大蔵委員会 第3号
- 発言数
- 107 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1975/02/05
会議録
○村山(達)委員長代理 これより会議を開きます。 委員長は所用のため出席できませんので、その指名により、私が委員長の職務を行います。 国の会計、税制及び金融に関する件について調査を進めます。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山中吾郎君。
○山中(吾)委員 大蔵大臣と国務大臣という意味を含めてお聞きしたいのでございますが、自民党で三木内閣を選択をされたことについて、大臣はこれを歓迎されておられるか、一応違った路線を考えておられるか、どちらでしょうか。
○大平国務大臣 田中さんの御退陣の意思が表明された後、自由民主党におかれて後継総裁御選考でいろいろ苦心があったことは私も承知いたしております。あの当時の状況におきまして、三木武夫氏が最適任でなかろうかという御判断を椎名副総裁がされましたわけでございまして、当時の状況にかんがみまして私もそれに同意をいたしたのでございまして、同意をいたしました以上、三木首班のもとで応分の御協力を申し上げるのが当然の道行きだと思っております。
○山中(吾)委員 もっと私、率直にお聞きしたいのは、大平さんの思想と三木さんの政治家としての思想はよく似ているとぼくは思っているものですから、ただ派閥力学で対立しておっても、三木路線と大平路線は政治家としての考え方はわりに近いんじゃないか、こう私なりに見ておるものですから、そこで率直にお聞きしたわけなんで、形式的に機関でこうなったからこう、そういう意味でなくて、これからの大蔵行政をおやりになるにしても、その辺のことは参考にお聞きしておきたい、こういう意味なんです。むしろ、ぼくからもっと言えば、いわゆる修正資本主義的なお考えであなたの政治思想が動いておるかどうか、それをお聞きしたのですが、それは率直にお答えできますか。——できなければいいです。
○大平国務大臣 たいへんむずかしい問題でございまして、具体的に出てまいります個々の問題、ケース・バイ・ケースの御質問を通じまして私の考え方をお聞き取り賜りたいと思います。
○山中(吾)委員 実は私がこういう質問を最初にしたのは、参議院選挙で七議席に幅が狭まった、自民党に保守政党として一つの危機感があったことは間違いない。田中金脈問題もあって内閣が退陣をされた。その後に、野党の一人として、日本の保守政党が左寄りの内閣を選択するか右寄りの内閣を選択するか、その選択については私の一つの課題であったわけです。椎名副総裁の裁定で世間に言ういわゆる左寄りの内閣を選択したということは、日本の議会制民主主義を守る立場において私は歓迎しておるわけなんです。保守の本流でずっと原則論的にいけば、あるいは青嵐会的な内閣の選択もあったかもしれない。しかし、いわゆる社会的公正というふうな政治価値を強調して、いわゆる十八世紀の個人的自由、結局は強い者勝ちの自由になる傾向があるものに対する反省が左寄りの内閣を選択したことは、ドイツのワイマール憲法の悲劇は生まない、お互いに努力をして政党政治としては共通の広場を拡大していく方向に選択されたということで、政党の立場でなくて、日本の政治家として私は好ましい選択であると考えておるのです。 大平さんの財政演説その他を見ますと、そういうニュアンスを持った表現があちらこちらにあるので、政治思想としてはよく似ているのじゃないか。もっと右寄りの思想を持っておられるかどうか、私は大平さんとつぶさに話をしたことはないのですけれども、文章を通じてそう思った。その選択についてどうお考えになっておるかということを一応聞く必要があるので、お聞きしたわけです。その点はどうでしょう。これも各論に残しますか。
○大平国務大臣 右とか左とか、社会主義とか資本主義とか、きれいに割り切って判断、評価をしてまいるということよりは、むしろ今日の状況におきまして、われわれが苦心をいたしまして選択することが国民の幸せに通じ、世界の平和につながるという選択でありたいと願っておるわけでございまして、アイデオロジー的に正しいかどうかということよりは、その選択自体がそういう幸せにつながるということのほうに私はむしろ責任も感じ、興味も覚えておるわけでございます。
○山中(吾)委員 本論に入りたいと思いますが、ついでに私の意見を申し上げてから各論に入りたいと思うのです。 日本の政党の本流が一つの危機感に達したときに、社会的公正とかあるいは所得の格差を縮小するとかそういう方向に向いた内閣が選択されたことは、私は歓迎する。その直後に野党第一党の社会党大会があったのですが、その場合も国民は、それならば革新政党である社会党が、これも世俗的なことばで正確ではありませんが、左寄りの執行部を選ぶか、あるいは保守党の内閣の選択に対応して現実路線の右寄りの執行部を選択するかということも、国民から見れば一つの大きい注視の的であったと思うのです。その中で、自治体の現実の中で現実感覚を持った飛鳥田氏が副委員長になり、いわゆる構革路線の江田氏が副委員長になった、現実路線の執行部を選択したという中に、議会制民主主義の中で政党が移行できるというふうな要素も含んできておるのではないか。南欧の小党分裂のフランス、イタリア型でなくて、何か一つの可能性を暗示しているという感じがしておるので、その線で国会の中で共通の広場も発見しながら、意見の対立しているものは正当に厳しく論議をしながら、何か議会制民主主義が本音、たてまえを分けないで進んでいく努力をすべきではないか、こう思っておるので申し上げたわけなんです。 ことに三木内閣が、派閥力学を超えて、いろんな反対があったが学者文部大臣の永井さんを選択した。その中にも、日教組と文部省の過剰な対立を、できれば政党、イデオロギーの対立の中で国民教育が埋没しない方向に努力する、野党の政治家の一つの課題としてこれをまじめに考えてはどうかということを考えたので、率直に大平さんの御意見を聞こうと思ったのですが、なかなか慎重で、私はちょっと過剰慎重だと思うのですが、明確にお話をされないわけなんですけれども、もう一度率直に大平政治哲学を披瀝していただきたい。私はもう少し具体的な御意見を聞いてから本論に入りたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○大平国務大臣 山中先生初め大蔵委員会の先生方に御披露するような政治哲学は、私持ち合わせがないわけでございます。 ただ、せっかく何か言えということでございますから、一つ私がいつも政治を考え政策を考えていく場合のよりどころというものを申し上げますれば、われわれは過去を背負って、その重さをひしひし感じながら重い足を未来へ向けて歩んでおるわけでございます。私がいまお預かりいたしておりまする財政の問題にいたしましても、税制の問題にいたしましても、金融の問題にいたしましても、すべてこれ過去を背負った、過去にさびつかれた姿で、それを懸命に洗い落としながら、どうすれば一歩でも前進が可能であろうかという苦心の毎日であるわけでございます。したがって、クリアカットな改革とか革新とかいうような名に値する政策の前進ができないことは非常にもどかしく思うわけでございますけれども、しかし、実はそういうことをわれわれが観念することはいわば非常に観念論で、実際は一つのくぎを抜くことも大変むずかしい仕事であるということをしみじみ感じておるわけでございます。それに非常に勇気が要るわけでございまして、いわゆる革新的な勇気が本当は要るわけでございます。そういうことが足らないことをみずから戒めながらやっておるわけでございまして、これが保守的な政治家として精いっぱいの努力じゃないかという感じがするのであります。
○山中(吾)委員 具体的な問題についての質問に入りたいと思うのですが、大蔵大臣の財政演説の中で私非常に記憶に残っておるのは、「第二は、社会的公正を確保することであります。」という第二の柱をお立てになって、そしてその中の文章に「社会的公正を確保することは、あらゆる政策の基本であります。」と言っておる。これは私から言えばずいぶん前向きの、新しい、自民党としては私は一つの方向転換とさえ考えておるわけで、それで先ほどお聞きしたわけです。 そして「特に、財政金融政策においては、インフレーションが所得や資産の分配に大きな不公正を生み、国民生活と社会秩序を根底から崩す元凶であることに顧み、まず何よりもインフレ対策を強力に推進することが、社会的公正を実現する上から言って最も重要であると考えます。」この本会議における大蔵大臣の財政演説のここの文章は、非常に積極的な姿勢だ、自由民主主義の一つの路線から言えば一つの修正を意味しておるような大胆な表現だと思ったものですからお聞きしたのですが、いまお聞きした御答弁は、そこから言うと二歩、三歩後退されたようなニュアンスを感じたので、ちょっとまた大平さんをもう一度考え直しながら御質問せねばならぬという感じがしたのですが、こういう明確な、インフレは元凶という一つの言葉で表明されておるについては、不公正なインフレ政策というものは最もいけないものだという深刻な反省のもとにこれから大蔵行政をおやりになるのかと思って、私は非常に期待したわけなんです。 そこで、具体的にこの元凶であるインフレを克服するのにはどういう対策をおとりになるのかということを実はお聞きしたいわけなんです。話を早く進めるために私の一つの考えを申し上げますれば、インフレによって非常に損をした国民がある。被害者がありますね。その被害者を救済する対策は具体的にどういう対策をとるのか。それから、一方にインフレでぼろもうけをした層がある。そういうぼろもうけをしたいわゆる加害者に対する、何というか、社会に対する補償、そういうことを要求する政策もなければこの元凶は克服できないのじゃないか。その具体的な対策は何だろうか。そして第三に、二度とこういう社会的不公正の元凶であるインフレを起こさないための経済の構造改革政策がなければ、インフレ対策とは言えないのじゃないか。これに具体的にどういう政策をお持ちなのか、それをお聞きしたいわけなんです。 財政演説の文章を見ますと、明確に、社会の不公正をもたらす元凶としてインフレ政治を鋭く批判されておるのでありますから、その中から大平さんのシビアないろいろの政策が流れ出なきゃならないと私は思うのですが、いま私は便宜的に三つの柱を立ててお聞きしたわけですが、その辺の大蔵大臣の政策基調といいますか、具体的にこれについてはこれこれこういうものをやろうとしているのだということをお聞きしたいと思います。
○大平国務大臣 いま御指摘の、インフレが諸悪の元凶であるという認識、これはもう私が申すまでもなく、これはどなたにも御異存はないことであろうと思います。そして、これがやさしいものであればわざわざ言う必要もないわけでございますし、汗をかく必要もないわけでございますが、インフレ対策というのは大変むずかしいことでございます。何となれば、私がいま申しましたように、過去が絡みついているわけでございますから、このインフレ対策を本当に進めようと思えば本当に革新的な勇気が要るわけなのでございまして、それとの闘いが毎日であるという私の心境を正直に告白申し上げたわけでございまして、これはあなたも持たれておる実感でございましょうし、私も持っておる時局に対する共通の認識であろうと私も思います。 その次から若干山中先生と私違ってくるわけでございます。このインフレ対策というのは、私は二つあると思うのであります。一つは、これから先インフレを起こさない、これは非常に大事なインフレ対策だと思うのです。あなたの言われたのは、いままでのインフレ対策が生んだ不公正をどうするんだということ、これは確かにインフレ対策の一つの面でございます。つまりこれは後始末の問題でございますが、大事なことは、これから先インフレを起こさない、あるいは精いっぱい努力して、若干のインフレーションが結果として起こるにいたしましても、それはミニマムなものにとどめなければならぬということが政策の基本でなければならぬと思うのであります。これは財政であれ、金融であれ、教育であれ、行政であれ、すべての営みの根底を揺るがしておる諸悪の元凶なんだから、これとの闘いというのは、ひとり財政金融政策を預かっている大蔵大臣の仕事であるなんというようなものでない、全体の課題だと思うわけでございます。 しかも、それは日本ばかりでなく、これは世界的課題でございまして、去年一年をとってみましても、輸入物価が約七割上がっておるわけでございまして、私ども同じ品物を買うにいたしましても七割よけい代価を払わされておるわけでございますが、私どもが営々としてつくりましたものを輸出する場合の輸出物価はその半分、三割四、五分程度しか報われるところがないということでございまして、これは世界的な規模で進んでおるわけでございまして、これを本当に退治するということは、これは人類的な課題なのでございます。 そこで、まずこれから先、外に向かっても内においても、インフレを最小限度にとどめなければならない。それが政府の基本的な方針でなければならぬと思うのでありまして、そのためにわれわれといたしましては、財政政策としても金融政策としてもいろいろな政策をとってきておりますこと、これはこれからいろいろ御検討をいただき、御審議をちょうだいすることと思うのでございます。それが基本であろうと思うのでございます。 しかしながら、あなたが御指摘のように、今日まですでにインフレートしてしまって、弱いところにしわが寄ってきて、不公正が現実なものになってきておるわけでございます。それに対して政府がなすところがないと、これは政府と言えないわけなのでございます。 それに対しまして、ことしわれわれがやりましたことは、社会保障、恵まれない方々、社会的、経済的に力の弱い方々に対する措置を、限られた財源の中でとりわけことしは力点を置いて組ましていただいたわけでございます。ここにも書いてありますように、老人、身体障害者、母子家庭等々に対しまして、特に考えさせていただいたわけでございます。 しかし、それは決して十分ではございません。不完全なものでございまして、幾ら気をつけてやりましても、手落ちが出てくるに違いないと思うのでございます。何となれば、インフレという病は、広く深くもうあらゆるところに巣くっておりまするし、しかも、人間の心理の中にビルトインされてしまっておるような病、病菌なのでございますから、これは政府がその後始末を完全に掃除していきますなんということは、できる相談じゃないと思うのでございます。 したがって、力点はどうしても、私が前段に申し上げたように、これから先のインフレをとめるというところに力点を置かざるを得ない。そこに全力を挙げて立ち向かって実績を上げてまいるということが、政治の最大の責任であると私は考えております。
○山中(吾)委員 社会的不公正是正という立場、政府もインフレのもたらした不公正の結果に対していろいろ論議をされ、政策も行ってきたと私は思っておるのですよ。将来再び繰り返さないためには、やはり経済の構造的な改革——私は、大蔵大臣はえらい前に向かってのことだけ中心で、いままで起こった損害その他についての対策は何もやっておられないというふうな意味で言われている。私はもっと率直に、たとえば加害者に対して利益の社会還元という思想で超過利潤税というようなものを、前の国会でみんなが論議をして、不徹底でありますけれども、野党の提案に与党も応じて一つはつくってある。また、こういうことをしなければ国民はついてきませんよ、前に向かって前に向かってと言いましてもね。 だから私は、政府はゼロとかいう意味において批判をするつもりで言っておるのではないので、インフレ対策という限りについては、やはり過去に起こった不公正は是正をして、また将来二度と起こさないという政策を立てなければ、私は国民がついてこないと思うし、それでなければインフレ政策と思わないので申し上げている。現に、加害者という言葉は悪いかもしれないが、超過利潤を獲得した企業に対する社会還元の思想の超過利潤特別税が出ている。できればもっと徹底したほうがいいかどうかという論が残っておるのだが、こういう考えは政治家はいつも持つべきであると思うのですね。 今度の国会において、被害者に起こった不公正をちょっとでも修正するために、すなわちインフレに基づいて所得もそれから預金も目減りをしたものに対する目減り対策は現に論議をしているのです。この物価の値上がりに基づいて、せっかく額に汗をして預金をした零細預金に対して、一〇%以上の高金利を付した特別預金を認めようじゃないか。このときに大平さんがもっとああいう財政演説で、これは銀行行政ですから大蔵大臣の所管でありますから、もう少し積極的に、英国、ヨーロッパのように少なくとも預金者が損害を受けない程度の金利を考えるというようなことは言われてしかるべきであるし、お考えになっておられるに違いないと私は思うので、これはすでに具体的な問題に出ておるわけでありますから、この目減り政策としての特別預金について、大臣のお考えをお聞きいたしたい。
