石炭対策特別委員会 第8号
- 発言数
- 93 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1975/06/25
会議録
○田代委員長 これより会議を開きます。 石炭対策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鬼木勝利君。
○鬼木委員 きょうは大体、保安問題を中心ということでございます。無論、保安問題についてお尋ねをしますが、大臣もお見えになっていませんし、石炭の一般諸問題について、時間の範囲内においてお尋ねしたいと思います。 国際石油資本一辺倒のいままでのエネルギー政策から転換して、今度は石炭のいわゆる見直しという新しい石炭政策の抜本的安定策が立てられよう、やがて答申も出る、こういうことになっておりますが、無論われわれは答申は尊重いたします。しかし、これまた答申一辺倒であってはならないという考えを私は持っておるのです。幸いと言うとはなはだ失礼ですけれども、幸い高木石炭部長が新年の言葉として、大変、尊敬に値するりっぱな所信を述べていらっしゃる。無論これは大臣の施政方針もありますが、常にその衝に当たっておられる部長の発表は、大変、私は高く評価いたしております。そこで前段を省きまして、これは委員各先生方もよく御承知と思いますけれども、こういうことを言っておられるのですね。「国内資源である石炭の真の政策を実現するとするならば、」結局、答申が出ようがだれが何と言おうが、真の石炭の政策を実現しようとするならば、まず「長期需給の安定策の確立が必要であり、鉄鋼、電力を主体とする需要業界と、石炭を供給する石炭業界が、単なる目先きのみの数量、価格にこだわることなく、真の数字を打ち出し、相互信頼に立った上で、幸いエネルギー多様化の必要性から、将来増大する石炭需要量の中で、国内炭二千万トンは絶対に維持するとの共通理念のもとに、需要と供給を結合する炭価ルールが一日も早く確立されることを要請し、この基盤に立って、国としても石炭産業の経営安定のための必要な助成を行うことは勿論でありますが、かくすることが、広く国民からも理解ある支援を得られるものと信じます。」このように書いてあります。 そこで私がお尋ねしたいのは、一々ごもっともで、これは非常な卓見であります。電力あるいは鉄鋼を主体とする需要業界と石炭を供給する石炭業界が皆一致して、単なる数量のみ云々するのでなくして、あるいは価格にこだわることなく、石炭政策を進めていくべきである。そして、二千万トンは絶対に維持するという共通理念のもとに、需要と供給を結合する炭価のルールが一日も早く確立されることを望む、こういうことでございますが、部長として、この実現のためにはどのように努力をされておるか、あるいはまた、どのように対策を研究されておるか、どのように着手していらっしゃるか。単なる答申待ち答申待ちでなくして、部長の所信を具体化するためには、実践に移すためには、今日までいかなる努力をされ、どういう効果があったのか。また、これは本当に部長として自信のあるお言葉だと思いますが、これは絶対のことで、部長としては信念はあくまで不変のものであるか。大臣がどう言ったから、あるいは答申がどうだからというのでふらつかれたのでは困る。石炭部長として、あまねく全国民にこういうことを発表された以上は、確固たる信念があり、御自信があると思いますので、その点を部長にお尋ねをしたいと思います。
○高木政府委員 ただいまの先生の御質問、私の意思というものについて変わらないかどうかというようなことの、いろいろなおほめの言葉もいただきながらの御質問だったと思いますけれども、今回の石炭の答申を出す、あるいは新政策をつくるに当たりまして、一番考えましたことは、審議会の先生方が中心になっていろいろやっていただいておるわけなのでございますけれども、事務局として考えましたことは、少なくともいままでのスクラップ政策というものをやめて、長期的に安定した石炭鉱業ということを基本理念に置いたわけでございまして、過去を振り返ってみますと、石炭が生産されたときは需要の方が要らない、あるいは需要業界の方が必要だというときは、石炭の方が生産が不足しているというような、いろいろなことがございまして、思わない、異常のスクラップが出たというのが事実ではなかろうかと思います。そういう点から、いずれにせよ今後の安定ということに立ちますれば、石炭と需要業界との結合ということが一番大事ではなかろうかということにポイントを置いたわけでございます。 その中心となりますのは、当然、量であり価格であろうというふうに考えまして、先日、今回の答申の骨子につきまして御報告いたしたわけでございます。いずれ近いうちに、答申そのものは審議会の方からいただけるというふうに考えておりますけれども、いわゆる作業の過程におきまして、三名の専門委員の方々を中心にいたしまして、需要業界及び石炭業界あるいは組合の方々も、いろいろな御意見を出していただいたわけでございますけれども、特に電気、鉄鋼のほか、これは原料炭関係でございますけれども、ガス関係もございます。鉄鋼、ガス、それから一般炭につきましては北電あるいは電事連という方々のいろいろな御意見をお聞きし、強く需給結合の観点から御要請もし、また、特に鉄鋼の方におきましては、輸入炭よりも高く引き取っていただくというようなことで、ある程度、現在までに一定のルールと申しますか、そういう基礎的な考えも出てきておりますし、また、いままでも一般炭の需要先である大口の電力業界においては、経済性ということが大きくいままで左右していたわけでございますけれども、国内の資源という観点から国内炭を引き取ってもらおうということについては、ある程度の、経済性を無視まではいきませんけれども、ある程度、競合エネルギーよりも高い場合でも引き取るというような、一応の御協力を得ておるわけでございます。そういうことをベースといたしまして、片一方、炭価面の、石炭業界から出てきましたいろいろな資料をベースにしまして、炭価及びコストというものの一応の想定をいたしております。これは三カ年分についてのいろいろな想定をいたしておりまして、いまの状態でございますならば、今後ある程度のコストの上昇にたえ得る炭価を設定するというめどはついたわけでございます。 そういうことで、今回の審議会の答申の中におきましても、いわゆるそれの裏づけとしまして実施計画、これにつきましては三年間のローリングプランというようなことで持っていきたいと考えておりまして、また、石炭価格の基準というものも決めるようになっておりますし、こういうことをやりまして、なお、いろいろな問題が発生した場合は、価格の是正ということからの、いわゆる助成金の格差是正というようなことでの企業に対する助成を実施したらということで、いまこの点につきましては、大蔵の方との話し合いも詰めているわけでございますけれども、基本的には大蔵の方も了承してくれておりまして、ただ、出し方をどうするかとか、いろいろな小さい問題がございますが、その辺を大蔵と詰めているという段階でございまして、少なくとも新しい政策のもとで、需要業界あるいは供給者側というものが一体になりまして、石炭鉱業の安定に持っていきたいということで、いま鋭意努力しているのが、ただいま申し上げたようなことで実施しておるわけでございます。 なお、将来の価格問題につきましては、これは輸入炭の関係もございますので、内部的にはいろいろ試算しておりますけれども、価格だけについては、公表するのを控えさせていただきたいと考えますけれども、作業といたしましては、いま申し上げたようなことで、大体のめどがついたというふうに思っていいのじゃなかろうかという、事務局としては考えでおります。
○鬼木委員 いまの御説明で大体了承しますが、結局、二千万トンを確保するということはそう簡単なことじゃない、容易でない。そこで需要業界とそれから石炭業界との結合という点は、無論、いまの御答弁のように十分その点については御努力していただいておるようでございますが、大体、長期的な石炭の供給見通しとして、五十一年度は二千二百五十万トン程度を見込んでおる。私は、二千万トンということもなかなか容易でない、よほどの努力が要ると考えておるのですが、五十一年度は二千二百五十万トンを見込んでおる。これは積算の基礎はどういうところから、こういう数字ができてきたのか、おおむね想像はつきます。わかりますが、その点を御説明していただきたいと思います。
○高木政府委員 五十一年度二千二百五十万トンという数字は、たしか一昨年の十二月の審議会で御承認いただいた数字じゃなかろうかと思いますけれども、当時、例の石油危機、オイルショックのため、できるだけ国内炭の増産にということで、至上命令的なこともございまして、当時できるだけ増産というようなことで、露天掘りを中心とし、なお原料炭を中心に掘っておりました山を、一般炭もあわせて掘れるような、いわゆる選別採掘をやっておりましたのを、選別採掘ではなくして、広く資源として活用するような方向で掘るというようなことで、当時の目標といたしまして二千二百五十万トンまでは掘れるのじゃなかろうかということで、審議会のほうで御承認になった数字じゃなかろうかと思います。不幸にいたしまして、昨年の生産は二千三十万トンというようなことで、現在の生産能力を見ますと、大手の山と現在の中小あるいは露天掘り、こういうようなところをふるい分けいたしますと、二千三十万トンの生産数量の中にも、現に露天掘りの炭が百八十万トンくらいあろうと思います。そういう数字をのけますと、すでに二千万トンを大手だけで賄っているというのが実態でございまして、そういう点からいきますと、当初、一昨年の二千二百五十万トンということのお約束が果たせなかったというのはまことに残念に思っておりますけれども、今後の生産といたしましては、現有鉱の維持ということはもちろんでございますけれども、いわゆる事業団で消滅しておる鉱区あるいは事業団が保有しておる鉱区あるいはその他、新鉱として掘れる鉱区というのもございますので、この辺をことしの二億五千万の予算で現在、調査しておる段階でございまして、こういう消滅鉱区あるいは新鉱区からの生産ということをできるだけ早く実現し、先ほど申し上げました大手の生産あるいは露天掘り等々と合わせまして、今後二千万トン以上確保するという意気込みで、いろいろ政策面を実施しておるわけでございます。
○鬼木委員 そこで大変くどいようでございますが、国内炭はあるいは若干減少するというようなことが考えられぬでもないと思いますが、新鉱開発とか、北海道あたりでもそうでしょうが、あるいは閉山炭鉱の再開発というようなことを含めて、長期的に見て年間二千万トンの確保は十分できる、こういうふうに一般に考えておられるようです。私もそうじゃないかと思っておりますが、新鉱開発には、北海道が主ですが、大体、今日どのような御計画で、また、いま着手していらっしゃるか。その現状と、それから閉山炭鉱の再開発というのは、どこを再開発されるのか、また、していらっしゃるのか、あるいは着手しようとなさっているのか。 先般、新聞で拝見しますと、私どもの福岡の飯塚のそばに幸袋というところがあります。そこはやっておるのですが、その隣に小竹というところがある。この小竹というところで露天掘りを始める。非常に優秀な炭がある、これは非常に有望だ、だからすぐにも着手するような新聞記事でございました。不幸にして、きょう私はその新聞記事を持ってきておりませんが、その規模はどの程度であるのか。あるいはどういう計画のもとに再開発をなさるのか。そういうことをいろいろ積算して、二千万トンは可能であるというふうな御計算であろうと思うのですが、その内容について、ことに、いまの小竹の露天掘りの件については、実は私の郷里の近くですから、委員長もすぐそばでございます。現地を調査してこようと思っておりましたけれども、その時日がなかったので、お尋ねしますが、どういうふうにしておられるのか、その点ちょっと。これは大変いいことだと思いますから。
○高木政府委員 初めに小竹問題について御答弁させていただきますけれども、実はこの小竹地区の石炭開発と申しますのは、御承知のとおり小竹団地の造成地域内にございます。主として旧古河の鉱区でございまして、貝島炭砿が、露天掘りの山でございますけれども、現在、炭量の枯渇というような点がございまして、掘れる炭があるならば、できるだけ小竹団地造成前に、これは造成に邪魔になるようなことがあっては、また別問題でございますけれども、幸いにしましてまだ造成にかかっておりませんので、小竹団地の造成前に掘れるなら掘らすべきではないかというような考え方に立ちまして、現在、古河、貝島との話、あるいは小竹団地を造成する公団、地域振興整備公団でございますけれども、公団の方といま話を詰めておりまして、あそこに六十万トン強の炭があるのではなかろうかと思いますので、できるならば、その炭を露天掘りとして掘らすべきではないかということで、いま検討している最中でございます。まだ完全に、この地区の石炭をいつから掘るというような具体的な計画が出ているわけではございませんけれども、貝島炭砿自身も、掘れるなら掘らせてもらいたいという要望もありますし、また小竹団地の造成前に、造成の邪魔をしないような形で掘れるものなら掘らしていいのではないかというような思想に立ちまして、現在、話を詰めているというのが実態でございます。 それから新鉱開発関係の問題でございますけれども、昨年度、北海道から九州にかけまして五地域十六地点ということで六億の予算を要求させていただいたわけでございますけれども、五十年度の予算としまして二億五千万の調査費がつきましたので、本年度、九地域の調査を実施いたしたいということでございます。これは天北あるいは奔別地区を初めといたしまして、九州では筑豊とか世知原とか、こういうところが入っておりますけれども、九地域を調査いたしたい。その調査結果に基づきまして、できることなら早く開発したいというのが念願にあるわけでございます。なお、先ほど申し上げました五地区十八地点の、これは図上の計算でございますけれども、炭量といたしましては、三億六千万トンくらいあるのではなかろうかというふうに考えております。これはいま炭量三億六千万トンと申し上げましたのは、現時点で一万五千円以内で掘れる炭量ということで計算したわけでございます。そういう炭もございますので、現有鉱の生産と合せまして二千万トン以上を確保したい、また、確保すべきであるというふうな考えに立っているわけでございます。
