふうな準用の面が認められるならば、五年あるいは十年という身分法に伴う財産法上の関係としてはこれは一つの刻みになるのじゃないか、そのことを伺っているわけです。
○中橋政府委員 夫婦共働きで得てきた財産が、いまの荒木委員のお話でございますと、共有であるという前提でお話があるように考えられますけれども……(荒木委員「いや、そうは言っていません」と呼ぶ)私どもはむしろそれぞれが得てきた財産はそれぞれの特有財産であるというふうに考えておりますし、共働きでない場合に、夫が得てきたものは夫の財産である、その上においての贈与の問題として考えておるわけでございます。
○荒木委員 それでは、こういう点から伺いましょうか。 いまの夫婦間の婚姻期間というものは、一体何年継続した夫婦が一番多いか。たとえば十年の夫婦もありましょう、五年の夫婦もありましょう、二十年もありましょうが、大体半分ぐらいはどの程度の婚姻年数かという点はいかがですか。
○中橋政府委員 その数字は具体的には持っていませんけれども、常識的に考えますれば、三十年とかいうものがおよそ普通の夫婦生活の長さだと思っております。
○荒木委員 いま日本で夫婦が何百万、何千万組ありましょうけれども、そのうちの大体多い経過年数というのはどのぐらいか。三十年とおっしゃるのですね。つまり、いま三十年とおっしゃったのは、日本の夫婦の中で三十年連れ添うた夫婦の組が一番構成比が高い、局長はこうおっしゃるのですね。そうですか。
○中橋政府委員 残念ですけれども、私は手元に数字を持っておりませんが、常識的に判断をしまして、普通まず夫婦生活というのは三十年の事例が多いのではないかという感じを持っておりますということをお答えしました。
○荒木委員 それでは法務省に伺いますが、厚生省がこの点で統計をとっておりますね。そして五年未満の夫婦何組、十年未満の夫婦何組、十五年未満の夫婦何組、これで私が聞いたところでは、五年から十年は一六%、十年から十五年が一八%十五年のところで約半分になる、こういうふうに言うのですが、いかがですか、大体そうかどうか、その点だけひとつおっしゃってください。
○井関説明員 御指示いただきまして早速調査いたしましたけれども、それを示す数字を私どもよう見つけ出せなかったのですが……。
○荒木委員 あなたは御存じないかもしれませんが、法務省の方から私どもに連絡がありましたよ。あなたはどなたにお聞きになったのか知れないけれども、昨日も一昨日もそういう趣旨で連絡がありましたから、すぐ調べてください。それは少し保留しておいて質問を続けます。すぐ調査してください。 局長、私の方で直接聞いたのではそういうことなんですよ。ですから、これは社会的実態として一つの資料になると思うのですね。あなたがおっしゃっている二十年の当否ということについて、要するに何もないとおっしゃるんでしょう。まあ常識的に銀婚式がどうとかこうとかおっしゃっておりましたけれども、やはり実態を調べて、そしてその上で他の法律の関連領域のめども調べる、これが当否を判断する一つの目安ではないかと思うのですよ。 それから、夫婦が同居しておりましたときに、妻の側にはその居住用資産について全く権利がないかどうか、婚姻期間のいかんにかかわらずですよ。婚姻をして同居すると、同居、協力、扶助の義務がある。特有財産であっても一方配偶者に全くそのものに対する権利がないかどうか。身分法上、婚姻をして夫の家に入れば、その家を使用収益する権利がありますね。もちろん対外的に対抗要件があるかないか、あるいは物権的な排他的専有権になるかどうか、これは大いに問題がありましょう。しかし、少なくとも当事者間で全く権利がないかどうか、この点は法務省の方はいかがですか。身分上の点も含めて。
○井関説明員 夫婦はお互いに同居し、扶助し、かつ扶養しなければいけない義務をもっておりますので、当然その夫婦たる地位に基づいて他方の財産を使用する権利があると思いますが、それがただいま御指摘のように、財産法的な権利というふうな概念はいまのところとられていないのが多いのじゃないかと思います。
○荒木委員 ですから、身分法上から言いますと、いかに特有財産であると言っても、一方的に出ていけと言うことはできぬわけでしょう。そういう意味から言えば、そこに使用収益権がある。だとすれば、全くそれがないものと同じように評価ができるかどうかという問題はあると思います、当事者間で贈与があった場合の評価の方法として。そうだとしますと、控除制度が創設されたときのいろいろな検討がありましょうけれども、そういった点も一つは踏まえて、たとえ婚姻期間が短かくても、そういういわば全く権利制限のない財産とは違ったという意味からも控除制度というものは考えられなければならぬと思うのです。 ですから、いずれにしても、先ほど大臣もこの点は検討するというふうな趣旨で御答弁があったようですから、いま指摘しましたような、まず夫婦の実態、それから関連法領域の概念規定、そしてさらには配偶者が持っておる身分法上の一方配偶者に対する権利、それに対する税法上の評価、こういうふうな総合的な点からこれは検討するということを、ひとつ事務当局もはっきり大臣の趣旨を受けておっしゃっていただきたいと思うのです。
