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75回国会衆議院1975/04/16

社会労働委員会 第13号

発言数
243
登壇者
22
会派数
4
開催日
1975/04/16

会議録

大野明自由民主党

○大野委員長 これより会議を開きます。  国民年金法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中覚君。

田中覚自由民主党

○田中(覚)委員 国民年金制度が昭和三十四年に法律的に発足をいたしまして以来、毎年制度の改善、充実が図られてきておりますが、昭和五十年度におきましても、福祉年金の大幅な引き上げを初めとして、各種年金のスライドの実施時期の繰り上げ等の措置が講ぜられましたことは政府の年金制度に対する熱意のあらわれでありまして、私どもは全面的に賛同をいたすものであります。特に田中厚生大臣は、就任されまして以来、前向きの姿勢と積極的な発言をたびたびせられておることに対しましては深く敬意を表するものであり、大臣の所期の目的が達成せられることを私どもといたしましては強く念願するものでありますが、しかしながらその反面におきまして、最近の財政経済事情その他年金をめぐる環境の動向から考えますと若干不安がないわけでもございませんので、そういったことを含めながら若干の点についてお尋ねをしてみたいと考えております。  まず、お尋ねをする大前提といたしまして、最近の日本経済の高度成長の行き詰まりに伴いまして、財政的な事情から、年金を含めた福祉関係全体の予算といいますか、あるいは福祉政策の推進のテンポというものが従来のテンポを一体維持できるのかどうか、これまでは幸いにいたしまして、逐年予算的にも制度的にも大幅な伸長と内容の改善が見られておりますが、今後におきまして、そういったこれまでのテンポ、趨勢というものが一体そのまま維持できるとお考えになっておられるかどうか、その点からまずお伺いをしたいと思います。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 先生御案内のとおり、従来のような極端な高度成長経済は望めなくなった、あるいは望ましくないという今日の客観情勢の中にあって、安定成長、これは反面考えてみますると、やはり従来から見ると低成長という姿になることはもう否めないと思うわけでございます。この間にあって、今日国民的要望の強い社会保障関係費を一体どのようにして織り込んでいくかということは、相当ここで考えにゃならぬ問題がいろいろあるということはもう異論のないところだろうと思います。  そこで第一には、こうした低成長下において社会保障費を一体どのように国家の財政支出の中に持ってくるか、こういうことだろうと思います。これは大きな財政政策の問題になってまいりますので、私厚生大臣の立場でこのようなことを申すことはいささか越権かと思われますが、国民の間にも社会保障の水準をさらに向上させなければならないという要望の強い今日、低成長下であるからといってこれをないがしろにすることはできないということだろうと思います。したがって、私としてはできる限り、低成長下であっても国の財政支出の中において社会保障費のウエートを高めていくような努力とPRをしなければならぬだろう、こう思うわけであります。しかし、そうなってまいりますと、やはり政策の厳しい選択というものを——その政策のもたらす、持っておるところの政策効果とのにらみ合いにおいて厳しい選択をしていかなければならぬということも事実だろうと思うわけであります。  こうしたいろいろな観点から、今後政策を選別をしていくということが必要だろうと思いますが、この後あるいは先生の方から御質問があろうかと思いますが、私は、基本的には日本の社会保障は、医療保障はかなりの発展を見ておりますが、所得保障についてはどうもいわばおくれているということでございますので、どっちかと申しますれば、こうした年金等の所得保障面に財源を投入をするという基本的な方向で進むべきものだというふうに考えております。

田中覚自由民主党

○田中(覚)委員 大臣のおっしゃるとおり政策の厳しい選択をしなければならない、そういう点から見て、医療保障に比べて所得保障が若干おくれておるという御指摘は私も全く同感でございますし、ことに最近、福祉福祉と、何でもとにかく福祉であれはというようなことから対象範囲の拡大等が行われてまいりましたけれども、率直に申しまして、福祉の悪平等といいますか、本来そのような対象にする必要のない者にまでどんどん拡大がされている。そして逆に、福祉を最も必要とする階層に対する施策が十分に行われないといったような、そういうきらいのある点もあるのではなかろうかというふうな見方も若干ないわけではございませんので、そういう点も含めて政策対象の厳しい選択ということをこれからしていただくことはきわめて大切だ、こう思いますが、同時にまた、福祉の財源確保について何か発想の転換といいますか、そういうようなことが必要になってくるのではないか、あるいはそういう点について大臣自身としてのお考えがありますかどうか。  実は私どもまだ知事をしておりましたときに、これは全国知事会の提案で社会福祉税というものをひとつ創設をしてもらいたい、そのときは特に地方の社会福祉対策の財源として取り上げたわけですけれども、基本的な考え方といたしましては、国の福祉財源といたしましてもそういったことが一体考えられないものかどうか、そういったこともございますし、それからさらに専門的な問題に入ってくれば、大臣もしばしば検討したいというお言葉は述べておられるようでありまするし、当委員会の附帯決議にもはっきりと出されておりますように、たとえば年金の積み立て方式から賦課方式への切りかえというようなことを財源確保の面からどのようにお考えになるか、そういった点についての御所見をまず具体的に伺ってみたいと思います。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 前段の政策の選択についての先生の御意見は私も全く賛成であります。福祉なるがゆえに何でもかんでもこれを進めるというようなこと、深い反省も施策もなしにこれを進めるということについては、よほど今後考えてみなければならぬ。一例を挙げれば、世上よく言われているような負担能力を考えない無料化政策のごときものは、やはりこの際は慎重に反省してみる必要があろうというふうに思います。あるいは負担能力のある者について、人気取りのために公費負担を投入するなどという一部の傾向に対しては、われわれはやはりそういうこともまた考え直さなければなるまいというふうに思っているわけであります。  しかし、さればといって今後やはり社会保障は必要なものについては進めていかなければならぬということも事実でありますので、この財源の確保について一体どうするかということでございます。いま先生は目的税のようなことをいろいろおっしゃっておりますが、私はこれについてはなかなかそう簡単にはいくまいというふうに思っているわけであります。国民の福祉を求める声は相当に強いのですが、これに対する財政負担とか負担のあり方については、どうも十分な自覚がまだないというふうに思わなければならぬ一面もあるわけであります。果たしてこのような目的税というものが円滑に誕生ができるかどうか。今日のところ、このような目的税を起こすということについてにわかにこれを明らかにするといったようなことについては私としてはまだ踏み切れない、やはり一般的な税財源の中でやっていく以外に方法がないのじゃないかというふうに思われるわけであります。  要は、今後ますます進めていかなければならぬこうした社会保障の財源について、国民のコンセンサスをどうやって求めていくかということが私は今後の課題だろうと思われるわけであります。  このことはまた年金の財政方式についても言えるのではなかろうかと私は思われるわけでありまして、賦課方式論というようなことを申しておりながら、反面、これについての協力の体制というものが現実問題としてとれないということになってはこれはもう問題にならないわけでありますので、こうした国民のコンセンサスをどういうふうな形で求めていくか、これは単なる、たとえば社会保障税のような目的税の関係のみならず、年金の財政方式についても同じように言えるのではなかろうか、これが今後のわれわれの悩みだろう、かように思っております。  まあ強いて申すならば、私は諸外国の例と比較をいたしまして社会保障費がわが国の場合非常に低い、給付が低いというようなことをいろいろ尋ねてみますと、ヨーロッパの先進諸外国との間で決定的な、つまりわが国の負担の低さを如実に示しているものは保険料負担でありまして、ヨーロッパの社会保障先進国に比べると、約三分の一ぐらいしか保険料を払っておらないという事実がございまして、これはいろいろ調べてみると、まさしくその年金の成熟化の問題との関連があるようでございますので、今後は保険料負担をどのようにして国民の理解と納得のもとに求めていくかというようなことが、今後の一つの財源調達のあり方として大いに検討に値するものではなかろうかというふうに思ったりいたしておりますが、まだこの点については結論を得ているわけではございません。漠とした感じをお答え申し上げたわけであります。

田中覚自由民主党

○田中(覚)委員 私は社会保障税と仮称で申し上げたのですが、われわれが取り上げたときは、要するに超過所得税あるいは累進所得税の強化というようなことを考えておったのですが、確かに一般的な税財政問題の中で考えていかなければいかぬ問題でございますから、これだけを取り上げてすぐに大臣の所見を具体的に伺うことは無理があるということは私もよく承知をいたしておりますが、この点につきまして、大蔵省主計官が出ておられるようですが、大蔵省側としてこの福祉財源についてこれからの見通しとかあるいはお考え、これはもちろんこれから全体の問題でございますからなかなかむずかしい点はあろうかと思いますが、何かお考えがあれば、この際ちょっと伺っておきたいと思います。

梅澤節男大蔵省主計局主計官

○梅澤説明員 ただいま田中議員御指摘の点でございますけれども、五十年度の社会保障関係費の構成を見てまいりますと、まず総体の約六割を占めているのが社会保険費に対する国庫負担でございます。それを内容で分析いたしますと、医療と年金でございますね、これが大体社会保障関係費の七割を占めておる。これが現在の日本の社会保障の財政構造であろうかと思います。  そこで問題は、その社会保険費なりあるいは年金、医療というのは、制度的な支出と申しますか、最近よく言われておる言葉で申し上げますと、ともすれば非常に硬直的な要因を性格として秘めておる歳出であろうと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、そういうものも含めまして福祉に対する財政需要というのは今後ともふえる、あるいは増加する傾向にありますし、また充実していかなければならない問題でありますけれども、反面、田中議員が御懸念になっておりますように、安定成長という経済基調のもとでは、今後、税の自然増収等に象徴的にあらわれますように、財源の調達という問題で非常に困難な局面が出てくるのではないか。そういたしますと、不可避的に福祉の増進を図るとすれば、反面としてやはり国民の費用負担というものも避けられないのではないか。いずれにいたしましても、社会保障の財源を調達する方式といたしましては租税か社会保険料か、いずれかになるわけでございますけれども、究極的にはこれは国民の費用負担の問題であるわけでございます。  そこで問題は、調達のための選択といたしまして、租税でいくのか社会保険料でいくのかという問題があろうかと思います。御案内のとおり、財源の調達の問題につきましては三十七年に社会保障制度審議会の御答申がございまして、仮に一般租税財源で社会保障の各部門に財源配分をする場合のその優先順位は一体いかがであるかという問題が提起されまして、基本的にはやはり第一順位というのは社会保障の根幹をなします救貧政策と申しますか、生活保護の問題でございますね。公的扶助の面、これが第一順位であろう。第二順位は、低所得者層を中心としますいわゆる社会福祉という面。それから第三部門は、これは一般的な階層の問題でございますけれども、公衆衛生の問題でございますね。一般租税財源で負担する場合、社会保険に対する部門というのは、むしろ一番劣後的な部門ではないか。本来、社会保険の部門というのは保険料で賄いまして、どうしても保険料で賄い切れない場合、補完的に一般租税財源で賄う、そういう部門であろうというふうに提起されておるわけでございますが、冒頭に申し上げましたように、日本の社会保障の現在の財政構造は逆転しておりまして、社会保険に対する部門が一番金を食っている。これは、先ほど厚生大臣が明確にお述べになったように、今後社会保険料負担、これは国際水準等の比較から見ましてもいろいろ問題があるわけでございまして、国民の各層の広い合意の上に立ちまして、これだけの福祉を達成するためにはこういう費用負担が必要である、その部門はやはり社会保険の部門に私は問題があるのではないか、問題意識としてはそのように受けとめております。

田中覚自由民主党

○田中(覚)委員 この問題は議論しておりますとなかなか尽きないわけでございますが、具体的な問題に早く入らしていただきたいので、一応問題を提起をした程度にとどめて、その次の前提的な問題をもう一つ伺っておきたいと思います。  それは今日このインフレの克服のために政府が全力を傾注しておられ、またそれ相当の成果も上げてきておられるお立場から申しますと、物価の上昇というものはいずれだんだんと鎮静化し、正常な姿に落ちついてくるであろう、こういう見通しを持っておられると思うのであります。しかし、現実の動きを見ておりますと、年金制度の今後の改善、充実を図る上から申しまして、やはり慢性的なインフレといいますか、そういったものに十分耐え得るような仕組みを考えておかないといけないのではないかというふうに実は思われるわけであります。そういう点から申しまして、五年に一回の財政再計算を実際は四年に短縮をしたりあるいは三年に短縮をしよう、こういうふうにやっておられるわけでありますけれども、そしてまたその間は物価のスライドでつないでいくというようなことをやっておられますが、そういうことだけで一体カバーできるのかどうかという点について、私どもも若干心配をしておるわけであります。     〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 そういう点から申しまして、たとえばデンマークだとかオランダのように半年に一回というようなことは無理にいたしましても、西独だとかあるいはフランスなどがやっているように年に一回再計算をやるというようなことは、事実問題としてどうしてもできないことでございましょうか。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 西ドイツの年一回の再計算について具体的内容を私よく存じ上げておりませんけれども、厚生年金あるいは国民年金につきまして制度の見直し、これは経済事情の変動が大きい場合にはできるだけタイムラグを短縮して行うことが望ましいことは当然のことでございますけれども、実際問題としましては、財政再計算ということになりますと、新しいデータの収集、それから再計算そのものの事務がやはり相当の時日を要する事務でございますので、従来からやっております五年ないし四年、これを今回は三年に短縮することにいたしておりますが、どうもこの辺が精いっぱいではないか、そして、その間はやはり現在の物価スライドで経済情勢の変動に対処していくという基本的仕組みを変えること自体はどうも非常にむずかしいような気がいたします。しかしながら、必ずしも再計算を待たぬで制度の手直しを要するような事項もございますので、そういった事項につきましては四年ないし五年を待たぬで必要の都度改正をする、そういう心構えで対処していきたいと思っております。  基本的に、先生御指摘の点は、やはり今後長期的に見ると物価の上昇というものは傾向としては避けられないので、それに対応した年金制度あるいは年金財政の仕組みを結局は長期的にどう考えていくかということに帰着するのではないかと思いますが、そういう点につきましては、大臣もしばしば述べておられますように、将来の方向として現在の修正積み立て方式というものでいいのかどうか、これをどういうプログラムで賦課方式的な形に近づけていくか。その間、財政方式だけの問題ではございませんで、制度の仕組みもそれに応じたいろいろな手直しが必要でございますので、そういったことによって長期的には経済変動に対処していくことだろうと考えております。

田中覚自由民主党

○田中(覚)委員 五十年度はスライドの実施時期を、特例として、厚生年金保険と船員保険は五十年の十一月を八月ですか、それから国民年金は五十一年の一月を五十年の九月ですかに繰り上げられたわけですね。これを、これからのやり方として、ことしはやむを得ないとしても、今後、たとえばこういうスライドの実施時期を繰り上げるやり方というものを、もっと繰り上げられないかどうかという点ですね。大臣も、業務体制の整備との関連もあるけれども前向きに考えたいというようなことを先般の当委員会でも発言をしておられますが、これについてどういう具体的な検討なりあるいは準備が進められておるのか、見通しを伺いたいと思います。

河野義男社会保険庁年金保険部長

○河野(義)政府委員 スライドの実施につきましては、事務処理体制を前提に置いて考えなければならぬ一面があるわけでございますが、五十年におきましては、先生いま御指摘がありましたように、三カ月ないし四カ月繰り上げて対応していこうということで進めております。しかし、今後さらにそのタイムラグを縮めるための事務処理体制をどうすれば対応できるかという問題でございますが、年金受給者は毎年加速度的にふえてまいっております。これらについて定時的に処理をしなければならないわけでございますが、それと並行してスライドの実施時期を繰り上げるということはなかなか容易ではございません。  まず第一にその事務処理体制として考えていかなければならないのは、現在年金の処理は機械で処理しておりますが、これらのコンピューターを取り扱う専門職員を養成して、教育訓練して、量、質ともに強化していかなければならないわけでございますが、定員の増ということはなかなか容易でございませんが、年金の事務処理体制につきましては、五十年度におきましてはプログラマーを中心としましたソフトウエアの部門の組織、定員の強化が認められたわけでございまして、これらを中心に今後職員の教育訓練を進めていって、今後のそういったスライドの実施時期の繰り上げ等の要請に対しまして将来的には対応できるよう努力を進めていきたい、かように考えております。

田中覚自由民主党

○田中(覚)委員 そういたしますと、来年度以降の問題になるかと思いますが、スライドの実施時期の繰り上げはさらに早めることは可能なんですね。

河野義男社会保険庁年金保険部長

○河野(義)政府委員 私どもはそれを目標に置きまして、そういう体制の強化に努力をいたすつもりでございます。

田中覚自由民主党

○田中(覚)委員 そういうことであれば、できるだけそういう体制の整備を一日も早く図っていただきたい。ことに有沢懇談会などでは、機動的な業務体制の整備の強化ということを強く言っておりますね。つまり、いついかなる事態に対してもすぐに対応できるような、そういう事務処理体制というものを指しておるかと思うのでありますが、そういう点も含めて、今後ひとつできるだけ体制の整備を急いでいただきたい。そして、できるだけこのタイムラグを解消するという努力をしていただきたい。これは希望だけを申し上げておきます。  さて、以上二点にわたりまして前提的なことを伺ったわけでありますが、そういったことを前提にいたしまして、大臣にまず第一にお伺いしたいと思いますことは、大臣は、この年金の財政再計算を二年早めて来年度やるんだということを言っておられますとともに、その機会に、制度全般の見直しをひとつしてみたいという趣旨の発言がたしかあったかと思いますが、一体、制度改善の主眼点というようなものをどこに置いて考えておられるのか承りたいと思います。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 二年早めて五十年度に財政再計算を行うということですが、問題は山積をしているわけでありますが、しかし五十一年度にやれるものと、問題提起をいたしまして今後にさらに検討を進めていくものと二つに分けた方がよろしいんじゃないかというふうに思うわけであります。  少なくとも五十一年度にやらなければならぬと思っていることは、物価スライドによって律し切れなかった積み残しをどのようにして拾っていくかということは、五十一年度の一つの具体的な課題であろうというふうに思うわけであります。換言すれば、賃金あるいは経済動向に対応して、物価スライドだけで律し切れないものをどう拾い上げていくかということについての検討が一つだろうと思います。いま一つは、年金各制度の間におけるいろいろなひずみあるいは欠陥等々、この後あるいは御質疑があろうかと思われるような、各制度が分立しているために起こってまいる受給者の不利等々をどの程度救済できるか、あるいは制度の中にあって、今日的感覚で見ると給付の改善を必要とするものがあるかないかなどということについて検討をするというのが、具体的な来年やらなければならぬテーマの一つだろうと思います。  この間にあって、年金の財政方式というものをどの程度再検討できるか、具体的に実施できるかということについて問題を洗い直してみたい、かように思っているわけであります。この際、もちろん現在の修正積み立て方式における修正率の問題、あるいは俗に言われている賦課方式というものをどういうプロセスとどういう範囲でこれを導入していけるか、五十一年度にその部分的なものができるかできないか、もしそれができないとするならば、今後においてそれをどのように進めていくかといったような問題をこの際検討をいたしたいというふうに思っていますが、後段の財政方式につきましては、だんだんといろいろやってみますると、どうも関係当事者の間の年金制度に対する深い理解と互譲の精神が欠けておったのでは私はできないということになろうと思われるものですから、この方面の啓蒙について今後意欲的に努力をしなければならないというふうに思っている次第であります。

田中覚自由民主党

○田中(覚)委員 いまのは、五十一年度に大体実施を若干でもやるという目標でお考えになっている問題ですね。というのは、今後の検討課題として残すものと二つに分けられましたけれども、後者の問題はいま触れられたのですか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 いま申し上げたことは、五十一年度の財政再計算時において検討をすべきもののほとんど大部分を申し上げたわけでございます。財政方式論についての問題は、検討課題として来年これをすべてセットできるというふうには私どもは考えておりません。しかし、部分的にそのような考え方を導入できるかどうか、導入する場合、どういう範囲とどういうプロセスでやるかといったようなことについて、なお今後いろいろと検討をいたし、努力を重ねていきたいというふうに思っているわけであります。

田中覚自由民主党

○田中(覚)委員 ただいまこれからの五十一年度の実施を目標にした検討課題をお述べいただいたわけでありますが、その点についてお尋ねをする前に、これはひとつ大臣のお考えを伺いたいのですが、いまの年金の給付の水準ですね。これはILOの規定をしておる水準等から見ても、あるいは欧米諸国の水準から見ても、日本の場合は制度の仕組みとしてはかなり高い水準だというふうに言われておるわけでありますが、しかしその反面、どうもヨーロッパの場合なんかは、こういう公的な年金のほかに、企業年金とかあるいは職域年金とか、これを補完する年金が相当発達しているということもありますし、それからILOの決めているその四五%という基準は、これは言うなれば開発途上国なども含めておるので、どちらかと言えば最小限の基準だ、そういう点から見ると、経済大国と言われておる日本のいま採用されておる制度的な給付の水準というものは必ずしも高いものじゃないというような議論もございますけれども、これは一体どういうふうに受けとめておられるのでございましょうか。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 先生御指摘のように、四十八年改正時の厚生年金の給付レベルは、一応男子の平均標準報酬の六〇%相当という水準であったわけでございまして、率直に言いまして、水準としては相当な水準であるというふうに私どもは考えております。ただし、実際の支給額は厚生年金の成熟化等の問題もございまして、資格期間の短い方などもおられるものですから、想定したそのレベルまで達しておりませんけれども、レベルとしては私は相当なものである。  そこで、基本的に、ILO等にもうたわれておる年金レベルというものは一体どう考えるべきかということでございますけれども、これは結局は、負担との関係における国民の選択という問題になろうかと思いますけれども、老後生活のすべてをこれで賄うということで、負担との見合いでそういう合意が得られるならばそれはそれでよいのでありますけれども、老後生活と現役労働者の生活内容の相違、それからまた日本の実社会における扶養の実態、そういったことを総合的にやはり考える必要があると思っておりますが、私どもといたしましては、そういったもろもろの諸要素を勘案して、なお四十八年度のレベルというものは、国際的な見合いにおきましても相応の水準であるというふうに現段階では考えております。

田中覚自由民主党

○田中(覚)委員 具体的なことですが、厚生年金の水準と公務員の共済年金の水準との間に大きな格差があるということをよく聞くのですが、この点についてはどういうふうにお考えでございましょうか。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 御指摘のように、公務員等の共済組合の場合は、年金の算出方法が、最終一年あるいは最終時の俸給の一定割合というような算出方法でございますので、一般的に言いますと、年金水準としてはまだ格差があることは事実でございますけれども、もちろんそれぞれの制度における給付レベルというものは、それぞれの制度の沿革等もございますが、費用負担との見合いにおいてもこれは定められておるわけでございまして、率直に言いまして、公的年金としてのレベル、これがいわゆるその厚生年金相当の全く公的年金だけの要素のものとして考えるならば、私どもは、共済組合はよその制度でございますのでとやかく言うのもどうかと思いますけれども、いささか高いという感じは持つのでございますけれども、しかしその場合に、厚生年金と全く同じ意味での公的年金としてとらえていいのかどうか、たとえば民間企業におきましては、公的年金のほかに、先ほど先生御指摘ございましたけれども、全部ではございませんけれども、企業年金等が相当やはり普及いたしておりますので、そういった要素をどういうふうに考えたらいいか。まあみょっと歯切れが悪くて恐縮でございますけれども、その辺でいささか公的年金的なものすべてであると言い切れるのかどうか、そういうことも言えるのではないか。  いずれにいたしましても、先ほど言いましたようにそれぞれの職域における、それぞれのグループにおける沿革あるいはまた費用負担の見合い、そういったことでございますので、現実の格差があるということはやはりこれは認めないわけにいきませんけれども、その格差が、直ちに厚生年金がすべてその水準まで引き上げなければならない水準であるかどうかについては、私はまだ問題があるというふうに考えております。

田中覚自由民主党

○田中(覚)委員 この格差が相当大きいのは事実ですね。そういう点で今後、こういう給付水準の格差の是正というようなことは、結局、厚生年金側の改善、改革として取り上げるほかはないのじゃないかと実は思うわけですが、じゃ、ほかにも大分、公務員共済年金と比べての格差が目立つわけですね。  たとえば、厚生年金の場合には六十歳になって老齢年金がもらえる。しかし、その年齢に達しましてもさらに就職をした場合、就職していわゆる在職中になった場合には、支給についていろいろの制限がございますね。共済の場合は、年齢も五十五歳で、そして何らの支給についての制限もないというような点から比べますと、かなりこのアンバランスがあるように実は思われるわけですが、老後保障という点から申しましても、若干やはり問題があるんじゃなかろうかというふうな気もいたしますので、この点については、一体今後、どういうふうなお考えで対処されるつもりか、お伺いをしたいと思います。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 支給開始年齢あるいは在職老齢年金の共済組合との対比におけるお尋ねでございますが、これはもう当然のことでございますが、ここでお断りいたしておきますと、共済組合は、公的年金制度としては老齢年金を厳格に退職老齢年金としてとらえておりまして、したがいまして、共済組合というその職域にとどまっておる限りは、年齢が何歳になっても共済組合からの年金は支給されない。ただし、数から言いますとそのような方は非常に少なくて、一般的には五十五歳前後で役所をやめて民間の会社、団体に再就職する、そうしますと、少なくとも共済組合としては退職要件を満たすことになりますので、実際には民間で働いておって年金がもらえる。それとの対比で実は厚生年金が批判されておるわけでございますけれども、しかし厳密にはこれは制度が分立しておることからくる問題点でありまして、退職要件そのものは、共済年金の場合は非常に厳格に守っておるわけでございます。  しかしながら、そういう実態がございますので、厚生年金の場合も六十五歳以降には退職要件を問わないことにしたのでございますけれども、さらにその上に、六十歳以降でも一定の賃金以下の人には、そういう方の生活実態にかんがみまして一定の年金を差し上げるという仕組みをとって、この限度額についていろいろ問題がございますので、ただいま御審議をお願いしております改正法案でも、かなりの引き上げを行うことにいたしておりますが、この問題は、この取り扱いをどうするかというのは非常に大きな問題でございますけれども、結局は退職要件をどうするかという問題で、将来の年金財政、これは非常に長期的に考えなければなりませんので、まあ私どもの率直な気持ちを言わせていただければ、六十五歳未満の在職老齢年金については、やはり現在の仕組みのように、一定の所得以下の人に差し上げるという仕組みでやむを得ないのではないか、しかしながら、その限度額につきましては、実情に合うように、それぞれの改正の都度、実態に応じて改善を図っていくというのが現段階における私どもの考えでございますが、いずれにいたしましても、基本的な問題でございますので、なお来年度改正案の際の一つの重要な事項として検討さしていただきたいというふうに考えております。

