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75回国会衆議院1975/06/19

商工委員会、法務委員会、大蔵委員会、物価問題等に関する特別委員会連合審査会 第1号

発言数
340
登壇者
28
会派数
5
開催日
1975/06/19

会議録

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 これより商工委員会法務委員会大蔵委員会物価問題等に関する特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行います。  内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案、多賀谷真稔君外十九名提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案、荒木宏君外二名提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案並びに予備審査のため本委員会に付託されております参議院議員桑名義治君外一名提出の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題といたします。

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 各案についての提案理由の説明は、お手元に配付してあります資料によって御了承願うこととし、直ちに質疑に入ります。  この際、質疑される各委員に申し上げます。質疑は申し合わせの時間内で行われるよう、御協力をお願いいたします。また、政府当局におかれましても、その答弁は要領よく簡潔にお願いいたしたいと存じます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 この提案者に最初にお聞きをするわけですが、この提案理由を読んでみましても、消費者に関することが一言もないわけですね。これはどういうわけなんでしょうか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 消費者問題につきましても、いろいろ私ども真剣に取り組んだわけでございます。改正法案では違反事実報告者に対する処理結果の通知義務を盛り込むことを考えたわけでございまして、その他いろいろな問題があることは十分承知いたしておりますが、各省庁との協議の結果、今回はこの通知義務盛り込みというものになったわけでございます。  なお、これは稲葉委員御承知のとおり、独占禁止法の考え方は、基本的には、公正で自由な競争を促進して事業活動を盛んにし、雇用及び国民実所得の水準を高め、もって一般消費者の利益を確保するというものでございますので、独占禁止法そのものが全体として消費者に利益をもたらすものであると私どもは認識をいたしております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 消費者に関連する部分は後から聞いていくつもりなんですが、ひとつ福田さん、お尋ねをしたいのは、この法案が仮に通るなら通るとしたときに、それによってたとえば物価が下がるとかというふうなことを考えることは、一つの幻想なんですか、一体どうなんですか。それだけの実際的なメリットというか、そういうふうなものはこの法案の中にあるのですか。いや、そこまで考えるのは無理だと、こういうことなんでしょうか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 独占禁止法は、そもそも自由にして公正な取引、経済活動を確保する、これが目的でございます。しかし、その目的を達成することによりまして、よってもって一般消費者の立場を保護し、かつ国民経済の安定に寄与する、こういうことになるわけなんで、そういうことでこの独占禁止法の機能が十分に発揮されるということは、直接的には自由にして公正なる経済活動を確保するということでございますけれども、終局的には消費者、つまり一般国民、この利益を擁護するということになる。  そこで、今度のこの法律改正でございますが、これも私は、たとえば非常に私どもが目につくように思いますのは、やみカルテル、これに対する罰則の強化、こういうようなことがありますが、これなんかはかなり物価上昇に対する抑止力、そういうこととして働くと思うのです。ただ、これで物価水準がどかんとこの改正が通ったら下がるだろうというような、そういうことを期待するとすれば、私はそれはもう幻想に近いと思うのです。もう、とにかく一般的、概念的に、物価に対しては大変いい効果はある、しかしこれを数字で測定するというような性格のものじゃない、こういう考えでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 アメリカの場合などと比べますと、アメリカは非常にカルテルの場合の罰則なり何なりきついですね、カルテルすれば損だというようなことがもうしっかりしているわけですね。日本の場合は、カルテルやったって大したことないんだという考え方でしょう。アメリカの場合は非常にこれが重いですね。日本の場合は、余り全体として重くないわけだ。その考え方の違い、これは一体どこから出てくるわけですか。日本じゃ、やっぱりカルテルは悪だという考え方はないでしょう、ないと言っては悪いかもわからぬけれども、非常に少ないですね。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 アメリカは、もう十分御承知のとおり、いわゆる判例積み上げ主義と申しますか、判例主義をとっております。そしてまた、事業者にいたしましても国民にいたしましても、反カルテルマインドが定着をしているということは御承知のとおりでございます。私どもといたしましては、今回の改正案を策定いたします経過の中で、事業者にいたしましても国民にいたしましても独占禁止法に対する関心が非常に高くなってきたというふうに考えております。     〔山村委員長退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕 わが国の場合は法定主義をとっております関係上、今回も、いろいろな新しい制度を取り上げるにいたしましても、それぞれ要件の明確化ということを図ったわけでございますが、われわれは、この策定の経過及びこの法案が成立をいたしましたならば非常に多くの要件等の基準が明確になってくるわけでございますから、そういう意味においては、事業者にいたしましても国民にいたしましても、非常に強い意識を持つことが可能ではないかというふうに期待をいたしている次第でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 後で細かい内容を三、四点お聞きをするわけですが、一つ問題になってまいりますのは、たとえば官庁が値上げの問題等についていろいろ関与する場合があるわけですね。たとえばきのうも何か福田さんが、出席したのかどうかわかりませんが、物価担当官を集めてそこで指示したと伝えられていることの一つに、たとえば一〇%の値上げをみんながしたいと言っているときに、いやそれは自粛しろ、それで五%の値上げぐらいならいいだろうというようなことを言う、官庁としてひとつ指導する、こういうふうなときに独禁法上それが違反になるのかならないのか、あるいは違反になるけれども、それについては公取は介入しないのかとか、こういうことが言われておるようですね。この点についての考え方、あるいは事実関係と申しますか、それについてこれは福田さんからお伺いをしたい、こう思うわけです。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 私は、いま物価政策全体の立場から言いますと、物価安定の基調が進んでおる、こういうふうに見ておるのです。その背景もかなり明るい背景を持っておる。つまり繰り返して申し上げるように思いますが、賃金が去年で言えば三三%上がった。それが今度はとにかく一三%ぐらいのところで落ちつきそうだというようなこともあるし、海外要因もいいし、金融環境もいいし、そういうようないろんないい要素があるんです。ところが、いま経済界は御承知のように不況状態だ。企業収益が悪化する。そこで、企業の中には値上げをしてしのごう、こういう動きがあるのです。それに対して政府の方では、そうはなかなかできませんよということで総需要抑制政策をとっておるわけです。かたがた、しかし、財界の方でも自粛してもらいたい、こういうふうに思いまして、これはしばしば財界に対してお願いをする。財界も深い理解を示しておるわけなんです。  ところが、その理解の上に立って、さてさあみんな値上げは自粛するようにしようじゃないかというような協議をする、相談をする、そういうことが果たして独禁法とどういう関係になるか。値上げをしないようにしようじゃないかという好ましい行動が法律違反になるというのは、具体的、現実的な問題とするとどうも考えられないし、考えたくないことなんですが、しかし厳格に独禁法という問題を進めていくと、いや疑問もあるというような説もある。そこで、その辺を政府部内においてひとつ統一した見解をちゃんとつくっておいてもらいたいということをきのう要請しておるのです。そういうことです。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると、政府部内で統一した見解というのは、考えられるのはどういうふうなことなんですか。結局そのことについては独禁法違反ではない、あるいは形式的に違反であるかもわからぬけれども、公取はそれに対しては介入しない――介入という言葉かどうかは別として、そういう方向へあなたとしては持っていきたい、それが経済の健全な運用だ、こういうようなことのように聞こえるのですが……。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 そのとおりなんです。これが行き過ぎて、さっき御設例がありましたが、一割上げようと思ったところ、それじゃ申し合わせの結果五分にしておこうというようなことになるといろいろ疑義がありますね。そういうようなことについて疑義を残してはいかぬから、あらかじめ政府の方で、この辺は大丈夫でしょう、この辺は行き過ぎですよというような点につきまして、具体的な動きと法の適用関係をはっきりさしておく必要があるんじゃないか。どうも私、法律のことはよくわからないのですけれども、その辺細かく詰めていくと問題を起こすおそれもなしとしない、こういうふうに考えまして、その辺の意見統一をしてほしいということをお願いしておるわけです。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 高橋さん、公取の考え方としては、いま福田さんが言われました、こういうことについてはあなたの方はどういうふうな考え方を持っておられるわけですか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 その問題は、きのう担当官会議があり、きょうもそのことについて担当官同士で打ち合わせをしておるはずでございます。  私どもの考えは、いま副総理が言われたように、一般的にこの際値上げを大いに自粛しようじゃないか、こういう趣旨のものである、そういうことであれば、値上げを自粛するという程度の、言ってみれば一つの倫理的な――まあ倫理的なと申しますか、言葉は適当でないかもしれませんが、そういうことを申し合わせをするということ自体は反社会性がない、公共の利益に反するという――私はこれは余り使いたくないのですが、独禁法上普通は「公共の利益に反して」という言葉は余り意味を持たないんだというふうに言われておりますが、私自身は書いてあるからにはやはり意味があると思う。ですから、いわゆる政府の政策に協力して値上げを自粛しようというそういう精神的な申し合わせ、これは私は、独禁法として問題として取り上げるのは、そこまでやる必要はないんじゃないかというふうに感じます。  ただし、いま副総理おっしゃいましたように、具体的な数字をそれぞれの業界が、実は何%上げるべきところをその半分にしておこうという申し合わせをしますと、これは、いまの法律を読みますと、現状の価格を維持するということもいけないと書いてあるわけです。そういうことですから、具体的に維持協定もいけないのですから、値上げの率をそれぞれの業界が協議してしまうというのはちょっと行き過ぎで、やはり独禁法違反ということを一般的には言わざるを得ない、こういう考えでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 その場合考えられるのは、業界は最初から五%なら五%ぐらい値上げをする腹づもりでいて、それで形だけ一〇%ぐらいと一応言っておいて、そして、いや、それじゃ政府も言うから五%ぐらいに自粛をしましょうという形に出てきて、結局カルテルをやって値上げの実を上げる、こういうようなのが考えられることじゃないんでしょうか。それは脱法行為として非常な危険性があるんじゃないんでしょうか。だから、そこら辺のところをよく用意しないと、みんな業界にひっかかっちゃうんじゃないですか。そこら辺のところをどういうふうにお考えになりますか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 いまお話しのようなことがありますので、私どもとしては原則論としてそういうふうな申し合わせをすることは独禁法に触れるおそれがありますということでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 いろいろな問題の中で、たとえば課徴金の問題がありますね。これは私はよくわからないんですが、これは価格の引き上げの場合のカルテル、これだけに限っておるわけですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 価格カルテルだけではございませんで、生産制限カルテル、数量カルテル等も含まれております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると、価格でない場合の数量カルテルとか生産制限カルテルですか、そういう場合の課徴金の計算はどういうふうにやるのですか。

原徹内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○原政府委員 対価に影響があるときはということで、まず価格カルテル、それからその数量を制限する、ことによりまして価格に影響があると考えられるものということに法律に規定してございますので、その中身は、結局申しますと、価格カルテル、価格の維持のカルテルも価格の引き上げのカルテルも、それから生産数量制限カルテル、そういうものはその生産数量を制限することによって価格に影響があると考えられる。仮にそれが上がらなくとも、それは下がるべきものが下がらないという意味で価格に影響があると考えられますので、その場合にはやはりカルテルの実行をしましたらそれの売り上げ金額というのがあるわけでございますから、その売り上げ金額に一定率を掛ける、こういうことでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それから、この課徴金について国庫納付を命じますね。納付金の制度ですか、総務長官かが命ずるわけですね。これはどういうんですか、執行力があるわけなんですか。これでそのまま差し押さえできるとかなんとか、強制執行できるとか、どういう形になっているんですか。これはどういう性質のものなんですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 これは納付命令によりまして納付をさせるわけでございます。性格といたしましては行政上の措置でございますから、したがいましていま御指摘のように命令をいたしまして、そしてそれに対して納付をして国庫収入になる、こういう形になるわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 命令を出すでしょう、それで納めない場合にそのまま差し押さえができるのかということなんですよ。あるいは強制執行ができるのか。まあ強制執行はできないでしょうけれども……

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 これは強制徴収ができるようになっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると、これに対して謄本を送達して二カ月ですか、それから三十日以内に申し立てができますね。その間は徴収はとまるのですか、とまらないのですか。あるいはとまるためには特別な手続を必要とするわけですか。

原徹内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○原政府委員 納付命令が出ましてそれに対して不服があれば審判の請求ができるわけで、結局その審判手続によって審決をして、そしてそれにまた不服があればこれは普通の審決訴えの訴訟をやります。そして、確定をいたしますればそれに対して執行力ができるということであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 総理府長官の言うのは、何か執行力があるような話をしたんじゃないですか、そうじゃないんですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 いま審議室長が答弁をいたしましたような手続を経るわけでございますが、納付いたしません場合には国税滞納処分の例によりまして強制徴収をすることになっておりまして、この課徴金の徴収権というものは五年間行使いたしませんと時効により消滅する、そういうことにいたしているわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 五年間というのは公法上の債権だから五年間に決まっているわけでしょうけれどもね。  そこで、一つの問題は、実際問題として課徴金を取る場合には、これは刑事訴追はしないということに現実にはなるわけですか、あるいは課徴金とは法律的には関係ない、関係ないから、専属管轄でありますね、刑事訴追の方は全然別個だ、こういうふうに考えられるのですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 納付をしないということについての刑事訴追はございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それは聞き違いだ。

原徹内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○原政府委員 課徴金は今度の場合、行政上の措置としてつくった制度でございますので、それは課徴金をかけたから刑事訴追はしないということではございません。したがって、課徴金を取られ刑事訴追をされる場合と、課徴金を取られ刑事訴追がされない場合と、当然あるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それは理屈の上ではいま言ったとおり、そのとおりですね。しかし、実際問題としては課徴金を取ればそれで一応の目的は達したということで、そして刑事訴追はしないという方向にいくのが大筋ではないんでしょうかと、こういうふうに聞いているわけです。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 いまおっしゃったような趣旨は、私どもも大体においてそうだろうと思います、つまり必ずそうだということは言えませんけれども。ですから、そのかわり、特に悪質だと思われるものしか現状では告発しない。そこで、では告発をするものについては課徴金を取らないのかというとそうはできないんですね。やはり取った上で特別に悪質なものは告発をする、こういうことになりますから、やはりそれは課徴金を納めたから刑事訴追は受けないのだということにはなりません。だから、例外はございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 だから、私の言うのは、例外というのはきわめて事実上まれであって、いまあなたが言われたように、課徴金を取れば普通の場合には刑事訴追をしない、こういうふうになるのだというふうに大筋としては承ってよろしいか、こういうことですよ。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 私どももそういうふうに解しております。実は刑事訴追が相当困難であるという実情ですね。これは事務処理の問題だと思いますが、刑事当局のそういう処理の問題もございますから、やたらに告発するというふうなことは避けたいという気持ちがありまして、それで課徴金制度を設けることによりて間にそういう一つのクッションを置いといた方がいいんじゃないかという、大筋としてはまさにおっしゃるとおりで、課徴金を取ることによって刑事告発をできるだけ避けていこうという考えであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 私も恐らくそうだと思ったのですよ。そのことのために課徴金という制度を置いたんだというふうに私は理解したわけです。それは現在の公取の機能と検察庁の機能というか、あるいは力量というか、力量といっては言葉が悪いけれども、そういうふうなものを考えてみれば、できるだけ告発したくない。これは恐らく検察庁からの申し入れも公取との間の話であるんじゃないか、こう思うんですね。これはあなたの方で告発したら検察庁はもうそれだけで仕事がいっぱいになっちゃってほかの仕事はできなくなってしまう。それをいいって言うのじゃないですよ。いいって言うのじゃないですが、現実にどうもそういう作用を課徴金はするので、そこら辺に問題があるのではないか、私はこういうふうに考えるわけです。  それから、課徴金をかけるときはもう機械的に数字で出してしまって、そこに公取の裁量というものは、金額の裁量あるいはかけるかけないの裁量、二つ裁量があると思いますが、それは及ばないのですか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 原案におきましては全くありませんし、恐らく今後もどうなろうと法律上の規定による以外は――法律上の裁量ということはあり得るでしょうけれども、公取の裁量権は全くない、機械的に課するほかない、こうなっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 法律上の裁量というのは具体的にどういうことですか。それは取る、取らない、あるいは違反と認める、認めないということについての大きな裁量を政治的にする、こういうことであって、それ以後の計算関係になってくると、これはもう裁量がなくなってくる、どうもこういうふうな理解の仕方になるんですが、そういうことでしょうか、あるいは政治的というと言葉は悪いかもわからぬけれども。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 私が法律上の裁量と言ったのは、用語として適当かどうかわかりませんが、十万円に満たないものは切り捨てるということですから、逆算しますと小売業の場合にカルテル期間中の一億円に満たない売り上げのものに対しては、過去の業績の悪かったものは全部落ちてしまう、そういうことになっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それは条文にあるからわかるんですが、私の聞いているのは、必ずこういう条項に合致するようなものがあれば、この計算に従って取らなければいけないのかということなんですよ。その計算の仕方でも、価格の値上げの場合のカルテルならわりあいに計算はしいいんだと思いますが、そうでないほかのカルテルの場合にはその計算は、いろんな計算の仕方で幾らでも金額の幅が出てくる、こう思うのですよ。これは価格値上げのカルテルの場合だってぼくは出てくると思いますよ、資料のとり方いかんによって。だから、裁量はないと言いながらも現実にはそこで裁量が生まれてくるのだし、それでなければ公取としても仕事のおもしろみと言っちゃ悪いけれども、ただ機械的にそろばんはじいているだけになってくるのではないか、こう思うので、そこら辺のところをお聞きをしているわけなんです。

原徹内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○原政府委員 その点、課徴金を今度つくりますときに非常に問題と申しますか、むずかしい点であったわけでございます。まず、それは課徴金の性格論からきますわけでございますが、日本の制度としては、罰則がございます上に損害賠償というものの制度もあるわけでございますから、課徴金をどういう意味で取るのかというところから確かに問題があるわけであります。そこで、いまのカルテルによる不当な利得ということをねらわなければならぬことは事実である。ところで、値上げカルテルだけ取るのはおかしいという議論が片っ方にある。したがって、生産数量制限カルテルも取らなければならない。そういたしますと、それを個別に今度はいろいろ入っていきましてやるのでは、これはもう事務量的にとてもそれはできない。したがって、何らか簡便の措置を考えなければならぬ。そういうことから、一定の率を使って、しかもそれは掛けるということにいたしましたが、行政上の措置として取る場合に一体個別に裁量を与えるべきかどうか。これはどうも、私ども政府部内でいろいろ討論をいたしましたが、やはり行政上の措置としてやる以上は、一定の要件に該当すればすべて取らなければならぬということに解すべきである。やはりこれは罰金というようなものではないのであるから、国民生活安定緊急措置法の課徴金もやはり取らなければならぬと書いてある、そういう意味で、一定の要件に該当すれば取るという趣旨に制度をつくったわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 これは、それで不服で裁判に持ち込まれるでしょう。そうすると、裁判、一審は高裁ですかね、その場合は地裁からいくのか、ちょっとよくわかりませんが、その課徴金を取ること自身に対する争い、課徴金の額に対する争い、いろいろ出てきますね。それは裁判が高裁からいくのか地裁からいくのかあれですが、それをやっていった日にはとにかく大変でしょう、これは。それだけで十年ぐらいかかっちゃうのじゃないですか。その間の金利の進行はどうするんですか。いつから金利は進行するのですか。

原徹内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○原政府委員 審決の時点から金利はかかります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 裁判やっていたらずいぶん長くなるんじゃないですか、それは関係ないのですか。

原徹内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○原政府委員 ただ、不当な利得についての分を課徴金とするというように、個別認定のお話が非常に入るようでございますれば、これは裁判にみんななるだろうと思います。だから、そういうようなことに制度をつくりますとすべて裁判になってしまうものですから、計算方式を明確にしておいて争いの余地が少なくなるようにしてあるわけであります。売上金額に一定率を掛ければ、それで金額は決まるわけであります。だから、争いになり得るところは、カルテルがあったかどうかということ、それからカルテル期間の売り上げが幾らであったかどうかということ、多分そのくらいしか残らないわけでございますから、そういうふうであれば裁判で争う余地が余りございませんから、そこで行政措置として成り立つ、こういうふうに考えておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 これは総理府ですか、公取に聞くのか、いまの課徴金の計算の率ですか、徴収率というのかな、それを引き上げるということを何か将来考えるというか、いま考えておられるというか、そういうことになってくるわけですか。その点はどういうふうになっているのですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 率は御承知のとおりの基準でございまして、いまの段階では考えておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 いまの段階では考えてなくて、まあこれから出てくるかもわかりませんがね。  そこでもう一つ、別な問題で、刑事罰で限度が今度五百万ということですかね。これはアメリカのいろいろなものを見てみますと一億五千万ぐらいあるとか、アメリカの場合は非常に高いですね。アメリカの場合はカルテルをやったらつぶれてしまうという考え方でいきますね。日本の場合は五百万円ぐらいと、それに課徴金が幾らぐらい出てくるのかちょっとわかりませんが、これは後で計算してもらいたいと思っているのですがね。たとえば課徴金のいろいろな計算例があるのだと思うのですが、刑事罰の五百万円というのは、これはほかとの均衡等が出てくると言ったのだけれども、この前法務大臣は、きょうはいませんけれども、聞いたときには、こんなのとても低過ぎる、二千万円や三千万円、そんなのあたりまえだくらいのことを言っておったですよ。とても低いので、こんなの会社側にとっては平気の平左衛門じゃないですか。もっと大きくする考え方はないわけですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 いま仰せになりましたように、ほかのものとの均衡という点もございます。そして同時に、懲役刑もございますから、従来のほとんど十倍にしたわけでございますので、これは私どもとしては前進をしたというふうに認識をしているものであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それから、カルテルの場合で刑事事件がありますね。その場合で不当に得たものは、これは刑法で、十九条かな、没収できるのですか、できないのですか。

土肥孝治法務省刑事局参事官

○土肥説明員 お答え申し上げます。  刑法十九条の没収の適用はこの場合むずかしいのではないかと思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 どうしてむずかしいのですか。犯罪から得たる物だとか、犯罪を組成した物だとか、いろいろあれがあるでしょう、一々個別にあるでしょう、十九条で。それとどうしてそれが合わないのか説明してごらんなさい。むずかしくないですよ。

土肥孝治法務省刑事局参事官

○土肥説明員 刑法十九条の規定にあります没収の要件から申し上げますと、犯罪を組成したとも申し上げることはできませんし、あるいは犯罪行為により得た物という概念にも当てはまらないのではないか、こういうことから一応むずかしいのではないかと思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 私はそれはちょっと考え方を異にしていますけれどもね。できないことはない、ただ、やるかやらないか、これはまた別の問題ですけれども、そういうふうに考えるのです。  そこで、前々から言われておるのですが、九十六条の専属告発制度ですね。これを廃止しろという議論が相当あると私は思うのですよ。これを廃止しないのはどういうふうなことなんですか。だから、消費者としては、一般国民としては、公取が告発をしなければ、それに対して全然何とも言えないということに現在なってきているわけでしょう。これについてはどういうふうに考え、なぜ今度の改正の中に入れなかったのですか、廃止を入れなかったのですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 この点につきましても議論をしたところでございますが、この九十六条の専属告発制度の本旨は、独禁法上の違反行為の認定を専門機関であります公取に集中させるという法の基本構造から、罰則の適用につきましても公正取引委員会の判断を尊重するものであると理解をいたしまして、このような法の基本構造を改めることは適当ではないのではないかという考えのもとに廃止をしなかったのでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると、公取が告発をしなければ、もう一般の国民はいかんともしがたい、こういうことですか。公取が告発しないことに対する不服なり何なりの申し立ての方法はないわけですか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 それはございません。つまりそれだけに専属告発権と、こうはっきりしてあるわけですが、その趣旨は、いま総務長官述べられたとおりでありまして、早く言うと、独禁法の事件というのはそうやさしい事件ではない。そもそもがこれは行政処分でありますけれども、その上に刑事罰がついている。その刑事罰を発動するかどうかということは、やはり公取の事実認定といいますか、証拠による事実認定を待って、それを添えて告発しないと、これを受ける方は検事総長でございますから、検事総長に告発するときに証拠もなしに出してくるというふうな告発というのはやはり好ましくない。それは乱訴の弊にもつながるのではないか、こういうことから、その事実を認定するのは公取であるから、公取のその事実認定とその判断によって、告発に値するかどうかということを決めればいいのではないか。外部の者から軽重を論ずるということはそう容易なことではないというふうに、私は事実そう思います。そういう考えで、これは一般に広げるというのはちょっと行き過ぎを来すんではないかというふうな感じを持っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 一般の国民が告発して、それが事実に該当しないという場合、それはありますけれども、だから結局、すべてが一般の国民が不在という形で、これはもう公取だけが権限を握ってやるという形になってくるのですよね。  もう一つお聞きしますと、たとえば公取で、カルテルがあっても不問にしますね。不問にしたことについて、一般の国民、一般の消費者というものは、それに対して不服なり何なりの方法があるのですか、ないのですか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 それはございません。不問にしても、それは不問にしなければならぬ理由があるからするのですけれども、これについて事細かに一般の人にそれを説明し、そして不服があったら、再度それを不問にしない、つまり行政処分をしろということを認めたら、恐らく公取は対応できなくなると私は思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 だから、全く国民が関係ない公取という一つの機能、これの独善と言うと言葉は悪いかもわからぬけれども、そこでみんなやられてしまうわけですよ。公取が決めた、告発しない、公取が不問にした一それに対して国民は全然何らの参加権もない、こういうことでしょう。  そこで、たとえばいま不問にした場合に、不問の取り消しの訴訟は、普通の消費者は起こせないということですね、いまの考え方では。しかし、検察庁でさえ一般の国民が告訴、告発したときに、検事の処分について不服であれば、検察審査会へ申し立てをして――検察審査会はそれは拘束力はありませんよ、検察審査会が起訴しろと決めたところで、検事が起訴しなかったということがあるし、それは拘束力はありませんけれども、そういう制度が国民のためにできているわけですよ、検察審査会制度というものが。この公取の場合は、今後そういうふうなカルテルなり何なり非常に重要になってくるのに、公取が不問にしちゃった、国民はそれに対して全く目をつぶっていたければならない、こういうふうなことは非常におかしいですよ。これは官僚独善の一つの大きな行き方ですね。検察審査会という制度が認められている検察庁の場合ですら――当然その点については公取の場合でも、どこにどういう機関をつくるかは別として、これは十分考える必要があるのじゃないでしょうか。それでなければ、公取というものは国民から離れちゃいますよ。総理府長官、どういうふうにお考えですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 ただいま御指摘のようないろいろな御意見があるということは私も承知いたしておりますが、独禁政策につきましては専門的立場から公正に公取が運用をするということが必要であると思うのでございまして、独占禁止法は適用につきましての判断を、独立性を有する合議体としての公正取引委員会に集中をしているわけでございます。したがいまして、いろいろな立場からいろいろな意見があるということは先ほども申したとおりでございますが、公正取引委員会の地位、権限の全体に関する問題でございますので、慎重に検討しなければならないというふうに私ども考えておりまして、現在直ちにこれを改めなければならないものではないというふうに思うのであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 もう一つの問題は、二十五条の問題、無過失損害賠償責任といいますか、これは審決が確定をしないと、裁判上請求できませんですね。これは二十五条、二十六条の関係、これはどこから来ているわけですか。被害者というか、一般国民は、まず公取が事件を取り上げなければこの活用はできませんね、それから審決をしなければ。この審決というのは、どの審決を言っているわけですか。確定審決だけですか。これは確定審決だけで、勧告審決とか同意審決の場合は入らないのですか。審決にいろいろ内容があるのでしょうけれども、どういうふうになっているのですか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 この審決はすべての形の審決が入ります。ですから、勧告であれ審判に基づく審決であれ、それは同じでございます。  ついでに申しますが、ついでにというのはなんですが、お尋ねのなぜ審決が確定しなければいけないのかとおっしゃる点は、これは裁判上これを使う、これを援用するということでございますから、公正取引委員会が下した審決が確定すれば、それを用いて損害賠償の請求ができる、しかも無過失損害賠償責任を問うことができるという制度でございますね。ですから、無過失損害賠償責任ならば審決を使わなければならない。  じゃ、ほかにないのかと申しますと、もちろん民法上の損害賠償という訴えは、これは別途にできます。しかし、そうでない、独禁法違反とみなされる事件について、そして被害者と目される人が独禁法の審決とは関係なしにその途中で、あるいはそれと関係なしに高裁に訴えを起こす。しかも、無過失というのは、これはちょっと行き過ぎになりますね。援用するからこそ無過失損害賠償責任という特別の制度が設けられているのだ、私はそう思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 私もこれはよくわからないところがあるのですが、たとえば不当な取引制限、これを事業者団体がするというと、八条一項一号の該当となって、この場合には無過失責任を生じないのだという理解の仕方をしている人がいるのですね。今度の石油連盟のときにも元売り十二社の場合には不当取引制限で、石油連盟の方は八条一項一号違反事件として区別したのだ、だから後の場合には無過失責任を生じないことになるのだという理解の仕方をしている人がいるのですが、これは私もよくわからないのですよ。これはどうなんでしょうか、この点は。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 事業者団体の八条一項一号違反事件、これは性質から言えば三条のカルテルと同じような性質だと思いますが、それを事業者団体のなすった行為に対する無過失損害賠償責任、それはこの中に入っておりません、確かに。それについては問題があるということはわかっておりますが、だれを相手にするのかという点になりますと、相当これは検討を要しなければならない。つまりカルテルの場合でしたら、まあおよそ相手のあれが限定されますですね。せいぜい二十名というふうな程度でしょう。ところが、事業者団体の場合ですと、実際にその一項一号によって損害を及ぼしたものはだれかということが、その運営を行っているものなのか、あるいは構成事業者なのかという点に問題がありますね。構成事業者でありますと、ときとして何百、何千ということになる。そういうものを相手に無過失損害賠償の責任を認めるかどうか、立法の政策上かなり厄介な問題であるということは確かだと思うのです。めんどうな問題であると思います。そういうことから見送られてきたというのが実態であると思いますが、だからそれでいいのだというふうには考えません。何かいい方法があれば――これは三条と同等な部分が含まれているわけですね。あるいは性質上は非常に似通っている。たとえば消費者に損害を及ぼすという点ではむしろ非常に近い関係にあるのが多いのです。そういう点では、構成事業者を対象にするのか、あるいは事業者団体自体を相手にするのか、そういう点、事業者団体というものについて一体そういう、自分が行為を直接に行っていない、直接に行ったのは、まあ行ってもいいのだけれども、値上げなどをしたのは構成事業者なんですね。そういう点で、これはやはりかなりその辺の判断が、法律的な立法的な判断がむずかしい問題だと思いますが、いまのままでいいのだとは私は思っておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 いまのままでいいのだと思わないということになると、具体的に今後どういうふうにしていったらいいということに、公取としてかあるいは総理府としてか知りませんけれども、考えていくのですか。どういう方向に考えていくのですか。なかなかむずかしい問題ですよ、これは。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 繰り返すようですが、大変むずかしい問題なので、いまここでどのような方向でと答えろと申されましても、ちょっとお答えするだけの用意がない、こう申し上げます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 どうも先刻からずっと聞いていますと、むずかしい問題はみんな避けて通っちゃった。それでむずかしい問題ということは、国民に関係あること、消費者に関係があるということは、みんな避けて通っちゃっているというふうにとれるのです。  ここに福田さん、経済企画庁で出しているのですが、国民生活審議会消費者保護部会消費者救済特別研究委員会というのがありますね。座長は加藤一郎さんだ。これの中間覚書と、あともう一つ出ましたね。二つ出ましたけれども、一応中間覚書の方でいろいろ出てくるわけですが、その中で二十八ページにこういうことが書いてある。これは「消費者被害と従来の法制」というところで出てくるのですが、私は今後の日本の法制というか、全体の制度の中で大きな問題は、消費者の立場からする法律なりあるいは訴訟制度といいますか、そういうふうなものをどういうふうに発展させていくかということ、日本はそういう点、余りなじみがないからかもわかりませんけれども、これは非常に大きな問題になってくると私は思うのですが、この中に、これは加藤一郎さんが責任をもって編集しているのですが、「消費者保護制度の中で、被害者救済制度として注目されるのは、独占禁止法第二十五条に基づく無過失損害賠償制度である。カルテル、不当表示などにより、被害を受けた消費者は、違反行為を行った事業者に対して損害賠償の請求をすることが認められているが、これは、公取委による審決の確定を前提としており、実損てん補であるなどのため、従来殆んど利用されていない。これが有効に活用されないのは、制度自体に問題があるといえよう。」こういうふうに経済企画庁の国民生活審議会の方では言っているわけですね。これは特に民法学者が中心ですね。不法行為の専門の学者が中心ではあるようですけれども、そうすると、ここで出てくる「制度自体に問題があるといえよう。」このことについてはどう、いうふうに考えられますか。  それから、実損てん補であるなどのためにほとんど利用されてない――これは一、二利用されていますよ。されてはいますけれども、実損てん補であるというところにも問題があるのか、あるいは制度自体に問題があるのか。これは加藤さんを呼んで聞かなければわからぬかもしれませんが、これは企画庁の方から、どういう意味なんですか、これは。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 消費者保護というか、その二十五条ですね。これは二十五条の規定があるが、実は二十六条というのがあって、その請求権の行使を制限している。それについて加藤先生たんか制度上問題がある、こういうふうにおっしゃっているのだろう、こういうふうに思うのです。  今度の独占禁止法改正に当たりましても、その考え方を採用するかしないか、これは実は相談を関係各省の間にしたのです。したのですが、二十五条をそのまま発動するといたしましても、この立証という問題がある。請求権者の立証、その根拠は何と言っても審決、これが一番有力なよりどころになるだろう。審決を待たずして立証と言いましてもなかなか非常に困難だろう、こういう考え方が一つあるわけです。  それから同時に、もしそういうことがないにいたしましても、二十五条はそのまま動くといたしました場合に、これはもう訴訟が大変数が多く出てくる問題で、これを事務的にさばき切れるか切れないかという実務上の問題もある。そういうような指摘もありまして、今回はこの二十五条、二十六条問題には手をつけない、こういうことにしたのです。どうも二十五条という無過失賠償請求権があり、それを二十六条によってその行使を制限するというのは、実際問題とすると、こんなふうな考え方が妥当な考え方ではないかというふうな感じがしておるのです。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 問題はどういう場合に無過失責任を認めるかということになると思うのですね。あるいは立証責任転換をするかということにもなると思うのですが、近ごろではもうあらゆる場合に無過失責任というものが公害の場合でも何でもどんどん認められているような傾向にあるわけですね。ですから、特に審決というものの確定ということを抜きにしても、こういうような事案については無過失責任というものをここで認めていいんではないか、こういうふうに考えるのですが、これに対してはもう少し理論的にというか、法務省の方でどういう場合に現行法上無過失責任が認められているか、あるいはその転換が行われているかとか、こういう事業者責任というか、独占禁止法の中でも当然無過失責任というものは審決の確定なんか抜きにしても認められていいと考えられるのかどうか、こういう点について、これは法務省の方からでも説明していただきたい、こう思います。

