社会労働委員会 第7号
- 発言数
- 238 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1975/03/18
会議録
○大野委員長 これより会議を開きます。 公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田邊誠君。
○田邊委員 公労法は、成立以来紆余曲折を経てまいりましたけれども、特にILO八十七号条約の批准に関連をして、いわばスト権の問題を中心とした公労法の全体の見直しの問題が注目を浴びているわけであります。したがって、われわれは、四十年から約十年たちました今日、公労法の内容について全体的に洗い直すべきである、ないしは公労法自体を実は廃止をしろという意見もあるわけでありますが、今回の改正はその中の公労委の委員の増員をするという部面に限られておるのは、はなはだ遺憾であると思います。したがって、われわれは機会を見まして、この公労法全体について政府の考え方をただす機会を得たいと考えておりますけれども、きょうは時間もございませんので、ごく簡単に公労委の権限の問題、公労委の中のいわば性格の問題、これに限定をいたしまして質問をいたしたいと思います。 第一は、ILO八十七号条約を批准をする際に一番問題になりましたのは、御承知のとおり当時の公労法四条三項でありましたけれども、この職員でなければ組合員もしくは役員となることはできないという条項を改正いたしましたが、しかし、当時私どもは、この八十七号条約の批准に当たって、公労法の中には実は相当の欠陥条項がある、あるいは違反条項がある、こういうふうに指摘をしてきたのであります。たとえば、公労委がいわゆる組合として認定をいたしまして、これに対するところの種々の保護、権利を与えるということが、労組法五条一項、十一条一項を受けて公労委の権限として行われるのでありますけれども、この労組法五条一項が果たして適切であるかどうかと言いますならば、これは労働組合が労働委員会に対して証拠を出して労組法上の保護、権利を与えられるということになっておるのでありまして、これがなければ各種労働委員の推薦や不当労働行為の救済、法人登記上の証明等が得られないわけであります。しかし、その中にはかなり厳しく規定をされておるものがございます。第五条の二項は、労働組合の規約には名称その他の規定を含まなければならぬと書いてございますけれども、これは例示的なものであって、これを全部そろえておらなければ証拠を提出したことにならないという考え方というものは、大体これは誤りではないかと思うのでありまして、たとえばその中の、組合の規約は総会を年一回開催することを規定づけておりますけれども、最近は役員の改選が二年に一遍、三年に一遍となってきておるわけでありますから、そういったものも含めますならば、労働組合の規約にこれだけのものを載せなければ証拠の提出にならない、したがっていま言ったいろんな保護、権利等が得られない、こういったことはILO八十七号条約に抵触、違反するのではないか、こういうふうに私は実は考えておるのであります。したがって、こういった厳格な規定づけというものをこの際する必要があるのかどうか。加入、脱退はあくまでも労働者自身の判断で決定をするという労働組合の大原則に基づいて言いますならば、こういうことに対してあくまでもこれは例示的、訓示的な規定だというように解釈をするようにすべきじゃないかというように思いますが、いかがですか。
○道正政府委員 御承知のように昭和四十年にILOの八十七号条約を批准したわけでございますが、その結果、憲章の規定に基づきましてILOの条約勧告適用専門家委員会の審査を受けることになっておりますので、御指摘の点も含めましてわが国の労使関係法制について詳細に説明を行ったところでございます。それに対しましてILOの条約勧告適用専門家委員会は、御指摘の点につきましては特段の意見を述べておりません。また、追加的な説明も求められておりません。したがいまして、政府としては御指摘の点についてはILO八十七号条約との関係では特に問題がないと考えております。ただ、御質問の中にもございましたが、このことは決して労働組合が団体交渉をしたりあるいは労働協約を締結する、その他基本的な機能を果たすことについてとやかく言っているわけではないわけでございます。
○田邊委員 これはもう少し議論をいたしまして、たとえこの規定を残すにいたしましても、私どもは、あくまでも厳格なものというよりも、いま申し上げたような例示的なものと規定を解釈するような方向に漸次持っていく方が、組合の自主的な発展のためにも好ましいのではないかと思っておるのでありまして、この法解釈についてもさらに検討をしてもらわなければならぬというように思っておるのであります。 それから、公労委のもう一つの権限の中に属しますのは、職員の団結権の問題について、公労法四条二項によりまして、この組合を結成しあるいは加入をする問題について、非組合員の範囲は公労委が認定をして告示するということになっておるのでありますが、これも八十七号条約の批准の際にもいろいろと問題になったのでありますけれども、この非組合員の範囲というものを公労委が認定をして告示する。以前はこれはさらに悪い規定でありまして、公労委の決議に基づいて労働大臣が定めて告示するということになっておったのですが、これが若干改まったという経緯があります。これも労組法第二条一号を受けているわけでありますけれども、あくまでも組合の結成ないしは加入というものの大前提というのは、組合自身の自主的な判断によるというのが当然でありまして、組合が決めてまいります、われわれはこれでもって組合を結成したい、それで届け出いたしましたところが、それに対して個別的に、その中の非組合員の範囲が少し甘くないかという、こういう考え方に立って、いわば個々の認定をするということであれば、まだ百歩譲って私は認められますけれども、これはILO八十七号の七条によりましても、この法人格の取得については二条、三条、四条の規定の適用を制限するような性格の条件を付してはならないということになっておるのでありますから、そういった点から見まするならば、当然この非組合員の範囲というものを公労委が認定をする――とうやって認定しますか、恐らく当局からこれこれは非組合員にしたいという申請がありまして、それを受けて認定をするんじゃないかと私は思うのです。そういたしますならば、当局がいわば恣意的な意思でもって、勝手に自分の都合のいいような形でもって非組合員の範囲を決めて、これを申請をしてくる、それを受けて公労委はこれを認定するという形になるわけでありまして、この間にそれならば労働組合側に対して意見を聴取するというようなことが公労法上ないのであります。ということになってまいりますならば、労働組合側から見たところのいわゆる非組合員の範囲、逆を言えば組合に加入できないところの範囲というものを意見を述べるという機会がない。これはきわめて一方的な判断になるんじゃないかと私は思うのでありまして、これもいま申し上げた八十七号条約の七条規定に違反をする、抵触をするものではないか、こう思うのですが、どうでしょうか。
○道正政府委員 この点につきましても条約勧告適用専門家委員会に、わが国の労使関係法の詳細につきましてその審査に供しているわけであります。この点につきましても労働組合法の規定を含めまして特段の意見を述べておりません。したがって、政府としては、御指摘の点については八十七号条約の関係では特に問題がないというふうに基本的に考えております。ただ、認定の告示の問題につきましては、おっしゃるように法律上の規定はございませんけれども、労使の意見を十分聞いております。また、告示につきましては総会の議決をいただいて決めるという慎重な手続をとっております。
○田邊委員 これはやはり基本的な組合の結成、加入に属する、いわば結社の自由に属する問題でありますから、私は、法手続上から言って正確に労働組合の意見陳述というものを求めるような、そういう条文が入るべきが本来至当だろうと思うのです。いま行政的にあなたの方は労使の意見を聞いておると言いますけれども、それはいわば善意の形でもって聞くのでありまして、本来的にそれは聞く必要はないわけでありますから、したがって、そういう意味合いから言ってこれは欠陥条項であるというふうに私は思っておるのでありまして、これはひとつ検討の材料としてあなた方にお預けしておきたいと思うのであります。 第三番目の質問は、今度公労委の中の各側委員をそれぞれふやすわけでありますけれども、公益委員の性格についてであります。実は、きょうはいろいろと議論を展開する時間がございませんけれども、私は、公益委員というのは、本来的に言えば労使の中のあっせん的な役割りを果たす、こういうものでなければならないと思うのであります。そういう考え方を基礎にいたしますならば、この公益委員の任命の仕方というものについて、公労法では、意見を聞いて作成をした名簿に記載されている者の中から、両院の同意を得て、内閣総理大臣が任命するという形になっているのであります。これは国会の同意ということがありまするから、別の意味のチェックがそこでまたなされるということはわかりますけれども、しかし本来言いますならば、労組法上の労働委員会の中の公益委員は労使の同意を得るということになっておるのでありまして、これは本来やはり労使の同意を得て公益委員というものは任命をされるべきものであるというふうに考えておりますけれども、これはどうでしょう。
○道正政府委員 御指摘のように、労働委員会と公労委との間には任命手続について相違がございます。公労委につきましては、公益委員は国会の御同意をいただくということになっておるわけでございますが、その理由は、中労委にない強制仲裁権限を公労委の公益委員が行使をするということから、その職責の重要性にかんがみまして国会の御同意をいただくということになっておるわけでございます。同意をダブらせるということは、同意が食い違うことがあり得るということで、制度的には国会の御同意ということにいたしまして、しかしながら、御指摘のような労使の意向を十分反映させるということで労使の意見も十分お聞きした上で、国会に名簿を提示して御同意をいただくという手続にしているわけでございます。
○田邊委員 しかしそれにしても、この二十条というのはあくまでも労使の意見は一つの参考意見である、意見を聞いて作成をした名簿に記載されている者の中から摘出をする、こういう形でありまして、私はいまの労政局長の意見を譲ってみましても、労使の推薦を得た者を国会の同意に持っていくことが、これは不可能じゃないわけでありますから、こういういわば非常に幅があって、選択権を自由に与えているような形をとることは、私はやはり避けなければならぬというふうに思っておるわけでありまするから、いま申し上げた点でも、あなたの意見に同意するわけにいかないというふうに思っておるのであります。これも、当時つくりましたいきさつを私どもは承知をいたしておりますけれども、しかし、あくまでも労使の意見というものが公益委員の任命について厳格に反映できる機会というものは与えられなければならぬだろう、私は、これが本来的な任命の仕方であるというふうに思っておるのでありまして、国会の同意というものがあるからといって、その選択の幅を持たせることについてはいかがか、私はこういうふうに思っておるのでありまするが、これもひとつ十分検討してもらいたいと思っておるのであります。 宿題ばかり与えて論争になりませんので、実はその点は大変申しわけないのですが、いま労政局長の話を聞いておりまして、中労委と公労委の性格の違いの中で、公労委は強制仲裁の権限を持っている、役割りを持っておる、こう言っておりまするけれども、これがいわば本来一番論争になっておりまするところの公労法の論争点であります。これは言うなれば強制仲裁でない、全くの抜け穴でいままでやってきた。何回も実は議論がありまして、そういう中でもって、たとえば仲裁裁定の完全実施の問題というのが当時はほとんど図られていなかった。しかし、三十五年改正によってそれが努力をされなければならぬというふうに変わってまいりまして、以後政府は仲裁については完全実施をしばしば言明するという形になってまいったのでありまするから、内容的には変わってまいりましたけれども、しかし、公労委のいわば一番の重要な性格であるところの強制力を持った仲裁、こういうものが法的な面できちんと裏づけになっていないというところが、まず公労法上の最大の欠陥であるというふうに私は思っておるわけでありまするけれども、これは大臣どうでしょうか。事実問題はいま言った政府の前向きの努力というものがあるわけですけれども、法的にはこれは大変な抜け穴があるという形でございまして、その不十分さ、給与総枠制度の問題についてもしかりでありまするけれども、これらをどうやってこれから先解決していくのかということに対するお答えがございましょうか。
○道正政府委員 公労委が争議行為禁止の代償機関として十分かどうかということにつきましては、一応現行の法令を前提といたしまして判例も認めており、またILOのドライヤー委員会でも評価をしておるわけでございます。ただ、基本的に、あくまで代償機関というのはストライキ権の禁止との見合いの措置でございますので、スト権を認めないのがいかぬという立場から見れば、いかに代償機関として十分であってもなお不十分であるという御議論が出てくることはそれなりにわかります。ただ、それはあくまで基本的な問題でございますので、現在閣僚協を設置いたしまして、ことしの秋までに検討の上結論を出すということで、現在鋭意検討をお進めいただいておるわけでございます。
○田邊委員 いよいよ春闘を前にいたしまして、ことしも公労委の果たす役割りというのが問われる時代になってまいったのでありますから、まだ春闘の行方というものもわからない現状でありまして、私がここでもってそれをとやかく言うことは避けたいと思うのですが、しかし、例年仲裁裁定が出される、調停から仲裁裁定に移行されるといういわば一つの経緯がとられるわけでありますが、そういう経緯がもしとられるという場合には、政府は当然この仲裁裁定については今年もこれを実施をするということは当然の成り行きじゃないかと思うのでありまして、これは大臣、あなたがいまからそのことを予測して言うのはいかがかと思うかもしれませんけれども、一応、いまの公労委の強制仲裁という権限を立法のたてまえからとっておる以上、これに対して遵守をすべきことは政府の任務であろう、こういうような私は思うのですが、その基本的なことについてだけひとつ大臣、お答えをいただきたいと思います。
○長谷川国務大臣 御案内のように、三十四年以来政府は仲裁裁定を完全に実施してきたところでありまして、私としても今後その方針に沿うて臨みたい、こう思っております。
○田邊委員 そこで、これもちょっと実は言及しますと長くなるのですが、強制仲裁制度というものも一応当局を拘束するとなっております、予算上資金上の問題という抜け穴があったとしましても。しかし政府自身を拘束するということにはなっていないのですね。いま大臣がそれを遵守するというこういう形になっておりますけれども、私は争議行為の禁止というこの問題との兼ね合いから言いまするならば、政府自身を拘束するような事態というものがなければ、本来の強制仲裁制度にはならないというふうに思っておるわけでありまして、この点もいまの大臣の言明とあわせて、法的な裏づけというものをいずれ明確にしてもらわなければならぬときに来ているという認識を私は持っておりますので、その点に対してひとつ皆さん方の喚起を煩わしておきたいというふうに思っております。 そこで、公労委の果たしている役割りというものに対していろいろな面から実は不満が起きておるのでありまして、特に不当労働行為に対するところの救済等に対する公労委のいままでの役割りというのが、きわめてこれは時代おくれであるということが言われております。これをひとつ私は少しく論及してまいりたいと思っておるのでありますが、不当労働行為の救済命令をいままで一体公労委はどのくらい出しているでしょうか。そしてまた、救済命令を出さないでそれが裁判に持ち込まれまして、公労委が敗訴をしたという事例をあなた方は御存じでございましょうか。それに対して、何かその件数等についておわかりでございましたならばお知らせいただきたい。中労委と比較をいたしてどうでございましょうか。
○道正政府委員 最近三年間の数字を申し上げますと、公労委の命令の全部が裁判で維持されたものが一件、一部が維持され、一部が取り消されたものが二件、全部が取り消されたものが一件でございます。 その期間中の中労委の命令について申し上げますと、全部維持されたものが十四件、全部取り消されたものが一件となっております。
○田邊委員 件数の面でとやかく言いませんけれども、私は実はここに三つばかりの事例を持っておるのでありますが、あなたの方がちょうどいま言われました三年間のちょっと前の状態の事例を二つばかり持っておりますし、最近の事例について持っておるのであります。たとえば、茨城の美浦という郵便局の不等労働行為の救済申し立てに対して却下をいたしました決定の取り消し請求をする事件の最高裁判決がございます。これを見ますると、公労委がこれに対する救済の申し立てを却下いたしましたのは、組合側が証拠の提出をしなかったという理由が主でございまするけれども、これは裁判でもって実は三回争いまして、ついに三回とも公労委が敗訴をするという状態になって、ついに公労委は陳謝文を出しました。「本件のとり扱いに関し瑕疵があったことに遺憾の意を表するとともに、本判決の趣旨に従い不当労働行為事案の取扱いについて一層慎重を期する所存であります。」という陳謝文を出しております。 その他いろいろありまするけれども、最近東京高裁でもって、宮崎の都城の不当労働行為救済命令取り消し請求事件について、やはりこれは公労委側が敗訴いたしております。これは団体交渉に出席をするための年休の請求あるいは組休の請求、あるいは正当な理由なくしての団体交渉の拒否という条項のようでありまするけれども、この中でもって、公労委は年休請求についてだけは不当労働行為の成立を認めましたけれども、その他の二件については認めないということを実はやったのでありますが、これまた東京高裁で敗訴しているという状態でありまして、私はこの中身をいま論ずる時間余裕がございませんけれども、これを見ましても、公労委というのは、一体本当にいま申し上げたような性格から言って、非常に制限をされておる関係労働組合の労働者のいわば保護をし、当局が行わんとする不当労働行為に対してこれを抑制する、こういう立場から言いますると、私は忠実に任務を果たしていないというふうに考えざるを得ないのでありまして、こういった公労委の反動的な性格というものが実は世に問われているのは非常に私は残念に思うのでありまして、このことに対してあなたの方で所見がありましたならば、ひとつ承っておきたいと思います。
○道正政府委員 公益委員の任命につきましては、労使の意見を聞いた上で国会の御承認をいただくということで、制度的にも非常に重要視されているわけでございます。 〔委員長退席、菅波委員長代理着席〕 私どもといたしましても、その人選に当たりましては最も慎重を期し、最高の識見、お人柄を兼ね備えた方を選ぶように心がけているつもりでございまして、公労委の判断は公正にされているものというふうに確信いたしております。 ただ、ただいま御指摘のように、公労委の判断が裁判所で覆されるということは、おっしゃるように労使双方にとって不幸なことでございますので、そういう判例が出ましたならば、公労委とされましても、公労委の判断をするに当たって十分そういう判断を参考にされることと思いまするし、また私どもも、そういうことで仮にも公労委の公正さを疑われるようなことがないように、第三者機関で政府が介入する余地はないわけでございますけれども、労働行政全体を預かる労働省といたしまして、この点については今後十分配慮してまいりたいと思うわけでございます。
