大蔵委員会 第5号
- 発言数
- 103 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1975/02/12
会議録
○上村委員長 これより会議を開きます。 この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。 すなわち、金融に関する件について、来る十四日、日本銀行総裁森永貞一郎君に参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○上村委員長 昭和四十八年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案を議題といたします。 本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしております。 これより質疑に入ります。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
○松浦(利)委員 ただいま議題となりました法案について、若干の質疑をいたします。 まず第一点、大蔵大臣にお尋ねしたいのですが、予想外の税の増収を見た、異常に多額の剰余金が発生した、その理由について、なぜこういう異常状態だったのか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
○辻政府委員 ただいまお尋ねの四十八年度の剰余金の発生の理由につきまして、御説明申し上げます。 四十八年度の財政法第六条の剰余金の額は六千八百九十一億円でございまして、異例の大きな額であったわけでございます。これにつきましては、税外収入でございますとか、歳出の不用でございますとか、そういう要素もございますけれども、主として租税収入が予想を上回って異常に増加したことによるものと考えられるのでございます。 このように租税収入が予想を上回って増加いたしました主な原因は、申告所得税のうちの土地の譲渡所得分、これが地価の高騰でございますとか、あるいは四十九年からの税率の引き上げを控えての駆け込みなどの影響から大幅に増加いたしたことによるものでございます。 そして、このような土地の譲渡所得に関する増収は三月の確定申告によって生ずるものでございますので、四十八年度の場合、その額が明らかになった時期は四十九年の四月の後半に入ってからでございます。このために、年度内の国債発行の減額によって対処し切れなかったわけでございまして、かような相当多額の剰余金を発生いたした次第でございます。
○松浦(利)委員 いま局長のほうから多額の剰余金が出た理由が述べられたわけでありますが、その中に、主として大きな問題としては、土地税制の引き上げに伴う駆け込みが多かったということの御指摘があったわけでございます。しかし、これが事前に予測できなかったかどうかということについては、私は非常に疑問があると思うわけであります。税制調査会に出された資料を実は見させていただいたわけでありますが、その中で明らかに指摘されることは、駆け込みが多いということは事前に予知できたものであるというふうに私は考えるわけであります。 この資料によりますと、昭和四十四年から四十八年の五カ年間に五百二万六千件の譲渡件数が計上されておるわけであります。しかも譲渡面積が百五十万八千ヘクタール、金額にして四十四兆、こういう数字が計上されておるわけでありますが、これを詳細に見てまいりますと、実は昭和四十四年から四十五年、五兆円程度の譲渡価額総額であったのに比べて、四十七年から一〇%の税率が一五%に引き上げられるという段階になりますと、昭和四十六年で八兆円、対前年にして約五二%の増加をしておることが数字上出てきておるわけであります。 したがって、四十八年度には、さらに一五%が二〇%に引き上げられるということはすでに法律のたてまえからいって明らかであったわけでありますから、こうした四十六年度の駆け込みというものを想定いたしますと、昭和四十八年度についても、大幅な十五兆という、対前年にして七三%増ということについては、当然予測ができたはずなのであります。いま局長が言うように決算をしてみた段階でこういうふうになったというのは明らかに言い逃れでありまして、少なくとも大蔵省自体が把握しておる統計数字から前提をしていくなら、そういった駆け込みによる増収、譲渡の増加ということは、当然察知できたものというふうに私は理解をするのです。 そこで、大蔵省にお尋ねをしておきたいのは、一体、大蔵省自体はこういったものについて、たまたま四十八年度は非常に多かった、特例措置で五分の一でどうかというような法案を出す前に、もっと的確に皆さん方がとっておられる資料そのものを点検すれば、事前に容易に察知できたと私は思うのです。だから、このことは明らかに大蔵省の怠慢だ、予測できなかったということは、仕事をサボッたと指摘しても過言ではないと私は思うのです。 大蔵省というのはただ単に計数を合わせるところじゃなくて、これから私はまたいろいろ質問はいたしますが、一体そういう動きがどういう形で出てくるかということは、当然税務統計なりそういったものから事前に察知されるべきだ、そして予算というものが立てられるべきだ、そういうふうに私は思うのです。逆に言うと、予算の立て方が行きあたりばったりだと言っても過言ではないと思う。そういう点について、大蔵大臣の明確な御答弁を私はいただいておきたいと思う。
○中橋政府委員 ただいま見積もりについて十分予測をしなかったのではないかというおしかりを受けました。まさに、結果から見ましてそういう御指摘を受けても、私どもも何とも言い逃れのできないことでございます。 ただ、過去四、五年の間、一体それでは土地の譲渡所得の動きがどういうことであったか、四十八年、異常に特に長期分の譲渡所得が伸びました、そういった経過をたどってみますと、確かに、四十五年と四十六年とは当時一〇%の税率でございましたから、四十六年に一つの節があったわけでございます。実績を考えみますと、長期分の譲渡価額で申しまして、四十五年には約五兆の譲渡価額が実績としてあったわけでございますけれども、四十六年には、後から調べてみますと、それが八兆余りになっております。 それで、四十七年分は大体その横滑りでやや八兆を切れるぐらい、七兆九千何がしでございますが、四十八年分はそれが約倍増いたしまして、十四兆という数字を示したわけでございます。 四十八年度の当初予算をつくりましたときには四十七年度において譲渡所得の申告がどれくらいになるかという実績がわかりませんで、当時いろいろな資料から四十八年度の当初予算を作成したわけでございますけれども、四十七年度の実績が先ほど申しましたようにやはり見込みに対してかなり伸びまして、実績といたしますと約五割を切るぐらいの伸びを示しました。したがいまして、四十八年度の補正予算では、四十七年度実績の横滑りということで補正を組んだわけでございます。 ところが、そういう見込みをはるかに超えまして、八割伸びたわけでございます。その税率の上昇と地価の上昇と、それから手元の資金の緩和というようなことが相重なりまして、それぞれの人たちが土地の譲渡を急いだものと思いますけれども、それはいまから考えてみますれば、確かに異常ということはわかったのでございますが、当時としては、私どもとすれば四十七年の実績、それから当時の土地の譲渡の動きというようなことから、できるだけの資料を使いましてそういう見積もりをしたわけでございます。それが結果としますれば、いま御批判のございますように、かなり差が出たというわけでございます。
○松浦(利)委員 いま聞いていますと、その結果が出てからわかるというのは常識なんですが、予算の立て方としては、私は事前にあらゆる調査をすべきだと思うのですね。だからさっきから言うように、何もこのことにこだわって時間をとろうとは思いませんが、少なくとも一つの節、節があるわけでしょう。だからその節のときに、前回四十六年度で駆け込みがあって五四%もふえたのだから、また四十九年度に上がるから、当然節として四十八年度は駆け込むということは想定できるでしょう。そういう節が現実に過去にもあるわけだから、そういう節に対してなぜもっと的確な予測ができなかったか。 それはあなた、大蔵省にはコンピューターでも何でもあるでしょう。そういうコンピューターに計数を入れて計算すればすぐ出てくるはずですよ。それを結果が出たからどうだこうだというわけで、最終的にはこういう処理をまたしなければいかぬということになるわけでしょう。だから、これは事務ベースの問題じゃなくて、私は大蔵大臣の問題だと思うのですよ。大蔵大臣がこういうものについてもっと的確に把握をすれば、こういう立て方にはならなかった、予算と決算にこんな大幅な食い違いを生ずることはなかった。それはどこに欠陥があったかということを明確にしておかないと、またこういう問題が起こりますよ。 今度はたまたま土地譲渡にからんでこれだけの剰余が出たということなんですけれども、今後またどういうものが出るかわからない。それについて私はもっと事務局体制を——この皆さん方がつくった資料を私が見ただけで、それだけの分析ができるわけですよ。しかも、いままでもこの資料は出されておるわけでしょう。何も今度に限っただけじゃなくて前にも出されているわけだから、その数字を調べていけばちゃんとわかるのですよ。 大蔵大臣、どうですか。予算編成に大分御苦労なさったでしょうけれども、こういう問題が現実にあるわけですね。予算を立てるときのもっと的確な把握の仕方、税の捕捉というものについては、私はもっと明確にしてもらわなければ困ると思いますね。大臣の御答弁がなければ先に進めないです。
