社会労働委員会 第11号
- 発言数
- 305 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1975/03/26
会議録
○大野委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田口一男君。
○田口委員 国民年金なり厚生年金、いわゆる公的年金一般についてお尋ねをしたいのですが、私は、今月の十四日本会議で、きわめて限られた時間でありましたけれども御質問申し上げて、その内容は、ここでもう一遍整理いたしますと、三つのことを聞いたつもりであります。 その第一は、老齢福祉年金、まあきょうの主たる議題でありますけれども、この一万二千円という金額について、予算委員会の質疑の状況から見ても、少なくとも軽費老人ホームに入れるぐらいの水準に増額をすべきではないのか、具体的に言うならば、月額三万円程度に引き上げるべきだ、これが一つであります。それから二つ目は、それに関連をいたしまして、敬老年金というものから出発をした老齢福祉年金というものが、今日では所得保障的な色合いを強くしてきているといったことから、この際老齢福祉年金というものの性格を明確にする必要があるのじゃないか。そして最後の三つ目は、昭和五十一年度に繰り上げられた財政再計算期に向けて、この際、制度、財政全般を含めて抜本的に見直す時期に来ておると、どういう問題を見直さなければならぬか。こういう点について私は質問をしたつもりであります。 したがいまして、きょうは十四日の本会議の質問とややダブる面も出てくると思うのですが、この際当面の緊急課題ということと、それから五十一年度財政再計算ということを前にしておるのですから、やや長期的な視野に立っての公的年金制度のあり方、こういう問題について質問をしたいと思います。 そこでまず第一は、ことしもまた各年金スライドされておるのですが、スライドの時期が昨年に比べてそれぞれ一カ月前に来ております。このことは一応評価をいたしますけれども、各公的年金のスライドの時期ということを見た場合に、ばらばらになっておると思うのですね。御存じのように厚生年金が二二%本年八月から、国民年金は伺じく九月から。ところが公務員共済、共済年金と一言で言いますが、共済年金の場合にはスライドという表現が使っていないにしても、二九・三%を本年八月から改定をする。こうなってまいりますと、厚年が八、国民が九、共済が八月。共済年金の方に言わしむれば、年金の大宗である厚生年金の時期に右へならえをしたのだ、こう言っておるのです。とするならば、国民年金もまた八月にして当を得ておるのではないか。法律の組み立てが、本来あるべきスライドの時期がそれぞれ一カ月違っておることは理解をいたしますけれども、こういった経済情勢の中でスライドを実施をするということであれば、やはりこの際はそろえるべきではないのか。そういった観点から、老齢福祉年金一万二千円を十月から改定実施をするということについても、金額の多寡はさておくといたしまして、この改定時期というものについてやはり厚生年金並みの八月にするのが妥当ではないのか、こう思うのですが、まず、そのスライド時期の統一という問題についてお考えをお示しいただきたいと思います。
○曾根田政府委員 各公的年金制度のスライド実施時期をそろえるべきではないのかというお尋ねでございます。御指摘のように厚生年金につきましては、今回三カ月繰り上げて八月から、国民年金につきましては四カ月繰り上げて九月からといたしておりますが、結局先生も御指摘のように、暴本的には各年金制度の支払い期月の相違から来るやむを得ない差でございまして、たとえば国民年金の場合、九月をさらに厚生年金と同じように八月にできないかということになろうかと思うのです。そうしますと、国民年金は三月、六月、九月十二月と年四回、八月からスライドをいたすということになりますと、九月に支払うべき三カ月分の年金のうち、六、七、八のうちの一月をスライドさせるということになるわけで、結局九月支払い期にとにかく間に合うようにスライドせねばならぬということになるわけでございますから、いまの来年予想される大量の年金の発生、新規裁定、こういった事務量を考えますと、どうしても九月の支払いに間に合うようにスライドを繰り上げるということは、いまの事務処理体制では非常にむずかしいということで、昨年同様厚生年金を八月、国民年金は九月というふうにいたしたわけでございます。
○田口委員 そうしますと、国年の九月に限って言えば、いまのお答えをざっくばらんに言えば、支払いの時期、それに伴う事務処理体制、こういったものが一つのネックになっておる。これが解消されない限り、財政の問題もあると思うのですが、九月を八月に持っていくということは、いまのところ至難であると見ていいのですか。
○曾根田政府委員 現状ではそのとおりでございます。
○田口委員 これは社会保険庁の方で膨大な事務をやって見えることは私も十分わかるのですが、その事務処理に御苦労なさっておることは理解できるにしても、先ほど私が申し上げたように、やはりこれは時期を統一をするという方向で、五十一年も五十二年もスライドということはいまのままでいけばあるはずですから、ひとつこの点だけは十分今後の検討課題にしてもらいたい。 ついでで申しわけないのですが、大蔵省きょう来ていますね。共済の場合に、二九・三%というのは、公務員賃金の引き上げ幅、人事院勧告。ところが昨年、聞いた話では、現役の公務員と退職公務員との格差を埋める残りの六・八%を同時にやるというふうな話を聞いておったのです。この場の議題ではありませんけれども、八月に二九・三、明年一月に六・八、結局五十一年一月から三八・一%になるのだという二段階に分けた改定をやる。これも、いま私が申し上げたスライドの時期を統一すべきだ。 さらに共済年金、これは恩給も含めてですが、昨年までのいろいろな経過を見ると、これはやはり、率の違いがあるにしても、本年八月に三八・一を引き上げるのが当然ではないのか、こう思うのですが、その辺の事情についてお答えをいただきたいと思います。
○岡田説明員 お答えいたします。 御指摘のとおり、昨年は九月ということで、公務員の本俸のアップ率である率に掛けまして、いわゆる格差是正の七・三五というものを同時期に実施したわけでございます。本年どうしてそれをしないかということでございますが、昨年もあるいはお答えしたかと思いますが、われわれの国家公務員共済組合は、いわゆる官吏における恩給制度というものに対応します旧令特別措置法あるいは旧国家公務員共済組合法の年金、その年金がございます。したがいまして、恩給と違う措置をとるということは、それとの権衡上非常に問題がある。したがいまして、恩給が八月に本俸の二九・三のアップ率を使い、翌一月から格差是正の六・八をアップいたしますので、そういう意味で恩給にならったと言えると思います。 なお、新法施行後の年金受給者につきましては、社会保険という形で、恩給なり旧法当時と考えは若干違っておりますが、しかし支給している中身を見ますと、現在まだ七対三ぐらいの割合で恩給公務員期間部分というものがウエートを高く占めております。したがいまして、その〇・七の分につきましてやはり恩給と同じような措置をとるべきではないか、それと違う措置はとれない。そうすると、残りの〇・三をどうするかということでございますが、その〇・三だけを別に措置をするというのもいかがなものであろうか。ウエートの置き方として、そしてまた作業の手順といたしまして、御存じのとおり、このアップというものは共済組合法の一条の二にございます調整規定を使っております。調整規定の文言がやはり恩給法と同じ文言でございます。そういうことで、実質価値の保全という観点から同様の措置をとった、こういうことでございます。
○田口委員 では、スライドの時期の問題はいま言ったように検討を強く要望いたしまして、同じくスライドに関連をしてお聞きしたいのですが、私は、たしか昨年の九月だったと思うのですが、閉会中の委員会の際にスライド政令、昨年は一六・一%ですね。この一六・一%のスライドをする、掛ける対象が、厚生年金を言いますと基本年金と加給年金と二つに分けているのですから、その基本年金の定額部分と報酬比例部分に対してのみ一六・一%を掛けて、いわゆる家族手当に相当する加給年金はスライドの対象にならない、これはおかしいのじゃないかという質問をしたのですが、その際、たしか年金局長は、加給年金の性格づけもあるけれども検討しなければならぬというお話だったのですが、今回五十年度二二%のスライドをする場合に、やはり昨年と同様の考えで行くのか、それとも加給年金というものを額はどうであれ対象にするのか、この辺はまだ政令の作業に入っていないと思うのですが、お考えがありましたらひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○曾根田政府委員 いま先生がお述べになられましたように、昨年先生の御質問がございまして、それは当面の問題としてはスライドの対象になっていない加給年金を対象とすべきではないか、さらに、基本的には加給金制度そのものをどうするか検討すべきではないかというお尋ねに対しまして、検討をしてみたいというお答えをしたのでありますが、それで、その後私ども部内でいろいろ検討いたしましたが、実は昨年の秋以降、五十一年度改正に向かっての関係審議会の検討作業がすでに始まりまして、いろいろ問題点が出されておりますけれども、その一つに、加給金そのものの基本的なあり方の問題、これは年金というものを世帯単位で見るか個人単位で見るか、あるいは妻の年金権、そういうものが総合的に関連するわけでございますけれども、そういう問題としてとらえるというのが支配的な空気でもございますので、五十一年改正は来年のことでございますので、やはり加給金そのものをどうするか、そういう問題の一環として整理した方がいいということで、来年度予算との関連におきましては従来どおりの考え方で参りたいというふうに考えております。
○田口委員 従来どおりというと、本年の二二%をまた加給年金はスライドの対象にしないというんですね。そこで、どうも加給年金のあり方をめぐって検討しなければならぬということはわかるのですが、いまある制度の中で、厳然として加給年金という言葉は厚生年金法の四十四条にあるのですから、どうも厚生年金の加給年金というものについては、俗な言い方ですが、冷たいんじゃないか。たとえばこういう実例が、先般も私のところに該当者が参ったのですが、ちょっと話がくどくなりますけれども、よく聞いていただきたいのですけれども、ある大きな企業に働いておって、定年が六十歳、五十五歳のときに不幸にもその方の奥さんが亡くなった、死別をした。子供があったものですから、そのまま定年六十歳になるまでその大企業に勤めて、そこでやめた。そして、元気ですから、その大企業の下請関連の会社に再就職をした。在職老年齢年金の問題もありますよ。これは一応さておくといたしまして、そこで、子供も大きくなったし、元気ですから、この際、茶飲み友達という意味じゃなくて再婚をしたわけです。六十歳以上になっても再婚をするのは、これはお互いの周りにもあるのですから、不思議じゃないと思うのです。そこで、その下請工場をやめて年金の請求をした。私はこの年金の請求ということも自体おかしいと思うのですが、これは本論じゃありませんから。請求をした際に、妻に対する加給年金二千四百万がついていないのです。これはそうなっているのですか。
○曾根田政府委員 あるいは事実関係を私多少誤解しているかもしれませんけれども、この方が奥さんを亡くされて後に老齢年金の受給資格を得られた、その後に再婚されたというケースだろうと思うのですが、現在の年金制度の仕組みでは、受給権発生の時点での事実関係を基礎にいたしますので、その時点で配偶者がない場合は、その後再婚されても加給金はつかない。これはいささか保険主義じゃないかというおしかりがあるかもしれませんけれども、いまの社会保険システムとして公的年金制度を組み立てておる以上、やはりどうしても受給権発生の時点で判断せざるを得ない、そういう制約でやむを得ないものと考えております。
○田口委員 保険主義でやむを得ないというのですが、加給年金の性格は、何回もお尋ねをしておりますように、従来もお答えがあったのですが、受給権者に生計を維持されている配偶者、それから十八歳未満の子供、それから一級、二級障害、こういうふうに明記をされておるのですが、たとえば、いま私が申し上げた五十七歳で死別をし、六十歳で受給権がついて、それから六十二歳くらいで再婚した。その再婚した配偶者にはつかないとなると、これは変な話ですが、八十くらいでも子供が生まれるというケースがあったそうですから、仮に六十歳で受給権が発生した以降再婚をして、そこに十八歳未満の子供ができた場合には、その子供にも加給年金がつかないということになるのですか。
○曾根田政府委員 いまの年金制度の仕組みでは、受給権発生時点で年金額の算定をいたしますので、その後の親族関係の変動は年金額の上には反映されない仕組みになっておるわけです。
○田口委員 大臣、ちょっと御検討願いたいと思うのですが、御存じのように、国民年金の場合に、死亡給付の考えで見た場合に、たしか昭和三十六年の改正によって国民年金は死亡一時金が出るようになりました。この死亡一時金の性格は、いろいろと当時のやりとりを調べてみますと、本人自身に対する補償という考えがあったようですね。ところが、この厚生年金の死亡給付の方の性格は、夫が六カ月以上被保険者であった場合には年齢に関係なく遺族年金が出る、こういうふうになっていますね。しかも夫の収入によって生活をしておる妻、こういうふうな言い方が当時の記録にあるのですけれども、いま言った国民年金内厚生年金の死亡給付金に対する考え方から見れば、さらにまた、加給年金の性格は国家公務員の家族手当、扶養手当の金額に右へならえする、こういった性格を持っているとすれば、たとえ保険主義で、六十歳のときに資格が発生したときには確かに単身だった、ところがその後再婚をして、再婚をした妻に対してはその年金受給権者は当然生計を維持しておるのですから、これは現実に。そうなると、いかに保険主義だと言っても、いまの制度の中では加給年金というものを支給をすべきじゃないか、するのは当然じゃないかと思うのですが、大臣、どうでしょう。
○曾根田政府委員 死亡一時金のお尋ねがございましたので、まずお答えいたしますと、厚生年金も国民年金も、年金制度として遺族給付というものを用意してございますが、国民年金の場合の遺族給付は、厚生年金と違いまして母子という形における遺族だけを取り上げております。それで、これに反しまして、死亡一時金は、むしろ一種の掛け捨て防止というような意味で、亡くなった方の一定範囲の遺族の方に差し上げる。ですから、これは本来の意味での遺族給付というよりは、掛け捨て防止の意味での特別な一時金制度であるというのが現在の国民年金における死亡一時金制度でございます。 それから、何度もお答えして大変恐縮でございますけれども、社会保険の仕組みといたしましてやはり一定の制約がございまして、年金権取得、受給権裁定の時点で年金額を算定するということは、社会保険システムの枠としてはどうしてもやむを得ない面があると思うのでございまして、心情的には、先生御指摘のような場合、理解できないでもないのですが、これは別に加給金そのものを軽視するということではなくて、年金制度一般としては、社会保険システムの制約のもとでそのような仕組みにならざるを得ないということで御了解願いたいと思います。
○田口委員 この問題は、そういうお答えはあるのですが、どうしても納得できぬですね。いま国民年金の場合の死亡給付金は、三十六年改正で、どちらかと言うと掛け捨て防止、これはわかるのです。その掛け捨て防止という考えをさらに発展をして厚生年金に当てはめた場合に、私は無理な、牽強付会の説をなすのじゃないのですが、前妻といいますか、亡妻、亡くなった方は、世帯を持ってから五十七歳までその厚生年金の報酬の何らかの対象になっておったことは間違いありませんね。そして不幸にして五十七歳で死んだ、それから後、六十歳以降再婚をした。ですから、いろいろなケースがあると思うのですが、じゃ六十歳、受給権が発生したと同時に――そんな器用なことはできないとしても、この人は再婚したらもらえるということになるでしょう。受給権発生と同時に再婚すれば加給金がもらえる。ところが、それから一日おくれればもらえない、極端な言い方をすればですよ。これは幾ら保険数理の上からいっても、どうも合点がいかぬのじゃないか。
○曾根田政府委員 この問題は、やはり基本的には、現在の加給金ということでつく、つかないという議論より、年金、特に妻の年金権、そういったものを基本的にどう考えるか、むしろそういう方向で根本的な解決を図るのが本来の筋ではないかというふうに考えております。
○田口委員 いや、私が昨年も申し上げたように、基本年金というのは、加給年金二千四百円なり八百円を合算をして、それでやっていくんですよという考え自体は、年金そのものからいっておかしいと思うのですね。したがって、基本年金そのもので、老齢者の世帯構成、まあ多くて三人ぐらいでしょうから、平均二人として、二人が食っていける年金という考えに本来立つべきだ。したがって、二千四百円なり八百円という加給年金は、今後多少の金額が上がるとしても微々たるものですから、それは年金として余りかん筋を立てて理屈を言うようなものではないと思うのですが、いまある制度の中では、どうも死別、再婚した者はつかない、しかも発生時にたまたま再婚したらついたということがあるのですから、これは五十一年の再計算期にどういうことがあってもこの問題はひとつピリオドを打ってもらいたい、こういう問題をなくしてもらいたい、こう考えるのですが、検討課題の中に入れていただくか、少なくとも検討課題――とうにも加給年金まで手か回らないとなれば、いま言ったような矛盾を加給年金の対象にする、こういうふうにして救っていくか、いずれかの道をとってもらいたいと思うのです。ここでイエスかノーかを迫ることはちょっと無理かと思うのですが、そういう点を強く要望したいのです。大臣、ひとつお考えがあれば……。
○田中国務大臣 厚生年金、これは保険の原理で割り切っておるわけでございますので、したがって、裁定後、年金権が発生した後におけるいろいろな状況というものを織り込んで年金権に変動を加えるというのは、保険理論からいうと実際はおかしいという論拠が、いま年金局長が説明をしたところでおわかりになっていただけるだろうと思います。しかしこの問題は、実態との関係において先生おっしゃるとおり疑問を生ずるという心情はわからぬわけではございませんが、基本的にはやはり妻の年金権、これはこの問題のみならず各所にいろいろな具体的事象として起こるわけでございますので、妻の年金権との関連において慎重に検討をしたい。そうでなければ、この問題のみならず他の諸般における現象面として起こる問題にも対処できないと思いますので、妻の年金権をどう扱うかということとの関連において考えてみたい、かように思っております。
○田口委員 これぐらいは変えてもらおうと思ったのですが、じゃそれに関連して、やっぱり妻の年金権に関連をするのですが、前の本会議でも質問をいたしまして、若干前向きの回答をいただいた遺族年金の支給率。申すまでもなく二分の一しかもらえない。それでは何だから、八割は無理としても引き上げる方向で考えるとおっしゃっておるのですが、昨年の九月に厚生省から資料をもらったのです。遺族年金の受給者の調査をやっている。その結果を見ても相当暗たんたる内容なんですが、調査の結果から見てどの辺が妥当と思われるのか。端的に言ったら、いまの五割を六割にするのか七割にするのか八割にするのか、そういう点についてどういうお考えを持っているのか。
○曾根田政府委員 来年はいずれにいたしましても改善を行う予定にいたしておりますので、その結果、仮に二分の一のままであっても金額がどの程度上がるか、その見合いによると思いますけれども、具体的な数字を申し上げるのは、目下関係審議会で検討中でもございますので、差し控えさしていただきたいと思いますが、少なくとも相当年齢の寡婦あるいは十八歳未満の小さな子供を抱えておる寡婦等について、昨年の時点での水準が必ずしも十分でないということは認めざるを得ないと思います。
○田口委員 じゃ、この場で何割にすると言うことはむずかしいにしても、こういう考えについてはどうでしょうか。本国会でILO百二号条約の批准ということが出されておるのですけれども、もう一つ百二十八号条約があるわけですね。その百二十八号条約の場合に、廃疾、遺族なんかのあれがいまのままでは条約の基準を満たしていない。したがって五十一年の再改定の際に見直す場合には、少なくともILO百二十八号条約の基準に達するようなところにはやるべきだ、すべきではないか、こう思うのですが、そういったところの大体の見当はどうでしょう。
○曾根田政府委員 現在遺族給付につきましては百二号の基準に若干満たない、そういう段階で直ちに百二十八号を一応のめどとすることが適当かどうか。それからまた、これはもう先生十分御案内のように、現在の遺族給付の支給率、基本年金額の二分の一という考えは、被用者年金各制度を通じた一種の相場みたいなものでございますので、関係各省とも十分協議をしなければならぬ問題でございます。いまここで百二十八号そのものをどうこうというのは、そこまでまだ言い切る段階ではないような感じがいたしますけれども、いずれにいたしましても、これは前々から申し上げておりますように、来年度改正の一つの大きな検討事項になっておりますので、その線でできるだけ努力をしてみたいというふうに考えております。
○田口委員 当面の緊急課題と私は申し上げたのですが、この緊急課題にこたえる用意というものが、残念ながらスライドの実施時期につきましても、さらに加給年金の問題にいたしましても、遺族年金はやや期待の持てるような答弁ですが、どうもすっきりいたしません。 そこで当面の緊急課題については不満を残しながら、次に老齢福祉年金の性格なり何なりについてお尋ねをしたいのです。 さっきも申し上げたように、当初一千円の敬老年金的なものから出発して今日七千五百円、十月から一万二千円。この老齢福祉年金そのものが対象者が多いからという意味もありますけれども、現在老齢福祉年金の支給を受けておる対象こそが、本来いま直ちに本格年金を受けるべき人ではないのか、こういう気持ちをいまもなお強く持っておるわけです。先般本会議の総理の御答弁では、掛金を掛けていない云々ということもあったのですけれども、これは年金局長または厚生大臣には釈迦に説法だと思うのですが、年金制度の二つの大きな段階というのは、加入するということ、そして年金をもらうというこの二つが中心になって年金制度というものが成り立つわけですね。ところが、現在老齢福祉年金を受けておられる方々というものは、加入をするという条件にいままでなかったわけですね。 〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 そういう基盤がなかった。ですから二つの段階の、加入する、年金をもらうという場合に、加入をしていないのだから年金をもらうことについてはぶうぶう言えぬという論議がそこから出てくると思うのですが、この加入をするというところにウエートをかけて本来年金制度が前々から実施をされていたとしたら、今日七十歳以上の方々は恐らくすべて年金制度に加入をしていたであろう、このみなし加入という考え方、これはやはりとるべきではないかと思うのです。そうなるとあとの問題も出てくるのですが、まずみなし加入という考え方についてどうお考えになって見えるか。
○曾根田政府委員 現行の福祉年金制度そのものも、拠出制の年金へ入れなかった人たちが原則として対象になっているわけですけれども、拠出年金の支給要件には該当しないけれども一応該当するものとみなして支給するという意味では、広い意味でのみなし年金でございます。先生のいまおっしゃっておられる趣旨は、さらにそのみなしという意味を、たとえば相当の過去勤務期間を評価することによって、もっと高い水準のものが出せないかという意味での御指摘だろうと思います。確かに現在の老齢福祉年金は経過的、補完的なものとしていわば一種のみなしという性格づけにはなっておりますけれども、一つの考え方としてそのような考え方も検討に値するところとは思います。問題は、具体的にそれではその過去勤務期間をどの期間どのような厚みで評価するかということになりますと、やはり最終的には財源をどこに求めるかという問題に関連するわけでございますので、非常にむずかしい問題がいろいろございますが、一つの検討すべき考え方だろう、そういうふうに思っております。
○田口委員 それでは大蔵省の方にお聞きをしたいのですが、私がいま言ったみなし加入、それをいま年金局長がお答えになったような考えで過去勤務債務、PSLをどう押えるかということが大変な問題になると思うのです。そこで一例なんですけれども、昭和三十七年十二月一日に地方公務員共済組合法、その二、三年前には国家公務員共済組合法ができた、その際に問題になった過去勤務債務の積立金、整理資源、この整理資源というものについて、あの当時相当議論になった記憶があるのですが、一体大蔵省の方ではいまどういう考えを持って見えるのか、それをちょっとお示しいただきたいと思うのです。
○岡田説明員 お答えいたします。 御指摘のとおり、国家公務員共済組合法、われわれ新法と言っておりますが、現行の施行しています法律の前の費用、特に恩給公務員につきましては積み立てというものをやっておりません。したがいまして、恩給公務員がそのまま新法の公務員になったいわゆる更新組合員につきましては、そのうちの恩給公務員期間の部分につきましての財源が、言うならば不足という形で残っておるわけでございます。われわれはそれを追加費用と言っておりますが、初発的なその追加費用をどう償却するかということで、これは田口委員御存じのとおり、実は整理資源という形で毎年埋めていっているわけでございます。具体的に申しますと、国家公務員共済組合法関係の施行法というものがございまして、これの五十五条一項、それからそれを受けまして国家公務員共済組合法の施行令の附則の二十八条に、実額負担方式とわれわれは言っておりますが、それと、あるいは永久債務方式と言っておりますが、二つの使い方で、たとえば実額負担方式につきましては、これは実際やめられて年金をお受けになっている方々のうち、恩給公務員期間部分につきましては、たとえば昭和四十九年度の例をとりますと、四十八年度に実際に支払ったであろうという見込み額と四十七年度の精算額を合わしたところのもの、これを毎年共済組合の長期の給付の方に渡しておる、こういう状況でございます。ただ、この立場は国庫としてということではなくて、当時は御存じのとおり恩給というものが、事業主としての国家という立場でございますので、事業主という立場でその追加費用をそういう経費で埋めております。なお、永久債務方式と言っておりますが、これは元本そのものは置きまして、利息だけは埋めようということでございますが、実態は、残っておるものは余りございません。印刷、造幣等の共済組合だけでございまして、それにつきましてもここ一両年のうちには実額負担方式に移行するだろう、こういう感じでございます。 以上でございます。
○田口委員 そこで年金局長、いま公務員共済の恩給組合員についての追加費用の考え方が述べられたのですけれども、それをこの老齢福祉年金に援用した場合、過去勤務債務、これは固定のものじゃありませんから流動はしますが、一応固定したものとして考えて、現在、国庫ではなしに事業主としての立場で負担をしていると言ったのですが、これは言い方はどうであれ、国庫から出ることは間違いないのですから、これを均等返済なんということは、正直なところちょっと無理ですわね。利子だけをずっと見ていくといういまの恩給組合員に対する追加費用の出し方、こういう考え方を援用した場合に、この老齢福祉年金に相当する過去勤務債務――金額を幾らに見るかは決めなければなりませんけれども、そういったような考え方というものは、今後、老齢福祉年金に対する関心が高まっている今日、検討しなければならぬのではないか、こう思うのですが、国庫から持ってくるどうこうするということは一応別にして、国庫から持ってくるというのが私どもの主張ですけれども、この不足積立金、過去勤務債務を、やはりいまの大蔵省が恩給組合員に対してやっておるような方式で、昭和八十五年当時までまだ残るのですが、やっていくということが老齢福祉年金の性格、みなし年金ということにぴたっと当てはまるのじゃないかというふうに私は思うのですが、その辺どうでしょうね。
○曾根田政府委員 ちょっとここで具体的にお答えするだけの準備がございませんので、まあいろいろ検討させていただきたいと思いますけれども、この過去勤務債務というものを、具体的にどういう期間、またどういう幅で評価するかというのが、いずれにしても非常にむずかしい問題でございますのでいろいろ検討いたしたいと思いますが、その際の一つの参考にそういうことも頭に置いて検討いたしたいと思います。
