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75回国会衆議院1975/06/04

石炭対策特別委員会 第6号

発言数
84
登壇者
12
会派数
4
開催日
1975/06/04

会議録

田代文久日本共産党・革新共同

○田代委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  本日は、特に石炭鉱山保安に関する問題について、参考人から御意見を聴取することにいたしております。  午前中は、参考人として日本炭鉱労働組合事務局次長古賀徳継君、全国石炭鉱業労働組合書記長小川芳郎君及び全国炭鉱職員組合協議会事務局長鈴木照生君に御出席をいただいております。  参考人の方々には、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございました。何とぞ率直な御意見をお述べいただきたく存じます。  なお、議事の都合上、最初に御意見を十五分程度お述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  それでは、まず古賀参考人にお願いいたします。

古賀徳継日本炭鉱労働組合事務局次長

○古賀参考人 おはようございます。ただいま御紹介を受けました日本炭鉱労働組合事務局次長をやっております古賀といいます。かねがね石特の諸先生方には、大変御指導、御鞭撻をいただいておることにつきまして、厚く感謝の言葉を申し上げたいと思います。  ただいま石炭の労使の中で、本年の賃上げをめぐる紛争が継続中でございまして、そういう意味で、代表であります里谷炭労中央執行委員長が本来であれば参考意見を述べるところでありますが、かわりまして私の方から申し上げたいと思います。  時間が非常に限られておりますので、かいつまんで申し上げたいと思いますが、お手元に私どもの方で、つたない文章でございますが、「炭鉱保安の現状と問題点」ということで差し上げております資料に基づきまして、考え方の一端を述べて、御協力をお願い申し上げたいと思います。  まず、最初は概況について述べておるわけでありますが、従来、ともすれば炭鉱の場合には災害がつきものだ、こういう一般的な風潮といいましょうか、認識が存在していることを否定することはできないわけですが、これまでの二十五年間に驚くなかれ一万一千九百二十名の労働者が死亡している。そしてまた、百三十二万を上回る労働者が負傷したというのが、炭鉱におけるこれまでの実態であるということが言えるわけであります。  しかし、労使における自主保安運動の徹底あるいは保安当局の適切な指導、また技術面における改善、そういうものが両々相まちまして、今日では相当減少傾向を示しておるのは間違いのないところでございますし、私ども炭鉱に従事する者としては、非常に喜ばしい現象だと考えております。しかし、油断はできませんので、なお一層、保安の確保に精力を集中いたしまして、災害ゼロという目標を達成するようにがんばってまいりたいと考えております。  最近の保安成績は、もう御承知かと思いますが、昨年、四十九年の一月−十二月における死亡者数で言いまして五十七名、四十八年の六十三名からいたしますと六名減少しておるという、最少の記録を確立したということが言えるわけでありますが、残念ながらこの中には、昨年末における三井砂川のガス爆発が含まれております。  本年に入りましてすでにこれまで、運搬災害それからまた落盤災害等によりまして、十四ないし十五名だったと記憶いたしておりますが、死亡災害が起こっております。頻発災害としては非常にゆゆしき事態だ、こういうふうに事態を憂慮しておるところであります。  資料の一ページの右の方に、私ども炭労加盟の支部における職種別の特徴点というものを記入しておりますが、何といっても第一線で働く採炭員や掘進員、仕繰り員の死傷率が、やはり依然として高い率を示しておるということについては、これはやはり自然条件を克服した中における、第一線の苦しい危険な状態の中における職種の置かれておる立場、その条件の悪さというものを如実に示しておるのではなかろうか、こういうふうに考えておりますが、幸い、近年に入りまして、自走支保の改善なりあるいは導入ということによりまして、落盤災害というものは逐次減少傾向は見せておりますものの、やはり小さなけがを含めまして後を絶たないという現状にあるわけであります。  特に私どもが憂慮しておりますのは、冒頭申し上げました炭鉱における災害はあたりまえなのだというようなことを、何とか払拭したいというふうに努力はしておりますものの、なお、この二ページで示しておりますように、産業別労働災害発生状況を四十九年一年間で見てみましても、石炭産業における災害頻度率が五二・九九、災害強度率では六・八〇ということで、林業や建設業の三、四倍、全産業平均の十倍以上の発生頻度を示しておることについては、何としてもこれは除去しなければならない、私どもの重大な任務だ、こういうふうに考えておるところであります。  それでは、今後炭鉱における保安はどうなっていくのだろうかということについて次に申し述べたいと思います。  資料でも明らかにしておりますように、御承知のとおり今後炭鉱が逐次深部に移行していくのは間違いのないところであります。この深部開発に伴いまして保安上の問題がいろいろ惹起してまいるわけであります。近年も次第に深部に移行しておりまして、これに伴う重大災害の発生要因が著しく増大しているというふうに、私ども炭労としては見ておるわけであります。特に、これからどんどん深部に移行していくということになりますと、ガスそれから盤圧あるいは高温問題、こういうものが必然的に重要視されてくる、こういうふうに考えておるわけであります。  参考までに、ここに書いておりますものに若干触れますと、深部に移行する今後の深度としては、四十七年から五十二年にかけまして見ても、現在マイナス九百五十レベルにあります幌内においても、五十二年度においては一千百レベルまで接近する。これを最深部の炭鉱といたしましても、そのほか砂川なり真谷地、芦別、南大夕張、赤平、太平洋、こういった各炭鉱が軒並みマイナス七百から九百レベルに移行していくことが予想されるわけであります。したがいまして、深部移行に伴う保安防止の対策が重要視されてくるということになります。  先ほどもちょっと触れましたが、今日、深部移行に伴いまして最大の問題は、やはり運搬距離が増大しておるということが一つ言えます。同時に運搬方法の改善によってスピードアップ、そしてまた自動コントロールができるという関係の中で、監視が十分に行き届かないという面もありまして、運搬災害が頻発しておるということを先ほど申し上げましたが、これは何としても除去したいというふうに考えております。これに付随しまして、今後通気抵抗も増大していくわけでありますから、通気量の確保に非常に困難を来すということが考えられます。それからまた、岩盤温度の上昇等に伴いまして坑内温度が上がる。これは昨年の九月段階でございましたか、諸先生たちに大変御努力を願いましたが、福岡における三池の高温問題を取り上げていただきましたことによっても十分証明されますように、今後、岩盤の温度の上昇によりまして坑内温度が上がっていく、そのことによって作業環境が著しく悪化するということが言えるわけであります。  したがいまして、こういった深部移行の度合いが増大すればするほど、その対策を飛躍的に強化していくということがなければならない、こういうふうに考えまして、中央鉱山保安協議会の中でいろいろ論議をいたしまして、深部開発に対する技術部会を設置していただきまして、そこで専門的な検討をしていただいておりますが、こういった高温あるいは落盤あるいはガス突出、山はね、こういうものが必然的に強まってまいりますから、こういった基礎的な理論的な究明を、早急にひとつ本格的に取り組んでもらいたいということを考えておるわけであります。  そこで考え方の一つを申し上げますと、今後の深部開発に移行する問題として、ぜひ御検討願いたいと考えておりますのは、現存の研究機関がございます。石炭技研あるいは公害資源研究所、いろいろなものがございますが、こういう現存の研究機関を整理統合していただきまして、国の責任で総合的な観点に立った大規模な研究機関を新設してもらいたい、こういうふうに考えておるわけであります。そして、そこで上げられました成果を、一刻も早く現場に適用してもらうということが必要であろうと思いますし、そのためには政策助成もひとつ御考慮を願いたい、こういうふうに考えるわけであります。  そして、以上のような技術開発が達成されるまでの間が問題になってくるわけでありますけれども、極力、重大災害の防止を図るということは当然でありますが、今後深部移行が予想される炭鉱におきましては、幸い隣接閉山鉱区を持っておるところがございます。災害を防止するためには可能な限り深部へ移行するスピードを緩める。そこにブレーキをかげながら、できるだけ浅く、広く炭鉱が展開して、そこで生産が確立されるような方向を考えるべきではなかろうか、こういうふうに炭労としては考えまして、赤平あるいは幌内あるいはまた太平洋、いろいろな炭鉱における、そういった隣接閉山鉱区における再開発というようなことで、深部への移行をできるだけ緩めながら災害の防止を図っていく。そして炭鉱の鉱命も延ばしていくというようなことを考えるべきではなかろうか、こういうふうに考えておるわけであります。その際にひとつぜひ御検討願いたいと考えておりますのは、現在のボーリング地質調査に対する助成制度あるいは探炭坑道に対する助成制度、こういうものでは私どもが望む真の意味の炭鉱の安定というものはおぼつかない、こういう感じが非常に強くいたしておりますから、その面における特段の助成制度の検討をしていただきまして、そういった山におけるカンフル的な立場をひとつ強化してもらったらというふうに考えておるところであります。  最後に、現在の鉱山保安法規について若干批判めいたことを申し上げるわけでありますけれども、ひとつ率直に申し上げますから、御批判を後で受けたいわけであります。  現在の保安法規は、いまから二十六年前の昭和二十四年に制定されております。これは目的として、鉱山労働者に対する危害の防止とあわせまして鉱害の防止、鉱物資源の合理的開発の三点が挙げられておりまして、形式的には一応人命が第一義的に取り扱われておるというふうに言わなければなりません。しかし、石炭鉱山保安規則その他の中で、いま言いましたような人命尊重の考え方が必ずしも貫かれているかどうかということになれば、これは再検討を要する面があるのではなかろうか、こういうふうに考えられる面がございます。  それはどういうことかといいますと、まず、坑内は暗い、こういう既成概念がございますが、暗くてよろしいということにはなりません。したがいまして、防爆対策を確実に実施することによって明るい坑内をつくっていく。そのことがやはり災害を減少させていく一つの要素だ、こういうふうに考えます。  次に、労働者、私どもが現場に入昇坑する際における、あるいは作業する際における通路の問題でありますが、交通法規をぜひここで適用してもらいたいという、そういった大げさなことは言いませんが、少なくとも運搬坑道における人の歩く道はきちんと保護されておる、危険個所においてはガードレールが設置されておるというようなことがなければ、いまの頻発する運搬災害は防止することができないのではないか、こういうふうなことも考えるわけであります。そういったことを考えますと、いまの保安法規は改善すべき点が多々あるのではなかろうか、こういうふうに考えられます。  もう一つの問題点として考えますのは、坑内は暗くてじめじめして、そして危険きわまりない、低くて当然だ、こういうふうな考え方があるようでありますが、低くてあたりまえだということは、これからの近代的な産業、炭鉱をつくり上げるためには、これは大きく考え方を変える必要があるのではないか、こういうふうに思っております。いわゆる骨格坑道をつくりかえるということによって、ゆっくり歩けるような、見通しも十分つけられるような、そういった坑道というものが必要だろう、こういうふうに思います。  それから重大災害の除去の中で、一つは、坑内火災について見ますと、煙突の中の火災と同じでありますから、これは坑内を耐火構造にやりかえるということが必要ではないか、こういうふうに考える面がございます。  次に、保安管理体制ということになりますが、これは炭労としての当局とのいろいろな折衝の過程では、とても無理だというようなことにはなっておりますけれども、私どもとしては保安と生産は一体どういう立場にあるのかということになりますと。今日では保安が何よりも優先するということでありますけれども、残念ながらその保安をチェックする監督員の体制というものが、その会社における使用人である、従業員であるというような観点からいきますと、社長なり所長に、これは危ないから作業を停止しなさいというような勧告が果たしてできるだろうかということを考えますと、そこには人間性の弱さというものが存在するわけですから、必ずしも十分な監督というものが実施できないうらみがあるのじゃないか、そういう心理分析までして見ておるわけですけれども、そういう意味では監督員の立場というものはもっともっと強化すべきではなかろうか、こういうふうに考えておる面があるわけであります。  以上、非常に大ざっぱに申し上げましたが、保安法規の改正をすべきではなかろうかという幾つかの観点について申し上げたところでございます。  最後に、炭労といたしまして今日まで取り組んでまいりました姿勢の一端を申し上げますと、重大災害が発生いたします際には、直ちに抗議ストを実施するということで、資本に対する反省を求めながら、そして内部における保安の自主的な確立と災害の絶滅という運動に、今日まで取り組んでまいりました。それから保安計画の事前チェック体制の確立ということで、団体交渉を積極的に推進しながら、不安全個所の除去に取り組んでまいりました。また、独自の計画でありますけれども、年一ないし二回の保安闘争月間を設定いたしまして推進してまいりました。それからまた、炭労としての保安調査団を年に一、二回派遣いたしまして、くまなく技術的な面からの検討を加えながら、その山における改善を図ってきたということがございます。保安は何といっても資本の姿勢にかかっておるというふうに言わなければなりませんが、同時にまたそこで働く私ども炭鉱労働者が、不安なところでは働かない、危ないところでは作業をやらない、こういう姿勢を確立しなければならぬでありましょうし、危険なところを見つけたら直ちに改善するというような、そういった日常の不安全個所の除去の姿勢をいかに強化するかということにかかっておるのではないか、こういうふうに考えまして、いま炭労としては、決めたことを守る運動をいかにして徹底するかということについての取り組みをしておるところでございます。  非常に簡単で、おわかりにくい話の一端を申し上げまして失礼いたしましたが、時間も参りましたので、これで失礼をいたします。(拍手)

田代文久日本共産党・革新共同

○田代委員長 次に、小川参考人。

小川芳郎全国石炭鉱業労働組合書記長

○小川参考人 私は、全国石炭鉱業労働組合、略称全炭鉱書記長の小川芳郎でございます。石特委の諸先生方には、石炭問題に関しましては常日ごろ御援助と御指導を賜り、本席をかりまして厚く御礼を申し上げるとともに、本日はまた保安問題を取り上げていただきまして、御配慮いただきましたことに対しても、深く感謝を申し上げる次第でございます。前者古賀君から具体的な問題が説明されておりますので、重複を避けて、私も簡単に取りまとめて申し述べたいと思います。  まず、私たち全炭鉱は、保安の取り組みといたしましては中央鉱山保安協議会、ここで鉱業労働災害防止計画を定めております。これは御承知かと思いますけれども、四十八年度を初年度とする五カ年間の計画、これは鉱山でございまして、石炭鉱山においては三カ年間、この計画が立てられまして、石炭の場合ことしが最終年度になっております。その計画の中には災害防止の基本事項が示されております。したがいまして、私たちはこれにのっとりまして中央、山元それぞれの段階において対策を推進し、保安の確保を期することといたしておる立場をとっております。  取り組みに当たっての基本姿勢といたしましては、保安問題は労使以前の共通問題として、われわれは認識をし、労使相ともに取り組んでまいっております。したがいまして、労使紛争の具にはしないという姿勢で対処しています。が、私たちは保安に妥協なしということを強調いたしております。それはいかなるものをもっても人命にはかえがたいという、いわゆる人命尊重第一義に立脚するからであります。保安に妥協なしということは、一人一人の労働者でいえば、なれと油断をなくすということであります。企業における労使の関係でいえば、労使とも保安について費用と時間と手間を惜しんではならないということです。言いかえれば、保安対策については、きょうできること、いまできることは絶対後に延ばしてはならないという決意に立っております。この決意を、鉱業労働災害防止計画ができましたころに、私たち全炭鉱といたしましては統一安全宣言というものをつくりまして、傘下組合員の意識の高揚と自覚を促し、毎日繰り込み前に五カ条の宣言を唱道して、自覚意識の高揚を図っておる、こういうことで決意を表明いたしております。  次に、具体的取り組みの対策項目といたしましては、冒頭に申し上げましたように基本事項が示されておりますので、この基本事項を五項目に取りまとめまして、保安管理体制の充実、保安教育の強化、重大災害の防止、頻発災害の防止、保安技術対策の推進について取りまとめ、具体的に中央、山元それぞれ対処するということで取り組んでまいっております。  いま私たちが最も問題点としておりますのは、前者古賀君からもいろいろ申し述べられましたが、やはり炭鉱の深部化に伴う自然条件の悪化によりまして、坑内温度が上昇し、これによる環境の悪化が非常に問題となっております。さらには深部採掘に伴う保安技術対策の問題、こういうものについて、われわれといたしましては国によって助成、促進を図ってもらいたいという希望を持っております。  最後になりますけれども、保安については、政府と経営者に任せ、その責任を追及すれば事足りるものではないと思います。労働者として努力とみずからの戒め、いわゆる自戒によってみずからを守るということもきわめて重要であると思います。この意味で、私たちは組合員一人一人の保安に関する平素の自戒を訴え、わが系列組織におきましては、いろいろ名称は違っておりますけれども、保安診断提案運動というものを全従業員の参加を求めて実施いたしております。これは坑内に各人入坑して、不安全要素の摘発カードに記入して、これを投書する、それをチェックして保安確保をしていくというシステムのものです、簡単に申しますと。これを行って一人一人の自戒を促すとともに、みずから自主保安確立の運動を展開いたしております。  また全炭鉱といたしましては、統一保安行事といたしまして、年間、災害の最も多い月を調べますと二月が一番高いわけであります。したがいまして、二月を保安点検週間といたしまして、組合の主催のもとに点検を行い、保安計画に基づいて進められておるか、このためのチェック、そういうことのために、それぞれ山元におきまして保安点検の目的あるいは重点項目等もそれぞれ定めまして実施しておる。それとあわせまして、家族組合員の意識高揚を図るという意味で、その週間にちなんだ保安作品、ポスターあるいは作文それから書道等を広く公募しまして、意識の高揚を図るというようなことに努めておるし、あるいは年一回保安調査団というものを編成して、各山を回り保安のチェックをいたしておる、こういうことによって取り組んでまいっておりますし、災害ゼロへの悲願達成に努力していく覚悟でございます。  以上で終わります。(拍手)