○大平国務大臣 大変ありがたいことには、日本は一番貯蓄性向の強い国でございまして、税金を納めましたあとの可処分所得のうち二〇%近くを貯金していただいておるおかげで、わが国の経済はもっておるとも言えるわけでございます。 〔村山(達)委員長代理退席、浜田委員長代理着席〕 英米は一〇%以下だと思いますし、独仏が一三、四%のところを低迷いたしておるのに、わが国が一七、八%から二〇%の域にまで貯蓄率が達成できておるということは、大変ありがたいことと思うのであります。したがって、この国民貯蓄の安定した状況というものを維持してまいることは、経済政策、金融政策の基本でなければならぬと思うのであります。 したがって、山中先生御指摘のように、このように物価が高くなってまいりまして、その騰貴率は預金金利をはるかに超えてしまうというような事態を長く放置しておくということは、許されないことでございます。したがって、早くこんなアブノーマルな事態から脱却をいたしましてノーマルな事態に返らなければならぬということで、政府はいま一生懸命になっておりますこと、物価をまず一五%程度にこの三月にはしたい、来年の三月には一けたにいたしたいということを道標にいたしまして、各省いろいろ工夫をいたしておりますこと、御案内のとおりでございます。 しかし、それだからと言うて預金者に対して、いまに物価を静めるから待っていてくれと言うわけにもまいりませんので、一昨年から去年にかけまして、御案内のように五回預金金利を上げております。私が着任いたしまして、去年の九月〇・五%、これは中小金融機関については大変つらいことであったようでございますけれども、御奮発をいただきまして、〇・五%預金金利を引き上げていただいたわけでございます。都合二分五厘の預金金利の引き上げを短期間の間に敢行いたしたゆえんのものも、そういう営々として国民貯蓄に励んでもらった方々に対する金融政策上の配慮でありましたことは、御理解をちょうだいいたしたいと思うのであります。 しかし、それでもなお足らぬじゃないか、いわゆる目減り対策という名においてまだやる余地がありはしないかという御指摘が、与党の中からも野党の中からもあるわけでございまして、したがって、私どもといたしましては、金融機関が預金者に報いるに、その負担のできる範囲内におきましてなお余地がございますならば預金者に還元していくということは当然なことでございますので、そういった点をいま検討いたしておるところでございますけれども、これにはいろいろな問題がありまして、技術的な問題も大変いろいろ検討すべき問題がたくさんございますので、いま、いつからどういう方向、方法でやるという具体的にお答えする段階まで来ていないのでございますが、鋭意いまいろいろな角度から各種の御提案を金融当局、行政当局として検討しておるということだけをきょうお答えさせていただきたいと思います。
○山中(吾)委員 私は予算委員会を傍聴していなかったので新聞を見ただけですけれども、堀委員の方で、一世帯五十万の定期預金に関して一年間に限り一〇%の金利の特別預金制度を提案したことについて、実現の方向で検討されるとお答えになったのではないかと思ったので、具体的にお話ししたいと思ってきょうお聞きしたのですが、せめて目減り政策としてやるならそれしかないんじゃないか。インフレというものは最大の社会的不公正という認識のもとに、大蔵大臣がこれから一つの政策を立てる場合に、将来に対する政策はもちろん一番重大なことでありますけれども、五年間に四十四兆円ですか、そのくらいの目減りになっておるというふうな問題について、零細預金の一部に対して、技術的にいろいろな制限はあっても私はやむを得ないと思うのです、それくらいのことはおやりになって、将来に対する政策で国民に協力を求めるという態度以外には国民はついてこない。もう少しそういう予算委員会で提案のあったことを実現する方向で具体的に検討される御答弁があってしかるべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
○大平国務大臣 予算委員会で御党の堀さんから御提案がございましたことも承知いたしております。これは三千万世帯に名寄せいたしまして一世帯一口五十万円まで特別な利子をつける特別預金制度なんでございまして、非常に大がかりな仕事になるわけでございます。そのことは市町村役場の協力が得られれば堀さんは事務的には不可能ではないという御判断のようでございます。そういう行政的な問題もないわけじゃございませんけれども、しかしこれは金融機関が大、中、小、零細といろいろございますので、これは金融機関の負担でやるわけでございまして、そういう仕事にたえるだけの体質を持っておるかどうかということが一番大事な勘どころでございます。 私の判断では、いろいろ検討中でございますけれども、堀さんの御提案自体も、なるほど一世帯一口、しかも五十万円を限度とするとかいう一つの限られた範囲の特別預金制度を提案されておるわけで、限られた範囲でございますが、私はもっと限られた範囲にしないとなかなか実行は困難でありはしないかという懸念をいま持っておりますけれども、せっかく部内で検討をいたしておるし、関係金融機関におきましても、これはみずからの責任でやらなければいかぬことでございますので、それぞれ検討しておるようでございますので、いずれ遠からず結論を出さなければならぬと思っておりますけれども、やるにいたしましても相当限られた範囲にならざるを得ないのではないかというのが、私のいま持っておる感覚でございます。
○山中(吾)委員 世界の銀行で日本の銀行ほど預金者保護に乏しいところはないという評価が常識的になっておる。私もそう思うので、こういう機会に銀行を督励して預金者保護の精神を具体的に示すように、大臣が督励されることを要望いたしたいと思うわけであります。 次に、先ほど将来に向かって再びこういう悪性インフレを起こさないような体制をとることを重点にというお話でした。その点については、私が物特の委員長をしておるときに、いわゆる商社規制法、買いだめ、売り惜しみ規制法ですね、そういうものであるとか、現在論議をしておる独禁法の改正とか、あるいは生活規制法というふうな、一つの立法の中にぼろもうけだけは抑えていこうというふうな政策も若干すでに出ておるわけであります。現在その中で一番政治課題になっているのは独禁法である。こういうものを、やはり少なくともぼろもうけが制度的に許されないようなものに持っていくのが将来インフレをやらさない政策ではないのか。正直に働く者が働きに応じて所得がふえ、資産がふえることは、これは一番大事な人間を大切にする政策なのでありますが、ぼろもうけとぼろ損をささないというのがインフレの将来に対する要点だと私は思うのです。そういう意味において独禁法というものを、余り企業に気がねをしないで、ぼろもうけをささないという法体系、社会制度にするにはどうすべきかということを私はもっと純粋に大蔵大臣もお考えになるべきではないか、そういうことを恐らくお考えになっておるんではないかと思ってお聞きしたわけなんです。 私は田中金脈問題についても、現在のいろいろの社会制度の中で合法的に半生の間に数百億の資産ができるというふうなことがこの現代の社会の中にあるということは問題にすべきである、個人の問題に帰さないで。ああいう問題を起こしたときに私はこのことを静かに考えておりました。裸一貫で二十前後に上京されて、五十歳前後の三十年ぐらいに数百億といわれる一つの資産ができるというそのぼろもうけが、これは社会的に違法でないんだ、大平さんも、違法でないんで、若干滞納があるというふうなことを言われておった。したがって、現在の法律で合法的にそういうぼろもうけができるという制度、こういうものをなくするのが社会的公正、あなたがこの演説に書いている文章です。そういうことを考えるのが具体的な政策ではないのか。教育的にもぼろもうけの思想をなくさなければならぬし、制度的にもぼろもうけだけはないようにしていきたい。企業もやはり最大利潤を追求する十八世紀の個人主義的な経営哲学から、適正利潤を追求していくような社会的責任論をもっと教育政策にしてもあるいは税その他のあらゆる政策の中でも工夫していくのが、あなたの演説、あなたの思想の延長線に当然出てくるべきものではないのか。こういう問題の後に、私はそういう具体的な政策をお考えになるべきだと思うのであります。 三木総理大臣も資産を発表したが、恐らく三、四十億の資産になっておる。大平さんの資産を発表しても、やはり二、三十億になっているんじゃないかとぼくは思うんですが、これはインフレで地価が高くなったという一つの原因のほかに、私はどうも土地制度のメカニズムの中に、そうして大蔵省の考えておる法人制度擬制説以来の考え方の中に非常に安い税制を考えるとか、その中にぼろもうけをする制度的な温床があるんではないかと思う。金だけしか考えない人生観。しかし一方に、正直に働く者がそれに相応する生活が豊かになる。私は、二十から働いた者が五十になるときには生活水準が倍くらいになる、そういう希望の持てる人生が保障されるような社会が一番いいんだと思うのですが、百倍になったり一年間に何億というぼろもうけのできるような制度からは道義の退廃も生まれるでしょうし、もうける者はますます道義的に退廃するだろうが、もうけられない者はそういう者を見てますますまた投機的な心理に走るか、不平不満の中にモラルが低下されるだけだと思うんですね。 私は、総理大臣だからどうかということでなくて、一人の人間が三十年の間にそういう数百億の資産が合法的に獲得できるんだという制度にメスを入れるべきではないか、あの問題が論じられるときに私はそればかり考えておったわけでございます。田中問題をそういう立場で考えるときに、あれだけのぼろもうけのできる社会的な制度というのはどこにあると大臣はお思いになりますか。
○大平国務大臣 そのお答えの前に、私は山中先生も御同様だろうと思いますけれども、大体経済界に働く方々は人口のうちで一番多くの方がいま誇りと名誉をかけてそこに生涯を投じておられるわけで、僧侶になったり教師になったり政治家になったり芸術家になったりする者もいろいろおりますけれども、大部分の方が経済界に身を投じておられる。非常にすぐれた方が行かれておる。そしてそういう方々は、それでは非常に金もうけをしたいために経済界に身を投じておるか、もうけたいために行っておるかというと、私はやはり経済の世界で事業三昧に入って事業を大きく経営し、経済を通じて社会に奉仕するということに対して一つの誇りを持っておられる方が大部分だと思うんです。大企業の重役さんたちも、私は私の見るところそうお金持ちとは思いませんし、したがって大部分の方は健全な方々だと思うんです。 しかし、中には奇才、偉才がおって、人ができないようなこともやってのける方が、大ぜいの方の中ですからいないわけではございません。それはどこの世界にもあることでございますから。これは一体そういうことができないように、何か非常にみんなおとなしく、つましく、行儀よくするような世の中の仕組みをつくるというようなことは、私はあまり賛成できないと思うんです。やはり活力のある社会、生きがいのある社会というものが本体でなければならぬ。しかし、そこには公正なルールがなければならぬという意味で、独占禁止法というようなものも十分機能するような社会が望ましいと思うので、一人一人の経済人のビヘービアを、一々行儀作法を教えるような、あまりよけいもうけたらいかぬぞ、こうするんだ、ああするんだというようなことでなくて、大きく経済の公正なルールをつくって、みんなが大きなダイナミズムの中で生きがいのある生涯を送るという姿が望ましいんじゃないかと思うし、大部分の方が事業三昧の中で、簡素な生活の中で、懸命に生きがいを感じて暮らしておるのが私はいまの実業界の姿ではないかと思います。 それから、田中さんの財産問題というものを取り扱って、何で一生涯の間に相当の巨富ができたかということでございます。それは田中さん御自身が非常にすぐれた方である、経営の才能を持たれておるということを感じますと同時に、何よりもかによりも私は一番最大の致富の根本は、やはりインフレという感じがいたしますね。ここ数年前に購入されたものが高くなるとかいうようなことが現実にあるわけでございますから、やはり先ほど申し上げましたように、田中さんのケースばかりでなく、多くのケースがそうじゃないかと思いますが、インフレというのは非常にこわいという感じがいたします。非常に無理なことをされて、違法なことをして富をいたしたというようなことではございませんで、そういう結果になっておると思います。
○山中(吾)委員 大部分の人がぼろもうけを考えないで一つの事業に生きがいを感じてやっておる。だからこそ私は、企業の活力という言葉を使いますけれども、ぼろもうけできる制度をなくしたら企業の活力がなくなるとは思わないんですよ。大平大蔵大臣もそういうことを考えていない、むしろ無欲の人だと思うんですが、だからあなたは活力がなくなっておるわけではなくて、逆に金ばかり考える者はかえってある意味では私はいい意味の活力はないのであって、そういうことを行儀のいいとかいうんじゃなくて、この演説の中に流れておるような豊かな社会正義、ちゃんと働きに応じて報いられるという社会的公正のルールが厳格にある中にこそ人間的な活力も出るのだし、そういうところで活力が出るような世界観、人生観をつくらすのがわれわれの仕事じゃないのですかね。どうもその辺が否定的な、ぼろもうけをする者を置いておかないと一般の者は活力が出ない、そういう発想からは一歩の進歩もない。いまこそ私はその辺の価値観の転換が必要じゃないかと思っておるものですから、その辺がどうもちぐはぐな感じがするのです。 確かに田中さんの私財というものはインフレだ、次第に地価が何倍か上がる。だから政治家も何ぼか土地を持って、計算されると何億にもなるものだから、また政治家は権力を利用して何かしたかという不信感を国民に与える、こういうことは決して望ましくない。だからこそ、そういうことを考えても、インフレは何としても再び起こさぬようにするのがわれわれの務めだと思うのです。そういうことを考えてみたときに、インフレは確かに一番大きい原因ですけれども、やはりいまの土地制度と法人税のあり方が、ぼろもうけをやってやろうかという者が合法的にできるようになっているのじゃないか。そこに大蔵行政の問題があるのじゃないかと私は思うのです。 土地の所有制度というものも、公共性というものをやはりもっと加えることは当然じゃないか。土地というものは個人の所有ではあっても、北海道の端の何十万坪を仮にソ連が侵略したときには、全国民が銃を持って命を捨てて守れ、そういう性格を持った国土でもある。土地の私的所有が同時に国土の一部である、全国民が命をかけて守らなければならぬという国土であるならば、土地の所有に関する限りは最初から有効にこれを使う責任が負わされておるのであり、土地の騰貴でぼろもうけをするなんということは、国民に対する犯罪じゃないですか。そういう思想で、社会主義だ資本主義だというイデオロギーではなくて、もっと素直に土地の所有制度を本質的に考えて、当然土地の国家管理、使用収益は自由であるが、少なくとも処分については、地価の騰貴を悪用して、あるいはある人は活用してと言ってもいいでしょうが、労せずもうけるというふうなことを公共機関を通じて制度的にチェックすべきではないか。田中さんも土建企業から入っていったものですから、いつも土地を考えるときには投機的に考える心理がないとは言えない。そこに一つの問題があるのではないか。これはやはり行政の問題じゃないですか。 それからもう一つは、法人については比例税制を用いているし、配当所得は減税にしておるし、トンネル法人もつくれるし、そこを操作すればまたぼろもうけができるようになっているのじゃないか、法人について擬制説というふうな論理をつくりながら。私は個人と法人はやはり所得の最終駅としてもっと素直に累進課税を考えていくとか、そういう論議をこの機会にすべきではないかと思うのですが、いかがでしょう。