田中覚自由民主党

○田中(覚)委員 これはこの委員会でもいろいろ議論がされたようですが、公務員の場合は、五十五歳でやめて民間に就職をすれば、共済年金と民間の給料とがまるまるもらえる。しかし民間の場合は、六十歳で大会社をやめてどこかの中小企業に就職する場合、その給料が四万八千円を超えていると、いわゆる五万円年金というのは全部六十五歳まではストップ、六十五歳を超えればもらえるようになるけれども、それは二割制限をかけられる。しかも、就職しているからまた厚生年金に入って掛金を掛ける。月給はだんだん上がっていく。掛金がふえておれば当然にその年金額がふえなければいけないのに、それは六十五歳の支給のときのベースでそのままくぎづけにされるというようなことを聞くのですけれども、それは本当ですか。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 六十五歳以上の方に支給する在職老齢年金につきましては、御指摘のように、六十五歳時点で老齢年金の受給資格期間を満たしている者につきましては、その時点でそれまでの期間、標準報酬に見合った年金額を差し上げまして、その後、最終的に再就職のところをやめられるまでは一応その水準で固定をいたしておりますが、仮に六十五歳で五万円なら五万円の年金を受ける人が、六十八歳なら六十八歳で最終的に働くのをやめて老後の生活に入られるという場合には、もちろんその六十八歳の時点でもう一度計算をし直しますから、その後の再就職の三年分の期間、あるいはその標準報酬が年金額の上に反映されることになっておりますので、最終的にはくぎづけということはございません。  ただ毎年毎年やってもいいではないかという御意見も実はございます。しかし、これは非常に事務的に大量の事務量を要するものですから、どうも毎年毎年年金額の改定をするのはいかがなものであろうか、いまのところはそういうふうに考えております。

田中覚自由民主党

○田中(覚)委員 時間がございませんので、次へ移りたいと思います。  これまでの年金制度の改正は、給与水準の引き上げだとか、あるいはスライド制の実施だとか、そういうところに重点を置かれてきたためにあるいはやむを得なかったかと思いますが、先ほど大臣も、五十一年度の検討課題として、一般的に各年金制度が分離しておることからくるひずみだとか不利だとか、そういうものの是正をひとつ取り上げたい、こういうお話でございましたので、多分その検討課題の中に入っているのだと思いますが、遺族年金とか障害年金の改善が従来どうもおくれておるような気がいたしますので、来年度の検討の中にはぜひ改善措置を織り込んで実現をしていただきたい、こう思うわけです。  特に具体的なポイントといたしましては、年金の仕組みがそれぞれ違うわけですから、通算にはいろいろむずかしい問題もあるのだと思いますけれども、受給権を漏れなく確保していくという点から申しまして、老齢年金でとられているような通算措置を遺族、障害年金についても及ぼしていくということはぜひやってもらいたいと思います。いかがですか。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 老齢年金と同じように、遺族、障害給付についても通算措置をやるべきではないかというお尋ねと思いますが、これにつきましては前々から当委員会で御答弁いたしておりますように、やはり来年度の一つの重要な課題として現在関係各省庁と協議を進めております。ただし、先生御指摘のように各制度、それぞれの給付につきましてそれぞれの資格要件あるいは遺族の範囲等あるいは廃疾表等の差異がございますので、完全な形でのいわゆる通算ということは、率直に言いまして来年度の問題としては、期待できないと思いますけれども、やはり問題は年金権に結びつかない人を救うというのが第一義であろうかと思いますので、そういった方向で、できるだけ各省庁との間の協議を進めてまいりたいというふうに考えております。

田中覚自由民主党

○田中(覚)委員 次に、遺族年金についてのもう一つの要望といたしましては、遺族年金受給者の生活の実態あるいは年金受給の実態から見て、あるいはILOで決めておる基準等から考えても、いまの老齢年金の五割という支給率はぜひ引き上げてもらいたい。またその最低保障額をこれまた引き上げるように格別の配慮をしてもらいたいと思うのですが、これについてはいかがですか。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 やはり来年の改正の重要な検討課題の一つと思っております。できるだけその方向で努力いたしたいと思っておりますが、これも先ほどの通算措置と同じように、各公的年金に共通する問題でもございますので、各省庁とも十分協議を進めて、その方向に努力いたしたい。しかし、これにつきましては、やはりILOの条約にもございますように、すべての遺族を同じようにとらえるのかどうか、遺族の生活実態に応じて重点的に行うのかどうか、それからまた遺族給付の改善ということになりますと、現在の被用者の妻の国民年金への任意加入という問題を制度的にはどういうふうに将来考えるのか、そういったことも実は総合的に考えなければなりませんので、そういうことも念頭に置きつつ努力をいたしたいというふうに考えております。

田中覚自由民主党

○田中(覚)委員 たとえば八〇%というような要望も出ておりますが、その程度までの限度額の引き上げは考えられますか。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 関係審議会で実は御検討をお願いいたしておりますので、具体的な数字の問題は差し控えさせていただきたいと思います。

田中覚自由民主党

○田中(覚)委員 それではその点はひとつ要望にとどめておきます。  その次に伺いたいのは、老齢年金受給者が死ねば当然遺族年金をもらえるわけですね。それはいかに短期であっても、被保険者期間中の死亡であれば遺族年金は出せる。それにもかかわらずせっかく通算制度が認められておりながら、通算年金の受給者の死亡した場合には遺族年金は認められないというのはいかにも片手落ちのように思うのですが、この点はいかがですか。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 御指摘の点は、各方面からも実はそのような要望を受けておりますので、先ほど申し上げました遺族年金の通算問題にからむ関連問題といたしまして、関係省庁との間の現在の協議事項の一つとして協議を進めております。

田中覚自由民主党

○田中(覚)委員 時間がなくなってしまったのですが、今度はひとつ福祉年金につきまして伺ってみたいと思います。  現在の年金の受給者の中では福祉年金の受給者が圧倒的に多い。そういう点から見て、福祉年金の一層の充実ということが強く要請され、また期待をされておるわけですが、この点について先般の社労委員会だったですか、大臣は、たとえば老齢福祉年金、ことし一万二千円に月額引き上げたのをさらに増額したり、あるいは実施時期を繰り上げることは相当困難であるというふうなお話があったように記憶をいたしておりますけれども、この福祉年金のさらに増額、実施時期の繰り上げ等につきましては相当広範な期待が寄せられておるわけです。そういう点から見まして、今後こういった福祉年金の改善、充実について、大臣の基本的なお考えをこの際ひとつ明らかにしていただきたいと思います。  その中で特に私が伺いたいのは、いままでは、毎年予算編成期に、政策的とか政治的な配慮から月額相当の金額の引き上げがなされたわけですね。これはつかみと言うと少し言い過ぎかもしれませんが、ある程度そういう政治的な配慮が働いて決められたのだと思うのですが、もしこれが今後非常に困難だということになってくると、一万五千円とかあるいは二万円とか大分期待を持たれておりますので、これについて一体どういうふうになさるつもりか、その辺のところを具体的に何かお答えをいただければありがたいと思います。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 いま先生の方からいろいろ福年についてのお話がございましたが、実施時期の繰り上げ、これは今年度予算に関連する問題でございまして、今年度につきましてはいろいろ御要望もございますが、何しろ七千五百円から一万二千円にするというようなことについていろいろと努力をいたしまして、結局はできたのですけれども、この場合そういうふうなかなり無理をかけたものですから、あのように十月実施ということになっておるわけで、これをさらに繰り上げるということは、今日のところ客観情勢上無理だ、困難であるというふうに遺憾ながら申し上げざるを得ないというふうに私は思っております。  今後の福祉年金の扱いでございますが、これについては前々から私皆さんに申し上げているように、福祉年金というものの性格が、制度発足の当時と今日では微妙に変化をしておるということはもう否定すべくもない状況でございます。したがいまして、この福祉年金の今後の性格というものをどこに置くかということについても世上まだ一定の固定的な観念はないようでございます。できるだけ生活に資することのできるようにというふうに持っていかなければならぬ。これはもう客観情勢がそうなものですから、そういうふうにいたしたいと思いますが、御案内のとおり、福祉年金はいままで一般会計のみに依存をいたしまして給付をいたしておったわけでございますが、今日ここまで参りますると、一般会計にのみ依存をしていまの国民的な要望を満たすということは、私は実際上そう簡単なものではない。いわんや、冒頭議論のありましたいわゆる低成長経済下においてはこのような財源は言うべくして生み出しがたいということは、もう国会議員のわれわれならみんなお互いに知っていることだろうと思います。  そこで、一般会計でそれじゃもうこれから一文も上がらないかというと、さようではないと私は思いますけれども、しかし一般会計にのみ依存するやり方では多くを期待できない。少なくとも国民的な要望に近づけることは私は困難だというふうに思いますので、そのような国民の方々がまあまあというような給付をするためには、財源を他に求めなければやっていけないだろうということであることは間違いがないと思うわけでありまして、その財源をどのようにしてどういうところから求めるかが今後われわれの緊急の政策課題である。  しかしこの場合、こうしたような前の時代に国を築くために働いてきた人々に対して、やはり国民がそれぞれこの人たちの老後保障のために協力をするという大乗的精神がなければ、このことは成り立たないというふうに私は思っております。自分たちのためにのみ年金の財源を積み立てるとか拠出をするといったような態度では私はこれは解決をしないというふうに思うものですから、そうした国民的なコンセンサスを求めつつ、一般会計にのみよらず広い視野でこの財源を求める方向について今後できるだけ努力をいたさなければならぬというふうに思って、せっかくいまいろいろと努力をいたしている最中でございます。

田中覚自由民主党

○田中(覚)委員 若干質問を残しましたけれども、時間が参りましたのでこれで終わらしていただきます。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員長代理 吉田法晴君。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 年金法の改正案を審議するわけでありますが、先般、三月二十七日公労協を中心にしてゼネストが行われようといたしました。それに対して昨年度の処分を国鉄は留保されましたが、政府は全国一律最低賃金制度について考慮するという、これは政治的な約束がなされました。もし全国一律最低賃金制が真剣に話題になる、最低賃金制度審議会で審議をされ、野党案を報告をして、それを基礎にして討議をするということになりますと、七万円を目標にいたします野党案というものが現実的な日程にのぼってくるということを考えなければならぬ。憲法に保障されておる健康にして文化的な最低生活というものはどういうものであるかということは、現状とそれから全国一律最低賃金制がねらっておりますものとの間には相当の差があることは御承知のところであります。そこで、それは覚悟の上で政府においては全国一律最低賃金制というものを考慮するということになったのだと私は思うのであります。思うのでありますが、その辺をお伺いしたいと思うのであります。  それから、二年の終期のときに実現をされる最低賃金制についてはいま金額が決まっておらぬと思いますけれども、野党の目標であります七万円平均というのは、考慮は払われていると考えるわけであります。それらの点が年金問題等にも影響いたしますので、まずお尋ねいたします。

水谷剛蔵労働省労働基準局賃金福祉部長

○水谷政府委員 ただいまの御質問でありますが、先般この委員会で労働大臣からお答え申し上げましたように、全国一律最低賃金制の問題につきましては今後中央最低賃金審議会で調査、審議を求めるということになったわけでございます。この問題の経緯について多少触れさせていただきたいと思いますが、二月十日に四団体から要求が出されまして、その段階では、四団体の要求といいますのは全国一律の問題と、それから最低賃金の決定基準の問題、これは生計費を基準にして決めるというような決定基準の問題、それから決定方式の問題、つまり委員会で決定するといいますか、その三点に四団体で集約をいたしまして、労働四団体の統一要求という形で二月十日に政府に対して要求が出されたわけであります。それに基づきましてその後いろいろな折衝が重ねられまして、最終的には、三月二十六日に本委員会で大臣が答弁いたしまして、先ほど申し上げましたようなことになったわけでございます。  そこで、先生の御指摘の七万円の問題でございますが、これは春闘共闘委員会なりあるいは総評等におかれましては、そういう金額を明示した要求というものはかねがね出されておりましたけれども、今回の折衝の過程ではその金額の問題というのは、金額の問題には触れないといいますか、そういう形での公式折衝あるいは非公式折衝が行われたわけでございます。したがいまして公式的には全国一律最低賃金制の金額を幾らにするというようなことについては、何ら話し合われておりませんし、それから今後どういう金額に落ちつくであろうかというようなことにつきましても、私ども現在何ら申し上げる材料も、もちろん持ち合わせておらないわけでございます。  それからもう一点は、二年先ということでございますが、これはこの委員会で答弁した後に社会党と自由民主党との間で話し合われ、また労働大臣が当然その席に陪席いたしておったわけでございますが、労働大臣といたしましてはそういう経緯があったということを十分尊重するといいますか、経緯があったということを十分認識するといいますか、そういう経緯になっておりますので、二年という期限がはっきり切られたというようなものでもない。ただもちろん、二年という非常に強い御要望があったということを肝に銘じて今後審議会に対して私どもは臨んでいかなければいけないというように考えております。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 答弁されましたように、論議の過程の中で七万円という金額が明示されていなかったということは事実かもしれません。しかし全国一律最低賃金制を求めて、これは昨年の暮れあたりから弱者救済という言葉で呼ばれました。具体的には老齢年金受給者だとかあるいは身体障害者だとかあるいは生活保護者だとかいう弱者が挙がりました。挙がりましたが、それらのものを含んで、ことしの春闘の場合には全国一律最低賃金制という具体的な——これは世界的な標準から見ましても劣らない水準を求めてのゼネストであったことは御承知のとおりです。したがって、政府としてストライキを回避するためにだけこまかしで言われたのだとは私は思いません。少なくとも政府の首脳が出、労働大臣も出て、ここでも答弁をされた。そうすると、いま生活保護基準なりあるいは失対賃金なりの四万円平均よりもはるかに上がることは御覚悟の上だろうと思います。そういう意味での国際的な最低基準を上げる話だということは御覚悟になっていることだと思うのです。その辺を伺っておるわけですが、問題は、年金論議に関連をいたします最低生活の水準を上げるということは御覚悟になったかということをお尋ねしているわけです。重ねて御答弁を願います。

水谷剛蔵労働省労働基準局賃金福祉部長

○水谷政府委員 最低賃金の問題というのは非常にむずかしいといいますか、いろいろ論議のある問題でございまして、私ども通常一人前最賃とかあるいはそうでないとかいうような言い方をいたしておりますが、現行の最低賃金制度におきましては、賃金の極端に低廉な労働者といいますかそういう人たちについて、これ以下の賃金では人を使ってはいけないという最低基準を決めるものである。したがって、その労働者が世帯の世帯主であるとかあるいは世帯主でないとかそういうことに関係なく、賃金の極端に低廉な労働者の賃金を引き上げるといいますか、そういうところに現在の最低賃金制度ではねらいを置いておるわけでございます。全国一律最低賃金制の要求がその要求から脱皮するといいますか、そういう含みを持っているというようなことももちろん感じ取ってはおりますけれども、当面の問題といたしましては、その辺のどういう最低賃金制度であるべきかという問題を含めまして、今後最低賃金審議会で十分御論議をしていただくというようにいたしたいというふうに考えております。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 最賃論議をここで繰り返して長々とやろうとは思っていないのであります。最低賃金の役割りは、あなたから説教をしていただかなくても、私も心得ております。ただ、いまの職種別、地域別の申し合わせによる最低賃金制度は労働者の賃金水準を上げるには役に立たぬと考えられるからこそ、全国一律最低賃金制というものが全労働者のストライキをかけて要求をされた。その水準が現行の最低賃金水準よりも上がることは当然じゃないでしょうか。  ではもう一つ別の観点から伺いますが、福祉年金に関連をいたしまして、先ほどの田中厚生大臣と同僚議員との質疑を聞いておりましたが、私は去年の予算委員会の分科会の席上、前の齋藤厚生大臣との間にその福祉年金の目標額について論議をいたしました。そのときに引き合いに出しましたのは、おととしの選挙のときに自民党はポスターに五万円年金をあすからでもやります。この選挙で約束をいたしますというポスターが張られました。これは御承知のとおりでございます。厚生大臣に聞きますと、おれは一律に福祉年金を五万円にするとは思っていなかった、こういう説明でございますけれども、選挙のときにはそういう説明はなされなかった。選挙を通じて自民党が御信任を得るならば五万円年金を差し上げます、その五万円年金は福祉年金は別ですと書いてなかった。しかし常識的に考えまして、年金が五万円という点からいいますと、いまの福祉年金の七千円とか一万二千円とかそういう水準じゃなくて、やはり年金として、老後に働けなくなってもらえる年金は五万円でなければならぬということを、自民党としてはあの選挙を通じてお約束になったものであると私は理解している。それに近づくにはどうされるかという論議をしたわけです。そこで福祉年金についても、これは審議会を通さなければならぬことだけれども、政府としては努力をいたしますと、去年の予算審議の際にこういうお約束があった。  私はそうでなければならぬと思うのでありますが、ここに「今後の老人対策について提言」という、老人問題懇談会ですが、この顔ぶれはともかくといたしまして、政府で老人対策の審議を願って提言を求められたのだろうと思います。それには「所得保障機能が十分に発揮されているとは必ずしもいいがたい面がある。」と書いてあります。また「公的年金制度の二大支柱である厚生年金保険及び国民年金の面制度は、昨年大幅な改善をみた。しかし、現行の年金制度には、」云々と書いてあって、十分でないと書いてあるわけでございます。これらの点について、大体あるべき年金の姿というものはどういうことを考えておられるのか、厚生大臣に承りたい。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 あるべき水準というのは、結局は保険料負担との見合いにおけるレベルを国民的合意でどういうふうに設定するかということになろうかと思いますけれども、具体的な問題として考えますと、厚生年金の場合は四十八年改正におきましていわゆる五万円年金、この考え方は男子の労働者の平均標準報酬のおおむね六割程度という水準で関係者の合意を見たわけでございますけれども、私は、この水準は日本の現状から見ましてかなりの水準であり、望ましい水準を一応は達成しているのではないかというふうに考えております。     〔竹内(黎)委員長代理退席、菅波委員長代理着席〕

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 現状の説明をされましたが、私は先ほど、老人問題懇談会での年金改善についての問題点あるいは方向と比較をしてお尋ねをしたわけであります。財源問題その他は後で論議することにして、あるべき老人の生活保障水準というものはどういうぐあいに考えておられますかということをお尋ねしたのです。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 あるべき老齢年金の姿、これはそのときの客観情勢によって違うわけでございますが、しかし、このことは理想の場合と現実の場合とは峻別して考えなければならぬと思うのであります。年金について、一体いかなる財源をもってこれに充てるかということについての問題とこれを切り離して考えることはできない、こう私は思うわけでございます。したがいまして、国民がこの種の年金に対して一体どの程度の理解を持って拠出をするかということとのにらみ合いにおいて考えられるべきものであろうと思いますが、一応現在は平均賃金の六〇%程度でもって老齢年金の金額を設定しているわけであります。この水準というものは、私は今後ともこれを続けていくべきものであるというふうに思っております。  福祉年金につきましては問題は別でございまして、これについては、やはり本来望ましい姿では拠出制年金と同じような金額を支給するというのが理論的には望ましいかもしれませんが、しかしこれの財源の調達については別途の問題がございますので、遺憾ながらそのような理想にはほど遠い給付をせざるを得ないというのが現実の問題ではなかろうかというふうに私は思っております。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 働いているときの賃金の六割という問題は、日本ではそうであることは事実です。しかし私は、すでに六割という問題が問題になっている、問われていると思います。それは後でいたしますが、先ほど申し上げたように、前の厚生大臣は選挙のときの責任を負って五万円年金に近づける努力をいたしますという話をされたのですが、その後の答弁を聞いていると、その話は一時のごまかしの話かという感じがするわけであります。いま手元に届いた速記録が違っておりますけれども、昨年の予算分科会で齋藤厚生大臣に尋ねたときには、はっきり約束をされました。それについて、いまの厚生大臣はどういうぐあいにお考えになりますかということをお尋ねしている。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 先生御指摘の、これは四十八年の六月の時点での社会労働委員会における質疑応答ではないかと思うのですが、確かにそのようなやりとりがございますけれども、拝見いたしますと、この当時はいわゆる五万円年金水準を内容とする年金の改正法案を提案いたしておったわけでございますので、五万円の問題は法案の形で実は盛り込まれておりまして、そのやりとりの中で福祉年金の将来計画をどうかということがございまして、その中で、五十年度一人で一万円、夫婦で二万円というようなやりとりがございますけれども、五万円自体は法案として提案しておったので、ちょっとお尋ねの趣旨がよく、あるいはのみ込み違いかもしれませんけれども、手元にある議事録によりますとそういうことでございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 議事録をもって詰めることができませんからあれですが、この五万円年金についてのプログラムとそれから五万円のポスターには福祉年金は別でございますとは書いてございませんでしたから、それは年金すべてについて五万円という約束をされたのではないか。国民は少なくともそう理解をいたします。そこで、そのときは七千円から一万円のときの次の段階の予定であったと思いますが、五万円に向けて努力をいたしますという約束を齋藤厚生大臣がされたことは事実であります。いま速記録を持ってきてあれするわけにいきませんけれども。  そこで、それに対してお尋ねをしているわけでありますけれども、従来日本の社会政策がいわば慈恵的な社会政策だとか、あるいは天井から涙だとか、こういうことが言われている。少なくとも日本の最低賃金といいますかあるいは最低生活の保障はきわめて低いことからそういうことが起こってくるのだと思います。それからまた先ほど老人対策について引い合いに出しましたけれども、これもそうだと思うのでありますが、そこで年金問題だけでなしに、先ほど引き合いに出しましたのは、全国一律最低賃金制がねらっておるものは、いままでのような最低賃金、最低生活の保障でなしに、その最低生活という水準は国際的な水準に変わろうとするんではないかということを尋ねたわけです。答えはあいまいでございましたが、私はそう理解をいたします。  そこで、具体的な例として、せっかく来てもらいましたからあわせてお尋ねをいたしますけれども、いま生活保護基準は四万円そこそこだと思います、これは級地によって違いますけれども。それから失対賃金も大体そういうところだと思います。ところが、このインフレの中におけるたび重なる改定の中で、だんだん、働いて同じ水準をもらうはずの失対賃金がむしろ実際には生活保護基準よりも下がっております。級地によりましては若干下がっております。そうすると、生活保護基準は十日ごと、それから失対賃金は毎日ですけれども、もらってそれで生活するのに、これは東京都の老人の一人暮らしの場合に、去年ぐらいだったと思いますが、金をもらって日数分の乾めんを買って、干しうどんを買って、毎日最低食う主食だけは確保しておる。あと残った金で毎日おかずを買ってそれで生活をしておる。それはどういうものを食っておるのか、表は出ておりませんでしたけれども、恐らく日に必要な三千カロリーをとれないぐらいの栄養であったろうと私は思います。失対賃金について私どもの選挙区で聞きますと、一週間に魚を一遍食いたいけれども、一週間に一遍サンマが一切れ食えるかどうかという実態を表現をしております。そして、それじゃ皆その賃金をもらって生活するにはどうしているかということ、あるいは生活保護をもらったり、あるいは届け出をしないやみ労働をやりましたり、実際には四苦八苦して食いつないでいるというのが実情であります。  いまの物価の中で、四万円そこそこの賃金なりあるいは生活保護基準ではそうなることはおわかりだと思うのであります。それはやはり改定すべき問題ではなかろうか。これだけ国民所得が世界の第二位になったとかなんとかいうことを言わなくとも、私は憲法に言われている精神から言うならば、少なくとも国際的に恥ずかしくない最低生活を保障するところまで行くべきではなかろうかと考えておって、そのことが全国一律最低賃金制のねらうところであるならば、それについては厚生省、労働省とも、あるいは政府としても真剣に考えるべき問題ではなかろうかと私は考えるのですが、どうでしょうか。担当の局長にお尋ねをいたします。

岩崎隆造労働省職業安定局失業対策部長

○岩崎政府委員 失業対策就労者の賃金につきましては、先生御案内のとおり緊急失対法に定めております賃金決定の原則がございます。それに基づきまして賃金審議会の意見を聞いて、それに基づいて毎年所要の改善を行ってきているわけであります。本年度四月一日から対前年度当初比二二・七%アップという過去においては最高の賃金引き上げを行っております。いま先生おっしゃいました事例でございますが、私ども一般的に標準的な失対就労者の世帯をつかまえましてそれに対応する生活保護世帯との比較をいたしますと、失対就労者の方の標準世帯の方が、若干ではございますが収入が上回っているということが試算はできるわけでございますが、今後とも失対就労者の就労並びに生活の実態を十分見守りまして、緊急失対法の定める賃金決定原則にのっとっりつつ適正な賃金を確保してまいりたいというように考えております。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 実は大臣かそれから次官か、お願いしたのですが、けさになってお願いしたことですから御出席が願えなかったのですが、法の説明、現行の制度の説明をいまここで願おうとは思っておりませんで、基本的に年金と関連をいたしますけれども、日本のいまの最低生活あるいは最低賃金というものを再検討すべき時期に来ているのではなかろうか、こういう意味でお尋ねをしているわけであります。たまたま手元に来ておりました北九州の門司の失対労働者からの訴えですが、これはまじめな人で、手紙の中にもあらわれておりますが、「私達失対労働者の生活と権利を守る戦いに何時も御指導と御援助をいただき先生に心より御礼申し上げます。さて私共賃金ですが、四万円余りでは昨年より米を初め公共料金諸物価上昇で毎日毎日赤字で生活が出来ない有様です。早々に失対賃金を三万円引上げて下さい。年度末手当もぜひぜひお願い申し上げます。一日も早く生活出来る賃金を支給されるよう御努力下さい。何とぞよろしくお願い申します。」これは九段の宿舎から回ってまいりましたから、いまごろ参ったわけでありますが、三月の末に来た手紙でございます。四万円余りでは生活できない、これは実態だと思います。それについて、これは千五百円以上、月に三万円程度の引き上げをぜひ実現をしてくださいという話でありますが、いまの緊急失対事業法というのですか、現在の法律なりそれから審議会のたてまえからしますならば、物価にスライドして何%上げていくという程度にとどまりましょう。それは昨年は二度でしたか三度でしたか、上げてもらったことも知っております。それから産炭地域について特別に配慮願ったことも知っております。知っておりますが、実際に四万円余りでは、米も上がった、公共料金も上がった、諸物価みんな上がった中で、生活ができないというのは実態だと思うのです。ですから問題は、最低賃金あるいは最低生活というものは再検討すべき時期ではないかということを申し上げているわけでありますが、その点はいかがでしょうか。