川島一郎法務省民事局長

○川島(一)政府委員 まず、現行法上どういう場合に無過失責任が認められているかという点でございますが、御承知のように古くからありますのは鉱害賠償の関係で無過失責任が認められております。それから、最近はいわゆる公の公害についても特別立法がされておりますし、それから完全な無過失賠償とは申せませんけれども、まあそれに近いものとして、たとえば自動車の損害賠償について立証責任の転換が行われている、こういった制度があるわけでございます。  社会の進歩に伴いまして新しい情勢に応ずるため無過失責任を広く認めるべきだ、こういう議論が出てきておることは御指摘のとおりでありまして、実際の裁判の運用におきまして、民法七百九条は過失責任主義をとっておりますけれども、個個の具体的な事案に即しまして裁判所が無過失責任に近いような認定の仕方をしているという事例も出てきておるわけでございます。そういう意味におきまして、ただいま問題となっております独禁法違反の問題につきましても、現実に裁判所が裁判をするという場におきましては、かなり御指摘のような考え方を取り入れて裁判をすることになるのではなかろうかというふうに思うわけでございます。  ただ実際には、遺憾ながらそういう事件というものが余り出ていないというので、実際の例としてこれをお示しすることはできないわけでございますが、私、先ほどからの御意見を伺っておりまして、なぜ現在の二十五条、二十六条による賠償制度の請求が少ないのかという点でございますが、これは根本的には結局被害を受ける者が最後は消費者である。消費者の場合には一人一人の非常に多数のものになるわけでございまして、損害が分散される。したがって、被害者が自分一人で受けている損害というものは非常にわずかである。そのためにそれを賠償請求して取ろうという気が起こらない。仮にそういう賠償金を取ろうといたしましても、裁判をすれば非常に費用がかかる。割りに合わないというような問題もございます。そういうところからこの制度が余り利用されないということになっておるんではなかろうか、こういう気がするわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それはそのとおりなんですけれども、それでは無過失賠償責任が近時出てくる理論上の根拠、これはどこにありますか。

川島一郎法務省民事局長

○川島(一)政府委員 根拠は、いろいろな考え方があろうと思います。学説的にはたとえば利益の帰するところに賠償責任があるのだというその原理を持ち出すという見方もありますし、またいわゆる公害の場合については危険責任主義、危険の存するところに、そういう危険な事業をやっている者は一切の責任を負うべきだという危険責任という考え方もございます。ですから、それはいろいろの場合があると思いますので、一概には申せませんけれども、この独禁法の場合について申しますれば、やはり報償責任的な考え方が強いと思いますが……。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 だから、独禁法上の場合は事業者が利益を得ているというのが通常のあれですからね。利益を得ている者はそれだけの責任を負担するのは当然な話なんで、いわゆる報償責任の理論から言って無過失損害賠償責任制度というのが、これはもう原則になりつつあるわけです。なったと言ってもいいでしょうくらいなわけですからね。一々故意、過失を、あなた、一般の消費者に立証しろと言ったって、それは無理な話なんで、ですから特に審決だとかなんとかいうことを抜きにしても、一般的にもう無過失責任制度というものは認める方向に進んでいくべきであって、こういうふうに審決があるとかないとかそんなことには関係なくこれは認める方向に進みますよ、これで、どんどん。これは世界の大勢ですもの、日本だってそういうふうな動き方をしているわけですからね。ここら辺のところは将来十分考えなければならない、こういうふうに思うわけです。  そこで、一番前の総理府長官の答弁に関係してくるのですが、私が消費者についてのいろいろな法制とかなんとかいうことが今回の改正に取り入れられなかったじゃないかということを指摘したら、いろいろ交渉なんかあったけれどもこれは今回は取り入れられなかった、こういうふうなことであったわけですが、そこら辺のところは具体的にどういうことなのかということと、今後消費者の立場というか権利というか、そういうふうなものを守る立法なり何なりというものは、これは総理府がやるのか経済企画庁がやるのかあるいは法務省がやるのか、どこがやるのかよくわかりませんが、それはどういう方向に目安として進むのか、そういう点についてのひとつお考えを明らかにしていただきたい、こういうふうに思うわけです。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 消費者保護につきましては、これは独占禁止法ばかりじゃない、幅広い分野において法制上、立法上何らかの措置がとり得るか、こういう問題につきまして、国民生活審議会の消費者保護部会に特に研究委員会を設けまして、それが先ほど御指摘の加藤一郎先生が座長になりておられるわけなんです。それでいま御検討願っておりますが、その御検討の最後の結論がどういうふうになりますか、その辺を見まして、政府においても考えてみたい、こういう見解でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 この三十八ページにもこういうふうに書いてあるんですね。「殊に、法人の企業に対する刑事責任は、結局罰金しかないのであるから、制裁として有効でないことはむしろ当然のことといわなければならない。したがって、加害事業者に対する制裁としては、役員等の個人責任を問うこととするなど刑事責任の強化を図るとともに、営業停止命令などの行政処分を活用するほか、どのようにしたら民事責任に制裁的効果を発揮させうるかについても再検討することが必要である。」こういうふうに言っていますね。これが一つですよ。  そうすると、これは総理府なのかどこですか、この違反カルテルをやって課徴金なんか取られる、あるいはそういうようなところに対して営業停止命令などの行政処分を活用するということ、このことについては一体考えてるのか考えていないのかということです。これが一つですね。これは経済企画庁のあれに出てるわけですからね。一つの意見として、重要な意見として出てるのですから、ここら辺についてはどういうふうにお考えでしょうか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 営業停止命令については、今回の改正案では採用はいたしておりませんけれども、代表者に対する責任罰というものは、今度新たに創設をしたのでございまして、その面においては強化されております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 代表者に対する責任罰というのは何ですか。罰金を取るということですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 罰金を取るということでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 だから、ここにも言っているように、罰金を取ることではだめだと言っているのですよ。罰金を取ることは全然痛痒を感じないのですから、会社で払うのですから。代表者の場合別だけれども、懲役なんかに行くときにはだれかかわりが出てきて、上の者の罪をしょうわけでしょう。そういう場合には法廷侮辱罪で上の者がみんなやられるのですよ、アメリカの法律では。ここで言っているように、こんなのは罰金なんかじゃだめだと、こう言うのですよ。だめだから、営業停止とかそういうふうなことをやらなければ、活用しなければだめじゃないかと、こう言ってるのですよ。  そうすると、営業停止命令などの行政処分を出すということは、憲法違反かな、どうなんですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 ちょっと憲法違反かどうかという点については判断をいたしかねます。  先ほど申し上げました代表者に対する責任罰でございますけれども、これは私人に対して行うものでございまして、これにつきましては、いまお話しのように、責任を部下に転嫁するとかいろいろ議論ございましたが、しかしそのカルテルを行うということの計画を知り、あるいはまたそれを知って排除しなかったというような場合には、そういう責任の転嫁というものではなしに、代表者が私人として刑罰を受けるということにしたのでございますから、これは強化であると考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 代表者が私人として罰金を受けたって、それは本人が払うんじゃないですよ、会社が払うのですよ。そんなものは会社の損金になるのでしょうが。損金になるかどうかは別として、全然効果ないですよ、これは。営業停止命令をやらなければだめなんですよ。それをやらないのですよね。だから、本当になまぬるいというか、そういうことなんだな。  それから、後の方では「民事責任については、消費者に損害を与えた事業者に対しては、実損てん補の原則がとられている。しかし今日の構造的被害は、一般に被害が広範に及び、被害者全員が確実に責任を追及するとは限らない。このため、とくに一件当りの被害が少額の場合には、若干の被害者の請求に応じて賠償を支払っても、事業者はなお多額の利益を獲得しうることとなる。そのもっとも顕著な例は、カルテルなどであるが、民事責任の追求に制裁的効果を与えるためには、懲罰的賠償、二倍、三倍賠償などの考え方をとり入れて賠償額の引上げを図るとともに、その実効を担保するために、クラスアクションなど手続面での改善が必要である。」こう言っているわけですね。  そうすると、本件の場合、課徴金の場合はこういうふうに懲罰的な賠償という意味を含んでいるのですか。二倍、三倍などの賠償を取るというような意味での懲罰的賠償の意味を含んでるのかどうかということが一つ。これは含んでないらしいのですね、それが一つ。  それから、クラスアクションの問題、これは私は前から法務委員会でいつも言っているんですが、これはなかなか日本の法律になじまない問題ですからあれですけれども、これは法務省に答えてもらっていいんです。クラスアクションの導入ということについては一体どこに問題があって、どういうふうに理解したらいいか。選定当事者でやれという考え方があるかもわかりません。そこら辺のところは法務省から答えてもらって、この課徴金というのは懲罰的な賠償ではないんでしょう。だから、ちっとも効き目はないんです。営業停止はできない。課徴金といったって、それはただ利益の一部を吐き出すだけで、懲罰的な賠償でも何でもない。告発と言ったって、告発はなかなかしない。告発しないことに対して一般の国民は文句も言えない。黙っている。不問にしてしまったって国民は異議の申し立て方法も何にもない。国民不在の中でどんどん行われて、そうして結局は企業の擁護以外の何ものでもないということだけのことじゃないんでしょうか。  時間が来ましたからあれですから、また後でお聞きします。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 課徴金は行政上の措置でございますから刑罰的な性格を持っているものではございません。  なお、非常に低いではないかということでありますけれども、私どもは算定の基礎といたしまして、それぞれ産業の経常利益率をとりまして、そしてその半分を徴収するということにしたわけでございますから、したがって決して軽いものであるとは考えません。また、この課徴金は損金には算入されませんので、税の面も加算をいたしますと相当な額になるというふうに考えているのでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 クラスアクションは法務省から後から答えてもらいますが、だから半分というのはおかしいんですよ。本当にカルテルが悪なら、本当にカルテルが悪いという考え方なら全部取ればいいんですよ。そこが本当に考え方がなまぬるいんですよ。それは資本主義経済だからやむを得ないと言うかもわからぬけれども、これはおかしいですよ。加藤さんだって言っているんですからね。加藤さんというのは不法行為法では非常に新しい考え方を持っている人ですけれどもね。だから、そういう懲罰的な賠償をして初めてカルテルは悪なんだ、カルテルをやったならば元も子もなくなって、損をしちゃうのだ、だめになっちゃうのだということになるのですが、そういうことが全然ないですよ。これではちっとも痛痒を感じないというふうに私は思いますよ。こんなの、だめですね。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 罰則があり、さらに損害賠償制度があるほかに新しく課徴金制度というものを設けたわけでございますから、したがいまして、だめですよと言われましたけれども、新しい制度を導入したことは、これは強化であるということは疑いないところであると思うのでございます。また、二分の一という問題については、いろいろ御意見があることは私は承知いたしておりますが、しかしカルテルによって得ました利得のほかに、やはり正当な利得というものもある程度あるということを考えまして二分の一ということにしたのでございまして、その辺は御理解をいただきたいと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 カルテルをやったときに正当な利益があるという考え方がもうすでにおかしい。問題はそこです。カルテルをやれば全部が不当なものになるんですよ。その考え方をとってないところに問題がありますよ。  それから、いま言われたように、罰則があるじゃないか。罰則は第一、専属告発でしょう。なかなか告発しない。きわめて額は安い。それから、損害賠償だと。損害賠償は日本の場合にはきわめて起こしにくい。起こしいいような法律、制度というものをつくってない。課徴金というものは低い。結局何ということはないんですね。だめですよと、これは言わざるを得ないんですよ。だめですよと言われても困ると言うけれども、だめですよと何回も言わざるを得ない。そういうことにたらざるを得ないですね。これは自民党がやっているんだから無理もないと思うのです。これはしょうがないですよ。自民党がこれを余りきつくやったら、また財界から猛反対を食って存立地盤を失っちゃう――と言うと、速記録を削除されるかもわからぬから、そこまで言いませんけれども、おかしいですよ。私はこれについては納得しません。だから、企画庁も消費者保護の立法というもの――これは中間報告やその後の報告が出たですよね。これを具体的に今後どういうふうにやっていくのか、もう少しはっきりさせてください。それとクラスアクションの問題と、それで終わります。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 加藤委員会ですか、法制委員会ですか、その報告はまだ中間報告の段階でございまして、これはいずれ最終的な御報告があるだろうと思うのです。それを待って、これは独占禁止法以外いろいろ問題があるようでありますので、それでひとつ政府部内において検討したい、こういう考えでございます。  その中で、クラスアクションにつきましては、これはまた恐らく何か御意見があろうと思いますが、法務省の方からお答え申し上げます。

川島一郎法務省民事局長

○川島(一)政府委員 クラスアクションの制度は、もう先生御承知のとおり、アメリカで発達した制度でございまして、これを日本に導入してはどうかという意見があることは御指摘のとおりであります。ただ、日本の訴訟制度になじむかなじまないかという問題が非常に大きな問題になっております。  問題点といたしましては、まずどの範囲の訴訟にこれを適用するのかという大前提がございますが、それを別にいたしますと、クラスの範囲に属する当事者をどういうふうにして確定するか。それについてはアメリカでやっておりますような告知の方法あるいは公告の方法、これをどういうぐあいに制度に取り入れていくかということが第一です。それから、クラスの代理人となって現実に訴訟活動を行う者、これはやはり一定の資格を持っていなければならないであろう。だれでもいいというわけにはいかない。その資格をどのように認定していくかという問題がございます。それから、大きな問題といたしましては、判決の効果が勝訴の場合、敗訴の場合によってクラス全員に及ぶということになると考えられるわけでありますが、それでいいのかどうか。それから、細かい点では、和解などを行う場合に、どの程度の効果を認めるかという問題。それから、その訴訟を行うについての費用の分担、これをどうするかといったような問題もございます。  こういった問題を解決する背後には、裁判所の相当範囲の裁量権というものが問題になってまいります。この点は日本の裁判所とアメリカの裁判所と非常に違う点でございまして、果たしてアメリカと同じような制度が日本でとれるかということになりますと、現在の実情をよく考えなければ、簡単には結論が出せないという状況でございます。  ただ、クラスアクションの制度は非常に少額の損害賠償債権に裁判行使の場所を与えるという利点、それからそのうらはらの問題といたしまして、そういうことによって利益を得た事業者から利益を剥奪して法の実効性を高めるという長所がございますので、こういった長所を何らかの形で実現できるような方法をアメリカとは別に考えて見る必要はあるのではないか。しかし、これは相当検討を要するむずかしい問題であるというふうに考えております。

武藤嘉文自由民主党

○武藤(嘉)委員長代理 村山喜一君。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 いままで速記録を見たりあるいは委員会における発言を聞いておりますと、どうも植木長官と高橋公取委員長との間に、法律の制定の解釈の問題をめぐりましていろいろ食い違いが多いようでございまして、課徴金の問題を初め同調値上げの報告の問題等、いずれもこれは政府の統一見解というものをお示しをいただかなければならないわけでございます。そういうような意味において、いま出されております独禁法の改正というものがどういう角度から提案をされたものか、この点について基本的な認識の差が、そこに解釈の差となってあらわれているのではないだろうかというふうに私は受け取るのでございますが、総務長官は、この独禁法の改正案を提案されました基本的な理念というものは一体どういうふうにお考えになっているのか、その点についてまず第一に承りたいのでございます。  なお、続いて公取委員長は、実際の公取行政を進めていく上から、いまあらわれているそういう独占の弊害というものをチェックしていくためには、この提案をされました法律をできるだけ厳しく幅を広げて解釈をしていかなければ、これが後退につながるということでは、独禁法を守る立場から、いわゆる守護番としてのその任務を放棄せざるを得ないというような気持ちで言われているのではなかろうかとも受けとめられるのでございますが、この基本的な考え方についてまず初めにお尋ねをいたしておきたいと思うのでございます。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 今日まで日本経済は非常に強い民間の活力がございまして、競争が高度経済成長を生み、また高度経済成長が競争をさらに刺激していくという形で経済運営が行われてまいりました。しかしながら、御承知のように内外ともに情勢が変化したわけでございまして、こういういわば低成長期と申しますか、低い安定成長期に入りましたときには、独占、寡占の傾向が進む、あるいはまた価格の管理化が行われるというようなことがあり得るということを私どもは考えるのでございまして、したがって、ここでこれらの情勢の変化に適応いたしました国民の理解が得られるルールの確立が必要である、公正かつ自由な競争を促進して、自由経済に新しい活力を与える必要があるというのが私どもの理念でございます。  経済に関する政策といたしましては、いろいろ通商政策あるいは産業政策、その中にはまた運輸政策もありますし、建設の政策もありますし、農林水産政策等いろいろございます。ございますが、同時に競争政策というものも経済に関する政策でございまして、したがって、すべての経済政策の中に競争政策というものを組み込む、これを強化することによって、経済に活力を与えていこうとするものでございます。したがって、価格介入その他事業者の創意を損なう恐れのあるものは避けましたが、違法カルテル対策の強化、寡占の弊害発生の防止、企業集中進行の防止というような点につきまして、要件等基準の明確化を図りつつ、ルールを確立したのでございます。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 私は、この改正法律案に対しまして基本的に故意に解釈が異なるというふうな考えじゃないのです。それはただ、どう言いますか、中には、この改正ではむしろ後向きであるというふうなことから削除を相当とするというふうな意見が、一部にかなり強くあるわけです。特に独禁法専門の学者の方々の中にもそういう御意見がある。それに対して私は、これはよく解釈すれば十分前向きにできるものであるというふうな感じです。その点、気持ちの上では全くそのとおりなんでして、決してこれを逆向きに批判しているのではないのです。間々解釈上ちょっとした差異があると申しますが、たとえば四十条の問題たんかについて、従来四十条というのはあったわけでして、これを狭めるということについてはにわかに賛同しがたいということを申し上げている。従来、長年とってきた公取のやり方を今度は否定することになるのでは困るのである、こういう意味でありまして、新しく設けられた四十条の二も十分それは評価してこれを活用することがむしろ適当であるというふうに考えているわけでございますから、私は根本的な考え方において著しく違うというふうなことはないと思っておるのでございますが、ある程度そういうものを運用する立場から考えるという面が、法律の解釈の上に多少ニュアンスの差としてあらわれているんじゃないかと考えます。その点はすでにもう速記録によっても明らかなところでございますから私はくどくど申しませんが、そのように受け取っていただきたいと思います。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 公取委員長のお気持ちは私たちもよくわかるし、また後退をさせてはならないという気持ちで法案の審議に取り組んでいるわけでございます。ただ、国民の側から考えますと、政府の発言の中で内閣法制局の説明と公取委員長の説明が食い違っている。あるいは政府を代表いたしましての植木長官の解釈と公取委員長との間には差が余りにも多過ぎるではないかというようなことから、きのうの委員会における林委員等の質疑の中でもそういうような意見が出されているやに承るのでございますが、そういうような点から、この問題については、政府としての統一見解というものを明確にしながら法案の審議を進めることができるようにしてもらいたい。  まず、このことを初めに要請を申し上げて内容に入ってまいりたいと思いますが、一般の国民は、今度独禁法の改正が行われることによって寡占なり独占なりの弊害というものが除去される、それによって自分たちの日常の生活の中での物価の上昇が、カルテル行為等の規制によって歯どめをかけられることになるのではないだろうかというようなことがまず関心であって、公正な資本主義社会を維持するための経済秩序の維持のために行われる法律であるなどというようなことには、私は余り関心を持たないと思うのです。ところが、いまの企業の形態を考えてみますと、単なる企業の分割だけでは価格が下がらない、こういう現象がもう現実に予測をされる。そして、集中度を寡占の基準とすることについても、そこには限界がある。そして、いまなさなければならないのは、システム化された企業集団の形成というもの、これにやはりメスを入れて、垂直的な統合形成をしておりますこういう経済のシステムというものにメスを入れていかなければどうにもならないんじゃないか、そういうような意味で、さきに公取委員会の方から中間報告という形でございましたか、総合商社の機能というものを分析された資料が出されてまいりましたが、そういうようなものをもとにして考えていけば、いわゆるカルテルとかトラストとかというような古典的な形態のそういうチェックの方式だけでは問題の解決はできないのではないだろうか。いまの日本のこの産業経済の形態というものを、システム化された一つの企業集団としてこれを新たな角度からとらえて、それに対して独占禁止法がそういうような潜在的な弊害がもたらされる可能性というものをチェックしていく、そういうような法律として制定をしてもらいたいというのが私は国民の声ではなかろうかと思っているのでございますが、それは総務長官はどういうふうにそれを受けとめられておいでになるのか、その点についてお尋ねをしておきたいと思います。それは株式保有制限の問題とも関係がございますので、その点をあらかじめお尋ねをしておきたいと思うのでございます。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 私どもも、いま村山委員が御指摘になりましたと同じような問題意識を持っております。企業のグループ化あるいは系列化というものが進みます傾向に対しまして規制をしなければならないという観点から、いまお話ございました株式保有の制限というような制度をさらに拡大をしたわけでございまして、私どもは同じ問題意識に立っております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 この株式保有制限の問題でございますが、一般企業は総量規制をやる、金融機関は一〇%、五%の持ち株比率規制をやる、二通りの規制の方法が今度とられようとしておるわけでございます。  そこで、公取の資料を私拝見をいたしますと、規制基準を超えて株式保有をしている会社は、十五社で三千八百十三億の超過株所持であるということが資料として出ているわけでございます。そこで、銀行の持ち株比率が五%を超えましたその株式額は一体幾らなのか、これは公取の資料には出ておりません。どういうふうにつかんでおいでになるのですか。

渡辺豊樹公正取引委員会事務局官房審議官

○渡辺(豊)政府委員 私どもの方で前に調べました資料では、銀行と保険を合計いたしまして、持ち株比率五%超の株式額は――失礼しました……

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 時間が足らなくなりますから、資料としては後藤審議官に私はお尋ねしますから、公取の資料と突き合わしてみて、大蔵省の発表した数字が間違っておれば、後で公取の方から説明を追加していただきたい。

後藤達太大蔵大臣官房審議官

○後藤(達)政府委員 私の方で集計をいたしておりますところでは、銀行につきまして今度の改正によりまして規制を強化せられました結果、持ち株比率が五%を超える株式の超の部分でございますが、これは全株式を合わせまして二千八十八億円の簿価と相なっております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 二千八十八億円、その所有の内訳はどういうふうになっておりますか。

後藤達太大蔵大臣官房審議官

○後藤(達)政府委員 金融機関別に申し上げますと、これは上場、非上場合わせておりますが、端数のところは丸めて申し上げまして、都市銀行につきましては千六百九十億、地方銀行につきましては五十七億、長期信用銀行につきましては二百四十四億、信託銀行につきましては九十一億でございます。     〔武藤(嘉)委員長代理退席、萩原委員長代理着席〕

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 上場、非上場に分けた場合にはどうなりますか。

後藤達太大蔵大臣官房審議官

○後藤(達)政府委員 上場、非上場に分けまして簿価で申し上げますと、上場株でございますが、都市銀行につきましては千五百五十億円、地方銀行につきましては二十四億円、長期信用銀行が百六十三億円、信託銀行が六十八億円でございます。それから、非上場について申し上げますと、都市銀行が百三十五億、地方銀行が三十二億、長期信用銀行が八十一億、信託銀行が二十三億でございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 その株のいわゆる会社別のトータルはどういうふうになりますか。

後藤達太大蔵大臣官房審議官

○後藤(達)政府委員 会社別ということでございますが、会社の数にいたしまして、ただいま申し上げました全部の会社の数が二千七百八十社でございます。そのうち非上場の会社が約千八百でございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 公取委員会、規制をするために銀行の場合には五%で押さえるということになるわけでございますが、いま大蔵省の方から説明を受けましたものと数字は合っておりますか。

渡辺豊樹公正取引委員会事務局官房審議官

○渡辺(豊)政府委員 失礼いたしました。  先ほど私が手元に持っておりました数字は、先ほどの銀行局の数字よりもちょっと多かったものでございますからおくれましたけれども、それは生保が入った数字で持っておりましたので、生保を除きますと先ほど銀行局が答えられた数字と同じでございます。生保を入れました合計の数字でいま突き合わせましたところ同じでございますので、失礼いたしました。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 生保の方は、これは法律では現在のまま一〇%ということになるのですから、それまで入れまして公取の方で五%超の分を計算されたのでは、法律を制定する客観的な資料がおかしくなってくるわけです。だから、銀行の場合が今度五%ということで規制をしようというわけですからこれに合った数字を提出して、こういう状態でございますから五%超は規制をいたしますということにならなければきわめておかしいと私は思う。  そこで、銀行の資産の中に占める株式の構成比率というのは年度別に見た場合に一体どういうふうに変わってきておりますか、その変化についてお知らせください。

