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75回国会衆議院1975/06/04

商工委員会 第21号

発言数
320
登壇者
19
会派数
5
開催日
1975/06/04

会議録

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案、多賀谷真稔君外十九名提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案、荒木宏君外二名提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案及び予備審査のため本委員会に付託されております参議院議員桑名義治君外一名提出の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐野進君。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 きのうの質問に引き続きまして質問をいたすわけでありますが、副総理の出席を求めておりましたが、参議院の関係でこちらへ来れないということでございますので、この面については主として総務長官並びに通産大臣にお答えをしておいていただきたいと思います。副総理が見えられたら、そのときこの問題についてさらに質問してみたいと思います。  昨日も私質問をいたしたわけでありますが、この審議を通じて強く感じましたことは、公取試案からさらに政府素案、あるいはまた政府案という経過の中で、その内容が後退に次ぐ後退を続けてきたということは、審議の経過の中でほぼ明らかにされてきたと思うのであります。そして、その後退の持つ意味が、今日この法案を提案している目的に対して大変大きくその内容が阻害されておる、いわゆる後退だけでなくして改悪ではないのか、こういうような意見すら出されているような状況下に置かれているわけであります。そして、この後退だけでなくして改悪ではないかという意味に対する見解というものが、きのうもいろいろな面において追及がなされたわけでありますけれども、この原則的な問題について、いわゆる社会一般の批判に対して通産大臣、総理府長官はどのように考えておられるか、お答えをいただきたいと思います。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 私は、今回総理府がまとめました改正案は現時点では最も妥当な案である、こういうふうに考えております。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 総理府案作成に当たりましては、お答えを申し上げておりますように、各界の御意見も聞きましたし、各省庁の御意見も聞きましたし、また公正取引委員会ともいろいろ協議もいたしました。また、いろいろな学説でありますとか論説でありますとか、各党のおつくりになりました改正案等すべて総合いたしまして検討をし、この成案を得るに至ったのでございまして、私どもは、独占禁止法第一条に規定しております目的に沿いまして、今日のこの変貌する経済状況の中にあっていかにして自由主義経済体制を守り、またこれに活力を与えるための公正な競争のルールを確立することができるかという一念で取り組んでまいったのでございまして、後退でありますとか骨抜きでありますとか、いろいろな御批判があることは承知いたしておりますが、現在の段階では最も妥当な案であると信じているのでございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 お二人の答弁は、妥当な案である、こう言われているわけでありますが、しかしこの問題が発生した最大の原因は、いわゆる大企業独占、寡占、いわゆる高度寡占と称せられるそれら業種にある企業が社会的責任において欠けておる行動をした。その社会的責任において欠けておる行動をしたということが、三木内閣においては社会的不公正是正というその名のもとに政治を進めている、こういう状況からすると、公取試案はその条件に適応するべくつくられ、政府案はその状況に背を向ける少なくとも大企業優先、社会的不公正是正の目標に反し、社会的責任の欠如をある程度助長してやまないような内容、いわゆる歯どめをかけた形の中で行われると言って差し支えないと思うのでありますが、通産大臣が私としては妥当、結構な案だと言うことは、あなたが大企業の立場に立って結構だとお感じになっておられるのか、国民の立場に立ち、特に弱い立場に立つ人の立場を考慮しても妥当だとお考えになっておられるのか、この点ひとつ明確にお答えいただきたいと思います。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 今回の改正案は新しい自由主義経済のルールをつくるものである、こういうふうに私は考えております。したがいまして、国民経済全般の上に立って当然考えなければならぬ問題であると思います。国民経済全般の上に立って考えました場合に、現時点では最も妥当な案である、こういうふうに理解をしておるわけでございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 きのうは通産大臣、私の時間にいませんでしたから、私は後でこれらの内容について詳しく質問をしてみたいと思うのでありますが、いまの御判断、国民全体のために必要だという御判断に対しては若干疑念を持つものであります。しかし、いずれにせよ独禁法改正というものが提案され、今日の経済情勢の中で新しいルールを求めて、どうあるべきかということについて議論の俎上に上ることができ、そしてこの法律を審議する経過の中で続けられてきた高度経済成長政策によってもたらされた社会的な弊害を除去し、新しい時代にふさわしい経済運営のルールがいかにあるべきかということを審議されるようになったということに対しては、私はこの点については大いに評価してよろしいと思うのであります。したがって、そういう意味においては、公取試案を発表した公正取引委員会当局の努力を高く評価することにやぶさかでないのでありますが、昨日の質疑を通じあるいはまたそのほかの幾多の内容の審議、討議を通じた経過の中で、公取委員長は本法案の内容について多大の不満を表明し、かつまた不満だけでなくして、この内容の審議の経過の中において発生するであろうと予見される幾多の問題についてはその態度を留保しておられるやに聞いておるわけでありますが、新しい経済ルールを守る上において必要欠くべからざる条件であると考えた場合においては、公取委員長はこの席上において勇気をもって所信を披瀝し、それが本法案に反映することこそ公取委員会としてとるべき立場ではないのか、委員長としてとるべき立場ではないかと考えるのでありますが、この点について見解を聞いておきたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 ただいま大変微妙な御質問がございまして、私といたしましては、こういったいずれにしても独禁法を改正するということが、できるだけいまおっしゃいました新しい一つのルールとして確立する、そのことが非常に大切であるということを考えておりますために、この政府案が出まして、それに対して私が全くそれは不満がないと言えばそれはうそになりますから、その点はおっしゃるとおりでありますけれども、ただ、政府案の作成にはいろいろな過程がございました。そういう過程の中で私どもがこれはやむを得ないというふうな現実との妥協と申しますか、そういうことのために法案が国会に出ないのでは何にもなりませんから、とにかく法案についてまあ私どもとしてできるだけしんぼうする、同調する、こういう考えでまいったわけでございますから、したがいましてここで私がいわばそれの壊し役を演ずるということは私としてもやはり避けたいわけですね。ですから、そういう点はいろいろ皆さんが御質問をなさって、それで納得がいかないというふうな点についてどういうふうになさるかということは、野党の皆さんだけでなくて、与党の皆さんにも納得していただかなければならない問題でございますから、その辺のことも十分配慮をしながら私としては対処してまいりたい、こう思うのでありまして、全面的に不満であるというふうには私は申しておりません。部分的にちょっと非常に困るものもある、それから不明確な点もございますから、そういう点をもし明確にすることができるならば、これをはっきり前進であるというふうになるようにすることも考慮していただけば結構である、こう思います。しかし、万が一そうならない場合でも、私としては、どうしても困る点以外はなるべく法案の通過を図る方向でやるというのが私どもの立場からは必要であると考えております。こういう点をよくひとつ御了解いただきまして、これから私もそのつもりで御答弁申し上げますので、あしからず御理解いただきたいと思います。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 そこで、私は公取委員長のいまの見解、若干不満でありますが、私は何も壊し役をやれというのではなくて、正義は正義でありますから、正義を発表するに、立場にとらわれて発言が制約される、これはやむを得ないでしょう、だがしかし、このことの持つ意味が、試案を発表されたあなたのその当時の心境から大分後退した心境になっていると指摘せざるを得ない。しかし、社会的な情勢は、経済状況はそのときからいささかの好転もしていないということで、ますます不信感が深まっている、悪い影響が深まっているという状況の中において私は大いに不満でありますので、この点についてはひとつこの質問の次に関連してお答えをいただきたいと思います。  そこで、私は通産大臣に質問をしてみたいと思うのでありますが、これは総務長官も同様であります。この案をつくる場合、一体どこにその基本的な考え方を置いてあるかということであります。政府案の立案の過程を見ますと、産業政策と独禁政策、この位置づけがきわめて不明瞭である。独禁政策というものは、産業政策によって支配されるのか、あるいは独禁政策というものの持つ意味が産業政策というもの全体に対して正しいルールを与え、その流れを定めていくのか、こういうようなことについては当然今日の段階の中において明快にしていかなければならぬ問題だと思うのであります。いわゆる産業政策優先の立場をとり続ける限りにおいて、今日の弊害は若干の法的手直しを行ったとしても解決でき得ない問題であります。独禁政策の強化、独禁政策の持つその役割りを経済活動の中に高く位置づける形の中においてその役割りを果たすことができ得るのではないかと思うのでありますが、この現在の段階における現状認識、その現状認識からした独禁政策と産業政策との関係について、現在の実態を踏まえた上で通産大臣、公取委員長そして総理府総務長官、公取委員長については先ほどの前段の質問とあわせてお答えをいただきたいと思います。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 今回私どもが改正をいたしましたねらいは、今後のわが国経済の一層の発展を図るためでございます。これは、今日まで競争が高度成長を生み、高度成長がさらに競争を促進するという形で経済が展開してまいったわけでございますけれども、国際的に見ましても国内的に見ましても、資源の問題、公害の問題あるいは雇用の問題、いろいろな諸問題が出てまいりまして、したがって今後は高度な経済成長というものは期待できない、低成長期に入ってきつつあるというのが現実であろうと思うのであります。  こういう経済の変貌に対応いたしまして、国民の理解の得られるルールを確立することにより、企業は企業として創意工夫を練りながら活力のある企業活動をしていただく。同時に政府といたしましては、高度に寡占化が行われることであるとか、あるいはまた企業の集中が進んでいくこと、あるいはカルテルが横行するというようなことでないように競争の原理を確立して、それによって企業活動を刺激してまいる。このことが自由経済というものをさらに発展をさせていくゆえんであるという基本的な考え方でつくり上げたものでございます。したがいまして、自由経済の公正なルールというものの一言に尽きるのでございまして、自由経済といいますのは、言うまでもなく競争促進が基本でございます。価格介入その他事業者の創意を損なう恐れのあるものは今回は避けましたが、競争を促進させるというのが自由経済の発展につながるというふうに考えております。また、違法カルテル対策の強化、寡占の弊害発生の防止、企業集中進行の防止ということが公正な競争というものになると思うのでございます。そして、これらを総合いたしまして要件等、基準の明確化を図ることがルールをつくるということにつながると思うのでございまして、このルールによりまして企業が経済活動を続けていただく、これを私どもは期待をいたしているのでございます。  また、産業政策云々の御質問がございましたが、私は昨日も田中委員にお答えを申し上げましたが、経済に関する政策というものは非常に多岐多様にわたっていると考えるのでございます。通商政策もそうでございますし、土木政策もそうでございますし、あるいは運輸政策もそうでございますし、あるいは農林水産政策もございます。これらのものは、私はいわば一つの縦の産業経済に関する政策であると考えるのでございます。  こういう産業政策に対しまして新しい事態が起こってまいりました。そのためには、過去から今日までも、たとえば関税政策というようなそういう経済政策が横の政策としてございます。環境政策というようなものもわが国の経済に関する政策の中で横の政策として定着をしてまいりました。ここで競争政策という経済に関する政策というものを強めることによりまして、産業全体というものが発展をしていくということが大切であると思うのでございまして、そういう基本的な理念に立ってこの改正案をつくったということを御了承をいただきたいのであります。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 いま総務長官が述べられましたように、今度の改正案は産業政策と独禁政策の調和という点についても十分配慮が払われておる、こう考えております。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 先ほどの私の答弁、非常に不満な点がございます。それは申しわけないと思いますが、私としては、いまのこの独禁法の位置づけでございます。     〔委員長退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕 独禁法というものは従来歴史の過程でかなり軽視されておったということは争えないと思いますね。早く言えば、産業政策優先というのが、日本の国際競争力の強化という点に重点が置かれて、それに対していろいろなこれを助長するための政策が中心であった。農業政策、それとはまた別の問題でございますが、一般に産業政策と呼ばれるものはそういう性格を持っておったということが言える。だから、それが優先するという考え方が強かったのではないかと思うのです。  さて、今日の状態になってみますと、すでに資源の問題や外貨の問題それ自体、外国の外貨が減っているとかいうふうな事情から、日本の輸出をただ単純に伸ばしていくということもできなくなってきている。こういう差し迫った問題もありますが、しかし私ども長期的な展望に立った場合は、この産業政策というものは何であるかという点、これは実はわかりにくいのです。国によって違います。日本の産業政策と諸外国の産業政策を比べた場合、それぞれの国が違ったやり方をしておる。その守備範囲も、産業政策は非常に狭めているという国もございます。比較的統制に近いことをやっているというのもあるでしょう。私はやはり自由主義的な企業の行動、そういうことが尊重されなければならない。自由主義はただ単に自由であればいいのではなくて、公正なということが上につくわけでございますから、したがって自由奔放に何でもやれるということが自由主義ではないのだという考え方でございまして、それに対して、だから独禁法というものはいわば一つのベースとなって、そこに必ず流れている一つのおきてなのである。だから、産業政策はいろいろありましても、そのおきてをはっきりと破らねばならぬときには、これは従来も相当程度認めております適用除外というものがあります。そうでない限り、法律によって適用を除外されない限りにおいては、また適用除外も私は狭めた方がいいと思いますが、できるだけ産業政策を活力あるものとする、創意工夫を生かすという観点から言いますれば、自由競争をやはり根幹としなければだめだ。となりますと、カルテルは無論のことでありますが、いわゆる協調的機運のみならず独占というふうな問題に対してもっと目を向けなければならぬ。独占が発生してもその弊害が出てきても、どうにもならぬ、非常に小細工的な弊害規制しかできないということではいかぬのではないか。また、それと似たような問題でありますが、高度寡占のビヘービア、こういうことにもメスが何か当てられなければいかぬという考えがございますし、またもちろん一種の企業集団といいますか、旧財閥の復活とまで私申しませんが、それに似たような傾向に、銀行や商社が中核となって集団の傾向を強めているということが果たして日本の経済にプラスなのか。プラスの面もあるということを強調しておりますけれども、私どもから言えば、それから起こってくるいろいろな不自然なこと、そしてその結果が国民経済全般について悪影響をもたらしかねない。現にもうその悪影響が出ている面もございます。そういった面を独禁法の上から改めて、一つのいわば秩序の中に織り込んでいって、そういうものの基盤の上において産業政策が進められる。それを無視されることなく進められるというふうに私は解釈しておるのでありまして、その意味では経済憲法という名前もございますが、どの企業もこれを守らなければならぬという基本的な問題がこの独禁法のねらいである。それだけに、でき得べくんばそれは理想的なものにできるだけ接近するということが望ましいわけでございます。ただ、いろいろ先ほど申しましたが、現実の環境というのはそうたやすくないということで、相当程度の妥協がやむを得ないとされる場合もあるので、これらについて十分御審議を賜りたい、こう考えている次第であります。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 総理府総務長官、いまの通産大臣ないし公取委員長の答弁、あなたの答弁を聞きましたら、あなたはきのうのお答えで、三木総理から頼まれて本法案の作成に当たった、こう言われておるわけでございます。したがって、三木総理の意を体してこれをやっておる、こう私どもは理解するわけでありまするが、そうすると、いま両者の発言なされたことは、それでよろしいと私どもは判断していいわけですね。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 ただいま私が申し上げましたことに尽きるわけでございますが……(佐野(進)委員「両者の判断はどうか」と呼ぶ)両者の判断も、私どもと同じでございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 そこで、具体的な問題に入ってまいりますが、そういう状態の中で、われわれが本法案の改正案を見てまいりましたとき、今回の改正案は、いわゆる企業分割、価格の公表、原状回復命令、課徴金等幾つかの、いま公取委員長の言われましたような趣旨に基づいてその項目が設定され、内容が明らかにされているわけであります。その中におきましても、特に重要な事項といたしまして各方面の論議を呼び、この面において本法案が試案から素案、法案という過程の中で一番不明確になったと思われる問題は、いわゆる独占的状態の排除の措置に関する問題であろうと思います。端的に言うならば、企業分割の問題であろうと思います。この問題では昨日も議論してきたわけでございまするけれども、この排除措置の内容をしさいに分析いたしますると、結果的に二重、三重の歯どめがかけられ、実際的に発動することがほとんどできない。このままの条件をこのまま法律として公取委員会が執行する場合において、これでできるのかと言われるような歯どめがかけられておるわけでありますが、内容はこれから質問いたしまするが、公取委員長は、このような重要な、いわゆる条件の付せられた独占的状態を排除する、こういうことについての措置が行い得られると判断なされておられるかどうか、この点についてお答えをいただきたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 簡単にお答えいたしますれば、このような非常な、言ってみれば歯どめとも言えるような措置のもとで絶対不可能かということについては、私は絶対に不可能とは言えないと思います。ただ、定義の部分でもそうですが、実際に行おうとする場合の要件なんかに、もともとこの独占的利潤のようなものを得ているとかいうことは結構だと思うのですね。それから、利潤の部分はさほどではないが、それをどんどん経費の方へ回しちゃって不当に経費を高くしているというふうな問題、こういうことは、言ってみれば事実認定の問題でございまして、その分割の結果、国際競争力は当然といたしまして、経理の不健全性というふうなことまであるというような点を考えますと、私別にひがんで言うのじゃありませんけれども、公取不信任だ、公取は要するに信用できぬ。事実関係はもっと公取の判定に任してもらうのが私どもとしては望ましいわけです。しかしながら、そうでないということは、まあ私自身の、あの男は何をするかわからぬという、その気持ちからもあったのでしょう。しかし、これは私はいつまでもやっておるわけではございませんから、実際にこの事項を発動するときには、別の穏やかな常識的な人が委員長になっているわけだと思いますから、そんな、そこまで御心配なさらなくても、決してただむちゃくちゃに、やみくもにこの規定があるからどうしてもやるんだというふうな、そんな考えはないと思うのですね。裁判所の場合でしたら、裁判所に対してそういうあれは下さないわけですね。いろんな制約を下して裁判所を縛ってしまうということは普通はないわけです。私どもは裁判所じゃありません。これは行政機関です。行政機関であるが、その機能の重要なものの一つに司法的機能がある、こう申すわけでございます。ただ、委員会制度でございまして、その五人の委員がどう判断するかということによって最終的には決まることでございます。ただしこれは、次には裁判の方へ持っていくルートはちゃんと開いてあるわけですね。  そういうことでありますから、不可能ではないということは私申しますけれども、公取を信用していただけるなら、もう少しおおらかなといいますか、もう少し普通の縛りで足りるのではないかということを、感じだけは率直にそういうふうに申し上げておいた方がよいと思います。ただし、これだから絶対困るというふうに、絶対だめなんだというふうには受け取っておりませんので、その辺は、相なるべくはここまで拘束をつけられるというのは、公取としては若干、何といいますか、信用を得られないんだなという感じがいたすことを申し上げておきます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 そこで、総務長官と通産大臣にお伺いをするわけですが、いまのお話のように、この法案が成立して実行に移される場合、この条項を適用し措置するために幾つかの条件が予定されておるわけであります。そして、その条件の中で、準司法的性格を損なう内容あるいは事実上不可能と思われる同意の問題、あるいはまたその内容について協議をしなければならない問題等々、二重にも三重にも、四重にも五重にもと言っていいほどの歯どめがかけられているわけであります。そして、その歯どめをかけられているその法案自体が営業権の一部譲渡という形であります。いわゆる企業分割という名称をあえて排しております。しかし、昨日の質問においても明らかなように、あるいは外国におけるところの実例についても見られるごとく、営業権の一部譲渡は企業分割と相通ずる部面が存在するんだという解釈もあるわけでありまするが、この種歯どめをかけるにしては、営業権の単なる一部譲渡であるとすると、現在の法文で十分足りるわけでありますが、あえて八条の四を加えてこの法文をつくった。その内容とするならば、営業権の一部譲渡が単なる一部譲渡でなく、実質的には企業分割をも含む内容を持つものである、したがってこの内容についてこれだけの歯どめを必要としたのだと解釈しても差し支えない苦肉の条文であるというぐあいに考えられるわけでありますが、この点について総務長官、法制局長官の見解を求めたいと思います。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 今回の改正案の中に、営業の一部譲渡に関しましていろいろな歯どめがあるというお話でございますが、まずこの一部の営業譲渡の中には重要な部分を含むのでございまして、したがいまして企業分割、すなわち構造に対する規制にまで入っているというふうに御理解をいただきたいと存じます。  さらに、いま公正取引委員長から、何をやるかわからぬからこういうことを歯どめをかけたのではないか、公取不信ではないかというお話でございましたが、これはそうではございません。私どもは法運用に当たりまして、職権行使の独立性を持っておられる公正取引委員会を信頼いたしております。  そこで、私どもといたしましては、この各種の要件等の基準を設けましたのは、企業が今後活動をしてまいります上において、企業分割に至らないように、これこれの点については十分な留意をしてほしいということを明記し、またそれになじまないような弊害があらわれましたならば、これはこの措置をとっていただくということにいたしたわけでございます。  昨日、公正取引委員長も現在はこれの対象になるものはない、しかし将来出てくるかもしれない、その抑止力になろう、こういう要件が書かれているということについても、十分それを尊重するならば、そういう事態に至らないというための抑止力になろうという御発言がございましたが、私どもも同じ考え方をとっているのでございまして、これで金縛りにして、そういうことが起こらないようにさせようとするものである、あるいは公正取引委員会に対する不信のためにこういうものをつくったものではないということを私どもは主張申し上げたいのであります。

味村治内閣法制局第二部長

○味村政府委員 ただいま総務長官のお答えになりましたように、独占的状態を排除するための営業の一部の譲渡の中には、営業の重要な一部の譲渡も入るわけでございます。営業と申しますれば、これは営業活動、営業組織を含めた、言ってみれば有機体としての営業、これの重要な一部を譲渡することを排除措置によって命ずることができるわけでございますので、事実上その会社の営業が分割されるという結果になる場合もあると考えます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 そこで、構造規制か行為規制かという問題につきましては、構造規制という形で八条の四がつけ加えられていることでありますから、この質問については終わりたいと思います。  次に、通産大臣にお伺いをするわけでありまするが、昨日重要な問題となりましたのは、協議の項でございます。本法律によりますれば、当該措置にかかる審判手続を開始する前及び審決をする前に主務大臣に協議しなければならないということが第四十九条第四項と五十二条の三の第二項にあるわけであります。  そこで、議論になるところは、審判手続を開始する前及び審決をする前という二回にわたって主務大臣に協議をしなければならぬ。しかも、この主務大臣というのは、そのほとんどが通産大臣にかかわる問題である。他の条項には大蔵大臣という文字がありまするから、ここを通産大臣と置きかえてもいいほどの内容を持っておるわけであります。そして、この協議の内容の持つ意味は、昨日の公取委員長あるいは法制局長官、総務長官等の答弁を聞きましても、実質的には、協議調わざるときは公正取引委員会の判断に従う、こういうような見解の表明がなされておるわけですが、通産大臣もそのように理解しておられるかどうか、この際ひとつお伺いをしておきたいと思います。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 わが国の経済の特徴を一言で申し上げますと、資源がなくて人口が非常に多い、そういうことを考えて経済運営をしなければならぬわけでございます。したがいまして、産業の競争力という面につきましては十分配慮をすることが必要でございまして、そういうことを考えますと、営業の一部譲渡というふうなこともよほど慎重にしなければならぬ、そういう意味で、これに関連いたしましていろいろな手続が規定されておるのだと思います。  ただしかし、それでは協議が調わなかった場合にどうするかということになりますと、これは昨日も総務長官からお話しになりましたように、公取委員長がこれを最終決定する、そういうことであろうと思います。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 そうすると、この条項の中で最も必要なことは、準司法的性格を持つ公取の機能に対して協議という形の中において歯どめをかけるということの持つ意味が、独禁政策に対するいわゆる産業政策の強度の介入につながるおそれがある。現行法において、これらの公務所における六十条、六十一条に基づく措置を発動することによって果たし得る機能をあえて本法律の内容の中につけ加えたことの持つ意味によって、産業政策的な意味を独禁政策の中へ、先ほど原則的に質問いたしましたが、持ち込むことになるのではないかというおそれは、いまの答弁で全くないと判断してよろしいわけですね。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 先ほども申し上げましたように、今度の改正案は、産業政策と独禁政策の調和ということについても十分配慮されておると思います。そういう意味におきまして、いろいろな手続が規定されておりますけれども、私は、これは独禁政策と産業政策の調和のためにそういう手続が存在しておる、かように理解します。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 そういたしますると、他の省庁が意見を主張しようとするときは六十条、六十一条を使えばいいということは昨日来申し上げておるわけでありまするが、この六十条、六十一条を発動する要件というものは、一体この協議の問題とどのようなかかわり合いを持つことになるのか、この協議の内容とかかわり合いを持つ比重の強さということについて、公取委員長、通産大臣の見解をお聞きしておきたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 ただいまの御指摘は、審判の過程において関係省庁は十分意見を述べることができるという点だと思います。私は、これは少なくとも独占的状態の排除の措置を、営業の一部譲渡を含めてやろうとする場合には、最初から審判にするということを委員会としてみずから申し出るわけですね。ですから、最初から審判にするということは、結局その審査を厳重にやろう、厳重というか慎重にやろうということであります。ですから、そこに関係省庁が出たい、意見を述べたいと言われるならば絶対拒否する考えはありません。幾らでも、毎回おいでになってもよろしい。それはものの程度はございますが、延々とただ時間を引っ張るためだけだったらこれは問題になりますけれども、それによって時間の経過も何もなく、審判が開かれる過程においては、関係省庁はその意見を主張する機会は常に最後まで十分に与えられているのじゃないかと考える次第でございます。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 いま公取委員長がお答えになったとおりです。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 大変専門的な質問でありまするから、大臣の答弁がそうなったのかとも思いまするけれども、そういうような形になってまいりますると、この問題については、結果的に、公取委員長がいまお答えになったように、六十条、六十一条によって意見を申し述べるということの実績、あるいはその実績をさらに拡大していく、こういうような形の中でこの協議という文字は吸収され得るのだという理解が出てくるわけでありまして、昨日の質問と関連いたしましてこの問題についての質問は一応終わりたいと思います。  そこで次に、これからの質問に関連いたしまして重要な事項となってまいるわけでございますが、この独占的状態が生ずる、そういうような場合のいろいろな条件がここに書かれておるわけであります。この独占的状態の条件、その幾つかの条件の中で、効用の類似商品となっておるのは一体どういうようなことなのか。効用の類似商品、これがこの条文の中に書かれておるわけでありまするが、その内容についてひとつ御説明をしていただきたいと思います。総務長官。

原徹内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○原政府委員 二条にございます、「機能及び効用が著しく類似している他の商品」と書かれてございますが、例を挙げますと、たとえばバターとマーガリンのようなもので、いわゆる代替関係がある。代替関係があれば――同種の商品というのは、同じような生産設備から出てくる一つのもの、重要な変更を加えないで出てくるものでございます。バターとマーガリンでございますと、原材料も違いますが、まあ効用はある程度同じ、機能も同じ、そういうことになりますと、それはやはり競争関係に立ち得る。だから、そういうものは一緒に考えるべきであるということでここに入れてあるわけでございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 この法律の内容の中で、いまおっしゃるような、問題になるような字句がところどころに見られるのでありますが、そういういまの御説明がありますと、仮にバター業界において一社独占あるいは二社寡占、こういうような状態が存在する、他にマーガリン業界において五社ないし十社が存在する、そしてその状態の中で混存すると高度寡占の状態から抜け出せる状態があらわれる、こうした場合においては、このバター業界での独占的状態というものはなくなってくるわけでありますが、そういうように解釈すべきものなのかどうか、このことについてひとつお聞きをしておきたいと思います。

原徹内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○原政府委員 ただいまの例で申しますと、バター業界とマーガリン業界があって、バターとしてはたとえば非常にシェアが高いというようなことがありましても、新規のマーガリンの方がどんどん売れるようになれば、それは非常に競争関係に立つわけでございますから、その場合に、独占的状態ということを判断するときに、やはりその点も考慮しなければいかぬ、こういうことでございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 そうすると、あなたのいまの答弁は、そういう状態も考慮しなければならぬということは、バター業界とマーガリン業界が合算すれば高度寡占の状態でなくなるということも当然のことだ、こういうことですね。うんならうん、違うなら首だけ振ってください、時間がないから。

原徹内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○原政府委員 そのとおりでございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 そうすると、これは一つの例でありますが、電気掃除機という掃除機能を持つものがここにある、ほうきというものがここにある、はたきというものがここにある。掃除機全体を含めて掃除をするんだとこうなりますると、電気掃除機の業界におけるシェフが、あるいは一社において独占的な状況が、あるいは二、三社における寡占的な状態があったとしても、ほうきやあるいはその他のものが加わることによって、その産業界が加わることによって、独占的状態でないという判断が出るじゃございませんか。この歯どめは一体どこにしておるのですか。どの条文においてその歯どめをわれわれは求めるのですか。

原徹内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○原政府委員 確かにそこいらは非常にむずかしい問題ではございます。ケース・バイ・ケースで判断せざるを得ない場合が出てくると思いますが、いまの電気掃除機とほうきということになりますと、それは掃除をするという意味では同じでございますが、一般的認識で、それが機能と効用が同じであるというふうにはだれも考えないのではないかと思います。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 たとえが悪いということも言われましたけれども、一つの話ですね。これは何もこのたとえそのものでなくして、たとえというものはあらゆる場合たとえでありまするから、そういうような不備な条項の中で、ケース・バイ・ケースでその処理を行うということは、公取委員長、この高度寡占状況にある業種指定あるいは独占状態にある業種指定等が行われる場合、どのように判断されて処置されるおつもりですか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 私は、この同種、類似というものの定義を相当厳格に解すべきではないかという考え方です。というのは、いまバターとマーガリンの例というのは、これも適切でないのです。というのは、バターは輸入品に比べてはべらぼうに高いわけです。ですから、そういう問題もあって、分割の対象としてはちょっとむずかしいかと思いますが、まあとにかくそういう性格ですね。代替性という問題ですね。バターが高過ぎるから、じゃ皆バターをやめて、そしてマーガリンに切りかえる、こういうふうになれば、それはまさに独占的状態はないにひとしいのです。しかし、たとえばそういう場合でも、バターというものは、そうなるともう全く市場から姿を消して、製造業者は独占的な価格をつけたためにむしろつぶれてしまう、マーガリンの方だけはどんどん伸びていく、バターは要らないんだというふうに言えるかという問題がありますね。ある程度の代替性はあると私は思います。しかし、完全な代替性はないのではないか、こういうふうに思うのです。それは個人生活の趣味、嗜好とばかり割り切れない、いろいろ成分が違いますから。そこで、それは類似であることは間違いない。しかし、代替性が完全にあるかということになると、問題があるのです。そこで、私、今後そういうものを選ぶ場合には、比較的厳格に解して、言ってみれば、もう独占的なことをやっているとほかの業者からみんな代替してやられてしまうというふうな場合には、私はこれは併合して考えるべきじゃないか、それで独占的状態がありやなしやということを判断した上でかかるべきだと思いますが、ほとんど完全に近いような代替性がある場合に限られるのではないかというふうに私は思います。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 総務長官、いまの判断でよろしゅうございますね。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 運用せられるのは公正取引委員会でございますので、私は異存ございません。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 そういたしますると、そのような判断で一応厳格に、審議室長が答弁された内容よりももっと明確にはなったわけでありますが、そういう厳格な規定なくして本法案を執行する形になりますると、何でも薄められてしまうというような形になるわけです。私どもはこのことを気にしながら質問することは、試案から素案になり、素案から法案になる間に、株式の保有の問題を初めすべての条項でこういうぐあいに薄められてきた、その経過を見ながらいまの質問をしておるわけです。  そこで、そういうような形になりますると、ここで私は総務長官にお尋ねをしたいと思うのでありますが、構造基準としての、一社が五〇%を超え、二社が七〇%を超えておる業種というものがどの程度あるのか。これはもうすでにある程度明らかにされておると思うのでありますので、この際ひとつお示しをいただきたいと思います。――それでは、私は質問の要点を変えまして公正取引委員会に質問をいたしますが、公正取引委員会がすでにこの状態を予見して、ひそかに高度独占状態にある業種、寡占状態にある業種、寡占状態になるであろうと思われる業種、これらを挙げておられるやに思うのでありますが、その数をこの際明らかにしていただきたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 先に一言だけお断り申し上げておきます。これは数字はございます。会社数、会社は調べてございますが、この試案に該当すれば直ちに分割の条項や何かが適用されるのだ、こういうことではございませんから、この点はくれぐれも誤解のないように私はお願いしておきます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 そうすると、いわゆる独占的状態にあると思われるのが四十六業種、三社の高度寡占状況にあるのが八十六業種、三社以外なのが大体二十六業種、これがふえつつあるという状態の認識でよろしゅうございますか。