岩崎隆造労働省職業安定局失業対策部長

○岩崎政府委員 いま先生の御指摘の点、たとえば賃金の問題のみならず、失業対策就労者の現在の非常な高齢化あるいは女性が大半を占めている、それからまた就労実態等々を見まして、働いているんだというお話でございますが、その働き方、それからそういったいま申し上げたような問題も含めて、これはちょうど今年度が緊急失対法に定めます五年ごとの失対事業の検討の年にも当たっておりますので、いま先生のお話のような点も含めまして検討を行ってまいりたいというように考えます。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 ほかに大臣がおられませんから厚生大臣にお尋ねをいたしますけれども、先ほどから申し上げております日本のいままでの社会生活あるいは最低生活あるいは最低賃金といったものが、国際的に言うといま問われているのではなかろうか。日本のインフレの激しい中で問われておるのは事実だと思うのですが、それらの点については大臣としてはどういうふうにお考えですか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 私の正確な守備範囲は、いまお話の中では生活保護基準の問題だろうと思います。これについて一体いかなる金額が至当であるかということについては、人、人によっていろいろと議論があるだろうと思います。しかし私どもとしては、最近における生活保護基準の設定の仕方としては、できるだけ一般勤労世帯との格差を是正をしていこう、縮めていこうということで今日いろいろやっているわけであります。かような趣旨では今年度の二三・五%でございますか、これについて若干の格差是正には役に立っているものというふうに私は思っております。  問題は、結局物価状況との関連において一番の問題があるのではないかというふうに私は思っております。やはりこの種のものについては物価の高騰、これが大きくあおりが来るものでございますから、したがって、この点については相当注意してやらなければならぬと思っておりますが、最近ようやく前のような物価高騰の状況がないものでございますから、したがって、今後はそういうことを踏まえて格差是正については私はできるだけ努力をするし、また、そのようなことが可能になってきた客観情勢が生まれておるというふうに思うわけであります。とてもじゃないが、あの狂乱物価の時代には、幾ら金を積んでも後追い後追いというかっこうになってくるわけでございますので、ああしたことのないように、これは今後、社会保障を担当する私、閣僚としても、その意味では物価状況に非常に関心を持っているわけでありまして、生活保護水準等はできる限り今後一般勤労世帯との間の格差を縮めていくという方向でやっていこうというふうに思っています。  それじゃ、一体幾らがいいのだ、こういうことになりますが、今日ただいまの貨幣価値で幾らが妥当であるということをいまにわかに申し上げるわけにはいかぬというのが実情でございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 物価の安定と社会的公正という問題を年金法に関連をして具体的に言われましたが、現象的にはそうだと思います。現象的にはそうだと思いますけれども、日本として、日本の最低生活あるいは最低賃金、その生活の保障の水準というものが、働いているときの六〇%問題も含めて問われておる。ほかのことはとにかく世界的に一流の国並みになったが、国民生活の水準あるいは最低生活という点から言うと飢餓的な、先ほど申し上げましたけれども、最低生活を憲法で保障されているというその生活が、乾めんを十日分は買うけれどもあとは煮干しを食っているというような状態で、それで最低賃金、最低生活と言えるか、この点を問われているんだと私は思うのですけれども、厚生大臣はそう考えていないで、ただ物価の急激な上昇に対応してスライドするだけの問題だ、こう言われれば、それでやめます。やめますけれども、私は、厚生大臣としてはもっと高い理想を持って善処さるべきだと思うものだから申し上げているわけです。事務屋じゃないのですから。  それではお尋ねをいたしますが、物価の上昇に伴う所得の分配面でのゆがみを是正するなど社会的公正の確保を行うと言ってこられました。これがどの程度に行われたのか。特に、問題になっております老人や心身障害者やあるいは母子家庭や生活保護世帯等厚生大臣の所管の人たち、社会的、経済的に恵まれない人たちの所得の再分配をどうされたのか、あるいはまたこれで十分なのか。私は十分だとは思いませんけれども、今後これら恵まれない人たちに対し、社会的公正を確保していくためにどのようになさるのか、それをひとつ承りたい。

翁久次郎厚生省社会局長

○翁政府委員 お答え申し上げます。  物価の上昇に関連いたしまして、いわゆるひずみ是正と申しますか、生活保護世帯、老人、身体障害者、こういったいわゆる弱い立場にある人々に対する所得を中心にした是正対策、この点についてでございますが、厚生省全体の予算の額といたしましては御承知のとおり三兆九千億、約三六%増の中にこれらの対策を含めておるわけでございまして、生活保護につきましては、先ほど大臣からも申し上げましたように保護基準のアップ、特に五十年度におきましては四級地の撤廃を二年計画でやっていくということを主な内容といたしまして、標準四人世帯の一級地におきましては七万五千円平均の所得が保障されるようにいたします。また老人につきましては、老人福祉年金につきまして約四千六百億、それから一般の老人の対策といたしましていわゆる老人ホームの増設、それから老人のホームヘルパーあるいは介護人、こういった人々の処遇の改善ということを含めまして二千二百億、それからまた身体障害につきましては、新たに今年度から、重度の身体障害あるいは重度の精神薄弱であって常時介護を要するような人々に対しまして月額四千円、三十万の人々を対象といたしまして、これらのもので約三十億の予算を計上いたしたのであります。  かような次第でございまして、そういった所得を中心に考えてまいりますと、年金とあわせて在宅対策、施設対策というものを中心に、物価等に影響を受けやすいこういった弱い立場にある人々に対する施策をできるだけ充実してまいる、また、今後ともこういった施策については重点的に進めてまいりたいというのがわれわれの考えでございます。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 現状についてはいま社会局長から申し上げたとおりでございますが、今後のあり方といたしましては、さっき冒頭、田中委員との間の質疑応答にありましたように、やはり今後の財政状況等もにらみ合わせて考えなければなりませんが、私としては、できるだけ社会保障水準の充実に努めなければならないと思っております。特に、こうした中にあって一般財源を当て込む対象といたしまして、いま申したような方々に対する救貧政策——まあ、近ごろは救貧より防貧へというふうなスローガンも掲げられておりますが、第一にこうした人たちに対する施策に厚みをかけていかなければなるまいというふうに思っておりまして、今後社会保障を充実させる場合に厳しい政策の選択ということが必要であると言われておる中にあっても、選択される項目としては、こういう方々に対する施策というのはこれを最重点に追い込んで今後やっていかなければなるまいというふうに私は思っておるわけであります。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 社会局長、それから大臣から御答弁がございましたが、特に大臣は、先ほど来、物価の上昇に対して社会的公正の確保については努力をしておる、こういうお話がございました。いかにも功を得々とおっしゃべりになりましたが、老人ホーム、特に特別養護老人ホーム、それから重度身障者の施設、そこでどういうことが起こっておるか御存じでしょうか。島田寮育園では、園長が骨を埋めるつもりで参っておりましたけれども、ヘルパーやあるいは寮母やらの職業病——一対一で計算されておりますけれども、実際には一対一になりません。これは二交代なりあるいは二交代以上の仕事をしなければなりませんから、休みがとれないで、入って二、三カ月したら腰痛を訴えているのが実情であります。これは担当の局長に、来て、自分で生活してみなさい、一週間でもいいから一緒に生活してみてくれ、こういう要望があります。あるいはわれわれにも来ております。先般、私島田療育園には行くことができませんでしたけれども、千葉のベテスダホームは自分で見てきました。それから京都の二つの重度身障者の施設からは、来られまして、そういう強い訴えがございました。この物価の上昇に比べて、あるいは措置費をスライドさせているのだ、あるいは予算をこれだけ計上しているのだという説明がございますけれども、その物価スライドの制度が——それぞれの重度身障者の施設については、担当の局長、課長に来て見てくれと言うぐらいにその従業員にしわ寄せされている。そのことはまさか担当の局長は御存じないことはないと思います。ですから問題は、するだけのことはしている、あるいは物価にはスライドしていると言うけれども、実際の生活水準は下がっておる。それが療母やあるいはヘルパーやらにしわ寄せされている。これは御存じでしょう。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 いま私がいろいろやっている施策について得々と誇らしげに申した——私はちっともそういうことは申しておりません。今後やるべきものはさらにやらなければならない課題を背負って努力をいたすということを申しているわけであります。  問題は、物価の問題といまおっしゃった問題とはちょっと関連があるようでまたない問題でもあります。いま重度心身障害児・者施設についてのお話がございましたが、これについては問題があることを私もよく知っております。この労働過重の解消については、今年度予算編成に当たって私非常に努力をいたしました。今後ともこういったようなことについては進めていかなければなるまいというふうに思っております。どちらかと申しますると、いままではこうした方々を施設収容することについていろいろ努力をしてまいりました。従来から見ると大分——実は私、最初にこの重度心身障害児・者施設というものを起こすときに、私、当時若い議員のときにいろいろやったのですが、その後、やってみますといろいろと制度のひずみというものも出てまいり、労働過重などという典型的な問題も出てきますので、こうしたことについて今後対処しなければなるまいという問題意識を持っておりまして、決してこれでよろしいなどということは私は絶対に考えておりません。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 物価の問題と、それから重度身障者の施設なんかにおける従事員の問題とは関係がないとおっしゃいますけれども、そうではありません。あなたは具体的に社会福祉施設についてタッチをしておられぬからそういう話をされますけれども、問題は措置費の内容です。物価の上昇とそれから生活は、これは重度身障児の収容施設であろうとあるいは特別養護老人ホームであろうとあるいは保育所であろうと変わりありませんけれども、そこに従事しておる者は生活をしなければならない。しかもその重度身障者の施設あるいは社会施設と、それから一般の公務員なり何なりの生活の問題との比較において、私の小さい保育所でもことし三人保母さんがやめてしまいました。それはやはり措置費に盛られておる給与費というものが公務員に比べてはるかに低い、あるいは私の幼稚園に比べても労働がひどい。したがって問題になる。措置費の問題と給与の問題と生活の実態の問題とは、これは関連があります。物価とそれから措置費という問題とそれからその施設の従事員の待遇の問題とは、これは関係があります。そしてそれについての十分な施策が講ぜられていないから、制度の問題は、あるいは措置費の問題は、あるいは給料の問題は、生活の実態の問題は、これは関係がございます。それらについて厚生省が十分行き届いた施策を講じられなければ、何であろうと、それは厚生大臣の責任が果たされたと言われぬのです。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 私、全然関係がないと申しているわけではないので、あるようでないようなと、こう申し上げたのは、いま先生がいわゆる重度心身障害児施設における労働過重問題をいろいろと強調なさいましたものですから、この問題に関してはいわゆる職員の配置基準の問題と対処して考えなければならぬ問題であると言うから、この点についてはいわゆる物価問題とはいささか範疇を異にする問題であるというふうに申し上げたわけであります。広く社会福祉施設全般についてはもちろん措置費の内容が、物価とあるいは生活水準というものとに対応して十分あるべき姿にしていかなければならぬということはもう言うまでもないことでございます。そうした点について改善の必要がないかと申しますれば、私は、今後とも努力をしなければならない問題があるということについては先生と全く考え方は違わないというふうに思っております。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 ですから問題は、その制度の中で、物価なりインフレの急騰の中でいかに処遇あるいは年金をスライドするだけでなしに、やはり最低生活あるいは最低賃金という問題が問題として考えられておる、再検討されておる。あるいは老人問題、心身障害者の問題、母子世帯の問題あるいは生活保護の問題云々という点については、物価順応ということではあるけれども、人権という問題が基本的に問われておる、基本的に再検討を要請されているのではないかということを申し上げているのですが、それを、物価の問題と重度身障児のサービスの問題とは違う、こう言われるから、さかのぼって論議をしたわけであります。わかりますか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 ええ、もうよくわかっておりまして、御説明がいろいろ飛ぶものですから話が散り散りになるわけでございまして、私どもとしては物価問題をただ後追いするだけでは主管大臣としての責めは果たせない、できるだけ内容を向上、充実しなければならないという問題があるということはもう間違いがないわけであります。したがって考えていることは同じじゃないかと思うのですよ。ただ説明がいろいろ動くものですから、したがって議論がこうなにいたしまして……。大体私どもとしては今後そうした問題について施策の充実を図っていって——現状を維持するだけではだめだということだけは、私は現状維持すればそれで十分だなんということは毛頭考えていない。できるだけ充実、向上させなければならぬということについては私も十分意欲があり、今後とも努力をいたしたいというふうに考えております。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 大分わかっていただいたような答弁でございますが、十分じゃないことは問題なんですけれども、問題は人間取り扱いの人間の評価の問題、それから人間的に取り扱うについては、個々の問題について、あるいは年金の問題についてあるいは重度身障者の施設の問題についてどうしなければならぬか、そこにさかのぼって謙虚に実態を見られればおのずから解決の方法が出てくると私は思うのですけれども、足らぬことはわかっているけれどもこれだけ努力をしているのだと、その功の方が先になれば、十分な事態はありません。それを申し上げているのです。  ついでに申し上げますけれども、人間の命はあの全日空の墜落事故から、あれは自衛隊がぶつけたせいもありますけれども、これは二千万円に上がってきました。おかげで人の命が上がってきました、逆説的に言いますと。ところが人間なら人間の尊重の点から言いますと、まあ引き合いは最低生活とか最低賃金とか、あるいは重度身障者の施設とかということに関連をしてお尋ねをしましたけれども、問題は、私は人間の取り扱い、人間の尊厳、人間の価値というものをどういうぐあいに保障するかという問題だと思うのです。もしそこにお気づきになるならば解決はおのずから方法はあると申し上げて、先に進みます。  日本の人口構造の中で、急激な老齢化と核家族化が進んで、高齢化社会の到来を迎えたということはみんな認めているところであります。さらにこのことは進むでございましょう。そして、その中で老人の福祉問題が大きくクローズアップされてまいりました。中にも、所得の保障の役割りを果たす年金制度が重要な課題として国民の関心をますます高めたことも、これは万人の認めるところであります。今日の日本を築くために貢献をした老齢者が、目覚ましい経済の成長にもかかわらず、激しく変動する社会経済情勢の中で、高物価の不安定な条件のもとに、不安な生活を余儀なくされていることは、これも万人の認めるところであります。  このような老齢者にとって、日々の生活が一番大切な問題でありますが、年金で生活が保障されるように改善されるべきであると思いますけれども、その年金制度に対して、政府はどのように考えておるか。先ほど私が申し上げました理想としてというのですか、あるべき姿としてということだと思うのです。念のために申し上げますが、福祉年金について言えば、一万二千円まで思い切ってした、こう言われますが、これは前々回の選挙のとき、いろいろ各党言われるけれども、私どもは今日の生活から言って、あるいは家族のところにやっかいになっている、あるいは孫の相手をしたりしているけれども、実際にいま——これは数年前ですよ、三年前に総選挙やりましたが、その二年前のことですから五年ほど前のときに、理想はいいから、いますぐに二万円、三万円の年金は何とかならぬだろうか、こういうお話がございました。私はそのときに浪人をしておりましたが、孫に会うのにじいさんが何もおみやげ持っていかぬようでは、これはいいおじいちゃんにはなれない、正直に申し上げまして。厚生大臣はお孫さんがおありになるかどうか知りませんけれども、孫におみやげもやれぬようなじいちゃんでは、じいちゃん、じいちゃんとは言わないのが今日です。一万二千円の年金をもらって、たばこを吸う人ならば、恐らく一万二千円の大半はたばこで済んでしまうでしょう。あるいは晩酌の一本も欲しい人は、それで済んでしまうでしょう。恐らく余力はないと思うのですが、一万二千円まで思い切ってした、それもわかります、財源からすれば。三万円にせいという田口君の質問に対して、それだけ出せば一兆何千億要る、こういうお話もありました。しかし、お年寄りが今日置かれております実情をお考えいただいて、一万二千円で済むとはよもやお思いにならぬと思うのですが、どういう程度にいたしたらよかろうか、具体的な財源とかなんとかという論議は後でいたします。どう考えられておりますかをひとつ改めてお尋ねいたします。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 老齢福祉年金、これをどういうふうに持っていったらよろしいだろうかという御質問でありますが、私はできればこれは多いにこしたことはない。ただ拠出制年金とのバランスの問題などというものも技術的にはございますが、やはりもっと差し上げたいものだという気持ちでいっぱいでございます。しかし、このことはやはり財源との問題と切り離して申し上げるわけにはいかないというのは、私は現実に行政をとり行っておる、責任を持っているものですから、したがって、この点について私が苦慮しているわけでありまして、適当な財源を求めることができるならば、いま少しもっとこれは金額をふやしたいものだというふうに思っていることは間違いがございません。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 日本の年金制度は諸外国に比べて歴史が浅いせいでもございましょうが、現在の老人のうち、本来の姿である拠出制の年金受給者は最近増加はしておりますけれども、加入者に対する受給者の割合は昭和四十九年現在国民年金で三・八%、厚生年金で三・四%と聞いております。外国に比べて著しく低いわけでありますが、外国の実例は私が述べなくても御承知のことでございましょうから申し上げません。拠出年金制度を補うために設けられた老齢福祉年金の受給者が大多数で、七十歳以上の人口の七八%がもらっておる。約四百万人に達しておるということでありますが、福祉年金額のことしの改正は月七千五百円を一万二千円に改善したとございますが、一日にすれば約四百円。少なくとも、先ほど申し上げましたように、老人の現状からするならば、田口議員も申しましたけれども月三万円に引き上げるべきではないかと思われますが、重ねてその点をお尋ねをいたします。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 さっき私が申したように、いまの一万二千円で私は満足しておるわけじゃございません。もっとできれば差し上げたいものだというふうに思っていることは間違いがございません。しかし、これを一体幾らの金額を出したらよろしいかということは、これは社会情勢、経済情勢、賃金状況等々と関連いたしますし、拠出制年金、特に例の経過年金との関連においてこれも金額を策定しなければならないというのも事実だろうというふうに思うわけであります。  しからば、一体一万二千円以上これを支給する場合、どういう財源で支給するかということについて、これは先ほど田中委員にも申し上げましたが、一般会計のみに依存をする従来の制度では余り多くを望めないということは間違いがないと思うものですから、したがいまして、何らか他の財源を求めにやならぬ。それを一体皆さんが喜んで拠出をしていただけるかどうか。(川俣委員「財源ありますよ」と呼ぶ)この点について私どもは最も苦慮しているところでございまして、そうしたことを今後上手に理解と納得を得てやれるものならば、私はいまの金額よりももうちょっと、いまのようなペースでなしに、もうちょっとふやしたいものだというふうに思っていますが、どうもその点について今後さらに努力をしなければなるまいというふうに思っているわけであります。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 この拠出年金は昭和四十八年の改正で月五万円、昨年の物価スライドで六万円、五十年度は物価スライド見込みで七万円に上っていきますが、それを妥当と考えられておるのかどうか。それから福祉年金の受給者について言いますと、三万円にすると一兆八千億かかる。それが一般財源から出すのが無理だというお話ですが、私は同僚議員のやじの中にもございましたけれども、いまの予算の中でも財源を見つけようとすれば見つけられぬことはないと思います。国際的な緊張緩和の中に、果たして防衛力の漸増がいまのように必要なのかどうなのか。これは国の外交を含みます国の基本方針に関連することでございますが、しかしそれを抜きにしても、いま言われますような、国民全体がお年寄りに対してどれだけ年金を差し上げるべきなのか、その負担を税金の中でするかどうかという問題は、私は福祉国家建設の熱意があるならば不可能なことではないと考えます。みそ汁の冷えぬところに老人を置くという話もございますが、これは住宅政策その他にも革新市長のところにだんだん出てまいっておるところです。ですが、これはお互いに自分のことに関連をしても、あるいは子供のことに関連をして、国民全般として社会あるいは国家に貢献をした人たちをどう処遇しなければならぬかという、やはりこれは社会福祉の中の重要な一環として考えるとするならば、三万円の年金というものもそう高い年金でもないし、またそのために国民が負担するとしてどういうことを考えるかということは、私は制度審議会等に諮問されれば出てまいらぬこともないと思うのです。それらの点について前進をしようとするのか、あるいはもうこれ以上のことはできないということで後退をするのか、私は厚生大臣の決意いかんにかかっておると思うのですが、その辺はどうでしょう。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 さっきから申しているように、私は前進をいたしたいというふうに考えていろいろと努力をしたり苦労しているわけであります。まあしかし、その財源を見つけられるという御意見もありますが、またこれについては、理論上見つけられても実際上これができないという場面もないわけではございませんが、いろいろと皆さんの御協力をお願いいたしまして、何とか福祉年金についてはさらに、給付水準を引き上げたいという気持ちでいっぱいであることは間違いがございません。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 それじゃ、地方自治体はみんな敬老金を出すのに、あるいは社会施設に何らかの拠出をするについて——自治体はあるいは年金こそ出しませんでしたけれども、敬老金というような制度がございまして始まったり、あるいは医療の無料化が始まったり、いろいろしております。それについて支持はあっても、私は批判はなかったと思う。四年前のわが県における知事選挙の論争を見ますと、七十歳以上の医療の無料化をやったら国から援助がないから、自治体ではできぬという話がありました。それがだんだんやっている間には県民の支持を得て、とうとう七十歳以上の医療の無料化をやらざるを得なくなった。老人に対する一般の感情というものは私はその点に出ていると思いますが、国民の負担で出すほかないということはもう間違いございません。間違いございませんが、それは私は制度上の政治の姿勢、政治の信念に関連すると思うし、最低生活をどの辺に置くかという問題とも関連してくると思います。問題は、福祉国家を実現をしたいというならば、憲法の言う最低にして文化的な生活というものをいまよりもやはり上げることでしょう。上げることについてどういう具体的な方法をとるかという、ここでの論議の問題ではございませんけれども、問題はその水準の問題だと私は信じます。具体的にどういう制度、どういう国民負担を通してということまでは参りませんから、決意だけを伺っておくことにして先に参ります。  次は拠出年金の水準の問題ですが、公的年金制度の中核であります厚生年金は、昭和四十八年度改正で年金の水準を平均標準報酬月額の六〇%、五万円年金にするとして、西欧諸国に比べて遜色ないとしておられます。現実に支給されている年金額は五万円よりも低くて、昭和四十八年で一人当たり平均額が三万八千円と聞きます。その後の物価スライドで昭和四十九年一六・一%、約四万四千円、それから昭和五十年度見込みで二二%アップ五万三千円となると聞きます。このように拠出年金の水準を引き上げられてはおりますが、生活できる年金にはやややはり距離があると言わざるを得ないのではないでしょうか。少なくとも最低生活保障として夫婦六万円の年金を確保するように努力すべきではないかと思いますが、これらの点についてどうお考えになりますか。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 最低保障六万円というお話でございますけれども、厚生年金の年金額算出の仕組みが、御案内のように定額部分と報酬比例部分ということになっておりまして、実際問題としましてはこの定額部分と報酬比例、一番低い標準報酬で計算された額が老齢年金のいわゆる最低保障になっておりますし、それから障害、遺族等につきまして、それぞれ定額部分を基礎に最低保障を行っておる。これを六万円ということでございますけれども、これは来年度の改正の一つの問題点にはなろうと思いますが、具体的に六万円ということは、いまの定額部分のウエートをどうするとか、そういう基本的な事項にかかわってくる問題でございますので、なかなかここで簡単にその水準をどうこうするということを申し上げるのはむずかしいのではないかというふうに考えております。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 先ほどから説明を聞いておると、事務当局は、法律はこうなっておるから——その法律なりあるいは手続法、政令その他については、それは厚生省で決められるわけでしょうが……。幾らもらわなければ生活ができないかという問題は、これは理論的に計算をして、それに至る過程をどうするか、それが私は厚生省の立場でなければならないと思うのですが、いま数字を上げましたところで言いまして、五万円でいま生活ができますか。四万円の生活の水準を先ほど申し上げました。乾めんを十日分なら十日分、米を十日分なら十日分だけを先に買っておく、後は残った金で生活をしていく、そうするとやはり栄養の一つとして煮干しも食わなければならぬような生活の実態だと思うのです。四万円という水準は。五万円は四万円よりも一万円多いことは事実です。事実ですけれども、生活に余裕がないということは、これはもうはっきりわかりましょう。そうすると、最低生活として夫婦六万円は必要ではないでしょうかと聞いたら、厚生省のことだ、生活局もお持ちだ、それならどのくらいに拠出年金の目標としてはしなければならぬだろうか、それに必要な掛金とそれから積立金のスライドでするならば、後はどうしようかという方法を考えるべきだと思うのです。その目標の金額について、五万円で生活ができるか、幾らでなければならぬかという例として六万円というものを出したのですけれども、事務的な答弁じゃなしにお答えを願いたい。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 幾らの水準の年金を年金制度として確保するかというのが、まさしく年金制度の一番大事な問題であるわけでございますが、それぞれの制度で年金水準を設定する際に、これはやはり一方で負担との見合いという問題がございますので、一概に多ければ多いほどいいということだけでは律し切れない。しかしながら、年金制度の趣旨、目的から言いまして、少なくともそれで相応の生活はある程度めどがつくような水準でなければならぬということは当然と思います。  そこで六万円の問題でございますけれども、私どもは、いまの生活扶助基準等のバランスから言いましても、先ほど来申し上げておりますように、厚生年金につきましては四十八年度設定された六〇%という基準、こういった基準が国際的な比較におきましても相応の水準であると考えておりますので、いま直ちに最低保障として六万円ということを持ち出すことについては、やはりかなり困難な問題があるのじゃないかというふうに考えております。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 厚生大臣にお尋ねしますが、いまの年金局長の答弁によると、いま日本で出しておる拠出年金はそもそも敬老年金なのか、敬老の気持ちで出しておるのか、それとも生活年金なのか、こういう設問に対しては、生活できるような年金、こういう答弁でございましたね。(「選挙年金だ」と呼ぶ者あり)まあ敬老年金でも選挙年金でも構いませんが、名目的に出しているのか、それで生活ができるように出しているのかという点については、生活ができるようにという気持ちだといま答弁がありました。これは、老人問題懇談会は政府の何か諮問機関としてつくられた懇談会だと思われますが、それにもやはり「本来の所得保障機能が十分に発揮されているとは必ずしも言いがたい面がある」こう書いてある。ですから、所得の保障には不十分だ、あるいは生活には不十分だということがこれには書いてある。年金局長のいまの説明は、いまの制度から言えば標準報酬月額の六〇%、それが国際並みだ、こういう説明ですけれども、そういうことを聞いているのじゃなくて、拠出年金でいまは標準報酬の六〇%、五万円年金ということだが、それは後で物価スライドして、昭和四十九年には一六%アップ四万四千円、五十年度には五万三千円となっているが、それでいいのかどうかということを厚生大臣に聞いているわけです。いかがでしょうか。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 ちょっと誤解があるといけませんから……。私はあくまで拠出制の国民年金、厚生年金の水準を先ほど申し上げましたのでございまして、福祉年金のレベルにつきましては再三大臣がお答えいたしておりますように、現在の仕組みのもとではまだなかなか生活保障的なところまで行きつくのは非常にむずかしいということでございます。  その厚生年金の場合、先ほど三万八千円、四十八年当時の教字を挙げられましたけれども、一番新しい、最近の一月の時点で見てみますと、この一月に初めて厚生年金を受け取ったという人が男女全部合計いたしまして約一万三千人でございますけれども、一月月間でこれが四万八千円強でございまして、その中でこの一万三千人のうち男子だけ取り出しまして、しかも男子の二十年以上の年金——二十年以上が本来の年金でございますから、二十年以上だけ取り出して見てみますと、一万三千のうち約五千件ございます。これが五万七千円を上回っておりますので、スライド等のあれもございますけれども、これに今後さらに本年八月からまたかなり大幅な物価スライドがあるわけでございますから、私どもとしては、こういった数字からながめましても、まあまあかなりの水準にまで行っているのではなかろうかと考えております。直接お答えになっておらぬかもしれませんけれども……。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 それじゃスライドの問題と関連して聞きますが、私も実は炭鉱会社におりまして厚生年金を掛けておりました。その当時は、これは年金かもらえるようになったら——その後やめましたからどうなったかわかりません。わかりませんが、その問題は後でお尋ねいたします。厚生年金を掛けておれば、これは退職して老人になったら生活ができる年金がもらえると考えました。炭鉱の場合には十年という特別措置が講ぜられました。しかし十年たったら炭鉱でもう働けなくなる、特に坑内夫としては働けなくなりますが、そのときには炭鉱で働かなくても私は年金をもらって暮らせる、安楽に暮らせるか、左うちはで暮らせるか、そこはわかりませんけれども、とにかく最低限度暮らせると思った。そして坑内労働に従事をした。それは坑内労働に従事し得るようにということで厚生年金という制度ができた。ところが、いま言われた二十年たってもらえる金は五万七千円ということですが、それは先ほど申し上げましたように、掛けた人の中から言いますと三・何%。そしてその三・何%といういわば恵まれた人が、経営も続いた、事業も続いた、そこで五万七千円。おそらく炭鉱で言ったらいままで続いております三池炭鉱しかないでしょう。おそらくないと思います。三池炭鉱で坑内で働いておった諸君が五万七千円で、果たして生活ができるかどうか。     〔菅波委員長代理退席、住委員長代理着席〕いわば安穏に暮らせると思った労働者が、これはインフレ、物価のせいではありますが、五万七千円しかもらえない。あるいは、さっき言われましたけれども、それよりももっと低い人があるかもしれない。インフレというのはそういう意味で、働く者にとってはあるいは老人にとっては、相当の賃金のディスカウント、実質平価の切り下げを強制しています。それは田中さんの過剰流動性を投資に使わせたかどうかといったようなことは抜きにしましても、少なくとも労働者のせいじゃない。これは政府の責任に関することはもう当然のことです。訴訟をしても私は勝つと思う。訴訟が起こっておると思いますけれども、それについても所見を伺いたいと思いますけれども、これはやはり何らかのスライド制をとられて、そのスライド制が国民に、労働者に、あるいは拠出年金を掛けた人間に対しては、実質的に損害を与えないだけの措置が私は政府としてなされなければならぬと思います。それにはどうするかという問題をひとつ伺いたいと思う。これは技術的な問題だけではございません。大臣にも答弁を求めたいと思いますけれども、年金局長に最後に答弁を願うにしても……。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 拠出制年金はいろいろな問題があることは私もよく知っております。たとえば非常に低い標準報酬で働いてきた人たち、あるいは短期の受給者、あるいは過去において拠出制年金に入ることのできなかった、言うなればいまの福年受給者、こういったような方々に対する問題はいろいろあるというふうに思っております。これをどう改善していくか、それを改善する場合の費用を一体どこからどういうふうに求めていくか、いろいろ問題がたくさんあるわけであります。ですから、いまいろいろとわれわれは改善について苦慮しているわけであります。いま端的に言ってインフレーション、物価によるディスカウントという言葉をお使いになりましたが、デバリュエーション、こういったものについてわれわれは物価スライド制を数年前に導入をお互いに国会でいたしました。これである程度のことはできますが、しかし不十分な点は例の財政再計算期においてこれをカバーしていこうということでありますので、最近の経済情勢等を考えまして、私どもとしては財政再計算時を、五十三年を五十一年に繰り上げたという趣旨もそこにあるわけであります。  基本的に一体年金額をどの程度にしてよろしいか、これについてはいろいろと議論があるだろうと思います。理想的にはこれで一応の生活ができるような年金額を設定すべきであろうというふうに思います。これについても、さっき言うとおり非常に低い標準報酬の人あるいは短い期間しか拠出のできなかった人についてどう扱うか。しかし、フルに資格要件をなにし、標準的な標準報酬をもらっておる人について、これで全部生活ができるようにということを今日までわれわれは考えておったとは実は残念ながら言い切れないわけであります。過去における歴代の厚生大臣の答弁等を見ましても、ほぼ生活を支える、生活に資する程度の年金という言葉を使っておったようであります。私はその辺に、そういう意味で歴代の厚生大臣の実際の支給金額との間の説明に苦慮しておる姿がにじみ出ているような気がいたしますが、私どもとしてはできるだけ制度の改善をいたしまして、ほぼ生活をするに足るような年金に今後これを改めていかなければならぬというように思っていますが、要は一体どのような給付水準、それに対応する一体どのような保険料を出してもらえるかということについて、今後われわれはお互いに努力をしなければなるまいというふうに思います。いまの年金、これは国年も厚年もですが、修正積み立て方式をとっているわけですが、この修正率は非常に高いということも皆さん御案内のとおりでございます。一体この修正率をこれ以上広げていっていいかどうか、これについてもいろいろ問題がある。それじゃ財政方式を切りかえる、これについてもいろいろと問題がある。しかし、そんなことをあれこれ言っておったんでは制度が前進しませんから、お互いに努力して勇敢に、前進するよう取り組んでいかなければなるまいというふうに私は思っております。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 ここに四十八年十一月十九日の大河内一男さん、総理府社会保障制度審議会の建議「当面する社会保障の免機回避のための建議」ということですが、これは日付が四十八年になっておりますからおととしです。おととしの十一月に出された中に具体的に書いてございます。これについてはどういうふうにされたのか伺いたい。その三ページから四ページにかけて書いてございますが、「その後における事情の変化等を考慮に加える措置を講じ、また国庫や事業主の負担を増加すること等を検討するなど所得再配分を強化する方向で、従来の社会保険の発想を転換する工夫が必要である。」と書いてあります。その中における、国庫の負担を増加する等というのは、これだけのインフレ物価高が政府の責任において起こったのですから、国庫も負担を増加する等ということを具体的に考えていいのではないかと私は思うのです。というのは、訴訟を起こされてインフレの原因がどこにあるかを明らかにすれば、それまでのものははっきりせぬかもしれませんけれども、過剰流動性以降のこれは明らかに政治の責任ですよ。恐らくこれは異議がなかろうと思うのです。そうしますと、裁判上でもやはりこれは国が責任を負わなければならなくなると私は思う。私も法律家の一人です。弁護士ではありませんが、法律は多少知っているつもりであります。ここに書いてありますが「国庫や事業主の負担を増加すること等を検討するなど所得再配分を強化する方向で、従来の社会保険の発想を転換する工夫が必要である。」云々と書いてあります。私は自分で覚えておりますが、長男と次男が生まれたときに、高等学校までは郷里で出せます。しかしほかの土地にやって、京都や東京にやって大学に入れると、そのときには三年間でやはり五千円ぐらい必要です。一万円の保険に入っておって、二十歳になったら解約しても五千円は手に入る、五千円あったら大学に入れられると思った。そうしたら、実際に二十歳になったときには、一万円では一カ月の下宿代にもなりません。払い出したけれども、そのときに笑うたことがある。そしてそのときに、もう保険には入らぬという話を家族としたことがある。昔はそれで済んでいる。あるいは戦争中の保険の金額の減価はそれで済んだかもしれません。しかしいまはもう済みませんよ、訴訟が現に行われているように。そうしますと、その減価に対する国の責任というものを果たさなければならぬと思う。大河内さんも「国庫や事業主の負担を増加すること等を検討するなど」云々と書いております。その後ろの方には、さらに「年金における自動スライド制の採用や、年金額の算出の基礎となる過去の報酬を再評価する方式の確立等は、その適例である。」と書いてある。過去の報酬を再評価する。いま七、八万なりあるいは十万近く取っているとして、その六割として五万幾らになっているかもしれませんけれども、過去の標準報酬を再評価する等の方法は、これはやはり考えなければならぬ具体的な例だと思うのです。そして「年金額の実質価値の低下を防ぐためには、減価の補てんその他財政方式についての根本的な検討を加えなければならない。なお、当面積立金の運用については、インフレヘッジのためにも、現行より幅広い方策を早急に検討すべきである。」云々と書いてあります。具体例がここにばっと出ておる。これは四十八年の十一月に出たものですが、そういうものをどういうぐあいに取り入れて再検討されたか承りたい。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 御指摘の四十八年の、これは建議書というふうに理解しておりますけれども、盛りだくさんの御提案がいろいろとございまして、いまお述べになりましたような具体的な提案もあるわけでございますが、この中で、たとえば物価スライドの問題は、先ほど申し上げましたように四十八年以来確立されておりますし、過去の標準報酬の見直しの問題、これは四十八年時に初めて統一的な再評価を行ったところでございますけれども、その際、その再評価の仕方につきまして御意見があったことも承知しておりますが、これにつきましては、来年度の制度の見直しの際に、やはりもう一度再評価ということを考えなければならないのではないか。そういうことによって、スライドに続いて、再計算時における標準報酬の再評価ということも、そういうことであれば一応定着するのではないかというふうに考えております。  その他の事項につきましても、来年度の改正に参考となり得るものは十分尊重してまいりたいというふうに考えております。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 せっかく一生懸命に出した建議を、盛りたくさんという言葉で一蹴をされましたが、四十八年に出たものを、具体的な方法についても、文句は知っておったけれども実際には幾らか取り入れた、今後来年度の改定の際には、あるいは所得の再評価という方法も加えながら、再検討しながらもう少し考慮したい。こういう答弁である。その心臓の強さといいますか白々しさにあきれ返るのです。それは考慮せぬよりかましですから十分考慮してください、こう言いますけれども、その真剣味のなさにちょっとあきれ返りましたね。もう少し真剣に考えてくださることを、せっかくの高給を取っておられる局長のことですから、お願いをしておきます。  それから、これもほかにも言われたかもしらぬと思いますが、私は別のところで読みましたけれども、このスライド制について昨年同様実施時期が繰り上げられましたけれども、実際とのずれがございます。それを考慮するならば、年度の当初に短縮すべきではないかという意見は方々で聞くところですが、これはいかがでしょうか。