後藤達太大蔵大臣官房審議官

○後藤(達)政府委員 全国銀行について御説明させていただきたいと存じます。  これは総資産の中で保有しております株式の残高の割合でございますが、昨年の九月末におきまして二・二八%でございます。この経緯でございますが、四十一年ころまでは大体二%弱でございます。ちなみに四十一年三月が一・九三%になっておりまして、余り動いておりません。その後二%を若干超えてまいりまして四十三、四年ごろが二・三八と、そのころ一番高いパーセンテージになりました。それから、四十八年ごろが二・五ぐらい、多少起伏はございますが、後は大体同じようなウエートで推移をいたしております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 六月六日の委員会で植木長官は越智委員に対しまして、金融機関というのは金融力と相まって株式保有による他の会社の支配が容易になるからこのたび五%ということにしたのだ、こういう説明でございます。ところが、金融機関の民主化といいますか、銀行の場合特定の系列企業等に対しまして大口融資をしておったということで、銀行の自己資本比率に基づいて大口融資の規制措置がとられました。そのとられた目的はいろいろ言われておりますが、銀行信用の適正配分ということから措置がされたと私たちは受けとめているわけであります。そのときのいわゆる長期貸出額というのですか、大口規制の対象になる額がちょうど一兆円程度と言われておりました。これは五年間で解消をするんだということで行政指導がいま行われているわけでございます。ところが、法律の規制は、今度の独禁法の改正案を見てみますと、これは十年の経過措置でやるんだ、こういうことでございますね。行政指導では一兆円の大口融資規制は五年でやっていかなければならないというふうに大蔵省は自分たちの行政指導でそれをやろうとしている。融資規制というような問題は銀行法の改正の中で取り上げるべき筋合いだと私は思うのですが、いまお伺いをしておりますと、公取の資料でいわゆる一般の企業の総量規制、会社十五社で三千八百十三億の株ですよ。銀行の方は五%以上の株が二千八十八億ですね。十年間もやらなければならない理由というものが――法律で規制をするということと行政指導との関連において、片一方は一兆を超えるそういう融資規制を行政指導でやろうとしながら、こちらの方においては、それに比べたらわずかな金額であるものを十年間もかかって法律で規制をするという考え方は、株の放出圧力というものがどんなにあるのかということを余りにも懸念し過ぎたやり方ではないだろうかと私は思いますがゆえに、その十年に規制をした積極的な理由をお伺いをしたいと思うのです。公取委員会の委員長試案の中にはたしかこれは五年というのが出ておったように記憶をするのでございますが、十年かからなければそれは処置できないのですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 株式の放出の場合といまの融資の規制の場合とは事情がいささか異なるというふうに私どもは考えるのでございまして、これを直ちに放出処分させるということは、相手側の企業に予期せざる影響を与えるおそれもございますし、また株式市場に混乱を生じる、あるいはまた中小企業にも悪影響を及ぼすであろう、こういうことを考えまして、十年間という年数を経過期間としたのでございます。  なお、これは事業会社との均衡、株式市場への影響ということでございますが、この場合有償の割り当ての増資でありますとか利益配当による新株の追加取得によるその所有は二年間に限っておりますし、新たな買い増し等による株式の増加所有は、たとえ現に所有する比率の範囲でありましても認めないということにいたしておるわけでございまして、したがって私どもとしては、相手方の会社の増資に伴い所有株式数は漸次五%に近づくであろう、こういう見方もいたしております。  ただ、先ほど申し上げましたように、繰り返しますが、相手方の企業に対する予期せざる影響あるいは株式市場の混乱、中小企業への悪影響、こういう点を勘案をいたしまして十年間としたのでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 それがどういうような影響をもたらすか、これはやはり影響をもたらさなければおかしいのであって、法律で規制する理由がない。だから、五%ということにされたのでしょうが、そういうような意味において五%にしなければならない、そういうような状態にいま銀行の場合にはあるというふうに大蔵省では考えているのですか。

後藤達太大蔵大臣官房審議官

○後藤(達)政府委員 銀行の株式保有の割合をいま緊急に五%にしなくてはいけないと思っておるか、こういうお尋ねだと伺いましたのですが、私ども金融行政をやっております立場から申し上げますと、銀行のただいまの株式の保有の状況そのものが特別差し迫った弊害をもたらしているとは率直に申し上げて考えておりません。ただ、先ほど先生も御指摘になりましたように、金融機関は大口の信用規制を必要とする、つまり融資を通じまして、企業に対しては常に非常に強い力を持つ立場に立つものでございまして、そのほかの融資を通ずるその立場とあわせまして、株式保有の面でやはり余り強くなり過ぎるということは適当ではないであろう、こう考えております。したがいまして、大口融資規制も実施をいたしましたし、今後の銀行と企業との関係を考えますならば、株式につきましても、こういう独禁法を強化するという一環といたしまして、改正前のつまり原始独禁法の五%という時代に戻すのが適当である、こう考えておる次第でございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 二十八年前が五%であったから、それに戻して、バランスの上からそれでもいいだろう、予防的な意味において規制をされることについては仕方がありませんという受けとめ方の発言でございます。  そこで私は、一体いまの株の持ち合いというものがこのままでいいのだろうか、そして法人株主が急増をいたしまして、個人の株主が減少の傾向をずっとたどっているわけであります。それについて、この問題はきわめて重大な問題でございますから、証券取引審議会あたりでも検討が行われているようでございますが、この内容についてすでに中間答申が出されたやに承るのでございますが、どういうような方向で検討が行われているのか、これについてこの際明らかにしていただきたいと思うのです。

藤井淑男大蔵大臣官房審議官

○藤井(淑)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま証券取引審議会において、法人による株式所有あるいは持ち合い等が行き過ぎている問題につきまして、個人株主を増加させなければならないという観点からどういう方向で審議が行われておるかという御質問がございました。  私ども大蔵省といたしましては、昨年の十一月以降証券取引審議会におきまして、株主構成の変化と資本市場のあり方について現在まで数次にわたって審議を続けております。その中におきまして議論されております項目は、法人による株式所有の行き過ぎを是正するにはどうしたらいいか、それから流通市場が公正に働くためにはどうしたらいいかということをまず取り上げまして、その次に株式投資をいたします際の個人から見た場合の魅力をどうやって回復させていくか、それから発行する企業体が株主をどうやって優遇していくべきであるか、それから証券会社の営業姿勢はどういうふうにあるべきか、それから投資家保護の徹底を図るにはどうしたらいいか、それから株式投資をしておる生保、損保等のいわゆる機関投資家がどうやって資本市場でその機能を果たしたらいいか、大体以上の点にわたって審議を続けておりまして、そのうち第一の個人株主が非常に減った問題、どのようにしてその減り過ぎを防ぐべきかという問題につきましての審議と、それから株式の投資魅力の回復の問題、この二点について中間答申が出ております。  御質問の点は、その第一の点に特に関係するわけでございますが、御承知のように個人の株主が、昭和二十五年には六〇%を超えておりましたのが、最近、四十八年で見ますと、三三%を切っております。半減に近い状態でございまして、これには株が高くなり過ぎたとかあるいは土地を買うために処分をしたとかいろいろな問題もございましょうけれども、法人の株式取得がだんだんにふえているということに着目いたしまして、法人の株式所有を、株式市場の正常なる発展という観点から種々規制しなければならない点があるということで議論をしているわけでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 そこで、私もここに資料を持っておりますが、株主構成の変化に対処する方策を第一の議題として掲げて、これについては検討がほぼ終了したというので、こういうふうにすべきであるという提言をしておりますね。その内容について説明を願います。

藤井淑男大蔵大臣官房審議官

○藤井(淑)政府委員 お答えいたします。  まず、審議会で具体的な問題として提言がございましたのは、法人による株式所有の行き過ぎを是正し、流通市場の機能を強化するために、証券取引所の諸基準を強化することをまず具体的な問題として提案しております。  この点につきましては、非常に技術的に細かいことが多いのでございますので、その大綱を申し上げますと、従来より東京、大阪その他主要地区に取引所がございますが、そこに上場されているいわゆる大会社の上場基準、上場を許すときの基準でございますが、それと、今度はさらにそれが東京とか大阪の第一部に一部銘柄として指定されるときの基準、それから第一部におりましたが、どうも株式市場の観点から見ますと第一部にいるのは適当でないということで第二部に落とすときの基準、それから第二部にいるのもちょっと株式市場の観点から言うとぐあいが悪いという意味で上場を廃止する場合の基準、そういうものが従来からあるわけでございますが、その基準がやや甘過ぎるのではないか、したがって現在の一部、二部に上場されている会社の株式というものが流通性に欠ける面が出て、そういう株式の株価の形成が公正でない場合もあり得る、そうなりますと、個人の株主が株を安心して買えなくなるではないか、そういうことでこの諸基準を相当思い切って引き上げたわけでございます。それが第一の具体的な問題でございました。  それから第二番目には、法人が優先的に株式を取得する場合があるわけでございますが、その具体的な例といたしましては、たとえば時価発行で会社が増資いたします際に、発行会社が指定する消化先へ時価発行の増資の分何割かを割り当てていくというやり方がございます。これをいわゆる親引けと称しておりますが、その親引けの比率を下げよう、抑制を漸次強化すべきであるという提案がなされております。その提案を受けまして、証券局といたしましても、この親引けの比率というものを引き下げたわけでございます。  それから、会社が一般に公募することがむずかしいので第三者に割り当てて増資をするというやり方をとる場合がございます。これは商法上認められておりますが、そういう第三者割り当て増資というようなやり方は、企業再建等、どうしても公募によりがたい場合、公募ではできない場合、そういう場合だけにしてもらう、それ以外は、商法上は規定がございますが、自粛してもらう、そういうことを証券業界の方に言い渡してございます。  それからさらに、もう一つは株式の相互保有の問題でございますが、これは御案内のように、先ほど来御指摘がございますように、株式の相互保有というものは、企業間の関係の強化とか、取引先との連携の確保とか、あるいは資本自由化とかあるいは乗っ取り等に対応いたしまして株主安定工作というのを企業はいたしておるわけでございますが、そういういろいろな目的から株式の相互保有というものが行われております。しかしながら、これが余り行き過ぎますと、株主を軽視する会社経営となりやすくなりますし、また会社の財務体質の健全性も害します。またさらには、市場に出回る株が非常に少なくなりまして、株価の形成が非常に乱高下いたしたりいたしまして、個人投資家を保護する観点から弊害が出てまいるということがございます。  そういうことがありますので、株式相互保有の規制の問題は、商法における自己株取得の禁止規定との関連において種々法律的に複雑な問題がございますので、法制審議会の商法部会でこの問題を、つまり株式の相互保有を行き過ぎないように規制する方法を審議していただくことが必要であるということを審議会として中間答申しておる次第でございます。  以上が御質問のございました問題につきましての現在までの具体的な答申の内容でございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 現在の株主構成比率は、法人と個人とに分けましてどういうふうになっておりますか。

藤井淑男大蔵大臣官房審議官

○藤井(淑)政府委員 現在、昭和四十八年度末の数字で申し上げますと、個人は三二・八%を保有しております。これは全国の取引所に上場されている会社全部の合計に対しての比率でございます。それでございますから、それ以外のものは法人が所有しておりまして、これが六六・九%でございます。そのほか若干ございますが、これは政府とか地方公共団体がごくわずかに、具体的に申しますと〇・二%ほど持っている株がございます。そのような構成になっております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 お聞きのとおり、七割近くが法人で所有をされる段階にきている。個人が三割しかないという、そういう段階にまでもう到達をしておるわけであります。しかも、それは見せかけの資本構成という形でお互い法人同士が持ち合いながらやっているというところに基本的な問題点があるわけでございますが、大蔵省の指導のサイドというのは、その上場基準の改正であるとかあるいは法人の優先的株式取得の制限であるとかということで法人の持ち分ができるだけ少なくなるように、個人の持ち分がふえるような形で行政指導をやるというのが、総量的なそういうような意味における指導としてなされている。しかし、この問題はやはり私的独占禁止法の中においては分析をしていかなければならない問題だと思うのですが、法人の株式所有の形態はどういうような形態になっているのかということを公取では分析をしておいでになりますか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 私どもは、分析しているといいましても、ただいまのような証券局がいろいろ実態調査をしておられる、そういった資料を利用するというのが中心でございます。直接に調査するということは容易ならぬことでございますから、実際には。しかし、そのほかにもいろいろ手がかりになるものがございますので、どういう株式の保有状況になっておるかということは十分調査してございます。それは私どもの方が直接それぞれの会社に照会しなくても、手がかりとなる資料はいろいろとございますので、いま言ったような個人が三三%に満たないということは、私どもの資料にも出ておるわけでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 私はやはり総量規制をやり、あるいは銀行なりその他の金融機関の持ち株比率を制定しようという上から見たら、やはり現在の株式所有形態というものを分析して、そして法人の株式所有形態が一方的な支配形態の中で所有をされているのがどういうふうになっているのか、相互持ち合いがどういうふうになっているのか、そして環状的な持ち合いがどういうような状態にあるのか、そういうような分析をした上で、だから現在の段階では商社等を中心にする総量規制を十五社程度でやってよろしい、あとの問題は、株式の相互持ち合いの問題については、これは商法の問題との関係が深いから商法部会等において検討する方が望ましいとかいうような結論を出して、とりあえず独占禁止法の規定の中ではこれだけは規制をしておこうというような選択が行われるところに政策がなければならないのではなかろうかと思うのですが、そういうようなのは検討なしにこの法律案はお出しになったのですか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 いまおっしゃる中で、私どもが特に関心を持っておりましたのは金融機関の問題と、いわゆる企業集団と称せられるものの中の株式の持ち合いでございます。これは特別に調査しているわけです。ですから、金融機関が特に、主として都市銀行なんでございますが、それがどういう地位を占めているか、上場会社において上位筆頭の地位を占めているというものが現在ではかなり高い。一八%でございますが、これは相当高いと言わなければなりません。  それから、資本金の大きな会社百社をとらえた場合の、そのうちの三五%ぐらいは銀行が完全に上位株主を占めておる、そういう点は調査してありますし、それから商社を調査した際に、それらのいわゆる企業集団と目されるものの間の株式が相互にどういう持ち合い状況になっているのかというのは、そのときの調査で把握しているわけでございます。ですから、ただ単に抽象的に一般的に法人株式がこうであり、個人株式がこうであるというだけで発想したわけではないということだけは確かでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 公取の資料の中で、上場会社の上位株主の中に占める銀行の地位というので、銀行が第一位の株主となっている会社数は四十九年七月で一七・一%ある。そして、一位から三位までの上位株主になっているのは二三・四%あるという数字はいただいております。しかし、この中身を分析してみれば、全体の株の五、六%でもトップに立っているわけで、現在は一〇%以下はそれ以上は持ってはならないということで法律が動いているわけですから、中身の分析をすれば五、六%程度でトップに立っている、こういうようなことで一位にはなっているけれども、そういうような中身的なものはもっと分析をしてみなければならないかと思うのです。それで、私はこれを規制するという意味においては反対ではないのです。これからやはりそういうような金融機関が企業に対する支配的な影響力を行使しないように歯どめを講ずるという意味においては賛成でございます。ただ、その場合に法人が株式を所有している形態というものは、公取では商社等のそういうような企業集団としての実態調査をされました。これはきわめて有効な調査であり、私たちもそれを参考にさせていただいておるわけでございまして、その点についてはいいのですが、ではほかの株がどういう形態でいま法人の所有形態として示されているのかということを私たちが知らなければ、今後の推移をどういう方向において定めていくべきであるかということについての方向性が出てこない。そういうような意味において、証券取引審議会の方ではそういうような検討が行われているわけでございますが、しかしこれは単に証券取引審議会の問題だけではない、この問題については商法あるいは会社法に関係がある問題であるから、法制審議会の商法部会等において検討をしてもらいたいという提起をしているわけですね。  そこで、法務省にお伺いしたいのですが、こういうような提起を受けましてどういうふうな準備をしておいでになるのですか。

川島一郎法務省民事局長

○川島(一)政府委員 法制審議会におきましては、現在株式会社法の全面的な検討をいたしております。これは昨年商法が改正されまして、その際国会の附帯決議もございまして、株式会社の基本的な制度について全面的な検討をしようということで着手をいたしたものでございますが、その中でいろいろな問題を拾って、現在関係のある方面にこういった問題についてどのように考えるかという世論調査的な意見照会を行っております。この意見照会をする前に問題をいろいろ話し合ったわけでございますが、その際ちょうどただいま問題になりました株式持ち合いの問題も国会で論議の対象となり、あるいは証券審議会の考え方も示されましたので、あわせて意見を聞くことにいたしております。  ただ、私ども商法サイドでこの問題を考えますと、おのずから限度があるのではないかというふうに思います。御承知のようにイタリア、フランスあたりで規制しておりますのは一対一の関係での株式の持ち合い、これを制限するわけであります。それから、ドイツあたりでは持ち合いそのものは制限いたしませんけれども、資本が空洞化されてその結果見せかけの株主ができる、その見せかけの株主の議決権の行使を制限するという形での立法をいたしておるわけでございます。そういったことで、大体商法サイドから考えますと、資本充実の原則との関係において一対一の関係を規制するというのが世界各国の態度であります。  ここで、国会あたりでよく問題になりますところの企業集団というのは、やはり株式の循環的な相互持ち合いに関する場合が多いのではなかろうかと思うわけでございまして、そこまでは商法の面では手が尽くせないのではないか、こういう感じを持っておりますが、しかしいずれにいたしましても、現在この問題はそういう状況で商法部会において検討することにいたしております。  そういう状況でございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 植木長官、いままでお聞きになっていただいておるとおりに、一方的な株の所有の形態、それから相互持ち合いあるいは循環的な持ち合い、内容的には法人の所有形態の中にはいろいろあるわけでございまして、今度商社等を中心にいたしまして資本金百億以上、純資産が三百億以上のものについて十五社程度の規制をやる。なるほどそれらの指定をされましたところにおいて超過をしているものは、増資なり新株の持ち合いについてはそれによって規制ができて、いままでのような横暴なやつは規制ができるでありましよう。しかしながら、それだけやってみても問題の解決はまだできない。もっと底まで掘り下げていかなければ、いまのような資本構成をたどっていけば、これはわれわれには余り関係はないわけですが、資本主義の体系全体がこれによって壊れてくるという、今度の独禁法の改正も資本主義体制を維持するためにそういうような競争原理が働くようにしようということであなた方は提案をされている、その資本主義の土台に関する問題がいま株の持ち合い等によって崩壊をしつつあるわけです。そういうような問題を考え、なお企業集団の状態等を分析していかなければならないし、ただ単なるカルテルやトラストがという形だけでは今後の独禁政策というものは私は生まれてこないと、そういうふうに考えておりますので、その点についての総務長官の見解をこの際お尋ねをして、この項については終わりたいと思うのです。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 法人の株式保有が増大しておりますことは、事業支配力集中という点で非常に問題でございますから、今回のような総量規制をいたしまして、また金融機関による株式保有は、先ほど公取委員長からの答弁にありましたように筆頭株主となっておりまするパーセンテージも高くなってきているというような状況でございますから、これを五%にしたわけでございます。また、株式の相互持ち合いという問題でございますが、これは私どもも真剣に論議をした点の一つでございます。ただ、一般論として会社が他の会社の株式を持つことを全く否定することはいかがかと存じますが、しかしそれが一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合には、これは非常に問題でございますから、現行独禁法の第十条によりまず規制が可能であろうと思うのでございます。しかし、持ち合い一般につきましては将来の問題といたしまして、商法その他の関係法規の整備を考えながらこれは取り組んでいかなければならない課題であると認識をいたしております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 最後の問題ですが、経常利益の問題について、新しく制定をされます七条の二です。この内容についてお尋ねをいたしたいのでございますが、実行期間、その前にさかのぼって三年間の経常的な利益がどういうふうに出されているかということを調べなければならない。そこで、私は、これはどうも正確に聞いていないのでわかりませんが、その経常利益率の出し方等については政令で定めるということになっておるわけでございます。  そこで、この政令で定める方法の内容の問題でございますが、カルテル行為を結んで三年間実行行為が行われた、で、それを調べるのに三年前にさかのぼってそういうような経営状態、経常利益がどの程度出ているのかということについて調査をしなければならない、調査をいたしまして計算をするわけでございますが、その場合に、総理府のたしかおとといの委員会における説明では、その資料というのは一体どこでどういうふうに証明するのかということについて聞いたところ、それは税務署の方からいろいろな資料をもらうような方法を考えたらいいじゃないかという意味の発言があったやに聞いているのでございますが、一体その資料はどういうようなところでどのようにして客観的に証明をしようとしているのか、まずこの点について承りたいのです。

原徹内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○原政府委員 経常利益の額でございますが、これは一般の会社でございますと当然決算をいたしますから、決算したもので、たとえば公認会計士等で証明がつくものであればそれによるわけでございます。その他は別に何という方法は特別考えてございません。それは各企業の方でいろいろ連絡になるわけでございますから、実際問題としてはいろいろなデータ、最終的には原始記録からということもあり得るわけでございますから、とにかく公取委に認めてもらう立場に立って、それでそういう数字を出していただいて、それが客観的に妥当であると認められた場合に、その金額によるということになろうかと思います。したがって、企業の方が場合によってその納税証明書を取ってきてやるという方法もあろうかと存じますが、納税証明書を出したからそれじゃそれで確実に正しいかということになると、これも一つの資料であるかとは思いますけれども、絶対的なものであるかどうかということになると、ここにも疑問はあるわけでございますから、そういう点は私どもはそれは企業の任意でやってよろしいんじゃないかというふうに思っております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 国税庁、見えていますね。国税通則法の七十条の一項あるいは三項、これによりまして、課税処分をなし得る期間というものが三年、そして無申告等の場合には五年ということになっておりますが、通則法によります文書取り扱い規定の保存期間はどれだけになっておりますか。

横井正美国税庁直税部長

○横井政府委員 お答え申し上げます。  文書の保存期間につきましては、ただいま村山委員の御指摘がございました課税権限との関係におきまして国税庁あるいは国税局の訓令におきまして五年というふうに定めておるわけでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 その訓令によって五年しか保存ができない、保存する義務は五年だということになると、六年前の証明を税務署に行って納税証明書の形でもらえることにはなりませんね。それはやはり通則法の施行令によりましてどういうような納税証明書は交付しなければならないというのが決まっておりますから、六年前のやつは、これはどうにもしようがないですね。もらいに行っても交付するわけにはいきませんね、その点明らかにしてください。

横井正美国税庁直税部長

○横井政府委員 税務署に五年しか保存してございませんので、物理的な制約がございますほか、納税証明は三年間に限るというふうになっておるわけでございます。かつ、昨日板川委員の御質問でお答えしたのでございますが、納税証明事項は現在の施行令によりまして所得、それから税額、それから納税額、滞納額ということにしぼられておるということを御了解いただきたいと思います。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 お聞きのとおり課税所得の中では経常利益という概念がないわけでございます。そこで、経常利益という概念規定は、これは商法なりあるいは証券取引法を受けまして、株式会社の貸借対照表、損益計算書及び附属明細書に関する規則、その中の四十一条、それから証券取引法関係の財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則、その中の八十九条、九十五条にこれらの規定がございます。なお、そのほかに企業会計原則がございまして、いろいろこれも四十九年の八月三十日に審議会で修正がなされているわけでございます。そこで、これらの中身から、政令で定めるところのその経常利益という利益率の算出の方式、一体これは何を受けて、基礎にして経常利益というものを出そうとしていらっしゃるのか、いま、納税証明書などというのは三年間しか証明ができないし、内容的には限られたものしかできない、こういうことになってまいりますと、一体それはどの経常利益によるわけですか。

原徹内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○原政府委員 まず、売り上げの方も政令で定めると書いてございますが、これはリベート等を引いた純売り上げというふうにする、それから経常利益の金額は、株式会社の場合でございましたら商法の計算書類規則に基づく経常利益の額であり、それから個人の場合はそれに準ずると、そういうふうに書こう、大体そういうふうに考えております。したがって、先生おっしゃいました財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則の中にはいろいろ書いてございますし、それから株式会社の貸借対照表、損益計算書及び附属明細書に関する規則四十一条でございますか、こういう規定と同じになるわけでございます。

横井正美国税庁直税部長

○横井政府委員 そういう決算書等がどうなのかと、こういう点が議論になっておるわけでございますが、商法は別といたしまして、税法上のことを少し補足させていただきます。  現在の所得税法、法人税法におきましては、青色申告の方々は、帳簿を備えつけ、かっこれを保存するという義務を課されておるわけでございます。たとえば、法人税法第百二十六条、それから同施行規則五十九条によりますと、関係帳簿を五年間保存しなければいけないということになっています。現在、法人の場合で申しますと、全国百三十万の法人のうちで八五%は青色申告法人であるということになっておりますので、大多数の法人につきましては帳簿を備えつけており、五年間はこれを持っておるという状況であろうかと思います。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 いま政府側の説明を聞きますと、これはどれでもいいような、商法によりますものでもいいし、あるいは証券取引法によるものでもよろしいし、あるいは企業会計原則によるものでもいい、とにかく帳簿があり、そして税務署のそういうような納税証明書がもらえたらそれでもよろしい、そういうような政令というものになるのですか。私は、どうも説明を聞いておって、その政令の内容というものはまだおつくりになっていらっしゃらないだろうと思ってはおるのですが、たとえば財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則では、これはやはりねらいがありまして、投資家に過大、過小の評価をさせないように、公正な評価ができるようにという立場から制定をされているわけですね。商法によります四十一条の規定等の場合は、それは今度は会社のそういうような原則があるわけですから、そういうような意味から、それぞれ公正妥当な会計処理の原則というものは、その立場に立って、商法の場合には資本をできるだけ留保することができるような立場でこの原則は決まっておりますし、だから税法の理論とは全然違う点等があることは御承知のとおりでございます。  そこで、一体これらの問題をどういうふうに処理をしようとしているのか、その中身によってこの取り扱いがこれから確定されるということになってきますと、その政令の内容についてもどういう内容でこの問題を処理するんだということを明らかにしてもらわなければ「法律の審議は十分に行われないと思うのですが、その点はいかがでございますか。

原徹内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○原政府委員 私ども考えておりますのは、商法でいう経常利益ということを考えておりまして、それで私の理解では、証取法の定めているものと商法で言っているものと矛盾はないというふうに私は理解しておりますので先ほどそう申しましたわけでございますが、もしそういうことであれば、商法に定める経常利益と言ってよろしいんじゃないかと思います。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 商法で定める経常利益ということですが、先ほどの納税証明というようなことになりますと、これは税法とそういう会計法との間の調整が行われて、そして納税をなしているわけですね。だから、商法によって確立をされた会社の経理の慣行に従って計算をいたしました事業年度の損益が、今度は税務署によりますと、それは調整をした上で課税所得額というものが決定をされまして課税が行われているわけですから、その課税をされたものと、商法に言うところのそういう企業会計原則に基づいて算出をした所得額との間には開きがある。違いがあるわけです。違いがある場合には、それは商法によるもので計算をするというふうに確認をしてよろしゅうございますか。その場合に、いわゆる国税庁の方の納税証明をもらってきなさいというのでは、その間には数字の食い違いが出てくる。それは一体どういうふうにしますか。

原徹内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○原政府委員 御指摘のように税法の所得と経常利益とは違いますから、私どもは商法の経常利益をもとにしてこれをするということでございます。したがって、先ほど申しましたように、もちろんそういう財務諸表があって、それからいわゆる税法上の調整をして、そして課税所得ができて税金がかかるわけでございます。だから、私は、何も納税証明書だけが――納税証明書というのは一つの資料だと私は申し上げましたので、それが役に立つならば、それによって経常利益がわかるような段取りの計算の過程がございますわけですから、それがもとからさかのぼってわかるということであれば、それは一つの資料になり得る。しかし、必ずしも何も納税証明書でなければならないということではないので、それがわかるような資料であればよろしいわけでございます。そういうことでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 そういたしますと、国税庁の方では、納税証明書も三年以内でなければ出せない、六年前のやつはこれは証明ができない、こういうことでございますから、実際問題として国税庁に行ってその納税証明書を下さいというようなことでもらってもこれは役に立たないということになるわけですから、もう煩瑣な事務は国税庁も大変ごめんどうな話でございますし、そういうようなものを引き受けて、一々逆算をしてそういうようないわゆる基準の経常利益率というものを算定をするというのは、これは私は筋としておかしいと思うのですが、国税庁はどういうふうにしますか。そういうような証明書の交付申請があった場合には交付するつもりですか。

横井正美国税庁直税部長

○横井政府委員 ただいま原内閣審議室長から御説明がございましたように、商法の利益率によるわけでございますから、税と当然矛盾があるわけでございます。  それから、次に申し上げたいのは、税務署の納税証明書は先ほど申し上げましたような項目でございますので、これは直ちに利益率を算定することはできないということでございます。それから次に、仮にそのような利益率を算定し、証明するように現行法律なりあるいは政令を改めるといたしましても、御承知のように税務署におきまして証明いたします場合に、申告書のままの段階と、それから調査後の段階とがございます。現在、証明いたします場合に、申告段階のままでございますと、申告段階における所得並びに税額を証明するようにいたしております。そういたしますと、調査をいたしておりません分につきましては、それは御本人の申告でございますから、それは直ちに公取委員会として利用するということもできないということじゃなかろうかと思います。それから、さらに申しますと、税務署のそういう書類が課徴金に使われるんだということになりますと、税務の申告面におきまして作為が行われるということも考えられないわけではないわけでございます。  そこで、いろいろ考えますと、先ほど私補足説明で申し上げましたように、納税者の大部分の方方は帳簿書類を備えつけておられるわけでございますから、内閣審議室から御説明しておりますように、そういう備えつけておられる帳簿に基づいて御自分で経常利益率等を計算されて公正取引委員会にお出しになる、公正取引委員会でこれをチェックされる、こういうのが筋道であろう、こう考えておるわけでございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 もう時間がありませんから長くやりませんが、この経常利益の算定方式は、これはこれから商法を基礎にしてやるという話でございますが、公取としては実務的にはどういうふうに――この点は政令で定めるということになっておりますが、規定をして、そういうふうに会社の公正妥当な会計原則に基づいて処理をされたものであるならばそれで認めましょうということですが、この会計原則の規定等の改正も次々に行われていくわけですね。たとえば計算書類等の規則改正が今回も行われまして、営業外損益の部に示してもよいとされておりました異常な値上げ分等は今度は経常利益になるから、これは落とせというようなふうにして粉飾決算をなくするような措置がとられているわけですね。前の場合の計算の処理方式ではそういうふうなものは認めておったわけですね。そういうようなのは一体どうなるのか。会計原則の変更に伴うもの等については、それによって今度は経常利益という数字が違ってくる。一体そういうようなものはどういうふうにしていくんだというふうに受けとめておいでになるのですか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 ただいまの質疑を通じてわかりましたように、まだ政令の中身というものははっきり固まってない。そこで、私どもとしてはそういう過去の利益、しかもそれが経常利益と称するもの、個人の場合はそれに相当するものということになるでしょうが、それとその把握、それから売上高ですね。売上高については、これは全く証明の方法がありませんから、その自分自身の申告をどう見るかということになります。そこで、簡単に過去三年だけをとるというだけでは――実地調査をどんどんやれば別ですけれども、そういうわけにもまいりませんので、いまのところまだはっきりした、確固とした私の方でどう対処するかという方針は立っておらないというのが現状でございますが、実際に出てみれば、どうやったら簡易化されるかということを考えてみなければならぬ。それは相当継続的にある長期間をとらまえることができれば、私は書面審査でもいける場合が多いのではないかと思います。それは継続性の原則といいますか、会計は継続的にずっと見てみますと、非常にイレギュラーなものが入ってくれば、これはおかしいとか、これは臨時益なのかどうなのかとか――もちろん申告するときに臨時益を申告する必要はありません。向こうは過少に申告することはあれ過大に申告することはありませんが、その売上高の把握等については、単純にただ三年間だけをぼっと持ってくるというだけで、本人の申告だけで認めていいのかという点については大変疑問がございますので、何らかのそれを確認する手段は考えなければならぬ。それを政令が決まった段階でさらに考えなければならぬ、こういうふうに思っております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)委員 これで終わりますが、どうも課徴金というものは財政法三条によりまして、罰金でもない、国が特別な行政措置として課する金額だというようなことで、これも性格的にきわめてあいまいな上に、しかも内容を見てみると、経常利益率のとり方によって差をつけて、いろいろとめんどうな過去三年の実績等を調べ上げてどうのこうのというようなことで、これは政令を定める段階でも大変むずかしい問題がいろいろ入っているようでございまして、これを実際に取る場合におきましてはまたトラブルが出てくる可能性が多いように私は思うのです。ですから、余りにもこれを複雑にして基準値を定めて、それ以下のものについては基準値以下の率で、それから千分の三から千分の三十までの間にはその率を掛けてというふうにして、余りにもここを複雑にし過ぎているところが、課徴金制度というものを創設するのに当たって問題が出てき過ぎるのではないだろうか、もっと明確にこの点はされるべきだと私は思うのでございまして、以上、意見を申し上げまして私の質問を終わります。