○田邊委員 公労委の公益側委員の中に御承知の金子美雄委員がおります。この方は日本生産性本部の賃金決定機構委員会の委員長をしております。御承知のとおり、二月十三日にこの賃金決定機構委員会というものは、賃金引き上げについて一つの見解を発表いたしております。この中身については私が申し上げる必要はないと思うのでありまして、この是非を私はいまここでは申し上げませんけれども、さっき大臣も言われましたように、いま春闘を前にいたしまして、これから労使の間でもって賃金決定についていろいろと交渉が行われるのであります。そのやさきに、公労委の公益委員をやっておる金子美雄という人が日本生産性本部の中にこういう委員会の委員長をやっているというのはいかがかと思うのでありますけれども、賃金について一つの見解を出した。私は実はこれについては評価をできるところもあるわけですよ。賃金引き上げというものが物価に対して後追いである、そして発散的なものでなくて、一定期間で収束する性格のものである、こういう考え方というものは一つ私も評価できると思うのですが、しかし、いずれにいたしましても、こういう時期に、こういういわば厳正な立場にある人が責任者をやっているところでもって、賃上げについての一つの見通しなり見解というものを出すのはいかがか、こう私は思うのですが、大臣これに対してどうでありましょう。内容がいいとか悪いとかいうことをここでは言いませんから、あなたの所見はどうでございましょう。個人だということでございますか。
○長谷川国務大臣 田邊先生は、委員であるという立場でそういうことを言うたのはいかがなものかという御疑問でございまして、私もやはりそういうところにいささか世の中に批判なり何なりが出てきているというふうに感じられるわけでございます。考え方はそれぞれの自由でございますけれども、与える影響は労使双方にとって相当な影響力があるのじゃなかろうかというふうな感じ方を持っております。
○田邊委員 もう一つ、いわゆる仲裁制度というものをわれわれが見た際に疑問に思うのは、調停案が先に出まして、それで実は労使がこれに折り合わないという場面もありましょうけれども、仲裁に移行されるという状態の中で、調停案は、労使、公益を入れた形でつくられる。したがって、それを受けた仲裁というものは、私は、いわば調停案が実質的には認められるという形が望ましいと思っておるのであります。ここに例がありまするけれども、昭和四十六年と四十九年に石炭加算額に対する、これは札幌地方調停委員会において調停案が出されております。これを見ますると、四十六年の場合には、トン当たり単価九千七百五十円という調停案が出されておりまするが、これが仲裁に移行いたしました結果、仲裁裁定は九千二百五十円というように五百円値引きをいたしております。それから四十九年も同様に、調停案はトン当たり一万五千九百五十五円、仲裁に移行いたしましたところが、九百五十五円値引きをいたしまして、一万五千円の仲裁裁定が出されておりますけれども、私は、調停案をいわば当局なりが拒否するのもいかがかと思います、これは使用者側委員が出ているのですから。しかし、いずれにいたしましても、いわば調停案を値切って仲裁ということになるのは、これは私は、形式的からいっても実体的からいっても、あり得べからざることではないか、これは非常に望ましくない形ではないか、こう思いまするけれども、こういうこの種の仲裁に対して、一体政府はどういうふうにお考えでございますか。
○道正政府委員 ただいま先生お挙げになりましたのは事実でございます。ただ、いずれも調停段階では当局側が受諾をしなかった、その結果公労委の仲裁に移行したわけでございます。仲裁委員会で、御指摘のように調停案を下回る仲裁案を出したのでございますが、別個の機関がそれぞれ判断を下すわけでございますので、ケースによりましては意見が食い違うということもやむを得ないことかと思います。ただ基本的に言いまして、三公社五現業の場合につきましては、当事者能力が与えられておるわけでございますので、当事者間の話し合い、またその延長路線にありまする調停段階で事案が決着を見るのが望ましいというふうに思いますけれども、当局側が受諾をしないという場合に、仲裁に移行するのもまたこれやむを得ないと思います。いずれにいたしましても、両当事者が当事者間で十分な話し合いをやり、決着を見るのが望ましいというふうに思いますので、その点につきましては先生と意見は食い違ってないというふうに思っております。
○田邊委員 いろいろと実は質問したい事項がありまするけれども、理事さんの方でいろいろと取り運んでいらっしゃるようでありまするから多くを省きまするが、いわば予算上資金上これが実施ができない場合には国会の承認を求めるということの形というものが実はずっと過去にあったのですけれども、事例は皆さんの方から資料いただきましたから、これはよろしゅうございます。もう時間がなくなりましたからよろしゅうございまするけれども、しかし、国会がそれに対して実はいろいろと配慮をいたしまして、たとえばこの事案について議決をしてもいかぬ、あるいはまた否決をしてもいかぬということでもって継続審査にしたというのが過去について何回もございます。ところが、政府の方はその間にいわば資金上のやりくりができたというのでもってこれは実施をいたしますということになりまして、いわば実施をしたということになりますと、この承認案件は自然消滅だということで、これは実は衆議院の法制局長を呼んで聞きませんというとちょっとどうかと思うのでありまするけれども、あるいは内閣の法制局長官が出席をしなければならぬかと思うのでありまするが、これは私は非常に身勝手な話だと思うのです。政府はいわばこれは実施できない、こう言っておって、そのうちに実施ができましたということで勝手に取り下げる。国会の方は、それに対していわば議決も否決もしない、自然消滅だ。これは法体系から言っても、実は議運で一度問題にしてもらったことがあるのですけれども、私おかしいというように思っておるわけでありまして、私がおかしいと言っているのは、それほど実施をできるなら、できると政府がその際決断をすべきだ。時間的な余裕がないことはわかっておりますよ。わかっておりますけれども、しかし、いずれにいたしましても、よほどのことがなければ政府はさっきの大臣答弁のように実施をするというかっこうがないと、非常に優柔不断で、そのときは何か実施できない、あるいはいろいろな法案との絡みで、運賃法はどうだとか郵便法はどうだとか、こういうことでなくて、やはりこの仲裁によって労働者の生活を守る、この強制仲裁機構というものを政府は最大限認めるという立場に立つべきだろうと思うのでありまするが、法体系から言っても一考を要するのじゃないかというように私は思っておるのですが、どうでしょう。やはり検討する必要はある事項だと私は思っておりますが、どうでしょう。
○道正政府委員 仲裁裁定か出されました場合に、政府としては予算上資金上可能かどうかという判断をいたしまして、不可能であると判断いたしました場合には、十日以内に国会に案件を提出するということが法律上義務づけられております。したがいまして、十日間という短期間の間に判断をしなければいかぬわけでございますので、その時点の判断として国会に提案申し上げるということになります。ただ、その後の情勢によりまして、たとえば補正予算が成立するとかあるいは法案が通るというようなことで自然消滅する場合もあれば、その後の検討の結果、実施可能であるというふうに判断が変わることもやむを得ない場合があろうかと思います。しかしながら、昨年は仲裁裁定が出されました時点で政府として即刻判断をいたしまして、国会に承認案件として御提案申し上げ、御承認いただいたわけでございまして、その方向で今後も処理をすべきが妥当ではないかというふうに考えるわけでございます。
○田邊委員 いろいろと問題点を指摘してまいりましたけれども、実はこういういろいろな疑点があり、八十七号条約の問題もしかり、それから百号条約の問題もしかり、政府がこれから先いろいろと取り組むべき事柄は非常に多いと私は思うのであります。もちろん最大の問題は何といっても公労法十七条の問題でありまするけれども、いま政府がいろいろと考慮をめぐらしているところでありますから、私はこれに対して言及をいたしません。しかし、先ほどの大臣の言明のように、春闘、いよいよこれからいわば重大なところに入るわけでありますから、是非ひとつ最後に大臣からお答えをいただきたいのは、何といっても賃金はやはり労使で決めるのでありますから、調停、仲裁という機構があったにいたしましても、労使間でもってこれに対しては十分な努力を払うべきである。したがって、政府は各当局に対して、ひとつこの団体交渉に対しては積極的に応じ、当事者能力の問題もありまするけれども、これに対してはひとつ最大の誠意ある回答を示すような指導をさるべきであると私は思っておりまするし、またそれを念願するものでありまするけれども、大臣にその決意がおありであるかどうかをお伺いして、質問を終わりたいと思うのです。
○長谷川国務大臣 最近では、公労委に持ち込まれる以前の自主交渉の段階で、やはり当局側は相当額の有額回答を行うようになっております。これは御承知のとおりであります。本年の問題にいたしましても、関係労使の間でひとつ熱心に円満に交渉が行われまして、民間の賃金動向なども勘案して十分その交渉を煮詰められることを期待しております。その過程で関係当局から御相談があれば、各当局にできるだけ当事者能力を発揮できるように労働省としても援助を惜しまないつもりであります。 いろいろこの法律に関係いたしまして前のいきさつ、さらに将来の問題点、御指摘いただきましたことを体しながら、正常な関係、労使のよき慣行をつくるために将来ともに推進してまいりたい、こう思っております。
○田邊委員 終わります。
○菅波委員長代理 次に、大橋敏雄君。
○大橋(敏)委員 ただいま議題となっております法律の一部改正の内容に入る前に、公労協のスト処分に関係しましてちょっとお尋ねをしてみたいと思います。 四十九年春闘の公労協ストに対する処分発表が月内にも行われるという話を聞いておりますけれども、私はいろいろな立場から考えまして、これはそういう早まったことをすれば、いろいろな問題がそれから派生するであろうという心配があります。結論から申し上げますと、公労協のスト処分は弾力的にやっていただきたいと言いたいわけです。すでに組合側も、公労協のスト権に関して関係閣僚協議会が結論を出すまで、処分を凍結するよう要求しているわけでございますが、これについての見解をまずお尋ねしたいと思います。
○道正政府委員 違法なストライキに対しまして処分が行われることは、法治国家としては当然であり、やむを得ないものと考えております。この点につきましては、昨年四月十日の閣議決定でも政府の方針は明らかにしているところでございます。
○大橋(敏)委員 私がいまお尋ねしているのは、確かに法律の上からは公労協のストは違法行為にはなる、そしてまた法律では、違法行為をやった者には解雇処分等をやるということになっております。しかしながら、組合の皆さんが主張なさっている公務員のスト権の回復というものも当然の権利としての主張でございます。したがいまして、公制審でも真剣に検討が重ねられてきているわけでございますから、ただストを行ったから、法律にあるから処分するのだという画一的なものの考え方では、これは私は済まされないと思う。特に、今春闘もいよいよスケジュール闘争が開始されようとしているところでありまして、これが月内にももし処分発表がなされようものならば、これに対する抗議、処分、抗議といいますか、それが重なってまた大変な騒ぎになるのではないかと懸念するわけです。これは労働大臣、英断をもって月内の処分発表は抑える、少なくとも春闘後良識的に適切に行う、ここまでぐらいは決断をすべきだと思うのですが、いかがですか。
○道正政府委員 貴重な御意見として十分拝聴させていただきます。
○大橋(敏)委員 大臣の気持ちを聞いているのです。大臣でなければ、これは局長ではどうにもならぬ話でしょう。
○長谷川国務大臣 法治国家でございますから、こういう公式の席上で堂々と処分がいかぬというふうなことを言われますと、私の方も政府でございます、昨年の四月十日に天下に声明して、違法ストライキは処分する、こう出しているわけです。その間のいろいろな事情、最近のいろいろな模様については、先生の御意見を私も拝聴したということにひとつとどめさせていただきたい、こう思います。
○大橋(敏)委員 ぼくは処分をするなと言っているんじゃないですよ。いいですか、それはある程度の処分はやむを得ないでしょう、いま法律はそうですから。あなたがおっしゃるとおりに法治国家です。しかし、処分の内容というものは検討に値するでしょう。そしてその処分の発表、それはいまやるべきではない、月内にもやろうという動きがあるので、これは延ばしなさい、私はこう言っているのですよ。何も無理なことを言っているんじゃないでしょう、きわめて常識的なことでしょう。どうですか。
○道正政府委員 私も労政を預かっている責任者といたしまして、違法ストライキ、処分、またそれに対するストライキというこの悪循環を何とかしなければいかぬというふうに思っておりますし、またそのことは、国会でも他の機会にも、何とかしなければいかぬ問題だというこの認識においては先生と私は全く同意見でございますが、当面の処分問題につきましては、先ほど来お答え申し上げている以上申し上げることは差し控えさせていただきたいというふうに思うわけでございます。
○大橋(敏)委員 組合の皆さんも当然の権利として主張しているスト権の回復の問題について、政府の回答、態度が余りにも決まらないということから、もう違法を承知の上でストやあるいは順法闘争を強行するようになってきたわけです。そのために毎年処分が行われる。四十八年春闘などは、国鉄関係だけでも約十三万八千人という空前の大量処分が記録されているわけですね。そしてあなたも御承知のように、この処分をすれば、じゃ労使関係が改善されていくかと言えば、そうじゃなくて、いま局長が言うように全くの悪循環でしょう。だから私は、もっと政府がその組合が要求している内容を認識して、一日も早くそれにこたえるような姿に立つべきである。私はその努力はしていらっしゃるだろうと思いますよ。思いますけれども、余りにも遅過ぎるということですね。 いま私が心配しているのは、月内に発表するんだという動きがもう見えているわけですよ。御承知のように、今春闘も第一次統一ストが二十七日に計画されておりますよ。こういうことが重なりますとまた予想外の混乱を生ずると私は心配する余りに言っているのですよ。それは組合の皆さんが言うように、その凍結を秋まで延ばせなんということまでは無理かもしれません。しかし、少なくとも春闘が終わるまでぐらいは延ばすべきだと思うのですよ。ここは大臣、どうですか。
○長谷川国務大臣 日本の労働運動で毎年のように違法ストの繰り返されることは、あなたと同様、私たちも非常に心配しているところであります。先ほど三月二十七日のストライキを先生は違法ストとおっしゃったが、そういう違法ストが繰り返される、ここで何とか労使のいい慣行をつくりたいというのが、これはもう内閣を初め国民全体の願いだと思います。 そうしたときにおいて、一方においては昨年の四月十日、とにかく違法ストに対しては処分をする、こういうふうなことになっておりまして、これはやらざるを得ない。しかしその間に対して、あなたはいまこうおっしゃったけれども、ほかの議員さんの方々からは早く処分すべし、こういう議論もいろいろな委員会などでも出ておるわけでありまして、これはひとつ時期の問題とかなんとかということは私一存でもまいりませんし、先生のこういう御意見があったということを私がここで聞いたということにひとつ御理解をいただきたい、こう思う次第であります。
○大橋(敏)委員 私が言わんとする気持ちは十分理解していただいたでしょうか。――うなずかれましたので、わかってくださったわけですね。この公式の場ではなかなか答えられないけれども、あなたの言うことはよくわかる、全力を挙げて努力をする、このように私は理解いたしましょう。それで、とにかくこうした処分をしなくてもいいように、一日も早くスト権回復を願いたいところです。 それから、法律の内容に入ってまいりますが、今度の改正案は公労委の定数を公労使各側それぞれ二人増加することを主たる内容としておられます。その提案理由の中でも、公労委が関与する労使紛争は増加する傾向にあるとともに、紛争の内容も複雑化、多様化する傾向にある、こう述べておられますけれども、具体的に事件数はどの程度増加しているのか、また今後の見通しはどう考えられているのかお尋ねをしてみたいと思います。
○道正政府委員 公労委が取り扱った調整事件の数は、最近三年間の数字で申し上げますと、四十七年度七十二件、四十八年度九十四件、四十九年度は、十二月まででございまするが百五件に達しております。 今後の見通しでございますが、三公社五現業の労使紛争を公労委の調整によりましてなるべく早く解決することが望ましいし、重要だということを考えますと、今後ともこのような傾向は続くものというふうに考えております。
○大橋(敏)委員 大変複雑化、多様化してきたと言われるわけでございますが、そうなれば、その調整には相当の日数が必要となると考えるわけでございますが、最近における紛争調整に要する日数というものはどの程度になっているのかお尋ねします。
○道正政府委員 これも最近三年間の数字で申し上げますと、あっせん事件につきましては平均十一・三日、調停事件にありましては五十一・三日、仲裁事件にありましては三十九日となっております。
○大橋(敏)委員 いまの公労委のいわゆる能率化といいますか、今回の法案では、定員を増加して公労委を強化することを目的としている、このようになってはいるのですけれども、私は委員の数がふえれば、それが直ちに公労委の強化につながるかどうかというものは疑問でございます。すなわち、運営いかんによっては公労委自件が逆に非能率化してしまうのではないかということもあり得るからであります。一般に委員会制度というものはできるだけ多くの利害関係者を集めて、その人たちの意見を反映させるため、委員の数についてはそれ相当の数が必要でありますけれども、限度を超えますとその運営は非能率化するおそれも出てくるわけでありますが、今回の増員措置というものがこの点から見て適切であると考えているのか、また、公労委の運営は今回の増員措置によりどのように改善されると考えているのか、お尋ねいたします。
○道正政府委員 確かに御指摘のように、いたずらに委員の数を増加させるということが、かえって委員会の運営の非能率化を招来するということはあり得ると思います。ただ、公労委の場合で申し上げますと、中央労働委員会は御案内のように二十四人で構成されております、また、船員中央労働委員会は二十一人で構成されておりまして、そういうほかの委員会との比較で申し上げましても、必ずしも多いというふうには言えないと思います。特に公労委の場合には総会に付議するという事項は比較的少のうございまして、紛争の調整につきましては、たとえば通常、あっせんの場合は公益委員のうちの一人が当たる。それから調停の場合は公労使各側一人、計三人の委員で構成する調停委員会が当たる。仲裁につきましては、公益委員のうちの三人または公益委員全体で構成する仲裁委員会が行うということになっております。そういうことから申しまして、先ほど来お答え申し上げましたように件数もふえ、事案も複雑化しておりますことから見まして、三十年来増員を行っていなかったわけでございますが、この際委員の増員をお願いいたしまして、公労委の迅速かつ的確な処理を図りたいというのが御提案を申し上げている趣旨でございます。
○大橋(敏)委員 改正案によりますと、公益委員が七名になりますね。労使委員が各五名です。しかし、他の労働委員会の委員の定数は、いまおっしゃったように中労委で公労使同数、おのおの八人ずつですね。それから船員の中労委、これもやはり公労使同数、各七人、こうなっているわけでございますが、なぜ公労委についてだけは公益委員の定数が二人も多くなっているのか、この辺ちょっと理解に苦しむのですけれども、労働委員会のこうした委員の定数というものは公労使各同数が望ましいと私は考えるのでございますけれども、いかがですか。ですからこれも各七人ずつ、こうなさった方がいいのじゃないかと思うのですが、いかがでございますか。
