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75回国会衆議院1975/02/25

社会労働委員会 第4号

発言数
111
登壇者
9
会派数
2
開催日
1975/02/25

会議録

大野明自由民主党

○大野委員長 これより会議を開きます。  勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、提案理由の説明を聴取いたします。労働大臣長谷川峻君。     —————————————  勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案     —————————————

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 ただいま議題となりました勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  いまや国民の大部分を占めるに至っている勤労者とその家族の生活の動向は、わが国経済社会の将来に深く関連する問題でありますが、勤労者生活の現状を見ますと、賃金水準は近年改善されてきているものの、貯蓄や住宅等の資産保有の面では、なおいまだ相当の立ちおくれが見られるところであります。  このような勤労者生活の実情にかんがみ、勤労者の財産形成を促進してその生活の一層の安定を図るため、昭和四十六年に勤労者財産形成促進法が制定され、勤労者財産形成貯蓄について税制上の優遇措置が講じられるとともに、財産形成貯蓄の一部を原資として勤労者のための持ち家分譲融資制度が設けられたところであります。この法律によって発足した勤労者財産形成促進制度は、その後三年間で財産形成貯蓄を行っている勤労者の数は早くも四百万人に達し、その貯蓄額は三千七百億円を超えるに至っており、勤労者の本制度に対する期待がいかに大きいものであるかがうかがわれるのであります。  しかしながら、このような勤労者の期待とその努力にこたえ、その生活を真に豊かで安定したものとするためには、現行制度の内容は、まだ必ずしも十分とは申せません。  政府は、このような観点から本制度を大幅に拡充したいと考え、先般そのための改正案要綱を勤労者財産形成審議会に諮問し、その答申をいただきましたので、ここに勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。なお、本法律案のほか、財産形成促進制度の改善措置のうち住宅取得を目的とする財産形成貯蓄についての税額控除率の引き上げにつきましては、すでに租税特別措置法の一部を改正する法律案に盛り込んで御審議を願っているところであります。  次に、この法律案の内容につきまして概法を御説明申し上げます。  第一は、勤労者財産形成貯蓄制度の改善であります。  すなわち、財産形成貯蓄の範囲を拡大し、新たに、一定の要件を満たす郵便貯金、生命保険、簡易生命保険及び農業協同組合等の生命共済、日本住宅公団等が発行する宅地債券等の購入等を加えることとしております。  また、財産形成貯蓄を行っている勤労者が転職した場合に、転職後も従前と同一の勤労者財産形成貯蓄契約に基づいて、引き続き貯蓄をすることができるようにすることとしております。  第二は、事業主の拠出により勤労者の財産形成を援助する措置の促進を図るための勤労者財産形成給付金制度及びこれに関する中小企業勤労者財産形成助成金制度の新設であります。  現在、企業の一部においては、事業主の拠出により勤労者の財産形成貯蓄に対する援助が行われているところであります。このような事業主の援助措置を一層普及、促進させるため、事業主が労使の合意に基づき勤労者財産形成給付金契約によりり、財産形成貯蓄を行っている勤労者のために拠出をし、これを一定期間運用した後にその元利合計である財産形成給付金を勤労者に支払った場合には、その財産形成給付金について当該勤労者に対し課税上特別の措置を講ずるという勤労者財産形成給付金制度を新たに設けることとしております。  さらに勤労者財産形成給付金制度の中小企業への導入を容易にするため、この制度を設けた一定の中小企業の事業主に対し、雇用促進事業団が、当該事業主の拠出額の一定割合に相当する額の助成金を支給するという中小企業勤労者財産形成助成金制度にあわせて新設することとしております。  第三は、勤労者財産形成持ち家融資制度の拡充強化であります。  雇用促進事業団は、現在行っている持ち家分譲融資のほかに、事業主または事業主団体に対し、財産形成貯蓄を行った一定の勤労者に持ち家取得資金を貸し付けるために必要な資金の融資を、各勤労者についてその者の有する財産形成貯蓄残高の二倍の範囲内で行うこととしております。  一方、住宅金融公庫等は、事業主または事業主団体を通じて持ち家取得資金の貸付けを受けることができない勤労者に対し、その勤労者の有する財産形成貯蓄残高の二倍の範囲内で、直接融資を行うこととしております。  なお、公務員及び公共企業体の職員に対しましては、各共済組合等が同様の持ち家得資金の融資を行うこととしております。  また、これに関連して、雇用促進事業団、住宅金融公庫、共済組合等がこれらの財産形成持ち家融資に必要な資金を内滑に調達することができるようにするため、財産形成貯蓄を取り扱っている金融機関等の資金協力義務を定める等所要の規定を設けることといたしております。  その他、この法律案におきましては、その附則において、郵便貯金法、簡易生命保険法、所得税法、法人税法、租税特別措置法、住宅金融公庫法等関係法律の所要を行うこととしております。  以上、この法律案の提案理由及びその内容の概要につきまして御説明申し上げました。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。     —————————————

大野明自由民主党

○大野委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。葉梨信行君。

葉梨信行自由民主党

○葉梨委員 ただいま御提案になりました勤労者財形法の改正案につきまして、若干質問をさせていただきます。  ただいまわが国は、戦後初めて実質成長率がマイナスになるという景気停滞下にあります。狂乱とまで言われました物価上昇も最近鎮静化してまいりましたが、なお正常というのにはほど遠い状態でございます。また物価急騰の過程において生じました所得分配のゆがみ等によりまして、社会的な不公正感が国内に広がりつつあることも、否定できないところでございます。こういうような社会情勢、経済情勢にかんがみますと、現下の最大の政治課題がインフレの克服、経済の安定、社会的不公正の解消の三点にあることは、だれの目にも明らかなことだと思うのでございます。  さて、現在及び将来のわが国にとりまして、勤労者の動向はきわめて重要なものがございます。三千五百万人の勤労者がこの難局打開の一日も早からんことを願って毎日営々として働き、その努力がひとしく報われることを期待していることを考えますと、国政を担う者の一人といたしまして責任の重さをひしひしと感じている次第でございます。私ども自由民主党は、安定した生活を目指して努力している勤労者に対しまして、将来への希望を与え、同時に自由社会の責任ある担い手として参加を求めることが重要であると考えまして、勤労者福祉政策の推進をしてまいったところでございます。  そこで、まず労働行政を預かり、そのトップに立っておられます労働大臣に、今後の勤労者福祉政策のあり方につきましてどのようにお考えになっておられるか、所信を承りたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 ただいまお話のありましたように、敗戦後の日本が今日まで来ましたものは、私は何といいましても良質と申しますか、非常に熱心な勤勉な勤労者の諸君がやはり一生懸命やった、こういうことが最大の財産の一つだろうと思うのです。  そこで、今日、インフレが世界を覆っております。これは資源という問題から、あるいは国際情勢の変化などにもよりますが、このインフレを克服して国民全体が安定した経済的指標を求めつつ、そしてその上に乗って将来の設計を立てたい、これはもう各国の政治が全部それを希望しながら、鋭意努力しているところだと思うのです。わが国におきましても、もちろんそれに劣るものではございません。しかも勤労者はもちろんのこと、勤労者が持って帰る報酬をいただく奥さん方、この方々もまた一番インフレを恐れていると思うのです。  そこで政府といたしましては、一昨年来の物価高騰もあり、インフレもありましたけれども、ありとあらゆる努力をまず物価抑制にやる。そこに、消費者物価を三月末に一五%に何とかしたいというところは、これは政府だけにあらず、国民全体も期待しているところじゃなかろうか。これはおかげさまでようやくそのめどがつき、鎮静化して、物価の問題においては、最近ここ二、三カ月というものは西ドイツと日本がそのよき標本じゃなかろうかとさえも言われているわけでありまして、しかしこれはなかなか予断を許しません。押し上げムードもありますから、一層努力しなければならぬ。一方、また御承知のとおり、日本の三千数百万の勤労者の諸君というものは、いままでは生産して自分の収益を得、子供を教育し、個々に生きていくということでございましたが、蓄積の面においてはなかなか容易でなかったことも御承知のとおりです。そういう意味からいたしまして、勤労者の生活の安定にはどうしても社会福祉的な、また労働者問題としてもこういう財産形成というものを、いわゆるストックの面を何とか拡充し強化していくことが必要じゃなかろうか。  こういうことで、昨年の国会においても財産形成法の法律案を御審議願いましたけれども、不幸にしてああいう結末になりましたので、今度はそれにもう一つプラスよきものをつけて、物価の問題においては西ドイツと並んで優等生と言われますけれども、ストックの面においては、二十年の歴史を持つ西ドイツと、ここ三、四年間の日本ではなかなかもって差がございます。私たちはよきものを学びつつ、それを取り入れることによって政府全体、いや国民全体も、勤労者の生活安定こそが日本の安定につながるということでコンセンサスを得つつやっていかなければならぬ。そのためには、御審議をいただきましたこういう法案を御可決いただきながら一つ一つの実績を踏まえていく、こういうふうな考え方でありますので、よろしく御理解のほどをお願いいたします。

葉梨信行自由民主党

○葉梨委員 勤労者財産形成政策は勤労者福祉政策の重要な柱をなすものでございますが、先例といいますかモデルと私どもがしております西ドイツにおきましては、勤労者に広く財産取得の機会を与えることによりましてその生活基盤の安定を図り、社会の真の責任ある一員としてその参加を期待するという考え方、次に財産配分の公正化を図るという考え方、また第三には、増加する所得の一部を財産形成に役立つように据え置かせることによりまして勤労者の生活の安定と自主性の確立に資するとともに、消費購買力の抑制ひいては物価の安定と投資資金の確保によりまして持続的な経済成長の実現に役立たせるという、三通りの考え方があると言われておるわけでございます。またフランスにおきましては、当時のドゴール大統領の呼びかけによると聞いておるわけでありますが、企業利益への勤労者の参加権を保障することによりまして、勤労者の企業に対する連帯感の強化を図ることを意図して、いろいろな政策手段を講じていると聞いておるのでございますが、わが国におきましてはそれらの動きから大分おくれたのでございますけれども、昭和四十六年に現行の勤労者財産形成促進法が制定され、今日に至っております。その政策理念とも言うべきものにつきまして、労働大臣に少し突っ込んでお考えを伺いたいと思います。また、社会保障制度の拡充とか社会資本の拡充等の課題が大きくクローズアップされておりますが、それらの課題との関係につきましても、あわせてお伺いしたいと思うのでございます。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 ただいま葉梨先生おっしゃるように、日本は出発してまだ三年、しかしながら四百万の勤労者の諸君が参加をして三千数百億の契約高がある。しかしながら、すでにヨーロッパの社会においてはこういうことが早くから目をつけられ、しかも政府、企業、労働者、こういう三位一体の形においてそれぞれやっているということは、まさに私は先進諸国の労働体験だろう、こう思うのであります。その面からいたしましても、私たちはここに一歩前進したものをやりつつ、意欲的に将来に向かつてはそういう諸国に負けないたけの——日本は何といいましても加工国日本で、勤労者の質がよくて、それを大事にし、そして働いてもらって、お互いの国の安定なり国の勢いというものをつくらなければなりません。そういう意味からしますと、ますますこういう御審議を通じて啓発されたものを政策の中に入れつつ、また組合の諸君の良識を信じながら、私たちが政府あるいは企業に向かって、さらに内部においていろいろ調整しながら前進をしなければならぬということが最大の課題じゃなかろうかという覚悟を持っていることを御理解いただきたいと思います。

葉梨信行自由民主党

○葉梨委員 私は、最後に社会保障制度の中でどんな位置づけがされるのだろうかという御質問も申し上げたわけでございます。これにつきまして局長からでも結構でございます、御答弁願いたいと思います。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 財形制度そのものもさることながら、社会保障制度の充実ということがいわば財形制度の前提となり、それを充実する非常に大切な要件だと思います。さはさりながら、やはり財形制度は本来労働者がみずから財産を形成をしていこうというそういう気持ちを伸ばしていこうということでございますので、両々相まって勤労者の生活の安定が図られるのではないか、かように考えている次第でございます。

葉梨信行自由民主党

○葉梨委員 昨年提案されまして不幸にも廃案となりました改正案と、このたび提案されました改正案とを比較いたしますと、財形貯蓄の範囲の拡大、中小企業勤労者財産形成助成金制度の新設、財形持ち家融資の拡充、さらには租税特別措置法の改正によりまして財形住宅貯蓄控除制度の改善等か加わっておるわけでございますが、これら財形の促進につきまして、勤労者財産形成審議会というものがございまして、在野の学識経験者によりましていろいろなお知恵を拝借していると聞いておりますが、今度の改正案につきましてこの財形審議会はどういうように評価をしておられるか、またどういうような点につきまして御批判があるか、それらについて承りたいと思います。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 今回の改正案につきましては、ただいま先生御指摘のように審議会に一月三十一日に諮問いたしました。そういたしまして、その日及び二月五日に審議を行いまして、二月六日に答申がございました。したがいまして、どう評価しているかというのはその答申にどう表現されているかということを申し上げたらよいかと思いますが、この答申では、今回の諮問の内容について審議会が四十八年に行いました基本答申の方向に沿って昨年の改正案よりも一歩前進したものと認めるとともに、基本答申の早期実現に努めるよう要請しているところでございます。なお「諮問案の実施にあたって、勤労者財産形成政策の将来のあり方との関連で、財形貯蓄の範囲、転職した場合の継続措置、」等について「今後とも本審議会の意見を十分反映してその推進を図るよう、一層の配慮をされたい。」かように申している次第でございます。