萩原幸雄自由民主党

○萩原委員長代理 午後一時三十分から連合審査会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十七分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十六分開議     〔山村商工委員長、委員長席に着く〕

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 休憩前に引き続き連合審査会を開きます。  質疑を続行いたします。松浦利尚君。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 まず、私は公取委員長にお尋ねをしておきたいと思うのですが、法律をどんなに改正し、またどういうふうに手直しをしましても、実際に独禁法で取り締まりを強化するという姿勢が委員会になければ、これは砂上の楼閣になるわけですね。結局、法律は整備したが死文だ。幸い、いまの公取委員長は従来になく非常に積極的な立場で独禁政策をとってこられた。場合によると、非常に消極的な方が公取委員長になった場合には、法文の解釈もそれなりに変わってくるわけです。私はそれではいけないと思うのですが、公取委員長に、まず独禁政策を担当する委員長としての心構え、たとえだれがどうなろうと、公取委員長と公取委員会というものはこうあるべきだというものをひとつお聞かせいただきたいと思うのです。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 私は、独禁法というものを公正取引委員会が運用し、いわばその目的を達成するために全力を傾けなければならぬ。それについては、せっかく身分保障もあり「職務の独立性が保障されております。     〔山村委員長退席、前田(治)委員長代理着席〕 これが場合によりましては必ずしも、それはたとえば五年間なら五年間は有効である。しかし、さらにその将来の展望、本人の先行きなどを考えておったら、これはできないということであります。早く言えばそれに尽きるのじゃないか。積極的にやるかどうかですね。たとえ多少非難を受けても、正しいと思う方向でこの法律を運用するためには、欲があっては大変むずかしいし、無論これは陰でいろいろな政治的な圧力がありましても、それをはねのけていかなければならぬ。このはねのけていくということが実はむずかしいのです、はっきり言えば。その辺だけです。はねのけていくためには、それだけ欲を捨ててかからなければできないのですから、言ってみれば独禁法の運用に当たる者は、そういう点において、私利私欲を考えないでやるということに尽きるのじゃないかと私は思うのです。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 私はそのとおりだと思うのです。  それで今度は、法案提出の担当責任者である総務長官にお尋ねをしておきたいのですが、独禁法という法律を改正する場合には、それなりの意義があるはずですね。それで、商工委員会の調査室の資料にも歴史的なものは書いてあるのですが、かいつまんで言えば、戦後昭和二十二年に制定をされて、財閥解体あるいは経済力集中排除措置、こういったことをやってきて、二十六年の七月に政府は財閥解体完了声明を出し、持株整理委員会を解散する。そして、昭和二十八年に初めて、占領下から脱して企業の行動に競争のルールというものを確立するために独禁法の大幅改正をやる。不況カルテル、合理化カルテルの適用除外とか、企業結合規制の緩和とか、再販売維持契約の適用除外の方向に緩和をする。そして、二十七年の十二月に御承知のとおり大阪銀行が住友銀行というふうに名称を変えて以来、旧財閥の名称が再び登場してくる。そして、二十九年の五月には分割されておった旧三菱商事系四社が合併して三菱商事というふうになっていく。そして、御案内のとおりに雪印乳業とクローバー乳業の合併あるいは石川島重工と播磨造船等の大型合併、こういうふうにビッグビジネス時代に入っていくわけです。そうして、御承知のように最終的には三菱三重工の合併あるいは八幡、富士両製鉄所の新日本製鉄という合併、そして第一銀行、勧銀の合併という大変にビッグビジネス自由時代というものを迎えたわけです。それが、御案内のとおりに例のニクソンショック以来の大変な混乱を迎えた。しかも、高度経済成長時代というのが、福田副総理が言うようにすでに終幕を告げて、これからは安定成長期に入っていく。安定成長期に入れば、それに即応した独禁法の改正というものが必要だ。その中心になるのは、やはりこういうビッグビジネスになった段階における寡占企業というものをどうするのか、しかも競争のない寡占状態における価格というものがどうあるべきか、そういうものを中心にしてこの法律の改正というものがなされておらなければならぬと思うのですよ。私の言ったことが間違っておるかどうかは別にして、ひとつ今度のこの独禁法を改正した意義、具体的に言えばどこなのか、これからの経済状況に対してどういうふうに改正をしようとして志向したのか、その点をひとつ簡単でいいですからはっきりお知らせをいただきたい。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 歴史的な沿革につきましては御指摘のとおりでございまして、今回の改正は、昭和二十八年以来二十年以上の間実質的な改正を経ておりません。この間の経済の状況はただいま仰せられたとおりでございましたが、最近では低成長期に入ったわけでございます。したがって、この際この情勢の変化、すなわち資源にしましても物価にしましても公害にいたしましてもあるいは雇用の問題にいたしましても、いろいろな情勢の変化がございます。これに適応いたしまして国民の理解の得られるルールを確立すべきである。公正かつ自由な競争をやるべきであるという観点からこの改正案をつくったのでございまして、仰せのとおり違法カルテルの対策の強化とともに寡占の弊害発生の防止、企業集中進行の防止ということに重点を置いた次第でございます。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 それでは、それにふさわしい法律の改正でなければならない、こういうことに帰一しますね。  それでは、その改正の問題点について具体的にこれから指摘をしていきたいと思うのですが、その前に、独禁法を運営していく場合に重要な行政介入という問題が実はあるのです。実はこれは公取の秘密事項に属することですから、具体的に企業の内容に触れることはできませんが、日銀の統計資料その他から調べて価格というものの類推ができるのですね。その資料の集計をしてみたのです。四十五年を平均一〇〇として見たわけですが、実はここに四十八年から四十九年度までの公取が扱った事件を引き出してみたわけです。ところが、一つの例でありますが、ポリプロピレンです。これは通産省もおられるのですが、ポリプロピレンについて公正取引委員会は協定実施時期が四十八年の十一月だということで同じ四十八年の十一月に調査を開始した。そのとき、四十五年の物価を一〇〇と見た場合に一四四・七だったわけですね。そして、それは違法であるということで四十九年の一月に勧告をした。ところが、通産省の方は四十九年の二月にこのポリプロピレンに対して値上げの事前了承制という形で、カルテルを結んだ時点の価格と臨検に入った時期あるいは勧告の時期との平均の一六五・八というところで事前了承制をやってしまったわけですね。あるいは塩化ビニール樹脂についても同じようなことが言えるのです。あるいはアルミニウム地金についても、これのごときは四十八年の十一月にカルテルを実施した。それで、公取の方は直ちに臨検措置に入った。そのときの物価指数は二五・八だった。ところが、四十九年の三月に値上げの事前了承制のもとに一五・六。カルテルを結んだよりも高いところで事前了承で価格を認めたのですね。あるいは即席ラーメンについてもしかりであります。  このように公取がせっかく、カルテルをやったのだということでカルテルの時期を把握して臨検体制に入る。その直後に通産省の方が行政指導という形で業界を価格指導する。こういうことをしますと、実際にカルテル行為は違法だったけれども、結果的に価格は行政指導によって上げられたという、そういう統計が四十七年から四十九年にかけて非常に露骨に出てくるのです。ここに資料が全部ありますが、こういうことをすると、公取が幾ら一生懸命カルテルの摘発をやっても行政が追認する形になるわけですね。これでは私は当初の目的というのは達し得ないのではないか。こういう点について、公取の委員長、従来の経過から見て私が言っておることに私は間違いないと思うのですが、そういう経過についてあなたはどういう感想を持っておられますか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 この価格に対する行政介入の問題は私は非常にむずかしいといいますか、独禁法上問題がある。そこで、標準価格というものを定める法律があるわけですね。ですから、その法律に基づいて決められたものは、これは私は仕方がない、当然であると思いますが、そうではない、いわゆる行政指導で価格を決めてしまう。その結果が割り高ではないかというふうな御批判もあるようでございます。しかし、それはそのときの意図としては、下げてやろう、上がり過ぎたから下げよう、ことに公取の摘発を受けたのだから少しは下げよう、こういうふうなことで悪意に出たものではないと理解したいのでございますけれども、しかしこういうことをたびたびやられると  いうことは問題がある。そのときは私、確かに問題になったので、これを行政指導とカルテル規制の問題とをいろいろ遠慮なく申したつもりです。行政指導によって、いろいろ介入によって価格が決まったというようなときに、一体公取が黙っておっていいのかということについて、私どももそう思わない。価格介入があってもそれは一種のカルテル的行為であれば、業界の申し合わせに基づくカルテル行為であれば、これは規制しなければならないんだ。ただ、一種の緊急避難的な意味で、非常な物価狂乱のような状態のときに、ある程度、まあ緊急避難的にやむを得ないということは申しましたけれども、そういうことを続けてやるとか、ある長い期間行われるとかいうことははなはだ好ましくない。そういうことは、ことにカルテルに関連するようなことについて具体的なそういう指導を行うことについて、私はカルテルマインドをむしろ助長するようなことにもなりかねないので、これは慎んでいただきたい、いまでもそういうふうに思っております。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 通産省の方から局長が来ておられると思うのですが、これは当時でも物価特別委員会でも議論されたし、国会でも議論されたのですが、これは済んだことだというのでは済まされないと思うのですね。今後こういったものについての通産省の考え方、これをこの際明示しておいていただきたいと思うのです。

和田敏信通商産業省産業政策局長

○和田政府委員 通産省が価格につきまして行政指導を行いますのは、緊急事態等やむを得ない場合に限定をいたしております。一昨年末、御承知のとおり石油危機というのがございまして、通産省は主要物資につきまして値上げの抑制または値下げに関しまして行政指導を行ってまいりましたが、この場合コストの状況をしんしゃくいたしまして、国民経済または国民生活の安定を考えまして指導したものであります。いやしくもやみカルテルを追認したというようなことはございません。  なお、本件措置に関しましては、四十九年三月十六日の閣議了解に基づきまして行ったものでございます。  なお、行政指導と価格カルテルについての政府見解といたしましては、四十九年三月十四日、参議院予算委員会での吉國一郎法制局長官の答弁のとおりと当省としても考えておる次第でございます。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 ここにそのときの答弁が仮に生きておるとするならば、これからもこういうことを続けていくということなんですね。こういう事態が起こればこういうことをやるのだ、こういうことですね。

和田敏信通商産業省産業政策局長

○和田政府委員 緊急事態等真にやむを得ない場合でございまして、国民生活もしくは国民経済上そのようにすることが必要な場合には、閣議了解の趣旨に従いまして今後とも行政指導を行ってまいる所存でございますが、いずれにいたしましても価格介入というのは非常緊急事態に際しての措置でございまして、このような措置が講ぜられることがないような事態が招来することが望ましいというふうに考えております。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 そういう事態がなければ望ましいんだと言うけれども、実際に通産省が事前了承で介入していったやつ、公取の違反行為というのは、全部価格協定だったわけですよ。全部価格協定で臨検調査に入った直後に全部通産省が行政指導しているのですよ。  これは物価担当大臣としての福田副総理、午前中の稲葉質問にもありましたが、九・九%に物価を抑えるためにある程度の抑制を行う、抑制を頼む、そういった場合に逆に言うとカルテルというものがそのことによって起こりがちなんですよ。そういったものと関連をさせて、ないのが好ましいんだが、実際にこういうことが行われておった事実についてどう思われるのか、それから今後この点についてどのように対処されるのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 わが国の先般のインフレは、需給要因とコスト要因と、こういう両面を持っておったのですが、需給要因は総需要抑制政策、これがびんと響きましてほとんど解消するような事態になってきておるわけです。今日ではコスト要因が主として働いておるという現状でございます。  需給要因が解消されるという段階になりますと、これは価格は需給で動きますから、品物によりましては需給の関係から下落するものも出てくるような状態、そういう状態下におきまして事前了承制というものが果たして妥当であったか、こういうことになりますと、事前了承制はその発足した初期におきましては私は非常に効果があったと思うのです。しかし、ただいま申し上げましたような需給が緩んで価格が下落するというような傾向になりますと、事前了承制というものがかえって価格下落に対しまして下支えの作用をするというような動きもあるというような見方も出てきたわけなんです。そこで、事前了承制はこれを廃止しようということにいたしたわけであります。その事前了承制はそういういきさつで廃止したが、これからの物価を考えますと、一般的環境としてはそう悪くない、悪くないが、企業収益の悪化、それに伴いまして価格の引き上げを期待するという企業が多いわけです。それに対しまして、この際これを引き上げないようにという指導をする、これは私は午前中も申し上げたが、ぜひやらなければならぬことである。また、企業側にもこれは聞いてもらわなければならぬことである。また、公取委員長もそういう抽象的な価格引き下げの行為というようなことは独禁法から見て違法性がない、反社会性がない、こういうふうな見方をしておりますので、そういう行政指導、これはぜひこれからの物価政策においてもこれをやっていきたい、こういうふうに考えております。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 この運用いかんによっては独禁政策を混乱させる、使い方によっては独禁政策に大きな影響を与える。ですから、いま大臣が言われたように、こういうことが起こらないことが一番いいことですから、ぜひそのことに努力していただくと同時に、これは公取側と再度十分な意思の調整といいますか、そういったことをしておいていただきたいというふうに思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 ですから、事前了承制を廃止したそのいきさつにも顧みまして、行政指導をいたします際はよほど気をつけなければならぬ、そういうふうに考えております。つまり行政指導に基づきまして業界がこれに対応する、その中に反社会性があるかないか、こういう点だろうと思うのです。たとえば抽象的、一般的に値上げをしないようにしようじゃないか、これはむしろ歓迎せらるべきことであり、ぜひやってもらいたい、こういうふうに思います。  しかし、一割上げるところを五分にしておこうというようなことになると、これはまた問題があるわけでありまして、これにつきましては午前中も公取委員長から見解が述べられましたが、そういうような紛らわしいことにならないような抽象的、一般的な行政指導、こういうことだろうと思いますが、これにつきましては強力にこれをひとつやっていきたい、かような考えでございます。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 きょうは通産大臣がおられないのですが、局長もいまの副総理の言われたことを十分お聞きだったと思うのです。ですから、通産省が独自に業界の指導とかなんとかを進んで余り立ち入ってやらない方がいい、私はそのことを通産省に苦言として申し上げておきたいと思うのです。  そこで次に、これは行政介入の関係でありますが、これは公取からいただいた資料ですけれども、独禁法違反の勧告を受けた大企業の主な品目の勧告前と勧告後、一番いいのは勧告前と勧告後の価格をそれぞれ業態ごとに公取は把握しておられるのですから、それを出していただくのが一番いいのですが、それは公取の守秘義務にかかわる事項だそうですから、これまた四十五年を一〇〇とした卸売物価指数で把握する以外にない。合成染料が、四十七年の三月に協定実施時期ということで、四十七年の六月に公取が臨検をして四十七年の九月にこれに対して勧告を行ったわけです。ところが、勧告を行った後の価格を見ますと全然変化がない、むしろカルテルを結んだ時点臨検した時点よりも高くなっておる。ナイロンの場合もそのとおり、ポリエステルの場合もそのとおり、あるいはアクリルの場合もそのとおり。ですから、実際にカルテルという行為は破棄されたが、高値の価格だけはそのまま残っておる。残っておるか、むしろ逆に高くなっておるというのが今日までの姿だったと思うのですね。それに対して消費者は非常に憤りを感じた。いまの独禁法ではカルテルの行為は排除できるが、実際的に価格の原状回復命令というのには何もなっておらぬじゃないか、一体これをどうしてくれるのかというのが、実はこれからの独禁政策の柱だったわけなのですね。国民の、消費者の声も実はそこにあったわけなんです。ですから私は、公取委員長がその試案の中で価格の原状回復命令というのは絶対に必要だ、そのためにはカルテルのやり得というのを規制する措置として、カルテルによる価格値上げが行われたとき公取はカルテル前の価格に戻すことを命ずることができるんだと、こういう公取試案を出したと思うのですね。まさしくこれは国民の声だと思うのですね。いまこれは実際に数字を見てみても原状に回復しておらぬ、むしろ高くなっておる。行為そのことは破棄された、しかし結果は高値だ、むしろ調査したときよりも高いところへ進んでおる、これではたまらぬというのが偽らざる国民の心境だと思う。公取委員長のお考え、そのころと変わっておりませんでしょう、公取試案をつくったときのお考え、国民の声はそういうところにあったということについては理解しておられますでしょう。その点はどうです。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 相当研究しまして試案をつくった段階におきましては、ただいま松浦委員がおっしゃったとおりでございます。ただ、この法律になる過程においてはまた違った問題が生じておりますから、この法律案にはそれはそのままあらわれておることはありません。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 植木総務長官、その価格に介入をするということは法律体系上なじまないという、そういうことからこの価格の原状回復命令というのは形を変えてきたというふうに理解をするわけですけれども、実際にこの法律改正によって原状回復命令、そのことは担保されたと――私が先ほど言ったように、この独禁法の改正というのは一つの歴史的な背景がある、意義がある。有効競争というものを働かす意味でさらに発展的に強化する方向だということであるなら、この法改正の中で原状回復命令というその国民の声というのは担保された、絶対に担保されたと、そういうふうに判断をしておられるのかどうか、その点をお聞かせください。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 すでに申し述べているところでございますが、原状回復命令をとらないことにいたしました理由は、カルテル破棄後の価格には需給関係やコスト関係等の変化が織り込まれておりますので、時日が経過した以前に単純に返すというのはむずかしいという点、あるいは据え置き期間中に売り惜しみ、買い占め、下請等へのしわ寄せというような弊害が起こるのではないか、あるいは生産者に原状回復命令が出されましてもその効果は流通段階には及ばないので価格介入を広げざるを得なくなるという点を考えまして、原状回復命令を採用することにはならなかったのでございます。その結果、カルテル排除措置の徹底という見地から、御承知のように事業者にカルテル排除後にとることとなる具体的措置の内容の届け出と、その実施状況の報告をさせることができるようにするということにしたわけでございまして、この具体的措置の中には、価格が市場の実勢に合いません場合にはそれに合わせるというようなことも考えられるわけでございまして、そういう面において抑制的な効果があります点と、それから具体的な措置の内容を届け出て、しかも実施状況を報告するのでございますから、現在以上の効果が上がるのではないかというふうに考えているのであります。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 総務長官にお尋ねをいたしますが、世界各国の独禁政策の中でカルテルの価格の原状回復命令をやっておるところがあるでしょう。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 私の承知いたしております範囲内では、カルテルに限定したものでは、原状回復命令はないというふうに存じております。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 それは解釈の相違だと思うのですが、アメリカにおいてはありませんね。しかし、西ドイツあるいはイギリス、こういったところでは実際に価格引き下げを行っておるわけですね。だから、法体系として価格の原状回復命令を本法の中に入れることができないという理論的な根拠は当たらない。だから、法体系上は原状回復命令は法律的に可能なんだ。ただし、問題はカルテルを締結した時期とその後の経過というもので、直ちに単純に原状回復命令というのはむずかしい、そのほかにいま言ったようにいろいろなことがあるから、直ちにその原状回復命令にそぐわないんだ、だからその法律条文から外された、あなたはそう言っておられたですが、私は少なくともそういう解釈では国民は納得しないと思う。少なくとも原状回復命令をかけるということがカルテルの抑制効果を生むわけでしょう。カルテルをしては大変なんだという、そういう抑制効果というものを原状回復命令は持っておると私は思う。だから、相手側が結んだ違法なカルテル行為に対して原状回復命令をかけるということは、逆に言うと、私はそのカルテル行為に対しての一つの制裁的な意味が原状回復命令だ、こういうふうに理解をするのですよ。そういう理解をしなかったところから、私は大変あいまいな、何か報告義務だけ行うという姿になったんだと思うのですが、総務長官はこれで国民は納得すると思われますか。産業界はまさしく納得するでしょうけれども、犠牲を受けるのは国民自身でありますから、その国民の側はそのことについてこれで納得するとあなたは判断されますか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 私どもいろいろな意見を懇談会において聞きました。また、各関係省庁で、あるいは学説、論説なども十分に研究をいたしまして、今回の措置をとることにしたわけでございます。その間に、申すまでもなく原状回復命令を採用せよという御主張がありましたし、またそういう主張を書いておられる方々もございます。ただ、法体系上ということではありませんで、先ほど申し上げましたように経済の実勢あるいは国民経済的な立場というものを考えますと、原状回復命令そのものを取り上げることは適切でないという判断をしたわけでございます。この新しい措置によって抑止的効果が上がるかどうかということにつきましては、先ほど私申し上げましたように、これだけの具体的措置の内容の届け出とその実施状況の報告をしなければならないわけでございますから、したがって従来とは違った新しい観点からカルテルの違法行為を行うということについては慎重にならざるを得ない。さらにまた、具体的措置の内容の中には、先ほど申し上げましたように価格についても触れざるを得ない点も出てこようかとも存じます。そういう意味におきまして国民の方々の御理解を得たいというふうに考えているのでございます。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 それでは、一歩譲って、そういうことが国民の理解を得られるものだと仮に判断をした場合に、一体、先ほど言いましたようにもうビッグビジネス時代に入ってきておるわけですから、逆に言うと管理価格といいますか、カルテル行為というのは比較的容易に行われるわけですね。あるときにはそれが管理価格的な装いを持ちながら違法なカルテル行為が行われるという、そういう産業構造の仕組みに今日なってきておるのですよ。そうすると、実際に公取がカルテルに対して破棄命令はできるけれども、それ以上の価格に対しての担保をすることは何もないわけですね。しかも、報告するだけでしょう。今度の法律では、当該違反行為に対する排除措置の実施後における当該違反行為の影響を排除するためにとるべき具体的な措置の内容の届け出及び当該具体的な措置の実施状況の報告を命ずることができる。これは逆に言うと、カルテルをやった企業側が、企業側の判断で公取に実施状況その他を報告するわけでしょう。そうですよね。公取側の方が、こうせい、ああせいということではなくて、公取がカルテルの破棄命令をする、その破棄命令について、カルテルをやった側に、当該行為の影響を排除するためにとるべき具体的な措置の内容の届け出及び当該具体的措置の実施状況の報告を命ずるだけだから、それを報告しなさい。そういうことをしますと、いまの公取の排除措置権限というのは、公取自身がこういう排除措置をしなさいという命令ができるわけですよ。ところが、今度のこれは、下手をすると措置の命令もできない。ただ、排除しなさいというだけで――どういう排除措置をしなさいという命令は、いままでの独禁法でも公取はやれた。それが逆に今度は拘束される。カルテルをやった側が具体的な措置についてこうこうこうする、どういうふうに、やったのか報告しなさい。まさしくこれは、従来の公取は除去する必要な措置をあわせて命令することができておったにかかわらず、それができなくなる。相手側が主導的にそういう条件を握る。これは私は、現行法の原状回復命令を期待した国民に対して、その期待にこたえぬのみならず、一歩下がってそのことはこういう形になったと報告されてみても、逆に言うと現行法よりもさらに一歩下がる、そういうことになるでしょう。公取委員長、どうですか、従来どおりやれますか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 この改正条文が括弧書きで包まれております。それで松浦先生のように、ちょっと読みづらいためにそう解されますが、届け出をするとしましても、あるいは実施の報告にしましても、それを命ずることができる。ですから、確かにそれは措置の決定は事業者である。しかし、それは公正取引委員会の方からこういう措置をとれ、措置をとって届け出をしなさいということですね。任してあるのは、だから具体的な措置を事業者自身が決めて届け出る。しかしそれは、それを命ずるというところにかかるわけですから、いままでの排除命令を狭めたというふうに私は受け取っておりません。むしろ、先ほど総務長官も答弁で触れられましたが、当該行為の影響を排除するためにとる措置、それをどう読むかでございます。私は、いままではカルテル価格について、どうこういうことは一切触れておらない、触れることはできなかったわけであります。そう解釈されておったので、実際そうやっておりません。ところが、カルテル価格の実施した影響がそのまま残っているという場合ですね。排除措置はやりました、その後においてその影響が残っているというような、価格だけは相も変わらず、先ほどから松浦さんがおっしゃいましたように動かないでいる、こういう影響が残っている場合に、それを排除するために具体的にどうするのだということですから、言ってみればその内容というものはカルテルによって実施した価格を変えてこいという意味を含んでいる。幾らにしろということは言わない。幾らにしろと言ったら、いわゆる価格介入であるということで、これはきつい反対もございましたので、それがそういうふうな表現に変わったと思います。  同じような文言が、こういうところは、当該措置云々と非常にこう並んでおりまして、肝心かなめのところが浮かび上がってこないという表現上の問題がございます。いささかわかりにくいと思いますが、私はそのように解釈すべきものだと思いますし、この点については恐らく、総務長官のかつて答弁を聞いておりましても、余り変わりないのじゃないか、こう思うのでございます。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 それでは、総務長官に念のためにお聞きしますが、昭和四十七年の三月に合成染料が百円のカルテルをやった。そして、公取が臨検に入ったときは百十五円だった。そうすると、破棄勧告したときが百十七円になっておったという場合には、その報告を徴して、そして百十七円は高いから価格を変えてきなさいということは、この法律では言えるのですな。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 これは申すまでもなくカルテル排除後の問題でございますけれども、個々の具体的なケースについては私から答弁をするのは適当でないと思いますが、先ほど申し上げましたように、事業者はカルテル排除後にとることとなる具体的な措置の内容、これを決定し、実施することとなる具体的な措置の内容という意味なのでございまして、したがってそれを届け出る、そして実施状況を報告するということになるわけでございますから、いま申し上げましたように、具体的措置の内容におきまして、価格が市場の実勢に合わないというような状況のときには、それに合わせるように具体的な措置の内容を決定するというのがあるべき姿であろうと思うのでございます。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 その決定はだれがするのですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、事業者がするのでございます。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 事業者がするわけですよね。その措置について、いままでなら、公正取引委員会が命令することができるわけでしょう。その措置というのはいろいろな措置がありますね。しかし、今度は業者の方が自主的にやるわけでしょう。ですから、その業者に対して、カルテル行為は純粋に破棄しなさい、破棄させる。その後の措置状況の中には、その価格――もう私は平たく、わかりやすく物を言っているのです。価格が高いから下げなさい。だから、もう一遍あなたの方で具体的な措置をとって持ってこいということの措置の具体的な内容についても相手側に対して命ずることができるのですね。そしてまた報告を徴する。そういうシステムですね。それは間違いないですね。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 いままでですと、価格を新たに交渉し直してこい、交渉し直してくるようにということは、それは命じておったのです。ところが、交渉し直して出てきた価格は前と同じなんです。そこに問題があったわけですね。今度は、いま総務長官が言われましたが、その残っているカルテルによる価格が実勢と遊離しておれば、その価格によらない価格を設定してくる、平たく言えばそういうことになると思うのです。その価格によらないのですから、実勢に合わせてこいという意味であって、だからその途中の経過においてはほとんど名目的な引き下げだけやってくるというものもあるでしょう。しかし、私はこれはやっているうちに次第に効果が上がってくるものだと思う。それは余りに名目的に過ぎて市場の実勢と合っていないという価格を申し出ることは、結局それは業者としてもできなくなってくるというふうに慣行づけていけばいいのではないかと思います。それは不可能じゃないと私は思います。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 法律条文をすなおに解釈しますと、極端に言うと、措置その他も全部向こうから、事業者の方から報告させるのですよ、結局。そして、その内容について公取の方が具体的にこうしなさいという措置命令はできないわけ、報告を徴するだけ。だから、逆に言うと、原状回復命令というものが担保されているのではなくて、そのときの措置だけであって、内容には立ち入らない。極端に言うと、これからの公取の運用、自主的な判断、そういったことにゆだねられるのであって、実質的には単に必要な措置及び違反事業者自身の届け出、報告徴収、やりようによってはそういうことだけに公取は終わる。それ以上のことは何も法律で規制しておらぬわけですから、要するに具体的な措置、何を報告しなさいというだけであって、それだけの条文ですね。仰々しく原状回復命令に対してこうこうこうだというほどの改正内容ではない。非常に巧妙に、場合によっては現状よりもさらに後退をするようなシステムに置きかえたというふうに言われてもしようがないですね。私たちはそう思うのですがね。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 どうぞそういうふうにはお思いいただきたくないのでございまして、現行の第七条では「行為を排除するために必要な措置を命ずる」ということにとどまっているわけでありまして、その行為の影響を排除することを命ずるということは含まれておりません。たとえて申しますならば、カルテルの破棄後、価格の再交渉を命ずるようなことは、通常、カルテル行為の影響の排除と考えられますが、カルテル協定の破棄を命ずるだけでは実質的に競争が回復しないということが明らかであるような特別の場合には、カルテル行為を排除するための必要な措置として価格の再交渉を命じた例もなくはございません。しかし、今回の改正案では、決定の主体は事業者であるにいたしましても、カルテル行為の影響を排除する具体的措置を決定し、届け出ることを命じ得ることになるのでございまして、カルテルの影響を受けない競争秩序の回復を早急に図るために有効な手段としてこれを採用したわけでございます。したがいまして、第七条の現行法を制約するために括弧書きを入れたのではございません。ただ、この括弧書きが明確さを欠くというような御批判は私も承知しているところでございまして、いま申し上げましたのがこの立法の趣旨でございます。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 不当な――これは私の判断ですが、不公正な取引制限措置に対しては、公取は破棄命令しか出せないという枠をはめてしまった。そういう点については一歩後退だと私は思う。非常に残念ですね。これは見解の相違ですから、七条括弧書きはこの際なくすことを私は主張いたしたいと思います。これは平行線ですから……。  次に、価格の同調的な値上げ、管理価格的なものについての関係ですが、これは私は何といっても原価の公表がその最たるものだと思う。ですから、公取試案では、高度寡占業種で、価格が同調的に引き上げられたと認められたとき、狭義の管理価格、この場合は、公取は当該商品の原価公表を命ずることができる、こういうふうにしてあったわけなんですね。ところが実際には、四十四条、四十条の二に新設をして、これは横路議員からも問題になりました、三カ月以内の云々という条項を入れた。そしてまた、そのことを公取は国会に報告しなさいということをしたわけなんですね。実際にこれもやはり公正取引委員会は価格の引き上げの理由について報告を求めることができるということだけでありまして、この理由が正当と判断されないときに規制措置というものがない。ただ報告を徴収するだけで、その報告を徴収したものが正当でないと判断した場合の規制措置というのは一体どういう形で担保をされるのか、その点をひとつ。どういう点で総務長官、担保されますか。