渡辺豊樹公正取引委員会事務局官房審議官

○渡辺(豊)政府委員 昨日の委員会で独占的状態につきましての事業分野についてのシェアについて資料要求ございましたので、その資料として整理して提出させていただきたいと思っております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 大体この程度の判断でよろしいかということを聞いておるわけです。精密に聞いておるのじゃございません。

渡辺豊樹公正取引委員会事務局官房審議官

○渡辺(豊)政府委員 先生のいまお話がございましたのは業種でございますが、独占的状態では事業分野ということでございまして、その点正確に整理して資料を出したいと思っております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 公取委員長、発表できないということの業種は、大体という私は特に強いまくら言葉をつけて質問しておるわけですが、その大体ということでもいま発表することはむずかしい状態ですか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 発表することは何らむずかしくないのです。いまおっしゃっていますのはシェアですね。シェアの点だけですから、それは私は実はあるはずだと思っておるのですが、私自身が実は手元にいま持っておらぬというだけでして、もう少しあれしまして、多少おくれても御質問のうちにお答えさせることができると思いますが、ちょっと御猶予願います。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 私がいまの質問をいたしておることは、独占的状態にあるという形の中で一部譲渡あるいはその他の措置を行うということになっておるわけでありますので、この際、先ほどの質問に関連いたしまして、その内容は薄められ、発表する段階の中でともすればこの高度寡占状況にある、独占状態にある企業というものが、数がどんどん減っていくのではないかという心配をいたしたから、いまこの場で明らかにしていただくことの方が歯どめがかかるのではないかと思ったわけでありますが、後ほどということでございますので、そのときを待って質問をしてみたいと思います。  そこで、きのうの質問の中でいま一つ、重要な問題として明確化されているように感じますが、政府見解と若干違うのではないかと思う問題について、この際お尋ねをいたしておきたいと思います。  それは、一部譲渡命令を公取で出す場合、この出す措置について、商法との関係の中で株主総会との関係でございます。この株主総会におけるところの決議が得られない場合は一部譲渡命令が発効されないという解釈、しかし一部譲渡命令は発効しても差し支えないという解釈が存在しておったやに承るわけでありますけれども、企業分割を含む構造規制としての一部譲渡命令なので株主総会決議は必要だ、こういうように判断してもよろしいのかどうか、この際お聞かせいただきたいと思います。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 譲渡命令の審決が確定をいたしますと、会社はこの審決に従う義務を負うわけでございます。そして、その義務を果たすべく努力をしなければならないのでございまして、その内容につきましてはいろいろあるということは昨日お答えをしたとおりでございます。  そこで、この命令に直ちに従うということになれば、一部譲渡の場合にはそれでいいわけでございますが、重要な部分を含みますと株主総会の手続をとらなければならないということは申すまでもありません。仮に決議が得られなくても、それで会社の義務は消滅するものでありませんで、具体的な事業に即しまして依然として審決の内容実現のための努力を続けなければならないわけでございます。その努力の結果、同意審決になりますならば非常に結構なことでありますが、三ヵ月間、一つの期間がございますので、この間あらゆる努力をして株主総会の議決を得るように努力をすべきであると存じます。しかしながら、どうしてもそれができません場合には裁判という方法もあるわけでございますし、また審決の内容を実現するための真摯な努力が行われません場合には、審決違反として九十条三号によりまして刑事責任が追及せられる、こういう形になるわけでございます。  商法につきましては、私どもも実は非常に苦心をしたところでございますけれども、商法の改正問題というものは非常に重要な問題でありますので、今回のこの改正案を策定いたしますまでにはこの問題の解決をするに至らなかった、したがってただいま申し上げましたような方法をとることにいたしたのであります。公正取引委員会の審決というものは、守るべき義務を負うきわめて重要な強いものであるという認識に立って企業が対処すべきであると考えます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 公取委員長、どうですか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 この問題のために参考までに申し上げますが、現行法の七条は三条違反、私的独占、不当な取引制限でございます。その場合に排除措置が七条にありまして、その七条の中には営業の一部の譲渡が入っております。営業の一部の譲渡というものは、つまり大分以前から入っているわけでございまして、これはそれに対する特別な手当ては、法律の上ではなされておりません。でありますから、これは重要な一部の譲渡を含むと七条の場合も解されております。したがって、今回の場合もそれに対する商法上の手当てはなされておりません。解釈としては大体総務長官がおっしゃったと同じでございますが、役員として、命令が一応出されてしまった場合、審決が下った場合においては、三ヵ月はありますが、その前からかねがねそれは予想されることでありますから、どうなりそうかということは審判の過程において予想される問題になっているということも当然でございますから、株主総会でもって十分説明しておくべきである、いざとなったらそれに応じることもあり得るというのならば、株主間の了解を進めておくべきだと思うのです。しかし、そういうことを何らせずにおって、ただ三分の二の議決が得られなかった、こうなりますと、やはりきのうもお答えしましたが、私は、その役員がやはり株主総会を尊重するという立場ならば、これは裁判に訴えるというのが筋道だろうと思います。そうでなくて、裁判にも訴えない、しかし審決にも従わない、こうなって、いわば放置するという状態が続いた場合には、私どもはその経過を見まして、これは審決違反になる、こう判定せざるを得ない。審決違反になれば告発ということもあり得るわけですが、それが告発もされないままでだらだらといくということであると、一体何のためにその問題を取り上げて審決いたしたのかということになります。ですから、これは他のカルテルについて私どもが告発するしないという問題とはいささか違いますから、大体においては私いま申し上げたような状態においては審決違反として告発もあり得る、ある公算が多い、こういうふうに考えておる次第でございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 それでは、独占的状態と関連いたします価格の同調引き上げ等に対する報告の徴収、いわゆる原価公表の問題について、先ほどの独占的状態、高度寡占状態との関連の中で質問してみたいと思います。  いわゆる同調的値上げに対する報告、これは同調的値上げに対する報告ということで、結果的には最後において国会に対して報告をするという締めくくりだけで、そう大きな内容ではないわけでございますけれども、条文上にない。ないにもかかわらずこのことの持つ意味が今回の独禁法改正において非常に大きな意味を持っている。いわゆる原価公表を企業がするのかしないのか、させるべき権限が公取にあるのかないのか、その権限を行使する対象は一体どこなのか、どこにおいてその対象となすべきかということについての具体的な措置は何なのかということが明らかにされなければならないわけであります。昨日の質問の経過の中で公取委員長は一定の措置についてその見解を明らかにされておるわけでありますが、いま私が質問いたしました事項につきまして、公取委員長としては、その手順、手続、いわゆる原価公表がなくなって、同調的値上げ報告になったという形の中において、原価公表を行うと同じような効果を求めることが果たして可能なのか不可能なのか、全然問題にならないのか、あるいはどの程度の努力をすれば問題になるのか、その点について御説明をひとついただきたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 要するに値上げの理由を報告を求める、この点はそのやり方いかんによって大分違うわけです。ですから、もちろん私どもの試案にあった原価公表というものが単品原価の公表であるという解釈でありましたから、これについては反対が強くてやめられたといういきさつがございますから、この法律案によってそれをやることはできないと私は思います。また、私考えてみまして、従来も実はいわゆる管理価格と称するもので単品原価の調査もしておりますが、これを出すことが果たして非常に役に立つのか、あるいはわかりやすいのかという点を考えてみましたが、むしろそうでない方がいいという感じを途中から持ったわけであります。単品原価を出すということは技術的にもちょっと困難な業種がございます。普通はそれほど困難ではありませんが、中にはむずかしいものもあるという技術的な理由のほかに、単品原価の比較というものが一体どうなのかという、それよりも値上げの理由をとる場合にもうちょっとその品物の包括的な――たとえて申しましょうか、わかりにくいですから。ピアノというものは主としては大きな会社は、大分違いますけれども、二社なんです。ところが、そのほかに非常に製造台数の少ない会社が二十幾つかあると思います。ですから、こんな群小のものは問題にならない。その場合、ピアノのよく似た一つのタイプをとらえて調査したことがあるわけです。いわゆるピアノはおのおの二社とも大体十種類の型をつくっております。値段も相当開いておる。このピアノ部門の値上げが行われた場合、それの全体としての理由を明らかにするような、そういうケースならばどうだろうか。ですから、それはどの程度まで出すかということは、企業にとって非常に困るというところまではやりませんけれども、おおむね一般の方々が見て、こういうふうに違うのか、その違いですね、そういうふうな点がわかるというような程度であればいいのではないかと思いますので、そういう方法は、これからさらにこの法案が仮に通ったとすれば、いまでも準備はしますが、できるだけ方法を適切なものにして実際的な効果を著しく減殺しないということを考えております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 そこで、いわゆる価格の同調的引き上げに関する報告の徴収、その徴収をする業種ないしその状態にある会社の指定がなされておるわけです。そして、そのなされておるこの内容の中で幾つかの問題点があるわけでありますけれども、総理府総務長官としては、この法案を作成するに当たって、原価公表という措置をとることなく、価格の同調的引き上げという形の中における措置に変えた理由、そしてその理由の中に持たれていることの意味は、制裁でなくして何であるのか。いわゆる原価公表を行う形の中においてその企業に対して一定の制裁的効果を求めるということ以外に原価公表の意味はないと思うのでありますが、その制裁的意味を否定して、この中において報告の徴収等という形にしておきながら、この第四十条の二の第一項の形の中においてそれぞれの内容を決めていった経過というものが一体何なのか、私にとってはきわめて不明確でありますので、この点についてひとつお答えをいただきたいと思います。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 原価公表をとらないことにいたしました理由につきましては、ただいま公正取引委員長からもお話がございましたように、単品の原価をとることが大変むずかしゅうございます。また、国際的に見ましても、他の国ではこれをやっておりませんのに、日本だけがこれをやるということにつきましては、国際競争の上においてもいろいろ問題が出てまいります等々でございます。それから、現行法のもとでは単に同調的な値上げの形をとっているという事実のみをもってしては直ちに独占禁止法上の問題とすることは困難でございます。四十条はそれを規定しているわけでございますけれども、これは困難でございます。したがいまして、四十条に二項をつけ加えましてこのような新しい規定を新設をしたのでございまして、これは同調的値上げというものが行われたならば報告をとるぞ、その報告の内容いかんによっては非常に問題になるのだ、その値上げの態様というものが問題にされるのだということをここに明記することによりまして同調的な値上げが行われないようにということを期待をするものでございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 だから、期待をするということは制裁的意味をも持たない単なる抑止力、その抑止力も期待権、期待をするということだけで、効用を求めているのかどうかということであります。同時に、もしそういうことであるとすると、たとえば意識平行行為的な問題、そういうような問題が発生する条件はいっぱいあるわけですね、お互いにわかるわけですから。三社で独占しているとか三社で独占しているということになりますれば、おい、ああそうかと、こう言えばそれでわかるわけですね。こういうような行為に対して何も証拠が残らないわけです。あるいは電話をかけてみたってそうです。おい、どうなんだと言って聞く。相談をしてやったなんて何もない。そういうようなことによって弊害がもたらされ、社会的な不公正が発生し、いろいろな悪条件があらわれてきていることはもう否定することのでき得ない現状じゃございませんか。これはもうそういう形の中で、しかも上位独占の寡占状態にある企業に対していろいろな条件を指定して、指定した上に報告等の徴収を求め、そこに制裁的な意味を加えないというようなことになりますれば、まさに野放し。カルテルとして正直にやるような人はみんないなくなってしまって、あうんの呼吸に基づくところの同調的値上げをそれぞれ寡占的状況にある企業は行うということに対する歯どめは全然できないじゃございませんか。できないじゃなくして、むしろこの制度ができたことによって、その種状況に対しては積極的にカルテルあるいはやみカルテル等々の行為に――やみカルテルはまあカルテルじゃございませんでしょうけれども、やみですからね。しかし、それが大っぴらになってくる。こういうような状況を出現することは当然予見されると思うのでありますが、この状態があらわれる危険性に対して、公取委員長は、本法案の原価公表がこの同調値上げにすりかえられていったという形の中においてどのような歯どめ措置があるか、いまの総務長官の答弁を踏まえてひとつお答えいただきたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 私は、この同調的値上げに関する四十条の二の条項は、私どもの当初持ち出した単品原価の公表というものと比べて、使い方によってはほとんど変わらない結果になる。というのは、単品原価というものは確かに企業秘密とされております。厳格な意味で秘密であるかどうかは、もはや論議の問題になると思いますけれども、しかしいまは一応そういう通説を入れて単品原価は出さない、技術的な問題もあるけれども、そう申し上げた。しかし、いまおっしゃった見えざるカルテル、見えないカルテルというのですね、意識的平行行為、これが結果としてあらわれるのは同調的値上げなんです。そういうものに対していまの法律には明確な規定はない。ですから、この四十条の二が入ることによりまして、こういうことをすれば必ずその理由をとられる。その理由のとり方は、私先ほど申しましたように、単に抽象的な文言で理由を書いてもらうのではないのですから、その辺はある程度私ども考えながら決めますが、いわばそれで世間の方がある程度、つまり納得しないといいますか、納得するかしないか別ですが、わかるというものにすれば、結局意識的な平行行為はやりにくくなるという結果は得られるのではないかと思うのです。四十条の二が特別にそういうことを規定したわけなんでして、実はすでに御承知かと思いますが、四十条も無論存在する。四十三条も否定されておらない。ただし、この中で特別にこれだけを取り上げて、こうなれば、こういうことをするとこうなるぞという意識的平行行為に対する一つの牽制策のような効果をねらっているわけです。それはまたおもしろいことに、特別にそういうものを取り上げたという意味、これは制限的効果があると申しましたが、罰則が一けた違うのです。これは罰則は余り使いません。実際はそうやたらに使いませんけれども、少なくとも規定の上では四十条などは今度上がって二十万円。ところが、四十条の二は罰金の額が二百万円以下になっている。そういうふうにこれを幾分重く見ているという点を表面化したという点について、私はこの点は評価していいのではないかと考えております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 それでは、この価格の同調的引き上げに関する報告の徴収等に関連いたしましていまのカルテルの問題が出てまいりましたので、カルテルの原状回復命令の問題についてここでちょっと質問をしてみたいと思います。  先ほど、昨日からもいわゆるカルテルの原状回復命令についてはいろいろ議論がなされたわけでございまして、私もその点について質問をいたしたわけでありますが、結果的に、この原状回復命令に対しては大変不満足というのが適切かどうかわかりませんが、私どもが納得するというような意味においての答弁が聞けなかったわけであります。たとえばカルテルによって摘発されて審決を受けた。そして、課徴金が納付されるような状態になった。その課徴金が納付されるような状況になって、その問題についての決着はついた。がしかし、その決着がついた後の措置については、価格の原状回復命令が出せるか出せないかという問題の中で、結局その価格の原状回復命令が出せない、課徴金を納めれば後は野放しだ、こういうような状況下にあるというような形での答弁だったと思うのでありますが、こういう形といまの報告との関連の中で、いま公取委員長がお示しになったように、いわゆる四十条との関連、あるいは四十三条との関連あるいはいまの条文との関連等々の中で、罰金が高くなったという行為の中で、その措置については適切な効果が得られる、こうお話があったわけでありますが、それならば、この期間におけるところのカルテル行為を終わって課徴金の審判が出された後におけるところのその原状回復命令の措置は、いまの問題との関連の中において一体どのような措置を行うことが適切であると判断されるか。総務長官、公取委員長お二人の見解をひとつ聞いておきたいと思います。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 カルテル排除後の措置といたしまして具体的にどういう措置を行うかということの届け出及びその実施状況を報告しなければならないのが、原状回復命令にかわります案であることは御承知のとおりでございます。このような具体的な措置についての実施状況を報告するということは、現在までの法律でございますと、カルテルのやり得の形で終わってしまうわけでありますけれども、その破棄後、具体的にたとえばこの拘束というものから解除された後の措置についてまで報告をするということなのでございますから、したがって、やみカルテルのやり得をなくするということについては一つの強制的な抑止効果があるというふうに私どもは考えております。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 御質問の趣旨はおそらく括弧書きの項目に触れると思います。これは昨日も申しましたが、もしそういう抽象的な文言で、つまり現在私どもがすでに行っている事柄を一歩も出ないということでありますと、これはむしろ頭打ちの制限の規定になってしまう、そういう点で専門の学者等からは、これは後退ではないかという非難を受けているわけでございます。ですから、私はこの「影響を排除するためにとることとなる具体的措置」というのは、審決に従ってやるとすれば、当然こちらの審決の内容が他の環境において許される限りにおいては、つまり一般的な環境から見て適当と思われるときには、この条項そのままの場合でありましてもカルテルによって実施した価格は変えなければならぬ。変えるということは、幾らにするということは言わないわけですから統制ではないのですけれども、とにかくそのままではいけないんだという趣旨で、そして届け出をしろと、こういうふうに読みますれば、それを実施しなければ審決違反になるわけです。ですから、大部分はそういう場合にはそれを変えてくるだろうと思うのです。ただし、ごくわずかしか変えなくても仕方がないんだということを私申しました。だから、望ましい状態はどうなのかという御質問に、もしかえますと、これは値下げ命令をするということになりますと、公取がそういう物価問題について直接介入するというのは好ましくないという声が圧倒的に強いわけです。たとえば経済学者などもこの点では非常に消極的なんです。ですから、一人一人については皆違いますが、私は大勢を観察すれば、そういう値下げを命ずるという形では通りにくい。  そこで、原状回復命令というのがこちらの試案にあったのですが、それも原状回復命令も適当でないと言うのですけれども、私は理論上は、ほかの状態においてほとんど変化してない、経済環境が大して変化してないのならば、カルテルが行われてから何年もたってからでは無理でございますが、そうでなくて、大体開始して二、三ヵ月でこちらが探知し、そして審決までに三ヵ月程度かかったというような場合は、せいぜい数ヵ月のずれがあるわけです。数ヵ月たったけれども、価格の情勢等は一般的には変わらないのにぽんと上がったままであるというふうなことで、ほとんど名目的にしか下げてこないという場合もありますから、それはそういう場合には価格の原状回復命令という、もとへ戻すということは、別に統制と言われるものじゃない、価格規制そのものではないのじゃないか、これは必要な措置の中に入っていいのではないかといまでも思いますが、しかしこれはすでに恐らくこの点については大変反対が強くてむずかしい問題でございますので、いまさら繰り言を言っても仕方がありません。ただ、理論上どうかということを聞かれれば、そういうものがやり得るという状態ですね、これはもう括弧書きではなくて、ちゃんとした条項を設けなければならないと思います。ただ、その前にいろいろな前提条件がついて、こうこうこういう場合には原状回復命令をやることができると、できるのですから、必ずするのじゃありませんよ、そういうふうなことがあったら非常に理想的な状態に近いのじゃないか、こういうふうに考えますけれども、これはいま申しましたようないきさつでございますから、その辺は御了承いただきたいと思います。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 この問題は、いまのいわゆる価格の同調的引き上げとの問題の関連の中でも、いわゆるカルテル行為、寡占的状況にある企業が、そのあうんの呼吸等を含めて、いろいろな社会的害悪とも称すべき行為をすることの可能性は十分あるわけだし、そのあることを予想して、それに対する抑止力というものに対しての公取委員長の見解は相当強く、罰則等の発動によっても、単なる文章だけでなくその措置を講じ得るとは言っていながら、さればその状況が現出した後におけるカルテル状態が、審決によってもとに戻された段階の中において、価格の原状回復措置がとられない、命令が出せないというようなことについては、この括弧書きの持つ意味がきわめていわゆる後退的な、繰り言という形の中における表現等もございましたが、後退的にとられても差し支えないと思うわけでありますけれども……。  そういたしますと、この四十条の中において、すでにもう行っている事件等との関連はどうなるのか。いわゆる価格の原状回復命令に関連をいたすわけでございまするが、きのうも質問いたしました四十八年十二月二十六日の神崎製紙外八名によるところの審決によって、いわゆる新しい価格構成への移行、販売価格、数量の届け出等、具体的な影響の排除措置が現在すでに行われると聞いておるわけでありまするが、そういうような具体的措置と、こういうものが今度の法律改正によって実質的に縮小解釈されるような状況になってくる、これは現状よりも重大なる後退ではないかということになろうと思うのであります。  そしてまた、価格の原状回復命令は国権で行うのは問題だと、いまのような公取委員長のお話でございまするが、この解釈は、結果的にはカルテルで行ったそのことは悪いけれども、カルテル価格で売るのは悪くないし、そういうようなことについては当然の処置であるという認識につながる、こういうことになろうと思うのでありまするが、そういうようなことについてはむしろ新しい条文を起こしてということでございまするけれども、この条文の中で四十条の解釈との関連の中でこの措置をおとりになることができるのかできないのか。あるいは私はこの措置をおとりになることの方がむしろ現在の状態の中において最もふさわしいのではないかと、こういうように判断するわけでありまするが、公取委員長と総理府総務長官の答弁を求めます。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 ただいまの御質問の趣旨、ちょっと私、誤解しているかもしれませんけれども、その七条のカルテルの問題ですね、これと四十条の問題というのは直接には結びつかないと思います。四十条というのは、あくまでこれは調査のための権限でございまして、それで、ここに書いてあるところを見ますと、「その職務を行うために必要があるときは、公務所、特別の法令により設立された法人、事業者」まあ相手は事業者ですね。「若しくは事業者の団体又はこれらの職員に対し、出頭を命じ、又は必要な報告、情報若しくは資料の提出を求めることができる。」こういうだけでございまして、七条とは何らの結びつきがないのです。ただし、私、この際申し上げますが、七条の問題でありませんけれども、四十条の二には出頭を命じたりする権限がないのです。別に法律上の手落ちだと私は思いません。四十条があるからそれを書かなかったとも考えられます。ですから、四十条の二は、それだけではちょっと不十分な点がございます。四十条で、たとえばその理由書がはなはだしく不備なものである、これはざらに考えられますね。そういう場合には改めて出頭していただかなければならない。その出頭を命ずるのは四十条なんです。ですから、四十条とあわせて用いなければ四十条の二は生きてこないということは言えますが、いまの、どうも四十条を使っていろいろということは、カルテルには全然結びつかないということだけ申し上げておきます。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 ただいま公正取引委員長がお答えになったとおりでございまして、四十条におきましては、御承知のように単に同調的値上げの形をとっているという事実のみをもっては、直ちに独占禁止法上の問題とすることは困難でございますが、二を入れることによりまして、報告徴収権をとることにより、同調的引き上げの抑制というものに効果があらわれるというふうに私どもは考えております。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 同調的値上げの報告を入れることによって効果があらわれる、こういうようなことですが、いま公取委員長が大変不満だというような表現の中で説明されました条項について、私は関連して質問しているわけでございまするけれども、その価格の原状回復は、いわゆる国の法律の条項の中でそれを行うということは、それは問題であり、いけないのだ、いわゆる一種の統制になるから原状回復命令は出せないのだというような見解で、やむを得ずそういうような状態になったのだ、こういうことでございまするが、そうなりますると、不法な行為が存在した、その存在を排除するのにその一定の行為を行った、排除した後も不法の行為は持続的に続いている、その持続的に続いている行為は不問だ、その以前の行為についてはそれをやめさせ、それ以後については、いわゆる国権の介入ということになり、価格の介入ということになり、一種の統制という形になる、そういうような形の中で、これは行い得ないから、価格の回復ということは、回復命令というものは出し得ない、こういうような説明になっておられると思うのであります。そういうことになりますると、ますます何か矛盾が深まっていくような気がするわけですね。だから、この機会に、その種問題についての見解は、あるいは公取段階と総理府段階において見解の差があったかどうかはわかりませんけれども、その措置を何によって補てんすべきか。こうしなければならないという考え方は両者ともに共通して存在するのではないか。片一方、報告だけで結構です、片一方は、これこれこういうことはもうしようがないのですから、何とか報告された段階の中で善処しましょうという程度では、何か問題がはぐらかされてしまうような、私は質問がはぐらかされているような気がするわけでございますので、もう少し突っ込んだ、いわゆる価格の原状回復命令というものが、法制上疑問があるとしても、実施上においてはなさなければならない措置であるということはだれしも否定することがない状態ではないかと考えるわけでございますので、その点について公取委員長と長官の見解をいま一度尋ねておきたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 原状回復命令につきましては、要するに価格そのものをもとに戻せということを命令すること、そのことに対して、理論上その他の関係で好ましくない。特に理由とされました主なものは、もしそういうふうに一時的に戻しましても、実勢とその価格が遊離しておれば売り惜しみが起こる、買い占めが起こる。三ヵ月とか六ヵ月とかいう期間が過ぎたら今度はまた上がるのじゃないかというので、そういう不自然な状態が起こることはかえって望ましくないのじゃないか、こういうふうなことが主な理由になっております。  ですから、私どもは、やるとすれば、仮にそういうことをするとしても、そういう状態が起こらないという、つまり不当につり上がっただけであって、そういう原状に回復しても別に売り惜しみが起こるわけでない、買い占めも起こるわけじゃないというそういう状態のもとでならば、やっても別におかしくないのではないかという認識はいまでも持っておりますが、それがどうも、しかしそうじゃないだろう、やはり物価が上がるようなときにカルテルなどやればどんどん物価が上がっていくのだから、言ってみればインフレを前提にしますと私どもの議論は入れられません。実勢がもうすでに高くなっているのにもとの価格に戻したら、きわめて不自然な価格条件を押しつけたことになるのじゃないか。ですから、それは私どももそういう場合はやってもしようがないと思うのですね。実勢がどんどん押し上げていくのだったら価格カルテルの価格よりももっと高くなってしまうということだってあり得るわけです。だから、私はそういう場合にどうするかということは、やはり経済政策、本当の意味の総需要抑制策というふうなものでインフレを退治しなければならないのだ。しかし、比較的平穏無事でいる間にカルテルをやるというのはざらにあるわけですから、これなどはどうももとへお戻り願った方が筋が通るのではないかと思いますけれども、しかしそれはどうも通りにくかった。はなはだ否定的な方が圧倒的に強かったものですから、いまさら私が言っても、これはとてもなかなかもとへ、これほどもとへ戻らぬであろう、こう考えます。これ、先ほどのを追加しておきます。  だから、いまの価格を、場合によって、いつもじゃありませんが、この価格によってはならないという命令を下すわけです。同時にその結果については、四十三条という規定がございます。「公正取引委員会は、この法律の適正な運用を図るため、事業者の秘密を除いて、必要な事項を一般に公表することができる。」これは現在でも結果についてこういう措置をしたということは公表しておりますから、措置について公表したと同時に、返事が返ってくる、その返事の内容を公表したって一向差し支えないと私は思うのです。これは禁止されておらない。だから、そうすると事業者の方も、そんなめちゃな、一〇%を上げておいて一%下げてきましたというのでは、もしそれが実勢と遊離しておればちょっと恥ずかしいことになるのじゃないかと思いますので、いまの括弧書きでどうしても動かない場合に、私はこの四十三条という規定をあわせ用いるということによってその効果を高めることができるのではないかと思いますが、ただし解釈上、私の言っている、価格を変えても届けなさいということもいけないというのでしたら、この括弧書きは完全に後退でございます。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 原状回復命令にかわるものといたしまして、私どもは違法カルテル排除後の具体的な措置についての報告を求めることにいたしました。また、原価公表につきましては、先ほど来申し上げておりますように大変むずかしい問題でございますので、したがって同調的な引き上げに対する報告をとるということにしたのでございまして、いずれも私どもといたしましては、一つには違法カルテルに対する規制になり、また一方では同調的な値上げに対する抑制になるというふうに考えているのでございます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 時間がたちましたが、副総理がお見えになっておりますので、お許しをいただいて、若干の時間質問してみたいと思います。  昨日もそうでございましたが、実は副総理に冒頭私は若干の時間質問したのでございまするが、本法律の試案が発表された段階の中で、多くの国民はこの試案の成立について大きな期待を抱いたと思うのです。したがって、副総理としての立場にある福田さんにこの質問の冒頭ぜひお尋ねしたいということがあったわけでございますが、時間的な関係でお見えになりませんので、通産大臣に主としてお尋ねをしたわけであります。その内容は、昨日も申し上げましたけれども、結果的に、独禁法の改正の条件は多くの国民の期待にもかかわらず、いまやまさに後退ないし改悪ではないか、そういうような心配の中で、この成立に対して、この際早く通してしまうことによって一定の効果を求めようとする人と、いや、この際がまんしてでもこの法律を継続審議ないし廃案にする形の中で新しく出し直さした方がいいという国民の声と、まさにその二つの声に代表されるのがいまの世論であろうと思うのであります。したがって、私どもはそういう状況の中で、社会党案というものも出しながら審議を続けておるわけでありますが、この審議を続ける経過の中で、私どもの考えというものがいかに現状に対して的確なる判断のもとに対処し得るものであるかという自信をますます深めておるわけでございまして、この状況の中でこの法律を強行されるというような形の中においては大変無理があるのではないかという印象を強くいたしておるわけであります。  そこで、副総理にお尋ねをいたしたいのでございますが、本法律の成立に対して、きのうも申し上げましたが、三木総理は、大変な執念をお持ちになっておられる。通産大臣は、通産省の責任者として相当消極的であったと言われておるわけです。さらに、公取委員長は、先ほど来のお話もありますとおり、まあやむを得ないから賛成しているのだというような状況でございます。こういうように政府部内においても見解がばらばらであるという中で本法律案を審議し、通過させるということはきわめてむずかしいと思うのでありますが、政府部内におけるところの見解の統一がどのように図られておるかということについて、いま一度明確にひとつお答えをいただいておきたいと思うのであります。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 申し上げるまでもございませんけれども、政府がこの法律案をつくりますにつきましては、非常に周到、広範な協議をいたしもましての結論としてそうなってきておるわけであります。公取委員会試案というものが長い間検討されて、そしてこれが発表になる、それをめぐりまして国会におきましてもずいぶんいろいろな御議論が展開されたわけであります。それから、政府部内におきましても、これは閣議におきましてもそうでありますが、閣議外におきましてもいろいろ活発な意見が展開される。そういう中において政府案をどういうふうにまとめるか。そこで、政府におきましては総理府総務長官を中心といたしまして各界の意向も十分聞く、そういうための独占禁止法改正問題懇談会というものまで特設をいたしまして、意見を広範に聴取する、こういうような手続までとりまして、そうして政府案を決める。なお、与党に対しましても政府原案を示しまして意向を聴取する、こういうような手続まで踏みまして、いま御審議をいただいておる政府提案ということになってきておるわけでございまして、いろいろ広範な論議、審議を通じましての結論は、ただいまの政府原案ということかということに結論を出しておる。そういう次第でありますので、いろんな意見のあるそういう問題でございますから、いろんな意見を全部総合結集するというわけにもまいりませんが、大方の意向の公約数をここでまとめてある、こういうふうに考えるわけでありまして、政府といたしましては、ぜひともこの原案をひとつ十分御審議いただきまして、これを成立さしていただきたいということをただただ念ずるのみであります。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 ただただ念ずるのは結構なんですが、いまお話がありましたように、公取試案が発表される前の研究の段階から、いろいろあるでございましょう。結果的に内容は後退に次ぐ後退、あるいはあなた方は調整に次ぐ調整と言うかわかりませんが、そういう経過の中でいろいろな考えが含まれて出されてきていると思うのですね。したがって、そういうような状況の中で一定の条件が出ているにもかかわらず、この国会の場所において、この担当する商工委員会の場所において、新しい考え方に基づくところの新しい意見が出されて、その出された意見を、素案をつくり、原案をつくるまでの間にいろいろな意見を取り入れておきながら、なぜ国会の場所におけるところの意見を取り入れることができないか。原案を認めてくれという一筋で行かれるということは、三木内閣の話し合いによる政治とは大分姿勢が違うのじゃございませんか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 ただいま申し上げましたように、これだけ広範な論議、精細な討議を尽くしましてでき上がりました政府原案でありますので、この政府原案をもって政府としては最善のものである、こういうふうに考えておるのですよ。その政府が、提案はいたしました、どうぞいかようにも御修正をというような、そういう態度はこれはとり得るはずがないのであります。しかし、これはこの法案の最後の決定は国会にあるわけでありますから、どうか十分御審議の上、御賛成あらんことをお願い申し上げます。