○田口委員 では、そういう技術的な問題を検討していただくとして、先ほども一万二千円の金額が低いじゃないかということを申し上げたのですが、きょう社会局の関係、見えておりますか、ぼくは要求しなかったのですが。
○竹内(黎)委員長代理 見えておりません。
○田口委員 それではお答えは要らぬ。こういう内容になっておるんですね。調べてみると、東京都に限らずどこの府県でも級地が違うだけの差ですが、たとえば東京都の一級地に例をとりますと、生活保護法を受けて見える七十歳以上のお年寄り、単身の場合に、金額は御存じでしょうが、第一類が一万四千四百五十円、第二類が九千四百五十円、合計二万三千九百円、この二万三千九百円を、収入の有無ということもありますけれども、全く収入がなければ、一類、二類合わせて二万三千九百円をその七十歳以上のお年寄りが生活保護費として支給をされる。ところがこの場合に、現行七千五百円の者齢年金をもらっておる場合には、一たん控除をして老齢加算七千五百円ということですから、結果的にはいま言った金額、東京に例をとれば二万三千九百円に七千五百円が上積みをされるということになるんですね、生活保護を受けて見える方にとってみれば。そうすると、合計三万一千四百円、これは無収入の場合です。 こういった例から、この老齢加算を取ってしまえと私は言うんじゃありませんけれども、こういうふうな措置もなされておるところから見ると、老齢福祉年金を一万二千円という金額は、いかに所得保障、補完的な性格を持つものだとは言え、今日の老人の生活実態から見て少ない。多々ますます弁ずるで言うんじゃなくて、いまの生活保護基準と比較をした際にでも、一万二千円は低きに失する。ですから、生活保護法との関連をいずれは整理をしなければならぬ時期が来るのでしょうけれども、現在老齢加算として上積みをしておるならば、これも金額の面をここで再検討する必要があるんじゃないか、こう思うのですが、これはどうでしょうね。
○曾根田政府委員 老齢福祉年金の性格が基本的に問題になるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、現行の経過的、補完的な性格を前提にいたしますと、しかも全額一般会計負担ということを考えますと、かつての敬老的なものから漸次生活保障的な方向へと志してはおりますけれども、やはり拠出年金とのバランス、財源問題、そういうことが絡んでまいりますので、いまここで直ちに生活保護の基準と比較する、最低生活を保障する公的扶助の基準と比較することにはむしろ問題があるのではないか。今回一万二千円ということは、前年の五割を上回る六〇%の引き上げでございますので、そういうことからも今回の引き上げは、率直に申し上げまして精いっぱいの改善だったというふうに考えております。
○田口委員 拠出制年金とのつり合いということから見れば、最近一方二千円ということが発表されて、十年年金、五年年金、一部実施をされておりますけれども、仮に五年年金を比較をすると、一万二千円がもうすでにあるものとして、五年年金はこの十月に一万三千円ですね。現在スライドをして一万一千九百円ですか、約一万二千円程度。こうなってくると、老齢福祉年金と拠出制の五年年金との差というものはわずかに五歳の年齢の開きにしかすぎぬじゃないかという批判が出てくるんですね。一万三千円と一万二千円ですから千円の違いはありますよ。ところが一方では無拠出の一万二千円、一方では、たとえそれは掛ける期間が短かったにしろ、五年制拠出年金は一万三千円、こういう問題が出てくるわけです。ですから、これは五年制年金の方をもっとふやせば一番いいわけですけれども、そういったことに関連をして、本年一月二十四日に年金局長、あなたが記者会見で発表されて、新聞にそれがでかでかと出たのですが、例の基礎年金構想ということを、あの新聞を見た限り大変私は心配に思うのです。たとえばある厚生年金の受給者、それから五年年金をもらっておるお年寄りが私のところへ来て言うには、あの基礎年金構想というものを新聞で見た限りでは、この老齢福祉年金が大変な金詰まりになってきた、国民年金はまた後で申し上げますけれども、財政的にパンクの状態にある、だからこの際厚生年金にまで手を押ばし、これらを調整をして、いまある十二兆円の国民年金の積立金、そういったものを全部、表現はなにですが一緒くたにして、そこで基礎年金として老齢福祉年金もそちらで賄おう、こういったようなことがあるのじゃないかという心配を実は持っておるわけですね。それに加えて、大蔵省の共済課長が見えますから、これも所管じゃないにしてもお聞きをしたいのですが、財政制度議会の建議、こういったものにそれに似たようなことが書いてある。一般財源ではもう限度があるから、拠出制の方と何とか組み合わすべきじゃないか。さらに、新聞の切り抜きを持ってまいりましたが、福祉財源に充当するために付加価値税を検討するのだと。こういうふうに、一月の年金局長の新聞発表、それから暮れの財政制度審議会の答申、それから月変わって二月の付加価値税の検討、こういったことをずっとつなぎ合わせると、どうもこの基礎年金構想というものは、一般財源がもう頭打ちになってきたから拠出制の年金の方に全部老齢福祉年金をかぶせ込んでしまって、そこでならして低い方に抑えてしまう、こういうものじゃないかという危惧、私が当たる限りではそういう心配ばかりを聞くのです。 そこで、この基礎年金構想の大要について、一体年金局長の頭の中には、この基礎年金構想を打ち出した発想というものはどこにあるのか、もっと言うならば、いまある公的年全制度全部、全部で八つぐらいありますね、この公的年金制度全般をもうこの際ばらばらにしてしまって、根本的に組み立てていくという構想があるのか、それとも、さっき私が危惧として申し上げた老齢福祉年金、国民年金、まあ厚生年金はちょっと無理だが、国民年金と老齢福祉年金というものの手直し程度で現行制度を維持する、こういったところにとどまっておるのか、そこをひとつ、時間の関係で簡にして要を得た御答弁をいただきたいと思います。
○曾根田政府委員 先ほど申し上げましたように、五十一年度は厚生年金と国民年金の財政再計算期を二年繰り上げまして、目下その検討の作業を関係審議会にお願いしておるわけでございますが、実は昨年末、大臣が御就任になられまして、大臣から、来年の厚生年金、国民年金の改正の際は、単に両制度だけの改正にとどまらず今後の公的年金のあり方、そういったものを念頭に置いて、制度全体の見直しも同時に検討するようにという実は御指示がございまして、それでいろいろ検討しておるところでございますけれども、まだ何々構想と銘打って具体的に申し上げるようなものは実は部内でも固まっておりません。ただ、いずれにしても来年の改正の際に、やはり今後の年金制度のあり方というものを頭に置いてそういう作業をすべきであると考えますし、また、できるものは来年改正の際に実現することが望ましいわけでございますので、いろいろ検討いたしておりますが、その一つに基礎年金的な考え方があることは事実でございます。しかし、この考え方は別に新しいものではなくて、国民年金制度をつくる際にもたしか同じような議論があったわけでございます。 それで、このような構想の気持ちは、これは単に特定の制度じゃなくて、やはり全体の公的年金を通じて、そこに基礎的な部分を取り出して――その趣旨は、結局年金制度がだんだんよくなって まいりますと、いろいろな制度が分立しておりますと各制度から幾つもの年金が出るとか、あるいはまた本当に必要なところに必ずしも十分でなく、必ずしも必要でない部分に厚くというようなばらつきも出てまいりますので、少なくとも共通的な部分についてはそういう形で整理をいたしますと、そういう効率的な制度の再編にもつながるし、また合理的な国庫負担と申しますか、年金制度に対する国庫のあり方にもつながる。そういうことで一応部内でいろいろ作業をしておりますけれども、いずれにしましても、具体的に外にあれするようなところまではまだ行っておりませんので、そういうことで御了承を願いたいと思います。
○梅澤説明員 ただいま田口議員から御指摘のありました点、二つあると思うのですが、まず第一の、財政制度審議会で老齢福祉年金の性格づけあるいはこれに対する財政問題として提言が行われたことについて、それでは将来具体的にどういう年金制度の仕組みを構想しておるのかという点でございます。この点は、実は昨年の十二月二十七日に建議されました内容は、同じような趣旨のものを前年の四十九年の予算編成の段階でも財政制度審議会から大蔵大臣に建議が行われておりまして、私ども財政当局といたしまして、従来からそういう問題意識を持って福祉年金の問題を考えておるということは事実でございますけれども、それでは具体的にどういうふうな年金制度の仕組みを考えておるんだということをお示しするような段階には現在ございません。 いずれにいたしましても、年金制度の問題は、これは単に財政の問題だけではないわけでございまして、所管省である厚生省で今後年金の問題を検討されていかれるその作業の過程を見守りながら、その過程で財政問題につきましては私どもの方に協議がありますことと存じますので、そういう調整の過程を通じて年金制度の将来のあり方という検討が進められていくことになると存じます。 それから第二点の、福祉財源としての付加価値税という報道の問題でございますけれども、付加価値税の問題と申しますのは、社会保障のための財源問題というよりもむしろもう少し範囲が広うございまして、端的に申し上げますと、安定成長の今後の日本の経済構造の中で、現在の租税の直接税と間接税の比率、これは直接税の比率が非常に高まっている傾向にあるわけでございますけれども、今後とも現在の直接税なり間接税のそういう税の仕組みで対応していけるのかどうか、その場合に弾力的な収入財源としての付加価値税、あるいは一般消費税という考え方もあるかと思いますけれども、それが今後一つの検討課題であろうということで報道されたわけでございまして、この問題につきましても、それでは現段階で付加価値税をどうするかというふうな結論も出ておりませんし、将来の検討課題になっておるということでございまして、いずれにせよ、田口議員がお話しになりました付加価値税の問題と福祉年金制度をどうするか、あるいは年金制度をどうするかということは直接の脈絡はございませんので、その点御了解願いたいと思います。
○田口委員 そうすると年金局長、基礎年金的という、わが党の佐々木さんの的、的じゃないのですが、基礎年金的と言っても固まっていないと思うのですが、大体水準というものはどの程度に置くか、そこまでも固まっておりませんか。基礎年金の水準。
○曾根田政府委員 実は、こういった考え方の初めにして終わりが、こういう水準をどうするかということでございますので、それが一番の問題でございますから、まだこれからの問題でございます。
○田口委員 いまのも年金財政の将来という意味の一つなんですが、では最後に、財政方式に限って五十一年再計算の際にどう考えるか、そういう意味で申し上げたいのですが、私どもは賦課方式賦課方式ということを前々から口を酸っぱくして言ってまいりました。この年金制度の原則からいったら、収支相当の原則ということがあるわけですね。収入と支出とが合っていなければならぬ。しかも、これは一年、二年の短期間じゃなくて、二十年、三十年先を見通さなければならぬ。そういう収支相当の原則に立って、いまの年金財政それから日本の経済、こう考えて、積み立て方式というものが果たしてマッチをするかどうかという、大変疑問があるのですね。これは本会議でも少し申し上げたのですが、舌足らずだったのでここでもう一遍繰り返すわけですけれども、一方の要素としてインフレによる目減りがある。現に四十九年度だけでも、ある人の試算で、厚生年金、国民年金の積立金が二兆三千億目減りしたとそろばんをはじいておる人があるのです。ですから目減りをしていく。一方で二十年先、三十年先に保障をすべきその当時の日本の所得水準というものを見た場合に、いまよりもはるかに高いと思うのですね。保障しなければならぬ所得水準は、いまよりもはるかに高い。一方では、積み立てておいてこれからもどんどん積み立ての原資が入ってくるのですが、目減りによってそれが減っていく。水平状態。ということになると、収支相当の原則ということが、いまの積立金を続けていく限り、これは成り立つものかどうか、私は大変疑問に思うわけです。しかもスライド条項で、ことしは二二%ですが、すでに事務当局で発表されているように五十一年は一一・八ですか、そうすると五十二年は一〇%台のスライドをしなければならぬだろう。こういう状況ですから、このインフレによる目減りにとどまらずに、スライドで支出をしていかなければならぬからどんどん減っていく。くどいようですが、保障すべき所得水準が上がる。こうなると、この際この積み立て方式というものについて、インフレは今後続いては困りますけれども、やはり五十一年には、この際思い切って財政方式を変える必要があるんじゃないか、こう思うのですが、重ねて、これは大臣から聞きたいと思います。
○曾根田政府委員 あるいはすれ違いのお答えになるかもしれませんが、この財政方式、たとえば厚生年金あるいは国民年金というそれぞれの制度の財政方式をどうするかということに関連して賦課方式の議論がなされるのでございますけれども、本来収支相当の原則を非常に厳密に適用すれば、個々の制度、たとえば厚生年金なら厚生年金という制度にとっては、本来的にはむしろ完全積み立てに近い形で運営するのが、収支相当の原則を非常に厳格に守る意味からも望ましい。しかしながら、実際問題としては、現在の労働者の負担力あるいはまた現在の積立金によって後代の人たちがいろいろと経済的利益を受ける、そういったようなことを考えまして、積み立て方式の原則を崩しまして、いわゆる修正積み立てというのをとっておるわけでございます。したがいまして、こういう厚生年金あるいは国民年金という単独の制度の財政方式を賦課方式に切りかえるということはむしろそういう意味からは逆でございまして、それからまた、この賦課方式というのは年金の成熟化対策を同時に伴わなければ、年金受給者をふやすという努力を同時に伴わなければ、財政的には非常に無責任な考え方でございますので、私どもは個々の制度の財政方式としてはそういうふうに考えておるわけでございます。しかしながら、観点を変えまして、文字どおり賦課方式というものを、現在の老人を現在の労働者が養う、そういう全国民的な意味での財政方式ということになりますと、これはそれはそれで十分検討に値する問題でございますので、そういう意味で私どもは、賦課方式というものはそういう広い意味での賦課方式、また個々の制度を論ずる場合でも、それは同時に必ず成熟化対策を伴わなければ意味がないというふうに考えておるわけでございます。
○田口委員 これは大臣からお答え願いたいのですが、いま局長が言われたように、国民年金なら国民年金、厚生年金なら厚生年金という一つの制度だけを見れば、これは大変な問題になると思うのです、十年、二十年の先の話もあるのですから。ですから、さっき局長のお答えの中にあった基礎年金構想を打ち出した発想として大臣からの御指示があったというのですが、これは各省庁にまたがっておりますから大変にむずかしいと思うのですけれども、財政方式という観点から見れば、やはりいまある八つの公的年金制度を全般をいわゆるドッキングさせる、こういう方向に持っていかないと、厚生年金を賦課方式にしろ、どうのこうの言っても大変むずかしい。負担の公平ということも出てくるでしょう。そういった構想がさっきの全般的な見直しという中に入っておるのか、大臣の頭の中には、そういういま日本の制度の中にある公的年金制度全部を見直すくらいのつもりがあって、基礎年金構想といったものが出てきたのか、その辺はどうなんです。
○田中国務大臣 年金の財政方式についてのいろいろな御議論、さっきから聞いております。望ましい理想の姿と、現実にこれをとりあえず実現できる姿とは、現実を扱う政治家としては考えてみなければならぬ。これは田口さんの場合も同じだろうと思うわけであります。 そこで、現在の修正積み立て方式、私はこれは非常によくて改定をする必要がないとは思っておりません。やはりこれにはこれなりの問題点があると思っておりますから、したがって、財政方式についてできるだけの知恵をしぼって、そして国民の間にはいろいろな御意見があろうと思いますが、これのコンセンサスを得て、財政方式を含めて年金の見直しをしたいというのが私の今日の心境であります。しかし、どの範囲でどの程度のものをやれるかということになりますると、問題はまた別でございます。また各種の公的年金の中にはいろいろな沿革と理由とありまして、これを完全に、いま先生のおっしゃるように統合するといいますか、ドッキングというのはどういう意味か私よくわかりませんけれども、そういうことが現実問題としてできるのだろうか、また完全にこれを溶け込ますということが理論的に妥当であるか、そして現実に可能であるか、こういったような問題をいろいろと理論面と実際面で考えなければならないということだろうと思います。さっきお話のございました基礎年金構想、これは決して私どもがこれで行こうということではございません。また私も余り詳しくは聞いておりませんけれども、作業の過程の中にかつてからあったものの一つだろうというふうに理解をいたしております。 いずれにしても、望ましい姿としては、先生のおっしゃるような姿が望ましいのですが、これはなかなか現実問題としていかぬということになりますと、一体どの点で、どのような形でもって財政方式を改めていくかということについて、理論面と実際面で考えていかなければなるまいというふうに思い、今日せっかく検討いたしておるわけであります。ただ基本的に、これは国会の皆さんにも、また世の中の皆さんにもお願をしたいことは、片や賦課方式という議論があり、現在の修正積み立て方式についていろいろ御批判がありますが、自分のために自分が保険料を払うのだといったような考えに固執する限りにおいてはこの問題は私は成功しないというふうに思うわけであります。賦課方式というのも実はそれでございまして、かような広い視野を持って、国民に、この長期給付の年金制度について取り組みと理解と雅量を持っていただかなければ、財政方式というものは改めることが不可能である。この点について私は実際問題として非常に心配をしているわけでございまして、これは賦課方式ということをおっしゃる方々、私もまたこれについてのよさはわかるわけでございますが、そうしたことについての理解と納得をどうして国民に得させるかということが今後の大きな課題だというふうに思っておるわけでございます。
○田口委員 確かに、いまの八つの制度ですね、まあ理想だから――私のドッキングというのは全部統合してしまえ、被用者とそれから地域というふうに、いろいろな段階があるでしょうけれども、それは言うべくして過去にいろいろないわく因縁がありますから、それは私も国会議員としてはむずかしいと思うのです。ただ修正積み立て方式は、国民年金に限って今度この改正案に載っておるのですが、私はちょっと変な言い方をしますが、江戸っ子方式だと思うのですね。お互い一般家庭で経験があるように、電気料や電話料の自動払いがありますね。どこかの銀行に金を預けておいて、田口さん、今月あと八千円足らぬから、五千円足らぬから持ってきてください、そうしないと引き去りができませんよ、こういう自動払い方式というのはお互いいま経験をしていると思うのですが、この国民年金の財政を見ても、今度三百円の引き上げでしょう。ところが、いろいろな発表されておるのを見ると、五十四年度までに毎年毎年三百円ずつ国民年金保険料を引き上げるのだ、足らぬからくれ。宵越しの金を持たぬ意味に通ずるから私は江戸っ子方式と言うのですけれども、いま大臣が言われたように、賦課方式にしろ修正積み立て方式にしろ、自我を捨ててといいますか、長い将来のことを国民的な立場で考えるべきだというのは私は同感です。しかし、それもそうはなかなかいかぬわけですね。いま言った国民年金の三百円の引き上げの問題を見ても、こういうことになるでしょう、少ない保険料で済んだ受給者と、多い保険料を支払った受給者というところに矛盾が出てくるわけですね。私は、いま賦課方式をやりなさい、賦課方式をやるべきだということと矛盾した言い方になりますけれども、現実にはこういった不平、批判というものが出てくるわけですね。いままで九百円で済んだ者、千百円で済んだ者、が、今度は千四百円ですか、五十四年にはいまのままで行って二千三百円になる。金の価値というものもありましょうけれども、その場限りで見た場合には、何だ、前に負担した者と、これから高く負担してもらう者との負担の不公平があるじゃないかという現実も無視できないのじゃないか、いまのような方式で行くならば。ですから、世代間の公平を保っていく、しかも国民的な合意を得るためにはやはり賦課方式で――賦課方式というとなんですから敬老方式、順繰り順繰りに行くのですから、こういったことをやはり打ち出していかないことには、いま言うその場限りの――何だ、おれは高く払って前と一緒じゃないかという不満はいずれにしても解消できない。だからここで大胆に敬老方式、賦課方式に変えて、こういったものにやっていかないと、この三百円の値上げ、毎年毎年すったもんだするんじゃないか、こう思うのです。ですから三百円の引き上げ反対だということじゃなしに、まあ反対になるわけですね、いままでの連中は低かった、これから高いじゃないか、こういう問題もあるのですから、この財政方式について収支相当の原則も生かしながら、しかも国民的な合意を得るためには順繰り順繰りで、いまの世代のものは自分たちの先輩の年金額を賄うのだ、いずれはまた自分たちも若い世代の者に賄ってもらうんだ、こういう合意を得るような財政方式というものをやはり五十一年には打ち立てる必要があるのじゃないか、言葉足らずの面がありますけれども、私はそう思うのです。そういう点について、さっき大臣のお考えもありましたけれども、いま一度お示しいただきたいと思います。
○田中国務大臣 先生のおっしゃっている、先に入った者と今後拠出制国民年金に入る者との間に、かつて彼らは九百円やあるいはそれ以下で過ごした期間があるではないか、おれたちはいま入ったからしたがって千四百円あるいはそれ以上払わにゃならぬということについての違和感というのはわからぬわけではございませんけれども、私は、この問題は完全な賦課方式にしても必ず起こるものだというふうに実は思うわけであります。極端に言えば、賦課方式の方がこういう保険料の乖離というものが大きいのじゃないかというふうに実は私は思うわけであります。したがいまして、この観点から賦課方式がいいとか悪いとかという理論には発展をしないというふうに思いますが、いまこの保険料を徐々に上げていくというのは、先生御承知のとおり、現在の国民年金はいわゆる平準保険料より非常に低いわけでありまして、したがって、これを平準保険料に近づけていくための手法の一つでございますが、こうした手法で十分であるかどうかというような問題もあるものですから、私としては現在の修正積み立て方式かこのままで行けるかどうかということについていろいろと疑問に思っているわけでありまして、そうしたことが今後の年金の財政方式の検討をしなければならないという政策課題の理由の一つにもなっているわけでございますので、そういったようなことを踏まえて、今後一体どういう形で、どういう範囲で、どういうプロセスで、どのような時期に年金財政方式をあるべき姿に改めていくかということについては、相当幅の広い視野と国民的なコンセンサスを求めるということは実際問題として容易なことではないと思いますので、そうしたことについてステップ・バイ・ステップで進んでいくということが現実的であろうというふうに私は思っているわけであります。
○田口委員 以上で年金に関する質問は終わりますけれども、最後に要望しておきたいことは、いま大臣おっしゃったように、年金という問題について国民の関心が強まってきたのは、前は全くなかったとは言いませんけれども、ここ近々一両年の間にこの問題について関心が強まった。そういう関心の強まったことを受けて、また経済情勢の変化もあって、財政再計算を五十一年に繰り上げる措置までとったのですから、ここでいま私が申し上げた点、まだほかにもいろいろ問題があると思うのですが、当面の緊急課題についても十分こたえるように、しかも緊急課題だからそれにこたえなければならぬといって、結果緊急避難的な措置に終わってしまって、将来の年金のあり方について忘れ去ってしまう、そういうことのないように、ひとつ衆知を集めて財政再計算にまず臨んでもらいたい、こういうことを要望しておきたいと思います。 最後に、老齢年金を主として言いましたから、老化のはしりは歯からという表現もあるように歯の問題ですね。老化のはしりは歯というのですが、ある程度歯科医師会長なんかとも会っておられると思うのですが、まだ中医協が再開をされていない。一体中医協の再開――この歯科医療の問題についてもう確実に手を打っておるのだという状態にあるのか、国民の不安をなくすために確実に手を打っておるのか、それをお聞きして終わりたいと思います。
○田中国務大臣 現在の社会保険における歯科給付についてはもう先生御案内のとおりでありまして、私は全く困った問題だと思っておるわけであります。全部が全部このようなことをやっているとは私は思いません。ほんの一部の心ない、モラルの低下した歯科医がこういう社会問題を引き起こしたものと思っておりますが、歯科問題についてはいろいろな問題が実は山積しているわけでございまして、片や歯科医療における混乱、これは差額徴収問題と言われていますが、内部を調べてみると、実はいわゆる保険制度における差額徴収問題だけではございませんで、その他いろいろな問題が出ているわけでありまして、このようなことではどんなに精細に制度をつくってもだめだということを私は感じておりまして、何とかひとつこれについてこのような社会事象が解消するようにしていただきたいということをるる申し上げているわけでございまして、過日も、こういったような混乱を引き起こした要因になったような歯科医師会のアクション等につきましても、私ども当事者を呼んでいろいろと状況を聞いているところでございますが、これの報告があったときには、私も一部新聞に申しているとおり、歯科医師会に対し相当のきつい反省を促さなければならないというふうに思っております。 反面、実は差額徴収問題につきましては、社会保険診療における歯科給付のあり方が差額徴収制度というものがはさまっておるものですから、患者にもなかなかよくわからないという一面がありますので、患者にこの差額徴収制度というものをもっとわかりやすく周知徹底させることを、従来からやっておりましたが、これについてお互いに努力をしなければなるまいと思っております。 それにいま一つ困ったことには、歯科医師会があの状況でございますので、これについてまた正常化することをこい望んでやまないわけですが、当分の間、私どもはこの問題についてはひとつ歯科医師会の自律作用にまとうと思っておりますけれども、これも余り長くなるようですとやはりわれわれとしても考えなければならぬときが来るかもしれませんが、私どもが下手に手を出すよりも、歯科医師会内部でこれが正常化することを私はこい望んでいるわけであります。いずれにいたしましてもこのような社会事象を生んでおるということはまことに遺憾でありまして、今後いろいろと努力をして、何とか社会保険診療における歯科のあり方というものが、国民の信頼を得られるようにしなければいけないと思っておりますし、また医療保険を扱っている厚生省としても、このような状況では国民にまことに申しわけないということでございますので、今日いろいろと努力をいたしておりますので、いま少しく事態の好転することをお待ちを願いたいというふうに思っております。
○田口委員 じゃ、終わります。
○竹内(黎)委員長代理 この際、午後一時まで休憩いたします。 午後零時十四分休憩 ――――◇――――― 午後一時六分開議
○大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 国民年金法等の一部を改正する法律案の質疑を続けます。石母田達君。
○石母田委員 きょうは私、年金問題について質問いたします。 初めに、私は、新しい田中厚生大臣になりましてから基本的な問題についてのお考えをまだ聞いておりませんので、それをやりたいと思うのです。前の齋藤邦吉厚生大臣には聞いて返事はいただいておりますけれども、かわっておりますので、改めてお伺いしたいと思います。前のというか、前の前の大臣だな。すぐ前の大臣は名前も知らないうちに、幻の大臣で、私質問する機会もなかったので、正確に言えば前の前の大臣であります。 初めに公的年金制度の目的といいますか、その問題でありますが、私の理解しているところ、また質問した点では、すべての国民の老後の生活を保障し、障害、死亡などの事故に対して、本人とその家族が正常な生活水準を維持することをその目的にしているんだ、もちろんこれは総合的な社会保障制度の重要な一環であるというふうに理解しておりますけれども、厚生大臣はどのように理解されておりますか。