葉梨信行自由民主党

○葉梨委員 私は、昨年の財産形成法の改正案に対しまする財形審議会の答申を実は見ておりますが、その答申にもプレミアム制度を早期に実現しろという御意見が載っておったわけでございます。今回もまたそのプレミアム制度が実現をしなかったわけでございますが、現在の財政金融の枠組みの中ではなかなかむずかしい問題であるというようにも私どもは伺っておるわけでございます。今後このプレミアム制度をどうやって導入するのか、導入することが不可能なのか可能なのか、そこらの見通しなどもお伺いしたいと思います。プレミアム制度は、何といいましても西ドイツで初めて行われ大変な成果を上げている制度であると聞いておるわけでございますが、西ドイツでできて日本でできないというその相違点をいろいろ伺いたいと思います。なぜ西ドイツではそういう制度をとらなければならなかったのか、そういうバックグラウンド、また西ドイツで、日本と同じように国税とか地方税、その他社会保険税等が徴収されているのかどうか。一体その徴収率というか負担率はどういう違いがあるか、あるいは社会保障費をどういう財源で充てているだろうか、そういう点につきまして少し詳しく御説明を願いたいと思います。

水谷剛蔵労働省労働基準局賃金福祉部長

○水谷政府委員 ただいまの御質問でございますが、プレミアム制度につきましては、先生御承知のとおり今回も導入するに至らなかったわけでございます。ただプレミアムと申しましても、実際上の中身は勤労者の財形貯蓄に対しまして割り増し金を支給するという制度でございますので、現在わが国でとられておりますいろいろな金融制度上からはいろいろな意味で問題が多いといいますか、そういうようなこともございまして、昨年来労働省としては一応要求しておったわけでございますが、財政金融の根幹に触れる問題でもあり、わが国では全く新しい制度でもございますので、今回実現するということに至らなかったわけでございます。  それから、西ドイツにおいてはそのような制度がありながら、わが国においてどうして実現できないのか、そのバックグランド等についてという御指摘でございますが、西ドイツにおきましてはわが国と国情等も違いまして、たとえば医療保険に対する制度のあり方とかその他いろいろな意味合いにおきまして、社会保障全体を通じて、わが国とはそれぞれ国の財政投資等につきましても別の観点から行われておるようなこと。それからさらにこのプレミアムの制度に関連して申し上げますと、まず西ドイツにおきましては一般の国民を対象とする貯蓄割増金法というのができまして、そのバックの上に立ちまして勤労者について特別の制度を設けるといいますか、ちょうど住宅について現在税額控除が行われておると同じように、一般の国民についてのものがまずありまして、その上に勤労者のものを積み重ねるといいますか、そういう素地がございましたので、勤労者財産形成法においてプレミアムというようなものが実現するに至ったというように理解いたしております。

葉梨信行自由民主党

○葉梨委員 いまの御答弁でございますが、そうしますと西ドイツにおける貯蓄割増金法に相当するものは何なんですか。

水谷剛蔵労働省労働基準局賃金福祉部長

○水谷政府委員 日本ではこれにぴたりと適応するものはございませんが、現在財形法では利子の非課税といいますか、一般国民につきましては三百万円までのマル優というのが認められておりますが、それに対しまして財形については特に五百万円までの利子の非課税が認められておるというのが、強いて言えばそれに対応するものというように考えられるかと思います。

葉梨信行自由民主党

○葉梨委員 先ほど伺いました租税その他社会保険税の負担率はどう違うのですか。

遠藤茂労働省労働基準局賃金福祉部福祉課長

○遠藤説明員 お答え申し上げます。  国民所得に対しまして租税の負担率はどうなっているか あるいは社会保障関係の負担がどうなっておるかという点で、日本と西ドイツと比べますと、ちょっと数字が古うございますが、昭和四十六年度のデータが手元にございます。それによりますと、租税負担率では日本は一九・二%でありますのに、西ドイツは二九・五%ということになっております。  それから社会保障関係の負担率は、日本が四・八%に対しまして西ドイツは一五・五%、以上両方合わせますと、日本では二四%でありますのに西ドイツでは四五%ということで、日本と西ドイツの両国の間では、租税負担並びに社会保障の負担におきましては非常に大きな差があるわけでございます。  それから、社会保障関係の制度的な大きな負担の違いという点で申しますと、先ほどの答弁でもございましたように、特に医療保険関係では日本と西ドイツの場合の国庫負担の大きさが非常に違っております。また、そのほか災害保険制度あるいは年金保険、失業保険に相当するようなそういうものにおきましても、日本と西ドイツと比べますと、比較的国庫補助の割合は西ドイツの方が低いというふうな違いになっているわけでございます。

葉梨信行自由民主党

○葉梨委員 プレミアム制度というのは西ドイツにおいて非常に成功した制度でございますが、それを日本にただそのまま持ってくるということはもちろんできないはずであって、日本には日本のやり方があると思うわけでございます。同時にまた、プレミアム制度をやれという声も財形審の委員の先生方を初め勤労者の中にも強い。それができるのかできないのか。これから行政当局におかれても、もう少し国民というか関係者のコンセンサスが得られるように、ひとつ一段の御努力をお願いしたいと思います。  さて、次に進みますが、昨年の改正案では、勤労者の財政形成に対します事業主の援助制度といたしまして基金制度、受益金制度、付加金制度等のいわゆる三契約が規定されておりましたが、今度の改正案によりますとこれが一本化されまして、勤労者財産形成給付金制度となっておるわけでございます。これをなぜ一本化したのか、その理由をお伺いいたしたいと思います。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 今回の改正案を作成するに当たりましては、前回の改正案を全体について見直したところでございます。その際、ただいま御指摘ございました三制度についてもいろいろ考えたわけでございますが、とにかく、できるだけ国民一般に理解されやすいようにということを念頭に置きまして、今回は財形給付金制度ということで一元化したわけで、この点につきましては、先ほどお話がございました審議会にもお諮りして結論を得たわけでございます。  御承知のとおり、従来——従来といいますか前回の改正案におきましては、基金制度、受益金制度というのがございました。これはいわば一定額を拠出するというような形のものでございました。それから、付加金制度というのがございましたが、これは財形貯蓄に対し一定率を拠出するというようなものでございました。そこで、これを一つにしたということでございますが、今回のこの給付金制度を利用しようとする事業主が労働組合または労働者の代表と合意をするという前提がございますが、合意をする際に、その内容を、ただいま申し上げましたように一定額にするかないしは一定率にするか、話し合って決めたらよいのではないかというふうに考えましたので、今回の給付金制度によって実質的に従来の三制度を継承し得る、かように考えた次第でございます。

葉梨信行自由民主党

○葉梨委員 ただいまの御説明を伺いまして、去年の制度が、何か私どもも法案の審議をしておりまして、わかりにくい、非常に複雑でございましたが、それだけに実質的な内容をそのまま引き継いで簡略化したということは結構なことだと思うのでございます。  この給付金制度とうらはらに中小企業勤労者財産形成助成金制度というものが発足するわけでございますが、勤労者の財産形成を援助しようとする中小企業の事業主に対しましていろいろな配慮がなされた結果だと考え、私は大変結構なことだと思うわけでございます。助成対象となる中小企業というのは一体どういう企業なのか、それから助成の内容等がどうなっているのか、御説明を願いたいと思います。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 助成金制度の内容でございますが、まず助成の対象となる事業主、これは小規模企業と中規模企業とを考えております。小規模企業と申しますのは、一般的に申しますと従業員の数が二十人以下、中規模企業と申しますのは一般に従業員の数が二十一人から百人まで。そしてその助成の対象額でございますが、年間の拠出額のうち勤労者一人当たり五万円までの額、これを対象にいたします。そしてその率でございますが、ただいま申し上げました小規模企業に対しましては一〇%、中規模企業に対しましては五%と、小規模に厚く考えておるわけでございます。なお支給の機関は雇用促進事業団と、かように考えておる次第でございます。

葉梨信行自由民主党

○葉梨委員 次に、住宅対策についてお伺いいたします。  勤労者に対する住宅対策としましては、公的賃貸住宅を非常に安く大量供給するということが基本であるということは、すでに国民のコンセンサスを得ているというか国民の要望でございますが、一方、そうは言っても、やはり日本人として勤労者の皆さん方も自分の家を持ちたいという希望を強く抱いているわけでございます。今回の改正案で財形持ち家個人融資制度というものが新設されまして、勤労者のマイホームへの夢をできるだけかなえてあげようという当局の御意図がよくわかるわけでございます。財形貯蓄をした場合に、貯蓄額の二倍の範囲内で個人融資の道が開かれたと聞きます。いままでは転貸融資でありましたのが個人融資ができたということは一つの前進だろうと私は評価しておるわけでございますが、この財形持ち家個人融資と、いま行われております住宅金融公庫によります一般の住宅融資、公庫融資との絡みにつきまして少し御説明を願いたいと思います。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 従来行われております住宅に関する融資は分譲融資でございまして、今回個人融資となりました中に、直接に労働者に融資するものないしは事業主を通じて転貸融資をするものというのがございます。それを受けられる労働者については一定の制限がございますが、ただいまお話しがございました限度額は財形貯蓄残高の二倍相当、こういうことでございます。  なお、御質問の住宅金融公庫等の一般個人貸し付けとの関係でございますが、これはあわせて利用することができる、かように考えております。

葉梨信行自由民主党

○葉梨委員 この財形による持ち家融資の資金をどうやって調達するかという問題でございますが、これは当然金融機関の協力を得て調達をするものだと思います。協力義務を法律で決めて行うという以上は、一定の限度が必要になってくると思います。聞くところによりますと、財形貯蓄残高、先ほどの大臣の御説明で、三千七百億円ただいまあるそうでございますが、その残高の三分の一ということを伺っております。しかし実際に昨年この貸し出しがどれぐらいであったのか、そして残高の三分の一というものが金融機関にとりまして果たして適切な比率であるのか、いろいろな問題があるわけでございます。そこらにつきまして、技術的な問題になりますけれども、御説明を承りたいと思います。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 従来の融資は、先ほど申し上げましたように分譲融資ということでございまして、今度は、直接融資ないしは転貸融資ということをあわせてやるわけでございます。まあ、いろいろの考え方があると思いますが、その融資のための資金については、勤労者財産形成貯蓄契約を締結した金融機関等に協力義務を課しております。  ところでその三分の一という問題でございますが、考えてみますると、勤労者財産形成促進制度というのは、財形貯蓄という柱と、それからいまの財形持ち家融資という柱があるわけでございますが、前者については、つまり財形貯蓄については利子がなるべく高いことが必要である。融資については、逆に利子が低いことが必要である。いわば、言葉が悪いかもしれませんが、相矛盾するような要素を持っております。それから、この財形貯蓄は、一年間は引き出しまたは譲渡しないこととなっているわけでございますが、この融資の方はかなり長期に据え置かれているといいますか、貸し付けられております。この辺も考えなければいけない。さらには、その資金の預金の量がどういうふうになっているかということも問題であると思います。  このように、財形貯蓄の金利、預金量及びその滞留状況、資金調達の金利、資金需要量、こういうものを総合勘案した上で、三分の一程度が適当ではないかというふうに考える次第でございます。

葉梨信行自由民主党

○葉梨委員 財形持ち家融資は、聞くところによりますと、昭和五十二年から貸し付けを開始されると伺っておりますが、三年以上の期間にわたって毎年十万円以上の預入をし、その期間中の財形貯蓄の残高が五十万円以上でなければならない、こういうような条件がついているわけでございまして、こういう条件がついて、しかも、いままた建築資材が高騰しているという客観的な条件がありますだけに、この利用しようという勤労者側がすぐに利用できる状況にはないと思うのでございます。そういう意味から言いますと、昭和五十二年から貸し付けをされるということでございますが、実際には大分先になるんじゃないだろうかということを私は感じるのでございます。これは先になってもいいことであって、そういう道を開いているということにメリットがあると思いますけれども、そこら辺のお見通しにつきまして伺いたいと思います。