河野義男社会保険庁年金保険部長

○河野(義)政府委員 年金のスライドの実施の問題につきましては、事務処理体制からくる一定の制約がございます。現在四百万人の年金受給者の裁定、支払い、それから五千万人の記録の管理、そういったことを業務課を中心に処理しておるわけでございますが、その中で、そういう恒常業務を平時に処理しながら、かつスライドの実施時期を繰り上げるということでございまして、現在の事務処理体制からいたしますと、国民年金につきましては一月を九月、それから厚生年金につきましては十一月を八月ということが精いっぱいの状況でございます。  今後の事務体制につきましては、先ほど申しましたように、コンピューターの関係の専門職員を確保し、教育訓練いたしまして、スライドの実施時期の繰り上げ、タイムラグの短縮については、そういった要請にこたえ得るよう努力をしてまいりたいと考えております。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 時間がそろそろ迫ってまいりましたから少し急ぎますが、いまの拠出制度から賦課方式に直すべきではないかということは本会議の質問にもございましたが、私は、物価スライドの点から言っても、それから財源対策から言っても、これはもう世論になっているのじゃないかと思うのですが、厚生大臣、どうでしょうか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 私ども、賦課方式という方式については否定をいたしておりません。今後の年金の財政方式としては大いに検討に値するというふうに申していますが、私の気持ちはもうちょっと強いので、検討どころか、今後はこれを導入するような方向で考えるべき方式だというふうに考えております。しかし、いつ、いかなる範囲で、どういうプロセスでこれを導入するかということについては、しさいな検討が必要であるというふうに思っているわけであります。何を一体どういう範囲で賦課方式をやろうかということを皆さんとともに考えてみたいと私は思うのであります。完全な意味の賦課方式、これはヨーロッパ等でやっているような、あのようなものが今日にわかにできるかどうかということについては、これは現実を当たってみてよく考えてみなければなるまいと思いますが、しからば一体、今後部分的に賦課方式をやって、次第に賦課方式にならしてやっていくというようなやり方についても、これは検討しなければなるまいと思っております。しかしこの場合、賦課方式というのは自分のために保険料を拠出するわけではございません。つまり、自分らよりも前の世代の人たちのために金を拠出するというのが賦課方式でございまして、こういうことについて現在の拠出者が一体どのように理解を示してくれるだろうか、これが観念的には私どもはよくわかるわけですけれども、現実の現場に当たりますると実は異論を唱える人がちょいちょい見られるわけでございまして、私どもとしてはこれはよほど今後やはり努力をし、説得をしなければならぬ。本当にこれは冗談じゃないのでありまして、私どもとしてはこの問題について、言うていることと現実の現場の問題とが違っているという場面に逢着してはっとすることが実はあるわけでありまして、こうした問題についてはお互いにひとつ努力しなければなるまい、それを乗り越えてこそ初めて賦課方式に進み得るものだというふうに思っているわけであります。たとえば、厚生年金の財源についてはおれたちのものであって、ほかの者にはこれは使わせないとか、おれたちの保険料はわれわれのところにだけ返ってこなければいけないので、他のグループの者がこれを使っては困るのだなどという議論が、これは責任のある立場かどうかは知りませんけれども、一部にそういう声が聞かれるなどということは、一体賦課方式というものについての御理解がどの程度であろうかということについて私どもとしては心配をしているわけです。(「それじゃ永久にできないよ」と呼ぶ者あり)しかし、そういうことをおっしゃるのじゃ、いま不規則発言があるように永久にできなくなる。したがって、この問題を私どもはどうやって乗り越えるか、何とかやりたいものですから、私どももそういうことについていろいろといま努力をしているわけであります。これはみんなの問題として、私は否定はしない、できればそっちへ将来乗り移っていきたいと思っているものですから、私は本当のことをここで皆さんに申し上げているわけであります。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 私は、田中厚生大臣というのは大変思い切って厚生行政についてはおやりになる方だと期待をしたのです。そう理解をしておりましたが、前半は前向きですけれども、後半は後向きの議論で、イメージがこわれて大変残念に思います。前半の決意でひとつおやりになることを期待いたします。  それからもう一つ二つお尋ねしたいことがございますが、老齢年金がいまの定年退職と距離がございますね。だからいま定年の延長ということも言われております。民間でも六十ぐらいまでになっているところがだんだん出てまいりました。しかし、やめたら老齢年金がもらえることになるように、その間に時間的な差がないようにというのは等しく関係者の要望しているところですが、これはひとつ御考慮願えませんか。それが一つ。  それからもう一つ、厚生年金の年金額といいますか、厚生年金をもらっていて一遍退職をしますね、そして今度はいままでのような金額じゃなくて、たとえば公務員で言えばもらっているその恩給と、従来の差額みたいな低賃金をもらいます。日本の場合には一遍やめますと低賃金になることは事実です。これはヨーロッパあたりと違うところですが、せっかく働きますと、その賃金が決定的にさかのぼってまで影響をする。そこで計算方式等については改定を要望されていて、考えられていると思いますが、これは大変重大な問題です。  それから、三・何%という厚生年金の掛金をする仕事に従来従事しておった者が別にかわりますね。かわりますと引き継がれないというか、これは社会保険事務所のあれとも関連をすると思いますけれども、継続をされないで打ち切りになったのが大変にございます。そこで、十年なら十年かかってやめるところには減額年金制度というか、やはり何らかの方法が考えられるべきではないかということが考えられますが、その点についての御意見を承りたい。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 三つお尋ねがございましたので、順次申し上げます。  第一の問題は定年制に関連して、恐らく現在の六十歳という支給開始年齢を、定年の現状がそこまで行ってないので開始年齢を早めるべきではないかということではないかと思いますが、この問題は、先生御承知のように、厚生年金は昭和二十九年の改正で、五十五歳の開始年齢を経過期間二十年をもって六十歳に改正したといういきさつがございまして、たしか先生も当時社会労働委員会にいらっしゃったのではないかと思いますが、やはり基本的な方向としてはこれからはむしろ年齢を繰り下げることに全力を注ぐべきであって、開始年齢をこの際再び戻すということは、基本的な方向としてはいかがであろうかというふうに私は考えております。  それから二番目の問題は、かつて一部の新聞にも報ぜられたところでございますけれども、再就職して、それをまたやめて最終的に年金を受け取った際、本来的に計算された額、以前の額よりもむしろ下がるという事例、これを是正すべきではないか、恐らくそういうことだと思います。これは非常にまれな例でございますけれども、実際問題としてそういう事例が出ておりますので、これは具体的には、標準報酬の昭和三十二年以前のものを切り捨てたことに伴って起きたことでございますけれども、来年の改正におきまして何らかの形で解決いたしたいと考えております。  それから三番目の問題は、恐らく厚年適用事業所から適用外の事業所、国民年金にも加入してないというようなことで厚生年金の年金権に結びつかないという問題だろうと思いますけれども、通算制度も確立されております今日、そのように短期のものをここで救済するということは制度全体として非常にむずかしい問題でございまして、国民年金の加入という形で、一定年齢以上の方であれば非常に短期の通算年金が出るわけでございますので、やはりそういったことと対照しなければいかぬのではないかというふうに考えております。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 最後にお尋ねをいたしますが、遺族年金の問題ですね。妻だから半分しかやらぬというのは、ことしは国際婦人年ですが、これは国際婦人年の課題としてもやはり改正しなければ日本の恥になりそうだという論議を私も承知をしております。これはやはり改定さるべきではないかと思いますが、それが一つ。  それからもう一つは課税の問題です。私は参議院にいるときに、いわゆる退職金に対する課税の全廃決議をしたことがございます。すぐには全廃になりませんでしたけれども、そのとき半分になり、その後もだんだん減らしていただきました。一生かかって退職金を幾らもらうという計算をしているのに、ごそっと税金で持っていかれるというのははなはだけしからぬ話だと思うのです。それから年金についても同様です。せっかく一生働いて、これだけもらえると思って計算をしておるものを、もらうことはもらうけれども、その中から普通の税金のようにごそっと持っていかれることは酷だと思うので、これは何とか考えてやるべきだと思いますし、要すれば委員会の決議等も願えれば実現するのではないかと思いますけれども、具体的な方法はともかくとして、これはやはり考えるべきではないか。大蔵省は来ておられませんけれども、厚生省としては当然お考えいただけることだと思うのですが、その二点についてお尋ねいたします。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 第一の遺族年金における五割ということについては、かねがね答弁をいたしておりますように、これについては改善を加えていきたい。どういう範囲でどういう率で上げるかについては今後さらに詰めていきたいと思いますが、基本的には引き上げるような形で、これは五十一年度再計算時における一つのテーマであることは間違いがございません。  それから、退職金についてはこれは私どもの所管ではございませんが、年金についての税金の問題、いろいろ御意見があります。しかし、私はここで租税の扱いについていろいろと断定的なことを申し上げる立場にございません。国民の間にこうした税についてのいろいろな御要望、御意見のあることは私も知っておるわけでございまして、その点に向かってまた財政当局といろいろと協議をいたしてみたいと思っておるわけであります。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 減額のために努力をする……。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 これについては検討をさしていただくという以外に、どうも他省所管のことについて私がここで断定的なことを申し上げることはやはり穏当ではないというふうに思いますので、これで御勘弁を願います。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 それでは、時間が来ましたから終わります。