○大平国務大臣 いまたまたま松浦委員から、歳入見積もりのずさんなこと、またそれに関連した一連の措置、そういう措置を講じたことによってもたらされたことについての御指摘がありまして、これはまあ歳入の見積もりばかりでございませんで、歳出歳入全体を通じまして、財政当局として、常に、つじつまを合わすだけでなくて、金額の大小にかかわらず、一つ一つのアイテムにつきまして十分念査して、魂のこもった予算の編成、その執行に当たっていかなければならぬこと、仰せのとおりでございまして、イージーな行き方を戒められた御忠言でございまして、私どもといたしましてもいたく肝に銘じておるところでございまして、今後そういう点について一層気をつけてまいるつもりです。
○松浦(利)委員 そこで、いま大臣から御答弁がありましたから了解をいたしますが、それでは税の立て方として、土地税制というのは、与党、政府の一つの政策だったと思うのですね。それではこの政策が果たして国民の生活にどれだけ影響を与えたのか、そのとおりの政策であったかどうかということが、またそこで議論されなければならぬと私は思うのです。 そこで、税調に出された資料を点検していきますと、いろいろな矛盾がやはり出てくるわけです。一つ、二つの例を申し上げますと、昭和四十四年にこの土地税制が施行されてから四十八年まで、実はいままでの譲渡件数の内訳が出ておるわけです。そのうち譲渡件数の内訳で見ますと、国、公共団体に譲渡したものが一二・二%、つまり譲渡を受けた譲渡先が国、公共団体というものが一二・二%、法人が三二・六%、個人が五五・二%であります。 ところが、これを逆に譲渡された面積で見てみますと、大蔵省の税務統計によると、面積で国、公共団体が一七・七%、法人が四四・七%、個人が三七・六%ということになるわけですね。 これを見てまいりますと、この土地税制によって、件数としては明らかに個人の件数が多いが、総体的な面積で比較をすると、明らかに法人の側に土地が流れておるということは、ここに明確に指摘することができると私は思うのですね。当初この法律ができる段階で私たちが議論をいたしましたように、土地税制を行う最大のものは、末端消費者である国民に宅地を供給する、できるだけ安い宅地を大量に供給するということが、この法律の趣旨だったわけですね。ところが、結果的には、これはよく指摘されるように、税制の中の不公平の最たるものとして法人の方に土地が大部分流れていった。しかも、この法人によってそれではどれだけ宅地化されたかというと、実質的には一〇%程度だろう、残りは全部ゴルフ場やその他に化けていったということが、現実の結果として出されておるわけですね。 そういうことを考えると、一体、大蔵省としてはこの土地税制というのは政策的に成功した、本当に消費者のために、国民のためにプラスであったという税であったのか、それとも意に反して結果はそういう結果でないという姿が出たのか、その判断はどういう判断に立っておられるのかを、ひとつお聞かせいただきたいというふうに思います。
○中橋政府委員 当時土地税制をつくりましたときは、おっしゃいますように、土地の流動化を促進いたしまして、宅地供給を多くするということをねらいとしたわけでございます。それで、いまお示しのように、昨年実態調査をやりました結果としては、国、公共団体に譲りましたものは、いまお示しのような率でございましたし、法人に譲られましたものが面積で四四・七%ございましたことも、そのとおりでございます。 ただ、この中で法人に売られたものが全部目的に沿わなかったかという反省をしてみますと、お手元の資料でごらんになりますように、不動産業者に売りましたものが二四・八%ございます。これは実は私どもは、むしろそういう経路を経て大規模な宅地造成が行われて、そして適切な値段でより早い時期に個人の宅地になるということももちろん予想しておったわけでございまするから、不動産業者たる法人に売られましたものも、あながち私どもが予想していなかったものではございません。むしろ、私どもはそれが早い時期に宅地造成せられまして、個人の住宅地になることを望んでおるわけでございます。 しかも、土地税制を発足させましたその後の経過から、そういうことを促進する必要があるのではないかというようなことから、四十四年一月一日以後に法人が買い取りました土地を売りました場合に、通常の法人税率のほかに二〇%重課をいたします。しかしその場合にも、望ましい適当な宅地造成をやりましたものについてはそういう重課をしませんということで、そういう意図する方向へ宅地造成が行なわれるということをやりました。それからまた、地方税でございますけれども、土地の保有税というものも四十八年に設けまして、長い間地価の値上がりだけを待っておるという道も封じたわけでございます。 そういう両々相まっての制度で、確かに御批判のあるような欠点もございましたけれども、あの制度というのが宅地をできるだけ早く大量に供給するという目的で果たしました功績もかなりあったものと私どもは評価をいたしております。
○松浦(利)委員 先ほど申し上げましたように、法人が取得したもののうち宅地に供給されたものは一〇%だ、私たちはそう見ておるわけです。 それではお尋ねいたしますが、四十四年から四十九年までの地価の上昇というのはどれくらいですか。この法律が施行されて後法人が取得したものが、現実に四十九年に、四十八年でもいいですが、地価は一体何倍になっていますか。
○中橋政府委員 申しわけございませんが、ただいま手元に具体的な数字を持っておりませんけれども、いわゆる市街地の価格指数というものは、毎年毎年かなり上昇をいたしております。
○松浦(利)委員 大蔵大臣、私はいまここで責めるつもりはないのですが、先ほどきわめて明確にとうとうと言われたけれども、それじゃ一体地価がどれくらい上がったのかということ自体も、いま質問したら資料がないでしょう。資料を持ってこなくたって、そんなことは頭の中でだれでもわかるのです。本当にこの土地税制そのものが国民の側に立った政策だったかどうか。地価がどれくらい上がっておるかということは、だれでもわかるのです。四十四年から四十九年で二・五倍上がっているということは、だれが計算してもわかるのですよ。 そういうことがわからぬ。だから、政策に一貫性がなくてばらばらなんです。大蔵省というところは、要するに、税金を取って予算を組んだらおしまいなんです。一体それがどういう効果を生んで、どうなっているかという把握ができないのですね。 よく財政が硬直しておると言われるけれども、財政が硬直しておる以前に、そういう大蔵省の予算編成なり決算のあり方についての分析が非常に不明確なんです。惰性なんですよ。数字合わせに終わっておるのです。この政策がいかに生かされておるか、どうなったかということについての検討がないのです。極端な言い方をすると、コンピューターではじき出せば、こんな数字合わせなんかだれでもできるのです。 私たちは、いまここで数字を議論しておるのじゃないのです。幾ら余ったかということを議論しておるのじゃないのです。どこに政策的な欠陥があったかということを、私たちは具体的に知らなければいかぬでしょう。地価がどれくらい上がったかと聞いたってわからない。現実に法人がそれだけ取得して、二・五倍の含み資産がふえたことは事実なんです。予算委員会でも指摘されておる。そういうことがわからずして、一体どういう効果があったというのですか。効果だけを強調してみても、その中間におけるいろんなそういう作業についてのことが具体的に答弁として出てこなければ、私たちは納得できませんね。 しかし、それは、わからぬものを私がここで幾ら追及しても仕方がないのですが、ここで大蔵大臣にぜひ知っておってもらいたいのは、せっかくこういうりっぱな資料をつくっておられるのだから、この資料そのものをもっと効果的に使っていただいて予算の中で生かす、あるいは税制の中で生かすということを考えてもらいたいと思いますね。私が指摘しておるように、少なくともこの土地税制というものは、所得再配分機能というものから立ち返ってみて非常にアンバランスをつくり出した、そう思うのです。幸い五十年十二月でこれは切れる法律でありますが、いずれにいたしましても、そういう意味からするなら、この際これもまた大臣に反省の弁というのか、こういう問題についてどのようにお考えになるのか、これから来年度の予算編成に向かって見直しをして、これだけじゃありませんよ、たまたまこれは一つの例であります。そういった政策の効果等についても分析をしてみる、的確な資料をこの大蔵委員会に出す、そういうことについて約束していただけますか。それさえ約束していただければ、私はもうこの質問は終わります。 これは政策的な問題ですから、大臣で結構です。聡明な大臣ですから、すぐ答えられるでしょう。