田代文久日本共産党・革新共同

○田代委員長 次に、鈴木参考人。

鈴木照生全国炭鉱職員組合協議会事務局長

○鈴木参考人 全国炭鉱職員労働組合協議会の事務局長をしております鈴木でございます。常日ごろから石特の先生方には、石炭産業の恒久的な安定化のために特段の御配慮を賜りまして、厚く御礼申し上げます。  先般、わが国の石炭産業につきまして二千万トン以上の確保、こういう位置づけがなされましたが、この位置づけを達成するための前提の一つといたしまして、何といいましても保安の確保ということが大きな柱になるのではないかと考えております。すなわち保安がなくては生産がないということであろうと思います。  私どもの傘下組合員の大半が保安技術職員で構成されております。そういうような観点から、私どもといたしましては、常日ごろからわれわれは現場における保安の責任者だというような自覚のもとに、人命の尊重を第一義といたしまして、死亡者ゼロ、こういう目標を掲げまして、日夜努力を重ねてまいりましたが、御高承のとおり、災害率につきましては逐年減少の傾向をたどっておりますが、一方死亡災害につきましては、先ほど古賀さんからもお話がありましたように、死亡者数は減少しておりますが、死亡率、いわゆる稼働延べ百万人当たりの死亡率で見ますと、依然として横ばいというような状況にありまして、人命尊重という見地から、まことに残念な事態であるというふうに考えております。  端的に申し上げまして、保安確保の基本というものは、先ほど古賀さんもちょっと触れられておりましたが、決めたことを守るということに尽きると考えます。鉱業権者あるいは保安統括者、保安技術職員、鉱山労働者の一人一人が、保安というのはだれのためでもないのだ、自分自身のためだという自覚を持ちまして、保安に関する規則、規程あるいは各事業所ごとで自主的に取り決めました事項など、それぞれがそれぞれの立場で完全に守るということが肝要ではないかというふうに考えております。  次いで、具体的な問題でございますが、まず技術的な面では、さきに古賀さん、あるいは小川さんも触れておりますが、既存の炭鉱は相当深部に移行しております。また移行しつつあります。深部移行に伴いまして発生してくる問題は、盤圧、ガス、そして岩盤による高温、こういうことでありまして、こうした要因によりまして、坑内の骨格坑道の展開のおくれや、あるいは作業環境の悪化という問題が出てくるわけでございます。  こうした問題を解消するために、深部移行に伴う山はね、ガス突出、高温、こうした問題に対する対策の確立が急務となるわけでございますが、これらの問題につきましては、関係当局の御指導によって、各関係機関において、それぞれ鋭意研究がなされておりますが、現場に直接従事するわれわれといたしましては、これらの対策が早急に確立されることを強く望んでおるわけでございます。  次に、保安教育の面に触れますが、企業側で行っております各種の保安教育に加えまして、本年度から鉱山保安センターによりますところの新入者の基礎教育、それから有資格者の一部の教育、こういうものが図られることになりましたが、先ほども触れましたように、今後深部移行に伴う自然条件の悪化あるいは新技術の開発、こういうこともあるわけでございますが、これらに十分対応していけるように、さらに鉱山保安センターを充実いたしまして、係員、鉱員の教育の徹底を図っていかなければならないのではないかというふうに考えております。  以上のような観点から、保安の確保につきまして、現在検討されております新しい石炭政策に、次のような点を考慮していただきたいと考えております。  まず一つには、保安確保事業費補助金の関係でございます。この補助金の補助率は四分の三ということになっておりますが、現実には予算の範囲内で補助金が交付されるという仕組みになっておりまして、現実には四分の三の補助率になっていないということであります。この点につきましては十分御配慮願いたいと考えております。また、深部移行に伴いまして、ガスそれから高温対策を積極的に推進しなければなりませんが、このための工事費だとかあるいは機器に対する補助をさらに充実していただきたいと考えております。また、保安教育の充実を図るということを先ほど申し述べましたが、そういう観点から保安センターに対する補助金をさらに増額していただきたい。また、新しい技術を開発するための関係機関に対する補助金も増額していただいて、特に山はね、ガス突出、高温などに対する対策を早急に確立していただきたいと考えております。  以上、要望事項を含めまして、鉱山の保安確保につきましていろいろ申し述べましたが、冒頭に触れましたように、現場における保安の責任者である保安技術職員で構成されておる私どもといたしましては、今後ともその責任の重大さを認識いたしまして、保安の確保のため英知を結集しまして、これに対処していく所存でございますので、今後ともよろしく御指導くださるようお願いいたしまして、私の意見の開陳を終わります。ありがとうございました。(拍手)

田代文久日本共産党・革新共同

○田代委員長 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。     —————————————

田代文久日本共産党・革新共同

○田代委員長 質疑の申し出があります。順次これを許します。多賀谷真稔君。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 大変御苦労さんでしたが、一、二点お聞かせ願いたいと思います。  昨年当委員会から九州の炭鉱を調査に参りましたときに、三池の高温が問題になりました。それがその後どういうように処置されたか。これは本来、役所からもお聞かせ願いたいと思いますけれども、組合の方は、この状態で今後は大丈夫、十分な稼働ができるかどうか、そういう点はどういうようにお考えであるか、お聞かせ願いたいと思います。  それから深部移行の問題がありますけれども、今度の北炭の新夕張炭鉱は、最初から御存じのように深部開発であります。でありますから、この深部開発については当然大きなガス突出等の危険をはらむわけであります。それについて組合の方では、いまの状態で大体大丈夫であると考えられるか。膨大な資金を入れて、しかもガス爆発があれば、一瞬にして人命を失い、資源を失うわけですから、組合の方ではどういうようにお考えであるか。これは関係労組並びに職組にお尋ねをいたしたい、かように思います。  以上です。

古賀徳継日本炭鉱労働組合事務局次長

○古賀参考人 お答えをいたします。  昨年、先生たちの大変な御努力によりまして、三池高温問題に対する適切な指示がございまして、それに対処して福岡鉱山保安監督局が三池鉱業所に対する払いの作業停止、同時に改善措置というものを指示して、それから具体的に取り組んできたわけであります。  三池の高温問題は根本的にはいろいろ申し上げることがありますけれども、要約して申し上げまして、先生たちが昨年行かれました当時は、冷凍機の設備容量が千七百六十冷凍トンでございましたが、これを五十年度には三千二百九十二冷凍トンにするということで、これはすでに六月に入りまして稼働しておるのではないか、こういうふうに考えます。このことによりまして三池の高温問題は抜本的に改善されたかというと、そうではない、こういうふうに判断をいたしております。これは高温対策上の一つの問題であって、根本的な対策にはなり得ないということになりますが、しかし、それにいたしましても、これだけの三千二百九十二冷凍トンに及ぶ冷凍機の設備をしたということは、今日の状況からすれば相当改善されるであろうということは言えます。  ただし、炭労として考えておりますのは、たとえば同じ九州にあります高島炭鉱における冷房計画の実施状況等からしますと、三池ではまだまだ十分ではない、こういうふうに考えておるわけであります。たとえて言いますと、この高温問題の対策としては、総体的な通気計画なり冷房計画を確立するということ、それから払い通気量の確保、機械冷房の強化、それから法規の問題が一つあります。この法規の問題としては、御承知のとおり現行規定では三十七度Cということになっておりますが、これを何とか三十度ないし二十八度程度まで下げることができないのかということを、当初から私どもとしては問題提起をいたしておりますが、この面の改善がひとつ図られなければならぬだろう、こういうふうに考えております。  問題は、三池の場合には非常に高温水があるということになります。逐次、深部に移行して、現在は四百五十から五百二十メーターという段階でありますが、これが六百メーターから七百メーターというマイナスレベルに入っていきますと、やはり高温水帯に入っていくということになります。したがって、それをいかに強制的にうまく抜水していくのかということがありますし、払いの管理一切を含めまして、今後相当の改善を必要とする、こういうふうに考えます。  本年に入りまして、そういったことが一つとられましたと同時に、御承知とは思いますが、昭和四十年九月二十八日に自然発火災害がございまして、その際に零片材料線という現場を密閉しておりますが、この個所が、なお自然発火の徴候が解消しないということから、これに対する対策をいろいろ労使間で協議してまいりましたが、先月この問題については結論を出しまして、フライアッシュ流送充てんによって、この零片材料線を完全に密閉する、そのことによって風量を約一割アップすることができるというふうに私どもとしては判断いたしました。これすらも万全な対策とはなりませんが、この高温問題をいかにして排除するかという意味では、一つの方法としてやむを得ないということで、そういう結論を出したということが、三池高温問題に対する炭労としての取り組みの経過でありますし、また今日の状況ではないか、こういうふうに思います。  次に、北炭新鉱の保安計画が十分かどうかということになりますが、御承知のとおりこの六月二日に入りまして、大変、皆さん方に御迷惑をおかけいたしましたが、ようやく営業出炭に入ってまいりました。当面は千トンないし千五百トン程度の営業出炭でありますが、いずれにしても待望の石炭を出すことができるということになりました。  そこで、私ども炭労として一番心配しておりますのは、いきなりマイナス六百からの採掘ということになりますし、同時に物すごいガス含有地帯だということは御承知のとおりでございますから、このガスをいかにして排除しながら保安を確立していくのかというのが大変大きな問題でございます。これについては昨年度会社側、北炭の方と炭労との間に取り決めがされまして、その取り決めの中でガスを排除するためのいろんな諸対策を立てております。たとえば一つの例を申し上げますと、坑道を展開して一つの払いをつくる。つくって直ちに採炭を開始するということではなくて、半年ないし十カ月程度はガス抜き、そういったものを強化しながら、ある程度ガスの除去ができた段階において初めて採炭に入る、そういう計画も立てておりますし、採炭に入りましてからも、当然ガス抜きボーリングの強化等をしながら、いま先生が御指摘されたような保安計画の確立を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。  総括的に言いまして、この北炭新鉱における今日の保安計画の現状は、よほどのことがない限り心配ないというふうに考えておりますが、なお生産に走る余り、そういった保安の方面がお留守になれば、大変な重大災害を惹起するということを絶えず懸念しておりますから、この面における炭労としてのチェック体制は十分に強化していくということで、この六月あるいは七月の段階では、この新鉱については炭労としての保安調査を実施してみたい、こういうふうにも考えております。  以上です。

鈴木照生全国炭鉱職員組合協議会事務局長

○鈴木参考人 三池の高温問題につきましては、いま古賀さんが申し述べたとおりであると考えております。  それから、夕張の新鉱の問題でございますが、私どもは協議会でございまして、直接企業と保安計画について云々するというような立場にございませんが、いずれにいたしましても炭職協の保安に対する考え方といたしましては、いわゆる重大災害というものは、いわゆる発破事故あるいはガス爆発事故、こういうものは保安技術職員の手でもって必ず抑えていくのだ、したがって、これらについては真剣に取り組みましょう、こういうような保安指導をとっておりますので、北炭新鉱につきましては、そういうような点で御了解願いたいと思っております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 小川参考人にお尋ねしますが、先ほど自主的保安の確立という面で、カードに一人一人書いてそれを出す、こういうような仕組みになっておる、これはかなり実行をされ、それを集約するところがあって、一つずつそれをチェックしながら実行に移されておるかどうか、これが十分活用を見ておるかどうか、この点をお聞かせ願いたい。

小川芳郎全国石炭鉱業労働組合書記長

○小川参考人 いまの御質問の点ですが、これも実際的に大きく取り上げておりますが、三池の現地でこの問題を取り上げております。現地からの報告によりますと、出された問題をいわゆる保安管理機構の中で全部チェックして、そしてそれをいわゆる生産面に対して指示をする、こういう形で、結果的には三池の災害率がぐっと下がってきておるという実績の中から、あるいは古賀さんのおっしゃった総合的な炭鉱災害が減少しておるということからも裏づけられると思います。これには十分努力を要することであり、じみちなやり方をやっていかなければ、まだまだ万全とは言えませんけれども、現地ではやっておる、こういうふうな報告が来ております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 実は現行保安法並びに規則の改正の問題点が提起されておるわけです。これは時間の関係で、次の機会に役所からお聞かせを願いたい、私はこういうふうに思いまして、一応これで質問を終わりたいと思います。

田代文久日本共産党・革新共同

○田代委員長 多田光雄君。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田委員 三人の参考人の方にお伺いしたいのですが、労働問題は過去をさかのぼって調べてみますと、戦前戦後を通じて大体共通していることは、資本の攻勢の強くなってきているとき、あるいはまた、当然それに伴って合理化なりその他こういうものが非常に強行をされていくというような場合に、非常に災害率が一般に高まってきている、これは数字的にも大体言えるのではないか、こう思うのです。そこで私、いま心配しておりますのは、こういう不況という中で、先ほど古賀さんもお話しになりましたけれども、一方二千円の賃金アップに対して五百十円という回答だ。そして他方では石炭の需要も近年になくふえてきているという中で、生産第一主義といいますか、出炭を急ぐという傾向が相当出ているのではないかと思うのです。それとあわせて、原料炭のための深部開発というのが各山とも非常に進行していって、お話のように高温だとか盤圧だとか、さまざまな条件が出てきている、そういうことを考えてみますと、どうでしょうか、いま職場の中で労働条件あるいはまたその他を見まして、保安事故が増加するような傾向にあるとお考えになるのか、あるいはまあ大体横ばいでいくのではないかというようなお考えなのか、この辺ひとつ、三人の方にお伺いしたいと思います。

古賀徳継日本炭鉱労働組合事務局次長

○古賀参考人 お答えいたします。  私ども炭鉱に従事している者は、炭鉱災害は絶対排除しなければならないという姿勢で取り組んでおるわけでありますが、先ほどもちょっと触れましたように、逐年、災害率の点から言いましても減少してきておるということが言えるわけです。したがいまして、この傾向は引き続き持続していかなければならないし、また、そのための対策を労働組合次元の中で追求していきたい、こういうふうに考えております。冒頭、先生がおっしゃいました一般的な傾向としては、これはまた三人、参考人並んでおりますけれども、いろいろ考え方もありますから、異なる点もあるかと思いますが、われわれ炭労といたしましては、長年の労働運動の歴史の中で判断しておりますのは、先生が指摘されるようなことがうらはらの関係でやはりあるということは否定できないのではないか、こういうふうに考えておりますから、私どもとしては保安の確立は、当然炭鉱労働運動における最大の課題でなければならないということで、今日まで取り組んでまいりました。

小川芳郎全国石炭鉱業労働組合書記長

○小川参考人 今後の災害の見通しについてですが、御承知のように地下産業という自然条件との闘いでございますので、これは予測というものは非常に困難だと思います。しかし、われわれは災害ゼロの悲願を立てて、やはりみずから災害を減少させるという努力と相まって、結果的には実績といたしましては年々災害率というものは下がっておりますので、われわれとしてはこの災害率をもっと下げなくてはならぬということに脅えております。  それから、生産第一主義云々の問題でございますけれども、それは確かにうらはらの問題になると思うのです。したがって、そのうらはらの言葉としては、生産、保安は両輪であるという言葉が生まれてまいります。片方どちらかが従になれば、そういう災害率を増加させる、こういうふうに考えますので、生産と保安というものはうらはらの関係にあって、このことをわれわれは監視し、またそういうことを行っていかねばならぬ。そのことが抜けた場合には、御指摘のような現象が出るのではないか、このように考えます。

