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75回国会衆議院1975/02/10

社会労働委員会 第2号

発言数
136
登壇者
18
会派数
5
開催日
1975/02/10

会議録

大野明自由民主党

○大野委員長 これより会議を開きます。  労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、労働大臣から発言の申し出がありますので、これを許します。労働大臣長谷川峻君。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 社会労働委員会の御審議に先立ち、当面の労働行政について所信を申し上げ、各位の御理解と御協力を得たいと存じます。  世界経済は、インフレと不況の中でかつてない試練に直面しておりますが、わが国もその例外ではなく、戦後初めて実質経済成長率がマイナスになるという景気停滞のもとで労働情勢は厳しさを加え、失業の増大、賃金の不払い等の問題が生じているところがあり、また、物価の動向も鎮静化しつつありますが、なお楽観を許さない情勢にあります。  このような事態に対し、政府は総力を結集して問題の解決に取り組んでおりますが、これらの諸問題は、いずれも勤労者の生活に密接に関連する問題でありますだけに労働行政の責務は重大なものとなっております。  しかも、このような困難な状況の中で、額に汗する勤労者がひとしく報われる社会をつくり上げることこそ、今後のわが国経済社会の安定した発展の基盤となるものであり、そのためにも国民の大部分を占める勤労者及びその家族の福祉の充実に取り組むことが必要であると考えております。  私は、こうした見地に立って、当面、次の六つの事項に重点を置いて労働行政を推進してまいる考えであります。  第一は、経済変動等に対処する総合的雇用対策の推進であります。  最近の雇用失業情勢は、昨年十月以降求職が求人を上回り、一時休業や人員整理が増加するなど厳しい局面を迎えておりますので、前国会において成立した雇用保険法による雇用調整給付金制度を活用し、実態に即した的確な運用を図ることにより失業の防止に努めるとともに、失業保険制度、職業転換給付金制度等を活用しつつ機動的な職業紹介、職業訓練を実施し、失業者の生活の安定と再就職の促進を図ってまいる所存であります。  さらに、本年四月以降につきましては雇用保険制度によって失業補償機能を一段と強化するなど雇用対策に万全を期してまいる考えであります。  職業訓練につきましては、景気停滞下においても技能労働者がなお相当不足している状況及び生涯にわたる能力開発の重要性の高まりに対処して、技能検定制度の拡充等により技能労働者の地位の向上を図るとともに、新規学卒者のみならず在職労働者の職業訓練にも重点を置き、公共職業訓練の刷新、事業内訓練の振興、公共職業訓練と事業内訓練との連携の強化を図り、技能労働者の養成確保と生涯訓練体制の確立に格段の努力を傾注してまいる所存であります。  第二は、中小企業労働者、高年齢者、心身障害者等改善の遅れがちな人々への対策の強化であります。  中小企業に働く人々の労働条件等の改善を促進し、その福祉を増進することは、社会的公正を確保する上でも重要な課題であり、特に、現下の景気停滞に際しましては、中小企業労働者の労働条件の確保を図ることが要請されております。このため、労働条件、職場環境、福祉施設等の改善の中心に中小企業に対する指導援助を強化することとし、労働保険の全面適用、事業内職業訓練に対する助成の拡充等を図るほか、特に中小企業退職金共済制度につきましては、本制度による退職金給付の大幅な改善を行うこととし、今国会に中小企業退職金共済法の改正法案を提出することとしておりますので、よろしく御審議のほどお願いいたします。最低賃金制につきましては、制度の対象となる労働者のほとんどにその適用が及ぶに至っており、今後とも実効性ある最低賃金の推進に努めてまいる所存であります。  また、福祉優先の理念に立った社会の建設が強く要請されている今日、高年齢者、心身障害者の職場の確保と福祉の向上を図ることは国民的課題であります。高年齢者につきましては、高年齢者雇用奨励金の新設等再就職援助対策の強化、能力開発の推進にあわせ、定年延長を積極的に図り、また、心身障害者につきましては治療から社会復帰までの一貫した総合リハビリテーション体制を確立するとともに、就職援護措置の拡充、企業の受け入れ体制の整備等によりその雇用機会の拡大を積極的に推進してまいる考えであります。  第三は、勤労者財産形成政策の拡充を初めとする勤労者福祉対策及び労働安全衛生対策の強化であります。  新しい時代の福祉対策の柱として取り組んでまいりました勤労者財産形成政策につきましては、さきの国会において財形制度の充実を内容とする勤労者財産形成促進法の改正法案が廃案になりましたが、本年は新たな観点からこれを見直すとともに持ち家建設の促進、財形貯蓄の援助の充実等について一段と拡充強化することとし、同法の改正法案を今国会に提出することとしておりますので、よろしく御審議のほどをお願いいたします。  また、週休二日制の普及促進、勤労者福祉施設の整備等につきましても引き続き努力を重ねてまいります。  さらに、働く人々の生命と健康を守ることは国民福祉の基本であり、いかなる経済勢情下においてもゆるがせにできない問題でありますので、従来にも増して労働安全衛生対策の充実強化を図るとともに不幸にして災害をこうむられた方々に対しましては、その保護に万全を期してまいる考えであります。特に、最近問題になっております職業がん等の職業性疾病の予防対策を強力に進めるため、その基礎ともなる作業環境の適正化を図るべく作業環境測定法案を今国会に提出することといたしておりますので、よろしく御審議のほどお願いいたします。  第四は、勤労婦人・勤労青少年対策の推進であります。  勤労婦人につきましては、勤労婦人福祉法に基づき、従来から諸般の施策を積極的に講じてまいりましたが、特に本年は国際連合提唱の国際婦人年でもありますので、育児休業制度の普及促進、職場における男女平等の促進等に一層の努力を払うとともに、国際婦人年記念事業の実施等国際婦人年の趣旨に沿った諸活動を積極的に展開する所存であります。  また、勤労青少年につきましても勤労青少年ホームの設置等福祉対策の充実に引き続き努力してまいりますが、来年度におきましては、新たに勤労青少年指導者大学を開設するなどの施策を講ずることといたしております。  第五は、社会経済情勢の変化に応ずる合理的労使関係の形成であります。  物価の安定を図りつつわが国経済を静かで控え目な成長路線に円滑に乗せていくことが現在の最重点政策課題となっている中で、再び春の賃金改定期を迎えることとなりましたが、私といたしましては関係労使に国民経済的視野に立った節度ある態度を要請したいと存じます。もとより、賃金は本来労使が自主的に話し合って解決すべきものであり、政府としてはこれに介入する意思は有しておりません。しかしながら、その動向いかんはわが国経済の前途に多大な影響を及ぼすことになりますので、労使双方がその社会的責任の重さを十分に自覚し、対話と協調の精神にのっとり、この問題の平和的かつ合理的な解決を図られることを期待するものであります。  労働省といたしましては、トップレベルの労使、学識経験者から成る産業労働懇話会を開催し、関係者相互の理解を深めることに努力しておりますが、今後とも同懇話会の充実とあわせて産業、地域、企業等各レベルにおける労使コミュニケーションを促進し、もって相互理解の増進と合理的労使関係の形成に資してまいる所存であります。  なお、公共企業体等労働委員会の事務の円滑な遂行を期するため、同委員会の委員の定数を増加することを内容とする公共企業体等労働関係法の改正法案を今国会に提出することといたしておりますので、よろしく御審議のほどをお願いいたします。  第六は、変動する国際環境に対応した多角的労働外交の展開であります。  近年の国際化の進展に伴い、世界各国の相互依存、相互補完の関係はますます強まっており、一国のみによる繁栄の追求あるいは国民福祉の向上は実現困難となっております。特に、わが国においては、資源エネルギー問題を見ても明らかなように国際協力の必要性は他国に倍するものがあります。  このような情勢に対し、労働行政の分野においても、ILO条約の批准の促進、ILO、OECD等の国際諸会議への積極的参加等を通じ国際機関の諸活動への積極的協力を図る一方、職業訓練の分野でも国際協力の強化、在外企業労働問題についての研究指導の充実、レーバーアタッシェの活動の強化等を推進し、わが国の国際的地位に応じた責任と役割りを果たすべく、多角的な労働外交を展開してまいる所存であります。  以上、当面する労働行政の重点事項について私の所信を申し述べました。  各位の一層の御鞭撻と御協力をお願いする次第であります。(拍手)     —————————————

大野明自由民主党

○大野委員長 次に、五十年度労働省所管の予算の概要について説明を聴取いたします。労働省橋爪会計課長。

橋爪達労働大臣官房会計課長

○橋爪政府委員 お手元に配付してあります資料によりまして、五十年度の予算の概略を御説明申し上げます。  まず最初は予算規模でございまして、その表にございますように、真ん中の欄の五十年度要求額、一般会計におきまして二千五百二十八億百万円ということで、前年度に比べまして五百三十四億二千五百万の増加、一二六・八%の率でございます。  次は、労働保険特別会計におきましては、五十年度一兆四千八百十一億八千七百万を計上してありまして、伸び率で一三一・三%となっております。  石炭石油特別会計につきましては、五十年度百三十億九千三百万で、対前年度九億九千四百万の増加、伸び率にいたしまして一〇八・二%と相なっております。  以上の一般、特会を合わせまして、五十年度の労働省の所管合計が一兆七千四百七十億八千百万ということで、前年に比べまして四千七十四億二百万の増加、一三〇・四%の率でございます。  以下、主要事項につきまして概略御説明申し上げます。  第一の柱は中小企業労働対策でございまして、その一番目は中退金制度の改正でございます。その内容は二ページに出ておりますが、一般退職金共済につきましては掛金月額の引き上げ、従来最低四百円、最高四千円であったのを最低八百円から最高一万に引き上げる。また、これに応じまして国庫補助対応額も四百円から八百円へと倍増するという内容のもでございます。特定業種につきましてもほほ同様の措置を講ずることといたしております。  労働時間対策につきましては、事務費でございますので省略いたしまして、三番目の福祉施設関係でございますが、これにつきましては二ページから三ページにかけましていろいろの福祉施設が出ておりますが、基本的な考え方としましては、個所の若干減ったものもございますが、単価、特にいままで非常に低い単価のものを上げるということを主眼としているわけでございます。  四番目の安全衛生対策につきましては、右側の一番下にあります安全衛生融資の充実ということで二十二億の増を図っております。  次は、四ページへ参りまして、五番の最賃制その他事務費でございますので省略いたしまして、六番目の事業内職業訓練の助成の強化の関係でございます。これにつきましては、右側にありますように、まず第一に補助対象を拡大した。従来中小企業の共同団体への補助ということでありましたのを、中小企業単独にまで広げた。それから二番目に、補助率を従来の四分の一から三分の一に改善を図っております。それによりまして運営費、施設費等の補助単価を大幅に引き上げているわけでございます。  七番目の労働教育関係は省略させていただきまして、五ページの八番目、労働保険の全面適用の関係でございますが、新年度からは労働保険が全面適用になりますので、それに対処して、特に零細企業を把握するために事務組合の育成指導を図るという経費を重点的に計上してあるわけでございまして、そこにありますように、従来の報奨金に加えまして、五人未満事業所の資格得喪届け出事務に対する助成を新規に計上しているわけでございます。  次は、第二の柱の改善のおくれがちな人たちへの福祉対策でございまして、その一番目は、心身障害者の福祉対策でございます。先ほど大臣の所信表明にもございましたように、五十年度の新規といたしまして総合的なリハビリテーション体制の推進ということを考えておりまして、重度脊損者に対しまして治療から社会復帰まで一貫して短期に行うというための施設の設置に着手する。それが、ここにございます総合脊損センターでございます。それからなお同じような趣旨で、厚生省と共同で総合的なリハビリ施設をつくるという内容のものが、次の国立職業リハビリテーションセンターの建設でございます。その他の雇用対策につきましては、従来の対策を拡充したものでございまして、これは説明を省略させていただきます。職業訓練の関係も、従来の施策の拡充でございます。それから、被災労働者に対する援護措置の充実につきましては、介護料あるいは社会復帰資金の貸付額を増額をいたしております。  次は高齢者対策でございますが、高齢者対策として種々の対策が予算化されておりますが、その中では右側の三番目にあります高年齢者雇用奨励金の支給が新規でございまして、高年齢者を雇用する使用者に奨励金を支給するという中身のものでございます。それからさらに四番目の能力開発の関係では、職業訓練受講奨励交付金を支給するということで、定年予定者に対する職業訓練を受けさせる事業主に対しまして、奨励金を交付するというものが新規に計上してあるわけでございます。  次に七ページへ参りまして、出かせぎ労働者の関係あるいは家内労働対策の関係につきましては、従来の対策の拡充でございます。  次は、第三の柱の勤労者財産形成政策の充実強化の関係でございますが、五十年度予算において関係がありますのは、一番先に書いてあります中小企業助成金制度の新設でございまして、中小企業の事業主が財形貯蓄を行う従業員に対して、その貯蓄に上乗せして給付金を支給した場合に、国がその一部を援助するということで、このために一般会計から一億の出資を計上しておるわけでございます。  次は、八ページへ参りまして、福祉対策の関係でございますが、一は省略いたしまして、二に勤労婦人福祉対策ということで、一番目は育児休業制度を実施する企業に対しまして奨励金を交付するという育児休業奨励金が新規に認められております。それからさらに、来年度は国際婦人年に当たりますので、その記念事業を実施するという経費を計上しております。青少年の福祉対策関係では、勤労青少年指導者大学講座を開設いたしまして、勤労青少年の福祉施設において青少年を指導するための要員を養成するという事業を新規に行うこととしております。  三番目の余暇施設につきましては省略させていただきます。  次に、九ページへ参りまして、安全衛生対策でございまして、これはいろいろな点で従来の対策を拡充強化しておりますが、細かくなりますので説明を省略させていただきますが、特に職場の安全を確保する、あるいは十ページへ参りまして職業病の対策を拡充してやっていく、こういう中身が主体でございます。  次は、十一ページへ参りまして、雇用対策関係でございます。雇用対策の関係では、十一ページの中ごろにあります経済変動に即応した雇用調整対策ということで雇用調整給付金、これはすでに一月から実施しておりますが、百四十二億を計上しているわけでございます。  次は、四番目の産業構造の変化に対応する雇用対策でございますが、これにつきましては、職業転換給付金制度を充実するということで、就職指導手当あるいは訓練手当を四〇%以上の大幅な引き上げを計上してございます。大量雇用変動等の場合の職業訓練受講奨励交付金の支給も新規に予算化しているわけでございます。十二ページへ参りまして、特定産業離職者に対する援護措置の関係あるいは石炭、駐留軍、沖縄離職者対策、こういうものにつきましては、従来の措置を拡充しております。たとえば就職促進手当の日額を引き上げる、あるいは石炭の離職者のための事業につきましては事業費の単価を引き上げているわけでございます。  それから、地域雇用対策といたしましては、特に雇用機会の不足している地域に進出して地元の人を雇用する事業主に奨励金を交付するという制度を新たに設けております。農村地域への工業導入あるいは工業再配置に伴う雇用対策につきましては、従来の措置を拡充、改善しているわけでございます。  それから、十三ページへ参りまして、特別の配慮を必要とする人たちへの雇用対策でございますが、その三番目に、同和地域の雇用対策としましては、就職資金の貸付額あるいは職業訓練受講支度金を増額するとともに、新たに自動車の運転訓練につきまして補講を実施するということを新規に計上しているわけでございます。  最後の雇用促進住宅は五千戸を建設し、あるいは雇用促進融資につきましては二十億の増加を図っているわけでございます。  十四ページへ参りまして、雇用保険の関係でございますが、まず失業給付につきましては、失業情勢に対応いたしまして、一般受給者五十万四千、短期特例受給者五十二万四千人を見込んでおりまして、四十九年度に対しまして予算額で千三百億を増額してあるわけでございます。それから、括弧の中に三事業費関係を書いてございますが、総額で九百五十三億ということで、これはいままで御説明したところにもすでに事業としては出てまいっておるわけでございまして、重視するために括弧で書いてあるわけでございます。  それから次は失対事業でございますが、失対事業につきましては、労力費の単価を二二・七%引き上げたということと、特定地域開発就労事業につきまして事業費単価を二六%余引き上げたということでございます。  次は訓練関係でございますが、まず養成訓練につきましては、雇用保険法の施行に伴いまして訓練法を改正いたしまして、新たな施設として職業訓練短大というものを新設する、五十年度は東京の総訓を切りかえて一校これを新設するということでございます。その他の訓練施設についても、整備充実を図ってまいるわけでございます。  十五ページへ参りまして、成人訓練の関係でございますが、成人訓練の関係も、やはり雇用保険法の成立に伴いまして、新たに技能開発センターという成人訓練専門の公共訓練施設を新設するということでございます。それからさらに、有給教育訓練休暇等を普及するために、そういう制度をつくってこれを実施する中小企業の事業主に対して奨励金を交付するという制度を新設いたしております。  技能検定の関係につきましては省略させていただきまして、十六ページへ参りまして、労使関係の予算でございますが、従来からの対策のほかに、四番目に書いてあります勤労者のための総合的な会館のための調査費を計上したという点と、五番目の公労委の委員を公労使二名ずつ増加したという点が新しい点でございます。  それから、第八番目は労働外交の関係でございます。その中身は十七ページに出ておりますが、国際交流を促進する、あるいはレーバーアタッシェを増員する、さらに職業訓練を通じて低開発国に対する国際協力を拡充してまいるという予算でございます。  第九番目の労働行政体制の関係では、労働情報の開発等を中心としまして、予算を増額しているわけでございます。  以上、非常に簡単でございますが、五十年度の労働省関係の予算の概略でございます。     —————————————