○田中国務大臣 国民年金法等々の一連の公的年金法の第一条に、大体先生おっしゃるような定義づけをしておりますので、大体そのような目的をもって施行されている制度であるというふうに考えて差し支えないと思いますが、現実においてはここまで、法の志向するところまで行っているかいってないかという問題は一つあるわけであります。
○石母田委員 頭が非常にいいせいか、私が次に質問しようと思ったことを答えられたのですが、現在の水準はどのように考えておるかということはすでにいまお答えになったから、この水準に達していないということをお認めのことだと思います。 次に、したがって憲法二十五条によりまして、国は社会保障の増進並びに向上に努めなければならぬというような意味の規定がございますので、こうした目的、趣旨を実行する上で国の責任というのはきわめて明確であると思いますけれども、どうでしょうか。
○田中国務大臣 憲法二十五条に規定されているあの趣旨は、われわれ閣僚としては、国会全体もそうでございますが、守らなければならぬということですが、これの具体的な度合いというものについてかねがね議論があり、また、われわれ厚生大臣などは常日ごろ国会で御批判を受けるのも、これの具体的な度合いというものについての評価にあると思っております。
○石母田委員 具体的にはいろいろ取り組みの姿勢の程度はあるけれども、国に責任があるということは明確だと思います。 次に、現在の国民皆年金という制度のもとでは、すべての国民がどれかの公的な年金制度に加入することができるということが、また加入するのがたてまえだというふうに考えておりますけれども、よろしゅうございますか。
○田中国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。
○石母田委員 そうだとすれば、いろいろ法制上あるいはその他の理由による障害によってそうしたすべての国民の中で加入できていないという状態については、これを克服するために国としての努力をされるととは当然だと思いますけれども、そういうふうに理解していてよろしゅうございますか。
○田中国務大臣 あるべき姿としてはさような姿にしなければならぬということでございまして、いままでもできる限りそういう網に漏れることのないように努力してまいりましたが、現実には若干の人がいまだ加入してないということも存じております。
○石母田委員 大体、同じ内閣の方々ですから同じような答えですけれども、それを前提にしまして、私らのところにいろいろ年金の問題で陳情やら請願、あるいはまた個々に相談される方があるわけですが、そうした問題の中で幾つかの問題についてぜひ御見解を伺っておきたいと思います。 一つは新しい谷間と言われる問題で、いわゆる昭和三十六年の四月に五十歳から五十五歳の方々で十年年金あるいは五年年金毎漏れている人々の問題であります。現在この人たちは六十四歳ないし六十九歳だと思いますが、このように政府が再三のそうした措置をとられたにもかかわらず、いまだにまだ加入してない。こういう人々が対象者の約二〇%残っているというふうに聞いておりますけれども、これは推定で人数にすると大体どのくらいになりますか。
○曾根田政府委員 四十八年の改正で、いわゆる再開五年年金の再加入を受け付けたわけでございますが、その際の該当者、申し込み得る方々約百十万と推計いたしておりましたが、実際に加入された方は五十五、六万程度だったと思います。
○石母田委員 そうすると、昨年の三月三十一日で締め切った、その後でまだ加入されるという見込みのある人で実際に加入してない人が、百十万から五十五万を引いた数ということになりますと、まだこれは五十万以上の方々が残っている、こういうことになりますか。
○曾根田政府委員 数の上ではそのとおりでございます。
○石母田委員 こういう人々がいずれの年金も受けられない、加入してないということで、先ほど大臣の方から言われたこの障害を取り除いていかなければならぬという対象の人々だと思いますけれども、これについて、国としての努力という点から言うとどういう努力をされているのか。この三月三十一日で終了した後はそのまま放置していくつもりなのか、この点について、できれば大臣のお答えを願いたいと思います。
○河野(義)政府委員 再開五年年金の加入の促進につきましては、一線の機関あるいは民間の地区組織あるいはマスコミ等を通じまして加入の促進を図ってまいったわけでございます。その結果、先ほど年金局長から申し上げましたような結果を見たわけでございます。
○石母田委員 結果を言っているのじゃなくて、その努力の結果こうした状況が現実に生まれている、こういう人たちは、先ほどの私が最初に質問した前提から言うと、残念ながら年金制度の、恩恵と言うとおかしいですけれども、そういうものに浴しておらないという人々でありますから、こういう方をこのまま残していくのは不公正な立場になりませんか。年齢がたまたまこういうことであった、あるいはあなたたちが宣伝したけれども、まあ任意ですから、加入するのに何かの障害か理由で加入しなかったということでありますから、おれたちはこれだけの努力をして、おまえたちが入らないんだからしょうがないんだという立場をとるのか、何とかこういう人たちを救済していこう――私はすべきじゃないかと考えるのです。先ほど大臣もそういうことを言いましたが、努力というものの中にこういう人たちのことは入っていないのかどうか。もし努力しているのならば、どういう努力をしようとしているのか、これまた大臣に聞きたいと思います。
○河野(義)政府委員 社会保険庁といたしましては、先ほど申しましたように、あらゆる一線の機関を通じまして、あるいはその他の広報媒体を使いまして、期間内に該当する人の加入を促進してまいったわけでございます。期間がもう経過して現在はその支給の事務に全力を集中しておる現状でございます。
○石母田委員 大臣、もう大臣の出番なんです。事務当局としてはやることはやった、しかし残ったものは事務当局だけではこれ以上救済できないということでありますから、たとえば六十四歳の方でそうした加入をできてない人は七十歳まで待てと言って放置するのかどうかという問題です。これは私は非常に重大な問題だと思うのです。同じ年寄りの中に何かの理由で国民皆年金制度に入ってない人々が数十万人いるという状態をこのまま放置していく、何の対策も出さない、やることだけはやったんだから仕方がないという態度なのかどうか。この点は基本姿勢の問題であります。いろいろ努力の程度をどういうふうにやっていくかというところまでは私は聞いてはいない。三木内閣としてこういう問題は放置しておくというのか。それならそれで私は大臣の口から聞きたい。これを何とか救済しようということでやろうというならば、どういう方向でやろうとしているのか、努力しようというのか、そのことを大臣から私は聞きたいと思います。
○田中国務大臣 できるだけ今日こういう拠出制年金に漏れる人のないように努力をしてまいりました。私の記憶では四回の機会があったと思うのであります。十年年金二回、五年年金二回ということでございます。なおかつお入りになっていただけない方が、いまおっしゃるように若干あるわけでございます。この人たちを一体どうするかということでございますが、いまの段階まで来ますると、率直に申して、五年年金の例の特別加入というものは、私は相当問題のある制度をよく踏み越えたというふうにさえ思うわけであります。つまり、過去に納付をしなかった保険料を一遍に払って加入するということですから、今日段階でこれをもしさらにやるということになりますると、極端に言うと一時金で、一時の支払いで拠出制年金の加入権を得るというようなかっこうになるわけでございまして、一体こういう制度を今日時点まで来てなお続けるかどうか、これについては私はいろいろ問題があろうというふうに思っておりました。これ以上のことについては今日のところ踏み込めないでおるというのが実情でございます。
○石母田委員 これは被爆者の問題でも、いまちょうど戦後三十年目ですけれども、私は去年長崎に行ってびっくりしたのですが、いまでも被爆者手帳の申請がある。この問題で長崎県のある責任者の方が、もう三十年だから打ち切りたい、いまごろ出してくるのは、第一事務のことからいっても、これは大きな事務量の問題になるからという発言をした。これは直ちに厚生省と連絡をとりまして、そういうものじゃないんだと言って訂正さしてもらいました。 私は、この問題についても皆さん方が努力をしなかったとかなんとか言っているわけじゃなし、あるいは五年年金という形で続けろという具体的なことまで言っているんじゃないんです。ただ、こういう若干の方々と言いますけれども、数十万人の方々、この中の一人の方から私は陳情をいただいておる。この人たちを、もうやることをやったから何もしないのだと放置していくのかどうかということさえ聞けばいいのです。あなたの話ですと、放置していく、対策はない、六十四歳から七十歳、もらえるまでがまんしなさい、途中で死んだら不運だと思いなさい、こういういわば本人の責任的な形で処理されるというふうに私は理解しておりますけれども、そういうふうで、三木内閣としては、この人たちに対しては何の対策も講ずる気持ちはない、こういうふうに理解していいですか。
○田中国務大臣 かねがね何遍もこのような機会を与えて、今日お入りになっていない方については、理由がいろいろあるかもしれませんけれども、今日これをさらに進めるということについてはどうも私どもとしては遺憾ながら踏み込むわけにはいかない。しかし、この方々は何の給付も受けないわけではございません。先生御案内のとおり、一定年齢に達しますると老齢福祉年金の受給者になるわけですから、したがって、国はこの方々の老後について全然めんどうを見ないというわけでもございませんので、ただいまのところ、さらに制度を起こすという考えは私ども残念ながら持っておりません。
○石母田委員 いま老後を見ると言って、一体どうして見るんですか、年金で。
○田中国務大臣 老齢福祉年金の支給開始年齢に到達するならば、これの給付はあるという意味でございます。
○石母田委員 それは特別言わなくたって、そういう制度になっているのですから、つまり、いま特殊な六十四歳から六十九歳のこういう加入していない方々をどうするか。ですから、先ほど申し上げているように六十四歳の方は七十歳になるまで待てというのかということに対して、あなたのお答えはそうだということになるわけです。私は、最初あなたにはっきり聞いたように、国としてはすべての国民が何らかの公的な年金制度に加入できる、こういうことが基本だ、またそのために努力をし、責任を負わなければならぬという――国としてこれだけのことをやったからもう打ち切りだということに対しては絶対納得できません。それこそ口で言うこととやることが大きくかけ離れている何よりの証拠じゃないか。それがもし三木内閣のやり方だとすれば、私はこの問題はもう少し大きく、社会的な世論にも訴えて決着をつけていきたい。そして同時にまた、この問題はそうした事務当局による、再三やったということで打ち切りにするんじゃなくて、もう一度救済の策をぜひとも検討していただきたいと要望します。 次に進みます。もう一つ、私のところに手紙が参っております。これは遺族年金の受給権の問題でございますが、これは神戸の灘区の岩屋北町の間原ゆきさんという方からであります。この方の御主人は厚生年金に十六年間積み立てをしておりました。ところが会社が倒産になりまして、新しい就職を探している間に、不幸にも交通事故に遭ったわけです。交通事故に遭って亡くなられたので、この奥さんがその遺族年金をもらいに行ったところが、規則に合わないからといって実は遺族年金をもらえなかったわけです。それでこの方の手紙を読みますと、こういうことを書いてあります。 会社が倒産し、それから安定した職もなく一年 が過ぎてしまいました。 私の夫は職探しの帰路、帰らぬ人となりました。 幸い厚生年金を掛けていましたので、管轄の社 会保険所へ遺族年金受給手続に行きました。と ころが、死亡時よりさかのぼって一年間保険料 を納めていないので、被保険者とみなされず、 規則上支給できないとの返事で現在に至ってお ります。 夫は会社倒産後、職が見つかったらまた厚生年 金を継続しようと思い、倒産の四十二年二月よ り国民年金への切り替えも知らず、おいていた のです。 十六年間とにかく保険料を納めてきたのですか ら、当然支給されるものと信じて疑わなかった 私は、あまりの驚きに生計の道を断たれた思い でございました。 とぼしい給料の中から、身を切られる思いで支 払ってまいりました年金も、このような時の為 と思えばこそ……。規則に該当しないからとい う理由だけで長年の苦労がまったく報われない のでは、あまりに酷ではございませんでしょう か。ましてその様な規則のあることなど知る手 段さえなかった状態ですのに。この方は七カ所ほどずっと回ったのですが、どこへ行ってもすべて規則に該当しないということだったそうです。 現在私は考えも及ばぬ安い日給、一日立ちっぱ なしの重労働、肺結核が再発するのは今日か明 日かとおびえ、高血圧、心臓病、老人性白内障 との同居をやむなくされ、北向の狭い借家に疲 れた体で帰るのみということの中で、 主人他界以来七年間、人に頼らず生きようと夢 中で働いてまいりました。しかし低賃金と高物 価の此の頃、寄る年なみには勝てず、この先、 生計の道が立ちません。 組織も団体もない弱い一国民の願いもきめ細か く取上げていただき度く、良識ある政治にたず さわっていらっしゃる貴方様にお力を添えてい ただき度く、生きて行く最後の頼みの綱として 心からお願いする次第でございます。これがこの方の手紙なんです。私もこれは早速厚生省の方々にいろいろ問い合わせしまして、何とか救済の策はないかと聞きましたけれども、すべていまの制度上の問題ではやはり該当しないのです。しかし、これは法の制度上からそうであっても、世間の常識ではとても納得できる問題ではない。私自身も、十六年間厚生年金を納めて亡くなって、遺族年金が一銭ももらえない、こういうことが、いまの公的年金制度という目的からいってあっていいことであるかどうかということになりますと、大きな疑問を持たざるを得ない。したがって私たちは、こういうきわめて例外の方ではありますけれども、こういう方々が出ないように今日の公的年金制度を、もし制度上の問題であるとするならば制度上の問題、あるいはその他の理由があるならばその他の理由を、できるだけみんなの力で除いていかなければならない、こういうふうに考えているわけであります。この問題についてどういう点にこういう障害があるのか、どういう点をどのようにしていったならばこういう方々が救済できるのか。現在できないということははっきりしていますので、この点についてお答え願いたいと思います。
○曾根田政府委員 いまお挙げになりましたようなケースは、心情的には非常にお気の毒なケースだと思いますが、各公的年金制度が社会保険というシステムのもとで組み立てられておりまして、それぞれの年金についてそれぞれの資格期間、資格要件等が設立されておりますと、どうしてもあらゆる面にわたって、その期間に満たない、その要件を満たさないボーダーライン上のそういう問題が絶えず起こってまいります。いまお尋ねのようなケースには、そういう意味では非常にお気の毒なケースでございますけれども、これを基本的に解決するのは非常にむずかしいのでございますけれども、しかし本来的に、いまのわが国の公的年金はいわゆる皆年金体制をとっておりますので、一つの制度を退いても、年齢制限はございますけれども、他の制度に入る――もちろんそれぞれの制度で一定の要件は要求されておりますけれども、しかし皆年金体制のもとではだんだんとそのような事例はなくなってまいると思いますし、それからまた、いま来年度の改正においてできるだけ実現いたしたいと思っておりますが、各種公的年金を通ずる遺族、障害それぞれの給付の通算措置、これがもし実現いたしますと、そのようなケースというのは原則的にはなくなる。したがいまして基本的には各種公的年金を通ずる通算設置、そういう形でこのようなケースをなくしていくことに努力を傾けたいというふうに考えております。
○石母田委員 そうすると、通算ということになりますと、この奥さんなりが国民年金に入っているとすれば厚生年金の分も通算する、こういう処置で救済する、こういうことになりますか。
○曾根田政府委員 現行法でも、いまの亡くなられた方の奥さんが国民年金にもし入っておられて、一年以上の拠出要件があれば、奥さん自身の拠出に基づく母子年金が出る仕組みになっておりますけれども、いまの御主人の場合、厚生年金の方を離脱して国民年金に、その場合は原則的には国民年金に入ることになりますから、非常に短い期間ですと奥さんに対する年金は出ませんが、国民年金に遺族年金の通算というようなことをいたしまして、その際、母子年金をどういうふうにするか。国民年金には厚生年金と同じような意味での遺族年金がございませんので、これをどうするかの問題がありますけれども、その辺、工夫をこらしまして、何らかの給付が出るようなことを検討してみたいというふうに考えております。
○石母田委員 では厚生大臣、同じことでございますけれども、こういう方々が出ないように、いま事務当局の方も検討されるということでございます。ぜひ大臣としてもそうしたことが早く実現するように検討されることをお願いしたいと思いますが、大臣のこの点についての御答弁を願いたいと思います。
○田中国務大臣 いま年金局長が御説明したとおりであります。心情的にはお気の毒でありますが、現行制度ではどうにもならぬということが、私も検討いたしました結果、判明をいたしました。これもしかしまた程度問題があろうと思うわけでありまして、この方は十六年もお入りになっていたということでございますが、どの程度までの人を救いますか、いずれにしてもいまお示しのようなことについては、何とかひとつ知恵をしぼってみたいという考え方であります。
○石母田委員 では年金局長にもう一度お伺いしますが、そういう遺族年金の通算制度の改善によって、こうしたことが出ないようにしたいということについては、もちろん審議会か何かで検討されて決定するのでしょうけれども、そういうことで審議会で検討される、こういうことですか。
○曾根田政府委員 目下関係審議会に検討をお願いしておりますが、その中間的な御意見が出ると思いますので、その意見を参考にし、さらにこの問題は各公的年金共通の問題でございまして、公的年金連絡会議というのもございますので、その場で関係省庁と協議の上、できるだけ来年の改正に――必ずしも一〇〇%完全な姿の通算は非常にむずかしいと思いますけれども、何らかの形での通算を実現いたしたいと考えております。
○石母田委員 次の問題に移ります。 これは、厚生年金を在職中にもらう場合に、所得制限の問題が大きな問題になっているわけであります。もちろんこれは国民年金にも、本人の所得制限が一人扶養の場合は現行九十万ですか、これを百二十万にするとか、あるいは厚生年金の場合は月額にするといま四万八千円、今度は七万二千円に改正されるということでありますが、こうした所得制限があるために、事実上在職中に年金が受給されない、あるいはまた国民年金でもそこから除外される、こういうケースがあるわけですけれども、いま述べた所得制限の数字はこれでよろしゅうございますか。
○曾根田政府委員 そのとおりでございますが、国民年金について先生がお述べになりましたのは、福祉年金の関係でございますので……。
○石母田委員 もちろんそうですが、そうしたときに、在職中の年金の受給が、六十歳で現行四万八千円ですが、改正されて七万二千円というのは余りにも低くて、これは事実上よほどの低賃金の人でもなければ該当しない。この根拠というのは何かあるのですか。
○曾根田政府委員 在職老齢年金のうち、六十歳から六十四歳までの方々には、いわゆる低所得在職老齢年金といいまして、一定の賃金以下の人に一定の率の年金を差し上げるということにしておりまして、現在はその限度額が四万八千円でございますけれども、この四万八千円の考え方は、これは四十八年改正で改められたのですが、四十八年改正でいわゆる五万円年金が実現いたしましたので、非常に賃金の低い方には、賃金と年金と合わせて五万円になるぐらいにはしてあげたい、年金額を賃金と合わせて五万円程度のものは差し上げたいということで、標準報酬で四万八千円、これは賃金にいたしますと五万円でございますが、そういうことで設定されております。しかしながら、その後、四十九年度は一六・一%の物価スライドがございましたし、五十年度はいまの予定では二二%。そうなりますと、いわゆる五万円年金の水準がおおむね七万円程度になる。そういうことを考えまして、まあ多少のゆとりと申しますか、多少の幅を見まして、標準報酬で七万二千円、賃金では七万四千円でございますが、そういうことに設定したわけでございます。
○石母田委員 これは私の計算だと、四万八千円というと年額五十七万六千円になるのです。それから、七万二千円か四千円でも、大体八十六万四千円になるのです。これは標準報酬ですからボーナスは入っていないですね。ボーナスを四カ月分含むと百十五万二千円になるのです。 〔戸井田委員長代理退席、菅波委員長代 理着席〕そうしますと、この福祉年金の方の所得の百二十万と大体見合うようなお金になるのですね。ここに何らかのそうした関連づけがあってこれを押さえているのではないか、こういうふうに考えているわけなんですけれども、この両者の関係には何らの関係はなくて、たまたま偶然に一致している、こういうふうに見ていいのですか。
○曾根田政府委員 いま先生の御指摘で、実は私も偶然の符合に驚いておるのですが、直接的な関係は全くございません。片一方は全額国庫負担である福祉年金の支給制限、これは従来から非課税限度額を参考に設定しておる、それが来年度はたまたま百二十万。こちらの方は、先ほど言いましたように五万円年金の水準をその後の物価スライドで伸ばしたということでございます。
○石母田委員 もちろん関係の全然ないものが、偶然の一致かどうか、大体こういうふうに見合っておるということについて、私は大きなまた疑問を持っている。私どもは、この福祉年金については、特別の高額所得者を除いては所得制限を撤廃したがいいし、また厚生年金については撤廃すべきだという意見を持っております。しかし、さしあたって、大幅に所得制限を緩和させるということは非常に多くの人々のこれは要望になっているわけです。こういう点で、ぜひ大臣のこの点でのなお一層の努力をお願いしたい、こういうふうに考えますので、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○田中国務大臣 在職老齢年金――厚生年金では退職というものを要件にしているわけでございますが、これを思い切って取り払って、在職しておっても年金をもらえるという制度にしたときには、それなりに実は喜ばれたものでございますが、いざ制度を始めてみますると、いまお説のような議論がまた出てくるわけでございます。したがいまして、こういう世論を背景にして、どのように改善すべきか、いろいろ私どもも今日せっかく検討中であります。明年度の改定のときにある程度の改善をいたしたいものだというふうに思っておりますが、この作業の途中でありまして、結果についてはまだ申し上げる段階まで来ておりません。
○石母田委員 これに関連するといいますか、最近繰り上げ請求の申請が非常に多くなっておるのです。これは国民年金の老齢裁定の問題でありますが、こうした中で繰り上げ請求の業務が一般受給業務よりもおくれるという苦情が来ているんです。これは厚生省として、この繰り上げ請求について、そうした処置を特別にグループごとにやっておくらせるというような方針はとっていないだろうけれども、何かそういう指導はあるんですか。
○河野(義)政府委員 繰り上げ請求の裁定の申し出かございました場合におきましても、他の場合と同様に、できるだけ早く裁定して支払うという方針で事務を処理しております。ただ、繰り上げ請求でございますので、資格の審査その他におきまして若干一般の場合に比べまして事務量はかかるかと思いますけれども、おくらせるとかいうようなことは毛頭ありませんし、できるだけ早く裁定、支払いをするという考え方で処理しております。
○石母田委員 これは六十五歳前にもらうということですね。そのために繰り上げの請求をするという人がいま急増しているというのは、「業務課つうしん」を見ましても、昭和四十九年の四月の裁定のうち四八%が繰り上げ分で、本来のいわゆる六十五歳でもらうというのが五二%、これが四十九年の十一月裁定になりますと、繰り上げ分の方が大きくなって六一%、それから本来分が三九%、こういうふうに逆転になっているわけです。これは、いろいろの年金制度の改善あるいは現在のいろいろな経済情勢の中で、繰り上げ請求件数が多くなっている、こういうふうに「業務課つうしん」では書いてあります。しかし、請求する人は、繰り上げてもらいたいということですから、早くもらいたいということですよ。それが業務上、実務上おくれるということは、一般的にはそういう促進させるような処置をとっておるということですが、これは横浜の第一保険事務所、社会保険の事務所の調査で、ある例が出されているんです。それによりますと、具体的な実例を申しますと、社会保険の専門用語で言うと進達というのか、進達から本人の支払いまで、通常の例の一つ、Aにしますと、Aの例、六十五歳で本来分にもらう人が社会保険の進達が十月三十一日、そして本人の支払いが十二月二十五日だった。それから繰り上げ分の方は、同じ十月三十一日にやった人が二月六日になっている。もう一つの例は、やはりこれと同じ事務所の例ですが、Bとしておきましょうか、これは社会保険事務所の進達が十二月二十日になっています。これが三月六日には本人に支払われている。ところが、同じ日の十二月二十日に繰り上げ分の請求をしたのがいまだに本人に支払われていない。ここに挙げたのは一、二の例でありますけれども、こうした苦情が絶えないということの中には、何か繰り上げの請求に対して特別な扱いをしているんじゃないか、こういう疑問が私のところに来るんだけれども、あなたたちの方は、そういうことはやっていない、ところが実態はそうだ、ここにあなたたちが検討すべき問題があるのじゃないかと思うのですが、この点についてはどうでしょうか。
○河野(義)政府委員 先ほど申し上げましたように、繰り上げ請求であるがゆえに処理をおくらせるということは私ども毛頭考えておりません。しかし、いま先生が御指摘になりましたようなケースもございますので、その辺をもう一度事実について当たってみまして、そういう事情がありましたら改善するよう努力してまいりたい、かように考えております。
○石母田委員 ぜひそうした努力を払ってください。これはまだたくさんあるというふうに私聞いておりますから、ぜひ改善してください。 それから次は、障害者の内部疾患の認定基準の問題なんです。これもなかなか陳情や相談の多いところでありますが、現行法でいきますと一番問題になるのは、外にあらわれた身体障害の場合は、級の別表による認定基準は、何というのですか内部疾患に比べればわりに決めやすいというふうに言われておりますが、しかし、内部疾患の場合の認定というのはなかなか複雑なものもあることは承知しております。しかし、これが同程度以上と認められる状態ということを医師の判断に任されるということで、医師の診断書がなかなか医師が書きにくいという問題がまた医師の方からも出てくるのです。この問題で、現在では結核、精神障害あるいは心臓、腎臓という問題については、この内部疾患の認定基準に入っているというふうに聞いておりますけれども、これはそうなんですか。
○河野(義)政府委員 いま先生御指摘のように、内部疾患の廃疾の認定基準は非常にむずかしいわけでございます。御指摘のように外傷につきましては客観的な基準がございますが、内部疾患につきましてはそれぞれ認定医の認定に任しておりますが、御指摘の結核、精神につきましてはいろんなケースが多く出ておりますので、準則的なものがだんだん固まってまいっております。それ以外の問題につきましても、医学も進歩をいたしますし、内部疾患のいわゆる判定、廃疾の認定基準あるいは準則等につきましては今後整備するよう努力を積み重ねていきたい、かように考えております。
○石母田委員 ですから、いま心臓とか腎臓というふうに挙げましたけれども、認定基準の場合、こういうものは何か厚生省の扱いでこうした問題については認定するというような、何かあなたの方の通達とかそれに似たものが出てこういうふうに取り扱われているのですかと聞いているのです。
○河野(義)政府委員 いま御指摘がありました心臓あるいは腎臓のケースにつきましても、認定基準に書かれてございます。
○石母田委員 何に書いてあるのですか。
○河野(義)政府委員 廃疾認定基準でございます。
○石母田委員 そうすると、いま申し上げた老人に非常に多い脳卒中の問題についてはどういうふうに取り扱っていますか。
○河野(義)政府委員 脳卒中の場合でございますが、廃疾の認定の時期は、傷病にかかって三年を経過しても治らない場合には三年で廃疾認定をするというのが原則でございますが、脳卒中の場合には、六カ月経過しましてそのいわゆる障害が外的にあらわれた場合には廃疾の認定をするというような運用をいたしております。