○大平国務大臣 先ほどの見積もりに対する御指摘にもありましたように、大蔵省は単なる数字合わせに終わるようなことではいけないじゃないか、そういうイージーな仕事のやり口では困るじゃないかという御指摘、ごもっともでございます。一つ一つの仕事に気合いが入らなければならぬこと、仰せのとおりでございますが、同時に、政策の効果判断というものにつきましても、やりっ放しでなくて、せっかくやった政策のメリット、デメリットを振り返って吟味してまいるというだけのフォローアップが行き届かなければ責任を果たしたとは言えないじゃないかという御指摘、ごもっともでございます。 われわれの方もそういう問題意識は持っておるつもりでございますけれども、至らないところが多うございますので、今後一層そういう点について気をつけてまいるつもりでございます。
○松浦(利)委員 大臣の方からの御答弁ですから、それでぜひ来年度からは、少なくとも同じこういう質問が出ないようにお願いをしておきたいと思うのです。 それから次に、もう一点、予算の立て方について、関連をして質問をしておきたいのです。実はこれは大蔵省の資料でありますが、四十八年度一般会計剰余金を算出する根拠の中に、歳出不用額、これが計上をされておるわけです。四十八年度歳出不用額一千百九十五億五千百万円、大変多額な不用額が計上をされておるわけです。この不用額というのは、少なくとも予算を立てた段階では、大蔵省査定、その他閣議決定等を経て、必要であったものが不必要になった、こういうことで歳出不用額に計上されていくわけです。 これを実は、昭和四十六年まで遡及して調べてみたわけであります。昭和四十六年度の歳出不用額が八百三十五億、四十七年度の歳出不用額が九百七億、そして四十八年度の歳出不用額が一千台に上って一千百九十五億、こういう状態であります。 そのうち、それぞれの年別によって、不用額が多いところ、少ないところ、毎年あるところ、こういうふうにいろいろあります。厚生省、総理府、建設省、あるいは四十七年度は厚生省、農林省、大蔵省、四十六年度は厚生省、農林省、大蔵省とそれぞれあるわけですが、それなりに理由があります。たとえば健康保険法の一部改正法の成立がおくれたとか、あるいは国土総合開発法が成立しなかったとかいうことで、不用額に計上するということはよくわかるのです。 ところが、たまたまこの不用額を調べてまいりますと、厚生省関係では、特にこれは私は重大な問題だと思うから指摘をしておくのでありますが、精神病患者措置費というのが常に項で四十二億近く不用額に計上されておるのです。しかも、その項は精神病患者措置費なんです。 私は、このことは決して悪いというわけじゃないのです。むしろ、精神病患者をそれぞれの施設に収容する場合に、個人の意思が無視されて、人権問題等がたくさんありますから、本人の同意を中心にして考えるなら、精神病患者措置費というのが余っていくことは決して悪いことではないというふうに私は考えておるわけですけれども、この際、公衆衛生局長に厚生省からおいでいただいておりますから、私が言っておることが事実なのか、それとも残る理由がほかにあるのか、その点をまずお聞かせをいただいておきたいと思うのです。
○佐分利政府委員 精神障害者の措置入院の予算は、過去の実績などを勘案いたしまして毎年計上いたしておりますけれども、最近、通院医療すなわち外来医療が大変普及してまいりまして、早期の治療が徹底してまいりましたし、また再発とか再入院等も少なくなってまいりました。このために、見込みよりも各年の措置患者数が減ってきて、不用額が出たものでございます。 そのほか、精神病学界とかあるいは若い精神科医の考え方といたしまして、できるだけ最近は自由入院とか同意入院の形に持っていきたいというような考え方がございますので、そういった点も強く反映しておろうかと考えております。
○松浦(利)委員 それで、これも私は決算上の技術の問題だと思うのですが、四十六年度から四十八年度まで、いま公衆衛生局長が言われたように、自由入院あるいは同意入院という方向に患者さんを指導する、しかも、措置よりも外来医療というものが増加をしてきておるということであるなら、そういう方向に予算というものは進むべきだと思うのですね。予算と決算との関係はそういう関係にあるべきだと思う。 だから、いま言ったように、余ってくるとするなら、そういう方向に予算というものは転換をすべきだ。にもかかわらず、そのまま不用額が毎年毎年計上されている。しかも、不用額で切り捨てられていくというのは、私は問題があると思う。決して必要でないのじゃない。ただ、精神病患者措置費として項が計上されておるから流用がきかない。ですから、四十数億ずつが毎年不用額に計上されるのです。 そこで、公衆衛生局長に私は念のために確認をしておきたいのですが、精神病患者さんというふうに言われておる人、これが推定昭和三十八年度で百二十四万人、こう言われておるのですが、現在はどれぐらいの推定ですか。
○佐分利政府委員 ただいまお話がございましたように、昭和三十八年には全国精神衛生実態調査を実施いたしまして、そのときの推定患者は百二十四万人でございました。十年ごとにこの調査をやることにしておりますので、去る四十八年にこの調査を計画したのでございますけれども、一部の自治体等の反対に遭いまして、調査を完全に実施することはできなかったわけでございます。 しかし、日本国内の入院とか通院の患者の動向、あるいは諸外国の動向を拝見いたしますと、最近ノイローゼだとか躁うつ病だとかアル中だとか、そういった精神障害はふえているようでございますけれども、逆に分裂病といったような精神障害は減っていくような傾向にあると考えております。総体としては、結論から申しますと、少しずつ軽いものがふえておる、重いものは減っておるということではないかと思っております。
○松浦(利)委員 それでは、さらにもう一点お尋ねをしておきたいのですが、外来通院患者が増加しておる、こういうのですが、その通院患者の国庫補助は幾らになっておりますか。
○佐分利政府委員 通院医療費でございますが、四十六年から申し上げますと、予算額は四十六年度八億七千万円、四十七年度十二億九千万円、四十八年度十六億九千九百万円、四十九年度十九億六千万円、五十年度、これは予算案でございますが、二十二億九千八百万円、このようになっております。
○松浦(利)委員 そこで、公衆衛生局長、通院外来患者がふえていくということと同時に、精神病患者が通院をし、しかも社会復帰する施設というのが、私は当然必要だと思うんですね。しかもノイローゼとかなんとかいう人が非常にふえてきておる。特に騒音等が多い都会部にはそういう人たちがふえてきておるということは事実なんです、これは学会でも——ということを考えると、そういう人たちが外来医療として通院しながら、しかも社会復帰する施設というのは、私は当然必要だと思うんですね。その社会復帰する施設というのは、現実に何カ所ありますか。何カ所あって、五十年度予算で何カ所ですか。
○佐分利政府委員 社会復帰施設といたしましては、デーケアとナイトケアと職業訓練をあわせ行います本格的な社会復帰施設と、それからデーケアと職業訓練をやりますいわゆるデーケア施設と申す二種類のものがございます。 まず、前者の社会復帰施設でございますが、すでにオープンしておりますものは、神奈川県の川崎市にございます施設一つでございますけれども、本年の予算で三カ所いただきまして、岡山とか島根等に建設を進めておるところでございます。 また、デーケア施設につきましては、従来からほとんどの県にございます精神衛生センターでデーケアを行わせることにいたしておりましたけれども、四十九年度、本年度二カ所の新設費をいただきまして、目下建設をしておるところでございます。 なお、五十年度の予算案では、社会復帰施設一カ所、デーケア施設一カ所の予算が計上されております。この社会復帰施設を整備いたします場合の一番の問題は、精神科の専門医とかあるいは社会心理、臨床心理の心理技術者、こういった専門職のマンパワーが不足しておることが問題でございまして、一気に何カ所も整備することが困難な状況にあるのでございます。
○松浦(利)委員 それで大臣、いまお聞きのとおりなんです。実際に四十四億というのは不用額ではないんですね、率直に言うと。この四十四億というのがありますと、まず、先ほど言いました外来医療がふえてきておる、そういう人たちに対しての手当てがもっとできただろうし、あるいは社会復帰施設の造成が可能であった。四十四億あれば、施設をつくることが可能なんですね。 ところが、それが不用額で切り捨てられる。これは、私は、恐らく厚生省なり公衆衛生局長に聞いたら、この四十四億というのは不用額ではないと思う。本当なら、もっと精神病医療のために使いたい金だと思うのです。それが不用額で計上される根拠というのが、実は項の流用についての硬直というものが私はそこにあると思うのです。むやみやたらに流用せよと言うのじゃない。少なくとも補正予算を組む段階というのがあるわけでしょう。現に四十九年度でも補正予算を組んだわけでしょう。そういう補正予算を組む中で、そういった不用額なら不用額というものについてもう一遍再考する。片一方を減らして片一方をふやすとか、そういう措置をしないと、せっかく精神病患者の皆さんのためにつけられた予算が、たまたま措置費であるという項のために捨てられてしまう。私は、これは数字上の不用額であって、厚生行政の中における不用額ではない、こう思うのです。 そのほかもっと調べれば、私は時間があれば全部調べ上げるつもりでしたが、一番たまたま目についた精神病患者措置費だけを例にとっていま申し上げておるのですが、こういうものがたくさんあると思うんですね、不用額不用額と簡単に言うけれども。数字の上の不用額なのか、本当に実際は必要額なのかというのが非常に判定としてはむずかしい。むしろ私は大切なお金だと思うのです。 ですから、ここで大臣にお尋ねをしておきたいのは、こういったあり方ですね、毎年四十億残る、不用額に計上しなければならぬ、そういうようなものについては、もっと厚生行政の中で価値のある方向へ誘導していく。公衆衛生局長が言うように、外来病患者の方へ、あるいは施設のほうへ誘導する、そういう予算の使い方が私は正しい予算の使い方だと思うのですよ。人件費で硬直しておるんじゃなくて、そういう金の使い方に対する硬直性というのが私はひずみとして出ておると思うのです。 これは一つの例で、それですべてを律することは私は申しわけないと思うのですけれども、たまたま目についたものを一つの例として申し上げておるわけですが、大臣、こういうものについても予算の立て方について今後御検討いただけるのかどうか、その点をひとつお答えをいただきたいと思います。