鈴木照生全国炭鉱職員組合協議会事務局長

○鈴木参考人 炭鉱災害の問題でございますが、近年、先ほども触れましたが災害率が非常に下がってきております。各炭鉱ごとの災害率を調べてみますと、いろいろ各差がございまして、ある炭鉱では最近、五十年に入りましてから、百万人当たりの災害率が二けた台を、この一月から五月くらいまで続けている、そういう面がございますので、各山それぞれに工夫されれば、そういう状態にはなるというふうに私は確信しております。また、そうせねばいかぬというふうに思っております。  それから、生産と保安の関係でございますが、私も炭職協に出てまいりましてから、あちらこちら北海道から九州から回りまして、いろいろ炭鉱長さんや所長さんなりとも話してまいりましたが、現在の炭鉱経営者の中で生産を優先させるといいますか、保安を無視するといいますか、そういうような考えを持っている方々はまずないというふうに考えていいのではないか。したがいまして、確かに石炭の需要はございますが、現場でも保安を無視してまで生産を第一義とするというような姿勢はないというふうに私は考えております。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田委員 実は心配していますのは、おっしゃるとおり、戦前あるいは終戦直後に比べてみまして、保安の事故率というのが減少しているということは事実だと思います。ただ、国際的に見ても、戦前あるいは戦時中と比べて足踏みあるいは若干減っているという国もありますし、逆に減りもしないでふえている国もある。たとえば西ドイツなんか多いですね。こういう傾向もあるわけです。ですから、確かに保安事故が減っているということは、一番大きな問題は、社会の発展の中で、特に戦後労働組合運動が非常に強くなってきて、そして労働者の命を守るということが、労働組合だけでなく、社会的なものになっていく、それに合わせていろいろな保安法規その他も、守るあるいは改正という点でも変わってきている、こういうものがやはり保安事故を減少さしている大きな要因ではないかと私は考えているわけです。  それで、保安を守るという一番大きな責任は企業である、これは政府も言っておられるとおりですが、やはり労働組合の皆さんの場合も一番大きな問題とおっしゃっておられるわけですが、そこでお伺いしたいのですが、これからの保安対策の上で、皆さんが特に力点を置いていかなければならないというようにお考えになっている面、たとえば先ほど深部というお話がありましたが、深部の問題について具体的にどういうふうな御提案や、あるいは会社に対する要求あるいは政府に対する要求をなさっているのか、それを、先ほどもちょっと触れられておりますけれども、もう少し具体的に、お三人から伺いたいと思います。

古賀徳継日本炭鉱労働組合事務局次長

○古賀参考人 お答えいたします。  先生おっしゃるように、確かに社会的なレベルアップに伴って、炭鉱のイメージチェンジ、同時に技術革新、こういうものによって保安の改善、意識の向上というものは、これは間違いなくそういうふうな実情にあるということは言えると思います。  そこで問題は、今後どこに重点を置くのかということでございますが、この炭労が提唱しておりますメモの中でも触れておりますように、何といっても、やはり深部に移行する際における、あるいは移行しつつある現在における保安対策のあり方というものを徹底的に確立しなければならない、こういうふうに考えておるわけです。そして同時に、各山でその持っておる性格といいますか条件、こういうものの違いがございますので、炭労としては十五山の傘下支部を抱えておりますが、それぞれの炭鉱の特殊性に応じた対策を確立しなければならぬということで、重点項目をそれぞれ設定させておるところであります。  その重点項目の第一としては、たとえば深部開発ということになりますと、三池の場合は、先ほど触れましたように保安問題が最大の問題としてございます。それからまた夕張新鉱の場合には、ガスの問題に加えまして盤圧の問題が、どうしても避けて通ることのできない点になってまいっております。ですから、この盤圧の対策といたしましては、北海道の方で盤圧対策委員会というものが、学識経験者の先生方を中心に、いまいろいろ対策をとられつつあるわけでありますけれども、これをもう少し科学的に予知できる方法が確立されることが必要ではないか。先ほど炭職協の鈴木さんがおっしゃっておりましたように山はねの問題があります。三菱美唄の場合には、山はねで閉山のやむなきに至ったわけですけれども、この北海道の美唄の場合は、山はねの条件を備えておるところでございますから、この山はねを予知し、防止するということは、やはり地震科学といいますか地震学、こういうものをもうと炭鉱に適用した、科学性のある、裏づけのある方向というものを、専門的立場におられる炭鉱の先生たちにひとつ積極的に早急に確立してもらいたいものだ、こういうふうに一つは考えております。  もう一つは、深部に移行しますと、どうしても運搬距離いわば現場までの距離が長くなってまいります。そうしますと、この運搬途上における災害が非常に多くなってくるということがございますので、これについては、ここの中でも触れておりますように、人を適当な場所に配置しながら、そこで不安全個所の除去ができるようにしなければならないのではないか、こういうふうに考えておりますが、残念ながら、いまの炭鉱における労働力の確保が十分でございません。やはり生産重点ということで、間接なり仕繰り要員、そういった保安確保要員というものが、ややもすればおろそかになりがちだという点は否定できない点がありますから、そういう間接部門におけるあるいは運搬途上における人の適切な配置、こういうものを必要とするだろうし、もう一つはベルト化が相当進んでくるだろう、こういうふうに考えておりますから、地上で言われているような、いわゆるベルトの摩耗その他によって自然発火の要因を起こさないように、スプリンクラーその他の適切な措置をとる必要があるのではなかろうか、こういうふうに考えております。  それからもう一つ、炭鉱には横樋と立樋という関係で問題がございますが、ことに北海道の場合は立て層の、いま言った立樋の関係がございます。これがどんどん深部に移行していくことによって、近代化、機械化が促進されてきますと、そうそう問題は起こってこないというふうに脅えますけれども、どうしても急傾斜採炭方式の場合における機械化の一定の限度があるということがございますから、この機械化の促進を徹底的に、先ほど言いましたような研究機関の総合的な拡充強化の中で、たとえばソ連における急傾斜採炭方式の採用だとか、そういうものを国際的な立場でひとつ採用するような機関を、あるいはそういった方向を確立してもらえば、私どもとしては非常に幸いだ、こういうふうに考えます。かといって、日本における技術がそう劣っておるかというと、決して劣っていない、こういうふうには考えますが、なお不十分な点がありますから、率直に学ぶべき点は学ぶという方向で、深部開発に対処していくということが必要ではなかろうか、こういうふうに考えております。

小川芳郎全国石炭鉱業労働組合書記長

○小川参考人 冒頭、申し述べました中で、特に具体的取り組みということで簡単に五項目、項目だけを挙げて申し述べました。保安はどれを抜かしてもいけませんけれども、特にということで、先生御指摘のような深部問題について特に関心を持っている、こういうことを申し上げましたけれども、その五項目の中にも、私のところでは去る五月の二十八日に定期大会を行いまして、実は資料を持ってまいりますと具体的に書いているのでございますけれども、一つ一つ挙げると非常に問題がございます。たとえば保安管理体制の充実ということについては、やはり旧態依然のままであってはならない。やはり環境の変化に応じて直ちにそれに即応するという運営、そういうものをやれ。あるいは保安規則についても随時見直しを行って、変化に従ってそれぞれ規則を定めていくように規定をしなさい、こういうようなことを申し上げておりますし、あるいは保安教育の強化については、炭職協の鈴木さんも触れましたけれども、特に鉱山センターの活用を図る、こういうことで保安教育の充実強化を図れ。せっかくの施設があっても、その活用がなされておらないという実態、あるいは重大災害防止の問題につきましても、基本的にはやはり深部採掘ということになりますと、骨格構造の基本的な再検討が必要でなかろうかという感じがします。  たとえば運搬坑道が非常に長いという問題もございますけれども、そういった問題点については、これは当局もこの深部採掘に伴ういろいろな問題があるということを承知していただきまして、古賀さんからも申されましたけれども、深部開発部会というものの中で取りまとめを行っております。この中で基本的事項を指摘しておりますので、このことが即実施される、そして促進されるということが、現状の段階ではより重大でなかろうか、こういうふうに思うわけです。研究しておる。そして調査の結果がこうあると言っておる段階で、もうすでに先に現実は進んでおる。こういう点をやはり即実施できるような方途をしなければならぬ。そのためには国の監督行政なりあるいは補助なりということから即できるように、特にその点を御配慮願いたいというふうに考えておるわけです。  非常に抽象的でございますけれども、重点的には、どれ一つ抜かしてもならぬけれども、特に当面する炭鉱のいわゆる深部移行ということに伴う、そのための基本的には骨格構造の再検討、このことによるいろいろな意味がございます。若返りという意味もございますし、あるいは運搬坑道においても、たとえば松島の例をとりますと、あそこは現場に到着するまでに四回人車を乗りかえなければならぬということで、非常に長距離になっておる。それを新しく一本坑道を掘る。このことによって距離も縮みますし、あるいは骨格坑道を大きくすることによって通風量の拡大も図るというような、いろいろな関係を持ってきます。そういうものをやはり補助し、あるいは促進させるということが、より現状の段階では重要ではないかというふうに考えております。  以上、簡単ですが……。

鈴木照生全国炭鉱職員組合協議会事務局長

○鈴木参考人 先生おっしゃいますように、やはりこれからの炭鉱での保安確保の大きな問題といたしましては、深部移行に伴って出てまいりますところの問題だと思います。先ほどもちょっと触れましたが、一つにはやはりそういう深部移行に伴いますところの盤圧問題あるいはガス問題、ガス突出あるいは高温、こうした問題に対する技術的な解明であろうと思います。  それともう一つは、やはり炭鉱が保安の工事なりあるいは保安機器を設置する場合、現在いろいろ御配慮願いまして、いろいろな補助金なり何なりをつけていただいておりますが、やはり保安に対する工事あるいは機器などに対する助成を十分していただく、そういうことで企業側といいますか経営側も、保安機器の整備を図っていくということが必要ではないかというふうに考えております。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田委員 時間もありませんけれども、労働組合がよく保安の総点検をやられますね。そして非常にたくさんの項目が出て、そのうちには解決されるものもありますけれども、しかし、依然としてやはり保安の事故が絶えない。確かに減ってはおりますけれども、他産業に比べればこれはもう問題にならないくらい多いということは、やはりいまの社会経済条件から言って、依然として炭鉱の保安問題が基本的には解決し尽くされていないというふうに思っているのですよ。そこで、あれだけ総点検をやりながら同じものが出てくる。いろいろ聞きますと、自然は生きているとかなんとか言われますけれども、どうなんでしょうか、この原因は一体何とお考えになるのか。  それからこれと関係してですが、ずっと政府の保安の報告を見ましても、なかなか原因がはっきりしませんね。大体推定の原因ですね。労働者のサイド、組合のサイドからごらんになっていて、この原因というのが本当につかめないものかどうなのか、この二点をひとつお伺いしたいと思います。これは特に炭労さんと全炭さんにちょっとお願いいたします。時間がありませんから。

古賀徳継日本炭鉱労働組合事務局次長

○古賀参考人 いま先生がおっしゃるところは大変頭の痛いところでございまして、なぜ災害が減らないのかということになってまいりますと、いろいろな要素があると思います。しかし、何といっても人のやっておることです。ですから、そこにできないことはない、こういうふうに考えます。したがいまして先ほども言いましたように、作業に当たっての手続、手順なり、それから守らなければならない保安法規というものがございます。もちろんそれが万全ではないということがございますから、逐次、改善を図っていくということが前提でありますけれども、いずれにしても、決められたこと、それから自分たちが決めたこと、労使で確認したことは、確実にその場で実施していくという姿勢が双方に確立されることが必要であろう、こういうふうに考えるところであります。  それからもう一つ災害の原因でございますが、たとえば重大災害、はっきりした災害の場合にはほぼ断定できるわけでございますけれども、昨年の三井砂川の場合におきましても、やはり証拠物件が十分出てこないという自然条件の中においては、推定の域を出ない面が非常に出てまいります。しかし、それはただ原因がはっきりしないということであって、それでは対策の打ち方がそれで確立できないのかといいますと、対策は十分にある、こういうふうに私どもは思っておるわけであります。ただ、その対策を確立する際に、何といっても問題になりますのは、膨大な設備投資を必要とするというところに一番大きな壁があるということが、炭鉱の偽らざる今日の現状であります。ですから私ども炭労としては、この助成をふやしてもらいたいということについては、本来、資本がやるべきことを労働組合がそういうふうに言うということについて、一体どうなんだというじくじたるものがありますけれども、あえてここで保安を守るということになりますと、やはり先ほど小川さんも言いましたように骨格坑道の徹底的なチェックによって改善を図っていくということが一つでありましょうし、それから、やはりそういった不安全個所の除去、こういったものと、私どもがこのメモで提起しておりますような保安法規の見直しの中で、やはり一つの問題を進めていくということが、現状においては一番合致しておるのではないだろうか、こういうふうに考えております。  労働組合次元としてみずからを自省する方向では、先ほども言いましたように、決めたことは守る、それから不安なところ、危ないところでは作業をしないということを徹底させていきたい、こういうふうに考えております。

小川芳郎全国石炭鉱業労働組合書記長

○小川参考人 古賀さんの意見とそう食い違うところはないのです。やはり石炭産業における災害というものはもうほとんど共通の問題でございますので、特別に申し述べることはございませんが、やはり労使の姿勢ですね、このことが災害を減少させるかさせないかの一つの非常に重大なポイントであることは間違いないと思うのです。いわゆるみんなで決めたことをやらない、先ほどの保安診断、こういうものも、診断して、そういう指摘をされても、それをやらないというような姿勢であってはならないし、それは労働者といえども指摘するだけではだめですから、みずからやはりそれに取り組むということで、全炭鉱統一安全宣言ということで五カ条ということを覆いましたけれども、参考までに申し上げますと、こういった決意で取り組み、こうしなさいというような意味で五カ条にわれわれは集約しているのです。まず  一、我々は保安法規や規程を完全に遵守します  二、我々は安全を確認した上で作業をいたします  三、我々は気付いた点の即時改善につとめます  四、我々は一人一人の点検を常に続けます  五、我々はみんなの力で明るい職場をつくります  ということで、毎朝これを繰り込みのときにやらしております。こういうことで自覚を促し、意識を向上させる、このことによって災害を減少させるというようなことにも、みずからがやはり取り組み、古賀さんも言われているように、みんなで決めたことをみんなでやるということの原則を労使がやはり守るということが大事ではないか。  あとは重複しますので、以上でお答えといたします。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田委員 終わります。

田代文久日本共産党・革新共同

○田代委員長 松尾信人君。

松尾信人公明党

○松尾委員 保安の問題で非常に皆様御苦労であります。そして保安の第一線で皆様方が非常に自覚を新たにして働いておる、そのようなお言葉もありまして、非常に御苦労であるということを繰り返し申し上げるわけでありますけれども、私の認識の問題でございますが、この炭鉱災害は起こるべくして起こっている、このような感じが私はするわけでございます。これは昔からのことでありますが、経営者自体の姿勢の問題、それから政府自体の石炭産業というものに対する考え方の問題、そういう大きなところに基本的な問題があるであろう。あったであろう。いまもお話が出ましたけれども、採算第一、そしていろいろ石炭に対する競争のエネルギーがある。日本の石炭は高い、そういうものにいろいろのコストがかけられるかというような基本的な問題がございまして、そしていつの間にか職場、労働環境というものが整備されないで、それが災害につながってきている、このような感じを私は非常に強く持つものでございます。  特にきょうは深部移行の問題でいろいろお話が出ましたし、要望も出ておりますけれども、まことにそのとおりでございまして、いままでの経営者または政府の、石炭産業に対する基本的な保安の確立というものがない限りは、万やむを得ず深部に移行しておりながら、大きな災害が待ち構えておる、そうするとまた起こる、これは私は当然予想される問題だと思うのであります。ですから、いま人命尊重、これは大事なことでございまして、これは何ものにもかえがたい、かえるもののない人命でございますので、何としても、いままでの経営者と政府の考え方が、やはり人命尊重、職場環境を整備していく、そして保安を第一にしていく、このようになりませんと、私は災害というものは悪循環的につながっていくだろう、こう思うのです。そういう意味におきまして、きょうの皆様方のいろいろな要望、詳しく出ておりますので、この皆様方のきょうの要望というものを一つ一つまず満たしていくのが、一番保安の問題を解決する道であろう。  ですから、最初おっしゃいました現在の研究機関を整理統合する、国の責任で総合的な観点に立ったりっぱな研究機関をつくっていきなさい、ごもっともでございます。それから坑道掘進に対する補助金制度、ボーリングに対する助成制度、現状は不足である。こういうものがやはり災害につながっておるわけでございましょう。それから明るい通路にしなさい。ごもっともであります。これは陸上におきましても、暗いところはやはりいろいろの問題が起こるわけでありますから、坑内の照明設備をしっかりやっていく、そして通路を整備する、高さもしっかりやっていく。これは当然予算的な措置でなくてはできない。  もう一つ、残念なことには経営者の方がいま力がなくなりまして、金のかかることに金を出す力がない。そうすると経営自体につきまして、経営者にそういうものを期待することが私は無理であろうと思う。皆様方もそこをいま非常に困っていらっしゃると思うのでありますけれども、そういう点において、私は新しく石炭政策を見直す立場から言えば、これはやはり政府が表に出ていかなくては解決できない問題であろう、このように認識いたします。消火設備もそうでございます。  それからもう一つは、鈴木さんがおっしゃいました補助金の補助率の問題です。四分の三、これは現実には非常に減ってきているのだ、こういう問題もきちっと四分の三なら四分の三に現実になるように、このようにやっていかないといけないであろう。  それからガス、高温対策、その機器等の補助の問題、助成の問題、これも全部、皆様方のきょうの要望というものをながめてみますると、どうも経営者の方でなかなか金が出ないのだという感じですよ。ですから、これ以上金をこういうところにかけますると、いろいろ炭価の問題になってまいりまして、そしてまた、いろいろ問題が出てくるものだから、皆様方も本当に言うべきこと、言いたいことも、腹いっぱい言えない。経営者も人命尊重はわかっておるけれども、そこまでやれば炭価はどこまでふくれ上がるかわからぬ、そういうところで、すべて炭鉱災害というものは、そういう過去の経営者と政府の指導の問題がありますけれども、現実は、人命第一でやっていこう、保安第一でやっていこうと思うけれども、十分な予算的な措置がとれない、これを私は認識するわけです。私が違っておれば御指摘いただいて結構でありますけれども、きょうは私は立場を変えて、こちらが参考人みたいなことを言うわけでありますけれども、皆様方の意見を、私、総合してみまして、そしてきょうの皆様方のそのような参考人としての意見の開陳、これをわれわれはまじめに、そして真剣に取り上げていく、そしてできたらことしにでもどうにかならぬか、来年はしっかりこういう基本的な問題を解決しながら、保安問題をひとつ少なくしていきたい、このように私はむしろ決意をいま述べておるわけであります。  今後とも、いまおっしゃったとおりに、経営者の姿勢の問題、そして金がどのくらい投入できるかという基本的な問題があるわけでありますが、そういう私の考え方で私は進みたい、こう思うのでありますけれども、簡単でいいですから、三人のお方、それぞれの立場から一言何かおっしゃってもらったら、私もそれで結構であろう、こう思うわけであります。どうぞ。