○鬼木委員 よくわかりました。ところが私、先ほど申し上げましたように、まだ実地を調査に行っておりませんので、詳細のことは申し上げかねますが、これは以前そういう話が実はあったことで、突如として今度あったのじゃなくして、その場合に、小竹町の議会の方で大分これが論議の的になって、いまおっしゃるように団地を造成するから、それに対して非常に町としては困る。それも先ほど申したように、まだ私、はっきり確かめていないのだけれども、実地調査していないから。だけれども、過去にそういうような、困るとか困りぬとかいうような話もちらっと聞いたことがある。 それから公害の問題ですね。これは露天掘りをやれば、団地のそばですから、やはり炭じんなんかのあれもありましょうし、それからブルドーザーなんかがどんどんやりますと騒音もありますし、それから、道路を輸送するということになればなにだという、いろいろなことで、露天掘りをやるということの是非を私は論じておるのじゃないが、そういういろいろな問題があったように、かすかに私、記憶しておることがあるわけなのです。 でございますから、いまのお話のように、いよいよそういうことになるような方向に向けば、十分地元とも話し合って円満にいたしますというお言葉ですから、私、それで安心しておりますが、国内資源の確保という点からしますれば、ことに二千万トン出炭という大きな石炭の位置づけという柱もありますので、その点において努力されることは私は大いに結構だと思います。そこで、地元に混乱を起こさないように、悪いことをやるのじゃない、いいことをやるのだから、そういう点はひとつ円満に解決をしていただいて、要すれば私は一日も早く着手していただきたい、こういう考えを持っております。一応、御参考に申し上げておきたいと思います。 新鉱開発、閉山の再開発というようなことも一応それでわかりましたが、その次に、これは大変恐縮だけれども、部長の新年のお言葉ばかりによって私、質問して、はなはだ相済まぬが、「石炭産業の経営安定のための必要な助成を行うことは勿論で」ある、こう書いてあります。結局、私がお尋ねすることは、予算の面でお尋ねをしたいのでございますが、千百億三千五百万円ということになっておりますが、これで石炭対策、石炭産業の推進、見直しをするための十分の予算であるかどうか、その点を部長にちょっとお尋ねしたいと思うのです。
○高木政府委員 昨年度の予算に比べまして、五十年度の予算は確かに見かけ上は三十八億減っておるような数字でございますけれども、このほかにいわゆる地域整備公団を通じて実施いたします工事に対しましての財投関係が約四十億入っておりますので、昨年の千百三十九億とことしの千百億というのは、数字上からは大体同じじゃなかろうかと思います。しかし、昨年度の予算の中には炭鉱整理促進補助金、いわゆる閉山交付金が七十四億入っておりまして、この点が本年度ほとんど要らないのじゃないかということと、なお昨年度の予算の中には、お返しする金といたしまして百億という金額が入っていたわけでございますけれども、この金も幸いに四十九年度で返し終わりましたので、そういう点から見ますと百七十億、あるいはこれに閉山に伴う産炭地関係の市町村に出しておりますいろいろな金というようなことも、ある程度減ということになりますと、昨年の千百四十億という予算そのものは九百六十億前後のものではなかったかと思います。それに比較いたしまして、石炭関係の予算では千百億、そのほか財投の四十億というようなことを入れますと、相当の予算の増ということが考えられるのではなかろうかというふうに思っております。 なお、石炭の安定というためには、これは助成だけではございませんで、価格という面と両方からの支えになりますので、昨年も実はトン三千円以上の値上げを実施していただきましたし、また恐らく近いうちに石炭業界と需要業界の方で炭価交渉を持つということになっておりますので、相当な協力を本年度も得られるのではなかろうか、そういう点からいきますと、一応、現在はまだ赤字でございますけれども、近いうちに黒字への転換ということも考えられるのではなかろうか、それが一番初め、冒頭に申し上げました、いろいろな将来の炭価あるいはコストというようなことも試算いたしましての見通しでございますので、ただ単に予算上の数字だけでなく、石炭鉱業の安定ということは、片一方、炭価面の協力という点もございますので、両方合わせて石炭鉱業の安定ということを考えるべきではなかろうかというふうに考えております。 なお需要業界の方の協力のない、いわゆる鉱害対策費あるいは産炭地域の対策費というものにつきましては、数字で出ておりますように、相当な増額をもって今年度は対処しているつもりでございます。
○鬼木委員 よくわかりました。 時間がありませんので、大変これは駆け足でなんですけれども、保安の方でちょっとお尋ねしたいのですが、実は先般参考人をお呼びしていろいろお聞きしたのです。その場合にも私は意見を申し述べたのでございますが、保安第一で生産第二、もちろんそのとおりでございます。保安に対しては決して金は惜しみませんと、こういう石炭協会の会長のお話であった。監督官庁の指導を得、あるいは学者の御意見を聞きつつ、素直にそれに従ってやっていきます。無論、企業自体も万全の努力をいたしますというような御回答であった。 ところが、どうも保安対策に対して、今日まで何も災害が起るようにやった人もおるわけでもないし、十分万全の策を講じ、用意周到に保安対策をやっておきながら、災害が絶えなかった。そういう点において私どもは、その衝に当たっている保安関係の人々を責めようというような考えはいささかもありません。万全の努力をされて、そういうことになったのですから、それでどうこうということを申し上げるわけではありませんが、これから将来そういう災害が絶対起こらないように、これから炭鉱の深部にだんだん移行すると思いますが、ガスの突出事故だとか、山はねだとか、自然発火だとか、保温の関係とか、そういうことはもうどなたも知り尽くして、それに対する対策はどなたもなさっておるのですね。だけれども、何かそれに対する予防的な、災害が起きて原因を究明していくということばかりでなくして、何か予防的な決め手となるものがないか。先日の学者の先生方もそれに対する御回答ははっきりなかった。地方においては炭鉱がなくなっているところでも、やはりボタ山なんとかというのは、今日までほとんど放任してあるのですよ。そうすると、ボタ山による災害も非常に多いのです。それはほんの一例ですけれども、だから、そういう点の万全の策をとっていらっしゃることは認めます。だが、もっと決め手となる予防的な保安対策というようなものはないのか。日ごろから保安課長さん方とよくお話し合いをいたしております。それは保安体制の充実だとか、施設、設備の充実だとか、あるいは保安教育だとか、いろいろ課長さんたちと話し合いはしておりますが、だから、決して努力はしていらっしゃらないとは申し上げません。もう十分していらっしゃるが、しかし、現実的にはやはり災害が起きますので、これを何とか予防するところの決め手はないのか。 また学者は、個々の山によって事情が違うから、一般的にどうだというようなお話はできないというお話であったけれども、私はやっぱり個々の山の性質によって保安対策は立つべきである、個々の山に対して保安対策は立つべきである、このように考えるわけですが、そういう点、時間もないから簡単でいいですから、何かお考えがあるならば教えていただきたいと思うのです。
○下河辺説明員 何か災害を防止する即効的な決め手はないかという御質問でございますけれども、ただいまもお話ございましたように、炭鉱の災害を分析してみますと、その事由別にもきわめて多岐にわたった原因で起きているわけでございます。それから、その責任というような点について分析してみましても、いろいろな要因が重なり合って起きているわけでございます。そしてまた坑内の状況というものも、各炭鉱によって千差万別でございますが、これをやれば直ちに効くというような即効的な対策というものは、大変むずかしい問題じゃないかというふうに考えているわけでございまして、国といたしましては、従来からやっておったことでございますけれども、とにかく保安第一、保安が最優先というような考えに立って生産を進めていくというようなことを従来、推進してまいったところであります。今後もこういうような観点に立ちまして、現場におきます保安の確保ということは、その当事者がみずから守るのだという自主保安の機運を推進しつつ、また、国としましても、監督する者としまして厳正な指導、監督を進めていきたい。こういうことによりまして逐次、一歩ずつでも災害を少なくするという方向に進めていくべきである、かように考えておる次第でございます。
○鬼木委員 ネズミがかじっていくような質問をして、はなはだ相済まぬけれども、いずれまた、皆さんとゆっくりいたしますが、労働省に来ていただいておりますので、労働問題について、また、ちょっとお尋ねしたいと思う。 実は先般あちらこちらから、ことに福岡県から大挙して押しかけてこられて、緊就事業とか開就事業あるいは失対事業というのはやめるのじゃないか、こういうような話がある。これは事実無根で、何もない問題で、むしろ通産省の方やら、あなた方も迷惑されたと思う。ところが毎度そういう離職者対策とかあるいは失業者対策、こういうようなことがほとんど年中行事のように問題になって繰り返されてくる。そういう点について、そういう労務者諸君が迷わないように、いま少し的確な労働行政を確立すべきだと私は思う。そうしないと、火のないところに煙は立たぬという言葉があるように、労働省の方から、あるいは——通産省関係は私、全部調査しました。一人もそんなことを言っている者はいない。むしろ迷惑している。だれがそんなことを言ったのか、ありもせぬことを非常に迷惑している。莫大な費用を使って、膨大な組織力によって大挙して上京される。そして生活の不安を訴えに、あなた方のところにも恐らく行ったと思う。どこからそういうことが出たのか、だれがそんなことを言ったのか。通産省は関係ありません、もう私全部調査したから。で、部長、その点を。
○岩崎政府委員 いま先生お話しの点で、石炭の離職者対策としての緊就、開就の問題、それから一般失対事業の関係とあると思うのでありますが、私ども労働省関係の者から、そういうような話が出たのではないかというようなお疑いがあるように承ったのですけれども、私どもといたしまして、そういうことを申している事実は絶対にございません。これは私どもの施策として、炭鉱離職者対策として特に福岡地区中心に実施しておる事業でございますけれども、こういった地域的な事情、その他非常に就職困難な方々の生活の安定を図るということでやっている事業でございますので、そういった事実が前提にあります以上、私どもはこの事業を打ち切るというようなつもりは毛頭ございません。 それから、失対の問題につきましても、従来からたびたび大臣その他、言明いたしておりますように、本年は失対法に定めます五年ごとの検討の年に当たっておりますので、検討、研究はいたしております。しかしながら、それは失対事業を打ち切るというような前提ではなく、むしろ現在の失対就労者の実態等を十分勘案しつつ、事業運営の改善を図っていくという方向で検討しようという所存でございまして、冒頭、先生のおっしゃったようなことは、私どもとして申してもおりませんし、考えてもおりませんことを明らかにしておきたいと思います。
○鬼木委員 いや、それは当然そうだと思うのです。国会の場において何も決めていないことを、大衆が迷うようなことを、だれがそんなことを言うのか。いま部長の御答弁で労働省関係もそういうことはないということで私も了承します。また、あるとは思っていませんでしたけれどもね。責任者であるあなたからはっきり聞かなければ、国民は聞いていますから、その点でお尋ねをしたのです。 しかし間々こういうことがあるのですよね。これは労働省でもない、あるいは通産省でもないけれども、国会でこういうことが論議されることが時たまあるのです。放言というか、勝手なことを、偉そうなことを言う人が間々あるのだ、あれが役人根性というので、決めてもいないことを、勝手なことを放送するというようなのが。いや、労働省じゃないですよ。労働省はあなたがないと言っている。通産省もないのだから。他の方面にはあるんだよ。今国会でもありました。今国会においても私の所管の内閣委員会で、犯人ははっきり突きとめて断りを言わした。とんでもないことを言っているのだから。だれもそんなことを言ったわけでもない、決めたのでもない。だから、よほど留意していただきたいと思うのですよ。 そこで離職者対策でございますが、緊就、開就の問題もいま言ったとおりで、これは十分大衆の皆さんの要望に沿うようにやっていただかなければなりませんが、四十九年度は閉山規模が、労働省関係としますれば三千二百人くらい離職者ができる予想です。実際はどのくらいできるか、それはわかりませんけれども、閉山規模が百五十万トンですから、そうしますと三千二百人くらいの離職者ができる。これは地域別に北海道、九州あたりに分けてもいいですよ。北海道が百十万トンで二千四百人、本州並びに九州が四十万トン、八百人、これが四十九年度の閉山規模。その行方ですね。離職者対策をどのように処理されたか、私はその行方を知りたいのですよ。その点は実態はわかっていますか。
○守屋説明員 四十九年度の実績をいま、まとめたところをちょっと報告させていただきます。 四十九年度におきましては、新規発生の離職者と、その前の年に発生された方で繰り越してこられる方がございます。そういう方を含めまして約七千六百名余りでございます。このうち安定所の紹介あるいは炭鉱会社のあっせん、あるいは自己就職というような形で就職されました方の総数が、ちょうど景気の停滞の絡みもございまして、いつもの年よりは若干悪うございまして、三千九百名になっております。そのうち安定所紹介で就職されました方は約二千八百名、こういう状況でございます。 私どもといたしましては、離職された方々のいままでの経験なり技術というものを生かしてもらうという意味におきましても、他の炭鉱へのごあっせん、あるいはまた他地域に移られるという方につきましては、種々の援護措置を講じまして、広域職業紹介に乗せて、就職のごあっせんをするというような形で進めてきたわけでございます。ただ最近、先ほども申しましたように景気の停滞の傾向がございまして、いままでの年よりも就職の状況がいささか悪うございました点は、われわれも反省しておりまして、今後とも就職促進のために、よりきめの細かい援助措置なり指導なり、そういうことに努めてまいりたい、かように考えております。