○辻政府委員 予算の積算に当たりまして、できるだけ的確な見通しに基づいて行うべきことは、御指摘を待つまでもなく当然なことでございます。ただいまお話がございました措置入院につきましては、厚生省からも御説明申し上げたとおりでございますが、実は四十六年までは実績がずっと上がってまいりまして、そういう実績の見込みに基づきまして予算を積算いたしたわけでございますが、その辺を境といたしまして次第に実績が下がってまいりました。四十六年の予算件数八万件でございますが、その辺の実績を加味いたしまして、四十七年は七万九千件、四十八年は七万七千件、四十九年は七万二千五百件というように、予算の積算に当たりましても実績を加味いたしまして調整をいたしておるわけでございますが、その過程におきまして、むしろ反面は、精神衛生対策の成功とお考えいただいてもよろしいんじゃないかと思いますけれども、不用を生じてきたわけでございます。 それから、通院の医療につきましては、これも先ほど数字で御説明いたしましたように、それはそれで十分な予算措置をとりまして、こちらの方は毎年相当に増額をいたしておるわけでございますし、また、精神衛生のベッドその他の施設につきましても、それぞれ適切な予算措置をとっておるわけでございます。 予算の流用等につきましては、これは財政法にも制限がございますので、財政法の規定に沿いまして措置をしているところでございますが、措置費と施設費の項が違いますものをなかなか流用するというわけにはまいらぬ、かような仕組みになっているわけでございます。
○松浦(利)委員 そんなことは私はわかっている、さっきから言うように。項がだめだから不用額に計上した、こう言われることはわかっているんですよ。それは逆に言うと数字合わせなんですね。 あなたはそんなことを言われるけれども、それじゃ一施設で何人ですか、社会復帰するための施設に収容される人は何人ですか。三十八年度の調査で百二十四万人ですよ。一カ所幾らですか。
○辻政府委員 ちょっと御質問の趣旨を聞き漏らしましたが、百二十四万のうちで、施設の収容でございますか。
○松浦(利)委員 先ほど言ったように、施設をつくる、本年度は二カ所つくるんだと言っておられるけれども、社会復帰のための施設に収容可能な人員は一施設当たり何人ですか。
○辻政府委員 精神のいろいろな収容施設があるるわけでございますが、精神のベッド数というのは、四十九年度の数字で二十七万一千ベッドぐらいになっております。そうして、毎年予算でも、公立を中心といたしまして、本年度でございますと六百ベッドの増床を計画しているわけでございます。そのほか民間の増床というものも当然あるわけでございます。そのほか……
○松浦(利)委員 いいです。患者のベッド数が二十七万ということはわかるのです。私がいま聞いておるのは、社会復帰するための施設。通院可能でしょう。通院しながら社会復帰の施設で社会復帰のための訓練を受ける。それは私の方から言いましょう。一施設百五人ですよ。今年度二カ所やるというから二百十人です。三十八年度で百二十四万人、ベッド数は二十七万ですよ。足らないでしょう、たった百五人しか一施設にないわけだから。 だから、私がさっきから言うように、そういうものを前提とすると、先ほどの不用額というのは、のどから手が出るほど欲しいのです、国民の側からしてみれば。精神患者を持った家庭の人にしてみれば、社会復帰するための施設が欲しいのです。一施設当たりたった百五人だから、もっともっと欲しいのです。欲しいにもかかわらず、厚生予算の中で項だから流用がきかぬからというので、不用額に四十何億かが計上をされる。それは、流用というものは財政法上厳しく規定されておるけれども、これは補正予算その他で措置すればいいじゃないか。見通しが立てば、補正予算でやれたはずなんです。そのことを私はさっきから指摘しておるのですよ。 だから、あなた方が不用額と言っておるのは、決して不用額じゃないのだ、もっと生かして使えるような道があるなら、補正するという場もあるわけだから、そういうところでもう一遍見直して、そういうものをやってもらえないかということを——それとも私の言っておることは願望で終わるのか、願望で終わるなら何も私はこういうことは言わないけれども、少なくとも願望ではなくて、そういうことができるように、補正予算というのは予算の途中の見直しなんだから、これからそういうこともやっていくようにする。現に諸外国では二回予算審議をやるでしょう。骨格予算を審議して、半年後にぴしっとまた予算を組み直すということをほかの国ではやるでしょう。二回予算審議というのをやるわけだ。 そういう点について、不用額というものが計上されたので、私は非常に頭にきているんですよ。本当は不用額じゃない だ。国民の側から言わせれば必要なお金ないんだ。しかし、財政法上の不用額だ。これをどうかしてくださいよということを私が一生懸命言っておるけれども、あなたは受け入れる様子がないからね。私の質問が悪かったからとんちんかんな答弁になったのかもしれませんけれども、この際ひとつ大臣から、この問題を含めて、大臣ばかりに最終的に答弁を要請して恐縮ですが、いまの問題はやはり大臣からお答えいただきたいと思うのです。
○大平国務大臣 予算自体は実際に即してむだのないように編成され、使用、充当されていかなければならぬものだと思いますが、実際、要求官庁側におかれても、こう言っちゃなんですけれども、一度こういう費目で要求した以上、若干情勢が変わりましても、なかなかてこでも動かない、まあ何としてもこの橋頭堡は確保しておきたいという気持ちがないわけではないのです。そういうときに、まあ大胆に不用に立てていただいて、新しいものは新しいものとしてちゃんと計上していくという淡々たる編成ができれば、私は非常にいいと思うのですが、実際は松浦委員も御承知のように、予算の編成、なかなか各省なんというのは相当なものでして、相当なやり手が多くて、大蔵省はいつも各省に相当引きずられておるのじゃないかと思うので、私はむしろ不用に大胆に立てておるところはほめてやっていただきたいという気持ちが一部あるのです。 しかし、いまあなたが言われるように、別に予算を要すべき火急の必要が厚生省にはあるじゃないか、一方に四十数億ものものを不用に立てておいて、切なる要求が別にあるのにという気持ち、私はそれはよくわかります。したがって、そういう方面に対しては、大蔵省としても見るべき予算はちゃんと見ろというように激励を賜りたいと思います。 この趣旨は、結局、要求官庁の側におかれて、不用に立てるものは立てる、しかし要求すべきものはちゃんと要求する、大蔵省もそういう実態に即して弾力的措置を忘れないようにという御趣旨と受け取らせていただきたいと私は思います。
○松浦(利)委員 もう時間ですから、これで最後にしますが、厚生省、あなたのところは四十六年から四十八年の間に百二十億以上のものを不用額で切って捨てられたわけでしょう。そういう意味ではやはり厚生省自体も、いま大臣からこういうふうに言われたわけですから、固定した一〇〇のものはもう絶対に一〇〇を確保しなければいかぬということじゃなくて、全体的な予算の枠の中で必要なところにその予算を持っていく。一〇〇というものを二〇削られてほかの省に持っていかれたら、これはちょっと厚生省もいろいろあるでしょうけれども、しかし、全体的な厚生省の枠の中で生かして予算を使っていくということは、いま大臣も指摘されたように、あなたの方で見直して、そして大蔵省と折衝する、そういう予算の立て方なり予算要求のあり方というものが私は必要だと思うのです。 もう百二十億、毎年四十億切り捨てられておるというのは、まさしく厚生省は硬直しておって、国民の側に立っておらないということを指摘されると思うのです。必要なんだ。だから、そういう面については、厚生省はもっとしっかり大蔵大臣が言われたとおりの措置をこれからやってもらいたいということを、まずあなたに申し上げておきたいと思う。 それから大臣には、そういう意味で予算と決算とがこう離れて審議されるところにやはり若干の問題があるのですけれども、決算なくして予算というものはないわけでしょう。私は、決算書と予算書を対照すると、まだたくさん問題があると思う。たまたま厚生省が出てきたのですけれどもね。そういうものを五十一年度の予算を編成される場合にはもっと慎重に配慮して、金は生かして使うべきだ、ただ数字合わせではいけないということを、私は最後に要望として申し上げたいと思います。 したがって、この際、公衆衛生局長と大臣の方から、私の言っていることに対する御答弁を簡単に、そのとおりかどうかだけお聞かせいただいて、終わります。