○道正政府委員 一般的には御指摘のとおりかと思いますが、公労委は中労委あるいは船員中労委等と違いまして、公益委員の果たす役割りが格段に重要であり、かつ事務も多いわけでございます。と申しますのは、先ほど田邊先生の御質問にございましたように、争議行為が禁止されている、それにかわる代償措置として強制仲裁制度がある、仲裁は公益委員をもって構成する仲裁委員会が当たるということになっております。また、不当労働行為事件の審査につきましても公益委員のみが行うというふうになっておりまして、労使の委員にも大変な御努力をお願いするわけでございまするけれども、公益委員には特段の御努力をお願いしており、事務量も多いということから、発足以来公益委員の方が労使の委員より数が多いという仕組みになっております。事務量がふえてまいりましたので、この機会に労使の委員を増員すると同時に、公益委員の数の増員もお願いしておるわけでございます。
○大橋(敏)委員 現在の公労委の性格の上から言って公益委員が多くなる必要性があるのだ、こういうお話のようでございますけれども、不当労働行為の審査あるいは労働紛争の仲裁等を行っているこの公労委の政治的中立性というものは非常に大事なことでありまして、これが確保されるかされないかということは、その運営においてきわめて重要な問題であろうと思います。そのために、公益委員のうち二人以上が同一の政党に属することとなってはならないとか、あるいはまた国会または地方公共団体の議会の議員である者は公益委員になることができないというような規定があるわけでございますけれども、公益委員の中立性の確保は、昭和三十一年のいわゆる公労委発足当時と比較して大きく変わっていると考えるわけでございます。そこで、公益委員の政党所属についてその規制をやはり強化して、たとえば公益委員の定数が七人となっても、現行どおり二人以上の公益委員が同一の政党に属することとなってはならないとすべきではないかと私は考えるのでありますが、この点についていかがですか。
○道正政府委員 御指摘のように、政治的中立性を担保するということで政党所属についての規定が置かれているわけでございます。五人の委員が七人に増員になった場合にどうするかという問題があるわけでございますが、労働組合法に規定する労働委員会の公益委員の場合に準じまして、七人の場合には三人以上というふうに改めたいと考えるわけでございます。公労委の公益委員の所属をどう規制するかということにつきましては、中労委、地労委あるいは船中労委というような類似の委員会との調整も実際問題として必要でございますので、そういう線に沿って法律を改正したいということでお願いしておるわけでございます。
○大橋(敏)委員 非常に限られた時間でございますので、では次に移りましょう。 委員の報酬についてでありますけれども、委員手当の現在の額と、いわゆる来年度の額はどの程度になるのか、また委員手当を支給する根拠は何法によっているのか、まずお尋ねしたいと思います。
○松井説明員 お答え申し上げます。 委員の手当の額につきましては、会長につきましては、現在今年度におきましては一万二千円となっておりますが、これが来年度は一日につきまして一万五千五百円、こういう手当の一日当たりの単価に改定される予定で予算が組まれております。公益委員と労使の委員につきましては、現在は一日一万一千円ということでございますが、来年度は一日一万四千円ということで予算が組まれる予定でございます。 このようなことになっております法律の根拠といたしましては、公益委員、すなわち会長を含みます公益委員につきましては、特別職の職員の給与に関する法律九条で、委員会とか審議会の委員の手当が列記してございますが、その中にこの公労委の公益委員の報酬についても書いてございまして、この会長に支給されます金額、すなわち現在の一万二千円、それから来年度の一万五千五百円、これは最高額となっております。一方労使の委員につきましては、一般職の職員の給与に関する法律の非常勤の職員の給与ということで、この金額が決まっているわけでございます。
○大橋(敏)委員 多少の引き上げは考えられているようでございますが、この公労委の各委員の努力というものは大変なものだろう、このような重要な職責あるいは職務に見合ったものになっているのだろうかという私の疑問からの質問なんです。公正取引委員会の委員の俸給月額は、委員長で七十五万円ですね。委員が六十三万円です。公害等調整委員のそれは委員長が六十五万円、常勤の委員五十五万五千円。これに比較しますと、確かに常勤、非常勤の差はありますけれども、調整事件が集中する春闘時期などでは、常勤と同じような活動をしている点を考慮して、公益委員も他の委員の報酬と同程度の水準に引き上げるべきではないかと考えるのでありますが、御見解を承っておきたいと思います。
○長谷川国務大臣 非常にこの委員会の委員の手当についての御理解をいただきましてありがとうございました。将来ともにそういう方向に進んでお報いしたい、こう思っております。
○大橋(敏)委員 将来にということですけれども、近い将来にそのようになりますように強く期待しておきます。 時間が来たようでございますのでこれで終わりたいと思いますが、冒頭に申し上げた公務員のスト権問題は、長い間の懸案となってきております。そして、政府ももういよいよ逃げられないところまで来ていると思うわけでございますが、大臣の今後の熱意のほどを承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
○長谷川国務大臣 正しい労使の慣行を樹立するためにも、この秋までの閣僚協の結論というものを急ぐべく、そして、いま専門委員の方二十名、こういう方々も御熱心に御討議いただいておりますので、そういう意見をよく酌量しながら、秋までに結論を出して将来に備えたい、こう思っております。
○大橋(敏)委員 終わります。
○大野委員長 小宮武喜君。
○小宮委員 今回の改正案の提案理由説明によりますと、公共企業体等労働委員会が関与する労使の紛争は増加する傾向にある、こう述べられているわけでありますが、なるほど資料によりましても、四十七年度七十二件、四十八年度九十四件、四十九年度は四月から十二月までで百五件になっております。この四十九年度の百五件を企業体別に見ればどうなるのか、説明を願いたいと思います。
○松井説明員 四十九年度につきましては企業体別に、あっせん、調停、仲裁につきましてそれぞれ申し上げてみますと、まず国鉄につきましては、あっせんが十一件、調停が十二件、仲裁が十件、計三十三件、こういうふうになります。次に電電公社につきましては、あっせんはございませんで、調停が四件、仲裁が四件。次に専売公社につきましては、あっせんはございませんで、調停が四件、仲裁が二件。郵政につきましては、これもあっせんがございませんで、調停が十六件、仲裁が八件。次に林野につきましては、調停が九件、仲裁が十件。印刷につきましては、調停三件、仲裁二件。造幣につきましては、調停が三件、仲裁が二件。アルコール専売につきましては、調停が三件、仲裁が二件。合計いたしますと、あっせんが十一件、調停が五十四件、仲裁が四十件、こういう状況になっております。
○小宮委員 公労協の組合側からのあっせん、調停、仲裁の申請件数はどのくらいになっておるのか。
○松井説明員 お答え申し上げます。 これを過去三年間につきまして、関係組合別の取り扱い事件数につきまして、公労協とその他の組合、こういうふうな区分で見てみますと、取り扱った事件は合計二百七十一件ございますが、公労協関係の組合は約三分の二、百七十九件、こういう状況になっております。
○小宮委員 私は、今日公労協の組合の一部には、法を無視して違法ストが平然として行われておりますが、これらの違法行為に対して適切な措置を講ずることがなくして、公労委の問題だけを改正しても、機能を一〇〇%果たすということは非常にむずかしいのではないかという点に非常に疑問を持っているわけですが、これに対して大臣の所見を承りたいと思います。
○長谷川国務大臣 最近はいろいろなところで労使の関係の改善が行われているという話も聞きますが、とにかく、一日も早く本当に労使関係の正常化が図られるよう、労働者としても関係当局、時には組合の諸君にも強く要望しているところでありまして、私はそういう御懸念されるところを実は一番心配して努力しているものであります。まじめに働いている諸君が報いられないというふうなことであっては、正しい労使の慣行が生まれないのじゃないか、そのためにこそ、お互いが一生懸命努力しなければ、こういうふうに感じて、将来ともに懸命に努力してまいりたい、こう思っております。
○小宮委員 紛争が増加するからその委員の数が足りない、だからこれをふやすのだということでは、これは私は、労働省の姿勢としては余りにも後ろ向きの姿勢ではないのか、だからむしろそれ以前に、こういうような労使の紛争がなくなる方向に努力するのが私は基本でなければならぬと思うのです。その意味で、紛争が増加する傾向にあるというのは、大体大臣としてどのように見解をお持ちか、その点ひとつお伺いしておきます。
○長谷川国務大臣 近代工業国家になりますと組合もたくさんありますし、いろいろ利害錯綜し、あるいはまたよく理解できないでいたずらなる問題が出てこないとも限りません。先生おっしゃるように、やはり病気にかからぬようにするには予防医学が大事でございまして、そういう意味での正しい労使の慣行、また話し合いによって問題を解決する、こういう情勢を馴致していくように、労働省としては懸命にひとつ啓蒙していく必要がある、いままで以上にやっていく必要がある、こういうふうに考えます。
○小宮委員 特に三公社五現業においては、そのうちでも国鉄、郵政においては労使関係が非常に悪化しておる、またそのために職場規律も乱れてしまっておる、またさらには、職場内においてお互い同士の暴力行為すらどんどん発生しておるというようなことでは、もうこの問題を放置していては労使の安定というのは考えられないと思うのです。したがって、それは国鉄の問題だ、いや郵政の問題だというようなことではなくて、やはり労働大臣としては、この合理的な労使関係の安定を図る、その任にあるわけですから、この労使の安定を図るための努力をひとつしてもらいたいというふうに特に要望しておきます。 それから、特に私いつも公労協の賃上げその他の労働条件の団体交渉の中で感じられることは、当事者能力の問題を私は非常に重要視しておるのです。ところが、特に賃上げ等においては、予算執行の面でもうそれぞれの当事者が能力を失ってしまっておる。こういうような問題で労使の安定をはかるならば、国鉄にしても三公社五現業にしても、当事者能力を与えるということがやはり一番大きな問題ではなかろうか。いまの法律のたてまえ上は当事者能力はあるようになっているけれども、現実には予算執行上不可能だということで、全く当事者能力を失っておるというこの問題について、将来どう考えるかということを考えていただかぬと、労使間の紛争というのは一つも減少することはあり得ないとまでに私は考えるのですが、当事者能力の問題についてはどのように考えますか。
○長谷川国務大臣 三公社五現業の場合に、やはり国民の税金が使われるということからして、当事者能力を強化しようとしますと国会の予算審議権の関係が出てまいります。そういうことからして、具体的に言えば、最近のように国鉄の経営が非常に悪化して独立採算がむずかしい、どの委員会でも論ぜられるように収入の大部分がほとんど人件費に食われていくというかっこうになりますと、結局、企業体と経営改善の問題、支払い能力をよくしなくてはなりませんので、私たちとしますと、今度ただいまの閣僚協でやっておる場合に当事者能力の問題も出てまいりましょうし、また専門委員の方々もこの問題について十分検討しておるということでございますが、やはり当事者能力を拡大していく方策というものを考えていくのが第一。もう一つは、私も国鉄の話あるいは郵政のいろいろなトラブルを直接聞きます。この委員会でも聞きますが、そういう問題に対しましては、やはり労働省としますと、それぞれの当局、それぞれの組合の方々にお目にかかったときに、事情を申し上げながら御自重をお願いすると同時に、多少ずつはよくなっていきつつあるんじゃないか。問題は、労働問題が治安問題に発展するようなことでありますとこれは大変なことでありますから、そういうことのないようにいまから先も努力してまいりたい、こう思っておるわけであります。
○小宮委員 私は当事者能力の問題については、労使お互いが交渉をやって、その結果、これこれの予算が要るからひとつ政府何とかしてくれ、財源をどうかしてくれということで政府が動くならこれは話がわかる。しかし、いままで当事者能力をなくしてしまったような形になったのは、政府にも責任があると私は思う。ですから、いまでは春闘共闘委だとか公労協側と、政府が当事者を飛び越えて直接いろいろな話し合いをされるというところに、政府自身がそれぞれの当事者能力をなくしてしまっておるというようにも考えられるわけです。だからそういうような意味では、いま大臣も言われたように当事者能力というものをやはり十分に与えて、それで労使が交渉するというような形にぜひ持っていってもらいたい、こういうように私は考えます。 それから特に私が非常に疑義に感ずることは、三公社五現業等においては、公労委におきまして調停作業が行われておるにもかかわらずストライキが行われておる。これは本来ストライキ権が与えられていないわけですから、それをやってはいかぬということは何とも言えませんけれども、それはストライキ権を与えていないのにストライキをやるわけだから、それをするなと言っても聞くはずはないと思うのですが、ただ、国民の目から見れば、やはり調停作業が公労委で行われておるときストライキを行うというようなことについては、国民としては納得しがたい点があるのです。この点についての大臣の所見はどうですか。
○道正政府委員 法律がスト権を認めているか認めていないかということを別にいたしまして、いやしくも当事者で話し合いをしている、あるいは調停が進行中であるという時期にストライキを行うということが適当でないことは御指摘のとおりだと思います。これは労働法の大原則でございまして、ストライキに訴えるというのは最後の最後の手段でなければならないというのがたてまえでございますので、その点は全く同感でございます。
○小宮委員 その意味では、やはり調停中ストライキが行われるということについて、これはスト権の問題とも関係しますから最後に聞きますけれども、国民から見れば、調停作業中にストライキをやるというのはどうしても納得できないという感じが強いことは事実なんです。そういうような意味で、ストライキ権はもともとないのだから、そういうような法律に基づく一切の紛争処理機関については否定するのだというような考え方がもしもあったとするならば、公労法を幾ら改正し、幾ら強化しても大した意味がないのではないかということすら私は言いたいのです。それは別として、次は公益委員の政党所属の問題です。 現行法でもはっきり公益委員のうち二人以上が同一政党に所属してはならないというように規定しております。また今回のこの改正案でも、三人以上が同一政党に所属してはならない、こうなっておりますが、このような規定をわざわざしなければならないという背景が私はどうしてもわからぬのです。というのは、公労委の中に労働者代表、使用者代表がおる、それを少なくとも公益委員という性格から言って、政党所属の人たちがこの公益委員の中に入っておることを労働省自体が法律で認めるということ自体に矛盾を感ずるし、不合理性を感ずるわけですが、この点の所見はどうですか。
○道正政府委員 御指摘のように、公益委員が特定の政党に所属するということになりますと、その中立性に疑問を生じさせる恐れがあることは御指摘のとおりでございます。したがいまして、現実にもこれまでは政党に所属している方を公益委員に任命した事実はございません。また任命後に政党に所属されるようになったという方も現実の問題としてはいままでないわけでございます。にもかかわらず公益委員について政党所属に関する規定が置かれているのは、万一の場合に備えて規定を置いたわけでございまして、同様の趣旨の規定は中央及び地方の労働委員会にもございます。また国家公安委員会あるいは公安審査委員会にも例があるわけでございます。
○小宮委員 だから、現実にはいないということですけれども、現実にいないものをわざわざ何でするのか。たとえば、これは法第二十三条の第一項にも、公益委員は政党その他の政治的団体の役員となり、または積極的に政治運動をしてはならない、こう規定しているわけです。だから、団体の役員になったり積極的な政治運動をやってはならないとあるけれども、一般の党員として入ることはよろしいのだというように法解釈できるわけです。だからそういうようなことをわざわざ法の規定の中にうたわねばならぬというのが私は釈然としません。そのことを政府自身が認めるということにもなってくるので、これは大きな問題だと思いますが、時間もございませんのでこれは飛ばします。 地方調停委員の問題ですが、一部地調委では、労働者側委員が一方の組合に偏っておるために、片一方の組合の申請がなされてもたなざらしになっておるということを聞きますが、そういうような事実があるかどうか。
○松井説明員 お答え申し上げます。 いま小宮先生が御指摘のような事実につきましては、過去にもそのようなことはございました。そういうことから、現在の運用といたしましては、関係の組合の御意見も十分いただきまして大臣が作成いたします調停委員候補者名簿というものを使いまして、地調委の行いますあっせんをやっていただくというようなことで、四つの地調委にこのあっせんをやっていただく調停委員候補者を置いているわけでございます。いま置かれておりますのは、北海道、関東、近畿、九州の四地調委でございます。
○小宮委員 そういった疑問というかひがみというのか、そういうような問題をなくすることが今後の労使関係を保つ上にも非常に大事な問題だと思うのです。 そこで、いま説明がありましたように、現在地方調停委員会は全国で十カ所にありますけれども、同盟の組合はそのうち一カ所は正規の委員で、四カ所に調停委員候補者がおります。したがって、残り五カ所は同盟系の調停委員候補者はいないわけですよ。したがって、せめて残りの五カ所についても調停委員候補者ぐらいは労働大臣として委嘱をすべきだと思いますが、どうですか。
○松井説明員 お答え申し上げます。 先ほど申し上げましたが、この四つの地調委に置くことにつきましては、公労協、全官公含めました関係組合との十分なお話し合いの結果置かれたものでございます。それで、今後また問題が生じました折には、これは公労委及び関係の組合の方の意見も十分伺いまして、御趣旨を念頭に置きながら、実際のその場の最もふさわしい解決の措置をとるというようなかっこうで解決してまいらなければならないと存じております。
○小宮委員 労働大臣が調停委員候補者として委嘱しているにもかかわらず、私は九州の話を聞いたのですが、地調委の総会とか各種会議にも一度も案内を受けたことがない、また資料の配付も全然受けたことがない。こうなりますと、これは労働大臣が候補者として委嘱するわけだから、この調停委員候補者というのは大体どういうような性格のものですか。こういうような、資料の配付もない、総会にも案内がない、各種会議にも出席できないというようなことで、この調停委員候補者というのはその仕事が達成できますか。どうですか。