○鬼木委員 先ほどから何回も言うように、あと時間が五、六分しかないから、私は資料を要求しておくから、その資料を早急に出してください。そして次回の委員会で、これはもう一遍、練り直したいと思う。 七千人からの離職者のその半数しか就職の世話ができない。しかも、地方の安定所が全国で二千名しかできない。各県には安定所は何ヵ所かあるわけなので、県に一カ所じゃない、安定所というのは県に五、六カ所以上、十カ所ぐらいある。それを全国的から考えたならば、安定所で離職者を取り扱ったのは年間にわずか何十名しかないというわけです。何のための安定所か。不安定所とこれから看板を上げる、いいですか守屋さん、何が安定所だ。そうして三千人か四千人の前年度の繰り越しで七千人にもなっている。それでは話にならぬよ。失業者の繰り越しなんというのは困りますよ。金が余って予算を繰り越していくというなら幾らかいいけれども、失業の人間がたまって繰り越し繰り越ししていくでは、そんな繰り越しでは困る。わざわざ失業対策部というりっぱな部が労働省にもあるのだ、何をしているかと言うのだ。これは個人のことを言って済まぬけれども、ぼくが何か頼んだことだって一件もできないのだ。就職をひとつやってくれ、一件もできやしない。何をやっているかと言うんだよ。失業対策部長、ひとつしっかりしてもらわぬと困りますよ。一番大事なことですよ。だから、詳細に資料を出していただくように私は言っておりますから、全国で緊就にどれだけ、特開にどれだけ、あるいは一般失対にどれだけというように、男女別に、しかも年齢別に、賃金別に、賃金も一級地、二級地、三級地と詳細に、年度別に三カ年ぐらいでいいですから資料を出してください。それによってまた私は検討しますから。 失業対策部なんというのは、何で失業対策部か。労働省で最もずるいのは失業対策部、何が失業対策部だ。しかも再就職させて、就職させた結果の追跡調査もしてない。安定所なんか、ぼくが行って調べたって全然わからない。さあ、いまどうしておりますか、ここにおるはずでございますが。いないんだよ。世話した者は帰ってきている。世話するときの条件と実際行ったときの条件はもう違っている。だから帰ってきている。そうして安定所頼むに足らず、こうなっている。部長には大変日ごろお世話になっておりまして、格別お引き立てをいただいておるのに、まことに苦いことを申し上げて申しわけないけれども、公私混淆するわけにはまいりません。それとこれとはまた別なんだから、その点はあしからず。そういうことですよ。
○守屋説明員 いまの先生の御指摘の点、ごもっともな点もございます。資料につきましては、そのほかにもいろいろ細かい数字もございますので、一応これを持ちまして、先生のところへ御説明に参上さしていただきたいと思います。
○鬼木委員 そうしてください、時間がないから。 それでは、ちょうど時間になりましたから、まだ資料はたくさん持ってきて、お尋ねするつもりでしたけれども、ほかの先生方に御迷惑をかけては恐縮でございますので、一応これで、きょうは私御無礼いたします。大変ありがとうございました。
○田代委員長 小宮武喜君。
○小宮委員 近々、石炭の新政策について石炭鉱業審議会からの答申が出されようとしておりますが、この新石炭政策の実施に当たって、通産省としての姿勢についてお尋ねします。と申しますのは、いま石炭問題については、いわゆるエネルギー庁の中に石炭部があるということで、石炭部長がおられるわけでございますが、これから本当に石炭政策に政府が真剣に積極的に取り組んでいこうとするならば、石炭部を石炭局に昇格させて、そして、こうして政府としても石炭政策については積極的に取り組むのだという姿勢を、まず内外に示すべきだ、こういうふうに考えますが、いまの石炭部を石炭局に昇格させることについての政務次官のひとつの御答弁を願います。
○渡部政府委員 ただいま先生から大変ありがたい御意見をちょうだいしたのでありますが、申すまでもなくエネルギー問題は、食糧と並んで国内でできる限り確保しなければなりませんから、そういう意味外は、国内エネルギーとしての石炭の重要性、われわれの国民生活、産業経済にとっても重要なことは、先生が申されるとおりでありまして、私どもとしても、新しい時代に、この石炭をわが国の貴重な国内のエネルギーとして発展をさせていかなければならないという考えは全く同感でありますが、具体的に行政上の組織として、いますぐこれが局になるかどうかというようなことは、資源エネルギー庁全体の政策の中のそれぞれの組織で検討していかなければなりませんので、 いまここで確答をしろというのはちょっと無理だと思いますが、先生のような御趣旨、十分体しまして、今後の行政に当たっていきたいと存じます。
○小宮委員 石炭をエネルギーの中でどういうように位置づけするかということは、当然、石炭政策が答申された時点で、またゆっくりやりたいと思いますけれども、もともと石炭が華やかなりしころは石炭局があったわけです。それが石炭が斜陽化されてから、石炭部に格下げされたというか、そういうように非常に軽視されたような傾向になっておりますし、その意味では石炭部の石炭局昇格という問題も、やはり真剣に検討してもらいたいと思っています。 もう一つは、これも政務次官にお尋ねしますが、石炭の特別委員会が開かれる、この場合、大臣が出席しないときは、石炭部長だけが政府委員として出席しておるわけです。これは石炭部長が一番石炭の問題については詳しいからやむを得ないとしても、石特の委員会が開かれる際に、大臣が来ない場合に、また、大臣が他の委員会との関係でなかなか出席できないという場合に、石炭部長が一人で孤軍奮闘しておるわけですけれども、石炭部長に対してこんなことを言うのはどうかと思いますけれども、この委員会の存在、重みというものは、ただ石炭部長の答弁だけでは、ほかの、大臣も出席しない、政務次官も出席しない、エネルギー庁長官も出席しないということでは、われわれが受ける印象としても、石炭政策について、また本石炭対策特別委員会を、何かやっぱり軽視をしておるのではないか。そうではないでしょうけれども、われわれが受ける感じはそう受けるわけです。したがって、委員会を開くにしても大臣がおらぬから、いつやろうかということで、合間、合間をねらってやらざるを得ないというような実態の中で、本当に政府は今後、石炭政策に真剣に取り組むということであれば、いま申し上げましたように、やはり石炭部を少なくとも石炭局ぐらいに昇格させると同時に、ここに政務次官に来てもらったのは、やはり大臣がおられぬならば、少なともエネルギー庁長官くらいは当然出席して、これは石炭問題については詳しいかどうか余り知りませんけれども、やはり石炭問題について真剣に取り組むという姿勢を私は示してもらいたいと思うのですよ。そういうような意味で、ここでいつも大臣がおらぬ場合は、石炭部長を相手にわれわれみんなやっているわけですから、少なくともその上にはエネルギー庁長官がおるわけだから、長官くらいはこれからの本委員会にはぜひとも出席させるということは、ひとつ政務次官としてお約束してもらいたいと思うのですが、どうですか。もし長官がおらぬ場所には政務次官に来ていただくということでどうですか。
○渡部政府委員 まことに先生おっしゃるとおりでありますきょうは商工委員会で、ちょうど石炭備蓄法がきょう初めて、御承知のようにきのうまで独占禁止法をやっておりまして、きょう始まった法案審議で、大臣が、先生のこういう大事な御質問に直接参って答弁できない、まことに申しわけないのでありますが、石炭政策の重要性、これは言うまでもありませんから、大臣あるいは大臣がどうしても出られない場合、大臣代理として私あるいは資源エネルギー庁長官、これは出席するのは日程の繰り合わせ、それぞれにありますけれども、できるだけ出席するのは当然のことでありますし、また高木石炭部長、これは内容では十分に局長級で、非常に熱心に石炭問題をやって、私どもも全面的に信頼をしておりますから、石炭部長が答弁いたしたことは、わが省全体を挙げてこれが実現に努力をしますので、御了承いただきたいと思います。
○小宮委員 この問題で時間をとろうと思いませんが、これはやはり石炭部長が一番知っておるから、いつも来ておるわけですけれども、委員会としての審議に当たっての問題として、ただ石炭部長、政府委員が一人来て、それで各委員の質問を一手でさばく、もちろん知っておるからいいようなものの、しかし、われわれから見れば委員会の重みが非常にないような印象も受けますので、その点、政務次官が言われたように必ず実行してもらいたいということを特に要請しておきます。 次は、新石炭政策に基づく二千万トン体制を確保するための諸対策について質問します。 御存じのように石炭産業というのは非常に斜陽化の期間が長かったために、石炭企業そのものも非常に瀕死の状況でございまして、非常に体力は低下をしております。たとえば、いまの石炭企業の経営の問題あるいは資金繰りの問題にしても、非常に窮迫していることも事実でございます。そこで各石炭企業とも、これまで生き延びるために いろいろ合理化もやってきた、いろいろなことをやって、それはもうすでに極限に達しておるわけですね。だからそういうような意味で、もうこれ以上、生産性の向上の問題にしても合理化の問題にしても非常にむずかしい状態にございますし、またコスト上昇の問題にしても、それをどうして吸収するかということが非常にむずかしい問題になってきておるわけです。しかしながら一方では、やはり石炭の重要性にかんがみて石炭を掘らなければいかぬというような中で、今後、石炭政策をどう推し進めていくかという中で、やはり石炭企業が非常に苦しいという問題をどのように救済していくかということが大きな問題になってくるわけですが、そこで石炭企業大手八社の四十九年度の収支状況がどうなっておるか、その点をひとつお聞きします。これは石炭部長で結構です。
○高木政府委員 大手八社の四十九年度の決算公表の損益でございますけれども、四十九年度の損益の大手八社分といたしまして百七十四億一千七百万というのが公表された損益になっております。 なお、四十九年度までの累積の損益でございますけれども、七百四十二億というような数字が出ております。これは公表された損益でございます。 なお、四十九年度のトン当たりでございますけれども、大手八社の平均でございますけれども、経常損益で千七百七十九円というのが、資料として私どもの方に参ってきております。
○小宮委員 四十九年度には炭価が三千円アップされた上に、原料炭がさらに八百円上積みされて、一般炭を含めて平均で大体三千四百円アップされておる。にもかかわらず、やはり収支が好転せずに、いまの答弁にもありましたように、トン当たり千七百七十九円の赤字が出ているということになりますと、これは昨年の炭価アップ以前の状態に逆戻りしたような感じを受けるわけですが、それは今後、二千万トン体制を維持するために、どう国の助成を強化していくかという問題で、この炭価アップを図る以外にないと思うのです。しかしながら炭価の問題については、この前からも話があっておりますような状態でございますから、問題はそれまで、いわゆる五十一年度から新石炭政策が始まるわけでございますが、この五十年度の金融問題ということについて、いわゆる新石炭政策とは切り離して、大体どのような考え方をしておられるのか。炭価の問題は、何か答申が出てからやるというような話もこの前、伺ったわけですが、そのこともひとつあわせて御答弁願いたいと思います。
○高木政府委員 ただいま申し上げましたとおり、トン当たりでは千七百七十九円というのが大手八社の平均の経営損益でございます。これに仮に炭価が全然横ばいということを前提にしまして、まず、先ほど妥結いたしました春闘の一方五百六十五円という賃アップをはね返しいたしますと、大体トン千円近い数字になります。これで二千七百数十円というような赤字になろうと思いますし、またそのほか、恐らく坑内で使っております鋼材関係のアップの問題あるいはその他の資材のアップというようなことを想定いたしますと、三千円強の赤字というのが、トン当たり出てくるのではなかろうかと思います。 それをベースにいたしまして、恐らく近いうちに石炭業界と鉄鋼業界が炭価交渉に入られるということを聞いておりますし、また最終的には法律で決めるようになっておりますので、私どもの方といたしましても、仲へ入らざるを得ぬではなかろうかという感じは持っておりますけれども、恐らくこの赤字を消すような形というようなことで、炭価交渉は始まるものと思います。仮に満額の炭価交渉は得られないということを前提にいたしましても、本年度の千七百七十円が来年度トン当たりで残るというようなことはまずないというふうに考えておりますし、また、そうあってはいけませんので、その辺はいろいろ先ほども申し上げましたように内部的には試算いたしております。また、来年以降の問題もいろいろ検討いたしておりますし、また、それに不足する場合は助成ということが当然、安定補給金の問題あるいは坑道の補助金関係の問題あるいは保安の補助金、いろいろな補助金関係で強化しつつ、できるだけ早くこの赤字を消していくというのを目標にしているわけでございます。
○小宮委員 赤字解消のために、炭価アップの問題についても、ひとつ最大の努力をしていただきたい。 その場合に、この炭価の決定に当たっての問題ですが、従来とも一応、需要家と大概、通産省がいろいろ当たりながら、そしてどれぐらい上げようかということで審議会に諮問して決まるというような、従前のこういうようなやり方を、新石炭政策は五十一年度から始まるわけですから、それを機会に、何らかの新しい炭価決定のルールを確立する必要がありはしないかというふうに考えます。私自身がどういうふうにという具体案は持ちませんけれども、ただ、従前のような形だけで炭価決定をやっていくということよりは、何か新しいルールを一つ決める必要がありはせぬか、こういうように思うのですが、その点についての所見は、ひとつ石炭部長いかがですか。
○高木政府委員 過去のことでございますけれども、数年前までは、鉄鋼関係の方は輸入炭よりも千二百五十円高い金額で引き取るというような話をしていただいて、現にそういう数字になっていたわけでございますけれども、短期的に見ました場合、現在の輸入炭と国内炭の関係を見ますと、約二千円近い値開きで国内炭を高く引き取っていただいているような実態でございますので、ここで千円あるいは千五百円というようなことの金額をぴしゃっと決めてしまうよりも、むしろ国内炭を高く引き取ってくれるという一つの線は、鉄鋼業界の方では崩しておられませんので、当時の外炭の状態とかいろいろなことを加味して、年々決めていった方が有利ではなかろうかというように考えております。しかし、長契のことでございますので、全然、将来の炭価を想定していないわけではございませんで、その辺は、先ほどからお話ししておりますように、輸入炭と海外に対する価格問題ということで、外国との関係もございますので、ひとつ御了承いただきたいと思いますけれども、そういう思想でいろいろ作業をやっておるわけでございます。 なお、一般炭につきましては、現在はカロリー当たりで比較しました場合、油よりも安いというのが実態でございまして、その点からいきますとデメリット、いわゆる流体エネルギーと固型の石炭とのデメリットという点では、これは評価の仕方もいろいろ違いますけれども、一応デメリットを入れましても、まだ石炭の方が安いというのが実態でございますので、ここ数年、油が仮に一定であったにしましても、石炭の方は価格アップの要因はあろうと思います。ただし、電気の方の一般炭につきましては、即電気料金との関係が出てまいりますので、安易にここで価格をどうこうということは申し上げられませんけれども、そういうことも念頭に置きながら、今年度の炭価交渉については、石炭業界の方と需要業界の方と始まるものというふうに考えておりますので、また、そういう点を頭に置きながら、最後の裁定というものをしなければならないのではなかろうか、かように考えております。