○中橋政府委員 ぼろもうけが現在のわが国の法人税制にその一つの原因があるというお説でございますが、私どもには実はそうは思えないのでございます。と申しますのは、いま御指摘のように、法人税制でいわゆる擬制説、実在説と申しますか、こういう物の考え方というのは、実はわが国だけの特有のものではございません。欧米各国におきましても、この法人税をどういうふうに考えたらいいか。と申しますのは、法人の段階におきまして得ました利益に対して法人税をかけます。それで、かけられました後の利益から株主に配当するわけでございますが、その配当を受け取りました法人なり個人という株主におきましての課税で、法人税という形でかけたその税金を受取配当についてどういうふうに調整をしたらいいのかというのが、実はいま御指摘のような法人税制の基本的な問題でございます。 それにつきましては、実は各国とも非常にいろいろな考えがございます。実はいま御指摘のようにいわゆる擬制説、わが国もその中に入ると思いますけれども、法人の段階においてかけられました法人税を配当を受け取る株主の段階で調整するというような税制を持っておりますのは、わが国のほかにはイギリスでございますとか、フランスでございますとか、カナダでございますとかいう国があるわけでございます。それからまたドイツにおきましても、実はこれはほとんどそういう制度をとっていなかったのですけれども、最近そういう方向に改正案が出ておるというふうに聞いております。ということは、そういう法人税あるいは株主の段階におけるその調整制度というのは、おっしゃいますようにぼろもうけということとは全然関係がございませんで、むしろ法人という一つの、いわば法制上できました企業体における課税と、それから払われますところの配当についての課税をどういうふうにするかという税制上の基本問題として各国が悩み、また各国がそれぞれ歴史的に動いてきた経緯があるわけでございます。私はそれは決していわゆるぼろもうけの原因になっておるとは思わないのであります。 またさらに、そういうことに関連して、法人税につきまして累進的な課税が行われるべきではないかというのも一つの御指摘の点ではなかろうかと思います。しかし、累進税率を法人税に入れるというのも、実は先ほど来申しております各国の税制にはとっていないところであります。しかも両方説がございますと申しました、いわゆる法人擬制説でありますとか、あるいは法人独立課税説でありますとか、そのいずれにおきましても、法人税率については原則的にはフラットの税率をとるというのが、実は法人課税についての基本的な考え方でございます。したがいまして、法人税率について累進税率をとっていないからこれはまたいわゆるぼろもうけの原因になっておるというのも、私どもはとらないところでございます。
○山中(吾)委員 その大蔵官僚の伝統的な考え方についてこの機会に再検討すべきではないかというのが、実は私の問題提起の動機なんですよ。現実に社会の実態を見ると、自然人と法人は、所得の終着駅として独立して二つあると見るべきであり、事実そうなんだ。法人自身の内部留保というものはだんだんふえて、それは株主には永久に返りませんよ。だから、やはり所得の終着駅として自然人とほかに対等の法人が社会的存在として実在しておる。これは事実じゃないですか。巨大なる法人の資産として永久に残る。そして大きな法人になったら政府は絶対につぶさないのです。そして内部留保というのがそのまま株主に返ることなしに、設備に返り、施設に返り、いろいろなものに返っておる。同時に、法人が一つの資本家になって、その内部留保、純益をもって他の会社の株主になり、子会社をつくっていく、これはもう所得の終着駅じゃないですか。それから大地主にもなっているじゃないですか。これは地主には返りませんよ。 そういう事実の上に論理構成をすべきであって、十八世紀ごろからの法律の中の実在説とかいうのは、事実を離れて観念論として論議をされる段階は過ぎているのじゃないか。そういうことを論理として粗雑に、いわゆる法人の収益に対して比例税をまだ固執するというのは、またそれにつけ込んで河本通産大臣が巨額の富を獲得したのも、私は法人と法人との関係のそれだと思うのですが、それはそれとして、法人に対してもいわゆる税の公平に基づいて、大きな収益のある法人と少ない収益しかない法人に対しては、個人の収益と同じように累進税を適用することが公平の原則ではないのか。自然人だけが所得の終着駅という考えは事実に反するのではないですか。どうですか大蔵大臣。事実の問題だ。
○大平国務大臣 これはたびたび本会議でも私御答弁申し上げましたが、山中先生お気に召さなかったのかもしれませんけれども、法人というのは累進税になじまないのじゃないか。つまり、収益が大きいからそれに累進するといっても、資本金、規模、組織が皆違うわけなんでございます。累進税というのは、大体、最終的に個人に帰属する場合になじむ制度であって、法人には累進税というのは成り立たない仕組みではないかと私は考えておるのでございます。 ただしかし、そうはいっても、現在、中小法人と大法人の場合は、日本でも税率を政策的に分けております。これは相当無理がありますけれども分けておりますが、こういうことをやるについては立法政策として限界があるだろうと思うのです。個人の所得税並みに、ある累進構造を法人について考えるということはいかがなものでしょうか。私はそれにはちょっと賛成いたしかねるわけでございます。
○山中(吾)委員 意見の対立じゃなくて、事実、所得の終着駅として自然人と同時に別人格、個人を越えた法律上認めた人格と自然のわれわれの人格、この二つが社会が生んだ所得の終着駅になっていると私は主張するのですよ。個人の場合も、たくさん資産がある人もない人も、その収益に対して累進税を課しておるのですから、大法人であろうが小法人であろうが、たとえば一年間に百億収益を得たら、その収益に対して累進税を課する、事実それ以外にないんじゃないか。 大蔵大臣は若いときに勉強した学説で偏見を持っておられるので、事実を見たらどうでしょう。法人というものは所得の終着駅になっておるじゃないですか。そして法人は政治的な発言権を持つために政治献金さえできるのですよ。政治献金を認めておるじゃないですか。それから水俣病というふうな公害が出たときに、株主が責任を持つのじゃなくて法人が責任を持ち、その法人を代表する経営者が責任を問われておるじゃないですか。そして法人自身は、現実において個人よりもさらに利潤を追求する自由が保障されて、最近、危険負担なんというのは皆国が持ってやっている。最大利潤を追求する自由だけが保障されて、私はどうも大法人になってくると治外法権的存在にさえなっておるような感じがするのですね。 これは事実の認識の問題でして、何か過去における自分の学説の偏見があって、いわゆる十八世紀の個人主義哲学の中に、自然人だけが社会的存在であるという一つの考えがある。しかし、われわれの社会生活で機能を果たしておるものは、法人を原点として現在の社会のメカニズムは動いておるのであって、法人が所得の終着駅だということは事実だ。これは学説で否定できぬのじゃないか、私はどう考えてもそう思うのですね。 そうして今度は、多くの利潤を得た法人とそうでない法人の間に、公平の原則によれば、それは緩やかなものでもいいですよ、累進税に基づいて税制を考えるということが当然に出てくるのではないか。これは大平大臣、偏見を捨ててお考えにならなければ、ここからあらゆる不公平が出、またインフレの温床になり、若干の人がこの制度を最大限に活用して、普通いろいろと批判を受ける資産を築く道もあり、ことにそういう動機でないのに政治的な立場に立った者がそのために非難をされるような制度はなくした方がいいんじゃないか。そこはいままでのように大蔵省が、何回質問しても一歩も進めないで昔の、三十年も前の学説の中で事実に目を覆うて同じことを繰り返すのはやめて、もうぼちぼち、せめてその枠を取って論議をすべき段階に来ておると私は思うのです。いかがでしょう。それをお聞きしておいて次に移りましょう。
○大平国務大臣 山中先生が言われることはよく理解できますし、そういうお考え方は私は成り立つと思うのです。実体問題として法人実在説のお立場に立って議論を展開される場合に、私はあなたが言われたことは一々ちゃんと成り立つと思うのです。 それで、大蔵省におきましても、百三十五万と言われる法人の税金をちょうだいしておりますし、一万一千人の方々がこの徴税に携わっておりまして、いま法人擬制説をとっておりますけれども、いまあなたが御指摘のような問題は、日々の税務の実際を通じまして私はしみじみ経験いたしておることと思うのです。しかもなお大蔵省は、依然として法人擬制説からまだ抜け出していないわけでございます。それに対して、あなたの鋭い御批判があるわけでございます。これはここでやりとりをやっておりましても時間がたつばかりでございまして、きょう御指摘をいただきました点につきましては、私があなたとやりとりをやるのはこれが初めてでございますので、これは私に対する御質問をちょうだいしたと承りまして、私自身が得心がいくように勉強さしていただきまして、機会はまた委員長にちょうだいいたしましてお答えを申し上げることにさしていただきたいと思います。大蔵省の言い分も私は少し聞いてみたいと思います。
○山中(吾)委員 この問題は、いままでの偏見を外して、事実を直視して論議をしたいと思いますので、保留しておきますから、ひとつ大臣も勉強していただきたい。これは偏見なしに、いろいろの角度から考えてもどうもおかしいのです。そういうことですから。 なお、来年度の物価の問題その他お聞きしたいのですが、これをやると具体的な各論にまた戻りますので、これは次に譲って、私の質問したい各論に入りたいと思うのです。 いつも私は教育文化政策から税制を考えるので、それをまず、時間がなくなっては困るので申し上げたいが、昭和五十年度の税制改革について、文部省が教育文化政策に対する税制についていろいろ要望されたのに対して、大蔵省では今度は、これを見ますと、相当積極的にその要望にこたえて改善をされておるのです。これは敬意を表したいと思うのです。私は、教育文化活動に対しては非課税主義をとるべきだという基本原則が頭にあるものですから、いわゆる営利事業でなくて、文化活動、教育活動についてはむしろ税制としては非課税主義を原則としてとるべきではないか、そういう頭でおるものですから、さらにいろいろの御要望をいたしたいと思うのであります。 一つは、今度大蔵省の税制改革からは外れたのでありますけれども、教師のいわゆる研修費控除ですね。図書購入費等、教師という職業の特殊性から研修費控除の要望が数年前からありまして、文部省から五十年度も大蔵省に要望があったはずである。幼稚園、小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校、養護学校の教員には年間十七万円、高等専門学校、大学教員には年間二十七万円を算出の基礎として要望されております。これは大蔵省ではそれに応じられていない。その応じられていない理由をちょっとお聞きしたい。
○中橋政府委員 学校の先生方の研修費について控除を認めよという御要求はずっと前からもあるわけでございますが、私どもの考え方は、学校の先生だけに限りません。たとえばお医者さんでいろいろ研究をなさらなければならない方がございます、われわれもまた日常平素勉強しなければなりません、そういうものについての研修費というのも実はかかるわけでございます。そういうものについて課税上一体どういうふうに処理をしたらいいかということでございますが、一つの道とすれば、たとえばいまお示しのように、十七万円、二十七万円というようなものを、個人個人いろいろ差がございましょうから、実額でもって給与から控除をするという制度があり得るわけでございます。 ただ、わが国の所得税におきましては、いわゆる給与所得控除制度というのが長年あるわけでありまして、個別の方々のその給与を得るために必要な経費というのを個別に計算して実額で引くという制度は、執行上も非常にめんどうでございますし、紛議を招きやすいものでございますから、とっていないわけであります。いわゆる概算控除と申しますか、給与の額にスライドいたしまして給与所得控除という形でいろいろな経費を突っ込んで引いておるわけでございます。もちろんその中には、たとえば外に出て働くことによります余分の経費とかいうものもあるわけでございますけれども、当然われわれが日常勉強しなければならない職務上必要な研修のための費用というのもあり得るわけでございます。 しかし、この経費につきましてはまた見方が非常にむずかしゅうございまして、所得を得ました後の処分としてたとえば書籍を買うものであるのか、あるいはその給与を得るに必要な経費として書籍を買うものであるのか、これは見方が非常にむずかしいわけでございます。これを実額控除の形にいたしますれば、おそらくは個別の控除の際に非常に紛議を招くわけでございます。そういう紛議を避ける意味におきまして、給与所得控除というので概括的に引く制度を長年やってまいりましたし、またそういうものがかなり大幅に要るという観点から、昨年の所得税の大改正におきましてはその控除の率を一〇%から四〇%まで、しかもその限度をいままでは非常に低かったのを撤廃するということにしたわけでございます。 したがいまして、先生につきましてのいまの十七万円、二十七万円というのも、おそらくは私どもが考えております給与所得控除の中でかなり吸収をできるものと思っております。したがいまして、今回もそれを採用しなかったのでございます。
○山中(吾)委員 技術的にいろいろ困難があるからということでしたらまた今度さらに検討を願うということですが、思想的にこれは控除すべきものでないというのでしたら、私は非常に異議があるわけなんです。これは大島教授のサラリーマン訴訟にも論議が出ているのですけれども、教師というような教える者については、書物が必要経費だということはこれはもうすぐわかるのです。そういう特殊性に基づいて、私は控除の問題として論議すべきものであると思うので、その点局長が基本的に、それにすべき適当なものでないというならば、ここでは時間がありませんが、今後論議を続けていきたい。 ただ、このとき比較したいのは、例の医師の必要経費、これがそのまままた政治的に延ばされておる。教師のほうは、教師は聖職だというようなことを政治家が盛んに言って、一方にそういう使命感とかいう目に見えない一つの責務を要求しておって、そうして一方で、こういう問題については逆にその特殊性を認めないというのは非常に矛盾がある。私は聖職論を言うなら、むしろ一番に聖職論を主張すべきはお医者さんだと思う。医は仁術という言葉の中にある聖職論は、むしろ医者が最初に言われるべきであると思う。 私の身内にもお医者さんはたくさんおるのですけれども、医者というものは自分が診療し手術をするときに、金になるのだという意識を持ったら絶対やれませんと言っていますよ。それが私は医者の心理だと思うのですよ。金がちらついて、これは何ぼになるなんという意識を持って人間の生命を守るための治療とか手術なんというものができるはずはないのです。したがって、本質的に医師の業態というものは、利潤を追求する業態は適当でないと私は思っておる。もっと本質的に言えば、医者というものは患者が少なくなってくる、病人が少なくなることを願うのが、私は医師の職業の本質的な心理だと思うのです。そういうことを考えて、そこから必要経費としてこういうことを論議するなら、私は何%がどうだこうだという前に、もっと違った論議ができるのではないかと思う。 いま七二%についても、五二%が大蔵省で調べた必要経費だ、これは調べてあるのですね。残りの二〇%はそういう医者のいわゆる公共的性格に対して減税しているのだ、五二%は必要経費だと明確にするならば、国民に対する説得力はある。ところが、一方の診療費が低いからそれを上げるまではというような、そんな論理は国民が納得するはずがないじゃないですか。だれも納得しない。それなら私は絶対反対なんです。だから、医業の特殊性というものを論議をしてそこに税制を問題にするならば、これは国民だって納得する。ある意味において医業というもののそういう聖職論というものが強調されてくれば、全部免税にしたって私はかまわないと思う。そのかわりに、お金がない人にもその生命を守るために医者が使命感を持ってやるという一つの性格が確立されるならばね。そういう論議をして、やはりこういう教師の研修費も論議をすべきではないか。 この問題、私は医者と教師というものは、一方は人間の生命を守っていく職業であり、一方は生命を育てる職業なんだから、二つのものを別々に、一方は七二%認めておるのが正当で、教師には一〇%も認めない、しかも一方に聖職論を論議するというような政治家の二重構造について異議がある。大蔵大臣、お医者さんと教師を比較しながらこの問題を検討してもらいたいと私は思うのですが、私の論理にまた御批判がありますか。
○大平国務大臣 山中先生の御主張をきょう初めて伺ったわけでございますけれども、それに対して特に私がコメント申し上げるつもりはございません。ただ、私きょう冒頭にお断り申し上げておきましたように、私ども過去を背負っておるということを申し上げたわけでございまして、いろいろな制度の沿革というものを背負って、改革をしながら進んでいるわけでございます。したがって、一度でき上がった制度というのは改革するということがなかなか容易ではないことを御理解いただけると思うのでございまして、大蔵省といたしましても、社会保険診療報酬に対する課税特例というものを何とかいたしたいという問題意識を持ちまして、税制調査会にも御審議を願い、今日まで努力をしてまいったわけでございますけれども、まだ御提案申し上げるまでに至らないことを私非常に残念に思っておりますが、私はこれでいいと思っておるわけでも決してございません。われわれはたゆまず前進しなければならぬわけでございますので、なお検討を重ねてまいるつもりでありますことを御了承いただきたいと思います。 それから、教員の研修費控除という問題でございます。この前に教育費控除という問題であなたとやりとりをいたした記憶があるわけでございますが……。