佐野進日本社会党

○佐野(進)委員 以上をもって、質問を終わります。

武藤嘉文自由民主党

○武藤(嘉)委員長代理 午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十七分休憩      ――――◇―――――     午後一時十九分開議

武藤嘉文自由民主党

○武藤(嘉)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。渡辺三郎君。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 今回の独禁法の改正に当たりまして、言うまでもなく各党からそれぞれ案が出ておりますが、まず政府案を中心にしてきのうから質疑が続行されたわけです。しかし、私どもは、今回の改正に当たりまして出された政府案に対するたくさんの問題意識を持っておりました。それらを中心にしていままで質疑応答が繰り返されてまいったわけですが、それでもなおかつ十分に解明できない面がたくさん浮き彫りにされてきた、こういうふうに考えておるわけであります。時間の制約がありますけれども、そのうちの幾つかにしぼりながらこれから質問をしたいと思います。  まず最初に、課徴金の問題に関連をして、事業者団体の問題についてお伺いをしたいと思いますが、今度の八条の三において、「公正取引委員会は、当該事業者団体の構成事業者に対し、当該違反行為の実行期間に係る課徴金を国庫に納付することを命じなければならないものとする。」すなわち「事業者団体の構成事業者」こういうふうになるわけであります。これはきのうも公取の体制との関連で質問があったわけですが、総務長官の答弁ではどうしても十分に納得のできない面があります。  そこで、少し具体的にお聞きをしたいわけであります。  この条文を設けるに当たって総務長官の方では、ここ数年間、事業者団体に対する公取のとった勧告件数はどの程度のものになっているか、こういう面について十分お調べになって認識された上で出されたのかどうか、まず最初にその点をお聞きしたいと思います。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 課徴金の算定方式を考えるに当たりましては、各関係省庁その他からもどのような方式を取り入れるべきか、いろいろ御意見を伺ったのでございますけれども、なかなか適切なものができませんで、苦心をしながら、御提案申し上げたような案をつくり上げたわけでございます。これは昨日も申し上げましたけれども、できるだけ簡明な方式をとるという考え方をとっているのでございます。事務局間の協議の中におきまして過去においてどれくらいの件数があったかということなどにつきましてもいろいろ情報の交換と申しますか意見の交換をいたしました。必要でございましたら詳細につきましては政府委員から答弁をさせます。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 もちろんこれをお出しになるについては過去の件数などを十分に調査をされたと思うわけですけれども、同じ趣旨の質問はきのうもありましたけれども、その調査をされた上で、課徴金を徴収することは十分に可能である、こういう条項を設けても公取の機能は十分に果たし得る、こういう確信をお持ちですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 課徴金を新設することにいたしました結果、抑止的な効果が働くということはお認めいただけると思うのでございます。そういう抑止力という点を考えますと、今後カルテル行為者も減るであろうというような面での私どもの見方をしたわけでございまして、したがって今日までのいろいろな件数、同時に今後抑止力として働く結果起こるであろう事態なども勘案をいたしまして方式を決めたのでございます。  現在の陣容でできるかどうかということでございますが、私は相当な負担になるということは否定するものではございません。しかし、今後の推移を見まして、陣容の強化等も必要でありますならば政府といたしましてはそういう措置をとっていかなければならないと考えているものであります。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 課徴金制度を新設したことによっていわゆる抑止力になることは認めるだろうという話ですが、果たして十分な抑止効果があるのかどうか、これについては後で少し議論したいと思うのです。  また、いまの質問に戻りますけれども、これは公取ではもちろん調査がきちんと出ておるわけですが、ここ数年間の事業者団体に対する公取のとった勧告事件の数を調べてみました。そうしますと、四十六年は二十九件、四十七年は十一件、四十八年になりますとまた二十九件、四十九年は九件、このようになっております。しかし、これはあくまでも事業者団体に対する勧告事件件数ですから、問題は、今度の条文によっていわゆる構成事業者の数を一応見てみなければならないと思うわけです。いまあなたがおっしゃるような抑止力が発揮できてその件数が減るということであれば別でありますけれども、一応過去四年間なら四年間、五年間なら五年間の実績を基礎にして考えますと、いま申し上げました事業者団体の件数の中でどのような数の構成事業者になっておるか、こういうことをいま検討してみますと、四十六年は二十九件ですけれども、構成員の数は三千八百八十九業者になります。四十七年は三千九十、四十八年に至っては七千三百三十六、四十九年は九百七十五、私の調べではこういうふうになるわけです。これだけの膨大な数になるわけです。構成事業者がすべて課徴金の納付を命ぜられる対象の業者の数になるとは即断できませんけれども、一応事業者団体の中の構成員の数を調べるといま言ったようなかっこうになる。大変な数です。これに対して、総務長官が言われるように、公取が少しぐらいの体制強化で十分に機能を発揮することができるかどうかということになりますと、きわめて疑問です。その点どうですか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 私の方の職務執行上に大変影響のある問題でございますので、この際実情を少し明らかにして御理解を得たいと思うのです。  いまお挙げになった件数、これは正式に勧告を出した件数なんです。ところが、この裏があるのですよ。私が困ると申し上げているのは裏の事情、つまり私ども参りまして、とかく件数かせぎと言ってはなんですけれども、比較的小規模な団体を取り上げて、至って件数が多かった。ところが、なるべくならば大物を相手にして、大きなものを三条違反で、事業者団体でないものとして排除することに重点を移したわけです。それでもなおかつ四十八年度の場合は事業者団体がふえております。ところが、いままでの実情を申しますと、何しろ審査に当たっている人間の数は、実働可能な人員としては地方を入れましても七、八十名だったのです。それで、そこに応援を出してやりましたけれども、とても手が足らぬ。そういうことから何をやったかといいますと、地方のいろいろな消費者に密着する面ではどんどん投書が来るわけです。これはほっとけないものですから、皆相当程度に手をつけたわけです。手をつけたけれども、その件数が余りにも多い。四十九年度の例を申しますと、正式件数は先ほどおっしゃったように九件なのです。ところが、これは裏でこうなっているのですね。たとえば、まあおかしいですが、とても間に合いませんから、事実上予備調査ということをやります。だから、本当の事件としてまだ取り上げていないで、その段階において呼びつけたとかあるいはそこへ行って調べて、これは違反だなというふうなことが非常に明白なものがあるのです。目に見えている、こういう実態で、何と件数で申しますと百四十三件、四十九年度に事業者団体のあれを事実上排除しているのです。これを証拠をつけ、そして文章にして委員会に付託する、委員会で決定して正式の勧告を出す、こうなりますと、これはほとんど事実上不可能なのです。ですから、まず行為をやめさせるということに主眼が置かれた、その結果こういう数字になりまして、大体一つの事業者団体の構成がおおむね平均をとりまして二百名から二百二十名です。そうしますと、先ほどの九件と合わせまして大ざっぱに言いますと、すでに三万数千名という相手の事業者数が数字になっているわけであります。これからは一年間はさかのぼっても排除命令を出すことができる。ですから、いままでの全部に排除命令を出す必要があるかどうかは問題でございますが、かなりの数は正式の勧告処分にならざるを得ない。せっかく法律をそうつくってもらったのに私どもがそれを用いないというのはおかしいですから、これはやる。それを全部百四十何件もやるということは現状では不可能だと私は思います。だけれどもやる。そうすれば必ず課徴金のためには――課徴金はさらに三年間さかのぼるわけですから、そこまでやらなくても、とにかくもう済んでしまった、いままでの態様は、これはもう過去の行為であるということから、相手がはい、恐れ入りました、やめますと言って手続を進める前にやめてしまった、こういうふうになっているわけです。そうすると、過去の行為に対しては排除命令を出せないということでいままでは省略できた。今度は過去の行為も原則としては省略できないわけですね。そういうことで物の軽重を考えますが、相当程度は正式の排除処分に入ってくるということになる。ですから、それらをまた事業者団体としてその構成メンバーに対して課徴金の対象となる売上高をまず申告してもらわなければならぬ、こうなりますから、そうすると、表面にあらわれたものだけだったら私どもがまあ何とかこなせる可能性もないわけじゃありませんが、三万何千名というふうなことになると、そこにまたカルテルとしてやったものの――これは数は知れています。数はおそらく数百社と思います。名と言うよりは数百社と申し上げたいのですが、こういうものを合わせますとどえらい数字になって、実はこの計算でやるとほとんど話にならぬというふうなことになります。その点は私ども実際運営上どういう程度にやるかという点に頭を使わなければいかぬと思いますが、とにかく実情を申し上げると、表面上の件数と延べ人員だけではない、それだけに非常に大変なことになる、こういう事情を実は総理府の方にも事前に十分連絡すればよかったところを私の方にも確かに手落ちがございました。ただ、こういうことは申し上げられるのです。全国の商業組合等では構成メンバーが、たとえば石油の商業組合、これをやりますと、三万二千名になる。いきなり一つで三万二千名でございますから、もしこれが確定して対象になるというような場合になると、とてものことじゃないけれども、それは構成メンバー全員については不可能であるということは言いましたけれども、現状がこうなっているというその裏の事情を克明に御説明しなかった点に私の落ち度があったということは申し上げておきます。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 いま相当詳しく中身を公取委員長からお話があったわけでして、私どもも先ほど申し上げました数字、これは表に出た数字でありますけれども、実態の何がしかは聞いて知っておるわけです。いま克明に委員長せっかくのお話がありましたから、そういう点を含めて考えますと、この新設された課徴金の問題というのは現実的に果たして十分に機能できるのだろうかという疑問がますます深まるばかりなんです。ですから、きのう勝澤委員も強調しましたが、この公取の体制とあわせ考えて一体どうなのか、それからさきに本会議で板川議員が質問をされたその趣旨も、そういうふうな実態を踏まえて質問をしたわけなんです。それに対する植木長官の本会議答弁、これは昨日勝澤委員が議事録を読み上げて申し上げましたから、私は同じことを言おうとはしませんけれども、しかしこれに対しては非常な誤解なんだということをあなたは答弁なさっておる、板川議員の質問は。それで、政府としては摘発を容易にしようとする、そういう考え方でこの制度が設けられておる、このように答弁をなさっておるわけでありまして、私はどうしてもいま委員長の報告があったことを踏まえて考えましても疑問が深まるばかりでありまして、納得できないのです。これに対して必要ならば予算措置なりあるいは人員の増員、こういうこともやらなければならぬというふうにいま長官おっしゃったわけでありますけれども、これは公取委員長は非常に正直に、ちょっと連絡の不十分さがあったといいますか、そういうことをおっしゃいましたが、しかしそういうことはあったとしても、これを出されたのですから、今後これが機能するためにはどのような具体的な措置を考えておられるのですか。これは仮に法案が通って六ヵ月間の余裕があるといっても、それは相当の人員の増員にならなければ話にならぬと思う。あるいは相当の予算の裏づけがなければ問題にならないと思う。それは十分お考えになって独禁法の強化、そのために改正案を出した、こういうふうにおっしゃっているわけですから、少しその辺のところを具体的にお答えいただきたい。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 課徴金を御論議いただきます際には、この算定方式と性格論とが密接に結びついているということについて御理解をいただきたいのでございます。罰金あるいは損害賠償の制度というものはカルテルに対してございますけれども、これとは違う第三の制度といたしましてこの課徴金制度を設けたわけでございます。これは不当利得に対する行政上の措置として設けたわけでございます。そういう性格から申しますと、事業者団体のカルテル等のメンバーの中で事実上不当な利益を得ました者に対して課徴金を課したり課さなかったりするということはできないわけでございまして、罰則なのではございませんで、行政上の措置なのでございますから、この点については公平でなければならないという点がございます。一方、私どもも公正取引委員会に対しまして負担をかけないようにという考え方のもとに、これまたいろいろ御批判もあることかとも存じますが、十万円未満のものにつきましては、これを納付させないことにいたしました。また、三年の問題がございますが、これも自主的に当事者が申し出をすることによって公取が判断をすればよろしい、こういうことにしたわけでございます。そういうふうにできるだけ簡明にするということに努めたのでございまして、ただいま公取委員長から非常に大変だというお話がございました。裏話ということでいまお話があったわけでございますが、私どもといたしましては、法案策定の中で事務的にいろいろ協議をしました中で、こういう裏話がございませんでしたので、したがって過去の事例というものをよく参考にし、そしてまた同時に、先ほど申し上げました抑止的な効果というものも考え、そしてできるだけ手続的には簡明にということでやってきたわけなのでございます。したがいまして、私どもとしましては、いまの段階では、昨日もやってみないとわからないというふうに申し上げましたが、一体どれだけの抑止的効果を発揮することができるかという問題と、それから同時に事実上この基準率で課徴金を取るというような作業を進めていった場合に、果たしてどれだけの陣容が必要であるかということはいまのところちょっと予想できないのでございます。したがいまして、先ほど御答弁申し上げましたように、六ヵ月間の経過期間があり、その間今年度も十名のこれに対する定員増を、この法改正が行われました場合にはお願いをするということになっておりますので、これを実行いたしまして、果たして実行可能であるか不可能であるかということをよくその際に検討さしていただき、陣容の強化が必要であるならば強化をしてまいるということを申し上げる以外にないのでございまして、先ほど来申し上げておりますように、性格論という面において、取る場合と取らない場合があるということは、これはできないということを申し添えておきたいと思うのであります。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 法のたてまえ上差別するのはおかしい、こういうふうにおっしゃっているわけですが、私は実際のこの法の運用をやってその効果を上げる、この法律の目的を達成する、そのためにそういうやり方がいいのかどうかということについては、若干別の意見を持っております。しかし、これは一応おきまして、差別をしないというのであればなぜ十万円以下を切り捨てるのですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 十万円以下を切り捨てましたのには、一つには十万円以下の課徴金を課するという程度のものでありますならば、抑止的な効果というものは上がらないという点がございます。それから、十万円以下の課徴金に相当するものはほとんど中小零細な企業であるという点がございます。それから、もう一つは十万円未満を切り捨てることによりまして、公正取引委員会の事務上の手続というものを簡素にしたい、こういう考え方で行ったのであります。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 いずれにしても、本会議で板川議員に答弁をされた長官の答弁内容と、それから昨日来ここでいろいろ議論が詰められて、その中で答弁をされてきた長官の答弁は、ニュアンスが非常に違ってきたと思うのです。この点はどうですか。お認めになるでしょう。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 板川議員に本会議でお答えを申し上げましたのは、先ほど御指摘がございましたように、公正取引委員会が大変過重な事務量を抱えることによって機能が麻痺するのではないか、こういう御質問に対しまして、私はそれは誤解でございます、こう申し上げたのであります。その際は、ただいま公正取引委員長がお話しになりましたような、何と申しますか、裏話とおっしゃいましたけれども、非常に広範にわたって大変な事務量になるというようなことにつきまして、私ども十分な認識を持っておりませんでした。したがいまして、先ほどのような方法をもってするならば、簡明な方式であり、抑止力も働くから、したがって事務量としてそれほどいま言われているような過重なものではないという認識のもとに答弁をしたのでありまして、その点はひとつ御了承をいただきたいのであります。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 御勘弁を願いたいと言われるのでは仕方がありませんけれども、それはやっぱり認識の甘さといいますかね、認識の甘さがあったということは、裏話であろうが何であろうが、それは明らかだ。そういう甘い認識を基礎にしてこの問題を出されたという事実だけは私は確認しておかなければならぬと思う。  そこで、課徴金についてさらにお伺いをしてまいりたいと思いますが、私はその議論というか、答弁を聞いておりながら、改めて課徴金の性格というのは一体何なんだ、こういうことをもう一回聞き直さなければならないような気がしておるわけです。きのうも、それからきょうもまたそうでありますけれども、植木長官の御説明がありましたが、企業の過去の実績で課徴金をまける、簡単な話、そうです。これは一体どういうことなのですか。なぜそういうことをやらなければならぬのですか。私はその問題に関連して改めて課徴金の本当の性格というものをここで聞き直さなければならぬような気がしているわけです。なぜまけるのか、これははっきり答弁を願いたい。

原徹内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○原政府委員 課徴金につきましては、ただいまの御指摘の点でございますが、まず罰金でもない、損害賠償でもない制度でございます。  そこで、ドイツでは行政罰としていわゆる課徴金がとられておりますが、企業者の経済的事情というものを考慮すると、これはたしか一九六八年に改められているわけでございます。そういうことで、ドイツは行政罰でありまして、罰金はない。アメリカの場合も、損害賠償という制度はありますけれども、課徴金はない。日本は、制度としては、とにかく罰金はあり、損害賠償という制度もございます。そうすると、第三の制度として課徴金をとるということになった場合に、その合間を縫っていかなければならぬわけであります。ドイツの場合、いまの経済的事情を考慮するということが書いてございますけれども、それは行政罰でございますから、それぞれ個別に経済的な事情を見ることができる。ところが、私どものやる課徴金というのは行政的措置でございますから、やはり一定の方式と申しますか、要件といいますか、画一的なことを考えなければならぬ。そうすると、その考えるときに一体何を使えばよいか。それを個別に見るというやり方もあったかもしれませんけれども、画一性ということから見れば、カルテルをやりますと、やったときにはやはり粉飾ということも考えなければならぬ。カルテルをやっていないクリーンな状態で、一年だけとったのじゃ、これまた非常に偶然と申しますか、その一年だけの話で決まってしまう。したがって、三年とろうということで、三年の率をとるということにした次第でございます。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 ちょっと言いにくい聞き方をしますけれども、企業成績がそう上がっていない企業はカルテルをやってもやむを得ないのだ、あるいはそういう企業の場合にはカルテルを犯したことについての罪が軽いのだ、こういうふうにお考えですか。

原徹内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○原政府委員 罪の問題として考えますと、それは要するに直ちに罰則の問題になるわけで、そういうカルテルをやった場合に、それは小さくても大きくても罰則が変わるということでございます。これは利得を取るということでございますから、利得というのは一体これはまた何かというのは非常にわからない概念でございます。わからない概念でございますけれども、やはり片っ方に罰則があって片っ方に損害賠償があって第三の制度だということになれば、やはりカルテルによっていっぱいもうけたやつからいっぱい取るというのが非常にわかりやすいことだと私どもは考えるわけでございます。  そうすると、いまのそこの類推に少し問題があるという点はわかりますが、過去三年ということで、一年だけでございません、三年をとったということは、現実の問題としてカルテルというのは、それが全部ではないとは思いますけれども、やはりだんだん景気が悪くなってきてどうもならないという場合にやるという場合がかなりあるわけでございます。だから、過去三年の利益ということはそうじやない場合があるじゃないかと御指摘になればそれはそうかもしれませんが、そういう何と申しますか全く関係がないというものでもないというふうに私は考えたわけでございます。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 私ちょっとわからないのですよ。これは質問をした趣旨をのみ込んでおられないのかどうかわかりませんが、それならば不当利得、利得という問題をいま出されましたけれども、不当利得を全部吐き出させる、こういうふうなわかりやすいやり方をなぜおとりにならないのですか。

原徹内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○原政府委員 カルテルによる不当と申しますか、その利得というもの、観念的には非常によくわかる。さて、それを一体どういう形で取るかという問題でまた性格論に戻りますが、自由裁量ということではだめである、やはりその行政的措置として取る以上はまず画一的に取れるようなことにしなければならぬ、そういう性格論がある。それにプラス、いろいろ議論がございました上で、値上げカルテルだけでなくて生産調整カルテルもとる、そういうことを含めて考えますと、そういうことで不当利得全部取るということでございますと、法律で書けば書けるわけでございますけれども、その行政上の措置として考える場合に、ただそれだけ書いた場合は結局その解釈をめぐって非常に争いが多くなるだろうと思います。公取が仮に自由裁量で取っても、それに対しては必ずと言ってもいいほど訴えが起こる。訴えがみんな起こるようなものであれば、これはとてもじゃないけれども行政上の措置として適当ではないわけでございます。性格論としてもやはりそういうことでございますので、私どもはそういうふうにいたしたわけでございます。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 私は非常に原則的なことを申し上げますけれども、これは今回政府が法改正をするというふうに決意をされた背景になっておる最近の日本の経済事情、特に物価の問題、こういうふうな問題とあわせて考えなければならぬと思うのですが、やはりカルテルは悪いんだ、これをやっては絶対悪いんだ、こういうふうな観念がやはり定着をしてこなければならぬと思いますし、法律がそれをあらわすような形にしていかないと、いままでのようなああいうカルテルのやり得、これはどんどんやはりふえていく一方だ、これが危惧されるわけです。     〔武藤(嘉)委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、この問題についての明確な考え方というものが政府の中にないと大変なことになるんじゃないか、こういうふうに思うのです。しかも、それを法律的に抑えていくためにはそれを抑えるに足るような法律でなければならぬ。これはもう当然でありますから、そういう観点から今度新設された課徴金というものを考えた場合に、十分長官がおっしゃっているような効果が発揮できるのだろうかというような問題についての疑問がある。そこで、いろいろ聞いているわけですよ。  そこで、さらに聞きますけれども、ある商品のカルテルについての課徴金、これは政府の原案によりますと、結果的には他の商品による利潤というものを考慮する、他の商品の利潤も考慮していかなければならぬ、こういうふうになりませんか、結果的には。どうですか。

原徹内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○原政府委員 私どもの計算方式では、そのカルテルの商品の売上金額に、それから一定率でございます、基準の場合は一定率でございますから、それについて、それを掛けた上で半分にするということでございますから、その場合には他の商品というのは関係ございません。ただ、後で、いまの過去三年の利益をとる場合は、これは会社全体の経常利益率をとるわけでございますから、その場合は結局私ども考えましたのは、限界企業と優良な企業と申しますか、カルテルによる利益が、それはずいぶん違うわけでございます。それをそのまま画一的に見るということで、過去三年のそういう経常利益率をとったわけでございますけれども、その場合は結局その会社の支払い能力というか経済的な状態と申しますか、そういうものをとるわけでございますから、考えるわけでございますから、その場合は別に他の商品ということも含めた会社全体の経常利益率をとった方がいいだろう。また、それからその個別の商品でとることになりますれば、これは非常な膨大な作業量でございましてとてもできる問題ではない、そういうふうに考えたわけでございます。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 やはり私が言うように、私は結果的にと言ったのですが、結果的には関連してくるわけですよ。理解できないのです、そこが私どもは。過去の企業実績、利益の問題と関連してくるわけです。どうもこの点が、考え方としてはいろいろな考え方を出されたのでしょう。そして、これが一番合理的だというふうにあなた方は思われた。しかし、ぼくたちは納得できないのですよ。  これは公取の委員長にこの問題についての考え方、見解をひとつお聞きしておきたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 基準のその徴収率を一定と定めまして、これは実は三段階に分かれておりますが、機械的に適用するというやり方、これは私は利点は多いと思います。ただ、その問題が、一・五%が最高で最低は〇・〇五になるわけです。普通、卸のカルテルというものは余り多くはないと思います。小売のカルテルが多い。これは一%です。それで、いま御質問なさっているように、過去の業績のいかんによってその十分の一まで逐次軽減されていくというのですから、赤字であったら文句なしに〇・一%になっちゃうわけです。これはいささか、支払い能力というものを考慮されたということですが、ドイツの場合を、西独の例を私実は条文では記憶しません。その条文にあったかどうか、支払い能力というのを考慮するということが条文に明記してあったかどうかわかりませんが、運用上、得たる利得の大きさというふうなものとかを中心にして、そしてさらに支払い能力も考慮をされているようである、こういう記事はございます。こういうものは私持っておりますが……(「将来に対してね」と呼ぶ者あり)ええ。ですから、支払い能力云々ということ、相手に決定的なダメージを与えてしまう。仮にカルテルによる利得が非常に大きくて、あそこは三倍までできるわけですね、三倍以下ということになっていますから。どの程度にやるかということがカルテル庁及びこれは州にもカルテル庁がございます、そこでのしんしゃく要因の中にそういうものが含まれていることはわかります。しかし、それだからといって、法律の上で、法定として過去の業績、過去三ヵ年にさかのぼって、それが悪かったらというのは、おっしゃるように業績の悪い者はカルテルをしてもまあある程度仕方ないじゃないかというふうな感じを与えかねないわけです。そういう点が私どもとしては、制度論として抑止力として働くためには実はもう少し全体が厳しくていいんじゃないかと思いますが、この点は一応おきましょう、一・五%が最高である点は私はそれに対していま批判いたしません。ただ、それがずっと下がっていく、十分の一まで下がるということになりますと、きのうも申しましたが、小売りの場合、一億円につきやっと十万円なんですね。普通ですと千万円で該当する、これがだんだん過去の業績を調べていったら実際うんと下がってしまう。  それから、法理論だけでなしに実際問題として困るのは、過去三年にさかのぼって実施された価格カルテル行為に対して、これは課徴金が取れる、そうするとそのまた三年前というのですから六年前になるわけですよ。これは理論上の問題ですよ。しかし、制度をつくる場合に、理論上の問題であるとはいいながら過去三年はおろか六年前までの業績、その売上高及び経常的な利益というものを把握するというのは一体可能であるかといいますと、私どもの調べたところでは、税務署の納税証明書の保存期間は五年とされております。それから、納税証明書を発行しなければならないという、発行するということが義務づけられているのは過去三年でございます。それは現時点から過去三年でございますから、六年前のときからは、ありませんと言われればそれまでなんです。五年でも納税証明書はあるけれども、納税所得と納税額でありまして、売上高までやるというのは完全な税務署のサービスということを期待する以外にないわけでございまして、売上高の把握というものは実際上できない場合があってもいたし方がないということになるわけでございます。そうすると、そういった税務署で頼んだけれども、書いてもらえないというのは、同じ国の機関である税務署はできないと言っているものを、なぜ法律上持ってこいというのか、こう言われると大変困ってしまうということも実際問題としてある。つまりそこに非常なトラブルが起こってしまって、どう裁いていいのかというむずかしい問題が出てくる。こういうことがありますので、非常に古い資料を求めなければならぬという点に私、実行上非常な不安を感じているということは率直に申し上げておきたいと思います。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 総務長官、これはいまの公取委員長のお話でもわかりますように、やはりきのう以来この問題についていろいろ質問があり答弁がありましたけれども、制度として私はこれに対して非常に疑問が晴れません。因果関係が全くない、こういうふうに言っても決して過言ではないと思うのですね。こういうふうな課徴金の算定といいますか、算定方式といいますか、これはとうてい納得することができません。他の質問の項目もありますから、この問題は一応留保をして、後の機会に他の同僚議員の質問があると思いますので、打ち切りますけれども、やはりこの課徴金の問題についてはどうしても納得できない、この点だけは明確に申し上げておきたいと思います。  次に第七条の、これもずいぶん議論されましたけれども、括弧書きの問題についてさらに私は質問を深めたいと思います。  これもいままで聞いておりましたが、非常にわかりにくいし、端的に言わしてもらえば、この解釈についても、そこにお座りになっておられます政府の当局者の間でニュアンスの違いが若干ずつあるように感じてなりません。ですから、そういう点も少し明らかにしてまいりたいと思います。  まず第一は、現行の第七条、これはいわば行為規制だ。今度新設した政府案の括弧書きは状態規制といいますか、違反する行為を排除するための具体的な措置が実施された後も、その違反する行為の残っている影響を排除するために必要な措置なんだ、このように大体言われたのじゃないかと思うのです、きのう来の答弁を聞いておりますと。それをつけ加えたにすぎないのだ。したがって、現行の、現にやってきた、たとえば具体的に公取のこの措置、こういうものは、いささかもこの括弧内の新設によって減殺されない、こういうふうに強調されたわけであります。これは総務長官もそれから法制局の部長も同じようなことを言われたわけです。もう一回確認しておきます。そうですが。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 そのとおりでございます。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 私は現行第七条による実際の運用、いままでやってこられた運用をここで改めて振り返ってみたいと思うわけです。つまりカルテル協定の破棄以外の措置を命じた例としてどういうものがあっただろうか、こういうふうなことであります。  そこで、総務長官にお伺いをしたいわけですが、長官はこの改正案をおつくりになった責任者であります。公取がこれまでカルテル協定の破棄以外に命じた措置としてどういうものがあったのか、それをどのようにお調べになって認識されましたか。これは本当は公取の委員長からお聞きしてもよろしいんですけれども、おつくりになった責任者は総務長官なんですから。非常に括弧内というのは疑問があって、質疑応答が繰り返されている内容なんです。したがって、総務長官としてはそういう実態をきちんとつかんだ上で当然この括弧書きをお書きになったと思うのですから、そういう意味でぜひともこれは総務長官からお聞きをしたい。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 たとえば大きな問題といたしましては業界の解散命令をお出しになったというような例がございます。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 大きな命令としてはそうでしょうけれども、それだけでしょうか。長官として答弁無理であれば、室長でもいいですよ。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 たとえば取引交渉のし直しでありますとかいろいろなものがあるわけでございまして、詳細につきましては政府委員から答弁させます。