水谷剛蔵労働省労働基準局賃金福祉部長

○水谷政府委員 財形融資の見通しでございますが、これはただいま局長が申し上げましたように、毎年十万円以上の貯蓄を五十万円以上した人ということになって、今度制度をつくることにいたしたわけでございます。したがいまして、そういう制度を知っておれば十万円しておったのにという人を考えますと、これからでは三年かかるということから言いますと、平年度化するといいますか、この制度を積極的に利用しようという人たちが、実際にこの制度に乗っかかるのは大体五十四年度ごろということになろうかと思います。したがいまして、当初は五十四年度から貸し付けを開始すべきではないかという議論も行われたわけでございますが、財形貯蓄につきましては従来から実施いたしておるわけでございますし、大体年十万円以上、三年間で五十万円といいますと、一年に十七万円になるわけでございますので、その程度の貯蓄をしておる方というのも、現在ある程度おるのではないか。そういう方が、この制度ができても利用できないということは適当でないではないかというようなことを考えまして、五十二年度から貸し付け開始ということにいたしたわけでございます。  したがいまして、そういうことから推定いたしますと、この制度の融資がかなり伸びますのは、やはり五十四年度以降ごろからかなり伸びるのではないかというふうに考えております。

葉梨信行自由民主党

○葉梨委員 西ドイツの財産形成政策というのは、貯蓄割増金法の発足まで含めて考えますと、すでに二十五年ぐらいの歴史があるわけでございます。そして、いまやっと法体系も整備され、利用者もふえて千八百万人とかいうことを——千八百万人はちょっと多かったかもしれませんが、もう勤労者層の七割か八割の人たちが財形貯蓄に加入しているということも聞いておるわけでございます。そういうことから言えば、日本はまだ発足して四年でございます。しかも今度の改正案については、私も、財形審議会の委員ではございませんが、委員の皆さんと同じように、当局の関係者の方々が大変な御努力をされて内容の改善に努められたということについては、十分に評価をしたいと思うわけでございます。しかしながら、国民の要望、勤労者の要望というのは強い。いろいろの面でもっともっとひとつ利用しやすいようにしてくれというような要望があるわけでございます。そういう点を踏まえまして、今後どういうような発展をさせようとしておられるか、大臣の御所見を承りまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 だんだんお話を承っておりまして、まさに先生のおっしゃるとおりでございますが、現に昭和四十八年に勤労者財産形成審議会から基本的な答申は出されておるところでございまして、今後とも私たちは、審議会の基本答申に沿うて勤労者の財産形成政策の積極的推進を図ってまいりたいと思っております。  なお、勤労者財産形成政策に関連する幾多の分野が非常にありますので、各般にわたる政策の相互関連性を十分考えまして、何といたしましても、勤労者の生活の安定を促進する見地から、必要な政策を総合的に、かつ効率的にやってまいりたい。そうしてまた昭和五十年度に、そういう意味での審議の御答申、その施策をさらに考える意味で、調査費なども用意して積極的に推進してまいりたい、こう思っておるわけです。

葉梨信行自由民主党

○葉梨委員 財形問題に取り組む大臣の御姿勢を伺い、心強く感じた次第でございます。私ども自由民主党としましても、これからもいろいろ工夫をこらし労働省当局の応援をしたいし、また野党の先生方ともいろいろな御意見を承りながら、これはイデオロギーの問題とか何かではございませんから、それだけにみんなの知恵を集めて、日本的な財形制度というのを確立するように、私どもも努力をいたしますが、大臣以下の労働省当局の御検討をお願い申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。