大野明自由民主党

○大野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田邊誠君。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 労働大臣の所信をお聞きをいたしましたが、非常にむずかしい情勢の中で労働行政を担当されるわけでございまして、ぜひ国民の期待に沿うような労働行政の確立に向かって全力を尽くしていただきたいと思います。  いまお話にもありましたように、現在の経済情勢は、まあ物価高がこのところ少しく鎮静化しつつあると言いますけれども、しかし依然として物価の値上げが続いていることは間違いない事実でありまして、しかも、それに加えて不況の到来という、戦後いわばインフレ時はどちらかといえば景気上昇、そして物価がおさまるときには不況という、こういうことが通説であったわけですけれども、このスタグフレーションと言われるいまの事態というのは、われわれも経験したことのない状態でありまして、そういう状態というものが一体どこから来たかということについてはいろいろとその要因がありましょうけれども、しかしわれわれ為政者としては当然政治に携わる者の責任を免れることはできない。ましてや戦後そのほとんどを占めてまいりました日本の保守党政治、自民党政府、この責任は重大であると言わなければならないと思うわけであります。  そういう事態に対処するにはよほどの決意が必要であると同時に、従前のようなイージーゴーイングの考え方をもってしてはそれに対応できないのではないかということは、これはもう世論の一致したところであります。したがって私は、いま労働大臣という立場で所信の表明がありましたけれども、しかしまた、これは三木内閣の国務大臣としても、いま言った事態に対応するためには、現在までの反省の上に立って新しい観点で物を見、物を考え、そしてそれを実行する、そういう十分な配慮というものが必要ではないかというふうに思っているわけでありますが、まず第一にその点に対する大臣の所見を承っておきたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 田邊さんおっしゃるように、従来の経済情勢と世界は全く変わったと私は思うのであります。どこの国もスタグフレーションの中に悩んで、従来ですと、不景気ですと物が下がった。しかしながら、それはなかなか下がらない。でありますから、私は、先日木村禧八郎さんが書いた国会の経済論議に本質的に望まなければいかぬのではないか。世界的視野の中に立った論議があるわけでありまして、そういう意味からしますと、私はこの三木内閣というものは非常に日本のためにしっかりやらなければならぬ。でありますから、従来の労働行政というのは、労働省が高度経済成長のときにはただその分け前をもらうというところにイージーさがあったけれども、いまやそうじゃない。でありますから、労働問題は挙げてひとつ内閣全体の問題、国全体の問題として取り組んでもらいたいという姿勢をお願いして、これがいささかその緒につきつつあるというふうに考えております。  と同時に、もう一つは、世界がやはりインフレをどうして抑えるかということに頭を悩ましているわけでありまして、その中において日本で一番求められるのは何かというと、やはり物価の安定だろうと思います。これは、物価がどんどん上がっていくならば労働者の諸君も困るし、それから企業家も困るだろうし、それから家庭の奥さん方も困る。そういうことからしますと、やはり三木内閣で三月末の消費者物価を一五%ということに設定したものを、万難を排して、こういうときに政治が主導権をとってこれはやはり実現したい。このこともまた私たち労働省の立場からしますと、ほかの官庁と違って物を扱っている役所ではありませんから、私の方は人間とお付き合いしておる役所ですから、そういう観点からしてこの一五%の実現にありとあらゆる努力をお願いもし、ようやくそれがいささか曙光が見えた。しかし、それがいまようやく鎮静しかけて、ときには西ドイツあるいはスイス、日本というふうな話もありますけれども、これは絶対油断はできないですね。でありますから、一五%が実現するためにも総需要抑制の中に物価安定、そしてまた労働者の福祉の充実等々をこの予算の中に盛り込んで、皆さんに御審議をお願いする。ですから私は、田邊先生のおっしゃるとおり、お互いの共同責任においてこれは何とかここを切り抜けて安定していきたい、こう考えております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 御承知のとおり日本はいわば原材料に乏しい国でありまして、これを外国に依存をして、日本の労働力、特に国民の頭脳と勤勉、それによって物を生産をして外国に売る、こういういわば加工国といわれる性格を持った国でありますから、人の問題、いわゆる労働力の問題、これは非常に重要なファクターであることは、大臣がいま言われたとおりであります。したがって、ややもすれば物中心のいままでの見方というものを変えまして、いわば人中心の考え方に立たなければならない、こういう時代になってきておるだろうと思うのですね。資源は有限なりと言われておる現在の中でもって、その資源をいかに活用して、そしてまた国民の生活水準が全体的にバランスのとれた形で向上する、いわば表面でない内容の充実した国民生活が営める、こういう条件づくりをしなければならぬときに来ているという、私はいま大臣の話とその点では一致するだろうと思うのです。  そして、そのためにはやはり何といっても現在の物価高を抑えていく、物価の値上げをひとつ鎮静させるというこのことも非常に重要だろうと思うのであります。  この物価の値上げを鎮静させることは非常に重要でありますから、われわれもその観点でいろいろと考えなければならない点が多いわけでありますけれども、しかしそのことがいますぐ賃金問題に論じられているということについて、われわれとしては慎重な配慮を必要とするだろうと思うのです。いま大臣がいみじくも言われたように非常に危険な綱渡りをしている。一歩誤ればまた物価の高騰を来すというこういう状態というものを考えるときに、総需要抑制という政府の方針というものに対して、われわれは一面ではそれはとらなければならない点であったろうと思います。しかし、また一面においては現在のこの深刻な不況の事態というもの、あとでお聞きをいたしますけれども、この状態というものを抜け出さなければならない段階に来ている。といって、総需要抑制を緩めればまた物価は上がるのではないか。そこで、従前のいわば量的な総需要抑制という政策だけでなくて、いわば質的な意味におけるところのいろいろな転換政策をとらなければならない、こういうことが当然の成り行きだろうと思うわけでありまして、私はそういう中で経済政策そのものの問題がありますけれども、きょうは社労委員会でありますからそのことを多く省かせていただきますけれども、もう一つは、現在の状態の中で一体国民の生活はほんとうにどうなっているのか、それがまた各階層別、地域別あるいは年齢別、業種別等のいろいろな面を通じまして一体どういう状態にあるか、どういうアンバランスができてきておるのかということを一面考えなければならぬ。三木総理が社会的不公正をなくすと言われているわけでありますけれども、私は人の面においても、これはそういう不公正をなくす、いわば社会的弱者と言われるような言葉は適当でないけれども、そういう弱い層に対して手当てを講ずることが一面労働行政として非常に重要になってきていると思うのです。そしてそのことをするために、社会的強者と言われるいわばいままで大きな利潤を占めてきたところの企業に対して、政府の責任においてこれをためることはどうしても必要になってくるだろう、私はこういうふうに思っているわけであります。  さてそこで、国民の生活、特に働いている勤労者の生活は一体どうなっているかということについて、若干お伺いしてまいりたいと思うのですが、今後の賃金のあるべき姿や、いわゆる賃金改定期と言われる問題に対する大臣の所信が述べられましたが、これに対してはあとで枝村委員からさらに詳細な質問があると思いまするから、私はその点は多く省かしていただきまするけれども、一応現状認識として、現在の生活は一体どうなっているかということをひとつお伺いしたいのであります。まあ昨年の春の賃金改定、春闘によって賃金引き上げがなされましたけれども、しかし、かなり実質的には生活水準は上昇的な状態にないということが言われておるわけであります。まず一つ、数字的におわかりでありましたらちょっとお伺いしたいのでありまするが、大体昨年の上半期の生活水準というのが前年度に比してどういう状態であったか、それから、昨年の春闘後の、大体夏ぐらいまでの間の生活水準が一体どういう状態であったか、そしてまた、九月、十月、十一月というような、いわば昨年の下期に向かってその実質的な収入は一体どうなっているかということについて、もしおわかりでありましたらば、ひとつお伝えをいただきたいと思うのであります。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 これは私も実は毎日見ているわけでありまして、この際にお答え申し上げますと、昨年の一月、二月、四月は、国会でも御報告しましたが、実質賃金がずっと下がっておったわけです。五月に六・五%上がりまして、それから六月か五・五、七月が一〇・二——これはやはりボーナスの関係でしょう。それから八月に四・二、九月に二・四、そして十月がマイナス二・九、十一月がマイナス三・一、そして十二月がプラス四・七、こういうことでして、そこで四月から十二月までならしますと、三・五%アップなんです。これは、三十年から四十年が三・五%の実賃賃金のアップでしたから、四十年から四十八年の八・八%よりは低いですけれども、ちょうど三十年代という実質賃金アップ。しかし一方、お話しのように、いまのインフレマインドというのかそういう不況ムードがこれを実質的にそう感じているか感じていないかという問題はまた別でございますが、統計の上ではそうなっております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 そこで、このところ国民の生活の実態的なものについての見方というのがいろいろありまするけれども、この春闘でもって賃金引き上げになってまいりました状態を見ますると、四十九年、四十八年、四十七年と三年にさかのぼって見ましても、物価上昇にプラスある程度の上乗せが賃金のいわば引き上げになっている、こういうふうに見ておりまするが、物価上昇率に比べまして賃金の引き上げ率がどのくらい上回っているかということについての何か統計がございますか。——なければ、あとでひとつまたお届けいただくことで結構でございます。詳細な質問通告をいたしておりませんから結構でございまするが、大体私どもが計算をいたしたところによりますと、物価上昇率にプラス大体一〇%前後、四十九年は八・九%、四十八一一・七%、四十七年一〇・三%上乗せという形で賃金が大体決まってきている、こういうことでありまして、ここのところ三年ほど見ますると、物価上昇にプラス一〇%ぐらいの上乗せによって賃金が決まってきている、こういうように見受けられるわけであります。  これを私どもは一つの考え方といたしまして、しかし現在は、われわれ自身も認識をしているこの非常に冷え込んでいる状態でありまして、これから経済の高度成長を来すということは、これはなかなかないだろう、またそういうことであってはならない時代に来ている、このようにわれわれは見受けておりますけれども、しかし、さてそこで、いま大臣が言われましたように、去年の下期はかなり実質的な賃金というものが前年に比べて目減りをしてきている、いわゆる可処分所得というものが、九月、十月あたりかなりマイナス傾向にあったということが言えるわけであります。したがって、この春の賃金の引き上げを望むところの労働者の基本的な考え方をまとめる時期、それからまた、いま大臣もちょっと言いましたように、一つのインフレマインドというかそういう形の中で、生活の苦しさ、そういったものがいわゆる労働者の賃金引き上げの要求に対して拍車をかけるという状態になっていることは、これは疑いない事実だろうと思うのであります。これを一つ私どもは重要視しなければならないのじゃないか。  それからもう一つは、そのことについてさらに言及をすることは実はあとで枝村質問に譲りますので避けますけれども、そこで二つだけ実はお伺いしておきたいのは、一つは、いま私が申し上げたように、中小企業あるいは低賃金労働者、失業者、失対労働者、婦人あるいは老人家庭や母子家庭、障害者、こういう層の状態というものが、いままでから比べてみてよくなっているかどうか。大臣どうでしょう。これはちょっとあなたのお感じで結構ですから、私が細かい統計いまお話しいたしませんけれども、あなたのお感じはどうでしょうか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 まあ、去年の春闘の場合には三二・九%でしたね。ですから、これは私は国会でも申し上げたように、一月、二月、三月というものはとにかく狂乱物価、そういうものに見合ったもので、そしてその結果が統計の上では一〇%だけ物価にはね返っているというふうな数字が出ているわけです。そこで、あなたもおっしゃるとおり、いままでの高度経済成長と違って、マイナス成長のときには、これはやはりお互いがよく考えて、国民経済全体を考えてやってもらわなければならぬという感じを持っております。  それから、こういうインフレのときには、やはりいわゆる弱い方といいますか、そういう方々が一番インフレの犠牲をこうむることですから、そこで三木内閣とすれば、従来も言われましたけれども、ここで社会的公正という問題について、予算委員会等々で御審議いただいたように、いろんな手当てをしている。それぞれ受け取り方はあるでしょうけれども、その方向に一生懸命やっているということなども御理解いただきたい、こう思います。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 このいま言った、同じ働いている労働者の中でもかなり状態が違うということは、大臣もおわかりをいただけるわけでありまして、そういった点をわれわれは見過ごしてはならない。  それから、昨年までのいわゆるインフレが激化をしている中において賃金上昇があったというのですけれども、果たしてこれがインフレ時に見合うところの賃金であったかどうかということになると、政府はやはり賃金が引き上がったから物価が上がったとは言いずらい状態であったほど、物価の上昇というのがいわば非常に急激な度合いであったということが言えるわけでありまして、いままで労働者の持っておる感覚から言いますると、賃金引き上げはこれは一年間の先まで見通した約束をした賃金ではない、とてもそれでは追いつかないではないか、こういう実感を持っておるのですね。ですからこの点に、いま大臣の言われたこれから先のいろいろ賃金問題をわれわれが論じたり占うときの労働者の感覚とのずれというものがあってはならないというように私は思っておるのです。  それともう一つは、確かに昨年は三二・九%、その前が二〇・一%、一五・三%というような賃金の引き上げが行われてまいりましたけれども、一体それで日本の企業は大変な、へこたれてどうにもならぬという破綻の状態まで来たかというと、依然として企業の利潤は相当増大をしてきた。昨年の下期になりまして幾らか売上高が減ってきておるということはありまするけれども、しかし依然としてこれは世界各国に比べてみて大きな利潤を占めてきておる、こういう状態があったことはこれは否めない事実なんですね。ですから幾らかはいま不況だといっても、大企業なりそういった大きなもうけをした企業の蓄積度合いというのは一体どうなのかということを考えてまいりますると、これはどうもにわかに彼らが弱った弱ったと悲鳴を上げるような状態ではないじゃないか。生産性にしてもアメリカの三倍ぐらいの生産を上げてきた日本の現在までの成長度合いというものを考えたときに、一体この状態になったから賃金は低きに抑えてもらわなければどうにもならぬ、国際競争に打ちかてない、日本の大企業といわれるところの経営者にとってはそういったことを言うのはおこがましいのではないかと私は思うのですよ。そしてそのことをいろいろと考えてまいりますと、実は特に含み資産というか内部留保というか、こういったものがまだまだあって、いわば余裕がまだまだある、こういう感じを国民は持っていて、われわれも持っておるわけであります。確かに、もちろん現金で持っておるわけじゃございませんでしょうけれども、いろいろ土地やその他の資産でもってそういった含み資産を持っておるというもの、これを吐き出させろという意見は非常に大きいわけですから、この方を捨ておいて、それでもって賃金問題を論ずることはこれは私はいかがか、こう思うわけであります。  しかし、もちろんさっき申し上げたように中小企業、その他の状態というものが決してよくなってないということはわれわれも考えておりまするけれども、中小企業との差というものがますます広がっておるというように私は思っておるのですよ。この点、労働省はそういったことに対して直接関与しない役所だからというので、何かそういったことに対する一つの統計なり数字はお持ちでないのでございましょうか。中小企業の製品の価格が一体どうなっておるか、大企業の製品というものが一体どうなっておるか、こういうことに対しては一体どんなものでございましょう。  ということを申し上げるのは、これは確かに不況になってきたというけれども、私は一昨年の公定歩合の問題が起こったときからずっと一年半ぐらい見ておりますけれども、必ずしも大企業はそれによってへこたれていないのですよ。大体昨年の九月、十月ごろになってから少し参ってきた、こういうことが言われておるわけですね。それに比べて中小企業というのは去年の前半から価格というものが抑えられて生産が低下しておる、この経済市場の支配力の格差というものの拡大、これを私は見逃すことはできない、ここに私は二つのことを実は念頭に置いておるのですけれども、いかがですか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 詳しい数字はあるいは政府委員からお答えさせますけれども、感じ方を申し上げますと、私は大企業には、昨年の春からとにかく社会的責任として、幾ら石油危機で物が上がろうとも、自分の会社はもちろんのこと、下請関連産業を通じてこういうときにこそ失業者を出さないようにということが一つ、それから大企業は価格を下げるという一つのことをやってもらいたいということをありとあらゆる機会に、いろいろな機会をつくってもらってそこで実はいままでずっと強調もし、お願いもしてきているわけです。それは結局するところ、将来の目安として物価の安定した線が出てくるとみんなが安心してくると思うのです。経営者はもちろんのこと、お互い庶民も安心する、ここに人心の安心感が出てくる、そこでおのずから中小企業の対策も出てくるというふうなかっこうになっておりますし、一方、中小企業の製品というのは先に不況をこうむったものですから、早く下がりかけたのです。そういう数字なども出まして、大企業の方々に、中小企業の製品はこうです、大企業のあなた方はどういうことになっていますかという呼びかけを従来してきた、大体感じ方とすればそういうところです。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 いま大臣が言われましたけれども、名目生産額を見ますと、昨年の一月から三月までで大企業は三〇・八%増、中小企業は二五・五%減、四月から六月は、大企業と言われるものが二六・五%増、中小企業が一六・三%減、七月から九月は、大企業は一八・四%増、中小企業は六・六%減、こういう状態でありまして、そういった面から見てもわれわれとしてはこれをそのまま放置し、容認をするという形では賃金問題を論ずることはできないと思うのです。ですから、いま大臣が言われたこともそういった点では基本的に変わっておらないわけですけれどもね。  もう一つは、これは何と言っても日本は労働分配率が少ない。これは欧米に比較をして非常に低い状態。この春闘を前にして日経連等はいわゆる労働分配率を上げるといっても限度がある、こう盛んに言っておるのですけれども、それにしても果たして現在の労働分配率で納得させられるかと言ったら、私はそうでないだろうと思うのですね。ですから、イギリスの約七〇%近くの労働分配率は別としてみても、大体四〇%から四七・八%という西ドイツ、アメリカ等の労働分配率と比較をしてみて、日本の労働者のもらっている分け前というのは約三分の一でありますから、そういった点から、生産性と賃金と労働分配率、このいわば一つの相関関係の中でもって今後の賃金引き上げについて考える必要があるというように私は思っておるわけでありまして、その点をひとつよく分析をされて、一律一体に賃金抑制ムードというだけで律すべきでないという考え方を特に指摘しておきたいというように思っておるわけでありまして、三十二年の三六・五%でしょうか、これがだんだん下がってきていま三二%ぐらいに下がってきておるわけですから、少なくともこういう状態の中で労働者の生活を守り、労働者に十分に理解させ、協力をさせるためには、日本の企業がやるべきことは一体何かということをぜひひとつお考え合わせいただきたいというように思っております。  そこで、賃金問題をあまり論じていることは実はいかがかと思うのでありますから、現状の認識だけをひとつお持ちをいただきたいという意味で私は申し上げたのでありまして、あとは枝村質問にお任せいたしますが、一番先に申し上げた最近の不況というものがもたらしたいわば労働者の生活の不安、それから低下、こういったものは覆いがたいだろうと思うのであります。そういった点から考えますると現在の状態はどうなっているかということについてひとつ御認識を承りたいのでありまして、確かに日本は共かせぎが多いといっても、全体的に見れば世帯主の収入というものが約九〇%以上、九二%ぐらいでしょうか、占めているという状態でありますが、しかしそれ以外の家族、特に主婦が働いて得るところの収入もばかにならないというのが現在の状態になってきておりますが、この点は私がいま数字をちょっと申し上げましたけれども、全体の収入の中で世帯主が占めている収入は一体幾らでしょうか。それからその世帯主の収入の中における基準内の賃金は一体幾らでしょうか、そういうことがおわかりだったらばちょっとお知らせいただきたい。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 それじゃ、ちょっと政府委員から。

細野正労働大臣官房審議官

○細野政府委員 ただいまの御質問の件は、データをいま調べておりますので、その前に分配率のお話ございましたので、補足的に御説明をさせていただきたいと思います。  統計は日銀の主要企業経営分析でございますが、その中に主要企業の経営の中に占めます人件費の割合の統計がございます。これは主要企業で製造業だけでございますが、三十四年度のころには人件費の割合が、付加価値に占める割合でございますが四九%。これが御指摘ございましたようにだんだんと落ちてまいりまして、たとえば三十八年ごろには約十ポイントほど落ちて三九%ぐらいになったわけでございます。しかしこれは最近また上がってまいりまして、四十八年の下期で四四・五%、四十九年上期で四八・一%、大体四八・一%でございますので、先ほど申し上げました三十四年度のころとほぼ同じぐらいに上がってきているというふうな状況にございますので、とりあえず御説明申し上げます。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 後でひとつ数字は教えていただくことにいたしまして、ちょっといま理事からあれがありましたから、先を急ぎましょう。  非常に雇用条件が悪くなってきている。特に私は弱い層、いま私が申し上げたかったのは、いわば実質的な収入の中で内職とかパートとか、こういったものも重要な要素になってきているのですけれども、これらがどんどんと切られてきているという状態、それから基準内賃金といっても超過勤務がなくなってきているという状態。ですから、そういう内部を見ますと非常にいろんな条件が悪くなってきた、こういうふうに言われております。したがって、この状態というものが一体どうなるのかということは非常に不安でありまして、この総需要抑制策を盛んに堅持するといま言っておりますけれども、雇用情勢は求人倍率を見ましても、それから労働省がよく言っておるところの三月まで百万人の失業者が起こるだろうという問題にいたしましても、非常に大きな不安を与えているのですけれども、この雇用情勢は一体これから先どういうふうになるというふうに大臣は見ておられますか。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○遠藤(政)政府委員 確かに総需要抑制が浸透してまいりまして、これが雇用ないしは失業の面にかなり深刻な影響を与えてまいっております。完全失業者は十一月現在で一・三%、七十万ということでございまして、最近新聞紙上等で報道されておりますようにアメリカが八・二%で七百五十万人、西ドイツですらも五%を超えておりまして、百十五万人の失業者が出ているという状態から見ますると、物価抑制のために総需要抑制を堅持している、その影響としての失業問題は、まだまだこういった諸外国に比較いたしますときわめて軽微な線にとどまっているということは言えるかもわかりませんけれども、しかしながら、昨年の一−三月の完全失業の情勢を見ますと、三月には九十万を記録いたしております。その線からまいりますと、恐らくこの一−三月には百万という線が当然出てくるのではなかろうか、こういう予想をいたしております。しかしながら、ごく最近の情勢を見ますと、いま御指摘がございましたように求人倍率は十二月で〇・八でございますけれども、新規求人倍率を見ますると、十二月は、十一月に〇・九六まで落ちましたのが一・〇二と若干上がっております。それから離職率にいたしましても、製造業だけを見ますると離職率が十一月をピークにして若干落ちてきております。これは実は、先国会において成立いたしました雇用保険法によります雇用調整給付金制度、こういったものに期待が寄せられまして解雇を手控える、一月以降この雇用調整給付金制度の適用によりまして解雇が足踏み状態になってきた、こういうこともございまして、まだ正確な数字が出ておりませんが、恐らく一−三月に入りまして、この間の失業情勢はそういった線で、総需要抑制の浸透によってこういう制度がなかりせば相当人員整理、解雇という問題が出てくるであろうと予想されておりましたものが、このことによって若干私どもは好転の兆しを見せてくるのじゃないか、こういうふうに考えております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 雇用保険法の成立によるところの雇用調整給付金の申請状態、ちょっと新聞等で拝見をいたしておりますが、後でまたその状態についてお知らせをいただきたいと思います。  私はこういう情勢の中で、失業の増大、それが予測されるわけですから、これに対応するところの政策というものは一体どうするのかということに対して、日本の雇用政策というものは非常に不備だろうと思うのですね。確かに失業に対するところの給付をいろいろ考えたり、それからまた職業転換のためのいろいろな訓練をしたり、いろいろなことをやっていますけれども、基本的にやはり雇用というものは国が責任を持つという体制、そういうものが少ない。それで企業主自身もこれに対してその責任を持つ、こういう体制が非常に欠けておるというように私は考えざるを得ないわけでありまして、欧米の状態というものはもう御承知だろうと思いますから特に申し上げることは避けますけれども、やはり言うなれば、たとえば解雇の制限にいたしましても、解雇の規制にいたしましても、それが法的な面で一体どういうふうに措置をとらなければならぬのか、あるいはまた、これは労使の間でひとつ協定を結んで、これに対するところの制限をするようなそういう法的な体制、労使間のいわば体制、こういったものに私は欠けておるのじゃないかと思うのでありまして、その面から見ますならば、やはり一つには強力な法的規制というものをこの際考えなければ将来に備えることにはならないだろう、こういうように思うのです。  それから、まとめて申し上げますならば、第二は、やはり失業した場合は確かに失業給付等がありますけれども、これも一定限度がある、一定期間があるという状態でありまして、再就職というものに対してもやはりなかなかこれが促進を図られるような条件づくりがない。したがって、西ドイツの雇用促進法等のこういういわば国もそれに対して責任を負う、そしてまた企業もそれに対して責任を負う、そういったものをひっくるめて、ここは西ドイツの連邦雇用公社なんというものをつくっておるわけですけれども、そういったことに、いわば労働者を含めてこの問題に対処する、そういう考え方が第二は欠けているというふうに思うんですね。  ですから、いずれのような状態をとるのか、フランスのような雇用保障協定というようなものをとるのかわかりませんけれども、いずれにいたしましても、日本の場合はいわば政府がひとつサービスをしてやろう、こういう形でいろいろな法的なあるいは行政的な措置をとられておるという形でございまして、われわれは、これではこれから先の低成長と言われる事態の中で対処することはなかなかできないだろうというふうに思っておるわけでありますから、私ども社会党は、今国会に雇用保障法案を提案をする予定でございまして、その準備を進めておるわけでありますけれども、やはり国の責任性それからそれに対して使用者が協力をするところの義務、そういったものをわれわれとしては考え、そして解雇の制限とあるいは未払い労働債権の保全を含めたいわば措置をとる、そしてこれらの問題に対処するために雇用保障委員会をつくり、雇用保障基金を設けて国と企業者の責任でこれに対応する、こういうような趣旨のものをつくりたいと思いますので、ぜひひとつ政府もこれに対して熱心な対応するところの考え方をまとめていただきたいというふうに思っておるわけですが、いま私がざっと申し上げましたような、雇用に対するところの基本的な考え方をさらに充実させ、完全雇用に向かって政府は励むということに対する考え方をひとつ承りたいというふうに思います。  それからまた、ちょっと時間がございませんから、もう一つあわせてお伺いしたいのは、政府が第一次雇用対策基本計画を立てたのが四十二年から四十六年でありましたけれども、続いて四十八年一月三十日の閣議決定で、いわば第二次の雇用対策の基本計画を立てておりまするけれども、これは私はかなり見直しをしなければならないときに来ているのではないかと思うのです、いまの情勢、これから先の見通しを考えるときに。したがって、これから先の事態を考えてこれを十分練り直して、これから先の雇用失業の情勢に的確に対応する政府の考え方をまとめるべきではないかと思いますけれども、この二点をひとつまとめてお伺いいたします。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 私は、いつも自分の信念として、失業というのは人生最大の不幸ではありますし、いま労働省の玄関にも、「この人に働く喜びを」こういうスローガンを掲げて、それに合うように、こういう時代、総需要抑制の中でいろいろ雇用情勢が悪化しておりますから、この一月の二十二日でしたか、全国の所管の安定課長緊急会議などを開いて、いろいろと手配をしているわけです。一方、御成立いただいた雇用保険法等々があれだけ歓迎されて、調整交付金などが歓迎されているようなことから見ましても、やはり失業というものをなくしていくこと、そういうことについてはいまあなたからも御提案ありましたが、万々私の方でも諸準備しながら研究をしております。おたくの方のそういう御意見などもありましたら、私の方に参考にさせてもらいたい、こう思っております。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○遠藤(政)政府委員 最後に御指摘になりました雇用基本計画につきましても、まさに御指摘のように情勢が非常に大きく変わってきております。ただいま大臣から御答弁ございましたように、この職業安定行政全般、雇用政策全般につきまして、ただいまいろいろと法的措置を含めて検討いたしております。そういう中で、この基本計画につきましても洗い直しをしてまいりたい、かように考えております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 終わります。