原徹内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○原政府委員 ここの条文をつくりますときに、初めから申し上げますと、やはり価格介入がいけない、それから原状回復命令についてはいろいろ問題があるということで、とにかくそうは言ってもカルテルの価格が残っているという現状に対して、やはり独占禁止法改正問題懇談会でも何らかのことを考えた方がいいという意見もございまして、それでいろいろ考えた。そういたしますと、私ども考えて、要するに、とにかく排除措置をしても価格というものは残っているという場合が多い。そうすると、とにかく幾らにしろというのは、これは自由経済と申しますか、独禁法の精神からして、市場で決まるべき筋合いであるから、それを幾らにしろと言うことはできない。しかし、いま残っているとするならば、それはいまのカルテルによる影響じゃないか。そういうものが価格として残っている。だから、そういうカルテルでない価格にするのにはどうすればいいかというような式のことを考えました結果、そのカルテルによらない価格、ただし決めるのはこれは別に公取が決めるのではなくて、業者が自主的に決めなければならない。拘束を排除してしまうわけですから、拘束のない状態に立った上で自分で決める、そういう式のことが一番よろしかろう、そういう趣旨ですから、中身につきましては自主的に決めるというのですけれども、影響を排除するためにとるということで、そのカルテルの価格が影響として残っているならば、それ以外の価格ということに論理的になるわけでございます。もちろん私ども公取とこれをつくるときに十分協議をいたしまして、四十八年か何かに製紙会社の件がございましたが、こういうことがあれば一体これができるのかどうか確かに問題がございます。しかし、これは必要に応じ、非常にまれなケースとして判断してやったのであるということでございます。だから、今度これを書くことによって、そういう必要に応じようとかなんとかということを考えずに、定型的にこういうことができるわけでございますし、中身といたしましても、公取委員長が申されているように、ともかくカルテルの価格以外の価格になるというところにおいて、一歩か二歩か知りませんけれども前進であるというふうに私ども考えております。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 ちょっと重要なことをいま室長が言われたわけですよ。製紙会社というのは神崎製紙のことだと思うのですけれども、これは何か公取が、ほかの条文がないから余りやれないことを無理してやったのだ、こういうふうに聞きようによっては聞こえる。だから、それをすっきりさせるために括弧書きを今度はつけたのだというふうになってくるのだと思うのですけれども、私はその問題は非常に重要な問題ですから、時間があれば後で詰めますよ。  お聞きをしておるカルテル協定の破棄以外の措置を命じた例、全部を申し上げると大変な時間でありますから、私は類型的に言いますと、一つは将来の不作為、価格決定などの禁止ですね、これはたくさんあります。それから、価格、生産数量の一定期間の報告、これも措置を命じた例として出ております。それから、自分が違反したという旨の取引先や一般消費者への周知徹底、それから価格決定機関等の解散、廃止、これは組織の解散という表現で長官が先ほど言われたのだと思う。それから、競争会社などの株式の処分、それから決定破棄後における取引先別との価格の再交渉、それから価格についての団体交渉の禁止、こういった例があるわけです。中身は時間の関係で一々触れません。こういうことは当然現在の現行法の中でやれるし、またやらなければならないし、そしていま言ったとおり現にやってきたわけです。現行法でやれると思うのですよ。だからやってきたと思うのですよ。これも疑問があるのですが、長官どうですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 いままでとられてきた措置といたしましては、いま渡辺委員がおっしゃったとおりでございます。これに加うるに、今回私どもといたしましては、カルテルの拘束から解除せられましたものがどのような具体的な措置をするかということを届け出、しかもそれを実施している状況を克明に具体的に報告をするという措置をとることになったのでございますから、現在までとられてきた措置に対する強化であると考えているのであります。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 そうしますと、勧告をしますね、そうしてその後の状況がどういうふうになっているかというような問題について、いままで公取はおやりになっていないのですか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 いままでもこのままでは何のことかわからないので、そこで毎月報告しろ、一年というのが最近は多いです。一年間は報告しろ、そしてその数量とか価格ですね、主として価格に重点を置いているのです。それは結局、その状態を把握することによって、法律改正も、そういった実情を把握した上で、こんな状態だからどうしても何とかしなければいかぬのだ、こういうことのためでございますから、今後もこれは重要なことでございまして、本当にカルテル破棄の効果があらわれているのかどうか、その実効を監視する、その上で必要なことと考えておりまして、それは今後とも十分義務づけるつもりでおります。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 おっしゃるとおりだと思うのですね。それで、この括弧書きは違反者側に自主的な報告を求める、こういうふうになる、そういう措置も含むというかっこうなんですけれども、それならば、これは長官にお伺いしますが「具体的措置の内容の届出」、これはわかったようでちょっとわからぬのですよ。「具体的措置の内容の届出」、それはどういう意味なのですか。それから、どういうものを想定しておられるのですか。それから、もう一つ続けて聞きますが、また「具体的措置の実施状況の報告」、これはどの程度の報告を言うのか。これは具体的な問題ですから、二つとも具体的に答えてください。

原徹内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○原政府委員 「具体的措置の内容の届出」と、こう実は書いてございますが、これは政府素案を見ていただきますと「決定し、届け出、」こういうふうになっているのですが、届け出をする前提としては当然決定というようなことがあるのだから、その「決定」ということは条文上は落ちている。だけれども、解釈はもちろん具体的な措置、価格で言えば影響を排除するためということになりますから、影響として価格が残っておる、それを排除するための具体的措置ということになれば、決定ということがあるのですから、やはり新しい価格というものをあなたは決めなさいということになる、そしてそれを実施しなさい、「実施状況の報告」というのは実施をしなければならないということも、これはもう前提として入るわけですから、実施をしなさい、そしてそれを報告をしなさい、こういうことになるわけでございます。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 実際問題としては内容的には私は変わらない、だから新しい意味は何もない。違うのは、いままでは公取がその後の状況を見ながら報告を求めて、そしてそういう影響が残らないように事実上はしてきたわけです。ところが、今度の括弧書きが出たことによって、これは公取が命ずるのではなくて、その違反をした側の企業が自主的に報告すればいいのだ、こういうかっこうになるのですよ。ですから、この括弧書きは後退ではないかということがきのうから繰り返し言われているわけです。具体的に聞けば何も変わっていないじゃないですか。際立ってこういう点が違うのだということをもう一回言ってくださいよ。

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 ちょっと御注意します。答弁は委員長に許可を求めて、許可が出てから答弁をしてください。     〔委員長退席、前田(治)委員長代理着席〕

原徹内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○原政府委員 一番最初に、私どもがどうしてこれを考えたかというところで、とにかく価格が影響として残る、そしてその新価格というのは、いままでできたかどうかのところは判然としないわけです。新価格になるかどうか、そういう点は、影響を排除するためですから、影響がカルテルの価格として残っておるならそれを排除するための措置ですから、それはもとの価格ではないというところ、そこが非常に大事なところだと私は思うのでございますけれども、そこが違うわけでございます。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 そうしますと、もしいま審議室長がおっしゃるようなことであれば、そういうことを括弧内にしないでなぜもう少し明確に――非常に違うところだとおっしゃっているわけですけれども、その新価格のあれを命ずることができるとかなんとかという表現をなぜ使わないのですか。これは非常にわかりにくいですよ。ものすごくわかりにくいです。  だから、きのうは、これは答弁者側の言葉を何か記憶の端に置いて言うわけじゃありませんけれども、一円下げたって新価格だということをちょっと公取の委員長はおっしゃっておった。このことは一つの極端な例だとしても、一体どういう効果があるのですか、そしてまた、これが非常に大きな効果なんだというふうなことならば、なぜ明確に書かないのですか。非常に誤解を生むあれですね。あなたたちがおっしゃっているような内容であるというふうにするならば、この表現は点数をつければ全く落第じゃないかという気が私はするのですよ、どうですか。

原徹内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○原政府委員 そういう趣旨でやります場合に、そうすると確かに、その価格について話をすればそういうことになるわけでございますが、せっかく法律を直すというときに、そういう状態につきまして、別のカルテルについてもあり得るわけでございます。  それで、その七条は全体をすべてカバーしている。そこにこれを入れるということになったために、あとは立法技術の問題になっていきますが、確かに明快とは言えない表現になっているかもしれない、そういうふうに思います。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 どうもわかりませんね。みずから提案された方が明快になっていないかもしれませんなんて言われると、どうも困るわけですよ。そういうことならば直してもらわないといかぬですよ。みんながわかるように直してもらわなければ困るのですけれども……。  どうですか、長官、いま審議室長がそのような答弁をされたわけですけれども、もしおっしゃるような趣旨であれば、誤解を生まないように――そうでないんだということなら別ですよ、それは別に議論しますよ、そうだというふうにおっしゃるならば、いま審議室長がおっしゃったような内容を受けて、みんながわかりやすくしようじゃないかというようなお考えをお持ちですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 いま審議室長がちょっと明確さを欠く答弁をいたしましたが、私は、先ほど来の論議の中に出ておりますように、今回は定型的に措置を命ずることができることによって、排除措置の内容の強化を図ろうとしたのでございまして、現在のこの括弧書きにおいてもそれは明快であるというふうに考えておりますので、これは修正をしなくても十分そのように運用ができるというふうに考えているものであります。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 明快だというふうにおっしゃっているのはあなただけなんですよ。あなたが命じて答弁をさせている政府委員は、明快を欠くかもしれないと言っているじゃありませんか。どうですか、それは統一してください。

原徹内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○原政府委員 どうも明快を欠くと言った点は、取り消させていただきます。まことに申しわけありません。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 型通りのことで合わせられましたけれども、いずれにしてもこの点については、これは長官はお出しになった立場ですから非常に固執されておりますけれども、議論すれば議論するほどいろいろなニュアンスの違いが答弁の中に出てくる。このことはもう否定できないと思うのです。ですから、これはきょうの段階でまだ詰めませんけれども、この問題についても非常に大きな問題として残しておきたい、こういうふうに思います。  次に、独占状態に係る特に協議の問題についてさらにただしてまいりたいと思うのです。  通産大臣お見えになっておりますが、大臣に一番最初にお聞きしたいと思いますけれども、いわゆる主務大臣との協議、午前中にも出ましたが、これは実態としては通産大臣の場合が非常に多いんじゃないか、こういうふうに思います。それで、大臣は、基本的にはどういうことを目的として、内容的にはどういうことを協議なさるのか。これはある意味では非常に抽象的な聞き方になりますけれども、何を目的として、これは独禁法上のいわゆる協議でありますから、そういう意味ではどういうことを念頭に置かれて協議をなさるのですか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 その場合その場合の具体的な内容によって多少異なると思いますが、原則的に申し上げますと、やはり経済界の活力を失わないということのためにはどうすればよいかということが基本になると思います。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 法制局だったと思いますが、きのうの答弁では、独禁法の第一条の目的、これを満たすためには、この主務大臣との協議というものは必要だ、こういうふうなお答えがあったと思うのです。  いまさら独禁法の第一条を言う必要はありませんけれども、これは通産大臣でありますから企業の活力というふうなことを強調されて言われたと思うのですが、もう一回第一条の目的に立ち返って考えてみますと、「公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め、以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする。」こういうふうに明確になっているわけです。それに基づいて独禁法における公取の機能というものも発揮されていかなければならないわけでありますし、そのためには特に、これもきのう来議論になりましたが、第二十八条の職権行使の独立性、これが非常に強く特徴づけられておると思うのです。いわば準司法的な機能を特った公取がこの独禁法に基づいて法の運用を進めていくわけでありますが、公取だけの判断にはゆだねられない、要するに主務大臣と協議しなければならぬということはそういうことになると思うのですけれども、その理由は何か、具体的に何と何なのか、こういうことを私どもはいろいろ考えてみるわけでありますけれども、きのう来の答弁でもなかなか納得できる答弁はもらえていないわけであります。具体的に一体どういうことなのか、どういう内容があるのか、こういう点を総務長官からお答えをいただきたいと思います。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 まず、協議の目的でございますけれども、独占的状態に対する措置は、その要件あるいは措置の内容につきまして、一定の事業分野における産業構造にかかわりが深いということは御承知のとおりでございます。したがって、その事業分野に対する主務大臣の行う行政との調整を行うという必要がございます。そこで協議を考えたわけでございます。  二回協議を行うことといたしましたのは、審判手続を開始する前と審決の前とでは、協議すべき事項も変わり、また時間の経過もございますので、要件についての判断も変化してまいりますので、二回ということにしたのであります。  次に、協議の範囲でございますけれども、協議の対象といたしましては、その時期によりまして、審判手続を開始することの是非から始まると存じます。具体的な措置を命ずることの是非等も協議の対象でございましょう。こういう是非を判断いたしますためには、合理的な範囲で前提となる要件等についても判断することが必要でございまして、このような意味で、これらの要件等も実質的には協議の対象となると思うのでございます。  いずれにいたしましても、営業の重要な一部譲渡、非常に大きな問題でございます。そして、それは最後の手段でございます。実質的に競争を回復するために、他の方法によることができないかどうかということもひっくるめまして、協議の対象になるということを明らかにいたしたいと存じます。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 いま調整をするということをおっしゃったのですが、そうすると調整の中身は後段に長官が言われたようなことなんですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 昨日も、けさほども申し上げましたけれども、経済に関する政策というものはいろいろあるわけでございまして、その中の一つとしての独禁政策と申しますか、競争政策というものといろいろな産業政策との調和を図っていくという必要がございます。そういう意味において調整という言葉を使ったのでございます。  さらにまた、競争を回復してまいりますためにはあらゆる手段を考えなければならないわけでございまして、この手段ならばいかがであろうかというようなことで主務大臣と公正取引委員会との間にいろいろな協議が行われ、法運用者であります公正取引委員会と産業政策担当者でありますそれぞれの主務大臣との間に合意が調いましたならば、これはもう言うまでもございません、非常に結構なことでありまして、それが調わない場合には、最終的には公取委員会の判断にゆだねられるわけでございますから、やはり行政を展開してまいりますためには調和、調整というものが必要であるということを私は思うのでございます。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 ちょっとやはりこだわりますね。独禁法に基づいて公取が準司法的な立場での機能を発揮していく、こういうふうなことに対して、産業政策上の調整、調和、これは長官の話を聞いておりますと、何か非常に必要なような表現になっておりますけれども、これは一体どういうことなんですか。事実上の介入じゃないですかね、言葉をかえて言えば。介入がいい悪いは別にして、介入じゃないですか。明確に答えてください。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 ただいまの措置は独占的状態に対する措置なのでございますから、したがいまして独占的な状態によって起こる弊害を排除いたしますためにはあらゆる手段を考えなければならないわけでございます。そのためには、先ほど公正取引委員長も御答弁になっておりましたけれども、非常に独占的な状態が起こってくるというような状況になってまいりますと、これはもう世間の批判にもさらされますし、当然論議の対象になってくるわけであります。そういう中で、どのようにして競争を回復するような状況になっていくのか、そういうことについてはやはり行政指導も行わなければならないし、企業内の努力も必要でございます。そしてさらに、どうしても企業内の努力あるいは行政指導ではだめであるという状況の判断が公正取引委員会においてなされましたならば、公正取引委員会は協議に入るわけでございまして、その中でいろいろ主務大臣が意見を述べ、最終的には、最後の手段でございますけれども、どの部分を譲渡するのか、譲渡先はどこであるのか、あるいは雇用者の地位はどうするのか、債権債務はどうするのか、そういうようなことについて、具体的に経済の実態に即しながら意見を述べ合うということは、これは私は公正取引委員会の独立性を侵すものとは考えておりません。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 調整とか調和とかいう表現を使っておられますけれども、私は端的に介入じゃないかというふうにお聞きしたのですが、どうもはっきりその面はそうであるとかないとかいうことはお答えにならない。しかし、お話を聞けば聞くほど、やはり非常に大きな制約になる、こういうふうな感じがしますね。実際、公取の機能を準司法的に純粋な立場で発揮をしていく、そういうようなことを考えてみますと、非常に大きな制約、ブレーキになる、こういうふうに感じます。調和とか調整というふうに言っておられるわけですけれども、法律によって、たとえば不況カルテルの問題でありますけれども、適用除外が明確にそういう点で法律に書かれなければならない、こういう必要はないのですか。本来は、準司法的に公取がその機能を発揮していく、これは原則だと思います。しかし、いま言ったように、産業政策上に重要なかかわりがどうしても出てくるんだ、そのために調整、調和というのは必要なんだ、こういうふうにおっしゃっているわけですから、独禁法の中でいま言ったやむを得ない協議というふうなものについて、たとえば適用除外の条項を明確に設けるとか、そういう必要性というのは全くないのですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 私どもは独禁政策に対する産業政策の介入などというようなことは考えておりませんで、二十八条に規定してございます職権行使の独立性をあくまでも守るというたてまえを貫いてまいったのでございます。もうすでに御承知のように、合意にすべきであるとか、あるいはまた公取が勧告を出して主務大臣がそれに対して命令を出すというような案までも、いろいろ多種多様ございました。しかしながら、独禁政策に対する介入であるとかあるいは職権行使の独立性を侵すことがあってはならないということで協議というのをとったのでございますし、合意しない限りはあくまでも公正取引委員会の判断にゆだねられるわけでありますから、私はいまお話しのような意図は全くないということを申し上げておきます。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 時間の関係もあるので、次にもう一つ質問しておきたいと思いますが、独占的状態、八条の四、「競争を回復するに足りると認められる他の措置」、これはきのう田中委員が質問されまして、総務長官は関税率の引き下げなどを出されました。具体的にどういう措置ですか。きのうお答えになった関税率の引き下げ、これだけですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 他の措置と申しますと、たとえば輸入促進の効果を持ちます関税率の引き下げのような立法措置もございますし、そういう立法措置によらない行政指導、事業者の自主的にとる措置も含みます。これらはすべて、明らかに「競争を回復するに足りる」と認められるものでなければならないのでございます。また、「講ぜられる場合」という表現も使っておりますが、これは現実に講ぜられる必要はないのでありますが、講ぜられることが確実であることが明らかであれば十分であると考えているのでございます。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 関税率の引き下げの立法化といいますか、そういうふうな問題については別として、行政指導それから行政措置、そういうものが非常に広範に含まれるというお話なんですが、中身を、具体的に想定しておられるものを言っていただきたいのです。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 これは行政指導ということになりますと、独占的な状態が起こって、これは違法行為ではございませんで、非常にガリバー型になりましたりあるいは寡占になっていくわけでございますが、その弊害が起こりましたならば、弊害の内容によりましてその弊害の内容を除去するように行政指導が行われる、あるいはまた弊害というものも自主的に十分判断はできるはずでございますから、それはそれぞれのケースに基づいて自主的に措置を行うべきである、こういうふうに考えております。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 他の手段で競争が回復できないといいますか、もうこれ以外にはどうにもできない、こういうふうなのはどのような結果に基づいて判断をされるのですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 これは最終的には公正取引委員会の御判断によるものであります。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 たとえば関税を下げても独占的な状態が直らなければ一部譲渡を行う、こういうふうなことになりますか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、営業の一部譲渡というものは最後の手段でございまして、関税率の引き下げ等を行う、あるいはまた自主的努力もする、行政指導もする、しかし最終的に公正取引委員会で、これはやはり独占的状態であって弊害が起こるという判断をせられますならば、ここで新しく営業の譲渡という問題が出てまいるわけであります。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 いまの問題で公取委員長から見解をお聞きしておきたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 いまの独占的状態の排除としての一部譲渡、これの審判開始ということに当たりまして、私どもの知恵では思い浮かばなかったようなものが主務官庁ならばあるのかどうか、これは事実問題としては確かめる必要があると思います。ですから、それを協議という形で行うということについてさほどの抵抗は感じませんが、後の協議の方は問題ありますけれども、じゃどういう場合にやるんだということについていまの関税率、つまり輸入政策で対抗できるのかという問題があり得ます。物によるわけですね。だから、関税を下げたって、全然下げようがないというものであれば、これはどうしようもない。後は、現に対抗勢力として残っている劣位の企業ですね、その企業に対して政府が、たとえば政府の融資を行うとかなんとかいうことで力をつけることがいいのか悪いのかという問題もございます。そういうことはありますけれども、しかし分割というものも考えなければならぬような場合に、いろいろ政府でそういうことを行ってもそれほどおかしくないと思われる対策があって、対抗企業を育成するということが妥当な範囲で行われれば、私はそれでもいいと思うのです。公取としてはみずからそういうことをああしろこうしろということは言い出したくないのですが、政府がそういうことを考えるとか、あるいはいわゆる新規参入が困難だという状態でございますから、新規参入をしようとするものをできるだけ、これは出資者がおそらく単数ではなくて複数だと思いますが、そういうものによって対抗の企業を新しく出発させる。それにまた政府融資もつけるんだとかいう措置をとっても、なおかつ独占的状態を分割してという手段に訴えるよりはいいと判断される場合には、私はそういう方法で他にかわるべき手段と解釈していいと思います。しかし、それがある限界を非常に超えている、非常に非難されるようなものであるということであれば、これはそういう措置をとってまでその分割、一部譲渡を防ぐべきものであるかどうか、これは私はその場にならないと確実なことは判断できないと思います。それですから、その場面にぶつかって、私どももそういうほかのできるだけの措置を期待するということが前提でございます。しかし、余りそれに無理が行き過ぎても不自然じゃないか。それよりは分割以外にないんだというふうな認識が非常に強くあって世論もそれを支持するというふうな場合には、私は審判の開始に至るものと思います。

渡辺三郎日本社会党

○渡辺(三)委員 問題がまだたくさん残っておるわけですが、特に今度の法改正で消費者の保護あるいは消費者の権利の行使、こういうふうな問題についての改正案を見ますと、これは十分に取り上げられておらない、非常に不備である、こういうふうな感じを非常に強くしますから、この問題についてもぜひ考え方を質問しておかなければならないと思いましたが、ちょうど時間であります。いずれ他の機会にそれらの問題も含めて質問をする機会があろうかと思いますので、きょうはこれで終わりにします。

前田治一郎自由民主党

○前田(治)委員長代理 次に、倉成正君を指名いたします。

倉成正自由民主党

○倉成委員 政府は三木総理の非常な熱意のもとに、総理府を中心として独禁法の改正というきわめて困難な問題に取り組み、短時日の間に関係方面との意見の調整を図り、今日の改正案提出の運びに至った努力に対して、その労を多として深く敬意を表するものであります。  また、今日まで独禁法が必ずしも国民一般の問題でなく、特別な関係者の間のみの問題であったのが、今回の改正案の論議を契機に、学者、関係者のみならず広く一般国民の関心を呼び起こしたことはきわめて意義深いことであります。同時に、この独禁法の改正をめぐって、一面過大の期待と過剰の不安があるということも疑うことのできない事実であります。独禁法改正の背景は、現代社会における企業その他の組織の巨大化、経済力の集中に伴う弊害の是正あるいは最近におけるやみカルテルの横行に対して、現行法によっては十分対処できぬとの認識のもとに企業の新しいルールを作成することであり、言いかえれば、現代における自由主義経済のあり方を問う問題を含んでいると思うのでございます。このような見地において独禁法改正をとらえるとすれば、まず明らかにしておきたい点があります。  すなわち、独禁法の目的とする「公正且つ自由な競争」と一口に申しましても、現代の資本主義においては、巨大な少数の企業、すなわち寡占によって現代の社会が動かされている、また高度に発展した工業国がいずれも近代産業における寡占化を中心に営まれていることは否定できない事実であります。近代資本主義の担い手である寡占と独禁法の追求する自由競争は、いかなる点で調整を求めるべきか。また、寡占の間に効果的な競争状態が維持されているかどうかを判定する有効競争秩序を基準として独禁法を運用する、独禁法の理想と高度寡占の存在という、法と現実のギャップをいかに埋めるかということが大切なことと思うわけでありまして、この点に関しては、昭和四十八年秋の競争政策東京国際会議でいみじくも高橋委員長が、完全な自由競争の結果、競争に勝って独占的な位置についた企業は、いわゆる優良企業であることは否定できず、さりとて独占状態を認めることは競争政策の原理に背反する。競争政策の運用に当たって一番むずかしい問題は、自由競争の結果、効率の高い企業が次第に市場性を拡大し、寡占化、独占化が進む場合に、これにどう対処するかという問題であります、このような趣旨のことを述べておられるわけでございます。したがって、この点に関して、現代寡占の実態、すなわちこのメリット、デメリットに関する実証的な検討を一体どの程度なさっておるのかということが、やはり「公正且つ自由な競争」という現代社会における具体的な問題を取り上げる場合に大切なことであると思います。したがって、この点の実証的な把握についてどの程度の研究をなさっておるか、公取並びに企画庁長官である福田副総理、それぞれからお答えをいただきたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 ただいま提起された問題は、確かに一番注意を払わなければならぬ問題でございますが、私どもこういう公取の独禁法改正試案をつくるに当たりましては、やはりいままでの寡占化の傾向がどの程度のテンポで進んでおるのかというふうな問題、そしてその現状においてメリットとなるものはどういうことか。実証的と申されますが、しかしこの実証的というのは、各業界ごとに全部を網羅して動向をみずから調査するということは大変困難なことであります。しかし、概していろいろな方面の御意見を承ることによりまして、実証的とは言いかねるかもしれませんけれども、まず寡占化についての数字的な問題、企業集中の程度がどうなっているかというふうなことにつきましては、やはりそれなりの調査は行っているわけです。  メリットとしては、国際競争力ということに非常に大きな重点を掲げるならば、概して寡占化によって企業の単位が大規模になるということのメリットの方が多いと思います。しかしながら、寡占による弊害も無視できないわけでして、もちろん国際競争力の熾烈な闘いの中にある企業につきましては、そういう点から自然に余りにも得手勝手な行動は許されません。しかしながら、その一面においては、競争という点から見ますと――競争というよりは、一部に競争を行いながら協調的な機運が強くなり過ぎるというふうなデメリットがございます。  私は企業の単位と申しましたが、企業の規模は、たとえば大きければ常に国際競争力に強いかという点については、必ずしもそうではない。それはなるほど日本の鉄鋼業のようなものは相当な規模に達しております。しかし、日本の鉄鋼業が強くなるに当たっては、これは戦前からも比較してよくわかりますが、非常に鉄鋼業全体の規模というものは小さいものであった、比較的ですね。それが、戦後急速に増大した。それがために、その増大の過程において設備の全く新しいものがどんどん取り入れられたということ、結局一口に言えばイノベーションのテンポが各国よりは非常に速かったということが言えると思います。アメリカのように終戦時において一億トンを超える設備能力を持っておったところは、言ってみればその後の経済成長の鈍化によって、旧態依然たる施設をそのまま使わなければならないという点がございます。そういう点から言いますと、日本の鉄鋼業は、工場一つ一つの単位が、会社の規模というよりも工場が、最も近代的なものに置きかえられていますから、そういうものがどんどん進んで、旧式なものが捨て置かれる、だんだんと更新されるという宿命にあった。こういうふうなもの、これは私一つ典型的に申しましたが、しかしいずれにしても、日本の高度成長のもとにおいて、そういった傾向が非常に各業界に見られたということは争えません。その一方において、いまだに、一部の非鉄金属のような業界においては、かなり寡占でありながらなお国際競争力の点では著しく劣るというものも存在いたします。  そういった点、一律には論ぜられませんが、相当程度に国際競争力の進んだものが主でありますけれども――いまはちょっと特殊な事情がございます。現在はわが国の品物を買ってくれる相手側に外貨の余力がないというふうな事情もありまして、問題はありますけれども、全体としての力関係を見ますと、その方面については相当充実しているのじゃないか。それがこのまま放置した場合、さらに寡占の度合いを進め、かつ独占にまで至るというふうなことになりますと、その間の協調体制というものは一層促進されます。現にその傾向は、私ははっきりあらわれているものがあると思います。  こういったことが非常に問題になるような環境に置かれているということをとらえまして考えたわけでございまして、あんまり長くなりますのでどうも恐縮でございますが、現状の分析、認識という点についてはかなり行ったつもりでおりますが、ただ実証的にちょっと不十分な点があります。

