社会労働委員会 第23号
- 発言数
- 309 件
- 登壇者
- 35 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1975/06/19
会議録
○大野委員長 これより会議を開きます。 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。羽生田進君。
○羽生田委員 たくさんのいろいろな問題、少し細かい問題もありますけれども、お伺いしたいと思いますので、ひとつ御答弁を簡単にお願いしたいと思います。 最初に厚生大臣にお伺いいたしますが、いま国を挙げて国民の福祉ということを一生懸命やっておるところでございます。私は昔から、福祉行政というものは保健福祉と社会福祉の二本立て、すなわち憲法二十五条の健康と生活と、この二つの保障という問題から二本立てでやるべきだというような考え方を持っておりました。前厚生大臣にもその点で御質問申し上げましたが、私のお願いしましたいろいろなことについては十分な御答弁もいただけませんし、そのような気配も実はないのですが、いま国民の健康管理ということを考えますと、生まれて幼稚園に行くまでは厚生省がやっておる。幼稚園から大学、いわゆる学校を終わるまでが文部省がやっておる。学校を終わりますと大体が労働省あるいは環境庁とか各省になります。また、年をとってまいりますと厚生省へ戻ってくる。これが現在の日本の揺りかごから墓場までの健康管理の状況なんです。しかし、本当に健康というものを国が保障するくらいに心配してやる、こういうことである以上は、国民の健康管理ということは一本で一筋でいったらどうかという考え方でございます。 〔委員長退席、菅波委員長代理着席〕 と同時に、生活を保障する意味におきましては従来の厚生省の大半がやっておりましたこと、あるいは言葉をかえて福祉省でも社会省でもいいのですが、保健省と福祉省という二本立ての行政等に関して私は御意見を承りたいと前回も齋藤厚生大臣にお願いしたのですが、的確な御返答をいただけなかったということで、最初にその問題をひとつお答えいただきたいと思います。
○田中国務大臣 現在の厚生省所管の仕事を保健福祉といわゆる社会福祉というふうに分けて、これを保健省と福祉省に分離してはどうか——これは一つの御意見だと私も思います。しかし実際問題として、この両者は具体的な施策の面では非常に密接に絡み合っておるわけでございまして、これを分けるということは非常に困難でもありますし、また施策の上においてそれがいいものであるかどうかということについてもまだ確信を得ないでいるところであります。 なお、先生のおっしゃった年齢層によるところの福祉の対象というものについては、いささかそうではないというふうに思うわけであります。学齢期にある者についても厚生省所管でありますし、あるいは青年期に達しましてもやはり厚生省所管で福祉面を扱っているわけでございますので、そういう点ではなしに、むしろ仕事の性質あるいはボリューム等々で一体分けることがいいか悪いかということだろう、そうなってまいりますると、それを分ける一つの基準といたしまして、余りにも仕事の量が多いために一人の大臣あるいは一つの官房がこれを指導監督ができないほど大きくなったというときが一つ問題だろうと思います。あるいは政策の志向するところがお互いに矛盾をする、したがってそれは独自の立場でもって問題を進めていった方がよろしい。たとえば環境庁の設置などはその好例だろうと思いますが、そうした問題に照らしてみますると、前者についてはまだ一人の大臣あるいは一つの官房でやるだけの能力をオーバーしているものとは思われませんし、また保健福祉と社会福祉とはこれがお互いに背馳する、二律背反する動きをするものとも思われませんものですから、したがいまして、なお現状においてしばらくの間はこの姿で行政を担当する方が、メリット、デメリットの比較考量度においてはやはりメリットが多いと私は思いますので、したがって、当分の間厚生省一本でこの二つの福祉分野を担当する方がよろしいというふうに思っているのが私の心境でございます。
○羽生田委員 大臣のお考えはわかるのですけれども、私はいまの日本の福祉行政の中におきまして、生命尊重というものが非常におくれているような気がするのです。何物にもかえがたいのが人間の命なんです。あらゆるものを犠牲にしても、政治の表看板は当然生命尊重でなければならない。その生命尊重ということに対して、生きているのはあたりまえだという考え方の方が優先してしまって、特に生命を延長させよう、一層強く長く生きていけるようにという施策におきましては、どうも少し足りないのじゃないか。たとえば予算全体を見ましても、少なくとも命を守る、長生きをする、健康で丈夫な一生を送るということに対しましての金の使い方が少な過ぎるという感じがするわけです。私はあえて言うならば、国家予算の三分の一ぐらいは国民の命を守るということに対して金を投じてもいい、こういうふうに思うのですが、いかがでございましょうか。
○田中国務大臣 確かに国民の命を守るということは、政治の上で最も大切な部門であろうと思われます。かような趣旨で、私どもその面については大いに力をいたさなければなるまい、かように思っておりますが、人間生活には健康という肉体的な面と生活を支えるという所得の面と、両方が両立をいたさなければならないわけであります。しかも、これは両者密接に関係をするということになりますと、やはり私が申したような行政機構の中において、先生のおっしゃったような施策について努力をし、その施策の厚みを上げていく、向上するという方向の方がよろしい。ただいま現在では私はかように考えております。
○羽生田委員 それでは次へ進みますが、がんの問題を含めましていわゆる難病、特定疾患、これらについてお伺いいたしたいと思います。特定疾患というのが、いわゆる難病奇病ということで年々対象の疾病もふえてまいっておりますが、難病中の難病はがんだと思うのですが、そういう意味で、あらゆる特定疾患に対して特別な計画を持っていろいろ対処されていくことも結構でございますが、これは一体どこまで毎年毎年ふやしていって、現在一体どういうふうになっているのかという問題と、がんというものだけ一つ取り上げての問題でございますが、まず先にいわゆる特定疾患について、現在一体どういうふうになっているのか、将来まだまだこれは毎年数をふやしていくのかどうか、そこらの特定疾患に対する考え方、これをひとつお伺いしたいと思うのです。
○佐分利政府委員 昭和五十年度の特定疾患対策におきましては、調査研究の対象疾患は十疾患ふやしまして四十疾患としております。また、治療費補助の対象疾患は五疾患ふやして十五疾患にいたしております。そこで、一体今後疾患をこのようなペースでふやしていくのかどうかという御質問でございますけれども、この点につきましては、国会の御意見、学会、医師会等関係団体の御意見を十分に拝聴いたしまして、公衆衛生局にございます特定疾患対策懇談会の意見を聞いて決めてまいりたいと思います。ただ従来は、特定疾患については、それぞれの疾患ごとに調査研究班を編成いたしまして研究を推進しておりましたけれども、本年度からは、いろいろな特定疾患で共通するテーマについてはプロジェクトを掲げまして共同研究、また学際的な研究を行うような方法を採用いたしております。今後このようなテーマごとの横断的な研究の体制が漸次強くなっていくのではなかろうかと考えております。
○羽生田委員 それでは、がんのことでちょっとお伺いいたしますが、これは日本の全体の死亡率の第二位ではございますが、三十五歳から六十四歳という年齢層をとってみますと、何といってもがんの死亡率が第一位。この年齢は一般家庭、一家におきましても本当に働き盛りであり重大な時期でもありますし、また国家といたしましても一番必要な年齢層でございますが、その三十五歳から六十四歳という一番の働き盛りのときにがんで死亡する人が一番多いということに対して、がん対策が私は少し手ぬるいように思うのです。というのは、がんのいまの現状では早期発見以外にはないということでございますが、その早期発見にいたしましても、四十八年の数字でしたか、厚生省が発表しておる数字に、胃がんの集団検診、早期発見の検査は二百八十万人くらいだったでしょうか、そんな状況でございますが、いまの時点におきましては集団検診、早期発見以外にはないというようなときに、そのうちの大半を日本対ガン協会が中心になってやっております。しかし、いまのような時代で経済的に大変むずかしい、成り立たない状況で、特に検診車の購入等にいたしましても、また検査に実際に使います薬剤その他につきましても、また人件費の高騰等いろいろなことで、検診料を上げるということでなければやっていけないという現状、ところが検診料を上げるということになりますと、実際に集団検診をできるだく多くしようということに対しては非常にブレーキになるわけです。したがって、もう少し国がこの面に対して大幅な援助を考えていただかないことには、集団検診なんというのはこれはやっていけない。現在胃がんと子宮がんにつきまして一番重点的に早期発見の検診をやっておる。これだけではないと思いますけれども、とにかく胃がん、子宮がんの死亡というものが非常に下降しておる、少なくなっておる、ところが反対に肺がん、乳がんというものはどんどんふえておる、こういう現状でございますので、いわゆるがん対策というものに対して、集団検診について国がもう少し考えていただかなければならないと思うのですが、そのことについてひとつ伺いたいと思います。
○佐分利政府委員 がん予防対策につきましては、昭和四十一年度から胃がんの集検車の補助金と運営費の補助金を、また四十二年度から子宮がんの集検車の補助金と運営費の補助金を交付してまいりまして、四十五年度からは民間の集検車の運営費についても補助金を交付し始めております。その結果、四十九年度末で胃がんの集団検診車は三百三十台、子宮がんの集団検診車は八十九台となってまいりました。もちろん先生がおっしゃるようにまだ十分ではございませんけれども、これだけ力を入れております国は日本以外にはないのではないかと思っております。そこで、今後の対策でございますけれども、従来の方針をそのまま踏襲してまいりますけれども、対ガン協会に対しましては、がんの予防知識の普及事業の委託とか、あるいは集団検診に参画いたします技術職員の研修の委託というものをお願いしてまいりたいと思っておりますし、また、地方公共団体や公的団体に対する車の補助金につきましては、たとえば運営費は昭和五十年度は約一四%値上げしたわけでございますけれども、車そのものの整備費の単価がここ数年変わっておりませんので、この点についても今後できるだけの努力をして単価の引き上げをやってまいりたいと考えております。
○羽生田委員 もちろん、国が検診車あるいは運営費、集団検診の費用その他にいろいろと援助していただいていることは私も承知しておるのですけれども、いま非常に機械の進歩が著しくて、特にがん検診車にもどんどんテレビレントゲンが配置される、あるいはもっとそれ以上に進んだII方式の機械、そういうように非常に機械も進歩している。これは実際検診する者たちの生命の安全というようなことにも関連してまいりますので、いつまでも古い物の購入ということで援助を設定されておりますと、これはもう新しい物は買えないということになる、そういう点を再考していただきたいと思っているのですが、いかがでしょうか。
○佐分利政府委員 従来も古くなった車の更新については補助対象にいたしております。また車の補助金の単価につきまして、実は昭和五十年度実際に補助金を配ります場合に、運用で、高い車を購入なさるところには高額の補助金を差し上げるという考え方を、大蔵とも相談をして持っておりましたけれども、予算の節約がかかってまいりましたために、一方では非常にたくさんの希望がございますので、今年度も従来どおりの低い補助単価で補助金を差し上げることになろうと考えております。
○羽生田委員 先ほどもこのがんの問題で申し上げました一番死亡率の高い、三十五歳から六十四歳という重要な立場の人たちの死亡というようなことで、社会防衛という言葉が当てはまるかと私は思うのです。たとえば、結核予防法ができる前にはやはり結核予防協会が全面的に民間団体として結核対策を一生懸命やっておった、そのうちに結核に関しては非常に学問も進歩いたしまして結核予防法ができた、その大きな原因としては、結核は感染するのだ、したがって健康な人、感染してない人たちの健康を守るという意味で、社会防衛的な意味で予防法ができたのだ、こういうふうに聞いておるのですが、一番働き盛りの三十五歳から六十四歳という年齢の人たちに一番高い死亡率、これも国としては非常に大きな損失だと思うのです。したがって、そういう大事な年齢層の方々を守るという意味においては、社会防衛ということも当てはまるんじゃないか。そういう意味で、集団検診等についてのある程度の義務づけ的な、がん対策法というものの法制化ですか、そんなようなものはどうだろうかと私は考えておるのですけれども、厚生省としては、法制化というような問題に対してはどういうふうにお考えでしょうか。
○佐分利政府委員 現在、がん対策法を制定するような考え方は持っておりません。ただ将来は、たとえば最近アメリカ等がやりましたように、がんと脳卒中と心臓病、そういうものを一体化した成人病予防治療法のようなものを考える必要が生じてこようかと思っております。また検診について義務づけることにつきましては、現在の諸般の情勢また国民のいろいろな価値観の変遷等を考えますと、いまの時代にはそぐわないのではなかろうか、むしろ行政指導でできるだけたくさんの方に受けていただくという方法がいいのではなかろうかというふうに考えております。
○羽生田委員 いまアメリカの話が出たのですけれども、私もアメリカにおきます大統領直轄のがん対策室、これを聞いておるのです。とにかく、がんというものだけを特別に取り上げて何とかひとつがんから国民の命を守ろうというようなことに対して、ただただ一般的なことだけで、何か特別に法制化まではやらないんだ、義務づけもしないんだ、こんなことで、しかも研究費等にいたしましても毎年上がった上がったと言うのですけれども、私どもにすれば大して上がっていない。こんなものは自然増ぐらいしか上がってやしない。十二、三億ぐらいしか研究費も出しておらない。一番大事な人を亡くしておるこのがんに対する施策としては余りお粗末過ぎると思う。日本が一番がん対策をやっておるんだという先ほどのお話ですけれども、私は、どうも文明国としては余りにもやらなさ過ぎると思うのですがね。何かもう少し強力ながん対策の施策を、国ができないんだったら日本対ガン協会という民間の団体に、これは法制化されてないから国は余りできないという点があるかもしれませんが、もっと援助して、そして日本から結核を撲滅したのと同じように、がんの脅威を日本から去らせるようなことに、これは日本だけの問題でなく世界的な大きな問題でもありますので、ひとつがん対策というものを本当に真剣に、特別に考えていただきたいということを最後にお願いをしておきます。それから次に、てんかん問題についてひとつ考えていただきたいと思うのですが、一九六九年にイギリスのレード報告という、これはてんかん問題についての世界的な報告なんです。その報告の中を見ますと、とにかく人口千人に対して五人のてんかん患者がある。したがって日本を考えてみますと、五十万人の患者があるというふうに言われるわけなんです。しかも発病率も〇・五%、五万人ぐらいずつは毎年発病しておる、こういうふうに言われておるのですが、欧米においては、レード報告を見ますと、とにかくてんかんというものを取り上げて専門病院あるいは専門のてんかんセンターあるいはてんかん学校というものがある。さらにはコロニーまでつくっている。西ドイツの一番収容しているところですが、ここは二千三百七十五名の患者を収容しててんかん対策ということをやっておる。もちろんてんかんは確かに死亡率は問題じゃないのですけれども、子供が多いわけですが、大人までありますし、治療法によってはこれは治っていくものなんです。ところが、日本では約三分の二ぐらいしか治療を受けておらない。五十万人の患者がいるといたしましても三十万人ぐらいしか治療を受けておらないし、しかも治療部門も内科、小児科神経科、精神科あるいは脳外科というようなぐあいにばらばらにやられております。いわゆる専門的な医療機関がない。こういうようなことで、これも余りに医療対策としてはおくれているんじゃないか、こう思うのです。日本ではまだ専門の病院も全然ありませんが、承りますと、国立で何かそんなようなことを考えているようなお話も耳にしたのですけれども、これに対して国はどんなふうなお考えか、厚生省のお考えをひとつ聞きたいと思うのです。
○滝沢政府委員 先生おっしゃいますように、てんかんには機能的なもの、器質的なもの、いろいろございまして、特に最近子供の点頭てんかんというようなことが非常に社会的な問題になってまいっております。この機会にもお答えしたわけでございますが、適切な診断を下し得る医師がわが国においてはきわめて少ないということも事実であろうと思うのでございまして、てんかんが精神障害者の範疇であるというようなとらえ方、これは精神障害との関連の深いものもございますけれども、そうでない場合もございまして、一般的に医師の、あるいは医学教育の考え方の中で、てんかんに対する全体の把握の仕方が外国などに比べて必ずしも適切でないという基本的な一つの問題点があろうと思うのでございます。このような背景の中で、おっしゃるようにこのてんかんの特殊な専門施設をつくりたいという考え方を持っておりましたが、これに権威のある、実際にそれを責任を持ってやってくださる人を得ることがいままでできませんでしたが、幸い国際的にもまた国内的にもてんかんの問題についてきわめて権威のある学者の方が大学から国立の方においでくださいましたので、ただいまの計画といたしましては、静岡市の郊外にございます、昔療養所でございましたものを、静岡東病院を整備いたしまして、この院長のもとで副院長もその専門家を迎えることができましたので、その関係の専門家にお集まりいただき、施設整備を計画的にいたしまして、わが国のてんかんの専門施設をつくりたいという構想で進めておるのは事実でございます。そのほか一般的に、各病院なりあるいは各医療機関におけるてんかんに対する基本的な対処の仕方、あるいは医師側の診断能力、こういうものの向上が今後の重要な課題でございますが、専門医がきわめて少ない現状でございますので、ある意味においては政策的にこのような特殊な専門医の養成と申しますか研修と申しますか、そのような方向の努力が今後必要であろうというふうに思っております。それにしても、国立に専門施設がまず存在するというようなことになりませんとそのような推進ができないと思いますので、とりあえず国立病院の整備を急ぎたいというふうに考えております。
○羽生田委員 その国立の整備というのはいつやられるわけですか。五十一年度にそれをおつくりになる、そういうような構想ですか。
○滝沢政府委員 先ほど申し上げましたスタッフを確保でき、その構想がようやく固まりましたので、五十一年度予算以後の整備費の中で具体的に実現を図りたいと考えております。
○羽生田委員 それでは次に、僻地診療につきまして少しお伺いしたいのですが、やっと僻地医療対策の方針が決まりまして、中核病院等をつくってやるというところまで参ったのでございますが、この僻地の中核病院の構想とでも申しましょうか、何か国公立病院の強化拡充という意味合いも含めてつくられるようにも思いますが、僻地診療はどんなことをされるのか。現に民間団体も僻地診療ということを一生懸命やっております。医師会あるいは済生会、日赤、これらがみんな僻地診療というのをやっておるわけなのですが、これらとの関連とか、もう少し具体的に僻地診療等についてお伺いしたいと思うのです。
○滝沢政府委員 従来、僻地の対策は五カ年ずつ第三次ですから、もう十五年がかりでこの対策を進めてまいったわけでございます。当初は、先生御存じのように僻地診療所をつくって医師を確保しよう、これが非常に困難だという事実がわかりまして一そのうちに道路の開発等が進んだ、したがって僻地で医療をその場で施すというよりも、僻地の医療を確保する方策は、巡回診療あるいは患者輸送等による医療機関への適切な活用を図るという方策を加味して、どちらかと言うと、僻地に医師を確保するという方針よりも、近隣の病院あるいは診療所等に患者を輸送するという方向でいままでやってまいりました。これとても必ずしも十分なものではございませんので、今回、五十年度予算から僻地中核病院等を整備いたしまして、従来十分医療の及んでいない地域は僻地中核病院を中心にいたしまして医療を確保していきたい。もちろん、先生おっしゃるようなそれぞれの、たとえば岡山の済生会等が瀬戸内海の島々を船で巡回していくというような対策も、従来あるものは推進していくわけでございますし、また、僻地対策をつくりますときに先生からの御発言もございましたように、地元の医師会等が巡回診療を実施しておるものも、今回の予算でさらに民間協力に対する助成策を強化いたしております。したがいまして、僻地中核病院というものは、従来の点でやってまいりましたものをやや面に広げた感じはございますが、それとても僻地中核病院の及ぼす範囲の僻地対策になるにすぎないのでございまして、従来ございますもろもろの各府県市町村あるいは各医師会、その他の団体の御協力による僻地対策の推進というものは、それぞれの地域の実情に応じて御推進願い、これに対する援助その他が不十分であれば今後さらに充実していくことを図って、総合的な僻地医療の確保を考えておるわけでございます。
○羽生田委員 そういう僻地診療ですが、私が一番心配するのは、医療機関に遠い僻地の患者——救急の者に対してはすぐに飛んでいくとかあるいは保健婦を派遣するとかいろいろあると思うのですが、通院という問題ですね。特に一番問題になるのは歯科診療だと思うのです。通院しても一回で治るというわけではないのですから、通院をするということは、僻地では診療所まで行くのがなかなか大変だ。もちろん耳鼻科とか眼科とか、そういう科に対しても通院ということが多いのですが、それに関してはどんなふうなお考えでしょうか。
○滝沢政府委員 通院の問題につきまして特に歯科の例を引かれましたが、これは特定な地域には巡回診療等の歯科対策をやっておりますが、そのときに一つの注意が促され、初期の治療が一回ぐらい行われても、その後の通院治療の問題というふうに先生の御質問が受け取れるわけでございますが、この点は、現実の問題といたしましては確かに医療の確保の面からはきわめて問題が多いのでございます。たとえば、朝四時、三時に起きて歯科診療所まで息子さんの車かオートバイに乗せてもらってお年寄りが治療に行くというような実態が新聞などで報道されておりますように、この歯科の治療を継続して受ける場合には確かに問題がございますが、われわれといたしましては、一昨年実施しました実態調査等を見ますと、やはり医療の確保の上で一番改善に大きな影響を与えているものは、地域の道路の開発等地域生活環境の開発が大きな影響を改善の上に与えておるという事実、したがって医療機関への距離などもかなり従来よりも短縮されている。それから、自動車その他の便の問題の実態を調べましても、自家用車等を山村の部落のお店あるいは個人的な所用のために相当持っておるというような実態を把握できたわけでございまして、決してこれだけではお答えになりませんけれども、通院という面まで何か政策的に考慮するということになりますと、どうしても歯科の場合も僻地に歯科診療所を確保しないと、全く理想的と申しますか安心して医療を受けるという実態には遠いわけでございますが、現状の歯科の医師の確保の状況から言うと不可能のことでございますので、結局先生の御質問のお答えには政策的にはならぬわけでございますけれども、非常に困難な状況の中でそれぞれお困りの方が医療を受けていただいておる。これに対する対策としては、単なる医療面からのみでなく、社会開発全体の作用が影響しておりますので、こういう点から対応しておる事実をわれわれがつかんでおるということでございまして、個人個人あるいは個々の地域ごとには大変大きな問題としてまだ残っておるというふうには認識いたしております。
○羽生田委員 そういうことに気を使って、ぜひひとつ細かいところまでも考えて、これはあくまでも患者さんですから、やっていただきたいと思います。それから次に、予防接種の問題で少しお伺いしたいのですけれども、いわゆるワクチン、予防接種液の持っております宿命というものは私どもも承知をいたしております。しかし、それで事故が起きた場合には、これは法的には市町村長というようなことになっておるようでございますが、実際には施術をしたといいましょうか、注射をした医師とかそれに当たった医師の責任をまず第一に問われるのですが、これはいまの状況では後々までとかく事故というものの責任を持たされるようなことのために、末端の医師が予防接種というものに対して非協力な態勢にあるのです。したがって、予防接種の事故防止はもちろんでございますが、何か後の責任というような問題についてもう少しすっきりした、心配ないからぜひ協力というような態度が出ていないのですが、それは何かないでしょうか。
○佐分利政府委員 現在、公衆衛生局の伝染病予防調査会の制度改正特別部会におきまして、予防接種救済制度の法制化を検討いたしております。また、同調査会の予防接種部会におきまして、予防接種制度の全面的な再検討を行っております。その際、ただいま先生から御指摘のございましたような、第一線において予防接種を担当なさる医師などの方々に従来も非常に御迷惑をかけてまいりました。無過失の事故で医師に御迷惑を最終的にかけたという例は全くないわけでありますが、たびたび裁判等に呼び出されて、そういった意味で御迷惑をかけるというようなことがあったわけでございます。したがって現在、法務省、法制局、大蔵省と、そういった問題につきまして、予防接種を担当なさったお医者さんなどにできるだけ御迷惑がかからないような制度を制定してみたらどうかという検討を進めておるところでございます。 ただ、この問題につきましては、実際に現場で予防接種を担当なさるのはお医者さんだけでなく、そのお医者さんが連れていらっしゃいます看護婦さんなどの問題もございます。また、法に基づいて第一線の開業医の方に協力していただいておりますのは、予防接種だけではなく各種の健康診断等もあるわけでございます。したがって、そういった点をよく考えながら、現在の国賠法とか民法の制度において、第一線のお医者さん方にできるだけ御迷惑がかからないような制度を検討しておる最中でございます。
○羽生田委員 ぜひそれはひとつお願いをいたします。 次に、角膜移植の問題でお伺いしたいのですが、これもちょっと古くなるのですけれども、昭和四十八年の末で調べた数字でございますけれども、三十八年から四十八年までの十年間、希望者が七千九百五十六人、その後はちょっとわかりませんが、そのときにはそれだけの希望者があった。ところが、実際に眼球摘出したのが二千七百四十四眼なんです。五千二百十二眼というものが足りないのです。このくらい開眼手術を希望するものがあっても、実際に眼球がない、こういうことなんです。これにはもちろんいろいろな原因があります。これは、要するに角膜移植によって視力を回復するということをある程度知っている者だけですから、したがってそういうことを十分知らない潜在の失明者が推定で一万五千人から二万人くらいはあるだろう、こう言われているわけなんです。これはどうしても啓蒙宣伝等も非常に足りないし、特に死体から角膜を取って移植できるという法律までできている以上は、これに対してもう少し国が力を入れてもらえないかどうか。これに対しては本当に各大学が主体にやっております。ところが、現在六十に近い医科大学があるわけなんですけれども、その中で実際にやっているのは二十ぐらいしかないわけです。東京においても東大の医学部すら角膜移植、特に角膜を保存するためのいわゆる眼球銀行、こういうものをやっておらない。これはなぜやらないかというと、結局は経費がないのです。もちろん眼球は買うというわけにもいきませんし、売るというわけにもいかないのですから、その経費は出ないのですけれども、とにかく眼球を提供してもいいと登録しておっても、その摘出できる時期があるわけですから、夜中になろうといつであろうと、余り時間をかけておくわけにいかないので、死後できるだけ早くに摘出しなければならない。最近は保存液は相当進歩しまして、一週間ぐらい保存はさせられるようになってきております。しかし何といっても早い方がいい。ですから、つい先ごろまでは、摘出する前に希望患者をまず入院させておく、そして摘出してきてすぐそこで手術をする、こういうような状況であったのですが、最近はそこがちょっと保存ができるようになりましたものの、それに対する経費その他も、これは保険の角膜移植術では全然問題にならないのです。したがってこれに対します、いわゆる眼球銀行等に対する国の補助とか——これはもう欧米なんかも非常に進歩しておるのですが、日本はこれもうんとおくれておるのです。これを何とかもう少し考えてもらいたいと思うのですが、これはいかがでしょうか。
○滝沢政府委員 先生は眼科の専門医でおられますし、この眼球銀行、角膜移植の問題の特段御推進の立場にあることを承知いたしておるわけでございますが、おっしゃるとおり、われわれのつかんでおります摘出眼球の個数は、この十年間で約三千八百、それから眼球を提供してもよろしいということで登録された方が四十九年三月末で約五万人ということでございます。被提供——提供されることを希望して登録した方が、これも四十九年三月末の数字でございますが約二千四百、このような実態でございまして、先生の御質問のポイントである眼球銀行の維持管理の費用の面について、国がもっと積極的な援助という御趣旨であろうと思うのでございます。また、眼球移植に関係する団体の法人化等の問題もございまして、これも推進しつつございます。 現実、いままでに国の直接的な援助というよりも民間団体、まあ競輪等の収益の資金を投入するというようなことで努力してまいりましたが、先生おっしゃるように何かすっきりしないと申しますか、十分でないという感じは私も認識いたしております。 それからアイバンクの経営の実態と申しますか、運営している実態にもそれぞれの差があるようでございまして、非常に御熱心な活用をされておるところと、これはやはり当面の該当する医学関係者の熱意にもよるものと思うのでございますが、いずれにいたしましても、この保存の期間が延びたということで非常にやりよくなってまいったわけでございますので、一般的に確かにこの角膜移植の趣旨の国民への徹底、あるいはその技術を持つ医師が各地に存在してこれが普及してまいるというような段階を経なければならぬわけでございますが、その点わが国においてはいまだしの感があることは実態でございます。 研究費等についても考慮いたしておりますが、今後これらの点について、御趣旨に沿うよう予算面でも検討し、努力いたしたいというふうに考えております。
○羽生田委員 それではアイバンクの問題につきましてはぜひひとつ、もう一歩国のPR並びに応援をお願いしておきます。 次に医師国家試験の問題でございますが、これはちよいと無理なことかとも思うのですけれども、実は私のところへ、外国人で日本の医学校に来ているいわゆる留学生、これがよく来るのですが、その連中が言うことに、とにかく国費を出してもらって日本へ留学して、日本の医者の免状を取ってこい、こういうことで来ておるのだが、どうも何回受けても受からない、これについて何とかひとつ——もちろん日本の医師試験なんだから特別にどうのこうのということはできないのでございますけれども、どうも、私もことしのも見ましたけれども、なかなかむずかしい。しかも非常にむずかしい漢字で書かれておる。これがちょっと外国人にはなかなか理解し切れない点もうんとあるわけなんですが、何か日本語に昔は振りがながつきましたが、その振りがな的なことを英語なり何なりで書いてもらえないだろうかというような問題を提起してきているのですが、それは私自身も、日本の医者の試験なんだから、これは当然日本語をもっと勉強して受けるべきなんで、そんなことを言ったってそれは無理だろう。しかし何とかならぬだろうかというようなことを言われておるもので、ひとつそこらの点を何かいい考えがおありかどうかお伺いしたいと思うのです。
○滝沢政府委員 確かに国家試験は日本の医師の国家試験でございますので、これを特段留学生に別の試験の仕組みを考えることは不可能でございます。 ただ、先生も十分おわかりの上の御質問であろうと思うのでございますが、確かに外国といっても漢字を使う国の合格率よりもさらに非漢字国の合格率は低いということでございます。もちろんこの問題は、日本に留学しまして一年日本語を十分勉強した上で入学していただくようでございますが、医科大学における授業の吸収の仕方、成績等を若干調べてみましても、個人差はもちろんございますけれども、なかなか十分の吸収をしていない面もあるようでございまして、これは基本的に国家試験が悪いのではなくて、医学教育の中で十分に医学を体得しているかどうかという基本の問題につながるわけでございます。それはそれとして、その学校が卒業という資格を与えておるわけでございまして、先生のおっしゃるように、何か国家試験の中でこのような問題に対する許される範囲の対策がないかということでございまして、この問題もいろいろ検討しましたのでございますが、従来、医師の国家試験の委員に対しましては、問題を出題する際に難解な日本語はできるだけ避けていただきたい、また専門語に対しては英語ないし原語を付記する等を一つのルールとしてお願いしてございまして、この問題が先生から提起される以前、ルールとしてこの問題があるわけでございますので、このことを十分考えまして、試験委員の方々の御協力によって、先生の御指摘のような難解な日本語、医学用語等には英語を付記するというようなことは従来もやっておることでございますが、この点を一段と十分配慮して措置してまいるのが限度であろうというふうに思っておるのでございまして、基本的には、日本に留学中しっかり医学を勉強して、国家試験に合格する能力を身につけていただくことが基本であろうというふうに思うのでございますけれども、国家試験の配慮としては従来の線に沿ってそのようなことを考慮していきたい、こういうふうに考えております。
○羽生田委員 時間がございませんで、最後に簡単にひとつお答えいただきたいのですが、最近准看護婦制度を廃止せいという、つい最近デモまであったぐらいなんですが、いま私ども考えて、いままでの准看護婦制度そのものの改革とかいろいろな問題があると思いますけれども、直ちに廃止せいというようなことはこれは重大問題が起こると思うのですが、これに対してはどういうお考えか、簡単にひとつお伺いしておきたいと思うのです。
○滝沢政府委員 確かに准看制度廃止という表現でございまして、この中には教育としての准看教育制度の廃止という概念も含まれますし、同時に、現在准看の身分を持っている人の身分そのものを剥奪するようなことは不可能なことでございますから、准看教育制度廃止というならばわかりますけれども、准看制度廃止となりますともろもろの問題を含むわけでございます。 そのことは別といたしましても、先生おっしゃるようにわが国の看護婦の養成数において約六割近い、五割を突破した数でございますし、また現在の従事者数もほぼ均衡してきておりますが、やや准看が多いという現状でございますので、この問題については看護制度改善検討委員会の御意見等も、逐次高校への進学率の高まった現在、中卒二年制度の准看というもの、あるいは看護婦の職責からいってやはり高卒以上の教養を必要とするというこの原則は、私はやはりある程度基本的に大事な問題だと思うのでございますが、この准看制度を廃止あるいは教育制度の改廃という問題については、わが国の看護の需給状況その他を勘案しながら慎重に対処する必要があるというふうに思っておりますが、逐次進学コースその他の増設に努力して漸進的な改革を図ってまいりたい、こういうふうに当面は対処いたしております。
○羽生田委員 どうもありがとうございました。
○菅波委員長代理 次に、柴田健治君。
○柴田(健)委員 私は、中国から帰国される方々に関して御質問申し上げたいと思うわけであります。 御承知のように昭和四十七年に日中国交回復がされまして、それ以後中国から一時帰国そしてまた永久帰国という形でお帰りになっておられる方がたくさんあるわけですが、それに関連して国の援助のあり方、そして現在やっておるいろいろな施策というものについて私たちは非常に不満があるわけでありますので、それを言う気持ちでお尋ねを申し上げたいと思うわけであります。 現在中国から、四十七年七月二十九日に国交回復ということから今日まで、一時帰国と永久帰国が全国で何家族帰られておるか、まずそれをお聞きしたいと思います。
○八木政府委員 先生から御指摘ございました国交正常化後のいわゆる永住帰国ということで、引き揚げでございますけれども、世帯数にいたしまして百八十六世帯、人員にいたしまして五百一人でございます。これはことしの五月までの数字でございます。それから一時帰国の方は世帯数にいたしまして九百七十四世帯、人員にいたしまして千四百五十九名というのが五月末現在の数字でございます。
○柴田(健)委員 現在なお中国に残留されておる方々は実際確認されておられると思いますが、どのぐらい残留されておるのですか。