古賀徳継日本炭鉱労働組合事務局次長

○古賀参考人 大変、力強いお言葉をいただきまして、ありがとうございました。  私どもとしても、どうしたらいいのかということになりますと、結局つまるところは、新石炭政策がどういうふうに私どもの期待を満たしてくれるのかくれないのかということが、今日の段階では最大焦眉の関心事でございます。したがいまして、諸先生方には大変御苦労をお願いするわけでありますけれども、よろしくひとつその面での御指導、御鞭撻を願いまして、その上で、私どもはいま申し上げましたようなことを、ただ先生たちに申し上げ、苦情を訴えたということだけじゃなくて、みずからも姿勢を正しながら、保安確立のために邁進していくという決意を申し上げまして、いまの先生の激励の言葉に対するお答えにかえさせてもらいたいと思います。

小川芳郎全国石炭鉱業労働組合書記長

○小川参考人 ただいま先生から非常に理解のあるお言葉をいただきまして、力強く感じたわけです。  さらに、保安補助金制度の中の鉱山保安確保事業費補助金の中で、最後に一言ですから要望したいと思いますが、この中で、鈴木さんから補助率の問題が出ましたけれども、その対象についても見直してもらいたいという意見を持っております。たとえば高温問題の中の高温水の抜水、これは非常に保安には問題があるのです。しかし、これについては補助がございません。ガス抜きその他については補助があるけれども、肝心の保安に関係ある抜水についての補助の対象がないというような面もございます。そういう意味で、対象についてひとつ見直し方をお願いしたい。  以上です。

鈴木照生全国炭鉱職員組合協議会事務局長

○鈴木参考人 先生から本当に力強いお言葉をいただきまして ありがとうございました。  やはり何といっても先ほどから古賀さんなり小川さんなりが言っておりますように、炭鉱というのはどうしても暗いイメージがございます。何としてでも炭鉱から災害をゼロにいたしまして、明るい職場づくりを目指しまして、石炭産業を今後とも続けていくという覚悟でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

松尾信人公明党

○松尾委員 では、終わります。

田代文久日本共産党・革新共同

○田代委員長 これにて参時人に対する質疑は終わりました。  各参考人には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  この際、午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午前十一時五十七分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議

田代文久日本共産党・革新共同

○田代委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  午前中に引き続き、石炭鉱山保安に関する問題について、参考人から御意見を聴取いたします。  午後は、参考人として日本石炭協会会長有吉新吾君、東京大学名誉教授伊木正二君及び早稲田大学理工学部教授房村信雄君に御出席をいただいております。  参考人の方々には、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございました。何とぞ率直な御意見をお述べいただきたく存じます。  なお、議事の都合上、最初に御意見を十五分程度お述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  それでは、まず有吉参考人にお願いいたします。

有吉新吾日本石炭協会会長

○有吉参考人 石炭協会の会長をいたしております有吉でございます。石炭対策につきましては、かねてから格別の御配慮をいただきまして、衷心から感謝いたしておりますが、本日は鉱山保安の確保について意見を申し述べる機会を与えられまして、厚くお礼を申し上げます。  昭和五十一年度からの新石炭政策につきましては、現在、関係各位におかれまして御検討いただいており、その決定も間近の段階でございますが、最近のエネルギー情勢からも、国内石炭の安定供給が強く要請されていることは御承知のとおりで、業界といたしましては、その責任の重大さを自覚するとともに、確固たる保安体制を確立し、安定した生産の維持に努力する覚悟でございます。  ここ数年の炭鉱保安の成績を振り返ってみますと、稼働延べ千人当たり災害率におきましては、昭和四十五年におきまして〇・八でありましたものが、逐年向上いたしまして四十八年には〇・五、四十九年には〇・三となっております。また、重大災害の発生件数も、四十五年は七件であったものが四十八年は四件、四十九年は二件と減少してまいっております。しかし、地上の装置産業と異なりまして、何分にも自然条件が刻々変化する地下産業のことでもあり、災害を皆無にするまでには至っておりません。特に昨年十二月、三井砂川炭鉱におきまして重大災害を起こしましたことは、まことに申しわけなく存じておる次第でございます。  鉱山保安はあくまでも人命尊重を基本理念として、従来から各炭鉱の諸条件に応じた自主保安確保の体制をとり、労使相携え、関係官庁の御指導も仰ぎ、努力を重ねてまいっております。当協会といたしましても、これに応じ総合的保安対策を検討、推進するため、評議員会、各社保安部長による保安協議会及び保安担当者による保安連絡会を随時開催いたしまして、保安対策の検討、情報の収集、連絡を十分に行っております。同時に、自主保安の総合的見地から技術交流を促進し、相互に意見の交換を行い、保安確保に寄与するため、昭和四十年度より保安検討班を設け、特に昭和四十九年度からは大学の先生の御協力を得て四班、六炭鉱を巡回検討しておりまして、設置以来延べ五十三班、百七十三炭鉱に及んでおります。  御承知のように炭鉱の保安対策は、坑内骨格構造の整備、施設、機器の整備、技術開発、保安管理、教育の強化、鉱害問題等に大別されます。  第一点の坑内骨格構造につきましては、坑道掘進を積極的に実施することにより、ガス抜きの徹底、通気の確保、後退式採炭法、区画式採炭法の採用等が可能となり、爆発、突出、自然発火等重大災害の防止に資するとともに、坑内状況を事前に十分把握することにより安定した生産ができることになります。このように坑内骨格構造の整備は保安、生産確保の大前提となりますので、私どもといたしましてもその造成、整備に懸命の努力を払っておる次第でございます。  第二点の施設、機器の整備についてでありますが、電気機器の乾式化、ベルト、ケーブルの難燃化、保護装置の改良、消火設備の整備等に力を入れ、坑内火災の防止を図り、また、自走支保の積極的導入、坑道の鉄化等により落盤災害の防止に努め、さらに誘導無線、ガス自動警報器、集中監視システムの導入等、災害の未然防止、拡大防止に努力をいたしております。  第三点の技術開発についてでございますが、自然条件、採掘技術の変化に対応して保安を確保するために、保安技術の向上、開発が必要でありまして、特にガス突出、山はね、自然発火防止技術の開発につきましては、従来から政府の補助を受け、各社技術陣が相協力して研究に努め、その成果に見るべきものがございます。さらに現在、採掘区域の深部化、坑内温度の上昇等につきましては、関係官庁の御指導並びに各大学の協力を得て研究を進めております。  第四点の保安管理、教育についてでありますが、石炭鉱山における重大災害、頻発災害の絶滅を期するためには、直轄、請負を問わず、現場の作業員の一人一人に至るまで保安意識に徹して、不安金行為を排除し、不安全状態を発見し得る能力を持つことが必要であります。一面、平均年齢は老齢化の傾向にありますので、教育の重要性は一般産業よりはるかに高いものと考えております。そのために、作業手順を確立し、新入労働者に対する保安教育、また、職場におけるあらゆる機会を活用しての再教育を実施いたしております。係員に対しては、現場における保安責任者であるとともに、作業員の教育指導という重要な任務を有しておりますので、新技術教育、再教育を強化し、判断力、指導力を身につけるよう指導いたしております。  最後に鉱害の防止につきましては、昭和五十年六月以降、坑廃水の浮遊物質量を一五〇ppm以下にするため、石炭鉱害事業団の融資を受け、鋭意工事を進めているところであります。また、休廃止坑口の管理、ボタ山の災害防止及び今回新設されました鉱害防止係員制度関連の大気汚染、騒音の防止についても、それぞれその整備、巡回頻度の強化、防止技術の研さん等、日常の管理に努万をいたしております。  安全な職場をつくることによって炭鉱のイメージを好転し、作業員の定着、さらには採用、充員に寄与することもできると思います。  鉱業権者、保安統括者以下、一般労働者に至るまで、以上の諸対策の徹底実施に専心努力を続けるとともに、鉱業労働災害防止協会、保安センター、石炭技術研究所と緊密な協力をとる所存でございますので、保安、生産に関する助成の一癖の拡充強化をお願いいたします。  以上、私どもの覚悟と要望を申し述べまして、私の意見を終わりたいと思います。(拍手)

田代文久日本共産党・革新共同

○田代委員長 次に、伊木参考人。

伊木正二東京大学名誉教授

○伊木参考人 伊木でございます。私、保安の関係のことにつきまして最近感じておりますことを、御参考までに申し上げてみたいと思います。  御承知のように石炭産業は、ほかの産業と比較いたしますと、炭鉱の労働災害と申しますものの度数はまだ非常に高いと言わざるを得ないと存じますけれども、炭鉱だけをとってみますと、最近は保安の成績が格段に向上しているということも事実であろうかと思います。  まず、炭鉱の保安が向上してきた理由を考えてみますと、一つは保安設備、施設の改善と保安不良炭鉱が閉山されたことでございます。坑内が整備されていろいろな保安機器が取り入れられるようになりまして、坑内の保安設備が改善されてまいりました。たとえば一酸化炭素自己救命器の個人携帯制度とか坑内誘導無線機の設置とか、また、ガス自動警報器の設置とかいうようなことでございます。一方、保安の不良炭鉱と申しますのは、これは大体において経営の状態も悪くて、当然、労働者の方も減ってまいりましたので、ほとんど閉山されたことと思います。そういうことが一つの理由かと思います。  それから第二番目に考えられますのは、労使協調の改善ではないかと思います。鉱山保安法の施行後十年くらいの間は、労使の対立が激しくて、労働組合の保安闘争という形であらわれてきたこともございますし、労使の対立のために、かえって坑内の保安の確保が困難になり、災害も増加するというような傾向さえ見られることもあったように思います。たとえば災害が発生した場合に、その原因の究明さえできずに、むしろ責任の追及と監督行政の強化ということだけが叫ばれるような場合もございました。しかしその後、労使協調が進むに従いまして、人命尊重の精神が浸透して、今日では保安に関する限りは、労使の対立というのは全くないと言っても過言ではないのではないかと思います。  次に、今後の保安問題とその対策につきまして、私の感じていることを申し上げてみたいと思います。  まず一つは、坑内の深部移行の問題でございます。石炭鉱業の合理化によって、一炭鉱の石炭生産量が増大してまいりました。そのために坑内の深部移行速度は非常に大きくなってまいりました。その上、これまでの石炭政策が原料炭重点主義であったというために、炭鉱によっては良質の原料炭層のみを採掘する傾向が強くて、そのために深部移行は一層激しくなってきております。坑内が深部に進むにつれまして、大きな問題は、盤圧の増大、坑内の高温化あるいはガス突出、山はね、自然発火等、これまで見られなかったような現象、あるいはそれが一層激しい現象になって出てくるようになってまいりました。しかも将来は、そういった現象が従来にない複雑な現象としてあらわれてくるものと考えられます。これらのことにつきましての対策は非常にむずかしい問題でございますが、衆知を集めて検討しなければならないというふうに考えております。  第二に、坑道掘進の強化の問題でございます。炭鉱の生産費を低減させるためには、切り羽を集約し、坑内の合理化を図らなければならないということは、もう言うまでもないことでございます。そのために出炭規模が次第に大きくなってきております。したがって、常に坑道掘進を先行させて、炭層の状況並びに炭量を確実に把握しておかなければならないと思います。  炭鉱の保安確保は、適正な坑道の維持と、それから先行掘進にあるということが言えると思います。今日、炭鉱によっては坑道掘進がおくれていると言われるところもございますが、その理由は炭層の賦存状態、言いかえますと埋蔵炭量と出炭規模とのバランスがとれていないという点にあるかと思います。直接の原因は、予想しない断層の出現などによりまして、炭層賦存状況が急激な変化を示したということにあるかと思います。出炭規模に応じまして適正な先行掘進が行われるよう、坑道掘進を強化する一方、不要坑道を速やかに廃棄すれば、維持坑道が短縮されますし、通気も容易になって、保安の確保にも大いに役立つであろうと思います。また、それによって出炭も安定させることができるかと思います。一方、将来、坑内が深部に移行するに従いまして、坑道掘進は盤圧あるいはガス等のために非常にむずかしくなってまいりますので、この点を検討して、従来とは異なった掘進あるいは支保対策というものを立てて、坑道掘進を強化する必要があるかと思います。  第三番目は、重量物の取り扱いと運搬災害の問題でございます。最近の災害統計によりますと、落盤に次いで罹災者数の多いのが、取り扱い中機器、鉱物によるものと言われております。また本年に入ってからは、罹災死亡者には運搬によるものが多く見られます。炭鉱の機械類が大型になりまして、重量物が多くなったために、その取り扱いにはできるだけ機械力によるべきことはもちろんでございますが、坑内のように狭いところでは、どうしても人力に頼らざるを得ない場合が多くございます。したがって、その取り扱いには特段の注意が必要であろうと思います。それから運搬災害につきましては、坑道、軌道あるいは炭車などの設備面及び炭車を取り扱う労働者の年齢、素質などの人的面、この両面から十分に調査、検討して改善を図る必要があるかと思います。坑内の発展とともに運搬距離が増大してまいりますので、運搬も高速にしなければならない。そのために骨格構造の改革が必要でありますし、かつ高速運搬に伴ういろいろな保安対策というものも講じなければならないかと思います。  第四には、若手の労働者、技術者の不足の問題でございます。坑内労働者の新規採用が少なく、特に若手の労働者が不足しているというふうに感ぜられますが、新規採用者が少ないということは、ある意味では保安上からかえってよいというふうにも考えられるかもしれませんが、高年齢者は熟練者であっても動作が鈍くなりまして、仕事によっては、それだけ罹災の危険性が高くなるのではないかと思いますし、一方、坑内の機械化が進み、いろいろな新鋭機械も導入されていきますので、若手の労働者と技術者を必要としております。若手の労働者、技術者の不足というものは大きな問題でございまして、石炭の重要性あるいは労働環境、賃金等の広い面から検討して、解決を図る必要があるように思います。  五番目には、災害、特に重大災害というものは絶対に起こさないという覚悟と努力が必要だろうと思います。よくいままで、炭鉱には災害がつきものであるというふうな一般の感覚がございますが、これを払拭するためには、鉱業権者あるいは労働者はもちろんのことでありますし、石炭関係者が一丸になって、災害、特に重大災害は絶対に起こさないという覚悟のもとに、自信をもって、その達成に各自が努力しなければならないというふうに考えております。炭鉱の保安は機械任せあるいは他人任せであってはならない。みずからが設備を改善し、安全を確認して、自分と他人のために保安を確保するという精神で、正しい作業手順に従って作業するように努力しなければならないかと思います。  それから六番目には、石炭鉱山保安規則の再検討と申しますか、一言申し上げてみたいと思います。現在の石炭鉱山保安規則というのは、昭和二十四年制定以来、技術の日進月歩につれまして改定されて今日に至っております。世界的に見てもきわめてりっぱなものであるというふうに考えられます。しかし、一たん決めた規則を改定することについては、これは十分に技術的根拠を確かめて、強化あるいは緩和するにしても、いずれにも踏み切るべきであろうかと思います。炭鉱が将来深部に移行していく場合に、保安上多くの問題が発生すると思います。これに対応して、保安規則についても一部は改定すべき点があるかとも思いますので、いまから検討を進めていただいたらどうかと思っております。  それから七番目に、最後になりますが、将来の石炭の見通しの問題にちょっと触れてみたいと思います。それは石油ショック以来石炭の見直しが叫ばれて、一部では日本の炭鉱も再び増産しなければならないときが来たのに、なぜそれができないのかなどと言われております。いかなる産業でも、自由経済のもとではみずからが将来の見通しを立てて方向を定めるということは、企業の責任であると思います。ただ、石炭産業は基幹産業として発展してまいりましたが、石油に駆逐されて衰退の一途をたどって、今日まで政府の保護政策によって生き延びてきたということも言えるかと思います。この点、石炭企業に対してかなり厳しい批判もございますが、炭鉱は多数の労働者を抱えて、しかも自然に対抗して仕事をしていかなければならないので、多額の資金と相当長期の準備期間がなければ、簡単に増産するということはできませんし、また大規模な骨格構造の改革さえもできないのではないかと思います。従来、主として経済性にとらわれた政策であったような感じがいたしまして、石炭は全く石油には太刀打ちできずに縮小に追い込まれてきた。そのために長期の見通しが立てられなかったというのも事実ではないかと思います。石炭をエネルギー源として考える場合は、経済性のみではなくて、エネルギーの多様化、セキュリティーの面からも考え直して、長期にわたる石炭の将来のビジョンというものを打ち立てませんと、炭鉱の方は恐らく思い切った骨格構造の改革もできずに、深部移行に伴っては石炭の二千万トン維持というのも、保安上からもきわめて困難になるのではないかというように考えられます。  以上、私の感じておりますことを申し上げておきます。(拍手)