戸井田三郎自由民主党

○戸井田委員長代理 枝村要作君。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 昨年の暮れに開かれました七十四回の臨時国会で雇用保険法を審議した際に、私は長谷川労働大臣に対して、あなたはいままでにない理解のある人だと評価されているらしいから、しっかり取り組んでほしいという要望をしたことがあるのです。きょうは、そういう人であるということを前提として心にとめながら質問していくわけでありますが、現在の諸情勢に対応する大臣の基本的な考え方、姿勢をまず最初にただしてみたいと思うのです。  あなたは田中内閣の労働大臣から、少しお休みにはなりましたけれども、引き続いて三木内閣に就任されました。そのことについて大方の見方、推察は、困難な労働情勢を切り抜けるのはあなたしかない、こう信じて三木さんが登用したのだろう、こういうふうに見ているわけです。それだけに、雇用失業情勢の悪化、インフレ、不況、これに対する政策立案の遂行の上で、三木内閣のエースではないかというように私は考えておるのです。私はあなたに、よい意味それから悪い意味、どちらであっても、エースとしての力量を自分の信念に基づいていまから遂行されることについては、別に意見を差しはさもうとはいたしません。しかし、少なくとも日本の勤労大衆の基本的な権利を守る、生活保障を確立するという立場だけは、ひとつ明確にしていただきたいのであります。そのために全力をもって取り組んでいただきたい、こういう決意を持っておられるかどうか、こういうのをまず第一にお伺いいたしたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 枝村さんから大変御過分なおほめがありましたけれども、私たちお互い政治家といたしますと、これはもうだれもかつて経験したことのないところの経済大変動だろうと思うのです。そういうときに労働大臣に再任したことでございますから、私は基本的には、日本という国は海外から材料も買いますけれども、やはり額に汗をする諸君が一生懸命がんばってやってきているということ、これが一番の財産じゃなかろうか。ですから、この方々が、しかも日本の場合には習慣的に終身雇用制度、年功序列とかいうふうなことがありまして、まあどちらかというと完全雇用に近かったわけです。それが崩れかけております。その場合に、やはり社会的不安が別な方向に出てこないためにどうするか、自分たちの持っている経験あるいはまた見識、そういうものをしっかりここで出して、これを充実さしていき、社会の不安をなくしていくというところに懸命にやらなければならぬ。もちろん知恵は乏しゅうございますから、私はいろいろな方々の御意見なども聞き、これがいいことだということでありますれば、それに一生懸命やることによってお報いすることだと、こういうふうに感じて、いまから先もやろうと思いますから、まあ喜ばしいということよりは、実は心身の非常な緊張を感じている毎日でございまして、お知恵がありましたらぜひひとつお教えいただきたい、こう思っております。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 そこで、所信表明の中で社会的公正の確保という言葉、これは労働省のあなただけでなくて厚生省の大臣の中にもあるわけなんですが、これは考え方によってはそれでいいかもしれませんけれども、政府として統一したそういう表現を使っているのかどうかという意味の問題です。三木さんを初めとして、今日の社会の中の情勢を、不公正があるからそれを是正するという、こういう表現の仕方を演説その他でやられるわけなんですけれども、こういう社会的公正の確保ということになれば、現状認識の面で、今日公正であることを確保する、こういうふうにも悪く意味がとられるわけです。ですから、むしろいままで三木総理やあなた方が演説される部面における社会的不公正という、こういうことを、いわゆる所信表明として文書にちゃんと残る部面でもはっきりさせる方が国民に対する態度として素直ではないかという気持ちを少し感じましたので、ちょっと言っておきます。別に深い他意はありませんけれども、そういうところにも気をつけぬというと、政府の、おれの方はちゃんとやっているじゃないかという、こういう思い上がった横着な態度を国民に示すということになりますから、素直でないというような感じがいたします。  そこでその次に、七五年の春闘にどう対処するかという問題について伺っていきたいと思いますが、労働者側は、ことしの春闘はかつて味わったことのないほど厳しい闘いになるという悲壮感すら持つような態度を示しております。それと同時に、それは同時にその闘いを進めていく中で政策転換の機会をつかむ政治的な重要性も帯びているというふうに指摘しております。昨年の七四春闘も、国民春闘というように続けてまいりましたが、ことしはその比どころではないほど国民的課題が山積みされておるということにもつながってくるわけであります。それだけに、これは単なる労使間の問題ではなくなってきております。また、それで片がつくというものではないということは言うまでもないわけなんですね、ことしの春闘は。政府もそう考えているからこそ、私どもから見れば異常なほど力を入れて春闘対策を進めておるような気がするわけです。その最も特徴的なものは賃上げの自粛論である。この大きなキャンペーンと、それからその攻勢というものは、いままで政府がとってきた動きの中では顕著なものがあると思うのです。その中で、いわゆる長谷川労働大臣は田中内閣の時代からその提唱の第一人者である、こういうふうに私どもは見ております。特に去年の八月ごろから、そのころ物価は大幅に上昇しておりました、そのときに大臣がそういうことを提唱されるというのは、その立場の上からどうもおかしいなとわれわれは思っておった。これは同時に所得政策を導入するのではないという注釈をつけながらも、やはりそういうことを主張されるというところに疑念があったのです。  それで、先ほど言いましたように、三木さんがあなたをエースとして登用したのもそういうところに資格を求めたのかもしれませんよ。とにかくその賃上げ抑制論は、インフレ、不況共存という現在の情勢下では、率直に言って、あなたが八月の時点でそういうことの提唱の第一人者として言われておって、今日になると、まさにそういう大きな動き、うねりというものが発生してきておることを認めざるを得ないのであります。私どもから言えば、政府と企業が一体となって、その合作によっていろいろな手段、手管を使って今日のインフレ、不況の中での賃金値上げの抑制論とか自粛論というものが行われておると思います。それで、具体的には管理職の賃金カットをした、残業カット、あるいはパート、出かせぎ、臨時工の切り捨てとか、新規採用の取り消し、一時帰休、さらに倒産、解雇等がもうどんどん行われている。確かに総需要抑制をもろに受けた、そしてそれの犠牲にされておる中小企業が非常に増加しておることは事実であります。そして先ほど安定局長の言いましたように、ことしの春には百万の失業者が出るのではないか、そういう恐れさえある。求人倍率も、昨年の十一月現在では〇・八七、完全失業者が十月で七十五万、ことしの春闘では、先ほど言いましたように百万になろうとする。賃金不払いも九月現在で千五百四十件、対象人員が一万四千十七人、未解決賃金が二十八億九千二百五十六万円となっている。これは私はよく知っております。  私はここで指摘したいのは、先ほど言いましたように、いわゆる管理職の賃金カットとか、そういうことを大企業の中でどんどん行われておる。その必要性のないような大企業までそういうことをやっておる。本当に経営上もう行き先がわからなくて困難になったから、最後の手段としてそういういろいろな手管、手段を用いる、採用するというのなら、やはりそれなりの受け取り方もあるのでありますけれども、どうもそういう必要性のないような大企業までそういうことをやっておるというところを見ると、これはどう考えてみても、ことしの春闘の賃上げ抑制のための雰囲気をつくる作業ではなかろうか、こういうふうに見るわけなんですね。新聞も一ころ出しておりましたけれども、大企業の間では、そういうことをしないような企業はこれはちょっとおかしいんじゃないか、先ほど田邊委員が指摘しましたように、これは大もうけをしておるからその必要がないのではないかといって後ろ指を指されるという雰囲気が出始めておるということを伝えておるわけなんです。こういう情勢を大臣はどう思うか。むしろあなたが提唱しただけに、してやったりという考え方か全くないのではない、そういうふうにも——まあ誤解があるかもしれませんけれども、いまの全体の動きが賃金の大幅引き上げの抑制的な雰囲気に包まれておる、こういうふうに思うのです。  私は一口でこの問題について言うならば、そういうところは確かに行き過ぎではないか、労働行政として、必要のない企業までそういうことをやることに対して何らかの措置をとる必要はないか、こういうふうに考えておるわけなんですが、どうですか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 前段に社会的公正の話がありましたが、私たちが大学で政治学を習ったときに「政」は「正」なり、こういうふうに習ったことでして、やはり世の中において正義というものを実現させる、そういうところに目標があろうか、こう思っております。  それから大阪で私が演説して以来、どうもそういうふうな形じゃないかという話でありましたが、私は前回もここで申し上げましたが、とにかく高度経済成長からゼロ成長になったときには、お互いの態度というのはおのずから違ってくるのじゃなかろうか。労使、国民全体に同じデータをずっとお示しして、ゼロ成長のときのお互いの心構えというのは違うはずであるというデータをお出ししたことでございまして、賃金問題については前からそうでございますけれども、これは労使の間に介入するということはございません。  ただいま管理職の問題がありましたが、私も一時はあなたと同じように考えたことがあります。管理職といえばちょうど三十五あるいは四十五、六、みんな学校にやら子供たちを出しておる諸君が、そういうふうに賃金カットされることは一体どういうことだろうか。一番生活費がかかりもし、また今日まで日本の経営を担当してやってきた諸君じゃなかったろうかというふうに私同情的に見たこともございます。ところが一方また考えてみるというと、時間外の勤務がほかの諸君が全部カットをやられて収入が減っておるときに、管理職の諸君の中には何かそういう時間外勤務がなくとも一応の手当があるというふうな話やらあって、それに相呼応するというか、見合う意味において自分たちで自粛しているんだというふうな話なども聞いて、なるほどそこまで来ているのか。これはもう私の方でお勧めしたわけでも何でもございませんで、そういうふうな情勢になりつつあるということを実は理解しているわけでありまして、いずれにいたしましても、賃金問題については労使の間に私の方は介入しない。しかしながら、とにかくゼロ成長でこれほど厳しくなった事態を踏まえながら、平和なうちに国民的視野の中に円満な賃金改定が行われるということをお願いし、期待をしておるという立場であるということを御理解いただきたい、こう思うのです。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 しかし、今日のこういう異常な動き、情勢というものは、あなたが八月の時点から言われた賃金自粛論、抑制論がやはり実態として今日実を結んだと言ったらおかしいですけれども、なっていることは事実でしょう。それは、あなたの提唱したことがすべてそれを支配したんではないでしょうけれども、やはり政府と企業が一体となってその方向に進んでおる。先ほど田邊委員からの質問に対しても、やはり依然としてその方向は放棄されておりませんから、そうなると、そこには労使の間で大変なやはり厳しい激突の情勢が出てくるわけなんです。これは否定できないのです。  そこであなたの責任が非常に今後問われてくるわけなんですが、その前に一言だけ、やはり賃金自粛論は、インフレが高進し不況が深刻になれば、これは賃上げがその原因である、労働者にいわゆる責任がある、こういういわゆる論議というものがずっといままでなされてきておるわけなんです。その問題についてきょうやりとりは、する時間が全然ありませんからやりませんけれども、しかしそういう論調は徹底的に批判されるべきであるという考え方も多くの学者の間にもあるわけなんです。  ここで一つ紹介したいのは、ハーバード大学教授のハンセン氏という人、それが書きました著書の中にもあるんですけれども、賃金インフレ論は落とし穴に満ちていると、これははっきりと言い切っておるんです、彼の言い方によれば「資本主義の世の中では、賃金を安くすれば資本はもうかるので、いろいろな理論を生み出して賃金を引き下げようと努力する。」これは当然考えられることなんですね。賃金インフレは、ですからそういう中の一つの問題であるというようなとらえ方をしております。しかも「賃金と物価との関係は理論ではなく事実関係である。」ということも同時に指摘をしておる。ハンセン氏が「アメリカの過去にさかのぼって、賃金が上がったから物価が上がったのか、物価が上がったから賃金が上がったかを調べたところ、賃金が上がったから物価が上がったという事実を集めることは困難であった。それに反して、物価が上がったから賃金が上がったという事実は幾らでも集めることができた。賃金が生産性以上に上がるのは、物価と企業の分配率(利潤)に原因がある、」こういう指摘をしている。これは、ハンセン氏が指摘するまでもなく、日本のわれわれもそう思っておるわけなんです。ですから、このインフレのすべての原因が賃上げにあるとはわれわれは思っておりませんし、田邊氏もそういう意味の指摘を先ほどされたのでありますから、この問題についてはそういうことでありますだけに、また労働者側もそういう理解をしておりますから、生活の実態の中から賃上げの要求をするのは当然であります。それが三万円になろうが四万円になろうが、いわゆる大幅と言われるものであろうがなかろうが、権利として主張して闘うのは正当だと私どもは思っておるわけなんです。ですが、この問題はここではそれ以上深めていきたくはありませんが、問題は、私どもから言わせれば、政府のいわゆる主導によって賃上げ抑制が進められている以上、労使の問題には介入しないと言いながら、やはり後段で、ほっておくというと社会、経済の問題に発展するから云々という所信表明にもありますように、あなたは当面の責任者である、しかも三木内閣のエース、労働大臣でありますから、それなりに主張した反面の責任を果たすべきではないか、こういうふうに私は思っておるのであります。  その第一が、日本の勤労者、とりわけ中小企業に働く未組織労働者や政府の手で生活をせねば食っていけない人々に対して、どうしたらよいかの問題があります。これは田邊氏も指摘をしました。今日考えられるのは、そのためには手っ取り早くやり得るのがあるのです。それは、長い間懸案になっております全国一律の最賃制を制度的に確立することだと私は思っております。二千四百万に及ぶこれらの勤労者は今日でも依然として放置されておるのですから、早急にこれに手をつける必要があるのではないかと思います。あなたの所信表明の中では、これはさらりと流されておりますが、ことしの労働者側の最大の目標はこれにあるわけです。昼からあなたは労働四団体と交渉されて、その場でこの問題について申し入れがあると思いますが、ひとつあなたの全責任をもって、労働者側が——これは四団体ですからなかなか一つにはまとまりそうもありませんけれども、今日まとまったその問題をあなたの力で解決するように全力を挙げてほしいというのが、私の第一の希望であります。  それから、時間がありませんからみんな言ってしまいます。第二は、時間短縮、週休二日の早期実施に力を入れていただきたいということです。こういう不況下にあればあるほど、この問題について真剣に取り組むべきではなかろうか。いま私どもこう見ておりますと、怠けておるとは言えませんけれども、そういうきらいがあるようです。公務員や金融機関には消極的な空気があると聞いておりますが、この問題についても、所管の労働大臣が直接監督指導するなどして、この実現のために全力をあげてほしい。  第三には、ことしの春闘でもやはり最大の問題になります官公労働者のスト権の問題であります。昨年の春闘で約束されたいろいろな事項があります。それに基づいて作業が今日行われているとは思うのでありますけれども、これらは、承れば、経営問題などに絡めて、何とかごまかしていこうという空気もないとは言えないのでありますから、これも労働大臣の責任において積極的に努力をされたい、こういうことを要望したいのでありますが、それをまとめて大臣の所見を伺いたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 直接お答えになるかどうかわかりませんけれども、私は、賃金自粛論を私が唱えたというふうに言われておりますが、データをずっとお出し申し上げた。しかし、その第一前提は、政府としてやれることが一つある。賃金の間に入りませんけれども、一つ政府がやれることは何か、それはやっぱり物価の抑制だろうと思うのです、これはかつていままでできたことはありません。しかしながら一五%という数値を表明した限りにおいては政府の責任において徹底的にやろうじゃないか、これが勤労者並びに家庭の奥さん方に対する非常によき目安になるだろう。これは私は、いままでもやって、ようやくこれが、労働組合の諸君も一五%はできるんじゃなかろうかという期待感を持ったと思う。このことをひとつ御理解いただきたいと思います。  それから、次の最賃の問題等は、ただいまから四団体の諸君に私もお会いいたしますけれども、これは御承知のとおり三千二百万ほどの、地域それから業務関係全部カバーされておりますが、この前の昨年の春闘のときにこの委員会においても社会党の代表からも御質問がありまして、なかなか中央最低賃金審議会等々での結論がむずかしいという話があるのが事実であります。しかしながら、制度としては労働省は当然いろいろ勉強しなければなりませんので、レーバーアタッシェが外国におりますので、特別にそれぞれの国の実情を聞いたり、また諸外国の情報等も聞きながら勉強し、いまからも研究してまいりたい、こう思っているわけであります。そんなところで、時間短縮等々についても、これは雇用調整の関係にもなりますから、できるだけひとつ労使の間に進められるようにお願い申し上げて推進していきたいという考え方は依然として持っております。先日も、銀行関係の問題での週休二日等は、おたくの堀さんからの質問で、大分各業界の実態などがわかったことなども私たちは参考にしながら、こういうものが円満に労使の間に話が進み、ある場合には制度的な方法も考えられるようなことなども勉強していきたい、こういうふうに思っておるわけであります。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 審議会でいまいろいろ調べておるところもあるでしょうけれども、問題はやはり主管の労働省が、特に労働大臣がその気になっておるかおらぬかということが審議会の動向も左右するのでありますから、そういう意味でいま私は要請したのですが、大体スト権の問題でも最賃の問題でも、そうして時短の問題、週休二日の問題でも、いつごろを目安でどういう形で出されるものかということがわかりませんか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 その中の一つのスト権の問題にいたしますと、これは御案内のとおり昨年の春に話がついて、そして閣内に関係閣僚協議会を設けまして抜本的検討を行うということにして、ことしの秋を目標に速やかに結論を出したい、そしてとにかく労使の正常化を図らなければならぬというところに努力をしようとしているところでありまして、御承知のとおり、これは四十八年九月の審議会の答申にありますように「可及的すみやかに争議権の問題を解決するため、前述の当事者能力の強化の検討とあいまつて、三公社五現業等のあるべき性格について、立法上および行政上の抜本的検討を加える」と、こういうことになっております。でありますから、政府といたしましては、三公社五現業の経営形態のあり方を含めて広い見地から検討しております。投げやりにしているんじゃなかろうかという話もありますけれども、そうじゃありませんで、三月からはスト権の専門調査会、そういうものなども、いままでは経営形態などを大分レクチュアしているようですが、今度はスト権そのものに入って審議会が検討を始めるということでありまして、私はやっぱりことしの秋までにはその結論の出ることを期待をしているわけであります。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 じゃ、次の質問を続けます。  所信表明の中で、産業労働懇話会を通じて、相互理解を深めることを強調されております。これはこれなりに結構だと思うのですけれども、ところが、労働者側から要求している政府との交渉の場かと見ると、そうではないような気も私どもするわけですね。特に総評は強くその点を指摘しておるようであります。もし政府が労働者側と本当に誠意をもって、三木内閣の看板ではありませんが対話と協調の精神があるなら、こういう窓口を唯一のものとして進めていくよりも、いわゆる労働者側と——それは四団体になるか二団体になるかわかりませんけれども、そういう場をしゃんと設けて、ルールを確立して、すべてがそれで解決するとは思えませんけれども、その糸口を求める何かをつくるべきではないか、こういうふうに考えておるのですが、いかがでしょう。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 産業労働懇話会は、御案内のように学者、中立的な方々、学識経験者、そういう方々と、片方には日本の経営界のベテランの諸君、それから片方は労働組合の大幹部といいますか、指導者ですね、この方々が毎月一回ずつ、ずっと四十数回いままでやってきたのです。そこで、そのときそのときの大事な問題について自由に意見を交換しておりましたが、昨年の九月か十月くらいからは、その中の一つ特徴的な傾向は、経営者の方々からも組合の方々からも、やはり自分たちも情報が足りないのだ、インフォメーションが。ですから労働省が持っているインフォメーションをもらいたい、欲しいというふうな意見も出ておりまして、そこで私は、今度三木内閣ができた途端に、私よりも経済関係は詳しくて実力のある福田副総理に御出席を願い、そしてこの二月には三木総理にもお出かけをいただいて、そういうところでフランクにお話を申し上げる。これは何もそこで結論を出してどうのこうのと押さえつけたりすることは絶対にあり得ないのです。ですから、その産労懇に対しての、何かそこで結論が出たのを経営者に押さえつける、組合に押さえつけるということじゃないということだけは、労働懇話会ですから、これはぜひ国会の方々も御理解をいただきたいし、組合の方々も、私はそれはわかっているのじゃなかろうかと思うのです。  一方、先生のおっしゃるように、それならばそういうところじゃなく、別にもまた政府と話をしたいという話は、私はよくわかります。でありますから、三木さんが総理大臣になられた途端に、私は労働四団体にひとつお目にかかっていただきましょう、これは経済団体の前に三木総理大臣とお会いいただきました。でありますから、いまから先も——昨年の春闘のとき私は三十数回組合の皆さん方にお目にかかり、一つ一つの問題等々について直接具体的な答弁はそこでできませんでしたが、国会というものがございますから、そういう方々がこんな考えを持っているということをよく理解をし、そして国会の場において与党野党のおられるところでその一つ一つについて御回答申し上げ、検討するというふうなことをやったことがございますから、私は、そういう意味で労働四団体なりが政府といろいろな形においてお会いいただく、またそのごあっせんは私がする、それがいろいろな問題の平和的な解決の一助になるというならこれにこした喜びはない、こういう考えでおりまして、いまから先も、そんなことには御要求があれば御努力申し上げたい。しかし、言われたこと全部その場で解決するということは、なかなか問題の筋によってはあり得ないかもしれませんが、しかし、話している間にいろいろな問題の所在がわかってくる、こういうように感じておりますから、それこそ協調と対話の精神にのっとることではなかろうか、こう思っております。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 もうこれで終わりますが、いわゆる交渉という言葉がいけなければ対話のルールというものをあなたの時代につくって、これはだれが政府をとろうとも、そういうことを、悪いことではありませんからすること。これはちょっとささいなことでありますけれども、こういうことをやはりまじめになって取り上げて、そして進めていくということが、特にこういう厳しい情勢の中の労使の対決、対政府とのいろいろな問題を少しでもやわらげるという意味の、これは語弊がありますけれども、何かの解決の糸口になるわけでありますから、そのためにひとつ全力をふるっていただくようにお願いいたしまして、私の質問を終わります。