○八木政府委員 現在中国におられます、先生の御質問の趣旨は、在留邦人の数がどうかということでお答えしたいと思いますけれども、私どもの調査究明の対象になっております未帰還者、いわゆる未帰還者という方々につきましては、二千六百六十二名というのが未帰還者の方々でございます。そのほか、自己の意思によりまして帰還しない、もう向こうに永住の気持ちを固められたという方々が約千人でございます。それから、終戦後中国に渡航されたというような方々、主に中国人の夫に同伴いたしました日本人の妻の方でございますが、そういう方々が四百五十人ではないかという数字でございます。
○柴田(健)委員 全体の総枠を言われたのですが、未帰還の場合のいわゆる二千六百と言われるのは、確認はされているのですか、居住地も何も。
○八木政府委員 この方々につきましては、私どもが調査究明の対象にいたしておるということでございますので、調査中の方々でございます。
○柴田(健)委員 調査はどういう方法でやられていますか。
○八木政府委員 私ども従来未帰還者の調査の問題につきましては、戦後三十年にもなるわけでございますから、最大の問題として取り上げているわけでございまして、いろいろな多角的な方法でやっているわけでございますけれども、まず国内調査とそれから国外調査があるわけでございます。国内調査につきましては、帰還されました方々からいろいろなお話を伺うというようなことで、帰還されました方々からの資料をできるだけ把握して実態を把握する、さらに現地に残っておられます方々とのいろいろな通信、照会というような形で国内調査を実施しているわけでございます。それと、相手国に対しまして外交折衝によりまして、国によっていろいろ違いますけれども、従来、国交正常化前は日赤等を通じましての話し合いということでございましたが、現在は大使館が設置されているわけでございますので、大使館によります調査という方法で実施している次第でございます。
○柴田(健)委員 いろいろ工夫されておるようでありますけれども、私たちが聞くところによると、半ばどちらかというと形式的な面が多いのではなかろうか。国交正常化によって大使館も設置をされた、その大使館の中で、未帰還者の実態調査というものに対して専属の職員が何人派遣されておるのか、そして地域別にどういう責任者を設けてやっておられるのか、その点をまだ私たちは十分把握してないのですが、いまどういう人的構成で調査をやっておるのか、その調査員の員数、そしてそれで完全にできると自信を持っておられるのか。
○八木政府委員 この問題につきましては、私どもかねてから重要な問題であるというようなことを考えておりまして、中国に大使館が設置されました際に厚生省からも専門の職員が派遣されておりまして、出向という形で、現在厚生省担当でございますけれども、もっぱらこの関係を中心にやっております。 そのほか、現地の大使館におきましても、最近におきます引き揚げの問題あるいは一時帰国の問題、調査究明の問題等が大きな問題であるわけでございますので、相当数の館員をこの関係に充てておるわけでございまして、私ども聞いておりますのは、八人くらいこの関係だけをやっておるというふうに承知している次第でございまして、今後ともこの問題につきましては前向きに、精力的にやっていかなければならないというふうに考えておる次第でございます。
○柴田(健)委員 あなたは大ざっぱに職員が八人と言うが、私は三人くらいだろうという報告を聞いておるのですが、そういうことでぼちぼちやったらいいというようなものではない。早急に実態調査を——相手国もあることてありますけれども、相手国の協力を十分得るような外交を進めていって、その中でやはり、こちらが向こうへお願いするのでなしに、こちらから出ていって思い切って本当に調査をやるんだ、こういう姿勢がなければならぬと思うのですね。ですから、そういう点で今後思い切ってやられるかどうか、そして新しい構想があるのかどうか、その点聞かしていただきたいと思う。
○八木政府委員 ただいまの問題につきましては、外務省も私どもも重要であるということで、かなり専任の職員を置きまして取り組んでおるわけでございます。したがいまして、国交正常化後のいままでの大使館等の活動等によりましても、いままで消息不明でありました方々が、国交正常化後九百六十二名の生存という事実が判明しておりますし、百二十四名の死亡というような新たな事実というものが確認されておりまして、非常に順調な成果を上げておるわけでございまして、かなり進んでおりますので、さらにいま以上に努力を重ねまして未帰還者の調査究明に全力を注いでまいりたいというように考えております。
○柴田(健)委員 今度の平和条約締結がおくれているということで、一時帰国を願っておる人々が向こうの飛行場でストップを食うておるとか手続が少しもたもたしておるとか、こういうことを聞くのですが、今度の平和条約の締結がおくれるために、この一時帰国なり永久帰国、そういうことに影響があるのかないのか、そういうことが事実かどうか聞かしてもらいたい。
○八木政府委員 いま先生からお話しございましたようなことは、私どもの方は全く聞いておりません。正常化後しばらくは日中の航路がまだできておりませんので、飛行機によります一時帰国なり引き揚げというのがなかなかできなくて、主に貨物船等によっておった。それ以外は、香港経由等の飛行機によったというようなことから、最初の時期におきましては天津に相当な方がたまっておったというような事実はございますけれども、現在はそういうような事実は全く聞いておりません。
○柴田(健)委員 今後、未帰還者の実態調査を十分やってもらうということを強くお願いしながら次に移りたいと思います。いま帰ってきておられる、たとえば、私は岡山県ですが、岡山県が四十七年に一世帯、これは永久帰国なんですが、この永久帰国と一時帰国でいま二十六世帯からある。四十八年が三世帯、四十九年が十四世帯、五十年が八世帯、こういうことで二十六世帯、構成人員としては約五十名の方が帰っておられるわけですが、この中で国が当然責任をもって処置しなければならぬ方々が案外多いということを、私たちは調べてみてわかったのです。特に満蒙開拓の女子義勇軍として、または従軍看護婦として、幼い十五、六歳の人々を戦時中あちらへ連れていってそれでほったらかしにするということは、敗戦の当時のどさくさまぎれだから仕方がないのだと言うて逃げるわけにはいかないと私は思う。この点については、国が当時国策でやった一つの犠牲者だ、こういう気持ちが私たちはするわけです。こういう方々に対して、何か、おまえたちが好きこのんで中国に残留をして、おまえたちが勝手に行方不明になって、いまになって言われたんじゃ迷惑するというような姿勢というか、そういう考え方があるんではなかろうか、こういう気がするわけであります。それで、いまこの一時帰国の生活保護費、まあ厚生省が各都道府県に通達を二回にわたって出している、それによっていま援護措置というか援助措置をしておるわけでありますけれども、これでは十分でない。一時帰国は大体最低六カ月はこちらで居住ができる、それでまたあちらに子供もあるしということで帰られる、国の方はこの運賃だけを持たれる。ところが、こちらの身内、まあ親は大体亡くなっておる方が多いのですが、きょうだい、また、いとこだとかそういう縁故者の裕福な家庭ならいざ知らず、みな働かなければ食べられない、そういう家庭が案外多い。それで六カ月間も——初めは昔物語をして一カ月ぐらいはなごやかに生活もできる。しかし二カ月、三カ月になると、お互いに鼻につき出してどうもおもしろくないということで、もう何か精神的なショックというか苦痛を受けて、帰りたくないけれども、六カ月おる気持ちで帰ってきたけれども、早く帰ろうかというような、非常にそばから見ておっても気の毒なような一時帰国者がおるわけです。これらについて都道府県は、永久帰国の場合、岡山県の場合を調べてみますと、見舞い金として五万円、その他二万円、三万円というランクをつけておるわけですが、あとは厚生省の通達で、生活保護費で食べられなければとこういう処置をしておる。余りにもかわいそうだという気がするのですが、この点について厚生省はいまどういう認識をし、もうこのままでいいと考えられておるのか、今後何らかの処置をしてあげなければならぬと思っておられるのか、その考え方を聞かせていただきたい。
○八木政府委員 一時帰国者の援護の問題につきましては、国交正常化前は散発的に帰っておったというような程度であったわけでございますけれども、国交正常化に伴いまして、いままで長いこと御苦労されて中国におられた方々が、一遍でもなつかしの故国へお帰りいただけるというような道が開けたわけでございます。したがいまして、ほかの地域と異なりまして、中国につきましては非常に特殊な事情があるというようなことで、一時帰国につきましては、従来は一般的には全く措置がとられておらなかったわけでございますが、四十八年に、当時としましてはかなり思い切った考え方で、往復の旅費等につきまして国で予算措置をすべきであるというような考え方から、他の地域には見られず、また、従来全くとられておらなかった一時帰国に対します旅費の負担の制度というのをとったわけでございまして、その意味では、一時帰国につきまして、中国については非常に特殊な事情がある。先生お話しございましたように、現在中国に残っておられる方は八割ぐらいが婦女子の方でございまして、しかも、もとの開拓団関係の方が中心であるわけでございますので、そういうような観点からしましても、一時帰国につきましての国庫負担の制度をとったわけでございます。 お帰りになりましても、あるいは親戚なり肉親なり、あるいはいろいろな方々のお手元のところで半年くらいの生活を過ごされるわけでございますが、いろいろな意味で生活にお困りになるのではないかというようなことから、社会局と相談いたしまして、生活保護法によります適用という措置をとったわけでございまして、現在六割から七割ぐらいの方に生活保護によります当面の生活の援護をやっておるというような次第でございます。 なおそれ以外に、先生からお話しございましたように、私ども県に対しまして、県限りにおきましてもできるだけの措置はとってほしいということを機会あるごとに申しておるわけでございまして、県によりまして見舞い金等の措置をとっておる県もあるというふうに承知しておる次第でございます。 お話しございましたように、これだけでは十分ではないのではないかというようなお話もございますが、一時帰国の問題は、ほかの地域の問題に比べましてかなり大きく踏み出したという点も御了承賜りまして、さらに今後とも研究してまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
○柴田(健)委員 これは大臣にお尋ねしたいのですが、大臣、たとえばあなたの子供さんが、国策で開拓義男軍だとか従軍看護婦だということで、当時の国家権力がそれを推奨し、そういうことでやった、その後遺症を個人の負担であるとか、地方公共団体でやれというのは、ぼくはどうも筋がおかしいと思うのですが、こういう一時帰国、六カ月間だけは特別滞在費でもつけてやる、これは国の責任でつけてやるというぐらいなお気持ちは大臣としては起きないでしょうか。
○田中国務大臣 中国からの一時帰国者、向こうに行ったいきさつというのは、先生おっしゃるように大部分の方はそうした事情でおいでになったもの、さればこそ、中国からの一時帰国者については、他の地区にないような旅費等を支給しているわけでございますが、この方々が六カ月の期間中生活ができないというような状態になっては困るというのて、いままで——大部分は外国人だと思うのですけれども、国籍は日本人ではないのですが、その人が多いと思いますが、生活保護でやっているわけでございますが、生活保護というものに対する物の考え方等も問題があろうと思われますが、いずれにいたしましても、この方々が制度に許された六カ月間心配なく国内で暮らせるように措置をいたさなければならないということだろうと思います。やり方等については、いろいろとまた検討をいたしてみたい、かように思います。
○柴田(健)委員 田中厚生大臣は、私たちも、わりあい血も涙もある非常に人間味のある人だ。こう思うてお尋ね申し上げておるので、いま外国人になっておる、こういう言葉は私はちょっとぴんとこないのですね。本人が好きこのんで外国人になったわけじゃないですね。これは当時向こうへ引っ張っていかれて、もう帰るに帰れないし、どうにもならないから、生きるために一つの手段として、残念なことにそういう結果、そういう道を歩まざるを得ない。これはあなた、それは運命だ、こう言われればそれだけのものだけれども、そうではない。その人間個人の運命を大きく狂わしたのは日本の国である。これは国が行った行為によって被害をこうむったのだから国がもうめんどうを見る。いま外国人になったから、ならないからというような考え方は大きな誤りがある、こういう気がするので、これはぜひ国の責任において、たとえいまの戸籍が抹消されておろうとも、人間として、また、もとは日本人であるし、親戚も先祖も日本にあるわけです。これらを考えると、おまえか好きこのんで、——国内で悪いことをして、おれぬようになったからおまえは行ったのだというようなものとはこれは違う。十五や十六の若い女の子を満州開拓義勇軍、そうして男の子も女の子も一緒に入れちゃって、それで男の人も大分亡くなられた。そういうことで女子の方は本当に気の毒だと私は思うのですね。自分の子供がそういう仕打ちを受けたらどう思うだろうかという気がするのですよ。お互いに自分の子供だということでもっと真剣に考えてみなければならぬのじゃないか、こういう気がするのですが、思い切った措置をぜひとってもらいたい。そうして、一遍帰ってきたら一回だけは旅費を出すというのでなしに、墓参りに帰られるとするならば二回でも三回でも、それは毎年は向こうの都合もあるし帰れますまいけれども、とにかく帰られるときには旅費ぐらいは出すというぐらいな気持ちにはならぬですか、一回限りでやめたというのじゃなしに。どうですか。
○八木政府委員 先生のお話、よくわかるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、中国につきましては非常に特殊な事情があったということで、ほかの地域とは別の意味におきましての一時帰国者に対しましての国の負担制度というものを設けたわけでございまして、さらにほかの地域との関連等を考えました場合に、ある意味では外国におられます在留の日本人の方ということになりますと、ほかの地域でも同じような問題があるわけでございますし、特に一時帰国の方につきまして、向こうに永住のお気持ちを固められたという方々でございますので、そういう意味におきましては、一般的な在外の在留邦人の里帰りの問題等との関連もあるわけでございますので、この問題につきましてはそういうような関連も考慮しなければならないわけでございますので、ただいま先生からのお話もよくわかるわけでございますので、今後の問題として検討させていただきたいと思います。
○柴田(健)委員 またあなたはほかの地域と、こう言う。ほかの地域にそういう開拓義勇軍、女子義勇軍などで行ったところがありますか。どこにありますか、言うてください。
○八木政府委員 戦争によります被害というのはいろいろな意味であるわけでございまして、開拓義勇軍には限りませんで、いろいろな当時の国策に基づきまして南方あるいは世界各地等に行かれた方々があるわけでございまして、終戦の混乱によりまして結局そのまま現地に永住されたという方々につきましては、広い意味では国策に協力されたという方々は、ほかの地域にもあるわけでございます。ただ、開拓団のような閣議決定等があったというような例は少ないかもしれませんが、いずれにいたしましても、広い意味におきます戦争の混乱によりましてやむを得ず現地におとどまりになって永住のお気持ちを固められたという方もいろいろあるのではないかというふうに思われるわけでございます。特に戦後三十年近くたった今日におきましては、在外の永住のお気持ちを固められますと在外の在留邦人ということになるわけでございまして、そういう意味ではそういうような問題も含めて考えなければいけない問題ではないかというふうに思うわけでございます。
○柴田(健)委員 満州の開拓義勇軍というものは国策ではっきりやったので、ほかの地域がどうだこうだ、あなたは総論的なことにばかりこだわってはいかぬと思う。具体的にこれは個人が対象ですから、個人個人の当時の実態、実情というものを十分踏まえてやらないと、あっちもこっちも同じだというような総論的な考え方で結論を出そうというのは私はおかしいと思うのですよ。個々具体的にもう少し考えてやるべきではなかろうか。今後大いに検討してもらいたい。 それから、永久帰国者に対して職業のあっせんというものも考えなければならぬ。どちらかと言えば高齢化されている、年寄りが多いというわけですね。お年寄りが多いから就職しようとしてもなかなか困難だ。しかし何としても生きる道を与えていかなければならぬ。要するに生活基盤というものを与えるということが大切なんですが、さて見つからないといういまの状況なんですが、これらについてどういう指導をして、どういう措置を、たとえば優先的にそういう方々をどこかに職業あっせんするとか、それまではたとえば支度金というか給付金というか、そういうものを上げて用意をさせるとか、要するに、一般の転職の場合には職業訓練校へ入れて手に一つの職をつけさせていくということもやっておるわけですから、永久帰国者に対する職業のあっせんとその職業の訓練の仕方、そういうものがどういうことでやれるかどうか研究してもらいたいし、ぜひ措置してもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。
○八木政府委員 永住帰国者、いわゆる引き揚げ者の方でございますが、これはお帰りになりました際に、帰国旅費のほかに帰還手当といたしまして、昨年は大人一人当たり三万円でございましたが本年から四万円、子供につきましては二万円という額を支給いたしておるわけでございます。それから、何と申しましても長いこと故国を離れておったわけでございますから、一日も早く故国へ帰られまして、いろいろな意味で一番お世話いただけるのは、肉身なりあるいは知人なりがおられる県で今後の生活設計を立てられるというのが一番よろしいのではないかというようなことから、落ち着き先におきます都道府県に対しましていろいろな面におきます援護を指導いたしておるわけでございます。 特にお話のございました職業補導等の問題につきましては大きな問題であろうと思うわけでございますが、各県に対しまして何遍もこの協力をお願いしているわけでございまして、県におきましては、単に民生関係だけではございませんで、労働関係の職業補導等を含めまして、あるいは当面の生活の問題につきましては生活保護の適用等の問題を含めまして、あらゆる県におきます社会的な資源、措置というものを活用しまして援護措置を図るような方策をお願いしているわけでございます。特に最近におきましては、各県非常にこの問題に熱心に取り組んでいただいておりまして、県によりましては課長さんが直接職業関係につきましてのあっせんを行っている、お願いに回っているというようなこともあるわけでございまして、この問題につきましては県としてもかなりな努力を払って取り組んでおる次第でございます。何分にも、先生からお話がございましたように高齢者の方も多いわけでございまして、そういう面につきましてさらに一層の工夫をしていかなければならないというふうに思っている次第でございます。
○柴田(健)委員 私は、国がもう少し熱意を持ってやらねば、全部都道府県や市にやれというようなことは酷だと思うのです。もう少し国が責任をもって財政援助もしてやるし、めんどうを見てやるし、そういう指導を高めていくためには、ただ県だけに文書であれをせい、これをせいと言うだけではぼくは少し無責任だと思うのです。だからこの点についてもっと熱意を持ち、責任を感じてもらって施策を強めてもらいたいと思うわけですよ。 それから子供さんですね。言葉の関係がぐあいが悪いという場合には、これは文部省との関係もあるでしょうが、日本語の語学の勉強というか、そういうものを今後どういう形でやっていかれるか、いまささやかにやっておられるようでありますけれども、正直に言ってこれは十分とは言えない。それらの点をぜひやってもらいたいというのが第一点です。 それから第二点は、まだ国内で身元引受人がないという方がおられるわけですね。それらについて国が引受人になるということで一時帰国をさせたらどうかという気がするわけですね。国が身元引受人になることをひとつ将来考えてもらうということと、それからもう一つは寝るところ、要するに国が国立の宿泊所ぐらいつくって、どうぞいつでも帰って休んでくださいというぐらいなことをしたらどうかという気がするわけです。この二つの点をどう考えておられるか。
○八木政府委員 第一点の日本語教育の問題でございますが、昭和三十五年ぐらいまでは相当な集団引き揚げというようなものがあったわけでございますが、最近の、特に中国関係の引き揚げとして従来と違った意味で考えていかなければならない問題は、お話のございました日本語の問題であろうというふうに思われるわけでございます。特に戦後三十年もたちますと、戦後生まれました子供さん、あるいは終戦当時小さかった方々につきましては、日本語がわからないというような問題があるわけでございまして、せっかくお帰りになりましても日本語をまずマスターするということが最大の問題であろうというふうに思われるわけでございます。そこで、小中学生の非常に小さい方、この方々はある意味では順応力が非常に早いわけでございますので、義務教育の学校に入るということで大体解決がつくのではないかというふうに思われるわけでございます。私どもの方でも実はこの問題を非常に心配いたしまして、文部省の方にも直接参りましてこの問題の検討をお願いしたわけでございますが、なかなかむずかしい問題であるわけでございまして、小中学生につきましては義務教育でできるわけでございますが、それ以上の年齢層の方々につきましては、社会教育の問題等と絡みましてなかなかむずかしい問題で、文部省の方でも今後検討していただくことになっておるわけでございます。お話のございましたように、一部すでに東京、大阪等につきましては、夜間中学校におきまして非常に熱心な先生がおられまして、ここにおきまして日本語教育というようなものが進められているわけでございますが、文部省とも協議いたしまして、この問題につきましては真剣に取り組んでいかなければならないというふうに考えておる次第でございます。 それから身元引き受けの問題でございますが、いままでお帰りになりました方々につきましては、何らかの形で肉親なりあるいは知人なり身元引受人がおられる方が大部分であるわけでございます。ただ若干の例としまして、どなたもそういう方がおられないというケースにつきましては、厚生省の方からそれぞれの本籍地の県市町村にお願いしまして、地方公共団体が身元引受人になって援護の措置をとっているというような実情でございますので、身元引受人が全くない方々におきましても、現実問題としてはそういうことで措置できるのではないかというふうに考えられる次第でございます。 それから、収容施設につきまして国立で考えたらどうかというようなお話でございますけれども、かつて三十五年当時までの相当の集団引き揚げがどんどん帰ってまいりました際にも、国でそこまでの施設をつくるというよりは、むしろいろいろな意味で肉親等に近い地元で今後の生活をお考えいただくのが適切であるというようなことから各県にお願いしているわけでございまして、当時からも引き揚げ者寮でございますとかそういう施設をつくっているわけでございますが、最近におきましては住宅等の問題もございますので、これは厚生省の方で建設省と話しまして引き揚げ者住宅の枠等もとりまして、県からの御要望にこたえているという次第でございます。
○柴田(健)委員 私たち、一時帰国にしろ永久帰国にしろ、岡山県のいろいろな方を調べてみまして非常に気の毒です。このままほっておくと、ひょっとしたら自殺されるのではなかろうかというような気がするのですよ。未帰還者の中で一時帰国——いま外国人になっておるというようなことだけで取り扱われると、変なことになったらこれは大変だという心配はしているわけですよね。それから、万一こういう方々に自殺者が出た場合には、厚生省は重大な責任をとらなければならぬという気がするのです。だから、もう少し思い切ってその生活の環境をよくしてあげる。それにやはり温かい手を差し伸べていく。ただ県なり市町村だけでなしに、できる限り国がそういう優遇措置を考えるべきだ。いまの現状では自殺者が出る可能性がある。自殺者が出た場合には、これはもう社会問題、国際問題、日本の全体の信用問題にかかわってくる、こういう気がするのですよ。この点について、私は先ほどからやさしく申し上げたのですよ。それで、大臣もいまの問題はごく簡単に片づけないで、ひとつ真剣に具体的に、もう少し温かい施策を進めていくという気持ちを持っていただきたいし、またぜひやってもらいたい、こういう気がするのですが、大臣からの決意を聞いておきたい、こう思います。
○田中国務大臣 この方々、これは二つあると思うのですが、一時帰国者と永久帰国者の場合、一時帰国者について私がなお日本国籍を持たぬということを言ったのは、冷たい法律の場合にはそうだが実際は特別なことをしているということを申し上げたわけでありまして、決してそういう冷たい気持ちで申しているわけではない、むしろ温かい気持ちでやっているということを強調する意味で申し上げたわけであります。 それから永久帰国者につきましては、確かにこの人たちが自分らの生まれた故国で悲惨な生活をするというふうなことがあってはいけない、かように思います。したがいまして、いろいろな生活に態様があるだろうというふうに想像されますが、この永久帰国者の生活実態をもう少し的確に把握をいたし、安心して日本に住めるようにいたさなければならない。ただ、国が万事をやるということについては私はいささか疑念を持っているわけでありまして、この種の仕事はやはり身近な地方公共団体でめんどうを見た方が血の通ったものになれる。問題は、地方公共団体に対して、それだけのことをやった場合に、国がそれに裏打ちをするというような積極性があった方が行政としていいのではないかというふうに基本的に私は考えておりますが、いずれにいたしましても、この人たちが余り悲惨な日本における生活のないように、生活の実態をもっとよく把握をいたし、必要があるものについては必要な対策の手を差し伸べるべきである、こういうふうに考えて、先生の御指摘は今後の施策の推進検討のために十分生かさしていただきたい、かように思います。
○柴田(健)委員 もう一点聞いておきたいのですが、二千六百数十の未帰還者がまだおられる。これの調査完了を、それは外務省その他の関係もありましょうが、厚生省としてはこの一年間に調査完了するのか、もう二カ年ぐらいかかって調査するのか、この調査の目標のスケジュールというか日程、そういうものをひとつ明確にしておいていただきたいと思います。
○八木政府委員 これはほかの地域を含めましての問題もあるわけでございますけれども、私どもは、気持ちとしては一日も早く未帰還者の調査を完了したいという気持ちでございますけれども、何分にも三十年の時期が経過しておりますし、結局相手方あるいは調査する対象者が限定されるわけでございますので、その資料が何もないということになりますと、それをますます詰めていかなければならないということがあるわけでございますので、気持ちといたしましては一日も早くということでございますけれども、従来の経過等から見ましても完全にゼロにするというのはなかなかむずかしい問題ではないかというふうに考えておる次第でございます。しかし、この調査は一日も早く完了したいという気持ちでいっぱいでございます。
○柴田(健)委員 一日も早くと言葉でごまかされたのでは、われわれ納得できないのですよ。大体二カ年なら二カ年で完全にやる——それでも漏れるかもしれないけれども、二カ年なら二カ年でやるとか、一カ年で何としてもこの調査を終わらす、臨時職員を派遣してでもやるという、そういう決意がほしかったのですよ。その決意があるかないかです。
○八木政府委員 私どもは、調査の対象者がつかめますものにつきましては全力を挙げてやりたいという覚悟であります。
○柴田(健)委員 わかりました。
○大野委員長 次に、田口一男君。
○田口委員 きょうは私は時間が余りありませんから、二つだけ単刀直入にお尋ねをして、また単刀直入にお答えをいただきたいと思うのですが、一つは、いま各府県に社会福祉協議会というのがございますね。これは社会福祉事業法にはっきりと位置づけられておるのですが、東京都の場合は区も含めて、市区町村の社会福祉協議会というのは一体どこに根拠を置いて設置しているのか。 それからそれに絡んで、県社協というものがやっておることは私も大体のみ込んでおるつもりなんですけれども、いわゆる県社協と市町村社協との関係、上下の関係になるのか、それとも同じような性格の、規模を小さくしたものにすぎないという性格なのか、その仕事の内容についてもお答えをいただきたいと思います。
○翁政府委員 ただいま御質問ございましたように、県段階におきます社会福祉協議会は、御指摘のとおり社会福祉事業法に根拠を持ってその内容が規定されているわけでございます。市町村段階におきます社会福祉協議会は、これは都道府県社協の例に準じまして実際上運営されているわけでございますけれども、厚生省といたしましては、この市町村社協のことにつきましては、かねてから社会局長名をもちましてその育成のための通牒を出しまして、そしてこれをいわゆる社会福祉法人として認可する方向で進めておるわけでございます。ただいま約三千三百ございます市町村の中で、社会福祉法人として認可しております社会福祉協議会は約千三百、四割近くなっているわけでございます。こういった認可されております社会福祉協議会につきましては、人件費の補助等を通じまして直接厚生省が都道府県を通じまして指導監督をしているわけでございます。 なお、次に御質問のございました業務の内容でございますけれども、市町村内におきますところの社会福祉のいろいろな問題の調査、それからいろいろ社会福祉に関する対策の企画立案、それから関係団体との連絡調整、それから社会福祉に関する施設の助成、それからボランティア活動の育成等を中心にやっておるわけでございますが、具体的な例で申し上げますと、たとえば介護人を老人のお宅に派遣する事業を委託を受けて行うとか、あるいは老人のための入浴サービスについて市町村の委託を受けて実施をするとか、こういうことをいたしておるわけでございまして、もう一つは、都道府県との関係におきましては必ずしも上下関係ということではなくて、市町村の地域を対象とした社会福祉の推進のために行っている団体である、かように考えておるわけでございます。
○田口委員 そうしますと、県の社協は法律ではっきりと位置づけられておるけれども、市町村社協というものについては、いまお話がありましたように、それに準じて局長通達で法人化の方向に持っていく、ですから任意というふうに受け取ってもいいわけですね。そこで関連をしてお聞きをしたいのですが、ちょっととっぴなことを言うようですけれども、つい一週間ほど前の新聞に、ある観光地で大学生という、本物かどうかは知りませんけれども、旅行して旅費に困ったので、何か自分で募金箱をつくってそこで募金を集めて旅費の足しにしたというような記事があったのですが、いま大臣も局長も御存じだろうと思うのですが、日曜、祭日なんかに盛り場に行きますと、よく募金をやっておりますね。交通遺児のためにとか、それからかってはベトナム難民というふうな名前を使ったり、風水害の見舞い金であるとか、ああいった寄付を集める行為はこの事業法の中にもはっきりと規定をされておるのですが、よく私どもが聞くと、社協、社協という言葉を使うんですね、町村とは言いませんけれども。紛らわしいような名前で募金をやっている。実行委員会と言うこともあります。ああいったものは当然に都道府県に申請をし、許可を受けた場合には募金ができるけれども、いま言った旅費の足しにするというのはこれは論外だろうと思うのですが、紛らわしい名前でやっておるという現実から見て、この町村社協というものと——一般の通行人は、社協、社協と言うんですからそこがやっておるのだろうと思う。しかし、どうもそうじゃない。そういう紛らわしい点を往々にして私どもは見聞きするのですけれども、その原因は、いま言った町村社協というものの位置づけが明らかでないからというふうに思うのですが、その辺どうでしょうね。
○翁政府委員 たしか御指摘のように、こういった寄金あるいは募金ということについて、せっかくの善意を冒涜するような行為が行われることはまことに困ることでございます。したがいまして、社会福祉事業法におきましては、先生御承知のとおり共同募金についての規定がございます。そしてそれは都道府県を単位とする社会福祉協議会の単位ごとに共同募金会があるわけでございます。したがいまして、共同募金につきましては、例の十月からの赤い羽根等におきまして御承知のとおり中央共同募金会、それから都道府県共同募金会、これがいわゆる募金の主体になっているわけでございます。で、市町村社協はそういった場合に都道府県社協のお手伝いはいたしますけれども、みずから募金の主体にはなっていないわけでございます。そこで、社協、社協という名のもとに誤解を生むようなことが行われることが間々あることももちろん予想されるわけでございます。しかしそのことは、社協本来のあり方から見て、これは当然区別して考えなければいけないことであることは間違いないわけでございます。したがいまして、この募金等の取り締まりにつきましては、これは社会福祉事業法の規定とは別個の取り締まり規定があることは御承知のとおりでございます。仮にそういった点で混同し、あるいは紛らわしいことが起こりますならば、そちらの方の規定を受けるわけでございますけれども、私どもといたしましては、あくまでも市町村社協というのは地域に密着した社会福祉の事業の推進あるいはボランティア活動の増進ということを行うのが主体でございまして、そういったことが起こらないようにするためにも、先ほど申し上げましたようにできるだけこれをれっきとした社会福祉法人として認可をしていく、その団体については補助も行っていくという方向で指導しているわけでございます。
○田口委員 そうあるべきだと私も思います。 そこで、いま共同募金ということが出たのですが、本年も十月から当然にまた行われると思うのですが、共同募金に関連をして、この福祉事業法の中にも一章設けて共同募金、いまおっしゃったようなことが書いてあります。 ところで、募金をし、集まった金の配分について、やはり社会福祉事業法では、社会福祉協議会と相談をして配分先を決めるということになっておるのですね。その配分先に、これはちょっと古い資料なんですが四十八年、各町村の社会福祉協議会もまた配分の対象になっておる。これはいい悪いという意味で私は言うのではないですよ。共同募金をある県で全域にまたがって募金をする、その場合に、集まった金をどこどこへ配分しようじゃないかということも事業法では原則を書いてある。その相談にあずかる社会福祉協議会というのは県社協のことなんでしょう。これはどうなんですか。
○翁政府委員 いま御指摘がございましたように県社協でございます。県社協で配分委員会をつくりまして、そこにおきまして中央共募からの割り当てに基づきます枠の中で、それぞれの都道府県の中におきます社会福祉事業に配分をする、こういうことになっておるわけでございます。
○田口委員 これは参考までにお聞きをいただきたいのですが、四十八年の三重県の共同募金の実例から言いますと、一般募金の実績が約五千三百万、それをいろいろな施設にも配分をしておるのですが、このとうとい五千三百万という共同募金のうちで、県社協はもちろん、郡というのもありますね、何々郡、郡社協、それから市町村社協、こういった関係団体に配分をしておるのはざっと二千六百万、半分ですね。こういう配分がされておるのです。私は当然、いま局長のお答えがあったように、市を単位として・町村を単位として社会福祉の民間の事業を進めていくのですから、ある程度の金が要るだろうと常識的には理解ができます。ところがちょっと解せぬことがあるのですが、一つの例として、ことしも九月十五日、敬老の日、この敬老の日に八十歳以上のお年寄りであるとかそういった高齢者に何か見舞い品を持っていく、寝たきり老人の方に何かまた見舞い品を持っていく。社協が持っていくわけですね、たとえば紫の座布団を持っていくとか。その座布団を持っていく場合の包み紙の名前は、何々市市長何のたれべえ、何々町長何のたれべえとして持っていっているわけですね。そうすると市の財源で、または町村の財源で、敬老の日だからひとつ市長の名前で記念品を持っていこうということはこれはあるだろうし、また私はそれをとがめるわけじゃありません。しかし厳密に考えた場合に、共同募金で広く一般から金を集めて、それでいろいろな仕事をやる、そのうちの一部を使って敬老の日に記念品を持っていく、私はこれもいいことだと思うのです。その場合に、その包み紙の中に何々市長、何々町村長という名前を書くことは果たしていかがなものだろうか、こう思うのですけれども、そういう実例について厚生省の方ではつかんで見えるのか。また、そういう実例があるとすればそれは好ましいことなのか、もっと言うならば、それは不当なことなんだ、このように思われておるのか、その辺どうでしょうか。