住栄作自由民主党

○住委員長代理 この際、一時十五分まで休憩いたします。     午後零時四十三分休憩      ————◇—————     午後一時十七分開議

大野明自由民主党

○大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国民年金法等の一部を改正する法律案の質疑を続けます。  川俣健二郎君。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 午前中の質疑応答も聞いておりましたが、せっかくの年金に国民各層が期待しておるのだが、しかもこの地方選でかなり政府与党の方もPRしておりましたので、私も期待してきのう出てきたのだが、これはもう一遍後半の地方選に行って、話が大分違ったと言わなければだめなのか、あるいはもう少し伺って——というのは、冗談は別にして、今回の年金制度というのは、毎年毎年改めるという自動的な、いわば事務的なというか、大臣がいなくてもできる改正、それからもう一つは、これは事務当局じゃできない制度の抜本的なというか、制度そのものを改正する、こういう二つをいま抱えていると思うのです。  ところが、大臣の答弁を聞いてみると、ここで制度を大臣が思っているように改正の方向を打ち出そうか、こういう点が非常にありありと発言の中に出ておるのだが、どうも議事録を後で見ると、恐らく何らいままでの大臣と変わりないんじゃないか、こういうようになってしまうのじゃないか。それじゃ一体これから、そう範囲を広げないで、二、三点例を挙げて、大臣の考え方を聞いて、もう少し大臣の底にあるものを——いままでの大臣とは違ってちょっと今回は見どころがあるぞと、大変田中大臣に、私だけじゃなくて、今度は政府はやる気があるのではないか、こういうように思っているだけに、いま少し聞いてみたいと思うのだが、一体年金制度というのは、やはり生命保険とか貯金のように掛けてきた金というものをベースにするのか、それとも、その年齢になったから国家保障としてやろうとしておるのか、その辺がどうも、演説はわかるが、具体的になるとしりすぼみになるので、大臣にひとつその辺を一遍聞かせてもらいたいのですがね。本会議で提案されたときに、大臣が非常に張り切って答弁されていましたが、これは今回はいけるぞ、事務当局が出した案を半分ぐらいはもう一遍検討し直せと言うぐらいの大臣になるのでないかと思ったが、どうも事務当局の方を見たり国民の側の方を向いたり——ひとつこれはいま制度改正したら時の人になると思うのだが、大臣、一遍本当の気持ちを聞かせてもらいたいと思うのです。  というのは、午前中もかなり論議がありましたが、たとえば自分の老後のために積んだ金だと思ったら、縁もゆかりもないどこかの人に使われておったということ、これはなかなかむずかしいぞというふうな考え方を持っておるのでは、これはいつまでたっても積み立て方式は直らないと思うのだね。それとも、これから積み立てるものは賦課方式の財源に使うのだよ、せめてこの程度考えておるのだから——いままでのように厚生年金は厚生年金で自分のために積み立てることをどんどんやらせているわけだから、また、今回改正して値上げしようとしておるわけだから、そうすると、やはりその本人についた年金、保険、貯金の域を脱していない年金制度になる。片や、無拠出制の方は、厚生行政の一環として、低いのだがこれぐらいやろうか、こういうように考えておるのか、ひとつその辺をもう少し聞かせてもらわないと、何ぼ論議したってかみ合わないと思うのだが、大臣にその辺をまず一回目聞いて、それから事務当局に聞いていきたいのだけれども……。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 年金についてはいろいろ問題が多いものですから、御審議の中でも、いま御提案申し上げている内容よりも来年の話の方に終始しておるようでございまして、気持ちは、私はわかるわけでございますが、何分にも明年の改定につきましては、目下政府におきましても、また審議会等でも審議中でございまして、確たる御返事ができないわけでありますが、総じて言うならば、私は拠出制年金あるいは無拠出の福祉年金についても給付水準を上げていかなければならぬものということについては、私はかたくそう信じております。しかし、どのような方法でもってその財源を調達するかということについてはいろいろと議論のあるところでございまして、これについていまにわかにこういたしますということを申し上げる段階まで来ておらないということは残念でございますが、これについてはいま少し時間をかしていただきたいというふうに思います。  しかし、拠出制年金については、これはやはりさっき言ったとおり、保険による一種の保険主義でやるものであるということは、これはもう間違いがありませんので、これの給付についてどの程度の国庫負担なり国庫補助を入れるかということについていろいろ議論がありますが、基本はやはり保険でやるというのが各国の制度の実例でもございますので、保険でいきたいというふうに思っております。  しからば、その保険料をどう取るか、これが給付水準に大きく影響をするわけでございまして、午前中に申したように、これについていままでのいわゆる積み立て方式に習熟をした被保険者のあり方というものについて、これを啓蒙し、そしてこれについて考え方を改めていただかなければ私は財政方式の切りかえということもできないというふうに思っているわけでございまして、これについていま、このようにいたしますということを申し上げることが一体いいのかどうか、現実的であろうかどうかということについて私としてはまだ決断ができないわけでありますが、先生のいまおっしゃったようなことについては私はよくわかるわけでございまして、その一部については、私はそういう方向に進むことについて努力をいたしたい、かように思っております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 いま少し、いま少しと言って各大臣方ずっと長年やってきたが、さっきの四十八年度の答申したあの文章を見ても、もう少し工夫せいと書いてある。大河内先生の社保審も、なるほどずばり、今回の年金改正は工夫が見えぬと書いてある。諮問も了承しないと書いてある。しかも、具体的にもうきわめてわかりやすく、新年度早々からスライドせい、こうずばり書いてある。全部具体的にもう少し工夫してやったらどうか——この審議会の検討というのはいまに始まったことじゃないんだよ。だから大臣、いま少し時間をかせとか来年度からとかいうことじゃないんだ。  それじゃ、午前中も盛んに言っておったけれども、財源がないかというんだ。この財源は人の金だ、こう言うんだろう。人の金だったら、いつまでたっても日本の国は積み立て方式は変わらないよ。その人の金も含めて、そうして国庫負担も含めて、会社から取るものも取って、個人から取るものも取って、そういうものを総合的に賦課方式をやろうということの大体の方向はもう出たじゃないですか。しかも、昨年の田中内閣の末期だったかもしらぬけれども、時の官房長官の二階堂さんが賦課方式を検討する時期になったと言ったら、これは厚生省が反対したのか自民党が反対したのか知らぬけれども、その発言はちょっと待ったと。それで委員会でいろいろやったわけだ。そうしたら、せめて今回こういうように直したいからひとつ法律を審議してくれと厚生省の事務当局から言われているのは、これは何も代議士同士なんか審議しなくたって大したことはないんだよ。これは事務的なことなの、大したことはないのです。そうじゃなくて、大臣が提案して委員会でこのように検討するというのは、せめて方向だけでも出してみたらどうなんだと私らは言うんだ。そうじゃないですかね、大臣どうでしょう。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 いろいろなお話がございましたが、社会保障制度審議会の答申ですが、これについてはいろいろと御注文や苦情がたくさん書いてあるわけでありまして、制度についての御苦言については、今後できるだけこれを実現するように努力をいたしたいと思っておりますが、中には正直言って本当にやれるのかなというものも若干ないわけではございませんけれども、できるだけその趣旨は生かしていきたいというふうに思っております。  そこで後段の問題ですが、これは私、先生と大体似たような考えを持っているんじゃないかというふうに思いますが、そこは、私は厚生大臣でございまして、やはりここでもって自由奔放に話をして、後ほどそれがどうも食言に相わたるということになってはいけないものですから、慎重に申しているわけでございます。したがいまして、私が考えていることを今後どうやって実現するか非常に苦慮しているというところでお察しを願いたいというふうに思います。もともとやらないつもりならば、そんな苦労はいたしません。まあそういうわけで、今後先生の考えておられるようなことについて最大の努力をしてみようということを私は御答弁申し上げることがこの際は適当じゃなかろうかというふうに思うわけであります。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 そこなんだな。どうも大臣の立場で職権的に問題がなるような発言、思っているが発言できないという、そこなんだよ。それだったら、これはひとつ、年金問題はフリートーキングの場にしてみたらどうだろうか。こういうような考え方は、大臣に聞いたってしょうがないから、これは委員長を通して後で理事会にかけてもらおうと思う。それじゃ、大臣、まず聞いておいてください、事務当局といろいろ数字を合わしてみるから。  それじゃ、共済の方は厚生省でないとすれば、それはやめますが、一体いま厚生年金、国民年金はどのくらい集まって、それで本年度どのくらい支給して、しかもその中で国庫負担がどのくらいの割合で、企業はどのくらいの割合で個人はどのくらいの割合か聞かしてみてくれぬかな。そんなに財源がないかな。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 まず費用の分担割合の方から申し上げますと、御承知のように、厚生年金では国庫負担は給付費の一般につきましては二〇%、坑内夫期間につきましては二五%というふうになっておりまして、それを差し引いた残りを、総経費のその他の部分を労使が折半して負担するということになっております。一応二〇%として計算しますと、総費用の二割は国庫、労使が残り八割を四割、四割、二、四、四の割合で国と労使が負担しているということでございます。  それで、国庫負担は、国民年金と違いまして厚生年金の場合は給付時に国庫負担が行われますので、国庫負担分は積立金として積み立てられる部分には入っておりません。したがいまして、八割の保険料相当分の収支残が積み立てられておるわけでございますけれども、その積立金の累積状況を四十九年度末見込みで申し上げますと、厚生年金につきましては九兆七千六百九十三億、国民年金は一兆七千四十億、合計いたしますと積立金累積見込み額は十一兆四千七百三十三億でございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 十一兆集まって、支出どのぐらいなの。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 まず厚生年金の五十年度の収支見込みを申し上げますと、歳入といたしまして一番多いのがもちろん保険料収入でございまして、これが約二兆三千億、それから先ほど申し上げましたこの積立金から生じます運用収入、これが約七千四百億、それからまた、先ほど申し上げました給付時における国庫負担がございまして、これが約一千六百億でございまして、その他いろいろ細かいのがございますけれども、おおむね歳入合計は三兆二千億でございます。  これに対し、歳出でございますが、御承知のようにまだ年金が成熟化いたしておりませんで、受給者が必ずしも多くなっておりませんので、保険の給付費といたしましては約一兆でございます。その他、福祉施設関係その他合計いたしまして歳出合計が約一兆一千八百億でございますから、この両者収支差し引きいたしました約二兆が新たに積立金として積み立てられるということでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 そうすると、年度末に五十年度では十四兆五千億ぐらい集まっている。二兆円足らず、一兆何ぼ支出になるわけだ。これは銀行利子としては何分だろう。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 現在の年金資金の資金運用部への預託利率は、七年以上の一番長期なものとして預託いたしておりますので、現在は年八分、八%の利息をいただいて預託するということでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 そうすると、いままで集まった金と五十年度集まる三兆円を厚生大臣に持たしたら、これは銀行利子で支出を賄えるのじゃないか。どうなんですか。人の金と会社の金を集めて、銀行利子にも満たないんじゃないの、収入に対して支出の方が。どうなんです、これは。私の言うのは、会社と個人から集めた金を厚生大臣に持たせるのよ。それを銀行へ預けるの。銀行へ預けた利子に満たないの、支出の総額が。そうだよ、見てみなさい。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 銀行預託の利子相当に満たないとおっしゃいますのは、給付費のことでございますか。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 いいですか、本会議でも議論になって、一方通行だったけれども、大臣は財源がない、財源がないということなんだよ、賦課方式に変えるのには。そんなに財源がないかと言うのだ。財源がないから賦課方式に移れないと言うのならうそですよ。財源は十分にある。大蔵省に預けた金を厚生大臣を中心にして運用委員会なら運用委員会に持たしてもらえば、そのお金をどこかの銀行に預ければ、利子だけでもいまのあなた方が考えている年金の総額よりも多いんだよ、おれから言わせると。だから財源の問題で賦課方式はできないとは言われないんだよ。大臣、そこでどうです、この問題、私の言う意味わかりますか。財源がないとは言わせないよ。それを事務当局にきのう何ぼ計算せいと言ったって計算しやがらない。私らは、国民の積み立てと企業の積み立てを集めておいて、それが財源がないとは何だと言うのだよ。それだったら、その集まった金を厚生大臣の名義で銀行に預けてみなさい、ことしあなた方が支出する年金額よりも銀行の利子の方が多くなるから。私が計算してみると、そうなんだ。だから財源がないから賦課方式ができないと言うならやめなさいよ。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 一般市中金利をいかほどに計算するか、おっしゃるようにこの十数兆の資金が仮にいま一般市中金融機関に預託をされたとすれば、おっしゃるような数字があるいは出ようかと思いますけれども、先生御承知のように、先ほど現在は資金運用部に八分で預託しておると私申し上げましたけれども、この八分になりましたのは昨年の十月からでございまして、十兆ほどの積立金はそれぞれ預託する時期が違いまして、それぞれの時期に応じて預託金利が違っておりますので、五十年度全体を平均いたしますと七分ちょっとにはなると思いますけれども、同じような意味でその市中金融機関に——もちろん仮定の問題ですから、いま仮に十数兆ということであればおっしゃるような数字になろうかと思います。しかしこの問題は、基本的には公的年金の責任準備金である積立金の管理運用をどうするかという、昔から議論されているところでございますけれども、そういう基本的問題がございますので、いまここで一般金融機関に云々ということは、計算としてはできますが、そういう基本問題があるということでひとつ御了承願いたいと思うのです。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 それは大臣に聞かせたいところです。事務当局でやれと言ったって、法律はそうなっていないのだからそれは無理だ。ただ、国民の方から言わせれば、将来われわれが年をとった後の生活の糧にするよというので、企業にも積み立ててもらい、自分も積み立てておる、国もそれに二〇%加えてある。ところが、大蔵省の資金運用部からどっちの方に行くか知らぬけれども、厚生大臣が中心になって厚生大臣の貯金通帳の名義で銀行に貯金してみなさいよ、どのくらいになると思いますか。そういうことなんです。だから大臣、財源の問題じゃないのだ。問題は、大事なのは大臣の言葉、言葉に出るのだが、なかなか国民的なコンセンサスを得られないだろう、これは自分のものだと思って積んできたのに、縁もゆかりもない人に行くという考え方のために、政府部内で、閣議でなかなか了承されないということであれば、また論議の話になるのだ。大臣、その辺どうなんです。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 現在とか今後積み立てられる積立金の運用利益の問題について、いま少しく有利に回せという話については、あるいは場合によっては——実際問題としてなかなか大変な問題があると思いますが、それは理論的には可能でございます。しかしさればと言って、これでもって給付費を将来とも全部賄えるということには実はならない。たまたま現在残念ながら受給権者が少ないものですから、運用利益でもって何か似たような数字になる。若干足りないようですけれども、まあまあちょぼちょぼの金額が出るというお話だろうと思いますが、しかし今後受給権者がふえていく場合にとてもじゃないが、積立金もふえていきますが、その運用益でこれが賄えるという数字にはならないのじゃないか。現時点の、ことしあたりのなにではかなりの金額になるだろうということは言えますが、しかし将来にわたってもう少し運用益を高める運用方法をとって、そしてそれでやれるとは考えられないということじゃなかろうかと思うわけであります。あるいはピント違いの答弁をしているのかもしれませんが、そういうことがある。  それから、さっきから、金がないから賦課方式ができないということじゃないので、むしろこれは別問題でございまして、賦課方式というのは結局拠出の金の性質の問題、いま先生おっしゃるとおりですから、この拠出する金の使途についての拠出者の理解と納得、あるいはその金額が一体どの程度ならたえられるかなどということはいろいろ問題があるということを、午前中から申し述べているわけでございます。その範囲で賦課方式的なものを一体導入するかというのは実はそこにあるわけでございまして、したがいまして、ただいまのところ、さっきからいろいろおっしゃっている運用について工夫すれば拠出制年金の拠出財源が生まれるということは、やはり長期的な視野に立って考えていかなければならぬということでございますので、これについてはいささか裨益するところあると思いますが、やはり問題の基本的な解決にならない。賦課方式の方については、さっきから先生お話ししていることは私よくわかるところでございまして、これについてはさらに努力をしなければならぬ、こういうことでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 わかった。財源がないから賦課方式に移行できないということじゃない、これは大臣それで確認するよ。日本のいまの制度というのは単純な積み立てではないのだ。やはり修正されているのだ。賦課方式の方に内容はかなり入っているのだ。  そこで、大臣がいまおっしゃった、問題は賦課方式をやった場合に受給者と積み立てる人、いわゆる若い人と老後の人との比率の問題だと思う。いまは一人を二十人くらいで養えばいいわけだ。ところが、これをどういう棒グラフで出しているのか知らぬけれども、八五年が三、四人で一人を養わなければならぬ、こうなっている。このことにはだれも賛成しない。これは違う、そんな寿命の延び方ではないと言っている。いまの七十歳前後の人は明治生まれで兄弟がたくさんおった。これからの人たちというのは、兄弟はせいぜい二人か三人、その中で生き残るのだから、それほど高年齢者と若い人いわゆる勤労者との比率は縮まらない。そこで私の計算では、事務当局はよく聞いてもらいたいのだが、いま六十五歳以上のどこのおじいちゃん、おばあちゃんにも一人に五万円ずつやるということになると、五人で一人を養わなければならぬから、一人が一万円ずつ出さなければならぬという計算になる。これを比率的に分ければ当然こうなる。どこのおじいちゃん、おばあちゃんにも五万円ずつ出すためには、働いている人が一人で一万円ずつ出さなければならぬ。ところがこれをいまの制度に置きかえると、政府と企業と個人で出した場合、個人は約二千五百円くらい出せばできるのだ。いま無拠出の国民年金を出しているわけでしょう。そういうものを全部入れると、政府もかなりのパーセント出しているのだ。だから、そういう計算をしてごらんなさいと私は言うのだ。将来のピーク時には五人で一人を養わなければならぬから、どこのおじいちゃんやおばあちゃんにも一人に五万円出すためには、一人が一万円出さなければならぬ。その一万円を国と企業と個人で分けた場合、個人は二千五百円から、三千円までいかずに二千八百円くらいでいいのだ、いま支出している金額を当てはめれば。あなた方は頭がいいのだからすぐ計算できるでしょう。どうせきょうは法案は上がらないのだろうから、それをぜひひとつお願いしたい。  それでなぜ賦課方式に移行できないのかということなんです、私らから言わせれば。その金の使い道がいまわからないのだ。大蔵省も来ていますけれども、大蔵省の方は、厚生省から資金運用部に行った金の使い道はわかるの、単年度の分は。ところが、その貸した金が戻ってくる金がどのように行き渡っているかはわからないんだ、わからなくなっちゃっているんだ、総額はわかるけれども。そういう盲点があるんだと思いますよ、今回賦課方式に移れないというのは。  それから何回もしつこく言うようだが、時の厚生大臣が賦課方式に切りかえていくべく制度改正するという、いつか宣言しなければ、いまのままの拠出制なら、国民は全部自分のための拠出だ、積み立てだと思っちゃっているよ。これでは、いつまでたったって積み立て方式ですよ、日本の国は。それはもしあれだったら、これからの積み立てているものは賦課方式に切りかえていく方向の準備の積み立てですよ、ただし、あなたの老後の生活はこれだけは保障するよということを提案しなければ、日本の国は私は賦課方式には切りかわらないと思うのですよ。その辺はどうですか。しかも去年、二階堂官房長官が、賦課方式をやる、やらなければならぬ時期だ、こう言ったときに、自民党の何とか部会か知らぬけれども、それは時期が早い、何であんな発言したか。そのときに大臣は、その自民党が党の立場で検討したんだろうけれども、どこができないんだ、あなた、聞かしてくれよ。そんなに現実離れしたことをわれわれ四野党が言っているというんなら、これはこっけいだから、恥ずかしいから……。おれはそうじゃないんだと思うよ。どこにその賦課方式ができないかという理由を、少し明らかにしてもらわなければ困るんだな。どうですか、大臣。はっきり言ってくだざいよ。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 先生のいまの御提案と申しますか、御指摘になりました構想、はなはだスケールの大きなもので、数字的な問題がございますので、ここでいささか即答はいたしかねますが、基本的な考えとして、一定年齢以上の老人は国民的合意のもとに、その年代年代における生産年齢人口で費用を負担して老人の生活安定を図る、この構想はもちろん一つの考えであろうと思います。その場合に、現在六十五歳以上人口が九百万足らずでございますけれども、将来、昭和八十五年ごろには二千万を上回ることになるわけでございますが、いずれにいたしましても相応の負担を覚悟すれば先生の言われましたように五万円とまでいくかどうかは別といたしまして、相当の年金が出せることは間違いないと思います。  それからまた、もうすでに現在各種の公的年金で年金受給者が約四百万ばかり出ておりますけれども、これらの人の中で六十五歳以上で、しかも先生御指摘になりましたように、五万円程度の年金をもらっている方も相当おられるわけですから、そういった方の分を差し引きますと、実際問題として、賦課方式をとるとしてその分の財源として新たな財源を求めなければならぬものは、当初の考えよりは大分減ってくるんじゃないかと思うのです。  私はそれはそれで本来的な賦課方式の考えに最も忠実な一つの考え方であろうと思うのですけれども、問題は、八つばかり日本の年金制度がございますけれども、三十六年にできました国民年金制度がそういう本来的な意味での賦課方式論議に決着をつける恐らく最後のチャンスだったと思うのですけれども、実はその当時もそういういろんな議論がなされたわけでございまして、こういう階層に長期の拠出期間を要するような保険が果たしてなじむのかどうか、むしろ文字どおり租税負担によるかあるいは保険料によるかは別といたしまして、賦課方式の考え方で一定年齢以上の人には生活を保障すべきではないかという議論が現実に行われたわけでございますけれども、やはりそういう形でやりますと長期的な給付のレベルを保障するということが、老齢人口がだんだんふえてまいりますとその圧力によって、特に租税負担による賦課方式ですと、財源的な困難から給付レベルの引き下げという事態も生じる。これが保険主義で出発しますと、そういう意味での実質的なレベルダウンというのは制度的にできないわけでございますから、そういうことで、発足した経緯から見ますと、しかもすでに国民年金発足いたしましてもう十五年、厚生年金発足いたしまして三十年以上たっておる現在で、そのような構想を既存の年金制度の中に持ち込むということは、考え方としてはわかりますけれども、これまでのそれぞれの制度をかなり大幅に改変することになりますのでむずかしい。  しかし、それじゃ全く不可能かということになりますと、私は考え方としてそのようなことはないと思います。もちろん各公的年金を全部御破算にする、あるいは各公的年金のレベルを全部そろえるということは、これはそれぞれの制度の沿革、費用負担も違いますからそのようなことは実際的な考えではございませんし、むしろ場合によれば、私は適当でない案だと思いますけれども、少なくともシビルミニマムといいますか、共通的にこの程度の水準のものは一定年齢の人になったならば漏れなく全国民負担によって差し上げてもいいじゃないかという考え方は、いまの公的年金制度の現状のもとでも私は決して実現不可能な考えではない。問題は、その場合に共通の部分をどの程度の厚みにするかということと、それから一体各制度でその部分の財源の一部と申しますか相応部分をどの程度まで持っていただけるか、その辺にやはり大きな問題があるのではないか。したがいまして、これをきわめて短期的にいついつまでにできるかというのは、何分各制度の手直しにつながる問題でございますから非常に問題はあるということだけをここで申し上げておきたいと思います。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 こういう論議が——委員が聞いて事務当局が答えるということではなくて、何といったってこの日本の国の制度を抜本的に改正する問題ですから、本当にフリートーキングをして、いまのような論議が年金の論議としては生きているのだ。受け答えという形じゃまずいと思う。  そこで時間があれだから、これだけは制度改正をしなくてもできると思うのだが、さっき吉田委員も言っておられましたけれども、報酬比例部分、固定部分なら千円掛ける年月でいいのだが、報酬比例部分でいま全国的に非常に問題が出てきた。それに加えて不況のために再就職者が非常に多くなってきた。だから大きな会社をやめて田舎へ帰って小さな中小企業に勤める、したがって賃金がダウンする。賃金がダウンしたものを基礎にして計算されるものだから——労働省、これはある程度数字ありますかね、これはかなりあるのだよ、問題なんだ。

岩崎隆造労働省職業安定局失業対策部長

○岩崎政府委員 いま先生お尋ねの点は、転職、再就職する際に高齢者の賃金が低下するのじゃないかというお話かと思います。私ども現在最新の資料として持っておりますのは、労働省で調べました雇用動向調査の昭和四十九年の上期でございますが、これで得られます数字は五十五歳以上の転職者になっております。これが転職によって賃金が増加した場合、それから賃金に増減がなかった場合、それから賃金が減少した場合、こういうふうに分けて申し上げますと、ほぼ三分の一ずつになっておりますが、細かく申し上げまして、転職によって賃金が増加したものが三一・九%、増減がなかったものが三三・二%、賃金が減少したものが三四・五%ということになっております。この増減あるいは増減しなかったというのは、前職賃金に比べて一〇%以上増加したかあるいは減少したか、それから一〇%の幅で増減しているものは増減がないというふうに計算したものでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 労働省ににわかに調べてもらったけれども、これだけでもこういう人方を救わにゃならぬのだよ。そうしますと、事務当局は、制度を改正しなければ、運用の妙味じゃできないですか。これは大変な問題だよ。不況で再就職して賃金ダウンする。そうしてやめると、それと並行して厚生年金ががたっと下がる、こういう方向になる。どうなんですか。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 現在の厚生年金における報酬比例部分というものはそれぞれの年次の賃金、まあ標準報酬制でございますので一定の枠はございますけれども、それの一%ずつを積み増しするという考えでございますから、基本的には年数が長くなればなるほど、賃金が仮に下がったといたしましても、下がった賃金の一%がプラスされるということで、原則的には期間の長短によってそういう問題が出ることは考えられなかったのでございますが、はなはだ残念ながら昭和四十四年の改正で、これは標準報酬を大幅に引き上げたいということからでございますけれども、昭和三十二年十月以前の非常に低い賃金を全部計算の基礎から除外いたしまして、それ以降の賃金を計算の基礎にするということになりましたので、非常にまれなケースなんでありますけれども、昭和三十二年以前の期間が比較的長い人、そうして再就職後の賃金の落ち込みが著しい場合、それからまた最初にもらった年金が二十年未満の十五年特例年金である場合に多いのでございますけれども、そのような場合に御指摘のようなケースが起こることが指摘されるようになりまして、これは運用云々ということでございますけれども、やはり年金額算出の問題でございますので、法律改正を要する事項でございますので、私どもといたしましては、来年度の改正で何としてもこの点の是正はいたさなければならぬということで検討いたしております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 大臣、やはり事務当局は、昭和三十二年以前に比較的勤め方が長かった人、ところがこの人方がいま年金を受けているんだよ、いまもろにかぶらなければならぬのだ。一年なんて言っていられないですよ、年だもの。そういうことだから、工夫が足らないと言われるんだと思う。国民年金の場合は七十歳から支給するというんでしょう。ところが、平均寿命は何ぼだと言ったら七十・七歳じゃないですか。平均寿命を自分たちが統計上つかんでおいて、七十・七歳になれば死ぬんだ、死ぬ七カ月前に年金を出すという制度なんだ。工夫が足らぬと言われるのも無理ないんですよ。平均寿命を使うのも厚生省、七十歳からくれるというのも厚生省、だから工夫が足らぬと言われるのだ。これは来年度まで待てないと思う。運用で何とかできないか。検討するというくらいは答弁できないですか、これはかなりいるから。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 これはお言葉を返すようで大変恐縮でございますけれども、運用ということではちょっとまいりかねますので、どうしても法律の手当てが必要でございます。  それから、御指摘のケースでございますけれども、現実に六十歳以降とにかく一たん前の職場をやめて——六十歳前でもあれですが、一たん現実に年金額をもらった、そうしてその後再就職して最終的にやめて、その時点の年金額が前に実際に手にした年金額より下がっているというケースではなくて、いま指摘されているのは、自分が再就職しないでおったならば、いま現実にもらった年金額よりももっと多くなったであろうというケースでございまして、これは別に言いわけのつもりで言っているのではございませんけれども、そういうケースでございますので、大変申しわけないのですが、あとしばらくしんぼう願って、来年必ず手当てをいたしたいというふうに考えております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 それではこの例はどうです。これは吉田委員が言っていましたから、ずばり数字を挙げて確認してみたいと思うのです。これも大臣、聞いておいてください。  昭和三十六年に五十八歳で会社を定年退職。したがって、二年待って昭和三十八年から年金をもらえるようになった。この新聞の数字が本当かどうかですね。その年金額は、年間五十万五百円もらっていた。そこで、昭和四十五年に六十六歳で、ある小さな会社へ再就職した。もちろん制度上所得制限を受けて、二割カットされた。したがって、賃金に加えて四十万前後の年金をもらって生活しておった。ところが、六十六歳で再就職したから、当然ながら強制適用ですから、保険料七百円取られて賃金をもらっておった。四十九年に完全に年金生活者になった。七十歳だ。ところが、四十九年、七十歳で完全に年金生活者になったら、賃金もない、所得制限を受けるあれもないのに、五十万五百円に戻らないで四十八万円になった。この事例は本当ですか。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 これはいつでございましたか、読売新聞だったと思いますけれども、そこで報ぜられた事例で、私どもその後調べましたけれども、御指摘のとおりでございます。  ただ、これは先ほどの弁解がましい云々ということになるんですが、五十万円五百円ばかりが実際に四十八万になったというのではなくて、この人の場合は、五十万というのはスライド後のあれでございますが、その前に再就職しておりますから、そのとき、この人が現実に手にした年金は十二万七千円、それから四十一万八千円、これは退職後の支給ですね、そして最終的に四十八万二千円。したがって、五十万という金を現実に手にしたことはなかったわけです。ただ、四十八万二千円が、あの再就職なかりせば五十万であったであろうというケースでございます。いずれにしましても、問題の本質は変わりありませんので、来年手直しいたすことは先ほど申し上げたとおりでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 そうすると、物価スライドで五十万五百円になる計算はいつだったのですか。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 この人の場合は、三十九年六月にとにかく最初の年金をもらったわけですが、その後四十五年七月に再就職したものですから、四十五年八月からはその二割支給停止がございますので、六十五歳ですか、そこで四十五年七月に再就職して在職老齢年金を受けた、その額が十二万七千円。そして、最終的に四十九年六月にやめたんですが、二月たって、そのとき四十八万二千五百何がしということでございます。ですから、四十九年八月のスライドがあったとして、五十万という金額はこの人は現実には手にしたことはなかったということでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 それでは、現在、四十八万二千円の年金生活者ですか。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 そういうことです。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 そうしますと、この方が昭和三十六年に五十八歳で定年退職して、昭和三十八年に六十歳になって年金をもらってきて、四十九年に七十歳になったときには、四十八万二千円がどのくらいの金額になるか計算してください。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 この人が四十九年八月から、再就職なかりせば手にしたであろうものは、先ほど言いましたように、四十八万二千円ではなくて五十万五百円だったということでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 それはことしですか。  もう一遍言いますよ。三十六年定年退職、三十八年六十歳、再就職は六十六歳で四十五年です。それで保険料を七百円ずつ納めてきた。四十九年七十歳、完全年金生活者、これが四十八万二千円だというのですか。もし勤めないで、昭和三十八年以降ずうっと年金生活でおれば、五十万五百円になっておったというのですか。それだけの話ですか。その金額は違わないですか。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 違いません。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 五十万五百円というのはことしじゃないぞ、あなた何を言うのですか。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 去年の一六・一%のスライドアップ後の金額が五十万何がしになっておったであろうということでございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 ことしはどうなんですか。——事務当局、これは少し違うぞ、はっきりしなければいけないな、どうなんですか。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 それでは時系列的に、先生おっしゃるように、実際にこの人の受給権が三十九年の六月に発生しておって、そのときは、もちろん低い年金でございますから、当時年金額が月額にして三千四百円であったわけですが、その後の具体的な金額の経過一覧表がございますので、なんでございましたら、ここにございますから、後ほど……。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 それではこういう計算をしてください。  昭和三十八年六十歳から、いままで十二年間もらうことができたであろう年金額と、この人が実際歩いてきたためにことしから年金がもらえた、その前に二割減の年金をもらっておった、しかも保険料は何ぼ納めておった、それを差し引いてどのぐらいになったか。積み立て方式で、拠出制年金の考え方で完全にいっているということであれば——私はこの計算を自分なりにしてみたけれども、再就職して保険料を強制適用されて納めた方がかなり損なんですよ。それを後で計算してみてください。  それから三つ目、まだ時間が二、三分あるようですから、細かい話でございますが、細かい話がいろいろありましたが、一つだけ聞いてみたいのですが、国民年金手帳というのをおじいちゃん、おばあちゃん方は持っていますね。あれは、知事選挙をやってきたから気がついたわけじゃないが、県知事の個人の名前なんですね。あれはどこの法律ですか。

河野義男社会保険庁年金保険部長

○河野(義)政府委員 国民年金手帳につきましては、昨年から三年金共通の手帳を交付しておりますが、これは手帳そのものは社会保険庁になっておりまして、いま御指摘の都道府県知事名の入ったものは福祉年金の証書でございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 国民年金手帳と書いて、知事の名前でおじいちゃん、おばあちゃんに渡しているというんですか。それはどの法律だって言うのだ。

河野義男社会保険庁年金保険部長

○河野(義)政府委員 いま御指摘になった知事の名前で出ているのは、福祉年金証書の分だと思います。年金手帳は社会保険庁名義になっております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 そうかな。それは知事の名前で出せる法律はどこにある。本当かな、それは。現物を持ってくるよ。

河野義男社会保険庁年金保険部長

○河野(義)政府委員 先ほどちょっと間違えましたが、年金手帳は厚生省名義になっておりまして、発行する都道府県名が入っております。それから福祉年金につきましては、知事が裁定いたしますので、知事名になっております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 もう一遍整理して言ってみてください。どの年金はどの人の名前、どの年金手帳はどの人の名前、それを最終的に言ってみてください。

河野義男社会保険庁年金保険部長

○河野(義)政府委員 国民年金手帳につきましては厚生省名義で、その中に都道府県名が入っております。(川俣委員「都道府県名か県知事名か」と呼ぶ)県名でございます。それから福祉年金につきましては、裁定しました都道府県知事名になっております。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 これは法律だな。実際は確認していないな。事務当局どうですか。

河野義男社会保険庁年金保険部長

○河野(義)政府委員 実際そのようになっていると思います。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 それは実際確認できるか。

河野義男社会保険庁年金保険部長

○河野(義)政府委員 いま申し上げたようなことで確認できると思います。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 それじゃこの次の委員会で持ってくるからね。違っておったらひとつ河野部長何とか釈明してくれ。責任とれとは言わないけれども。  それから、最後ですが、四つ目の、これもひとつ質問しておきたいのですが、直接厚生年金、国民年金と関係ないのですが、大臣、石炭年金があるのを御存じですか。——これは地下資源に働く労働者の労働力確保と、こういうことなんです。労働省はあの手この手といろいろと抗内労働者の足どめの労働政策を考えてくれております。したがって、厚生年金にも抗内員という法律用語も入っているわけだ。  そこで、同じ地下資源でいま労働力が確保されないで弱っているのはメタルマイニングだ。そこで、メタルマイニングの方で、これはかなり企業とのコンセンサスを得なければならぬが、産業省である通産省から正式に提案があると思う。そうすると、石炭年金をつくったように、厚生省がこれは扱わなければならぬ、制度を所管しなければならぬ。そこで、この金属鉱山の労働組合が労働省に請願、陳情に行ったら、その制度の検討をある程度約束してくれた。労働省と厚生省との間にそれが確認されておるかどうかをここで確認してよろしいですか。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 労働省の方から事務的にそのような話があることは承知いたしておりまして、具体的になりましたならば、私どもどこまでお手伝いできるか、年金の設計その他で御協力申し上げたいと思っております。  なお、通産省にもこのことは昨年来事務的には私どもの方から話してございます。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 そこで、大臣、大きな問題は一つしか論議できなかったのですが、もう一度、来年度まで待ってほしいということなのか、見通しが余り明るくなくてなかなか容易でないと、大臣は大臣なりの個人的な見解を持っているがと、そういう考え方なのか、もう一遍最後に聞かしてもらいたいのですがね。いろいろと論議してみるとやはり抜本改正、一万二千円で暮らせるかどうかということを考えてみると……。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 いまおっしゃっていることは年金の財政方式論のお話だろうと思うのでございますが、これについてはかなり意欲的に私は努力してみたい、かように考えておるのです。