○小宮委員 先ほどの答弁にありましたように、いまの赤字解消を図るためには、いわゆる炭価アップ、それと政府としてのいわゆる助成強化という問題もありましたわけですが、それでは具体的な生産対策について質問しますが、現在、坑道掘進については全工事費の七〇%について補助がされているわけです。ところが、掘進費も従来は一メートル十二万円から十五万円ぐらいで済んでいたものが、現在では二十万から三十万という金額が必要になっているわけです。したがって、七〇%の補助をしているといっても、実質的には低いところでは大体三〇%、いい方で大体五〇%ぐらいの補助にしかなっていないのですよ。したがって、通産省として、この掘進費の実勢単価というものをどのように見ているのか。よく地方自治体の赤字財政が超過負担の問題で出るわけですが、そういうふうな問題が、通産省が掘進に対する補助の場合でも、七〇%でやっていると言うけれども、実際は単価が低いものだから、現実には四〇%、五〇%にしかなっていないということで、通産省として掘進費の実勢単価を実際どれくらい見ておるのかという問題です。したがって、こういうふうな実勢単価に補助単価を引き上げていかぬと、いろいろな問題がみんな企業者にしわ寄せになっていくわけですから、そういうふうな意味で、いま実勢単価についてどう考えているのかということと、今後、実勢単価によって補助の基準とするのかどうかという問題について、ひとつ石炭部長。
○高木政府委員 坑道掘進の予算単価でございますけれども、これは坑道の種類別に区分されておりますが、四十九年度と五十年度の補助金、補助率等について御説明いたしますと、四十九年度の平均単価、これはメートル当たりでございますけれども、十四万円、これは全部ひっくるめたメートル当たりの単価でございますけれども、十四万というような金額になっております。五十年度は、予算の方からいきますと十五万五千円というようなことになりまして、実質の補助率は四十九年度が五二・七%で、五十年度が五六・七%というように、予算的にはアップするような強化を図ったわけでございます。 なお、今後とも実質の補助率のアップを図れるように、いろいろ検討しております。現行では補助率七〇%ということになっておりまして、ほかの助成制度に比較いたしまして、一応、七〇%というのは高率の補助になっておりますので、これ以上、七〇%以上の補助率ということのアップは、ちょっと困難ではなかろうかというふうに考えております。 なお、補助限度額の撤廃についてでございますけれども、これは合理化努力を減少させることになり、また、補助金の適正化法というものに従いまして坑道補助金の運用を図っているわけでございまして、この適正化法の関係からも、限度額を撤廃するということは困難ではなかろうかというように考えております。 坑道の合理化工事につきまして、いわゆる現行の補助金制度を、むしろ交付金制度にすべきではないかということで、現在、いろいろ検討しておるわけでございまして、たとえば、同じ大きさの同じ条件の坑道でも、A社とB社によっては金額が違います。その辺が企業の努力あるいは労働者の方々の努力というものも、ある程度買わなくちゃならぬということからいきますと、これをノーズロに、かかっただけの金額の何%というわけにはいかぬのじゃなかろうかということも考えまして、これを努力はそのまま認めるような形で、何か交付金というような形でできないものかということで、次の新政策からは、坑道の補助金を交付金の形でやったらどうかということで現在、検討しているような段階でございます。
○小宮委員 答弁されておることも私は理解します。ただ、非常に実勢単価と食い違いがあるので、本来ならば、やはり実勢単価に近づけていただくということと、七〇%の補助についても、それは一〇〇%ということまでは無理としても、少なくとも八〇%くらいまでは引き上げるべきじゃないかという意見を私は持っているわけです。しかしながら、いまいろいろ言われたような問題も理解できる点もありますので、やはりそれはほかの形でないと、交付金なら交付金というような問題でも、その分の補てんをしていくというようなことはぜひ考えていただかぬと、最近、石炭企業は成り立たぬということで、公社案だとかあるいは国営案だとかいろいろ出ておるような状態ですから、現状はあくまで私企業ですから、国がまるまる全部見るということは無理でしょうけれども、やはり最大限引き上げて、いまの石炭企業が成り立つようにしないと、二千万トン体制だって幾らうたい文句で言ってみても、絵にかいたぼたもちと同じでは何にもならぬので、それができるような体制をひとつ確立してもらいたいということと、実際に補助率にしても、いろいろな厳しい条件もありますから、各企業によって条件によってもいろいろ違いますけれども、余りにも条件が厳しいという問題もありますので、やはりこれも再検討をしていただきたい。 それから、補助の対象として、新掘りの坑道だけではなくて、既設の坑道の短縮あるいは合理化、こういうような問題についての助成措置をもっとすべきじゃないかというように考えるのですが、この既設の坑道補助に対しては、どの程度にやっていますか。
○高木政府委員 新しく掘っていく坑道につきましては、ただいま申し上げたようなことで補助をやっておるわけでございますけれども、いまの先生の既設の坑道に対する補助という御質問に対しましては、これは恐らく仕繰りの問題とか、あるいは拡大とか、いろいろそういう維持のための補助ということの御質問じゃなかろうかと思いますけれども……(小宮委員「単なる維持だけじゃない」と呼ぶ)既設でございますので、坑道を維持するための助成じゃなかろうかというように解釈いたしますけれども、これに対しましては、保安の方で一部補助もやっておりますし、なお、近代化資金の方でそれに対する融資という関係で金額を見ておりますので、拡大あるいは仕繰り等に対しては、問題のないような手は打っておるわけでございます。
○小宮委員 融資の問題についてお聞きしますけれども、石炭会社に対する開発銀行からの融資の問題ですね。石炭会社というのは御承知のように、長年の石炭産業の不況を乗り切るために、いろいろ担保物件をほとんど使い果たしているわけですね。したがいまして、開発銀行のこの融資を受けるにしても、差し出す担保がないというような状況の中で、非常に融資の道は開けてみても、やはり実際の担保がなければ銀行は金は融資しないわけですから、その意味では、ほとんど石炭会社というのは担保を使い果たしておるというような実態が出ておりますので、こういうようなために、担保価値として従来からいろいろ問題はあっておりますけれども、鉱業財団の担保で融資ができるような措置がとられないものかどうか、その点いかがでしょうか。
○高木政府委員 ただいま先生の方からの御質問で、開発銀行の融資というようなお話がございましたけれども、開発銀行の融資は現在約二十億弱だと思いますけれども、特殊な新鉱開発とか、あるいはいわゆる合理化、若返りのための融資というのは、数炭鉱に限って開発銀行から融資いたしているのが実態でございまして、先ほど私が申し上げました融資と申しますのは、合理化事業団の近代化資金の融資でございまして、これは先ほど先生のお話の中にもございましたが、鉱業財団を対象として融資しているような次第でございます。
○小宮委員 それから、二千万トン体制を維持するために、この前も質問しましたように国内炭の開発ということを考えていろいろやっておるわけですが、新規開発あるいは既存の炭鉱が新たに炭田の開発をする場合に、特に九州の場合、ほとんどは海上炭田なんですね。海底炭田なんです。そうしますと、そのボーリングを打つのに、大体一メーター二十万円ぐらいかかる。七百メーターのボーリングを一本するのに、一億四千万もかかるというようなことでは、開発しようとしても、ボーリングを一本で済めばいいわけですけれども、できるだけよけいに打った方がいいわけですけれども、一億四千万もかかれば、なかなかそのボーリングも企業の負担ではできないというような問題が、現実にはあるわけですから、そういうような意味で、これはもちろん海上だけではなくて陸上もそうですか、この開発の場合のボーリングの費用について、やはり国が二千万トン、石炭が必要だということでやるわけですから、その意味ではボーリングの経費は全部国が持つということぐらい考えてもいいのじゃないかというふうに私は考えますが、このボーリングに対する国の助成のあり方についてどのように考えておられるのか、質問します。
○高木政府委員 海上ボーリングにつきましては、数年前までタンカーをベースにしました海上ボーリングの設備があったものですから、それを使いまして、九州あるいは北海道の海底炭鉱の山の炭量の確認のためにボーリングをやりまして、これも補助金が出ておりまして、ボーリングをやった実績はございます。ただし、この船を解体いたしまして現在、持っていないというのが実態でございますので、今後、海上からのボーリングを打つということは、少々問題があるのじゃなかろうかというふうに考えます。 なお、坑内の方のボーリングで炭量を確認する、これは当然必要なことでございまして、これはむしろ、海上から、あるいは地上からというのは、点でしか押さえられませんけれども、坑内のボーリングであるならば、平面的に押さえられるという有利な点もあるわけでございます。このボーリングに対しましては、ただ探炭だけを目的とするボーリング、あるいはそのボーリングによって、ガスも一緒に抜く、あるいは水も一緒に抜く、目的もいろいろ違えられると思います。いまガス抜きボーリングという形で、ガスを抜くボーリングと同時に探炭も実行するというようなことで、このガス抜きボーリングに対しましては、これは保安の方でございますけれども、補助金が出ておりますので、こういう点ともあわせまして、はっきり探炭かガス抜きかということのふるい分けもちょっとむずかしいのじゃなかろうかと思います。 そのほか、ボーリング関係につきましては、先ほども申し上げます合理化事業団の近代化資金の中で、融資という点では見ておるわけでございますので、今後、これを全部国で持つか、あるいはガス抜きと同じような形で補助金で持つかというのは、一つの検討課題とは思いますけれども、融資もできるようになっておりますので、そういう点ではいろいろな処置はとっておることと、私の方としては考えております。
○小宮委員 融資、融資といっても、融資を受けたら返さなければいかぬわけだから、結局それだけの能力があるかどうかということの問題にかかってくるわけであって、したがって融資はあっても先ほどから言うように、担保がなければ金は借りられないという問題があるわけですね。したがって、やはりこの際、これは通産省も、なるたけ負担のかからないように、融資の道だけ講じておけばいいような考え方に立っておるかもしれませんが、今後の新石炭政策の中で二千万トンは絶対確保するのだ、これが至上命令だというような認識の上に立てば、こういったボーリングの問題にしても、やはり国としても一考あってしかるべきじゃないのか。そうしないと、従来のような考え方を踏襲するだけでは、それはなかなか石炭部長、二千万トン体制を今後、維持しようと言ったって、やる企業がもうにっちもさっちもいかぬようになったら、これは二千万トン体制どころじゃないですね。しかし、そういった借金がたまってきた。そうすれば、従来のようにまた何らかの肩がわり策を考えるとか、そういうようなことをどうしてもやらなければいかぬわけだから、そういう意味では、そういうようなことも考え合わせながら、国としての助成の方法を考えていかぬと、二千万トン体制にしてもなかなか容易なことではございませんよということを私は言っておるわけです。 したがって、そういうふうな意味で、この問題については、ここで石炭部長からこうしますということもなかなかむずかしい問題と思いますから、十分検討していただいて、今度、審議会からの答申が出れば、その時点で根本的にもっと掘り下げて質問もし、また、通産省のいろいろ見解も出していただきたい、こういうふうに考えます。 それから、石炭の需要拡大に伴って一番問題になってくるのは公害防止の問題ですが、やはりこの前、参考人の意見を聞いてみても、公害防止のための排煙脱硫装置は四十億ぐらいかかるというような意見があったわけですが、これでは余りにも負担が多過ぎるということで、公害防止施設に対しても、国として思い切った助成を行うべきじゃないかというように考えますが、この排煙脱硫装置に対する国の助成のあり方について、どのように考えておられるか、お聞きします。
○高木政府委員 石炭需要の拡大の意味から、排脱装置の問題に対しまして国としても助成しておるわけでございまして、いわゆる電発が中心になりますけれども、高砂、磯子、竹原という電発関係の発電所に対しまして今後、助成していく、あるいは現在もしておるわけでございまして、そういうふうにしていくつもりでおります。四十九年度は高砂の一号機に対しまして一億一千五百万という金額を投入しておりまして、五十年度は高砂の一号機と磯子の一号機の両方を対象にいたしまして八億六千二百万の予算をとっております。また、今後磯子の二号機あるいは竹原の一号機計画に合わせまして、そういう形で排煙脱硫に対する助成を強化していきたいというふうに考えております。
○小宮委員 時間がもう来たようですから、一括、質問事項を申し上げますので、ちょっと御答弁ください。 新石炭政策の基本方向では、「石炭生産が特殊な地下労働によって維持されていることにかんがみ、労働環境の改善を図るべきである。」 こう言われておりますけれども、これが単なる作文に終わらないように、具体的にはどのようにして労働環境の改善を図っていくのかというのが一点。 もう一つは、やはり私、考えまするに、新石炭政策の推進に当たっても最も必要なことは、石炭の労使、それから大口需要家、政府を含めた各関係者の徹底した協力が必要だと思うのですよ。そういうような意味で、おのおのがそれぞれの役割りを通じて、この二千万トン体制についての責任を分担していくという考え方からして、何らかの機構を設ける必要はないのか。いわゆる石炭の需要の確保並びに安定供給について共同責任体制を確立する必要がありはしないかという考えを持っているが、その点いかがかということ。 もう一つは、これも労働力確保の問題で、参考人からの意見の中にありましたように、若年の炭鉱技術者の養成を図るために国公立の鉱員養成所を設置すべきではないかというような意見も出ておりましたので、その点について、ひとつ通産省としてその考えがあるのかどうか。それで、もしない場合は、やはり既存の企業が持っておる鉱員養成所というか工業学校というか、こういうようなものに対して補助をしていく、助成をしていく。それで、できればそういったことによって、少なくとも各企業も労働力確保のためのそういった鉱員養成所くらいはやはり持つようにしていくべきではないかというように考えます。そういうようなことで、ほかにもございますが、また次の機会に残して、以上の問題についてひとつ一括、答弁をお願いします。