○翁政府委員 具体的な例を挙げての御質問でございます。そこでこの場合に、先ほど申し上げましたように、市町村の社会福祉協議会で厚生省が社会福祉法人として認可をしておりますものは、大体自治体の長を兼務しておるものはございません。したがいまして、福祉協議会の会長はそれぞれ社会福祉の方々を会長として登録されておるわけでございます。いまお示しの具体的な事例は、恐らく任意団体としての社会福祉協議会の会長である市長あるいは町長が、敬老の日に配分のお金を使ってそういうようにしたのではないかと、これは具体的に調べておりませんので、いまここでそうであろうということで申し上げるわけでございますけれども、そのこと自体、私は好ましいとは考えておりません。やはり市長なり町長という名前でそういう行為をなさるならば、あくまでその自治体のお金を使ってお配りすべきものである、社協という名前はあくまでも社協の会長という名前でそういうことをすべきである、もしそういうことが具体的に事例としてございますならば、私どもとしては当然是正の措置を求めなければならない、かように考えております。なお、その意味におきましても、先ほど来るる申し上げておりますように、やはり社協が社会福祉法人として団体活動がりっぱにできるようにかたがた指導していかなければならないということもあわせて申し上げておきたいと思います。
○田口委員 いまの記念品や見舞い品の市長、町村長名、確かに厳密に言えば何々市社会福祉協議会長、何々市長何のたれがし、こういうふうに並列をすればそういったことはないと思うのですけれども、往々にして社協の方は抜きにした町村長名だけでやられておる。これは町村社協が任意団体であるから、また福祉法人という法人化をされた社協であるからというよりも、もっと中に入ってみれば、総額十万のうちで一万ぐらいしか共同募金の金がない、市町村からあと残り九万を持ってきたのだ、その十万で記念品を買ったんだからおれの方が金を出しているんだというような言い方もあると思うのですけれどもね。私はこの社会福祉事業法の精神から言って、御存じのように第五条の経営の準則から言っても、ここのところはたとえ金が微々たるものであっても、市町村のやる福祉事業、それから社会福祉協議会というもののやる事業の内容とはこれは明らかにすべきじゃないか、明らかにすることが社会福祉事業法というものの法の精神に照らしていいことなんだ、こういう混同が、あえて私は行政との混同と言いたいのですが、いまの敬老の日の例のように他にもまだあると思うのですね。そういったことで社協の仕事をやっていらっしゃる方々といろいろ話をすると、その辺、えらいさんですから指摘がなかなかできにくいと言うのですね。これは間違っていますよ、だから社会福祉協議会の名前を使ってくださいということもこれはなかなか言えない、補助金ももらっていますから。そこで、まあ短絡的な物の言い方になるのですが、結局、厚生省の方では社会福祉法人になるように指導を進めて見えることはわかりますけれども、いまおっしゃったように千三百から千四百程度、これをひとつこの際、県の社協が法律の中にはっきり位置づけられておるのと同様に、町村社協についても公の責任があるのですから、任務を持っておるのですから、町村社協の位置づけというものを社会福祉事業法に明記をしてもらえると、いま言ったようなことについておいおい改まっていくんじゃないか。さらに紛らわしい募金ということについてもこれは毅然たる態度がとれるだろう。どうもその辺が、小さな村まで行きますと、行政と協議会との間が、民生係が協議会の仕事もやっておりますから、すばっと割り切れぬとは思うのですが、この際一歩進めて、市区町村社協についても社会福祉事業法の第何条かに入れる、もっと私は希望を言えば、共同募金と社協とを並列しておりますから、共同募金は共同募金、社協は社協というふうにはっきり分けてやった方が、今日は社会福祉事業をもっと盛んにしなければならぬという時期ですから、より進展する一つの材料になる、こう思うのですが、その辺について御見解を承りたいと思います。
○翁政府委員 ただいまお示しの御意見は、確かにごもっともな御意見だと存じます。社会福祉の世界におきましてもこういった声がございまして、過去、昭和四十四年だったと思いますけれども、こういった検討会においてやはり市町村の社会福祉協議会の規定を社会福祉事業法に明定すべきであるという意見も出ております。ただ私どもといたしましては、実態上、市町村の職員をして社協の仕事を手伝わさせなければならないような実態も片方にあるわけであります。そういった点と、それからただいま申し上げましたように、国の補助によってできるだけ社会福祉法人としての法人化の確立ということでただいま進めておる段階でございますので、まだ法律で明確に規定するまでに至っていないわけでございますけれども、ただいまの御意見も十分参酌さしていただく必要があろうかと思いますので、その辺はわれわれといたしましても実態をさらによく検討し、御意見を踏まえて今後も検討を進めてまいりたいと思います。
○田口委員 では、後の問題がありますからその問題は深くは言いませんが、大臣もいらっしゃるので要望しておきたいことは、昭和二十六年にできた社会福祉事業法、数ある社会福祉関係の法律の中で社会福祉事業法という法律は、二十六年当時のことですから当時の社会情勢もあったのでしょうが、私は一番いい法律だと思うのですね。ところがいま言ったように、国、公共団体の責任、民間の責任を明らかにしておるにもかかわらず、だんだん民間の方にしわ寄せをするような傾向に、いま実は来ておる。そういったこともあるし、町村社協の位置づけについてそれぞれ民間独自で一生懸命やっておることが多いのですから、この福祉事業法における位置づけを早急に明らかにしてもらいたい、これを要望しておきます。 次に、やはり社会福祉の一つの大きな柱である生活保護基準についてお尋ねをしたいのですが、ちょっとおさらいのために、私の聞いた限り、これは間違いがないかどうかを聞いておきますが、四十九年と五十年に限って言いますと、生活保護基準は四十九年四月には対前年当初に比べて二〇%アップ、それから四十九年六月にはいわゆる狂乱物価を反映して六%アップ、それから四十九年十月には消費者米価の改定ということを含んで三・一%のいわゆる米価加算ということをやり、そして本年度四月からは対前年当初比二三・五%アップ、こういう道筋をたどってきたと聞いておるのですが、この数字には間違いありませんか。
○翁政府委員 そのとおりでございます。
○田口委員 そうしますと、ことしの四月の二三・五%アップの中身についてさらに念を押したいのですが、四十九年四月に比べて二三・五%という言い方ですから、六月の六%、十月の三・一%というものが合計九・一%ですが、実質二三・五とは言うけれども、一四・四%しか生活保護基準は上がっていないじゃないかというそろばん勘定になるのです。しかも、たしか本年の予算委員会か何かで私は記録を見たのですが、この一四・四%の中身は、五十年度経済見通しの消費者物価の上昇率が年間平均して一一・八だ、それからこれは後でも確かめたいんですけれども、格差縮小分として一・六%を含めた一四・四だ、こういうふうな数字の中身であるという聞き方をしておるのですが、果たしてそういうものかどうか。
○翁政府委員 具体的な数字を挙げての御質問でございますので、考え方として申し上げるわけでございますけれども、生活保護基準は、御承知のとおり前年四月から翌年三月までを一つの期間といたしまして、その間におきますところの消費者物価指数の上昇のあり方、それから関連いたしますところの消費支出の伸び、こういうものを基礎に置いて決めているわけでございます。したがいまして、最初に御指摘がございましたように、四十九年におきましては年度の半ばの六月に物価の異常な上昇に伴いまして六%、さらに米価の補正というものを三・一%上積みしたわけでございまして、しかしこれを年度にならしますと必ずしも単純に九・一%にはならないわけでございます。さらに今年度におきます、五十年度におきます見通しといたしましては、消費支出を経済企画庁は一応一八%の伸びと見ておりますけれども、人口増等の関係から申しまして、われわれは一七%といたしまして、それをさらに昨年におきます年度の途中における改定を上乗せいたしまして、その結果格差縮小も含めまして二三・五を決めているわけでございまして、ちなみに、ことしの四月から物価の上昇率は、まだ今年度におきましては二ないし三%になっているわけでございます。将来の物価の予測はいまから困難でございますけれども、一応想定をいたしますならば、今年度の二三・五%で格差縮小も含めましたいわゆる生活保護基準は確保されるものである、かように考えているわけでございます。
○田口委員 数字の話はわかったのですが、いま言った物価上昇予測の分と、それから格差縮小分ということを聞いておるのですが、それに関連して、私ケースワーカーの経験を持っておるのですけれども、生活保護基準の組み立て方を見た場合に、教育とか住宅は一応除いて、生活扶助だけとられた場合に、たしか二十五、六年に生活保護法が新しくできて、それから三十年代までいわゆるマーケットバスケット方式がある程度続いて、四十四、五年ころまではエンゲル方式といいますか、それ以降は今日まで格差縮小方式ということをとっておる、こういうふうに聞いておるのです。この格差縮小方式という、その格差を縮小するのに何か基準がなければならぬわけですね。その基準は、標準的にどういう層を基準にしてそれに近づけようとしているのか。それを一〇〇とした場合に、昭和五十年度の、いまの生活保護基準というものはどの程度まで近づいておるのか、その辺ひとつ……。
○翁政府委員 たしか御指摘のとおり、ただいま保護基準を決めておりますやり方といたしましては、格差縮小方式というものを使っております。これはいろいろな見方がございますけれども、非常に所得の低い層を対象にする場合と、それから低所得層一般を対象にする場合と、それから一般勤労世帯を対象にする場合で格差がそれぞれ異なってまいるわけでございます。現在われわれが使っております五六とか五七と申しておりますのは、一般勤労世帯におきます基準を一〇〇とした場合に五六ないし五七ということを言っておりまして、十の階層に分けた場合に一番低い階層との対比で申しますと九〇に近い数字になっております。なお五分位で分けた場合にはその中間くらいになるかと思います。そういった意味におきまして、格差のただいま使っております、一般にお答え申し上げておりますのは、一般勤労世帯におき二ます基準を一〇〇とした場合に五六とか五七という数字を使っておるわけでございます。
○田口委員 きょうは時間がありませんから、一般勤労世帯を一〇〇としていまおっしゃった五六から五七、この辺の数字、大いに議論の余地があると思うのですが、これは一応きょうは横へ置いておきます。 そこで、そういう一般勤労世帯に比べて大体格差が約六〇近い、そういったところを目標にして組み立て方を見た場合に、昔から、というのは生活保護制度ができてから、私どもが聞いておる限りでは、一類、二類というふうに分けて、一類は概して言えば飲食費、二類は家族が共通する分というのですか、そういう内容のものだと聞いておるのですが、さっき言った二三・五%、五十年四月に上げたものですね、この二三・五%を上げた際に、当然第一類の方は、米も上がった、野菜も上がった、何も上がったというふうなことで、大体の数字がわかる。それと同じように第二類の方も、家族共通の使うものがこれこれ上がった、これこれ上がった、こういった積算単価といいますか、基礎になる数字というものがあるのかどうか。
○翁政府委員 御指摘のとおりでございまして、一類基準と申しておりますのは、生活保護世帯を構成しております人それぞれに伴う——男女の差もございますし、年齢の差もございますけれども、飲食物費が中心でございます。二類基準は、いま御指摘がございましたように家族構成に応じて変わるわけでございます。したがって、その内容は主として光熱水費、ガス、電気、そういったものがその構成の要素になっておりまして、これは多人数世帯であれば、四人なり六人であれば、比較的その額は一人一人の飲食物費に比べてプラスの場合は少ないということで、一類、二類に分けてございます。昭和五十年度を見通した物価指数並びに消費指数をそのまま一類と二類の基準に掛けて、それを基準アップとして適用をいたしておるところでございます。
○田口委員 そうしますと、これは二級地の数字でちょっと言いますけれども、二級地、三人世帯の場合には、二類が一万二千九百六十円ですね。一万二千九百六十円という数字を持ってきたのは、四十九年四月の二類の数字に単純に二三・五%を掛けて出たのだ、そういうふうにずっと追跡をしていくと、マーケットバスケット方式の際には、当時の記録を見ますと、光熱水費が一カ月幾ら、衛生材料費が幾ら、こういうふうに費目を明示をして、そのトータルがいまの二級地の三人、一万二千九百六十円ならばそのトータルになる、こういうふうになっておったと私は当時の資料から類推をするのですが、その追跡をしていった場合、その当時のマーケットバスケット方式のときめ金額をたとえば一万円としますね、ところがそれがエンゲル方式になった、それから格差縮小方式になった、こういうふうに方式は変わったけれども、単純に二三・五%掛ける、去年は二〇%を掛けるという場合には、一番もとのマーケットバスケット方式の数字というものが基礎になっておるのかなという気がするのですが、その辺どうなんですか。
○翁政府委員 初めにお断り申し上げなければなりませんけれども、マーケットバスケット方式、要するに市場に行ってその人に必要なものをかごに入れて、それをプラスして全部で幾らだという方式で年々基準を改定してまいりますと、生活保護世帯の生活の内容が一向によくならないということが事実としてはっきりいたしましたために、一般の国民生活に少しでも近づけるという方式でこの格差縮小方式、途中でエンゲル係数方式がございますけれども、これに改めて、内容改善を図ってまいったわけであります。 ただいま御指摘がございましたその基礎になるもともとの数字は、やはりマーケットバスケット方式の最初の、あるいは最後の数字がもとになっているかという御指摘だと思いますけれども、最初にマーケットバスケット方式からエンゲル係数方式に変え、それからエンゲル係数方式から現在の格差縮小方式に変える時点においては、もちろん一つの参考にはなってきておりますけれども、現在の時点におきましては、あくまでも一類、二類というもののバランスを考慮しながら、消費者物価指数の伸びあるいは実質消費支出の伸びを片方に置きまして、それに近づけていくということで二三あるいは二〇というような改善を加えてきているわけでございます。
○田口委員 そこで、そうなると、いまおっしゃったようにマーケットバスケット方式をずっととってきたけれども、そのこと自体が被保護世帯の生活改善には余り役立たない、それもあったと思うのです。そういった経験の積み重ねでエンゲル方式を経、格差縮小方式になったということは私いま理解をいたします。しかし、といって、じゃ二類のいま言った三人世帯で一万二千九百六十円、または四人で一万四千三百九十円という数字がありますけれども、この二類の限りだけで見た場合、電気料金が上がった、水道料金が上がったとなりますと、五十年度に限って言えば、二三・五%の中にもうそういう数字は見込んであったのだから、二三・五の中でいいじゃないか、こういうことになってしまう危険があると思うのですね。しかし、いま言ったように、一般勤労世帯に含めて六〇に満たない、せいぜい五七。約六〇としても、生活保護世帯の場合そういうふうに低いのですから、その限られた中で電気代がぽこんと一本上がっていく、水道代がまたぽこんと上がるということは、被保護世帯にとって相当こたえるといいますか、圧迫することは理解してもらえると思うのですよ。したがって、いま言いました電気代に例をとりますと、昭和四十九年の生活保護基準、それから昭和五十年、今日の生活保護基準は二三・五%上がった。この間に米価の改定もありましたけれども、この電気代の値上げというものは含まれておるわけですね。そういったものが、個々の被保護世帯から見た場合に、四十九年は私のところで、三人なり四人で一カ月千円くらいの電気代でしたよ、ところが今度ことしになってみると、千二百円か千三百円に上がりました——二百円、三百円という数字は、いまのわれわれの観念から見れば大したことないじゃないかということもあるのですけれども、いま言った総体的に低い被保護基準、その中のまた二類の低い基準の中で、二百円、三百円上がるということは大変こたえるわけですね。こたえると思うのですよ。となると、そういう意味で私はちょっと念を押したいのですが、個々の品目については十分数字が出ていないということはわかりましたけれども、大体の数字として、電気代に限って言うならば、四十九年と五十年と比べて、二類の中でどの程度の金額アップになっておるのか、その辺ひとつ……。
○翁政府委員 ただいま御指摘ございました電気代を例にとっての御質問でございますので、それに即してお答え申し上げますと、生活保護世帯の場合は一般に比べましてエンゲル係数が高うございます。ということは、飲食物費の占める割合が一般世帯に対して高いわけでございます。その他の消費的経費は一般世帯に比べてそう高くないということが一つあるわけでございます。四十九年から五十年、電力料金が上がりました。それが消費者物価に影響しております。それから、さらに五十年を見通した消費支出の伸びの中に、電気料の値上がり等ももちろん指数として入っているわけでございます。ただ、一方では、ところによっては電力会社で、被保護世帯あるいは社会福祉施設等については料金を前年どおりに据え置いておるところもございます。ございますけれども、消費者物価指数あるいは消費支出の中に占めておりますそういった光熱水費の伸びは、もちろん伸びとして算入した上で二類基準を算定しておりますので、そういった意味におきましては、電気代の伸びは十分基準の中に反映しておるというふうに考えております。 具体的な数字の中身でございますけれども、先生御承知のとおり、消費者物価指数を構成しております単位と申しますか、これはきわめて多岐にわたっておりますので、いまここで電気代だけについて何%あるいは何分の一ということを申し上げることの資料は持ち合わせございませんので、その点は御理解いただきたいと思います。
○田口委員 時間ですからはしょりますが、そこのところでもう一遍確かめたいのですが、局長御存じのように、電力料金を例にとって言いますと、電力料金は四十九年六月一日から上がったわけですね。その上げ方について省資源福祉型志向の料金である、こういうふうなことを電力会社が言って、いまおっしゃったように六月一日から値上げをしたけれども、いろいろな地区では、たとえば中部電力の例をとって申しますと、昭和五十年三月三十一日まで生活保護世帯について電力料金を凍結した。凍結したというのは旧料金という意味だと思いますが、凍結をした。そして今度四月一日から凍結を解除するというふうな話を聞いておるのです。その解除する理由については、いま局長がおっしゃったように、昭和五十年の二二・五%の生活保護基準改定の中には、当然に昨年引き上げた電力料金値上げの分もこの二類の中に入っているのだから、それによってカバーできる、こういうふうに理解してよろしいのですか。
○翁政府委員 そのとおりでございます。
○田口委員 カバーできるが、金額的にはいまのところ十分な計算はできない、こういうことですね。そこで、私は思いつきじゃないのですけれども、ひとつ大臣に御検討いただきたいのですが、消費者米価引き上げの場合には、たとえ三%であろうと、昨年は三・一%でありますけれども、米価改定のときは年度途中で保護基準を引き上げ、改定する。これも公共料金ですね。ですから全国一律に、水道のあるところ、ないところもあるのですからなんですけれども、こういった電気料金を引き上げる、またガス代を引き上げる、こういう公共料金引き上げがあった場合には、米価に準じて公共料金加算、略称ですけれども、こういったことを考えてもいいのじゃないか、生活保護基準の低さから言って。その辺どうでしょうか。
○翁政府委員 実は米価の改定につきましては、昨年並びに一昨年の異常な物価上昇期に際しまして、それに伴いまして米価もきわめて高く価格が変わったわけでございます。そういった特殊の情勢を反映いたしまして米価補正というものをいたしたわけでございまして、生活保護基準一般として考えます場合には、最初にも申し上げましたように、やはり一般的な消費者物価指数あるいは消費支出というものを見ながら、そして一般的に国民生活の水準に少しでも近づけていくということが、あるべき姿ではなかろうかと思うわけでございます。したがいまして、ただいまの御意見は十分よく承知するわけでございますけれども、私どもといたしましては、個々の価格の改定というものをそれぞれに反映するということはいかがなものであろうか、かように考えておるわけでございます。
○田口委員 じゃ、その問題はそれくらいにしておきます。 大変時間をとって申しわけないのですが、最後に簡単にお答え願いたいのは、いま生活保護基準の場合に、東京を一級地とした場合に、町村なんかの場合には四級地——一、二、三、四と四つのランクに分かれているのですが、この級地区分が、いま言った低い水準の中で比べると、一級地と四級地と比べて二七%の差があるのですね。ですから、東京と四級地を比較するのはちょっとなんですけれども、中小都市は大体三級地、町村は四級地、その間に九%の差がある。この九%というのは相当響くわけですね。そこで、たとえば県庁所在地のある市とその周辺の町村とを比べた場合に、行政区分で一方は市であり、一方は村であっても、最近の広域化によって生活の内容にそう差がないと思うのです。そうなってくると、この級地区分というものは、市であるから三級地だ、村であるから四級地だという決め方は一概に実態に合わぬのじゃないか。したがって、今日のような経済が広域化をしてきたような状態の中では、行政区分によってやれ三級だ、四級だということはどうも実態にそぐわない。この際、現に市、町村についてこの矛盾を改めるために級地区分の見直しを行う必要があるんじゃないか。これについてお答えをいただいて、終わりたいと思います。
○翁政府委員 ただいま御指摘のとおり、現在までのところ、四級地が九%ずつの格差であることは事実でございます。毎年級地区分の是正をして今日に来ておりますが、今年度並びに来年度につきまして、この四級地を少なくとも撤廃するという方向で、今年度四級地のうちの四割、来年度は残りについて、級地の四級地を撤廃してこれを三級地に格上げする、なおそれに並行いたしまして、級地区分についての調整を図っていくという方向で、ただいま目下作業中でございますので、御了承いただきたいと思います。
○大野委員長 この際、午後一時二十五分まで休憩いたします。午後零時五十四分休憩 ————◇————— 午後一時三十四分開議
○大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 川俣健二郎君外十一名提出の金属鉱業等年金基金法案を議題とし、その提案理由の説明を聴取いたします。川俣健二郎君。 金属鉱業等年金基金法案
○川俣議員 私は、ただいま議題となりました日本社会党提案の金属鉱業等年金基金法案について、提案者を代表して、提案の理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。 これまでのわが国の鉱業政策は、わが国の非鉄金属資源産業の国際競争力強化のために体質改善を進め、低廉かつ安定的に鉱物資源の供給体制を四確立することに目的が置かれてきました。このため、国内鉱山部門の徹底したスクラップ・ビルド政策が進められるとともに、製錬所の臨海大型化立地、海外資源の開発等が積極的に推進されてきたのであります。 この結果、たとえば鉱物資源の中心をなす銅で見ますと、国内需要は昭和四十五年度の八十二万八千トンに対し、昭和四十八年度の百十九万四千トンに増大し、これに対応して電気銅の製錬能力は増強され、海外からの鉱石、地金の輸入も急増したのでありますが、国内鉱山の生産能力は横ばいに推移し、自給率は四十五年度の一四%に対し、四十八年度は九%と大きく低下することになったのであります。この間、数多くの鉱山がスクラップされ、鉱山労働者はちまたに放り出されたことは言うまでもありません。 こうした鉱業政策が推進されたにもかかわらず、鉱業政策の基本的課題である需給と価格の安定は一向に解決されず、むしろ近年における需給の不均衡拡大、価格の大幅低落の中で、その不安定性が一層強まっているのであります。そのしわ寄せが、国内鉱山のスクラップ化と労働者の悪化となってあらわれているのであります。 国内鉱山と労働者の現状を見ますと、鉱物資源需要の目覚ましい増大にもかかわらず、鉱山及び労働者は急激に減少しているのであります。鉱山の休閉山は、鉱量の枯渇が原因になっているものもありますが、その多くは、鉱産物価格がLME(ロンドン金属取引所)による海外相場によって左右されているため、国内鉱山の生産コストでは採算ベースに乗らなくなって休閉山に至っているのであります。そうした中で、若年労働力の確保が困難となり、鉱山労働者の平均年令は四十歳と高齢化しているのであります。 しかし、石油危機以降の国際資源情勢を見ますならば、資源は有限であるという性格から、開発途上国を初めとして、資源保有国における資源ナショナリズムが高まってきており、国内資源の見通しが重要な政策課題となってきているのであります。わが国にはベースメタルといわれる銅、鉛、亜鉛など鉱床が多く存在していることが確認されており、経済ベースから休閉山が進み開発が見捨てられているのが現実であります。 国内鉱山は、最も安定した供給源であり、さらに備蓄的性格があり、したがって国内において一定量を確保することは、資源政策としてきわめて重要な課題であります。これまでの経済性のみの観点に立った政策から大きく転換し、長期的視野に立った国内鉱山の維持発展と、その裏づけとなる労働力の安定確保はきわめて重要な問題であります。 これまでも、鉱山労働対策は、鉱業政策の重要な柱として認識され、国会においても昭和四十八年三月二十九日の衆議院商工委員会において「鉱山における労働力の確保を図るため、鉱山労働者年金制度の創設を図ること」との決議がなされているのであります。 また、同じ地下資源である石炭鉱業では、昭和四十二年十月、石炭年金基金法が制定され、同法に基づき四十七年十月より年金給付が開始されております。 以上、わが国鉱山の現状から国内鉱山の維持のため労働力確保の重要性について申し述べましたが、同時にこの金属鉱業等年金基金法案は国会決議の趣旨に基づくものであり、そうした立場から本法案を作成した次第であります。次に、本法案の概要について御説明申し上げます。 第一に、この法案の目的は、金属鉱業等の労働者の老齢または死亡について必要な給付を行うことにより金属鉱業等労働者及びその遺族の生活安定と福祉の向上に寄与することとしております。 第二は、金属鉱業等の事業を行う厚生年金保険の適用事業場の事業主は、この法律に基づいて全国を通じて一つの基金を設立しなければならないこととしております。 第三に、基金に関する必要な事項については、定款をもって定めることとし、定款の変更は厚生大臣の認可を受けなければ効力を生じないものとしております。 第四は、この基金は、厚生年金の上積み給付とし、定款において、年金額、受給資格期間、支給開始年齢、その他年金の支給に関する必要な事項を定めることとしております。 第五に、基金に要する費用は、会員の掛金及び国の補助によってまかなうこととしております。その他、必要な事項を規定しております。次に、本法案に基づく金属鉱業等年金基金の行う給付に関しましては、定款で定めることとなっておりますが、その構想につきまして申し述べたいと存じます。 まず、年金給付の種類ですが、老齢年金と遺族年金の二種類とし、老齢年金は坑内員老齢年金と坑外員老齢年金の二本立てとすることとし、給付の支給期日及び支払い期日、給付制限等につきましては厚生年金保険法の例によることといたします。 第二に、老齢年金の坑内員老齢年金につきましては、坑内員であった期間が二十年以上である者が五十歳に達した以降に退職したとき、坑内員期間二十年以上の坑内員もしくは坑外員が五十五歳に達したとき、または坑内員が五十五歳に達した後に坑内員期間が二十年に至ったときのいずれかに該当するときに支給を開始し、その者が死亡するまで支給することとしております。 前述の坑内員老齢年金の受給資格期間の計算上、基金発足前の坑内員勤務期間は最高十五年を限度とし、基金発足の日において五十五歳を超える者にあっては最高十八年を限度として通算するものとします。 この結果、坑内員老齢年金を受けるには、基金発足後の坑内員期間が最低五年、基金発足の日において五十五歳を超える者にあっては最低二年は必要ということになります。 坑内員老齢年金の額は十二万円とし、坑内員期間が二十年を超えるときは一年につき六千円を加えた金額とします。ただし、過去勤務期間を有する者については、その通算される過去勤務期間一年につき三千円を減じた額とします。 次に、坑外員老齢年金につきましては、坑外員期間が二十年以上である者、または坑内員期間と坑外員期間とを合算した期間が二十年以上である坑内員または坑外員が六十歳(女子たる坑外員にあっては五十五歳)に達したとき、または坑内員もしくは、坑外員が六十歳(女子たる坑外員にあっては五十五歳)に達した後に坑外員期間が二十年または坑外員期間と坑内員期間とを合算した期間が二十年に至ったときのいずれかに該当するときに支給を開始し、その者が死亡するまで支給することとしております。 この坑外員老齢年金の受給資格期間の計算上、基金発足前の過去勤務期間の取り扱いについては坑内員老齢年金の場合と同様とすることにしております。 坑外員老齢年金の額は八万四千円とし、坑外員期間または坑内員期間とを合算した期間が二十年を超えるときは、一年につき四千二百円を加えた金額とします。ただし、過去勤務期間を有する者については、通算される過去勤務期間一年につき二千百円を減じた額とします。 第三に、遺族年金につきましては、坑内員期間もしくは坑外員期間または、これらの期間を合算した期間が二十年以上である者が死亡した場合には、その遺族に対し遺族年金を支給することとし、遺族年金の額は、死亡した者の受ける坑内員老齢年金または坑外員老齢年金の額の二分の一に相当する金額とすることといたしております。 以上が金属鉱業等年金基金の行う給付に関する構想であります。 本金属鉱業等年金基金法案につき何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願い申し上げます。 ————◇—————
○大野委員長 厚生関係の基本施策に関する件について質疑を続行いたします。吉田法晴君。
○吉田委員 私は多年日中友好のために微力を尽くしてまいりました。最近の日中両国の医学の交流にも幾らか貢献をするところがございました。 〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕 私ごとを申し上げて大変恐縮でございますけれども、私自身も漢方医学の優秀さを身をもって体験をしてまいりました。旧制高等学校時代水虫に悩みましたが、皮膚病の薬で治らず、レントゲンで治らなかった水虫を、きゅうで根治をいたしました。それから、この十年くらいでありますが私は胃潰瘍、実兄は胃がんと診断をされましたが、それを中国の薬で根治をしましたり、あるいは制したりいたしました。そういう経験を持っておりまして、きょうは漢方医学、東洋医学と申しますか、それの振興策について厚生大臣並びに関係局長に伺いたいところでございます。 第一点は、漢方あるいは東洋医学の日本における発展策について伺いたいのでございます。いまの中国では、従来の漢方医学のほかに、日本で行われております、あるいは世界で行われております西洋医学と一緒に総合して発展を図っております。いわば漢方と洋医の総合発展であります。そして、これは日本の医学界でも注目をしておりますけれども、たとえば外科手術に麻酔を使いますとか、あるいはがんの薬を発見するとか、たくさんの注目すべき成果を得ております。日本の医学は、千四百年以上前に欽明天皇のときに漢方が伝えられて、それから明治以前までは大体漢方を中心にしてやってきたことは私が言うまでもございません。種子島から西洋医学が入ってきた、長崎に医学校ができてから百年そこそこです。ところが、明治政府になりまして以来は、西洋医学を中心にして医術というものが認められた、あるいは医療体系というものが整備をされた。あるいは大学その他医師の養成も西洋医学でやられた。こういうこともございまして今日に至っておりますが、最近はいろいろな面で日本の医学も再検討さるべき段階に達しておると思われます。 一つは薬害の問題。私は、自然を破壊をして、化学薬品を使いますと速効はいたします、速効はいたしますけれども、反面やはり大きな弊害がある。ここで薬害のことをたくさん挙げて言おうとは思っておりません。それからもう一つは、いまの医術がいわば対価、もうけるためとは言いませんけれども、金で計算をされます医術でございますだけに、あるいは病院の独立採算制といいますか、そのために医は仁術ということが壊れていることは、これは万人の認めるところだと思います。中国では、はだしの医者も含めまして大衆に奉仕をする医術の発展を図りますから、水準はあるいは日本ほど高くないかもしれませんけれども、八億の人間が心配なしに、山の中でもあるいは僻地でも全国至るところで大衆に奉仕をしている医術が確立をされておる。 その二つの面から、私は日本の医術も再検討されるべき段階に達しておると思いますが、そのような問題を含めて、日本の医師あるいは医学界からも中国に渡って漢方を勉強しておられる。あるいは一昨年でしたか、中国医学界代表を日本の外科学会が招待をして、そして講演なりあるいは実際のはり麻酔の手術を見たりしております。それから、皮肉なことですけれども、占領時代に漢方は医術じゃないということでそれをとめようとしましたアメリカの医学界が、ことしなんかは、国際鉄灸学会ということで、私の知っております福岡県の鍼灸師会の会長ですか、田山基隆さんという方が招かれて、自律神経失調の治療例を千六百五十六件も報告して参考にしております。アメリカでも漢方に対する関心が大変高まっておる。これはアメリカだけでなくて、国際的に漢方に対する関心が高まっていることは御承知のとおりだと思います。 そこで、日本における漢方あるいは東洋医学の発展、西洋医学と総合して発展するについて、厚生省としてはどういう決意と施策とを持っておられますかをまず冒頭承りたいところでありますが、細目はいいですから、厚生大臣に冒頭と最後のところだけひとつ御答弁をいただきたいと思い
○田中国務大臣 今日、いわゆる東洋医学というものが見直されている時代に来ていることは事実でございます。ただ、わが国は明治以来医学、医術について非常な転換をいたしまして、西洋医学をその中心にいたしました。事実このことはまたわが国における医学、医術の大変な進歩発展を来したことは否定することができませんが、今日でもなおかつ西洋医学をその主軸にしているわけであります。 そこで、私素人で的確なお答えになるかどうかわかりませんけれども、東洋医学、漢方というものを導入する場合においても、これを権威づける場合には、今日段階では、西洋医学の手法をもってこれが科学的に究明されたものに限って医学、医術として権威づけるという傾向は、今日までなおかつ変わっておらないというふうに私は見ているわけであります。しかし実際問題として、経験的に、臨床的に東洋医学がすぐれた効果をあらわしているということもございますが、やはり今日時点では、率直に言うて、西洋医学のスクリーンを通してこれが科学的に証明をされるという方向において、東洋医学というものが取り入れられているというのが現状だろうと思います。こうした面で、今後東洋医学を国民の医療のために導入をし、これを臨床的に実施することについては、私どもも大いにいたしたいものというふうに考え、厚生省でもささやかではございますが、この面についてのいろいろな助成もいたしているわけでございます。基本的に東洋医学を西洋医学の科学的根拠の上に立って評価するということについては、なおこのような方針を脱却することについては今日の段階としてはなかなか困難だろうと思いますが、そうした手法の上に立って東洋医学のすぐれた点をわが国医学、医術の上に導入することについては、私どもとしては賛成であり、かつ厚生省としてもできる限りの助成をいたしたい、かように考えているところでございます。
○吉田委員 いま厚生大臣からも御答弁をいただきましたが、明治以来漢方は、西洋医学から見た限りにおいて、あるいは西洋医学のスクリーンを通してというのはそのとおりだと思います。そして、医師法あるいはあんま、はり、きゅう師法等を見ますと、これは法律的な取り扱いでありますけれども、要するに、西洋医学の医師が認めた範囲内で鉄灸等の治療は許すということになっております。その点は後で具体的にお尋ねしたいと思いますが、明治までは、これは日本人の、あるいはアジアでと申し上げてもいいかもしれませんが、医療、治療に高い水準も持っておりました漢方医学が、西洋医学に取ってかわられて、そのよさを発揮することができないで、中国だけに残っていると申しますか、日本では鉄灸として細々残っておって、そして総合的に発展をしておる中国の漢方医学をいま学びつつある。部分的に西洋医学のスクリーンを通して摂取しつつあるというのが現状だと思います。そこで、その体系の中で厚生省では若干の補助をしておられるというのが実情だと思いますが、さっき自律神経失調症の治療例をもってアメリカの鉄灸学会で報告をした例等を見ますと、アメリカでもあるいは世界的にもっと漢方医学の見直しというものが行われておる。日本の伝統あるいは中国の伝統なり、その高い水準に達したものを摂取し利用する方法についてはもっと考えるべきではなかろうかというのが、きょうの質問の趣旨なんであります。 そこで、意見も大体一致をいたしましたので、具体的な方法についてお伺いをいたしたいと思いますが、毎年行われております漢方あるいは鍼灸師会の学会あるいは研究会、これは各県で、あるいは全国的にも行われております。そういうものに対してもっと助成をするつもりはないか。予算の問題になります。研究費助成について、もっと本格的に助成をするつもりはないかというのが一つ。 それからもう一つは、いまのお医者さんたち、あるいは大学の教授も含めまして漢方を個人的に勉強しておりますけれども、それに対する助成、六あるいは講座までいくかどうかわかりませんけれども、医学部の中に漢方科あるいは東洋医学科というものを設けるつもりはないか、具体的にお尋ねをいたしたいと思います。その後の部分は医学の研究の問題になりますので、あるいは文部省と関連をするかとも思いますけれども、日本の医学の発展のためには私は厚生省としても所見があってしかるべきだという感じがいたしますが、いかがでしょうか。