○石母田委員 それは先ほどの腎臓、心臓などの取り扱いとは違いがありますか。認定基準に入っているとか、入っていないけれども運用面でそうやっているとかという違いがありますか。
○河野(義)政府委員 腎臓につきましては、昨年でございますが、人工透析につきまして三カ月を経過いたしまして、その状況によりまして三年を待たないで廃疾の認定をして障害年金を支給するというような運用をいたしておるわけでございます。
○石母田委員 いや、脳卒中の場合を聞いているのです。脳卒中の場合は腎臓や心臓なんかと――これは認定基準にあるとあなたが言いましたね。脳卒中のものは、これははっきり言うとそれにはないでしょう。あなたの言われたのはどういう扱いになっているのか。心臓、腎臓の場合は先ほどの取り扱いでわかったけれども、脳卒中の場合は、いまあなたが言われたことはどういう取り扱いでそうなっておるのかということを聞きたい。
○河野(義)政府委員 脳卒中の場合におきましては、脳卒中が起こりまして、それが外部の障害としてあらわれた場合におきましては、六カ月を経過した時点で廃疾認定をして障害年金を支給するということが、廃疾認定基準に掲げてあるわけでございます。
○石母田委員 そうしますと、私のところに、必要があってぜひそういう認定基準に入れてほしいという問題の中に、一番多いのは難病関係なんですよ。難病関係の認定そのものが、なかなかこれはいろいろ病気の性質から言ってむずかしいと思いますけれども、たとえばベーチェットとか、あるいは多発硬化症、スモン、筋ジストロフィー、膠原病と、その他CO関係のガス中毒患者、公害病、成人病、こういうものがやはり特に老人の中に出てきますし、また労働者やその他の中にも、被保険者の中にも出てくる。こういう状況の中で、厚生省としてはいまの認定基準でもう十分であるというふうに考えておられるのか、あるいはこういうものを含めてさらに新たに出てきている疾病の認定基準を検討し、またつくっていくという意思があるのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
○河野(義)政府委員 難病につきましては問題が二つあると思います。一つは、その発病の時期がいつであったかということを認定することにつきまして医学上のいろいろな定説があるわけでございますし、それから廃疾の状態をどのように認定するかというような問題もあるわけでございます。これらにつきましては、今後の問題として検討してまいりたいと思います。
○石母田委員 これは、認定の基準というところを作成する作業の担当というのは何課ですか。
○河野(義)政府委員 現在その個々の廃疾の認定につきましては、社会保険庁でそれぞれお医者さんを抱えてやっております。一方、そういう問題も抱えておりますので、認定基準の検討につきましても、あわせて並行して進めていきたい、かように考えております。
○石母田委員 そういう認定基準の作成作業担当というのは社会保険庁の企画じゃないですか。私の承知しているのは、そういうふうに思っているのだけれども、どうなんだ。
○河野(義)政府委員 いま現状を申し上げますと、個々のケースについてのそういう認定をやりながら、そこにいろいろ問題も出てくるわけでございます。したがいまして、その基準となる問題につきましても庁の年金課、厚生年金につきましては業務課を中心に検討しておるところでございます。
○石母田委員 それは現在運用面でいろいろやっておるけれども、厚年は業務課、国年は県の年金課で専門家が認定をしている、これはわかっているのですが、いわゆる国として認定基準の作成の作業の担当者は、社会保険庁の国年課の企画係にいるのじゃないですか、私はそう聞いているのだけれども。
○河野(義)政府委員 繰り返しになりますが、実際の認定と、それからその認定についてのいろいろな認定基準、運用の改善をあわせて国民年金課、それから厚生年金につきましては業務課でそれぞれ担当してやっておるわけでございます。
○石母田委員 これは私の調べと皆さん方のお答えが違うわけですから、とにかくあなたたちの方が、担当しているところがそうおっしゃるから、私はあえてこれ以上言いません。しかし私は疑問を持っておりますので、後ほどもう一回調べて、もしこれが違うようだったら大変な問題ですね。あなたたちの自分の方の業務の担当ですよ。 私どもが問題にしているのは、私どもが聞いている認定基準の作成作業担当者が、社会保険庁の企画係に二人しかいないという問題なんですよ。そうしますと、先ほど内部疾患の認定基準というのはきわめて複雑な問題である、またこの問題についての認定をめぐってのいろいろな苦情も、また陳情も多いということもあなたたち御承知のとおりだと思うのです。ところが、これに対してどういうふうに一体処しているかという内容が余りにも貧弱じゃないか、こういうことを私は指摘したかったわけです。そういう意味で、もしこれが私たちの調べが事実であれば、これはぜひ検討して改善してもらいたいと思うし、これは私の調査の不足であなたたちの言うとおりだとすれば、あなたたちの言うところの業務課その他のところの人員が果たしてこういう体制に備えられるようになっているかどうかということを検討して、必要ならば直ちに改善してもらいたい、こういうふうに思いますので、この点については、大臣にそういう努力についての御答弁を願いたいと思います。
○田中国務大臣 いずれにいたしましても内部疾患の認定について支障のないように体制を整えなければならぬというふうに思っております。検討いたし、また調べてもみたいと思います。
○石母田委員 それから時間が大分切迫してきましたので、まだ二、三あるのです。 これは毎回国会では論議される問題ですが、この福祉年金の支給月の変更の問題なんです。特にいま十二月支給という問題が一番望まれているわけなんです。これについて再三お答えがあるのは、十二月は業務上の問題でなかなかできないというお答が返ってくるわけですけれども、すでに恩給制度ではこれが採用されているというふうに聞いているのですけれども、そうでしょうか。
○河野(義)政府委員 御指摘の福祉年金につきましては、支給月が一月、五月、九月でございます。受給者の立場に立ちますと年末に欲しいという気持ちはわれわれは理解できるわけでございますが、この支給期につきましては各種公的年金の支払いが円滑に行くようにという観点から、各月にある程度配分してございます。十二月につきましては、恩給等の支払いその他一般に十二月は窓口事務の忙しい時期でございます。そういったことから私ども福祉年金につきましては九月ということになっておりまして、十二月に支払うということは非常に困難さがあるわけでございます。
○石母田委員 だから、その困難なことは何遍も答えられてわかっているのですが、恩給でやっていながら何で福祉年金の方は困難なのか、困難ならば恩給の方の支払いだって困難じゃないか、こういう理屈になるのだね。こういう人たちから見れば差別じゃないかというのですよ。この差別という言葉に該当するかどうかは別として、現実に片っ方の方は困難だ困難だ、郵便局が込むからだめだと言って、同じ郵便局へ片っ方の恩給をもらう人が行くということになれば、年寄りの中で問題になるわけだ。それでどうだという問題が出てくるわけだ。これも大臣のかなり政治的な解決が必要なんだ。ですから、恩給もこれは大きく言えば同じ管轄なんだろうけれども、しかしこれはいま福祉年金の支給規則で郵便局でなければならぬということになっているわけだね。この問題も含めて十二月に欲しいというのは、これはあなたたちも知っているように当然の要求だし、声で、これにこたえていくということは年金の性格からいっても非常に大切なことだと思うのですよ。この問題で、何とかいい知恵を出してこれにこたえていくようにしないと、ただ困難だ、困難だというのでは、恩給の方はじゃどうなんだ、こういう問題が出てきますから、これは大きな意味での不公正ということになりやしないかということで、ぜひ大臣の答弁をお願いしたいと思うのです。
○河野(義)政府委員 十二月に支払われる恩給は福祉年金以前からあったわけでございますが、これが現在約三百五十万件くらいございます。それから福祉年金が五百五十万件ございまして、十二月に福祉年金を払うと非常に膨大な事務量がかかるわけでございまして、そういったことから非常にむずかしいということを申し上げたわけでございますが、なおこれは郵政省の窓口の問題もございますので、郵政省と十分協議いたしまして改善の方向に努力をしていきたい、かように考えております。
○石母田委員 大臣からもぜひ。
○田中国務大臣 私も、暮れ、十二月にいただきたいという気持ちはわかるのですけれども、どうも何分にも福祉年金の受給者は非常に数が多いといったようなことで、やむなく一月ということになっていると思いますが、そうした国民の要望はわかりますので、いま年金保険部長が言いましたように、実際の窓口を取り扱っている郵政省と協議をしてみたいと思っております。
○石母田委員 最後に、私はきょうずっといろいろ公的年金制度について質問いたしました。実際のたてまえといいますか、負わされている国の責任あるいは改善しなければならないという対象がきわめて多いにかかわらず、またその努力も含めてきわめて不十分だというふうに思わざるを得ない。今後ともそうした点の改善は一層強く要求するわけです。 私は、体制上といいますか、仕組みの問題として、年金の審議会への被保険者代表の参加の問題について質問したいのです。 それは国民年金の審議会の委員名簿を見ました。十二名あります。この中には被保険者の代表は入っていないわけですね。これはやはり入れていろいろ意見を聞いた方が、先ほど大臣が再三言われているように、自分たちでは努力したけれども実態との聞係でかなり差がある。したがって、先ほど雑談の中でも、田中厚生大臣がここに来られて、自分たちの制度で完全につくったつもりでも、実態の中から、ああした遺族年金十六年掛けてももらえなかったという実態の中から、また制度を改善してくるモメントになるわけですから、そういう実態をよく知っている被保険者の代表を加えるのが私はいいんじゃないかというふうに考えますけれども、この点について、これは基本的な問題ですから大臣に直接お答え願いたいと思います、時間がありませんので。
○曾根田政府委員 現在、国民年金審議会の委員は審議会令、政令によりまして、学識経験者の中から選ぶということになっておりまして、実際問題としては、関係の団体の方あるいは消費者を代表するような人、そういった方も含めて、広い角度で人選をいたしておりますので、私どもとしては格段の支障はないと思っておりますけれども、いろいろ御要望もございますので、今後の人選に当たりましては、また十分配慮してまいりたいというふうに考えております。
○石母田委員 それは事務当局の答弁はそうだろうと思うのです。だから大臣と私は言っているのです。社会保険審議会などでは、これはやはり被保険者の代表を入れたわけでしょう。事業主も入っておるし公益も入っておるわけですね。そしてこういう人たちから被保険者の話を聞くんだから、決して制度上あってはならないという制度じゃないのです。しかも政令でしょう。だからいますぐのこうのということで、あなたたちが政令どおりにやっていることはわかっている。だから、それをわかった上でこういうものは今後検討して必要じゃないかということで私は大臣の答弁を特に求めているのであって、現状の説明を要求しているんじゃありませんので、これを厚生大臣の方から直接お答え願いたいと思います。
○田中国務大臣 国民年金の被保険者の声を反映するように、そしてまた国民年金の被保険者というのは層が広いのですから、そういったような適当な人を今後ひとつ選んでいくように努力をいたしたい、かように思います。
○石母田委員 では、これで質問を終わります。ぜひ、この公的年金制度に、憲法二十五条で定められた国の責任で、また公的年金制度の初めに申し上げました目的の方向に沿って今後ともの努力を心から要求いたしまして、質問を終わります。
○菅波委員長代理 大橋敏雄君。
○大橋(敏)委員 私も、ただいま議題となっております国民年金法等の一部を改正する法律案、これをいまから与えられた時間内に審議していくわけでございますが、まず最初にお尋ねをいたしますけれども、この法律案を提出なさる前に、社会保障制度審議会にその案を諮問なさったはずでございます。その諮問なさった案と、答申を受けられて後にこうして国会に提出された内容とは、どこか大きな違いが出たかどうか、あるいはそのとおりかどうか、お尋ねをいたします。
○曾根田政府委員 内容的には同じものでございます。ただし、社会保障制度審議会の方は、法案の形ではなくて要綱という形で諮問いたしております。
○大橋(敏)委員 私は、今度の法律案の趣旨説明を読んでまいりますと、大臣も説明なさったわけでございますが、表現としては非常にきれいな内容になっております。そして、国民の要望にこたえているかのような表現でございますが、答申の内容を見てまいりますと、決してほめ上げる内容ではないということであります。 昭和五十年二月六日、答申が出ております。総理府社会保障制度審議会、会長は大河内一男さんでございます。「国民年金法等の一部改正について(答申) 昭和五十年一月二十日厚生省発年第三号で諮問のあった標記の件は、現下のインフレーションに対応しようとしたものとは認められるが、」この後が大事ですよ。「その内容は、従来の方式を踏襲したにすぎず、この激動期に当たっての新しい工夫のあとが見受けられない。以下、諮問に対し意見を述べる。」冒頭にこのような内容が述べられておりますけれども、言葉は非常に穏やかな表現でありますが、これは厚生省、そして諮問なさった大臣に対して、厳しいおしかりをしている内容だろうと私は思います。そして、「年金額の自動スライドについて 昨秋、本審議会が指摘した事項について、適切な措置がとられていないことは、はなはだ遺憾である。事務上の問題があるにせよ、一部予測値を取り入れるか、スライド分を遡及して支給するなど工夫すべきである」全く遺憾だ、このようにその最初の方にまたおしかりがあります。それから、中を割愛いたしますけれども、「福祉年金について 福祉年金に生活保障的な色彩を加えることは、時代の要請であるが、この年金は、拠出制国民年金、その他の公的年金、生活保護等との間の権衡を考え、また、発足時の経緯をも考慮しながら、その性格、位置づけを決めていかなければならない。と同時に、所得制限の程度、障害・母子に対する給付額、他制度との併給についても多くの問題があり、検討する必要がある。」その後もずっと述べてありますけれども、どこを見ましても、これはよくやったということはどこにも見当たりません。したがいまして、今回出されておりますこの法案そのものは、ただインフレ、高物価、そういうものに対する対応策であるけれども、従来の姿の域を出ていない、こういうことです。それに対して大臣はどう考えられておられますか。
○田中国務大臣 私も社会保障制度審議会の御答申をいただいて読みました。いろんなことを実は私は感じております。私は大臣をしておりますが、国会議員出身でございますので、このような、予算の設定をした後にこういう諮問方式というものが一体国会との関係でどうなるだろうかという基本問題なども、実は従来からかねがね考えておったわけでございますが、それはそれといたしまして、これについてはいろいろな、大変結構な御意見がございますが、反面私どもとしては、財政再計算時を昭和五十三年ということであったのですが、五十一年というふうに二年繰り上げてやるということは制度審でもすでに御存じだったろうと思うので、それならば短兵急に今後こういうことについてひとつ来年は考えろということをおっしゃっていただけたらなあと心ひそかに思ったりもいたしました。 しかし、いずれにしても年金の今後の水準の向上のためには必要な御意見でございますので、ただいまはすぐにはこの意見を取り入れて皆さんの御審議をお願いするわけには実際問題として予算との関係でいきませんけれども、今後の改定の貴重な御意見にいたさなければならないものというふうに受けとめている次第であります。
○大橋(敏)委員 要するに、答申の内容というものは、今回の審議までに間に合わなかったけれども、非常に貴重な意見である、少なくとも五十一年度においては、この意見を取り入れて十分改革をしていくという考えでありますか。
○田中国務大臣 できるだけこの答申内容を尊重しなければいけないものというふうに思っております。
○大橋(敏)委員 私もそのお言葉に期待をいたしますが、去る二月二十二日の予算委員会、社会的不公正是正の集中審議と言われましたこの予算委員会で、私は老齢福祉年金の問題に触れました。御承知のはずでございます。そこで社会保障制度審議会も、いまも申し述べておりますように、老齢福祉年金の支給額というものが現在の額では生活保障的色彩を帯びていないということで意見も述べられているし、またこれまでの審議の過程から見ましても、大臣も老齢福祉年金額は月二万円という程度にまでは引き上げてみたいと考えている、そして議論の中で大臣は、五十一年度には二万円は実施したい、このように確約をなさったわけでございます。そこで私は、その月二万円の老齢福祉年金の支給については財源的な問題が非常に重要な問題になっていきます、そこで私もそれなりに工夫をこらしてみましたと、そして私なりの案を示しながら、大臣の見解をただしていったわけですね。ところがその中に、非常に私がまだ納得いかない答弁があるわけでございます。きょうはそれを改めて聞きただしたいと思っております。 その前に、私が考えました案を、もう一度、簡単ながら申し述べてみたいと思います。 まず、老齢福祉年金の受給権者数、これは厚生省が推計したものを基礎といたしているものでございます。五十一年度から月二万円ずつ支給し、以後毎年支給額は一〇%ずつ上積みしていくという案でございました。その財源といたしましては、従来の老齢福祉年金の所要額に対する財政負担額も五十一年度から毎年一〇%ずつ上積みしていく、少なくとも十四年間これを続けていただきたい。それでも五十一年度をとってみましても所要額が一兆四十四億円になりますので、財政負担額が五十年度より一〇%プラスいたしましても六千五十億となりますので、差し引き三千九百九十四億円が不足します。この不足額について、資金運用部資金から借り入れて充当していく。もちろんこれには利子をつけて、複利計算をして返済をしていく。そうすれば八年間は借用金が累積されてまいりますけれども、九年目からは所要額と財政負担額とのバランスが変わってまいりまして、借用金の返済ができる計算となる。また毎年の一〇%上積みしてく財政負担額も十四年間でよい。十五年目からは減少し、十六年目からは所要額だけの財政負担で支給できるという案でございます。 これに対して大臣は、お忘れではないと思いますが、まだ私が提出した案を十分検討する暇がなかったが、福祉年金の原資を一般会計だけに求めることでなしに、幅の広い視野でもって御検討くださったことについて深く敬意を払いますと、まずおほめをいただいたわけです。そして私のこの案について、いろいろな問題点があると思うと言われまして、まず最初に、資金運用部資金を借りることについては財政法の制約があるとおっしゃいました。まさにあります。制約はあるでしょうけれども、できないということではないでしょう。いかがですか。
○田中国務大臣 まず二月二十二日の私の答弁でございますが、これはさっき先生がお触れになりましたように、のっけから実は福祉年金の財源調達に関する財政論で始まったものでございまして、かようなわけで、私もまたそういったようなことを踏まえまして、現在の一般会計にのみ依存する方法ではこれ以上多くを期待できないという心境でお互いに話し合ったものでございますので、したがいまして私としては、財政方式をひとつこの際見直して、新しい財源を求めつつ給付の向上を図りたいというような趣旨で申し上げたものでございまして、決して一般会計に依存をして給付の向上をあのようにやろうということについては毛頭考えなかったところでございますが、どうもその点について明確を欠きましたものですから、申すまでもないことでございますが、その点はそのようでございます。 さて、いまの資金運用部資金からこれの財源に充てるということについては、私の知る限りにおいては、財政法において、四条でございますか、このような財源にこのような手法をもってやることは現行法ではできないというふうに私は理解をいたしております。
○大橋(敏)委員 それが理解の浅さと言いましょうか、前例が幾つもあるのであります。まず資金運用部資金を借りることについては財政法の制約がある。制約はありますけれども、絶対できないということではないという前例を私がいまから申し上げます。 まず、近くには昭和四十八年度における政管健保の累積赤字の処理につきまして厚生保険特別会計法の改正があります。これが一つ。それから二つ目には、昭和四十年度における財政処理の特別措置に関する法律というものが審議されましたが、そのときに財政法第四条にいうところの公債ではなく、臨時緊急の措置として税収欠陥補てんのための公債を発行しているという、いわゆる赤字公債を出した。要するに特例法をもって財政法との矛盾、抵触というものを避けることもできるという実例でございます。三つ目には、昭和四十年ですけれども、地方公務員の給与引き上げに伴う不足財源について交付税特別会計法の改正で資金運用部資金から借入金をして地方に配ったという事実がございます。経常経費についても借入金をもってあがなった例がここにあるという、これが具体的な三つの例でございます。おわかりですね。これは財政法四条があるから絶対資金運用部資金から借りられないということではないという前例です。これをまず理解できますか。
○梅澤説明員 ただいま大橋委員が御指摘になりました点、要約いたしますと私は二点にわたるかと思うのですが、まず第一点の、四十八年度の健保法の政管健保の財政対策の一環として厚生保険特別会計で借り入れ規定が創設されたというのは、御指摘のとおりでございます。ただし、これは先生も御案内のように四十八年度の法改正によりまして、多年財政の脆弱な体質を持っておりました政管健保、たとえばいわゆる保険料の弾力的な引き上げの条項、それに連動いたしまして国庫補助率定率補助を創設すると同時に、それに連動いたしまして国庫補助を拡充するというような一連の処置をもちまして、四十九年度以降特別会計としての財政収支の均衡策を立てるという前提のもとに、特例的な措置といたしまして、四十八年度までの累積の赤字分をたな上げにいたしまして、これは後年度におきまして一般会計から財源需要を見ながらその赤字を補てんするという仕組みを前提のもとに、過去の債務につきましてはこれを運用部から借り入れて一時しのぐという条項が一つと、もう一つは、ただいま申しました四十九年度以降の財政対策といたしまして、たとえば診療報酬の引き上げがあるという場合に、保険料あるいは先ほど申しました国庫補助の弾力的な発動ということで財政の収支の均衡を保つわけでございますけれども、単年度で資金繰りがどうしてもきかないという場合に、一時的な金繰りのための借り入れの規定ということが設けられまして、後者の場合の借り入れにつきましては、法律にもはっきり書いてございますように、翌年度の保険料収入でもって、つまり特別会計の自助努力でもってこれを補てんするという意味での借り入れ規定でございまするので、先ほど大橋委員がお述べになりました財政法四条の特例的な規定であるという問題であるのかどうかは、私どもといたしましては、いま申しましたような事情で、おのずからこの借り入れ規定につきましては事情が異なるというふうに考えております。 それから第二の、昭和四十年度のときの特別の……
○大橋(敏)委員 後でまた議論しますから、それでいいです。 いま政管健保の赤字については資金運用部から借りた。これは厚生保険特別会計を四十八年度に修正をして、それができるようにしたわけです。十八条ノ八と十八条ノ九を挿入して、その借金の一部については一般会計から返済できるような法律になっております。見てください。十八条ノ八と十八条ノ九でございます。そこで二月二十二日の予算審議のときに、私が答弁を求めもしないのに、吉瀬理財局長さんが発言を求めてここへ立ってきました。そして言ったことはこうでしたね。「健康保険勘定その他につきまして、運用部資金を貸しております。」これは認めたわけですけれども、「これは一般の運用部資金の貸し付けと同じように、料金収入と給付金支出が均衡するというような一つの料金収入体系がある」「ということを前提に貸しているわけでございまして、」「一般に租税負担を前提として支出さるべき福祉年金、こういうものが運用部資金の体系として取り入れられるということは、制度上非常に問題がございます。」「非常に問題がございます。」と言って、ここでは絶対だめだとは言っておりませんね。しかしそのあとですよ。「これが財政法の一般の借入金の基本原則、これとも違背する」と言っているのですね。ここなんですがね。 それでは私がいまから、大蔵省の方でも結構でございますが、順次お尋ねしていきますのでお願いいたします。特別会計には自己負担において借り入れできるものが幾つあるか、どのようなものがあるか述べていただきたいと思います。
○石川説明員 お答え申し上げます。 借り入れ可能の特別会計と言われますと、ちょっと私ども制度を全部洗っておりませんのでわかりませんが、財政投融資の対策として財投資金をお貸しする計画に計上してありますものは、都市開発資金融通特別会計、特定国有財産整備特別会計、治水特別会計、国立病院特別会計、国立学校特別会計、特定土地改良工事特別会計、郵政事業特別会計、七つほど財政投融資の対象といたしております。
○大橋(敏)委員 特別会計がその規定によって借り入れをする場合には、財政法第四条の規定を受けるかどうか。
○古橋説明員 財政法第四条の規定は特別会計にも適用があるものと考えております。したがいまして、特別会計法において借り入れ規定がございますれば、その分は適用除外ということになります。しかし財政法四条の借り入れ規定というものは長期借入金でございまして、短期借入金は四条の借り入れはございません。したがいまして、特別会計で、各法律で短期借り入れというふうなものは、四条との抵触がない、こういうふうに考えております。
○大橋(敏)委員 その四条の基本原則というものについては、特別会計といえどもその原則には従わなければならぬ。しかしながら特別会計の独立採算制にかんがみて、自己の負担において返済できる場合については借入金を認めることができる。間違いありませんね。――そこで自己負担において借入金をする場合に消費的経費や経常経費について借入金ができるかどうか。これは大事なところですからお願いします。
○古橋説明員 財政法の第四条の趣旨と申しますのは、経常的な支出には経常的な財源をもって充てようというのが大前提の趣旨でございます。したがいまして、現在の特別会計法等の場合におきまして借り入れが行われておりますが、その場合におきましては、その特別会計を先生がおっしゃいましたように、その特殊性によりまして認めておるわけでございますけれども、あくまでも、借り入れをするような場合におきましては、その借り入れの返済におきましては経常財源をもって返済をするという前提がなければいけない、それが健全な財政運営である、こういうふうに考えております。
○大橋(敏)委員 好ましいことではないけれども、できるということですね。どうですか。
○古橋説明員 法律によりまして借り入れができると書いてある場合においてはできるということでございます。それは国会がそれを御承認になったということでございます。
○大橋(敏)委員 いま確かにりっぱな御答弁をなさったと思います。国会が承認すれば、仮に財政法四条があろうともそういうことができるんだ。事実、過去に例がございます。先ほど申しましたように、昭和四十年十二月二十三日に大蔵委員会で審議されているのですけれども、奥野委員という方が、「第四条の関係でお伺いしたいのでございますが、人事院勧告に関連をいたしまして地方公務員の給与改定も行なわれる、その給与財源の不足額につきまして地方交付税交付金を増額しなければならない、その交付については交付税及び譲与税配付金特別会計の中で借り入れ金をするのだ、こう書いてあるわけでございます。」と言って質問しているわけですね。これが財政法とどういう関係になっているのかということで質問しているわけでございますが、このときにはその答えとしまして、「給与の改善費に対しまする措置につきまして、借り入れ金ではこそくであるというようなお話でございますが、これは従来この年度途中におきまして人事院勧告が出ますと、国といたしましても、地方といたしましてもたいへん財源措置に窮するわけでございます。こういった新規の財政需要につきまして、従来は御承知のように交付税の自然増が多額にのぼりますとか、地方税におきましても相当な自然増収がある、そういった中で人事院勧告によります所要財源がまかなえたのでございますが、昨年からそれがやや自然増だけでは財源が足りないという事態になって」と、ずっと述べているわけでございます。これは要するにその当時の鳩山主計局次長が、地方公務員の給与引き上げ財源について、交付税特別会計で借金をして、もちろん資金運用部資金からですけれども、借金をして地方に配った、これは好ましいことではないけれどもやむを得ずやったことを認めたという内容になっています。読んでください、そのとおりになっています。つまり、経常経費についても借入金をもってあがなった例がここに示されているわけでございます。これが一つです。 それから同じく大蔵委員会で、武藤委員が質問をいたしております。これは、「昭和四十年度における財政処理の特別措置に関する法律案及び農業共済再保険特別会計の歳入不足をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案の両案を一括議題とし、審査を進めます。」というところでの議論ですけれども、時間がもったいないので要約しますと、武藤委員が、財政法第四条という基本法があるにもかかわらず、特例法をつくって赤字公債を出すというのは財政法の精神に反するのではないかと言っているんですね。これは先ほどの理財局長が答えたのと同じところを言っているんですよ。それに対して福田国務大臣が財政法とすれ違うのでこのような特例法の審議を願っているのでございますと、つまり、特例法をつくれば財政法四条と異なった公債の発行や借入金ができることを認めた内容になっております。お疑いになるならば読み上げてもいいのです。これは大蔵省の方は御存じでしょうか。