○高木政府委員 労働環境の整備と改善という点につきましては、現在までも住宅関係に対するいわゆる近代化資金の融資とか、あるいは病院等の設備に対する融資とかいうことも行っておるわけでございまして、今後も、生産関係の方から申し上げます環境問題につきましては、重点的に力を入れていく考えでございます。 なお、地下労働という特殊性がございますので、これは当然保安という面が強く出てくるわけでございますけれども、この点につきましては、後ほど保安局の方から御説明あろうと思いますけれども、十分、保安の効果というものも図るべきだろうというふうに考えております。 なお、労使関係の問題あるいは需要業界との協力という点につきましては、この前、今回の答申の骨子でも御説明申し上げましたとおり、現在の審議会を改組いたしまして、いわゆる政策部会と申しますか、そういうところで需要業界、労使関係も入っていただいた機動的な審議会に持っていきたいというふうに考えておりまして、現在までのただ形式上の審議会とは変えた形で審議会を運営していきたいというふうに考えております。また審議会とは別個に、すでに数回やったわけでございますけれども、需要業界と石炭業界だけの会議も別途、持っていただいて、いろいろ石炭問題についての話をしていただく場も設けておりますので、これは公の審議会とかそういうものじゃございませんけれども、そういう会議も持っております。なお、労使だけの会議も現にいままで二、三回やっておりますので、今後もこういうことは引き続いてやっていいのじゃなかろうかというふうに考えております。 なお、労働確保の問題でございますけれども、いままで各企業がお持ちになっておりました講習所と申しますか、これは現に廃止されまして、いまあるのが一カ所だというふうに話を聞いておりますけれども、むしろ、ここを出られる方が山にお勤めにならぬということと、採用されてもお入りにならぬというような点があって廃止されたのじゃなかろうかと思います。今後こういう点、石炭の明るい将来に向かっての学校が再開されるかどうか、この辺はいろいろ問題がございますけれども、現在、通産省としてやっておりますことといたしましては、いわゆる若年労働者に対する教育という点では、本年度から新たに保安センターにおける教育——保安センターは通産で持っておりまして、労働省の労働災害防止協会に付置しているような機関でございますけれども、この機関を使いまして若手労働者の教育という点は実施しておる段階でございます。 なお今後、各企業がそういう学校なり何なりをお持ちになるかどうかという点は、いろいろ問題ございますけれども、むしろ現在、十幾つの高等工業学校にはまだ資源関係の学科もございますので、こういう点を今後強化していくなりということについては、文部省とも連絡をとりつつ、できるだけ今後若年労働者が入っていただくような形でいろいろ施策を考えたいというふうに思っております。
○下河辺説明員 労働環境の問題の中で、坑内温度規制に関することにつきまして、お答え申し上げます。 この坑内の温度というものは、保安にも関係ございますけれども、むしろ生産の能率とかあるいは職場環境、労働者の確保対策ということにも結びつく重大な問題ではないかというふうに考えておるわけでございまして、われわれといたしましては、労働衛生的な面から坑内の温度がいかにあるべきかということで、立地公害局の委員会におきまして専門家の先生方にお集まりいただきまして、現在、外国の事例なども参考にいたしまして検討中でございます。その結果を待ちまして、監督指導の面で万全を期してまいりたい、このように考えておる次第でございます。 実際的な、具体的な面につきましては、坑内温度が高い個所がかなりございますから、補助金制度によりまして冷房装置設置の促進を図っている次第でございます。この件につきましては、本年度もさらに強力に進めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○小宮委員 質問を終わります。
○田代委員長 吉田法晴君。
○吉田委員 この前、新政策の概要を承りました。いろいろ問題がございまして、前の質問者も、このままではなかなか二千万トン体制というのも容易ではなかろうという御質問がございましたが、私の経験から、保安の問題あるいは賃金、給与の問題、それから石炭政策の基本にさかのぼってお尋ねをいたしたいと思います。 まず第一点は、保安の問題であります。私も炭鉱に十数年働いております。一番苦になりましたのは保安の問題であります。朝、元気で出ております者が、夕方になったら形がすっかり変わってしまって、災害に遭って上がってくる。あるいは大きな爆発になりますと何十人という人が、三池炭鉱のように四百何十人という災害もございますが、生命を失って姿を変えて上がってくる。こういう姿をしばしば経験をいたしました。何とかこういう災害はなくならぬものだろうか、災害のなくならぬような炭鉱なら、やめてしまってもいいではないかと、しばしば実際思ったことです。この十年ぐらいの間に、油圧式の自走支保等も採用されて、落盤は減ったということでありますが、手元にいただきました重大災害の報告書を見ましても、やはりまだ依然として炭鉱は危険だという実態は去ってはおりません。そこで、この新政策で二千万トンを維持するためにいろいろ考えられるとしても、一番大事なことは保安の万全を期することだと思いますが、決意を新たに、最近の保安対策を含めまして、主要な方法、制度について説明を承りたいと思います。
○下河辺説明員 最近の災害の状況でございますが、それにつきましては先般の当委員会におきまして、石炭鉱山の災害状況とその対策並びに重大災害事例集、二つの資料をお配りいたしまして、簡単に御説明をした次第でございます。 災害の状況を簡単に御説明いたしますと、災害率としては低下しておるわけでございますけれども、死亡率という形でとってみますと、ほとんど一進一退であるというような情勢にあるわけでございまして、われわれといたしましては、死亡率の低下、死亡災害をいかに防ぐかというような点に重点を置きまして、現在いろいろと対策を進めている次第でございます。 いかなる方策あるいは制度があるのかということでございますが、これにつきましては、まず第一に、関係者のみずから保安を守るという熱意、自主保安の意識の高揚ということが必要であろう、このように考えている次第でございます。 また、われわれ監督する側といたしましては、厳正な監督をするということは当然でございますけれども、さらに最近の傾向といたしましては、切り羽が次第に深部に移行しておるというような情勢もございますので、この深部化の対策といたしまして、坑内の骨格構造の整備かつ拡充、あるいは保安工事の拡充に対するもろもろの助成措置というようなことも、今後拡充していく必要があろうというふうに思っている次第でございます。 また、さらにこの深部の問題に関連いたしましては、やはり今後の技術研究というものをさらに進める必要があるわけでございまして、従来、国の試験研究所あるいは石炭技術研究所というようなところが中心になりまして、研究を行っているわけでございますが、このような面につきましては、さらに強力に進める必要があるというふうに考えております。 また、鉱山労働者の保安教育の強化ということが大切でございまして、この点につきましては、鉱業労働災害防止協会にございます鉱山保安センターにおきまして、労働者あるいは有資格者等の教育をさらに推し進めていくというような点が、また重要なことであろうというふうに考えておりまして、本年度もそのような線に沿いまして、さらに保安の確保について万全を期してまいりたいと考えている次第でございます。
○吉田委員 説明を聞いてがっかりしたのですが、十年前と依然として変わらぬ。自主保安という、労働者みずから保安を守るために、生命と身体とを守るために努力しなければならぬというのが第一にくるようなことでは、炭鉱の危険をなくすわけにはいくまいと私は思うのですが、これは具体的な事例と関連をして、後で問題にするところがあると思います。 もう十何年前になります、阿部参議院議員が生きているときですから。列国議会同盟の会議に参りました。十何年前ですから、まだ九州の炭鉱があった、日本の石炭問題が重大段階に差しかかっているという感じはいたしましたけれども。その際、外国の炭鉱はどうであろうかということで、この一行の日程にはございませんでしたけれども、アメリカに行けばアメリカの炭鉱に入る、ベルギーに行けばベルギーの炭鉱に入るという努力をしながら、西独には日本からたくさん行っておりましたから、その人たちと会うのが主で、とうとう坑内には入りませんでしたけれども、アメリカとベルギーと、それからソ連の炭鉱には入りました。ソ連の炭鉱に入って、十何年前ですが、そのときにほとんど、日本でもいま採用されているという油圧自走支保ですか、切り羽全体が油圧で動くもの。天盤が全部張ってあります。それから切り羽全体が動きますから、切り羽での落盤の事故というものは恐らくないだろう。命を第一にして金を惜しまない列国の炭鉱の坑内を見て、これこそ保安第一の採炭方法だと思ったのです。その後、何年たったか知りませんけれども、この十年ぐらいの間は、国内の炭鉱は実は見ていない、それまでの炭鉱はほとんど見ましたけれども。そこで、これは採炭方法についての一例ですけれども、保安なりあるいは石炭採掘について、あの程度の抜本的な生産方法あるいは保安対策を考えなければ、保安第一と称してはおるけれども、何といっても採算第一、コストのことを考えながら、損をする石炭は掘らぬ、こういうあり方では、口では保安第一と言ったって保安第一になりません。そこで、保安第一の石炭政策、生命第一の石炭対策というものを立てるのでなければ、本当に保安についての面目を一新することば不可能だと思いますし、新政策をとるというならば、炭鉱についてはもう危険でなくなったという印象なしには、所要の人を集めるというわけにいかぬと思います。それだけにお尋ねをしているわけでありますから、いままでの説明のように、十何年前の説明と同じような説明を聞こうと思って尋ねているわけではございませんから、ひとつそのつもりで答えてください。
○下河辺説明員 それでは、具体的にどういうような対策を現在進めておるかということでございます。 まず、ただいま先生御指摘ございました自走枠の問題でございます。自走枠につきましては、現在わが国におきましても、急傾斜の払いを除きましては、大部分、自走枠払いが導入されておりまして、ちなみに昨年の払いの出炭量を申しましても、約半分、六割弱の出炭は自走枠の払いから出炭されているというような状態でございます。これにつきましては、今後さらに強度の高い自走枠を開発して導入していくというような方針で進めたいと思っている次第でございます。 その他、このような落盤あるいは山はね関係の対策といたしましては、沿層坑道の展開から岩盤坑道の展開への切りかえ、あるいは坑道の鋼枠でございますが、Iビームの強度のより強いものを使用する、枠間を短縮していくというようなことで、坑道支保の強化を図っておる次第でございます。 また、そのほか応力集中を減少させるような採炭計画も実施していく。これは山はねとかいうもものの災害を防ぐというような意味のものでございます。一例でございますけれども、そのような対策を進めているわけでございます。 その他、落盤、ガス突出がまた大きな問題でございますが、これにつきましては、ガス抜きを先行いたしまして、三カ月ないし六カ月以前から採炭個所のガス抜きを先行しておきまして、ガスを去勢しておくというような方策あるいは誘導発破を実施するというようなことで、ガスの拡散を促進する、さらには各切り羽の独立分流を実施するというような方策も講じているわけでございます。また自然発火対策といたしましては、危険度によってランク別に払い跡の処理対策を進める、あるいは流送充てんによりまして、旧層とか払い跡の完全密閉をするというような方策も実施している次第でございまして、そのような具体的な方策を講じつつ、個々の問題に対処しているというような状態でございます。
○吉田委員 言葉を費やして述べられるのですから、全くないとは言いませんけれども、根本的な対策が立てられておると申し上げるには少し足らぬように思います。 もう一つ、私はソ連で経験いたしましたけれども、坑内でのガス化をやっておりました。モスクワの博覧会に参りまして、坑内ガス化、これは日本でも知るのは知りました。そして聞きましたら、ソ連だけで行われているということですので、特に希望して、坑内での石炭のガス化を見せてくださいということで炭鉱地帯に入ったのです。ボーリングの穴を掘って、その間に電気を通してガス化をするのですから、効率から言えば一〇〇%ではないと思われます。思われますけれども、炭層の大きな変化がなければ、災害という点から言えば、坑内でガス化して引き上げるのですから、災害はございません。その程度のことが考えられないかという意味で、先ほどお尋ねしたわけです。これは保安局の担当でないかもしれませんが、日本でガス化なり、採掘の方法について根本的に変化を図り得る採掘方法はないものか。これこそ石炭研究所といいますか、科学的な研究にまたなければならぬと思いますが、国際的に言っても、いま伺った中で切り羽の分離というのは、これは炭層が違いますけれども、アメリカで見ましたが、これも一つの方法だと思います。方法だとは思いますけれども、それは小さい技術的な変化ですね。そういう点から言うと、大きな採掘方法についての変化は考えられないかということで、地下ガス化を引き合いに出しましたが、日本のことですから、地下ガス化を図ろうと思えば電気によるガス化よりも、もっと効率の高いものを考え得ると思いますが、そういうものが考えられますかどうか、あるいは考えられているかどうか。これは石炭部の方にお尋ねします。
○高木政府委員 坑内のガス化につきましては、数年前だったと思いますけれども、石炭技研を中心にいたしまして研究したことはございます。ただし、日本の乱掘された跡のガス化ということでは少し無理じゃなかろうかということで、成功しなかったのでございます。ソ連その他の研究をベースにしながら、わが国でも過去に一回試験したことがございますけれども、炭層の賦存状態あるいは乱掘の跡のガス化ということになれば、なかなか困難なようでございまして、いまのところは、急傾斜層に対しましては、特に北海道でございますが、先ほど保安局の方から話がございましたように、急傾斜に使えるような鉄柱カッペの開発はないかということで、これも技研を通じまして現在、試験をしている段階でございます。 なお、採炭関係の機械におきましても、急傾斜の採炭機械ということで、恐らく先生方の海外御視察の後だと思いますけれども、ソ連の機械を入れてみたり、あるいは各国の優秀な機械を入れて試験はしたのでございますが、現在、急傾斜払いの機械化というのは実行されておりません。ただし、落盤とか、そういういろいろな保安上の問題がございますので、現在、技研を通じて急傾斜の採炭に適するような鉄柱カッペの試験と自走支保の試験ということで研究はいたしております。