○滝沢政府委員 先ほど来先生からの東洋医学、西洋医学の長い歴史的な変遷、そのとおりでございまして、特に日中国交回復以後、東洋医学に対する関心が高まっていることも事実でございます。 具体的なお尋ねとしての学会に対する助成の問題でございますが、これは学会というものはあくまで会員による自主的なものでございますので、医学の方面も含めまして学会そのものに国の助成を直接的に出している例はございません。ただ、たまたま国際学会等のために国がこれを助成することはあり得ることでございますが、そういう意味で学会そのものに直接的な助成ということは困難であろうと思います。 先生お尋ねのもう一点の研究に対する助成については、ただいま大臣からもお答えいただきましたように、ついここ二、三年来、三百万程度の研究費を北里大学の付属東洋医学研究所に助成いたしておるわけでございますが、この点につきましても、この研究所を中心としてわが国の東洋医学の研究者をできるだけ総合した形で研究が御推進願えるような形で、五十年度の予算の配賦につきましては、若干金額の増加も図り、また研究の組織化も図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。 それから、確かに個人的に研究をなさっておる方はございますが、これはいま申し上げましたように、学会等を通じて医師あるいは鍼灸師を問わず御活動いただくことが必要であろうと思いますし、研究の面を通じまして助成をいたし、なお、個人的にも非常に研究に堪能な方あるいはこれに深い関心を持たれる方は、研究班の方に参加していただくようにお願いいたしたいというふうに念願いたしておるわけでございます。 大学における講座の意味も含めた東洋医学科の問題でございますが、これは文部省の見解もあろうと思いますが、私はやはり熟していくものを待つことが必要であろうと思うのでございます。ということは、あるいは老人病科というようなものを設けている大学もございますし、そのほか、それぞれ大学における文部省の今後は一層幅を持たせた講座の設定の中で、それぞれの大学の方針なりあるいは研究者の能力なり、そういうものが充実し、また医学会の推移を勘案してそれぞれの大学が講座を設定する、そういう機運になろうと思いますので、東洋医学科が永久に生まれないという予測はできませんけれども、すぐに生まれるあるいは官製的にこれをつくるというようなことは、大学の自治の姿から見て、またいままでの経緯から見ましても困難なことでございまして、大学が自然にそういうものを必要とする方向で東洋医学科が生まれるという可能性は十分あり得ると私は行政の立場から判断いたしておるわけでございます。
○吉田委員 研究助成は、いま北里研究所を中心として三百万ほど出しているが、項目によってはあるいは研究科目によってはもっと出せるというようなお話でございました。気持ちの上から言いまして、明治維新以来の西洋医学偏重とは申しませんけれども、余りに漢方が助成されないで来た。アメリカが進駐してきたときには、漢方は医学と認められないから禁止しようといたしました。そこで、生活の資までも奪うことはないじゃないかということで、私ども参議院の時代でしたけれども、法律をつくってやっと生活できるようにした。ところが医術としては認められていないというのが現状だと思います。そのおくれを取り返すという意味から言うと、もっと国の助成が必要ではないかということで取り上げたわけでありますから、この点は、さっき大臣の答弁もございましたけれども、方法があるならば、研究にしてもあるいは学会の動きにしても、ひとつ助成をしてもらいたい、こういうことをお願いするわけであります。 もう一つ、ついでに申しますと、さっき私も水虫をきゅうで治しましたと言いましたが、それは、きゅうで博士になった原志免太郎という人のきゅうで治ったのです。私は正確に覚えておりませんけれども、戦前、漢方で博士になった人は十人は下らなかったと思います。十何人かあったと思います。最近も漢方で博士になった人はないとは申しません。ないとは申しませんけれども、このあれから言いますと、むしろ戦前よりも少ないんじゃないですか。いまがんの薬の研究がなされております。日本で普遍的にどこでも研究しておりまずがんの薬の中に共通して使われておりますのは、申し上げるまでもございませんけれどもサルノコシカケです。これは御存じだと思います。これだけがんがふえて——これは診断の機関かふえたせいもあろうかと思います。あるいは何らかの原因が別にあるかもしらぬ。その因果関係はわかりませんけれども、核だとか何だとかということがあるかもしれませんが、とにかくがんが非常にふえていることは御承知のとおりです。したがって、がんの薬に対する研究助成は厚生行政の中でも国家的に緊急な問題だと思います。私は、一昨年中国でがんの薬ができたというのを新聞で見ました。残念ながらそれを見ることができませんでしたけれども、日本の医者に聞きますと、恐らくがんの薬か発見されるとして——それは数年前の話です、恐らく中国かどこか、日本ではなかろう、こういう話でございました。がんの研究あるいはがんの薬を発見するについては、どれだけの助成をしても惜しくないと私は思うのであります。 そういう意味で、研究の項目その他にもよりましょうけれども、漢方医学についての助成を政府としてあるいは国としてするとするならば、厚生大臣、厚生省医務局等でお考えをいただく以外にないではないか。そういう意味で先ほど、医学部でも漢方科あるいは東洋医学科を考えてはどうかということをお尋ねしたわけです。前向きに御検討をいただきたいということを要望して次に移ります。 〔葉梨委員長代理退席、菅波委員長代理着席〕 次は漢方の大学といいますか、具体的には、いま鍼灸師等は盲学校で勉強して、あんま、はり、きゅう師になっておると思われます。これは関係者の中で、短期大学を設置してほしいという希望もあるやに聞きますし、設置基準等がむずかしくて困難だという話も聞くのでありますが、その設置基準の緩和なり設置基準の再検討の問題。 それから、鍼灸師は専門職としては考えられておるかもしれませんけれども、それを医師として育てるという体系にはなってないと思います。私は実は個人的にも、高等学校時代から全盲になりました優秀な人間が自殺をしかけましたけれども、それを更生させて盲学校に入れ、それから東京に来て勉強して、いま自立をしております者を身近に持っております。能力のあります者もやはり盲学校を、あるいは通称的には大学と言っておりますけれども、実際には大学でない研究所を卒業してあんま、はり、きゅう師になるしかない。医師法なり、盲の者は医師になり得ないという絶対的な欠格条件等を再検討して、盲学校を卒業して短期大学あるいは四年制、六年制の大学に進むことができるように道を開くことは、はり、きゅうを通じての東洋医学にわずかに残された道であり、医師として育てる道としては適当だと私は考えるのでありますが、それらの点について、漢方あるいは東洋医学の大学をつくるつもりはないかどうか。これは漢方医学の発展を図る意味において厚生省としても考えてもらいたいと思うし、文部省としても考えてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。両方から御答弁をいただきたい。
○三角説明員 まず短大基準の問題でございますが、先生おっしゃいましたように、現在、はり、きゅう師の養成は盲学校の専攻科、あるいは各種学校で厚生大臣の認定を受けた養成施設、こういったところで行われておるわけでございますが、近年、そういう教育の水準を向上しようということで短期大学を設置したいという動きがありますことは私どもの方も承っております。それで、おっしゃいましたように基準の問題があったわけでございますが、先ごろ文部省といたしまして短期大学設置基準を、従来は大学設置審議会の取り扱いの基準でございましたものを正式に省令にいたしました。その場合に、大学設置審議会の基準分科会の方に御諮問をいたしまして、建議をちょうだいしまして省令として定めたわけでございますが、その際、短期大学の教員組織あるいは教育課程等につきましていわば弾力化の方向に改善をいたしまして、その結果といたしまして理療科といったものを短期大学として設置する道が開かれるようになったと思っております。 なお、あわせまして、その省令の制定の作業と並行いたしまして、短期大学の理療科そのものの細かい基準も定めまして、必要な単位数その他についての準則を決めてございますので、学校を設置しようとする方々がそれを参考にいろいろと御努力を願えれば、短期大学としての教育の形がつくり得るということになっておる次第でございます。 それから東洋医学の大学の問題でございますが、これは先ほど厚生省の医務局長から御答弁がございましたような、非常にいろいろな面で条件が熟してくるかどうかということがそもそもの基本になるかと存じます。そういうことで現在の医学部の教育というものも、これまた目下医学部の設置基準というものを検討中でございまして、近々大学設置審議会の方から文部大臣あて御建議をいただくことになっておりますが、その検討の過程でも、やはり従来の医学科というものが基本になっております。でございますので、大学で東洋医学の要素をどういうぐあいに取り込むかということになりますと、講座を設けていくか、あるいは授業科目としてそういう内容を入れていくか。授業科目として内容を入れておるとこるは若干例があるようでございます。これらにつきましても、やはり大学自身の要求を待ちまして文部省としては判断いたしたいということでやっておるような状況で、現在まだいろいろな面が熟していない状況ではないかというふうに見ております。 なお、私どもとして一つ具体的なスケジュールにいたしたいと思っておりますのは、富山大学の和漢薬研究施設を和漢薬研究所に数年前昇格をさせたのでございますが、この十月から富山県に国立の富山医科薬科大学を開設する運びになっておりまして、学生は来年の四月から入学させるということでいま鋭意準備を進めておりますが、将来富山大学の和漢薬研究所は富山医科薬科大学に移管をいたしまして、そしてその際には富山医科薬科大学の付属病院に和漢療法部とかあるいは疼痛診療部といったような、いわば東洋医学と西洋医学とを両方基礎にして一つの新しい方向の発展を期していくという仕組みを持とう、こういう将来計画を持っております。 そういったところでございまして、独立の東洋医学の大学をつくるというお話に対します考えは、私どもとしては現状ではまだ持っていないという状況でございます。
○吉田委員 ありがとうございました。短大の設置基準の問題について緩和をし、それから理療科ができるようにしていただいたという点については感謝をいたします。ただ、関係者の間には、そういう短大をもし私立でつくるといたしますと、女でも男でも、晴眼であろうと盲人であろうと、たくさんの人が入ってきて学校がもうかるようにということをいまの制度の上からは先に考えます。そうすると、私も北九州市で知っておりますけれども、盲人協会といいますか、いわば唯一の職業の部面を晴眼者に侵されるという心配もございまして反対の面がございます。そこで関係者の中で言いますと、設置基準も緩和願いますとともに、それを公立あるいは国立でできないだろうか、こういう希望があるわけであります。 それから後の東洋医学あるいは漢方の大学の問題ですが、実は先ほど申し上げましたように、医師法の上で盲人が医者の絶対的な欠格条件にうたわれておるものですから、能力がありましても、あるいは点字で教えるという方法がとられていないために、どんなに才能があってもあんま、はり、きゅうをやる以外には伸びる道がない。そこでいまの療術師的な、専門的な、まあ生活の道は得られるとしても医師としては伸びる道がないこういう者を、短大を通じて大学にという方法はなかろうかということを申し上げたわけであります。 そこでついでに申し上げますけれども、漢方の医療をやっておりますところは、どこでもいまは正直に申しまして押すな押すなです。あるいはたとえば中国展等をいたします場合に、漢方の医療相談をいたしますとこれも長蛇の列です。それは、西洋医学が再検討せらるべき段階に来ておると申し上げましたが、漢方医学に対する国民の期待というものが、多少そういう伝統もありますからございますけれども、薬害がないということで殺到をしておるというのが事実です。これはどこでもです。 それからもう一つ私が大変感心をしたのは、中国で、いわゆる聾唖学校で聾の治療をしながら——神経的に完全な全聾というのは少なくて、若いときに引っ張り出せば少しの聴力は回復する。パラリンピックではありませんが、今度の別府で行われましたあの身体障害者の体育大会に参りました中には、全聾だと考えておったけれども、日本で補聴器を借りたら聞こえたというのが大分ありました。それで、聾唖者から能力を引っ張り出しながらわずかによみがえる聴力、その聴力を引っ張り出すはりのお医者さんと先生と本人とが三者一体になって、一生懸命になってとにかくしゃべることを覚え、それから聞くことを努力をし、学校のほとんどの人間がどの程度にしてもとにかく話ができるようになっている。これはやはり身体障害者あるいは盲聾者に対する愛情だと思います。それを考えますと、盲人について言うと、あるいは身体障害者について言うと、それはあんま、はり、きゅうになるしかない、こういうのは厚生省であろうと文部省であろうとやはり考えてやるべきではなかろうか。そこで、あんま、はり、きゅうの短大設置の問題に関連をしてそういう道は考えられないものか。いまの医師法あるいは医療法等を通じて再検討をしながら、あるいは盲聾者であろうともあんま、はり、きゅう以外の大学に進む道を考えてやるべきではなかろうかということを考えるものだからいまのお尋ねをするわけでありますが、重ねて医務局長と大学局の方の答弁を願います。
○滝沢政府委員 医師の欠格条項に確かに盲聾唖の問題がございます。それと先生の一つの要望を含めた御質問でございますが、医師の養成課程全体をながめますと、一つの特定な部門の医師というものを初めから養成する仕組みはございません。したがって解剖学から始まって一もちろん基礎教養課程から始まり、解剖学から始まって、まず医学士になるには全部の学科なり課程を総合的に修めていただく必要があるわけでございます。そうして、そういう面からの医師の資格のはり、きゅうの方が生まれるという仕組みを先生は要望というか考え方としてお持ちでございますけれども、医師がはり、きゅうを取り扱うことはいまでもやっておるわけでございます。医師であればはり、きゅうをすることは一向に構わないわけでございますから、先ほど来文部省のお答えにもございましたように富山の新しい医科薬科大学の動き、あるいは北里大学医学部——北里の医科大学に医学部ができまして、そこに付属の東洋医学研究所ができて、医師の資格がある者がその研究機関に入っていくような仕組み、こういうような医師全般というものの課程の条件から考えて、盲聾唖の方の医師の資格獲得はきわめて困難な問題だと思うのでございまして、やはり医師として全体を修めた中から医学士になり医師国家試験を受けて医師としての資格を取られた上で一つの特定な分野に進んでいくという資格になっておりますので、はり、きゅうだけの分野の医師という概念は、わが国の医師法なりあるいは医師の基本的な考え方から言ってきわめて困難である。医師の資格者がはり、きゅうの方の分野に進出され、研究を進めて、その分野が拡大し、また国民医療の中にそういう問題が取り入れられていくということは望ましい方向であろうと思うのでございますが、先生のお尋ねの、医師法を改正して、盲聾唖のはり、きゅうの医師をつくれということは現状では考えられないことでございます。
○吉田委員 文部省には、公立あるいは国立のさっき申し上げました理療科を含みます短期大学が考えられないかというのが一つ。 それからその次は、いま医務局長から話がございましたが、医師になっていまの高等学校から大学に入って、大学の医学部で医師になる。ところが先ほど来の話から言いましても、富山大学の研究所が両方をやります医科大学になりますものについて言えば、私の言う鉄灸を中心とする漢方だけでなしに、広い漢方と、それから西洋医学とが一緒になりましたものが考えられてくる。あるいは北里がそうであるかどうかわかりませんが、恐らくそういうものだろうと思います。ところが実際に盲者の点だけ挙げますと、あんま、はり、きゅうを盲学校で習って、そしてそれを研究所でさらに研究をして、あんま、はり、きゅうの技術の高さをきわめることはできるけれども、しかし範囲が広くなって、医師として育つ道は閉ざされております。また、盲者は医師になることができないと医師法に書いてありますから、どんなにできても、勉強しようとしても、とにかく点字で医術を教えるという方法はないのですから、これはありません。だから、あんま、はり、きゅうをそのまま大学に昇格をさせて、はり、きゅう師の医師を育てろと言っているのではなくて、もっと高い、漢方、西洋医学を総合した医科大学はできないか。それから、盲学校を卒業した者も大学に行くという方法を考えて、盲者は医師にはなれ八ないという医師法等の改正も考えて、医師になる道を開いてやる方法はないか、こういうことをお尋ねしたわけであります。ですからその後の点についても、文部省としても考えられないか、具体策をひとつ御検討いただけるかどうか、御答弁いただきたい。
○三角説明員 第一点の公立、国立で理療の短大ができないかという御質問でございますが、短大の基準を弾力化したという全体の観点から申しますと、短期大学という教育の形態の中に実際的な技能、技術を習得するいろいろな課程がそういう形で開かれていくことが望ましいわけでございますので、理療科というものが従来の各種学校の形から短期大学になっていくという方向は望ましいことではないかと思います。 ただ公立でそういう短大ができる、これはできれば非常に好ましいかと存じますが、やはり教員の確保でございますとか、あるいは各種学校から短大になりますといろいろ財政的な負担もかさみますので、それぞれの従来盲学校の専攻科として置いております府県等においてこれがどういうふうに推進されるかにつきましては、やはり条件が熟してくるのを待つということが必要かと存じます。 なお国立では、先生御承知かと存じますが、東京教育大学の教育学部の附属の盲学校の高等部専攻科というところで理療科等のコースが置いてございますが、さらに理療科教員の養成施設というものも同じ教育学部に置いておりまして、これははり、きゅう等の免許を持つ者で高等学校を卒業した者を二年間教育しておる施設でございます。この施設を将来どうするかということも国立が短期大学を持つかどうかと関連してくるわけでございまして、私どもとしては、この施設の将来をどうするかということについては、教育大学当局においてどのような考えを持つかということとも関連いたしまして、それから先ほども申し上げました、やはり教員の確保でございますとかその他の諸条件の面もございますので、十分慎重に検討いたしたいというふうに考える次第でございます。
○吉田委員 医務局長に先ほど申し上げました、医師が育ったらその医師があんま、はり、きゅうをやるということはできるというお話でしたが、そうじゃなくて、盲人が医師にもなり得る道をつくるという医師法の再検討なり、人間愛といいますか、これは国際的にどうなっているかよくわかりませんけれども、盲人だからといってあんま、はり、きゅうをやる以外にはないといういまの制度については再検討をさるべきじゃないかと私は考えるのですが、どうでしょう。
○滝沢政府委員 先ほどお答えしたのは、医学の教育の中へ盲聾唖の問題を入れるというお答えをしましたが、先生が再度御質問の中では、ある程度鉄灸の教育をレベルを高めていって、そしてその鉄灸を修めた者を医師として認められないか、こういうような御質問の方向と思うわけでございます。 そのことは、結論を申しますと、私は、当分その可能性はないと思います。いわゆる医師というものの現状の国家試験その他の設定条件からいきますと、そういう特殊の分野の医師の免許というものはないのでございます。したがって、そういう特定な分野のレベルが高くなったから医師だということでなくて、その方に、そのレベルが高くなったことによってどういう業務内容なり範囲を認めるかという問題は検討の余地につながると思うのでございますが、わが国の法律に基づく医師として認めることはできないというふうに私は思います。
○吉田委員 時間がだんだんなくなりますから最後の問題に移ります。機会がありましたら、医師法の再検討の問題はもう少し考えていただきたいと思います。身体障害者も車の運転ができるように、足で踏むクラッチじゃなしに考えられたり、あるいは講習の面でも考えられている時代ですから、私は再検討さるべきだと思います。 それから最後にお尋ねをしたいのは、保険の取り扱いの問題です。 先ほど厚生大臣が言われましたように、西洋医学が中心ですから、あんま、はり、きゅうは医師が認めた範囲内で治療ができる。ですから、たとえば整形外科の外科医が整骨をいたしました。骨を接ぎました。その後のリハビリテーションといいますか歩行訓練その他のときにマッサージ、あんまをすることが許される、こういう仕組み。ところが私、自分自身で保険組合の理事長をしたことがございますが、炭鉱だとかあるいは製鉄所等重労働をいたしますところでは、あんま、はりきゅうが絶対に必要。そこで保険からは見られませんから、これは実際に保険施設費という名目で出しております。現在でもそうだと思います。それから先ほど申し上げましたけれども、田山さんという方はアメリカに行って自律神経失調症の治療を千六百件もやったということでそれを報告されたわけですが、病気全部についてというわけにはいかぬかもしれませんけれども、経験的に言ってリューマチだとか神経痛だとかあるいは小児麻痺の後遺症だとか限定された部分について言えば、私はいまのあんま、はりきゅう師の治療にゆだねても著効があると言い得ると思うのです、これは限定をしなければならぬかもしれぬと思いますが。そこでたとえばカルテの書き方について事務的な便法もとり得ると考えられるが、具体的にはいま各県で各県の知事とそれから県の鍼灸師会との間に協定を結ぶというようなことで限定をしても構わぬが、特定の病気について言えば医師の許す範囲内といいますか、実際にはそれは形式的なものになっていると思います。それをたとえばカルテならカルテに書くという程度でやれるのではなかろうかという感じがいたしますが、これらの点について便法を講ずるというか、いまの制度の中で可能にする方法はないものか御検討願えないでしょうか。それらの点について厚生省と医師会あるいは鍼灸師会と懇談をするというような機会は持てぬものだろうか、こういうことをお尋ねをしたいわけであります。ことしの鉄灸師会ができました二十五周年には武見会長も来てあいさつをしたということですし、昔考えられておったような医師会と鍼灸師会との間の大きな矛盾といいますか、あるいは摩擦といいますか、反対はないものだと私は考えるのであります。これらの点について厚生省でお考え、あっせんが願えないだろうかということを最後にお尋ねをしたいと思うのです。
○北川政府委員 いまお話がございました鉄灸の問題でございますが、いろいろ論議がございましたように鍼灸がある意味では一つの独立した治療体系に近いものであるということは一般に言われておると思います。それだけに、現在の健康保険におきましては十分にオーソライズされた医学技術を現物給付をするということになっておりまするので、そういう関係上、鉄灸等につきましてはいわば健康保険法上は現物給付の例外として補完的、特例的に療養費払いで支給をする、こういう立て方をとっているわけであります。 このことは、冒頭にも大臣からお答えがございましたけれども、現在の東洋医学というものをどういうふうに評価をするか、あるいはまたどういうふうな見直しをするかという問題にもかかわってくる問題でございまして、そういった基本的な問題が別途あると思います。そういう問題がある限りは、私どもは現行の鉄灸等の健康保険法上の取り扱いはそう大きく変えるわけにはまいらないと思っております。 ただ、いま先生がおっしゃいましたように、私どももこの鐵灸師会と医師会との間で相当長い間にわたってこの問題の取り扱いについていろいろな話し合いが行われておることは承知をいたしております。ただ問題がいま申しましたように鉄灸につきましては非常に包括的な問題でございますので、なかなか最終的な話し合いができないという状況にあることも聞いております。 そういうことでございますから、一番基本的な問題は、やはり東洋医学としてのあるいは漢方としての鉄灸というものをどういうふうに評価をし見直しをするかということとの兼ね合いで健康保険法上の取り扱いも考えてまいらなければならない。それまでの間はやはり現在の取り扱いをする、療養費払いをする。ただ、その取り扱いの簡便化についてどういう方法があるかということは、これはまたいろいろ関係者とも話をいたしまして、どの程度までができるか、そういう点は十分に今後の課題として検討をさせていただきたい、このように考えます。
○吉田委員 時間が参りましたから終わりますが、私は福岡県において、これは前の知事の時代ですけれども、県と鍼灸師会とのあっせんをした経験を持っております。ごく最近ある町で町が老人のあんま、はりきゅうの治療については特別に出しておる例を新聞で見ました。大変いいことだと思いますが、厚生大臣、最後に恐れ入りますが、厚生省として全体的な見直しの問題もございます。見直しの問題もございますが、各県において協議するように御指導を願いたいことを要望いたしまして終わりたいと思いますが、各県ごとの協議を御援助願うように厚生省で御指導願いたいという希望を持っておりますが、いかがでしょうか。それだけ最後に伺います。
○北川政府委員 鍼灸の問題は、いまも申し上げましたように、それ自体が一つの独立した治療体系に近いようなものでございます関係上、これを各県ごとにやりますということは私どもは現在の段階ではいかがなものかと思っております。結局こういうふうに申し上げますのは、鉄灸の性格上、現在の医師の治療と競合するものが実際に多いわけでございます。でございますから、その辺の整理というものはやはり基本に立ち返って漢方なりあるいは東洋医学としての鉄灸をどう評価するかという問題にかかわってくるものでございますから、そういう点はそういう方式がいいかどうかという点も含めまして今後の検討課題とさせていただきたい、このように考えます。
○吉田委員 終わります。
○菅波委員長代理 次に、山本政弘君。
○山本(政)委員 厚生省の食品行政についてお伺いしたいと思いますけれども、厚生省は四十八年十一月サッカリンを全面使用禁止、同年十二月禁止を解除、暫定基準を決めました。そしてさらにことし五月十四日に大幅に緩和している。厚生省の方針というのは食品添加物の使用を減らそうとするのが方針であるはずであります。だから消費者団体も今回の規制緩和は方針に逆行するではないか、こう反対をしたわけであります。四月三十日の合同部会に出席をした小林芳人会長は、去年の八月の常任委員会において疑わしきは使わずの原則は確認されている、こう発言をして、そして数名の慎重論者の疑問点を解明しない限り、安易に規制を緩和すべきではないという趣旨の発言をしておる。しかも五月十五日の新聞を見ますと、小林芳人氏はさらに、私としてはサッカリンの使用基準を緩和することはメリットはないし、砂糖を含めて甘味を減らすべきだと思っている、こういう注目すべき発言をしているわけですね。にもかかわらず大幅に規制を緩和した。一体どういう意味で規制を緩和したのか、その点をまず第一点お伺いいたしたいと思います。
○石丸政府委員 われわれといたしまして、このサッカリンのみでなく食品添加物そのものを全般的に可能な限り減少さしていくという方針で従来から行政を進めていることは、従前からわれわれ幾度もそういった考えを述べておるところでございます。 それで、今回のサッカリンの問題でございますが、昭和四十八年の四月からこの事件が始まっておるところでございまして、まず昭和四十八年の四月の時点におきまして、これはアメリカのデータでございますが、アメリカの方からサッカリンが膀胱がんを惹起するというようなデータが、これは私信でございますが、参ったわけでございまして、それに基づきまして昭和四十八年の四月の時点におきまして、サッカリンの食品への使用というものを、糖尿病患者用等の特殊な食品を別といたしまして、一般的な食品への使用を禁止いたしたわけでございます。その時点で半年の猶予期間を設けたわけでございまして、したがいまして、現在、先ほど先生が御指摘になりましたように、四十八年の十一月からこれが適用される、かような経過をたどったわけでございます。 昭和四十八年四月にそういった措置をとりましたその後におきまして、外国等からもまたいろいろなデータが入ってまいったわけでございます。その後、そういった新たに入りましたデータ並びに四十八年の四月の時点におきましてアメリカのFDAの方で近く禁止するであろうというような私信が参っておったわけでございますが、その後、アメリカがそういったデータを検討いたしました結果、従前の使用基準を変更しないというようなことがわかってまいったわけでございます。そういった新しいデータをもとにいたしまして、食品衛生調査会でいろいろ御議論願っておったわけでございますが、そこで昭和四十八年の十二月の時点におきまして、そういったいろいろな新たなデータをもとといたしまして検討いたしました結果、その時点におきましてわが国において国立衛生試験所の池田先生の実験がまだ続行中でございましたが、そういったことも考えまして、この池田先生の実験結果が出るまで、とりあえず昭和四十八年十二月からWHO、FAOの認めております一日摂取許容量の五分の一、すなわち体重一キログラム当たり一日一ミリグラムの摂取許容量で認めていいであろう、かような御意見が出てまいったわけでございます。そこで、昭和四十八年十二月の時点におきまして、WHO、FAOの基準の五分の一というそういった基準でこのサッカリンの使用を、これは食品を限定いたしておりますけれども、一般の食品への使用を認めた、かような結果でございます。
○山本(政)委員 池田良雄国立衛生試験所毒性部長の実験結果の発表というのは二年ぐらい前だったのじゃないですか。
○石丸政府委員 どの実験結果を先生お指しかちょっとわかりませんが、われわれが聞いております結果、と申し上げましょうか、池田先生からの御報告によりますと、実験を終了いたしましたのが昭和四十九年の十二月の時点でございます。実験動物へのサッカリンの投与が完了したのが、昨年の十二月の時点でございまして、その後、動物を解剖いたしましていろいろな病理検査を行いまして、その結果を学会に発表されたのが本年の四月というふうに考えておりますが、そのほかにもまた別の実験があったかもわかりませんが、一応、今回食品衛生調査会で検討いたしました実験データは、ただいま申し上げたような実験でございます。
○山本(政)委員 今度の改正で、一日の許容摂取量というのは、いまお話がありましたが、品目別の許容量で、たとえばしょうゆが従来の使用量の十倍、清涼飲料やシャーベットなどは六倍、みそ、アイスクリーム、菓子類が四倍まで緩和されておる。従来の砂糖とごく少量のサッカリンを併用するということで、実は甘味生活というものは、メーカーは別に知りませんよ、消費者側から言えば大きな不満はなかったわけですね。反対に、サッカリンの使用緩和についてはたびたび強く反対の意向も表明されておる。しかも新聞によれば、厚生省環境衛生局食品化学課長宮沢さんの話によれば、業界から要望があったものだけにしぼって基準を変えた、こうおっしゃっておる。しかも菓子は、業者の要望が〇・〇一%であったものを変えて二倍の〇・〇二%に決めておる。その理由を、アイスクリームや菓子類は一括して〇・〇二%と同じにした方が整理上都合がいいと言うのですよ。これは一体どういうことなんですか。これは私は、消費者の方に顔を向けたのではなくて、まさに業者の方に顔を向けたんじゃないかと思うのです。この点は一体いかがでしょう。
○石丸政府委員 まず、こういった食品添加物の使用量をどういう食品にどれだけ認めるかという手続上の問題でございますが、いろいろな動物実験等から、まずそういった食品添加物を一日どのぐらい食べてよろしいかという、そういう毒性の結果から摂取してもよろしい量、総量を決めるわけでございます。これを一日摂取許容量とわれわれ呼んでおりますが、普通ADIと略しておりますが、一日摂取許容量をまず決めまして、その決められた範囲内におきまして、それを各食品にどういうふうにばらまくか、その食品の摂取量、われわれ国民がどのくらいどういう食品を食べているかというのは、これは国民栄養調査の結果に基づきましてその摂取量を定めておるわけでございますが、そういった摂取量に応じまして、一日摂取許容量の範囲内におさまるように各食品に割り振っておるところでございます。 それで、今回のサッカリンについて申し上げますと、この一日摂取許容量がWHO、FAOの基準によりますとここまで、わが国においても世界的に認められたFAO、WHOの基準まで返してよろしいというような御意見であったわけでございまして、これが一日体重一キログラム当たり五ミリグラムでございます。したがいまして、それを五十キログラムの成人に換算いたしますと、五ミリの五十倍でございますので、一日二百五十ミリまでよろしい、かような結果になるわけでございます。 これを今回、各食品に割り振るにつきましてどういう方法をとったかと申し上げますと、先ほど先生、業界の要望の線でこれを割り振ったのではないかという御指摘でございましたが、結果的にはそういった業界の要望の線に大体合致をしておるような食品もあるわけでございますが、今回われわれといたしましては、サッカリンを従前使用いたしておりました実態等も勘案いたしたわけで、これは昭和四十八年四月以前の時点におきまして、どういう食品にどういうふうに使われていたかというようなことも調べたわけでございますが、一応農林省の方とも相談をいたしまして、農林省の方からも、そういった使用の実態とそういった線をお聞きいたしまして、その線に沿いまして、この一日五ミリグラムの摂取許容量の範囲内におさまるように各食品に割り振ったところでございます。 結果的に見ますと、今回割り振った結果を逆算してまいりますと、一日摂取許容量三ミリグラムで計算をいたしておることになっている。したがいまして、今回許しました各食品別への添加量を最大限に計算いたしまして、われわれ成人が一日に摂取する量が百五十ミリグラムになるようにしております。
○山本(政)委員 業者の方に顔を向けたのではない、こういうお話がありましたが、これまで厚生省に対してサッカリン使用量の緩和を最も強く訴えてきたのはつけもの業界です。その理由としては、砂糖では変色する、カビが生える、生産性が悪い、いろいろな理由を挙げておりますけれども、従来からサッカリンを全く使わないで一流商品を製造、販売しているつけもの業者もある。たとえば酒悦の製造部長などは、そういう実害はないと言っている。あるいは野津漬物というところの社長さんもそう言っておられる。 そこで、業者の方に顔を向けていない、こういうお話があったから私は御質問申し上げるわけです。 四十八年の四月、厚生省が、サッカリンに発がん性があるとする米国の発表に基づいて全面使用禁止を告示をした。そして実施は十一月一日からだということですね。このためにたくあんづけの業者を中心に反発が起こった。そして、率直に申し上げますよ、骨抜き工作が始まった。日にちを追って私は申し上げます。ここに「漬物新報」というのがある。私は偶然農林省で見ました。全部これは抜粋ですから。 四十八年五月二十五日、全漬物連の総会が東京ステーションホテルであった。金子会長が「厚生省と数度折衝した結果、十一月以降も流通面の規制はないと解釈。しかし地方行政当局は取り締まる恐れがある。これは告示の細目がないためで、近く厚生省から通達を出してもらう」と発言をしている。六月九日、日本漬物問屋組合連合会第三回総会、名古屋市の都ホテル。鎌田、大野正副会長から、厚生省環境衛生局食品化学課の当時の小島課長との会見結果が報告され、そのとき小島課長は「十一月一日以降も流通品の規制はしない。都道府県が行なう年末の一斉食品取り締まりでも、流通品についてはサッカリンを除くよう指導する」、こう発言をされているという報告をこの席上でしている。四十八年七月二十日、全漬物連の金子会長ら四氏が小島課長に面会、地方自治体への指導を要請、サッカリンは年末取り締まりから外しますと厚生省の姿勢を確認をしているのです。八月三十日、関東漬物協議会大根委員会で、「サッカリンを使わず現在の味を維持するのは困難」ということで、緩和要望が出ている。九月八日、全漬物連の理事会と沢庵委員会が共催をして、日比谷の日生会館——これもちゃんと書いてあります。サッカリンの緩和運動が全国沢庵対策協議会として結成をされる。会長茂木久長群馬県漬物協同組合の理事、副会長塩野作治埼玉県漬物協同組合の理事で、こういうことをやっておるわけです。 そして四十八年十月六日に、この「漬物新報」の五百一号、沢庵対策協は「十月末日までに用意した“床”に漬け込んだタクアンは、規制対象とならない——と厚生省当局も了承」している、こう言っているじゃありませんか。しかも、床というのは資材の総称で、あなたのことでありますが、石丸環境衛生局長もこれを了承、十一月のなるべく早い時期に各都道府県に通達を出すことを約束をなされている、こう言うのです。 これは業者の方に顔を向けていないと言えますか、この点ひとつはっきりさせてほしい。