原徹内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○原政府委員 同調的値上げにつきまして報告をとる、報告をとった後何もないじゃないか、こういう御指摘かと思いますが、私どもは、そういう価格の決定について寡占である場合にややもするとそういう同調的値上げが起こりやすい。そういう安易な同調的な値上げが起こらないことを期待して、いま報告をとる、こういう制度にしたわけでございます。  結局、同調的値上げというのは、ある時期に価格が上がった。その種類が三つあるんじゃないかと思うわけでございます。一つはカルテル、一つは何と申しますか、偶然と申しますか、それから一つはいわゆるプライスリーダーないしは暗黙の協調ということになるわけだろうと思います。したがいまして、中身がカルテルであれば、これはカルテルで規制をすることになるわけでございますが、それからいまの偶然であれば、一生懸命自主的判断の結果、たまたま偶然ということも、それはないことはないわけでございまして、そういうのはやむを得ないわけでございます。また、暗黙の了解ということで、これは確かに好ましいことでないのですけれども、だからそれをそういうことのないように期待してやるわけでございますけれども、カルテルでもないということでございますから、そうすると、それに対してとる措置というのはいまのところはないので、やむを得ないのではないかというふうに思うわけでございます。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 いままさしく言われたとおり、やむを得ないんだからやむを得ないんじゃないでしょうかという。国民が聞いておったら、一体何のために報告を受けるんだ、全部正当だということを前提にして報告を受けるということにしか聞き取れないですね。そんなら、こんな条文入れない方がいいでしょう。報告を徴したら、それが正当でなかった場合はそれを措置するというものがあって初めて私は同調的価格に対する規制、これが可能だと思うのですね。しかも、今度は四十条の二に、三カ月以内云々というのが出された。  公取委員長にお尋ねしますが、現在の四十条の公取の強制調査権ですね。これは同調的な値上げについても強制調査権というのは存在しておるでしょう。従来どおりやれたんだ。やれたけれどもやらなかったということは別ですよ。やれるんだけれどもやらなかったということと、法文上やれないということは全然別です。私は、今日ある四十条で同調的な値上げについてはやれたはずだと思う。ただ、やらなかったことだけは事実だけれども。そういうことがなかったから強制調査しなかったということは言えるかもしれぬが、実際にそういう行為があれば現在の四十条の強制調査権でできるでしょう。そういうふうにこの法文解釈はすべきなんだ、そうでしょう。委員長どうですか。私はそうだと思う。何も四十条の二をつくらなくたって、こんな四十条の二くらいのことは、四十条でやろうと思えばできたんだ、いままで。その点どうですか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 公正取引委員会といたしましては、従来からの解釈といたしまして、同調的値上げ、つまりこれはそういうことが起こるのは概して管理価格と軌を一にするのでございまして、管理価格の調査というものは多年にわたって行ってきております。十年にわたって管理価格の調査を行ってきているわけでございますから、実際に引き上げが同調的に行われた場合にできるかできないかといえば、それはできると解するのが正しいでしょう。しかしながら、四十条の二という、そういう新しい条文をつくった意味は、四十条というのはあくまで抽象的な文言で終始していますね。だから、これはそもそもケース・バイ・ケースで判断するのだというのが私どものなにで、その必要があるかどうかということはその都度判断していく。ところが、四十条の二を設ければ、このようなことが、条件に当てはまる事柄が実際に行われたときは、必ずするとは言っていませんけれども、当然命じ得る、公取は命じ得るのだ、具体的な例を、具体的なケースを挙げて、それが起こったら必ずといいますか、理由について報告を徴することができる。そして、それが四十四条で今度は国会の年次報告にそれをつけ加えよ、こうなっていますから、入れるものとするということは、必ず入れるという意味です。  そうなりますと、従来はどちらかというと管理価格を調査しましても、その結果の公表は四十三条によってやってはおりますが、A社、B社、C社というふうな差をつけて出していないのです。全部ただ平均しまして、たとえば原価にしても平均していますから、どこの社がどうなったのかちっともわからない、そういうことでは抑止的な効果というのは全くなかったと言ってもいいのではないかと思います。つまり管理価格調査はいたしましても、その措置、いまおっしゃいました措置は、これは措置をとれと言いましても、いまのカルテルに対する対策においても、その価格に対する引き下げ命令というようなものは一応否定されているわけでございますから、それにまたカルテルまで至らないものですね、証拠がないのですから、それは現象的に非常に類似しておる、カルテルと外観的には認められるようなものであるということになりますと、有効な是正措置というふうなものはとれない。したがいまして、年次報告にそれを織り込むということが実際は私は抑止効果として働くであろう、この場合はマクロ的に平均値を出す必要はないのではないかと思っております。そうしますと、いままでの公表の仕方とは違ってくるというので、効果はあると私は思います。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 取り締まる側で効果があると言うのですから、効果があるのでしょうが、実際問題として四十条でもやれたのでしょう。四十条ではこういうことはやれなかったのですか。この法文解釈で、従来の四十条の調査のための強制権限というのは、そういうことはやってはならないことになっておるわけですか。公表するところまで質問しておらない、強制調査ができるのかどうかということですよ。いま四十条の二に記載をしたようなことは従来の四十条でもやろうと思えばやれたのです、そういう行為があればやれたのです、これは具体的な事実については四十条は何も規定しておらぬのですからね。公正取引委員会がその職務を行うために必要なときにはこうしなさいと書いてあるのだから。だから、現実にこの四十条でやろうと思えばできたわけでございましょう。その点についてひとつできたのかできなかったのかということだけ教えてください。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 簡単にお答えします。  四十条で調査だけはやろうと思えばできたものと解釈します。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 それでは総務長官、四十条の二で三カ月以上になった場合、極端な例で三カ月と一日というのがよく出るのですが、そういった場合には四十条で従来はやれるはずなんですけれども、公表するその他は別ですよ、四十条ではどうなんですか、やれなくなるのですか、やれるのですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 三カ月に限定をいたしておりますから、これは法定するわけでございますから、三カ月以内という制約があるということははっきりしているわけであります。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 公取委員長、そうしますと、この四十条の調査権限の枠が縮小したということですな。従来はもっとやれたのだけれども、四カ月でもやろうと思えばできたのだけれども、今度は三カ月というように四十条の二が入ったために権限が縮小された、三カ月と一日はできないのだから。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 同調的値上げについての報告をとることは、これは三カ月以内というものの枠の中でとるということになるわけでございます。しかし、その同調値上げの実態というものがカルテルの疑いがあるものでありましたり、あるいはカルテルそのものでありましたならば、もちろんいろいろ調査し、また排除措置がとれることになるわけでありますし、また四十条というものは一般的な調査権でございますから、それによりまして調査をやるということはもちろん可能でございます。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 それでは、これは調査のための強制権限で必要な報告、情報その他全部とれることになっているのだけれども、これでいけばとれるのですよね。そうすると、三カ月と一日超えた分についてはその報告を求めることができないだけで、従来どおり公取の判断で、先ほど公取委員長が言ったように、やれる、従来どおりやれるのだ、ただ報告を求めることだけはできないけれども、この四十条の二が入ったために――これは報告も求めることができるんですよ、四十条では。しかし、その報告についてだけは四十条の二で規制をされるが、同調的なものがあると疑った場合には、自由にひとつ公取が職務権限を執行するために入ってよろしい、こういうことですね。それならばすっきりしていいのですよ。それでいいのですな。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 同調的疑いということだけでは、これは問題だと思います。しかし、三カ月内の報告をとりましたものについて違法である、違法の疑いがあるというものについては、これはもう当然現行法で措置することができるわけであります。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 私の表現がまずいのかもしれませんが、総務長官、こういうことですよ。もう一遍お聞きしますが、要するに、この四十条というのは職務を行うために必要な措置がとれるのですよ、強制調査権というのは、そうでしょう。ですから、四十条の二では同調的なものについて三カ月以内ですよね、だから三カ月と一日となった場合は報告を徴することはできないが、従来どおり公正取引委員会が必要だと思ったら、その職務を遂行するためにこの四十条でそういう業種もやっていいのですよ、そういう業態もやっていいのですよという理解でいいわけですね。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 現行法の四十条は、もう申すまでもなく職務を行うために必要があるときに行使されるものでありまして、職務を行うためというのは具体的に運用に関する職務を言うわけでございますから、公正取引委員会が必要であるというふうに思われれば、運用は公取が行うものでありますから、そのことについては申すまでもないところであります。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 では、三カ月と一日でもいいですな。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 報告をとりますために三カ月という期間を限定したわけであります。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 そうすると、この四十条の二を設けることによって、むしろ従来の四十条の強制調査権が強化をされたのであって、決して縮小されたのではない、総合的に、そういうふうに公取委員長は理解しておられますね。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 私はそういうふうに理解しております。  それから、直接御質問に答えないで悪いのですけれども、私どもの方は、試案の骨子としては原価公表ということを取り上げたのが、こういうふうに変わったわけでございます。そのときの私どものねらったところは、実はその公表にあったわけです。ですから、調査することは従来とも管理価格をやってきた。ところが、公表の仕方が企業の秘密に触れる云々というようなところでかなり制約されて、非常に遠慮した形で全く個別の企業、会社については公表していない。こういう点、つまり公表すること自体に抑止効果を求めたというのが実態でございますから、そこで私は、先ほど四十四条のところで、時間的には、ずれましても国会に報告されるということは、公表の効果は十分あるのではないか、こう判断したということを申し上げたわけでございまして、調査そのものはできるかもしれぬけれども、公表という点に難点があったわけです。それを今度は四十条の二で、こういう場合にはこうしますよ、それが四十四条の改正のところにつながっている。そういう点では確かに強化されたものであって、弱体化されたものではないんだ、こういうふうに私は理解しておるわけでございます。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 そうしますと、最終的に従来の四十条の調査のための強制権限、それが強化をされた。さらに、四十四条の後段に入ることによって抑止効果が生まれてくるんだ。従来は、四十三条で必要な事項を一般に公表することができたわけですね、秘密事項を除いては。ところが、今度は秘密事項はなくなった。四十条の二によって報告その他を徴したものについては、四十四条後段の国会報告によって四十三条に言う事業者の秘密というものはなくなった、こういうふうに理解してよろしいですね。その点どうですか、公取委員長。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 つまり単品原価というものは企業秘密である。これが俗説と言っては悪いですけれども、通説でございます。つまり産業界などでは単品原価というものは出したくないということでございますから、そういうものを避けて、理由をとったものを年次報告に入れるということでございますから、いわゆる企業秘密の問題には触れないけれども、私この際申しますが、普通の方が、つまり一般国民がと申し上げたらいいでしょう、ある程度見ればわかる程度のもの――わかるという意味は納得するという意味じゃないのですよ、むしろ逆にこれは納得できないという意味かもしれません、そういうものでなければならない。そういう程度のものは理由の報告の中に含まれなかったら、これはほとんど意味をなさないわけです。それをまた年次報告に書くときにも、その程度に納得のいかないものであるということがわかるものであれば、それは抑止効果があるのじゃないか、こう思います。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 ちょっと技術的なことで申しわけないのですが、素人だから教えていただきたいのですが、従来は第四十条で調査のための強制権限を発動した、そして四十三条で必要な事項の公表をやってきた、そして四十四条で国会に報告してきた。その中で、あなたはいま単品原価を明らかにすることは企業秘密だ、こう言われたが、この必要な事項の公表、第四十三条に「事業者の秘密を除いて、必要な事項を一般に公表することができる。」こうなっておるわけでしょう。そうすると、この「事業者の秘密を除いて、」という秘密が単品原価であれば、従来公取がとってきた必要な事項の公表というのは意識的に公表しなかった分野が多い。たとえば会社の名前を発表しなかったとか、そういうことには一切触れなかったのだ。そのことは、この四十三条で言う「事業者の秘密」ではなかった。ただ、運用上そういう措置をとってきた。具体的には、単品原価だけが事業者の秘密だ、こういうことがこの法体系上の考え方ですね。そうすると、公取はいままで発表をサボってきたということになるのじゃないですか。そうじゃないですか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 ですから、原価の問題について、単品原価の調査もしておるのですよ。しかし、それは出さなかった。発表するに当たっては、みな平均しちゃったわけですよ。平均をとりまして、原価の構成割合、こういうものは出してきた。(松浦(利)委員「会社の名前は出さなかった」と呼ぶ)会社の名前を出して原価を出せば、これは要するに企業秘密じゃないかといって当然攻撃される、非難されるわけですから、それは避けておった。サボっておったとおっしゃるけれども、サボっておったというよりも、その点を避けておった。秘密に触れる問題は当然避けなければならない。四十三条に書いてある企業の秘密を除いて公表することができるというこの法律は、やっぱり守られなければなりませんから、そうやってきたと申し上げるわけであります。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 そうしますと、今度の四十四条後段によりまして、そういったこともすべて明るみに出せる。しかし、実際は会社の秘密にわたる事項は公表できないのでしょう。できるのですか。全部公表できるのですね。その点はっきりしておいてください。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 これはつまりケース・バイ・ケースですが、会社からとった報告で、会社の秘密に属すると思われる事項については、今後も出しません。それはそのとおりでございます。ただし、会社名は、会社別にその理由を出すということは、従来とは違ってくるものと考えております。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 だから、結局私がさっき言ったことをよくとっておられないのです。四十三条で言う「事業者の秘密」というのは単品原価でしょう。従来も単品原価は出せなかったわけですよ。ところが、会社名も出さなかったわけですよ、消費者からよく苦情があるように。家電製品だというだけで、どこの家電製品かメーカーを教えろと言ったって教えなかった。ところが、事業者の秘密というのは単品原価であって、会社名は従来も本当は発表してよかった。だから、その点はサボっておったのじゃないですか、私はこう言うのであって、それがたまたま四十四条の後段によって発表されるようになりましたということは、意味のない法文解釈だと言うのですよ。四十四条後段というのは、逆に言うと、みずからやらなかったことを何か権威づけるために後段につけただけで、従来から四十三条で公表できたわけですよ。四十三条で公表できれば国会にも報告できるわけですから。単品原価が事業者の秘密であるということなら、従来のこの法文の手続と一緒だということになりますと、逆に言うと、四十三条の公表権というものについてあらゆる制約を加える、四十三条で必要な事項の公表というものを加えておいて、そうして四十四条の後段においてまたそういうものを加えていくということになれば、運用いかんによってはますます必要な秘密事項というものがふえていくのです。非常に私はその点は疑問です。そういう意味で四十条の二は要らない、これが一つ。  それからもう一つは、国会に報告する義務、四十三条と四十四条の関係。この四十条の二で起こってきた事項については、国会に報告することが義務づけられておる。しかしながら、四十条で調査したことは四十条の二であろうと何であろうと、必要な事項を四十三条は一般に公表する義務を課しておるわけでしょう。ですから、これは四十三条が先で四十四条の国会報告が後になってもいい、やったら直ちに公表してきたのだから。このことによって、四十四条の後段によって、四十三条の公取の公表する権限というものはいささかも制限を加えられたものではないというふうに理解してよろしいですね。その点総務長官どうですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 同調的価格引き上げについての理由の報告徴収は、公取の通常の業務の一環といたしまして、高度寡占業種における安易な同調的値上げを抑制しようとするものでございまして、業務に関する一般的な国会への年次報告の中で、その概要を明らかにすれば十分であると考えております。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 公取委員長、まさしくいま言われたことは、四十三条の公取に従来あった公表権の制限、公表する権限に対する制約だということじゃないのですか、いかぬと言うんですから、国会に報告することでもって足りる、こう言うんだから。そのことは、従来の四十三条で言う公取の公表権に対する制限を改正によって加えられたということでしょう。そうなるのじゃないですか。その点どうですか。公取委員長、あなた、冒頭に言ったように、いささかもということだから思い切って言ってくださいよ。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 従来の管理価格調査のような場合、ほかの調査でもありますが、実は単品原価のことですが、あなたがいまおっしゃった、会社の名前を出してないじゃないかということですね。たとえば売り上げを出すとかということをしますと、その会社は、たとえAと書こうがBと書こうが全部相手がわかってしまうのですよ。いままでそれをサボっておった、やれることをやらなかったじゃないかとおっしゃるが、原価の点は先ほどお答えしたとおりだけれども、ほかの点でもすべてこれは会社別に匿名で書いても、実はほかの書き方によってはみんなわかってしまうということなんです。そういう点は調査に当たって相手が非常にいやがる。従来は公表のためではなくて、ただ基礎的な調査のための資料収集であったということから、あえて会社名がわかるような措置をとらなかった、こういうふうに御理解願いたいのです。今度はそうではないのだ、つまり企業秘密に属することは差し控えますが、それでない限り国会への年次報告に会社別に、ちゃんと会社を明示して報告するものと私は解しておりますので、これはマクロで報告するんなら何も意味ないわけですから、それぞれの会社名を明らかにして、ここはこうであるというふうに報告するとなると従来とはずいぶん違ったものになるのだろうと思います。だから、いままでの調査権をどうこうだと言うんじゃなくて、どうしてもいままでのあれではそこは遠慮せざるを得なかった、今度明らかにそうなれば遠慮する必要はないのだ、こういうふうに私は解したくなるのです。

松浦利尚日本社会党

○松浦(利)委員 だから、私が冒頭委員長に申し上げたように、独禁法の運用というのは、どんなに改正していいことを言ってみても、公取委員長がかわってその人がいろいろな政治的な背景を持ってくると働かなくなるのですよ。高橋公取委員長は本当によくやっていただいていると思う。極端に言うと、いままでの公取委員長の中で異色だと言われておるのですよね。なぜかというと、積極的だからですよ。それだけに財界からもきらわれるし、政府からもきらわれておるんだと思う。そうですよ。きらわれる人が公取委員長になったときはいいんだ。好かれる人が公取委員長になったときは働かなくなるのですよ。働かないように、働かないように拡大解釈してしまう。だから、四十条の二の問題にしても四十四条の国会報告の問題にしても、こういった問題が、逆に言うと現在の法体系を狭める方向に解釈される危険性を持っておる、持っておらなければ別だ、持っておるとすれば、そんなものは削除した方がいいのですよ。それが私は一番正しい行き方だと思う。私は、きょう物価特別委員会の代表として来ましたから、一番物価問題で――あの狂乱物価の中で、原価の公表そして価格の原状引き下げ命令、このことこそが今度の独禁法改正の重点的な消費者の要求だったと私は思う。ところが、法案を修正してみたら、解釈によっては玉虫色でどうにでもなるような方向になる。そういうものはこれからの独禁法の運用に禍根を残すから、この際、こういったものについては削除してもらいたい。削除することが独禁法を強化する道だ。そして、現行法をもっともっと強く運用していただきたいということを厳しく申し上げて、私の質問を終わります。

前田治一郎自由民主党

○前田(治)委員長代理 次は、小林政子君を指名いたします。

小林政子日本共産党・革新共同

○小林(政)委員 私は、今回の独占禁止法強化への改正が強く望まれ、そしてその契機となったのは、一つには経済の寡占化あるいは独占化が進行し、自由な物価形成が抑圧をされる、管理価格や独占価格が支配的になってきて、一昨年のあの狂乱物価、このような中で結局経済の支配力を持つに至った大企業が石油危機、これをきっかけとしての便乗値上げを行い、その結果、結局は独占企業あるいはまた企業集団による市場支配あるいは価格形成という、こういう力が強く加わり、物価情勢を背景として異常な高利潤を大企業が得たということに対して、国民からの非常に強い批判が集中をしたことだと思うのです。もちろん、物価対策というのは非常に総合的な、財政金融その他も含めた総合的な対策が必要であることはもう言うまでもございませんけれども、今回の独禁法の改正の端緒といいますか、動機は、これを強化してほしいという世論の高まりの中で、今回の改正という事態を迎えたということが言えると思います。このことは、現に昭和四十九年度の経済白書を見ましても、長期的には競争促進政策を強化する必要があるということをうたい、またそのために供給側の市場行動を適正に保つためには独禁政策の活用などが必要であるというふうに指摘をされております。  私は、こういう観点から、政府が物価対策との関連で独禁法の位置づけというものをどう見てきたのか、改正問題が起こったその発端から今日まで、この問題に物価という観点からどのような取り組みがされてきたのか、この点について、これは長官がちょっと席を外しておられますので、経済企画庁にお伺いをいたしたいと思います。

喜多村治雄経済企画庁物価局長

○喜多村政府委員 お答えいたします。  独占禁止法の目的は、申し上げるまでもございませんで、公正かつ自由な競争を促進いたしまして、一般消費者の利益を確保するということにあろうかと思います。物価政策との関連で見ますならば、いま御指摘のように、公正かつ自由な競争を促進することによりまして、価格形成に関して好ましい環境をつくり上げていくということがその関連であろうかと思います。すなわち、正常な価格形成が行われることによって長期的、構造的な物価安定に寄与する機能を果たすもの、こう理解しております。したがいまして、経済企画庁におきましては、四十一年の第二次物懇におきましても、また四十七年の物価安定政策会議におきましても、また四十八年二月の経済社会基本計画におきましても、四十八年四月一日の物価対策閣僚協議会におきましても、競争条件の整備という中で独禁法との関連を位置づけております。したがいまして、そういう競争を通じまして好ましい価格形成の条件をつくっていくということが基本でございます。しかし、ただいま先生おっしゃいましたように、現在の改正のきっかけと申しますか、増幅になりましたのは、私もそのように理解いたします。つまり、あの時期に起こりました市場支配力が強まってきたということ、そういうような時期におきまして増幅されたことは、私はそのとおりだと思います。したがいまして、今回の改正がそういう関連において物価政策にいい環境をつくり上げてくれるということを期待いたしておりますし、また私もそういうようなことでいろいろ御注文を申し上げたような次第でございます。ただ、午前中も私の方の長官から申し上げましたように、直接的に何%下げるというようなものではございませんで、やはり先ほどからるる申し上げておりますように、価格形成のいい環境をつくり上げていくというように位置づけております。

小林政子日本共産党・革新共同

○小林(政)委員 大変物価に対する期待を、独禁法の改正ではそういう点で相当強めて取り組んできたということですけれども、実際今回の独禁法の改正内容を見てみますと、いままでも多くの人からも指摘をされておりますけれども、国民の期待というものが非常に強まってきている、しかし公取試案にあった原価の公開制の問題、あるいはまた価格引き下げ命令、こういった国民が非常に強く期待もし、また改正の強化として強く望んでいたことが削られたという点は、私は国民の期待を本当にむしろ裏切ったものではないだろうか、非常にこの点については国民からの期待が大きかっただけに、これが削除されたという点についての批判が強まっているということは事実でございます。  そこで、私は具体例を挙げながらその市場支配を強めている寡占の弊害、これを排除するには原価の公開ということが必要ではないか、こういう立場に立ちまして何点かにわたって質問を行いたいというふうに思います。  鉄鋼の高炉メーカーの鋼材の価格の動きを少しさかのぼってずっと調べて見たわけでございますけれども、昭和四十年以降下方硬直性が非常に強まっております。ことに新日鉄が成立して以降、その傾向というのが非常に顕著な形であらわれてきています。また、シェアを見ましても、上位の集中度が高いほど価格は下方硬直性というへこういう動きもグラフでもって明らかになってきております。こういう中で、これは鋼材といってもいろいろございますけれども、一つの例を挙げますと、鋳物用銑鉄などの場合は新日鉄あるいは神戸製鋼など非常に大きなシェアを占めておりますけれども、四十二年の七月に二万六千五百円の値上げが実施されておりますし、四十五年の三月には二万九千五百円の値上げ、四十八年十月は三万一千五百円、四十八年十二月は三万五千円、四十九年七月は四万三千円と、いわゆるこれはAB規格で各社同一の価格の値上がりです。しかも、時期は同一の時期です。このように四十二年から四十九年、AB規格で同一の時期で、しかも各社同一の価格の引き上げ、これを一つ私見ましても、明確な形でこれはカルテル価格ではなかったとしても、このような動きが長期にわたって出たということはこれは管理価格であり、寡占の弊害のあらわれではないか、このように私は思いますけれども、この事実を独禁法上の立場から具体的にどのようにごらんになりますか、またこのような事態について調査をされたことがありますかどうか、この点について公取の委員長にお伺いをいたしたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 ただいま御指摘になりました鋳物用銑鉄について特別な調査はしておりません。その点大変遺憾に存じますが、確かにシェアがいまは三社で八〇%を超えております。そういう状態でありますので、今後の問題として調査をしなければならぬじゃないかという感じは持っておりますが、つまりいま指摘されましたのは、ほかの鉄鋼製品などは実はかなり動いているわけです。特にこれはいわゆる電炉メーカー製品ですね、これなどは十一万円もしたかと思えば、今度は五万円そこそこまで落ちてくるというふうに相当激しい動きをしておる。ところが、いまの御指摘の鋳物用銑鉄に限っては、確かに下がることがない、常に上がる一方で下方硬直性が非常に顕著になっているという事態は、実は日銀の統計等からもわかるわけです。ことに最近になって鉄鋼製品一般に弱い弱いと言っている中でこれは目立って上がっております。四十九年の中ごろでございますが、ごく最近の数字までまだ検討しておりませんからその点余り言い過ぎると困りますが、確かに長年にわたって見たところおっしゃるような傾向があるということだけは争えません。こういう点について管理価格の疑いがなしとはしないというふうに思います。

小林政子日本共産党・革新共同

○小林(政)委員 私は、これは一つの例として挙げたわけでございますけれども、やはりこうした市場が寡占状態にあるということを原因にして、需要やコスト等の変動というようなことにかかわりなくといいますか、価格が大変下方硬直を示している。こういう状態のものは明らかにこれは同調的な引き上げであるということが言えるというふうに私は思いますけれども、カルテルを結んだということではないにしても、やはり非常に同調的な引き上げである、こう見るべきであると思いますけれども、いかがでしょうか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 いまおっしゃられたことにつきましては、さらに調査をいたした上でないとはっきりしたお返事ができませんが、その同調的値上げの疑いはあるように思います。したがって、今後調査の対象にしなければならないんじゃないかと考えております。

小林政子日本共産党・革新共同

○小林(政)委員 そこで、今回の法案の内容でございますけれども、先ほど来からも論議をされておりますいわゆる同調的引き上げの場合は、四十条二項の条項によって値上げ理由の報告を聴取する、こういうことが一応今回の改正案で新設をされたわけでございますけれども、実際にこのような長年にわたる明らかにカルテルの疑いがあると思われるようなこういう行為を、単なる値上げ理由の報告を聴取するというようなことだけでもって、あるいはそれを公表するというようなことだけで果たして抑えることができるというふうに考えていらっしゃるのかどうか、この問題については私は非常に疑問を持つわけでございますけれども、この点について、これも公取の委員長にお伺いをいたしたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 さしあたりの問題としては、こういったよく言われます、技術的には意識的平行行為ということでございますが、ことにそれは価格に関するものが大部分でございますが、そういうものに対する対策の第一の段階としては、これでやってみることは十分意義があるのではないか。さらに、将来の問題として検討するならば、西独が行っております支配的地位の乱用というのがございます。いわゆる寡占企業のビヘービアに対して、直接価格問題まで介入するということが現に西独にはありますけれども、ただそれをいま取り入れようとしましても、わが国の事情として公取がそういうことをやるのは適当でない、こういう御意見が非常に強い情勢でございますから、いまはとうていできないのじゃないかという感じを持っております。

小林政子日本共産党・革新共同

○小林(政)委員 私は、今度は植木総務長官にお伺いしたいと思います。  いま鉄鋼の例を挙げて質問をいたしたわけでございますけれども、きょうの論議を聞いておりまして、若干いままでとニュアンスが違ったのかなというふうに実は感じました。いままでの政府側の答弁としては、カルテルの破棄後、カルテル以前の価格に、いわゆる原状回復を行うという点については、独禁政策上価格に介入するということはできない、こういう見解をおとりになっていたように、これは私の聞き違いであればそれはまた訂正していただきたいと思いますけれども、私はそういうふうに受け取っておりました。しかし、いま私が例に挙げた鋼材の場合、これは昨年六月に政府主導のもとに一斉値上げをいたしたわけですね。あるいはまた、鉄鋼の場合には、不況カルテルを結んでいる時期にもやはり値上げをいたしております。いわゆる一物一価の原則ということで、しかも通産省の上限価格に合わせるという形で、一物一価というようなこういう原則的な値上げが行われたわけですけれども、私は、これは明らかに価格への介入ではないだろうか、このように思いますけれども、いかがでしょうか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 ただいま例として挙げられましたものについては通産省に関係をすると思うのでございまして、それぞれの所管庁が行政指導をせられるということについては、私はここで論評することは避けさせていただきたい。ただ、行政指導をせられる場合には、独占禁止法というものが遵守せられるべきものであるという行政指導はぜひやっていただきたいというふうに考えているのである。そして、そういう観点で行政指導をしていただきたいと思うものであります。