戸井田三郎自由民主党

○戸井田委員長代理 この際、午後一時まで休憩いたします。     午前十一時五十六分休憩      ————◇—————     午後一時三分開議

大野明自由民主党

○大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。寺前巖君。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 第七十五国会の社会労働委員会における最初の委員会であり、労働大臣の所信表明があった直後のことでございますので、私はきょうは、基本的に新しい国会に臨むに当たっての労働大臣の姿勢を、部分ではございますが、お聞きをしたいと思います。  先ほど労働大臣は、「働く人々の生命と健康を守ることは国民福祉の基本であり、いかなる経済情勢下においてもゆるがせにできない問題であります」という御指摘がありました。そして「災害をこうむられた方々に対しましては、その保護に万全を期してまいる考えであります。」という御指摘がありました。私は、特に労働者の保護立法として重要な位置を占めております労働基準法、この法の番人として労働大臣が大きな役割りを果たしてくださることを心から期待をするものであります。特に労働基準法の第一条では、「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。」最低の基準を示すものだ。第二条では「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。」以下、均等待遇の問題とか男女同一賃金の原則とか強制労働の禁止とかその他、こういうように基準法というのは「労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たす」ための諸指摘を行っております。  そこで私は、この基準法が本当に大切にされているのかどうか、最近の一、二の例を通じて労働省のとっている施策についてお聞きをしたいと思うのであります。  それは労働大臣も御存じのように、いろいろな職場においてこのごろ職業性に起因するところの傷病というのがいろいろ起こっております。また職業性に起因するかどうかというその基準の設定においてもいろいろ検討されているところであります。そういう問題の一つとして、私のところに国際電電の会社の労働者の訴えがありました。国際電電の職場においてはかなりいろいろ交換手の間で問題があるようです。電話交換の部屋で、あるところで十四名の交換手が一年じゅう二十四時間の交代勤務で仕事をしている。そこで調べてみると、みんな肩がこるという話が出てくる、頸肩腕症候群としての治療を受けている、休養しているという人がかなり生まれてきているという実態が生まれております。  ことしの二月五日付で労働省の基準局が発せられたところの「キーパンチャー等上肢作業にもとづく疾病の業務上外の認定基準について」という文書を見ても、従来は見られなかった電話交換手の頸肩腕症候群の指摘がここには新しく加わってきているようであります。確かに電話交換手の中においての疾病問題というのは一つの問題になってきております。ところが、大臣も御存じだと思いますが、労働者が自分の労働条件、自分の権利を守っていくために組合をつくり、使用者との間に団体交渉を行い、そうして一定の労働協約を確立していくものであります。国際電電の会社においても労働者との間にそういう労働協約が結ばれ、就業規則がちゃんとつくられていっております。国際電電においては会社の側と労働者の間に就業規則で災害補償の規定がその第十三章に載っております。「職員が業務上負傷し、疾病にかかりまたは死亡した場合においては、その者またはその者の遺族に対し、第十二章の規定による災害補償保険給付のほか、この章に定める補償を行なう。」すなわち、いわゆる労災保険の補償のほかに、会社との間に協定を結んでその補償をやるという制度を就業規則でかち取っておるのであります。そうしてこの結果は、労働者はほとんど一〇〇%に近いところのいろいろな補償、休業補償その他もかち取っているというのがこの規則上の問題であります。ただ前提は業務上の疾病の場合ということにこれが就業規則でなっているわけです。ところが現実には、あの電話交換手の職場においては、業務上の認定云々というようなことを言っておったら、御存じのように電話交換手が業務上の疾病として職業性に起因するという位置づけが最近やっと検討に値する内容として通達に載ったぐらいですから、いままで肩こりその他の姿でもってもう耐えられないという姿になってきた労働者たちが業務上の疾病として会社の災害補償の規定、就業規則の適用がとれないという事態がある、しかし、そんなことを言っておったって現実は進まないというところで労働組合と会社との間に特別に労働協約を結ぶようになりました。「頸肩腕症候群り患者の特別対策に関する諸確認」というのを国際電電の会社と労働組合との間に四十九年の六月四日に結んだわけであります。これは就業規則によるところの災害補償より水準は低いわけです。なぜかというと、これは業務上の認定というのが前提にない。会社の言葉を通じて言いますと、こう言っています。「先般来いってきているが、頸肩腕症候群の業務上、外を議論しても罹患者に対する本当の措置にはならないとの観点から、現に患者が発生している事実にもとづき、早急にその対策を講じたいことが本旨だ。現段階の特別措置ということで」行うということを会社は言っているわけです。要するに、そのことを論議しておったら早急の対策として間に合わないから、現に発生しているという事実に基づいて特別な対策を組みましょう、こういう協定が結ばれているわけです。  ところが、この協定だけでは、これは満足いく姿にはなりません。なぜかというと、それは結果としては私傷扱いなんですから。労働災害の業務上の扱いじゃないですから、これがいろいろなところに制約を受けてきます。それはお医者さんにしても、その協定の中では特定の医師の診断に任すということにしなければならないことになりますし、そこで医師選択の自由がなくなる。したがってお医者さんにもうこれでやめなさいと言われたら、会社の指定する医者ということになってくると、そこではほかの医者は違う意見を持っていても、それに従わなければならない、そういう問題も含んでくるでしょう。業務上ということが明確になったら、天下晴れて職場の改善を要求することもできる内容になってきます。私傷扱いでは本当の一時的な対策にしかすぎない。だから、どうしたって本当の業務上の災害として認めてもらわないことにはいろいろな面において影響を受けるというのが、労働者としての次への発展の要求になってくるのは当然であります。  そこで、この問題をめぐってこの特別な労働協約ができる以前からの争いというのが国際電電で起こっているのであります。  四十六年の六月に入社された小林ちず子さんという人、東京国際電話局の電話交換をしておられた方ですが、四十八年の六月に発病しておられます。そして何度か課長さんに助けてくださいということを申し出ておられます。そうしてらちが明かないところから、四十九年の二月三日の日にお兄さんと一緒に国際電話局の局長さんのところに、口頭で業務上として認定していただけないでしょうか、そしてここに言われるところの就業規則の適用をお願いしたい、明くる日には藤谷弁護士さんとまた局長のところに申し出に行かれたわけですが、会社側はそれを拒否してくる。ところが小林ちず子さんだけではなくて、その後この職場においては患者が次々と発生してきている。そういう事態の中で、四十九年の六月十二日ですか、東京の中央労働基準監督署に行って——基準法を見たら、基準法の八十五条では、こういうような事態に対しての労働者としての審査及び仲裁の要求をすることができるというふうに書いてある。読んでみます。「業務上の負傷、疾病又は死亡の認定、療養の方法、補償金額の決定その他補償の実施に関して異議のある者は、行政官庁に対して、審査又は事件の仲裁を申し立てることができる。行政官庁は、必要があると認める場合においては、職権で審査又は事件の仲裁をすることができる。」云々と、ずっと書かれているわけであります。この八十五条の前提になるのは、もちろん第八章の「災害補償」というところであります。すなわち七十五条で「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかった場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない。前項に規定する業務上の疾病及び療養の範囲は、命令で定める。」簡単に言いましたら、労働基準法において、労働者は使用主との間には労働協約を結んでその労働条件を確保することができる。そしてその労働者が業務上の負傷または疾病にかかった場合には、その災害補償を要求することができるし、使用者はその補償をしなければならない。その範囲は、七十六条以下、休業補償その他の項で、こういうものは最低しなければならないという指摘があるわけです。そして八十五条で、業務上の負傷、疾病または死亡の認定、療養の方法云々について異論がある場合には申し出なさい、行政官庁はその審査または事件の仲裁をすることができる、こういうふうになっているわけです。ですから、会社で自分がひどい目に遭っている、会社でぜひとも就業規則、これに基づくところの補償をしてもらいたいということを会社に言っても、取り上げてくれない。そこで監督署へ行って、基準法によるならば、はっきりと労働協約で結んであり、あるいは就業規則で明確になっている、それで補償の範囲は最低これこれしなければならぬとここにも書いてある、それを会社がやってくれない、八十五条で、この労働協約の補償に関する分野をやってくれない以上はぜひともひとつ監督署よろしく頼むということを申し出る権利があるじゃないかということで、監督署にお願いに行ったというのが四十九年の六月十二日です。同時に、そのときにあわせて、休業補償を労災の面からも適用してくださいということを申し出たのであります。これはいわゆる労災保険の問題です。  そうしたら七月八日、それに対するところのどういう回答が出てきたかというと、基準法における八十五条でのその請求は、これはぐあいが悪いということが出てきた。そうして休業補償のほうは、あなたは六〇%の賃金の給付を受けておられるのだから、請求する要件を欠いているということになる。要するに、もう六割もらっておられるのだから労災保険の方の休業補償というのは要らぬじゃないか、現にちゃんとお金をもらっているのだからということで、それもけられてしまった。そこで、労災保険における療養補償の方の請求をされたらどうですかという話が出てきたというわけです。  ところが本人は、冗談じゃございませんということを問題にしているわけです。なぜかと言うたら、会社の規則で業務上を認定したときにはちゃんとこういうふうにやります、こうある以上は、その協約で——就業規則ですから、労災保険のプラス分をちゃんと請求することができるんだ、だから、当然のこととして八十五条によって、その就業規則どおりのことをやってくださいということを監督署がやってくれてあたりまえじゃないか、何でそんなことになるんだということで、本人が怒り出したわけです。それで、これは本人だけではありません。九月十二日になると岡本まき子さん、十月の十八日になると林康子さん、後藤いく子さん、十一月五日になると塚本三枝子さん、小畑喜代子さん、柴田光子さん、十一月の十二日になると小松美知代さん、こういう人々が、就業規則に基づいての私たち労働者としての権利を保護してくださいということを監督署に申し出られるわけですが、監督署の方は、だめだ、八十五条に基づくやつはだめだ、こうおっしゃる。そこで、弁護士さんに相談をしたりして、勉強を始めたわけです。  それで、まず四十九年度版の「労働基準法」という、労働省労働基準局が編さんし、著者になっているというのですか、この本、これは四十九年度版ですよ、これを調べてみた。そしたら、八十五条という問題に対する解釈がちゃんと書いてある、趣旨が。「本条は、災害補償について争いのある場合の救済について規定したもの」だ、災害補償についての争いだ。何も災害補償というのは、あの労災保険だけが災害補償上の問題じゃありません、労働者にとっては。ちゃんと基本は、使用主との間に協定を結ぶのが労働者の基本ですから。その解説を今度は見る。「業務上の負傷、疾病又は死亡の認定 療養補償、休業補償その他の各条の補償等を行なうについて使用者の行なった業務上外の認定を指す。したがって、第七八条に規定する労働基準監督署長の重大過失の認定はここには含まれないと解する。」要するに、労災保険での認定諸問題の問題は、これは労災保険法上の問題だから、それはここには入らない。それ以外のところの療養補償、休業補償その他の各条の補償等を行うについて使用者の行った業務上外の認定をここでは指すんだという指定をぴちっとこの解釈でもしている。四十九年度版のあなたたちの基準局が出したこの本を見ても、まさにそうなっている。何でけられるのかようわからないということで、そこでもまた繰り返し労働者の方で疑問になってきた。そうしたら、初めて明らかになってきたことは、四十八年の三月二十九日に各都道府県労働基準局長あてに労働省労働基準局補償課長が「事務連絡第八号」というのを出しているということが明らかになった。この事務連絡の第一項を読むと、こう書いてある。「労働基準法第八五条及び第八六条の規定に基づく審査、仲裁の対象は、労働基準法上の災害補償の実施に関する事項に限られるものである。したがって、審査、仲裁は、労災保険適用事業場以外の労働基準法適用事業場に係るものにほほ限られることになるが、休業三日以内の休業補償に関しては、労災保険適用事業場であっても審査、仲裁の対象となる。ただし、この場合には、療養補償給付請求書を提出させ決定したうえで、休業補償に関し、審査、仲裁をすることが望ましい。なお、ここにいう「労働基準法上の災害補償」には、労使間において定められたいわゆる法定外の補償は含まれない。」という指摘がここにあるわけです。  私はこれを聞いてますますわからぬようになってきた。基準法というものが、労災保険の適用事業所、そこでの労災補償については、ここについては全部労災に任せてしまいますのだという指摘であります。私は冗談じゃないと思いますよ。労災補償というのは国の制度でありますけれども、それは一つの補償の制度です。労働者が使用主との間にどのような補償をとらすかという基準を決めたのが、これが基準法ですよ。これは労働者の労働条件の最低を規定するところのものです、最低の「人たるに値する」に。その最低を補償するものだ。その最低のもとにおいて使用者との間に労働協約を結ぶあるいは就業規則がある、このものに対するところのこの基本的な権利、これを結び上げたところの内容について、労災保険の適用事業所であろうとなかろうと、この基準法はすべてを拘束するところのものであると言わなければならないと思います。また労災補償法におけるところの労災補償というのは部分にしかすぎません。もっともっと改善の要求はあります。個々の企業との間にどのようにもっと高い水準を結んだって、これはあたりまえであって、そのことの争いをめぐっての見解に対して基準局にその審査を求めるということが何でできないのかということは、この法律の解釈は、一体この法律のどこの条項からそんなことが考えられるのか、私は不思議でならないのです。一体一課長でもってわれわれが国会でつくったところの法律がそんな勝手な解釈ができるものなんだろうか。適用事業所に限るとは何事だ。ですから、こういう考え方からいくと、私は大変な問題になると思うのです。これは基準局長は知った上でこういうことが出されているのか。私はこの解釈問題はきわめて重大な解釈問題だと思うのだけれども、基準局長の見解を私は聞きたいと思います。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 ただいま御指摘のありました労働基準法八十五条をめぐる問題でございますが、私どもといたしましては、先生いま御指摘ございましたが、この問題は労災保険にすでに適用になっている部分についてはこれは適用はない。ここで考えられておりますのは、ただいま御指摘がありましたとおり、労働基準法のつまり第八章「災害補償」という問題に関係があるいろいろの労使間の問題を片づける、迅速に処理するというために設けられた規定であると思います。  この八十五条というのは、ただいまお読みになりましたとおりでございますが、「業務上の負傷、疾病又は死亡の認定、療養の方法、補償金額の決定その他補償の実施に関して」云々と、こうなっておりまして、その補償といいますのは、たとえば八十二条でも「補償」という言葉が出てまいりますし、八十三条でも「補償」という言葉が出てまいります。さらにはただいま先生、災害補償という言葉を引用されましたが、第八章に「災害補償」という言葉がございます。そういう文理的に見まして、やはりここで言う認定の問題等も、この「補償の実施に関して」という、その例示的に挙がっているというふうに理解しておるわけでございます。先ほどわれわれのほうのコメンタールをお読み上げ願ったわけでございますが、その際におきましても、たとえば平均賃金の問題であるとかあるいはこういう労働基準法上の災労補償が遅延しているという場合の問題であるとか、そういう問題を頭に置きながらできた規定であるというふうに考えるわけです。ただいま申し上げたのがやや文理解釈的な問題でございますが、保険に入っておりますと、保険については保険給付の決定を監督署長がいたしますので、御承知のとおり、もし問題が起こりますと、それは不服申し立て制度というのがございまして、審査官であるとか審査会という制度がございます。そちらの系列に動いていくわけでございます。したがって、保険の問題をこの補償で審査云々ということが、保険に入っている場合には実益がなくなるのではないかというふうに考えるわけです。それから保険給付の決定は、いわば行政処分でございまして、その行政処分のほかに、こういう民事的と申しますか勧告的と申しますか、制度を設けることは合理的ではないんじゃないか。つまり、保険に入っておってそれで保険の決定があったならば、それはもう行政処分でございますから、それについて審査というあるいは仲裁という勧告的なものが行われるのは適当ではないんじゃないかというようなことを総合判断いたしまして、八十五条は、ただいま御指摘のように労働基準法上の補償の問題をめぐるいろいろの問題を解決するために、あるいは迅速に処理するためにあるのだということに私どもは解しております。したがいまして、労災保険に入っておりましても、三日以内の休業補償等の場合については使用者が補償責任がございますから、その場合は、もちろんこの問題は生きてくると思いますが、その他についてはこういう審査、仲裁という方法ではなくて、もしただいまのような問題があれば、療養保険給付を請求していただいてその決定をするという形で、実質的に処理できるのではないか、かように考えている次第でございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 私は、法律のどこに書いてあるのかということを説明せよと言っているのだよ。法律では、労災補償法との関係を指摘しているのは八十四条ですよ。他の法律との関係を指摘しているのは八十四条、ここに「労働者災害補償保険法又は命令で指定する法令に基づいてこの法律の災害補償に相当する給付が行なわれるべきものである場合においては、使用者は、補償の責を免れる。」、他の法律の関係で言うたら給付が行われるべきものである場合においては、補償の責は免がれるというだけのことなんだよ、関係があるという問題は。要するに、労災保険の方で言うたら、労災保険の方は金を払うか払わないか、払う場合には、それは業務に起因しているということが認められるときだけ払いますよ、こうなっているわけだ。金を払ってしまったら、それっきりということだ、保険の方は。  ここで労働者が要求しているのは、そのことを要求しているわけではない。何を争っているかと言うたら、会社との間に就業規則がある。この就業規則が発動できるかどうかは、業務上に起因するかどうかにかかっているんだ。いいですか。会社が争っているのは業務に起因するかどうかを争うのだ。保険でいうところの業務上というのは、一定の基準以上のことを業務上と言っているだけなんだ。それは保険の支払い上の業務上だよ。労働者が要求しているのは、業務に起因するかどうかということによって、自分の会社との間に就業規則がある、その就業規則が正しく履行できるのかどうか、だからそこを争うわけでしょうが。そうしたら、その審査はどこに求めるのですか。そこで基準法が八十五条で救ってくれるのだよ。そこで労働省というのが、基準局というのが、そういう立場に立っての争いに対して、基準法上こういう災害の補償を最低はやりなさいよという指摘がある、その指摘が、会社との間には就業規則という形である、会社が適切かどうか、そこで審査をしてやって——富山の地方裁判所の判決が、あなたたちのやっているこの本の中に書いてある。見たら、そこで勧告という問題が出てくる。非常に大事だ。そんなものは労災保険とは違いますよ。労災保険の場合には勧告なんてありませんよ。あなたのところの会社は業務上こういう疾病者を出しましたと言って勧告しますか。しませんやろうが。ところが八十五条は、その会社に対して相談に乗って勧告をするのですよ。労働者がこういう言い分をやってきている。最低基準としてのこういう補償を基準法は守ってやりなさいということがある。あなたのところでは就業規則がこういうのがある、労働者が訴えてきている内容はもっともやと思うから私は勧告いたします、これの方が、労働者にとっては、会社に対して勧告してくれるのだから、よほど値打ちがあるのですよ。本当に大臣が、災害をこうむられた方々に対しては、その保護に万全を期す、生命と健康を守ることは国民福祉の基本だとおっしゃっているんだったら、正当にこの解釈どおり——あなたが御存じのとおりで、私はそんなものを知らぬよ。この本を読んだって、適用事業所は別になりますよなんて一つも指摘もない。この法律を見たって、八十四条では、労災に入っているところはそれは別になりますよなんというようなことは、何も関連性は書いてないですよ。そんな勝手な解釈を八十五条で——関係があるんだったら、八十四条に入れておけばいいんだよ。あるいは八十五条で指摘すればいいんだよ。ないやないか。全く法律を勝手にねじ曲げて解釈しているんだ。四十八年になって勝手に課長名で、事務連絡で、一体だれがそんな事務連絡が目につきますか。事務連絡でしょう。こんな解釈問題は事務連絡で済む話でしょうか。やっとわかったよ、事務連絡があるということが。あなたのところで出しているところの基準法の本を見たって出てこない。法律から何ぼ見たって出てこない。そうしたら、適用事業所はこれは別だ。あなた、よくそんなことをのうのうと言えるな。だからあなたのところの監督官だって迷うのですよ。そんなばかな解釈ができますかと言うて、迷うんだよ。  例を挙げましょうか、迷った例を。ここに、私の手元にありますよ。大分銀行、テレタイプのオペレーター、津崎早苗さん、二十二歳の方です。頸肩腕症候群で、ここでも、どこの会社にでもあるんですよ。この人は、ちゃんと労働協約でもって、企業内で、労災外の企業内の特別疾病取扱規則を四十九年の十一月から適用しているんです。業務上かどうかということをはっきりしてくれ、私は企業の中だけの判断では困る。これはやはりここの国際電電の会社と同じことなんです。企業内で緊急に手を打たなければならぬということで、こういうことでやられるけれども、これでは私は困るということで、去年の十二月の二十日、大分の基準局に相談に行ったんですよ。そうしたら労災補償課長さんは、基準法八十五条の審査請求をおやりなさい、そうしたら私の方で考えさしてもらいましょう、こう言ったと言うんだ。そこで十二月の二十四日に大分の中津労働基準署に申告書を持って行った。ちゃんと受け付けられましたよ。千四百二十三号です。そして一月の二十日に行ったら、監督署で、あれはあきません、休業補償、療養補償の保険請求に切りかえてくださいと、今度は出先の監督署の課長さんからは言われた。冗談じゃないということで、昼からもう一回、大分の基準局へ行って、あなた、この前話したときにはこうやったやないかと話したら、それはそうです、八十五条で私たちはずっとやってきました。そうなるがな、法律を見たら。あなたのところの本を読んで、その人だって、みんな来られた方に説明するときには法律を開きますわな。それはあなた、本を開きますわな。それは、そんな解釈はできません、それは八十五条で申告しなさいとやります。そうなりますがな。事務連絡でこっそりされておったというのは、わかりますか、あなた、広く多くの人に知られないですよ。その補償課長さんは、たまたまそれが忘念しておられたのか、それは知りませんよ、あなたのところの内部の話だから。それは知らぬけれども、一般的に言って、そんなことは通用するものじゃないんですよ。適用除外だなんというのは、法律的にも明らかにならないものを、あなた、法律のどこでどうなるか、説明できるのだったらしてくれよ。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 先ほど申し上げたことでございますが、八十五条で書いてございまする審査及び仲裁は、先ほどお読みいたしましたように、「業務上の負傷、疾病又は死亡の認定、療養の方法、補償金額の決定、その他補償の実施に関し」——「補償の実施に関し」という例示として業務上の負傷、疾病または死亡の認定が出てまいります。そこで、「補償の実施」という場合の「補償」は何かと言えば、第八章の「災害補償」の「補償」であるというふうにこの労働基準法を読むのが至当ではないか、そういう解釈であるので、先ほど申し上げたような結論になるんだ、こういうことを申し上げたわけです。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 それはあなたたちが枠を狭めるためにそういうふうに言っておるので、それじゃ労働者が会社の就業規則なりあるいは労働協約でいろいろ結ぶでしょう。結んだ場合に争いになりますわな。いろいろな争いが起こります。補償上の問題、それはどこへ持ち込むのです。監督署としては、労働基準法に基づくところの保護としては、どこがその保護の扱いをやることになるのです。第何条に基づいてどこでやります。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 ただいまの問題に、一般論で申し上げてあれでございますが、たとえば労働賃金の問題、労働時間の問題その他もろもろの労働条件の問題が就業規則、労働協約に書いてあった、(寺前委員「災害補償」と呼ぶ)災害補償に書いてあった。それがそのとおり実施されておらない、あるいは遅延されておるということになれば、わが方で担当している限りにおいては、先ほど申し上げましたように、この補償の問題について言えば、休業三日以内の問題、これは八十五条の問題になると思います。それから、一般的な業務上外の問題というような問題になれば、これは療養補償の請求あるいはそういう具体的な保険の請求ということによってこちらが行政処分をいたしますので、それによって実質的に救われるのではないか、一般論として言えば、それは労働基準法以外の問題、賃金の問題になれば労働委員会なり裁判所、こういうことになるのではないかと思います。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 業務上外ということをあなたはおっしゃるけれども、争いになるのは業務上の問題なんだよね。就業規則で、業務上の場合にはこういうふうに扱いますという就業規則をかち取っているわけですよ、労働者が。そうでしょう。これは保険の業務上とは違うわけでしょう。保険は一定の基準を設けて、その基準に合致しないものは業務上とは認定しませんと言っておるわけだ。しかし、資本家との間、使用主との間の業務上の認定問題と、これはまた別問題ですよ。これは業務に起因するということを使用主との間に、労働者がそれはちゃんと交渉で決めることはできることなんだ。