○古橋説明員 四十年の際の公債を発行したときの事情につきましては了知いたしております。
○大橋(敏)委員 厚生大臣、やる気があればできるんです。これにも第四条はある。あるけれども、国がその必要を認めた場合は、特別措置あるいは特例法あるいは厚生保険特別会計法等の改正をして、国会が認めればできるんだということなんですよ。 もう一つ、やはりそのときの大蔵委員会でこういう内容が出ております。これは荒井政府委員が答えているのです。竹本委員という方に対して答えているのですけれども、財政法四条の規定にかかわらず赤字公債を出すというような特例法を出すことは可能かとの質問に対して――これは法制局です。法制局は、可能であります、国会の判断にかかわるものであると答えて、さらに、財政法四十五条により特別会計法は財政法の規定と異なった定めをすることができると、こう答えております。確かに法律にあるのです。四十五条には「各特別会計において必要がある場合には、この法律の規定と異なる定めをなすことができる。」財政法第四条と異なる定めをなすことができるとあるのですよ。また四条にはそれなりの内容がきちっと示されておる。これは御承知のとおりであります。このように、もう昭和四十年度においてこういう問題が大変な議論の中で成立していっているわけですよ。 ですから、結論的に申し上げますならば、私が二十二日に質問したときの最後の副総理の答弁も、私の言っていることに対しては否定的ではございません。これは検討に値すると言っております。改めてここで読み上げておきます。 五十年度には一万二千円にするわけですが、これでとまりというわけじゃないので、政府といたしましては、これが引き上げには今後とも努力をしていかなければならぬ、こういうふうに考えておりますが、その財源として、先ほど大橋さんからの資金運用部からの借り入れ金という案ですね。これは考えてみると、国民年金特別会計が公債を出して、その公債を資金運用部が引き受けする、こういうことですね。さらに進んで言えば、国が公債を出して、それを資金運用部が引き受けします、これと全く同じ考えなんですね。この考え方は、これは先ほど制度の問題とか予算のたてまえだとか、そういうお話があるということを厚生大臣が言っておられる。まあそういう問題があるかもしらぬが、これは審議いたしまして、国会が御承認するということになれば解決する問題かと思いますが、しかし、年金の給付の財源を公債、しかもそれを資金運用部の引き受けに求める、こういうのは財政政策として非常に大きな問題だろうと思うのです。さればこそ、厚生大臣はにわかに御返事できません、こう言っておるのじゃないかと私は思いますが、せっかくの御提案でありますので、厚生大臣が検討する、こういうふうに申しておりますので、十分検討させていただきます。こうして、大臣がおっしゃったような簡単な答弁ではなかったわけですよ。国会が認めれば、そして特別会計法を一部改正すればできることだと言っているのじゃないですか。どうですか、大臣。
○田中国務大臣 いま大蔵省の方々と質疑応答をいろいろやっておりますが、私、財政法についていろいろと詳しい知識を持っているわけではございませんので、その決着についてはにわかに判断をいたしかねているところでございます。なるほど、しかし国会で定めるならば、法制上の問題でございますから、かなりのことがいろいろできるだろうと思います。財政に関する基本法である財政法においても、国会の議決を得るならばいかようにでも変更できるだろうと思いますが、問題はポリシーの問題じゃなかろうかというふうに思われるわけでございまして、かような趣旨の財源としてこのような財政手法というものが広い意味の財政政策としていかがであろうかということについて、福田副総理は疑問を残した答弁だろうというふうに私はあの節聞いておったわけでございます。法律論議につきましては、また今後とも詰めていきたいと思っておりますが、いまのところこれを法律上ないしは財政政策上適当であるあるいは合法であるといったようなことについて、ただいまのところ私は、先生いろいろ御主張になりまするが、結構である、間違いがないというふうには結論づけられないでおるところでございますので、さらに深い検討をさせていただきたいと思っております。
○大橋(敏)委員 あなたは財政法には詳しくないのでにわかに答えは出せませんとおっしゃいましたけれども、私は、昭和四十年のときの会議録をもとにして話をしているわけです。これは厳然たる一つの証拠です。そこの中には先ほど私が列挙いたしました前例があって、仮に資金運用部資金から借用するということが財政法第四条があるから絶対できないと金科玉条のごとく思われている考え方自体は誤りじゃないですか、ここは理解を改めるべきではないですか、こう言っているわけですよ。それについてはこれから検討するというんですから、検討されればされるほど自信を深められると私も確信するわけでございますが、そういう理解を深めていく上の努力をなさるかどうかということが一つ。そして、こうして財政法上にも問題がなかったということがはっきりした場合は、厚生大臣もはっきり五十一年度から二万円をやりたい、やると確約なさったんですから、これは約束どおりに実行してもらわなければならぬということになるわけでございますが、この二点についてお尋ねをいたします。
○田中国務大臣 法律上の問題あるいは財政政策の問題については今後とも検討を続けたいと思っております。また福祉年金の給付額を上げる財源につきましては、先生が御指摘になった手法も、当時私が答弁いたしましたように一つの案であろうと思いますので、いろいろこれについては参考にさせていただきますということを申し上げておりますが、これが唯一絶対の方法であるとも思えませんので、幅の広い視野でひとつ検討をいたしたいというふうに思っております。
○大橋(敏)委員 私はこれ以外にやる方法はないと言っているわけじゃないのです。厚生大臣は二万円を実現したいけれども、頭が痛いとおっしゃるから、私も厚生大臣の身になって徹夜をして一生懸命考えた案なんですよ。その案が決して違法ではないという裏づけを持っていま申し上げているわけですから、本当にあなたが現在のお年寄りを救っていきたい、二万円程度は必要だとかねがねおっしゃっておることを実現したいとなれば、やる気になればできますよ、こう言っているわけです。その点、もう少し度胸を持ってお話しになったらどうですか。
○田中国務大臣 私としては、また厚生大臣として、老齢福祉年金の給付額を上げたいという気持ちは持っておるわけでございまして、その財源をどういうふうに求めるかということについていろいろとせっかく腐心をしているわけでございますので、先生御提示の案につきましては、これをいろいろと法制上または財政政策上問題があるということも聞いておりますが、これを克服できるかどうかということについて検討をいたすと同時に、これだけではなしに、いろいろな案について幅広く検討して、その財源を見出すように努力いたしたいということを今日申し上げるのが適当であろうというふうに思われます。
○大橋(敏)委員 とにかく財源は何とかして見つけて、二万円を実現したいという気持ちには変わりはないということですね。
○田中国務大臣 財源をできるだけ見つけて給付を上げていきたいということでございますが、先生、あの速記をお読みになっておわかりだろうと思いますが、私としては二万円は必ず実施をいたしたい、こう申しているわけでございまして、まあしゃくし定規に言えば、時期については私はコメントしておらないわけでございますが、しかし、そういう御要請もありますので、できる限り早い時期にそういうことをいたしたいという私の希望を表明したものでございますから、したがって、できるだけ財源を見出して給付の向上に努めたいということでございますので、そういう節に先生の案についても一つの参考意見として、いろいろな法律上の問題あるいは制度の問題あるいはあの中身そのものについてもいろいろと検討しなければならぬ問題もあろうと思われるものですから、あれについても十分検討いたしますが、さらにまたいろいろな角度からいろいろな手法をひとつ検討をいたしたいということでございます。
○大橋(敏)委員 きょうは大変逃げの答弁になっているようですが、五十一年度とは自分は言ってないとおっしゃいますが、そのとおりですが、その前に私ははっきり言っているのです。質問の中で、五十一年度から二万円やるということですかということを尋ねているんですよ。それに対する答えですから、これはつながるでしょう。それは、あなたの口からは五十一年度という言葉は出なかったけれども、質疑応答の過程からいけば、だれだって五十一年度からというふうに読めますよ。まあしかし、これ以上詰めないことにしましょうかね。これは大事なところですよ。 結論的に申し上げますならば、先ほど申し上げますように、厚生大臣がその気になり、財政法上にも前例があるということから、三木内閣すべてこれを検討していただいて、やはり実現しようという結論になればこれはできることであるということを一応認めるべきだと私は思うのですがね。この点についてどうですか。
○田中国務大臣 ただいまいろいろ質疑応答がありましたとおり、まだいろいろな問題がたくさんあると思いますので、さらに深い検討をしなければ、ここで先生の案は政策として問題がない、また法律上絶対に問題がないというふうに私が結論づけてしまうことについては、私は軽率だと思います。今後の検討をお待ち願いたいと思います。
○大橋(敏)委員 じゃあ検討を待ちますが、法律上問題なしとなった場合は決断なさいますね。
○田中国務大臣 そういう節であっても、もっといい案があるならば、その方の案を採用することにもなろうと思われますので、おれのはもう絶対だからこれを採用しろとここでおっしゃられても、これはさようにいたしますとは申し切れないということだろうと思います。
○大橋(敏)委員 それでは、おまえのその案も参考の一つとして検討して、結論的には要望どおりの実施をしていくように努力をする、こういうことですね。
○田中国務大臣 先刻来いろいろ申し上げているとおり、財政を洗い直し、財源を見出すことによって給付額の向上をいたしたいという気持ちについては変わりありません。
○大橋(敏)委員 あなたが去る二十二日に確約なさったことについては大変な反響がございました。特に老人の皆さんは、さすがに三木内閣だ、田中厚相だと言って、それはそれは大変な信頼を集めていたようでございます。 〔菅波委員長代理退席、委員長着席〕 どうか、こうしたお年寄りの皆さんのお気持ちを踏みにじることがないように、改めて強く要求をいたしておきます。 では、次に移ります。 在職老齢年金の問題について、先刻各委員長もいろいろ言っておりましたけれども、基本的な改善をほさる気持ちがあるかどうか。
○曾根田政府委員 在職老齢年金には、いわゆる六十五歳未満の低所得在職老齢年金というものと六十五歳以降の在職老齢年金と二つあるわけでございますが、いま御審議願っております改正法案では在職老齢年金の支給限度額の引き上げ、改善がその内容とされておりますので、今後の御審議を待つわけでございますが、この限度額は今後とも年金額の引き上げ等に見合って改善をいたしていかなければならぬと思いますし、また在職老齢年金制度全体の問題につきましては、来年度改正の一つの検討事項として目下関係審議会で審議も進められておりますので、その結果を待って具体案をまとめていきたいというふうに考えております。
○大橋(敏)委員 来年度は年金の抜本的な改革がなされる、いま審議中である、これは非常に国民から期待をされているわけでございますが、もう私が申し上げるまでもなく、わが国の公的年金制度は大別して八つあるわけでございますが、それぞれ受給要件や給付内容が異なっております。制度間に整合性がない、また年金の給付額がきわめて低水準にあることが大きな欠陥と言われてきております。恐らくこういう立場から抜本的な年金改革がいま審議されていると思いますけれども、この年金の統合ということについての御見解を伺いたいと思います。
○田中国務大臣 午前中にも答弁をいたしましたが、八つに分かれている各種年金はそれぞれ沿革も違い、また制度を起こした理由等についても若干の違いがあるようでございます。しかし、国民が老後を保障されるということについて、できるだけ同じような処遇を受けるということは望ましいことでございますので、その方向に努力をいたしたいと思いますが、何さまいままでの長い間の経緯もございますから、したがってこれを一遍に統合するということは、私は言うべくしてできないということだろうと思います。 まあ理想をここで申し述べて食言になってはいけないものでございますから、したがって、私としてはできる範囲内の御答弁をいたしますが、率直に申して、この年金を全部融合して一つの年金にしてしまうということは、私はそう簡単なものではないと思います。しかし、この種の年金について、できるだけいろいろな要件、給付等について整合性を持たせるように努力はいたさなければならないというふうに思っております。
○大橋(敏)委員 政府の皆さんも、この年金の抜本的な改革については非常な熱意で努力なさっていることはよくわかります。が、われわれも皆様に劣らず一生懸命年金の改革案をいま検討いたしておりまして、わが党も近く統合的な、非常に斬新な年金の抜本改革案を発表する予定でございます。いま私の案というところで、党全体の了承を得ておりませんけれども、その内容を一部紹介いたしますと、いま大臣が御心配なさっているようなこともすべて網羅して、なるほどこれならできるという案をまたお示しします。 まず、現在の国民年金を廃止しまして、国民基本年金法というものを考えようとしているわけでございます。大ざっぱに申し上げますと、財源的なものは十年ないし二十年の修正賦課方式をとろうとしております。被保険者は、この国民基本年金は十六歳以上六十歳未満の全国民を被保険者とするという内容です。なぜならば、賦課方式の立場でございますから、稼働人口、いわゆる十六歳から六十歳まで、こういう国民がみんな被保険者になる。妻の年金権の問題がいろいろ議論されておりますけれども、これもここで解消するわけでございます。それから、国民基本年金が行う給付というのは、六十五歳給付開始でございますが、老齢、障害、遺族、福祉の各年金として、その額は別表のとおりとするということで定めております。この額はきょうはまだ申し上げません。 そこで、公的年金制度との関係はどうなるかというと、国民年金以外の各公的年金制度は存続することとする。その行う給付は、国民基本年金の行う給付を上回る部分とする。この場合において、国民基本年金の行う給付を上回る部分とは、年金額において上回る部分はもちろんのこと、受給要件、たとえば五十五歳支給開始において有利とされている部分をも含むものとするということですから、現在の厚生年金にしろあるいは他の公的年金も、現在のいわゆる既得権といいますか、すべてのものを生かしながらやっていこうという内容です。これは整理ができましたらこのとおりなさって、またわれわれがいま主張しているようなことにならざるを得ないのではないかという自信を持っております。これは楽しみに待っていただきたいと思います。 そのほか細かいことがございますけれども、経過的措置としましては、国民年金以外の各公的年金制度が現在行っている給付は、なお従前の例によることとする。この場合において、その給付額が国民基本年金の行う給付額以下であるときは、国民基本年金の行う給付額まで引き上げること。国民年金が行っている各給付は、国民基本年金が行う給付とし、国民基本年金が行う給付額まで引き上げる。 そのほかずっと述べておりますが、時間も迫ってまいりましたので、これはこの辺にしまして、最後に二、三確認をとりたいと思うのでございますが、在職老齢年金はいま審議中だとおっしゃいますけれども、われわれの意見としましては、現在、六十五歳未満の方は月に七万二千円以下の者は全額支給されるわけでございますが、これ以上の者はカットされますね。六十五歳を過ぎると二割カットで支給されるわけでございますが、それ以前は幾つにもそのランクがなされて、二割カット、四割カット、順々にあって、八割カットまであるわけですね。こういうのは非常に不合理である、こういうもっぱらの意見でございますが、こういうのを調整なさる考えがあるかどうか。 それから、遺族年金の問題です。この案にいたしましても、現在の二分の一はおかしいということで、たびたび国会で論議されておりますけれども、これについてきょう厚生大臣の見解を聞いておきたいと思います。
○曾根田政府委員 低所得者に対する在職老齢年金につきましては、今回御審議願っております改正法案では限度額を引き上げるほか、先生御指摘のように、従来四段階で支給率を異にしておりますのを、事務簡素化等の意味もございまして、三段階に一段階簡素化することにいたしておりますので御審議を願いたいわけでございますが、六十五歳以降の在職老齢年金の二割カット、この問題につきましては、結論は先ほど申し上げましたように、関係審議会の御審議の結果善処いたしたいと思っておりますけれども、この二割カットの考え方は、やはり六十五歳になりますと、所得の多少に関係なく全員に出すわけでございますので、どうしても現実に賃金をもらっている人に年金額を全額差し上げるのはいかがなものであろうか、そういう趣旨から二割カットということになっておるわけでございますけれども、結論的には、先ほど言いましたように関係審議会の御意見によって措置いたしたいというふうに考えております。
○大橋(敏)委員 いま審議会で審議されている段階では物が言えないだろうと思いますので、これ以上のことはお尋ねはいたしませんが、先ほど私が申し上げましたように、国民は、老後の生活にどうしても必要な基本的な部分の年金、最低生活保障年金の設定を望んでおります。これは、ただ食えるというだけじゃなくて、やはり文化的な最低保障、二十五条にあるような内容の最低保障年金ですね、こういうものを望んでおります。 そこで、いろいろわれわれも検討しているわけでございますけれども、各公的年金制度の長所や既得権、期待権を認めながら、より高所な見地に立って、年金が本来目的とする所得の再配分の機能を有効に達成できるような制度の実現を望んでいるわけですから、この内容について私は近いうちにお示しいたします。そしていま審議している国民年金法の一部改正の一環として、この法律の修正とも言えるような内容の案ももうでき上がっておりますので、この次の審議のときにこの内容もお示しします。そして厚生省、政府とともになって、本当に国民が求めている年金の抜本的改革をやろうじゃありませんか。大臣、どうですか。
○田中国務大臣 前の御質問については年金局長が申したとおりでございますが、できるだけいろいろな点、この種の在職老齢年金あるいは遺族年金についての給付額についてはこれを改善いたすように努力をいたしたいというふうに思っております。 なお、いま先生がいろいろ御苦心になっている案、できるだけ成案を得て私どものところへお示しになっていただくことをお待ち申し上げております。 〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕 私どもも年金の改善についてはいろいろと努力をしているわけでありまして、参考にさせていただきたいと思っておりますが、一番の問題は、国民がこの種の制度について既得権をむやみに振り回すということ、それから自分のためではなしに他人のために拠出をするという精神がなければこの改善はできないということでありまして、これに対し国民がどれだけお互いに雅量を持ってこうしたことについて協力できるかということが私は実際問題としてきわめて大切だろうと思うわけでございますので、どうぞ国会の皆さんも、またいろいろの御努力によってのこういうふうなことが進め得るように私は希求してやみません。
○大橋(敏)委員 終わります。
○戸井田委員長代理 次に、小宮武喜君。
○小宮委員 まず冒頭に、法律案の提案の仕方についてでありますが、今回のこの国民年金法の一部改正の法律案の中には、国民年金、厚生年金、船員保険、年金福祉事業団等の一部改正の法律案が一括して提案されているわけです。これは厚生省の法律案の中に国民年金法等の一部を改正する法律案ということで等を入れておることによってこういうような別個の法案を四本も一括して提案することが妥当かどうか、まず一点の疑問はこういうことなんです。 このような傾向が最近各省の法律案の中に非常にふえてまいりました。これは、皆さん方のお気持ちがわからないでもないのです。たとえば一つの法律案には反対であった、しかしながら三つの法律案は賛成だという場合に、採決の賛意を表する場合に、その一つは反対だけれども三つが賛成だから賛成せざるを得ないというようになるかもしれません。そのことを厚生省も各省も計算ずくで、ただ国民年金法等の一部改正という等を入れることによって何本もの法律を一括して提案するということはどうかというように私は疑問を感じるのです。たとえば法律案が別々に出された場合は別々に採決をとられる。また質疑の時間だって、こうして一本で出せば四十分なり五十分で質問されるわけです。法律案が別々に出ると、質問時間も一本につき四十分なり五十分で質問されるということになれば、どうしても各省はやはりなるだけ一本にまとめて出したいというその気持ちはわからないでもないのです。こういうような出し方が各省で非常にふえておる傾向がありますが、この点について内閣法制局としてはどのように考えられておるのか、ひとつ所見を承っておきます。
○別府政府委員 お答えいたします。 ただいま小宮委員から御指摘ございましたように、幾つかの法律案をまとめて何々法等の一部改正法律案という形で提出すること自身につきましては、もしもその内容が、趣旨、方向等につきまして必ずしも一致していないものでございますと、先ほどの御発言のように、その審議の仕方なり採決の仕方なりについての若干の制約になるという点もあるかと存じますが、今回の国民年金法等の一部を改正する法律案は、御存じのとおり、先ほども御指摘ございましたように、国民年金法、厚生年金保険法。船員保険法と年金福祉事業団法を一括したわけでございますけれども、これは五十年度における国民の福祉の向上に関する年金に関連する施策を実施するための法律案ということでございまして、その趣旨、方向におきまして全く共通のものということが考えられますので、このような形で提出したわけでございますし、なお、小宮委員の御指摘に逆らうわけではございませんけれども、従来とも、たとえば四十八年は厚生年金保険法、国民年金法、船員保険法と年金福祉事業団法、本年と同じようなものの一部改正を一括して、四十九年は国民年金法、厚生年金保険法、年金福祉事業団法の三法を一括してという形で提出しておりますので、当局といたしましても無反省に一括するということではなく、最初に申し上げましたように、趣旨、方向において同一のものであれば一括して提出することも差し支えないのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
○小宮委員 こういうような提出の仕方が法律的にどうこうというのじゃなくて、やはり妥当かどうかという問題なんですね。だから幾回も過去でもあったじゃないかと言われれば、なるほどそれはあった、だから今回もするのだ。これが拡大されていくのです。だから以前は二本まとめてやったけれども今度は三本、次は四本というふうに……。貴重な時間ですから、私はこの問題でもう論争しようとは思いませんが、やはり問題点を指摘しておかないと……。これは厚生省だけじゃないのです。通産省にもあればほかの省にもいっぱいあるのです。だからそういった問題がやたらに拡大されていくと、法律が別個にあるものをそういうふうに一括して出すということについて、どうもお役所の方々の何かずるい考え方がこの中に入っておるように感じられるし、またそれを許すということになれば、これはまた大変大きな問題ですから、そういうような意味で問題の指摘にとどめたということでございますが、何か大臣から所見があればひとつお聞きしたい。
○田中国務大臣 この法律案の提出の仕方でございますが、長期給付の年金でございますので、数本の法律を一遍にまとめて提出をいたしましたが、これは私はやはり年金の相互の関係を見るのにかえって結構だろうと実は思っているわけで、余りそんなに抵抗を感ぜずに出したわけです。 ちなみにこれは余談になりますが、私、若い議員のころに、実はいま先生の御指摘のような趣旨から、厚生年金保険法と健康保険法ともう一つ何かの法律の三本を一本にして提出を無理無理にさせたことがございまして、私どもは反対をいたしました。前々厚生大臣の齋藤邦吉君と一緒になって反対をいたしまして、これはいま先生おっしゃったような趣旨でけしからぬということで三つに分けまして、分けた途端に議員提出の法律案になって、参議院まで引っ張り出されて、提案者でひどい目に遭ったことがございますが、そういうものとこれとは性質が違いますが、先生御指摘のようなことについては、先生御指摘のような理由であるならば、私は好もしいことではございませんので、今後とも注意をいたしますが、本件についてはさきに私が申したようなものとは性質が違うということについて御理解を願いたいと思います。
○小宮委員 この問題についてはこれ以上は申し上げません。 では、早速法律案の内容に入りますが、厚生年金は、一昨年五万円年金ということで非常に大々的に宣伝をされ、それで昨年は物価上昇率にスライドしたために六万円年金ということが言われました。では、ことし八月から物価スライドされた場合に、何万円年金になるのか、ひとつその点をまずお聞きしたいと思います。 それからまた、その場合に受給総額は幾らで、平均受給額は幾らになるのか、あわせてひとつ御答弁を願いたい。
○河野(義)政府委員 ただいま御指摘の年金のスライドによる改定につきまして、年金額が引き上げられるわけでございますが、国民年金の十年年金につきましては、(小宮委員「まず厚生年金でいいです。厚生年金から」と呼ぶ)厚生年金はちょっと計算した正確な資料をいま持っておりませんが、後でまた検討してお答えします。 国民年金につきましては、十年年金につきましては一万四千五百十三円が一万七千七百五円になります。五年年金につきましては九千二百八十八円が一万一千三百三十一円。それからその受給者でございますが、十年年金につきましては百三十三万二千人でございますし、五年年金につきましては六十二万七千人になります。 厚生年金につきましては、個々の受給者の年金額は異なるわけでございますが、先生、先ほど御指摘ありましたように、四十九年度一六・一%のアップによりまして、いわゆる五万円年金が六万円年金に、これが二二%アップになりまして、七万円年金になるわけでございます。
○小宮委員 それでことし八月から支給をされる厚生年金は七万円、端数は別として大体七万円年金ということになるのですか。いま先ほどの答弁の中にはそういうような言葉が入っておったから。
○河野(義)政府委員 いま申し上げましたのは、いわゆるモデルにとりました五万円年金が四十九年度におきましては六万円、それが二二%アップになりますと七万円を超える、こういうことでございまして、先生いま御指摘になりました、現実に受給者の平均が幾らになるかという点につきましては、正確な数字はいま持っておりませんが、その平均よりやや下回るのではないかと思います。
○小宮委員 これは大事な問題ですからね。大体いつも、五万円年金の場合にしても、これは五万円年金だということで盛んに宣伝されたけれども、実際、五万円年金を受給できる人は全体の一割にすぎないというようなことで、大体の平均は三万六千円というようなこともわれわれは質問の中で明らかになっておるので、ただこれは七万円年金といっても実際の平均はどれだけになるのかということと、それとあわせてそれでは七万円年金の受給者がどれだけで、全受給者の何%になるのか。