○石丸政府委員 サッカリンの法制上の取り扱いについてまず申し上げますと、昭和四十八年の四月にいろいろな措置をとったことはすでに御説明申し上げたとおりでございますが、その当時におきましてどういう措置をとっているかと申し上げますと、食品添加物は、これを使用を認める場合には、食品衛生法第六条に基づいて厚生大臣が指定することになっておりまして、また、それを使用する量その他につきましては、食品衛生法第七条でその使用基準等を定めておるところでございます。 それで、四十八年四月の時点におきましてとりました措置というものが、この第六条に基づきます厚生大臣の添加物としての指定を取り消しておらないところでございまして、そのままになっております。 これはどういうことかと申し上げますと、その当時におきましてもやはり糖尿病患者用の食品にサッカリンの使用を認めざるを得ないということで、全面的に使用禁止というわけにいかないというようなことで、第六条の規定に基づきます厚生大臣の指定はそのままになっておるわけでございまして、第七条第二項に基づきます使用基準によりまして、糖尿病患者等の特殊な食品以外にその使用を認めない、かような措置をとったところでございます。 それで、これはサッカリンのみの問題ではないわけでございますが、いろいろな食品添加物のこういった添加物そのものの指定を取り消さないで、その使用の制限等を行った場合に、従来からもいろいろな取り扱いの問題があったわけでございますが、このサッカリンの問題が起きます前の時点におきまして、昭和四十八年二月十九日でございますが、東京都の環境衛生部長からわが方の食品化学課長あてに疑義解釈の問題が参っておるわけでございまして、これはほかの項目がございますが、ただいま御質問の項目に限定して申し上げますと、「食品衛生法第七条第二項の適用にあたり、食品添加物の使用基準改正の際施行期日以前に製造されたものと確認できるもので使用基準にあわない食品は違反品として取扱うべき」であるかどうか、こういう質問が参っておるわけでございますが、それに対しまして、四十八年八月六日付で化学課長名をもちまして、東京都環境衛生部長並びにその写しが全国に参っておるわけでございますが、それに対します一つの従来の法的な取り扱いの考え方を申し上げますと、「添加物の使用基準は、使用時の行為規範であるから、新たに、添加物の使用の方法について基準を定め、または添加物の使用の方法についての基準を従前より厳しくする場合、その改正に係る告示の公布後、当該告示の適用日前に改正後の基準に適合しない方法で添加物を使用しても、改正前の添加物の使用基準に適合している限り、」違反にならない、かような解釈通知が出ておるわけでございます。 すなわちある一定の経過の中におきまして、ある日時を限って、そこから使用基準の改正が行われた場合には、それ以前に製造されたものは、それ以前の基準に合っておれば食品衛生法違反にならないという、かような解釈例規が出ておるわけでございます。 それに対しまして、今回このサッカリンの問題につきまして北海道の衛生部長からまた疑義解釈が参っておるわけでございますが、これが昭和四十八年九月二十九日の時点でございます。これはやはり化学課長あてに参っておるところでございますが、「サッカリンナトリウムの使用基準が改正され、十一月一日より適用されることになったが、たくあんづけ等におけるサッカリンナトリウムの使用は、」いつの使用時点をもって、すなわち、つけものをつける一連の行為の中のどの段階をもって添加をしたと考えればいいのか、かような質問が参っておるわけでございます。それに対しまして、十月十九日でございますが、化学課長名をもちまして北海道衛生部長あてに回答が出ておりまして、「たくあん漬け等の製造工程中におけるサッカリンナトリウムの使用の時点は、サッカリンナトリウム等を添加してつけ物床を調製する時として取扱われたい。」かような通牒が出ておるわけでございます。これをただいま先生御指摘になったと思うわけでございます。
○山本(政)委員 私もここに手に入っておりますが、北海道の方はそうですね。福島県の厚生部長からも厚生省環境衛生局長の方に、たくあんづけのサッカリンナトリウムについての照会がいっているのです。そのときに、「沢庵漬床(糠、着色料、甘味料、その他調味料等を適宜混合したもの)」こう言って、いまあなたのおっしゃったようなことについてのお伺いを立てておるのですね。ところが、回答は「サッカリンナトリウム等を添加してつけ物床を調製する時として取扱われたい。」こうおっしゃっている。「調製する時」というところは一体だれが確認するのです。 〔菅波委員長代理退席、住委員長代理着席〕 そんなこと確認できますか。つけもの屋さんがつけもの床をちゃんと調製をすることをきちんとあなた方がチェックできるのですか。ここが抜け道でしょう。できないからこそ全漬物連合会は、サッカリン禁止対策として、いま言ったたるやタンクにつくったぬかづけばかりではなくてサッカリンも含みますよ、買い込んだ資材も含めて、床の規制対象除外をねらったわけじゃありませんか。あなた方はじゃどうやってつけもの床をつくったかつくらないかということをチェックするのですか。そうすると、買い込んだものは全部結局は認めざるを得ないという結果になるじゃありませんか。その証拠は出ているのですよ。 たとえば、日本サッカリン工業協会の統計を見てごらんなさい。四十七年には千二百トンだったのが、禁止をしておった四十八年にどれだけ減っておるかということなんです。本来なら大幅に減っているはずでしょう。だけど千五十トン使っているのですよ。しかも四十九年は千百トンになっているじゃありませんか。ふえているじゃありませんか。どこでチェックするのです。どの時点であなた方はチェックするか、それを教えてください。
○石丸政府委員 先生御指摘のように、このある時点以降においてそれを使用したかあるいはその時点以前のものであるかということはなかなかチェックはむずかしいところでございます。ただ、可能な点といたしましては、食品衛生監視員がある時点以降において立入検査をいたしまして、その時点においてまだ原材料として持っている、かようなことを確認いたしまして、それ以降において使用して保存量が減っている、かような点がわかれば、そういったその後において使用したものと認めざるを得ないと思うわけでございますが、これは一〇〇%それを完全にチェックできるという体制ではございません。
○山本(政)委員 それならなぜあなたは床は資材の総称であるなどということをおっしゃるのですか。つまり、あなたがそんなことをどうおっしゃったって、サッカリンの国内事情、いま数字を申し上げましたけれども、だから、この数字から見る範囲は、規制の影響というのはほとんどないということになるじゃありませんか。つまり、床の措置で、使用量は規制後も変わっておらぬということを数字は如実に示しておるのですよ。そうしたら、このことは業界に顔を向けているとしか言えないじゃありませんか。あなた方、消費者に顔を向けていると言えますか。その点をはっきりしてほしいのです。
○石丸政府委員 われわれといたしましては、そういったことで全国の監視員を動員いたしまして、できるだけそういった違反のないようチェックをしておるところでございます。
○山本(政)委員 じゃ、そういうことをおっしゃるのだったら申し上げましょう。 四十九年の一月三十日、いままでは四十八年ですよ。四十九年の一月三十日、全国沢庵対策協議会とサッカリンメーカー、販売業者の会合が神楽坂の「喜久川」で開かれて、茂木会長らは「サッカリン緩和(四十八年十二月)には全漬連沢対協の功績が大きい。サッカリンの安値供給をはかれ」と要請をしておる事実がある。四十九年二月七日、関東漬物協議会の新年会、これは熱海で行われておる。ちゃんとここに書いてある。金子会長は「暫定緩和では満足できない。今後は連合会あげて緩和運動に取り組む」とサッカリン増量運動展開を宣言しておるじゃありませんか。四十九年二月六日ですよ。全漬物連理事会、熱海で開かれている。サッカリン増量のための特別委員会設置を決定をしている。 そして四十九年三月十二日、全漬物連評議員会、これは宮崎のサンフェニックスホテルでやっている。ここで、ある全国区の全国的後援会結成を決議し、四十九年四月の六日には全漬物連合会粕漬委員会で政治的活動を目的とした業界団体の設立を決議している。四十九年六月の十日、全国漬物振興会を設立している。これは東京ステーションホテル。これで政治献金を募っているじゃありませんか。一口三万円、二百八十七社四百七十九口がここで集まっている。 そして四十九年の八月末に全漬物連が化学甘味業界に増量案を提示している。あなた方が増量を提示するのじゃないのですよ。つけもの業界がなぜサッカリンの増量を提示する必要があるのだろうか。すでにこのことがわかっているから増量しているんじゃありませんか。だとするならば、食品行政というものが業界の方に顔を向けたと言わざるを得ないじゃありませんか。その点はどうなんです。
○石丸政府委員 先生ただいま御指摘のそういった会合等につきましては、残念ながら、われわれの方で情報をつかんでおらないところでございまして、その点ちょっと意見を申し述べることがむずかしいところでございますが、一つの経過的にながめてみました場合に、先ほど御答弁申し上げましたように、昭和四十八年十二月の段階におきまして、これも食品衛生調査会においていろいろ議論をいたしたところでございますが、その際、池田データが出るまでの間、とりあえずFAO、WHOの基準の五分の一でいこう、こういう結論が出ておったところでございまして、恐らくそういった結論で、池田データがどういうふうに出るかわかりませんけれども、もしシロと出れば恐らく増量になるであろうというような考えを持っていたのではなかろうかと思うところでございます。 さらに、もう先生御承知のことだと思いますが、アメリカにおきましてFDAがサッカリンの取り扱いをいろいろ議論をいたしておって、われわれもその結果が出るのを首を長くして待っておったところでございますけれども、その委員会は開きながら結論を出さなかったという、したがってわが国のように一つのサッカリンの規制の方向への行動がなかったというようなことが恐らく業者の方で希望的な観測になったのではなかろうかと思います。これは私の推測でございますが、そういったことではなかろうかと思っております。
○山本(政)委員 それじゃ一つだけお伺いします。たくあんのあるいはショウガの着色料というのは、着色をするから中身にずっとしみ込んで黄色くなるのですね、あるいは赤くなるのですね。薬品の場合はどうなるのですか。薬品、つまり着色料でなくて、ほかのものでもそういう可能性ありますね。その点はどうなんですか。
○石丸政府委員 薬品と言いましょうか、化学的な合成品たる食品添加物と理解してよろしゅうございますか。——これは物によって違うと思いますが、やはり中に浸透するものが多いというふうに理解しております。
○山本(政)委員 じゃあスルファミン酸はどうなんですか。
○石丸政府委員 スルファミン酸も、これは使用の実態がいろいろあるようでございますが、普通これはスライスしたショウガに使っている場合には中まで浸透していると考えております。
○山本(政)委員 そうすると、たとえば紅ショウガのような場合に、紅ならば中に浸透するけれども、スルファミンなら中に浸透しないというのですね。
○石丸政府委員 浸透いたしております。
○山本(政)委員 浸透しているのですね。それならお伺いしましよう、あなた方が業界の方に顔を向けていないと言い張るのだったら。四十八年の十月に横浜と神戸に十三・五トンの台湾からの輸入ショウガがあって、これにスルファミンの入っているという事件があった。これはありましたね。
○石丸政府委員 御指摘のとおりでございます。
○山本(政)委員 水で洗って、検査をして合格すればいいということで通した事実がありますね。
○石丸政府委員 そのとおりでございます。
○山本(政)委員 四十八年の十月、日本漬物輸入事業協同組合、台湾から輸入したショウガづけ約十三・五トン、食品衛生法で禁止されているスルファミンが混入している事件があった。クエン酸のかわりに、安価で、発色つまりピンクですよね、つや出し効果の高いスルファミン酸が使われておった。横浜と神戸の税関でこれがストップされた。業界が大混乱をした。このために主要輸入元の神奈川県藤沢市秋本食品などが、厚生省の幹部に頼んで汚染ショウガを水洗いをして、そして販売できる措置をとったじゃありませんか。あなたのおっしゃることだったら、中身にスルファミン酸は入るというのだったら、水洗いをしたって入ったスルファミンというものはのけられないはずであります。なぜそんなものを許可をしたのですか。表面なら水洗いをしたらなくなるだろうけれども、中はなくならぬとするなら、危険食品じゃありませんか。食品衛生課では「水洗いののち再検査、合格したものだけの販売を認めた」こう言っているのですよ。ショウガにしみ込んだスルファミンが水洗いしただけで除去できるわけがないでしょう。これは業界も言っているのですよ。消費者は農薬の原料入りショウガを食べさせられていたことになるでしょう。これが業者向けでないと言えますか。だから厚生省の幹部がそのために——ここにちゃんと書いているのですよ。台湾の輸入ショウガ事件で世話になったらといって、ある人を推薦しているじゃありませんか。当時現役。これが業者の方に顔を向けていないと言えますか。ここにあるのです。大臣、見てごらんなさい。私が言っているのじゃないのです。「漬物新報」というものに全部書いている。それはどうなんです。
○石丸政府委員 スルファミン酸をショウガに使用いたしておりまして、それが輸入と申し上げましょうか、港に着きまして検査した時点におきま第一類第七号社会労働委員会議録第二十三号しては、これがプラスに、陽性に検出されている。これは先生御指摘のとおりでございます。これが、いわゆる保税中にこれを加工いたしまして、これは水洗だったわけでございますが、水洗後、これはすべて行政検査をその後実施いたしておるわけでございますが、その行政検査におきましてスルファミン酸が検出されない、すなわち陰性になっておったものにつきましては、これは通関の手続を認めた、かような結果になっておるわけでございまして、その時点におきまして、すべてのスルファミンを使用いたしておりますショウガにつきまして行政検査を実施いたしまして、完全に除去されたという証明のあるもののみを輸入を認めております。
○山本(政)委員 いいですか、私が言うのじゃありませんよ。「食品検査の現状と将来輸入食品の監視体制について」といって、厚生省食品衛生課輸入検出検査係長の植木という方が、いまいらっしゃるかどうか知らないが、輸入食品を厳重に取り締まらなければいかぬと言って、この人がこの件に触れて書いている。「法第六条違反について」台湾産ショウガからスルファミン酸検出、法第六条違反の中で一番多いケースだと、こう言っている。その人が何と言っているかといったら、使用されたスルファミン酸が工業用の化学物質であり、除草剤という食品と余り関係のない物であること、また、食用としても危険であるということ、将来とも食品添加物として認められる余地としてはほとんどない、と書いているじゃありませんか。あなたの部下が書いているのですよ。あなたが幾らおっしゃったって、あなたの部下がこれを書いていることをどう証明なさるのですか。大臣、そのことについてお答えください。
○石丸政府委員 スルファミン酸そのものの物質的特性につきましては、ただいま先生御指摘の、お読みになったとおりでございますが、やはりわれわれといたしましては、今後ともこのスルファミン酸をショウガの食品添加物として認める意思はないところでございますが、一応この輸入検査昭和五十年六月十九日という行為について考えてみますと、その検査の時点でそういった物質が証明できない場合には、これを従来もいわゆる違反食品とは認めていないという、そういう取り扱いをしておるところでございます。 われわれといたしましては今後、食品の輸入体制そのもの、いわゆる検査体制ももちろんでございますが、それ以前の問題といたしまして、わが国の法律で違反するような食品を業者が輸入しないよう、そういった点につきましては今後業者の指導を十分やってまいりたいと思っております。
○山本(政)委員 問題をそらさないでほしいのです。水洗したショウガというものは有害であるのか、ないのかというのです。表面的に洗い出したもので表面的に検査を通過したけれども、それをそのまま食べて——要するに、現実に有害でなかったら何もとめる必要ないのですね。だから、あなた方は水洗いをしたら要するに有害でないとお考えになっているのかどうかというのです。そうするとこれは違うんですよ。検査係の人が言っているのは違うことになる。その点を言っているのです。水洗いをしてなぜもう一遍売ることを許したのかということですよ。そして、当時の最高幹部の人がそれをなぜ許可したのかというのですよ。私はそのことを聞きたいというのです。問題をそらさないでください。
○石丸政府委員 先ほど先生がお読みになられました植木技官の論文でございますが、これはスルファミン酸をショウガに使ったというその行為そのものが食品衛生法六条違反、かように書いておるものと考えておるところでございます。それで、この水洗を十分やって検査を行いまして、そのショウガからスルファミン酸が検出できない、かような状況になっている場合には、そのショウガによる消費者の健康被害というものは考えられない、かように考えております。
○山本(政)委員 私が申し上げておるのは、表面を水洗いしたらそれでいいのかということを言っている。あなたは先ほど、スルファミン酸は中の方に浸透するだろうと言っている。お話があったでしょう、ショウガならショウガの中に浸透する。それは水洗いで落ちるのですか。その点どうなんです。常識的ですよ。
○石丸政府委員 私が先ほどから申し上げておりますように、現在の検査法で検査いたしまして、その検査でスルファミン酸が認められない場合には、やはり除去されたと考えざるを得ないと考えております。
○山本(政)委員 それじゃこの人の言っていることは間違いですか。 もう一遍読みますよ。「本事件は、使用されたスルファミン酸が工業用の化学物質であり、除草剤という食品とはあまり縁のない物であること、」また、将来とも食品として危険であり、「また、将来とも食品添加物として認められる余地のほとんどないもの」である、こう言っている。そうすると、一切のものはスルファミン酸を使ったっていいわけですね。そして要するに、安い台湾ショウガを持ってきてスルファミン酸でやっておる。法六条違反であるということは間違いないけれども、洗ってしまえばいいということになりますね、そして販売していいということになりますね。あなたのおっしゃるとおりだったら、そうなるのですよ。そして検査をして合格すればいいのだから。私は検査をしても残るものは残るだろうと思うのですよ。その検査の仕方自体に問題もあるだろうと思うのだけれども。
○石丸政府委員 先生のおっしゃるとおりでございますが、われわれといたしまして、現在最も鋭敏だと考えております検査法で検査いたしまして、その検査で検出されない限りは、その食品の中にスルファミン酸を含有しているというふうには認定できないというふうに考えておるところでございます。ただ先生御指摘のように、これを使った食品そのものはあくまでも六条違反の食品でございます。
○山本(政)委員 そうすると、どんな検査をやったのですか。
○石丸政府委員 これは国立衛生試験所で検査を行っておりますので、ただいま私詳しいその検査方法を存じませんが、後ほど調べまして御報告いたします。
○山本(政)委員 たとえば丁寧にひとつ水洗いして、それを検査したのだったらあるいは通るかもしれない。だけれども、売るやつを全部十三・五トン、スライスして検査をするわけじゃないでしょう。一つ一つのショウガを全部スライスして検査するのですか。その点どうなんです。
○石丸政府委員 いろんな食品の検査をやります場合に、一つのサンプリングの方法があるわけでございまして、われわれといたしましてはそれをロットと言っておりますが、一つのロットに属するものについてサンプリングを行いまして、それが合格をすればそのロットが合格をする、かような取り扱いをしております。
○山本(政)委員 だから、そのサンプリングの方法について——あなたは検査をどんなことをしたのかわからないから後で御報告しますと私に言った。なぜそのサンプリングの方法までおわかりになるのですか。先ほどはわからぬとおっしゃった。後ほどお知らせしますと言ったのがその直後になぜおわかりになるのですか。
○石丸政府委員 その方法と申し上げますと、その一つのサンプルの中からどのくらいの率で抜くか、こういうことについてはただいま私もよくわかりませんが、いわゆる全品調査ではなくてサンプル調査を行っている、そこまでは現在わかっております。
○山本(政)委員 恐らくサンプルで調査したのだけれども、どの程度したかも私はわかりませんが、それが要するに安全だというふうには言えないでしょう。小林さんは疑わしきものは使わないという原則があるのだと冒頭におっしゃっているのですよ。そのことに厚生省が忠実であるならば、少なくとも私は水洗いをしてまでそれを通す、そういう行政措置をする必要は何もなかったはずだろうと思うのですよ。これは行政当局としてサービス過剰じゃないのですか。つまり、業界に対するサービス過剰じゃないかと私は言うのですよ。消費者に対してはあなた方は背中を向け、業界に対してはきわめて過剰なサービスをしているのじゃないかと言うのです。なぜ全部とめないのかと言うのです。水洗いをしてまで通す必要はないじゃありませんか。そうじゃないですか。大臣、いかがです。——それはいまのところくらいは答えてくださいよ。大臣、答えてくださいよ。いまのことぐらい答えられるはずでしょう。
○石丸政府委員 ちょっと事務的に最初に私の方からお答え申し上げたいと思います。 従来、こういった輸入の場合に違反食品が見つかりました場合に、いろんな方法でこれを排除したり、またこれを利用しておるところでございますが、まず第一に考えられるのは、これは経済的な問題がどうしても絡んでくることは事実でございますけれども、廃棄等の処置をとる、廃棄あるいは輸出国への積み戻し、そういった措置をとるということも一つの方法でございます。それともう一つは、食品からの排除、すなわち食品としては不適当であるけれども、これを他の食品以外のものへ利用する、こういった方法もあるわけでございます。さらに、食品として利用いたします場合に一つの方法といたしまして、食品衛生上消費者に危害を及ぼさない必要な措置をとるというようなことで、条件つき輸入ということも従来認めておるところで、たとえば外国から大豆を輸入いたしましてその油をしぼっておるところでございますが、その大豆の中にチョーセンアサガオの種がまじっておるとか、そういった食品衛生法四条違反の食品等もあるわけでございます。これは大豆の中からそういったチヨーセンアサガオの種を選別するというような条件をつけまして輸入を認めている。もう一つの方法が今回とられましたような方法でございまして、通関前、いわゆる保税状態の中におきまして必要な措置をとって、通関の時点におきましてはわが国の食品衛生法の規格に合致する、かような方法でこの輸入を認める、こういう四つの方法で従来からもやっておるわけでございますが、今後とも国民の健康を守る立場に立ちまして、できるだけ厳しい線で措置をしてまいりたいと思います。
○山本(政)委員 それでは、これからそういう事態があったら水洗いしませんね。その点どうなんですか。
○石丸政府委員 物によって非常に違うかと思うところでございますが、食品衛生法六条違反の食品でも、水洗い等においてごく簡単にこれが除去し得るというものもあるかと思うわけでございますが、そういったものにつきましては、国民の健康を守るという立場で厳重な検査を行いまして、その検査の結果によって判断いたしたいと思っております。
○山本(政)委員 新聞がこういうことを書いておるんですよ。「関係各業界で漬物、とくに沢庵業界が「弱きに強く、強きに弱い厚生省に対し、どう陳情するのが効果的なのか、厚生省自らが範を示した」との解釈を示しているのは事実」だ、こう言っておるんですよ。そうすると、物によって水洗いして通すというのは、いま私が申し上げたことを如実に立証していることになりませんか。そういう違反の食品が輸入されたら、断固としてそれをストップするという見識をなぜお持ちにならないのですか。大臣、これだけは御返事をしてください。
○田中国務大臣 いま先生のお話しのショウガの件は私の就任前の話でありまして、私もいま卒然として聞く話でございますが、基本的には、食品添加物についてはやはり消費者の保護ということを基本にしてものを考えるべきだろう、かように考えております。したがいまして、これについては私は就任後は非常に毅然たる態度で臨んでいるわけであります。 よけいなことかもしれませんけれども、最近レモン問題というのがございます。これについてもいろいろなところから来ておりますが、いずれにいたしましても、わが国の法律に照らして違反しておるものは、私が就任している間は絶対に入れないということで私はがんばっているわけであります。これをがんばることについては、率直に言うて実はなかなか大変なことでございますが、私としては今日がんばり通しておるわけでございます。今日の先生のそういったような御意見は、私のただいまの態度に対して非常な後ろ盾になるものというふうに存じております。
○山本(政)委員 ぜひひとつ毅然たる態度をもって輸入食品に対しても対処してほしいと思います。 質問を終わります。
○住委員長代理 寺前巖君。
○寺前委員 きょうは私は脳卒中の問題について幾つかの点をお聞きしたいと思います。 話としては脳卒中の問題は昔から聞いておりましたが、最近私の親友が倒れまして、そのことをめぐってこれは大変だなあということをいまさらのごとく感じたわけですが、そういうときに、一体厚生省はこういう問題についてどういうふうにやってきたのだろうかということで、厚生省が毎年お出しになる厚生白書というのをずっと振り返って調べてみたのです。 昭和四十五年版の厚生白書「老齢者問題をとらえつつ」というこの本を見て、私は非常に感心をさせられたわけです。別に宣伝をするわけじゃございませんが、こういうふうに指摘をしております。「わが国の六十五歳以上で死亡する人のうち三人に一人は脳卒中で死亡しており、死因の第一順位となっている」「厚生省では昭和四十四年度から脳卒中の半減を目標として、」対策を組んでいる。「また、脳卒中が発生した後において、早期にリハビリテーションを実施することにより、後遺症としての機能障害が克服されまたは著しく軽減されることが多い事実は重視されなければならない。症状の固定までを医療の対象とする古い概念のもとで、わが国のリハビリテーションは非常に立ちおくれてきた。適切な機能訓練を実施することによって、数多くの患者が社会に復帰でき、あるいはそれができないまでも少なくとも自己の用をみずからたすことができるようになるので、本人やその周辺の家族の生活の可能性を大きくすることとなり、これによってもたらされる社会的な利益も大きい。」「脳卒中対策は、老齢者人口の増大をひかえて国民が英知をかたむけ達成しなければならない大きな目標の一つである。」というふうに、私はいまさらのごとく、正しく位置づけておられるということを、これを読みながらつくづく感じました。「脳卒中発生数は毎年三十数万人にのぼると推定される。その半数は直接死に至るが、残りの半数は半身不随をかこつことになるといわれている。そのうち半数がリハビリテーションによる機能回復が可能といわれているが、現状では、リハビリテーションのための施設も少なく、医師一般にしても、家族にしても、卒中再発作に対する恐れの方が強く、適切な時期に機能訓練の開始をしないで、機能障害を固定化してしまっているのが一般である。」私はこれを読みながら、私の親友が直接直面した姿というのは全くこれと同じことになっている。 私の親友というのは京都の舞鶴なんです。長年私と同じように教員をやっておった人ですが、倒れた。病院へ持ち込まれた。病院では点滴をやって、ともかく命を何とか長らえさせよう。ちょっと時間がたったら今度は国立病院へ持ち込んだ。国立病院でも一週間か二週間して、やあこれで息回復しましたな。しかし体はそのままでは大変なことになってしまう。訪ね訪ねて山梨県の温泉病院にやってきて、そこで初めてリハビリテーションというのを経験する。これが私の友人の姿だ。結局、調べてみたら、ここに御指摘のように全くこのとおり、まずお医者さんは、動かしなさんなや、点滴をして命をともかくとりとめたんだ、結構なことだ、これだけのことだった。私は、お医者さんが悪いというよりも、これがここに書かれてあるとおりの社会一般のお医者さんを含めての姿であるということは、現実の否定することのできない姿じゃないのだろうか、つくづくそういうふうに思うわけです。そこで、この本が出たのが、四十五年版ですから、四十四年段階にこのことがもうすでに検討されて四十五年版になったのだろう、あれから言うならばもう六年たっている。私はかなりそれなりの対応策をお考えになったと思うのですが、ここで御指摘の一番最初の問題は、考え方を変えねばだめですよという指摘でしょう。発生した時点にどうするんかという、最初の出発点において取り扱いは大きく変わってくるのだという指摘があると思う。現実はそれがされていなかった。私の友達が特殊例だったんか。この五年、六年間、厚生省として具体的に初動活動が適切にやれるようにどのような措置をとられたのかを私は最初に聞きたいと思うのです。
○滝沢政府委員 具体的な患者さんの例で、確かにわが国のリハビリテーション、特に医学の中において第三の医療というような言葉を使われてきてしばらくたつわけでございますが、第三の医療という概念よりも基本的には医療そのものがリハビリテーションを考慮した医療でなければならぬという最近の考え方になってきておるわけでございます。 このリハビリテーションの問題につきましては、OT、PTの養成制度が生まれて十年をまだ経過しない段階でございますが、わが国でリハビリテーションというものを意識し、またその専門的な立場として取り組んでいるのは整形外科系統が主であり、いまでもまだその傾向が抜け切らないでいるところに、先生の御指摘のような医学関係あるいは医療の関係者全体にまだリハビリテーションの問題が浸透していない、考え方の中でもそういう問題が浸透していないというふうに、歴史の浅さと、医学、医療の考え方の中にその問題が浸透してないという点が基本的にあろうと思います。 脳卒中というのは、御存じのように脳内に血管が破れて出血する形のものと、脳の血管が詰まりまして、それから先の細胞が活動しなくなるため第一類第七号社会労働委員会議録第二十三号昭和五十年六月十九日の障害を起こすものとございますが、これはとっさの場合なかなか診断が困難なようでございます。しかし具体的には出血の場合には血圧が一般的には高い、脳の血管が詰まる場合には余り血圧の高い例はなくて、血圧は一般的には正常であるか、やや高い程度であるというような区分け等がございますけれども、この問題はわが国では一対一・二ぐらい、脳出血の方が一・二で、脳の血管が詰まる方が一ぐらいの割合で患者が発生しますので、これはなかなかこの区分けは重大な問題でございます。しかも、この最初の治療を過ちますと、脳の血管の詰まった場合の治療と出血した場合の治療では、たとえば血圧が高いならば血圧を下げてそれ以上出血が続かないようにする、あるいは凝固剤を使うというようなことが考えられます。血管が詰まった場合はそれが全く逆になるわけでございまして、血管の詰まったところへ強心剤などをどんどん無理するとさらに悪化する危険がある。そのような病気自体の問題も含めまして、御指摘のように医師自身が、まだこの脳卒中の対策に対して、前段に申し上げたようなことも含めまして、不十分であるということは否定できないと思います。
○寺前委員 で、要するに何をやったやな。これが出てからもう五年ないし六年たった。要するに何をやったか。
○滝沢政府委員 いまの関連の中で、具体的な対策として推進しておりますのは、OT、PTの養成の計画の推進でございます。それから医師に対する研修制度は、救急、がん等の特定なものにはございますけれども、リハビリテーションに対しては国の予算措置の上の具体的な医師の講習、研修会のようなものはございませんが、一般的な医学の今後のリハビリテーション的な医師の知識の向上にまつ以外に具体的な対策としてはやっておりません。ただ、現地における都道府県あるいは国立病院という一つの集団においては、従事者の講習会のようなものを計画いたしまして、看護婦さんに対してもリハビリテーションの概念を持っていただく、あるいは地方の都道府県などでは、保健婦さんの家庭訪問の際、リハビリテーションを指導できるような、たとえば寝たきりでいる者に自信を持たせて、用便ぐらいは足せるようにするという努力はやり、なおかつそれは相当成績を上げておるわけでございます。
○寺前委員 私はもっと具体的に教えてほしいんだよ。要するにこの四、五年の間に何をやったんだと。理屈じゃないんだよ。やらにゃいかぬことは何かというのはこれに書いてあるのや。それで感心して読んでおったんやな。書いてある。これを何人養成しましたとか言うんだったらわかるけれども、それを言わないで一般的に、やりますやりますという話じゃないか。これはさっきも読んだように、「国民が英知をかたむけ達成しなければならない大きな目標」だと言って位置づけたわけでしょうな。年寄りの諸君たちの最高の死亡率はこれじゃと位置づけたわけでしょうな。これは年寄りだけの問題じゃないですよ。これだけ位置づけたものに対してもっと明確に、こういうことをこの五年間にやってきましたということが言えないようなことではお粗末だと私は言わざるを得ない。 私、ちょっと具体例を挙げますよ、そんな一般論では患者は済まぬのだから。私の友達がともかく困ったその舞鶴をまず調べてみた、どこへかつぎ込んだらいいんじゃろうかと思うて。そこで、舞鶴について言うと、救急病院、ぱあっと緊急発生したときに御相談できる病院は四つ。国立舞鶴病院、市民病院、日赤病院、国公の共済病院、この四つしか緊急の救急病院はないんだ、頼みますというんで……。そこで、ぼくはこれを順番に頼んでみたんだよ。市民病院——済みません、ありません、全然私の方は無理です。日赤病院——私の方も無理です。国公の共済病院——マッサージ師は三人おりますけれども交通事故用でございまして、わかりません、や。頼みにするところの国立舞鶴病院はどうじゃいな。ありません、残念ですけれども、いま六人入ってますわな、応急処置をやるだけ。これが現実に発生したところで、訪ねていくところはなかったんですよ、十万都市で。 それじゃもっと大きい京都市はどうじゃ。ぼくのところはどうなるじゃろうかと思って、私は順番に歩いてみたんです。京都の脳卒中の体制を持つとすれば、何といってもリハビリの施設として位置づけたところの病院は六つある。京都大学、府立医科大学、洛東病院、第一日赤、第二日赤、済生会、六つ順番に行っちゃった。京都大学、おたくどうですか、頼めますかと言うたら、理学療養部でやっているが、入院設備はございません、たてまえ上、私の方はお断りいたします。その次、府立医科大学——設備はありますか、不十分なので洛東病院に行ってもらったらどうでしょうか、ぼん。洛東病院——初期治療はやっておりません、他の医療機関から紹介があれば、紹介のものを中心にしてやっておりますのでお断りいたします。第一日赤——救急体制は消防署に事前にちゃんと打ち合わせてしてありますが、かつぎ込まれたら困ります、や。第二日赤——救急だから受け入れはいたしますが、リハビリはやりません、応急処置だけです。済生会——一カ月分の当直医のリストを消防署に出してありますので、うまいことその人に合ったらよろしいけれども、まあだめでしょうな。どこもなかった。 京都と言えば、医療体制全体から言うたらお医者の非常に多いところですよ。ここの一番中心になって、しかも設備があると言われておるところがこれだけなんですよ。ここには国立病院の話は一つも出てきませんでした。本当にこの五年間、まともに施設のあるところが救急の対応ができないというのが実態なんですよ。あなた、これで一番大きな問題と取り組んだんだ、これで取り組んだとおっしゃるのじゃったら、私はえらいこっちゃな。この文章と、言っていることとやることと違うやないか。私は心を入れかえてやり直してもらわにゃいかぬのと違うじゃろうかということをつくづく思いましたよ。京都が特殊だ、ほかのところを見てくれという例があって、具体的にお示しできるんだったら教えてくださいよ。私は聞きたいと思うのです。どうです。