倉成正自由民主党

○倉成委員 時間の関係がございますから、副総理にはまとめて御質問いたしたいと思いますが、いま高橋委員長からるるお話がございましたけれども、率直に申しまして、学者その他の日本における寡占の研究があることも承知し、私もそれらの論文をある程度読んでおるわけですけれども、やはりそういう実証的な検討ということについて若干まだ不十分である。これは日本の産業当局自体にも言えることでありまして、やはりこれから先の、われわれがこの寡占下における公正かつ自由な競争を追求していく場合には欠くことのできない問題であるということで、問題点を指摘するにとどめておきたいと思います。  そこで、この独禁法の思想の背景に自由主義経済ということがよく言われ、また委員長のお話の中にもあったわけですけれども、自由主義経済というのは一体何を意味するのか、どういう意味で使っておられるのか、そのメリットは何かということをひとつ、これは高橋委員長からお伺いしましょう。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 簡単にお答えいたします。  自由主義経済は、いわば全体主義経済に対する言葉だと思います。全体主義の中には共産圏のような体制を取っている国もありますが、また必ずしもそうではなくて、たとえば国家管理経済が非常に進んでおるというものは私は自由経済とは反対の立場にあるものと考えます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 委員長、ちょっとお伺いしたいのですけれども、社会主義国において独禁法のある国があるかどうか。もし御存じだったら御指摘をいただきたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 まあ確認して私は知りませんが、またその必要もないと思います。これは言葉をかえればいわば完全統制主義の国家でございますから、自由主義のためのルールである独禁法は不要であると考えます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 社会主義国において独禁法という単独法のある国があることを私も承知しておりません。もっとも憲法の中においては、東欧諸国において、たとえばユーゴの憲法第三十条、チェコスロバキアの百六十一条、東ドイツの二十四条、こういうところの憲法の条項の中には独禁法に類する条項がございますけれども、単独法としては社会主義国には独禁法はないわけでございます。すなわち、独占禁止法は自由主義経済社会のルールであって、そしてその中における競争促進政策であるという基本のロジックをやはり独禁法改正のときには忘れてはならないと思うのでございます。そういう意味から申しますと、率直に言って独禁法の目的、性格になじまないもの、率直に言わせていただくと、公取試案骨子にありましたたとえば原価公表、価格引き下げ命令などが政府案に取り入れられなかったというのは単なる技術上の問題ではない。やはり独禁法のロジックに合わないからこれは取り上げなかったというふうに私は理解しておるわけでありますけれども、総務長官、この間いろいろ懇談会等で各界各層の御意見を聞かれたと思いますけれども、どういう御見解であるか伺いたいと思います。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 原価の公表をいたしますと、これは言うまでもなく企業の秘密に属することになるわけでございます。また、原価そのものの計算の仕方もきわめて困難でございます。さらに、原状回復命令ということになりますと価格に対する介入という要素が出てくるわけでございます。したがいまして、お説のとおりいろいろな理由によってこれを採用しないことにいたしたのでございますが、自由主義経済の原則に基づきまして採用しないという結論を得たということも申し添えさせていただきます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 私は、次に、お伺いし、また私の意見を申し上げたいと思うのですけれども、独禁法の役割りとその限界ということであります。  独禁法で何ができるのか、何ができないのか。端的に申しますと、独禁法は万能ではないということであります。独禁法改正の論議が国民的課題として取り上げられたのは、狂乱物価時における大企業の行動批判によるところがかなり大きかったということは否定できない事実であります。そのために世論は物価騰貴の責任を企業、特に大企業に帰し、独禁法に物価対策、物価の抑制を期待したという面があることも忘れてはならないと思います。しかし、物価対策と独禁法とはやはり一線を画すべきであります。独禁法に対する過大の期待がこの審議において大きく間違った形で取り入れられるということは避けなければならないと思います。  今日問われている一番大切なことは何かと申しますと、私のかねての持論でありますけれども、政府、民間を通じてわが国において独禁法マインドの定着がないということであります。     〔前田(治)委員長代理退席、委員長着席〕 従来わが国において、政府、民間を通じて、独禁法といえばほとんど公取に全部ゆだねる、産業官庁あるいは会社、企業の方は独禁法を厄介な存在として取り扱わなかったかは疑わしいと思うのであります。アメリカにおいては、五、六歳以上の子供たちのゲームとしてアンチモノポリゼーションゲーム、すごろくみたいなものでありますけれども、独禁法違反をすると先に進まない、したがって独禁法違反をすることは損であるということが、子供のおもちゃの中にもあるように、国民の中に定着をしておる。また、西ドイツにおきましても、経済省の中に競争価格政策部が置かれまして競争政策をみずから立案をしておる。イギリス、フランスでも行政府自体が独禁政策の責任を負っておるということでございます。参入障壁の問題等競争政策の推進は独禁法のみでやろうとするところに無理があるわけでございます。  以上の見地に立って、産業官庁、企業の側においても多くの反省すべき点があろうかと思うのでございますけれども、幸い副総理御出席でありますが、産業官庁の中にやはり独禁法自体を取り扱うような組織、これは西ドイツとかイギリスとか、そういうところにあるわけですけれども、そういうものについて御検討の用意がありや否やということをお伺いしたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 倉成さんのお話、伺っておりまして私も感ずるのですが、結局独占禁止法というものは、これですべて自由競争、公正な競争、これが保障される、こういうことじゃないと思うのです。やはり人間社会全般を通じまして、社会連帯といいますか、そういう道義的な太い一線が貫かれなければならぬ、しかしそれはまたなかなかむずかしい問題である、そこでいろんなルールをつくる、産業界に対しまして一つのルールを与えるという仕組みとして独占禁止法というものが存在する、こういうふうに考えるわけでありまして、したがって自由にして公正なる経済活動、これはひとり独占禁止体制だけで保障されるものではない。やはり物資所管官庁、そういう中において、行政の一つ一つの中にその同じ考え方、社会連帯といいますか、そういう考え方、また一つのあらわれとして自由にして公正なる競争、そういうような考え方、そういうものがにじみ出るような行政、そういうことでなければ相ならぬだろう、こういうように思うのです。  そういうことから考えますと、自由にして公正な経済活動をどういうふうにして確保するかということは、これは公正取引委員会が独占禁止法という立場で取り組んでおりまするけれども、また政府行政、特に経済行政をやっていく各官庁の立場におきましても心していかなければならぬ問題である、そういうふうに考えますが、その仕組みは一体新しい仕組みが必要であるかどうか、そういう問題につきましては、この独占禁止法改正問題の過程におきましてもずいぶん議論があったことは私も承知しております。なお、そういう議論、これをこの独占禁止法改正で終わりとすることは妥当でない、なお今後とも鋭意、どういう仕組みが必要であるか、必要でありとすれば、これを取り入れなければなりませんが、そういう方向の検討はしていかなければならぬだろう、さように考える次第でございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 この独禁法の改正の論議の中で、たとえば営業の一部譲渡の協議の問題をめぐっていろいろ論議がございました。そしてまた、委員長から率直に、非常に公取を信頼しないのじゃないかというお話がありました。私は、この委員長の御発言は率直にいって事実であろうと思います。それはやはり産業官庁と公取の間においても相互に信頼感がない。行政の責任を持って、議院内閣制度である内閣、そこで国民のために行政をやっている産業官庁、これと公正取引委員会が、実際は職権は独立していると申しながら、いろいろ討議をするということは一つもおかしいことではない。それをおかしいというところに、いろいろ何か問題があるのじゃなかろうかという感じがするわけであります。  これから先の日本の経済を考えてまいりますと、資源、環境、土地問題、不確定の新しい要素がこれから幾多山積をしてまいります。その中で競争政策が有効に働くためには、他の産業政策、経済政策がこれを補完し、整合的に働いていかなければなりません。市場メカニズムを活用すると申しましても、銀行の金利の問題一つをとってみましても、これが硬直化しておるということで市場メカニズムが動くでしょうか。物不足の場合には、輸入政策を活用したり増産をしなくて、競争政策だけ、独禁政策だけでやろうとしても、できっこありません。また、小売商と百貨店の問題一つをとって申しましても、またこれは繊維の不況の問題とも関連するわけですけれども、百貨店が地方に出ていく、消費者としては、安い物が豊富に供給してもらえるということで非常に歓迎すべきことかもしれないけれども、小売商にとっては死活問題である。繊維の不況の問題についても、公正取引委員会が不況カルテルの認可について、一月きざみというような形で非常に厳格な適用をされた。独禁法の立場からいっては、あるいはそれが正しいかもしれないけれども、倒産するかもしれないという繊維の中小企業の立場、私の友人にも実際経営している人がおりますけれども、そういうものの立場からいうと、産業構造政策が一方において準備されずして、ただ不況カルテルの認可を非常に厳格にするということだけでは解決しないわけでありまして、これが生きた経済であります。したがって、独禁法は万能では決してない。したがって、独禁法マインドが国民の間に定着して、他の経済政策と整合的に補完的に動いていくということが、自由な公正な競争、国民経済の発展を促すゆえんのものであると信ずるわけでございます。委員長のお会いになった西ドイツのカルテル庁の長官であるギュンターさん、私も同僚諸君とともにお目にかかりましたけれども、やはり独禁政策というのは多くの政策のワンノブゼムであるということをはっきり申しておりました。  私の意見をまじえて申しましたけれども、以上の諸点に対して高橋公取委員長どのような御見解をお持ちか、お伺いをしたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 ただいまの御意見に対しては、私は相当程度において同意、同感の意を表する次第でございます。  ただ、独禁法が万能である、そういうふうな考えはもともと私ども持っておりません。それから、独禁法があればほかのものは要らないんだというところまでは考えておりません。  たまたまいまギュンター氏の話が出ましたが、ただ西独の場合、経済省の中にカルテル庁があるわけです。経済大臣の実際にやっていることは、カルテル庁の行動をチェックするのではなくて、後押しするという体制になっています。支援する、法律改正の場合にも、積極的に支援するという形になっている点が、大分事情が違うのじゃないか。というのは、あそこの国は、きのう田中さんがおっしゃったが、エアハルト自身が、占領軍から預かった独禁法では満足しないんだ、われわれみずからの手によって独禁法をつくるということを非常に強く説いて、それで何年かかかって占領軍のものにかわる独禁法をつくり上げたという歴史から見ましても、その意欲の程度たるや非常に違うわけでございまして、また独禁法を非常に強く活用すれば、余りいわゆる行政介入というふうなものは要らないので、民間の創意工夫を大いに生かしていくのがいいのじゃないか、こういうふうな態度をとっております。  しかし、それは西独の場合の例でございまして、各国ともそういうふうにいっておるかと言えばそうではございません。ですから、物価問題につきましても、明らかにこれはその場合によるのでありまして、いわゆる一般的なインフレ的傾向が、いわばギャロッピングインフレーションが進んでおる場合において、独禁法でこれを阻止しようというのは私は不可能だと思います。それはむしろ経済政策、特に財政金融政策等を中心としてやらなければ対象にならない、そういうわけでございまして、独禁政策が直ちに物価問題に役立つという点については、もっと長期的な観点において見ていただければわかりますけれども、短期的な景気変動に伴う物価の上昇に対する即効薬にはならない。しかし、こういう公正な自由な競争のルールといいますか、それが基盤となって存在するということは、どんな場合でも必要であって、結局インフレーションにアクセルをかけるかあるいはブレーキを踏むかという点になりますと、少なくともアクセルをかけることを防止するという点については、多少の役に立つ面もあるのではないか、こう思っておりまして、われわれの仕事の限界というものは十分心得ておるつもりでございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 いま西ドイツのお話がございましたけれども、おっしゃるとおり経済省の中に競争政策を促進する部局があってかなり熱心にやっておる。そういう点はありますけれども、御承知のとおり政治的に独立を保障されておるカルテル庁につきましても、御案内のとおり毎週火躍日にはギュンター長官は経済省の局長会議に出席しておる。ボンと西ベルリンと離れておりますけれども、西ベルリンからボンに行って、毎週火躍日には出席をしております。また、二週間に一回はカルテル庁の調整会議に経済省の代表が出ておるということを考えますと、やはり重要な経済問題は、実際上いろいろと相互の連携が保たれておるということを考えてまいりますと、後ほど公正取引委員会の性格の問題にも触れたいと思いますけれども、わが国の産業官庁の従来の態度がどうであったかということは別としましても、これからはやはり密接な連絡をとってやることが望ましいと思います。  そこで、公取委の案の骨子が、急いだ改正のために、一応今回の政府の案の中心になっておるわけですけれども、この公取委の案の骨子はアメリカあるいはイギリス、西ドイツ、フランスあるいはその他の国々のどこの思想と申しますか、どの点を非常に参考にされたのかということをちょっとお伺いしたいのです。  時間の関係上、率直に私の意見を申しますと、アメリカのところも入れたし、あるいは西ドイツの課徴金の問題も若干取り入れるというふうに、いろいろとあちこちのものをそれぞれつまみ食いしたと言うとちょっと悪いのですけれども、それぞれ入れてきた。そこで、アメリカにはアメリカの一八九〇年のシャーマン法以来の長い伝統があり、裁判の歴史があり、西ドイツは先ほどお話しのようにいろいろな経過があるわけでありまして、それぞれの思想と体系、また経済状態が違うわけですね。ですから、その辺はどういうフィロソフィーというか、そういうものを背景としてお持ちになっておったか。先ほどから課徴金の問題についていろいろ議論がございます。西ドイツは課徴金はあるけれども刑事罰がない。したがって、公取委員長も一度、課徴金の制度を言われたときに、課徴金を設けたときには刑事罰はかけない、したがって公取委員長もかつては、課徴金をかけた場合には罰金はかけないようにしたいというような御希望もあったようなことを、私の主宰します委員会でもお話しになったことを記憶しておるわけでありまして、やはりカルテルに対しては刑事罰である罰金、それから損害賠償、そういう制度とあわせて課徴金の制度が取り上げられた。悪いことをすれば何でもどんな制裁を課してもいいというものじゃなくて、やはりおのずからそういうバランスとそれぞれの役割りというものが問題になってくるんじゃなかろうかと思っておるわけですけれども、この点、ちょっと時間がございませんから、もう簡潔で結構ですからお答えをいただきたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 確かに御指摘のように、一貫してどこの国の流れをくんで取り上げたというものではございません。各方面の長所と思われる点をおっしゃるようにつまみ食いした。  課徴金につきまして、かつて私がなるべくなら課徴金をちゃんと取って、その場合には刑事罰は課さないようにしたい、告発はしないかわりに課徴金を取ることによって――やたらに刑事被告人をつくるだけが目的じゃありませんし、実は日本の裁判所、検察庁の事情からいいまして、アメリカのようにどんどん刑事事件を毎年二十件近くも取り上げるということは事実上不可能に近いのです。ですから、そういうことを考えて課徴金制度を考えた。ところが、その課徴金制度は、私どもが考えたものよりは、比べればはるかに微温的なものになっているということは争えませんので、そこで実は私どもが言ったのではなくて、課徴金制度をつくってこれを課してもなお刑事責任を免除されるものではないというふうな解釈が、私どもの方からではなく出てきてしまったというのが実情でございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 それでは、課徴金についてちょっとついでですからお尋ねしておきますが、公取委員長、実行期間についてもう一つ明らかにしておきたいと思います。  カルテルと呼ばれるものは、通常始まったときはわかります。しかし、解除手続、これでカルテルは終わりましたというようなことを通常やらないと思うのですね。そうすると、カルテルの価格の影響がなくなったというのはどういうふうにして判定をされるのか。この解釈いかんでは、企業の違反行為を取り締まる必要がないし、今度は訴訟に踏み切ると納入すべき課徴金がどんどんふえてくるということで、なかなか問題があるような気がするのですけれども、カルテルの実行期間をどうとるかということ。命令を出したときということはこの前からの質疑でわかりましたけれども、そうでなくて、解除手続をやらないけれども影響がなくなったというような場合、それをどういうふうにして判定するか、ひとつお伺いしたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 当方が勧告を出しまして、それを受諾しますと間もなく審決が出ます。それで、審決には一ヵ月間確定までの日にちがありますが、その間において業界のとった措置――こちらの命令のいかんにもよります。こちらが、特に先ほど申し上げたように価格については協定価格では困るんだということをやった場合には、その措置をとった場合が終期でございます。だけれども、その処置をとらないでいるとやはり続いているというふうに見ざるを得ない。だから、排除命令が、勧告がそうなっていない場合にはどこが終点かというと、原則的に言うと審決が確定時である、こう思います。審決が確定するということは、審判手続をとった――審判手続というのは不服の申し立てをしまして、勧告に応ぜず審判手続をとりますれば、そのままずっと審決確定時まで続いている、こういうふうに認定することになります。

倉成正自由民主党

○倉成委員 ただ、そのカルテルが非常に早く発見された場合はおっしゃるとおりかもしれませんけれども、かなり後から発見された場合、実際はカルテルの影響がなくなっている。カルテルをやめましたなんと言う企業はないと思うのですね。そういう場合の処置というのを伺っておるわけですけれども、審決を出して、それが終わらないとずっとその期間を実行期間と見るということでしょうか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 私は、終期についてはその点で例外が起こり得るということですね。というのは、事実上カルテルは過去の行為についても排除命令を出せるのですが、完全にそのカルテル価格が市場において通用しなくなって崩壊してしまった、だからばらばらになって、しかも相当低落して、カルテル価格がむしろ実体を失ったという場合には、その手前の時点、そうなった時点が私は終期だと思います。違反行為は続いているとは言いながら、それはもう実際上崩れてしまったのですから、そこでカルテルはやんだ、終わったと認めるのが妥当ではないかと私は言うわけです。ただし、これは私の個人的な見解であるということを御了承いただきたいと思います。

倉成正自由民主党

○倉成委員 公取委員長に対してまだたくさんございますけれども、副総理のお時間があるようですから、副総理にちょっとお尋ねしたいと思います。  今度の独禁法改正の中で、私は消費者保護の問題を取り入れてない、取り入れてないと言うと言い過ぎでありまして、通知義務の問題が一つあるわけですけれども、よく言われております九十六条の公取の専属告発権、あるいは損害賠償について審決前に地裁に請求できるようにする二十五条、二十六条の問題、あるいはクラスアクションの問題、いずれも技術的に非常に問題があるということは私もよく承知しておりますが、この点は公取委員長にお伺いしなければいかぬ点ですけれども、一応これらの問題がいろいろな技術上の問題と関連して取り入れられなかったということを前提にして副総理にお尋ねしたいのです。  わが国において、率直に申しまして一般の国民が訴訟には必ずしもなじんでいない、アメリカその他のようにすぐ裁判に訴えて権利を主張するというわけにはいかないという場合に、消費者がどうもおかしいぞ、また損害を受けたと思った場合に、これを何らかの形で救済する制度がないかどうか。課徴金の問題も不当利得の概念で最初出発しましたけれども、これは政府が全部取り上げてしまうので、不当利得税的なものを得ても消費者にとってはそれは何も利益にならないわけです。したがって、消費者救済の制度というのを何か少し考えてみる必要があるのじゃなかろうかという感じがするわけであります。スウェーデンにおきましては、一八〇九年に設けられましたオムバッズマン、すなわち議会オムバッズマンを嚆矢としまして、これは政府から独立した権限により行政庁に不当に取り扱われた市民の苦情を調査して行政庁に勧告することでありましたけれども、その後その成果に伴いまして公正取引オムバッズマン等の各種のオムバッズマンの制度が新設されて、消費者オムバッズマンが一九七一年に設けられております。消費者オムバッズマンは、消費者問題監視を担当し、事業者またはその団体に対する調査、話し合い、裁判所への訴訟の提起、企業活動への差しどめ命令の権限が与えられておるわけであります。この詳細なことは省略するといたしましても、経済企画庁の中に国民生活局あるいは物価局というのがありまして、これは国民のそういう生活の問題あるいは物価の問題に携わっておるわけでありますけれども、しかし一般の庶民の物価の問題について、あるいは生活の問題について、本当に話し相手になって機能するというのにはいささか遠い感じがするわけでございまして、これらの消費者保護という見地、これを独禁法すべてに求めるということは無理にいたしましても、独禁法周辺の政策、周辺の法律においてこれらのことを検討していく御用意があるかどうかということをお伺いしたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 独占禁止法は、自由にして公正なる取引、経済活動、これを通じまして国民生活の安定に資する、つまり国民、消費者ですね、終局的にはそこへ行くわけでありますが、直接に消費者のことを考えた働き、これは非常に軽微のようです。したがいまして、独占禁止法と申すわけではございませんけれども、その周辺といいますか、あるいはまた別の立場におきまして消費者のことを考える、これはもう当然考えなければならぬ、そういう時期になっておる。つまり大量消費社会というか、そういう時世でございますので、その中における消費者、国民の立場というものを擁護することを考えることは私は当然であろうと思うのです。  そこで、いま経済企画庁におきましては、国民生活センター、こういう仕組みを持っておるわけです。これは情報をキャッチする、同時に国民から苦情を承る、その承った苦情に対しまして行政各官庁においてそれぞれ適正な対処をする、こういうことでございますが、さらに国民生活審議会等におきまして、法制的に消費者を保護する道が他にあるかどうか、いろいろ御提案は各方面からあります、ありますが、それを具体的に実行できるかどうかというようなことを、専門部会といいますか、そういうものまで設けましていま検討をお願いしておるわけでありますが、検討の結果に妥当な案が発見されるということになりますれば、これを積極的に進めてまいりたい、こういうことですが、いまのところはまだどういう仕組みを考えているということをお答えできる段階ではございません。

倉成正自由民主党

○倉成委員 消費者保護の問題は、副総理もお話しのように、独禁法においては間接的な効果であることは御指摘のとおりでございます。しかし、今度の独禁法改正の大きな推進力になったのはやはり消費者の力であったということも考えてまいりますと、やはり消費者保護の問題にさらに政府として積極的に取り組んでいただきたいということを御要望申し上げておきます。副総理、結構でございます。  それでは、公取委員長の方へ質問を戻したいと思います。  独占的状態に対する排除の問題でございますが、私的独占による第七条の適用をいままでおやりになったことがあるかどうかということをちょっとお伺いしたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 私的独占として事件を取り扱い、その排除を命じた事例は、わずかではございますが、ございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 そうすると、この中で営業の一部譲渡の適用をおやりになったことはございましょうか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 それはございません。

倉成正自由民主党

○倉成委員 アメリカ並びにヨーロッパにおいて企業の分割の例、これがあればひとつ御説明いただきたいと思いますが、これは委員長でなくても、専門の一番よくおわかりになっている方があればそれで結構です。

渡辺豊樹公正取引委員会事務局官房審議官

○渡辺(豊)政府委員 アメリカでございますが、先生御存じのようにアメリカではシャーマン法がございまして、シャーマン法二条違反の企業に対しまして裁判所がいわゆる企業分割の判決を下しております。  企業分割の判決の内容と申しますのはいろいろございまして、古くは持ち株会社の解体を命じたものが多うございましたが、その後子会社の株式の処分あるいは資産の譲渡、あるいは営業の譲渡、新会社の設立等を命じておりまして、それは現在までに二十六件ございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 いまアメリカでの企業分割の例をお話しになりましたけれども、その中の株式処分の問題と垂直的な分割、水平的な分割、一口に企業の分割と申しましても非常にその概念が明らかでございませんが、私の承知している限りでは、そのうちの大部分が株式の処分にあったと記憶しておりました。垂直分割についてはパラマウント社と寝台車のプールマン社、これの製造部門と販売部門を分ける判決があったと思いますが、水平的な分割、すなわち企業を半分に割るというような分割の事例があるかどうか、ひとつお伺いしたいと思います。

渡辺豊樹公正取引委員会事務局官房審議官

○渡辺(豊)政府委員 水平分割、古くは持ち株会社の解体がございまして、持ち株会社を解体することによりまして当該持ち株会社に持たれていた子会社というものが分離独立した、多くの子会社が独立していったというのは一種の会社が分かれていった例かと思いますが、裁判所が会社の分割案を裁判所へ提出しろといった案件が二件ございますが、一九二〇年代でございまして、ちょっと内容については細かくフォローできておりません。  先生のおっしゃいましたパラマウントの会社は、制作部門と興行部門の両方をやっていたわけでございまして、それの部門を分けたということが垂直分割という御意見かと思いますが、しかしこれは新会社にいたしましてそこに営業譲渡をするという形をとっております。  ただ、純粋に営業を二つに分けたというのは四件ございまして、それは古くはデュポンの会社でございます。それから、インターナショナル・ハーベスター・カンパニー、その他シャイン・チェーン・シアターズ事件、ユナイテッド・シュー・マシナリー・コーポレーション、これは一九六九年の同意判決でございますが、そのような判決がございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 最高裁の最終判決で水平分割として正式な判決は、一九六九年のいまお話しの同意判決であるユナイテッド・シューズ・マシナリー、これであると思うのですけれども、アメリカでもこの企業分割、これはもちろん自然成長の企業を分割するということは、なかなか裁判所もこれに消極的であることは御承知のとおりでございます。日本の今回の自然独占状態に対する排除というのは、現在のアメリカにもない制度であるわけです。  それではもう一つ、参考のために、ヨーロッパでこういう企業分割の例があるかどうか、ひとつお伺いしたい。

渡辺豊樹公正取引委員会事務局官房審議官

○渡辺(豊)政府委員 ヨーロッパで企業分割の制度を法制上設けておりますのはイギリスでございますが、イギリスでは具体例については承知しておりません。

倉成正自由民主党

○倉成委員 いまお話しのように、制度としてはあるけれども、いまだやった例はないわけです。それから、アメリカの場合は御承知のとおり司法省の独禁局が告発をしまして、そしてこれを裁判所が裁く。また最近、不公正な取引法に関連してFTCがやはりこれらの問題に手を触れようとしている向きもありますけれども、最終判断は裁判所にあるわけでございます。構造規制に踏み込んだという意味においては、私はやはり日本の今回の独禁法の改正というのは非常に画期的な意味を持つ、ある意味においては世界最高の水準のものになってくると思うわけであります。このユナイテッド・シューズ・マシナリーの一九五三年における最高裁判決で判事がいろいろなことを言っておりますが、時間がございませんので私はその最終的なところだけを御紹介しますと、いかに大きな権限が与えられ、多くの事実資料と意見を提示されたとしても、第一審判事、トライアルジャッジはただ一人であって、それゆえ注意深く控え目に行動しなければならないということを申しております。また同時に、一九五三年のその判決の中で、もし有効競争が行われることが絶対的に保障されなければならないと主張する論者や、力の分散によって得られる社会的、政治的、経済的利益を早急に実現せよと主張する論者に迎合して、外科手術のような苛烈さで手続を進める習性を裁判所が有していたならば、反トラスト法の分野においてこのように大きな権限が与えられることもまたそれを有することもできなかったに違いない、またそれならば実体規定の解釈を時に応じて自由に変更することもしなかったであろうということで、控え目なそういう裁判所の行動が大きな権限を与えられた。したがって、権限は与えられてもこれを取り扱うには非常に慎重にやらなければならない。したがって、本当に日本に独禁法マインドが定着し、そして官庁あるいは公取、国民相互の間の信頼感というものが現在成り立っておれば、これはもっとシャーマン法のような包括的なものであって、それを自由裁量によって注意深く運用していくということが考えられると思うのでありますけれども、残念ながら現在の日本はそういう状態にはないということと、それからもう一つはやはり公取自体の制度がちょっと世界で特異な制度であるというわけでございますが、日本の公取に匹敵するような制度というのがどこか世界であるかどうか。これは委員長からちょっとお伺いしてみたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 私は、これはアメリカが置きみやげにつくっていったと思うわけですが、アメリカのつくった制度だと言ってもいいのですけれども、アメリカはさらに行政委員会という制度がございます。アメリカでもいま現在あるFTCですね。この分担の範囲は司法省とちょっと分かれておりますが、あれはやはり独立性は保障されていると思います。あの上にこれを監督する機構はありません。ただ、司法省がやる場合には、これは司法省が結局検察庁を兼ねておるわけでして、司法長官イコール検事総長ということでございますから、そういう形で直ちにアンタイトラスト局の職員、検事が起訴をする、こうなっております。そういうことでございまして、これは実は私はよく確かめてはおらぬですが、日本でこの連邦の取引委員会の制度をまねしたようなものを置いたのは、アメリカではしばしば、やはりいまでもそうですが、司法省の分担とFTCの分担とについて争いがあった。そういうことがございまして、それなら一本化を図った方がいい、そして独立性を与えるということがやはり必要であるということから、法務省にその権限を与えないで行政委員会であり、かつその中に司法的機能を持たしたというのが実態で、司法的機能を持たせるためには独立性を与えなければならぬということであったように思います。

倉成正自由民主党

○倉成委員 いま高橋委員長から御説明がありましたけれども、アメリカにおいては司法省の独禁局がシャーマン法を取り扱う。それから、FTCはクレイトン法並びに連邦取引法を取り扱っております。相互でいろいろな話し合いをしてうまくやっているようですけれども、結局これは告発までなんですね。それで、最終的な判断は裁判所でやる。しかし、日本の公取の場合には告発をやり、少なくとも第一審に当たるものは公取でやる。また同時に事実認定におきましては、高裁においても差し戻しはできるけれども事実認定はもう公取で大体終わりであるという、特別な、世界に例のないような非常に強力な機関であるということは言えると思うのです。そういうことを考えてまいりますと、ここで裁判所とどこがどう違うのかという問題、検察官であり、裁判官であり、またある意味では行政官であるという面があるわけでありますけれども、経済民主化の立場から権力がこのように集中することが望ましいかどうか。仮にそういう制度を認めるとすれば、その運用については非常に注意深くあらなければならないというふうに思っておるわけでございます。  しかし、いずれにしましても、この高度寡占の中で公取が非常に勇気をもっていろいろな活動をされて世間の注目を浴びてきたことも事実でありまして、これらの中でひとつ本来の目的に沿って御活動をいただきたいと思います。  私は、与えられた時間が参りましたので、これで一応終わりたいと思いますけれども、やはり独禁法という基本的な問題、この問題についていろいろ議論をすると、これはもう本当にエンドレスの議論が続いていく。しかし、少なくともこの独禁法改正の動機に当たりまして、各界各層の人たちが意見を集中して政府案を練り上げてきたということでありますから、何とか野党の諸君にも御協力をいただいて、この案を今国会において通過させたい、そういうことを念願いたしておるわけでございます。  また改めて機会を得まして御質問申し上げることにして、私の質問を終わりたいと思います。