その基準が違ってくるのは、それは当然だ。すべて基準を設けて、これ以上保険として扱いますかどうかというだけの話なんだから、こっちの方は、保険法によるところの方は。労働者が要求しているのは、保険法上の業務上認定を要求しているのじゃないわけですよ。ですから、そのことはちゃんと使用主自身が——いろいろなところで出てきますよ。  たとえば大阪の同じく国際電電で四十七年の十月三十一日に、業務上認定になった上野さん、広田さん、豊田さん、この人たちの労災保険療養費請求についての支給決定というのがなされたときに、それから半年間にわたってこの会社でやっぱりもめている。何がもめているかと言うたら、会社の方はこういうことをこの人の問題をめぐって言うわけですよ。監督署が療養費の支給を命令された。これは命令されたのだから、それは払う。それだけのことだ。しかし、監督署が会社に対して、業務上だ、おまえのところの会社の就業規則に基づいてやれというような勧告をする権限はないのだし、われわれはあれは保険の支払い上の基準を言っておられるだけであって、私のところは知ったことではないのだ。これで半年間もめたのですよ。こういうことが起こるのだ。現にこういうようなことはあなたのところの出先の監督官が書いている本の中でも間々そういう文章は出てくる。私の方は保険に基づくところのお金を支払うだけなんですよ、こういう話が出ている。業務上の認定があなたたちの会社に対する拘束問題云々の仕事を私の方はやっているのとは違いますのや、私の方はこの保険の支払いに合致するかどうかだけを認定してお知らせしますのや——そうだと思いますよ。監督官はそう言うでしょう。会社もそう言うでしょう。それでは、就業規則に基づくところの権利が守られない。労働協約が守られない。そこで労働者がもめているわけですよ。それは民事上の訴訟で裁判所てやりなさい——一体基準法というのは、働く人々にとっての基本的な、人たるに値する生活を営むための必要を満たすものでなければならないのだということで、最低の基準を設けているのだ。そして、労働条件の決定の中にちゃんと、就業規則及び労働協約を遵守するという仕事が、これが基準法で指摘されているわけでしょう。このことを保護するための仕事をどこでやるかといえば、はっきり、この労災の補償の面で言うたら、八十五条しかないじゃないか。保険の分野のやつについては、それで不服の場合には審査会に、上に上げたらよろしい。それは外すとここには書いてあるのだ。その分野は外すのです。としたならば、基本的に、一番基本は、労使間において話を決めていったものをどのように守ってやるかという立場の仕事をするというのが八十五条じゃないか。私はこれはちょっとあいまいにすることのできない非常に大事な問題だと思いますよ。  大臣、複雑でおわかりにくいでしょうか。だから、現に出先の課長さんに意見の違いが生まれてくるというのは当然なんですよ。この解釈には、事務連絡でやっている連絡というのに、それは法律をどこから解釈したって解釈できるものはないのだもの。余りにも乗り越え過ぎておるのだよ。労働協約や就業規則というのは労働者にとって一番大事なものだとして位置づけられているのだから。それは労使間の話し合いの到達点なんだから。その到達点を守っていくための争いになる問題について、これを基準法で保護するところがなければ、災害補償の分野については労災の範囲ですと言ってしまったら、この労働協約は一切労災に全部縛られてしまうということになりますがな。労災で一定の補償はするけれども、労使間の到達点というのはどんどん高めるように守ってやるというところに基準法の重要な仕事があるわけでしょう。ここに基準局の重要な仕事があると私は思う。これは私は抜本的に考えを改めなければいかぬと思う。     〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 私は、従来そういう事務連絡をやったからといって、こだわったらいかぬと思う、ほんとうに。大臣はよく言っておられる。賃金の決定、労働条件の決定、これは労使間で決められるのが基本ですと、大臣はいつもおっしゃる。私もそう思う。その到達点が労働協約や就業規則になってあらわれてきた。そこで不満が起こった場合に、この保護を何で災害補償の分野では労災保険の範疇にしぼってしまわなければならないのか。それはあまりにも不当な解釈と言わねばならぬ。やはり基準法というのは災害補償の問題についてもちゃんと労使間で決めた到達点について守るという仕事があるのだから。だから私は、それは適用事業所だからといって外してしまう。それは三日間の例のそんなところだけ言ったって、それはあかん、基本の話じゃないのだから。私は、従来のその立場に固執されるということになったら一大汚点だと思いますよ。大臣のおっしゃったところの、ほんとうに災害をこうむられた方々に対してその保護に万全を期すというのは、労災補償保険法によって万全の措置をとるというのも大事なことです。しかし、労働者と使用主との間に到達させてきている、この基本的なものを守らせていくということも、私はやはり労働行政にとってはなくてはならない問題だと思う。これを、補償法があるからといってそちらにすりかえてしまう。そこでは何にも、業務上のあれだから、あなたのところでこうなっているものを云々ということを保険法では言えないのだから、そんな立場じゃない、保険を支払うかどうかだけの話なんだから。だから、会社に対しての、それこそ直接調査に行って、なるほど労働者の訴えについてあなたたちは見てやらなければいかぬのじゃないかという立場を基準局、監督署がとられたならば、さすがに基準法を大切にされるなという話になると思う。  私は、この問題についてもう一度——局長がもうこれ以上答えられないのだったら局長のお答えはよろしいですよ。大臣からお聞きします。私は見直してもらう必要があると思う。労使間の到達点に対して一方的にそれを範疇の話にすりかえてはいかぬ。見直してもらうことができるかどうか。これは基準局長で答えられないのだったら、大臣からお聞きをしたい。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 その前にちょっと申し上げたいことがあるわけですが、ただいまのお話にございますように、労災保険なり労働基準法でいう業務上かどうかという問題と労使協定なり就業規則でいう業務上かどうかの問題は意味が違う。労災保険の業務上は必ずしも労使間で考えている業務上かどうかの問題と違う。それはもう労使協定で結ぶわけですから、両当事者の意思が合致すればそれでいいわけでしょうけれども、そうなりますとますますのこと、八十五条で言っておりますのは、やはり労働基準法で業務上かどうかという一定の法的な裁量の限界がありますので、その中でやるのだというのが八十五条の本来の趣旨でございまして、繰り返すようでございますが、これは労働基準法上の災害補償の問題であるということでございます。  なお、労働協約なり就業規則が守られていない場合にこれを守るように言うこと自身は、これは監督署としても一つの仕事でございます。その中身まで入って、これは業務上じゃないか、これは業務上であるということを言うのは、両当事者の意思によって決まったものでございますので、労働基準法八十五条とちょっと趣旨が違ってきますので、そこまでこの八十五条を広げるわけにはいかないだろう、こういうふうに考えます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 ちょっと、あなた、私の言っているのをまた曲解しているから。そんな業務上かどうか労使間で決めるのだと、そういう意味で言っているのではない。保険を支払うときの業務上の決め方というのは、一定の基準をつくっておやりになっているということだ。これはそうなんだ。事実なんだから。基準をつくっておられる。しかし客観的にそれだけが業務上のすべてだというわけにはいかないということですよ、業務上ということになってくると一定の基準をつくるのだから。たとえば数値で言ったら、十のうち六まで出た場合には、これはそこの基準でする。しかし、時代が変わってきて七にするかもしらない。八にするかもしらない。それは保険を支払う基準を決めている業務上の話になっているわけですよ、実際上。だからその会社の中で業務上の起因の数値をこっちの方では七で切っておるけれども、会社の方では八の基準にするということで到達することもあり得るし、それは私は何にも一緒に取り扱う必要はないということを言っているのであって、何か全然違う次元の話をしているという意味ではないですよ、私の言っている意味というのは。  それで私は一番大事な問題というのは、労働基準法というのは賃金やその他いろいろずっとありますね、予防の問題やら。労災補償のところに限って、この項についてはその適用事業所の問題についてはそれは労災保険の方であって、直接基準法に基づくところのそういう管理下に置くものではありませんよということには、これはならない。基準法というものは最低のものであって、これは全部すべてのものに適用する。したがって、災害補償の問題についても事業主との間に協定を到達させてやってきている。それを遵守しなさいよと第二条で書いてあるわけでしょう、遵守するということを。その遵守を、一つはこの補償のこの基準に合致するようなものでそれが行われること、そして同時にその協定に達せられたものが遵守されることに対して、遵守されないということに対するその補償上の審査及び仲裁、そういうものを八十五条で「業務上の負傷、疾病又は死亡の認定」でしょう。そういう認定あるいは療養の方法、補償の金額決定その他補償の実施に関して異議がある者は、行政官庁に対して、審査または事件の仲裁を申し立てることができるのだ。だから会社との間に到達している水準に対していろいろトラブルがある場合には申し出することができる、こういうふうに解釈するのは、これは普通ですよ。会社との間に到達点がいろいろあって、その上におけるところの補償の実施に関して協定でこういうふうに実施する、規則でこういうふうに実施すると書いてある。それに対して異議がある者は行政官庁に対して訴えることができる。それは前提に立つのは、第二条によるところの労使間において結ばれるそういう規則なんかを遵守するということが基準法におけるところの一番基本的な立場にあるからだ。私はどう解釈したってその特定の範囲にしぼってしまうというのは理解に苦しむ。  だから私はもうこれ以上の話を局長にしておったって始まらぬと思うので、これは大臣に私は聞きたいと思う、ほんとうに。使用主との間に到達した内容を遵守するという立場を補償の分野においても守っていくということになったら、ぼくは八十五条をこういう解釈をするというのはちょっと極端ではないか。だから現に監督官の間で、出先の課長さんの間で、私たちは従来そういう立場をとってきましたという話が出てくるのはぼくは当然だと思う。あえてこの事務連絡が出たというのは私はやはりいろいろな意見があったからこういうことが出てきたのだと思うけれども、だからちょっとこれは極端化し過ぎている。こんなものは事務連絡では済む話ではないだろうというふうに思うのです。だから私はこの解釈問題についてもう一度再検討していただいて、現に国際電電の人や大分銀行の人なり、そういうことで監督署の方からは、業務上の認定ですよ、業務上の認定というもの、あるいはいまここでいうところの補償金額の決定その他補償の実施に関する異議、そういうものを持ち出してきた場合に、私はそれは災害補償法だけで——そんなら現に休業補償の要求をしたら、六割出ていますからそれはアウトですということで却下されてしまう。冗談じゃないということになってしまう。私は認定をちゃんとしてもらいたい。それは、争いが就業規則の実施を要求するところから出ておるんだから。だから、これについてはもう一度再検討してもらいたいと私は思う。ちょっとかつてないところの大きな決定をしている、事務連絡で。大臣の見解を聞きたい。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 あなたと局長のやりとりを聞いていまして、いろいろな問題があることがわかりました。労働省は、おっしゃるとおり、労働基準法に書いてあるとおり、私たちは労働者を守る立場です。ただしかし、解釈の問題等々によって地方で混乱を起こして、こういう国会で御指摘をいただき、また労働省の説明をあなたが御理解なり御納得いただけないということも非常に残念なことでございますので、本条の解釈については、事務的に十分検討したところでありますけれども、地方において、出先でそういう混乱が起こらないように、改めて検討してみたい、こう思っております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 混乱が起こらないという範囲で検討じゃ、私はほんまに困ると思うのですよ。基準法を本当に大切にする立場から言うならば、保険にしぼってしまうと、さっきも言ったように、使用主の方は、それは保険の支払いのための業務上云々言っておられるのであって、私たちの方はそんな保険の支払い上の話だけであって何もそれは拘束されませんという態度に現にその会社は出たのです。だから、いまだに、大阪の、業務上に起因してお金を出しますということに対して、就業規則に基づく支払いはどうなっているかというと、国会で問題になって、準用ということになっているのです。準用ですよ。国会で問題になって準用や。それじゃ、あなたそこまで監督してがっとやることできますか。準用じゃだめだ、私のところでこういう判定しているんだから。そうしたらそれは何に基づいてやりますか。八十五条じゃないですか。それがなかったら勧告できませんがな。いまだに準用ですよ、国際電電で、大阪の判決に対して。準用ということは、あれは保険の金の支払いの上だけの話だからだ、こうなっておるのですよ。本当に、あなたのところはばっと保険で払った。あれは業務上起因を明確にしたんだから。そうでしょう。そうだったら、次には勧告して、あなたのところの会社の取り扱いは間違っていると言わんならぬところだ。それじゃ、労働者災害補償保険法に基づいてそんなこと言う権限があるのかということになる。じゃないでしょう。そうしたら、労使間のはっきりしてくれということの訴えに対して、何が適用できるのか。八十五条で勧告してやるということができるじゃないですか。そこに八十五条の値打ちがあるのじゃないですか。大分銀行の問題だって私はそういうふうに思いますよ。  私は要求します。国際電電のこの準用ということが何で準用のままに置かれておるのか。準用はけしからぬと言うのだったら、この準用を改めるために、あなた方は法のどれを適用してやりますか。これをひとつお聞きしたい。それが明確になるんだったら、内部調整でやる、検討してみたいとおっしゃること、私はわかるけれども、それ、一体何でやりますか。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 ただいまの、労災保険法上の行政処分として業務上であるということが認定されているのに、それは労災保険の支払い上だけの問題であって、この労働協約なり就業規則の問題とは別だ、仮にそういう労使がいたとするならば、その際に業務上かどうかを何で判定するんだということですね。労働基準法上の業務上外の問題とは別のことを考えているのならいざ知らず、業務上かどうかということを争っている場合に、それは労働基準法上の、あるいは労災保険法上の業務上だということが公の機関ではっきりしたのに、それではないんだということは、本来労使がどういう趣旨でそういう協約を結んでいるのかちょっとわからないと思うのですが、まあ事実がよくわかりませんので、何とも申し上げられませんけれども……。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 それで、何でもってそれじゃ——国会で問題になって準用になったんだけれども、準用というやり方を改めさせますというのだ。法律の何をもって、どの条項に基づいて、その会社のとっている態度を、労働者を保護する立場から問題にしますと言って聞いている。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 冒頭から問題になっておりますように、これは労使が自主的に結んだ協定の問題でございますので、その解釈について、これが間違っているとか合っているとかいうことを、われわれが出ていって問題にする限りではないと思うのです。ただ、いまお話しのように、労災保険法上で業務上だという公の行政処分があった際に、それとは別の判断をするんだというのならいざ知らず、そうでない場合には、そういう問題が一般の場合には起こらないと思うのですが、いまのようなお話で、労使が結んでいるその解釈の中まで入っていって、労働基準局がこうしろ、ああしろと言うことは適当ではないだろうと思います。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 もう何ぽ聞いておったって——第二条でもって、遵守するということが基準法上の重要な位置づけにあるわけでしょう。そのことを守るための監督行政でなければだめなわけですよ。そこで、個々の分野についていろいろな最低の基準を指摘しているのが基準法です。その一つに災害補償があるわけです。この災害補償が守られない場合にはこういうふうに訴えなさいという八十五条があるから、それでもって八十五条の訴えが出たときに、私どもとしては業務上認定してますからと言うて勧告を会社にしてやることが、その遵守をする上で基準局が大きな役割りをするのじゃないか。だから、八十五条というのは非常に大事だ。労働大臣がおっしゃるように、本当に国民の健康を守るあるいは災害から防ぐということを積極的にやりたいとおっしゃるんだったら、積極的に監督行政としてそういうふうにこれを使って出ていくというのがその姿勢ではないか。それをやらないというんだったら、一体、口ではやると言うけれども、中身においてはやらぬということになるじゃないか。だから私は、八十五条解釈問題というのはただで済ませない。八十五条を、積極的に労働者保護の立場に立って見直す必要がある。その立場に立つならば、あの課長の事務連絡というのは明らかに問題のある解釈である、だから再検討願いたい、こういう提起をしているのです。私は、労働大臣が積極的な姿勢を示されるならば、この解釈問題を積極的にもう一度見直していただきたい。これが私の要望です。あえてもう一度大臣の御答弁があるならば、お聞きをしたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 先ほどから政府委員とのやりとりを聞いていまして、地方でいろいろ解釈問題で混乱も起こっているような話も聞きました。また、むずかしい問題、法律的なむずかしいようなところもあるようでございますが、私も勉強してみましょう。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 終わります。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員長代理 大橋敏雄君。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 本日の労働大臣の所信表明にもありましたように、わが国の労働情勢はかつてない厳しさを加えてきた、また労働行政におけるその責務は、これまたきわめて重大な段階に入った。全くそのとおりだろうと思います、。     〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕 そこで、この労働行政をより円滑に進行していく上には、何といいましょうか、労働者の代表、いわゆる労働者の意思を代表する方々とのいわゆる対話、これがきわめて重要であろうと私は思います。したがいまして、労働組合を重視して、そういう方々とのいわゆる対等の立場における対話の場をつくることがきわめて重要なことであると思います。労働大臣はかねがね、そうした組合との話し合いをしたい、政府もそのつもりでいるということで、今日までそれなりに努力をなさっていることはわかりますが、実はきのうの新聞に、総評の事務局長さんが北海道で記者会見した中で次のようなことがありました。それは現在行われている労働大臣の諮問機関であります産業労働懇話会、これは労使、そして学識経験者、政府の立場の関係者が八名で懇談会を開いているけれども、これは単なる懇談会であって、われわれの意思は余り徹底されない、しかもこの懇談会の性格があいまいである、この懇談会そのものを完全に否定したわけではないのですけれども、実際の行政面にあらわれるか、あらわれないかという立場から見た場合は不満である、だから別に政府との話し合いの場を持ちたい、もしこの意見が認められなかった場合はむしろこの懇談会から総評関係の代表を引かせます、こういう意味の記事が出ていたわけでございますが、これは非常に重要な問題だと思いますので、またきょう昼、労働四団体の代表とのお話し合いもなさっておると思いますが、その中でこの問題が出たかどうか、それも含めてお答えを願いたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 大橋議員にお答えいたします。  きょう昼、休憩時間に総理官邸で、官房長官と私が出まして労働四団体の皆さんとお目にかかりました。その席上で、あなたのおっしゃる大木総評事務局長がおりましたから、私の方から申し上げました。産業労働懇話会は大木さんがいままで出ていないわけです。そこで、これは何も意思決定機関じゃないことは御承知のとおり。懇談を申し上げている機関。そこのところから何か総評が抜けるような話があるがと言ったら、いや抜けるわけじゃありません、これははっきり言っていました。そして一方、そこは懇談の場であるから、せっかく労働四団体がこういうふうにいろいろな問題を持ってくる場合には、ぜひひとつ政府が話をする場所をつくってくれということでございましたから、私は率直に申し上げました。いままでも私は窓口でいろいろなことをやってまいりました、三木さんが総理大臣になってもいち早く労働四団体にはお会いいただきました、近くにはまた産業労働懇話会にも三木総理大臣あるいは副総理も出てまいられます、それは懇談の場ですが、一方において必要があればいつでも政府は皆さん方のお話をお伺いするという機会をつくりますし、それにまた私も熱心にひとつ環境づくりにお手伝いしましょう、これはやりとりというかたい意味ではありませんでしたけれども、そういう話が四団体のいる前での話で、大体御理解を得たことだというふうに私は感じました。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 産労懇は産労懇なりに話し合いは今後もずっと続けていく、そのほかに労働組合の代表の皆さんが政府と積極的に話し合いをしたいという内容があればいつでも応じましょう、こういうことですね。私はやはりこれが一番重要な問題だろうと思います。これまで政府と労働組合との間では、労使対等というよりも対決というような、にらみ合いの内容といいますか姿があったわけでございますが、これからは本当に真剣に話し合いをし、その上から労使ともに発展できていく、納得できていく内容で進むためにはやはり話し合いだと思うわけであります。  そこで、これからいよいよ労働四団体を初めとする労働者の意思がまとめられて、これから次々と要求が投げかけられてくると思うわけでございますが、その中でも非常に重要な問題として取り上げられているのが全国最低賃金制の法制化であります。これもいろいろと意見が出ておりますけれども、これはわが党も当初から言っていることでありまして、全国一律の最低賃金をまず決定すべきである、法制化すべきである。もちろんその線はあるいは低い位置に決定づけられるかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、これは重要な事柄でありますが、政府としてはどういうお考えでいらっしゃるのか、見解をお聞かせ願いたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 お話しのように、日本の組織労働者の責任というものは社会的に非常に大事だと私は思います。政治、経済、文化全体に対しての責任というのは非常に大きい。それだけにやはりずっと話し合いすることが必要だ、こう私は思うのです。  そこで、いまの全国一律最低賃金制の話が、先ほどの労働四団体、これは労働四団体としてそろっての話でありますということでいらっしゃいましたから、四団体がおそろいというところに私は大きな意味をも認めるものでございますと言うて、官房長官とその趣旨をお伺いしたところでございます。  そこで、将来の問題については、私は現況をその場で官房長官にも御説明する意味で申し上げたわけであります。御案内のように、日本で地域、業種別最賃は全国三千二百万の労働者がカバーされております、一方においては、高いところを一〇〇としますと、低い地方は六二くらいの地域があります、でありますから中央の審議会においては、これは全国一律にやることはなかなかむずかしいことであります、これには労働組合の代表も大ぜい入っております、そういう答申が出ていることであります、一方、昨年からそんな話がありましたから、労働省といたしますと、レーバーアタッシェを通じて海外におけるところの最賃の状況あるいはまた外務省を通じてのいろんな状況等を通じて、労働省内部においては情勢の分析などをしているところでありまして、これは日本全体の経済そのものにも影響することですから、制度全体の問題ですから、慎重にいま考えているところであります、ということを実はその場で申し上げて帰ってきたところであります。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 これはいま労働界の方ではきわめて重要な問題として論議されておる真っ最中でありますが、これはまたそれなりに真剣に取り組んでいただきたい。  また賃金の引き上げの問題について、こうしたインフレ、不況のもとで、しかも成長率が零成長になったという中での大幅な賃金引き上げは云々という、何だか事前に春闘を抑えるような発言がここあそこに起こっておるようでございますが、われわれは決して大幅な賃金を要求しているとは思いません。やはり生活できる賃金。多少の大幅な賃上げがなされたという前回の春闘の結果から見まして、確かに物価にはある程度の反映があったと思いますが、あれだけの賃金引き上げももう相殺されてしまって、実質的な賃金は上がったことになりません。今回一五%までに抑えていくんだということで政府は努力しておりますが、仮にそれが達成されたからと言って、今回その賃金引き上げについて抑えなさいと言われる立場ではなかろうと思います。四十八年、四十九年と二〇%以上が続いてきたそのいわゆるげたばきの上での一五%ですから、それを十分加味した上で実質的な賃金のある程度の引き上げは必要である、労働省はそういう意味からむしろ産業界に対しても、あるいは労働者に対しても前向きの指導をすべきである、私はこう思うのですが、それについてお伺いします。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 ひとつ誤解しないでいただきたいと思いますことは、労働省が一五%というのは、消費者物価を一五%にするのに努力をしておるということでございます。  それから昨年の大体実質賃金は、四月から十二月までずっと計算しますと、ならしで三・五%アップしております。途中でこぼこはあります。十月、十一月までは、一昨年と比べて公務員のべースアップの問題等々おくれたために下がった時期はありますけれども、十二月は四・七%実質賃金が上がっておりまして、平均しますと三・五%、これは昭和三十年代の三・六%と大体見合うものじゃなかろうか、こういうふうに現況を分析しているわけでして、あとはいまのところ、おっしゃるとおり高度経済成長であったものがゼロ成長どころじゃない、マイナス成長率じゃなかろうかというときに、いままでのような考え方で労使がそれぞれやるということは、ちょっとやはり国民経済を守る上においてもこれは大変なことになりはせぬか。