大野明自由民主党

○大野委員長 次に、吉田法晴君。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 整理が少し不十分ですから、質問が行ったり来たりするかもしらぬと思いますが、お許しいただきたいと思います。  まず、この財形法を検討いたしてみますと、そう労働政策について著しい前進をした法律とは考えられません。私は、労働省ができてから、いやできる前から、労働関係の法律の中で言いますと、戦前のあの低賃金の言いわけを、ILOの各総会ごとに言いわけをしておった段階で、保険法というのはこれは画期的であったと思います。その後、最近の法律で言いますと、国の態度が不十分だから、あるいは国の援助が不十分だから、いままでやっておった大企業に準じた財形あるいは持ち家制度にならおうとして努力をしておる中小企業の努力にかわって、その水準をむしろ引き下げるような役割りになる法律が多かったと思うのです。この財形法にしてもそういう感じがいたします。  問題は、基本的に労働政策の基本理念を転回することが三木内閣のもとでは必要なのではなかろうか。いわば低賃金政策をとってこられました労働政策が、産業政策あるいは所得政策、成長政策に従属させられている、それを人間らしい労働者の生活を保障する政策に切りかえるべきだと考えるのでありますが、出発をしました財形法を、この国会を通じて直すというのですが、前進は多といたしますけれども、根本的にそれでは直されているかというと、私は疑問を感ぜざるを得ません。  冒頭、この法律をめぐって大臣の決意がありましたが、労働政策についての基本的な転回がなされようとするのかどうか。対話と協調というお話でございますが、本当に労働者を生産政策に従属させるのでなしに、解放された人間らしい労働者としての生活を保障し、あるいは社会保障や持ち家政策等についてどう転回を図っていくか、これが長谷川労働大臣の任務であろうかと思いますが、その辺をまず承りたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 いろいろ労働政策についての御所見が出ましたが、やはり過去の場合はチープレーバーと言われた時代もございます。また外国が日本を見ました場合に、それはソシアルダンピングだというふうな御批判もありました。しかしながら、やはり敗戦後の日本というものは勤労者対策というものが練られ、そしてまた日本の賃金が、労使双方の自主的交渉でございますが、生産性の向上とともどもにそうひけをとらないところまでどんどん進んできている。     〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 これは統計のとり方がどうのこうのという御批判がありますけれども、それはヨーロッパにおいて、イギリスを抜いたとかイタリアを抜いたとかフランスを抜いたとということは事実でございます。でありますから、今日日本の製品がよその国でこれがダンピングされているというふうな非難はいただいておりません。いい物が高く売れる、こういうかっこうじゃなかろうかと思います。  そういう中において、私たち労働省といたしますと、日本はやはり勤労者の国である、資源がないところを、一体何によって付加価値をつけるか、これはやはり人間の教育あるいは勤勉、そういう人々がいろいろ工夫して物をつくってもらう中に私たちの生活がある、それを実質的に担っていただいているのが勤労者である、こういう方々の福祉向上、生活の安定を図っていくことは、これは近代工業国家となっているものといたしますれば、当然、私を含めて労働政策をやる者が一番考えることだ、こう思うのであります。  さてしかし、いままでは片っ方にげたをはき、片っ方ははだしのままで、さて飯を食わなければならぬということで、しゃにむに働いてまいりましたが、やはり国際情勢がこのとおり、資源の問題、環境の問題、いろいろな問題で変わってきたときでございますから、なおさら私はじみちな勤労者対策を立てなければならぬのだ、そういう大事なときに来ているということで、心の中に緊張を覚えているわけであります。  一方ストックの面からいたしますと、いままでのような状況でございますから、これはなかなかやはりストックの面は不十分であった。そこで数年前から皆さんに御審議いただいたこの勤労者財産形成というものによっても、労使が話し合った結果が、何と四百万以上の方々がお入りいただきつつ、そして契約高も三千数百億になっている。これをさらに一歩前進させて進めていくことが私は精神の安定と、あるいはまた持ち家制度といいますか、そういう住宅政策に持っていって、将来に希望をかけてもらう、こういうところに私たちのねらいがあることでございまして、対話と協調の三木内閣でございます、本当によその国の労使関係を見れば見るほど、私は日本の場合にも対話と協調をもっともっと進めていきつつ、そういう中から財産形成もストックも、そしてまたいろいろな福祉のレベルアップの中に混乱のなき日本をつくる。そのためには、対話と協調は私自身もいままでやってまいりましたが、ますます皆さん方の御支援をいただきながら、そういう中に私は日本の勤労者の生活の向上がある、こういう構えで及ばずながら働かしてもらっている、こういうことでございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 チープレーバーあるいはダンピングを非難をされた時代から、資源がない国だから、教育と勤勉な労働に対する感謝といいますか、対等、平等の評価の上に労働政策を立て直さなければならぬというお話はわかりますが、実際にはそうなっていないんじゃないか、こういうことをいま申し上げているわけです。  非難をされます場所は違ってまいりました。ILOの場で国際的な資本家あるいは労働者、政府からも非難をされることはなくなりました。しかし、場所は違いますけれども、国際的な蔵相会議の席上では、日本の低賃金がやはり問題になっております。それから、いまは、たとえば世界的な不況の中で日本の貿易は大変増加しておる。貿易競争が始まったという評価がアメリカ側からなされたりしておりますが、私はやはり日本的なチープレーバーだと思うのであります。それは大企業の場合には一応まあまあと思いますが、労働の中に段階ができている。私はこの労働の中における階級——下請、孫請、そしてその賃金、労働条件の低さが私は日本全体の労働の水準を引き下げておるゆえんだと思いますし、生産費が安くなる大きな原因だと思う。そういう意味においては、やはり依然として生産政策の基礎には飛躍的な生産増強の基礎には低賃金があると考え、それがやはり国際的には問題になるんだと思うのでありますが、そういう意味から言いますと、この春闘の中で賃金を抑える、何が何でも一五%に抑え込もうという姿勢は、けさテレビのニュースになっておりましたけれども、政府で生鮮食料品を無理に五%下げる協力店を云々という話等についても、東京からは消費者物価の指数を乱すという批判がありますが、私は経済の実情を反映をしてないという意味でもっともだと思うのであります。そういう小手先の技術によって、あるいは春闘が終わるまでは何としても一五%に抑え込もう、こういう政策でなしに、本当に労働者を労働者として、人間として取り扱う政策を確立されるのが労働省の任務ではないか、少なくとも労働大臣の任務ではないかと私は思うわけです。  そういう意味から言いますと、これはここの場の問題ではございませんけれども、実質的に、やはり全国一律の最賃法、これができるかどうか、国際的な水準になるかどうかの点が、私は労働問題では一番大きなかぎだと思うのです。ですから春闘でも大きな話題になっているわけですが、この程度の労働政策の基本の上に、りっぱな財形法あるいは持ち家制度云々ということを言われても、それは中小企業の合理化に利用されるだけで、理想的な財形政策というものは進まないと思います、ドイツとの比較も言われますけれども。そこで、基本問題、労働大臣の基本的な姿勢について、もう一度ひとつはっきりお伺いをいたしたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 直接おっしゃるお気持ちにお答えになるかどうかわかりませんけれども、私は一五%に賃金を抑えるなどということは言うたことはございません。私たちがいま主張しておりますことは、賃金の問題は、これはあなたのおわかりのとおり、日本はこれは労使でお話しされて、自主的交渉でございます。政府は介入しない。所得政策はいままでもやっておりませんし、私自体の経験からしましても、所得政策はやらない。何が一五%かと言いますと、昨年の暮れの二五・七%の物価の上がりというものが、いかに勤労者を初め、その金をいただく奥さん方、国民全体を困らせたことか。ですから、いかにして物価を抑制するかは世界の一大問題だ。各国の首相はそれにみな苦心している。そこにおいてか三月末の消費者物価を一五%というめどをつけることが、賃金をもらってくる人、それをいただく奥さん方、あるいはまた仕事をする方々も、そこで目標が立つわけですから、そういう意味で、ひとつ総需要抑制が皆さんから御理解をいただきながら、一部中小企業等々についての年末の融資などを行いつつ、あるいは食糧がその中の四〇%を占めていますから、そういうものが値上がりしないように、内閣全体で苦心をしながらやっているわけでありまして、これは小手先でも何でもなくて、それが達成したときに本当に国民全体が一つの目標が立つんじゃなかろうか。もう一つは、そうした実績の上で、国民全体のコンセンサスの中に、政府といたしますと、来年の三月末の消費者物価を今度は一けた台に抑えていく、こういう政治的目標を決めて、それにみんなで相協力してやってもらいたいということなのでありまして、これは全く小手先じゃないということを御理解いただきたい。こう思うのであります。  それから中小企業と大企業の話が出ましたが、これはまさにおっしゃるとおり、中小企業、大企業との格差はございました。いまでもございます。それは大企業の大きな組合の諸君の給与と中小企業の組合の諸君の給与というのは十対八とかいわれたことでございますが、これはそういう意味からしますと、未組織の中小企業の方々が多うございますから、こういう問題に対して、ひとり中小企業庁とか通産省だけにあらず、今度御可決いただいていまやっております雇用保険法一つ見ましても、中小企業の場合には雇用調整給付金を三分の二とすることを皆さんに御賛成いただき、そういう意味からして、労働省はいまから先は、そういう中小企業の向きに対しては、いままで以上積極的にやらなければならぬのじゃないかという感じ方でございます。  もう一つ、最低賃金の問題、全国一律の話が出ましたけれども、これは吉田さん御承知のとおり、どこの県に行きましても地域的な差がございます。でありますから、各県で地域最賃を決め、業種別にいろいろな業種で決めまして、これが網の目のように細かくなって、いまカバーされている労働者が、たしか三千六百万だと思っております。それというのも、私の方はそのときの物価の模様等々を拝見して、そういう最賃を上げることによって勤労者が守られるという観念からいたしまして、昨年の十二月の二十七、八日まで、ほとんど全国ずうっと三者構成の審議会によって、これはアップなどをしておるわけであります。あなたの北九州と南九州、あるいは北九州と東京、こういうところの地域の差を考えますと、最賃の問題にいたしましても、中央では労働組合の方々あるいは学識経験の方々、そういう方々の審議会でも御審議いただいておりますが、いま日本の実情からすると、この地域の差が非常にひどいところがあるから、東京を一〇〇としますと、地方によっては五七でございます。そういうところを一律にずっとやることは、まだまだこれは慎重に考えるべきだという御答申をいただいていることでございまして、私はやはりその地方地方のレベルアップこそが大事じゃなかろうかということを考えて、行政を推進していることを御理解いただきたいと思うのであります。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 長く前提で論争しようとは思わないのですけれども、どうも御要望申し上げている点が通じないようで、大変残念に思います。  春闘で一五%に賃上げを抑え込もうという意図はない、労使の協議に待つ、こう言われますが、それでは総理大臣がなぜ関係団体の懇談会に出て、その春闘の自粛を要望されるのか。その辺に、対話と協調を主張される三木内閣の基本的な姿勢の中に、従来と変わらぬものを感ずるから、その基本的な転回が必要ではないか、こういうことを申し上げているわけでございます。  具体的に財形法のあれになりますが、その前提でございますが、日本のように社会保障制度は立ちおくれ、あるいは企業の労務管理も依然として資本中心、そして営利主義が根幹をなしている。大きい企業の例として、新日鉄や北九州における大企業のこういう問題に対する姿勢を見ますと、七五%の住宅金融公庫から借りられます金額のほかに、全額を会社が貸す。その場合に、この制度の欠陥であります宅地についても、私どもの郷里の安い土地を買って、そしてそれを分譲する、そして土地とそれから持ち家が持てるように全面的に融資をしていく。それを北九州市では、従来の八幡市で市民にもやっておりましたから、北九州市全体にも確立をいたしました。しかし、大企業の財産形成あるいは持ち家制度そのものも、企業の合理化に利用せられておるというのが実情であります。これは君津移転の一つの方策として、そういう方策がとられたという感じが私はするのであります。それはそうは言っておられません。そうは言っておられませんけれども、利用されがち。まして中小企業においては、これ以下の政策しかやりませんけれども、それが、こういう不完全な、次元の低い制度が行われますと、中小企業が福利費によっていままでやってきた福利施設の肩がわりに利用される、それを引き上げるんじゃなく、引き下げる役割りしかしないのではないかという感じが私にはします。  そこで、この財形政策の前提となる勤労者、労働者の基本的な位置づけ、従来の会社経営の従属としての労働者から、解放された人間として、憲法で保障されておる最低にして文化的な生活を享受し得る労働者の生活、その財産形成、あるいは持ち家を持ち得るような政策に転換すべきで、そういうものとしてこの財形制度を考えるべきではないかと私は考えますが、労働大臣はどう考えられますか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 勤労者が会社に従属し、あるいは会社からいつも搾取される——あるいはそういうふうなお考えも成り立つのかもしれませんけれども、日本は職業の選抜の自由、しかも従来までは良質で学力のある諸君というものはセレクトされて大企業にも入り、またその大企業で持ち家制度と言いますけれども、それそれぞれの会社にはそれぞれのやり方が私はあろうかと思う。社宅をつくっているところもあるでしょう。といってそれを飼い殺しというふうに思うのはどうだろうか。そういうふうなことで生活しつつ、一方は財産形成を考えていく。そしてまた、税率控除を考えて、その中に自分の財産をつくる、あるいはまた、その間に、持ち家制度というものに自分が参加する、こういう私は選択の一つの方法があるのじゃなかろうかということを考えているのでありまして、私はいまの時代に会社がしゃにむにこれを抑えつけておくというふうな暗いイメージじゃなくして、良質な勤労者であるほどそういう独立心がある。そして、なれた仕事であるから、そこで力を出せるからやっていくというところに日本の一つの特徴がある。職業の選択の自由、そしていろいろな業種があり、私たちが育った時代と違っていろいろな選択があるというところに、いまから先の日本の勤労者の一つの望みがある。それをいかにして助長させ、いかにしてその明るさを増していき、生活に希望を持たせていくかというところに、私たちが一つ一つの問題について政策を検討し、皆さんの御審議をいただき、御同意をいただきながらやっていく進み方というものがあるのじゃなかろうか、こういうふうに感ずるのであります。