川俣健二郎日本社会党

○川俣委員 どうもありがとうございました。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員長代理 寺前巖君。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 わが党の石母田委員が基本的におやりになりましたので、私は二、三の問題について限って聞きたいというふうに思います。  最初に、聞きたいと思うことをちょっと挙げておきたいと思うのです。  第一番目に聞きたいと思うのは、年金に対する基本的な態度の問題です。それから第二番目に聞きたいと思うのは、障害年金の問題です。それから第三番目に、在老年金その他若干の事務上の問題を聞きたいと思います。  基本的と言いましても、もう来年は抜本的に見直すのだという態度を表明しておられますから、出されてきた内容をめぐってそれは基本的には検討したいと思いますので、ここで時間をとってつぶさにやるという気はいまのところありません。ただ若干の見解を聞いておきたいと思うのですが、念のために、老齢年金なり障害年金というのは、だれだって年をいったらどうして生活を送ろうかということで不安でならないわけであります。明日のわが身の問題として、いつ何どき障害者にならないとも限らない。だから社会の政治の問題で言うならば、主義主張はどうあろうとも、年をいったときにとか、あるいは障害者になったときにということに対する不安に対して、政治の力で個々に生き抜いていくことができるという自信を与えることが、共通した私たちの課題だというふうに見る必要があると私は思います。そこに年金問題に対する社会的な関心というのが非常に大きいというふうに見なければならぬと私は思う。  そこで大臣にお聞きしたいのですが、いま日本の年金年齢と言えば、六十歳なり六十五歳なり七十歳というそれぞれの線がありますけれども、一応六十五歳からという話が平均的には問題になります。そこで、六十五歳以上の男性の、日本のいわゆる高齢者というのがどの程度働いているというふうに見ておられるのか。国際的にはどうなのだ、日本の高齢者の働いている状況というのがどういう状況にあるかということを最初に説明していただきたいと思います。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 六十歳以上の労働者全体の数字は、私ただいま手元に持っておりませんが、私どもの所管いたしております厚生年金の被保険者、これは御案内のように現在約二千五百万近くございますが、その中で六十歳以上の被保険者は昨年十月現在で、推計でございますが、約百三十万というふうに見ております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 ぼくの聞いておるのは、六十五歳以上の男性で働いている人というのは一体どの程度おられるのだ、国際的にはどうなのだということです。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 先ほど言いましたように、雇用者全体ということではなしに、私どもの方の被保険者統計からの推計では、被保険者として、まあ五人以上の事業場で働いておられるということになるわけですけれども、これが昨年の十月現在で六十万でございます。なお、あるいはちょっと古いものかもしれませんけれども、四十八年の労働力調査報告によりますと、六十五歳以上の雇用者が男女合計八十五万というふうにこの報告ではされております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 事務当局だれも知らないのね。ぼくは、これは老人対策をやるということを考えるならば、その統計ぐらいはもう常識なんだから、きちっと知っておかなければいかぬと思うのですよ。総理府の四十七年九月発行の、統計局の「わが国の人口」という資料がありますよ。ここにILOの労働統計年鑑一九七一年版に基づくところの、国際的な労働力として労働力率というのをちゃんと載せておる。日本の高齢者がどういう事態にあるかということを私は本当に真剣に考えてもらいたいと思うのですよ。  この資料を読むとこういう数字が出てきます。総理府は国勢調査に基づいてやっていますからね、四十五年になるわけですね。今度は五十年に国勢調査、こういうことになるわけでしょう。で、この前の国勢調査の結果が出ておる。六十五歳以上の日本の男性の労働力率というのは五四・二%だ、半分以上の男性が働いているというのがこの統計の結果なのだ。ところが、世界で第二番目はどこかといったらアメリカなのだ。アメリカが二九・七%なのだ。第三番目になるとスウェーデンだ、これが二三・九%、フランスになると一九・三%、以下全部、国際的にはもう二〇%をずっと割っているのだ。国際的に見て、日本の六十五歳以上の男性が働いているという実情は、異常な実情にあることをあなたたちは認識しておるのかどうかということなのだ。ぼくが聞きたいのはここなのだよ。  六十五歳といったら、いまから三十年前に戦争は終わっているのですよ、戦争が終わったときに三十五歳の人といえば、よくぞ生きておったという年齢層の人ですよ。その人たちは戦争が終わって三十五歳でしょう、家庭を抱えて、あの異常な生活、事態の中を耐え抜いてきた方々ですよ。こういう方々がいまだに半分以上も働かなければならないという、国際的には非常に大きな異常な事態が存在しているという事実に対して、あなたたちは本気になって直視しているのかどうか。私は、この問題はあなたたちがもっと考えなければいけない問題だと思うのです。そうしたら、言葉をかえて言えば、日本の場合は戦後は終わっていないということじゃないですか。国際的に見て異常な事態なんですよ。戦後は終わっていないという事態に基づいて、年金全般論と同時に、戦後を終わらす立場に立ったところの老齢年金に対する緊急措置というのは、別途に考えなければならない事態が存在しているのじゃないか、これを基本的に考える必要がある、ここに私は特別に福祉年金の持っている役割りを見直す必要がある、こういうふうに思うのだが、大臣の御見解を聞きたいと思うのです。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 六十五歳以上の老人が働いている率が日本では高いということについては、数字はいま先生からお教えをいただきましたが、観念的には私はそうだろうと思っております。  これは、何といってもやはりわが国において老後の保障制度が確立をしていないということから働かざるを得ないということが一つだろうと思います。いま一つは、日本人が、割合にそういったような長い間の傾向で、老齢になってもなおかつ仕事を手放すことをがえんじないといったような実際上の理由もあるだろうと思います。されば、それだからといって老後保障について手を引っ込めていいということではないというふうに思いますが、現実はそうだ。反面、老人といえども何らかの形で働いて社会に寄与するというようなことも、また一つ必要があるというテーゼもあることも事実でございますので、働くこと自体が悪いとは私は見ないのであります。  ただ、老後の保障というものが不十分なために、働かなくてもいい者あるいは働くことが肉体的にも精神的にもできない者が働かざるを得ないということは、政治の上では何とかそれを防止しなければならぬ。ここにわれわれの務めがあり、また、政策要請はそこに求めなければならぬというふうに思っております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 この数字の異常さというのは、働かざるを得ないというのが今日の姿だと見ることが政治の面から見るならば非常に大事な問題だ。社会のために奉仕的にいろいろなことをするという問題はいいですよ。だけれども、いま現実に起こっている問題というのは、働かざるを得ないという事態、これを直視する必要がある。とするならば、老後保障という問題は特別な問題がある。とするならば、特別に見なければならないのは、老齢年金の中でも福祉という問題が異常な位置として見なければならないという関連性は、必然性の問題として見るというのが妥当だというふうに思うのです。ですから、ことしの年金の中で、福祉に対して従来とは比較にならない福祉年金の支給というものは出されているということは、私は客観的な事実だと思う。それは国民の期待であったと思うのです。  ところで、大蔵省や政府部内における交渉経過その他から見るならば、いろいろの問題があったか知らないけれども、それじゃ、この福祉の分野に対する、老齢福祉年金に対する努力というのが、果たして結果としていま出されてきている問題がそれほどの評価に値する事態なんだろうかということについて、私は若干他の面から検討してみたいと思うのです。というのは、厚生年金にも国庫の助成があります。五年年金にも十年年金にも国庫の助成があります。福祉はまるっぽ国庫です。  そこで私は事務当局に聞きたいのですが、厚生年金は一人当たり平均すると何ぼの国庫負担をしているのか、国民年金の場合は平均すると何ぼの——まあ五年年金と十年年金と分けましょう。五年年金の場合は一人当たり何ぼの負担をしているのか、十年年金の場合は何ぼの負担をしているのか、五年、十年それぞれ。福祉年金は一人一万二千円という数字が出ておる。これは一人当たりというのは明確です。それぞれの一人当たりの概算の数字でよろしい、示してもらいたいと思います。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 これは一人当たりの国庫負担をどう見るかいろいろ問題があるところでございますが、一応受給者一人当たりの年金額に対する国庫負担としてとらえてみますと、これは四十九年三月末現在の年金額の平均をとらえてみますと、厚生年金の場合、受給者一人当たり国庫負担額が九万二千円、拠出制国民年金は五万九千円でございます。それから五年年金、十年年金ということで、国民年金をさらに細部について見ますと、これは昨年のスライド前の姿で見てみますと、五年年金は八千円でございましたから、これに対する国庫負担額は三千三百三十三円、十年年金は一万二千五百円でございますので、これに対する国庫負担額四千九百十七円、二十五年年金二万円、これに対する国庫負担額六千六百六十七円ということでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 そんな古い話をしなくても、せっかく今度福祉年金一万二千円にするという話だから、その話の比較のところで説明しなかったら合理性を欠いているのじゃないか。それはもういい。私がわかりやすく説明してあげる。  厚生年金は平均七万円になると、こうあなたのところ説明してあるじゃないか。そうだろう。平均七万円になるというのだったら、大体それの支給に応じて国庫はつけるのでしょう、厚生年金の場合。そうすると二割だろう。わかりやすく言ったら七万円の二割だ。そうすると一万四千円ということだ。     〔竹内(黎)委員長代理退席、戸井田委員長代理着席〕ざっと言ったら一人当たり月一万四千円。それから今度は十年年金は一万七千円ぐらいになる。そうすると、ここはあなたのところの説明書を読むと、えらくなかなかややこしいようだけれども、経過年金については約四〇%と書いてある。そうすると、四割というのだから一万七千円の四割といったら六千八百円。五年年金は一万三千円というのだから、そうすると四割ぐらいというと五千二百円。それで福祉年金は一万二千円にする、こう言っている。これで国庫の負担の状況というのがわかるわけだ。  そこで見てごらん。どういうことになるかというと、厚生年金は一万四千円、一人分持つのは。厚生年金というのは長い間苦労してためてきたというお金だ。だからそれだけに能力というのは——厚生年金は先ほどここで質問かあったように、もっともっと貯蓄額もいっぱいあって、それこそ右から左に出そうと思ったら、もっともっとよけい出せるわけだ。そこには受給者一人当たりに対して一万四千円出しますよと言っておるわけだ。ところが、苦労していまだに働かなければならぬ人には福祉年金一万二千円だ。能力のあるところには一万四千円で、能力のないところに一万二千円だ。福祉年金は七十歳以上ですね。満六十五歳以上の人が五割以上も働いておる。それは老後の保障の水準から見るならば国際的に見ても異常だ。とするならば、厚生年金以上の負担をもっとここにかけてもいいのと違うかということを私は疑問に思うのです。一万二千円は従来と比較したら高いかしらぬ。だけれども、厚生年金に一人当たりそれだけの努力をすることを考えたら、もっともっとここに異常な力を注いでもいいのと違うか。国民年金は、五年年金、十年年金支給の段階だ、そうでしょう、この分野には四割くらいやと言うんだったら、六千八百円、五千二百円、これはちょっと少ないのと違うか。能力の低いところにはもっともっと特別な援助をしなければいかぬじゃないか。五年年金にしても十年年金にしても一種の経過年金でしょう。経過年金というのは、いまだに働かなければならないという異常な事態を考えたときには、もっともっと国庫負担をたくさんするという特別措置をやってしかるべきじゃないか。  私は、だれが聞いたってこの算術はおわかりになると思います。厚生年金を減らせと言うのと違うのです。厚生年金はもっと援助したらよろしいよ。だけれども、能力のないところに経過年金として存在した五年年金や十年年金、福祉年金の人々に対する援助の金額を一人当たり見たら、これはよくがんばったねという数字ではありませんよ。もっともっと国庫補助をいまの制度の中においても手をつけてあたりまえじゃないのか。だから、基本的にはメスを入れなければならないこの経過年金、三十年たってもいまだに働かなければならないというこの事態、国際的に見ても異常な段階にあるこの日本の老齢者に対応する施策というのは、年金制度の抜本を検討することもよろしい、よろしいけれども、それとは別個に、戦後は終わらしていないというこの事態に対する責任問題としては、私は検討不十分だと言わなければならぬのだけれども、大臣いかがでしょう。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 いま、厚生年金あるいは福祉年金の国庫負担との見合いにおいて、特に国民年金の経過年金への国庫負担配分の足りないといいますか、御指摘があったのでございますが、この年金制度に対する国庫負担というのはやはり非常にむずかしい問題でございまして、お尋ねでございましたので、いま私、一人頭年金額に対する比率で申し上げたのですけれども、果たしてそれだけでいいのかどうか。やはり年金制度に対する国庫負担というものは、たとえば保険料負担の軽減ということに重点を置いて行われるとか、いろいろな立場からの国庫負担がございます、それぞれの沿革があるわけですけれども。要するに、最終的には全体の費用に対して国がどれだけ貢献するかということでございまして、厚生年金は二〇%、これに対して拠出制の国民年金は三分の一、他の年金制度との比較においては最も高い、これは当然事業主負担がないということも考慮したわけでございますが、そういうことから見まして、一概に五年年金の一人頭の国庫負担額がこれだけの数字だからということは必ずしも適当じゃないのではないか。  もう一つ問題がございますのは、五年年金あるいは十年年金の方々は、特に十年年金の方々はすでに掛け終わっておるわけですけれども、基本的に国民年金の保険料というものは、いままでの引き上げ幅といいますか、これが十分でなかったために相対的に安い保険料で厚みのある給付を受ける。しかも、結局この五年年金、十年年金グループの不足原資というものは、やはり大きい目で見れば、将来の国民年金の不足財源として被保険者、国庫、そういうものが負担することになるわけです。しかも、先ほど言いましたように、三分の一のほかにかさ上げで四割近くを負担しておるということを考えますと、五年年金、十年年金だけを取り出して云々するということではなしに、むしろ国民年金制度全体への国庫負担がこれでいいのかどうかという議論の方がむしろ正しい議論ではなかろうかというふうに私は考えます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 五年年金とか十年年金とか福祉年金というのは経過年金ですよ。経過というのはあくまでも経過です。それは戦後の事態の中におけるところの処理問題ですよ、制度がない段階における。制度がない段階における施策というのは、私が言うように、三十年たった今日、高齢者がいまだに働かなければ生活ができないという事態に対して、年金制度を特殊に発足させる問題として位置づけるというところに福祉年金の性格があるんだ。そこには特別な施策がなければならない。したがってそこに対するところの国庫の助成というのは別途に検討してそれは責任を負うというのが、戦後の勤労者にとっての責務ですよ。これは主義主張がどうあろうと高齢者に対する責務として処理しなければならない問題です。私は極端に言うならば、ここに政治がないんだったら政治家どもは何をしておったんだと言われたって仕方がない、この問題はそういう問題ですよ。だから私は、一人当たりの国庫の助成が現実に出されるに当たって比較してみて、こういうことでは——抜本的な年金制度のあり方を別途に検討したいとおっしゃっているし、来年度にはという話がある。よろしい、それは別途に検討をやろうじゃないか。だけれども、この問題は特殊に処理をされるべき性格だということから見るならば、助成の金額の問題は、これでは私はやはり特別な施策をやったとは言いがたいと断定せざるを得ない。それが一つ。  それからもう一つ、これ以上はもう事務問題じゃないですから大臣の御見解を聞きたいわけですが、そういう立場から見ると、スライドの問題も事務問題じゃないと私は思うのです。ことしのスライドのあれを見ると、厚生年金は八月でしょう、それから共済も八月でしょう、国年は九月でしょう、福祉は十月でしょう、スライドするのは。お金の値打ちというのは、厚生年金であろうと共済であろうと福祉であろうと国民年金であろうと、この社会のお金ですからそれは一緒ですよ。そうすると、最も弱い分野が最もスライドが後になるというのは一体どういうことなんだろうか。これも、私は、いまの問題と本当は一緒なんです、何もこれを先にせいとは言わない。同じお金の値打ちのものが、スライドしなければそのお金の価値がなくなってきているというんだったら、一番手を打たなければならぬ問題を残しておいていいということにはならぬじゃないか。するんだったら、せめて同じ時期にやりなさいというのは共通した、これもやはり主義主張を乗り越えた私は話だと思う。私、これ、残すということについて納得がいかぬのですよ、お金の値打ちが変わるわけではないんだから、福祉の人と厚生年金の人と。直すんだったら、一緒にさっと直す。私は、特別に手を打たなければならない国年と福祉が逆に特別に残されていくということの理解に苦しむんだ。さっきから何ぼ聞いておったってわからないのでもう一度大臣に。基本問題としてこの経過年金をもっと優遇しなければならない、せめてスライドをする時期ぐらいは一緒にするということぐらいは再検討してしかるべしじゃないか。私はほかの事務的答弁は要りませんから、大臣のお答えだけいただきたいと思います。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 厚生年金と国民年金のスライド時期については、これはそういったような実質的な金額とかメリットの問題と別に、これは年金の支給時期が違うものですから、したがって、多分に技術的な問題から八月、九月というふうに一カ月ずれているというふうに私は理解をいたしておりまして、そのことが実際の支給時期並びに事務的な問題との絡み合いでこのような区別ができたというふうに聞いておりまして、やむを得ないかな、実はかように思っているわけでございます。  福年につきましては若干性質が違うわけでございます。これは、率直に申しまして、当初要求一万円——七千五百円から一万円ということを、私、就任直後に一万二千円に追加要求をして、先生御案内のとおり——これでもなお少ないというおしかりは私十分、もう耳にたこのよるほど聞きましたし、今後、これからもう少し何とか給付を上げたいと思っておりますが、しかし、ともかく大変な努力と政治問題の中にこれをやり遂げたわけでございまして、そういったような現実の経過の中から、最後はそれでは福年は一万二千円にするが、支給時期は十月にしろ、こういうことで財政当局とのいろいろな折衝の後に、私も一万二千円をあの節にぜひ実現をいたしたいということで、実施時期の方は十月というのをのんだというのが率直なところでございます。これについては別に理論的根拠がどうのということではないというふうに私は思っておりますが、そういう経緯がございますものですから、したがって、私としては、これについては今年のところはこれでひとつがまんをしていただくほかに方法がない、少なくとも、約束でございますので、私からあれこれこれ以上は申し上げられないというのが偽らざるところでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 私は納得ができません。要するに、経過年金に対する取り扱いというのが余りにもこれでは評価するわけにはいかない。戦後を本当に苦労された方々に対して、特別に緊急に手を打っていくということが、何にも増して重要だ。そういうことから考えたら、スライドの問題ぐらいは検討し直すべきじゃないかというふうに、これは私は強く思います。  時間の都合もありますから次へ行きます。  次に、障害年金の上での幾つかの矛盾なんかを、現実に起こっている問題としてちょっとお聞きをしたいと思います。  一つは、厚生年金から国民年金——厚生年金に入っている人が国年に変わった場合ですね。国年に入って一年以上たったときに障害が起こった場合には、障害年金というのが出てくるわけですね。ところが、国年に変わって一年未満の場合には福祉年金になってしまうわけですね。厚生年金にずっと長いこと入っておって国年に入って、そして今度は国年に入って一年未満のときに福祉に入ってしまう。そうすると、これは金額的に見ても非常に少ないものになってしまうわけですよ。長い間厚年を掛けておったことなんかはもう全然計算されない。要するに通算問題。こういうものがなぜ解決されないのだろうか。それはまだ福祉という形のあれが存在するわけですよ。福祉年金、障害福祉の方にまだあるのだな。ところが、国民年金から厚生年金に入ってそして半年以内に障害になった場合だったら、これはもう何にもなしになってしまうのですね。それから、共済から厚生年金に入って、これは半年ですね、半年以内に障害が発生した場合には、これは何にも対象にならないわけなんだね。だから、年金の制度は、厚生年金と国民年金は違うか知らぬけれども、しかし、国民皆年金とまで言うようになってきている今日、これをこのままにほっておく手はなかろうと思うのだけれども、何でそれをいつまでもそうしておかなければならぬのか、断固としてがんばって、やむを得ませんなということになっているのか、これはひとつ聞きたいと思うのですよ。これはもうぼくらよく聞かれるのですよ、あきませんのやと言われてね。だから通算できるようにすべきではないか、これが一つ。  それからもう一つは、これは現実にぼくのところに相談があったのは、国立東京病院へ結核で入っている人の話です。八病棟に御婦人が二人入っておる。それで一人の人は、川畑タキさんというのが六十五歳なんだ。この人は初診日が三十六年一月なんだ。制度発足以前から障害になっている人、これは結核ですよ。障害福祉年金一級の受給者です。癈疾認定日三十九年八月、こうなっている。これはだんなさんはもちろん厚生年金の被保険者ですね。ですから、この人はちゃんと福祉一級をもらえるわけです。ところが、横におる勝川さんという人は五十九歳なんだ。年齢は関係がないけれどもね。この人は初診日が四十三年五月、制度発足後です。それでだんなさんはやはり厚生年金に入っているわけですね。ところが奥さんは国年に入ってなかった。制度発足前はそんなものはないから、その川畑さんはもちろん入ってないわね。こっちの人は制度発足後だから、厚年の細君の場合は入ろうと入るまいと任意加入になってますな。任意加入だから入ってなかった。そうしたら、この人が病気になった。四十三年五月が初診日です。さあ、隣におって同じような病状でいま生活を送っているわけです。片方の人は福祉年金がいただける、片方の人は全然相手にされないという生活で今後も続いていく。これはもう横におる者同士としては理解に苦しむという事態が続くわけですよ。これは一体どうするのか。これが第二番目の問題。これは厚生年金の妻の問題です。これは任意加入という制度である以上はこの問題が出てくるわけですね。まずこの二つについてちょっと説明してほしい。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 最初の通算問題でございますが、結論的に申し上げますと、これは目下関係省庁から成る公的年金制度調整連絡会議で、何らかの形で実質的な通算ができるように、こういう障害年金等の谷間ができるだけ少なくなるようにということで検討を始めておりますので、来年度の改正で——根本的な通算ということは、国民年金とその他の公的年金とに障害等級、癈疾表等の差異がございまして、これを来年までにそろえるということは時間的にむずかしいと思いますので、完全な形での措置は困難と思いますが、何らかの形で年金権に結びつくような努力をいたしたいと思っております。  それから、後の方の問題でございますけれども、国民年金の任意加入の問題に帰着するわけですが、この問題は、遺族年金の支給率改善等とも絡みまして、国民年金の、被用者保険の妻の取り扱い、任意加入を制度的に将来一体どうするのだという非常に重要な問題にかかわるわけでございまして、これはまたさらに議論を進めますと、たとえば現在の被用者保険における給付レベル、これは一応世帯単位的な考え方をとっておりますけれども、もっと割り切って一人前、二人前と、場合によるともっと格差をつけるとか、そういう問題がございまして、しかも各制度共通の問題でございますので、なかなかむずかしい問題でございますが、むずかしいといって手をこまねいているわけにもいきませんので、これもできるだけ検討を続けていきたいと思っております。  そういう国民年金の任意加入の取り扱いに関連するものですから、現状ですぐ谷間を埋めろと言いましても、これは基本的に障害年金の仕組みをいまとすっかり変えてしまうというなら話は別でございますけれども、保険システムで障害給付を行っている以上は、どうしても現実に年金に入っていない方の事故でございますので、現行法のもとではやむを得ない。しかし、そういう将来の基本的な問題にかかわる事項の解決を通じて考えていきたいというふうに思っております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 矛盾問題ですから、それは必ず解決するようにしないとせっかくの制度が喜ばれないことになりますから、矛盾が生まれている以上は必ずやってもらいたいと思いますね。  それから、去年の国会で障害福祉の二級を対象に入れましたね。おたくの方がことしの二月二十八日に主管課長会議で説明しておられるのを読みました。読むと、対象者がざっと二十三万人おって、そして四十九年末で既裁定者は二万三千三百五人だ、こういう説明をしておられるのですね。そうすると、対象が二十三万人ぐらいおるだろうというのに結果として一割しかめんどうを見なかったということは、制度発足後一年だとはいっても、これは一体どういうことなんだ。これは国会で勝手にやったのが大体無理だったと、こうおっしゃるのか。一体どういうわけだ。せっかく取り入れられた制度が生きてきていないという事実は、私は問題点をはっきりさせる必要があるだろうと思う。説明してもらいたいと思います。