田代文久日本共産党・革新共同

○田代委員長 次に、房村参考人。

房村信雄早稲田大学理工学部教授

○房村参考人 早稲田大学の房村でございます。御指名によりまして、私の日ごろ炭鉱保安について考えておりますことを申し上げたいと存じます。  もうすでに御承知のように最近数年間におきまする石炭鉱山の災害率は非常に減少いたしまして、日本におきまして炭鉱が始まって以来のよい成績を示していることは、同慶の至りでございます。しかしながら、この成績は、本当に炭鉱に保安問題がなくなったことを意味しているのではないと考えられます。危険要素は多分にあるわけでございますが、それを官民一体の努力によりまして、この保安成績を維持しているものでございまして、今後さらに大いに努力するとともに、根本的な保安向上のための技術開発が必要であろうと考える次第でございます。  ところで、今後炭鉱が生きていく、出炭を続けてまいりますためには、先ほどから各参考人から御指摘のありましたように、深部へ移らざるを得ないという傾向がございます。出炭とともに深く進んでいく、この傾向を見ますると、昭和二十四年に鉱山保安法が施行されました当時は、坑口からの平均払いの深さは約二百二十二メートル、二百メートル前後でございました。そして最も深い出炭個所は約五百メートルと言われておりました。これが約二十五年前の状況でございます。  最近十年間の払いの深くへ進んでまいります傾向を見ますると、年間十五・四メートルという統計値になっております。この中には、先ほど御指摘のございましたような不良炭鉱の閉山あるいは非能率炭鉱の整理というような、比較的浅いところで採掘しておりました炭鉱がやめた、そのための平均値の移動もございまするが、統計的に見ますと大体十五メートルという深さで進んできたわけでございます。  これらの事情を勘案いたしまして、今後どのように深くへ進んでいくかということを試算いたしてみますると、九州では年間二十メートル、北海道では年間三十五メートル、平均いたしますと日本の炭鉱として、年間約三十メートルの速度で深部へ進んでいくという傾向になっております。これは全体的な計算でございますので、個々の山については必ずしもそういうことが言えるとも存じませんし、また、これから先の炭鉱政策、石炭政策のあり方によりまして、この数字は当然変わってくるものと考えられるわけでございますす。  現実にどのような深さで石炭が掘られているかということを調べてみますると、四十九年三月末の統計によりますと、平均の深さは五百三十一メートルになっております。このうちの四百メートルから六百メートルの間、約二百メートルの間で、全石炭の六五%が採炭されている。そして六百メートルよりも深いところで二三%が掘られているということになります。その残りが四百メートルよりも浅いところ、このようになっておるわけでございます。  ところが、この深いところで掘られておるというのは、むしろ現在よりも、かつての昔のときの方が深いところで採炭されていた傾向がございます。たとえば昭和四十五年の三月末の統計を見ますと、平均の深さは五百三十七メートル、昨年度よりもやや平均値が深いところへいっておりました。しかも、四百メートルから六百メートルの深さでは全出炭の三一%、六百メートル以上では三四%となっておったわけでございます。このように、むしろ現在よりも、かつての時代に深いところで掘っておった炭鉱があったわけでございます。  それが、なぜ今日ではむしろ多少浅い方へ移っているかと申しますと、当時の出炭傾向といたしまして、深部へ進みましたが、深さで生ずる保安問題に十分対抗する技術的な開発がやや不足しておりました。そのために深部の保安問題に対抗し得ず、出炭を中止せざるを得なかったというような例もございます。もちろん、深くにまいりまして、石炭が悪くなる、あるいはなくなりまして、やめたものもあるわけでございますが、むしろ深さに伴う技術問題に対抗し得なかった、こういう問題があるわけでございます。そこで、むしろ最近の方が平均的に見ますと浅くなっておるわけでございます。しかし、この傾向は今後炭鉱で出炭を進めてまいります限り、次第次第に深くへ移らざるを得ない、これは必然的な傾向でございます。  ただ、一つ一つの山を拝見いたしますと、毎年十数メートルずつ、あるいは三十メートルずつ深くなっていくものではございませんで、ある時期に一つの片盤で、たとえば七十メートルであるとか八十メートルであるとか、深くへ移行いたしますと、その同じ深さのところで右左に進んでまいりますので、しばらくは同じ深さで採炭をいたしておりまして、その深さの部分で主要の炭層が採掘され終わりますと、また次の深さのところへ進んでいくというような、階段的な進み方をしているわけでございます。そこで、この深さに対応するためには、一つの深さに達しましたら、できるだけその深さのところで長い時間採炭をいたしまして、次の段階へいく時間をおくらせるということが、一つの対策としてぜひ必要になってまいります。そのためには、いろいろな問題がございますが、ある深さにあります石炭をできるだけ有利に都合よく採炭いたします、これはやはり鉱山保安法における鉱物の保護という立場からも、まさに保安的な仕事であると思うわけでございますが、そのためには、たとえば原料炭中心である考え方を、一般炭を含めて、あるいは低品位炭を含めて採炭するというような生産面からの考え方も十分取り入れなければならないと考えるわけでございます。  このようなわけで、次第次第に深部へ移ってまいるわけでございますが、深部に移りますと、どのような保安問題があるかと考えますと、これは大別いたしまして、二つに分けて考えることができます。この一つは、深さとともに比例的に問題がふえてくるもの、すなわち質的な大きな変化のない保安問題でございます。他の一つは、深さとともにある意味で幾何級数的にむずかしさが増してくる問題、質的な変化のある保安問題、このように二つに分けて考えることができると存じます。  最初に申し上げました、質的な変化のない問題といたしましては、まず第一に、深くなりますと、これは当然運搬距離がふえてまいります。これは統計的に見ますると、日本の炭鉱では年率六%で運搬距離が増大しております。これは深さだけに限らず、左右に広がっていく部分も当然あるわけでございますが、いずれにしましても、年率六%で運搬距離が遠くなってくる。これはやはり運搬の機械化の問題を伴いますし、また運搬の頻度等を考えますと、運搬災害がふえてくることにも多少関係があると考えられるわけでございます。  次に、往復時間の増加でございますが、主要作業場が遠くなりますにつれて、これは当然鉱山労働者が作業現場に往復する時間がふえてまいります。しかし、これは機械化によって十分カバーすることができますので、時間のふえ方としてはごくわずかでございまして、年率にいたしますと、わずか一分ないし二分の程度でございまして、時間としては余り問題でないようでございます。しかしながら、これは逆に万一の場合を考えますると、そのような場合には途中の輸送手段が使えない、徒歩で脱出等をしなければならないというようなことを考えますと、運搬距離の増大とあわせまして、作業環境が坑口から遠くなるということは、やはり潜在的な問題があると考えられるわけでございます。このようなものに対しましては、また別途いろいろな対策がございますが、日常のものとしては運搬手段の機械化、高速化によってカバーできますが、非常に際しましては、他の通気問題等も絡みまして、新しい坑口が必要であろうというようなことも考えられるわけでございます。  三番目に坑内温度の上昇でございますが、これは御承知のように深さとともに地熱増温率が増大いたしますので、深くなりますると当然周囲の岩盤の温度が上昇いたします。これにつれまして坑内の気流の温度も上昇するということになりますので、これもある温度限界を超えますと、生理的にいろいろ苦痛を与えるだけでなく、一種の職業病の原因にもなりますし、作業能率も下がりますし、いろいろ問題がございますので、この坑内温度の上昇に対して適切な技術対策が必要になってまいるわけでございます。この点では日本はきわめて不利な立場にございまして、たとえば南アフリカ共和国の金山等では、三千メートルないし三千五百メートルの深みで作業いたしておりますが、このようなところで三千メートルでも岩盤温度は五十度Cでございますが、日本では、たとえば常磐におきます西部炭鉱を見ますると、六百メートルですでに岩盤温度は七十二度である。このような非常に不利な条件にございますので、温度問題は、諸外国の深い鉱山、炭鉱に比べて、さらにむずかしい問題を持っておると考えられる次第でございます。これに対しましても、現在の段階で、経済的な問題を別にしますれば、技術的な対策は十分考えられるわけでございますので、これを実施するのは、むしろ技術問題ではなくして経済問題であるというふうに考えられる次第でございます。  次に、質的な変化のある保安問題について考えてみますると、まず第一がガス突出でございます。坑内が深くなってまいりますると、盤圧等の作用も強くなりますし、炭層の中に含まれておりまするガスの量も非常に多くなってまいります。これらのものが突如出現してまいります現象をガス突出と申しておりますが、これについては、すでにお役所の指導によりまして、相当の期間、研究が行われておるわけで、かなりの成果を得ておるわけでございますが、残念ながら現在までわかっておりますることは、比較的表面的なことでございまして、ガス突出の現象、それから予知対策、予防対策等については、ある程度の手がかりを得ているわけでございますが、本質的なガス突出の機構、メカニズムの解明につきましては、まだ問題が多分にございます。御承知のようにすべての問題点は、その本質がわかりませんと本当に生きた対策が生まれてこないわけでございます。その点で、ガス突出につきましては、まだまだ今後究明しないと、深部移行に伴う、この面の保安の確保に十分とは言いがたいような気がするわけでございます。  次に、ガス突出に関連いたしまして山はねという現象がございます。これは必ずしもガスを伴いませんで、岩盤そのものが盤圧の影響で破壊する現象でございまして、これは世界各国の深い鉱山、炭鉱ではいずれも悩まされている問題でございますが、従来は余り炭鉱における山はね現象がございませんでしたが、次第に主作業場が深くに移るに従いまして問題化してまいりました。そこで今後さらに深くに移るに際しましては、この山はね現象の根本的解明と、それを予防するための採掘法を開発する必要があると存じます。  三番目の保安問題といたしましては、石炭の自然発火でございます。石炭の自然発火現象につきましては、すでに科学的な究明は、ほぼ完璧な状態になっております。しかし、この自然発火現象は、盤圧の強いところ、地熱の強いところ、あるいは多量の通気を流すというような副次的な原因によりまして、自然発火の発生率が高くなるおそれがあるわけでございます。そこで、これは深部移行に伴いまして副次的な、二次的な現象として、自然発火の可能性が強くなる。これに対して従来からとってまいりました技術対策の飛躍的な推進が必要であろうと考えられるわけでございます。  以上が深部に移るに伴って起こる主な保安問題でございますが、途中に申し上げましたように、まだ本質的な究明ができていない問題として、ガス突出、山はね等の問題点がございますが、質的な変化のないものにつきましては、すでに技術的に解明が進んでおる。そこで今後は、これらの特に質的な変化のある保安問題について技術開発をすることが、深部移行に伴って保安を現在以上に飛躍させ、優良な炭鉱保安を維持するための絶対必要条件であろうと考えられるわけでございます。  すでに日本の炭鉱でも、長年にわたりまして同一個所で次第に深くへ移っております幾つかの炭鉱がございます。そのようなところで、深さとともにどのような現象が起こったか、そしてそれをどのように技術的に克服してきたかということを調べてまいりますと、先ほど申し上げましたように、岩盤温度の上昇であるとか盤圧が増加する、あるいはメタンガスが増加する、そのような一次的な現象に伴って、二次的な現象として切り羽温度の上昇あるいは自然発火の危険性の増大あるいはガス突出の増加というようなことがございますが、これに対しては、それぞれの山で実情に応じまして具体的な対策をとり、監督官庁の指導のもとに、あるいは大学研究所の協力のもとに、それに対応して現実に問題を乗り越えているわけでございまして、この点を考えますると、深部移行に伴う保安の確保というのは明るいものであるというふうに考えるわけでございます。何もしないで、そのままで明るいわけではございませんが、時をかせぎ、その間に技術開発をし、そして現に当面しております。深部に進んでおるその第一線におきまして、日ごろ起こってまいります各種の問題を十分に解析して、これにこたえる技術対策を行う、同時に本質的な立場から、深部における諸問題を技術的に予想いたしまして、これに対する対策を考えていく、このきょう、あすの問題としての保安向上と、それからあした、あさってに対する保安の技術的解明と、この二本立ての技術開発によりまして、深部の保安確保ができるものと考えておるわけでございます。  以上、きわめて簡単でございますが、私の考えております深部移行に伴う保安問題の解決、そういう立場から考えておりますことを申し上げました。(拍手)

田代文久日本共産党・革新共同

○田代委員長 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。     —————————————

田代文久日本共産党・革新共同

○田代委員長 質疑の申し出があります。順次これを許します。篠田弘作君。

篠田弘作自由民主党

○篠田委員 きょうは、石炭鉱山の保安に関する問題につきまして、それぞれ参考人の御出席を願い、いま有吉、伊木、房村三先生の保安に関する御意見を伺いました。  石炭炭鉱に関する限り最近、労使の協調とかあるいは関係者の非常な努力また技術的な改善等によりまして、非常に災害が減っておる。その減少の状態もまた、日本始まって以来の良好な成績であるというお話を聞きました。また、問題点も指摘されました。石炭関係者の、重大災害は今後絶対に起こさないという努力が必要であるという決意も示されました。私は実は大変恐縮ですが、この保安の問題は諸先生のお話によりまして大体了解をしたのでありますが、保安の問題をちょっと外れておりますけれども、有吉石炭協会会長に御質問したいと思います。  エネルギー革命以来、石炭産業は、数々の国の施策やあるいはまた需要家あるいは関係者の協力によりまして努力をしたにもかかわらず、非常な縮小の一途をたどって、そうしてこの十数年まことに希望のないトンネルの中で、赤字に悩みながら苦闘してきたことは言うまでもありません。昭和三十六年に炭鉱数は五百七十四、出炭は五千五百万トン、人員は二十一万二千人であったものが、昭和四十八年度には炭鉱数三十七、出炭二千九十万トン、トン当たりの赤字は各社平均して千数百円と聞いております。昭和四十八年十月の石油危機によって、エネルギー資源の大部分を海外に依存しておるわが国のエネルギー供給構造の脆弱さを暴露し、このような背景の中で、国産エネルギー資源である石炭が見直されてきたということは事実でありますけれども、具体的にどういうふうに見直されてきたのかということになりますと、はっきりしないわけであります。そうしてその安定供給の確保のために新しい石炭政策が打ち立てられつつありますけれども、石炭業界としまして、この新しい石炭政策というものに満足しておられるのかどうか、あるいは満足されないとするならば、何か新しい具体的な要望をお持ちであるのかどうかということを私は聞きたいのであります。見直すという言葉はわれわれも使っております。最近、石炭は非常に見直されてきたと言っている。しかし、具体的にどういうふうに見直されてきたかということになりますと、これは一曹では言えないし、本当に見直されてきたのかどうかということも、確信をもって述べることは私はできないと思います。  それでまずお伺いしたいのは、新しい御要望をお持ちであったならば、この見直しの石炭政策をつくっている最中に、何か当局に対して御注文を出されたかどうかということが一つと、それが出されていないとするならば、いまの私の言う、もう一遍申しますと、具体的にどう見直されてきたのか。政府あるいは審議会のつくっておる石炭政策に御満足であるのかないのか、満足でないとするならば、新しい御要望をお持ちなのかどうか、これをひとつ簡単にお話を願いまして、その結果によっては、また、通産当局にも質問したいと思います。