そしてそんなことをしているというと失業者というものがよけい出てくる、あるいは物価にも響くのじゃなかろうか。だから、私の方は、一五%の消費者物価というものはいろいろな国民生活全般の上にも役に立つために懸命に努力をして、政府としてこれを実現させるという方向でやっていることを理解しながら、賃金については政府は介入せず、所得政策を行わず、あとはひとつ良識で国民連帯感でお願いいたしますということを理解してもらっているところであります。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 とにかくインフレから生活を守るための賃金引き上げが新たなインフレの原因となるかどうか、こういう点もやはり含めて、何といいますか、有効な反インフレのための政策を確立して行っていく、これは非常に大事な問題だと思います。したがいまして、生活防衛のための実質賃金の大幅な引き上げについては、やはり労働者を守るという立場から積極的な姿勢で臨んでいただきたい。  では、次に移りますが、前国会で成立いたしました雇用保険法でございますが、これにおける雇用調整給付金、これがいよいよ動き出しているわけでございますけれども、新聞の報道等見ますと、その説明会にはどの会場もどの会場もものすごい盛況である。私は、法律が成立できてそれが活用される立場からはあるいは喜ぶべき姿ではないかと思いますが、反面、盛況であるということは不況の深刻さをあらわしているわけでございまして、非常に複雑な心境でこれを見ているわけでございます。これについて、その運用が適切であるかないかといういろいろな意見もまた述べられてきているようでございますが、新たな問題点も発生していると思いますけれども、そういう点を含めて現状説明をしていただきたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 国会の皆さん方の御協力によりまして、昨年三木内閣ができた非常に短い臨時国会の間にこの法律案が可決されて、しかも十二月の二十五日に通過したにかかわらず、役所の方はお正月休みを返上いたしまして、これを一月一日から繰り上げて雇用調整交付金を実施するという説明会に、おっしゃるとおりそちこちの説明会が超満員でした。また、新聞をごらんになっておわかりのとおり、業種としますというと、当初、電機、繊維、非鉄金属など七業種を指定しましたけれども、その後一月二十一日には三十二業種を追加指定しました。労働省としますというと、情勢の変化に対処し得るよう事業活動及び雇用状況が一定水準以上悪化した場合にはさらに対象業種を追加するという考え方を持っておりますが、いずれにいたしましても、この制度が実現しまして、悲しむべき面も見ながら、一方よその国に比べてわが国の労働行政というものが、すぐに失業者にしないでその会社にとにかく人間を置いておいて、失業者としてみじめな思いをさせないという歓迎されている姿というものは、私は一つの行政の成功じゃないか、国会の御協賛、本当にありがたかった、こういうふうに感じております。  一方、毎日いろいろな情勢を聞いておりますけれども、これが安易な適用に流れないように、またある場合には便乗などということも言われないように、ことに御案内のように、中小企業には三分の二のとにかく給付金を出すというふうな手厚いことをやっておって、中小企業に特にウエートをかけておるという実態をそのままずっと実現させたいという感じで役所全体がそういう取り組み方をしておることも御報告申し上げておきます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 この雇用保険における雇用調整給付金の対象がきわめて限られた業種であるということから、一般的に中小企業の皆さんの方からも、これは不公平である、もっと枠を広げるべきである、こういうふうに強い声が出ております。いまも何種類かはふやされたという話でございますが、さらに一般的な中小企業の皆さんにもこれが適用されていくような考えでの拡大を図られるのかどうか、その点もう一度聞かせていただきたい。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 せんだっておたくの竹入委員長も出席しておりましたが、自動車労連の大会、その後で私はゼンセン同盟の皆さん方から実は幹部そろってお礼を言われたのです。一月まで経営者にぜひ首を切らないでがまんしてくれと言いつつ、一方においてこれが適用されたために何と逆に再雇用された、ぴたっと失業がとまりました、こういう話などを聞いたときは、私はやっぱり仕事をやったお互いの喜びを感じたのです。  一方、いま申し上げましたように、中小企業の方はきつうございますから、それだけに役所当局とはいろいろと適用の条件等々を考えながら、不幸なことでございますが、業種の拡大については適用をちゅうちょしない。そして雇用の情勢悪化を防いでいくという形をとっておりますことを御理解いただきたいと思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 それじゃ認可要件の中に、一時帰休の延べ人日が所定労働の延べ人日の三分の一、中小企業は四分の一以上になっておるわけでございますが、これについてのいわゆる認可要件の緩和といいますか、これは考えられておりませんか。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○遠藤(政)政府委員 この雇用調整給付金制度の適用につきまして、その認可要件の対象になるかならないか。これは不況業種として業種指定の対象になるかどうか、不況業種に指定された場合に、その休業実績がこの給付金の対象になり得るかどうか、この二つの点が問題でございます。  第一の点は、ただいま大臣から御答弁ございましたように、現在三十九業種に指定をいたしておりますが、これが大体製造業全体の五六%に当たっております。現在不況のためにいろいろ深刻な情勢に悩んでおるこういう業種につきましては、ほほ指定をし尽くしていると思っておりますけれども、その後昨年の十二月以降、経営状況が悪化しておるというような業種が出てまいりますれは、いつでもその時点で追加指定をするつもりでございます。  また、三分の一、四分の一の休業規模の要件につきましても、実態から見て非常に厳し過ぎるのではないかという、これは関係者、労使双方からそういう御意見もございまして、現在一月一日に繰り上げ実施をいたしましたこの制度の運用に当たりましては、昨年の下半期以来不況のために雇用調整措置がいろいろとられておりますが、そういった実績も勘案して、運用の面で十分弾力性を持たせますことによって、この制度が空振りに終わらないように、この不況の実態に十分適応できるような体制をとってまいっております。  問題は、この四月一日以降雇用保険法のいわゆる本則によってこの制度を実施いたします際に、中小企業四分の一、大企業三分の一というこの休業規模の要件が実際実態に適合しないほど厳し過ぎるかどうかという点につきましては、先般中央職業安定審議会におきましてもいろいろ御議論がございました。一月、二月のこの適用の実績を見ました上で、現在定めておりますこの暫定基準をそのまま適用するか、あるいはその内容について若干の調整を加えるか、その点いま慎重に検討いたしておる次第でございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 ぜひそれは、いわゆるその運用が公平にわたるような、そういう精神から、拡大していただきたいと思います。  もう一つお尋ねしますが、休業補償を出す場合は、労働基準法で決められている賃金日額の六割以上ということになっているわけですが、この適用要件に、その六割を支給できない業者はもう頭からこの雇用調整給付金の対象にはしない、こういうふうに見られますと、中小企業、特に小の方ですが、なかなか六割も支給できるような業者はいないと思うのですね。したがいまして、その中小の小零細業者の方については、むしろそれを、四割程度支給できる力があればあとの二割を国で補助してあげましょう、それで全体として六割支給なさい、こういうことになれば、かなり中小企業の方は助かると思うのですが、またそうしていただきたいと思うのですが、その点の検討はなされませんかね。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○遠藤(政)政府委員 お言葉を返すようですが、いまの先生の御指摘はちょっと矛盾しているんじゃないかと私は思います。と申しますのは、私どもの方で考えておりますのは、少なくとも、企業経営が不振なために休業せざるを得ない、その場合、基準法で六割の休業手当が義務づけられているわけです。私どもは、制度的に言いますと、基準法違反で、六割の賃金の補償、いわゆる休業手当の支給もできないような者について、国が制度的にこれを援助するというわけにはまいりません。まあこれは公式論ですけれども……。  そこで、そうならないようにするために、中小企業には、休業手当が支給されれば三分の二を補助します。ということは、仮に六〇%の休業手当を支給すれば、使用者負担は二〇%になるわけです。いま先生は、四〇%出せばあと二割をとおっしゃったんですが、逆に、使用者は基準法上の義務を履行するためには二〇%を出せばよろしい、こういうことになるわけでございます。もし一〇〇%の賃金を補償するとしても、零細中小企業主にとってみれば、三三%負担すれば一〇〇%補償できる、逆に結果論でそうなります。したがいまして、私どもが三分の二の補助ということを決めましたのは、まさに先生のおっしゃるような四割以下、実は三三%持てば一〇〇%補償できる、こういう考え方でこの制度をつくったわけでございますから、私ども、その点は全く中小企業主にとっても問題はないと考えております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 それじゃ、これもきのうの新聞ですけれども、一−二月の一時帰休について労働省が推計したものが載っております。見出しでは「五百万人・日に」、こうなっているのですが、実際は三百四十万人日、そして大企業と中小企業が大体半分ずつだ。半分ずつとなれば、百七十万人目ですかね。しかし事業所の数からいくと、大企業の方は三百カ所で中小企業の方は三千カ所である、十倍の違いがある、こういう報道がなされていたのですけれども、これは労働省がこの法律を施行するに当たって大体予想していた姿なのか、それとも予想をはるかに上回った姿なのか、その点はどうですか。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○遠藤(政)政府委員 正確に一月末現在で集計いたしました数字を申し上げますと、この雇用調整給付金制度の適用を申請してまいりました事業所総数が三千三百九十一、それの内訳は大企業が三百六、中小企業が三千八十五ということになっております。そのいわゆる給付金の支給対象になります延べ人数が総数で三百四十六万一千、その内訳は大企業が百五十八万九千、約百六十万、中小企業が百八十七万二千、約百九十万、こういうことで新聞には三百四十万とか五十万という数字が出ております。  これは私どもが当初予定といたしておりましたのは、一−三月で予算的に一応四十億程度、延べにしまして三カ月間で三百万、月百万人日程度を予想いたしておりましたので、それからいたしますと、約倍近く出てきておるんじゃないか、金額にいたしまして八十億から百億くらいの規模に達するんじゃないか、こういうふうに考えております。  そこでもう一つの問題は、新聞で、実態は五百万ぐらいあるだろう、そうしますと三百四十万と五百万の差の百四十万ないし百六十万はこの適用対象にならないんじゃないかということでございますが、もしそれが事実だとしますと、まさにそのとおりで、いわゆる休業が月に一日とか二日とか三日とか、要するに国から助成の対象にする程度にまで及ばないような、いわゆる通常的な休業規模の程度のものが漏れる、そういうものを含めると五百万人日になるだろう、こういうことでございますので、私どもは、予想よりははるかに上回っておりますけれども、十分この制度によって、いわゆる失業という事態にまで立ち至らないでカバーできることになっているんじゃないか、こういうふうに考えております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 いずれにいたしましても、今後雇用保険法が真に労働者の雇用の安定あるいは失業補償のため制度として十分にその機能を果たし得るように適正な運営をしていただきたいということです。  このほかに零細下請企業の労働者の補償あるいは身体障害者、出かせぎ労働者等の雇用の不安定な労働者に対する雇用安定対策を確立させていただきたい、これを強く要求して、次の問題に移りたいと思います。  これはやはり雇用保険法を成立させる段階で附帯決議でもはっきりしたわけでございますが、不況、倒産等による中小企業の賃金不払いについてでございます。  これは重要な問題だということで附帯決議につけられたわけでございますが、そのとき大臣も早急に対策を講じます、こういうお約束をなさったはずでございますが、五十年度の予算要求にはその問題は出ていないように思いますが、大体どの程度やる気なのか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 実質的な賃金の確保については、さきの国会の附帯決議にもありまして、労働省としては五十年度に準備をして、五十一年度に実施したい、こういうことで法制的ないろいろなものを整備しております。  なお詳しい事務的なことは、局長から答弁させます。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○遠藤(政)政府委員 ただいま大臣からお答えがございましたように、雇用保険法の御審議の際に、中小企業等が倒産によって賃金不払いがある、これは労働基準法でもちろん支払い義務が課されておりますけれども、実際上倒産によって使用者が雲隠れだとか支払い能力がなくなってしまうといった場合の賃金債権の確保についていろいろお尋ねがございました。それで私どもは労働基準局と相談をいたしまして、この雇用保険法が成立する機会に、いろいろな現行の制度を活用しながら、また新しく法制的な措置も十分組み入れて、五十年度に準備をいたしまして、五十一年度から一部実施に移し、できれば五十二年度から全面的にこの制度を発足させたい、こういうことで御答弁申し上げたわけでございます。  現在事務的にその制度の準備体制を整えまして鋭意検討いたしておる段階でございますが、お約束のような程度に実現をしてまいりたい、私どもはかように考えております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 いま準備中だということでございますが、ばたばたと中小企業が倒れていっておりますし、労働者の生活というものはそれこそ真っ暗やみでございます。事務的ないわゆる作業の時間的な問題もこれあると思いますけれども、おそらくあそこまで決議をのまれるに当たりましては、それ相当の腰構えは持っていらっしゃって作業も内々には進んでいただろうと思うのです。新聞にもすでに賃金不払い立てかえ制度の創設を労働省は考えていると、しかも国の立てかえ額は賃金日額の六割であるとかあるいは同制度を運用するに立てかえ払いの基金をつくるだとか、かなり具体的な内容が出ておりますので、具体的な実施は来年度からということでしょうけれども、実態に即して、こういう内容が固まり次第暫定的にもそれを実施なさる気はないかどうかということです。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 先ほどお答えした雇用調整交付金の問題にしてもそうでございますけれども、非常の際でございますから、異常な決意と善処する構えでやっておりますと同じように、この問題につきましても、破産法とかその他の法律のいろいろな問題等々もありますので、それらとにらみ合わせながら五十一年度から一部実施というつもりで研究はしておりますけれども、可及的速やかにとにかく非常の場合には非常なつもりでやるという覚悟は持っておりますことをひとつ御理解いただきながら善処してまいりたい、こう思っております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 それではその状況次第では五十一年以前にも実施することもあり得ると理解していいですね。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 なかなかむずかしいことだと思いますけれども、そういうつもりでひとつ研究してまいりたい、こう思っております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 労働大臣は、雇用保険法成立に当たって、四月一日の実施を雇用調整金については一月一日に繰り上げて実施なさるという態度に出られたわけですけれども、これと同じような考えで、一刻も早くこうした労働者を救済する意味からその実施に踏み切っていただきたいことを強く要求しておきます。  それでは次に参りますが、これも大変大きな社会問題になってきていると思うのですけれども、採用内定取り消しの問題でございます。非常に採用取り消しがあそこここと出てきておるわけでございます。いままでも採用取り消しのことはなかったわけではございませんけれども、こういうふうに不況というものが理由でこんなたくさん大量の取り消しがなされたのは初めてのケースであるとまで言われておりまするが、これに対して労働省としてはどう対処なさろうとしておるのか、お聞かせ願いたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 御案内のように近年若年労働者などは金の卵とか月の石のように尊重されたわけでございます。内定取り消しの中には中学校やら高等学校という話もありましたが、問題が起こったたびに私のほうではすぐにそれをフォローして実態を把握しております。中学校、高等学校の場合にはそういう問題があってもすぐにほかの方に就職しているようでございます。  そこで問題は、いまの私立大学学生、それから国立大学にも若干ございます。こういうことはまさに異常なことでございますので、非常に関心を持っているんですが、何さま学卒にとって就職というものは一生を左右する大問題でございますので、内定後においてその取り消しを受けることはまさに職業生活の第一歩を踏み出そうとする若い者に非常な失望を与えることでございます。非常に遺憾なことでございます。  そういう事態を考慮しますというと、新卒の採用取り消しというような事態を招いたことは、企業の社会的責任はきわめて重大だ、遺憾なことであるということで、企業に対しましても最大限の努力を払うように実は私の方で警告もしておりまして、昨年来こういうことが予想されましたので、職業安定機関を通じて採用取り消し等の事態を起こさないように各事業所に対して実は強く監督、指導してまいりました。  最近に至りまして一部こういう企業が起こって問題が表面化してきましたので、改めて一月の二十三日に文書をもって事業主、関係団体に強くまた警告したことでございます。  そして一方、採用取り消しを行った事業所に対しましては、来年度の新規学卒のあっせんについてはひとつ特別に考慮をするなどの厳重な行政措置を講じたい、私はこう思っております。  また採用内定の場合であっても実質的には労働契約が有効に成立したと認められる問題につきましては、労働基準法に基づきまして監督指導を実施してまいる所存でございます。学生の期待権、こういうものを踏みにじることはいけない、こういう構えでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 衆議院の予算委員会で吉國法制局長官も、たしか一月三十一日に、この内定取り消しは一般的について不法行為になり得る、こういう見解を述べていたわけでございますが、いま大臣は厳重なる警告を発した、これは私は、大臣としては当然とるべき態度であろうと思います。また労働基準法に抵触しないかどうかというのも調査しているということを聞いているのですが、この点についてはどういう見解なのでしょう。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 採用を一たん内定した人を取り消した場合の法律問題、ただいま大臣からお話ございましたが、その採用内定そのものが労働契約が実質的に成立するという意思表示なのかあるいは労働契約を将来締結するという予約なのか、それは個々の採用内定通知に即して見ないといかぬと思うのです。仮に採用内定通知が労働契約を成立させる意思である、つまりそこで実質的に労働契約が成立したとなれば、労働基準法上は雇用されているわけでございますので、解雇予告手当等の問題が生じてくるわけでございます。さらに言えば、労働基準法を超える問題かもしれませんが、解雇権の乱用つまり解雇の問題として法律的に保護されなければならない、こういうふうになってくるわけです。  いまのお話、不法行為云々でございますが、私も予算委員会で聞かしていただきましたが、期待権との関係で出てきたと思うのです。一般論として言えば、具体的に見ないとわからないけれども、不法行為に制度が予想しているような基本権利の侵害があるとするならば、損害賠償の対象になるであろうというようなお話がございました。いずれにいたしましても解雇権の乱用なり損害賠償の問題は裁判所の問題でございます。それから労働基準法上の問題は労働省の問題でございまして、いま大臣のお話がございますようにこういう時期でございますから、私どもの場合にもそういう申告等があればその問題について適切な措置をとっていきたい、こういうふうに考えております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 これはぜひ厳重監督のもとに適切な判断を下してこういう人を救っていただきたいと思うのです。同時に、そうしたいいかげんな業者に対してはそれこそ厳重なる措置をお願いしたいところであります。  時間がたってきましたので次に移ります。  社会的不公正の問題今国会で大きな課題になっているわけでございます。労働大臣の所信表明の中にもそのことがはっきり述べてあります。要するに「額に汗する勤労者が等しく報われる社会をつくり上げることこそ、今後のわが国経済社会の安定した発展の基盤となるものであり、そのためにも国民の大部分を占める勤労者及びその家族の福祉の充実に取り組むことが必要である」と、全くこのとおりでありますが、この健康な、健全なる勤労者を守っていくことは当然のことであります。またその家族を守ることは当然のことでありますが、不幸にして労働災害に遭って一生涯不治の病と言われるような病気で倒れている方々もたくさんいらっしゃるわけです。先般脊損患者がじきじき労働大臣のところに陳情申し上げたはずでございますが、あのとおりに全くお気の毒な方でございます。実は先般、これは一月の十六日ですけれども、日本経済新聞に「セキ髄損傷患者を再発認定 福岡労基局 発病から二十年ぶり」という記事が出たわけです。私はこの記事を見たときに、ああなかなか温かい手を差し伸べたな、こういうことでそれを評価していたわけですが、後で話を聞いてみますと、これが福岡の労働基準局の温かい配慮ではあったけれども、厳密に言えばこれは無効である、この再発認定は誤っていた、こう聞いたわけです。その関係者は非常に落胆もして、その関係者が所属しているいわゆる会の代表者等もこの問題は重要な問題だということで、いま何とかしてほしいという運動が起こっているわけでございますが、これについてどのようなお考えでいらっしゃるか、お尋ねをいたします。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 ただいま御指摘のございました福岡の個別ケースについて事務的に判断の誤りがあったということ、まことに申しわけなかったと思うのですが、いずれにいたしましても脊損患者等、長くいろいろ患っている方、しかもその間法律の関係でいろいろ適用関係がずれたりしている方がございます。その関係、非常に技術的で細かい問題でございますので一々は、お尋ねがあれば別でございますが申し上げませんが、労災保険が昭和二十二年でございますか成立する以前の方々の問題、それから昭和三十五年三月三十一日という時点の以前の問題等々によりましてそういう方々を区分いたしまして、援護措置という形で療養費を全額支給したり入院雑費、通院雑費等を支給している方々と、それから労災保険の適用をいたしまして、長期傷病補償給付なり障害補償給付をいたしている方々と結局分かれてしまうわけでございます。ただいまの御指摘の方は実は労災保険の適用がどうしても法のたてまえ上無理であるという方でございまして、いま申し上げました援護措置の方でいろいろ私どももお手伝いをしていきたいという方でございます。この援護措置の問題については法律の補償給付からは離れますが、できるだけ厚くしていこうということは考えている次第でございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 大臣、これはやはり非常に大事な問題だと思うのですよ。確かに法律改正前と後と言うが、また打ち切り補償等をもらっている人については援護措置で十分ではないかという考えも一面にはあるわけでございますが、実態的には非常にお気の毒な立場でございます。また福岡の基準局が再認定するほどの病状であるわけですね。というのは、仮に一時打ち切り補償をもらった人であり、あるいは一時は治癒したと見られるような人であっても現実の問題として再発の状態にあるわけです。こういう方々はそんなに全国的に言っても多い数ではございませんので、弱者救済のこういうときでもありますし、特別にこういう方に対してはいまの援護措置の内容をさらに温かい救済の内容にして救っていただきたい、こう思うのですが、いかがですか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 先日私がどこかのテレビでいろんな対談をやった後で、そのテレビをごらんになった人から、東京の人からも同じような投書をいただきました。そんなこともありますし、それからここでの御指摘あるいは全国にそういう方々がいらっしゃいますので、これら労災保険法に基づく給付を受けることのできない方々につきましては、その療養の実態あるいは生活の状態を考慮いたしまして、今後とも労災保険として可能な限り労災援護金の充実を図ることによってできるだけの手当てをしてまいる所存でありまして、五十年度予算におきまして援護金の増額を図りたいと考えております。たとえば五十年十月改正の予定にしておりますが、療養費の場合には全額、それから入院中の雑費、これは月二万三千円、さらに通院雑費といたしまして通院七日を超える者につきましては月一万一千円、さらにまた通院七日以下の者につきましては月九千円、こういうふうに予算を実は組んで御審議をいまお願いしているその中に入っていることでございまして、そういう方々に手厚くこぼれのないようにしたいというところが私たちの考えでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 援護措置の内容の多少の引き上げあるいは援助の内容の拡大について私は反対するものではありません。むしろもっとしていただきたいところでございますが、いま私が特に申し上げたいことは、仮に実態的に再発をしていても法律の上でどうしてもそれを再認定できないという立場になっておりますので、これは法改正する以外にないだろうということが一つなんです。しかしそれまでにならなくとも、昭和三十五年以前のわずかな人数ですから、この人に対してはやはり特別の配慮をしていただきたいということです。  実際三十五年以前のそうした対象者を大体掌握なさっているかどうかということですがね。