○松井説明員 お答えいたします。 調停委員候補者の性格、任務につきましては、これは公労法に書いてございますとおり、調停とあっせんをおやりになるわけでございます。それで、調停につきましては、原則として公労委の委員さんによって行われるわけでございますし、あるいは地調委の委員さんによって行われるわけでございますが、なお公労法の二十九条三項にありますように、調停委員候補者名簿に記載されている者のうちから調停委員を委嘱してやらせるというような方法もとり、それからあっせんにつきましてもそのような方法をとりということで、特別の措置を規定しておるわけでございます。 それで、いま先生九州の例を御指摘になったわけでございますが、この調停委員候補者の任命と申しますか名簿の記載につきましては、あらかじめ委員会の同意を得まして労働大臣が作成するわけでございますが、どの調停委員候補者に調停をやっていただくとかあるいはあっせんをやっていただくとか、これは委員会がやるわけでございまして、私どもといたしましては、これは公労委の権限に属しますことでございますから所見を述べるという立場にない、と申しますと形式的でございますが、先生の御意見につきましては公労委の方へも十分伝えまして、それで公労委の、先生の御趣旨に沿った運営というものを期待いたしたい、こう存ずる次第でございます。
○小宮委員 調停委員候補者となっても有名無実で、そういうような資料の配付も受けぬ、各種会議にも案内を受けない、総会にも呼ばれないということでは、何のために調停委員候補者になっておるのか、また大臣は何のために委嘱しておるのか、全くこれはもう無意味だと思うのですよ。だから、その意味では十分調査されて、そういうようなことがないようにひとつ公労委の方にも十分指示をしてもらいたい。 それから、いよいよ最後になってまいりますが、もし今回の改正案が成立した場合、新委員の任命はいつからになるのか。たとえばこの四月一日からなのか。特にこの新委員の任命は、賃金闘争を迎えて非常に重大な時期に至っておるわけですから、やはりできるだけ早くやるべきだ、こういうふうに考えますが、労働省の所見はどうですか。
○道正政府委員 せっかく御審議をいただいておるわけでございますので、法案成立後可及的すみやかに委員の任命が終わるように、そして新委員によって円満な委員会運営が行われるように心から期待したいと思います。ただ、衆議院を通過後、参議院の御審議を煩わさなければいかぬということがございまするし、また公益委員の任命につきましては、労使の意見を伺うという手続も必要である上に国会の御同意を願わなければいかぬという手続もございますので、若干時間がかかろうと思いますけれども、なるべく急ぎたいというふうに思っております。
○小宮委員 最後に、現在三公社五現業のあるべき姿と労働基本権問題が公共企業体等関係閣僚協議会で抜本的に検討がなされているわけです。その結論はことしの秋とも言われておりますけれども、この検討の結果いかんによっては、この紛争調整機関のあり方にも大きな影響が出てくると思うのですが、その関係についてはどのように考えられておるのか、これは労働大臣からひとつ答弁してください。
○長谷川国務大臣 関係閣僚協議会においては、当事者能力それから経営形態の問題については一わたり検討が終わったやに聞いておりまして、今月下旬からはスト権問題の検討に入っていく、もう入りつつあるという話も聞いております。何さま公労委制度等の問題についてもスト権と関係して非常に検討されることと考えておりますが、その結論はとにかく秋までには出てくる、また出ることを期待もして、政府もそう約束しております。 その結論がどういうことになるかは別といたしましても、現段階では、皆さんに御審議いただいておりますこの公労委の調停あるいは仲裁によって、三公社五現業における労使紛争も平和のうちに解決されることがこの際最も重要なことであり、それだけにこの法案に対して御期待申し上げ、御審議をお願いしているわけであります。
○小宮委員 春闘の問題、スト権の問題については労働関係の一般質問の中でまたやるとしまして、きょうはこれで私の質問を終わります。
○葉梨委員長代理 石母田達君。
○石母田委員 きょうは私は公労法の一部改正案に関連いたしまして、公共企業体労働者の労働基本権の問題等について質問したいと思います。 〔葉梨委員長代理退席、竹内(黎)委員長代 理着席〕 私が国会に議席を得て初めて行いましたのが四十八年の二月六日の質問でございましたが、その折、公務員並びに公共企業体労働者の労働基本権の問題を取り上げて、再三この場でこの点について質問をしてまいりました。その当時冒頭に申しましたように、こうした人々がストライキ権を発動せざるを得ないといういわゆる労働者の要求、置かれている生活、労働条件の中から出てくる問題について、政府があるいは公共企業体がどのような姿勢でこたえていくかという問題が一つ大きな問題であるということを申し上げました。同時に、こうした人々が本来持つべき基本的な権利が奪われている、こういう問題もまた一つの大きな原因であることを指摘してまいったと思います。すでに公共企業体労働者で昭和二十八年以来処分された者、三公社五現業につきましては、昭和四十八年の二月六日の私のその質問のときには、懲戒処分あるいは訓告、注意等も含めまして、昭和四十七年まで八十万四百三十七名、こういうことが答弁されております。さらにその後ふえておると思いますけれども、現在どのくらいの数字になっているかお答え願いたいと思います。
○松井説明員 お答え申し上げます。 いま石母田先生が御指摘のように、四十七年までの数字につきましては、訓告、注意等を含めますと八十万四百三十七名、こういう数字に相なっております。その後の状況につきましては、三公社五現業を共通いたしました処分の合計としては手元にいま持っておりませんが、四十八年についてそれぞれの企業体別に申し上げてみますと、懲戒処分の合計といたしましては、国鉄につきましては一万二千八百三十六名、次に電電に参りますと、四十八年につきましては千三百七十九名、専売につきましては四百八十四名、郵政につきましては五百二十名、林野につきましては四百九十一名、印刷につきましては四十九名、造幣につきましては三名、アルコール専売につきましては三名、こういう数に相なっております。
○石母田委員 これらの数を合計しましても少なからぬ人々が、何十万という人々が処分され、そのときも私指摘しましたように、こういう人々は自分の昇給あるいは昇格にも影響する、また遺族年金にも影響いたしますから、本当に一生の間こうしたものがつきまとうということであります。こういうことが行われるということを承知の上でもこうした事態が繰り返されておるという問題について、もっと真剣に、その根本的な原因は何か、こういう問題で、労働者の労働条件の根本的な改善ということについての政府並びに公共企業体のこれに対する姿勢というものが改められませんと、私は、そこに切実な生活要求がある、労働条件の改善の要求がある、この問題が第一だと思っております。この点に関して、労働大臣はそういうふうに考えているのかどうか、初めにお答え願いたいと思います。
○長谷川国務大臣 いま挙げられた数字を聞いても大変なことでございますが、それだけにまた公制審が八年間もかかって研究してなお結論が出ない。そして昨年の四月からただいま関係閣僚協で御研究をお願いしているということでございまして、いろいろな問題などを専門委員かれこれで御研究いただきまして、秋までに結論が出まして、そして労使の悪循環のこういう動きというものがなくなるように、私は、その間にある問題が一つ一つ解明されて、そういう信頼の上に労使の関係が円滑にいくことを期待して、また結論を待っているものであります。
○石母田委員 私がさっきから言っておりますように二つの大きな原因があるのですよ。もちろん、いまあなたが言われた労働基本権の回復の問題、これも一つあります。その前にこういう人たちが出している要求があるのです。賃上げの問題もあるでしょう、いろいろな問題があるでしょう。そうした問題についての解決がされればストライキなんという問題は起きないし、あるいはいろいろ出てこないわけでしょう。ストライキそのものが目的じゃないのだから、その要求を通す手段として出てくるわけですから、その要求の解決にもっともっと真剣に取り組んでもらうということでなければ、労働基本権の解決ができる秋までの間に何らの対策も講じないというのでは、今度の春闘はやりっぱなしにやらせる、こういうことになりはしないか。そうではなくて、この春闘の中に出されている公共企業体なら公共企業体の労働者の要求に真剣に耳を傾け、それについての解決を緊急に図っていくということをもう一度労働大臣からお答え願いたいというふうに私は思うわけであります。
○長谷川国務大臣 賃金の問題は労使関係の問題でございますが、もう一つは――当事者能力の話は別に賃金の問題という話もありましたが、さらにその場合考えられることは当局の当事者能力の問題、その場合には国会の予算権の問題、ある場合には親方日の丸的体質が、国民の税金が、経営に一体どう響いていくかという問題もありますし、さらにはまた、賃金に関係のないところの制度要求で違法ストをやることによって、そして特別に混乱させ国民を心配させる、こういう問題もあることも否めないと思うのでありまして、こうした一切の問題などを解決するためには、やはりことしの秋の閣僚協の結論というものを期待しているというところが本当のところである、こう思っております。
○石母田委員 まあ知っていて言っているのだろうと思いますけれども、御承知のように完全に当事者能力を与えているわけじゃないでしょう。国鉄の賃金問題にしたって、予算についてもいろいろな関係から皆さん方が、いまはしなくも発言したように、親方日の丸とかいろんな言葉で関与をしておる。こういうことが解決を非常におくらせている原因にもなるということで、当然これは公共企業体が払うべき努力が主たるものですけれども、あわせて政府としても努力しなければならぬということを言っているわけです。 さて、いまあなたが言われているこの秋までには結論を出すというスト権の問題について、春闘共闘委員会との間に五項目の了解事項ということで出されたわけですけれども、この秋までに結論が出るという見通しについて、まずお伺いしたいと思います。
○長谷川国務大臣 先ほどからほかの委員さんからも御質問ありましたが、何さま八年間もかかって公制審で結論の出ない問題であるだけに、それぞれ専門委員の方二十名を委嘱申し上げまして、従来は経営形態の問題について論ぜられ、そしてまた最近はスト権の問題に入って熱心に御協議をいただいておる、また政府もその結論を秋までと国民にお約束したことですから、どういう結論になるか知れませんけれども、それをお待ち申し上げておる、こういう形で私たちは真剣にその結論というものを待っている次第でございます。
○石母田委員 その内容について、いまは経営形態の問題ということで出されていますけれども、この経営形態というのは民営とかそういうことを含めたことを指しているのだろうと思いますが、経営の形態によって、民営ならば民営に移してスト権を持たせる、そうでないところはどうだとか、こういうことに関係する論議ですか。
○吉野政府委員 経営形態の問題の話でございますが、公制審の答申に、いま先生がおっしゃいましたように、公共企業体関係、三公社五現業等の労働関係は、事業の性格や経営形態、国民生活に与える影響から見て、単に労使関係の観点からのみでなくて経営形態のあり方も含めて広く検討すべき問題を含んでおるというくだりがあるわけですが、われわれの方といたしましては、この答申に沿いまして、答申を尊重するというのが政府の方針でございますから、そういう方向で検討しておりまして、経営形態の変更は民営の場合もあるし、あるいは公共企業体と民営との間ということも考えられようかと思っております。
○石母田委員 いまの審議の過程の中で、また、あなたたちが考えている中で、民営という場合は、大体この中でどういうことが一番可能性として検討されているのか、あるいは公共企業体と民営との間というような問題で考えたら、どの業種と言うとおかしいけれども、どういうものかということがわかったら教えてください。
○吉野政府委員 経営形態のあるべき姿について、いろいろ専門委員の間で御議論をいただいておりますが、どの業種というのは、どの企業についてどういう形でというところまではまだ話が進んでおりません。
○石母田委員 そうすると、新聞に名前が出ているというのはあなたも読んだことがあると思いますけれども、そういう名前は国会で発表できないと言う。あるいは新聞社がどこからかそういうことを聞いてきたのかもしれません、あるいは憶測でやっているのか知りませんけれども、あなたはどう思うのですか。
○吉野政府委員 新聞のお話でございますが、大分前のときのお話だったかと思うのですけれども、われわれの方で公式、非公式、そういう問題について触れたり、あるいはお聞きしたりしたことはありません。
○石母田委員 そうすると、専門委員会の中では名前は一切挙がってないと……。
○吉野政府委員 われわれの懇談会におきましては挙がっておりません。
○石母田委員 それでは、この専門委員会の内容の問題で、いま「当面の検討の方向」というメモを取り上げて討議されているということですね。そして、ここで主としてやっておられるのは、公共企業体の経営の現状、それから労使関係の現状、それから公共企業体の自主性の限界、つまり当事者能力の問題、それから公共企業体の経営形態の問題、こういう四つの問題が中心になっているというふうに思いますけれども、そう理解してよろしゅうございますか。
○吉野政府委員 労使関係の問題もそれに加わっておると思います。
○石母田委員 いま言ったつもりです。
○吉野政府委員 はい、そのとおりでございます。
○石母田委員 これに関して、メモを経営者並びに組合に出しておられますけれども、これの意図はどういう意図ですか。十一月三十日の内閣官房副長官の名前で出したこのアンケートですね。
○吉野政府委員 閣僚協議会の専門委員懇談会で、こういうようなメモに沿いまして委員の方々勉強をされておりますし、その際に、いろいろ議論、質疑が行われました。専門懇におきましても、労使双方から、こういうような事項につきまして意見がおありだろうと思いますので意見を聴取する、いま申しました労使双方がどういうふうに考えられておるかということを聞く、そういう意味でございます。
○石母田委員 この検討の内容が、一体スト権当事者能力という問題は、一つは委嘱されている事項の中に入りますからわかりますけれども、こういう経営の現状とかその他の問題について、一体どういうかかわり合いがあってこういうことを調べるのか。たとえば、経営状況が赤字だというところは、スト権に対して制限するとか認めないとかという問題で一体こういうことを討議されているのかどうか、そういうことについてもお話し願いたいと思います。
○吉野政府委員 公制審の答申の話にまた戻るわけでございますが、争議権の問題について結論が三論併記に終わった。その理由は何かということが書いてあるわけですけれども、一つは、労使関係の問題をどう認識するかという問題、次は、事業の停廃が国民生活にどういう影響を及ぼすかという問題、それからもう一つは、事業予算に対する国会の審議権確保の必要性の問題、それから、事業の経営主体が国であることに伴い、経済原則による争議行為の抑制力が不足するという、いわゆる親方日の丸でございますが、そういう親方目の丸の問題も含めまして、この四項の事項が認識が割れておったところで、要するに三論併記に終わったということを書いてあるので、そういうことでございますので、この四点をよく頭に置きながら、三公社五現業のあるべき姿を検討しなさい、こういうことになっておりまして、その線に沿って懇談会では御検討いただいておるわけですけれども、いま申しました親方日の丸の問題――言葉はいい言葉かどうか知りませんけれども、そういうことを研究していただく際に、あらかじめ各企業の概況というものを頭に入れておく必要があるということで、こういう事項がメモに入っておるわけであります。
○石母田委員 あなた再三親方日の丸というような言葉を使いますけれども、これはメモやアンケートにも括弧づきになっておる言葉でして、この「国営、公企体営の場合の「親方日の丸」の排除の可能性」こういうことは閣僚協議会、これは公的なものですね、こういうところでこうした表現が使われるということ自体、私非常に疑問を持っておるわけです。こういう問題はいろいろ評価がある問題ですよ。世間一般の中で、いろいろなためにする人たちの中から出てくる言葉もあるし、あるいはまた当然国が責任を負わなければならない部面もあるのです。ですから、簡単にこの「親方日の丸」なんて言葉をこうした公的なものの中に、しかも閣僚協議会の事務局長ですか、官房副長官の名前で出しておるアンケートの中にこうした表現が含まれておるということはきわめて不当だ、こういうふうに私は思っております。特にこの内容が一体どういう内容を指すのか、この点についてはっきりお答え願いたいと思います。
○吉野政府委員 メモをつくる際に、長い言葉を使うのを避けるという言味で「親方日の丸」という言葉になったわけですが、いま申しましたように、この公制審の答申に書いてありますように「事業の経営主体が国であることに伴い経済原則が適用されない点」こういうように書くことも一つの方法であったのですけれども、メモでありますので短くするという意味で、あるいは語弊を生ずるかもしれませんけれども、「親方日の丸」という言葉を使ったのでございます。
○石母田委員 いまの話を聞いていて、きわめてそういう――前に言った言葉はわかりますよ。それを親方日の丸にするかどうかというのは評価の違いがあって対立点がある問題ですよ。それを、あたかもこういうものがあるかのごとく前提にしてやるということは、そうした対立点を意識しながら一方的な言葉をこういう公的な文書の中に使うということは、私はきわめて不適切だと思いますけれども、これは労働大臣、こういう言葉を公的な文書――閣僚協議会のあれだから、あなたも関係なしとはしないのですよ、こういうものが公的な文書に書かれるということは非常に不適切だと私は思うのですが、これはどうですか。
○長谷川国務大臣 私はまだこれいただいていないのです。専門委員かそちらの方で御検討のことでして、いまここで初めて聞いたわけで。
○石母田委員 そんなむずかしい問題じゃないのですよ。「親方日の丸」という言葉で括弧づきで、つまり国が経済の責任経営の一半の責任があるということで、それにおんぶしていろいろな問題が出てくる弊害のことを、弊害というかそういう問題を、括弧づきでこういう「親方日の丸」というのに簡略化したと言うけれども、これが親方日の丸というものであるかどうかは、あなたも御承知のようにこれは労働組合が納得する言葉じゃないでしょう。そういう対立的な言葉を一方的に政府のそういうものを審議しているところ、そこの検討の中に、公的な文書に入れるということは、これは適切か不適切かということは、見ても見なくてもわかるし、簡略化すると言ったのだけれども、簡略化するにもやはり仕方があるし、これはやはり不適切だと思うということだろう。適切だとは思わないでしょう。これはどうですか。うなずいてばかりいないで、その辺ちゃんと……。
○道正政府委員 国会で御質疑があったときに、私どもも「いわゆる」という言葉をつけますけれども、いわゆる親方日の丸というようなことで、そういう表現でお答えしていることは間々あるわけでございまして、いいかどうかの御議論はあろうかと思いますけれども、わかりがいいという意味では親方日の丸というのがわかりがいいという面もございまして、これを使ったからすべていかぬ、けしからぬという問題かどうかということは、私は問題があるのじゃないかと思います。
○石母田委員 時間のないことを考えてやっているけれども、少なくとも内閣官房副長官の名前でこういうものを出すのに、こんな親方日の丸があるかないかというところでいま論議している問題で、それが公平にいま一応審議しようというところで、親方日の丸を前提にしてこれの排除の可能性だとかということを出すのはこれは不適切、完全に一方的な立場に立っているわけだからね。こういうものはこういう公的な文書では使わないようにするという配慮が望ましいですよ。そういう点まであなた居直るんだったら――あなたどうなんです、あなた当事者だから。
○吉野政府委員 先生の御意見ありましたこと私よく意味はわかりますので、実はここメモにつきましては、専門委懇談会に出しましてこういうことで検討をしようと思うけれどもということで出したわけです。だからこそそれはメモになっておるわけですが、今後こういう言葉を使っていいか悪いか、先生の意見がありましたので、よく今後の際につきましては、そういうコメントを加えて御検討なり御審議などをうちの方でやっていただきたいと思っております。