山村新治郎自由民主党

○山村委員長 荒木宏君。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 私はこの改正案等について、まず公正取引委員会の職務権限の独立性の問題についてお尋ねをしたいと思います。  すでに論議されましたように、改正政府案の八条の四で独占的状態に対する競争回復措置、これが講ぜられるときには主務大臣に対する公正取引委員会の協議が義務づけられました。いままでの説明を伺っておりますと、現在の独禁法あるいはその他関係法令にも公正取引委員会の協議ということはある。政府の答弁では独立性の点は問題がないようにおっしゃっておりますけれども、私は違うと思うのです。これは、この今回の協議の義務づけは非常に悪質なものではないかと思いますので、総務長官に、従来の協議の義務づけと今回の協議の義務づけを同じ性質のものと見ておられるか、それとも違った性質のものとごらんになっておるか、答えをひとつ簡単にお願いしたいと思うのです。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 同じものと考えております。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 従来の協議の義務づけ、これを一、二おっしゃっていただきたいのですが、たとえばどんなものがありますか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 不況カルテルの認可、合理化カルテルの認可等でございます。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 それは独禁法上は、たてまえとしては適用除外になっている場合ではありませんか、総務長官。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 適用除外という点については仰せのとおりであります。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 今回の協議の義務づけ条項の対象は、これは適用除外ですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 適用除外ではございませんけれども、独占禁止法の中におきまして、公正取引委員会が主務官庁と協議をするという点においては変わりはございません。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 協議の性質の問題をお尋ねするについて、対象の法律上の扱いがどうか、これを聞いておるのです。従来の協議義務づけ条項は適用除外になっている、今回のは適用除外ではない。法律の形式上の違いは総務長官、お認めになった。  内容の問題について伺いますが、従来の協議の義務づけは適用除外という以上は、これは本来別の目的で、従来独禁法の枠内、公取の手の内にあったものを別の目的ではずすというのでしょう。今回のこの独占的状態に対する回復措置、これは公取の本来の職務にしていこうというのですか、それともそれは別のものにしようというのですか。内容の点はどうですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 合意の場合には別でございますけれども、協議の際には、協議が調いません場合には公正取引委員会の判断にゆだねられるのでございますから、したがってそういう意味におきまして、新しい営業の重要な部分を含む一部譲渡等等、独占的状態の排除措置につきまして公正取引委員会が主務大臣と協議をするということは、何ら公正取引委員会の権限を侵すものであるとは考えておりません。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 総務長官、別の答えをされては困るのですよ。私は、協議の結果がどうでありますかということは聞いていないのです。私が伺ったのは、今回皆さんの案の中で協議を義務づけておる対象となる事項の性質がどうであったか。あなたの本年五月八日の衆議院本会議における答弁では、独占的状態というものは価格、利益の面で弊害があらわれている、だから競争を回復させるための措置としてとるんだ、こう言っておられるのでしょう。だから、これは初めからしまいまで本来独禁法の対象になることであり、対象にされたことであり、公取がずっとめんどうを見ていかなければならぬことでしょう。しかし、いままでの協議は別の目的があって、競争制限あるいは株式集中という事態があるけれども、これは法律上の措置をもってはずします、こうしているのでしょう。はずすから、その間の協議、これは場合によってはありましょう。しかし、初めからしまいまでこれは独禁法の領域内ですよ、法律の措置ではずしはしませんよ、公取が最初から最後までめんどうを見るのですよ、こう言っている。いわば公取の本丸のような領域のところに、協議をしなければいけませんよというふうな扱いをしたことはいままでありますか。  これは公正取引委員長に伺いますが、前の田中内閣のときにこういった案が政府から提案されたことがありますか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 政府からの提案というのは実際には今回が初めてでございますから、これは前にはありません。  それで、協議の点は、従来は確かに独禁法の上で、あるいはほかの中小企業団体法とかあるいは輸取法ですね、そういう方で初めから一応独禁法を適用除外にして、除外にしたのだけれどもなお協議するというふうなものがあるわけでございますが、この独占的状態については、強いて言うならばこれは適用除外とは何ら関係ない。しかし、これを弁護する方の立場から申しますれば(「弁護は要らぬ」と呼ぶ者あり)要らぬですか。それじゃ、それだけで終わります。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 公取委員長に伺います。独占禁止法を直接運用する立場の責任者としてしっかりしていただかなきゃいかぬと私は思うのですが、それは皆さんの仕事のやらなきゃならぬ領域でしょう。法律の力でこれはもう別のところへ持っていくぞということはしてない、今度の独占的状態というのは。そういう皆さんの仕事だというふうに独占禁止法上も決められており、そして公取がそれこそ一番、任務の担い手として初めからしまいまでやらなきゃならぬことについて、ほかへ協議をしなさいというのは、いままでの、これは別ですよと言っている場合の協議とは同じとは言えないんじゃないですか。ひとつ結論だけ言ってください。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 それは少なくとも同質のものとは言えないと思います。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 総務長官は同じものだ、公取委員長はこれは違う、同じものとは言えない、そして前の田中内閣のときにはこういうふうな案が政府から出されたことがなかったということをいま伺ったわけですけれども、私はさらにその上に、こういう案を提案してきた政府の理由ですね、これがまたいささか問題があるのではないかと思うのです。いままでの答弁で伺いますと、産業構造に関係がある、産業政策との調和、調整が必要だ、こういう理由だというふうに伺ったのですが、総務長官、大体そういう趣旨の理由だということでよろしゅうございますか。ひとつ結論だけ簡単に言ってください。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 先ほどのお答えの補足でございますけれども、同じ行政措置であるという意味で、協議は現行法と新しいものと変わりはないということを申し上げたのでございます。  それから、ただいまお尋ねの点につきましてはそのとおりでございます。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 同じ行政措置というふうな漠然としたことでは伺ってないのです。論議はきのうから始まってだんだん詰まってきているんですからね。一般的な行政措置であるかどうかというようなことを何もあえて時間を取って伺う必要はないのです。独禁法としての内容の性質から見て同じかどうか、これを伺ったわけですが、それはもう論議は済みましたから……。  今度の提案の理由で産業政策との調整ということをおっしゃる。で、私は、そういう理由でもって本来公取の任務とされておる独禁法上のいろいろな職務について、さあ、これはこの主務大臣と協議しなさい、この事項はこの主務大臣とやりなさい、これが次々とやられないという保証があるだろうか、今回、三木内閣の手によって初めてやられたこの新しい協議の義務づけ条項によってですね。その懸念があるわけです。  そこで伺いますが、たとえば公取が行う措置として管理価格に対する一定の措置があります。あるいはまた事業者団体に対する解散という措置がある。これらの措置は産業政策と全く無縁だというふうに言えますか。総務長官、どうですか。公取が行う各種の企業活動、これが産業政策とは全く縁が切れていると言えるかどうか。いかがですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 経済に関する政策というものはいろいろあるわけでございまして、そのうちの一つに独占政策と申しますか競争政策があるわけでございます。したがいまして、他の産業政策と無縁であるとは申せません。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 ということは、つまり同じ理由でもって情勢のいかんによっては次々と、通産大臣あるいは農林大臣あるいはその他主務大臣という条項がつくられていくことを食いとめる歯どめというものは必ずしもないんじゃないか、私はこの点に今回の提案の一つの問題があると思うのです。といいますのは、産業政策と独禁政策についてこれは両立するものである、こういう答弁がありました。  そこで伺いたいのですが、それじゃ矛盾する側面は全くありませんか。初めからしまいまで全部産業政策と独禁政策というものは全くうまく調和されたものなんでしょうか。矛盾する面があるかないか、その点は長官、いかがです。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 まず申し上げますけれども、独占的状態の排除措置というものは、違法行為ではないのでありまして、弊害が生ずるのに対しましてその排除措置をやろうとするものでありますから、性格づけにおいて他のものとは違うということをひとつ御了承いただきたいのであります。  それから、産業政策と競争政策とが全部なじんでいくか、調和をしていくかということになりますと必ずしもそうではないものがございます。であればこそ、協議をいたしましても合意をするに至らない場合があるわけでございまして、合意に達しない場合には公正取引委員会の判断にゆだねるということで、職権行使の独立性を認めているのであります。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 お尋ねしたのは矛盾する場合があるかないかということをお尋ねしたわけで、独立性についての論議は一連の質疑の総体としてお尋ねをしておるわけですから、部分的な論議でもって全体の結論はお控えいただきたいと思うのです、質疑の進行上。  そこで、この矛盾する場合の例でございますが、こういうのを御記憶かと思うのですが、昭和四十八年の十二月十三日、衆議院の物価対策特別委員会に経団連の副会長でありました堀越禎三氏が見えました。その中でこういうことを言っていらっしゃる。いま公取委員長が言っておられるような、いささかでも相談すればカルテルだということは行き過ぎだと思う。よく業界で相談をして、みんなが納得した正当な価格、そういう守れる価格を決めなければ、結局やみ価格の横行になる。つまり公取委員長は相談をすればこれは共同行為だ、ところが財界の方ではそんなことを言ってたってみんな納得しないからこれはだめじゃないか、こういう指摘があるわけであります。さらに私が重要だと思いますのは、同じ日の堀越参考人の供述で、価格安定カルテル、これをぜひやってほしい。そして、当時の中曽根通産大臣も経団連と日商・東商、日経連、経済同友会の共催で行われました会合で、この価格安定カルテルを結べるよう独禁法の運用を再検討してまいりたい。つまり通産大臣が独禁法の運用をこういうふうにやりたい、財界の諸君が言っているようにやりたい、こういうふうに言っておるわけですよ。ですから、明らかにこういう場合には産業政策と独禁政策が重要な部分で矛盾をしている。  これは公取委員長に伺いたいのですが、こういったことが全然ない場合と、通産大臣もこう言っている、財界もこう言っている、そして意思の疎通を図るまで協議をしなさいと言っている場合、結果は別ですよ、意思形成の過程において全く影響を受けないと言い切れるかどうか。いかがでしょうか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 私はいまおっしゃられたようなその考え方、財界の方の考え方は、代表しているものと仮にすれば、あるいは政府の方の答弁もそうであるとすれば、それこそ独禁政策はほとんど根本から無視されているというふうに考えます。それなら独禁法はなくても同じです。価格については特に厳重な規定があるわけでして、中小企業団体に調整規定という名前で一種のカルテルを認める場合でも、価格で認めた例はございません。生産調整は認めます。それで、価格でやる場合だったら、これは同意を要するということになっていまして、適用除外例はあるが公取の同意ですから、応じないということでけりがつくわけでございますから、特に価格問題について話し合いを行うことがいけない。なぜいけないのかということでは、やはりカルテルマインドが相当徹底していると言わざるを得ないのじゃないかと思います。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 公取委員長に申し上げますが、私が伺ったのは、そのおっしゃったことの当否を伺ったのではなくて、そういったはっきり公取委員長がおっしゃっている独禁法の根本に触れるような見解の対立がある。このときに、協議はしなくてもよろしいというふうな仕組みと、協議をしなければなりませんぞと言われておる仕組みでは、形式的な決定の権限が最終的にどちらにあるかこれは別ですよ、意思形成の過程で影響を受けるようなことがないと言い切れるかどうか。意思疎通を徹底的に図るために十分協議をするというその協議過程の中で、公正取引委員会の意思形成が影響を受けたり左右されたりするようなことがないと言い切れるかどうか。組織の上ではいろいろ決まっておりますね。だけれども、公正取引委員長のように毅然としておやりになろうという方もありましょうし、あるいはいろんなキャリアだとかあるいはお人柄とか、気の強い方もおられようし穏やかな方もいらっしゃいましょうし、そういった具体的な状況の中で全く意思形成過程に影響を受けないと言い切れるかどうか、これを伺っているのです。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 私は、ことに将来のことでありますし、そういう場面にぶつかった場合に人間として、たとえば古巣のところから非常に頼み込まれたとかいうふうなことがあったときに、全く気持ちが動かないというふうなことはないと思います。ただし、それは協議ということで表面化しているからどうとか、あるいは事実上のいろいろな圧力がかかるとかということとは形式の上で若干差がありますが、実態的に見ると人間である以上幾らかの影響を受けやすい。そこで、協議ということになれば、全くその影響がないのだということを断言することはむずかしいと思います。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 かなり率直な御答弁をいただいたのですけれども、そこでたてまえの問題ですね。独立ということ、職権行使の独立性ということは、これは取引委員長もおっしゃったように総理はもとより、総理府長官ももとより、主務大臣からも独立をしているということ。じゃ、独立をして何をよりどころに職務をするのか。これは独占禁止法のたてまえということになりましょう。そうすると、本来的な本丸的職務について主務大臣から独立であり、影響を遮断しており、独占禁止法だけがよりどころだ、こう言っておるたてまえから見ますと、従来になかった今回の義務づけ条項というものは、この従来言われてきた独立性というものに対してはいささか内容の違った面を持ってくるのではないか、これをひとつお伺いしておきたい。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 ただ、ちょっと御趣旨に沿わないかもしれませんが、そもそも適用除外ということをするときにも、一体これは原則を適用除外にしてしまっていいのかどうかということで争いのあった問題がございます。ですから、輸取法なんかも実は全くストレートになったんじゃない。そういういきさつがありますと、形の上で適用除外になっているから、だからその協議はもっともであるというふうなことがございますが、これはそもそもがそういったことを全面的に適用除外していいものかどうかということから、実は議論があるわけです。ですが、この場合における問題も、そこまで適用除外などということはない、そういうものじゃなくて、もちろん公取の専管事項でございますから、望ましいことは、それはその場合の公取のあり方というものに対する深い御理解があればよかったと思いますが、どうもその点、私どもの不徳のいたすところでして、行政委員会とは一体何だ、行政委員会といいながらそれで第一審の機能を持っている、一体これは何なのかというふうな点についてなかなか御理解が得られない、そういうことに私は根本的な問題があると思います。だから、私は、先ほど申しましたように行政委員会ではありますけれども、その中には司法機能に準ずるものを含んでおるのだ、これはいわば審判とはいいながら、その審判を経てそれから委員会決定に至る過程というものは、言ってみると実際の扱いとしては高等裁判所に非常に近い裁判をしたと同じような扱いを受けることになっておるのですが、これはすこぶる奇異ではないか、裁判官にあらざる者がそういうことをするのはむしろおかしい、行政官のやることがなぜ審判に、第一審になるのかというふうな点が御理解いただけないという点もありまして、だからこそいろいろな産業政策を勘案すべきである、そういう点では協議を求められるのもあたりまえじゃないかというふうな感じになってくるものと思います。裁判所だったら、これは初めからアメリカのようにカルテルの問題にしても何にしても裁判所が独占の排除に当たるわけですから、これは裁判所がそういう協議を受けるということはあり得ないわけでございます。やはりその点が行政委員会制度によるこういう機能というものに対して理解が十分でないというふうに私ども思っています。私どもはまたあり方について反省すべき点があるかもしれません。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 大変失礼ですが、時間の関係がありますのでなるべくお伺いしている点に直接お答えいただきたいのですけれども、前提は、そういう適用除外にしたことがいいかどうか、あるいは今回そういうふうな扱いも考えられるのじゃないかという、そのそもそもの法律の問題を論じたのでは非常に広がってしまいますから、私は現在の法の取り扱いを前提にしてお尋ねしているのです。その上に立ってどうか、扱いが違うじゃないか、その法律の規定を前提にする限りは、本丸に足を踏み入れられるじゃないかと、こう言っているわけですね。  そこで、いま御理解が得られないと、こうおっしゃった。一体だれの御理解が得られないのか、もっと端的に言えばだれが理解しないのか。どうでしょう。財界が理解しないのですか。委員長、いかがですか。その御理解を得られないとおっしゃっている中には経団連は入りますか、入りませんか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 もちろんわれわれの方からいろいろな厳しい規制を受けている産業界の方々は、そういうことについて、いまの行政委員会制度はよくわからないと、こう言っておられることは確かだと思います。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 よくわからないというような程度でしょうかね。本年の二月十二日に経団連から総理府の方にも申し入れがあったはずです。公正取引委員会の独立性について総務長官、経団連からの申し入れについてはどういうふうに理解されましたか。この点を簡単に、認識をされておるところだけをお答えください。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 文書によって申し入れがあったのでございますが、私どもといたしましては現行法を守るたてまえに立っておりますので、この点については何ら論評いたしておりません。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 いや、論評を伺ったのじゃないのです。総理府総務長官の方へ申し入れのあった経団連の公取独立性についての見解はどうお聞きになりましたかと、過去の事実認識を伺っておるのです。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 ただいま御答弁申し上げましたように、私どもは現行法に記されております第二十八条の職権行使の独立性というものを尊重するたてまえでおりますから、この申し入れにつきましては私どもは何ら論評もせず、また回答もいたしておらないということであります。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 どうもお聞きしておること、おわかりにならぬようですね。皆さんの論評を聞いておるのじゃないのですよ。お会いになって受け取られた、あるいはだれかの手を経て渡されたのなら、ごらんになってその認識はありましょう。余りお答えになるのが気がお進みにならぬようですから、私の方から申し上げますが、私どもの方でいただいた文書では、公正取引委員会の職権行使の独立性には大きな疑問があると、経団連はこう言っておるわけですね。だから、まさに公取委員長がおっしゃった御理解を得られない向きの一つに、私は相当重要な一つだと思うのですが、財界がある。  政府はどうでしょう、公取委員長。総理府は、総務長官は御理解をいただいた中に入りますか、御理解をいただけませんでしたか、どうですか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 総務長官には十分御理解をいただいていると私は思います。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 もう一言念のために伺っておきますが、この公取の職権行使の独立性、これは単に御理解をいただけませんでしたと言って済むような事柄ですか。つまり公正取引委員会にとっては、これは技術的な問題でどっちでもいいというふうにお考えなのか、それとも職務行使の上できわめて重要な守らなければならない原則だというようにお考えなのか。物事には捨ててはならない原則と、時によっては妥協し調整してもいい技術的な事項があります。独立性について、公正取引委員長はこのどちらだとお考えになっているか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 独立性という問題は、この行政委員会制度である公正取引委員会にとってはいわばその生命である、そういうふうに考えております。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 生命だと言われておる、その権限の独立性ですね。そして、今回の改正案では公正取引委員会の本来の仕事にしよう、これの枠の引き方はいろいろありますよ。しかし、少なくとも弊害が出て、価格の面でも弊害がある、だから競争回復措置としてやるんだという以上は、これは本来職務でしょう。本来職務について、初めて公正取引委員会にほかの人に相談をしなさいと義務づけたということは、これは生命と言われる独立性について十分理解したと私はとても思えないですね。理解したと言うからには、その独立性を広げこそすれ狭めるというのじゃ、これは理解したと言えぬでしょう。公取委員長どうですか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 私どもとしては、できるだけそういうことを避けていただきたいという考えでありましたけれども、それよりももっといまの公取のあり方について、少しその独立性が強過ぎるのじゃないかという意見の方も相当おられるわけでございますから、そこで何もかも公取に任してしまうのじゃなくて、やはり産業政策との関連を強めていかなければならぬじゃないかと、こういう意見がありましたから、そのような結果に相なったものと私は思います。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 わかりました。つまりおっしゃるところは、たとえば財界のような御理解をいただけない向き、公取の職権行使について独立性は大きな疑問があると言っておられるような向きのお話もあるから、独立性は生命だけれども今回のような措置になった。そして、総理府の総務長官も御理解をいただいたとはおっしゃるけれども、その点については独立性を守るという立場に立ち切れなかった、大体先ほど来の御答弁を伺ってまいりますと、私はそういうふうに考えるのが自然な結論ではないかと思うのです。前の田中内閣のときですら提案されなかったようなこういう事柄が三木内閣になってから提案をされ、しかもいまのような状態、事情のもとでこの政府案になったということは私は改悪だと言い切っていいと思うのです。皆さんの見解は先ほどの答弁でおおよそ伺いましたからもうこれ以上は伺いませんけれども、この点については公正取引委員会としても、国民の世論が公正取引委員会の職務行使の独立性を守って、生活を守るために期待があるということ、このことをひとつ肝に銘じていただきたいと私は思うのです。  そこで、具体的な問題点についての質問を続けますが、従来論議されてまいりました原状回復命令、これは私は改正案の論議をする前に、現在の法律のもとで原状回復が、あるいはカルテル対策措置が十分なされているかどうか、これも一つ吟味をしておく必要があろうと思うのです。公取委員長、いかがでしょうか。カルテル対策としていま法律に基づいておやりになっているのは七条の原状回復措置、それから場合によっては専属告発権の行使、この二つでしょうか、ほかにないですか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 私は普通の行政措置としての排除処分、これはできるだけのことはやっておると思います。現在の法律の解釈上やれることはすべてやったと言っても過言ではありません。ただ、法律の解釈上、価格に触れてはならぬというのが多数説でございましたので、その点はいままで実施したことはございません。価格を変えてこいというふうな意味の命令を出したことはありません。ただ、強いて言うならば、刑事罰がありながら、しかもそれは告発はたった一件じゃないか、こう言われればそういう告発等の面においてははなはだ不十分である。しかし、不十分であるが、いつも申しますとおり現状としてはある程度やむを得ない面があるということを御理解願いたいと思います。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 お尋ねしたのはそうじゃないのです。つまり現在とり得る手だての類型としてこの二つのほかにあるか、これを聞いたのです。七条の回復措置か、あるいは何条か忘れましたが、専属告発の措置、この二つか、さらに別の類型があるか、これを聞いたのです。いま二つですね、そうですね。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 ほかにございません。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 いかがでしょうか、なるほど刑事罰ということもあります。ただ、公正取引委員長は前に国会答弁で、そいつは経済犯罪だからなるべくとりたくない、行政措置でいきたいとおっしゃった。行政措置は現在の法律では委員長がおっしゃるそれだけでしょうか。  法務省どなたか見えていますね。私は伺いたいのですが、商法の五十八条に、再三刑罰法令に触れるようなことをする会社は公共上問題があるから法務大臣が請求して解散させる、何回も何回も刑罰法令に触れるようなことをするところは存続を許しておくわけにいかぬという規定があって、そしてその実効を担保するために非訟事件手続法の百三十四条ノ四で、官庁や公務員が刑罰法令に触れるような行為を認識したときには法務大臣に通知をしなければいかぬ、こういうふうに規定がありますけれども、そのとおりかどうか簡単にお答えください。

批杷田泰助法務大臣官房参事官

○批杷田説明員 御指摘のように、商法の五十八条の一項三号に「刑罰法令二違反スル行為ヲ継続又ハ反覆」してなすような、そういうことを代表取締役がしたような会社については法務大臣が裁判所に解散の請求をするというたてまえになっておりますし、またその法務大臣の請求を実際実効あらしめるために、非訟事件手続法の百三十四条ノ四でそのような事実を知った官庁は法務大臣に通知しなければならないという規定があることは御指摘のとおりでございます。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 ちょっと待ってください、もう一言伺いますから。法務省としては、公益のためにこの法律が活用されることを期待しておられますか。

批杷田泰助法務大臣官房参事官

○批杷田説明員 法務省としては、もちろん商法の五十八条で考えているような、そういう公益のために会社の存続を認めがたいようなものについては解散するという法律のたてまえが正しく実現されることは望ましいことだと考えております。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 もう一言。法務省、この非訟事件手続法の百三十四条ノ四で、たとえば公正取引委員会から一遍でも通知があったことはいままでありますか。

批杷田泰助法務大臣官房参事官

○批杷田説明員 いままでそのような通知があったことはございません。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 公正取引委員長に伺いますが、やみカルテルがずいぶんと世間で問題になりました。皆さんの方から国会答弁で伺ったところだけでも、住友化学工業は四十七年度、八年度で五回ある、宇部興産が五回、公害で社会的な批判を受けたチッソが独禁法違反で四回、旭化成工業のごときは七回と、こうなっておる。これは刑罰法令に触れる行為を繰り返しておるということに当たるとお考えになりませんか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 それは形式的には、形の上では少なくとも独禁法でカルテルに対して刑罰を科し得ることになっておりますから、それに触れる行為であるとは思います。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 そうだとしますと、解散というのはこれは刑事罰じゃありませんね。公取委員長は国会答弁で、刑事罰はなるべく慎重にやりたい、しかし行政的な措置については、これはどんどんやりたいと、こうおっしゃっている。だとすれば、こんなに何回も繰り返すようなところについてはこういったことも検討なさるべきではないか。法務省は現にそういったことで活用されることを期待している。それを法務大臣に一遍も通知せぬというのはどうでしょうか。通知したからといってすぐに解散になるんじゃないですよ。法務大臣はまた別に検討するでしょう。しかし、法務省に聞きますと、言ってもらわなければわかりゃせぬと言うんです。私は言ったんです。皆さん新聞をごらんになるでしょう。しかし、新聞だけで法務省は動くわけにいかぬ。主務官庁が規定ができてから十何年一遍も通知してこぬというのは、そのままでいいのかどうか、これは委員長、いかがですか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 そういう犯罪に触れるような行為を繰り返したから会社を解散させるということは、規定としてはありましても、私は公正取引委員会の立場としてとるべき手段は、それをやるなら、それはもう会社分割どころじゃないんです。そういう措置を法務省にお願いするぐらいならば、私は当然みずから告発をするという道を選びます。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 どうも余り規定をまだよく御研究になってないようですけれども、解散せよと通知するんじゃないんですよ、解散の請求もしくは警告ということは。あるいは事実の通知ということがある。要するに意思表示じゃないんです。認識の伝達なんですよ。それすらせぬということは、規定があろうとも全く使わぬ、こういうことになるのでしょうか。つまり国民の方ではカルテルに対する対策としていろいろな形を公取で強化してやってほしいという期待を持っている、価格を下げてほしいと思っているわけですよ、この物価高のときに。そうして、法律の規定があって、通知はしなさいよ、法務省の方も言ってくださいよと言っているのに、公取が一遍も通知せぬでおいて、そうして検討もしないで、いや、解散は言えません。警告だってあるでしょう、事実の通知だってあるでしょう、連絡だってあるでしょう、それすらせぬとおっしゃるのは、ちょっと私はいかがかと思うのですが、再検討いただけませんか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 御見解は御見解として承りますが、私どもは、自分のところの法律に刑罰規定があるんです。ですから、その刑罰規定を適用しないでおいて他の措置をとるということ、しかしこれはやはり制裁規定であることは同じでございます。私法事件であれ、結果によっては、つまりわが方では手に負えないから法務省にお願いするということでなければ順序を得ないということになりまして、私の方にある、所管する法律にあるカルテル違反事件に対する告発という規定をまず活用するということにならざるを得ない。ところが、これがそう簡単ではないということを申し上げたわけです。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 わかりました。公取委員長もあれですね、三木内閣になってから、前の田中内閣当時の国会答弁と対比をいたしますと、相当な変化がある。私は、あなたが田中内閣当時に国会で答弁されたのをつぶさに予算委員会、物価対策特別委員会、商工委員会、全部拝見しました。断固として引き下げ命令をやると、こんなふうにおっしゃっている。いまのお話だったら刑罰でない、これはもう全然法律の性質が違いますね、刑罰法規と民事法の扱いと。そういうことについてまでおやりにならぬということは、要するに三木内閣になってから変質をされたんではなかろうかというふうに、いまの答弁を伺えば考えざるを得ないわけですが、しかしいま答弁は一応伺ったわけですから、私の受けとめ方はいまのようなことで申し上げておいて、具体的な今度の改正案について伺いたいのです。  引き下げ命令をなぜ入れられないかと、いろいろ理由のお話がありました。その中に、買い占め、売り惜しみが起こる心配がある、こういったお話があったかと思うのです、政策上。これは一言確認しておきますが、総務長官、本当にそのことを御心配になっているのですか、起こるだろうと。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 本当に心配をいたしております。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 そこで、総務長官、それは抑えられないのですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 国民生活安定緊急措置法等もございますけれども、現実の経済活動及び国民生活というものを考えてみますと、価格の引き下げ命令が行われ、引き下げがございまして、何ヵ月間据え置かれるということになりますと、当然消費者心理といたしまして、あるいはまたこれを販売する者の心理といたしまして、買い占め、売り惜しみが起こるであろうということは十分予想されるところであります。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 要するに、抑えられないというんですな。そうおっしゃるのですね、要するに。  伺いますが、それは三木内閣の閣僚全員の共通認識ですか。本年の五月八日の衆議院本会議で、わが党の野間議員がこれはどうですと、買い占め、売り惜しみ、経済撹乱の反社会的行為を規制するために共産党の案をひとつ検討すべきではないかと、こう言ったときに、物資の主務大臣である河本通産大臣から答弁がありました。総務長官、すぐお隣におられたから、しかもこの法案の主管大臣ですからよく御承知と思いますが、そのとき通産大臣はどう答弁されましたか。もし御記憶でなかったらそう言ってください。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 御説明をお願いいたします。     〔委員長退席、塩川委員長代理着席〕