田中清定労働省労働基準局労災管理課長

○田中説明員 昭和三十五年の三月三十一日以前に打ち切り補償費を受けまして、長期傷病補償給付という形で現在労災保険の給付に乗っかっております者が約九百名おります。それから同じく打ち切り補償費を受けたわけでございますが、現在労災保険法の給付に乗っかってこない者が約二百名ほどおりまして、これは先ほど局長から申し上げました援護金の対象者として保護されているわけでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 要するに二百人程度の方が全部再発したとしても二百名なんですね。それでもいま言うように長期療養給付が受けられないわけでございますので、その点を配慮したいわゆる援護内容を検討していただきたいということです。よろしくお願いします。  じゃ時間がもう参りましてちょっとしかありませんから最後に一つ、今回作業環境測定法案が再度提出が予定されているわけでございますが、実は前国会で通産省関係の環境計量士の法律というのが成立しております。これが一部には二重行政ではないかという批判も出てきているわけでございますけれども、一体どういうことなのか、環境についてはどのような調整が行われたのか、そういう点をあわせて説明願いたいと思います。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 御指摘の作業環境測定法案、今国会に提案する運びになっておりますが、作業環境の測定といいますのは、一般の環境計量と異なりまして、特殊の技術、特殊のデザインが必要でございます。特に、有害であり、また特殊な問題を含む測定技術など、むずかしい問題がございます。そういうことではございますが、ただいまお話ございましたように、二重行政になってもそれは困るわけでございます。  そこで、必要な調整を行っております。それは作業環境測定機関の登録を受けた者は、作業環境の測定については計量証明事業の登録を受けなくてもよいということと、それからい環境計量士の資格を有する者については、作業環境測定士になるための資格要件、つまりこれには試験に合格し、かつ講習を受講することということがあるわけですが、その資格要件のうち試験についての減免措置を考慮する、を考えまして、両者の調整を考慮している次第でございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 それでは、その計量士の方ですね。これは職場内のいわゆる作業環境云々じゃなくて、一般的な環境を測定、計量する人ですけれども、その人は職場内のその測定はできないのかどうか。  もう時間がないから、なぜ私こういうことを聞くかといいますと、企業主が職場内の作業環境を測定するに当たって、作業環境測定士ではなくて計量士の方に仮りにお願いをした。そして、こちらはその専門的な知識がなかったために後で事故が起こった、そうした場合の責任の所在はどうなるのかという心配があるので、これをお尋ねしているわけです。

梶谷浩労働省労働基準局安全衛生部計画課長

○梶谷説明員 お答えいたします。  問題を二つに分ける必要があると思います。一つは、このたび作業環境測定法案で予定をしております五つばかり考えております有害業務、これにつきましては、おっしゃるごとく作業環境の測定士でなければ測定をしてもらっては困る、こういうことに相なります。しかしながら、それ以外につきましてはだれがやっても自由である、こういうことに相なります。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 じゃ、ならぬということになっていても、たまたま計量士さんがそれをやった、企業の方は明確なその分野調整ができているかどうかということはよくわかりませんで、その人を使って、それをよしとした場合、事故が起こった場合は、これはどちらの責任になるのですか。事業主の方ですか、それとも計量士の方になってくるのですか。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 作業環境の測定そのものは安全衛生法に根拠がございまして、安全衛生法で作業環境の測定を義務づけているわけでございます。したがいまして、いまの問題でございますと、安全衛生法が要求している作業環境の測定をやらなかったということになりますので、細かい話はいろいろございましょうけれども、安全衛生法から来る問題が出てくる。それを計量士に頼んでやったつもりであったということになっても、それは作業環境測定士でないならば、安全衛生法の規定を満たしたということにはなりませんので、責任はやはり事業主の方に、残ってくる、役所との関係、法との関係では残ってくる、こういうことだと思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 もう時間が来ましたので、最後に要望しておきますが、測定士と計量士と、お互いによく似た名前でもありますし、仕事内容については、いま言ったように作業環境測定士の方がより高度なあるいは専門的な技術的な問題であろうと思いますが、非常に紛らわしくわれわれも感じますので、そういう点は通産省とよく連絡をとり調整を図っていただきたい。それで、その紛らわしさを明確にしていただきたいということを強く要望いたします。  以上、終わります。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 ただいま、まだ法案の審議前に、そういう大事な御警告をいただきましたので、二重行政にならないように万全の準備を整えたい、こう思っております。

大野明自由民主党

○大野委員長 小宮君。

小宮武喜民社党

○小宮委員 私も雇用調整給付金の問題について若干質問をします。  先ほども質問があっておりましたように、いよいよ不況が深刻化してまいりまして、いまやその不況の波はもう全産業に及んでおります。     〔委員長退席、菅波委員長代理着席〕 そのために、人員整理とかあるいは希望退職者の募集、一時帰休制度が急増しておるわけです。そこで、昨年暮れに成立を見た雇用保険法の雇用調整給付金の制度が一月から発効するわけでございますが、その場合の指定業種、支給基準について、十二月の二十八日にこれは労働省として決定を見ているわけでございますが、それでは、現在指定業種として指定されているものは何事業所ぐらいあるのか、また、そこに働いておる労働者の数はどれくらいいるのか、この点まず説明を願いたいと思うのです。

小粥義朗労働省職業安定局雇用政策課長

○小粥説明員 お答えいたします。  現在までに指定しております業種は、日本標準産業分類によりまして、中分類業種が七、それから小分類業種が七、細分類業種が残り全部を合わせまして三十九業種ございますが、その対象事業所数が約二十一万、そこに働きます常用労働者の数が約五百八十万でございまして、これは労働者の数で申し上げますと、製造業全体の約五六%という数字になっております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 現在、一時帰休制度を実施している事業所数と、そこで働いておる従業員数は幾らになるのか。

小粥義朗労働省職業安定局雇用政策課長

○小粥説明員 全産業で一時帰休を実施しております事業所なり労働者の数は、これは私ども数字はございません。と申しますのは、一時休業を実施している事業所数なり労働者数を定期的に全国にわたって調査している調査統計はございませんので正確な数は申し上げられませんが、私どもが安定所を通じまして休業対象労働者二十人以上の事業所をつかんだところによりますと、昨年十二月の数字で申し上げますと、対象労働者が約十二万人という数字が得られております。なお特定の地域で、たとえば東京商工会議所あたりで昨年、部分的ですが調査したものによりますと、特に不況色の強い五つの業種について調べたところでは、事業所のうち約四%程度は一時休業を実施しているという数字が出ております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 労働省も雇用対策本部まで設けていろいろやっているんだから、そういうような面ではこの雇用保険法を提案する際にも、やはり十分そういうような実情というのは把握して、この雇用保険法の問題にしても本当にどれだけ現在一時帰休をやっておるのか、そういうような数字も当然正確に把握すべきだと思います。  しかし、それはそれとして、それでは、現在一時帰休制度を実施しておりながら指定業種に指定が受けられずにいる業種あるいは事業所がどれくらいあるのか、そこの労働者数は幾らくらいいるのか、その点いかがですか。

小粥義朗労働省職業安定局雇用政策課長

○小粥説明員 今回の雇用調整給付金制度の申請を受けるために事前に届け出をしてまいりました事業所なり労働者数は、先ほど職業安定局長の方からお答えいたしましたように、一月末現在の数字で申し上げますと、事業所数で約三千四百、休業延べ数で約三百四十万という数字がございますが、それが業種の指定を受けていないところ、あるいは受けていても支給基準に該当しないために調整給付金の対象にならないところを含めた全体の休業のどれぐらいに当たるかというお尋ねだろうと思いますが、その点についての正確な数字はなかなか申し上げにくいのでございますけれども、私どもが昨年十月時点で休業の実態を調べた中でつかみました平均の休業実施日数等から見ますと、大体半分程度が先ほど申し上げました一月末現在の届け出でもってカバーされているんじゃないかというふうに見ております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 今日こういうように不況が非常に全産業に浸透してきたという場合に、やはり指定業種になっていないために、支給基準には合致しながらも雇用調整給付金がもらえない事業所もあるわけです。したがって、私は少なくとも労働省が決めた支給基準に合致する事業所に対しては、こういった全産業に不況が及んでいるわけですから、やはり全部に支給できるように詳細に把握して、そういうような業種は業種指定をやって、こういうような人たちもやはり救済するという精神に立つべきだ、こういうふうに考える。そうしなければ、業種指定を受けていないために、労働省が決めた支給基準には合致しておるけれども調整給付金が受けられないという事業所もあるとすれば、これは非常に不公平だと思うので、その意味で——これは時間があればさかのぼって、その不況業種指定についても支給基準を内容から質問したいと思っていたのです。しかし時間がございませんから、少なくとも考え方としては、そういうような支給基準に合致するような一時帰休をやっておる業種についても指定を行って、そうして救済をするというたてまえをひとつ明らかにしてもらいたい、こう思うのですが、いかがでしょうか。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○遠藤(政)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、私どもはこの雇用調整給付金制度を運用いたします場合に、この不況によりましていろいろ雇用調整措置をとらざるを得ない、そういう際にそういった不況の実態、企業がその不況のあおりを受けて雇用調整を行う場合に、それに対応するような弾力的な運用を図っていくつもりでおります。したがいまして、三十九業種指定をいたしておりますけれども、この業種指定の対象は、今後そういった不況の実態に応じてその都度刻々追加指定をしてまいるつもりでおります。  そこで問題は、業種指定にならないで休業規模が大きい、あるいは人員整理に至らざるを得ないような事態になった場合に、業種指定されていないためにこの適用を受けられないじゃないか、それも当然拾うべきだと、こういう御趣旨かと思いますが、私どもは業種指定をいたします場合に、その業種の不況の実態といいますか、内容は二通りございまして、生産実績なりその業績とそれから雇用面の指数とこの両方に一定の基準を設けまして、その両方の面で一定の基準に達したものを不況業種という形で指定をするわけでございます。したがいまして、御指摘のようにもし業種指定にならないで休業規模の方だけは該当する、こういう場合に、それが果たして不況の結果なのかあるいは企業経営が放漫なためにそういう事態に立ち至ったものか、その判定、実は問題があるかと思いますけれども、そういうものまでも、いわゆる不況業種ではないけれども、不況の結果そうなったんじゃないのだというものについてまで、この雇用調整給付金制度を適用するのが妥当であるかどうか、その点大変私は問題があると思います。したがいまして、私どもは精いっぱいこの不況業種の指定については実態に十分対応できるような運用を図っていくことによって、いま御指摘のような問題は最大限に措置をしてまいりたい、かように考えておる次第であります。