○石母田委員 コメントを加えたってだめなものはだめなので、こういうものはやはり使わないということなんだ、はっきり言いなさい。 それで、時間がないから次に進みます。私が問題にしているのは、経営問題とスト権問題というのは性格の異なる問題なんだよ。赤字のところに、経営の悪いところにスト権が制限されて、そうでない――これはスト権を行使する場合に労働者がそういうものをいろいろ配慮するということ、これはあるわね。しかし、本来持っている労働基本権というのは、いわゆる経営の内容がどうだとか経営状態がいいか悪いかなんということとは、これは本来性格が異なる問題なんだ。道正さんうなずいているからちょっとそうでしょう。これは基本問題だな。
○道正政府委員 スト権の問題を含めまして現在閣僚協で御検討をいただいているわけでございます。したがって、その内容に立ち入っていま私が申し上げるのはどうかと思いますが、経営問題とやはり密接にかかわる問題であることはこれは否定できないと思います。したがって、経営問題を閣僚協で公制審の答申に従ってまず最初にお取り上げになったということは私はむしろ当然であって、いままでスト権の問題が必ずしも明確な結論が出なかったゆえんのものも、そういう基本的な問題とのかかわりなしにとかく議論がなされるということもあったんじゃないかと思いますので、われわれとしては、閣僚協で経営権の問題、次に当事者能力の問題が議論されまして、いよいよ三月からスト権の問題に入るわけでございますので、そういう三つの問題を相互関連づけながら公正な結論がいただけるものというふうに期待しているわけでございます。
○石母田委員 これは重大な見解だから、私はあともう四、五分しかないからこれは論争しない。しかし私は絶対納得できない。そういう経営の状況によって労働者が持つべき基本的な権利が左右される、かかわりがあるという言葉はいまきちんとしておくから、これは憲法上の問題、いままでの労働法の問題について私は初めて聞いた見解なので、労働大臣、いまの道正氏の言ったことを政府もそうだということを確認するなら確認して――ちょっとあなた黙ってて。もうあと時間かないから、いま言ったこと聞いたでしょう。そういうことについて、私は一般的に聞いているんだ。この公制審の専門委員会の内容でどうのこうの言っているのではなくて、スト権と経営の問題とは本来性質を異にする問題だ、経営の内容の状況によってスト権の行使の問題、これは労働者の方でいろいろあるでしょう、しかし、スト権という基本権、権利の問題はそれにはかかわりあるものじゃないというふうに私は思っているのだけれどもということの質問に対して、重大なかかわりがあるんだということですから、そのことだけきちんと確認して、あとで私は論争するときにあれします。
○長谷川国務大臣 ただいまの質疑をお伺いして、やはり日本じゅうのベテランが集まって公制審で八年間もこの問題で議論をして、そして結論を得ないでここに渡されたのだし、重大な相関連した問題がある、私はこう思っております。
○石母田委員 とにかく、このスト権問題を中心に誠実に検討を進めていただきたい。横道に入らないでやってもらいたい。いまの問題については保留して、いずれかの機会にやりたいと思います。 それから最後に、これは公共企業体じゃないんだけれども、非現業の方の公務員の問題で、この間の三月十一日の朝日新聞に団結権の問題で「①職員団体の法人格は、現行の登録制度と切り離して付与する②登録の取り消しは、裁判所への出訴期間中、裁判所に係属中は効力を生じさせない③管理職員の区分については、労組法二条に準じて、規定を整備する」この三項目について検討して、大体この答申どおりに実現することを了承したということを、これは公務員問題連絡会議というところで大体了承したという発表がありますけれども、このとおりであるかどうか、お伺いしたいと思います。
○松井説明員 お答え申し上げます。 公務員問題連絡会議は三月十日に開催されまして、大要先生のおっしゃいました内容のものを決定したわけでございます。柱書きで申しますと、職員団体等に対する法人格の付与について。次に、職員団体の登録の取り消しの問題について。その次に、管理職員等の範囲について。これはいずれも公制審で非現業の関係として指摘のあった問題点でございます。
○石母田委員 これは団結権はいいんだけれども、スト権と団交権についてはどういうふうになっているのですか。
○松井説明員 この公務員問題連絡会議の検討内容につきましては実は人事局が所管しておりますので、その細部にわたった点は私の意見を申し上げるところではないのでございますが、ここで決定いたしました事項は、非現業の職員の団結権の問題を中心といたしておるものでございます。
○石母田委員 じゃ、これは労働大臣、あなた閣僚の一員として、いまちょうど非現業の問題で団結権については一定の前進がありますけれども、いわゆる労働基本権と言われているスト権、団交権を含めた問題については内容は触れておらないので、この問題についても一体のものとして真剣に討議していただきたい。これと切り離して解決するというやり方はきわめて不当だと私は思いますので、この非現業の公務員の問題については団結権とともにスト権、団交権も含めて解決されるようにお願いしたいと思います。これはどうですか。
○松井説明員 お答え申し上げます。 公務員制度審議会の答申におきましては現業と非現業と、争議権の問題については分けまして、非現業の職員につきましては御存じのとおり三つの論を書いたわけでございますが、それにつきましての検討の方向、これにつきましては格別意見をつけていないわけでございます。これに対しまして現業の関係につきましては、御存じのとおりの三輸併記の次に検討の方向を示唆しておる、こういうような仕組みになっております。それでこの公制審の現業の問題については、この争議権の問題の処理につきまして閣僚協が設けられたわけでございます。一方、先ほど申し上げましたとおり非現業の部分につきましては格別検討の方向が示唆されていない、こういうふうに相なっております。
○石母田委員 そういう実態ですから、最後に労働大臣、ぜひ切り離さないで、これも一緒に検討する方向で、これはいま団結権だけをけりをつけたけれども、あと全部検討することになっているのだから、検討するようにやってください。労働大臣いいですか。最後にあなた答弁してください。
○長谷川国務大臣 組織は違いますけれども、それぞれに検討されることだと思いますので、前後の事情をよく研究してみたいと思います。
○石母田委員 質問を終わります。
○大野委員長 これにて公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案に対する質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○大野委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
○大野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
○大野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 ――――――――――――― (報告書は附録に掲載) ―――――――――――――
○大野委員長 午後一時三十分再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時十一分休憩 ――――◇――――― 午後一時三十二分開議
○大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森井忠良君。
○森井委員 まず最初にお尋ねをしたいのは、この法律、昭和三十四年にできておるわけでありまして、かなり古いわけでありますが、もう一度初心に返る意味で、法制定の目的等についてお答えを願いたいと思います。
○東村政府委員 この法律は御指摘のように昭和三十四年に成立しましたが、この目的は、第一条にございますように「中小企業の従業員について、中小企業者の相互扶助の精神に基き、その拠出による退職金共済制度を確立し、もってこれらの従業員の福祉の増進と中小企業の振興に寄与することを目的とする。」とうたわれております。
○森井委員 そんなことはわかっていますよ。だから、法律の条文を読めと言ったのじゃないわけでして、つくったときの目的、具体的な大企業との関係等で、退職金の面についてもかなりおくれているというふうなことが判断できるわけでして、そういった点について、この法律をつくってどういうふうな政策目的で実施をしようとするのか、その辺についてはっきりしてもらいたいと思うわけです。 〔大野委員長退席、竹内(黎)委員長代理着 席〕
○東村政府委員 法の目的は、ただいまお読みしたとおりでございますが、ただいま先生御指摘されたように、その言わんとするところは、通常の大企業等におきましては退職金制度がかなり行われております。ところが中小企業になりますと、なかなか退職金制度を持ち得ない事業所もございます。そういう独力では中小企業として退職金制度が持ち得ないところあるいは不十分にしか退職金制度が行えないようなところ、それらが相集まって共済システムによって退職金制度を実施する、かようなねらいでつくったわけでございます。
○森井委員 つづまるところは、大企業の従業員は退職金制度もしっかりしておって、したがって、いまの日本の社会経済の状態からいけば退職金というものは切っても切り離せないわけでありますから、大企業の従業員については、十分とは言えませんけれども、きちっとした退職金の制度があって、極端に言いますと、いつやめても一定の期間は退職金で食いつなぐことができるし、あるいはまた日常の賃金ではとても回らなかった、たとえばマイホームの夢等がこれで実現をできる、そういう意味では、中小企業と大企業を比べますとずいぶん差があるわけでありまして、勢い労働力もそういう意味で大企業に流れる。したがってそれを、中小企業の処遇をよくすることによって中小企業へ労働力を導入をするというふうなもろもろの目的がある。そういう意味でこの法律が制定をされた、こういうように理解をしていいですか。
○東村政府委員 そのとおりでございます。
○森井委員 そうしますと、先ほど申し上げましたとおり十六年近くもなるわけであります、昭和三十四年でありますから。いまあなたが言われたような、あるいは私が指摘をしましたような問題については解決をしておりますか。
○東村政府委員 これは退職金制度だけの問題ではございません。もちろんその一つの大きな要素にはなると思うわけでございますが、したがいまして全体的に中小企業、大企業の関係等基本的な問題がございますので、なかなか先生御指摘のようにはまいりませんが、やはり中小企業の退職金の観点からできるだけその改善を図っていきたいという努力をしているところでございます。
○森井委員 努力をしておると言われましても、まことに言いにくいのですけれども、努力は多といたしますが、現実の問題としてはその効果が余り出ておらないのじゃないか。たとえば私の手元には四十八年度までの資料しかありませんけれども、共済契約者数についても、発足当初は別にいたしまして、昭和四十三年度にようやく共済契約者数が十万を超したわけです。現在十五、六万というところでしょう。非常にテンポが遅い。もちろんこれは被共済者数についても百方を超したのが四十年度、そしていまもう昭和五十年でありますけれども、その間でまだ五万もふえていないというふうな状態なんですね。ですから、あなた方の努力の割りにふえていない。これはどこに原因があると思われますか。
○東村政府委員 退職金制度の被共済者数でございますが、ただいま御指摘ございましたように、中小企業退職金共済事業団関係、つまり一般の共済制度におきましては現在百四十七万七千何がしとなっております。これは全体の対象になる中小企業者から見ますと一〇%前後でございます。ところで、一〇%という数字は推定でございますが、先ほど申し上げましたように、この制度は退職金を制度として持っておらないところ、そういうところが中心となって退職金を共済制度でやっていこう、こういうたてまえでございますが、そういう観点からもう一度考えてみますと、退職金制度を有しているのが三十人以上百人未満の企業では約九割でございます。つまり一割が退職金制度を持っておらない。その一割というところにこの制度がどこまでまず当面浸透していくかということに相なるかと思います。いずれにいたしましてもこれは任意の制度でございますので、先生御指摘のようにそれほどはかばかしくないとおっしゃればそうでございますが、ただいま申し上げましたように退職金制度を持っていないところの被共済者を何とか退職金制度の一つの恩典といいますか、利益にあずからせようという制度でございますので、全体の一割という数字もそういう意味では一つの前進ではないか、かように考えておるわけでございます。
○森井委員 ちょっとはっきりしなかったのですが、そうすると、この制度の対象になる企業というのは、いま加入が非常に少ないわけですけれども、一体本来ならどれくらいあるものですか。
○東村政府委員 ごく大ざっぱに推計いたしますと、約二百万でございます。それからなお労働者の方について言いますと千五百四十万前後でございます、対象となるものは。
○森井委員 対象となるものという意味は、あなたが先ほど言われたように、従業員数その他もありますけれども、要するに退職金の制度を持っていない企業と理解していいわけですか。そこのところがはっきりしなかったわけだ。
○東村政府委員 それは、この法律において、規模三百人以下云々という区切りがございますが、そういうあれを切ってみたところの日本全体でございます。したがいまして、その中で一割ぐらいが退職金制度を持っていないという意味でございます。 いま私申し上げました百四十七万被共済者がおるといいますのは、いまの法律で入り得る、そういう法律上可能性のある企業の労働者千五百万人の一割前後、こういう意味でございます。
○森井委員 まだはっきりしないわけですがね。これはぼくの方もはっきりしないのかもしれませんが、あなたの方もはっきりしていないんじゃないの。 具体的に一千数百万という従業員が該当企業の中にいるということについては、はっきりあなたの口から出た。これは恐らく使働省から出た資料だと思う。その中で、退職金を支給するという制度を持っている会社は幾つあるのですか。これはこの前の法改正のとき、四十五年ですけれども、指摘されて、速記録を見ますとはっきしていない答弁がしてある。しかし、それから五年もたって、本当に法律の恩恵に浴さなければいけない労働者が幾らありあるいは共済契約者がいるのか、共済契約者とみなされる企業があるのか調べてないのですか。
○東村政府委員 いま申し上げました一応法律の適用がある事業場がございますが、そのうちで退職金制度があるものとないものがございます。で、これは規模別にいろいろ出ておりますが、三十人以上九十九人までで制度があるのが八八・五%、制度がないのが一一・五%、それから百人から二百九十九人、これは制度があるのが九五・二%、制度がないのが四・八%、つまり三百人未満の事業場においては、約一割程度の事業場で制度がない、こういうことになるわけでございます。
○森井委員 どうもこんなことで時間とって恐縮なんですけれども、これははっきりさせる必要があると思うのです。 そうすると、現在の加入者数、これはいまあなたが言われた、この共済制度に加入をしてもらいたい企業や従業員の数から見れば、どれくらいの比率になっているわけですか。
○東村政府委員 先ほどちょっと割り切り過ぎた申し上げ様をしたかもしれませんが、全体の事業場ないしは全体の労働者――この全体というのは法の適用のあるという意味ですが、それの一割くらいが制度がないところの事業場ないし労働者である。そこで、この法律の本来の趣旨は、制度のない事業場について何とかその制度をみんなで寄り集まってやろう、こうやったわけでございます。しかし、それだけでは十分ではございません、制度があってもこういうものを利用するということは、十分必要なわけでございます。したがいまして、この一〇%というのは、一〇%になればもうそれでおしまいであるというふうにお聞き取り願ったとすれば、それは誤りでございます。ただそれが対応をするという意味でございまして、その一〇%を軸にしてさらにふやしたい。どのくらいふやすかということは具体的に数字ございませんが、当面の一つの区切りが一〇%程度だろうという気持ちで申し上げたのですが、さらにふやしたいということはもう当然でございます。
○森井委員 いずれにしてもはっきりした数字が話してもらえないわけでありますけれども、設立当初は、たとえば共済契約者数について、やがて近い将来、ものの十年もたてば二十万以上になるよというふうな当時のお答えがあったようですね。しかし率直な気持ちを言えば、思ったほどふえていない。特に最近は足踏み状態である。 私が言いたいのは、もうこれ以上はふえる要素がないんだ、逆に言えば退職金の制度を確立しておって、幾ら鳴り物入りで宣伝をしても該当企業数なりあるいは従業員数というのはこの程度のものだということなのか、まだふやせば、たとえばこの倍ぐらいになるんじゃないかということなのか。ここのところが明確に知りたかったわけです。しかし、これはおそらくあなた方もまだ正確な数字ははじいていらっしゃらないと思いますので、一応もっと精査をしていただきまして、それは大企業のような退職金制度を持っているところは入れと言っても入らないわけですから、労働省の目で見て、退職金制度はあったにしてもこの制度も利用した方がいいという企業数が正確に幾らあるのか。これはあなた方の戦略目標に通じるわけですから、ここまでは加入者をふやしたいということになりますので、ぜひこの機会に明確に調査をしていただきたいと思うけれども、いかがですか。
○東村政府委員 おっしゃるように一つの計画を持って問題を進めるという意味において、先生の御指摘のようなことを、数字はなかなかむずかしいわけでございますが、検討してみたいと思います。
○森井委員 ところでいま大企業の退職金制度――もう退職金そのものについての議論はここでいたしません。それは日本で特殊なものでありまして、諸外国のように社会保障制度との関連その他、まだまだ立ちおくれがずいぶんありますから、いま退職金は先ほど申し上げましたような意味では必要なものだという前提に立ってお聞きをするわけでありますが、とりあえず、日本の大企業でいまどのくらいの退職金の数字になっておるのか、できれば二十年と三十年ぐらいでお知らせを願いたい。
○東村政府委員 ただいまの御指摘は、大企業と中小企業いろいろございますが、中小企業で申し上げますと、四十六年の数字でございますが、規模三十人から九十九人、これを中卒、高卒、大卒と分けて申し上げますと、中卒で会社都合九十二万九千円、それから高卒で会社都合百二十三万円、大卒で二十年、会社都合百五十四万円。規模がやや大きくなりまして百人から二百九十九人では、中卒二十年で会社都合百十七万、高卒で百三十九万、大卒で百七十五万。いろいろ数字はございますが、ごく大ざっぱに申し上げるとそういう数字でございます。
○森井委員 四十六年ですか、それは。
○東村政府委員 四十六年です。
○森井委員 私は言いたくはないのですけれども、大臣もおいでですから。衆議院の調査室が出してくれた資料でも四十八年まであるのですよ。くどいようだけれども、やはり調査について、もう少し正確なものを出して行政を進めていただかないと非常に困るんじゃないか。いずれにしても、いま読み上げられただけでも、この中小企業退職金共済事業からすればうんと開きがあるわけですね。一番新しい資料でいいですから、ということになると四十八年度ですか、四十八年度は、一人当たりこの制度で幾ら退職金が渡ったことになりますか。
○東村政府委員 一人当たりといいますのは、全体の平均になるわけでございますが、これは約七万円でございます。