○佐分利政府委員 ただいま御指摘のありましたことをよく踏まえまして、五十一年度の予算は御期待に沿えるような予算を組むようにいたしたいと考えております。
○大平国務大臣 松浦委員の指摘された問題は、予算の編成、実行ばかりでなく、政策の効果判断の問題にまで及ぶ問題でございまして、私ども日ごろ指針として十分戒めてかからなければならぬ問題でございます。心がけてまいりたいと思います。
○松浦(利)委員 以上で私の質問は終わります。
○上村委員長 武藤山治君。
○武藤(山)委員 ただいま上程をされております昭和四十八年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案、大変長い名前でありますが、簡単に言えば、財政法第六条に対して特例をを設けるという法案であります。特に、国債償還に充てる財源を減らすという効果があるわけでありますから、必然的に国債の問題について私は議論を深めたいと思うわけであります。 最初に、大蔵大臣の常識のほどをちょっと伺いたいのでありますが、御承知のように、国債発行というのは昭和四十一年度から始まったわけでありますが、私ども昭和三十五年から大蔵委員会でいろいろ議論を続けてきたわけでありますけれども、池田総理のときには、健全財政主義を貫いて国債発行はやらない、池田さんはそれはもうかたい決意で財政運営をやってまいりました。池田総理のりっぱだった点は、財政の秩序を乱さなかったということと、配当所得に対する分離課税を認めなかった。池田勇人総理大臣のときには、分離課税に自分で抵抗していましたね。これは私はりっぱだと思うのです。さすが大蔵省出身の天下を取る人だけあると思って、実は池田さんのこの姿勢には感心をしてきたのであります。 ところが、昭和四十一年から国債を発行すると、雪だるま式に大きくなりますよ、やがて大変になりますよと、われわれは警告を発した。いや節度をもってやるから心配ないよ、こう言っていた当時の福田大蔵大臣。ところが、いま国債は雪だるま式にどんどん累積していきますね。 大蔵大臣、四十一年から始まった国債残高は、いま大体どのくらいあると常識でお考えですか。
○大平国務大臣 九兆九千億ですかと思いますが……。
○武藤(山)委員 九兆九千億円、大変な金額に大きくふくれ上がりましたね。これを金利だけ考えても、たとえば年六・三%の国債が一番多いわけでありましょうが、それにしても約十兆円ですから、金利だけで年間六千六百億円。これは大変な国民の負担になるわけであります。ですから、約十兆円の国債発行残高というものをできるだけ減らしていく、こういう方針を立ててできるだけ早い機会に健全財政に戻ることが財政当局の努力でなければいかぬと私は思うのでありますが、その点、大蔵大臣の御見解はいかがでございましょうか。
○大平国務大臣 私は、武藤先生言われたように、できるだけ公債の発行を減らしてまいりまして、いまの残高が不当にふえることは非常に困ると思うのでございます。予算の公債依存率を減らすばかりでなく、実額を相当減額させていきたいということを当面の目標にしたいと存じまして、ことしもそういう方針をともかくとらせていただいたわけでございますが、なおこれでは努力が足らないんじゃないかと、まあ自分でもそういう感じは抜け切らないわけでございまして、もっともっとやらなければならぬと考えます。
○武藤(山)委員 もっと国債を減らしたいという大臣の御決意はわかりました。御承知のように、財政法第四条も、歳入歳出というのは公債以外のもので賄うのを原則としておるわけですね。公債を発行するということは、財政法上特例なんですよ。ですから、その本則に戻る努力をできるだけしなければいけない。 しかるに、今回のこの改正案は、財政法第六条に対して特例にしようというわけですね。本来、財政法第六条は、剰余金の二分の一を償還に繰り入れる、基金に繰り入れる、こういう精神の規定で、法律で決まっておる。それを五分の一に減らすということは償還額をそれだけ減らしてしまうわけですから、やはり金利負担を少しでも減らしていこうという方針からいけば、五分の一にするということは邪道ですね。安易に流れ過ぎますね。そういう感じがするのですよ。イージーゴーイングのやり方じゃないかと思いますが、大臣いかがですか。——いや、大臣に。こんなのは大臣答えられますよ。
○大平国務大臣 一応理財局長の言い分も聞いて……。
○吉瀬政府委員 いまの御質問は、確かに十兆に及ばんとする相当多くの国債残高を抱えておりますので、武藤委員御指摘のとおり、その利払いも相当の額に上っておる。旧債償還を先にして、そして早く国債残高を減らすのが先じゃなかろうか、こういう御質問だと思います。 確かにこれはむずかしい問題でございますが、第一点といたしましては、昭和四十八年度に、実は先ほどいろいろ質疑応答がございましたが、従来の剰余金収入を超えるやや異常の剰余金が結果において発生してしまった。そういうようなことから今回はこれを五分の一にいたしましたが、なお千三百七十八億。これは昭和四十九年度には千四百二十九億の繰り入れがあったのですが、それが過去最高でありまして、ほぼそれに匹敵する金額が、五分の一にいたしましても収入として国債整理基金が見込めるということ。 それからもう一つは、財政の規模とも関係するわけでございますが、二分の一と五分の一の差額がほぼ二千六十八億あるわけでございまして、この二千六十八億をもし国債整理基金に繰り入れるといたしますと、財政規模の他の歳出項目をカットするか何か、あるいは国債以外の歳入の増があるというようなことがない限りは、やはり新規発行債をもって賄わざるを得ない。したがいまして、旧債を償還しながらそれと同額の新発債を出すということが政策としていかがであろうかという問題があったわけでございます。 それと同時に、御承知のとおり、旧債は六分半から七分というぐあいに金利が低い。新発債になると表面で八分というようなことで高金利であるということで、利害得失を勘案いたしまして、この際やはり五分の一にいたしまして新債の発行を抑え、旧債に対しては千三百七十八億という繰り入れによりまして償還資金に充てる、こういうポリシーをとった次第でございます。
○武藤(山)委員 四十一年から発行した国債で、償還したのは合計幾らになりますか。
○吉瀬政府委員 建設国債だけにいたしますと、償還期が四十八年と四十九年になっておりまして合計でほぼ一兆四千百億でございます。
○武藤(山)委員 一兆四千百億円は確実に償還する、こういうことですか。また書きかえじゃないのですか。
○吉瀬政府委員 御指摘のとおり、その中には一兆二千億の借りかえ債が入っております。
○武藤(山)委員 ですから、実質的には幾らも返していないじゃないですか。一兆二千億円また借りかえで借金を新たに起こして、古いものを一兆二千億円だけ肩がわりするというだけなんです。 ですから、六十年間で国債をきれいに償還するのだという場合に、何年間国債発行を続けて何年後には国債発行はぴたっとやめて、なおかつ六十年後にきれいになるというのには、どういうスケジュールなんですか。
○吉瀬政府委員 いま御指摘のとおり、公債の償還でございますが、公債の発行期限が過去においては七年もの、現在においては十年ものというようなことに四十七年一月以降なっておりますが、この七年もの十年もの、七年及び十年の期間でぴしりと償還するのは、公債の対象経費が投資的な効果を持っておりますので、実質六十年償還というようなことで出発しておるわけであります。そういうような点で、減債基金への繰り入れも定率で一・六というようなことで、六十年を目途としたようなファンドを入れておるわけでございます、 いまの御質問は非常にむずかしい問題でございますが、もし既発債のみに限るということになりますと、毎年一・六を繰り入れておるわけでございますから、六十年を正確に言いますと、一・六七というようなことで一・六との間に差額がございます。ただ剰余金が随時入ってくるというようなことの補完的な機能その他予算繰り入れ等考えますと、現存の国債を償還するということを前提にいたしますれば、六十年たてばこれはなくなるということになるわけでございますが、ただ、さらに将来国債額をどの程度発行し、これがどういうような規模になるかということになりますと、先ほど大蔵大臣が御答弁申し上げましたとおり、将来の国債発行額を極力縮減していくというようなことで、これ以上国債の利払い費その他国債費に負担のかからないように政策的に処理していくということで、現存の国債のみを考えていきますと、理論的には六十年で償還可能ということでございます。
○武藤(山)委員 六十年先に償還を終わる、気の遠くなるような……。いまのインフレが持続をいたしますと、年間幾ら物価が上がらぬといっても、自由経済である限り、五年間、十年間ぐらいの平均を見ても七、八%の物価上昇はやむを得ないという積算が、あっちこっちの研究所や銀行、金融機関の試算で出ていますね。したがって、インフレで一番得をするのは政府だな。六十年間も先になって返すやつを、ばんばんこういう紙切れで資金を調達する。国債を買った国民は、インフレでどんどん目減りしてしまう。 幸い政府から言えば、個人があまり買っていないからいいけれども、しかし、やはりこれはこの辺で国債に対する考え方、姿勢というものをきちっと大蔵省はもう一回洗い直して、三木内閣は洗い直しを何度もやると言うんだから、一回洗い直しをして、来年あたりは国債発行はやめてしまうぐらいの、二兆円を別な方法でどうするかというようなことで、これからは償還だけをやって、財政をもう一回きれいにやり直そう、そのぐらいの決意——できないと思いますよ、いまの政府の姿勢では。簡単にできないと思うけれども、そういう姿勢を真剣にやはり検討する必要を私は痛感するのです。 理財局長はどんな考えを持っていますか。