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 本年の五月八日の本会議で、野間議員の質問に対して河本通産大臣はこう答弁しているんです。買い占め、売り惜しみ等の反社会的経済撹乱行為につきましては、法律の適用によりましてこれまでも対処してまいりました、今後とも、さような事態が生じましたときには、これらの法律を適正に運用いたしまして対処していく所存だ、と。つまり私どもは、政府提案ではちょっと心もとない、問題がある、それでどうだと、こう言ったんですよ。大丈夫だ、こう言っているんです。買い占め、売り惜しみのことも指摘をして質問をした。通産大臣は大丈夫だと言っている。あなたは大丈夫でないと、こうおっしゃる。これはどうでしょうか、統一してひとつ説明をしてください。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 ただいま議事録を拝見いたしまして、確かに河本通産大臣がそのような答弁をしておられるところでありますが、これは、こういう異常事態が生じたときには適正に運用をすると、こういうことを申しておられるのでありまして、これは内閣全体といたしまして、過般起こりましたような事態が起こりましたならば、異常事態として私どもは全力を挙げてその適正化に努めなければならないと存じます。今回の原状回復命令は、もう商品そのものが価格の原状回復命令を受けるわけでございまして、どのものが幾らに下げられるか、下げられたかということが明らかになり、またそれについては期間等もつけるというのが一つの考え方として出されておりましたので、そういう観点からいたしますならば、買い占め、売り惜しみというものは、先ほど申し上げましたように起こるということを十分予想しなければならないのでございまして、そういう際には、この異常事態の対処とは性格を異にすると思うのでありまして、私どもといたしましては大変心配をしているところであります。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 これは少し異なことを伺いましたね。仮にこの引き下げ命令をやって買い占め、売り惜しみが起こる。皆さんは、買い占め、売り惜みは異常事態だと思っておられないのですか。それはあれでしょう、現行法、実定法が予想しておる異常状態、これはありましょう、また別の法律で別の状態を予想する、法律はいろいろ規定しますから、ありますよ。しかし、異常事態にいろいろな種類を第一種、第二種、第三種なんてつけてみたところで、買い占め、売り惜しみという社会的事実は同じなんですよ。これは明らかに社会的に考えて異常なんですよ、国民の立場から見れば。そのときにどうなさるかと政府に聞いたのが野間議員の本会議質問です。努力をするといま総務長官おっしゃった。それはしかし当然でしょう。内閣としてあなた、努力しない内閣がありますか、どのような構成の内閣であろうとも。問題は、これで大丈夫ですかと結果を聞いているんですよ。通産大臣は、それに対して、皆さんの案を入れなくても対処していくから大丈夫だと、こう言っている。総務長官どうですか、結果が大丈夫かどうか聞いているんですよ。そうするとあなたは、結果については保証できないと、こうおっしゃるんですな。そういう買い占め、売り惜しみという異常事態が出たと、三木内閣の総務長官としては保証はできないと、こうおっしゃっているんですね。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 カルテルを排除いたしました後に競争を回復するための手段を適用する、そういう結果異常事態を生ぜしめるということは適当でないということは御理解いただけると思うのでございます。原状回復命令によりまして異常事態を生じさせるということは不適当でございます。まず、そういうことがわかっておりながらわれわれとしてこの原状回復命令をとるということは、私どもとしてはできない。ただし、買い占め、売り惜しみが総体的に先般社会的な大問題になりましたような状況で起こります場合には、これはもう内閣が全力を挙げてこれを適正化してまいるというのは当然のことであります。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 これはどうでしょうか、責任がある答弁とかあるいはそうとは言えない答弁とかいうような観点から見ますと、いささか問題があるのじゃないでしょうか。つまりこういう引き下げ命令をやれば、買い占め、売り惜しみが起こる。起こったってそれがびしっとおさまるなら、引き下げ命令をみんな国民は望んでいるのだから、その方向で対策がとれる自信があれば、それはやるべきでしょう、国民が望んでいるのですから。対策をとる自信がない、それを抑えられないから、いま皆さんのおっしゃる買い占め、売り惜しみ、異常事態が起こるからこれはだめだと、こういう結論になってくる。つまり前に向いて国民の要望を受けて、その点について対処して抑えられるかどうか、ここのところをひとつ聞いているのですが、総務長官は、それはできないとおっしゃる。三木総理はどうおっしゃっていますか。総務長官、三木総理は本会議答弁でどうおっしゃっていますか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 ただいま議事録を拝見いたしましたが、その部分については特別に発言はございません。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 どうもしかし何ですな、議事録も申し上げておいたのですけれども。五月八日の二十号の十五ページをごらんください。三木総理もそういう買い占め、売り惜しみ状態については対処していくから大丈夫だ、こう言っているのでしょう。総務長官どうですか。あなたは物価の問題、買い占め、売り惜しみについては直接所管のお立場にはないからそうかもしれませんが、しかし内閣としてやれるとおっしゃっているなら、それがやれないから問題があるから引き下げ命令できませんというこの部分については、その理屈はなくなるのじゃないですか。  これは公正取引委員長、どうですか。総務長官のお考えは伺ったから、実際運用なさる立場として、総理を初め主管大臣もこれは大丈夫だ、買い占め、売り惜しみは起こらぬ、こう言っていれば、その部分については引き下げ命令はやれるという方向になってくるのじゃないですか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 これは一つの議論の問題としては、そういう無理な引き下げ命令といいますか、原状回復命令でございますが、原状に回復したら実際の市場の実勢と完全に遊離してしまうという場合には、それを命じるべきじゃないと思うのです。そういう措置を仮に法律で許されたとしても、どんな場合でもそれを無理やりやるということになれば、混乱状態が起こることだってあるわけですから、そういうことをやっては本当の実勢に逆らうことになるという場合にはやらないで、やってもそんなことが起こらないという場合にだけ発動するということにしておくと、それは合理性があると思いますけれども、それはいま一つの議論の問題として申し上げた次第であります。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 皆さんの方で買い占め、売り惜しみの心配があるから引き下げ命令はやれない、こうおつしゃるのでしょう。こっちから議論を吹っかけているのじゃないのです。皆さんの方でその理由の一つとおっしゃったから、全部一遍に論議することはできませんから、おっしゃった理由の一つを取り上げて、きちっと結果を押さえられれば、皆さんのおっしゃった理由は一つなくなるのじゃないか。それは議論だと言われたのでは、国会質疑はみんな議論になるのじゃないですか。しかも、いまそれは市場の実勢から外れたと、こうおっしゃるけれども、いまそんなに自由公正な市場というものが日本にすみからすみまで確保されておるのでしょうか。高度寡占市場が支配をしておるそういう日本で、巨大企業、独占企業集団そして多国籍企業、これがまた支配しておるところで、そんなにおっしゃるような美しい自由公正な市場が本当にすみずみまで存在しているというふうに思っていらっしゃるのか。これは総務長官、どうですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 経済というものは非常に複雑多岐にわたるのでございまして、いまお説、御指摘がありましたような事態は、全体的に見ますと、私はいま経済はいろいろな問題を抱えながらも、企業の努力あるいは政府の主導によりまして懸命に不況の中から脱出しようとしているのでございます。したがって、美しいとか美しくないとかいうような判断は、私としてはできません。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 伺ったのは、実勢と離れるとおっしゃる。そして、この実勢は競争原理の働く市場価格だとおっしゃるから、そんなに競争原理が、自由公正な競争原理が働いておるのですか、実態はそうかと聞いているのです。これはもう結論ははっきりしているでしょう。昨年の経済白書でも価格の硬直性ということを企画庁は指摘しているし、物価安定政策会議も提言の中ではいま高度寡占で価格の硬直性ということを言っているじゃありませんか。皆さんが口にされる自由公正な市場というようなことは、これは言葉としてはアダム・スミスの時代にはあったかもしれませんが、実態としてはいまそんなものじゃないでしょう。だとしたら、いま国民が一番求めておるのは、破棄勧告だけして、そうですがと言うて、形の上でそういった高度寡占になっている状態のところへ戻って、言葉の上で自由市場に戻りました、競争回復しましたというような自己満足をしているのじゃなくて、国民の実際の生活が大事でしょう。だとしたら、その実際の状態を認識して、その要求を受けて引き下げ命令をするべきではないか、私はこう言っているのです。売り惜しみ、買い占めの危険がある、それはしかし、皆さんが抑えられる、こうおっしゃっている。経済の実態が動くと、こうおっしゃる。しかし、この点はどうでしょうかね、みずから経済犯罪を犯して刑罰法規に触れるような行為をした人が、みずからの市場回復権を主張するような権利はあるのでしょうか。法律上の禁反言の法理というのがあります。みずからの手を汚した者はその部分については主張はできないというのが法理だと聞いておるのです。全体の競争回復、競争政策という点から言いましても、その競争秩序を乱した者が、破棄しなさいと言われて、そうですがと言うだけで、本当に秩序のある公正な競争が回復できるかどうか。この点はもう昨日から伺ってまいりましたから皆さんのお考えはよくわかりましたけれども、しかし私がいま言いましたこの経済の実態が変動しておるからというふうなことは、この事案について考えてみれば、国民の生活を守ることにはならないし、買い占め、売り惜しみの問題もそうだし、もとを押さえても下へ浸透しないという点は、これは行政措置でできるということは、田中前内閣の当時ですら関係の主務大臣が言い切っているわけです。  時間が近づいてきましたからこの点についてはこれ以上は言いませんけれども、私がそういうふうに言っておるにかかわらず、引き下げ命令というものが、これはぐあいが悪いといろいろなところで言っている向きがありましょう。関連して一言だけ聞いておきたいのですけれども、公取委員長、これはやはり経団連、財界の要求ではないのですか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 私はもちろんそういう財界等が反対しているということは十分察し得るのですが、それだけでもないと思うのですね。繰り返しますが、公正取引委員会というものは、そもそもそういう統制的なことをする、そこまでいかなくて、価格に直接介入するということは自己矛盾じゃないかというふうな議論をなす方があります。これは相当な学者の間にも、この点はちょっと困るんじゃないかというふうなことで、総合的な合意が得られないというふうな事情もあると承っております。ですから、一概に一部の者の反対とだけは決めつけられませんが、ただし一方に、そんな必要はない、そんなことにこだわる必要はないという強い意見もございます。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 私どもの主張を質疑の場という形をかりて申し上げましたから、これ以上はきょうの質疑では言いませんけれども、皆さんが理由だとおっしゃった幾つかの点については、最後はそれは議論だというふうにおっしゃったけれども、しかし私は、いろんな考え方があるけれども、皆さん方のおっしゃっておるのは理の通らない面が多多あるんではないかというふうに思っておるわけです。時間の制約がありますから、この点はひとつおかしていただいて、次の質疑の機会に譲りたいと思いますが、あと時間がごくわずかになりました。幾つかの問題点が残りましたので、次の質疑に入りますと途中でおかなければなりませんから、課徴金の問題で従来の点等を踏まえて一言伺っておきたいのです。  生活安定法にも課徴金という制度がありますね。これは企画庁見えていたら伺いたいのですが、生活安定法の課徴金徴収は、超えている価格全部いただきましょう、こういうんじゃありませんか。

喜多村治雄経済企画庁物価局長

○喜多村政府委員 国民生活安定緊急措置法に言います課徴金は、これは特定標準価格というものを定めました場合において、その価格を超えております販売価格と当該特定標準価格との差額に、当該販売をいたしました物資の数量を乗じて得た額ということになっております。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 企画庁、これはあれですか、それを超えて販売したのは刑罰の対象になっているのですか。

喜多村治雄経済企画庁物価局長

○喜多村政府委員 この課徴金は、確かに課徴金でございまして、罰金等々ではございません。したがいまして、特定標準価格の実効性を担保するために、行政庁が行政手段によって、制度を乱すようなことをしたものから一方的に取る行政的な課徴金である、こういうことでございます。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 それを聞いているのじゃないのですよ。課徴金の性格じゃなくて、課徴金を取る場合の対象となる行為が刑罰の対象となっているかということです。

喜多村治雄経済企画庁物価局長

○喜多村政府委員 課徴金と申しますのは、先ほどの繰り返しになりますけれども、この法律に求められておりますものは、当該販売価格と当該特定標準価格との差額に相当するものに数量を掛けたものである、こういうことでございまして、その行為そのものではなくて、その出現した価格とその特定標準価格の差を課徴金として徴収するというだけのことでございます。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 質問の趣旨がおわかりじゃないようですからなにしますが、課徴金を取るというのは、価格を超えて売っている分を課徴金を取るというのですから、価格を超えて売る行為は別に処罰の対象になっていないわけでしょう。カルテルの場合は、これは刑事罰の対象になっていますね。総務長官、刑罰の対象になっている行為の方が対象になっていない行為よりも反社会性が強い、私どもはそう思うのですよ。重いものには、同じ制度としてもそれにふさわしい扱いをすることが、これが公平というものであり、条理というものではないでしょうか。  総務長官にお伺いしますが、刑罰対象となっていない行為に超えた部分まるまるいく、刑罰対象となっている行為に部分的にしかいかない、これはどういうことでしょう。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 おっしゃるように、独禁法上の課徴金は刑罰と併科することになっております。ただ、この課徴金の算定に当たりましては、基準率といたしまして売上高、経常利益率を基礎といたしたのでございまして、したがいまして行政上の措置といたしましては、国民生活安定緊急措置法とは性格を同じくいたしておりますけれども、いま申し上げましたような点については違う点がございます。

荒木宏日本共産党・革新共同

○荒木委員 時間が参りましたので委員長に申し上げておきますが、いまの課徴金の問題も私が伺ったのは、重い扱いになっていることはずっと全部いくべし、しかるに重い方に部分的にしかいかず、軽いといわれている方に全部いくというのはこれはいかがかと、こう言ったのでありまして、質疑が途中になりましたけれども、この問題を初め政府案の内容を吟味しますと、重要な部分は骨を抜き、しかも当初に言いました独立性の問題など、従来になかった問題点を持ち込んでおるという点でさらに質疑を続けたいと思っておりますので、そのことを申し上げておいて私の質問を終わります。

塩川正十郎自由民主党

○塩川委員長代理 以上をもって荒木宏君の質疑は一応終了いたしました。  引き続き、近江巳記夫君の質疑に入ります。

近江巳記夫公明党

○近江委員 私は、きのう課徴金を初め数点につきましてお伺いしたわけでございますが、政府案の課徴金でありますと、いわゆるやり得をなくすということにはならない、こういうことを私は計算で出しました数値を挙げまして指摘したわけでございますが、諸外国の例を見ますと、西ドイツの競争制限禁止法におきましては、課徴金について十万マルクまたは超過利得額の三倍以下の額のいずれか大きい方という過料の規定を採用しておるわけでございます。したがいまして、カルテルは損であるという風潮が一般化しておるわけであります。政府としてこういうような西ドイツ方式の効果についてどういうように評価しておられるか、また政府が西ドイツ並みにできない理由は、基本的な考え方の相違にあるのか、また経済社会の実情の相違の中にあるのか、それともそのほかの理由によるものであるかどうか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。きょうも時間が非常に限られておりますので、簡潔に御答弁いただきたいと思います。

原徹内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○原政府委員 西ドイツの課徴金の場合、これは行政罰でございます。日本の場合には刑事罰がまずございます。そこで、もし行政罰というようなものをつくるとなりますと、これは憲法上二重科罰の問題が生じます。したがって、そういう西ドイツ方式はちょっととれないのではないかと私どもは判断をいたします。したがって、そういう重大な問題があるので西ドイツ方式は私どもはとらなかったということでございます。したがって、日本の場合には刑事罰と損害賠償と、制度としてはとにかくある。その中間的な措置と申しますか、行政的な措置としてとるということにいたしたわけでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 この課徴金のところで、当該違反行為の実行期間にかかる課徴金を国庫に納付することを命じなければならない、こうなっているのですね。そうすると、これはそうした違反した事業者について納付することをすべて命じる、こういうことなんですね。総務長官に一応確認しておきたいと思います。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 すべての不当利得者に納付を命ずるのでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 ねばならないということがいかに強いかということが、いまの総務長官の御答弁でわかったわけでございますが、私はきのう公取委員長にも申し上げたわけですが、この課徴金というものがあまりにも低い。やり得をなくす課徴金じゃない。したがって、悪質なものはやみカルテルを結んでいわゆる一・五%、さらに三年前の利益率からはじいてどのくらいになる。ですから、上乗せをしてカルテルを結んで利益を計算する、こういうことは容易に想像できるわけであります。そういうようなことになってきますと、非常に悪影響というものが考えられるわけであります。そこで、私はきのう告発の点につきましても、委員長に課徴金を取ってもびしびしやるのですか、今後やるということをおっしゃっているわけですが、専属告発権の七十三条を見ましても、「この法律の規定に違反する犯罪があると思料するときは検事総長に告発しなければならない。」こうなっているのです。そうしますと、こうしたやみカルテルであるとかそうしたものは明らかに三条違反の重大な犯罪であります。そうすると、ねばならないということは、いま総務長官はすべてびしびし課徴金は全部取るんだ。告発も、ねばならないです。ねばならないという言葉の重みということを私感じているわけですが、今後社会的な重大な犯罪である、こういう立場に立たれ、いままで公正取引委員会が告発もなさっておられなかったわけですが、石油連盟を告発なさった。これは当然のことでありますが、いままでの公取委員会の姿勢として非常に勇気ある行動であった。それをさらに堅持してびしびしとやっていかないと、こういうことを平気でやっている、このように思うわけであります。公取委員長の御決意をお伺いしたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 ただいまの専属告発権でございますが、告発しなければならない、これは明らかに一種の訓示規定である。ですから、ねばならないとして、もし全部告発をしたら大変なことになりますから、これはこの場合には同じねばならないでも意味が違うんですね。この場合は訓示規定と解して、それをしなくても法律違反にならない、こういう解釈でございます。それから、課徴金の場合はそうではなくて、必ず取らなければならぬ。これは義務規定になります。そういう違いがあります。

近江巳記夫公明党

○近江委員 法制局は、いまの公取委員長がおっしゃった点について間違いないんですか。

味村治内閣法制局第二部長

○味村政府委員 ただいま高橋委員長のおっしゃったとおりだと存じます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 訓示規定であったとしても、やはり私がいま申し上げたようなそういう課徴金がやり得をなくすわけじゃないわけですから、そういう傾向も出てくるわけでありますし、この運用におきまして公取委員長としてはさらに厳しい姿勢で臨んでいかれるべきだ、こう思うわけです。どうですか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 趣旨は全くおっしゃるとおりでございます。ただ、私どもの方の都合というよりは、実を申しますと実際に告発を受けて活動しなければならない検察庁とか東京高裁というもののいろいろ立場、つまり早くいえば事務処理の問題でございますが、そういうことをやはり頭に置いておるものですから、あまり無理なことをお願いできない。しかし、いまのように思い出したように一件だけやってあとやらない、告発しないというのは、少しこれまたどうかなと思いますので、少しずつ、徐々にではあるが向こうさんの御了解を十分得まして、件数を少しふやすという考え方は、私は基本的にそういう考え方をとってまいりたいと思っております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 ひとつ厳しく、まだまだ犯罪であるという認識がないわけでありますし、厳しい姿勢で臨んでいただきたいと思います。  それから、福田副総理お見えになっておられるわけですが、きのう、きょうと本商工委員会におきましてこの法案審議をやっておるわけであります。副総理もこの場にはずっとおられなかったわけでありますが、マスコミを通じ、また政府からもいろいろと報告を聞き、問題点というものにつきましていろいろ感じておられると思うわけであります。総務長官としては、政府としてはほぼ問題のないものを出したということをおっしゃっておられたわけですが、実に問題があり過ぎる、これは副総理もよくごらんになったとおりであります。そこで、修正すべき点というものも、いろいろと明らかになってきたわけであります。そこで、当然修正というのは、国会が立法機関でございますから国会でやることでありますが、やはり政府として提案なさっているわけですから、それを今後煮詰めてまいりますが、まずやはりそれを受け入れるかどうかの土俵といいますか気持ちといいますか、そういう大きなものが政府になければならぬと思うんです。政府を代表されて、副総理の率直なお気持ちをひとつお聞かせいただきたいと思うんです。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 今回の政府提案は、これは大変慎重審議いたしました。そういういきさつを経て皆さんに御審議をいただく、こういうことになっておるわけです。公正取引委員会におきましても試案ができる、その試案ができる段階までずいぶんの年月を要しておるやに聞いております。その上政府といたしましては、それも参考にする。同時に独占禁止法改正問題懇談会を設けまして、これも各界の意見を聞く。また、与党、自由民主党とは特に協議をいたす。そういうようなあらゆる手続を踏みまして御提案申し上げておるわけでありまして、この段階におきまして私どもといたしましては、いま政府が御提案しておる、この内容というものはいろいろな意見がありますが、その最大公約数をとらえておる、こういうふうに考えておりますので、政府がそういう考えで提案しておるこの法案を、いま政府の方から修正いたします、修正に応じますというわけには、なかなかこれはいかぬ性格のものであることは御理解願える、こういうふうに思います。しかし、何せこれは重要な法案でありますので、法案の決定、これにつきましては国会がこれを実現する立場にあられるわけでありますから、何とぞ慎重御審議のほどをお願い申し上げます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 慎重審議をしまして幾つかの非常に重要なそうした問題点というものが浮き彫りになってきているわけであります。この問題はこれから繰り返しをしても出てくる答弁は同じだと思いますから、次に行きたいと思います。  消費者に対する問題でございますが、この消費者に対する通知の場合、理由を付すのかどうか。これは非常に大事な問題ですから、これをお聞きしておきたいと思うのです。総務長官どうですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 これは公取の方に対しましては具体的な事実を指摘いたしまして報告するわけでございますが、公取委員会からの通知の際には理由を付することはございません。

近江巳記夫公明党

○近江委員 福田長官、あなたは消費者、国民に対して非常に配慮を払ったということをいろいろな個所でもおっしゃっているわけですが、この一点を見ましても理由も付さないのですよ、こういうことで消費者保護になるかどうかという問題なんです。長官はいろいろと意見をまとめ、ほぼ最大公約数を得た法案であるとおっしゃっていますが、消費者に対して理由も付さない、そんなことでは消費者保護にならぬでしょう。長官、これはどう思われますか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 この問題は、これを一々精細に回答するということになりますと大変な事務能力を必要とするわけでありまして、ただいまの機構におきましてはとてもこなし切れまいというので、ただいま総務長官がお答えしたようなことになるのでございますが、ただ私はその苦情と言いますか摘発と言いますか、その中にはこれは広範な重要性のあるものがあるだろうと思うのです。それに対しましてとった措置、これは本人に対しまして理由を説明する、本人ただ一人に対して説明するということは、これはいま総務長官からお答え申し上げましたようにいたさないにいたしましても、これは広く国民全体に示す、こういうことを考えたらどうだろう、こういうふうに思います。あるいは新聞を通じ、あるいはその他のマスコミの手段を通じまして、こういう案件があった、それに対してはこういう処置をしたというようなことは、随時その重要性に応じましてこれを広く国民一般に知っていただくということは必要じゃあるまいか、私はそんなふうに考えておりまして、そういうことにつきましては関係各省の間で相談をしてみたい、かように考えております。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 先ほど全然理由はつけないと申し上げましたが、これは義務づけていないということでございまして、したがいましていま副総理がお答えになりましたように、重要なもの等につきましては公取の運用上理由を付されることもあろうかと存じます。また、文書をもって通知をせず、電話等によって通知する、これは非常に数多くあると伺っておりますし、これに対してはすでに、いままでは通知義務はございませんでしたけれども、公正取引委員会ではかくかくの理由でこういうことになったというようなことを通知しておられるようでございます。したがいまして、これは運用上の問題として処理をしていただきたい、このように考えているのでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 福田長官がおっしゃったように十分考えていかなければならない、こういう問題でもあるわけですね。ですから、もうきのう、きょうといろいろ審議をやってまいりましたが、実にこれは大きな考えなければならぬ、修正しなければならぬ問題点が出てきておるわけであります。わが党としましては公正取引調査会を設置しまして、消費者を参加させることであるとか、独禁法の二十五条を生かすためにクラスアクション制度を導入すべきである、これも法案を実は提出しておるわけですが、このように消費者に対してさらにきめ細かなそういう対策を打っていかないと、独禁法だけ改正して、これでいいんだ、いわゆる口だけで消費者に対して配慮したとかなんとか、こういう一つの報告を見てもこれだけ大きく抜けておるわけでありますから、こうした調査会であるとかクラスアクションの問題であるとか、こういう点につきましてはどのように思われますか。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 クラスアクションの問題につきましては、これを非常に強く提唱する方もあります。ただ、これは訴訟体系の中でまだなかなかいろいろ複雑な問題をはらんだ問題でありまして、にわかにこれは結論は出せないと思うのです。また、各国におきましても、アメリカの一部でそういう仕組みを採用しておるところがありますが、その他どこの国でもこの制度をまだ採用しておらぬ、そういうような状況下にある問題なんです。そういうようなことでありますが、このクラスアクションを採用すべしという御議論もありますので、これは国民生活審議会の場を通じまして十分検討していただく。これは採否ということにつきましてはかなり問題があるところでありますが、とにかく十分検討していただきまして、最終的な結論を見出すということにいたしたいと思います。  なお、消費者保護の問題につきましては、いま国民生活センター、こういう制度を持っておることは御承知のとおりでありますが、ここで広く消費者の意見あるいは動向をキャッチし、情報を入手し、また苦情を聞いて、そうして消費者行政に誤りなきを期してまいりたい、こういうふうに考えておりますが、その上さらに法制的な諸問題につきましては、ただいまクラスアクションについて申し上げたように、さらに消費者保護という見地から検討いたしまして、採用し得るものがありますればこれを採用いたしてまいりたい、こういう考えでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 この消費者保護の問題で、あと再販制度の問題であるとか、あるいは誇大広告防止、不当景品防止の強化などの措置というものは当然今回も考えなければならなかった問題じゃないか、このように思うわけです。こういうことも講じておらない。さらに、公正取引委員会のいわゆる専属告発権、先ほども私質問したわけですが、いわゆる消費者保護という観点からいきますと、消費者にも告発権を認めるような制度、こういうものも導入すべきじゃなかったか、このように思うのですが、どなたでも結構ですが、お答えいただきたいと思うのです。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 消費者保護についていまいろいろおっしゃいましたが、そのうちの景品表示法の方は別の法律でございますから、これは今回のあれには入っていないわけです。それはしかし、いまその運用はできるだけ厳しくやっているわけでして、都道府県に対してこれは委任できる事項で委任しておりますが、その方の業績もずっと上がっております。ですから、私はそれについてはもし苦情があれば幾らでも実行上改善するつもりがございますからこれはよろしいと思うのです。  ただ、告発の問題について先ほど私が申し上げた事情、おわかりと思いますが、それに対してわれわれは非常に確実な証拠を集めて、その基礎の上でデータをもって検事総長に告発するわけです。そういうたてまえでございまして、相手は検事総長、こうなっておるわけですね。それを一般の消費者が、あれは公取は告発しないけれども告発すべきだといってぽっとやられる。そうすると、私どもの専属告発制を否定することになります。つまり専属告発権がなぜ専属になっているかということについてはいろいろ事情があるわけでございますが、これはるる述べられておりませんけれども、公取が告発しないからわれわれがやろうと言って一般消費者が刑事事件として告発するということについては、私どもの問題というよりはむしろ法務省、そういう司法関係の問題であろうと私は思います。私から答弁するよりもむしろそちらから答弁願った方がいい問題ではないかと思います。

近江巳記夫公明党

○近江委員 いずれにしても、消費者保護という点におきまして政府は言ってはおるけれども実がない。私は、独禁法提出と同時にこの景品防止法の改正すべき点も多々あろうかと思うのです。消費者のことを考えるならば当然並行して出してくるべきじゃなかったか、こういう気持ちで私は質問したわけでございます。いずれにしても、消費者の問題一つを見ましても非常に手ぬるい対策しかないということがはっきりしておるわけであります。  その次に、私は株式保有の問題について伺いたいと思うのですが、まず株式の相互持ち合いの制限を見送った理由はなぜかという点について総務長官にお伺いしたいと思うのです。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 独禁法改正問題懇談会におきましてもこの問題は論議がせられました。ただ、株式の相互持ち合いにつきましては、その実態につきましてはそれぞれ多様なところがございまして、実態の究明をもっと行うべきであるという判断をいたしました。さらにまた、一般論といたしまして他の会社の株式を持つことを全面的に否定をするのはいかがであるかというような御意見もございましたし、私どももその辺の点についてはいろいろ検討したものでございました。しかし、一定の取引分野における競争を実質的に制限するという場合には現行独禁法第十条によりまして規制が可能でございます。しかし、私どもさらに実態を究明いたしまして、商法その他の関係法規との関連もございますが、将来の問題として検討を進める必要があると考えております。

近江巳記夫公明党

○近江委員 十年間の経過措置を置いておるわけでありますが、そういう点からいきますと、現状の株式持ち合いの弊害というものは除去できないのじゃないかということははっきり言えると思うのです。わが党としましては、これまで製紙業界、鉄鋼業界等の持ち合い状況を調査してまいりましてその都度明らかにしてきたわけであります。たとえば製紙業界では王子製紙が本州製紙の株式を持ち、王子製紙が株式を持っている北越製紙の株式をまた本州製紙が持っておる、こうした事実、あるいは王子製紙と山陽国策パルプが互いに株式を持ち合っておる、こういう背景のもとに製紙業界におきましては四十八年二月にコーテッド紙についてやみカルテルを結んで、また上質紙につきましてもやみカルテルを結んでおる。四十八年十二月に公取から警告書が出されておるわけですが、これは完全に株式持ち合いを利用したものと言わざるを得ないわけであります。また、鉄鋼業界も関東特殊製鋼あるいは丸一鋼管の株式を新日本製鉄と日本鋼管がともに持ち合ったり、神戸鋳鉄所の株式を新日本製鉄、神戸製鋼所が持ち合っておるわけであります。鉄鋼価格は硬直的であることはいまさら御説明する必要はないと思いますけれども、こういう背景が現実にあるということは政府の皆さん方もよく御承知のとおりであります。このように現実にある株式持ち合いの競争制限の事実について皆さん方の認識が問題なんですよ。どれだけの認識を持っておられるか。それがあれば株式持ち合いについての条項が入っておって当然だと思うのです。この事実についてはどう思うのですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 先ほど申し上げましたように、一定の取引分野における競争を実質的に制限するような場合には独禁法の第十条におきまして規制ができるという考え方をとっているのでございます。したがいまして、とりあえずはこれによって規制を行い、いまいろいろな例を挙げられましたが、私どもといたしましてもこの持ち合いによる弊害の実態を究明し、これはまた同時に商法とも関係をいたしますのでその点につきましても検討を加えまして、昨日もお答えをいたしましたけれども、この規制のための検討をしなければならないという問題意識を持っているのでございます。この点につきましては、問題意識を共通にしていくという点において近江委員と変わるところはございません。

近江巳記夫公明党

○近江委員 あなたもそうした弊害の事実については認識されているわけですから、改正をするなら当然入れるべきであったのですよ。高橋公取委員長はこの前にも、競争会社の株式取得は原則として禁止、そして競争減殺という場合にも保有が禁止される規定があった方がいい、このように明確におっしゃっておるわけです。委員長が話されたようなこういう趣旨は公取試案にはある程度入っておるわけなんですが、公取も商社等の調査におきましては非常に厳しい指摘をされているわけですが、政府案におきましては完全に見送られておるということであります。私は非常に残念なんですが、公取委員長はどのように思われますか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 私どもの立場から言えば、一つ一つ株式の持ち合いをここでどうこうというのじゃなくて、「競争を実質的に制限する」というふうに二十八年に改められた。二十四年のときまでは実は「競争を実質的に減殺することとなる場合」ということでありますから、減殺ということであると、いまお話しになった紙のメーカー同士が、競争会社であるにかかわらず株式の持ち合いを通じていろいろつながりが深いということは、その間の協調を促す結果になってカルテル的行為が発生しやすいという弊害を伴いますので、私どもはそう希望します。希望しますけれども、そういうところまで公取の権限を強化するのは困る。株式の問題については全体を規制するという総量規制を取り上げることさえ異例なんであるから、したがってこっちの方はそこまでやらぬでいいのじゃないか、こういう御意見であったろうと思います。ですから、いつかはそういうことを検討して、株式を持っていることによってそれが競争政策に影響する、決定的な影響でなくても減殺ということになれば、それはやはり規制した方がいいんじゃないかということ、だんだんにそういう考え方を詰めていった方がいいのではないかと思います。今回の改正ではいささか欲張り過ぎてもだめだと考えますけれども……。

近江巳記夫公明党

○近江委員 いまのは公取委員長の非常に率直な気持ちだったと思うのです。私も全く同じであります。非常に残念だと思うのです。  そこで、総務長官は、会社法の問題とか、あるいは今度検討するというようなことをおっしゃっておられるのですが、これは修正できればもちろんいいわけですが、それができないとした場合に、いまおっしゃったそうした点についていつやられるのですか、この点をひとつ明確にしていただきたいと思うのです。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 問題意識として私は持っていますし、またこの点については検討すべきであるというふうに考えているのでございまして、これをいつどこでやるかということにつきましては、関係省庁に私自身の問題意識及びこの場におきまして昨日もこの点について御論議がございましたその内容を伝えまして、協議をさせていただきたいと存じます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 非常にこの点がまずい。われわれとしてはぜひともこの点の修正を要求していきたいと思っております。  それから、総額規制につきまして、これは事務局の方でも結構でございますが、公取試案で規制の対象となる会社数と政府案で規制になる会社数、これをひとつ答弁していただきたいと思うのです。

渡辺豊樹公正取引委員会事務局官房審議官

○渡辺(豊)政府委員 御質問の趣旨が、政府案で規制対象会社という意味が、制限にかかるということでございますと、十五社でございます。公取試案でございますと四十九社でございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 このように四十九社から十五社に落ちている。これ自体も私は非常に問題だと思うのですね。このように多くの会社が対象から落ちているわけですが、私、公取委員長にお伺いしたいと思うのですけれども、そういう公取試案による制限で、基準より多く株式を所有している会社が対象から落ちている。それを現状のままにしておいていいかどうかということにつきましてどのようにお考えか、お伺いしたいと思うのです。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 大変失礼でございますが、現状のままにという、ちょっとそこのところが聞き取れなかったのですが……。