○滝沢政府委員 先ほどからの先生の御質問が四十五年の厚生白書の問題から触れられましたが、四十四年からの対策というような取りまとめたものがございませんので、現状をとりあえず数字を挙げまして、それが四十四年からの対策であるかどうかという厳密な意味の数字ではございませんが、現状の実態をまず申し上げたい。 それから、いま例に引かれました各病院は、リハビリのための入院患者を受け取るという気持ちなり考え方というものは確かに弱いと思います。われわれはいまの病院機能の中で、最初申し上げましたように交通外傷あるいは脳卒中等で最初病院に入ってきた人がその医療機関として機能するようなことをとりあえず設けていきたい。よそで医療を受けた者をさらにその病院がリハビリテーションだけのために受け取るとなりますと、ややリハビリテーション専門の医療機関の設置、これが大変数も少なくておくれておりますけれども、そういうような概念の施設を設置していく必要が出てまいりまして、いまの医療機関のその断られた実態というものはまさに実態であると思いますし、また、病院側にもそれぞれの機能の上からの立場もあろうと思います。 それは別といたしまして、現在理学療法士の養成施設数は十一校でございまして、これは国立でも年々一カ所ずつふやす方向で努力いたします。入学定員は二百名。作業療法士が五校ございまして、定員が百名。免許取得者が理学療法士で千七百二十二、作業療法士で五百七。この数字を、仮に国立がただいま新潟の犀潟あるいは神奈川県の公立の県立の施設等が設置されることを見込んで、そのままの数字で将来推移したとして、理学療法士が昭和五十九年で三千六百名、作業療法士が千六百名。これは諸外国に比べますと、現状では日本が人口十万対理学療法士が一・六、ドイツが九・五、イギリスが九・四、このような数字が三・〇になる程度でございまして、そのような専門職種の養成がきわめて大きな隘路になっておるわけでございます。それでは何か、看護婦その他を訓練してという程度は、それぞれの医療機関の努力でいたしておりますが、これはやはり資格のある制度が設けられた以上、われわれとしては資格身分のある方の確保に努力していきたいというふうに考えておる次第でございます。
○寺前委員 私は本当に現実にかかっている人の立場から、そしてこれからなるという人の立場に対して措置をとるということで考えてもらわにゃいかぬと思う。ともかく私は京都のいま言った例は特殊じゃなかろうと思うんです。要するに一番専門病院と思うところを訪ねてみる、大きな救急病院を訪ねてみたら、全部初動活動をやるということにはなっていない。一体どこにあるのか。ないという事実から出発するならば、せっかくあなたたちが指摘をしている点が生きてこないじゃないか、だからこのことをやるためにはまず初動活動を模範的にやるところをどこの都道府県だってつくらなければいかぬじゃないか。一般的に言うておったってあかんのだから、少なくともまず国立の病院から、初動活動からひとつわしのところでやってみようじゃないかというふうな計画を立てたらどうなんですか。たとえば舞鶴の例について言いましょう。国立の舞鶴の病院はないのですよ。だけれども、自分で勉強したPTの資格を持っている人が精神科におるのです。その人から私のところに、養護学校の方に就職させてくれませんかという相談がありました。何ともったいないことをするのだろう。そういう施設をつくらぬで、自分は勉強しても自分の力を発揮する場がないのでそっちへ行きたいと言っているのだ。本当のところ、まじめにこの初動活動をどうするかということで力を発揮するための体制をすべての国立医療機関が検討したらどうなんですか。ちゃんと施設だって——そんなに大したことないのですよ、この施設は。べらぼうな機械が要るわけじゃないのだから。そうでしょう。だからまず国立病院全体が初動活動からやる体制の病院計画を確立する。能力を持っている人を確保する方法はないのか検討する。私は提案をしたい。これが第一番目。不可能な話じゃないから私は言うのだよ。初動活動をやろうという実態にないことから私は心配して言っておるのです。 第二番目に、これはあなたの意見を聞きたい。いま持っておるところのお医者さんが、動かしなさんなよ、それで静かに連れてきて点滴やって、一週間か二週間して、ああよかったな、命があって。この姿を改めさせるための講習会をお医者さんと相談してやったらどうなんですか。そういう新しい観点。おたくのところのものにちゃんと書いてあるのですよ。「一般の医師の再教育訓練は何にもまして重要な点である。」一般論言わないで、現実にどこの府県では何人を対象にしてことしはやりました、来年はやります、ちゃんと数字になって出してきたらどうなんですか。本当にここに書いてあるとおりにやったらどうなんですか。これは私が自分で感じた第二番目の問題。 第三番目に、私は持っている能力を最大限に発揮しようと思ったら、ここにこう書いてある。「十分な医学的管理の下に」「日常の診療の場および家庭看護の場でのリハビリテーション実践のための体制づくりが是非必要である。」そのとおりやったらどうでしょう。具体的にどういうことかといったら、医師の指導のもとに家に寝たきりになっている人はもう七十万、八十万おるのでしょう。ある人の資料を読んだら、少なくとも三十万の人はリハビリをやったら機能が回復して社会復帰ないしは自分のことぐらいはできると言っておる。その三十万人の人を対象にして——七、八十万全部対象にできたらいいです。少なくとも三十万の人は手を出すことによってすぐにそうすることは可能だ。この倒れている人に対していま直ちにやれることはないのか。家で寝たきりになっている、ここを起こすことと違うのですが、ほったらかしておくことじゃないと思う。そうするとここで御指摘になっているように、日常の診療の場、家庭看護、ここの場に出ていって訓練をすることだ、リハビリをやることだ、こう言っているわけでしょう。だから訪問看護というのをやったらどうなんですか。私のところにこの間看護協会の書記長さんがお見えになりましたよ。その申し入れ書の中に、訪問看護というのをちゃんと位置づけてください。医師の指導のもとに家庭で寝たきりになっている人のめんどうを見ていくということをやったら救われるという人が社会にいっぱいおるわけでしょう。だからちゃんと訪問看護料というのを保険で組むのか、あるいは特別にそういうのはめんどうを見るのか、そこはちゃんと意思統一したらいいと思いますよ。いろいろの措置の仕方があると思う。そこは厚生省責任持って、いずれにしたって訪問看護をただじゃなくしてちゃんとペイするように保障して、医師の持っている能力、看護婦さんやその他の人たちの持っている能力を生かすということをやることによって救われるという措置を考えたらどうなんだろうか。私はこのことを直接的なものとして思いますよ。 さらにいまこれは社会局の方でやっているのかどうか知りませんが、老人ホームなり福祉センターなどで集めてやる訓練のものもありますよ。これももっともっと大仕掛けにやったらどうなんだろう。本当に救うという立場だったらすぐにやれることから一つはやるという問題これについてのお答えを一つはいただきたい。 それからもう一つは、今度は先ほどからおっしゃっているPT、OTの養成でしょう。養成というのはあなたもいまおっしゃたように、比較にならない少ない数ですね。千何人でしょう。どうにもならないですよ。対象にする人は七十万から現実に存在しているんだから、少なくとも三十万人の人云々といったらこの数字は比較にならない数字ですよ。それを考えたら養成機関というのは急速に広げなければいかぬという問題があると思うのです。いまの対応策では養成機関はぼちぼちやっていきましょうという話です。これじゃどうにもならない。そこでこれの一番のガンは、日本の医学の体系の中にこれをどんと据えるのか据えないのか、問題だと私は思いますよ。本当にいまの大学の中でリハビリというのを講座として位置づけているところがどこにありますか。あるのかないのか。あるとすればどこなのか教えていただきたい。 以上の点をお答えいただきたい。
○滝沢政府委員 先ほどお話しの初動活動の問題でございますが、実は先ほど一遍にいろいろ御説明しませんでしたが、リハビリテーションの施設を病院に付設することは重要な政策でございますから、従来国立の病院、療養所では計画的に、大体療養所ではとりあえず二千四百床を計画いたしておりますし、国立病院でもとりあえず二百床、すでに持っているものはそれを活用していくということでございます。 それから公的病院のリハビリテーション施設を設置する場合の補助を四十九年度から予算で起こしておりますので、公的病院補助全体の枠内で執行して、できるだけ日赤、済生会、県立等の病院にそのような施設を設けることを奨励していく方針でございます。 そのほか公的病院の病床規制の問題はいろいろ議論されますが、この中に加算制度というものがございまして、リハビリテーションの対策をする場合のベッドの増については、これを加算として認めるというようなもろもろの対策をやっておるわけでございます。 それから医師の研修問題先ほど来御質問ございましてお答えしましたように、病気の性格等もございますから、脳卒中といっても原因に二色、三色あるわけでございますので、これらの判断というものを含めたいわゆる成人病に対する医師の研修というような問題点はぜひ必要であろうと思いますが、ただ一つ一つの対策にこの医師の研修をしなければならぬというようなことであるのか、あるいはこのようなものは学会なりあるいは医師会雑誌等を通じてもう全般的には理解していることだ。ただ個々の医師がそういうふうに考えても、その行く先の病院なりいろいろ機能の方が弱いという現場の医師からの反論もあるいは出るかもしれません。したがってこれはやはり受け取る医療機関側の方の対策とも対応しながら判断をして、動かしてすぐ入院なり適切な医療機関に入れなさいというにはその適切な医療機関の用意というような問題もございますので、この面は総合的に判断しなければならないと思うのでございます。 実践的な問題について文部あるいは社会局等の関連もございますので、そちらからお答えいただきたいと思います。
○翁政府委員 ただいま御指摘のございました在宅のいわゆる寝たきりになっている方々の社会復帰を主としたリハビリテーション、これにつきましては先ほどお示しのありました白書の出た翌年の昭和四十六年に特別養護老人ホーム、それから老人福祉センター六十八カ所に機能回復訓練の施設をつくり、また人員を配置いたしました。現在百十二カ所になっております。今年度百二十二にいたしまして、さらにこれをふやしてまいらなければならない。大体、特別養護老人ホームを例にとりますと、月にいたしまして延べ百人の人々のリハビリテーションができるようになっているわけでございます。別に、所沢に現在考えておりますリハビリテーションのセンターにおきまして、この療法士の着成と脳卒中の機能回復を主としたリハビリの科目を設置する、こういう予定で現在マスタープランを進行させている次第でございます。
○寺前委員 私は、正直言うと腹が立ってくるのです。一つずつ、現実に生活している人の立場に立って、どうなるんだということをはっきりさせないで、やってます、やってますと言うと、一〇〇%いいみたいに聞こえるでしょう。あなたでも、いま延べ百人のこれをやってますと言った。私は、いまやっていることを何も悪いと言っておらぬのです。しかし、対象になる人は何人おるんですか。在宅の人は七十万からおるのでしょう。その中で三十万からの人は、やることによって救われるということとの関連性で見たときに、これでやってますと言っておったときには、現実には、末端へいったら存在しないのと似たようなことになってしまうよと言うんだ。これだけ急がなければならない重大な課題だと位置づけたんだったら、思い切った措置を来年度からやることを計画するのかどうかということを私はお聞きしたいんだ。本当に、現実にみんなのものになるのかならないのかということを聞きたいんだ。いままでどおりでいいと構えられるのか、それとも思い切った措置を来年度から計画し直すのか、再検討するのか、あなたに聞きたいのはそれです。 医務局長に聞きたいのは、お医者さんがどこかへ運び込んでもろうたらなんて——運び込むところはないと私はさっき具体的に説明したんだ。運び込むところはないんだ、どこも。そしたら、ここのお医者さんが、点滴の程度で一週間か二週間で帰らしてしまうというようなことが実態だから、これを改めるための措置を緊急にとることを検討するのかしないのか。やれ学会がどうのこうのと言うたって、そんなことでは現実に私たちの生活のところには来ないのだから、そこを改めるための措置を直ちに検討するのかしないのか、私が聞きたいのはそこなんだ。具体的に改めるのかどうかということ。 さらに、国立の病院ぐらいは、まず初動活動の段階からめんどうを見ることのできる病院としてもう一度検討してみるのかみないのか。私の方では、初動活動をやるところは一つもなかったことが明らかになったんだ。自分の友達を連れていってそこが明らかになったんだ。きれいごとじゃないんだ。だから、初動活動を受け入れることができる模範的な病院づくりをまず国立から計画を立ててみるのかみないのか、私はそのことを具体的に要求しているんだ。 それからまた、ここに書かれているように、家庭へ訪問看護することが何にも増して重要だと指摘してあるのだから、そのことで最寄りのお医者さんの御協力をいただこうと思ったら、訪問看護料という制度をつくらなかったら御協力はいただけないんだ。ペイしないというようなことで、やれやれと言うたってやれないのですよ。だから、そのことを考えるのかと言うているんだ。具体的でなければこんなものあしたからの仕事に役に立たぬじゃないですか。いまここで答えられなかったら、考える方向で検討してみますと言えばいいんですよ。いずれにしたって、すぐに物の役に立たぬようでは、私は、五年も六年もたったらどうなんだと言うんです。これらのことをもう一度答弁してもらいたい。 もう時間が来たけれども、私は、もう一つつけ加えて聞いておきたいんです。PT、OTの点数とSTの点数が違うんだ。片一方は二十点、片一方はあれによって四十点とか八十点とか行っているわけでしょう。この制度をこのままにしておくのかと言うんだ。STの能力もそれはそれなりにやはり必要なんだから、単純な作業点数というわけにはいかぬぞ。これも改善する必要があるじゃないか。これはあなたの方かあっちになるのか、どっちになるのか知らぬけれども、それは改善する必要がある。本当にこの分野を発展させようと思ったらそれが要るぞと言うんだ。 そして私は、さっきも聞いたように、どこの大学に講座としてあるのか、国立の大学でどこの講座としてリハビリがあるのかと聞いているんだ。あなたたち厚生省の人たちば、これほど重大な問題と言うんだったら、どこの講座にあるか知っておるのかと言うんだ。なければ、厚生省として文部省に話をせにゃいかぬのと違うか。本当のところ、これほど重大な問題と位置づけているんだったら、厚生省として文部省に言うのか言わぬのか、これをはっきりさしてもらいたい。文部省はこれについてどういう態度をとっているのか。私はもうこれで終わりです。
○翁政府委員 先ほど現状を申し上げたわけでございますけれども、特別養護老人ホームにしても老人福祉センターにしても開かれた施設でなければならないという趣旨から言って、こういったもののリハビリテーションに対する活用はさらに積極的に進めていかなければならないという方針で、今後ともこの点については積極的に進めてまいりたい。現に寝たきり老人である人たちの機能回復については、そういった地域の施設を積極的に活用するという方向で進めてまいりたいと考えております。
○滝沢政府委員 国立病院等の具体的な措置の問題でございますが、五十年度予算で国立仙台病院に脳卒中センターを着手いたします。それと関連いたしまして、国立仙台病院は主として外科療法を中心とした研究施設にしたい。それから近くの国立宮城療養所、これを内科的な脳卒中のセンターとして着手いたします。そのほか、もちろん、先ほど数字を挙げましたように、病院、療養所を通じて、リハビリテーション機能を病院の一つの基礎的な機能として持つようなことを計画的に進めたい。これはさっきお答えしたとおりでございます。 それから文部省との関連でございますが、リハビリテーション科というものがあることは私は承知いたしておりませんし、多分そういう具体的な講座としてはないと思います。ただ、理学療法という面を含めまして、教育の内容としては十分考慮されているとは思いますが、さらに今後、望ましい方向としては、先ほどお答えしましたように、整形外科的な感覚だけのリハビリテーションの概念からもっと広げていただいて、今回認めていただいた神経内科などもきわめて深い関係があるわけでございますから、医学教育全般の中にむしろリハビリテーションという概念を導入していただくことが文部省への教育内容の充実に対するわれわれの希望でございます。
○齋藤説明員 先生御指摘のように、現在講座としてリハビリテーションを置いておるところはございません。ただ、文部省としても、近年この重要性を認識しておりまして、講座ではございませんが、たとえば岡山大学の温泉研究所にリハビリテーション医学という研究部門を置いております。こういう部門が六つほどあるわけでございますけれども、そのほか、東北大学の温泉医学の研究施設にやはりリハビリテーション医学というのを置いております。あるいは群馬大学にリハビリテーション医学研究施設というのを設けております。そういう意味では、いわば講座ではないけれども、研究施設として研究者を養成するような部門を設けておる次第でございます。 なお、それにしましても教育上十分なことができないので、この三年間医学教育基準を検討しておりましたが、従来の伝統的な講座だけではなしに、その設置を弾力化できるような措置を講じたところでございます。間もなくそれは大学設置審議会というところから答申をいただくわけでありますけれども、それによって弾力化することによって、今後この方面の講座なり授業科目が十分できるようにしたい。具体的には、筑波大学あるいは私立の川崎医科大学ではリハビリテーションの講座を置くということで目下検討しておられるような次第でございます。
○北川政府委員 OP、PTとの比較でST、いわゆるスピーチセラピストがらみの診療報酬の点数問題が出ましたが、現状は先生のおっしゃるとおりです。ただ、今後やはり言語障害者に対する機能回復訓練ということは非常に有用性がふえてまいりますので、この面についてどういう評価が一番適切であるか、いろいろ専門家の方々の意見を聞きまして対処してまいりたい、このように考えています。
○寺前委員 大臣、答弁がないんだけれども、家庭に対する訪問看護料の問題というのは一体どこが考えるんだ。これがあなた、現実には倒れている人に直接に医者が世話をするのかしないのかの分れ目でしょう。この問題、一体どうするんだ。
○滝沢政府委員 この問題は、私医務局の方のサイドから考えまして、二つの案を考えておるわけでございます。病院からのエクステンドしたサービスというか、医療ケアとして訪問看護婦を置いて訪問看護をさせるという考え方と、地域に訪問看護婦の協会なり集団があって、どこの医療機関でもその訪問看護を医師の指示で依頼すれば、その看護婦が訪問してくださる、こういう仕組みと二つ考えられるわけでございますが、これを保険のサイドでどういうふうにしていただくかということを考えますと、いわゆる病院側にそういう訪問看護の人を置いて、その人件費をある程度ペイしていただくという方法を考える実験的な試みを検討したい。国立病院などで実行に入ってみたい。これはいま予算編成の時期で検討いたしております。 それからわが国全体の地域にそういう看護婦さんを置いてというものは、国立などの実験等を踏まえて、私たちは医務局サイド、あるいは社会局の訪問介護の問題等もございますので、そういうものとの関連で、本当に医療としての認められる訪問看護というものがあるのかないのか、しかも看護婦さんに資格のあるなしの問題、それにペイできるのかというような具体的な問題になりますと、リハビリテーション指導ということと保険の支払いとがどう結びつくかはなかなか問題点のあるところでございますので、私の気持ちでは、国立などで一つの実態をつくって実験に入ってみたい。そうしてその実態を踏まえて、これを行政として拡大できるのか、あるいは保険としてどういうふうにペイしていただけるか、こういうふうな段階でございます。
○寺前委員 もう時間が来ましたからやめますけれども、理屈ばかり言っておったって現実の人は救われませんから、大臣、本当にこの本を出されたときをもう一度再検討していただいて対処していただくことを要望して終わります。
○住委員長代理 増本一彦君。
○増本委員 時間が限られていますので、きょうは主として、いま診療報酬の改定問題がずっと再燃をしてきているので、その点に限りまして大臣の見解を少しお伺いしたいと思うのです。 まず、今年度の社会保険の診療報酬の引き上げをどのようにするおつもりでおられるのか。四十七年の中医協の答申では、一つは国民の負担能力の勘案、賃金あるいは物価の動向の対応とか医学技術の進歩を取り入れて改正していくというような方向が出て、これまでにも一定の改定も行われてきた。しかし、いま今日の、この時点での経済情勢を見てみますと、国民の負担能力は御承知のように低下の傾向にある。実質所得は前月比でマイナスの傾向にあるし、物価の方はここ一、二カ月を見ましても、四月が前期比で二・五%あるいは五月が前期比で一%とそれぞれ上がっている。 こういういまの事態を見てみると、やはり今後の医療の充実という点から見ても、また社会経済の実態や要請から見ても、ここで改定については前向きに検討をしていくべき時期に来ているというように思いますが、その方向でのまず大臣の所見を伺っておきたいと思います。
○田中国務大臣 診療報酬は国民の経済力を勘案しながら賃金、物価等の変動に対応する、それから技術料は医学の進歩に即応して評価をするといったようなやり方でいかなければならぬということは間違いございません。したがいまして、そうした情勢を踏まえて見るときに、いずれ診療報酬の改定というものは私はあり得るだろうと思っておりますが、今日時点においては、まだこうしたことについての評価なりあるいは変動のある程度の見通しというものが立っておりませんので、今日まだ私どもといたしましては、診療報酬改定についての確たる見通しあるいは時期等については検討に入っておらないということでございます。
○増本委員 もう一つの側面から見ますと、いまの財政事情の問題も非常に重要な問題ですね。そこで、まず主計当局からひとつ事情の説明を受けておきますが、今後の診療報酬の改定との関係で見て、いまの財政状況等から考えると、大蔵省、財政当局としては、この財政上の補てん等々の問題を考えてどういうような状況にあると考えているのか、またどういう手だてを考えるのか、その点をひとつ伺っておきます。
○梅澤説明員 診療報酬の改定の問題につきましては、ただいま厚生大臣の方からお答えがございましたように、財政当局といたしましても、現時点で改定の時期なり改定の内容等について予断を持っておりません。 ただ、財政事情との関連から申し上げますと、御案内のように、四十九年、昨年は、暦年に二回、異例の大幅の引き上げがございまして、その当時と比べますと、診療報酬のコスト要因でございます人件費とか医療材料価格等の動向も、昨年に比べますと非常に環境も違ってきておりまして、昨年のような事態ではなかろうということでございますが、私どもの方といたしましては、診療報酬の改定は相当大きな財政負担を伴う問題でございますので、今後の動向については重大な関心を持って見守っていきたいということでございまして、具体的にいまの時点でどういう財政上の手当てあるいは覚悟等をしているかということになりますと、そういうことは一切考えておりません。
○増本委員 私が先ほど触れましたように、たとえば物価はことしの三月末で一五%以内に抑え込んだと言いながら、現実には四月に二・五%上がり、そして五月には一%上がってくる。医療器材等々を見てもやはり全体の企業の値上げ含みの動向の中で値上げの方向も出てきている。そういう状態の中で、たとえば六月十一日には公私立の病院の財政危機突破の大会が開かれる。地域的にも各開業医のお医者さんたちも大会などを開いて、それぞれ報酬の改定の要求を出してきている。そういういまの事態の中で、今後の検討の問題は別にして、これにどう対処していくかという、ここのところは、素直に事態を見てみたらこれは改定の方向を検討しなければならない時期が早晩来る、しかもいまのこういう経済状態で見れば必ず近い時期に来ざるを得ないことは明らかであるというように思うのですが、そういう点では大臣はどういうようにお考えになりますか。
○田中国務大臣 診療報酬については、先ごろ申したような要素で勘案をするわけでございます。しかし今日、いわゆる賃金動向についても完全に相場がセットしたわけではございません。また物価情勢についても、先生ただいま四月と五月の状況の説明がございましたが、これ等についても物価統計等でいろいろ議論のあるところでございまして、私から申し上げるのもなんですが、例年四月の物価情勢というものは特異な現象を示す、あるいは五月については、東京都のいわゆる区部についての速報があったわけでございますが、まだ全般について出ておらないということでございまして、そうしたことを踏まえてもう少し長期的な視野に立ってこの問題を考えなければいけない、かように考えております。関係者の方々にはいろいろな動きもあるようでございますが、やはり正しい診療報酬を策定するためにはいましばらく物価あるいは賃金その他の状況の推移を見たいというふうに私は考えている次第であります。
○増本委員 問題のもう一つは、現実に診療報酬の改定の問題を議論する場合でも、現在中医協の状態が問題になっているから実際には検討しようにも検討ができない。ですからいま、中医協の正常化ということもそれぞれの病院関係者、医師関係者の中でも要求が出ている。それだけじゃなくて、もっと現実に緊急の問題としては、歯科医師の問題についても中医協としてどうするのか、医師、歯科医師会全体のあり方として、あるいは歯科の診療そのもののあり方としてどうするのかというような問題まで含めてこれは中医協そのものが、いろいろ現在のやり方その他については問題があるにしても、責任は持たなくちゃならぬ点ですね。そういうものについてやはり大臣はそれなりに責任はお持ちのはずです。大臣としてはこの中医協の正常化そのものの問題についてはどういうお考えをお持ちなんですか。
○田中国務大臣 先生御案内のとおり、中医協を初めといたしまして厚生省関係の各委員について、日本医師会、歯科医師会、薬剤師会から、それぞれ辞任の届け出が出ておりますが、私どもとしてはこれを認めたわけではございません。お預かりをしているわけでございます。やはりこうしたそれぞれの調査会、審議会は非常に重要な役割りを持っているものでございますから、なるべく早く復帰をしてそのような考え方を御撤回を願いたいというふうに思っているのです。 なかんずく中医協につきましては、先生御案内のとおりのような重要な機能を持っているものでございますから、一日も早くこうした不幸な状態というものがなくなるようにいろいろと関係筋と折衝をいたしておりますが、残念ながらいまだに撤回の意思の表明がないということでございます。私どもとしては最大の努力をもってこれに対処しているわけでございますが、何分にも先方からはまだそういったようなことについての意思の表明がないというのが現状でございますが、実態にかんがみましてこれについては今後とも精力的に正常化について努力を払う所存であります。
○増本委員 努力を払うとおっしゃるけれども、では具体的にどういう手順でおやりになるという方向、方針あるいはお考えというものはお持ちなんですか。
○田中国務大臣 この三師会の辞任届の理由というのが実はそれぞれいろいろでございまして、したがいまして、そのいろいろな理由に対応する方法が非常にむずかしいわけでございます。中には具体的な事象ではございませんで抽象的な評価といったようなものから発しているものもございますので、こうしたことについて対応することはなかなか容易ではございません。いつどういう方法で何ができるということに簡単に問題がセットできれば苦労はないわけでございますが、いろいろな観点から種々な先方のこうした辞任届を出してきた考え方に対応し、先方のそうしたことについての考え方を変えていただくような説明なり行動なりを示しつつ対応しなければなるまいと思いますし、反面、先方でいろいろとまた考え直していただくようなきっかけというものがあるならばそうしたモメントを生かしていくといったような各般の方法をもってこの問題の解決に努力中でござ
○増本委員 抽象的なお話でなかなかわからないのですが、そうすると大臣の方から能動的な働きかけはしない、向こうの出方を待つということですか。
○田中国務大臣 これにつきましては私の方から能動的な働きかけもいたしております。また先方からのいろいろな御要望についても承って、いろいろと問題点のアプローチをやっていることは事実でございますが、いかさままだこの問題の解明ができていないというのが現状でございまして、決して拱手傍観先方からのいろいろな話を待っているというわけではございません。相当積極的にこちらからいろいろと問題の解決のために努力をしていることだけは事実でございます。
○増本委員 診療報酬の改定との問題からいっても、この中医協というのは、ここが通らなければならない門であるわけですね。ところが、正常化せよという要求もあり、大臣のいろいろアプローチがあると言うけれども、実際には依然として事態は変わっていない。そういう状態のもとで、しかしこういう経済情勢の変動が現に起きて、去年の十月に診療報酬の改定があったけれども、あれ以降今日までの状態を見ても、国民生活全体から見たって一定の耐乏生活を強いられている、そういう事態にいまあるわけです。それは大臣も否定はなさらないと思うのです。 そこで、いままでも診療報酬はいろいろな面で適正なものに、医師あるいは医療従事者の要求から見ていろいろな改定が積み重ねられてきたけれども、まだ隔たりがある。そこで、たとえば開業医については税制でも一定の特例措置がとられてきた。いま、この次の診療報酬の改定とあわせて税制の改正もしよう、そういう方向が政府当局から今度の国会の一連の質疑の中でも出てきているわけですね。私は、開業医の経営の維持安定という立場から見れば、これは本当にその人たちが診療報酬の適正化ということを要求している、そして全体の医療従事者の中でもまだその適正化についてのコンセンサスが得られていない、また、そういう段階にまで幾たびかの診療報酬の改定の中でも実現されていないという状況では、これはやはり存続をさせ、そして医療従事者の、特に開業医の経営の維持安定を図っていくことがいま何よりも必要な状況であると考えるわけです。そういう点で、大蔵省の方は、厚生省が先に診療報酬の改定をすると言うことが前提だと、国会の一連の答弁はそうなっている。そこで医療従事者は、その中で適正な診療報酬の実現ということを要求している、地域医療に責任を持っている開業医の人たちの立場で見ますとね。それを保障していくということは厚生大臣の職責の大事な一つである、そういう立場で、いま、この開業医の税制の問題について、大臣は率直にどのようにお考えになっておられるか、お伺いしておきたいと思います。
○田中国務大臣 社会保険診療に関する租税特別措置につきましては、たしか昭和二十八、九年ごろの議員立法で制定されたものであります。 当時のいきさつというのは、診療報酬がやはり当時の医療担当者の御要望に満たないということでありまして、したがってこのような特別な措置をとったものというふうに承っております。自来十数次にわたって診療報酬の改定がありました。しかしこの間、医療担当者は、まだこうした租税特別措置を撤廃するまでに診療報酬は改定されておらないというのが診療側の御主張であるように承っております。今回、いかなる改定ができるか、私はまだ予断ができないわけで、申し上げる段階ではございませんが、しかし、そうした診療報酬の改定という節に、どういう診療報酬が行われるかということが問題だろうと私は思うのであります。 この問題について、今国会、長い間の審議の過程において、総理などの答弁によりますと、診療報酬の改定とにらみ合わせて特別措置に対する改正を行いたい、こういうことを総理が申しておるわけでありますが、ここに私はこの問題に対する政府の考え方が出ていると思うのであります。 しかし、先生のような御主張ばかりでは世間や国会の内部でもないわけでありまして、いろいろと、しゃにむにやれというふうにおっしゃる方も実はおられるわけでございまして、この間には主観、客観の違いがいろいろあって、判断は非常にむずかしいところでございますが、私どもといたしましては、こうした租税特別措置が起こされたそもそもの趣旨あるいはその後の沿革等とにらみ合わせて、適正妥当な措置をとるべきものであるというふうに思っておりますが、これは元来税制の政策でございまして、厚生省は、医療担当者の世話をするという立場において、比較的いろいろと医療担当者に接触が多いということで、あれこれ申しているわけでありますが、本来は租税政策だろうというふうに思っておるわけであります。
○増本委員 適正妥当な措置をとるべきだ、もう一つ、その診療報酬の改定の内容いかんだ、この二点が大臣の御答弁の中心であるというように承るわけですね。それは、私がお話ししたような、いわゆる適正な診療報酬という、医師側が要求をしている、そういう医師側も含めた一つのコンセンサスが、一定のものが得られるという、そういう水準が実現されるということが一つの税制改正との絡みで問題になる、これが大臣が言われたその改定の内容の中身なのかどうか、その点はいかがですか。
○田中国務大臣 本件については先ごろ私が申し上げたとおりでございまして、要するにこの制度が発足をしたときの趣旨、その趣旨に照らしてみて租税特別措置というものを廃止するということが可能な状態に到達をいたしたということになれば、これは可能だろう、かように思います。その件の当事者の間のいろいろな理解の仕方が私は非常にむずかしい問題だろうというふうに思っております。
○増本委員 そこで、せっかく大蔵省に来ていただきましたので、大蔵省は税制調査会の答申を受けて、今回の問題について次回の診療報酬の改定とあわせてやるということで今回はやらなかった。いま厚生大臣の方は、そこで、診療報酬改定の内容が問題だ、内容との絡みでこの税制改正の問題が具体的には出る問題だ。その点については大蔵省としても、この税制改正の問題については、やはり同じような立場で考えて今後対処をしていくのかどうか、その辺についてひとつお聞かせ願いたいと思います。
○福田説明員 今後どのような診療報酬改定が行われるか、仮定の問題を前提にしておりますので、はっきりしたことはいま言えない段階と思いますが、考え方としまして、私の方は税制の立場でございます。先ほど大臣がおっしゃいましたように、租税政策という観点から申しますと、この問題は発足しまして二十年たっております。発足当時はいろいろないきさつがあったかと思いますが、いろいろな面の変動もございます。税制をもって対処するのがいいかどうかの問題もございますし、やはりいろいろな社会的不公正、特に上の方の階層の方がこの税制によって非常な不公正な利益を得るという仕組みになっておるのは、これは税制から見れば疑いないところです。 したがいまして、昨年の十月、十二月に出ました税調の答申、これは先ほど先生の言われました医療の社会的な役割りというものを相当よく考えた制度だと思います。下の方といいますか、一般的な階層につきましては現状は変わらないわけです。法的にもこれを確保する、非常にお医者様の立場にも立っておる。ただし、発足当時に比べますと、上の方に階層が広く分布しております。昔は下の方にかたまっておりましたから、税制によってある程度単価の是正ができたのですが、そのように分布が変わりまして、高い階層も出ておるということになりますと、なかなか税制ではやりづらいわけでして、税制自体でやはり公正を確保するということでありますと、これはできるだけ早くやりたい。これは二十回以上も答申がございますし、これはもう即刻でもやりたいわけですが、ただ、やはりいろいろな環境の問題等もございますから、次回の診療報酬改定と文字どおり同時にやるということでございます。
○増本委員 ただ、その次回というのが、厚生大臣の先ほどのお話では診療報酬改定の内容、中身が問題だ、だからその中身との絡みということになるわけですね。 もう時間がありませんので、最後に、この不況対策との関係で、大臣、いわゆる経済閣僚は、それぞれの所管の各企業に対して製品の値上げの自粛を呼びかけ、行政指導をしている。一つはやはり所管では薬剤の関係ですね。これについても同じような手だてを厚生省としておとりになって、無用な値上げを抑えていく、そういう面からも経営の安定改善を図っていくというようなことが非常に重要な一つのポイントであると思います。それを進めていくようにすべきであると思いますが、その点について御意見を伺って、私の質問を終わります。
○田中国務大臣 これは薬剤については二通りあると思うのであります。薬価基準の収載品目についてと大衆薬についてと、両方あろうと思いますが、薬価基準の収載品目についても、いま申したような方針でいきたい。また大衆薬につきましては、これは個々にいま実は厚生省でチェックをしておりまして、できるだけ無用な引き上げが起こらないように努力をいたしておるところでございます。
○増本委員 それでは終わります。
○大野委員長 石母田君。
○石母田委員 きょうはきわめて短い時間ですので、答えの方はイエスかノーかという形で簡潔に答えていただきたい。これを最初に要望して、リジンの問題について質問したいと思います。 私の住んでおります神奈川県におきましては、学校給食用の小麦粉にリジンを添加したものは使わないということになっております。最近聞きますと在庫品は使ってもいいという問題で、しかもその使わない理由がリジンに発がん性の物質が含まれているというようなことで、私も小学生の子供を一人持っておりますけれども、父兄にとってきわめて不安な状況にあるわけであります。したがいまして、この問題についてきょう文部省にも来ていただいておりますので、文部省と厚生省に質問したいと思います。 第一にお伺いしたいのは、四月十八日に文部省の体育局長の承認によりまして、いわゆる学校給食小麦粉の品質規格規程が改正されましてリジンを添加したものが使われることになっているわけですが、現在これが使われていないのは、理由は別にいたしまして、私の承知しているのは東京都、愛媛県、それから神奈川県というふうに聞いておりますけれども、そのほかにありますか。