有吉新吾日本石炭協会会長

○有吉参考人 私ども、ただいまの石炭鉱業審議会におきまして近く答申を見ることになっております石炭の新政策につきまして、もうことしの初めごろに、業界としての希望と申しますか意見をまとめまして、関係のところにはお願いをいたしておるわけでございます。  それで、私どもの希望というのを一口に申しますと、私どもの根本の考え方は、やはり生産を担当するのは私企業体制でいきたい、それが一番いい、こういう考え方を持っております。したがいまして、二千万トンというものをどうしても維持するということであれば、その生産を担っておる石炭企業がとにかく成り立つようにしてもらわぬことには、生産は維持できないわけでございます。従来の第五次に至ります石炭政策は、多少のニュアンスの違いはございますけれども、その根底におきましては、まあやはりある程度つぶれていっても仕方がない、あるいは、これだけのことはしてやるから、それでいかぬものは自決をしろといったような、そういう方向の政策であった、基調であったがゆえに、生産の母体である企業がペイしなければならぬというようなことについては、数次にわたる政策に一言も触れられていないのであります。そこが私は一番お考えいただきたい。その二千万トンを維持するならば、それを担当する企業がペイするようにしてほしいのだ、私ども、これで利益を上げようとか、そういうとても望み得ないことは考えておりませんけれども、とにかく回っていくようにしてもらいたいのだということ、一言で言えばそれに尽きるわけであります。  それで従来の実情を申し上げますと、石炭鉱業審議会というりっぱな機構がございまして、十一にわたる部会があり、そこでいろいろな問題が論議をされるわけであります。石炭の値段は法律によって国が決める、こういうことになっておるのでありますが、私どもの石炭企業が何で運営されるかといいますと、炭価収入、石炭の値段でございますね、それと国の補助金、その両方なのです。ところが従来の石炭行政と申しますか、やり方、審議会を中心にしたやり方というものは、非常に失礼な言い分でございますが、無責任の一語に尽きる、こう思うのであります。と申しますのは、需要家の方に、どうしてもこれだけ値段を上げてもらわぬことにはやっていけない、こういう申し入れをいたしますと、需要家としては、そんな高い石炭は買えないのだ、こういうふうなことになり、役所の方に持ってまいりますと、予算というのは決まっているので、それ以上の補助金は出せないのだ、こういったいわばキャッチボールの投げ合いみたいなかっこうでございまして、結局、私どもは百ないとやっていけないというのに、六十というような答案が、通産当局で原案ができまして、それが審議会にかかって、やあやあということで終わったのが、本当のところを申しまして従来の経過でございます。  そこで、私どもがいま真剣にお願いをいたしておりますのは、私どもに悪いところがあれば、石炭業界、やはりこういう点をやるべきではないか、これはもう大いにおっしゃっていただいて結構でございますし、私どももそのつもりでおりますが、需要業界と国の二つからの収入によって成り立っておるわけでございますので、その責任を回避せずに、非常にむちゃくちゃな炭鉱は、もうこんなのは維持はできない、こういう結論が出てもそれは仕方がないと私は思うのでありますが、しかし、ここまでを維持しようというのであれば、石炭業界の努力を促すという、それは当然のことといたしまして、しからば炭価はここまで上げよう、あとの残りはひとつ補助金でやってもらおうとか、いかにして企業がペイするかということをぜひ考えてもらいたい。それには、従来のような審議会というりっぱな機構はありましても、事実はそういうことになっておる。したがって、需要家と国と私どもが共同の土俵で話し合うようなものをつくっていただきたいというのが、私どもの希望であります。そこで、こういう限界的なものはもう死んでも仕方がない、閉山しても仕方がないという結論が出れば出たで、これは仕方がありませんけれども、少なくもこれだけは残していこうということであるならば、ペイするような措置を、みんなが寄り集まって、責任のある維持対策というものを、ひとつ考えていただきたい、こういうことでございます。  それからもう一つ。現在、生産を担当いたしております各企業というのは、自然条件というものに大きく基づく面もありますが、企業格差というのが非常に開いておるわけでございまして、トン当たりの収支につきましても、一番悪いところといいところではやはり千円ぐらいの開きがあるとか、こういう企業格差というものが非常に大きいわけでございますので、実は私どもも国の補助、助成でございますか、こういったものを格差配分をする、従来は平等というのがたてまえでございますが、そういうことはやむを得ないのではないか、こういう考え方に実は踏み切っております。そういうふうなことをしてでも炭鉱をやっていけるように、こういうお願いをしているわけであります。  それで、いろいろお願いをしてきたのでありますが、そのための具体的な機構といたしまして、こういう考え方の機構をひとつつくったらどうだろう、そういう具体案も添えましてお願いをしておるわけでありますが、現実にはやはり石炭鉱業審議会というものを中心にやっていくか、これを全部御破算にして、全然新たな立場でひとつ物を考えていくかというのがいろいろ議論になりまして、現在におきましては、石炭鉱業審議会というものを、従来のような運営の仕方でなしに、私の言うような目的に沿ったように運用をしていく、そういうふうに改組し、運営を改めていくということによって、業界の言うような目的を達したらどうだろう、こういうふうなことで、いま答申の原案というものがつくられつつあるというのが現状でございます。  そういう審議会方式というようなもので目的が達せられるかどうかということにつきまして、いまだに私どもははなはだ危惧の念があるわけでございますけれども、法体制と申しますか、法制的に根本的にひっくり返らなければならぬということで、非常にむずかしいということであれば、それも仕方がない、こういうふうに思いますけれども、そういう法的なものでなくても、需要業界と私どもと国とが入った常設の懇談の場というものをぜひひとつつくっていただきまして十分な意思の疎通を図り、問題をそこで一遍消化いたしまして、消化したその上で、三つ、四つに分かれております審議会の各部会でございますか、そういうところに出していく、こういうことをお願いをしておるわけでありますが、いや、審議会があるから、そういうものは余り要らないのではないか、そういう意見が相当強うございまして、せめてそういうものをひとつつくっていただきたい、私どもはこういうふうな考えでおります。

篠田弘作自由民主党

○篠田委員 わかりました。  これはなかなか重大な御発言ですから、もう一遍、念を押しますが、原則として私企業でやっていきたい。第二は、私企業でやる以上は企業が成り立つようにしてもらいたい。第三には、二千万トンなら二千万トンでペイをするようにしてもらいたい。第四には、審議会というウルトラ的な構造がある。需要家が高くて買えないと言えば、生産者がどんなに困っていても、その間に立って責任を持たないで、キャッチボール、投げ合いのような状態をやっている、こうでございますね。そこで、自分たちとしても悪いところがあれば大いに改めるけれども、企業との間に立って、審議会に責任を持ってもらいたいということですね。

有吉新吾日本石炭協会会長

○有吉参考人 現在では、審議会を改組し、運用を改めるということで原案ができつつありますが、それはいろいろなことから言って仕方がないだろうと思っております。思っておりますが、さっき申しましたような心配がいささかございますので、そのほかに、法律的な裏づけができなくても、事実上の常設的な懇談会というものをひとつ設けて、そこで一遍消化してもらいたい、こういうのでございます。

田代文久日本共産党・革新共同

○田代委員長 ちょっと篠田君、委員長を通してひとつ発言してください。速記の都合がございますから、委員長に発言を求めてあれしていただきたいと思います。

篠田弘作自由民主党

○篠田委員 わかりました。どうも大変失礼いたしました。

田代文久日本共産党・革新共同

○田代委員長 もう一つは、きょうは保安問題を中心にやっておりますので、できるだけ簡潔に、あなたのお立場はよくわかりますけれども、ひとつお願いします。

篠田弘作自由民主党

○篠田委員 さっき申し上げたように、保安の問題で会議が開かれていることはわかっておりますけれども、保安の問題について私は一応あれして、問題は、保安の問題はもちろん重要ですけれども、さっき申しましたように、石炭を見直したと言っているけれども、実際的にはどこで見直したのかということがわからないのです。  それからもう一つは、政府でつくっている案も、審議会の意見が中心であって、その審議会の何といいますか権威というものに対して、業界あるいはまたわれわれも非常に疑問を持っているわけです。ところがそういう答えが出てきましたから……。  これでおしまいにしますけれども、これは重大な問題ですから、この委員会ですぐは決まらないことは知っておりますけれども、こういう問題が一面にあるということ、戦後五回審議会が開かれておりまして、第一回は千二百円のコストダウン、それから四回やりましたけれども、いつでも手おくれ、手おくれになって、審議会の結論が出たときにはもう事態が進んでしまっておるのだ。そういうような状態で、審議会オンリーというか、審議会を最高の権威であるとして、その言うことを政府も国会も何でもかんでも黙って聞いて、いままでやってきて、実は失敗しておると私は思うのです。えらい人はいるかもしれぬけれども、実際に石炭を自分でたいたり、掘ったり、石炭の山に住んだりした人は一人もいないのです。そういう人たちを審議会の委員にして、その言うとおりに聞いてきたということが、私は自民党員ですから自分たちの政府ではあるけれども、こういうことは私は非常に不満なのです。  そこで、ちょうど参考人からも述べられましたから、法律によってできておる審議会をすぐ変えることができるかどうかは知らぬけれども、しかし、こんな状態では日本の石炭問題を改善できないのではないですか。キャッチボールというけれども、全くキャッチボールですよ、戦後五回やっておりますが。そして千二百円のコストダウンから始めまして、炭鉱を弱らしてしまって、今度は栄養注射を少しばかりしたからといって、もとのとおりにはならない。私はこの委員会にも十五年もいますけれども、常にそういう疑問を持っていたわけです。きょうは議論しようとは私は一つも思いません。思いませんけれども、そういう不満が協会の方にあるとすれば、やはり委員長において正式に取り上げられまして、石炭問題に対して一番権威を持っておるのは審議会ですから、審議会の存在というものが妥当であるかないかということを、一遍石炭特別委員会でやっていただけば、私はきょうは別に紛糾はさせませんから。  どうもありがとうございました。

田代文久日本共産党・革新共同

○田代委員長 多賀谷真稔君。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 先輩の篠田さんがおっしゃいましたが、本委員会のルールと違った発言をされると、長い間理事会で議事の段取りをしておる者は非常に困るわけです。でありますから、それは自民党の方でひとつよくお話を願いたい、かように思うわけです。しかし、内容についてわれわれは一つも異議を言うわけではありません。まさに時宜に適した話ではないかと思いますけれども、きょうは保安についてということでありますから、そういう点は守っていただきたい、こういうふうに思います。  ただ、いまのに関連してちょっと言いますと、私は有吉さんにもう一回来ていただいて、関係者から意見を聞いてみたい、かように思いますが、それは審議会の十二日の会議が終わった後にするかどうかというのは、また理事会で話をしてみたい。ただお話の中に、需要業界と石炭業界と土俵をつくってくれというお話がありました。いままでの答申は、答申の中にはっきり書いてあるように、われわれはそれは反対でしたけれども、要するに石油に対して石炭はもう決定的に敗れた、だから政府が出す条件はこれだけである、この条件に従わないものはみずから出処進退を決すべきである、こういうきつい答申であったわけです。その答申が、私どもは非常に反対でありましたけれども、今日まで貫かれた。私どもは率直に言いますと、石炭業界と需要業界を同じ土俵に置いておくと、石炭業界は押しまくられてとてもだめだろう。だから審議会という場をかりて、ひとつ意見を交わした方がむしろいいのではないか。需要業界と石炭業界を同じ土俵に置いたら、それはとても石炭業界は問題にされぬぞというのが、率直に言いますと、いままでのわれわれの気持ちだったわけです。きょうは初めて、いやおれも力がついたのだ、時代も変わったのだと、こうおっしゃるならば、それはそれでいいのですけれども、われわれはそういう考え方でいままできたわけです。これはひとつまた後から、篠田さんからもお話がありましたから、やっていただきたいと思います。

篠田弘作自由民主党

○篠田委員 私にも発言を許してください。おかしいじゃないですか。私が言ったことはちゃんと謝ってやっているのに、委員長が承知したことを、理事会で決めた以外のことをしゃべることは慎んでくれというのはおかしいではないですか。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 そういうことを言っているのじゃないですよ。内容はいいから、今度は場を設けてくれということを委員長に動議を出しているのですよ。

田代文久日本共産党・革新共同

○田代委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕

田代文久日本共産党・革新共同

○田代委員長 速記を始めて。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 それで実は、きょう共通に出されました問題は、やはり深部移行についての保安の困難な問題が出されました。それは一つは技術的な問題も出されましたが、しかし、技術的な問題と関連をして、むしろ経済的な問題であるという指摘がございました。  そこで技術的な問題は、きょうは実は午前中労働組合の方から、保安技術についての研究を統一して積極的にやってもらいたいという問題が一つ提起をされたわけです。それから経済的な問題は、骨格坑道を中心とするそういう掘進費あるいはその他の機器の費用の増大の問題が起こると私は思うのです。これをどうするかという問題。それから法規的な問題が指摘をされました。保安法、規則ができてから相当になるし、しかも深部移行に伴いまして、その基準とか法規というものをもう一回再検討する必要があるのではないかという三つの問題が提起をされたわけであります。  具体的にお聞かせ願いたいと思いますが、具体的に機構的にはどういうように技術開発についてはお考えになっておるのか。これは学者先生の方からお聞かせを願いたい。それから経済的な問題につきましては、ひとつ有吉会長の方から。かなり技術的には進んでおるけれども、経済的な問題が解決しないから、なかなか困難だという話がありましたから、これは学者の先生がおっしゃいましたけれども、協会長としてはどういうようにお考えであるか。具体的にお聞かせ願いたい。  それから法規問題については、きょうはちょっと温度の話が出ました。それで従来の基準よりも、もう少し下げてもらわなければ、三十七度という基準になっておるけれども、これでは快適な作業場として考えられないという、温度の問題がございました。ですから、これをどういうようにお考えであるか、あるいはまた、法規的な問題についてその他問題点がありましたら、御指摘を願いたい、こういうように思います。以上です。

伊木正二東京大学名誉教授

○伊木参考人 それでは私から意見を申し上げます。  深部開発につきましては、先ほど房村参考人から具体的に、いろいろな問題があることを述べられましたけれども、これらの問題につきまして、現在やっておりますのは、主として監督局が中心になりあるいは石炭技術研究所が中心になってやっております。しかしその深部開発の諸問題については、これは個々の山で非常に問題が違いますので、結局は個々の山の関係が非常に強くなりますので、個々の山の仕事としてやらざるを得ないかと思います。それをお互いが持ち寄って、監督局なりあるいは技研が中心になって、お互いの意見を交換しながらやっていくようにすべきではないかというふうに考えております。  以上でございます。

房村信雄早稲田大学理工学部教授

○房村参考人 深部開発の技術問題につきましては、ただいま伊木参考人からお話のありましたとおりでございます。私といたしましては、ただいま立地公害局の中に設けられました深部開発の保安問題の検討会の一応束ねをいたしておりまして、諸外国の文献を参考にするとともに、日本のいままでの深部開発の状況、今後のあり方につきまして、しばしば会合を催しております。しかしながら私どものいたしておりますのは、ただいま申し上げましたようなどちらかと申しますと机の上の研究でございます。本当の研究は現場におきまして個々の山の問題として取り上げられておりますので、その現地研究会等におきましていろいろ各関係者からの意見交換を行っております。現状といたしましては、諸外国でいろいろ進んでおりますが、先ほど一般のお話で申し上げましたとおり、日本の地熱条件は諸外国に比べまして非常に悪いと申しますか、深さとともに温度の上昇が激しいわけでございます。そのために大きな問題がございますので、今後この検討会はさらに進めてまいりたいと思っておるわけでございます。  そこで、この研究の統一という点でございますが、現在は研究の方法といたしましては、先ほどお話のございました石炭技術研究所がございまして、この機構等につきましては諸先生すでに御承知のとおりと思いますが、国の補助並びに業界からの出資によりまして、当面必要な問題の検討を行っております。そのほかに公害資源研究所で従来から各種の研究をやっておりまして、この公害資源研究所と石炭技術研究所とは、必要に応じまして研究員の交流を行って検討をやっておりますが、一応は二本立てになっておるわけでございます。  なお、石炭技術研究所の研究も、これは研究所という機構上は枠の中でございますが、実際には現地の山で問題と取り組んでいるわけでございます。したがいまして機構は幾つにもなっておるようでございますが、個々の非常に特殊性のある問題につきましては、やはりそれぞれの現場で問題解決を図るというので、一応現状の段階でもかなり進む可能性があると考えております。ただ私ども研究者の立場として、余り金のことを言うのはおかしいわけでございますが、非常に問題がむずかしい、そしていろいろなケースについて検討するということになりますと、中途半端な研究では本当に生きてまいりませんので、そういう意味ではやはり思い切った研究投資が必要であろう、このように考えております。したがいまして、これも研究の機構の問題ではなく、やはり研究費の問題に還元されるのではないか、このように考えております。  以上でございます。

有吉新吾日本石炭協会会長

○有吉参考人 先ほど房村先生から、深部移行に伴いまして量的なものと質的なものというお話がございました。量的なもの、たとえば温度とか距離とか、こういう問題でございますが、これはいま金がないから、そういう対策を構じない、こういうことは石炭企業といたしましては、ちょっとあり得ないと思います。深部移行に伴う温度対策とか、こういったものを当然考えなければ、労働力もとても集まりませんし、能率も上がらない、こういうことでございますので、その辺はひとつ誤解のないようにお願いをしたいと思います。その結果といたしまして——結果と言うとおかしいのでございますが、そういうものも含めまして、現在トン当たり千七、八百円の赤字になっておる、こういうふうなことでございます。  それからもう一つ質的な、山はねとか突出とか盤圧の問題とか自然発火の問題、これにつきましては、おっしゃるようにもうちょっと石炭の経営が順調にいくならば、相当の金を出して本格的に取り組みたいと思っておる共通の問題点はたくさんあるのでございます。それで、石炭技術研究所という機構を持っておりまして、ここでは先ほどお話しのように、実際の研究というのは各社の各現場で行っておるというようなことでございまして、そうでなければ、机上でいろいろやってもだめだと思うのであります。ただ、これにつきましては、やはり相当の金が要ることになるだろうと思うのでございますが、私どもはやはりそういうふうなものもひっくるめまして、何とか石炭産業が回っていくようにしてもらいたい、こういうふうな希望を持っておるわけでございます。  なお、これはよけいなことを言うようでございますが、今度の新政策の中にも、石炭の利用技術の研究というのが、たとえばガス化とか液化という問題でございますが、取り上げられております。現在、技研でもそういうものを一つのテーマにしておりますが、これは業界の強い要望もありまして、政府の委託研究ということになって、技研そのものの金を食うということではないのでございますけれども、私どもは、技研というものは炭鉱の生産を維持するために必要な技術を中心にやっていくべきであって、ガス化とか液化とか、そういうものは工業技術院とかサンシャイン計画とかありまして、そっちでやっているのですから、その辺はひとつはっきりした方がいいのではないか、こういうふうに思っております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 保安機器の問題でございますけれども、保安機器というのは、需要家が少なくなりますとコストが非常に高くなります。それで、日本のように縮小された市場でございますと、がなかなか困難ではないかと思うのですけれども、それだけに補助金、助成金等が必要であろうと思うのですが、この保安機器の輸出というものはひとつ考えられないものかどうか。これは炭鉱技術の輸出という問題も関連してでありますが、保安機器が日本で非常に開発され、それが外国の坑内掘りのところに出ていける、そういうようなものは考えられないものかどうか、それからまたそういう実例はないのかどうか。そうなれば国として相当の補助金を出して、そうしてそういう開発に、国内ではペイしないけれども、海外の市場を考えればペイするのだというぐらいの助成をしてもいいのではないか、こういうように思いますが、だんだん、だんだん市場が狭くなりますと、保安機器というものの開発がなかなかむずかしくなっていく、こういう点も考えられますので、あわせて、どなたからでも結構ですけれども、そういう実例があるのかどうか、あるいはそういうものが考えられないのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。