○吉瀬政府委員 まさに御指摘のとおりでございまして、ことしは予算の財源の中、非常に硬直化的な歳出の要請が強い中でも、国債発行額を一千六百億ほど減らして二兆にしたわけでございます。ただ、これは御指摘のとおり、二兆でもまだ多いというのが私どもの感じでございます。毎年二兆累積していくと、大変なことになります。いま十兆が五十年度末には十二兆になりますが、この機会に、国債の残高のこれ以上の累増をできるだけ防ぐというような種類のことを、総合的に考えていかなければならぬ時代かと思います。 ただ、御指摘のとおり、非常に新規の財源の発見とかその他既存の歳出の問題、これは主計局のマターになると思いますが、非常にむずかしい問題をはらんでおる、こう考えております。
○武藤(山)委員 大蔵大臣、せっかくいらっしゃるのですから、なるべく大蔵大臣に質問したいのですが、きょうは法案という限定した質問なものですから、こまかい問題にもわたりますが、大臣、国債がすでに十兆円残高になった。この国債発行というのはインフレにプラスかマイナスか、インフレを助長する要因になるか、そういう関係にないと思うか。国債発行とインフレの関係のあなたの感じ方をちょっと説明してください。
○大平国務大臣 端的に申しまして、インフレの要因になると思います。
○武藤(山)委員 どうしてインフレ的要因になるとお考えですか。
○大平国務大臣 これがちり一つ残さず市中消化が完全に可能であるという状態が目下のところまだ期待できませんで、どうしても一年たちますと日銀に舞い戻ってくるというような状態では、そうならざるを得ないのじゃないかと憂えております。
○武藤(山)委員 私が指摘せんとすることを大臣はいまはっきりお答えいただいた、そのとおりであります。 理財局長、いま約十兆円の国債残のうち、日本銀行が保有している国債金額は幾らになりますか。
○吉瀬政府委員 現在約十兆のうち日本銀行が保有しているものは、四十九年十二月末で二五・五%になっております。
○武藤(山)委員 私が大蔵省のこの「財政金融統計月報」を見ますと、四十九年六月末で日本銀行が持っている国債は五兆二千五百一億円。そうすると、二五%というと二兆五千億円ぐらいで、この統計数字に合わないね。どっちがほんとうですか。
○吉瀬政府委員 四十八年の金融機関の総保有額が三兆四千六百七十四億、うち日本銀行が、この統計書によりますと、一兆六千七百五億ということに相なっております。四十八年でございます。
○武藤(山)委員 理財局長、私はきょうの質問は、全然勉強する間がなかったら原稿を何も書かない、そのかわりこれだけを質問しますと通告してあるわけだ、親切に。だから、ここに書いてある数字ぐらいははっきり検討しておくべきですよ。 私は四十八年を言ったんじゃないのだ。いま言ったのは四十九年六月末で、皆さんのつくった統計では、日本銀行が保有している国債は五兆二千五百一億五千四百万円、四十八年は二兆二千五百四億七千四百万円、一挙に三兆円ふえているんだよ。四十八年から四十九年に一挙に日銀保有が三兆円ふえた。だから、片方で幾ら総需要抑制、金融引き締めをやっても、銀行が持っていた国債がだっと三兆円一年間に日本銀行へ集まった。それだけ新しい金が出ているわけだ。四十八年のを聞いたのじゃなくて、四十九年。だから、恐らく四十九年十二月末はもっと日銀に集まっちゃっているんだよ。二五%どころじゃないよ。五〇%以上日銀に行っているんですよね。
○上村委員長 ちょっと速記をとめてください。
○上村委員長 速記を再開してください。
○吉瀬政府委員 先生の資料のほうが実は私どもの資料より新しい資料をお持ちでございまして、それでいますぐ点検しますが、この五兆二千五百一億、この中には短期国債が入っておるのじゃないかと思います。いわゆる財政法の例の長期償還を要すべきものでございますと、私どもが申し上げました資料……。
○武藤(山)委員 それはいずれにしても、四十八年の日本銀行が保有していた国債が二兆二千五百四億、それが四十九年六月、わずか六カ月間で五兆二千五百一億になっているのです。三兆円ふえているのだ、半年間で。この三兆円が六カ月間に日銀に還流をしてきたということが非常に重大なんですよ。インフレ要因になるのですよ。だから私は尋ねているわけです。大蔵大臣もインフレ要因になると言っているわけですよね。金額のことは詰めないけれども、国債発行というのはインフレにつながっている、関係がある。これだけのマネーサプライが一挙にぱっとふえるということが、市中に流れるということが非常に重要だ、個人消化じゃないだけに。これは現在はもっとふえているでしょう。 では、四十九年末は、これに対応する金額は幾らになっていますか。いままで皆さんは見ている数字が違うというけれども、四十九年十二月末の日銀が持っている国債残高は幾らですか。六兆円以上になっていないですか。
○吉瀬政府委員 四十九年十二月末には、日銀保有の国債が五兆二千五百一億になっています。
○武藤(山)委員 そうすると、六月末から全然ふえてないのですか、一銭も。六月の数字と全く同じですね。そんなことございますか。
○吉瀬政府委員 これは多分月別に日本銀行勘定で試算としてやっている数字でございますが、私どもの数字では六月には二兆六千五十九億七千六百万円、それから十二月末が五兆二千五百一億五千四百万円、こういう数字になっております。
○武藤(山)委員 もう一つちょっとお尋ねいたしますが、四十四年、四十五年、四十六年ごろは銀行券の発行高とこの国債の動きというものが、非常に興味深く私は感じるのでありますが——銀行局は来ていないですな、理財局だけですな、ではちょっと無理ですな。 いずれにしても、大臣、いま理財局がおっしゃいますように、国債が五兆二千五百一億円日銀に還流しちゃっているわけですよ。これはやはりたいへんインフレ要因になるわけです。ですから私が、国債はできるだけ借りかえをしないように努力をして、できるだけ減らしていく、こういう方針をとるのが財政を健全化していく唯一の道だ、国がこういう借金政策をやって、またもとの日銀と預金部資金に還流をしてきたんでは、国民に借金政策をどんどん国が奨励するようなものだね、国みずからがこういう模範を示すと。政府資金が幾ら国債を保有していますか。
○吉瀬政府委員 四十九年十二月末の段階で、政府が四五・六%国債を保有しています。金額にいたしまして四兆五千四百六十一億でございます。
○武藤(山)委員 ですから、大蔵大臣、日銀と政府系でもう大部分持っちゃっているんですよ。だから、これは健全な国債発行の市場が育ってないのですから、こういうことをやっていったら、大臣がやっている間だけは何とかやりくりがつくけれども、日本はまだまだこれから先永遠に続くんですから、政治家というのはそういう未来に対しても責任を持たなきゃいけない。昔から政治家というのは国家百年の大計をおもんぱからなきゃいかぬというのですから、やはりそういう点から、これは幾ら議論をやってもし過ぎないほど重要な問題だと私は思います。 ですから、インフレ要因を除去していくという意味で、国債発行については十分もう一回考え直さなきゃいけない。みんな結局一年たつと日本銀行や政府の預金部資金に肩がわり、こういう状態が数字の上で明らかであります。この辺をもっときちっと、銀行に買わしたものは一年でなくて少なくとも償還期限の半分までぐらいは持たしておかぬといかぬですね。あるいは個人消化に努めろ、そういう少々細かい行政的配慮を来年度に向かって検討するというような気持ちにはおなりになりませんか。
○吉瀬政府委員 武藤委員の先ほどの御質問の五兆二千億という数字でございますが、差額は短期国債と申し上げました。実は、六月には二兆六千で年末には五兆二千、二兆六千がふえているということは、やはり年末の資金需要で、たとえば糧券とか為券とかそういうものの年末における通常の動きを反映しているかと思いますが、なお、これにつきましては、私ども二兆六千の差額につきまして、また後日御説明申し上げたいと思います。 それから、もう一つの資金運用部の国債保有でございますが、これは発券機能を持っている日本銀行が引き受ける場合と違いまして、資金運用部は郵便貯金といういわゆる民間資金を原資としての運用の形態として、資金運用部の資金運用法で認められた国債保有でございますので、日本銀行の保有しているのとはちょっと経済的性格が、これは御承知のことと思いますが、違うと思います。 それから、御指摘の個人消化をさらにふやしていく、その方策をさらに考えるべきじゃなかろうか。これはまさに私どもといたしましても、公社債市場の育成とか安定的なる国債機関投資家の育成とか、そういうような面からいきましても極力努力いたしていきたい、こう思っておるわけでございまして、すでに御承知の累積投資の問題だとか、あるいは非課税の特約とか、いろいろなことも実施しておりますし、また必要に応じましては、買い入れ消却というようなこともやって国債の市価維持に努めて、個人の消化を増大してまいりたい、こう思っておるわけでございます。 ただ、基本問題としてむずかしいのは、やはり国債発行総額を担当合理的なところまで圧縮いたしませんと、なかなか日本のようなマーケットの事情でございますと、二兆というような額の国債が安定的に個人消化できるかということになりますと問題でございますが、御指摘のとおり、個人消化の拡大にはなお努力していきたいと思います。