○曾根田政府委員 まず四十八年の際の五万円年金のモデルとされました被保険者期間二十七年標準報酬八万四千六百円、妻一人、これが五万二千二百四十二円、四十九年八月からは六万二百十七円、二二%アップになります本年八月以降は七万二千九百九十八円、約七万三千円でございますが、先生御指摘のようにモデル年金はこういう一定の条件に該当した場合の金額でございますので、四十八年当時も実際にこれで全年金を平均いたしました際は、約三万八千円だったわけでございますが、本年八月一応予定どおり二二%スライドアップされました後の平均額、これは推計でございますけれども、つまり四十八年の三万八千円に見合うものが約五万三千円程度になろうかと思います。 そこで、さらにお尋ねのこの七万円モデル年金をもらう者の比率がどのくらいになろうかということでございますけれども、約二二%程度と一応推計いたしております。
○小宮委員 国民年金の実施時期は十年年金がことしの九月、それから五年年金が十月からというようになっているのですが、なぜこういうように実施時期をずらしたのか。また十年年金、五年年金の受給対象者は大体どれくらいになるのか、それぞれ。
○曾根田政府委員 まず最初のお尋ねのスライドの実施時期でございますが、これは国民年金の方は五年年金も十年年金も一応いまの予定では二二%のスライドアップを両方とも九月にいたします。しかしながら、五年年金につきましては二二%スライドアップ後も一万一千三百円台でございますので、十月になりますと、福祉年金が一万二千円にいまのところの予定ではなることになりますので、そうしますと、十月以降は福祉年金の方が五年年金の額を上回るのもいかがなものであろうか。そういうことで五年年金につきましては本年は、来年度は二回、九月に通常のスライド、それから十月からはいわば一種の政策改定でございますが、二回やるという趣旨でございます。 それから受給者の数でございますが、十年年金につきましては約百三十万、五年年金につきましては六十三万程度というふうに見込んでおります。
○小宮委員 無拠出の老齢福祉年金の月額一万二千円になるわけですが、これは実施時期はそれでは九月からというふうに理解していいか、それで受給対象人員はどれだけか。
○曾根田政府委員 老齢福祉年金が一万二千円になりますのは、御審議願っている法案におきましては十月からでございます。福祉年金が十月から一万二千円になるので、五年年金ももう一度ベースアップを行うというのが先ほど申し上げた趣旨でございます。 なお、老齢福祉年金の受給者数でございますが、大ざっぱに申し上げまして約四百万でございます。
○小宮委員 六十七歳から六十九歳までの谷間の老人と言われる人たちですね、この老齢特別給付金の支給実施時期も九月と理解していいのか、それから、これも受給対象人員はいまどれだけおりますか。
○曾根田政府委員 いわゆる谷間年金の引き上げの時期も本年十月でございます。なお、この受給者見込みでございますが、これは五十年度末、つまり来年の三月末には該当者がゼロになりまして、来年の四月以降は福祉年金に切りかえられるわけでございますが、予算上の年度間の平均の受給者見込みとしては十三万人でございます。これは年度間平均、三月末にはゼロ人になるということでございます。
○小宮委員 いわゆる老齢特別給付金の支給額とそれから七十歳以上の人たちの老齢福祉年金は、それぞれ一万二千円と九千円に格差がつけられているわけですが、いま言われたように、老齢特別給付金は五十一年の四月ではもう受給対象人員がいなくなるわけですね。だから、もう五十一年の四月以降は老齢特別給付金をもらう人がなくなるんだから、その意味では一万二千円とか九千円とかという格差をつけなくても、私は、やはり老齢特別給付金についても福祉年金と同じくらい支給してもいいんじゃないかというように考えるのですが、大臣はにこにこしておられるようですが、この問題の制度ができる場合も、やはり七十歳以上の老齢福祉年金と六十七歳から六十九歳までの老齢特別給付金を同じ金額にすることによって、実質的には老齢福祉年金の支給年齢の引き下げにつながるということで、厚生省はなかなか抵抗をしたわけですが、もう実質的にはそのような意味ではなくなるんだから、なくなるようなことであれば私はもうここで、大臣、いまの七十歳以上の老齢福祉年金制度というのは――大体欧米の各先進諸国でも六十五歳から支給するというのが圧倒的に多いわけですよ。しかも、現実にはもう支給対象者はいないということであれば実損はないわけだから、私は、これはもう自主的に制度として、老齢福祉年金は六十五歳からというように考え方を改めてもいいんじゃないかというように考えますが、いかがですか。
○田中国務大臣 先生のお尋ねの趣旨、よく理解できませんけれども、一つは、谷間年金、老齢給付金を老齢福祉年金と同一の金額にしたらどうか、こういう御意見でございますが、やはり一種の減額年金的な物の考え方が実は同じ福祉年金系統にもあったものというふうに思われますので、それについて若干の金額を引いて支給をしたいというのが当時の趣旨だろうと思います。私、老齢給付金という制度について、これを実施するときにいろいろな問題を考えさせられてきたわけであります。あの制度が始まる前にすでに七十歳に入っていた人たちとの関連を考えたりいたしましたが、今日、もう制度ができましたからこのことについてはあれこれ触れません。そういうことを考えてみるときに、若干の差があっても仕方がないではないかというふうに思っておりますが、いずれこの制度はなくなるものでございますから、そういったような趣旨でこれは通さしていただきたいというふうに思っております。 なお、老齢福祉年金を六十五歳にせよということでございますが、これについてはいろいろな問題がありまして、拠出制の年金の場合はさることながら、こうした特別な無拠出の方々については七十歳でいましばらくがまんをしていただいて、むしろ金額についていろいろ努力をするという方向の方が私としては先に選ぶべき道ではなかろうかというふうに思っております。
○小宮委員 大体、三木総理が予算委員会また本会議で言っておられることは、まあ六十歳までは定年延長をやって、六十一歳から六十五歳までは再雇用して、それで六十六歳以上は年金で生活保障をするというような構想もいろいろ答弁の中にもあるので、その意味では、これは実質的にそういうような人たちがなくなるし、すでにもうほかの年金に、国民年金へ加わっておる人もおるわけ’ですから、だから実質的に特別給付金を支給するというような問題も起きてこないので財源上の問題はないので、やはり制度としてそういう六十五歳からというふうにした方が政府の立場としても、また日本の立場からしても諸外国に対していいんじゃないか。またそれが三木総理の言っておるライフサイクル構想、これにも合致するんじゃないかというふうに考えて、一つもこれは財源要らぬわけですから、制度として六十五歳から老齢福祉年金を支給するということになれば、欧米の先進諸国に対しても非常に聞こえもいいし、その点、そう厚生大臣がこだわる性格のものじゃないと私は思うのですが、いかがですか。
○田中国務大臣 総理がひそかにお考えになっているライフサイクル、私は大変魅力ある構想だと思いますが、これについては、社会保障の観点からのみ解決できる問題ではないことは先生もすでに御承知のとおりであります。いわゆる定年制度、再雇用等々の問題、老齢者の就労の問題とも絡み合っているわけでございまして、したがいまして、私どもとしては、いわゆる拠出制年金の給付年齢と稼働の年齢とを結びつけるといったようなことについて、今後やっていきたいと思っていますが、しかし、いまの日本において独特な背景から出てきた老齢福祉年金を一遍に年齢を引き下げていくということについては、財政上の問題もこれあり、なかなか容易にできることではないのではないかというふうに私は思っている次第であります。
○小宮委員 先ほどから老齢福祉年金、いわゆる無拠出のものの一万二千円というものが非常に問題になりまして、まあ二万円にしなさいとかいろいろ言われておりましたけれども、やはりこの二万円というものは非常に根拠のある数字でありまして、これは全国老人クラブ連合会や財団法人政策科学研究所が老人問題に関する総合施策ということで提言している中でも、一人二万円は絶対必要だという提言がなされておるのです。また、ある社会保障の研究家等でも、いわゆる軽費老人ホームに入居するには二万円程度が必要だから、やはりこの程度の老齢福祉年金は支給すべきだという、これは非常に控え目な要求だと私は思うのです。 そこで、先ほどもいろいろありましたけれども、これは確かに大臣は、あの日ここでの集中審議で、私も後でやったわけですが、そのとき聞いておって、大臣の答弁は、あの場合はもっと前向きの答弁だった。ところが、後で、これはいろいろ厚生省内部で突き上げられたかあるいは与党から突き上げられたのか知らぬけれども、翌日はちゃんと注釈つきで、非常に弁解がましいことを言っておられたけれども、あのときは確かに私のこの耳にも、大体五十一年度から二万円にいたしますというようなことをば言われたのですが、それは別として、そういうような意味で、先ほどからこの二万円に非常に大臣、こだわられて、もう言質を取られないようにということで非常に気を使っておられますけれども、やはり来年はひとつ二万円ぐらい支給する――ことしは予算も、これはいま参議院に行って、衆議院は通過しておりますからなかなかむずかしいと思いますけれども、大臣、ひとつ来年は二万円にいたしますということを、ここで確約できませんか。
○田中国務大臣 まあいろいろなお説がございますが、私も理想としてはその程度の金額を出したいものだというふうには思っております。しかし、これにはやはり現在の一般会計にのみ依存をする財政方式ではとうてい私は――これで、一万二千円でとまりだという意味ではございません。しかし、多くを期待できないということは、私、ことし、皆さんからはいろいろ御批判があるだろうと思いますが、七千五百円から一万二千円にするのについて血みどろの苦労を実はいたしたわけでございまして、それを踏まえて見、また財政全体を見るときに、私は、一般会計方式による場合には多くを望めないということを感じておるものでございまするから、したがって、財政方式を見直して、いい手法が見つかったならばその程度のものにしたいものだなというふうな希望を持っているということでございます。
○小宮委員 それでは大臣は、財源の問題を抜きにして言えば、二万円ぐらい支給するのが当然だというふうにお考えですか、思っておるけれども、財源の問題で非常に困難だと言われておるのか。二万円は必要なんだというふうに考えられておられるのか、その点だけあなたの本心を、財源を抜きにしておっしゃってください。
○田中国務大臣 私はやはり厚生省という現実の役所をお預かりしている限りにおいて、財源抜きの議論をただ理想論的に申し上げるわけにはいきませんけれども、私としては、できる限り福祉年金の給付額というものはこれを引き上げていきたいものだという強い希望を持っていることは事実でございます。
○小宮委員 厚生省はすぐ財源のことを言われるのですが、無拠出の福祉年金は、拠出制の国民年金の本格的な支給が始まる昭和六十年以降はほとんどなくなるのではないかというふうに見ておるのです。そうなれば、六十一年時点における福祉年金受給者は幾らになるのか、この点ひとつお聞きします。
○曾根田政府委員 老齢福祉年金は現在約四百万でございますが、これが十年後の昭和六十年度には約半分、二百万少々。それで、最終的になくなりますのは、昭和八十年代に入ってでございまして、八十三年ごろ一応制度的にはなくなるということでございます。
○小宮委員 そうであれば、十年後は大体半分になるわけですね。したがって、私は、その間の暫定的な財源を捻出すればいいのではないのかというふうに考えます。 そこで、今度は私の考え方ですが、現在この年金積立金が、厚生年金で本年度末で九兆八千億、国民年金が一兆七千億で、合計十一兆五千億に達することになります。したがって、年間の保険料掛金も約二兆五千億あれば、この積立金を福祉年金に回せば、これは六十五歳以上の老人の八百五十万人に月額二万円支給したとしても、年間二兆四百億で済むわけです。したがって、この年金の掛金だけで支給は可能だというふうに考えるのですが、この年間の厚生年金、国民年金の掛金は幾ら入るのか、金額を教えてください。
○曾根田政府委員 厚生年金の保険料収入が約二兆円、国民年金の保険料収入は約四千億強でございます。
○小宮委員 だから、三兆四千億は、毎年掛金だけでも入ってくるわけですよ。だから、先ほどからいろいろむずかしいことを言わぬでも、いまの両年金の保険料収入を充てればすぐ出てくるわけですよ。そこで、いま言う両年金の十一兆五千億は政府の財政投融資計画の原資となって、大部分が道路や地域開発とか生活環境整備とか住宅、中小企業対策などに使われておりますけれども、大体こういうような社会資本の充実を行うためにこの年金積立金を使って、一方では、この福祉年金の財源を国民の税金に求めて、財源がないないと言っておられるけれども、これはおかしいのじゃないですか。だから、そういうような意味では、年金の積立金を片一方ではそういうような財政投融資に使われる、それで福祉年金は今度は一般財源から国民の税金で賄うというところに問題があるのじゃないか。だから私は、発想の転換をやればやはり二万円年金の支給は可能だというふうに考えるのですが、どうですか。
○曾根田政府委員 まず先ほどの訂正をさせていただきますが、先ほど私は、国民年金の方の保険料収入が四千億と申し上げましたが、三千億でございます。それで、厚生年金、国民年金合わせて、保険料収入としては約二兆三千億でございますが、そのほかに運用収入その他がございまして、一方、給付費の方も、来年は厚生年金で約一兆、国民年金の方が四千億でございますから、結局、あれこれ歳入歳出差し引きまして、五十年度の場合、新たに資金運用部に預託されるものの合計額は約二兆一千億でございます。 この二兆一千億につきましては、この使途についていろいろ御意見があるところでございますけれども、これにつきましては、昭和四十八年以降いわゆるその使途別分類というものを明確にいたしまして、いわゆる(1)-(3)分類に三分の二、これは住宅とか病院とか福祉に直結する分野でございますけれども。それからまた、中小企業、農業等のいわゆる(1)-(6)分類と称せられるものにつきまして八五%、そういうふうに使っておりますので、広い意味では福祉のために運用されているということでございます。 なお、御意見のございました、しかし、いずれにしてもかなり巨額な資金が新たに運用部に預託され財投資金として運用されているということについて、これの一部をいわば福祉年金の財源に何らか活用できないか、これは確かに一つの御意見だろうと思います。しかしながら、この資金はいわば厚生年金という保険集団あるいはまた国民年金という保険集団、これの年金受給者あるいは年金を待期中の者、現に被保険者である者、そういった方々の将来支払いのためのいわば責任準備金でございまして、通常の一般の政府資金とは基本的に性格が異なるものでございますから、少なくともそういったそれぞれの保険集団、その関係者の了解なしにはもちろんこういうことはできないわけでございまして、どのような理屈づけで、また、どの程度のものをそういうことに使えるかについて、確かにいろいろ御意見があることは承知しておりますし、一つのお考えとは思いますけれども、基本的には、この資金の性格からいって、最小限、関係者の合意が得られなければ、一方的にこれをどうこうするということが言えないことは御了承願いたいと思います。
○小宮委員 先ほどからいろいろ論議をやっておるように、やはり従来のやり方に非常に拘泥して考えればそういうような問題が言えるし、これは特に国民年金、厚生年金の加入者の側から見ても、そういうようなほかの方に財源を運用するよりはむしろ老齢福祉年金の方にこれを使うということは了解は得やすいと私は思うのですよ。ですから、皆さん方はそれをやりたくないからやらぬだけの話で、やはり本当にその気になって理解すれば厚生年金あるいは国民年金の加入者の方々も私は了解できると思うのですよ。 しかし、それは一応別として、これはいつも言われるわけですが、大臣、積み立て方式と賦課方式の問題、これは詳しくは言いませんが、もうそろそろ賦課方式に移行する時期に来ているのではないかというふうに私は考えます。これは首相の諮問機関である社会保障制度審議会でも、賦課方式か積み立て方式か幅広く検討を加えて結論を出すようにという提言も行っておりますが、この点もそろそろその時期に来ていると私は考えますが、厚生大臣いかがですか。
○田中国務大臣 いまの修正積み立て方式、私はこれが非常によくて改善の必要がないとは考えておりません。 〔戸井田委員長代理退席、竹内(黎)委員長 代理着席〕これについてもいろいろな問題があり、ある意味では改善を迫られているというふうに私は理解をいたしております。しからば、一体どういうときに賦課方式に移行をするかということでございますが、賦課方式とて実はいろいろ問題がございます。したがいまして、これをどのような時期にどのような範囲でどういうやり方でやるかということについていろいろ問題があろうと思うのであります。これを上手にやらなければ、いかにやるといたしましても問題が多いだろうと思われるわけでございまして、私もいわゆる賦課方式というものについて、これが絶対採用できない財政方式であるなどとは思っておりません。検討に値するものと思っておりますが、これをどのようにして導入していくかということについては、いま少しく慎重な検討と配慮をさせていただきたいというふうに私は思っているわけであります。 私が何より一番基本的に心配をしていることは、いま先生がお述べになりました点でございます。つまり、いままでの自分の持っていた既得権あるいは自分のために拠出をするということについて長い間の習性としてこれが定着をしてしまったのを、いま先生のおっしゃるような方向に持っていくについては、実際問題としてかなりの抵抗があるように私どもも見受けられるわけであります。これをどう乗り越えるかについて、行政当局としては非常に頭を悩めている点でございますので、この点を乗り越えることができるならばいろいろな手法というものが考えられるものではなかろうか。それにはやはり相当の説得と相当のキャンペーンをしなければならぬというふうに思っておりまして、第一の壁はここにある、これを何とかしなければなるまいというふうに私は思っているわけであります。
○小宮委員 福祉年金がいつも問題になるのは、他の公的年金との所得制限の問題ですね。今回の改正で大体十六万円から二十四万円まで引き上げられましたけれども、この制限にひっかかって福祉年金をもらえない人たちがどれくらいいるのか、その点ひとつ数字を示してもらいたいと同時に、この所得制限をもっと大幅に引き上げるべきだというふうに私は考えますが、いかがですか。
○曾根田政府委員 公的年金を受けておるということによって全額支給停止を受けておる件数は約二十三、四万でございます。これにつきましては、先生御指摘のように、四十九年度の十六万から来年度は二十四万にかなり改善を図ったつもりでございますけれども、まだなお一層その改善を求める声も強うございますので、この点につきましては、来年度以降今後とも努力してまいりたいというふうに考えております。
○小宮委員 それから、いつも問題になるのは厚生年金、国民年金の各年金間の通算制の問題です。厚生省もこの問題については何か検討されているやに伺っておりますが、これはいつごろ国会提出をされるのか。たとえば次期国会にでも提出されるのかどうか。その見通しについてひとつお聞かせ願いたいと思います。
○曾根田政府委員 御承知のように、現在通算制度は老齢年金についてだけ行われておりまして、遺族、障害についてこれがまだなされていないことについての御意見、御批判がいろいろあるわけでございますので、私どもといたしましては、たまたま五十一年度に制度見直しを、再計算期を二年繰り上げて実施を予定いたしておりますので、できるだけその機会に間に合うように目下検討しているところでございますが、何分各公的年金全部にまたがる制度でございまして、関係省庁との協議がやはり相当時間的にもかかるのではないかと私思っております。しかし、もう現にその協議の場として公的年金連絡会議というものが関係省庁の間にできておりますけれども、その中で小委員会をつくって具体案を詰めようというところまでいっておりますので、何とかできるだけのことをして来年度改正には間に合わせたいというのが現在の状況でございます。
○小宮委員 次は在職老齢年金の問題ですが、このたび厚生省は在職老齢年金の所得制限を現行の五万円から七万四千円に引き上げたわけですが、大体六十歳以上の人たちが、六十歳から六十五歳までの人たちが一般の会社に働いていたとした場合の平均所得は幾らになるのか。
○曾根田政府委員 労働省の昭和四十九年の賃金構造基本調査の結果によりますと、六十歳から六十四歳までの男女のいわゆる所定内給与額、これは企業規模十人以上の製造業でございますけれども、八万六千五百円となっております。男子だけを取り出してみますと九万五千七百円というのがその数字でございます。
○小宮委員 だから、いまの説明を聞いても七万四千円より上回るわけですね。そうしますと、結局はこの人たちはせっかくもらえる厚生年金がもらえないということになってまいります。そういうようなことでこの所得制限にひっかかって厚生年金をもらえない人がどれくらいおるのか、その点、数をひとつ教えてください。
○河野(義)政府委員 この低所得在職老齢年金は請求年金でございまして、請求して受給権が発生するわけでございます。現在、裁定された者がその後標準報酬が五万円を越えることによりまして支給停止された者の数は九百九十六名でございます。
○小宮委員 私は、これは大臣よく聞いていただきたいと思うのは、こういうような所得制限がありますから、非常に働いていても厚生年金はもらえない。だからしたがって、少しくらい厚生年金より高い収入があっても、もう厚生年金をもらうということで、六十歳以上の人たちで働く意欲がありながらも、もう厚生年金をもらっておるという人たちもいるわけです。これはこういうような場合に言っていいかどうかわかりませんが、厚生年金をもらいつつ働ける方法はないかということで、かなりの人たちがアルバイトとかいろいろな名目で働いておるのです。総理自身も六十歳まで定年廷長をやって六十一歳から六十五歳までは再雇用をやって働いてもらおうというような構想を打ち出しておるとき、こういった人たちが働こうと思っても余りにも所得制限が低いから、結局はもう働かぬで厚生年金をもらうというようなことは、私は十分反省しなければいかぬと思う。その意味では、本当に厚生年金をもらいながら働けばまた厚生年金以上に収入がふえる、こういうような六十歳以上の人たちが老体にむちうって働く場合のその働く喜びと意欲を与えるために、いまの七万四千円という所得制限は余りにも低過ぎる。したがって、私は少なくともこの七万四千円の所得制限というのは十五万ぐらいまで上げなさいという考えを持っておるのです。だからその意味でひとつ厚生省の基本的な考え方を伺っておかぬと――そういった問題がいま現在起きております。老人の生きがいという問題もあるし、働こうにもこういうような問題にひっかかって働かないという現実も出ておるし、そのことをひとつ十分考えてもらいたいということで、そういうようなこともあわせながら基本的にどうすればいいのか、どうあるべきかという厚生省の姿勢についてひとつお聞きしたい。
○曾根田政府委員 六十歳以上六十五歳未満の方々に対します在職老齢年金制度でございますが、これは昭和四十四年改正法で取り入れられた制度でございまして、その考え方は一定の賃金以下の人に少なくとも賃金と年金を合わせて当時の厚生年金を、約束しておった二万円年金でございますけれども、その程度のものは差し上げたいということで出発した制度でございます。四十八年の改正では、年金水準が一応五万円ということになったものですから、その限度額も五万円ということで、年金を下回るような賃金の人には五万円に達するように年金を一部支給しましょうということで、今回御提案申し上げましたのは四十八年以降四十九年度と五十年度に予定される二回の物価スライドを見込みましてそれに多少のプラスアルファをつけまして一応七万四千円ということにしたわけでございます。 基本的にこの制度をどうするかについてはいろいろの御意見があるわけでございますけれども、結局は基本的には厚生年金は他の被用者年金と同じように老齢退職年金として現在組み立てられておりまして、ただし六十五歳になれば退職要件は問わない。この六十五歳で退職要件を問わないという考え方がいいかどうかという問題になろうかと思うのですけれども、これを全部六十歳まで撤廃するということは、諸外国の例あるいは将来の年金財政を考えますと、かなり基本的な問題を含んでおる。したがって、私どもとしましては、この限度額を改善することによって当面の要請にこたえていきたいというのが第一点の考えでございます。
○小宮委員 その限度額の引き上げ方が少ないと言っておるわけですよ。局長、考えてみてください、厚生年金は二十年以上になれば受給資格は生ずるわけです。しかも、生じながら六十歳以上にならなければ支給しない。ところが国家公務員地方公務員等の共済制度は、五十五歳になったらいかなるところで働こうといかなる収入があろうとも、全額支給されておるじゃありませんか。しかも、たとえば基準額の決め方にしても、民間の労働者の厚生年金においては加入期間の平均をとる。皆さん方は退職される最後の一年間を基準にとる。皆さん方の共済年金が高いのはあたりまえじゃないですか。ましてや三公社五現業等においては最後の一カ月間を基準にしておる。皆さん方はいろいろ弁解されるけれども、民間の労働者を非常に差別をしておる。昔の官尊民卑の思想が年金制度の中にまであらわれておるということを私は言いたいのです。皆さん方は五十五歳になれば、何十万の所得があろうとどこで働こうと、そういうような制限なしにもらえるわけだ。なぜ二十年、三十年、四十年働いた民間の勤労者だけが、六十になってからもらえると楽しみにしておるのに七万四千円という限度額が設けられて、それ以上働けばその金はやらないのか。これは大きな問題です。私は憲法違反にまで発展する問題だと思うのですよ。全く不合理です。いまの年金の横の統一をしても、こういうようなことを皆さん方が考えた場合、民間の勤労者の厚生年金だけを、何のかんの理屈はつけておるけれども、差別をしなければならぬ理由はどこにありますか。日本の産業をしょって立っておる人たちはこういうような民間の勤労者じゃないですか。私はこういった問題を突っ込めば突っ込むほど憤慨にたえぬ。国民年金だって六十五歳になれば、どんな収入があろうともらえるじゃないですか。厚生年金だけじゃないですか。しかも六十五歳になってもそうじゃないですか。そんないまのようなばかげた制度、勤労者がこういうような問題を知れば本当に怒り狂いますよ。ただ厚生年金をもらう人たちがたまたま退職してからもらうからさほど問題にならぬだけの話だ。こういうようにいまの年金制度は非常に民間の労働者をいじめておる。こういう基本的な問題について、大臣どのように考えられますか。
○田中国務大臣 小宮先生御指摘のことは、私も大臣就任前にいろいろと感じておったところでございまして、よく御勉強になったというふうに思います。 そこで、私も厚生大臣になった以上はそうした問題をできるだけ解消いたしたいというふうに思っておりますけれども、一遍にはなかなかできないということだろうと思います。いまの在職老齢年金についても、理屈をつけるといろいろ理屈はつくわけでございまして、他の年金について、他の集団に入った場合には別だということになりますと、厚生年金の場合には集団が非常に広いものですから、どこへ行っても大抵厚生年金集団の中で再就職するというかっこうになり、国家公務員共済の場合には役所内部に再就職しただけということになりまするからそういうことが起こるだろうと思います。 いずれにいたしましても在職老齢年金制度、退職を条件としておったこのような制度について、在職でもよろしいということをやって一応は喜ばれましたが、やった後にこういう問題が起こってまいりましたものですから、したがってこれは明年の財政再計算時にかなり合理化をいたさなければならない政策課題であるというふうに私は踏まえておりますので、できるだけ合理化をいたしたい、このことはぜひ実現をいたしたいというふうに実は思っているわけであります。
○小宮委員 もう一言言わしてもらえば、皆さん方の公務員の共済年金というのは賃金スライドですよ。厚生年金だけは物価スライドなんです。そういうようなところにも不合理があるわけですよ。しかし、その問題はいま大臣が言われるように、来年の再計算期に検討するということでありますから、これくらいにしますけれども、そのことは、もう社会保険審議会でもこの問題が指摘をされておるわけですから、来年の再計算期にはぜひひとつ抜本的な検討をしていただきたいというように考えます。 それから、大臣の諮問機関である社会保険審議会と国民年金審議会では、昨年の十二月二十三日に、年金スライド実施時期について、厚生年金はことしの五月、国民年金は六月に繰り上げるよう大臣に申し入れがあっていたはずです。しかし、大臣はその実施時期を、厚生年金については先ほど言われたようにことしの八月、国民年金については九月としておりますが、この両審議会の申し入れを尊重できなかった理由についてひとつお聞きします。