○吉田委員 それからもう一つ、さかのぼりますけれども、いま日本で採用されておる油圧自走枠の実態は知りませんが、外国の事例を参考にしながら、日本の炭層に合わせるということはもちろんなされたのだと思います。資料をいただきますと、自走枠を使い出してから、この十年ばかりの間に落盤による事故は非常に減っておりますね。そういう意味では、自走枠を中心にした保安第一の採炭方法については、日本は日本なりに大きな改善と進歩がなし得ると思うのですが、入ってからもう十年はたっておると思います。それらの検討といいますか研究といいますか、あるいは改善の方向等については、現状の説明だけでなくて、今後改善の余地はないものか、重ねてお尋ねしたい。
○下河辺説明員 確かに、自走枠導入の当初は、ドイツとかソビエト等から導入しておったようでございますけれども、その後、国内で独自の技術開発等もございまして、自走枠の製造を行ったわけであります。最近ではオーストラリアの方に、自走枠を含めた採炭システムの技術輸出をするというようなこともあったと聞いているわけでございます。そういう意味で、わが国の自走枠も国際的なレベルに達していると言っても過言じゃないと考えている次第でございます。このような形で、今後さらに坑内深くなるわけでございますが、その重圧に耐えるような自走枠並びにそれを使う採炭システムの開発という点は、今後大いに進めなければならないのじゃないかと考えております。
○吉田委員 先ほどちょっと参事官が触れられましたガス抜きの問題ですが、いただきました「石炭鉱山の災害状況と対策」を見ますと、これは二十四年からとってありますが、落盤は非常に少なくなっておる。そのかわりに何よりもガス炭じん爆発の事故がふえている。それは、四十年以降の数字をとってみましても、十年間に二十数件、ガス爆発事件だけをとってみても十六件、死亡が二百三十三名、一年に件数が一・六件、まあ二件近い。一件に平均二十一名死亡しておりますね。この一つ一つを見ておりますと、年間に一千名近い人が死ぬ。あるいは現在十年間とってみても、一件について二十一名、平均亡くなっている。こういうのは恐らく世界でそうざらに例があるとは私は思いませんね。二十何件の重大災害を起こしたら、恐らくそれだけでも大変だろうと思います。そしてそれがほとんどガスでしょう。それで一件、一件見てみましても、過失がないわけじゃない。ガスがたまっておった。それに火がついた。そのガスがたまっておったということについても、あるいは発火原因を与えたということについても、これは過失がないと断定し得るかどうか。恐らく多少の問題があろうと思う。それは当事者にしても問題はあろうとお感じになるだろうと思うのです、この書類を一つ一つ見てみても。それだけにガス抜き対策ということが言われますが、とにかくこれだけのガスの事故がなくなるようにはできないものか。三カ月、六カ月先のガス抜きをしておると言われますけれども、高松炭鉱もガスが多うございました。私が十年余りおる間にガス爆発を三件ぐらい経験をしております。一番問題は、正直に申しますけれども、経営者には、事故を起こして人を殺しても、良心的な痛みは余りない。一つ一つの事故について、私どもは本当に身を切られるような思いをした。家族のことを考えると、やはりたまらぬです。ところが、それが年々繰り返される。私はそこに問題があると思う。高松炭鉱でガス抜きを始めましたのは、やめる十年前ですよ。それからどれだけの進歩があったかと考えると、いまの保安対策ではございませんけれども、余り大きな進歩がないような感じがいたしますね。しかもこの十年間、四十年以降の十人以上の事故だけをとってみてもみんなガス。そしてガスが出ておるということについて知らなかったわけではないと思います。それについての責任といいますか、あるいは問題があるようにも思うのですが、ガス対策についての基本的な態度を伺いたい。法令の改正も若干見ましたよ。若干見ましたけれども、あれでガスの問題がなくなるとはちょっと考えられませんがね。ひとつ対策を承りたい。
○下河辺説明員 この資料にもつくってございますように、ガス炭じん爆発の件数の欄が一番多いわけでございます。したがいまして、罹災者の数も一番多くなっている次第でございます。それで、このガス対策でございますけれども、ガス対策につきましては、この資料をお持ちでございましたら、おあけいただきますと出てまいりますが、一三ページに「附属資料 鉱山保安技術対策調査の推移」とございます。この表にもございますように、ガス突出につきましては、四十年から基礎的調査を開始した次第でございます。それで最近の四十九年、五十年のところで御説明いたしますと、現在進めております対策といたしましては、効果的なガス抜き技術の確立というようなテーマが一つございます。これはボーリングをやりまして、その穴の中に機械的振動を与えることによってガスの湧出を促進させようということと、また炭の中のガスの透過率の研究というのが主体になっているわけでございまして、それぞれ九州大学並びに北海道大学の先生に委嘱いたしまして現在、調査を進めているところでございます。 このような保安の問題につきましては、毎年、毎年このような形で一歩一歩、研究を進めているわけでございますけれども、次から次へと、いまだかつてないような新しい事実にぶつかりまして、それを一つ一つ解明しているところで、それによって今後のガス対策を確立したいということで、現在、鋭意進めているというのが実態でございます。
○吉田委員 大臣も次官もおられませんから、局長とやりとりする以外にないのですが、石炭政策、保安、両方含めまして、やはり炭鉱では、まだ人間の命よりも生産の方が優先していやしませんか。この基本概念が転換されぬ限りは、なかなか科学といえども、いま九大の先生のことを言われましたけれども、九大の鉱山関係の学者一人、一人の名前を思い浮かべてみても、生命第一、保安第一ということが本当に科学の上で確立されておるか。私も九大に関係がありましたから、あえて申し上げますけれども、やはり頭をかしげるのじゃないでしょうか。 そこで、これは労働省にも関連をいたしますが、労働省の人はいま来てくれている途中だといいますから申し上げますけれども、外国では人身事故を起こしたら、その人が一生かからなければ賠償ができぬだけの賠償金を科します。これは御存じのところです。日本の自動車事故についての賠償金は一千万円まで上げるという話がございます。ございますが、炭鉱の場合にはまだ一千万円になっておるかどうかというところでしょう。 皆さんは最近の飛騨川の事件を御存じだと思います。立山かどこかに行く観光バスが、飛騨川の川沿いで山崩れに押し流されて、川に落ち込んで、百何十人か二百人近くの人が死んだ。その結果責任ですよ。二百人近い人が死んだ。それについては道路管理をしている国にも責任がある。その道路の上の山が落ちてきて、山崩れがあって押し流されるかもしれぬという、その可能性に対して、道路の管理に手落ちがあったということで、全面的に国に責任を負わしている。 比較をして、この重大災害の個々の例を見てみますと、先ほど申し上げましたけれども、ガスがたまっておるということについての認識があったかどうかは知りませんが、ガスがたまっておった。それに発火が原因をして爆発している。みんな書いてあります。ガスが突出した、それで埋まった。それが不可抗力であったかどうかということはこれではわかりません。あるいは、わかりませんけれども、十分、責任を追及しにくいという理由もあるようです。これで見るだけでも、ガスがたまっておった、あるいは詰め所の設備が古くて、点検をしてなかったから云々という点等があります。しかし、とにかく二十名以上の事故が起こった、それについての責任はどこにもない、これが実態です。それでは事故が繰り返されるのを防ぐわけにはいかぬのじゃなかろうか、こういう感じがいたします。外国で人一人の命は本当に地球よりも重いと考えられるならば、一人の命が亡くなっても、あるいはそれが百人、二百人と亡くなればなおさらのことですけれども、いままでは無過失と考えられておった国家の責任、道路の管理の責任さえ問われている。そういう問題について、これは保安局長、どうでしょう。そういう過失について、もっと明らかにする制度がやはり必要ではないだろうか。いま、西日本新聞で山野の裁判が近いと言われている。そこで、われわれは関心を大変高めているところですけれども、問題は裁判所に任せっきりで、行政庁はおれの知ったことではないとは言えぬと私は思うのです。どうでしょうか、その辺についての御感想は。
○下河辺説明員 飛騨川の問題は、これは道路管理者である者が、その管理者としての責任を追及されているということだろうと思います。鉱山につきましては、鉱山保安を確保する第一義的な責務というのは、鉱山を統括管理している鉱業権者あるいは保安統括者という者が、法制上は責任を負うということになっております。そういう形で法律的な責任が追及されるというのが、法律的にも当然であるし、そこが限度ではないかというふうに考えております。
○吉田委員 想像したとおりの答弁でしたが、それで済むかというお尋ねをしているわけです。あなたは鉱山保安法を守っておれば、それで飯は食えるでしょう。飯は食えるでしょうけれども、この統計にもありますけれども、最近は何百名というものは減りましたけれども、それでも四十九年が五十七名、四十八年六十三名、四十七年が百十八名です。一伴当たりは、さっき申し上げましたけれども、この十年平均しても二十一名。一つ事件が起これば、ガス突出云々、ガス爆発云々ということで二十何名死んでおります。それを何とか防ぐ道はなかろうか。鉱山保安法を守っておれば飯は食えるかもしらぬけれども、鉱山保安法の改正なりあるいは生産技術の根本的な改正なり、それで人の命が年間に五十名以上が亡くなるような事故を防ぐ方法はなかろうかと、真剣にお尋ねしているわけであります。
○下河辺説明員 先生のおっしゃる意味、お気持ちは私、よくわかるわけであります。しかし、法律的な問題につきましては、私、ただいまお答えいたしたようなこと以外には出ないのではないかというふうに考えております。それ以上の問題になりますと、保安の責任をどういうふうにするかということだと思いますけれども、そういうことでございますと、現在の日本のこういう取締法、通産省が所管しております法律には、保安法以外にも火薬とか高圧ガスとかその他あると思いますけれども、すべてそういう法律の体系というのは、その責任はその事業所を統括しておる者が責任を持つのだ、そういう自主保安という考え方が、すべてあるわけでご、さいまして、そういうような法律体系、考え方を、そこまで一気に変更するのは、果たして実際的にどんなものであろうかというふうに考えている次第でございます。
○吉田委員 あんまり議論をしていると時間がなくなるのですけれども、先ほど申し上げた飛騨川事件は、国の責任を追及したという意味では画期的だ。ただし、国の責任をいま言っているのではないのです。だれが責任を負うか知らないけれども、何百名という人が死んだが、責任はだれも負わぬ、だれも過失はなかったということでいま済ましているのでしょう。三池炭鉱で四百五十八名死なせても、これは法的な責任はない、三井鉱山にも、あるいは三池炭鉱の所長にもだれにも過失はなかった、責任はなかったということになっているのですよ。山野の問題について判決が間もなく出ようとしていますけれども、それは裁判所が判断することではありますけれども、やはり日本の政治の中で、行政の責任もありますが、行政がどう考えているかということがやはり大きな要素になっております。これは建設省が飛騨川事件について言うたからだとは思いません。思いませんけれども、やはり二百何十名という人間を死なせた結果責任として、これは責任は明らかにしなければならない。いままでは無責任と考えられておった道路管理の責任を問わなければならぬというところまで、判例として画期的に人命尊重の威厳が判示されたと私は思っておるのです。それだけに、何百名殺してもあるいは何十名殺しても、それは責任がないということで済ませようとしておるいまの体制に問題がありはせぬかということを言うておるわけです。 それで、具体的に事例を引きますと、これは裁判になっているものしか問題になりませんけれども、二十名以上がガス爆発の事故によって死んでいる、それについて最近の事例をたどってみてみても、一番新しいところで歌志内、石狩、三井砂川と書いてございますが、たとえば四十六年の歌志内のあれについて見ますと、ガス抜きが不十分であったためにガス突出が発生したと書いてありますね。そうしてみると、少なくともこの文章だけで見て、ガス抜きが不十分であったということはだれの責任か。ずっと昔は、その火源が、たばこをのむというような悪い者がおったようなことがありました。しかし、事故の原因を従業員に帰して、設備なり、あるいはガス抜きならガス抜きの責任を持っておる保安管理者なり何なりについては過失はないものだ、こういうのが従来の実態じゃないですか。だから、そういう点等については、これはガス抜きの責任を課すならば、ガス抜きが不十分であったという責任も問われなければならぬのじゃなかろうか、そういう体制をつくることが、本当にガスによる事故を防ぐゆえんではなかろうかというお尋ねをしておるわけです。それは鉱山保安監督局の問題じゃないでしょうか。
○下河辺説明員 どうも直接のお答えにならないかもしれないのですが、われわれ鉱山保安法に関係しております者といたしまして、鉱業警察員としては鉱務監督官という仕事が別途あるわけでございますが、その立場に照らして、このような事件が起きましたときには処理をいたしております。この書類にもございますが、備考欄に「送致」と書いてございますものは、この災害事件につきまして、何らかの鉱山関係者を送致したという事件でございます。どういうような人が送致されておるかということになりますが、九九%以上が鉱山の職員でございまして、そのような監督的地位にある者につきましては、それぞれ鉱山保安法に基づきまして固有的な職務が規定されておるわけでございます。それらに照らしまして違反の有無を調査いたしまして、送致あるいは送致せずというようなことを決定しているわけでございます。また、この中に書いてございますような「ガス去勢が不充分のため」云々というようなことは、事故が起きた後で、不十分であったから起きたと結果的にわかった点をここには書いてあるわけでございまして、送致する段階におきましては結果論というものも、もちろん、あるわけでございますけれども、その個々の現象につきまして、やはりそれぞれ、そのときの技術水準とか社会的通念というようなものとか、そういうようなものを判断の尺度にいたしまして、検察当局とも協議の上、処置をいたしておるわけでございまして、ここに書いてあります個々の案件につきましての送致、不送致につきましては、それぞれ法に照らして厳正に執行しているというふうに考えておるような次第でございます。 御質問の御趣旨にマッチしないのではないかと思いますが、われわれといたしましてはそのように考えておりますので、お答えいたした次第でございます。