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 まあ誤解がありますが、長谷川労働大臣、九州にもおられたことがあるということですから御存じでしょうが、昔の炭鉱の社宅等は、いまおっしゃったような暗いイメージと納屋的な観念がございました。便所もなければふろもない、部屋は二つぐらいございまして、間は壁で切ってある。ところが、それに縛りつけたのは、いわば肩入れ金という金を貸して、その借金を残して出ていこうとすると、それを引っ張りとめて暴力をふるったという時代もございました。もちろんそういうことがいま許されるということを申し上げておるわけではありません。ただ、生産費やあるいは営利主義が高じますと、生産費の中の何%以下、こういう福利政策になろうとしておる。それで、大企業のところは住宅金融公庫から住宅資金として借りられる、あるいは宅地の整備の金さえ借りられる。しかし、それ以上に自分のところの金を付加して一〇〇%貸す、あるいは宅地をつくるということさえできておるけれども、それでさえ大きい合理化政策の一手段として利用せられがちだ。それ以下の中小企業に至っては、大企業にならおうと思って努力をしておる、最近は人がなかなか得にくいですから。努力をしておりますが、しかし、この財形制度の基本に、ほんとうに一人前の人間としての扱いをしなければならぬ。一人前の人間らしい生活ができるような制度としての財形制度、それに対する国の政策的な援助ということも必要でありましょう。そういうものとして考える。いままでの中小企業がやっている水準を引き下げるのじゃなく、いままでの福利政策に肩がわりするのじゃなくて、もっと高い財形制度、あるいは人間待遇の制度として考えられるならば、もっと高い水準がねらわるべきだろうし、基本が間違っておる。いままでの基本に沿って、企業者に肩がわりをするというようなことでは、いままでよりも基本的によくならぬ、あるいは人間扱いすることにならぬのではなかろうかということを原則として申し上げておるわけであります。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 そういう御心配も労働者のためにしていただくことはありがたいことでございます。しかし、考えてみますと、いまはそんなことで人の使える時代ではありません。組合もあります。またお互いの目も光っています。そこはやはりこういう制度が、大企業なり中小企業において皆を抑えつけるためのそういうものじゃない。私はそういう良識を信じて、まさにそうしたことからして私たちはレベルアップするためにがんばって、そのことが勤労者自体の生活、毎日働く喜びになり、あるいは明日への希望なり、子供を教育するところの教育費ができるという希望がそこに生まれるのじゃなかろうか、こう思っておりまして、抑えつけるためにこんなことをやるという考えはないということだけはひとつ御理解をいただきたい、こう思います。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 抑えつける、抑えつけぬという話はもう前時代の話で、それで抑えつけられることを心配しておるとかいったようなことは杞憂にしかすぎません。ただ問題は、基本的な労働者の評価と、それからこの制度が全般的なレベルアップ、あるいは人間らしい取り扱い、その制度になっておるかどうかを具体的に検討する話でございますから、具体的に聞いてまいりますが、この法案を含みまして、改正前の制度にしましても、それから改正後のあれにしましても、いま問題にしております財形法、財形制度は、財形貯蓄のやり方にしろ、あるいは財形持ち家融資にしろ、企業に依存することを基本的に仕組みとしておることは間違いないじゃないか。これでは企業のおくれた労務管理に利用されるだけではないか。そこで、審議会の答申の中にも出ておりますし、それから関係労働者の中からも要望が出ておりますし、そのレベルアップのために衆議院、参議院で附帯決議がなされておりますが、これらの要望に対して、基本的に財形法改正に当たってそれが充実されておるかどうか。充足されておるかどうかという話になりますと、必ずしもそうでもないという点がうかがわれますが、これらの点についてはどう考えておられますか。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 先ほどからいろいろお話をお伺いしておりますし、ただいま具体的に今回の改正案ではその点どうなっておるかという御指摘でございますので申し上げますと、財形貯蓄といいますのは、本来契約の当事者は勤労者と金融機関でございまして、事業主が契約の当事者という形ではございません。ただ、実際問題といたしまして、賃金から控除してこれを実施するという手続になりますので、労働基準法第二十四条の手続が要るわけでございます。この労働基準法二十四条の手続といいますのは、御承知のとおり、労働組合ないしは労働者を代表する人たちとの間に協定を結ぶ、こういう手続が前提になるわけでございます。  それから、今回の改正法案におきましては、従来考えられておりませんでした、勤労者がAという事業場からBという事業場に転職した場合、いままではそこで財形貯蓄が打ち切られたわけでございますが、今回はそれを転職先において引き続き行うことができるようにしておる、もちろんそれには一定の条件が必要でございますが。  それから、新しく考えられております給付金制度、この制度につきましても、労使の合意に基づいて運用されるというように、ただいま来先生御指摘のように、労働者が自由な立場で自由に財形貯蓄ができるようなそういう配慮をしておる形になっておる次第でございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 現行制度の説明に入る前に、制度の批判と、それから制度のあるべき姿について審議会等から出されておる答申なりあるいは批判に対して、どうこたえられておるかという点をお尋ねをしておるわけであります。  昭和四十九年二月二十三日の審議会からの答申の中に、財形政策の目的は、「財産分配のあり方についての勤労者の不満を解消し、ひいては勤労者が連帯感を持ち得る社会の実現を期することにある。」それが一つです。こうした目的達成のために、特に強調した割り増し金が実現をしていないのはまことに遺憾である——その他ございますが、これは私が申し上げるように、経営に従属している勤労者じゃなくして、人間勤労者としての、労働者としての生活の保障、あるいはその労働者が連帯感を持ち得る社会の実現という言葉でいわれておる。それについての政府の基本的な考え方、具体的な方法としての、特に割り増し金の実現について、前に四十八年の十一月二日ですか、要望をしておいたけれども、それが実現をしていないのはまことに遺憾である、こういう表現等もございますが、これらについて労働大臣はどう考えておられますか、承りたい。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 プレミアムの話も出ましたけれども、西ドイツの場合にはプレミアムも一般にやっている、こういうことでございまして、私たちは、そういう審議会の御答申なども踏まえながら、いまから先も努力していきたい、こういうふうに考えておるわけであります。ただ、何さまこちらのほうが歴史が浅うございますし、財政やら金融全体の国の基本の問題にかかわるということでして、その辺御答申の中に、いまのような現実を踏まえながら、こうしたことに対する理解というものをいまから先いろいろな場面においてやっていかなければならぬのじゃないか、こういうふうに感じ、そういう意味からしますと、調査費なども取りつついろいろな問題についての検討を今後進めてまいりたい、こう思っておるわけであります。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 これはひとつ制度についての改革の意見があるかどうかということを承りたいのですが、それは、いま大臣の言葉の中にもございましたが、労働省から案を出し、これは大蔵省所管のこともあるから大蔵省と打ち合わせて、大蔵省と労働省とで煮詰めたところで諮問をされているやに聞きます。  それから審議会の構成については、いつも言われることでありますけれども、いわば労働大臣の諮問機関的な性格。その前に、ほんとうに対話と協調の政治をやろうというならば、労働者のほんとうの生の話を聞き、それから財形問題について煮詰めていくということになぜしないで、いまの制度の中で、大蔵省あるいは予算や金融関係の伝統の中で、これだけしか残された道はないということが最後に出てきて、それでもって審議会に諮問をするという話になれば、審議会、特に労働者側については不満を持つのは当然の話で、これは野党としても、本来一から相談があるならば、対等に相談に乗ってまいりましょうけれども、最後の小さい案になって、煮詰めたところで相談をするという話になれば、意見の限界があります。  そこで、案に対する賛否というものも考えなければならぬところですが、もっと財形問題なら財形問題、その前には労働者の生活問題があります。労働者の生活の水準、現行の制度に対する批判等もございますが、なぜもっと根本から相談をして、財形制度なら財形制度についても御相談をしながらやろうとせられないのか。一般的には対話と協調と、こう言われるけれども、具体的な問題になれば、基本的な問題は、もうすでにいままでのやり方を前提にして、大蔵省の許す範囲内でということになるについては、大変な不満をわれわれ持っておるわけでありますが、これらの点については改善をしていく意図が基本的にあるのかどうかをひとつお尋ねします。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 今回の改正案との関連で、やや具体的な問題が御提起になりましたので、お答えいたしますと、今回の改正案につきましては、実は前回廃案になりました際の改正案、これについてもいろいろ御議論をいただき、そしてさらにそれを前進させるという御意見をいただいていたわけでございまして、たまたま前臨時国会には提出いたしません、今回御提案申し上げたわけですが、その間に予算折衝等の問題がございました。その予算折衝の中では、御承知のとおり、予算問題でございますので、なかなか一々御相談できないという事情がございましたけれども、一応成案を得て先般御諮問をいたしたわけでございます。しかし、これは今回の問題でございますが、実はそういう大蔵当局に対するあるいは一般に対するわれわれの働きかけ等の裏には、あるいはその前提には、従来審議会等でいろいろ御議論をいただいたその御意見が非常に大きな支えになっているということをわれわれは考えておる次第でございます。  なお、今後におきましては、できるだけそういう問題が残らないように、まだまだいろいろ具体的な問題等についてあるいは基本的な問題等についても審議会の御意見を聞かなければならぬという場面がございますので、そういうことを踏まえながら、積極的に審議会の御意見を聞いて、審議会の意のあるところの実現に努めてまいりたい、かように考えております。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 基準局長は、すでにできておる財形の基本はそのままにして、改正過程での説明であります。  大臣に伺うのは、なぜ、財形問題の根本から労働者にも相談をし、初めから、審議会の答申、あるいは衆参両院の附帯決議、それから労働者の要望については御存じだと思いますから、煮詰めた最後のちょっとした部分、われわれから言うと、基本問題が片づかないで、労働省、大蔵省折衝をして最後に煮詰まってきたものについて審議会に答申を求める、こういう態度でなしに、財形制度の基本から相談をするという態度をどうしてとられなかったのか。財形制度の基本についての再検討をする用意があるかどうか、こういうことを尋ねているのです。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 実は財形の審議会におきましては、四十八年に、基本的な問題といいますか、基本的な理念の問題、こういう問題についていろいろ御建議、御答申をいただいている次第でございます。その基本的な問題、基本的な理念を踏まえまして、現実に法を改正しあるいは運用をするという立場でやっておりますので、今回の問題につきましても、諮問をいたしました今回の答申におきましても、四十八年の基本的な答申の早期実現を期するよう、こういうふうにうたわれておりますので、ただいま申し上げましたように、そういう角度から審議会の御意見をさらに具体的にお聞きしてまいりたい、こういう趣旨でございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 局長にお尋ねしているのでなく、労働大臣にお尋ねしておるのですが、これは、いままでの経過の上に立って改正問題についてどう相談をしてきたか云々という話でありますが、そこで相談するものはこのくらいしかない。さかのぼって財形問題それ自身について再検討ができるかどうか、こういうことをお尋ねしているのです。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 勤労者財産形成審議会の委員の名簿を見ますと、学識経験者八名、この中には今井一男さんのように権威のある共済組合連盟の会長をされておる人、あるいはまた岩尾一さんのように農林漁業金融公庫副総裁、あるいは慶応大学の加藤先生、こういう方々が入っておられる。それから一橋大学の名誉教授の中山伊知郎さん。一方勤労者代表といたしますと、全日本総同盟副書記長の上西正雄さん、あるいは総評事務局長の大木さん、あるいは全日本食品労働組合連合会中央執行委員の栗原さん、労働者福祉中央協議会の事務局長の佐々木正男さん、全国労働金庫協会常務理事の高木さん、全産別中央執行委員の富田弘隆さん。さらにまた、事業者は、王子製紙の専務さんとか、大塚鉄工の方、あるいは中小企業団体中央会の専務理事、それから日経連の専務理事の松崎さん、こういう方々によりまして、先ほど局長がお話ししたように、財産形成そのものについての基本をこういうところで長い間かかって御討議いただいて、そして国会にお出しする場合には、その中から、できやすいと言うとおかしいが、前進できるようなものについて今度御答申をいただいた。そうしてそれがあなたのおっしゃるようにほんのちょっぴりじゃないかという話でございますけれども、原則は、こういうところで基本をお話しいただいて、ですから、今度のやつでもなお不満があるぞ、もう少しがんばれというふうな激励をいただいているところに、私たちが努力目標として将来さらに一生懸命やらなければいかぬ、こういうふうに感じておりますので、こういう場所においての御審議の過程においてのお話などは、私たちも大いに参考になる、こう思っておる次第であります。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 同じことを何遍もやりとりしても仕方がありませんから、具体的な制度の問題については、私が触れ得るだけ触れて、あとは枝村委員からも御質問申し上げますから、あとに譲ることにいたします。  基本原則問題で、ちょっと前にバックいたしますが、この制度でもそうですが、わが国の国民の貯蓄率は、国際的に見ますと比較的高い。それは社会保障制度が貧弱で、老後に備えて、あるいは自分の万一に備えて、それぞれの個人が、国民の一人一人が貯蓄をしておかなければならぬ、こういうことで、社会保障制度の貧弱さの証明あるいは裏返し現象だと言われております。財産形成を考える前に人間らしい生活、あるいは審議会の二月二十三日答申の中にあります「勤労者が連帯感を持ち得る社会の実現」、そしてその裏づけとしての社会保障制度の確立をもっと図ることの方が先ではないかということが考えられますが、労働大臣の御所見を承りたい。     〔竹内(黎一委員長代理退席、戸井田委員長代理着席〕