○武藤(山)委員 あなた、どうも耳にひっかかるのは、短期証券短期証券と言うけれども、短期証券というのは一体幾らあるかと思ってちょっと見ましたら、外為証券と食糧証券、短期というのはこの二つですね。その短期証券の食糧証券を見ると九千六百七十億だ、一兆にならないのだよ。だから、何か私がさっき言っている数字が少し大き過ぎて、日銀にみんな行っちゃっているから、これをひとつ打ち消そうなんと意識的に短期証券と言うけれども、この短期証券は九千六百七十億七千九百万円、十兆円のうちの十分の一だ。 それともう一つ、普通国債で議論しますよ。いま普通国債で議論した場合、三分半、三・五%の公債がまだありますね。いまのこのインフレのときに、この三分五厘の金利の国債というのは、もうこんな二年もの定期が八%になっておる時代ですから、いつまでも残しておかないで、早くこういうものこそどんどん思い切ってきれいに償還すべきじゃないですか。
○吉瀬政府委員 三分半利国債は戦前に発行したものでございまして、私の記憶に間違いなければ、昭和七年あたりから出しておりまして、その後借りかえとかそういうような条件変更とかいうようなことでまだ残っている国債でございます。 これにつきましては、私ども残高がいま六億ほどあると記憶しておりますが、これは五十年から五十四年までに償還期限が来ると思います。ただ、いま御指摘の問題もございますので、やはりこういう三分半利というような、いまの金利状況からいけばきわめておかしい国債、これにつきましては、場合によっては少し償還を早めるというようなことも考えてよろしいかと思います。
○武藤(山)委員 大変重大なことを聞きました。五十年から五十四年に期限が来る三・五%の国債、これはやはり三・五%の金利でお返しするのですか。それともいまの現状に合わせて少し目減りを補償するのですか、大臣。
○吉瀬政府委員 実は三分半利公債でございますが、これは南方開発金庫等への出資とか鉄道の買収費とか、そういう種類のものの一種の交付公債として戦前に発行されたものでございます。そういう意味からいきまして、相当期間を経過して減価しております。ただ、減価しておりますが、これにつきましては、やはり他の戦前債と同じように、金利は確かに低うございますが、元本償還に当たりましては、一般の原則に従いまして償還いたしたい、こう思います。
○武藤(山)委員 もう一つ、六分半利ですね、六・五%もの、これももう現状に合わない。だから、こういうものはできるだけ早く償還してしかるべきだとぼくは思うのですよ。そうしなければ、持っていれば持っているほどそこは損をするという感じを持って、政府に対する信頼関係を失う、私はそういう見解ですが、大臣いかがですか。 六・五%というのがまだ大変ある。四兆六千四百十六億四千六百万円ある。しかし、現状にだんだん合わなくなるこういうものこそ早く征伐をしていかないと、やはり社会問題になるね。
○吉瀬政府委員 四十一年以降の新発債も、武藤委員御承知のとおり、六分半利とか七分とかいうものがあるわけでございます。それから、現在は表面金利が八分でございますが、さて長期的に見て現在の高含み情勢がどういうことに相なりますか、一概には言いにくい面もございますので、六分半、七分というような種類のものを、今後借りかえの段階におきましては新しい条件にするということに相なりますが、この際すぐさかのぼって解決するということは考えていないわけでございます。
○武藤(山)委員 次に、財政法第五条の「すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせてはならない。」原則が書いてある。それでは、銀行に売りつけて、一年銀行が持っていて日本銀行へ売りつけるのは、この規定に全く触れないのかどうか。
○吉瀬政府委員 財政法の規定に基づきまして、発行の段階におきまして市中の資金をもちまして国債が消化される、こういうことになっているわけでございます。 ただ、現在のような金詰まりの状況その他でございますと、日銀のいわゆるオペレーション、成長通貨の供給というような政策で、市中金融機関からの国債が一つの種になりまして、日銀が通貨供給を行うということがやられております。ただ、この問題につきましては、四十六年とか四十七年には、逆に日銀が国債を売りオペに出した。金額はわずかでございます。千億とか八百五十五億というような金額でございますが、必ずしも機械的に日銀が必ず引き受けるというような状況でございません。また、日銀が市中金融機関の国債を引き受けるときには、これはすでに御承知のとおりやはり市中全体の財政の散超とか、あるいは市中全体の通貨の総発行量等を勘案いたしまして買い入れを行っております。一例といたしまして、四十八年に発行いたしました市中金融機関保有の国債も、いまはたしか一一%か何か残高に残っているというような状況でございまして、すべてを必ずというようなことではございません。 そういう点で、先ほど大臣は、日銀が必ず引き受けるというような形が将来の一つの形態として通貨の増発につながるおそれは確かにあるというような見解を表明されましたけれども、私どもといたしましては、そういう全体のオペレーションの一環として十分注意していきたい考えております。
○武藤(山)委員 とにかく財政法でそういう原則を一応打ち立てているのは、皆さんが行政を執行する上においても、これは一つのルールであり、そういう精神的な規定はきちっと精神的に受けとめなければいかぬ。ところが、実態は日銀に還流していってしまうということになれば、もう国債の及ぼす影響というのが大変大きいということをやはり痛感しなければいけない。まあ大変痛感しているようですよ。大臣も、それはインフレにつながるおそれがある、そういうことで、心配はしているようでありますが、せっかく今後日本の長期的財政を確立する上において、前向きに努力をしてほしいと思います。 それから、最後の方に参りますが、財政法第六条、今回のこの改正の問題でありますが、この第六条の中の「これを剰余金を生じた年度の翌翌年度までに」という「翌翌年度までに」という意味は、翌年に使ってもいいという意味ですか、この財政法の規定は。これは辻さんの守備範囲かな。
○辻政府委員 財政法の六条、ただいまお読みいただきましたように、「翌翌年度までに、償還財源に充てなければならない。」とございますので、翌年度に充てることを法律上禁止したものではございません。
○武藤(山)委員 そうすると、法律的には、たとえばいま問題になっている四十八年の剰余金を繰り入れる場合、四十八年の剰余金を四十九年度予算に使ってもいいわけですね。
○辻政府委員 ただし、通常の場合でございますと、決算の見込みが出てまいりますのがおくれてまいりますから、普通の場合、翌年度の当初予算に見込むということは、実際問題としてできないわけでございます。
○武藤(山)委員 当初予算には見込めないが、剰余金が決算できちっと確定するのは毎年何月ですか。
○辻政府委員 主計簿の締め切りを七月末にいたしますので、その時点におきまして計数としては確実なものになるわけでございます。
○武藤(山)委員 そうすると、七月に計数として余剰金が確定をした、その後に補正予算が必要だというときには、その財源を補正予算に使うことは可能ですね。
○辻政府委員 財政法上は、決算上の剰余金をどの時点から歳入予算に計上いたしまして歳出の財源として使用し得るかにつきましては規定がございませんので、剰余金の発生が確実に見込まれる時期以後でございますれば、その見込み額相当分を歳入予算に計上いたしまして歳出の財源として使用することは、法律上の問題としては差し支えないわけでございます。
○武藤(山)委員 そうすると、この「翌翌年度」というのには、ずいぶん重い意味がありますね。翌年に使ってもいいという。使う場合は、しかし、この六条の規定の「公債又は借入金の償還」でなければいけないのでしょう。それはどうですか。
○辻政府委員 「公債又は借入金の償還財源」でございます。
○武藤(山)委員 私は余りそういう方の本職じゃないのでわかりませんが、四十九年度一般会計補正予算(第1号)、これの歳入財源に、前年度剰余金受入二千六百九十億が計上してありますね。これは借入金か公債償還ですか。
○辻政府委員 その問題は別の問題でございまして、四十九年度の補正によりまして地方交付税交付金の精算分を計上いたしたわけでございます。四十八年度の決算上の剰余金の金額の中には、その年度の所得税など三税、いわゆる三税の自然増収に見合いまして地方交付税として交付すべき金額が含まれておるわけでございます。 一方、地方交付税法の第六条の第二項という規定がございまして、前年度以前の地方交付税の不足分について精算することができるということになっておりますので、精算額が明らかになり、そして地方財政上の必要がございますれば、四十八年度の地方交付税の不足分を四十九年度の補正予算において精算することは可能であるわけでございます。 四十九年度の地方財政の実情は御承知のとおりでございまして、人件費の給与改善その他で相当な原資が必要でございまして、地方税の増収とか節約をもっても賄い切れないという状態になりましたので、四十九年度の補正予算におきまして、四十八年度の剰余金を財源といたしまして地方交付税の精算を行ったわけでございます。