○吉田委員 教育のことも含めて、対策については多少お考えをいただいておると思いますが、根本的に人一人の命が地球よりも重いならば、実際は平均して二十名も殺している、そういうことをなくすためには、もう少し考えが変わるべきではなかろうか。その変わった結果が、どういう法律の改正になるか、それはわかりません、わかりませんけれども、いま質問を通じて感ずることは、鉱山保安監督局の当事者が頭を切りかえて考え直してください、お願いをしておきます。 それから、労働省の補償課長に来ていただきましたから、お尋ねをいたしますが、端的に言って人一人の命が労災では一千日分と評価をされておる。これは石炭の遺族補償のことです。法律で言いますと、結局人一人の命一千日分、こういうことになるわけですね。ところが、だんだん外国に比べて日本でも事故に伴います補償は、事故を起こしてはならぬ起こしてはならぬけれども、再び事故が起こらないような保障をしなければならぬのが補償のたてまえだと思いますが、炭鉱でいいましたら、一千日分に何とかいってつけ加えておりますけれども、何といってもやはり一千日分が中心、最近は賃金も幾らか上がってまいりましたから、一千万円を超すかもしらぬと思いますけれども、もう雫石事件以来、人の命が一千万円じゃ済みません。四、五日前でしたか、和解をいたしましたあれにいたしましても、二千万円を超しておると思います。そうすると、いま災害が繰り返されないように、保安対策についても基本的な転換が必要ではなかろうかと申し上げましたが、災害補償についても、いまの水準というものは、一つ遺族補償を例にとりましたけれども、これはもう古くなっているのではなかろうか。災害が繰り返されないように、災害補償についても、これは人の命を大事にする施設をつくる方が安くなる。これは公害についてもそうですか、人の命にかかわったり、あるいは健康にかかわったら、その方が大変なことになるから、これは水俣ではございませんけれども、そこで脱硫装置をしようとか公害防止の設備をしなければならぬとか、こういうことになっていることですから、この災害補償の水準については、基本的な再検討の要があるのではなかろうかというのが質問の中心であります。
○山口説明員 労災保険におきます遺族給付につきましては、昨年の十一月から法律改正に基づきまして、遺族給付、障害補償給付を中心にかなりの引き上げを行ったわけでございます。先生、ただいま御指摘の千日分という問題は、実は基準法上の規定でございまして、労災保険におきましては、受給権のある遺族がおられる限り年金として支給しますので、千日分というような関係はないわけでございます。ただ先生のおっしゃる意味合いは恐らく年金受給権者がいない場合、いない場合は、遺族補償一時金ということで千日分を支払う、こういうシステムになっておるわけでございます。つまり、受給権者がおられれば、おられる範囲で年金が支給される。したがって、千日というような制限はない。ところが、受給権者がいない場合は千日分の一時金が支給される。先生のおっしゃる意味は二つあろうかと思うのでございまして、年金自体もさらに検討を要するという問題と、一時金の千日分も検討を要するのじゃないかという御指摘かと思います。 前国会におきましては、遺族給付、障害給付の引き上げを中心に法律改正が行われたわけでございますが、そのほか、労災保険法上の問題がたくさんございますので、現在、引き続いて労災基本問題懇談会を設けまして、いろいろな事項について検討が行われております。その中に、先生御指摘の遺族補償給付の給付内容、これも検討課題になっております。実は、本日も基本問題懇談会がただいま開催されておるところでありますので、先生御指摘の点は今後、十分検討されるものと思っております。
○吉田委員 これは、石炭政策の中にも、人一人を殺したら大変なことだ、人命尊重の方が、生産よりもあるいはコストよりも大事なのだという体制を確立するにはどうしたらよかろうか、こういうことを検討する中で、いまの問題を取り上げたわけですから、これは、局長が来ておられますが、石炭政策の中でもぜひ、十分その点は生かしていだきたいと思うのです。 それから、時間がなくなりましたから一緒にお尋ねをいたしますが、賃金の問題について言いますと、前回のときに、多賀谷さんからもお尋ねがございましたが、旗日にも休まぬような炭鉱にだれが来るか、こういうお話がございました。賃金の面で言っても、これは勤労報国隊や何か来られたときに痛切に感じたことですけれども、やはり坑内に下がるというだけで大きなハンディがつきます。ですから坑内労働は、坑外の重労働に比べて五割増し以上の、あるいは倍くらいやっても当然だという感じが、私どもにはするわけです。それから、幾つまで働いておられるか、こういうことから考えましても、炭鉱には行ってすぐ社宅がある、あるいは暮らしやすいということはございますけれども、長く働いておりますと、初めはすぐ採炭に回って、ある程度の収入は得られますけれども、だんだん年をとってくると、仕繰りに回ったり、坑外に上がったりすると、だんだん収入は下がってくる。これは炭鉱にとっての一つの大きなハンディです。 それからもう一つは、時間がありませんから一遍に言いますけれども、一生、それから子々孫々に至るまで、孫子までも生活を託するに足る賃金か、あるいは労働条件かといいますと、そうではございません。 それからもう一つは、やめた後の問題、厚生年金の問題がございますけれども、もう大きいところでは一時退職金よりも年金にだんだんなってまいりました。それを考えますと、やはり炭鉱について言えば生涯を託するに足る給与、あるいは子々孫々に至るまで、その生活を託するに足る条件であるかどうかということになりますと、問題がございます。それから後の老後の問題、それを含めまして検討すべきではなかろうか。 そして、ついでに言いますけれども、そうしますと、生産費と売価の問題を先ほど論じられておりました。この十年以上の実態を考えますと、生産費と売価の差額を、経営改善資金として融資をしたり、あるいは肩がわりをされたりしておるところでありますが、炭鉱労働にふさわしい給与あるいは生活環境を保障するということになると、実態から考えてみても、炭鉱経営の姿というものは再検討をせられるべき段階にきておる、形はとにかくとしてきておるということは、これは万人の認めるところではないだろうか。一遍、来てもらって、これは保安局の人でしたからあれですけれども、それは石炭鉱業審議会の問題というお話でしたけれども、石炭鉱業審議会の問題であると同時に、石炭行政の基本にかかわる問題ではないかと考えます。さらに鉱害だとかあるいは産炭地振興なんかを考えますとなおさらだと思いますが、それらについて最後にお尋ねをいたしたいと思います。
○高木政府委員 賃金問題でございますけれども、この前の委員会でも御説明したと思いますけれども、今回の答申の中に賃金問題あるいは労働時間の問題、職場環境の問題、生活環境あるいは教育というようなことも取り上げるつもりでございます。 なお、労働賃金につきましては、いわゆる地下労働者にふさわしい賃金水準であるべきだということを御答申になる予定でございまして、もともと賃金問題は労使間で決められる問題ではあろうと思いますけれども、少なくとも石炭鉱業の特殊性という点から考えまして、地下労働にふさわしい賃金水準であるべきであるというようなことが提案になる予定でございます。 なお、労働時間の問題につきましても、いわゆる労働時間の改善ということにつきまして、この時間問題は賃金の収入の問題あるいは生産というようなこととの関係も出てまいるわけでございますけれども、場合によりましては石炭鉱業審議会の場で十分、第三者も入った形で御検討をしていただくのも一つの方法ではないかということで、答申に盛られる予定でございます。 なお、老後の問題でございますけれども、これにつきましては、石炭関係におきましては特に石炭鉱業年金という制度がございまして、この給付額の引き上げの点につきましては答申に盛られる予定でございまして、すでに石炭業界の方には引き上げてもらうべく話もついております。ただし、金額あるいは現在の交付資格と申しますか、条件と申しますか、こういう点につきましては、厚生省及び労使の方でお話し合いしていただくということになっておりますので、老後の点につきましても、一応、今回の答申におきましては石炭鉱業年金につきまして給付額の引き上げを勧告しておる答申になる予定でございます。 また、生産費との関係というようなことではなかったかと思いますけれども、石炭の生産費と申しますのは、約六〇%を労務費が占めておるような産業でございますので、今後、相当ないわゆるコストアップという要因があることは十分、承知いたしております。この点につきまして先ほども御説明したのでございますけれども、炭価との関係あるいはそれに不足する助成の問題ということは、いろいろ検討いたしておりまして、今後二千万トン体制が安定するようにというようなことは十分、念頭に置きながらの政策を確立したいというふうに考えております。
○吉田委員 時間が参りましたから、終わります。
○田代委員長 諫山博君。
○諫山委員 三池炭鉱の大災害によるCO患者の問題について質問します。 事故が起こったのは昭和三十八年十一月九日、死亡者四百五十八名、CO患者八百三十九名、大変な事故です。私は爆発のニュースを聞いて、当時福岡市にいましたが、三浦久君と一緒に直ちに現場に駆けつけました。私が三池炭鉱三川坑に着いたときは、炭じんで真っ黒になった死体が次々に引き上げられている、半死半生の労働者が担架でかつぎ上げられている、そういう現場に行き会わしたわけです。そして、私はそのときぐらい、政府のエネルギー危機を口実にした炭鉱取りつぶし政策あるいは三井の人命無視の合理化計画に義憤を覚えたことはありません。その後、何回も私、大牟田の現地に行ってCO患者とも話し合いをし、家族とも会ってきたのですが、CO患者に対する取り扱いというのは、きわめて不十分だと思っております。 そこで、現在のCO患者のうち労災認定を受けている人が七十九名、そのうち六十八名が入院療養中、十一名が通院中、こういう数字を把握しているのですが、これは間違いないでしょうか。労働省いかがですか。
○山口説明員 三井三池の炭じん爆発による数字につきましては、先生いまお話しになりました八百三十九名がCO中毒にかかっておりますが、そのほか宮浦その他で、密閉作業あるいは坑内火災により、同様にCO患者が発生しておりますので、私どもとしてはCO中毒患者としては千二百七十五名がCO中毒症にかかったというふうにとらえております。 なお、その後、漸次症状も軽快しまして、治癒認定を見た者が千百七十三名ございまして、ただいま療養者として把握しておりますのは、年金による長期の患者と、それから短期の患者と合わせまして九十七名というふうに把握しております。
○諫山委員 このCO患者に対しては、労働者災害補償保険法によって平均賃金の六〇%が長期傷病補償給付として支払われています。そのほかに会社が労働組合との協定に基づいて平均賃金の二〇%を支払う。合計八〇%が支払われるという状態が続いていました。その後、昨年十一月一日から適用される労働者災害補償保険特別支給金支給規則、労働省令第三十号というのがつくられています。これによって労災保険法の六〇%のほかに、長期傷病特別支給金が二〇%支払われるということが決められました。昨年十一月一日から適用されているわけです。この趣旨は、長期傷病者が悲惨な苦しみをなめていますから、少しでもその苦しみを緩和してやりたい、困窮している生活を少しでも助けてやりたい、こういうたてまえから労働省令第三十号がつくられたと思います。会社側の負担を減らすために労働省令をつくったのではなかったと思うのです。この点をまずはっきりしたいのですが、いかがでしょうか。
○山口説明員 特別支給金は他の損害補償に関する諸制度の動向あるいは業務上の災害についての労使間の取り扱いというような実情を考慮しまして、被災労働者やあるいはまたその遺族の福祉の向上という面から、本来の保険給付に加えまして、弔慰金というか見舞い金的性格というものを制度化したものというふうに理解しております。
○諫山委員 この省令がつくられるとき、たとえば三池で、労災保険法に基づく平均賃金六〇%のほかに、会社が二〇%の賃金を負担していたということは政府にはわかっていたと思います。そして会社の負担を軽減するためにこの省令をつくったのではなかったと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
○山口説明員 特別支給金と、従来、それ以前に行われた各企業におけるいわゆる上積み補償という問題とは、全く関係がないといえばないわけで、上積みについては労使間の問題として労使自体が取り決めている。しかし、上積みの行われていない企業もございますし、零細企業もあるという意味合いから、保険給付に加えて保険施設として二割を給付する、結果として八割の補償を打ち出しているということであったと理解しております。
○諫山委員 三井石炭は、昨年十一年一日から適用される労働省令第三十号を契機として、それまでは会社側が労働組合との協定に従って平均賃金の二〇%を払っていたのですが、これを値切ろうとしてきたわけです。いままでは二〇%払っていたけれども、労働省令ができたから、これを五%に減らしたいという申し出を労働組合にしてきました。労働組合はこういう申し出を承服することはできませんから、従来どおり二〇%払ってもらいたいということで団体交渉が行われ、暫定的に現在、従来二〇%払っていたのを一〇%だけ支払う、最終的な解決は将来に持ち越す、こういう状態になっているのですが、労働省は御承知でしょうか。
○山口説明員 労災給付六〇%に特別支給金が二〇%上乗せされるということから、企業の上乗せ分を含めますと、就業労働者との均衡問題が生じて、そのために使用者の上乗せ額について、労使間で話し合いが進んでいるということは理解しておりますが、その結果の詳細については存じておりません。
○諫山委員 そういう事例は三池炭鉱だけで起こっているのか、ほかの炭鉱でも出てきているのか、炭鉱だけで結構ですから、御説明ください。
○山口説明員 ほかの炭鉱で出ているかどうか存じませんけれども、ほかの業種、業界におきましても同様の問題が起き、労使間で折衝が進められておるということを聞いております。