○山中(吾)委員 それとは違う。そのこともあとで触れますが、いまはそれでない方です、教員の研修費です。この間の話は次に御質問申し上げます。別の問題です。
○浜田委員長代理 委員長から申し上げますと、大蔵大臣に対する御質疑は、山中先生の言われた教職員の研修費控除に対して御異論があるかどうかということでございますので……。
○大平国務大臣 研修費控除というのはきょう初めて伺いましたので、私も静かに拝聴しておったわけでございまして、きょうまだ特にコメント申し上げるほどの自信がございません。
○山中(吾)委員 この問題は、医師の必要経費との関係において余りにも物の考え方に差があるし、矛盾のままに論議をさるべきでないということを特に認識していただいて、これも検討されるよう要望しておきます。 次に、先般大蔵大臣に対して、家計から支出するいわゆる子供の教育費、学習費について検討されるように要望しましたときに、大蔵事務当局の壁は厚いけれども、大臣としては一応検討するというニュアンスの御答弁をいただいたと思っておるのです。これも本年度の税制改革で文部省から大蔵省に要望して、大蔵省ではこれは受けられないというので保留になっている問題でありますが、この点についても、ぜひ偏見をお持ちにならないで論議をしてもらいたいためにここにも取り上げておきたいと思うのです。 私は憲法と税制の関係について特に強調したいのは、憲法の二十五条で国民が医療を受ける機会が保障されておる、その二十五条においては、医療を供給するいわゆるお医者さんの方についてもいろいろ特権があり、治療を受ける国民の方にも医療控除というものがもう制度でできているわけですね。次の、並んで憲法の二十六条に今度は教育を受ける権利というものが保障されて、教育を供給する学校その他にはいろいろの免税制度の恩典があるわけです。今度は教育を受ける方については、教育費は控除に値しないという論議を大蔵省が何回でも出されているわけなんです。私は、二十五条で保障された国民の医療について医療控除の制度をすでに大蔵省が認めておる論理は、二十六条で保障された教育の教育費の控除においてもその立場で論議すべきである。財政上の問題でどうだということについては別ですよ。 ところが、大蔵省の局長以下は、私が何回言っても、医療費控除は別だ、教育費控除は育英制度その他でやればいい。その論理が、どうも偏見があって納得できない。そういうふうに、これもひとつ長い間の偏見をお取りになって検討をさるべきであり、してもらいたいと思う。これは二回目ですが、私は何回でもやります。私の論理が間違っておるのがわかれば質問は取りやめますけれども、どうもその辺がわからない。 それで、大臣、何かこの問検討されるというふうにお答えいただいたと思うのですが、なおお聞きしておきたい。
○大平国務大臣 この間お約束いたしまして、その後部内において検討いたしましたので、一応の御答弁を申し上げたいと思います。 憲法上の国民の権利に対応して国が何らかの措置を講ずべきであるとする論旨はごもっともでありますが、これを財政で措置するかまた税制で措置するかについては、事柄の性質により判断すべきであると思います。 教育に関する国としての措置は、従来財政面において行われてきており、たとえば昭和五十年度予算におきましては、義務教育国庫負担金一兆二千八百四十四億円を初め多額を計上しておるところであります。 税制面では、四十九年度改正におきまして基礎控除、配偶者控除を二十一万円から二十四万円に各三万円引き上げた際、最近における教育費の掛かり増しに対する配慮から扶養控除を十六万円から二十四万円へと八万円引き上げたところであります。五十年度改正では、さらに二万円の引き上げが予定されております。したがって、教育控除という独立の控除はありませんけれども、税制上も教育を受ける権利について十分配慮いたしておると思います。 税制上独立の教育控除を創設いたしますことは、税制調査会の従来の答申がしばしば指摘いたしておりますように、個別の事情を税制においてしんしゃくするのはおのずから限界がありますので、適当ではないと考えております。 これがただいままでの検討の結果でございまして、御不満でございましょうけれども、検討の約束をいたしましたので、一応お返事を申し上げておきます。
○山中(吾)委員 私はまことに不満——不満と言う前に、そこに論理の間違いがある、得手勝手な論理が入っておると思う。 だから私が言うように、すべての国民の生命を守る医療と生命を育てる教育の機会を平等に保障する、そこで二十五条と二十六条があるわけです。一方の二十五条の医療については税制上医療控除で控除しているのですよ。なぜ一方に、同じ理論で、教育控除が不適当だという論理が出てくるか。そういうことをお書きになっているのですね。それはおかしいじゃないか。いままだできないと言うのならできないで結構ですけれども、そういう論理で教育控除は不適当と言うのは納得できない。教育は財政面において行われてきておると言われるが、医療制度だっていろいろな政策をほかにやっているんだ。そこが私は納得できない。一応の結果をお読みになって約束を果たされた、それはいいですよ。しかし、論理に間違いがあれば訂正して、もう一度考え直して検討していただきたいと思います。
○中橋政府委員 なお、大臣からのお答えに補足をさせていただきますが、憲法二十五条の「すべて國民は、健康で文化的な最低限度の生活を營む権利を有する。」ということで、ただいまお示しのように、たとえば医療を供給する側につきまして、社会保険診療報酬の課税特例というのはできておるわけではないと私どもは思っております。これはまた別の観点であると思います。 それからまた、医療費控除は確かに所得税制上認められておりますけれども、これも憲法二十五条があるからないからというふうなことではございませんで、むしろ担税力という意味から申しまして、医療費というのを支出せざるを得ないということについては担税力が非常に減殺をされますから、そこで医療費控除というのを設けておるということでございますので、憲法二十五条があって、それを支えるためにおきまして、供給する側について社会保険診療報酬課税の特例があり、受ける方について所得税法上医療控除の特例がある、あるいは二十六条の教育を受ける権利があるから、学校のいろいろな事業につきまして免税ということがあって、受ける方についてそういう制度がない、おかしいと言われるのは、実は私どもの税制上から申しましてちょっとおかしな御議論ではないかと思っております。
○山中(吾)委員 たいへんな論理を出されちゃ困る。憲法というものがいわゆる政治の基本原則で、それに基づいて立法するということが憲法なんですよ。税制などというのは憲法に関係なくてというふうなことを大上段に論議をされて否決するなんていうその論理は、ぼくから言えば非常に危険思想なんです。納税の義務というものは、これは憲法の精神に基づいて政治が支出をするから、納税の義務というものを想定しないと憲法の規定にはならないと思うのですね。 ことにその中で、生命を育てるということと守るということは、人権尊重の規定のたった二つの最低の人権として二十五条、二十六条にあるのであって、そういう憲法の保障したことに関する事項で、苦しい家計から支出をするときに課税をするということが憲法上適当か不適当か。憲法で親が子供を教育することを保障し、子供の病気を直す機会が保障されているときに、憲法で保障されたことを行うために苦しい家計から支出しておるものはせめて税金を課さないというのが憲法の精神だと解釈するのが、憲法下における大蔵行政官の常識じゃないんだろうか。それを憲法に関係ございませんと言う。大体憲法ができた後で税行政にどんな反省をされておりますか。憲法、行政全然別問題だという論理を貫徹されていつでも論議されては大変である。どうですか。ぼくの論理がおかしいですか。局長、あなたは憲法のもとに大蔵行政をやっておる意識が非常に少ないんじゃないか。
○中橋政府委員 もちろん憲法にありますように、公務員は憲法のもとに働いておるわけでございますし、税法もその精神にのっとることは言うまでもないわけでございます。ただ、私が申し上げておりますのは、憲法二十五条があるから社会保険診療報酬の特例があるとか、あるいは所得税法上の医療費の控除があるというものではございませんということを申し上げておるわけであります。 と申しますのは、憲法はあらゆる国民について通ずるわけでございますし、所得税法は納税者だけについてある規定でございます。全部の国民について適用するものを税金だけについて処理するというのは、また非常に無理な話でございます。
○山中(吾)委員 そんな論議は何の説得力もないんだ。ここで結論を出すと言っても、そんな短時間でやれるものじゃないですから……。 そのいわゆる検討の結論については、私は非常に不満である。もう少し憲法の精神に合うように税制の政策もこれから進めていくべきであり、取捨選択すべきであるということを確認して、大蔵大臣がさらに政治家として、局長以下はいいです、政治家として検討されることを要望して、私はまた次の機会に私の質問を展開したいと思います。 あと一つ、私学振興に資するために、私立学校の用に供する土地の譲渡について、公立の学校への土地の譲渡の場合と同様の簡易証明方式により譲渡所得の特別控除の適用を受けられるようにすることが大蔵省で認められた。これは局長は知らないのじゃないかな、細かいから。それについては非常に結構だ。公立学校だけに適用されていたのを私立学校にまで適用されたのだが、幼稚園、保育所については、学校法人以外のものは排除になっているのですね。これはどうも余りにも形式論理ではないか。 つまり、設置者が学校法人であろうが町立であろうが、あるいはキリスト教会の、いまで言ったら教会のそれは私的幼稚園と言って差別をしておるのでありますけれども、明治以来日本の国が幼児教育に理解なく軽視をしておるときに、百年民間で幼児教育をずっと開拓をしてきた社会福祉法人とかあるいは教会あるいはお寺のそういう私立幼稚園を、その土地は教育の目的に使っていることは間違いないのだから、学校法人の幼稚園だけは税制上適用して、それ以外のこれを排除するというのは余りにも形式的である、これは同時にやるべきではないかと思うのですが、まず局長の意見を聞いて、どうせ局長はまた偏見があるのだろうが、政治家大蔵大臣と後でまた論戦したい。まず局長、あなたに聞きます。
○中橋政府委員 確かにおっしゃいますように、本年度の改正で、学校法人が高等学校用地として土地を買います場合にまで特別控除の場合を拡張いたしました。それでもって実は、学校法人として幼稚園から小学校、中学校、高等学校までの用地を買う場合にまでこの特例が適用できることになったわけでございます。 その際、私どもは、学校法人という法人形態に着目いたしております。と申しますのは、仮に個人がやっておりますそういう学校経営、幼稚園経営で土地を取得します、そのときには、山中委員おっしゃるように、その教育目的に使われることは確かでございますけれども、それは過去に、明治以来そういうことをやっておったという歴史はございましょうけれども、それでは果たして将来ともにそういう用途が確保できるのかということになりますと、どうしても個人営であればその点がはっきりしないわけでございます。そこは学校法人でございますれば、その存立の目的がまさにそういう教育目的、学校経営目的でございますから、はっきりといたしておりますので、私どもはやはりこういった場合には学校法人、法人形態をとっていただくということを最低の要件にいたしておるわけでございます。 その点に関しましては、私どもはぜひこういう特例については、そのほかいろいろ同種の問題がございますけれども、やはり学校法人への道を広げていただくとか、あるいはまた個人経営の方々が学校法人への意欲を示していただくとかいうことで実は解決をしていただきたいと思っております。
○山中(吾)委員 大蔵大臣にもう少し予備知識を与えないとまた局長ベースから一歩も出ないので申しますが、与党も今度は大いにハッスルして、一方に私学助成法というのがやがて議員立法なり何かで出ると思うのですが、その場合に幼稚園に適用する場合について、長い歴史を持った幼稚園の園主はやはり土地の所有に対するあこがれがあるので、財産を移行することが惜しいものですから、なかなか学校法人に移行しない。全国のいわゆる仏教関係の幼稚園や教会の方では各政治家に盛んに陳情に行っている。そこで、そういう心理も大体理解をして、五年間猶予するが、しかしその場合も空洞化された所有権は残して、地上権が学校法人に移動する、あるいは学校が廃止になったときは買い戻し権を付着するというかっこうでどうだということで、大体了解して助成法案が出るはずなんです。 したがって、この場合についても、所有権を移行しなければ特典を与えないということと矛盾をしてくるのです。学校法人に移行する場合でも、そういう所有権だけは、祖先伝来の所有権は残してやる、しかし、教育に使用するために地上権の設定ということで学校法人を認めるところまで政治家の中では来ておるわけですからね。これを排除するという税法、また、大蔵省だけが昔のかたいままなことを言って排除するということになると矛盾が出る。これは、余り局長の言うとおりに偏見を持たないで、検討すべき段階に来ておるので、大蔵大臣から検討の意向を聞いて、質問を終わりたいと思います。私の言うことは素直でしょう。少しも偏見がない。
○大平国務大臣 私学助成を今度は高等学校以下にまで拡大したらどうだということになりまして、八十億という金を一応予定いたしまして、予算に計上させていただいたわけでございますが、これをどういう制度にしますか、実は私、財政制度の問題としては、私学というのは従来地方公共団体を通じてやっておったものでございますから、直接中央政府がどういうかかわりを持つかということは大問題でございますので、十分吟味した上でやり方を考えねばいかぬのじゃないかということで、予算編成の段階ではまだその中身を確定いたしていないことはいま御指摘のとおりでございます。したがって、それをいま政府部内で詰めておる段階であろうと思うのでございます。そういう問題とそれから税制の問題とがどのように関連するのか、関連さすべきか、またこれは別な問題なのか、ちょっと私いまとっさに判断がつきにくいわけでございますけれども、いま幼児教育の問題として問題が提起されておりますので、一応きょう伺いまして、私自身の手元で検討してみます。 〔浜田委員長代理退席、伊藤委員長代理着席〕
○山中(吾)委員 これで終わりますが、初めての質疑で、内容が皆初めてのことが多いと思いますので、全部検討ということになりましたが、前向きでひとつ社会的公正という新しい政治の価値というものを重視しながら検討されることを要望しておきたいと思うのです。 以上で終わります。
○伊藤委員長代理 増本一彦君。
○増本委員 私は、特に、田中前首相の税申告についての見直しがずっとやられてきたわけですが、それがどのようになっているかという点からまずお伺いしたいと思うのです。 御承知のように、田中金脈問題が起こってからすでに四カ月たつわけであります。国会で、政府の方でいろいろ調査をするというようにお約束をされてから、もう三カ月以上がたっている。この間国会の方では、参議院の決算委員会で中間報告というものがなされましたけれども、税務行政に主要な責任を負っている当委員会には、いまだそれ以降の御報告もありません。これは大変私は遺憾なことだというように考えるわけですが、きょうの質問の機会を利用いたしまして、その後の調査がどのように進められて、現在どういう状態になっているのか、そしてこれをどのように解決されようとなさっておられるのか、その点についてまずお伺いしたいと思います。
○大平国務大臣 すでに御案内のように、田中前首相の財産増減問題につきましては、世間で問題になりましたので、国税当局といたしましても、国税庁指揮のもとで、東京国税局、関東信越国税局協力しまして、いま鋭意再調査をやっておるところでございます。そして三月には終結させたいという目標で鋭意いたしておるところでございます。 詳細につきましては、事務当局から説明させます。