小宮武喜民社党

○小宮委員 これも先ほど質問があっておりましたけれども、企業倒産によって失業した労働者で賃金の遅払いあるいは退職金をもらえないというような方々もたくさんおられると思うのですが、賃金不払いの概況について若干説明をしてください。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 賃金不払いの実態につきましては三月、九月というときで押えているわけです。そこで昭和四十九年九月末現在が新しいわけでございますが、その数字を申し上げますと、その時点で不払いになっておりますのは、未解決になっておりますのは千五百四十件、対象労働者数で一万四千人、金額で二十八億九千万円でございます。これを前年同期、つまり四十八年九月と比較いたしますると、件数で二八%増、対象労働者数で三三%増、金額で二三%増といずれも増加している姿を示しております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 賃金については最優先的に確保されるべきだと私は思うのです。ところが現実には担保権が優先をしたり、それに国税、地方税あるいは社会保険料が優先してしまうということで、賃金債権というのは法律上非常に弱いものになっておるわけです。したがって私は賃金債権についてはやはり最優先的に確保されるべきだと、こういうふうに考えます。そのためには、現行法の民法の問題から言ってもいろいろ問題があるようですけれども、やはりそのためには法律改正を行ってでもこの賃金債権は確保するという姿勢を労働省としては貫くべきだ、私はかように考えますが、これは法務省も来ておればよかったんですけれども、一応労働大臣からやはり労働省としての姿勢についてまずお聞きしたいと思うのです。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 賃金不払い事件につきましては、その優先弁済が問題となるのは会社倒産の場合が多いと思われます。その場合の関係法令の問題については法務省とも連絡をとりながら研究してまいりたい、こう思っております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 最低賃金の問題が最近やかましく言われておりますが、ただ私は、全国一律制にするかどうかという問題はさておきまして、最低賃金というのはわれわれが常識で考える以上に非常に安いところがございます。その意味で、最低賃金の最低、最高あるいは平均はどれぐらいになっておるのか、その点いかがですか。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 最低賃金そのものは、御指摘にもございましたが、産業別とそれから地域別に分かれております。地域別で申し上げますと、三千二百万人の適用者がおりますが、一番高いのは東京でございまして、千七百九十四円、低いのは福島でございまして千三百四十円、その中位数と申しますか、それが千七百十八円、かように相なっております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 私ある窯業に働いておる人の最低賃金を聞きましたところ、これは千四百円なんです。最低は先ほども千三百四十円という話がありましたけれども、そうしますとこの人が一カ月二十五日働いて三万五千円、それに残業をやってやっと手取りが五万円というのが最低賃金を受けておる人たちの実態なんです。この人は手取り五万円で奥さん、子供三人を養っているわけですが、手取り五万円でいわゆる五人の生活をいたしますと、一人一月一万円なんです。そうしますと、今度政府が五十年度予算案で出してまいりました生活保護費、生活保護基準が、これはどうなっておるかということを申し上げますと、一人当たりの生活費が一級地で一万八千七百三十八円、二級地で一万七千五十円、三級地で一万五千三百六十五円、四級地で一万三千六百七十五円になっておるのです。としますと、いまの最低賃金の適用を受けておる労働者が千四百円とか、千三百円の最低賃金で生活できるかという問題です。最低生活を保障しておる生活保護基準にしてもこういうふうに最低賃金を受けておる人よりも高いのですよ。こういうふうな実態を考えた場合に、労働省としては、これは地方の最低賃金審議会に任せておるから、そこで決まったんだからやむを得ないということではなくて、政府みずから決めました国民としての最低生活を保障する生活保護基準ですらこういうふうになっているわけですから、こういうふうな実態を労働省としては十分認識をして、この最低賃金の引き上げについては格段の努力をしてもらいたい、かように考えますが、労働大臣、所見はどうですか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 これは、先生佐賀県御出身だから、佐賀県だろうと思って、私の方でも詳しく——長崎県ですね。窯業ですからあの辺のことだろうと思って、私の方でも具体的に調べてみました。千四百円ということは事実でしたけれども、これは十二月にまた地方の最低賃金審議会で上げるように諮問しております。ですから、必要がある場合には今後も速やかに改定に努めていく、実効性のある最低賃金の設定に努めていきます。  そこでいまお話のありましたのを私、試算してみたのです。そうすると、いま千四百円で月額三万五千円が、同地方の十八歳男子生活保護費がどうなっているかと比較すると、佐賀の場合は日額千三百二円ですね。それから有田町の場合が千百五十四円、これを月額に直したものと比較しますと、やはり私の方の最低賃金の方が上だ、私の方はこういうふうに試算が出ているのです。ですから常に実効のある最低賃金というのを心がけて、毎年のようにそれに改定を諮問しておるという態度はひとつ御理解をいただきたい、こう思っております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 私は生活面からとらえておるわけですよ。     〔菅波委員長代理退席、委員長着席〕 だから一人当たりの生活費はそうじゃないのか。そうしますと、私のような単純計算ではそうなるわけです。したがって、なかなか地方の最低賃金審議会でも、諮問しても結論が出るのは非常におくれるのです。だからもう実際、ああいった物価がどんどん上がっていくとき、大臣がこれはひとつ何とかしなけりゃいかぬということで諮問しても結論が出るのが非常におくれるのです。それで、その出てくるときはまたすぐ諮問をして検討しなければならぬというような事態が起きてきておりますので、やはりそういった物価の後追いではなくて、後追いにしてもこれに敏速についていけるような最低賃金というものをひとつ御配慮いただきたいというふうに考えます。  それからもう一つ、次は労災の特別加入の問題について質問します。  これもこれまで再々、本委員会で取り上げられた問題ですが、一つの事例を紹介しますと、ある従業員五人を使っている鉄工所の事業主が、従業員と一緒に作業中、右手の指に大けがをしたので、近くの病院に行ったそうです。ところがその病院では、業務上のけがは健康保険ではだめだ、健康保険の適用は受けられないということで、自費、自己負担になって、そのために治療費が数万円かかったということを話していたのを聞いたことがございますが、この人がある友達に、おれはこうこうだったぞということを話したところが、その友達が言うのには、おまえはばかじゃないのか、作業中けがをしたと言わないで、日曜大工をやっていてけがをしたんだと言えば健康保険が受けられるじゃないかということを言われたそうです。この人は、確かにそういうふうな意味では、法律上のたてまえは業務上は労災保険、業務外は健康保険というふうになっているけれども、そういうように日曜大工をしていたためにけがをしたんだというようなうそまで言って健康保険の適用を受けなければならないのか、正直者がばかを見るようなことじゃ困るじゃないか、こういうふうなことを非常に言っておりました。そのためひとつ法律改正でもやってくれということも言っておりましたけれども、結局、こういうように中小企業の人たち、零細企業の事業主というのは、けがをした場合には労災の適用も受けられない、健康保険の適用も受けられないというようなことで泣いているという実情も聞いたわけですけれども、そういうふうな意味では、現在の労災保険にやはり中小企業の零細事業主の特別加入の問題も十分考えるべきじゃないか、やはり労災の適用を受けられるようにすべきじゃないのかというふうに考えますが、その点、いかがですか。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 ただいま御指摘ございましたが、労災保険は、いまお話しございますように、一般の労働者が業務上災害を受けたという場合にその適用があり、保険給付があるわけでございます。したがいまして、労働者以外の者であってもそういうことは考えられないかということは、そう広く広げる性質のものじゃございませんが、ただいまのようなお話を前提にいたしまして、中小企業主、それから自営業者、一人親方等々につきましては、その業務の実態あるいは災害発生の状況から見て労働者に準じて保護するにふさわしいという人たちについては、労災保険の特別加入制度というのがございます。  ただ、中小企業というわけでございますから、どういう事業主でも、どういう社長さんでもというわけではございませんが、いま申し上げましたように、これらの事業主等であって、労災保険事務組合に事務を委託した場合には特別加入制度がございますので、それを御利用願えぱ、こういうふうに考えます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 案外まだまだ、そういうふうな中小企業の方々の中ではそういうふうな実情を十分知らない人も多いのですよ。ただ官報とかなんとかで通達ぐらいやってみたって、本当にそういうことを事業主が知っておるかということ。だから本当はそういうふうな中小零細企業の、特に小規模零細事業主というのは自分が従業員と一緒になって仕事をやるわけですから、だからそういうふうな業務上の負傷というのは今後も起きる可能性があるし、恐らくまだほかにたくさんおられると思うのですよ。その人たちはどういうふうな方法でやって治療を受けておるか知りませんけれども、恐らくそういうふうな小規模零細企業の事業主というのは労働者とひとつも変わらないような作業を同じに一緒にやっておるわけですから、そういうふうな意味でそういうふうな制度をもっと、たとえば限定で構いませんが、できるだけそういうふうな人が受けられるような指導を十分やはりやるべきですよ。だからいつも、中央ではわかっておりながらも地方に行けば案外そういうふうな通達とかあるいは指導が不徹底のために知らない人がおるのです。そういうことも十分にそういうような人たちに対しては周知徹底するような方法を出先の機関でぜひやってもらいたいというふうに考えます。  それからもう一つ、労働組合の委員長の問題ですが、これも特別加入者の問題ですけれども、この前労働大臣からも非常に前向きの答弁をいただいたわけですが、最近労働災害が多く発生するということで、単位組合の組合長を初め執行委員というのは各職場に出かけて安全対策の点検だとかあるいは労働災害が発生した場合は事故調査、こういうようなことで職場に出かけるという機会が非常にふえておるのです。そういう場合に、ただ特別加入者ということだけで問題を考えるのじゃなくて、やはりそういうような実情に合わせてこういう人たちについても労災の適用を受けられるようにすべきだ、こういうように考えるのですが、いかがですか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 これは私からお答えしておきます。  いままでどんな労働運動でも大企業の労働組合というものが一つの基準になっておりますが、未組織労働者の方が倍以上いるわけでして、しかもこれは中小企業。ですから、皆さんに御可決いただいた雇用保険法でも、中小企業の方には三分の二の給付金を出すというところに中小企業を大事にするという姿勢を一緒になって打ち出していただいたわけです。中小企業の場合、なかなかお忙しいから、法律などを勉強するチャンスもありません。ですから、金融の場合でも中小企業はなかなか使えなかった時代があって、最近はようやくわかってきた。こういう法律などもそういうところにいまから先非常に力こぶを入れなければならない。いわんやこういうときになりますと、安全の問題がたいへんなことでございますから、なおさらそういう中小企業のそうした組合の方々あるいは経営者の方々、いわんや中小企業の方々は雇われマダムと違って親子代々中小企業をやっていて、夜逃げするわけにも何にもいかぬわけです。それだけに、いまから日本はお互いの労働政策としては非常に重点を置いて考えなければならぬのじゃないかという姿勢を持っておりますから、いまのような御警告を素直に受けて、なおPR、啓蒙に努めてまいりたい、こう思っております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 それでは労働組合の委員長については、労災の適用は今後どうなりますか。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 ただいま申し上げました中小企業主、それから自営業者、一人親方はすでにやっておりますが、その場合の中小企業主とは何かというのは、一応常時労働者を使っている規模によって切っております。切っておって、そういう事業者で、労災保険事務組合に事務を委託した場合に特別加入制度と、こうなっておるわけです。したがいまして、この事務組合が、いま大臣もお話しでございましたが、PR等もやっておるわけでございますが、労働組合の委員長等につきましても、いま申し上げましたような使用者と認められる、そこで言う限定がついた使用者と認められるような場合には特別加入制度により加入を認める、こういうことになっております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 全面適用の問題ですが、これも前々からいろいろ問題になっておりましたけれども、五人以下の事業所についても全面適用の問題は五十年の四月から実施するということを言われておりましたが、これは間違いありませんな。確認していいですか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 そのとおりでございます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 もう一つ、これはいつも私が取り上げる問題ですが、労災の認定の問題ですが、業務遂行中ということと業務起因という二つの条件がそろわなければ認定がなかなかされないという問題がございます。  そこで私が非常に注目しておるのは、昨年の夏、北九州市で九電の作業員が作業中、同僚が倒れまして、その同僚を病院にかつぎ込んでこの同僚は回復したわけですけれども、今度は自分が突然脳卒中で倒れて亡くなるという事件が起きておるのです。この事件について、遺族からの請求に基づいて小倉の労働基準監督署では業務上死亡ということで正式認定をしたわけです。その意味では、この小倉労働基準監督署の認定を高く私は評価しておるわけですが、やはりただ業務起因の問題あるいは業務遂行中という問題ということになるといろいろなむずかしい問題も起きるわけですが、先ほど申し上げました作業員も、亡くなられた作業員も、会社の健康珍断では高血圧だという所見が付せられておったわけですが、それを亡くなられた原因というのは精神的原因に問題ありとして認定したわけですね。だから、そういうような意味で、労働省としてもただ業務起因と業務遂行中ということだけに依然としてこだわっておられるようですけれども、今後の労災認定の問題についても、私は今回の措置は一つの新判断を示したものというふうに考えるわけですが、労働省全体の姿勢としてこの問題については取り組んでいただきたい。  この問題についての私の質問に答えて、労働省は脳卒中など、業務起因、因果関係等について専門家に研究委託をいたしておりますという答弁をしていたわけです。そこで、こういうような研究を委託しているわけですが、その結論はいつごろ出るのか、ひとつできるだけ早く出してもらいたいと思いますが、現在どういうような状況になっておるのか、報告を願いたいと思うのです。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 御指摘のようにいろいろ問題がありますが、われわれはやはり労災保険でございますので、それが業務に起因するか、相当因果関係があるかという判断がどうしても必要になります。しかし、それは個々ケースケースあるいは疾病によっていろいろございますので、その判断がまちまちになると困りますから、いろいろの認定基準であるとかその他考え方等を第一線に示しまして、それでうまく処理できるように、こういうことをやっております。  ただ問題によりますと、まだ医学的に非常に解明が不十分なところあるいはむずかしい問題等ございます。そこで、ただいまの御指摘は中枢神経及び循環器等疾患、これが脳卒中、急性心臓死でございますが、その認定基準についてということで研究者二、三の方に検討をお願いしているところでございます。早急にこの結論を得るように関係者にさらに催促をし、御依頼を申し上げたい、かように考えております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 大蔵省は来ておりますか。——それでは大蔵省にちょっと質問しますが、現在各企業において労働福祉の一環として、特に中小企業においては労働力確保の立場から昼食、夜食に対して給食費の補助を行っておるわけです。ところが、給食費の補助が七百円以上になりますとそれはその労働者の所得に加算されて課税される仕組みになっておるわけですが、それが今日のようにどんどん物価が上がっていく。したがって、この補助額の引き上げをめぐって労使の中でいろいろもめごとが起きておるわけです。また七百円というのはこれは大体昭和二十八年ごろの基準であって、現行で七百円の補助といったって二十五で割れば一食三十円にもならぬわけですから、その意味では、いまの事業主の労働者に対する給食費補助については、非課税に全額するというところまで踏み切るか——私はそれを踏み切ってもらいたいということを考えております。しかしながらそれが非常に無理であれば、いまの一月七百円という限度額を少なくとも五千円かそこらまで上げて、所得税の減税もよろしゅうございますが、非常にみみっちいようですが、こういうような問題についてもてきるところからひとつ——国税庁としてもこの問題を非課税にするということになれば、それだけ労働者の所得に加算されて課税対象になるのが非常に助かりますから、あくまでこういった労働者福祉の立場、雇用対策上、必要不可欠の問題としての給食費の補助に対する大蔵省の考え方をひとつお聞きしたい。

宮本一三国税庁直税部法人税課長

○宮本説明員 ただいま先生御指摘のように、現在現物支給につきましては月額七百円まで、これは課税しない取り扱いになっております。先生のおっしゃいますように、この七百円の限度は低いではないかという御指摘はございまして、われわれといたしましてもこのような御意見を十分考え、参酌いたしまして、先般来から御指摘のようにできるだけこれを見直してみようという角度で検討させていただいております。現在この七百円の非常課税扱いは、主に昼食の現物支給について利用されているのが実情でございます。この非課税の限度額を引き上げることによりまして、しかしながら、現物の支給を受けているような方々とそうでない方との間に税負担のアンバランスを大きくするような結果になりはしないだろうかというふうな心配も実はございまして、その限度の引き上げにつきましてはやはり慎重でなければならないというふうな角度もございます。  しかしながら他方、食事の支給につきましては、ただいまも先生から御指摘がございましたように、福利厚生の一環として非常に重要なわけでございます。そういう角度から課税上何らかの緩和措置を講ずることが適当ではないだろうかというふうな考え方が非常に強くなっておりまして、いま鋭意これをふやすような角度で検討を進めておるという次第でございます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 この問題については、私も大蔵省に昨年来ていただいていろいろ懇談したこともあるのですが、そのときはかなり前向きのお話がございました。きょうは公式の場だから少し遠慮しておられるのじゃないかと思いますけれども、この問題は前向きで非常に取り組んでもらいたいということと、やはりこれはぜひ——これはいろいろな弊害の問題も言われておりました。それはたとえば東京都内において、そういうふうな制度にすると、二百円で食べられるのを千円で食べるとかいうことになって、また問題があるとかいう例も挙げておられましたけれども、普通一般の事業所ではやはり工場内で食べるわけですから、何も外部から高いうまい品物を取って食べるというようなことはなかなかしませんので、その点私は特にお願いしたいのは、ぜひ非課税にしてもらいたい。このことをひとつ強く要望しておきます。いいですな。

宮本一三国税庁直税部法人税課長

○宮本説明員 御趣旨はよくわかりましたので、上司に伝えまして十分検討さしていただきたいと思います。

小宮武喜民社党

○小宮委員 それからもう一つ、通勤費補助。この問題も、交通料金がどんどんいまの時勢で上がっていくということで、その全部あるいは一部を事業主が補助しておる。これは公務員の皆さん方も通勤手当ということでもらっておりますけれども、普通は通勤費補助として、近距離の場合は全額、あるいは一定限度を設けて、それ以内の場合は全額、それ以上の場合はどうだというような補助をしておるわけです。これにしてもやはり労働力確保あるいは労働者の福利厚生の一環としてやられておるところが非常に多いので、この通勤費補助に対しても、先ほど申し上げました食費補助と同様に非課税にすべきだと私は考えますが、大蔵省どうですか。

宮本一三国税庁直税部法人税課長

○宮本説明員 現在通勤手当につきましては、所得税法の九条一項五号というものにおきまして、一般の通勤者について通常必要と認められる部分は非課税とされておりまして、所得税法の施行令二十条の二におきまして、非課税とされる具体的な金額の限度を定めております。一般の通勤者に通常必要であると認められる部分につきましては非課税という取り扱いになっておりますので、その意味で実質的に交通費と認められる部分につきましては、一部の例外を除きまして通勤に必要な額についてはカバーされているのじゃないだろうかと考えられます。最近料金の値上がりがございましたが、いずれにいたしましても現在一カ月当たり九千円までの限度が認められております。そういうことで、われわれといたしましては、現在の制度で大体実質的に必要とされる通勤費につきましてはカバーしておるのじゃないか、こういうふうに考えます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 九千円までは非課税ですか。それを上回るものについてはその二分の一かが非課税の対象になるのじゃないですか、どうですか。

宮本一三国税庁直税部法人税課長

○宮本説明員 限度を超えました場合には、その超えた部分につきましては全額課税の対象になります。

小宮武喜民社党

○小宮委員 全額課税の対象というのは、たとえば一万二千円補助していたとする、そうした場合に九千円までは非課税になって、そのあとの三千円だけじゃなくて一万二千円が課税の対象になるということですか。

宮本一三国税庁直税部法人税課長

○宮本説明員 三千円でございます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 はい、わかりました。  最後に、最近伝えられるところによれば、大蔵省と厚生省の間に、労働者が定年退職後も五年間は従来どおりの保険料でもとの健康保険組合に残留できるという、いわゆる退職医療保険制度を検討されているということで、早ければ今国会に提案をするというような話も聞いているんですが、これは厚生省、事実ですか。

北川力夫厚生省保険局長

○北川政府委員 いまおっしゃいましたように、そういった記事が報道されましたこと、一部の新聞に載りましたことは事実でございます。  ただ、退職者の方々にどのような充実した医療サービスを提供するかということは、これは非常に健康保険制度上重要な課題でありますことも先生御指摘のとおりでございまして、現在は皆保険下でございますから、退職をいたしましても何らかの医療保障はあるわけでございますけれども、特に四十八年改正以後は、家族の分の七割給付とかあるいは高額療養費とかいろいろな制度が導入されましたから、非常に状況は変わっております。しかしいま申し上げましたように、どういうようなサービスを提供することが一番いいかということは、どのような対象にしぼるか、あるいはまた技術的にどのようにこなしていくか、どのような制度について実施をするか、いろいろな問題がございますので、実態関係を申し上げますと、この問題は各方面の意見を十分聞きまして、また私どもの関係ある審議会でも議論されておりますので、そういうところも十分にらんで、かつまた現在の大臣が、老齢保険的な医療保障制度ということを考えてみたらどうかというようなことも言っておられますから、全体をくるめてこの制度の仕組み方を検討いたしたい、このよに、考えておるようなわけでございます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 質問を終わります。

大野明自由民主党

○大野委員長 次回は来る十三日木曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十二分散会

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