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 日本の一番大事なことは、やはり国民の連帯感を常に失わないように、またそれを盛り上げるために努力することだろうと思うのであります。先ほど葉梨さんからもお話のありましたように、よその国と日本との社会保障の比較などもございました。私はそういうことからしますと、いまから先は、やはり社会的公正と三木内閣が言うておるものを、こういう非常な経済の変革期に、いかにして実現させていくかという努力はますます続けなければならぬと思うのであります。  一方また貯金の問題にいたしましても、社会保障が少ないから貯金ということもありますが、これは私は、ただそういう観念だけで片づけられない日本人の特質じゃなかろうかとさえ思っているくらいなのです。教育のためにも貯金をいたします。大学に二百万も入る、あるいは高等学校に九〇%も入っていく、こういうことのために私は貯金というものも必要だろう、こういうふうに感ずるのであります。一時は奥さん方の株の話などがはやりましたけれども、株を買って、そして毎日株の値段を心配することよりは、やはり国の貯金の中に自分が貯金していった方が、時間的に、心の中に安心感もあるし、連帯感もあって貯金をしているのじゃないか。ですから私たちは物価を抑制しながら、この目減りというものを早くなくすように努力しなければいかぬ、こういうふうな感じ方、そしてまた一方、この財産形成一つにいたしましても、自発的に自分でやっていこうという気持ちが、発足してわずか三年足らずにして四百万も加入者がある。こういう方々に私は税額控除を年々拡大していくとか、あるいは将来については、新しいまた制度を考えていく、こういうものなどを深く拡大していく努力をすることが一番大事なことじゃなかろうかという感じ方で、いまから先も進めてまいりたい、こう思っておるものであります。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 先ほどちょっと触れましたが、この財形制度は、財形貯蓄のやり方にしても、あるいは財形持ち家の融資にしても、企業に依存することが基本的な仕組みになっております。これでは企業のおくれた労務管理に利用されるおそれが多分にございます。それだけに具体的に国の社会保障費が国の予算の中で何割占めるべきであるか、あるいは会社、事業所の生産費の中で何割は労働者の福祉に回すべきか、こういう全般的な福祉行政の水準の向上のために政府としては方向を示すべきではなかろうか。あるいは財産所有の民主化とそのための国と企業側からの援助、自主的な長期生活設計が立てられるような施策等、財形審議会の四十八年十一月二日あるいは四十九年二月二十三日等の答申の中に盛られておる「連帯感を持ち得る社会の実現」、そのための割り増し金、貯蓄元本に対する援助等、国の政策として、国の財政支出を含んで水準を引き上げる具体的な施策が必要なのではなかろうかという感じがいたしますが、どう考えられますか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 私は大蔵大臣と予算折衝をする場合にあなたと同じことを申し上げたのです。やはり理想は一日にして成らず、こういうことを申し上げて、一昨年でしたか、五時間にわたって折衝し、また皆さん方からも御声援をいただいて、もう一回大蔵大臣との折衝をしたことがあります。基本的に財産形成に対する審議会の御答申に私は満腔の敬意を払っておるものでありますが、何さまいままでの制度というものを一遍に私たちが打ち破ろうとするのですから、なかなかむずかしいということを感じました。そういうもどかしさの中に今度またこういうふうに一歩でも半歩でもとにかく前進しようというところの御審議をお願いしておるのが今度の法案でございます。まさにおっしゃること私と同じお気持ちであり、そしてまたそういうものに向かって私たちが邁進していく気持ちであるということを御理解いただきたい、こう思うのであります。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 まあ努力をしたけれどもそのとおりにいかなかった、いわばいままでの考え方あるいは制度を打ち破ることができなかったというお話でありますから、私はそれを破ることがいまの三木内閣における労働大臣の任務ではなかろうか、財形制度に関連をしてもそれをやはり破ることが一番大きな問題だと申し上げておるわけであります。  時間がだんだんなくなってまいりますから先に進みますが、この労働者の財産形成あるいは住宅云々ということを考える前に、労働者の生活はいかにあるべきか、どういうことが望ましいか、まあライフサイクルというのがどういうことを意味しておるのかわかりませんが、おそらくそういうことを考えられたのだと思いますが、こういうあるべき姿に関連をして持ち家の取得、労働者の住宅の望ましい基準、あるいは労働者住宅対策について、労働省としてはどう考えておるのか、これをひとつ承りたい。というのは、すでに別に労働者に対しては、低家賃の住宅をたくさんつくるべきだという意見、私もそれはそのとおりだと思います。そのとおりだと思いますが、この公営住宅の考え方にしても、すでに二DKの時代は過ぎておる。それからまあ結婚当初はやむを得ず二DKに入っておりますけれども、子供が一人でき、二人でき、その子供が大きくなってくれば、十年もたてば、二DKの家には実際はおられぬというのが実情です。それから先は、自分の家をつくろうとしたり、あるいはもっと広い三DKの家に移っていったりしておるのが実情で、住宅のあるべき姿、あるいは家賃というようなものも、社会主義の国と比較してみて、やはり再検討すべき時期にきておると思います。  それからもう一つ、日本人の性格から言って、仕事のための住宅なのか、あるいは休養、労働の再生産のために十分な静かな公害のない、あるいは庭もついておればなおよいということになりますが、そういう生活と関連をする住宅のあるべき姿というものが考えられるはずです。これは労働大臣として考えらるべきだと考えますが、それとこの財形あるいは持ち家融資との関係をどう考えられておるのか承りたい。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 先生御指摘の問題は、大変重要で、ただむずかしい問題だと思いますが、私どもといたしましても、いま先生御指摘のように、公害のない環境の良好なところで適切な広さを持ったそういう住宅が勤労者、もちろん国民一般に供給され、快適な生活が営まれるというのが本来の姿だと思うのでございます。ただ現実の問題といたしましては、そういう形に一歩でも近づくような意味におきまして、良質低廉な賃貸住宅というものをできるだけ多く供給するということを考えながら、一方いま御指摘のございました勤労者のライフサイクルというような問題を頭に置きながら、労働者が持ち家が取得できるような形、それにはいま申し上げましたようなことを実現するために、いろいろ前提条件が要りますが、そういうような形に持っていく、労働者が努力する、その自主的努力を何とか援助していく、そういうことができるようにということを願っておる次第でございます。具体的にどういう基準でどういう広さが望ましいかということは、いろいろわれわれも検討しなければいけませんし、あるいは建設省等全体と関係がございますので、ただいま申し上げられませんが、一般的に申し上げますると、そういう考え方でやっておる次第でございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 それに関連をしてお尋ねしますが、大正、昭和の初めまでは、仕事に便利な住宅ということが中心であったかもしれません。しかし、すでにその時代は過ぎておる。そういう意味で、言葉では良質、低家賃、適当な広さ、あるいは自主的努力に対する援助と言われますが、具体的に言いましたが、三DKでそして公害のない静かな云々ということになりますと、工場の近くの社宅といったような観念から、距離的にも環境的にもいい、あるいは広さについても広くなってまいりますが、いま分譲住宅で広告に出ているのを見ましても、一千万円以下ではございません。マンションと言われるかどうかは別問題にしてアパートでも一千万円以下ではなかなか都会では家がない。これは東京でないだけでなくて、やはり九州の都市でもそうです。それに対して労働者か経営者と協約を結んでそして積み立てていく。それに対する割り増しもございますが、国からの援助というものはほとんどない。一千万円、あるいは一千万円を超す住宅を、快適なところで、あるいは適当な広さでという話になりますと、一千万円を下ることはないが、その一千万円以上を積むためにやっておりますと、だんだん物価は上がっていく。物価の問題はあとで尋ねますけれども、そうすると、これに対する国の姿勢というものは、やはりこの制度の上からいいますと一番欠陥ではないでしょうか。健康保険の例ではございませんけれども、労働者に対する施策を飛躍的に引き上げるためには、何といっても小さいところから言いますと、労使のほかに国の援助というものが必要になってまいりますが、これについては、重ねてですが、ひとつ労働大臣の所見を承りたい。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 私も若い諸君、勤労者が家がないということなどは、非常に身につまされて感じているものであります。そういうことからしますと、自分でローンでつくる人とか、いろいろ苦心しておる人を見ます。しかしながら、やはりすぐでは間に合わないかもしれぬけれども、こういうふうに税額控除だとか、中小企業の場合には、今度雇用促進事業団の方から事業主に対していささかの手当てをするというふうな漸進的なものをやりつつ、一方また建設省あたりとも話をしなから、いまのような土地の問題——これは土地の高いことが一番のガンでございますから、そういう問題で、この財産形成の持ち家制度というもの、住宅貯蓄というものが盛んになればなるほど、私は建設省とも土地の問題について、あなたの方の公団住宅を建てるそういう場所に、どういうふうな位置づけをしてくれるかというふうな話も実はしておるわけでして、漸を追うてひとつ努力してまいりたい、こう思っておるわけであります。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 土地の問題について言われましたが、この制度の中には、土地のことは考えられておりません。住宅対策は別にあるのかどうか知りませんけれども、しかし実際に家を建てるのに、住宅金融公庫の低利子あるいは長期償却の制度を利用いたしますが、あとのお金は、これは実際には家を建てるときの半額にしかなりません、あるいは半額以下になりつつありましょう。そのあとの金をどうするかというのが一つの問題。  それから問題は、土地が手に入れば家は何とか建つということも言われておりますけれども、土地を入手するのに個人ではなかなか可能でない。それから営利主義の宅地改造は高くて、初めの段階では別問題、あるいは住宅公団とか、あるいは公社とかいうものがつくっておったものを分譲してもらったのはまあいい方。そこで結局労働者も労住協をつくって住宅融資なりあるいは労金の貯金のたまりましたものを動かして宅地をつくる。自分で公共団体その他に相談をして比較的安い土地を入手して、土地をつくることを労働者が自分でやらざるを得ないというような実情であります。  そうすると、この土地問題についてこの法律は全然考えられておりませんが、これは建設省とも相談して云々という話でございますが、勤労者住宅のために、この制度と関連をして、具体的に住宅対策を立てるのでなければ、実際にはこの半分が、あるいは可能にする基礎が実際にはつくられぬ、こういうことになるわけでありますが、それについての具体的な考えがありましたらお示し願いたい。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 直接の御答弁にならないと思いますけれども、小鳥が巣をつくる場合でも、自分の胸毛をむしって巣をつくるのです。人間一生のうちに自分の家をつくるということは大変な努力だと私は思うのです。そしてそれぞれの人がそれぞれの希望を持ってやるわけです。でありますから、そういうふうな御希望に沿えるように、私の方では財産形成のこういう制度をやって、いろいろなものでひとつお手当てをしょう、そうして自分でつくるものに対する意欲というものを駆り立てて推進してまいろう、こういうことを考えつつ、一方においては、将来ともにこれは建設省あたりにも土地の問題等々についてもお話ししなければならぬ、こういうふうな感じでして、いますぐこういう土地にどうのこうのという話にまではなっておりませんけれども、私は前回も建設大臣に、こうした制度がどんどん進んだ場合には、いますぐ貯金か——たしか七年か八年、あるいは五年もかかりますから、この制度によって、すぐ家を建てる人はなかなかないだろうけれども、そういう問題がぐっと伸びた場合のことをひとついまのうちに建設省も考えておいてくれないか、実はこういう話もしておりまして、問題をいまから先も私は積極的にフォローしていこう、こう思っておるわけであります。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 ちょっと具体的過ぎますけれども、問題にし出しましたから、ついでにお尋ねをしますが、労働省の関係で言いますと、金をたくさん持っておりますのは厚生年金積立金の何とか福祉事業団とかいうのもございますが、地方で運動場をこしらえたり、養老院をつくったり、せっかく労働者の積み方てた金だから労働者のために使いたいという、まあこれは善意だと思いますけれども、しかしその程度に終わっておる。  一番問題なのは、労働者の生活を向上させるのにこれをどう使おうかという話ならば、たとえばその厚生年金の積立金を、これは県なりあるいは公共団体を通じてでもいいですが、貸してやることによって、土地をつくるということもできないことはないと思います。あるいは国民の中の貯蓄をしておりますのはほとんど労働者ですが、あの財政投融資の原資になっております郵便貯金とか簡保とか、こういうものにいたしましても、労働者のためにどう使ったらよかろうかというぐらいのことは、労働省として一番考えてもらってもいいことだと思うのです。  これは小さい例ですけれども、住宅用地をつくるのにあるいは住宅をつくるのに、歳計現金を市から何億とか貸して、年初に貸して年末には返済してもらう、こういう無利子の金を貸すことによって、相当大きな土地ができました。北九州では一万円そこそこで宅地ができたことがございます。いまはそういう制度が広範に行われませんから、北九州でも五、六万以下の土地はなくなったと思いますか、やろうと思えば、労金でさえ——労働者でさえと申しませんけれども、労住協が比較的安い土地をつくり得ている。国が、労働省として、たとえば厚生年金の積立金等を信用の置ける地方公共団体に貸すことによって宅地をつくるとか、あるいは住宅を安くつくることについては、これは具体的にできると思うのですが、そういうことをする考えはありませんか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 吉田先生、やはり市長さんをやっただけに、いろいろ具体的なお話が出まして結構でございますが、いま各県で土地開発公社などというものもやっておるわけですね。わりに山のようなあるいは荒れたような土地を開発公社がやっている。そういうところへ各県では住宅公社がタイアップして、またその家を勤労者なり必要な方々に分譲している、こういう一つのあらわれもあろうか、こう思っております。  それから老人ホームとか青少年ホームの話が出ましたが、そういうこともやりつつ、一方はまた、勤労者が工場に移転して働く場合に、その工場の近くに行っても住宅がないということからしまして、労働省所管では、雇用促進事業団が、御承知のとおり工場地帯あるいは大都市あるいは誘致工場のあるようなところには移転者住宅などを建てて、勤労者に住宅を供給している、こういう実例もありますので、一つ一つ問題別にそういうものに気を配っている姿において問題を考えてみたい、こう思っております。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 時間がだんだんなくなりますから、最後にはインフレ対策でありますが、財産形成と言う以上は、インフレの抑圧あるいは物価の安定が大前提になります。せっかく家を建てようと思って貯蓄をしてきた。去年、おととしのこのインフレ物価高で目標を変えたけれども、それも追いつかなくなった、とうとうやめてしまったという例は幾つも聞きます。  そこで、これは労働大臣の専権の問題ではございませんけれども、財形問題とインフレ問題というのは、これはインフレがどんどん進んだらどうにもなりません。一五%にとどめるという話でありますが、それは総需要抑制だとか、気持ちはわかります。わかりますけれども、それではいまのような資本主義のやり方で、いまの経済の体質でインフレがとまるか、インフレ物価高は継続されないかといいますと、この一五%あるいは一〇%で抑え込みますと——成功を祈りますけれども実際にはなかなか。これはある程度の減価というものを考えなければならぬでしょう。  そこで、私は、先般フランスの社会党にインフレ対策について聞いたのです。物価高以下に利率を置いておくものだから、貯金をするよりも物を買った方がいいという風潮が一般に普及するところに、いわゆるインフレマインド、インフレを助長するものがあります。だから物価高以上の、さっき最低賃金制云々ということを申し上げましたが、あるいは特別預金の奨励だとか、その辺にも対策はあろうかと思いますけれども、政府全体の対策は別にして、労働大臣としてこの物価高あるいはインフレに対処する財産形成上の施策というものが私はあると思うのです。いま申し上げました物価高以上の最低賃金の上昇、こういう政策は労働省としてはとり得ることだと思うのですが、これらについて具体的にどういうぐあいに考えておられますか、伺いたい。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 先ほどから申し上げましたように、やはり一番恐ろしいのはインフレーションです。そしてまた、インフレーションの中に不況があって、さらにこわいものは、私はそういうところから来る雇用不安だと思います。人生で一番悲劇は、働く能力と意思があって自分の職場を自分の意思でなくて離れなければならぬ、こういうことからしますと、やはりインフレーションを抑えていかなければならぬということは国民的大課題だと思います。そういう中に、この長い期間にわたっての財産形成をするわけでございますから、私は、やはり目減りのしないように物価を抑えつつ、ある場合にはまた財形の政策の進行中にそういうものをどう緩和していくかということは真剣に将来ともに考えていかなければいかぬ問題だ、こう思っているわけであります。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 インフレ対策の労働省としての具体案、たとえば物価上昇率以上の最低賃金の引き上げ等いかんと聞いたのですが、それについての答えはありませんでした。  もう一つ、目減り対策、これは裁判にまでなっておりますが、私は財形をやっていって、インフレ、物価の上昇がどれだけあるにしろ、十年以上の年月の中には目減りをすると思います。政府として勧奨して積んである、それが長年の間に目減りをした、その目減りを、どうして回復するかということが大問題だと思います。労働大臣としてどう考えておられるか、承りたい。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 政府が財産形成の契約者じゃなくして、勤労者と金融機関との契約、そういう形でやっていただいております。そこで、いまから十年後に物価が毎年毎年上がっていったその目減りはどうなるかと言われても、ちょっと私はいますぐにお答えできません。これは正直に私はお答えできない。  問題は、政府といたしますれば、そういう目減りのないような施策をやっていく。そしてまたそれを信用していただく。ですから、私は、今度の一五%消費者物価を三月にもしほんとうに抑えていって、そこに政治の信用というものがありますというと、国民の、安心感といいますか、政治に対する信頼感、こういうものが生まれるのじゃないか、そういうものを一つ一つ積み上げていって、目減りそのものを少なくするような努力をお互いがやっていかなければいかぬ、こう思って、直接お答えにならぬかもしれませんが、御理解いただきたい、こう思うのです。