○磯辺政府委員 田中角榮氏並びにその関連法人の課税の再調査といいますか見直しの問題につきましては、ただいま概要を大臣の方から御答弁いたしたところでございますが、補足して御説明させていただきます。 なお、その説明に当たりまして、去る当委員会におきまして、衆議院の大蔵委員会でまずそのことを報告していないのははなはだ遺憾であるというふうな御指摘を受けましたことにつきまして、心からおわびを申し上げさせていただきたいと思います。 田中角榮氏並びにその親族及び関連企業として言われております数社の課税関係の見直しにつきましては、ただいま大蔵大臣から申し上げましたとおり、現在まだ調査は続行中であります。まだ最終的な結末は見ておりませんけれども、私どもといたしましては、遅くとも三月中を目途といたしましてこの調査を完了し、所要の課税上の措置をとる必要があれば、それに基づいて適正な措置をとってまいりたい、かように考えております。 まず、中身といたしまして申し上げますと、調査の現況は、東京国税局、関東信越国税局、両局の直税部、調査部が中心となってこれを担当しておりまして、これが両局両部にまたがることでございますから、国税庁の方におきまして総括的な指揮並びに総合調整というものを担当しております。従事員はいままでのところ一日平均約二十人というのを投入しておりますけれども、最近におきましては、だんだんとその従事員というものを縮小しております。 調査に際しましては、もちろん関係者の出頭を求めて事情聴取を行う、あるいは帳簿書類を提出させてそれを念査する、それからまた、必要に応じて現場の確認調査を行う、そういったことは一般の事業所あるいは個人に対する調査と同じでありますけれども、われわれとしてはそれ以上に綿密な態度をもってこの調査に従事しておるということを申し上げてもいいかと思います。 調査の対象といたしましては、まず個人関係といたしまして、田中角榮氏ほか当委員会並びに衆参両院の各委員会等でいろいろと取り上げられました方々、それからさらに、新聞、雑誌等でいろいろと問題とされております方々についての所得税あるいは贈与税等についての見直し調査であります。 また、関係の法人といたしましては、新聞紙上等でいわゆる田中ファミリーという言葉が使われておりますが、この田中ファミリーという言葉はきわめて概念がむずかしいわけでありますけれども、通常の常識に従いまして、私どもは、新星企業、室町産業、パール産業あるいは東京ニューハウス、そういった会社を中心といたしまして、それと特に取引上あるいは資金上密接な関係があると思われる会社十数社につきまして、法人税の見直し調査並びに個人との関連、それについての調査をいたしております。 調査の対象期間といたしましては、これは原則として五年前までさかのぼって調査をいたしておりますが、必要に応じまして、その五年前の期首を固める意味におきまして、さらにさかのぼって調査をするというケースもございます。 調査の重点項目といたしましては、個人につきましては、これはいままでいろいろと問題点として御指摘を受けておりますことについて綿密な調査をいたしております。二、三例を申し上げますと、競馬の競走馬に係る収入金の課税問題、あるいは関連会社から受けた各種の利益の問題、それから有価証券の配当あるいは払い込み、そういった種々の資金的な動き、それから資産の動き、そういったものについての調査、それからいわゆる政治関係資金と言われておるものにつきましては、その政治関係資金関係、そういったものを調査いたしておるわけでございます。それからなお、所得の区分あるいは所得の計算あるいは税額控除の適否、そういったことにつきましても、当然これは申告書の審査を通じまして私どもは念査いたしております。 それから、関係法人等につきましては、これも土地建物といった不動産の取得価格あるいは譲渡価格、そういったものの適否、それからたび重なる増資につきましてのその払い込み資金の出所、それから関係企業間相互のいろいろな財産の出入り、そういったものに対する調査、それからさらに特定の役員もしくは株主等に対しまして特別な利益の供与はないかどうか、そういったことについても調査をいたしておるわけでございます。 現在までのところ、一口に申しまして、特に大きな税金上の問題というものは発見されておりませんけれども、やはりこれだけの綿密な、大がかりな調査をいたしますと、どうしてもそこには税務当局と納税者との間の解釈上の相違に基づく誤謬であるとか、あるいは申告書の調理誤謬であるとか、あるいは解釈上の違い、計算の間違い、そういったものは発見されております。 私どもといたしましては、こういった問題をただいま詰めておるところでありまして、最初に申し上げましたように、三月中をめどといたしまして、この問題を適正に処理して、税務上の適正な措置をとりたい、かように考えております。
○増本委員 非常に国民も田中氏の問題については深い疑惑を持ってきたわけですね。それに対して、いまのお話を伺いますと、特に大きな問題は発見されなかったということになると、この調査の対象期間は五年であっても、結果としては三年の範囲内での処理ということになるわけですね。われわれは、いろいろ必要な資料を要求しても皆さんの方で提出していただけなかったという経過もあって、なかなかその実態を正確につかむことができないのはきわめて遺憾なんですけれども、しかし、少なくともこれまでいろいろ追及され公表されてきたいろいろな事実から見てみると、やはり偽りその他不正な行為があったのではないかというように考えるわけです。特に大きな問題が発見されていないということですけれども、その疑惑との関係から見ると、国民はやはりそのように偽りその他の不正な行為があったんじゃないかと、いまでも釈然としない思いがあると思うのですね。 その辺、一体なぜそういうような判断に立ったのか。これは過誤がなかったからだというような単純な理由かもしれませんが、もう少しその点を詳しく説明していただけませんか。
○磯辺政府委員 なぜそういうふうに判定したかという御質問で、お答えするのは非常にむずかしいと思いますけれども、私たちは、各委員会等で御指摘になり、それからまた、いろいろな報道面等で御指摘になりましたそういった問題を一つ一つ取り上げまして、その事実関係の裏づけを見ていったわけであります。 〔伊藤委員長代理退席、村山(達)委員長代理着席〕 もちろん、それにつきましては、関係者の供述それからいろいろな各種の証拠資料、そういったものの提出を求めておりますし、それからまた必要な裏づけ調査もやっておるわけであります。そういった調査を通じまして、いまのところ私どもといたしましては大きな非違というものはなかったというふうに判定しておるということでございます。
○増本委員 私どもがこれまでいろいろ質疑を通じて、あるいは他の委員会でやられている会議録等を精査してみますと、田中総理の場合には非常に配当所得が多い、持ち株数が非常に多いというようなことの答弁も国税当局の方からあったと思うのです。特に田中総理自身みずからの所有名義で保有している株のほかに、いわゆる名義株のような形のものもあるんじゃないか。その名義株は、実は名前を貸してもらっている人に実質的には贈与をしているというような関係にもなるんじゃないか。あるいはほかの人の名義だけれども、実質的には田中総理の株のような形で配当を受けているというような面もあったように国税当局からの答弁もあったと思いますね。そういうのは、もう一つの関係では、実は田中総理自身は贈与を受けているという、その関係での問題も起きるんではないか。その辺のところは、実際に保有の株数が一体どのぐらいの規模のもので、年間の配当所得というのは、それぞれ年々変わるでしょうけれども、大体どのぐらいの所得の規模のものであったのかというような点はお答えいただけますか。
○磯辺政府委員 具体的に田中さんの所得の内容それからその規模、それからどういうふうにしてその所得が発生しておるかというふうな内容あるいはその数字につきましてお答えするということは、これはかねがねお願いいたしておりますように、私としては御容赦願いたい、かように考えておりますが、ただいま先生御指摘になりましたように、株式の配当所得であるとか、あるいは株式の移動であるとか、それから増資払い込み資金の出所であるとか、そういったものにつきましては当然税務調査上の大きなポイントでありますので、その点については、私どもはかなりの力を注ぎましてそれを解明いたしたつもりであります。 ただ、ここで、これは増本先生も御専門でいらっしゃいますからあえて申し上げるまでもないと思いますが、かりに名義貸しの株式がある、あるいは名義外の株式があるといったような場合に、私どもの通常税務の処理といたしましては、その名義のいかんにかかわらず、真正な株主がだれであるかということを必ず追及するわけであります。それは単に、株主名簿に登載されておる株主だけではなくて、実際にだれが払い込んだか、その配当はだれに行っているかということを知る必要がございますので、それは私どもとしては調査いたしました。その結果、たとえば田中さんの株式がAという人の名義になっておった、あるいは田中さんの名前になっておるけれども、実はAという人の株式であったというようなことがわかりましたならば、その事実をつかむのは、その払い込みをだれが実際にやったか、それから配当がだれに行っているかというふうなことを一つのポイントとしてわれわれは判定するわけでございますけれども、それに従って適正にそれぞれの持ち分に、持ち分といいますか、実際の株主にその所得を帰属させて計算をしておるわけであります。いままでのところ、特に、これは幸か不幸かといいますか、その配当関係につきましては、無配の会社もわりあいございましたので、その名義と実際の株主が一致しない、したがって、本当の株主の方に持っていきましても、配当がありませんから、そういった関係においては所得の移動は生じないわけであります。ただ、そこで問題になるのは、その払い込み資金であるというようなことで、これは解明いたしております。 それから、同時に問題になりますのは、これが同族会社を仮装したものではないのか。つまり税法上でいうところの同族会社というものを非同族に仮装する。そういったことによってつまり脱税が行われているのではないかという問題もございますけれども、これも、非同族として判定しておったものが、それによって同族に変わるといったような事実はいまのところ見つかっておりませんし、同族は依然として同族である、非同族は依然として非同族であるというふうな状態であります。 それから、さらにまた同族会社につきましても、これが幸か不幸か、いわゆる同族会社に対します留保金課税の特別課税を行うわけでありますけれども、いままでそういった留保金そのものもなかった、したがって課税上の特別な問題もなかったというふうなことがございまして、株式の移動に伴う、つまり真正な株主になにすることによって生ずる課税上の手直しというものはほとんどないと申し上げてもよいかと思います。
○増本委員 まず、なぜ田中さんの場合には他人名義の、いわゆる名義借りをしている株が多いのか。関連企業の中には、ずいぶんいろいろたくさんの人の名前が載っておるわけですね。それは、私ども株の払い込みの関係を法務局その他で調べても、いろいろな人の名前がたくさん載っておる。一番最初に感ずるのは、なぜそういうようなことをされるのか。これはある意味では、田中さんのためのものではあるけれども、実質はその人たちが払い込みをして、しかしその帰属は田中さんの方に渡している。いわば政治資金あるいはその他の資金援助を、田中さんのために株の引受をするという形で行うというようなやり方もあるのではないか。 あるいは田中さん自身が他人の名前を借りてそれで株を持つというような場合に、なぜそういうような、自分の資産であるならば正々堂々と名前を出せばいいのに、他人の名前を借りなければならないのか。そこの辺の疑惑は、単に実質課税の原則だから真実の帰属者に行くんだということだけではなく、これは課税の適正と同時に、今回の調査というものはそういう取り巻く政治的ないろいろな疑惑の解明という役割りも負っているわけですから、その辺のいきさつについて、調査の中でおわかりになっている点がありましたらひとつお答えいただきたいと思います。
○磯辺政府委員 はなはだ申しわけないのでございますけれども、私たちは課税の適正のための調査だけを中心にしておりますので、なぜそういうふうにしているか、つまりそれが所得の増減につながるようなものであれば格別、そうでないような場合には、そこまでわれわれは追及するということはできないわけで、われわれとしては調査の対象外といいますか、守備範囲の外にあるというふうに考えております。
○増本委員 こういう疑惑は、田中さんの経済活動なりあるいはその他の活動の面で消すことのできない疑惑であり疑問であるというふうに思うんです。 もう一つお伺いしたいのは、株や土地やその他のそういう資産の取得が非常に多かったわけであります。あの目白台の邸宅の敷地もそうだし、あるいは軽井沢の別荘の敷地というような問題が起きました。その取得する資金源、原資というものは、一体この可処分所得から見て適当なのかどうかという点が、これまでの国会の議論でも問題になったところです。そのときに国税当局の答弁では、やはりフローとストックがある。フローも非常に多い。借入金が多いということですね。そういうお話もあったわけですけれども、しかし、一体その実態がどういうような状況であったのか、その点についてはいかがですか。
○磯辺政府委員 まず最初にお断りさせていただきたいと思いますけれども、目白の田中角榮氏の邸宅が非常に広くて、かつ高価であるというふうに言われておりますけれども、これを田中さんが取得されましたのを歴史的に追っていきましてさかのぼっていくと、あそこの目白の土地の取得のために支出された費用というのは、通常言われておるものに比較いたしましてかなり少ない額であるということ、これは先生御理解いただけるかと思います。 それから、たとえば昭和四十七年分の所得が七千万あるいは八千万程度である。にもかかわらず財産がふえておるではないかというふうな議論に対しましては、これはこの前も御答弁いたしたかと思いますけれども、やはりそういった不動産の取得というのは、非常に外部的に見えますけれども、実はその年の年分の収入によってその不動産を取得するのではない、つまり過去からの蓄積なり過去に蓄積された資産の運用あるいは変形というものがそういった不動産の取得というかっこうになって出てきておるというのが、これは田中さんのみならず、一般の個人の資産の増加についても言えることじゃないかと思います。 そういったことを頭に置いてこの問題を御理解いただきたいと思うのでございますけれども、田中さんの場合、細かく言うのは差し控えたいと思いますけれども、これは通常言われておることでございますからあえて申し上げますと、昭和三十九年当時、あれから四十年にかけまして日本電建の株式をかなり高価で、高価といいますか適正といいますか、かなりの金額でお売りになっている。そういった資金というものがずっと回転してきておるというのも、これは周知の事実だろうと思います。 ですから、そういった意味におきまして、私どもはその資産の増加というものがどういった資金によって賄われておるかということについては、かなり力を入れて調査いたしたことは先ほど申したとおりでありますけれども、そういった意味で、税務上においては格別にこの問題について新たな措置をしなければならない大きな問題はないというふうな認定をしておるわけでございます。
○増本委員 最初に、目白台の邸宅の取得が、今日の財を形成するまでには相当な期間がかかっているのだ。だからそう大した金額ではないという点ですけれども、では一体どのぐらいの価格であったのか、その点については解明した現在の段階でのお答えはいただけますか。
○磯辺政府委員 私たちはそのときに取得になりました値段というものを全部一々調査いたしまして、それを全部合計した金額は持っておりますけれども、個々の物件の取引に関するそういった具体的な売買価格につきまして、ここで答弁いたしますのはお許し願いたいと思います。
○増本委員 だから、そういうことですと依然として私たちにはその疑惑の解明ができない。いまの次長のお話ですと、八億円くらいですか、新聞の報道ではそのくらいだけれども、とにかく日本電建の株を売ったストックがあった。このストックでそれ以降の財を形成するあの原資が形成された。すると、借入金というものはなかったんでしょうか。あったとしたら借入金というのはどのくらいの金額だったのでしょうか。その点はいかがでしょうか。
○磯辺政府委員 これも恐縮でありますけれども、田中さん個人としての資産の、私有財産といいますか、私的な財産の運用の問題でございますので、具体的にここでお答えするのはお許し願いたいと思っております。