○武藤(山)委員 そうすると、地方交付税法と財政法の規定は一致していませんね。それは借金ですか。借金じゃなくて、三税から当然生み出されてきた税収を——そうすると、これは剰余金と言わないのですか。一たんは剰余金という形に計算したとすれば、財政法の規定を厳格に守るのが当然じゃないですか。それはどうなんですか。地方交付税の方の交付規定が優先するのか、財政法が優先するのか、それはただ単に解釈上いつも便宜的に勝手に行政府が解釈して処理できるのか、その規定はどうなんですか。
○辻政府委員 剰余金の問題は、大変技術的な点もございまして、おわかりにくくて恐縮でございますけれども、歳入歳出予算は同額で組んでいるわけでございますから、そのまま執行されればこれは剰余金が出ないわけでございます。 しかし、先ほど来御指摘のございますように、歳入につきましては、通常自然増収というものがございまして、歳入予算をオーバーする。歳出につきましては、繰り越しでございますとか不用でございますとか、そういうものがございまして、予算額を下回るということになるわけでございますが、その収納の総額から支出の総額を引きましたのが財政法四十一条の方の決算上の剰余金であるわけでございます。 その決算上の剰余金には、前年度の剰余金の未使用の残額が含まれておりますので、それは引くわけでございます。さらに翌年度に繰り越す歳出予算に充当すべき財源が含まれておりますので、それも引くわけでございます。そういたしますとそれを引いた残りがその年度に新たに生じた、新規発生の剰余金ということに相なるわけでございます。 そしてその中に、先ほど申し上げましたように所得、法人、酒の三税の増収によりまして地方交付税として精算交付すべき財源、そのほかにも若干ひもつき財源がございますが、そういうものが含まれております。そういうものをすべて引いたものが、ただいま武藤委員御指摘の財政法第六条の剰余金ということになるわけでございます。
○武藤(山)委員 もうこれでやめますが、大蔵大臣、いまのような計算で六条に基づく剰余金が四十八年度は六千八百九十一億、四十七年度は二千八百五十七億、その前の四十六年度が千八百十五億、四十五年度になると七百三十二億とがくっと落ちて、あとずっと低いのですが、四十八年度は六千八百九十一億という膨大な剰余金が出た。その剰余金を全部国債償還の方へ組み入れるのはもったいない、だからこれはひとつ財源に使おうということで、すでにもう予算に計上してしまったのですね。二分の一を五分の一に減らして、五十年度予算には財源として計上してしまってあるわけだ、まだ国会を通っておりませんが。 それで、五分の一にすれば繰入額が三千億にもならないで、千三百七十八億に減る。そうすると通常の、いままでのような前年度が千四百二十九億繰り入れ、その前が九百七億だから、まあまあ数字のかっこうがよく並ぶ。これが一挙に三千四百億も入ったのでは償還基金の方に一挙に多く行き過ぎる、いまの財源に使ってしまえ、考え方がこういうのですね。 それとも、この並びなんかどうでもいいんだ、財源が苦しくて五十年度予算がどうしても編成できぬのだ、したがって、ここに三千億円ある、いいところこれはお茶が沸いた、これを使おう、こういうことでこういう二分の一充当を五分の一に減らしたのか、どちらですか。大蔵大臣、どうですか。大蔵大臣、予算編成の責任者だから……。
○辻政府委員 ただいま御指摘になりましたように、四十八年度の決算におきまして六千八百九十一億円という剰余金の発生を見たわけでございますので、その二分の一といたしますと、三千四百億余りの繰り入れが必要なわけでございます。五十年度の予算編成におきましては、申し上げるまでもございませんけれども、予算規模及び公債の発行額を極力圧縮するということが要請されておりまして、その面から財政資金の効率的な活用が重要であったわけでございます。 そこで、財政制度審議会にも諮りましたし、また、かつて四十年度のときに繰り入れ率を二分の一を五分の一に、二年間特例を設けていただいた前例もございますので、そういうものを勘案いたしまして、今回この特例法をお願いすることにしたわけでございます。 なお、ただいまお話がございましたように、繰り入れ率を五分の一といたしましても繰入額が千三百七十八億円ということになりまして、過去の繰り入れの最高でございます四十九年度の千四百二十九億円に近い額が確保される。五十年度の国債整理基金の資金状況から見て問題がない、かように考えておるわけでございます。
○武藤(山)委員 だから、非常にイージーゴーイングの道を選んだ、こういう感じがしてなりません。財源を捻出するためにまあこれを使っちゃえ、こういうかっこうなんですね。まことに不満です。 それから最後に、大臣、結局いまの日本の財政の硬直化を打開する道はね、私はもう去年の二月一日に、大平さんの前の福田大蔵大臣のときにも大蔵委員会で、徹底的に長期計画の見直しをしなきゃ意味ないじゃないか、大蔵大臣が幾ら財政を縮めようと言ったってそれはもうできない、長期計画の全面見直し改定作業を早急に、去年のうちにやるべきだという提案をしたのだけれども、福田さんは、去年はまあ間に合わぬということでできなかった。今度企画庁長官になったら、なると同時に、私の提案したことと同じことを盛んに言い出したので、一応やるかなと思っているんですが、来年度予算編成前にその作業はできるんですか。 それとも来年度予算編成というのは、ことしと同じように、計画を一切抜きにして子算づけをしようというんですか。長期計画がいろいろ十何本ありますがね、港湾整備から公園整備からごってり。この計画について、大蔵省としてこれの策定がえをしなきゃならぬと私は思いますが、大蔵省としてはどうですか、大蔵大臣。
○大平国務大臣 日本経済をめぐる内外の状況をどう展望するか、大変判断がむずかしい状況でございますので、とりあえず五十年度を起点とする長期計画は一切やめろということにいたしたわけでございます。だから、そのことは五十一年度を起点とする計画になるのかならないのか、それは来年の予算編成を軸にいたしまして、政府・与党がどのように考えてまいるかにかかってくるわけでございますが、少なくともただいままでのところ、五十年度を起点とする長期計画は策定しない。それからいろいろな大きなプロジェクトについては、その進度を調整していこうという態度をとってきているわけでございます。 それで、大蔵省として来年度の態度、来年度どうするかということでございますが、私といたしましては、いま御審議をいただいておる予算並びに関連法案、これを実はどうして早く通過させていただくか、そればっかりがいま私の考えていることでございまして、来年度のことまでまだ考えが及んでいないわけでございます。精いっぱい御審議にこたえたいと思うのです。
○武藤(山)委員 大蔵大臣、あすを語ることのできない者に本日を語る資格はない。来年のことを大蔵大臣が早く決断しないと、五十一年度の予算はもう八月ごろからわあわあ動き出すのですよ。九月ごろには大蔵省はややふんわりしたものをつくっていくんですよ。ですから、五十一年度の財政をどうするかということを大蔵大臣が早く決断すればするほど、大蔵当局は、財政当局は、一定の方向に財政規模というものを縮めることもできるし、それにはやはり、大蔵省としては長期計画をこうしてほしいんだということで大蔵大臣がぴちっと腹を決めなきゃいかぬ。与党が何とかするでしょうなんていうんじゃ、それはだめですよ。 この間、二十九日の晩、あなたとここでもってやり合ったら、大蔵大臣、早速閣議でも主張し、大蔵省の案がどんどん出てきた。これはなかなか決断と実行じゃなあと思って、私はいま大変敬服しているんです。今度は、長期計画の問題についても早くそれをやらぬと、もう八月からは予算編成の準備が始まるんですから、悠長なことじゃだめですね。最後にあなたの見解を聞いて終わります。
○大平国務大臣 一度申し上げるとそれを実行に移さなければいけませんから、私が申し上げた以上は実行するわけでございますから、いよいよ腹が決ったら申し上げます。 ただ、この段階で申し上げられることは、財政硬直化の問題について与野党通じまして大変憂慮していただいておりますこと、ありがたいと思っております。これにはよほどの決意をもって当たらなければいかぬわけでございまするし、長期計画の問題も武藤委員が御指摘のとおり、この財政硬直化打開の大きな柱の一つでもございます。したがって、私どもが憂えておりますのは、これ以上硬直化が進まないように何としても重要な財政を守らなければいかぬと存じておるわけでございますので、どうぞそういうラインで御鞭撻を願いたいと思います。
○武藤(山)委員 間に合うようにやるかやらぬか、あなたの決意を聞いているんだよ。
○大平国務大臣 だから、私はそういう決意で、職責に忠実でありたいと願っておりますので、御鞭撻のほどを願いたいと思います。
○武藤(山)委員 終わります。
○上村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時五十分散会