○森井委員 お聞きのようなことで、大企業の場合は何百万円、いま話がありましたように、私の手元ではじいてみますと、明和四十八年でこの制度によりますものは八十五億円ばかり、十二万三千六百人余り、退職金として行き渡っておりますから、いま御指摘の七万円という数字は合うわけでございますが、これでは名前が泣きはしませんか。中小企業退職金共済事業という形になっているわけですけれども、七万円で退職金と言えるのかどうなのか。ですから、この制度、今度の場合最低の掛金が四百円から八百円に上がるわけですけれども、そして四千円が今度一万円になるわけですけれども、大企業とぴったり同じにしろということは、現状やむを得ないにしても、せめて大企業の半分くらいまでいこうとすれば、どのような努力を重ねなければならないのか、ここのところをひとつお聞かせを願いたいと思うのです。
○東村政府委員 ただいま私七万円と申し上げましたのは、全体の支給額とそれからそれを受けた人の割り算でございます。それは、御承知のとおりこの制度が発足以来日非常に浅いわけでございますので、その七万円と申しますのも、ごく大ざっぱな計算によりますと、勤続年数約五年前後の退職金に相なるわけでございますので、先ほど申し上げました二十年の退職金、大企業の退職金とはちょっと比較ができないわけでございます。その点をひとつ御了承願いたいと思うわけでございます。 一般の退職金と比較してどういうことになるかという問題でございます。現行制度、つまり改正をされないいまの制度では、大体二千円から三千円程度の掛金に対応する給付が全国的に見た一般の中小企業の退職金水準に匹敵するというふうに考えております。しかしそれでもまだまだ一般の水準が上がりますので、そういうことを考えて今回の改正を考えている。もちろん大企業、千人以上の企業等に比較すれば見劣りはしておりますが、やはり一般の中小企業ないしそれを頭に置きながら改善をしていこう、こういう姿勢でございます。
○森井委員 最低掛金、これが国庫補助の対象の金額になるわけですけれども、四百円を八百円にした理由というのはなんですか、数字的な根拠。
○東村政府委員 それは、昭和四十五年の際に参考にいたしました賃金水準であるとか退職金であるとかが、現在の時点で考えてみますと約二倍になっているということで、四百円を八百円にした、かようなことでございます。
○森井委員 掛金の状況を見ますと、現在の加入者の状況から見ますと一番多いのが千円ですね。層が厚いのは、千円を掛けている人が一番多い。二番目が二千円、三番目が四千円、最低の四百円というのは四番目くらいにランクされておりますね、加入者の実態からすれば。少なくとも六五%以上はいま申し上げました千円から四千円の間、こう見ていい。そうすると、四百円を八百円に直されたというのはどうも根拠として薄いんじゃないか、私はこういうふうに考えますが、どうですか。つまりもっと、少なくとも一番多い層である千円まで引き上げていいのじゃないか。国庫補助等の関係があるから意図的に落とされたのかどうかわかりませんけれども、私どもの常識で考える限り、四百円を八百円にするというのは、いとも後追いであって、もう少し引き上げていいような気がしますけれども、その点いかがですか。
○東村政府委員 ただいま申し上げましたように、これは賃金水準の上昇や退職金の増額に一応見合ったようなかっこうで二倍程度にしたわけでございます。ただこの二倍程度に、つまり四百円を八百円にいたしましても、それ以下の者が、いま先生御指摘の中にもございましたように、かなりございます。千円未満の者だけ見ましても、約二〇%強が現在千円未満の掛金に相なっております。したがいまして、一挙に上げるとそういうところで無理が生じますので、一年間の猶予期間を設けて四百円から八百円に引き上げようという配慮もしておるくらいでございますので、やはり四百円を八百円にする程度が至当ではないか、かように相考えるわけでございます。
○森井委員 そうすると八百円最低といいますか、実はこの制度は最低を掛けるのを非常に奨励しているようでありまして、最低の部分しか国庫補助金をつけないわけですから。あとは、千円掛けても二千円掛けても、補助金がつくのは八百円の部分だけです、いままででしたら四百円の部分だけですから。こういう矛盾があるわけですね。ですから、はっきり申し上げますと今度は最高が一万円になるわけですが、しかし実際には八百円の部分までしか恩恵がないという形になっているわけでして、その意味できわめて私は問題があると思うわけなんです。しかし、それにしても、それでは八百円掛けて仮に三十年、これは学歴も何も大企業と違って、ないわけでありますから、三十年掛けたら幾らになるのですか。
○水谷政府委員 今度の改正案のとおりに掛けたといたしまして、八百円掛けて三十年掛けますと、百一万六百六十円という計算になります。
○森井委員 三十年掛けて百万でしょう。私は改めて数字は申し上げません、大企業ではもう幾らになるかということは申し上げませんけれども、八百円では少なくとも恐らく十分の一近い金額にしかならないのじゃないか。当初の目的に返って申し上げますと、大企業との格差を縮めるとか、いろいろ言われていますけれども、こういった金額で一体いいのかどうなのか。したがって、大企業並みの金額を掛けようとすれば――もう一度お伺いしたいわけでありますが、八百円じゃないと思うのです。八百円で三十年だったら百万円ですから、したがってほぼ大企業並みに掛けようとすれば月々幾ら掛けなければいけないことになりますか。
○水谷政府委員 大企業の退職金といいますと、先ほど先生が言われました四十八年の中労委の千人以上についての調査ですが、大体これが一つの基準になるかと思いますが、これでいきますと、三十年勤続で、学歴別にいろいろの違いがございますけれども、中卒の場合で、定年扱いの場合で五百万円ですか、自己都合の場合で四百四十九万一千円というような数字が出ております。これに見合う数字の掛金というのは、四千円を三十年掛けますと、四百六十四万九千円になりますので、大体大企業に見合うものとしては四千円の掛金を掛けるということになるわけでございます。
○森井委員 そうしますと、労働省としては、勧誘する場合は、指導としては八百円じゃなくて四千円をお掛けなさいという指導をするのですか。
○東村政府委員 制度の本旨が任意加入でございますので、どのくらい掛けろということはなかなか言う立場ではございませんが、四百円というものを八百円に上げるのに対して、上の方は一万円にしたという趣旨は、やはり高いものを退職金の給付として出したいという事業主の一般的な気持ちでございますので、それに対応するようなかっこうで、下を上げるよりも上の方の幅を大きく上げたという趣旨でございますので、私どもとしては幾らにせいということはなかなか言えませんが、高い掛金を掛けて加入するということを期待するわけでございます。
○森井委員 そうすると、最低の八百円しか国庫補助をつけないというのがどうしても私はひっかかるわけですね。本来でいきますと、これは当然、繰り返し申し上げますが、大企業並みとまではいかなくても、それに近いような制度でなければならないわけですね、退職金については。先ほどの御答弁の中で、そのためには少なくとも月四千円掛けなければならない。そうすると、四千円まで掛けた人にむしろ国庫補助を最高に与えるべきであって、一番少ない方へ国庫補助を充てるということになると、あなた方の気持ちとうらはらに制度としては逆じゃないですか。
○東村政府委員 こういう任意の制度に対して国庫補助を出すということ自身が一つ新しい前進だったと思うわけですが、いま御指摘のように高いところに出したらどうかというお話でございます。それも一つの考え方でございますが、やはり中小企業等で負担能力が足らないところでせっかくこういう制度を利用しようというところに対して考えたということでございます。ただ、長期に在勤した人に対しては、短期で退職する人の分をやや抑えまして、長期の人が比較的有利になるようにというのがこの退職金カーブの立て方でございますので、そういう意味では、長期に在勤しておやめになる人にとっては一つの恩典だと思います。 それから、先生おっしゃいました国庫補助の問題につきましては、特に長期勤続者に対してさらに国庫補助を厚くすべきではないかというお話も実はございまして、これは先ほどお話し申し上げましたかもしれませんが、審議会において将来の検討課題にして検討していこうというふうに考えております。
○森井委員 私は、最初にこの制度の問題点を幾つか指摘をして、むしろ制度としてはいいんですから、あなた方と一緒になって、いい制度をつくるためにどういう方法があるのか、その方法を模索しようということで、いま意図的に問題点を出しておるわけですけれども、どうもいまの答弁の中でもごくあたりまえになっていることがあるのですよ。それは任意、任意という言葉ですね。まさしくこれは任意の制度なんです、掛けようと掛けまいと。法律には「しなければならない。」という形になっておりますけれども、罰則も何もないのですから、おっしゃるように任意です。しかし、考えてみると従業員三百人といえばもうかなりの会社ですよね。一歩譲って二百人でもいいでしょう、製造業その他でですね。三百人というのは、大会社とまでは言わないにしてもかなりの会社なんです。退職金の制度も持たないで、それが現在の社会で通っているわけですね。ですから私は、三人や四人の小さい企業等できちっと退職金の制度を持ちなさいということはできないにしても、いま申し上げましたように、百人を超すような企業については絶対に退職金の制度を創設させるか、さもなくばやはりこれに強制的に加入をさせなければだめだ。この制度に加入しても、先ほど申し上げましたように、結果的には、最低でいけば三十年も掛けて百万円しかもらえないというような金額しか出ないわけですから、したがってこの際、制度の最大の問題はやはり任意加入か義務加入かという問題についてもう検討を加える必要がある、こういうように考えるけれども、この点いかがですか。
○東村政府委員 御指摘ではございますが、退職金制度はおっしゃるように大企業を中心にして行われておりますので、これは終身雇用制度や年功序列の賃金体系、さらには社会保障制度との関連が非常に深いわけでございます。そういう意味で、退職金を法律で義務づけて採用しなければならぬというところまではなかなか行き切れない問題でございまして、これはあくまでも労使が自主的に退職金を設けるかどうかということを検討すべきものではないかと私ども考えております。そういたしますと、自主的に決定すべき退職金を共済制度で何とか中小企業にもというたてまえでございますので、これを強制するということはなかなかむずかしい問題だと思います。しかし、退職金制度というのは、やはり御指摘のように労働条件としても非常に重要な問題でございますし、今後においてもこういう問題は従業員の福祉という面から大切なことでございますので、まあ先生のお言葉ではございますが、われわれは何とかしてこの退職金共済制度に加入をするような、そういう促進方について努力をしてまいりたい、かように考えております。
○森井委員 労働大臣、ちょっと次元は違う話になるわけですけれども、労働者が解雇される場合は、御承知のとおり労働基準法の二十条があるわけなんですが、これは予告手当一カ月分だけなんですよ。後経済的に支えるものとしては、特に中小企業の皆さんの場合は、要するに金の入る道としてはそれしかない形になっているのです。失業保険その他当然若干の制度はあったにしても、退職金の持つウエートというのはやはりいまでは非常に高いのですね、日本の場合は。しかも、最近の社会情勢からいけば、当然もう退職金もないようなところがあっていいはずはないわけです。 〔竹内(黎)委員長代理退席、戸井田委員長 代理着席〕 先ほど言いましたように、うんと零細な企業は別にいたしまして、少なくとも百人を超えるような企業については退職金の制度があっていいし、なければせめてこれで補完をしたいということになりますと、この法律の中でいま申し上げましたような企業については義務加入の部分をつくる。そうしますと、義務加入したくなければ退職金の制度をつくらなければならないという形の行政効果が出てくると思うわけですが、ひとつこの辺で、いますぐとは申しませんけれども、この制度が伸びないということも考え合わせまして、義務加入の部分をやはりつくるべきではないか。労働省の役人の皆さんはもう任意加入があたりまえだという言い方をしておられますが、私はやはり政治家の一人として、それじゃどうも済まないような気がするわけなんです。大臣、いかがでしょうか。
○長谷川国務大臣 こうして質問あるいは答弁、その間にいろいろ考えさせられる問題があるわけでして、私は自分の個人的な考えとしますと、中小企業の場合は、大企業と違って親子代々やっている人もあります。それから事業主と雇われる者の間にも毎日仕事の個人的交流というものもあります。それから、こういう不況、インフレーションのようなときに一番先に被害を受ける人々でもあります。そういうことからしますと、こういう制度がおっしゃる方向に伸びていくということが大事なことじゃなかろうかと思いますので、事務的にはだんだんの説明がありましたけれども、やはり中小企業退職金共済審議会あたりで御検討いただくというのも一つの方法じゃなかろうか、こういうことを感じております。
○森井委員 中小企業退職金共済審議会の問題でありますが、今度の改正につきましても、この審議会の答申を尊重するといいますか、答申を待って改正案が出たという感じですね。したがって、私も評価をいたしますけれども、掛金の問題であるとかあるいは期間通算の問題であるとか、そういったものについてはこの審議会の答申が非常に大きなウエートを占めておりまして、事実そのとおりじゃないかと思うくらい尊重されておると思うわけです。 この審議会のことについてちょっとお伺いしたいわけでありますが、ここの中に「制度の基本的なあり方に関する諸問題については、今後引続き」審議をする、関係労使の意見も聞くというふうなことが審議会の答申の中に盛られていますね。制度の基本的な問題についてというのは、いま私が指摘をいたしましたような問題についても含まれるのですか。一体労働省としてはどういうふうなことを議論してもらいたいのですか。制度の基本に触れる問題とはどういうものですか。
○東村政府委員 これは具体的に決まっているテーマではございませんが、一応考えられまするものは、退職金についての賃金・物価スライド制の問題、これは非常にむずかしい問題でございますが、いろいろの方面からそういう御意見ございます。それから短期離職者向けの退職金制度のあり方、つまり現在のあれは短期離職者は抑えて長期の人に厚くしようというふうになっておるわけでございます。それからただいまお話にございましたようなもろもろの問題、それから審議会の中でも二、三指摘されている問題等々がございます。
○森井委員 これからいろいろやっていただくわけでありますが、先ほど指摘をした問題以外に、これは法律で五年ごとに掛金その他について検討するとなっておりますね。言うなれば、これは年金の再計算と同じような形に位置づけられておると思うのですけれども、五年というのはいかにも長過ぎるわけですね。年金でも五年は実際問題としてはうんと短縮をされることになっていますけれども、いまのように物価の変動が非常にひどいときに、大臣、たまたま四百円が八百円になったのが五年目です。この間、御承知のとおり、石油ショックその他で大変な経済の変動がありましたし、物価上昇もひどかったわけです。そういう期間を通じて五年間という期間が過ぎたわけでありますけれども、これは今後もっと短縮をされる必要があるのじゃないでしょうか。その辺も検討課題になるのかどうなのか。
○東村政府委員 御指摘のように五年目ごとに退職金の額や掛金の額を検討する法律上のたてまえになっております。今回の改正もこの形で五年目に当たるわけでございますが、今後これは掛金の引き上げによって五年程度は一応対応し得るものとは考えております。しかし、この五年というのをきちっと固定的に考えることが実情に即しないじゃないかというような特別の事態が生じた場合には、必要に応じて改善を検討することもあり得るというふうに考えております。いずれにいたしましても、いま先生御指摘のように、審議会が今後行うこととされている基本的な検討、これも含めて考えてみたい、検討を進めてみたい、かように考えております。
○森井委員 いまの答弁ではぼくはまだ納得ができません。これは法律ではきっちり五年とは書いてないのですね。「少なくとも五年」と書いてあるわけです。ですから、短いのは違法じゃないわけですよ。したがって、たとえば去年は賃金が日本の労働者は三二、三%上昇しているわけですね。そしてことしは、労働大臣があちこちで足を引っ張っていますが、それにしても一五%やそこいらの賃上げではないと思う。賃金が上がれば当然退職金が上がってくるわけですから、そうしますと、あなたの答弁の中で、基本的には五年でいいと思うがというのがあった。しかしこれは、時宜に非常に即応した再計算をされなければならないと思う。いかがですか、これは大臣からひとつ御答弁をいただきたい。
○東村政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたような気持ちを申し上げたのですが、五年目ごとに見直すという問題については、今回の改正は一応五年ぐらいの先を見込んだつもりでございますが、しかし、それにいたしましても、どういう事態になるかわかりませんし、やはり五年目ごとに見直すというだけでは実情に即しないというような事態になりました場合には、必要に応じて改善を検討するということも考えられますし、考えたいと思います。 いずれにいたしましても、これは審議会が今後基本的な問題について検討を行うという中でひとつ検討してまいりたい、かように考えているわけです。
○森井委員 審議会だけの問題じゃないでしょう。労働省が要請しなければだめじゃないですか。それは確かに審議会も必要でしょう。やる場合には審議会にむしろ集まってもらってやらなければならぬことになるけれども、やはり基礎になる判断は労働省がしていただかなければならない。したがって、先ほど申し上げましたように、去年の賃金は三割、おととしはこれは二割上がったわけです。この二年間だけでも五割上がっているのですよ。仮にことし三割上がれば、もう八割上がることになる。そうすると、率直なところ、とても五年というのは、もうこれは待てない。したがって、これは、物価の上昇等あるいは賃金の上昇等を見ていただいて、なるべく短縮をしてもらうように、ここで明確な答弁をいただきにくいかと思いますけれども、いままでのように五年というのはいけませんよ、どうしたってもっと短かく期間を短縮するように、強く要望しておきたいと思います。 次に、先ほどの話に戻るわけでありますが、私はやはり加入者がふえないということについては、まだ不満を持っています。あなた方の努力にもかかわらずやはりこれはふえていない。先ほど言いましたように、五年間でわずか五万ぐらいしか契約者数がふえないということはない。該当企業もずいぶんあるはずだから。したがって、共済契約者をふやそうとすれば、やはりそれなりのメリットは考えないとふえない。 それからもう一つは、PRの問題が当然出てまいります。今度の場合、PRについては、いままでもやってきておられますので、特に新しい方策はないように私は見受けておるわけでありますが、工夫する余地はないのか、それをまずひとつお伺いしたい。 それから、この制度のメリットについて、今回の改正で、あえて言えば、掛金の増加分についていわゆる一年未満の切り捨て等やられないという意味では、いままでよりも進歩していますけれども、これだけではメリットと言えない。したがって、もっと加入を促進するためにPRを幾らしてもメリットがなければこれはなかなかできないと思うので、この二つについてお答えを願いたい。
○東村政府委員 先生がすでに御指摘されましたので、あれでございますが、おっしゃるとおり、この制度の促進方を図るためには、毎年十月を加入促進強化月間ということをうたいまして、いろいろの資料を提供したり説明会を開いたり、あるいはラジオ、テレビ、新聞等を動員いたしまして、PRに努めているところでございます。 ところで、こういう形のものはさらに続けていきたいと思いますが、今回の改正によってメリットといいますか、そういうものがなければ、やはりPRだけでは伸びる限界があると御指摘でございますとおりで、私どもといたしましてもそれに努力をするわけでございますが、一つは、何といいましても掛金の額が二倍ないしそれ以上の幅で増額される道が開かれたということ、それからもう一つは、いま先生御指摘ございましたように、一定の条件ではございますが、掛け捨て、掛け損がなくなるようにということが盛られているわけでございます。