○曾根田政府委員 昨年関係審議会からそのような御意見があったのでございますけれども、何分現在の社会保険庁における事務処理体制から見ますと、四十九年度の時期以上に繰り上げるということは、少なくとも現在のスライドの指標を消費者物価指数に置いておる以上、これが最終的な数値が確定いたしますのは五月に入ってからでございますので、いまの事務処理体制では、来年度通常の業務もかなり増大してまいりますので、そういう事務上の制約から見送らざるを得なかったということでございますが、これは今後業務課の体制を整備することによってできるだけ、関係方面からも御要望がございますので、努力いたしてまいりたいというふうに考えております。
○小宮委員 これは私のところに手紙が来ておるのですが、交通事故に遭われて後遺症に苦しんでおる人からでございますが、この人は自動車事故に遭ってから六年を経過しておるのです。ところが、現在でもやはり後遺症のために病院に通院しているということで、この人の手紙によれば、後十年しなければ厚生年金の受給対象になりません――受給資格はあるのてす。しかし、年齢か六十歳ということになっておるものだから、この人はもらえない。それで、後十年生きられるかどうかもわかりません、どうか一日も早く厚生年金が支給されるように年金法を改正してくださいという、非常に身につまされるような陳情書が来ておるわけですが、そのことについて、現行制度で二十年以上の受給資格がある場合、やはり受給年齢が仮に六十歳以上に達しなくてももらえる、支給できるような何か制度が考えられないかどうか。最近自動車事故というのは非常に多くて、そのために会社を退職しなければならないという方々もおられますが、一時金か何かでもらってはおるかもしれませんが、この問題についてひとつぜひ、いまの制度の問題と関係して、こういうような特別の事情がある場合は受給資格を得ておれば何とか支給されるように再検討できないものかどうかということを考えるのですが、局長、この点いかがでしょうか。
○曾根田政府委員 ちょっといま御指摘になりました具体的ケースの詳細、これはなんでしたら後で伺わせていただきますが、厚生年金の場合、在職中に障害になれば、被保険者期間が六カ月以上あれば障害年金が出る仕掛けになっておりますし、それから退職された後障害になった場合でも、その人が老齢年金の資格期間、つまり二十年の被保険者期間を持っておって退職して、開始年齢の六十歳前に障害になれば、障害年金は出ませんが、老齢年金を繰り上げ支給するということになっておりますので、御指摘のケースを後で伺わせていただいて、またそれによって制度の改善につながるものであれば検討させていただきたいと思います。
○小宮委員 それはぜひひとつ検討をお願いしたいと思います。 いまのわが国の年金制度では、夫が死亡した場合妻に支給される遺族年金が夫の年金の二分の一ということになっておりますが、この問題についてはかなりいろいろ意見がございまして、たとえば二人おって一人いなくなったから半分でよろしい――まあ確かに計算上は二人分は半分でいいということになりますけれども、しかし一挙に生活をそこまで切りかえるということは非常にむずかしいので、せめて七割ぐらいまでは何とかできないものかどうかという遺族の方々からの要望がかなり強いのですが、この二分の一をまあ七割程度に改善するようなお考えがないかどうか、その点ひとつお聞きします。
○曾根田政府委員 遺族年金の現行の支給率、これは恩給の流れをくむもので、各制度とも大体そういう立て方になっておりますが、来年度の改正を関係審議会にお願いしてございますけれども、そこの中でもやはり重要な検討事項とされておりますので、私どもとしてはその結論を待って対処をいたしたい。ただし、これは先ほど言いましたように、国民年金以外の被用者年金各制度に共通する問題でございますので、関係省庁との協議をしてまいらなければなりませんけれども、できるだけ努力したいというふうに考えております。
○小宮委員 まあ確かにこの年金制度の問題も次第に改善されてはまいりました。しかし、やはり予算の編成の場合あるいはこういった予算審議の場合に、毎年毎年低いじゃないか、もっと増額しなさいというようなことを繰り返しておるのですが、こういうような福祉の問題について、政府として五年後、十年後にはどうあるべきかというような将来の青写真をやはり策定すべきじゃないのか。まあ策定しておられるかもしれませんが、そういうような意味で福祉についての将来の青写真について厚生大臣としてどのように考えられておるのか、お聞きします。
○田中国務大臣 社会保障の長期計画については、実はかねがね国会の内外においてこれを早く策定せよという御意見があります。ごもっともだと思っております。そこで、厚生省でもそうした要請を踏まえまして、いま別途経済全体について経企庁を中心にして新経済計画を策定しつつありますので、それをにらみながら、私どもの方もできれば五十一年度に発足をする社会保障の長期計画をつくり上げたいものだと思っていろいろ努力をしておりますし、また諮問機関である長計懇の御意見を承っているのも実はそこにあるわけでありまして、できるだけそのような計画を提示いたしたいものだというふうに思って努力中でございます。
○小宮委員 ところで、先ほどの質問に出ておりましたけれども、厚生年金、国民年金あるいは共済年金等を統合する方向で新国民年金法案というものを厚生省で検討されておるやに伺っておるわけですが、そのことは事実かどうか、その点ひとつお尋ねします。
○田中国務大臣 年金のあり方、財政方式の組み直し等々について今日いろいろ検討をしております。 いま先生のおっしゃったのは、先般よほど前ですか新聞に出ました基礎年金構想だろうと思われるわけでございますが、これは午前中にも質疑がございましたが、これは前からそういう考え方が役所の内部にもございますが、検討の一こまであるようでございまして、私はまだ詳しくは聞いておりませんけれども、しかしこれが実は厚生省全体としての今後の構想そのものであるというわけではございません。検討の一つの面がたまたま新聞に載ったものだというふうに思っておりますので、決して私どもとしてはあれがないというわけではございませんが、あれのみならず広い視野でもって今後の年金のあり方について検討をいたしておるところでございます。
○小宮委員 私が新聞紙上ちょっと読んだところによれば、国民年金構想というのが、いま国民年金が非常に赤字でパンク寸前だということで、やはり財源に比較的余裕のある厚生年金あるいは共済年金から国民年金の方に財源を導入しようという考え方からどうもこの新国民年金構想というのが生まれたようだということをちょっと見たものだから、もしそういうようなことであるとすればこれはもう大きな問題で、先ほどから厚生年金の財源は余っておるといったって、実際は当然支給すべきものを制限をして、できるだけ支給しないようにしておって、そして財源が余ったからといってそれを国民年金の方の赤字財政の方に持ってこようという、そのことについて私が非常に疑問を持ったものですから質問したわけですが、しかしながらそれは一応別としましても、この国民年金の財政が非常に苦しくなっておるということを伺っておるわけですが、その点、いまの国民年金の財政の現状並びに今後の見通しについて御説明を願いたい。
○曾根田政府委員 先ほど先生の御質問にお答えした中で、来年度の国民年金の保険料収入の見込み額は約三千億と申し上げましたが、これに対しまして保険給付費が四千億と保険料を上回る給付費というような姿でございまして、もちろん来年度の歳入歳出全体としては運用収入、国庫負担金その他がございますので、国民年金全体といたしましては一千億の残に相なりますけれども、こういった数字をながめますと、やはり国民年金の財政が容易ならぬ事態にあるということを御理解いただけると思います。 それで将来見通しでございますけれども、これはいろいろ部内の試算はございますが、いずれにいたしましても、来年制度の見直しの時期でございますので、それによって、長期的な見通しのほかに、恐らく短期的なバランスをとるというような事態も場合によって考えられると思いますので、十分検討いたしたいと思っておりますが、何と申しましてもやはり定額保険料ということで、しかもそれが必ずしも予定どおりの引き上げが実際問題としてはなかなか困難であった、そういう過去の積み立て不足が非常に大きい上に、一方歳出面では、物価スライドによる支出の増、そういう二つの要素が重なってこのような財政になっており、今後の財政見通しも必ずしも楽観を許さないという状況でございます。
○小宮委員 国民年金の保険料は今度千百円から千四百円に上げられるわけですが、いまの国民年金財政から見てこれだけで十分なのかどうか。また五十一年度も五十二年度も引き上げるということになりはしないかということが考えられますが、その点はいかがですか。
○曾根田政府委員 先ほど申し上げましたように、本来的に必要な保険料、これは平準保険料と一般的には言われておりますけれども、それから見て、現に徴収されている、本年一月からは千百円でございますけれども、これが非常に低い。一方支出の方は、四十九年度二八・一%、五十年度は予定としては二二%というふうにかなり大幅な支出が予定されますので、率直に言いまして非常につらいということでございます。したがいまして、これは少なくとも現在の財政方式なり国庫負担方式、国庫負担三分の一でございますけれども、これが動かし得ないとすれば、やはり現状のままでは毎年相当程度の引き上げをやっていかないと財政的に破綻するのではないか。しかしながら、来年はいずれにいたしましても制度全体を見直す時期でございますので、その際、改めて財政方式の問題も含めて基本的に検討し直してみたいという考えでございます。
○小宮委員 これで質問を終わります。
○竹内(黎)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。 午後四時十六分休憩 ――――◇――――― 午後七時十三分開議
○大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 労働関係及び厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田邊誠君。
○田邊委員 最低賃金制の問題については、戦後長い間国会の中で論議をしてまいりましたけれども、いま一つの転機に差しかかっていると思うのでありますが、労働大臣は、現行の最低賃金制というものに対して、一体現状はどうなっているのか、その御認識をまず伺いたいと思います。
○長谷川国務大臣 お答えいたします。 わが国の最低賃金は、御案内のように、現在地域別、産業別に推進されているところでありまして、民間労働者のほとんど全部に当たる三千二百万以上の労働者に対してその適用が及んでいるところであります。 また、最低賃金の金額につきましては、その実効性を確保するよう、賃金、物価動向に対応して改定を行っているところでありまして、最低賃金の金額を昭和四十九年度決定分について見ますと、産業別最低賃金では千八百円台から二千百円台が多くて、地域別最低賃金では千三百円台から千七百円台となっているのが現状であります。
○田邊委員 いまお答えのありましたように、最低賃金制の現状というものは、現在のわが国の社会、経済の現状から見ましたときに、恵まれない労働者の労働条件の面から見まして、きわめて不十分であると言われなければなりません。したがって、われわれは、このような労働者の労働条件の改善をする必要というものが今日ほど高まっていることはないと認識をいたしておるのであります。 このような観点から見ますると、いま申し上げたように、最低賃金制の現状はきわめて不十分であると言わなければなりませんから、したがってわれわれは、現在労働四団体の全国一律最低賃金制、そしてさきに野党四党が共同提案をいたしました最低賃金法案というものは、全国の労働者、なかんずく低賃金の状態に置かれておる多数の労働者の状態を、少しでも早く根本的に改善していきたいという趣旨に立っていることは御案内のとおりであります。 この際、労働大臣は、この最低賃金制のあり方を改めて見直し、勇断をもって全国一律最低賃金制の確立に踏み切るべきであると思いまするけれども、あなたの所見を明確に承っておきたいと思います。
○長谷川国務大臣 御案内のように、わが国の社会、経済情勢は近年非常に変化しておりまして、今後は経済の安定成長へと大きく転換しなければならぬところであります。中小企業問題も賃金格差もなお大きく残されているところでありまして、こういう情勢のもとにおきましては、最低賃金制が労働者の労働条件の改善に果たす役割りは、さらに重要性を増してきているものと思われます。 さきに、労働四団体から全国一律最賃制の統一要求が提出されるとともに、先ほどは、野党四党による同趣旨の最低賃金法案が国会に提出されたことに対しては、留意をしているものでありまして、そこで、これらの実情を踏まえまして、今後最低賃金制のあり方について、全国一律最低賃金制の問題を含め、中央最低賃金審議会の調査・審議を求めることにしたいと思っております。 なお、その際、労働四団体の全国一律最低賃金制についての統一要求及び野党四党の最低賃金法案を重要参考資料として提出する考えであります。
○田邊委員 中央最低賃金審議会に対して、この問題について諮問することについては了承をいたしましたが、それならば、一体どのような考え方のもとにこれを行おうとしているのでありますか、また、審議会の結論をいつごろまでに得ようとお考えでありましょうか、この点に対するお答えをいただきたいと思います。
○長谷川国務大臣 諮問しようという趣旨は、ただいま申し上げましたとおりでありまして、労働四団体、四野党の全国一律最低賃金制の要求が重要な契機となっているところでありまして、全国一律最低賃金制を取り入れるに当っての諸問題を含め、審議会において検討されるように望んでいるものであります。 なお、答申までの期間につきましては、審議会の独自の御決定にゆだねるべきでありますけれども、できる限り速やかに御審議いただけることを期待しているものであります。
○田邊委員 次に、現下の雇用・失業問題に対して端的に質問をしてまいります。 その第一は、わが国経済の基調は、今日大きく変化しつつありまするけれども、このような情勢変化に対応した雇用政策というものを早急に確立すべきであると思いまするけれども、これに対するお考えはいかがですか。
○長谷川国務大臣 国の雇用に関する総合的施策を定めている現行雇用対策基本計画につきましては、今後の経済の基調の変化に即応するものに改定すべく、早急にその見直しを行ってまいりたい、こう思っている次第であります。
○田邊委員 心身障害者の雇用対策については、現在きわめて注目をされており、これが早急な対策を急がれておるわけでありまするけれども、この心身障害者の雇用対策について、抜本的改善を行うお考えがございましょうか。
○長谷川国務大臣 心身障害者の雇用の問題は、労働行政の中の重要施策として従来もやってまいりましたが、現在、なお大企業を中心として十分と言えない状況にありますので、雇用率未達成事業所の公表制度を設けるなど行政措置の強化を図っておりますけれども、さらに心身障害者雇用対策を強化するために、現行身体障害者雇用促進法の改正をも含め、制度の抜本的改善を図るべく早急に検討を進めてまいりたい、こう思っている次第です。
○田邊委員 次に、出かせぎ者の基本問題を検討するための特別な専門委員会を早急に設置をして、出かせぎ者に対するところの基本的な諸問題に対して検討を進めるべきであると考えていまするけれども、これに対してはどうでしょうか。
○長谷川国務大臣 出かせぎの問題につきましては、中央職業安定審議会建設労働部会及び雇用審議会建設労働問題専門委員会において現在検討を進めているところでありますが、これが促進に努めてまいりたい、こう思っております。
○田邊委員 第四の質問は、こういった雇用情勢の中で、この際、労使代表によるところの雇用保障委員会の設置、そして解雇制限を含む雇用保障措置を法制化するとともに、当面、雇用対策法に基づく大量雇用変動の届け出に際して、特に身体障害者、中高年齢者の解雇を規制するよう行政指導を強化されたいと思いまするけれども、これに対するところの御答弁をいただきたいと思います。
○長谷川国務大臣 解雇用制限を含む雇用保障措置の法制化につきましては、現行法体系上種々問題があり、困難であると考えるものでありますが、雇用保障委員会等については、その性格、内容等について今後研究してまいりたい、こう思います。 さらに、身体障害者、中高年齢者の解雇については、事業主において特別の配慮を行い、これを回避するようできる限り強力な行政指導を行ってまいりたい、こういう所存であります。
○田邊委員 次の第五問は、パートタイマーに対するところの雇用保険の適用基準というものを緩和をして、その適用の促進を図るべきであると思いまするけれども、いかがでしょう。
○長谷川国務大臣 パートタイマーにつきましては、画一的に適用対象とすることは適当でないと考えておりますが、その適用につきましては、就労の実態に即したものに改善するよう検討したい、こう思っております。
○田邊委員 現在、不況によって日雇い労働市場の状況が非常に悪化しておるのでありまするけれども、この現状にかんがみまして、日雇い失業保険の受給要件を満たしていない者に対してもこの際失業給付を行うとともに、日雇い労働者の就労機会の確保を図るべきであると思いまするけれども、大臣の御答弁をいただきたいと思います。
○長谷川国務大臣 日雇い失業保険の受給要件を満たしていない日雇い労働者に対して給付を行うことは、現行法制上困難でありますけれども、就労機会の確保については関係機関と連絡しながら、公共事業の円滑な施行、工事施行の事前把握等を通じ、求人開拓に全力を挙げているところでありまして、今後とも努力を重ねてまいりたい、こう思うものであります。
○田邊委員 第七の質問は、このように雇用情勢が悪化している現状にかんがみて、中高年の求職手帳の発給要件やその運用を緩和して、希望者全員に対して求職手帳を発給してその生活の安定を図るべきであると思いまするけれども、いかがでございましょう。
○長谷川国務大臣 中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法に基づく現行の中高年求職手帳制度の運用については、今後引き続き検討してまいりたい、こう思います。
○田邊委員 第八の質問は、いま続発する倒産等に対して未払い労働債権を確保すべきである、そしてこれはとりあえず国によって立てかえ払い制度を確立すべきであると考えまするけれども、明快な御答弁をいただきたいと思います。
○長谷川国務大臣 未払い労働債権に対する救済制度につきましては、昨年の国会審議の経過を踏まえ、五十一年度から一部実施するよう研究を進めてまいりたい、こう思っております。
○田邊委員 第九は、雇用保険法に基づく雇用調整給付金制度の指定業種適用の企業が休業する場合には、これに関連をする下請企業も休業せざるを得ないという状況にありますので、指定業種関連の下請企業は、一律にこの給付金制度の対象とすべきであると考えまするけれども、いかがですか。
○長谷川国務大臣 景気変動等の影響を受ける度合いは業種によって破行性があるため、雇用調整給付金制度においては、影響度の大きい業種を指定してその適用を行うこととしていることは御承知のとおりでありますが、具体的な業種指定に当たっては、中小企業関連業種を重点的に対象とするなど、実質的に中小、下請企業が救済されるよう配慮してまいりたい、こう思っております。
○田邊委員 この際、厚生大臣にお伺いいたします。 本日の委員会における審議を通じましても、年金制度についてはいまや抜本的な改善を図るべき時期に来ていることは周知の事実であります。したがって、政府はこの国民的な要望にこたえて、年金制度の抜本的な改善策を講ずることに対する御用意がおありであるかどうか、お伺いしたいと思います。
○田中国務大臣 年金制度については、昭和五十三年が予定の財政再計算期でありますが、これを二年繰り上げまして、明五十一年度にこの財政再計算を実施することとし、制度全般についてできるだけ見直しをいたしたい、かように思っているわけであります。
○田邊委員 当然その際には論議の対象になっておりますところの年金水準の引き上げ、スライド制の実施の時期の繰り上げ、すでに大臣が表明しておりますところの遺族給付の改善、在職老齢年金の支給制限の緩和等についても、この内容の充実、改善に努力されることは当然のことであるとわれわれは承知をいたしておりまするけれども、そのように確認いたしてよろしゅうございますか。
○田中国務大臣 見直しの内容といたしましては、先生ただいま御指摘のとおり、年金水準、これにつきましては、賃金や生活水準等の動向を勘案して適正な水準を確保するように努力をいたしたいと思っております。 また、スライド制につきましては、スライドの実施時期等については、これはどうも年金の業務体制とも非常な関連がございますが、この業務体制を整備をいたすことを含めまして、検討を進めてまいりたいと思っております。 また、遺族給付については、遺族年金の給付額について、国民年金における妻の任意加入など、妻の年金権のあり方とも関連し、かつ、各公的年金制度共通の問題でもあるので、関係各省とも十分調整を図りながら、できるだけ改善に努めたいと思っております。 また、在職老齢年金制度についてもいろいろお話がありますが、在職老齢年金制度全体のあり方については関係審議会でもただいま審議をいたしており、今後十分検討して善処してまいりたいと思っております。 その他、財政方式についてもいろいろ御議論がございます。年金の財政方式については諸般の事情をいろいろと考慮いたしまして、賦課方式への移行ということも含めまして、引き続き検討してまいりたいと思っております。
○田邊委員 年金の一番中心であるところの福祉年金については、われわれは当然生活のできる年金を確保するという意味から、この大幅な引き上げを要求してまいりました。大臣も国会審議を通じて、これに対するところの発言をいたしておるのでありまするけれども、われわれは生活できる年金というその基準を満たし得るところの福祉年金の額の引き上げ、そして今国会において審議をしておりまするところの年金のスライド実施あるいはこの年金の支給時期、これの繰り上げ、こういったことをわれわれはすべきであることを要求しておりまするけれども、この問題に対しても政府は当然前向きの姿勢を持って対処されたいと考えておりまするが、いかがでしょうか。
○田中国務大臣 福祉年金については、政府といたしまして一万二千円の引き上げにかなりの努力をいたしたところでございますが、今後は国会における審議の結果によって対処いたすことはもちろんでございますが、今日の段階においては諸般の情勢から見て、年金額の引き上げ、その実施時期の繰り上げ等はきわめて困難であるということについて御理解を賜りたいというふうに思います。
○田邊委員 この問題は、いま審議をいたしておりまするところの法律案の審議の状況を見ながらわれわれとしては対処するものと考えて、引き続き政府に対し要求をしてまいりたい。したがって今日の段階において明確な結論は出ておらないことを承知をして、今後さらにわれわれは検討を続けることをこの際表明しておきます。 三番目に、今日のこの経済情勢の変化に対して、一番その直撃を受けるのは何といっても低所得の方々でありまして、そういった意味合いから見まして、生活保護基準の引き上げについては、政府はこれに敏速に対応していくべきである、このように考えておりますけれども、この生活保護基準の引き上げに対して、政府の考え方をこの際ひとつ明らかにしておくべきであると思います。大臣の御答弁をいただきたい。
○田中国務大臣 生活保護基準につきましては、昭和五十年度中において物価等に異常な変動が起こったときは、この基準を再検討することについて検討をいたしたいと考えております。
○田邊委員 生活保護基準と並んで、働く労働者の中で特に低賃金を強いられておる失対労働者の賃金というものを引き上げをすべきであるとわれわれは考えております。少なくとも一律千四百円引き上げて月七万円を保障する、こういう政府の考え方を打ち出していくべきであると思いまするけれども、労働大臣からこれに対する政府の考え方を明らかにしてもらいたい。
○長谷川国務大臣 失対賃金につきましては、五十年四月から、対前年当初と比べまして二二・七%の引き上げを図ってきたところでありますけれども、今後とも失対就労者の就労及び生活の実態を十分見守りながら、緊急失業対策法に基づきまして、賃金決定原則にのっとりまして適正な賃金を確保してまいる所存であります。
○大野委員長 枝村委員。
○枝村委員 関連質問を行います。 これは委員長に対して提案いたすわけでありますが、最低賃金制度の抜本的改正のため、全国一律最低賃金の実施の可否を含め、国会内で専門的立場から検討を進める、たとえば小委員会を設けて行うとか、あるいは理事会などでフリートーキングをするなどしていただき、そして可及的速やかに一定の結論を得るよう努力されたい、こういう提案であります。 委員長のこれに対する見解をお伺いいたしたいのであります。
○大野委員長 ただいまの枝村先生の御提言に対し、委員長といたしましては理事会に諮り、これを検討したいと思います。
○田邊委員 質問を終わります。
○大野委員長 石母田達君。
○石母田委員 私は全国一律の最低賃金制の問題並びに四党が昨日社会労働委員会に提案しております法律案との関連で質問したいと思います。 最初に、私は労働大臣に、いま低賃金労働者と言われる人々がどのくらいいるのか、たとえば七五年の春闘白書によりますと、五万四千円以下の労働者がいまでも五百六十三万人いることになっております。私どもの調べでも、五万円以下の労働者が三百八十何万人いることになっております。これは五人以上の事業所の問題でありますから、さらに五人以下の事業所を加えれば大きな数になることは言うまでもありません。あなたが認識されている低賃金労働者、これは五万円とか六万円でもいいですけれども、それ以下の労働者がどのくらいいると認識されているか、それを聞きたいと思います。
○東村政府委員 ただいま先生御指摘の低賃金層でございますが、四万円以下をとってみますと、規模によってこれは異なりますが、十人以上と五人から九人までの規模に分けますと、十人以上が百六十九万人でございます。それから五人から九人のところが三十二万人でございまして、合計いたしますと、二百一万人、全体の七・一%という数字に相なるわけでございます。なお先生御指摘の五万円未満にとってみますと、四十八年でございますが、五百二万人、一七・七%、かように相なっております。
○石母田委員 つまり、いまなおこうした低賃金労働者が数百万の単位でいるわけです。こういう人々を現行の最低賃金法で救う――いま、現行法ではあなたが先ほど答えましたように千三百円から千七百円でしょう。月額大体四万円前後ですね。そういうもので一体こういう人たちを救えるのかどうか、あるいはこういう人たちを固定化する役割りになっておるのじゃないか、こう思わざるを得ないようなきわめて低い賃金をあなたたちは最低賃金としているわけです。この点についてあなたはどう思っていらっしゃいますか。
○長谷川国務大臣 御承知のように、最低賃金は労働者の生計費あるいは類似の労働者の賃金及び通常の事業の賃金の支払い能力を考慮して決定されるものでありまして、審議会における審議に際しては、失対賃金もその一つの賃金として参考にされる、こう思っておるものであります。そういう意味からいたしますと、最低賃金というのは、昨年のたしか十二月二十七、八日まで全国の各都道府県でこういう賃金改定などもやっていることでありまして、そういう意味でいまから先も努力してまいりたい、こう思っています。
○石母田委員 いま私の質問しているのは、あなたたちの政府の統計でも四万円以下が二百万以上いるんですよ。こういう人は、いまの物価高、インフレ、不況の中で、こんなものでは食えないでしょう。こういう人たちを引き上げるのに現在のあなたたちの決めている最低賃金制というもの、最低賃金の額が一体どのような役割りを果たしているか、これを救うようになっていないでしょう。これを何とかしなければならぬとあなたは思うのですか。どうなんです。
○長谷川国務大臣 その点については前向きの姿勢です。