○中橋政府委員 いま三点ばかりさらに検討すべき点をお示しになりましたけれども、現に夫婦生活をやっておる者の期間が非常に短くなっておるから、贈与税の配慮をする場合にもそういった例をしんしゃくしろと言われると、これはまたなかなかむずかしいのではないかと思います。 それから、あと二つのことにつきましては、それはまさに婚姻ということについての特別のいろいろな関係ということから生じてきておることでございますから、現在、そういうものも配慮の上ででき上がっておるのが、贈与税の特別の配慮の制度でございます。それを一体どういうふうに考えるのかというところで、何年というのが一番それにふさわしいのかという問題でございますから、いろいろな角度からなおこの年限につきまして検討しなければならないと考えております。
○荒木委員 だけれども、局長、あなたは先ほどの答弁では、そういう点は検討していないと言っていたんですよ。だって、どのくらいの年数が一番長いかということさえ御存じなかったんじゃないですか。ですから、それらをすべて検討ずみの上でいまの制度ができておるということは、私はとうてい言えぬと思うのです。 そこで、提起した点について、どっちにしても検討するとおっしゃるんだから、ひとつ積極的にやっていただきたいのですが、言うまでもなく、これは勤労者、国民の場合に生じておるのでありまして、大資産家の配偶者間の贈与あるいは相続についてはむしろ頭打ちを設けるべしと、こう言っておるのであります。 最後に、大臣にお尋ねしますが、もう一度もとへ返りまして、民法の方ではまだ同世帯間相続は別なものとは考えていないという話であります。ですから、そうだとしますと、その点について現行の民法の規定から踏み出すような扱いになる。他方では、別産制の方に固執をしてなかなか年限短縮というようなことに踏み切れない。これは政策矛盾ではないかと思うのです。頭打ちを設けますと——たとえば今度の初年度減収額試算は四百三十億であります。そのうち、たとえば五千万で頭打ちをつくればこの減収は三百四十億、一億で頭打ちをつくれば大体二百七十億ぐらい。これは事務当局の話で大体そういう見当です。それから配偶者相続が大体そのうち六割でありますから、これに六割を掛けて、そして三分の一というのをやめれば、いずれにしても五十億ないし七十億の財源が出るというのが、大蔵省の事務当局の説明なんです。ですから、その財源を、たとえばいま同時に審議されております入場税法、これは税収見積もりが約三十億ですけれども、これをやめれば、こちらの方はすぐそれができる。つまり、たとえば資産一億以上の場合に頭打ちをつくれば、入場税法はやめることができると、数字の上で大体見合うわけですから。 しかも一億以上の資産の配偶者というものは、資料によれば、四十七年度わずか千名そこそこにすぎない。ところが、入場税の方は、今度の改正案になっても映画が百万人、演劇その他が二百万人。ですから、三百万人の文化的要求と、わずか一握りの千人ほどの大資家に対する恩典と、どちらをとられるか、政策選択の判断になってくると思うのです。私どもは、多数の国民が文化的要求を享受し得るために、いま出されておる政府案に照らして言えば、三百万人の文化的要求実現のために千人ほどの大資産家の頭打ちをつくるべきではないかと思うのですが、大臣の政策的な御意見を伺いたいと思います。
○中橋政府委員 大臣、数字のお話が出ましたので、先に私からお答えをさせていただきますが、私どもの方で、いまお示しのように、今回の配偶者の改正をたとえば五千万円で頭打ちにした場合、一億円で頭打ちにした場合という計算はやっておりません。恐らくいまお示しの数字は、今回の相続税の改正を、過去におきますところの遺産額の階級別に出しました減収額の見通しをもとにされまして、一億円超の遺産額について減収額がこれこれでございますということを基礎に計算をされましたものであるかと思います。 それは別といたしまして、それはもちろん頭打ちをつくれば、今回の改正の減収額のうちで、おっしゃるような数字が正確かどうかわかりませんけれども、減収額が減ることは当然でございます。 ただ、そのときに、それでは一方に入場税を今回三十億歳入として予定しておるのであるから、これをやめることによってあちらの方を消せるのではないかという税収一般についてのお話になりますれば、それは数字の上ではそういうことになりますけれども、これもまたるる申し上げておりますように、入場税の今日残る形といたしましてはやはりこの程度の形として残るのがよろしかろう、このことによりまして収入としては五十年度に三十億円くらい期待されるであろうということでございますので、それとこれとを結びつけていただくというのもまた、私どもとしては別にお考えいただきたいのでございます。
○荒木委員 大臣に政治的な御判断を伺ったのです。つまり、一握りの大資産家の配偶者の恩恵とこれは大体金額が一緒ですね、それと百万、二百万、三百万という国民の文化的要求と大臣はどっちをおとりになるか、これを聞いておるのです。事務当局じゃちょっと無理です。