吉田法晴日本社会党

○吉田委員 これで終わります。  ドイツの場合にはなぜあれだけ普及したか。それから日本には、私自身も経験がありますが、戦争中、子供が二十になったら大学に入るだろう、そのために何万かの保険に入りました。二十年たったら、二万円の金は一カ月の学費にもなりません、一カ月の生活費にもなりません。とにかくもうああいう生命保険には入らぬとかたく決意をしたところですが、恐らくこれは全国の勤労者に共通にある考えだと思います。それを政府が奨励する以上は、法律をつくって政府が財産形成に資する以上は、私は、政府として何らかの目減り対策というものを講ずる責任があると思います。これはその財産形成を可能にする意味において、インフレ下における損をした勤労者の共通の願い、その共通の願いが私は訴訟になったりしているのだと思いますけれども、それに対する対策を立てられる責任があると思います。そうしなければ、この制度がどれだけドイツほどにも普及をするかどうかのかぎになると思いますだけに、答弁は要りませんけれども、ぜひ確立するために努力を要請しておきます。  終わります。

戸井田三郎自由民主党

○戸井田委員長代理 枝村要作君。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 吉田委員から総論的な質問がありましたので、私は具体的な事項について質問していきたいと思いますが、その前に、吉田委員から指摘されました審議会軽視という問題について若干補足的な質問をしていきたいと思います。  労働大臣は、その答えとして、答申を最大に尊重しておって、そのためにいままで努力してきた、こういうふうにおっしゃいました。確かに努力をしないとは私は言いませんけれども、評判は——余りしてないということになっておる。  それと、審議会に対するいままでとってきた労働省の態度、これは官僚どもがやったのか知りませんけれども、けしからぬという一言に尽きると私は思っております。審議会の方々もそういうふうに思っているんじゃないかと思うのですね。吉田さんも指摘されましたように、今次の改正案ですか、諮問案についても、関係省庁でぴしっと決まったものを持ってくる。そして延べ六時間ぐらいの討議時間しかなく、そういう手続をしておる。各委員は大変不満でありますけれども、内容そのものは少しは前進しておるものだから、それ自体については余り異議がないから、まあまあ満場一致、こういう形になっておる。ところがやはり心の底では、四十八年度に行われました中間答申のあの理念、これは生かされておらぬ。それは一挙に生かされるとは思っておりませんけれども、生かされておらない。こういうことどもがあるわけであります。  私は、昨年の七十二国会ではその問題についても追及をいたしました。結局、一言に言うならば、七十二国会に提案された財形法は、これは審議会を無視したものであるからけしからぬ、こういう関係団体の大変な不満があったわけです。そのために、法案の審議につきましても、われわれあれは大変苦労したのですよ。参議院では結局廃案になりました。これは世間では雇用保険法のあおりを食らって廃案になったと言われておりますけれども、そういう関係団体は、この財形法そのものをぶっつぶしてしまえという強い要求があった、このことは銘記してもらわなければならぬわけです。ですから、審議会は単なる隠れみのという存在でなくして、本当に最大に尊重するならば、いろいろな手続その他の問題で、あるいは答申されたその内容を最大限努力すべきだ。先ほど言いましたように、中間答申の詰まるところ当面の課題は、割り増し金の制度を確立せいということなんですよ。それに対して、今年度の大蔵省との予算折衝の中であるいは労働省の要求の中で、それに本当に取り組んだかどうかということを見ますと、どうもあきらめておるような気がしてならぬ。これではどうかということなんですね。その点、私は、答弁は要りませんけれども、強く追及、要求しておきたいと思います。  そこで、今次の答申の中では、第三項でああいう文句が並べられておりますけれども、その内容は、その一切について今後審議会に諮っていく、こういうことだと思います。文章はそうなっておりません、こうだらっと書いてありますけれども。そういうことで、ひとつ大臣はこの辺で心を引き締めて、審議会を尊重する、尊重するというよりもむしろ大事にして、その答申を、たとえ時間がかかるものであっても、最大限に各省庁の間で努力をして実現のためにやってもらいたい、そういう決意をまず述べてもらいたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 審議会の皆さん方の御答申のとおり私が動かなかったというおしかりをいただきましたが、まさにそういう意味では御期待に十分沿えなかったことを遺憾に思っております。私の姿勢といたしますと、私はわりにいろいろな権威者の話を聞くのは好きでございますから、ああいう審議会の各個人のにおいというものをよく承る方でございます。ですから、いまから先、改めてきょうの激励を旨といたしまして、この財産形成の将来の推進のためにも、一層審議会の委員の方々の御意見を尊重し、また、こういう場所における激励というものを腹の中に引き締めまして邁進したい、こう申し上げておきます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 そこで、もう一度ついでに言っておきますが、いままで衆参両院において附帯決議がいろいろされました。それもどうも尊重されておらないような気がするのですね。とりわけ、去年の七十二国会での附帯決議中に、第二項に掲げてあります「特に財産形成の促進に有効な税制、財政面からの優遇措置を可及的速やかに講ずること。」これがついておるわけなんです。これを一体どういうふうに解釈しておるのですか。われわれ、自民党と折衝の中で、これは割り増し金のことを明確にうたっておるわけです。ただ、いろいろ労働省の立場もあろうからということで、こういう字句表現にしたのでありますが、これも守っておらぬ。先ほど言ったようなことです。こうなると、審議会も軽視しておるが、国会もやはり軽視されておるような気がしてならぬということにもなるわけです。  そうではないと大臣は当然答えるでしょうけれども、附帯決議が、国会対策の面で、野党がやかましく言うから、まあこの辺のところ書いておけという程度のものだったら、附帯決議なんというものは要りませんよ。附帯決議も最近は大分重みを持ってまいりはしましたけれども、重大な法案と同じぐらいの効力を持つものであるというようにちゃんと認識してやってもらいたいということも言っておきます。答弁は要りません。  そこで、具体的な問題に入っていきたいと思うのですが、まず第一に、財形貯蓄の範囲拡大について伺ってみたいと思います。財形貯蓄が天引きによって行われております。これはわれわれにいろいろ不満はありますけれども、労働基準法の関係とか、現行の制度上やむを得ないものだとして認めるにいたしましても、今度新たに郵便貯金や生命保険などが加わって、それもこれも全部天引きされることになりますと、これはなるのですから、いろいろと問題点が出てくるのではないかと思います。たとえば、私どもが常に財形そのものに対して懸念し、指摘しております問題、財形が社内預金とからめて対労務政策に利用されていったり、あるいはこれがひいては所得政策の問題に波及がされないかという、こういうことであります。  そこで伺いたいのは、まず第一に、貯蓄さえふやせるものなら何でもかんでも対象にするという考え方でこの財形促進を扱われているのか。そうなりますと、これからどんどんそれを労働省が奨励していくわけなんですから、通常一般金融機関に課せられておる個人の貯蓄に関する守秘義務と同様なもしくは類似の義務を、企業に課す必要があるのではないか、こういうふうに思うのです。大臣は、そんなことはありませんというふうにお答えになるかもしれませんけれども、もっとも悪い企業とか事業主とか名指しては言いませんが、しかし万一であってもそういうことが行われるとすると、これは大変なことになる。たとえば個人の権利侵害のおそれがあるのです。ないと言えばそれまでですけれども、それをやったときの歯どめは少なくともこの財形法にはない。しかしいま労働省が、あるとするならどういうことでその歯どめをするかということも伺っておらぬのです。もう少し具体的に言うならば、財形貯蓄をしておる人、それは天引きするのですから、調べたら皆わかりますね。その人が組合の活動家あるいは運動家あるいは企業の上長の、職制の気に入らぬであった場合には、幾ら貯蓄しておるかということをすっぱ抜いて、そしてそれを悪用されるということが必ずしもないと言い切れない、別に守秘義務も何にもないのですから、天引きをするのですから。財形にはそういう守秘義務は負わされていないのですから。それに対して労働省は、もし万一そういうことがあるなら、それはどこかで歯どめをするほか労働行政の面でどうかするとかいうことを考えておく必要があるのではないか。それは労使の問題であるから、それから労働者、勤労者と金融機関との契約の問題であるからわしは知りませんでは済まぬことになるのじゃないでしょうか。これが第一の質問です。どうでしょうか。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 新しい今回の改正案におきましては、御指摘のようにいろいろ金融機関が拡大してまいりました。それに関連いたしましていま守秘義務の問題が提案されたわけでございますが、これは現在でも問題があると言えばあるわけでございますが、それがさらに拡大したような形で出るのじゃないかという御指摘だと思うわけでございます。  実はこの問題、審議会でもいろいろ御議論をいただいたわけでございまして、私どもといたしましても、それはそういうことになると問題にはなるということを考えておりますが、現在のところ、これは道義的な問題ではないだろうか、せっかく労使協定の上で一つの制度を発足し、賃金の控除をやるということになっているので、そういう先生御指摘のようなことは万々一にもないと思います。しかしそういう御心配もこれは皆無ではございませんので、先ほどお話しございました審議会等で具体的にいろいろの御意見をお伺いしながらいくということになっておりますので、そういうところでさらにお知恵を拝借するなり工夫をしてみたい、かように考えます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 審議会などでいい知恵を借りてひとつ十分検討していってもらいたいと思います。特に郵便貯金などは、今度は五百万貯金できるのですから、しかも三百万マル優で、あと二百万はプラスするというのですからこれは太いですよ。そういう金がばっさりあばかれちゃ、やれたもんじゃないということになるわけですから、十分検討してもらいたいと思います。  それから二番目には、先ほども言いましたように、労務対策、所得政策の問題に波及あるいは利用されないかという、こういう心配です。それはないという保証はないわけなんですね。ですから、この点も何らかの保証的な手法が必要ではないかと私は考えるわけなんです。たくさん貯蓄をしておることによって、賃上げの抑制の理由にされないとは言えないのですよ。たとえば個人、団体、組織を問わずに、貯蓄がたくさんあれば、そのような持っておるそういう人たちが生活権を守るために賃金を大幅によこせと言ったって、何をおまえ言うか、こういうことに利用されていく可能性があります。そのことは要求と運動を非常に阻害する、障害する、妨害するという存在に、いわゆる労務対策としてそのようにすりかえられるおそれが財形貯蓄の場合にはある、こういう心配をするのであります。ぼくたちはそういう人たちの立場に立って常に政治を行い、そして労働問題も取り扱っておるのですから、それはあなたの思い過ごしだと言うかもしれませんけれども、しかし世の中にはこういう事例はたくさんあり得ることなんです。ですから、この点について、先ほど言いましたように何か打つ手はなかろうか、こういうことも考えておるわけでありますが、いかがですか。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 いま二つ問題をお話あったと思うのですが、一つは労務対策といいますか、そういう問題と所得政策という問題があったわけです。いずれにいたしましてもこの財形制度といいますのは、できるだけ労働者の自主的な努力を伸ばしていこうということが基本でございます。ただ、いまのようなお話がございますので、ただ単に労働看個人の意思にまかせておくといろいろ問題が起こるということもございまして、労使の協定によって賃金の控除をするなり新しい制度を、つまり給付制度を導入するなりというようなことを配慮して制度的に労使が一つの合意ができた上で問題を進めていくというふうに考えている次第でございまして、制度としてはそのような配慮をしているということを御了承を願いたいと思います。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 そのように力があって、労使で合意の上で成り立つものが前提でありますけれども、いわゆる力のない企業の労働者あるいは組織も持たないところなどがこの財形を採用しておるとするならば、いま私が言ったようなことは当然あり得ることなんです。それで、労働大臣が先ほどからの答弁の中でも、労使の関係には労働省、政府は介入しないのが原則であると言われました。それはそれでいいんです。ところが、だからといってすべてそういう不当な介入、不当な労務政策をやるものに対して、それぞれの裁く機関はあるとしても、労働省としてそれを未然に防ぐ何かの措置が必要ではないか。よもや労働大臣は、労働運動、労使の関係は対決で、力関係で片をつける、こういうことをおっしゃらないと思うのです。どうしても対話と協調の精神で一つの問題を解決を求めるという方針であるならば、なおさらそういうところのきめ細かいところまで何らかの方法で指導したり何なりしていくべきではなかろうか、こういうふうに思います。  ですから、結論的には、財形が、もしいま言いましたようなものにすりかえられるとすれば、これは大変重大なことでありますから、何らかの方法を講じてそういう懸念のないように、心配のないようにしてもらわなければならない、こう思いますが、いかがでしょうか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 枝村先生おっしゃるように、総資本、総労働の対決、そういうふうなことはないようにしていくというのは私は同感でございます。そういう意味からしましても、こういう労使の間の話し合いの中においてこの制度が生まれる。その場合にいろいろな懸念されるものがあるとするならば、おまえの方で手を打て、あるいは注意しろということは、よくひとつ心の中に置いて、不利益なことのないように努力してまいりたい、こう思っております。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 次に二番目として、大きな二番目ですけれども、生命保険についてお伺いいたします。この保険がどのような内容の保険が対象となっているのか、お伺いいたしたいのであります。

水谷剛蔵労働省労働基準局賃金福祉部長

○水谷政府委員 今回生命保険をも対象とすることにいたしたわけでございますが、貯蓄型の生命保険というのを対象にいたしておりまして、災害死等の場合には満期保険金の二倍相当額の保険金が支払われるというところがその保険的な要素でございまして、その他の点につきましては、従来の生命保険等に比べますと貯蓄的な色彩の濃いものを対象にしておるということでございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 その貯蓄型のものであると言われて一つ何やら例を出されましたのですけれども、それだけですか。現在どのような形式のものがあるのか、その実例を、あれば詳しく挙げてもらいたいと思うのです。

水谷剛蔵労働省労働基準局賃金福祉部長

○水谷政府委員 今度の制度ができることに伴いまして、それぞれそれに対応するものができると言いますか、そういう経過になろうかと思っております。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 これからできるということなんですか。

遠藤茂労働省労働基準局賃金福祉部福祉課長

○遠藤説明員 お答え申し上げます。  生命保険会社の一部には大体これに近いもの、今度の対象にしておりますものに近いものがすでにあるわけでございますが、一部の保険会社に限られているのが現状でございます。それで今度財形貯蓄の対象に入れます際に若干の要件を細かく決めたということでございますが、その概要を申し上げますと、保険給付の内容としましては、先ほどお答え申し上げましたように、災害等の特別の場合の死亡に限って満期保険の二倍が支払われまして、通常の場合は積み立てた保険料にその運用益が加わった貯蓄的な性格のものということになるわけでございます。そういう意味では保険と言いましても比較的いわゆる保障的な要素の薄い性格のものでございまして、たとえば亡くなった場合にも災害等の理由以外のものによりますときには、つまり普通死亡給付金ということで満期保険金にその契約の保険期間とそれまでの経過期間の比率を掛けるというふうな方式になりますから、そういう意味では保険的な要素は通常の死亡についてはないというような形になるわけでございます。大体保険料としましては月払いが一般的になろうと思います。千円の何倍というふうな二千円とか三千円とか五千円とかというふうな、千円の倍数という形で実務的には処理されることでございまして、満期の保険金額はその月払いの保険料の額に応じて決まるということでございます。保険期間としては五年以上ということで、五年、七年、十年といったようなところが通常のパターンになるであろうと考えております。  それから、この財形貯蓄の対象になりますこういう貯蓄型の生命保険あるいは生命共済の契約について申しますと、被保険者並びに満期保険金の受取人は、契約いたしました勤労者本人ということになるわけでございます。  それから、運用の場合に剰余金が生じましたときは、利差益に関する部分だけは分配されますけれども、それは保険金等の支払いの日まで据え置かれるという形で、全体がまとめて満期の際に支払われるあるいは死亡の際に支払われるということになろうかと考えている次等でございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 結局、何か説明をされましたけれども、要するにこれからできるということになるわけですね。そうなると、いまの説明によれば一定の条件がある、そういうものは一口で言えば保険つき定期貯金とも言えるようなものでなければならぬという条件ですね。そうなりますと、これと似たような貯蓄商品を今後銀行や労働金庫でも扱うことが認められてくるということになるわけなんですね。ここは、大蔵省がおらぬからわからぬでしょうけれども、そういうことになるでしょう。これはだれが答えますか。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 現在各種金融機関の役割り分担というものは決まっておりますので、それが前提として考えられております。したがいまして、銀行等でただいま問題になっているようなことは、そういう商品を扱うことは認められないと思います。御指摘のようにこれは大蔵省筋のことかと思いますが、私どもそのように考えております。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 われわれ素人から考えると、そういう性格のものであるならば、財形の貯蓄はこういう商品があるならばそういういままでやっていないところでもどんどんやれるようになる、そうすると従来の保険という概念が変わってくるものだ、こういうふうに思っておるわけですよ。こういう問題が今後生命保険などを加えることによって残されてくるという点については、それこそまた審議会でゆっくり討議をして、もしそういう何かの結論が出れば、労働省もそのことで動いてもらうようになるかもしれませんので、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。  その次に、給付金助成制度についてお尋ねしていきます。  給付金制度はこれは事業主の負担によって実施されるのであります。また、財形貯蓄をやっている勤労者だけを対象としているものだけに、この制度を採用し得る実態があるのかどうかという、こういうことです。採用している企業を、産業別にまではむずかしいでしょうけれども、できれば分けてその実数を示してもらいたいと思います。財形貯蓄は四百万にも上って加入しておると言っておりますけれども、この給付金制度を採用している実態はどうかということの質問です。わかりますか。