近江巳記夫公明党

○近江委員 四十九社から十五社に減っているわけですね。そうすると、四十九マイナス十五、その間というものが言うなら野放しになっているわけですね。このままでいいのかということにつきまして御意見をお伺いしたいと思うのです。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 そのままでいいとは私は実際申せませんが、つまり限度が変わりましたから、限度が大幅に、倍に変わったわけですね。大ざっぱに言いますと二倍と言っても過言でないと思いますが、そうなった場合に、自己資本の全額までは持ってもいいということになったために落ちた会社が相当数ある。この中には明らかに、そのときには資本金かあるいは純資産の二分の一か、いずれかを超えているわけですから、かなりのものを持っておるということは言えるわけでして、これは好ましいということは言えませんけれども、しかし何とも、法律で決めてしまえば、やはりその範囲内であればいいということになるのが、これが法律なんですから、私が好ましくないと言っても、法律がこうなってしまった以上は仕方がないと申し上げておきます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 総務長官、四十九社から十五社になった。これは御承知のように基準が公取試案では資本金百億以上または総資産二千億以上、こういうふうになっておったのですが、政府案におきましては資本金百億以上または純資産三百億円以上、こういうふうになったということから、四十九社から十五社になったということなんです。なぜこういうようになさったのですか。理由を聞かしてください。

原徹内閣官房内閣審議室長兼内閣総理大臣官房審議室長

○原政府委員 規制の対象をまず拾い上げますときに、資本金百億円または純資産三百億円にいたしました。公取試案ではそこのところが二千億円になっておったわけでございます。それをすることによって、むしろ逆に若干数はふえた、そこの段階はふえた。違いますのは、純資産の二分の一という公取の試案を私どもは純資産一〇〇%ということにしたので、それは減ったわけでございます。  そういうふうにいたしましたのは、まず初めてやるときに実際に与える影響とか、どの程度に実際なっているかというところの、どの程度にすればどうなるかということが、これは初めてのことでございますからよく推測ができないという点もございます。それと、先ほどの規制をかける対象として資本金または総資産というのを純資産にいたしましたのは、規制される方を純資産の額にしましたから、その関係で規制で拾い上げる方も純資産にしたわけでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 あなたの言っていることは余りよくわからないのですよ。おかしいですよ。いわゆる制限条項のこともあなたまぜておっしゃっておるのですが、制限条項にしても、公取の試案におきましてはいわゆる保有制限にしても資本金あるいはまた純資産の二分の一、これを政府案は純資産まで拡大しているわけですね。いわゆる後退後退のこういう姿をやっている。これは結局制限対象になってくる、規制対象になってくる財界から大きな突き上げがあったのじゃないかと私推測するわけですが、こういうようにすべて、この株式保有の一点を見ても、いかに国民の声を無視してそういう財界の方ばかり向いておるか。公取委員長の先ほどの御答弁でも非常に物の言いにくそうな、そういう配慮があったわけですが、こういう一事を見ても非常にはっきりしておると思うのです。  それで、この経過措置を公取試案の五年から十年として、その上にさらに多くの例外規定を置いておるわけですが、この五年を十年にした理由というのはどういうことなんですか。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 その前に一つ、先ほど審議室長が答えました問題につきまして補足をいたします。よくわからないということでございましたので。  実は対象会社の基準は資本金百億円以上、総資産二千億円以上とせず、純資産三百億円以上といたしましたので、対象会社の数は政府案の方が公取試案よりも多くなったのでございます。その点を申し上げました。また、規制枠にひっかからない会社も規制の対象となっておりますから、純資産を超えて株式保有を増加しようとすることは抑制をされているということを申し上げておきたいと存じます。  それから、会社の数にいたしますと十五社になったではないかということでございますが、これは申すまでもなく企業の集中化、グループ化の傾向、その弊害につきまして規制をかけようとするものでございますから、私どもといたしましては、ただいまの段階で特にいまのような純資産の額を超えては総量規制をかけることによりましてこの傾向の弊害を除くことができる、こういうふうに考えたものでございますので、御了承いただきたいと存じます。  それから、十年間の経過期間でございますが、これは五年にすべきであるか十年にすべきであるか真剣に論議をいたしました。ただ、御承知のようにいま法人の持っております株が非常に多うございまして、したがいましてこの放出圧力によりまして株式市場でありますとかあるいは中小企業というものが重大な影響を受けるということがありますと、経済的に大変混乱をいたしますので、そしてまた十年間をとってみますと、私どもが考えております当面の目標というものは、この期間内に十年かかりませんで消化ができるであろう、こういうふうな考え方のもとに、いわば放出圧力のかからない、無理のない配慮を加えた年数といたしたのでございます。御了承をいただきたいと存じます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 時間がありませんから次へ進みたいと思います。  この金融機関の保有制限から生命保険が漏れてしまったわけでありますが、具体的な問題を私一つ提起したいと思うのですが、ことしの二月十七日の予算委員会におきましてわが党の広沢委員が取り上げた問題であります。この一例を申し上げますと、これは日本生命グループと言ってもいいと思うのですが、たとえば西大和開発という会社については日本生命が九・八%、日生不動産が二一・五%、また日生不動産につきましては日本生命が一〇%、日生住宅が一〇%、日生土地が一八・五%、日生ビル興業が一〇%、また日生ビル興業については日本生命一〇%、日生土地二〇%等々の株式所有関係になっておるわけです。こういう点からいきますと、これはもう現行法も脱法したものじゃないか、私はこのように思うのですが、同趣旨の質問を広沢委員がしたわけです。そのとき公取委員長は「相互に株を持ち合うことによって、一〇%の枠を超えているということになるのではないかという疑いを私は持ちます。疑いを持ちますが、さらに実態調査を詳しくしまして、そうして委員会でどう扱うか、これはここでいま私、断言することはできませんが、どうも、早く言えば脱法的な措置と疑われないことはない、こういうふうに思います。」このように答弁なさっているわけであります。生命保険が現行どおりということであれば、こういう問題ははっきりしておかなければならないと私は思うわけですが、この点について結論は出たわけですか。また、こういうケースは銀行等にもあり、脱法行為は禁止されておるわけですから、ひとつ明確にしておいてもらいたいと思うのです。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 いま近江さんもおっしゃいました公明党の広沢議員の日本生命関係の子会社、住友生命も入ります、これは早速私の方で実は措置を大蔵省に要請したわけでございます。大蔵省は直ちに保険部でこれを取り上げまして、形式のいかんを問わず実質的に支配している株式についての保有比率を五%以下とするんだ、こういうふうに融資等で特別に扱わない、それから関連があると受け取られる名称を廃止する、これはかなり厳しい内容でございますが、これを早速とるということで、これは五月末現在でございますが、二月二十六日にそういう措置を決めまして、三月の末に各社から改善計画案を提出させ、可能なものから実施中である、日生は六月一日に名称変更のみ実施した、株式引き受け先について目下折衝中である、つまり株式を実質的に手放して、全部合わせてここには確かに五%以下にしろ、こういう内容で改善を厳重にさせるということになっております。  お尋ねにございましたが、じゃなぜ、一般の金融機関は今度五%だが保険会社は一〇%かというのは、過去にそういう時代があった、一般金融機関が制限されて五%になっておるときでも、生命保険だけではなくて、損保も通じて一〇%であったではないか、そういうことが主たる理由となって、それで生命保険にしろ、そういう有力保険会社は全体として株式保有ということ、株式に対する投資ということを資産運用の一つの重点項目にしているのだ、確かにそれは銀行などと比べますと、保有割合はずっと高いわけです。総資産の中に占める株式の割合は高い、であるからこれについては特別例外を認めるべきだ、こういうのですけれども、私どもから言わせますと、なるほどそうかもしれぬが、運用の上で株式投資額が多いということはわかるけれども、実はそれぞれの企業集団の中でかなり重要な株式保有の役割りを果たしておるのは保険会社がある。ですから、そういうものについて私どもがいろいろそういう点から言いますと、金融機関を五%に今度落とす、保険会社だけは別である、こう言うと、何かその辺釈然としないものがありますので、本来ならば、五%を超えて持つのはいいけれども、議決権は使わないでほしいというくらいに思うのですけれども、だがしかし、そう言ってみても一〇%持っておるという事実は、これは一〇%に近いものを持っておりますから、ほとんど筆頭株主になってしまいます。この事実はどうにもならないわけでございますから、保険会社について大変強い要請があったようです。そういう結果から昔の例があるのでということで、こういうふうに一〇%まで例外として認められてしまった、そのことについて私は必ずしも釈然とはしておらないということであります。

近江巳記夫公明党

○近江委員 そういういろいろなケースがありますので、この点も私は問題点として提起をいたしておきます。  それから、与えられた時間も非常に迫ってきておりますが、この一部譲渡につきまして、この問題につきましては、特に私は公取のいわゆる独立性、このことを非常に心配しておるわけであります。すでにこうした問題が出ておりますが、二回のいわゆる主務大臣との協議、これは率直に言って、公取委員長、好ましいのか好ましくないのか、この点をひとつずばりお聞かせいただきたい。  それから、総務長官の御答弁も聞いておりますと、最終的には公取委員会の判断によるから、公取の職権行使の独立性を侵さない、このようにおっしゃっておるわけでありますが、公取の職権行使の独立性という意味は、最終的にどうのこうのということでなくして、これは影響を受けないということで、これがいわゆる職権行使の独立性ということになろうかと思うのです。  以上の点につきまして、公取委員長と総務長官からお伺いをしたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 いまの協議について好ましいと思うかどうかということになりますと、私はやはり好ましくないと申さざるを得ないのであります。しかし、だから絶対にこれは反対であるとは言っておりません。というのは、これがあっても最終の決定権は公取にあるということを保証されておれば、その点ではそれは独立性を根本的に侵されるものではない、しかし好ましくないということだけは申し上げなければならないと思います。

植木光教自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○植木国務大臣 職権行便の独立性と申しますのは、職権を行使するに当たりまして他の介入を受けないということだと認識をいたしております。したがいまして、今回の協議におきましてもいろいろ意見の交換をするわけでございまして、意見の交換を通じまして合意ができ上がりましたならば、それはそれとして喜ばしいことでございますし、合意がない場合には公正取引委員会の判断が優先するわけでありますから、これは公取委員会に対する職権の介入であるというふうには私どもは考えません。

近江巳記夫公明党

○近江委員 もう時間ですから終わりますけれども、六十条、六十一条におきまして、これは主務大臣、いつでも相談もできるわけですね。ですから、もう時間がありませんから私は終わりますが、いわゆる独立性を侵す、侵さないという問題は、最終的に公取委になったからという問題ではないのですよ。その点だけ私は申し上げておきます。公取委員長も率直な御感想を述べられたわけでありますから。  質問は留保しまして、きょうは時間がありませんから、これで終わります。

塩川正十郎自由民主党

○塩川委員長代理 引き続き、玉置一徳君の質疑に入ります。

玉置一徳民社党

○玉置委員 副総理にお伺いしたいと思います。  きのうも私が質問をし、植木総務長官からは、御意見はまことに同感であります、こういう話で、いままた近江さんが同じ質問をいたしました。たとえば株式の保有制限でありますが、余りにも持ち株、他社の株式を持つ、それがしかも金融機関を中心としてグループ化されつつある。かつての財閥とは異質のものではありましょうけれども、同様な力を持ちつつあるものがここ十年間目に余るほど大きく伸びてきたことは事実であります。そういうものはまたグループごとに力競争になりまして、勢い経済の法則で、本人たちの意思にかかわらず流通まで寡占化していくような強さを持つものであります。こういう意味では、それを防止するということも大きな意味では公取委員会、独禁法に課せられた任務だと私は思います。  こういう意味で、いまのお話を聞いておりますと四十九社が十五社になったのはなぜかとかいうのに対して、審議官からはどういうものかまだ実態がわからぬものでありますので、やりましてからというようなお話であり、植木総務長官もまた、将来考えます、こういうお答えがありますが、私は独禁法改正のようなものが、こういう大事な基本法的性格のものが非常に唐突に出され、しかも何とかこれを通してもらいたい、こういうような御発言が、あるいは御意図があるならば、私はもう少し真剣な態度に当局も出なければ、私たちは皆さんの答えに応じて納得のいくまで一つずつやっていかざるを得ないと思います。こういうことになれば、おどかしじゃございませんが、御承知のとおりの日程しかございませんので、よほど真剣なお答えが返ってこない限り、恐らくはどういう運命になるかということは皆さんも百も御承知で御答弁をなすっておいでになるものと私たちは思います。かような意味におきまして、一番悪いのは、独禁法の性格から見れば、いまのお話の競争会社が相互の株の持ち合いをするなんということはやみカルテルの最たるものと象徴されると思うのです。こういうものに対して、総合商社を除いてはわずか数社に過ぎぬようなところまでなぜ落としたのか。しかも、これはやってみてからというようなお答えがありましたが、この衆議院の審議中にもう一度再考する意思があるのかどうか、そういうことをはっきりと御答弁をいただかないと、私たちもこれの審議に対する根本的な腹構えが変わってくるのだ、こういうおつもりでひとつ御答弁をいただかなければならないと思うのです。その意味で、植木総務長官に言うのもいまお答えをなすったすぐでありますので余り酷だと思いますから、福田副総理、かわって私がこれから申し上げることを御答弁いただきたい。  一つは、株式の保有制限は相互持ち株の制限を含むように検討する用意があるかどうか。  第二点、十年間は余りにも長過ぎる。時代の変転が、田中総理が総理になられた時分から今日まで、本当に経済界の状況は一変したわけであります。しかも、世界の状況にすべてが大きな影響を受けるわけでありますので、十年というのは何ぼ何でも、このことを速やかに排除せなければいかぬということになれば、長過ぎるのは当然であります。昨日も申し上げましたとおり、五年間に限って、他に悪い影響を及ぼし、もしくはその会社に重大なる存続の危険があるような場合には、さらに公取委員会に申請することによって五年間を延ばし得ることができるということになぜ踏み切らぬか、これが二番目であります。  それから、株式会社が自己の資本を超えて他社の株を持つということは、会社法から考えてもおかしなことだと私は思うのです。こういう点をいろいろ考慮されまして、証券会社にも何らかの制限を加える必要があると思うが、近江さんが質問されましたので重複しましたけれども、副総理からこの問題をお答えいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党経済企画庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○福田(赳)国務大臣 そもそも、持ち株についての規制をするということは、これは相当異例なことでございます。そういう立場から、この持ち株制限をどうするか、そういうことにつきましては大変いろいろ議論のあったところでございますが、まず御質問の第一点である企業間の相互持ち株の規制の問題でありますが、これはいまこれを制限するということになりますと、また企業間に相当大きな変革を来す、こういう問題になるわけでありまして、私どもそう大きな弊害を認めておりません。もし、弊害がありますれば、これは独占禁止法のカルテル規制、そういうことで救い得るわけでありまして、矯正し得るわけでありまして、いま直ちに相互持ち株規制問題をここで取り入れるというのもいかがであろうか、こういうふうに考えます。  それから、十年の年限を五年にしたらどうだ、こういうお話です。これも論議の過程におきまして、これはもう既得権というか、現状につきましてはずっとそういうことを認むべきであるというような議論もずいぶん強かったのです。これは議論のその末の決着といたしまして十年ということになりましたのでありまして、五年ということになりますと、これはまたその持ち株を処分しなければならぬ。その処分の方法を一体どうするのか、また処分の結果株式市場に及ぼす影響は一体どうなるのか、いろいろ問題があるところでありまして、さあどうでしょうか、いませっかくそういういろいろな議論を経まして御提案をいたしました、これを政府が修正の用意があるというお答えがなかなかしにくいという事情もまた御理解願いたいと思うのであります。  証券会社の持ち株制限につきましては、証券会社もまた一つの金融機関でありますから、これは制限をする、こういう提案になっておることを御理解願いたいのであります。  いずれにいたしましても、今回の独占禁止法につきましては、とにかく広範な論議を経まして今日御提案を申し上げておりますので、私の方からこれは修正をいたしますということを言い出すわけにはまいらない、しかしこの法案の取り扱いにつきましては、全権を国会において握っておるわけでありますから、何とぞひとつ十分御審議のほどをお願い申し上げます。

玉置一徳民社党

○玉置委員 副総理の答弁は総務長官の答弁よりも後退した答弁で、まことに寒心の至りにたえないのですが、そこでそうなれば公取委員長、このほうはいとして起こっておる金融機関を中核とした企業の集中、あるいは持ち株等々の手段による寡占体制をつくるようなおそれのある風潮に対して、あなたはこれの執行の責任者として、いまのような形のままで完全に未来、将来のためにこれを遂行し得る御自信がありますかどうか、お答えをいただきたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 御承知のように、私どもが考えておったものよりは、政府案というのは相当緩和されておりますから、したがいまして年限の問題は別としましても、ひっかかる会社が非常に少ない、また将来とも自己資本がふえていけば、自己資本の範囲であれば違反にならぬわけですね。それだけで済むのかという問題でありますが、私としては一応とにかくそういうことでやるが、企業集団というもの、これがまだ企業集団とは何ぞやということに対して明快に定義づけるところまでちょっと足らないのですね。そういうことはほかの方法でも私どもこれから十分着目して企業集団の動向というものを監視いたしますが、同時にこれが明らかにどうにもならないというふうに非常に固まっていって、しかもそのシェアが拡大する一方であるということでありますならば、全体の営業上のシェアが拡大する、それが国民経済にとってプラスとは言えないということであれば、持ち株制限の問題は、これは私どもの方というよりは商法の問題かもしれませんが、公取の方としては、先ほど私が申し上げました、少なくとも競争減殺あるいは競争会社とか何とかというものを制限するというものと併用していかなければならぬというのだけれども、ちょっと実は旧財閥系の復活に等しいような企業集団には必ずしも的確に当てはまらぬ点もある。しかし、当てはまる点があります。そういうことで、何らかの形でその持ち株に歯どめをかけるということを別途に考えていって、何年か先には対応策を講じたらいいのではないかと思います。いま短兵急にはちょっとやらない方がいいのではないかと思います。

玉置一徳民社党

○玉置委員 公取委員長は、昨日役所によります設備投資の業界の調整指導は、法律によらない限り独禁法違反である、こういう見解を述べられたのであります。これは相互の自主調整はなおさら違反になりますね。お答えいただきたい。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 特別に法律で認められている場合以外は独禁法に触れることになる。具体的にはどんなケースかということは別にしまして、法律の裏づけがない限り、それは独禁法違反になると思います。

玉置一徳民社党

○玉置委員 それは、違法性がある、ただし訴追まではしないということですか。やはり違反である、こういうふうにお決めになりますか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 昨日も私申しましたように、少し古いのですけれども、覚書があったりする、交換文書があるというような場合ですね、これはやはりその面は私は余り気短かには考えていないのです、いろいろ産業界の実情を考えなければなりませんから。しかし、そういうものを一たん御破算にした上でないと、直ちにすべて違反だといって摘発してしまうということは無理じゃないかと思います。だから、これはそういますぐどうしてもという差し迫ったあれはありませんけれども――いままで何年か経過しちゃったのですから。しかし、それをいつまでもほっておくというわけにはまいらぬ。だけれども、直ちにそういう自主的ないろいろな調整をやっていれば違反だと言うには、ちょっとこちらに弱みがあるということを申し上げます。

玉置一徳民社党

○玉置委員 そこで、通産大臣にお伺いするのですが、いまのお話のような公取委員長の見解であります。従来鉄鋼その他におきましてこういった調整のあっせんなり指導を役所がやったことがあると思うのです。と申しますのは、非常に産業の規模が、したがって設備投資の規模が大型化されてまいっております。こういう意味では、産業人そのものが自分のところの会社の企業のことを考えて適時増設をするのが当然でありますけれども、その結果は企業責任者がその損失の責めを負うのが、これが資本主義では当然であります。けれども、それが海外の競争要因等々考えまして、現今では余りにも大型化されてまいりました。したがって、その国民経済的なロスというものも必ずしも看過でき得ないというのが現状であり、今後もますますそういう方向に行くのじゃないだろうか。こういう意味におきまして、通産行政としてのやり方は、なかなか困難な、あるいはむずかしい関門をくぐらなければならない。そういう意味では、電気、ガスのような事業法を鉄鋼、石油等の重要基礎産業に対してこしらえることによって、国民経済的なロスがなくなり、しかも日本の戦略産業が安定していく、しかも価格の形成にも寡占価格を形成しないようにやっていく、こういうようなことも考えざるを得ないように思うのでありますが、先ほどの公取委員長の見解とあわせて、どのようにお考えになりますか、御答弁をいただきたいと思います。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 通産省はいろいろ行政指導を産業界に対して行っておりますが、そのやり方といたしまして、第一に、先ほどちょっとお話がございましたが、石油業法とか電気事業法、ガス事業法、こういうふうな法律に基づきまして行政指導を行う、こういう場合もございますし、それからさらに通産省設置法に基づきまして日本の産業界の円滑な発展を図り、いま御指摘がございましたように、非常に最近は大型の設備がふえておりますので、通産省がそれぞれの業界から事情を聞きまして、全体として国民経済上ロスにならないように個々の産業を指導していく、こういう場合もあるわけでございます。そういう場合に、業界がそれに乗じて独禁法違反になるような行いをしてはいけませんけれども、しかし日本産業の健全な発展を図るために話し合いをするということは往往にしてあるわけでございますし、またそういうことがなければ大変混乱をすると思います。私は、そういう場合には当然許さるべきである、こういうふうに考えております。

玉置一徳民社党

○玉置委員 そういう場合もあり得る。したがって、役所が生産設備の調整のあっせんをすることは、それだけが問題なんですが、法律に基づかないと独禁法違反の、これは違法性があるということだと思うのですが、若干弱味があるというようなお話がありましたが、したがって何かの法律に基づいてやるというそういう傾向がふえていくと思うのです。すべてが大型化されてまいりますから、そう自由放任に任しておいてもやりにくい問題ができてくるのじゃないか。産業構造審議会によります産業構造のビジョンというもの、よく通産省は一つの目標をつくるために、恐らく設備がこうなるだろう、何年度にはどうなるだろう、こうなりますが、何かの調整がない限り、それが達成の過程には何かの調整というものが、自主的なのか役所指導型なのか、何かが起こり得ると思うのです。ちょうどぐあいよく六社なり八社がそこへいったというようなことになかなかなりにくいのじゃないか。そういう場合にどうすれば独禁法違反にならないで、しかも理想的な日本の産業の構造が達成できるか、その方法はどうしたらいいか、こういうことなんですが、もう一言ひとつ。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○河本国務大臣 先ほど申し上げましたように、個々の法律がありまして、その法律に基づいていろいろ行政指導をしている分野もございますけれども、他のものにつきましては、通産省設置法に基づきまして行政指導をしているわけでございます。いまの御意見は、重要産業全部について個々の事業法等をつくり、それによって指導すれば独禁法との関係も明白になり、その方がいいではないか、こういう御意見のように拝聴いたしました。しかし、現在におきましても、通産省設置法によりまして十分できるわけでございますから、一つ一つの重要産業に単独立法をいたしまして、それによって行政指導をする、そういうことをしなくても十分やっていける、こういうふうに考えております。

玉置一徳民社党

○玉置委員 公取委員長、設置法によるということを通産省はオールマイティのように、大体そういうことに言おうじゃないかということに、前に公取でいじめられたときにそれが頭にきてそういうように決めたのだろうと思うのですけれども、前の石油ショックのときに、狂乱物価のときに、通産省は中曽根さんが通産大臣のときに生活必需物資二百品目値を上げたらいかぬと言って、だだっと抑え回りました。せっかくこしらえた石油二法をやってみて、いかなかったら改めようではないかと言っておるのに、あれはひとつもさわらぬで事前にこうやった、こういうやり方をされました。あれは効果が非常に多いからみんな黙っておらなければいかぬと思ってわれわれも黙っておりましたけれども、あれはやはり法律に基づかないと、役所というものはどんなことでもできる、それが合目的に値段を安くするのだったら、こういうような風潮をとる恐れがある。だから、設置法に基づけばどんなことでもできるという考え方は、もう一度みんなで、閣僚間でも御協議をいただきたいし、われわれも時間の余裕があるときに一遍この問題について根本的に論議を交わしたい、こう思っておるのですが、あなたは先ほど言いましたような官民協調懇のような形で設備投資の指導をすることは違法性があるということは、その設置法によりましても違法性があるとお考えになりますかどうか、もう一度お答えいただきたい。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 私は設備投資というものは、きのうお答え申しましたように、何年か先になりますけれども、その場合の能力を規定してしまうのですから、その段階ですでに行政介入であれ何であれ、そういう協調的なあれが行われれば競争関係は相当程度に失われると思います。これらに対しまして、考え方として恐らく玉置さんのお考えの底には、大企業には特別な法律をつくったらどうだというふうな考えがおありのようですが、私はそういうことであると、これは統制経済みたいになってしまう。統制経済にいくのならいいけれども、なるべく自由競争の利点を生かすなら、私はすべて――これは非常に極端な意見と受け取られるかもしれませんが、私は極端と思わない。全部野放しにしたらいい。全部自由に、設備をやりたかったらやったらいいのですよ。どこから金が出るかといったら銀行なんですね。銀行が金を出すからできるのでしょう。だけれども、今度は銀行が融資を無制限にはできませんね。都市銀行などは特に制限に引っかかっている。いずれはその制限の中に入るそうですけれども、中には入らぬのが、大変なのがある。そうすると、自分で貸そうと思ったって、自分で貸せないから、あらゆるところから借りるように銀行自身がかけずり回るとかいうふうなことになりますね。だから、私はそうやってお互いにいわば派閥争いみたいに極端な争いをするなら、やらしておく。しかし、私は金に限度があると思いますね。だから、では資金調達の強い者が勝つかというと、そうも言えない。だから、一遍やればその責任はあくまで、設備投資というのは経営者の責任においてやるのだ、企業者の責任においてやるのだということが明確になれば、あとで泣き言を言ってもそれは一切構わぬ、一切知らぬ。私はそういうものに対しては過剰設備が起きた、さあ、不況だというので不況カルテルを申請してもそういうものは認めないようにするのが正しいのではないか。だから、不況カルテルにかけ込めばいいのだということになると、それは何かおかしなことになりますけれども、一たん踏み切るのなら、大企業ならば協調してもよろしい、中小企業は協調してはいかぬのだ、こういう差別を設ける必要はないし、競争のメリットを本当に生かそうというならば、私はその意味では――野放しという言葉は不公正も含むという意味ではありませんよ。しかし、自由な競争にゆだねていく方がむしろ結果として、長い目で見たらいいのではないかとさえ思っているくらいでございます。  少し、私の考え、極端とお考えになるかもしれませんけれども、そういう考えを述べておきます。

玉置一徳民社党

○玉置委員 公取委員長はああいうざっくばらんな御性格ですから、それだけ率直におっしゃったですけれども、私は公取の立場から見ればそうだと思うのです。けれども、日本経済は公取だけで動くのではないのですから、だから日本経済のロスなしにうまくやるやり方をひとつ役所間でお互いに御検討いただきたいという意味で言っておるのです。私は大企業全部、そういうものにしろという意味では決してない。石油や鉄鋼のような余りにも基礎的な産業だけは自由競争だけのあれでは、野放しでもいかぬのではないか。こういう意味で電気、ガスと同じ以上に社会的に大きな役割りを持っておるから、こういう意味なんです。  そこで、公取委員長もう一つですが、やみカルテルの摘発ということはなかなかむずかしゅうございます、本人たちが自供すれば別といたしまして、そうでない場合は。石油の販売業なんというものは余りにも多いものですから、どこかで文書を流さなければいかぬ。これは挙がりやすい。けれども、数社による寡占状態になっているときは腹と腹と出会ったときのあうんの呼吸でものが言える。そうすると、弱い者いじめになりはせぬか、そのときに同調的値上げだけやられたようなかっこうになりますと。同調的値上げというものは報告を求めることができるということになっておる。ここら非常に苦労の存するところだと思いますけれども、これについてはどうお考えになりますか。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 私だけではありませんが、私どもの考えとしては小さな業者だけをいじめるという考えはなくて、逆にできるだけ大企業、中堅企業以上のものを対象にカルテルを規制する、そういうところに重点を置いているという、これは間違いないことでございます。  いまおっしゃいました証拠の点でございますね。確かにだんだんに寡占が進むと、品物によりますが、あうんの呼吸でできる、そのために証拠のないカルテル行為になるおそれがある。これらにつきましては、私はそれだけに今後裁判上もしこれでもいけるということであればいわゆる状況証拠というものを併用して、本来の物的証拠を――日本は非常に厳しいのです。物的証拠がなければ、裁判に行っては負けてしまいますから、それに依存する度合いが強いのですが、しかし相当有力なる状況証拠というものを併用すれば何とかいけるのじゃないか、場合によったら裁判で負けることがあってもそういうことを試してもいいんじゃないか、こう思っているくらいでございまして、なるべくならやはりカルテルとして大企業中心の構造に焦点を当てて運営するという考えでございますので、その点御安心いただいて結構だと思います。

玉置一徳民社党

○玉置委員 もう一点お伺いするのですが、そこで問題は、同調的値上げ三ヵ月間だということになりますと、非常にむずかしいのはいま申しました重要基礎資材が値上げを一挙に、鉄なら鉄何ぼ当たり何ぼ上げます、こうなりますと、これはいまのような日本の産業の成長度合いがほとんど技術的に同じレベルまで行っておりますと、あるいはベースアップはベースアップ三割なら三割というものが上がったときには大体春闘相場というので同じ時期であります。あるいは新聞なら新聞の紙の素材が上がったというときも同じであります。こういうのはほとんど同時に行われる可能性が多うございます。これは直接その価格に響くものであります。こういうものにもできるというものを適用されるのかどうか、お伺いしたいと思います。

高橋俊英公正取引委員会委員長

○高橋(俊)政府委員 具体的な例は引きません。しかし、お話のようにいろいろ条件が似ているじゃないか、だから結局同調的になるんだ、こういうお話でございますが、実際には同じような商品を同じような値段で売っておりましても、経理状況から見ると相当違うということがあります。一方は赤字寸前である、一方は相当余裕のある利益を計上しているという場合もありますから、同じ値上げをするにしましても、それは商品ですから、大体よく言われる一物一価の原則じゃないかということを言ってしまえば同調的値上げがあたりまえだというごとになりますが、私はそういうことを言い出したら競争は否定されたも同然であるというふうに思いますので、原則論としてはいまおっしゃったような事情がありましても、余りにも同調的であるというふうに認められる場合は、やはり四十条の二を活用せざるを得ないのじゃないかという基本的な考え方を持っております。

玉置一徳民社党

○玉置委員 時間が参りましたので、あとは保留いたしまして、また一般の質問でやらしてもらいます。

塩川正十郎自由民主党

○塩川委員長代理 次回は、来る六日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十六分散会

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