○大平国務大臣 だから、先ほど申し上げましたように、夫婦間の死亡による財産の移動という問題を相続税法上とらえるかどうかということが問われるべき問題であったわけでございます。それが捕捉すべきものであるということでございましたならば、在来の税法のような考え方になるわけでございまするし、本来これは取るべきじゃないんじゃないかということになりますと、今度主税局が考えたような方向に行くんじゃないかと私は思うわけでございます。荒木先生がいまとり出しておる問題と次元が違うわけでございまして、そういう政策的な選択の問題がまず一つあるということ、これは申すまでもないことだと思うのでございます。 しかし、それはそれとして、ここにそういうことを取りやめて、あるいは制限を設けて、天井を設けて減収額を少なくすることを考えるべきじゃないかということでございますが、この税法案の御審議をお願いするまでには政府としてもいろいろな手順を経て検討してまいったわけでございまして、各方面の御意見も丹念に聴取してまいったわけでございます。したがって、これまでの検討の過程を通じまして、まずそういう主税当局の考え方というものはサポータブルじゃないか、考えていいことじゃないかというような支持を得たと思いますので、いまこれはやはりそうでなかったのだということを私が申し上げるわけにいかぬと思うのですね。これはどうしても通してもらわなければならぬ税法でございますので、私といたしましては、いままで鋭意検討してまいりました税法が今日の状態においてベストであるという判断で御審議をお願いしておる立場でございますので、荒木先生の御疑問になる点がわからないものではございませんけれども、おまえどう思うかという端的な御質問に対しましては、原案の立場が正しいと思いますというお答えをせざるを得ないと思います。
○荒木委員 お尋ねしたことの御答弁がなくて残念ですが、また総理が出席される機会もありますから、これでおきます。
○上村委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。 ————◇—————
○上村委員長 次に、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。 これより各案について、政府より提案理由の説明を求めます。大平大蔵大臣。 ————————————— 所得税法の一部を改正する法律案 法人税法の一部を改正する法律案 租税特別措置法の一部を改正する法律案 —————————————
○大平国務大臣 ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案外二法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 初めに、所得税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 政府は、昭和四十九年度税制改正において所得税の画期的な減税を行ったところでありますが、昭和五十年度においても、今次の税制改正の一環として、最近における国民負担の状況にかんがみ、各種所得控除の引き上げなどにより所得税負担の軽減を図るため、ここにこの法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。 第一は、人的控除の引き上げであります。 すなわち、基礎控除、配偶者控除及び扶養控除を、それぞれ現行の二十四万円から二十六万円に引き上げることといたしております。この結果、昭和五十年分の課税最低限は、昭和四十九年度の所得税減税の平年度化が大きいことも反映して、夫婦と子供二人の給与所得者の場合で、昭和四十九年分の百五十万円から百八十三万円へと三十三万円程度引き上げられることになります。 第二に、福祉政策等の見地から障害者控除等の特別な人的控除についても、一般的な控除とあわせて引き上げを行うことといたしておりますが、その引き上げ幅は一般的な控除の倍額といたしております。 すなわち、障害者控除、老年者控除、寡婦控除及び勤労学生控除を、それぞれ現行の十六万円から二十万円に、特別障害者控除を二十四万円から二十八万円に引き上げますとともに、老人扶養控除を二十八万円から三十二万円に引き上げることといたしております。 第三に、退職所得の特別控除額を、勤続年数二十年までは一年につき二十五万円、勤続年数二十年超については一年につき五十万円に引き上げることといたしております。この結果、勤続年数三十年の場合の退職所得の特別控除額は、現行の八百万円から一千万円に引き上げられることになります。 第四に、中小企業対策の一環として、白色申告者の専従者控除を現行の三十万円から四十万円に引き上げることといたしております。 第五に、医療費控除について、医療費支出の実情に即しつつ、その拡充を図るため、最高限度を現行の百万円から二百万円に引き上げますとともに、いわゆる足切り限度のうちの定額基準を現行の十万円から五万円に引き下げることといたしております。 第六に、山林所得等の特別控除額の引き上げを行うなど、実情に応じたきめ細かな改正を行うことといたしております。 すなわち、山林所得、譲渡所得及び一時所得の特別控除額をそれぞれ現行の四十万円から五十万円に引き上げますほか、給与所得者が確定申告を要しない限度額を、年間給与収入については現行の八百万円から一千万円に、給与以外のその他の所得については現行の十万円から二十万円にそれぞれ引き上げ、また、予定納税を要しない予定納税基準額の限度額を現行の三万円から五万円に引き上げるなどの措置を講ずることといたしております。 