水谷剛蔵労働省労働基準局賃金福祉部長

○水谷政府委員 給付金制度はもちろんこれからできるものでございますから現在給付金そのものを実施しておるわけではございませんが、従来の財形貯蓄に対しまして事業主が奨励金というこを出しておる企業についての調査がございます。これによりますと、全体の平均では一六・三%ということになっております。産業別に見ますと、一番多いのが金融保険業で五三・四%ですか、その他は大体多くて不動産業の二〇・六%、それから製造業が一七・七%、卸小売が一五・七%ですか、建設業で一六・八%、それから比較的少ないのが運輸通信業が四・九%、電気、ガス、水道三%、サービス業五・三%というような状況でございまして、全体では一六・三%でございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 これならば財形貯蓄をたくさんできる勤労者ほどたくさん援助を受けられるということになりかねないですな。また事業主が拠出するに当たって、勤労者が拠出する金額について事業主の思うままにされるという、こういうことにもなりはしないかというように考えておるのですが、その点はいかがですか。

水谷剛蔵労働省労働基準局賃金福祉部長

○水谷政府委員 財形貯蓄に比例して奨励金を出すという形態をとりますと、財形貯蓄をできる人ほどよけいいくということになろうかと思いますが、現在私どもが考えております給付金制度は、むしろ財形貯蓄に比例するという要素よりもすべての勤労者になるべく公平にといいますか、不当な差別なく支払われるようなものということを考えておりますので、個人の財形貯蓄に比例して給付金を出すというようなことは考えておりません。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 だからその企業が、事業主がそこにおる勤労者に平等に一律に給付金を出すのですか。

水谷剛蔵労働省労働基準局賃金福祉部長

○水谷政府委員 その辺は労使の選択の問題でございますけれども、と言いますのは、労使の協定に基づいてやるということでございますから労使の選択でございますけれども、不当な差別をつけるようなものは排除したいといいますか、そういうような考え方を持っております。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 その排除するというのはどういう形で排除していくのですか。

水谷剛蔵労働省労働基準局賃金福祉部長

○水谷政府委員 一応給付金契約は承認をするということにいたしております。と言いますのは、一定の税法上の特典を受けるといいますか、そういうこともございますので、承認を受けるということになっておりますので、その承認の対象にしない、したがってそういう場合には中小企業の場合には助成金の対象にもならないということになるわけでございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 少し心配がありますので、いまあなたがお答えになったとおりのやつを厳重に、懸念されないようにやってもらいたいと思います。  その次に、給付金は原則として七年後に支給されるのでありますから、こういう財形給付制度は勤労者の足どめ策として活用される心配がありはしないか。先ほどの労務政策とかなんとかいうことと同質の質問になるかもしれませんけれども、そういう懸念がやはり当然出てくると思うのです。その点についての何か心配事が全然ありませんというような方策でもあるわけなんですか。

水谷剛蔵労働省労働基準局賃金福祉部長

○水谷政府委員 財形貯蓄でございますからもちろん解約すれば中途で支払うこともできるわけでございますし、その場合やむを得ない理由がある場合には税法上の特典も受けられるということになっておりますので、その懸念はできるだけ回避して運用いたしたいというふうに考えております。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 そこで、この問題について私の意見を少し述べてみたいと思うのです。  先ほどから吉田さんとのやりとりの中でいろいろありましたように、この財形の制度は西ドイツの財形を輸入したようなものだと言われております。ですから、国の状況が違うからということで、西ドイツで一番われわれが見てすばらしいと思うようなあのプレミアつき、割り増し金制度がなぜとられないのか。当然審議会の答申の中心課題もそれでありますから、これをやれ、こういうふうに要求するわけであります。しかし、大臣もそのために一生懸命やるという確認もありましたし、しかし私ども実現するには金の努力が必要であることも認識しないでもないわけでありますが、ひとつ一生懸命やってもらいたいと思います。  そこでそれとは別に、当面の給付金制度を進めていくにしても、その配分は所得、家族数等に応じてすべきであって、これこそ分配公平という審議会の答申にもあるような線に沿うものではないか、こういうふうにわれわれは考えておるのでありますが、この問題についてどういうふうにお考えかお答えいただきたい。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 現在法律では大筋決まっておりますが、そういう具体的な問題についてはこれからの問題でございます。ただ、いまおっしゃったようなことはこれは労使協定という前提の中で給付金制度を運営するわけでございますので、そういう際にそういうものを考慮するということになっているかと思います。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 しかし、一定の基準とか方針というものを労働省、審議会あたりが決めて、労使協定の上でそういうこともあり得るというのでなくして、少し積極的な指導をやはりとっていくべきではないかと思うのです。これは私どもの発想でなくして、答申そのものがそういう意味の理念をちゃんと掲げておるのですから、ひとつ積極的に進めていってもらいたいと思うのです。  その次には、特に給付金制度は任意にゆだねておるのでありますから、これは企業格差をそのまま個人資産形成の格差助長に持ち込むことになるわけであって、これは余りよくないと思うのです。したがって事業主に対してたとえば付課金制度として一律に義務づけるようなことはできないものか、これは検討すべき材料にもならぬくそみたいなものだとおっしゃれば別ですけれども、しかし企業の格差がますます助長するようなことをそのままほうっておくことよりも、やはり何かの制度をつくって一律に義務づけていく、こういうようなことはできないものか、そのことによって各企業の格差を少なくとも縮めていくことを、むずかしい問題であるかもしれませんけれども、考えてみる必要があるのではないか、こういうように思っておるのですがいかがでしょうか。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 ただいまの御指摘が付課金制度の採用そのものを個々の事業所に義務づけることはどうかというお話でございますと、そのことによって招来する結果がどうなるか、あるいは先生いま御指摘のような逆な弊害が起こるような感じもいたしまするし、いろいろむずかしい問題が起こると思います。われわれは、やはり労使の協定といいますか、話し合った上でそれを導入するかどうかということが実情に即し、また弊害をなくするゆえんではないかと思います。  なお、格差の問題ということでございますが、一企業における個々の労働者間の格差あるいは御指摘のようなことも考えられるかもしれませんが、全体として中企業、小企業というものの格差ということを考えましたので、助成金等についてはなるべく下の方に厚くというふうに考えた次第でございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 私の言っているのは企業格差です。企業格差をそのまま個人の資産形成の格差に持ち込んでいくことになるということです。これは賃金の問題で、労使の問題というのがなかなかややこしいことになりかねないことも予想はしておりますけれども、ひとつこういう意見もあることを十分承知しておいていただいて、検討すべきものであるならば十分検討していただきたいということを要望しておいて、この点でとどめておきたいと思います。  それから、その次には助成金の問題でありますが、助成金の原資である基金をどのようにいまから求めていくかという問題であります。そのためには助成金支給の見通しはどうなるか、この点を伺いたいと思います。

水谷剛蔵労働省労働基準局賃金福祉部長

○水谷政府委員 助成金の見通しにつきましては、先ほど申し上げましたような、現在奨励金を実施しておる企業の一六・三%とか、そういうようないろいろなものを基礎にいたしまして、一応の推定をいたしておるわけでございますが、助成金支給の初年度である五十一年度において対象事業所数で約二千五百ヵ所、対象労働者数では大体二万一千人、所要金額は三千万円程度というような見込みを持っております。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 産業別、規模別に財形の現況がどのようにつかまれているかということなんですが、これはつかまれていますか。

水谷剛蔵労働省労働基準局賃金福祉部長

○水谷政府委員 申しわけございませんが、ただいまそういうような調査をいたしておりませんので、産業別、規模別という状況はございません。ただ、先ほど申し上げました奨励金を支給している事業つまり一六・三%の規模別の内訳は、先ほど申し落としましたが、ございまして、それによりますと、大体規模別による格差というものは比較的少ないといいますか、もちろん五千人以上が非常に多いわけでございますが、最低の規模のところにおきましても一六・一%程度ということになっております。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 これは中小の企業に対する助成金でしょう。しかし、つかまれていないとすれば、基金計画を組むことができぬじゃないですか。いわゆる推論で計画を立てようとしておるのですか、どうですかその点は。

水谷剛蔵労働省労働基準局賃金福祉部長

○水谷政府委員 積算の基礎といたしましては、産業別、規模別という意味で、規模別の事業所数を積算する場合には、財形制度に入っている事業所数に全体の規模別の比率というのがございますが、規模別事業所数の比率、そういうようなもの、あるいは規模別の労働者数の比率、そういうものから規模別の推定をして積算をいたしておるわけでございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 では、予算を立てて基金として入れるわけですが、今年度は幾らでしたか。

水谷剛蔵労働省労働基準局賃金福祉部長

○水谷政府委員 この制度は、今年度の予算に計上いたしておりますのは一億円でございます。それで、実際の支給開始は今年度といいますか、この法律が御承認いただけました場合は、十月から施行いたしまして、十月から来年の三月までに拠出した人に対して五十一年度に支給するということでございますので、五十一年度に支給を見込んでおるのが三千万円程度というのが先ほど申し上げた数字でございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 いまから立てるのですから、今年度の予算一億円で五十一年三千万円、こういうことです。それからその次は、話に聞けば五年目には五億とかなんとかいうことを言っているようですけれども、そういうことをはっきりつかまずに、推論を一つの根拠としてするというのは、やかましいことを言うわけじゃないのですが、予算を立てる場合余り好ましいことじゃないのじゃないですか。もう少し皆さんの指導によってはっきり確立させるとか、つかむとかいうようなことをしていくべきではないか、こういうように思うのですが、いかがですか。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 新しい制度をつくるわけでございますので、何分基本的なデータが不足していることはわれわれも十分感じております。いろいろの角度から既存の資料等を活用しながら、できるだけ正確な推論をするという努力をしているつもりでございます。  なお、そういう問題とはやや離れて、制度全体を考える場合でも、もう少し資料が整備された方がいいのではないかと私どもも感じております。ただ、なかなかむずかしい条件がございますので、一気にそうきれいな統計資料が整備できるわけではございませんが、私どももせっかくそういう方向で努力してみたい、かように考えております。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 基金の運用益をもって助成金を賄うわけだが、収支で不足が生じた場合のその補てんはどうするのか、その点をお伺いいたします。

水谷剛蔵労働省労働基準局賃金福祉部長

○水谷政府委員 これにつきましては、先生御指摘のとおり、五億円を出資してその運用益で賄うということでございますが、それで不足した場合には、労働保険特別会計の雇用勘定からその一部を負担するということを考えております。  なお、勤労者財産形成を促進することは、勤労者の雇用の安定、福祉の増進にもつながることでございますので、雇用保険の雇用福祉事業から支出することになじむもの、そういうように考えております。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 それはやっぱり問題がありますな。雇用保険の失保会計から、しかもそれは事業主側が出す方のあれだから問題はないということを言われますけれども、そういうところから使うということに対しては、われわれはなかなか了解することはできぬのです。ですから、やはり財源は一般会計から出すべきだ。失保会計はその部面において、雇用・失業の関係において十分使ってもらう。それでなくてもいまからどんなことが起こるかわからぬというのに、こういうところにそれを流用するなんということはよろしくないと思うのです。これはひとつ十分考えておいてもらいたいと思います。  以上で、時間が来ましたので、あとの残りの質問は次回に回します。

大野明自由民主党

○大野委員長 次回は明後二十七日木曜日、午前十時理事会、十時十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十五分散会      ————◇—————

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