○諫山委員 ことしの六月四日に、共産党の多田光雄議員に、三池炭鉱で災害に遭ってCO患者になった人の奥さんからはがきが来ました。荒尾市の首藤心子という人からのはがきです。これには私がいま指摘した経過が詳細に書かれています。そうして、その後、夫の首藤広也という人の賃金明細書を送ってきているのですが、これを見ると次のような数字が出ているわけです。 首藤広也さんは二十五歳のときに大災害に遭いました。現在、二十七歳で九州大学に入院中です。災害当時、奥さんが妊娠中でしたが、現在では、腹の中にいた胎児が小学四年生。従来、労災保険法による六〇%の賃金、そのほかに会社からの二〇%の賃金、これで生活していたわけですが、ことしの四月分の賃金で会社の給料明細書から、公傷手当を五千三百七十円に減らすということが書かれております。従来は二〇%の賃金ですから二万円を超していたのですが、四月分はわずかに五千三百七十円。いろいろ会社からの差し引きがありますから、結局賃金明細書には、この月の会社からの支給はゼロということになっています。五月分の明細書を見ますと、団体交渉が幾らか進展して、五月分の賃金については一〇%、四月分の支払い残りの五%をさらに加えて合計一五%の公傷手当を払う、この金額が一万六千四百六十八円、こういうことになっています。 この解決は将来に任されているわけですが、私はこの事実を調べて非常に憤慨しています。あれだけの人を殺し、あれだけの人を苦しめた三井が、いまなお、こういうことをやっているのか、これを政治が許していいのか、私は憤慨しています。 さっき読み上げた労働省令というのは、初めに私が問題にしたように、会社側が労働者に金を出している、これは会社が気の毒だから、なるべく会社の支出を少なくするようにという趣旨でつくられたのではないはずです。ところがこの労働省令ができると、会社としては本人の手取りがふえたのだから、会社の支出は減らしてもいいじゃないか、こういう言い方をしながら、いままで二〇%払っていたのを五%に値切ろうとする、団体交渉でようやく一〇%までは譲歩したけれども、二〇%に復元させようとはしていない、これが現在の状態です。 労働省令に基づく支給というのは、もともとこれは会社の支出とは全く別個の目的で、別個の財源で出ているわけですから、それはそれとして労働者の手に渡る、会社はいままでどおり払うべきものを払う、これで初めて労働者の生活はよくなるし、労働者の苦しみは救われるのです。労働省令でせっかく二〇%の賃金を払うということにしても、その分だけ会社の支給を減らせば、何のために労働省令をつくったのかということがわからなくなります。私は、法律議論をすればいろいろあると思います。会社の二〇%の支給というのは法律上義務づけられていないじゃないか、こういうことも言えましょう。しかし、三池のCO患者に対して、あれだけの苦しみを与えた三井がそういう態度でいいのか、また、これは労働省令を逆手にとって会社の利益をふやそうとする魂胆ではないか。私は制度の趣旨に反すると思いますから、この点でしかるべき行政指導を労働省にお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。一般的な法律議論なら私にもわかります。しかし、一般的な法律議論では律せられないぐらい深刻な問題があるという立場から、行政指導を求めます。
○山口説明員 各企業において行われている上積み給付につきましては、本来労使間の自主的な決定によるものであり、政府として直接関与すべきものではないという点は、先ほど申し上げたとおりでございます。 ただ、特別支給金の制度化を理由に、著しく従来の支給内容と異なるような決定がされるということは、必ずしも望ましくないと思います。いずれにしても三井三池における取り扱いの詳細を存じませんので、十分、実情を調査した上、検討さしていただきたい、かように存じます。
○諫山委員 労働問題として労働省の所管ではありますが、三井に対して一番物の言えるのは私は通産省だと思います。通産省はこの問題はいかがでしょうか。
○高木政府委員 ただいま先生のお話を十分承っておりますので、総務担当の重役なりあるいは社長なりに、その旨十分お伝えしたいというふうに考えております。
○諫山委員 この問題をあと一、二点、補足しますと、会社が言うのは、実際に労働している人と労働していない人が同じ賃金というのは不合理だということのようです。一般的にはそういうことも言えるかもしれません。しかし、働きたくても働けないようにしたのが会社なんです。自分がそういう状態をつくり出しておきながら、働いている人と働いていない人が同じ賃金だというのはおかしい、こういうことは絶対に言わしてはなりません。 さらに、すべての鉱員にこういう金が平等に行き渡るように、鉱員福祉共済基金に繰り入れたらどうだろうということも言われているようです。私は、鉱員福祉共済基金というものに会社が金をたくさん出すのは結構だと思います。しかし、CO患者にはやるべきことはやる、それとほかに、すべての鉱員に適用される福祉のために金を回す、これが当然であって、鉱員福祉共済基金に回すつもりだから、CO患者の分を減らしてもいいというような理屈は、会社としては口が裂けても言えないはずだ。これではCO患者を苦しめている責任を感じているのか、私はこう言いたいのです。 そういう観点から、私は特に通産省にも行政指導をお願いしたいのです。特に炭鉱というのはいろいろ政府の金を使っているところです。普通の私企業とはその点で違います。金の使い方にもやはり節度がなければならないというのが、いまの炭鉱の実情だと思いますが、そういう観点から三池炭鉱を指導していただけるのかどうか、いかがですか。
○高木政府委員 十分、社長なりあるいは担当の重役の方に趣旨をお伝えし、すぐ結果がどうなるかは、いま私ここで御返事できませんけれども、その趣旨に沿って指導したいというふうに考えております。
○諫山委員 次に少し問題が変わりますが、炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法というのがあります。昭和四十二年に制定されていますが、当時からいろいろ問題点が指摘されておりました。しかし実施する段階で、やはりどうしてもこれは改正しなければならないという幾つかの問題があらわになってきている。その一つは第五条の健康診断の条項です。使用者は、一定の条件の場合に、「一酸化炭素中毒症に関する健康診断を行なわなければならない。」こうなっています。どういう場合かというと、いろいろ条件があるわけですが、「炭鉱災害が起った日から起算して二年を経過するまでの間」さらに「一酸化炭素中毒症がなおったと認められた日から起算して二年を経過するまでの間」こういう時期的な制限があります。しかし、一酸化炭素中毒というのはなかなか困難な病気で、治ったように見えながら、何年かすると再発をする、こういう状態が出てくるわけです。炭鉱災害が起こった日から起算して二年以上たっている、一酸化炭素中毒症が治ったと認められた日から起算しても二年以上たっている、しかしCOが再発した、こういう例は三池にはたくさんあります。しかし法律を機械的に考えますと、こういう人については、会社は健康診断を行わなければならないという義務づけを受けていないということです。このCO患者の病気の特殊性から見て、たとえば本人が希望すれば、いつでも健康診断を会社が義務づけられる、あるいは一年置きでも二年置きでも、周期的に会社に健康診断を義務づけるような何らかの改善措置をとらなければ、いま私が言ったような事例の場合に非常に困難な事態が生ずる。会社はもう健康診断をしてやる責任はないのだということで、責任を回避するという余地がでてくるわけです。そういう矛盾が現に生じていることを、労働省ですか、御存じでしょうか。
○山口説明員 CO特別措置法五条の構成は、先生御指摘のとおりでございます。この二年につきましては、当時三池災害あるいは他の炭鉱災害の経験から、東大精神科の内村先生あるいは北大の諏訪先生、九大の黒岩先生等、専門家の御意見を拝聴して、およそ二年間、健診義務を課せば、異常者の発見が可能であるというような御意見をいただきまして、規定されたというふうに承知しております。したがいまして現在のところ、この健康診断の期間について適正なものと考えておるわけでございます。 しかし、先生のおっしゃるように、被災者の加齢現象とも関連があるかと思いますが、各種の疾病が出ております。その取り扱いについて労使間で、定期健診の問題を含めて議論されているということは承知しております。
○諫山委員 三池のCO患者が発生したときに、新しい医学の分野だということで大変、問題になったことを私も覚えております。ですからこういう問題というのは、法律が制定された当時と現在の時点は、医学的な認識においても相当変化があってきたのではないかと思います。当時は二年ということで一応、科学者の意見が一致したかもしれませんが、現在は私が指摘したような事態、場合によったら当時予測しなかったような、一たん治癒の認定を受けたけれども再発するというような事態が出てきているわけです。ですから、ぜひ現在の新しい事態に即して、これが実情に合ったものかどうかを検討し直すというようなことが必要ではなかろうかと思います。これも学者の議論に任せるだけではなくて、政府がいわばリーダーシップをとりながら改善に努力するということが必要ではなかろうかと思うのですが、いかがでしょうか。
○山口説明員 先生の御指摘の再発につきましては、それが再発であれば当然労災保険給付の対象になりますので、その限りでは保護ができておると思うわけでありますが、被災時以降、二年経過時点までには異常がなくて、その後、異常があったという場合には、この「診察等の措置」という第九条の適用もありませんので、御指摘のような問題が生ずるかと思うわけであります。一たん治癒して後、再発になれば、再発の認定を行って、現に十五名か再発の認定をしておりますので、その限りでは保護の措置が講ぜられる。 問題はむしろ、当時、異常がなくて、その後、異常というか、保険法上では新規の扱いになりますが、そういう問題が生じた場合の問題かと思います。その点については当時は、諸先生の御意見によって二年間という義務づけにしたわけですが、その後の事情等については、さらに検討を進めたいと思います。ただ、これを直ちに法制化するかどうかという問題が一つございますし、現に労使間でその取り扱いの協議が行われておりますので、それらの事情を見定めながら、この対策について対処してまいりたいと思います。
○諫山委員 同じ法律の第七条についても、適用上いろいろな問題が生じております。これは「福利厚生施設の供与」です。この法律によりますと「住宅その他の福利厚生に関する施設であって労働省令で定めるものの供与」というふうに書かれて、省令では、炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則第六条で「住宅 物品購買施設療養施設その他の保護衛生施設(保育施設を含む。)」となっています。こういう施設をいつまで利用することができるかという問題です。法律の第七条では「労働省令で定める期間、当該福利厚生施設を供与しなければならない。」と会社に義務づけています。労働省令では、その期間というのは「退職した日の翌日から起算して二年とする」となっております。つまりCO患者に例をとりますと、五十五歳の定年がくる、そうすればCO患者でまだ入院中あるいは治療中であっても、退職した日の翌日から起算して二年間というのがたっていますから、福利厚生施設を利用できないということになるわけです。非常に厳しい生活をしている人ですから、住宅も使いたいし、物品購買施設も使いたいし、療養施設その他の保健衛生施設も使いたい、これは当然のことです。普通の労働者でありますと、退職すれば直接、会社と関係ないような関係になりますが、CO患者の場合には退職をしてもやはり患者なのです。退職をしても入院しておらなければならないし、通院しなければならない、こういう人がたくさんいるわけです。ところが、法律なり労働省令のたてまえにによると、会社は福利厚生施設を利用させなくてもいいということになります。もっとも、住宅などについては三池炭鉱は使わしているようです。もうあなたは退職したのだから出ていきなさいということまでは言っていないようですが、その他の面については、いろいろ不自由な点が出ていると聞いております。 私は、この法律さらに省令は、もっと実情に合ったものに改正した方がいい、それがいますぐ実現できないとしても、改正したと同じような措置を三池炭鉱にとらせるべきであると考えております。こういう実情になっていることを御承知なのか、また、これを放置していいのかどうか、やはり労働省の見解を聞きたいと思います。
○山口説明員 第七条の規定によりまして、一酸化炭素中毒症にかかった労働者で長期傷病補償給付を受ける方が、希望しまして福利厚生施設の供与を受ける期間というのが、先生ただいま御指摘のとおり二年間というふうに省令上、定められております。企業内の施設利用に関することでございますので、法的に期間の延長等を強制することにつきましては、やはり慎重に検討しなければいけないと存じております。 ただ、実態としましては、ただいま先生のお話もありましたように、二年間の期間が更新されておるのが実情でありますので、施設の利用が妨げられているという実態ではないと存じます。ただ、これまた先生御指摘がございましたように、一部、利用についての制限と申しますか、たとえば電灯料の自己負担とか燃料の負担というようなものが伴ってくるということを承知しております。これらの面について、さらに実態を調査しまして必要な措置を講じてまいりたいと存じております。
○諫山委員 通産局はやはり三池炭鉱に対しては非常に発言力がありますから、こういう細かい問題についてごたごたしないように、指導していただきたいと思うのです。CO患者ですよ、そして定年退職をしたから、確かに退職後二年間たっております。この人に購買施設を使わせるとか使わせないとか、練炭を安く売るとか売らないとか、電灯料金がどうだこうだとか、そんなことを言わせないというような指導を、労働省にもお願いし、通産省にもお願いしたいのですが、通産省、いかがですか。
○高木政府委員 先ほども申し上げましたように例の働いておられる人と働いていない人との二〇%問題とあわせて、三井の社長なりあるいは総務担当の重役の方に十分その趣旨を御説明し、また、できるだけそういう方向に御検討していただくように指導したいと思っております。
○諫山委員 とにかく三池大災害、この責任がどこにあるかということは、いま福岡地方裁判所で争われております。しかし三池炭鉱で起こったことは間違いないわけです。三池炭鉱が殺したと、みんな言っているわけです。三池炭鉱がCO患者をつくった、これはもう明らかなのです。ここの責任をはっきりするということなしには、私はこの問題は解決がごたごたすると思うのです。たとえば、いままで二〇%出していたのを、労働省令を契機に削るなんというようなことが、よくも会社側の頭に浮かんでくるものだというのが、私の率直な感じです。労働省と通産省に、この点の強力な行政指導を要望して、質問を終わります。 ————◇—————
○田代委員長 理事の補欠選任についてお諮りいたします。 ただいま理事が一名欠員になっております。その補欠選任を行ないたいと存じますが、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田代委員長 御異議なしと認め、理事に多田光雄君を指名いたします。 次回は、来る七月二日水曜日に開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時四十七分散会