小林政子日本共産党・革新共同

○小林(政)委員 いまの問題について、通産省見えておりますか。

神谷和男通商産業省基礎産業局鉄鋼業務課長

○神谷説明員 昨年の六月十八日の鋼材の値上げについて御説明いたします。  御承知のように、三月に、当時のオイルショック以降の狂乱物価の状況を勘案いたしまして、閣議の決定に基づいて、主要品種につきましては価格を引き上げる場合には事前に所管官庁の了承を求めるようにという政府の方針に基づきまして、私ども主要高炉メーカーにつきまして、俗に言う価格の凍結、引き上げを行う場合には事前に通産大臣の承認を求めるよう大臣名の文書をもちまして行政指導をしておったわけでございます。御承知のように、当時原料炭その他の原料の価格の上昇等、コストアップを反映いたしまして、主要鉄鋼メーカー、主として高炉メーカーはそのような状況下にあって価格の引き上げを四月早々にも行いたいという希望を持っておりました。私どもとしては、政府の物価政策に協力せしめるために、六月初旬までこれらの動きをできるだけ抑制するように指導してまいったわけでございますが、六月初旬におきまして市中価格に、若干の鋼材価格の引き上げ等を思惑いたしました仮需の発生、それに基づく市況の高騰等が見られましたので、早急に価格の修正を行うことが適切であろうという判断のもとに、六月の四日から七日にかけて各高炉メーカーの価格の引き上げについての承認申請を受け付け、その結果、私どもとして、高炉メーカーの最大限の合理化努力あるいはコストアップの吸収努力を行った上でもなおかつやむを得ないと思われる価格まで値上げを自粛するよう指導したわけでございますが、この際、当然のことながら、某メーカーに関してはたとえば五万円でよろしい、某メーカーは四万五千円で売らなければならないというように、メーカーごとに差をつけて値上げの自粛を求めることは適当でないと考えましたので、私どもといたしましては、各メーカー共通の上限価格を示して、その範囲内においてユーザーと個別交渉を行うよう指導したわけでございます。ただ、当時のコストアップの状況等を反映いたしまして、結果的にこれらの価格引き上げがすべて上限価格に張りついたということでございまして、この間において独禁法違反等の事実はなかったものと了解しております。

小林政子日本共産党・革新共同

○小林(政)委員 いま通産省の説明したような、こういう形での行政指導の価格についてのあり方という問題は独禁法に違反しているとかないとかいうことは、私の質問でも聞いてはおらないのです。こういうことが妥当であるのかどうなのか。そうでなくとも、鉄鋼その他の通産省との関係は、官民一体のカルテルじゃないかなどというような悪口も大分私どもの耳にも入ってまいります。こういう中で、このような行政指導のあり方というものは、果たして独禁政策上からいってどう見るべきなのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 この点、私は先ほどもお答えしたのですが、特別異常な状態下において緊急やむを得ず行政指導という形で価格の騰貴を押さえようとすること自体、まあそういう場合には万やむを得ない事情があれば、これは緊急避難的なものとして私どもは見逃すべきである。やむを得ずですね、当然とは言わない。しかし、そういうことがちょいちょい行われる、あるいは平常時においても価格に具体的に介入するというふうな面は、それが業者の方に言わせれば何か独禁法上免責されたような錯覚に陥りがちである。それに対して私どもは、具体的なもので協議したり何かすれば、たとえ政府の介入がありましても、独禁法上問題とせざるを得ないというのが基本的態度でございます。

小林政子日本共産党・革新共同

○小林(政)委員 最近、これは直接法案とは関係ございませんけれども、新聞などを見ておりますと、また鉄鋼の値上げ問題では一物一価の傾向が出てくるのではないかなどというようなことがちらちらと報道されておりますけれども、今回の値上げ等の動きについて、通産省は価格には今後一切介入しないという立場をとられるというふうにもお聞きいたしておりますけれども、一物一価という、このようなことは絶対にあり得ないと理解してよろしいですか、お伺いいたしたいと思います。

神谷和男通商産業省基礎産業局鉄鋼業務課長

○神谷説明員 御指摘のように、現時点におきましては、特に異常な状態が発生しない限り、私どもとしては価格に介入する方針はございません。ただ、一物一価になるかならないかということにつきましては私ども介入しないという方針でございますから、お答えすることが適当であるかどうかは疑問でございますが、需要家が、たとえば自動車メーカーあるいは造船メーカー等大口ユーザーであって、そこに各メーカーから同質の品物を納入しておるというような取引の実態と、物資の実態とを考えますと、結果的に価格が類似したようなところになる可能性がないとは申し上げられません。しかし、これはあくまでもそのようになるかならないかは結果を見てみなければわからないものと思います。

小林政子日本共産党・革新共同

○小林(政)委員 高度の寡占といわれております鉄鋼の場合、やはり一物一価というようなことになりますと、一体競争条件というものがどのように出てくるのだろうかという疑問を私どもは持つわけでございますけれども、この点については独禁法の立場からはどうごらんになっているのでしょうか。これは公取の委員長にお伺いをいたしたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 適正な競争が行われておる状態においては、いわゆる一物一価ということを私は否定はしませんけれども、普通ならば相手先別あるいは売り手別に多少の差が生じてくるのが通常の状態である、そう思います。一物一価ということを、もしすべての商品についてそれが当然なのだということになりますと、価格についてはおよそ競争がないのがあたりまえだということを是認することになります。私はそうは思いません。ですから、余り一物一価ということを強調していただきたくないのです。そう言ったら同じ値段なのがあたりまえなんだ、こういうことになってしまいます。民間の方も、そういうふうに政府が言っているなら値段が同じになったってあたりまえじゃないかということになりますので、これは競争に対してよくない影響を与える。競争というのは結局もし同じような性質の物であれば価格面に出てくるわけであります。性質が同じような物であれば価格面にその競争の結果が多少なりともちゃんと反映すべきである、こういうふうに私としては理解しておるわけでございまして、いま申したとおり余り一物一価で押し通されるということはどうかなという感じを持ちます。

小林政子日本共産党・革新共同

○小林(政)委員 それでは、高度寡占業種の同調引き上げということで、今回四十条の二項で値上げ理由の報告を聴取する、年一回の年次報告による国会への報告、あるいはまた三カ月、こういう規定がつくられましたけれども、結局この四十条二項をつくった目的と根拠について、総務長官にこれは何なのかという点をお答えいただきたいと思います。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 御承知のとおり高度な寡占あるいは独占状態が起こる可能性がある、これを阻止しなければならない、また同時に管理価格が設定せられるということは阻止しなければならない、意識的平行行為が行われるということには厳重な監視をしなければならない、そういう立場から、同調的な値上げがありましたときには、その同調値上げの理由というものを報告させることによりまして、果たしてそれが違法性のあるものであるかどうか、あるいはまた国民一般に対して何ゆえに同調的な引き上げが行われたかということについての理解を求めさせる――理解することはできない場合もあろうかと存じます。いずれにいたしましても、そういう報告をさせることによりまして、しかもこれは国会の年次報告において公表することになっておるわけでございますから、したがってそういう点についてもし違法性のあるものでありましたならば、違法性のあるものとして措置することができますし、そうでないものでありましてもいろいろな国民の疑惑というものを解くための措置をするべきである、そういうような考え方でこれを設定したわけでございます。したがいまして、同調的な値上げというものは自然に行われる場合があるわけでございますけれども、慎重になってもらいたいという抑止的な効果をねらったものでございます。

小林政子日本共産党・革新共同

○小林(政)委員 その求めます報告内容はどのようなものを提出させようとお考えになっているのですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 値上げ理由の報告といたしましては、同調的値上げの各場合に応じて値上げ理由を説明するに足りる資料の提出を求める必要があると存じます。  まず、値上げの状況でございますけれども、建て値でありますとか標準的な価格につきまして値上げ前の価格、引き上げた価格、平均的な値上げ率、こういうものの報告でございます。それと値上げの理由でございますが、これはなぜ値上げをしたかという理由の説明及び参考資料を報告させる。参考資料といたしましては、たとえばその理由が費用の上昇にあるときはその額の推移、原材料の上昇にあるときは主要な原材料の種類別の購入価格の推移、労務費の上昇にあるときは従業員一人当たりの賃金の推移というようなものが報告されなければならないものでございます。

小林政子日本共産党・革新共同

○小林(政)委員 先ほども問題になっておりましたけれども、この中には当然原価が含まれるのではないか。単位別の原価についてはどのようにお考えになっているのですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 それぞれ値上げの理由によって変わるものでありますから、したがって必ずしも原価というものをとるということはありません。

小林政子日本共産党・革新共同

○小林(政)委員 先ほど来の答弁を聞いておりまして、公表するところに抑止効果があるのだ、こういう御説明でしたけれども、私は最近のカルテルを結んだ企業の動き、公取の報告などを見ておりますと、カルテル破棄後の措置として、一応取引先に通知をさせたりあるいはまた価格の問題についても含めて新聞広告などで公表するとかというようなことで、カルテル行為を行っていてそれを破棄した、こういう事実について、広く社会に公表しているわけでございますけれども、しかし結果的に見ると、先ほど来これも問題になっていたように、価格そのものはもう上がった価格のまま、いわゆる影響を排除するというような措置はとられていないという中で、やり得というようなことで、中には一回、二回、三回はおろか、何回も勧告、審決を受けてもまたやるというような、ともかくやればやり得なんだ、上がってしまえばそれまでだ、こういうような企業姿勢といいますか、こういう点を非常に強く印象づけられ、何とかこれだけは引き下げ命令を活用できないものかという、これは国民も皆そうだと思うのです。こういうような状況の中で、一体いまおっしゃったような建て値だとかあるいは上がる前の価格だとか現在の価格だとか、こういったようなものの報告だけを聴取して、そして年一回の年次報告でその概要について報告するというようなことで、新聞や何かでこれだけカルテル問題では破棄後の措置が一応とられていても何回もまたやる、やり得だという動きの中で、果たしてこれで本当に効果を上げることができるのかどうなのか。報告の中身あるいはまた報告を聴取する、年一回の年次報告で概要を国会に報告するというようなことだけで、こういう事態を見ておりますと、設置された目的から見て、本当に効果を上げるというようなことは非常にむずかしい問題だというふうに考えておりますし、むしろ原価の公表をはっきりさせた方がより効果が大きいのではないかというふうに思いますけれども、この点についてどのような見解をお持ちですか。総務長官にお伺いいたしたいと思います。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 今回の改正に当たりましては、カルテルのやり得をなくするというのが大きな主眼の一つでございます。したがいまして、いままでのような排除措置だけではございませんで、何回も繰り返す企業があるというのは御指摘のとおりでございますから、課徴金を創設いたしましたり、あるいはまた罰則を強化するというような措置をいたしておりますし、そしていまお話の同調値上げに関しましては、これは高度寡占対策でございまして、これも大きな柱であります。これには営業の重要な一部譲渡を含むいわゆる企業分割を採用するというようなこともいたしているわけでございますから、したがってカルテルのやり得をなくす、あるいは高度な寡占集中による弊害をなくすというものは、全体の改正案の中で強化されていることをひとつ御理解いただきたいのでございます。

小林政子日本共産党・革新共同

○小林(政)委員 時間がございませんので、一点だけにしぼりたいと思いますけれども、結局、原価の公開が削除されたということは私はきわめて残念だと思うのです。しかも、いろいろお話を伺っておりますと、事実、原価の公開については公取では調査もされ、公表はしていなかったけれども、実際には事実関係は調査の結果わかっているというふうなことも言われておりますし、あるいはまた原価の公表ということで企業機密に触れる問題だというようなことも言われておりますが、実際に私どももいろいろ調べてみますと、経企庁の物価安定政策会議の工業製品の寡占価格形成に関する第二次調査部会の中間報告が出されておりますけれども、この中身を見てみますと、結局、企業は同業界における他社の地位及び費用の構造はある程度把握可能である、こういう報告も経企庁の報告ですけれどもされているのですよ。それからまた、最近のこれは雑誌ですけれども、新日鉄の稲山会長さんの発言を見ましても、原価の公開については、鉄を買わない人に説明するという必要はないだろうけれども買う人に説明をすればよい、結局鉄を買う人あるいは同業人同士であればもうほとんどわかっているのだから、その人に見せろという話ならそれはもういいのだという意味の発言もされておりますし、業界同士の中では若干のずれはあるにしてもお互いに原価というものはほとんど知られている、こういうのがいま常識だというようなことも言われておりますし、何も業界同士の競争の中で企業の機密に属するというようなものではない。むしろもっとオープンにしていくべきではないか。原材料が上がって企業がいま大変苦しくて赤字を出しているとか、あるいはまた不当なもうけを上げているということについても、原価も明らかにならないでそういうものの判断は私はできないと思いますし、企業の機密というようなことはいまの段階ではもはや成り立たないのじゃないかというふうに思いますし、これについては当然原価を公表すべきである、このように私は思いますけれども、これはお二人にお伺いして私の質問を終わりたいと思います。

前田治一郎自由民主党

○前田(治)委員長代理 委員長から申し上げます。  お約束の質問時間がもうきておりますので、御答弁は簡単に願います。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 原価公表につきましてはいろいろ御論議があったところでございますけれども、いま鉄の例を挙げられましたが、それぞれの単品について原価を把握するというのはきわめて困難なものが多いわけでございます。また、原価は競争の最大の要素でありまして、これを公表するということはかえって競争を阻害するということも考えられます。また、原価を公表いたしましても、同調的引き上げの場合には抑止力になりませんし、国際的にもわが国だけが原価公表するのは問題が多いのでございまして、いろいろな点を考えまして原価公表を採用しないことにいたしました。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 単品原価が企業秘密であるかどうかについて議論があるということは、私も承知しております。企業秘密ではないと言う人もおります。しかし、多数の意見は――もちろんこれは産業界中心でございますが、まだ秘密であるということでありますので、それを公表するということについては強い反発がございます。

前田治一郎自由民主党

○前田(治)委員長代理 以上で、小林政子君の御質問は終わりました。  次に、有島重武君を指名いたします。

有島重武公明党

○有島委員 全国の消費者がこの独占禁止法改正について注目もし、期待もしているわけでございまして、これがどのように改正されるかという点と、それから改正されてみたらそれが本当に実効があるかどうか、そのことを非常に注目していると思うのです。  それで、最初に公正取引委員会委員長に伺いますけれども、今年の予算書を見ますと十五億五千七百四十九万一千二百円、人員の点では三百九十七名、こういうふうに出ておりますけれども、これはどこの官庁でも理想を言えば切りがないし、また現在で十分というようなことはないとは思いますけれども、特に公正取引委員会が今後とも十分に仕事をしていく上にはどのような規模、どのような体制が本当は望ましいんだというような御意見があれば、それを先に承っておきたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 これは法律改正が行われた場合と全くない場合とでは違ってくると思いますが、私はさしあたり人数のことしか申し上げるわけにいかない。機構等についても望ましい点はいろいろございます。機構そのものがもう少ししっかりしたものになる、ということは、いまでは部長が行きどまりですね、事務局長になるのはたった一人ですから。いってみればこの部長は本当に待遇が各省の部長なんですよ。それで、そういうのは部長相当の者を入れて四名おりますけれども、それらの状態を含めますと非常に早く頭打ちになってしまって、後は間引かなければならぬ。しかも、天下りは非常に困難でございます。そういうことも私の頭の中にあるわけです。公取の機能強化の中に、喜んで――喜んでというか、張り切って仕事をするために、幾らやったってこういうような待遇ではどうにもならぬじゃないかという問題が含まれておるということ、これが私は基本だと思います。  人数の問題はそのほかにございまして、これは今年度、審査の点から言いますと、法律が改正されるということを前提にしてそういうものを含んでおりますが、純増で二十三名、これは全部審査関係に投入することにしております。審査の方面にそれを全部回すということにしておりますが、なお今後の推移によりますが、もしも法律改正があった場合を考えますと、なおかつ人員的にはそれだけでは不十分である。何名ということを申し上げるのは予算の要求みたいになってしまいますから、そういうことは避けたいと思いますが、決して万全の体制にあるものではないということだけは申し上げておきます。

有島重武公明党

○有島委員 特に部長四名、これを機構上もう少ししっかりさせたいというようなお話でございましたけれども、そういったことについての御構想は、何か意見書というような形でもってしかるべきところに提出されたことがおありになるのかどうか、その辺はどうなっていらっしゃいますか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 それはいままでは全くございません。私としては、なるべくそういった構想を要約しまして、関係方面に、あるべき姿としてこういうふうにしていただきたいということは、何らかの措置をとりたいと思っておりますけれども、何かいま独禁法改正に名をかりて便乗的に機構の格上げを図るんじゃないかと単純に受け取られることもよくないと思いまして、控えておるわけでございます。

有島重武公明党

○有島委員 値上げの便乗の方は困るわけでございますけれども、そういったことは便乗なさっても、国民の側から見れば大いに拍手を送りたいような気持ちでいまいると思います。  総務長官、いまの公取委員長の御意見に対してどのようにお考えになるか。お考えになるというよりも、むしろこの法改正がこのままいくか、あるいはまた多少の修正を経て成り立つかというようなことがある、万々一今度は通らないとしても、この次、この次というふうに、必ず何らかの改正をしなければならないものである、これはもう各党ともそのことは全部一致しているわけでございますから、それがどういうふうになっていこうとも、いまの公正取引委員会の体制を本当に十分なものに強化していくんだ、このことについてはぜひともお約束をいただきたいと思うわけでございます。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 公正取引委員会の持っております使命は非常に重大でございますし、また年々その業務が多くなってきているということは十分認識をいたしております。したがいまして、人員の増につきましては、私どもといたしましても五十年度は、これはこの改正案が通ることを前提として、一部まだ実現はいたしておりませんけれども、二十三名の増というものを見たわけでございまして、人員の増につきましてはわれわれも大いに協力をしていかなければならないと存じます。  機構の改正、充実につきましては、現在までまだ御意見を伺っておりません。したがいまして、この点につきましては慎重に検討させていただきたいと存じます。

有島重武公明党

○有島委員 慎重に検討していただくわけでありますけれども、ぜひとも積極的に意見を受けて、それでこうした法案の審議で総務長官お忙しいには違いないけれども、片手落ちにならぬように、少なくとも来年度には間に合うようにこれをぜひとも手がけていただきたい。このことをひとつお約束いただきたいのです。     〔前田(治)委員長代理退席、萩原委員長代理着席〕

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 機構に関しましては、ただ総理府だけでは解決ができませんで、御承知のように行政管理庁との関係等もございます。公正取引委員会の構想そのものもまだ出ていない状況でございますから、それが出ました段階で検討をさせていただきたいと存じます。

有島重武公明党

○有島委員 それでは、いままで当委員会においてずいぶん論議されてしまいましたので、なるべく重ならないようにと思いますけれども、今度の政府案の提案理由を拝見いたしますと、ともかく課徴金の制度を新設した、それから独占状態が生じた場合における競争回復のための処置を新設したということが、大変大きな変革であるというふうにここでは述べられております。私たちもそういうふうに評価したいわけでございますけれども、課徴金についてちょっと伺っておきます。  課徴金も、特に事業者団体のカルテルに対しての課徴金の徴収の問題でございます。昨日、商工委員会の方に公正取引委員会から資料をお出しになった。こういうものを拝見いたしましてもなかなか大変である。事業者団体からの徴収ということは不可能に近いのじゃないか。公取委員長もそのようなことをおっしゃってきたかにも承っておりますけれども、これは総務長官、この課徴金の取り方について、いまお出しになっている法案を修正しないでこのままで出して、実効があるというふうにお思いになりますか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 いま審議の過程でございますから、私といたしましては政府の原案につきまして御答弁申し上げるわけでございますが、事業者団体の場合でございますが、課徴金の性格は御承知のように行政上の措置でございますので、したがって事業者でありましてもあるいは事業者団体の構成事業者でありましても、不当利得を得ましたものにつきましてはすべて等しくこれを納付させるということでありませんと、その性格上整合性が保てないという面がございます。したがいまして、私どもといたしましてはこれを取るということにしたわけでございますが、課徴金という新しい制度を採用いたしますために、公正取引委員会の負担が大きくなるということは私ども認識いたしております。しかし、できるだけ簡明な方法を取り入れることによりまして、その事務量が過重になりませぬように配慮を加えているところでありまして、そのために単純な計算方式をとっておりますとか、あるいは十万円で足切りをしておりますとかいうような方法をとっているのでございまして、私どもとしてはそれほど過重にはならないのではないか、こういう考え方でおるのでございます。

有島重武公明党

○有島委員 総務長官の御認識のほどを承るなんということは失礼かもしれないけれども、たとえば四十九年度に審決した事件のうちで事業者団体にかかわるカルテル、これはどのくらいあったか、御承知であろうかと思うのですけれども、どういうふうになっていますか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 九件と承知いたしております。

有島重武公明党

○有島委員 これは四十九年度の審決集の二十巻ですか、私の調べたところでは六十九件と出ているわけなんですね。それでたとえば八条一項一号の事件の中で大きいのは、社団法人全国電話設備協会に対する件、これが四十八年十二月末になっておりますけれども、これにかかわるものが一千六百一名、こういうのがある。それから、熊本県石油商業組合に対する件、これも八条一項一号の関係でございますけれども、これは約八百名ということになっておりますね。こういうものを入れて全部で六十九件になっております。この六十九件のうち、三条後段関係が三十五件です。いまのような八条一項一号のカルテルが三十三件、こういうふうになっている。  公取の委員長、私の方の調べといいますかはこんなふうになっておりますけれども、これは正しいと思いますけれども、いかがですか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 いまおっしゃっておりますのは審決ベースでお調べになったと思いますが、ごく最近、五十年六月でわが方の出しました商工委員会要求資料、お持ちでございますか。これのおしまいから二枚目に数字が出ております。この中に、ちょっと見にくいのですけれども、カルテルと事業者団体に分けまして、最後にいずれも備考と書いてあります。右側の事業者団体のところをごらんになりますと、事業者団体の備考欄に勧告ベースで四十九年度実績、四十八年度実績というのが(参考)のところに書いてございますね。九件と、そのほかに百四十三件とございますね。その下には四十八年度の実績も書いてあります。それが実際――実は次のページに注がありまして、こういう事情で、いままでは課徴金というものにはなりませんからその対象にならないわけですね。そこで、大体早く言えば略式な方法で排除しておった。それは非常に簡単に証拠の割れてしまう事件が多い、事業者団体の中には。証拠そのものは把握しやすい。そうしますと、その事業者団体の責任者等をちょっと調べますと、すぐその場で自分で排除いたしますと、つまりそういうことになっちゃうのですね。そのほかにもいろいろなケースがございますが、直ちに排除いたしますというと、ちょうど排除措置を取ったに非常に近い措置をとらせるわけです、周知徹底の方法等については。やめるということを勧告の場合と同じようにさせている。これを全部立件して実際に本部へ送ってきて、そしてそれをやるとなったら、恐らくいまの状態でも破算状態なんですね、それをやったら。ですから、仕方がないから、向こうが自発的に排除します――証拠が明々白々の場合が多いのですよ。何ですか、独禁法を知らないで堂堂と違反をやっていると申し上げた方がいいでしょう。そういうケースが多いものですから、これを一々書面にしてやっておったらいまの人員ではとうてい処理できない。向こうが簡単に自分で排除しますと言うようなケースがあるわけです。ですから、排除措置としては、言ってみれば略式と申しますか、全部が全部百四十三件がそういうものばかりではございません、内訳はいろいろございますが、そういうものの中から相当数が今度は――全部じゃありませんよ、その半分ぐらいは恐らく課徴金の対象になるものが多く含まれてくる。多く含まれるのだったら、それは立件手続をしてちゃんとやるか、少なくとも事実認定でもって正式の手続をとらなければならぬ、こういうふうになるわけです。そこで、それを八十件として計算したということが出ているわけでございます。その裏にあります注をごらんになりますと、注のところに、どうしても立件手続はふえざるを得ないのだ、こういうことです。しかし、そのまま百五十二件というふうな数字はとってない。四十九年度の九件と百四十三件の約半分とを合わせまして八十件というふうな取り方をとっているわけです。

有島重武公明党

○有島委員 総務長官、いまの公取委員長のお話はこれは御認識あると思うのです。先ほど私が申しましたのは、これは審決にかかわるものだけを集めて、それも事業者団体の審決にかかわるものだけでもこれだけございますと――では、これをちょっとお見せしましょう。     〔有島委員、書類を示す〕

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 これは事業者団体の場合とカルテルの場合と一緒に入っておりますから、これだけの数になったのだというふうに思います。私の承知いたしておりますのでは、事業者団体の場合は九件というふうに承知いたしております。

有島重武公明党

○有島委員 それにかかわっているその人員の膨大さ、それからいま非常に単純な場合というものもある。それから、厄介なものもある。そういうものがいろいろあるんだが、それを全部公取が処置をしていくというようなこと、これは私不可能ではないかと思うわけですね。さっき何らか工夫をするというふうなことを総務長官おっしゃったけれども、その工夫というものの内容はどういうことなんでしょうか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 運用せられますのは公正取引委員会でございますから、その運用の面において公正取引委員会に工夫をしていただきたい、こういう意味で言ったのでございます。

有島重武公明党

○有島委員 そういった点は消費者団体なんかもよく気をつけているわけなんですね。まるでこれは非常に繁雑な事務を公取の方に押しつけて、それで大切なことに目が向かぬようにしてしまうために意地悪にやっているのではないかなんて声ももうすでに上がっているわけですね。そういう声があるということも聞いていらっしゃると思うのです。これはできると思う、だからこれは公取で工夫してもらおうとおっしゃるけれども、それは総務長官の立場ではそうかもしれませんよ。だけれども、こういう席において、これはなかなか大変だということは公取も言っているわけでございますから、こういうふうにすればできるじゃないかというようなお知恵を持っていらっしゃってそういうことを言っていらっしゃるのか。ちまたのうわさのごとく、こういうふうにしておくと公取はもう動けない、動けなくてもいいやというようなお気持ちで言っていらっしゃるのか、その辺のところが見分けがつかない。どういったような工夫ができると思いますか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 この政府案を策定するに当たりましては、関係省庁とよく協議をしまして、そのうちの一つには、もちろん公正取引委員会がございます。いろいろ協議をいたしました結果、政府案をつくり上げたわけでありますが、政府案ができました後、いま御指摘のような議論がいろいろ出てまいりまして、課徴金をむしろ取れなくするのではないかというような御意見まで出るというような状況でございます。私どもはそういうような意図は毛頭ございませんで、不当な利得は納付させるというたてまえはあくまでも貫きたい。やみカルテルのやり得をなくしたいということで、この制度を導入したわけでございますから、したがってそのような意図があるわけではございません。  そこで、事務量の問題でありますけれども、事業者団体に関する立件件数の見方でありますとか、あるいは過去三年間の経常収支率の調査の所要日数の見方というようなものにつきまして、ただいま公正取引委員会の事務局と総理府の事務局との間で話を詰めている段階でございまして、一体どれだけかかるのかということはちょっとまだ出てきていない状況でございます。さらに、この課徴金を設けました場合には、カルテルのやり得ということに対して抑止的な効果があらわれるということは十分考えられるところでございますから、そういう意味においても、果たして事務量がどれだけのものになるかということについてまだ十分に精査できないというような状況なのでありまして、大変なことになるぞという極端な場合の例などが挙げられまして論議せられ、そしてまたそのようなことであっては大変であるという認識は私も持っていますけれども、いまの段階で果たしてどれだけの事務量になるのかということについては煮詰められておらない状況であります。したがいまして、私といたしましては、いまの方式で運用よろしきを得てその目的を達したい、このように考えているのであります。

有島重武公明党

○有島委員 たとえば四十九年の範囲内でも、もしすでに課徴金の制度があったならばこれは大変であったろうということは察せられませんか。察しがつかないというようなお話だけれども、どのくらいの事務量になるんだということは。

原徹内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○原政府委員 最近こういうデータを私どもももらいましてただいま総理府と詰めているわけでございますけれども、課徴金がなければこれだけ毎年並みは出てくるかもしれないけれども、課徴金をつくることによってそれが抑止効果になるはずでございますから、まず件数の見方をどれくらい見るかというようなところが基本的に――課徴金をつくってもカルテルが減らないというのじゃ意味がないわけで、そこのところをどう見るかということが非常にむずかしいということが一つございます。  それから、私どもとしてはなぜ十万円の足切りを置いたのかと申しますと、十万円の足切りというのはやはり公取の事務の執行ということを主として考えて、十万円と申しますと、事業者の性格にもよりますが、カルテルの売り上げ金額で一般の場合六百六十六万、小売りですと一千万、卸売りですと二千万、そういう金額のカルテル売り上げであれば十万円以下になりますから、事業者団体でありましてもそういう小規模のものであれば、あるいは発見が早ければそれだけの金額にならないうちに見つかって排除されてしまうわけです。課徴金というのは別に取るのが目的でなくて、そういうカルテル行為みたいなことをやめてもらうことに目的があるわけでございますから、その辺を勘案すると、これは確かに相当の負担になろうということはわかるのでありますけれども、一体本当にできなくなっちゃうかどうかというところまでは、私どもはまだちょっとそういう感じがしないというところが実情でございます。

有島重武公明党

○有島委員 抑止力というお話は私も何遍か聞いた。しかし、わっと押し寄せればできないだろうというようなことになっていて、それが抑止力になるのかどうか。抜けば切れるぞ、これが抑止力じゃないですかね。出てきたら抜けなかったということでは、これは抑止力にならぬのじゃないですかね。  それからもう一つは、これもしばしば議論されましたけれども、抑止力というならば、かなりきつい線にしておかなければ抑止力にはならないのじゃないだろうか。いまの御計算でいきますと、実質、売り上げの千分の十五というような線になるわけですね、あるいはその以下ということになる。しかも、過去三年間の経営状態というようなことをまた御親切にいろいろ配慮される。これはいま抑止力ということを盾にとっておっしゃったから、じゃ、本気でもってこれを抑止力になさりたいというお気持ちが本当にあるのかどうか、これが疑わしくなってくるんだな。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 抑止力になるというふうに私どもは考えております。いま、抜けば切れるぞ、こういうことでありますが、何にも刀がありませんと、これは全然切ることもできないわけでございますし、抜くこともできないわけでございますから、したがって新しいこういう課徴金制度を設けたということには抑止力としての一つのそういうものがあると思います。  それから、いま額の面について仰せになりましたけれども、全産業の利益率は三%でございます。卸の場合は一%、小売の場合は二%というように出ておりますので、私どもはそれをとったわけでございますけれども、御承知のように、四十九年度のごときはもうすでに一%を割るというような景気の悪い状況でございますから、したがっていま申し上げましたような率、もちろんそれの二分の一という点はございますけれども、課徴金としてそんなに低いものではない。それからさらに、課徴金は損金に算入をいたしませんために、税法上の措置というものは講じていないわけでございますから、したがってやはり相当の額になるというふうに思うのでありまして、抑止力になると私どもは考えます。