河野義男社会保険庁年金保険部長

○河野(義)政府委員 いま御指摘のように、二級障害の該当者は二十三万人いると推計したわけでございますが、推計するにはデータが不足で非常にむずかしかったわけでございます。それは主として精薄者、精神の患者についてどういうふうに推計するかというようなことから、大ざっぱに二十三万人ぐらいいるであろうという推計をしまして、昭和四十九年度におきましては、これは制度が発足した年でございますので、一応九万六千件裁定請求があるであろうというふうに見込みましたが、御指摘のように実際の結果につきましては、五十年の二月末の裁定件数は二級が二万八千七百五十八件でございます。この機会に一級に裁定された者が従来のペース以外に六千件出てまいりまして、合計しますと三万四千七百五十八件出てまいったわけでございます。  この二級障害の裁定請求につきましては、いろいろむずかしい点もございまするので、いろいろな広報紙とかあるいは新聞、テレビ、そういった広報媒体を使いましてPRに努めてまいったわけでございます。また、医師を派遣して巡回相談をやるとか、あるいは身体障害者手帳交付者名薄などから二級障害に該当すると思われるようなものを市町村別に把握いたしまして、個別に裁定請求をするよう指導をしてまいりまして、二月の課長会議におきましては、これを重点として推進していくよう指示したわけでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 宣伝の問題も十分でなかったという面もあるにしても、私はもっと、この問題については一つは所得制限の問題も再検討してみる必要があるのではないかと思うのですね。そしてもっと大々的に、何といっても障害というのはハンディがあるということなんだから、ハンディのある人に対して年金の支給をするということは大事だ。特に二級障害ということになるといわば片手片足のないというようなことで、やはり実族を抱えて働きながらやっていくという人になってくると思うのですね。二級障害と一級障害の違いというのはそこにあると思うのです。働かざるを得ない、これだけに頼るというわけにいかぬという層が二級障害なんだから、したがってそれだけに、二級障害の人を考える場合には所得制限という問題を、基本的にいうと撤廃するぐらいがいいんじゃないだろうか。現在の所得制限を見てみると、年収で、単身者の場合百三万七千五百円だ。それから家族一人の場合でも百二十万円だ。二人で百五十一万二千円で、三人で百八十万六千円だ。これを月収にすると、ボーナス込みで単身で六万四千八百円という勘定になってくるわけですね。家族持ちで七万五千円とか、ずっとなって、十一万二千八百円、こうなるわけだけれども、これだけが制限の限度だということになると、これはやはりぼくは低いと思うよ。たとえば労働省の毎勤統計の四十九年十二月の数字を見ると、これは月に直して、ボーナスを除いて十二万五百八十六円となっていますよ。これが毎勤統計の勤労者の状況なんですから、これといまのボーナス込みの月収が単身で六万四千八百円、家族一人で七万五千円云々、こうなると明らかに低いということが私は数字上も出ているように思う。だから、もともと二級障害というように手や足などに障害が起こって、それだけハンディがあるのだから、たとえ同じ収入があったとしても、それだけ障害者にとっては生活面においての支出もプラスされてくるという要素を持つのだから、そういうことを考えたら、せっかく二級障害を年金の中に組み入れたことを考えてみたら、この二級障害の所得制限をもう少し考えてみたらいいんじゃないか。撤廃ないしはもっともっと高くするというふうに再検討してみる必要があるのではないか。いかがなものでしょう。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 福祉年金の所得制限の緩和の問題につきましては、毎年その改善に努力いたしておりますが、必ずしもこれで満足をいただいておらない面もあるわけでございますが、しかしいま御指摘のように、この福祉年金の現在の仕組みの中で、たとえば障害福祉年金だけを取り出して他の福祉年金とはまた別の所得制限を設けるというようなこと、考え方としてはわからないでもございませんけれども、実際問題としてはそういうことは果たしていかがなものであろうか。やはり基本的には全体の所得制限を通じまして今後とも努力していくということになろうかと思います。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 そんないいかげんなことを言ったら困るよ。それは全体の所得制限の再検討をぼくはされるべきだと思いますよ。しかし、障害者の問題に特に二級を入れたということから考えたら、二級を入れるというその積極性をもっと検討すべきじゃないか。そうすると、所得制限が一つのせっかくの意図をつぶしていることになっているじゃないか。  もう一つは、はっきりと皆さんにこういう制度を政治の分野でつくりましたよということを周知徹底させる義務というのは執行機関にはあるのだから、それはもっと徹底してやってもらわなければいかぬ。だけれども、せっかく国会の側で二級を入れようじゃないかとした積極的な意義を生かそうということになったら、やはり特別に、そこには所得制限問題というのは二級障害という問題が起こってきている、所得制限がここで置かれている、これでは生きてこないじゃないかという問題について、やはり特別に検討すべきだ。所得制限という問題については、何も二級に限らぬのだけれども。全般として考えながらも、直接二級の所得制限問題というのが生きてこないということになってきたら、そこからもう一度全面的に見直してみるというのは当然じゃないか。私は特別にこれについて再検討してもらうことを、大臣に要望しておきたいと思うのです。後から一括してこれについて御答弁をいただきたいと思うのです。時間の都合があるので次に行きます。  そこで、在職老齢年金ですが、在職老齢年金の場合に、六十歳以上の人たちが六十五歳までですか限度額があって、それで二割引くとか五割引くとか八割引くとかして在職老齢年金というのは減額支給になるわけでしょう。八割も引かれてしまったら、年金というのは何ぼももらっていないということになるわけですよね。一方、六十歳以上になってきたら実社会の生活面においては収入面においてやはり不利な段階に来ていることは事実ですよ。しかし、社会生活においては急速に変わるものではない。せっかくためてきた年金が八割も引かれてしまうとか、せっかくためてきた年金が五割も引かれてしまう。これは働いてきた人たちにとっては、積み立て方式の過程の中において泣くにも泣けない気持ちになるということを労働者が言うのは、私は無理もない話だと思う。ところが、この在職老齢年金の過程の中において保険料の方は毎年ちゃんと計算して、その収入に応じて保険料というのは取り方は変わってくるでしょう。間違いないですね、そうでしょう、収入の方は。ところが年金の支給の方は、六十五歳まで一たん請求をしたらそのときの計算方式のままで支給がずっとくるわけでしょう。保険料の方だけの計算は、集める方の計算だけはちゃっちゃっと積極的に損のいかぬように計算をする。出す方は、一回請求したらその請求のときのあれで、だっといく。ちょっとおかしいのと違うか。集める方もちゃんと計算をするのだったら、出す方もちゃんと計算をする、これはだれが考えたって常道だと思いますよ。これ不思議でかなわぬ。何でそんなことをするのか。金を出せという方はきちっと計算をしておる。今度は支給、もらう方のやつは、これは請求主義で一たん言うたらそれでおしまい、六十五歳になろうと、六十六歳になろうと。ただし六十五歳になったらもう一回言ってこい、そしたらそのときは見直してやる、法律はこういうことでしょう。これはちょっとおかしいのじゃないか。保険料をきちっきちっとその都度計算するのだったら、出す方もきちんきちんと計算をする、そうでしょう。六十歳までのときよりも、一年間ふえたら一年間ふえた分のお金がふえるはずでしょう、年金の支給は。二年ふえたら二年つくはずです。ところが一たん請求したらそのときのままで、一年ふえようと二年ふえようと三年ふえようとずっと置いておくというのは、在職老齢年金の計算方式としてはちょっと厚かましいということになりませんか。これは何ぼ説明を聞いたってわからぬ話だ。計算のし直しをすべきじゃないか。どうですか。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 いまのお話だけ伺っておりますと、そのようなことも必ずしもうなずけないでもない気もいたしますけれども、保険料は現在月々事業主から納めてもらっておりますので、これは保険料の納付の仕組みの問題とも関連しますが、年金額を毎年毎年改定しないかどうかという問題につきましては、確かにそれも一つの考えではございますけれども、現実問題といたしましては、先生も御承知と思いますがいまの業務課の事務処理体制からいきまして、在職年金としてはかなりふえてまいっておりまして、これを毎年改定するということはいまの処理体制からいってどうも困難である。最終的には六十五歳時点あるいはまた最後の退職の際に計算し直すわけでございますから、そういうことで御了承願いたいと思うのですが、これは基本的には老齢年金における退職要件をどう考えるかというのがこの問題の基本的問題でございまして、沿革的には、本来退職老齢年金である厚生年金について、四十四年の改正で低所得の方には気の毒だから約束されておる水準の年金程度のものは、賃金と年金と合わせてその額になるくらい差し上げよう、そういうのがこの制度導入の趣旨だったわけでございます。  そういう沿革から考えますと、本来的にはいまの保険料がとられながら云々ということは、議論としては恐らく逆になるのじゃないかと思うのですけれども、しかし現実問題としては先生御指摘のような声がかなり強くなっておりますので、目下関係審議会でこの問題を含めて検討することになっておりますので、来年度改正の一つの問題としてさらに検討いたしたいと思います。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 要するにそういうことを基本的にやめてしまえばいいのだ。そうしたらこれは解決するのだ。それを変なことをやるからこういうことになって、おたくも厚かましいことをやる、こういう話になっておるのだと思うので、これは基本的に改めてもらいたい。  それから、ぼくは時間があれだから最後に三つだけお聞きしておきたいと思う。  ILOの百二号条約と関係するもので、障害年金の給付と障害年金をもらうまでの過程に傷病手当というのが健保であるでしょう。傷病手当は半年でもって切れてしまう。それから障害年金は三年かたってもらえる。その間中断が起こる。結核でも一年半で中断が起こる。こういうことでしょう。ILOではそうはなっておらぬ。これははっきりしておる。健保を延ばせとか年金をどうせいとか、私はそんなことは言わぬ。言わぬけれども、いずれにしたって中断が起こっているということがきわめて不合理だということは歴然たる事実なんだ。傷病手当であろうと障害年金であろうと中断が起こる、これは速やかに改善すべきだというふうに思うけれども、それはどうだということが一つ。  もう一つは現認届です。厚生年金、国民年金でも現認届というのは同じことだけれども、特に厚生年金で毎年現認届を出せという、これにはみんな往生しているのだ。手が切れてしまった人がいまさら手が生えてくるわけでもないのに現認届を出しなさい。——そういうことにはなっておらぬのか。要するに現認届というのは、国民年金の場合は現実的には延長しているわけでしょう。ところが厚生年金の方の人は、現認届を毎年毎年出せということを要求される。これについて、もう少し現実的にしかるべき延長措置をとるべきではないのか。国民年金、厚生年金同じように、病気の処置問題としては、現認制度が存在するんだったら、同じようにしたらどうなのか、こういうのはきわめて実務上に処理できる話だから、法律をなぶるまでもないことなんだから、したがってこれは施行規則か何かでやることなんだろうから、そういうふうにきちんとおやりになったらどうなんだろうか。これも前から言われている問題ですよ。私、国会議員になったときに一番最初に手紙をもらったのが、これだった。これは本当に病人にとっては大変な厄介なことらしいですよ。私は直接自分自身がやってないからわからぬけれども、訴えてきている人のあれを読むと、やはりそういうことらしいし、現実に国民年金では一定の改善がされた。そうしたら、なぜ厚生年金はできないのかという問題、この二点について聞きたいと思います。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 最初の問題について、私からお答えいたします。  療養給付期間中の所得保障問題について問題があることは御指摘のとおりでございますが、私どもの扱っております年金制度の立場から申し上げますと、先生御指摘のありました、現在発病後三年という廃疾認定日、これをどうするかという問題が具体的な問題でございまして、これは沿革的には健康保険の療養給付期間に見合ったのが三年でございまして、それがなくなりました今日においては、必ずしも理論的根拠、積極的根拠があるわけではございませんし、専門家の間にもいろいろ御意見があるようでございますので、そういった意見も十分参考にしながら、来年度改正で一つの検討事項として検討をいたしてみたいというふうに考えております。

河野義男社会保険庁年金保険部長

○河野(義)政府委員 御指摘の障害年金受給者についての現況届の提出の問題でございますが、現況届を提出していただく際に、診断書とか必要によってレントゲンフィルムを添えていただく、こういうことに原則はなっておりますが、いま御指摘がありました外部障害、手足の切断等でもうその後変動する可能性のないものについては除外しておるわけでございます。それから内部疾患につきましても、その病状その他によりまして症状が固定して相当長期に安定しているものにつきましては、二年あるいは三年間提出時期を延ばすというような運用をしておるわけでございます。ただ国民年金につきましては二年ないし五年というような運用をしておりますが、若干違う点は、厚生年金におきまして三級障害がございますし、軽度の障害についても年金が出るという事情があるという点違っておりまして、しかしいずれにしましても、受給者に診断書とかあるいはレントゲンフィルムを提出していただくということは非常な負担になるわけでございます。したがいまして、専門医等の意見も聞きまして、個々の傷病につきまして実際に合った運用ができるよう検討してまいりたい、かように考えております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 時間が来ましたので、私終わりますけれども、最後に大臣に、最初に提起した問題ですね、経過年金というのは、日本の場合にきわめて重要な位置を占めておる。三十年たってもいまだに働かなければやっていけないということを考えた場合に、この経過年金に対する特別施策というのは、やはり緊急に打たなければ、もうすでに時期を失しつつあるんだというこの責務を果たしてもらいたい。したがって、年金制度全般の問題と関係ないとは言わないけれども、特別に手を打たなければならない性格として、特別に積極的にやってもらう必要があるんじゃないかという位置づけを認織してもらう必要があるんじゃないかということに対す御見解をちょっと聞きたい。あと若干、さっきの問題……。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 福祉年金を含めて経過年金の給付水準の引き上げ、これについても私もできるだけそのようなことにいたしたい、今後十分にいろいろ努力検討をいたしたいというふうに思っております。  本人所得制限、九十万から百二十万になりましたが、これは私はまだ不十分だと思いますので、明年度についてはこれは重点的に制度化をもう少し緩和をいたしたいと察うふうに思います。  在職老齢年金、これは退職要件を取り払ったところまでは結構だったのですが、草々の間にやったものですから、実施してみますといろいろな問題が出てきているようでございまして、いまこれをどういうふうに直すかについては、ここで明言する時間も用意もございませんが、これについては明年度の改正の節にかなり綿密に検討をして改定をいたしたいというふうに思っております。  それから傷病手当金と障害年金とのすき間の話、これは昔から有名な話でございますが、どっちからアプローチするかはなかなか問題があるところでございますが、これについてもできるだけ意欲的に検討いたしたい、かように思っております。  最後の問題は事務的な問題でありますので、これは事務当局を督励して何とか便宜なようにしたい、かように思っております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 終わります。

戸井田三郎自由民主党

○戸井田委員長代理 次に、岡本富夫君。

岡本富夫公明党

○岡本委員 ただいま審議しております法律案の中で国民年金の事業に要する事務費の負担について若干質問したいと思います。  御承知のようにいま各地方自治体は超過負担で非常に困っておるという中で、この国民年金の事業の事務費について、まず最初に、自治省の局長さん非常にお忙しいということだったから……。  地方財政法の第十条の四の(地方公共団体が負担する義務を負わない経費)、この中に国民年金の経費が入っておりますが、各地方自治体の中で国庫負担で全部賄えておるのかどうか、これをひとつお聞きしておきます。

石原信雄自治省財政局財政課長

○石原説明員 先生御指摘のように、国民年金の事務の執行に要する経費は、地方財政法第十条の四の規定によりまして、地方公共団体は本来負担をする責めを負わないというたてまえになっております。そういう見地から従来も地方の実態を調べつつ、地方自治体が持ち出し負担のないように常に見直しをし、単価の改定等について厚生省当局にも御努力をいただいております。  しかしながら、昨今の経費の非常な高騰などもありまして、最近国民年金事務についてかなり自治体から持ち出しが多くなっているという点が出ております。そういったことから、私どもは四十九年度に厚生省、大蔵省と三者で共同調査いたしまして、その調査の結果明らかになりました超過負担分といいましょうか、自治体の持ち出し分のうちこれは国として責任を負うべきであると考えられる分については、五十年度から計画的にその改善、解消を図っていただくように必要な予算上措置も講じていただいております。

岡本富夫公明党

○岡本委員 あなたの答弁聞いていると、国民年金事業に関する事務費の負担ですね、国が負担するものについては——この国民年金事業の事務費は全額国が負担することになっておるのですよ。     〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕 それにその中で国が負担する分についてはと、こういうあなたの答弁だ。これ全額負担するというのはこの財政法の精神でしょう、十条の四、これはどっちなんです。

石原信雄自治省財政局財政課長

○石原説明員 十条の四の規定の考え方は、必要な経費は全額国庫が負担するというたてまえでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 次に厚生省にお聞きしますけれども、国民年金法の八十六条、事務費の交付について、これをひとつ詳しく説明をしてもらいたい。

河野義男社会保険庁年金保険部長

○河野(義)政府委員 御指摘のように国民年金法第八十六条の規定によりまして、市町村が行います国民年金関係の事務の処理に要する費用は国が交付することになっております。これにつきましては、従来から現実に事務量に見合った所要の経費を交付してまいったわけでございますが、いま自治省からも御説明がありましたように、いまだんだんその実態と交付基準の間にずれと申しますか、そういったものが出てまいりますので、四十九年度におきましては大蔵省、自治省、厚生省三省で実態調査をいたしまして、その結果に基づきまして実情に即した適切な経費の負担を行うべく、五十年度の予算におきまして所要の措置をいたしたわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 法制局の見解を聞きたいのですが、この財政法の第十条の四と、それから先ほど国民年金法の八十六条ですか、これについていま聞いておってこれは全部国庫負担だというように答弁しておりますけれども、この事務費が相当高騰してきた、いまは、それに適正に、合うように五十年度でしよう、こういうようにしておる。ということは、四十八年度、四十九年度この超過負担というのはこの法律に違反しておるんじゃないかと私は思うのですが、いかがですか。

別府正夫内閣法制局第四部長

○別府政府委員 お答えいたします。  地方財政法第十条の四で地方公共団体が負担する義務を負わない経費であるということにつきましては、岡本委員御指摘のとおりでございますし、先ほど自治省からお答えのあったとおりでございます。  ただ、地方財政法は全体としてのたてまえを示しているということでございますから、たとえば具体的なある市町村においてきわめて支出が多かったというような場合、あるいは非常に多くなるというような場合に、その分が国で全部負担しなければならないという趣旨ではないというふうに考えざるを得ないと思いますので、御指摘の国民年金法八十六条では、一般に超過支出がないようにというたてまえで政令に法律から委任をしまして、政令でいわば交付基準額というようなものを定め、それに人員を掛けて計算をするというような方法をとっておるというふうに考えております。

岡本富夫公明党

○岡本委員 自治省、もう一度聞きますが、この超過負担のない市町村、あればひとつ挙げてください、全国で。

石原信雄自治省財政局財政課長

○石原説明員 全市町村の調査は行っておりませんが、昨年三百市町村ほどについて抽出調査をいたしましたけれども、全団体につきまして持ち出し負担があるということが判明いたしております。

岡本富夫公明党

○岡本委員 もう一度法制局にお聞きしますが、特別に超過したという市町村があれば、それはあなたのおっしゃるとおりでしょう。全市町村、私も調査しまして全市町村がみな超過負担になっているということになれば、——あなたのいまおっしゃった特別に超過負担したというところがあれば、これはこれに該当しない。しかし全市町村が全部超過負担しておるということになれば、あなたどういう見解ですか。

別府正夫内閣法制局第四部長

○別府政府委員 当局の立場といたしまして、担当の厚生省の方から説明を聞きまして政令の審査をするあるいは法律と政令との関係を合理的な範囲で解明するという立場をとっておりますので、当方が聞いておる範囲では、先ほど御説明いたしましたように、少なくとも市町村の実支出額の総額とそれから交付総額との間に差があるかないかという点につきましては、いま岡本委員御指摘のように全市町村を通じて差があるとしても、その実支出額をどのように考えるかという点につきまして、厚生省あるいは先ほどお話のありました大蔵省、自治省と相談して提出されました数字自身が、それ自体一応合理的な範囲であるということであれば、そのような交付金額を決定すること自体は地方財政法のたてまえからいって完全にいかぬという判断を具体的にするかどうかについては、まだそのままでたてまえに反するということにはならないのではないかというふうに考えております。

岡本富夫公明党

○岡本委員 法制局のこの法律の解釈、あなたの話を聞いていると、何かこういう法律を守らぬでもいいような解釈の仕方をあなた言っているよ。ちょっとその点についてもっと厳正な立場から、こういう法律はどういうようにこの超過負担について——要するにこの部面から見れば、一体事務費は国の事業だから全部国が負担するのだ、こういうようにこれ読めるでしょう。ここがたてまえでしょう。あなたのおっしゃるようにどこかの市で特別に超過負担している、要するに特別に保険請求したとかよけい要ったとかいうならば、これはあれだけれども、全部の市町村が全部超過負担している。あなたの答弁、もう少しはっきりしてもらわなければいかぬな。

別府正夫内閣法制局第四部長

○別府政府委員 お答えいたします。  地方財政法第十条の四の七号に、岡本委員御指摘の国民年金関係が書いてあるわけでありますけれども、国民年金に要する経費、「要する経費」というものをどう考えるかということにつきましては、担当省庁である厚生省あるいは大蔵省、自治省等が相談して決められることであるので、その経費がどれだけかということと、それからいわゆる実際の支出超過があるということは必ずしも同一ではないんではないかということを御説明したわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 国の、実質に要ったものでなければ——これは各市町村やはり決算にかかりますね。これはこれから聞いておいてください。特に厚生省から聞きますけれども、その中でぼくが調査したものと合うかどうか。  兵庫県の西宮市、伊丹市、この両市の四十八年度の国民年金の事務費は幾ら出しているのか。また、国から交付された事務費のみで国民年金に要するところの事務費が負担できると考えておるのか。これは厚生省と自治省の両方からひとつ聞かせてもらいたい。

河野義男社会保険庁年金保険部長

○河野(義)政府委員 西宮市につきましては、三千六百六十九万五千円交付金を交付しております。それから伊丹市につきましては、千百六十万七千円交付しております。

岡本富夫公明党

○岡本委員 それで両方とも全部賄えているのか。

石原信雄自治省財政局財政課長

○石原説明員 私の方では、具体的に西宮市の分で交付額と実所要額がどのようになっているか手元にデータございませんが、西宮市においてもかなり持ち出しになっておるという話はかねてから聞いております。

河野義男社会保険庁年金保険部長

○河野(義)政府委員 いま西宮市と伊丹市の交付額を申し上げましたが、現に要した額は、西宮市におきましては四千九百八十四万でございます。それから伊丹市におきましては、千五百八十二万となっております。したがいまして、差し引き額は、西宮市におきましては千三百万、伊丹市におきましては四百万の差が出ております。

岡本富夫公明党

○岡本委員 どうもあなたのその調べはおかしい。ぼくは四十八年度のをあなたの方に連絡しておいたはずですけれども、これを調査しました。そうすると、西宮市では国民年金関係の事業の事務費が六千二百二十三万三百五十円。その内訳は、職員の人件費が五千七百一万三千七百七十七円。その他物件費というのがいろいろ必要なんですね。これは臨時職員も入っているわけですが、これが五百二十一万六千五百七十三円。要するに、総計で六千二百二十三万三百五十円。これに対しまして、あなたの方、要するに国の方からは、総収入が四千九百三十三万一千七百八十一円。この内訳は、国からの委託金ですか、これが三千九百九十二万七千三百九十六円。これ以外に印紙の売りさばき手数料がありますね、これが九百四十万四千三百八十五円。総収入から事業費を引きますと、超過負担が千二百八十九万八千五百六十九円。すなわち、収入率は七九・二七%。伊丹を調べますと、これは実質の事業費が二千百四万六千円、それに対して国庫負担が千五百五十四万六千円。こっちの負担率を見ますと、要するに五百五十万円の超過負担になっておりますから、負担率は三五・四%。  ぼくはこの二つの市しか調べてこなかったわけだけれども、こういった超過負担、これは全部市会に決算として出しているわけですね。これはごまかしきかぬわけですよ、監査委員もおりますし、決算委員がおるわけですから。これについての法制局の見解として、こんなに超過負担をしておる、これは本当は国が全部出さなければならぬ、これに対するあなたの見解はどうですか。

河野義男社会保険庁年金保険部長

○河野(義)政府委員 最初に申し上げることを忘れましたが、国民年金事務費取り扱い交付金につきましては、各市町村が国民年金事務を処理するために必要な標準的な経費について交付しておるわけでございます。したがいまして、個々の市町村におきまして実際支出された額は、それぞれの市町村の事務執行体制とかあるいは職員の給与ベースなどが皆異なっておりますので、標準的な経費と、それからいま申しました各個々の具体的な市町村において支出された額については差があるわけでございます。したがいまして、個々の市町村について見た場合におきましては、市町村が支出した実際額すべてがカバーされるものというふうには考えておりません。この交付基準と、それから実際の支出額についての乖離につきましては、四十二年におきましてもその実態を当たりまして改善してまいったわけでございます。その後の給与改定、ベースアップ等があった場合におきましてはそれを補正して積み上げていくという方法をとってまいりましたが、四十九年度におきましても、交付基準と実際の支出額について実情に沿わないような面が出てまいりましたので、また実態調査をしまして、実情に即した基準に改善いたしたわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 もう一遍法制局の見解を伺いたい。  要するに地方財政法の第十条の四、ここの地方自治体が「義務を負わない。」ということは、全部国で経費を出すということですよね。義務を負わないのですから。  いまあなたが聞いておったように、その基準を、実質の事務費に合わないから、ずうっと改定してきておる。改定してくるということは、それ自体がもうそもそも間違っていた、こうなるのと違いますか。だからこの第十条の四に違反していた、こうなるのではないですか、いかがですか。

別府正夫内閣法制局第四部長

○別府政府委員 お答えいたします。  まず、最後に岡本委員がおっしゃいました、改定すること自身が違法状態をいわば追認したことになるのではないかという御質問に対しましては、ただいま厚生省の方からも答弁の一部にございましたように、当然その物価上昇等を考慮に入れ、あるいは公共団体の職員のベースアップ、物価上昇のはね返りというようなことも入れまして、毎年改定をするという作業をするわけでございますから、改定すること自身が地方財政法の趣旨に反する違法なものがあったということにはならないかというふうに考えます。  それから、厚生省の方で答弁いたしましたように、個々の市町村について実支出額と、それから国からの交付額とに差があるということ自体がすぐに超過負担ということになるのかならないかという点については、むしろ当局の判断というよりも、担当省庁たる厚生省の判断ということになるかと思いますので、個々の市町村の問題について、当局の方からそれが妥当であるか違法であるかということを申し上げるのは差し控えさせていただければというふうに考えます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 うまく逃げたな。要するに第十条の四は、地方公共団体は義務を負わないわけですから、これは全部国の委任事務ですから出さなければならぬ、そうでしょう。それが厚生省で決めて、おまえのところはこれだけだ——これが基準単価というのですが、基準単価を出しておれば全部できるか、これは実際はできてないでしょう。全国全部そうです。これは徐々に改定しているのだ——ぼくも調へまして、たとえば一人に対して補助基本額が伊丹の場合は六百五十六円、ところが実際には八百八十八円かかっている。     〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 これは国だからもちますけれども、逆の立場であってみなさい。ぼくは法律というのは、どんな弱い者もどんな強い者も、日本国民である場合は、中央国家である場合はこれは同じだと思うのです。これは立場がどう変わろうと、同じ法律がある場合はそれを遵守しなければいけない、これが中央国家ですよ。  厚生省の場合は、これはこれでもうこれしかないのだから、これでやれ。長野市では、これは長野方式と言うらしいのですが、極端に言うたら、国からもらった委託費だけして、あとは仕事せぬ、そういうようなことを長野方式だと言うて地方自治体の皆さんが笑っているわけです。笑っていると言うとおかしいけれども、地方自治体の市とか町とか、こういうところは絶えず住民の皆さんと接触しておりますから、仕事をしないというわけにいかない。この姿を見ますと、これはいろいろなのがたくさんあるわけですが、国民年金の事務費だけは、やはり要るだけはきちんと出してあげる、それでなかったら仕事はできない、こういうように私は思うのですが、この点について厚生大臣からお聞きいたします。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 地方公共団体における超過負担問題、いろいろと国会で論議があるところでございますが、いま先生が特に御指摘になった国民年金の事務費でございます。これは地方財政法十条の四に書いてあるように、地方で支弁することのない経費、委任事務ですから。それはわかるのですが、問題は二つあるのではないかと思うのです。  一つは、さっきから論議をいろいろやっておりますが、いわゆる標準的な経費については持たなければいかぬ、こういうことだろうと思いますので、これが欠けておってはいけないということだろうと思います。それ以上に、特別な事情で特別な金をかけたものについて、それを全部見るという趣旨ではないということは法律の定めているところでありますので、したがいまして、標準的な経費が落ち込みがあってはいけない、そういう意味で、三省共同調査による額を設定し、それに対してリカバリーをしたというのが実態でございます。  かような意味で、私どもは法律の定むるところによって、標準的な国民年金の事務費については、遅滞なく、これを全面的にカバーするようにしなければならぬということは言うまでもないことであります。今後とも努力を重ねていきたい、かように思っております。

岡本富夫公明党

○岡本委員 いや、あなたの方で査定された標準の分は、これは出ているわけです。この標準というのが各地方自治体でやはりそれぞれ違うと思うんです。やはり地方公務員の給料の差もありましょう、それから、出張したり、いろいろなのがありますね。全国一律に、給料の安いところと皆同じではないと私は思うのです。それを、都会のような、西宮やあるいは伊丹のようなところと同じようにして標準をとっておる。これはやはり実態に即した価格を出してあげなければならないと私は思うのです。そんなことをすれば地方自治体が放漫になるのではないか、こういうような考えは私はいけないと思うのです。これはやはり各市議会で決算報告をしておりまして、そんなことをすれば、ちゃんと決算委員がおってきちんとするわけですから、その点もう少し地方自治体を信用して、赤字にならないように配慮しなければならないと私は思うのです。  これは、いまの答弁ではちょっと私は不満ですので、もう一遍、標準についてはどんなことになっているのか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 これは法律の定めるところは、市町村がどういう経費を使ってどういうふうにやっても、それは全部しりぬぐいをするということではないというふうに私は心得ておるわけでございます。したがって、やはり標準的な、こういったようなものを扱うのにはこれだけは要るのだということを策定し、この分については見ます、しかしそれ以上にどこかの市町村で特別にいろいろな経費をかけ過ぎたなどということ、これがあり得ないことだと言えばそれまでですが、実際はやはりそういうものについても現実にはじいてみるとあることは事実なんでございますから、そういうものは見ませんという点については、どうも御勘弁願わなければ、これはらちがなくなってしまうということだけは、これは実際問題としてあり得ることでございますので……。標準が実勢より著しく低いなどということがあっては、これは法律に違背することでございますから、そういうことのないようにいたさなければならないというのがこの法律の定めであり、またこれは着実に実行しなければならない、こういうことだというふうに思っております。