○増本委員 途中ですけれども、最後に大臣にお伺いしようと思ったのですが、これは、この田中総理の問題が起きて以降ずっと政府とわれわれとの間で議論をしている守秘義務の問題なんですね。なるほど国税当局そのものは課税の適正ということが大きな責任を果たす仕事でありますけれども、しかしこれが一国の総理大臣の財産形成をめぐる疑惑として政治的にも問題になり、そしてこれが直接の原因で内閣が退陣を余儀なくされる、こういう事態にもなって、疑惑を究明しなければならない、あるいは解明しなければならないという国民の声がますます大きくなり、そのことがいわば三木内閣に期待するある意味ではただ一つの大きな問題であるかもしれない。こういうときであればこそ、大蔵大臣の方でこれまでの国税庁の調査の実態というものを、これは田中氏個人の問題であるけれども、しかし政治的にも大きな問題であるからこそ、これまでの守秘義務というようなことでがんこにとらわれずに、はっきりと公表をさるべきが当然ではないだろうかというように考えるのですが、その点について大臣はいかがでしょうか。
○磯辺政府委員 その前に一言、私たち国税に従事しておる職員といたしまして、私たちの考えを申し上げまして御了解いただきたいと思います。 それは国政調査権と国家公務員に課せられました守秘義務、それがどちらが優先して、その間の調整はいかにあるべきかということは、昨年の十月以来の両院の各委員会において絶えず議論が繰り返され、私どもとしてもいろいろ考えさせられたことは事実でございます。そしてこれがこの前の参議院の予算委員会におきまして、国政調査権と守秘義務との間の関係につきまして政府としての統一見解というものが発表されましたことも御承知のとおりだと思います。 そこの政府統一見解で示されております結論といたしましては、もちろん国権の最高機関である国会の国政調査権につきましては、行政府としてはできるだけの御協力を申し上げるべきであるという結論になっておることは、私ども重々承知しております。ただ、それまでの前提といたしまして、これも絶えず議論になったのでございますけれども、私たちが物事に関しましてある一定の守秘義務を盾にとる、と言うと変でございますけれども、理由といたしまして、その公表いたしますあるいは国会で御答弁申し上げますことをお許し願っておりますのは、その私どもが御答弁をお許し願うそのことによって物事を秘匿する、真相を明らかにしないと言うと大変語弊がありますけれども、秘密を守るということ、そのことによって守らるべき公益と、それから同時にそれをディスクローズすることによって得らるべき公益、その両者の比較勘案の上に立ってケース・バイ・ケースで判断すべきものであるということも、その内閣の統一見解の中で基本となって示されておるとおりであります。 しからば、こういった田中さんの所得の内容あるいは調査の結果についてどうしたらいいのかということになるわけでありますけれども、私たち国税に従事する職員といたしましては、やはり私たちの税務というものが適正にかつ円滑に執行され、かつそれが財政収入の確保につながるというためには、どうしても納税者との間の信頼感というものが必要であり、納税者の方々が進んで事々の真相を税務官吏に対して述べていただけるということが基本になろうかと思います。しからば、そういった納税者の方が税務官吏に対しまして真相をお述べいただくというその根底は何かと言いますと、税務官吏に対しては何を話してもそれは決して外部に漏れることはない、そういった信頼関係があって初めて成り立つことではないかと私どもは考えております。 したがいまして、今度のケースについて当てはめましても、やはり一方においては、田中さんはかつての総理大臣というポストにあった方であるということはわれわれ十分存じておりますけれども、同時に私たち国税当局の目から見ますと、やはりこれは一納税者であり、一会社であります。そういった意味におきまして、田中さんについての場合に特別に公表する、あるいはその調査結果を外部に発表するということは、国税の立場として、やはりこれはお許し願いたい、そしてそれによって国税というものを今後円滑に持っていきたいというふうに考えておるのが私どもの念願でございます。 この問題につきまして、これを外部に発表しない、あるいはここで具体的にお答えしないからといって、私どもの国税の職場における第一線の諸君は決してこれをなおざりに処理しているわけではありません。東京国税局、関東信越国税局の非常に優秀な職員をよりすぐりまして、日ごろの通常の業務以外の仕事を割り当ててやっておる、そういった私たちの努力といいますか、この仕事に取り組む姿勢というものを御了解いただいて、国税当局を御信頼いただければ非常に幸いでございます。
○大平国務大臣 いま事務当局から立場が述べられたわけでございますが、私といたしましては守秘義務、国政調査権というかた苦しい議論に入る前に、立法府といたしまして行政府を御信頼いただく、行政府の方も立法府の立場に対して最大限の理解を持って御協力申し上げるという、相互の理解と信頼の関係が確立しておりますことが日本のために望ましいと思っております。 したがいまして、この問題につきましては、まず私が一番望ましい状態は、最後に磯辺次長が訴えられましたように、国税当局に全幅の御信頼をいただきたいということでございます。国税当局五万二千の職員が十七兆の国税を調査決定いたしておるわけでございまして、全国民からの御信頼を得てこういう重大な国務を遂行させていただいておるわけでございまして、あだやおろそかにやっておるわけじゃございません。したがって、田中さんも一納税者といたしましてその所得に疑惑が生じた以上は再調査いたしておるわけでございまして、そこにそごがございますならば適正な措置をとるのはあたりまえでございまして、これは国税当局を御信頼いただきたいと思うわけでございます。 しかし、増本さんといたしましては、それはそれとしてもどのような調査をしておるのか、できるだけ詳細に知りたいということにつきましては、私も理解できないわけじゃございません。したがって、かつて政府が申し上げておりますように、最大限、立法府の御調査には御協力申し上げなければならぬという立場で、先ほども国税庁のほうから経過を詳しくお耳に入れたわけでございまして、精いっぱいのところをいまいたしておりますことは御理解をいただきたいと思います。 それから、国政調査権と守秘義務の問題につきましては、先ほど磯辺次長が申しましたように、内閣の方の統一した見解がたびたび国会で示されておるわけでございまして、これはもう増本先生もよく御承知のことと思うのでございまして、ここで私は繰り返す煩を省きたいと思うわけでございまして、問題は、重ねてお願いでございますけれども、立法府と行政府の間にそういう相互の信頼の上に立って、この問題ばかりでなく、あらゆる問題が取り運んで処理されてまいりますことを私はこいねがってやみません。
○増本委員 私たちは、今後も将来にわたって田中氏の所得関係を全部公表しろとか公開しろ、こういうように言っているわけではないのです。それは田中前総理が、いろいろ重要な閣僚のポストについたり、いろいろな手だてで、しかもいままでかつてないような、いわゆる幽霊企業を使ったり、あるいは大量に不動産を取得してそれを別の企業に転売をして大きな譲渡益を手に入れられる。いろいろな問題が起きる。しかもそういう点での疑惑感から内閣が退陣を余儀なくされる。それは何といっても、その力というのは、国民のそういう田中前総理の経済活動あるいは政治的活動、すべての活動全体にわたっての疑惑と批判が集中した結果であったと思うのです。 だからその中で、当局が調査をされたその内容については、それを明らかにすることによって国民のそういう疑惑にこたえていく。そのことによってさらに、皆さんが強調されるような、税務当局が厳正、公正に税務行政をやっているということも天下に明らかにすることができるわけで、そういう意味では一層国民の信頼を得る最も正しいやり方である。この点で、いま第一線で国税当局の職員の皆さんがこの問題について、特に国民の大きな疑惑と関心を持たれている事件であるから、なおさら責任感を持って職務に忠実にやっておられるであろうということは、私も十分に理解できるわけです。そのことを問題にしているのじゃない。政治的な問題であるだけに、よけいそういう点ではこの面での限られた範囲内の問題については的確に政治的に決断をして公表されるのがしかるべきではないか、こういう趣旨で申し上げているわけです。そこにまた国政調査権の実は重みというものもあるわけでして、国政調査権を通じて国民の知る権利をそういう意味で保障していくということにもなるのだという意味で私は申し上げているのです。 時間がございませんので、田中氏の関連企業についてもいろいろ調査をされているということでありますが、一点だけこの面での調査をおやりになっているかどうかという点を伺いたいと思うのです。 それは昭和四十八年の二、三月ごろだと思いますが、新星企業が市谷にある松ケ枝という料亭を買収いたしました。その前に田中氏が持っていた越後交通の株が数百万株新星企業の方に移されて、そして買収が終った段階で、また新星企業から田中氏のもとに戻されているという事実があります。これは、私どもでもいろいろ株の動き等を調査した結果、まず間違いないであろうという点でありますが、その辺の関係は調査されたのか、そしてその結果はどうであったのか、その点についてはいかがでしょうか。
○磯辺政府委員 最初に申し上げましたとおり、田中角榮氏、またそのいわゆる関連企業、そういった間におきます有価証券、株式の移動というものがかなり行われているということは御指摘のとおりであります。私どもは、そういった事実関係につきましては、その売買の行われた事実、年月日、それからその売買価格、そういったことについて、これは一つ一つ追ってそれを調査しております。もちろん、これを調査いたさなければ個人ごとの資産の動き、それから各法人の資産の動きというのはつかめないわけでありますから、そういった点は当然われわれの調査の基本的な問題として取り上げております。
○増本委員 それから、いわゆる田中ファミリーといわれている関連企業が非常に多いために、その関連企業から田中氏のいわば政治資金が使われているという事実が幾つかあると私は思うのです。私たちも具体的な事実を幾つかつかんでいますけれども、これは本来、そういうものが損金扱いにされるということは税法上も認められないですね。その辺の事実が具体的にあったのか、そしてそれに対する処置はとられているのかどうか、この点はどうですか。
○磯辺政府委員 これは一つの例といたしましては、いわゆる田中さんに対する関係会社からの経済的な利益の供与という問題になってあらわれてきておることでございます。そういった場合には、その経済的利益を供与した側につきましては当然寄付金として計算いたしまして、それが寄付金の損金算入限度を超えたものであれば、これは損金算入と認めずして、益金に加算していくという処理をいまやっております。 それから一方、そういった経済的利益を受け取られました田中さん個人につきましては、それが政治的活動に使われたものでありますと、現在の政治家課税、いわゆる雑所得でありますから、収入と支出、それをそれぞれ計算いたしまして、それの残りがあれば雑所得として課税するということになるわけでありますけれども。それからまた、たとえば田中さんの自宅に書生さんがおられる、そういった場合に、その書生さんが、これは政治的な活動をやっておるのかあるいは田中さんの私用の仕事に使われておるのかというようなことが問題になるわけでありまして、仮に田中さんの方の関連会社がそういった書生さんの給料を負担しておるということでありましたならば、その実際に田中さんの私用に従事しておる割合に応じまして、その月給、つまり会社からの支払い給与につきましては、損金に算入することを否認して寄付金扱いにする。それから同時に、そのものについては田中さんの雑所得になるというふうなかっこうで、われわれは順次積み上げ計算をやっております。
○増本委員 あと、田中氏については、税金のほかに国有財産の払い下げの問題についても幾つかの疑惑がこれまでにも提起されてまいりました。この点についての、価格を含めて見直しをするというお話が理財局の局長等からの答弁でもあったわけですけれども、その辺の進行状況がどうなっているか、あるいは、その点について大蔵大臣の方で特段の指示をなすっておられるのかどうか、その辺はいかがでしょうか。
○磯辺政府委員 国有財産の払い下げ価格の問題は、私どもとしては関係しないわけでございますけれども、たとえば信濃川の河川敷の取り扱いの問題、これは世上、二百五十億であるとか三百億であるというふうに言われておりますけれども、私たち税務の立場といたしましては、あれが廃川敷になりまして、一般に宅地になるとかあるいは工場用地になるといったような場合には、当然その段階で含みというものが出てくると思いますけれども、現時点におきましては、まだ河川敷である、その間においては評価がえのしようがないというふうなことがありまして、そういった問題については、税務処理上は、まだ現段階ではそのままとして計算しております。
○増本委員 田中氏の問題は、大蔵大臣、この税金の問題だけでなくて、虎の門の国有地の払い下げにまつわる疑惑だとか、あるいはその他一連の国有財産の払い下げについても疑惑が出されてきたわけであります。この点について、価格が適正であったかどうか、あるいは払い下げの手続が適正、適法に行われていたのかどうか等々の問題についても、当然国民の疑惑に答える責任が政府としてあるというふうに私は思います。 また、金権政治を一掃して清潔な政治を確立しなければならないということを公約にしている三木内閣としては、こういう金権政治やいわゆる田中金脈と言われるような事件が起きた、それがどういう手口で行われ、またどういうような範囲で政治を汚してきたのかということを明確に突き詰めて検討し、そこから積極的な教訓をも引き出し、政治道義の高揚と政界の浄化のために役立てていくという政治的な責任があるというように思います。ですから、税務当局のこの見直し調査だけにこの田中金脈問題の究明を限局することなく、ひとつ全面的にこの疑惑の究明に当たられるように、私は強く要求をいたしまして、時間になりましたので、これで終わらせていただきます。
○村山(達)委員長代理 坂口力君。
○坂口委員 田中前総理の問題を私の方も聞かせていただこうと思っておりましたが、いま詳しく御議論がございましたので、私の方は割愛させていただきます。 それから、昨日銀行の代表の方に参考人としてお越しをいただきまして、ここでいろいろ御意見を伺ったわけでございますが、その中で若干各参考人の間で意見の異なっておりましたことが一つございました。それは中小企業の現状についての把握でございますが、都市銀行の代表の佐々木参考人は、若干最近は落ちついていく傾向にある、こういう御意見でございました。それから相互銀行の代表の方は、なおかつ苦しい現状にある、こういう御意見でございました。また、信用金庫の代表の小原参考人は、中小企業といえども大きいのから小さいのがある最近は大きい方からだんだん小さい方へ、上中下とその苦しさが波及してきているという発言がございまして、中小企業の現状に対する認識の仕方がかなり違ったわけでございますが、まず最初に、このことに対して大臣がどのようにお考えになっているか、ひとつお伺いをしておきたいと思います。
○大平国務大臣 中小企業が今日どういう状態にあるかという判断でございますが、総じて、ただいまの経済状況、景気の診断は、私は大変むずかしい状態ではないかと思うのでございます。正直に申しまして、断定的にいいとか悪いとか一言でなかなか尽くせないものを感じるのでございます。業態によって、日増しに停滞の色を濃くしつつあるものもあれば、業態によりましては、在庫整理はすでに終えたのではないかと言われておる業態もないとは言えないわけでございますので、これは一概に言えないと思うのでございます。しかし私は、全体として景気停滞の様相は非常に濃くなってきておって、不断に非常に注意深い観察が必要である時期ではないかというように思っておるわけでございます。 的確なお答えができないことを残念に思いますけれども、正直なところ、いま実態が非常に掌握しにくい状態ではないかと考えております。
○坂口委員 それからもう一つ、銀行協会の佐々木参考人と私との間で若干意見の異なりましたのは、佐々木参考人は、大企業には厳しく中小企業にはかなり手厚く融資等をしてきたという御意見でございました。私の方の矢野書記長が予算委員会で挙げました資料等を示しまして、決してこれは中小企業に手厚くとはいかないのではないかということを私は申し上げたわけでございますが、この点少しデータのとり方等にも違いがあるようでございまして、平行線のまま話は終わったわけでございますが、このことに対しましてどうお考えになるか、もう一つだけお伺いしまして、次に進ませていただきたいと思います。