有島重武公明党

○有島委員 時間がなくなってきたから余り――これは少しゆっくりお話しし合いたいと思うのですけれども、さっき抜かなければならぬとおっしゃった。それがいまの事務繁雑でもって抜けないという点が一つあるわけですね。また、抜いてみたら竹光だった、それじゃ困るわけです。  それでいま、大体四十九年度の経済状況の中においては、これはかなり響く金額であろうと思うというようなことをおっしゃったけれども、これは値上げ幅にもよるわけでありまして、いろいろな場合が起こってくるわけであります。課徴金がこういうように決まっていれば、損をしないように――これはやり得にはならないけれども、今度は、課徴金というのはカルテルをやるための損料というようなことにも働かないとは限らないようにはなっておりますね。これは社会的な制裁というのはまた別に受けるでしょうけれども、それは抑止力と言うにははなはだ頼りないものである。これはこちらの主張になりますけれども、少なくとも政府案の計算方法の中でもって、過去三年間の経常利益率によってこれが減少してしまうというような、もし抑止力とおっしゃるならそういうことじゃなくて、これはこわいぞ、そういう意識を持たせなければ、それは抑止力にはならぬのではないか。幾らでも手かげんしてもらえますよということでは抑止力という御精神とは違うのではないかということ、これはぜひとも考え直してくださいませ。  それで、もう時間がないからこれも結論だけにしましょう。これはけさほどからも話題になっておりましたし、先ほど松浦議員の方からもお話がありましたけれども、いまの値上げをしたがっている業界の趨勢の中で、どうしても行政指導といいますか、値下げを言わなきゃならない。その場合に、これが公正なものであるかどうであるかということで、これは石油製品の値上げの際にも、製品の価格決定は同業者が自己の責任で独自にみんな上げたのだ、みんな自発的にやったのだ。それで、自発的にはやったのだけれどもそれが一致したのだ。どうして一致したのか、一致したのは通産省の行政指導によるんだというふうな論理がこの前のときにあったわけでありますね。で、こういうような状況を今度の改正によってカバーできるのかどうか、その辺はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 各省庁が行政指導をしますことにつきましては、これはいろいろな御批判もありますし、あるいは指導をしなければならないというような問題もありますので、私の立場としては行政指導一般については論評を避けさせていただきたいのでございますが、私といたしましては、行政指導の中に必ず独禁法を尊重をさせるという観点からの行政指導というものが強く行われるべきであり、また行政指導の際には独占禁止法を遵守するという立場で、これに違反するような行政指導は絶対に行われるべきではないというふうに考えるものであります。

有島重武公明党

○有島委員 時間が参りましたので終わりますけれども、これは国民の本当の期待の中で行われているわけでありますから、いまも総務長官おっしゃったようにこの独占禁止法を本当に尊重できるような法律にしなきゃならない。そのためには先ほど申しましたように、きょうも課徴金のことで終わっちゃいましたけれども、これ一つについてももう少しドスがきいたといいますか、実効あるものにどうしてもしてもらいたい。  以上で終わります。

萩原幸雄自由民主党

○萩原委員長代理 有島重武君の質疑は終了いたしました。  和田耕作君。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 いま最後の質疑のテーマになりました行政指導と公正取引委員会のカルテル取り締まりの限界というふうな問題について御質問をしたいと思っておりますけれども、わが党の玉置君その他がこの問題についていろいろな機会に質問をしておる速記録等も拝見をいたしましたが、いま一つはっきりしない点があるように思われてならない。したがって、この際にそれらの問題について明らかにしていただきたいと思うのですけれども、植木総務長官は、この独禁法を各産業官庁が忠実に守っていかすという立場の行政指導、つまりいままでとはまるきり変わった行政指導をするように期待しているということですか、あるいはこの法律を提案している政府としてはそういう統一した見解を持っているというふうなおつもりなんでしょうか。その点をひとつお伺いしたい。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 この法律案をつくりますに当たりましては、関係各省庁とよく協議をいたしましたし、また関係閣僚会議も数回にわたって開いたわけでございます。この独禁法に対しましては、事業者にいたしましても国民にいたしましても大変強い関心を持っておりまして、独禁法マインドというものがだんだん国民の中にも浸透をしていくという状況でございます。これは好ましい傾向でございますし、また企業の中には法務部というものを置いて、独禁法を守るための企業活動ということまで努力をしているところも出てまいっているわけでございます。関係省庁の事務連絡会議におきましてもあるいは閣僚会議におきましても、独禁法というものを強化することで自由主義経済を守っていく、そのルールをつくるのだということについては、再三にわたって論議をしたわけでございますから、今後の行政指導におきましても経済活動におきましても、独禁法マインドが定着をして、そして競争政策が十分に生かされていくということでなければならないと考えておりますし、私は事あるごとにそのことを各関係省庁あるいは関係閣僚に対して望んでまいりたい、こういうふうに考えております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 いま植木総務長官がおっしゃいました態度は、重ねてお伺いしますけれども、通産省、農林省等の関係の深い産業官庁の大臣はそのとおりに理解しておると了解してよろしゅうございますか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 関係閣僚会議には、いま仰せの通産省及び農林省の大臣も入っておられるわけでありまして、公正なルール確立が必要であるということで最終的に政府案をつくって、そしてこれを提案を申し上げたわけでありますから、この点については十分な認識を持っておられると存じます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 それは非常に望ましいことでございますけれども、いままでの商工委員会内部での質疑でも、あるいは物価対策特別委員会の質疑でも、その点がもう一歩はっきりしないと私は判断をしておるのです。もし植木長官のおっしゃるようなことが本当に通産、農林大臣のお気持ちであるなれば、いままでの態度は誤っておったということになると思いますけれども、そのように了解してよろしゅうございますか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 その点については、独禁法に限りませんで、憲法及び法律を守っていくというのは、行政担当者としての当然の使命であり、姿勢でなければなりません。したがって、私は、そういう点には十分留意をせられながら行政が進められてきたというふうに思うものでございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 この点一番大事な点ですから、いままでの態度が誤っておった、今後はそういう態度はとりませんというのであればはっきりするのです。その点がはっきりしないと、はっきりしないままで強化された独禁法というものが仮にこの国会を通りましても、結局問題をもっと大きく残していくということが案ぜられるわけでございまして、その問題を特に私、きょうはお尋ねしたいと思ったのです。  つまり高橋公取委員長が、いままでの公取委員長と並べて、と言ったら失礼ですけれども、非常に光った存在になったのは、いろいろあると思いますけれども、一番中心点は、行政指導というものが公正取引委員会のカルテル取り締まりについて阻害する要件じゃないんだという立場、これは昭和二十年代の審決の判例にはいろいろ出てきますけれども、その後三十、四十年代においてはずっと影をひそめてきた立場を明らかにしたという点が私は一番大きいと思うのですね。したがって、その一番最後の劇的な処置が、石油関係の幹部を経済犯罪として検事総長に告発をした。現在高等裁判所で審理が進められている。この一番焦点は、高橋さんの気持ちを聞いたことはないのですけれども、その点を明らかにしたいという点があったのではないか。高橋委員長、いかがでしょう。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 石油の関係を告発しましたのは、そういう点を告発、つまり刑事訴追によって、裁判によって明らかにしよう、そういうことではありません。私どもの方の公正取引委員会といたしまして、たとえその間に行政官庁の介入らしきものが――これも不明確なのです。介入したともしないとも、何かあいまいもこでございますか、仮に介入があってそういうことが行われた、カルテル行為が何回も繰り返し行われていますから、あったとしましても、先ほどおっしゃいましたように、それは違法性を阻却するものではないというふうにはっきりこちらで考えまして、それを裁判上どういうふうにしんしゃくしたりするかはまた別の問題でございますが、少なくとも行政処分としては完全にこれは違法行為であり、さらに性質の重さから見て告発に値する、こう私は考えたから刑事手続をとったわけでございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 通産省の石油部長さんお見えになっておりますか。――漏れ聞くところによりますと、高裁での審理の中で石油関係の被告になっておられる方々は、全員が、われわれは通産省の行政指導によってやったのだという陳述をしている模様でありますけれども、通産省としてあの問題について行政指導をしたというふうにお思いになっておられるのか、あるいはどのような見解を持っておられるのか、お伺いしたい。

増田実資源エネルギー庁長官

○増田政府委員 現在石油カルテル、これは価格カルテルと生産カルテルと両方でございますが、昨年の十二月から公判に入っておりまして、いま和田先生がお尋ねになりましたように、業界の方では、このカルテルについて通産省の行政指導があったということを言っております証人が何人か出ております。これにつきまして私どもの方の行政指導、これはカルテルの行政指導をしたのか、生産に関する増産あるいは価格の値上げ、これについて値上げをとめるとか、その他の行政指導というのはいろいろありますが、これらが非常に混同いたしておるわけでございます。そういうことで、この問題につきましては、今後この公判におきまして私どもの方の当時の担当者が証言をいたすという予定になっておりますので、その点非常に微妙な関係になっておりますから、私はこの席でいまの先生のお尋ねに対して正確にお答えするというのについては、これは差し控えたいと思います。ただ、石油業界につきまして、たとえば灯油が足りなくなれば私どもは灯油の増産をさせるし、またそり価格が値上げになるときに待ってくれという各種の、私ども行政官庁の責任としてのいろいろな行政指導をしていることは、これは事実でございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 これは中曽根さんが大臣のときからですけれども、いまの河本通産大臣も、つまり通産省設置法に基づいて必要な指導を業界に対してやっていくのだということをおっしゃっておられるようですけれども、これは当然のことだと私も思います。そして、いままで長くこの問題について質問もしてきましたけれども、私は、行政指導というものは正しい行政指導をいままでよりは強化していくという必要性も出てきておるのではないかという感じを持っておりますが、ここに独禁法というものが新しく登場して、しかも強化されてきょうとしている、こういう段階で、いままでの通産省のやってきた、あるいは農林省、各省ともですけれども、やってきた行政指導というものが、いままでの形でやることができるかどうか。いま裁判になっている問題の限度云々についてはお答えできないと思いますけれども、あるいは違った形の行政指導になるのではないか、この点が特に私はお伺いしたい点なんです。この点が明らかにならないと、せっかく独禁法が通りましても重要な点で骨抜きになるおそれ十分だと私は思うからなんです。したがって、独禁法が通過するという後のことを考えてみて、いままでの行政指導と変わってくると思うのだけれども、その点についてひとつ御所見をお伺いしたい。

和田敏信通商産業省産業政策局長

○和田政府委員 行政指導の根拠でございますが、本件に関しましては昨年三月に、行政指導というのはどういう根拠に基づいてどういう事態においてこれを行うべきであるかという点に関しまして、参議院の予算委員会で吉國法制局長官の答弁がありまして、大筋と申しますか、基本はその答弁のラインでわれわれもこれを実施いたしております。すなわち、通産省は設置法で任務を与えられておりますが、その任務を遂行しますために各企業に対しまして個別に行政を行い、各企業もまたこれに従ってくれることをわれわれは期待をいたしております。したがいまして、行政指導があるために今回の独占禁止法の改正が無意味になるとか、あるいは逆に独禁法改正によって行政指導がやりにくくなるという関係にはないのではないかと考えております。通産省の要請、まあ行政指導でございますが、そういうものを受けた企業が、通産省からそういう指導を受けたということを理由といたしまして、共同して不当な取引制限に該当するようなことがあればこれはもちろん独禁法違反の問題が生ずるので、当省といたしましても、行政指導を受けたことに籍口いたしまして企業間でそのような行為が行われるようなことがないように厳重な監視を今後とも行ってまいりたいと考えておるものでございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 ただいま現にそういう問題も起こっておりますけれども、生産が非常に過剰になってきたという場合に、過剰な生産を調整するような話し合いを業界に対して通産省が指導するというようなことは今後起こらないのですか、起こるのですか。いかがでしょう。

和田敏信通商産業省産業政策局長

○和田政府委員 先ほどエネルギー庁長官から御答弁申し上げましたように、先生の御質問とは逆のケースでございますが、たとえば国民生活に非常に重大な影響を持っておりますところの灯油等に関しまして、生産活動が非常に不十分であるというようなときには、その増産に関しまして行政指導を行ってまいるものでございます。また、過剰な生産が行われてきたという場合におきましては、現在そのような事態があるからといって、これらの生産に従事しておる企業に対しまして直ちに生産の縮減その他を要請するような事態にはないわけでございます。いずれにいたしましても、国民生活の安定、国民経済の健全な発展という観点からいたしまして、通産省設置法で与えられました任務に基づきまして、それの生産、消費、流通に関しましては、個別企業に対しまして、申し上げましたような諸点からの指導は今後とも行ってまいらねばならぬところかと思います。また、価格に関しましては、非常に異常な事態が発生した場合以外にはこれに関して軽々に介入すべきものではないというふうにあわせ考えております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 いま例に挙げられました灯油のような問題は別に法律があるわけであって、これは公取委員会としても、介入しようと思えば法律をつくりなさい、法律的な根拠のないものに対しては介入しなさんな、つまりこれが恐らく公取の立場ではないかと思うのですけれども、その点だけ、ひとつ高橋さんからお答えいただきたい。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 そのとおりでございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 そうなりますと、つまり特別の法律的な根拠のないものについては、公取、独禁法を運用されておる高橋委員長は、介入しようと思えば法律をつくりなさい、そうでなければ介入しなさんなという態度だと、はっきりいま言明しておられるわけです。植木さん、その問題はいかがです。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 行政指導が行われるというその設置法に基づく範囲内におきましては当然行ってもよいということになるわけでございますが、その他の点についてはやはり十分配慮する必要があると存じます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 いま通産省の、私と同じ名前の和田さんなんですけれども、異常な事態、特別の事態については設置法に基づく指導をするのだ、こうおっしゃったのですけれども、この異常な事態というのは非常にあいまいな概念でございまして、公取として独禁法に基づいて行動に移る事態は多くの場合異常な事態なんですね。たとえばこの前の石油ショックのような事態、多かれ少なかれ異常な事態に公取も出てくるということであって、異常な事態には、価格の問題を含めて、生産制限等の問題を含めて通産省は行政指導に乗り出してくるのだということであれば、これは余り接点が明らかになったとは言われない、こう私は思うのですけれども、いかがでしょう。

和田敏信通商産業省産業政策局長

○和田政府委員 私が異常な事態と申し上げましたのは、たとえば昨年の三月でございますが、閣議了解に基づきまして、価格に関し、事前に価格を上げようとする場合には通産省あるいは農林省等へ届け出る、通常、事前了承制と言っておりますが、そのような措置を講ずることを閣議で了解がございまして、それに基づきまして通産省におきましても省議決定を行い、たしか当省関係では四十五品目であったかと記憶しておりますが、それらの品目に関しましては事前に届け出を受け、そして価格に関して指導を行った経緯がございます。自来、だんだん様子も静まってまいりましたので、つまり異常事態の解除ということでございまして、昨年の九月に至るまでの間、申し上げました四十五品目に関しましての事前了承制の解除を行ってまいって今日に至っております。  お尋ねが、異常事態というのはどのような事態であるかということでございますので、たとえばそのようなものがございましたし、また先般第三次不況対策として決定を見ましたところの内容に関しましても、物価の上昇に関しましては、異常な価格の上昇等が起こらないよう所管の企業に対しまして価格上昇に関しましては自粛方を要請する、これはいまが異常であるか異常でないかという点はさておきまして、九・九%の消費者物価の確保ということが最大の要請でございますので、その要請に対応すべく、各企業に対しまして値上げの自粛に関して要請を行ってまいったのも、一種の行政指導ではなかろうかと解する次第でございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 高橋公取委員長にちょっと参考までにお伺いしたいのですが、これは法理論として、業界がカルテルをつくって値段をつり上げる場合は当然当たるのですけれども、つり上げようとする業界に対して通産省が行政指導をして、そこまで上げなさんなというこの指導はどういうことになりますか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 私は、価格に介入するとすれば、やはり法律的な手段によるべきであろうと思う。ですから、具体的な数字をとらえてこれはどうである、こうであるということになりますと、実際にはこの会社にこれだけ認めて他のものに認めないというわけにはいきませんから、みんな同じになってしまうというようなこともある。そうすると、これは一つの官製カルテルというふうな形になります。それはやはり私たち公取委としては、それでは、そういう手段でやるとみなこれは逃れてしまうでしょう、それで免責になる、つまり違法性が阻却されるんだなということになると、それだったら法律を改変しなければ、特に価格の問題はそうであると思います。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 そういうふうな非常にデリケートな問題が現実には出てくると私は思うのですけれども、いま公取委員長のおっしゃるように、行政指導が必要な場合には法律をつくりなさいというこの見解に対して、通産省の現業の責任を持っておられる方々はどういう御意見を持っておられますか。

和田敏信通商産業省産業政策局長

○和田政府委員 通産省がその所掌する任務を行います場合に、たとえば電力等の公共料金あるいは石油業法等に基づく諸般の措置というような事項に関しましては、すでに法律もございますし、また必要に応じましてそれの改正を御審議願い、整々として法律でやれるわけでございます。しかし、申し上げました石油危機のごとき、昨年三月にとりましたような措置、つまり政府が国民経済なりあるいは国民生活の観点から見て、こういうふうに企業があってくれることが望ましいというビジョンを描きまして、そのビジョンへの接近をケースごとに企業に示しまして、それへの接近を図ってもらうということは、行政の持つ弾力性と申しますか、時宜に応じましての敏速な措置をとるという観点からいたしまして、今後ともぜひとも必要ではなかろうかと思います。ただ、行政指導はおのずから限界がございまして、直ちに政府の考えておるところには同意しがたいという面もございましょうし、またそれが罰則によって担保されておるものでもございません。政府の一般的な行政の任務といたしましてそのような行動に出るものでございますが、事態の推移に応じまして、国民の権利義務に関連して、国民に一定の作為を要請し、あるいは不作為を要請するというようなことは必要だという、事態の進展に応じまして立法をお願いいたしまして、それに基づいて措置をしていく、こういう態様になるのではないかと考えるものでございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 それで、立法の措置をとるものもあれば、そうでない場合もあるということですね。この問題は、いままでの独禁法違反の場合でも、とにかく審決の結果いろいろの措置をなさるときでも、実際上の損害とかそういうふうなものを伴わなかったわけですけれども、今度の場合は課徴金というものがありますね、あるいは罰金というものがある。つまり役所が実際上行政指導をした結果、その指導に従って仮にカルテル類似行為をやって、そして課徴金を取られたという場合になると、これはいままでのような単純なものではないですね。課徴金を取られた方にしてみれば、この損害の問題をどういうふうに見てくれるのかという問題も出てくるわけですから、ここらあたりの問題は、この独禁法の改正に関して政府のはっきりした見解を持っておかないと、かなり無用な混乱が出てくる。とにかく、いまの通産省側の言い分を聞いておりましても、高橋公取委員長、つまり独禁法を運用する責任者の高橋さんの御見解とはかなり開きがある、大事な点で開きがある。そういうふうな状態のままでこの独禁法の運営がうまくできるかどうか、こういう問題について植木総務長官の御見解をお伺いしたい。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 私、先ほど申し上げましたように、独占禁止法遵守の指導をぜひ関係官庁は関係筋に対して行っていただきたい、同時に、行政指導を行いますときには、独占禁止法に抵触をしないように十分な配慮を加えて行うべきであるというふうに考えるのでございまして、いま御指摘ございましたように、その行政指導によってカルテル行為が行われたというようなことになりますと、これは重大な問題でございますから、その点につきましては、この独占禁止法の持っております重みを各省庁に十分に浸透させてまいりたいとせっかく努力をいたす所存でございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 農林省の方お見えになっていますね。――農機具の関係は通産省だけれども、通産省の態度が、非常にあいまいながら大体わかりました。わかりましたけれども、農林省の態度をお伺いしたいのですが、この農機具の問題で現存公取の審判に付せられているのがございますね。これについてどういう実情か、高橋さんでなくても結構ですが、事務当局の方から御説明いただきたい。簡単で結構です。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 大変申しわけないのですが、その関係者が一人もおりません。審決に至ってないことは確かでございまして、目下審判中、審判継続中でございまして、私もちょっとあれすれば覚えていたんですけれども、いまはどの辺の段階にあるのか、ちょっと忘れましたですね。申しわけありません。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 それは私が調べた範囲を申し上げますと、昭和四十七年に、その当時米作転換の時代で、かなり農業生産の模様が変わってきた時代で、農機具が非常に余ってきたという状態がありまして、佐藤造機という会社がつぶれた。これを契機にして農機具メーカー、四つか五つの大きなメーカーが集まって、そして一番大きな利用者である農協その他の人たちが集まって、農林省の当時の農政局長が肝いりになって流通懇談会というものをおつくりになった。これは事実ですか。

二瓶博農林大臣官房審議官

○二瓶説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話ございましたように、農業機械流通懇談会といいますものは、昭和四十六年から米の生産調整が進められたわけでございます。そういう関係もございまして、農業機械の需要が相当落ち込んできたということがございます。そういうことで農業機械の流通面で相当な競争が行われた。たとえば招待販売をやるとかいうようなことで、公正な取引上好ましくない事例が多々見られたわけでございます。そういうことでございますので、公正取引委員会の方とも連絡をいたしまして、農業機械の流通事情を聴取、懇談するというような観点に立ちまして、農林省が世話役になりまして農業機械の生産業者あるいは全農その他の販売業者等を参加者として開催をいたしたわけでございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 この農機具流通懇談会というものが直接この独禁法違反の事例になったというわけではないようですけれども、これでいろいろな話し合いの場を通じて、いま公取委員会で問題にされている事件があると私聞いておるのですけれども、つまりこういう場合に、この場合はメーカーの団体はこの流通懇談会とは別にあるわけです。メーカーの団体がどのように動き、これは通産省の所管のようですけれども、この流通懇談会の、農林省が肝いりになってつくらしたこの団体がどのように動いたかということは、いまも御審理願っていると思うのですけれども、つまりこのような行政指導に基づいた団体が独禁法の違反としていま公取の審理になっているということは、これは業界がやったことで、農林省は知らない、通産省は知らないということでは済まされない問題があると思うのです。第一いままでは、これをやったころは、どの省でもこれはあたりまえのこととしてやっておったわけです。これは私もう七、八年この物価委員になっておりますけれども、こういう問題が問題になったことがない。つまりカルテル違反として、役人が介在しておればカルテルの取り締まりの対象にならないのだというそういう不文律みたいなものがずっと流れておって問題にならなかった。高橋委員長が委員長になってからそれを断固として指摘を始めたというふうに私自身は理解をしておるのですけれども、こういうふうな指導の仕方は今後変わってこなければならない、そう思うのです。したがって、いまの独禁法が今後法律になっていくという過程で、農林省としてこのような指導を今後お変えになるおつもりであるのかどうか、あるいは自分はカルテルをつくるという気持ちはないのだから従来どおりやっていくのだというお気持ちなのか、その点をお伺いしたい。

二瓶博農林大臣官房審議官

○二瓶説明員 ただいまお話のございます農業機械流通懇談会、この面につきましては、これを設けて開催をしていくというときに、公正取引委員会の方と十分連絡をとってこれを進めたわけでございます。したがいまして、新しい独禁法改正というものが成立した場合におきましては、また改めてこの面について相談は公正取引委員会とはしたい、かように思っております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 もう時間がなくなりましたのでこれでやめますけれども、植木長官、いまいろいろと通産省、農林省の責任者の方々から御意見を聞いておるわけですけれども、このような御意見を聞いておりましても、独禁法を運用する責任者である高橋委員長のお考えと、最も密接な関係のある通産、農林の各省の責任者の考え方とが必ずしも長官が期待しているような状態になっていないと私は思うのです。これは単にきょうの質疑だけでなくて、いままでのこの問題をめぐる全部の質疑を通じて大事な点が明らかになっていないと私は思うのです。こういう状態のままでこの独禁法が通ってまいりますと、私は高橋委員長御自身が非常に困るのじゃないかという感じがするのです。したがって、この問題について植木長官としてはかなり明快な答弁をなさっておるのですけれども、この独禁法の精神を積極的に評価して、各省は行政指導についてはこれを評価する立場から行政指導をやっていきなさいというこの姿勢、この姿勢が政府の統一見解であるなれば、それが実際守られるようになさらないと、いまのように通産大臣は設置法によって必要な場合、異常な場合でも何であろうととにかく価格を含めて行政指導をやっていくのだという態度を持っておられると、私は大事な点でこの問題の実施がおかしくなってくるというように思うのですね。いまは生産調整、低成長の時代ですから、こういう問題についてのいろいろなあれはないかもわかりませんけれども、これが景気が回復してくると、四十年代にあったように、また独禁法自体が全く骨抜きになってくる。法が骨抜きになるよりも、実行できないような形になってくるおそれは十分ですね。その点について、三木総理大臣として、政府がこの独禁法の改正を機会にして、つまり明確な政府の統一見解のようなものを明らかにしていく。これは長官がはっきりと言ったこの言葉で結構なんです。独禁法のマインドを積極的に利用するような形で行政指導をしなさい、これで結構なんですけれども、残念ながら実際やる関係のある通産、農林その他の官庁が、それを、わかりましたと言ったままで実行しないというおそれが十分あるわけであって、その点についてどのような手段で徹底を図っていかれるのか、その点について最後にお伺いしたい。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 御意見ごもっともでございます。閣議及び事務次官会議等を通じまして、趣旨の徹底を図るように努力をしてまいります。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 では、これで終わります。