房村信雄早稲田大学理工学部教授

○房村参考人 ただいまの御質問でございます炭鉱保安、あるいは保安を含めませんでも炭鉱用機器の輸出並びに開発という問題でございますが、この一番よい例といたしましては、日本でもっぱらメタンガスの測定に使っておりますいわゆる干渉計でございますが、これはほとんど世界各国の石炭を産出する国で使われております。数につきましては詳しいことは存じませんが、私どもの知っている限りでは三十数カ国に出ているというふうに伺っております。外国の某国におきましては、ほとんどそれとそっくりの機械をみずからつくって、お使いになっている国もございまして、現に私はそれを見てまいりました。このようなわけで、日本でつくりました保安機器を諸外国に輸出し、また広い意味の世界の炭鉱保安に貢献する余地は十分あると存じておるわけでございます。  また、ごく最近でございますが、一酸化炭素自己救命器でございますが、これを東南アジアの産炭国が輸入いたして、労働者に使わせたいという要望を伺っております。このようなわけで、日本といたしましても今後積極的にこの保安機器を海外に輸出する、そういうような一つの大きな目標を立てまして努力すれば、十分可能性があると考えております。  ただ、この保安用機器につきましては、世界で二つの大きな流れがございまして、アメリカのMSAとドイツのドレーゲルという二つの巨大産業がございまして、これが西欧はもちろん、日本にも進出しておるわけでございます。このような西欧の大きな二つの流れに対抗して、日本の保安機器を海外に出すというのは、やはり並み並みならぬ努力が必要かと思うわけでございます。しかし、すべてのものについてはできませんが、特定のもので、特に日本のエレクトロニクス等を利用したものにつきましては、今後大いに進出する可能性があると考えております。  なお、この炭鉱用の保安機器につきましては、確かに日本国内の需要は少のうございます。機械が幾らよくても数が少ないということになりますと、そのメーカーはつくりません。特に保安用機器等につきましては、日本のメーカーはきわめて小さな中小企業でございます。そのような点から申しましても、これはもう少し何か別の政策面からの御援助をいただきませんと、中小企業といたしましては海外へ輸出するというような気構えになりません。私はたまたまその方面に若干関係しておりますので、個々に話をしまして、外に目を向けるようには努力しておりますが、今後ともその点で御指導いただきたいと思っております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 いずれ石炭鉱業全体のあり方については、また参考人として来ていただく機会もあると思います。それから、いまの深部移行に伴う保安の問題については、恐らく役所の方はプロジェクトか何かをつくって研究を進められておると思いますので、これは後日役所の方に意見を聞きたい、かように思っております。

伊木正二東京大学名誉教授

○伊木参考人 先ほど私、石炭鉱山保安規則を深部開発に伴って見直ししたらどうかという御意見を申し上げたわけでございますが、温度の三十七度Cが高過ぎるのではないかというお話でございます。この点につきましては、中央鉱山保安協議会にも前々から御意見がございまして、温度が高過ぎるので、もっと低く決めたらどうかという御意見がございました。保安規則の改定をしたらどうだという御意見が強く出ております。この点については労働科学研究所にお願いしまして、適正な温度といいますか、上限になる温度は一体どれぐらいかということをいろいろと研究していただいたわけでございますが、いろいろな条件、個人の体質その他の関係から三十七度は高いということではございますが、まだどの程度の温度がいいということには結論が出ておりません。それで、この三十七度Cというのが決められたのが、この保安規則のできます前の鉱業警察規則の中に、温泉地帯等が含まれておって、主として常磐だろうと思いますが、そのために三十七度というものがあって、そのまま保安規則の中に移ったわけでございまして、三十七度Cというのはいかにも高いという感じは私もしております。  ただ、先ほど申し上げましたように、こういう規則を緩和するということ、あるいは見方によっては緩和するということになるかもしれませんが、ある意味では強めるということになるかもしれません。これには、やはり本当の技術的な根拠がなければ、動かしましても、またすぐ問題になるかと思います。そこでいま保安協議会の中では、三十七度Cということにつきましては確かに高いので、この温度のいかんについては、労使の間でそれぞれ協議の上、何度というものでなしに、できるだけ作業環境のいい状態に持っていくように努力をしていただきたいというふうに申し上げておるわけでございます。北海道と九州では恐らく感覚が違うと思います。その辺で温度の方はまだそのままになっております。  それからほかの問題で規則を改正したらというか、見直したらどうかと申し上げましたのは、一つは通気の問題でございまして、現在日本の石炭鉱山の保安規則では、ガスの多い山では切り羽の下向き通気というのは禁止されております。上向き通気でなければいけないということになっておりますが、ヨーロッパのドイツ、ソ連等ではほとんど下向き通気を行っております。そこで、これは私個人の考えでございますが、通気の方向はどちらであっても構わないではないかという考えを持っております。むしろ下向き通気にしますと、下向き通気のいい点は、運搬の方向に風が流れます。運搬はどうしても下になる、そのために酸化熱等がそちらに運ばれる、排気の方に回るものですから、むしろいいのではないかという御意見もあるようでございます。ドイツ、ソ連あたりはそういうことから始まっているようでございますが、それでまあ私の個人の考えでは、保安規則の上ではこれはどちらでもいいことにして、ガスの面で十分に抑えていけば問題はないのではないかという気がいたしております。それで保安規則を点検し直していただいたらどうだろうかというのが一つの考え方であります。  もう一つは、保安規則の中に法定係員がございます。非常にたくさんの種類がありまして、ちょっと覚え切れないぐらいございますが、この法定係員も、二十四年に制定されました当時から、ふえこそすれ一つも整理されておりませんので、もう少し整理をして簡略にしてもいいのではないかという感じも持っております。  そこで、先ほど申し上げましたように、強化あるいは緩和という両方のことを含めて、保安規則の改定を考えていただいたらどうだろうかというふうに申し上げた次第でございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 これで質問を終わります。

田代文久日本共産党・革新共同

○田代委員長 多田光雄君。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田委員 どうも御三方、御苦労さまです。  最初に有吉参考人にお伺いしたいのですが、たしか一昨年でしたか、やはり業界の方に参考人として来ていただきまして、そのときは大変石炭産業が下火のときでして、協会の会長さんも私企業だけではどうかなと、むしろ別なことをと、この場で言われたことがあるのですね。きょうお伺いしますと、私企業でやらしていただきたい、こういうことを第一に要望として出されておる。ずいぶんこの二、三年の間に石炭に対するいろいろな状況も変わったという印象を受けたのです。  それからもう一つは、ぜひペイさせる企業にしてもらいたいという御意見もあるし、これも私どもとしてはごもっともな意見だというふうに思うのですが、ただ問題は、きょうは保安の問題で、ペイできなければ保安が守れないのかという問題なのですね。確かに、企業である以上はやはりぺイが何といっても大きな問題であることは、私は少しも疑いません。しかしながら、ペイされた時代も炭鉱の災害というのは最高であったわけですね。これは何も日本だけではなくて、午前の参考人の方にもちょっと申し上げたのですが、やはり炭鉱災害は海外でも多い。それから日本の場合は、確かに戦前、戦時中に比べて災害率はかなり減ってきてはおります。それはそれとして、私は一定の関係者の努力によるものと思いますが、他産業に比べればこれはもう問題にならないくらい高い。問題はやはり、どうやってこの災害をなくするかということが一番問題なのですね。その意味でどうなのでしょうね。有吉参考人は、これはペイしなければ保安の問題はやらないというふうなお言葉は使っておりませんけれども、これは炭鉱だけではございませんが、特にペイしなければ、保安の問題に真剣に取り組まれないのか。私はどうも逆なように思うのですね。つまり保安の問題を大事にしてこそ、本当に石炭産業はペイができるのだという、そういう高い姿勢が私はいま望まれておるのではないかというふうに思うのですが、やや抽象的な質問で恐縮ですけれども、お答えを願いたいと思うのです。

有吉新吾日本石炭協会会長

○有吉参考人 現在の経営者で、生産のために保安を犠牲にしてなどという考え方をしている人は一人もいないと思いますね。それともう一つは、先ほど先生方からおっしゃいました、まだ技術的に解明されていないというそういう問題、そういうふうなものにつきまして、万全を期してやっておるつもりではありますけれども、なおかつ、意図的ではなしにそういうものがやはりある、これは大いに反省しなければならぬ、二重にも三重にも安全度を見てやるべきだという心構えでやっておりますが、経済性のため、金がないからやらないのだということは、これはもうおよそ、いまそういう考え方をするというような人はいないと思いますね。これはひとつお信じを願いたいと思っております。それと、いわゆる保安と生産というものは、もう生産即保安の維持だろうと思うのであります。私はそういうふうに考えております。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田委員 次に、伊木参考人、房村参考人どちらでもよろしいのですが、まあ午前中から午後にかけて、やはり深部の問題が一番大きな問題になりました。しかし、保安を考える場合には、私はやはり時の石炭政策を抜きにしては考えられないというふうに思いますし、それからもう一つは労働条件ですね。たとえば労働者の疲労度、それから労働時間の長短の問題、あるいは深夜作業の問題、あるいは作業密度の問題、それから能率給なんかを中心とする賃金体系との関係の問題あるいは生活条件、それから労働者個人のいろいろな私生活の問題も、これは当然絡んでまいりますけれども、いずれもこういう問題を抜きにして、保安の問題の抜本的な改善というのは、とりわけああいう地下産業の場合は、なかなかむずかしい。  そこで石炭政策の場合ですが、深部、深部といくということは、これは先ほど来御承知のとおりですね。これは鉄鋼用の原料炭がやはり中心になってくるということだと思うのですね。私はどうも、ここにいまの石炭産業の跛行性があると思うのです。いまエネルギーの問題が言われておりますが、エネルギーの電力用というよりは、ある意味ではむしろもう鉄鋼用といった方がいいし、石炭企業さんも、どうも鉄鋼の方にいままでずいぶん御遠慮されているという面も私はあったと思うのですね。そういう意味では、これは保安だけの側面から考えられませんけれども、一般炭をもっと重視するということが非常に大事だということを、先ほどもおっしゃられたのですが、この一般炭の見通しの問題ですね、政府だけで六十億トンぐらい買っているというのですが、これはどうでしょう、これはちょっと保安とかけ離れますけれども、両先生の御意見を伺いたいと思うのです。

伊木正二東京大学名誉教授

○伊木参考人 ちょっと個人的な意見で申しわけございません。  確かに、保安の確保のためにいわゆる石炭政策の中でも生産関係のこと等が大きく影響することは当然でございます。たとえば石炭を生産するのに対しまして、それは山では所長以下係員から労働者の方々まで、将来の明るさがあれば、それだけ活気があって、またいろいろな仕事にも励みが出てくると思います。その点で、石炭政策がいままでのような先細りのような感じの時代には、どうしても全体としてそういう沈滞した空気があったために、どこか手抜かりが出てくる可能性も強かったわけでございます。今度、見直しということで、先ほど来いろいろ御意見がございましたが、いまいろいろ審議会の方で検討されておりますが、その前に昨年来、見直しということで、非常に山の方も明るさを取り戻してきたわけでございます。  ただ、いまお話のありましたように、いままでが原料炭中心の状況でございましたので、ここですぐ電力用炭に重点を持っていこうということもなかなかむずかしいかと思います。たとえば山によりましては、確かにいままで電力用炭になる一般炭の炭層はできるだけ避けて、原料炭の炭層だけを採掘してきたところもございます。したがって、一般炭は残っているといえば残っているわけでございます。しかし、一たん坑道を開削し、ある炭層を掘ってしまいますと、その後に残された一般炭の炭層は非常に掘りにくくなりますし、また、掘るにしても非常にコストがかかってくるかと思います。現在、たしか電力用炭として、いまの二千万トンのうちの約半分が一般炭でございますが、そのうち八百万トンぐらいが電力用炭になっているのではないかと思いますが、将来、それでは電力用炭としてどれぐらい見通しがあるかということかと思います。国内の石炭を仮に原料炭に構わずということであれば、二千万トン全部電力用炭にもできるのではないかとは思います。しかし今度は、これは電力の方の発電所の需要がどうなるかということに大いに関係がありますので、やはり一歩進んで発電所の建設といいますか、石炭を使う火力発電所を何とかやはり実現する方向でいっていただいて、そしてその中にはできるだけ国内の石炭を使う。ただし、足りない分は外国炭で補うという政策でいかざるを得ないかと思います。また、外国炭にばかり頼りますと、果たして持ってきた場合に、持ってくる船の問題もありましょうし、外国から運んできた石炭を貯炭する場所の問題も非常に制限されるかと思いますので、やはり国内炭をある程度重点にしながら、外国炭をそれに補う姿勢で進めていくべきではないかというふうに考えております。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田委員 それからいま一つ伺いたいのですが、仮に一歩下がって二千万トンということにしましても、この委員会でも問題になっているのですが、労働力の確保の問題、それから、深部、深部と入る保安の問題ですね。確かにいま若年労働者も若干来るようになったといいますけれども、私はどうも炭鉱にビジョンを持ってきたのではないのではないか、不況のもとで来るのが相当あるのではないかというように考えられるわけですね。これは本当のビジョンというものを持つためには、やはり労働条件とあわせて保安の問題というのが非常に大事な問題だと思います。そういう意味でどうでしょうか、先ほどちょっと職組の方にも聞きましたが、非常に技術者が足りなくなってきているということなのです、これは保安を含めまして。そこで、現在の大学の研究状況から言って、今後の石炭を仮に最低二千万トンにしても、もっと増産をしていくという場合に、いまの研究体制で足りるのかどうなのか。それから、もし足りないとすれば、せめて国がどういうふうな措置をとるべきなのか、これをひとつお伺いしたいと思います。  それから、これは有吉参考人にお伺いしたいのですが、石炭がつぶれる中で、炭鉱の養成所あるいは学校がほとんどなくなって、いま、たしか九州のどこか松島でございましたか、一校というふうに伺っておりますが、私は、本当に石炭産業の過去十数年の経過を見るならば、石炭企業としても一定の積極的な力をいま出す必要があるのではないか。確かに経営的ないろいろな問題があることは、私は重々承知しております。しかしながら、石炭がつぶれたというのは、これはユーザーやあるいは国だけの責任ではございませんので、そういう意味では、企業も本腰を入れてそういう体制に入るということも、私は大事な問題ではないかと思いますが、これをひとつお伺いしたいのです。