岡本富夫公明党

○岡本委員 そうすると、いまの大臣の答弁では、要するに標準が実質に合わない、これでは法律違反だ、これをこれからもう一遍調査して合わす、こういうことですね。どうもあなたは——特別に何かかけたというやつは話が別ですけれども、私どもも全国の調査をしてみましたよ。そのうちでピックアップしたものをきょう持ってきたわけですけれども、全部が超過負担になっているわけです。ということは、実質に合ってないということなんです。市町村に行きましても、これに合わそうとして、配置がえをしたりいろいろなことをして、それで能率が上がるようにやっているわけです。市町村だって超過負担かなわないんですから、これはやっているわけですから、特別にかけたとかこういう言い方はちょっと私はいただけない。そこで、いま大臣は、実質の事務費の経費に合わせるようにこれからします、こう御答弁をいただいたからそれで了としておきましょう。この次またしてなかったら予算委員会でお目見えするとしまして。  その次は、ついでだから法務省の方に聞きますが、同じように外国人登録に関する経費、これも地方財政法に出ているんです。ところが、これは西宮市、これを見ますと、外国人登録事務費の委託金が百二十一万八百円、これは法務省の方から来たんです。ところが、必要な、本当に要った金は八百九十万七千二百七十六円、要するに必要経費の一四%しか来てない。これは厚生省よりまだ悪い。したがって超過負担は八六%。これについて、ひとつこれはついでだから法務省の方から聞いておきましょう、同じケースですから。

影井梅夫法務省入国管理局長

○影井政府委員 ただいまの西宮市に対する交付金の額、これは私の方でも承知しておりますが、超過負担の具体的な額については、実は最近まで承知しておりませんでした。  なお、この外国人登録事務委託費の超過負担の問題、これは西宮市に限らず、私どもの方で見ておりまして、全国的な問題になりつつあるということを承知しております。したがいまして、私どもといたしましては、各市町村におきます業務量、それからそれに従事いたします職員の数、その給与形態等の実態をこの際改めて十分に把握しなければいかぬだろう、それを十分に把握いたしました上で自治省等との協議をいたしまして、これを十分に検討してまいらなければならない、このように考えております。

岡本富夫公明党

○岡本委員 そうすると、調べますと、いままで兵庫県全体でも一五%しかあなたの方から費用が来てない。兵庫県全体、各市皆。それで西宮市の場合は一四%しか来てない。  法制局の見解をもう一遍聞きましょう。この十条の四のこれに抵触しないかどうか。

別府正夫内閣法制局第四部長

○別府政府委員 実は法務省の関係は当部第四部で所管しておりませんので、私は一般論としてしか申し上げられませんのですが、御了解いただきたいと思います。  先ほども申し上げましたように、必要な経費というのをどう見るかという問題はございますが、先ほど厚生省に関連しまして厚生大臣から答弁がございましたように、実支出額とは考える必要はないかもしれませんが、標準的な支出額というのが全国の総計が出るというふうに考えますと、標準的な支出額のいわば合計と、厚生省関係で言えば交付基準額に人員を掛けましたものの合計とが著しく差ができるような場合には、妥当を欠くということは考えられる、その程度の一般論で御勘弁願いたいと思います。

岡本富夫公明党

○岡本委員 これも兵庫県全体で実質要ったうちの一五%、それから西宮市で見ますと一四%というのですから、法外な超過負担でしょう。超過負担が八六%です。ですから、いま法務省の局長さんはもう一遍調査して考えるとおっしゃっているから——よくいままで地方自治体も黙っていたなと思ってね。国の方は中央集権できつかったから、特に法務省に対してはあれだったかわかりませんけれども、本当に気の毒ですよ。これもあなたの方でもう一度きちんと調査して、ちゃんと実質に合わす、こういうことですね。

影井梅夫法務省入国管理局長

○影井政府委員 実はこの問題が取り上げられましたのは比較的最近のものだったので、十分な調査をまだ終わっておりませんけれども、すでに一部につきましては私どもの方から調査もいたし、その調査が終わりました後、その次に全国的な調査もなるべく早くいたしたいということで、調査計画も、目下計画そのものは終わりまして、この実施を急ぎたい、このように考えております。

岡本富夫公明党

○岡本委員 本当に児童手当の事務費も調べたらものすごい超過負担なんですよ。時間がなくなるから、きょうはこれでやめておきます。  そこで、次に年金制度の不公平——三木内閣は社会的不公正の是正というのが柱なんですね。それで、この点一つ例を調べますと、公務員のAさんという人、五十五歳で中央官庁を退職し、公団に天下りした場合、同時に共済年金を給付されることになっておる。だから収入は役人時代よりは多くなる。ところが、民間会社に勤めているところのBさん、五十五歳で定年退職後ある中小企業に就職した場合、給料が半分に減ったとかいろいろ落ちるわけですが、そして厚生年金の支給が始まるのは六十歳から。しかもそのBさん、六十歳から——民間会社にいた人ですよ。月五万円以上の俸給を受けていると厚生年金は支給されない。ですから、またそのBさん、要するに民間に勤めた人は年金を支給されるのは六十五歳になってからです。それもそのBさんが働いている間は全額はもらえないで、二割引きしか支給されない、計算すると。こうしますと、役人天国とはよく言われますけれども、公務員の方は五十五歳で公団に天下りして、給料をもらいながらまた共済年金をもらう。民間会社に勤めている人は、先ほど言ったように相当差がある。こういうような三木内閣——あなたも三木内閣のお一人でありますから、社会的不公正の是正というのが看板ですから、この点いかがでしょうか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 年金は約八種類ほどに分立をいたしておりまして、それぞれに目的が違い、そしてまた沿革が違い、条件が違うというのが一つの問題点であります。いまお話しの御設例の向きの話は在職老齢年金に関係しているというふうに思いますが、これについては国家公務員共済などの場合には、退職後に勤めるところというのは国家公務員共済組合の外に勤める場合がほとんどでございますので、こういう例が出てくるわけであります。極端な場合、たとえばある省庁の役人をやめて別な省庁に勤めるということがあれば、これはやはり引かれるわけでございますが、どうも役人の場合には大部分が民間に再就職する。そうすると引かれないということになりまして、理論の上ではいいのですけれども、どうも実際のカバレージが違っているものですから実際に不公平が生じるということだろうと思います。  こうした一例だけではなしに、やはり各共済年金あるいは厚生省所管の公的年金の間にいろいろな条件の違いがありまして、これについては一部はやむを得ないものがございますが、一部についてはやはり改善を加えなければならないものがあるというふうに認識しておりますが、やはり長い間の経緯等もございますので、一朝一夕にこれを全部同じにするということはできないと思いますが、できるだけこうした制度の分立によるところの不利というものをカバーするということが第一。第二には、できる限りひとつそうした厚薄がないように今後とも制度の改善について各省庁と連絡をとってやっていかなければなるまい、かように思っております。

岡本富夫公明党

○岡本委員 これは私後で言おうと思っておったのですが、やはり将来年金の一本化についていろいろと検討しなければならぬと思いますが、そこで一月二十七日の新聞に、三木総理が次の五十一年度予算を目指して年金制度の仕組みを全般的に見直すつもりである、田中厚相にも指示していると述べておりますけれども、どういうことを指示されて、どういうようにあなたの方はお考えになるのか。まだ考えていませんか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 確かに私、三木総理から年金制度について根本的に見直せということを言われております。しかし、これが出てきたゆえんのものというのはお互いにこれはいろいろ複雑な制度の仕組みでございますから、したがいましてどこまで総理がお考えになっていたかは私つまびらかにいたしません。しかし、その理由をそんたくするときにやはり福年の財源についての考え方が濃厚にあったものではなかろうか。それは前後の経緯から私もわかるような気がいたしますが、いずれにいたしましても、どういう御趣旨で御指示があったといたしましても、やはり公的年金制度全般について、いまさっきの御質問に私が答えたようなことについてあれこれ見直しをしていかなければならないものというふうに考えているわけでありまして、その内容あるいはカバレージ等々については明確な御指示はございませんでした。

岡本富夫公明党

○岡本委員 明確な指示がなかった、そういうことですが、じゃ田中厚生大臣は次の五十一年度予算についてこれをどういうふうに考えておるのですか。まだ何も考えていませんか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 やはり各種年金については相当改善を加えなければなるまいということについては、現在総理の御指示があろうとなかろうとそのようなことはいたさなければなるまいというふうに私は思っているのですが、総理からの御指示がありましたのでさらに意欲的にやっていきたい、かように思っております。  では具体的に一体どの点をどのようにやるかということについては、ただいま作業中であり、また各種審議会にもいろいろと御相談を申し上げているところでございまするから、いまの段階であれこれ余り具体的に申し上げるまでには至っておりません。  しかし、たとえばさっきからいろいろ御質問の中にあったような通算制度とか、あるいはまた妻の年金権の問題あるいは各種年金についてのいろいろ財政方式についての検討等々、いろいろな問題が議題になることは事実だろうと思いますが、いまそれじゃどの点がどのように改善を見るであろうか、こういうふうになりますということを申し上げるのについては、まだ若干の時間をかしていただかなければ、私は責任のある的確な答弁はできないというのが事実だろうと思います。

岡本富夫公明党

○岡本委員 もう大橋さんにかわらなければいけませんので……。  そこで、労働省も来てもらっておるのですが、労働省の方からも答弁してもらおうと思ったけれども、私の方から言います。  大体、日本の国のお年寄り、すなわち六十五歳以上の労働力率、これが西ドイツやあるいはまたアメリカに比べますと、非常に高い。たとえばアメリカでは六十五歳以上のお年寄りが働くのは、これは一九七三年、二二・八%、西ドイツが一五・一%、それに対して日本は四六・七%、これは男の方です。女の方はアメリカが八・九、西ドイツが五・六、日本は一六・九、これはおばあちゃんの方ですね。こういうふうにわが国の男性が六十五歳を過ぎても非常に働き、また職を求めているというのを見ますと、この原因は何にあるかということを調べると、東京都の老人総合研究所が四十九年、昨年まとめた調査によると、経済上の理由というのが非常に多いわけです。したがって、私は、この就労の理由として六十五歳から六十九歳の方が六九%、七十歳以上が七五%、これがみな経済上の理由を挙げているということを考えますと、やはりひとつ厚生省でどうしても年金を食べられる年金、生活できる年金、こういうふうにしなければ——諸外国と比べても非常におくれておる。要するに、経済上の理由で働くということですからね、働いてはいかぬということはありませんけれども。だから一つ私は要求しておきたいのは、食べられる年金、これを目標に年金制度の洗い直しをしてもらいたい。これを一つ要求しておきます。  それから労働省。老後の生活を安定させるために年金の充実をするとともに、年金の支給開始年齢になるまで就労保障、すなわち定年制の延長ですね。これはまだ企業が五十五歳の定年制をとっておるけれども、やはり六十歳までくらい定年制を延ばす、こういうように指導する必要があるんじゃないかというように思うのですが、これは労働省から見解を聞いておきたい。

川口義明労働省労働基準局賃金福祉部企画課長

○川口説明員 ただいまおっしゃいましたように、一律定年制のあるところで五十五歳というのが半分ぐらいまだございます。そういうことでございますので、労働省といたしましては、定年の延長ということを考えておりますが、高齢者になりますと、仕事の種類ですとか体力とかそういうことによって働くか働かないか、どんな仕事に働くか、それぞれ個人の事情が非常に千差万別になってまいります。したがいまして、現在のところ労働省では、六十歳まで定年を延ばしていきたいということでございますが、定年制といいますのは、日本の生涯雇用と言われる雇用慣行とか年功賃金とかに非常に関連しておりますので、一挙にというのはなかなかむずかしゅうございまして、段階的に延ばしていくようにということを指導しておるところでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 そうすると、ぼくの調べによると、五十五歳定年制を実施しているのが五二%、六十歳までが三二%になっておるわけですね。労働省としては、この定年制の延長、これを今後指導していく、こういうことですね。

川口義明労働省労働基準局賃金福祉部企画課長

○川口説明員 はい、さようでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 じゃ、大橋委員と交代します。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員長代理 大橋敏雄君。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 若干、関連して質問させていただきますが、限られた時間が迫ってきたのですけれども、私が最後でございますので、多少の時間の延長はお許し願いたいと思います。     〔竹内(黎)委員長代理退席、菅波委員長代理着席〕  五十一年度に年金制度の抜本的な改定がなされるといまも厚生大臣がおっしゃっていたわけでございますが、国民は大きな期待をこれに寄せております。したがいまして、この際、現在の年金制度における欠陥だとかあるいは不公平だとか、いろいろと問題点を指摘していくことは、その抜本的な改革の中における重要な事柄になろうという立場から、二、三お尋ねをしてみたいと思います。  年金の支給につきまして、加給年金の給付がございます。国民年金の場合は、十八歳以下の子供について、あるいは厚生年金の場合は、配偶者や子供についての加給年金が給付されているわけでございます。これについて、この加給年金の性格、一般的には、公務員に支給されております扶養手当に相当するもの、このような理解でいいのかどうかということですが。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 過去の年金改正の際における加給年金額の引き上げにつきましては、おおむね御指摘のような公務員における扶養加算、そういったものを参考に引き上げておるというのが実際でございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 そこで、私は実際の例を引いて問題点を指摘したいと思うわけでございますが、公務員の扶養手当が改正されれば、これを追いかけて加算額の改正がなされなければならないと私は思うのです。公務員の扶養手当が改正されると、それにいわゆる後追い的にはなっておりますけれども、当然改正さるべきである、このように考えるわけであります。事実、厚年の加算年金額が、四十三年度においては公務員の扶養手当に準じて改正されております。また、四十八年度改正においては、四十七年度の公務員の扶養手当の額に準じて改正されてきております。これは過去の事実ですね。この経過を見ましても、公務員給与の改定を追いかけて改正していかねばならぬ、このように思うわけでございますが、今回の公務員給与の改定では扶養手当の改定はなされておりますけれども、今度の国民年金法の中を見ましても、これは据え置きになっておるわけですね。こういう点について大体いつ改定をなさる気なのか、お尋ねをするわけでございます。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 昨年四月から公務員関係の方の加算額が配偶者の場合かなり大幅に上がりまして、実は先ほど大臣も申しましたように、来年度の改正につきましては、目下関係審議会ですでに検討が始まっておりまして、その中の一つのやはり重要な検討課題といたしまして、年金額水準を考える場合に、世帯単位か個人単位か。これは実は妻の年金権、国民年金への任意加入をどうするか、こういったことに全部絡む問題でございまして、従来のような後追い的な加給金がいいのか、この際もっと基本的に、たとえば一定割合みたいなものをプラスするのがいいのか、いろいろ議論が実はなされておりますので、私はここで余り具体的なことを申し上げるのは適当でないと思いますけれども、妻の年金権までこれを取り上げますと、各制度またがって、しかも一人前、二人前の議論になりますと、あるいは場合によって一人前の年金としては従来レベルをあるいは割り込むというような問題、そういう要素も含んでおりますので非常にむずかしい問題でございますけれども、単純に従来ベースで加給金の後追いをしていいのかどうかについてなお議論をしようというのが関係審議会の意向でもございますので、ひとつその点で御了解願いたいと思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 それでは具体的に御説明申し上げますと、国家公務員の扶養手当額の改定が昭和四十四年に行われております。これは従来配偶者は千円であったものを千七百円に変えたわけですね。また、十八歳未満の子供について、特に職員に配偶者がない場合は、このうち一人については千二百円をお上げしましょう。このように改定がされたときに、厚生年金の改正もなされております。これは前年度、四十三年度の国家公務員の扶養手当の額の水準に合わされております。たとえば配偶者に対しては千円ですから四十三年度に合わされているわけですね。また、国家公務員の扶養手当の改定が昭和四十六年にもなされまして、千七百円から二千二百円になっています。そうしてそのときには子供二人まで支給することにしますと、このように手当額を改定されております。したがいまして、子供については、子供二人について六百円支給しましょう。あるいは職員に配偶者がない場合の方につきましては千四百円を上げましょう。こういうふうに改定がなされております。そうして昭和四十八年にはさらに配偶者は二千四百円から三千五百円、そして子供が二人までできるわけですが、千円、そして職員に配偶者がない場合においては二千五百円の扶養手当を支給いたしましょう、こういうふうに改定されて、四十九年には三千五百円の配偶者の扶養手当は五千円に改められております。それから子供の場合は千円が千五百円、それから職員に配偶者がない場合は二千五百円から三千五百円へと、このように大きく改正がなされたわけでございます。  そこで、いままでのように後追い的にはなりますけれども、加給年金額の改正がなされるならば次のような額にならざるを得ないという計算をしてまいりました。実は昭和四十九年の公務員の扶養手当に準じて加給年金の改正をした場合、たとえば妻と子供が二人いると仮定しまして、言うまでもなく老齢年金というものは定額部分と報酬比例部分と加給年金を合わせて老齢年金と言われているわけですね。定額部分と報酬比例部分が基本年金額と言われているわけですが、四十九年度の公務員の扶養手当の改正の立場に立って計算してまいりますと、加給年金だけでも、五千円掛ける十二カ月ですから、年間六万円ですね。それから、子供が千五百円になりますので、しかも二人まではできるわけですから、千五百円掛ける十二カ月、三万六千円、合計いたしまして加給年金は九万六千円という計算になるわけです。ところが、現行どおりにまいりますと、ずっと計算してまいりますと四万八千円ですから、約半分しかならぬわけですね。これは早急にこれに合わせるべきである、合わせなければならない、いままでの経緯の上から言ってもそうだ。また、遺族年金を取り上げましてもそれが言えることでありまして、時間がございませんので細かい計算は省くといたしましても、結局は遺族年金の場合は六万円になりますが、現行でまいりますと、一万九千二百円、約三分の一の額ということで非常に格差が開くわけですね。ですから、私は、いままで五年ごとになされたという考えもあるかもしれませんけれども、今回は財政計算期を早められて五十一年度になさるわけですから、少なくともいままでの例にならえばこのような改正がなされるものと判断するわけでございますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 先ほど申し上げましたように、従来の改正の経過をたどってみますと御指摘のような改善が一応は予想されるわけでございますが、非常にむずかしい問題ではありますが、妻の年金権、それに絡んで、一体被用者保険における年金レベルを、二人分、一人分、そういうものをどういうふうに扱うか、来年度の改正で果たして間に合うかどうか、その点は何とも申し上げられませんけれども、そういう基本論議をひとつしてみようという関係者の大体空気でございますので、余り具体的なことを私がこの段階で申し上げるのはいかがかと思いますけれども、少なくとも従来の経緯から見れば、そういうことも一つの案として考えられるということだろうと思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 局長さんの方では、もうそれ以上の答弁はできないと思いますが、大臣、これは当然のことだと思います。国家公務員の扶養手当が変われば、当然それにならって、後追い的ではございますが、年金関係の加算年金額は改正されてまいりました。したがいまして、来年度はその改定期に当たっているわけですから、当然これは改正されるべきである。そうした年金権を持っている方は、いわゆる期待権があるわけですね。そういうことで、当然私はこれで改定されるもの、こう考えるわけであります。それでなければ、いま言ったような大きな額が半額になってみたり、三分の一の額になってみたりして不公平が生ずると思うのです。どうでしょうか、大臣。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 加給年金の問題でございますが、これについては、従来の取り扱いは先生おっしゃるとおりであります。しかし、今後この制度を一体どのように持っていくか、これについては、いま年金局長が言ったように、相当広範囲な視野でもってこれを検討しなければならないということは事実だろうと思います。また、これについては、年金の数理計算上、こういったようなものを一体どう保険料に織り込んでいくかということも、金額が大きくなってくるとだんだん問題が出てくるだろうと私も思いますので、そういったようなこととも、収入の面と支出の面とのバランスの上において考えていかなければならぬ問題も出てくるだろうと思いますが、いずれにしてもこの加給年金、いつまでも、制限が、この種のものが高くなってきておるのに据え置いておくということはよくないので、抜本的なもう少し幅の広い改定なり制度の改変ができれば別ですが、それができない場合にはやはり若干考えなければならぬというふうに思っています。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 抜本的な改正の中でこういうものは十分考慮して改正されていくであろう。もしその改正がなされない場合は、当然、いままでの考えで、改定期がきておるのだからその線に合わせていく、このような理解に立ってよろしいですね。御返事があったと思いますので、これはこれで終わりたいと思いますが、ただ合わせ方につきましても、厚生省の場合は非常に消極的なんですね。もっと積極的に熱意を持ってやっていただきたいと思うのですよ。  先ほど言いましたように、厚生年金の場合は四十八年度に改正なされましたけれども、それがいま言う国家公務員の給与改定の四十七年度の水準に合わせたということですね。そこで四十八年は配偶者については二千四百円、第一子、第二子については八百円、その他については四百円と一歩おくれた水準で行っておるわけです。まして国民年金の場合はどうかといえば、今度四十九年に改正されておりますけれども、これは妻はありませんけれども、子供一人にのみ八百円、低い水準に合わせて八百円、これも二人じゃなくて一人に今度は削っていますね。そしてもう一人の方はその他にして、またその半額にしておるのですね。非常に消極的なんですね。これはお金が要るからという考えもありましょうけれども、いわゆる行政の立場から、あるいは救済していく立場から見れば、こういう考え方は私は誤りだと思うのです。これは抜本的な改革の中で大きく反省し、改めてもらいたい、こういう考えですのでこれをつけ加えておきます。どうでしょうか。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 ちょっとお言葉を返すようになって恐縮でございますが、国民年金の場合は、一子までは、一子の状態を母子としてとらえますから、二子の八百円というのは、厚生年金の一子、二子の八百円に合っておるわけですから……。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 四十九年はあれですよ、八百円になっていますよ、一人。違っていますよ。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 一子分を母子年金でとらえてですね。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 それはそうですよ。それでその他に落としておるでしょう。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 三子以降はちゃんと合っておるわけです。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 その辺の考え方が非常にあいまいだと私は思うのですよ。これはもっと本気に取り組んでもらいたい。  もう時間があれですけれども、先ほど年金数理上云々という話が厚生大臣からありましたので、この際、もう一つその観点からお尋ねしたいと思うのです。  先ほど他の委員からもお話があっておりましたが、在職老齢年金のカットの問題がありますね、厚生年金等の場合には。カット支給というものは、これは私は全面的に廃止すべきだという考えを持っておるのです。これは年金数理上云々と言われれば言われるほどこれを廃止していいという裏づけになると思うのです。なぜならば、年金の数理計算する場合は、六十歳になれば厚生年金の場合は支給いたしますという計算になっておるわけでしょう。まさかカットの分までを含めた年金数理計算をなされているとは私は思いませんよ、そうでしょう。それはどうですか。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 私も専門家でございませんので、あれですが、年金数理の上では脱退率等々で退職要件がございますから、六十歳で全員支給ということではなしに、平均的に何歳で退職するかということでございますので、六十歳ということにはなっておりません。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 厚生年金の場合は、退職した場合六十歳の支給開始でしょう。これは極端な論議かもしれません。全部退職した場合は全部支給しなければならぬわけでしょう。そういうことでの年金数理計算をなされるわけですよ。それがなかったら責任準備資金なんという言葉は出てこないわけですから。そうでしょう。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 法律で六十歳になれば在職しておっても出しますよというふうに制度を改めればそのような計算をいたしますが、現行制度では、六十五歳になれば退職要件を問いませんが、それまでは退職要件がかかっておりますから、そういう前提で数理計算をいたしますので、数理計算上は恐らく六十三歳くらいだと思いますが、六十歳にはなっておりません。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 わかりました。それじゃ、その考えからいったら少なくとも六十五歳以上はカットを廃止すべきでしょう。

曽根田郁夫厚生省年金局長

○曽根田政府委員 六十五歳は、先ほど言いましたように、退職要件なしで年金を出すことになっていますからそういうふうに計算しておりますが、いまの制度では二割カット分は最初に、国庫負担分を要するにカットするという考えでございますので、十割出すということになれば少なくとも国庫負担の面で数字が変わってくると思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 当然それは国庫負担も含めての計算なんですからね。年金数理計算でそこまで含まれているわけですから、これだけの員数に対して幾ら支給するか、そのためにはどこからどのようなお金を集めてそれを財源にするかという中には国庫負担も含まれているわけですから、大臣、少なくとも六十五歳以上のいままでの一律二割カットくらいは廃止すべきである、こういうことです。その理由としては、年寄りが再就職なさっているなんということは大体低賃金ですね、賃金が安いということですよ。また敬老の意味からいっても、こんな二割くらいのけちくさいカットをしてはいけないということです。もっと敬老精神を旺盛に持ってこういうのは廃止すべきだということと、いま言ったように、六十五歳以上になれば年金数理計算上から見ても、これは問題ではないということですね。  それから、もう一つ問題があるんですよ。たとえば、会社を一たん退職して再就職して厚年の被保険者になった場合は、この老人の再就職の場合は二割カットがなされるわけですね。ところが、同じ職場に公務員年金をもらっている人が働いていた場合はこの人の年金はカットされない、こういうことになっているでしょう。これは非常に不公平ですよね。ですから、こういう立場からも、六十五歳以上になったらばやはりカットすることは廃止しよう、中止するという考えが私は正しいと思います。どうですか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○田中国務大臣 在職老齢年金制度、退職要件を除いたときは、これはもう善政だと大変喜ばれたというふうに私も覚えているわけですが、(大橋(敏)委員「いまはカットの話」と呼ぶ)ところが、やってみまするといろいろ問題が出てくるということでございます。問題の筋はよくわれわれも聞いております。明年の改定時にある程度の改定をいたしたいと思っていろいろやっておりますが、お説のとおり、その場合どういう改定をするか、いまにわかに結論的に申し上げることはできませんが、どうも私の考えでは、六十五歳以上の場合と六十五歳以下の場合との間に若干の物の考え方があってもいいんじゃないかというふうに考えておりますが、細かいことについては今後の検討に任せていただきたい。  それからいま一つは、いわゆる在職老齢年金の場合、国家公務員共済などとの関連において不公平が生ずるというようなことを申しておるわけでございますが、それはさっき岡本委員にも話したとおり、何しろ分立しているグループの範囲が違うものですから、カバレージが違うものですから、したがってこれは心ならずもそういうことが出てくるわけですが、現実は現実でございますので、そういう点はにわかにこれが改定できるかどうか私はわかりませんが、少なくとも在職老齢年金というものの改善を、こういうバックグランドを踏まえつつやるということについては私は考える必要がある、こう思っております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 少なくとも六十五歳以上のこれまでの一律二割カットということについては、これはやはり改めなければならないということは、審議会等でも検討されるでしょうけれども、恐らくその方向に進まざるを得ない、進むべきであると私は考えます。強くこれは主張しておきます。  それから、私は私なりに抜本的な改革のことを研究してまいりましたし、いま私案として持ってはおります。これを近く党の方にも諮りまして、それが認められれば公にこれは発表してみたいと思います。決してこれは公明党の手柄というような気持ちで出すんではなくて、今後、八種類ある年金制度の改革に当たってはこういう考えでいかざるを得ないのではないかという、非常に真剣な検討の内容になっておりますから、もしわれわれが発表をしましたならばそれを十分検討をしていただいて、本当にともにお年寄りのため、この年金改革のために全力を尽くしていきたい、いこうと、こういう気持ちです。これはもうすでに大綱だけは持っているのですけれども、まだ党の了解を得ておりませんので、近く了解を得た上で発表します。恐らく専門家の皆さんが見られれば、なるほどとうなずかれてその方向に進んでいかざるを得ない、また進むべき内容であろうという確信を持っております。  これをつけ加えて、私の質問を終わります。

菅波茂自由民主党

○菅波委員長代理 次回は来る四月二十三日水曜日、午前九時五十分理事会、十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十七分散会

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