○五十嵐説明員 先生のおっしゃいましたとおりの三県でございます。
○石母田委員 それで東京都に聞いてみましたところが、給食課長の答弁によれば、東京都が使わない理由はいわゆる東京都においてはリジンを添加したものを使うほどリジンが不足してない、こういうことと、それから三十九年から四十一年の間いろいろ学童を対象にして調査した結果から見ると、その効果があるかどうかといういわゆる有効性について、まだ十分な、有効であるという判断に達していないので、それを検討する間これを使っていないんだ、こういう答えでありますけれども、これでよろしゅうございますか。
○五十嵐説明員 先生のおっしゃいましたような理由でございますが、なおつけ加えて申させていただきますならば……
○石母田委員 いいです。これはちょっと後で聞きますから。その意見の食い違いの根拠のことを言おうとしているのでしょうけれども、それは後で聞きます。 それで次に、愛媛県の方は私の承知しているのでは主として安全性、つまり発がん性の物質が含まれていたという問題、それで即時中止、あるいはまた神奈川県におきましてはこれまた主として安全性の問題ということで中止しているというふうに聞いておりますけれども、それでよろしゅうございますか。
○五十嵐説明員 そういうことに対して県民に不安を与えるという理由だからということでございます。
○石母田委員 神奈川県におきましては、そういうことで中止の問題で文部省の方の承認といいますか、了解を得るということで申請を出しているというふうに聞いておりますけれども、文部省としては神奈川県がいまとっている、県の衛生試験所ですか、そこで調査の結果が出るまでこれを使用しないということについて、これはやむを得ないというふうに認める方針ですかどうかということをお伺いしたいと思います。
○五十嵐説明員 各県のそのような実情に対しましては、強制的に文部省としてそれを使わせるというわけにはまいらないというふうに考えております。
○石母田委員 それで十三日の各紙の報道ですか、私のところにあるのは読売ですけれども、これで見ますと、現在その安全性について文部省が日本食品分析センターに分析を依頼している、委託しているというふうに出ておりますけれども、これはこのとおりですか。
○五十嵐説明員 ベンツピレンの含有率につきまして、どの程度のものであるかということにつきましては現在権威ある検査機関に委託してございます。その検査機関の名前はここでは勘弁させていただきたいと思うのでございますが、その理由につきましては、名前を申し上げますと、検査に立ち合わせろというような話が出てまいりまして検査の適正が期せられなくなるというおそれがございますのでそのようにいたしたいと思っておるわけでございますが、もちろん発表のときにはその検査機関の名前は当然発表もいたします。
○石母田委員 これはその理由には納得できない。すでに新聞では日本食品分析センターに委託していると書いてあるけれども、これが事実であるかどうかについても答えられないということですか。そんなに秘密にすることですか、新聞には出しておいて。
○五十嵐説明員 新聞がどのような経緯でそれを入手したか私どもの方ではちょっとわからないわけでございますが、事実かどうかということをお尋ねでございますれば、事実でございます。
○石母田委員 じゃ、事実だということはこういうことですね。そうしますと、この結果は早急に出さなければならぬというふうに思うのです。それでこの文部省としての結果は、これは分析センターに委託したものがいつ公表されるといいますか、文部省で発表する予定ですか。
○五十嵐説明員 近日中に発表されるというふうに考えております。
○石母田委員 近日中というのは、これまた新聞報道であれですけれども、今週中とか二十日前後。私の得た情報によりますと、明日発表されるということですけれども、これはおたくの方の関係の方から聞いたので、明日発表されるということは事実ですかどうかお伺いします。
○五十嵐説明員 私どもといたしましては、明日くらいをめどにして発表ができるのではないかというような考えております。
○石母田委員 この安全性の問題にもともとその根拠となっているデータの一つは東京大学の講師である高橋晄正氏の分析データ、さらにこれの基礎になっているのは国立公衆衛生院の衛生薬学技師である白石慶子さんの分析データ、それから郡司さんという方が、これは神奈川県の近くに住んでおりまして、この方が奇形性といいますか、そういうものを卵にやってみたらそういう結果が出たというようなことで、こうしたものがその根拠になっているわけですね。
○五十嵐説明員 おっしゃるとおりでございます。
○石母田委員 それで文部省としましては、この高橋晄正氏や白石慶子さんの分析されたデータをとって、そうしてそれについて信憑性といいますかそういうものについて調査しているわけでございますか。
○五十嵐説明員 ベンツピレンの含有量つきまして、当方といたしまして高橋先生なんかの発表された含有量があるのかどうかというようなことについて研究委託をいたしておるわけでございます。
○石母田委員 御承知のように、この発がん性物質が、ベンツピレンが含まれる危険性というのは、この製法、つまりリジンをどのようにしてつくるかということで、発酵法と合成法ということに分ければ、合成法ということになりますと、どうしても含まれる危険性が多いものである。また発酵法におきましても、ノルマルパラフィンというものなどの炭化水素を利用する発酵法がこういう危険性が多い、こういうふうに聞いておりますが、そうですが。
○五十嵐説明員 そのとおりでございます。
○石母田委員 そして、こういう製法は、つくったものを見て、これが合成法によるものか、発酵法によるものかというのは、あなたわかるのですか。
○五十嵐説明員 製品について、それが合成法によるか発酵法によるかということがわかるかどうかということにつきましては、大変専門的なことでございまして、私にはちょっとわかりません。
○石母田委員 この製法は現在用いられていない、あなたたちはこういうふうに言われておりますけれども、そういう調査の結果そうなっているのですか。これは厚生省も文部省も含めて、どちらでもいいです。
○五十嵐説明員 まず、生産工程において発酵法であるか合成法であるかということの見分けが当然つくわけでございます。この生産工程につきましては、実は権威ある発酵学の先生方、大学の教授でございますが、その方々、それから学校給食調査官、それから日学給の検査主幹というような人たちを交えまして、その検査工程を調べ、あるいは何と申しますか、材料の入手過程、帳簿を調べましてそれが間違いないかどうかということについて確認をいたしております。
○石母田委員 この四つのつくっている会社、このうちで一番シェアの高いのは協和醗酵と味の素、この二つですね。
○五十嵐説明員 そのように承っております。
○石母田委員 この協和醗酵と味の素に聞いてみたのです。そうして協和醗酵でつくっているリジンというのは動物の飼料用で大量生産でつくっているものですよ。これは動物をどんどん太らせるのにつくるのだ。それをいま使っているのです。それを最近合成法でやっていたのだ。ところが、石油化学の原料が高くなったりなんかしているからいまはやっていない。いいですか。採算合わないからやめたと言っている。これは会社側の報告です。ですから、この会社はもちろんノルマルパラフィンを使ってやる発酵法の特許は持っている。それから味の素は、聞いてみましたところが、やはりこの特許は持っている。もちろんこのノルマルパラフィンというのは、大部分は合成洗剤に使われていま問題になっているやつです。しかし、これを使って製造する特許はとっている。したがって、つくろうと思えばいつでもつくれる。ただ、いまはつくっていない、こういう答えでありました。したがって、こういうノルマルパラフィンを使った場合とブドウ糖を使った場合の採算性の問題は、いまは石油化学製品の価格が高いから使ってないだけの話で、安ければどんどん使いたいのは、企業利潤から当然のことなのです。したがいまして、こういう問題について一体文部省は調べたのかどうか。どうなんですか、あなたたち。
○五十嵐説明員 私どもとの契約におきましては、同一の原料を使うという契約になっておるわけでございます。
○石母田委員 その程度なんです。いま厚生省に私は聞きたい。厚生大臣、いいですか。いま学校給食用に発がん性の物質が入っているかもしれない。その信憑性はわれわれもよくわからぬ。これはよく調べてもらいたいのだ。ところが文部省でしょう。どうしたってこういう安全性ということになれば、食品衛生法の観点からいったって、当然添加物の中に入っているわけだから、この安全については私は厚生省で責任を持ってもらいたい。そういう安心したデータが出ないということについて、一体文部省に対して任せているのか。文部省はまた民間の団体へ、研究機関に——権威あると言うが、文部省からは権威あるかもしれないけれども、こっちには国立の衛生試験所だってあるわけだから、そういうものについてきちんと国が、政府が、厚生省が責任を持って、そうしたデータを取り寄せて独自の分析を行う、こういう問題については、私はぜひ厚生大臣にこういうことを要望したいと思うのですが、それはどうですか。
○石丸政府委員 リジンの安全性につきましては、ただいま先生御指摘のようないろいろな問題があろうかと思います。それで今回問題になっておりますのは、そのLリジンの中に入っております不純物としてのべンツピレンの問題が大きく浮かび上がっておるわけでございますが、普通の方法では、こういったベンツピレンというものが、これを摂取するわれわれ人間の健康に害を与えるほど多くは入っていないわけでございまして、今回検出されておると報告されております量も非常に微量でございます。 しかし、こういった問題があるものでございますので、ただいま先生御指摘のように、現在市販されておりますLリジンのいろいろな塩類につきましてどのくらいのベンツピレンが含まれておるかどうか、そういったことにつきまして目下国立衛生試験所で分析を実施いたしております。
○石母田委員 最後に、いま国立の衛生試験所に特に分析を依頼しておるということですが、その結果を、できるだけ早く出した方がいいと思いますが、その結果を大体どのくらいをめどにして——その間、こうした不安が非常に大きく増大いたしておりますので、その間の処置については、文部省と十分協議して、文部省が——明日の結果どういうデータが出るかわかりません。しかし、進めておる方が文部省ですから、そこで検査したものというのは、当然これはまゆにつばをつけて聞かなければならない可能性もありますから、そこで厚生大臣、最後にちょっと一言どうですか。
○石丸政府委員 先に事務的な面につきまして私からお答え申し上げたいと思います。 ただいま文部省の方でも民間の検査機関を使って検査を実施中のようでございますが、われわれといたしましては、あに食品添加物のみの問題でございませんで、このLリジンは医薬品としても非常に多く使用されておるものでございますので、非常に多量の市販のリジンの検査をいたしておりますので、できるだけ早くその結果を出したいと思っております。
○田中国務大臣 厚生省としては、こうした添加物につきましては、あくまでも科学的根拠によって判断をいたしたい、かように考えております。科学的結果が出ました場合、なるべく早く出して、これについてどう扱うか文部省といろいろとまた協議する場面があろうと思われます。 政治的な面につきましては、いろいろまた所懐もございますが、文部省所管でやっておることでございますので、この際は、私は発言を控えさしていただきますが、これについては重大な関心を持っておるものでございます。
○石母田委員 いまの方向ですから、文部省もよくそれを体して、あしたの発表いかんにかかわらず十分慎重にこの問題を取り扱っていただきたいということを要望して質問を終わります。
○大野委員長 坂口力君。
○坂口委員 きょうは、予防接種事故につきまして若干お聞きをしたいと思うわけであります。 御承知のように、社会防衛という立場から予防接種が行われてまいりましたけれども、その予防接種によって重篤な後遺症が生まれましたり、あるいはまたそれによって死亡するというような人がときどき出るというようなことで、この問題がいままで大きな問題になってきたわけであります。 まず最初にお聞きしたいと思いますことは、予防接種による事故の発生件数、これも何年前にさかのぼってということは申しませんが、この数年とかあるいはまた十年とか、どの統計でも結構でございますが、最近どのぐらいな程度にこれが発生しているかということにつきまして、あるいはまた、厚生省の方に申告されたものの中で認定されたものがどれだけあるかというような数字でも結構でございます、その点ひとつお示しをいただきたいと思います。
○佐分利政府委員 少し資料が古うございますが、昨年十二月末までに予防接種事故救済制度に申請のございました件数は二千四十五件でございます。それで、そのうち千七百五十一件の審査を終えまして、弔慰金等の救済制度の該当者といたしたものが千三百七十四件でございます。そのうち弔慰金が三百八十九件、後遺症一時金が二百八十件、医療費の負担が七百五件でございます。また、措置の非該当と認定されたものが三百六十件、保留が十七件、まだ審査をしないで残っておりますものが二百六十九件、申請者が取り下げましたものが二十五件という状況でございます。 なお、ここ数年の事故の発生状況を見ますと、その大部分は種痘による事故でございますが、昭和四十年から四十七年におきまして、種痘の事故はおおむね百万人に対して十六人ないし三十四人出ております。また、そのうち死亡者は、被接種者百万人に対しまして一・七人から八・五人という数字になっております。
○坂口委員 実は、きょうの質問をさせていただくに当たりまして、いろいろの文献等も調べてきたわけでありますが、各国のこの予防接種事故の文献等を調べておりましたら、たとえば西ドイツでありますとかあるいはフランスでありますとか、諸外国におきます事故のいろいろの症例の表みたいなものが出ておりまして、非常に貴重な文献ではないかと思うわけでありますが、厚生省の方で審査をされました二千件を超えますこの中で、千三百七十四件という該当が出たわけでありますけれども該当したもの、しなかったもの——まあしかし該当したものだけしか発表はぐあいが悪いということであれば、やはり他の医師に対して参考にするとか、あるいは関係者が参考にいたしますために、この該当した分だけでも、どういうふうに大きく分けることができるか、あるいはまたどういう内容のものであったかということは、これは御発表になりますか。
○佐分利政府委員 救済措置該当者の内容につきましては現在集計中でございまして、ただいま直ちにお答えすることはできないわけでございますが、適当な時期が参りますれば先生にお見せいたしたいと考えております。
○坂口委員 ぜひひとつ早急におまとめをいただきまして、拝見をしたいと思うわけでございます。 それから、予防接種法によりまして定められました予防接種は、日本国民は受けなければならないことになっているわけでありますが、もしも受けなかった場合には「三千円以下の罰金に処する。」という罰則までついているわけです。そういう意味で、たとえば昨年一年でも結構でございますが、あるいはこの数年間でも結構でございますが、お受けにならなかった人の数というのは把握されておりますか。あるいはまた、この「三千円以下の罰金」等の罰則の適用になった人がございますか。
○佐分利政府委員 まず、「三千円以下の罰金」を適用したことは一度もございません。 また予防接種の状況でございますが、接種率がわかっておりますので申し上げます。代表的な種痘について申し上げますと、四十八年度でございますけれども、第一期の種痘、つまり生後六カ月から二十四カ月までの種痘の接種人員が百三十五万人でございまして、七〇・九%の接種率になっております。また、小学校入学前六カ月の第二期の種痘は百六万人が受けておりまして、接種率は五八・三%、小学校卒業前六カ月の第三期の種痘は百二万人が受けておりまして、接種率は六五・七%となっておりますので、その残りが接種を受けなかった方になるわけでございます。
○坂口委員 いまお聞かせをいただいて、ずいぶん受けていない人が多いのにちょっと驚いたわけでありますが、この問題はもう少し後でまた触れさしていただくといたしまして、結局、この事故と申しますか、特にこの種痘を中心にいたしました接種の後起こります副反応の中で最も重篤なものは、中枢神経系の障害いわゆる種痘後脳炎というものであろうと思います。この種痘後脳炎と診断されたものも内容はいろいろであろうと思いますけれども、この中で厚生省の方がどういうふうに認識してお見えになるかということをお聞きしたいわけですが、医師が事前診察と申しますか、多数を一度にやりますときにはこれもそう詳しくできないと思いますけれども、事前に予診をとりましたりあるいは診察をして、それによってはどうしてもわかることがと申しますか判断することができない、スクリーニングができない人なのか、それともよく診察をすればそれは未然に防げるものなのか、よく診察してもそれは無理だというふうに判断なすっているのか、その辺いかがでございますか。
○佐分利政府委員 問診や予診を十分にいたしますと、若干のケースはこのような事故を起こさないで済むようになろうかと思いますが、現在、種痘後脳炎の成因とかあるいはその機序といったものはわかっておりませんので、いかように事前の問診や予診をやりましても、事故を起こしてくるという子供さんたちはどうしてもあるわけでございます。
○坂口委員 この予防接種は異物を体内に入れるわけでありますから、何らかのそれに対する抵抗が生ずるのは当然だと思うわけです。さりとて、この種痘後脳炎というものがそう多く出ては困るわけでありますけれども、最近と申しますか、中には十数年来、西ドイツ等によりましてはもう数十年来、この種痘を強制にすべきか任意にすべきかという議論がされておるようであります。日本におきましても最近、これを強制のままでいくべきかあるいは任意に切りかえべきかということが議論の対象になっていると思うわけであります。 それで、最近ではアメリカ、イギリスがこの強制から任意の方に切りかえをいたしました。これは、年間に外国から入ってまいります痘瘡、これに対して感染を起こす患者さんの数と、それから種痘をすることによって起こる副反応、それによって死亡または重篤な後遺症を残す人の数とのバランスから見て、おそらく外国から入ってくる痘瘡による二次感染の方が数としては少ない。種痘をすることによって起こる害を受ける人の数の方が多い、こういう判断をしたのであろうと私は思うわけでありますが、そういたしますと、この問題は、結局外国から入ってまいりましたものに対する防疫体制の問題になってくるのではないか。それに対する自信があるかないかということによって強制か任意かということの判断が下されていくというふうに考えますが、いかがでございますか。
○佐分利政府委員 ただいま御提案のように、わが国の検疫体制、防疫体制といったものが非常に大きな影響を与えると考えております。ただその場合にも、近隣諸国に痘瘡などがどのように蔓延しておるかということも非常に大切なことではなかろうかと考えております。
○坂口委員 日本においても強制か任意かということが検討をされていると思いますし、お聞きいたしますと、予防接種部会で現在検討がなされているということでございますが、これは恐らく現在検討中であって中間であろうと思います。結論がまだ出ていないと思いますけれども、現在までの中間においてどのようなことが議論をされ、どのような方向づけになっているかということをここで少しお話しいただけましたら、ひとつお話しいただきたいと思います。
○佐分利政府委員 まだ全く結論は出ておりません。非常に厳しい考え方をなさる方は、御案内のようにまだインドだとかパキスタン、バングラデシュでかなりの流行がございますので、従来どおり強制接種を続けるべきだという御意見もございます。 ただ、先生も御存じのように、本年初めから、日本と歩調を合わせまして西ドイツとかフランスでも強制接種の再検討を始めたわけでございまして、先般の西ドイツの中間的な各州に対する勧告では、乳幼児の定期の接種をやめたらどうであろうかというようなことを申しておりました。したがいまして、まだ高年齢の方の定期の接種は残ってくるという西ドイツの考え方でございますけれども、現在私どもの予防接種部会におきましても、そのような西ドイツなどの方針も参考にしながら検討を進めておるところでございます。
○坂口委員 アメリカが一応強制を廃止に踏み切りましたけれども、そのアメリカ合衆国衛生局の通告の文章の中に「天然痘はかつて考えられた程伝播力の強い病気ではない。」という言葉がございます。これは非常に重要な項目だというふうに思うわけでありますが、厚生省の方はこの伝播力というものについてどのようなお考えをお持ちでございましょうか。このアメリカやあるいは英国とよく似たお考えをお持ちなのかどうかということです。
○佐分利政府委員 結論としては、その点は同様に考えております。私どもも戦前非常に伝染力、致命率の高い病気であると聞いておりましたが、戦後の引き揚げ者等の経験でそれほどでもないという経験をしたわけでございますけれども、その後も、民族の体質の自然淘汰がございましたのか、あるいは従来の種痘の効果が非常に残っておるのか、最近については特に伝染力は昔考えたほど強くない、また致命率も高くないという印象を受けております。
○坂口委員 この日本におきます現在種痘をみな受けた人間がおりますところに外国からそういう患者が入ってまいりました場合に、免疫があるわけでありますから伝播力というのは非常に少なくて済むと思うわけですが、もし仮に日本人が全部これで種痘を受けていなかったとして、そこに外国から入ってまいりましたときに果たしてどうかという問題があるだろうと思います。それでもなおかついままで考えられていたほどではないという御認識をお持ちであれば、現在この予防接種部会で検討中ではあろうと思いますけれども、一応でき得れば任意接種にしたいというお気持ちの上にこの委員会の結果をお待ちである、こういうふうに理解をさせていただいてよろしゅうございますか。
○佐分利政府委員 先ほども申し上げましたように、現在の部会ではそのような結論をまだ得ておりません。また現在の強制接種を任意の接種にしてしまうという御意見もそれほど多くはないように感じておりますが、先ほど申し上げましたように、最近この問題を大いに検討いたしております西ドイツ等西ヨーロッパの諸国の考え方も参考にしながら、今後の方針を固めてまいりたいと考えております。
○坂口委員 もう一言だけつけ加えて質問をさせていただきたいと思うのですが、先ほども申しましたとおり、日本を見ましても、先ほど統計的な数字をお示しいただきましたとおり、予防接種事故の中で一番多くのものを占めているのは、特に最近また多くを占めているのは種痘によるものであるというデータを示していただいたわけです。この種痘による事故の数と外国から入ってまいります患者さんの数を比べましたときに、これはもう当然種痘による事故の方が数はうんと、少なくともこの数年間は高いわけであります。 なおかつ天然痘というものがそれほど伝播力が強くないという認識をお持ちであれば、この防疫体制の問題で、防疫体制さえ強化をし自信を持たれれば、私は強制から任意に切りかえてもいいのではないか、こう思うわけです。そういう意味で、防疫体制の強化ということを考え合わせて任意というものが検討されていいのではないか、こう私自身は思うわけです。先ほどからいろいろお聞きをいたしておりますと、何か厚生省のお考えも私に近いように聞こえるわけでありますが、その辺もう少し、余りぼかさずに、もう少し突っ込んだところをひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○佐分利政府委員 まず御指摘のように、検疫体制、防疫体制の強化はぜひとも必要でございます。 ただ、種痘の場合に問題になりますのは、先般の百日ぜき等の三混ワクチンのときも問題になりましたように、事故を起こします大半の者が二歳未満の乳幼児でございます。したがって、先ほども申し上げましたように、西ドイツではそのあたりの定期の接種をやめれば事故は激減するのじゃなかろうかという考え方を持っております。これはもともとそういった小さい赤ちゃんには事故が起こりやすいということのほかに、予防接種をしないでも脳炎、脳症のようなものがかなり起こってくるわけでございまして、そのような意味から、二歳未満の小さいお子さんの定期の接種をやめたらどうかという意見が出ておるのではないかと考えております。
○坂口委員 そういたしますと、任意にできるかどうかはわからないけれども、いわゆる現在までの、二歳までの種痘のスケジュールですね、この部分についての年齢については考えたいという御意向でございますか。
○佐分利政府委員 年齢についてはどうしても考えなければならないと思います。 ただ、その場合問題になりますのが、年をとって初めて種痘を受けますと小さいときよりも副反応が強いというような御意見や、一部の国での実績がございますので、それを防ぐために一体どの辺の年齢で打つのがいいのか、またその場合ワクチンの種類などをどうするか、あるいはVIGのようなガンマグロブリンを使うようにするかといったような問題もございますので、そういった点をあわせて検討していただいておる段階でございます。
○坂口委員 いま質問をいろいろいたしまして、局長の方からお答えをいただきましたように、この予防接種の中で、特に種痘につきましては強制か任意かという問題が御承知のとおりございました。そして、もうこの強制か任意かという問題は、予防接種の人体に対する影響ということよりも、これは防疫体制のいかんによって決定されてくるべきときに来ているというふうに考えますし、また、局長からの御答弁もそのように思うわけであります。予防接種部会で御検討中とのことでありますので、この結果を待っていただかないと結論は出ないと思いますけれども、大臣としてどのようにお考えになっているかお聞かせをいただいて、次の問題に進ませていただきたいと思います。
○田中国務大臣 いま、せっかく予防接種部会で検討中でございますから、したがってわれわれからあれこれ断定的なことを申すのはいかがか、かように思っておりますが、こうした予防接種につきましては、いろいろな状況を勘案して改善をいたすべきものがあるというふうに考えておりますものですから、したがって現状をそのまま固定させるということよりも、改善に動く方向が強いというふうに思っておりますし、私自身も、素人ではございますが、経験的にさようなことを考えた方がよろしいと思っております。 ただ、いま先生がいろいろおっしゃったことは、予防接種にまつわるいろいろな問題を、先生お医者さんですから詳しく説明をなさったわけでありまして、今日この種の、たとえばスモールボックスのような伝播力の弱い、致命率の少ないといったようなものも、一体予防接種が非常に進んだという状態の中であるのか、本質的に最近そうであるのか、あるいはまたわが国における立地条件といったようなもの、東南アジアの発生地域との間に比較的交流が多いといったような諸般の状況も考えなければなるまいとは思いますが、そうしたことを勘案しつつ、この予防接種については何らかの改善の方向で打ち出すべく思っておりますが、要は科学的根拠の上に立たなければならぬと思いますので、予防接種部会の専門家の御意見を承りつつ、その善処方を図ってまいりたい、かように考えております。
○坂口委員 先ほどもこの予防接種を受けなかった方の数をお聞きしたわけでありますが、年齢層によりましては約四割方がこれを受けてないという年齢層もあるわけであります。それに対する罰則等の例はいままでにないということでございますが、昭和二十三年でございますか、できました現在の予防接種法は、いろいろの面で検討をしなければならない時期に来ているというふうに思うわけであります。先ほどの強制か任意かという問題もそうでございますし、それから臨時救済措置が昭和四十五年でございましたか、行われました。臨時措置がやられましてからこれで六年目に入っているわけでありますけれども、まあ臨時が六年続いてまいりましたので、この問題もいつまでも臨時で置いていくわけにはいくまい、恐らく閣議で了解をされましたときにも二、三年のつなぎの意味でなすったのじゃないかと思うわけであります。ところが、その臨時措置がとられてから六年の月日がたっておるわけであります。御承知のように被害者と申しますか、お子さん等を亡くされた、あるいはまた重篤な後遺症の子を持たれた両親の会等ができ上がりまして、裁判等が現在進行していることも御承知のとおりであります。 そこで、聞くところによりますと、来年の春ぐらいにはこの裁判も決着を見るのではないかということを聞いておりますが、そういうふうな裁判の決着を待ってということではなしに、やはり政治姿勢として考え直すべきものは早急に考え直して、そして打つべき手は早急に打たなければならない、こう思うわけでありますが、このことにつきまして、最近厚生省なりあるいはまた大臣の方で何らかのお話の進展がありますならば、そのことについてお聞かせをいただきたいと思います。
○佐分利政府委員 厚生省といたしましても、本格的な救済制度を制定いたしたいと考えまして、去る三月の末から伝染病予防調査会の制度改正特別部会におきまして毎月二回程度御審議を願っております。この調子で審議が進めば、明年度は本格的な制度が打ち立てられるのではないかと考えております。
○坂口委員 現在ありますものはいわゆる救済制度でありまして、まあ補償ではないわけであります。諸外国におきましても補償制度を確立しているところもございますし、そうでないところもあるわけでありますが、西ドイツ、フランスにおきましてははっきりとした補償制度を御承知のように確立をいたしております。日本の場合には、そういたしますと新しい制度ができるということは、補償制度を確立するというふうに理解をさせていただいてよろしゅうございますか。
○佐分利政府委員 非常に重要な問題でございますが、まだ現在までのところ結論を得ておりません。まあ制度としては、まず賠償制度があり、次に補償制度があり、最後に救済制度があるわけでございますが、そのあたりもいろいろな角度から検討をしていただいておる段階でございます。
○坂口委員 強制でありますかあるいは任意でありますかは別にいたしまして、とりわけ強制であればなおさらのことだと思うわけでありますが、全体の集団防衛ということで全員に予防接種というものを行う、そしてその予防接種をすることによって多くの人はその恩恵に浴してそれぞれの病気から守られるけれども、人間千差万別でございますから、中にはその予防接種をするときの予診あるいはアンケート調査等によっては発見でき得ない特別な体質の人等もいる。そうすると、その人たちは特別な反応を起こして、予防接種を受けなければ済んだものを、予防接種をしたがゆえに廃人同様になってしまうというようなケースが起こるわけであります。そういたしますと、たとえば注射液が非常に悪いとか、いわゆるワクチンの製造方法が非常に乱雑であったとか、あるいはまたその打ち方等の医療の側にミスがあったとか、そういうふうな問題があれば、これはそこに責任が求められるのは当然でありますけれども、そういうこともない、なおかつそこに障害が出るということであれば、やはり国が補償するという立場を当然とらざるを得ないと私は考えるのです。その辺、いままでのところ補償という立場をとってお見えにならない理由というのはどういうところにありますか。
○佐分利政府委員 ただいまお話のございましたようなケースは、いわゆる無過失の事故でございます。そこで、国内においても国外においても意見が分かれてくると思うのでございまして、西ドイツやフランスは補償制度で運用しておりますけれども、現在イギリスは人身事故の救済という立場から委員会を設けて検討しているわけでございまして、いろいろと意見の分かれるところでございます。、
○坂口委員 意見の分かれるところは私もよくわかるわけであります、分かれているわけでありますから。その分かれる理由と申しますか、日本が補償制度をおとりにならない、それはそれなりに理由があるだろうと思うのです。西ドイツやフランスは補償という形でおやりになった、そういう考え方の根拠があるだろうと思うのです。イギリスは現在検討中というそういう立場があるだろうと思うのです。日本は少なくともいままでは救済ということで、補償という立場をおとりにならなかった。そのおとりにならなかった理由というもの、それはどういうことですかということをお聞きをしているわけです。
○佐分利政府委員 一つの理由は、ただいま申し上げたように無過失の事故であるということであろうと思います。それからもう一つは、現在の制度は四十五年の七月三十一日の閣議了解に基づいてできた緊急、暫定の措置でございますので、現在の制度は救済制度、救済措置となっているものと思います。
○坂口委員 前段の無過失だからという話でありますけれども、過失であれば国が責任を負う問題は少ないとぼくは思うのですが、無過失であればあるほど、これは国が補償という立場をとらなければならないと私は思うのです。それから、四十五年の七月にできた、これは臨時的だからとおっしゃる。これは私もよく理解できるわけであります。臨時だから救済ということで当面は出発したのだけれども、しかし、本格的な形のものをつくろうというときには、そのときにもう一遍本格的に考え直すということだろうと思うのですね、いまのお言葉からいたしましても。無過失だからという意味じゃなしに、無過失であればことさら補償という形にせざるを得ない、せざるを得ないと言うと語弊がありますが、するのが当然ではないかというふうに思うわけです。これもいま制度改正特別部会ですか、ここで審議を続けられていて、中間だからわれわれの意見を差しはさむことはぐあいが悪い、こうおっしゃるだろうと思うのですが、しかし、するとかせぬということは別といたしまして、物の考え方といたしましては、いま申しましたように無過失なんですから、しかも、これは国が現在の段階は強制で義務づけているわけですから、罰則まで設けて、やらなければ三千円取るぞ、こう言っているわけですから、これは考え方としては補償の範疇に入るべきものだというふうに思いますが、具体的なことじゃなくて、基本的な物の考え方として局長なり大臣のお考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○佐分利政府委員 私といたしましては、まだどちらにすべきか結論を得ておりません。今後よくいろんな角度から検討させていただきたいと考えております。
○坂口委員 優秀な頭の局長がそれほど結論が出にくいような問題では決してございませんで、二、三日お考えいただければすぐ結論の出る問題だと私は思うわけであります。これは局長からは言いにくい面もあると思いますが、大臣、これは政治的な立場として、先ほどから申しましたように、救済ということではなしに、こういう種類のものは少なくとも補償の範疇に入れるべき筋合いのものでないかというふうに私は考えるわけです。たとえば、このほかに薬剤等によりますサリドマイドの問題でありますとか、いろいろこの種の問題がございますし、あるいはまた公害の問題もございますし、あるいはまた飛行機の墜落事故等によります国家の補償等の問題もございます。そういったものと比較いたしましても、優先順位としては、予防接種における被害者というのは補償の範疇の上位にランクされるべきものであると思うわけです。たとえば、飛行機が墜落して、その人に対して国家である程度補償するとかいうようなこととは大分意味合いが違う。あるいはまた公害、薬剤の場合にはそこに企業なり製薬会社なりというものが介在していて、そのために起こったというようなことで、これは問題は若干違うと思うわけであります。この予防接種の場合にも製薬会社等はございますが、百人中どころではなしに、十万人中九万九千九百九十九人はどうもなくても、一人だけは都合の悪い人がいるというような場合には、これを製薬会社の責任だけに求めるということもできないと思うわけであります。さすれば、その責任はだれがとるかということになれば国がとらざるを得ない、とるのが当然ではないか、こう考えますが、いかがでございましょう。私の考え方に無理があれば御指摘をいただきたいと思います。
○田中国務大臣 本件は卒然たる御質問でございまして、にわかに私が結論を出すことはできない。問題は、予防接種のやり方についても、いまるる先生が申しておりました強制か任意か勧奨か、こうしたような予防接種のやり方にも関係があるだろう。要は、こうしたものを支払う債務を国がどういう法律解釈の中で背負うかということだろうと思います。先生のおっしゃるように社会防衛的な目的のための犠牲者ということになれば、先生の所説に近いものかと思いますが、これについてはいま少しく検討の時間をおかし願いたい、かように思います。