伊木正二東京大学名誉教授

○伊木参考人 最初に私から、大学の関係のことをちょっとお話し申し上げます。  御承知と思いますが、日本には全国で十三の大学にもと鉱山学科というのがございまして、それが石炭産業の不況のころから、学科名を資源工学科あるいは資源開発工学科という学科名に変えてまいりました。定員は全国でたしか、ちょっと数字は少し違うかもしれませんが、二、三年前の集計では三百七十二人でございます。そういう資源工学科に名前を変えて、内容も各大学とも従来の鉱山学科から建設関係あるいは鉱物処理関係という方向に手を広げたのが実情でございます。そのために、三百五十名以上の卒業生が出ましても、何とか就職はしておるわけでございます。しかし実際に、きょうここは石炭関係のことでございますので、炭鉱だけで申しますと、年に数名ないし多くて十名ぐらいの就職者がいっておる程度でございます。最近この数年前にはほんの数名ということでございます。それから、金属鉱山等を含む鉱業を含めて、そのほか官庁に就職する者とか、資源に関係あるだろうと思うようなところにいく学生がおよそ百名ぐらいかと思います。それ以外は、全然関係ないとは言えませんけれども、多少違った方面にいってしまう者もおりまして、せいぜい百名ぐらいではないかという感じがしております。  それで大学では、おのおの数名ないし十名ぐらいの学生が鉱山関係にまいりますので、それらに対しまして保安の教育等をやっておるわけでございますが、各大学とも、定員が三十名のうち三分の一あるいは四分の一ぐらいしかいかないとなりますと、教官の方にもどうしてもその熱意が欠けるところがあるかと思います。したがって、どうしても教官の方も、鉱山でないほかの方に学生をやるための基礎教育というような面で、鉱山関係の基礎教育が幾らかおろそかになったことは事実だと思います。ただ最近、資源・エネルギーの問題がいろいろと叫ばれまして、どこでも学生の資源関係にまいります数がかなりふえてまいりました。ただ、いま申し上げたように各大学が数名の行に対していろいろと同じような教育をやっておりますので、そこにある意味のむだがあると言えばむだがあるかと思いますが、また、非常に大ぜいの中から、自分たち鉱業の方にくる学生を選ぶことができるという意味では、非常に喜ばれておる点もございます。また、非常に広い範囲の教育をしておりますので、それだけいろいろな方面で役に立つとも言われておりますので、この点はいままでにも何回か、鉱山系の学校の学生の教育問題ということでいろいろと検討しておりますが、もう少し続けて検討していきたいというふうに考えております。数の面では、現在の中からそういう鉱業関係にいくように学生が向いていけば問題はないかと思っております。  以上でございます。

有吉新吾日本石炭協会会長

○有吉参考人 先ほど多田先生のおっしゃいましたように、現在、企業内に工業高校を持っておりますのは九州の松島炭鉱だけになっております。従来各社とも持っておったのでありますが、どんどん希望者が減ってまいりまして、ほとんどいなくなってしまうというようなかっこうなものですから、事実上閉鎖せざるを得ない、こういうことになっております。  それで、いま伊木先生のお話にございますが、一つは、私ども非常に心配しておりますのは、学卒の技術者というのは後継者がないわけです。この辺がやはり非常に問題です。これが一つ。それから高校卒程度のいわゆる中級技術者と申しますか、この辺は、実は工業高校で資源工学的な学科を持っておりますのは十校あるそうでございまして、一学年大体四百人ぐらいの人がおるのだそうでございます。ところがこれがほとんど炭鉱にはこない。商社にいくとかそういうふうなかっこうでございますので、空気も少し変わってまいりましたし、まずは極力これを炭鉱に吸引することを考えたい、こう思っております。それから企業内に学校をつくりましても、職員につきましてもずいぶん合理化を進めてまいりまして、教職に充てる適当な人間と申しますか、この辺がなかなか割くのがむずかしいとか、こういう問題もございまして、すぐには、高校出の資源工学に学んでいるような人を炭鉱に吸引する、こういうことではなかろうかと考えております。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田委員 最後に一つですが、深部の問題で、先ほど房村先生の方から幾つか質的な問題ということで、第二の項目でお話をされたわけですが、机上研究というふうに言われるかもわかりませんが、その机上研究抜きにして解決はできないわけなので、そういうものの一定の見通しですね、これはどうなのですか。  それからいま一つ、これは有吉参考人にお伺いしたいのですが、私はこの問題というのは真剣に取り組まないと大変なことになるというふうに思うのです。特に北炭の新鉱の問題にしましても、まだいろいろ私どもも伺っておりますし、それから三井三池のたとえば高熱の問題にしましても、これはきょうは時間がございませんが、いろいろ私ども現場からも意見を聞いているわけなのですね。これは研究者の方々にも、それから企業側の方々にも、真剣に取り組んでもらわなければならないと思うのですが、そういう意味で具体的な見通し。それから現に北炭新鉱の方は進んでいっているわけですよ。そしていよいよ六月から営業出炭が始まる、そういう状況なのですね。そういう場合には一定の措置もとらなければならないということさえ考えられるわけです。そういう意味で研究の見通しの問題について伺いたいことと、これは有吉参考人に伺いたいのですが、企業側として研究上に不確定要素を持っているという場合に、それをただ机上のプランだ、机上の計画だというだけではなくて、真剣に企業側からもアプローチしていかなければならぬ問題だというふうに思うのですが、この点についての見通しといいますか、計画を伺っておきたいと思います。

房村信雄早稲田大学理工学部教授

○房村参考人 お答えいたします。  深部開発に伴う保安問題、特に質的な問題でございますが、これは先ほども申し上げましたように、質的なものの中にも二つあるというふうに考えられます。一つは現に当面しているきょう、あすの問題と、それからもう一つは将来さらに深くなった場合にどうなるかということでございますが、これは申し上げましたように技術というのは、予測ができなければ技術でないというふうに考えております。ただ、予測が正確であるためには、現在までの基本的な問題、その核心を突いた理論解明と申しますか、そのようなものが明らかになっておりませんと、本当の将来の理論的解明は不可能でございます。その点で若干問題があるということを申し上げたわけでございます。しかしながら、これは保安技術、鉱山学一般につきまして、主として経験に基づいておりますので、いままでに得ました経験の範囲内で、ある程度の予測は、仮に本質がわからなくても可能でございます。そのような意味で、できるだけ関係者の英知を集めまして予測をいたしまして、そのもとに、これから進むべきところを計画をいたしまして進んでおるわけでございます。  北炭新鉱のお話が出ましたが、新しい部位に入りますと非常に大きな問題があることは、すでに諸先生御承知のとおりでございまして、最初から相当に深く検討いたしましたが、その途中でやはり常識以上の、従来考えられております以上の、たとえばガスであるとか水であるとかが出てまいりましたが、これは技術としては当然、予測でございますので、ある程度当たることもあり、多少の外れはございますが、その外れが大きな事故に伝わらないように、これを手当ていたしまして、そのたびに修正いたしまして、より正しい理論的解明、そして将来のより正しい予測、推測の方に向かっていく、これが技術者としてとるべき手段であろうと考えております。そのような意味で関係者が努力しておりますので、もう絶対という言葉は簡単には使えませんが、現在のいろいろの一般的な予測技術、それにコンピューター技術を導入しまして、かなりの程度、予測とは申しながら正確に近い予測をいたしまして、そのもとに保安確保が進んでおるわけでございまして、このような技術開発の態度というのは、今後をさらにそのまま続けていくべきであるというふうに考えております。

有吉新吾日本石炭協会会長

○有吉参考人 深部開発の質的問題に関する研究でございますが、現在各大学、官庁の御指導のもとにできております深部開発委員会というものがございまして、そこに各企業から積極的に技術陣を参加させまして、一つは研究させておる、こういうのが現状でございます。  それからもう一つは、先ほどもちょっと出ました石炭技術研究所というのがございまして、話を端的に申しますと、やはりここが本来そういった各社に共通する基本的な問題と取り組むべきだろうと思うのでありますが、現実には結局やはり企業がペイしませんものですから、その技研の金を、そういう根底的な問題でなしに、たとえば自走支保の開発とか、あるいは急傾斜の採炭技術と申しますか、支保の研究とか、これも確かに採掘方法の研究として必要だと思うのでございますが、これは実のところ各現場、現場で、現場の自然条件に応じた研究をしていかなければならぬ、実用化していかなければならぬ問題でございますので、本当を言いますと私は、そういうふうなものは各企業がやったらいいのではないかというふうな考えをいたしておりますが、技研でそれをやりますと補助金がつくものですから、それを技研のテーマにしているというかっこうがあるのでございますね。ですから、これも一つの何といいますか、どうも結局そういうことでもしなければということで、私どもとしましては、もうちょっと、より基本的な本来の共通したテーマというものに取り組んでいくべきではないかというふうに思っておりますが、技研の運営というようなものにつきましてひとつ大いに検討したい、こういうように思っております。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田委員 どうも御苦労さまでした。  終わります。

田代文久日本共産党・革新共同

○田代委員長 鬼木勝利君。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 時間がなくて、先生方も大変お疲れだと思いますので、一、二お尋ねをしたいと思います。  内容はやや重複するようなきらいもございますが、先ほど房村先生からいろいろ御高見を承って大いに裨益するところがございましたが、災害について、若年労働者が非常に少ないから災害があるのだというようなお話をちらっとお伺いしました。なるほどこれは運搬というような点においては、若い人でなければいけないと考えます。私ども素人としましては、なるほど若い方でなければ運搬などはうまくいかないということは考えられます。当然だと思いますが、一般災害に対しては、むしろ多年の経験を持っていらっしゃる中年以上の方の方が、私は保安の点においては十分全きを得るのではないかというような考えを持っておりますが、その点について房村先生のお話をちょっと承りたいと思います。

房村信雄早稲田大学理工学部教授

○房村参考人 お答えいたします。  御承知のように、現在炭鉱の鉱山労働者の平均年齢は四十数歳というようなことになっておりまして、一般の地上産業と比べますと、非常に労働者の老齢化が目立っておるわけでございます。  これは一般論でございますが、若い時代から仕事につきまして、だんだん年をとってまいりますと、ただいま御指摘のございましたように熟練してまいります。熟練するということは、一般的な作業手順がよくなる。それから安全に対しても、日ごろ起こり得るような災害に対しては経験を積んで、それをよける、つまり保安意識が向上するというのが一般でございます。ところが、いろいろな労働科学的な研究によりますと、勤続年数あるいは年齢と災害率の関係を見ますと、最初数年の間は事故が多少ある。それからしばらくたちますと完全になれまして、事故の発生率が下がってまいります。ところが、かなり高齢化してまいりますと、一つにはなれを通じて、つい保安を軽視すると申しますか、このような傾向がございますので、ある程度以上経験を積みますと、また災害がふえてくるというような一般的な傾向があるわけでございます。そのようなわけで、若い人であるがゆえに起こらない災害もあると同時に、逆に若いから起こる災害もあり得るわけでございます。  ところが最近の炭鉱では、一般的に申しますと大型機械が導入されまして、いろいろなところで重い大きな機械が入っております。このような新しい機械に対しましては、若い方は非常に順応性がございますので、それを巧みに覚えて運転をうまくやるというようなことができますが、中年を過ぎますと新しい事態に対応し得ないで、新しい大きな機械にはついなじまない。それが一つの災害の原因にもなりますし、また昔は、たとえば支柱を入れる場合でも、坑木、木の柱でございますので、一人あるいは二人で軽々と繰作できたわけでございますが、これが鉄の重い柱になりますと、年をとった人間、中高年齢層にはかなり手ごわい材料となるわけでございます。たとえば取り扱い中の機材、鉱物等による災害というのが、大災害ではございませんが頻発災害として非常に率が高いというのも、このような点にあるかと存じます。したがいまして、運搬その他を含めまして、経験を積むだけでは足らない、やはり体力の問題という点から頻発災害がなかなか絶滅しがたいというふうに考えておるわけでございます。  このような点につきましては、先ほど来御指摘のございますような一般的な保安教育というものがきわめて必要でございますが、同時に、私の考えております一つの考え方を申し上げますと、単にこれはこう取り扱えという訓練だけでなしに、中高年齢者の健康問題を兼ねて、そのようなものに対する運動機能等がつい衰えるものでございますが、こういうような点の再訓練というものも、別な角度から考えていく必要があろうと存じます。  以上でございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 よくわかりました。  保安の問題は、一般的にそういうふうに考えられる。私は先ほど先生のお言葉をお聞きして、近代化、機械化で、重量の関係で若い者でなければいけないというふうにちょっと解釈しておったものですから、お尋ねしたのでございますが、これは無論、生産も若い方でなければということは当然でございますが、いまの先生のきめ細かな御説明でよくわかりましたし、納得しました。さすがに学者のお考えになっておることはやはり大したものだと敬意を表します。  それから伊木先生にちょっとお尋ねしたいのでございますが、先ほど多賀谷先輩がお聞きしたときに先生のお話で、深部移行について災害が多い、それにはいろいろな事情があるのだ、ガス突出だとか山はねあるいは自然発火とか、まあいろいろあるでしょう。ところが、そういう要因といいますか、災害の原因といいますか、そういう点については、鉱業審議会の方からも毎度答申しておるのですよ。こういうことはずっと羅列しておるわけです。だから、これは先ほど房村先生からもお話があっておりましたが、予防をする、事前にこれをこうすべきだというような的確な御指摘というか、われわれに対して参考になるようなお話が遺憾ながらない、これはまことに恐縮千万で、何とも御無礼千万なお話でございますが、そこで具体的にこれはどうすればいいのだ、こうすべきだ、こういうような御指示を願いたいという多賀谷先輩の御質問であったと思うのですが、それに対して個々の山によって事情が違う、それはなるほどお互いの家庭も、家庭の事情は皆違う、国民も民族性によっておのおの違うけれども、大体において九州方面はこうだとか、あるいは北海道方面はこうだとか、あるいはこの方面はこうだとか、特にこういう山はこうだ、こういう点に危険信号があるぞというような、せっかく斯界のオーソリティーがおいでいただいたのだから、私どもにそういう的確なところを教えていただきたいと私は思うのですよ。おおむねこの方面の山はどうだ、おおむねこの山はどういうところに特異な危険信号があるのだ、そういう点はなかなか先生方おえらいので、房村先生は、われわれは理論的なことを言うのだということで、うまくその点を逃げられたと言うと御無礼千万だが、うまいこと外されておりました。しかし、私は理論の上に立って実際があるのだ、真理ほど正しいものはない、かように思っております。だから先生方のお言葉は、私らにとって本当に大事ななにだと大いに尊重いたしております。そういう点をもう少し的確に伊木先生から承りたかったと思うのです。しかも伊木先生は、こういう重大災害は絶対なくなさなければいけない、こうおっしゃっておる。それでは、絶対なくさなければならぬ要件はこういう点だ、こういう点に留意すれば絶対なくなるのではないか、あるいは保安問題に対して完璧を図るには、経済的な問題もある、ところが有吉協会長は、経済の問題で保安をおろそかにするようなことは現時点においては断じてございません、こうした明快なお答えがあっておりますので、決して先生方をお責めをするような身分では私はございません。何もわからぬ者でございますから、そういうことではございませんが、実はそういう点をちょっと承りたかったと考えるわけでございます。

伊木正二東京大学名誉教授

○伊木参考人 ただいま大変おだてられたようなお話を伺いまして、ちょっとお答えが十分にできませんことをおわび申し上げます。私、先ほど個々の炭鉱の状況によって違うのだというふうに申し上げたわけでございますが、それは学校あたりで研究をやります場合には、実験室でやる以外にはできないわけでございます。それを個々の現場に応用していきますと、どうしてもみんな違います。したがって、具体的に山で深部対策を考える場合には、その山の実情に応じた考えといいますか、対策をとらなければ解決はできないのでないかということを申し上げたつもりでございます。  ただいま、もう少し具体的に、それでは対策はないのか、あるいは地方別にそういう状況がないのかというようなお話でございました。先ほど来、房村先生からもお話がありましたが、深部対策につきましては、立地公害局が中心になりまして、いろいろな検討をやっております。たとえばガス突出について考えた場合に、ガス突出の理論につきましては、実験室でいろいろなことを実験して、こういう場合にガス突出があるのではないかというようなことをいろいろ言われるわけでございますが、それもまだ一致した意見には達しておりません。それから理論よりも、現場はすでにガス突出が起こっているのだから、それの予防対策あるいは防止対策といいますか、そういうことを考えなければならないではないかということになりますと、まずガス抜きだとか、それからボーリングによって出てきた繰り粉の中の亀裂の問題とか、いろいろな研究の仕方があるので、そういう方法を一応羅列して考えております。しかし、それがすぐガス突出の予防につながるかどうかというのは、なかなかまだ結論に達しておりませんので、それをもって予防対策はどうしたら一番いいということはまだ言えないかと思います。  それから傾向につきましては、確かに北海道の夕張地区、特に空知地区ですか、あの辺に従来からガス突出が多かったという状況、これは自然条件によるものか、あるいは採掘の方法によるものかということの解明は、なかなかむずかしいかと思いますけれども、確かに多かったと思います。それから九州で申しますと、九州の高島あたりは深部をやっておりますときには、自然発火が非常に多かったという傾向が見られます。それに対して釧路あたりはそういう危険性は現在のところは余り考えられないというようなことがございますので、なかなか全体として共通的な対策というのは立てられませんけれども、いま羅列するようないろいろな対策を中心にして、自分の山の状況に応じていろいろ検討していただくのが、実際の予防対策ではないかと思います。  御要求に対する十分なお答えになりませんので、はなはだ恐縮でございますが、私にも知識はございませんので、そういうことでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木委員 どうもありがとうございました。  いまの先生のお話で私、納得いたしましたが、先ほど有吉協会長からもお話がありましたように、官庁の指導、学者の先生方の御指導を得て保安の全きを図りたい、金は惜しまぬ、保安第一だというお話でございますので、今後また、先生方いささかも御遠慮は要りませんので、企業側に対しても十分そういう点については、おまえの山はこうだ、こういう点がいかぬぞというふうに御指示、御教示をしていただければ、大変ありがたいと思います。  まことにお疲れのところありがとうございました。これで終わります。

田代文久日本共産党・革新共同

○田代委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。  各参考人には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。  次回は、来たる六月十一日水曜日午後二時三十分理事会、午後三時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十九分散会

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