○森井委員 PRは、ラジオ、テレビ、あるいは協力してもらう金融機関、あるいは都道府県、こういったところでやっていらっしゃるわけでありますが、これはいままでも反復、継続をしておやりになって、なおふえないのでしょう。だからどうするということを聞いているわけです。新しい方法がありませんと言われるなら、私ども逆にまた指摘をしなければなりませんけれども、もっと研究してくださいよ。私が思いますのは、いままでのところいわゆる共済契約者に対しての宣伝はずいぶんしていらっしゃる。しかし、本当は労働者がこの制度を知らない。たとえば職安等で求職等の手続をする場合には、必ず安定所から全部のそういった求職者に対してきちっとこの制度を解説をしたパンフレットを配るとか、そうすれば労働者が知ってまいります。そうすると、職場からの突き上げと申しますか、この制度にうちの会社は入ってくださいということが、これは労働組合があるとないとにかかわらず、やはりずいぶん出てくると思うのです。そうすることは、今回せっかく期間通算一年を二年になさったわけですけれども、制度のない会社に入ったのではどうにもならないわけですから、期間通算をさらに有効なものにするためにも、これは非常に必要なことだと思うわけです。ですから、全国の職安の窓口で、職を求める労働者の皆さんにすべてこれを配るようにしたらどうですか。
○東村政府委員 ただいま私PRというふうに簡単に申し上げましたが、その具体的な方法としては、労働省にも第一線機関がいろいろございますし、そういうところでこういう制度を改善をするということを契機にしてさらに一層PRの実効ある推進に努めてまいりたいと思います。
○森井委員 それからもう一つは、掛け捨ての問題ですね。これもデメリットになって、なかなか入りたくない理由になっているのですよ。これは、途中で解約をしましたら、あるいは途中で退職をしましたら、一年未満は幾ら掛けても掛け捨てでしょう。掛け捨ての比率というのはどれぐらいありますか。私はずいぶん高いのじゃないかと思いますが。金額よりも契約者数で話してください。
○水谷政府委員 掛け捨て者の状況でございますけれども、結論を申し上げますと、一年未満の退職者が四万八千三十七人という一応の推計をいたしております。
○森井委員 ずいぶん率としては高いですね。
○水谷政府委員 いまの四万八千三十七人といいますのは、率としては、四十八年度中に加入した二十六万六千八百七十四人の一八%でございます。
○森井委員 制度としては、その掛け捨ての金は、財布は一つでありますから、長期間勤続をした人に回すという発想だろうと思うのです。そうですか。
○水谷政府委員 そのとおりでございます。
○森井委員 これは前回の改正で死亡退職者については救済されたわけでしょうけれども、やっぱり掛け捨てというのは、その期間が一年ということのようですけれども、なくした方がいいのじゃないでしょうかね。そして期間通算の問題についても、今度一年が二年になった。しかし、実際には、中小企業労働者の場合いろんな関係であちこち転職が多い。Aという会社に入ったときにはこの制度が適用されて契約されてよかった、しかし、Bという会社ではだめだった、この制度がなかった、しかし、Cという会社へ行ったときにはまたあったというふうな場合があり得るわけですから、基本的に期間通算の問題についても本来ならやっぱり労働者の意思に任して、一定期間、二年と言わずかなりの期間を延長して期間通算をいつまでも認める。これも掛け捨てをなくする一つの方法にもなりますので、その辺の制度の改正をしたらいかがですか。
○東村政府委員 掛け捨て、掛け損、特に掛け捨ての話になりますが、これは制度発足以来いろいろ御議論がございました。この点については中小企業退職金共済審議会からも御答申ないしは建議をいただいております。その中では、「可能な範囲内において、」「制度加入後相当年数を経ている者」、こういう一つのグループ、ないしは「制度上の掛金月額の引上げに応じて一定期間内に掛金月額を増額した者」、こういう人たちについて考えたらどうかという建議がございました。私どもは、この制度は発足以来十五年にすぎないこと、それから一般的に掛金月額の増額がなされる場合を優先すべきこと、さらには収支の状況等を考えて、いま二つ申し上げました中の後段、つまり「制度上の掛金月額の引上げに応じて一定期間内に掛金月額を増額した者」について掛け捨て、掛け損がないように今回の改正では考えたわけでございます。 それから通算の問題でございますが、確かに通算ということも一つの考え方でございますが、やはり個々の企業におきまする退職金制度というのはその企業をやめたときに支払うという一つの形がどこの企業でも行われております。それから長期勤続者を優遇する、そういうことを考えますると、やはり長期勤続者を優遇するための原資を求めなければいけないという問題も出てまいります。さはさりながら、何とかその辺を解決したいということもございまして、先ほどお話がございましたような通算制度についても前進した一応の形をとったという次第でございます。
○森井委員 時間が余りありませんから次の問題に入りますが、この制度が魅力のないものの原因は、幾つもありますけれども、もう一つの原因は、先ほど言いましたように、最低の八百円には国庫補助がつくが、金額がふえた部分については国庫補助がつかないという問題ですね。しかも、理想からいけば、先ほど御答弁がありましたように四千円前後掛けなければ大企業に近くならないということなんですから、したがって国庫補助の部分を私はもっとふやさなければならないと思う。 その前にまず明確にしておきたいわけでありますが、四十九年度国庫補助は幾らですか。それで、これは事業団の運営費に使うものとそれから退職金の補助に充てるものと明らかにしてもらいたいと思うのです。
○水谷政府委員 五十年度予算における総額は、事務費が十七億一千九百万円、それから給付費が三億七千四百万円でございまして、合計いたしますと二十億九千四百万円というのが国庫補助金の総額でございます。
○森井委員 大臣、この辺に問題があるのですよ。二十億のうちで十七億は共済事業団の運営費に充てるのであって、肝心の共済による退職金の補助はわずかに三億七千万なんですよね。だから八百円の部分しか結局国庫補助がつけられない。 私は時間がないから申し上げませんでしたけれども、現実の問題として目減りはひどいものだと思うのです。三十四年から掛けている人は、その当時の金額といまの金額というものは、もらえるであろう金額、期待額からすれば実質的にはもうずいぶん減価しておるわけです。これについても、それこそ国庫補助をうんとふやしてもらって目減りを防いでもらいたいと思うくらいです。勤労者財形制度も私どもはそれに近い意味で反対をしましたけれども、やはりもっと充実させなければならぬ。とりあえずこの二十億の中で三億七千万しか具体的な退職金の補助に充てられないということ自体が、私は非常に問題だと思うのです。むしろ共済事業団の運営費の補助というのは、たとえば労災であるとかあるいは失業給付であるとか、こういったものは労働省が直に組織でやっておられるわけでありますから、当然これは国費で見なければならないものだと思うわけです。これは任意加入でございますからという返事がまた返ってきそうでありますけれども、そうではない。そうしますと、実質的な国庫補助というのは三億七千万しかないような気がするわけです。これでは余りに少な過ぎるじゃないですか。 大臣、これはどうでしょうか。先ほど言いましたようなギャップがありますので、来年といいますか、なるべく早いうちに改正をしていただいて、もっと高い部分にも国庫補助をつけるべきではないか、こういうふうに考えるのですが、いかがでしょうか。
○東村政府委員 ずっと御答弁している中であるいは触れたかもしれませんし、いまも先生御指摘ございましたが、この制度はそもそも任意加入の制度でございまするので、その給付に国庫補助がついていること自体これはちょっと珍しい例でございます。やはり全体の中で事務費のウェートが高いことは事実でございますが、事務費が国庫補助で賄われているという事情があるということは別の面からもそういうことは言えると思います。しかし、おっしゃるようにもう少しふやさなければいかぬということは私どもも考えておりますし、今回はただいま御説明申し上げましたような数字になりますが、やはり主として長期掛金の大きさに対する国庫補助基準を引き上げなければいかぬというふうにわれわれも考えておりますので、審議会においてこういう角度から検討する、将来課題にするということを申し上げておきたいと思います。
○森井委員 時間が来たようでありますから最後に一問だけお許しをいただきたいと思いますが、この事業団の資産の運用状況についてです。 時間がもうありませんからずばり申し上げますが、率直に言いますと、肝心の共済契約者のために使われていない。資金の運用については手広くやっているのですが、たとえて言いますと代理貸し付け、四十八年度の場合二十五億ばかり代理貸付けをしていらっしゃるわけですが、これは全体の資産は、四十八年度でありますが、千三百五十八億あるわけですから、そのうちの二十五億というのはいかにも少ない数字なんです。もっとこの制度といいますか資金を運用して、中小企業の労働者の住宅やあるいは福利施設等に使えばいいわけですけれども、これができない隘路というのはどこにあるのか。恐らくこれは厚生年金の還元融資等よりも金利が高いからだろうと思うのです。最低限六・二五%で回さなければならないということがあるのだから、したがって肝心の共済契約者等に貸し付けをしても現実には高い金利になるから敬遠をされる、こういう実態じゃないかと思うわけです。したがってこれを改善をする方法はないのかどうなのか。たとえばこの前の昭和四十五年のこの法改正の審議のときに、当時の野原労働大臣は、長谷川労働大臣、こういうふうに答弁していらっしゃるわけです。つまり、利子補給等を考えていかなければならない。特に農業近代化資金等と比較をされて、野原大臣は、その当時、やはりこれは利子補給を検討しなければ借り手がないだろう。本来ですと、自分たちの掛けた金がまた自分たちの資金に返ってくるということになれば、ずいぶん大きなメリットが出てまいりまして、中小企業の皆さんは喜んでこの制度に加入するという、そういう促進の面も出てくるわけなんです。したがって、いま申し上げましたように、資金運用が中小企業のために使われていないということから端を発しますと、やはりこの部分についても国庫補助を充てて利子補給をしたらどうかという、これは野原さんの御意見ですけれども、検討をいたしますということを答弁していらっしゃるわけです。この点についてその後一体検討されたのか、あるいはまたそのまま放置をされておるのか、いずれにしても、この資産運用の面についてもうちょっと中小企業のために使う方法はないかということをあわせて御答弁を願いたいと思います。
○東村政府委員 御指摘のように代理貸し付けの利子等の問題がございます。そこで利子補給という問題も出てまいるわけでございますが、この融資は退職金の掛金として積み立てられた資産を将来の給付に充てるために効率的に運用するという資産運用の一環として行われるものでございます。したがいまして、本来利子補給ということにはちょっとなじまないものと考えられます。 〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕 ただ資産運用の一つとして行われるこの種の還元融資は、その性格上通常の公的融資に比較いたしまして貸付利率が高いわけでございますが、御指摘の点につきましては、これは融資制度全体の問題とも関連してまいりますので、さらに研究、検討を続けていきたい、かように考えております。
○森井委員 一言だけ。もう一つの問題点ですけれども、法の四十四条、事業団が行う業務の範囲の中に、第一項の第二号、「保健、保養又は教養のための施設の設置及び運営を行うこと。」というのがあるのです。事業団が直営でそういうものをつくりなさいというのがあるのです。これは時間の関係で申し上げませんが、一つもやってないわけですね。これは、そういう意味では資産の運用について、法律違反なんです。ところがあなたの方は、先ほど申し上げました、どうしても一定の利益を上げなければならない、少なくとも資産については六・二五%以上かせがなければならないという問題があって、それが隘路になって、できていないわけです。 しかし、いま言いましたように、事業団は単に単純な退職金の共済事業だけやるのじゃなくて、これもはっきり業務の範囲に入っているわけですから、ぜひひとつ事業団としてもこの法に沿った事業をやっていただくように――これは、六・二五%の利益を上げようとすれば、場合によっては、そういった保健、保養事業等やりますと必ずしも六・二五%もうからない場合だってあると思いますし、うんともうければ、これは中小企業の労働者のためにならないわけですから、これも国庫補助との関係もありますけれども、やはり本来の目的に沿って――ちゃんと法律に書いてあるわけですから、ぜひ実行するようにお願いをしたいと思うのです。 最後に労働大臣からお考えを聞いて私の質問を終わりたいと思います。
○長谷川国務大臣 御審議の過程においてだんだん、私たちの方のやっていること、あるいはまた不備なところ、気がつかないでおったこと、御指摘いただきまして、非常に参考になりました。そういうお話を基礎にいたしまして、メリットもあるというおほめもございますので、今度はそれをさらに前進させる意味において、お話しのことをいろいろ研究し、前向きの姿勢で、中小企業の退職金について、そういう方々のためにやっていきたい、こう思います。
○森井委員 終わります。
○大野委員長 田口一男君。
○田口委員 私は、いま森井委員からいわゆる一般的な御質問がありましたので、特定業種の問題にしぼって、時間も時間ですから端的にお尋ねをしたいと思います。 まず初めに、昭和三十四年にこの中退共の法律ができて、それから五年たって特定業種を新たに追加をしたのですね。先ほど局長のお話では、この法律の目的について第一条に端的に書かれておるのですが、五年たって特定業種として建設なんかを含めた、この六十三条に書いてある――読めばわかるのですが、この五年ずれて建設業なんかを一項設けたという趣旨、当時の国会で議論があったと思うのですが、おさらいの意味も含めてお答えをいただきたいと思います。
○東村政府委員 これは中小企業退職金共済制度でございまして、おっしゃるようにその目的は明確でございます。 特定業種につきましては、先生御存じのように、これは一般の中小企業における退職金とその性格を異にしておりまして、その業界を退く、その仕事そのものをやめるという方々についての一つの特別な退職金制度を考えたわけでございます。それが現在建設の関係とお酒の関係になっておる。つまりそういう業界の体制というものを考えまして、それに合わせて特定業種が出発したということでございます。
○田口委員 業界の状態に合わせてというどうも消極的な言い方なんですけれども、むしろ私はこの三十九年に追加をした意味について積極的に実は評価をしたいと思っておるのです。というのは、きょう建設省、来ておりますね。この建設産業というものに対する労働力の状態、統率するといいますか雇用するといいますか、そういった状態を見た場合に、まあ一言で言えば特殊という言葉で片づけられると思うのですね。大体、いろいろな話を聞いてみますと、四つぐらいに、これはいい悪いは別です、この建設産業の資本側が、会社側が必要な時期に必要な量の労働力というものを世話役という下請ですが、それを中心に適当な熟練者も含めてワンセットで雇用する、こういう雇う側から見れば一つの利益、それから二つ目はこれも雇う側の利益になるのですが、工事が終わればいまワンセットで雇った労働者というものを企業からぽいと切り離すことができるし、結局今日一時帰休とかなんとかという問題がたくさん出ておるのですが、建設産業について言えばこういった労働者について遊休労働力というものを考える必要がないか。労働者を遊ばす必要はないわけですね、仕事がなくなれば。雇用形態が全く違いますから。同時に労働省あたりが一生懸命やってみえる職業訓練であるとかそれから技能の再訓練、また企業にとってみれば労働者の再配置、こういったことについても企業の側から見て余り神経を使う必要がない、こういう雇う側といいますか企業の側からとってみれば大変なメリットのある労働者の統率方法というものが建設産業に特殊だと思うのです。そういった中ですから、当然に世話役を中心にして、さあどこどこでこういう工事があるからおまえさん来てくれ、終わったらまたもとのもぐあみ、こういうことの繰り返しですから、そこで雇われる建設労働者は、退職金問題はおろか賃金の問題なんかにしたってそうそう、大工場なんかに働いておる労働者に比較すると意識が低いという言い方はなんでありますけれども、問題は熟していない。そういった状態のところにこの特定業種を含めて建設業それから杜氏の方なんかも入っておるのですけれども、長く勤めれば、同じ建設業界をずっと渡り歩いても、同じ仕事をやっていれば退職金がもらえるのですよ、こういう仕組みを任意であれ何であれつくったのですから、そういう意味では、今日まで特殊と言われておる建設産業の労使関係を他に一般に見られるような労使関係の方に近づけていこうという積極的な評価といいますか、そういったものを私はこの法律に認めるわけです。そういった立場で私は建設省にも来ていただいていますから聞きたいのですが、私はそういう評価をしておるのです。 これは私だけの評価になってしまうか後で確かめたいのですけれども、じゃ一体直接そういった建設産業を統括しておる、監督しておる建設省の場合、この中退共という法律で、さっきも質問がありましたが、もし全員が加入ができるとするならば、どの程度の事業主があり、どの程度の建設労働者というものがおるのか、そこのところをまず建設省からお尋ねをしたい。
○大森説明員 建設業の実態につきましては、ただいま先生からお話がありましたように、やはり産業の特殊性からくる、就労の特殊性というものがあろうかと思います。そういった意味合いで、この退職金制度というものも建設労働福祉を非常に向上させるという意味では大変効果の多い問題だろうかと思いますが、現在のところ私どもの推計によりますれば、大体建退共に加入しておる建設産業者は約百二十万というふうに考えております。 一方、その全部が入った場合どうなるかという御質問でございますけれども、建設業の企業数、大体私どもの方の建設業法上のたてまえからとらえております建設業の企業数というのは約三十万強でございます。そのうち中小企業と申しますか資本金一億円以下というものがもう九十%以上占めておるというのが現状でございまして、推計といたしましては、そこに就労している労働者数というのはおおむね二百万強であろうかと思っております。ただ、建設業というのは特殊な法律目的からまいるとらえ方をしておりますので、一定の許可要件に該当しない場合には必ずしも許可を受けなくてもいいという仕組みになっております。そういった意味合いで、いま先生のおっしゃいました実態論ということで申し上げますと、あるいはこの数字はもう少しふえるというふうに考えております。その点は総理府の事業所調査がございますので、そういったものから推計をいたしますと、恐らく中小建設業の就労者といたしましては大体三百万ぐらいの者が就労しているというふうに考える次第であります。