○坂口委員 皆さんの中にもいろいろ御議論があるだろうと思います。たとえばいま大臣がおっしゃいましたように、強制任意の場合と、あるいはまた不定期に、たとえばちょっと香港まで行ってくる、あるいは韓国まで行ってくるのにやらなければならぬ、こういった旅行のためにする場合と、あるいは小さいお子さんや小学校へ入られる半年前くらいのお子さんが定期的にやられる場合とは大分筋が違うじゃないかというような議論もあるようであります。聞いてみますと、都道府県によりましてこれに対して若干の救済措置をとっておるところがあるようであります。たとえば東京あたりでありますと、たとえちょっと香港まで行くにしても、あるいはシンガポールまで行くにしても、旅行者が受けた場合でも、それが何らかの障害が出ればそれに対して補償するという形をとっているわけであります。 〔委員長退席、住委員長代理着席〕 それが大阪に行くと、大阪ではそういうことはあり得ないというようなことでありますので、これは現在におきましても、都道府県によってもばらばらなことが行われておると思うわけです。そういう若干の違いはあると思うのです。しかし、私は静かに考えてみますと、強制でなくても、任意でもしなくてもいいというわけではないのですから、進んでやってほしいということだろうと思うのですね。強制的にということでなしに、任意にしましても、やはりこれは補償の対象になるべきものだというふうに思うわけです。 西ドイツの場合を見ましても、西ドイツでもなるほどいろいろなことを考えておりますが、やはり任意でもその対象に入れておりますし、西ドイツの場合には予防接種法という範疇ではなしに、伝染病予防法という中にこの補償の対象等も入れておりまして、この法律を見せてもらいますと、たとえばある菌を持っていて、病気にはなっていないけれども排菌をしているいわゆる保菌者、この保菌者なんかでも、これは一応入院させなければならぬということになると、入院期間の補償をするというようなことも入っております。それから、当然のことながら、予防接種による障害の場合には、必要な治療行為の費用はもちろんのこと、年金の支給、必要な施設、保護の費用、それから埋葬費、遺族年金の支給とか、教育補助の支給とか、非常に盛りたくさんな内容がこの中に含まれているわけでございます。それからこのほかに、被害者が成長しましたときに職業助成の処置に対する請求権というものも認めたり、かなり広範な角度から検討をして、この補償制度というものを確立をしているわけであります。 こういうふうな例を見ますと、やはり日本の場合にも、検討中でございますからこれ以上は申しませんけれども、しかしその結論を待って、西ドイツに匹敵するものを、あるいはまた日本特有の現象もあろうと思いますから日本独自のものをひとつぜひ成立をしなければならないではないか、こういうふうに思いますが、もう一度大臣から、その辺に対する全体的な御所見というものを承りたいと思います。
○田中国務大臣 予防接種事故に伴う諸般の救済あるいは補償の問題につきましては、目下厚生省においていろいろと検討中でございます。西ドイツのような広範多岐にわたるような制度ができますかどうか、にわかに予断を許しませんが、こうした事故については速やかに制度化をいたしたいという所存で、目下鋭意努力中でございます。いましばらく時間をかしていただきたい。
○坂口委員 それから、昭和五十年三月二十日づけの各新聞を見ますと、百日ぜきの定期接種の再開と、かかりつけの医師による接種を受けることを勧める旨の記事が出ているわけであります。このかかりつけの医師のもとで接種を行うようという、この記事の意味なんです。これは恐らく厚生省から出されたものだろうと思いますが、この予防接種法の七条ではなしに、六条の二及び九条による接種を勧めるもの、こう私は理解をするわけであります。この法的解釈はよろしゅうございましょうか。
○佐分利政府委員 かかりつけの医師による接種を奨励いたしておりますのは、昭和四十五年に種痘禍事件が起こってからでございまして、それは十分な余裕を持って問診というか予診ができる、また子供さんたちの過去の病歴なんかをよくお医者さんが知っているということを考慮した上のことでございます。 予防接種法上の取り扱いでございますけれども、たとえば川崎市とか神戸市がかかりつけの医師による予防接種を強力に推進しておりますが、その場合は先生がおっしゃいました六条の二とかあるいは九条というような考え方ではなく、むしろ五条の市町村長が行なう定期の接種を、できるだけかかりつけの医者のところで受けさせる、それから落ちこぼれました人たちに後で集団接種をやるというような方針で臨んでおります。
○坂口委員 それから、ちょっとまた話が逆に戻って恐縮なんですけれども、いままでいろいろの予防接種事故が出てきたことだけはまぎれもない事実であります。これに対する原因究明あるいはその調査等につきましても、厚生省もこれに積極的であったとは言いがたい。非常に控え目な言い方をしましてそういう気がするわけです。初めにも申しましたとおり、現在までお調べになった結果等も公表されておりません。これはそういう意味で今後のために公表をしていただかなければならないと思いますし、今後もこの原因究明ということについては積極的にひとつ取り組んでいただきたいと思うわけです。一人でもこういうふうな人が今後出ないように、ひとつデータを公開をしてもらいたいと思うわけです。そのことが一つ。 それからもう一つは、現在救済制度を受けてお見えになる方がかなりあるわけですけれども、新しい制度がもしもできると仮定しました場合に、いままでの人もさかのぼるのかどうか。救済措置を受けた人ももう一遍その対象になるのかどうか。これは公害の場合にも同じような議論がございまして、いままで都道府県でそれぞれの措置を受けていた人たちが、国の補償法ができました場合にそれに当てはまるのかどうかというので大分いろいろ議論があったところであります。結局もう一度それに入るということになったわけでありますが、新しいその補償制度というものがもしできたと仮定いたしましたならば、その中にこの人たちもさかのぼって入るべきだというふうに思います。仮定の問題で大変答えにくいとは思いますけれども、その辺についてのお考えをひとつ聞か
○佐分利政府委員 大変重要な問題でございますけれども、現在のところまだ結論を得ておりません。ただ従来の制度の考え方といたしましては、原則はさかのぼらないということであろうかと思いますが、たとえば後遺症特別給付金のように毎月お払いしておりますものはさかのぼらずに、新制度ができたときから新しい額になるわけでございます。しかし弔慰金だとか後遺症一時金のような一時金的なものは、その算定の方法が変わりました場合には過去の人たちのことを考えなければならないわけでございまして、現在鋭意検討をしておるところでございます。 先ほどの、初めにございました原因の究明、資料の公開でございますけれども、従来から国立予防衛生研究所を中心にいたしまして、予防接種リサーチセンター等の機関も使いましていろいろ基礎的、臨床的に解明してきたところでございます。また事故が起こりました場合には、各都道府県にございます予防接種事故対策協議会から専門医を派遣し特効薬をお持ちする、また必要があれば中央の予防接種研究会からも専門医が現地に赴くというような手もとってきたわけでございます。 なお、この研究成果等につきましては、まとまり次第、また御要望があれば先生のところにいつでもお届けさせていただきたいと思います。
○坂口委員 一応これで終わらせていただきますが、いずれにいたしましても、非常に重要な問題でございますので、ひとつできる限り早急に結論を出していただきまして、この被害者の皆さん方の救済をぜひお願いをしたいと思うわけであります。資料の公開等のことにつきましても、ひとつ積極的な姿勢をお示しをいただきたいと思うのであります。いろいろお聞きをいたしまして、大変実りある議論とまではいきませんでしたけれども、若干の前進はあったのではないかというふうに考えます。 以上であります。ありがとうございました。
○住委員長代理 小宮君。
○小宮委員 「小さいときいろいろなところへ連れていってくれたお父さんはもういない。父を奪ったトラックが憎い。」このような作文を大臣御存じですか。
○田中国務大臣 その作文そのものは存じませんが、察するに、それは交通遺児の作文ではなかろうかと推察をいたします。
○小宮委員 そのとおりです。これは、昨年十一月四日福岡市で開催された第一回交通遺児と母親大会において、一瞬の交通事故によって父を奪われた交通遺児たちの悲しみと怒りをあらわした作文の一例でございます。 昨年、財団法人交通遺児育英会が、全国三万世帯の遺児家庭を対象に生活実態調査を行った結果が発表されておりますが、それを見ますと、一家の柱を失った家庭の生活は、九割までが困窮をしております。そのため、生きる自信を失って自殺をはかる母親、健康をむしばまれた母親、進学を泣く泣く断念せざるを得なかった遺児たち等々の、余りにも悲惨な家庭の多いことが明らかにされております。この交通遺児家庭の窮状に対して、国はどのような対策を立てているのか、これを総理府と厚生省から御答弁を願います。
○海老原説明員 交通事故の増大というものが、自動車交通の発達を原因とするということは言うまでもありません。この自動車交通の発達ということ自体、わが国の国民的要望、社会的要望であったとは考えますけれども、しかしながら、このように交通事故によって犠牲者が生ずるということは非常に重大な問題でございまして、もちろん政府といたしましては、交通事故の防止に最大の努力をする責務を有するものでございまして、そのような努力を積み重ねてまいりました結果、最近におきましては、交通事故の大幅な減少を見ているところでございます。御存じのとおり、昭和四十九年度におきましては、前年に比べまして二割以上の交通事故の減少を見るというような喜ばしい方向になってはおりますけれども、しかし、まだ交通事故の死者が年間一万一千人を超えるというような現状でございます。 さて、交通事故による遺児につきまして、政府として救済策を講ずるのは当然のことでございますけれども、その他の原因による遺児も非常に多数に上っておるわけでございまして、交通遺児に対する国の福祉施策は、原則的には、ほかの恵まれないいろいろな原因の遺児の方々を含めた、現在の社会保障諸施策の一環として考えるべきものと思われます。 ただ、交通遺児に対する特別の施策といたしましては、自動車交通に関連のある基金を財源として充てることは考えられるところでございまして、たとえば、現在でも自賠責特別会計の運用益を財源といたしまして、特殊法人自動車事故対策センターが一昨年十二月に発足いたしまして、義務教育終了前の交通遺児に対して育成資金の貸し付けが行われるということになりました。また、民間の育英団体である交通遺児育英会に対しましても補助を行っているところでございます。 このように、交通遺児に対しての対策は国としては進められておるわけでございます。たとえば、いま申しました自動車事故対策センターにおきましては、義務教育終了前の交通遺児を対象といたしまして、昭和四十九年度末で千八百七十八人に一時金といたしまして六万円、月額五千円の交通遺児育成資金の貸し付けを行っておりますが、今年度からはさらにこの特別会計よりの補助を増額いたしまして、一時金として七万円、月額六千円という増額をいたしております。なお、この一時金七万円というのは、昨年の十二月から実施されております。 その他、一般的な福祉施策としては、これは厚生省からお話しいただくのが適当かと思います。
○上村政府委員 四十八年に、全国の母子世帯の実態調査を私どもの役所でやったわけでございます。そのときに、全母子世帯六十二万の約八・八%、約五万五千世帯が交通事故が原因によるものであった。厚生省のこういった家庭に対する対策というのは、いまお話がございましたように、一般的な母子福祉対策なり児童福祉対策の中で考えていかざるを得ないわけでございますが、特に交通事故の場合には、境遇が激変をするというふうな事情、したがって精神的な打撃も大きいわけでございます。 そこで、私どもやっております仕事は、残ったお母さんが経済的に自立ができるように資金を貸し付けるとか、あるいは母子相談員という職員がおるわけでございますが、その母子相談員が生活の御相談をするとか、そういった自立援助の施策、それから児童扶養手当とか母子福祉年金を支給するという仕事、それから母子寮へ入っていただいて、そこで生活をしていただくというふうな仕事をしているわけでございます。 さらに、お母さん方が働きに出なければならないわけでございますから、保育所というものも整備をしておるわけでございますし、それからお母さん方が、たとえばホームヘルパーになるような講習会、手に仕事のないお母さんもあるわけでございますから、そういった講習会等をやっておるわけでございます。 全くの孤児になったような場合につきましては、児童相談所なりあるいは福祉事務所に相談をさせるようにいたしまして、必要な場合には養護施設、子供を収容する施設でございますが、そういった施設に入れるというふうな措置を講ずることにしておるわけでございます。 〔住委員長代理退席、戸井田委員長代理着席〕
○小宮委員 国の方でも多面にわたっていろいろ救いの手を差し伸べておられるようでございますが、先ほどからもお話がありましたように、交通遺児家庭が全国で六万世帯と言われておりますが、その実態調査を見てみますと、半数以上が五万円以下の生活に甘んじて、非常に苦しい生活をしておるという実態が出てまいっております。そのために、母親としては、夫にかわってどうしても家計を背負っていくということで働きに出ておるわけでございますが、そういった人たちの働き口といえばパートの仕事がほとんどでございまして、御存じのように、こういった不況下になりますと真っ先にパートは整理をされるという運命にあることはもうやむを得ないことでございます。そういった意味から、この人たちは何か安定した職場が欲しいということで、いつも不安定な職場で働いておる。いわゆるパートですから、必要な場合は採用されるけれども、また仕事がなくなると解雇されるということで、何か安定したところで働きたいという気持ちが非常に強いんです。また現実にそういった声が述べられておるわけですが、そういった交通遺児家庭だけの問題ではなくて、大体母子世帯全体の中でこれは先ほど話がありましたように、六十三万の母子世帯がありますけれども、その中で二十五万から三十万の人たちは、何かやはり安定した仕事が欲しいということで安定した職場を非常に求めておるわけであります。 そこで、身体障害者には身体障害者雇用促進法がございますが、やはりそういった身体障害者雇用促進法に見習って、母子家庭を救済するために、たとえば仮称寡婦雇用促進法というようなものでもつくって、それで何とかこういった人たちが安定して生活できるような方途を講ずべきじゃないかというふうに考えますが、この点については労働省の方からひとつ御答弁を願いたいと思うのです。
○江田説明員 子供を抱えた寡婦の方々の就職の問題につきましては、就労時間あるいは就労場所といったような関係で種々の困難を伴う場合が非常に多く、なかなか容易ではないわけでございます。このために、全国の職業安定機関におきましては、こういった方々の家庭環境あるいは家族構成というような点を十分配慮したきめの細かい職業紹介、あるいは積極的な求人開拓、寡婦のための能力開発といったようなことを行いまして、きめの細かい雇用奨励、再就職のための施策というものを進めてまいっているわけでございます。 特に、五十年度からは、先般成立いたしました雇用保険法に基づきまして、新しく寡婦のための雇用奨励制度というものを設けたわけでございます。これは、寡婦を新たに雇い入れられる事業主の方に対しまして月額九千円を一年間支給するというような制度でございます。 私どもといたしましては、こういったような施策をさらに拡充強化して寡婦の雇用の安定のための最善の努力をしてまいるという考えでございますが、いま御指摘のございました寡婦のみを対象にした特別の雇用促進法を制定すべきか否か、この点につきましては、いま申し上げました新しい雇用奨励金制度の運用の状況、その効果、あるいは寡婦の雇用状況の推移といったような点を見きわめながら、今後慎重に検討してまいりたい、このように考えております。
○小宮委員 身体障害者の場合は、各企業に法律で雇用率を義務づけておりますね。いまの状況ではまだ全部満たされておりません。特に五百人以上の大企業にはこの法律で決めた雇用率がまだ達成されていないという問題があるわけです。身体障害者の問題も非常に大事でございますが、こういった寡婦の方々に対しても、先ほどからるる申し上げておりますように、安定した職場が欲しいというのがこの人たちの非常に切なる希望でございますから、ただ行政指導の面でいろいろやったとしても、一番弱い立場にあるのはこの人たちなんですね。だから、そういうような意味では、労働省としてもやはり思い切って雇用促進法ぐらい法律の制定をやって、この人たちに働く、また生きる希望を持たせるべきじゃないか、こういうふうに考えますが、そういったお考えがあるのかないのか、はっきりひとつ御答弁を願いたいと思います。
○江田説明員 ただいま先生の御指摘にございました寡婦の雇用問題、これは身障の問題と並びまして、私どもといたしましても非常に重要な点だと考えられるわけでございます。こういったような寡婦の方々が子供を抱えて社会的な自立を行っていくためには、何といたしましてもやはり職業の安定なり雇用の促進ということを図らなければならないと思う次第でございます。この点につきまして、先ほど申し上げましたように、五十年度は新たに雇用奨励金という制度を設けたわけでございまして、この効果を私どもとしましても十分見ながら、ただいま先生の御指摘の点については慎重に検討してまいりたいと思う次第でございます。
○小宮委員 この問題については別途また労働省と、大臣も出席されておる中でいろいろ議論をしたいと思いますが、時間がございませんから先へ進みます。 運輸省にお尋ねしますが、現在交通事故の際支払われる自動車損害賠償責任保険ですね、これは一昨年十二月から一千万円に引き上げられましたけれども、三十一年の一月まではこういうような制度がなかったわけです。それが三十一年の二月からようやく制度がでまして、三十三年度では保険金額も五十万円、三十五年九月に百万円、四十一年七月に百五十万円、四十二年八月に三百万円、四十四年十一月に五百万円、そして一昨年十二月に一千万円に引き上げられたわけでございます。したがって、三十一年以前にはこういうような制度がなかった。また三十一年以降制度ができてからも、保険金額は非常に少なかったということで、これを調査してみますと、交通遺児家庭が受け取った補償金は、百万円未満が一九・四%、三百万円未満が一六・八%、五百万円未満が一〇・六%、一千万円未満が八・四%、一千万円以上がわずかに一・一%になっているわけですね。しかも、補償金ゼロというのが四分の一強の二七・四%を占めているわけです。したがって、いま運輸省でもこの保険額を一千五百万円に引き上げようという動きがあるようでございますが、これはいつから実施するのか、まずその点お聞きします。
○深川説明員 お答え申し上げます。 ただいま先生御指摘のとおり、自動車損害賠償保障制度は昭和三十年の法律でできたものでございまして、それから二十年を経たわけでございま三八す。したがいまして、もちろんその法制定以前には、御指摘のとおり、損害賠償を国として法的に義務づけて保障する、それを担保する制度はなかったわけでございます。もちろん、民法上の賠償責任に基づいて当事者間の話し合いで行われたわけでございますが、自動車台数の増加あるいは自動車事故の増加というものに対処いたしまして、自動車事故によって生命、身体を害された方の損害、これは財産上の損害もございますれば、精神的な損害もあるわけでございますが、それを保障するために国が直接的に介入いたしましてこの制度をつくったわけでございます。もちろんこれは制度自体損害賠償責任を保障するための制度でございますので、そのときどきの賠償水準、あるいはその時期におきますところのいろいろな賃金あるいは物価といったような損害賠償自体のもととなります経済事情というものを反映いたしましてその限度額が定められてきたわけでございますが、先生御指摘のとおり、三十年発足当時死亡につきましては三十万でございましたのが、現在では一千万になっているわけでございます。 しかしながら、昨今におきます経済事情の大きな変動、とりわけオイルショックによりますところの賃金、物価といったようなものの異常な上昇というものに対処いたしまして、今回限度額につきまして先生仰せのとおりこれを一千五百万円に、傷害につきましては現在八十万になっているわけでございますがこれを百万に引き上げるべく事務的な作業を進めているところでございまして、実施の目途は七月に置いているところでございます。
○小宮委員 現行の保険では強制と任意と二本立てになっておりますが、任意保険に加入しておられる人たちは何%おられるのか。この際やはり強制と任意とこれを一本化して、強制一本にしぼるべきではないかというような考え方を私はいたしておるわけでございますが、運輸省当局はどのように考えますか。
○深川説明員 お答え申し上げます。 先生御指摘のとおり、現在法律に基づいて強制されております自賠責保険と、それからその上積みとしての任意保険、これは名のとおりまさに車の保有者が任意に掛けるものでございまして、この付保状況につきましては、任意保険は私ども直接の所管ではございませんが、大蔵当局から聞いたところによりますと、四十九年度におきまして約四五%の付保率になっておるということでございます。もちろんこの中には、たとえば官公庁の車とかあるいは大企業の車その他、賠償資力があって万が一事故を起こせば支払うだけの資力のある、したがって任意の保険には入らなくて済むというような車もあるわけでございますので、そういう点も考慮すればこの数字はもう少し高くなるのではないかというぐあいに聞いておるわけでございますが、いずれにいたしましても、強制保険は義務づけられているものでございますのですべての車が入らなければならないものでございますが、任意保険はあくまで任意になっておるわけでございます。 しこうして、この強制保険につきましては、賠償資力のある車につきましてもすべて加入が義務づけられ、国が直接に関与してそれを強制して賠償資力がちゃんとできるようにしようというものでございますので、やはり国が関与する程度につきましては、賠償の水準の状況とか他の社会保障の状況といったようなもの等を勘案して決められているわけでございまして、先生御存じのとおり、やはり自動車事故が起こった場合の被害者の方の損害額といいますものは各人各様、千差万別でございまして、年齢によりましてもあるいはその職業、収入によりまして千差万別でございますので、非常に極端な場合を申し上げますれば、何億というような逸失利益と申しますか損害賠償額になる場合もございますのですが、やはり国として関与するというものにつきましては、一応そのめどを最低保障と申しますか、基本的保障と申しますか、通常の損害をカバーできるようにということを目途に定められて、先ほど来申し上げておりますように、この制度発足以来数次にわたって保険金額の引き上げを行ってきたところでございまして、今回も先ほど申し上げましたような事情にかんがみましてその引き上げを行うところでございますが、やはりその任意保険の存在自体につきましては、先ほど申し上げましたような非常に高額の賠償を必要とするような被害者の方に当たるというようなケースもあるわけでございますので、そういう面から考えまして、自賠責保険の限度額を引き上げましても、やはり任意保険の存在自体必要性は失われるものではないのではないか。要は自賠責保険としてカバーすべき範囲をどこに置くかという問題でございますが、この点につきましては今後とも私ども、自賠責保険が被害者保護のための非常に公共性の強い制度でございますので、さらにそういう点に立ちましてこの限度額につきましてもおくれることのないように十分措置してまいりたい、かように考えておるところでございます。
○小宮委員 時間の関係で先に移ります。次は交通遺児の進学問題についてでございますか、文部省はおられますね。——全国の交通遺児家庭で進学を取りやめた者が大体七千人から一万人、退学、休学は八百人から一千人、また進学先を変更した者は三千五百人から五千人となっておりますが、このような気の毒な交通遺児たちが退学、休学を余儀なくされるというこの問題について、これも特別先ほどからいろいろ話がありましたように、交通遺児だけという問題にしぼるというのもやはり他のバランス上のいろいろな問題もあると思いますけれども、しかしながらこういった交通遺児の人たちが、やはりお父さんが交通事故に遭われたことによって、せっかく勉学を続けながらもそれを中途で放棄しなければならないというような本当に気の毒な人たちに対して、本人がさらに勉学を続けたいと思えば進学を保障するとか、あるいは高校に行きたいと思っておったけれども、事故のために高校進学もあきらめるとかあるいは大学進学もあきらめるというような問題も非常に数多くわれわれも見聞しておりますし、こういった悲劇を何とか最小限度に食いとめるためには、文部省としてもいろいろ、日本育英会なんかもあるようでございますが、まだまだあれぐらいの程度ではこの気の毒な人たちを救済するというわけにはまいりませんので、文部省としてもひとつ力を入れてこの問題に取り組んでもらいたい、こういうふうに考えますが、文部省当局の所見を承りたいと思います。
○十文字説明員 先生御指摘のとおり、能力がありなから経済的な理由によりまして——その原因はいろいろございますと思います。急にお父さんが交通事故で亡くなって、そして一家が非常に経済的に困るというような場合もございましょう。それぞれいろいろな原因によって経済的に上級学校への進学が困難になるというケースがございます。そこで私ども文部省の仕事としましては、そういうことで上級学校への進学をあきらめるということではなくて、そういう生徒、学生に対しましては、日本育英会を中心といたします奨学金を貸与いたしまして、そして進学の道を保障するということを広くやっているわけでございます。 その中でも、特に確かにいままで先生がるる御指摘されましたとおり、交通事故等の思わぬ事故によりまして本当に一家の支柱が失われたというようなことで、高等学校や大学における修学がきわめて困難になるという例が多いわけでございまして、そういうことも踏まえまして、実は育英会が奨学生を採用いたします場合の基準がございますが、これは家計の方の基準とそれから学業成績の基準と二つあるわけでございますけれども、そういう場合に特にそういう事情を考慮いたしまして、たとえば家計基準の判定につきましては、交通遺児の場合も含めまして母子家庭につきましては一般に比べまして特別の緩い基準を適用するというような配慮もいたしておりますし、それから学業成績の基準の判定に当たりましても、主たる家計の支持者が交通事故などで死亡したというような場合、そういうことによって家計が急変したというような場合につきましては、これまた一定の成績基準がございますけれども、それ以下でもよろしいというような特別の配慮をいたすことにいたしておりまして、そういうことでできるだけ実態に即応した適切な措置が講ぜられるように育英会といたしましても配慮しているところでございます。 なおそのほかに、特にこれは総理府と私どもと共管の法人でございますが、先ほど先生のお話にもございましたけれども、もっぱら交通遺児に対する奨学金の貸与を行う団体といたしましては財団法人交通遺児育英会がございます。その事業の拡充を私どもとしても期待していきたいと思います。
○小宮委員 時間が刻々迫ってまいりますので先に進みますが、いままで交通遺児の問題についていろいろ質問してまいりましたけれども、一方、交通事故に遭いながら幸いにも一命を取りとめた人たちがその後遺症に非常に苦しんで、毎日悩み続け、しかもこういったインフレ、物価高の中で生活が非常に窮迫しておられる人たちがたくさんおります。 そこで、私のところにもある交通事故に遭われた人から手紙が参りましたけれども、その人の手紙によれば、 私は交通事故に遭い、後遺症が激しく、六年過ぎた現在でもまだ通院しております。しかし、交通費もなかなか思うようにはまいりません。あと十年もしなければ厚生年金の受給対象になりませんが、あと十年間生きられるかどうかわかりません。どうか一日も早く厚生年金が支給されるよう、年金法を改正してください。 という手紙が来ておりますが、現行法では保険加入期間が二十年以上で、しかも六十歳以上でなければ受給資格はありませんけれども、こういった二十年以上保険金を掛けて、六十歳に達しなくて、不幸な交通事故に遭って職場を去られるという人たちは、かなりこれは多いわけです。したがって、私はやはりこういうような人たちに対して何らかの措置をすべきだ。一時金という問題もありますけれども、特に今日のような情勢では、これは一時金なんかというのはすぐ使い果たしてしまうわけですから、やはり年金を欲しいというのがこの人たちのほとんどの人たちの希望なんです。 そういうような意味で、そこまでやるには相当大臣の決断が必要になってまいりますけれども、しかし、こういう人たちを救済するためにはやはりどうしても大臣の決断をほしいと思いますが、その点、いま首を振りよったけれども、名大臣と言われるぐらい、特に人情味の厚い大臣のことですから、ひとつここで、こういう人たちを救済するためにいまの年金法でも改正して、この人たちが救済できるような措置を講じてもらいたい、こういうように考えますが、大臣どうですか。
○曾根田政府委員 先生の御指摘になった事例は、交通事故に遭って後遺症が残っておる。本来、本来と申しますか、その後遺症の程度が一定の廃疾の状態であれば恐らく障害年金が支給されるケースにもかかわらず、その程度までには至っていない。したがって、老齢年金の早期支給というものは考えられないか。ケースとして実際にそういう立場に立った人たちのことを考えますと、ごもっともな点もございますけれども、しかしいまの年金制度の仕組みで老齢年金の支給開始を特定のケースについてだけ早めるということは非常に制度的な問題がございますし、来年度年金の改正を考えておりますけれども、どうも交通事故による後遺症のケースについて資格期間を短縮する、あるいはこれに似たようなケースまで及ぼしても、そういう救済の仕方、理論的には考えられますけれども、非常にむずかしいんじゃないか、どうもお言葉を返すようになって恐縮でございますが、いまの仕組みの中では非常にむずかしいと言わざるを得ないということでございます。
○小宮委員 私もむずかしいことは百も承知の上で言っているわけです。交通事故だけではなくて、いろいろなケースがあるのですが、いまの厚生年金の問題から言えば、厚生年金自体についてもわれわれもまだ言い分があるわけです。しかしながら、それはきょうは言わないとしても、やはりこの問題についてはこういうような人たちをできるだけ救済するような立場で、たとえば障害年金の問題にしてもあるいはいろいろな一時金の問題にしても、何とか少しでもこういう人たちを救済するという立場から特に配慮を願いたいと思います。 厚生年金法が昭和十七年に制定された当時は、自動車も少なかったし、今日ほど車が多量に使用されるという事態を想定もしてなかったでありましょうが、こういった時代の進歩とともに、いまの年金法の問題にしたって、いま法律はこうだから、それでまた法律をつくったときの趣旨がこうだからというようなことに余りこだわっておったのでは進歩はないと思うのです。だからここは、悪い言葉で言えば、厚生省は都合の悪いときは法律を盾にとっていろいろ言うけれども、自分自身が法律を改正しなければならぬという理由が出た場合は国会にどんどん法律を提案するわけですから、問題は、やるかやらぬかという決断にかかっておると思うのです。 その意味では、確かに言われるようにほかの年金との関係等もありますから、非常にむずかしいということは私も承知をしておりますけれども、これはただ交通遺児だけの問題ではありません、こういった人たちを救うために、年金法の改正というのはただ受給年齢の引き下げという問題だけでなくて、年金額の引き上げの問題もありますが、ひとつ最大限の努力をしてもらいたい、こういうふうに考えます。 次に、幻覚剤のトルエンの問題について質問いたします。 昭和四十四年ごろから四十六年にかけて青少年の間に大流行いたしましたシンナー遊びの問題ですが、これは酔っぱらった果てに通行人に乱暴を働くとか、傷害事件を起こすとか、未成年者の不純交遊が頻繁に行われるとか、いろいろな社会問題になってまいりましたことは御存じのとおりですが、このシンナーについては四十七年の八月に、毒物及び劇物取締法の改正によって販売した者または吸引する目的で所持した者を規制する、いわゆるシンナー等乱用規制が施行されてから、シンナー遊びは非常に激減をしてきたという実態があるわけでございますが、最近、シンナーにかわって今度はトルエンを代用していわゆる幻覚症状に浸る少年が非常に急増しております。 これは本人の人体に及ぼす影響もさることながら、今後の日本を背負って立つところの若い少年がこういうことでは、これは大きな問題だと思うのです。現にこのトルエンを常用しておるために酔っぱらって窃盗をやったり、異常な精神状態のまま車を運転して事故を起こしたり、最悪なケースは半狂乱になって自殺する者が出るなど、非常に危険な徴候が出始めております。したがいまして、とのまま放置すれば第二のシンナーと言われるような大きな社会問題にまで発展することは、私は必至だと思います。 その意味で、このトルエンの問題についてもやはり何らかの規制をすべきだ、こういうように私は思いますが、現在は規制されておりませんから、非常に売買も自由だということで、塗料店だとかあるいは薬品店で簡単に入手ができる、しかも幻覚を起こさせる効能はシンナーと少しも変わらぬ。しかも値段も五百cc入りで大体二百円程度ということで、安く手に入るということでますますふえるかっこうになっておるわけでございます。 そこで警察庁にお尋ねしますが、幻覚剤として市販されておるものの中にシンナーあるいはトルエン、そのほかにどんなものがありますか。
○山下説明員 昨年中に私どもが補導、取り締まりいたしました内容を見てみますと、一番多いのがやはりシンナー、接着剤、それから最近ふえてまいりましたのがトルエンでございます。トルエンが二、三年前は大体一七%から一九%ぐらいでございました、全体の中に占める比率が。ことしの一月から四月までを見ますると、実に三〇%を超える割合になっておりまして、先生が御指摘のように非常な勢いでふえております。そのほかには、たとえばニスでございますとか、あるいは充てん剤でございますとか、中にはガソリンといったようなものを使っているものもございます。
○小宮委員 昨年一年間にトルエン遊びをやっていて警察に補導された少年が全国でどれぐらいおりますか。
○山下説明員 四十九年中一年間で、トルエンにりきましては三千七百四十八名でございます。それがことしの一月から四月までで二千六百七名というふうになっております。全体、トルエンを含めましたシンナーでは、昨年一年に二万六千二百九十一名で、ことし一月から四月までで一万九百四十八名でありました。昨年同期にいたしますと、ちょうど倍増の勢いであります。
○小宮委員 トルエンを常用すると人体にどのような障害を与えるのか、ちょっとひとつお聞かせ願いたいと思います。
○山下説明員 詳細な薬理作用については私も十分承知いたしておりませんが、私どもが補導いたしました事例を通して見ますと、やはり吸引いたしますと一種の興奮作用、常用いたしておりますと幻覚作用を伴いまして、さらに強く吸引いたしますと麻酔状態になり、さらに深麻酔状態になりまして、呼吸停止、さらには死に至るというふうな事例が出ております。そこへ至りませんでも、絶えず長い期間にわたって乱用いたしておりますと、大脳機能に障害を来しましたり、さらには肝臓その他の内臓に著しい害を及ぼすということが、群馬大等の動物実験等で証明をされております。
○小宮委員 これでは最後に。厚生大臣もお聞きのとおりでありまして、二のシンナーは規制されてからまだまだ根絶はしておりませんけれども、やはり非常に減ってきたということははっきりしておるわけです。それでそこにかわってトルエンが登場してきたということで、いま言われるように補導されておる少年の件数もだんだんふえていくというようなことで、このまま放置するということになると、これはゆゆしき問題だと思うのですが、その点について、このトルエンについてもシンナー同様やはり法律によって何らかの規制をすべきだ、したがって何か取締法を制定する意思があるのかないのか、その点、大臣、まあ厚生省からひとつ御答弁を願いまして、私の質問を終わります。
○宮嶋政府委員 まさに先生御指摘のような問題が実は政府部内でも問題になっておりまして、特に警察庁の方から御指摘がございまして、現在総理府に薬物乱用対策推進本部というものがございます。そこに警察あるいは厚生あるいは法務あるいは大蔵、こういう関係省庁の局長が実はメンバーになっておりますが、そこで二カ月ほど前から相当大きい問題になっておりまして、実はいろいろ審議してまいりました。結論的には、毒物劇物取締法の中身を現在のものよりさらに広げて対処しょうという方針が決まりまして、現在その中身につきまして、実は主として私ども厚生省と警察庁の方で中身を詰めております。先生のおっしゃいましたトルエンのみならず、ほかにも問題のものがございます。それも含めまして、できるだけ早急にひとつ、これは具体的には毒物劇物取締法の施行令の中に範囲が書いておりますから、その政令改正の形で範囲を広げたい、いまそれをやるべく着手をしておるところであります。
○小宮委員 質問を終わります。
○戸井田委員長代理 次回は来る二十六日木曜日午前九時五十分理事会、十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時三十七分散会 ————◇—————