次に、法人税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 政府は、今次の税制改正の一環として、同族会社の留保所得に対する課税を軽減し、また商法改正に伴う制度の整備を図るため、ここにこの法律案を提出した次第であります。 すなわち、第一に、同族会社につきましては、各事業年度の留保所得のうち一定の控除額を超える部分について、特別の税率により法人税を課税いたしておりますが、この場合の定額控除を現行の年一千万円から年一千五百万円に引き上げることといたしております。 第二に、法人税の確定申告書は、各事業年度終了の日の翌日から二月以内に提出しなければならないこととなっておりますが、改正商法の施行に伴い、会計監査人の監査を要する等の理由により決算の確定がおくれることとなる法人につきましては、一定の条件のもとに、その提出期限を一月延長することができるという制度を設けることといたしております。 最後に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 政府は、今次の税制改正の一環として、利子配当課税の特例の見直しを初めとして租税特別措置の整理合理化を推進するとともに、福祉対策、公害対策その他に資するための所要の措置を講ずることとし、ここにこの法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。 第一は、利子配当課税の改善合理化であります。 すなわち、利子配当所得の源泉分離選択課税制度について、選択税率を二五%から三〇%に引き上げました上、その適用期限を五年延長することといたしております。 第二は、土地譲渡所得課税の適正化であります。 すなわち、個人の長期譲渡所得の分離比例課税制度は適用期限の到来とともに廃止し、新たに五年間の時限措置として、譲渡益二千万円以下の部分については、二〇%の税率により課税し、譲渡益二千万円超の部分については、本則の二分の一総合課税にかえて四分の三総合課税とすることとし、また、短期譲渡所得の分離重課税制度の適用期限を五年延長する等の措置を講ずることといたしております。 第三は、既存の特別措置の整理合理化であります。 すなわち、海外投資等損失準備金について、先進地域に対する投融資で資源開発以外のものに係る制度を廃止しますとともに、価格変動準備金制度について、後入れ先出し法により評価しているたな卸し資産をその対象から除外するなどの整理合理化を行うことといたしております。 第四は、農地に対する相続税の納税猶予制度の創設であります。 すなわち、農地の相続人が農業を継続する場合に限り、農地価格のうち農業投資価格を超える部分に対する相続税の納税を猶予することとし、その相続人が次の相続までまたは相続税の申告期限後二十年間農業を継続した場合には、猶予税額の納付を免除することといたしております。 第五は、福祉対策に資するための措置であります。 すなわち、老年者年金特別控除額を六十万円から七十八万円に引き上げますとともに、障害者を雇用する場合の割り増し償却制度の適用期限を二年延長することといたしております。 第六は、勤労者財産形成、住宅対策に資するための措置であります。 すなわち、住宅貯蓄控除制度の控除割合及び控除限度額を引き上げますとともに、住宅取得控除制度及び新築貸し家住宅の割り増し償却制度について、その適用期限を二年延長することといたしております。 第七は、中小企業対策に資するための措置であります。 すなわち、中小企業構造改善計画等に基づき、中小企業者が負担する試験研究費賦課金を任意償却の対象に加えますほか、中小企業新分野進出計画に基づき廃棄される施設等について加速償却を認めることといたしております。 第八は、公害対策に資するための措置であります。 すなわち、昭和五十一年度の自動車排出ガスに係る保安上の技術基準に適合する乗用自動車及び電気を動力源とする乗用自動車の開発普及を促進するため、一定の期間、物品税の課税標準を減額することといたしております。 第九は、資源対策に資するための措置であります。 すなわち、探鉱準備金及び新鉱床探鉱費の特別控除制度の対象に海外自主開発法人からの引き取り鉱石に係る採掘所得を追加いたしますとともに、海外投資等損失準備金制度について、対象資源等の拡充を行うことといたしております。 以上のほか、交際費の損金不算入制度等、期限の到来する措置について、実情に応じその適用期限を延長する等所要の措置を講ずることといたしております。 以上、所得税法の一部を改正する法律案外二法律案につきまして、その提案の理由と内容の大要を申し上げました。 何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○上村委員長 これにて各案の提案理由の説明は終わりました。 各案に対する質疑は後日に譲ります。 次回は、来る二十八日金曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時四十五分散会