○大平国務大臣 これも見方だろうと思うのでございます。私の手元に持っておる材料では、去年の都市銀行の貸し出しのうち四六%が大企業向けである。その残りが中堅企業と中小企業である。この数字は、これは中小企業に少ないでないかという見方と、中小企業金融機関が別にあるわけでございますが、にもかかわらず都市銀行がそこまで一応めんどうを見ておるじゃないかというように評価するか、いやそうでなくて全体の資金増加量から見てそれはまだ努力が足らぬと見るか、これは見る人の判断だろうと思うのでございます。 そこで、去年を振り返ってみると、三千億余り都市銀行が、例年にないことでございますけれども、中小企業向けの特別融資枠を自発的につくってくださって、それでわれわれは不況業種に対して、ネオンから初めて土建でございますとか、繊維でございますとか、あるいは家電でございますとか、木材でございますとか、家具でございますとか、いろんな業態に次々と都市銀行の協力を得まして金融をいたしてきたわけでございまして、このあたりは、私は大企業もよく協力してくれたと思います。 それからもう一つは住宅ローンでございまして、住宅ローンも四半期ごと千億は割らないようにしてくれということで、それは大蔵省の要請にこたえて、千億はずっと都市銀行は住宅ローンを消化してくれておるのです。それで、それは資金全体の増加量の中で、住宅ローンのふえ方とそれから一般の貸し付けの増加を比べれば、ずっと住宅ローンのシェアが上がっておるわけです。そういう点から見ると、都市銀行も一応は協力してくれたと評価して差し上げるのがまず公正な見方でないかと私は考えております。
○坂口委員 それでは、この議論はこれくらいにしておきまして、次に医師の税制問題につきましてお伺いをしたいと思います。 この医業税が適正でなければならないということは、予算委員会等でも指摘されているところでございますし、これはもう当然のことであろうと思います。まあ適正であるためにはもう少しこまかな議論というものも必要ではないかと思うわけであります。一方におきましては、医師の租税特別措置法は、これはもう不公平税制の最たるものであるという議論がございますし、一方、医師側の意見としては、決してこれは優遇措置ではない、決してそんなことはないという議論も一方においてはあるわけであります。こういうふうな中でこの問題にどのように取り組んでいかれるのか、大まかなところ、先ほども若干御議論がございましたけれども、その辺から少しお聞きをしたいと思います。
○中橋政府委員 社会保険診療報酬の課税の特例につきまして、お医者さんの方から、これはあまり優遇の措置ではないというお考えがあるというお話でございますけれども、税制をとっておりますわれわれの立場から申しますと、やはり一つの大きな不公正を招来しておるものと思います。もちろん、全体の社会保険医について同じようにそれが優遇措置として効果を持っておるとは申しません。 今回、政府の税制調査会におきましても、いろいろ御検討になりまして一つの案を示されました。それによりましても、実は七二%という現在の特例の中での経費として考えられておりますものを二つに分けまして、実際の薬代その他の経費と、それからそれ以外のものにつきまして考えてみまして、しかもそれをある程度、実際の経費のほかに社会保険医が持っております特殊性に着目しまして特別の控除率というものを考えてみるにいたしましても、これはやはり収入金額がいかように変化をいたしましても同じ率であるというのがいかさま一番不公平ではないか。収入金額が多い人についても同じ率で一律にそういう特別の控除率を設けるということは、税制から考えてみまして一番不公平でありまして、金額が大きくなればなるほどその率というのは軽減をしていかなければならない。また、ある時点に参ればその特別の控除率というものはゼロでなければならない。ここが税制から見まして一番不公正であるというふうに言っておられるものでございまして、われわれ税制当局から見ましてもやはりそこが一番不公正であり、またお医者さんから見られて優遇措置でないと言われておりましても、私どもとしましては、やはりそこが一番税制上の優遇措置であるというふうに考えております。
○坂口委員 もう一つここでお聞きしたいのは、大蔵省の方で把握しておみえになります資料で、この診療所の必要経費率というのは大体何%くらいになるのか。また、具体的にどういうふうな方法で調べられたものか、いつごろお調べになったものかということをもしもつけ加えていただくことができましたら、同じようにお願いをしたいと思います。
○中橋政府委員 現在私どもがずっと利用でき得る資料を使いまして考えております社会保険診療報酬に対する必要経費の中で、現実に必要であるというふうに考えられておりますものはおおむね五一ないし五二%程度でございます。この経費はわれわれが現実に必要な必要経費というものをいまの七二%の中を分けて考えたものでございまして、この経費はたとえば薬代でございますとか、人を雇っておるその雇い人費でありますとか、建物や医療機械の減価償却費などすべての必要経費を含んでおるものと考えております。 それで一体、どういうふうにこれをとったのかということでございますけれども、もちろん二十年間、社会保険診療医につきましては大部分の方はこの七二%の一律適用をしておられますから、現実にその点について毎年毎年の課税調査が行われてきたわけではございません。ずっとこれまでの間、確定申告で収支明細が明確になっておるお医者さんというのがございます。大体青色申告を行っている方でございますけれども、そういう方の収支明細をサンプル的に調査したものでございます。 大体そういう方々も社会保険診療と自由診療とを兼ねてもらっております。その際にも、自由診療分と社会保険診療分の経費というものはまとまって一本に出ておるわけでございますから、それを自由診療と社会保険診療とに要しました時間と申しますか日数とかいうもので案分してこれを抽出、分別しなければならないわけでございます。その自由診療なり社会保険診療に投じました日数で案分できないという場合には、仕方がございませんから、自由診療分の収入と社会保険診療の収入とでもって案分をするというようなことで、その経費を二つにそれぞれ分けるわけでございます。分けまして自由診療分の経費というものが一応出ますから、残りを社会保険診療として考えるわけであります。 大体それをここしばらくの間ずっと見ておりましたけれども、そうそんなに大きな変動というものはございません。また、各科別に見ましてもそんなに大きな差というものはございませんから、一応先ほど冒頭に申しましたように、大体五一、二%と見るのが妥当ではないかというふうに考えております。
○坂口委員 いま青色申告の話が出ましたが、最近青色申告の方の診療所がふえてきていると聞いているわけでございます。この青色申告の結果、必要経費がどれぐらいに出ているかということについては、いまここのところから見たというお話があったわけでございますが、私、少ない青色申告の例でございますので何とも申し上げられないわけでございますけれども、私が得ましたものは非常にばらつきが大きゅうございまして、なかなか平均値が出しにくいようなものでございます。特に私の得ました資料では、外科系と内科系で非常な差がある。あるいはまた産婦人科なんかは非常に特異なパターンを示しているというようなものでございまして、私の手元にありますものは、いかんとも結果の出しにくい資料でございますけれども、平均すると、これがいまおっしゃった五一、二%になる、こういう意味でございましょうか。
○中橋政府委員 結論はおっしゃるとおりでございます。その経費率について、いまお話しのように診療科目ごとに見まして一番大きな差異を生ずる原因として考えられますのは、雇い人費が非常に違っておるということだと思います。いま言われましたたとえば外科とかいう科目について経費率が高いと言われますのは想像にかたくないわけでございまして、われわれ素人から考えてみましても、外科についてはどうしても人手を要します。内科であれば大体一人の看護婦さんでやれるようなことがありましても、外科については、先生も余分に要るとか、看護婦さんも数多く要るとかいうようなことでございますし、またそういう外部のお医者さんなり看護婦さんをよけいに雇わなくていい科目につきましては、経費率というのは一応低く出るということはおっしゃるとおりであると思います。
○坂口委員 いまお話がございましたとおり、この雇っておみえになる人数、いわゆる従業員数の非常に多いところというのは、私のいただいているこの資料等では非常に経費率が高く出ているわけです。大体二十名を超えているようなところからは非常に高く出ている、ざっとしたなにでございますけれども、そういうように思うわけでございます。ところが、十名前後のところでは存外低いというような結果が出ているわけでございますが、先日自民党のある国会議員の方がこの経費率は自由診療だけからとられたものであるというような発言をしておみえになるということを聞いておりますが、それはいまのお話とだいぶ違いますので、それじゃそれは違いますですね。
○中橋政府委員 先ほど御説明しましたように、自由診療だけから出したものではございませんで、自由診療と社会保険診療をやっておられる、しかもその両者につきまして収支明細が明らかな方から自由診療分の経費を抽出し、またそれに応じまして社会保険診療の経費を抽出したというものであります。
○坂口委員 適正な医業税制の確立と適正な診療報酬の確立ということは、これは一刻も早く行われなければならないことであると思うわけでありますが、いま大体の御説明をいただきましたが、大臣、このいわゆる医業税の取り扱いについてどのようにお考えになりますか、一言だけお願いします。
○大平国務大臣 これはまあかねてからの問題でございまして、大蔵省といたしましても、こういう問題はでき得べくんば早く解決することが、租税の公正を期する上からも、また医師会と政府との間の平和の上からも、それが望ましいのではないかと考えておりますけれども、私がきょうの委員会の冒頭でも申し上げましたように、沿革のあるむつかしい問題でございまして、ことし御審議をいただく段取りにまでこぎつけることができなかったこと、私の非力のいたすところでございまして、まことに申しわけなく存じております。しかしながら、これは断念をいたしたわけでございませんで、社会保険診療の次期改正とあわせてこの問題を解決しようというラインでこれから対処していきたいと考えておるわけでございます。
○坂口委員 それではもう一つ、別の問題でございますが、これも先日の予算委員会で私の方の矢野書記長が取り上げた問題でございまして、昨日の銀行協会の参考人の皆さん方にもお伺いをした問題でございますが、歩積み両建ての問題でございます。これは予算委員会でもある程度御説明がございました。昨日も参考人の皆さん方にこのことについて申し上げましたところ、参考人の皆さん方からも、これはだれが考え出したものでしょうかというような話がございまして、これはまあだれが考えられたものか、こちらがお聞きをしたいということを申し上げたわけでございますが、いずれにいたしましても、実際問題としましては、九%と言っておりましても、そういうような歩積みあるいは両建て等をやられますと、実質的には一五、六%になってしまうということがあるわけでございます。これはどうしても、こういうことはやはりなくしていかなければならない。銀行協会の代表の参考人の皆さんも、何としてもこういうことはやめていくという通達を出したいということは言っておみえになりましたが、この点については大蔵省としても十分の監視をしてもらわなければならないと思うわけでありまして、このことについてもう一言お願いいたします。
○高橋(英)政府委員 歩積み両建ての整理につきましては、私ども大蔵省といたしまして、金融機関に対して昔から指導いたしておりますが、特に昭和三十九年から具体的に厳しく指導を始めました。それから十年たっておるわけでございます。その結果、全体としては非常によくなってきたと思います。 しかしながら、全国で私どもが所管しております金融機関の債務者数だけでも一千万ぐらいございますし、貸出件数とすれば八千万ぐらいございますので、中には先生方の御指摘になるようなまことにひどいのもあるということは承知いたしております。ただ、私どもは、これ全部を私どもの行政能力等でつぶすだけの力はございません。したがいまして、一罰百戒的なことをやっておるわけでございます。 たまたま昨年の春にひどい例がございまして、信用金庫でございましたが、その結果そこの理事長などがやめざるを得なくなるというようなこともございまして、これが金融界に相当な警戒信号になりまして、私どもはそれから、それを奇貨としてというのはあれでございますが、各金融機関の中に歩積み両建ての整理の責任者というものを指定しまして、それは単なる部長とか職員じゃいかぬ、金融機関の常務以上という者がそれに当たれ、こういうことにいたしまして、さすがに金融機関の中でも、そういう常務理事あるいは常務取締役以上というのが本腰を入れるようになりまして、昨年の六月以降は、たとえば信用金庫界では預金の相殺が積極的に行われるというようなことがございまして、預金が純減するというようなことで、かなり今度はといいますか、金融界も本腰を入れて、真剣になって整理に当たってきつつあるものと思っております。ただ、先ほども申し上げましたように、絶無でないといいますか、まだ間々見られるということから、非常に残念に思っておりますが、厳しく指導するという方針は今後も強めていきたい、こういうように考えております。
○坂口委員 これはいろいろ意見が中小企業の皆さんから出ているわけでありますけれども、実際問題として、はっきりとした形で言うと融資等に影響をするというので、なかなか表面に出にくい問題でございますけれども、最後に大臣からこのことに対して一言いただいて、終わりにしたいと思います。
○大平国務大臣 いま局長から申しましたように、指導面におきましても、検査面におきましても、拘束性の預金の整理の問題につきましては鋭意努力をいたしておるわけでございまして、若干の具体的成果を上げつつあるようにわれわれは思っておるわけでございますけれども、なお手綱を緩めないで、一層努力をして御期待にこたえなければならぬと存じております。
○坂口委員 終わります。
○村山(達)委員長代理 竹本孫一君。
○竹本委員 二、三の問題についてお伺いいたします。 まず第一は、週休二日制の問題ですけれども、単に銀行の二日制の問題だけでなくて、いろいろ大きな問題が次々にこれはあるのではないかと思いますが、大臣に一般的な考え方についてお伺いをいたしたいと思うのです。 方向としては、週休二日制ということは、世界の事実を見てもわかりますように、だれも反対はないだろうと思います。ところが問題は、それをどういうふうに矛盾やフリクションなく受け入れるかということが問題であろうと思います。中小企業の立場、あるいは団地の婦人の立場、あるいは外国為替業務といったような問題、いろいろと環境を整備するというか、前提条件を整えて、大した摩擦のないように受け入れるということが大事であろうと思います。そういう意味において、そういう条件の整備ということについて、一体政府は、全般的な問題として、どういうふうな取り組みをされておるのであるか。ただ週休二日制は世界の大勢である、賛成であると言っただけでは問題は解決しませんので、そのために前もって地ならしをしなければならぬ、条件を整備しなければならぬ、そういう実務面のいろいろな問題が出てくるのではないかという点が一つであります。 時間がありませんからあわせて申し上げますが、次に、同時に法制的な問題として、あるいは労働基準法の問題とか、あるいは銀行法の問題とか、あるいは人事院の規則の問題とか、いろいろまた法制的な調整という問題もやらなければ問題は解決しないと思いますが、そういう実務面における障害を取り除くための努力、それから法制の整備なり改正なりといった問題の面について、現在どういう努力が行われておるのであるか、行われようとしておるのであるかということについて、大臣のお考えをひとつ承りたい。
○大平国務大臣 私の考えをということでございますが、私はこの週休二日制——週休二日制というのと週休完全二日制というのと意味が若干違うと思いますけれども、金融機関がこぞってそれをやろうというようなことになって、世間もまたそれで差し支えないというようなことになった場合に、少なくとも大蔵省は、それで困るなんと言うつもりはないのです。これは大蔵省なんていうのは大体非常に保守的なところなんですけれども、そういうつもりはないので、結構なことだと思っておりますが、ただこれは、銀行法の十八条を改正すれば事足りるという問題でなくて、いま御指摘のように、非常に広範ないろいろなことに関連があるのじゃないかという感じがするわけでございまして、詳細につきましては、私もよくまだ勉強が足らないわけでございますので、その関連した事項につきまして、一応いま大蔵省として何を考えておるかということにつきましては、局長の方から答弁させます。