○石母田委員 前向きとか下向きとかというのではなくて、こんなことは、文明国だとか、いわゆる資本主義経済国、先進国の中で二番目とかなんとかという中で、こうしたいまの膨大な低賃金労働者層がいるということ、これを何とかしなければならぬということは、これは単にその当事者だけの解決ではなくて、国全体、政府全体としてどうかしなければならぬ問題でしょう。しかも現在あなたたちが決めているこの最低賃金の額というのは問題にならない額だ。しかもその決め方といいますか、決定方式は、御承知のように、現行法によれば審議会の意見は聞くことになっているけれども、中央では最終的には労働大臣、あなたが決定する、そして都道府県では労働基準局長が決定するようになっているのですよ。いいですか。 一体あなたが再三国会で言っているように、賃金というのは労働基準法にもあるように、労使の対等の立場で決める、これが原則でしょう。たてまえでしょう。現行最低賃金法ではどうなっているんですか。
○東村政府委員 現行の労働基準法といいますか、法体系のもとでは、おっしゃるとおり労使対等の立場で賃金その他の労働条件を決める、こういうふうに相なっております。しかし、賃金が低劣といいますか、低いような、そういう特別に保護しなければならないという方々に対して最低賃金が適用になるわけでございましてへそのためには、ただいま大臣お話がございましたように、最低賃金審議会というところにおきましていろいろ御審議を願って、その御結論を尊重して労働大臣が決定する、かように相なっております。
○石母田委員 つまり労使対等の立場にはなっていないのですよ。 同時に私はもう一つ聞きたい。決定基準の問題で、あなたはさっき現行法で、生計費のほかに類似の労働者あるいは企業の支払い能力というものを考慮して決める、これは現行法です。しかし、これ以下では食えない、つまり最低生活を保障するものではない。この場合に企業の支払い能力とかあるいはまた類似の労働者のということは言うけれども、一番の基本は生計費でしょう。この生計費が基本である。そうしなければ、たとえば賃金の問題については能力に応じとかいろいろたくさん他のファクターが出ているでしょう。しかし最低賃金というのは、これ以下では使ってはならない、最低生活を保障するというものであれば、生計費が基本であるということは当然のことじゃないですか。そして企業の支払い能力云々というものは他の問題で検討していかなければならぬ。しかし基準のたてまえというのは生計費が基準なることは当然のことだと思うのですが、どうですか。
○長谷川国務大臣 あなたの発言のようなことも踏まえながら審議会では御審議いただき、決定していただいている、こう思っているわけであります。
○石母田委員 その結果が千三百円とか千七百円なんというのは、あなた自身も認めるとおり、いまの実態には通用しない額になる。なぜそういうものが決まるのかということは、決定の基準に支払い能力とかあるいは他の類似の労働者の賃金――私はここで、この類似の労働者という中に、あなたたちは先ほど答弁した中で、失対労務者の賃金のことを言っておりましたけれども、この賃金もこれは含めているのですか。
○東村政府委員 最低賃金の決定基準につきましては、ただいま先生御指摘のとおり、労働者の生計費、それから通常の事業の賃金支払い能力及び類似の労働者の賃金、三つの要素がございます。実はこれは、わが国の最低賃金制に限りませんで、国際的に見てもおおむねこの三つが基準になっているとわれわれ聞いております。もちろんそれは生計費という問題を無視しているとかあるいは生計費は比重が軽いという意味ではございませんが、たとえば類似の労働者の賃金を押さえるということは、同時にやはりその人たちが生活しているという前提がございますので、そういう意味ではこの三つは相互に関連しているというふうに私ども考えるわけでございます。 ところで、類似の労働者の賃金というものと失対労働者の賃金という御指摘ございますが、それはどういうところに最低賃金を引くかというような場合によって、その類似の労働者の範疇といいますか種類が異なってくるわけでございまして、一概に何が類似かというのは、その最低賃金の種類によって決まる、私どもかように考えております。
○石母田委員 国際的にそう決まっているというのはどういう根拠か知りませんけれども、ILO条約百三十一号をよく読んでください。やはりどこを見たって、最低賃金を決める場合には生計費が基本であるということは国際的な常識なんです。こういうふうに現行の最低賃金法はなっていない。その結果、先ほどの全然食えないような賃金が算定されてくる根拠になっているわけです。したがって、これを本当に生計費を基本にしていくということ、そうした基準による新しい最低賃金額を決定しなければ、先ほど言ったような膨大な低賃金労働者を救うことはできないのです。 私は、この間の予算委員会で寺前議員があなたたちに質問して、それが保留になっている問題をここで出したい。 それは、あなたたちが、いわゆる労働省が指導する中で、最低賃金を失対賃金を上回るように決めてはならない、こういう指導を行っておるという事実についてであります。そしてそれがどのような指導を行っているかということであなたたちが述べている問題を寺前議員は指摘いたしました。「失対賃金は労働大臣が決定するものである。同じ大臣あるいは地方基準局長により変更を加えることは行政方針の矛盾になる。」つまりここで言っているのは、失対賃金で一番低いのはC3、それを上に上げてはならない、もし上げるならばこういう矛盾が出るからだ、こう言っているのです。さらに「他の事情がどうあろうと、失対賃金を越えない最賃を決めることにしているということは公式には言えないことで、このような指導を本省がしていることは問題があるので、対外的には十分留意してもらいたい。」あなたもさっき留意留意という言葉を使っているけれども、この留意というのはまさにどうやってそういう政府や労働省がやっている指導をごまかすかということに十分留意をしてやってくれ、こういうことまで言っているのです。そのときには労働大臣が、事実を初めて聞いたので、自分の役所の者が間違ったような指導をしているとは思えないけれども、帰って調べてみましょうというふうに寺前議員に回答されておりますので、あなたが帰ってみて、こういう指導を一体行っていたのかどうか、行っていたとすればそれに対してどういう処置をとったのか、これを労働大臣に聞きたいと思います。
○長谷川国務大臣 おっしゃるように、先日この委員会でしたか、いまのような御指摘がありましたので、事務当局に実情を聞いたところであります。その趣旨は次のとおりであると私は承知しております。 すなわち、地域別最低賃金につきましては、物価の異常な高騰などを考慮しまして精力的に改定を行ってきたところでありますけれども、その結果最低賃金額と失対賃金の最低額とがかなり接近しているという新しい事実が生まれてまいりました。 ところで、失対賃金は同一地域における類似の作業に従事する労働者に支払われる賃金を考慮して決められるものでありまして、一方、地域別最低賃金は、類似の労働者の賃金についても考慮すべきこととされておりますので、失対賃金は当然参考にされるものであるという次第でありまして、これが部内の会議では話し合われたわけであります。 ただ、お話しのようないろいろなニュアンスがありまして、多少行き過ぎがあった結果として指示を受け取られ、実際の審議との関連で問題が生じたとすれば、まことに遺憾なことでありまして、今後はそのようなことのないように留意してまいりたい、こう思っておりまして、最低賃金については、今後とも審議会の審議を尊重していくという考え方には変わりはないところであります。
○石母田委員 あなたは審議会の審議を尊重すると言ったけれども、私が前にあなたに質問したときに、もし最低賃金が失対賃金を上回るようなふうに審議会が決定したらどうするかということについて、いまの労働事務次官渡邊さんが局長のときに、そのときには再審議権、もう一遍審議会に戻して審議してもらいますということを答弁しておるのですよ。つまり失対賃金を上回らないように、それより上回るものが来たらまたこれを返す、しかもその失対賃金たるや、あなたが先ほど私の前の質問者に答えたように、改善をしなきゃならぬ、低過ぎる。そういうものを重要な参考にするとか、あるいはそれ以上のものが出たらまた最低賃金を低くする、こういうことが政府の姿勢で何で一体、先ほどあなたが答えたようなことができるか。まさに失対賃金を抑えることによって最低賃金を抑える、最低賃金を抑えることによって失対賃金を抑える、これが現に群馬県で問題になって、寺前議員がこれを取り上げた。それは公益委員の一人が、私は基準局と同じ立場に立つので、最低賃金が失対賃金以上になっては困る、こういう発言をしたことがきっかけになって労働者側が退席した、こういうことでいまだに決まらないという問題なんですね。ここからこうした指導が行われているのじゃないかというふうに言われているわけなんです。この点については先ほどあなたが釈明されているから、今後こうした指導は、もちろんこれは別個の問題ですから、両方とも改善していくということで、私はこういうふうに例を取り上げても、あなたたちは類似の労働者の賃金を参考にして決めると言っても、最も低いところの賃金を重要な参考にして決めている、つまり最低賃金を低く低く決めるということのデータを持ってきている、ここに重要な問題があると私は言っているのです。つまり生計費が基本じゃなくて、そういうものがむしろ重要な参考になって、先ほど再三繰り返しているような低い賃金を決めているわけです。 もう一つ、現行の最低賃金法の中で対象者の問題なんです。これはこの間の予算委員会で私はあなたに質問した。いまの現行最低賃金法では公務員も入っていない、あるいはまた、あなたはパートも入っていると言ったけれども、パートはごく一部です、大部分は入っていない。試用期間、臨時に雇われた者も入っていない。あるいは障害者の中で、たとえば働くということの中で特に著しく能力の劣る者云々とあります。こういう点で、一番最低賃金制というものが必要な層が除外されている、そういう人たちが入ってない、これを含めるべきだということについて、私はここで主張しましたけれども、この問題について、現行最低賃金法の対象を大幅に拡大しなければならぬ、すべての労働者を対象にしなければならぬということについては、あなたはどう考えていますか。
○東村政府委員 ただいま先生御指摘ございましたように、最低賃金法におきましては、原則として労働者はその対象でございますが、たとえば身体障害者等の方は適用が除外される、かような形に相なっております。これは身体障害者の方に通常の労働者の方と同じような最低賃金を適用すると相なりますと、反面、その人たちの雇用の機会を狭めるという問題があるからというのが趣旨でございますが、ただ、適用を除外するというだけでは保護になりませんので、やはり適用除外を許可する際には、その方々に合った賃金を別個許可の条件にする、かような形に相なっている次第でございます。
○石母田委員 あなた身体障害者のことだけ言ったけれども、私が言ったように大部分のものは入ってない、適用は除外されているのです。これはILO条約の二十六号で、特にこういう例外的に低い人のために最低賃金法があるのだという趣旨から言うと逆なんだ、日本の場合は。特に身体障害者の問題ではそういう点は四党の中でずいぶん論議されて、あなたが見られたどうか知らぬけれども、「政府は、精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者に対するこの法律の規定の適用に伴い、その者を雇用する使用者に対する援助その他その者の雇用機会の確保を図るため必要な措置を講じなければならない。」こういうふうに雇用機会が狭くならないように、確保という問題まできちんと入っているんだ。障害を持ちながらも雇用する、またこれによっても狭まらないように必要な措置をとらせる、これが本当の最低賃金法の精神だ。しかもこの法案で適用対象は公務員も含める、あるいはまた現行法で適用除外されているすべての労働者を対象にしている。そして全国一律。いまみたいに何百種類――十六条で決まっている最低賃金が四百七十四件かな。この最低賃金、ここの最低賃金、そんなものが何百種類もある最低賃金。そうじゃない。最低賃金でこれ以下の賃金では使ってはならないというものを全国一律で決める。その上に立って、いろいろの地域別だとかあるでしょう。しかし最低賃金が何百種類もある。こんなことで――本当に現在の賃金労働者を救うだけではなくて、その底上げをすることによって、国際的にも非難をされている日本の労働者全体の賃金水準を引き上げることはできるんだ。しかもこの最低賃金というのは年金だとか生活保護だとか、その他の社会保障の重要な基準になるんですよ。だからこそ最低賃金というものは、そんな何百種類もあって、この種類の最低賃金、運転手さんの最低賃金、こういうものであってはならないということで、労働者は全国一律の最低賃金。そして健康で文化的な労働者の最低生活を保障するような生計費を基本にする。あるいはまた、決定方式につきましては、労使が対等であるように、労使同数の委員が出る。やはり日本の現状からいって、ほかの外国のように労働協約で決めたものを保障するというふうに運動の現状がなっていないので、行政委員会という方式をとって、その労使の数十二名、十二名よりも少ない数を公益委員に持って、この公益委員の役割りも労使の協議が促進して早く結論がまとまるような限られた役割りを持ってやる。こういうことで労使対等で決めるという精神を貫いているわけなんですよ。このような全国一律の最低賃金制というものが、現行の最低賃金法に対して、広範な労働者から大きな運動になってくるのは、これは当然の叫びなんです。それに基づいて労働四団体が合意し、さらにまた社会党、共産党、公明党、民社党が連日の討議の中で今回全国一律の最低賃金法案をまとめて、これを国会に提出したのです。先ほど諮問するとかなんとか言ったけれども、こういうものに対して一体政府としてどういう態度なのか、明確な答弁を願いたいと思います。
○長谷川国務大臣 石母田さんの前段の、いま地域最賃あるいは業種別最賃、たくさんあるものを全部やめてさっと一本にして、健康で幸せな生活、私は一つのアイデアだろうと思うのです。そういうことになるように、やはり日本全体がみんなで構造を改善したり、経済成長したり、いろいろなトラブルなどをなくしてやっていきたいという感じを持ちます。 そこで、労働四団体なり四党の方々がお出しいただいたものを、今度新しく審議会等々に、ひとつ重要な問題として皆さんのおっしゃったようなことは盛られていると思いますので、御審議をお願いしたいということでございます。 さらに地方最賃やらいろいろな審議会の形式が労使対等じゃないからいかぬという話もありますが、これはいずれいろいろな問題が論ぜられると思いますけれども、私は、日本の場合は三者構成でありますけれども、公益委員側が経営者側と一緒になって労働側を抑えて賃金を決めたということは一度も聞いておりません。その地域の問題、その業種の問題、こういうものが、実情がよくおわかりいただいた関係でしょう、三者が同意しながら決めていただいた、こういうところに私はこの組織のよさがある、こう思っているのであります。もっとも、先ほどおっしゃったように、一、二の県でまだ決まってないところもありますが、一都二府四十三県の中に一、二が決まっていなくとも、私は、審議会で労使が団交みたいにずっとやったら、逆に決まらぬのじゃないか、こういう感じもいたして、いままでそのことによってよき運用を図られているのじゃなかろうかと私は信じているわけであります。 いずれにいたしましても、私は、今度労働四団体の方々がこうした問題についていろいろ御研究されて、共同の歩調もとられ、あるいはまた野党の皆さん方からこういう御提案いただきましたことによって、改めて研究する機会を得たということは、りっぱな業績であり、われわれもまた研究してまいりたい、こういう気持ちであります。
○石母田委員 いまあなたの話を聞いていると、われわれがまた労働者が要求している基本的な問題について否定している。この決定方式で三者でうまく決まっているとか決まってないとか言っているのじゃない。われわれが行政委員会方式をとるというのは、最低賃金制というのはいわゆる企業内での労使間が決める賃金とはまた違った性格を持っている。これもやはり決定されれば国民生活全体あるいは経済全体、国全体に重大な影響を持つ。だからそういう行政委員会という方式をとっている。しかし、その貫いているものは、労使対等を貫くという、この原則に立っているのだよ。あなたの言うことは、その逆の、労使の立場を尊重して対等でやっていくということを貫く方向ではなくて、現在やっている労働大臣や労働基準局長が決めていく方式、これを美化する、これを前提にするという、これがいいんだという話ですか。そうですが。 もう一つ、では全国一律に決めていく、こういう問題についても、いまあなたは否定的な発言をされましたけれども、全国一律ですべての労働者に対して一律に適用される最低賃金を決める、これがいま一番大事だ、これが基本だということで今度の法案が出ているのだけれども、この点についても否定的である。 私は少なくともこの二つの問題についてあなたの見解をもう一度はっきりここで答弁していただきたい。
○東村政府委員 その前に事実の問題を申し上げますと、最低賃金審議会といいますのは公労使三者構成になっております。これが大臣ないしは労働基準局長の諮問機関になっております。そこで、ただいま大臣お話しございましたように、三者でまとまったものを労働大臣ないしは基準局長は尊重してやっていくという形でございまするので、それが労使がおまとめになったことを役所の方でとやかく言うという事実ないしは形をわれわれは考えておるわけではございません。国際的に見ましても、いろいろな形がございまするので、一概にわが国のやり方が特別であるというふうにも考えておりません。 それから、全国一律の問題でございますが、確かに全国一律というのはそれなりのメリットといいますか意義があるわけでございますが、先ほど大臣がおっしゃったように、やはりそれに対してはいろいろ条件が充足されていかなければならぬ。その条件が問題である。その条件について、企業規模間ないしは地域間の格差がある現状ではなかなかむずかしい。こういうことであったわけでございますが、この問題も含めて、最低賃金制のあり方について、今後中央最低賃金審議会に御諮問申し上げていこう、こういうわけでございます。
○長谷川国務大臣 先ほど田邊委員にお答え申し上げたのですけれども、いまの最低賃金、さらにまた今後の最低賃金のあり方について、全国一律最低賃金制の問題も含め中央最低賃金審議会の調査、審議を求めることにしたい、こういうことでございまして、その場において御審議いただくものは、私の方はリードしたりあるいは強制したりというふうなことでなくて、それを尊重していく。それを尊重して従来もやってまいりました。
○石母田委員 時間がありませんので、これで終わりますけれども、いまの質疑を通じてわかるように、諮問するとかなんとか言っても、その基本的な立場が、いま労働者あるいは四党案で出されている全国一律あるいはその基準になる決定基準の問題あるいは決定方式の問題、そうした基本的な問題をほとんど否定し、そういう形でどんなことをやろうとも、これは現実に労働四団体あるいはまた四党案、また広範な多くの労働者が望んでいる全国一律の最低賃金法の実現というのには政府はきわめて否定的な態度をとっている。われわれは、この法案を出した立場の一員として、また四党としても今後この法案の国会での制定の実現を心から要求するとともに、政府やあるいは自民党の諸君にもぜひ協力してもらって、この全国一律最低賃金法を通すことによって現在の低賃金労働者の生活を安定させ、さらに労働者全体の賃金水準引き上げ、社会保障その他での国民生活の改善に資したい、こういうふうに考えて、これを強く要望いたしまして私の質問を終わります。
○大野委員長 次に、大橋敏雄君。
○大橋(敏)委員 私も若干お尋ねをいたします。 全国一律最低賃金制というものは、いまや国際的な流れであろうと思います。その流れの中で、わが国にもこうして労働四団体から強い要請がありまして、それを受けて四野党が真剣に取り組み、四野党案をつくり上げ、そして昨日その案を国会に提案したことは御承知のとおりでございます。さればこそ労働大臣も、この四野党案の内容がきわめて重要な中身であるということを了承なさいましたために、この四野党案を最も重要な参考として中央最低賃金審議会に検討をお願いする、諮問する、このようなことでございますけれども、私はこの姿は了といたします。 ただ、先ほどその時期について指摘されたときの答弁の中で、大臣は、できるだけ速やかにということで答弁を終わられたわけでございますが、確かにこの字のとおりできるだけ速やかにということでございましょうけれども、といっても、やはりある程度の目算といいますかめどといいますか、それは大臣の心の中にはあろうかと思います。ですから、来月、再来月といっても無理でしょうけれども、少なくともいつごろまでにはというぐらいのめどをお示しになるのが大臣の誠意ではないかと思いますが、いかがですか。
○長谷川国務大臣 私もいろんなものを見たり聞いたり、あるいは教わったりいたしますけれども、世界で全国一律の最賃をやっているのはフランスと聞き、あるいはフィリピンとも聞いているわけでありまして、そういう意味からしますと、四党あるいは四団体の方々から出されたそのものをこの審議会にかけて、そして御審議いただくというところの前向きの姿勢はひとつお認めいただきたい。そういうことからしますと、御審議、御研究いただきますのに、きょう頼んであしたとかあさってとかいうことはちょっと私、この際控えさしていただきたい、こう思う次第です。また、私の気持ちの中にそういうものが固まっていないということも明瞭に告白してひとつ御理解をいただきたい、こう思う次第です。
○大橋(敏)委員 きわめて抽象的な御答弁ですので、おそらく野党四党の皆さんは不満であろうと思いますが、とにかく速やかにと言うんですから、必ずや近い将来に実現できる、このようにわれわれは考えます。野党の最賃のねらいといいますか法制化のねらいというものは、労働をしている者の権利として人間らしい生活を営むために、またこのような改善もナショナルミニマムの要求という立場から、いわゆる最低の底上げは他の福祉水準の向上につながるんだ、こういう重要な内容も含んでいるわけです。福祉国家を標榜するわが国でございますし、こうした全国一律の最低賃金の実現は全体的な福祉を向上させるものであります。 先ほども各委員から尋ねられておりましたけれども、四野党案に対する大臣の基本的な受けとめ方、どう受けとめられたのか、もう一度私にも聞かせていただきたいと思います。
○長谷川国務大臣 私は、こういう問題で四野党の皆さん方が御研究され、そしてまたお出しいただいたということに対しては敬意を払うものであります。また私は、労働四団体の方々に、このお話がありましたときに、直ちに労働省のそういう専門家と、それから組合の中における最賃の専門家の方々に研究会を開いていただきまして四回も研究をされた。また、組合の幹部の方々と私が一緒になってその報告を聞くというふうな形で、どういうところに問題点があるかということは私並びに組合の方々も御理解いただき、それをいまから先どう直していくかというふうな問題等についても、それぞれの方々の感触は多少違うでしょうけれども、問題の所在はおわかりいただいた、こう思っているわけです。
○大橋(敏)委員 われわれが要求いたしておりますのは、全国一律の最低賃金を法制化して、業種別、地域別ごとにこれに上積みしていく内容でございます。それから最賃の決定については生計費、賃金事情を基準にして毎年改定していく。あるいは現行の最低賃金審議会を決定権を持つ最低賃金委員会に改組して、労使代表と中立委員で構成していくということ。また、中小零細企業の支払い能力をどうするかという問題、これも真剣に考えられております。具体的な最低賃金額を決める場合の基礎となる生計費をどのようにして算出するか、こういうところがこれから審議会で最も重要な議論として出てくる問題であろうと思いますが、四野党の意見、意思を十分参酌された上で、りっぱな内容ができ上がりますことを強く要望いたします。 雇用保障について二、三お尋ねいたしますが、日雇い労働者について日雇い失業保険の受給要件を緩和するとともに就労の機会を増大すべきだと私は考えております。これについては、すでに大臣の見解は一応は述べられておりますけれども、また事情も変わってきたことでございますので、この点について具体的に答弁を願いたいということ。 その次に、倒産企業の未払い労働債権の立てかえ払い制度、これを確立していただきたい。これは雇用保険法を審議する段階においても大変議論になったところでありますが、これも速やかに実現するということで、先般の委員会での答弁では五十一年度から一部実施するというような内容でございましたが、これはその法律が制定された後に倒れたもののみを救済していくことになるのか、それとも現在インフレあるいは不況、物価高のために倒れていった企業のそうした方々までの救済に及ぶのか、この点についてお尋ねしたいと思います。
○遠藤(政)政府委員 日雇い労働者の保険制度につきましては、先般の雇用保険法におきまして給付内容も改善を図りましたし、御要望のございました三段階制も取り入れたわけでございます。 受給要件につきましては、これは二カ月二十八日、従来から御異論のないところでございました。その要件を満たさない程度にしか働いていない、要するに、保険の適用を受けられないというような人についてまでこの現行法をさらに改正をして、受給要件を緩和するということは考えておりません。私どもはむしろこういった人たちが十分就労できるように格段の努力をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○長谷川国務大臣 倒産などがありました場合に、御承知のとおり、労働省は給与とか社内預金というようなものは一番先に、優先に確保するようにいままで努力を払ってきたことは、先生御承知おきのとおりです。しかし、また一方、こういう未払い労働者に対する救済措置、これなどは、先ほども田邊委員にお答えいたしましたけれども、やはり国会審議でもいろいろ話もありましたし、そこでまたこういう大事なときですから、ただ民法の関係とかいろんな法律との調整あるいは整理などもいたさなければなりませんので、五十一年度から一部実施をする。その際に、先生のおっしゃったように、当然ならばそのときから法律は施行されるわけでございます。しかし、先生のおっしゃったのは、前のものも全部というふうなお話などもございますので、その辺が一体どういうふうになるかということもあわせ考えながら検討してまいりたい、こう思っております。
○大橋(敏)委員 雇用保険法が制定されるに当たりまして、雇用調整給付金というのができまして制度化されて、これが非常に機能したということ、については別に問題ないわけでございますけれども、この雇用調整給付金が要求されたのは、やはりインフレ、そして不況の中で大変な苦しみを味わっている企業あるいは労働者の要求として出てきた問題であったわけですね。このような中において次々と倒れていった企業、そしてそれに従事していた労働者の未払い賃金についてですから、ずっと前までさかのぼりなさいとは言いません。こういう実情、実態を十分把握された上で、その法律ができたときにそこまで波及するような配慮をお願いしたい、こう言っているわけです。これはよろしいでしょうね。
○長谷川国務大臣 前後よく考えながら研究してまいりたい、こう思っております。
○大橋(敏)委員 それからもう一つ。いま申し上げました一時帰休を実施する企業について、雇用調整給付金制度の運用に当たっては、指定業種の関連下請企業も対象に含めるべきであるという声が非常に強く上がっております。これについてはあそこで一応お話しになっているようでございますが、正式にこの場で見解を伺っておきたいと思います。
○長谷川国務大臣 諸先生方の御賛成であの法律ができまして、非常に歓迎といいますか期待されているわけでありまして、私の方は御承知のとおり中小企業三分の二ということで、中小企業に重点は置いているつもりでございますが、いまのお話、なかなか大変な問題もあろうかと思いますが、そういうものを含めながら検討してまいりたい、こう思っております。
○大橋(敏)委員 最後に、もう一問お尋ねしますが、私はこの前の委員会の席で労働大臣にいわゆるスト処分の問題について私の気持ちを訴えたわけでございますが、私の気持ちが幾らかはわかっていただいたものというような感じもいたしますが、実は労働者の生活の改善あるいは給与水準の引き上げというような社会的公正を確立する最低賃金法というものと、あるいは統一ストとの、またいま言ったスト処分の問題がいろいろ絡みまして今回の処理がなされようとしている姿に、国民の一部からはある意味では批判的な声も出ております。つまりこういう大事な問題を絡ませながらいく取引みたいなやり方というものはよくない、こういう意見もあります。これは念のために申し添えておきます。 終わります。
○大野委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後八時二十五分散会