○田口委員 これは建設業界と言った方がいいのですが、日本建設業団体連合会、全国建設業協会それから全国中小建設業協会、全国建設専門工事業団体連合会、この四団体に対して建設労働力対策研究会というのが「建設労働福祉報告」というのをさきに出しておりますね。これを見ますと、いま課長が言った大体全部が対象に入るものとすれば約三十万、それからそれに含まれる労働者の数が二百万程度ということですが、この四十七年当時の数字は約五百万と見ておるのですね。 その数字はつかみにくいと思うのですけれども、それではそういった実態の中で、いま一番新しいところでこの建退共というものにどれだけ加入をしておるのか、被共済者それから組合ですね。
○東村政府委員 昭和四十九年十一月末現在でございますが、建設業退職金共済組合に加入している被共済者数は百二十三万九千四百十七名でございます。
○田口委員 契約者というか、組合は。
○東村政府委員 共済契約者数は六万九千八百三十二でございます。
○田口委員 そうすると、さっきの森井さんの質問と同じような言い方になるのですが、やはりまだまだ加入の度合いというものが少ないことがわかりますね。三十万に対して七万ですから、ざっと四分の一。二百万か五百万かその辺のところはむずかしいにしても百二十四、五万しか入っていないのですから、これも三分の一くらいしか入っていない。 そこで、建設省の方ですね、今日このように総需要抑制で大分景気が悪いのですが、ことしあたり労働力という面から見たらどれぐらい雇用しなければならぬのか、そういう点数字がありましたら、ひとつお示しいただきたい。
○大森説明員 建設業の就労者は、過去の統計を見てまいりますと、非常に建設産業が急成長いたしましたことを反映いたしまして、非常に伸びてまいっております。一例で申し上げますと、昭和三十五年ごろから四十五年ごろにかけましては大体四・八%の伸び率で急激に伸びております。全産業が当時一・三%という年率でありますから、それに比べると、かなり大幅な伸び方を示しておりますが、昨今の状況からまいりますと、御承知のように、一昨年の石油ショック以来、総体としての総需要抑制ということがかなり強くなってまいります。当然その一環といたしまして、官民を問わず建設需要も停滞しております。公共事業におきましては名目ではむしろ前年並みでありますから、実質的には私どもの推計ではおそらく二割から三割近く落ち込んでいるのではないかと思います。そういったことを反映いたしまして、建設業の労働者もある程度伸び方が鈍ってまいっております。 ただいまお尋ねの今年度あるいは今後の動向でございますけれども、これについてはいろいろな状況がございまして、私どもも的確な数字で実はお答え申し上げることができません、大変申しわけなく思っておりますけれども。ただ傾向といたしましては、やはり総需要抑制の基調は依然としてあるわけでありますし、民間における設備投資あるいは住宅投資というふうなものの動向もそう急激な復活なり盛り返しというものが必ずしも見られないという推測がございます。そういう面から見ますと、労働者の就業状況というものは大体この五十年度当初程度の水準で推移するのじゃなかろうか。したがいまして、具体的には、これは総理府の労働力調査によりますと、約四百六十万強という数字が出ておりますけれども、大体そういった線の前後で推移するのではなかろうかというふうに考えております。
○田口委員 大変厳しい状況ということはわかるのですが、といってその厳しい状況の中で働く労働者もまた厳しい。私が積極的に評価する立場に立って言うならば、とりわけ建退共の場合に、いかに任意の制度であるとはいえ、積極的に加入促進、PRも含めてですが、そういう具体的な手だてというものがこの建退共についてあればひとつお示しをいただきたい。
○東村政府委員 建退に限らず一般的に、先ほどもお話ございましたように、われわれとしてはあらゆる機会を通じてPRその他加入促進に努めているところでございますが、建退の問題につきましては、先生御承知かとも存じますが、公共事業について工事費の予定価格に、この制度による掛金の所要額を積算に組み入れるということともに、契約をやる際に、発注官庁は受注業者及びその下請で未加入のものの加入を促すようにしている。つまり、建退につきましては一般とは特別な考え方のもとに一つの制度的な関係とまでは熟していないかもしれませんが、やり方でその促進方に努めているところでございます。
○田口委員 建設省の方では、いまの、特に公共事業について入札指名というのですか、そういう場合に、この制度に入っていなければならぬというような何か根拠があるのですか。
○高比良説明員 直接それを絶対要件とはいたしておりませんが、指名資格の審査の際に、企業内にそういうふうな退職金制度を持っているかどうか、それから建退共に入っているかどうかという点につきまして考慮するということで、労働福祉の状況という主観点数の中で配慮されております。さらに、実際に発注した段階におきまして、約一月以内にそういう建退共の納入書というものを発注者に出させるようにさしておりまして、その点を確認しております。
○田口委員 そこで、私がいろいろ聞いてみると大変なごまかしといいますか、これは工事発注者の方をごまかしているという見方になるのですが、いま局長がおっしゃったように、公共事業費の積算単価には、いま六十円ですか、六十円の積算単価が入っておる。それを今度は、建設省の方で指名をする際に、労働福祉の状況である程度点数を配慮する。この限りでは私はなかなかやるなと思うのです。ところが全部調べ切ってはいないのですが、三百人くらい雇う予定であるにもかかわらず、持ってくる共済手帳はせいぜい一〇%か二十%でお茶を濁しておる。それでも入っておるというふうに看過する。こういう状態があるようなんですが、そういう事実については御存じですか。
○高比良説明員 加入率につきましては、民間を含めたものをとってみますと約四十%くらいというふうに推定されておりますけれども、公共工事の場合にはそれよりも高いものと思われますが、実際にどのくらい入っているかということにつきましては正確な数字をつかんでおりませんけれども、できるだけこの加入率を高めるように建設省としては努力しているところでございます。
○田口委員 そこで大臣、これはひとつはっきりしたお考えをお示しいただきたいのですけれども、さっきの一般的な共済制度についてもなかなか加入の進捗率といいますか、それが鈍い。とりわけ建設産業については、労働状況から見てむずかしいのですから困難なことは認めますけれども、公共事業の発注について、一つの指導項目としてこの建退に加入をしていることを条件にしておるわけですね。これは義務じゃありませんけれども、行政指導という立場でこれはやっておる。そこまでは労働省も建設省も私は同じ歩調でやってみえると思うのです。 そうであるとするならば、ここでもう一歩踏み出て、私は、これは資料要求をしたいのですが、それでは、都道府県の公共事業まではちょっと無理でしょうけれども、建設省が所管をする発注をした公共事業で、四十七年、四十八年――四十九年は無理でしょうけれども、そこで一体どれくらい共済手帳の購入というのですか、交付というのですか、共済手帳を交付すれば当然それに張るべき証紙も買わなければならないのですから、そういうものが毎月毎月工事の発注のたびに、多少のタイムラグがあるにしても数字となってあらわれてくるんじゃないかと思うのですが、その辺のところは検討してないのですか。どうでしょう。 もっと端的に言いましょうか。一億円の工事を発注した。一億円の入札ですから多少の計算の問題があるでしょうけれども、そのうちに六十円掛ける所要労働力、というのは百人としますと、六十円掛ける百人分の建退の共済掛金というものが当然出てくるわけですね。それが発注をして、工事にかかって、労働者を採用する、当然に毎月毎月賃金を渡す際には、法に従って印紙を張らなければならない。印紙を張るためには証紙を買わなければならぬ。その買った金額というものが建退の共済組合の方に収入として毎月毎月ふえてきて、ああなるほどやっておるなということがわかるのじゃないか。その辺のところを労働省としてもチェックしたことがありますか、建設省の方もチェックしたことがありますか、そこのところです。
○東村政府委員 御指摘の問題につきましては、私どもも証紙の問題、これがどういうふうになっているか、なかなか問題だとは思います。それと同時に、いま御指摘ございましたような形のものを毎月毎月あるいは定期にチェックしているかと言われますと、率直のところチェックしておりません。これについては建設省の方と連絡をとって、具体的にどうしたらいいか相談してみたいとは思います。
○高比良説明員 先ほどちょっと申し上げましたが、一月以内に納入書を確認するということは行っておりますけれども、それ以上のことにつきましては、今後労働省とよく協議をいたしまして、相談をしていきたいと思っております。
○田口委員 これは言い過ぎかもしれませんけれども、そういうところもひとつ厳重にチェックをしてもらわないと、六十円というものが積算単価に入っておる。工事予定額が一億円であったが入札は九千万円だった、この辺のところはあるにしても、六十円掛ける百人なり二百人なりの分を、半分しか建退共に被共済者としていなければ、残りは全部ふところに入れたという勘定になるでしょう。端的な見方ですよ。労働者の方がせっかくこういう積極的な、評価をすべき制度をつくって、任意制であるかもしれませんけれども、この建設労働者の退職金制度というものをやっていこう、そして行政指導として公共入札の場合にはそれを一つの条件につけておく、そこまではいいのですが、その後チェックをしないで、私が調べた二、三のところでは、ある現場で現場の労働者に聞くと、こんな制度知らぬというのですね。そしてそこの世話役か何かに聞くと、いや自分の机の引き出しに入っています。引き出しに入っているわけです。そうして証紙が一回か二回しか張ってない。仏つくって魂入れずとは文字どおりこのことじゃないかと思う。ですから、任意制という逃げ道はあるかもしれませんけれども、そこまで公共事業について労働、建設両省が積極的な姿勢を見せておるならば、ひとつ最後まで見届けるということが必要なんじゃないか、この点どうでしょう。
○東村政府委員 制度の趣旨が最後まできちっと見届けられなければならないのではないかという御指摘、ごもっともでございます。ただ具体的に、技術的にどういう段階でどういうチェックの仕方をしたらよろしいかという問題は、技術的な問題としてはあると思いますので、さらに建設省の方とも詰めてみたい、かように考えます。
○田口委員 ひとつその検討の材料にしていただきたいのですが、おたくの方からもらった事業月報、これは四十九年十二月です。第九十三号、これで見ると、総括表で被共済者の数が四十九年十二月末で百二十四万二千百四十五人、ところが、同じ総括表のうちで、月別共済手帳更新状況、共済手帳を交付をした数字が出ておるのですが、その四十九年十二月の累計が百五十六万四千九百四十二、これだけ手帳が出ておるのですね。そうして被共済者がいま言った百二十四万。そうしますと、ざっと勘定しても三十二、三万の開きがあるのです。この開きというのは一体どうなんですか。
○水谷政府委員 一つの月報でございますからそう矛盾する数字ではもちろんないと思いますけれども、この被共済者数といいますのは、加入して脱退していった人、脱退者が差し引かれるわけでございます。一方、手帳の交付数の累計といいますのは、その脱退者が入っている数字といいますかその数が、約三十万人ぐらいが脱退しておるというように考えられます。
○田口委員 脱退者という言い方は、言葉をかえて言えば、一カ月、二カ月証紙を張って、もうそのままどこかへ行ってしまった、掛け捨てという分もこの中に入るのですか。
○水谷政府委員 脱退者という中にはいろいろな人がいまして、もちろん業界退職でございますから、もうこんりんざい建設業には就職しないという人が本来で言う脱退者でなければならないわけでございますけれども、実際上は先生がいまおっしゃいましたような、一カ月ぐらい空白になっているといいますか、そういう人も入っている場合もあり得るというように考えられます。
○田口委員 これは建設省の方でおたくの方の数はつかんでみえるのですか。大体、一つの事業に新しく採用されて工事が終わるまでの平均月数といいますか期間といいますか、何カ月ぐらいで雇用が切れるか、その辺わかりませんか。
○大森説明員 個別のプロジェクトごとにいろいろな事例があろうかと思いますけれども、私どもの方といたしましては、やはり建設業の実施が、特定の契約当事者、それからさらにいろいろ御批判もあろうかと思いますが、下請というような各段階を通じて行われております。そういった意味合いで、その各段階ごとにしかも個別の労働者がどの程度就労されているかということについては、ちょっと統計上もそういう調査がございませんし、残念ながらいまのところ把握できておりません。
○田口委員 さっき私が読み上げたこの資料なんですが、これを見ると、大体八カ月を境にして、相当長期の場合には八カ月以上、それから八カ月未満というのが相当多いようですね。そうなると、さっき言った三十二、三万の手帳と被共済者との開きのうちで相当な掛け捨てがあるという類推ができるんですね。となるならば、業態から言って私は掛け捨ても一部やむを得ないという立場に立って言うならば、さっきの局長の答弁ではありませんけれども、その掛け捨てになった分が後の長期勤続者にどんどん退職金が回される。そうすると、この建退の場合に、仮にいまの六十円で計算したら、二十年勤務したとして幾らもらえるのですか。
○水谷政府委員 建退の場合に、六十円としまして二十年掛けますと、六十六万三千三百九十円という数字になります。
○田口委員 いまお聞きのように、掛金そのものが安いからと言えばそれまでですけれども、二十年で七十万ない。業態が違うにいたしましても、中労委が調べた退職金のモデルでは、中卒で二十年、三十五歳で二百二十三万、同じく中卒十五年、三十歳で百二十万。こういったことから考えると、いかに建設業の特殊性があるにしてもこれは極端に低いじゃないか。確かに制度の発足が新しいのですから一概に低いという指摘は当たらぬと思うのですが、今回の改正、六十円を底上げしておりますが、もっと底上げを考えてもいいんじゃないか。加入を促進すると同時に、退職金の金額をふやすために、日額を引き上げるという方向にもっと労働省としても考えるべきではないか。これが一つです。 それから、もう時間がありませんから、あと二つほど関連してお尋ねをいたしますが、いまの六十円という問題に絡んで、私はある業者に聞いたら、六十二円納めておるのですね。二円って何だって聞いたら、これは手数料だというわけです。手数料ならある程度還付されるのかと聞いたら、一部返っておるけれども、府県の支部なんかである建設業協会支部ですか、その辺のところには戻ってこない。そして、今度百二十円に決めて、そういった手数料は取らないという話を実はしておりました。 そこでさっきの森井さんの最後の御質問にありました国庫負担の問題ですけれども、事業団に十七万、これは法律にはっきり書いてあるんですね。なぜ、建退なり杜氏の方は別としておるのか。九十五条の一項二号に事業団に対して国が補助金を出す、同時に共済組合にも出すというふうにならないのか。一般は事業団で、建設と酒の問題は組合でという枠組みがどうもおかしい。やるなら事業団でやったらいいじゃないかという気がするのですが、この辺のところはどうなんですか。
○水谷政府委員 建設業の特定退職金共済につきましては、建設業の退職金共済組合が行っておるわけでございまして、建設業退職金共済組合そのものの事務費は全額国庫が出しておるということになっております。したがいまして、その意味からいたしますと、事業団と同じような形で共済組合が行っておるわけでございますが、ただ、建設業という特殊といいますか特定の業種のものでございますので、その具体的な実施につきましてはそれぞれ定款で定めて行っておるといいますか、そういうことになっておるわけでございます。したがいまして、先ほど御指摘がありました二円の付加金といいますか、これにつきましても、実際に建設業の退職金共済組合が事務を執行する場合に、地方の建設業協会等にいろいろな事務をお願いしているというような場合に、非加盟企業との負担の公平の問題といいますか、そういうようなこともございまして、二円の付加金を徴収するというような経緯になったというように聞いております。なお、これにつきましては、実は審議会の際もいろいろ問題になりまして、今後これをふやすようなことはなるべくしないというようなことにいたしております。 それから、先ほどの六十六万三千三百九十円という金額でございますが、これは、現行の六十円という掛金を据え置いて今度の制度改正をした場合の金額を申し上げたわけでございます。実際にはこの掛金額を幾らにするということも建設業の退職金共済組合の定款で決めるわけでございますが、聞くところによりますと、一応現在百二十円に引き上げたいというように聞いております。それで、百二十円に引き上げた場合ですと、勤続二十年の人の場合には百二十八万三千六十円という金額になるわけでございます。
○田口委員 ちょっとあちこち飛びますけれども、あと要望と、これだけはどうしてもそうしようというお答えをいただきたいのです。 一つは、さっき建設省にもお尋ねをしました、公共の場合の積算単価に入っておるのですから、そこまで行政指導でやるのならば、これを数字として全面適用にすべきだと言いたいのですが、義務じゃありませんで任意ですから、任意という精神を入れても、せめて予定雇用労働者の二分の一でなければ条件にしないというふうなことにならないかどうかですね。まあ、百人雇うならば五十人の証紙張って持ってこいということですね。そういう条項に建設省の方では労働省と協議をしてできないか。これが一つ。 それから第二点ですが、PRの問題で、第八十六条「従業員に対する告知等」という条項があるのですが、これもどうも積極性がないと思うのですね。八十六条をちょっと読んでみます。「共済契約者は、新たに従業員を雇用するに当たっては、その者に対し、」あなたは被共済者になるかどうかを尋ねなさい。個人個人に尋ねようという言い方なんです。ところが、第二項では、「共済契約者でなくなったときは、遅滞なく、その旨を、」掲示板なんかを使ってみんなに周知しろ。同じ新しく事業を始める――事業というのは建退の事業ですよ。やめる。同じように掲示板または本人にというふうなことが法の精神から言っていいと思うのですが、PRを積極的にやるという意味から言って、この第八十六条第一項はどうも消極的に過ぎるのじゃないか。もっと、まあ憎たらしいことを言えば、さっき言った引き出しに入れておくようなことを合法化をするためにこういった条文にしたんじゃないかとさえ私は思いたいのですね。どうですか、これ。もう一度変える必要はないのですか。
○東村政府委員 PRの項でございますが、法律はお読み願ったとおりでございまして、それはそれなりの理由があったかとも思いますが、せっかくの御指摘でもございまするので、私どもとしてもそういう方法でPRがさらに前進するならば非常にいいことでございますので、研究さしていただきたいと思います。
○大森説明員 先生の御提案でございますが、私どもも、この趣旨としてはやはり共済組合にできるだけたくさん加入するということがきわめて好ましいことだろうと存じております。そのためには、先ほど来お話の出ましたように、事業者あるいは発注者さらには業界指導といろんな側面を通じて積極的に推進方を進めるという覚悟ではもちろんございます。 御提案の件につきましては、やはり発注上いろいろな問題もあろうかと存じます。第一次的にはやはり使用者が積極的に入るということに指導することが一番重要であろうかと思いますが、それを補完する意味での発注側からの一つの措置ということで、大変貴重な御意見であろうかと存じますが、私どもといたしましては、第一次的にはやはり建設業界への直接指導という形をとってまいりたい。発注上の立場としては、先生の御提案の趣旨ではございますが、なお今後の発注上のいろいろな諸問題ども関連もございますので、慎重に検討をさせていただきたいというふうに考えております。
○田口委員 じゃ終わります。
○大野委員長 次回は、明十九日水曜日午前九時五十分理事会、十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時二十二分散会