萩原幸雄自由民主党

○萩原委員長代理 和田耕作君の質疑はこれをもって終了いたしました。  米原和君。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 私はこの連合審査会で、きょうは大蔵委員の資格で質問いたします。  時間が四十分しかありませんから、問題点を二間ほどにしぼって簡単に聞きます。できるだけ簡単明瞭に答えていただきたいと思います。  最初にまず、公取委員会の方で出された総合商社に関する例の調査報告の中にも出ておる企業集団の問題、これについて若干聞きます。  六大企業集団は東商一部上場会社の使用総資本において六六・四六%も占めている。その意味では、日本経済の中枢を握って、国民生活を支配し、独禁法で言う公正かつ自由な競争を妨げるような要因になっていると思われるのであります。そういう点で、共産党としまして、私たちの出した改正案では、こうした大企業集団の反社会的な行為を規制することを提案しているわけでありますが、政府の案には^この点、企業集団に対する規制という形では何もないのであります。  この企業集団の問題について、公正取引委員会の出された報告に対して、たとえば日本貿易会が反論のようなものを出しておりますが、つまり「公正取引委員会の「総合商社に関する第二回調査報告」について」という文書を発表しておりますが、それによると、この企業集団の役割りというものを非常に軽く見ておりまして、企業集団というのは経済的な意味における組織体でもないし結合体でもないなんと言っております。しかし、実情から見るならば、たとえば、東洋経済の三月二十二日号に、藤野三菱商事社長がこの問題について言っておられますが、「たとえば、石油開発やディベロッパー事業など一社の負担では耐えかねるような事業を、企業集団が力を合わせてやるということはある。」というように弁解しておるわけです。実際的には経済的な結合体であり、それどころか日本の独占資本の存在形態となっているというのが実情だと思うのであります。  このような企業集団が、持ち株率一〇%以上の会社で八千四百七十五社を支配して、日本全体で資本金の四一%、総資産の三〇%を占めている。このような支配力を持った企業集団が一たび反社会的な経済撹乱行為を行えば、国民生活に与える影響ははかり知れないものがあるということは当然のことであります。  その点で、どうしても私たちとしては企業集団そのものに対する規制を行えるような、そういうことを独禁法の中に入れる必要があるというふうに基本的には考えて、そういう改正案を出したわけでありますが、この点についての考え方を、植木長官とそれから公取委員長にそれぞれ最初にお聞きしておきたいと思います。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 総理府といたしましては、特別に企業集団についての調査を行ってはいないわけでございますが、大規模な会社が株式保有をその一助といたしましてグループ化、系列化を進めていくということは競争政策上好ましくないということは申すまでもございません。したがって、政府といたしましては、今回企業集中の進行を防止するという観点から、会社及び金融会社の株式保有制限の強化を図ろうとしているのでございまして、これが対策の一つでございます。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 企業集団というものの存在について、確固たる戦前の財閥のようなものではないといたしましても、つまりもっと輪郭のぼけたものではありますが、そういうものの結合が次第に強まり、かつその比重が高くなってきているということは争えない。それは御指摘のとおりでありますが、それに対していま直ちに企業集団そのものを直接の目途とした対策を独占禁止法の中にダイレクトに織り込むことはやや時期尚早である。つまり、われわれの調査が不十分であるし、対応策としてずばりというふうなものはない。  そこで、いま総務長官の答弁にありましたような、まず株式の保有総量を規制する。いま残りました、対象となっているのが十五社、そのうち九社が総合商社なんです。これは結局少なくはなったというものの、その中に皆大きな商社は含まれております。六大商社はもちろん含まれておる。だから、この株式の保有制限。それから、企業集団の中でやはり重要な役割りを占めておりますのは、何といっても都市銀行を中心とする銀行でございますが、そういうものが持っております株式についても、五%を超えるものはいけないんだ、だんだん五%の中へ押し込むというふうなことになっております。そのほかに、これは大蔵省がおやりになったことでありますが、大口融資の規制をすでに実施しております。  結局、日本の大企業の統率力といいますか、そういうものはすべて他人資本の力によっている。社債等を含めまして、結局借入金による分が多い。ですから、やはりそういうものの融資を規制するという、大体この三つの政策が――ただ、この法律改正はいままだ審議中でありますから何とも申し上げられませんが、すでに融資の方ではそれは実行されつつある。五年の期限で自己資本の二割以内を原則にして、例外は多少ありますが、そういうことが行われております。ですから、一応第一段の対策としてはとられているんだというふうに私どもは理解しております。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 時間がありませんから、いま言われた持ち株制限の問題として後でもうちょっと聞きます。  こうした企業集団の中心には銀行などの金融機関と並んで商社がありますが、公取などの調査によってもこの商社の持ち株が急速にふえております。たとえば三菱商事は六〇年代の高度成長の出発点となった六〇年三月末から七四年三月までの十四年間に関係会社の株を九億五千万円から五百十八億円と、実に五十四倍もふやしております。商社がほかの会社の株を持つのは、安定株主工作だとか、取引関係の維持だとか言われておりますが、公取の調査にもあるように、十大商社の所有株式の投資利回りが平均三・七%であり、借入金の平均金利と比べても逆ザヤになっております。それにもかかわらず、持ち株がふえるというのは系列化や原料資材の強制購入などの取引の拡大など他企業への支配の推進とどうしても考えられるわけです。こういう点については、たとえば新聞記者の質問に対して、猛烈な商社の株買いについて、たとえば日本精糖工業会の永宮事業部長がこの三月に語ったのが新聞に出ておりますが、「日本の精糖業界は大手商社に融資、株式保有、人材派遣などで完全に握られてしまった」、こういう状態であります。  このような支配を規制するために、おっしゃったように株式保有制限が必要なわけですが、それが公取の試案では規制会社四十九社が、政府案では十五社に減っております。こういう点を見ましてだれしも考えるのですが、これは財界の要請に譲歩した重大な後退だと思うわけです。この点について、長官はどう考えておられますか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 仰せのとおり十五社という数字になったわけでございますけれども、これはいずれも先ほど公取委員長からの御答弁にもありましたように、大きな商社はすべてこれに含まれているわけでございますから、企業のグループ化、集中化に対処いたしますために一つの役割りを果たすというふうに私は考えるのでございます。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 まあしかしそういうふうになっているけれども、同時に、経過措置が十年間だ。今回の改正によって規制される会社は実際にはどうなるだろうか、一般にはもうゼロになるのではないかとまで言われております。これでは現状の系列化など企業支配の実態を是認するものであり、重大な骨抜きではないか、こう考えざるを得ないのです。たとえばこの株式保有制限にはいろいろな対象除外株式がありますが、これが除外されると、政府案による対象規制会社十五社はさらに減ると思われますが、それはどれぐらいになりますか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 まだ関係政令が出てないとかいうことがありまして、正確な数字を申し上げる段階ではありませんが、四百何十億、四百億円台というのが一応の計算では出ております。はずれるものですね。現在の状態においてはずれる、つまり例外として差し引かれるものが四百億円台はあるだろうということ、まだ確定数字をちょっと申し上げる段階になってないのです。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 たとえばこの問題について公取の試案が出た段階で、財界方面からいろんな批判的な意見が出ました。たとえば三月十六日の新聞に出ておりますが、丸紅の檜山社長がこんなことを言っております。「資源開発、海外活動、新規産業分野の開発などが今後重要になるにもかかわらず、これはこういうことをやられたら大きな制約となる」こういうようなことをしゃべっておりました。ところが、そういうことが全部取り入れられて、ここで全部除外されることになった。たとえばここで言っている海外活動ですか、子会社などを使った商社などの海外進出活動などすべて適用除外になる。こういうことになりますと、日本の大企業の海外侵略だとかいうようなことが東南アジアでもしきりに問題になっている。そういうときに、特にこういう海外活動をやっているものは適用除外というようなことをやるということは、私どもどうもうなづけない。この点についてどのように長官考えておらますか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 財界と癒着しているのではないか、その意見を聞いて今回の案をつくったのではないかということでございますけれども、私どもはそのような癒着をするというような事実もありませんし、ただ各種団体からいろいろな意見が寄せられました中に、経済団体連合会から見解と称する文書が寄せられたというだけでございまして、私どもといたしましては経済界の意向によって法律案がゆがめられたのではないかということはございませんし、そのような御認識はお持ちいただきたくないのでございます。  なお、いまの国際競争力、海外活動の問題でございますが、これはわが国の持っております経済的な位置からいたしまして、海外に対する援助というものは、協力というものは必要でございますし、さらにまた国際競争力を強めることは国民経済的な立場からも大切なことでございますから、そういう意味でこれを排除要項等に取り入れたということでございますから、御理解をいただきたいと存じます。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 海外進出の問題については、国際的に見るとこれは非常に重大な問題だ。日中平和条約の問題で覇権問題というのが大変な問題になっております。それに対する考え方の問題をいま討議するわけじゃありませんが、その報道の中で、たとえばこの覇権問題を入れることが、東南アジアに対して日本にとっても有利ですよなどということを周恩来首相が言ったというのがきのうも出ておりました。この問題は相当真剣に考えてもらう必要があるんじゃないか。骨抜きじゃないと言われますが、事実、一月二十八日、衆議院本会議で、当時三木総理大臣はこの独禁法の問題で答弁された中で、「自由、わがままなことは許されないという社会的要請があるわけですから、その要請に従ったルールをつくっていこうということで、これはただ形だけで、骨抜きにした独禁法を国会に提出する考え方はない」こういうふうにきっぱりと実は言っておられるのです。     〔萩原委員長代理退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕 このように明確に骨抜きにはしないと言われながら、実態を見ますと全く重大なところが骨抜きになっているではないか。委員会でも原価公開の問題とか価格の原状回復の問題とか、そしてさらに、後で聞きますが、株式の保有制限、公取の試案と比較しましても非常に重要な部分が骨抜きになっているという印象は否めない。首相の言明とはかなり違っているんじゃないか、こう私は感ぜざるを得ないのです。長官、どうでしょう。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 いま骨抜きというお話がございましたが、そもそも骨とは何であるかという御認識が私どもと違うのではないかと思います。米原委員は公正取引委員会の試案が骨であるというふうにお考えのようにいま承ったのでございますけれども、私どもは重要な参考の資料とはいたしましたが、他にもいろいろな御意見はあったわけでございますから、それらを総合いたしまして政府案をつくったわけでございます。あえて、私どもの持っております骨という概念は、独占禁止法第一条に書かれておる目的というものが骨であると考えているのでございまして、この際、骨抜きというお言葉は当たらないということを申し上げておきたいのでございます。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 やはり公取委員会の原案というのは、例の一昨年の狂乱物価以来、この問題に対して非常な国民の関心がある。この国会でもこの問題については問題になったようなことがいろいろ議論されている。それをある意味で反映しているという意味では、原案と見ていいと思う。国民の意見を反映していると言っても間違いないのです。ところが、そういうものが、その後出た財界の意見、ことに経団連のあの見解というのは典型的だと思うのです。そういうものが実際はほとんど入れられて、重要なところがだめになっている。こういう意味で、事実として私は骨抜きだということを認めざるを得ないのです。事実、財界の人自身が話しています。たとえば昨日おいでになった経団連の産業政策委員長鈴木さんの発言が、三月二十八日の週刊朝日に出ております。こんなことまで週刊朝日に出ているのを見ますと、大変な圧力のかけ方です。たとえばこんなことを言っているのです。政治献金問題と独禁法問題とは全く無関係ではあり得ない、こんなことが週刊朝日に載っております。また、二月十三日の朝日新聞には、財界の首脳者が語ったとして、こんなことが出ておりますね。「自由経済体制の根幹に触れるような独禁法改正をやめない限り、一円でも献金できない」明らかに自民党に対する圧力ですよ。こういうような形で、財界の献金に大きく依存する自民党政府が、それをてこに独禁法の骨抜きをさせられたというのが本当のところではないか。財界の献金を断ち切って国民の利益にかなう独禁法に改正してもらいたい、これは多くの国民の要望だと思うので重ねてこの点について聞いておきます。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、政府案を作成するに当たりましては広く各界の方々の御意見をお聞きし、また新聞等の論説あるいは学説等も十分に拝聴し、そしてさらに公正取引委員会の試案も重要な参考資料として、国民の理解の得られる案をつくりたいということで臨んだのでございまして、財界の圧力を受けてこの法案を作成したというような事実はございません。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 それでは、問題をもうちょっと具体的にします。さっき触れた問題です。株式保有制限で最も重要な保険業の問題について聞きます。  現行法では保険業も他の金融機関と同じ一〇%基準で株式保有制限をやっております。また、公取の出された試案でも、この保有制限を同様に、今度は保険業も他の金融機関と同じに五%の基準でやることにしておる。これは保険業が他の金融機関の株式保有と同様の役割りを果たしているという現状認識に基づくものであると思いますが、この原案でそうなっていた意味について、最初に公取委員長の見解を伺いたい。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 保険会社の場合、ちょっと歴史的な沿革があるわけです。これは御承知かと思いますが、昭和二十五年の保険業法の改正で、保険会社に関してだけは他の金融機関と区別して五%ではなくて一〇%まで緩和したということがあるわけで、二十八年の独禁法改正で保険会社以外のものもみんな一〇%にしたので、そこでそろっちゃったのです。しかし、それ以前にまだ他の金融機関が五%であったときに保険会社だけは一〇%まで許されておった、こういう主として歴史的な沿革が一つ。  それから、保険会社にとって株式投資というものは、損保、生保、両方ともありますけれども、やはり株式投資が普通の金融機関に比べればはるかに多いわけですね。有力な運用上の資産になっているわけです。長期であるということもあるのでしょうが、そういういきさつがあって非常に保有比率が高い。そこで、一〇%にしてもらわないと事実上非常に困る場合があるというふうなこともあるのですね。ただ、確かに全く問題ないというわけじゃないのですよ。これは保険会社によりましては、非常に大きな保険会社は筆頭株主になる可能性が強くて、それが実は、保険会社もいわゆるわれわれの言っている六大企業集団のどこかに属しているという場合もありますので、問題がなしとはしないのですけれども、そういった二つの観点から、今回一〇%まで緩和するということにされたわけでございます。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 歴史的なその問題での経過は、私も聞きまして、そういうことがあったということは知っております。しかし、現行では同じ水準の一〇%の規制基準になっている。それを今度は保険業だけそのまま据え置くということですね。これは、その間何か実態の変化でもあったのかということを考える場合に、一応は両方とも一〇%になった、今度は五%にする、保険業だけは据え置く、なぜこういうふうに今度の場合変えられたか、この点なんです。この点を特に聞きたいのですよ。

原徹内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○原政府委員 大体先ほど公取委員長からお話があったとおりでございますが、要するに保険会社は――銀行は集めた金を貸すという機能が一番大きいわけで、もちろんそれに対して資産運用はいたします。ところが、保険会社の場合はそのウエートは非常に少ないものですから、それは債券あるいは株式に投資してそれで保険金の支払いに充てなければならぬという意味で、保険会社の株式保有というのは現実の問題として非常に多いわけであります。しかも、そういうことになりますと、いわゆるただ株を持っているということは一種のキャピタルゲイン、値上がり益、そういうものでやはり一種の目減り対策みたいなことも保険会社としてはいろいろ考えるということもございますし、そういう面から考えても、先ほどありました二十八年以前の状態に今度一般の場合は戻すわけでありますが、どうも保険会社の場合にそこまで戻してしまうのは無理であるというふうに判断をいたしまして、保険会社は一〇%に据え置く、そういうことにいたしたわけでございます。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 それでは、もうちょっと細かく聞きますが、保険会社の株式保有の特徴は、資産運用における株式比率の低下及びその硬直的な保有にある、こういうふうにいわれております。そこで、問題はなぜこういうことになったかということでありますが、そのような特徴に対して専門家の意見でも、相手企業の株式を取得することによって長期貸し付けを有利にする、あるいは団体保険、企業年金を獲得することを目的としてそのための手段として用いられるといわれております。そこで、私たちも独自に実情がどうなっているかということを実は調査したのです。ちょっとこれを見ていただきたいのです。     〔米原委員、書類を示す〕 この調査を見ますと、実にはっきりと特徴が出ているのです。これはさっき公取委員長もちょっと触れられた問題も絡んでおりますが、第一に多額の融資を実行している企業については株式保有もあわせて行っていることであります。しかも、ほとんど株主順位十位以内の大株主となっていることです。たとえば明治生命を例にとりますと、多額融資企業三十一社中、株主順位二十位以内に入っていないものはわずか二社でしかありません。このことは当然株式保有が長期貸し付けを有利に運用する手段になっていることの一つの根拠になります。第二には、グループ企業に優先的に融資が実行されていることであります。これも明治生命を例にとると、多額融資企業三十一社中、半分以上の十六社が金曜会のメンバー企業であり、しかも三十一社中、二十三社は明らかに三菱系企業であり、グループ優先は明らかであります。つまり政府は資産運用のためとか企業活動に密着しないことを理由に適用除外にしておりますが、一体このような実態を見て果たして企業活動と密着してないなどと言えるでしょうか。この点について公取委員長、総務長官の答弁を伺いたいわけであります。

徳田博美大蔵省銀行局保険部長

○徳田説明員 いま御指摘の点でございますが、生命保険の数社につきましては、その投資先につきまして御指摘のような投資先の数についての現象があることは確かでございます。ただしかしながら、保険会社の株式投資一般のあり方といたしましては、本来成長性、収益性を目途とするわけでございますけれども、それと同時に、御承知のとおり生命保険会社は一般大衆の資金を運用しているわけでございますので、特に安全性を重視した純投資に徹することが望ましいわけでございます。このような観点から投資先の企業を選択する場合には、将来に対して成長性を有していること、あるいは収益性が高いことと同時に、経理内容あるいは経営基盤が確実であるということが重要な指標になるわけでございますし、また同時にその投資先の企業の内容を十分に知悉しているということも大きなポイントになるわけでございます。これらの条件に合致する企業といたしましては、これは現実の問題としては日本の産業構造から見ましても、結果的にいわゆる企業グループに属するような企業が選ばれる結果になることが多いと思われるのでございます。したがいまして、現実に御指摘のようなケースが見られることにつきましては、必ずしも企業グループを意識したものではなくて、本来の純投資としての投資先の選別を行った結果によるものというふうにも考えられるわけでございます。現実にこのような生命保険会社のいわゆる企業グループに関係しているといわれている数社につきまして、株価の上昇率それから運用利回りなどを見ますと、それ以外の株式よりも有利なケースになっておりまして、この点につきましてはいま申し上げました純投資という点が確保されている、このように考えられるわけでございます。  それからもう一つの点でございますが、御承知のとおり生命保険会社は大半のものが株式会社でございませんで、相互会社組織になっておるわけでございます。これは契約者の全部が社員として構成員になっておるわけでございますので、したがいまして一般の株式会社に見られるような株式の持ち合い関係というものはないわけでございますので、この点におきましてもいわゆる企業グループ的なビヘービアの可能性は少ない、このように考えられます。  それからさらに、これはもう御承知のことと思いますけれども、金融機関としての支配力は、株式保有もさることながら、総合的な金融取引、これは為替、預金取引も含めましてそのような金融取引あるいは人的要素の面によることが多いわけでございますけれども、生命保険会社はもちろん預金、為替取引はございませんし、融資につきましても長期資金をいわば限界供給者的に貸し付けているわけでございますので、この点につきましても支配があるというようなことは言えないのではないか、このように考えております。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 時間が余りありませんので簡単に言いますけれども、さらに事実を調べれば調べるほど明確になってくるのです。グループ内の企業に優先的に貸し出していることは明らかですが、いまそこに資料を出しました。具体的に明治生命と住友生命を例にとると、第一に株式保有の面ですが、明治生命の筆頭株主企業二十六社中実に十社が三菱グループの社長会、金曜会のメンバー企業、また住友生命の筆頭株主企業九社中実に六社が住友グループの社長会、白水会のメンバー企業となっております。融資の面でも住友、三井、三菱の社長会メンバー企業に対する融資比率は、グループ金融機関融資総額の一五%強を保険会社が担っております。第三に、人的な関係を見ても東京海上火災を例にとると、取締役社長の菊池さんが、あるいは三菱銀行の取締役であり、三菱開発の取締役であり、三菱石油開発の監査役などを兼任しております。また、東京海上火災の取締役には三菱銀行会長の田実渉氏、それから三菱商事社長の田部文一郎氏が入っております。つまり、株式保有の面でも融資の面でも、さらには人的つながりの面でも保険会社がグループの結束の強化、拡大にきわめて大きな役割りを果たしていることは明らかだと思う。公取委員長及び総務長官、この点について明確に答えていただきたいのです。  重要な構造規制について、特にその中心である株式保有制限について、株式保有数の最も多い保険業を適用除外にしていることは骨抜きの最たるものではないかということを私は感ずるのです。しかも、生命保険業の場合、依然として実体はベールに包まれている部分が多くて、保険業を適用除外にする根拠というものがどう聞いても明確でありません。その点について長官の見解を最後に聞いておきたい。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 私どもは今回の改正案の策定に当たりまして、企業の支配力というものが強くなってはならないという考え方のもとに株式の保有制限を強化したわけでございます。保険業の場合は、企業との間に預金、為替取引を通ずる密接な関係を持つことはございませんで、また融資的にもスポット的な長期資金提供の域を出ませんいわゆる資金限界供給者的な性格を持っているわけでございます。株式保有につきましても効率的な資産運用を行うためのものが主でございまして、相手会社の支配を目的としたものではございません。したがいまして、他の金融機関、特に銀行業を営む会社に比べまして、他の会社の支配及び経済力の集中という事態は起こりにくいのでありますから、私どもはこの保険会社につきましては、二十八年の改正前におきましても他の金融会社とは区別されて一〇%とされておりましたので、現行法のとおりというふうにしたわけでございます。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 私たち、わずかにいまお渡しした程度の調査しかやっておりませんけれども、実態を見ればそうじゃないと思うのですよ。実際は非常な支配をやっているということは事実となってあらわれているのです。その点がそうでないとおっしゃるなら、株式の保有と団体保険の関係、あるいは株式保有と融資の関係、こういうものについてどうかひとつ資料を出していただきたいのです。これは重大な点です。こういう点についてきょうは連合委員会ですから、独占禁止法を扱っている商工委員会の方にぜひ明確な資料を出していただきたいということを要求しまして、私の質問を終わります。

武藤嘉文自由民主党

○武藤(嘉)委員長代理 石田幸四郎君。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 私の持ち時間はごくわずかでございますので、簡潔にお尋ねをいたしますので簡潔にお答えをいただきたいと思うのです。  この独禁法につきましては、経済の自由な競争原理を維持するための経済の憲法、そういうような位置づけが行われているわけでございますけれども、その根底におきましてはやはり消費者の利益が不当に侵害されてはならない、こういう精神が内在をしなければならない、こういうふうに思うのでございますけれども、そういう点から見まして、今回の改正案におきまして課徴金の問題、あるいは企業分割等、そういう問題が満足ではないにしても一応項目として取り上げられておるわけであります。しかしながら、消費者の立場に立ってみますと、原状回復命令、こういうような問題は見送られているというふうに思います。そういった意味におきまして、一般の消費者を独禁法違反から守るという配慮はきわめてなされていないのではないかというような批判が出ているわけです。きのうの参考人の意見聴取等においてもそういうような意見がございましたけれども、この批判にこの改正案の提出者といたしましてどうおこたえになるのか、お考えを聞かしていただきたいと思います。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 いかにして消費者を保護すべきであるかということは、私ども法案をつくりますときにいろいろ考えたところでございます。そこで、違反事実報告者に対する処理結果の通知義務というものがいままでございませんでしたものを盛り込むことによりまして、一つ前進をしたというふうに私どもは考えているところでございます。いろいろ告発権の問題でありますとか御意見がございますけれども、それぞれ各界の御意見を聞く中で、また私どもの判断の中で、これは今回とるべきではない、とってもなかなか大変な問題であるということで見送ったわけでございまして、御承知のとおり独禁法そのものが一般消費者の利益を確保するというのを目的としているわけでございますから、法全体によって消費者の利益確保のために努めているということで御理解をいただきたいと存じます。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 公取委員長にお伺いするわけでございますけれども、いまの通知義務等の問題について総務長官からもお答えがございましたけれども、どうも私どもの方から見ますと、やはり特に原状回復命令の問題については、カルテル排除命令等はできるにいたしましても、一般の消費者が受けた損害については補てんすることができないというような改正案になっているわけでございますので、そういうような一般消費者の不当に侵害された状況を守ることができないではないかという批判、これはどうしても起こってくると思うのですね。同じような御質問になるかもしれませんが、公取委員長の御意見を承りたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 一般消費者の損害というようなものについては、現行法で二十五条ですか二十六条ですか、ちょっと条文を忘れましたが、要するに審決の結果をもとにして無過失損害賠償の点があります。ただし、私、実際を見まして、この点将来の研究課題だと思うのですが、そういう制度があっても実際使えないのじゃないか、使ったら引き合わないということですね。東京高裁がそれを取り扱う、地方の人はどうするのだというふうな問題がございます。そういう制度が現在あったって使いものにならなければそれはいけない。それともう一つは、その損害額そのものしかない。これが二倍までできるというようなことになりますと、まだやる気も起こるわけですが、やってみても費用をかけてわずかな金額をあれするというふうなことについては、これはやはりもっと深い研究を経てクラスアクションというふうなことまでいけば、これは私どもの所管だけではなくなりますが、何か実際に損害が補てんされるような損害賠償制度というものができないものかということは将来の研究課題だと思うのです。今回の改正ではとてもそこまで知恵が及ばないのではないか、早く言えば日本の制度上も二倍もできるというような、あるいは三倍も請求できるというようなアメリカのものをまねするわけにはいかない、そういう実態がございます。個々の消費者になりますと、損害額が非常に微弱なものになってしまうのです。そういうところにも問題がある。でありますから、直接消費者の受けたカルテル等による損害、被害をどうこうするという問題は、今回は正直なところ入っておりませんが、カルテルそのものを規制するということによって、それは究極的には国民経済、一般消費者のためになるんだということでそちらの規制の方を強化することになったわけでございまして、その辺のところ、原状回復命令が入ってないという点で不満足な点もあるかもしれませんが、まだいまの段階でそういうことを入れようとしても入らない情勢にある、そこで七条の括弧書きのようなものになっているということです。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 そういたしますと、四十五条第二項の通知義務の問題でございますけれども、これは公取の通知義務ということになっておりますけれども、いわゆる事実報告の義務であろう、これこれこういうことにしましたと言うだけのことだろう。理由を付して報告する必要がないように思うのでありますけれども、これでは形成された価格と原価との関係が適正であるかどうかという判断の資料は提供されないままに終わってしまうのではないか、これはこういうことでしょうか。公取委員長、いかがでしょうか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 書面で報告したものに、今度はどういう措置をとったか、とらなかったかということの通知はいたします。そういうふうになっておりますが、それに理由を添えてやれ、これは確かに刑事事件の場合に、告訴します、告訴を取り上げないという場合には簡単な理由を付して返事しておりますね。そういうのと比べてバランスがとれないように思いますが、あれはあれなりの理由がございまして、いまるる申し上げませんが、一つには検察審査会というのがあります。そういう手続がそれの前置きになるわけです。とらなかったことに対して、今度は検察審査会がそれを要求すると、不起訴のものをもう一遍起訴するということの手続になる。この独禁法の問題についてそういう点まで入っていくのはどうも普通の刑事事件に比べるとはるかに複雑でございますので、私どもとしても理由を付してとなると、いろいろこちらの内部の事情がございます。その理由が非常に簡単に、証拠なしならば証拠なしでいいんですけれども、実情を全部書いておったら恐らく事務量として応対し切れない。実際問題としては、ずいぶん熱心な方はいまでもあれはどうしたんだと言って電話で聞いてくるのですよ。この場合は電話でございますからできるだけ丁寧にお答えをするというふうにしておりますが、それを書類の形で全部やらなければならぬとなると、またそのために勢力を割かなければならないというふうな事情もございますので、簡単に申しますと、いままで全くやっていないのに比べれば一歩前進である、こういうふうに受け取っていただきたい。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 私、あと十分程度しかないものですから長官にお伺いをするのでございますけれども、きのうのいろいろな参考人の意見等を聞いておりましても、独禁法の運用については公取だけが独占してはならぬという議論も出ておるわけですね。委員会等でのうちの近江委員の質問等に対しまして、高橋公取委員長は、いまもお話がありましたように、独禁法の告発については専属告発制であるというような意味もおっしゃっておりますけれども、同時に一般消費者が刑事事件として告発するということについては、公取の問題というよりはむしろ法務省の問題ではないかという発言を見ますと、当然これは将来そういうことが考えられるのではないかというようなニュアンスを発言していらっしゃるわけなんです。福田経企庁長官は国民生活審議会等の議を経てというようなことをおっしゃっておりますから、クラスアクションの方向に行くべきか、行くべきでないかというようなことは余り明確なお答えはしていらっしゃらない、そういう方向は示唆していらっしゃらないわけですけれども、私どもが見ますと、今度の独禁法の改正について、消費者保護という立場はかなり弱まっている。いまも公取委員長からお話がありましたけれども、現在の状況から見てそこまでなかなか知恵がいかない。あるいは政治情勢という問題もございましょう、そういう問題がそこまでいかないんだけれどもというようなお話がございました。究極的にはどうしても消費者が守られなければならないというようなことを私は考えておるのですけれども、そういった意味でクラスアクションの方向は政府としても前向きの姿勢で取り組むべきではないのか、こう思うのでございますけれども、いかがでございますか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 公正取引委員会に権限が集中し過ぎているではないかという御議論があるのを、私も承知いたしております。しかし、独禁政策につきましては専門的立場から公正に運営が図られなければならないのでございまして、規定適用についての判断を独立性を持つ合議体としての公正取引委員会に集中しているということは、現段階では正しいのではないかと存じます。その地位、権限は非常に多くの問題に波及する問題でございますから、これは慎重に検討をさせていただきたいと存じます。  なお、クラスアクションのお話がございましたが、この点につきましてはアメリカ等におきましてもいろいろな問題があるようでございます。先ほど副総理がお答えになりましたように、審議会の御審議の経過等を見守って私どもにも対処させていただきたいと存じます。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 それではもう一点、原価公開の問題です。これは今回の改正案には含まれていないわけですけれども、いろいろいままでの論議の対象となってきたわけでございますから、お伺いをするわけでございます。  まず、原価公開の反対理由としては、先ほども長官述べられておりましたけれども、企業秘密の問題あるいは外国にその例がないという問題、それからもう一つは、原価の規定というのは百人集まれば百人の原価計算の学説があるというようなことでその原価の規定を明確にしがたい、この三つの点が反対理由の大きな柱ではないかと実は私も思うのです。いままで公取の見解を伺っておりますと、たとえば昭和四十年七月二十九日に出されました「不当廉売の判断基準について」、これはみそ業界の問題でございますけれども、「不公正な取引方法」の第五号における「不当に低い対価」ということについては、従来公取委員会として一般的に製造原価あるいはその仕入れ原価を割って販売することであると言われておるわけですね。仕入れ原価等はわりと簡単にわかると思うのですけれども、製造原価も公取委員会としては一応その判断の基準を持っているのではないか、こういうふうに思うわけです。また、これに関連して申し上げますれば、新聞業界において中部読売の問題がございました。この場合も、五百円で売りたいということに対して公取ではたしか八百十二円ですか、それ以下であってはならないというような勧告をされてそれが守られておるわけでございますけれども、この八百十二円の一つの算定基準というのも、当然その原価というものが公取の中で想定され、いろいろな要素が積み重ねられてそういうような、それ以下であってはならないというような判断になってきたのではないかと思うのですね。  そこで、まず公取委員長にお伺いをしたいのでございますが、その原価の規定が明確でないとは言いながら、公取自体でも、こういう方法ならば原価というものが想定できるのではないかという根拠を持っていらっしゃるように思うわけなんです。  時間がありませんからまとめてお伺いします。そういうようなことから、もし私の話が肯定されるならば、先ほど申し上げました三つの反対理由のうちの一つが脱落をしていく。それから、海外にも例がないという話でありますけれども、例がないということは、これを取り上げないという理由にはならないと思うのですね、日本が積極的にそういう一つの事例をつくっていくということも考えられるわけでございますから。それからもう一つ、企業秘密の問題。この問題は、カルテルを結成したという弊害に対する規制として設けらるべきだ、こういうような意見がございます。その根底になるのは、自由競争を原則とする今日の経済社会の中にあって、これに違反するものにはしかるべき強力な罰則が必要だというようなところからこういう意見が出てくるのだと思うのでございます。したがって、そういうような原価公開というような刑罰規制、そういうような形になりましても、企業全般が一般的に全部公開を迫られるわけではありませんね。それだけの特定のそういった企業なりカルテルを形成した幾つかの企業がそれを迫られるわけでございますから、そのくらいのことはあってもいいのじゃないか、私はこういうふうに思うのですがね。そういった意味で、ひとつこの原価の問題について公取委員長からお話をお伺いしたい。  それから、いま私、この三つの反論を申し述べましたけれども、この点から原価公開の問題について総務長官の意見を承って終わりにしたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 原価の問題は、先ほど中部読売のお話がありましたけれども、これは内容的には実は全く中間的なもので、つまり最終結論でも何でもないのです。緊急停止命令のための原価でありますから、たとえば五十万部発行というものを前提にした計算を行っておりますから、最終的にはそれとは違ったものになることは十分予想されますが、ただ、そういう不当廉売の場合には原価に触れなければ実はやはり要件を欠くわけです。不当廉売は、原価を云々でなくても見ただけで明らかに不当廉売というふうに断定できるものもございますけれども、しかしそれではやはり不十分なんですから。だけれども、それをやったからすべての場合に、じゃ原価が簡単にできるかというと、これは相当な苦労を要するということだけは争えません。私ども最初原価公表と言っていたのも、実は途中で自分の方からあれは引っ込めたのです。あの原価というものは、企業秘密であるという問題が一つ強い反発がございます。それと、単品原価ということになると、どういうものが出てくるかわかりませんから、その場合には計算の根拠が確固不動のものがありませんから、原価計算についてのいわゆる会計規則がないのです。確立されているというか、具体的なケースにいつも当てはまるというのがないわけでございます。そういうこともありますし、いま懲罰的な意味とかいうことをおっしゃいましたけれども、これはまあ確かにそういうカルテルまがいのことをした場合に、せめてそのくらいのことをさしたらどうかという考えが当初あったのですけれども、そうではなくて、値上げの理由をもう少しわかりやすい方法でとれば同じことじゃないか、単品原価にとらわれることはないのじゃないか、こう考えたわけでございます。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 中部読売の例を引かれましたけれども、個別の事件の処理を例といたしまして一般的な制度を考えるのは無理ではないかというふうに考えます。  それから、国際的な新例をつくったらどうだ、こういう御意見でございますが、これは非常にいろいろな面に問題が波及をいたしますので、慎重に検討をしなければならない問題だと存じます。  また、原価公表を刑罰としてやらせろという御意見でございますけれども、いま公取委員長からもお話ございましたが、これは賛成いたしかねることを申し添えさせていただきます。

石田幸四郎公明党

○石田(幸)委員 では、もう少し議論をしたいのでございますけれども、また別の機会にやることにいたしまして、時間ですからこれで終わります。

武藤嘉文自由民主党

○武藤(嘉)委員長代理 本連合審査会は終了いたしました。  これをもって散会いたします。     午後六時六分散会

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