○高橋(英)政府委員 法制的な方でいかなる努力をしておるかということでございますが、私のところは、銀行といいますか、金融機関の週休二日ということが中心になって準備を進めなければいけないわけでございます。それで、私の方の担当しておるのは銀行法以下一連の金融業法でございますけれども、問題は、小切手法、手形法及び民法といったようなものに休日の規定がございまして、その休日の定義というのは、祭日、日曜日その他一般の休日をいうということになっておりますので、十八条の規定を削除するというだけで、土曜日に勝手に休んで、それは一般の休日と言えるかどうかということは非常に問題でございます。 そこで、この小切手法、手形法、民法、商法といったようなものは法務省の所管でございますので、法務省の方に、こういう動きになっておる、したがって、もしそういう金融機関の週休二日ということが行われるようになれば、当然そちらの方の法律の手当てもしていただかなければならないから、準備をしておいてくれということは言っております。 それからもう一つ、私の方の民間の金融機関が休日になった場合には、郵便局がどうなるかという問題がございまして、郵便局が土曜日に開いておって、貯金業務だけはやめる、郵政事務だけはやるのかというような、その辺は私ちょっとわかりませんが、そういうことから、今度は郵便局の休日というものにも響くとすれば、公共企業体、公務員、あるいは公立病院、公立のサービス業務的な施設といったようなものにも広がるのではないかということから、これは主計局などの方に、どういうふうな影響があるか、あるいはどういうふうに対処するかは研究しておいてほしいということは言っております。 それから、労働省の方には、週休二日制というものを一般の企業でもやるような場合にはどういうふうになるのか、あるいはむしろ休日というものは、国民的コンセンサスが得られるならば、労働省の方で一本の法律で何かつくるというようなことは考えられないかというようなことを研究しておいてくれということで、労働省の方にも連絡してございます。 大体、そのようなことがいまの現状でございます。
○竹本委員 ちょっといま銀行局長の説明でよく理解できなかったところがあるので、もう一度伺いますけれども、ちょうど東京の交通の青信号みたいなもので、一つの通りへ車を入れればずっと青なら青信号で行かないと、青だったり赤だったり田舎の交通規制みたいなことだと、経済上あるいは国民生活の上に非常にトラブルが多いと思うのですね。 そこで、たとえば銀行は休むけれども相手の中小企業は休んでいないとか、あるいは公務員はどうなるとか、あらゆる分野に関係がありますから、第一に伺いたいことは、やるときにはいまの青信号どおり、全部二日なら二日休むというような形で、途中ででこぼこやトラブルがないような形を考えておられるのか、あるいはそれぞれの省はそれぞれ勝手に二日休むというようなことにするというお考えであるのかという点が一つ。 それから、全体的に調子を合わせ整合性をとりながら実現しようというのならば、先ほどいろいろ法律の名前の御指摘があったけれども、それらの法律の改正も含めてそういう協議、相談を一体しておられるのか。いま銀行局長がお話しになったのは、こういう点も問題ではないか問題ではないかという点を言われたような気がちょっとしたのだけれども、その問題を乗り越えるために、整合性を持って現に各省と十分協議を進めておられるのか、進めておられないのか、その辺はどうか。 要するに、新聞で見ると、あしたにでも週休二日制は実現するようなことを言ってみたり、考えたりする人もおるんだけれども、実際は役所の側では、いま申しましたように、実務面の障害の問題と法制的な整備の問題と前提条件がありますから、それをどういうふうに克服する努力をしておられるのかというプロセスを具体的に承って、その上で、それならどうなるんだということをわれわれは考えてみたいと思うのですが、その点はどうですか。
○大平国務大臣 仰せのとおりでございまして、大蔵省だけの問題でなくて政府全体が、あなたの言われる整合性を持って対処すべき問題だと思うのでございます。また、そうすべきだと私も考えます。 それから第二に、それでは何かいま具体的に内閣中心に、独禁法改正について打ち合わせをやるようにやっているかというと、この内閣になりまして、そういう打ち合わせは私まだ伺っていないわけでございますから、その点は大事なことでございますから、もう一度よく内閣の方と打ち合わせてみますけれども、ただいままでのところ、各省横に連ねて協議をするということは、まだいたしていないはずでございます。
○竹本委員 重ねて伺いますが、そうなりますと、いままで、三木内閣はできたばかりでもあるし、その問題を具体的に閣議なり次官会議なりにおいて論議されたことはないと理解していいわけですね。したがって、今後これを実現するということになれば、次官会議か閣議かは別としまして、やはりそういうところで相談をしなければ決まらない問題だろうと思うのですけれども、銀行の問題等も含めて、閣議のそういう連絡協議をやられる意思があるのか。 それからもう一つは、そういうことをも含めて、新聞ではどんどん先に行っていますけれども、これを実現するとなれば、条件整備にもいろいろ苦労が要るでしょうし、一体いつごろになれば全般的に余りトラブルがない形で実現できるとお考えであるか、この二つの点を伺いたい。
○大平国務大臣 いま当面政府としては、予算と予算に関連した法案、その他重要法案の御審議をお願いすることに全力を挙げておるわけでございまして、いま週休二日制につきまして特に一つのシナリオをつくりまして検討をしてという段取りになっていないわけでございます。したがって、いつごろになったらそれができるかという見当もいま私つけかねるわけでございますが、せっかく提起された問題でもございますし、また現に金融機関の週休二日制という姿において問題が提起されておるわけでございますので、大蔵省としても人ごとではないわけでございますので、私ども大蔵省の方でよく問題点の整理をさせまして、時期を見まして内閣に持ち出して検討を仰ぐという筋道をとらしていただきたいと思います。
○竹本委員 ちょうど銀行局長がいらっしゃるから局長に伺いますが、そうすると、銀行だけが独自に先に一歩進んで週休二日制を実現するということはまずないと考えてよろしいか。 それからもう一つは、法の改正なり各省の連絡なりというものを抜きにして、事実上週休二日というものを銀行が、たとえば全銀協なら全銀協がやるということは可能であるか、妥当であるか、その点についてはどうであるか。
○高橋(英)政府委員 いまの情勢で、銀行が率先して、銀行だけが週休二日に直ちに踏み切るというのは妥当ではないと思います。 それから後段の方は、事実上週休二日をやらせるかというようなことでございましたでしょうか。(竹本委員「やることが可能であるかということです」と呼ぶ) 店を閉めるということは無理だろうと思います。現に現在の金融機関は、店は開いておりますけれども、職員が交代に週休二日をとっておるところもございます。 ただ、最近そういうことをやっておりましてやや障害が出てまいりましたのは、都市銀行の支店におきまして半舷上陸的に休んで店を開いておりますと、大企業などで週休二日がふえたものですから、今度はその企業に勤めておる人が土曜日暇になって、銀行に殺到してくる客が多くなったという現象が起きまして、人間が半分になっておるところへ、土曜日が逆に平日よりも相談事、業務が多いというようなことで労働が過重になっておるというような悩みが、都市近郊あるいはサラリーマン住宅地においては多いようでございます。そこでまた銀行は頭を痛めておるというのが実情でございます。 もちろん銀行のこの問題は、世間の風潮と同時に起きてきた問題でもありますが、一方では金融機関に勤めております職員の労働問題としても問題になっておるというような点もございますので、銀行の業務というのは、われわれから見ればつまらぬことに人を使っておる点もずいぶんございますので、預金勧誘行為とか集金とかそういうものは土曜日はやめろというようなことで対処していくことによって、職員の労働過重というのを避けるというようなこと、あるいは最近では手形を発行する場合に、あらかじめ土曜日に決済日の来ないようにというようなことで取引先にお願いしておるようでございまして、土曜日の業務を減らせるものは減らすというような努力をしながら現在対処しておるというふうに聞いております。それでしばらくはいかなければならぬのじゃないかというふうに考えております。
○竹本委員 この問題は新聞で読むように簡単な問題ではないから、十分あらゆる条件を整えてやられるように希望して、次の問題に入ります。 第二は、銀行のサービスの問題と関連しまして、先ほども議論がありましたが、歩積み両建ての問題にしても、その他の問題にしても、税務署の場合にはいま一応税務相談室みたいなものが必ずできておるということになっておるようですけれども、銀行の場合にはそういう相談コーナーといいますか何といいますか、とにかく消費者に親切に相談に乗ってやるというコーナーが現在できておるのか、あるいはできるように指導しておられるのか、その辺の情勢はどうですか。
○高橋(英)政府委員 これは大半できておると思っております。特別つくれというような指導はいたしておりませんけれども、銀行で税務の相談までというか、これは税理士などを雇いまして、金融相談、経営相談のみならず、税務相談までやっておるコーナーというもの、相談室といったようなものは、普通銀行の場合はほぼ整備されておるんじゃないかと思います。相互銀行、信用金庫に至りますればそれほど完備されておるとは思いませんけれども、だんだんつくってきておるのではないかと思います。普通銀行ではまず大体は整備されているというふうに思っております。
○竹本委員 大半できておるということは、まだ全部できていないということだと思うのですけれども、これは大臣、できるだけやはりそういう相談のコーナーはつくらせるように指導していただきたい。これが一つ。 それから、相談のコーナーができましても、銀行というのは態度が非常に高圧的といいますか、官僚的といいますか知りませんけれども、ある場合には税務署よりもいばっておる、こう言うのです。そういう情勢で、借りる方は非常に経済的弱者ですから、相談に乗ってもらえない、教えてもくれない、しかられるくらいが関の山だというようなことでは、コーナーの意味をなさない。そういう意味で、これはなるべく全面的に相談コーナーはつくるべきであるし、相談コーナーのあり方を、もう少し中小企業の人や金融のことが余りよくわからない人にも十分説明してやるという親切な応対をするように指導すべきであろうと思いますから、この点は特に要望しておきます。いかがですか。
○大平国務大臣 かしこまりました。
○竹本委員 第三は、金利の自由化の問題です。 これは金利の自由化をやれということがよく言われるのですけれども、結論から申しますと、私は余り賛成でない。そういう立場でお伺いをするのですけれども、一体金利の自由化とはどういうことを意味しておられるかということがまず第一であります。これを承りたい。 時間がないから一緒に申し上げますが、第二は、金利の自由化がもしできて、それで日本の経済が非常に円満にいくようなら、資本主義の経済に対してわれわれの批判というものは意味ないと思うのですね。それがむずかしいからこそわれわれはいまの経済体制をいろいろ批判しておるのであるし、また政府も、やはりやむを得ない必要によって今日金利に対していろいろな枠をつくったりガイドラインをつくったりしておるのだと思うのですね。 そういう意味から言うと、金利の自由化ということは何を意味しておるかということが私にはまず第一にわからない。第二に、金利の自由化をいろいろな人がいろいろ言うておるわけですけれども、それによってすべて、それこそ円満に、スムーズに物事が運ぶならば問題はないわけだけれども、運ばないからこそいろいろの制約があり、枠をはめておるわけだ。それをいまさら自由化するというのは、自由化して後心配はないといういかなる保障があるのか。この二つの点についてお伺いしたい。
○高橋(英)政府委員 金利の自由化の問題につきまして、竹本先生のお考えと私は大体同じでございます。金利の自由化とは何か、こういう御質問ですが、預金も貸し金も全部全面自由化しろ、こういうのが一番徹底した金利の自由化論であろうかと思います。ただ、そういうことはまずまずどこの国でもやっておりません、自由主義国であっても。大抵はそういう場合でも預金の方は最小限何がしかの規制のもとにございます。ですから、金利の自由化を論ずる人というのもいろいろございまして、完全自由化を言っている人もあれば、あるいは貸し出しだけ自由にしろと言う人もありますし、いろいろありまして、その人に尋ねてみませんと、どういうことを言っているかということは一概には申し上げられません。 それから、金利の自由化をすればすべて円満にいくのか、こういうことですが、学問的、理論的なことは別といたしまして、わが国の現状におきまして完全に自由化するということにはいろいろ問題がございまして、円満にうまくいくよりは、うまくいかない方が多いんじゃないかと私は思っております。
○竹本委員 いまの銀行局長の御答弁で大体わかったんだけれども、最近政府首脳部の答弁は必ずしもそうなっていないじゃないか。これは大臣に聞かなければわからぬが、予算委員会その他において総理もちょっと言われたようだし、大臣はどう言われたかちょっと忘れたが、とにかく方向としては金利自由化の方向が正しいような発言をされたように私は、間違っておるがもしらぬが、受け取っておる。そこでいま問題にしているわけだけれども、中小金融機関の立場も考えなければならぬ、中小企業の立場も考えていかなければならぬ。そういうことから言えば、自由競争とか自由化とかいうことは結局は弱肉強食であって、矛盾が多いからいろいろの枠をはめたりガイドラインを考えたりするわけなんです。だから、そういう問題の条件が一つも変わっていないのに金利自由化が理想であるとか、自由という言葉自体は何となく理想的なような響きを持っておるけれども、制度としての自由化ということには重大な問題がある。そこで、金利の自由化ということについて私はどうも疑問を持たざるを得ないということが第一点であります。 それから、公債の利子にしてもその他にしても、いろいろ問題がある。それらをすぐ直ちに自由化の論拠に結びつける考え方があるんだけれども、それはガイドラインの問題にしても公債の利子にしても、それを決めるときに頭を弾力的に考えて金利を決めればいいので、頭が硬直化しているのであって、制度が硬直化しているのではないのだ。そこを取り間違えて混同して、いまの金利が硬直化しているということ自体をすべて制度が硬直化しているように言うなら、それは非常に短絡的な発想である。私はいまの制度の運用が、金利を上げるときも下げるときも全部正しくうまくいっているとは思わない。むしろ逆にずいぶん手おくれの方が多いように思うんだけれども、それは別として、そのことと金利自由化の問題とは一応別である。むしろそれは、いまやっている施策をもっと機動的にやりさえすればいいんだということでありまして、金利自由化ということとは一応別であるというのが第二。 それで第三に、もう一遍お伺いしたいんだけれども、予算委員会等において、何か自由化が理想なような答弁は全然なかったかどうか、あるいは政府においてはそういう考えはないのであるかどうか、その点だけ伺って、終わりにします。三つです。
○大平国務大臣 いま竹本委員が御意見を交えての御質疑でございまして、高橋局長同様、私もあなたの考えとそう違いません。金利政策として日本の実情を踏まえて考えなければならぬことでございまして、自由化を振り回すようなつもりは毛頭ございません。中小金融機関の立場というものも十分考えなければいかぬわけでございます。しかし、中小金融機関といえども、やはり経営の合理化には努力していただかなければならぬわけでございまして、自由化への努力ということは、合理化への努力という意味で御理解をいただきたいと思うわけでございます。 私が財政演説等で、金利機能の活用ということを申し上げておる趣旨も、そういうことを申し上げておるわけでございまして、全面的な金利の自由化というようなことをうたった覚えはないわけでございます。また、公定歩合などというのは、あれは大体日本銀行の仕事でございまして、私が云々すべき性質のものでもございませんので、それに関連して私がそういうことを発言しているつもりは毛頭ないということをあわせて申し上げておきます。
○竹本委員 終わります。
○村山(達)委員長代理 次回は、来る七日金曜日、午前十一時三十分理事会、正午委員会を開催することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後九時九分散会